衆議院

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第3号 平成19年3月28日(水曜日)

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平成十九年三月二十八日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 石崎  岳君

   理事 仲村 正治君 理事 西銘恒三郎君

   理事 宮腰 光寛君 理事 仲野 博子君

   理事 山田 正彦君 理事 東  順治君

      阿部 俊子君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    清水清一朗君

      とかしきなおみ君    長島 忠美君

      橋本  岳君    馳   浩君

      原田 憲治君    平口  洋君

      福岡 資麿君    森山  裕君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    川内 博史君

      武正 公一君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 高市 早苗君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           香川 弘明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 中田  睦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐久間 隆君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    竹谷 廣之君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            影山 智将君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   衆議院調査局第一特別調査室長           佐藤 宏尚君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     原田 憲治君

  飯島 夕雁君     長島 忠美君

  清水清一朗君     小里 泰弘君

  橋本  岳君     阿部 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     大塚  拓君

  小里 泰弘君     清水清一朗君

  長島 忠美君     飯島 夕雁君

  原田 憲治君     安次富 修君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田正司君、内閣府沖縄振興局長清水治君、内閣府北方対策本部審議官香川弘明君、総務省大臣官房審議官中田睦君、外務省大臣官房参事官片上慶一君、外務省北米局長西宮伸一君、農林水産省大臣官房審議官佐久間隆君、水産庁漁政部長竹谷廣之君、水産庁漁港漁場整備部長影山智将君、環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 普天間飛行場移設の原点は、市街地のど真ん中に位置するこの施設の危険性の除去であります。沖縄県知事も名護市長も、苦渋の決断をし、移設を実現し、一日も早く危険性を除去したいと考えております。名護市長は、将来の長きにわたって代替施設と向き合う地元住民の声として、騒音を軽減するために可能な限り海側に寄せてほしいという切実な要望をしております。一方、名護市議会も同様に、海側に出してほしいという決議をしております。市長と市議会の要望は、いわゆる基本合意書や基本確認書と決して対立するものではないと私は考えております。

 そこで、麻生外務大臣にお伺いいたします。

 国政の根幹である安全保障政策を実現するために、一日も早く地元の切実な要望を聞くべきだと思いますが、外務大臣の御所見をお伺いいたします。

麻生国務大臣 これは、もう西銘先生もよく御存じのとおりで、少なくとも、いわゆる抑止力というものを維持しつつ沖縄の地元負担の軽減を図るという、連立方程式みたいな形になろうと存じますけれども、それを解かねばならぬというところが一番の問題点だと存じます。

 したがって、今、日本の周辺事態というのは、朝鮮半島、台湾海峡等々、幾つも御存じのとおりの状態でもありますので、状況というのは、米軍の抑止力というのは必要、それを前提としてということになろうと存じますが、今言われましたように、昔できましたころと今とは普天間周辺の状況というのは、人口密集地帯、密集地帯という言葉の定義が難しいんですが、非常に、昔と比べて全く変わった状況になってきております。そういった状況を考えた場合、一日も早い移転というものを可能にするのにどうするかという話で、一応、辺野古の話、名護との話やら何やらがもうずっとなっておりましたが、御存じのように、過去十年間ぐらいそれが全く動かなかったという経緯がありますので、海の方にずらすといった場合に、海でもあっちまで行くとなかなか動かなかったという歴史がありますので、そういった意味では、どの程度の形にどうするかというのはこれから詰めていかねばならぬところだと思います。

 いずれにしても、地元の理解、そこが早く決着をしないと普天間の状況がそのままずっと継続することになりますので、それは普天間の方としても沖縄の方としても望まれるところではない、そのように理解をいたしております。

西銘委員 総理の訪米日程あるいは2プラス2の協議の日程を控えている外務大臣として、この国政の根幹である安全保障政策を実現するために普天間飛行場の移設問題は大きなポイントでありますけれども、担当の防衛大臣と外務大臣はどのような話し合いを行っているのか、また2プラス2の協議がいつごろの開催になるのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 2プラス2の協議につきましては、まだ時間がこの日というふうに設定されたわけではありません。先方も新任の国防長官ですし、こちら側も昨年の九月以来半年ということになっておりますので、従来のラムズフェルドと少し大分状況が違います。双方でいろいろ、向こうの言ってきた日にちとこっちが合わず、こっちが言った日にちが向こうと合わずと、何回か合わずになりました。二人だけ合わせるのも大変なところに四人合わせますものですからさらに話が難しくなっておるというのが現状で、なかなかこれまでうまくいきませんでした。三月に一回と思ったんですけれども、最終的にはだめになりました。いろいろな意味で難しいので、今この時期に決まっているわけではありませんが、早急に合わせたいと思っております。

 ただ、大問題を抱えてどうしてもこの話を詰めなければならぬというせっぱ詰まった状況が今あるわけではありませんので、その意味では、しゃにむに今ということではないというのも確かだと存じます。

 それから、この問題というのは、訪米される安倍総理のところで、これは沖縄の問題に限らず日本の安全保障の問題でいろいろ話題になるということははっきりしていると思います。四月二十何日かに行かれると伺っておりますけれども、その前までに決着しておかねばならぬという、どうしてもというわけでもないとは思っております。

 この問題について、ブッシュ・安倍会談というものの中でいろいろな意見の交換が行われると思いますけれども、いずれにしても、基本的な合意というものは沖縄の2プラス2で昨年合意した分を基本として、あれをきちんとした形で実行に移していかねばならぬという思いをいたしております。

西銘委員 この普天間飛行場の移設について、担当の防衛大臣と麻生大臣の政治決断、あるいは県知事、島袋市長を交えての四者政治決断が大きな役割になろうかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 久間防衛大臣との間に、意見のそごがあるとか意思の疎通ができていないということはないと思っております。島袋市長と仲井眞知事との間にもそんなにないんじゃないかなという感じが、この間のお話やら何やらを伺った感じではそういう感じがしております。四者の間でどのような形でという、最終的には政治決着が図られる必要があろうと思いますので、それを、どこのところが、私は別にその担当じゃないので、四者というのは、私はアメリカということになろうと思いますけれどもアメリカを入れて、防衛省、市長、知事の間で、四者という表現を使われれば、その四者で話をさせていただくという機会がちょっとどこかになきゃいかぬところだとは思います。

 ちょっとその時期がいつなのかは別にいたしましても、どこかの形で、双方を代表してどうするかとか、四者で会うとか、いろいろな形は考えられると思いますけれども、いずれにしても、地元の理解と、防衛施設庁、防衛省を含む、アメリカ、みんなで、そこらのところで、そこそこのところで落ち着くという案を最終的には探らにゃいかぬということに関しましては、西銘先生、私らも同じように思っております。

西銘委員 高市大臣にお伺いいたしますが、普天間飛行場移設協議会の次回の開催はいつごろになりそうですか。

高市国務大臣 沖縄県そして関係市町村と十分に調整をしながらできるだけ早い時期に開催したいと希望いたしておりますけれども、まだ具体的な日時そして議題については決定いたしておりません。

西銘委員 次に、地上デジタル放送についてお伺いしたいと思います。

 先週、沖縄の放送事業者、民放三社の方から、宮古、八重山地域におけるデジタル中継局の建設について陳情、要請を受けました。総務省のICT交付金の枠組みでいたしますと、財政の厳しい離島の市町村にとって、三分の二の負担というのは現実的には大変厳しいと考えますが、高市大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 宮古、八重山地域の地上デジタル放送でございますが、NHKは二〇〇九年までに順次放送を開始する予定となっておりますけれども、民放についてはまだ検討中といったところで、このほか、沖縄の離島以外でも、放送事業者の自助努力ではとても整備が進まないという地域が全国にたくさんあることから、総務省で助成措置を十九年度予算に計上したといったところです。

 この総務省の助成措置でございますが、これは市町村または第三セクターが対象となっていることは承知しているんですが、助成措置の対象として想定されている地域は、そもそも財政的にも非常に厳しい地域でございます。沖縄県だけでなくて、これは全国各地で、地元市町村、放送事業者を含む関係者間で今検討が進められていると聞いております。

 いずれにしましても、今般のデジタル化でございますが、アナログからデジタルへの切りかえというのを目的としているものである以上は、今視聴できているものが視聴できないという事態が生じることは非常に問題があると私は思っております。ですから、内閣府としてできることなんでございますが、放送事業者、沖縄県、地元市町村、それから総務省とも相談しながら、何とか地上デジタル放送への移行が円滑に進むように応援をしてまいりたいと思っております。

西銘委員 離島の市町村で三分の二を負担というのは、現実に大変厳しいと思います。今大臣の答弁の中で、国、県、放送事業者そして離島市町村で話し合いがされているという御答弁でありましたけれども、財政負担のところまで踏み込んだ議論がなされているという理解でよろしいでしょうか。

高市国務大臣 当然、そういった意見も含めて検討はされていくものと考えております。

西銘委員 沖縄本島と宮古島の間に海底光ケーブルを敷設した事例がございます。県が事業主体となって、国の支援を受けて整備をしておりますが、私は、今回もこのスキームがむしろ参考になるのではないかと思っております。宮古、八重山地域で十万の住民がおりますし、平成の四、五年ごろではありますけれども、県が事業主体となって、国の支援を受けて海底光ケーブルを敷設した。こういうスキームで今般の地上デジタル中継局の建設が進められないかどうか、大臣の所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 今般のデジタル化、これに対応するためには、海底光ケーブルの改修工事と、それから中継局の整備というのが必要になります。総務省の助成措置の活用も含めて、現在、沖縄県におきまして、放送事業者を含む関係者間で検討が進められているところでございますので、内閣府としては、その検討状況を見守りながら、円滑な整備が進むように努めてまいりたいと考えております。

西銘委員 NHKは問題ないと思うんですけれども、どうかこの離島十万住民の情報の格差が生じないように、ぜひともお願いをしたいと思います。

 沖縄県の放送事業者、民放三社ありますけれども、このうちの一社が今現在アナログの放送をしていないという現実があります。三社同時期にこの宮古、八重山地域で地上デジタル放送を開始したいという地元での要望でございました。離島十万人の住民の情報格差をなくすためにも実現すべきと私は考えておりますが、総務省のお考えをお聞かせください。

中田政府参考人 御指摘ございますように、現在、地上デジタル放送のデジタル化につきましては、現在実施されてございますアナログ放送をデジタル放送に全面移行するということで進められております。二〇一一年のデジタル化完全移行に向けまして、現在、放送事業者におきまして、中継局の具体的な整備計画を作成し、順次移行を促進しているところでございます。

 沖縄県の民放三社につきましては、そのうち宮古、八重山地域におきましては、現在、琉球放送と沖縄テレビの民放二社がNHKとともにアナログ放送を実施しております。アナログ放送の終了までに、この民放の二社はNHKとともに宮古、八重山地区におきましてデジタル放送を開始していただく必要があるということでございます。

 また、今御指摘ございました、この二社に加えまして、琉球朝日放送が新たにサービスを開始するということは、総務省といたしましても非常に望ましいことであるというふうに考えておりまして、これに向けまして、関係の向きとまた御相談していきたいというふうに考えております。

西銘委員 今現在、宮古、八重山地域でこのQABがアナログの放送を実施していないということによって、この会社は地上デジタル放送を機会にぜひ参加したいという強い要望でございましたので、今現在アナログで放送していないということで実現できないことがないように、総務省にぜひ知恵を出していただきたいと思うんですが、それはどうでしょうか。

中田政府参考人 現在、十九年度予算におきまして、ICT交付金というものを計上させていただいております。これは、デジタル化移行につきましては放送事業者みずから整備をしていくということが大前提であるということでございまして、現在、放送事業者が自力で具体的な中継局の建設計画を持っているものが大体九九%までいってございます。残りの一%につきましては、現在検討中という部分が残っております。その部分を対象に、十九年度におきましてICT交付金の対象とすべく、現在、予算に計上させていただいているという状況にございます。

 この交付金の趣旨でございますけれども、これは、現在のアナログ放送が途切れることなくデジタル放送に移行していく、そのために一部を支援していくという趣旨の予算でございまして、今先生御指摘の、アナログ放送を開始していないエリア、サービスエリア外のところのデジタル化というところは直接の対象にはしておりません。そういう意味では、この交付金の直接の対象になってございませんけれども、それも含めましてどのような方法があり得るのか、地元の放送事業者を含め、関係の向きと御相談してまいりたいというふうに考えております。

西銘委員 十九年度予算が可決をされましたけれども、このICT交付金の枠組みの中では、今アナログ放送をやっていない放送事業者は対象にならないという今のお話でありましたが、非常に強く要望しておりましたので、県や市町村あるいは内閣府等と相談をしながら、できるだけ新たな知恵が出せるように要望をしておきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 次に、地球温暖化、CO2の排出量についてお伺いをしたいと思います。

 京都議定書の二〇一〇年の目標達成計画の中で、沖縄県のCO2の排出量は基準年に比べて最新でどういう状況になっているのか、お伺いをしたいと思います。沖縄県は、我が国全体の中では、復帰後三十年かけて、どちらかといいますと発展途上の地域でありますから、恐らくCO2の排出量は多いのではないかなと心配をしておりますが、最新の状況が基準年と比べてどうなっているのか、御説明をお願いします。

谷津政府参考人 沖縄県のCO2排出量についてのお尋ねでございます。

 沖縄県のCO2排出量につきましては、沖縄県が独自に推計、算定をしているわけでございます。沖縄県に伺いますと、二〇〇二年度の数値が最新ということでございまして、CO2を含めまして温室効果のあるガスの総排出量で見ますと、二〇〇二年度で千三百四十二万三千トンという数字になってございます。

 基準年が一九九〇年でございまして、この年の排出量は九百七十六万八千トンということでございます。これに比較いたしますと、三七・四%の増というふうに承知しております。

西銘委員 我が国全体で減らしていこうという大きな流れの中で、極端に突出をしているなと思います。

 そこで、沖縄県のガソリンの消費量は一年間におおよそ八十万キロリットルというふうに聞いております。今宮古島でエタノールの三%混合ガソリン実証試験、あるいは、宮古島すべてを実現しようという動きにありますけれども、仮に沖縄県全体でエタノール三%直接混合を導入すると仮定して、どの程度のCO2の削減効果が県全体で見込めるのか、お伺いします。

谷津政府参考人 沖縄県全体のガソリンの使用料、年間約八十万キロリットルということでございますが、これにエタノールを三%混合してE3という形で供給する場合に、エタノールの必要量は約二万四千キロリットルとなるわけでございます。これによるCO2の削減効果は約四万トンというふうに試算されております。

西銘委員 四万トン減って、先ほどの三七・四%基準年に比べてプラスになっている。パーセントで、このエタノール混合ガソリンを導入することがCO2削減に大いなる効果があると県民にわかりやすく説明してよろしいんでしょうか。

谷津政府参考人 日本全体の京都議定書の削減目標は六%でございます。これに対して、沖縄県だけで考えまして、先ほどの四万トンというのは沖縄県の現在の排出量の〇・三%という数字でございます。

 私ども、今、京都議定書目達計画の評価、見直しをやっている最中でございますが、〇・数%というレベルの対策を全国的に積み上げまして六%削減を達成しようということでやっております。そういう意味では、コンマ数%でも極めて評価に足る対策ではないか、こういうふうに考えております。

西銘委員 このエタノール三%分をガソリンに直接混合した体制を導入しようとした場合、私は、税制、財政両面から取り組んでいかなければいけないのかなと思っておりますが、仮に、沖縄県全体でエタノール三%、ガソリンで二万四千キロリットル分直接混入でやった場合、このエタノールの部分には税金をかけない、非課税にしたとして、減税効果がどのくらいになるのか、教えてください。

