衆議院

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第3号 平成17年2月23日(水曜日)

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平成十七年二月二十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 尾身 幸次君 理事 北村 直人君

   理事 小西  理君 理事 西銘恒三郎君

   理事 今野  東君 理事 武山百合子君

   理事 中津川博郷君 理事 白保 台一君

      井上 信治君    小渕 優子君

      後藤 茂之君    坂本 哲志君

      中村正三郎君    西野あきら君

      宮腰 光寛君    宮路 和明君

      山下 貴史君    金田 誠一君

      川内 博史君    仲野 博子君

      鳩山由紀夫君    山花 郁夫君

      丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君

      東門美津子君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           東   清君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    小松 一郎君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   林  景一君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  竹谷 廣之君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 山本 隆幸君

   衆議院調査局第一特別調査室長           田中 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  若泉 征三君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  山花 郁夫君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  川内 博史君     若泉 征三君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官武田宗高君、内閣府沖縄振興局長東良信君、内閣府北方対策本部審議官東清君、警察庁刑事局長岡田薫君、防衛施設庁業務部長土屋龍司君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省国際法局長林景一君、水産庁資源管理部長竹谷廣之君、国土交通省北海道局長山本隆幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。

北村(直)委員 それでは、私の方から、時間が余りございませんので、幾つか両大臣に質問いたします。端的にお答えをいただきたいと思います。

 まず、外務大臣に、冒頭でございますが、ひとつ決意をお願い申し上げたいと思います。

 実は、二月九日に、ロシア当局によって北方隣接地域で生産をしている漁船が拿捕されております。第二十八丸中丸が拿捕されて、今カムチャツキーの港にこれが抑留されている。先般も拿捕がございまして、人道的にけしからぬ、こう私は思いますが、百数十日間抑留されていたこともございますので、拿捕の理由を問わず、やはり人道的な扱いをしていただけるように、拘束された第二十八丸中丸の乗組員及び船体が早期に解放されるように、大臣からの督励をぜひお願いしたいと思います。

 経過はわかっておりますので、そのことについて、まず決意のほどを。

町村国務大臣 今の先生御指摘の点でございます。速やかな解放に向けて努力をすること、これはもう日本国政府として当然のことでございます。既に外交努力を始めておりますけれども、さらに強く働きかけをしていきたいと考えております。

北村(直)委員 ぜひ、大臣が督励をしていただければ、その分だけ非常に速い、迅速な手続ができると思っておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

 もう一つ、外務大臣にお願いがございます。

 三月になりますと、いつものように、二〇〇五年の日ロサケ・マス漁業交渉、これが今回はモスクワで始まります。一義的には水産庁と外務省が連携をしてということでありますが、事この北方四島のことが解決されないということでこの漁業交渉に影響を及ぼしているわけであります。特に、日本の二百海里内で操業する方々あるいはロシアの二百海里内で操業する漁民の方々のそれぞれ要望、陳情等々は外務省にも行ってございます。

 ぜひ、督励をして、昨年やあるいは一昨年のように、ロシア当局の国内事情によって、出漁がおくれたり、許可書が大幅におくれたり、あるいは一度決まったこの議定書の中にある協力費等々がいつの間にやらまた高くなったり、そのようなことのないように、外務省挙げて水産庁と連携をとっていただきたい、このように思いますが、大臣の決意をお願いいたします。

町村国務大臣 三月には、いわゆるサケ・マス協定に基づく政府間協議が行われる予定でございます。水産庁と連携をしながら、地元の漁業者の皆さん方の御要望もしっかり踏まえた上で、ロシア政府と交渉を精力的に進めていきたいと思っております。

 特に、ロシア二百海里水域内におけるサケ・マス操業に関する民間交渉ですが、今委員御指摘のとおり、先方の国内手続がおくれた結果、日本の漁船の出漁時期が大変おくれるという、大変経済的な損失が出ているという事態がしばしば発生をしているわけでございまして、私も、一月十四日、日ロ外相会談の席において、ラブロフ外相に対して、こういうことが毎回繰り返されるのはまことに困るということで、強く具体的な対応をするようにということを申し入れたところでございます。

 外務省としても、今後、引き続き、漁業者の皆さん方の円滑な操業が確保されるように、民間交渉にも可能な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

北村(直)委員 大変力強いお言葉をいただきました。

 特に、日本の二百海里内でのこの交渉は、これは政府間交渉でございます。そしてその中で、漁業の協力費が毎年上がっていく、そういう中にあって、漁業者の方々は、これ以上協力費等々が上がっていけば生産というよりも漁業自体をやめざるを得ない、こういうふうになります。これはロシアの二百海里内も同じであります。

 協力費がこれ以上上がっていくと、漁業者がもう廃業せざるを得ない。そうなれば、日本の漁業者の影響と同時に、ロシア側の方の影響も大きいわけでありますので、これは、政府間交渉はもとよりでありますが、民間交渉においても、政府間交渉のようなつもりで外務省が主導的な立場をとっていただくことを重ねてお願い申し上げるところでございます。

 さて、それでは小池大臣に。

 北方四島の帰属が明確にならない中で、北方隣接地域等々が経済的に非常に疲弊をしている。そういう中にあって、いわゆる北特法という法律で支援をしていただいております。これは、四島が我が国の固有の領土であればそのようなことがないわけでありますけれども、この北特法が何回か改正もされながら、地元自治体あるいは地元に住んでいる方々の要請に応じて改正してきたわけでありますが、しかし、この時点にあって、特に、第七条あるいは第十条というのがございますが、これらが非常に適切な運用がなされていない。

 その中の一つに、第十条には北方領土隣接地域振興等基金というのがございます。これは、国と北海道が出し合って、今百億の基金を積んで、その運用益を使っていろいろな支援策をやる。しかし、当時、この基金を積んだときには利率は五・数%というようなことがありましたが、今は御承知のとおりもう三分の一にも減ってしまって、地域の経済的な発展あるいは元島民の人方の啓蒙啓発運動等々にも支障を及ぼしているというところがございます。

 この基金、これは財源を必要とするわけでありますが、私は、ロシア支援室が廃室になった関係で、昨年国庫に百数十億戻っているのもございますので、何とかこの基金を三百ぐらいまでかさ上げして、そして、当初考えたときの利率が使えるような、そういう方針をぜひ大臣の指導のもとでつくっていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

小池国務大臣 北方領土隣接地域振興等基金ということについての御質問でございました。

 確かに今、超低金利の時代でございます。近年の低金利によりまして基金の運用益は減少しているということでございますし、また、今御指摘ありましたように、基金の増額要望があることは承知をいたしております。さはさりながら、財政状況が厳しい中であることは予算委員のメンバーでもある委員はよく御承知のことでございまして、なかなかこの基金の増資というのは、そう簡単ではない、難しい話ではないかなと思っております。

 内閣府といたしましては、基金を管理運用しております北海道と連絡を密にいたしまして、今後とも、基金の安全でかつ効率的な運用、そしてまた、地元の実態を踏まえて、より効果的な事業の実施に努めてまいる所存でございます。

 そういうことで、しっかりそういった面でバックアップをさせていただきたいと思っておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。

北村(直)委員 これは与党として大臣にお話をしているわけでありまして、財源が厳しいけれども、先ほど言ったように、財源は、昨年国庫に戻っている部分もある、使っていないものが残っている、残って国庫に戻ったという事例もまた一つある。

 これは、こういうことを言わなければ、積み上げをしていくということが議論にも何もならない、百億は百億のまま。ですから、そこはやはりかさ上げをする。あるいは、どうしてもかさ上げが難しければ、その運用益が当初つくったときと同じような効果のあるように、その部分は別途また負担するような方策をぜひ考えていただきたい、このようにまずお願いを申し上げます。

 そして、この運用益の関係では、百億の基金が非常に難しいというような中で、国土交通省北海道局の方は、新たに事業として、事業費二億円、二分の一の補助という事業をつくってくれました。しかし、先ほどのこの基金の方は三分の二出すんですね、この利息の部分の三分の二出せる。使う側からすれば、これができないからこれをやれるということにしたのに、三分の二と二分の一ではおかしいじゃないかという議論もまたあります。

 それは言わずもがなでよくわかっております。それから局長もわかっていると思いますので、そこを含めて、ことしの分はこの予算の中に入っています。ですから、ことしの概算要求、まあ先の話ですけれども、八月に向かって、ぜひ、地元のいろいろな要望を聞いて、運用益あるいは事業がスムーズにいけるようにいろいろな知恵を出してもらいたい、このように思いますが、局長の決意を。

山本政府参考人 北方領土隣接地域振興等事業推進補助金についてのお尋ねだと思います。

 十六年度の予算で、地元の要望もあり、北方領土隣接地域の一市四町が行う産業の振興や交流の推進に関する施策についての経費の補助を行うため、補助金を創設したところであります。地域の安定振興をさらに推進しているところです。

 地元からは、当該補助金に対する要望も含めまして、多様な御意見を聞いております。これらの地域振興策による効果を把握するとともに、地元とも協議しながら、今後何ができるか、検討してまいりたいと思います。

北村(直)委員 ぜひ、国土交通省北海道局、できる限り地元の意見をよく聞いて、地元と一緒に、何ができるか、そしてどういうようなものをやっていけばさらにこの北特法が生きてくるのか、そのことを次の八月の概算要求までしっかりと詰めていただくように強く要望を申し上げておきます。

 さて、元島民に対する支援の中に、島民の会という会がございます。これには四島の元島民あるいは青年部の人方が継続して加入をしているわけでございますが、今、元島民も七十を超えた人方になりまして、もう年金生活者も多いということであります。しかし、いろいろなイベントやいろいろな大会なんかに自費で行く。本当に四島の返還運動の中核をなしている元島民の人方が自腹を切っていろいろなところに出るというのはやはり情けない話であって、本来は国が全部やらなきゃならない、私はそういうふうに思います。

 そこで、大臣、この島民の会の支援対策について、ことしの予算等々に明確に新規で挙げてきたものも含めて、どういったお考えがあるか、お聞かせをいただきたいと思います。

小池国務大臣 何よりも、元島民の方々でございます。私も何度かお会いをさせていただいたわけでございますけれども、元島民の方々、長い年月の間、本当に精力的に返還要求運動の先頭に立っていただいている。また、元島民の方であるがゆえに、やはり心にどっと響くものもあるわけでございます。

 北方領土問題はもとより我が国の基本の基本の問題でございますので、世論を結集いたしまして国民運動を展開するということは大変重要でありますけれども、元島民の皆様が返還要求運動の先頭に立っていただくということで、その意味でも、全国的な広がり、そして盛り上がりになっているということは事実で、私はそのとおりだろうと思っております。

 おっしゃるように、島民の会に対しての国としての財政措置をもっとということでございますが、なかなか新たな財政措置について厳しゅうございますが、いずれにいたしましても、今後とも、元島民の皆様に対する援護措置を着実に推進すること、そしてまた自由訪問のさらなる充実などを実行いたしまして、元島民の方々の心情におこたえをしてまいりたい、このように考えております。

北村(直)委員 外務省の方に一つだけお聞かせをいただきたいと思います。

 ことしの、平成十七年度の予算の中に、元島民が語る北方領土事業というのがございます。これは、島民の人方が言っておられます「語り継ぐ想い発信」という事業かどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

小松政府参考人 御説明申し上げます。

 御指摘の元島民が語る北方領土事業でございますけれども、これは、外務省が所管の公益法人でございます社団法人北方領土復帰期成同盟を通じて行っている事業でございまして、仰せのとおり、北方領土の元島民の方それからその二世の方々に、当時の島の産業や暮らしの状況でございますとか旧ソ連軍の侵攻状況、それから島への思いなどにつきまして国内の各地において語っていただく、こういうことを通じまして、国民一人一人の方にこの北方領土問題が国民全体の問題であるという意識を高めていただきまして、私どもの後押しをしていただきたいという考えで実施をしている事業でございます。

北村(直)委員 ぜひ、今の局長のお話の、やはり元島民の人方に自分の費用がかからないように、それをしっかり対応していただきたいと思います。

 時間がございません。最後に、今回、ビザなし渡航で使っております船が非常に小さくて揺れも大きい等々で、新しく建造しよう、その調査検討もしようということで、二千四百万の予算が計上されております。

 その中に、ぜひ専用船の調査研究について地元の意見をきちっと反映させてもらいたい。それには元島民の人方や青年部の方々、あるいは地域の自治体の代表の方々をこの調査研究のメンバーの中に入れていただきたいという思いが強いわけであります。それはぜひ入れるという大臣の力強い決意を聞きたいと思いますので、その件についてお答えをいただきたいと思います。

小池国務大臣 船舶の問題につきましては、元島民の皆様方から大変大きな要望があったわけでございます。そして、このたび、船舶の問題に対処をするために、この予算案におきまして約二千五百万円計上させていただきました。

 この調査におきましては、船舶の使用目的など使う条件を明らかにした上で、必要とされます船舶の機能、規模そして調達方式などについて検討を行わせていただきますが、その際は、やはり船舶の実際の使用に係る関係者から幅広に意見をお聞きする、その上で柔軟かつ機動的に進めていくということが大切なことだと考えております。

 よって、元島民の方々などから、関係者などからしっかりと意見を聞いてまいりたいと思っておりますので、よろしくお伝えください。

北村(直)委員 ありがとうございます。

 あと、外務大臣等々には、予算の分科会等々でこの領土問題、返還については私の方からまた質問をさせていただきますので、そのときはよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

荒井委員長 次に、西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 沖縄担当大臣小池大臣に新石垣空港についてお伺いをしたいと思います。

 大臣の所信にも述べられておりますように、昭和四十七年の復帰以来、我が沖縄県は、社会資本の整備を中心に、着実に沖縄振興の成果を上げてきております。復帰以来、人口も毎年一万人以上ふえて、現在では百三十五万人を超えるところまできております。

