衆議院

メインへスキップ



第3号 平成25年5月29日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年五月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 今津  寛君 理事 西銘恒三郎君

   理事 宮腰 光寛君 理事 宮路 和明君

   理事 生方 幸夫君 理事 百瀬 智之君

   理事 遠山 清彦君

      秋元  司君    木内  均君

      國場幸之助君    白石  徹君

      武部  新君    永山 文雄君

      橋本  岳君    比嘉奈津美君

      堀井  学君    宮崎 政久君

      渡辺 孝一君    大西 健介君

      石関 貴史君    阪口 直人君

      佐藤 英道君    杉本かずみ君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 山本 一太君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   外務大臣政務官      若林 健太君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           河合 正保君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉池 浩嗣君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 秋葉 剛男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    上月 豊久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 豊田  硬君

   衆議院調査局第一特別調査室長           横尾 平次君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     木内  均君

  渡辺 孝一君     白石  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     若宮 健嗣君

  白石  徹君     渡辺 孝一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 この際、若林外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。若林外務大臣政務官。

若林大臣政務官 外務大臣政務官の若林健太でございます。

 外務大臣政務官としての責任を果たすべく、岸田外務大臣を補佐してまいりたいというふうに思います。

 なお、三人の大臣政務官の中では、私は特に本委員会を担当することとなってございます。荒井委員長を初め委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

 以上であります。(拍手)

     ――――◇―――――

荒井委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、内閣府沖縄振興局長竹澤正明君、内閣府北方対策本部審議官河合正保君、法務省大臣官房審議官吉池浩嗣君、外務省大臣官房審議官秋葉剛男君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省欧州局長上月豊久君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君及び防衛省地方協力局次長豊田硬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。北海道選出、公明党の佐藤英道でございます。

 当委員会におきましては、初めての質問でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 今週の月曜日、五月二十七日に札幌で、千島歯舞諸島居住者連盟の北海道の総会が行われました。荒井委員長とともに私も当日参加をさせていただきました。山本大臣や岸田外務大臣におかれましても、代理の方々が心のこもった御挨拶をされていらっしゃいました。

 四月二十九日の日ロ首脳会談が行われた直後の総会とありまして、参加者の方々も、領土問題の解決に向けて具体的な交渉の進展をこれまで以上に期待をされておりました。まずは冒頭、御報告をさせていただきたいと思います。

 まず、山本大臣にお伺いをさせていただきますけれども、前に予算委員会の第一分科会でもお話をさせていただきましたけれども、交流事業の見直しを進めていかれるという話を確認させていただきました。まず、具体的にどのような見直しをされることになるのか、検討状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

 また、大臣は、ぜひとも交流事業に参加をされたいということを何度もお話をされていらっしゃいますけれども、御参加のめどはもう立たれたのかどうかもあわせてお答えいただければと思います。

山本国務大臣 四島交流事業の具体的な見直しの方向性ですが、幾つかございまして、まずは、事業目標を設定するとともに、事業実施後はその検証を行うなど、PDCAサイクルをきちっと確立するということ、それから、将来を担う若者など各界各層の幅広い参加を促進するということ、さらに、視察中心のプログラムから対話中心のプログラムに改めるということ等を通じて、領土問題の解決に向けた環境整備という本来の目的を実現するための戦略的な事業に見直したいと考えております。

 今後、ロシア側との調整を要するものもありますけれども、実施可能な事項については、もう今年度の事業からどんどん見直しを実施したいと考えています。その他の事項については、本年五月上旬に実務者による検討会を設置いたしましたので、ここで具体的な検討を進め、おおむね三年後を目途に全般的な見直しを実施してまいりたいと思います。

 さらに、二番目の御質問ですが、北方対策担当大臣として、北方四島の現状をつぶさに把握するとともに、元島民の皆様、切実な思いを胸に、啓発とか援護等の事業を効果的に推進する上では、実際に北方四島を訪問するというのは非常に意味があるというふうに思っております。

 私もぜひ、北方対策担当大臣として四島交流事業に参加したいんですけれども、北方領土視察ということになると少なくとも四日間必要だということになりまして、国会等の日程も見ながら前向きに検討させていただこう、こう思っております。

佐藤(英)委員 ぜひ推進のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 四月の二十九日に総理が訪ロをされまして、プーチン大統領との共同会見が行われました。その結果、平和条約の締結に向けて交渉を再開していく、そして北方領土問題についても、双方にとって受け入れ可能な案を模索していくということで合意がなされたわけでございます。思い返せば、これまで何度か大きなチャンスがありましたが、今日現在に至るまで、返還に向けて具体的な道筋が見えたという実感ができないままであるというのが現実であると思います。

 そこで、北方領土問題の解決という視点に絞って、今回の総理の訪ロで得られた成果、どのような成果があったと見ておられるのか。そして、総理の共同会見の翌日、官房長官から、総理が外遊から戻られたら、次官級レベルで具体的に双方受け入れ可能な案を模索する作業の開始を指示するとの趣旨のお話がありましたけれども、総理の御帰国後、具体的にどのような指示があり、現在どのような状況になっているのか、お伺いをしたいと思います。

岸田国務大臣 今回の安倍総理のロシア訪問ですが、日本の総理の公式訪問としましては十年ぶりということでございます。

 総理の訪ロの際に行われました日ロ首脳会談では、両首脳は、戦後六十七年を経てまだ日ロ間で平和条約が締結されていないということは異常であるという認識を確認した上で、双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるという指示を両国の外務省に共同で与えるということについて合意をいたしました。今回の会談で、北方領土に関する交渉を再スタートさせ、そして加速化させることに合意したということは大きな成果だと認識をしています。

 そして、両首脳のこの合意を受けて、現状どうなっているかという御質問ですが、両首脳からの指示を受けて、今後、両国外務省においては、次官級の協議を主な協議の場として交渉に取り組んでいくということになります。この次官級協議についての具体的な日程等について、今外交ルートで調整を行っている、こうした現状にあります。

佐藤(英)委員 ぜひ、よろしくお願いをしたいと思います。

 私、北海道でございますので、元島民の方々とお話しする機会も多々ございます。この問題で、後継者の方々の問題もさまざまに取り組まれておりますけれども、私は、ぜひ、やはり一世の方々がお元気なうちにこの問題の解決の光明が見出せるように、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、北方領土問題に対する国民の認知度について、この領土問題、また返還運動について九割の方々が認識はしているということもかつてお話をさせていただきました。しかし、日本がこれから北方領土の返還に向けて本気に取り組んでいこうというときに、もう一歩踏み込んで、より深い認識を国民が共有する必要があるのではないかと私は思っております。

 ロシアの大文豪、ノーベル文学賞の受賞者であるソルジェニーツィン氏は、著書「廃墟のなかのロシア」で、北方四島について、これらの島がロシアに帰属していたことは一度もなかった、日本がこれらの島の返還を要求するのは国家の名誉、威信にかかわる大問題だからであると述べられ、ロシアがこれらの島を抱え込んで放さないことはロシアにとっても外交上の不利益につながる、良識に基づいた明快な主張をされております。

 翻って我々日本人も、いま一度しっかりとした認識を持たなくてはならないと思っております。殊に本州以南で、四島の名前、歴史的経緯、ロシアに占拠された事実、返還運動に携わる方々、とりわけ元島民の方々の思いに対する御理解は、まだ十分とは言えないかもしれません。認識の共有なしに返還への思いを共有することは困難であると思います。

 残念ながら、二十五年度予算では、内閣府の北方対策本部の予算は一割カット、返還運動推進費については七五%のカットになってしまいました。

 そこで、私としては、まず、北海道と本州以南における返還運動に対する認知度の格差を埋めるためにも、啓発活動の予算の一層の拡充、大幅にカットされた返還運動推進費の復活、そして、北方領土隣接地域対策予算についての、地元負担の軽減も含め、さらなる拡充をすべきと考えます。また、北対協の融資制度の借り入れ承認の要件緩和についても、元島民の方々の御要望にお応えすべきであると思います。見解を伺います。

山本国務大臣 先生御指摘になりましたが、今年度予算においては、テレビとかラジオを活用した北方領土問題のための広報啓発については、政府を挙げて北方領土問題に取り組むという観点から、政府広報に一元化をいたしまして、これが一応減額の理由になっております。

 その中で、若い世代に対する啓発、教育機会の充実、それから四島交流船の「えとぴりか」を活用した巡回研修の実施、こういった予算も計上しておりまして、必要な予算は確保したものと考えておりますが、委員の御指摘も踏まえ、来年度予算について、所要の予算の確保にしっかり努めてまいりたいというふうに思っております。

 北方領土の隣接地域対策については、北方領土問題の解決の促進のための特別措置に関する法律、北特法に基づいて、国土交通省を中心に振興のための諸政策を推進しておりまして、政府としては、今後とも関係府省が連携して取り組むことが大事だというふうに考えております。

 融資制度の資格対象者のお話でございますが、これも委員御存じのとおり、過去二回、平成八年と十八年にわたって、これは旧漁業権者法の改正の議員立法ですが、これで拡大されたところでありますけれども、これをさらに拡大していくということについては、まず立法府できっちりと御議論いただくことが必要だと考えております。内閣府としては、立法府において、今後、改正に向けての議論が行えるようになった場合には、元島民の方々の調査を行うなどのサポートはしっかりしてまいりたい、こんなふうに考えております。

 いずれにしても、今委員が御指摘になったとおり、北方領土問題に関するより深い認識を国民が共有する、これは私も大変大事だと思っていまして、今後とも、関係省庁と連携しつつ、北方領土問題への理解増進に向けて考えられるあらゆる手段をしっかりと講じてまいりたいと思います。

佐藤(英)委員 次に、北方領土の返還について基本的なことを確認させていただきたいと思います。

 一九五六年の日ソ共同宣言、これは両国が批准している唯一の外交文書でありますけれども、日本は、平和条約を早期に結んで二島を返してもらう、そして、その後、国後、択捉の二島について返還への協議を行っていくというのが基本姿勢。あくまで四島の帰属が大前提だという立場でありますけれども、ロシアはどのように思っているのかとなると、いま一つはっきりしないわけでございます。

 そこで、双方が受け入れ可能な案とはどのようなものになるのか。

 例えば、それは面的なことに限定されるのか、時間軸も考慮されるのか。そして、日本はこれまでどのようなオプションを提示してきたのか。そこに時間軸も含めた提示はされたことがあるのか。日本が絶対に譲れない四島の帰属という面的主張について、ロシアは本当に理解しているのか。その上で、これまでロシア側から具体的な提案がされたことはあるのか。可能な範囲で結構でございますので、お聞かせいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、北方領土問題に関する我が国の基本的な方針ですが、日ロ関係全体の発展を図りながら、北方四島の帰属の問題を解決し、そしてロシアとの間で平和条約を締結するというものであります。

 これが我が国の基本的な方針ですが、その中で、今御質問としまして、双方受け入れ可能な解決策はどのようなものかという御質問をいただきました。これにつきましては、それがまさにこれからの交渉事項でありますので、交渉の中で議論をされることであり、この場で申し上げるのは適切ではないと思います。

 また、これまで日ロ双方からどんな案が提案されたのか、こうした御質問もございました。これにつきましても、今現在交渉中でありますし、こうしたことをこの場で申し上げることが今後の交渉に影響が出ることになってしまう、このことについては御理解をいただきたいと存じます。

 ただ、今後のこの交渉において、北方四島の日本への帰属が確認された場合に、実際の返還の時期ですとか、それから返還の態様につきましては柔軟に対応をしていくというのが、交渉に臨む現在の我が国政府の立場であるということであります。

 こうした考え方に基づいて、北方領土問題、全力で取り組んでいきたいと考えております。

佐藤(英)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、世界自然遺産構想についてお伺いしたいと思います。

 北方四島周辺の海は、北半球の流氷到達最南端に当たります。流氷で敷き詰められた海を見て、欧州や北米からの観光客は、自分たちが住む地域よりもっと南にある、北緯四十四度の南の海が凍るのはとても不思議だと言うそうであります。流氷の底で大量発生する植物プランクトンを食物連鎖の始まりとして、この地域は非常に豊かな生態系と自然環境に恵まれているわけであります。しかし、今この自然は密漁と乱獲によって崩壊の危機に直面しています。本来、世界自然遺産とされた知床の特徴は北方四島の地域にこそ見られるものであります。

 私は、この知床の世界自然遺産の範囲を千島列島の得撫島まで拡張し、日本とロシアが責任を分かち合い、生態系を保全するとともに、持続可能なものとしていくべきであると考えております。ロシアによるこの地域の開発が進めば、ラッコを初めとする多様な生態系の維持はますます困難になるという可能性も指摘されております。ロシアとの協議の中に、この地域の世界自然遺産への取り組みも共同で行うことを加えていただきたいと思います。あわせて、これらの地域を包含した平和公園構想の推進についても御所見をいただければと思います。

上月政府参考人 お答えいたします。

 今、平和公園構想、世界遺産への登録の話をいただきましたけれども、現在、北方四島がロシアにより法的根拠なく占拠されている現状におきまして、我が国がロシアと共同で北方四島を含む地域を世界遺産として推薦することや平和公園とすることにつきましては、北方領土問題に関する我が国の立場と相入れず、適当でないと考えております。

 他方、今御指摘のありました、この地域の生態系の保護のことにつきましては、政府としましても、北方四島を含む日ロの隣接地域における生態系の保全及びその持続可能な利用に関する協力というのをロシアとの間で進めることは非常に重要と考えておりまして、二〇〇九年五月に署名されました日ロ隣接地域生態系協力プログラムに基づきまして、北方領土問題に関する我が国の立場を損なわない形でこの分野での協力を進められてきているところでございます。

佐藤(英)委員 最近、アメリカや韓国の企業が北方四島の開発に積極的に乗り出しております。また、中国も乗り出してきているという報道がございます。これが現実であります。こうした報道がなされるたびに、歯がゆい思い、本当にじれったい思い、これは私だけじゃないと思います。こうした現実を踏まえて、日本も何か新たな動きはできないのか。

 今般、クール・ジャパン戦略の一環として、日本遺産を定めていくということでありますけれども、私としては、この地域の世界自然遺産も進めていただきたいと思いますが、その前段階として、まず日本遺産の認定を御提案させていただきたいと思います。

 現段階では、日本遺産は世界遺産の暫定リストに載っている文化遺産に限定するという条件とお考えのようでありますけれども、これまで日ロの間で共同で、協力して実施している隣接地域生態系保全協力プログラムで集積をしてきた科学的見地に基づいて、北方四島及びその海域と世界自然遺産に認定された知床を含めた地域を、南下する流氷が生み出す世界でもまれに見る豊かな自然と生態系として日本遺産に指定すべきと私は考えます。

 ぜひとも、クール・ジャパンだけにとどまらず、真に貴重な日本の遺産ともいうべき文化や自然を残すという観点から、新たに創設する日本遺産に北方四島を加えていただきたいと思います。御見解をいただければと思います。

伊藤(哲)政府参考人 日本遺産につきましては、御指摘のとおり、昨日開催されましたクールジャパン推進会議で了承されました、クール・ジャパン発信力強化のためのアクションプランにおきまして、世界文化遺産を目指すものについて、日本遺産、一応仮称としておりますけれども、として位置づけるなどの措置を講じるとされ、具体的には文部科学省において検討されているものというふうに環境省としては承知しております。

 北方四島に関する議員の御指摘でございますけれども、環境省では、当然、今文科省で検討されております日本遺産、どういうものにするのかといったことに加えまして、北方領土に関する諸情勢、外務省の方からもいろいろお話がございましたけれども、そういったことも十分踏まえて検討していかなければならない、こういうふうに認識しているところでございます。

佐藤(英)委員 北方領土問題にかかわる大変重要な時期を迎えておりますし、ぜひとも、世界自然遺産の拡大、そしてまた日本遺産の認定につきましても御検討いただけますようお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 おはようございます。

 おくればせながら、岸田外務大臣、山本一太沖縄北方担当大臣、御就任おめでとうございます。大分おくれてしまいましたが、この委員会が開かれておりませんでしたので、お祝いの言葉がおくれてしまいまして、申しわけございません。