谷津政府参考人 沖縄県では、特例によりまして、ガソリン一リットルに対しまして、揮発油税及び地方道路税が四十六円八十銭課税されているというふうに承知をしております。沖縄県の年間ガソリン使用料八十万キロリットルの三%、先ほどの二万四千キロリットルのエタノール分、これを揮発油税を非課税とした場合の減税額は約十一億二千万円というふうに試算されると思います。

 なお、環境省といたしましては、バイオエタノールをガソリンと競争力のある燃料として普及させていくためには、全国レベルでの税制優遇措置の創設が重要と考えておりまして、十九年度の税制改正に当たりまして、農林水産省と共同で要望を行いまして、引き続き検討課題とされたところでございまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

西銘委員 あらゆる手段を使って二〇一〇年の目標達成計画を実現していくために、沖縄県全体をエタノール特区として、バイオマスエネルギー・アイランドを推進していってはどうかと思いますが、高市大臣の御所見をお伺いします。

高市国務大臣 バイオマスエネルギー・アイランド、とても夢のある、そしてまた元気の出る発想だと思います。今は、宮古島と伊江島におきまして実証事業が実施されております。このバイオエタノールの自動車用燃料としての実用化というのは、地球温暖化対策だけじゃなくて、地域経済の活性化にも資する非常に重要な取り組みでございます。

 ただ一方で、原料の確保ですとか生産コストの削減といった課題も残されておりますので、内閣府としては、まずはこの実証事業が着実に進められてこれらの課題が克服されるように取り組みを進めてまいりたいと思っております。

西銘委員 ありがとうございます。

 沖縄振興計画も後期に入ってまいりました。沖縄振興計画の後期展望についてでありますけれども、沖縄県は、東西に千キロ、南北に四百キロの海域を有しております。私は、この海域を利用して、沖縄の漁業がもっともっと元気いっぱいになるべきじゃないかと考えております。党の水産部会長とも、これだけの海域があるが沖縄の漁業振興をどうすべきかという議論もしておりますが、これだけの海域を有する沖縄の漁業振興を水産庁はどのように考えておりますか。御説明ください。

竹谷政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども水産庁といたしましては、沖縄県の漁業は大変重要だと考えております。

 今先生から御指摘いただきましたように、大変広大な漁場がございますし、また、サンゴ礁に代表されますような亜熱帯性気候に基づきました大変豊かな海があるわけでございます。

 そうした中で、遠洋域あるいは沖合域におきましてはカツオ・マグロ漁業を行っておりますし、また、沿岸域におきましては浮き魚礁を活用いたしました多様な漁業も行われております。さらには、養殖業といたしまして、もう全国的なブランドになっておりますが、モズクでありますとか、あるいはクルマエビといったような漁業も行われておりまして、大変重要な漁業であるというふうに考えております。

 また、今先生御指摘のように、沖縄振興計画がございまして、その中で、沖縄ブランドの確立などによる農林水産業の振興ということも位置づけていただいておりましたし、また、つい先日、沖縄振興計画の後期展望というものを出していただきました。その中におきまして、こうしたモズクあるいはクルマエビといったような、つくり育てる漁業の充実というような方向づけもいただいているところでございます。

 他方、全国の水産業に関しまして、三月二十日でございますけれども、私ども、水産基本計画ということで、今後の政策指針を策定して、閣議決定いただいたところでございます。今後総合的に政策を推進していくわけでございますが、この中で、沖縄県の漁場につきましては、先ほどの沖縄振興計画、また後期展望を踏まえまして、具体的には、例えばマチ類の資源回復計画を着実に推進していくということでございますとか、浮き魚礁の整備を進めていくということでございますとか、また、モズクあるいはクルマエビなどの産地の販売力を強化していくということを総合的に講じて、沖縄県の漁業の振興を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

西銘委員 漁業が百八十億ぐらいでずっと横ばいで推移をしている。農業は九百億から一千億をうかがう、こういう数字で推移しておりますが、これだけの海域を有して、漁業がもう少し活発になってほしいという思いが強くいたします。

 今般の法律の改正で、二百海里内ですか、国が漁場を整備していくという考えが出てきておりますが、これだけの、東西千キロ、南北四百キロの海域、県内のこの海域で、具体的に国で漁場を整備していくという計画がございますか。御説明をしてください。

影山政府参考人 これまで地方公共団体等では対応が困難でありました排他的経済水域におきまして資源の増大等を図るために、資源管理措置とあわせて、国が漁場整備を行うために必要な法律の改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。国が整備を行う具体的な対象につきましては、法律の改正後、対象とする水産動植物、施行されるべき海域等につきまして十分に検討を行った上で決定してまいりたいと考えているところでございます。

 なお、領海の中につきましては、引き続き地方公共団体等が主体となりまして漁場整備を実施することとしておりまして、国としましては、当該整備への支援を適切に行ってまいりたいと考えているところでございます。

西銘委員 これだけの海域ですから、二百海里内でも、例えば大型のパヤオを集中的に設置して、持続的な資源管理型の漁場を整備してほしいという要望もございます。国として積極的に沖縄の漁業振興のための支援をすべきだと思いますが、最後にこのお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

影山政府参考人 沖縄周辺海域におきましては、黒潮が近接しているということから、カツオ、マグロ等の回遊性魚類の好漁場であるということでございます。このため、従来から沖縄県におきましては、浮き魚礁を設置することによりまして、回遊性魚類を効率的に漁獲するための漁場整備というものを推進しているところでございます。また、平成十九年度からは、県が策定します新しい漁場整備計画で、本島周辺水域におきまして浮き魚礁を設置する予定であるというふうに聞いているところでございます。

 水産庁といたしましては、本計画も含めまして、沖縄県における漁場整備につきましては、今後とも、当該地域の漁業の特性を踏まえまして、浮き魚礁等の効果の高いものに対して積極的に御支援していきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

西銘委員 ありがとうございました。

安住委員長 次に、福岡資麿君。

福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。きょうは、貴重な質問の時間を与えていただきましたことを、まず心から感謝申し上げます。

 私自身、沖縄出身でも北海道出身でもございませんが、昨年、沖縄北方の委員会を通じて、本当にこの地域はいろいろな重要な問題を抱えている地域だということを再認識させられまして、そういった観点から、きょうは沖縄問題、北方問題、両方に係りまして全般的な質疑をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 まず、北方問題に関して質問させていただきます。

 まず一つ目が、瑞祥丸の拿捕についての問題でございます。ことしに入りまして、一月の下旬に、第三十八瑞祥丸がロシア国境警備隊に拿捕されるというような事件が起こりました。乗組員は釈放されましたが、現在に至りましても川端船長はまだ戻ってきていないというのが現状でございます。一月下旬でございますから、もう二カ月間ほどの勾留をされているというのが現状でございます。

 そもそも、ここは国境に絡む問題をはらんでいる地域でございまして、ロシア国内の裁判によって裁かれるということ自体が非常におかしいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、少なくとも今二カ月にわたって勾留をされているということは非常にゆゆしき事態だというふうに思っていまして、そういった観点から、船長の釈放も含めて、今、日ロ間でどのような交渉をされているかということについてお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、一月に起きました国後島におけますロシア警備艇によります日本漁船の拿捕というのは、その後のロシア側の手続は日本の領土問題に対するところからとても受け入れられないということで、先方に対しては、従来同様、この点に関しましては申しております。

 事件の発生直後から、ロシア側に対して、日本の立場並びに乗組員及び船体、船自体の解放を申し入れてきております。私からも、先般、フリステンコ産業エネルギー大臣が日本に来ておりましたので、そのときにこの問題についても申し込んでおるところでありまして、引き続き、船長並びに船体のこっちに対する速やかな解放というものに対して、これからも求めていくことになります。

福岡委員 今、力強いお言葉をいただきましたが、引き続き粘り強く交渉をしていただきたいというふうに思います。

 また、この問題に関しましては、昨年、第三十一吉進丸の銃撃そして人が亡くなられるという大変不幸な事件が起こりましたことに比べまして、マスコミの扱いも含めて、国民の関心というのがそれほど上がってきていないということに対しまして、私は、もっと国民は関心を持ってこの問題に対処すべきだというふうなことを思っておりまして、そういった観点からも、政府を挙げて取り組む姿勢をもっと国民に対しても見せていただけるようにお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、今の問題に関連をいたしますけれども、昨年、吉進丸の銃撃そして乗組員が亡くなられるという大変不幸な事件が起こりました。現在、北方四島の周辺の漁業にかかわる問題につきましては、北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定、これは九八年に定められておりますけれども、その協定によって定められた中での漁獲が行われているような状況でございます。

 今回、先ほどの瑞祥丸の問題も、ひょっとすると、その協定の中の、守られていない地域でやっていたかもしれない。今捜査中ですのではっきりしたことはわかりませんが、仮にその協定を遵守していなかったとしても、では、それを守らなかったときに、いきなり拿捕されるとか、いきなり銃撃をされるというのは、その周辺の水域の安定とか安全のためには本当に望ましくないことだというふうに私は思っておりまして、そういった観点からしましても、安全確保であったり再発防止に対しまして、国としてどういった交渉をされているのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

片上政府参考人 お答えさせていただきます。

 第三十一吉進丸の銃撃・拿捕事件のような事件が二度と起こらないように、政府として万全の対応を尽くす必要があると認識しております。

 政府としては、ロシア側に対して、このような日本漁船に対する銃撃、拿捕が二度と繰り返されないよう求めてきております。その際、特に、現場において十分な指示が行われるべき旨、説明しているところでございます。

 また、御指摘のとおり、領土問題が未解決である現状においては、北方四島周辺水域操業枠組み協定を初めとする北方四島周辺水域における漁業協力の既存の枠組みが、我が国漁船の安全かつ安定的な操業を確保していく上で重要な役割を果たしています。政府としては、これらの枠組みを引き続き堅持するとともに、我が国漁船の円滑な操業、水産資源の適切な利用及び操業秩序の維持発展に向けて、日ロ両国の関係当局間の協議を積極的に進めていく考えです。

 こうした再発防止策に向けた取り組みについては、昨年十一月のAPEC日ロ首脳会談、本年二月のフラトコフ首相訪日の際の安倍総理との会談等、ハイレベルを含むロシア側との一連の協議、会談で取り上げてきており、その重要性については日ロ間で一致を見ています。

 具体的には、我が方在外公館とロシア国境警備局との間で定期的な協議が開始されたほか、我が国の海上保安庁とロシア国境警備局との間でも連携協力を一層強化していくこととしていると承知しています。

 政府としては、このような取り組みを通じて、引き続き事件の再発防止に努めていく考えでございます。

福岡委員 力強い交渉をお願いしますし、これは、ひいては管轄権の問題にも発展いたしまして、領土問題が解決していない中でロシア側が管轄権を主張するということは非常におかしい話だと思いますので、そういったところは毅然とした対応をお願いさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、これまでこの委員会でも何度も取り上げられてきた問題でございますが、ビザなし交流にかかわる船舶についての質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 十七年度、十八年度に構想検討経費として四千八百万円が計上されているということは御承知のとおりでございまして、その検討結果を受けて、今どういう状況にあるのかということにつきまして、最新の状況を教えていただければと思っております。

高市国務大臣 十七年度、十八年度の調査を実施してきたわけですが、調査結果を踏まえまして、船舶を新たに建造するか、中古船を改造するか、来年度には、政府としての方針決定、それから、船舶の基本仕様書を作成する予定といたしております。

 いずれにしましても、四島周辺の海域ですとか港湾の状況、それが特殊なものであることと、参加者に御高齢の方が多いといったことから、それらの事情に配慮した、四島交流事業にふさわしい船舶を調達するということが重要だと考えております。

福岡委員 御承知のとおり、交流で行かれた方は船舶に寝泊まりをされたりしているわけでして、そういった意味では、この船舶の環境の改良というのは一刻も早くやるべき問題だというふうに思っておりますので、ぜひとも積極的な対応をお願いさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、沖縄の問題に移らせていただきます。

 これはもういろいろなところでたくさん議論をされていることでございますが、普天間飛行場の代替施設の建設問題に絡んで一点質問をさせていただきたいと思います。

 これはどなたの間でも共通認識だと思いますが、この普天間基地を早期に移転させなければいけないということについては異論はないところだというふうに思っています。昨年五月の2プラス2ではV字滑走路案で合意をされておりますけれども、その後のいろいろな交渉の中でも、地元からは原案に対して反対の声というのも上がってきているのもこれまた事実でございます。

 政府、地元、アメリカ政府の三者の早期合意というのが必要だというふうに考えておりまして、そういった観点からしまして、現状の交渉状況がどうなっているかということについてお教えをいただきたいと思います。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 若干経緯も含めて答弁させていただきたいと思います。

 昨年五月一日の2プラス2のロードマップに至るまでの経緯でございますが、その背景といたしまして、平成八年のSACO最終合意というものがございますけれども、そこで普天間飛行場の返還が合意されて以降、代替施設の建設が約十年間進捗しなかったという状況があったわけでございまして、これを踏まえて、日米両政府は一昨年、平成十七年十月のいわゆる2プラス2におきまして共同文書を発表いたしまして、そこで代替施設としていわゆるL字案というものを示したわけでございます。

 この共同文書の発表直後から、当時の防衛庁長官を先頭にいたしまして、関係地方公共団体に対し、その内容あるいは方向性といったことにつきまして御説明し、また地元の方からいろいろな質問なり御意見をいただきましたので、それに対するお答えをするといったようなこと、また、日米協議の状況に応じまして、その時々の結果につきまして地元に対して説明してきたということでございます。

 そうした地元とのいろいろな話し合いの結果といたしまして、地元の上空の飛行を回避してほしいという強い要望がございました。上空の飛行を回避するという観点から、昨年の四月、いわゆるV字案で対応するということで、地元の名護市それから宜野座村との間で基本合意書を交わしました。その基本合意書を踏まえて昨年五月のロードマップに至ったわけでございまして、ロードマップにおきましては、このV字案が日米双方の案ということで合意されたわけでございます。

 また、沖縄県との間におきましても、この五月一日以降、基本確認書というものを交わしておりまして、ここにおきましても政府案を基本として対応するということで合意したわけでございます。

 今申し上げましたように、地元の名護市、宜野座村との基本合意書、そして日米間のロードマップ、それから沖縄県との基本確認書といった順序を経て、五月三十日に「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」ということで閣議決定をしているわけでございます。

 現在、我々は、この閣議決定の実行を行うということで努力しているわけでございますけれども、その後の関係地方公共団体との協議状況につきましては、先ほど申し上げました県や地元市村との確認あるいは合意を踏まえまして、かつ、ただいま申し上げました閣議決定に基づきまして、昨年の八月、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会というものを立ち上げました。この協議会の場でいろいろな議論をさせていただいているわけでございますけれども、これまで三回開催しております。去年の八月、十二月、それからことしの一月ということでありますが、総体的なことで申し上げさせていただきますと、メンバーの間では、お互いの信頼関係をしっかりと築きながら、協議を継続し、普天間飛行場の移設が早期に、かつ円滑に進められるよう取り計らうということで意見が一致しているわけでございます。

 他方、日米間におきましては、先ほど申し上げましたロードマップ以降、さまざまなレベルで随時協議を行っておりますが、具体的には、この代替施設の建設計画をどうするかといったような議論を行っているわけでございます。