 今回は、特に、平成十七年度予算の中で新石垣空港の建設について新規の採択をされたこと、これは本当に県民の大きな喜びでございます。祖国復帰時の屋良朝苗沖縄県知事、あるいは二代目の平良幸市沖縄県知事、そして西銘順治県知事、大田昌秀県知事、現在の稲嶺惠一県知事まで、保革を問わず、五人の県知事がこの新石垣空港の建設にかかわってまいりました。地元の石垣市でも、内原英郎市長、半嶺當泰市長、そして現在の三人目の大浜長照市長と、これまた保守、革新、保革を問わず、それぞれの立場で県知事と連携をとり、全力投球をして新石垣空港の建設にかかわってきた経緯がございます。三十年近い時代の流れを経て、新規採択、新石垣空港の建設が一歩前に進んだということは本当に喜ばしい限りでございます。

 この時代の流れの中で、環境と経済の統合、調和が求められる時代に、歴史の偶然と申しますか、小池大臣が沖縄担当と環境大臣を兼ねておられることは、まさに偶然とはいえ、私は、歴史の因縁を感じるところでございます。これまでの新石垣空港建設の三十年近い流れを考えると、非常に感慨深いものを禁じ得ません。

 先日も石垣の方に参りましたけれども、小池大臣も石垣の方に入ったと思います。石垣本島を中心に、竹富、西表島、白保先生の生まれ島の竹富も入っておりますけれども、島々を中心として、本当に可能性を秘めたところでございます。これまで毎年一万人ずつ人口がふえてきて、百三十五万まできておりますけれども、新石垣空港建設が実現いたしますと、この八重山圏域は、今五万人余りの人口でありますけれども、さらに発展が見込まれるところでございます。

 大臣、環境大臣も兼ねている立場で、石垣の島々を見て、また開発と環境の調和もさせていかなければならないという、本当にふさわしい大臣ではないかと私は期待を大にしております。

 地元の石垣の方では、実を言いますと、不在の地主が五百名余りいて連絡がとれないという状況も聞いております。この辺が気がかりな懸念材料ではありますけれども、大臣、石垣視察をして、またこの三十年近い県民の思いも踏まえて、不在地主の件も踏まえまして、石垣空港建設に向けた小池大臣の決意と申しますか意気込みをぜひとも聞かせていただきたいと思います。

小池国務大臣 さきの連休を活用いたしまして、今回初めて石垣島そして八重山地域を回らせていただきました。西の果て与那国島まで足を運ばせていただいたところでございます。

 今回、石垣では、新石垣空港の建設ということで皆さんから大変大歓迎も受けていたわけでございますが、みずから石垣島の方に参りまして、改めまして、新石垣空港の建設が八重山地域の観光、産業の振興そして住民の生活の向上という面で重要なプロジェクトであるということを認識した次第でございます。

 この事業に対しては、十七年度の予算案に既に盛り込まれているわけでございますけれども、着手に当たりましては、環境アセスメントそして航空法上の手続を事業者が終了させるということが必要になってくるわけでございます。また、今御指摘がありました不在地主などの関係によっての用地の取得の問題も残されておりますけれども、こういった問題につきまして、沖縄県そして石垣市が早期の解決を図るものと期待をしているところでございます。

 いずれにしましても、沖縄県が平成二十四年度の開港を目指すということでございますので、内閣府といたしまして、国土交通省と連携をいたしまして、その実現を図るべく、今後ともできる限り支援をしてまいりたい、このように考えております。

西銘委員 ぜひとも、環境大臣を兼ねる小池大臣のもとで着実に前進させていただきたいと思います。

 大臣、八重山圏域は、たくさんの島々をごらんになって感じていると思います。環境大臣を兼ねる小池沖縄担当大臣として、新石垣空港の建設を推進する傍らでありますけれども、環境大臣として、特にこの地域に住む子供たちにあるいは何か夢を与えるような環境の視点での思いもあれば、聞かせていただきたいと思います。

小池国務大臣 すばらしい島をみずからの手で守っていこうという子供たちにも会いました。与那国は、残念ながら、一部の土地においてごみがそこに集積されていたり、せっかくのすばらしい自然がそのごみの集積場になっていたりする。与那国の場合ですけれども、そういったことに子供たちが心を痛めているということで、今回私参りましたときにすばらしい作文もちょうだいいたしました。

 そして、私が今考えているのは、一つ一つの島に子供環境大臣を任命しようかと思っているところでございまして、それぞれの島に、私が全部カバーできませんので、小さなお子さんに環境大臣を現地でお務めいただいて、そして、島の環境は自分たちが守るんだ、そういう意識をこれからも醸成していただくように図ろうと思っております。また詳しく御報告できるときがあるかと思っております。

西銘委員 小池大臣、ありがとうございました。

 私は今、小池大臣が環境大臣を兼ねているという点も、歴史のなせる偶然といいますか、因縁を感じておりますけれども、もう一点、先ほど来私が申し上げました五名の県知事あるいは三名の市長さん、保守、革新、政治的な立場を超えて、それぞれの立場で全力を投球してきたのが新石垣空港であります。

 きょうは、内閣府の西銘順志郎政務官も出席をしておりますけれども、あなたも十八年かかって国会に出てこられて、めぐりめぐって内閣府の沖縄担当の大臣政務官をしておられる。そして、私も、元沖縄県知事の西銘順治の流れから出てくる者として、こういう新石垣空港にかかわる質問をしておる。歴史の因縁を感じております。

 どうぞ、七条副大臣、小池大臣を補佐する傍ら、西銘政務官のこの新石垣空港建設にかかわる思いと申しますか、その辺の決意もぜひ聞かせていただきたいと思います。

西銘大臣政務官 御指名をいただきました西銘順志郎でございます。政務官を拝命いたしております。

 新石垣空港の建設は、地元がほぼ三十年にわたって切望してきた事業でございます。新石垣空港の建設場所の選定についても、政治的、社会的に紆余曲折があったところでございますが、今回、八重山郡民の総意で場所が決められたということを大変うれしく思っておる一人でございます。

 内閣府としても、事業者による手続の確実な終了と早期の事業着手を期待するとともに、一日も早い開港を望んでおり、私もできる限りの支援をしていきたいというふうな決意でございます。

西銘委員 政務官、ありがとうございました。

 町村外務大臣に沖縄圏域を取り巻く安全保障についてお伺いをしたいと思います。

 昨年来、中国の海洋調査船が、我が国に通告なしで、昨年で二十三回ですか、東シナ海から太平洋までの海洋調査船が確認をされております。このことを一点。それから、我が国と中国との中間線の中国側で、春暁、天外天ガス油田の試掘等も行われております。さらに昨年は、石垣市登野城の地番である尖閣諸島へ中国人の上陸の事件もございました。さらには、石垣島と宮古の多良間島の間を中国の原子力潜水艦が領海侵犯するという事件も起こっております。私は、これらの個別の案件はすべて関連しているのではないかと見ております。

 沖縄県は、東西に千キロ、南北に四百キロの海域を有する島嶼県であります。我が国の防衛大綱の中でも島嶼地域における安全保障の記述が出てきております。

 今般、町村大臣、大変忙しい中、2プラス2の安全保障協議委員会に参加をされております。この共同発表の中で、共通戦略目標というところで、地域の項目に、台湾海峡の対話を通した平和的な解決を求めていくと。

 台湾海峡、最西端の与那国島から百十キロ余り、晴れた日には台湾の島が見えるような位置に与那国島があります。台湾海峡で武力紛争が起こらないようにするにはどうしたらいいかという視点を私も常々持ちながら政治活動を展開しております。

 この「平和的解決を促す」という文言、この文言の裏に、具体的な施策として、中国、台湾両岸の話し合いを促していくというか、そういう具体的な働きかけをしていくのかどうか、御説明をいただきたいと思います。

町村国務大臣 台湾海峡をめぐる今回の共通戦略目標、大変に日本のこれまでの姿勢と変わってきたのではないかというような意図的なともいうべき誤解が一部のマスコミ等によって流布されているわけでございますが、対話を通じた平和的解決ということについては、これはもう日本のみならず、すべての関係国がそういう考えだろう、こう思っておりますし、したがって、私ども、従来からこういう立場でこの問題に取り組んできているところであります。

 ほかにも中国に言及をしておりますけれども、「地域及び世界において責任ある建設的な役割を果たすことを歓迎し、中国との協力関係を発展させる」ということで、一部にはこれは中国敵視政策かとかいうようなセンセーショナルな報道をしたマスコミもございましたが、決してそういうことではないということをまず御理解いただきたいと思います。

 その上に立って、それではどういうような方法で中国及び台湾、両方のサイドに働きかけをしてきたのか、今後するのか、こういう今のお尋ねであったかと思います。

 これまでも、例えば首脳会談においても、昨年十一月二十二日、サンティアゴの日中首脳会談、小泉総理から胡錦濤国家主席に対して、日本は台湾の独立を支持しない、この問題の平和的解決が重要であり、そのためには当事者間の対話の早期再開促進に向けての努力を求めたいと。これを初めとして、いろいろな形で中国に対する申し入れ、働きかけをしております。

 また、台湾に対しても、これは正規の国交といいましょうか外交関係があるわけじゃございませんが、さまざまなルートを通じまして、例えば外務報道官談話でありますとかいろいろな形で、話し合いを強く希望するというようなことをいろいろなチャンネル、ルートを通じて申し入れ、話し合いをしているということでございまして、今後ともまさにそういう外交的な平和努力というものが大切なんだろう、こう思っております。

 たまさか、きょうだったか、あしたでしたでしょうか、中国の孫国務院台湾事務弁公室副主任という方が今日本に来ておられまして、私もこの方に会って、対話の早期再開あるいは台湾問題の当事者間の対話による平和的解決ということを私からも申し上げたいな、かように考えているところでございます。

西銘委員 昨年の十月、台湾に参りました折、陳総統閣下と昼食の場を平沼会長以下ともにする機会がございました。その場で陳総統閣下は、中台両岸の対話を進めていくと。シンガポールでという話をしていたものですから、私は、隣の沖縄は、台北の直行も、上海も、またサミットをやった会場もあるのでという話かけをしましたら、日本政府が働きかけてくれるなら考えてもいいというお話も出ておりましたので、これは、ぜひ大臣、両岸の対話を推進していただきたいと思います。要望にとどめておきたいと思います。

 時間が参ったようであります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、仲野博子君。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 本日は、小池大臣そして町村大臣を前にいたしまして、きょうこうして私が質問させていただくことを、大変光栄であり、そしてまた大きく期待も寄せているところでございます。

 そしてまた、先般、今月七日には、北方領土の管内住民大会には逢沢外務副大臣にも遠いところ根室にお越しいただきまして、納沙布岬へ私も御一緒させていただいて、逢沢副大臣の領土を見る目が、大変真剣に見られていたということで、地元の方からも大変好意的に、きょう頑張っていただきたいということを、ぜひ答弁に、私、両大臣から期待をいただきたいな、そのように思っております。

 私の出身地である根室市が北方領土返還運動の原点の地であり、元島民の方々を初め、その二世、三世になる多くの方たちが生活をしている町ということであります。私もその根室に住む者の一人として質問させていただくわけであります。

 日本とロシアとの関係が、百五十年前の日露通好条約に始まって、そこで初めて両国の国境を択捉島と得撫島の間に定めて、日露戦争を経て、百年前には日露講和条約、いわゆるポーツマス条約が締結をされました。そして、第二次世界大戦が終結した六十年前に旧ソビエトにより北方四島が占拠され、現在に至っているということでございます。

 ことしはそのような歴史的な節目の年であり、そしてプーチン大統領の訪日を控えているわけであります。地元根室を初め多くの返還運動関係者は、このような節目の年のロシア大統領の訪日であることから、北方領土の返還に向けて大きな山場を迎えることができるのではないかという大変強い期待を持たれているわけでございます。

 政府としてのそういった北方領土問題の解決に向けた意気込みそして決意について、小池担当大臣にお伺いしていきたいと思います。

小池国務大臣 今、北方領土問題を歴史的にひもとかれて、御説明も含んでいた御質問だったかと思います。

 確かにことしは日露通好条約署名百五十周年という節目の年でございますし、またプーチン大統領の来日も予定をされているということで、改めて、北方領土問題を解決して平和条約締結に向けたプロセス、具体的かつ実質的に前進させていく必要があるということを私も肝に銘じてまいりたい、このように思うところでございます。

 問題が一日も早く解決されますように、外交交渉を成功に導くために、町村外務大臣が日本国民全員の声を背に受けてしっかりと交渉していただくためにも、私の役割といたしまして、国民世論を結集する、そしてさらに、そのすそ野を広げていく、そういった国民運動を展開していくことが何よりも重要だ、このように思っているところでございます。何より北方対策担当大臣でございますので、北方領土返還運動を支えます多くの関係団体の皆様方と緊密な連携をとりながら、この国民運動を発展、さらに強化してまいりたいと考えております。

 特に、次世代を担う青少年の皆さん、そして若い人たちに対する啓発が大変重要だと考えているところでございます。先ほども元島民の平均年齢もだんだん上がってきているというような御指摘もございました。その意味では、元島民の皆様とともに、次の世代に対しての啓発運動をしっかりやってまいりたい、このように考えております。

仲野委員 今、小池大臣から、外交交渉、背に受けて、世論を結集して、次世代に、青少年に世論を発展させていく、そういう決意があったわけであります。

 昨年十一月七日に小池大臣も、大臣に就任をされて間もなく、すぐに領土視察で根室へ訪れていただきました。そのとき各関係者の島民の方たちからもさまざまな意見等をいただいたと思います。そういったことをしっかりと胸に秘めながら、これから前進に向けてしっかりとした交渉を進められていくと思いますけれども、そのことに大きく期待をしていきたいな、そのように思っております。意気込みはわかりました。

 しかし一方で、この三月には大統領訪日に先立ちラブロフ外相の訪日が予定をされておりますけれども、小泉総理から焦らずゆっくりやろうという話があったことが報じられ、町村大臣も、一回の首脳同士の話し合いで答えが出るほど簡単なものではないという発言もあったやに聞いております。