 それでは、質問させていただきます。

 今プーチン大統領との会談については佐藤委員の方から質問が行われましたので、私の方から一点だけ御質問したいというふうに思います。

 平和条約を結んでいないのが異常だという認識を共有したということは、私も本当に、戦後六十数年もたって隣国同士が平和条約を結んでいないというのは異常だというふうに思いますので、一日も早く平和条約を結べばいいなというふうに思いますが、もちろん北方四島の解決というのがない限り平和条約を結ぶということもなかなか難しいということがあるというふうに思います。

 これは、北方四島の返還についての見通しが立った段階で平和条約というのがあるのか、見通しが全く立たない中でまず平和条約だけを先行して話し合うということがあるのかどうか、その一点だけちょっとお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 我が国の方針は、あくまでも日ロ関係全体を進展させていく中にあって、北方四島の帰属の問題を解決して、そして平和条約を締結する、これが基本的な方針です。北方四島の帰属の問題を解決してから平和条約を締結する、こうした考え方に立っています。

生方委員 プーチン大統領も、二度目になったばかりでございますし、これから一期やるか二期やるかわかりませんが、プーチン大統領のうちに何とかしてほしいというのが多くの方の願いだというふうに思いますし、安倍総理も大変な意欲を持っているようでございますので、お二人の大臣が協力をしていただいて、一歩でも前へ進めていただければということをまず要望いたしておきます。

 続きまして、その後、安倍総理は、ロシアの訪問の後、中東を訪問されました。この中東の訪問に関して、岸田外務大臣にちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 私が主に質問する観点は、原子力発電所を中東諸国に売り込むというか、トップセールスをしてきたという安倍総理の今回の訪問について伺いたいというふうに思っております。

 今回の訪問で、UAEとトルコで原子力協定を五月の三、四日に結んだというふうに報道されております。これはそのときの話だというふうに思いますが、安倍総理の話として、日本の原発は世界一安全だ、だからぜひ輸出をさせてほしいということに、多分脈絡としてはつながっていくんだというふうに思います。

 私も、環境委員会におりまして、福島第一を視察したり、除染の作業を見守ったりしております。まだ何十万人もの方が故郷を離れて生活をせざるを得ない、それは第一原発の事故ということが原因でございまして、日本人の多くは、日本の原子力発電所が安全だというふうには決して思っていない。

 原子力発電所の安全基準についても、今、原子力規制委員会が基準について討議をしていて、ことしの夏にもその結論が出る。その結論に基づいて、今も活断層等は原子力規制庁が調査をいたしておりますが、そのほかの原発についても原子力規制庁がこれから安全を確認するという段階で、今の段階で世界一安全だとはとても多くの国民は思っていないというように思うんです。

 これは岸田外務大臣がおっしゃったんじゃないから、岸田さんに聞くのが正しいかどうかわかりませんが、何を根拠に安倍総理は日本の原発は世界一安全だというふうに発言をなさったんでしょうか。

岸田国務大臣 原子力の安全性につきましては、御指摘のように、原子力規制委員会において、各種の事故調査でこれまで明らかになった情報を踏まえ、海外の規制基準も確認しながら、世界最高レベルの安全水準となる新規制基準の策定の作業を行っております。

 我が国としては、こうした作業を進めながら、事故の経験と教訓を生かして技術を発展させることで世界の原子力の安全に貢献していく、世界最高水準の安全性を実現していく方針であります。そして、この技術を世界と共有すること、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは我が国の責務だと考えております。

 そして、こうした原子力の安全について世界に貢献するに当たっては、相手国の事情とか意向、こういったものをしっかり踏まえていかなければならないと思います。日本の原子力の安全に関するさまざまな経験や知見や技術、これをぜひ活用したいという先方からの意向、これをしっかり踏まえた上で、高い安全性を有する我が国の技術を提供していく、これが基本的な方針であります。

 こうした世界からの期待を受け、日本として、福島第一原発での経験や知見をしっかりと世界と共有する、そして今日まで培ってきた我が国のさまざまな技術を提供していく、こうした方針であるわけですが、我が国としては、こうしたさまざまな蓄積や経験を通じて、世界で、世界一安全であるという信頼をしっかり得ていくよう努力をしていかなければいけないと思いますし、そういった趣旨を総理も申し上げたのではないかと考えております。

生方委員 総理が施政方針演説の中でもおっしゃっていたように、基本的には、日本でも将来的には原発を減らしていこうというのが日本国の方針ですよね。そういう大きな方針を持っていながら、ほかの国に原発を新たに輸出するというのは、私は矛盾しているように思いますね。

 原発の問題も、全ての問題が事故だけで片づくというのなら、これは、事故を収束して、技術を高めていって、事故が起こらないようにすればそれで済むかもしれませんけれども、現実問題としては、使用済み核燃料の問題がございますよね。これは多くの原発の中にいまだに保管されたままで、福島第一の第四を見ていただければわかりますように、非常に危険な状況のまま、まだ放置されていて、これから先どうしたらいいのか、方針がついていないというのが一つある。

 それから、「もんじゅ」はまだ動いておりませんが、「もんじゅ」を初めとして、核燃料サイクルというのを動かしていけば、今度はプルトニウムができてしまう。日本でも非常に、四十数トンですか、プルトニウムが今蓄積をされていて、日本がIAEAの査察を一番多く受けている国だというのは日本国民はよく知らないと思うんですけれども、それが査察を受けるのも、プルトニウムが蓄積をされているから、プルトニウムを使えばすぐ原発ができるわけですから。

 そういう使用済み核燃料の問題と、プルトニウムができてしまうという問題がある中で、例えば、今インドとの間で原子力協定を結ぼうというようなことが報道されております。インドは御承知のとおり核保有国ですよね。核保有国だから、原発に対しても各国が非常に慎重な態度をとっていた、アメリカが最近態度を変えましたけれども。だけれども、その中で、プルトニウムができてしまう原発をインドに日本が輸出をするということは、核拡散という点からも非常に問題があるというふうに思うんですが、外務大臣、どうお考えになりますか。

岸田国務大臣 まず、原子力施設からの使用済み燃料の取り扱いについてですが、一義的には、当該原子力施設を管轄する国が責任を持って取り組むべき課題であります。トルコあるいはアラブ首長国連邦の原子力発電所における使用済み燃料の最終処分については、それぞれの政府が責任を持って処理することになると考えております。我が国としては、相手国から求められれば、これまでの経験に基づいて助言を行うなど、可能な範囲で協力していかなければならないと思っております。

 そして、そうした基本的な考え方を申し上げた上で、インドについて御質問がありました。

 インドとの原子力協定においては、まず、きょう、日本とインドの間で首脳会談が予定されています。この首脳会談の場でどのような議論が行われるか、予断することはできませんが、我が国としては、インドとの原子力協力を行うに当たっては、今日までインドが行ってきたさまざまな約束事、例えば核実験モラトリアムの継続ですとか、原子力施設の軍民分離など、こうした約束を堅持することが大前提であると考えています。

 核兵器不拡散条約、NPTの外側にいるインドですが、国際的な核不拡散体制に関与させ、そして、こうしたことを通じて実体的に取り込むという契機になり得るのではないか、こうした認識にあります。ぜひ、こうした方針でインドとの交渉に臨まなければならないと思っていますが、いずれにせよ、きょう行われます日印首脳会談の議論のありようをしっかりと見守りつつ、今後の交渉に臨んでいきたいと考えています。

生方委員 今、使用済み核燃料の問題についてはそれぞれの国で処理をするというのが原則だというふうにおっしゃいましたけれども、日本国内でも処理できないものを売っておいてそれぞれの国で処理しろというのは、いかにも無責任ですよね。当然、核燃料という、燃やしてその後のことまで全部考えた上で輸出をするわけですから、使用済み核燃料の問題についてはおたくの国でやってくれというようなことは、私は日本としては極めて無責任だと思いますよ。

 普通の原子力発電所をつくっているメーカーが自分たちの原子炉を売り込む、これは企業の自由活動ですから、日本政府がそれに対して口を出すことはできないと思いますけれども、いわば安倍総理がトップセールスとして原発を売り込んでいるという姿は、やはりその全部のサイクルまで責任を持てないということで、それを前提にしながら売るというのは非常に無責任だというふうに私は思いますよ。

 それから、特にトルコに売るということですけれども、御承知のように、トルコは日本と同じように地震国です。多分たくさん断層も入っているはずですし、そういうところへ原発を売って、大きな地震が起こって事故が起こったとき、政府は、売っちゃったらそれでおしまいというわけじゃないですから、どう責任をとるんですか。万が一、売ったところで、ベトナムにもそういう話がございますが、ベトナムも地震がございます。インドはインドで、今申し上げましたプルトニウムの問題がある。あと、中東の方では、テロの問題やら何か含めて、やはり違う面の危険性も指摘をされている。トルコでは地震がある。

 いろいろ条件がある中で、日本ではもうやめようというものを売っていく、それを政府が主導して売っていくというのは、いかにもこれは、日本の外交方針として、世界から見たら、自分のところの原発事故もまだ収束していないのに売り込むのかよと。毎日新聞の記事をごらんになったかもしれませんが、前はエコノミックアニマルと言われたけれども、今はもうこれではエコノミックビーストだ、そういう批判も出ているんですよね。

 だから、私は、余りに政府が前のめりに、まだ避難している方がたくさんいる中で、原発を売ろう、世界一安全だというのは、誰にも理解できないと思うんです。余りに前のめりになり過ぎているんじゃないですか。

岸田国務大臣 我が国においては、東日本大震災、そして福島第一原発の事故を受けて、原子力の安全性について、またエネルギー政策について今議論が行われています。

 しかし一方、国際社会を見ますと、国際社会におきましては、引き続き原子力というのが一つの有力なエネルギー源として取り扱われている、これも現実であります。

 そうした現実の中で、各国がそれぞれのエネルギーについて考え、そして、原子力に関して日本の世界最高レベルの安全性に関する技術や知見や経験を活用したいという要望がある場合に、日本として、みずから持つ経験や知見や技術をしっかり提供し、そして、結果として世界全体の原子力安全に貢献するというのは、一つ我が国の責務として考えなければならないのではないかと考えております。

 ぜひ、世界のエネルギーの状況、そして何よりも相手国の意向とか現状、こういったものをしっかりと踏まえながら、我が国として原子力の安全に向けてどういった責任を果たすべきなのか、しっかり検討し、努力をしていきたいと考えています。

生方委員 岸田さんらしくもない返答だというふうに思うんです。

 基本的には、自分のところでもうつくるのはやめましょうということを決めているものをほかの国に売って、どうやって責任をとるのかということ。私は、やはり国が主導した以上は国が最後は責任を持たなきゃいけないというふうに思いますので、これは、民間がやって、民間についての後押しをするというならまだしも、民間に、主導して、まず原子力協定を結んで、さあ売っていらっしゃいというのは、いかにもふさわしい態度とは言えないということだけ指摘をして、次の問題に移らせていただきます。

 沖縄北方領土に関する特別委員会でございますので、沖縄について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 嘉手納基地以南五施設・区域の返還について、今度、安倍総理が期間を限定したということがニュースの一番の大きなポイントだというふうに思います。

 年次を明示はしましたけれども、御承知のとおり、「又はその後」というのが全部についている。これだと、年次を明示しても、二〇二八年またはその後というふうなことになれば、二〇二八年というのは、結局、それまでは返還されないよという年限にすぎない。二〇二八年までに返還されるよということじゃなくて、二〇二八年までは返還されませんとか、それ以降のことにすぎないので、この数値を挙げたということは、私は、返還についてはむしろマイナスになるんじゃないかというふうに思うんです。

 二〇二八年またはその後となれば二〇二八年までは返さないということになっちゃいますので、これは余り誇れる数値の明示だとは思わないんですけれども、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、今回の沖縄の施設・区域の統合計画につきましては、嘉手納以南の地域に所在する六施設・区域の全面的または部分的な土地の返還時期と返還に向けた具体的な段取りについて初めて日米共同で明らかにしたものであり、沖縄の負担軽減を進めるとの日米両政府の強い決意を示すものであると考えています。そして、統合計画実施により、特に人口が集中し、そして沖縄県の政治経済の中心部である中南部に位置する一千ヘクタールを超える広大な土地が返還されるということになります。こうした、全体として沖縄の負担軽減にもつながる、大きな成果がある計画だと考えております。

 その中にあって、今、期間の示し方について御指摘がありました。統合計画では、土地の返還に必要な主要な手続を示し、そして、各返還、移転手順の実施に要する年数は、各手順が遅滞なく進んだ場合の最短の年数を示したものであります。

 そして、こうした時期を示すことによって、昨日、二十八日ですが、駐留軍用地跡地利用推進協議会も開催されまして、この統合計画の発表により、地元自治体による跡地利用計画の策定が促進され、そして効果的、効率的な跡地利用がなされるものと考えております。要は、こうした時期、めどを示すことによって、跡地利用についても具体的な作業が進むきっかけになっている、このように考えております。

 こうしたことから、内容におきましても、そして時期の明示におきましても、沖縄の負担軽減に向けて前進につながる計画であると認識をしています。

生方委員 年次が明示されたのが初めてであるのならばそういうことも言えると思うんですけれども、普天間の返還については、当初は、五年から七年以内というのが一九九六年の段階ですよね。その後には二〇一四年までに返還というふうに変わって、今回は二〇二二年度またはその後というふうに変化をした。これでは、先延ばし先延ばし先延ばしで、幾ら跡地の計画を立てたって、三回も四回も延ばされれば、また延ばされるんだろう、そう沖縄の方たちが考えるのが普通じゃないですか。だから、年次を示したからといって、別に私はそれがいいというふうには思いませんが、その次についてお伺いします。(発言する者あり)ちょっと委員長、うるさいから、注意してくれる。

荒井委員長 お静かにしてください。

生方委員 二〇一二年の四月に、野田政権は、普天間が進まなくても他の施設を返還するということで米政府と合意をした。いわば切り離しですね、一括、パッケージではなくて、その方針というのは今回も維持をされたんですか。

岸田国務大臣 その方針は維持をしております。

生方委員 沖縄の新聞等を見ると、維持されなかったというふうに報道されているのは、何でそういうふうな報道になるのかといえば、普天間が返還されるのが二〇二二年度またはその後というふうになっていますよね、そのほかの五施設の返還が全部二〇二二年度以降になっているんですよね。返還のめどが二〇二四年とか二〇二八年とかというこの数値を見れば、結局は、普天間が返還されない限り、あとの五施設も返還されないんじゃないかというふうに読むのは普通なんじゃないですか。

 それより前というのがあるのならいいですよ。全部二〇二二年度以降に数値が決定をされているということは、まず普天間返還がある、それがない限りはほかの五施設の返還も進みませんよというふうに沖縄の方たちが考えるのも当然だと私は思うんですけれども、いかがですか。

岸田国務大臣 今回の統合計画におきましては、六施設・区域の返還時期と具体的な段取りを明記したわけですが、その六施設・区域の中に普天間飛行場も含めて統合計画の中に列挙されております。

 そういったことから、この切り離しの方針が変わったのではないか、こうした指摘につながっているのかとも思いますが、これはあくまでも、それぞれの事情を勘案して、具体的な検討を加えた上でそれぞれの時期について明示したものでありまして、従来からの普天間飛行場の移設と嘉手納以南の土地の返還の切り離し方針は全く変わっておりません。時期的にそう読めるのではないかという御指摘がありましたが、これはそれぞれの事情を積み上げた結果であります。

生方委員 そうはおっしゃいますが、例えば、那覇軍港であれば、もう今は使われていないわけですよ。遊休施設になっているわけですから、返そうと思えばすぐ返せるんですよ。それにもかかわらず、那覇軍港ですら二〇二八年度またはそれ以降というふうになっている。もう遊休施設で使っていないんですから、返せるものだったら返せばいいじゃないですか。何でそれを、二〇二八年といったら今から何年後か、とんでもなく先のことを言わなきゃいけないという理由が私はよくわからないんですよね。

