衆議院

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第4号 平成18年12月12日(火曜日)

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平成十八年十二月十二日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 石崎  岳君

   理事 仲村 正治君 理事 西銘恒三郎君

   理事 宮腰 光寛君 理事 仲野 博子君

   理事 山田 正彦君 理事 丸谷 佳織君

      安次富 修君    飯島 夕雁君

      清水清一朗君    篠田 陽介君

      玉沢徳一郎君  とかしきなおみ君

      橋本  岳君    平口  洋君

      福岡 資麿君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    川内 博史君

      武正 公一君    伊藤  渉君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 高市 早苗君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 竹澤 正明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   丸山 剛司君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           香川 弘明君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 八木  毅君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           吉田 岳志君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  山下  潤君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 平工 奉文君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 品川  守君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  浜田 信生君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  南川 秀樹君

   衆議院調査局第一特別調査室長           佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  山崎  拓君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     山崎  拓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官竹澤正明君、内閣府政策統括官丸山剛司君、内閣府政策統括官東良信君、内閣府沖縄振興局長原田正司君、内閣府北方対策本部審議官香川弘明君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛施設庁施設部長渡部厚君、防衛施設庁建設部長千田彰君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、外務省大臣官房審議官八木毅君、農林水産省大臣官房審議官吉田岳志君、水産庁資源管理部長山下潤君、資源エネルギー庁次長平工奉文君、国土交通省北海道局長品川守君、気象庁地震火山部長浜田信生君及び環境省地球環境局長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 きょうは、バイオエタノール混合ガソリンの導入についてお伺いをしたいと思います。

 先般、共同通信の配信で、このバイオエタノールの普及について、各省庁、現場でどうも足並みが乱れておるというような報道があったものですから、地元の宮古島、伊江島を中心に質疑を展開したいと思います。

 まず、安倍総理大臣は、九月二十九日の所信表明演説の中で次のように述べております。二〇〇八年から始まる京都議定書の約束を実行するため、目標達成計画を着実に推進していく、そして身近なことから始めていくということでありますが、「自動車燃料にバイオエタノールを利用するなど、バイオマスの利用を加速化します。」と、加速化という形で明言をしております。

 冒頭、沖縄県初め全国の六カ所で実証試験が行われておりますけれども、まず、宮古島でのバイオエタノールの生産・利用状況、特に次年度への予算要求と今後の展開について御説明をしていただきたいと思います。

南川政府参考人 お答えいたします。

 宮古島でございます。現在、サトウキビの副産物でございます糖みつを原料とするバイオエタノールの製造実証、これを用いたエタノール三%混合ガソリン、E3と申しておりますが、その製造、さらに走行実証を実施しているところでございます。現在の生産能力が一日当たり千二百リットル、一・二キロリットルでございます。昨年の十月から公用車などにE3を供給しておりまして、現在約三百台がE3で走っておるところでございます。

 こうした成果を踏まえまして、十九年度からでございますけれども、関係省庁連携して、全島E3化を目指した取り組みを進めることにいたしております。

 環境省では、現在の実証設備を拡充しまして、全島E3化に必要なバイオエタノールの製造可能な施設の整備を支援いたします。また、経産省では、エタノールとガソリンを混合する設備あるいはガソリンスタンドの整備支援といった形で、それぞれ必要な予算の確保に努めたいと思っております。

 環境省の具体的な予算でございます。今年度が支出ベースで三億五千万でございますけれども、来年度につきましては二十二億円を要求しております。

西銘委員 宮古島での経産省の取り組みはこの二十二億に含まれているんでしょうか。

平工政府参考人 経産省といたしましては、来年度予算におきまして八億円の予算を要求しておりまして、今環境省の方から御説明のございました予算の外になります。よろしくお願いします。

西銘委員 一方、伊江島の方では、サトウキビの種類を変えて、ちょっと変わった取り組みがなされておりますけれども、伊江島の取り組みについて、次年度の予算要求、そして今後の展開について御説明をいただきたいと思います。

吉田政府参考人 伊江島での取り組みについてのお尋ねでございます。

 伊江島におきましては、私ども農林水産省と経済産業省、環境省、この三省が連携をいたしまして、今御指摘ありましたように、通常のサトウキビよりもバイオマス量の多い新しい品種を使いまして、それを原料としたエタノールを生産しまして、そしてそれを島内でガソリンと混合して自動車燃料として利用する、そういう実証実験を平成十七年度から進めてきておるところでございます。

 今後でございますが、原料となります高バイオマス量のサトウキビの単収なり生産コスト、そして製品となりますバイオエタノールの生産可能量ですとか生産コスト、こういったものの把握をするための実証を引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。

 そして予算でございますが、農林水産省といたしましては、平成十九年度の予算要求といたしまして、大幅な国産バイオ燃料の拡大を目指しまして、中長期的視野に立った資源作物の導入に向けた研究開発の実施を行うこととして予算要求をしておりまして、その予算の中でこの伊江島の取り組みも引き続き実施をしてまいりたい、このように考えております。

西銘委員 宮古島では公用車三百台が走っていると。

 伊江島ではどのぐらいの規模で走っているんでしょうか。

吉田政府参考人 現在、伊江島では、公用車四台がこの実証で走っております。

西銘委員 今後の取り組みでもこういう一けたのペースでしょうか。

吉田政府参考人 現在は四台でございますけれども、最終目標としては六十三台を目指しております。

西銘委員 島全体、走っている車をE3、混合にしていくという展開は考えていないんでしょうか。

吉田政府参考人 そのような方向を目指して頑張っていきたいというふうに思っています。

西銘委員 財団法人の石油産業活性化センターでは、E3の製造、流通、供給、この実証試験を一年間にわたって実施しております。

 この実証結果の取りまとめの中で、特にどんな点が判明をしたのか、E3導入の視点からどういう問題点があったのか、御説明をいただきたいと思います。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 バイオエタノールを三%混合いたしましたガソリン、いわゆるE3につきましては、水分が混入をいたしますと、エタノールが水と混和をいたしまして、ガソリンと分離をし、ガソリンの性状が変化して、自動車の走行性能が低下する等の課題を有しております。

 こうしたことから、経済産業省におきましては、平成十六年度から十七年度にかけまして、財団法人石油産業活性化センターに委託をいたしまして、気象条件の異なる全国六カ所のガソリンスタンドで、特定の運送業者を対象に、E3の流通過程における品質上また安全上の課題の検証を目的とした実証試験を実施いたしました。

 実証試験の結果によりますと、ガソリンスタンドの地下貯蔵タンクの事前清掃、タンク内の水分の確認等、必要な対策をきちんと講じた場合におきましては特段の問題は生じないことが確認をされました。

 ただ、今後は、E3をより大規模かつ実使用条件のもとで使用する場合の品質上及び安全性上の課題に加えまして、バイオエタノールの経済性あるいは供給安定性等の課題につきましても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

西銘委員 この一年間の実証試験の結果というものは、E3、バイオエタノールを直接ガソリンに混合していくという方向で大方やっていける見通しがついたという判断が出たと考えていいんでしょうか。

平工政府参考人 ただいま申しましたように、今回の実験におきましては極めて限定的な条件のもとで実証試験をさせていただきましたので、今後、より大規模かつ実使用条件のもとでさらなる実証試験を行いたいというふうに考えております。

西銘委員 そうしますと、この実証試験をより拡充した実証試験が次年度以降行われるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

平工政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、先ほど御説明申し上げましたように、来年度から、関係各府省と連携をいたしまして、沖縄県の宮古島におきましてより大規模なE3の実証事業を予定しております。

西銘委員 バイオエタノール混合ガソリンの導入を義務化といいますか、環境問題を含めての大きな視点から法制化している世界の国々の状況はどうなっておりますか。例えばアメリカあるいは中国、インド。ブラジルは皆さん御存じのことでしょう、ブラジルは除いていいんですけれども、世界の状況、特に義務化、法制化をしているという点で御説明をいただきたいと思います。

吉田政府参考人 バイオエタノール混合ガソリンを導入している世界の状況についてのお尋ねでございます。

 世界におきましては、バイオエタノール導入に向けた取り組みが進んでおりまして、この五年間を見ますと、バイオエタノールの生産量は一・五倍に増加をしてございます。そして、世界全体の生産量は約四千五百万キロリッターございますが、その七割をブラジル、アメリカ、この二カ国で占めております。このほか、中国、EU、インド等においても生産はされております。

 そして、利用方法でございますが、ガソリンにバイオエタノールを直接混合する方式が、ブラジル、アメリカ、中国、インド、スウェーデン等において行われております。一方、バイオエタノールから製造しましたETBE、これをガソリンに添加する方式、これがスペインあるいはフランスなどにおいてとられているところでございます。

 そして、これの支援措置でございますが、税制の優遇措置をとっているところがございます。そのほか、バイオエタノールの利用量の多いブラジル、アメリカ、この一部の州におきまして、バイオエタノールの混合率が義務化をされておるというところでございます。

 以上でございます。

西銘委員 我が国でも、環境の視点からすると、これは義務化をしていかないといけないのかなと私は考えております。

 そこで、我が国の閣議決定を見ますと、二〇一〇年で五十万キロリットルの目標ということがうたわれております。我が国でバイオエタノールの生産量は、この五十万キロリットル目標の中で現状どうなのか。あるいは、将来、我が国の国産の部分をふやしていくという可能性も含めて、バイオエタノールの生産量はどうなっているのか。さらには、安定供給という視点を考えますと、国内の生産量だけでは、E3だけでもどうしても間に合わないのかな、そうしますと輸入は考えていないのか。

 この閣議決定、二〇一〇年、五十万キロリットルの目標の中での位置づけを御説明してください。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、京都議定書の目標達成計画におきまして、バイオエタノールを含むバイオマス由来燃料を二〇一〇年度に原油換算で五十万キロリットル導入することが目標とされております。こうしたバイオマス由来燃料といたしましては、バイオエタノール、バイオエタノールを原料といたしましたETBE、さらには植物油を原料といたしました軽油代替燃料でありますバイオディーゼル燃料等が想定をされております。

 ただいま御指摘のございましたバイオエタノールに関しましては、現在の国内での生産量ということでは三十キロリットルにとどまっておりまして、なお実証レベル、実験レベルにとどまっておるということでございます。

 また、今後につきましてでございますけれども、それぞれの燃料の特性に応じまして適切な量が導入されるものと考えられますので、バイオマス由来の燃料の種類ごとの目標については設定をいたしておりません。

 他方、バイオエタノールにつきましては、沖縄県を初めとする各地で導入のための取り組みが積極的に進められておりまして、また、ブラジル等海外からの輸入の可能性も高いことから、目標達成のための有力な選択肢の一つであるというふうに考えております。

 いずれにしましても、今後とも、関係各府省協力のもとでバイオエタノールの導入促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

西銘委員 総理の所信表明演説の中で、自動車燃料にバイオエタノールを利用する、バイオマスの利用を加速化していくということで、加速化というところが明言されております。そうしますと、最近、直近の報道によりますと、各省庁で足並みが乱れて、直接混入なのか、石油連盟はETBE化を決議しているようでありますが、この辺の足並みの乱れで、総理の所信表明演説が加速化どころか後退していくのではないかなという懸念をしております。

 沖縄県全体でのガソリンの使用量が、年間約八十万キロリットルと言われております。給油所が四百カ所ぐらい。E3を導入すると、三%掛けて年間二万四千キロリットル必要になってまいります。宮古島や伊江島を含めて沖縄県で生産できるバイオエタノールの可能性は、机上の計算でいきますと年間約七千キロリットルで、二万四千に足りないわけであります。E3を安定的に供給するには、国内で生産する分はどんどん生産をした上で、どうしても安定供給という視点からはある程度の、一定量の輸入は避けられないと考えます。

 我が国全体でE3の導入を義務化すると、ETBEでいくのか、あるいは直接混入でいくのか、この辺がごちゃごちゃしますので、まず、離島の沖縄県でバイオエタノール混合ガソリン導入、全県E3化を義務化する考えはないのか、沖振法の計画とかあるいは沖縄振興計画も含めて、義務化をして沖縄県で全県E3化を推進していく、そして環境立国あるいは環境先進県として沖縄県の振興を図っていくという視点がないものかどうか、高市大臣の御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 私も、バイオエタノールの自動車用燃料としての実用化というのは、地球環境対策はもちろんのこと、新エネルギーの利用促進という意味とそれから地域の経済を活性化するという観点から非常に重要だと思い、強い関心を寄せております。

 ただ、では、直ちに沖縄県でE3化を義務化するということになりますと、先ほど来他省からも答弁がありましたように、技術的な問題、品質の問題ですね、それから、やはりきちっと材料を確保できるかどうか、原料確保の問題、それから生産コストの削減といった課題がございますので、やはり今の実証事業を着実に進めて、きちっと課題を克服した上で検討されるべき問題だと考えております。

西銘委員 私は、総理の所信表明の決意、バイオエタノールの加速化という思いからいたしますと、環境立国という意味では、ある意味、政治主導で全国をE3義務化するというのは、流通の石油連盟の考え等もありますし、難しいんでしょうけれども、宮古島、伊江島、割と限られた空間、限られた島で実証試験をしている、それならば、一気に沖縄県というところで全県E3を義務化して推進していった方が我が国全体の流れにもいいのではないかと考えております。

 沖縄には、沖縄振興特別措置法あるいは沖縄振興計画の後期展望でこういうE3全県化の明確な位置づけができないのか、そうする中で、税制や予算両面で環境立国推進の一助を担うE3導入を促進していくべきではないかと考えますが、大臣、どうでしょうか。

高市国務大臣 沖振計画の後期展望につきましては、現在、沖縄振興審議会の総合部会専門委員会において調査と審議をいただいております。これは本年度末を目途に取りまとめということになるんですが、先生が今御指摘になったバイオエタノールにつきましても、これは専門委員会でちゃんと議論をされているところですので、E3導入に向けては、先ほど申し上げましたとおり、その課題を克服することが重要ですし、専門委員会の御議論も十分に尊重しながら方向性を出していきたいと思っております。

西銘委員 ブラジルのペトロブラス社というところが県内の企業を買収するというような報道がなされました。これなどもバイオエタノール導入と絡んでいるのかなというふうに思っておりますが、その後どうなっているのか、情報を把握しておれば説明をしてください。

平工政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のございました、ブラジル最大の総合エネルギー企業でございますペトロブラス社が南西石油の買収を検討しているという新聞報道があったことは承知をしております。他方、南西石油の八七・五%の株主であります東燃ゼネラル社によりますと、南西石油の将来につきましては製油所の存続も含めさまざまな検討を行っている段階であるというふうに伺っております。

