衆議院

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第4号 平成27年3月20日(金曜日)

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平成二十七年三月二十日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 古川 元久君

   理事 今津  寛君 理事 櫻田 義孝君

   理事 武部  新君 理事 比嘉奈津美君

   理事 宮腰 光寛君 理事 鷲尾英一郎君

   理事 下地 幹郎君 理事 稲津  久君

      秋元  司君    伊東 良孝君

      尾身 朝子君    國場幸之助君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      中谷 真一君    堀井  学君

      宮崎 政久君    山口 泰明君

      渡辺 孝一君    鈴木 貴子君

      横路 孝弘君   松木けんこう君

      遠山 清彦君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 山口 俊一君

   内閣府副大臣       平  将明君

   防衛副大臣        左藤  章君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   外務大臣政務官      宇都 隆史君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   関  博之君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  石原 一彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   衆議院調査局第一特別調査室長           古田 義祐君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     佐田玄一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官関博之君、内閣府沖縄振興局長石原一彦君、外務省北米局長冨田浩司君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君及び防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。比嘉奈津美君。

比嘉委員 自由民主党の比嘉奈津美でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 これから、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、まず最初に質問させていただきます。

 戦後七十年を迎えても、沖縄には駐留軍の用地が現在に至るまで広範囲に存続しております。米軍統治下の沖縄において土地が接収されたことに端を発し、地主は生活と生産の基盤を失うこととなっていきました。沖縄戦の戦火から生き延びた人々が以前住んでいた場所に帰ることができず、ほかの場所に移ったというのが始まりでございます。先日も、ある御老人から、私が十歳のときにこのフェンスの中の土地から追い出されて、そのままなんだよねという声がありました。これが現実の沖縄の声でございます。

 長い歴史の中で、その地主の皆様への賃貸料の支払いは、今日のように当初から保障されていたものではなく、地主の方々が粘り強く交渉し、復帰前の米軍、そして復帰後の日本政府の理解を得ながらかち取ってきたものであります。

 そして、地主の人々にとっては、かつて、米軍基地返還後もさまざまな問題が残っておりました。跡地利用を配慮しない細切れ返還により、跡地の利用が長期間にわたって停滞したことから、地主が経済的に困難な状況になることもございました。それを受けて、返還で地主が不利益を受けることがないように、平成二十四年、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法、我々は跡地法と呼んでおりますが、それが制定されました。

 これから嘉手納以南の大規模な軍用地の返還が行われる中で、さらなる円滑な土地活用のために、今回の改正が滞りなく成立することを強く申し上げながら、質問させていただきたいと思います。

 昨日、こちらに傍聴に来られておりました沖縄県軍用地等地主会連合の皆様と、私も意見を交換させていただきました。二十一市町村、二十三地主会、四万二千人の意見でございます。これまで代々御苦労をかけた方々であります。

 その軍用地主会の皆様の存在は大臣はよく御理解いただいていると思いますが、これからの沖縄振興に結びつけるためには、この跡地の有効活用、適切な利用推進を図るために彼らとの連携が非常に重要だと考えますが、大臣の見解をお尋ねいたします。

山口国務大臣 ただいま委員の方からお話がございました戦後の地主の皆さん方の御苦労、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。私も、沖縄を訪問した際にも若干お話を聞いたことがあるわけですが、そこら辺を踏まえてしっかり今後も取り組んでいきたいということであります。

 駐留軍用地の跡地利用の推進というのは、いろいろ御指摘をいただいておりますように、沖縄の振興にとっては極めて重要な課題でございまして、御指摘の地主会を初め、沖縄県、あるいは市町村、関係府省等が連携をして取り組んでいくというふうなことが必要であろうと思っております。

 今回の制度改正も、地元の沖縄県、市町村、そして地主会の皆様方の大変強い御要望を受けて、跡地利用特措法の一部改正を行うものでございます。

 また、西普天間住宅地区におきましても、宜野湾市、あるいは宜野湾市軍用地等地主会、そして沖縄県、沖縄総合事務局、沖縄防衛局で構成する協議会を開催いたしまして、行政と地主の皆様方が一緒になって跡地利用の検討をしておるところでございます。

 引き続き、関係者の連携を密にして、跡地利用の推進にはしっかり取り組んでいきたいと思っております。

比嘉委員 地主会は、昭和二十八年の設立から、国と軍用地等に関する契約問題であったり、ほかの軍用地問題の解決に取り組みを行っている団体でございます。

 その団体からの意見も参考にしてつくられた跡地法でございますが、現行法では、先行取得ができる期間が短いこと、そして、面積要件によって制約を受けることなど、先行取得に不可欠であるこの軍用地主会の皆様との合意形成が非常に厳しい状況であるという現実がございます。それを解決すべく、計画的な開発整備を進める上で、返還合意をされた特定駐留軍用地を返還後も特定駐留軍用地跡地として創設した上で、特定駐留軍用地と同様の買い取りの仕組みということでございますが、その特定駐留軍用地跡地の指定の基準をお伺いしたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 特定駐留軍用地跡地の指定の基準ということでございますが、この特定駐留軍用地跡地の指定に当たりましては、まず、面積が五ヘクタール以上であることなど、一定の要件を満たして特定駐留軍用地に指定されていることが前提となるものでございます。その上で、関係市町村長さんの意見を踏まえまして、沖縄県知事の申し出に基づき、その区域内における公有地の計画的な拡大が引き続き必要と認められるものを特定駐留軍用地跡地として指定するということにいたしているものでございます。

 具体的には、土地利用計画の内容、どの程度公有地の確保が必要かとか、あるいは土地利用計画の検討の熟度ですとか、あるいは土地取得がどの程度進んでいるかとか、そういうことを踏まえまして、それぞれの特定駐留軍用地ごとに個別に判断していくことになろうかと考えております。

比嘉委員 特定駐留軍跡地の指定については、まず、知事の申し入れに基づき総理が判断する、そして、これはやはり関係市町村の意向を踏まえて国としても適切に行うということを望みます。

 次に、この該当する土地が土地所有者に引き渡されるまでの適用期限の延長の必要性であります。

 西普天間地区のように、返還予定日が合意され、返還日までの期間が短く、先行取得のための期間が十分に確保できない場合、そして、公共用施設として確保すべき土地の面積規模が当初想定したよりも拡大した場合があります。先行取得制度における政府の協力支援のあり方として、適用期間の延長についてお尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 ただいま御指摘をいただきました件でございますが、沖縄県内の駐留軍用地というのは、先生御案内のとおりで、民有地の割合が非常に高く、また、円滑な跡地利用のためには計画的な公有地の確保というものが大変重要でございます。そういったことから、平成二十四年度の法改正によりまして、返還前における公共用地の先行取得制度を創設したというふうなことであります。

 しかし、返還までに土地の買い取りを十分に進めることが困難な場合、これも想定をされるわけでございます。沖縄県及び関係市町村の御要望を踏まえまして、必要な場合には、駐留軍用地の返還後も所有者に引き渡されるまでは先行取得を継続できるようにというふうなことで、改正を行おうとするものでございます。

比嘉委員 地主の皆さんに引き渡されるまで土地の利用は困難であることから、具体的な事業を実施することが可能になるまで適用期間の延長というものをぜひお願いしたく、国としてより一層積極的に後押しをしていくことが重要だと思います。

 次は、面積要件の緩和についてでございます。

 実際、小規模な地権者も多く、現行の先行取得制度では十分な対応ができない、跡地の計画の整備を進める上では土地所有者の合意形成を進めていくことが極めて重要で、そのためには、小規模な土地を先行取得の対象とする必要性がございます。多くの小規模地主にも等しい環境を整えることが大切だと思います。面積要件の緩和について、国の見解をお尋ねいたします。

山口国務大臣 本年三月末の返還が予定をされております西普天間住宅地区におきまして、近年の土地利用計画の見直しがございます。それによりまして、返還地の約八割程度の公共用地を要する計画というふうになるなど、県中南部の大規模な駐留軍用地につきましては、返還地のかなりの面積を公共用地として確保しなければならなくなる可能性が非常に高いというふうなことでございます。

 こうした事態に柔軟に対応できますように、市町村が別に面積要件を定める場合においては下限は設けないというふうなことにいたしたいと思っております。

 この面積要件の緩和によりまして、少しでも多くの土地の確保が可能になるとともに、より多くの地権者の皆さん方が土地の買い取りに参画できるようになることで、地権者の合意形成が促進されるというふうなことも期待をいたしております。

比嘉委員 今月末に返還される予定であります西普天間地区においては、地権者の三分の一ほどが小規模の地権者であります。跡地利用特措法の改正は、この普天間地区の返還に適用できるよう、本当に日切れ法案で早急な成立をお願いしたいと思います。沖縄の苦悩の歴史、そして地権者と、土地利用の意向を踏まえて関係者が地道な協議を行い、跡地利用を沖縄振興に結びつけるためにも、本法案改正で適用期間の延長、面積要件の緩和をよろしくお願い申し上げます。

 さて、この跡地利用のことでございますが、実際にこれまでたくさんの軍用地が返還されてまいりました。その跡地利用の、国における評価であったり、問題点というものをどう捉えていらっしゃるか、ちょっとお尋ねさせてください。

関政府参考人 お答えいたします。

 まず、跡地利用の実例の分析がいろいろ必要になってまいるわけでございますが、本年一月に、沖縄県の方で経済効果の推計試算を行いまして公表している状況にございます。

 これによりますと、例えば、那覇の新都心地区でございますが、返還前の地代収入などの経済効果は年間五十二億円であるのに対しまして、返還後は、立地企業の活動によりまして年間千六百三十四億円、約三十二倍の経済効果が生じていると推計をされております。また、北谷町について見ますと、返還前は三億円でありましたのに対しまして、返還後は三百三十六億円、約百八倍の経済効果があると推計されているところでございます。

 これは跡地がまさに有効に活用されている例でございまして、この有効活用というものが大きな経済効果につながっているものと私どもも認識をしているところでございます。

 一方、二十五年、二年ほど前でございますが、沖縄県と六つの市町村が一緒になりまして、中南部都市圏駐留軍用地跡地利用広域構想というものをつくっておりますが、そこの中で指摘されていることといたしましては、これまでの跡地利用は各市町村独自の利用計画のもとで進められてきた、その大半は商業サービス、住宅となっていて、これまでと同じ手法でやっていきますと、跡地相互の競合による全体発展の阻害の懸念、あるいは良好な環境形成につながらない、そういう懸念もその構想の中で指摘されておりまして、その意味では、それぞれの跡地の特性を生かしつつ、広域的な観点から、役割を分担して、また連携を図って開発を進めていくということも一つの課題ではないかと我々も考えているところでございます。

比嘉委員 今お話ございましたように、沖縄の那覇市の新都心、北谷町のハンビータウンなどありますが、本当に大きい商業地ができて競い合っているという状況でございます。確かに、お話ございましたように、新しい土地活用、跡地利用というものも検討しなくてはいけないのかなというのが現実かなと思います。

 ただ、本当ににぎやかな町に生まれ変わって、雇用もふえて、沖縄の振興に役立っているということは確かでございます。

 そして、今また、沖縄市のすぐ横の北中城村というところに、米軍ゴルフ場跡地を利用して、四月にオープンを予定する大型ショッピングモールが計画されております。雇用約三千人を生み、アジアで一番を目指す大型ショッピングモールでございます。これはアジアの観光客をターゲットにした商業地跡地利用で、これまで過去の痛みを背負ったこの跡地が沖縄の振興を引っ張っていくということを、本当に楽しみにしていきたいものであります。

