衆議院

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第5号 平成19年6月18日(月曜日)

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平成十九年六月十八日(月曜日)

    午後零時十五分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 石崎  岳君

   理事 仲村 正治君 理事 宮腰 光寛君

   理事 仲野 博子君 理事 山田 正彦君

   理事 東  順治君

      安次富 修君    大塚  拓君

      清水清一朗君  とかしきなおみ君

      西村 明宏君    橋本  岳君

      平口  洋君    福岡 資麿君

      森山  裕君    安井潤一郎君

      山崎  拓君    若宮 健嗣君

      市村浩一郎君    川内 博史君

      武正 公一君    丸谷 佳織君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 高市 早苗君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   内閣府大臣政務官     谷本 龍哉君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    原田 親仁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           荒井 和夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  山下  潤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大野 裕夫君

   政府参考人

   (国土交通省航空局監理部長)           久保 成人君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   衆議院調査局第一特別調査室長           金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     安井潤一郎君

  とかしきなおみ君   大塚  拓君

  馳   浩君     西村 明宏君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     とかしきなおみ君

  西村 明宏君     馳   浩君

  安井潤一郎君     飯島 夕雁君

    ―――――――――――――

六月五日 

 北方領土返還促進に関する請願(石崎岳君外四名紹介)(第一三九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 先般、沖縄本土復帰三十五周年に当たり、沖縄本島及び離島振興等に関する実情調査のため、委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表して、私から調査の概要を御報告いたします。

 派遣日程は五月十九日から二十一日までの三日間で、派遣委員は私を含めた八名であります。また、現地から一名が参加されました。

 沖縄県は、ことしで復帰三十五年目を迎えました。この間、三次にわたる沖縄振興開発計画が実施され、また、平成十四年度からは、従来の社会資本の整備に加え、沖縄の自立型経済の構築を目標とする沖縄振興計画に基づいて、観光、情報通信など沖縄県の優位性や地域の特性を生かした取り組みが進められております。しかし、そうした中でも、離島では、医療、教育、情報通信等の社会基盤整備のおくれが、本島との格差を生じさせているという問題があります。

 今回の委員派遣におきましては、このような状況を踏まえ、南大東村の実情を視察するとともに、沖縄の抱えるさまざまな問題について、沖縄県知事を初めとして関係者と意見交換を行いました。

 二十日、まず南大東島に渡り、仲田村長からサトウキビ栽培の島として発展してきた歴史と村の概要を聴取した後、意見交換を行いました。

 その後、島内視察を行い、農業基盤整備事業の進捗状況やサトウキビの生産状況の説明を聴取し、さらには、サトウキビからラム酒を製造している工場も視察しました。また、港湾物流の現場を視察するとともに、掘り込み式漁港としては国内最大級となる南大東漁港を視察しました。

 翌二十一日には、沖縄県庁において、仲井眞知事ら県幹部と、離島振興を含めさまざまな問題について意見交換を行いました。

 この場では特に、普天間飛行場移設先の環境現況調査に自衛艦が派遣された問題についても地元への配慮を求める県側の強い意向が示されました。

 次いで開かれた外務省沖縄大使、内閣府沖縄総合事務局長及び那覇防衛施設局長との懇談において、当委員会側から、環境現況調査に地元への配慮を求める県側の意向を伝えました。

 ところで、当初の予定では、二十日に北大東島にも渡る予定でしたが、台風の影響で訪問を取りやめざるを得ませんでした。

 今回の委員派遣では、離島の実情に触れ、離島振興の必要性を改めて認識いたしました。また、普天間飛行場移設先の環境現況調査に海上自衛隊を派遣したことに関連しては、地元への細心の配慮が必要ではなかったかとの感を強く持った次第であります。

 委員会としては、今回の視察で寄せられた地元関係者からの要望を当委員会の場に反映させ、一層、議論を深めてまいりたいと思います。

 以上、御報告を終わります。

 この際、お諮りいたします。

 ただいま御報告いたしました内容の詳細につきましては、これを調査報告書として本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

安住委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官原田正司君、内閣府沖縄振興局長清水治君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省欧州局長原田親仁君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官荒井和夫君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、水産庁資源管理部長山下潤君、国土交通省大臣官房審議官大野裕夫君、国土交通省航空局監理部長久保成人君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安次富修君。

安次富委員 自由民主党の安次富修でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

 委員長のお許しを得ましたので、通告に基づき、質問をさせていただきます。当局におかれましては、誠意ある御答弁をお願い申し上げます。

 まず、基地問題からお聞きをいたします。

 日米同盟の将来に関する安全保障面での日米協議がなされ、沖縄における米軍の兵力態勢の再編、つまり普天間代替施設の建設や在沖海兵隊のグアム移転を初めとする在日米軍再編の各具体案について、2プラス2における共同文書に基づき、改めて確認されたところであります。

 そこで、普天間基地の移設問題について質問をいたします。

 最初に、二〇一四年までに名護市キャンプ・シュワブ域に普天間基地を移設するということ、政府案、修正案、中身はともかくとして、二〇一四年までに移設するというスケジュール、このことは県も名護市も同意しているのかどうかを確認させてください。お答えをいただきたいと思います。

北原政府参考人 安次富修先生に御答弁申し上げます。

 ただいま先生から御指摘をいただきました普天間飛行場代替施設につきましては、昨年五月の2プラス2のロードマップにおきまして、先生御指摘のように、二〇一四年までに完成させることを目標として進めているところでございます。この点につきましては、私ども、沖縄県や名護市に説明をしてきているところでございます。

 それからまた、普天間飛行場の移設に係る措置に関する政府と沖縄県、名護市等の地元が参加した協議会が発足しておりますが、この第三回、これは本年一月十九日に開催いたしましたが、この協議会の場におきまして、私ども防衛省から、代替施設の概略工程につきまして、二〇一四年までの完成を目標といたしますことを説明させていただきました。そして、この協議会では、今後、お互いの信頼関係をしっかりと築きながら協議を継続し、普天間飛行場の移設が早期にかつ円滑に進められるよう取り計らうことで意見が一致しているところでございます。

安次富委員 意見が一致しているということは、わかった、二〇一四年までに移設をしていきましょうということだろうと思っております。

 次に、スケジュールに非常に関連してくるわけでございますが、仲井眞知事の公約である、普天間基地の三年以内の閉鎖状態をつくり出すということでございますが、政府としてこのことに何か具体的方策があるかどうかをまずお聞かせください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私どもといたしましては、普天間飛行場の周辺住民の方々の不安を早期に解消していくといった面からも、まずこの飛行場の移設を早期に進めることが重要であると考えておりまして、現在、沖縄県あるいは名護市等の御理解のもとに、現況調査に着手をしているところでございます。

 普天間飛行場の危険性の除去といった点につきましては、先ほど触れました協議会での協議事項にもなっておりますが、我々防衛省といたしましては、普天間飛行場代替施設に移設するまでの間、普天間飛行場の危険性を低減していくためにどのような方法があるのか、いろいろな選択肢を考えるなど、可能な限り努力をしてまいりたい、そのように考えております。

安次富委員 それでは、一つ提案があります。

 これは知事が言い出したことであって、政府が言ったことではないと思っていらっしゃるかもしれませんが、知事の公約として掲げ、県民の審判を仰いで、県民の負託を受けて当選したわけでございますので、政府としてもそのことを重く受けとめなければならないと思います。ぜひそうしてください。

 そこで、これは第一義的には県が積極的に動かなければならないと考えます。県に、例えば三年閉鎖プロジェクトチームをつくって、どういうことが可能かシミュレーションをしてみる、そして政府にも同様の三年閉鎖プロジェクトチームをつくって、事務レベルの協議を本格化させる。

 つまり、先ほどの二〇一四年までの全体スケジュールと関連いたしますが、三年たてば二〇一四年まで残り四年から五年ですから、その間だけ一時的に普天間を分散、移転させて、一時預かりをしてもらう。フィリピンであるとかグアムであるとか、国内、県内、ヘリコプターの数の分散、機能の分散、あらゆることを考える。いわゆる県道一〇四号線の国内への分散をいたしましたけれども、そういうようなことができるんじゃないか。政府の役割、県がやるべき役割、お互いが責任を押しつけ合うんじゃなくして、お互いが責任を共有する、そして行動を起こしていく。そういうことでないと、すぐに三年はやってくると思っております。

 まず、話し合うことが大事であり、早目にオン・ザ・テーブルをしなければならないと思いますが、どうでしょうか。お聞かせください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 我々政府といたしましても、いろいろと選択肢を考えるなどいたしまして、可能な限り努力をしてまいりたい、そのように考えております。

安次富委員 次に、普天間基地の危険性の除去についてですが、これはもう早急に実施しなければならないと思いますし、政府には具体案があるはずであります。それをすぐ、順次実施していただきたい。移設の条件としてはいけないと思っておりますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。

北原政府参考人 私ども、現在ある普天間基地、大変地元にも迷惑をかけております。そうした中で、何としてもこれを早く移設したいと考えておりますので、先生の御指摘等を踏まえまして、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。

安次富委員 防衛省の中で考えていることがいろいろあるはずですから、早目にそれを公開して、そしてそれを実施していく。危険の除去というのはもう今すぐやるべきことでありますから、今すぐやっていただきたいと思っております。

 次に、防衛庁が防衛省となり、防衛施設庁が防衛省の中に統廃合される中で、地域とのかかわり、国民、住民とのかかわりはとりわけ重要であり、施設庁が果たしてきた基地周辺対策事業や民生安定事業等はいささかも機能が低下してはならないし、米軍再編の大事な時期に、地域住民の声に謙虚に耳を傾け、住民合意のもとに防衛政策を推し進めていかなければならないと考えます。特に、沖縄における那覇防衛施設局の果たしてきた役割は重要であり、たび重なる事件、事故、騒音防止、基地の負担の軽減等、歴代の那覇の局長を初めとする局のスタッフの皆さんには改めて深く敬意を表します。

 そこで、施設庁統廃合後の住民や地域とのかかわりについてお聞かせください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 我が国の平和と安全にとりまして、防衛施設の取得ですとか、あるいは安定的な運用を確保していくためには、関係自治体や地域住民の皆さんの御理解あるいは御協力が不可欠でございまして、そうした御理解あるいは御協力を得るために、防衛施設庁職員は、これまで、住民の皆さんの基地負担をできる限りみずからの皮膚感覚で感じながら、協議したり調整に努めてきたところでございます。これまで施設庁が果たしてまいりました機能は、何よりも地元の皆さんの信頼関係を前提としなければなりませんけれども、長年にわたります地道な努力の積み重ねが必要な、極めて重要な役割であると私ども認識しております。

 今後、私どもは、廃止、統合ということになるわけでございますけれども、これまで私どもが培ってまいりました地元との関係を維持発展させる、それからさらに、職員が経験を生かしまして、誇りを持って業務に従事できるような組織にすることが大事であると考えております。

 そうした中で、組織の改編に伴いまして地元の皆さん、地域とのかかわりにいささかの支障も生じてはならないと思っておりまして、そうした観点から組織改編を考えております。さらに、引き続き、豊富な経験を有する職員によって業務を遂行していくことが大事である、そのように考えているところでございます。

 我々といたしましては、いずれにいたしましても、真に国民の皆さんの負託にこたえ得る新しい組織にしっかりと移行し、スタートできるように、全力で今取り組んでいるところでございます。

安次富委員 長官、今後とも職員一丸となってしっかり頑張っていただきたいと思っております。

 しかし、残念ながら、事故は日常的に起こっているんですね。米空軍嘉手納基地で五月二十五日に発生したジェット燃料漏れ事故は、漏れた燃料が地中に浸透し、地下水や河川など周囲の環境に悪い影響を与える可能性も考えられ、環境汚染への不安を消し去ることはできないと指摘されておりますが、この事故への当局の対応や再発防止策についてお答えいただきたいと思います。徹底した安全管理、再発防止をお願いいたします。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、徹底した安全管理または再発防止が重要ということでございまして、まず事実関係を十分踏まえまして、そしてこの問題の重要さを米軍当局にもお話しをし、米軍からも御理解をいただいておりまして、現在、汚染した土壌につきまして、私ども聞いているところでは、去る十五日に入札を終わっているというように聞いております。汚染土壌の入れかえでございます。

 そういった点等、米側とも十分、地元の気持ちを伝えながら、そして、こうしたことが二度と起こらないように我々としても全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。

安次富委員 ぜひお願いいたします。住民の不安を払拭するという点で頑張っていただきたいと思います。

 次に、お待たせをいたしました。高市大臣にお聞きをいたします。口調も変わりまして、やわらかくなっておりますが、大臣、どうも御苦労さまでございます。

 復帰三十五周年を迎えた沖縄であります。青い海、青い空、豊かな自然、そしてチムグクル、ユイマールの精神、沖縄の特性を積極的に生かしつつ、自立的発展の基礎条件を整備し、我が国の南の玄関口として、アジアの中においても魅力あふれる、ダイヤモンドのようにきらきら光る、輝くアイランドとして、そのような沖縄づくりに邁進していかなければならないと考えるわけでありますが、復帰三十五周年を迎えての課題と、今後の沖縄振興に当たっての重点的取り組みをお聞かせください。