 では、まず那覇軍港について、何で今返せないのかということをお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 那覇軍港施設について御指摘をいただきましたが、那覇港湾施設につきましては、浦添埠頭地区に建設される代替施設への移設が返還条件とされるなど、返還のための必要な条件が示されています。こうした条件を満たすことによって、統合計画に明記させていただきました時期をめどに作業が進んでいく、こうしたことになっております。

生方委員 だから、ほとんどのところが、どこかを返したらそれにかわる施設をどこかへつくりなさいということになっているんですよね。沖縄の方にしてみれば、全部が返ったとしても、〇・七%しか全体は減らないんですよね。

 本当に沖縄の基地負担を減らすんだというのであれば、普天間もそうですけれども、県外に移設をしない限り負担は軽くならないでしょう。全部移すといったら、新たなところは、移す市町村は、またそれを受け入れるか受け入れないかの判断をせないかぬわけですよ。結局進まないんですよ。

 だから、那覇軍港の問題だって、結局、受け入れ施設がないから遊休施設を返さないというのであれば、そんなことをやっていたら、いつまでたったって返らないんですよ。返すべきところを、使っていないんだから返してくださいという交渉をするのが当たり前じゃないですか。

 それから、キャンプ桑江は海軍病院の移設が条件となっているようでございますけれども、もう既に海軍病院は移設して稼働しているんですよね。こうなれば、キャンプ桑江だってすぐ返すことができるんじゃないですか。

岸田国務大臣 キャンプ桑江につきましては、海軍病院につきましては御指摘のとおりですが、中学校ですとか家族住宅の移設が必要ということで、その作業を今進めている、こうした現状にあります。

生方委員 岸田外務大臣らしくもないね。

 できることをやればいいじゃないですか。海軍病院は移っているんですからね。移っている分だけまず返すとかということだってできるでしょう。できるはずなのに。だから、別にアメリカに遠慮することはないわけですよ、日本の土地なんですから。

 返すということが決まっているのであれば、何で二〇二二年以降になんか設定しなきゃいけないのか。もっと早く返せるところは返してくださいということをしていかないから、沖縄の方たちだって、本当に基地負担を軽くしようというふうに政府が考えているのかどうかという不信感が生まれて、そういう不信感が根底にあるから、辺野古へ移れと言ったって、辺野古なんか嫌ですよと言うのは当たり前ですよ。

 国も努力しているんだ、厳しい状況の中でも努力して、一部でも返ってきたという実績があるなら、国も努力しているんだから、我々も、本当に大変だけれども、またもうちょっと努力しようかということになるのであって、今の岸田外務大臣のように、これがあるからこれだ、これがあるからこれだと言っていたら、結局、何にもこれまでも解決しなかったのと同じだというふうに私は思いますよ。

 だから、これは県内に移設するといったって、ほかの市町村はまたそこで受け入れるか受け入れないかでもめて、結局どんどん先延ばしになっちゃって、沖縄の基地負担というのは一向に軽くならないんですよ。だから、県外も含めてきちんと検討しなきゃいかぬ時期に来ていると私は思いますよ。

岸田国務大臣 まず、委員御指摘のように、返還できるところからどんどん返還していくべきだ、これはそのとおりだと私も思います。

 事実、今月十六日にも、日米合同委員会におきまして、キャンプ・キンザーの北側進入路につきまして返還の合意がなされたところであります。牧港補給地区の北側進入路について具体的に返還が合意された。また、それ以外につきましても、この統合計画の中で、順次、早期に作業が進むところについては現実に返還を進めていく。こうした実績を積むことによって地元の理解を得ていく、こうした姿勢は大変重要だと思っています。

 牧港補給基地を皮切りに、できるだけ早期に、順次結果を出していきたいと考えています。

生方委員 そうしますと、今回決めた、二〇二二年が普天間で、その後はいろいろ、二〇二八年とかなんとかとございますよね。その年次の見直しも今後あり得る、前倒しということもあり得るというふうに解釈していいんですか。

岸田国務大臣 これは、作業を進めるに当たっては、やはり、それぞれの地元自治体を初め、関係者の皆様方の意向や考え方、そして現状をしっかりと丁寧に踏まえながら進めていかなければならないと存じます。それぞれの時期については、手順が最もスムーズに進んだ場合の時期を示させていただいておりますが、その目標に向けて、それぞれ努力をしていきたいと考えています。

生方委員 これは岸田外務大臣に聞いてもしようがないのかもしれませんが、例えば、先ほど指摘をしました那覇軍港について、何で二〇二八年までかかるのか。二〇二八年にした根拠というのは一体何なんですか。何をやって二〇二八年になるのか、教えていただきたい。それが、もしそうでなければ、もっと前倒しすることだって可能でしょう、今動いていない施設なんですから。

岸田国務大臣 那覇港湾施設の代替施設につきましては、この移設先の浦添埠頭地区における埋立地域の水深が辺野古沖より深く、また防波堤の設備が必要であるなど、施工条件や所要が異なることから、工期九年と見込まれ、このような時期になっていると承知しております。

生方委員 今那覇軍港が使われていて、その代替施設ができないとそこへ移せないというのなら、それはわかりますよ、埋め立てに九年かかるというのは。使われてもいないところを移すのに、何で九年もたたなきゃいけないのか。できるのならできるところから返してください、その後浦添を埋め立てますから、とりあえず那覇軍港を返してくださいということぐらい言えるんじゃないんですか。

岸田国務大臣 今申し上げましたように、防波堤の設置の必要など、施工条件、所要が異なることから、工期がある程度必要になる、こうした見込みから、それぞれの計画が立てられております。こうした計画に基づいて、しっかりと結果を出していきたいと考えております。

生方委員 これは、やはり岸田外務大臣に私は期待するから聞いているのであって、そんな後ろの人に言われて、それは返せませんなんてばかな話は、政治決断ですよ、こんなのは。返さなきゃいかぬ、沖縄の方たちを説得するためには当然返さないかぬじゃないかということを外務大臣があるいは山本大臣が言ってやったら、おお、やる気なんだというふうになるじゃないですか。今のようなことを言っていたら、私が沖縄の人だったら、とてもじゃないけれどもこれは任せられないということになりますよ。

 それは、別に国交大臣に聞いているわけじゃないですから、埋め立てに何年かかるなんということを大臣から返事してほしいというわけじゃなくて、政治決断ですから、使っていないものは返す、まずとりあえず返して、それから計画を考えましょうとならないと、返ってくるかわからない、返ってくるか返ってこないかもはっきりしないところに一生懸命都市計画をつくるなんということにならないでしょう。つくったって無駄になっちゃいますもの。現実に返ってきたのならいいですけれどもね。

 だから、そんなしゃくし定規なことを言わないで、返せるものを返すために交渉するんだ、二〇二八年というふうに書いてあるけれども、前倒しできるものだったらこれは前倒ししますよと。さっき言ったように、最初に指摘されたように、二〇二五年度またはその後というふうになったら、二〇二五年とか二〇二八年とか、明示してあるまでは返さないよという期間を言っているだけのことにすぎないので、それを前倒しするんだというぐらいの勢いを示さなければ、とても私は沖縄の方たちの理解は得られないと思います。

 何かあれば、同じような答えだったら要らないですけれども。

岸田国務大臣 まず、現実返せるところからどんどんと返還を求めていかなければいけない、そうした基本的な考え方は私も共有いたします。

 ただ、今回の統合計画については、具体的な時期及び段取りにつきまして、日米でしっかりと議論をし、日米で合意をした上で公表するという作業を行いました。日米間でしっかり合意をした上で時期の目安や段取りを明らかにしたこと、これは意義があることだと思っています。ぜひこれをしっかりと活用し、結果につなげていきたいと考えています。

生方委員 意義があったかなかったかというのは沖縄県民が判断することであって、こちらで今の段階で数値を、年次を出したからといって、それで沖縄の方が納得するとはとても思えないということだけ指摘をさせていただきます。

 次に、普天間基地の移転について伺いたいのですが、辺野古へ移すということですけれども、これは仲井真知事も反対をしている。多くの沖縄で行われている世論調査を見ても、県民の過半数以上は反対をしている。現実に冷静に考えれば、辺野古を埋め立てて基地をつくるというのはかなり可能性は薄いというふうに私は思います。

 もともと、普天間を返すということの背景には、米軍の配置がえというふうな、海兵隊の位置づけの違いというようなものもある。海兵隊をグアムへ移すんだという大きな前提がございましたよね。

 ただ、海兵隊をグアムに移すということについても、アメリカで予算がつかなかったり反対があったりとか、アメリカの今の緊縮財政の中でなかなか大きなお金をかけられないということで、アメリカの議会の中でも、ハワイに移すとか本土に移すとか、あるいはオーストラリアに移すとかいうような議論が出ていますよね。

 だから、普天間の海兵隊がグアムに行くというか、要するに沖縄から出ていくんだということは、別に沖縄から出ていっても、これは、いろいろ軍事技術も進歩していますから、今の海兵隊の位置づけは、水陸両用で急襲でまず上陸をするんだというのが一番大きな目的だというふうに思うんですけれども、それ以外の方法も今出てきているわけで、今は中国がいろいろ脅威論を言われていますから、沖縄が近過ぎて、近いのはかえって危険じゃないかというような話もあるように、これはアメリカと抜本的に話をしなきゃいけないと私は思うんですよ。

 海兵隊の位置づけも含めて、本当に沖縄に海兵隊の新たな基地までつくる必要があるのかどうかも含めて話し合う時期に来ていると私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障体制に基づく在日米軍の抑止力、我が国の安全、ひいては地域の平和と安全の維持に不可欠であると認識をしております。特に、東アジアの各地域に近く、迅速な展開が可能な沖縄に駐留する米国海兵隊、この高い機動力、即応性等を通じて在日米軍の抑止力の重要な一翼を担っていると認識をしております。

 そして、普天間飛行場に所在している海兵隊の航空部隊、これは沖縄に所在する陸上部隊との一体運用によって抑止力として機能するものであり、引き続き沖縄にこの航空部隊が駐留することは必要であると考えております。

 一方で、普天間の飛行場の固定、これはあってはなりません。政府としては、政府の考えを丁寧に説明し、地元沖縄の皆様の理解を得られるよう努力していく考えでありますが、現行の日米合意に従って在日米軍再編を進めながら、負担軽減を実現していくという考えでおります。

 そして、アメリカにおきます財政をめぐる議論等でさまざまな議論や動きがあるのは事実でありますが、少なくとも現状において、日米両政府とも現状の日米合意に従ってこうした米軍再編について考えていく、この方針は変わらないと認識をしております。

生方委員 両大臣とも、もちろんあそこをごらんになったことがあると思いますが、普天間が、市街地の真ん中にあって非常に危険だ、この危険を何とかせないかぬというのがそもそもの出発点ですよね。その出発点がありながら、全く私は理解できないのは、ことしの八月にまたオスプレイを十二機余計に配置をすると。オスプレイは危険だというのは前から言われていて、幸いにして大きな事故はまだ日本国内では起こっていないからいいですけれども、十二機でも危険なのに、あの危険な普天間にまたさらに十二機配置するというのは、どう考えても私はおかしいと思いますよ。

 危険だ、どこかへやろうというふうなことが前提なのに、危険を指摘されているオスプレイをまた新たに倍の二十四機にするということになれば、単純に考えたって危険性は倍になるわけですよ。倍になっても危険性は倍になりませんよという措置をとるから安心してくださいというんならいいですよ。今のところ、そういう話は全くなくて、とにかく十二機を二十四機にするんだという話だけ来ているわけです。

 沖縄の人にしてみれば、危険だ、危険だから移そうと言っておきながら、危険なところへさらに十二機も持ってくるというのは、とても納得できる話じゃないと思うんです。

岸田国務大臣 まず、オスプレイにつきましては、依然として地元の皆様から厳しい目が向けられていると認識をしております。そして、オスプレイの運用につきまして定められました日米合同委員会での合意につきましても、守られていないのではないか、こういった声があることも十分承知をしております。

 オスプレイの運用につきましては、政府として、昨年の九月十九日の日米合同委員会の合意を遵守し、安全性を最大限確保するよう米側に申し入れておりますし、米側においても、この合意を遵守するとともに、安全性を最大限確保し、地元に与える影響を最小限にとどめる旨表明しているところです。

 そして、こうしたオスプレイの実態につきましては、昨年十二月、沖縄県知事から、政府の責任においてMV22オスプレイの飛行実態を調査、検証し、公表することなどを求める要請書が政府に提出をされています。これを受けて、現在、政府としましても、防衛省におきまして、沖縄県からの指摘のありましたオスプレイの飛行実例について確認作業を行っているところです。

 こうした作業も踏まえながら、オスプレイの運用等の実態についてしっかり把握するとともに、地元沖縄の皆様に対する説明等を丁寧に進めていかなければならないと考えております。

生方委員 沖縄にも私も行きましたけれども、なぜか普天間を見るときは、いつも普天間はすごく静かなんですよね。飛んでいない。だから、オスプレイが飛んでいるところを見たこともないし、音がどのぐらいすごいのかも聞いたことがないんですよね。

 それは、まあ、一太先生が行ったときはどうだか知りませんけれども、恐らく訓練しないんですよね。我々が行ったときは訓練しないから、実態がよくわからないで我々は帰ってくるんですよ。だけれども、沖縄の方たちに聞けば、市街地の上空は平気で飛ぶし、当初は午後十時から六時までは原則飛行しないというふうになっているけれども、訓練のためだと言えばいつでも飛行できるわけですよね。

 最近だったら、ヘリ部隊がオスプレイから住民のすぐ近くにまでおりてきた、落下傘部隊がおりてきたというような事例もあって、これだって、農家の作業している人にぶつかれば、死ぬかどうか知りませんが、大けがになることは間違いないですよね。そういうことが平気で行われているわけですよ。

 だから、それは、見直しましょうといったって、米軍は最後はわからないんですから、あくまでも軍の行動でやるんだからと言えば、もうそれ以上日本は抵抗できないということになっていますので、原則とかというのがある限り、原則は常に破られるので、もうとにかく十時から翌朝六時までは飛ばせないんだというのであれば、飛ばせないというふうに言わないと、原則飛ばせないというのでは、原則はいつも無視されてきたんだから、そういうふうにしなければいけないと私は思います。

 最後に、これも何度も指摘されておりますように、沖縄は日本の国土の〇・六%しか占めていないわけですよね、そこに七三・八%の米軍基地がいまだにあるということを何とかしなきゃいけないというのは、日本国民であれば当然考えていることだというふうに思いますので、何とかしなきゃいかぬ。その前に、やはり日本政府に対する沖縄の方たちの信頼をきちんと取り戻していかなきゃいかぬ。

 そのためには、できることはきちんとやっていく。しゃくし定規に、二〇二八年とか二〇二五年だ、それまではほっておいてもいいんだということじゃなくて、きちんとやっていくことが非常に重要だというふうに思っています。

 これは私個人の意見ですけれども、今度、四月二十八日に主権回復の日というのを政府がやりましたよね。私はこれに出ませんでしたけれども、主権が本当に回復されたのかと。

 皆さんも飛行機によく乗るでしょうけれども、いまだにあの横田の上空は通れないんですよね。通れないから、富山とか石川から羽田に来るのに、わざわざ大島を回って入ってこなきゃいかぬなんということが戦後六十数年も続いていて、日本の空を日本の航空機が自由に飛べないような状況の中で主権があるのかというふうに私は思うんですよ。

 やはり、戦後六十数年たったんだから、在日米軍というのがこのままこれから先も百年もずうっと駐留し続けるのかどうかということを含めて、もっときちんと考えないかぬ時期に来ているんじゃないか。そういうことのしわ寄せが全部今沖縄に来ちゃっているというふうに思うので、主権回復の日というのであれば、主権は何であるのか、日本に本当に主権があるのか、日本の上空を自由に日本の飛行機が飛べないような形で主権があるのかどうかということまで考えないかぬときに来ているんじゃないか。私は団塊の世代でございますから、この問題を次の世代まで引き継がせちゃいけないというふうに思うんですよね。

 最後に、その辺、もし何かあったら。

岸田国務大臣 当然のことながら、我が国は主権国家であります。国民の生命財産、そして我が国の領土、領海、領空、これは断固として守り抜く決意であります。政府としても、そのために最善の方策をとらなければならないと考えています。