 アメリカ軍が接収した土地というものは、沖縄県にとって非常に優位性のある、いい場所を全部接収しているというのが実際でございます。大きな土地が一度に戻ってくる、これは大きな絵が描けるということでございますので、この跡地利用をしっかりと進めていただきたいと思います。

 そして、今度戻ってきます西普天間住宅地の跡地利用についてお伺いしたいのですが、昨年六月二十四日、政府の骨太方針で、琉球大学医学部または附属病院を含む高度な医療機関を導入するとうたわれてありました。がんの治療のための重粒子線の設置も同時に前向きに進んでいると思いますが、国としては何を目指した方向づけなのか、また、その進捗状況をお知らせください。

関政府参考人 お答えいたします。

 今、西普天間住宅地区の跡地利用についての国際医療拠点構想についてのお尋ねがございました。

 これは、地元の皆様方の要請が昨年ございまして、それを受けまして、私どもも地元の意向を反映した取り組みを進めようということで骨太の方針に盛っているものでございまして、具体的には、地元の宜野湾市、沖縄県及び琉球大学が連携して国際医療拠点の形成について検討を行っているところでございます。

 この構想でございますが、重粒子線治療施設の導入と、琉球大学医学部及びその附属病院の移転を核といたしまして、高度医療研究機能の拡充、地域医療水準の向上、国際研究交流と医療人材育成を目指すものと承知をいたしております。

 このうち、重粒子線治療施設の導入につきましては沖縄県におきまして、また、医学部及び附属病院の移転につきましては琉球大学において、それぞれまず検討が進められている、このように承知をいたしているところでございまして、私どもとしましては、二十七年度の予算案に、西普天間住宅地区における国際医療拠点の形成に関する調査費、これを計上させていただいているところでございます。調査の具体的な内容につきましては、沖縄県、琉球大学などともよく御相談しながら考えてまいりたいと存じます。

比嘉委員 私は医療人でございまして、沖縄における医療のあり方は大変重要なことだと考えております。県民の健康、安全、安心を確保することはもとより、国際医療拠点の形成が、長寿日本一の復活を目指すだけでなく、医療産業、また国際的医療関係者の人材育成の新たな起爆剤になる可能性を秘めていると思っております。人材育成の拠点、教育の拠点として国の方はどうお考えでいらっしゃるか、お尋ねいたします。

関政府参考人 ただいま申し上げました沖縄県などにおいて検討されている国際医療拠点構想の中で、地域医療に従事する医師の養成確保に取り組むほか、国内外の医師、研究者、学生との研究交流や、国際的な医療人材の育成の拠点とすることを目指す、こういうことで構想の中に含まれているところでございまして、例えば、先端医療に関する国内外の医療機関との共同研究ですとか、アジア諸国からの学生、研究者などへの教育研修や技術指導、あるいは重粒子線の治療施設と琉球大学の医学部が連携することによる専門医の育成など、こういうものを沖縄県などで想定しているということでございます。

 具体的な内容は恐らく今後またいろいろ詰めていかれるんだろうと思いますが、私どもとしても、これがよい形で実現していけば、沖縄の振興にとって大変意義があるものだと思っておりますので、そのような観点から、地元と連携をしながら進めてまいりたいと考えております。

比嘉委員 ことしに入りましてから、沖縄で、アジア感染症学会という、アジアの先生方が来られて、学者の皆さんが来られて、大きな学会が行われております。感染症においても、沖縄県は、実はインフルエンザが夏からはやります。これは、あっちこっちの国の方々が出入りをして、それからまた、ここでことしの型を特定できれば、日本で、本土でどういう型がことしははやるかという研究の拠点にもなり得る、いろいろなウイルスまで行き交う土地が沖縄でございます。沖縄の医療の前向きな形が私は非常に大事だと思っております。

 そしてまた、西普天間とは限らず、大学院大学であったり、これから注目される遺伝子医療に必須であります分析機のシーケンサーという機械がございますが、そういう研究のインフラ整備が沖縄は全国でもトップクラスでございます。それらのいろいろな施設と共存、連携しながら、新薬の開発であったり、新産業の創出も非常に可能性を秘めていると私は思っております。

 また、沖縄県には、他府県にはない特区制度、経済特区であったり物流特区、情報特区、そういう特区がございます。その特区を活用して医療の分野を、国として力を入れる価値のあるものだと考えますが、現在、特区制度の活用も含めて、国が行っている沖縄の知的クラスターのアピール、あるいは今後の取り組みについて教えていただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 新薬の開発、新産業の創出というテーマでございますが、御案内のように、国内で唯一の亜熱帯性気候ということでございますので、やはり独自の地域資源を豊富にお持ちである、沖縄科学技術大学院大学や琉球大学、沖縄ライフサイエンス研究センターなどの最先端の研究インフラも整っている、こういうことでございますので、医療分野あるいは健康分野において大きなポテンシャルを持っているということで私どもも考えております。

 沖縄県のサイドも、沖縄二十一世紀ビジョンの中で、医薬品、機能性食品等の研究開発、あるいはこれらの事業化の促進、アジアにおける先端医療拠点の形成を目指す、こういうことをうたっているところでございまして、私どもとしては、こういう取り組みを後押しするために、例えば、本土の企業の方々に実際に現地を見ていただくことによって、沖縄への企業誘致を促す沖縄力発見ツアー、この中でも、製薬関連、医療関連の企業の皆様の御参加を多々いただいているところでございまして、先月行ったケースですと、二十一社の参加をいただいて見ていただいているということがございました。

 また、昨年の法律改正の際に、産業高度化・事業革新促進地域における税制優遇の対象資産として、研究開発用の器具、備品を追加いたしました。

 こういうことで、沖縄県における健康、医療分野の発展や研究開発の促進を後押しさせていただいております。

 また、御指摘ございましたが、やはり我々がこういうものを制度で設けても、いろいろお知らせする、周知することが非常に大事でございまして、今の発見ツアーのほかに、特区制度自身につきましても、昨年の四月以降、説明会や個別訪問などを通じまして、延べ千四百社、二百団体に説明を行うなど、周知に努めているところでございますが、私どもはまだまだこれは続けていこうということで考えているところでございます。

 沖縄のバイオベンチャーの数というのは、最近十年間で約二倍になっております。また、昨年の六月にはOIST発のバイオベンチャーが初めて設立されるなど、健康、医療産業の発展の兆しが見え始めていると考えておりまして、引き続き積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。

比嘉委員 沖縄は、戦争、戦火の中でたくさんの方が命を落とされましたが、実は、戦中戦後、マラリア、フィラリア、そういう感染症でもたくさんの方々が命を落としてまいりました。それを、公衆衛生の環境整備を徹底し、長寿県を構築してきた歴史がございます。

 そしてまた、米軍統治下の中で、現在の県立中部病院というところがございます。その中部病院は、ハワイ大学と医療の提携、連携をして、最新の医療技術を導入しておりました。本土からも多くのインターンの医者の先生方が中部病院で勉強をして、あらゆる最新の医学というものが沖縄から発信されたという歴史もございます。

 沖縄は、発展途上国へのこれからの指導、また最新医療への取り組みを誇れる拠点であると私は考えております。日本は、アジアをリードしていく立場として、このような医療を通して大きく貢献するべきだと考えております。

 私自身、実は、歯科医師として離島医療を二年行い、また、カンボジアに単身で乗り込み、子供たちの歯を治療するということも行ってまいりました。沖縄は、地理的にも、歴史的にも、心情的にも、世界の人々の健康であったり幸せのために発信する要素がたくさんあると思います。医療の観点からの沖縄の振興を非常に期待したいと思います。

 しかし、この望ましい環境とは裏腹に、実は、現実は、沖縄北部、離島を含む圏域では、医師不足、特に小児科、産婦人科の不足であったり、患者さんの緊急搬送とか、いろいろなことが長年問題になっている事実がございます。

 例えば、最近、北部の伊江島という島がございます。そこに緊急搬送用の新しいちゃんとした船を配備することができるようになりました。今までは、痛い痛いと言う患者さんを漁船に乗せて本島に搬送していたのですが、やっと緊急搬送用の船ができました。しかし、患者さんを本島まで運んできても、この後どこが受け入れてくれるかという非常に厳しい問題がございます。北部の医療がきゅうきゅうなもので、厳しいもので、今度は南部圏の医療にもしわ寄せが出てきているという事実がございます。

 普天間における跡地利用でたくさんの医療人が輩出また育つことで、こういう北部医療の問題、離島の医療の問題が解決して、県民の幸せにつながっていくものだと思います。

 今回の沖縄県駐留軍の改正案で、地権者、沖縄県、国の関係者の皆様がそれぞれの立場から取り組み、跡地利用の円滑な活性化に強く期待するものでございます。

 そしてまた、今、陸の、地上の話をたくさんしてまいりましたが、沖縄県は海に囲まれております。その海は今、有望な海洋資源がたくさん出てきております。

 沖縄県の伊平屋の東側に、海底熱水鉱床といって、金、銀、銅を含むたくさんの資源が海底に眠っているだろうと言われて、この資源開発。そしてまた、沖縄県の亜熱帯の豊かな生物資源から、あらゆるものをまたつくっていける可能性が出てきております。例えば、乳がんの手術に使う薬は、海底の中の海綿からとったものが今使われているということでございます。地上の資源はとり尽くした感があって、海にこれから求めていくことがたくさんあります。

 沖縄県のそういう海の開発というものもまた皆様のお力をかりて進めていきたいものだなとつくづく考えるところでございますが、今回の法改正の法案は大臣におかれまして強い思いがあるかと思いますが、一言いただけますでしょうか。

山口国務大臣 いろいろと、とりわけ医療に関するお話もお伺いをさせていただきました。インフルエンザのウイルスが夏ごろから流行するとか、実は私、花粉症でございまして、沖縄へ行くとすっきりし、治るわけで、そういったのも何かあるのかな、これからの研究に役立つ環境なのかなと思ったりしながら拝聴しておりました。

 やはり、国際医療拠点を形成する、非常に大きな夢を沖縄県も宜野湾市もお持ちなんだろう。私ども、ぜひとも全面的に協力をさせていただきたいと考えております。

 先ほども申し上げましたように、やはり駐留軍用地の跡地利用というのは、非常に、今後の沖縄の振興にとって極めて重要である。先ほども答弁をさせていただきましたが、経済効果、年間五十二億円であるのに対して、返還後はさまざまな活動で約三十二倍、千六百三十四億円というふうなこともあるわけであります。同時に、先ほど大型店のお話もございましたが、商業サービスとか住宅で、結局、跡地相互の競合になるというふうなこともあろうかと思います。

 そういった意味で、しっかりとこれは取り組んでいく必要がある。この跡地利用の推進のためには、やはり公共用地の計画的な確保というのが大変重要だ。

 今般、地元の御要望を踏まえて改正法案を提出させていただいたわけでございますので、いろいろと御指摘を先生の方からもいただきましたが、今後の跡地利用のまさにモデルとなる西普天間住宅地区につきましては、先ほども申し上げましたように、地元で検討されております国際医療拠点の形成などにつきましても、しっかりと協議をしながら取り組んでいきたい、まさにモデルケースにしていきたいと思っております。

比嘉委員 ありがとうございます。

 沖縄には、他府県にはないいろいろな問題、解決していかなくてはいけないことがたくさんございます。我々は、沖縄県から皆様にいろいろなお願いをするためにここに立っているわけでございます。

 私も、中学のときまで、日本復帰までドルを使って生活をしておりました。そして、私の生まれ育った町は沖縄市と申しまして、昔のコザ市でございます。それこそ基地の町、基地の周りで生まれ育ってまいりました。そして、私が小学校のころ、コザ暴動という大きな事件がございまして、日本における大きな暴動というのはそうたくさんはなかったと思います。小学校のときですが、たくさんの車が、外国所有の、アメリカ所有の車が燃えて、たくさんの皆様が本当に困っている姿を見たりしました。

