衆議院

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第3号 平成27年3月19日(木曜日)

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平成二十七年三月十九日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 古川 元久君

   理事 今津  寛君 理事 櫻田 義孝君

   理事 武部  新君 理事 比嘉奈津美君

   理事 宮腰 光寛君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 下地 幹郎君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    尾身 朝子君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      國場幸之助君    佐田玄一郎君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      堀井  学君    宮崎 政久君

      務台 俊介君    山口 泰明君

      渡辺 孝一君    鈴木 貴子君

      横路 孝弘君   松木けんこう君

      遠山 清彦君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 山口 俊一君

   内閣府副大臣       平  将明君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛副大臣        左藤  章君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   外務大臣政務官      宇都 隆史君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   関  博之君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  石原 一彦君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡田  隆君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    林   肇君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  学君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            中島  敏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   衆議院調査局第一特別調査室長           古田 義祐君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     勝沼 栄明君

  武井 俊輔君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     秋元  司君

  務台 俊介君     門  博文君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

三月十八日

 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 この際、中根外務大臣政務官及び宇都外務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中根外務大臣政務官。

中根大臣政務官 外務大臣政務官の中根一幸でございます。

 外務大臣政務官としての責任を果たすべく、岸田外務大臣を補佐してまいります。

 古川委員長を初め理事、委員各位の御支援と御協力、心からお願い申し上げます。(拍手)

古川委員長 次に、宇都外務大臣政務官。

宇都大臣政務官 外務大臣政務官の参議院議員の宇都隆史でございます。

 在沖縄米軍を含む在日米軍の抑止力は、地域の平和と安全の確保に不可欠です。在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減のため全力で取り組みます。

 ロシアとの平和条約交渉への取り組み等の重要問題も含め、外務大臣政務官としての責任を果たすべく、岸田外務大臣を補佐してまいります。

 古川委員長を初め理事、委員各位の御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

古川委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官関博之君、内閣府沖縄振興局長石原一彦君、内閣府北方対策本部審議官山本茂樹君、外務省大臣官房審議官岡田隆君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省欧州局長林肇君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、厚生労働省大臣官房審議官吉田学君、水産庁次長香川謙二君、海上保安庁警備救難部長中島敏君及び防衛省大臣官房審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松木けんこう君。

松木委員 皆さん、おはようございます。

 それにしても早いですけれども、八時半というのは。なかなかこういう時間に委員会の質疑というのは、私も、議員になって十年ぐらいですか、初めての経験ですけれども。それでは、維新の党を代表して質問させていただきたいというふうに思っております。

 この委員会、私も北海道選出の議員ですので、ここでお話をさせていただくというのは非常に光栄なことだというふうに思っておりますし、ことしは戦後七十年という節目の年なんですね。私は、節目の年を控えて、一年前にペリリュー島なんかも行ってきまして、花を手向けてまいりました。あんな小さな島でたくさんの日本の方がお亡くなりになったと考えると、非常に、本当に何か涙が出る思いでございました。

 沖北委員会の場合は沖縄のこともやるわけでございまして、沖縄も大変大変なことがあったところでございますけれども、まず、北海道の方の話から少しやっていきます。

 まず、内閣府では、北方領土問題に関する特別世論調査というのを平成二十年そして二十五年とやっておられます。平成二十年の調査は十月に実施されておりますけれども、実はこの年の四月に、委員会で、聞いたのは私なんですけれども、世論調査についてお聞きをさせていただきました。

 そのときに、昭和四十四年以来やっていないということでありましたので、ぜひ検討していただきたいということを申し上げましたところ、当時の大臣は岸田先生でした。そして、前向きに検討しましょう、こういうお言葉もいただきました。そのときに、今思い出すんですけれども、役所の方々といろいろと話しているときに、余り結果がよくなかったら発表するのは控えた方がいいかなとか、いろいろとやはり心配したものですよ。昭和四十四年以来やっていなかったわけですから。

 そして、私が落選している間の平成二十五年にも、北方領土問題の認知度、問題意識なども、二回目のときには若干いい方向に向上しているということも聞いております。

 こういった調査は大変大がかりで、やはりお金もかかるわけですけれども、大体お金はどのぐらいかけてやっているんでしょうか、政府委員の方。通告していると思うけれども。聞いていない。そうしたら、この質問はやめましょう、しようがない。一応は通告はしたんだけれども。

 それじゃ、次へ行きますよ。

 やはり、精いっぱいこれを有効活用していくことが大切だと思いますけれども、北方領土問題への国民の関心や理解の深さを認識した上で、政府として、どのような世論調査の役立て方をこれからされるおつもりなのか。沖北大臣、そしてまた岸田外務大臣も、過去の経過、御担当の大臣をされていたということもありますのでお詳しいかと思いますので、お二人から御答弁をお願いします。

山口国務大臣 先ほどの世論調査の経費でございますが、これは実は内閣の広報の方でやっております、広報室が実施をしておりまして、また調査をしてお返事をさせていただければと思っております。

 ただいま御質問の特別世論調査でありますが、今委員御指摘いただきましたように、平成二十年と二十五年、二十歳以上の者三千人を対象に実施をさせていただいておりまして、これもお話がございましたが、平成二十年と平成二十五年の特別世論調査では、ともに、北方領土問題あるいは北方領土返還要求運動は、ほとんどの方が認知をしていただいておりました。また、約八割の方が北方領土問題の内容を理解しておられる。これまで行ってきたさまざまな広報とか啓発活動について、一定の成果があらわれておるんだろうと思っております。

 ただ、一方におきまして、これは、平成二十年と二十五年を比較しますと、内容を知っておるという方は三九・二%から四〇・五%、微増はしておるんですが、ただ、年代別に見てみますと、二十歳代、三十歳代、四十歳代、全てで割合が実は減少しております。

 このために、政府としては、引き続いて、とりわけ若い世代に対する広報啓発を初め、裾野の広い返還要求運動の推進に全力で取り組んでいきたいと考えております。

 具体的には、若い世代に対する広報啓発として、イメージキャラクターであります、先生も御存じのエリカちゃんを使って、フェイスブックとかあるいはツイッターによる配信や、あるいは動画、学習コンテンツの配信、クイズ形式のものも使わせていただいたり、いずれにしても、親しみやすくわかりやすい広報を行っておるところでございます。

 また、お話しのように、ことしは戦後七十年、大きな節目の年であるということを踏まえまして、戦後七十年北方領土を考えるつどい、仮称でありますが、元島民の方々とともに、根室市を初めとする北方領土隣接地域に全国各地から若い世代や返還運動関係者にお集まりをいただきましてアピール行動を実施するための経費、これを二十七年度予算に計上させていただいております。

 いずれにしても、引き続き、いろいろな手段とか機会を通じて、特に若い世代の皆様方の北方領土への認識を高めていただくための啓発とかあるいは教育の充実等々に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

岸田国務大臣 御指摘の北方領土問題に関する世論調査ですが、昭和四十四年の十二月に、前月の佐藤・ニクソン会談を機会に、会談後出された日米共同声明及び安保条約、そして北方領土問題に対する国民の意見の調査を目的として実施し、その後ずっと行われていない、こういった状況が続いておりました。

 そして、先ほど委員自身から御指摘いただきましたように、平成二十年の四月の十日、同じく沖縄北方特別委員会におきまして、松木委員の方から、この調査について御質問をいただきました。当時答弁させていただきました沖縄北方担当大臣が私でありましたが、昭和四十四年以来全く行われていない、こういった御指摘を受けて、やはりこれは行うべきではないか、こういった問題意識を持ち、早速準備にかかり、同年、平成二十年の十一月に調査を行い、そして二十五年の十一月にも調査を行ったというのが経緯でありました。

 我が国としましては、北方領土問題は日ロ関係における最大の懸案事項であると認識をしております。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、この基本方針のもとで粘り強く交渉を続けていく方針でおりますが、こうした外交交渉を後押しするためにも、国民の理解あるいは支持、これは不可欠だと考えています。国民の支持、理解、この世論を把握するためにもこうした世論調査は大変重要だと思いますし、こうした世論調査が公表されることがまた国民の関心を喚起するという効果にもつながると認識をしております。

 ぜひ、こうした世論調査を引き続き活用していかなければならないと考えています。

松木委員 今いろいろな話がありました。この世論調査の結果というのは非常にいろいろな意味で有効であるというような御答弁だったというふうに思いますし、対ロ交渉にもいろいろないい影響を与えるんじゃないか、国民の間にもいろいろと啓発もできているんじゃないか、こういうお話もありました。

 五年に一遍。五年に一遍ですけれども、この五年に一遍というのは何か意味があるのか。

 または、私は、三年に一遍とか二年に一遍とか、もうちょっと細かくやってもいいような、そんな気もするんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか、大臣。

山口国務大臣 とりたてて、五年に一遍、こういうふうに決めておるわけではございません。

 同時に、七十年という大きな節目でもありますし、北方領土返還に向けても非常に大事な時期が来ておると思いますので、年次にこだわらず、恐らくこういった世論調査をすること自体がまた大きく返還運動に寄与するものというふうにも考えておりますので、そこら辺はまた検討させていただきたいと思います。

松木委員 頻繁に何でもやればいいというものでもないでしょうけれども、もうちょっと回数をふやしてもいいのではないかというふうに思っていますので、また御検討いただければありがたいと思います。

 それでは、次の質問なんですけれども、調査の中身を見ますと、どんなきっかけで北方領土問題を知ったかという質問への答えが、「テレビ・ラジオ」九一・三%、「新聞」七〇・七%、「学校の授業」二六・八%、「本や雑誌などの出版物」二一・一%という結果になっていますけれども、これは複数回答でお聞きしているんですけれども、多くの人は、新聞・テレビ、メディアを通じての理解となっているわけです。

 次に、若い世代に返還運動に参加してもらうための方法について、どういったものが望ましいか聞いてみますと、「北方領土問題に対する正しい理解と認識を持たせるための学校教育の充実」というのが五七・八%来ているんですね。そして、「北方領土問題についてのテレビ番組や新聞報道などの充実」、これが五二・四%、「ホームページやインターネットを用いた広報・啓発の充実」、これが四五%、「フェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワーキングサービスを用いた広報・啓発の充実」、三二・〇%という結果になりました。

 なかなか、やはり現代を反映していますね。インターネットだとかツイッター、フェイスブック、こういうのが入ってきているわけですけれども、社会が多様化する中で、さまざまな形での発言が重要になっているということを示す結果だというふうに思います。

 もう一点気になるのは、学校教育、これが担う役割の大きさなんですけれども、取り組みの充実という点については、実際には、そこを通じて北方領土問題を知ったという人が少なくない一方で、多くの国民が学校教育を通じて北方領土問題を深く理解する必要性を大分感じているのかなという印象を持ちましたけれども、いかがお考えでしょうか。

赤池大臣政務官 松木委員御指摘のとおり、平成二十五年度の、内閣府において実施されました北方領土問題に関する特別世論調査の結果によりましたところ、学校の授業で知った方の割合が二六・八。前回、平成二十年が二九・六でありますので、大変低いということの認識は持っております。

 具体的な、学校の授業で知った方の年代別の割合を見てみますと、実は、二十代は六二・七%ということでありまして、前回は五八・六%でありますので、全体としては低い中でも、年代ごと、きれいに、若い年代になればなるほど、学校教育で知ったという方の回答が高くなっているということでありますので、課題がある中でも一定の、それなりの学校教育の充実強化という成果もあるのではないか。ただ、当然、まだ全体としては低いという課題は認識しております。

 そういう面では、北方領土を含めた自国の領土を正しく理解するというのは大変重要でありますので、文部科学省といたしましても、昨年一月に、中学校及び高等学校の学習指導要領、以前から北方領土は明記をされているわけでありますが、その解説書を改訂いたしまして、北方領土を含めた領土についてより明確に記述を拡充したところでございます。

 その学習指導要領の解説書の拡充によって、これから順次、今中学校の教科書の検定を行っておりますし、来年高等学校の検定になるわけでありまして、教科書会社がその解説の拡充に基づいて教科書を書いてまいりますので、そういった教科書にも、より拡充、充実をしていくというふうに考えている次第でございます。

 学校教育における領土に関する教育の一層の充実に、文部科学省としても引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

松木委員 ありがとうございます。

 お聞かせ願ったんですけれども、今大体どのぐらい、時間とか、学校の中でとっているんですかね。もうちょっと具体的にわからないかな。どうぞ。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な時間とか詳細までは文部科学省としてなかなか把握は困難ではございますが、現在用いられております小学校の社会科、あるいは中学校、高等学校の地理の全ての教科書で北方領土について記載がなされておりまして、教科書に基づいて指導がなされているというふうに考えております。

 一方で、平成二十四年度に、国立教育政策研究所におきまして、北方領土だけじゃなくて、小学校の学習指導要領についての実施状況ということで、中身がどのぐらい定着しているかということの調査を、これはサンプリングでございますが、いたしまして、その中の、社会科の五年生について、児童の北方領土についての知識を問う問題も含めているなどの工夫を行ったところでございます。

 その結果は、北方領土の位置についてはおおむね七割ぐらいの児童、小学校五年生ですけれども、ただ、その名称であるとか、どこの国に不法占拠されているかという問いに対しては五割程度の解答ということで、まだまだ、我々としても、これを指導の課題というふうに受けとめておりまして、先ほど政務官も答弁いたしましたが、学習指導要領の解説を改訂いたしましたので、そうした趣旨の徹底もしながら、各学校における領土に関する教育がしっかりと定着するように取り組んでまいりたいと考えております。

松木委員 ちょっと提案なんですけれども、それであれば、例えば、小中、まあ高校も入るかどうかわからないですけれども、一年に一遍、北方領土の日というのがあるわけでしょう。そのときに、きょうは北方領土の日です、実は七十年前はこういうことがありました、十年後は八十年前になるでしょうし、そういうことを一年に一遍ちゃんと勉強するということをうまく中に入れたらどうかなと思うんですけれども、そこまではまだやっていないんでしょう。どうですか。

伯井政府参考人 文部科学省といたしましても、外務省や関係省庁と連携しつつ、そういうホームページの記載を通知で各学校現場にも周知したり、さまざまな取り組みを進めております。

 御指摘のあったような点につきましても、いろいろな、学校教育の現場の指導する担当者が集まるような会議もございますし、また、北方領土の理解についての会議も関係省庁と連携して行っておりますので、そうした場を通じて周知するようなことも考えてみたいと思っております。

松木委員 それぞれ、教育というのは全部国で決めてというわけじゃないでしょうから、なかなか難しい部分もあるのかもしれないですけれども、せっかく北方領土の日があるので、この日に子供たちに教えていくというのは非常に僕は大切なことじゃないかなというふうに思いますけれども、どうですか、政務官。

赤池大臣政務官 松木委員の御指摘は大変重要な指摘だというふうに考えております。

 二月七日、ちょうど戦後七十年と同時に、ことしの二月七日は、この二月七日の根拠となった日魯通好条約、いわゆる下田条約締結から百六十年という、ことし節目でもございますので、委員の指摘をしっかり踏まえる中で、文部科学省としても、これは各設置者が、委員御指摘のように、公立学校の場合、小中高は自治体でございますし、私立学校は私立学校、学校法人でございますが、きちっとその趣旨を、また関係省庁と踏まえて、徹底をしてまいりたいと存じます。

松木委員 あるいは、政府広報というのがあるじゃないですか。テレビで時々、コマーシャルに出ているじゃないですか。あれでちょっと、北方領土の日には三十分ぐらいの番組をつくって流すというのは、大臣、どうですか。

山口国務大臣 もう御案内のとおりで、簡単なCMのようなものはやっております。簡単な、CMというか、そういうのはやっておりますが、三十分ともなりますと予算の関係等々もあろうかと思いますが、しかし、せっかく北方領土の日ということで、いろいろな行事等々も我々やっておりますので、それに関連をして、何か広報でもう少しやれないか、検討させてもらいます。