 基本的に民間企業の商業ベースの話でございますけれども、沖縄県における石油の安定供給確保の観点から、資源エネルギー庁といたしましても引き続き状況をフォローしてまいりたいというふうに考えております。

西銘委員 終わります。どうもありがとうございました。

安住委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 自由民主党の安次富修でございます。

 私は基地問題について政府に質問をさせていただきます。誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。経済の西銘、普天間の安次富で二十分ずつ分けてございますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、仲井真新県政の誕生についてでありますが、沖縄県では、去る十一月十九日の県知事選挙におきまして、仲井真弘多氏が激戦を制し、見事当選を果たし、一昨日の十二月十日、仲井真新県政が発足したところであります。沖縄北方に関する特別委員としても、また、私、沖縄選出国会議員としても、新しい県知事とともに沖縄県のよりよい未来とその発展のために全力を尽くしていかなければならないと決意を新たにしているところであります。

 沖縄・北方対策担当大臣として、仲井真新知事、また、二期八年間にわたって知事を務められました稲嶺前知事に対するメッセージがございましたら、お願いをいたします。

高市国務大臣 まずは、退任された稲嶺前知事について申し上げますが、二期八年にわたって本当に沖縄の発展のために尽力をされたと思います。基地の問題等、大変困難な中で調整機能も発揮され、それから国と協力して沖縄の発展のために力を尽くされた。特に、沖縄の優位性を生かして、ITですとか観光ですとか、こういった産業の振興、それから企業立地も進められました。それから、非常に大きなプロジェクトであります科学技術大学院大学構想、これも推進されたということで、その大変大きな御功績に敬意を表して、そして感謝を申し上げたいと思っています。

 それから、仲井真新知事でございますが、非常に経済に強い方でございます。恐らく、稲嶺県政がこれまで引いてこられたレール、特に自立型経済の発展ということで、この路線に従って、きのうの記者会見でもおっしゃったかと思いますが、沖縄の大発展という言葉で決意を示しておられますので、経済振興に向けて十分に活躍をされることを期待いたしておりますし、私も、新知事と密に連絡をとり合いながら、沖縄のために何ができるか、特に雇用の創出といった面で何ができるか、こういったことを十分に議論しながら、協力し合って頑張ってまいりたいと思います。

安次富委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、仲井真新知事が選挙戦で公約に掲げておりましたことを幾つか質問させていただきます。

 まず、普天間基地の危険除去について質問をさせていただきたいと思います。

 私自身も、安全保障委員会におきましても、外務委員会におきましても、この沖縄北方委員会におきましても何度も質問をさせていただきましたとおり、私は普天間で生まれて育って、普天間から日本を変えるというのが私のライフワークでございまして、おととしの八月十三日に沖国大にヘリが墜落したときにも私の二軒先にはヘリの破片が飛んできた、大変な周辺被害を受けております。ですから、どうしても普天間を動かす、一メートルでも十メートルでもいいですから動かしてくださいということをずっと言い続けてきたわけでありますけれども、仲井真知事が誕生して普天間返還に向けた明るい展望が開けてきたと思っておりまして、沖縄県民の悲願をぜひ政府も一緒になって達成していただきたいというふうに思っております。

 仲井真知事が選挙公約で掲げておりました、三年以内の危険性の除去の実現をということに対してでございますが、先日も久間長官が直接、三年以内の危険性の除去を仲井真新知事が就任のごあいさつの中でおっしゃいましたら、いろいろと一緒になって知恵を出していこうということをたしか言っていたと思いますけれども、前回の決定も県民の頭ごなしに決められたという思いが県民にはあります。ですから、政府も謙虚になって、誠実に、誠心誠意普天間問題には取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、二つ質問をさせてください。

 そのためには、何といっても県と国との信頼関係の構築が大前提でありますけれども、信頼関係の構築という点でどういう御見解をお持ちなのか、どういう方策をもって信頼関係を取り戻していくというか、構築していくのか。それから、具体的に、知事が掲げた三年以内の危険性の除去というものに対して政府がどういう対応をしていくのか。この二つについてお聞かせを願いたいと思っております。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 仲井真新知事が三年以内で普天間飛行場の危険性を除去したいとおっしゃっていることにつきましては、私どもも十分承知いたしております。

 本年五月の、再編実施のための日米のロードマップにおきましては「普天間飛行場代替施設の建設は、二〇一四年までの完成が目標とされる。」また「代替施設への移設は、同施設が完全に運用上の能力を備えた時に実施される。」とされておりまして、名護市を初めといたしますそれぞれの関係の地方公共団体に対しましてはそのように御説明をさせていただいております。

 そこで、危険性の除去という点でございますけれども、先生御案内のとおり、日米両政府が平成八年のSACO最終報告におきまして普天間飛行場の移設、返還に合意して以来、十年が経過しているわけでございますけれども、その間、移設につきましては進んでいないという現状でございます。普天間飛行場の危険性の除去ということにつきましては私どもも同じような問題意識を有しているわけでございまして、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会が八月に設けられたわけでありますが、この協議内容の一つとしまして普天間飛行場の危険性の除去ということが取り上げられております。また、今先生おっしゃいましたように、久間防衛庁長官も先日、国会の場、参議院の外交防衛委員会でございますけれども、国会の場におきましても、知恵を出してみたいということをおっしゃっておりますので、今この場で具体的な方策について申し上げることはできませんけれども、こうした考え方のもとに誠心誠意取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、県等の地元との信頼関係の構築ということでございますけれども、沖縄県、名護市、あるいは宜野座村との確認文書あるいは合意文書というものがございますので、こうした内容の実現を図るために仲井真新知事等々と率直な話し合いを行いまして、今申し上げました協議会等の場を通じて引き続き地元との緊密な協議を行いまして、一日も早い普天間飛行場の移設、返還に向けて、私ども、誠心誠意、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

安次富委員 ぜひとも、いわゆる政府の一方的な押しつけということではなしに、常にお互い相照らしながら、謙虚に、そして誠実にこの基地問題に関しましては進めていただきたいなと思っておりますし、今まで進まなかった、そして、戦後六十一年も経過しようとしている今日、普天間が一歩も動かない、そして、基地問題が相変わらず県民の負担になっているというのは、それだけ難しい問題だということですね。

 ですから、それだけ難しい問題だということをぜひ政府は認識してかからなければいけないと思っておりますし、百三十万県民というのがいるわけですから、しっかり一人一人の気持ちを体していくということを、ぜひ政府の皆さんもお一人お一人そういう気持ちになっていただきたいと思っております。

 それから、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会の設置要綱にも、2番の(3)で、普天間飛行場の危険性の除去というのはちゃんと明記されておりますから、これは、政府と県、そして名護市を含む北部がちゃんとこれで同意したということですので、この普天間飛行場の危険性の除去というのは約束どおりしっかりやっていただきたいということを申し上げたいと思っております。

 そこで、また高市大臣にお聞きをしたいわけでございますけれども、この協議会の主宰は、沖縄及び北方対策担当大臣及び防衛庁長官が主宰するということになっております。きょうは、防衛庁長官はおいでになっておりませんけれども、一方の主宰者であります高市大臣がお見えになっておりますので、この協議会について、協議会は二十日、二十一日にも開催されるとも聞いておりますし、また、二十六、七日ぐらいとも聞いております。年内に協議会がはっきりと開催される予定になっているのかどうなのか、それをお聞かせいただきたいということと、それから、ずっとお願いをしております従来の北部振興策は引き続き継続されるものと我々は期待もし、そういう認識でおりますけれども、はっきりと、またこれも高市大臣のお口から、北部振興策に対するしっかりとした支援の御答弁をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

高市国務大臣 協議会に関しましては、私も少しでも早く開きたいと強く希望いたしております。その旨は仲井真新知事にも私の考え方としてはお伝えをいたしておりますが、まだ日程調整に関して具体的に何日ということをお答えできる状況にはございません。ただ、早期開催を期待して調整中ということでございます。

 それから、従前の北部振興策でございますけれども、これは、五月の時点では大変御心配だったことだろうと思いますが、八月二十九日の普天間移設協議会で、今後、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめ、着実に実行する方向で対応するということがもう政府の方針として了承されておりますので、この方針に基づきまして、今年度予算の執行もそれから来年度の予算確保についても一生懸命取り組んでまいるつもりでございます。

安次富委員 ぜひ北部振興策の継続、そしてまた、これも協議会設置要綱にあります。先ほどの普天間飛行場の危険性の除去は(3)番、そしてその次の(4)番に地域振興というのもしっかりこれは明記されております。代替施設の建設、そして環境対策、安全対策、その中には使用協定を含む、そして危険性の除去、地域振興というものも、これすべて協議内容という形で明記されておりますので、主宰者であります高市大臣には、なお一層全力を尽くして、協議会が円滑に進められるように、県民の意向というものをしっかりと踏まえて頑張っていただきたいと思っております。

 次に、在日米軍再編を促進するための法律案についてお聞かせいただきたいと思っております。

 今般の在日米軍の再編は、多くの自治体、十二都道府県、四十三市町村にまたがる話でございますけれども、これらを本当に地元の理解を得ながら進めていく。例えば沖縄の基地再編問題にいたしましても、名護、そして宜野湾市、岩国、鹿屋といったのがすべて連携されなければいけないわけでありますけれども、受け入れ先の自治体がスムーズにこれから進んでもらわなければいけないわけですけれども、ハードルは幾つも高いものがあると思っております。しかし、受け入れ先の自治体にしてみれば、基地を受け入れることによって生じる負担、騒音、危険性というものがあるわけでございます。

 そういう点で、報道等によりますと、来年の通常国会にでも在日米軍再編を促進するための法律案というものが提出される、そのことによって再編計画を推し進めていくということだというふうに聞いておりますけれども、この点に関して、政府内においてどういう取り組みをしておられるのか。在日米軍再編を促進するための法律案というものが、どういう検討をなされているのか、そしてどういう予算規模であるのか、来年の通常国会には間違いなく提出されていくということなのか、今知り得る範囲の中身についてお聞かせいただきたいと思っております。

富田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、米軍再編推進に関する法律案の検討状況でございます。

 率直に申し上げまして、現在、再編を着実に実施するための施策の中で、当然、法整備も含めまして、関係省庁で調整をしつつ検討を進めておりますけれども、現時点でその姿、内容、あるいはその提出時期等について政府部内でまだ固まっておりません関係で、この場におきましては確たることは申し上げられる状況にないことはまず御理解を賜りたいと思います。

 それから、予算の関係でございます。

 これも、特にグアムへの移転費用につきましてでございますが、現在、その具体的な事業スキームの積算の細部につきましては日米間で協議中でございます。したがいまして、引き続きその経費を精査して、できるだけ早期に明らかにしてまいりたいと思いますけれども、現時点ではその経費の詳細について申し上げる段階にはないということでございます。

 さらに、負担を伴います関係で、自治体に対する交付金の制度でございますけれども、これにつきましても、額を固めない形で現在概算要求を行っておりまして、政府部内で検討中でございます。

 いずれにしましても、近々、固まり次第御報告させていただくということで御理解賜りたいと思います。

安次富委員 皆さんは、普天間移設を二〇一四年までに完成させるというような目標を持ってやっているわけでありますから、早く、沖縄県民それから日本国民の皆さんの前に、米軍再編に対する、目に見える形で具体案を出していくことが、より理解を深めることにもなりますし、また、負担軽減を実現させることにもなろうかと思います。また、日米の両政府の信頼関係という面でも、これは早目に法律案の骨子というものを国会に提示して、そして議論を深めていく。賛成、反対いろいろあるかと思いますので、審議日数を十分かけて、そして理解を深めていくということが大事だろうと思いますけれども、その点についてしっかりと、この法律案をつくっていくということは、これははっきりしているわけですか、いかがですか。

大前長官政務官 普天間の申し子と言われております安次富先生の日ごろの活動に対して心から敬意を表したいと思います。

 先ほどの米軍の再編に関する法律案の検討については、重々、本当に一生懸命やっておるところでございますけれども、今のところまだ関係省庁と調整しておる段階でございますので、できるだけ早く進めてまいりたい、そういうことを決意いたしておりますことを申し上げておきます。

安次富委員 最後に、グアム移転について少しお聞かせいただきたいと思うんです。

 どうも、誤解なのか、いやそれが当たっているのかどうなのかわかりませんけれども、来年にでももうグアムで移転工事が始まるかのような報道もありますし、また、建設業界においてもそういうような動き等もあるんですけれども、私は、普天間の移設スケジュールがある程度めどがつかない限り、グアムへの移転はどの部隊をどの方向でどうやって移していくというのは明確にならないんじゃないかなと思っております。

 この普天間移設のスケジュールとグアムへの移転のスケジュールというものはどういう形になっているのか。来年にでももういわゆる兵舎をつくるとか、アンダーソン基地の拡張工事を始めるとか、そういうことなのか。そこら辺、普天間移設とグアムへの移転作業、工事というものについて、少し整理して御答弁をいただきたいと思います。

大前長官政務官 在沖米海兵隊のグアム移転につきましては、現在、アメリカの国防省におきまして、グアムにおける所要施設の詳細を検討中でございまして、また、具体的な事業スキームや積算の細部につきましては、必要に応じて間断なく日米間で協議を行っているところでございます。

 今後、我が国が負担すべき経費の詳細をきちんと精査して、できるだけ早い機会に国会や国民の皆さんに対して明らかにしてまいりたいと思っております。

安次富委員 時間ですので、終わります。どうもありがとうございました。

安住委員長 次に、丸谷佳織さん。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。

 きょうは、沖縄北方特別委員会、高市大臣が沖縄北方担当大臣に就任をされまして初めての、所信的な意義を含めての委員会ということで、まず基本的なお考えからお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 高市大臣御自身は、本当に今の安倍内閣でも最多の担当数を誇る大変お忙しい大臣をお務めということで、その御苦労も察するところでございますけれども、この沖縄の問題また北方領土返還の問題、非常に長期にわたって、また非常に難しい、一歩進むのが本当にこれだけ難しいことなのかということを常日ごろ感じざるを得ないような問題が山積する、このことについて議論させていただいている委員会でございますので、大臣の基本的なお考えにつきまして、沖縄の問題それから北方の問題、二十分ですが、なるべく両方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 沖縄におきましては仲井真新知事が誕生されまして、私も、沖縄の経済的な発展また安定に向けて、県民の総意を受けて、合意を受けながら発展に尽くしていただける知事というふうに思い、大変期待しているところでございます。