 沖縄県の人々の思いというのはあらゆるところにあると思います。もちろん基地問題しかり、そして戦後の処理、まだまだたくさんの不発弾が出てくるという現実、いろいろございます。

 しかし、我々は、やはり沖縄の明るい未来、沖縄が日本国として何をしていくべきかという前向きな姿勢を常に忘れずに頑張っているということを御理解いただき、また、この法案を成立させていただいて、これまで御苦労された地主会の方々のためにもぜひよろしくお願い申し上げ、かなり時間は早くなりましたが、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 大臣、おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。

 冒頭、質疑に入ります前に、私、公明党の沖縄方面本部長をさせていただいております。また、公明党には、沖縄の、特に振興に関する諸問題、基地問題も一部含みますけれども、議論をして政府に政策提言する場として、沖縄二十一世紀委員会というのがございます。ここは、委員長は井上幹事長、私が事務局長ということでやらせていただいております。

 この二つの沖縄におけます立場、もちろん、私自身、沖縄にも、那覇にも事務所を持っているわけでございますが、比例区選出でありますけれども、定期的に党幹部を沖縄に呼びまして視察等をしております。

 大臣、これは通告している質問ではありませんのでお答えは要りませんけれども、私は、沖縄の振興というのを考えた場合、今ちょうど那覇空港の第二滑走路の増設工事、順調に進んでいることを、先日現場に参りまして確認してまいりました。あと五年以内に供用開始ということで、沖縄の人流、物流の姿が大きく五年以内に変わるだろうと思います。海外からの国際線もかなりふえてくるだろうと思います。

 それから、港湾のターミナル、私は先日、那覇の、クルーズ船が泊まる新しい埠頭を見てまいりました。大臣も、もしかしたら既に御視察かもしれませんが。

 今、沖縄に寄港するクルーズ船がふえております。全国ランキングでいうと、一位が福岡の博多、二位が長崎、長崎は最近急浮上してきまして、三位が那覇、四位が実は石垣島。三位、四位が沖縄なんですが、三位、四位を合わせると、県別でいうと沖縄がもう事実上トップということです。

 沖縄に参りますと、ビルでいうと五階建てか六階建てぐらいの、三千人から四千人のお客さんを乗せた巨大なクルーズ船が、ボイジャーという名前のものなんかを私はじかに拝見しましたけれども、それが那覇港に所狭しと泊まりまして、そこから三千人ぐらいのお客様が、中国の方は、観光バスに乗って行かれる方もいますし、徒歩で国際通りまで港から歩いていく方もおりますので、突如、千人ぐらいの、徒歩で都心に向かう人があらわれるようなこともございまして、この面でも大変発展をしていると思っています。

 大臣には、最初、お礼を言わなきゃいけないと思っています。

 来年度予算を決める際に、当初、報道等で、三千百億円台という話が載りまして、この間の所信に対する質疑でも、沖縄に対するいじめじゃないかとかなんとかという報道がされたことは私も認識しておりますが、我々公明党としては、辺野古の問題とか知事がかわったとか、そういうことと関係なく、必要な予算額を沖縄で確保すべきだということを、当時、井上幹事長と私で、僣越ながら、政府の方にも強く申し入れをさせていただきました。その結果として、来年度予算が三千三百億を超えるという予算になりまして、私も、その後、沖縄に入りまして、地元の県会議員とか市町村議会議員と意見交換しましたけれども、あれだけの予算を確保していただければ、沖縄で必要なものは全部できるということでありました。

 ただ、一点だけ、これはまた機会を改めて大臣と意見交換したいと思いますが、ずっと調査費を来年度も継続していただいております鉄軌道、鉄道です。これについては、国土交通省の鉄道局の役人とも話をしましたし、内閣府の、調査を担当している職員とも定期的に意見交換していますが、なかなかまだ、採算性が見えないという理由で後ろ向きの人も多いんですね、政府の中に。

 これは民主党政権時代からもう既に調査を始めておりましたし、ぜひ古川委員長には一定の御配慮を将来的にいただきたいと思いますが、四十七都道府県で鉄道がないのは沖縄だけなんです。理由は簡単なんです。本土復帰がおくれたからです。昭和四十七年に本土復帰したときに、既に日本の国鉄は丸赤字で、その数年後に中曽根内閣で民営にされてしまいますから、新たに一つの県で鉄道を敷設する体力が国鉄になかった、それだけが理由なんですよ。もし沖縄がもっと早く日本に復帰していれば、鉄道は絶対走っています。

 だから、いろいろ採算性の問題とかありますけれども、これは、政治的には、空港の第二滑走路が終わったら鉄道をやらなきゃだめなんですよ。これはもう当たり前の話なんです。ただ、当たり前の話といっても、今、国家財政がこういう状況だからなかなか苦しいですねと言っていますけれども、採算が悪くても鉄道を走らせているところは今全国に幾らでもあるわけですから、これは、この委員会室にいる先生方の与野党を超えての御賛同を得て、鉄軌道のプロジェクトというのは中長期的にやっていかなきゃいけない、このように思っております。

 ちょっと話が大分それました。法案の話に入らせていただきたいと思います。

 今回の法案は、平成二十四年の民主党政権下におきまして、与野党のPTが設置をされて、私もその中に野党側から入っておりまして、法案を策定いたしまして、参加した六党全ての会派が共同提案で出したと記憶をしております。今回、この改正を行うわけでございますが、公共用地の先行取得制度などが盛り込まれた跡地利用特措法によって行われる新たな跡地利用計画と、旧制度を根拠に進められた今の那覇の新都心等の、大分発展しておりますけれども、跡地利用計画と比べて、事業を進める上で何が具体的に変わるのか、大臣からまずお答えをいただきたいと思います。

山口国務大臣 いろいろ遠山先生からお話をいただきまして、私も那覇空港等々拝見させていただきまして、もう御指摘のとおりで、貨物量も旅客数も格段に今ふえつつあります。ちょうど私がお邪魔したときに、飛鳥だったか何だったか、クルーズ船もちょうど見る機会がありまして、御案内のとおりで、過去最高の入り込み客というふうなことが続いておるわけでありますが、ただ、同時に、まだまだ、県民所得等々を見てみますと、もっとこれは頑張らなきゃいかぬなというふうな思いも改めて強くしておるところでございます。

 そういう中で、先般の予算編成過程におきましても、先生初め公明党さんにも大変お世話になりまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 そして、御質問の件でございますが、沖縄県内の駐留軍用地、これは、民有地の割合が大変高いということで、跡地利用を円滑に進めるためには、計画的に公共用地を確保するということが実は従来から課題となっておりました。

 議員御指摘の那覇新都心の事例では、約二百十四ヘクタールの区域におきまして土地区画整理事業を進めるに当たって、昭和五十八年から平成六年にかけて、計十一年間でありますが、沖縄県、那覇市、そして地域振興整備公団が、今現在は独立行政法人都市再生機構となっておりますが、それぞれ土地の先行取得を行いまして、合計四十五・五ヘクタールの土地を取得いたしましたが、当時、地権者の御理解あるいは御協力をいただくためには大変な関係者による努力があったというふうに聞いております。

 そして、お話しの平成二十四年の跡地利用特措法の改正でありますが、これによりまして、駐留軍用地の土地の先行取得制度を創設させていただきまして、同時に、土地の譲渡所得に係る五千万円の控除の特例措置が導入をされたことによりまして、従前に比べて公共用地の取得を円滑に進めることが可能になったというふうに認識をしております。

 なお、跡地利用特措法改正後の実績としましては、二十五年度、二十六年度の二年間で、三つの返還予定地で計十八・八ヘクタールの公共用地の先行取得が行われたというふうなところでございます。

遠山委員 過去の事例を教訓に、新しい制度のもとでスムーズに跡地利用を進めていただきたいと思っております。

 次に、事務方で、政策統括官で結構でございますが、今回の法律改正によりまして、公共用地の先行取得の面積要件が緩和をされまして、先ほども比嘉先生からも御質問があったかもしれませんが、百平方メートル未満も可能になる。跡地利用に向けての関係地主の合意形成を、今大臣も示唆されておりましたが、よりスムーズに行うことができるとの観点からこれを評価している人が、与野党、高いんではないかと思っております。

 そこで、三月末、今月末に返還予定の西普天間住宅、先ほども出たと思いますが、この地区も、百平方メートル未満の土地が新たに対象になると認識しておりますが、この対象となる土地の筆数と、それから、この百メートル未満の、今回新たに対象に加えた土地の割合、それについて教えていただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 西普天間住宅地区の状況でございますが、宜野湾市の軍用地等地主会において取りまとめられております資料を私どももいただいておりますが、それによりますと、平成二十六年一月現在で、区域内は全体で千十二筆ございます。この千十二筆のうち、百平方メートル未満の土地は百五十三筆、割合にしてみますと約一五%、こういう状況になっているところでございます。

遠山委員 そうすると、西普天間住宅地区は千十二筆、約一五%が今回の法改正で対象になる土地だということでございます。

 私も、平成二十四年の改正のときに、策定側に、野党でありながらも入れていただいた関係で、ちょっと、こういう質問をするのは、自分に聞けという感じなんですが、当時は、二百平方メートル以上にして、条例で百平方メートル以上を対象ということで、きょう議題になっている中に含まれる百平方メートル未満を入れなかったんですね。

 なぜ当初全てを対象としなかったのか、政府の見解を、なぜ百平方メートル未満を入れなくていいというふうになったのか。もしわかればでいいですよ。もし、あなたたちがそう決めたからそうしましたという答えかもしれませんが。

 また、それと、もう一つ加えて、今回のこの緩和によって、全てを対象にすることによって見込まれる政策的効果をお答えいただければと思います。統括官で結構です。

関政府参考人 お答えいたします。

 当時議員の先生方で御議論いただいたものを私の方で申し上げるのは、もしそごがあったら大変申しわけないと思いますが。

 私ども、今、その法律をいただきまして、それを実際に運用している立場から申し上げますと、当時の、この百平米でラインを区切ったというのは、同じような制度、類似の制度で、公有地の拡大の推進の法律がございます。そこもこういう形の面積の基準を設けていまして、やはり、公有地の拡大という場合に、一定の面積以上の土地を確保する、取得することがより多くの面積につながる、確保しやすいということ。それから、これは一定の届け出の義務をお願いしたりいたしますので、やはり地主の皆様方への御負担、このあたりのバランスをいろいろ御配慮されて面積要件を設けられたのではないかと考えているところでございます。

 そういう観点から申し上げますと、西普天間住宅地区が実際に今月の末に返ってくることがその後はっきりいたしまして、実際に、先ほどのような面積の小規模な土地が、筆数がかなりあるという状況もございます。片や、公共用地を取得するときに、小規模な土地であっても、やはり公共用地として少しでも確保したいという行政側のニーズ、さらには、そういう形で機運が盛り上がりますと、小規模な土地も合わせれば一定の割合は十分確保できるわけでございます。

 そういういろいろなものが今回効果として出てきて、地主の皆様も恐らく非常に喜んでいただけると思います。行政サイドも公共用地の取得がよりしやすくなる、こういうことを私ども期待をいたしているところでございます。

遠山委員 地主会の地元の皆様、私にも、この法案については、改正案については喜びの声が届いておりますので、今統括官がおっしゃったとおりかと思います。

 続けて統括官にお伺いしますが、今話題にしました西普天間住宅地区の跡地利用の現段階での計画の検討状況を、言える範囲で教えていただければと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 まず、この西普天間住宅地区につきましては、その全域を施行区域とした土地区画整理事業を導入したい、それで土地の利活用を図っていく、こういうことを地元の宜野湾市において予定をされているところでございます。