高市国務大臣 まず、安次富議員の優しいエールに感謝申し上げます。

 本土復帰から三十五周年を迎えまして、やはり沖縄県民の方々の御努力、それから政府や県の取り組みの中で、社会資本整備を中心にかなり進展してきたかなと思います。

 それからもう一つは、平成十四年度に開始しました沖縄振興計画に沿いまして、情報通信産業ですとか観光産業に関しましては好調に推移していると思います。

 課題ということでございますが、そうはいっても、まだ県民一人当たりの所得、それから失業率の高さ、そういったことは、所得水準も全国最低という形でございますので、まだまだ、豊かな、元気な沖縄ということでは課題はあると思います。

 今後の重点的な取り組みなのでございますけれども、私は、社会資本整備は、もちろんこれは沖縄の自立型経済活性化、そして安心、安全ということを考えると、着実に進めていく必要があると思うんですが、それ以上にやはり人材育成をしっかりやりたいと思います。つまり、特区制度などもありますので、企業誘致の可能性というものも随分開けてはきていると思うんですが、企業が来たときに、確実にこれを受ける優秀な人材、沖縄に行けば、例えば非常に高度なIT人材もいるよ、観光のサービスもすばらしいよ、また、これから可能性のあります健康産業などにおきましては沖縄ではすばらしい研究もされていて、それをアウトプットする能力を持った人材がいるよ、こういった形をつくっていきたいと思います。

 また、沖縄の産品、沖縄らしさを持った産品、こういったものの開発も地元でも努力していただいております。政府も工夫いたしているんですけれども、また今度、これを、しっかりと販路を切り開いていくということは大事だと思うんですね。今でしたら、JAさんが、例えば沖縄から奈良県にも見えます、マンゴーなんかの食べ方もつけたパンフレットを配りながら広報していただいておりますけれども、すばらしい産品、沖縄らしいものを全国に展開していく、こういった取り組みも必要だと思いますので、私自身は、まず沖縄ブランドの確立、それから各種の産業の高付加価値化、そして人材育成、ここに力を入れていきたいと思っております。

安次富委員 今お話がございましたように、大臣就任以来、高市カラーを全面に押し出して頑張っておられることに敬意を表します。

 今お話がありましたように、人材育成にすごく力を入れておられるようでございますが、沖縄における人材育成の具体的進め方についてお聞かせください。アジア青年の家構想とか新世代交流塾等、高市プランを具体的に説明していただければありがたいと思います。

高市国務大臣 まず、人材育成につきまして、先日来、二つの構想を発表いたしました。

 一つが、今おっしゃっていただいたアジア青年の家なんですが、これは総理の御指示でございます。アジア青年の家構想というものを温めておられて、それを日本全国のどこかで展開したい、新規の施策としてやりたいということで、私自身、これは一番沖縄が合っているんじゃないかな、こう判断をいたしましたので、沖縄を中心にということでアジア青年の家構想を発表したんですが、これは、沖縄県と、沖縄県以外の日本じゅう、それからアジア各国からそれぞれ五十人ずつ若い人たちに集まっていただいて、一カ月間共同生活をしていただきます。これは合宿形式であり、そしてまた、一部、ホームステイ型でもございます。そして、この期間中に、彼らには、イノベーティブなマインドそれから科学技術の知識、当然英語力も含めて、国際的に活躍する一つの能力を培っていただきたいなと思っております。

 また、アジア各国や日本各地から青年が沖縄に集まってきますので、その人たちが沖縄のよさに触れ、沖縄に興味を持ち、そして沖縄の産品にも触れる、知っていただくといういい機会にもなるかなと思っております。

 二つ目が、若手経営者の新世代交流塾というもので、先般発表したばかりなんですが、おおむね四十代の若手経営者の方々に、沖縄側、本土側から参加していただいて、研修会ですとか自主活動をしていただきます。

 これは、自主活動の研究の中で生まれたビジネスアイデアを実現するための支援もあわせて行っていきたいと思いますので、ここで人脈を築き、ノウハウの習得、サービスであったらサービスイノベーションという考え方もあります、いろいろな気づきもしていただく。そして、先ほど申し上げましたように、また産品の販路拡大にも結びついていくんじゃないかなと思っておりますので、できたら即戦力になる若手経営者を育てていきたい、応援していきたい、こんな思いで発表したプロジェクトでございます。

安次富委員 私も、一にも二にも人材育成であると思っておりますので、ぜひ施策の具体的充実をお願いいたします。

 次に、谷本政務官にもお聞きをいたします。

 谷本政務官がやっておられる、ビール、泡盛の飛躍的販路拡大のプロジェクト等に御尽力なされておられますことに大変感謝を申し上げます。

 沖縄振興におけるあらゆる面での御指導をいただければと思っておりますが、私がお聞きしたいのは、海洋性レジャーの整備促進について、体験滞在交流事業等も取り込んだ形での取り組み状況についてお聞かせいただきたいと思います。

谷本大臣政務官 安次富委員から御質問をいただきました。

 沖縄担当としてたびたび沖縄にも入りまして、今言われました泡盛の振興であったり、あるいは高度IT産業の集積等の研究会を今ずっと続けておりますが、その中で、海洋性レジャーの整備促進についてのお尋ねでございますけれども、今委員が言われたように、沖縄体験滞在交流促進事業の中で、今この整備促進を行っております。

 この沖縄体験滞在交流促進事業といいますのは、委員御存じのとおりですが、沖縄の特性を生かした滞在型、参加型観光を促進して、地域の活性化に資するため、市町村が地域住民の創意工夫を生かして実施する事業について国が支援を行うものでございます。

 これは当然、体験滞在交流型ですから、海のものばかりではないんですけれども、陸のものもありますが、その中で、例としましては、海のものとしては、例えばシーカヤック体験やシュノーケリング、ダイビング、こういった体験等の体験プログラムをまず作成して、そしてそれに必要な施設を整備していく。今までの例では、読谷村のゆんたんざ鳳整備事業においてシャワーや更衣室の整備を行いましたし、また、座間味村の海と島と人との出会い事業においては更衣室等の整備などを行ってまいりました。

 いずれにいたしましても、しっかり地域からの要望というものを聞きまして、それを踏まえて適切に対応していきたいというふうに思っております。

安次富委員 ありがとうございました。

 今政務官からお話をいただいた海洋レジャーにおける、特に私がお聞きしたいのはダイビングスポーツの充実についてでありますけれども、夏本番に向けて、ダイビングスポットの整備がぜひとも必要でございます。整備途中のものも今お話をしていただきましたけれども、特にダイビングゾーンというものをモデル的につくって、そして、例えば北谷町の砂辺でありますとか嘉手納とか、今言われました読谷とか、ダイビングゾーンをつくって、そこに集中的にシャワー、更衣室、そしてちょっとした休憩等ができるような、いわゆるウエットスーツを着てアクアラングをつけてシュノーケルをしてホテルから出るわけにはいかないわけですから、特に女性の方なんか非常に不便をしているという切実な陳情等もまた受けておりますので、そういうダイビング振興の充実、そしてそれが海洋レジャーの普及につながると思いますけれども、ぜひ御検討をお願いいたします。

 それから、先日、元全日本バレーボールオリンピック選手だった川合俊一氏にお会いいたしました。川合氏は日本ビーチバレー連盟の会長をしておりまして、沖縄でのビーチバレーの世界大会を誘致してみたらどうかと思うのですが、内閣府がぜひ音頭をとっていただければありがたいと思うのですが、いかがでしょう。

 この二つの点について、政務官からお答えいただければと思います。

谷本大臣政務官 ただいま委員から、ダイビングパラダイス構想の話、それからビーチバレーの話がございました。私も沖縄はたびたび訪れまして、離島の方もたくさん行っておりますので、やはり沖縄の最大の魅力の一つは海だと思います。その海をしっかりとアピールしていくためには、こういったダイビングをもっとしっかり整備していく、あるいはビーチバレーの大会を誘致していくということは非常に大事なことだと思いますし、また先生の御提案は非常に有意義なものだというふうに思っております。

 ビーチバレーについては、御存じのとおり、宮古島や名護市の方で日本ビーチバレー連盟の公認大会も既に開かれておりますし、そういった関係者の方々あるいは市町村あるいは県の皆さんが一体どういう形でやっていきたいか、その要望をしっかり出していただいて、そしてそれをしっかり内閣府として支援していくという形になろうかと思います。

 特に、沖縄県にとっては今年度が第三次の沖縄県観光振興計画策定の時期であります。平成二十年度から二十三年度までの計画を今年度つくるということでございますので、その中にもしっかりと地域の要望を明示していただいて、そしてそれを踏まえて我々内閣府が連携をして支援していくというふうにしていきたいというふうに思っております。

安次富委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、集中豪雨の件ですが、去った六月十一日夜から十二日夜にかけて、沖縄本島地方では中南部を中心に土砂崩れや流出、冠水等、雨による被害が相次いで発生しました。特に、昨年六月に大規模な地すべりがあった中城村安里地区では、去年の地すべりがあった山の斜面から流れ出た泥水が国道にあふれ出して、住人が去年の恐怖がよみがえり、今なお不安な日々を送っております。また、北中城村荻道地区におきましても土砂崩れが発生しておりますが、そのことに対する被害対策、災害復旧、地すべり対策等について、その状況と今後の対応策について御説明をお願いいたします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 六月十二日の午後から十三日の午前にかけまして沖縄県中南部において激しい降雨がございまして、人的被害や人家への被害はなかったところですが、道路冠水四カ所、駐車場の擁壁崩落一カ所、がけ崩れ二カ所、土砂崩れによる道路通行どめ一カ所等の被害が発生したところでございます。これらにつきましては、南城市、北中城村等の地元自治体により復旧措置がなされたところでございます。

 また、御指摘の昨年六月に発生いたしました中城村安里地区の土砂災害につきましては、発生後直ちに応急復旧をするとともに、内閣府による資機材の支援、国土交通省による専門家派遣及び災害復旧査定の速やかな実施などの支援を行ったところでございます。

 この復旧対策といたしましては、沖縄県及び中城村による道路災害復旧事業、沖縄県による災害関連緊急砂防等事業及び特定緊急地すべり対策事業が平成十八年度から実施されているところでございまして、速やかな復旧がなされますよう、これらの事業を鋭意推進してまいりたいと考えているところでございます。

安次富委員 ぜひ住民が安心して日々の生活を送れるようよろしくお願いいたします。

 次に、沖縄の交通渋滞は九州においても福岡を抜いてワーストワンだと聞いております。慢性的交通渋滞による経済的損失もはかり知れないものがあるほど最悪の状況だと聞いておりますが、広大な米軍基地に阻まれて、なかなか南北、東西の道路がつなぎがうまくいっていないわけであります。はしご状道路ネットワークの整備等、沖縄における慢性的交通渋滞への抜本的解決に向け、その施策の展開をお聞かせください。

高市国務大臣 沖縄では陸上交通の大半が道路に依存しておりますので、やはり地域間の連携や交流の促進、それからまた経済産業の活性化ですとか今御指摘のあった交通渋滞の解消という意味では、幹線道路のネットワーク、それもはしご状のものといったものの整備が大変重要だと思います。

 具体的に、完成済みの沖縄自動車道と今整備を進めております那覇空港自動車道、それから沖縄西海岸道路を南北方向の軸として、これらを東西方向に結ぶ県道などの幹線道路で有機的に連結させて、最終的にはしご状の道路ネットワークの構築を進めるということは大変重要だと思っておりますので、沖縄県とよく御相談しながら、これからも積極的に推進をしてまいりたいと思っております。

安次富委員 さらに道路に関してですが、本島東海岸道路、国道三百二十九号線バイパス道路の建設の早期整備について、与那原のマリンタウン線から西原町の工業団地まで、これは沖縄で一番の工業団地でありますけれども、その整備促進について御説明をいただきたいわけであります。

 さらに、西海岸側は、五十八号線バイパスの西海岸道路の整備促進について、平成二十年度の概算要求に向けた事業の展開について御説明を願いたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国道三百二十九号線のバイパス道路整備でございますが、現在、与那原バイパス及び南風原バイパスとして事業を行っているところでございます。与那原バイパスにつきましては、平成十六年度から工事着手をいたしまして、昨年三月にはマリンタウンプロジェクト内の区間において部分暫定供用を行っております。また、南風原バイパスについては、平成十五年度に工事着手をいたしまして、昨年三月までに部分暫定供用を行っております。これらのバイパスの整備につきましては、引き続き鋭意事業を推進してまいりたいと考えております。

 その他の地域につきましては、将来の交通量等を勘案しつつ、事業の必要性などについて引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、国道五十八号線沿いのバイパス、沖縄西海岸道路でございますが、読谷村から糸満市に至る全体延長約五十キロの地域高規格道路ということでございまして、沖縄の幹線道路ネットワークの骨格を構成する重要な道路でございます。現在、那覇地区、豊見城・糸満地区などで鋭意事業推進を行っているところでございまして、本年三月には豊見城道路を暫定供用しております。今後、那覇地区においては平成二十二年度に那覇西道路、また豊見城・糸満地区においては平成二十三年度に糸満道路、豊崎交差点立体化が供用予定となっているところでございます。