 元島民や地元根室からは、ことしが大きな正念場、何とか領土問題の解決に道筋をつけてもらいたい、そのことを政府にしっかりと伝えてもらいたいという切実な声が寄せられているわけでございます。昨年十月には、隣国の中国との間にあった国境問題がプーチン大統領の中国訪問で合意に達して、国境問題に終止符が打たれたことも、今度は日ロ間の国境問題という思いもあるわけであります。関係者を含め、全国民が期待を抱いて注目をしているところであります。

 外相そして大統領の訪日への対応を控えられている外務大臣からも、改めてこの領土問題解決にかける意気込みと決意をお聞きしてまいりたいと思います。

町村国務大臣 先ほど仲野委員御指摘のように、ことしは、日露通好条約百五十年、さらには戦後六十年、大変大きな節目の年である。そういう年であるだけに、私どもとしては、確かに現実に主張において今大きな隔たりがあるというのは率直に言って認めなければならないわけでありますが、しかし、その隔たりをどうやって埋めることができるか、お互いにかけ橋をかけるという表現もしたこともありますが、そのために真剣な話し合いをやっていこう、こう考えております。

 一月十四日にモスクワで、私は、ラブロフ外務大臣と一日かけましてまさに真剣な話し合いを行いました。一回目ということもありまして、お互いかなり原則論に終始したのかなというような感じもございましたけれども、しかし、だからといって、戦後六十年間ずっと交わることのない状態が平行線のままずっと続いてきた、このままこれから先何十年もこういう状態を続けていくという方法も、それは一つの外交としてないことはないのかもしれませんが、それは、先ほど委員おっしゃったように、根室を初めとする周辺の方々のお気持ち、特に旧島民の皆さん方のお気持ちに沿わない方法であるということは、もうはっきりしていると思います。

 そういう状況であるだけに、私どもとしては、何とか両方の国が満足できるというか理解できる接点はないものだろうかと、これから大いに汗もかき、知恵も絞っていかなければいけない、かように考えております。

 ロシアの方も、昨年秋でしたか、二島のことについて触れました。これについて否定的な見方をする向きもあるんですけれども、私はむしろ、先方が二島のことについて、ある意味では国民的に彼らの国にとっても不人気かもしれない二島のことについて触れたということは、この日ロ交渉というものに取り組もうとするある種の真剣な姿勢のあらわれであるというふうにも受けとめることができるわけであって、決して二島以外絶対解決策がないと言っているものでもないだろう、こう考えておるわけであります。

 そういう意味で、私どもは、まず基本的な原理原則は、四島の帰属問題を解決して平和条約を締結するという基本方針は何ら変わらないわけでございますが、今後とも精力的に交渉を進めていき、できるだけ早い機会に納得し得る正しい解決というものを実現したい、一生懸命頑張っていきたいと考えているところでございます。

仲野委員 今、大臣から、さまざまな隔たりがある、それをどうやって埋めていけばいいのか、両方しっかりと話し合い、一月十四日にラブロフ大臣と話し合いをされたということで、一日では問題が解決できるものではない、今後積極的に、真剣に話し合いをして頑張っていきたいという決意をいただきました。

 そこで、今回、大臣は、二月七日の北方領土の日に九段会館で行われた北方領土全国大会に出席をされまして、双方の立場に、先ほど大臣からもちょっと言われたんですが、かけ橋をつくり、隔たりを埋めていく、そういったお話をされたと伺っております。

 私は、もうちょっと、大臣が言われたそのかけ橋というのはどういうアプローチだったのかなと。ただ単に言葉のあやではなかったような気はするんですけれども、政府として、橋もいろいろな橋があると思うんですが、どういった橋をかけていこうとしているのか。言葉の表現、それぞれいろいろあるんですけれども、もうちょっと具体的に言っていただければなと。

町村国務大臣 既に学者、研究者、マスコミ、いろいろな方々がいろいろなギャップの埋め方について触れておられることを私も承知いたしております。

 ただ、今、私の立場で、こういうアイデアもある、ああいうアイデアもあるということを申し上げますと、それがまたひとり歩きをしても日ロ交渉上いかがなものかということになりますので、私から具体の話を今することは、大変恐縮でございますが、差し控えさせていただきますけれども、やはり交渉というものは、一方だけが百点満点で他方が零点という交渉はないんだと思います。特に、国と国との関係において、もちろん理屈がなければならないとは思いますけれども、大体、解決策というのは、五十対五十、五十一対四十九とか、どちらかが一方的に勝ったという解決策というのはなかなかないものだろうと思います。

 きょうは沖縄北方委員会でございますから、沖縄返還というのは、ある意味では日本側の主張が全面的に通った、個々を見ればいろいろ不満はあるわけでございましょうが、しかし、戦争でとられた領土を交渉によって返したという、これまた実は希有なケースではないのかな、こう思ったりもしております。

 そういうケースもあるわけでございますが、この北方領土問題につきましては、なかなか相手側の主張も強うございます。しかし、そうであればあるほど、力を入れて一生懸命努力をしていく、大変抽象的な物言いで委員には恐縮でございますけれども、そういうことで努力をしていく。今までも歴代の方々がいろいろな工夫、努力をしてこられたようでございます。そうした先人たちの努力の跡、知恵、経験というものも私、受け継ぎながら、取り組んでいくという決意を申し上げさせていただきます。

仲野委員 この間さまざまな会談があり、そのたびに関係者、多くの方たちが、今度こそは今度こそはと本当に大きな期待を寄せて、その結果、このような状況で今日に至っているわけであります。

 昨年の秋に、領土問題がこうして正念場を迎えている中で、ロシア側の牽制とも揺さぶりとも見られている二島返還発言によって、私の地元では怒りの声が上がる一方で、しかし、人々の考えが揺れ動いている状況にあるが、決して根室の市民が歯舞、色丹の二島でよいということではなくて、基本は四島の帰属確認であるということです。このことを大臣に申し上げておきたいなと。しかし、こういった今大変揺れ動いているという事実は否めませんけれども、何とかこうした不安を一日も早く安心に変えていただきたい、そのように改めて大臣に要望をしておきたいと思います。

 今、根室支庁を初め管内は、漁業者のみならず、水産加工から商業に至るまで、すべての経済活動に大きな影響を与えている。この北方領土問題がなかったら、解決をされていたら、こうした町の経済がどん底になっていくような、そういったところまでにはならないだろう、まだ希望があるのではないのかなと。しかし、もうどんどんどんどん経済水域が狭められていっているという、今大変厳しい状況にあるわけであります。

 そこで、とりわけ一つお聞きしたいのでありますが、貝殻島昆布の採取漁業がありまして、これは一九六三年、大日本水産会とソ連邦国民経済会議附属漁業国家委員会との間で締結をされました。世界にも類のない民間協定として、一時期中断もありましたが、今日まで三十八年間、長期的に継続をされております。零細な沿岸漁民にとっては大変重要な漁業となっております。

 この漁業海域が、納沙布岬から約四キロに位置し、固有の領土である歯舞群島の一部にあるということであります。この海域は戦前から優良な昆布漁場であり、この協定は漁民がロシアに採取料を支払うことで昆布漁業ができるものであります。漁民は、ロシアに不法占拠された海域であるものの、生活するためにはやむを得ず採取料を支払っている。近年、昆布の消費低迷や価格が低迷する中で、漁業者においては、もうロシアへの採取料を支払うことができず、貝殻島昆布漁業を断念する漁業者がふえているという状況にあります。

 昨年の出漁船は三百二隻であって、一隻の負担が五十万円。これは、御案内のとおり、操業期間がわずか二、三カ月で、しかも水揚げが百数十万、その中で五十万採取料を払わなければならない。これだったらもうやっていられない、もう漁業をやめなきゃならない、ここまで追い込まれているという状況なんです。

 本当に今、貝殻島昆布採取漁業にかかるそのお金は、北方領土問題の未解決に伴っている、そういったことから、漁業者負担であることから、これは国において全額支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

竹谷政府参考人 お答えをさせていただきます。

 先生今御指摘のように、貝殻島の昆布漁につきましては、現在、社団法人の北海道水産会とロシア側との間の協議を行いまして、毎年操業条件を定めているという形で操業を行っているところでございます。これにつきましては、民間の協議でございますけれども、水産庁といたしましても、オブザーバー出席という形で支援をさせていただいているところでございます。

 このような民間の取り決めにおきまして、先ほど先生からお話がございましたように、内容として、昆布の採取料ということでロシア側にお金を払っているわけでございますけれども、この点につきましては、やはり民間協定の結果であるということでございますので、国として直接助成をするというのはなかなか難しいということをぜひ御理解いただきたいというふうに考える次第でございます。

 なお、これとはまた別に、こういった形で昆布漁に取り組んでおられます漁業者の方々は非常に御苦労が多いわけでございますので、こういった方々を応援するという観点から、昆布の育成環境整備に対しましては、漁業補助金の一つといたしまして、応援させていただいているところでございます。ぜひ御理解を賜りたいと思います。

仲野委員 今、竹谷部長にお答えいただきましたけれども、理解いただきたいと言われましたけれども、私としては理解できないんですね。

 今、私も、貝殻島昆布採取料について、この場で地元の声も受けて意見を述べさせていただきましたけれども、民間協定であるから国としては直接支援はできない、難しい、これは私から言わせれば全く無責任であると。この北方領土問題、日本固有の領土であります。本来であれば、これは政府として、政府の責任で行わなきゃならない問題でないでしょうか。いかがですか。

竹谷政府参考人 この昆布漁の出漁に関します操業条件に関しましては、民間の北海道の漁業者の方々とロシア側が長年話し合いということを通じて形成してきておりまして、民間取り決めという形で行われているわけでございます。そういった民間の間の取り決めの内容でお金を払うという形のものでございますので、一つの契約でございますから、そうしたものに対して国がその経費を直接助成するというのはなかなか難しいということを申し上げたわけでございます。

 やはり漁業補助金としての形ということを考えますと、昆布の育成環境というものを応援していきたいという観点から、別途助成をさせていただいているということでございますので、この点ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

仲野委員 直接それはできないと今おっしゃっておりますけれども、部長を責めてもちょっとあれなんですけれども、歯舞群島の一つにある貝殻島、北方領土が解決されていたらこんなことにならないのでありますね。この間の不利益を受けているわけですよ。これに対して、北海道と取り決めてやったことだからと逃げるようなそういったあなたの答弁では、多分きょうは地元の多くの方たちがこの模様をインターネットで見ておりますが、これではけしからぬと、多分地元で今大変怒っていると思います。

 私は、これはやはり、水産庁の竹谷部長が今お答えになったんですけれども、こういった一つの領土問題にかかわる大変重要なことであるということで、ここは、町村大臣、今の御発言、御答弁を聞いて、ちょっと大臣にお答えいただきたい。

町村国務大臣 突然の御指名をいただきまして恐縮をいたしますが、この貝殻島というのは、きのう、きょう確かに始まった問題ではない、私も正確な知識を持っているわけじゃございませんが、随分昔からのお話であろうかと思います。

 北方領土がロシア側によって占拠されているということによっていろいろな方々が不利益をこうむっているということは、確かにあるわけであります。これは漁業者の方々のみならず、例えば、まさに旧島民の方々が、自分たちの土地、もしそれを持っていれば、経済活動のみならず、そこでいろいろな活動ができたであろう、それを全部ある意味では放棄して日本に引き揚げさせられた、それによってこうむった不利益等々は相当なものがあるわけであります。

 それらについて、国が全部今、補償等々の形でやっているかというと、やはりそういう姿にはなっていないわけでございます。その一環としての貝殻島の問題であろうか、こう思いますから、私どもとしては、この北方領土問題をできるだけ早く解決して、そして正常な活動ができるようにすることに全力を挙げるということが私どもの務めであろう、かように考えております。

仲野委員 これは、確かに長い歴史があるのかもしれませんけれども、今、これだけ非常に厳しい経済状況に追い込まれている、生産された昆布の価格も大変低迷をしている。北方領土問題さえ解決をされていたらこういったことはないんだ。こういった不利益を、今度は内政措置としてしっかりと取り組む、その強いやる気というか姿勢を見せることが大事でないのかな、そのように思うわけであります。

 ぜひ、こういった実態であるということを、小池大臣も、またきょう改めて町村大臣も、しっかりと認識していただきたい、そのように思うわけであります。そして、できるものであったら、やはりこういった方たちの切実な思いや声に耳をしっかりと傾けていただきたいなということをお願いしたいと思います。

 時間もなくなってきますので、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど小池大臣の方から、世論を結集して次世代の方たちに広く啓発運動を行っていくとお答えをいただきました。確かに今、島民の方たちが平均年齢七十二歳を超えているという中で、この領土問題を風化させないために若い方たちに伝えていく、そういった若い年代の人たち、あるいは児童生徒たちを含む方たちにももっと力を入れていく、私は、本当の歴史を教えていく上でも大事なことだと思っています。

 そういったことからも、これから先細りになりつつある領土問題の風化に拍車がかかっているのではないのかなと大変今懸念をしております。政府としてどういう対策をとっていくのか、具体的に小池大臣に伺いたいと思っております。

小池国務大臣 北方領土返還、その実現のためには、まず我々国民が北方領土問題についての正しい理解と認識を持つ、そして多くの国民、特に若い世代の皆さんがこの運動に積極的に参加していただくことが必要だと思っております。

 例えば、けさの新聞に出ていたんですけれども、イラクがこれだけ問題になっているけれども、世界地図の中でそれをちゃんと指し示すことができない子の方が多かったみたいな、そういうのが出ておりましたね。そうすると、北方領土四島というのはどこを言うのかとか、現実にその辺のところを子供たちがどこまでしっかりわかっているか。イラクはよその国ですけれども、北方領土は我が国なわけですね。その中で、どこの問題なのか、島の名前は何なのかというのをどれぐらい知っているのか。これでは、みんなが北方領土は我が国の領土で返せという声になかなか一つになりにくい。そういった意味で、啓発事業というのは大変重要になってくるかと思っております。