 その上で、土地利用計画の内容ということになりますが、これは地元宜野湾市を中心に御検討いただいておりますが、まず、国際医療拠点ゾーンとして、沖縄県における重粒子線治療施設の導入や琉球大学医学部附属病院の移転、これが検討されているところでございます。また、市内にある県立高校の移転あるいは公園の整備、住宅地の整備なども検討されていると承知しておりまして、宜野湾市では、本年夏ごろを目途に土地利用計画を取りまとめる予定と伺っているところでございます。

遠山委員 今伺っただけでも、がんの重粒子線の治療の施設、最先端の施設で、最近、九州でも佐賀にできたばかりで、かなりの患者さんが殺到しているというふうに聞いておりますけれども、それを含めたいろいろな計画があるということで、先ほど比嘉委員もおっしゃっていましたけれども、ぜひ、地元の御意見をしっかり聞いて、緊密な連携をとりながら、政府のでき得る協力をしていただければと思います。

 最後になりますが、大臣、本来は防衛省所管のお話でございますが、沖縄県内の他の米軍施設・区域で日米両政府が返還に合意をしている場所については、今の我々の政権になってから、全て行程表が示されているわけでございます。この行程表を公表したこと自体については高い評価があるわけでございますが、沖縄の地元には、率直に、この行程表の中には、キャンプ・キンザー、牧港補給基地もそうですけれども、二十数年後に返しますというものもありまして、もう少し返還時期を前倒しできないのかという声が非常に強いです。

 この点に関して、所管は防衛省であり、もっと言えば米国政府、米軍当局の判断も大きいわけでございますが、ぜひ、沖縄県民に寄り添う立場である沖縄振興担当大臣として、この米軍施設・区域の返還合意されている部分についての前倒し返還の促進についての大臣の御見解を伺って、終わりたいと思います。

山口国務大臣 平成二十五年の四月に公表されました嘉手納以南の土地の返還に関する統合計画につきましては、現在、防衛省、外務省を中心に、早期の返還に向けた取り組みが行われておるというふうなことを承知いたしております。

 今後とも、米軍基地の早期返還に関する地元からの御要望、私もお話をお伺いしたことがございます、関係省庁にはしっかりとお伝えをしていきたいと思っておりますし、沖縄を担当する者としては、関係省庁との連携、これは非常に大事でありますので、しっかり連携をしながら、跡地利用特措法に基づいて、沖縄振興の極めて重要な課題である西普天間住宅地区を初めとする返還後の跡地利用の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

遠山委員 終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾でございます。

 四十数分、お時間をいただいております。早速質問に入りたいと思いますが、まず、大臣、済みませんが、ちょっと、これは質問通告していないものから一つ入らせていただきたいと思うんです。

 というのは、我が党、沖縄の議員が、国会議員ですけれども、選挙の結果、いない状況でございまして、私も沖縄出身の議員さんと懇意にしている方もいらっしゃいますので、この法律の審議に当たって聞いてほしいことはないかという話を方々聞き回りまして、どうしてもこれだけは聞いてほしい、こういう話がありましたものですから、一つだけちょっと御紹介して、それにつきまして大臣から率直に御答弁をいただけたらというふうに思っておることがございます。

 それは、今や県知事さんもかわって、普天間の移転の問題につきましていろいろな民意が沖縄県内にある、これについて、政府の側からその沖縄の声を聞く機会を閉ざすというか、そういうことがないようにお願いしたい、むしろ政府の側から沖縄の声を聞こうということを働きかけてもらいたい、これが大臣としてどういうおつもりかという、この一点、ぜひ問いただしてもらいたいという話であります。

 その点、ぜひ大臣から率直な御答弁をいただきたいと思います。

山口国務大臣 ありがとうございます。

 私としては、沖縄振興担当という立場で、当然、就任後の新知事さん、まずは予算編成に向けてのお気持ちもお伺いをしたいというふうなことでお目にかからせていただきましたし、同時に、編成後も、御要望がございまして、お目にかからせていただいてお話もしたところでございます。

 お話しのとおり、いろいろな立場があるわけで、当然、新知事さんも、政治家として公約を掲げ、戦ってこられたわけですから、いろいろな思いがおありになろうと思います。そうした思いを、やはりお互いに考え方をしっかりぶつけ合って議論をして、そういった過程の中で信頼関係をつくっていくというのが非常に大事だと思っております。

 私も、できれば、今、国会中ではありますが、機会を見てまたお邪魔をしたいと思っておりますし、そういったことを踏まえて、恐らく他の関係大臣等々もいろいろお考えになっておられると思いますので、そういった話が出た場合には、私としても、こういった考えを翁長知事さんはお持ちのようですよというふうなお話は随時していきたいと思っております。

鷲尾委員 ぜひ聞いてくれと言ったのは、沖縄の玉城デニー議員なんですが、とにかく、政府の側からしっかりと聞くんだ、そういう気持ちというか態度というか、そういうことは忘れないでいただきたいなということでありますので、ひとつ大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、これからは通告した質問をさせていただきたいと思いますけれども、一つ目は、これは大臣のお言葉でぜひ御説明いただきたいなと思いますけれども、今回の特措法の改正、地方公共団体による公共用地の確保それから跡地利用の円滑化ということでありますけれども、国としての後押し、これは具体的に国としての後押しをどうしていくか、地方公共団体の後押しをするんですけれども、国としてどう具体的にやっていくのか、これをお聞きしたいと思います。

山口国務大臣 今年度末に、もう目の前でありますが、返還予定の西普天間住宅地区、これを初めとする駐留軍用地の跡地利用というのは、今後の沖縄振興の観点からはもう極めて重要な課題でございます。

 そのために、もう御案内のとおりですが、平成二十四年に法改正を行いまして、公共用地の先行取得、これは特定駐留軍用地の指定、ほかに、いわゆる支障除去措置、あるいは給付金の支給、さらには跡地利用推進協議会の設置等に関する規定を整備させていただきまして、改正後の法律に基づいて、国としても諸般の取り組みを行っておるところでございます。

 このうち、公共用地の先行取得につきましては、返還までに土地の買い取りを十分に進めることが困難な場合、これも想定されるわけでありますので、沖縄県及び関係市町村の御要望を踏まえまして、必要な場合には、返還後も先行取得を継続できるようにするための制度改正を今回行おうとするものでございます。

 これによって、跡地における計画的な開発整備が一層促進をされるものと考えておりますが、いずれにしても、当然、国の方でしっかりと協議をさせていただいてバックアップをしていくというふうなことが欠かせないと考えておりますので、そういった思いで取り組んでまいりたいと考えております。

鷲尾委員 そこで、今ほど大臣からもお話がありました、西普天間住宅地区の跡地利用でございます。先ほどの比嘉委員、遠山委員からも質問があったところでございますけれども、特に深掘りをいたしまして、当然、その関与のあり方がどうかというところの延長線上で、今、地元からも、琉球大学の医学部及び附属病院の移設について、これも検討されていると聞いておりますけれども、少しその状況につきまして深掘りをして詳細にお聞かせをいただけたらありがたいなと思っております。

関政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから議論になっております国際医療拠点の形成という中で、先生御指摘の琉球大学医学部それから附属病院の移転について検討が進められていると伺っておりまして、まず、今、琉球大学におきまして、病院もかなり老朽化しているということでございまして、どのような形で病院を、まず機能、それからさまざまな御検討をする要素がございますので、これを、予算を確保して取り組んでいるというふうに私どもも承知をしております。

 それを、また検討状況を我々もいろいろお聞かせいただくことになろうかと思いますが、宜野湾市におきまして、キャンプ瑞慶覧(西普天間住宅地区)の跡地利用に関する協議会というのが、宜野湾市、地主会、政府側でいえば、防衛局、総合事務局、沖縄県など関係者が入って、そういう中で、それぞれの構想について進捗がありますればまた報告があって、議論をしていく、あるいは参考の意見を賜っていく、こういう仕組みを今とられているというふうに承知しております。

鷲尾委員 地元の皆さんで検討していただくのは当然なんですけれども、不断に接触をしながら、政府としてどういうきめ細かいサポートができるかというところが大事でありますので、そこは、当然その自治体の方が第一義的にいろいろと現地の皆さんと相談をしながらというところはあろうかと思いますけれども、積極的に関与していくというところも大事かなと思っておりますので、できる限りのサポートをお願いしたいというところでございます。

 先ほど来、委員の先生方と政府とのやりとりを聞いておる中でもあったんですが、これは跡地利用の先行モデルなんだという位置づけでございます。これは先行モデルとしての位置づけでありますから、その位置づけにふさわしい支援のあり方というのは当然政府としても考えなければならないというふうに思っているところでありまして、特に、これは拠点返還地として国が指定する中での取り組みでありますから、そういう指定をする中での取り組みという意味において、実際に今検討されている状況につきまして、かいつまんでお話をいただけたらと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 内閣府としまして、平成二十七年度の予算案におきまして、西普天間住宅地区における国際医療拠点の形成に関する調査費ということで約九千五百万円を計上しております。このほか、宜野湾市が行う環境アセスメントや埋蔵文化財調査のための体制整備に対する補助経費、こういうものも予算に組んで計上いたしているところでございます。

 また、これは地元からの要請がございまして、二十六年度に引き続きまして来年度も土地区画整理事業などの専門家を派遣する、こういうことも行っていくことを考えているところでございます。

 私どもとしましては、地元の土地利用計画の検討状況を踏まえつつ、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

 また、国の取り組み方針というものを検討していく必要があるわけでございますが、地元における土地利用計画案の作成状況、今鋭意検討が進められております。跡地法に基づく総合整備計画の策定の見込みなども踏まえながら、私どもとしても作業を進めてまいりたいと考えているところでございます。

鷲尾委員 西普天間住宅地区というところ以外といいましょうか、今後返還予定の駐留軍用地につきまして、当然、拠点返還地の指定を行うや否やというところから議論が始まるわけでありますが、これは知事による申し出があった場合ということでございますが、内閣総理大臣の指定ということになるんですけれども、この基準につきましては、最小限の判断基準といいましょうか、漠として指定をしますという話のみではなくて、具体的にどういう基準、最低限こういうところをクリアしていただく中で総理大臣の指定を受けるんだと、拠点返還地の指定の基準というのをもう少し具体的に教えていただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 拠点返還地でございますが、これは、御案内のとおり、日米合同委員会において返還が合意された駐留軍用地につきまして、まず、返還後において各市町村の区域を超えた広域的な見地から大規模な公共公益施設の整備を含む市街地の計画的な開発整備を行うことによりまして沖縄県の自立的な発展及び潤いのある豊かな生活環境の創造の拠点となると認められる土地の区域などを指定するというふうにしております。

 これは、今、全体の考え等を申し上げましたので、いわば抽象的な表現の部分もあるわけでございますが、今後の指定につきましては、具体的に、一つはやはり、地元における土地利用の計画の検討状況、これを確認していく必要があろうかと思います。また、周辺地域や他の返還予定地との関係も踏まえて、バランスを図りながら、また、地元の方からいろいろな実情をお聞きしながら判断をしていく。

 先ほどございましたように、地元からありませんと、私どもの方は指定という行為には至らないわけでございますので、そういう形で、地元のお話も十分伺いながら進めてまいりたいと思います。

