衆議院

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第6号 平成24年3月16日(金曜日)

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平成二十四年三月十六日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 小川 淳也君 理事 大谷 信盛君

   理事 吉良 州司君 理事 瑞慶覧長敏君

   理事 玉城デニー君 理事 秋葉 賢也君

   理事 伊東 良孝君 理事 遠山 清彦君

      小原  舞君    岡本 英子君

      笠原多見子君    川島智太郎君

      木内 孝胤君   木村たけつか君

      黒田  雄君    福嶋健一郎君

      井上 信治君    宮腰 光寛君

      赤嶺 政賢君    石田 三示君

      照屋 寛徳君    浅野 貴博君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 川端 達夫君

   外務大臣         玄葉光一郎君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   外務副大臣        山口  壯君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  長田  太君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     山田 尚義君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案及び沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案並びに沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する宮腰光寛君外三名提出の修正案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、内閣府沖縄振興局長竹澤正明君、農林水産省農村振興局長實重重実君、国土交通省航空局長長田太君、観光庁審議官山田尚義君及び防衛省防衛政策局長西正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。

秋葉委員 おはようございます。自由民主党の秋葉賢也です。

 きょうは、この沖縄二法案の質疑に入るわけでございますけれども、昨日、野党からの修正案も提案されて、政府案と野党案と、今それぞれPTで実務者協議も精力的に行われている状況があるわけでございます。きょうは、そうした政府案と修正案の違いについて、大臣の御認識を何点かお伺いさせていただきたい、このように考えております。

 その前に、自戒を込めて申し上げるわけでございますが、私どもも、政権を担っていた時代には、総理が毎年かわったり、いろいろなことがございました。やはり安定した政権を維持するためには、総理大臣はもちろんどっしり構えていただくのが理想だと思いますし、私は、かねてから持論として、とりわけ総理はもちろんでございますが、国政の中枢を担う外務大臣あるいは防衛大臣、あるいは内政的にはやはり総務大臣、財務大臣、この四大臣ぐらいも総理と同じようにやはりどっしり構えて担っていただくということが大事ではないのかなというふうに思っております。

 沖縄の特命大臣も、開発庁長官時代から担当大臣、特命大臣に最初に就任したのが平成十三年の橋本龍太郎先生でございました。民主党政権になってからは、前原さん、馬淵さん、枝野さん、川端大臣ということで、四人目でございます。これは与野党問わずの話でございますけれども、できるだけ短期でかわることのないように、本来あるべき姿を、民主党政権にも期待を込めて申し上げさせていただきたいと存じます。

 さて、ことしは沖縄の本土復帰四十周年でございます。五月の十五日だったでしょうか、宜野湾市で記念式典も行われると伺っておりますけれども、まさに今回の法案の沖縄振興法案は、昭和四十七年の本土復帰の歩みとともにあったなと。まさに今回は、これからの五十年の沖縄のあるべき姿をどう捉えるのか。

 たしか沖縄の振興計画の中から開発という二文字が消えたのは前回の平成十四年だったと思います。それまでは、ある意味で沖縄と本土の格差是正というものが大きな主眼の中でこの計画づくりが行われてまいりました。そういう意味では、十年前に何とか本土のレベルにインフラが最低限キャッチアップしたのかな。そして、これからの十年が、本当に沖縄が、その持っている観光産業にしても、あるいは物流産業としての地理的優位性も含めて、どうあるべきなのかということが本当に試される十年だろうというふうに思っております。

 十年前、開発という二文字が消えたことが画期的な事案だとすれば、今回の法案は、御案内のとおり、従来は内閣総理大臣が決定したものを基本的には沖縄県知事が決定し、いわば政府はそれを追認する、総理大臣はせいぜい変更を求めることができるという規定にした。これもまさに、今回が事実上第五回目となるこの計画の法案の性格を占う最もポイントの部分ではないかなというふうに思っております。

 そこで、まず大臣に最初にお伺いをしたいと思っておりますのは、この沖縄振興計画、知事が原案を作成し、もちろん県と国とが十分調整をしながら決めていくようになるわけでございますけれども、あわせて沖縄県でも沖縄二十一世紀ビジョンが策定をされます。そうした国の計画と県の計画との整合性の問題、そして沖縄県知事の意向を最大限尊重していくような配慮や仕組みというものをしっかり考えていかなければいけないと思っておりますけれども、そうした二つの計画にそごが出た場合に、どちらを優先するかという問題ではもちろんございませんけれども、極力地元の意向が最大限尊重されるような形にしないと、この法文では総理大臣の変更要請も認めておりますけれども、そうしたことが発動されることがないようにしていかなければならないと思っております。

 この両計画との整合性の問題について、あるいは仮に方向性が異なった場合の見通しについて、まず冒頭、川端大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。

川端国務大臣 まず、沖縄振興の経過と今回の意義について先生はお触れいただきましたが、まさに開発ということでキャッチアップしようという目標の中でやってきたことから、基本的に大きな自立、自主性の中で発展していくということに変わって十年たちました。これからは、ちょうど十年たちますと半世紀経過するということでは極めて大きな意義がある法律だというふうに思っておりまして、その分の背景、御趣旨を御指摘いただいたのは、全く同じ思いでございまして、それはありがたいことだというふうに思っています。

 したがいまして、今回、この改正においては、自主性をより尊重するという観点で、沖縄振興計画の策定主体を国から県に変更した。これはもうこの振興のときの、知事さんを含めて沖縄県全体として一番強い御要望がこの点でありまして、その分ではしっかりそれを位置づけさせていただいた。

 そういうことで、かねてからマスコミも含めて、国がそうなったけれども、総理の、国の関与がどれぐらいなのかという御懸念をいろいろ御指摘いただきましたけれども、法に基づく国の財政上の特例措置が講じられているという意味では、全く自由に何でも使ってくださいというわけにはいかないという意味では一定の国の関与はどうしても必要でありますけれども、その国の関与の程度は、事前の同意を求める等の強いものではなくて、基本方針に適合していないと認める例外的な場合にのみ事後的に変更を求めることができるという最小限のものにさせていただきました。

 沖縄振興基本方針と沖縄のつくる計画の整合性についてお尋ねでございますけれども、基本方針は振興にかかわる個別具体の事業を書くわけではなくて、振興の意義あるいは基本的な方向性等を規定する予定でありまして、これまで県がいろいろ計画していただいている部分等の調整をもう実はさせていただいておりまして、そういう部分では、このやり方と大きな方向性に関して、やるということに関しては県も御理解をいただいているというふうに思っております。

 なお、比較という意味にもなるんですが、ほかの地域の振興法はたくさんありますが、例えば奄美振興法あるいは小笠原振興法においては、国への事前の同意協議ということで、国が事前に同意しないとできない。あるいは、この国会に提出された福島の復興再生特措法においては、国の基本方針に適合する場合に限り認定するということになっておりまして、これらと比べますと、沖縄振興計画への国の関与は最小限のものとさせていただきました。

 加えて、合わなかったらどうするんだということでありますが、可能な限りそういう事態が起こらないように、緊密に連携をとる中で進めさせていただきたいというふうに思っております。

秋葉委員 大臣から大変丁寧な御説明がございました。ポイントは、沖縄の主体性というものを最大限尊重していくということに尽きるんだろうと思いますので、政府もぜひ、国の計画と沖縄県の計画でそごが生じた際には、十分地元の御意向というものを尊重していただきたい、こう思うわけでございます。

 さて、政府案それから修正案の協議事項の中でも、なかなか解釈なりあるいは運用の違いが何点かある中で、交付金がもし余れば基金での活用も考えていくということも違いの一つになっております。

 昨日、遠山委員の同じ質問に対して、川端大臣の答弁では、交付金の基金への活用については、事業の性格にかかわらず、交付金を安易に積み立てることは適当ではないというふうには考えているけれども、しかしながら、一括交付金の趣旨に合致し、事業の性格を踏まえれば複数年度にわたり実施することが真にやむを得ないものについては、直ちに基金が排除されるものではないという、非常に踏み込んだ答弁をいただいたなというふうに私は認識しております。

 これは、もちろん最初から基金だということでは認めがたいけれども、結果として創設もあり得るというふうに私は理解しておりますが、そのとおりでよろしいのでしょうか。

川端国務大臣 きのう、そういうふうに答弁させていただきました。これは、初めから基金でやろうということを想定しているものでは当然ございませんが、改めて申し上げますと、その趣旨に合致して、事業の性格を踏まえれば複数年度にわたり実施することが真にやむを得ないものについては、直ちに基金が排除されるものではないというふうに思っております。

 まず、具体的に県としてどのように判断されるかというのは、まさに県の主体性の部分でいうと、どういう事業をどういうふうにやろうとしておられるのかということにかかってまいります。そういう意味で、例えばその中でそういう御意向が出てくるケースがあれば、そういうような考え方で対処してまいりたいと思います。

 この仕組みとしては、沖縄振興一括交付金は、平成二十四年度予算においては繰越明許費として計上しておりますので、一定の要件を満たせば明許繰り越しまたは翌年度にわたる債務の負担が可能という、要するに繰り越しができるお金であるという性格も持っておりますが、そういう中で、沖縄県として、それを踏まえながら、こういうふうにやりたいという御相談があれば、また相談をさせていただきたいというふうに思っております。

秋葉委員 今大臣から前向きな御答弁が再度繰り返されたと認識しております。地元にそうした事情が生じた際には、基金での対応もできるということを確認しておきたいと思います。

 さて、与野党修正協議の中でもう一つ論点になっておりますのは、第四十二条の国際物流拠点産業集積地域の指定の問題でございます。

 政府案のこの規定ですと、地元、具体的には五市からこの指定への要望が上がっている状況がございます。結果としてこの五市が指定の対象になり得る条文だと、これは政令委任ということになっておりますけれども、指定される見通しがあるのかどうか、端的に伺っておきたいと存じます。

石田副大臣 お答えいたします。

 お尋ねの国際物流拠点産業集積地域につきましては、国際物流拠点を活用する新たな臨空・臨海型産業を集積させることを目的としておりまして、対象地域については、国際物流拠点に隣接する、または近接しており、土地の確保が容易であることが要件となっております。今般対象としておる区域につきましては、平成二十四年度税制改正大綱において、那覇空港、そして那覇港及び中城湾港周辺区域とされております。

 新たな対象区域の指定については、税制改正のプロセスにおいて、特区の目的や要件の充足、指定の必要性を踏まえながら議論が行われていくものと考えております。今、五市が対象が可能か可能でないかという秋葉委員のお尋ねでありましたが、可能かどうかにつきましては、実際に地域の状況を見た上で、そして土地の確保が可能か、また産業集積が可能かどうか、個別の案件に合致するかどうかを見て判断する必要があろうというふうに思っておりますので、現時点においてはその可否について申し上げるのは困難かというふうに思っております。御理解いただきたいと思います。

秋葉委員 やはり地元での要望に応えられるような形で、弾力的に運用していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 それから次に、これも与野党修正協議の論点の一つでございますけれども、第九十一条の交通の確保のあり方について、いわゆる政府案では、国及び地方公共団体は、沖縄における新たな鉄軌道という名称が入っていない、そして、そのあり方という文言表現になっているわけでございますけれども、修正案では、やはり鉄軌道ということをしっかり明示して、その整備のあり方について検討するという文言にしているわけでございます。

 これはどういう理由かといいますと、沖縄県でも鉄軌道の導入に向けて調査をいたしております。また、内閣府においても、平成二十二年ですか、鉄軌道の可能性を含めた公共交通システムのあり方について検討しているわけですね。そして、新年度はさらに具体的な鉄軌道導入に関する基礎調査として、ことしはその関連費用も盛り込まれているわけであります。ですから、地元の意向、あるいは国も鉄軌道を前提とした調査をこれから本格的に行う。導入するつもりがなければこういう調査を行わないわけですから、やはり事実上、導入を前提に行うのではないかというふうに思います。

 今、四十七都道府県で鉄軌道がないのは唯一沖縄県だけでございます、平成十五年には軌道としてのモノレールがオープンをいたしましたけれども。実は、沖縄県は戦前は鉄道が敷設をされておりました。県が経営する沖縄県軽便鉄道であります。沖縄も、県土全体で見ればそれほど交通渋滞というのは目立ってはおりませんけれども、しかし、那覇市内あるいは那覇市圏ということで見ますと、ある意味では東京よりも交通渋滞が目立っているような状況がございます。どうしても本土との格差是正を最大の眼目に県道整備をしてまいりましたから、道路の整備ということが優先をされてきた事情がございます。しかし、これからの沖縄の長期的な発展を考えれば、やはり鉄軌道の導入ということは前向きに検討されてしかるべき課題だと私は思っております。

 この法文の修正のあり方というよりも、沖縄県における鉄軌道の導入についてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと存じます。

石田副大臣 お答えいたします。

 委員今御指摘のとおり、沖縄県の要望、特に中南部を中心に交通渋滞が顕著となっております。そういうことから、交通事情を踏まえて、鉄軌道を含む新たな交通機関のあり方にかかわる調査検討を積極的に行う必要が生じていることから、本件について規定したものであります。

 内閣府におきましては、鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入の可能性について、平成二十二年、三年度にわたって、需要の予測やあるいは事業費、採算性、整備効果等について基礎的な調査を実施しているところであります。来年度以降も導入にかかわるさまざまな課題の検討も深めていくため、調査や県民の意識調査を行っていく予定にいたしております。

 その後の対応につきましては、今後、調査検討を十分に行った上で、調査検討結果を踏まえて判断すべきものと考えております。御指摘の配慮、努力規定については、法案に明記する段階ではないというふうに思料いたしております。

秋葉委員 私どもは、極力、法案に具体的な文言を明記する方向で修正が図られるように目指してまいりたいというふうに思っておりますので、そうした沖縄からの要望を受けて、国の方もしっかりとしたメッセージを伝えていくことが大事だというふうに思っております。

 次に、法改正による特区に基づく企業進出の見込みということについて伺いたいと思っております。

 沖縄も、着目すべきは、やはり着実に観光客数もふやしてきている。昨年は東日本大震災の影響でちょっと落ち込んだ時期もございましたけれども、ずっとトータルで見ると、今五百八十万ぐらいにまでなっております。外国人は二十八万人ということで、四%ということで、低い比率だという指摘もありますが、これも着実に伸びてきているという事実がございます。