 現在、北朝鮮による核、ミサイルの開発ですとか、中国の透明性を欠いた軍事力の増強など、我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増していると認識をしております。

 このような安全保障の環境下におきまして、まずはみずから防衛力を増強、強化していかなければならないわけですが、あわせて、日米安全保障体制のもとで、在日米軍が我が国及び周辺の緊急事態に迅速かつ機動的に対処できる体制を平時から確保し日米同盟の抑止力を維持向上させていくこと、このことも我が国の防衛にとって引き続き現実的、適切な対応であると考えております。

 こうした考え方のもとにおいて、我が国として最も適切な方法、対応はどうあるべきなのか、しっかり考えていきたいと思っています。

生方委員 終わります。

荒井委員長 次に、百瀬智之君。

百瀬委員 百瀬智之と申します。

 まず冒頭に、昨日起きましたF15戦闘機の墜落事故について触れさせていただきたいと思っております。

 昨日、五月二十八日午前九時ごろ、沖縄県の国頭村の東南東約六十キロの海上で、F15戦闘機が墜落したということでございます。沖縄県は、米軍に原因が究明されるまで同型機の訓練中止を要請することを決めたということでございます。

 この事故を受けまして、対策として、国としてどのようにお考えか。通告していないので、可能な限りで、きょうは両大臣にお越しいただいていますので、一言ずついただければと思っております。

岸田国務大臣 F15の墜落事故の件ですが、二十八日午前九時前ごろ、在日米軍嘉手納飛行場所属の戦闘機F15一機が、沖縄本島東約百二十六キロメートルの公海上、これはホテル・ホテル訓練区域内でありますが、ここに墜落をいたしました。人的被害はなく、パイロットは脱出し、既に救出されたと承知をしております。

 政府としましては、米側に対しまして、日米合同委員会等を通じて、事故原因の究明及び再発防止を申し入れたところであります。

 今後、米側におきまして事故原因の調査が行われるものと存じますが、その結果につきまして、当然我が国に提供されると認識をしております。

 そして、米側は、当面の措置として、安全性確認等のため、二十九日、本日でありますが、終日、同機の飛行運用を控える予定であるということを承知しております。

山本国務大臣 今外務大臣がおっしゃったとおりだと思いますが、原因究明をしっかりして、こういうことが二度とないようにしっかり対策をとる、もうこれに尽きると思います。

百瀬委員 事故の原因究明、また再発防止に努めていただきたいところではございますけれども、やはりこれだけでは抜本的な解決にはなっていないと思っております。沖縄県民の方々が望んでいるのは、危ない飛行機が自分の住んでいるところの上を通らないようにしてほしい、これに尽きるんじゃないでしょうか。

 しかしながら、そういった県民の方々の不安がなかなか払拭されない、こういう背景には、やはり、空の安全を守るはずの日本の航空法の主要規定が日米地位協定の米軍の適用除外、こうなっていることがある。やはりこのことは広く日本国民の皆さんには知ってもらわないといけない、こう思っているわけでございます。

 これまで、沖縄県や沖縄弁護士会それから民主党なども、何度か地位協定の改定案をつくって不平等協定の改定を求めてきたが、なかなか実現していないという状況がございます。

 外務省もやはり改定には消極的で、歴代の外務大臣も、運用の改善で対処するという姿勢でおられたかと思っておりまして、現政権もこの姿勢を踏襲していると理解しております。しかし、やはりいよいよこの姿勢にも区切りをつけて改定に切り込まなければならない、こういう時期に来ているのではないでしょうか。

 そこでまず、本日は、日米地位協定、これを話題にとりたいと思っております。

 在日米軍には、日米地位協定によって事実上の治外法権を初めとするさまざまな特権が与えられてございます。主なものだけをまとめても、今紹介いたしました航空法の適用除外、また自動車税の減免、日本国は、合衆国軍隊の財産についての捜索、差し押さえを行う権利を持たない、米軍は出入国管理法の適用除外となっている、米軍基地において日本側の出入りを制限できる、犯罪米兵の身柄引き渡し拒否など裁判における優先権がアメリカに認められている、基地返還時の原状回復義務の免除、これは有害物質の垂れ流し責任の回避ですとか汚染物質の除去義務の免除等につながっているわけですけれども、こういったさまざまなことがあるわけです。

 改めて、この不平等条約、条約というのが適切でなければ不平等協定ということになるかと思うんですけれども、そういった認識はございますでしょうか。政権がかわったので、改めて岸田外務大臣にお答えいただきたいと思っております。

岸田国務大臣 まず、我が国をめぐる安全保障環境については、北朝鮮の核・ミサイル開発あるいは中国の不透明な軍事力の増強等、厳しさはますます増していると認識をしております。その中にありまして、まず、我が国としては、みずからの防衛力を強化していかなければならないと思いますし、あわせて、日米安全保障条約に基づく日米同盟の抑止力を維持強化し、向上させていくこと、これは現実的な対応として大変重要であると認識をしております。

 日米地位協定についてですが、こうした在日米軍の円滑かつ効果的な行動を確保するために、米軍による我が国における施設・区域の使用及び我が国における米軍の地位等につき規定した、日米安保体制にとって極めて重要な協定であると考えています。そして、今日まで、この日米地位協定については運用によって改善が図られてまいりました。まずは現実的そして具体的な運用を積み重ねることによって、具体的な結果を出すことが重要だと考えております。

 こうした現実的、具体的な運用の改善を積み重ねるという努力はぜひ引き続き続けていきたいと考えております。

百瀬委員 抑止力の重要性ですとか防衛力の重要性、それはもちろんだと思うんです。何らかの取り決めもアメリカとの間でなければならない、それはもちろんわかるんですけれども、今の日米地位協定を不平等協定として認識していらっしゃるか、イエスかノーかでお答えください。

岸田国務大臣 現状の日米地位協定につきましては、他国の地位協定と比較しても、接受国側にとって特に不利なものとなっているとは考えておりません。

 例えば、日米地位協定の根幹の一つをなす刑事分野において、起訴前の被疑者の拘禁の日本側への移転を可能とする枠組みがありますが、実際にもそのような移転が行われている例、実際にこうした例が存在するのは、米国と我が国以外の国との間にはないと承知をしております。

百瀬委員 今、刑事訴追のお話をいただきましたので、そちらに話を移させていただきたいと思っておりますが、まず、韓米地位協定をめぐる昨年の動向について一つ確認させていただきます。

 米兵が事件を起こしたとき、日本と同じく韓国でも、起訴前に身柄を確保して捜査を行うことはできませんでした。既に御承知かと思いますけれども、韓米地位協定第二十二条五項、米兵は、現行犯逮捕されない限り、起訴以降にしか身柄を拘束できないという取り決めがございまして、現行犯で逮捕した場合でも、二十四時間以内に起訴できなければ釈放しなければならないと規定されていたわけでございます。起訴するためには、犯罪を立証するための裏づけ捜査が必要でございますけれども、二十四時間以内というのは余りにもむちゃな規定でございました。

 この規定のため、事実上、起訴前の身柄確保は不可能で、容疑者の身柄を確保した状態で十分に時間をかけて初動捜査することはできなかった。そのため、韓国では、検察が起訴するまでは韓国側が犯人を拘束することができないため、犯人が証拠を隠して捜査が困難になる事件が多く、最大の問題として指摘されてきたわけでございます。

 この規定に対して、韓国政府は、二〇一二年五月二十三日、運用改善を求めて、その規定の削除を行いました。この事実関係に間違いはございませんでしょうか。それと、あわせて、この規定の削除が行われたので、これは協定の改定に当たると考えていらっしゃいますでしょうか。答弁をお願いいたします。

岸田国務大臣 御指摘の二〇一二年五月二十三日の米韓間での米韓地位協定の刑事分野における運用改善ですが、この合意、第三国間の合意であり、また米韓間の合意内容は公表されておりません。ですから、我が国としてはコメントすることは差し控えますが、いずれにせよ、この起訴前の引き渡しについて、米韓間において実際に改善が行われたということについては承知をしておりませんし、我が国としては米韓地位協定の運用が日米地位協定の運用より改善したとは認識をしておりません。

百瀬委員 日米地位協定と米韓の地位協定を比べてどっちが有利かという話ではなくて、米と韓の地位協定をある程度、二十四時間という規定を削除したというところについて、この削除ということは運用改善に当たるのか、それとも改定に当たるのか、どちらでしょうか。

岸田国務大臣 この米韓の合意内容、これは公表されておりません。ですから、我が国として、その公表されていないことについてコメントをすることは控えさせていただきたいと存じます。

百瀬委員 私はこれは改定だと思っておりますけれども、こういった曖昧な態度をとり続けてきたことがやはり日本の沖縄に大きな影響を与えてきてしまったのではないかと懸念しているところでございます。

 米軍に与えられた特権は、日本国民全体に多くの被害をもたらしております。米軍の低空飛行による爆音被害、犯罪米兵の国外逃亡、基地内からの有害物質の流出等でございます。昨日の事故も、直接の被害がなかったからよかったねという話では済まされないと思っております。また、実弾演習による民間地への被害など、沖縄県では最近、そういった犯罪被害、いろいろな基地被害、増加傾向を見せているということでございます。

 世界を見ますと、今申し上げましたとおり、韓国は地位協定の改定に成功している。また、既に御案内のとおりだと思いますけれども、ドイツでは、米軍に対して週末、祝日、また日没三十分後から日の出三十分前の訓練を禁止しており、低空飛行訓練には年間の時間制限があるということであります。また、イタリアでは、毎日の飛行計画の提出が必要で、低空飛行訓練はイタリア側が同意した部隊しか行えないということも聞いております。

 諸外国はもっとましな協定を結んでいますし、米国内にも沖縄の海兵隊不要論というのはあるわけでございますから、ぜひ日本政府もアメリカ政府に対して言うべきことを言っていただきたい、こう思っているわけでございます。運用改善という継ぎはぎの手法を重ねて現状をよしとするか、それとも、対等な日米関係を目指して国民のために、沖縄県のために一生懸命闘争するか、どっちがいいかといったら、やはり私は後者を選びます。

 今月初めに、私も、ひめゆりの資料館に行ってまいりました。恥ずかしながら行ったのは初めてでございまして、何とも言えない気持ちになったわけでございます。歴史的に、沖縄住民の方々、本土の人々からずっと差別され、意識している、していないにかかわらず、それは今も続いていると認識しております。このことは、米軍基地の負担を沖縄に押しつけて済まそうとする日本政府の曖昧な態度と無関係ではないのではないでしょうか。

 私は、長野県民ですけれども、この問題に真正面から取り組みたいと思ってこの委員会の所属を希望させていただきました。どうでしょう、改めて日米地位協定の改定に取り組んでいただけないでしょうか、答弁をお願いいたします。

岸田国務大臣 まず基本的に、先ほども申し上げましたが、日米地位協定につきましては、他国の地位協定と比較しても接受国側にとって特に不利になっているものとは考えておりません。

 しかしながら、地位協定についてはさまざまな議論があり、そして評価があります。引き続きまして、ぜひ、丁寧に多くの関係者の意見も聞きながら、改善に向けてしっかりと協議をし、努力をしていかなければいけないと思っています。

百瀬委員 この問題は、私にとっては憲法改正よりも重要な問題だと認識しておりますので、また次回以降、機会があればお尋ねしたいと思っております。

 さて、次の話題に移らせていただきます。

 先月、我が党は、沖縄の視察を行ったわけでございます。平和祈念公園で献花したり、普天間基地を見たり、県庁や各市役所でお話をいただいたわけでございますけれども、その県庁の職員の方からいただいた御説明の中で、基地返還後の開発によって基地の跡地は経済規模が大幅に拡大して、県の経済全体を牽引しているというお話をいただきました。

 まず初めに、この話題を取り上げさせていただきたいわけでございます。

 そこでいただいた資料によりますと、返還前後で基地跡地の経済状況を比較すると、次のとおりだということでございます。那覇新都心地区では、従業員数は百二・九倍にふえた、雇用者所得は六十九・一倍にふえた、小禄金城地区では、従業員数は三十五・三倍にふえた、雇用者所得も三十一・八倍にふえた、北谷町では、従業員数も雇用者所得もともにふえたということでございます。

 こちらは個人的に調べたのでございますけれども、北谷町は、八一年に町内にあったハンビー飛行場と射撃訓練場のメイモスカラ地区の返還を実現して、ハンビー飛行場は、基地返還で税収が返還前の五十二倍、経済波及効果は八十一倍、雇用は二十二倍にふえたということでございます。メイモスカラ地区も、税収は三十八倍、経済波及効果は十七倍、雇用は百倍を超えるということで、北谷町の方も驚く結果となっている、こういうことでございます。

 このように、脱基地ということで成功している例は数々あるわけでございます。

 山本大臣も沖縄の負担軽減に取り組むという決意をいただいておりますので、まずは米軍基地についての認識をお伺いしたいわけでございますけれども、軍事的観点は抜きにして、経済的観点からするとやはり米軍基地はないという認識でいらっしゃるでしょうか。私は、このようなデータが出ている以上、少なくとも経済的観点からすると基地はない方がよいと思っていますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 基地については、これは沖縄振興担当の私が余り詳しく言う話ではありませんけれども、日米安全保障条約に基づいて我が国の防衛をしているということでいうと、必要ないということを申し上げるつもりはありません。

 ただ、百瀬委員の問題意識は大変大事だと思っていまして、先ほどお話が出たハンビーの件もそうですし、メイモスカラの件もそうですし、沖縄振興担当大臣として言えば、やはり沖縄は、東アジアの中心に位置する地理的特性、日本一高い出生率、こういう優位性、潜在性がありますから、実は日本経済活性化のフロントランナーになり得る可能性を秘めていると思います。

 ですから、そういう意味でいうと、基地の跡地利用は沖縄の振興にとって極めて重要だと思っております。先般の統合計画でも、嘉手納以南の施設・区域の返還千四十八ヘクタールプラスアルファ、これは人口が集中する沖縄の中南部に存在しておりまして、その跡地利用は沖縄の振興にとって大きな意味があるというふうに思っております。

 昨日、駐留軍用地跡地利用推進協議会を開催いたしまして、跡地利用の推進に努めてまいりましたが、今後とも、今おっしゃった跡地利用、沖縄の今後の経済に極めて重要だという観点をしっかりと踏まえて、引き続き、沖縄県、関係市町村と緊密に相談しながら、この跡地利用の問題に取り組んでまいりたい、こう思います。

百瀬委員 時間が参りましたので締めさせていただきたいと思いますけれども、やはり国でしかできないことがあると思っております。跡地の利用というのは非常に重要な問題だと認識しております。例えば統合型リゾート施設をつくって世界に挑戦するとか、そういうことはぜひ国が責任を持ってやっていただきたいと思っているわけでございます。

 IRの誘致、これを強くお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人と申します。

 本日は、沖縄の与那国島を主なテーマとして、国境に位置する離島の安全保障や経済の活性化について質問をさせていただきたいと思います。

 与那国島では、中国籍と思われる軍艦や船舶が非常に頻繁に確認されていることもありまして、また島の活性化を願う思いもあって、二〇〇八年に与那国町議会が自衛隊の誘致を決議いたしました。二〇〇九年の八月には、自衛隊誘致を主張する外間町長が当選をしました。その結果、昨年度の予算には、用地買収を中心とした十億円の予算が計上されて、そして、二〇一三年度、本年度の予算には、レーダーの設置や駐屯地の建設などに六十二億円の金額が計上されて、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を展開するということで準備が進められております。

 ところが、この自衛隊の基地の建設に関して、誘致をした側の町が、迷惑料、今は市町村協力費という名目になっておりますが、十億円を要求して、この建設が今暗礁に乗り上げている、そういった状況でございます。

 私も、この問題、実態はどうなっているのかということを、今月の初めに現地に行って、さまざまな方にヒアリングをしてまいりました。町を二分する非常に大きな問題になっておりますが、まず、現状についてどのような認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 もう委員は十分御承知だと思うわけでありますけれども、まずもって、この南西地域の島嶼部の防衛というのは非常に重要なものであるというふうに我々も認識しております。