松木委員 細かいというか短い、返せ、北方領土とかというのはよくわかっていますけれども、何かちょっと物語的につくって、北方領土の日は二月七日でしたか、その日に、大体一年に一遍はやるというのは、これはなかなかいいと思うんだけれどもな。

 どうですか、外務大臣。いい提案でしょう。どうですか。別に答えなくてもいいですけれども、ぜひ答えてください。どうぞ。(発言する者あり)

岸田国務大臣 北方領土問題につきまして、外交の立場から、この交渉を進めていく上においても国民の理解は大変重要だと思います。そのために、先ほどの世論調査もあり、学校教育もあるんだと思います。

 たしか、私、北方担当大臣をやらせていただいたときに、公立中学校の特別授業を視察に行ったことを覚えております。一時間、補助教材を使いながら、国の主権というものが損なわれた場合にどんな状況になるのか、当時の混乱の状況を学ぶ、そんな授業で、大変強い関心を持って一時間聞かせていただいた、こういった経験もございます。

 そして、あわせて、今おっしゃったように、番組等を通じて国民の関心を喚起する、これは大変重要なことであり、そういった取り組みは外交交渉を進める上においても大変重要な取り組みではないかと認識をいたします。

松木委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 今、今津委員からのやじで、やじといったっていいやじだったんですけれども、漫画があるんだぞということを、アニメ、漫画もアニメも一緒だと思いますけれども、そんなのもあるそうですから、そういうこともちょっと御活用されてもひょっとしたらいいかもしれませんね。ぜひお考えいただきたいと思います。

 それでは、赤池先生にちょっとお聞きしますけれども、政務官、恩師として行徳先生、笑っていますけれども、私も友達なんです、実は。そんなことで、行徳先生を尊敬されていて、非常に広い意味での教育、人間とは何かといった探求、勉強に熱心でいらっしゃると私は承知していますけれども、そんな政務官に期待を込めてお聞きします。

 英語、数学、国語、理科、社会、音楽、図画工作、体育といった基本科目は、無論これは大切なんですけれども、一番の基本ですね。同時に、北方領土の問題、それから、後でもお聞きしたいんですけれども、大田実さんという海軍中将さんがおられますけれども、沖縄戦後に発した電文、もちろん御存じだと思いますけれども、沖縄県民かく戦えり、県民に対し後世特段の御高配を賜らんことをという言葉を残しておられます。日本人としてしっかりと学ぶべき素養、教養というのが、学力一般に含まれていない、含まれない分野でも非常に幅広くあるんだというふうに私は思いますけれども、学力として定着させるという部分を超えた面でも、特に領土問題についての意識づけ、問題意識を持ってもらう、そういう教育というのが非常に重要だと私は考えているんです。

 政務官、もう一回だけ御所見をお伺いいたしたいと思いますし、そして、この領土問題、先ほどもう大分答えてくれましたけれども、さらっと、どういうふうに取り組んでいくかということをもう一度お願いします。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、平成十八年十二月に、第一次安倍内閣におきまして、教育基本法を改正いたしました。その改正教育基本法の中には、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という規定を明記させていただいたところでもございます。

 そして、現在、道徳教育の教科化、パブコメが終わりまして今検討しているところなんですが、従来から、郷土や国を愛する心を持つということも道徳教育の中に、学習指導要領に明記をさせていただいて、努めてきたところでもございます。

 子供たちが自国の領土を正しく理解する、できるということは、国家及び社会の形成者、義務教育として大変重要な視点であるということは考えているところでございます。

 先ほども申し上げましたとおり、学習指導要領には既に北方領土が明記されておりますが、解説書を拡充いたしました。それと同時に、先ほども政府参考人からお話しさせていただきましたとおり、通知を出して、各教育委員会や設置者に対して、それぞれ政府、外務省や内閣府さんが出している具体的なパンフレット、資料を十分活用して、学校現場の中でしっかり子供たちに教育をしていただきたいということも考えているところでございます。

 我が国が正当に主張してきている立場に基づいて、我が国の領土の範囲やその歴史、そしてさらには領土をめぐる問題についても、しっかり指導の充実を図ってまいりたいと存じます。

 子供たちが領土に関して理解を深め、しっかりと主張を行っていく、他国の人々とともに議論をすることができる力、従来は、どうしても授業というと受け身になりがちなものですから、現在、文科省としても、アクティブラーニング、主体的に課題に取り組む課題解決型学習ということもしっかりやっていきたいということでございます。

 総合的な学習の時間というものもございますし、全ての教科に主体的に取り組む、そういった中で、各教科縦割りではなくて総合的な形での国家及び社会の形成者としての日本人の育成というものに努めてまいりたいと存じます。

 以上です。

松木委員 ぜひこれからも頑張ってください。

 それでは、沖縄についてお聞きしたいと思います。

 さきの予算委員会で、私は総理に、沖縄で戦った海軍の、先ほどもお話ししましたけれども、大田中将の言葉を引用して質問いたしました。この大田中将の有名な電文の最後の一節なんですね、先ほど私が話したのは。

 総理からは、「さきの大戦においては唯一の地上戦、激しい地上戦、沖縄県民の多くの方々が戦火の中で倒れられたわけでございます。大田中将のまさに最後の言葉であり、我々も拳々服膺しなければならない、」という御答弁をいただきましたが、多くの日本人が共有している思いかというふうに私は思います。

 我が党の橋下さんという、最高顧問なんですけれども、大阪の市長さんをやっていますけれども、この方もやはり同じようなことを言っています。そして、米軍基地というものはできる限り沖縄から負担軽減してあげるというのが北海道、本州、四国、九州に住んでいる住民の責務だと思います、こういうことまで言っているんですね。やはり、この大田中将の言葉はしっかり胸に刻んでいかなきゃいけないというふうに橋下さんもおっしゃっているわけでございます。

 このお話をする中で、負担軽減を進めると同時に、沖縄経済を自立的で力強いものにしていかなければならないということも実は思っているわけでございますけれども、基地を受け入れるからどうこうということではなくて、戦争で大変な思いをされて、本土復帰も、本当に悲しいことなんですけれども昭和四十七年までできなかったわけですよね。いろいろな不利な状況下で沖縄県民の皆さんに御苦労を強いてしまっていた過去は、これはもう本当にあるわけですね。この意味で、しっかり沖縄振興、力強い沖縄経済の実現、こういったものを政府は責任を持って進めていく必要があるというふうに私は思っております。

 大田中将の、後世特別の御高配とおっしゃった言葉の重み、意義はこういったところにあるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、沖縄担当の責任者としてぜひ、この後世の特別の御高配という言葉の意味をどう捉えていらっしゃるか、お聞かせいただけたらありがたいと思います。

山口国務大臣 ただいま大田中将の言葉のお話がございましたが、総理は拳々服膺というふうなお話でした。私も、大変重みのある言葉だというふうに考えております。

 総理も答弁をされたわけでありますが、沖縄では、さきの大戦における、まさに苛烈な戦火によって二十万人もの方が犠牲になった、そしてその後長らく占領下にあった。かつまた、離島も含めて本土から大変遠隔な地に位置する。そして、国土面積の〇・六%の県土に在日米軍専用施設・区域が七四%、大変集中をしております。そういった歴史的、地理的、社会的なさまざまな特徴があるというふうなことは十分承知をしておりまして、このような事情を踏まえて、沖縄振興特別措置法に基づいて、国家戦略として沖縄振興に取り組んでおるところでございます。

 同時に、沖縄というのは、地図の見方によりますと、東アジアのまさに中心に位置をする地理的特性とか、あるいは出生率も日本一高い、大変優秀な若い人材も多い等々、そういった優位性、潜在力も有しておりますので、骨太方針にもございますように、まさに日本のフロントランナーとして日本経済再生の牽引役ともなる可能性を秘めておるというふうにも考えております。

 そうした点を生かしながら、沖縄振興をより一層推進する観点からも、平成二十五年の十二月の閣議におきまして総理から御発言がございました、現行の沖縄振興計画の期間におきましては、振興予算については毎年三千億円台を確保いたしたいというふうなこともございます。そういったことも踏まえて、しっかりと沖縄振興に努めていく、これが私の大事な役割だと思っておりますので、今後ともそういった方向で努めてまいりたいと考えております。

松木委員 大変結構な御発言だったと思います。

 一方で、これはちょっと古い記事なんですけれども、二〇〇七年の七月四日の琉球新報という新聞の記事には、高市さんが沖縄大臣だったんですけれども、「振興は「普天間」条件」という見出しで、これはマスコミの捉え方もあるんですけれども、ちょっと読みますと、「来県中の高市早苗沖縄北方担当相は四日午前、北部市町村が求めている振興策の継続について「着実に進めたいが、あくまでも普天間についての協議が進むことが必要。条件を整えながら均衡ある発展のため進めたい」と述べ、予算確保には米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた協議の進展が必要との見解を示した。」という報じられ方をしているんです。

 去年の十一月四日の記者会見、山口大臣のものは、知事選の結果はどうであれ、振興策自体は、予算自体には変化はないというお言葉も言っているんです。大臣はそういうふうにお考えだと思うんですけれども、これは、高市大臣の言ったこともやはり少し、一理あるということなんでしょうか。それとも、そうじゃない、今我々はそういうことは別として考えているんだというお考えでしょうか。端的で結構ですから。

山口国務大臣 当時の高市大臣の関連の記事も私も読ませていただきましたが、明確ではありませんが、必ずしも、例えばリンクしておるとか、これが条件という発言ではございません。

 私としては、もう就任以来、リンクはしていないし、させるべきではない。先ほど申し上げました、やはり、歴史的あるいは社会的、地理的条件に鑑みて振興はしっかりやっていく。しかも、単なるそういった振興というのみならず、日本経済のフロントランナーとなってもらうようにしっかりやりたいということが本意でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

松木委員 そうあってもらったら一番いいですね。

 ただ、マスコミの捉え方もあるのかなとは思いますけれども、非常に、今回の三千億の話もそうなんですけれども、実際には少し減っているじゃないかとか、あの知事選の後はちょっと冷たいんじゃないかというようなお話もよく聞こえるわけですよ。これは不幸なことだと私は思いますよ。

 そこら辺、どうですか。もうちょっと、払拭するようなお言葉があったらもう一度お願いしたいんですけれども。

山口国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは決してリンクさせてはならない話なんだろうと思うんですね。

 予算の話も、いろいろな御意見もございますけれども、しかし、当初から二十七年度予算については非常に厳しいというふうな状況がございました。そういう中で、沖縄県ともいろいろと調整、打ち合わせをしながらしっかりと予算は獲得をできた。ある意味で、リンクはしておらないというふうなことをお示しできたのではないかと私は思っております。

松木委員 報道によりますと、官房長官がこんなことを言っているんですね。沖縄知事との面会の時期については、夏ごろまでにはというようなことをおっしゃっているようでございますけれども。

 まだ春浅しという感じですけれども、季節も流れるのは確かに速いけれども、ちょっとどうなんですかね。このごろちょっと、総理と何回かうまく会わなかったとかいろいろな話がありますけれども、夏ごろなんて言わないで、もうちょっと早く会って、やはり会うことが僕は大切だと思うんですね。

 昔、橋本総理も沖縄のことをやはり一生懸命やったんですね。それで、うちの今の代表の江田さんがそのときの秘書官だったらしいんですけれども、とにかく沖縄の県民の皆さんに寄り添って物を考えたというふうに言っていましたよ。そういう意味で、若干、ひょっとしたら今そうではないのかなという雰囲気もちょっと見えるときがあるので、ぜひそこら辺はお気をつけになってもらいたいし、やはり、この大田中将のお言葉というのは私は大きいと思いますよ。

 ぜひ、なるべく早くお会いいただけるということを、もう一度。どうですか、夏ごろなんて言わないで、春、ちょっと、若干桜が咲いたころなんて言っても、まあ桜はもう咲きますけれども、そのぐらいでもいいじゃないですか。なるべく早く会うように努力をする、どうでしょう。

山口国務大臣 私は何度か新知事さんにお目にかからせていただいておりまして、いわゆる予算の件についての御相談とか、あるいは閣議決定後のお話とか、これからしっかりと振興策をやっていくためにもやはり信頼関係というのは非常に大事だと思いますので、私は、また機会を見てお邪魔をしたりしながら信頼関係を深めていきたいと思っておりますが、また、官房長官の方にもそういった状況を御報告しながら、御検討をお願いしていきたいと思っております。

松木委員 これで終わりますけれども、何といっても、外務大臣そして沖縄担当大臣、アメリカの軍人さんとのお話し合いですよね。あと、外交交渉、なかなか、こういうのはタフネゴシエーターでなきゃいかぬですから、ぜひ頑張ってください。

 以上です。

古川委員長 次に、鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 改めまして、皆さん、おはようございます。民主党の鈴木貴子でございます。

 きょうもこうして質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 時間も余りありません、限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、普天間飛行場の辺野古移設にかかわる課題について、何点か外務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、確認をさせていただきたいと思いますが、二〇一二年、2プラス2の共同発表の場におきまして、日米合意の中で、グアム移設問題と、まさに今さまざま報道などでも取り上げられております辺野古の移設というのは、別々の話として切り離して考えるというような文言が入っているかと思いますが、それで正しいでしょうか。

冨田政府参考人 お答えいたします。

 合意そのものは今ちょっと手元にございませんけれども、先生おっしゃったとおり、従来のロードマップで、普天間の移設とグアムの海兵隊の移転が一種のパッケージとして観念されたものが、先生御指摘の合意の中で切り離されたという経緯でございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 私も、外交の白書ならぬ青書の部分で、これは外務省のホームページにも、切り離すことも決定されたというような形ではっきりと書かれております。今、改めて確認をさせていただきました。

 そこで、大臣に質問させていただきます。

 この間の三月十日なんですけれども、アメリカ海兵隊のダンフォード司令官が、軍事委員会でこの普天間飛行場の辺野古の移設について触れておられます。その際に、沖縄の海兵隊グアム移転計画について、辺野古移設の完了後になる、こう述べられました。日米合意と異なる見解が議会で述べられているということは、これはまさに日本政府としても無視ができないのではないかと思うんですけれども、日本の政府の対応、どのような対応を実際にしたのか、そしてまた今後する予定なのか、お聞かせください。

冨田政府参考人 ただいまお尋ねがあった司令官の発言について、私どもとしても承知をしております。

 ただ、私どもといたしましては、先生先ほど御指摘のございました合意に基づいて、普天間の移設、海兵隊のグアムへの移転をそれぞれ進めていくという立場でございます。

 昨年、グアムの移転については、新しいグアム協定を、改正をお認めいただいたところでございますので、こうしたものに基づいて粛々と進めていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(貴)委員 まさに粛々と進めるためにも、日米合意で、ここは合意の文書、文字にもなっているわけであります。しかしながら、異なる見解が議会においてなされているということは、私はこれは非常に問題であると思います。今の答弁を伺いましても、政府としてオフィシャルな対応がなされていないということは、私は、これは一つ大きな課題であるということを指摘させていただきます。

 次に、辺野古のサンゴの潜水調査拒否問題についてお尋ねをさせていただきます。

 皆さんも、報道など連日のようにされていらっしゃいますので、中身については割愛をさせていただきますが、辺野古沖で沖縄の防衛局が投入しているコンクリートブロックがサンゴを傷つけている、こういうことで、沖縄県の方で潜水調査を求めております。しかしながら、十一日に米軍が、外務省を通して、運用の妨げになるという理由のもとに、これを拒否しております。

 まず確認をさせていただきますが、十一日に拒否の意向が外務省に伝えられたということは、この報道は事実でありましょうか。そしてまた、その際の外務省の対応を教えていただけますか。