 そして、着目すべきは、やはり那覇空港を活用した国際貨物の取扱量だと思います。先般、この沖北の委員会の理事メンバーで視察をしてまいりました。いわゆるANAが運用するハブ・アンド・スポーク方式の活用というものが大変ニーズに見合ったといいますか、活況を呈している。特に、平成二十一年から急激に増加をし、現在では、成田、関西に次いで第三位の国内シェアにまで至っておりまして、その取扱量はもう約十五万トンになっているわけです。

 こういう部分をさまざまな特区で伸ばしていくということは非常に意義のあることなんですけれども、これまでの状況を振り返ってみますと、現在、沖縄では、産業の振興や雇用の促進を図るために、既に三つの特区が導入をされているわけでございます。一つはいわゆるIT特区であり、一つは特別自由貿易特区、そして三つ目がいわゆる金融特区ということでございます。

 これらの三つの特区には、進出する企業に対して、一定の要件を満たせば所得控除制度の優遇措置があったり、いろいろな特例措置での支援があるわけでありますけれども、制度の開始以来、特に、金融特区においては一社が認定を受けましたけれども、現在では撤退をしているという状態にございます。さらには、IT特区においては、これまでに残念ながら適用実績がない。なぜそうなのかということについては、企業から、事業認定を受けるための専ら要件が厳しいということ、それから、事業認定を受けてもそのメリットが極めて限定的、制約的であるということが指摘をされております。

 今回の改正案によって貿易特区及び自由貿易地域を発展的に拡充して、さらに、沖縄の地理的優位性を生かしたアジアの物流拠点を形成するために、高付加価値物づくり企業等の集積を目的とした、先ほど指摘した、今回四つ目としていわゆる物流特区が創設されるわけでございますけれども、これらの特区の導入によって、さまざまな進出企業に求められる要件も緩和をされるだけではなくて、所得控除率も三五%から四〇%に引き上げられるなどの措置もとられてはおりますけれども、今まで余りにもその導入が進んでいない、実績がないということに鑑みますと、この程度の緩和策で本当に法改正後一気に企業の進出がふえるんだろうかとどうしても懸念せざるを得ません。

 ですから、このことが、法改正後どういう見通しを立てているのか、あるいは、既にそういう引き合いがあって、こういう状況、こういう緩和なら出ますという企業をもうしっかり政府として認識しているのか、具体的にお伺いをしたいと思います。

石田副大臣 お尋ねの件につきましては、今回の制度改正では、専ら要件の緩和、そして、今御指摘いただきましたように所得控除率の引き上げ、三五から四〇ということに引き上げたわけでありますが、によりまして、対象事業種の追加など、立地企業にとって使い勝手のよい魅力的なものとなっております。新たな企業立地につながってくるものと考えております。

 昨今、災害リスク分散が改めて注目されておりますが、沖縄本土と距離的に離れておりまして、大規模災害を同時にこうむる可能性が低いと考えられることから、今回追加する対象業種であるバックアップセンター等の進出も期待できるというふうに考えております。

 また、金融業務につきましては、バイオ産業など、沖縄において成長の芽生えが見られる産業分野に対するリスクマネー供給の役割も期待されることから、沖縄の新規産業の振興にもつながってくると期待もいたしております。

 事業認定を実際に受けるかどうかは個々の企業の判断によるものでありますが、認定企業数の具体的な見通しを申し上げることは現段階では困難でありますが、それぞれの特区における事業認定の数は増加するものと期待をいたしております。

 政府といたしましては、新しい制度を広く知っていただくとともに、沖縄のポテンシャル、優位性を発揮する企業の立地や集積が進むように、県、市町村と連携して支援をしてまいりたいと考えております。

秋葉委員 今具体的な数字はわからないという答弁でしたけれども、もちろん、具体的に何社来ますということは言えないのかもしれません。しかし、もう少しやはり政府として、さまざまな企業の団体やあるいは個別の企業も含めて、一緒になって、どういう要件にすれば来やすいのか、今までの実績を踏まえれば、私はこの程度の要件緩和ではなかなか厳しいんじゃないかなと思っています。本当に特区という名前にふさわしい大胆な深掘りをしていかないとなかなか厳しいと私は思っておりますから、もう少し政府として、各企業の意向調査も踏まえて、認定企業数が今回の改正によってぐっとふえるような努力をさらに続けていただきたいということを、これは要望とさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間が少なくなってまいりました。沖縄振興法については以上にとどめまして、軍転法の改正案についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 今回の改正案でございますけれども、参法で出されている議員立法などの修正案の内容を見ておりますと、より国の責務というものを明確にするために、国の責務規定の上に基本理念を置いたらどうだという大変踏み込んだ内容になっております。それはとりもなおさず、沖縄の自立的な発展、あるいは潤いのある豊かな生活環境の創造のための基盤としての跡地の着実な利用ということで、大変踏み込んだ内容になっております。

 私は、こうした単なる国の責務をうたうだけではなくて、それが国にとって、本当に国の責任でやらなければならないという意味で、国の立場、責務を明確化する上で大変意義のある規定だと思っておりますが、基本理念を置くことについて政府はどのようにお考えになっておるのか、お伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 参法で御提案いただいている部分は、基本的に思いは共有しているものだというふうに私は見せていただきました。

 あと、立て方として、参法においては基本理念として、時間の都合で省略いたしますが、一、二、三という三項目をお書きいただきました。

 この中身に関しては、項目的に申し上げると、政府案の第一条の目的の中で、参法にあります沖縄の自立的発展等の基盤としての跡地の有効、適切な利用の促進ということに関しては、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を促進し、沖縄の自立的発展云々ということで、趣旨はそのままほとんど同じことをうたっております。

 また、三番の、跡地の返還を受けた所有者等の生活の安定への配慮ということに関しても、目的の中で、駐留軍用地跡地の所有者等の生活の安定というふうに書かせていただきました。

 また、国の責任を踏まえた国による跡地の有効、適切な利用の主体的な推進に関しては、第三条で、国の責務ということで、国は駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化を図る責務を有するということで、趣旨に関しては、まとめては書いておりませんが、包含をしてやらせていただいていると思います。立て方の問題という分では差異がありますが、趣旨においては一緒だというふうな認識を含んでいると認識をいたしております。

秋葉委員 今大臣から詳しい答弁がありましたが、やはり別建てで置くことの意義というのも大変大事だと思うんですね。法律というのは関係者だけが理解できればいいんじゃなくて、やはり県民の皆さん、国民の皆さんに、この法律の趣旨が、国の責任でこれからやっていくんだ、そしてこういう理念なんだということを的確に伝えていくことは大変大事だというふうに思っております。

 時間も参りましたので、最後にもう一問だけお伺いをさせていただいて、終わりにしたいと存じます。

 国の責務、財政上の措置の規定の中で、国はこの駐留軍用地跡地の利用及び促進のために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならないということで、書きぶりとしては努力規定にとどまっております。

 実態として、これまでこの問題の解決がなかなか促進をしてこなかったことを考えれば、法文においても、やはり予算措置の必然化、あるいは予算措置だけではなくて、場合によっては法制上、税制上の措置もしっかりと講じるんだという書きぶりにしていく、そのことが大事だと私は考えておりますけれども、大臣の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

石田副大臣 お答えいたします。

 秋葉委員御指摘のとおり、政府案におきましては努力規定といたしておるところであります。これは、本法に基づき、国が支出すべき予算については、毎年度、政府において、沖縄県や関係市町村と十分な意見交換を踏まえて必要な予算を編成し、国会における十分な御審議を踏まえて確定すべきものと考えられているため、このような規定にいたしたものでございます。

秋葉委員 時間も参りました。

 これからの沖縄県の十年間をどうするのかということを規定する本当に重要な法案でございます。与野党で本当にいい協議をした上で、すばらしい法案になるようにこの委員会で全力を尽くしてまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

福井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは五十分という少し長目の質問時間をいただきました。御配慮に大変感謝を申し上げます。

 やはり、法律に書かれていることと、それからその法律の背景にある沖縄の振興が抱えている実際の問題、いろいろあります。もちろん我が党は沖縄振興法は必要だと考えているわけですが、もっと努力しなければいけないんじゃないかという側面もありますので、その辺の問題意識を持ちながら質問をしてまいります。

 きのうの質問のやり残しがありますので、この点から伺っていきます。

 学校施設の改築、補修、耐震化の事業は、一括交付金のハード事業の対象となっているはずであります。まず、この点を確認したいのです。

 同時に、自治体によっては、財政難のため、これらの事業が立ちおくれ、危険な状態が放置されているケースも少なくありません。特に、一九七〇年代、復帰をして建設ラッシュが押し寄せてきたときに、建築資材が足りないということで、やむなく海砂を使っている時代がありました。これらの構造物が今、民家も公共施設も老朽化、腐食を起こして、特に学校では、危険な状態もあるけれどもなかなか間に合わないという声はよく聞こえます。ハード事業だけではなく、ソフト事業の枠組みも使って対応できるものなら対応したい、こういう要望もありますが、学校施設の改修、補修に係って利用できるソフト事業はあるのか、政府の見解を伺います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、学校の老朽化に係る改築、補修でございますけれども、今回の一括交付金で、沖縄振興公共投資交付金、いわゆるハードの事業でございますけれども、学校の老朽化に係る改築事業等につきましてはその対象とすることといたしております。

 ソフトとの関係はどうなるのだというお尋ねでございますけれども、例えば学校の耐力度調査、これは今委員御指摘のとおり、急務であるというふうに私ども考えているわけでございますけれども、これもハード事業の一環として一括交付金の対象にすることは可能であるというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 ハード事業の一環として耐力度調査をソフトを使ってできるという、ちょっとよく確認できませんでした。

井上政府参考人 学校の老朽化に伴います改築事業でございますけれども、これは、今回の制度上、いわゆる公共投資交付金の対象といたしているものでございます。

 学校の耐力度調査そのもの自体はソフトに係る事業だと思ってはおりますけれども、それは学校の改築、補修の一環だというふうに整理をさせていただいておりまして、そういう観点から、沖縄振興公共投資交付金の対象であるというふうに考えているものでございます。

赤嶺委員 耐力度調査は、結局、校舎の改築とか補修とかということと連続的につないでいくわけですよね。事業化が目的になっていくわけです。

 そうすると、学校を改築するという事業の計画があらかじめ手のひらに乗っている場合は、予算の使い方で、ハードの交付金にあるわけですから、対象事業の中で優先して使っていけばいい、こういうことになるわけでして、今のお答えもその趣旨だろうと思うんですが、事業の予算は組めないけれども、校舎の安全度については常日ごろから耐力度調査をやっていきたい、そして危険なものをチェックしていきたい、こういうものはあるわけですね。どんな危険な状態で子供たちが教室で学んでいるか、そういうのはハードの事業と直結していない話として、どうなんでしょうか、幅を持たせていいのではないでしょうか。

井上政府参考人 重ねてのお尋ねでございますけれども、学校の改修をどのように行っていくかということを前提といたしまして、現在の危険度がどの程度あるかということは、やはり十分に御確認をいただく必要があるというふうに思っているところでございます。

 やはり私ども、国のこれまでの制度があるわけでございますので、今回の公共投資交付金はその制度を踏まえてのものであるというふうにここは認識をさせていただいております。そういう観点から、先ほど申しております学校の耐力度調査につきましても、改築の一環として、公共投資交付金の対象として考えさせていただきたいというふうに考えているものでございます。

 それとは全く違う観点でどのようなものがあるかということにつきましては、私ども、今具体的に御相談にあずかっているわけではございません。基本的には、学校の改築、補修、そしてそれに伴います危険度調査につきましては、今申し上げているような制度があるわけでございますので、その制度をぜひ御活用賜ればというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 この制度だけでは、予算規模が大きくなる見通しがつかない限り、危険、老朽の校舎の実態把握がなかなか難しいのでということを繰り返しているわけです。

 この間まで防衛省におられた井上さんが今度はここに来られて私に答弁しているから一言申し上げたいんですけれども、米軍基地というのは大幅な改築とかというのはなかなかやらないんですよね。これはアメリカの文化なのかヨーロッパの文化なのか私にはよくわかりませんが、やはりリフォーム中心ですよね。沖縄の場合には、コンクリートが海砂を使っているということで、改築が中心になっていくわけですよ。改築の大規模な予算が確保できなければ、耐久度調査もできないわけですよね。

 しかし、今度、ある自治体で建築士や設計士が学校を点検してみたら、構造物の中心でやはり老朽化が目立っていた。何でできなかったかといったら、改築予算が足りなかったので耐久度調査もできませんでした、こういう話なんですよ。そこをもっとやりやすくしていってほしい。そうすれば、いろいろな予算の使い方ができるんじゃないか。具体的な相談にあずかっていないということをおっしゃいましたけれども、行政は行政で煮詰めていくんでしょうけれども、そういう議論は各地方議会で盛んに起こっているということだけは申し上げておきたいと思います。

 次は、農業の振興について聞いていきます。

 法案では、観光や情報通信、金融特区、国際物流拠点などについて、法文上も引き続き支援策あるいは沖縄振興の柱として位置づけられているわけです。一方で、農業分野については特別の規定がなくなっております。

 それは今回の法改正ともかかわるわけですが、前回の農業分野の法文上の位置づけ、なぜ今回はなくなっているのでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のとおり、産業振興のためには、特区を含めていろいろな指定をさせていただく制度になりました。

 ただ、農業は沖縄県の基幹の、生活を支える産業でございます。そういう意味では、もうほぼ全域にわたって農業を営んでおられる。品目はいろいろで、多種多様でありますが、農業はそういう状況で全域にわたっておりますので、この振興を図っていくということでは、どこかの地域ということではなくて全部という意味で、ある特定の地域のみに、この特区の部分は基本的には税制でありますので、ある地域だけ税制で優遇するというふうなことをやって、そこをてこ入れするという手法はややなじまないのではないかというふうに基本的には思っております。

 そういう意味で、農業振興に当たっては、地域を指定して施策を講じるということではなくて、県が定めるいわゆる振興計画に基づいて、沖縄振興一括交付金等を活用しながら、それぞれの地域の実情に応じて柔軟できめ細かな施策を講じていくということが必要でありますので、その円滑な実施に関して必要な援助とか資金を確保しようというのが今回の一括交付金の趣旨でございますので、そういう意味で、それぞれの地域の特性に合わせて、県、市町村を含めて、きめ細かく農業振興に関してはやっていただきたいということで、ここに特段の重点ということでないことはそういう経過でございます。