 ただ、この沖縄に関しましては、米軍再編等の問題について、さきの当委員会でも議論をされましたけれども、辺野古崎移転に関して、先ほどもお話に出ていましたけれども、県民としては本当にぎりぎりの苦渋の選択をしてきた中にあって、国と地元との信頼関係とか意思疎通において本当に欠点がなかったのかどうかといった議論もされまして、国と県、地元との信頼関係、対話の構築というのがこれほど重要な時期はない、テーマはないというような時期におきまして新知事が誕生したということで、特に、地元とのより一層綿密な協議といったものを重ねていくことによって、信頼関係を築きながら米軍再編の問題あるいは沖縄発展の問題に努めていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の御所見からお伺いをさせていただきます。

高市国務大臣 まず、仲井真新知事でございますけれども、経済発展を非常に重視されております。失業率についても、徹底的に数字を下げていくぞというようなことで公約されたように聞いております。

 先ほど、私がいろいろな役職を抱えていて大変だろうというねぎらいのお心での御発言だったと思うんですが、私が今本当にたくさんの所掌事項を抱えて大変だと思う一方、沖縄と北方の担当大臣であり、なおかつ、IT政策、そして科学技術政策、イノベーション政策の担当でもある、加えて青少年政策の担当でもあるということは、沖縄振興を進めていく上で一つの強みにもなるんじゃないかと自分で思っております。特に、若い方々の就職、きちっと定職についていただくということを進める上で、現在でも沖縄を中心にインターンシップの事業なんかもやっておりますけれども、こういったことも職業訓練の機会を増進していきたいですし、科学技術、ITといった分野ではまさに沖縄のこれからを担う産業としての育成が始まっておりますので、失業率を下げていく、それから産業を振興していくというところでは、知事と十分連携をとりながら自立型経済の発展に努めたいと思います。

 基地の整理縮小の問題でございますけれども、これも、国土面積の〇・六%に全国の施設の七五%が集中しているということで、土地の有効利用ということを考えても経済の面から考えても非常に大きなハンディがありますし、それ以上に大切なのは、やはり住んでいらっしゃる方の安心と安全、それから騒音被害等、そういった負担をいかに減らしていくかといったことだと思いますので、これも、今後、新知事それから関係市町村と十分に連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

 多少、各役所から出た言葉が十分に詰められないままマスコミに先に出てしまって、地元の方が聞いていないというようなことで反発をされてしまう、また、説明が後手後手に回っているような印象は否めませんので、十分に橋渡し役が務められたらと思っております。

丸谷委員 仲井真県政におきましても、イノベーション、ITということに関しては非常に大きな目玉政策でもあるというふうに承知しておりますので、そういった意味でも、大臣の担当大臣としてのお力をぜひまた十分に発揮していただきたいというふうに思います。

 また、役所からの説明が後手後手に回っているという御発言もございましたけれども、後手に回ると、地元というものは、理解していただけるものも理解していただけないというような状況になると思いますので、本当に誠意を持って沖縄の地元に対応していただきたいと思います。

 次に質問させていただきますのは、先ほどの安次富先生の御質問にも出ておりました、ちょっと重なるところがあるかもしれないんですけれども、十日付の読売の朝刊に出ておりました、普天間の「飛行ルート変更要請へ」と。このテーマにつきましては安保委員会の方でもずっと議論をされていたものというふうに承知しておりますが、この内容をちょっと確認させていただきたいと思います。

 来年早い時期に日米合同委員会で合意を目指すというような内容も書かれておりますし、また、「政府は年内にも、普天間移設問題に関する国と県、関係四市町村による協議会を開催」というふうになっております。危険性の除去につきまして、ルートを変更する、このことを年内に地元と国が協議をし、そして来年の早い時期に日米合同委員会が開催される見込みというタイムスケジュールが出てきておりますけれども、このことについて確認をさせていただきたいと思います。

長岡政府参考人 先般の新聞記事に関する御質問でございますが、まず第一に申し上げさせていただきたいのは、報道にございますように、普天間飛行場の移設問題に関連しまして、飛行ルートの変更を米側に要請する方針を固めた、こういう事実はまずございません。

 それから、先ほど合同委員会云々という新聞記事の御指摘がございましたけれども、御承知のように、一昨年八月の沖縄国際大学へのヘリコプター墜落事故を受けまして、昨年の二月に日米合同委員会で承認されました報告書の中に、普天間飛行場の場周経路の再検討、それから、さらなる安全対策の検討をやっていくということが決められております。この作業につきましては、今私どもの方で事務的に米軍とも調整をしながら進めておるところでございまして、これは、できるだけ早く取りまとめの上、合同委員会にかけて御報告したいと思っているところでございます。

 以上でございます。

丸谷委員 この新聞記事のとおりになるように大変期待をしておりますので、ルートの変更と、そして年内の早い時期、来週になるんでしょうか、この中での国と地元との協議、そして早い時期での日米合同委員会の開催の実現に向けて、ぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、北方の問題について、まず高市大臣に、その基本的なお考えからお伺いをいたします。

 この領土返還という問題に関しては、旧島民の皆様それから漁業関係者の皆様初め、本当にもう我慢がいっぱいいっぱい、これ以上はもう、来年この気持ちがどうなるかわからないといったところまで来ておりますし、当然もう亡くなっている方も大勢いらっしゃいます。旧島民の皆様はもう大変に高齢化しているわけですが、領土を話し合いで返せというのは非常に難しい問題であるということも十分にわかっておりますが、この領土問題の解決に向けた大臣の基本的なお考えからお伺いします。

高市国務大臣 まず、北方領土に関する基本的な認識ですが、北方領土は我が国固有の領土でありまして、この四島の帰属をきちっと確認した上で平和条約を締結するというのが基本方針でございます。

 その外交交渉は、きょう麻生大臣が来られておりますけれども、外務省の仕事になりますが、私は、領土問題に関して、やはり外交交渉を後押しする世論の形成というのがまだまだ日本は足りないんじゃないかなと思っております。北方領土に限りません。他の領土問題でもそうだと思うんですね。

 ですから、今、内閣府にいる私ができることは世論の啓発運動でございますので、ちょっと方法も考えて、効率的に、特に若い方々の世論の盛り上がりがまだまだ足りないんじゃないかな、地域的にも随分偏りがありますので、特に次代を担う年齢層への啓発事業の強化、その方法を検討して頑張ってまいりたいと思っております。

丸谷委員 若い方たちには大臣は大変アピールする力をお持ちだと思いますし、ぜひ頑張っていただきたいと思うとともに、担当大臣に就任をされてから、十月には既に沖縄の方に大臣は行っていらっしゃいますが、この北方関係者の地元とか、四島は今は無理ですけれども、まだ残念ながら行っていただいていないということを含めまして、今、冬ですから、雪が積もりまして大変厳しい折ではございますけれども、元島民の皆様あるいは漁業関係者の皆様は、本当に担当大臣に話を聞いていただきたいという思いで待っておりますので、ぜひこれを早期に実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 国会のお許しがいただければという前提なのでございますが、来る十五日の遅々から入りまして、十六日に視察をさせていただきたいと思って、今計画を立てております。

丸谷委員 今の発言も聞きまして、国会も会期内で終了することをますます深めたところでございますけれども、皆さん本当に、大臣に聞いていただきたいという思いがあふれている状態ですので、現場、根室の方に行っていただいて、ぜひしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 次に、外交交渉についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 領土問題解決、これが日ロ関係の真っ先に来ているというふうにはなかなか、今、言うこと自体が外交交渉にいいのかどうかというふうに考えるわけでございますけれども、日ロ間の関係を強化していかなければいけないことは確かです。相互依存関係を深めていかなければいけないということも確かだと思います。

 実際に、日ロ関係の強化につきましては、二〇〇三年の日ロ行動計画に基づいて日ロ関係をそれぞれに発展させてきた。あるいは、昨年の日ロ間の首脳会談の中では、十二本の実務文書も作成をされています。

 今回のAPECの中でも、麻生外務大臣も外相会談をされた。それから、安倍総理も首脳会談をされて、戦略的なパートナーであるとか、経済、エネルギー、そして防災等々の協力をお話ししてきていただいています。たくさんアクションプランがあって、ふろしきがすごく大きく広げられているような気がしないわけでもありません。

 その一方で、一つ、大事な対話の機関でありました日ロ賢人会議というもの自体が終止符を突然打たれたわけですね。とてもいろいろな対話の窓口を広げておきながら、賢人会議の終了であったり、あるいは防災とかエネルギーとかいろいろなものが、メニューが多過ぎて、実際に、だれがどこに責任を持って、どんな具体的な結果を出していこうとされているのかが若干今見えなくなってきているような気がして私はなりません。

 この日ロ関係の協力、発展に向けたグランドデザインというものをもう一回仕切り直しをしていただきたい、御教授願いたいというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおり、日ロ行動計画というのを今、日ロ間におけるいろいろな交渉の基盤にしております。

 今御指摘のありましたように、APECにおきましても、安倍総理とプーチン大統領との初めての会談がハノイで行われておりますけれども、このときにも、これを基本として、いわゆる平和条約を含む幅広い分野で協力を一層進めてというきちんとした文言で、両国間に共通の戦略的利益に基づくパートナーシップを構築していくことで一致をいたしております。

 今、賢人会議の話をされておられましたけれども、賢人会議の件につきましては、いわゆる若手議員交流の開始とかエネルギー協力とか査証の簡素化、観光促進というのがあのときの賢人会議において提言をされたところなんですが、それはいずれもすべてスタートいたしておりますから、賢人会議は必要でなくなったということであります。

 したがって、過日も太田代表はロシアに行かれていると思いますが、そういうような形で、いろいろな形での政党間の交流を含めて、今、日ロ間でさまざまな交流をやらないと、政府だけとか北方四島問題だけとかいうのでは甚だ幅が狭いということになろうと思います。官民さまざまなレベルで議論をしていくということをやらないと、何となく視野狭窄というか、その一点だけということになるのもいかがなものかと思っております。

 ただ、この種の問題を、やはり領土問題というのをきちんとした形で片づけて平和条約を結ぶということにしないと、少なくとも、両国間に何らかの形でのどに刺さったとげみたいなものですから、そういった意味では、この問題も同様に、双方が納得する形できちんとした形をつくり上げるというところが今肝心なところです。そこのところを、両方ともで突っ張っていたって、なかなか今のままでどうにもなりませんので、双方どこかで話をつけるということをやっていく努力なり機運なりは今双方ありませんので、そういったものを醸成していくということも大切なのではないかと思っております。

丸谷委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃっていただきましたように、太田公明党新代表を団長にしまして、十一月の二十二と二十三日、モスクワに行ってまいりました。その際には外務省にも大変御尽力いただきまして、お礼が遅くなりまして申しわけございません、ありがとうございました。

 私も同行させていただいたんですけれども、上下院の議長、下院の副議長、それから上下院の外交委員長あるいは文化マスコミ大臣、情報通信大臣、第一外務次官等々と懇談をさせていただきました。その中で、日本とロシアの間で多角的な協力体制をしいていこう、エネルギーあるいはエコノミー、テクノロジー等々のお話があったんですけれども、中でも、やはり防災ということに関しては非常に大きな期待が向こうもあり、こちらからも割と話しやすいテーマであったことも事実です。

 なぜならば、十一月の十五日に千島列島沖でマグニチュード八・一の地震がございました。このときに日ロが実際にどういった協力ができたのかなということを振り返ってみることも大事なんだと思います。それによって、これから何ができるのかということを考えていくべきなんだと思いますので、この点について、最後に御質問させていただきたいと思います。

 今回の十一月十五日の地震に関しましては、震源地の距離が離れていたので、発生から日本側が警報を発令するまで十四分間かかりました。今後、観測体制の早期の充実ということが期待されるわけでございますけれども、例えば道内では気象庁の地震計が三十カ所ありますが、四島には択捉、国後にしか旧式の地震計がないとか、こういったことも含めて、きょうは気象庁の方は来ていただいていないので、この点どうするんだという質問はしませんが、この防災に関して、今後どういったスキームで具体化をしていく議論が今されているのか、この点について、最後にお伺いをさせていただきます。

 交渉されている方からお伺いします。

岩屋副大臣 今先生御指摘の十一月十五日の千島東方沖合の地震ですけれども、八・一という大変大規模な地震でございました。我が方からは、気象庁からサハリン津波警戒センターに対して即時に関連情報を提供するなどしたわけですが、今後、ロシアとの間で防災分野について協力を深めていく必要性を、この地震を通じてさらに私ども認識をしたところでございます。

 先ほど先生も御指摘になりましたAPECの中で、首脳会談で合意された北方四島を含む日ロ隣接地域での防災協力について、協力の具体化へ作業を進めていくということが確認をされました。現在、専門家間で協議を行っているところでございまして、今後とも、この協力の実現に向けて作業を加速していきたいと思っております。

 また、五月にはサハリンで合同の油防除総合訓練が行われました。これは実際にアクションがとられている、さらにこれを強化していきたい、こう思っております。

丸谷委員 防災に関しては早く進めていただきたいと思いますし、災害はいつ来るかわからないことですので、加速させていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

安住委員長 次に、川内博史君。

川内委員 民主党の川内でございます。

 麻生大臣、高市大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、きょうは、麻生大臣の発言から始まった核論議ですね、平成十八年十月十七日に麻生外務大臣が、「そもそも、日本において核兵器保有の選択肢というのは考えられないという政治の立場については、もう従来から累次にわたって説明してきたと思っております。ただ、日本の核政策の変更の議論というのは全くされておりませんが、その当時、核兵器というものの保有について検討すべきか、だんだんだんだん隣がみんな持っていくときに、日本だけ何の検討もされていないというのはいかがなものか。」という御発言からさまざまな議論が始まったわけでございますが、しかし、私はそのことについてきょう議論する気はないのです。

 通称非核三原則、政府が堅持をされるというふうにおっしゃっている非核三原則について、持たず、つくらずについては、条約あるいは法律において担保をされている。持ち込ませずというものについて、もちろん持ち込むとすればアメリカ合衆国が一番可能性としては高いわけですが、持ち込ませずということが、日米安保条約あるいはその下にさまざまな国際約束があるのかないのか。その辺について、まず、持ち込ませずを担保するものは何ですかということを麻生外務大臣から教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 持ち込ませずというものの根本的なところは、これは御存じかと思いますが、そもそもは、岸内閣のときは二原則だった、もう川内先生御存じのとおりです。これがたしか佐藤内閣のときに三原則というのになった、私の記憶ではそうなっております。ちょっとずれても、大体それぐらいの時期だと存じます。

 そういったときに関して、非現実的だとか、もうそれは長い間意見が分かれてきた。この間、かれこれ四十年、いろいろこの種の話をしてこられたんですが、そういった中にあって、少なくとも双方、双方というのはアメリカと日本との間の信頼関係に基づいて、これがずっとこれまでやられてきたのが一つ。