冨田政府参考人 ただいまの、沖縄県から米軍に対する、キャンプ・シュワブへの立ち入りの許可申請でございますけれども、先生御指摘のとおり、米側から、米軍の運用上の理由によって立ち入りが認められないという回答があったという経緯でございます。

 外務省の立場についてお尋ねでございますけれども、この立ち入り申請については、日米間で合意された所要の手続によって処理をされたということでございます。

鈴木(貴)委員 所要の手続にのっとってということは、これは、米軍側は拒否の理由を運用上の理由として挙げているということも報道があります。つまり、今の答弁でいきますと、この運用上の理由という米軍側の理由を正当化していると言っても過言ではないと私は思うんですが、ならば、運用上の理由、これは具体的には何だったんでしょうか。

冨田政府参考人 お答えいたします。

 これはまさに米軍の運用上の理由でございますので、日本政府としてお答えする立場にないことは御理解をいただきたいと思います。

鈴木(貴)委員 ただ、私は、今の冨田北米局長の答弁は問題があると思うんですね。なぜかといいますと、これは、九六年に日米合同委員会合意で、三つの、例えば、一、軍の運用を妨げない、二、部隊の防護を危うくしない、三、施設・区域の運営を妨げないに限り、申請に妥当な考慮を払うと。これは合同委員会の合意なわけであります。

 つまり、これはあくまでも米軍側の話であって、今、こちらとして直接話すことではないというような答弁だったと思いますが、私はそれは答弁拒否であると思うんですが、誠実な答弁を求めます。

冨田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、手続上は先生が御指摘になったとおりでございます。日米合同委員会の合意の中で、「立入が、軍の運用を妨げることなく、部隊防護を危うくすることなく、かつ合衆国の施設及び区域の運営を妨げることなく行われる限りにおいて、立入申請に対してすべての妥当な考慮を払う。」という合意がございます。

 私が申し上げたのは、運用上の理由という具体的な内容について、日本政府の立場でこの場でお答えすることは適切でないという趣旨を申し上げたところでございます。

鈴木(貴)委員 ならば、改めてお伺いをいたします。その具体的な内容については、局長、答弁はいただかなくても結構ですが、しかしながら、その拒否の理由というものの整合性はいかに考えていらっしゃるでしょうか。合理性はいかに考えていらっしゃるか。答弁をお願いします。

冨田政府参考人 御答弁申し上げたとおり、この申請につきましては、合同委員会の中で処理をしてきた問題でございます。したがって、日本政府としても米側の立場を理解した上で処理を進めてきたということでございます。

 ただ、申し上げているのは、その具体的内容についてこの場で御答弁することは差し控えたいということでございます。

鈴木(貴)委員 これは堂々めぐりになりそうでありますので、閣議決定を必要とする質問主意書で改めて聞かせていただきたいと思います。

 違う視点で質問させていただきます。

 今回、この立ち入りが拒否をされた臨時制限区域というのは埋立対象地域でしょうか。

冨田政府参考人 大変恐縮でございますけれども、これは所管の官庁の方からお答えすることが適切だと思っております。私の方で正確にお答えする材料は持ち合わせておりません。

鈴木(貴)委員 これは外務大臣に答弁いただけますでしょうか。この今回拒否された臨時制限区域は埋立対象地域か否か。なぜならば、これは拒否しますと言ってきたのは、米軍は外務省に通達をしてきたわけでありますから、その外務省の所管の大臣である岸田大臣にぜひ御答弁願います。

冨田政府参考人 立ち入りの手続については、日米地位協定上の観点から外務省が処理をすることになっておりますけれども、お尋ねの内容は、埋立地域そのものに関するところでございますので、これは所管官庁の方からお答えするのが適切だと思います。

鈴木(貴)委員 局長、難しいことを聞いているんじゃないんです。今回、この拒否された区域というのが埋め立ての対象地域か否か、ただこれを私は答えていただきたいと質問をしているわけでありまして、経緯、歴史などについて聞いているわけではありません。

 改めてお尋ねをいたします、局長。臨時制限区域は埋め立ての対象地域でしょうか。

冨田政府参考人 大変恐縮でございますけれども、委員会の場でお答えする以上、正確を期す必要がございますので、これはやはり所管官庁の方でお答えすることが適切だというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 これも改めて質問主意書でも確認をさせていただきたいと思います。

 これは、私が知る限り、またレクなどを受けた限り、埋立対象地域ではないんですね。埋立地域でないということは、この海域の環境保全義務というものは沖縄県側にある、こういう認識が正しいと思うんですが、まさに沖縄県民の皆さんは、この環境保全の義務を全うしようとしているわけであります。にもかかわらず、その声をないがしろにしているというのが今の現状だと思いますが、この現状についての岸田外務大臣の見解を、答弁をお願いいたします。

岸田国務大臣 埋立制限区域に該当するかなども含めて、これは所管官庁が責任を持ってお答えすべきものだと存じます。私の方から不十分な材料でお答えするのは控えたいと存じます。

鈴木(貴)委員 最後に、先ほど松木先生も触れられておりましたけれども、今の政府の、沖縄県知事、県知事というのは県民の代表でありますから、私は、まさに今、その沖縄県の皆さんの声というものをないがしろにしてしまっているのではないのかな、このように思います。

 例えば、過去に質問主意書なんかでも、これは閣議決定された答弁であります、この基地の移設問題にかかわって、反対住民との物理的な衝突が生じないようにするために、引き続き誠実に説明をし、沖縄の皆様の御理解を得るべく全力で取り組む、こういった言いぶりもされているわけでありますが、知事にも面会しないという政府の対応は果たして答弁どおりなのかというのは甚だ疑問であります。沖縄の声に耳を傾けるべきだと思いますが、大臣、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、沖縄県民の皆様方の声は、誠実に耳を傾け、お伺いしなければならないと考えております。

 そして、知事さんとお会いするということにつきましても、お会いするということになれば事務当局で日程等の調整があると存じます。調整した結果、お会いするということで合意できたならば、これはお会いすべきものであると考えます。

鈴木(貴)委員 お会いするべきと。こういったことが、夏までと言わず、なるべく、一日も早く誠実な対応がとられることを私も願っている者の一人であります。

 時間も限られてきましたので、次に、北方領土問題に移らせていただきます。

 三月二日、予算委員会、私も初めて質問に立たせていただきまして、その際に、領土問題とは何かという質問を大臣にさせていただきました。その際、大臣も覚えていらっしゃるかわかりませんが、不規則発言が後ろから飛びまして、いろいろな見解があるんだよと。領土問題にはいろいろ見解があるんだよというような発言があったわけでありますが、その時々であたかも領土問題が変わってしまうという認識を我々国民の代表でもある国会議員が持っているというのは、これは私は極めて大きな問題だと思っております。

 大臣の、我々国会議員の領土問題についての勉強、もしくはまた勉強不足の点など、大臣なりのお考え、もしくは、もっと勉強を深めた方がいいんじゃないかというような前向きな答弁をもしいただければと思うんですが。

岸田国務大臣 御指摘のように、国政にとって、国会議員にとって、我が国の領土問題に対する深い認識を持つということは大変重要なことだと思います。そして、領土問題を理解する際には、関係国との歴史問題、あるいはさまざまな交渉の経緯など、さまざまな観点から思索を深めなければならないと考えます。

 そして、御指摘の予算委員会で、委員が御質問された際に、我が国の領土問題は何かという御質問に対して、たしか私は、我が国の領土問題としては北方領土問題と竹島問題、この二つがあるとお答えしたと記憶をしております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 まさに私も、領土問題、特に北方領土、大臣はブルーリボンをつけていらっしゃいますが、私がつけているこれはブラウンリボンといいまして、多分、現職の国会議員でもこのブラウンリボンを三百六十五日つけているのは私だけでないのかな、このように思いながらも、それだけの思いで、この領土問題について私も勉強をし、また発信をさせていただきたいと思っているところであります。

 この北方領土問題なんですが、ことし戦後七十年という一つの節目を迎えているわけであります。しかしながら、その節目が大事というよりも、問題なのは、七十年たってもいまだに、現実的に一島たりとてこの領土問題が解決されていないというのは非常に遺憾なことである。そしてまた、同時に、両大臣も所信の中でも、引き続き粘り強く交渉に当たっていく、努力をしていくというような所信も述べられております。

 そこで、領土問題、交渉の中で、ビザなし交流というもの、四島交流、いわゆるビザなし交流であります。実際に、特別なこの枠組み、平成四年にこれはスタートしましたので、もうことし二十四年目を迎えようとしているところであります。

 ただ、しかしながら、この四島交流、マンネリ化してきてしまっているのではないか、実際にこの四島交流事業がどういった分野において、どのような点で北方領土問題解決に効果があるのかというような御批判、御指摘がるる聞こえてきております。

 実際に、私も地元の皆さんと話なんかをしながらも、いつになったら本当に領土問題が動くんだ、こういった声をいつも聞いているわけであります。だからこそ、今、今まで以上に前向きな一手を打つ必要があるのではないのかなと思い、提案をあわせてさせていただきたいと思っております。

 このマンネリ化解決の一手として、経済交流の推進というものがあるかと思います。特に、平成二十三年二月、時の民主党政権下で、当時の前原外務大臣がラブロフ外務大臣と会談をした際に、北方四島における共同経済活動について、日本の法的立場を害しない前提で何ができるかを日ロ双方のハイレベルで議論していくこと、こういったことが合意をなされました。本委員会でも、そしてまた外務委員会でも、その点について確認がなされているところであります。安倍総理とプーチン大統領も既に十回以上にわたって会談をされており、私は、非常に安定した、特に人間関係も構築されていて、まさに今が動くときであると、大きく大きく期待をしているものであります。

 そこで、岸田大臣にお尋ねをいたしますが、安倍政権が考えるこの共同経済活動に関するビジョンといいますかプラン、こういったことについて見解を示していただけますでしょうか。

岸田国務大臣 北方領土問題は、戦後七十年がたとうとする現在に至っても解決しない日ロ関係最大の懸案事項であります。我が国としましても、政治的対話を積み重ねつつ、日ロ関係を国益に資するよう進めていく中で、この北方四島の帰属の問題を解決して平和条約の締結をすべく、粘り強く交渉に臨んでいかなければならないと存じます。

 そして、その中で、御質問の共同経済活動ですが、まず、北方四島における共同経済活動については、我が国の法的立場を害さないことが大前提である、過去の前原大臣の発言にもあったとおりであります。他方、ロシア側は、ロシア法令に基づいて実現される経済プロジェクトは歓迎するという立場を対外的に公表していると認識をしております。こうしたロシアの主張については、北方領土問題に対する我が国の法的立場に鑑み、受け入れることは困難であると思っています。

 今申し上げた我が国の立場を害さないことを大前提としながら、この問題は考えていかなければならないと思っております。

鈴木(貴)委員 今の大臣の答弁を聞きながら、つまりは、ロシア側の、向こうの法令にのっとって活動を進めていくと、四島においてのロシア側の自治権というものを暗に認めてしまう、それが問題だということなのかな、このように思っております。今も、大臣もうなずいて聞いていただいております。

 ただ、私は、国会議員になりまして、去年そしておととしと二度にわたって、ビザなし、実際に国後と択捉に参加をしております。そこで私が非常に不思議に思ったのが、これは行かれた委員の皆さんも同じだと思うんですけれども、まず一日目、初日の日程なんですが、島に上陸をして一番最初に行くところは、その地域の行政センターなんです。国後に行けば、その国後の行政センターに行きまして、そこでいわゆる地区長さんとお話をし、懇談をするというのが毎年毎年の慣例的なスケジュールなんですね。

 これは、暗に自治権を認めないと外務省側は言うわけであります。しかしながら、ビザなし交流の場などでは、我々の方から向こう側の行政センターに行き、向こう側の自治をしている行政の長に表敬訪問に行くわけです。これは若干の矛盾を感じるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 ビザなし交流は、日ロ間で定められた枠組みに基づきまして、我が国の法的立場を害さないということを前提といたしまして、この四島に係ります交流事業を促進し、関係者の理解を促進するということを目的として行われているものでございます。したがいまして、先ほど共同経済活動に関して岸田外務大臣から御答弁されたような、我が国の法的立場を害さないということを前提として行われているものでございます。

鈴木(貴)委員 局長、わざわざ答弁いただいたんですが、私、全く今のは答弁になっていないと思うんですね。

 私が今言ったのは、暗に自治権を認めてはいけない、それが日本の国益を害するんだというような話であるにもかかわらず、進んで必ずその地域の行政の長のところに表敬訪問に行く、これは矛盾が生じないかという点についてお尋ねをしております。局長、改めての答弁をお願いいたします。

林政府参考人 四島交流、いわゆるビザなし交流につきましては、先生御指摘のとおり、平成四年度から実施している事業でございます。これは、我が国の法的立場を害さないということを前提にした枠組みを設けまして、その中で四島に実際に居住している方々を含めた交流事業を行って、相互理解をより促進し、効果的な形で進めていきたいということで行われております。

 その中で、さまざまな事業あるいは日程等が組まれていると思いますけれども、これらはいずれも、相互理解を増進して領土問題解決に寄与するということを視点に置きながら考えられたものだというふうに理解しております。

鈴木(貴)委員 矛盾するかしないかということを私は質問したんですけれども、今の局長の答弁の中にはそれに対しての答弁は見つからなかったな、今このように思っております。

 ただ、局長が今答弁の中でいいことをおっしゃっていただいたのは、平成四年からビザなし四島交流というものが始まっているわけであります。

 では、そもそもなぜこれが始まったか。これは平成三年だったと思いますが、当時のゴルバチョフ大統領が日本に来られた際に、これは相互交流だ、しかも、領土問題の解決を前提とした上での、それまでの暫定的措置である。つまり、言いかえれば超法規的措置なわけであります。今、世界各国の中でも、やはり領土問題を抱えた日本とロシア、お互いに、今この二国間には領土問題があるんだ、解決しなくてはいけない問題がある、だからこそ特別な枠組みをつくってでも少しでも動かしていこう、こういうことだと思うんですね。

 もし、この超法規的措置である四島交流というものが可能であれば、同じように、経済活動においても超法規的措置、例えば経済特別特区のような形で、こちら側のアイデア、やり方、策、インテリジェンス、使い方次第では何とでもなると思うんです。というよりは、ここがまさに外務省の力の、腕の見せどころだと私は思うんです。

 外務大臣、この経済活動について、ありとあらゆる英知を結集すれば、私は、この問題、共同経済活動、もちろん日本の国益を害しない形でできるかと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。大臣に答弁を求めます。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、我が国としましては、この北方四島における共同経済活動は我が国の法的立場を害さない、これが大前提であります。この大前提はしっかり守っていかなければなりません。

 その上で、何ができるのか。これはまさに、今後、日本とロシアとの間の交渉においてどのような議論が行われるのか、どのような知恵が出るのか、これにかかってくる問題ではないかと思っています。

鈴木(貴)委員 まさに、どのような知恵が出てくるのかと今大臣からもありましたが、北方領土というのは、先ほど冒頭に大臣に答弁いただきましたように、これは日本が抱える領土問題の一つであります。同時に、北方領土は我が国固有の領土であります。というのであれば、固有の領土だと主張している日本側が積極的に、まさにリーダーシップを発揮して、イニシアチブをとってこの交渉を動かしていくという、私はその強い姿勢が必要だと思います。

 何となく、これまでの日ロ間の領土問題、経緯などを見ておりますと、例えばビザなしにおいてもそうです、平成三年にゴルバチョフ大統領が訪日された際に向こう側から提言があったんです。我が国固有の領土だと主張している日本側から、もう少し積極的な提言、建設的な話、こういったカードをどんどんどんどん切っていく必要があると思います。