 個別にどこどこという話になりますと、現時点ではコメントするのはちょっと控えさせていただければと思っております。

鷲尾委員 お話を聞くと、かなり基準自体も漠然としているというか、逆に、現地の方が言ってきたらそれでいいよというぐらいなのかなという気もしないでもないんですが。

 もちろん、持ってくる玉としてこれぐらいのことは考えてくださいよという話を、恐らくは現場でやりとりをしているのかなと思ったのでこういう質問をしたんです。そういう意味なんですけれども、少し答えられるものとかありますか、ないですか。余りにも漠然としていますよね。余りにも漠然としていますと現地の人も困るんじゃないかな、そういう思いからの質問なんですが。お願いします。

関政府参考人 お答えいたします。

 一つ、今、西普天間住宅地区について、これは拠点返還地に指定をされているわけでございますが、残りの地域は今後の話でございまして、それぞれ地域によってやはり状況も違いますので、十分にお聞きした上で、先ほどの法律の要件などに基づいて私どもとしては対応していくということで御理解をいただきたいと思います。

 しゃくし定規に何か枠をはめてこうするということは、私どもとしては現時点で考えていないところでございます。

鷲尾委員 では、続きまして、今回の特措法の改正でありますけれども、実際、返還以降引き渡しまでの間に先行取得の制度が導入されることになりますが、具体的に、この西普天間住宅地区においてはどの程度、土地の新たな確保が見込まれるかというところにつきましてお聞かせをいただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 宜野湾市が検討しております土地利用計画案、これによりますと、その実現のために、西普天間住宅地区の総面積約五十一ヘクタールのうち、その八割程度、四十ヘクタール程度の公共用地が必要となるということで市の方で見込んでいるところでございます。

 では、一方、実際の土地の確保ということにつきましては、これまでこの跡地利用特措法に基づいて宜野湾市が取得したのは、今年度で約九・三ヘクタールの土地でございます。

 ですから、ぜひこの法案を成立させていただきまして、特定駐留軍用地跡地に指定をされた場合に、市の方といたしましては、土地所有者の方々の御理解をさらに得て、残りの必要な面積を確保していきたいということでございます。

鷲尾委員 気持ちはわかるんですけれども、だからそれはどれぐらいになるのかなというところを少し具体的に教えてほしいということなんですよ。どうなんですか。せっかく新しい制度をつくるんだから、これぐらい効果が出ますと、ちょっと言ってもらわないと。意気込みは、それは意気込みはわかりますけれども。

関政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、市の方の計画案、これは今、最終的に練っているところでございますが、五十一ヘクタールのうち四十ヘクタール近くということでございますので、まだ三十ヘクタール程度の確保が必要でございますが、私どもとしては、このぐらいの、三十ヘクタールはぜひ確保をしていただいて、まちづくりを進めていただきたい。

 公園用地とか、それから道路用地などがございますし、区画整理事業で、やはり一定の公共用地がないと区画整理もできませんので、そういう観点からいきますと、三十ヘクタール近くの公共用地確保、これは必要だと考えております。

鷲尾委員 プラス三十ヘクタールですから、相当な分量でございますけれども、これが、この制度ができることによってかなりの程度解消していくということだからこそ我々もこの法律を通したいと思っているわけですから、意気込みはわかるんですけれども、頑張りますだけではなくて、大丈夫ですという話もぜひいただきたかったわけでございます。

 私思うんですが、返還日までにこの先行取得の制度をつくったら、実際、返還までではちょっととても足りないねと。それほどに、あらあらの計画があったとしても、それを詳細に詰めていく段階で、あるいは地権者の皆さんと話をする段階で、なかなかこれは難しい問題が現場ではあるんだろうなということを想像しているわけであります。想像している中で、結局は、返還日までの制度では足りないという結論になり、今回、引き渡しまでそれを延長するという運びになっているわけであります。引き渡しまで延長したからといって、これで十分だということは私は基本的にはないんだろう、やはりそこは、かなり、もう少しきめ細かな制度設計も今後必要になっていく可能性は十分にあるんじゃないかというふうに感じているところでございます。

 そこで、今、たまたま先行モデル、いろいろな意味で先行モデルだと思うんですね、西普天間住宅地区というのは。先行取得の制度を使って公用地をできる限り確保して、それで地元の皆さんのためになる跡地の利用、事業をしていこう、こういう意味でも先行モデルだと思うんですが、それにまつわるいろいろな問題、跡地を有効に活用していくという観点でいろいろな問題が出てきます。いろいろな問題が出てくることをどう解決していくかということを、政府もあるいは現場も、お互いが学びながら進むという意味でも先行的なモデルだと思うんですね。

 それで質問なんですけれども、そういう意味でも、もう既に、一本さらに改正をする。私は、今後もいろいろな現場の話の中で必要になってくる措置があると思うんですが、今後返還予定の駐留軍用地について、当然、返還の予定の時期でありますとか面積、地権者、それはもう千差万別だと思います、それぞれ異なってくる状況だと思いますけれども、今回の改正のみで、公共用地の円滑な取得、それにその後の跡地利用、こういったものが円滑にできるのか。今回の改正だけでは私はできないと思うんだけれども、そういういろいろな問題を解決するという意味での先行モデルなんだということも踏まえた上での政府の今の見解を教えていただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、先行モデルという言葉を私どもも使うときがございますが、まさに、いいまちづくりをする先行モデルであると同時に、返還された場合に、今後どう対応するかという意味での一つのモデルになる、そういう要素は私どもも感じております。

 その中で、先ほど来議論もございますが、例えば、二十四年に法律改正をしていただきました。それで、その後に、西普天間住宅地区が平成二十七年三月ということが二十五年になって出てまいりまして、では、その返還に際してどういう形で進めていこうかという中で、実際に返還されてからその土地が地主の皆様方に引き渡しをされるまでにやはり相当期間がかかる、こういう現実がくっきりと出てまいりまして、地元からも御要望いただいたという面。

 それから、小規模な土地でも、先ほどもありましたように、やはり、ある程度の面積を取得するためには、大きいものというのはだんだんなくなって、小規模のウエートがかなりある土地でございますので、これはまさに今回西普天間を見ながら、これからも、恐らく小規模な土地も含めて取得することが全体の公共用地取得の流れにつながるというような、そういう期待を持った、あるいは、逆に言いますと、少しの土地でも取得をしたい、こういう希望も含めて、今回改正をお願いしているというところでございます。

 お話にありましたように、これは正直申し上げまして、今後いろいろなケースが出てまいると思いますが、そういう中で、いろいろな課題が出てまいりましたときにそれをどういうふうに克服するのかということは、やはり私どもとしてもしっかり考えていかなければいけないと思いますし、また、いろいろな形で議員の先生方にも御相談をすべき場合が出てくるかと思いますが、現時点で取り組むものとして、やはり今回の改正内容、これが少なくとも必要だということで、今回法律改正をお願いさせていただいているというところでございます。

鷲尾委員 実は、私もいろいろ法律の内容をレビューしていく中で、既に、もうちょっと改善した方がいいんじゃないかと思う点を幾つか発見してしまったわけですよ。それを少し御紹介申し上げたいなと思っているんです。

 というのは、いわゆる跡地の支障を除去する、土壌汚染や不発弾等の支障除去措置、これは、国が責任を持って除去すべきものでありますね。そういうことでありますけれども、知事や市町村長については、駐留軍用地へ立ち入りを行うことを国があっせんする、そこで、知事、市町村長は、国のあっせんに基づいて米軍の許可が得られればということだと思いますけれども、調査、測量を行っていくんだという話であります。先行取得に当たって、あるいは跡地利用を具体的に考える地方自治体であれば、そう思うのは当然でありますが、国は、国自体は、返還後にその支障除去措置を行うということになっております、引き渡しまでの間に。逆に、その支障除去措置を行った後で引き渡すということでありますけれども。

 しかし、この支障除去についても、返還が決まっているならば、事前に国自身がしっかりと調査をしながら、円滑な返還並びに引き渡しに私は努めるべきであるというふうに思っているわけであります。

 その点につきまして、国は、返還前に、ある程度具体的に支障除去に、これは国が義務なわけですから、当然調査なりなんなりということがあってしかるべきだと思いますが、それは今どういう状況になっているかということについて、政府から答弁をいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる跡地利用特措法に基づく支障除去措置につきましては、米軍の施設・区域の返還後において、跡地利用の上で支障となるものにつきまして、土地所有者へ引き渡す前に国が除去するものを指すとされております。

 他方、米側の同意がございますれば、返還前でありましても、米軍の施設・区域に立ち入り、返還のために必要な調査を実施することは可能であるというふうに理解をしております。

 防衛省といたしましては、返還が合意された施設・区域につきまして、返還前であっても、当該施設・区域に立ち入り、返還のために必要な調査等を行うことができるよう、必要に応じ関係機関と連携を図るとともに、米軍の同意が得られた場合には当該調査等を適切に実施することにより、跡地利用の促進に努めてまいりたいと考えております。

鷲尾委員 これはぜひ、返還から引き渡しまでの間に支障除去をやる、国が責任を持ってやると言っているわけですから、これは積極的に行っていかなきゃいけないと思うんです。返還されてから云々ということを当然、今の手続上それが想定されているわけです、返還されてから実際にその行為を行うという話になっているわけでありますが、事前準備として、しっかりと国は国でそういう調査なりなんなりを積極的にやっていくべきだと私は思いますので、そこは積極的にやっていくということでいいですよね。どうですか。

 というのは、平成二十五年六月ですか、嘉手納の跡に所在する沖縄サッカー場の工事現場で、地中から米軍由来と思われるドラム缶が発見されて、その付着物からはダイオキシン類等が検出されて、これは今、防衛省が対処中ということでありますよね。こういった事案というのはほかにもあると思うんですけれども、こういった事案が起こらないようにしなきゃいけない。しかも、跡地利用と相まって考えれば、かなり予備的な段階から積極的にやらなきゃいけない、こういう趣旨なわけです。

 あわせて質問します。いかがですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十五年六月、嘉手納飛行場の一部返還地でございます沖縄市サッカー場におきまして、沖縄市発注の人工芝敷設工事中に地中からドラム缶が発見され、分析の結果、ダイオキシン類等が検出されたところでございます。

 このような、土地の所有者に返還、引き渡しをした後に土壌汚染等が発見された事例としては、本件を含め三件確認できておりまして、これまで国の責任において措置をしてきているところでございます。

 このような、既に返還された駐留軍用地跡地におきまして土壌汚染等が確認された場合には、これまでも適切に対応してきているところでございますが、まずは、御指摘のように、今後返還されるものにつきまして、跡地利用特措法に基づきまして支障除去措置を適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

鷲尾委員 跡地利用に支障がないように、今おっしゃった、この特措法によって支障除去措置をするのはもちろんでありますけれども、事前準備もしっかりと積極的にやっていただきたいなというところでございます。

 ちなみに、こういった、いわゆる米軍由来とされる土壌汚染を生じさせるようなもの、あるいは不発弾等、こういうものが出たときに、これはそもそも米軍の置き土産なわけですから、これについて、普通であれば、置いていった人の責任で処理してもらわなきゃいけないというのが通常だと思うんですが、これは今どういう権利関係になっているか、お聞かせいただきたいと思います。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、日米地位協定上の整理ということでお答え申し上げますけれども、地位協定の上におきましては、在日米軍の施設・区域の返還に際して、米国は、これを提供時の状態に回復し、またはその回復のかわりに我が国に対し補償する義務を負わないということが明記されているところでございます。

 これは、米側に原状回復の義務がないかわりに、日本側においても、残される建物、工作物等について米側に補償する義務を負わないという形で双方の権利義務のバランスをとっている、こういう考え方に基づいているわけでございます。