赤嶺委員 現行法では、農林水産業に係る技術の研究開発及び普及に関する規定なども明記されておりました。もちろん、大臣がおっしゃるとおり、農業は特区だとかという方式になじむものではありません。税制の支援、そういうことも特に企業誘致のように求められているものでもありません。しかし、農業の開発や研究というのは極めて大事な分野でこれまでの振興法の中では位置づけられていたわけです。

 一括交付金で沖縄県がやればいいということになりますと、沖縄の農業について政府はどのように今後かかわっていくのか、このことをたださないといけませんけれども、その点はいかがですか。

川端国務大臣 沖縄農業の振興というのは極めて大事であるというのは、国としては当然ながらそのように認識しております。特に、甘味資源等の食料供給や持続可能な競争力、農林水産業の展開ということで、極めて地域振興に意義があるということは御指摘のとおりであります。

 これは先生、なかなか難しいのは、要するに、自分たちが判断して、お金も含めてきめ細かく政策をやりたいという沖縄県の御意向での地域振興計画の中で、農業は市町村も含めて極めて重要な施策として沖縄県は位置づけておられます。それが、国の基本的な農業政策の中で、これはこうする、ああするというふうにすることとのどこに線引きがあるのかということで、多分、先生の御指摘の部分は、研究とか技術開発とか、そういうふうなものはやはり国のバックアップがしっかり要るのではないかという御趣旨だというふうに思っております。

 そういう意味では、主体的には沖縄県でいろいろやっていただくときに、連携はもう十二分にやる中で、サトウキビ等の生産振興とか農業生産基盤整備の推進というのは農水省を含めてしっかりやっていくということと同時に、地域の実情に即した農業振興を図られるようにというのが趣旨の一括交付金であります。そういう趣旨の中で、我々としては責めをいろいろな形で果たしていくことは全く今までどおりやりたいというふうに思っておりますし、資金の確保と同時に、農業者その他の関係者に対するいわゆる専門的、技術的な助言、指導、その他の援助はしっかりやらせていただきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 法律を読んで、まず第一に、ああ、かなり農業の分野が圧縮されたなという印象を持ちました。

 きのう、当委員会でゴーヤーの話が出ました。大臣も、ゴーヤーが沖縄から移動できるようになったら、本土でつくる人もふえてきて、ゴーヤーの本土での沖縄の占める位置が下がってきていると。これは、私もいろいろなところを回って感じます。

 ゴーヤーは沖縄から持ち出してはいけない時期があったんですよね。ウリミバエという害虫が入って、そしてこのウリミバエを根絶する大仕事が、一九七〇年代、国の農業研究機関と沖縄の農業試験場の皆さんが本当に一体となって、虫をもって虫を滅ぼすという言葉もできましたけれども、それが可能になったんです。

 それで、本土にも持っていける、生産者もふえるというゴーヤーのそういう背景には、農業の専門家の国と県の協力関係というのがあったんです。それを可能にしたのが、また沖縄振興法の中での位置づけでもありました。これは、「その時歴史が動いた」という、NHKでも放送された取り組みであります。

 今、沖縄県はイモゾウムシとアリモドキゾウムシ、この根絶に取り組んでいます。法律で移動規制の対象になっているイモゾウムシ、これが根絶されたならば、沖縄のカンショの県外出荷が可能となっていきます。害虫被害の減少により、生産面積の拡大なども見込まれます。国の一層の努力が求められる分野であると思います。一括交付金を出しているんだからそれでやればいいじゃないかということでは、お金では済まないような科学技術の到達点、これを駆使して沖縄の産業振興の柱に第一次産業を据える、そういうことが必要だと、大臣はそういう努力は今後も変わらずやっていくおつもりだとおっしゃいましたけれども、ぜひその点はこれまで以上に積極的に、亜熱帯の農業は害虫との闘いですから、これはお金で解決しないんですよね。やはり研究者の知見、これが物を言うわけですから、そういう方向をぜひ追求していただきたいと思います。

 次に、今度の法律でこれまでの法律と比べて目立つのが国際物流拠点産業集積地域であります。この施策はアジアと日本のかけ橋と位置づけられております。国際物流拠点産業とはどういうものか、そして立地場所についても、先ほどの議論がありましたが、立地場所はどこになるのか、この点を説明してください。

井上政府参考人 沖縄は、大変目覚ましい発展を遂げておりますアジアの結節点に位置をしておるわけでございます。

 平成二十一年十月に開始されました、那覇空港を拠点といたしました国際貨物ハブ事業でございますけれども、日本を含むアジア主要八都市を効率的に結んでおりまして、まさに実質的に沖縄はアジアの国際物流拠点となりつつあるわけでございます。

 こうした国際物流拠点としての機能を活用いたしまして、電気・電子機器の加工、生産、修理、さらには医薬品、健康食品等の高付加価値の物づくり産業の集積、またリペアセンター、例えば国際的な拠点を活用いたしまして、お客さんたちの故障品を一手に引き受けるような修理を行う、そういう機能も考えられるわけであります。Eコマース、店を構えずにインターネットにより注文を受けて、自社の倉庫から商品を飛行場そして港から発送するというようなことも可能になってくるわけでございまして、そうした産業の集積化がこの国際物流拠点関連地域に期待をされている、そういう産業の育成を図ろうというふうに考えているものでございます。

赤嶺委員 今度からは、そういう国際物流産業の集積の場所を確保して、これで雇用も生み出し、企業も誘致していこうというお話ですか。そういうのは、どこにそういう場所があるんですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の国際物流拠点産業の集積地域でございますけれども、現時点におきましては、那覇空港、那覇港、そして中城湾港、それぞれの周辺地域を想定いたしております。

赤嶺委員 今出された中城湾港は、特別自由貿易地域を抱える地域として、前回の振興法の中で大きな位置づけを持たされておりましたが、その点は確認できるでしょうか。そういうことでよろしいでしょうか。

井上政府参考人 中城湾港地域につきましては、これまで、まさに特別自由貿易地域として、重要な拠点として位置づけておったところでございます。

赤嶺委員 特別自由貿易地域と前回の法律で位置づけられていたものが、今度は国際物流拠点というぐあいに置きかえられているわけです。

 当初、あの計画のパンフレット、特別自由貿易地域が沖縄振興にどう役立つかという企業向けのパンフレットを見ましたら、世界に開ける日本の南玄関、こういうふれ込みで、沖縄における企業の立地を促進するとともに、貿易の振興に資するため、日本においては沖縄県のみに適用される制度として、百二十二・四ヘクタールへの加工貿易型産業というのでしょうか企業の立地を目指して、特別自由貿易地域を柱にしてきたわけであります。

 その特別自由貿易地域の現状は、今どうなっているんですか。当初の企業進出目標と企業進出の現状、これについて説明していただきたいと思います。

井上政府参考人 特別自由貿易地域について、第三次沖縄県産業振興計画で設定いたしました目標の企業数、七十五社でございます。他方で、現時点、平成二十四年三月三十一日時点の立地企業数、三十四社であるものでございます。

赤嶺委員 三十四社進出した企業のうち、その特別自由貿易地域の土地を分譲して、そして進出した企業は何社ですか。そのほかの企業はどんな形で進出をしているんですか。

井上政府参考人 三十四社のうち、分譲地に立地しておりますのは八社でございます。

 他方、その残りの二十六社でございますけれども、県が賃貸工場を建てております。一般的な賃貸工場と素形材産業賃貸工場があるわけでございますけれども、二十六社、そこに立地をいたしているものでございます。

赤嶺委員 土地が売れなくて、企業の進出を図るために国と県が税金で賃貸工場をつくってあげた、そこに進出している企業が三十四社のうち二十六社になっているわけですね。

 この土地は、百二十二ヘクタールの特別自由貿易地域です。販売された、購入した土地はどのぐらいの規模、何%ぐらい売れているでしょうか。

井上政府参考人 特別自由貿易地域百二十二ヘクタールのうち、分譲用地は八十九であるわけでございますけれども、分譲済み面積は七ヘクタールとなっているものでございます。

赤嶺委員 百二十二ヘクタールのうち、七ヘクタールしか分譲が済んでいない。まさに、特別自由貿易地域への企業進出、企業誘致政策はどうだったかということが検証されないで、今度は国際物流拠点だよ、これじゃ看板をかえただけ、呼び方を改めただけにすぎないわけですよね。

 税の優遇措置や専ら要件も緩和したとおっしゃいました。今まで、その特別自由貿易地域に三十四社進出して、税の優遇措置、つまり利益を上げて税の優遇措置を受けた企業は何社ですか。

井上政府参考人 税の控除を受けた社の数でございますけれども、今当座の数字、ちょっと手元にございませんけれども、例えば、二十二年度、投資税額控除を受けたのは三社、所得控除を受けたのは二社でございます。二十一年度、投資税額控除を受けたのは一社、所得税額控除を受けたのは二社でございます。

赤嶺委員 せっかくの企業誘致のインセンティブだとしてきた制度の恩恵にあずかれるような経済情勢でないことも確かなんですよね。

 そうすると、この十年余り企業誘致に成功してこなかった特別自由貿易地域が、今度国際物流拠点として看板をかえたときに企業誘致が成功する、これまでの失敗は繰り返さないというための施策はどのようになっているのでしょうか。

井上政府参考人 必ずしも企業誘致が十分にいっていないのではないかという御指摘でございますけれども、まず、全般的に、一般論ではございますけれども、沖縄県そのものが一つの島という形で形成をされている観点から、物流コストが高くつく、そして、これまでの歴史的経緯等もあり、物づくりの基盤となる産業の集積度が低いということがそもそも挙げられているわけでございます。

 また、特別自由貿易地域、まずは、もともと企業立地が進んでいなかったところを、企業立地の新たな制度を創設いたして積極的に誘致を図っていこうということがあるわけでございますけれども、基本的な立地条件がそういうところであったということもございます。また、アクセスの改善の問題も実はあったわけでございますけれども、これは最近、アクセス道路である県道三十六号線は開通をいたしておるというところでございます。

 今申し上げたような、基本的に物流コストが高い、それに対しては、さまざまな物流コストのための軽減措置を実施いたしています。それに対する助成措置等を行っているわけでございます。また、素形材産業の集積が低いということに対しましては、先ほども申し上げましたけれども、金型等の賃貸工場の整備等、そういうところも図ってきたわけでございまして、その基本的な条件の克服ということにこれまで努めてきたところでございます。

 そうした観点から、確かにまだまだ少ないのではないかという御指摘ではありますけれども、平成十三年には六社であったわけでございますけれども、現在は三十四社と、立地は進んできているところでございます。

 しかしながら、これからさらにそれをどう伸ばしていくかということであるわけでございますけれども、最初の方に申し上げましたように、沖縄の立地特性、アジアの結節点であるという地理的条件を最大限生かして、それに関連する国際物流拠点産業を集積させていくという観点から、今回も新たな税制優遇措置等を講じ、そういうことを踏まえながら、企業誘致等、県ともども進めていきたいというふうに考えているものでございます。

赤嶺委員 大変苦しい答弁のようでありますが、企業誘致をするために、とにかく財政投資をどんどんやっていかなきゃいけない。費用対効果はもう論外の地域になっているんですね。その結果、沖縄県は、二〇一〇年度で借金返済六億九千万円になっているんです。十七年間、土地も売れないものですから、二百億円ずつ返していかなければいけない。

 結局、沖縄県の予算編成の方針の中で、今後の財政収支の見通し、こういう部分がありますが、中城湾港を初めとする臨海部土地造成事業における用地売却低迷などの懸念材料があると。沖縄県の財政に非常に懸念される影響を与えている。沖縄振興として、よかれとして始めたこの制度が、実際には沖縄県の財政を苦しめるところにまで至っている。

 それは、これからも税金は投入して企業誘致のための努力はしていくというお話でありました。でも、根本的に、沖縄で企業を誘致する場合はどんなことが必要なのか。審議会でもいろいろ言われていますよね。もともと電気代が高いところに企業が行くはずがないとか、いろいろな議論がある。この議論を総点検しないで、検証しないで、今度は、中城湾港は国際物流拠点ですよ、アジアに向かって開いていく、沖縄の経済がアジアを引っ張るんだ、こんな大きな話ばかり振興策の議論のときにやっていたらだめですよ。

 やはり、失敗から学ぶ、そして失敗を繰り返さないために何をやるか、こういう真剣さが私は本当に欲しいと思います。そうでないと、国際物流拠点といっても、また同じ繰り返しになるのではないかということを懸念しているわけです。

 もう一つ、これに関連して聞いていきます。

 新たな物流拠点として位置づけられているのが那覇港です。那覇港は、以前までは沖縄の島々と沖縄本島を結ぶ大変にぎわいのある、活気のある、そして那覇市民から、まあ照屋先生は那覇市民ではなくてうるま市民ですが、私は那覇市民ですが、那覇市民から親しまれている、愛されている港だったんです。

 この港に成長する北東アジアの経済を取り込むということで、外貿コンテナターミナルのバースを整備して、今度は、沖縄の沖合を通っている中国の北米航路、これをコンテナ船の中継地点として位置づけて開発をすれば、貿易も盛んになり、経済も活性化していくということで、ここにも莫大な税金が投入されました。

 そこに今度国際物流拠点をつくろうというわけですが、企業の集積は可能なんでしょうか。雇用も見込まれるんでしょうか。

竹澤政府参考人 御説明を申し上げます。

 那覇港は、外国貿易の定期航路として、現在、北米、中国、フィリピン、台湾、この四つの主な航路がございます。今先生おっしゃりましたとおり、那覇港は大変重要な役割を果たしておりまして、私どもとしては、今回の新しい枠組みの中で国際物流拠点産業集積地域制度の創設をする。それからまた、物流コストというのは非常に大事な論点でございますので、臨港道路の整備とか、あるいはA地点からB地点に物を運ぶリードタイム等をきちんと検証するための社会実験の実施とか、あるいはコンテナ荷役のためのガントリークレーンの増設等を図りまして、この那覇港が一層発展するような対策を講じるつもりでございます。

赤嶺委員 まあ、船が来るなら、ガントリークレーンもふやした方がいいと思いますよ。

 その外貿コンテナターミナルをつくるときの年間のコンテナの取り扱い目標、これは幾らの数値を設定してこの事業を始めたんですか。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 港湾の計画というのは非常に長期スパンで立てるという傾向がございますので、平成二十年代後半の目標値として設定したものがございます。この場合の目標設定、平成十五年にいたしたわけでございますが、コンテナターミナル、これは、埠頭、バースという、三つの船着き場ですね、三バースで年間の扱い量六十二・八万個を取り扱うというふうに想定をしていたところでございます。