 その他の地区も含めまして、今後とも重点的に整備すべき道路といたしまして事業の推進を鋭意図ってまいりたいと考えております。

安次富委員 ぜひ積極的な道路整備の充実、促進をお願いいたします。

 次に、平沢副大臣に、せっかくおいででございますから質問をさせてください。

 一昨日の土曜日、沖縄の那覇市奥武山公園で、WTO、EPA交渉に対する食と農と暮らしを守る六・一六沖縄県民大会が開催され、農家や農業団体、経済団体等一万人以上の人々で埋め尽くされ、沖縄農業の危機を訴える大集会がございました。県の基幹作物であるサトウキビ、肉用牛、乳製品、酪農、パイナップルを関税撤廃品目から除外するよう求める大会決議が採択されたところであります。そして、そのことの成り行き次第では沖縄農業に深刻な影響を与えるということでございます。

 内閣府としても、これは沖縄全体の問題であり、小さな島の大きな問題であるととらえ、沖縄農業をどう振興し、どう守っていくか、沖縄の農業振興の立場から御所見をお聞かせください。

平沢副大臣 今御指摘がありましたように、沖縄の地域振興を図る上で沖縄での農業の果たす役割は極めて重要であると考えておりまして、内閣府では、沖縄振興計画に基づきまして生産基盤の整備の促進などを図っているところでございますけれども、そうしたものを通じまして、沖縄の地理的特性を生かした農業の振興に努めているところでございます。

 それで、今お話がありました沖縄農業につきまして、重要な品目としてはサトウキビとか肉用牛、酪農、パイナップルなどがあるわけでございますけれども、これらの関税がもし撤廃されたという場合には、推定で直接影響額が二百二十九億円、波及効果を含めますと七百八十一億円、こういった試算もあるわけでございまして、その影響は極めて甚大と認識しているところでございます。

 したがいまして、WTOあるいは日豪EPA交渉につきましては、沖縄農業への影響を十分踏まえまして、守るべきものはしっかりと守る、こういう政府の方針のもとで、関係省庁と連携して適切に対処してまいりたいと考えております。

安次富委員 ぜひ、内閣府としても全力でその問題に取り組んでいただきたいと思っております。

 最後に、ことしもまた六月二十三日の慰霊の日を迎えます。沖縄県民全体が深く黙祷をささげ、沖縄戦を直視し、亡くなられた全戦没者のみたまを慰めるのであります。私も毎年追悼式に参加をしておりますが、一回だけ間に合わずに、途中で正午、十二時になったものですから、車からおりて、その場で一分間の黙祷をささげました。周りはちょうどサトウキビ畑で、静かな中でサトウキビが風にそよぐ音がざわわと聞こえてきまして、とても胸が熱くなり、母から聞かされた戦争当時の悲惨な話を思い出しました。そしてまた先日は、隣においでになる仲村正治先生からも、戦争のときの悲惨な話も聞かせていただきました。

 母は、いつも私に言います。政治家として、どんなことがあっても戦争があったということを忘れてはならない、今、今日生きていられることの大事さを常に肝に銘じていきなさいということを言われます。私はマザコンでありますから、いつも母親には頭が上がらないんですけれども。

 沖縄が六十二回目の慰霊の日を迎えることし、高校の歴史教科書から、沖縄戦での集団自決に対する日本軍の関与に関する記述が削除されたという問題は、本当に残念であります。集団自決に追い込まれたことは事実であり、軍から手りゅう弾を渡されたことも多くの証言で明らかであります。しかも、事実はもっともっと残酷であり、むごいものであったと思います。軍命によるよらずにかかわらず、軍国主義という時代そのものが、住民が戦争に巻き込まれ、集団自決へと追いやられていったと思います。

 悲惨な沖縄戦の実相を真っ正面からとらえていかなければならないし、そのことをいささかも損ねることがあってはならないと考えますが、この問題について沖縄担当大臣としてどういう御見解をお持ちか、最後にお聞かせいただいて、質問を終わります。

高市国務大臣 沖縄戦は国内最大の地上戦と言われ、一般の住民の方を巻き込んだ、それは悲惨な戦いであったと承知しております。私自身も記録ビデオを今まで何度も見たことがあります。そんな中で、集団自決という本当に悲しい出来事も起こったことだと思います。

 この教科書の記述、また検定につきましては、残念ながら、文部科学省の所管でございますので、私から具体的にこれに対してのコメントは申し上げませんが、沖縄を担当する大臣として、そういった沖縄県民の方々が味わった痛み、苦しみ、それから、大きな被害を受けたところから歯を食いしばって立ち上がってこられたといったことも含めて、そして平和への思いも受けとめた上で、十分に沖縄の振興に力を尽くしたいと思っております。

安次富委員 ありがとうございました。終わります。

安住委員長 丸谷佳織さん。

丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、今月、ドイツのハイリゲンダムで行われましたG8におきまして日ロ首脳会談が行われた、これは、安倍総理とプーチン大統領、二回目の日ロ首脳会談となったわけでございますけれども、領土問題も含めまして、多岐にわたって非常に充実した、短いながらも充実した議論が行われたというふうにお伺いをしておりますので、その点につきましてお話をお伺いしたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、二〇〇三年に日ロ行動計画が作成をされました。日ロ首脳会談あるいは外相会談等が行われるたびに、これは非常に重要であり、着実な実施をという話が行われております。これが大事であるという確認を毎回毎回していくことは非常に重要なことでありまして、また、それを実施して結果を出していくということも重要なことでございますけれども、その中に含まれます、領土問題を解決して平和条約を締結するといったことに関して特にどういった進展を見ることができるのかということを、特に北海道の一員としては非常にやはり期待をしながら、いつも会談結果を待っているところでございますが、行動計画の実施の評価とは裏腹に、なかなか領土問題というのは解決の行方というものが見えてこないことに対してのいら立ちというものも特に旧島民の方はお持ちのことと思います。

 そこで、まずこの日ロ首脳会談におきまして、領土問題解決に向けてどのような議論がなされたのか、この点からお伺いをいたします。

麻生国務大臣 六月七日に、ハイリゲンダムというところで日ロ首脳会談が行われております。

 今、お話がありましたように、平和条約締結につきましては、日ロ行動計画というのを二〇〇三年でしたか四年でしたかに決められておりますので、これが一番、この種の交渉をやるときには最も重要な、一番核になって今話を進めておりますが、そういうものが重要だということを双方で一致した上で、安倍総理の方から、領土問題を先送りとか棚上げとかいうことではいわゆる問題は最終的には解決しないから、したがって、こういったものをきちんと棚上げしないで解決させねばならぬ、交渉を促進させようという話を述べておられます。それに対して、プーチン大統領の方からは、両国間の障害となるものをすべて取り除きたい、平和条約交渉のプロセスを停滞させず、促進させるよう改めて指示を出したいという旨述べております。

 会談において、この北方領土問題にかかわる解決を図るという意思が双方にあるというのをきちんと確認するところ、大統領がかわったり総理がかわったりしたらきちんとそれを言い続けるところが、この種の国際交渉、二国間交渉においての継続性で最も大事なところの一つなんですが、いずれにいたしましても、そこのところで交渉を継続しということで一致をいたしております。

 その上で、この帰属の問題ということに関しましては、これまでの経緯も、これまで約六十二年ぐらいになりましょうか、そういったものの間でずっとこの種の問題はくすぶり続けているわけなのであって、そういったものが簡単にいくわけではありませんけれども、日本側の方としては、こういったものは解決されていないということをきちんと我々認識した上で言い続けるという、そういった粘り強い意思が必要だということなんだと存じます。

丸谷委員 今、外務大臣から御説明をいただきました。

 プーチン大統領は、この領土問題を棚上げしない、あるいはこの領土問題解決に非常に前向きであるという、私は大統領としての役割認識というものはお持ちになっている方なんだなというふうに実は思って、期待をしていた部分もあるんですけれども、最近のロシア国内政治ですとか、あるいは六月にラブロフ外務大臣が国後を訪問する等の動きを見ていると、プーチン大統領の任期切れが迫っている中で、果たして、この領土問題の解決のためのロシア国内の議論であったり、あるいは日ロ両国間の議論がどこまで進んでいくのか、あるいはどこまでやろうという意欲がプーチン大統領にあるのかに関しては、非常に危惧を抱かざるを得ない思いがしております。

 今回の日ロ首脳会談におきまして、例えば六月の外務大臣の国後訪問についてこちらから問題提起というものはなされたのでしょうか。この点についてお伺いいたします。

麻生国務大臣 まず最初に、プーチン大統領の方から、先ほども申し上げましたように、促進させるよう改めて指示を出したい旨を述べた後を受けて、会談の中でプーチン大統領から、第二次世界大戦の結果に立脚すべきである、これはよくロシア側が言うせりふですけれども、この種の否定的な発言は一切されなかったのは事実だろうと存じます。この問題に関しては、私どもとしては、こっちの都合のいい解釈をさせていただければ、プーチンにはその意欲が非常にあるというようにこの種の一連の発言から想像しているわけです。ただし、それが正しいかどうかは常にこの種の話ではわかりませんので、そういった点を私どもとしては踏まえた上で、基本的に粘り強くやっていかねばならぬということだと思います。

 また、ラブロフ外務大臣の北方四島の視察の件につきましては、私どもとしては従来より、要人が北方領土を訪問するということによって、別に外務大臣に限りませんけれども、そういったものに関しては領土問題の交渉に否定的な影響を与えることがないように十分に注意を払ってもらわなきゃならぬということは会談でも何回も取り上げてきたところではあります。今回、限られた時間の中ではありましたけれども、前向きの姿勢で会談が進んだことは確かだと思います。私は今回出席していませんけれども、前回のハノイのときとは大分雰囲気が違っているというのだけは読み取れるところではあります。

 その上で、プーチン大統領に交渉の促進を図るという明確な姿勢があり、自分で指示をすると示されたということがありますので、そういった意味では、これまでも累次日本からさまざまずっと言い続けてきた話でもありますので、今回の三十五分だか四十分だかの限られた時間の中で、ラブロフ外務大臣の北方四島に関する問題を私らの方から改めて指摘したということはありません。

丸谷委員 G8サミットが行われる直前にロシアの外務大臣が国後島を訪問するということ、この行為が日本の、特に北海道あるいは領土問題に非常に熱心に取り組んでいただいている方々に与えるメッセージ性というのはロシア側もわかっているでしょうし、また、それを意図して国後を訪問したのではないかもしれませんけれども、いろいろな国内事情、視察ということがあったのかもしれません、クリルの開発ということがあったのかもしれませんが、そこが外交交渉に与える影響あるいは日本国の世論に与える影響を十分に考えていただいてロシア側にも行動をとっていただきたいというふうに私は思っております。

 続きまして、日ロ行動計画を強化する一つとしまして、極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブというのがございます。これは、極東・東シベリア地域における協力強化というものを地域を限定して行われているものであって、地域を限定するということがアジア太平洋地域にこれから与えていく影響性を考えると非常に重要なものだというふうに認識をしております。

 内容の概要をお伺いしたわけなんですけれども、エネルギーですとかあるいは運輸、情報通信、環境、その他、安全保障、保健・医療等々の協力がそれぞれうたわれております。文章を読んでみますと、どれもこれもそのとおりでございますと納得のいくものばかりなんですが、やはりサハリン1、サハリン2の経過と結果を見たときにどうしても、本当にこのとおりにいくのかなという気がしてならないわけですね。特にエネルギーに関しては、サハリン1、サハリン2の結果を見たときに、日本側が権益を失ったという結果を見たときに、本当に日ロ間の互恵的な結果を導くことができるんだろうか、互恵的な協力体制はとれるかもしれないんですけれども、その結果がウイン・ウインになるんだろうか、これを非常に危惧しているところでございます。

 この重要な極東・東シベリア地域における日露間協力強化に関するイニシアティブを実行するに当たって、民間企業だけに頼らない、強力な行政側、国のバックアップ体制がより必要になってくると思います。この点について御見解をお伺いいたします。

麻生国務大臣 今のサハリン1、サハリン2の話というのは御存じのような話になっておりますが、丸谷先生、一つだけ。

 この種の開発をやるには技術が要るんです。そして、いろいろな意味での、酷寒の地でやるに当たりましては、それをくみ上げる技術というのは実はロシアにはありません、その技術を持っているのはこの開発をやってきた民間の日本の会社であり、アメリカの会社が持っておりますので、そういった意味では、これがやった後もしおかしなことになった場合はとまりますので、それは向こうも損、こっちも損ということになろうと存じます。それが一点。

 この種の話では何となくとられた話が出てくるのは事実なんですが、同時に、とった側にしても、では後はおたくで勝手にやったらと言われたら向こうはできないこともまた確かなんです。そういった意味では、これは両方で組まないとどうにもならぬという話だと思っております。