 具体的には、青少年に対します現地研修であるとか交流会、それから青少年のお互いのビザなし交流の実施、さらには、教える側の方の先生方ですけれども、全国の中学校の社会科担当の先生方に対しての研修さらに意見交換、それから、平成十五年度からは、各都道府県の教育関係者によります北方領土問題教育者会議などを立ち上げているところでございます。

 関係省庁と連携いたしまして、若い世代の意識を喚起するということを重点として、この次世代啓発の取り組み、そして北方領土に関する教育の充実を図ってまいりたいと考えています。

仲野委員 現在、北方領土問題対策協会がございまして、全国の教育現場での領土教育の充実強化を図るために、今、各都道府県の北方領土問題教育者会議の設立に取り組んでおり、全国で二十一県において設立されているとお聞きいたしております。

 大臣からも、先ほど御答弁の中で、子供たちがきちんとした歴史を知ることが大事である、北方領土がどこにあるのか、地図を広げたときにわからないようなことではだめだと。そういった意味で、私は、ぜひ児童や生徒たちにしっかりと教育現場で教えていく必要がある、そのように思っているわけです。

 原点の地の根室では、昭和五十八年に根室管内北方領土学習研究会が組織をされて、以来毎年、公開授業や協議を行う研究大会を開催しております。返還運動の地元である北海道においてはいまだ設立がなされていないんですけれども、なぜされていないのか、どういった理由があるのか。

 北海道における教育者会議の設立は大変重要な問題であると思っております。これは国としてしっかりと指導すべきことではないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

東(清)政府参考人 ただいまの指導者研究会議の北海道立ち上げの件でございます。

 私どもは、交流会議といいますか、立ち上げるために北対協を通じていろいろな事業を行っているわけでございますけれども、今後、現地における住民の方と相談しながら、立ち上げの方向に向けて努力していきたいというふうに考えております。

仲野委員 一番立ち上げていただきたいところが立ち上がっていなかったんですね。何か特別な理由があったんですか。

小池国務大臣 確かに、十五年度立ち上げ、十六年度を予定しているということで、これまで二十一県が、順次全国に広げていくということで、このようになっております。

 ぜひ北海道全体ともしっかり話をしたいと思いますけれども、根室の方でもしっかり運動してください。よろしくお願いします。

仲野委員 大臣から前向きな答弁があったので、ぜひ早急に立ち上げをよろしくお願いしたいと思います。

 それで、昨年四月に、当時の茂木北方担当大臣から河村文部科学大臣あてに、北方領土問題に関する教育の充実強化という観点から、入学試験への北方領土問題に関する出題と、あるいはまた、北方領土学習を含む修学旅行の実施について要請がなされておりますけれども、この取り組みはその後どうなっているのか。

 そしてまた、特に修学旅行の誘致は、内閣府が提唱している北方領土を目で見る運動の推進からも重要であるにもかかわらず、現実的に根室管内を訪れている学校は少ないと聞いております。今後、国においてどのような取り組みをなされるのか、その決意をお伺いいたします。

小池国務大臣 修学旅行でございますが、実は根室市を通じて調べさせていただきました。

 平成十六年度は、中学校が一校、高等学校が三校、それから専門学校一校、専修学校一校、合わせまして六校が、納沙布岬にあります北方館から北方領土を望んで学習をしていただいたということでございます。これからもより広がりができますことを期待しております。

 また、そういった北方領土問題に対しての教育全般ということでお話をさせていただきますと、国家公務員採用試験については、一部、北方領土問題が平成十六年度において取り上げられておりますし、それから地方公務員の採用試験、入学試験などにおきます取り扱いなどについては、これからも照会していきたいと思っております。また、照会する過程において、しっかり取り上げていただけるように、こちらの方から声をかけてまいりたいと思っております。

 やはり教育、こういったものを通じて、北方領土を常に常に、粘り強く、教育の面でも力を入れてまいりたい、そしてまた、それは大変重要である、この認識で進めてまいりたいと考えております。

仲野委員 せっかく昨年四月に当時の茂木大臣から文部科学大臣に要請があったにもかかわらず、余りにも寂しい修学旅行の校数、数だなと。全国四十七都道府県、それぞれにしっかりと広くPRをしていただきたい。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 今、学校教育の中でもやはり領土学習は大事であると小池大臣からお答えいただいたので、またさらに現在の文部科学大臣に伝えていただきたい、そのことを強くお願いしたいと思います。

 それで、今、元島民の青年部というのがございまして、元島民も高齢化しておりまして、次の返還運動の主眼をより若い世代に継承することが重要である。千島連盟の下部組織として、島民二世や三世による青年部が根室や富山県を中心に組織化されてきているわけです。これを全国に広げることが後継者育成上からも必要であります。

 国において、十七年度予算案に元島民後継者対策充実推進経費として一千百万円を要請してきたわけですけれども、何と予算化されたのはわずか二百万円であります。この程度の予算措置で到底組織化は不可能でないのかなと。

 いかがですか、大臣。根拠を教えてください。

小池国務大臣 平成十七年の予算案に、確かに二百万円でございます。私も、これでは少ないんじゃないのということを申し上げました。

 まずは芽出しということで、これでまず一歩つけていきたい、このように思っております。

仲野委員 大臣、今、第一歩だということをお答えされたんですけれども、釈迦に説法ですけれども、言うまでもないんですが、必ずこの事業計画はもちろん財務の方に出すわけですよね。この二百万円、最初どれくらいこちらの委員会から財務の方に要請したんですか。最初から二百万円と出したわけじゃないんでしょうね。

小池国務大臣 最初の数字は覚えておりませんが、若干値切られたと思います。

東(清)政府参考人 最初の要求は二千百万と聞いております。(仲野委員「二千百万。それが二百万」と呼ぶ)

 いや、失礼しました。千百万でございます。

仲野委員 千百万でしょう、一千百万。

 小池大臣、ちょっとひど過ぎますよね。大臣、黙っていたんですか。これはスタートと、スタートだからこそ大事なんですよ。ぱっと派手に、やはりきちっと、スタートだからそれなりの予算をしっかりと。これから運動していく若い方たちですよ、これは大事なことです。

 二百万でどのようなことをやろうと考えているんですか。

小池国務大臣 北方領土問題対策全体で考えておるわけでございますから、この後御質問があろうかと思いますけれども、専用船舶の調査の問題もございます。幾つか全体を考えまして、こういった配分になったということでございます。

仲野委員 小池大臣は人間ができているのかもしれません。私が逆の立場でしたら怒っちゃいます。

 本当に二百万円で、ゼロ、ないよりかあった方がいいという考えになったら、それはそうかもしれませんけれども、スタートだからこそしっかりとした予算を持って、若い方たちに、さあ運動していくんだ、そういう意気込みを持たせるということが大事だったのではないのかな、私はそう思います、多くの方がそう思っています。十八年度からは、今度値切られないように、それなりの予算をしっかりと、地元の声を聞きながら措置をしていただきたいなと要望しておきます。

 あと五分ありますので、最後に一つ聞いておきたいんですが、船のことなんです。

 これは、調査検討に二カ年をかけるということなんですけれども、どうして二年もかかるのかな、こう思うんですよね。調査検討が終わって船をつくるということになれば、それからまた二年、三年かかることになるんですよね。既にもう平均で七十二歳を超えている元島民の年齢を思うと、少しでも早く結果を出してやるべきだと。

 なぜ二年も必要なのかな、二年もかけて何をやるのか、小池大臣にお伺いいたします。

小池国務大臣 ですから、この専用船舶の御質問がこの後控えているだろうと思っていたわけでございますけれども、今、老朽そして狭くなってしまった船舶に対してのニーズというのを元島民の方々も大変叫ばれておりましたので、こちらを優先させていただいたということでございます。先ほどの質問に対するお答えに通ずる答えに、ちょっとこの件、続けさせていただきたいと思っております。

 なぜ二年もかかるのかということでございますけれども、調査項目が非常に多岐にわたっておりまして、また調査事項の中には専門的な事項であったり特殊な事項も含まれるということで、調査を順序立てて行っていきたい。機能、規模、そういった検討、それから調達、どこがするのか、その方法、コストの比較検討、さらには維持管理の主体、方法、コストといったようなことでございまして、二年をかけてしっかりと検討して、そしてこの船を有効に生かしていきたい、このように考えているところでございます。

仲野委員 私が心配しているのは、何か話によりますと、この専用船舶の調査検討に当たって、新造船ありきで検討することにはならないといった話もちらっと小耳に挟んだんですけれども、そうなんですか。

小池国務大臣 お年を召した方が多くなってきたというようなことからも、バリアフリー対応の仕様が求められているわけでございます。

 その調達のあり方につきましては、先ほども申し上げましたように、実現の可能性から、効率性さらには経済性、こういった面の可能性など、あらゆる可能性を視野に入れて検討していきたいと思っておりますけれども、新造船をあらかじめ前提とするものではございません。

仲野委員 調査費を二千四百万もつけていただいた。多くの方たちは、もうこれは新しい船だろう、最新のバリアフリーの機能を有して、そして、どうしても既存の船をリフォームして使うとなれば、やはり無理難題が生じて、長もちもしないというふうな声も聞かれているわけです。そういったことからも、どうせ二千四百万の調査費もつけていただいたわけですから、そして値切られて二百万になったこともあるわけですから、そういったことで、ぜひ新造船をということで強い決意で臨んでいただきたいということ。

 もう時間もないようですけれども、最後に、本当にことしは大きな節目の年であります。プーチン大統領も訪日の予定でありますので、この外交不利益を受けたことに対する内政措置、そして四島返還に向けた国民世論の喚起を促すことが、先ほど大臣からも大事であることを御答弁いただいたので、再度お願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

荒井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 委員長や理事の先生方にお許しをいただいて質問に立たせていただきます。川内でございます。

 まず、北方領土について聞かせていただきます。

 北方領土の問題について、日本とソ連あるいはロシアとの間において、両国を法的に拘束する国際約束をすべて挙げてください。

小松政府参考人 事実関係でございますので、私から御説明をさせていただきたいと思います。

 日本とロシア、それから日本とソ連の間において締結されました条約その他の国際約束のうち、国境の画定でございますとか領土の引き渡しなどにかかわる条項を含むものを時系列的に挙げますと、一八五五年の日露通好条約、一八七五年の樺太千島交換条約、一九〇五年のポーツマス条約及び一九五六年の日ソ共同宣言がございます。

 このうち、北方四島に直接に関係する条項を含むものは、一八五五年の日露通好条約、一八七五年の樺太千島交換条約及び一九五六年の日ソ共同宣言でございます。

川内委員 そうしますと、両国、日本とロシアに対して法的拘束力のある最新の国際約束で現在有効なものは日ソ共同宣言であるということでよろしいでしょうか。

小松政府参考人 そのとおりでございます。

川内委員 もう一つ確認させていただきます。

 一九九一年の日ソ共同声明、一九九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明、いずれも、政治的には重要な文書ではあるが、法的拘束力のある国際約束ではないということでよろしいでしょうか。

小松政府参考人 今お挙げになった文書は、いわゆる法的な拘束力を持つ国際約束ではございません。いずれも、おっしゃいましたとおり、両首脳が署名した等で示されているとおり、重要な政治的意義を有する文書でございます。

川内委員 そうすると、政治的には重要だけれども法的な拘束力はなく、拘束力のある文書としては、日ソ共同宣言、一九五六年のものが一番新しいものだということになります。

 日ソ共同宣言では、平和条約締結後、歯舞、色丹の二島については日本に引き渡すことが明記をされております。少なくとも歯舞、色丹については、この日ソ共同宣言によって、日本国に帰属をすることが明確になっていると理解をしてよろしいでしょうか。これは外務大臣に御答弁をお願いします。政府の見解をお願いします。

町村国務大臣 今、委員御指摘がありました、一九五六年、日ソ共同宣言、第九項で、平和条約の締結後に歯舞群島及び色丹島が現実に日本に引き渡されるということが明文で規定をされているのは、もう既に御承知のとおりであります。

 他方、一九五六年当時のことを考えてみますと、日ソ間では、国後、択捉の扱いについて合意に達しなかったわけでありますので、したがって、領土問題が全面解決に至らず、その後の平和条約というものが締結されていない、こういうのが現在の姿でございます。

川内委員 外務大臣、私がお聞きしたのは、歯舞、色丹については日本国に帰属をするということがこの日ソ共同宣言によって明確になっていますよね、政府の見解を求めますというふうに申し上げたわけであります。

 もう一度、もしあれだったら、政府参考人の方から御答弁いただいてもいいですが。

林政府参考人 先ほど来大臣からも御説明がございましたとおり、あるいは先生もよく御承知のとおり、帰属の問題という言葉自体を使っているわけではございません。五六年の宣言にはいわば引き渡しの約束というものが書かれておるということでございます。

 帰属の問題ということに関して申し上げれば、我が国の立場に関する限りは、これはもう四島が我が国に帰属しておるんだということだろうと思います。そういう立場をとったわけでございますし、今もとっておるわけでございますけれども、しかし、それがソ連あるいはロシアとの間でどういう形になっておるかということについて申し上げれば、五六年宣言では、平和条約締結後に引き渡しを約束するというところまでが日ソ間で約束された、こういうことでございます。

川内委員 平和条約締結後に引き渡しを約束されたということは、返還を約束されたということですよね、平和条約締結後に。いいですか。返還を約束されたということですよね。

林政府参考人 私ども日本の立場から申し上げますと、一貫して我が国の領土であるわけでございます。そういう意味で、法的な意味におきまして、これを返還と表現するのが適切なのかどうかといった問題というのはあろうかと私は思います。

 それを、政治的な意味におきまして、現実にあちらに不法占拠されておる事態というものがございますので、これを解消するという意味において、返還という言葉はあろうかと思います。

 法的な意味で申し上げれば、これは五六年宣言に書いてありますとおりでございまして、それを足しても引いてもいけないんだろうと思いますが、平和条約締結後に引き渡す、日本側に引き渡すということが書いてあるということでございます。