 では、その後の具体的な動きとしてどんなものがあるかという点でございますけれども、昨年の九月以降、移設先でございますキャンプ・シュワブにおきましては、埋蔵文化財調査でありますとか、あるいは測量調査といったものを地元の協力を得ながら実施している状況でございます。

 また、現在、この移設に関しましては、現況調査の契約手続あるいは環境影響評価方法書の作成といったことを沖縄県と相談しながら進めていきたいと考えておりまして、ちょうど昨日でございますけれども、防衛省が自主的に現況調査を実施する上で必要な公共用財産使用協議書といったものを沖縄県の方に提出したところでございます。

 この問題につきましては、今申し上げましたように、非常に長い経緯がございまして、この間、日米間の協議が一方にございます。それから、地元とのさまざまな話し合い、議論がありまして今日に至っているわけでございますけれども、私どもとしましては、今後とも、ロードマップに示されました日米間の合意した案を基本として、地元の意見を聞きつつ、よく説明して御理解をいただきながら、一日も早い移設返還を実現してまいりたいと考えております。

福岡委員 いろいろ難しい問題があるのは承知しておりますけれども、まず知事は普天間飛行場の三年以内の閉鎖を目指すということを明言されているわけですし、ロードマップにおいては二〇一四年までに代替施設を完成させるということを考えますと、そこから逆算する中ではなかなか進捗がはかばかしくないというのも事実だというふうに思いますので、引き続き御努力をお願いしたいと思います。

 続きまして、在沖米軍のグアム移転問題について質問をさせていただきます。

 私が昨年この委員会で沖縄を訪問させていただいた際にも、基地負担軽減への沖縄の住民の熱い思いというのを切実に感じました。米軍のグアム移転で沖縄の基地負担が少しでも軽減できるのであれば、その費用の一部を日本側が負担するのは私はやぶさかではないというふうに思っております。しかし、お金を拠出するのであれば、しっかりとした原則を持って出さなければいけないというふうに思っております。

 日本国内での米軍の展開におきましては地位協定等がございますけれども、今回は米軍がグアムというところで新たにいろいろな展開をすることにおける日本の資金の拠出ということでございまして、それが今後、アメリカのいろいろな展開に対して日本に資金要求をされたりということのあしき前例にならないためにも、しっかりと協定なりなんなり原則をつくった上でお金を拠出すべきだというふうに私は思っておりますが、その点に関しましての御見解をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、福岡先生、その国に駐在していた軍隊を他国もしくは自国へ戻すというのに対して金を払ったというのは、東ドイツ駐留のソ連軍が撤退していくに当たって、そのときの金を一兆何千億払ったというのが私の知っているところで、その他はちょっと余り事例を知りませんので、おっしゃるように、あしき前例とならないようにするという点に関しましては、これは最初に枠組みをつくるときに私ども一番腐心をしたところでもありますので、このスキーム、枠組みにつきましてはきちんと詰めにゃいかぬということに関しましては、私どもも、当時外務省で額賀防衛大臣ともども最も腐心したところでもあります。

 いずれにいたしましても、今回、一応形は、基本設計みたいなものができ上がっておりますので、中の詳細を今から詰めていくに当たっては詳細設計をすることになるんですが、このことに対しては、どのような形で実際問題として、資金に限らず、いろいろ詰めますともっと安くなるかもしれませんし、いろいろなことが、予測していたものとは、もっとかかったりかからなかったりするところが幾つか出てくるんだと思います。

 いずれにしても、上限を決めて、真水の点については上限を設定しておりますので、それが少しでも安くなるように等々いろいろなことに関しましては、まだ詰めの段階でやらねばならぬことが幾つもあろうと思っております。少なくとも、関係する省庁、いろいろあろうと思いますので、防衛施設庁に限らずいろいろな関係省庁、きちっと詰めて、いわゆる税金を使う以上はきちんとしたものをつくり上げねばならぬと思っております。

福岡委員 最後の質問になると思いますが、訓練移転に伴う負担軽減について質問をさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、三月五日から三月の八日まで、嘉手納基地所属の米空軍F15戦闘機の一部が築城の基地で訓練移転を行ったというような報道がございました。嘉手納基地の訓練を分散移転することで基地負担の軽減を目指すということでございますが、実際に、築城に訓練移転した場合にどれだけ嘉手納基地の負担が軽減されたかというのが十分に見えてこないといった声というのもあるわけでございます。

 従来より政府は、目に見える形での負担軽減というのを再三主張されてきておったわけでございまして、今回のこの訓練移転というのが、その訓練を移転した分だけまた、地元の訓練もそれだけ従前と同様にされるというのでは意味がございませんので、そういった移転をした分がどれだけ軽減に結びつくかということを明らかに明示していく必要があるというふうに思っています。その点は、訓練の実施主体は米軍でございますでしょうけれども、アメリカと実際どのような交渉を行っているのか、この点についてお聞きをしたいと思います。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 訓練移転につきましても、先ほどもお答え申し上げましたけれども、十七年十月の2プラス2共同文書発表以降、日米協議の進捗を踏まえまして、訓練移転の意義あるいは地元に対する影響といったような点について地元に御説明してまいりました。具体的には、移転先になっております六つの航空自衛隊基地の関係市町村というところでございます。

 また、昨年五月のロードマップ発表以降、訓練移転を実施するために具体的にどのようなことが必要かといったことにつきまして日米間で協議を行ってまいったわけでございますが、本年一月、共同訓練計画等につきまして合意いたしました。それで、先ほど先生御指摘のとおり、三月五日から八日までの間、初めての移転訓練ということで、嘉手納から築城へ移転訓練を実施したということでございます。

 このことにつきましては、ロードマップの実現と申しますか、ロードマップに基づきまして日米間の相互運用性の向上を図るとともに、沖縄県を初めとする地元の負担の軽減を図るという意味で、非常に意味のあることでございます。そういう意味で、日米安保体制を一層強化していくという点でも重要な一歩であるというふうに考えております。

 他方、今先生御指摘のように、今回の移転訓練の実施に伴いましてどれほど効果があったのかといったようなことで、移転訓練の規模が小さかったということ等もございまして、騒音減の実感がないといったような声があることにつきましては私どもも承知いたしております。反面、地元の市長さんからは、たとえ一部であっても負担が軽減されることは評価されるといったようなコメントもいただいております。ただ、そういう評価に甘んじることなく、むしろ地元の期待というふうにとらえて、引き続き一層の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、今後さらに負担の軽減を図るためには、この移転訓練を着実に増加させていくということが重要でございまして、具体的には、平成十九年度に予定しております訓練移転、これは先般やりました訓練に比べますと相当量的に多くなるように計画しておりますけれども、この平成十九年度の具体的な訓練移転を積み重ねていくということが重要であると認識しておりまして、現在米側とは、具体的に、いつ、どこでやるかというようなことにつきまして協議を進めているところでございます。

福岡委員 最後になりますが、まだ若干の時間があるようでございますので、今の点に絡みまして、米軍の訓練移転に伴って沖縄における負担軽減というのをどういった形で担保していくのかというのは難しい問題だと思いますが、それにかける決意につきまして御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 三月の四日間の訓練移転でございますが、事故もなく円滑に実施されました。これは閣議決定の着実な実施に向けての第一歩でございますので、地元の皆様の御理解と御協力にまずは敬意を表したいと思います。

 これは、こういった訓練移転がしっかり負担軽減につながっていく形というのが何よりも大切なことだと考えておりますし、また、騒音軽減の効果など、これは防衛省の方でございますけれども、しっかりと判断して、お地元の人たちの声にこたえるように取り組んでいただきたいと思っております。

福岡委員 以上で終わります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、東順治君。

東委員 公明党の東順治でございます。

 両大臣並びに皆様、よろしくお願い申し上げます。

 私も、ただいま質問されました福岡さん同様、北海道あるいは沖縄を出身とする者ではございません。福岡さんは佐賀、私は福岡でございます。ということで、なお、この委員会に所属することも平成二年初当選以来初めてでございまして、したがいまして、質問が極めて初歩的なイロハ、基本的なことに多分なろうかと思いますけれども、その辺、御容赦をお願いしたいと思います。

 私ども、沖縄という地を長い間眺めていまして、確かに国は、沖縄振興開発計画あるいは振興特別措置法等々で、ずっと沖縄に対して力を入れてきた。しかし、現実は、例えば県民所得、失業率、有効求人倍率あるいは最低賃金等々、なかなかやはり厳しいものがあり続けている。

 県民所得というのが、一人当たり百九十九万円ですか、これは全国最下位である。あるいは、失業率が七・七%で、大体いつも全国平均の二倍近くに上っている。あるいは、有効求人倍率は〇・四六倍というようなことで、これは最下位青森から次いで二番目である。最低賃金も、六百十円ということで、最下位である。相当あえぎながら、国も一生懸命に力を入れながら、地元沖縄も何とか本土並みを目指してということで努力をされ続けてきてのこういう状況。本土復帰以来、基本的にはこの傾向は変わらずというのが厳しい現状なんだろうというふうに思います。

 他方、平均寿命、これはまた全国第一位。あるいは成長力ですか、沖縄県豊見城、ここが全国一位に輝いた。平成十八年、全国の七百八十都市の小売業の年間販売額で伸び率調査をしたところ、全国一位。大変長寿で、また、沖縄の人たちも勢いを持って、何とか沖縄をすばらしいふるさとにしていきたいという意気込みを感じます。

 そういう中で、先般、沖縄の県知事選挙というのが行われました。争点はさまざまございました。基地ということも大きな争点だったんですけれども、やはり沖縄の県民の皆様は、沖縄の経済振興、もっと豊かに、こちらの方をとられたということで、仲井眞さんが当選されたんだろうと思います。来月は参議院選挙の補欠選挙。この辺、争点はどうなっているんですかと地元に聞いてみると、格差あるいは暮らし、こういうところがやはり一番メーンですよというふうなことも伺いました。

 そこで、沖縄に対する産業政策あるいは雇用対策、雇用政策というようなところを、改めて、どういう力の入れ方をされておられるのか、認識をされておられるのか、まず伺いたい、こう思います。

高市国務大臣 失業率でございますとか、それから給与所得でございます。これは、委員が御指摘になったとおり、非常に厳しい状況にございます。しかし、仲井眞知事が選挙のときも非常に高い目標を掲げられ、とにかく経済を活性化するんだ、産業を生み出して雇用をふやしていくんだ、こういった強い思いで私どものところにも足を運ばれ、いろいろと相談を申し上げているところでございます。

 今、政府の方は、沖縄振興特別措置法に基づいて沖縄振興計画がございます、これに沿って自立型経済の構築を進めています。具体的には、やはり沖縄の優位性を生かせる、そういった産業、例えば観光それから情報通信産業、この振興を一生懸命やる、そして雇用を生み出していくというのが基本でございます。例えば、情報通信関連産業では、既に百十社の企業が新規に立地しておりまして、一万人以上の雇用の創出につながっております。

 雇用対策は、沖縄県の職業安定計画に基づいて、厚生労働省や沖縄県を中心に、雇用機会を創出したり、若年労働者の雇用促進、それから職業能力の開発、こういった施策が講じられているところなんですが、内閣府におきましても、観光や情報通信産業の分野における高度で専門的な人材の育成支援を行っております。

 雇用数そのものはふえてきているんですが、就業者数はふえてきているんですが、労働人口も一緒にふえていて、失業率の改善、まだまだこれからという点もございますが、産業振興を一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。

東委員 平成十六年ですか、国立高専が開校しましたね。それは、何とか現地での地域産業の拠点に、またその人材づくりに、こういうことで、願いを込めて開校されたんだと思いますが、そのときの学生の一言、非常に印象に残る言葉があったようでございます。雇用の場が少ない、だから高度な技術は学んでも夢を実現する場がない、これは僕は非常に重たい一人の学生の声だなというふうに思いました。

 したがって、なおなお本当に雇用あるいは産業政策に力を入れ続けていただきたいと思うんですが、私は、具体的に戦略として、さまざまあるけれども、沖縄はやはり観光だろうと思います。沖縄の総収入の一割ぐらいが観光収入だというふうに聞きまして、また、仲井眞知事も、十年後は、今五百万人台の観光客を何とか一千万人台にぜひ乗せたいと強い決意を持って取り組んでおられる。また、県の方も、ビジットおきなわというような資料をつくって、何とか観光戦略を成功させて豊かな沖縄にしたいと切願しているという感じがいたします。

 そこで、観光ということで、きょうはちょっと、高市大臣中心にいろいろ意見交換をしてみたいなというふうに思うんですが、まず、空から入ってくることを考えますと、那覇空港の整備というのは今、現状はどうなっているんですか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 那覇空港につきましては、平成十四年の十二月に、交通政策審議会の航空分科会の答申に基づきまして、国と地域が連携して、住民参加型の手法を導入した総合的な調査を実施しておりまして、今年度までに、既存ストックの有効活用方策、あるいは今後の航空需要予測の見通しなどについて御意見をいただき、それに対する考え方を取りまとめてきているところでございます。

 平成十九年度におきましては、既存施設を最大限に活用した有効活用方策、あるいは滑走路増設を含む抜本的な空港能力向上方策についての情報提供、意見募集などを予定してございまして、引き続き、国土交通省、沖縄県と連携して検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

東委員 これは非常に大事なことで、観光のピーク時には、行きたいけれどもなかなか便がとれないとかいうような苦情が起こったりするわけで、空の玄関というものをしっかり整備し、拡張し、やはり行きたい人たちが随時飛んでこられるという状況をつくるということは非常に肝要だろうと思いますね。

 また、調べてみたら、外国客というのは少ないんですね、沖縄の観光客。九五、六%が日本人なんですって。したがって、これはやはり空港ということも相当影響しているんだろうというふうに思いますよ、台湾あるいはアジアから来たいというときに。だから、まず第一に空の玄関の整備ということはすごく大事だろうなというふうに私は思います。

 それから、一過性の観光客というのがやはりどうしてもまだ多い。しかし、本当に観光振興ということを考えたときに、単に観光客がふえればいいという話ではない。つまり、量もさることながら、質の転換をしっかり図っていくということが、私は観光産業としては大事だろうというふうに思います。したがって、たくさん来てくれて長くいる、量と質、両面で、沖縄をどういうふうな観光の島にしていくかということの一つの問題意識、視点ということが大事なんだろうというふうに思います。

 例えば、沖縄観光をリゾート型にしていくために、もうその柱は出ているんですね。例えばリゾートウエディング観光、沖縄で式を挙げてリゾート的に滞在する、これが六年間で二十倍、最近の調べで約四千カップルまでなっている、こういうことなんというのは、やはりこういうものを望んでいるんだなと。

 あるいは、沖縄タイムス社という新聞社が社説で書いておりましたけれども、これは二〇〇三年八月二十三日付ですが、インターネットを利用して全国アンケートをとった。回答数が七百三十二件だった。このうち八割が長期滞在をやってみたいと希望しているというんですね。つまり、リゾートという視点で沖縄を見ている、八割。滞在先として、リゾート先として要望するのは、まあこれは沖北ですから北海道ですけれども、ハワイや北海道を抜いて沖縄が一位だと。だから、非常に、こちらの努力次第でリゾート型の観光というものを盛り上げていける要素がどんどん出てきているという気がするんですよ。