 これに対して、平成二十二年の時点においては、現在はまだ一つのバースが未整備でございますものですから、二つのバースで年間扱い荷物は八・四万個という数字になってございます。

赤嶺委員 六十二万個を目標にしたけれども現状は八万個、これでは三つ目のバースをつくってもなかなか採算がとれないのでということで、三つ目のバースは、今工事は中断しているということなんですよね。

 私は、同じような失敗をしているんじゃないかと。つまり、沖縄が置かれている地理的条件、アジアに近いとか経済の成長を取り込もうとかいろいろ言うけれども、やはり外からの企業を誘致するにはさまざまな不利な条件を抱えている地域。そして、製造業が何で沖縄で発展してこなかったか、これは米軍が戦後、広大な基地を建設するために、基地建設の労働者を確保するために、農業や製造業への経済発展をとめたんですよ。貨幣までかえて、とめたんですよ。こういう歴史的な背景で、製造業そのものが乏しい。こういうところに、いや、企業を誘致して、もう発展するよ、発展するよという。計画の段階では世界に開いた玄関だとかいろいろ言ってみるけれども、十年たって検証してみたら、やはりうまくいっていないところが多い。

 これは、努力はされていると思いますよ。努力はされていると思いますが、そこに頬かむりをして、今度は国際物流拠点で発展するんだという、検証が全く我々に示されなくてこういうやり方をするのはいかがなものかと思いますが、大臣はどのように考えておられますでしょうか。

川端国務大臣 沖縄の発展のために、特に産業振興を図るためにということで、拠点づくりをしていろいろ施策を講じてきました。

 今、日本全体の経済状況でいっても、沖縄だけではなくて本土においても、企業の進出というか誘致というのは極めて難しい状況にあるというより、むしろ国外に出ていく企業が多くて空洞化というのが言われているという経済状況にあります。

 そういう中でありますが、特に沖縄においてこれからの発展を目指すときに、観光産業は非常に有望であるというのと同時に、反面、若者が多いのに失業率が最悪の状況であるということで、やはり雇用の場をどうしても確保しなければ沖縄の健全な発展は望めない。厳しい経済環境の中ではあるけれども、やはりその特性を生かす中で、何とか沖縄が立地に恵まれているという環境をつくって企業を誘致しようという思いの中でやってきた施策だというふうに思います。

 ところが、現実には、そういう外的な要因も含めて、思ったようにはいかない。そういう中で、検証という意味では、いろいろな中で、先ほどの秋葉議員の御指摘にもありましたけれども、やはり税制の優遇や土地の値段云々を含めたこと等々だけでうまくいくのかという御懸念は確かにあると思いますが、ただ、PRとかも十分にできていないことも事実であります。

 この進出企業の中には私の知っている、琵琶湖でも魚釣りが盛んでありますが、そういうメーカーも実は同じような系列で沖縄に数年前進出されました。これは立派にやっておられます。そういう意味では、やはりより周知していくということが大事であると同時に、今までの懸念は克服する、可能な手だては制度上はとってあるけれども、実際本当にこれからしっかりいくのかということにおいては、しっかりいかさなければならないというふうには思っております。

 そういう意味では、いろいろな御指摘の部分をきめ細かく、これからも改善は不断に加える中で工夫をしながらやっていかないと、ここがしっかりもたないと沖縄の雇用というものを確保することができないという、大変大きな責任を持っている事業だと思って、心してやらなければいけないというふうに思っております。

赤嶺委員 雇用の場を拡大するために企業の立地を盛んにしていくことは、本当に必要だと思います。沖縄振興のかなめだと思います。

 それを、企業誘致にだけ目が行って、日本全体の経済が厳しいときに、長いことその土地にいた大手の企業でさえ撤退していくような時期に、沖縄の振興に必要なのは、やはり沖縄で生まれているいろいろな方々の企業立地を支援していく、沖縄の地場産業に根づいたものを支援していくということが、私は、そういう努力はこの間の振興法では足りなかったと思っています。ぜひ改善を求めたいと思います。

 それから、雇用の場としての企業の進出で、私はこれは本当にどうかなと思ったことがありますが、コールセンターがどんどん進出してきております。東京―沖縄の長距離電話料金も支援をするとか税制の支援措置もあるとか、ある意味、相当な支援措置をとってコールセンターが進出してきている。企業の社長さんの大型インタビューが地元の新聞の元旦号を大体飾りますけれども、この中で、何で沖縄に進出してきたか、沖縄の若者は低賃金で働かすことができるというぐあいに言っていたんですね。実際、コールセンターで働く労働者は、低賃金、臨時、そして短期です。安定した雇用の場にはなり切れていないんです。だから、安定した雇用の場をどうつくっていくか、こういうことを、大臣初め内閣府の皆さんの努力を強く要望するものであります。

 次に移ります。

 沖縄県は、開発優先で、自然破壊が進行している。今、問題というか関心が高まっているのは埋立面積のことです。

 復帰後の埋め立ては、国土地理院の沖縄の支所が二〇一一年に発表した数字によると、海岸の埋め立てなどで増加した県土面積が二十六・五五平方キロメートルに上ると発表しております。結果として、自然の海岸線の多くが失われています。マスコミも、埋め立てて造成しても、企業誘致が進まず空き地が広がっている土地もあり、合理性をめぐる慎重な判断が求められている、このように指摘しております。

 埋め立てと並んで、自然海岸線の風景に影響を与えているのが海岸事業の中の養浜というものであります。私も、初めて海岸事業の養浜というものを勉強してわかったわけですが、これはどんな事業ですか。そして、海浜事業の養浜は、今沖縄ではどのようになっているんでしょうか。その実績を示していただきたいと思います。

竹澤政府参考人 御説明を申し上げます。

 先生既によく御存じのとおりでございますけれども、海岸事業と申しますのは、高潮などの被害から海岸を防護する、あるいは海岸の整備保全、そういうことを目的とした大きな概念でございます。その大きな概念の中で、人工的に砂浜の造成を行うというものを、浜を養うと書いて養浜事業、これはもう先生よく御存じのことでございまして恐縮でございますけれども、一応前提としてお話し申し上げました。

 それで、今沖縄県における養浜事業がどうなっているかということを沖縄県に確認いたしましたところ、沖縄本島所在の市町村において、平成二十二年度までに、養浜事業の箇所数は三十五カ所であるというふうに聞いております。

赤嶺委員 もう時間もありませんので、きょうは五十分というのでまだ大分用意してきたんですが、行き切りませんでした。また次の機会を持ちたいと思います。

 ただ、今の、養浜で砂を入れかえるわけですよ。砂を入れかえたら、そこには、この砂はどこから持ってくるかといえば、海の底から持ってきたりするわけですね。生き物の種類が違うわけですよ、海岸線の砂浜と海の中の砂浜が。それが沖縄本島をぐるりと三十五カ所取り囲んでいる。あのきれいな砂浜はきらきら光っているけれども、実は入れかえられた砂になっているんですね。私は、防災事業といえども、何で砂を入れかえる必要があるかと。

 それから、埋め立てた先には必ずビーチがあります。人工ビーチです。砂はとてもきれいです。だけれども、ちょっと風が強いと、もう本当に町じゅうに砂が飛んでくる。ヤドカリがいないんですよ。生き物がいないんですね。近くの古くからの養浜していない海岸はヤドカリがいるので、親子連れのにぎわいの声が海岸に聞こえるんです。しかし、人工ビーチや養浜した砂浜というのは、やはり人けがなくなっていくんですね。

 ここに、これには九割補助がつくわけですよ。そういうような事業のあり方、沖縄の自然景観を壊すような自然のあり方も今後はきちんと見直していくというような、いろいろな要望を申し上げましたけれども、そういうことを申し上げまして、また次回にもこれらの問題を取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 終わります。

福井委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 冒頭、私は、きょうの質問時間を御配慮いただいた野党筆頭理事に感謝を申し上げたいと思います。

 さて、質問の一番目は、改正駐留軍用地返還特措法案第八条に規定する返還前の基地内立ち入りについて、その対象を、日米合同委員会のみならず、日米安全保障協議委員会での返還合意された駐留軍用地にまで拡大したことを高く評価しております。一方で、改正法案第八条では、県知事や関係市町村の長から申請があった場合、あっせんに努めるとの努力規定にとどまっております。

 ところで、例えば普天間飛行場やキャンプ瑞慶覧など、返還自体が日米合意されていても、宜野湾市がなかなか立ち入りできていない実情がございます。私は、返還前の基地内立ち入りを日米合同委員会の合意事項としない限り、本規定はいつまでたっても空手形のままだと思います。

 改正法案八条は義務規定とした上で、強い意思を持って日米交渉すべきだと考えますが、外務大臣もしくは防衛省の所見をお聞かせください。

神風大臣政務官 お答え申し上げます。

 返還前の駐留軍用地への立ち入りのあっせん規定を義務規定とすることについての御質問でありますが、あっせんについて沖縄県からは国による所要の措置を明確にすることを要望され、これを受けて、改正法案におきましては、あっせんの要請があった場合の国による措置について、あっせんに努める旨を明記いたしたところであります。

 改正法案と議員立法法案の規定ぶりに差はあるものの、いずれにしても、防衛省としましては、返還前の立ち入りは跡地利用のために重要であると認識をしているところでありまして、沖縄県の地方公共団体から要請があった場合には、可能な限り、返還前の駐留軍用地への立ち入りができるよう努める所存でございます。

照屋委員 神風政務官、現行軍転法第九条に基づき、関係自治体が返還前の基地内立ち入り申請をしても、国の受理窓口が不明確であることが、昨年五月十八日の参議院決算委員会における自民党、島尻安伊子議員の質問で判明をいたしました。間もなく一年が経過をしますが、現状はどうなっているんでしょうか。また、改正法案の成立後、受理窓口を含めたあっせん手続は具体的にどうなるのか、実効性があるのかどうなのか、政務官のお答えを願います。

神風大臣政務官 あっせんに関する国の窓口等についての御質問でありますが、現行の返還特措法第九条に基づく返還前の駐留軍用地への立ち入りに関するあっせんの申請に関しては、国の窓口について明確に定めてきておらず、その旨、平成二十三年五月十八日の参議院決算委員会におきまして、自民党、島尻議員の質問に対して政府側から答弁させていただいたものと承知をしているところであります。

 他方で、あっせんの申請につきましては、内閣府沖縄総合事務局、外務省沖縄事務所及び防衛省沖縄防衛局のいずれに申請が出されましても、関係省庁間で適切に対応することとしているところであります。

 また、沖縄県からは、あっせんについて、国による所要の措置を明確にすることを要望されておりまして、改正法案におきましては、あっせんの要請があった場合の国による措置について、あっせんに努める旨を規定したところであります。

 法改正後のあっせんに係る具体的な手続等に関しましては、現在検討中でありますが、沖縄防衛局を窓口としてあっせんを行うこととしているところであります。

照屋委員 先日、沖縄振興開発金融公庫の金井照久理事長が急逝をいたしました。心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。金井理事長には、改正沖縄振興法の成立を見届けてほしかったな、こういう思いでいっぱいでございます。

 私は、沖縄振興特措法案の附則で、沖縄振興開発金融公庫の統合期限の十年延長が明記されたことを率直に高く評価をしております。その上で、川端大臣にお尋ねをします。

 沖縄振興において、沖縄振興開発金融公庫が果たしてきた意義、役割について、大臣はどのように評価をしているのか。また、法改正後、向こう十年の沖縄振興に対して、沖縄開発金融公庫にどのような役割を期待しておるんでしょうか。お尋ねします。

川端国務大臣 この沖縄振興開発金融公庫は、四次にわたる沖縄振興に係る計画の実施に当たって、沖縄における経済の振興及び社会資本の整備で、国の財政措置とともに車の両輪として、非常にきめ細かく、皆さんに頼りにされる役割をしっかり果たしてきていただいた、沖縄の振興を支えてきていただいたというふうに私たちも評価をしております。

 今お触れいただきましたように、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律第十一条の中で、「平成十四年度を初年度とする十箇年の期間が経過した後において、新政策金融機関に統合するものとする。」というのが沖縄振興開発金融公庫の法的位置づけでございました。

 先ほど申し上げましたように、このような大きな役割を果たしているということを踏まえて、今回の沖縄振興特別措置法に基づく振興策を講じていく中で、沖縄からも大変強い御要望で存続してほしいということもございまして、沖縄独自の出資、融資制度の維持を組織面からも確実にできるようにするためにも、二十四年度を初年度とする十カ年の新たな振興計画の期間、公庫を存続させるということを、先ほど申し上げた法律の改正で行うこととしたところでございます。

 そういう意味では、そういう役割をしっかり果たしていただいていると同時に、これからも果たしていただきたいというのを法案で示させていただいた。これによりまして、特に中小零細企業への資金供給、あるいは産業基盤の整備初め、沖縄の優位性を発揮する新規事業の創出など、今後とも、沖縄公庫の政策金融が、国の財政措置と並んで車の両輪として機能を果たしていただくことを大きく期待しているところでございます。

照屋委員 政府は、沖縄県に対して、現行沖振法に基づき、保育所整備に関する国庫負担の特別措置、具体的には、補助率のかさ上げとともに、沖縄県保育所入所待機児童対策特別事業基金による財政支援を講じております。一方、改正沖縄振興特措法第八十四条三項では、子育て支援に関する配慮規定を設けております。

 既存の法律で保育所整備に関する規定や沖縄独自の保育所整備に関する特例措置があるにもかかわらず、改正法で子育て支援整備に関する配慮規定を新たに盛り込んだのはなぜか、内閣の見解を伺います。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、今回の改正案におきましては、待機児童の解消。これは、沖縄県は待機児童数が大変高い数値が出ております。待機児童率に関しましても、率でいきますと全国一位という形でございますので、やはり沖縄における子育て支援に係る課題の重要性に私どもは注目をさせていただいたところでございます。

 これの重要性に鑑みまして、新たな沖縄振興において子育て支援の充実に積極的に取り組もう、これは、沖縄県が強い要望といいますか思いを持っていただいていたというところがございます。沖縄県の法改正の要望、この中においても、踏まえまして、児童の保育に関するサービスの確保に適切に配慮するということ、法律上これをしっかりと明記をしていこうということで、今回の改正案に盛り込ませていただいたところでございます。