 二つ目は、日本の方としてはエネルギーを、石油に限って言わせていただければ、今大体九〇、九一%ぐらいは中近東に日本の石油は頼っております。ちょっと極端に偏り過ぎて、少なくともオイルショックのありました一九七一年当時は七〇%ぐらいだったと思いますから、約二〇%ぐらい中近東に依存度がふえた。それは、こっちは省エネ技術をやって物すごく進みましたけれども、いわゆるメキシコとかほかのところから輸入していた分が、向こうの輸出ができなくなったものですから、その分がこちら側の中近東の方に寄ったというのが歴史というか、この三十数年間の事実でもあります。その意味からいきますと、こういった東シベリア等々のところに供給先を分散させるというのは、国家でこの種の安全を考えたときには正しい一つの手段だと思っております。

 したがって、この種の話は、日ロ間の協力強化に関するイニシアチブという例の話で、今いろいろプロジェクトをやらせていただいた中に電力とかいろいろありますけれども、そういった中で、相互利益になる、ウイン・ウインになるのよという話を向こうにも理解させるのはすごく大事なところであると同時に、こちら側としてもこの種の話の必要性というものを正しく理解しておかないかぬところだと思っておりますので、互恵的な協力というのにならざるを得なくなるだろう、これは少々時間がかかるかもしれませんけれども、互恵的な関係にならざるを得ないということになるだろうと思っております。

 それから、この種の政府の話がございましたけれども、これはもともと民間の話だったんですけれども、政府としては、たしかJBICやら何やらが、結構資金やら何やらをいろいろやっておりましたので、そういった意味では、この種の話を今後、これはアメリカの大きな会社もかんでいますので、そういったところで日米で一緒になってやっていくということが出てくる可能性というのは決してないわけではありません。

 今後さらに話が、もっとよこせという話になってきたら、今、五〇・一対四九・九になっていますけれども、そういった部分をもう少しという話になってきたときに、さらにこちら側としては政府の出番ということが全くないというつもりはありませんけれども、少なくとも今民間のところで話が進んでおりますので、その意味で、我々として資金やら何やらの点等々は今後とも日本としては考えていかないかぬところでしょうし、向こう側も資金の面についてはそんな潤沢ではありませんし、技術の面、そういった面も含めて、今後、双方でウイン・ウインな関係になるようにしていくということだと存じます。

丸谷委員 ぜひそのように、ウイン・ウインの結果になるように努力をしていただきたいわけでございます。

 しつこいようですが、サハリン1、サハリン2の経過と結果を見てみますと、途中では合意していたはずなんだけれども、結果に近づいてくるに従って環境に対する意識が変わったりとか、あるいはロシアの国内法が変わったりして、最初の経過とは非常に違った結果が向こうの意図によって導き出されているということもありますので、特に企業をバックアップする体制というのは経産省の方もそうでしょうし、外務省もそうでしょうし、一致団結して安倍内閣として取り組んでいただきたいと思います。

 そもそも論で恐縮なんですけれども、互恵的な関係、協力はよろしいんですが、こちら、日本の益というのはどういったものが想定されているのか、特にエネルギー、運輸、情報通信については、日本の技術をもって協力することで日本としてはどのような益を得ることを想定して交渉しているんでしょうか。

 この点は政府参考人の方でも結構ですので、お伺いいたします。

原田(親)政府参考人 今、情報通信について例を挙げられましたけれども、これは既に民間ベースで協力が進んでおります。

 NTTあるいはKDDIが光ケーブルをロシアの大陸部とつなげて、これをヨーロッパ方面の通信に使うということで、これまではアメリカ方面のケーブルしかなかったわけですけれども、これに代替の光ケーブルができるということで、これはまさに日本にとっても非常に利益になるということだろうと思います。

 運輸につきましては、まだこれは話が当事者同士で開始されたばかりでございますけれども、この運輸、鉄道面がまだまだロシアの中では近代化されておりませんので、日本からの運輸にも使えるような鉄道網がロシアの中でできれば、それはまだ時間がかかるでしょうけれども、かつてソ連時代にはシベリア・ランドブリッジというのがございました。今は海でしか欧州方面に運べませんので、これが陸で運べるようになると、それはまさに日本にとっても非常に利益がある分野での協力になろうかと思います。

 とりあえず例として申し上げました。

丸谷委員 昨年の十二月ですか、外務省にもお世話になりまして、ロシアを訪問させていただきまして、情報通信大臣ともお会いをさせていただくことができました。日本をハブとしてアジア太平洋地域にこの情報網を広げていこうといった構想もお持ちでありまして、そういった意味では、結果として、情報通信でより短時間で結ばれることによって日本の企業にも利益が出るということになってくるでしょうし、物流に関しては、日本からEUを通してロシアに行っていたものが日本からロシアに行くということで、日本の企業あるいは市場にとって非常にいい影響が出てくる。こういったところをしっかり結果としてかち取っていただけるような形で、また交渉を進めていただきたいと思います。

 次に、青年交流の重要性が、日ロ首脳会談においては行われました。既にこの青年交流事業においては、これは外務省の予算の中で行われているものと承知をしております。次世代を担っていく、次の世代の日ロ関係を築いていく青年の交流を図っていくという重要性は言うまでもございませんけれども、今まで招聘・派遣事業ですとか、日本語教師派遣支援事業、若手研究者フェローシップ事業等が行われて、それぞれ実績が出ておりますけれども、最近、予算も含めてこれが先細りしているような見方もできます。

 この青年交流事業について、今回、来年は北海道でサミットも行われますけれども、これを機にまた充実させていこうというコンセンサスが得られたようでございますが、これはどのような形で行っていこうとしているのか、具体案をお伺いいたします。

原田(親)政府参考人 ただいま委員が御指摘になりましたように、日ロ間の青年交流というのは、一九九九年に日ロ間で日露青年交流委員会を設立して以来、青年のグループの招聘や派遣あるいはロシアの大学への日本語教師の派遣など、これまで延べ千八百七十名の交流事業が実施されてきております。また、ことし九月には、来年サミットが開催される北海道におきまして、日ロの学生約六十名が参加する日露学生フォーラム二〇〇七が開催される予定でございます。

 ハイリゲンダム・サミットにおきましても、青年交流については首脳間で取り上げられました。安倍総理からは、青少年交流は将来の日ロ関係発展の基礎として重要であるとして、今後、交流の拡大を図ること、そして来年のサミット開催地である北海道及び環日本海諸県とロシア極東やシベリアとの交流強化を重視していくことを提案されまして、プーチン大統領も、そのとおりだということで賛同されました。

 このような首脳間の合意を踏まえまして、日ロ間の青年交流をさらに発展させるための具体的方策を今後両国間で検討してまいりたいと思っております。

丸谷委員 どういうことをしていこうかというのはこれからですというお答えだったと思うんですけれども、日露青年交流委員会の拠出金、繰越金、財政面を見てみますと、平成十年度には繰越金だけで見ますと十九億ございましたけれども、平成十九年度では一千万円しか繰越金として残っていないわけですね。拠出金額としても、十四年度、十五年度、十六年度、十七年度と拠出ゼロになっております。ですから、拠出がゼロになっていてどんどん使っていくだけですから、繰越金が減っていくのは当たり前でございまして、これは非常に細々とした事業になっていると指摘せざるを得ません。

 日本の経済も、打ち出の小づちを振ればお金が出てくる状況ではございませんので、今の拠出金は日本だけの拠出金だと承知をしております。今後ロシアも、どれぐらいの額かは別にしまして、日ロ双方で拠出をしていけるようなそういった仕組みをつくる外交交渉をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおりでして、私どもとしても、そちらは石油で随分銭も入ったようだからいいかげんに出したらどうだという話を昨年からしております。もう少し品よく言っておりますけれども、そう言っております。現実問題として、あれを受けまして昨年開かれました日露学生フォーラム、これはモスコーでやったんですけれども、日本側代表団のモスクワ滞在費はロシア側が出しております。

 そういった意味で、こういった形ではロシア側の応分の負担というのを今後ともやっていかないかぬという御指摘は正しいと思っておりますので、私ども、その趣旨を踏まえてやってまいりたいと存じます。

丸谷委員 ありがとうございます。

 では最後に、漁業問題について、どのような交渉が行われたのか、お伺いをしたいと思います。

 漁業問題については、プーチン大統領が年次教書演説で外国企業への漁獲割り当て量の配分停止に言及したことを受けまして、日本の漁業、特に四島周辺水域で漁業を営んでいる皆さんは非常に懸念を抱いております。このことに関して、一つには、四島周辺の安全操業枠組み協定等の既存の枠組みが交渉として守られていくのかどうかということが一点。また、活ガニの輸出禁止措置が我が国に与える影響をどのように見て、どのような申し入れをしたのか、提案をしたのか。

 この点について、最後、水産庁と外務省、それぞれお伺いいたします。

麻生国務大臣 水産庁からあるんだと思いますが、私の方から。

 今の話はプーチン大統領の話だと思いますが、ことしの四月に、外国企業への漁獲割り当ての配分は停止すべきであり、加工業を発展させつつあるロシア企業への配分が望ましいという旨を連邦議会においての年次教書演説でしゃべったという例の件だと思っております。

 他方、このプーチン大統領の演説というか発言を受けまして、ロシア側において今いかなる具体的な行動がなされているかというと、これは全く、そういった具体的な行動がなされているというような雰囲気ではありません。

 いずれにいたしましても、既存の枠組みはもう既にありますので、この枠組みを否定されるとか壊されるとかいうような話になると、これは影響が極めて大きいということははっきりしておりますので、日本としては、これはラブロフでしたから、訪ロのときに、私の方からこの話を申し入れております。こういった話というものは、基本的に両国間の協力というものがないと、これはほかにも影響が出てくるからということで。

 また、ハイリゲンダムで行われた日ロ首脳会議においても、安倍総理の方からプーチン大統領にこの点については申し入れを行っておりますので、今後の交渉ということになっていくことと存じます。

山下政府参考人 水産庁でございますが、ロシアからの活ガニの輸出の問題につきましては、引き続き事実関係の把握に努めているところでございますけれども、今回のロシア側の措置が我が国への活ガニ輸出に実際にいかなる影響を及ぼし得るかについて、現段階ではなかなか明らかではない状況にございます。

 このため、現段階におきましては、国内の影響に関して、その詳細について申し上げられる状況にございませんが、今後とも注視してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

丸谷委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

安住委員長 次に、山田正彦君。

山田委員 きょうは外務大臣も来ていただいております。

 実は、今度の参議院選挙、まことにどうなるかわかりませんが、もし安倍政権がどうなったかとなると、ポスト安倍の、後を担当されるやもしれない麻生外務大臣に、今何やらメモを読んでおられますが、外務大臣というより、将来、ポスト安倍をねらうような、総理大臣をねらうような方として、沖縄の離島の問題も含めて、ひとつよく御理解いただければと思って、少し残って質問させていただければと思っております。

 ところで、私ども沖縄北方委員会におきましては、先般、南大東島に離島の視察に行ってまいりました。我々は飛行機で行ったわけですが、南大東島は船だと十三時間もかかる。飛行機の運賃が片道二万二千八百円。では、那覇から、同じ南大東じゃなくて、東京まで行く運賃はどうかといいますと、今はほとんど特割を使う方が多いんですが、二万三千四百円。ほとんど変わらない。ところが、南大東島と那覇の距離は四百十四キロなのに、那覇から東京の距離は約四倍、千五百七十五キロある。沖縄の離島、南大東島は四分の一の距離なのに運賃がほとんど変わらない、それだけ高い。これはなぜなのか。

 南大東島にとって、私どもの対馬とか五島とか壱岐とか、離島にとって飛行機というのは大変大事なんですが、今そのような状況に置かれております。

 ところが、調べてみますと、沖縄に行く航空運賃の燃料代の軽減措置、これが二分の一。ところが、同じ沖縄県でありながら、南大東島に行く、沖縄の離島に行く運賃助成については四分の一しかない。いわゆる沖縄の運賃の助成分の半分しかない。同じ沖縄県でありながら、これだけ違う。これはどうしてなのか。国土交通省の担当副大臣、ひとつお答え願いたい。

渡辺(具)副大臣 委員の御指摘は、同じ沖縄でありながら、本島と離島では運賃が違うのはなぜかと。その理由は、航空機燃料税の負担軽減が、本島では二分の一なんだけれども、離島では四分の三になっているからではないか、そこを、どうしてそういうギャップをつけるのかという御指摘だろうというふうに思いますが、この軽減措置の政策目的、あるいはその背景がやはり違うということ。それから……(山田委員「端的に」と呼ぶ)端的に申し上げますと、沖縄の歴史的な事情や米軍基地の問題、そういう特殊な事情を踏まえまして、沖縄の振興のために、また観光振興に資する目的で、二分の一にいたしております。

 離島の方は、そういう燃料税の軽減措置のほかにも、機材の購入等々に対して総合的に支援をしておりまして、政策目的あるいはその支援の手段が違うということでございまして、燃料税だけを比較するとそうなりますけれども、全体で我々は考えているつもりでございます。

山田委員 それでは副大臣、ほかの機材に対する助成とかその他において、では沖縄本島じゃなく沖縄の離島、日本のほかの離島も含めてですが、それに対して同じような、あるいは、沖縄の離島は沖縄本島よりも燃料代については高くしているから、それよりも便宜を図っているという事実がほかの助成策で何かありますか。ないならない、あるのならあるで答えていただきたい。