 大臣の先ほどの答弁であると、まだ若干受け身のような姿勢が感じられたんですけれども、これは私のとり方の問題でしょうか。それとも、もう少し大臣は、より建設的に、必ず、この戦後七十年の節目を迎えた、元島民の皆さんは平均年齢八十歳近くなっていらっしゃるんです。一日でも早く、ふるさとの土地を踏みたい、残してきた親や、父親、母親、家族のお墓に手を合わせたいと切に切に願っていらっしゃるんです。その皆さんの痛み、私は岸田大臣であれば痛いほどわかっていらっしゃると思います。

 あえてもう一度お尋ねを申し上げます。大臣の方から建設的、前向きな提言をしていく、そういったお気持ちはありますでしょうか。

岸田国務大臣 この北方領土問題は、戦後七十年たとうとする今になっても解決しない日ロ関係最大の懸案事項です。そして、委員御指摘のように、島民の皆様を初め関係者の皆さんの立場あるいは思い、これに深く思いをめぐらせて、政府としても真剣に、大きな責任を感じながら対応していかなければならないと考えています。

 そういった中で、安倍内閣になりまして、まず、安倍総理が就任しまして、ロシアを公式訪問しました。これは、日本の総理大臣としては十年ぶりの公式訪問でありました。そして、それから二年数カ月の間に日ロ首脳会談は、首脳会談だけでたしか八回に及んでいるかと存じます。

 そして、私自身もラブロフ外相との外相会談を重ね、そして、日本とロシアとの間においては歴史上初めて日ロ2プラス2を開催するなど、さまざまな分野で意思疎通を図りながら信頼関係を醸成し、そして北方領土問題にも取り組んでいこうということで努力を続けてきました。

 今、日本とロシアとの間においては、ウクライナ問題をめぐって難しい状況も存在いたしますが、しかし、いずれにしましても、引き続き政治対話は重視していかなければならないと思っています。この政治対話を積み重ねることによって、引き続き、日ロ関係を国益に資するよう進めていく中で北方領土問題についても粘り強く交渉していきたいと考えます。

 安倍内閣として、そうした日ロ関係最大の懸案事項に向けてしっかりと取り組み続けていきたいと考えています。

鈴木(貴)委員 粘り強く交渉に当たっていく。私、今こうして質問を、この場に立たせていただきながらも、今の安倍安定政権、そして、この短い期間の中でも、異例と言ってもいいようなほど頻繁にプーチン大統領ともお会いをされ、また会談を行っていらっしゃる。これについて、私は、非常に評価といいますか喜ばしいことだな、このように思っております。だからこそ、政治的対話、これはもちろん必要でありますが、その対話の中でカードを切っていくというのがやはり大事なのではないのかな、このように思うわけであります。

 実際に、過去にこの委員会でも参考人という形で、地元根室市の長谷川俊輔市長もこの場に来て答弁をされた際にも、日本の存在感を示す、そしてまた、日本政府がいかにこの領土問題に真剣に交渉に当たっているか、本当に動かしたいんだというその思いを伝える上でも、新しい取り組みを、例えば共同経済活動などをどんどんと進めていってほしい、まさに長谷川根室市長もこの場でおっしゃっているわけであります。

 長谷川市長は実は今三期目に突入をされておりまして、まさに地域の民意を受けてのオール根室の声だと思っているわけであります。そんな市長もそういった発言をされている。

 その上で、最後に改めて伺わせていただきます。領土問題解決原点の地としても、共同経済活動を進めることによって、これまでと違った新しい枠組み、新しい取り組み、カードを切っていくということを政府に求めているわけであります。その民意を無視しないであろう岸田外務大臣に、最後、もう一度お尋ねを申し上げます。

 その粘り強い交渉、強い姿勢を、共同経済活動という形で、実際にあともう一歩、半歩でも結構です、推し進めていくという思いはお持ちでしょうか。

岸田国務大臣 この北方領土問題、日ロ交渉は、交渉事でありますので、事前に我が国の対応について具体的に何か表明するというのは、交渉の上においてもこれは得策ではありませんので、具体的なことについて触れるのは控えなければならないと思いますが、委員御指摘のように、この北方領土問題は我が安倍内閣にとりましても最重要課題のうちの一つであると認識をしています。

 こうした強い姿勢を持って臨むことは当然重要なことであり、しっかりと交渉に臨み、何よりも問題解決につなげられるように努力を続けていきたいと考えています。

鈴木(貴)委員 ありがとうございました。

 この安倍安定政権、そしてまたリーダーシップある岸田外務大臣が、私は、必ず歴史に名を残す大臣にもなられる、そのためには、やはりこの領土問題で何らかの進展が必ずあるであろうということを期待し、また、そのためにも、私もしっかりと発信を、そして取り組みをさせていただくことをお誓い申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 きょうは、私の関心の持っているところを、少し五月雨式ではありますが、お話をお聞きしたいと思います。

 時間もないところなんですが、一つ、質疑通告はないんですけれども、先ほど岸田大臣がチュニジアのテロの話をちょっとされていたと思いますので、きょうは委員の先生方がせっかくこれだけおられますので、そのチュニジアのテロの事件で日本人もお亡くなりになったというところの知り得る情報を、ぜひこの委員会でも最初に開陳していただけたらと思います。お願いします。

岸田国務大臣 御指摘の事件ですが、十八日に、チュニジアの首都チュニスにおきまして銃撃テロ事件が発生をいたしました。そして、今この被害については確認中でありますが、現在のところ、邦人の犠牲者として三名の方がお亡くなりになられ、そして三名の方が負傷されている、こういった現状を今確認しております。

 ただ、被害に遭われた方につきましては、まだそれ以外にもいるのではないかという情報にも接しておりますので、今、引き続きまして状況を確認中であります。

 いずれにしましても、こうしたテロ事件の発生は、我が国としましては強い憤りを感じますし、断固として非難をいたします。お亡くなりになられた方には哀悼の意を表し申し上げますし、負傷された方におかれましては一日も早い回復をお祈りしたいと思っています。

 引き続き、国際社会と連携しながら、こうしたテロとの闘いに、我が国としましてもしっかり取り組んでいきたいと考えています。

鷲尾委員 三人の方がお亡くなりになっているということで、私も今話を聞きながら大変衝撃を受けたわけでありますけれども、ぜひ全力で実態の解明に取り組んでいただきたいと思います。また、私からも、お亡くなりになられた方には哀悼の誠をささげたいというふうに思いますし、被害に遭われた皆様には御回復をお祈り申し上げたいと思います。

 それで、一言申し述べるならば、日本人が標的でなければいいなと、そこら辺も含めて鋭意分析をお願いしたいと思います。

 それでは、質問に移らせていただきたいと思います。

 沖縄及び南西諸島の海域において、中国政府の活動、特に人民解放軍の活動が、今、活動の実態としてどんな状況であるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、東シナ海を初めとする海空域において、活動を急速に拡大、活発化させております。特に、海洋における利害が対立する問題をめぐっては、力を背景とした現状変更の試み等、高圧的とも言える対応を示しております。

 尖閣諸島を含む沖縄周辺海空域においては、公船による我が国領海への断続的な侵入が続いております。また、独自の主張に基づく東シナ海防空識別区の設定といった、公海上空の飛行の自由を妨げるような動き、また、公海上空における自衛隊機への中国戦闘機による異常な接近など、不測の事態を招きかねない危険な行動に及んでいる場合もございます。

 このような中国の軍事的動向につきましては、その不透明性と相まって、我が国を含む地域、国際社会の安全保障上の懸念となっていると認識しております。

 以上でございます。

鷲尾委員 それでは、防衛省としての、自衛隊としてのその対処、体制、どんなものがあるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

辰己政府参考人 まず、前提として、我が国の防衛力整備、対応については、中国を含めて、特定の国を仮想敵国や脅威とみなし軍事的に対抗をしていく、こういう発想には立っておりません。

 その上で、防衛大綱におきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が、先ほど申した、中国の、海空域における活動の活発化、拡大などを踏まえまして、南西地域の防衛体制の強化を初めとする、海上優勢、航空優勢の確実な維持のための防衛力整備に優先的に取り組んでいるところでございます。また、機動展開能力の整備も重視しております。

 具体的には、まず、陸上自衛隊においては、水陸機動団の新編、それから与那国島への沿岸監視隊の配備、さらには南西地域への警備部隊の配備等、防衛体制の強化に取り組む所存でございます。

 海上自衛隊につきましては、護衛隊、潜水艦の増勢、あるいは「おおすみ」型輸送艦の改修による輸送能力の強化、これに取り組みたいと思っています。

 航空自衛隊におきましては、那覇基地に戦闘機部隊をこれまでの一個飛行隊から二個飛行隊にふやしたいと思っていますし、F35の着実な整備によって防空能力の総合的な向上に努めたいと思っています。また、早期警戒機E2C部隊を那覇基地に配備するなどして、常続的な監視体制の整備に取り組むこととしております。

 引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くための体制整備に努めてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 ぜひ頑張っていただきたいですが、特定の国を想定していないというふうなおっしゃり方をされていましたが、我が国も予算は限られていますので、特に防衛予算。海上優勢、航空優勢、何に対して優勢なんだ、これは戦略的にやはり見定めなきゃいけませんから、まあまあ皆まで言わなくていいですけれども、しっかりそれこそ優勢を保って頑張っていただきたいなと思っております。

 それから、先ほど防衛省の答弁の中にも尖閣諸島海域という言葉もありましたけれども、きょうは海上保安庁にも来ていただいておりますので、実態としてどうかというところを一言お願いします。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 尖閣諸島周辺海域における昨年一年間の中国公船の領海侵入件数につきましては、三十二件となっております。一昨年の五十二件に比べますと減少はしております。しかしながら、接続水域の航行日数は、一昨年は二百三十二日、昨年は二百四十三日でありまして、ことしも既に四十六日を超え、依然として中国公船が接続水域を航行しているという状況に大きな変化はありません。

 このような状況にあって、海上保安庁としましては、我が国の領土、領海を守り抜くという方針のもとに、事態をエスカレートさせないように、冷静かつ毅然と対応を続けてまいりたいと考えております。

 今後とも、関係省庁と緊密に連携しながら、その時々の情勢に応じ適切に対応するとともに、尖閣専従体制等の必要な体制整備を推進し、領海警備に万全を期してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 一点は、先ほど昨年と一昨年の話をされましたが、中国国内における状況による、尖閣海域に対するいろいろアクセスの度合いの変化、こういったものは政府全体でも当然取り組んで分析をしていかなきゃいけないというところもありますが、そういった分析、中国国内の状況がどういった状況を尖閣海域に及ぼしているのかというところの分析はなされているんでしょうか。

中島政府参考人 お答えします。

 先ほども御説明しましたように、我々は、分析も含めて、関係省庁と連携をしっかり図りながら、その情勢を踏まえて現場に適切な数の巡視船艇を派遣するという形の中で、そのときに合わせた形の中でしっかり対応していきたいと考えております。

鷲尾委員 これも全部が全部言える話じゃないんでしょうけれども、政府全体としても取り組んでいただきたいなというふうに思っているところであります。

 一つ、海上保安庁の装備ですね。最近はいろいろと装備の拡充をされていると聞いておりますけれども、私の立場といたしましては、昨年は小笠原諸島海域のサンゴの密漁の話もありました。これも、聞くところによると、私は水産庁の取り締まり船なんかが結構いて取り締まっているのかなと思ったんですが、実は海保が出張ってしっかりやっているということで、あっちもこっちもということになると、海保も大変厳しい状況なんじゃないかなと思っております。

 そこら辺の装備の状況を、時間がないので一言だけ言ってください。一言だけ。

中島政府参考人 お答えします。

 海上保安庁につきましては、尖閣専従体制の確立ということで、大型巡視船を十隻、さらにヘリコプター搭載型の巡視船の二隻について、延命措置、機能強化を図っております。さらに、さらなる情勢の変化にも対応し得る体制の確保という形の中で、大型巡視船六隻の代替整備、さらには中型巡視船六隻の代替整備を図っております。

鷲尾委員 そういう質的な設備更新もぜひ頑張ってやっていただきたいなということを私から申し上げておきたいと思います。

 続きまして、沖縄の周辺の海域ではこれからマグロ漁が盛んになる時期でありますが、おととし日台漁業協定が大枠として取り決められまして、また、昨年にはその細かいところもルールづくりが進んでいると聞いております。最近の状況をお聞かせいただきたいと思います。

香川政府参考人 日台民間漁業取り決めの適用水域におきます操業ルールにつきましては、三月四日から七日まで協議をいたしまして、七日の委員会で最終合意に達したところでございます。

 この交渉には、沖縄県、宮崎県の漁業関係者も参加していただきまして、交渉中も日本側参加者の間で意見調整を重ねながら、最終日の未明まで台湾側と精力的に議論し、その結果、ルールの見直しについて合意したところでございます。

 今回の見直しにより、例えば、沖縄漁船にとっての重要漁場であります八重山北方水域において日台漁船が昼夜で交代操業する水域が大幅に拡大されるなど、日本側の要望を踏まえた新たなルールが設定されております。このため、日本漁船にとっては、台湾漁船とのトラブルに遭うリスクが減り、安心して操業できる機会が増すものと考えております。

 今後、農林水産省といたしましては、特に四月から始まりますクロマグロの漁期におきまして、今回見直された操業ルールがしっかりと遵守され、我が国の漁業者が台湾漁船とのトラブルなく安心して操業できるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 また、今回、次回の日台委員会におきまして、全てのルールについて実施状況をレビューし、その結果を踏まえて必要な見直しを行うということも合意しております。

 操業ルールにつきましては、引き続き、沖縄県、宮崎県等の漁業関係者の声をしっかり踏まえて対応してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 引き続き頑張ってください。

 きょうは青木国交大臣政務官が来られているので、さっき、私、ちょっと質問し忘れちゃったので、時間がないので、装備拡充あるいは設備更新をしっかりとやっていくぞというその決意を、政務官せっかくお見えなので、一言ばしっと言ってください。

青木大臣政務官 海上保安庁といたしましては、体制強化は大変重要であると認識をいたしております。

 今後とも、海上保安庁の体制をしっかりと整備し、我が国周辺海域の警戒警備に万全を期してまいる所存でございます。

鷲尾委員 それでは、これが最後の質問ですけれども、ロシアとの関係というのは、いろいろ幾つか問題がある。もちろん、北方領土云々だけではなくて、国際社会に対しても我々のコミットしている立場があるわけですから、そういう中で状況がよくなったり悪くなったりというところがあると思いますけれども、一つ、最近のトピックとしては、北極海の航路をどう活用していくかというところがあると思います。

 今後、日本の経済活動というところを考えたときに非常に有効だと言われているところもございますけれども、この点、ロシアとの関係の推移において、ロシアが枠組みをつくっていると思うんですけれども、その枠組みの中での日本の立場あるいは日本の対応をどう考えていくべきか、その状況の推移も含めてお答えをいただけたらというふうに思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、近年、北極海の氷の減少によって、アジアと欧州を最短距離で結ぶ北極海航路の航行可能期間が延びたことを受けて、我が国あるいはロシア、関係国の関心が高まっております。

 こうした関心の中でさまざまな議論が行われていますが、日本とロシアとの関係でいきますと、国土交通省がロシアの運輸当局との間で行っている日ロ運輸作業部会の枠組みにおいて、同航路の活用に関する議論が行われていると承知をしています。不透明な価格体系、海難事故、緊急事態における救助体制の整備についてロシア側に改善を促している、こういった議論が行われていると承知をしております。

 同航路の活用の可能性につきましては、あくまでも個別の企業による商業的判断が重視されることになるとは思いますが、こうした国際的な議論あるいは国際的な動き、これからもしっかり注視しながら、我が国として必要な対応がないのかどうか等も含めて、しっかりと検討をしていきたいと考えます。