川内委員 平和条約締結後に引き渡すと。引き渡すという意味は、それでは、ロシアから日本に渡る、引き渡すということですよね。いいですか。

林政府参考人 現実に起こりますことは、我が国が今、歯舞、色丹におきましては施政を行使できない。我が国としては、法的に我が国に正当に帰属しておるんだという立場は全く崩せないわけでございますけれども、しかし、現実にそこに施政を行使することはできない、ソ連あるいはロシアが行使しておるという状況があるわけでございますけれども、それが引き渡しの後は我が国が施政を現実に行うことができることになるということだろうと思います。

川内委員 いや、我が国の立場を私はわかっているんですよ。四島とも我が国に属している、帰属しているということは、私もそのとおりだというふうに思います。

 日ソ間で、あるいは日ロ間で確認されていることは何ですかということをお聞きしているわけで、今おっしゃられましたが、平和条約締結後に施政権を含めて歯舞、色丹については引き渡すということが確認をされていると。引き渡すことが確認をされているということは、帰属は、平和条約締結前であったとしても、歯舞、色丹は日本に帰属しているということをロシアは認めているんじゃないですか。

林政府参考人 私の口からロシアがどういう立場であるかということを代弁するのは余り適切ではないんだろうと思います。

 私どもとしては、これは、日本に帰属しておるものについて現実に日本が施政を行うことができるようになるというふうに理解しておりまして、それが可能となるような引き渡しという約束がなされたというふうに理解すべきものだと思っております。

川内委員 それでは、歯舞、色丹についてはそういう約束ができている、国後、択捉についてはいまだにできていないということでありましょう。

 では、別な聞き方をしますと、いわゆる四島一括返還論というような言葉がありますけれども、これは日ソ共同宣言からは導き出されない。四島の帰属を確認した後、平和条約を締結するというのが政府の立場であって、平和条約締結イコール四島一括返還ではないということでよろしいでしょうか。

林政府参考人 四島一括返還という言葉が、法的な説明と政治的な説明とが若干うまく整理しづらいところがございまして、一括返還とおっしゃる意味が、例えば東京宣言なんかにございます、四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結するということがございますけれども、それは、四島すべての、二島ではない、五六年のときにはまさに二島であるということで向こうが譲らなかったというところがあるわけでございますけれども、いや、二島ではないのだ、四島なのだということでそれを認めさせたというのが東京宣言でございまして、四島の帰属の問題を解決した上で平和条約を締結するのであるということを申し上げている。

 そういう意味で、それはばらばら切り離されたものではなくて、四島について我が国が帰属の問題を解決するのであるということでございます。

川内委員 私どもがこの質問の前に外務省の方とお話をさせていただいたときには、帰属の確認と四島一括返還というものは全く違うものだという御説明で、私の理解とすれば、四島一括返還というのは、四島が日本に文字どおりすべてを含めて戻ってくるということであります。帰属の確認というのは、もうそこにはロシアの方もお住まいになっていらっしゃるし、とりあえず日本のものだよということだけを日ロ間で確認した上で平和条約を締結するんだというのが政府の方針、外務省の立場だというふうに御説明を受けたんですが、私の理解に誤解がありましたでしょうか。

小松政府参考人 先ほど来、同僚の政府参考人が御答弁申し上げておりますとおり、日本政府の一貫した立場ということは、四島は日本の固有の領土であるということで、したがいまして、当然に領土的に日本に帰属しておりますし、本来であれば日本が四島において施政を現実に行使し得るということであるわけでございますけれども、非常に遺憾なことに、ロシアがそこを不法占拠しているために施政が現実に行使し得ていないという現実があるわけでございます。

 そこで、今先生のおっしゃいました、四島の帰属を確認するということと四島の返還ということが違うんだという説明を外務省員から受けたということでございますが、多分、これは想像でございますけれども、九〇年代の初めから政府が一貫して政府の立場として申し上げておりますことは、もちろん日本の立場としては、一日も早く現実の日本の施政が四島で行使し得るようになるということが悲願であるわけでございますけれども、相手の立場もございますので、まず四島が日本の領土であるということをロシアも確認してもらいたい、それができれば、現実に施政を行使し得る、その時点ということも含めまして、その辺のところは、物事は交渉事であるので、最大限柔軟に対応したいんだ、これが日本の政府の立場であるということを九〇年代の初めからさまざまな国会答弁等でも申し上げておりまして、小泉総理も昨年、四島を洋上視察なさいましたときも、島民の皆さんとの会合でその趣旨のことを申し上げたわけでございます。

川内委員 だから、私の理解が間違っているんだったら、おまえの理解は違うと言っていただきたいんですけれども、今の御説明では、とりあえず日本のものだよということを確認した上で平和条約を締結するということが政府の方針であって、それが即返還という言葉とイコールではないという理解でいいんでしょう、違うんですか。

小松政府参考人 四島の帰属というものが日本であるということをロシアが認めて、未来永劫、今のまま居座っていて、現実の日本の施政が行使できないということでは現実の解決にならないわけでございますから、単に確認をしただけではなくて、施政が行使できるように交渉していくということを一貫して言ってきているわけでございます。

 ただ、先ほどから申しておりますように、九〇年代の初めから、帰属の問題、四島の帰属というものが確認されれば、返還の態様とか時期というものについては柔軟に対応するという立場である、これは、国会を含めまして公式に繰り返して申し上げている日本政府の現在の立場であるということでございます。

川内委員 頭のいい人の説明というのはよくわからぬのですが、結局、私の理解で多分いいんだろうというふうに思うんですが、帰属の確認がされれば平和条約を締結し、そしてまた、その後に、実際の返還についてはゆっくり、いろいろなことがあるので話し合いをしながら進めていきましょうという私の理解でいいですか。

小松政府参考人 ゆっくりでいいですということを日本政府の立場として申し上げることは適当ではないと思いますけれども、繰り返しになって恐縮でございますけれども、九〇年代前半から繰り返し、これが今現在の日本政府の立場であるということを申し上げている、今のその立場というのは、四島の帰属というものが確認をされれば、実際の返還、返還の意味につきましては先ほど国際法局長から答弁したとおりでございますけれども、その態様でございますとか時期については柔軟に対応する、そういう立場をとっているということでございます。

川内委員 やっと理解ができました。

 では、次の問題に行きます。次は、沖縄の問題に移らせていただきます。

 地位協定の問題でありますけれども、前回、この委員会で私がいろいろなことをお聞きしたんですけれども、まずその中で、昨年夏のヘリコプターの墜落事故に関してですけれども、沖縄県警及び警察庁のたび重なる要請にもかかわらず、米軍は墜落したヘリの乗員、整備士等の氏名というものをいまだに明らかにしていないわけであります。日本側は航空危険行為処罰法違反ということで捜査をしていらっしゃるわけでありますが、日米地位協定十七条六項の(a)、捜査についての相互援助の規定というのがありますが、これにもかかわらず、米軍は氏名についての連絡を警察サイドにいまだにしてきていないということであります。

 なぜ協力をしていただけないのか。警察庁に、この間の経緯の説明と、米軍の非協力的な態度に対する見解というものをお示しいただきたいというふうに思います。

岡田政府参考人 米側への照会の状況でございますが、沖縄県警におきまして、事故発生直後から数回にわたり在沖縄海兵隊に対して搭乗員等の氏名等を照会しておりますが、明確な回答は得られていないところであります。

 これを受けまして、警察庁におきましても、同様の事項を米側に照会するよう外務省に依頼するなど、外務省とも連携をしながら調整を行ってきているところであります。

 回答がないことについてどのように考えるかということでございますが、この点につきましては、私どもは、捜査機関という立場として法と証拠に基づいて捜査を進めていく、こういうことでございますので、御了解をいただきたいと思います。

川内委員 いまだに連絡がないということでございますけれども、十七条の六項の(a)、捜査について「相互に援助しなければならない」というふうに地位協定に書いてあるんですけれども、何で連絡してもらえないんでしょうかね。

 外務省、どうですか。地位協定の解釈を教えてください。

林政府参考人 実態面の運用につきましてはまた補足もあろうかと思いますけれども、法的な面ということだけでまず申し上げます。

 この十七条六項、御指摘の規定というのは確かにございます。ただ、この義務と申しますのは、私どもの考え方では、基本的には犯罪捜査についての相互援助の義務を一般的に規定したものであるということでございまして、姿勢の問題として、協力するという姿勢を示すことは必要であろう。ただ、個別具体的な案件、事案について、個別具体的な要請すべてに応じなければならないというところまで規定しているということではないというふうに考えております。

川内委員 警察庁にお聞きします。

 氏名以外に、その他どういうものを米軍に照会していらっしゃいますか。

岡田政府参考人 氏名の照会と、その上で関係者からの事情聴取ないし関係の書類の提出あるいは検証についての嘱託などもいたしております。

川内委員 何か一つでも応じてもらえたものがありましたか。

岡田政府参考人 ちょっと細かいことは、今、私、手元に資料がないんですけれども、常時いろいろな連絡をとりまして、その中で、もちろん警察にとって必要な情報についても、いろいろ得ているところもあることは間違いないと思います。

川内委員 米軍から必要な情報については、必要なものは得ていると岡田刑事局長の御答弁ですが、本当ですか。名前というのは一番大事なものなんじゃないですか。

岡田政府参考人 ちょっと誤解があってはいけないんですけれども、協力を得ているものもありますし、先ほど来申し上げておりますように、協力の得られていない部分もあるという趣旨でございます。

川内委員 外務省に聞きます。

 日米地位協定上、個別具体的な事案に関して警察からの要請すべてに米軍はこたえる義務をこの地位協定は規定していないという局長の御説明でしたけれども、捜査をする上で名前というのは最も必要な情報であるというふうに思われますが、これを教えてもらえないということがなぜ地位協定上許されるのか、その根拠が私にはいま一つ、先ほどの局長の御説明ではわからないわけでありますけれども、もうちょっと具体的にわかりやすく御説明いただけますか。

河相政府参考人 先ほど林局長の方から御説明したとおり、一般的な形で地位協定上の協力義務というのがございますが、そのもとで個々のケースについての案件になります。

 本件につきましての個人の情報というものの開示につきましては、本件事故機の搭乗員等についてはその氏名の情報を公表できないという米国内の規定があるということと理解しております。

川内委員 今北米局長がおっしゃられたのは、事故報告書に整備士あるいは乗員の氏名が伏せられているということに関して、米国内法の法規の適用によって、事故報告書自体は、事故がなぜ起きたのか、二度と起きないようにするにはどうしたらいいのかということを報告するわけですから、名前が必要なものではないですから、伏せられていても、私は、それは当然だろうというふうに思います。

 それでは、防衛施設庁に聞きますが、この事故報告書に乗員や整備士の氏名が書かれていない、伏せられているということに関して、今北米局長からも米国内法の法規によりという御説明がありましたが、米国内法の何という法規か、そしてその法規の何条の何項にその根拠があるのかということを教えていただきたいというふうに思います。

土屋政府参考人 米側の事故報告書に搭乗員ないしは整備士の氏名が公表されていない、塗りつぶされていたという法的根拠についてのお尋ねですが、まず、米側からは、海外の部隊それから機密事項を扱う部隊または常に展開可能な部隊に配置されている軍要員については、合衆国法典第十編第百三十b条により、国防長官は、情報自由法第五編第五百五十二条の条項にかかわらず、個人を識別する情報を公表させない権限を与えられているということでございまして、そして、この法律を受けまして、海軍省の規則におきまして、外国の領土に駐留する部隊等に配置された人員の氏名等を開示することは個人のプライバシーの明白で不当な侵害となり、情報自由法の適用除外項目、第五編第五百五十二条(b)(六)に基づき、開示を差し控えなければならないというふうに説明をしているところでございます。

川内委員 今の報告は、事故報告書に名前を伏せることの理由ですね。

土屋政府参考人 先生おっしゃるとおり、米側の事故報告書に公表しなかった理由でございます。

川内委員 重要な捜査情報である航空危険処罰法違反の捜査をしている警察に対して、警察庁あるいは沖縄県警に対して氏名を伝達しないあるいは連絡しないということのそれは根拠ではないというふうに私は思うんですが、外務省の見解はどうでしょうか。

河相政府参考人 私どもの見解といたしましては、米国内法での個人情報の公表に関する制限ということに関しましては、事故報告書のみならず、捜査当局との関係でも米側は同様に考えているというふうに理解しております。

川内委員 そのことを警察に伝えましたか、警察庁に。

河相政府参考人 警察当局とは、私ども緊密に連絡をとっておる次第でございます。

川内委員 そのことを伝えましたかと聞いています。

河相政府参考人 当省と警察庁の個々のやりとりすべてを明らかにすることには制限がございますけれども、この点を含めて連絡をとっているということでございます。

川内委員 いや、きのうの夕方、私、外務省の方と警察の方と両方そろったところでお聞きしていたんですよ。

 沖縄県警が米軍に対して氏名を連絡してほしいという要請をしていた、らちが明かないので外交ルートに変えました、十二月の時点で、外交ルートを通じて、横須賀の、横田かな、とにかく米軍の司令部に外交ルートで氏名を連絡してほしいということを伝達してあるはずです、氏名の伝達ができないという場合にはその根拠も含めて教えてくださいということを警察は外務省に申し入れたとおっしゃっていました。

 ところが、ではその返事はありましたかとお聞きしたら、返事はまだない、来ていないというふうにおっしゃっていましたよ。

 警察庁の岡田局長、聞いていらっしゃらないでしょう。

荒井委員長 どなたに。

川内委員 刑事局長に、まず聞いていないということを。

岡田政府参考人 ちょっと御質問の趣旨が微妙なところがあるのかもしれませんけれども、警察と外務省ではいろいろ緊密に連絡もとってございます。

 それで、この件について氏名等を開示できない理由につきましては、私ども聞いているところでは、プライバシー法との関係があるというようなことを聞いておりますけれども、そこのプライバシー法の回答の可否と、それから捜査協力上の可否との関係について、私どもは、必ずしもまだ十分に明らかではございませんので、そうしたことも明らかにしてほしいという気持ちは持っております。