渡辺(具)副大臣 特にほかのものについての差異について、今、手元に調べたものがありませんので、思い当たりません。

山田委員 私が調べていろいろ勉強させていただいた中には全くない。それでいて、同じ沖縄県でありながら、沖縄の本島と我々が視察に行った南大東島、そこの航空機の燃料軽減が半分、倍違う。これはおかしい。これについて麻生外務大臣、これは担当とは違いますが、将来、日本を担う総理大臣ともなろう方に、その矛盾についてはどう思われるか、ひとつ。

麻生国務大臣 山田委員、答弁でも、あらかじめ言っておいてもらえばそこそこ言いようがありますが、いきなり言われて、ちょっと違うけれどもどうやと言われても、余り無責任なことは言えません。あらかじめ言っておいていただくと、もう少し勉強します。

山田委員 それでは、沖縄担当大臣、感想で結構ですが、今お話をずっと聞いておられたと思いますが、おかしいと思いませんか。

高市国務大臣 この税制に関しましては国土交通省の所管ですが、先ほど説明がありましたとおり、やはり政策目的が違うということがその理由なんだろうと思います。

 ただ、離島に関しましては、やはり地域住民の日々の生活に不可欠な路線ですので、そこで、航空機の燃料税の軽減率は違うけれども、少ないけれども、それでも運賃割引を離島住民に対して実施していただいておりますし、また、県管理空港の着陸料も大幅に軽減していただいていると思います。

 私の立場からいいますと、やはり主に産業振興ということになりますと、離島観光を一層ふやしていくということによって需要がふえることで、運賃という面ではこれから随分改善が見られるんじゃないかなと思いますので、そちらで力を入れていきたいと思います。

 そしてまた、この燃料税なんですけれども、空港がある地方自治体にもお金が使われているものでございますから、そちらの財源をやはり確保しなきゃいけないということも考えながら、バランスよく国交省の方でも御検討いただきたいなと考えています。

山田委員 この件については、国交省の担当副大臣がお見えでございますが、いわゆる沖縄の離島だけでなく、全国の離島においては、航空運賃の燃料については、それは大変今困っております。非常に高い運賃で、そういう意味では、沖縄本島だけ二分の一にして、ほかのところを四分の三にするというのは、これは私はおかしいと思う。そういう意味では、これから先ぜひ御検討願うとしても、やはり運賃が高い。運賃が高いというのは、これは着陸料にも問題がある。

 着陸料、これは今、沖縄から羽田に来るときの航空運賃、普通ならば、どこでもそうですが、着陸料が三十万、さらに着陸料より高いのは航行援助施設利用料、これがジャンボ機の場合には四十五万ぐらい。そういう非常に高いものが、空港整備特別会計というんですか、そういうところに行っているわけです。

 そうしますと、着陸料とか航行援助施設利用料、こういったものを離島に関してはさらに引き下げていかなければ、みんな高い航空運賃に困っている。その点についてはどうお考えですか。

渡辺(具)副大臣 空港利用にかかわる料金につきましては、着陸料を初めといたしまして、航空会社が支払う料金のみならず、旅客サービス施設使用料など旅客が直接払う料金もあることから、着陸料だけに着目するのではなくて、旅客一人当たりが負担する料金に着目する必要があります。

 そういう面で、まず、着陸料につきましては、空港整備特別会計に繰り入れられまして、これは、世界でも有数の経済規模を有します我が国の経済活動を支える空港整備をやっております。そういう貴重な財源になっております。

 また、委員御指摘の航行援助施設利用料につきましても、航空機が安全、効率的に航行できますように徴収がされておりまして、安全のために貴重な財源になっております。

 そういうところでありますが、離島航路につきましては、そうはいいながら、これを支えてあげる、支援するという立場から、国管理空港の着陸料及び航行援助施設利用料ともに、ジェット機の場合でありますが、六分の五軽減して、六分の一まで下げております。

 したがって、離島航路にかかわる着陸料をさらに軽減しろというふうに私は受けとめましたが、現状ではもう六分の一まで軽減しておりますし、そして、これらの財源は、先ほど申し上げたように、大変貴重な空港整備ですとか安全の確保に使っておりますので、現在これをさらに軽減しようということは甚だ厳しい問題であるというふうに思っております。

 そして、先ほども申し上げましたように、離島航路については、総合的な支援措置の中でその確保を図っていきたいというふうに考えております。

山田委員 今、沖縄から羽田に着く分の着陸料等々については六分の一にしているということですが、むしろ逆に、石垣島から直接羽田に来るときの着陸料、それについても同様と考えていいんですか。

渡辺(具)副大臣 軽減いたしております。(山田委員「同じような率で」と呼ぶ)はい。

山田委員 沖縄本島と沖縄の離島、それについては、先ほどの航空機燃料減税については差別がされておった。ところが、着陸料については同じだと明快に答えていただきましたのでそれで結構なんですが、離島にとっては、これから先も非常に航空運賃というのは大事です。

 例えば、私が今住んでいるところの離島もそうなんですが、やはり、いざというときには飛行機で行くしかない。飛行機について何とか安くならないかというのが島民の、いわゆる本土に住んだらそれだけの負担はかからないわけですから。南大東島から、だれかが病気になって親戚の人が沖縄にいるとなったら、往復だけで五万ぐらいかかってしまうわけです。だから、そういったことから考えて、離島に対する運航費助成、例えば、船では赤字路線の場合に助成をやっていますね。それが飛行機の場合には非常に少ない。いろいろ調べたら、二億ちょっとぐらいの助成はあるようですが。

 例えば、対馬から福岡、この航空運賃がさらに上がりました。七月からまた上がります。それでみんな大変困っているわけですが、そういった場合に、どんどん離島の航空運賃を上げるんじゃなくて、運賃助成、これを、船では三十八億やっていますが、飛行機では今二億ちょっとぐらいでしょうか、それについて、島民の声としてもうちょっと何とかしてほしいという声は非常に大きいわけです。

 これは、副大臣、どうお考えでしょうか。同時に、沖縄の離島にとってみて切実な声だと思うんですが、いわゆる沖縄担当大臣も、どうお考えか、端的にで結構ですが、お答えいただきたいと思います。

渡辺(具)副大臣 航空につきましても、あるいは内航につきましても、運航費の欠損に対して補助をいたしております。

 その補助の仕方は、細かくは少しずつ違うわけでございますが、経常損失の、切り詰めた場合の経常支出で計算して、その場合の損失の五割近く、片方は五〇と四五とぐらいの違いがありますが、おおむねそういった程度の補助をいたしておりまして、企業としては一応の損失の補てんはできておるんじゃないか、航路を何とか維持するための支援はできているんではないかというふうに考えております。

高市国務大臣 航空運賃それから船の方の航路の運賃でございますけれども、それぞれ、県そしてまた事業者による割引運賃制度もございます。国が実施しているような航空路、航路に関する支援策も、今後とも沖縄県や国土交通省と相談をしながら進めてはいきたいと思います。

 私にできる一番大きなことは、今谷本政務官に随分離島に入ってもらっていろいろと地元の声を集めておりますので、少しでも、離島路線の事業採算性がきちっととれる、それを利用者に還元できる形をつくっていくために努力をしてまいりたいなと思っております。

山田委員 この離島路線の助成の問題で、いわゆる損失率でその損失をカバーするという考え方のようですが、例えば、全日空とか大きいところが、福岡―対馬、福岡―五島とか、あるいは沖縄とか、そういうところを飛んでいるわけです。そういった場合に、全体の損失で助成ということは無理だと思うんです。そうすると、離島の路線ごとの損失についての助成、運賃をどんどん上げるのではなく、そういう形で検討していただきたい。

渡辺(具)副大臣 先ほど答弁申し上げました赤字補てんの考え方は、全体ではなくて航路別に考えて、航路別の赤字に対する補てんというふうに考えております。

山田委員 そうしていただければ大変ありがたいと思いますが、何としても離島航路を下げる、何とか使いやすいように、運賃を上げずに今のまま、もしくは下げたいとすれば、もう一つは機体に対する助成なんですね。これは離島振興法の中でも随分やってきて、九割まで助成できるということにはなっております。

 沖縄の路線については、そのうち七五%までは国が負担するということになっているようですが、これは沖縄の離島路線についても同様に考えていいのかどうか。そして、同時に、沖縄だけでなく、隣の奄美大島とか甑島とか、小笠原を含めていろいろな離島が全国にあるわけですが、小笠原は飛行機は出ていませんけれども、そういったところの助成については、飛行機相当分においては四五%しかない。これは沖縄だけ優遇しておるわけですが、いわゆる国交省の担当副大臣として、ほかの離島について、この点は同じように、同じ離島に住む者にとっては、同じような条件で同じような状況の中にある、そうすればそう考えるべきじゃないかと思うんですが、副大臣。

渡辺(具)副大臣 一つを取り上げるとそういう違いが、沖縄本島と離島全般にわたって違うわけで、同じ離島という、沖縄の中で違うのが矛盾しているように見えるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、沖縄本島に対する支援措置というのは、先ほど私が申し上げたような背景なり政策目的があるわけでございまして、そこは違うのは私どもとしては当然ではないかと。

 そのかわり、先ほど申し上げたように、そこだけをとらえるのではなくて、離島については全国的にいろいろな支援措置を講じて一生懸命助けているわけでございますので、その点を御理解いただきたいというふうに思います。

山田委員 沖縄だけ違えるのは当然じゃないかというのはどういう意味ですか、沖縄の離島だけ違えて当然だというのは。

渡辺(具)副大臣 沖縄の離島だけではなくて、沖縄本島と離島との差はあるわけでございますが、同じ沖縄の中で見ると本島と離島の差があるわけでございますが、それは先ほど申し上げたような政策目的が違うし、離島はまた別途の支援措置もして、一生懸命支援をしておるわけでございますので、その点を総合的に御理解いただきたい、こういうことでございます。

山田委員 きょうは航空局長もいらしていますか。監理部長ですか。では、監理部長にお答えいただきたいんですが、確かに、今申し上げました沖縄の離島と本島の差、いろいろな問題も大変なんですが、同時に、全国の離島において、すぐ隣の奄美大島についても、離島にとっては同じような問題を抱えているわけです。一方は七五%機材の助成、国の助成ですよ、一方は四五%。そして、航空機燃料税も違うというのは、それは沖縄の戦後のいろいろな問題があるとしても、もう今ここに至って、離島にとっては、それは奄美大島も沖縄も離島も一緒なんじゃないか。そういう意味で、むしろ、離島のますます過疎になっている現況、厳しくなっていく現況を見れば、同様にすべきじゃないかと思うんですが、監理部長、どうお考えでしょうか。

久保政府参考人 御説明させていただきます。

 沖縄につきましては、冒頭副大臣の方からお話ししましたように、やはり過去の歴史的事情だとか現在置かれている状況から、差異があるのは事実でございます。

 ただ、離島路線については、やはり総合的にいろいろな措置を組み合わせて、税金、着陸料、あるいは税金も固定資産税も含めて、各種の助成措置をとって離島路線を維持していく、こういう方法をとっております。ですので、部分を見ますと、副大臣からお話ししましたように差異があるんですけれども、総合的に離島については支援措置を講じてその路線を維持していく、こういう考えに立ってやっていきたいと思っております。

山田委員 総合的に、総合的にと先ほどから言っているんですが、総合的な離島への助成策を四つ、五つあるのを全部僕は述べていっているので、何も総合的にという枠の中で答えてくれと言っているわけじゃないんです、これは。

 だから、機体の助成にしても燃料代の助成にしても差がある、離島間でも差があるし、沖縄と各離島でも差がある、これはおかしいんじゃないでしょうかと言っているわけだ。それを、総合的にと。では、沖縄の離島よりもよその離島を余計その分だけ手厚くしていますというわけじゃないわけで、むしろ、同じ離島に住む国民として同じような扱いをする、特に、離島にとっては今大事なところだから、どうですかと聞いているわけだ。それについて、これから検討したいといえば検討してもらっていいし、検討する気持ちがないといえばないでいいですし、どちらかでお答えいただければありがたい。

久保政府参考人 沖縄の路線につきましては、航空だけじゃなくて、いろいろな制度でも差異があると思いますけれども、沖縄については、総合的という言葉を使うとあれでございますけれども、燃料税、固定資産税、着陸料、管制の支援料、その他補助金など、いろいろ沖縄についての配慮をした上で差異が出ているものでありますけれども、何度も申し上げて恐縮ですけれども、離島路線については、航空会社が維持するには大変な状況でありますので、各種措置を講じて路線の維持をする、これは今後もそういう形で路線維持の仕組みについて続けていきたいというふうに思っております。

山田委員 どうもはっきりお答え願えないんですが、それは立場もあろうし、ただ、この問題は大変大事なので、この委員会で明らかにしておきますが、ひとつぜひ今後検討していただきたい、そう思います。