照屋委員 戦後二十七年間にわたって米軍支配下にあった沖縄は、本土とは異なる独自の児童福祉、教育行政の歴史を歩んでまいりました。その特徴的な例として、公立小学校に併設されている公立幼稚園、いわゆる学校幼稚園の存在が挙げられます。

 両大臣に告白をいたしますが、私も小学校に併設されたいわゆる学校幼稚園に通いました。ところが、当時は幼稚園の園舎もない、林の中で先生と一緒に毎日遊戯をしたり駆けっこをしたり、それで一年間幼稚園を過ごしました。また、その後に、各自治体の公民館で幼稚園教育を実施しているのが、もう県内にたくさんございました。こういう独特の歴史があって、沖縄における現在の学校幼稚園があるということをぜひ大臣を初め政務官の皆さんにも御理解をいただきたいと思います。

 その上で、政府は、子育て支援に関する制度、財源、給付を包括的かつ一元的に行うため、子ども・子育て新システム導入に関する法律案を今国会に提出していますが、沖縄における保育行政、幼稚園行政の実態に照らし、新制度導入はいかなる影響を及ぼすとお考えでしょうか。特に、公立幼稚園の維持、存続は可能なんでしょうか。お尋ねいたします。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今般、政府で子ども・子育て新システムに関する法律案を検討中でございまして、今国会に提出すべく今鋭意努力をさせていただいているところでございます。

 今回の子ども・子育て新システムにおきましては、実施主体は基礎自治体になってまいります。したがいまして、地域の事情に応じたさまざまなニーズを把握して、そして、それにきめ細やかな対応ができるものではないかというふうに考えているところでございます。

 そういった面を含めて、先生御指摘のように、沖縄の場合は、戦後のいわゆるアメリカのプレスクールと言われていた状況から、五歳児からの公立幼稚園というものが置かれていたという状況がございます。そういった面では、そういった公立の幼稚園、既存の幼稚園につきましては、この新システムの中におきましても、当然存続して財政措置を受けるという状況はまずつくることができます。

 それから、あるいは、総合こども園、今創設をしたいというふうに考えておりますが、幼稚園と保育所、保育の施設、それをあわせ持った総合こども園という形に衣がえをしていただくというか、そういったところも含めて、子供さんを受け入れることができる、取捨選択をすることができる、そういった形を、今、いずれかの選択をとることができるという形を新システムの中では考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、この新システムの導入に当たりましては、沖縄の幼稚園行政等の実態をしっかり反映できるという形を考えているところでございまして、そういった制度の実施をしっかりと私どもとしても行っていきたい。そして、沖縄における子供の、子育ての支援策、これをさらに発展させることに寄与できるものではないかというふうに期待をいたしているところでございます。

照屋委員 玄葉大臣、きょうは、お忙しいところ、当委員会に御出席いただいて感謝を申し上げます。

 玄葉大臣に尋ねますが、日米両政府は、在日米軍再編見直し協議の基本合意を受けて、現在の在沖米海兵隊の定員数に対応した移転案づくりに着手をしたようでございます。その日米協議の中で、海兵隊の定員数が、二〇〇六年のロードマップに関する日米合意時の一万八千人から二万一千人に増加していることを相互に確認したようでございますが、間違いございませんか。

玄葉国務大臣 海兵隊、特に在沖縄海兵隊員の定員のお尋ねでありますけれども、おっしゃるとおり、〇六年のロードマップのときの在沖縄海兵隊の定員、これは約一万八千人である、うち八千人をグアムに移転する、こういう計画を定めたものであることは御存じのとおりでございます。

 その後、昨年行われた日米間の議論の中で、在沖縄海兵隊の人数が約二万一千人になっている、そういう説明を受けたことがありますが、現在の定員数については、まさに今行われている日米協議の中で詳しく議論をしています。

 実際は、御案内のとおり、定員、実員あって、その時々の状況でかなり変わりますよね。去年二万一千人、そういう説明を受けたことがあります。

 ですから、今さまざまな報道とかがございますけれども、最終的に取りまとめが行われたときにしっかりとその点について説明をさせていただきたいというふうに思っていますし、あわせて、結果として再編後の沖縄に残留する海兵隊の定員を約一万人にする、こういう点については、ロードマップの合意と変わらないという考えで日米間の協議を今進めているということでございます。

照屋委員 私もこの問題について玄葉大臣の記者会見でのお話を精査してみました。そうすると、大臣は二月三日の記者会見で、今は俗に定員は二万一千だが、実際は一万八千人ではないかと言われておるとも述べております。

 私が大臣にお尋ねしたいのは、米海兵隊の定員数は日米協議の大前提となる話だと思うんですね。だから、なぜ今まで日本政府が三千人の定員増を国民に明らかにしなかったのか、しっかり説明をしなかったのか、それが疑問なので、大臣のお答えをお願いします。

玄葉国務大臣 確かに、では〇六年のときの一万八千人というのは定員だったのか、まあ、定員なんですが、結論から言えば、例えば実員だったのかとか、あるいは組織編成上の人数とかいろいろあるんですね。私、先ほど定員二万一千人と申し上げましたけれども、人数が二万一千人である、そういう説明を確かに去年受けたんです。

 何でその時々においてその都度言わないのか、こういうお話でありますけれども、これは先ほど申し上げましたけれども、本当に毎年のように変わっているんですよね。世界情勢も含めて、沖縄にいる海兵隊の数、あるいはその時々の定員というのは変わっているということが実態であります。

 そういう意味で、今、照屋先生が言われたように、その都度その都度、できるだけ頻繁にそういった定員の増減等々についてもっと発表したらよいのではないか、そういう問題意識ということであれば、それは確かに考えなくてはいけないなというところもあるのではないか。

 ただ、いずれにしても、今回の協議がまとまった段階で、これは基本的には米軍の運用上の問題ではあるんですけれども、整理してきちっと説明をさせていただきたいというふうに考えております。

照屋委員 在日米軍再編の見直し協議において、米側が、岩国移転が難しいなら岩国以外で移転できる日本国内の基地を提示してほしいと主張したようでございますが、政府は、地元の理解が得られないとして、在沖海兵隊の国内移転を拒否したようであります。

 玄葉大臣は、先週の当委員会でも、沖縄の基地負担は全国で分かち合うべきだ、そういうのは本当で、常々そう思っていると、私の質問に答弁をされました。

 なぜアメリカに沖縄以外の国内移転先を具体的に提示しないんでしょうか。私は、岩国へ移せということを強調しているのじゃなくて、岩国を含めて、大臣がおっしゃるような考えが本当であれば、要するに、全国で分担し合おうというのであれば、なぜ日本側から国内移転先を提示しないで依然として沖縄に負担と犠牲を押しつけるのか、それを尋ねます。

玄葉国務大臣 あくまで一般論として申し上げれば、私はやはり、日本人全体で負担を分かち合うべきだ、そして沖縄に対してもっともっと思いをいたすべきだというふうに常々思っております。

 その上ででありますけれども、今回、岩国につきまして、厚木からの空母艦載機、そして普天間から、普天間の移設がなされたときにKC130の移駐ということで、これ以上の追加的な負担をお願いするつもりはないということは申し上げた、これは事実でございます。

 まさに、おっしゃったとおり、沖縄に七四%の米軍専用基地が集中をしている、このことに思いをいたしながら、私としても、沖縄の負担をできるだけ早期に軽減したいという思いの中で今回の日米協議も行っているということでございます。

 現状、まことに心苦しいわけでございますけれども、沖縄の地理的な優位性、また海兵隊の機動性、即応性、そういった観点から、沖縄の皆様に御負担をお願いしなければならない、そのことに、本当に申しわけなく思いつつ、あらゆる努力をしながら御理解をいただかなくてはいけない、そう考えているところでございます。

照屋委員 玄葉大臣、一人のウチナーンチュとして率直に申し上げますが、私は、抑止力や地政学的な理由をもって沖縄に米軍基地を集中させ、犠牲と負担を一方的に強いるのは、国策の欺瞞による沖縄差別だと思っております。そのような思いから、先月、「沖縄から国策の欺瞞を撃つ」という本を地元の新聞社から出版をしました。

 そこで、大臣、二〇〇六年の日米合意以来、これまで政府は、司令部機能をグアムに移転し、戦闘部隊を沖縄に残留させることで抑止力を維持するとの説明に終始をしてまいりました。ところが、今回の米軍再編見直し協議では、日米両政府は、沖縄の戦闘部隊をグアムなど国外に移転し、司令部機能を沖縄に残留させるとの方針に転換したようでございます。

 抑止力をめぐる日米両政府の考え方が従来と全く異なっておりますが、どうやって抑止力を維持するつもりでしょうか。百八十度の方針転換について、納得できる説明を求めます。

玄葉国務大臣 〇六年のときの説明というのが、いわゆる戦闘部隊をグアムに移転するということであった、そのことをある意味説明をしていたということは事実ではないかと私も推測します、そのとき私が説明者だったわけではありませんけれども。

 まだ結論が出ていませんので、当然、結論が出たときに丁寧に説明するわけでありますけれども、問題は、その安保環境がやはり変わっているということだと思うんです、一つは。結局、〇六年は、たしか〇三年の米軍全体の再編を受けて〇六年の再編のロードマップができている。今回も日本は日本の事情がありましたけれども、アメリカはアメリカで新しい安保環境、刻々と変化する安保環境に対応しなきゃいけないということで新しい国防戦略指針というものをつくり上げたということだと思うんです。

 そういう中で、やはりどういう配置、あるいはどういう移転先、どういう人数、どのくらいの人数がどういうふうに配置されることが一番今おっしゃっていただいたような抑止力に資するのか、アジア太平洋全体、そして北東アジア、我が国の安全保障に資するのかという観点で、まさにそういったことについて、今主体的に議論をしているということでございます。

 したがって、現時点で申し上げられることは限られていますけれども、しっかりまとまった段階で今のような疑問に対してもきちっと御説明を申し上げたいというふうに思います。

照屋委員 大臣の現時点での誠意ある御答弁をもっても、とてもすぐに、はい、納得できましたと言える問題ではございません。したがって、引き続き議論をしたいと思います。

 最後に玄葉大臣にお伺いしたいのは、日米両政府や沖縄県、基地所在市町村などで構成される米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム会合が二〇一〇年六月から二年近く開催されていないことが、去る二月二十三日に私が提出した質問主意書に対する政府答弁書で明らかになりました。

 この二年間も米軍軍人軍属らによる事件事故が沖縄で多発しているのは公知の事実でありますが、外務大臣はワーキングチーム会合開催は必要ないとの認識でしょうか。また、政府答弁書はワーキングチーム会合の開催基準や協議対象には明確に答えておりませんが、改めて大臣の答弁を求めます。

玄葉国務大臣 この事件事故に対して、私もこれまででき得る力を何とか少しでも全力で頑張って努力を重ねよう、そう考えてまいりましたけれども、今お尋ねのワーキングチームでありますが、これは特に実務者などで構成されているということでございます。

 今月の二十八日に次回の会合を開催したいということで、そういう予定にしておりまして、今回の会合では、最近の事件事故の概況報告及び日米双方による事件事故に関する対策を協議する予定でございます。

照屋委員 終わります。

福井委員長 次に、石田三示君。

石田(三)委員 新党きづなの石田三示でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきましてありがとうございます。大変短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 沖縄振興特措法の改正の中には、概要の中に、農林水産業の振興のための資金の確保に努めるというふうにあります。私は、農業専門でございますので、そういった観点から、沖縄の農業の振興について御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、農村整備の重要性についての御認識を伺いたいと思います。

仲野大臣政務官 おはようございます。

 ただいまの石田委員の質問にお答えしたいと思います。

 沖縄県において、農業の振興を図っていくためには、この農業農村整備事業は大変重要であるということを十分認識しております。

 このため、沖縄県において、畑地の区画整理や農業水利施設の整備等に取り組んできているところでありまして、これらに必要な予算も含め、平成二十四年度の農業農村整備事業予算は、全国で、対前年度同額の二千百二十九億円、関連事業と復興枠予算を含めれば、対前年度比一一二%の二千六百九十一億円を確保しているところでございます。

 これらの予算を最大限活用し、地域の要望や政策上の課題に応えながら、沖縄県の農業振興に積極的に努めてまいるところでございますので、御理解よろしくお願いいたします。

石田(三)委員 農業農村整備事業の実施状況を見ますと、圃場整備が整備率五三%、かんがい施設整備四〇%、農業用水源施設整備五六%、農業集落排水施設整備二八%、それから赤土等流出防止施設三二%ということでございます。これはもっともっと進めていかなきゃいけないんだろうというふうに思うんですが、二十三年度の目標で、圃場整備は七二%を目標にしております。その辺の達成率、もう今年度は終わるわけでございますので、どの辺の達成率か、ちょっとお伺いをしたいと思います。

實重政府参考人 圃場整備事業の実施状況について申し上げさせていただきます。

 平成二十年三月に策定されました第三次沖縄県農林水産業振興計画におきまして、平成二十三年度までに二万五千二百ヘクタール、七二%の圃場を整備することを目標としております。

 平成二十三年度版の沖縄県の農業農村整備、これは沖縄県農林水産部の作成した資料でございますが、この資料によりますと、平成二十二年度末までの実績は、目標面積に対して七四・四%の進捗でございます。年々、若干上がっております。二十三年度においては、さらに圃場整備を進捗させておりまして、また、現在行っているところでございますので、この実績に若干の上乗せが見込まれるものと思っております。

 今後とも、沖縄県における亜熱帯、島嶼性に適合した圃場整備が進むように努めてまいりたいと思っております。

石田(三)委員 今の七四・四%というのは、目標の七四・四%だということで理解してよろしいですか。

實重政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 目標面積に対して七四・四%の進捗が、これは二十二年度末までの数字でございますので、二十三年度にさらに事業を実施しておりますので、若干上乗せされるものと思っております。

石田(三)委員 私がいただいている資料は二十三年度の目標で、七二%を目標にしているということでございますので、二十三年度末の予想というのは大体どのくらいいくんでしょうか。

實重政府参考人 委員御指摘のとおり、七二%を目標としておりますが、これは沖縄県の圃場の中の二万五千二百ヘクタールが全体の七二%に当たるということでございまして、七二%の圃場を目標にしております。