 このため、返還地の原状回復については、地位協定の上では、必要に応じて日本側が行うという整理が行われているところでございます。

 その上で、こういう返還前の調査における国の役割という意味で補足して申し上げますと、昨年来、今の地位協定を補足する形の環境補足協定ということの交渉をやっております。その中で、返還前の予定地に対する立ち入りの調査の手続について、これを明確化するためのアメリカ側との調整をしておりますので、こういった取り組みを通じて、先生御指摘のような、国が積極的な役割を果たせるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

鷲尾委員 今の答弁はもう本当にそのとおりでありまして、ぜひ、手続的に円滑なものをつくっていただいて、地位協定があるということなわけですから、それはもう協定として結んでいる話なので所与のものでありますから、さらにそこは改善をしていっていただきたいなというふうに思っているわけであります。

 ただ、一般論としてお聞きしたいんですけれども、これはどこでもそういう、地位協定というのはどこの国でもそうなんですか。日本とアメリカとの地位協定が特にそうなのか、ほかの国との比較でも、参考までに教えていただきたいんですけれども。

冨田政府参考人 日米の地位協定と、それから、米国が我が国以外の国と締結している地位協定の比較についてのお尋ねでございます。

 これは、個々の規定ぶりのみならず、その規定がどういうふうに運用されているか、あるいは、どういう背景でそういう規定が結ばれているかというふうな、全体像の中で検討する必要がございますので、ちょっと、非常に短く比較して御説明することはなかなか困難でございます。

 その上で申し上げれば、例えば、米韓の地位協定を例にして申し上げると、日米地位協定と同様、施設・区域の返還に際して米国は原状回復の義務を負わない旨が規定されているというふうに承知をしております。

鷲尾委員 もちろん米側は米側の基準があって、厳しくそこは管理をしていただかなきゃいけないというところであるし、そこは我々も、そういう地位協定である以上は米側の態度を信頼しているということなんでしょうが、ぜひ、返還に際しての手続は、重ねて申し上げますが、しっかりと明確に規定をつくっていただいて、国が積極的に取り組めるようにしていただきたいし、それが跡地利用の円滑な利用につながっていくわけですから、ぜひ心がけていただきたいと思います。

 それでは、続いての質問でありますけれども、いわゆる一括交付金についての質問です。

 平成二十四年に一括交付金ができているわけであります。もちろん、先ほど遠山先生からも御指摘があったとおり、民主党政権でこの一括交付金をつくって、それが今も生きているというところであります。まあ、言ってみたら、地方創生の先駆け的な意味もあるのかなと私自身は感じているところでありますけれども。

 これを、今沖縄の現地で活用されていると思いますが、特に今回の先行取得にも活用されていると聞いておりますが、その実態についてお聞かせをいただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 一括交付金の活用の状況でございますが、幾つか具体例を申し上げますと、沖縄県は普天間飛行場の道路用地の先行取得ということで御活用されております。宜野湾市は普天間飛行場の学校用地、それから先ほど来出ております西普天間住宅地区の公園などの用地、沖縄市及び北中城村はロウワープラザ住宅地区の公園等の用地、北谷町はキャンプ桑江の学校用地。

 こういうところの用地の先行取得につきまして、基金に積み立てております。二十五年度末において残高が九十八億円。ことしの三月当初の時点で、県は、面積で申し上げますと約六・四ヘクタール、宜野湾市などの市町村は、合計いたしますと約十二・四ヘクタールの跡地の先行取得の実施をしているところでございます。

 内閣府といたしましても、非常に大事な課題でございますので、駐留軍用地跡地の先行取得への交付金の活用について御相談がありますれば、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 基金として積み立てる、これも一括交付金ならではなのかなと私自身は感じているところであります。

 ここは大臣にも御答弁いただきたいなと思っておりますけれども、そもそも、こういう一括交付金というのは、そういう意味で非常に使い勝手がいい、評価し得る点というのは多々あるのかなと思っております。大臣自身の御評価、一括交付金としての意義につきましてぜひ御答弁をいただきたいのと、あわせまして、今後、この一括交付金という形式、予算額はその後に質問しますから、形式につきまして大臣が思うところというのを述べていただきたいと思います。

山口国務大臣 ただいまお話をいただきましたように、この一括交付金、駐留軍用地の跡地の先行取得とか、あるいは離島振興、福祉、観光、産業振興等々、かなり幅広い分野に使われておりまして、導入当初は、とりわけソフトの一括交付金に関しては若干の戸惑いもあったようですが、今は、離島のためとか、あるいは離島における教育だ、医療だ、福祉だ、もうさまざまな使い方がされております。

 これは、非常に幅広い分野に活用されておりまして、地元の各市町村あるいは県の方からも高い御評価をいただいておるところでございます。沖縄振興にも大変大きく寄与しておるというふうなことで、やはり今後ともこういった形で、沖縄県の方として、あるいは各市町村の方としても、かなり自由に使えるというふうな形で、それぞれ、地方創生じゃありませんが、特色がある中で使っていただくというこの一括交付金、非常に大事だと思っておりますので、今後とも、これを堅持しながら、額についても頑張っていきたいと思っております。

鷲尾委員 一括交付金、これからもやっていくという話の中で、最後、大臣からその額についても頑張っていきたいというお話がございました。

 過去の安倍総理の発言をちょっと引き合いに出したいなと思っているんですが、沖縄振興策についての安倍総理及び、当時は山本沖縄担当大臣でありましたけれども、平成二十五年十二月二十四日の閣議におきまして、安倍総理は、沖縄への投資は未来への投資である、沖縄振興の取り組みを強化するため、現行の沖縄振興計画、平成二十四年度から三十三年度においては、沖縄振興予算について、毎年三千億円台を確保したい、こういう話を総理自身がおっしゃっている。

 あるいは、山本大臣は、北部振興事業については毎年少なくとも五十億円の事業を継続だ、那覇空港滑走路増設事業については、財務大臣及び国交大臣の合意に従って、平成三十一年末までに確実に工事を完了する、沖縄科学技術大学院大学、先ほど来話がありますが、将来の規模拡充は重要で、将来の教員三百人規模に向けた沖縄科学技術大学院大学における検討状況等を見きわめつつ、規模拡充に向け、さまざまな観点から検討と、極めて明確に具体的に話をされています。

 山口大臣におかれましては、今申し上げた方針は踏襲をするということでよろしいか、今後も変わりないかというところについて、ぜひ明確に御答弁をいただきたいと思います。

山口国務大臣 ただいまの鷲尾先生の御指摘のとおりでございまして、これは二十五年十二月の閣議において、安倍総理から、沖縄振興計画の期間においては毎年三千億台を確保する、御発言がございました。

 そして、これを受けて、今国会の総理の施政方針演説におきましても、「二〇二一年度まで毎年三千億円台の予算を確保するとした沖縄との約束を重んじ、その実施に最大限努めてまいります。」というふうなことでお話がございました。

 当然、私もそういった思いでございますので、これはしっかり守っていきたいというのと同時に、前山本沖縄担当大臣も、これも御指摘いただきましたように、北部についても五十億円台等々の発言がございまして、二十七年度の予算案、北部振興も五十一億、那覇空港、OIST等も御案内のとおりでございまして、これをしっかり、少なくとも最低限として認識をしながら頑張っていきたいと思います。

鷲尾委員 質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 質問をさせていただく前に、この委員会、二十五人委員会ですけれども、野党席からも話がありましたけれども、出席がしっかりとなされることが大事だと思いますから、これは与野党責任がありますので、出席を、お互いの理事はしっかり守っていくということをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 大臣、きょうは予算について大臣と少し論議をさせていただきたいなというふうに思っておりますので、この一番目のグラフをちょっと見ていただきたいんですけれども、このグラフを見ていただくとおわかりだと思いますが、これは沖縄県の予算をあらわしたグラフであります。

 このグラフの予算をずっと見ていくと、一番最高なときが稲嶺さんの三千四百八十億円、これが最高の予算なんですね。それから自民党政権下の中で予算が減ってきて、毎年毎年ずっと予算が減らされてきて、平成二十二年までに一千億近くの予算が削られてきたんです。これは、国の予算が減ったんですかというと、減ってはいないんです。沖縄の予算だけが減ってきたんです。そういうふうな状況の中で政権交代をして、これをもう一回、民主党政権と国民新党のときに予算を伸ばそうというようなことで予算を伸ばして今があるんです。仲井真県政、そして安倍政権ができても予算を伸ばしてきました。

 稲嶺さんの平成十三年から平成二十二年までの間に予算が一千億近く減ったんですけれども、この予算の数字を見て、政権は当時自民党ですから、大臣、沖縄担当大臣としてどう思われますか。

山口国務大臣 民主党政権で云々というお話がありましたが、やはり若干減る傾向にあったというのは先生御指摘のとおりでございます。

 ただ、その時々、やはり政策課題とかあるいは財政状況等々いろいろな問題があったんだろうと思います。そういった中でこういった予算の結果というのが出てきておると思いますし、同時に、沖縄の方からのさまざまな計画あるいは御要望等々、そういったものの中でこういった予算の推移があるのであろうと思っております。

 いずれにしても、少なくとも、私としては、やはり先ほども御答弁申し上げました三千億円云々というふうな前提のもとに、しっかりと二十七年度予算編成に取り組んできたつもりでございます。

下地委員 国の予算は八十二兆円から九十六兆円まで伸びているんですよ。国の予算が減っていれば沖縄の予算が減ることを僕はよしとしますけれども、国の予算が伸びていて沖縄の予算が減っているのをどう思いますかと聞いているんですよ。

山口国務大臣 結局、いろいろな項目の中での増減というのは常にあるわけですね。例えば、小泉内閣時代は、確かに予算規模というのは余り変わらなかった中で、公共事業というのは減っていった。その都度、やはり重点政策とか大きな課題というのがあるんだろうと思います。

 とりわけ、例えば今年度に関しましては、やはり概算要求は概算要求として、それぞれが非常に大きな期待を持っておったわけでありますが、御案内のとおりで、消費税一〇%、これを先送りしたというふうなことで、各部門といいますか、各省庁とも激震が走ったわけですね。そういう中で、やはり七千億のいわゆる子育て関連の経費はどうしてもやるんだというふうな総理のお話もございました。結果として非常に厳しい査定状況になった。

 例えば、私が担当しております科学技術関係にしても、やはり五百億ぐらい減ってしまったということもありますし、あるいはODAにしても、たしか百億近く減になるというふうな中でこの九十六兆幾らというのはできておるわけで、下地先生もかつて大臣をおやりになっておられましたので、そこら辺の予算のつくりぐあいというのは御案内と思います。

下地委員 次のページをちょっとあけてもらえますか、大臣。

 二十三年度の予算が、国の予算が九十二兆四千億なんです。その後、平成二十四年度の予算が九十兆三千億と、国の予算は二兆円規模減ったんですよ。しかし、沖縄の予算は六百億ぐらいふえているんですよ。今大臣が御答弁なされましたけれども、沖縄というものに対する考え方というのは、国の予算が減っても伸ばすというようなことをやってきたケースというのはあるんですよね。

 ただ、私が何度もしつこく申し上げていますけれども、平成十三年から二十三年まで一千億減らした背景、そして、平成九年から平成十年に減らした背景、今回の翁長さんが知事になって減らした背景というのは、何か、国の予算だけではなくて、その背景に何かがあるんじゃないか、この予算だけではなくて。そういうふうなものが見え隠れするから私はきょう質問させていただいているんです。