 このリゾート型にすべきであるということに対して、高市大臣、御意見いかがですか。

高市国務大臣 大いに賛成でございます。長期滞在型、それからまたリピーターが多い観光地として発展していくことが望ましいと思っております。

 今沖縄を訪れていただいている観光客は九八%が国内客ですので、やはり、我が国全体の休暇取得の状況、これには大きく影響を受けると思うんですけれども、ただ、今委員が御指摘くださいましたように、ウエディング観光、これもすばらしいですね。新婚旅行と一体になって、できるだけ長くいていただくということ。このほかにも、現在、エステ、健康、こういったものをテーマに、高齢者でも、また美しくなりたい女性でも、最近は男性の間でもエステははやっております、健康と美、両方で長期滞在をしていただく、こういった取り組みもお地元でも議論され、これから進んでいくものだと思っております。

 このほかに、私どもも今、できるだけコンベンションを、国際会議などを沖縄に引っ張ってきて、できるだけ外国人の方にも沖縄を経験していただき、リピーターになっていただく、その応援を行っていきたいと思っております。

東委員 だんだん明るい話になってきました。こういう雰囲気をどんどん盛り上げていくというのは、私は物すごく大事だと思います。

 そのほかに、最近、花粉症に苦しんでおられる方がたくさん出てきている。花粉症の季節は沖縄に行こうとか、あるいは寒い季節は寒さを避けて暖かい沖縄に行こうとか、やはり沖縄県としてもPRを兼ねていろいろな迫り方をすべきだと思うし、国もしっかりバックアップをしていくべきだというふうに思うんですね。

 高市大臣に。こういう具体策について、県知事を初め沖縄県当局と、どうするかというような、そういういわば協議の場というか、検討の場というか、意見交換の場、こういうものというのは頻繁に持っているんですか。

高市国務大臣 おとといも知事に私のところに来ていただいたんですけれども、また、そのほか市町村長さんなどとも電話で連絡をとり合ったり、割と頻繁に政治家同士の意見交換は行っております。

 そしてまた、沖縄県からも、特にこの観光政策について、また情報通信振興につきましても要望を取りまとめていただいて、こちらの方でも支援策を検討させていただいております。

東委員 非常に大事ですね。だから、形式的な、公式的なそういう場というよりも、もうざっくばらん、具体的に、具体論として、国と沖縄が一体になって、やはり沖縄を日本の宝にしていこうと。ハワイとかバリとか、そういうところに負けないだけの観光地を日本が持っちゃう。これはもう沖縄の問題じゃなくて日本の問題であるという意識、そういうぐらいの意識で、一体感を持って沖縄県と国が推し進めていくということは、私はすごく大事だろうと思いますよ。

 沖縄は今必死ですよ、私もいろいろ聞いてみると。例えば、団塊の世代がこれから第一線を引いて、いわばOB生活というか、そういうところに入りますね。そうすると、やはり当然、旅行だとかそういったことを願う人たちがどっと大量に出てくるわけですから、シニアのツアー対策だとか。ある沖縄の地元の人が言っていましたけれども、これは県会議員さんでしたけれども、自分らは提案しているんだ、還暦ツアーとかそういうふうに銘打って、還暦の人のみ沖縄に呼んで、その人たちについては沖縄のゴルフ場を二割引にしてどんどん来てもらおうだとか、そういったことが実際に話題に上って、どんどん提案をしている、こういうふうに言っていました。ビジットおきなわ、今必死になってやはりやっているんだなという気がいたします。

 あるとき、台湾からの観光客がどんと減った時期があるんですってね。そのとき沖縄県は、台湾にバス五十台を走らせて、広告を片側か両側か何かにかけて、沖縄に来てくださいという広告を出して五十台走らせたといって、何か物の本で僕は読みましたけれども、やはり必死なんだなというふうに思います。

 そこで、やはり、民間部門としてやれることと、公的部門としてしっかりプッシュして行っていくものと、二通りあるんだろうと思います。例えば、民間の場合は宿泊施設の整備とか観光施設の整備。あるいは、何か沖縄の伝統舞踊を行っていて、琉球舞踊館うどい、これは県内唯一の民間の常設舞踊館。これは何をモデルにしたのかというと、いわゆるバリ島の民族舞踊を参考にして、その地にしかない伝統というものを観光客に見せよう、そこから発想したところのこのうどいというものをやって、これが大変人気を博しているというようなことで、いろいろな知恵を使って頑張っておられるようでございます。

 それから、公的部門としては、先ほど話の出ました那覇空港あるいは新石垣空港等の整備、インフラですね。それから、例えば大胆に、沖縄―上海間をビザなし渡航、何とかできないのか。中国、上海から沖縄に入ってくる、その沖縄―上海に限ってビザなしというところを何とかやってみられないかというようなこと。

 あるいは、例えばハワイなんかを見たら、観光客に宿泊税とかレンタカー税という目的税をつくっている。そこから上がってくる税収を何に使うかといったら、世界に向かってPRに使うというんですね。あるいは日本でも、東京宿泊の場合は東京宿泊税というのが取られているんですか、僕は初めて知りましたけれども、これを目的、用途を決めて使っていく。

 こういうようなことで、例えば沖縄でも、沖縄に観光客で外から入ってこられる方に目的税というものをきちっとセットして、そこで上がってくる税収でもって世界に対してPRをしていく。世界へのPRが足らないんですよ。日本人が全体の九五%か六%で、あとわずかしか外国人は来ていないということですから、それはやはり世界の沖縄ということになりませんので、例えばそういうふうにやっていくとか、いろいろな努力をすべきだと思います。

 麻生大臣、よろしゅうございますか。この間、衆議院の本会議場で永年勤続表彰の謝辞を演説されましたね。場内は大沸きに沸きましたけれども、あのときに、御地元の筑豊を、自動車産業が出てきて活性化をした、雇用がふえた、そういう意味のことを言っておられましたね。僕は、あれは非常に感銘を受けました。

 やはり、戦後長い間、国も一生懸命に、産業だ、雇用だ、開発だといってずっとやってきて、さっき私が冒頭に述べたように、失業率をとっても何にしても本当に、全国最下位というのがずっと続く、ここはやはり県と国が一致協力して、結構ドラスチックに手を打っていかないとこれから先もずっと同じような状況が続きかねない、そういうふうに思うんですよ。だから、例えば観光なら観光というところにぐっと焦点を当てて、結構ドラスチックにどんと手を打つというヒントをこの間の麻生大臣の演説で僕は受けたんです、確かにそうだなと。

 筑豊なんというのは、旧産炭地で、もう石炭産業が斜陽化して、終わっちゃって、そしてみんな、貧しい人がたくさんふえて、そういう中で、自動車会社が出てくるということで雇用がぐんと伸び、もう地域そのものが麻生大臣のように明るくなっちゃって、そういう明るい人がいっぱい今ふえているということで、やはりこうやってドラマチックにどんと地域というのは変わるんだなということを、私も福岡ですからこの目で見聞きしているんですよ。

 したがって、沖縄対策、産業振興、雇用も、やはりそのぐらいの意識を持って私はやるべきだと思いますが、麻生大臣、御感想がございましたら。

麻生国務大臣 やはり、今までと同じ手口じゃだめだと思いますね。大体、新しい発想が出てこなくなっちゃいますよね、難しいもんね、やはり。だから、もう本当に、皆そうですよ。九州の場合、今の夕張炭鉱なんていうのは、かつて筑豊はあれでしたから、夕張の人たちの話を聞いていて、昔を思い出しますけれども。

 東先生、つい先日の石川県の地震の話が出ていますけれども、あそこに輪島というところがあるんですが、この輪島も今回被害を受けたところですが、ここに旅館があるんですよ、加賀屋という旅館があるんです。多分、今でも入室率日本一じゃないですかね。場所は和倉温泉ですよ。だから、片山津やらああいったいいところとは違うんですよ。条件は、多分石川県の中で一番悪いよ。

 しかし、ここがお客の入室率日本一というようなことに関して、沖縄の人なんか絶対に勉強したことないと思うね。もう二回ぐらいこの話をしたことがあるんですけれども、それに興味を示されてそこに行きたいと言った人は、いまだかつて一人もいらっしゃらぬから。

 ここは、簡単に言えば、東京の客を捨てるんですよ、片山津に勝てないから、条件が絶対に悪いから。小松空港からも一時間ぐらいあるところなものですから。それで、彼らは何をしたかといったら、しかし飛行場があるからといって、お客はすべて台湾、香港、上海だけにするんです。女中さんはすべて中国語と英語ができるようにします。間違いなく全部できる。条件は、白砂の海岸。これは中国にはありませんから、台湾にも。白砂の海岸というのは中国大陸にないでしょう。沖縄にはもう売るほどあるんですね。

 あそこは東京からお客を呼ぼうとしておられるけれども、お隣の台湾から琉球に向かってお客を呼ぼうとしておられますか。石垣に飛行場がつくられるというから、石垣に行きましたよ。東京の人たちよりお隣の方が金持ちですよ、東京は今貧しい人しかいませんから、豊かな人は地方にいるんです、余裕のある人は東京にいないんですよ、何でそっちから呼ばないんですかと聞いたけれども、全然考えたことがないですなと。僕はそれを聞いてがっかりして、ああ、ここは幾ら言ってもだめなところだなと思って、僕は総務大臣だったので、面と向かってそのときに、そんなことやったって地方振興なんかできませんよ、だから発想の転換を根本的にされたらどうですかといって、僕はそのとき加賀屋という旅館の話をしたんです。その後全然連絡もありません。加賀屋に聞きましたよ、沖縄から来たらおれに教えてくれって。全然連絡がないというんです。

 だから、根本的に発想が違うんですよ。この人たちは、丸々お客をここだけに絞るわけです。それで、キャンペーンは全部台北、香港そして上海というところにしかパンフレットを配らない。もう東京なんか一切やらないんだから。それで、少なくともここは満杯ですから。

 だから、そこらのところで、温泉、白砂の海岸、ゴルフ、このワンセットで台湾、香港に売っているんですよ。僕は三回ぐらい行ったことがあると思いますけれども、それはお客は圧倒的に中国語、いわゆる広東語ももちろん聞かれますけれども、北京語と広東語、もちろん英語はできますけれども、女中さんはそこそこ、いわゆる女中さんとして必要なのは、台湾語というか、台湾は福建語です、大体北京語ができる。入室している人でいっぱい。

 こういう発想というようなものが要るんだと思いますけれどもね、観光で飯を食うというのだったら。東京の人を呼ぶという発想がそもそも間違っている、私はそう思います。

東委員 ありがとうございました。では、これで終わります。

安住委員長 市村浩一郎君。

市村委員 民主党の市村でございます。四十分いただきまして、質問させていただきたい、また議論させていただきたいと存じます。

 先ほどから議論をお聞きしていますと、新しいものを沖縄においてつくっていこう、また新しい発想が必要だということであったと思います。もちろん、それは大賛成でございますが、きょう私が議論してみたいのは、むしろ今沖縄にあるものをもっと大切に守っていこう、そしてまた、それをより高めていこうという発想から、沖縄の生活そして文化というものを守る、それがやはり持続可能な社会の基盤となるのじゃないかという観点から、きょうは少し議論をさせていただきたいと存じます。

 そして、沖縄北方委員会は、特に沖縄の問題におきましては、沖縄の基地の問題とか北部振興とか、そうしたことがかなり語られるわけでありますけれども、そういう沖縄本島のことではなくて、きょうはむしろ沖縄に五十五あると言われています離島に焦点を当てて、少し議論をさせていただきたいというふうに思っているわけであります。

 御存じのように、離島における主要産業の一つに、サトウキビ栽培と製糖業というものがあるわけでございます。まず、きょうは農林水産省からも来ていただいていると思いますが、サトウキビ栽培、製糖業に対しまして、今政府としてはどういう取り組みを進めておられるのか、ちょっとかいつまんで教えていただきたいと存じます。

佐久間政府参考人 お答えいたします。

 農水省としての取り組みでございますけれども、今般、甘味資源作物の価格対策及び経営安定対策の改正によりまして、サトウキビ等の甘味資源作物については、最低生産者価格を廃止いたしまして、平成十九年度から、市場の需給事情を反映した取引価格が形成される制度に移行する、こういうこととしたところでございます。

 一方、サトウキビにつきましては、その多くが零細な経営によりまして生産されているという実態等を踏まえまして、個別品目としての経営安定対策を実施することといたしておりまして、生産コストのうち販売額では賄えない部分に着目しまして、農家への直接支払いによる支援を行うということといたしております。

 このような新たな対策への移行によりまして、サトウキビにつきましては、市場の動向を反映した取引価格の形成を通じまして、砂糖の需給事情が生産者に対して的確に伝えられるということ、また個人で一ヘクタールあるいは組織で四・五ヘクタールの作業規模を有する等、経営安定対策に係ります要件設定等を通じまして、作業受託等の拡大、これによります担い手でありますとか生産組織の育成等が促進されるということによりまして、サトウキビの需要に見合いました安定的な生産が図られる、このように考えているところでございます。

市村委員 今のお話は、今年度から、最近になって取り組んでいらっしゃることということでありますけれども、政府としては、農林水産省が特にこの産業においてはリーダーシップをとってこられたわけですけれども、これからの長い長い、中長期的な視点においては、沖縄におけるこうしたサトウキビ栽培、製糖業というのは、これは振興すべきものと考えているのか。

 それとも、今おっしゃった、需給事情に見合ったということであると、結局、市場にある種左右される、もちろん直接支払いとかするんでしょうけれども、基本的には需要と供給に見合った形でやっていくなど、市場にゆだねる部分が出てくるわけですね。そうすると、需要が減ればその分沖縄もその辺の生産量が減ってもいいということであって、そういうものはもう市場にゆだねて、沖縄の方も、それに対して影響を受けながら、だんだん縮小するなら縮小していってもいい、こういうお考えでいるのか。

 それとも、いやいや、これはやはり、沖縄、特に離島におけるサトウキビ栽培及び製糖業というのは非常に重要な産業であるし、これは一産業ということよりも、沖縄の離島のある種生活を支え、かつ文化を支えているという観点から、これはやはりきちっと、保護というとまた昨今いろいろ語弊があるかもしれませんが、きちっと守っていくものというふうな考え方でやっていくのか、どっちでしょうか。

佐久間政府参考人 沖縄のサトウキビについてでございますけれども、サトウキビは、沖縄県農業におきます基幹作物でありますとともに、収穫後は砂糖の原料としまして地元の工場で加工されておりますなど、地域経済の維持発展にとりまして大きな役割を果たしてきておりまして、沖縄県にとりまして重要な農産物であると認識しております。

 このため、農林水産省におきまして、平成十七年の十月でございますが、さとうきび増産プロジェクト会議を立ち上げております。同会議におきましての議論あるいは産地でのいろいろな御意見を踏まえまして、十七年十二月に、さとうきび増産プロジェクト基本方針を決定いたしております。これに必要な支援を行っているところでございます。

 また、地元沖縄県におきましては、これを受けまして、平成十八年の六月、県全体それから各島におきます増産に向けた取り組み目標及び取り組み計画を策定いたしておりまして、平成二十七年産におきまして九十五万トンを達成する、こういう目標を掲げながら、関係者が一体となって増産に向けた取り組みを推進されているところでございます。

市村委員 議論を少しストップしまして、ちょっと基本的認識をやはり今ここで確認しておきたいと思います。

 沖縄県、御存じのように、東西約千キロ、また南北約四百キロにわたる海域に、沖縄本島と五十五の離島、そのうち十五島が無人島であるということであります。先ほども冒頭で申し上げたように、やはり本島と離島ということで、置かれた状況が違うということでありますから、きょうは大変分けて考えたい、こういうことであります。

 それからまた、サトウキビの位置づけということにおきまして、全農家の約七〇%がサトウキビ栽培農家であり、全耕地面積の約五〇%がサトウキビ栽培面積ということでありまして、サトウキビ産出額というのは約百三十七億円と、農業産出額の約一五%を占めるというものであります。また、今さっきから申し上げているように、サトウキビへの依存度ということに関しましては、本島よりも離島によって高まるということがまず基本的認識としてなければならない、このように思っているわけであります。