川内委員 北米局長、今、岡田刑事局長が若干遠慮がちに、薄々は聞いているかもしれないが、明確に聞いているわけではないと御答弁されたわけであります。

 今までこういう事件、事故で、その事故報告書でも、パイロットには責任は全くないが、整備士並びに整備士の上官には責任があるというふうに記載されているはずであります。そういう方たちは、当然日本も捜査権があるわけですから、その捜査権に基づいて氏名を、調書をつくったりするのに氏名がなきゃ調書もつくれないわけですから、氏名の連絡ぐらいはしてさしあげた方がいいんじゃないかというふうに思います。

 米軍にもう少ししっかりと、これこれこういう理由で名前ぐらい教えてくれということをおっしゃられたらどうかなというふうに思いますけれども、外務大臣、どうでしょうか。

河相政府参考人 本件ヘリの事故に関しましては、米側に協力要請をしている過程にございまして、米側からの回答を引き続き待っている、その中で、今後とも米側に協力要請をやっていくという考えでございます。

川内委員 北米局長、さっきはプライバシー法で名前は教えられないんだと言ったわけですよ。今は、米側からの回答を待っている状況でございます、捜査に協力してほしいと申し入れていますと。言っていることが全然変わるじゃないですか。名前については連絡をもらいますとちゃんと言ってくださいよ。

河相政府参考人 米側に求めております捜査協力というものは、氏名の公表以外の部分もございまして……(川内委員「氏名を公表しろなんて言っていないです、私は」と呼ぶ)氏名を私どもに……(川内委員「警察に連絡するということですよ」と呼ぶ)そのことのみが捜査協力のすべてではございませんので……(川内委員「そのことのみなんて言っていないじゃないですか」と呼ぶ)氏名につきましては、パイロットのみならず、外国の部隊で機密事項を扱う部隊それから展開可能な部隊に配置されている軍の要員については、先ほど申しました、個人を識別する情報は公表できないという米国内の規定がございます。

 ただし、それ以外の部分の捜査協力ということがございますので、その点については引き続き米側に協力要請をしているということを申し上げた次第でございます。

荒井委員長 質問者及び答弁者、一問一答にしてください。

川内委員 では、後で結構ですから、その米国内法規の根拠を私の事務所にお届けいただきたい。私、英語が読めないので、できれば訳もつけておいていただきたいんですけれども、それでちょっとまた勉強をさせていただいて、さらに次の機会に議論を譲らせていただきたいというふうに思います。

 時間もそろそろなくなってきましたので、今度は外務大臣にお尋ねをいたします。

 前回、昨年十一月九日の本委員会で、やはりヘリ墜落事故に関して、町村外務大臣は、米軍による沖縄国際大学の現場での立木の伐採や土壌の採取は日米地位協定に規定された米軍の警察権の行使ではない、十七条十項(b)ではなく、それは米軍によるある種の行政行為だというふうに御答弁をされました。

 米軍によるある種の行政行為とは一体何なのか、それは地位協定上どのように位置づけられるものなのかということを御答弁いただきたいというふうに思います。

町村国務大臣 大変お詳しい川内委員のあのときの突然の御質問でございましたので、私、十分専門用語を駆使しないで行政行為と申し上げましたけれども、その立木の伐採であるとか土壌の採取については、ヘリコプターの事故、これについて自分の責任で適切に処理するためのものということであって、警察権の行使のようにいわゆる強制力を伴うといったようなものではないということを行政行為であるというふうに申し上げたわけでございます。

 それと、地位協定における位置づけはどうなのかというのが、今続いてのお尋ねであったかと思いますけれども、地位協定上の位置づけにつきましては、施設・区域の中におきましては在日米軍は施設・区域の使用を認められておりますが、施設・区域の外、例えば今回の場合大学のキャンパスというようなところでありますが、こういう活動につきましては、米軍の活動は、警察権の行使等については地位協定上の規定によって極めて限定的に認められているというのが現在の地位協定の姿でありまして、米軍が施設・区域外で強制力を伴うような活動を無制限に何でもやっていいということには、それはなっていないわけでございます。

川内委員 警察権の行使のように強制力を伴う行政行為ではない、しかし、何らかの行政行為だ、行政権の行使だということでよろしいでしょうか、大臣。

町村国務大臣 立木の伐採とか土壌の採取というような活動が施設・区域外で認められるかどうかということについては、個々の活動の目的でありますとか態様でありますとか、具体の実態に即して考えるしかないんだろう、こう思います。そういう活動がやはり実態に即して判断して適切でないということになれば、日米合同委員会等を通じまして、米軍にその是正を求めていくということになるんだろうと思います。

 そして、駐留軍は、これは一般国際法上と言っていいと思いますけれども、日本の法令を尊重するという義務を、当然のことですが、負っているわけでございまして、実態としても、米軍の施設・区域外で、一切の制約なく、例えば交通法規を無視してすごいスピードで走っていいとかいったような、何の制約もなしに活動し得るものではないということは当然のことであろうか、こう考えております。

川内委員 北米局長、補足の御説明をいただきたいんですけれども、立木の伐採や土壌の採取は行政権の行使、行政行為ということでいいんですか。

林政府参考人 先ほど大臣からお話がございましたとおり、行政行為という言葉、用語に委員非常にこだわっておられるわけでございまして、もちろんそういう言葉をお使いになったのは事実でございますのであれでございますけれども、ただ、大臣もおっしゃいましたように、突然のお尋ねにとっさにお答えされたということでおっしゃっておられまして、恐らく、大臣の御趣旨というものをかみ砕いて申し上げれば、立木の伐採につきましては、いろいろ経緯はございましたけれども、少なくとも私どもの認識としては、同意を得て行ったものである。土壌の採取については、汚染というものがないのかということを確認するために少量の土を持ち去ったということで、基本的には、みずから引き起こした事故の処理のために必要最小限のことを行ったということであって、これ自体は、いわば行政行為という言葉からいきますと、まさに行政権、権力の行使というような印象を与えるわけでございますけれども、恐らくそういう御趣旨で大臣はおっしゃったのではなくて、行為そのものとしては、恐らく一般私人でも行い得るような行為として評価されるものであって、そういう意味において、地位協定の具体的な、警察権の行使のような、権力を行使するようなものという意味での地位協定上の根拠というのは必ずしも必要ないのではないかと思われます。

 ただ、その行為がそれでは個々の軍人が勝手にやったのかといったらそういうことではなくて、軍の方に帰属するような、公の行為の一環として行った行為という意味で行政行為というふうにおっしゃったということではないかなというふうに私は理解しております。

川内委員 行政権の行使ではない、軍として、行政機関である軍としてのある一つの行為だということでいいですか。

林政府参考人 この立木の伐採あるいは土壌の採取というものは、私的な行為として行ったわけではなくて、公務遂行の一環として行ったという意味におきまして、米軍に帰属する行為であるというふうに考えております。

川内委員 そうすると、地位協定上定められていない、取り決めのない軍としての行動は、どのように外務省としては正当化をされるのかということを御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 一般論として申し上げれば、軍隊が我が国に駐留するというものである以上、基本的には、特に平時におきましては、施設・区域の中において行動する、それから施設・区域と施設・区域の間を移動するというようなことが原則でございます。

 では、そういうことであるのは、いわゆる通常の軍事活動ということについては当然そういう形であることが想定されるわけでございますけれども、ただ、そうであるから、では米軍は一切施設・区域の中から一歩も出てはいけないのかというと、そういうことではないんだろうと思います。

 こういう場合におきまして、今まさに事故の処理ということで、十七条十項(b)に基づきます外部警察権の一環としての調査等を行っておるという、その関連におきまして、一種の事実行為として機体の処理その他の活動を行うということが地位協定上排除されておるというほどのことでもないのではないかということを申し上げているわけでございます。

川内委員 時間が参りましたので、また議論は引き続きさせていただきたいというふうに思いますが、地位協定上排除されていないということの根拠もまたお聞きしなければなりませんが、とにかく、地位協定に明示されていない軍としての行動というものがあるということだけはきょうはっきりとしたわけでありますから、私ども民主党は、地位協定上に米軍の行動については明示をしていかなければならないというふうに考えておりますし、またそれが、沖縄の皆さんの安心、安全のために必要なことであろうというふうに信じておりますので、またこれからも重箱の隅をつつくような議論をしっかりとさせていただきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、白保台一君。

白保委員 限られた時間でございますので、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 小池大臣の発言の中で、沖縄の自然環境は世界的に見て非常に貴重であり、責任を持って守り育てていくと同時に、沖縄振興の貴重な資源であるとの指摘をされた。その上で、先ほども出ましたが、環境と経済の統合を進めていく、こういうふうに言われております。大臣は環境大臣も兼務されておりますから、環境問題にも当然重きを置いて考えておられてこのような発言になったんだろう、こういうふうに思います。

 沖縄の人々は、常に米軍と、そしてまた自然環境に対して従属的な地位に置かれてきた一方で、豊富な観光資源を生かせば沖縄は経済的安定が得られる、こういうふうにも言われています。私自身も、「一千万人の出会い輝く島、沖縄!」、こういうことをスローガンにして観光振興に一生懸命取り組んでいるわけでございますが、人間同士の交流が大きな規模になれば、どこかで環境への負荷というものが出てまいります。

 そこで、沖縄の環境と経済の統合について、大臣は具体的にどのような思いでの御発言だったのか、まず最初にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、今野委員長代理着席〕

小池国務大臣 大臣といたしまして、沖縄にはもう既に何度か足を運ばせていただきました。そのたびに、沖縄の自然環境はすばらしいなという思いを深くするわけでございます。また、自然環境は、沖縄だけでなく、責任を持って守り育てていくべき財産であろう、このように思っております。一方で、沖縄の振興を推進するという役目もあるわけでございますが、その際に、自然環境の保全と活用に対しての十分な配慮、バランスが必要、このように考えております。

 具体的にどうかという御質問でございますので、何点か申し上げさせていただきますと、まず、環境大臣としても推進してまいりましたエコツーリズムでございます。

 これまでこの言葉はよく使われておりましたけれども、定義が明確でないということもございましたので、定義を定める。そしてまた、そのルールは一体どういう、共通のルール、そして地域で特別なルール、いろいろございますけれども、そういったことをまずまとめてみた、それを沖縄にも生かしていく。仲間川のマングローブの例なども、まさにエコロジーとツーリズムをどのようにして共存させていくかというような具体例ではなかったかなというふうに思います。

 それから、同じくエコツーリズムでございますけれども、体験滞在型観光を推進する。すばらしい自然を生かした取り組みを一層推進していくというのは、まさに環境と経済の統合の一例ではないかと存じます。

 また、赤土対策でございますけれども、サンゴに大きな影響を与えるということで、農用地などから土壌の流出を防止する対策を講じる。さらには、都市排水の農業用水への循環有効利用によって農業振興をしていくということも、二点目の具体例でございます。

 それから、平成十七年度からは、水産資源の増大に寄与すると考えられます藻場の保全、再生、そういった工法を開発することによりまして、美ら海の森づくり推進調査を実行していきたい、このように思っております。

 沖縄に限らず、環境と経済の統合は必要でございますけれども、特に沖縄については環境と経済の統合というのは大きなテーマではないか、そういった意味を込めて、所信で申し述べさせていただいた次第でございます。

白保委員 さすがにこの間、我がふるさと八重山を回ってこられただけあって、仲間川も含めまして、非常にいい答弁だと思います。

 そこで、先日、新聞を見ておりましたら、まさにそのとおりだな、こういうふうに思っておりますが、明治大学の百瀬教授が、沖縄振興、特に中小企業の神様と言われて、さまざまな御指導をいただいておるわけですが、この方が先般のインタビューの中で、観光の入域客が年間五百万人を連続して超えておりますけれども、その割には必ずしも収益増にはなっていない、これは丸投げで観光をやっているからだ、こういうような強い指摘がありました。いっぱい来た、しかし豊作貧乏ということは、価格の決定権を放棄している経営の末路だ、こういうようなことを書かれておるわけですね。その際に、環境に配慮し、そしてまた、地元重視のステークホルダー型経営に転換していくことが沖縄観光の生き残る方法だ、こういうような厳しい指摘をされております。

 したがって、これまでも何回かお伺いしてまいりましたが、政府として、環境を重視した、そしてまた、ステークホルダー型への転換ということも含めた沖縄観光振興策についてどのようにお考えなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 沖縄への観光客数でございますけれども、平成十六年、昨年、台風が相次いで参りましたけれども、それでも過去最高を更新して五百十五万人、まさに観光産業というのは沖縄の基幹産業である、このように思うわけでございます。

 また一方で、沖縄らしさを生かしたリーディング産業としてさらなる振興を図っていかなければならない。観光産業は世界あちこちでしのぎを削っているということでございますし、日本人観光客もあちこちに、初めてハワイへ行くという人がだんだん少なくなる、そこまでいっていないでしょうかね、とにかく、いろいろなリゾートなどもあちこち見てきたりすると、目が肥えてくる。舌ももともと肥えております。サービスへの要求度というのは日本はそもそも高うございます。

 そういった中で、どうやって沖縄らしさを生かした観光を活性化していくかということでございますけれども、そもそも沖縄は年間を通じて温暖でございますし、サンゴ礁に囲まれた海岸線に白い砂浜、竹富島のあの砂浜なんというものは最高でございますけれども、豊かな自然は観光客にとって大変大きな魅力である。その意味では、サンゴ礁の保全対策支援事業とかエコツーリズム推進事業などの施策を推進するということも必要でございます。

 また、より質の高いサービスの提供ということで観光客の満足度の向上を図る。それから、滞在日数や一人当たりの消費額の増加に結びつくようなプラスアルファの価値を加える、付加価値をどうやって加えていくのかというようなことで、観光に従事する人材の育成であるとか、例えばバリアフリー観光への対応などをやっていくというようなことも一つだと思います。

 さらには、国を挙げてビジット・ジャパン・キャンペーンということもやっているわけでございますので、一番南の地理的な沖縄のメリットなども生かして、アジアを中心とした外国観光客の誘致も積極的に進めるといったような、さまざまな戦略、戦術が今後とも必要になってくるのではないか。