 次に、実は離島の問題で、沖縄とは違うんですが、今回、この十一月から、全日空さんが対馬便を、今まで六か七便あったんですが、四便に減らす、そういう話が二、三日前に私のところに参りました。これは、離島はただでさえまた七月から対馬―福岡便は運賃が上がるわけですが、便も減らされる。対馬は六五%ぐらいが航空機に頼っていますから、いよいよ島の人にとっては大変なことになる。これはいろいろな、伊豆七島においても同じようなことができているやに聞いています。それについて、ひとつ、監理部長、どう考えられるか、お答えをお願いしたい。

久保政府参考人 先生御指摘の福岡―対馬線というものにつきましては、現在は、お話しのように、ジェット機でありますボーイング737型機、これは百二十六席ございますけれども、これが一日三往復。それと、プロペラ機でありますダッシュ8―400、七十四席ございますけれども、これが一日三往復ということで、合計一日六往復、六百席が運航されております。

 これに関しまして、全日空の方から、ことしの十一月ですけれども、ボーイング737型機を三便から一便増便して一日四往復、ボンバルディア・ダッシュ8は減らす……(山田委員「中身はわかっています。それについてどうされるかということを聞いている」と呼ぶ)ような変更を検討すると聞いております。

 最終的には、国内航空の路線とか便数につきましては、従前の平成十二年の規制緩和以来、航空会社がその路線の需要動向を見まして、御自身の経営判断により決定するということになりますので、全日空が需要動向を見て判断されていくのではないかというふうに思っております。

山田委員 そのことで私が聞いても、担当官が、いわゆる民間がやることで、規制緩和をしたんだから国が関与するところではありません、そう言っておられて、副大臣、そうでしょうか。

 結構です、時間がないので私から申し上げますが、ところが、航空法百十二条、これは副大臣、よく聞いていただきたい。国土交通大臣は、本邦航空事業者の事業について、輸送の安全、いいですか、利用者の利便その他の公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、当該本邦航空事業者に対し改善命令を出すことができると。いわゆる事業計画または運航規程を変更すること、運賃もしくは料金、そういったものについて変更することを命ずることができる、改善命令を。いわゆる責任がある、民間だからということにはならない、そう考えますが、副大臣、いかが思いますか。

渡辺(具)副大臣 六便から四便に減った島民の思いに思いをいたすと、これは大変重大なことで、委員御指摘のように、法律に基づいて事業改善命令ももちろん出せるわけであります。

 しかし一方では、事業改善命令というのは大変重い法律事項でありまして、法律にも書いてありますが、「公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、」というふうに書いてございまして、かなり慎重に検討してその事実を確認した上でないと改善命令というのは出すものではないというふうに理解いたしております。

 したがって、先ほど監理部長も説明しましたように、六便から四便になって、例えば空港に飛行機に乗れないお客様があふれるとか、あるいはその他の重要なサービスの低下があるかどうか、これはまた、四便体制での運航が始まりましたら、私どもといたしましても注意深くそのサービスの程度を見守っていきたいというふうに考えております。

山田委員 副大臣、公共の利益を阻害しているという事実はその他の場合であって、利用者の利便というのは、いわゆる本文の中に入っているわけです。

 そういう意味では、利用者の利便が、今、多いときは七便飛ばしているんですが、私に全日空からの説明ですと、六から七便を四便にしたいというお話だったんですが、これは、著しく島民の利益を損なう、それに当たる場合だ、そう考えるわけで、それを民間だからほうっておいていいという話ではない。規制緩和したので民間のすることです、運賃も勝手に上げることです、そういうことじゃない。これをしっかり念頭に置いていただきたい、そう思います。

 ちょっと待ってください。私も時間がないので、飛行機だけ聞くことはなりませんで、次に、船なんです。離島の船についてお聞きしたいと思うんです。

 船便について、非常に高いというか、離島にとっての宿命なんですが、高い。フランスの離島においては、国道と同じような考え方をして、国道と同じような、汽車の運賃とかそれと同じような運賃の設定をしていると聞いております。それについて調べたいと思っているんですが、きょうまでちょっと時間がなかったので調べ切れなかったんです。

 そんな中で、今、私が、上五島というところ、ここは今、離島については、航路は、運送会社の独占航路がほとんどである。これを規制緩和すべきだと僕は十二年前から国会で主張してきたんですが、ようやく規制緩和されたかと思ったら、指定航路制というのを設けた。この指定航路制で、なかなか自由な航路ができなくて、五島に参入したい船会社が何便か私のところに相談に来たんですが、みんなできない。ところが、上五島においては、臨時便、チャーター便みたいな形から小さい船会社を始めて、ようやくそれが十年、二十年たって競合路線ができるようになった。そうしますと、かつてわずかしかなかった便が、上五島では今二十便。料金も、高速艇で五千円だったのが三千五百円まで下がった。これは大変なことなんです。

 一方、石垣島、ここでは今、三路線というか三船会社が競合してやっております。ここに私も行きましたが、二十便、竹富島まで通えるようになっている。やはり、競合路線を認めると、離島においては非常に船賃が安くなる、便利になる。結局、離島の船便を阻害しているのは、まさに国土交通省である、その行政である。ここはぜひ是正していただきたいと思うんです。

 ほかに質問事項もあるので端的に答えていただきたいと思いますが、そういうことについて、これから先、指定航路制についてさらに規制を緩和する考えがあるのかないのか、それをお答え願いたいと思います。

渡辺(具)副大臣 委員御指摘のように、平成十二年に規制緩和をいたしまして、先ほどおっしゃったような、運賃が下がるようないい結果ももたらしているわけであります。

 ところが一方、規制緩和するだけではやはり地域の住民の利便性は守れない点もあるわけであります。生活航路の維持は不可欠なものでありまして、市場原理のみにゆだねますと、利益の出そうな区間や時間帯のみに参入が集中いたしまして、いわばいいとこ取りの現象が起こる心配もあるわけでございます。

 このために、国土交通大臣が指定しました区間、先ほどの指定区間制につきましては、運航回数ですとか、朝晩だけやってはいけないよという、運航時間帯とか、あるいは輸送能力等々について、一定のサービス水準はやはり確保していただきたい、こういう水準を確保させるということは、やはり地域住民にとっての私は利便性であろうと。規制緩和するだけではなくて、そういう最低限のものを、社会的規制はやはり守ってやるべきではないかというふうに考えておるところであります。

山田委員 副大臣は離島の事情は余りよく御存じないかと思いますが、きょうは宮腰理事も御出席、宮腰理事は離島のことをよく御承知で、よく御存じだと思いますが、規制緩和されたとは言えない。むしろ指定航路でがんじがらめにされているのが離島航路です。ここは、当然のことながら、これから検討課題として、副大臣、国土交通省の中においても十分検討をいただきたい、そう思います。

 私の持ち時間も少なくなってきたんですが、きょうは、沖縄の離島のこともさることながら、離島の宿命的な問題をもう一つ話したいと思います。

 離島は物価が高い。私ども、南大東島に委員会で行ってまいりましたが、南大東島で聞いたところですと、キャベツ一個七百円と言うんです。非常に高いわけなんですが、ガソリン税も高い。私、けさちょっと調べてみましたが、小笠原で今、ガソリン、リッター幾らしますかと言ったら、二百十八円だと言うんです。それに消費税を五%払うわけです。それが父島ですと。母島はリッター二百六十八円ですと。

 きょう、私どもが皆さんに配付しました、離島におけるレギュラーガソリンの小売価格です。これを見ていただきたいんですが、これですと、沖縄は比較的安い。沖縄においては七%減免措置がされております。

 それで、私、国会議員になってから、世界の離島というのをいろいろ調べまして、「島へ。」という雑誌、七年目になるんですが、沖縄ではコンビニでも発行されております。これは私がやってまいりました。この中で、最初に、マン島、消費税を取られていない、ヨーロッパの島は本当に、消費税を取られていない。

 その中で、きょう皆様方に配付しました、創刊号でコルシカ島も特集しました。「公共事業政策から税制政策への転換」、この中で私が囲いをした部分、これを担当大臣の高市大臣も読んでおいてほしいんですが、ヨーロッパでは、まさしく、離島に公共事業だけでなく、ガソリン税、消費税の減免をやってきている。

 私ども民主党においては、二年前になりますか、離島のガソリン税減免法案を国会に出すことができました。しかしながら、郵政国会で廃案になってしまいましたが、ひとつ、それをぜひ検討して、沖縄担当大臣としても、同じ離島を抱えて、幾ら沖縄の離島に金をつぎ込んでいっても自然が損なわれるだけだ、むしろ減税措置、ガソリン税減免あるいは消費税減免、そういったことをやっていったら、まさにコルシカ島においては、それこそ漁業も農業もかつてのように復活して、さらにそれだけではなく、観光客も、かつてコルシカ島では五十万しかなかったのが十年間で四百万人という数字まで上がっている。そういったことも含めて御検討いただきたい、そう思います。

 どうやら時間がなくなってきました。

 最後に私の方から、もう聞けないので、質問にかえさせていただきます。

 実は、離島の合併について、沖縄担当大臣、よく聞いてほしいんですが、沖縄の離島も合併いたしました。その中で、今、私が調べてきたことが一つあります。それは、沖縄の離島において、伊平屋村、伊平屋島ですね、ちょっと北の方にありますが、そこと伊是名村、これが合併しようとして、合併破棄になりました。

 伊是名村の村長の前田村長さん、宮腰さんは御存じじゃないかと思いますが、私もいろいろお話ししてみました。前田村長さんがおっしゃるのに、合併しなくてよかったと思いますと。沖縄の各離島で合併したところは、宮古島、いろいろあります。皆さんのお話を聞いていても、みんな大変だ、大変だ、困っていますと。いわゆる合併特例債、これに、あめにだまされてといいますか、私の知っているところの町長さんは、議会でもって、だまされたと発言して問題になったことがあるんですが、まあそれ以上は言いません。

安住委員長 山田委員、時間が大幅に経過しております。

山田委員 はい、あと三十秒だけ。

 そういうことで、伊是名村の村長さんは、それこそいわゆる三役の給与を二〇%カットし、さらに退職者十名、これをそのまま補充せず、職員の手当も一三%カット、みずからやっていて、それで何とか離島の活性化を図っている、頑張っている、やっていけるという自信を持っております。

 どうか、沖縄の離島についてもそのように、合併の問題は慎重に考えていただきたい。これを述べさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

安住委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。質問をさせていただきます。

 私は、きょうは、平成十八年度の教科書検定で、沖縄戦における集団自決に関して、日本軍の関与に関する部分が検定の後削除をされたということに関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず確認をさせていただきますが、昭和五十九年の六月二十八日木曜日、衆議院内閣委員会、森文部大臣が答弁をされていらっしゃいます。「また、これは国会におきましても当時小川文部大臣が、沖縄の問題につきましても、沖縄県民の感情ということにつきましては十分の配慮をして今後検定に臨むつもりであります、こういう御答弁を申し上げているわけでございまして、」というふうに答弁をしていらっしゃいます。

 教科書検定に関して、沖縄の部分については沖縄県民の感情に十分配慮をして検定に臨むという政府としての御見解あるいは方針というものが示されているわけでありますが、この昭和五十九年の森文部大臣答弁は現在も維持されているのかということをまず端的にお答えいただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生引用されました発言でございますが、沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、その中で集団自決を初めとする悲劇が起こり、多くの人々が犠牲になったということについては、学校教育においてしっかりと教えていくことは重要であると考えてございます。

 教科書の検定におきましては、教科用図書検定調査審議会の専門的な調査審議に基づいて行われるものでございますけれども、その中で教科用図書検定調査審議会の委員が、先生御指摘のような大臣の発言の趣旨でございますが、そのようなことを絶えず認識した上で審議が行われるものと考えております。

川内委員 済みません、端的にお答えいただきたいんですが、教科書検定において、沖縄に係る部分については沖縄県民の感情ということにつきまして十分配慮をして検定に臨むつもりである、あるいは臨むという政府見解は維持されているのかということを聞いたんです。

 維持されているのかいないのかということを答えてください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今引用いただきました大臣の発言につきましては、検定基準そのものではございませんけれども、検定に当たっての姿勢ということで発言されたもので、その趣旨を審議会の委員としても踏まえて検定をいただくものというふうに認識しております。

川内委員 今回の、日本軍の関与の部分について検定の後記述が落とされた、なくなったということに関しては、沖縄県議会も抗議の決議をされるというふうに聞いておりますし、沖縄県内の各市町村議会で抗議の決議が既になされている。そういう意味では、今回の検定というものが沖縄県民の感情に配慮していたのかどうかということについては、私は、配慮されていない、配慮していないという結果になっているのではないかというふうに思います。

 また、それを裏づけるかのごとくに、伊吹文部科学大臣も、これは新聞の記事でございますから、その発言の真意は文部大臣に確認をしなければならないとは思いますが、沖縄県民の皆さんの気持ちには沿わなかったかもしれないということを御発言されていらっしゃる。そういう意味では、私は、政府見解あるいは政府の方針に今回の検定というのはそもそも沿っていないのではないかと言わざるを得ないというふうに思います。

 そこで、聞かせていただきたいというふうに思いますが、そもそも教科書検定というのは、文部科学省職員である教科書調査官が検定についての調査意見書というものを取りまとめる、その調査意見書を審議会に提出し、その審議会で検定意見が決定をされるというふうに聞いております。