 もう一点は、その種の核というものについては、いわゆるアメリカの核の技術の向上とか進歩とかいろいろなことがあるんでしょうけれども、そういったことに伴って、その種のことを、現実的に船の上に積む、飛行機の上に積むということはほとんどなくなったという、アメリカのいわゆる軍事技術上のことという二つがあるんだと思っておりますが、いずれにいたしましても、この種の問題については、双方間の信頼関係というのが最も、醸成している上での一番のものだと思っております。

川内委員 そうすると、信頼関係が持ち込ませずの基礎であって、持ち込ませずを法的に担保する何らかの日米間の約束というものはないということになるんでしょうか。

安住委員長 岩屋外務副大臣。

川内委員 登録してないよ。岩屋さん、登録されてないですよ。どうするんですか、これは。

安住委員長 では、麻生外務大臣。(岩屋副大臣「事実関係だけ私から」と呼ぶ)

川内委員 でも、登録されていないから、それは理事間で合意してもらわないと。いや、僕は構わないですよ、御発言いただいて。

安住委員長 副大臣を要求してないわけですか、質疑者は。

川内委員 要求はしてないです。

安住委員長 では、外務大臣、とりあえず答弁してもらえますか。

麻生国務大臣 では、岩屋さんの代理で恐縮ですけれども。

 これは、核の持ち込みの中に領海通過が含まれているということにつきましては、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象にすると言われる、いわゆる岸・ハーター交換公文というのだと思いますが、いわゆるそれを口頭了解したのが、たしか藤山さんのときの駐日アメリカ大使マッカーサーという人との口頭了解というのと、二つだったと記憶しますが、いわゆる平時、緊急時のいかんを問いませんということになっていると記憶をいたします。

安住委員長 川内さん、岩屋副大臣の件については、政府参考人ではないので、質疑をする川内先生がいいということであれば、答弁をしてもいいということになるんですが。

川内委員 はい、いいです。

安住委員長 では、お認めになるということでよろしいですか。

 では、川内博史君。

川内委員 それでは、岸・ハーター交換公文、藤山・マッカーサー口頭了解という二つの文書があるということでございますが、岸・ハーター交換公文は、交換公文ですから国際約束であるというのは私もわかります。藤山・マッカーサー口頭了解、この口頭了解というのは国際約束であるのか否かということから、まず、尊敬する岩屋副大臣に。

岩屋副大臣 お許しをいただいたので、お答えしたいと思います。

 今大臣から答弁がありましたように、岸・ハーター交換公文というのは政府間の責任ある文書として交換をされているわけでございますが、先生御指摘の藤山・マッカーサー口頭了解というのは、交わされた岸・ハーター交換公文の解釈を日米間で確認したものでございまして、したがって、口頭了解によって確認された解釈が日米両国を法的に拘束するということは言うまでもないことであって、これまでの国会でも累次にわたってお答えをさせていただいてきているところでございます。

川内委員 今、岩屋副大臣が、日米両国を法的に拘束するというふうにおっしゃられました。

 それでは、この藤山・マッカーサー口頭了解の「(二)「装備における重要な変更」の場合」のところに記述されております「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設」という言葉の中の「持ち込み」という言葉が、日米両国間でいかなるものが持ち込みに当たるのかということについての確認は行われているのか否かということを教えていただきたいと思います。

岩屋副大臣 この岸・ハーター交換公文の場合の装備の重要な変更の対象たる同軍隊というのは、日本国に配備されているか否かにはかかわりなく、安保条約の適用を受けるすべての合衆国軍隊、すなわち、日本に配備された軍隊、それから我が国の施設・区域を一時的に使用している軍隊、及び領海、領空を通過する等我が国の領域にある軍隊を意味するということは、この交換公文上、明らかだと思います。

 したがって、先生御指摘の点ですが、これらの合衆国軍隊による日本国領域への核兵器の持ち込みはすべて事前協議の対象となるわけでございまして、核兵器を搭載するアメリカの艦船が我が国の施設・区域を一時的に使用して寄港する場合やあるいは領海を通過する場合には、かかる寄港や領海通過は装備の重要な変更に当たる、事前協議の対象になるということでございます。

川内委員 今、持ち込みに関しての日本政府としてのお立場を御説明いただいたわけでありますが、では、その日本政府としての解釈をアメリカ政府も確認していますかということを次にお尋ねいたします。

岩屋副大臣 今申し上げた持ち込みについて米側がどのような理解なのかというお尋ねだと思いますが、今申し上げた我が国の立場に関しては、これまでたびたびにわたって米国に説明してきておりまして、米側も十分に理解をしているものと認識しております。

 また、アメリカ側も、安保条約上の対日義務を誠実に履行すること、事前協議について日本政府の意思に反して行動しないということを繰り返して表明しております。

 例えば、一九八一年のいわゆるライシャワー発言を契機としていろいろな議論が行われましたけれども、この当時、当時のマンスフィールド大使から当時の園田外務大臣に対しまして、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守する、そして事前協議にかかわる事項については日本政府の意思に反して行動することはしないという誓約が改めて確認をされているところでございます。

川内委員 今、岩屋副大臣から、米側も同様の理解をしているものと認識しているという御答弁で、米側も同じ認識であるという御答弁ではなく、やはり米国側がこの持ち込みについてどう理解をし解釈をしているのかということについては、今岩屋副大臣から御発言があったように、さまざまな解釈をめぐる発言があるわけでございます。

 私は、持ち込ませずという日本の方針、政府の方針を正確に米国政府に伝える、要するに、この持ち込みという言葉を日米両国で認識に差がないように、配備、貯蔵だけではなく、いわゆる通過も入るのだ、ただ港に立ち寄るのもだめよということをアメリカ側といま一度正式な場で確認すべきであるというふうに思いますが、外務大臣の御見解をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたけれども、これまでのところ、政府として、我々として、日米間で見解の相違があると考えたことはありません。したがって、今の御質問に、重ねてアメリカ側に対してもう一回さらに申し込む必要を全然感じておりませんので、私どもとしては、今の御意見は御意見としては拝聴しておきます。

川内委員 見解に相違があるとは思っていないという大臣の御答弁でございますが、持ち込みという言葉に関して、岩屋副大臣は、米側の解釈も、同様の理解をしていると認識しているというふうにおっしゃられたので、米側がどう考えているのかということを、これは国際約束だから、同じ言葉に関して同じ定義でなければ国際約束にならないわけですよ。だから、持ち込みという言葉が、英語で言うとイントロデュースと言うそうなんですが、イントロデュースが何に当たるのか。

 一九九九年にアメリカの公文書館で発見をされた、大平外務大臣、ライシャワー在日米国大使との会談記録によれば、イントロデュースという言葉は、持ち込みという言葉は配備、貯蔵を指す、通過はイントロデュースには当たらないということを大平・ライシャワー会談で確認したということを、その会談記録の中で確認したということになり、その後、何とかという国防長官がそれをまた再度確認し、しかし、今岩屋副大臣がおっしゃられるように、一九八一年にそのライシャワーさんの発言をマンスフィールドさんが否定するというような一連の流れがある。要するに、解釈をめぐって、米国の政府高官並びに元政府高官だった方たちの間でもさまざまな議論がある状態である。

 ライシャワー・大平会談の会談記録を出していただけるのであればそれではっきりするわけですが、ただ、それを出さない、出せないんだというのであれば、いま一度、イントロデュースという言葉についていかなる解釈をするのかということについて、日米両国政府でその解釈を確認することが持ち込ませずという政府の意思をはっきりさせる。だって、通過も入るんだと日本政府は解釈していらっしゃるわけですからね。通過も入るんだという持ち込みの解釈を、日米両国で完全に一致しているということを日本国民に対して明らかにされる必要があるのではないかという指摘です。

岩屋副大臣 先ほどちょっと説明不足がございましたが、持ち込みの件に関して、藤山・マッカーサー口頭了解について、米側に対して昭和五十年二月に、日本側の了解内容に異存がありませんかということをアメリカに正式に照会しております。これに対して、同年三月に米側より、日本側の了解内容に異存がないと正式に通報があったところでございまして、先ほど大臣がおっしゃいましたが、したがって、私どもが双方の認識に差があるというふうには感じておらないという、大臣がおっしゃったとおりでございます。

川内委員 日本側の了解で間違いないかというのは、そのときに、持ち込みという言葉の解釈について、配備、貯蔵、通過を含む概念が持ち込みであるということは確認されていないと思います。これは藤山・マッカーサー口頭了解について、全体についてこれでいいですかということであって、持ち込みという言葉について確認をしたとは私は聞いておりませんし、そもそも持ち込みという言葉について確認されていないからさまざまな議論がいまだに続いているということではないかというふうに思います。

 岩屋副大臣、事前協議が今まで行われたことはないですよね。ないというふうに、一応確認のため答弁していただければ。

岩屋副大臣 ございません。

川内委員 事前協議は今まで一度たりとも行われたことはないと。事前協議は米国側から日本に対して、日本政府に対して協議するものであって、ということは、アメリカ政府がこの持ち込みという言葉をどう解釈しているのか、具体的に言えば、配備、貯蔵、通過という三つの概念すべてを含むと考えているのか否かということは非常に重大な事柄であるというふうに思いますけれども、これだけ押し問答していてもしようがないので、一九六三年四月のライシャワー・大平会談の会談記録をぜひ見せていただきたいというふうに思います。

 岩屋さん、見たことはありますか。

岩屋副大臣 要約したものは勉強させていただきましたが、そのものをきちんと全部読んでいるわけではございません。

川内委員 今外務大臣は、解釈に相違はないんだ、一致しているんだというふうにおっしゃいましたので、一九六三年四月のライシャワー・大平会談の会談記録というものをぜひ私ども国民にも読ませていただきたいというふうに思います。外務大臣、見せるというふうに御答弁をいただければありがたいです。

麻生国務大臣 今、大平さんの話やいろいろ出ていますけれども、今一連に言われております、いわゆるライシャワー発言というものが契機となって、一九八一年、核搭載艦の寄港とか通過とか、いわゆる持ち込みの話について、日本の国内で結構大きな話題になった時代がありました。

 そのような背景の中で、当時はマンスフィールドだったと思いますけれども、マンスフィールドという大使との間で、日本側は園田外務大臣だったと記憶しますが、園田・マンスフィールド会談が行われて、安保条約及び関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に遵守する、履行するという旨の話が、その当時、事前協議にかかわる事項については、日本政府の意思に反して行動することはない旨の誓約を改めて確認されております。御存じのとおりです。

 したがって、これで結論を見ているところでありまして、日米の間に見解の相違があるということは考えておりません。

川内委員 日米の間に見解の相違があるかないかということではなくて、私が申し上げているのは、米国側は日本側の意思を誠実に尊重して行動しますということをマンスフィールドさんと当時の園田外務大臣との間でお約束された、しかし、誠実に義務を履行しますという義務とは何なのかということをしっかりと確認しなければならないと。

 その義務とは何なのかというと、一九六三年四月の大平・ライシャワー会談、持ち込みという言葉について、配備、貯蔵が持ち込みであり、通過は当たらないのだということをライシャワー・大平会談の中で確認されたというアメリカの公文書が存在をする。それに対してさまざまな議論が生じているので、そもそもその義務とは何なのか、義務を確認したライシャワー・大平会談の会談記録というのはとても重要なものだし、アメリカ側でもそれは公開されているので、日本側でもそれを公開すべきであるというふうに思いますが、その公開についての外務大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、仲野委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今重ねてのお尋ねでしたけれども、その当時、国会の議事録によりますと、一九八一年、国会において鈴木内閣総理大臣は、大平さんはそういうことを言っておられない、後任の外務大臣にも引き継いでいない、外務当局も一切承知していない、記録もないと答弁しておられる。もう御存じのとおりだと思います。政府としては、既にこの線で結論は出しておると思っております。

 その後、ライシャワーの発言を受けてマンスフィールドから園田外相に対して話したのはもう御存じのとおりだと思いますが、米国政府としては、従来から、関連条約に基づく日本の義務を誠実に遵守しているという文脈は、それまでの背景、当時の世論からして、持ち込ませずということについて大いなる当時の世論というものはわんわん出ておりましたので、その時代を背景にしてこの会談は行われておりますので、その中に持ち込ませずということの定義につきまして双方にそごがあるとは考えておりません。

    〔仲野委員長代理退席、委員長着席〕

川内委員 またこの問題は次に譲らせていただいて、沖縄の科学技術大学院大学について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私も、ずっとこの沖縄北方の特別委員会に所属をしてまいりまして、この大学院大学についてはさまざまに興味と関心を持ってまいりました。しかし、先日、十二月五日の読売新聞の一面に、沖縄科学技術大学院大学の予算が政治的圧力によって評価が格上げをされた、すなわち五年連続最高ランクに政治的判断によってされている、しかし、専門家の皆さんの判定ではそうではなかったのではないかというような記事が出ました。

 私も、文字どおり、世界最高水準の科学技術大学院大学をつくるというのは必要なことであるというふうに思いますが、しかし、不公正な、あるいは堂々としていないやり方でそれをやるのは禍根を残すのではないかというふうに思いまして、事実関係を検証し、訂正すべきは訂正していく、正すべきは正していくということが必要なのではないかと思います。

 高市大臣にまずお伺いをいたしますが、高市大臣は、この問題については、沖縄北方担当大臣ということでこの委員会に出席していらっしゃるということで、きのう委員部からくぎを刺されたのですが、きょうは科学技術担当大臣としては答弁してはいけないんだそうです、この委員会では。何かそうらしいんですよ。沖縄北方担当大臣としての答弁しかしてはならないというのが本委員会での高市大臣のお立場だそうでございます。私は、それは変だな、何でなのかなと思いますけれども、委員部がそういうことを私に言ってきましたので、沖縄北方担当大臣としてのお立場で答えていただきたいと思います。

 しかし、沖縄北方担当大臣としてはこの沖縄の科学技術大学院大学を推進されるお立場、さらに、科学技術関係予算をどう配分するか、適正に配分するという政府のお立場からすれば、科学技術担当大臣としてのお立場もおありになられるということで、利益が相反するわけでございます。

 この科学技術大学院大学の予算について、優先順位づけの実施方法、SとかAとかBとかCとかつくらしいんですけれども、この基準づけについては、より明確に、より公正に、より透明にしていくべきであるというふうに私は思います。高市大臣も恐らく同じ思いであろうというふうに思いますけれども、まず見解をいただきたいと思います。