 また、製糖業におきましても、今、本島に二工場、そして離島には七島に八工場、合計八島に十工場があるということでありまして、年間生産量が七万五千九百二十三トン、平成十七年度の実績でございますけれども、そのうち、本島が二万六千三十九トン、離島が四万九千八百八十四トンということであります。今のは分みつ糖というものでありまして、今度は含みつ糖でありますが、いわゆる黒糖として販売されているものでありますけれども、与那国島とか離島のみの生産になりまして、七島七工場、年間生産量が七千四百二十六トンということでありまして、これはすべて離島で生産されているということであります。それぐらいの実績を持った産業でありサトウキビ栽培であるということがまず重要である、その認識を持たなくちゃいけない。

 今、農林水産省からのお話を聞きましたら、これは重要だ、それだけのものであるから重要であり、かつ、これはしっかりと守っていくものだというお考えだったというふうに思います。今の取り組みについてもう少し具体的に、じゃ、そういう重要な産業であるとするならば、これからどうしようかということについて、もう一度、具体的にちょっとかいつまんで教えていただけませんでしょうか。

佐久間政府参考人 少し具体の取り組みの内容ということでございますけれども、現在、サトウキビにつきましては単収がかなり下がっているというような状況がございまして、これにはいろいろな要因が考えられるわけでございます。一つには自然災害というのもあるわけでありますけれども、ハーベスターによります機械収穫等によりまして葉などの有機物が圃場にうまく戻らないといったようなことから、地力が下がっているという問題でありますとか、収穫後の株出し管理がやや不徹底というようなことがあったりとか、さらに、農家の高齢化等によりまして栽培管理の粗放化といったようなことの影響もあるということがあります。

 このため、強い農業づくり交付金でございますとかさとうきび増産プロジェクト基金等の各種の助成措置によりまして、かんがい設備や防風林の整備、栽培管理の徹底、生産組織の育成等に対しまして支援を行っているところでございます。

市村委員 そういうふうにいろいろと政府としてもお取り組みをいただいているというところであるんですが、そうした今までの政府の意気込み、かけ声と実態とはどうも乖離があるようではないかというふうなことが言われているわけであります。

 例えば、この沖縄県サトウキビ等の生産実績というのを独立行政法人農畜産業振興機構資料から拾いますと、平成六年度以降、キビ作農家戸数、栽培面積、収穫面積、単収、生産量、製糖量、すべての数値が低下をしているという状況であるということでございますけれども、いわゆるこれが沖縄振興策、離島振興策の実態といってもいいんでしょうか。これは大臣の方。ちょっと突然でございますけれども、結局、こういう離島にとって大変重要な産業において、もうあらゆる数値が低下をしてきているんです。後ほど、なぜそうなのかということを議論します。

 まず、結局、今も議論しましたように、取り組んでいるということなんですが、実態は下がっていっているということ。だから、やはり大切なのは実態でありまして、これをどう見るかとして、これは沖縄北方大臣として、やはり全体的な沖縄の振興ということを考えていただくときにこの観点はすごく重要だと私は思っていますが、この今主要産業であるサトウキビまた製糖業についてこうしたあらゆる数値が下がってきていることに対してどういう御見解をお持ちか、まず率直にお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 サトウキビの生産量でございますが、確かに近年低下傾向で、平成十六年、十七年産で六十八万トン、平成七年産が百一万トンですから、比較すると約三割減ということでございます。十八年産はやや持ち直して七十二万トン程度と聞いております。これは、農家の高齢化の進展ですとかほかの作物への転換、収穫面積が少し減ってきているということ、それから干ばつですとか台風などの自然災害の影響で近年単収が低下している、こういったことだと思いますね。特に平成十六年、十七年は、干ばつと台風による被害が非常に大きかった、そのように聞いております。

 それで、その重要性ということは、もう先ほど委員が御指摘になりましたとおり、非常に、作付面積の割合ですとかそれから製糖業に関する影響、こういったものもありますので、やはりこのサトウキビ産業、サトウキビの育成及び製糖業、これは重要な位置づけであると理解しております。

市村委員 今、自然の影響ということも大臣おっしゃられました。もちろん、農作物ですから当然天候に左右されるという性格を持つものということであるのですが、その前に、製糖業における政策支援の実態の中に国内産糖交付金というのがあるわけであります。この交付額というのが、実はここ数年どんどん下がってきているわけであります。平成十二年度から見ていきますと、二百十二億、十三年度が百九十四億、十四年度が百八十七億、十五年度がちょっと持ち直しまして百九十二億でございますが、十六年度が百五十四億で、十七年度が百五十二億、こういうことであります。

 これまでは、豊作の翌年は少なく、不作の翌年は手厚くというのがこの交付金の周期であったのですけれども、しかし、平成十二年度以降は、実は、作柄の影響とは無関係に単価が低下傾向にあるというようなことが顕著になっている。それで、今申し上げたように交付金額の絶対額も減少しているということで、必ずしも豊作、不作ということに関係なく、平成十二年度からはこれが下がってきているという傾向があるんです。

 それで、これをどう見るかということなんですが、これはちょっと農林水産省にお聞きします。農林水産省、この辺の事情を御説明いただければと思います。

佐久間政府参考人 交付金の推移につきましては、平成十二年度に二百十億ほどであったものが十七年度に百五十億少々ということで、減少いたしておるというところでございますが、これについては、御指摘のように、生産量の減少とともに、交付の単価が下がっているということがございます。

 この背景でございますけれども、砂糖の市況全体の動きとの関係で交付の単価を見直してきているということによります。

市村委員 この平成十二年度というのが一つの転換点になっているのではないかというふうに思うところがありますが、これは農林水産省の方ならもう御存じでしょうが、平成十二年十月、どういう法律が改正されておりますでしょうか。

佐久間政府参考人 平成十二年の法改正ということでございますと、御指摘のものは糖価調整法の改正ということではないかと思います。

市村委員 そうですね。まさにこの糖価調整法の改正が、もともとはこれは、砂糖の価格安定等に関する法律、糖価安定法というのがあったようでございます、昭和三十九年からの法律、これが改正された、こういうふうに言われておるんですが、実態はこれまでとは全く違った新法ではないかという指摘もあるんですが、やはりこれは改正という考え方でよろしいんでしょうか。

佐久間政府参考人 糖価の計算の方式が変更されているということでございますけれども、その目的につきましては、従前の法律の流れを引いて、その改正ということで対応したものでございます。

市村委員 では、その糖価安定法と糖価調整法の違いというのをちょっと具体的に御説明いただけませんでしょうか。簡単に。

佐久間政府参考人 十二年の改正の趣旨でございますけれども、農畜産振興機構の直接の売買というところから交付金の交付という、お金の流れの方法が変わっているというのが一番の趣旨ということだと思っております。

市村委員 そのお金の流れがどのようにどう変わったか、もう少し具体的に御説明いただけませんでしょうか。

佐久間政府参考人 お答えいたします。

 実際に砂糖を買い上げてその代金を支払うという形と、それから、生産費との関係で、コストを十分賄うことができるという水準の交付金を交付する、こういう形で、農家、生産者の、あるいは製糖業者のということですが、受け取る支払いの形態、それが変わっているということでございます。

市村委員 今交付金とおっしゃっていただいていますが、その交付金というのは一体何を主な原資としておりますでしょうか。

佐久間政府参考人 この交付金の財源でございますけれども、輸入する砂糖類につきまして、内外の価格差がございますので、その価格差を調整する調整金というのを取っておりまして、それが財源となっております。

市村委員 その調整金は一たんどこに入るような仕組みになっておりますでしょうか。

佐久間政府参考人 農畜産振興機構のところに入ることになっております。

市村委員 それがいわゆる、私申し上げましたが、今で言う独立行政法人、こういうことでございます。それはまた別の議論でありますから、きょうここでは議論をしません。

 今議論をさせていただきましたように、結局、平成十二年度から、実際、新法と言われるようないわゆる糖価調整法になったということ、これが実は、この平成十二年度からのいろいろな意味の減少に影響を与えているのではないかというふうに僕は思っておるわけであります。

 それで、この調整金なんですが、調整金そのものにもちょっといろいろ問題がありまして、何がどうなったかというと、例えば、この調整金を取るときに、加糖調製品というのがあるんです。加糖調製品というのは、例えば加糖あんとか、ココアをまぜたココア調製品とか、脱脂粉乳をまぜたミルク調製品とか、小麦粉や米などとまぜた穀粉調製品とか、こういうのがありまして、砂糖がこういうものとして日本に入ってくると、実は砂糖の部分について、砂糖そのもので入ってくると調整金は取られるんですが、こうやって一緒にまぜてくると、これは砂糖の分は何にもかからないんです。関税もかからないし調整金も取られないということになりまして、私も以前、何年か前にテレビでちょっとたまたま見ていたら、何か昔、小麦粉とまぜて砂糖を送るとか、そして日本で分離して売ると、結局、関税がかからないとか調整金も取られないということで、そういうケースがあったようなこともあるわけであります。だから、日本の場合はそういうふうに、取ってないんです。

 それで、こういう加糖調製品に対して何も取らないという制度、何も取らない、そのままフリーパスで入っている国というのは、日本のほかにあるんでしょうか。

佐久間政府参考人 まず、我が国におきます加糖調製品の取り扱いでございますけれども、砂糖につきましては、先ほど申しましたように、糖価調整制度におきまして、輸入糖に調整金を付加することによりまして、内外の砂糖の価格を調整するとともに、その調整金を主な財源として、国内の甘味資源作物生産者及び国内産糖製造事業者に対しまして政策支援を実施しているところでございます。

 一方、加糖調製品につきましては、ココア粉やあん等に砂糖を加えたものということで、砂糖と異なる製品でございまして、国内産の砂糖との価格調整を行うことが難しいことから、内外の価格差調整を図るという観点ではなく、国内産業保護の観点から関税が賦課されているというところでございます。

 ですので、関税が賦課されているということでございます。

市村委員 例えばアメリカは今どうやっていますか。教えてください。

佐久間政府参考人 アメリカにおきましては、関税がかかっていまして、関税の割り当て制度というものが行われております。

市村委員 結局アメリカは、私が聞いたところによりますと、だから、例えばそういう加糖調製品であっても、砂糖部分には課税がされているということなんですね。

 日本の制度とどう違うか、私もちょっとわからなくなったので、もう一回説明していただけませんでしょうか。

佐久間政府参考人 我が国の制度の場合ですと、関税は単純な税率がかかるという形になってございます。

 アメリカの場合、一般的な関税率とともに、それよりも低い関税を適用するという部分がありまして、それの枠、関税の枠がある、こういう形で、二段階といいますか、別のものが適用される枠があるということでございます。

市村委員 ちょっとポイントを戻しますが、結局、砂糖の調整金を取ることによって、ある種、国内産業を守る原資にしてきたということなんですね。

 ところが、この加糖調製品が、ある種、抜け道になっているということですね。つまり、調整金を取れないわけですね、この部分においては。最初に加糖調製品が入ったころから、シェアというのが、それは小さいかもしれませんけれども、大体七・九%、今は何と九・六%なんですね。ある種、じわじわと伸びてきているわけです、この加糖調製品が。となると、砂糖として入ってきたならば調整金として取れて、そして国内産業の保護のために回るお金が、結局、加糖調製品が伸びることによって、取りっぱぐれがある。つまり、関税というのは一般財源に入りますから、結局、沖縄のそういう製糖業を守るために使われているかどうか、使われている部分はあるのかもしれませんけれども、明確じゃないわけですね。今度は、調整金は、ある種、国内産業を保護するということで取っていたにもかかわらず、減ってきている。

 私の方でちょっと計算したところによると、平成十七年度においては、例えば仮に一トン当たり三万三千円の調整金を取っていたとしますと、百三億円。つまり、加糖調製品からもきちっと調整金を取っていれば、あとプラス百三億円、いわゆる国内の産業保護に回すお金があったということなんですが、結局、それを取っていないがために、百三億円減っているということなんです、これは。

 結局、沖縄全体として、ことし、内閣府として二千七百億ぐらいの予算をつけています。沖縄の北部対策として五十億、百億というようなお金を国の税金から入れているわけでありますけれども、ある意味でいえば離島を守っていくための、こうしたサトウキビ栽培や製糖業を守ろう、それはとりもなおさず、生活を守るだけじゃなくて、その離島の文化を守っていく。それで、さっき観光の話でもありましたけれども、やはりそうしたいい文化がないところというか、その独自の文化がないところに行ってもつまらないわけですね。我々はなぜ沖縄に行くか。それは、やはり沖縄の文化に触れるということになるわけです。

 だから、離島の生活を守り、かつ文化を守っていく一つの大きな柱であるサトウキビ、または製糖業というもの、それを守るために調整金で入れた。でも、減っているんです、だんだん。何もかも全部、産業全体がだんだん小さくなっていっているということ。だから、これも問題である。

 そのために、結局、その関連として、なぜそうなったかの一つの理由として、そもそも、守ろうとしてお金を出そうとしたのに、加糖調製品というものに対して、そこの中に含まれる砂糖に対して結局調整金を課せないということによって、例えば平成十七年、百三億円減収がある。つまり、一方で二千七百億の百億円が沖縄北部地域開発とかいって入れながら、百三億円全部が離島に入るとは限りませんが、かなりの部分の離島に入るべきお金が入っていない、こういう構図もあるんです。これは多分数十億単位なんです。平成十七年度におかれては六十億ぐらい交付金が減っているんですね、五、六十億ぐらい。

 すなわち、守るといいながら、そして守るための制度もつくっておきながら、実際は取りっぱぐれたものがあって、そこには行かない。それで、だんだん、全体として、いわゆるサトウキビ栽培や製糖業が結局下降傾向にある、こういうことなんです。

 すなわち、呼びかけで、農林水産省の御説明にあったように、いやいや、ちゃんとやっています、こういうことなんですが、実際はそうじゃないということで、結局、実態とかけ声に乖離があるのじゃないかということが、何を言いたいかというと、そういうことを私としては言いたかったわけであります。結果、どうなるかというと、離島の主要産業がだんだん縮小され、少なくともいい方向になっていないという状況に実は今あるんです、あるということなんです。こういう指摘があるわけです。

 ですから、ちょっとここで、大臣、せっかくきょうは麻生外務大臣もいらっしゃいますから、両大臣から、特に沖縄北方担当大臣として、高市大臣として、今のこういう現状に対してどう認識を持たれて、どうすべきかということについて、ちょっと大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、加糖調製品から輸入糖と同じ調整金を徴収するということは、これはWTOに対する日本の譲許の制約から、これをしちゃうと譲許違反となるということですから、難しいと思います。

 ただ、離島の伝統的な主要産業でもあるサトウキビや製糖業、非常に近年厳しい状況にあるということで、振興策として、内閣府では、農業用水の確保ですとか農地の整備など、生産基盤整備ですね、これも計画的に進めておりますし、カンショ糖企業の経営安定のための助成措置なども行っておりますし、今後も関係省庁としっかり、予算確保面も含めて協力し合いながら、サトウキビ及び糖業の振興を図って、これは地域のコミュニティーを支えていくという面でも大切なことですので、活性化に努めてまいりたいと思っております。