 これが、平成十八年度の文部科学省職員である教科書調査官がつくった調査意見書でございます。この調査意見書には、沖縄戦の記述についてどのようなことが書いてあるかというと、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である。」と。これは、「日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民や、集団で「自決」を強いられたものもあった」という記述に対して、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である。」ということを文部科学省職員たる教科書調査官が調査意見書にまとめている。

 それでは、この調査意見書が、教科用図書検定調査審議会にかけられて、そのまま検定意見となったという事実関係でよろしいでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の調査意見書については、お話しのとおり、教科用図書検定調査審議会の委員、それから発令されます教科ごとの専門委員、そして教科書調査官、教科書調査官は文部科学省の職員でございますが、その調査の結果を取りまとめたものとして、審議会の審議の材料として提出するものが調査意見書でございます。

 今回の集団自決に関する検定意見に関しましては、教科用図書検定調査審議会に調査意見書が出されまして、それを受けまして、審議会におきまして検定意見書を付すための審議が行われ、沖縄戦の集団自決に関する意見につきましては特段の異論がなかったというふうに伺っております。その結果として、調査意見書と同じ趣旨の検定意見書という形で審議会の決定が行われたものでございます。

川内委員 文部科学省職員たる教科書調査官が取りまとめた調査意見書の中にある意見がそのまま審議会の意見になったという報告を今いただいたわけでございます。

 それでは、この調査意見書、文部科学省職員である教科書調査官が取りまとめる調査意見書は、だれが決裁をして審議会にかけるんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この調査意見書につきましては、審議会の委員、それから発令されます専門委員、そして教科書調査官の審議の結果に基づいて取りまとめたものでございまして、それを審議会に出すに当たりまして、事務的に確認する意味で内部の決裁をとってございます。

 その決裁につきましては、初等中等教育局長までとっているところでございますけれども、これらは、審議会の開催の状況、あるいは教科書検定の合格、不合格という合否の状況など、全体的な状況を確認する意味で決裁をとっている文書でございます。

川内委員 この調査意見書は、教科書調査官だけではなく、文部科学省の初等中等教育局長まで決裁をとり、決裁をされた上で審議会に提出をされるということでございます。

 私は、後ほどもしかしたら赤嶺先生も同様の趣旨の御質問をされるかもしれないんですが……(発言する者あり)きょうはしない。では、私がします。

 平成十九年の四月十一日、文部科学委員会、赤嶺議員の教科書検定に関する質問について、伊吹文部科学大臣は、「文部科学省の役人も、私も、ましてや官邸にいる安倍総理も、このことについては一言の容喙もできない仕組みで日本の教科書の検定というのは行われているんです。」というふうにお答えになっていらっしゃいます。文部科学省の役人も私も総理も検定には口出しできない、そういう仕組みになっているというふうに答弁されていらっしゃいます。

 今御説明をいただいた文部科学省職員が取りまとめる調査意見書、そしてそれは初等中等教育局長が決裁をするというような仕組み、これは文部科学省の役人が口出しできる仕組みである、そのものであるというふうに思いますが、伊吹文部科学大臣のこの答弁は間違っている、訂正を必要とするということをお認めになられますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今先生が引用されました文部科学大臣答弁につきましては、教科用図書の検定は教科用図書検定調査審議会における専門的な審議に基づいて行われるものである、また、大臣を初め政治家や事務方がその内容について指示したり介入したりできる仕組みにはなっていないという趣旨と受けとめてございます。

 先生御指摘の教科書調査官につきましては、法令で定められた職務として、検定申請のあった教科用図書の調査に当たり、教科用図書検定調査審議会の審議に必要な資料として調査意見書を作成するという法令上の規定に基づいて行った職務で、その職務は専門的、学術的な調査であって、行政的、政治的な意図の入り込む余地はない調査結果と認識しております。

 そして、検定意見につきましては、審議会における専門的な審議の結果、最終的に審議会として意見を付すかどうか決定するものであり、検定意見の決定につきまして、教科書調査官自体も決定には参画をしないという形をとってございますので、文部科学省の職員についても、教科用図書検定意見、検定結果、その決定につきまして関与はしていないという趣旨で御理解いただければと思います。

川内委員 いやいや、関与はしていないって、関与しているじゃないですか、決裁をしたりして。何を言っているんですか。

 仕組みとして、口出しできない仕組みになっていると。口出しをしたとかしないとか、事実を言っているんじゃないんですよ、文部科学大臣は。口出しをしました、しませんでしたとか言っていないですよ。口出しをできない仕組みになっていると言っているんですよ。口出しをできない仕組みになっているとおっしゃるから、いや、さまざまな決裁行為を通じて、例えば、では文部科学省組織規則の二十二条第五項「教科書調査官の職務については、教科書課長が総括する。」と書いてあるじゃないですか。

 審議会の議論のたたき台になる調査意見書は初等中等教育局長が決裁するんでしょう。決裁するということは、この中身を見て、まずければもう一回やり直せと言える権限を持っているということでしょう。口出しできる仕組みになっているということなんだから、口出しできない仕組みになっていますというのは説明としては不適切でしょうということを言っているんですよ。それは素直にお認めにならなければおかしいんじゃないですか。

布村政府参考人 教科用図書の検定につきましては、専門家で構成されます教科用図書検定調査審議会において結論を出していただくもの、そういう法律構成になってございます。先ほどの御指摘の調査意見書につきましては、その審議の前提となる調査結果を取りまとめたものでございます。

 繰り返しになりますけれども、意見を付すかどうかという教科用図書検定の決定につきましては、あくまでも教科用図書検定調査審議会の御判断ということになっておりまして、文部科学省として、それは尊重して運用しているところでございます。

川内委員 だから、検定の仕組み全体が口出しできない仕組みになっていると文部科学大臣が言っているから、それは違うでしょうということを言っているんですよ。違うと認めなきゃおかしいでしょう。口出ししたとかしないとかじゃないんですよ。口出しできない仕組みになっていると言うから、できる仕組みじゃないですかということを言っているんですよ。

布村政府参考人 先ほど御説明しましたように、調査意見書を審議会に出すに当たって、局長まで確認として決裁はとってございますけれども、その内容としては、審議会の開催の状況ですとか、全体として合否がどうなっているのか、そういう全体的な状況を確認してございますが、その段階で、調査意見の内容について事務方が物を申したり指摘することはない、そういう意味で大臣の趣旨を受けとめていただければと存じます。

川内委員 大臣の趣旨を受けとめてくださいって、そんなことはできませんよ。

 では、調査意見書を初等中等教育局長が決裁するに当たって、中身に口出しはしないんだというようなことが文書でどこか書いてありますか、内部文書で。

 では、委員長、本委員会に、この平成十八年度調査意見書の決裁書類、決裁書面というんですか、初等中等教育局長の判こが押してある書類の提出を求めます。

安住委員長 理事会で協議します。

川内委員 私は、文部科学省は子供たちの教育をつかさどる役所ですから、もうちょっと正々堂々としっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。

 特に、子供たちは国語力が低下しているとか読解力が低下しているとか言っているわけですね。そういう中で、文部科学省が妙ちきりんな論理を振りかざして変なことをしては、とてもとても、それは子供たちに国語力がどうたらこうたらと言えませんよ。

 文部科学大臣がこんな国民をごまかすような答弁をして、いや、それはこういうふうに理解してくださいなんて、そんなことはとてもとても、はい、そうですかなんて言えるわけないじゃないですか。その場その場で適当な言い逃れをして、それで沖縄県民の皆さんの気持ちを踏みにじって、感情を傷つけて、それがあなた方のお仕事なんですかということですよ。

 では、もう一点聞かせていただきますが、そもそも、沖縄戦における集団自決に関して、布村審議官は、沖縄県の自民党県議団の中の何人かと東京でお会いになられて、集団自決に関して軍の関与はあったというふうに言明されたという記事が沖縄の地元紙に出ておりますが、その発言は間違いございませんか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 この教科書検定の問題が起きて以来、沖縄の方々と何度かお会いさせていただきました。そして、検定意見の趣旨を御説明するとともに、教科書の記述をごらんいただければ御理解いただけますように、沖縄戦に関しまして日本軍が責任を有すること、あるいは関与したということは、全体として記述をごらんいただければわかる、そういう趣旨のことは御説明してございます。

 今回の検定意見につきましては、集団自決に関しまして、軍の命令、島における隊長の命令というものが従前は通説でございましたけれども、その状況が変わっているというところから、軍の命令があったかどうか、なかったかどうか、断定した検定意見にならないように意見を付したもの、そういう意見の趣旨を御説明しながら、全体として、沖縄戦に関して日本軍として大きな責任あるいは関与を有しているということは、記述をごらんいただければ御理解いただけるものというふうに御説明したところでございます。

川内委員 軍の関与があったかなかったかということに関して、読んでいただければわかりますという答弁は、私の質問に答えていないですよ。軍の関与があったんですか、なかったんですかということを私は聞いています。読んでいただければわかりますというのは、では、読んだ方の解釈だということですか。

 軍の関与はあったんだというふうに文部科学省としても理解をしている、あるいは認識しているというふうに答えるのか、それとも、軍の関与はなかったというふうに理解している、認識していると答えるのか、どっちかでしょう。

布村政府参考人 お答えいたします。

 教科用図書検定調査審議会の検定意見の趣旨は、沖縄戦全般についての日本軍の責任、関与を否定するものではないという趣旨のことを申し上げました。

川内委員 否定するものではないと。だから、否定するものではないというのは、関与はあったということなのか、なかったということなのか、どっちなんですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの、日本軍の関与というものを、責任というものを否定するものではない、あるいは、あったという趣旨の御説明はしたと思います。

川内委員 あったという趣旨の説明をしたと。趣旨ではだめなんですよ。軍の関与があったというふうに言っていただきたいんです。どうですか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今、具体的にどういう発言をしたか、やりとりを詳細に記したものは持っておりませんので、趣旨ということを申し上げた次第でございますので、その点は御理解いただければと思います。

川内委員 私が聞いているのは、布村審議官の御発言、さらには教科用図書検定調査審議会の御意見でも、日本軍の関与はあった、あるいはあったのだというふうに理解していらっしゃるんでしょう、私も同じ思いですから、お互いに共通の理解ですよねということを確認しているんです。

布村政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、教科用図書の検定につきましては、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議に基づいて検定意見が付されているところでございまして、それについて個人的な見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいということで、先ほど来、日本軍の責任があった、あるいは関与があったという趣旨のことは申し上げたというふうにお答えしているところでございます。

川内委員 僕は、文部科学省の検定の仕組みというのはやはり非常に問題があると思いますね。文部科学省が、事務方が調査意見書、教科書調査官という形で関与している、そして初中局長まで決裁をする。しかし、文部科学大臣は、口出しできない仕組みになっていると答弁しているわけですね。

 これは、きょうは明確に、間違っていましたというふうにお答えにならなかった。委員長に、私はもともと、きょう文部科学大臣の出席を要求しておりました。文部科学大臣の答弁ですから。これは大変大きな大問題の答弁ですよ。それを私が明らかにしたところで、政府からは納得のいく御答弁が得られなかった。私は、沖縄県民の気持ちに配慮しなければならない本委員会に文部科学大臣の出席を求め、この答弁について釈明をしていただきたいと思いますが、委員長、いかがですか。

安住委員長 理事会で協議いたします。

川内委員 所管委員会でやるべきだというお声もありますが、私は、この委員会でやることに大きな意義を見出しております。なぜかならば、この委員会は、沖縄は特別なのだ、沖縄には特別に配慮をしなければならないのだということで、国会の総意として特別委員会を設置し、さまざまな問題を議論する場だからであります。

 では、この検定の仕組みについて、最後に一つ事実を政府から明らかにしていただきたいと思います。

 扶桑社の出していた中学歴史教科書、いわゆる新しい歴史教科書の第一回目の執筆者に伊藤隆さんという方がいらっしゃいます。この伊藤隆さんと、文部科学省が補助金を出す科学研究費補助金を一緒に受けて同じ研究グループで研究をしていた方が今、文部科学省の日本史の教科書調査官となり、今回、平成十八年度の歴史教科書の調査意見書の作成に携わっている方がおります。

 その事実を、まず、科研費補助金を受けて伊藤隆先生と同じ研究グループにいた人が教科書調査官になっているということをお認めいただきたいと思います。

布村政府参考人 お答えいたします。

 教科用図書検定につきましては、検定意見は教科用図書検定調査審議会が決定するということをまず御理解いただきたいと思います。教科書調査官は、その前提となる調査意見書を委員の意見なども踏まえて取りまとめるものということで、検定の決定には直接参加していない、そういう前提で御理解いただければと思います。

 先生御指摘の、扶桑社の中学歴史教科書の監修者として伊藤隆という教授の方の名前が出てございます。そして、この伊藤教授と、教科書調査官になる前に科研費の研究グループのメンバーに加わっていた者がおり、現在はその科研費のグループとは一応離れているという形になってございます、そういう教科書調査官が日本史を担当しておる者として存在しております。