高市国務大臣 いずれの予算についても、納税者の代表として国会議員の先生方はいらっしゃいますし、私たちも国家経営を任されている一員でもございますから、これはもう、あらゆる予算の執行について公明正大であり、そしてまた、昨今の財政事情から考えますと、めり張りをつけていくというのは当然のことでございます。

 読売新聞の記事にありました、政治的圧力という表現でしたでしょうか、これが具体的に何を指すのか、私にはさっぱりわかりません。例えば特定の政治家からの圧力なのか、または、S、A、B、Cづけというのは、総合科学技術会議の有識者議員の学者の方々と私も入って作業をいたしますので、私は行政側ではありますが政治家でありますので、例えば政治家といったらその場に私しかいないわけでございますね。何を指すのかは全く、ちょっと理解に苦しみます。

 ただ、行政以外の、内閣府以外の、何か議員から圧力があったという事実はないということは聞いております。

川内委員 それでは、二〇〇六年度予算と、来年度予算に向けての概算要求についてお伺いをさせていただきます。

 沖縄科学技術大学院大学の優先順位づけというものについては、S、A、B、Cという評価をつける、それは適正に予算を配分するためである、そして評価に客観性を持たせるために外部専門家の助言を得ているというふうに聞いておりますが、それでは、平成十八年度、さらに来年度予算に向けて、平成十九年度に向けての沖縄科学技術大学院大学に関する概算要求段階でのヒアリングはそれぞれいつ行われたのか。そして、そのヒアリングに出席をされた有識者議員、さらには外部専門家はだれなのか。そして、説明をした側の省庁、部局名、どういう資料を提出したのかということについて御説明をいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま大臣からもお答え申し上げましたとおり、この優先順位づけというのは、科学技術関係全体の予算につきまして、限りある資源をより有効に活用するという観点から、科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議の有識者議員が中心になりまして、各府省が行います予算の概算要求を聞いて、外部の専門家の助言も得つつ、優先順位づけを行っているというものでございます。

 具体的に、お尋ねの沖縄科学技術大学院大学に関する作業経過でございますが、平成十七年、つまり平成十八年度の概算要求については、昨年の九月十四日に、薬師寺議員を主担当議員としまして、外部専門家二名の協力を得てヒアリングを行いました。それから九月二十七日に、薬師寺議員が作成した原案を有識者議員全体にお示しして、議論を開始いたしました。十月十三日に、科学技術政策担当大臣及び有識者議員の打ち合わせの会合におきまして最終案を決定し、十月十八日の総合科学技術会議本会議で報告をいたしたところでございます。

 それから、平成十九年度予算、つまり平成十八年におきましては、ことしの九月十三日に、薬師寺議員を主担当、原山議員を担当議員として、外部専門家四名の協力を得てヒアリングを行いました。九月二十八日に、薬師寺議員が作成した原案を有識者議員に提示いたしまして、有識者議員の議論を開始し、十月二十六日に、科学技術政策担当大臣、有識者議員の会合において最終案を決定したということでございます。そして十月二十七日に、総合科学技術会議の本会議に報告をしてございます。

川内委員 今、丸山さん、有効な予算の配分とおっしゃったが、適切な予算の配分ですからね。有効と適切はちょっと違うと思いますので。適切に予算を配分するために評価をする、だからその評価は客観的でなければならない、そのために外部専門家にアドバイスをいただくということであろうというふうに思います。

 今、時系列的に、いつ何をやったのかということについては御説明をいただいたわけでございますが、それでは、外部専門家の方の助言あるいはアドバイスは、メールや文書、ファクスあるいは電話などの形で来て、それらはまず担当有識者議員である薬師寺議員のもとに届けられるということでございましたけれども、メールやファクス、あるいは電話で来たものも恐らくメモにとるんでしょうから、その外部専門家の方々の助言がどのような形で集約をされていったのか、書式があったのか、あるいは外部専門家の方々もそれぞれ一票という形で、私はこれはS評価だ、私はこれはA評価だというような形でそれぞれに評価をされたのかということについてお答えいただきたいと思います。

丸山政府参考人 先ほども申し上げましたように、外部専門家はあくまでも、このS、A、B、Cの評価に当たりまして、大臣と有識者議員の判断に対してアドバイスをいただくという立場でございます。そして、そのアドバイスについても、多様な形で、今先生御指摘のとおり電話あるいは口頭でコメントをいただくものもありますので、今お尋ねのように、外部の専門家がS、A、B、Cの評価づけについて一票持っているというような性格のものではございません。あくまでも外部専門家のアドバイスをいただきながら、大臣と有識者議員が最終的に科学技術関係予算を、いかにその資源を適切に配分するかということを決めているわけでございます。

川内委員 済みません、私の聞き方が悪かったですね。外部専門家も、SとかAとかBとかCとかいう、それぞれに個々人での評価を、アドバイスとしての評価を内閣府にお伝えになられるのですかということを、では、お尋ねいたします。

丸山政府参考人 外部から得られますコメントというのは、個別政策の内容の分析、あるいは当該政策の効果的推進のためにこういうふうにやったらいいといういわば留意事項、そういうものについての助言をいただいております。したがいまして、直接その資源の配分にかかわりますS、A、B、Cという評価をいただくことを想定しているものではございません。

 さらに申し上げれば、外部の専門家が評価のたたき台をつくっているわけではなくて、有識者議員が優先順位を検討する際に参考とするためのコメントを、いろいろな角度から、専門的見地からいただいているということでございます。

川内委員 そうすると、外部専門家は御自分では、それぞれの方では、自分はこれはSだと思うとかAだと思うとかいうようなことはしない、そういうことは伝えてこないという理解でよろしいんでしょうか。

丸山政府参考人 S、A、B、Cという評価は、資源配分を特に集中的に行うべきものであるというものがSということで、あくまでも資源の配分に関する評価でございます。外部の専門家からの助言、コメントの内容というものは、専らこのプロジェクトをどういうふうに進めればより有効にできるかといったような内容が主でございますので、資源の配分についてSとかAとかという性格のものではございません。

川内委員 いや、私が聞いているのは、資源の配分についての、予算措置のための評価は総合科学技術会議で最終的に決定をするということはわかっています。そうではなくて、外部専門家がそれぞれの専門の分野から見て、このプロジェクトは外部専門家にとってS評価だと思いますとかA評価だと思いますとか、独自の判断をお示しになられるのですか、予算措置のための評価とはまた別に切り離して、外部専門家の独自の評価をされるんですか、SとかAとかBとかCとかいう言葉を使うんですかということを聞いているんです。

丸山政府参考人 そういう意味では、今先生御指摘のとおり、S、A、B、Cという評価を期待しているわけでもございませんし、専門家からそういった形でコメントが来るわけではございません。

川内委員 どうもよくわからないな。使わないんですか。

 では、S、A、B、Cというアルファベットを使いますか。

丸山政府参考人 専門家からは多種多様な意見をもらっておりますので、使う場合もあります、人によっては。ただ、繰り返して申し上げますけれども、専門家はあくまでも、個別のプロジェクト、政策をどういうふうに推進したらいいかという専門家としての見識、アドバイスをいただきますので、そういったものは、S、A、B、C評価の留意事項という欄を見ていただきますとわかりますように、この政策についてはこういうふうに進めた方がより効果的に進められる、そういったことが主たるコメントでございます。

川内委員 そのコメントの内容を私はぜひ国民に向けて、これは別に沖縄の科学技術大学院大学だけではないですよ、S、A、B、C評価について外部専門家がどのような意見を言っているのかということについて、冊子は出ていますけれども、これはもうたくさんのプロジェクトをまとめたもので、随分小ぢんまりまとまっているものですから、私は、もっと詳細に、S、A、B、Cの評価づけについて客観性を担保するために情報公開すべきであるというふうに思います。

 それはなぜかというと、他方、独立行政法人評価委員会というのが各役所に設けられています。内閣府の中にも独立行政法人評価委員会というのがあって、沖縄の独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構について評価をしていますよね。この独立行政法人は文部科学省との共管でもありますから、文部科学省でも沖縄の科学技術研究基盤整備機構について評価をしています。

 沖縄の研究基盤整備機構についての文部科学省の評価は、内閣府、取りまとめていますから御存じですよね、何になっていますか。

原田政府参考人 内閣府と文部科学省の共同で、研究分野につきましては独立行政法人の評価委員会の評価が行われております。そのほか、内閣府の評価委員会におきまして、経営管理分野についても評価が行われております。非常に多岐にわたるわけでございますが、おおむねよい評価をいただいております。

 ただ、一点、指摘をいただいておりますのは、研究分野、今後の研究の拡張分野についての方向性を示す検討作業を進めるべきであるという御指摘をいただいておりまして、これにつきましては、実は昨日、機構の運営委員会におきまして、そうした命題につきましての検討組織を立ち上げることを決定した次第でございます。

 以上でございます。

川内委員 いや、聞いたことに答えてください。文部科学省が担当する分野については、沖縄の科学技術研究基盤整備機構については評価は何になっていますかということを聞いたんですよ。

原田政府参考人 評価委員会におきましては、先ほどのS、A、B、Cとは全く別の考え方でそれぞれ評価が行われておりまして、大学院大学の整備機構が研究分野において中期計画に対してどの程度の進捗状況を確保しているかという観点からの評価でございまして、これにつきましては、内閣府、文部科学省それぞれ、おおむね順調に進んでいるという評価をいただいております。先ほど指摘した事項につきましては別でございます。

川内委員 委員長、聞いたことに答えさせてください。

 私は、文部科学省が担当する部門については、この研究基盤整備機構の評価は何になっていますかということを聞いているんですよ。

安住委員長 振興局長、質問の内容はよくわかりましたか。

原田政府参考人 御指摘の点につきましては、文部科学省におきましてはBという評価をされているやに聞いております。

川内委員 この独立行政法人の評価は、Aプラス、A、B、Cですよね。文部科学省の担当する部門というのは、大学院大学設置準備活動に関してですよ。沖縄に世界最高水準の大学院大学をつくるというのが政府の目標なんじゃないですか。その準備活動について余り芳しくない評価ですよね。

 しかも、文部科学省は、この評価についてきちんとウエブサイト上で、議事録、そしてどういう議論が行われたのか、そしてまた提出されている資料、すべて公開しています。これが透明ということですよね。

 他方、内閣府の独立行政法人評価委員会における情報の公開の進みぐあいはどうかというと、結果がウエブサイト上で公表されているだけです。

 本来、内閣府独立行政法人評価委員会議事規則によれば、「議事録は、公開とする。」「委員長は、議事の経過について、議事録を作成して委員会に報告するものとする。」というふうに書いてあります。ところが、この沖縄の独立行政法人研究基盤整備機構については一切議事録も資料も公開されていないし、これは内閣府全体に関して言えますが、内閣府の独立行政法人評価委員会はほとんど情報公開が進んでいないんじゃないですか、どうですか。それは今すぐやらなければならないことだと思いますよ。

竹澤政府参考人 内閣府全体の独立行政法人の評価の関係について先生から御指摘がございました。お答えを申し上げます。

 私ども内閣府では、いわゆる親委員会という全体を見るところと、あとそれぞれ、公文書館であるとか国民生活センターとか、分科会が五件ございます。それで私どもとしては、国民に速やかに情報を公開するという立場から事務を速やかに進めるべき、これはもう本当に法律の精神でございます。

 今、沖縄の関係で申しますと、過去三回分科会が行われまして、委員会の方で議事録の御了解を先生からいただくということでございますので、それをいただいたものが一件、それから未了解のものが二件ございまして、これは事務が停滞していること、大変私ども遺憾に思っております。したがって、委員会が了解をされたものについては、きょうから一週間以内にこれを公開する、それから未了解のものについては、速やかに了解をとるように努力をいたしまして、了解がとれてから一週間以内ということで公開をしたいというふうに思っております。

川内委員 沖縄に世界最高水準の大学院大学をつくるという構想に関しては、私もすばらしい構想だと思います。しかし、国民全体から見て、その構想が客観的に評価し得るものでなければならないということもあるわけでございます。

 例えば、それぞれの役所の独立行政法人評価委員会を評価する政策評価・独立行政法人評価委員会というのも政府の中に設けられていて、僕は日本政府というのは大したものだなと思うんですが、丹羽宇一郎さんが委員長でございますが、平成十八年十一月二十七日、つい最近、内閣府の独立行政法人評価委員会の評価を評価しているんです。

 それで何と言っているかというと、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構については、「評価の前提となる評価指標を具体的かつ定量的に設定すること、評価の理由を具体的に示すこと等、評価の方法の改善を検討すべきである。」「業務実績報告書については、評価の前提となる本法人の業務の内容及び進捗状況等の基本情報を具体的に記述するよう、内閣府独立行政法人評価委員会として法人又は主務大臣に内容の改善を要請すべきである。」さらには、「中期計画予算に計上した施設整備費補助金は平成十七年度計画予算額であり、期間中の累計額ではないことを明らかにするよう、内閣府独立行政法人評価委員会として主務大臣に適切な措置を要請すべきである。」厳しい指摘がされている。

 やはり、沖縄だから何でも許されるのだということではなく、沖縄だからこそ、世界最高水準を目指すからこそ、あらゆる批判にたえ得るものをつくっていかなければならないというふうに思います。

 そういう意味で、私は、S、A、B、Cづけに関しても、このような新聞記事が出るのは何らかのことがあったから出るわけで、何もなく読売新聞ほどの大新聞が一面で書くわけはないわけでございまして、そういうところをぜひ来年度からは、高市大臣にお約束をいただきたいのでございますけれども、この予算の優先順位づけに関しても、情報の公開、結果だけを冊子にまとめて、これを見れば全部わかるだろうじゃなくて、どういう議論が行われて、どういう資料が提出されて、だからSなのだ、だからAなのだというような情報の公開がしっかりされなければならないというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

高市国務大臣 S、A、B、Cづけに関しましては、私が閣僚に就任するよりはるか前に、各省庁から結構不満の声を、当時、私は一議員として聞いておりました。例えば経済産業省で、こういうことがとても国のためにいいと思ってやっているのに、S、A、B、Cづけでこてんぱんにやられて、とても重要な政策だと思うんだけれども理解してもらえなかった、だけれども理由がよくわからないというような声も実際に聞いておりました。

 当時から説明はしていたんですけれども、ただ、なぜそういう評価になったのかとか、今後どういうことに留意したら認められていくのかということがわかりやすく説明されていなかったという問題があって、今般、ことしのなどは、先生に言わせたらまだ十分じゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、今までに比べると、まず審査基準を明確に相手にお伝えして、優先順位、こういう順位になった理由もきっちり説明し、簡単な記載ですが書いてあります。それで、留意点も割と行数をとって書いてあると思うんですね。だから、これまでに比べるとかなり改善はされてきております。