 その目標の中で、二十二年度末までの実績を申し上げると七四・四%ということでございまして、目標に対して七四%でございますので、さらに努力する必要がございます。二十三年度には若干さらに進捗しているものと思っております。よろしくお願いいたします。

石田(三)委員 積極的にひとつよろしくお願いをしたいと思うんです。

 沖縄の土質上の問題で、非常に水が浸透しやすい土地ということで、かんがい施設の整備が非常に大切なんだろうというふうに思うんですが、また、農業水利施設の保全に関して、一部の施設においてはもう二十年以上が経過をして、その維持に大変お金がかかってきているということもあるわけでございます。

 パイプラインの腐食等、あるいは漏水、ポンプ施設の塗装の剥離等、そういった補修工事費が非常に増加をして、その施設管理者の大きな負担となっているわけでございますが、何らかの対策をとる予定とかあるんでしょうか。

實重政府参考人 農業水利施設について申し上げます。

 農業水利施設につきましては、戦後、全国的に基幹的な施設を建設してまいりました。このため、近年におきまして、順次耐用年数を迎えつつあります。委員御指摘のとおり、こうした施設につきまして、長寿命化を図りまして、また必要に応じて更新、整備をしていくということは重要だと思っております。

 このため、基幹的な施設のうちに劣化が進行すると考えられるもの、耐用年数が半分を超えるといったような施設につきましては、全てにつきまして平成二十七年度までに機能診断を行いたいと考えております。その結果を踏まえまして、補修や補強といった施設の長寿命化をする、あるいは、既に老朽化が大幅に進行しているような施設につきましては更新を行うというような対策を講じていきたいと思っております。

 特に規模の大きい国営造成施設につきましては、一つは、今年度から国営施設機能保全事業という事業を起こしまして、国がみずから計画的な機能診断や補修、補強を行います。また、二十四年度からは国営施設応急対策事業をさせていただきたいと思っておりまして、突発的な破損に対しても国がみずから対処することができるようにしたいと思っております。

 今後とも、こういった施設の規模等に応じまして、国、県、土地改良区などが役割分担しながら、水利施設の計画的な保全、整備に努めてまいりたいと考えております。

石田(三)委員 質疑時間がもう終わったんですが、ちょっと済みません、一つだけ簡単に質問させていただきたいと思うんです。

 沖縄の観光のイメージというと、青い空とサンゴの海と、それから私はサトウキビだと思っているんですが、そのサンゴの海をしっかり守るために、赤土の流出が一つ大きな問題になっているということでございますので、それを農業の部門で赤土の流出の対策をしていると思うんですが、それについて一つ伺いたいと思います。

仲野大臣政務官 ただいま委員の赤土の対策についての御質問をいただいたので、お答えさせていただきたいと思います。

 沖縄県においては、非常に強い雨が降ることによって赤土等が流出する事態が頻発しているということで、その赤土が海域に流出した場合、今御懸念されておりますサンゴ礁等への影響が生じるほか、農地から流出した場合は、耕土が失われることで作物の生産に非常に支障を来すものと認識をいたしております。

 このため、この赤土流出対策として、地域自主戦略交付金のメニューの一つである水質保全対策事業により、排水施設や沈砂施設の整備等を推進しておりますし、これに加えて、農業体質強化基盤整備促進事業、あるいはまた農村環境等を保全する農地・水保全管理支払交付金、これらの事業によってこの赤土流出を防止するための取り組みを行うことも可能でありますので、今後とも、沖縄県や地元関係者と十分に、真摯に意見を取り入れながら、この赤土流出対策を進め、沖縄の振興に取り組んでいきたいと思っております。

石田(三)委員 済みません、赤土流出防止施設は施設整備が非常におくれているようでございますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

福井委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 川端大臣、連日御苦労さまでございます。

 まず、きのうもいろいろやらせていただきましたが、きょうは、きのうの質疑の最後で取り上げました観光につきまして若干質疑をさせていただきます。

 沖縄の基幹産業の一つが観光であることは言うまでもございません。私が参議院議員として初当選をした十一年前、平成十三年には、当時、九・一一同時多発テロが発生したにもかかわらず、一年間の入域観光客数が四百四十七万人ということを記録いたしました。その後、増加し続けまして、平成二十年には過去最高の五百九十三万四千人を記録いたしまして、七年間で百五十万人観光客がふえたということでございます。最近はやや低迷をいたしておりまして、最新データでは、昨年一年間で五百四十七万九千百人ということになっているわけでございます。

 こういう中で、公明党は、十年以上前から、沖縄の自立型経済の柱として、一千万人の観光客を年間確保するということを公約で掲げておりますし、今、仲井真県知事もそれを公約にしているわけでございます。ただ、その達成のために一番必要なことは、実は外国人観光客をふやすことでございます。昨年の数字で申し上げますと、昨年一年間、約五百四十八万人沖縄に来ていただいているわけですが、外国人の観光客の数はそのうち二十八万人、五%しかいないというのが現実でございます。

 この問題意識を前提に、まず園田政務官に御答弁いただきたいと思います。

 観光振興地域指定制度というものが現行の沖振法ではあるわけですが、今回の改正案では、観光地形成促進地域という名前の地域を指定する制度に変えるということになっているわけですが、現行の制度と新制度の違いを端的に御説明いただきたいと思います。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 現行の観光振興地域制度、手続的に申し上げますと、これは事前に国の同意が必要でありました。今回の私どもの改正案におきましては、観光地形成促進地域制度、これにおいては、事前に国の同意が必要であったのを国の同意なしに地域指定ができる。すなわち、沖縄県の自主性で、この地域が本当にすばらしい地域であるということをもっともっと海外の皆さん方にも知っていただくというような制度を沖縄県みずからつくり出していくことができる、推進していくことができるという制度にさせていただいたものでございます。

 今御指摘いただいたように、地域の観光資源、これについてやはり知見を一番有しているのは地元の沖縄県の皆さん方でございますので、県知事みずからが、高い国際競争力を有する魅力ある観光地の形成、そしてより主体的に取り組むことがこれによって可能になっていくということが期待をされるところでございます。

遠山委員 今回のそういう趣旨の改正は私どもも歓迎をいたしておりますが、沖縄県が独自に地域を指定して観光振興を図るということが最大の特徴だと思いますが、引き続き、きょうは観光庁の方も来ていただいておりますが、政府を挙げて沖縄の観光振興を応援していただきたいと思っております。

 それで、観光庁から山田審議官、来られていると思いますが、私、沖縄の在沖米国商工会の幹部の方と懇談をしたことがございます。そこでいろいろ指摘されたんですが、二点、沖縄に足りないものを米国人の方から指摘をされました。

 これは観光に関係があるのでお伺いしたいんですが、まず一点目は、非常に興味深かったんですが、アメリカの元海兵隊員で、米国でその後海兵隊をやめられて民間のビジネスで成功した方、これは結構いるわけですね。人数は米軍は正確には公表しておりませんけれども、一般的には、昔は、大体半年ローテーションで五千人の若い海兵隊員が沖縄に来て訓練を受けていたと言われております。そうすると、年間一万人は沖縄に来る。その後ずっと沖縄に滞在する方、滞在しない方がいたようでございますが、これを何十年もやっておりますと、何十万人もそういう方が実は米国にはいらっしゃって、沖縄に滞在したことがあるという人がいるわけです。

 空軍とかいろいろほかも入れればもっと多いと思うんですが、実は、その方々がビジネスマンになって成功すると、家族を連れて沖縄に旅行に来たいと。お金はある、時間も二週間ぐらいとって沖縄じゅうを回りたい、まさにもう民間人として来たいということで、そうすると、この在沖米国商工会に問い合わせがあるそうなんですね。ところが、その幹部が言うには、テーラーメードの旅行を家族旅行にくっついて英語で沖縄をガイドできる人がほとんどいないというんですね。

 それで、私が話したときも、実は、石垣島とか宮古島とか沖縄本島をアメリカ人十人ぐらいで家族旅行で回りたい、よって英語でガイドできる人をつけてくれと言ったら、全部パッケージ旅行ばかりで、そういうことをアレンジできる旅行会社はないと。結局、この米国人ファミリーは沖縄を諦めてヨーロッパに行ってしまった、こういうことを具体的に言われました。ですから、こういう人材が不足している。

 それからもう一つ、私も指摘を受けて初めて認識をしたんですが、沖縄の地元の人たちから人気のある飲食店やスポットでは、英語表記がほとんどなかったり、あるいは英語ができるスタッフがいないというんですね。当然、有名な観光地の首里城とかそういうところへ行けば全部英語で書いてありますし、英語のガイドがいるんですが、沖縄県民は首里城に別に行かないんですね。沖縄県民の人に人気のある居酒屋とか行くと、全く英語がない。

 やはりアメリカ人も、アメリカ人に限りませんが、私が話した相手がアメリカ人だったんですが、外国人もやはり地元の人が評価している飲食店とかスポットに行きたいんですが、そこへ行くと全然英語がないというんですね。私も、言われてみて、自分がよく行っている那覇の居酒屋に行ったら、確かに英語のメニューは全くない、英語ができるスタッフもいないということでございますので、そういう指摘をされました。

 ですから、先ほど申し上げたように、沖縄は、本土からの日本人はいっぱい来るんですね。それに対応するサービスというのは充実しているんですが、実は、外国人向けのサービスは周りが思っているほど充実していないという事実がこの中で浮かび上がってきているわけでございます。

 それで、観光庁の山田審議官にお伺いしたいんですが、これはある意味全国共通だと思うんです、日本を訪れる外国人の立場に立った観光戦略の構築というのは非常に重要だと。これは沖縄も含めてそうだと思うんですが、官公庁として、政府としてどういう取り組みを推進されているのか、お答えいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人旅行者の増加のためには、海外プロモーションにより訪日意欲を高めるとともに、まさに委員御指摘のとおり、訪日した際における利便性や満足度を高めることが重要でありますが、受け入れ側の環境については整備がおくれている部分が多く、対応が喫緊の課題になっていると私どもも認識しております。

 このため、沖縄につきましては、平成二十二年度は沖縄本島で、また二十三年度では石垣地域で外国人旅行者の移動容易化のための言語バリアフリー化を実施するなど、外国人旅行者が安心して快適に移動、滞在、観光することができるような環境を整備するために、受け入れ環境整備事業というものを実施しております。

 ただ、飲食店における英語メニューの整備などを進めるためには、またこれは地元が一体となった取り組みが重要と考えておりまして、地元自治体のそのような取り組みを支援するための地域の受け入れ環境整備の推進などにも取り組んでおるところであります。

 また、外国人の受け入れ体制として、おもてなしの心を体現する通訳ガイドの不足ということ、これも懸念がございますが、今般の沖振法改正法案において、沖縄県が実施する一定の研修を修了した者による有償の通訳ガイドを可能とする沖縄特例通訳案内士制度をつくることとしております。

 引き続き、委員御指摘のとおり、受け入れ環境の改善に努め、さらなる訪日外国人の呼び込みに努めてまいりたいと考えております。

遠山委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、外務大臣にお答えしていただけるのかと思いますが、観光振興戦略の中には、実は国際会議の誘致も含まれております。大臣はよく御存じのとおり、いわゆるMICEと言われている戦略でございまして、MICEのMはミーティング、Iはインセンティブトラベル、研修旅行等ですね、Cがコンベンション、これが国際機関とか国際会議になるわけですが、最後のEがイベントあるいはエキシビション、展示会や見本市などの頭文字をとりましてMICEということが大事だと言われております。

 沖縄は、国際会議ということでいえば、メルクマールは、西暦二〇〇〇年のG8サミットが開催されたということでございまして、これは大きな節目になりました。ただ、その後なかなか大きな国際会議が沖縄に来るということがない状況の中で、実は、私個人で大変思い入れがある太平洋・島サミット、これは二〇〇二年に私は国会で、当時、川口順子外務大臣、それから尾身幸次沖縄担当大臣に何度も委員会の場でお願いをしまして、ぜひ沖縄にこれを誘致してくれと。そうしたら、小泉総理が最後決断をされたようでございますが、二〇〇三年に初めて太平洋・島サミットが沖縄に参りました。その三年後の同じサミットも沖縄で連続で開催をされることになりまして、二〇〇六年の開催時には、私、外務大臣政務官で、小泉総理の補佐としてサミットにフル参加させていただいたわけでございます。それで、ことし、再び太平洋・島サミットが五月に開催をされる。

 実は、この太平洋・島サミットというのは、ことしも含めて六回開催をされるんですが、そのうち三回が沖縄ということになるわけでございまして、本年は沖縄の本土復帰四十周年でもございますので、地元の意気込みも大変強いというふうに理解をしております。

 まず、外務大臣にお伺いしたいのは、太平洋・島サミットの会議で期待される成果について、外務省としてどう見られているかを御答弁いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるとおり、三年に一回太平洋・島サミットが行われておりますけれども、最初は東京、そして宮崎だったわけでありますけれども、今、遠山委員が、なるほど相当強く要請されたんだなと思いましたけれども、その後二回沖縄で開かれて、そして次、たしか北海道だったと思います。そして今度、まさに四十周年のこの記念すべき年に沖縄でと。

 太平洋島嶼国というのは、御存じのとおり、まず国際場裏での支持基盤であり、かつ親日である、また資源の供給国でもあるということで、首脳レベルで協力を強化していくという意味で、私は非常に大事な国際会議であるというふうに思っていますけれども、ことしは、準備状況ということでございますが、防災とか環境、気候変動、こういった共通の課題解決に向けた協力、そして、先ほど観光の話がありましたが、人的交流を推進する、そういう機会にできないかというふうに思っています。

 宮古島などでの関連行事も今行うということで準備をしておりますし、フラガールを親善大使に任命などもしています。今のところ、二十四日、東京で太平洋諸島のフェスタ、大臣主催レセプション、二十五日、宮古島で沖縄県知事主催昼食会、高校生の島サミット参加者との交流なども行われる予定でございます。

遠山委員 詳しい御説明を大臣みずからありがとうございます。

 私も非常に重要なサミットだというふうに思っておりまして、二〇〇三年のころは、いろいろな問題を抱えている島嶼諸国を日本が激励するとか、彼らの要望を聞いてそれを国連での日本のさまざまな外交活動に反映するとか、そういう面が強かったんですが、最近は、例えばパプアニューギニアあたりでは資源が非常に出ていて経済成長著しいところでもございますし、また、東ティモール、ここは私四回ほど行かせていただいた国で、グスマン当時大統領や今のラモス・ホルタ大統領も親しくさせていただいた国ですけれども、ここも海洋油田がございまして、そういう日本のエネルギー戦略等におきましても非常に重要なパートナーが最近出てきているという意味で大事なサミットでございます。