 その上で、与那国島への沿岸監視部隊の配置につきましては、外間町長等からの要請を踏まえまして、地元との調整を進めてきたところですけれども、今委員からお話がありましたとおり、外間町長から、いわゆる市町村協力費、まあ迷惑料ですけれども、十億円という要求が来たわけであります。これは余りにも理不尽なものでありまして、一切応じることはできないということで、これまで防衛省からの積極的な用地交渉ということは控えさせていただいております。

 御指摘の外間町長の意向につきましては、今後、外間町長等から新たにまた正式な提案というものがあれば、我々防衛省としては対応を検討させていただきたいというふうには考えております。そのときにおいては、我々も、与那国島の地域振興ということに対してもできるだけ寄与したいというふうには考えております。

 ただ、今の段階におきましては、その辺の意向がきちんと確認できておりませんものですから、我々は控えさせていただいている、そのような状況でございます。

阪口委員 与那国島は、人が住む島としては日本の最西端にあるということもございまして、安全保障という観点で見た場合には、周辺のどの島と比べても、この地域に沿岸監視部隊を設置する意義というのはあると思います。

 ただ、金額面で折り合わないということでこの交渉が進まない場合、例えば、ほかの島に同様の基地を持っていくような計画がおありになるのかどうか。あるいは、何としても必要性を説得して、町側と折り合いを目指していくのかどうか。そのあたりの現在の国としての姿勢についてお伺いをしたいと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 用地交渉等の進展が見られない場合、この地域における島嶼防衛ということを考えた場合においては、ほかの地域ということも考えなければいけないというふうなところも我々も考えておりますけれども、今の段階でどのような形になるか、いろいろ水面下等の交渉もあるものですから、詳しいことのお答えは控えさせていただきたいと思っております。

阪口委員 基地周辺、自衛隊等の安全保障上非常に重要な土地の周辺における、さまざまな不透明な用地買収というのが大きな問題であると思います。

 例えば、中国系の資本などが投機目的で、日本にとっての国防上重要な場所、これは沖縄に限りませんけれども、売買をしている、またその実態がきちんと登記されていない、あるいは固定資産税が払われていないということで、把握できない事態があちこちで起こっている。これは大変に憂慮すべき事態だと思います。

 この大変に重要な基地周辺の土地については、そういった問題がしっかりと把握されているのか、つまり、土地所有者の実態把握というのは国としてきちんとなされているのかどうか、いかがでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘の、自衛隊施設周辺におきます外国人等による土地の取得に係る御指摘ということは私たちもしっかりと意識させていただいておりまして、自衛隊施設の周辺状況につきましては、その地域の特性を踏まえ、常に関心を持って注視させていただいております。

 自衛隊の部隊等の運営におきまして、例えば、監視カメラの設置、あるいは常時当直員の配置、あるいは施設内の巡回等について地域の特性を踏まえ実施するなど、また、自衛隊周辺施設にさまざまな状況が生じたとしても部隊の運営に支障を及ぼすことがないよう、引き続き万全を期すこととしておりますけれども、現在のところ、外国人やあるいは外国資本による自衛隊施設に隣接する土地の買収によって、部隊の運営に直接影響が出ているということは承知しておりません。

阪口委員 現在のところは直接的な影響はないということでしたが、今後、日本周辺の事態が緊張感を増すにつれて、これが国防上大変大きなネックになる可能性もあると思います。

 私は、土地の利用を制限するなどの何らかの法整備を早急に行っていかなくてはいけないという問題意識を持っておりますが、沖縄及び北方を担当する大臣として、この問題についてどのような基本的な考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

山本国務大臣 先ほども防衛副大臣の方からありましたが、沖縄は、東西千キロ、南北四百キロに百六十の島がある、我が国唯一の島嶼県と言っていいと思います。離島地域の活性化は沖縄全体の発展にとって重要な課題だというふうに思っていまして、特に委員がきょう取り上げておられる与那国島、これは国境離島ですから、この振興を図ることは国土保全の面からも重要だというふうに沖縄振興担当大臣としても考えております。

 離島は、美しい自然、独自の文化、非常に魅力的な場所ですけれども、これも委員御存じのとおり、移動、物流コストの低減等による離島住民の負担軽減とか、定住条件の整備とか、産業振興による活性化等の課題もあるというふうに認識をしています。

 これらの課題に関し、与那国島においては、平成二十四年度に新たに創設された一括交付金の制度を活用して、与那国を対象とする離島住民等の交通コストの負担軽減の事業とか、余り細かく全部申し上げませんけれども、例えば小規模離島航路の確保、維持を図るための船舶建造及び購入費用の補助を行う事業とか、いろいろなことをやらせていただいていまして、農業振興の観点からも、いろいろな経営安定化のサポート等々もやっております。

 結論として、沖縄振興特別措置法、沖縄振興基本方針等に基づいて、沖縄の特性や魅力を最大限に発揮しつつ、地域の活性化を図るということで、沖縄県、与那国島と連携をして、与那国の農水、観光を初めとする産業の活性化、交通、生活環境、情報通信基盤の整備等の取り組みを支援していきたい。それはやはり、国境離島が非常に重要だという認識に基づいてやらなければいけないと思っております。

阪口委員 実は、今お答えいただいたのは、私がこの後で質問しようと思っていたことでございまして、大変流暢に答えていただいたんですが、私の今の質問は、法整備の必要性についてということでございました。山本大臣の個人的な思いをぜひ伺いたいと思っています。

山本国務大臣 大変失礼いたしました。

 沖縄振興担当大臣として言うと、その法整備について私が申し上げる立場にないと思ったんですが、実は私、海洋政策担当大臣でもございまして、私のもとに、今、国境離島振興、管理を考える有識者懇談会というのをやっておりまして、そこで国境離島に対してどういう対策をとったらいいかということを議論しております。

 御存じのとおり、自民党でも議員立法がありまして、やはり国境離島については、今委員がおっしゃったようないろいろな問題意識を持って対策を講じていかなければいけないのではないかということがありますので、そちらの海洋政策担当大臣としての有識者懇談会では、もうちょっときちっとした管理ができるように、与那国のような国境離島については、さまざまな対策を講じていかなければいけない、こう考えております。

阪口委員 今回、現地でさまざまな方とお話をしたところ、東京にいると、与那国というのは、国境警備上非常に重要だという意識にどうしても凝り固まってしまうんですが、現地の方々にとっては、大変に切実な経済問題であるという側面が最も強いんじゃないかなと私は思いました。

 自衛隊を誘致すれば、その経済効果で町が少しでも潤うと考えていらっしゃる方々と、いや、自衛隊が来てしまうと、場合によってはここが攻撃のターゲットになるかもしれない、また、基地ができることによって、島の文化が何らかの影響を受けて、観光客などの減少につながる、要するに経済的なデメリットが生じるんじゃないか、そういった議論がなされていました。

 例えば、こういう二つの異なる考え方を持ったグループを前に、政府の方針としては自衛隊の部隊をここに設置するわけですから、もし、山本大臣、現地のいわゆる反対派の方を目の前にしたときにどのようにして説得をされるか。大臣自身が現地に行かれて、彼らと向き合ったとして、どのようなメリット、そしてどのような意義を説明されるのか、ぜひ山本大臣に伺いたいと思います。

山本国務大臣 ちょっと申しわけありません、質問の趣旨というか意味がよくわからないんですけれども、いずれにせよ、与那国にはいつか行きたいと思っていまして、まだ伺っていませんので、余りシミュレーションみたいなことをしない方がいいと思いますから、きちっとそこでお目にかかったときに考えたいと思います。もうちょっと質問の趣旨がわかれば、もう少しお答えできると思うんですけれども、済みません。

阪口委員 私の質問の仕方が恐らく悪かったんだと思いますが、要するに、経済の問題で、反対派、賛成派が割れているというのが一番の現状だと私は思いました。要するに、与那国のよさを守りながら、でも自衛隊を展開することで経済の活性化と現地の文化や自然を両方とも実現することができるとすれば、反対派の方々を説得することも可能であると思うんです。

 もし、沖縄北方大臣として、現地の方々と向き合って、基地の必要性、そして現地のよさを生かした開発のあり方について議論をするとすれば、山本大臣であればどのような言葉で向き合うのか、あるいは説得するのか、そういった質問でございます。

山本国務大臣 大変申しわけないんですが、基地の問題は私の所管ではありませんから、それについて、例えば沖縄振興と結びつけて議論をするということはなかなか難しいと思います。

 私が申し上げるとすれば、やはり国境離島の重要性、ですから、しっかりと沖縄振興担当大臣として国境離島の振興もいろいろな形で考えていく、これしかないと思います。

阪口委員 基地は直接的な管轄ではないということですが、やはり沖縄の振興を考えたときに、基地というのは本当に避けて通ることはできないと思うんですね。そういう意味では、ちょっと山本大臣らしくない、官僚答弁であったかなと思います。

 最後に、この与那国島には、実は、古代の海底遺跡ではないかと思われる遺跡が島の南側の海中にあるんですね。これが自然にできたものなのか、あるいは古代遺跡なのかということに関しては論争がありまして、まだ結論は出ておりません。しかし、東西に二百五十メートル、南北に百五十メートル前後の規模があって、また円柱と思われる、さらにテラスや階段と思われるような、人工建設物ではないかと我々が想像したくなるような、そういった風景が海中に広がってございます。

 私は、この遺跡と思われる海中の状況を守る上でも、あるいは切実な現地の経済問題を解決する上でも、国として、しっかりとした調査を行って、まずは状況についてしっかりと把握をする、そして、しっかり保存して、場合によっては観光の目玉にしていく、そういった戦略があってもいいのではないかと思いますが、この点について、山本大臣はどのようにお考えでしょうか。

山本国務大臣 先生が今おっしゃった海底遺跡の問題はちょっと勉強させていただきたいと思いますが、観光リゾート産業は沖縄経済を牽引するリーディング産業ですから、いろいろなことを生かして、沖縄の自立経済の構築のために、観光産業を振興していくというのは大変大事だと思っています。

 特に、沖縄の離島については、自然も豊かですし、島ごとに異なる文化もありますし、個性的で魅力的な地域資源というのが本当に多くありますから、これは全国的にも観光地として高い評価を得ているところだと思います。こうした強みを生かして観光客の誘致を図っていく、これは、沖縄の観光振興、離島振興、双方を推進する観点から大変重要だと思っています。

 平成二十四年度、先ほども申し上げましたが、沖縄振興交付金が創設されましたので、これを活用して、沖縄県において、例えば八重山地域の観光プロモーション活動を行ったり、与那国では、これも委員御存じかもしれませんが、沖縄振興交付金を使って、国際カジキ釣り大会というのを実はやっておりまして、これで、観光誘客の促進とか、旅行業者等と連携した各種の広報媒体等による情報発信体制の構築等の観光事業を今やっております。

 内閣府としては、それぞれの離島が有する多様な力を十分に発揮してまいれるよう、いろいろな観光資源があれば、少しそういうものを調べながら、どうやって生かせるかということも議論していきたいと思いますし、引き続き、沖縄県と連携して取り組んでまいりたいと思います。

阪口委員 ありがとうございます。

 私が与那国を訪ねて、いろいろな方々と話をした限りでは、一般的なリゾート開発というよりは、独自の植生や文化、また食の伝統、そういったものが本当に失われることがないように、日本の中でも本当に貴重なこの島のよさをぜひ伸ばしていくような開発を行っていただきたいと思いますし、そういった考えをベースに持ちながら、では、自衛隊の問題をどうするのかということを考えていかなくてはいけないと思います。

 島の人々は、自分たちの独自の文化、自然に本当に誇りを持っていると思います。ぜひ、彼らの思いをしっかり酌んだ開発、そして防衛計画を立てていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず最初に、嘉手納以南の土地の返還について外務大臣に伺います。

 日米間で合意したと言われる面積が千四十八ヘクタールプラスアルファ。ところが、ほとんどが移設条件つきであります。返還期限も、例えば北谷町のキャンプ桑江は、二〇二五年度またはその後となっているわけです。同じく、キャンプ瑞慶覧のインダストリアル・コリドーは、二〇二四年度またはその後となっております。

 実は、外務大臣、コリドー地区は、最初の返還合意は、昭和五十一年、一九七六年七月八日の第十六回日米安全保障協議委員会です。その後、一九九〇年、平成二年にも返還が合意をされております。ところが、今回発表したら、あと十年後なんですね。

 キャンプ桑江は、SACO合意で二〇〇七年中の返還を約束し、北谷町は跡地利用計画案も策定して、地主への説明会も始めておりました。今回の発表では、二〇二五年またはその後。これまでの努力が全て水の泡に帰すというような状態であります。

 北谷町長は、今回の統合計画を見て、これではSACO合意で決めた期限も全部ほごにするようなやり方だ、問題だ、こうおっしゃっております。

 今回の統合計画は厳しい批判を受けているわけですが、外務大臣はこのような批判をどのように受けとめますか。

岸田国務大臣 まず、今回の統合計画ですが、嘉手納以南の地域に所在する六施設・区域の全面的または部分的な土地の返還につきまして、返還時期、そして返還に向けた具体的な段取りについて、日米共同で改めて明らかにしたということであります。沖縄の負担軽減を進める上での日米両政府の決意を示したということであります。

 この統合計画につきましては、記載されている各返還、移設手順の実施に要する年数ですが、各手順が遅滞なく進んだ場合の最短の年数を示したものであります。

 こうした年数を示すことによって跡地利用の議論も具体的に進むことになるというふうに思っていますし、日米間でこの計画を可能な限り早急に実施することが確認されております。十六日にも、日米合同委員会において、牧港補給地区の北側進入路について返還が合意されたところであります。こうした計画に基づいて、しっかりと返還を進めていきたいと思います。

 そして、統合計画全体を見た場合に、人口が集中し、そして政治や経済の中心部である中南部に位置する一千ヘクタールの広大な土地が返還されるということ、これは、全体として沖縄の負担軽減に資するものだと考えております。

 ぜひ、こうした統合計画の意義についてしっかり説明し、理解を得ていきたいと考えています。

赤嶺委員 統合計画が発表されて、SACO合意で二〇〇七年までには返すと言っていたキャンプ桑江は、それに備えて跡地利用計画もつくってきたけれども、それがほごにされて、今度はさらに十年も後になっている。こんなので跡地利用計画はつくれるものかと当事者は思いますよ。

 今、外務大臣、牧港のキャンプ・キンザーの進入路一ヘクタール、日米合同委員会で合意したと言いますが、あれは民間道路と同じですよ。道路の周辺には民間の建物が建っていたり、車検場があったりするんですよ。こんな民間がふだん使っているところまで軍用地だったのか。これを、返還される、返還される、統合計画の成果だと言っているのは、余りにも沖縄を知らなさ過ぎる、そういう思いがいたしますよ。

 だから、例えばキャンプ桑江について、今度は二〇二五年度またはその後、これを沖縄県民は何と言っているかわかりますか。二〇二五年度までは返さない、またはその後というのは、その後も返すかどうかわからない。これは沖縄県民の経験に基づく認識であるわけですよ。

 そこで、山本大臣に伺いますけれども、沖縄県は、先ほども外務大臣が述べておりましたが、嘉手納以南の中南部地域に人口百万人以上の都市圏を形成している、狭隘な土地に広大な基地が集中し、経済活動に大きな制約を受け、沖縄の新たな発展にとって基地は重大な阻害要因、このように言われてまいりました。嘉手納以南の大規模な駐留軍用地の返還に伴う跡地利用計画は、中南部都市圏、ひいては県全体の発展に極めて重要になるとして、沖縄県と関係市町村が連携し、広域構想及び産業振興、創出に向けた取り組みを行ってきたわけであります。

 今回の統合計画、これは土地の細切れ返還です。それから、返還時期は曖昧なものばかりであります。山本大臣に聞きますが、これでは各自治体は返還跡地利用に着手しようがない、そうではありませんか。

山本国務大臣 まず、統合計画は、先ほど外務大臣がおっしゃったように、日米間で合意されたものですから、政府としては、この統合計画が着実に実施され、一日も早い嘉手納以南の土地の返還が実現するように取り組む、こういうことになっております。