 大田さんのときに、橋本さんは大田さんと二十五回会ったと言っていますよ。そのときの梶山官房長官と吉元さんという副知事は百回を超える懇談をした。そのときずっと大田時代でも伸びてきたんですよ、革新県政でもずっと伸びてきた。しかし、大田さんが辺野古について受け入れをしないと明言をした次の予算から、予算は減ったんです。

 今度は、稲嶺さんが誕生して、稲嶺さんが誕生したときもずっと予算はふえてきたんです。しかし、稲嶺さんが、国の方針と違って、軍民共用、二千五百メートル、十五年使用期限というようなことを申し上げて、国の基地政策と違う結論を出して、国とこれからぶつかり始めるんですよ。そういうふうになったらずっと予算は減らされてきたんです。

 今回も、翁長さんが知事になって、これまで順調に伸びてきた予算が、何で、百億円切られている。百億、大したことはないですよ。ところが、減らされた背景に、沖縄が基地の問題でイエスを言わなければ予算を減らしますよというのが、これで三回目じゃないか、これが沖縄の思いなんですよ。何でこんなことをするんだというようなことが見え隠れしているから、そこはどうなんですかと。積み上げだとか、所要の予算とかおっしゃっていますけれども、これが今回だけだったら、誰も何とも言いません。しかし、もうこれは三回目だと僕は見ている。

 大臣、これは、やっちゃいけないことをやっている、金額の多い少ないの問題ではない。このことを沖縄担当大臣としてどう思いますかと私は申し上げているんですよ。

山口国務大臣 今先生が御指摘をいただいたようなお話も聞いたことがありますが、ただ、やはり、それぞれ、いろいろな事情の中でこういった経緯があったんだろうと思います。

 私は、就任以来、最初から申し上げておるのが、やはりそういったものと沖縄振興経費というのは当然リンクしていない、させるべきではないというふうなことは強く、ずっと申し上げてきました。

 先生も御案内のとおりで、かつて郵政事業でいろいろなことがありましたよね。あれも結局、政治がいろいろ絡むことによって私はおかしくなってきた要素が非常に強い、やはりそういったことはやめましょうということなんだろうと思います。

 過去の経緯というのは詳しくは、私は、そこら辺の予算編成過程における詳しい事情というのは余り存じ上げておりませんが、少なくとも今回の予算編成におきましては、当初から申し上げておりますように、リンクはしておりませんという立場の中で、しっかりと主張すべきは主張して、事実、私の方に、例えば、いかなる筋や、いかなる方面からも、減額すべきだなんというお話は聞いていません。

 ただ、新聞記事等を見ながら、これはもう一生懸命頑張らなければ大変だということで、いろいろな皆さん方のお力をかりて、そして沖縄の方の御要望もお聞きをして、ぜひとも必要な額は積み上げていきたいということで頑張ったような次第でございます。

下地委員 もう一回、次のページを見てくださいね。

 二十三年度、国の予算は減りました、沖縄の予算は六百億ふえました。二十四年度から二十五年度、国の予算はふえました、沖縄の予算もふえました。今度、二十五年から二十六年度、九十二兆六千億、九十五兆八千億、国の予算も三兆円ふえて、沖縄の予算も五百億ふえました。そして、今度、二十六年度から二十七年度は、国の予算はふえて、沖縄の予算だけ減っている。これが何ですかというふうに僕らは思うわけですよ。

 それは、テレビの前では、リンクしませんとか、それはまあ大臣だったら誰でもおっしゃることですけれども、ただ、人の見た目、沖縄県民がどう見ているかということを、客観的にこの数字で見ると、どうもおかしいよというふうに誰でも感じるんですよ。僕は、素朴に感じる気持ちを大事にした方がいいと思うんですよ。

 ああだこうだということじゃなくて、自民党政権は続きますよ、だけれども、私は、こういうふうなことが来年度の予算から、こういうことはしちゃいかぬ、沖縄の予算を減らしちゃいかぬ、これをぜひ、大臣に私は強く申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、次。

 ちょっと次のページをあけてくださいね。これは、政策統括官、新聞を見ても、あなた、きのうの答弁で、基金がふえたから、予算の執行が悪いからというようなことをおっしゃっている。新聞にもそういうふうに出ていた、コメントで。

 これはハード予算ですけれども、二十四年度、繰り越しが三百三十億円、四〇%以上が繰り越しになっていますね。二十五年度も三百七十六億円、三二%が繰り越しになっているんですよ。今度は、ソフト事業のところを見ても、平成二十四年度が八十五億円、平成二十五年度が百二十億円、これもふえているんですよね。これは、繰越金がふえたにしても、沖縄の予算はふえてきたんですよね。そうでしょう。

 二十五年度から二十六年度の予算は、繰り越しがどうなっているのか、基金残高がどうなっているのか、数字はありますか。

関政府参考人 お答えいたします。

 まず、ソフトの交付金、こちらの不用額の話を昨日させていただきました。

 数字はすぐ出てくると思いますが、状況を申し上げますと、一年前の二十四年度のときの不用額、これが二十五年度より大きい数字でございますが、先ほどから出ていますように、二十四年度というのはいわゆる初年度、これで、やはりどういう事業を取り込もうかということでスタートがおくれたり、あるいは、いいアイデアは出たけれども翌年に実施するということになったこともございまして、この部分は、いろいろ御指摘もいただきましたけれども、私どもとしては、二十四年度の不用額が多いということにつきましては、それはもう初年度のこととして特殊事情ではないかということで、特段、数字の大きさは申し上げていないところでございます。

 それから、基金の話でございますが、この基金は、先ほど御質問もございましたが、土地の先行取得とかいろいろな形でこの基金というのをお使いいただいていますが、この基金にお使いいただくこと自身は、これはお使いいただくものでございますので、不用額という議論ではございません。使っている額の方にこれはきちんと入れて我々は議論しておりますので、基金に積んでいることが多くなるのでいろいろと財政当局から厳しいことを言われているんじゃないかという御心配をいただいているんだと思いますが、そこは私ども、きちっと、この基金の活用というのは一つの手法であるということで主張してきているところでございます。

 なお、繰り越しについて二十四年度の方が多いということにつきましては、石原局長の方から答弁させていただきます。

下地委員 私が言いたいのは、ふえているんですよ。

 これはどうなのかといったら、これは僕らの時代につくったもので、この一括交付金というのを、当時の仲井真知事は、補助金適化法に当てはめないで、そのままくれと言ったんです、そのままくれ、自分の使いやすいように全部くれと。しかし、そうなったら沖縄振興局を内閣府が持っている意味がないというので、これは補助金適化法に照らしたものにするといって決めたんです。

 だから、最終的に、このメニューを決めても、内閣府の了解がとれないとなかなかできない。しかし、沖縄県の行政能力ですから、市町村ですから、なかなか上がってこない。これでいいよと決めるのが十月、十一月の話がもういっぱい出てきたんですよね、県からしても市町村からも。それで、これだけ繰り越しがふえているんですよ、これは。

 基金についても、おっしゃったように、この基金も、土地を先行取得して買うとかなんとかの基金で、ためておくわけですから、これは必ず使うので問題ないと、基金の創設は僕らが頑張ったんですよ、これは。

 私が申し上げたいのは、これはこれでいいと思うんですよ。これはこれでいいと思うんだけれども、今度の予算を百億円切るときに、新聞を見ると、不用額がふえているからとか、基金がふえたから、だから今回、沖縄が使えないものが出たり基金に回すのがふえているからこれを減らしたんだと書いてあったんだ。これはとんでもない、こういうことは内閣府の幹部が言うような話じゃないよ、おまえらも認めたじゃないかと。これを口実にして、口実にして沖縄の予算を減らすというのは、私は絶対あってはならないと思っていますから。答弁は、あなたの言うとおりなんですよ。だけれども、減らすときの根拠にこれをやっているところが、私からすると不愉快なんですよ。

 そういうことではないわけだな。

関政府参考人 失礼いたします。

 今の、私どもの方で、例えば、基金がふえたから、それによってソフトの交付金が減ったということを申し上げたことは私は一度もございません。

 あくまでも、これは全体として百億程度の減になっていますけれども、ソフトの交付金でいえば二十億、これは特に県分での不用が多かったわけでございますが、これはもう、私どもの方も、ソフトの交付金というのは知恵を、創意工夫を凝らしてより効果的に使っていただくということで、特に県は財政的にも大世帯でございますし、離島とかの市町村に御迷惑をかけたくないということで、ここは実はその減のレベルは非常に小さいわけでございますので、そこは先生、御理解いただきたいと思います。

下地委員 だから、大臣、私が申し上げたいのは、これにはいろいろな事情があるんですけれども、今回百億円近くの沖縄の予算を減らしたときに、基金の話と不用額の話が出てきたから、それは違うよ、それはお互いで認め合って、県と内閣府で認め合ってこれは状況をつくってきたんだよというようなことを私は申し上げているわけです。

 だから、この原因で予算を減らす問題にはなってはならないというような認識を持たないと、また同じようなことの理由をつけられる可能性がある。そういうことではないですよね、大臣。

山口国務大臣 こういう制度をおつくりいただくのに大変御苦労いただいたと思います。しかも、非常にこれは役に立っておる一括交付金なんだろうと思うんですが、同時に、自由度の高い交付金であるだけに、いわゆるPDCAサイクルといいますか、しっかりきちんと効果をあらわしておるか、しっかり使っていただいておるかというのはやはり一方において非常に大事な話なんだろうと思います。事実、この問題の協議会においても、そういう御指摘が有識者の方からもなされておりました。

 そして、今回の予算編成のときでありますが、これも先ほど下地先生から御指摘いただきましたが、例えばハードにしても、確かに、二十四年度の繰り越し、これも大きかったんですが、実は、全国の公共事業の繰り越しも大きかったんですね。ほぼ同じです。ところが、今回の場合については、これは二十五年度です、沖縄の場合は三二%で、全国が実は一九%なんです。これは一三%オーバーフローしているわけですね。その分の調整をというふうな議論を実は財政当局といたしました。先ほどのようないろいろな考え方の中でやはりしっかりとやっていただくということで、やむを得ないのかなというふうなことでやったわけですが、同時に、例えば、一括交付金以外の他の公共事業に関しては全国レベルの予算がしっかりとれております。

 そういったことで、ともかくきちっと理屈が立つような形で予算編成をやりましょうよ、査定をやりましょうよというのが私の今回の姿勢でありまして、そこら辺はある程度貫くことができたのではないか。今後とも、そういう方向で、まあ、理由のない減額なんというのはあり得ないという思いでやっていきたいと思います。

下地委員 理由のない減額はないんですよ。政治的な理由で減額しているんじゃないかと言っているんですよ、僕は。

 それと、大臣、沖縄開発庁の設置法の提案理由の説明というのが、昭和四十六年の十一月十日に衆議院の内閣委員会でやられているんですよ。当時の大臣は山中大臣ですよ、山中貞則先生なんですけれども。

  ただいま議題となりました沖縄開発庁設置法案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

  わが国民多年の悲願である沖縄の祖国復帰がいよいよ明年に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。

  沖縄は、さきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖縄県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間沖縄百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。

こういうふうなことから始まっているんですね。

 それで、なぜ、この沖縄開発庁と総合事務局をつくるのかというような趣旨のところに、やはり役割があるんですよね。

 沖縄開発庁を設置しようとする趣旨は、このような沖縄の振興開発に関する国の諸施策を積極的に推進し、豊かな沖縄県づくりに政府が直接の力添えをするための体制を整備すること