 今後も、優先順位づけがよりよいものになるように、必要に応じて見直し、改善をしていくというのは大切なことだと私は思います。

 ただ、その検討過程で外部の専門家の方がどう言ったとかああ言ったということを詳細に出してしまうということになると、割と自由闊達な議論ができなくなっちゃったり、反対に圧力がかかる可能性というのが出てきたりというようなことにもなるんじゃないかと思いますので、今発表しているような項目の中でより改善できることがあれば充実させていくというのは確かにいいことだと思いますね。

川内委員 いや、私は、意思形成過程にある中で、リアルタイムで情報を公開していくべきだということを申し上げているのではなくて、決定された後、その決定がどういう判断に基づくものであったのかということを客観的に担保するために、要するに、意思決定が終わった後、順位づけが終わった後、なぜその順位づけが行われたのかということについての議事録なり提出された資料なりということについては、一人一人が何と言ったかということは別にして、そういう資料について御公開をいただきたいというふうに考えているということを申し上げております。

 何か御意見はありますか。

高市国務大臣 意思決定過程といいますと、まず、外部の専門家に入っていただいて何をしているかというと、各省庁からのヒアリングですね。これをやりたいということで、その必要性ですとか、計画性ですとか、効果ですとか、そういったことも含めて、あと留意点も含めて、いろいろやりとりをしなきゃいけない。だから、そのヒアリングのときに、まず外部の専門家の人に各省庁に質問をしていただいたりしていますね。あとは、さっき言いましたような、留意点や計画性、必要性ということについて、総合科学技術会議の有識者議員が決定をする材料となる専門的な知識を御教示いただいているということなんですね。

 だから、外部の専門家に関しましては、実のところ、その発言内容については一応、対外秘というんですか、どういう具体的な発言をされたということについては表には出しませんので率直に疑問に思うところをぶつけてくださいというようなことで御協力をいただいているものですから、そこまで出せるかといったら、ちょっとそれは、自由な御発言がむしろいただけなくなると思っております。

 ただ、総合科学技術会議の有識者議員の段階で十分に議論して、どういう留意点がある、課題がある、どういう指摘をしたというようなことに関しては、今よりもう少し詳しい書きぶりというか、改善ができましたら、やれるように検討したいと思うんですが、ことしでもかなり改善された、まずそこを御理解いただきたいと思います。ちょっと工夫はしてみるつもりでございます。

川内委員 ありがとうございます。

 それでは、この沖縄の科学技術研究基盤整備機構の理事長であるシドニー・ブレナーさんのことについてお伺いをいたします。

 平成十七年九月一日にブレナーさんが理事長就任以来、現在に至るまで、日本滞在日数は何日なのか。また、東京に何日、研究基盤整備機構の本部がある沖縄に何日いたのかということについて、時間もないので、事実関係だけお答えいただきたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 全体で六十三日のうち、沖縄に三十六日間、東京に二十三日間、その他、浜松に二日間、札幌に二日間、これは主たる滞在場所でカウントいたしております。

川内委員 平成十一年の中央省庁等改革推進本部決定には、独立行政法人制度に関する大綱で、「独立行政法人の長は常勤とする。」と定められておりますが、この常勤という言葉の定義と、シドニー・ブレナー理事長が、約一年ちょっと経過をしているわけでございますが、常勤とはとても呼べない状況であるというふうに思いますが、どのように御説明になられるのかということを御答弁いただきたいと思います。

原田政府参考人 滞在日数につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、ブレナー理事長にこの整備機構の理事長御就任をいただいた事情、背景につきまして説明いたしたいんですが、世界最高水準の自然科学系の大学院大学を目指して本構想を推進していくためには、やはり高名なノーベル賞学者、なかんずく、この大学院大学の中心テーマが生命科学分野でございまして、その分野の第一人者でもございましたシドニー・ブレナー理事長がいわば余人をもってかえがたい存在でございまして、そういうことでこの理事長の就任について要請をいたしたわけでございます。

 ただ、一方で、ブレナー理事長につきましては、国際的にまだ現役で活躍をされておりまして、常時沖縄にあるいは日本に滞在をしていただくということは極めて困難な事情がございます。そういうことで、重要な方針決定につきましては常に指示をいただきますが、その過程で、機構との間で常に連絡がとれ、指示、判断を仰げるような体制を確保いたしております。

 また一方で、ブレナー理事長が海外で国際的な活動をしていただくということは、立ち上げ期にあります大学院大学の優秀な研究者の招聘や、あるいは本構想を国際的に認知していただくという意味でも大変重要であるというふうに認識をいたしておりまして、こういった点も勘案しまして、理事長の勤務実態につきましては、私どもとしては、差し支えないんじゃないかというふうに考えております。

川内委員 ブレナー理事長に御就任をいただくに当たって契約書を結ばれていると思うんですけれども、契約では勤務の形態は常勤というふうになっていたのか、そしてまた、契約の時期はいつまでなのか、いつまで理事長を務めるというふうにその契約書には記載されているのかということについて、事実関係のみお答えください。

原田政府参考人 機構法に基づきまして、昨年の九月から四年間の任期でございまして、総理大臣任命でございます。

 そういうことで、正式に就任いただくに当たりまして、給与面等の諸条件につきましては事実上御相談を申し上げましたが、勤務時間あるいは勤務場所等についての取り決めはいたしておりません。

川内委員 勤務の形態については取り決めはしていないと。それで、いつまで理事長をお務めいただくのか、その契約の期間は。

原田政府参考人 先ほど申し上げましたように、法律上、昨年の九月一日から四年間の任期でございます。

川内委員 それは法律上の任期であって、ブレナーさんとの契約はどうなっているんですかということを聞いています。

原田政府参考人 それ以外の取り決めはございません。

川内委員 残念ながら時間が来てしまいましたけれども、ブレナーさんは何か辞意を漏らされていらっしゃるというふうにも聞いておりますが、それは内閣府で確認をされていますか。

原田政府参考人 昨日、機構の運営委員会がございまして、ブレナー理事長は、ブレナー理事長としての職責を全うすべく、そのめどがつくまで引き続き理事長職を続けたい、続けるつもりであるという意向は示されまして、運営委員会の各先生方もそのことにつきまして支持をされ、私どもとしてもそういった方向での期待を持っておるところでございます。

川内委員 終わりますけれども、学長にはならないということでよろしいですね。

原田政府参考人 現在、機構の理事長でございまして、大学院大学のいわゆる正式な開学時期というものは現時点ではまだ確定いたしておりません。そういう意味で、学長になる、ならないということを現時点で明確にすることはできません。

川内委員 終わります。

安住委員長 次に、仲野博子さん。

仲野委員 民主党の仲野博子でございます。

 最初に、麻生外務大臣に、安倍政権における対ロ外交の方針、戦略についてお伺いしてまいりたいと思います。

 安倍総理は、対ロ関係について、所信表明演説の中で「ロシアも大事な隣国です。日ロ関係の発展が両国に恩恵をもたらす潜在的な可能性は大きく、そのためにも、領土問題の解決に向け、粘り強く取り組んでまいります。」と触れておられます。しかし、これだけでは安倍政権の北方領土返還に向けた対ロ外交の具体的な戦略が見えてきておりません。

 日ロ関係の現状は、八月には、北方領土周辺海域での日本漁船に対するロシア警備艇からの銃撃事件により乗組員が死亡する大変痛ましい事件が起きました。さらに、九月からは、日本の大手商社が加わっている石油・天然ガス計画サハリン2に対するロシア当局からの圧力が続くなど、今、決して好ましい状況と言えるものではないと思います。いずれも、日米関係を重視し、日ロ関係を軽視してきた前小泉政権の外交政策の結果と思わずにはいられません。

 先月、安倍総理はAPECにおいてプーチン大統領と会談を行いましたが、北方領土問題解決の具体策には踏み込まなかったと新聞報道等されているわけであります。安倍政権における日ロ関係の最重要課題である北方領土問題の解決と日ロ関係の打開に向けた積極的な具体策、熱意を麻生外務大臣にまず伺ってまいりたいと思います。

麻生国務大臣 その席に同席しておりましたから、間違いなく、安倍総理の方からプーチン大統領に対して、北方四島の問題はかなりの時間を割かれて質問、対話、会話が行われておりますということだけは事実として申し上げておかねばならぬと思います。

 まず最初に、ロシアは大事な隣国です、当たり前です。隣にあって大きな大国ロシアですから、そのとおりだと存じます。また、日ロ関係というものが進展をすることによって両国間に大きな恩恵をもたらす余地がある、そのとおりだと存じます。

 ただ、そのことに関して、先ほどの丸谷先生の御質問にもお答えしたと思いますが、基本的には、日本とロシアとの間に友好関係がなかなか発展しにくいものとして北方四島問題というのが引っかかっている、とげとしてあるという前提に立たないと、いろいろな話をしてもなかなか、壮大な絵にかいたもちみたいになりかねないということだという認識は、この種の問題を担当された方は皆お持ちであり、安倍総理の場合も例外ではないということだと思っております。

 したがって、日ロ関係というものをやっていくためには日ロ行動計画というものを立てねばならぬということで歴代いろいろやってきておられると思いますが、小泉内閣のときからいろいろ、小泉・プーチン会談は五、六回あろうと思いますけれども、その中にあって、少なくとも日本とロシアとの間でやれるものからやっていこうじゃないかという話が大事なところであって、理想論だけじゃなくて、やれるものからやっていこうということで、例の防災計画やら何やらも日本側から提案したのがその中の一つでして、事実、その方向で今いろいろ動きがあっております。

 また、これは担当するのは外務省だけとかいうのではいかがかということで、政党間、おたくも政党ができたんだから政党のいろいろなつき合いもどうだということで、この間、公明党が訪問されたり自民党が訪ロした。いろいろしておりますので、そういったところから、いろいろなところから始まっておりますが、行き着くところはこの北方四島問題に皆なってきますので、ここのところが問題なんだという認識を双方で持たないとこれ以上はなかなか、常にそこが引っかかってくるということになるということが余りよくわかっておられない方も実はいっぱいいらっしゃいます。

 北方四島問題というのは、お詳しい方はお詳しいんですけれども、全然、えっと言う方もロシア側にはいっぱいいらっしゃるので、そこらのところは、この問題が解決しない限りは、いろいろな共同経営とか共同何とかというのはなかなか、最後のところは引っかかっているところですよという話を、いろいろな人脈、いろいろなところから向こう側に対して、最後にこの問題が日ロ間に残っている最大の懸案という意識だけはぜひ持っておいてもらわないとという話は我々として常に言う、また向こう側にも、それを認識し、そしてやはりこの問題を解決しないと日ロ関係は、向こうから言わせればロ日関係は前に進まないなということをしっかり思わせた上でというところが大事なところではないか、最近そのように強く感じるところです。

仲野委員 今、麻生外務大臣の方から、なかなか友好関係が発展しない、一方では、北方領土をやはり解決していかなきゃならない、北方領土問題を解決するに当たって、相手側、ロシア側の方もなかなか北方領土について認識がされていないと。

 そこで、双方がこの北方領土問題をもっともっと発展的に認識をさせていくためには、外務大臣として、そのことは事あるたびにあらゆる場を通じてロシア側の方に申し入れというか働きかけを十分に行っていると思うんです。しかし、なかなか進んでいかないというこの外交交渉の、前進していかないこのいら立ちをではだれが一番受けているのかといえば、やはり北方領土返還運動を半世紀以上にわたってやってきた方たちであり、そしてまた関係者の方たちであると思っております。そしてまた、本当に北方領土問題を解決していただきたいという日本全体の国民の総意であると思います。

 したがいまして、再度お聞きしてまいりたいと思うんですが、いま一度、では、本当にこれからの外交交渉をするに当たりまして、どうやったらもっと麻生外務大臣が、今外務大臣のポストにあるときに、歴史に残るような形で、麻生外務大臣がこの北方領土問題を解決したんだ、そういう歴史に残るような何か今考えていらっしゃることはないのか、もし胸のうちを聞かせていただければなと。

麻生国務大臣 胸のうちを話すと話がまとまらなくなるのは、相手側がありますので、胸のうちに仮にあったとしてもしゃべらないというのが大前提で、本当に解決してほしければしゃべらないようにするというのが大事なところだというのも、これは物事の交渉だと存じます。

 ロシア側としても、今景気がよくなってきておりますので、石油の値段が二十ドルから約六十何ドルまで上がって、少し下がってはおりますけれども、したがって、景気がよくなってきた分だけ、北方地域、いわゆるロシアから見て東部地域に対しての社会資本への投資がふえてくるという傾向にあるのが最近の流れだと思っておりますので、日本とより中央政府もおれたちの方に面倒見てくれるんじゃないかという雰囲気が出てくる方が私らにとってはちょっと、逆にこっちと一緒になった方がいいんじゃないかという話はなかなかしにくいところだと思って、これは最近、この一、二年感じているところです。

 しかし、私どもとしては、これは固有の領土という立場を譲るわけにいきませんので、双方ともで、両方で、こっちが勝った、こっちが負けたというわけにはいきませんので、双方どこかで妥協することを考えなければいかぬというその雰囲気を醸成するということができない限りは、これはもうかかって政治判断になりますので、そういったところまでの信頼醸成がいかにできるか、そういった雰囲気がどれだけの形で醸成されるかというのがこれからの私たちにとって一番大きな仕事だろうと思っております。

仲野委員 八月十六日に、北方四島の領海内でロシアの警備艇が根室のカニかご漁船を銃撃し、拿捕し、その際、乗組員の盛田さんが銃撃を受けて死亡するという大変痛ましい事件がありました。本当に、これは我が国の領海内で起きたものであり、無防備の漁船に対する発砲は到底許されるものではありません。

 そこで、我が国領海におけるこの銃撃に対し、ロシアは謝罪も船体の返還にも応じておりませんが、政府として、現在、ロシア側にこれらを求める交渉を行っているのかどうなのか、麻生外務大臣にお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、この事件が起きました後、外務省の事務レベルで当然のこと、そしてその後、ラブロフに電話で一回、その後は、ラブロフ外務大臣と会いましたのが、APECか、そのときに、いろいろな機会でこれに申し込んでおりまして、本人の釈放という感じでの、船長を含めて日本への帰国というのはできましたが、船体に関しましては、証拠として我々としては断固返せということを言い続けておりますけれども、証拠品として、向こうの裁判所としてこれを返すわけにはいかないということで、今デッドロックみたいな形になっておるのが現状で、交渉は継続中、向こうは捜査は進行中というように御理解いただければと存じます。