 もう時間がないので観光庁は結構ですが、大臣、簡潔に、私は与党時代からずっと言っていてなかなかうんと言ってもらえないんですが、この太平洋・島サミットは六回の間もう三回沖縄で開かれておりますし、また、沖縄はおかげさまでG8サミットがあった関係で万国津梁館というすばらしい国際会議場も持っておりますし、沖縄も南太平洋諸国も島嶼地域という共通項がありまして、やはり日本の中でも島嶼県である沖縄が発展している姿というのは南太平洋の島嶼国の首脳たちは非常に勇気づけられるということを私も首脳たちから直接伺ったこともありまして、ぜひこのサミットは原則として沖縄で開催するというふうに、外務省で、政府でお決めいただけないかなと思っておりますが、大臣、一言いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 なかなかうんと言ってもらえないというお話でありましたけれども、遠山委員のせっかくの御提案でありますが、地方自治体、実は他の自治体からもかなりの希望があるのも事実なんですね。ですから、まず今回の島サミットの結果をレビューさせてほしい。そして、他の自治体からさらに今後どのくらい強い気持ちでの要請があるかどうかなども踏まえながら検討させていただきたい。今この場で、はい、わかりましたと言える状況ではございませんので。

 ただ、今申し上げたように、きちっとレビューして、他の自治体が本当にどのくらいの気持ちで期待を寄せて要請されているのかということにも留意をしながら検討していきたいというふうに考えています。

遠山委員 やはり沖縄にとりましては定例化された国際サミットがあるということが非常に大事なんです。

 三年に一度のサミットでございますから、本当は私個人としては毎回沖縄でという気持ちですけれども、外務大臣の真摯な姿勢に対応して、二回に一回は沖縄と。だから、沖縄でやって、どこかでやって、また沖縄というのを原則とするというようなことでも、私は、これは六年に一遍ですから、参議院選挙と同じような頻度で来るわけですからいいのではないかというふうに思っていますので、今の私のこの二度目の提言はややおりておりますので、今、沖振法でも与野党協議でおりたり上がったりしてやっておりますから、ぜひ外務省でも真剣に検討していただきたいと思います。

 要するに、定例化された国際サミットがあるということが大事なんです。そこをぜひ御理解いただきたいと思います。

 それで、時間がなくなってきましたが、川端大臣、駐留軍用地の跡地法の話をちょっとさせていただきたいと思います。

 ある方から指摘を受けたんですが、今回の法改正で、実は法律の名前から返還という二文字が落とされていると。この真意について伺いたいんですね。

 なぜかといいますと、返還という言葉を削除した裏には意図があって、それは、今後は二〇〇六年の日米合意で合意された米軍施設しか返還しないという政府の隠された意図がこの法律の題名から返還を落としたというところにあらわれているのではないか、遠山さん、ぜひ追及してもらいたいと指摘を受けておりますので、大臣、この真意は何なんでしょうか。

川端国務大臣 名は体をあらわすということで、法律の名前は大変大事だというふうに思っております。それで、大変いい御指摘をいただいたというふうに思っております。

 現在の法律は、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律であります。今回の法律、提案させていただいていますのは、沖縄県における駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化のための特別措置に関する法律というふうになっております。この理由は、現行法は、まさに返還実施計画の策定等、返還に当たっての措置に重点を置いた法律でありますけれども、今回の法改正では、給付金制度の充実と拡充、あるいは跡地利用協議会を新しくつくるとかいうことで、まさに跡地利用の促進と円滑化ということに大きな重点を移したということから、題名を変えさせていただきました。

 したがいまして、政府としては、この題名のとおり、まさに返還ということから重心を変えたということは、これまで以上に跡地の利用の促進と円滑化に重点を置いて努めてまいりたいということでこういう題名にしたことをぜひとも御理解いただき、先ほどの御懸念は杞憂であることを申し添えておきたいと思います。

遠山委員 よくわかりました。指摘した方にも伝えておきます。

 次に、沖縄の特区制度について伺いたいんですが、これは園田政務官にお願いしたいと思います。

 沖縄には三つ特区がございます。IT特区、貿易特区、金融特区でございます。特区というのは、今、構造改革特区や総合特区や東北の復興特区と、特区の制度が日本で大分成熟してきているわけですが、原点は沖縄なんですね。沖縄はかなり前に、二十年以上前だと思いますが、特区制度がスタートしております。

 ところが、残念なことに、IT特区では一社も適用実績がないというのが現状でございますし、金融特区においても、一社来たんだけれども、撤退してしまってその後誰も来ないということで、このまま次の十年、特区制度があっても一社も来ないのであれば、もう廃止するしかないというところまで追い込まれる状況の中で、今回の改正案が出されているわけでございます。

 政務官、今回の改正のポイントと、今回の改善をすることによって、本当にIT特区、金融特区に認定される企業が来るようになるのか、その二つをあわせてお答えいただきたいと思います。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、今回の特区制度の変更のポイントでございますけれども、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、まず、専ら要件の緩和でございます。これは、今までは、その特区内に事業所を持たなければならないということがございました。それでなかなかそういったことの整備が進まないということにもなっておりましたので、今回の改正においては、一定の条件のもと、すなわち、みずから製造した製品の販売を行う、そういった簡単なものでいいというか、そういった事業所で、特区外にも事業所を設置することができるという形になったというのが、まず一つでございます。

 それから、所得控除率。これが、今まで三五%でありましたけれども、企業からすると、やはりそれが少しでも安い方がいいというところがございます。そういった点では、今回、三五%から四〇%に引き上げをさせていただきました。それによって少しでも企業の負担が軽くなっていくのではないかというふうに私どもは期待をいたしております。

 それから、あとは、これは情報特区、物流特区、金融特区それぞれに共通する分野でございますけれども、対象事業を拡大させていただきました。幾つかもう既に地元ではさまざまな形でお話が出ているというふうに聞いておりますので、これはやはり現場の沖縄県の皆さん方からの御意見をもとに、今回その対象事業を追加したということでございますので、そういった面では、私どもとしては、ふえていくということを期待いたしておるところでございます。

 そして、とりわけIT特区、金融特区で、今まではこういった制度も確かにございました。私どもとしては、全国に先駆けて、いい制度ではあったんですけれども、しかしながら、それが周知がなかなかできていなかったのではないかということが原因の一つでもあると考えております。したがいまして、今回、内閣府としてもPRをしっかりとしていこう、こんなにすばらしい制度ができたんだということをしっかりとPRする。そういったところにも私どもは力を入れていきたい。

 国と県、そして市がしっかりと連携をとって、私どもとしては、今回の法改正によって、しっかりと伸ばしていけるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

遠山委員 政務官、それでいいんですが、これは自公政権時代も入っていますから、はっきり言いまして、IT特区とか、十年やって一社も来ないというのはもう情けない限りなんですよ。その点、やはり中国とかはすごいですね。香港へ行っても上海へ行っても、はっきり言って共産主義の国でありながら、特区については徹底的にやると。

 だから、これは正直言って、我々が与党のときだった時代も含めて反省しなければいけないのは、沖縄も、東京からちょっと離れているとか、いろいろな意味でいえば条件が不利な面はあるわけですね。交通アクセスだって、東京の羽田や成田、あわせたのに比べれば悪いわけですし、そういうところで特区をやるときは、いろいろな税制とか金融上の優遇措置を思い切った形にしなきゃいけない。

 今般の改正では今おっしゃったような水準でいいと思いますが、二年、三年検証して、やはりどこも来ないとか実績が上がらないということになれば、途中でしっかりと内容を見直して、税制改正なんというのは毎年やっているわけですから、特区としての存在意義があるようにふだんから検証するという姿勢を持っていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問になってしまいますが、先般、当委員会で沖縄に日帰りで視察に行きましたときに、最後の視察が、那覇空港において、全日空が中心となって国際貨物ハブ事業というものを展開しておりまして、その影響もありまして、余り知られていないんですが、現在、那覇空港の国際貨物の取扱量が成田、関空に続いて日本で第三位まで浮上してきております。

 それで、川端大臣、玄葉大臣、両大臣、もしかしたらもう視察されたかもしれませんが、ぜひ機会があれば見に行っていただきたいと思います。

 というのは、これはシステムが非常にすぐれておりまして、たしか週に一日か二日除いて、ほぼ毎日、夜に日本の主要空港に那覇から貨物機が飛んできます。例えば、羽田に飛んで行きます。羽田に全国の地方空港から夜の便で集まった、飛行機が運んできた貨物を、那覇から飛んできた飛行機に積んで、那覇に戻ります。真夜中に、今度はその貨物機がいろいろな荷物を仕分けした上で、香港便はたしか朝四時に那覇空港を出て向こうに六時半に着くとか、そんな時間帯で飛んでいって、物を届ける。

 そうすると、何が革命的に変わったかというと、広島の中小企業が、上海から部品の注文を日中に受けたら、夕方に広島空港へ持っていくと、広島空港の飛行機が羽田に行って、羽田の飛行機からおろされた荷物が那覇から来た飛行機に乗っかって、那覇に夜中に戻る。そして、翌日の朝方に上海に飛んで行きますので、実は、注文を受けた翌日に上海に届けられる。

 これは実は、那覇の国際物流センターができて初めて可能になったんですね。それまでは、成田とか羽田からも飛行機便は出ていましたけれども、きめ細かく物流ができなかった。それができるようになったということで、にわかに那覇空港を中心とした国際物流ネットワークができてきたということがありました。

 私は、これは非常に画期的なことなんですけれども、川端大臣、ぜひ沖縄における国際物流の、特区を新しくつくるわけでございますが、沖縄の自立型経済を引っ張る新たな力として育成をしていただきたい。政府としても力を入れていただきたいと思いますが、簡潔に一言、御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のとおり、私も視察させていただきました。そして、私は滋賀県ですが、福井にある繊維のファスナーの工場が、同じことで一気に仕事が早くなったと。香港からの注文を夕方までに受ければ、翌朝には向こうに届くというのは信じられないことだと言っておられました。

 そういう意味で、非常に期待できると同時に、やはり、そういうことの、単なるハブとしての機能だけではなくて、沖縄に拠点を置くということで、御視察された、これは新聞にも報道されていましたけれども、ある流量計の電子部品のメーカーが、沖縄に拠点を置いてやると、飛行機賃が高くついてでも早くデリバリーできるということで、十分ビジネスができるという企業がふえてきました。

 あるいは、ちょっとこれは構想段階かもしれませんが、日本のいろいろな中古電子機器や物を、ある種、再利用部品を全部全国から沖縄に集めて、そこで再利用で組み立て直して、こういうものは海外の方にマーケットがあるということでやるときには、そこへ全部集めるということにすると、実は製造業とか組み立て業もこれを機能によってうまく活用できるという、これは非常に期待をしておりますので、またいろいろなアイデアがあったら我々も前向きに捉えていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。頑張っていきます。

遠山委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 民主党の瑞慶覧長敏です。よろしくお願いします。

 先ほど照屋先生が告白から始めましたが、私も幼稚園のことを告白しますと、公民館に行きました、当時は当間公民館でした。当間、仲程、銭又、三つの集落の子供たちが当間の公民館に行って一年間過ごしました。

 もう一つ告白しますと、私の第一言語は日本語ではないんですね。その当時は、沖縄の言葉というんですか、ウチナーグチ、つまり琉球語というんですか、琉球語が日本語に入るかどうか定義は別として、幼稚園のときは、例えばこう言っていました。チューヤ、マーンカイ アシビーガ イチュガ。アタビーグヮー トゥイガイカ。そんな感じで、通訳しますと、きょうどこに遊びに行こうか、カエルでもとりに遊びに行こうか、そんなやりとりを幼稚園の間ずっとやっておりました。

 小学校に上がる直前に母親に呼ばれまして、あしたからは、小学校に上がるから、小学校では共通語、当時は日本語のことを共通語と言っていました、共通語を話さないといけないから、共通語を話しなさいと。そういう感じで幼稚園まで過ごしました。

 何を言いたいかといいますと、きょう冒頭の質問は、子育て関係の質問をしたいと思っています。

 特殊性を持った沖縄地域独特の幼稚園制度、教育制度あるいは子育て制度があった中で、沖縄関連二法改正案の中で、沖縄県として、実は、子育てに関しては、現在設置されている保育所入所待機児童対策特別事業基金というのがございます。これは、三月三十一日、今年度限りで切れるんですけれども、今後、県は継続するかあるいは新設するか、一括交付金を活用して基金の上積みも図って事業を拡大したい、そういう考えのようです。

 園田政務官にお尋ねいたします。一括交付金をこういったものに活用することができるのかどうか、お聞かせください。

園田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今般の一括交付金という形でございますけれども、沖縄県に照会をさせていただきましたところ、来年度の沖縄県の予算におきましては、先生御指摘いただいたように、一括交付金を活用して、これまで行ってきた事業と同様な内容の待機児童対策特別事業といったものを単年度事業として盛り込んでいるというふうに聞かせていただいているところでございます。

 そういった意味では、この待機児童対策特別事業、今までも沖縄県は大変率先して取り組んでいただいております。でも、まだまだ待機率が高いという現状がございますので、そういった面では、基金事業として実施するかどうかについては、まずは県においての基金の必要性、こういったところもよくよく具体的に御判断をいただきながらお決めいただければというふうには考えているところでございます。

瑞慶覧委員 ということは、全くだめということではないということを改めて確認いたします。可能性はあるということですね。

園田大臣政務官 まずは、私どもとしても、沖縄県、今回、この法案でもそうですけれども、沖縄県の主体性、自立性というものがすごく高く評価されているという状況がございますので、そういった面では、まず県で御判断をいただいて、私ども国としても、そこからの御意見があれば、それに対して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

瑞慶覧委員 沖縄の振興計画、四十年間の中の反省点の一つとして、インフラはかなり整備できたけれども、子育て関係が少し抜け落ちていたんじゃないか。前回の委員会の中でも私も何度も指摘させていただきましたが、今回、その反省のもとに、沖縄の中で、沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会というのがつくられまして、女性の方が、子育て関係の方々が中心であるんですけれども、その方々からも強い要請も受けていますし、それから沖縄でもいろいろ交流もさせていただいております。