鷲尾委員 山口大臣はあしたたっぷり質問させていただきます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 昨年一年間の沖縄では、名護の市長選挙、そして名護の市会議員選挙、県知事選挙、総選挙と、いわば辺野古の新基地建設問題を直接の争点にした選挙戦が戦われ、新基地建設反対の政治勢力が圧勝をいたしました。特に、沖縄の県知事選挙以降総選挙までは、オール沖縄、建白書勢力というぐあいにも呼ばれてまいりました。県民の民意が疑う余地がなく明確に示されたわけですが、選挙戦の中では、沖縄振興のあり方も大きな争点になりました。

 翁長雄志県知事は、「これまで私たちは、みずから持ってきたわけでもない「基地」を挟んで「経済」か「平和」かと厳しい選択を迫られてきました。しかし、社会情勢の変化とともに、これらは両立し得るものとなってまいりました。」と知事の所信表明演説の中で述べておられます。米軍基地と振興策のリンクを明確に否定し、その立場をあらわすスローガンとして、「誇りある豊かさ」、これを求めていくことを表明しております。

 基地と振興策をリンクさせるべきではないという民意が昨年の一連の選挙でも示されたと思いますが、大臣の受けとめはいかがですか。

山口国務大臣 沖縄の振興につきましては、先ほど松木委員の御質問にもお答えをしたとおりでございまして、沖縄が歴史的、地理的、社会的事情などのさまざまな特殊事情を抱えておられるというふうなことから沖縄の特別措置法が制定をされておりまして、同法に基づいて、国の責務として各種の施策を実施しておるところでございます。

 私も、就任以来ずっとそういったことは申し上げてきておりまして、当然、選挙期間中も含めて、沖縄振興はいわゆる沖縄振興としてしっかり取り組んでおるわけで、決してリンクはしておらないというふうなことは終始申し上げてきております。今もその思いでありますし、とりわけ、今後も、そういった、ある意味政治状況に左右されてはならないというふうな強い思いを持っております。

赤嶺委員 大臣の答弁はそれとしてお聞きいたしますが、ただ、選挙になると、自民党の幹部が沖縄にやってきて、自民党の推薦する候補者が勝利すれば五百億円の振興策を出すぞとか、いろいろ言うものですから、やはり、選挙のたびに、基地と振興策はリンクしてはいけないという県民からの強い、厳しい指摘と批判が起こっているということもしっかり受けとめていただきたいと思います。

 次に、沖縄の経済は米軍基地に大きく依存していると言われてきました。実際、戦後の当初は県民生活の全てがアメリカの管理下にあり、基地への依存度、これは一〇〇%という状態でありました。米軍の直接統治下で琉球政府が国民所得統計を公表したのが一九五五年でありましたが、そのときの沖縄経済の基地への依存度は二七・七%、さらに六二年度の発表では二〇・〇%、そして沖縄が復帰をした一九七二年、復帰直後、一五・五%、直近の二〇一一年度には四・九%と、沖縄経済は、基地への依存度は大きく低下しております。

 逆に、広大な米軍基地の存在は、交通網の整備や計画的な都市づくり、商業用地の確保、地域の振興開発を図る上で大きな制約となっています。

 沖縄県が、二〇一二年、前県政のときでありましたが、そのときに策定した二十一世紀ビジョン実施計画の中では、基地は本県の振興を進める上で大きな障害となっている、このように述べております。

 米軍基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因、こういう、沖縄で広がってきた、そして保守や革新の立場の違いを超えて共通して持っているこの認識、これは大臣はどのように受けとめますか。

山口国務大臣 先生御指摘のとおり、平成二十四年の沖縄二十一世紀ビジョン基本計画あるいは平成二十二年の沖縄二十一世紀ビジョン等に、「社会的特性として、」云々となって、「本県の振興を進める上で大きな障害となっています。」あるいは、平成二十二年の分では、「広大な基地の存在は、さらなる経済発展の可能性を阻害している。」というふうな記述があるのは承知をいたしております。

 同時に、沖縄には米軍専用施設・区域、この約七四%が集中をするというふうなことで、県民の皆さん方にとって大変大きな負担となっておりまして、この負担を軽減していくということが極めて重要な課題であるというふうな認識をしておるところでございます。

 とりわけ、沖縄振興を考えていく上にはやはり、今御指摘もありましたけれども、米軍基地返還後の跡地利用、これが非常に大事なんだろうと思います。いろいろな跡地利用の想定に基づいて二十一世紀ビジョンというのもでき上がっておるんであろうと思いますが、やはりそこら辺を、沖縄振興の観点からしますと極めて重要な課題であるというふうに認識をしておりますので、私としては、そういった課題にしっかりと取り組んでいくというふうなことであろうと思っております。

赤嶺委員 大臣がおっしゃった返還跡地利用、二十一世紀ビジョンというのはまさに基地のない沖縄を展望した経済発展、こういう認識であります。

 米軍の直接統治下に置かれていたときに、米軍の高等弁務官が支配者だったわけですが、沖縄の基地は沖縄県民にとって金の卵を産むガチョウだ、沖縄県民の生活は基地から離れることはできないんだ、このように言われて、私たちは非常に屈辱を感じてきました。

 今や基地への依存率は四%台に下がり、さらに、基地そのものが経済発展の最大の阻害要因になっている、こういう認識が共有されている中で新たな辺野古の基地をつくることがどんなに犯罪的であるかということを、沖縄担当大臣も外務大臣もよく認識していただきたいと思います。

 そこで、その経済について最後の質問ですが、ちょっと財政の問題で伺いたいんです。

 沖縄は、広大な米軍基地の存在もありますが、財政支援も大きいじゃないか、このようによく言われます。ところが、沖縄県のホームページを見ますと、「よくある質問」というコーナーが設けられておりまして、「沖縄振興予算について」、このように書かれて、「沖縄に対しては、国庫支出金や地方交付税により他都道府県と比較して過度に大きな支援がなされているのではないですか。」という質問があり、それに対する回答として、「国からの財政移転(国庫支出金+地方交付税交付金)は、全国十七位」、「人口一人当たりの国からの財政移転は全国六位」、このようにありますが、この説明に対しての政府の認識を伺います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係につきまして私から申し上げますが、今お話ございましたQアンドA、私どもも承知しております。

 また、その資料の中に、「沖縄県と他府県の財政移転の比較」という資料もホームページに掲載されておりまして、全体で、例えば国庫支出金、県、市町村合わせますと全国で十一位ですとか、地方交付税も合わせますと十七位。その資料の方に行きますと、人口一人当たりの比較の資料もございまして、国庫支出金は、東北の三県、被災をされている三県を除きまして全国一位、地方交付税も合わせますと、その三県を除いて全国六位というような、精緻な資料が掲載されているということで承知しております。

 私どもといたしましては、これは沖縄県の方で作成されておりますので、具体的に、細かいデータですとか、合算するときのいわゆる純計などの集計方法について詳細を承知しているわけではございませんが、いわゆる国直轄事業などを除きまして、国から県、市町村への財政移転の全体的な状況といたしましては、おおむねこの沖縄県の示しているデータ、そのとおりであると考えているところでございます。

赤嶺委員 国の直轄事業というのは国の責任でやるべきことでありまして、沖縄は基地があるから財政支援も恵まれているというのが一般に流布されたりしておりますけれども、実際に検証してみたら、そうではない、他府県並み。と同時に、復帰後、沖縄が過度な財政支援を受けたことは一度もないというようなことも申し上げておきたいと思います。ですから、先ほどの話の経過もよく認識していただきたい。

 それで、きょうは実は、沖縄の国民健康保険税の問題について取り上げたいと思います。いろいろな方々が努力されていることはよく認識した上での質問であります。

 資料をお配りいたしました。この資料が五枚にわたっておりますが、資料の多さは、私が沖縄の国保税にかける思いのたけとして、もっとふやしたかったんですが、これにとどめているということで御理解いただきたいと思います。

 この資料の一は、沖縄県の那覇市の作成した資料で、本土に復帰した一九七二年以降の那覇市の国保財政の推移についてまとめたものです。沖縄では、国民健康保険制度も米軍統治下ではありませんでした。その年から始まりました。数字だけではなんだろうと思いまして、この数字をグラフにしたのが次の二ページ目の資料であります。

 実は、私は那覇の市会議員を務めていたこともありまして、この国民健康保険制度には大変苦労をしたんです。本土復帰後、国保財政は那覇市では赤字が続いておりました。ところが、一九九三年、グラフでいうと平成五年以降、改善傾向にありました。しかし、二〇〇七年度、グラフでいいますと平成十九年度にも一度赤字が出ていますが、その後の二〇〇八年度、平成二十年度以降にいきなり赤字の幅が十億円に上る。その後も、極端な赤字を出しています。

 私にとっては、那覇市の国保財政が黒字になっているということ自身が、私の市会議員時代に比べたらとても考えつかないような事態で、大変驚いておりました。本当に改善されているんだなということを見ていましたら、突然、最近赤字がふえている。

 この赤字が出始めたのが、前期高齢者交付金制度が実施され始めてからであります。赤字額が十億円を超え、ここ数年では毎年十億円近い新たな負債額も抱えるようになってきました。

 那覇市では保険料の収納率、これは、私が那覇の市会議員をやっていた時代は収納率が九割になることは一度もなかったんですよ。それでペナルティーを受けて、国保税が高くなる、こういう苦しみを経ておりましたが、ここ十年、九〇%を超えているわけです。九二%にもなっております。

 この那覇市の収納率というのは、全国平均と比べても高いと思いますが、いかがですか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 市町村国民健康保険の保険料収納率については、平成二十五年度の速報値で、全国平均値は九〇・四二%のところ、那覇市は九三・一六%というふうに承知をしてございます。

赤嶺委員 これは、那覇市の国保加入者の実態や国保の運営を知る者にとっては大変驚くべき数字なんですよ。全国平均を超える。やはり国保の当事者は一生懸命頑張ったんだなと、最初聞いたときは信じられない数字でありました。

 収納率は上がった。しかし、赤字は大きくなる。しかし、一人当たりの医療費はどうかといいますと、全国に比べて沖縄県は最下位であります。那覇市も高くはありません。医療費もかからないのに、そして保険料の収納率は高いのに、大幅な赤字が続く事態になっている。

 これは厚労省、どんなふうに考えておられますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 にわかな御質問でございますので、那覇市の国民健康保険の状況そのものをどう評価するかについては、今御指摘がございましたような、収入の面そして支出の面、総合的に判断をさせていただきたいと思いますけれども、まず、関係者の方々のお話もよく伺わせていただきたいと思います。

赤嶺委員 にわかな質問と言われましたが、それじゃ、やはりちょっと資料を説明させていただきます。

 那覇市も赤字が続いておりますが、沖縄県も全体として赤字が続いております。その赤字が出始めた時期というのが、前期高齢者交付金制度の実施の時期と関係があります。

 資料三をごらんになっていただきたいんですが、これは厚労省がつくられた資料をもとに作成したものであります。具体的に、那覇市と、前期高齢者の人数や前期高齢者にかかっている医療費が大体同じ値である佐賀市と比較してみました。

 左下のグラフをごらんになっていただきたいんですが、那覇市と佐賀市、前期高齢者にかかっている給付費の総額はほとんど同じでありますが、前期高齢者を対象にした交付金の額は、佐賀市が六十二・七億円なのに対し、那覇市はわずか約三十五億円であります。那覇市は、佐賀市の半分近くしか交付金を支給されていません。

 さらに、この交付金が前期高齢者にかかった医療費をどれだけカバーしたか、その補填率を見てみました。佐賀市は六八・七%、七割近くも補填しているのに、那覇市は三五・〇%しか補填できていません。佐賀市が特別多いというわけではなく、都道府県別に見た補填率の全国平均は六九%です。沖縄が際立って低いわけです。

 それで、資料四もごらんになっていただきたいんですが、都道府県別に全国の交付金の補填率を見たところ、沖縄県は、二番目に低い東京都の二分の一以下であり、他県と比べて沖縄だけに極端な格差が生じていることがわかります。

 前期高齢者交付金制度、これをつくったときの、国保改革の際の、二〇〇三年、平成十五年三月二十八日に閣議決定で基本方針が定められております。そこには、基本的な方向としてどのように書かれておりますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました平成十五年三月二十八日の閣議決定、「健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針について」というものでございますが、その中では、「前期高齢者については、国保又は被用者保険に加入することとするが、制度間の前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整し、制度の安定性と公平性を確保する。」と書かれているところでございます。

 これに基づきまして、高齢者の医療の確保に関する法律で、今御指摘いただきました前期高齢者の医療費に関する財政調整の仕組みを設けたところでございますけれども、これは、保険者間で、六十五歳から七十四歳、いわゆる、今先生御指摘いただいております前期高齢者が偏在することによる医療費の負担の不均衡を是正するということでございまして、国民健康保険あるいは被用者保険、各保険者が前期高齢者加入率に応じて負担するという財政調整でございます。

 幾つか御指摘いただきましたけれども、今私どもの手元にございます平成二十四年度の賦課ベースの前期高齢者の加入率を拝見いたしますと、被用者保険、国民健康保険を通した全制度の全国平均が一二・九、それに対して、市町村国保だけを取り上げますと、そのグループの前期高齢者加入者率が三二・三、そのうち、今都道府県別で御指摘いただきました市町村国保を沖縄県でまとめますと、その沖縄県国保の前期高齢者加入率が一八・一という数字になってございまして、このあたりの違いが反映しているものというふうに理解をしてございます。

赤嶺委員 ですから、六十五歳から七十四歳までを前期高齢者と呼び、その交付金を創設するに当たっては、偏在が起こり得るので、公平に、制度の安定化と公平性を図っていきましょう、こういう閣議決定をやったわけですね。

 ところが、沖縄が極端な形になって、その制度が始まった途端、制度が不安定になり、そして前期高齢者交付金が公平に支給されていないというような実態が生まれてくる。

 これで、先ほどの資料三の右下のグラフに書いておきましたが、那覇市と佐賀市では、前期高齢者の人数はほぼ同じなんです。国保の加入者総数に大きく差があるため、前期高齢者の加入率は、佐賀市が三一・五、那覇市は一九・〇、これが国保制度の不安定につながっているということになるわけです。

 沖縄だけが極端に加入率が低いんです。なぜ低いかといえば、やはりその時期の世代の人たちがあの沖縄戦で大きな犠牲になり、ちょうど七十歳が戦争体験ゼロ歳児ですから、戦争の最中に生まれて、今、沖縄では、戦後七十年、ゼロ歳児が戦争体験を語る、そういう運動が起こっております。

 そういう戦争の影響で前期高齢者の加入率が低くなっている、この認識は共有できると思うんですが、いかがですか。

吉田政府参考人 沖縄県の国保について、前期高齢者の数が、それより年少世代に比べて相対的に少ないということについては、今御指摘もいただきましたように、これまでも沖縄県の国保関係者の方々から、戦争の影響があるというお話を伺っているところでございます。

赤嶺委員 戦争の影響があることは明らかなんですよ。七十歳から七十四歳までの人口が沖縄では少ない。したがって、そういうもので、全国一律の制度に沖縄を当てはめた場合に、沖縄だけが極端に交付金が少なくなり、沖縄の国保制度、せっかく収納率も全国に追いつけ、追い越そう、収納率が低いときに、私も当時胸が痛かったですよ。低所得者の多い国保の加入者、それに対して収納率を上げなければ国からペナルティーがやってきて、さらに国保税を上げなきゃいけないという悪循環。しかし、そういう国保の値上げを何とかして下げようと一生懸命頑張ってきた。

 私は、沖縄の収納率が高くなっているということは、厚労省も、それから山口沖縄担当大臣は直接の担当者でなくても、声を大にして誇っていいことだと思いますよ。沖縄の市町村はよく頑張った、そして戦争の影響を受けて人口が少ないために交付金が少なくなっていると。