川内委員 持ち時間が残念ながら来ましたので終わりますが、審議会には、文部科学省の役人は決定に参加していないという理屈はわかりますが、その審議会の結論に至る過程にずっと関与しているわけでしょう。それをきょう明らかにしたわけですから、それでいながら最後にまたこんなくだらない答弁をするのは、私はやはりとても許せないですね。文部科学大臣の出席を改めて求めて、もう一回やりたいと思います。

 終わります。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 今の教科書問題について、私、感想を申し上げれば、既に大臣も、それから先ほどの審議官も、今回の検定結果、沖縄県民の感情を逆なでする結果になっているということをお認めですから、教科書の記述を八月までに改めるということをぜひとも私はやるべきだというのを冒頭に申し上げておきたいと思います。

 きょうは、沖縄振興計画の中でも離島の問題について、まず最初に質問をいたします。

 離島住民のお産、それから高校進学の問題、これは沖縄振興計画の、沖縄県が策定した後期展望の中でも位置づけられているわけですが、まず厚生労働省に伺います。

 二〇〇六年度の補正予算で、離島などのアクセスが悪い地域の患者などが拠点病院などを利用するための患者宿泊施設の整備費を助成するとして一億二千万円予算計上されていたわけですが、この制度の利用実績はどうだったか。そして、この制度は二〇〇六年度の補正予算限りのものと聞いていますけれども、今後はどうなるんですか。

松谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の補助事業は、離島を初めとした医療機関までのアクセスが容易でない地域の患者さん及びその家族を支援するために宿泊施設の整備を行うものとして、平成十八年度補正予算に計上したところでございます。

 その執行実績でございますけれども、島根県隠岐地域の住民の方々が利用される、本土における宿泊施設の整備の一件となっているところでございます。

 これは十八年度の補正予算でございますのでこの一件という実績になってございますけれども、離島を含む僻地における医療の確保につきましては大変大事なことだと私ども認識をしておりまして、御指摘の宿泊施設の整備につきましても、都道府県を通じて、地域ニーズ等も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 これは一件にとどまった、しかし離島、僻地等の医療の問題というのは大変重要だというお話だったわけですが、厚生労働として、今後、その問題をどのようにしていくつもりですか。

松谷政府参考人 今申し上げましたように、補正予算でございまして、成立時期、あるいは検討時間が短いというようなこともあって実績がそう多くなかったということでございますけれども、このことだけをもってこの補助事業のニーズがないとは考えておりませんけれども、いずれにしても、都道府県を通じて、地域のニーズ等を踏まえながら検討していく必要があるんじゃないかと考えております。

 私どもとしては、離島を含む僻地における医療の確保につきましては、これに限らずいろいろな施策を講じてきたところでございますけれども、特に離島等における医療へのアクセスの確保というのは重要な課題であると認識しておりまして、この宿泊施設の整備につきましても、今申し上げましたように、都道府県を通じて、地域のニーズ等も踏まえながら、引き続き検討していきたいと思っております。

赤嶺委員 引き続き検討ということなんですが、それで、内閣府に伺いますけれども、離島の問題というのは、突き詰めて言えば海によって隔てられているというところに尽きるわけですが、今、沖縄県で人の住んでいる離島、いわば有人離島は幾つありますか。

原田(正)政府参考人 沖縄の有人離島の数は三十九でございます。

 なお、このほかに、沖縄本島と、それから沖縄本島と離島架橋で連結した島が九つ、沖縄本島を含めまして十ございます。

赤嶺委員 その中で、自分の島でお産ができるという島は幾つですか。

清水政府参考人 沖縄の有人離島は三十九ございますが、このうち分娩のできる医療機関が設置されておりますのは、宮古島、石垣島及び久米島の三島でございます。

 また、これらの島と架橋で結ばれた島を含めますと、合計六島において、分娩のできる医療機関に陸上交通により到達できるということになります。

赤嶺委員 いわば、宮古から池間島、来間島に橋がかかっているから、そこは分娩できる施設で、離島とは言えないという見解でしょうけれども、いずれにしても、今宮古と八重山と久米島ぐらいなんですよね。内閣府の説明でいっても、残りの三十三の島は、結局、お産のために島を離れて出産に臨むということになるわけですね。

 高市大臣、私たち沖縄北方特別委員会が南大東島に視察に行ったときにも、やはり離島から医療へのアクセスの問題というのは大変重要な問題として取り上げられました。何しろ、出産前後、南大東の場合でいけば、沖縄本島に行きまして、宿泊をしてお産を迎えるということになりますので、大変な負担なんですね。

 それで、私も実際に一九七二年当時、石垣島におりまして、子育ても離島でやって、離島のそういう問題というのは痛いほど感じてきているわけですが、その石垣島の近くに黒島という島があります。そこで保健婦さんをしている人が離島の医療問題でいろいろ発言しておりまして、その中で、この方は二人目の子供をもう産むという時期になっていて、こういうことをおっしゃっているんですね。

 島を離れ、家族とも離れ、自分も心細いが、残していく家族が心配、上の子供はだれに見てもらえばいいのか、一カ月以上にわたる滞在費や交通費、お産そのものにかかる費用、島と病院での二重の生活費などお産による経済苦で、お金のこともすごく精神的ストレスだということを言っています。

 経済的な負担、精神的な負担に加えて、無事出産ができるか、母子の命と健康にもかかわる問題ですが、厚生労働省が去年補正予算でつくった仕組みが、いわばニーズが一件しかなかったということで、今なくなっている。実際に、離島の人がお産のために本島にアクセスする手段、方法、それに対する助成制度というのはない状態になっているんですが、有人離島をこれだけ抱えてきている、そして、やはり沖縄振興という場合に離島の振興というのは大きな柱なんですよね、後期展望の中でも明確になっているんですが。

 この点で、内閣府として、やはり実態をよく調査して、そして現実的な施策というものを行うべきだと私は考えているんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 確かに、離島にお住まいの方々の安心、安全ということを考えますと、安心して子供を出産できる環境があるということは非常に大事でございます。先ほど、離島で出産できる、分娩できる病院というのは三島しかないという答弁がございましたし、また、周産期医療に関しては、二十四時間対応といいますと二島しかございません。

 今委員が御指摘になりました経済的な負担も確かに、事前に渡航する、それ以前に健診がありますので、何度も行ったり来たりする、出産期の滞在費、場合によっては付き添いの方の交通費等々、負担も非常に重いと思います。

 今のところ内閣府で行っているのは、離島の中核病院の産科医師不足ということで、ここに、民間医療機関から県に医師を派遣してもらう場合の補助制度というものを設けておりますけれども、今後、離島における妊産婦の御負担、御家族の御負担ということに関しましては、県、市町村とよく連絡をとり合いながら検討を考えたい、まずは情報収集をしっかりといたします。

赤嶺委員 離島の場合には、同じように、子供が高校進学する場合、島に高等学校がない、そして高等学校のある島に行かなきゃいけない。これはまた、お産よりも大変悪条件があるわけです。

 ぜひ、そういう高校進学の問題とあわせて、いわば後期展望の中に位置づけられてはいても、三十五年間なかなか具体的な解決の方法が見つかっていない、こういう結果ですから、ぜひ実態をよく調査して、何ができるかというのを具体的にしていただきたい。引き続きこの問題は取り上げていきたいと思います。

 次に、外務大臣にお聞きしますけれども、米海軍が与那国島に掃海艦二隻の寄港を計画しています。今回の寄港目的について、アメリカ側は、乗組員の休養及び友好親善としているわけですが、外務省の梅本審議官は、今月八日の外務委員会で、「あくまでもアメリカが運用上の都合によりまして与那国島に寄港したいということでございます。その機会を利用して友好親善、休養を図りたいということでございます。」と答弁しているわけです。

 まず、事実関係ですけれども、今回の米海軍の与那国への寄港の目的の主なものは米軍の運用上の都合ということですか。

西宮政府参考人 六月五日に米側から、海上保安庁を通じて沖縄県に対しまして、米掃海艦二隻を、友好親善、休養を目的として与那国島に寄港させるとの通報があったものと承知しております。

 こういうような目的を通報してきておりますけれども、こういったものは米軍の運用の一環であるというふうに理解しております。

赤嶺委員 審議官の答弁は、「あくまでもアメリカが運用上の都合によりまして与那国島に寄港したいということでございます。」ですから、「その機会を利用して友好親善、休養を図りたいということでございます。」ということで、だから友好親善、休養は運用の機会に行いたい、そういうことですよね。いかがですか。

西宮政府参考人 そのとおりでございます。

赤嶺委員 そうすると、米軍の運用上の都合というのは具体的に何を指しているんですか。

西宮政府参考人 米軍の運用につきましては、米軍、特に艦船の運用というお尋ねだと思いますけれども、安保条約の目的の達成のために運用されているわけでございます。地位協定五条に基づき我が国の港湾にも出入りをするということが認められておりまして、我々といたしましては、こうした運用というのは日米安保条約の目的の達成のためであるというふうに理解をしておるところでございます。

赤嶺委員 日米安保条約の目的達成のために、沖縄県は、県土の、本島の面積の二〇%も米軍基地の提供を余儀なくされているというような事情があるわけですが、その上にさらに、日米安保条約の目的の達成のためと言われて、離島のそういう小さな港まで米軍の艦船が行くということになってくると、これも運用上の目的という一言で片づけられると、これはとても理解できないものがあるわけですね。

 具体的に、どんな運用上の目的、何を指しているんですか。物資の補給あるいは燃料の補給、そういうのも入っているんですか。

西宮政府参考人 いろいろな活動というものが含まれると思いますけれども、具体的な運用の詳細については、我々は承知しておりません。

赤嶺委員 詳細については承知していない。例えば物資の補給、燃料の補給、水の補給というのは、ただでさえ物資の確保や燃料の確保や水の確保で苦労している、そういう離島の港に米軍の艦船が入っていく。そして中身は知らされない。とにかく安保条約の目的達成のためなんだということで、民間の港湾、しかも離島の港湾まで使われていくというようなのは、私、納得いかないんです。

 米軍の運用上の都合という中には、これまでもいろいろ繰り返されてきているんですが、何らかの緊急事態に備えて、あらかじめ民間の港に入港して港湾の状況を調べておく、こういう港湾調査の目的も含まれるんですか。

西宮政府参考人 いかなる具体的な活動が含まれるかということを、運用の問題として承知しておるわけではございません。

赤嶺委員 それじゃ、日本政府として、そういうことは絶対ないよというぐあいに断言できますか。

西宮政府参考人 安保条約の目的達成のために運用されると。その中身については承知しておりません。

赤嶺委員 非常に納得のいかない説明だと思うんですよね。港湾管理者である沖縄県も、そして米軍が友好親善をしたいという相手方の与那国町も寄港には反対をしているわけです。

 自治体が明確に反対している、にもかかわらず米軍艦船が入港した、こういう事例、外務大臣、ほかにありますか。

麻生国務大臣 急な御質問でよくわかりませんけれども、少なくとも、第五条でしたか、日米安全保障条約第五条によったところに、法律に基づいてやる話だというように理解しておりますが。

赤嶺委員 いや、急な御質問と言われても困りますよ。この与那国の艦船の入港についての質問の通告はやっていますから。もし大臣が確たる認識がないのであれば、北米局長、そういう事例があるんですか。

西宮政府参考人 確たる情報は今手元に持ち合わせておりません。

赤嶺委員 港湾への入港について管理者が、そして当該自治体が嫌だと言っている。米側の方は、町長に対して、町長の自宅でパーティーまで開いてほしいと言ってきたそうですね。何で歓迎もしていないのにパーティーまで用意しなきゃいけないのか、こういう思いですよ。

 そもそも私は、これだけ基地が集中している沖縄に、基地の比率だけでも物すごく高い負担を押しつけられているのに、さらにその上に民間の港湾にまで米軍の艦船が入港してくる、これも安保条約の目的達成のために必要だというようなのは納得できないんです。

 同時に、あの与那国という島の位置ですよ。石垣まで百二十七キロ、台湾まで百十キロ、むしろ台湾の方に近い最西端の島であるわけですね。向こうは、沖縄戦が終わったときに、沖縄の復興経済の出発点は台湾と与那国の貿易なんです。これが、沖縄の戦後の復興経済と呼ばれるものの出発点になったわけです。私も八重山の高等学校で教師をしておりましたが、教室の中には必ず中国の子供たちが何名かおります。いわば、台湾の住民、中国の人たち、与那国の人たち、石垣島の人たちは、三者が友好的な結びつきを通じて友好的な関係で島を発展させたい、こういう思いが非常に強いわけですよね。

 一方で、台湾海峡ということが軍事的にいろいろ言われている中で、こういう中に米軍の艦船を配備する、あるいは出入りさせる、そのことが、やはり私は国際政治にも緊張を持ち込むものであり、何よりも、住民がそれは願っていないと思いますよ。この尖閣列島にしても……

安住委員長 赤嶺君、時間が参っております。

赤嶺委員 静かに外交で、話し合いで解決してほしいというのが住民の願いですから、こういうのは断じて受け入れられないということを申し上げまして、質問を終わります。

安住委員長 これにて赤嶺君の質問は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十三分散会


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