麻生国務大臣 サトウキビにそんなに詳しくありませんので、お断りしておきますが、最初の分の補助金の話等々は、これは多分世界貿易機構との関係ですよ。この点で、これはアメリカも輸出補助金等々を大幅に、百何億ドル減らさなくちゃいけないと大騒ぎして今WTOでやっていますけれども、この関係で、今の百三億の話も似たような話かなと思って聞いていたんですけれども、それはちょっとそういった国際約束との関係が一つあります。

 それから、もう一点の話は、いろいろこっちで一生懸命やっていてもこっちはそうなっていないというようなちぐはぐに見えるところは、これは大きな組織ですからいろいろなところが出てくるんだと思いますが、多分、今のサトウキビだけのことを言わせていただければ、今申し上げたとおりのところかなと思って聞いていました。

 それから、今いろいろな点について、助成という話は、これは先ほどの東先生の話じゃありませんけれども、いろいろこれまでやってきたにもかかわらず、今現状は随分、人口構成が変わってみたり、いろいろなところでどんどん変わってきていますから、そういった意味では、今言われたようなものが従来どおりとは少し違ったものになってこないと効率はよくないんじゃないのかなという感じが正直なところです。

市村委員 まさに効率のことについて、しっかり生産農家が取り組むことは当然だろうと思います。何でもかんでも何か保護されればいいというものではないわけです。

 私が申し上げたかったのは、要するに、せっかく大切なものとして国内産業を保護していこうというスキーム、政策を農林水産省は持っているわけですね。そのために調整金という制度も入れてできるだけ助けていこうと。いわゆる市場に解き放ったら、日本の産業はもう多分もたないわけです。これはサトウキビ、製糖業だけじゃなくて、日本のいわゆる農産物産業は、今すぐ市場にそのまま解き放たれたらなかなか太刀打ちできないものが多いと思います。だからこそ、ある種農業については各国ともいろいろな意味での補助をしているということですね。先進国は大体農業大国なわけです。そのためには、しかし、守るための制度を持ち、そこにある種税金を入れたり、こうした調整金を入れたりするような仕組みを持っているわけです。

 だから、私が申し上げたかったのは、そうやって仕組みを持っていて、しかも大切だと思っているにもかかわらず、ここ数年の傾向は、少なくとも現状維持どころか、先ほど申し上げたように、作付面積から生産量からあらゆる観点で今どんどん下がってきているということなんです。

 もし、結局何もやっていない、もしくはそれを目的として、もういい、ある程度縮小していけばいいんだという政策方針だったら、これはこれでいいんです。違うんですよね、何とかしようとしているわけです。何とかしようとしていて、下がってきているというところが大きな問題点でありまして、だから、私はさっき申し上げたように、かけ声と実態が乖離してきているんじゃないかということを申し上げております。

 だから、もちろんこの調整金という手段が本当にいいかどうかというのはこれは議論しなければならないと思います。先ほど申し上げた、独立行政法人に入るというスキームですから、これ自体が本当にいいのかどうかというのも実は考えなくちゃならないことかもしれません。ただ、少なくとも、独立行政法人を通してそういう調整金を入れて、そして、離島だけじゃありませんけれども、いわゆるサトウキビ産業を保護していこう、製糖業を保護していこう、こういうスキームでやっているわけですから、だから、そのことが目的どおりどうもいっていないようなことがありますし、それはとりもなおさず、きょうの論点である、特に沖縄の離島においては、これはある種、生活を守り文化を守るという大切なことなんですね。

 これをちゃんとしておけば、これは実は税金が入っていないんです。税金が入っていないというか、調整金というのは形の上では税金が調整金という形ですけれども、どこに転嫁されるかというと、実は消費者に転嫁されているんですね。

 私は、だから、税金を入れて何か沖縄振興策をやるという形よりも、消費者がある程度、これは多分計算するとプラス一%ぐらいの負担らしいんですけれども、そのぐらいの負担をすることによって、沖縄の自立的経済、つまり、伝統的な産業を守り、自立した経済を維持し、かつ、それを発展させることによって生活が守られ文化が守られていく、新しい文化を生み出すまたその素地ができる、こういう好循環にこの話は持っていかなくちゃいけないということをきょう御指摘を申し上げたかったわけです。

 特に沖縄北方担当大臣の高市大臣には、沖基地問題、北部振興とか、いろいろとこっちも大切な問題なんですが、ぜひともこの五十五の離島、無人島もありますけれども、この離島の方にも目を向けていただき、かつ、こういうサトウキビ産業、栽培、または製糖業ということに対してもぜひとも関心を持って、これに前向きな観点から、せっかくの政策が空回りするんじゃなくて、もっといい方向に回るようにぜひとも御配慮賜りたい、このことを最後にお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 質疑を行わせていただきます。

 お手元の方に資料を、理事会のお許しを得て、委員長のお許しを得て配付をさせていただいておりますので、そちらの方もごらんをいただきたいと思います。

 まず、この二月、ロシアのフラトコフ首相来日時の話でございます。

 昨年、日ロの間において特に不幸なことが二件あった。サハリン2をめぐる資本構成の見直しがまず一点。それから、第三十一吉進丸への銃撃、拿捕、そして五十年ぶりに死者を出したという痛ましい事件。この二件が、昨年の日ロ間をめぐる大変不幸なこと、あるいはあってはならないことであろうというふうに私は認識をしておるんですけれども、この点、今回フラトコフ首相来日時に外務大臣として言及をされたのかどうか、あるいは、安倍首相とフラトコフ首相会談で言及をされているのかどうか。やはりサハリン2をめぐる資本見直しは大変遺憾であるとか、あるいは、それこそ第三十一吉進丸の船体を早く返すべきである、こういうようなことに言及をされたのかどうか。お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 二月のフラトコフ首相の訪日の際というので、これは、安倍総理との一連の会談で主にこの話が出ております。プロジェクトの円滑な実施ということで、これは民間の話ですので言い方も難しいところなんですが、少なくともここのサハリンプロジェクト2というものがきちんと円滑に実施されるようにしてもらわないといかぬというところが一番肝心なところだったとは思っております。

 したがって、これに対して、ロシア側としては、ガスプロムが参加ということに最終的になっておりますので、日本への天然ガスの供給ということに関しては、これは確実に責任を持ってやってもらわないと、こちらの方も、買うのはこっちですから、だから、そういった意味では、日本と協力するということをきちんと確認しておいた方がいいんじゃないかという話で、これはお願いする立場じゃないんです、商売ですから。そういった意味では、そちらも資本参加された以上はきちんとはっきりしましょうという話で、その種の話を向こう側にして、両方で確認をしております。

 サハリン2だけでよろしいですか。(武正委員「船」と呼ぶ)船の方につきましては、これは、漁業分野における既存の枠組みの堅持ということの話をして、これは日ロ両国で、漁船の安全かつ操業の確保ということで一致をしております。

 また、銃撃事件というのは、今言われましたように、五十年ぶりで死者が出ておりますので、これは、その前のラブロフ外務大臣のときからこの話をしておりますが、いずれにいたしましても、この話に関しては、こういったようなことが起きないような枠組みというようなものをきちんとつくり上げないかぬのではないかという話を我々の方からしたということで、向こうもそれに対しては了解、一致をいたしております。

武正委員 外務大臣が発言で取り上げたかどうかをお聞きしたのです。外務大臣は、尾身財務大臣、甘利経産大臣とフラトコフ首相及び関係者と協議をされておりますので、その場で、まず、サハリン2について外務大臣から言及があったか否か。それから、二件目については一致をしたということですが、そうすると、船体を返すことについてロシア側は同意したということでよろしいのかどうか。

 いずれも、二件とも、外務大臣が聞いているかどうかを伺っております。

麻生国務大臣 ロシア側から船体についての応答はあっておりません。

 それから、その前の、フラトコフとの話に関しては、甘利経産大臣と尾身財務大臣との合同の席がありましたけれども、その席においてその話を申し込んでおります。

武正委員 外務大臣から直接船体の返還を申し込んだということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 この船体の返還の申し込みを最初にしたのは、多分、ラブロフのときにしたという記憶であります。

武正委員 いや、今回フラトコフに対してされたのかどうかをお聞きしております。

麻生国務大臣 正確な記憶がありません。読み上げます。

 漁業分野の既存の枠組みを堅持、日ロ両国の漁船が安全かつ適時に操業できることを確保すべきことで一致し、このため、両国関係当局間の連携及び協力を一層強化していくことを確認。日本側より、カムチャツカにおいて長期拘束されております漁船及び船長、及び国後島付近で拿捕された漁船及び船長の早期解放を要請した。これは私の言葉になっております。

武正委員 今の最後のは、第三十八瑞祥丸ということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 船体の話ですから、瑞祥丸のことです。

武正委員 それと第三十一吉進丸ということで、二つについて返還を求めたと。

麻生国務大臣 船一般について、漁船すべてです。

武正委員 実は、三月二日に海上保安庁根室が送検をしておりまして、これは坂下船長を初め乗組員の皆さんからの事情を聞いた上での送検というふうに記事には出ておるんですけれども、私も、昨年来、GPS登載の三十一吉進丸の船体が返ってこないとやはり現場の確定ができないだろう、なおかつ、百歩譲っても現地に赴いて、それこそ国後なり四島に係留されているとすれば、いろいろ問題があるとすれば、例えばサハリンに曳航して現地で見る、こういうことを海保の方に提案してまいりました。海保の方も、実際、これまで三度ほどロシア側の国境警備局にそういう提案をしているようでありますが、明確な答えがないということでありまして、外務省ルートでも同様の提案をしていただいているようなんですけれども、明確な答えがないまま、今回、送検に至っております。

 私は、実はこの第三十八瑞祥丸も拿捕されて今もって船体が返ってこないということもありますので、外交ルートは、外務省のみでなくて、それぞれカウンターパートもやはりそれぞれのカウンターパートとして、さまざまなルートをつくっていく必要が、とりわけ近隣の諸国とあると思うんですね。

 とりわけ、係争と言ってはなんですが、領土、領海の問題をめぐって、ある近隣の諸国とはさまざまなパイプがあっていいというふうに思っておりますので、ぜひ、この海上保安庁と国境警備局のこうしたルートについて、もっともっと太くしていくべきだというふうに思いますが、この点、外務省サイドとしてはどのようにお考えか、あるいは、それをしっかりサポートしていくという御決意をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 カウンターパートは同業者の方がいい。はっきりしております。海軍と海上保安庁でもぐあいが悪いし、やはり海上保安庁と向こうの国境警備隊の方が話のルートとしては非常に今後ともしやすいものだ、これは何もロシアに限らず、大体基本的にそうだと思っております。

 それから、先ほどのその前のお話、最初の質問ですが、これは累次にわたって、このGPSのいわゆる船体の引き渡しを求めてきておりますが、ロシア側から、裁判の結果国庫に没収ということになったということと、引き渡しに応じることは困難であるという回答は、もうこれは何回か申し上げております、そのとおりです。

 なお、三十一吉進丸のGPSのデータにつきましては、調査を行ったがデータは記録されていなかったとの説明をロシア側から受けているというのが現状であります。

武正委員 ただ、それは、裁判で没収といっても、こちらは、そうしたそれぞれの立場にある部署がその責任を果たすためには、やはり物証なり、しっかり調査をしなければならない。こういう立場があるわけですから、やはり現地に赴いてこれまでも調査をした経緯は海保についてあるわけですので、やはりそれについては、ロシア側のそうした言い分は言い分として、カウンターパートに対して、そうした道を開くようにしっかりと外交当局としてサポートをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、次に移りたいと思いますが、外務大臣は、日ロの間で北方四島及び周辺地域での共同経済活動、これを日ロ外相会談、APECで提案したとされておりますが、このいわゆる共同経済活動、今回、フラトコフ首相来日時に、こうした点について話し合われたことはあるでしょうか。

麻生国務大臣 昨年の十一月の十六日の件で、いわゆるラブロフとの話の件を言っておられるのかなと思いますが、前にも申し上げたと思いますが、北方四島及び周辺地域のいわゆる共同経済活動というものに関して提案や打診を行ったという事実は、少なくとも十一月十六日のときはありません。今年二月のフラトコフの訪日の際の会談におきましても、いわゆる共同経済活動というものを取り上げてはおりません。

武正委員 お手元に、フラトコフ・ロシア連邦首相の訪日時の作成文書、これを配付いたしました。わずか三日間でありましたけれども、非常に交わした文書というのは多いなというふうに私も驚いております。三枚目、四枚目には、これはプーチン・ロシア連邦大統領の訪日の際の成果文書ということで、このときも十二本ということで、これにまさるとも劣らないと言ってはなんですけれども、交わされた文書、署名された文書が非常に多い今回の首相の訪日だなというふうに思いました。

 この中に、今言われた共同経済活動に当たるものは入っていないというふうに私も理解をするんですけれども、産経新聞の三月二十二日付は、フラトコフ首相来日時に、谷内外務事務次官とロシュコフ前駐日大使、現在次官が協議をして、日本がいわゆる四島一括返還、そしてまた、ロシア側が五六年の共同宣言に沿った二島引き渡しによる解決という枠組み、それぞれ放棄をしようじゃないか、こういったことが新聞の方に出ているわけなんですけれども、これは、もともと二〇〇五年十一月十六日のAPECでの日ロ外相会談での麻生外相が提案したとされる共同経済活動、あるいは昨年の外相就任時の記者会見、いわゆる三島返還論、こうした一連の流れの中で、産経新聞は、安倍首相の指示、意向として、日ロ双方が領土交渉において極端な立場から離脱することを提案したと。これは、ロシアの有力日刊紙コメルサントが今月二十日報じたという記事を産経新聞が二十二日に記載をしております。

 こうした一連の流れで、領土交渉について、そうした柔軟なというか、四島一括返還から次々にいろいろな提案をされてきたのかなといった流れというふうにお見受けをするんですけれども、こうしたことが、このフラトコフ・ロシア首相訪日に際して行われた外務次官級協議であったのかどうか、これについて、外務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 最初に、フラトコフの話が出ましたけれども、この人は、武正先生御存じのように、今、多分ロシアのいわゆる役人の中じゃこれが断然力を持ったことはもうはっきりしていると思っております。その他いろいろ大統領候補という人は何人かいらっしゃいますけれども、それはもう、役人の世界じゃこのフラトコフが一番力を持ったのは確かです。したがって、いろいろな成果文書等々が出てきているというのは、そのフラトコフというのとの関係もありましたし、フリステンコが同行しておりましたから、その関係もあって、産業関係も、産業というか、経済の方で多かったんだと思います。

 それから、同行して前の駐日大使ロシュコフが次官として来日をそのときしておりましたので、いろいろな、一般的な意見交換というのを谷内次官との間でしておりますが、報じられておりますように、極端な立場を放棄する用意がある旨提案したというような事実はありません。

 北方四島に関しましても、昨年十一月にハノイで、日ロ首脳会談において、安倍総理とプーチン大統領との間でいろいろ意見を交換し、その席に同席しておりましたけれども、これまで達成をされました諸合意とか諸文書というのに基づいて、日ロ双方にとり受け入れ可能ないわゆる解決策を見出すために精力的に努力をしていこう、大体、基本的にはその線がずっと一貫されておりましたというように記憶をいたします。

武正委員 そうすると、フラトコフ・ロシア首相の来日時に領土問題解決に向けた進展というものはどのようなものが見られたのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 今申し上げたように、諸合意、これまでの諸文書等々の合意に基づいてというプーチン大統領、安倍総理との線以上に、いわゆる一歩踏み出したような案が向こうから提案されたこともありませんし、こちら側から提案したこともないということに御理解いただければと存じます。