 いろいろな考え方があるんでしょうけれども、そして政府や与党の中でも検討されているという話も伺っておりますが、戦争の影響による沖縄の特殊な事情に着目した財政支援、これを明確にしたものを、例えば特別調整交付金でそういうメニューを設けるなどと検討していただきたいんですが、いかがですか。

吉田政府参考人 委員の御指摘にありましたように、国民健康保険、いろいろな課題を抱えてございますので、現在、国会に関係法律の改正案を提出してございます。国保改革を今進めようとしてございます。

 その中におきまして、平成二十七年度から低所得者対策として約千七百億円の保険者支援制度の拡充、あるいは、平成三十年度以降、子供の多い自治体、あるいは医療費の適正化など取り組みを進める自治体に対するさらに千七百億円の財政支援を実施するということを盛り込んでございます。

 このような毎年三千四百億円の公費の拡充を通じて沖縄の国保の改善も図られるものと思っておりますけれども、引き続き、沖縄の国民健康保険が置かれている状況についても十分に認識を深めて、検討してまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 最後に山口大臣にお伺いいたしますが、特別調整交付金の中で、前期高齢者が少なくなった場合に、それを手当てするメニューというのは現にあるんです。

 これは、東日本大震災に伴う失業者等の一時的な市町村国保への加入により、前期高齢者交付金が一時的に一定以上減少した岩手県、宮城県、福島県の市町村国保に対し、保険料負担の急増を回避しつつ財政運営の安定化を図るため、前期高齢者交付金の一時的減少に伴う負担増加分を財政支援する、こういう制度が今実施されております。

 大臣、宮城県や岩手や福島のような、そういう制度があるじゃないかということで、厚労省や財務省にもかけ合っていただいて、やはり戦争を原因として前期高齢者の加入率が少ないというものに特化した制度をつくるべきだよと声を大にして後押ししていただきたいんですが、いかがですか。

山口国務大臣 ただいま委員御指摘の件につきましては、私も十二分に承知をいたしております。知事さんの方からも御陳情いただいておりますし、南城市長さんの方からもお話はお伺いをしております。

 そこら辺は、先ほど来、厚生労働省の方の答弁にもありましたけれども、一つには、ちょうど国保改革の時期でもございまして、そういう中でということと、今先生御指摘の件もございますので、あわせて、私からもしっかりと厚生労働省の方にお願いをしていきたい、交渉をさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 終わります。

古川委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をしてまいります。

 一部、既に質疑された議員の皆さんと重複する点があるかもしれませんけれども、そこは、確認の意味も含めてお伺いしていきたいと思っています。

 まず最初は、北方領土返還問題ということで数点伺いますけれども、第一番目は、日ロ次官級協議についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 ことしの二月の十二日にモスクワで行われた日ロ外務次官級協議、これが実施をされまして、我が国の方からは杉山審議官、ロシアの方からはモルグロフ外務次官が協議に臨みまして、約七時間にわたっての長い協議があったというふうに承知をしております。これは、ほぼ一年ぶりということで、去年の八月に開催を調整していたけれども、残念ながら、例のウクライナ問題で、我が国の対ロ措置に対して、ロシア側がこれを受けてキャンセルしたんじゃないか、これは報道ベースの話ですけれども。

 いずれにしても、今回、日ロ次官級協議が行われて、協議終了後に、杉山審議官から記者団に対してこのような発言がございました。北方領土問題はかなりの時間をかけ、相当突っ込んだものになった、こう語っておられますけれども、中身については、詳細は知らされていないという状況でございまして、具体的にどのような会談内容であったのか。特に、例えば、プーチン大統領の訪日ですとか、あるいは外務大臣の訪ロについて、そうした協議はなかったのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

中山副大臣 お答え申し上げます。

 昨年十一月の北京での日ロ首脳会談を受けまして、本年の適切な時期にプーチン大統領の訪日を実現するための準備の一環といたしまして、二月十二日、モスクワにおいて、約一年ぶりに日ロ次官級協議が行われました。この機会に二国間関係全般や国際情勢について幅広い議論が行われたことは有意義であったと考えております。

 平和条約締結問題については、二国間関係全般を議論する中で、かなりの時間をかけて率直な議論を行った。事柄の性質上、それ以上具体的な内容をつまびらかにすることは差し控えさせていただければありがたいと考えてございます。

 いずれにしましても、プーチン大統領の訪日及び岸田外務大臣の訪ロについても、次官級協議の中で言及をされておりましたが、具体的な時期について議論をされたわけではございません。これらの日程については、今後、準備状況を勘案しつつ、種々の要素を総合的に考慮して検討していくということになってございます。

稲津委員 残念ながら、中身についてほとんど触れていただけなかったので、私もこれは非常に困りますけれども、ただ、その中で、日程等についてはこれは別として、しかし相当程度の話し合いはできている、そのように受けとめておきたいというふうに思います。

 その上で、今後の北方領土の返還交渉についてということでお伺いをさせていただきたいと思っています。

 二〇一三年の四月の安倍総理とプーチン大統領の会談、それから昨年二月のソチ・オリンピックの開会式に総理が出席されて、二時間余りにわたる会談があった、この時点で、最近では最も日ロの距離が縮まった、そうした感を私も持ちました。しかし、先ほど申し上げましたように、その後のウクライナの問題があって、平和条約締結の道のりは遠のいてしまった、このような見方もございます。こうした中で、今回の一年ぶりの日ロ次官級協議の開催は、これは、北方領土返還に向けて、今後の日ロ間の交渉に改めて光明あり、雪が解け始める、そういうことを期待したい、このように思っております。

 安倍総理も、これまで、北方領土問題について、一日も早く困難な課題を解決し、平和条約を締結したい、次の世代に先送りせず、可能な限り早期に解決を図りたい、このように発言をしております。これは、昨年の衆議院予算委員会で私が質問したことに対して、総理みずからが、自分の総理の就任期間の間にこの問題を解決したい、このように発言された、私はそのように受けとめておりますけれども。

 そうしたことを踏まえて、今後の日ロ間の交渉、北方領土問題解決に向けて外交をどのように進めるのか、極めて難しい問題であり、タイミングも非常に難しいと思いますけれども、しかしながら、この次官級協議で一歩前進したと受けとめておりますので、次はぜひ外務大臣等の積極的な交渉を望みたいと思っておりますので、このことについての見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 日ロ関係における最大の懸案事項であります北方領土問題、これは、七十年たとうとしている今日までも解決しない、大変難しい課題であります。

 そして、委員御指摘のように、今日まで、安倍政権になってからでも八回の首脳会談を行っているわけですが、直近の首脳会談が昨年の十一月の北京APECにおける首脳会談でありました。あの首脳会談において、安倍総理から、今後の平和条約締結交渉に関し、二〇一三年四月の共同声明に基づき進めていくことを中心とする考え方を述べた上で、プーチン大統領との間で率直な意見交換を行いました。

 そして、これを受けて、先ほど御質問いただきました日ロ次官級協議も行われたわけでありますが、ウクライナ問題を平和的に外交的に解決するためにも、日本とロシアの間の政治的な対話は重要だと思っています。そして、加えて、北方領土問題を解決するためにも、そして日ロ関係を我が国の国益に沿う形で進めるためにも、政治的な対話は引き続き、これは大事にしていかなければならないと考えています。

 ぜひ、政治的対話を重ねつつ、北方領土問題におきましても四島の帰属の問題を解決しながら、平和条約を締結するべく、ロシアとの交渉を粘り強く進めていかなければならないと存じます。この政治対話を重視する立場から、先ほどの日ロ次官級協議を初め、さまざまな枠組みでの意思疎通を引き続き続けていきたいと考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 先ほど私が申し上げましたように、これまでにないぐらい日ロ関係というのは非常にいい方向に向かってきているという認識に立っておりました。もちろん、ウクライナの問題がありますから、これはこれでしっかりやらなきゃいけないですけれども。

 しかし、この北方領土問題の解決に向けては、何よりもやはり対話が優先されるだろう、こう思っております。したがいまして、今大臣からも御答弁いただきましたけれども、まさに今が一番粘り強くやらなきゃならないときだ、このように受けとめていただいて、北方領土返還に向けた外交努力をさらに重ねていただきたい、このように強く申し上げておきたいと思います。

 次は、北方領土問題に対する、特に青少年に対する啓発についてということでお伺いしておきたいと思います。

 私は、非常に象徴的な、ショックなことが随分以前にありまして、というのは、北方領土の隣接地域の、原点の地根室に行って、一泊して、朝、ホテルの朝食を食べていましたら、観光客の若い方々がいらっしゃって、そして、朝御飯を食べながらこんな話をしていました。いやあ、ここに来たら外国がすぐ目の前に見えるよね。私はすぐに、いや、あれは違いますよ、あれは我が国固有の領土、北方領土ですよ、こういうふうに申し上げたんですけれども、しかし、そういうことも一部あるというのも現実なのかな。

 したがって、この北方領土問題というのは、本当に国民一人一人の皆さんに広く知っていただかなきゃいけない。特に青少年に対する啓発というのは、これは常にしっかりやっていかなきゃいけない、こう思っております。

 毎年、都道府県で若者層の参加型イベント、北方領土ふれあい広場、こうしたものを軸にして、今、若者、青少年に対するいろいろな啓発運動をやっているというのは承知をしております。大きく分けると、一つは、北方領土隣接地域に青少年が来て、そして、元島民それから地域の方々に直接触れていく。北方領土ふれあい広場とかスピーチコンテストとか、こうした全国各地域で開催する取り組みも含めて、そうした大きな二つの流れがあるというふうに思っております。いずれも精力的に取り組んでいるということで、大変私もこの点については理解をしているんです。

 ただ、一方で、内閣府の北方対策本部が実施をしました平成二十五年度の北方領土に関する特別世論調査の結果を見てみますと、北方領土問題について聞いたことがある、それから問題の内容も知っていると答えた二十代から三十代の方々の割合は、二四%から三四%ぐらいということで、前回の平成二十年度と余り変わっていない。ここはやはりさらなる理解を図ることが必要である、このように思います。

 調査結果にもありますけれども、北方領土問題を認識する、ではその認識媒体は何なんですかということについても、これまで大半は、テレビとかラジオとか学校の授業であった。これはこれで、これからもどんどんやっていかなきゃいけないと思っています。しかし、昨今のIT時代の環境変化を考えると、例えばホームページ、スマホ、ソーシャル・ネットワーク・サービス、こうしたことも広く活用することが大事だろうと思っています。

 これらの媒体の活用と、啓発事業全体の今後の取り組みについて、その考え方をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 稲津先生御指摘のとおりだと思います。

 これは、一つには、北方領土の返還要求運動の主要な担い手が高齢化が進み、同時に、先ほど御指摘をいただきましたように、世論調査を見ても、やはり若い皆様方の認識、これは啓発活動が大変重要であるというふうに考えております。

 具体的な取り組みとしては、若い世代に対する広報啓発として、イメージキャラクターであるエリカちゃん、これはいろいろなところで活用させていただいておりますが、とりわけフェイスブックとツイッター、御指摘のSNSですね、そういったものを通じて、さまざまな形での動画とか、あるいは学習コンテンツの配信、あるいはクイズ形式の配信もさせていただいておりまして、親しみやすくわかりやすい広報を今行っておるところであります。

 また、これも委員からお話がありましたが、参加型イベントとして、北方領土ふれあい広場、これも、実は先般私も参加をさせていただいたわけでありますが、できるだけ若い皆様方にお声かけをして、同時に、例えば大型店とか人が集まりやすいところでそういったイベントをやるというふうなこともやらせていただいております。

 また、戦後七十年というふうな節目の年であるということを踏まえて、戦後七十年北方領土を考えるつどい、まだ仮称でありますが、元島民の方々とともに、根室市を初めとする北方領土隣接地域に全国各地から若い世代や返還運動関係者にお集まりをいただいてアピール行動を実施するための経費を二十七年度予算案に計上させていただいておるわけでございます。

 いずれにしても、今後とも引き続いて、いろいろな機会、あらゆる手段等を捉えながら、若い世代の北方領土問題への認識を高めるための啓発あるいは教育の充実に一層力を入れてまいりたいと考えております。

稲津委員 ぜひお取り組みをお願いしたいと思います。

 戦後七十年という節目、それから、元島民も、もう御存じのとおり、半数程度になりまして七千人、しかも、平均年齢も八十歳、そういうことを考えていきますと、もう三世代目に入って、あるいは四世代目に入ろうとしているという状況ですから、ぜひこれらの啓発運動にしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、これは沖縄の沖縄科学技術大学院大学、いわゆるOISTについてお伺いしたいと思います。

 沖縄において世界最高水準の教育研究を行うということで、沖縄の振興と自立的発展、それから、世界の科学技術の向上に資することを目的に、沖縄科学技術大学院大学学園法という法律が平成二十一年の七月に成案になりまして、その後、平成二十三年に学校法人設立、翌年の二十四年九月に開学、現在は、教員五十名、四十の国・地域から三百八十七名が研究に従事をしている、今のところ、これは一期生から三期生までということで、合わせて七十九名の学生が在籍している、このように報告を受けました。

 世界的にも新しい形の大学で、カリフォルニア工科大学がモデルと聞いていますが、まさに沖縄振興と科学技術の発展に大きく寄与するもの、このように期待をしております。

 平成二十七年度の予算、これは補助金ということで、運営費補助、運営費に百五十六億六千万、施設整備費十億六千万、合計で百六十七億三千万円ということで、大きな額の予算も計上されている。

 きょうここで私が議題にしたいのは、まだ成果を問うような時期じゃないですけれども、そこのところに少し着目したいと思っているんです。

 この法案が審議された折に、結果として修正案が提案されまして、その中で特に注目したいのは、三条の二項に、「学園は、経営内容に関する情報の公開を徹底することにより、業務の運営における透明性を確保するよう努めなければならない。」こうあります。もう一つ、十四条、ここに、「国は、この法律の施行後十年を目途として、学園に対する国の財政支援の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と、いわゆる検討事項を設けております。

 そこでお伺いするんですけれども、業務の運営における透明性の確保はどう図っているのかということ。

 そして、国は、毎年度、この大学、本学の事業計画を認可して、そして年度予算を出している、こういうふうに聞いております。もちろん、適正化は十分図られているというふうに思っておりますが、財政支援のあり方について、法律の施行後十年を目途にして検討するというのがあるんですけれども、私は、十年では余りにも期間が長過ぎるんじゃないかと。法律のたてつけはともかくとしまして、一期生から五期生までが入学して卒業する、いわゆる、よく学校で言う完成年度というんですか、そのくらいを目途にして中間的な検討を行ってはどうか、このように思っておりますが、この点についてお伺いしたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄科学技術大学院大学学園法におきましては、先生御指摘のように、学園の業務に要します経費につきまして二分の一を超えて補助することができる旨規定をされておりますけれども、同法の附則におきまして、法施行後十年を、これは平成三十三年になりますけれども、目途に、「学園に対する国の財政支援の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」とされているところでございます。今先生御指摘のように、この附則の規定は衆議院における修正により追加されたものでございます。

 したがいまして、法律に基づく見直しは法施行後十年、平成三十三年、二〇二一年ということになるわけでございますけれども、これ以前におきましても、当然、我々、必要に応じまして、OISTのあり方に係る検証は適時適切に行われていくべきものと認識しているところでございます。

 具体的には、現状におきましては、学園は、法律に基づきまして毎年度事業計画を策定し、内閣総理大臣の認可を受けることとされておりまして、内閣府は、この認可に当たりまして、あるいは定例の協議会等の機会を通じましてOISTの現状を把握しまして、OISTに対して所要の意見を述べているところでございます。

 また、内閣府におきましては、OISTの諸課題につきまして、特命担当大臣が指名いたします有識者から成ります検討会を設けておりまして、そこで多角的に意見を聴取いたしまして、OISTの取り組みに係る検証を踏まえつつ、当該知見を予算要求や事業計画の認可等の行政運営に活用しているというところでございます。