 先ほども申しましたが、幼稚園のシステムが沖縄は本土と少し違います。つまり、公立の幼稚園がほとんどで、小学校の中にあって、それは十二時ぐらいで終わりますので、そうすると、幼稚園生は午後どこで過ごすかというと、やはり学童保育ということになるわけですね。しかし、学童保育施設はほとんどが民間経営となっております。厚労省の資料に、平成二十三年五月一日現在、沖縄の学童保育所の数は二百七十五カ所となっていまして、そのうち民立民営が二百五十六カ所、二百七十五カ所のうち二百五十六カ所が民立民営、つまり、ほとんどが民営と言ってもいい状態です。

 しかし、そうなると、民間のアパートとか借りることになって、家賃代とか、それがどこにはね返ってくるかというと保育料なんですね。本土の保育料は大体五千円ぐらいというふうにお聞きしています。ところが、沖縄の場合は一万一千円とか一万二千円になってしまっています。保護者の方の負担が非常に重くなっております。

 そこで、沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会の方からの強い要望もあるんですが、一番保護者が求めているのは保育料の軽減措置だ、何とかそれに一括交付金を使えないのかという要望を受けております。そこについてのお考えを、園田政務官、お願いします。

園田大臣政務官 お答え申し上げます。

 今先生御紹介いただきましたように、沖縄県の場合は、やはり放課後児童クラブは全国に比べて民立民営が九三%ということで大変多く設置をされているという状況がございます。また一方で、やはり学校施設での実施率というのがそういった面では低くなってしまっているという現状がございまして、保育料も全国に比較をいたしますと大変高く設定されてしまっているという現状がございます。

 そういった意味で、保護者の皆さん方の思いというのは私どもとしても受けとめていかなければいけないというふうに考えているところでございまして、私どもとしても、これについては沖縄県ともよくよく御相談をさせていただいております。こういった課題を解消して、保護者の負担の軽減を図るために、沖縄県の来年度の予算の中においては、やはり一括交付金を活用していただくという形で、放課後児童クラブの支援事業が盛り込まれているところでございます。

 現時点では、県から個別の事業についての申請を受けている段階ではございませんけれども、この本事業について、公的施設への移行を計画した放課後児童クラブ、こういったことに対しては、移行までの一定の期間の家賃補助を行うという形を考えているところでございまして、それによって、恐らく、保育料の引き下げというものは、家賃が下がれば事業主にとってもそういった面を保育料に反映させることができるのではないかなという期待は私どもとしても持っているところでございますので、一括交付金をしっかりと活用していただければというふうに考えておるところでございます。

瑞慶覧委員 いろいろな方策を練って、今後十年で沖縄の子供たち、子育てが本当によくなるようにまた努力を続けていっていただきたいと思います。

 続いて、沖縄振興特別措置法改正案について、これまでも委員会で国際物流拠点産業集積地域のことが取り上げられました。

 確認ですけれども、これは海外をとにかくターゲットにしているという認識でよろしいですか。

園田大臣政務官 おっしゃるとおりでございまして、先ほども遠山先生の御議論でもございましたけれども、今回の空港と那覇港、そして中城湾といった形、まずは私どもとしてはそれを考えておりますけれども、これをしっかりと特区という形でどんどん集積をしてやっていただきたい。そして、高付加価値型の物づくり、そういったところをしっかりと取り組んでいただければというふうに考えているところでございます。

 先ほどの議論の中でちょっと補足をさせていただきますと、沖縄の国際物流拠点については、空路においては、上海や台湾、ソウル等のアジアの主要八都市、これがもう既に結ばれているという状況がございます。今度、海でございますけれども、海路では、釜山、香港、上海、北米、もう六都市という形で、運輸便で結ばれておるという状況もございます。

 特に空路においては、貨物の取扱量というのは、先ほども御紹介ありましたけれども、飛躍的に伸びているという状況がございますので、恐らく、日本の玄関口という形のものにも、ハブ的な要素を強く意識して、企業の皆さん方にも御利用いただけるものではないかというふうに思っております。

 そういった意味では、海外との交易、そういったところを促進して、しっかりと私どもとしても頑張ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

瑞慶覧委員 きのう夕方のニュースでしたかを見ていますと、日本の有名な企業が銀座に新たなお店を出したと。そのターゲットは、中国を含めアジアの十億人の富裕層に絞って、そういう戦略を練っているんですね。ですから、その企業が成功するかしないか、まあ成功してほしいと思うんですけれども。

 そうすると、沖縄という立地条件も含めて、そこら辺の、富裕層をターゲットにしていく、あるいは企業をターゲットにしていく、ひいてはアジアだけではなくて中東あたりまで広げていったらどうかな、私自身はそう思っています。

 それで、川端大臣にお伺いいたします。

 平成二十四年度以降の新たな沖縄振興策の一つとして、沖縄のポテンシャルを生かした産業の振興。特区の税制について、先ほどもありましたが、法人所得税の控除率三五%から四〇%に引き上げる。これは一つの思い切った措置だと私は思います。しかし、先ほどから指摘されておりますが、その成果が出てくるのかどうか、結果はこれから見ていきたいと思いますが、大臣として、そこら辺の自信のほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 今までの優遇税制の中では、いわゆる専ら要件というので、非常に使い勝手が悪い。結果としては、余りこの恩恵を受けるに至らないという状況であった。しかし、やはり何としても産業の発展をしないと沖縄の活力が生まれる源ができないということで、専ら要件の緩和あるいは対象業種の追加と同時に、三五%を四〇%に減免するということをいたしました。

 そういう意味で、先ほど来の御議論で、もっとどんとやった方がいいのではないかという御議論もありました。まずは今までの課題を克服すべきということで取り組ませていただきまして、これを周知徹底して、よりきめ細かくいろいろ対応することでスタートを切らせていただきたい。

 自信のほどをと言われると、何としてもうまくいかせたいという願いの方が強くなってしまいますけれども、そういう中で、税は毎年いろいろ議論があるところでございますが、その成果を見ながら、市町村、県とも連携しながら、ぜひともうまくいくように進めたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 駐留軍用地返還特措法改正案についてお伺いいたします。きょうは、防衛省の下条みつ政務官にお伺いいたします。

 ことしの二月になって、在沖縄米軍基地の返還において、この間リンケージされてきた普天間基地の返還と在沖米海兵隊八千人のグアム移転問題を切り離して、在沖米海兵隊のグアムなど海外への移転、移動を進めていくことになりました。その結果、これまで返還合意となっていた嘉手納基地以南の普天間基地を除く五施設の返還、これが場合によっては一気に進むことにもなります。ただ、そうなりますと、五施設の日本人従業員の雇用をどうするか、そういう問題が生じてくるかと思います。

 そこで、この五施設、つまり、那覇軍港、牧港補給地区、キャンプ・キンザー、それからキャンプ桑江、第一桑江タンク・ファーム地区、キャンプ瑞慶覧で働いている日本人労働者の人数をまずお聞きしたい。もう一つは、仮にこの従業員の方々が基地返還に伴って職の安定が脅かされる、そういった場合にどのような雇用対策をおとりになるつもりか、お聞かせください。

下条大臣政務官 お答えさせていただきます。

 御質問の嘉手納以南の六施設に勤務する駐留軍労働者の数は、先月末で三千八百八十二人になります。

 御質問のもう一方の、その方々が今後雇用についてどうかということは、私どもも大変重要な問題だと考えておりまして、具体的には、例えば、ほかの施設への配置転換によってできるだけ雇用の継続をさせていただきたいと考えておりますが、その際、今までと職種が違う場合もあると思います。それについては、米軍再編特措法に基づいて、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じて技能訓練をさせていただくという予定であります。

 ただ、現時点においては、雇用への影響については確たることはちょっと申し上げられませんが、大変重要な話として、安定確保について万全を期していく考えであります。

 以上です。

瑞慶覧委員 配置転換ということで主な対応をしておられる、しかし、職種の違い等に関しては今後またやっていくということですけれども、ぜひともそこら辺は、県の方とも全駐労さんとも話し合いを密にして、基地経済からの脱却というのをずっと沖縄は目指してきていますので、それが本当に基地がなくなってプラスになる。

 つまり、新都心あるいはハンビータウンを見ると、これは、明らかに経済効果というのは百倍あるいは雇用効果は二百倍とか、そういう数字が出ていますので、自立した経済となっていくキーワード、そこら辺は、私は、先ほど言った国際物流拠点の形成にもつながっていくかと思います。職種の違いを克服して、米軍基地で働いている日本人の従業員、沖縄の方が国際物流拠点にも行けるような、そういった新しい産業をつくっていく、それが大事だなと思っています。

 もう一つ申し上げたいのは、私は、実は昨年、南アフリカのケープタウンに行く機会がありました。これはCOP会議の関連の会議で、GLOBEジャパンの一員として行ったんですけれども、南アフリカで感じたのは、すごく美しいウオーターフロントがあるんですね。それを見たときに、なぜ沖縄にないのかなと率直に思いました、もったいないなと。

 ただ、逆に言うと、跡地返還が進むと、キャンプ・キンザーも含めて、那覇港等も、軍港も含めて、これはゼロからこういったウオーターフロント、沖縄らしいウオーターフロントをつくれるなという希望も湧いてまいりました。ですから、これからの十年というのは、そういったところを目指していく、沖縄らしさを本当に目指していく。川端大臣がおっしゃったように、有望株なんだと、そこに持っていきたいなと思っています。

 最後、大臣の方から一言、そこら辺、世界と太刀打ちできる沖縄らしさに関しての大臣のお考えをお聞かせください。

川端国務大臣 かねがねいろいろなところで申し上げておりますように、沖縄には、そういう部分では、未来に希望の持てる潜在的な資産は非常にたくさんあるというふうに思います。

 いろいろな部分で、返還に伴って、返還が進んでいくことによっても、また、そういう跡地をどういうふうに、これからの沖縄の県づくりというんですか、まちづくりに最大限生かしていけるようなことで潜在的な資産が顕在化していくということをぜひともやっていただきたいし、それに対しては、そういう方向で、国としてまたお手伝いできることややることは一緒に考えて、また進めてまいりたいというふうに思っております。

瑞慶覧委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地・真民主の浅野貴博でございます。

 本日は、福井委員長を初め委員の皆様、事務方の皆様、川端大臣初め政府の皆様、早朝からの審議、御苦労さまでございます。私が最後でございますので、よろしくお願いいたします。元気出していきたいと思います。

 沖縄振興特別措置法についてお聞きしたいと思います。

 これから沖縄が新しい自立的な発展に向けた十年を迎えるに当たり、非常に大きな改正がなされていると思っております。沖縄みずから計画を立てる、政府はあくまで基本方針を立てるのみだと。

 その中での一つの大きなポイントは、やはり一括交付金の創設になるんじゃないかと思っております。ソフト、ハード合わせて千五百億円を超える一括交付金、これは、沖縄がみずから立てた計画を実行する上で非常に重要なものだと思うんですが、同時に、私なりに沖縄の方から話を聞く上において、果たして自分たちの計画を実行する段に当たり、本当に使い勝手のいい交付金として資金を活用できるのかどうか疑問が残るという声を聞いたことがございます。

 先ほど瑞慶覧先生がお話しされたように、保育園の料金を下げるのに使えないかとか、さまざまな要望が出ると思うんですけれども、いざ実行の段に当たり、そこで省庁の縦割りが出てくるだとか、やはりそれは国から認められないんじゃないだろうか、そういった横やりと言えば言い方がよくないかもしれませんけれども、そういう懸念があることに対して、川端大臣のお考えをお聞かせいただきたく存じます。

川端国務大臣 今回の沖縄での取り組みは、全国で類を見ない仕組みをやる予定にしております。その中で一番大事な考え方というのは、これはもう沖縄県からの強い強い御要望も含めて、いわゆる沖縄の自主性を最大限尊重するということでございます。

 当然ながら、沖縄振興に資するという大きな目的のもとに、そして税金という国費を使って事業をしていただくわけですから、一定の関与というのは当然、例えば普通交付税のように、お渡ししたらもう好きにどうぞお使いくださいというお金ではないという枠はありますが、それも、基本計画は沖縄県がつくっていただく、国は基本方針を示すという中で関与を最小限にとどめるということでやらせていただいたのは、まさにその思いがあるからでございます。

 そういう中で、ソフト事業を中心とする沖縄振興特別推進交付金を含めて、一括交付金についてそういう精神でつくりましたけれども、この執行に当たっての御懸念でございますが、これも、県からの御要望の中で、これをつけたときに、特にソフトに関してが中心ですが、またもともとの府省に戻さないでほしいということで、他省庁に移しかえをせずに、原則としては内閣府がこのお金は全額直接執行するんだという仕組みでやりました。内閣府の判断の中で、沖縄県との御相談で執行するという仕組みでありますから、各省庁からの指示とか、いろいろな表現をされますけれども、そういうものは基本的に排除するという形になっておりますので、そういうことは想定をしておりません。事前に、既存のいろいろな事業とリンクするということでの調整は当然ありますけれども、この枠内では直接執行することと考えております。

 地元にとって使い勝手のよいものになるように、事務手続もできるだけ簡素化したいということも含めて、いろいろと地元の御要望を伺いながら、最大限取り組んでまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 沖縄からの要望として、他省庁に移さず内閣府が一元的に事に当たってほしいと。非常に大きなポイントだと思います。これは、私の好きなプロ野球に例えるならば、政府がゼネラルマネジャーであり、現場を管理して細かな試合運びを決めるのはあくまで沖縄県だ。どこの球団とは申しませんけれども、ゼネラルマネジャーでもない球団の幹部が現場のいろいろな人事等に介入する、そのようなことがあっては決してならないと思っております。

 あくまで沖縄の人たちが、自分たちで自分たちの未来をつくっていくんだ、そのために政府が、一定の関与というと若干の懸念が残るんですけれども、政府がそれを遠目で見てお支えする。あくまでみずから前に進んでいく、その計画を立てて実行していくのは沖縄県自身である。そのことについて再度川端大臣の御見解をお伺いして、質問を終えたいと思います。

川端国務大臣 申し上げましたように、税金を使うということでの一定の関与ということは、最小限のかかわりということで、浅野議員がおっしゃったように、我々としても、基本的には沖縄の皆さんが自主的に沖縄振興のために、できるだけきめ細かく、前向きにいい施策がやられるようにということを期待して、我々はそれをしっかりお支えするということでやってまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございました。

 終わります。

福井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十七分散会


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