 今委員おっしゃったように、地元自治体においていわゆる細切れ返還について懸念があるということは承知をしておりますが、具体的な返還については、統合計画に基づいて、諸般の手順を経た上で、関係省庁において適切に対応されるものと考えております。

 私としては、沖縄の振興のために、各地区の返還後の跡地利用が進むように、跡地利用特措法に基づきしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 跡地利用が、使えなくなるんですよ。嘉手納以南の土地の返還というのは一体的に返還されないと、一体的に開発していこうという沖縄県の主導のもとにやっているわけですよね。

 一ヘクタールの進入路を返したところで、開発に何も役に立たないですよ。牧港で二ヘクタールの返還地があります。二ヘクタールというのは区画整理の対象にもなっていないんですよ。区画整理の対象にもならないような面積を細切れで返還していって、地主はどうするんですか、自治体はどうするんですか。途方に暮れるじゃないですか。

 日米間で合意したからしっかりやるといって、今まで、七〇年代から日米間で合意して、今度は返します、今度は返しますと言って、SACO合意のときは二〇〇七年度までにはキャンプ桑江は返しますからと言って期待を持たせて、土地利用計画までつくって、しかし、それも全部ほごにされている、こういう状態なんです。私は、両大臣、ここはしっかり受けとめていただきたいと思うんです。

 今度の統合計画の中に、キャンプ瑞慶覧、キャンプ・フォスターの白比川沿岸区域の約〇・四ヘクタールも追加的な返還区域として発表されました。

 白比川は大雨のために氾濫を繰り返し、ことしの梅雨の豪雨でも、子供たちの転落防止のフェンスが倒れたり、川のそばの町道がひび割れを起こしたり、付近住民は氾濫におびえております。沖縄県が河道拡幅工事を急いでいる河川であります。ところが、川の拡幅工事に伴い、米軍施設が工事区域にほんの少しひっかかるとして、アメリカ側の合意が得られず、工事が難航してきました。

 民間地との境界線から四十五メートル離すというテロ対策のための米軍内部の取り決めを口実に、工事に関係のない建物の移転補償を五億円求めたり、あるいは地区の全部の施設の移設を求めてきました。そのために、付近住民は河川の氾濫などの被害におびえ続けたままであります。

 これについて、防衛省、どのように考えておられますか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘の白比川の沿岸部につきましては、住民の生活に直結する問題でありまして、洪水対策工事を沖縄県が実施するための返還要請があったところであるわけであります。

 今現在、防衛省としては、この洪水対策工事の早期着工に向けまして、沖縄県あるいは米軍との間でどのような措置がとり得るかということを鋭意調整している最中でございます。

赤嶺委員 災害におびえている住民にとってみれば、今の答弁、どのような措置がとられるかといって、目の前の生命が脅かされている。しかも、この地域、白比川の問題もありまして、今度新たに、追加された返還地域として統合計画の中に入りました。その統合計画の中で、返還条件がつけられて、移設条件つきだと。この必要な手続の完了後、二〇一九年度またはその後。二〇一九年度までは待て、またはその後もわからないと。

 それまで、白比川の洪水対策、氾濫対策、防災工事、これに手をつけないまま放置する、こういうつもりでしょうか。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 できるだけ沖縄県民の、この地域の皆様方の要望を実施するために、今調整している最中でございます。返還するまでに工事ができない云々ではなくて、できるだけ早期に工事ができるように、着工に向けて今調整をさせていただいているというところでございます。

赤嶺委員 この白比川というのは、全体の拡幅のために用地買収は全部終わっているんです。残っているところはこの米軍基地のところなんです。しかも、別に建物にひっかかりませんよ。米軍が、ここはやらないと。だって、基地のフェンスだって危ないんですよ、崩落現場を放置していたら。ところが、米軍は、余り使っていない地域なものだから、人身に被害も与えないものだから、どうせ、日本政府がお金を出して移転するまで放置していてもいいやぐらいの気持ちなんですよ。恐らく、交渉に当たっている人はそうなんです。

 基地内の古い建物にさわらずに着工できるわけですから、返還前にも工事を急ぐべきだ、これは返還の期限とは関係なくやるんだ、こう答弁していただけますか。

江渡副大臣 先ほどからお答えさせていただいているように、ここの洪水対策の工事というものは我々も非常に大切であると認識しております。ですからこそ、早期に着工ができるように、今鋭意努力して調整しているというところでございます。ですから、できるだけ、返還という形ではない、その前の段階で工事ができるようにということで今努力しているということで、お答えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 この問題はずっと続いておりまして、去年の暮れに私が防衛省から説明を聞いたときに、防衛省はこう言ったんですよ、私に。赤嶺先生、年末までには統合計画が発表されますから、そのときには返還時期が明らかになりますから、沖縄県の負担なしに工事が着工できます、それまで待ってくださいと。去年の年末にはめどがつくという話だったんですよ。

 今来たら、そうじゃないわけでしょう。ずっと待てという話でしょう。統合計画以前に早くやると言うけれども、そういうような説明だけでは済まされない経過と問題があるんです。皆さんの責任があるんです。そういうことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

荒井委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の方は北方領土問題に絞って質問させていただきますが、山本大臣のお時間が結構迫っているかと思うので、ちょっと質問の順番を変えましてお伺いをしたいと思います。

 まず、私が北方問題に詳しい方々からよく聞く話として、北方領土の現状についての認識なんですけれども、我が国固有の領土という表現についてはロシア側に反発はない、しかしながら、不法占拠したという言い方をすると決して好ましくは思わないということ。

 この点について、私はこの北方領土問題を進展させたいと思っているので、ここは別に日本人としての思いがどうあろうと、やはり国際的な環境というものも考えるべきだと思っておりますが、この二つの表現について、担当大臣あるいは外務省としてどんな受けとめをされているか、教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 政府としましては、北方領土につきまして、現時点で、法的根拠のない占拠という表現を使用しております。

 法的根拠のない占拠あるいは不法占拠、いずれの表現であっても、我が国固有の領土である北方領土が置かれている状況についての法的評価は変わらないと認識をしております。これは、政治的な状況等によってこうした用語の使用を考えているということであります。

 ロシア側から、北方領土の不法占拠という表現に反発を示す傾向があるというのは事実であります。

杉本委員 どうもありがとうございます。御認識を確認させていただきました。

 次に、プーチン大統領にかわられて、元副大統領だったか副総理だったか、プーチンさんとの関係が極めて強い方が極東担当の大臣に就任されたというふうに聞いておりますけれども、そういった意味を勘案しますと、外務大臣ないし担当大臣がその人脈をつくっていくという意味では、モスクワ、クレムリンに行くという意味と同等に、極東を訪問するということは意味が大きいと私は考えております。

 近々、荒井委員長と今津理事がサハリンに行っていただけるというふうに漏れ伝え聞いております。いろいろな、総理のお立場があったりとか、次官級会合を進めていくというようなお話も聞いておりますけれども、今後の可能性、方向感として、両大臣が極東ロシアを訪問する可能性があるかどうか、あるいはその見通し等について教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、私としては、機会があればロシア極東を訪問すること、これは有意義なことであると考えています。

 ただ、現時点では訪問する予定はありません。

山本国務大臣 委員のおっしゃった問題意識は、私も北方対策担当大臣としてきちっと持っていなければいけないというふうに思いますが、私の方も、現時点でロシア極東部への訪問の予定はございません。

杉本委員 機会があればというお言葉をいただきました。具体的な日程はないということでありますけれども、前民主党政権のときには、たしか枝野経産大臣が、日産さんですかの工場ということで、プーチンさんに会われるような機会にもなったかと思いますので、具体的なタイミングはないとしても、ぜひ視野に入れてお考えを進めていただければと思います。

 それでは次に、ビザなし交流について。

 先ほど、冒頭の公明党の佐藤委員の質問に対する回答でその意義について伺ったんですけれども、ビザなし交流を深めていく、あるいは各階層に広げる、こういうお話がありました。この点について、ちょっと過去の歴史を振り返って、断絶した時期等もあったかと思うんですけれども、その歴史と交流の意義を改めて教えていただきたいと思います。

山本国務大臣 北方四島の交流事業は、領土問題解決までの間、日本国民と北方四島に在住するロシア人との間の相互理解の増進を図り、もって領土問題の解決に寄与することを目的として、平成四年にスタートいたしました。

 事業開始以来今まで二十年経過をいたしましたが、昨年度までの実績では、日本側からの訪問が一万九百七十人、四島側からの受け入れ、これは外務省事業ですけれども、これが七千九百八十三人となっております。今年度は、訪問事業を八回、受け入れ事業を五回の実施を予定しております。

 当初は、日ロ双方が手探りで事業が開始されたわけですけれども、時間がたつにつれて不安とか誤解は払拭をされて、現在では、信頼関係に基づいた、より深い交流が可能となっているというふうに私は評価をしております。同事業がこれまで果たしてきた役割については、一定の肯定的な評価が可能ではないかと思っております。

 他方、先ほどの御質問にも答弁申し上げましたけれども、事業のあり方についてもやはり種々改善の余地が生じておりまして、平成二十四年度から、新船「えとぴりか」の航行も契機として、北方四島交流事業の見直しについてを取りまとめたところでございます。

 なお、参考までに言いますが、事業のあり方について指摘されている具体的な課題として、先ほどもちらっと申し上げましたが、事業の目的の設定がちょっと欠如しているのではないか、マンネリ化しているのではないかとか、各種の実施団体がもうちょっと、独自の事業ではなくて、最大限に発揮できる体制をつくったらどうかとか、同一人物による複数回の参加が各界各層の参加の障壁となっている面があるのではないかとか、あるいは、視察中心からどちらかというと対話、いつもいつも視察では相互理解の促進という本来の目的には必ずしも応えられていないのではないか、やはりそこは少し考えなければいけないのではないかというような問題点も指摘されているということもあわせて御説明しておきたいと思います。

杉本委員 御答弁どうもありがとうございます。

 私も、拙い経験で、行かせていただいたときに、視察というイメージが強かった。対話をというお話なんですけれども、実際、当時は、領土問題について余り話を出さないでほしいということをビザなし交流をされている方々に対して言われて、ロシアの方々も、親睦とかそういう意味では、非常に歌がお好きであったり、ウオツカがお好きであったりということは感じましたけれども、事領土問題について島民を逆に刺激し過ぎても難しいので、ここは峻別して、ぜひ、視察から対話へという中で、その対話という表現も幅広くとっていただければということを、僣越ですがお願い申し上げます。

 それで、今のロシアの四島の開発状況を確認したいんです。

 クリル発展計画と言われるものがあって、それによって、メドベージェフ前大統領が国後島を訪問した際に、港湾の整備であるとか、あるいは空港の整備であるとか、あるいは幼稚園の建設とかというのを私も直前に行って見てきたわけですけれども、そういったロシアの予算の投下状況、あるいはどういう機関に対してどれだけ使ってきているのかとか、その点について教えていただければと思います。

上月政府参考人 クリル発展計画について御質問がありましたので、お答えいたします。

 この計画は、二〇〇六年八月三日、ロシア連邦閣議で承認されまして、分野といたしましては、運輸及び通信インフラの整備、水産部門の発展、燃料エネルギー供給システムの整備、社会インフラの整備等を目的としております。

 それで、北方四島において計画されている主な事業といたしましては、国後島におけます空港の補修、択捉島における空港建設や港湾整備、色丹におけますヘリポートの建設、各島における燃料エネルギー供給システムの整備などが挙げられます。

 今、予算のことについて御質問がありました。

 全体予算、当初、二〇〇六年に採択されたときには全体で百七十九億ルーブルのものでございましたけれども、二〇一二年五月には二百七十九億ルーブルに増額されております。

 毎年の予算の推移でございますが、二〇〇七年には約二十六億ルーブル、二〇〇八年二十七億ルーブル、二〇〇九年二十一億ルーブル、二〇一〇年二十一億ルーブルでございましたが、二〇一二年になりまして五十二億ルーブルまでふえまして、二〇一三年も五十二億ルーブル、二〇一四年は少し下がりまして四十三億ルーブル、こういう形で予算は推移してきております。

杉本委員 ありがとうございます。

 それでは、公共放送も民放も時々特集を組んでロシアの状況をやっていたかと思うんですけれども、ロシア人の方以外の四島への入域状況、日本人を除いて、中国の労働者の方が行ったり韓国の国会議員が行ったりといったことがあったかと思いますけれども、この状況を、直近で結構なので、四島それぞれ、どんな状況か教えてください。

上月政府参考人 全体に、今御紹介しましたクリル発展計画の中、これはなかなか予算が十分でない面もあって、ロシア側は、一連のプロジェクトを実現するために外国投資の誘致を呼びかけております。

 そういう関係で、中国、韓国などの外国企業の参加を呼びかけておりまして、今、具体的な例として申し上げれば、択捉島の埠頭における水利設備建設計画に韓国の企業が参加した例等ございます。そのほか、サハリン・マシナリーという企業の話や、あるいは中国の農業の話なども出てきております。

 こうしたロシアの一連の動きにつきましては、北方領土問題をめぐる我が方の立場と相入れないものでございますので、我が国として、状況を注視して必要な情報収集活動を行うとともに、関係者の申し出などに適切に対処しているところでございます。

杉本委員 具体的にその人数等は把握されているかどうかをちょっと確認させてください。

上月政府参考人 全体の作業の姿、そこをもう少し詳しく御説明いたしますと、択捉島でやっています韓国の企業はクムト建設という建設企業でございまして、ギドロストロイの請負企業としての形でやっている。二〇一二年五月に作業を開始して二〇一三年三月までに作業を完了しております。いわば下請の企業としての活動です。

 今、何人入ったかという人数のところまでは掌握しておりませんが、この企業自体は事業人員が六十人程度の規模の企業だと聞いております。

杉本委員 我が国の固有の領土で、法的根拠なく占拠されているという状況であるわけなので、マスコミを通じての情報でも結構ですので、島ごとに把握をするぐらいの覚悟がないと返ってこないんじゃないかというふうに私は思いますので、ちょっと今の答弁では答えとして不十分と感じますので、委員長、恐縮なんですが、理事会に後刻御報告いただくなり、お願いできないでしょうか。

荒井委員長 後刻、理事会で協議しましょう。

杉本委員 ありがとうございます。できるだけの努力をぜひお願いしたいと思います。

 次に……(発言する者あり)私にはわからないので、むしろ把握をぜひお願いしたいということで、国を挙げてこれはぜひ奪還をしたいという思いでありますので、お願いしたいと思います。

 次に、閣議了解の問題について、これは安倍総理にも質問させていただきましたけれども、一九八九年、海部内閣発足直後の一カ月後に閣議了解がなされて、一種、我が国の聖域であって、我が国国民は北方四島に対して、交流事業といった形以外は入域を認めずといったことがありましたけれども、この閣議了解が決まった経緯を確認させていただきたいと思います。

上月政府参考人 閣議決定のことについて御質問がございましたので、御説明いたします。

 これは、実際には、一九八九年当時でございますけれども、一部の我が国国民がソ連当局の査証を得て北方領土に入域するという事例がございました。

 これを受けまして、やはり我が国国民がソ連の出入国手続に従う形の対応で北方領土に入域する行為は、北方四島に対するソ連の管轄権を前提とする行為に相当しますので、北方領土問題に関する我が国の法的立場と相入れないという考え方から、一九八九年でございますけれども、政府として、領土問題に関する我が国の法的立場を害さないとの前提で行われる一部の特別の枠組みを除き、墓参等でございますが、北方領土の問題の解決までの間、北方領土への入域を行わないよう国民の理解と協力を要請するということで閣議了解をとった経緯でございます。

杉本委員 私の考えで、いろいろな委員の御意見もあるかもしれないんですけれども、私、閣議了解をやめるということではなくて見直すというような時期が来ているかと思いますし、閣議了解の内容を変更するというようなことがあったとしても、国際社会から何か批判を浴びるということはないと思いますので、引き続き、問題点として、今、発足当時の、出入国手続をロシアの形で行い、管轄権を認めるということにならないような形で、交流事業がより活発化するような考え方を含めた閣議了解といったものをつくっていただけないかなというふうに私はあえて申し上げたく存じます。