 さらに、ことしの夏ですけれども、今先生御指摘になりました二十七年度予算案におきまして、いわゆる規模拡大というものの一歩を踏み出すということにしておりますが、これに際しまして、通常の教員の評価に加えまして、OISTの研究、教育、運営全般にわたりまして、外部の有識者、これはOISTとは一応関係ない、第三者的な立場の、高名な世界レベルの学者にお願いすることを考えておりますけれども、こういった方によります、いわゆるピアレビューというものを行いまして、OISTの研究、教育、運営全般にわたった評価を行うこととしております。ことしの夏を予定してございます。

 こうした各種の手法を通じまして、外部資金の獲得の努力をさらに促しながら、外部資金の状況や見通しも総合的に踏まえながら、財政支援を含みますOISTのあり方について、引き続き不断の検証を続けてまいりたいと考えておりまして、十年たつまでは何もしないということではなくて、日常からやってまいりたいと考えているところでございます。

 また、その透明性ということにつきましても、今申し上げました諸種の機会を通じましてOISTから情報を収集しておりますし、必要なものは公表しているというところでございます。

稲津委員 時間になりましたので、終わります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

古川委員長 次に、宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、委員長初め理事各位の皆さん、本当にありがとうございます。

 私は、きょう、ブラウンリボンバッジをつけてまいりました。先ほど鈴木貴子さんの質問の中にも出てまいりました。この委員会は、沖縄の問題、そして北方問題を扱う場でございます。北方領土問題は必ず解決するんだと。実は、北方領土、北海道から最も距離が遠い日本の地域は私たちの沖縄であります。物理的な距離は遠いけれども、心の距離は近い、心の距離が遠いわけじゃない。私たちの沖縄でも、北方問題に一生懸命取り組んでいる、北対協でいろいろお手伝いをされている先輩方、私たちの仲間もたくさんおられます。きょうは、そういう思いも込めてこの委員会で質疑をさせていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、平成二十七年度の沖縄振興予算についてお伺いをしたいと思っております。

 平成二十七年度の沖縄振興予算三千三百四十億、昨年度比で百六十二億円の減額ということになっております。この積み上げをしていくに当たっての、策定の経緯、概要、減額の理由などについて、まず御説明いただきたいと思います。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたように、平成二十七年度沖縄振興予算につきましては、沖縄振興特別措置法に基づきまして、沖縄が日本のフロントランナーとして経済再生の牽引役となるように、国家戦略として沖縄振興策を総合的、積極的に進めるという観点から、総額で三千三百四十億円の予算を計上しているという状況にございます。

 お話ございましたが、総額では対前年度比で百六十二億円の減ということになっておりますが、これは主なものとして、一括交付金におきまして繰り越しあるいは不用などの存在があったことなどを踏まえて計上したものでございまして、大変厳しい財政事情のもとではございますが、必要な振興予算額を一つ一つ積み上げまして、その結果といたしまして三千三百四十億になった、計上することができたということでございます。

宮崎(政)委員 大臣の所信の中にもあるわけでありますが、必要な額を積み上げていったという御説明になるわけです。この点、少し丁寧に経緯を御説明いただいた方がいいのではないかというふうに思っております。

 昨年十一月の県知事選挙を受けて、この予算の策定に対して、県内では、私は正しいとは思っていないけれども、さまざまな意見があって、例えば、沖縄をいじめているんじゃないかみたいなことを書く言論なんかもあるわけですね。

 沖縄県民に対して丁寧な説明をしていくと総理も再三御発言をいただいているところでございます。予算でありますから、必要な額をしっかりと積み上げていただいたということはよくわかるところでありますが、経緯なども含めて、大臣の方からもう少し補足をしていただければと思います。

山口国務大臣 お答えをさせていただきます。

 平成二十七年度の予算編成におきましては、概算要求の時期とは、実は次第次第に状況が厳しくなってきたといいますか、とりわけ消費税の一〇%上げを先送りにしたということもこれありで、非常に厳しい財政状況の中での予算編成というふうなことになったわけであります。同時に、いわゆる地方創生、人口減対策としての、一つは子育て支援、これはもうどうしてもやるというふうな大きな方針が出た中での事実上の予算編成というふうなことになったわけでございます。しかも、あの当時、各マスコミからは、三千百ぐらいじゃないかとか、三千を切るんじゃないかみたいな報道もございました。

 私も、これは非常に大変だというふうな中で、自民党の沖縄選出のそれぞれ各先生方からも御要請を受けたり、あるいはまた公明党さんの方のお話も聞かせていただいたり、御支援もいただいたりする中で、実は、一月九日、もう大詰めに近づいておったわけでありますが、私の方から麻生財務大臣に対しましても、ともかく所要の予算の確保についての申し入れを行ったところでございまして、そうした中で積み上げていっていただいた。あの当時、財務省も非常にリーズナブルな反応をいただいた、きちっきちっと、いわゆる普通の査定のあり方の中で議論をさせていただいたというふうなことでございました。

 予算額に関しましては、対前年度減額というふうなことになりましたけれども、沖縄振興特別措置法に基づいて沖縄振興策を推進するための所要額は確保できたものと考えておりますし、同時に、閣議決定の後に、沖縄県知事さん、新知事さんにもお目にかかったわけでございますが、所要額を確保していただいたということで、むしろお礼のお言葉をいただいたというふうなこともございます。

 いずれにしても、こうした予算を活用しながら、今後とも沖縄振興を総合的、積極的に推進してまいりたいと考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。今みたいな形で、予算の策定の経緯につきましてもしっかりと認識がいただけるような形でやってまいりたいというふうに思っておりますし、また、こういう小さいことも一つ一つ積み重ねて理解を得ていくということは、いろいろな意味での政策の遂行に重要なことだと私は思っております。

 予算の中身について、少し踏み込んでお聞きをしたいというふうに思っております。

 観光・リゾート産業についても大臣所信の中で触れていただいているところでございます。昨年、暦年で沖縄は観光入域客数が七百万人を超えました。過去最高というふうになっているわけであります。

 そうしますと、それに伴うインフラの整備というのがどうしても必要になってくる。これは、ほとんどの方が飛行機で沖縄に入ってきていただいているわけでございまして、今の恒常的に遅延が発生してしまう那覇空港の状況を何としても改善しないといけない。

 この第二滑走路の要望というのは実はもう随分古くから沖縄側から出しているところでありますけれども、第二滑走路の予算をしっかりとつけていただいて、これを前に進めないと、観光振興をどんどんどんどんやっていっているけれども、沖縄に行きたいけれども飛行機に乗れなかったよ、沖縄に来られなかったよ、こういう話にもなってしまうということでございます。

 まず、この完成まで毎年所要の予算をしっかりとつけていくということについて、大臣の御所見をいただきたいと思います。

山口国務大臣 ただいま宮崎先生からも御指摘をいただきましたように、観光客はもちろんのこと、やはり、いわゆる物流拠点基地としても今非常に貨物量もふえつつありますし、同時に、そこでいわゆる飛行機の整備等もあわせてやりたいというような話等々も出てきております。これはしっかりとやっていく必要があるというふうなことで、今回も予算を確保できました。まだ成立はしておりませんが。一生懸命、予定どおり完成を見ますように努めていきたいと考えております。

宮崎(政)委員 この中で、先ほど大臣の御答弁の中にも、翁長新知事との間での予算に関しての言葉の交わしがあったというようなお話がありました。実は、那覇空港の第二滑走路の中では、もうこの予算については、翁長県政の与党の中では、那覇空港の第二滑走路は不要だというふうに唱えている政党も与党を構成されているというような実情にあります。

 この点に関して、国がそこで予算をつけていったけれども、結局、新県政のもとで要らないというような話になってしまうんだったら意味がないわけでありまして、当然、そこにどういう対応をされるんだろうということで、大臣と翁長新知事との間でいろいろなやりとりがあったんではないかと推察をいたしますけれども、このあたりの、那覇空港の第二滑走路予算づけについての経緯について、大臣の御説明をいただきたいと思います。

山口国務大臣 御指摘の翁長知事との話し合い等のことでございますけれども、これは昨年の十二月、翁長知事さんが新たに就任をされて上京されたという中で、とりわけ予算編成に向けての大事な時期でございましたので、私は翁長知事ともお目にかかりました。

 その中で、これまでの、前県政のときにつくられた沖縄県二十一世紀ビジョン、これを踏まえた上でしっかりおやりになるのかどうか、あるいは大きな方向転換があるのかどうかというふうなお話が一つと、今委員御指摘いただきましたように、沖縄の滑走路の拡張問題についても御指摘のようなお話もございましたので、知事としてはどういうふうにお考えになっておられるのかというふうなお話もいたしました。

 知事からは、しっかりこの件についてはやりたいというふうな、はっきりしたお話がございましたので、私としても、それでは一生懸命私ども頑張りますので、知事も御努力をお願いいたしたいというふうなことでお話をしたわけでございます。

 たしか、県議会におきましても、知事の方からは、那覇空港については沖縄の経済を開くための成長のエンジンというふうに位置づけており、滑走路増設事業を推進する旨の発言があったというふうに聞いております。

 また、一月にお目にかかった折にも、特に滑走路増設事業につきましても、知事さんの方からはお礼の発言をいただいたというふうなことでありますので、私どもとしても、引き続き、平成二十五年十二月の三大臣合意に基づいて、必要な予算を確保しつつ、平成三十一年度末の供用開始に向けてしっかりと事業を進めてまいりたいと考えております。

宮崎(政)委員 こういう形で、必要なことについてはしっかりと協議をして進めていく、確認もさせていただく、これが必要な姿勢じゃないかと思っていますし、こういうことをしっかりやっているんですね。一つ一つの積み上げをやっていっているということをしっかりと皆さんに御理解いただけるような形で進めていく必要があるなと私は思っております。

 さて、空の足という観点で一つだけ御指摘を申し上げますと、実は、スカイマークが撤退をするということになっております。那覇―宮古、那覇―石垣路線から撤退をしていくというふうなことになります。スカイマークが参入をして、この二路線については航空運賃がぐんと下がった。しかしながら、これも自由競争のところですから、出ていってしまうとまた競争原理が働かないということになってまいりますと、ここでまた値段が上がっていっちゃう、倍になっちゃうんじゃないかというふうな話もあるぐらいのところであります。

 ここのところは、当然、県の方でも、一括交付金を活用するというふうな形での交通コストの負担軽減事業などがあると聞いておりますけれども、政府の方からも、この点はしっかりと支援をしていただきたいというふうに思っておるところでございます。

 次に、今の観光の関連で少しお話をしたいと思っています。

 観光について、沖縄に観光に来るといったときに、普通、皆さんはどんなことを思い浮かべるのか。青い空、青い海、白い砂浜みたいな形で、美ら海水族館というのがあるぐらいでありますけれども、美ら海ときれいな空、こういうのをまずイメージされる方が多いと思う。赤瓦の沖縄の古い民家のつくりみたいなものもイメージをされる方がおられる。よくイメージしていただくと、実はこれ、晴れている日の日中みたいなものがついイメージに浮かんでくるんですね。沖縄観光の資源というのは、実はたくさんある。芸能があったり、いろいろなものがあるんだけれども、ぱっとイメージすると、晴天の日中みたいなものがイメージの中心になってくる。

 実は、観光振興というものをもっともっとふやしていくということになると、当然、三百六十五日晴れているわけじゃありませんから、雨の日だって曇りの日だって沖縄に来たら楽しめる、昼だけじゃなく夜だって楽しめる、こんなようなことがなければいけない。もっと言えば、一年じゅういつ来ても楽しめる、こんなことも必要なんじゃないかというふうに思うわけであります。

 仮に雨が降っても楽しめるという状況になれば、沖縄に来ようという人が二月先、三月先の、天候を気にしなくても予約を入れていただけるような状況になってくるわけです。

 実は、なかなかこういうのが弱かった。実は、きょうの沖縄の新聞では、朝刊の一面で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、USJが沖縄への進出を決めたというか、その基礎検討に入るということを表明していただいたことを大きく報道している。こういうコンテンツも非常に重要だと思います。

 今、何があるのか。美ら海水族館はもちろんあります。実は、今、那覇市に、前に百貨店だった建物、百貨店さんが撤退をされた後の建物に、吉本興業さんがそこを使って、大きな、例えば、そこで寄席というんでしょうか、お笑いのステージをやったりしている。それとか、お化け屋敷みたいなものをつくっている。

 お化け屋敷なので、余り中身を言っちゃいけないのかもしれないですけれども、エレベーターに乗ってスリーフロアぐらい上まで行って、おりたら、もうそこは真っ暗なんですね。そこから階をおりていくような形で、スリーフロアがお化け屋敷になっているというようなものなんです。どうも芸人さんとかが一生懸命お化けの役をやったりとかして、そこにはキジムナーとか、沖縄で昔からいるいろいろな妖精とか、そういうものも入れたりして、沖縄の文化も取り入れたりしている。

 これはなかなかすばらしいなと思うんです。何がすばらしいなと思うのは、お化け屋敷なので言葉が要らないんですね。結局、外国から来るお客さんが日本語がわからなかったとしても、その場を楽しむことができる。つまり、インバウンド戦略というんでしょうか、いろいろなところから沖縄に来ていただくのに観光資源として非常に有益である。

 もっと言えば、これはパッケージにして売り出していくみたいなことであれば、外国で、こういう、例えば沖縄の、いや、日本のいろいろなさまざまな文化を融合した形で、パックで外に売り出していくということであれば、クールジャパン戦略の中でもこういうものも活用できるんじゃないかなんというふうに思ったりもするわけであります。

 来週の水曜日は沖縄国際映画祭というものも始まります。三月二十五日から五日間。こういう形で、芸能や文化にかかわるコンテンツは沖縄には実はたくさんある。こういう形で、これまでにない観光戦略というものも打ち出していかないといけないんじゃないかと思うんですね。

 よく、沖縄は、東アジアの玄関口だとか、日本のフロントランナーとして日本経済を牽引していくんだというふうに言うんですけれども、どうも形だけ。もっと掘り下げた形で、新しい目線で沖縄を活用できないかなと私はよく思うんです。

 きょうは、沖縄を担当していただいている平副大臣、クールジャパン戦略も担当されておられるし、たしか、私も弁護士なのでやっていますが、知財も平副大臣はやっていらっしゃると思うので、こういうことも含めて、沖縄の将来、大きく活用していくための副大臣の所見などをいただきたいと思います。

平副大臣 今、宮崎先生に御紹介いただきましたけれども、クールジャパン、また沖縄の振興も担当していますし、また地方創生も今担当させていただいております。

 大きな文脈からいくと、クールジャパンは、日本の価値を世界に発信し、世界じゅうに日本のファンをふやし、そしてその人たちが今度はまたインバウンドで来てもらうという好循環をつくる政策だというふうに思います。

 そういった中で、沖縄国際映画祭、私も今回視察にお邪魔させていただきたいと思っていますが、沖縄独自のコンテンツをつくって世界に発信をしていく。また、そのイベント自体がいろいろな、アジアから人を集めてくるという効果があろうかというふうに思っております。

 きょうの新聞でもUSJの話が出ました。今、新たにホテルに投資をして一番利回りがとれる、見込めるところは、日本国じゅうで実はディズニーランドのそばとUSJなんです。そのぐらいの磁石がある。それで、そのUSJも、これは記者会見ですからどうなるかわかりませんが、USJというのは、実は、デジモンとか進撃の巨人とか、日本のコンテンツをかなり取り入れてやっていて、沖縄で展開をする際は、何か沖縄的な、沖縄の文化の発信みたいなことも言っていました。