武正委員 日本政府の立場をもう一度確認したいんですが、日ロ間では平和条約の締結がない。平和条約の締結を日ロ間として急ぐ、これが日本の立場であり、そのためにも、やはり九三年の東京宣言、四島の帰属を確認して、そして平和条約の締結、これが原理原則というふうに私は考えておるんですけれども、その点について確認をしたいと思います。

麻生国務大臣 いろいろ文書が交わされておりますのは御存じのとおりで、九三年のもそのうちの一つですけれども、いわゆる諸合意というのは、いろいろなこれまでにされた合意文書というように御理解いただければと存じますので、それに基づいて、やはり平和条約がないために、少なくとも日ロ間においては、経済関係だけ考えても、もっと飛躍、発展する、ステップアップするだけの余地があるのではないか、にもかかわらずステップアップができない最大の理由は、領土問題というのがのどにひっかかっているということが、そちら側もうまくいかないし、こちら側もうまくいかない、いま一つということになっておるというのは不幸な話ではないのかという話は、これはもう何回となく私の方からも言いましたし、安倍総理の方からも同様の趣旨のことが述べられております。

 その意味では、平和文書とか共同宣言とかいろいろなものがありますけれども、そういった形できちんとしたものにしておく必要が将来のために、私は双方の国益に資すると思っておりますし、向こうもその点に関しては何らかの形で合意を得たいという意欲はプーチン大統領になってからの方が強い、私にはそういうような感じがいたします。

武正委員 プーチン大統領がそういう意向が強いかどうかは別にしまして、では、日本側はどうだったのかということなんですね。

 今、平和条約締結、これがやはりすべてに最優先するという言い方は外相はされませんでしたけれども、やはりそれがまず前提なんだ、のどに刺さったとげというようなものですから、やはりこれを取らないと食べ物もおいしく食べられない、そういうようなことだというふうに思うわけですね。

 ということでいくと、先ほど資料で配りましたように、今回のフラトコフ・ロシア連邦首相の訪日ではこれだけの文書が交わされて、合意をしている。あるいはロシア・プーチン大統領訪日のときも成果文書は十二もある。ただしかし、領土についての前進が見られない。これは一体どこに原因があるのかということだと思うんですね。

 今言われたように、プーチン大統領はこれまでの政権よりも熱心なんだというふうに言われますが、私は、やはり九三年の東京宣言というのは日本にとって前提、まず第一歩にすべきだというふうに考えますのは、やはり四島の帰属をしっかりと明確にしようという、そうした日ロの合意がされたからでございまして、ほかの諸文書と横並びだよという外相の発言はいかがかなというふうに思っております。

 やはり日本側とすれば、あくまで東京宣言、東京宣言、こういうふうに言っていくべきであろうと思いますので、東京宣言を結んだエリツィン政権の方が、私はプーチン政権よりも領土交渉について実は熱心であったのかなと。あるいは歩み寄りの可能性が十分あった、これは多くの識者が指摘をするところだと思うんですね。

 そういった意味では、私は、日ロ行動計画以来のこの五年間というんですかね、日ロ間の交渉というものが、領土交渉というものが経済的な連携とある面横並びになってしまったのではないのかな、それが、これだけ多くの諸文書が交わされても領土交渉が前進しない、ここに誤ったロシア側に対するメッセージが与えられているのではないのかなと。

 そこに加えて、共同経済活動、あるいは三島でも、あるいは極端な立場の放棄という、そういったことが次々に日本側からメッセージが出ていく、あるいは出ていると報道される。これが、やはり日ロ間において、あるいは日本の国益ということを考えたときに大変あってはならない、まずい今の日ロ間の交渉の実態であるというふうに私は思うんですが、この点について外相の御所見を伺います。

麻生国務大臣 九三年の東京宣言というのを言っておられますが、残念ながらエリツィンは退陣をして、今、エリツィンを倒したプーチンを相手にしなくちゃなりませんので、これは基本的にはプーチンと、御破算に願いましてとは言いませんけれども、これまでの諸合意の文書というのはそれが大事なんだよということを申し上げているのはその点なんであって、少なくとも今、エリツィンとはちょっとまず全く、関係としてはかなり薄い。プーチンという人を相手にしなくちゃならぬというのは我々の立場でありますので、そこのところはぜひ頭に入れておかにゃいかぬと思っております。

 それから、経済関係というものに関しましては、これは、領土領土でもう何にも進まない状況が、かれこれ何年続きましたかね、随分続いておりますので、そういった関係で今、少なくともトヨタが、いわゆるプーチンみずからトヨタに頼んで、トヨタがサンクトペテルブルクに行き、いろいろな形で今、ロシアが石油が枯渇した後をどうするかという点に関して、ロシア執行部、かなり細心の努力とか、非常に積極的とか、いろいろな表現はあるんでしょうけれども、物すごく努力しておるという一環なんですけれども、少なくともこれ以後、我々との関係というものをきちんとしておく必要があるとロシア自身もそう思っている。

 我々も、石油というものを考えますと、中近東に九割というのはかなり偏り過ぎていると思いますので、そういった意味では、そこらの供給源を分散するという必要もあろうと存じますので、これは我々としてもそれなりのメリットはあると存じます。

 しかし、それらのものは、いずれも、少なくとも一連の平和条約締結の前に当たっての環境整備の一環としていろいろなことをやっていかなくちゃ、これだけ言ってたって全然先に進みませんから、いろいろな形で環境整備を整えるものの一環としてやっていくべきものだ、私どもはそう理解をいたしております。

武正委員 環境整備ということなんですけれども、環境整備で経済を、あるいはエネルギーを、そこら辺はまだ幾らか理解できると思います。ただ、環境整備の方が先に走って、これだけの諸文書がどんどんと交わされていく、領土交渉は置いてきぼりを食っているような印象はやはりいかがなものかと思いますし、また、あわせて、外相の発言の共同経済活動、あるいは安倍内閣で就任時の記者会見、四島と二島だったら三島もあるじゃないかというような、そうした記者会見、そして今回の極端な立場の放棄、こういったことは環境整備とはまるっきり違うと思うんです。

 やはり日本側の立場は四島の一括返還であり、それが九三年の、エリツィンは今プーチンに継承されておりますが、やはりロシア政府がしっかりと諸文書の継承ということでありますので、私は九三年の東京宣言をもっともっと出していっていいと思うんですけれども、今のこうした一連の領土交渉で日本が後退をしている印象というのは、私は環境整備ではないというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 全然感覚が私と違うんだと思いますが、基本的にはこの種の関係で経済関係ができることによって向こうも経済的に豊かになる、そしてこちらもそれによってメリットで、双方まずメリットがある。ここのところはすごく大事なところであって、片っ方だけメリットのある話なんというのは全然長くは続きませんから、だから、そういう意味では、まず双方にメリットがある。

 加えて、向こう側の方の将来のことに関して、これは日本と組んだ方がええ、しかし、日本と組むに当たっては、北方四島の問題というのは解決しないとしっかりしたものにならないということに関しては、これは向こうも、この問題があるからというのはみんな向こうも知っていますから、その問題、これ以上先になかなか進まないんですよという話はしばらくすると必ずこっちから出てきますから、そうすると、向こうもわかっていますと。

 だから、これ以上のところをやろうとすると、この問題の解決をしないと前には進まない、しっかりしたものにはなりませんよということは、いろいろな場面で、我々というか、外務省関係だけが言うだけじゃなくて、経済産業省も同様な趣旨のことを皆、最終的なところではこの問題が出てまいりますので、どうして日ロ関係がうまくいかぬか、最終的にこれですよという話がきちんと出てまいりますので、これによって領土問題が後退をするというイメージはございません。

武正委員 改めて、やはり東京宣言に立脚した立場で、やはり四島の帰属をしっかり明確にする、それによって平和条約締結を、この原理原則を貫いていくべきであって、あだや報道されているような、あるいは外相の発言のような形で、後退という印象、あるいは日本側が妥協しているという間違ったメッセージ、あるいは領土よりも経済という間違ったメッセージをロシア側に与えてはいけないということを私は重ねて指摘したいというふうに思います。

 さて、日中間の話に移らせていただきます。

 沖縄トラフ、そしてまた中間線、こうしたことでこれまでも日中の局長級協議が行われております。あした、東京ですか、日中局長級協議、第七回、久方ぶりに開かれるという報道でございます。

 ちょっとおさらいをしてみますが、第二回で、日本側からは、白樺、中国側は春暁と言っておりますが、地質構造などのデータ提供と一方的な開発はやめろということを求めている、あるいはEEZ、大陸棚の境界画定、日本側は中間線、中国側は沖縄トラフまでの自然的なそういった大陸棚の主張、そして東シナ海の天然資源の共同開発、これが第二回であります。第三回では、日本側から共同開発の提案を行った、中間線をまたいだ四カ所のガス田で開発をしようよと。第四回、共同開発、中国側の案は、中間線から尖閣諸島の北側にかけての提案があったと報道はされている。第五回は、やはり白樺の開発中止を求めたが断られた。あるいは第六回、中止を前提とした議論は中国側は受け入れられない、こういうような報道があるわけです。

 お手元には、第四回のときの東シナ海等に関する日中協議の資料、外務省さんの資料を添付させていただきました。下にページが振ってあります。六ページをお開きいただきたいんです。

 これは、第四回のときのペーパーなんですが、私が注目をしたのが、第三回までの「参考」というところです。「4共同開発」の一番下のところに「参考」とされているところで、前回協議、ですから第三回の協議での日本側提案の内容ということで、「白樺・楠等中間線を跨る構造を対象に共同開発を行う。」「それ以外の水域については、中間線の西側は中国、東側は日本がそれぞれ試掘や開発を行うことについて日中双方が異議を唱えないこととする。」「共同開発について、日中間で最終的な合意が得られるまでの間は、中国側は白樺油ガス田、樫ガス田等について開発作業を中止する。」「以上を一体として提案する。」

 日本側の提案が書かれているわけですけれども、ここで注目は、やはり二番目の、中間線の西側の中国あるいは東側の日本が試掘開発を行うことについて異議を唱えない、こういう提案をしていることであります。日本は、先ほども触れましたように、第二回のとき以来、白樺の開発をやめろ、こういうふうに言っている一方で、西側中国、東側日本と。東側で日本は試掘開発は行っていないわけですから、中国の現状を容認してしまったのが第三回の日中局長級協議ではないのかというふうに考えるんですが、この指摘についてどのように考えますでしょうか。

松島大臣政務官 今おっしゃいました第三回の協議でございますが、これは委員の解釈がちょっと違っております。

 第三回協議におきましては、二つのことを一体として提案しているわけでございます。一体としているということは、一つ目が、先ほどおっしゃいましたように中間線をまたがる構造を対象にした共同開発を行うということ、二つ目として、それ以外の水域について、中間線の西側は中国、東側は日本がそれぞれ試掘や開発を行うことについて日中双方が異議を唱えないということ、これを一体として提案しておりますので、それの一方だけをやることについては、日本は認めていません。つまり、我が国が、中間線の西側、中国側で中国側が一方的な開発をやることを認めたことにはなりません。今申しましたように、あくまでも一体としての提案であるからであります。

 また、我が国は、我が国の領海基線から二百海里までの大陸棚の権限を有しております。その上で、中間線に基づき境界画定を行うべきだという立場をとっております。この立場に基づきまして、我が方が提案を行った後も、中間線の西側、中国側で中国側による一方的な開発作業を行わないよう申し入れを行ってきております。

 なお、中間線の東側におきましては、平成十七年七月十四日に、経済産業省が帝国石油による試掘権設定の出願を許可しているところであります。

    〔委員長退席、山田委員長代理着席〕

武正委員 またがっているのは、四つのうちの、北から、楠、樫、白樺。平湖はまたがっていないわけですね。ですから、一番上の、「中間線を跨る構造を対象に共同開発を行う。」というところに平湖は入っていないということになるわけですが、そうすると、平湖については認めるというような解釈で提案をしたということでよろしいんでしょうか。

松島大臣政務官 認めないということで申し入れを、こちらから中国に、やってもらっては困るということで申し入れを行っております。

武正委員 ただ、これを見ると、またがったところは共同開発しましょうよ、それ以外の水域については認めますよというのが二番目ですよね。これはどうでしょうか。

松島大臣政務官 つまり、それは、この提案、協議がワンセットで日中間で合意されなきゃだめだということで、委員もおっしゃいましたように、ずっと協議が続いていまして、あしたも七回目の日中間の局長クラスを行うことになっております。つまり、まとまっていないわけでございますから、一部取りされてやられても困る、そういうことです。

武正委員 ただ、一部取りされるような提案を行っているのではないのかなというふうに、もともと日本は中間線をとってその西側について主張していないという立場、これはまあ良識的だな、でも、中国側は大陸棚で主張しているということですから、私は、もともと、最初から中間線の主張で譲ってしまって果たしてどうなのかなというふうに思っているわけですので、こういったことで異議を唱えないこととするという提案がやはり誤ったメッセージを与えているのではないかなというふうに私は思います。

 それで、第四回で提案した南北共同開発、これについて麻生外相に聞いても、場所については答えられないということでありますので、多分きょうもまた同じ答えだというふうに思いますので、これについてはお聞きをいたしませんが、どうでしょうか、あしたから始まる日中局長級協議、昨年の安倍首相の訪中で、ガス田の協議を加速する、こういう合意をされているわけでありまして、私は、これまでの間、中国側から提案のあるような、中間線から沖縄トラフまでの間の開発、こういったものに日中間で合意をしていくのかな、あるいはまた、温家宝首相の四月の来日、これでそうしたものを、それこそ平和の海ということで、認めていってしまうのかなということをある面危惧するわけなんです。

 中間線ということで日本側の主張、そして沖縄トラフを主張する中国側、もしこの間で共同開発を認めてしまうと、それがやはり中国側の主張に沿った形になってしまうからであります。あるいは、場所は特定はされませんが、尖閣の北側について共同開発を認めてしまえばなおのことでありまして、私はあしたからの局長級協議というのは大変注目だと思いますが、先ほどの北方領土もそうですけれども、日本側の領土、領海の原則をしっかりと主張していく、これがやはり基本だというふうに思うんですね。日中間も、さまざまな懸案がありますが、先ほどの外相の発言をかりれば、環境整備だといって経済連携を強めていくことが、果たして、日本が一番守るべき一つの領土、領海、これを譲ってしまうということになりはしないかというふうに危惧をするわけです。

 これは質問にはありませんけれども、あしたからの局長級協議、そして温家宝首相来日、これで、ガス田については、昨年の両首脳会談の合意も得て、もしかしたらその合意をというようなこともささやかれておりますけれども、日本側の立場はきちっと堅持をするということを改めて外相に確認したいと思います。外務大臣、お願いいたします。

    〔山田委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 あしたからいわゆる日中の会議を開始するんですけれども、第七回目になりますが、会議をすることになっておりますが、それによって温家宝総理の訪日前までにしかるべき答えが見えてくるかということに関して、希望的観測を持っていることはありません。

 したがって、これは、日本が自分たちの意見を主張している間はそういったことだと思いますので、今言われましたような点で、ずれるとかぶれるというようなことはないというように御理解いただければと存じます。

武正委員 ぜひ、しっかりと領土、領海については、先ほどの北方領土もそうですけれども、日本側の立場を相手国にきちっと伝えていくということで、外交当局、そしてまたそれぞれカウンターパートがあります、日中間でもたくさんありますので、それぞれのパートについて、ぜひ外交当局としてしっかりサポートをお願いしたいというふうに思います。

 高市大臣にお聞きをしたいと思いますので、日中防衛協力、これを進めるべきであるということについて外相にお伺いしたいと思いましたが、これはちょっと質問を飛ばしまして、一番最後の資料をごらんいただきたいと思います。