 次に、先ほど言った極東の話にちょっと幅を広げて申し上げたいんですが、けさのニュースでも、オホーツク海の油田開発、マガダン沖合に日本のINPEXとロシア国営石油ロスネフチといったところが共同油田開発をするといったニュースが載っておりました。これについては、通告しておりませんので、私は勝手にお話をさせていただきます。

 この問題でも、実は、我が国が石油資源がない中での非常に強力的な開発案件だと思いますし、御存じかどうかわからないのですが、環境関連でエクエーター原則といったものがありまして、資源開発において環境といった基準を設けた上で開発を進めていくということがあって、これはINPEX、我が国の企業が持っているノウハウを十分生かせるのではないかというふうにも思っておりますので、これを一つの奇貨として、極東との関係をさらに深めていただきたいと思います。

 そんな中で、近々、委員長ほか今津委員が行かれるサハリンを含めて、極東ロシアへの日本人の渡航状況といったものはどんな状況なのか、それをもっとふやす方策はないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 極東ロシア、シベリア地域でございますけれども、おおむね三つの総領事館、ウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスクにおいて管轄しております。

 こちらにおられます在留邦人の数は、私どもが把握しております限りでは、平成二十三年十月一日で二百五十名というふうに聞いております。

杉本委員 ちょっとまだ数が少ないなという印象を持ちました。皆さんはいかがかと思います。ぜひとも、もっと極東ロシアへの我が国からの訪問、向こうからの北海道を初めとする来日といったことを進めていただいて、両国の交流を深めていただきたいと思います。

 次に、また島の話になりますが、国後島の港、たしか古釜布だったと思いますけれども、そこに魚の工場があって、その内臓等を海にそのまま流しているというようなところを私は現場で見てきたんですけれども、自然環境保護といった観点からこの問題を掌握しておられるかどうか、あるいは、野生動物の保護といった点でどんな形で四島の野生動物を保護しているか、教えてください。

上月政府参考人 今、古釜布の港の環境問題、それから野生動物の保護のことについて御質問がございましたので、お答え申し上げます。

 まず、古釜布の周辺には、今御指摘の問題に加え、座礁した船舶が多数放置されている。一定、自然環境に好ましくない状況にあるということも聞いております。

 また、自然動物のことにつきましては、平成十年以降、四島交流の枠組みを利用しまして自然環境専門家による交流が行われてきておりまして、そこでの専門家による鳥類、海生哺乳類、哺乳類等の調査を実施してきておりまして、野生動物の状況の把握に努めております。

 少し具体的に申せば、海生哺乳類では、鯨類の沿岸での分布の密度の高さや、ラッコの数がふえていることですとか、鳥類ですが、ミズナギドリなど多数の海鳥が出現を確認されるとか、オジロワシ、シマフクロウなど貴重な猛禽類も確認される。さらには、哺乳類では、国後、択捉島にヒグマがおりますとか、その生息密度の高さ、栄養状態のよさ、あるいはさらに、世界で唯一の白いヒグマの生息が確認されるなど、その豊かな自然の環境の一端も確認されているところでございます。

杉本委員 もう終わりますが、環境保全、保護という観点からも両国は交流できると思いますので、担当大臣、外務大臣、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 貴重な質問の機会をありがとうございます。沖縄一区より初当選させていただきました國場幸之助です。

 本委員会は、戦後処理に取り組む院内で唯一の委員会でもあると思います。沖縄の戦後処理は多岐にわたりますが、まず、二点質疑をします。

 まず、遺骨収集事業について。

 私も何度か遺骨収集ボランティアに参加をしております。長年かかわっている関係者からお聞きすると、米軍兵士の遺骨は一柱も発見されていないということです。それは、米国が、戦没兵士を家族のもとにお渡しするまで責任を持つという根本姿勢があるからである。このことは、戦勝国と敗戦国という次元ではなく、国のために殉じた国民への最低限の責任を果たし得るかどうかの決定的な違いでもあると思います。

 特に、沖縄戦の特徴は、日本人全戦没者の十八万八千百三十六人のうち、一般県民が約九万四千人と約半数を占めているということと、全国から集まった六万五千九百八人の出身兵のうち、出身別の戦死者で最も多いのは北海道の方であるという事実でございます。北海道の方は一万七百八十四名の方がお亡くなりになっておりますが、福岡県出身の方が四千十三人であるということからも、群を抜いて多いわけであります。

 そこで、お尋ねをします。遺骨収集は、戦後処理の問題として国家の責務でやるべきものであります。まず、根拠法を早急に制定し、予算と人員体制の充実を図りながら、沖縄振興特別措置法の期限、沖縄二十一世紀ビジョン実施計画にも記されているように、終了時点である平成三十三年度までに完了すべきであると考えますが、御見解をよろしくお願いします。

    〔委員長退席、生方委員長代理着席〕

島尻大臣政務官 お答え申し上げます。

 國場先生、遺骨収集等、本当に真摯に御活動をなさっているということに対して、まず敬意を表したいというふうに思っております。

 先生御指摘のように、さきの大戦で犠牲となられた方々の御遺骨の収容については、さきの大戦で国内最大の地上戦で筆舌に尽くしがたい経験を、あるいは被害をこうむった沖縄にとって、他の戦域と同様に大変重要な課題だというふうに思っております。

 御遺骨の収容については、国の責務として全ての戦域において厚生労働省が進めているということでございまして、沖縄においても、厚労省が沖縄県等と連携しながら取り組んでいるということで承知をしているところでございます。

 その結果、今先生の御指摘にもございましたけれども、沖縄戦において亡くなられた方々の数が約十八万八千百人と沖縄県において推計をされているわけでありますけれども、そのうち、沖縄県における御遺骨の収容数は、平成二十五年三月末現在のデータでございますが、十八万六千七百八十五柱というふうにお聞きをしております。

 いずれにいたしましても、内閣府といたしましても、この御遺骨の収容は大変に重要な問題だというふうに考えておりまして、先生御指摘の内容について、所管である厚労省にまずはしっかりと伝えてまいりたいというふうに思います。

    〔生方委員長代理退席、委員長着席〕

國場委員 ありがとうございました。

 山本大臣は、所信表明の中で、不発弾対策については重要な課題と認識していると言及されております。同様に、遺骨収集に関しても、今、島尻政務官から御答弁がありましたように、厚生労働省や沖縄県といった関係機関と密に連携を図りながら、沖縄戦戦没者遺骨収集事業にも積極的にかかわっていきたいと所信表明の場で明言すべきであったと私は考えますが、この点についての御見解をよろしくお願いします。

島尻大臣政務官 もちろん、内閣府としても、今申し上げたように、この遺骨収集については大変重要な問題だというふうに考えておりますけれども、一義的にといいますか、まずは厚生労働省の事業だということもございまして、連携をとってやっていきたいというふうに考えております。

國場委員 遺骨収集は厚生労働省の事業でありますけれども、実態としましては、経験豊富なボランティアに依存しているという実態もあります。戦争が終わりまして六十八年が経過しておりますから、沖縄振興計画が終わる平成三十三年度までに集中的に、内閣府も挙げて取り組みをしていただきますことを強く要望申し上げます。

 続きまして、鉄軌道についてお尋ねします。

 沖縄戦で消滅するまでの戦前の沖縄には、県営鉄道が走っておりました。慢性的な交通渋滞緩和や過度な車社会からの脱却、定時定速の公共交通機関、豊かな自然環境への配慮も含めて、さらには戦後処理の一環としても、県民の切望する鉄道の復活は国家的事業であると考えますけれども、御見解のほど、よろしくお願いします。

島尻大臣政務官 鉄軌道についての御質問でございます。

 國場先生、十分に御存じだというふうに思いますけれども、昨年の五月に沖縄二十一世紀ビジョン基本計画というものが沖縄県において策定をされたわけでありますけれども、その中においても、中南部都市圏、沖縄本島を縦断する鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入に向けた取り組みを推進するというふうに盛り込まれたわけでございます。

 他方、沖縄における鉄軌道の導入につきましては、路線バスなどの既存の公共交通システムの関係、利用の需要、あるいはそのコスト、事業費、これらを踏まえて、事業採算性というものを考えていく必要があるということでございます。

 一方、内閣府におきましては、平成二十二年、二十三年度での、仮定のモデルルートというものを設定いたしまして、需要の予測を行うとともに、概算事業費の算出、あるいは、さっきも申し上げたような事業採算性の検討等に関する調査を実施したところでございますけれども、累積赤字が多額になるといったことなどの課題が明らかになりました。

 平成二十四年度以降は、これらを踏まえて、コスト縮減策、いかにコストを抑えていくかということ、あるいは需要の喚起の方策等について調査を行っているところでございます。

 沖縄県においても、平成二十四年度、正式な調査報告は公表されておりませんが、今申し上げたような需要予測あるいは事業性に関する調査がなされているというふうに承知をしております。

 内閣府として、これら鉄軌道導入に関する問題の重要性というのは十分認識しておりまして、昨年の新しい沖縄振興法に関してもこの鉄軌道の文言は入ったわけでございまして、これは國場先生の御協力もあって入ったということでございますけれども、今後、県あるいは県民の皆様方の声、御期待に応えるべく、内閣府としても頑張っていきたいというふうに思っております。

國場委員 お手元の方に資料を配付したんですけれども、鉄軌道導入に向けての沖縄県と内閣府の調査結果は大分開きがあります。本年も、県は四千七百万、国は一億九千万かけて調査を実施しておりますが、県と国のそれぞれの調査の整合性と、導入に向けての連携を今後どのように図っていくんでしょうか。

島尻大臣政務官 先生御指摘のこの資料を拝見させていただいておりますけれども、例えば対象ルートの違いがちょっとあったりとか、一概にこれを比較してどうということではないというふうに思っているわけであります。

 内閣府としても、例えば、トラムトレーンの導入によって先ほど申し上げたようなコストのところをどういうふうに縮減できるかとか、そういったところをもっと深めていって、県との連携をとって、きちんと進めていきたいというふうに考えております。

國場委員 続きまして、沖縄振興について、二点、簡潔にお尋ねしたいと思います。

 まず、那覇空港について。

 山本大臣が所信表明で日本経済のフロントランナーと宣言したように、日本経済に資することができる、強靱な自立経済を確立することが沖縄振興にとって大切だと考えております。さらには、二十一世紀の万国津梁として、日本とアジアのかけ橋としての沖縄を担っていかなければいけないと考えております。

 離島県、島嶼経済という不利性を克服して、アジア太平洋のキーストーンとしての地理的優位性を最大限に生かす事業が那覇空港の拡張整備でありますけれども、平成二十六年度以降の財源確保についての取り組みと、その事業の早期着工、着工しておりますけれども、完成に向けての決意表明をよろしくお願いします。

島尻大臣政務官 那覇空港、ここは、先生十二分に御存じのこの滑走路の増設事業でございますけれども、年間の発着回数が十三万回を超えているということで、処理能力の限界に近づきつつあるという観点からも、早期にこの事業には着手しなければならないというところで、この増設事業が始まったところでございます。

 先生、本当に十二分に御存じだというふうに思いますけれども、平成二十五年の予算において、沖縄県の要望を踏まえまして、安倍総理の指示のもとで、山本大臣ともに、関係の各省庁が調整をいたしまして、新規事業化が実現したというところでございます。

 二十五年度の当初予算に百三十億円、これは国費ベースでございますけれども、新規計上ができたということ、そして、工期は七年から実質五年十カ月に短縮をされたということでございます。

 今先生御指摘のように、この那覇空港の滑走路の増設によって、もっともっと人的交流が増加をして、我らの沖縄県のリーディング産業でございます観光産業のさらなる発展、あるいは文化、科学技術などさまざまな分野においての交流が推進されるということで、万国津梁たる沖縄の国際交流の拠点になるということが期待をされるところでございます。あるいは、沖縄の物流特区のさらなる活用などで、沖縄が、国内だけではなくて、世界有数の国際物流拠点になるということも期待されるところでございます。

 お尋ねの今後の財源についてどうなんだということでございますけれども、鋭意努力をしなければならないというふうに思っております。

 いずれにしても、平成三十一年末の工事完了を目指して、まずは平成二十六年の一月に着工できるように、沖縄県ともよく連携をしながら、あるいは関係省庁と協力して、推進していこうと考えてございます。

國場委員 では、最後に、沖縄の情報基盤の整備についてお尋ねしたいんです。

 我が国は、国際回線の約九割が首都圏に陸揚げをされておりまして、データセンターの六三%が東京圏に集中をしております。今の状態では、首都圏直下型地震などが発生した際に、国家が機能不全に陥るリスクが非常に高まっております。

 自民党の日本経済再生本部の中間提言で、沖縄関連で唯一盛り込まれた内容が、東アジアの地理的中心にある沖縄が情報通信拠点になる整備を行うという文言でした。山本大臣も、所信表明で、観光と並ぶリーディング産業であるIT産業を、さらに付加価値を高めていきたいと述べておりましたので、その具体的な取り組みとして、大容量の回線陸揚げを情報インフラの整備として行い、ITの面でも万国津梁としての役割を担わせていただきたいのですけれども、最後に政務官の決意表明をよろしくお願いします。

島尻大臣政務官 委員御指摘のデータセンター、あるいは、沖縄を東アジアのITの拠点にすべきじゃないかということでございまして、私も全く同感でございます。

 山本大臣は、沖縄担当でもありますし、IT担当の大臣でもございまして、そういった意味で、御関心の大変強いところだというふうに私も思っているところでございます。

 国際回線の陸揚げに関してでございますけれども、いろいろと聞くところ、かなり多額のコストがかかるということ、あるいはランニングコストが発生するということ、他の陸揚げ国における全事業者との合意形成といったものをしていかなければならないこと、あるいはその国際回線が有効に活用されるだけの十分な需要があるのかどうか、確保しなければならないのではないかというような課題が今俎上に上っているところでございます。

 これらの課題について総合的に検討していくことが必要ではありますけれども、委員御指摘のように、これらを克服していった上で、やはり沖縄がIT関連事業の東アジアの中心に位置していくべきだということは、私も大変同感でございます。

 それをすることで、先ほどから委員御指摘の、沖縄の発展が日本の経済全体の発展に寄与する、つまり日本のフロントランナーになるというふうに思っておりますので、先生御指摘のように、沖縄が今後も日本経済の活性化の牽引役となるように、また頑張っていこうというふうに思っております。

國場委員 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、比嘉奈津美さん。

比嘉委員 沖縄三区の比嘉奈津美でございます。

 本日いただいたこの機会に、私も万国津梁の沖縄から日本の発展に貢献したいという思いで質問をいたします。よろしくお願い申し上げます。

 さて、科学技術・イノベーション立国を目指して、去る二十日、経済財政諮問会議において、山本大臣は、沖縄振興の方向性として、科学技術、IT、国際物流、人材育成の四つを柱に挙げ、沖縄イノベーション、技術革新を、沖縄科学技術大学院大学、以下OISTと言わせていただきますけれども、OISTや琉球大学を核として、県内外の研究機関あるいは企業と連携し、医療やエネルギー等の知的クラスターの推進を提言されました。

 それを受け、安倍総理も、沖縄県民に目に見える形で新しい産業が立ち上がっていくように大胆に取り組んでもらいたいという指示を出しております。

 私も、四月の予算委員会の分科会におきまして、沖縄を基点とする知的産業クラスターの創出を日本の成長産業として生かすことはできないだろうかという質問をさせていただきました。これは、非常に明るく前向きな沖縄が期待できる分野だと私は考えます。

 これから迎える超高齢化社会において、我が国の最先端科学技術を駆使して、国内はもちろん、国際社会の先駆けとなって長寿社会の実現に率先的に取り組むことにより、国民が健やかな人生を送り、また医療産業を活用して、医療あるいは医療機器の、今注目されている再生医療などが非常に発信できる分野ではないかなと考えております。

 例えば、今、再生医療ということがよく皆さんの話題に上がってまいりますが、再生医療というのは、患者さんからまず細胞をとります、その細胞をある程度培養して、また体に戻すという作業が必要になってきます。その細胞を培養するという、今までなかった全く新しい産業が起きてくるということになります。私は、その新産業の創出による振興ということを沖縄でぜひということのお考えをお伺いしたいんです。