 そういった意味からも、沖縄はそもそも自然とか文化、伝統のところで大変な磁力を持った観光地でありますが、さらに今さまざまな取り組みもされている新たなコンテンツについては、国としてもしっかり、クールジャパン政策の文脈の中で、また沖縄振興の文脈の中で御協力をしたいと思いますし、それが沖縄の魅力となってまた世界に発信されることを期待したいと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 古典的な、トラディショナルな沖縄の魅力というものも多くのニーズがありますので大切、だけれども、新しく前を向いていく、こういうのは重要だなと私は思うんですね。

 例えば、外出しをしていくなんというときに、アジアの国々には、日本のアニメのアニソンをいっぱい歌える若い子というのはいっぱいいるんですね。日本語は全然しゃべれないけれども、アニソンを歌わせたら本当に日本人が歌っているような歌を歌う若い子というのはたくさんアジアの国にいる。

 そういうところで関心が非常に高い日本のさまざまな、ポップカルチャーとかも含めて、伝統的なるものと、もう一つ付加した形でのもの、こういうところにも実は沖縄というのは貢献できる素地があるなと思っておりますので、ぜひこういう視点もこれからの沖縄振興政策の中には強く付加していただきたいなと思っているところでございます。

 さて、次に、社会資本の整備についてお伺いしたいと思います。先ほど空港の話を少しいたしましたけれども、道路の問題についてお伺いしたいと思っています。

 沖縄の場合は、南北を結ぶ幹線道路、これは二本でありまして、その一つの重要な、西海岸側を走っております国道五十八号線の整備であります。

 この国道五十八号線の浦添市地域は、九州で最も交通渋滞が激しい場所であります。二月二日から、バスレーン、一番歩道に近い側の車線をバスや実車タクシーの専用として、一般車両が通行できないような形にして、公共交通機関であるところのバスが定時定速運行ができるようにしようというような交通規制でありますけれども、朝夕のバスレーンの区間を延長いたしました。宜野湾市の伊佐というところから那覇市の久茂地というところまでの区間を、八・八キロあったものを十・四キロに、一部抜けていたところを足していった、それは主として浦添のところを足していきました。

 実は、バスレーンが延びたらいいんじゃないかなと思いますけれども、実際、そうでもありません。浦添商工会議所の方からは、事前にこれに反対する意見が出されておりました。私も、これは実はどうなのかなというふうに思っていました。

 結局、何を危惧していたかというと、朝の通勤の時間帯、帰りの帰宅の時間帯、ずっとバスレーンでとめられてしまうということになると、特に朝の、要するに那覇向けに来る通勤車両が、五十八号を通れないので、中に入っていってしまうんです。

 中に入っていってしまうと、生活道路を通勤車両がどんどん通っていくということになる。実際、浦添市の北側の方から牧港、港川、城間、屋富祖、宮城、仲西、勢理客、こういうふうに続いていくんですけれども、この地域では、計測もいたしました。計測もしたところ、やはり朝の時間帯に生活道路に一般車両がどんどん入ってくる。そして、ちょうどこの時間帯というのは、小学生が学校に行く登校の時間ともばっちり重なっているという実情があるわけであります。

 結局、五十八号線の交通渋滞の解消をしようと考えたら、道をもう一本つくるしか実は方法はないんですね。このための抜本的な道路整備、今、よく西海岸、西海岸というふうに言いますけれども、臨港道路浦添線、浦添港川道路、沖縄西海岸道路、浦添北道路というんですけれども、この整備が非常に急務である。当然、ここにはキャンプ・キンザーという広大な米軍の施設があることによって、さまざまな道路建設が妨げられている。そのキャンプ・キンザーの反対側、海側の方をばっと整備していく形で国道五十八号線の整備を進めていきたいというようなことが地元の非常に大きな要望であります。

 市民生活においても経済活動においても大きな制約になっている、この西海岸道路の早期整備、これは全力で進めていきたいというふうに考えておりますが、大臣のこの点に関する御所見をいただきたいと思っております。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の西海岸道路、読谷村から糸満まで、沖縄本島西海岸沿いの拠点を連絡する大変重要な道路でございますけれども、これは、那覇都市圏を初めといたします交通渋滞の緩和ですとか、空港、港、観光地などへのアクセス向上等に非常に大きな役割を果たすだろうと期待しておりまして、大変重要な道路だと我々も認識をしているところでございます。

 現在の状況でございますけれども、既に全線開通しております那覇西道路などの複数の道路事業がございますけれども、全体といたしましては、西海岸道路五十キロのうち十三キロが開通をしているというのが現状でございます。

 現在は、そういった中で、豊見城道路全線四キロの平成二十七年度中の四車線化及び糸満道路全線三・四キロの平成二十八年度中の四車線化を目指した整備などを推進しているところでございますが、我々内閣府といたしましては、今後とも、西海岸道路の整備が着実に進められますように、必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと思っているところでございます。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 続きまして、普天間飛行場の危険性除去の問題に進みたいと思います。

 これは、県民の悲願、何としても住宅地にある普天間飛行場の危険性の除去をしなければいけない。私自身も、一昨年、平成二十五年の十一月二十六日に、官邸に菅官房長官を訪ねまして、安倍総理宛ての要請をさせていただきました。その第一項目は、普天間飛行場の返還を日米両政府合意の統合計画の期限よりも早めてもらわなければいけないということであります。

 まずお聞きをしたいのは、普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとして、仲井真知事と安倍総理で約束をした四項目の事項がございます。この中でも、特に普天間飛行場の五年以内の運用停止について、これまでの政府の取り組み状況を御説明いただきたいと思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 御質問の件でございますが、一昨年の十二月の沖縄政策協議会において要請のあった四項目については、おっしゃった仲井真前知事から強い要請を受け、政府として全力で取り組んでおります。引き続き、相手のあることでございますが、できることは全て行うというのが政府の基本方針でございます。沖縄の負担軽減は安倍政権の重要課題でございますので、昨年の十月の日米共同発表のもと、米国側と協議をしつつ、取り組んでまいりたいと思っています。

 また、沖縄の基地負担の軽減は、翁長沖縄県知事を含む全国の知事の協力があって初めて実現するものと思っております。普天間飛行場の五年以内の運航停止についても同様であると認識をしております。

 いずれにせよ、沖縄の負担軽減は、先ほど申し上げた安倍政権の重要課題でございますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 翁長新知事は、普天間飛行場の辺野古移設に対しては反対をしている。その姿勢の中で、今、副大臣のお話の中で、協力があって初めて実現するものだというふうなお話がありました。私は、この普天間飛行場は、九万六千名の宜野湾市民のみならず、やはり多くの皆さんの命にかかわる問題だと思っています。ですから、協力を得て、しっかりとこの問題は、解決、実現を果たさなければいけないと思っています。

 取り組みの中で、例えば、普天間飛行場に配備をされていたKC130空中給油機を岩国に移駐していただいているというようなことも知っているところであります。一つ一つ進めていく。これは、前のときに、二〇一九年の二月までにというふうな期限の話もあったこの普天間五年以内の運用停止の件でございます。協力を得て、約束をしっかりと実現をするという形に持っていっていただきたい。私たちも、そのためには汗をかいて、全力でその実現を果たさなければいけないものだとまた強く思っているところでございます。

 さて、目に見える形でさまざまな成果を上げていく、そのことによって日本の安全保障がしっかりと守られ、軍事的な合理性だけではなくて、地域がこれを支える、持続可能性も維持できるようになる、それが安全保障の基本的な原理だと思っています。

 目に見える形でのエポックメーキングという意味でいいますと、キャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区がこの三月末日をもって返還をされます。四月四日の日には返還記念のセレモニーが行われまして、約五十二ヘクタールでありますけれども、これから、日米両政府の統合計画で合意をされた千四十八ヘクタールに及ぶ沖縄の基地返還について大きな一歩をしるしていくということになるわけでございます。

 今回、この通常国会の中で、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法、いわゆる跡地法、跡地法と我々は言っておりますけれども、この跡地法の改正をお願いしているところであります。私も、一年前、昨年の三月十二日のこの委員会で質問に立たせていただいて、この法改正を何としてもお願いしたいということで訴えをさせていただきました。

 きょうは、沖縄県軍用地等地主会連合会の役員の皆さんも、何としても年度内にこの法案を成立してほしいということで、東京に上がってきていただいております。真喜志会長、又吉副会長、伊芸副会長、きょう、実は、この委員会の質疑も傍聴していただいておるところでございまして、地元からも、東京に上がってでもとにかくこの思いを果たしたいという強い思いがございます。

 今回、この法案の中で改正をしてほしい、地元から変えてほしいと言っていることは、大きく言って二つあるんです。まず一つは期間の延長、そしてもう一つは対象面積のことであります。

 まず、期間の延長をどうしてもしてもらいたい。実は、この跡地法において、さまざまな制度、利点を活用するためには、地方自治体において特定事業の見通しを立てることが前提となって公共用地の先行取得があって、その際に、譲渡をした方の所得控除が適用されるということになるわけでありますが、地権者であるとか関係者であるとか地域の皆さんの了解を得た上で特定事業の見通しを策定するというのはやはり時間がかかるわけでありますね。

 実は、西普天間住宅地区の返還時期が明らかになってからこの三月末までは二年しかない。こういう、時間が短いという事情があります。

 また、面積要件。これは、法令、そして法令を受けた条例を受けて、百平米以上が法の適用対象に、先行取得の適用対象になっていくというふうになっております。そうなると、これを譲渡して、譲渡の対価を得た地主さんなどが課税に対して優遇措置を受けて、それによって土地の集約、公共用地の、必要用地の取得ということができるわけであります。

 ところが、実は、沖縄の軍用地の中では、大きな面積の地主さんばかりがたくさんいるという事情は全くございません。

 特に、この西普天間住宅地区は、伊佐浜地区といいまして、宜野湾村伊佐浜というところであったわけですけれども、戦後、沖縄で最も肥沃で美しい田園地帯を形成していたという場所であります。そして、この地域には、喜友名、新城、安仁屋、普天間、四つの字があります。特に、この一つの喜友名という字は傾斜地が多いんですね。ですから、昔、ここが米軍に接収される前は、苗代とか苗床でこの土地を使っておられる方が多かった。だから、全体で、西普天間住宅地区は六百六十二名の地権者の方がおられるんですけれども、百平米未満の方が百九十三名。実は三分の一の人が百平米未満になっている。

 だから、こういう方に対しても、しっかりと合意が成立できるような場をつくらないといけないし、そのためのいろいろな措置をとっていかないと、この制度は実現できないというのが実際であります。

 これは、こういう歴史的な経緯も踏まえておりますので、多くの皆様に御賛同いただきたいと思っておりますが、まず、この法案の成立に向けての大臣の御決意をいただきたいと思うんです。

山口国務大臣 いろいろとお話を賜りまして、本当にありがとうございます。

 今回の制度改正は、地元の沖縄県、あるいは関係市町村、そして地権者の皆様方の大変強い御要請を受けて、跡地利用特措法の一部改正を行うものでございます。

 特に、今月末に返還される西普天間住宅地区、私も拝見をしてまいりましたけれども、これがいわば今後の跡地利用のまさにモデルとなるものでありまして、これをしっかりと進めていくためにも今回の制度改正が不可欠というふうに考えております。

 駐留軍用地の跡地利用というのは、先ほども御議論させていただきましたけれども、沖縄振興にとって極めて重要な課題であるというふうな認識のもとに、しっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 内容面においても、高度医療施設の導入、そして琉球大学医学部附属病院の移設、教育機関の整備などなどございます。これは昨年の六月に閣議決定していただいた骨太の方針二〇一四にも、この点は沖縄振興として書いていただいております。私も、党の会議で強く申し上げて、加筆を欄外にしていただいたという経緯もございますので、ぜひ内容面でもしっかりと整備をしていただきたいと思っております。

 最後でありますが、きょう、地主会の役員の皆様も来ていただいている。私も、会期中も週末ごとに地元に帰って、多くの皆さんと膝詰めでお話をさせていただいている中で、やはりこの返還の作業は、地元の人間が、地権者はもちろん、地権者でなくても、地域の人たち全てが、やはりこれは返ってきてよかったな、本当に返ってきてよかったと思える作業をしないといけないし、それこそが政治の責務だと思うんです。

 地元で地主のおじいちゃんとかおばあちゃんとかと話をしていて、実際どんな話になるか。先生よ、これ、返ってくる返ってくるというけれども、生活はどうなる、私たちの生活、俺の生活は大丈夫かというふうに心配される方が非常に多いんです。

 実は、軍用地料といって、多くの地料をもらっている人というのは余りいません。年間百万円、二百万円。実は四割近くの方が三百万円に満たないぐらいの地料で、それで細々と暮らしている、もしくはそれと年金を足して暮らしているという方が多いんです。

 戦後七十年であります。多くの地権者の方も年を重ねられたわけであります。私は、さまざまな歴史的な経緯があって、自分の土地に住みたいと思ったけれども、そこに住むことができなくて、それを軍用地として提供して、七十年たって今返ってくる、政府も取り組んであれも返ってくる、これも返ってくるという話になったときに、地権者の人が、大丈夫なのか、自分の暮らしが大丈夫なのかと心配をしてしまうというのは、これは全くもっておかしい事態だと思うんです。だから、私も聞かれたら、おじいもおばあも心配するな、大丈夫、暮らしは俺が保障するからもう心配するなということを必ず言うようにしています。無責任じゃなくて、私は、自分の一身の身をもって、やはりこの人たちの暮らしを守らないといけない、そういうふうに思っています。

 山口大臣が沖縄政策を担当している大臣であられますので、こういった地元の声も含めて、さまざまな沖縄政策、これから、こういう地権者の声も含めたことを踏まえた地域づくり、国土づくりをしていただくことをお願いして、最後に大臣のお言葉をいただいて終わりたいと思います。

山口国務大臣 確かに御指摘のとおり、やはり生活ということが非常に大事でございまして、跡地利用特措法、これは、第三条の基本理念におきまして、駐留軍用地は、沖縄県の自立的な発展のための基盤として、「その有効かつ適切な利用が推進されなければならない。」とするとともに、この跡地利用の推進に当たっては、「土地の返還を受けた所有者等の生活の安定が図られるよう必要な配慮がなされるものとする。」というふうなことになっております。これはもう御案内のとおりです。

 そういったことで、地権者の皆様方の負担軽減のために、土地の利用収益ができるまでの間の給付金の支給制度も設けられておるわけであります。

 ただいま委員からも御指摘をいただきました地権者の皆さん方の思いにつきましては、しっかりと受けとめさせていただいて、これから跡地利用の振興に取り組んでまいりたいと考えております。

宮崎(政)委員 生活の安定の御配慮をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古川委員長 次に、内閣提出、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山口沖縄及び北方対策担当大臣。

    ―――――――――――――

 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山口国務大臣 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 沖縄県において、駐留軍用地の跡地利用は今後の沖縄振興を考える上で非常に重要な課題です。このため、本年三月末に返還が予定されるキャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区を初め、今後返還が見込まれる駐留軍用地について、現行の駐留軍用地内の土地の先行取得に加え、必要な場合には返還後も引き続き地方公共団体等による土地の先行取得が可能となるよう、内閣総理大臣による特定駐留軍用地跡地の指定及び特定駐留軍用地跡地内の土地の買い取りの協議等に関する制度を創設することとする本法律案を提出する次第でございます。

 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、内閣総理大臣は、沖縄県知事の申し出に基づき、アメリカ合衆国から返還されることにより特定駐留軍用地でなくなると見込まれる土地であって、その跡地の利用の推進に必要な公共用地を確保するためその区域内における公有地の計画的な拡大が引き続き必要と認められるものを特定駐留軍用地跡地として指定することとしております。

 第二に、特定駐留軍用地跡地内の土地につきまして、現行の駐留軍用地内の土地の先行取得と同様、土地の所有者からの届け出等に基づき買い取りの協議を行うこと等としております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 本法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

古川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十日金曜日午前八時三十分理事会、午前八時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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