 先ほど来、沖縄の有効求人倍率ということが再三指摘をされておりますが、この五年間の有効求人倍率、昨年の十二月、そして五年前の十二月、第一位の都道府県と最下位の都道府県、いずれも最下位は沖縄でありますが、これの格差が拡大をしていること。民主党は格差を是正すべきであるという緊急措置法案も提出をしておりますが、この有効求人倍率一つとっても、やはり格差が拡大をしているなということが、一位と四十七位の差が三・一倍から四・五倍になったということで明らかだと思うんです。

 こうした沖縄の有効求人倍率、これが引き続き最下位であることについては、何としてももっと力を入れていかなければならない沖縄の経済対策だというふうに思うんですが、第一位の都道府県との格差が拡大していることについて、大臣としてはどのような認識をお持ちでしょうか。また、沖縄についてどのような対策が必要と考えますか。

高市国務大臣 私は、有効求人倍率の絶対値そのものが上昇をしてきているということと、それから、就業者数そのものはふえてきているということで、この流れを推し進めていきたいと思います。

 よその県との比較ということになりますと、どうしても、その県の立地、産業の性質ですとか、そういったものによっても違いますので、必ずしも他県との比較で格差という形でとらえるよりも、沖縄自体、沖縄の主体的な発展というものを進めていきたいな、沖縄で絶対値というものがよくなっていけばいいな、私自身はそのように考えております。

 現在は、沖縄振興計画に沿いまして、自立的に経済を発展させるという方向で、特に観光業、それから情報通信業を中心に人材育成を行ったり、そして、産業そのものの振興に取り組んでおります。結果として、情報通信産業では、百十社の企業が新規に立地し、雇用に関しても新たに一万人以上が創出されております。

 さらに、雇用対策は、沖縄県の職業安定計画がございますので、これは厚生労働省と沖縄県が中心になって、雇用機会の創出、それからまた若年労働者の雇用創出、雇用促進といったことで取り組んでいただいております。

 内閣府におきましては、観光、情報通信の分野における高度で専門的な人材育成の支援ということに取り組んでいるところでございます。

武正委員 以上で質問を終わりますが、私もちょっと最近沖縄に行っていませんけれども、空港にデューティーフリーショッパーズがありますよね。最近売っているのかどうかわかりませんが、たばこはあそこでは扱っていませんよね。ですから、沖縄もこれまで特区、特区といろいろやってきました。空港のすぐそばにも特区ということでつくりましたけれども、今、ある面それがうまくいかなかったという一つの事例とされておりますし、名護の金融特区も含めて、この間さまざまやってきましたけれども、思い切った権限を特に沖縄には付与していく、これによってやはりこうした有効求人倍率の向上というものにつながるということを指摘して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。私も、きょうは沖縄振興の問題について聞いていきます。

 祖国復帰以来、三期にわたって振興計画が進み、今、十年を単位として四期目、ちょうど折り返し点に立ちました。今回の振興計画は、二〇〇二年にスタートし、計画の最終年次は二〇一一年であります。国においても、その前期五年間を検証し、そして、後期において何をどう取り組むか、沖縄振興計画後期展望、これを決定し発表しておられます。

 高市大臣に聞きますが、五年間の検証で問題点や成果は何だったのか、そして、後期五年間の目標は何か、大づかみで結構ですから、説明していただけますか。

高市国務大臣 まず、計画後期五年に向けて、沖縄の優位性を最大限発揮した特色ある地域として整備するために、一層の選択と集中、競争と意識改革、高付加価値化、沖縄らしい県づくりと健康福祉社会の実現、こういった非常に示唆に富む方向性、これが示されたところでございます。そして、分野別の課題というものがこれまでの取り組みをもとに洗い出されました。

 簡単にとおっしゃられたんですけれども、例えば観光でしたら、要は、環境収容能力への配慮というものをしなきゃいけない。観光の振興を進めると同時に、やはり環境という問題への配慮ですとか、情報通信も、民間主導で価値創出型の情報通信産業の振興というのをしていかなきゃいけない。農林水産業、これも高付加価値化による沖縄ブランドというものを確立しなきゃいけない。それから、雇用でしたら、雇用の話が先ほど武正委員からも出ましたが、雇用創出とミスマッチを解消しなければいけない。以下、たくさん項目が並ぶんですけれども、それぞれ今まで取り組みをしてきたけれどもさらに進めていかなきゃいけないことというのが、過去の反省に立った課題であると思います。

赤嶺委員 後期五年間に向かってのさまざまなことを今おっしゃられましたけれども、やはり大事なことは、さっき大臣は、格差じゃないよ、沖縄らしさだよと言いましたけれども、本土から長いこと分断されて米軍の直接占領統治下に置かれ、そして、産業や農耕地が全部米軍基地となり産業発展の障害が生まれている沖縄で、やはり県民所得が全国一低いとか失業率が高いとかということが県民を悩ませてきた問題で、これまでの政府の沖縄振興も、そういう去った大戦での被害、そして米軍基地による産業振興の障害、海を隔てているというようなものに着目して、失業率、所得格差、これに取り組んできたわけですが、ただ、この五年間で逆に悪化しているんですね。これは何ででしょうか。

高市国務大臣 例えば失業率ですと、就業人口、就業者数はふえても、労働人口がふえているということによって思うように改善が見られないといった点はあると思います。

赤嶺委員 先ほどから何回か繰り返されておりますが、情報通信産業、ちょっと具体的に聞いていきますが、沖縄振興計画の中でもリーディング産業として位置づけられました。コールセンター中心に関連企業の沖縄への進出が進んで、この五年間に進出企業が四十二社から百十社、雇用者数は四千百八十六人から一万八百九十三人と、雇用創出に大いに成果を上げたと評価されているわけですが、その一万八百九十三人の雇用創出の中で、正規雇用と呼ばれるのはどのぐらいの比率を占めているでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 コールセンター業につきましては、一般的に非正規雇用の割合は多くなっておりますが、沖縄県におけるコールセンター業につきまして、いわゆる正規雇用の割合はおおむね一二%程度ということになっております。

赤嶺委員 情報通信産業全体としてはどうですか。

高市国務大臣 情報通信産業全体、コールセンター、情報サービス、コンテンツ制作、ソフトウエア開発ということでの就業者数一万一千三百九十七名に関していいますと、正社員の割合は一九・四%となっております。

赤嶺委員 一九・四%というのはいつの資料でしょうか。

高市国務大臣 平成十九年一月の資料でございます。

赤嶺委員 結局、情報通信産業で一九%、コールセンターで一一・七%、さっき一二%とおっしゃったんですか、そうすると、これでは、雇用の創出だといっても、結局は低賃金の労働者、不安定雇用、所得の格差、この拡大につながったという話になりはしませんか。

高市国務大臣 一般的にコールセンターは、沖縄県に限らず、日本全国で見ましても、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトの割合が高い業種でございます。この正社員の割合以外の者というのは、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトでございます。コールセンターでしたら、契約社員が五一%ということなんですが、全く失業している状態よりも、契約社員として雇用されたというのは一歩前進だと私は思っております。

 今後のことを申し上げますと、今まではコールセンター中心に立地も進んでまいりましたけれども、例えば、情報サービスでしたら正社員の割合は三六・七%、コンテンツ制作では七五・六%、ソフトウエア開発では七六・一%と、非常に正社員の割合が高くなっております。ですから、今後は、これまでのコールセンターなどによる雇用創出という取り組みも続けますけれども、ソフトウエア開発やコンテンツ制作、データセンターの活用、こういったところで高度な情報通信産業を沖縄に集積させる、これを施策として進めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 コールセンターはどこでも同じだというようなお話でしたが、今回、政府が出した後期展望の報告書の中で、「情報通信産業の振興は、特別地域制度等を軸に、行政において施設整備を行うなど、官主導で行われてきた」と。沖縄に進出してきたコールセンターというのは、いわば行政において施設を整備して、さあどうぞ、いらっしゃいと。そして、東京―沖縄電話料金も、これも支援策があるわけですよね。ある中で、そしてコールセンターが沖縄にやってきた。なぜやってきたか。これは政府の報告書ですよ、「これまでは、コールセンターを始めとして、沖縄における人件費の安さを生かし、進出してきた企業が多い。」と。人件費が安いから進出したんだと。

 これからは質の高いいろいろな情報産業を導入していきますというけれども、結局、政府の次年度の計画、そして今後の計画の中でも、コールセンターというのは今後ともふえていくわけですよね。今後ともふえていくわけです。その場合に、全国どこでも同じよというような発想で、いろいろな支援策を受けて沖縄に進出したコールセンターでの非常に悪い労働条件での働かせ方、これについて改善をしていくという意思はお持ちじゃないですか。

高市国務大臣 それでは、沖縄ではコールセンターはこれ以上必要ないでしょうか。全国各地でやはりコールセンターを誘致したいという声もございます。私の地元でも聞いております。それでも沖縄の場合は、政府としても、情報通信産業の振興ということで重点的に取り組んできた。IT新事業創出体制強化事業ということで、コールセンターやインキュベーション施設の整備にもお金をかけてきたわけでございます。

 私は、すべての方が非常に高度な、例えばプログラムをするとか、そういった業種でばかり働けるわけじゃないと思うんですね。全く仕事のない状況から、例えばそのコールセンターでの業務に携われるというのは望ましいことだと私は思います。

 さらには、正社員の率が非常に低いということを問題にされております。それが格差だとおっしゃいますので、今後は、コンテンツ制作やソフトウエア、現在でも正社員の割合が非常に高い業種の方で、また人材育成支援も含めて力を入れて産業振興を図っていきたい、こう答弁申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 従業員の数の圧倒的多数は、八千人はコールセンターなんですよ。それで正社員の比率が高い高いといいますけれども、少数なんですよ。

 結局、大臣、あれですか。沖縄県民のやはり平均給与が低い。そこが所得の格差につながるわけでしょう。そうすると、今度は、所得が向上するような企業誘致に当然配慮していくために政府もコールセンターを支援するわけでしょう。

 政府は、沖縄県のように支援されてコールセンターが進出してきている、他県も同じなんですか、同じような進出支援をしているんですか。

高市国務大臣 他県では政府が沖縄に対して行っているような支援は行っておりません。

 沖縄の場合は、例えば公共投資でも非常に国庫の方の負担、補助率は高うございますし、産業振興に関しても相当、これは税制も含めて、平成十九年度の税制でも特別な対応が図られた。さっき委員がおっしゃったような特殊な事情に配慮しながら、日本全国の納税者の理解のもとでスペシャルな支援策が行われてきていると思います。その中で、私は、年々一歩でも二歩でも状況がよくなっていけばいいんだ、このように考えております。

赤嶺委員 国民の税金を投入して企業が進出してきて、進出した理由を聞いたら、沖縄における人件費の安さが生かされると。企業にとっては有利かもしれませんよ。沖縄の県民、若者にとっては、やはり低賃金で処遇されていく状態が続く。そういうコールセンターが改善されないまま次年度もその翌年度も続く。こういうことについて、沖縄担当大臣として問題意識を持たれないというのは本当に納得できません。

 コールセンターは常用雇用二十人という支援要件がありましたよね。金融特区はどうなりますか。

原田政府参考人 今回の税制改正で、情報特区、そして金融特区につきまして、常用従業者二十人要件を十人要件に改正をいたしたところでございます。

赤嶺委員 結局、金融特区も常用要件を二十人から十人に緩和した。そういうことでは、皆さんのやっていることをそのまま、何の検証もしなければ、雇用の改善にはつながらない、所得の格差の改善にはつながらないということを申し上げておきたいと思います。

 次に……(発言する者あり)何ですか。あなたは沖縄の歴史も知らないくせに、何も言うなよ。

安住委員長 静粛に。

赤嶺委員 中城湾の特別自由貿易地域について聞きます。

 ここでは、中核的企業の誘致に取り組むとされてきました。ここでも企業誘致のための支援策をとってきました。ここでは、海外からの原料を輸入し加工の上輸出するという目標のもと、港湾岸壁の建設も次々と手がけてきました。そこの分譲用地の対象面積はどのくらいで、企業誘致の目標は幾らですか。

原田政府参考人 特別自由貿易地域につきまして、分譲型と賃貸型とございまして、分譲型につきましては、六十数ヘクタールを用意いたしておりますが、現在の分譲率は約二〇%台ということでございます。ちなみに、賃貸型につきましては、八〇%を超える立地が進んでいるところでございます。

赤嶺委員 分譲地を購入したのは何%ですか。

原田政府参考人 先ほど申しましたように、六十数ヘクタールのうち二〇%程度は立地が進んでおるというふうに報告を受けております。

赤嶺委員 沖縄の振興を論議して、五年間を検証して、向こう五年間の大事な議論をしようというときに、答弁ごまかさないでくださいよ。

 分譲地は何%購入されているんですか。

原田政府参考人 先ほど申したように、分譲率は二二・八%、これは平成十九年三月現在でございますが、分譲済み面積が賃貸工場用地を含めまして十四・四ヘクタールでございます。先ほど申したように、いわゆる分譲型とそれから賃貸型と両方ございますけれども、賃貸工場用地を含めまして、分譲済み面積につきましては十四・四ヘクタールでございます。

赤嶺委員 平成十八年度の沖縄県のパンフレットでは、分譲区画は九十三区画、そして、それを購入したのは結局六区画、六・二%という数字が出ます。

 ところが、分譲地がなかなか売れないので、賃貸工場を国の支援でつくりました。賃貸工場というのは、これはどのぐらい埋まっているんですか。

原田政府参考人 賃貸工場は、二十一棟を整備いたしておりまして、そのうち十七棟につきまして入居が済んでおる状況でございます。

赤嶺委員 それで、入居しないものですから、賃貸工場の建設も、毎年続けていたものをもうやめてしまったんですね。

 向こうの特別自由貿易地域は、当初立てた目標、平成十一年に立てた目標というのは、九十一社がいわばそこに入居している、そして、一千三百五十八億二千四百万円の工業出荷を目標としていたわけですね。当初の目標、計画からすると来年達成ですよ。ところが、それを変更して、平成二十年度までに七十五社となっている。それが現在、まだ賃貸工場とあれを含めてようやく二十社。そうですよね。

 そういう企業の進出ぶりにもかかわらず、計画どおり進めているのが港湾建設ですよね。向こうでの、自由貿易地域での港湾建設は今どうなっているんですか。

清水政府参考人 中城湾新港地区での整備の状況でございますが、第一次埋立計画、第二次埋立計画、第三次埋立計画の三次に分けて進めているところでございまして、現時点で用地造成については概成しているところでございます。

 港湾施設について申し上げますと、第一次埋立計画におきまして、水深十三メートル岸壁一バース、水深十メートル岸壁一バース、水深七・五メートル岸壁二バース、水深五・五メートル岸壁三バースが計画され、いずれも完成しているところでございます。

 第二次、第三次埋立計画分については、一部を除き未整備の状況でございます。

赤嶺委員 港湾計画だけは目標どおり進めて、しかし、もう企業の進出の目標も下げて、下げてもまだ達成しない。そして賃貸工場も、入居したと言うけれども、家賃を半分にしているわけですよ。年間の家賃一千四百万が六百万、それでも埋まらない。だけれども港湾だけはつくっていく。そして、港湾のしゅんせつ土砂で豊かな干潟を埋め立て、埋立地をつくる。こんな無駄なものは振興策に値しないということを申し上げまして、質問を終わります。

安住委員長 これにて赤嶺君の質問は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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