仲野委員 それと、結局、こういった事件が発生したということは、本当に北方領土問題が解決していないがゆえに起きた事件だと思っております。政府として、亡くなられた盛田さんの御家族に対する国からの何らかの補償ないしそのあたりを今考えていることがないのかどうなのかをお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、現在捜査が行われておりますので、今内容がどういうことになっているかというのはちょっと申し上げるわけにはいかないんですが、今、直ちに補償しろというような関係で検討が行われているわけではありません。

仲野委員 今、補償というか、結局、一番罪のない方が亡くなられたということに対して政府として何も手を差し伸べないのかということで、やはり地元あるいは亡くなられた遺族の方々が、本当にこのことに対して何も政府はやっていただけないんだろうか、そういった声が私のところに寄せられているわけであります。

 何とか、当面、遺族に対するそういった補償、補償というよりかも、何か誠意というものがないのかどうなのか、改めてお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 冒頭申し上げましたように、第三十一吉進丸の、向こう側に言わせれば領海侵犯、こちら側には銃殺事件ということになるんですが、このことに関しては、これはまだ捜査中のところでもありますので、これは何とも今の段階で、今何が行われているか知らないわけじゃありませんけれども、申し上げるわけにはいかないというのが第一点です。

 それが最初のところですので、今の、亡くなられた当人に対してどうのこうのということに関しても、これはそれにも関係してきますので、ちょっと今の段階でどうしようとしているということを申し上げるわけにはまいりません。

仲野委員 捜査中であるということでありますけれども、いずれにいたしましても、捜査の段階が終わって、いずれは何か結論が出てきた段階で、そのときにもう政府は何も知らないというのではなくて、それなりの心を、きちんと誠意というものをやはり政府として示していただきたいなと思っております。

 関連いたしまして、この銃撃事件を受けて、ロシア側と北方四島海域における安全操業ルールに関し何らかの協議が行われてきたのか。そして、このような事件を二度と繰り返さないためにも、漁業問題における日ロの信頼関係の再構築が重要であると思います。

 北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定は、しばしばガラス細工の合意とも言われてまいりました。現在、ロシア政府は、水産資源などの管理の強化に伴って海域の警備を強めているとも聞いております。

 このたびの銃撃事件を踏まえ、再発防止策とともに真に安全な操業ルールの確立が不可欠と考えますが、山下資源管理部長にその見解を求めたいと思います。

山下政府参考人 北方四島周辺水域におきましては、御案内のとおり、北方四島水域操業枠組み協定等のもとで、日ロ間に一定の漁業秩序を構築することによりまして、安全かつ円滑な操業が図られてきております。このため、水産庁としましては、引き続きこれらの枠組みを堅持することが重要であると考えておりまして、枠組みの堅持に最大限の努力を払う所存でございます。

 また、これまで水産庁といたしましては、漁協等を通じまして北海道海面漁業調整規則や枠組み協定等のルール遵守の指導を行うほか、ルール遵守の徹底のため、北海道、海上保安庁と連携いたしまして、指導監督体制の充実を図ってきたところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを通じ再発防止に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

仲野委員 地元では、例えばロシア側からのトロール船によって漁具被害が起きていることに加えて、また、乱獲による水産資源の枯渇も懸念をされているわけでございます。資源の適正な管理のためのそのトロール船の規制強化策を要望しているんですが、再三にわたって、このことも強くロシア側の方に働きかけているというお答えだけはいただいております。しかし、なぜこのことが解決をされないで地元漁民者に不安だけを与えているのか、いま一度、山下資源管理部長にお尋ねしたいと思います。

山下政府参考人 この水域におけます日本漁船とロシア漁船との関係の漁場におけますトラブルにつきましても、この四島枠組み協定に基づきます協議等をとらまえまして、ロシア側にトラブルの防止あるいは未然防止につきまして強く要請をしてきているところでございます。

 洋上で、漁船と漁船との間での連絡あるいは通信についても、今後さらに具体的な話を進めていかなければならないというふうに考えているところでございます。

仲野委員 本当に臨む決意はすごく立派なんですけれども、ただ、やはり地元はそのことについて期待をしているわけでありますけれども、なかなか解決されていないということのいら立ちがかなり多いわけでありますので、何とか不安を安心に変えていくようなしっかりとした交渉で臨んでいただきたいな、そのように思っております。

 いずれにいたしましても、こうして、北方領土というのが我が国固有の領土であって、にもかかわらず、その領土問題の解決に向けた外交交渉に前進が見られないために地元経済の望ましい発展が阻害されているわけでございます。

 今、政府において、その隣接地域の生活の安定あるいは産業の振興といったところを強力に推進する目的で協議会を発足いたしました。現在、その隣接地域振興協議会における今年度五千万円の調査費が盛られまして、八月二十九日のこの沖北委員会の中でも、品川北海道局長からは「一市四町からの意見、要望を十分に踏まえて、地元から喜ばれるような社会基盤整備に取り組んでまいりたい」というふうにお答えをいただいております。このことについてお変わりがないのかどうなのか、そして、本当に、さらに頑張っていくという決意を述べていただければなと思っております。

品川政府参考人 お答えいたします。

 今、御紹介いただきました協議会におきましては、現在、地域の現状と課題について協議を行っているところでございます。北方領土隣接地域の振興のための戦略的な地域整備の方向と、そのために必要となる事業につきまして検討を進め、今年度中にまとめてまいりたいということでございますし、事務局をお預かりいたしております私どもとしては、協議会の運営に当たりまして、地元の要望、意見をしっかり聴取するとともに、地域の厳しい状況にあります財政状況等も勘案して、十分検討を行い、前回申し上げましたように、地元から喜ばれる実効あるものとしてまとめてまいりたいと考えております。

仲野委員 品川局長、力強いお答えをいただきましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきますけれども、先ほど質疑あったところでございますけれども、十一月十五日、千島列島シムシル島付近で強い地震があり、津波の発生もありましたわけでございます。それで、ことしのサンクトペテルブルクで開催されたサミットの機会に、日ロ首脳会談が行われ、この中で、平和条約問題に関連して、両首脳は、平和条約問題の解決に向けた環境整備を進める観点から、北方四島を含む隣接地域において、日ロ両国が共同で地震・津波対策など、防災分野で協力することについて協議していくことで一致し、今後、両国間で地震・津波対策のためのネットワーク構築などの防災協力の実現に向けた具体的な作業を加速することとなったということが外務省のホームページなどでも発表されているわけでございます。

 今、その日ロの首脳間で地震・津波対策など防災分野で協力することについて協議していくことで一致したにもかかわらず、九月に予定されていた専門家交流を後押しすることができなかったのは残念であります。この首脳間の合意による地震・津波対策に関する具体的な作業の内容及びその進捗状況について、麻生外務大臣にお伺いしたいと思います。

岩屋副大臣 先生今御指摘いただきましたように、首脳間の合意に基づいて、ことし五月、六月、九月に北海道大学の地震専門家から成る訪問団が四島に行くはずだったのですが、実はロシア側が、事前に受け入れのための内部手続が整わなかったという理由で訪問は実施されないことになりまして、私ども非常に残念に思っているところでございます。

 しかし、ロシア側もこの交流事業は非常に重要だと認識しているというふうに承知しておりますので、今後、このようなことがないように、つまり予定された訪問計画が突然実行できなくなるというようなことがないように、ロシア側に引き続き強く働きかけていきたい、こう思っております。

仲野委員 そういうサミットの機会に、日ロの首脳会談で、津波対策ということでは麻生外務大臣からも提案をさせていただいたということは私も認識させていただいております。こういった大事な場で、地震・津波対策ということで両国でやっていくということになっていたにもかかわらず、調査団をいざ派遣しようと思ったときに向こうの都合でといったことでありますので、本当に一体どうなっているのかなということ。

 本当に心配していたことがつい十一月十五日にこうしてあったわけであります。そういった意味では、そのプレートの上に住んでいる地元の方たちも非常に心配をしているわけであります。したがいまして、安全、安心な国土と常に言われている中で、もっともっと政府としてこういった防災対策にもしっかり力を入れていくことが大事であると思っております。

 ことし三月の予算分科会でも、私、質疑した経過があるんですが、二月十七日の中央防災会議で、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る防災対策推進地域の指定や地震対策大綱などについて決定、承認をされ、釧路、根室がその指定を受けました。その後の地震防災対策の進捗状況をもっと詳しく知りたいと思います。お答えをいただきたいと思います。

 先ほどと関連いたしまして、内閣府香川北方対策本部審議官おられますか。お願いいたします。

香川政府参考人 恐縮でございます。突然の御質問でございますけれども、ちょっと私どもの所管ではないと考えますけれども。

安住委員長 それは、気象庁の火山部長じゃないの。内閣府の防災担当は質疑には来ておりませんから、政府参考人としての指名がないので、答弁できないのではないかな。

仲野委員 では、またの機会に質問させていただきたいと思います。

 それでは、最後に、高市大臣、複数の担当大臣を仰せつかって大変お疲れかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほどのお答えを聞いておりまして、やはり北方領土問題を周知していただくためには広報活動を積極的に、啓蒙活動を行っていきたい、その旨の答弁をされました。

 そこで、北方担当大臣として、北方領土問題などをどのような形で学校教育に取り入れ、子供たちの意識を啓発するのか、文部科学省に対してどのような提言を行おうと考えているのかをお尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 伊吹大臣に私の方から具体的にどういうお願いをするかということも含めて、今ちょっと整理中なんです。

 今月の二日に、現場の教師の方々五名と意見交換を行いました。その中で出てきたお話なんですが、まずは、北方領土問題に対する意識が低くて教え方がわからない教師もいらっしゃる。それから、地域によってもやはり物すごく差がある。例えば九州の方で、もう全く興味を持っていただけない、生徒だけじゃなくて、親御さん、保護者の方がまず理解されない。あと、同僚の教員が、北方領土の問題を一生懸命教えようと思って例えば教材なんかを工夫していると、あいつは右翼だと言ったりして。

 ただ、北方領土について教えるということは、学習指導要領にも書いてございます。中学校の学習指導要領にもきちっと「北方領土」という形で書いてありますし、小学校の方は「領土」という書き方でございますけれども。

 ですから、私の方から今提案しようと思っていますのは、文部科学省で全国の教員を集めて行う研修会のときに、これは学習指導要領にも書いてあるんだ、やはりきっちりと教える必要があるということを徹底していただいたり、あと教え方についても研修をする。教科書の記述についても、ちょっとこの記述はないだろうというような御指摘もありました。ちょっと事実関係が違っているんじゃないかというような御指摘も実はあったんです。こういったことも少し文部科学省の方と詰めていきたいなと思っております。

 いずれにしましても、たくさんの提案をいただきましたので、これを整理して文部科学省としっかり議論を進めてまいります。

仲野委員 女性大臣としてきめ細かな、本当に子供たちに広く北方領土というものを正しく認識していただくために、カリキュラムの工夫だとか、やはりそういった授業の充実をさせていくことが大事であるので、これは文科省としっかり連携をとられて、ぜひいいものをやっていただければなということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 高市大臣が就任されまして、委員会を長いこと待たされましたので、問題が山積ということでありますが、残念ながら私の質問時間が十五分しかありませんので、端的に聞いていきたいと思います。

 高市大臣が十月二十一日に沖縄に行かれて記者会見をなさって、北部振興策と普天間飛行場の移設問題、全くリンクしないという表現は当てはまらない、移設問題というのは全く進まないけれども北部振興というものは国で受けますよという形には残念ながらならないと思っていると発言をされました。

 この発言は撤回をされたんですか。

高市国務大臣 撤回はいたしておりません。

赤嶺委員 この発言というのは、結局、振興策と基地問題はリンクしているんだということを確信を持って言われたと私たちは受けとめているんですが、そういうことでいいんですよね。

高市国務大臣 リンクという言葉をそのまま訳しますと、関連するということだと私は考えておりました。ですから、普天間の移設と北部の振興策は全く関連がないかといえば、それはそもそもの成り立ちから考えても関連はある、これは従来からの政府の考え方と変わるところはないと思います。

 つまり、具体的な北部振興策の進め方につきましてことし八月二十九日の普天間移設協議会で了承されました内容は、今後、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめ、着実に実行する方向で対応するものということで八月に了承されておりますので、関連はないかといえばやはり全くないわけじゃなくて、この協議が円滑に進む状況のもとということで関連していると理解をいたしました。

赤嶺委員 まさに振興策と基地問題をリンクさせる、関連させる、そのことが、沖縄では立場の違いを超えて高市発言に対する批判が起こったのであります。

 高市大臣は、出来高払いという言葉は使ったことがないし、これからも使わないと釈明しておられますけれども、結局、今の考え方というのは出来高払いということではないですか。出来高払いとどこが違うんですか。

高市国務大臣 私は、釈明をしたのではなくて、出来高払いという言葉はこれからも使わないし、使ってもいないということを説明申し上げたんです。

 出来高払いというのは、例えば、何かがここまで進んだら幾らというような形のことなんだろうと思います。

 今回の北部振興策というのは、もうこれは、私が就任する前の前任者の大臣もそうですし、過去の政府の考え方としても、そもそもが普天間基地の移設に伴ってこの北部振興の話が出てきて、これまでずっと推進をされてきた。ところが、ことしの五月に2プラス2の関係で状況が変わったことを受けて、その根拠になる閣議決定そのものが吹っ飛んでしまった。しかしながら、沖縄県からも、北部振興策というのは進めてくださいという御要望を政府がいただいた。それで、十分に工夫をし、政府内でも調整をした上で、八月にこの協議会で、協議が円滑に進む状況のもと、北部振興策について政府もちゃんと真摯に努力をするという方向が打ち出されて、了解されたんだと思います。

 ですから、私は今、この方針に基づいて、仲井真新知事にも、ぜひともその協議を早くやりましょうよ、私はやりたいと希望しているし御意見も伺いたいとお願いをしまして、概算要求でも要求をされておりますけれども、年末、予算確保に向けて前向きに取り組むつもりでおります。

赤嶺委員 ですから、言ってみれば、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもとで政府として着実に実行する方向、何かが進めばこれをやりますよというのが出来高払いだ、大臣はそうおっしゃいましたけれども、まさに出来高払いなんですよ。出来高払いという言葉を使う使わないじゃなくて、出来高払いの考え方に政府が立っている。

 今大臣るる説明されましたけれども、北部振興策というのは、もともと普天間基地の代替施設が進めばやるというものではなかったはずですよ。いかがですか。

高市国務大臣 北部振興策について、かなり古い資料になりますけれども、もともとのそもそも論ということで話をいたします。

 過去の青木官房長官の御答弁を先生は御承知かと思うんですけれども、平成十二年ですね、「普天間の問題との関連がどうなるか、リンクしているかどうかという問題であろうと思いますけれども、私どもは、普天間飛行場の移設と北部地域の振興とは、関連は否定することができないと基本的には考えております。しかしながら、他方において、沖縄県全体の均衡ある発展を図るという視点からは、当然、北部地域の振興それ自体が重要な課題である」というふうに答弁をされております。これが従来の政府の考え方であります。