 また、ナノ粒子医療の実用化ということに関しまして、琉球大学や九州大学、OISTがやっておりますが、今月、総理も九州大学の方をお訪ねして、これは非常に大事な分野である、我が国の経済成長につながるというような発言をしております。

 そこで、今、OISTで、実際、医療の分野で、最先端の研究テーマとしてどのようなものがあるか、ちょっと教えていただきたいのですが。

竹澤政府参考人 御説明を申し上げます。

 比嘉先生から、OISTで現在取り組まれている、特に医療分野における最先端の研究テーマについてお尋ねでございますが、医療分野における先端的な研究活動として、病気のメカニズムを解明しまして画期的な新薬あるいは治療法の開発が期待される神経科学に関する研究とか、それから、医療分野自体ではないんですけれども、医療分野への応用が期待されるナノテクノロジーの研究等を行っているところでございます。

 具体的な研究例を三つほど御紹介させていただきます。

 第一は、主に四十代から五十代以降に発症しますパーキンソン病でございますけれども、この治療法に関する研究を行っております。

 パーキンソン病、これは比嘉先生に御説明するのも大変あれでございますけれども、脳の部位の異常によって神経伝達物質であるドーパミンが減る、欠乏するということが原因と考えられておりまして、現在はドーパミンを投与していくという治療が行われているんですけれども、長く投与していますと、だんだん効果が低減してしまうということが指摘されております。

 現在、OISTでは、人の行動にかかわる神経系統の仕組みと、脳の中でドーパミンが分泌される仕組みの相互の関係を解明することによりまして、一番必要な、適切なタイミングでドーパミンが分泌されるようなシステムを、開発に向けて研究中でございます。これによって、長期にわたって治療の効果が継続するような新しい治療法の確立を目指している。これが一つの例でございます。

 それから、もう一つの例は、約三センチぐらいの体長のゼブラフィッシュという小さな魚が実験動物でございますけれども、この魚の網膜の発生メカニズムを研究しまして、魚の眼球の水晶体が透明になっていく仕組みを解明したということで、この魚についての解明を人の白内障の治療法の開発につなげていくということを今目指しておる。それが二つ目の例でございます。

 それから、最後にもう一つ申し上げますと、ナノテクノロジーの研究においては、今非常に微細な粒子のナノ粒子がさまざまな用途に活用されるわけですけれども、人間の体にとって必要な薬を、一番大事な、細かい患部へ確実かつ効率的に届けるシステムの応用などを目的として、その用途にかなうような、より精密なナノ粒子の生成方法を開発する研究を行っている。

 以上、三例御紹介申し上げました。

比嘉委員 実は、けさの地元の新聞なのですが、今お話のありました、魚の目の研究によって、日本にかなりたくさんいらっしゃる、失明を間近に待っているといいますか、治せないような病気を治すということに非常に明るい未来が出たということでございました。これを沖縄で開発してまた進めていくということは、非常に大きな産業につながっていくものだと私は思います。非常に頼もしく思います。

 そしてまた、沖縄はかつては長寿県でございました。これが今、長寿県という座をおりたのですが、やはりこれまでの沖縄に秘められた物産品であったり沖縄の食文化を研究することによって、これからのまたすばらしい長寿文化に向けて世界の皆様に命の大切さというのを伝えられると思いますが、今、OISTの県内の研究機関、企業との共同研究の状況と産学官連帯推進の取り組みについてちょっとお尋ねしたいのですが、よろしくお願いします。

竹澤政府参考人 それでは、御説明を申し上げます。

 特に、今先生から、健康長寿医療分野におきますOISTと県内の研究機関、企業との研究の連携の状況についてお尋ねがございますので、御説明したいと思います。

 OISTは、平成二十二年度から沖縄県が進める知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業に参加しまして、県内研究機関や県内バイオベンチャー企業等との共同研究に取り組んできているところでございます。

 特に長寿医療分野における共同研究としては、次のような研究を行っているということで、幾つか御説明を申し上げたいと思います。

 まず第一は、琉球大学、京都大学、県内のバイオベンチャーの企業等との共同で、沖縄に広く自生しますショウガ科の多年草である、先生よく御存じのウコン、それからあと沖縄特産のかんきつ類でございますタンカンなど、沖縄の伝統的な産物が持つ長寿成分を分析しまして、これを食べたときにつくられる化合物の、命を延ばす効果の研究が進められており、長寿医療の発展に貢献することが期待されております。

 それから二つ目は、琉球大学の熱帯生物圏研究センター、それから県の外の製薬会社等と共同で、沖縄の生物資源から感染症に対して有効な物質を見出して、医薬品としての有効性を評価し、その効果をできるだけ高めるというような、最適な化合物に改良する研究が進められておりまして、創薬に向けた成果が期待をされております。

 今後とも、沖縄科学技術大学院大学が、沖縄の振興と自立的発展という目的、もう一つは世界の科学技術の向上という二つの大きな目的を見据えて、県内研究機関、企業とも連携しつつ、より多くの研究成果が上げられるよう、内閣府としても引き続き緊密に連携をしてまいりたいというふうに思っております。

比嘉委員 沖縄のブランドと申しますか、長寿、健康を打ち出した産業をぜひ起こしていただきたいものであります。

 次に、医療でも、ちょっと話はかわりますが、今までのお話はこれからの医療イノベーション、沖縄振興ということでございましたが、沖縄だけの問題ではないんですが、やはり医師不足ということが非常に問題になっておりまして、この大学院大学がある沖縄の北部圏域におきましては、離島も僻地もございまして、今非常に医療が厳しい状況になっております。

 健康を守るということで、研究分野だけではなく、琉球大学などと連携して何か策はないものでしょうか。近隣に医療機関がないことが原因の皆様の苦しみというものを回避するための巡回診療であったり、僻地診療に対するよい施策というものが何かないか、ちょっとお尋ねしてみたいのですが。

神田政府参考人 先生お尋ねの離島ですとか僻地におけます医療の確保についてでございますけれども、最近では、特に、人口の減少ですとか高齢化の進展に伴いまして、医療機関への足の確保というのが非常に重要な課題になっております。

 このため、今先生がおっしゃいましたような医師が無医地区などを回って診療を行います巡回診療につきまして、その人件費ですとか燃料等に対する財政支援を行うということとあわせまして、平成二十五年度からは、新たに、無医地区等を対象に、自治体等が患者輸送車ですとか輸送艇を運航するためにかかる人件費や燃料等に対する財政支援も行うこととしているところでございます。

 それから、御指摘の僻地診療所、沖縄にも全部で今二十三カ所あると思いますけれども、そういう僻地診療所の運営に対する財政支援、それから、そこに対しまして代診医などの派遣を行います僻地医療拠点病院に対する財政支援、それから、僻地医療全体の企画、調整等を広域的に行いますへき地医療支援機構に対する財政支援などを行っておりまして、今後とも、必要な医療の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

比嘉委員 私自身、離島で二年ほど歯科医師として診療してまいりまして、この僻地医療、離島医療の大変さというのは非常に理解しているつもりでございます。やはり、診療所の医師を確保するために住宅の確保とか環境の整備というのが私は非常に重要になると思いますが、いかがお考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

神田政府参考人 先生御指摘のとおり、僻地に勤務する医師が集中して医療に取り組んでいただけるように住宅等の環境整備をしていくことは、非常に重要なことであるというふうに考えております。

 このため、現在、へき地診療所施設整備事業などによりまして、僻地診療所や僻地医療拠点病院に勤務する医師の住宅の新築等に対して必要な財政支援を行っているところでございまして、引き続き、僻地医療に従事します医師の住宅等の環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

比嘉委員 本日は、科学技術、先端医療、医療産業、医療過疎と、短時間で尋ねてまいりましたが、沖縄の際立った特徴を一つだけ申し上げて終わりたいと思います。

 実は、インフルエンザでございます。

 このインフルエンザというのが、本土ではやはり秋から冬にかけて蔓延、流行してまいりますが、沖縄は実は夏からインフルエンザが発症することが多いんですね。これはやはり、アジアと近いという土地柄であったり、また、いろいろな国の方たちが行き交うということで、この年に本土ではやるであろうインフルエンザが沖縄で先に発症します。それを沖縄でしっかり解明することによって、また冬に向けての対策というのができるという土地柄でございます。

 そういう土地柄でございますので、あらゆる意味で、アジアに向けた沖縄、今後ともよろしく御支援を申し上げて、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新でございます。

 私からは、先月末に行われました日ロ首脳会談並びに北方領土問題について質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元、北海道は、全道各地に元島民の方がお住まいでございますし、道民の北方領土に対する関心も非常に高い地域でございまして、不法占拠された北方領土を一日も早く取り返す、返還してもらうということが悲願、その思いが大変強いというふうに思います。

 こんな中で、四月二十九日に安倍総理がロシアを訪問されまして、日本の首相の公式訪問としては十年ぶり、小泉総理以来ということでありますけれども、プーチン大統領と会談をされました。

 この会談の中で、平和条約締結に向けて、領土交渉を再開して加速化させましょうということを合意したことは大変大きな成果であるというふうに思います。また、元島民の方々も、この訪問で非常に機運が、期待が高まっていると言ってもいいと思います。

 特にこの数年来、日ロ関係は非常に順調とは言えない状況にありまして、例えば、二〇一〇年にメドベージェフ大統領が国後島を訪問したり、択捉島で軍事演習があったり、そういった中での訪問でありますから、今回の首脳会談を経て、今後領土交渉は進んでいくだろうという国民の期待は非常に大きいと思いますし、またそういうムードが国民の中に高まっているというふうに思います。

 改めて、四月二十九日に行われました日ロ首脳会談の成果と、そして、今後再開、スタートされます領土交渉についての政府の意気込みをお聞かせいただきたいというふうに思います。

岸田国務大臣 まず、日本の総理大臣の公式訪問としては十年ぶりとなったこのたびの安倍総理の訪ロですが、その際に行われました四月二十九日の日ロ首脳会談、大きく三つの成果があったと認識をしております。

 一つ目は、御指摘の北方領土問題であります。戦後六十七年たった今に至っても、まだ日本とロシアとの間においては平和条約が締結されていないということは異常な状況であるという認識を両首脳間で確認した上で、双方受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示を両国外務省に共同で与える、こうした合意をすることができました。このことがまず一つ目の成果。

 そして、二つ目の成果としましては、さまざまな分野において両国間の関係を進展することができました。安全保障分野におきましても、外務、防衛閣僚による2プラス2会合の立ち上げについて合意をいたしました。日ロ両国の協力水準を抜本的に高めるものになると思っています。また、経済分野においても、今後、極東・東シベリア地域の発展のために協力し、将来の青写真をともに描いていくための官民協議を開催すること、こういった合意もありました。こうしたさまざまな分野における関係の進展、これが二つ目。

 そして、三つ目は、やはり両国首脳間での個人的な信頼関係が生まれたということだと思います。

 この三つの成果を上げることができた今回の日ロ首脳会談ですが、今後の日ロ関係の発展に新たな弾みあるいは長期的な方向性を与えるものになったと確信をしています。

 ただ、御指摘の北方領土問題については、共同声明の中にも明記しておりますが、両国の立場に大きな隔たりがあるというのも事実であります。六十七年たっても解決しない困難な問題、これを一気に解決するような魔法のつえは存在しないと安倍総理も発言しているわけですが、ぜひ、両国間の関係全体を発展させながら、北方四島の帰属の問題を解決し、そして平和条約の締結を行う、こうした基本方針のもとに、腰を据えて交渉に臨んでいきたいと考えています。

武部委員 大臣、ありがとうございます。

 共同声明の中でも、過去の全ての諸文書、諸合意に基づいて平和条約交渉を進めるとありまして、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結しましょうということは確認していると思うのですが、大臣おっしゃったとおり、双方の立場に非常に大きな隔たりがあるということは、また安倍総理も記者会見でお話しされているとおりでございまして、この環境整備をいかに進めていくかということが最も重要なことだというふうに私も思います。

 それで、今回のロシア訪問には経済界から百二十人の同行者がいらっしゃったということでありますが、ロシアは、やはり経済協力、技術協力について日本に対する期待というのが本音のところだというふうに思います。

 しかし、やはり経済協力はちゃんと領土交渉と並行して、同じペースで進めていかなければなりませんし、何よりも、領土問題を解決して、そして平和条約を締結すれば、その先にもっと大きいメリットがあるんだということをロシア側にもちゃんと理解していただかなければならないというふうに思います。

 そこで、領土問題の解決に向けた環境整備のためには経済協力そして交流人口の拡大というのも重要だと考えますが、どのように進めていくか、お聞かせください。お願いします。

岸田国務大臣 御指摘のように、経済協力また人的交流、こうしたあらゆる分野での協力を推進していかなければなりません。そして、そのことによって日ロ関係全体の発展を図っていく、そして、日ロ関係全体の発展を図っていきながら、北方四島の帰属の問題を解決し、そして平和条約締結に結びつける、こうした基本的方針のもとに、腰を据えて交渉に取り組んでいかなければならないと存じます。

 経済協力、人的交流とあわせて全体の底上げを図り、北方領土問題を解決し、平和条約を結んでいく、こうした基本的な方針をしっかり守りながら、今回の日ロ首脳会談の両首脳間の合意をしっかりフォローしていきたいと考えています。

武部委員 ありがとうございます。

 相互理解を深めるためには、経済協力もそうですけれども、交流人口の拡大ということにも力を入れていただきたいと思います。

 北方四島の交流拠点であります根室市を初めとする隣接地域の重要性ももちろんそうなんですけれども、私の選挙区稚内市は、サハリンと四十三キロのところに位置しておりまして、コルサコフと稚内市の定期航路もあるんですね。小泉元総理から「日ロ友好最先端都市わっかない」と名づけていただいたぐらいロシア交流を一生懸命やっておりまして、観光ビザの免除ですとか簡素化とか、こういったことも進めていかなきゃいけないんじゃないかなということも考えております。

 それから、最後の質問になりますけれども、領土問題の解決に向けて、やはり国民の中の関心と機運を盛り上げていかなければならないというふうに思います。

 私も、青年会議所時代には返還の署名運動をさせていただいたりいたしましたけれども、北方領土の問題が我々にとって身近な問題であるということと、そして国家にとって核心的な問題であるということを国民の皆様にしっかりと理解していただく、こういう運動に政府としてもしっかりと取り組んでいただかなければならないと思っておりますし、啓蒙活動、周知活動のバージョンアップをしていく必要があるんじゃないかと思います。

 特に若い世代の方々、この方々に、北方領土問題について、歴史的経緯も含めて理解を深めていくことが重要だと思いますけれども、政府として若い世代にどうアプローチしていくか、お考えをお聞かせください。

伊達副大臣 お答えをさせていただきます。

 その前に、まず、今回先生が当選をされまして、非常に今日的な課題、重要なこの領土問題、ましてや北海道は大変関心があるわけでございます、今お話がございましたように、先生の選挙区稚内とは三十何キロというようなことで大変関心の高いこういう重要な問題に颯爽とお取り組みいただきましたことに心から敬意を表したい、こう思っております。

 今お話がございましたように、確かにこの啓発活動というのは、若い人にいかにこれから継いでいくかということが、これは武部委員の御指摘のとおりでございまして、我々も、理解を深めていただくために、ぜひひとつ若い人たちにアプローチをしていきたい、こう考えております。

 それから、理解を深めると同時に、若い人たちが自分自身の問題として取り上げてもらえるような、そういう気構えも必要だろう、私はこう思っておりまして、商業施設等におけるイベントの開催や、キャラクター、エリカちゃんなどを使った広報それから啓発活動をさせていただき、民間企業との連携による啓発のイベントなんかの実施も、ことし四月から立ち上げてやっていきたい、こう思っておりますし、またさらには、北方領土問題の幅広い認知のために、北方四島交流事業を戦略的に活用することが必要と考えております。

 本年三月の見直し方針に基づきまして、将来を担う若者等の参加を促進するよう、これからも取り組んでまいりたい、このように思っております。

武部委員 安倍総理のロシア訪問で、領土問題解決に向けての機運が、期待が高まっておりますので、政府、国会挙げて、一致結束して取り組んでまいりましょうと申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.