 私は、そのために幾つか沖縄の島も回らせていただきました。島によって表情はそれぞれ違います。ですから、私が申し上げているのは、その島の皆さんにまずみずからの島をもう一度見直してもらって、みずからのよさを一番よく知っているべき人たちですから、皆さんですから、まずそこから、この島はとにかく世界で一番なんだ、オンリーワンなんだということを見直していく、改めてみずからを見詰めるというところからこういった観光産業のブラッシュアップというのが進むんじゃないかな、このように思っている次第でございます。

白保委員 ぜひとも、まさに今お話がございましたように沖縄経済のリーディング産業ですから、今後とも観光振興についての取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 さて、外務大臣にお伺いいたします。

 先般も予算委員会でもお伺いしましたが、去る十七日に米軍のヘリ墜落事故分科委員会の報告書が出されました。事故原因は一言で言えば整備上のミス、再発防止策としてマニュアルどおりに整備、検査の手順を行う、また飛行経路を再検討する、こういうふうな報告が出ているわけであります。さらに、これらの取り組み状況を合同委員会に報告する。

 こういうことは、これまで対策を実行したのかどうかわからないような状況で、うやむやにされていたようなかつてのことから考えれば、以前の取り組みとは非常に違った、一歩前進したのかな、こういう思いはするわけでありますが、これはあくまでも事故の対策、これからこうしますという事故対策であって、私自身は、前回の予算委員会でも申し上げたように、普天間の危険の除去というのをどうするのか。

 事故対策をやっていけば危険が除去されます、こういうふうになるのかもしれませんけれども、しかし、先日も申し上げたように、予算委員会の質問でも確認しましたが、イラク派遣中の沖縄の第三十一海兵遠征部隊が任務を終了して、二千二百人の兵員と二十機のヘリが戻ってくる。大臣は、大使館に確認して、そのとおりだ、こういうふうにおっしゃいましたが、また事故の恐怖が県民の中に大きく広がっていく。こういうような状況、これはもう非常に耐えがたいことなんです。

 したがって、この危険の除去という観点から、大臣はアメリカ側に、この危険の除去について、現場の声等も含めてお伝えなさったんでしょうか。また、お伝えなさるお考えはあるんでしょうか。

    〔今野委員長代理退席、委員長着席〕

町村国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、現在の普天間を初めとするヘリコプターの事故が起きた場合の対応というものについて今回報告がまとまった、承認されたということでありまして、これはこれでしっかりやらなければならないことだとは思いますけれども、これで根本解決かといえば、これですべてが解決したということにはならないのは委員御指摘のとおりでございます。

 今、イラクに展開している海兵隊の方々が帰ってくる、全部かどうかわかりませんが、帰ってきたり、また出ていったりするのかもしれません。その際に、沖縄に来ないで本国の方に戻ってもらったらどうかという御意見が沖縄にあるということも、私も承知をしているところであります。そういう意見を私なりに耳にした、把握した上で、先般の2プラス2におきましても、私は、ヘリコプターの事故という言葉を使いまして、沖縄の県民の負担が具体的にこういう形であるんだということは申し上げたところでございます。

 したがって、では、どうするのかということになるわけであります。いろいろな対応が考えられます。今、私どもは、基本的には、市街地にある普天間飛行場の周辺の住民の方々の不安を解消することが本当に大切なことだと思っておりますので、平成十一年の閣議決定に従いまして、沖縄県等の地元公共団体と十分協議を行いながら、早くこの移設、返還に向けて取り組む。辺野古という方法が一つあるわけであります。これとても、今、いろいろな状況からおくれているということもよくわかっております。

 いろいろな可能性を今後具体に検討していくわけでございまして、私ども、SACOはSACOとして粛々と進めていく必要があろうとは思っております。なぜならば、SACOの中には、施設の返還でありますとか、あるいは騒音対策をかくかくしかじかやりますとか、いろいろなことが書いてありますので、それらはやはりきちんとやっていくということが必要だろうと思います。

 今回の施設・区域の見直しとこのSACOがどういう関係に立つのかというのが多分御質問の趣旨なのかと思うのでありますが、それはどこかで接点が出てくるかもしれない、こうは思っております。こうは思っておりますが、今直ちにそれがこういう形でということを具体に申し上げるほど議論が煮詰まっていない。今後こうしたことを、きょう委員の御指摘のあったことも踏まえながら取り組んで、議論を深めていきたい、かように考えているところでございます。

白保委員 認識の問題で少し整理したいと思いますけれども、先般の予算委員会で申し上げた際に、知事は当初、アメリカから来た議会の代表の皆さん方とお会いしないというお話でしたが、総領事館で向こうの代表の方とお会いしました、私は朝のニュースで聞いたんですよということでお話ししましたら、まだ把握をしていらっしゃらなかった。後に北米局長においでいただいて、そのことを確認したわけです。

 やはり普天間の問題も、これはもう危険の除去の問題が一つなんですね。嘉手納の問題も出ました。辺野古の問題、地位協定の問題、この四つの問題について知事が取り上げた。そこで初めて、普天間から海兵隊に移転してもらいたい、こういう話に言及をされたということで、そういう話が初めてだということでニュースになったわけです。

 その際に、県が具体的に提案していったのは何かといえば、一九九九年の普天間飛行場の移設に係る政府方針の閣議決定があるわけです。その中で、国際情勢の変化に対応して、沖縄の米軍の兵力構成などの軍事態勢について米国政府と協議していく、こういう一項目の認識は、そういうことであるならば、政府も当然この閣議決定の国際情勢の変化に該当するというふうな認識を持っているんじゃないか、沖縄県としてはそういうふうな認識を持っているということで、知事としては初めて、移転をしてもらいたいと。

 ただ、先ほど外務大臣がおっしゃったように、確たる代替案のない中で、SACOは全く関係ありませんという話じゃありませんよ。その上でこの話が出てきたわけです。

 したがって、この県の認識を政府はどのように考えられるのか、そこをお聞きしたいと思う。

町村国務大臣 その後、知事の米連邦議会委員会委員への説明の内容を私も承知いたしました。資料もいただきました。

 政府といたしましては、抑止力を維持しながら、沖縄等地元の過重な負担軽減を図る観点から今後協議を進めるということを繰り返し申しておりますが、そのことも先般の2プラス2で申し上げたところであります。したがって、知事の言われたことも、いろいろな議論の過程の中の一つとして、さまざまな可能性を追求するという観点から、今後の議論の中で取り上げられることは、私は排除はいたしません。ただ、今の時点でどうかと言われますと、日米間で何ら決まっていないという状況にあるということは、累次申し上げているところでございます。

 確かに、海兵隊、全世界に展開をし、いるわけでございますけれども、沖縄の海兵隊の、例えば海兵隊員の数が沖縄にどのくらい必要なのかということは、やはり日米間でも当然議論の対象になってくるであろう。そういう意味で、この知事のお考えというものは私どもも率直に受けとめなければならない、こう思っております。

白保委員 さて、2プラス2ですが、最後にお伺いしますけれども、今回の協議で確認され、また日米が今後の防衛協力で掲げるものとして、共通戦略目標というものは、北朝鮮問題や台湾海峡問題など従来からある日本周辺の不安定要因に加えて、テロや大量破壊兵器など新たな脅威を念頭に、国際社会での民主主義など基本的価値の推進に向けて世界規模での協力に踏み出そうとすることが大きな特徴だということがまず一点、確認します。私の言っていることですよ、確認します。

 二つ目は、このことは一方で、極東の平和と安全の維持を目的とする日米安全保障条約の枠組みを変える可能性をはらんでいるのではないか。日本の安全確保というのは、独自の防衛力と日米安保を基軸に、世界の安定にイラクやアフガニスタンなどの情勢支援という形で個別に貢献してきた従来の政策から踏み出す、政策の転換につながる可能性があるのではないかというのが二つ目。

 三つ目は、従来の政策の延長線上とするのか、それとも、日本は新たな道を歩み出そうとしているのか。

 こういう三つの素朴な疑問が国民の中にあるんです。2プラス2の協議を終えて、こういう三つの素朴な疑問が出てきた。これに対しては十分な説明が必要になってくるんだろうということで、時間もありませんが、この辺のことについての御見解を、私が今申し上げましたことについての御答弁をいただきたいなと思います。

町村国務大臣 ちょっと一点目、何でございましたか。ちょっと今、済みません。(白保委員「国際規模での協力に踏み出そうとしているのではないですか」と呼ぶ)わかりました。

 まず、今回の共同発表の認識でございますけれども、一九九〇年の湾岸戦争以降、日本がこれまで歩んできた道というものは、一つには、平和協力法に基づく各地への日本の自衛隊員の派遣。それから、アフガン、イラク、これはいわば安全保障条約とは別のジャンル、別のジャンルの国際活動ということに私どもが方針を出した。そういう意味で、日本とアメリカが、そういういろいろな分野、安保以外の分野での世界の平和と安定のために協力する局面がふえてきた。そのことについてアメリカは大変評価をしておりますし、我々もそういう判断でこれまでやってきたということについては、過去十数年の活動を振り返ったときに、今後そういう活動が広がっていくだろうということは言えると思います。

 ただし、その際に、では日米安保との関係がどうなのか、もっと言うと極東条項がどうなってしまうのかというような端的な御質問はあるわけでございますが、私どもはそこを別に今変えようと思っているわけではございません。安保条約は安保条約として、それに基づいた平和の維持という一つの目的があるわけでございます。それは変わっておりません。

 ただ、それを超える部分でこれまで積極的にやってきたし、これからもまたそういう活動をしていこうということが必要であろうということでございまして、そのような観点から今回のこの共同発表ができたんだということでございます。

白保委員 まだ十分な説明かどうか、私は疑問ですけれども、時間が参りましたので、終わります。

荒井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 小泉総理は、今回の米軍再編協議の中で、政府の方針として、沖縄を含め、目に見える負担の軽減を図ることを挙げております。

 そこでまず、沖縄担当大臣である小池大臣にお伺いいたしますけれども、目に見える負担の軽減を図ることというのはどんな内容ですか。

小池国務大臣 今、小泉総理の演説の部分を論じられたんだろうと思いますけれども、確かに小泉総理は、一月の所信表明演説などで、沖縄の負担軽減について、その重要性について言及をされてこられました。

 もとより、沖縄の地に在日米軍施設・区域の七五%が集中をしているということでございますので、その意味で、小泉総理は、我が国の総理大臣として、沖縄の皆さんのその負担をみずから感じ取って、そしてそれを何とかして軽減していこう、その思いを込められた、このように理解いたしておりますし、そのもとで沖縄担当大臣を仰せつかっている私といたしましても、その意識を共有して、何とかして負担軽減に結びつくようなそういう流れに持っていきたい。外交交渉に当たられる町村外務大臣、そして大野防衛庁長官ともこういった意識を共有しながら、例えば今回の2プラス2で実際に臨んでいただいたもの、このように理解をしているところでございます。

赤嶺委員 そこで、2プラス2でのことなんですが、共同発表では、沖縄を含む地元の負担を軽減すると述べている一方で、SACOの着実な実施が在日米軍の安定的なプレゼンスにとって重要である、このように書かれております。

 小池大臣は、今回の合意であるSACOの着実な実施によって沖縄の目に見える負担の軽減を図るというぐあいに考えておられますか。

小池国務大臣 実際の2プラス2におきます日米の交渉、意見交換ということは、当然、外務大臣、防衛庁長官が当たられたわけでございますけれども、今回のそのアウトプットの部分で、まず在日米軍の兵力構成の見直しに関しての協議で、沖縄を含む地元の負担を軽減するというコミットメントが確認されたということ。そして、今御質問がございましたSACOの最終報告の着実な実施や日米地位協定の運用の改善ということでも一致をいたしましたけれども、この二つの点、両方、日米両国は沖縄の負担軽減に向けて協力して取り組んでいくという強い意思を確認するものであったのではないか、このように考えている次第でございます。

 私としても、こういった流れの中で県民の方々の御負担を軽減できるように、誠心誠意これからも取り組んでまいりたい、2プラス2の御報告を見て、私はそのように思った次第でございます。

赤嶺委員 外務大臣になろうかと思いますけれども、SACOの着実な実施で負担の軽減につながるかということを小池大臣にお伺いいたしましたが、明確でありませんでした。

 私、SACOの着実な実施が負担の軽減であるかどうかを示す一つの例として、この間の嘉手納の爆音訴訟があると思うんですよ。嘉手納の爆音訴訟は、米軍機の爆音は違法であるというような判決を下しました。しかし、爆音による健康被害や、あるいは爆音の原因になっている飛行の差しとめまでは踏み込まないという不当な判決でありました。

 大事なことは、その判決がどうあれ、日米両政府の間では、嘉手納の爆音については明確な軽減の方向というのをSACOで確認してきたわけですね。これは、九六年の三月の日米合同委員会で合意した嘉手納飛行場と普天間飛行場における航空機の騒音規制措置について確認し、騒音軽減のイニシアチブの実施ということでSACOで合意してきたわけですよ。

 それ以降どうなのか。嘉手納の爆音というのは殺人的ですよ。おとといもきのうも、深夜、早朝、数時間にわたって爆音をまき散らす。この騒音軽減のイニシアチブの中で、少なくとも、夜間は飛ばないよ、夜の十時から六時までは飛ばないよというのもありました。しかし、夜間はおろか、昼間も大変な騒音公害をまき散らしているというわけです。

 ですから、SACOでそういうことを決めながら、実際には爆音の被害がひどくなっていく、殺人的になっていく。こういうのを見ていったら、SACOの着実な実施というけれども、現に合意されたことが守られていないというのが実態じゃないですか。

町村国務大臣 委員御承知のとおり、SACOは非常に幅広い内容を含んでおるわけでございます。土地の返還、これが大きいわけでございますが、そのほか、訓練及び運用方法の調整、あるいは騒音軽減イニシアチブの実施、今委員がお触れになったこと、あるいは地位協定の運用の改善などでありまして、これらを含めてSACOの合意、こう言っておるわけであります。