 私自身も、北部振興策と過去の閣議決定に基づいたそのプロジェクトとは別に、私は、沖縄県全体の均衡ある発展というのは、沖縄に限らずよその県でもそうなんですけれども、余りにも地域格差があるだとか、ここではもうどうにも立ち行かないということがそれこそないように努力するのが行政の役割ですから、北部であれ、中部であれ、南部であれ、離島であれ、均衡ある発展のために私どもができることは、精いっぱい県側の意向も聞いて進めてまいるという立場にある、こう考えております。

赤嶺委員 北部振興策というのは、青木官房長官の答弁の前に一九九九年の閣議決定で定められていて、その閣議決定の中では何もそんなことを書いてないですよ。北部の振興が、均衡ある発展が立ちおくれている、人口が少なくなっている、そういう定住人口をふやすため産業の振興をやろうということしか書いてないわけです。これを後づけで基地とリンクさせてきたのが政府の一方的な立場なんです。これが政府の一方的な立場なんだということを理解できないから、あなたの発言が批判されているわけです。

 沖縄で経済振興ということを望む場合には、基地経済からの脱却というのが思いなんですよ。基地に頼らなくても沖縄のいろいろな魅力を生かした経済振興をやっていきたい、そういう基地経済からの脱却は悲願です。ところが、高市大臣、あなたの、基地と振興策は関連しますよというぐあいになっていったら、沖縄の振興というようなものはますます基地依存型になり、自立経済なんてできなくなるじゃないですか。いかがですか。

高市国務大臣 一般的に、基地問題とあらゆる振興策がすべて関連して、基地問題に絡めて考えているかといったら、そういうことじゃないと思うんですね。

 例えば、沖縄は非常に広大な海域に離島もたくさんございます。交通の便といった面からそれは大変デメリットがある点もあるでしょうし、それから、さきの大戦で大きな被害もこうむって、地上戦が唯一展開されているので、その後二十六年余り日本の施政外のところにあった、そういういろいろなハンディもあります。

 だから、米軍基地があるということだけでそれをどうこうという話じゃないけれども、ただ、基地と全く関係ないかといったら決してそうじゃなくて、私が今考えているのは、基地の跡地利用をどう考えていくか。それから、やはり基地でそれだけ面積が占用されちゃっているということで、土地の有効利用ができないんですよ。だから、やはりそこにも国は配慮しているわけです。そういった形で意見交換をしているわけですから、基地経済という言い方をされてはどうしようもないですけれども、全く沖縄の経済振興等が基地と関係ないということではないと思います。

 一面では、やはり基地によるハンディというのを補っていかなきゃいけないし、反対に、米軍再編が進む中で跡地の利用をどんなふうにうまくやっていくか、これでまた新たなチャンスも出てくるんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 ですから、基地経済からの脱却というのは、沖縄県民が戦後ずっと願い続けてきた悲願なんです。今大臣もおっしゃいました、沖縄本島の面積の二〇%が米軍基地に占領され、まちづくりも、そして産業振興も思うようにいかない。大臣が振興策はやっているよとおっしゃいましたが、三十年間やってきて、所得は全国平均よりずっと低い状態です。失業率は、高い失業率です。何も改善されてないんですよ。基地あるがゆえに何も改善されていない、沖縄の振興が、発展していかない。そこに、ただでさえ定住人口がないとか産業がないとかと言っている北部の振興を、いや、基地と結びつけなきゃだめなんだと言えば、ますます基地経済に沖縄の経済が縛られてしまう。そういう考え方から改めてほしいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、先ほど川内先生の方からも、大学院大学、子細にわたって質問がありましたが、学長予定者のブレナーさんが六十三日しか勤務していなかった、沖縄には三分の一しかいなかった、これは事実だし、これでいいんだとおっしゃっていましたけれども、日本政府の決まりとしては、独立行政法人の長の勤務は常勤とするとなっているわけですね。

 ブレナーさんの勤務形態、これは何で常勤なんですか。

高市国務大臣 これは、平成十五年に、当時、茂木大臣がブレナー博士に就任を要請されました。その後、平成十七年の二月に関係閣僚会議で理事長就任の内諾ということで了承されているんですけれども、もともと就任を依頼するときの前提が、国際的に活躍されている理事長に常時沖縄にいてくださいというのは極めて困難だろうということで、機構との間で常に連絡がとれること、それから、必要があれば毎日でも指示、判断がいただけること、その体制づくりを前提に就任を依頼したんだと聞いております。

 今のブレナーさんの働き方ですけれども、これも確認しました。メールや電話で沖縄在住の職員と毎日連絡もとり合っている。毎日毎日沖縄に座っておられたのでは、反対に私どもも困るわけです。どういうことかといいますと、今理事長に特にお願いしたいことというのは、どんどん海外に出ていって、まずは優秀な外国人の教授をリクルートしていただくこと、それからこの沖縄科学技術大学院大学の構想を世界じゅうにアピールしていただくこと、こういったことを大変期待しているわけでございます。いわば、今はテレワーク的な働き方でございます。また、理事長というのは、勤務時間、何時から何時までどこにいなさいというのが定められているわけじゃございませんので、大変難しゅうございますけれども、もともとそういう前提だったと。

 それから、なぜブレナーさんに頼まなきゃいけなかったかということも、これまで政府側から御説明を申し上げていたとおりでございます。

赤嶺委員 外国にいて、それでも独立法人の常勤というぐあいに政府が解釈する、その解釈自身も私は非常に疑問を感じるわけですが、沖縄にいて、沖縄に足場を持って、それから海外に出かけていくということであれば、常識的でわかるわけですよ。それが、沖縄には足場を持たない、沖縄には海外から出張してくる、日本には出張してやってくる、これがとても常勤とは言えない。

 世界最高水準の大学院大学をつくるにしては余りにもお粗末なやり方ではないかということを指摘して、私の質問を終わります。

安住委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 きょうは、高市大臣にお聞きをします。

 去る十一月十九日の沖縄知事選挙は、普天間基地の閉鎖と海外移転を求め、県内移設に反対する糸数候補が敗れ、普天間飛行場の危険性の早期除去のため三年をめどに閉鎖状態にすると公約した仲井真弘多氏が当選しました。

 高市大臣は、仲井真新知事が公約した三年をめどに閉鎖状態という公約は、実現可能性があると思っておられますか。

高市国務大臣 この普天間飛行場の危険性の除去ということにつきましては、協議会で協議をすることになっております。私は、まだ直接、仲井真知事から、どういう方法で三年をめどにということを検討されているのか、詳しい説明をいただいておりませんので、まずお考えを聞くことからだと思っております。現段階では私には判断ができません。

照屋委員 沖縄担当大臣として、危険性の除去だけではなくて、三年をめどに閉鎖状態にということについてはどう思っているのか。

高市国務大臣 閉鎖状態にして、では移設をどうするのかも含めて、仲井真知事がどのようなプランを描いておっしゃったのか、私自身はまだ詳細を承知いたしておりませんので、やはりこれも知事の御説明をいただいてからの判断になると思います。それが可能なのか、不可能なのか、大変困難なことであろうとは想像はいたしますけれども。

照屋委員 先ほど赤嶺委員からも、高市大臣の大臣就任後の沖縄訪問の際の、北部振興策と基地問題に関するいわゆるリンク論が質問にありました。

 普天間飛行場移設問題と北部振興策のあり方について、高市大臣の本音をお聞かせください。高市大臣はリンクという言葉を明確に使ってはいないと弁解されましたが、北部振興策と普天間移設計画の進捗状況を関連づけるとの考えは一貫していると私は受けとめておりますが、そのように理解してよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 リンクという言葉を記者会見で言わなかったかといったら、それは言いました。リンクしていないという言い方は当たらないんじゃないかという表現だったと思います。

 ただ、私は、北部振興事業を継続することへの要請がお地元からあることは承知をいたしております。まず、これに関して八月二十九日の協議会できちっと了承されたのは、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめ、着実に実行する方向で対応するものということでしたから、訪沖時の記者会見でこの関連性についても話をしましたけれども、同時に、その関連性ということに関する説明は、この部分をきっちりとこの文言どおりに申し上げたつもりでございます。ですから、八月の時点と私が就任してから、政府としての方針に何ら変更はないということでございます。

 北部に関しましても、県土の均衡ある発展ということから、私は、この枠組みにとらわれず北部の振興策というのは考えたい、考えていかなきゃいけない、実行しなきゃいけないと思っております。そういう意味で、この年末にきっちりと予算確保に努めていくということで、関係閣僚ともお話をしているところでございます。

照屋委員 防衛庁は、普天間飛行場の代替施設である新基地建設の進みぐあいに応じて振興費を支払うという出来高払いの姿勢を堅持しているんです。この基地と北部振興策のリンク論というか出来高払いの考えと、高市大臣の考えでは具体的に何が違うんでしょうか、同じなんでしょうか。

高市国務大臣 私は、五月三十日に日米で合意されたとおり、きちっと米軍再編というのは進んでいくべきだと基本的に考えております。ただ、出来高払いといっても、何もすぐにここまで工事をしてとかなんとかという話じゃなくて、この協議会で具体的な建設計画も考えましょう、環境対策も考えましょう、振興策も議論しましょう、こういう取り決めになっているわけですから、協議会で円滑に協議が進む状況のもとというのは、そういったことをトータルに、もちろん住民の方の安心とか安全とか、それからやはり環境への配慮ですとか、振興策だって本当に有効に進めていかなきゃ何にもなりませんから、こういったことは全部協議会で協議する事項と私は理解しておりますので、やはり協議会がまず開かれて、そういったことで率直な議論ができるという状況が前提になっているんだと考えております。

照屋委員 沖縄担当だけじゃなくて、たくさんの部署を担当して超多忙だと伺っておりますが、高市大臣は、復帰後の沖縄振興開発計画、それはお読みになったことがありますか。

高市国務大臣 大臣に就任してから、沖縄に関しては、もうずっと各自その時期その時期の資料、大変な量でございますけれども、秘書官に入手をしてもらって、読んでおります。全部頭に入ってはおりません、少しずつ理解をしているつもりではございます。

照屋委員 読んでないんじゃないかと思いましたが、読んでおるということで、大変結構でございます。

 では、沖縄振興開発計画で、沖縄の経済振興と基地はどのような位置づけになっておるのでしょうか。

安住委員長 高市大臣。――ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 照屋寛徳君。

照屋委員 大臣、超多忙というのは私もわかっておりますから、恐らく事務方が説明しても、振興開発計画をつぶさに読む時間はなかったんじゃないかと僕は思いますが、私が言いたいのは、この復帰後の累次にわたる沖縄振興開発計画というのは、沖縄県がつくったものじゃないんです。政府がつくったんだ、政府の責任でこういう振興開発計画をするんだ。その中では、沖縄の経済自立、沖縄の産業振興、経済振興を考える上で軍事基地の膨大な存在が障害になっている、こういう精神、方針で貫いている。そのことをぜひ忘れないでいただきたい。これを私は言いたかった。

 それで、沖縄担当大臣として沖縄の経済産業振興策について特別なビジョンをお持ちか、見解を伺います。

高市国務大臣 まず、沖縄は、現状では、全国最下位の県民所得、全国平均の約七割、それから全国平均の二倍の失業率ということで、非常に大きな課題を抱えている状態だと思います。今先生が御指摘になりましたように、やはり広大な基地を抱えておりました関係で土地の有効利用ができなかった、いろいろな問題はあったのだろうと思います。

 これからの経済産業振興策ということですけれども、一つは、まず観光ですね。観光の方も、体験型・滞在型の観光の推進ということで、通年、オールシーズン、それから滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成を行っていく、これは私は非常に効果があると思います。それから情報通信関連産業でございますけれども、これも民間主導で、それから価値創造型で進めていく。特に、沖縄の特性ということを考えますと、地震が少ない、だからサーバーなんかを置いても非常に安心だということで、IT関連の企業も注目をしている地域でございます。それから農林水産業の振興でも、沖縄ブランドということで、私は、非常に世界に向けて売り出せる余地があるのじゃないかと思っております。それから健康食品産業、これは最近沖縄でも伸びてきておりますので、特に、新しく起業される場合それから新しい事業を創出される場合の支援、この辺に力を入れていきたいなと思っております。

 産業振興ということで限って例示させていただいたら、以上のようなことでございます。

照屋委員 残念ながら、沖縄担当大臣としての特別なビジョンを伺うことはできませんでした。

 ところで、さきの北部振興策と関連しますが、二〇〇七年度分の北部振興費百億円の予算要求は行うんですね。これを伺います。

高市国務大臣 非公共五十億、それから公共五十億、合計百億ということで要求をいたしております。

照屋委員 ことしの五月の閣議で北部振興策を二〇〇六年限りで廃止するという決定がありましたが、そうすると、北部振興策は当初どおりの完全復活で、二〇〇八年、二〇〇九年度も実施するというのが大臣のお考え、政府の方針と理解してよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 あくまでも政府の方針ということでいいますと、従前の北部振興事業の継続につきましては、八月二十九日の普天間移設協議会において政府の方針として了承されたとおりでございます。つまり、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府として真摯に受けとめ、着実に実行する方向で対応するということでございます。

照屋委員 今年度は、仲井真新知事が当選したこともあって、お祝儀で要求しましょう、ところが、二〇〇八年、九年度以降は新基地建設の進捗具合ですよ、それが本音なんでしょう。

高市国務大臣 お祝儀でと言われても大変困ってしまうのですが、八月二十九日にそういう決定があって、八月末の概算要求で既にこれは載っていたわけでございます。私はその後就任した大臣でございますけれども、とにかく前向きに進めたいという思いなんですよ、この話を白紙にしてしまいたくはないんですね。ですから、一生懸命私も、仲井真知事が出てこられたときも、何とか協議が進む方向で日程調整もしてくださいよと申し上げましたし、名護市長にも今、本当に腹を割って話し合いをしたいし、やはり地元の皆さんの不安もあるでしょうし、名護市長がおっしゃっていることとまた仲井真知事がおっしゃっていることが同じなのか違うのか、直接伺いたいし、ぜひとも前向きに協議会を開きましょうよということで私の方からお話ししているので、この話をぶち壊したいんじゃないんです。むしろきっちりと予算が獲得できて振興が図られるように努力したいなという思い、私の思いはそれに尽きます。

照屋委員 終わります。

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時八分散会


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