 したがって、こうしたことを、現に進んでいるもの、あるいは実施済みのもの、なかなか進行していないもの、いろいろ現状ございますけれども、やはりこれらは方向として、いずれも着実に実施していくことが沖縄の負担の軽減につながるということは間違いがない、まず第一にこう申し上げるべきであろうと思います。

 その上で、今嘉手納の騒音の話がございました。委員が今お触れになりました合意でございます、平成八年三月二十八日、合同委員会合意。これには二十二時から六時の間の飛行などの活動は、運用上、所要のために必要なものに制限をされる、夜間訓練飛行は、任務達成、練度維持のために必要な最小限に制限をされるということで、一切飛行しないとは言っておりません。必要なものに限るということになっているわけであります。

 こういう中で今回の判決が出ました。私どもとしても、この騒音の問題というのが地域住民にとって深刻な問題であるということは認識をしているところでございまして、従来から、先ほど申し上げました合意に米側が沿うように申し入れを行う等々の対応に努めてきたところでございます。今後とも、こうした騒音規制措置の遵守を求めるようにしていかなければいけない、こう考えておるところでございます。

 今回の判決につきましては、これは司法の問題でございますから、私どもが行政の立場であれこれ申し上げるべきことではないと思いますけれども、いずれにしても、こうしたSACO合意の中で合意されたことが一つずつ着実に実施されていくということが大切であろう、こう考えております。

赤嶺委員 ですから、SACOで決めた騒音軽減のイニシアチブ、今外務大臣くしくもおっしゃったように、別に夜間飛行を全面的に禁止しているわけじゃない、深夜、早朝の夜間飛行もあり得るということであります。

 私、これが米軍の運用上としても、日本政府の姿勢はどうかと。日本政府はこの裁判でひどいものですよ、主張が。いわば夜間、早朝の飛行の問題では、まさに国防上、高度の公共性を有する米軍の活動を国が制限できる権限がないと。深夜飛ぼうと早朝飛ぼうと、そしてそれが、爆音地獄に住民が、一時間以上も十数機の編隊が飛んでいく、深夜、明け方飛んでいく、こんなの想像してくださいよ。それも必要だということを日本政府は裁判で言っているんですよ。身体的被害についても、騒音の要因によるものだとは認められないとか、あるいは嘉手納に引っ越してきた人が悪いんだ、危険への接近だ、さすがに裁判所はそれを認めませんでしたが、こんなことを日本政府が言っている。そして、SACOを着実に実施すれば騒音は軽減されるんだ、負担は軽減されるんだと。

 実際、嘉手納の町民の負担が軽減されているというぐあいにお考えですか。

町村国務大臣 先ほど申し上げましたように、周辺地域住民にとりまして深刻な問題であるということは認識しておるということを申し上げました。

赤嶺委員 深刻な問題であるということを九六年に確認しながら、騒音を軽減しましょうとSACOで決めながら、そしてそれを外務大臣の言い分によると着実に実施しているけれども、しかし、負担は軽減されない。住民の生存権を根底から奪っている。

 普天間の問題で聞きましょう。

 事故原因の報告が出されました。いろいろな質問があります。この中で、結局、飛行ルートを変える、具体的には、場周経路を再検討することによって危険の除去をやっていくんだということなんですが、飛行ルートを変えることによって普天間の飛行場は危険がなくなるんでしょうか。

河相政府参考人 普天間の飛行場の飛行ルートにつきましては、今後、日米間で再検討するということでございます。少しでも危険性を低下させるという意識を持って日米間で検討してまいる所存でございます。

赤嶺委員 ですから、外務大臣、飛行ルートを変えることによって宜野湾の普天間飛行場の周辺住民の負担が軽減され、そして危険性が除去されるんですか。

町村国務大臣 先ほど白保委員にも申し上げたとおり、これは危険の軽減でありまして、それはそれで大切なことだと思います。同時に、よりこれを根本的に解決するためにはやはり辺野古の方に移していくということが大切なんだということで、御理解を得つつこれを進めていくということが必要だと私どもは考えているわけであります。

赤嶺委員 普天間の危険を辺野古に移すことによって沖縄県民の負担が軽減されるはずはないというのはもうはっきりしているじゃないですか、そんなことって。

 負担の軽減と言いますけれども、飛行ルートの問題も見直すというのは、普天間飛行場についてはSACOで言われているんですよ、既に。つまり、飛行場の場周経路はできる限り学校、病院を含む人口密集上空を避けるよう設定するというぐあいに九六年に合意しておきながら、去年のヘリ墜落事故じゃないですか。どうしてSACOの着実な実施が沖縄県民の負担の軽減につながるんですか。つながっていないんじゃないですか。

 つながっているかどうか、外務大臣はっきり答えてください。

町村国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、土地の返還、相当数多くリストが挙がっておりますね。それらが進んでいるもの進んでいないものありますけれども、これらをしっかりやることが負担の軽減になるということで、SACOを全部否定したならば、先生、では、もうこの騒音軽減イニシアチブも全部要りませんか、地位協定の運用改善も要りませんか。そういうことではないはずであります。こういうことをしっかりやることが負担の軽減につながるということを申し上げているわけであります。

赤嶺委員 SACOで決めたことさえ、騒音軽減イニシアチブだということを決めたことさえ、日本政府はアメリカの立場に立って基地の運用を続けるから、ちっとも負担は軽減されない。まず、やるべき負担の軽減というのは、アメリカの言いなりではなくて、県内基地のたらい回しをやめるとか、あるいは普天間基地を即時撤去する、辺野古移設をやめる、そして米軍の運用上の必要性がたとえあっても住民の生存権を守る、こういう立場に立って交渉を進めることが……

荒井委員長 赤嶺君、時間が来ていますので。

赤嶺委員 負担の軽減につながるということを申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

荒井委員長 次に、東門美津子君。

東門委員 かなり時間の制約があります。急いでいきたいと思います。

 小池大臣にお伺いいたします。

 所信表明の中で、「沖縄の社会経済は、県民所得の低さや失業率の高さに示されるように厳しい状況にあり、産業の振興や雇用の創出など、自立型経済の構築に向けた一層の取り組みが重要」でありますというくだりがございますけれども、小池大臣の中にある、その自立型経済の構築に一生懸命取り組まれた、その後の沖縄像、将来の沖縄像というのはどのようにイメージしておられるか、そこから伺いたいと思います。

小池国務大臣 所信の中で、自立型経済の形として、まず問題点として、一人当たりの県民所得が、全国平均で言うならば約七割。失業率が、平成十六年の平均でございますが、全国では四・七%、一方で沖縄は七・六%、これが現状でございます。極めて厳しい。

 一方で、財政に多くを依存して、全国平均で二三・二%のところが、平成十三年度の数字でございますが、沖縄は四一・三六%。これまでのさまざまな歴史的な経緯であるとか、そういったインフラの問題などを考えますと、国としてかなり財政でバックアップをしてきたということがございますけれども、しかしながら、やはりこれから沖縄の優位性とか地域特性をむしろ見詰め直して、そこから自立型の経済を発展させていくことがさらに沖縄を大きく成長させていくのではないかというふうに考えるわけでございます。

 例えば、沖縄を改めて考えますと、今、東アジアというのは世界の中でも大変成長を続けているところ、中国などもございますし、そこから考えますと、地理的には東アジアの中心に位置もしているわけで、これから発想をそっちに切りかえて、地理的な発想を考えますと、むしろ戦略的なハブにだってなれる可能性がございます。

 それから、先ほどからの御質問で続いておりますけれども、すばらしい環境であるとか特色ある農林水産業、バイオ産業、考えれば幾つも沖縄の飯の種は転がっているんじゃないのと。それをまず見つけていただく、一緒に見つけていく。そしてそれを花開かせるようにバックアップしていくし、また、もうバックアップどころか自分たちでやりますさというぐらいの元気が沖縄に出てくることが自立型経済、このように私はイメージしております。

東門委員 ただいまのお話の中で、ぜひそうあっていただきたいと思いますが、大臣、そのとき沖縄の基地はどうなっているでしょうか。沖縄にある米軍基地の状況はどうなっているでしょうか。

小池国務大臣 先ほどから、町村外務大臣、今回の2プラス2のことについての御報告もるるございました。小泉総理の所信その他の演説などでも常におっしゃっておられますように、やはり沖縄の基地問題というのは、余りにも過重な負担を沖縄に負わせてしまっているということは、もうほぼずっと我々共通した認識でございます。

 そのために、2プラス2など、これは日本だけの問題ではございませんし、何よりも相手のあることでございます。さらには、我が国全体の、または地域の安全保障という大きな観点も考えなければならない。そんなことを考えていると、いつまでたっても沖縄の基地はなくならないじゃないかということも言われるかもしれませんけれども、こういった総合的な、ただ、沖縄の負担は多過ぎるということを常に考えながら、さまざまな立場で交渉していくということにほかならないのではないか、こういうふうに思っております。

東門委員 本当にそうなんですね。余りにも多過ぎる、大き過ぎる。負担も本当に多過ぎる。これでは私たち、もう担ぎ切れないところまで来ています、限界だと思っております。

 ですから、本当に今回の米軍再編の中で、これはもちろん外務大臣が大きいんでしょうけれども、しかし、沖縄担当大臣として、小池大臣も一緒になってやっていただきたい。県民が本当に目に見える、肌で感じる、そのような負担の軽減、基地の縮小ということをやっていただきたいと思います。強く要望しておきたいと思います。

 次に行きますけれども、二月十九日付の沖縄タイムスに本当にほほ笑ましい写真記事が載っておりました。残念ながら私、写真を入手できなくて、この写真なんですが、それは、寄り添いながら遊泳する国の天然記念物ジュゴンとウミガメについての記事でした。県内在住の写真家が名護市東海岸の大浦湾沖合で撮影したもので、ジュゴンがウミガメの甲羅に乗り上げたり、ともにあおむけになって戯れる様子などが見られたとの記事でございました。

 同海域が米軍普天間飛行場の移設予定地に隣接していることは御承知のとおりです。記事によれば、写真家は、辺野古沖のボーリング調査などの影響はあるかもしれないが、海草藻場が残るこの海域しか生息場所がないのかもしれないと話したそうです。

 環境省は、沖縄本島周辺のジュゴン生息環境の広域調査を実施し、昨年十二月、ジュゴンは名護市辺野古を含む本島東海岸中北部と西海岸北部を主として利用していると考えられるとの調査結果をまとめました。研究者や市民団体は、米軍普天間飛行場の移設が予定されている辺野古周辺はジュゴンの主な生息域であると指摘してきましたが、環境省の調査でもこの海域の重要性が確認されたわけです。

 小池大臣は、所信の中で「沖縄の自然環境は世界的に見ても非常に貴重であり、責任を持って守り育てていくべき財産である」と述べられる沖縄担当大臣であり、そしてまた環境大臣でもあるわけですから、希少動物保護の重要性を十分認識しておられます。絶滅の危機にあるジュゴン保護のためには今一番何が必要であるとお考えですか、御見解を賜りたいと思います。

小池国務大臣 ジュゴンは世界に約十万頭ほどおりますが、御質問の沖縄のジュゴンは北限のジュゴンと言われるものでございます。今、このジュゴンについては、生態系に関する基礎的な情報を収集するためにずっと、沖振法の特別調査費も使って、ジュゴンの生息状況であるとかえさ場となります海草藻場の状況などについて平成十三年度から調査を実施して、ジュゴンの保護に必要な措置の検討もしてまいりました。

 それから、普天間飛行場の代替施設の建設についてでございますけれども、事業者であります防衛施設庁に対して助言を行うといったことなど、環境保全の観点からも必要な対応をとらせていただいております。

 代替施設の建設に当たりましては、ジュゴンを含みます自然環境などに著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行いつつ、その円滑な建設を進めるとの政府方針に沿いまして、私自身の役割を果たしていきたい、このように考えているところでございまして、これはずっとお答えしていることでございます。

東門委員 そうなんです。全然かわりばえのしない御答弁なんですけれども。

 大臣、辺野古へおいでになりましたか。何度も沖縄へ行かれていると先ほどおっしゃっていました。そうだと思います、地元の新聞でよくお見かけしますから。辺野古へ行かれましたでしょうか。辺野古の状況がどうであるか。サンゴが完全に破壊されているんですよ。先ほど、ほかの委員への御答弁の中で、サンゴの保全が大事だとおっしゃったんですよ。ボーリング調査に入るためにサンゴは破壊されているんですよ。そういう現状を知らずにこういうふうに棒読みで読まれると、本当に悲しいなと思います。沖縄の自立型経済の発展だとか、あるいは沖縄の自然環境が大事だとかと言っているのが薄っぺらに聞こえてしようがないんですよ。

 本気でやる気があるのでしたら、本当においでになって、ごらんになってくださいよ。地元のそこに座り込みをしている人たちと話してくださいよ。写真を見てくださいよ。そんな簡単なものじゃないんですよ。最小限に抑えるようにとか環境に気をつけながら、そんなことやられてないから地元は怒っているんですよ。それができるのでしたら、私たちもここで同じことを何度も言いません。

 大臣、本当にそこのところは、私は、行ってごらんになっていただきたいと思います。もう一度お願いします。

小池国務大臣 沖縄もたくさんの地域がございます。私は、その意味で、あちこち見てまいりたい。そして、沖縄のさまざまな、まさに経済と環境の自立ということをどこの地域も望んでおられるわけでございまして、私もなかなか沖縄の地に、例えば遠くの島になりますと時間が必要になってしまいますので、その意味で、毎週でも行きたいぐらいなんですけれども。

 そういったことで、沖縄のことにつきましては、先ほど来申し上げております環境と経済の統合、これは大きな大きな私のテーマとして、これからもしっかりと、自分の目で見て、足で歩いて、そして皆さん方の、沖縄の方々のお気持ちをもしっかり酌んでまいりたい、このように思っているところでございます。

東門委員 時間ですから終わりますけれども、リップサービスでなく、本気でやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


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