であります。こう書いてある。それで地元に総合事務局をつくっているんです。

 大臣は、今、査定という言葉を言ったでしょう、査定という言葉を。これは沖縄担当大臣が言う言葉じゃないんですよ。沖縄担当大臣は沖縄を査定しちゃいかぬのですよ。沖縄が問題があるところを、こういうふうに、正直言って悪いようですけれども、行政能力が乏しい、繰り越しが出る、いろいろなものが出ても、これは俺の責任だと思うような大臣じゃなきゃだめなんですよ。これが沖縄の設置法をつくった意味なんですよ。

 そんなことを査定するようだったら、沖縄開発庁は要りませんよ、総合事務局も要りませんよ。一緒になってどうするかというのが当時のつくった人たちの思いなんですよ。それを、近ごろはやはり政治が入り過ぎている。これは、大臣、よくない。

 ここは、山口大臣は、私も長いおつき合いをしている。賢明な方、同じ郵政も戦ってきた信念のある方ですから、ぜひ、もう一回、沖縄との関係を修復する。基地問題で防衛大臣と内閣官房長官といろいろな問題があったりしても、やはり沖縄担当大臣は、何度も通って、いろいろなところで見る。大臣、二回しか通っていませんよ、今。こんな時期だから、何回も通うべきじゃないですか、土日も。

 大臣、そこのところを理解していただかないと、今回の、きょうの質問を聞いても、三千三百億とってよかったですねとか、何か言っていますけれども、そんなものじゃないですよ。

 もう一回、表を見てください。

 これ、沖縄は、一千億削られなかったら四千億まで行っていますよ、国の予算で当たり前に行っていたら。国が十四兆円伸びて、沖縄は減っているんだから。

 だから、そこのところだけは、もう沖縄の予算とか沖縄の振興とか、基地が七五%もあるという以上は、やはり政治を介入させない。この不文律を内閣府が持たないと。防衛省の職員と内閣府の職員はそこが違うんですよ。しっかりとこれを理解してもらいたいと思いますけれども。

山口国務大臣 お気持ち、思いというのは十分よくわかります。

 先ほど査定と申し上げたのは、財務省が査定をするわけであって、それに対して、私あるいは事務局のみんなが頑張ったということで、今回、あえて申し上げておきますが、そういった中で、やはり統括官以下、懸命の努力をやっていただいたと私は大変評価を実はしております。今委員御指摘のように、まさに沖縄の皆さん方の立場に立って、同時に、沖縄県あるいは市町村の皆さん方の御意見を踏まえて、しっかり予算編成で、私は、事務方皆頑張ってくれたと思いますし、私も、いろいろな皆さん方のお力をおかりして何とかやってきた。

 同時に、委員御指摘のとおり、やはり、政治が云々というのは決してあってはならない。やはり、淡々粛々と、沖縄の振興はさまざまな諸事情のもとでやっておるわけですから、これはあくまでしっかりと進めていくという考えが大事だと思いますので、まさに先生の意を体してやっていきたいと思います。

下地委員 大臣、それをよろしくお願いしますよ。

 それで、とにかく沖縄に通うこと。この法案、日切れ法案が終わったら、参議院に回りますから、参議院でもそう長い時間がかかるわけじゃないと思います、これは。終わったら、できるだけ大臣は沖縄に通う。菅さんが会おうが会うまいが、総理が会おうが会うまいが、そんなのはもう関係なく、大臣は通って、沖縄の方々と心を開く、それを努力してもらいたいというふうに思います。

 大臣、最後のページをちょっとあけてもらえませんか。これは、沖縄県の不用額なんですよ。この数字ですね、これ、一番後ろですけれども。

 これは不用額なんですけれども、今どんどんふえて、もう沖縄の行政能力を超える規模まで来ているところです、大臣。これは基金にふえるのもそうなんですけれども、県そのものの不用額もふえているんですよね。これは公務員の削減の問題とかいろいろなことがあって、実際、現状として厳しいですよ。これをどうするかというのをそろそろ考えなきゃいけないですね。私も予算をつけろと言う、しかし基金はふえる。基金は将来使えるからいいと言うけれども、これは受け皿の沖縄県も不用額がふえているんですよね。沖縄県そのもの。

 僕は、この一括交付金も、大臣、どこかで、八百億をずっと出していくと、八百億をさっきも大臣はふやすと言いましたけれども、どこかで限界が来るかもしれないなと思うんですよね、県庁や市町村の行政能力では。やはりもう少し直轄をふやして、総合事務局を活用してやっていくようなこともうまくベストミックスをしていかないと、これはふえていきますよ、どんどん。せっかく沖縄県民のために予算をつけたといっても、執行されないんだから。

 これは一回、民主党政権のときに一括交付金をスタートさせて、自主的な、地方が権限を持ってということをやりましたけれども、これは沖縄が先行事例でスタートしましたよ。しかし、行政がたまっていることだけは確か。行政能力が詰まっているんですよね。これは、工夫した仕組みを、ただ予算をつけるだけじゃなくて、何かやり方をもう一回考えていかなければいけないというふうに思いますね。

 石原さん、総合事務局の活用方法とかいろいろなものを、もう一回これを内閣府で検討する時期に来ているんじゃないかと思いますけれども、どうですか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも申し上げましたけれども、やはりこのような自由に使える資金というのは、それがいかに有効に使われたかということをしっかり評価、検証していくということが大事だと思っておりまして、そうしたプロセスの中で、今先生がおっしゃったような、さらなる執行のあり方というものも出てくるのではないかと思っておりまして、我々はそういう意味でしっかり検証してまいりたいと思っています。

下地委員 大臣、仲井真知事と安倍総理の合意文書というのがあるんですよね、合意文書というのがあるんですよ。合意文書があるんですけれども、この前、委員会で岸田外務大臣に御質問をさせていただいたら、この仲井真・安倍合意文書、六項目、日米地位協定の環境汚染のときの基地内への立入調査の件、米軍普天間飛行場の五年以内の運用停止の件、牧港補給地区の七年以内の返還の件、普天間に配備される輸送機オスプレイの県外配備、過半の訓練の県外移設の件。経済においては、計画期間内の、振興開発計画内の三千億円台の確保、那覇空港の滑走路経費の枠外の確保、この六項目が仲井真・安倍会談で合意されて、閣僚間でこれが合意された。

 今回、これは翁長さんに知事がかわっても合意は進みますかと言ったら、岸田外務大臣は、そのとおり、これは進みますと明確に申し上げました。これは副大臣もいらっしゃるときに岸田さんは申し上げたと思います。山口大臣も、これはもう間違いなく進めることですよね。

山口国務大臣 私の担当しておる部分に関しては、当然進めていきたい。これは、例えば、三千億円台を十年間継続、那覇空港の第二滑走路等々、ここら辺は私の方からもしっかり進めるというふうなお話ができようかと思います。

下地委員 大臣、今度の予算で、この二つ目の那覇空港の滑走路の、三千億台はもちろん確保していますよね、三千九百億円まで、三千億から三千九百億円までありますけれども。那覇空港の滑走路の予算は、今回の予算は、大臣の予算は枠外で確保したんですか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の予算編成過程及び今年の要求段階で、当時の仲井真知事から、別枠で空港の予算を確保してほしいという御要望を承ったのは事実でございます。

 ただ、その点につきまして、政府の側から、では別枠にいたしましょうというようなことは申し上げたことはなく、結果として、その三百三十億円、必要な額は確保しておりますし、また、ことしの予算で申し上げれば、総額から三百三十億円を引きますと三千億円を上回っているという結果になってございます。

下地委員 石原さん、局長、あなた、大変なことを言っているんですよ、今。

 これ、大臣はこの枠内でやられるとおっしゃったんです。そんなことを約束したつもりはありませんと局長が言って、どっちが本物なんですか、これは。

山口国務大臣 今、合意をしたということで、別枠というふうな話は、実は、申しわけありません、委員の方のお話の中で聞きそびれておりまして、那覇空港の拡張にかかわる予算というふうな理解で私は、所要額は絶対とっていくということで申し上げたわけですが、別枠というのは、今御答弁させていただいたように、御要望としては聞いております。そして、まあ、頭の中に若干私もありましたので、結果としてそういうふうな額になればいいなと思っておりましたら、結果はそういうふうなことになりました。

下地委員 だから、大臣、結果は枠内なんですよ。三千億は超えていますが、三千三百億で枠内、那覇空港の予算もついているんですよ。だから、それを引いたにしても二千億台にならないからこれは確保されたと答弁するんです。

 ただ、私が申し上げているのは、こういうふうに、閣議でまで、閣僚が全員集まって合意したものが、仲井真さん、当時の県知事の言っていることと意味が違う解釈の中で、最終的にはやったというやり方になることが怖いんですよ。言っている意味がわかりますか。彼は明確に言ったんです、あの知事は。振興予算の積み上げはこれぐらいまでいきましょう、しかしそれに上乗せして、上乗せして那覇空港の予算をとりますよというようなことを言って、私は選挙のときも一緒に討論をやっていますから、私は成果としてそれをやったんですよと言って、県民の前で話していたんです。

 だけれども、私が見たらこれは違うんです。違うんです、別枠じゃないんです。これは、あと四年間、那覇空港がありますけれども、同じような仕組みをするのか。しかし、安倍総理に聞いても、岸田大臣に聞いても、そして今、山口大臣に聞いても、この六項目は守りますとはっきり言いますよ、みんな。守りますと言うけれども、形が違っているんじゃないですかと言っているわけですよ。

 これはどうするんですかということを、ぜひ大臣、考えてもらいたい。これ以上ここで討論しても、これは行ったり来たりになるんです。私はこれ以上突っ込みません。

 これ、ぜひ頭に入れて、本当に一番大事なことは、大臣、約束を守ること、約束。約束を守らなかったら、また不信が来る。不信が来たら、また沖縄の基地問題が荒れる。だから、自分たちでやると言ったことは、やる。やらないこと、できないことは、できないと言う。はっきりと言ってもらいたいんです。そのことをぜひお願いしたいと思います。

 それで、もう一個、西普天間の件ですけれども、今回の法案には私たち賛成であります、間違いなく。

 それで、西普天間といえば琉大の移設という言葉がずっと出ていますけれども、この前の振興計画の見直しのときに、八十五条に初めて、沖縄振興特別措置法の中に琉球大学という言葉を入れたんですよ。私たちがあのときに入れた言葉は、琉球大学という言葉と、専修学校という言葉と、私学に対しても補助しようというようなことを、根拠をつけようといって、この特別措置法の中にこの三つの文言を入れたという経緯があるんです。

 今回、この西普天間に琉球大学が移って、さまざまな国際コンベンションセンターをつくって充実していくと書いてありますけれども、この琉球大学のものには沖縄振興費から予算が入れられるという根拠があるのかないのか。今まで、文部省の病院というのは、病院債の発行と、文部省からのお金と、それとみずからがためてきたお金と、三つで大体国立病院をつくっていますよ。それに、今回この文言を入れたという経緯から、内閣府がこれを入れることができるのかというのが一点。

 それと、今回、骨太の方針の中に入っていますよね、骨太の方針の中に琉球大学という言葉が入っていますけれども、これも、骨太の中に入っていますから、もちろん国が主体的に物事をやっていこうということになってくると思う。先ほどから話を聞いていると、沖縄県が沖縄県がと言っていますけれども、骨太の中に方針を入れたのは安倍総理なんですよ。琉球大学というのは国立なんですよ。こういうような振興策の中に琉大と入れたんですよ。主体的にやっていくのは、県じゃなくて、あなた方なんですよ。

 皆さんが主体的にやっていくときに、ここに、琉大の予算は沖縄振興費の中で入ることができるのか入らないのかということを、大臣、お願いします。

山口国務大臣 お答えをいたします。

 ただいまお話がございました琉球大学の件でありますが、これは沖縄振興特別措置法第八十五条第二項であります、国及び地方公共団体が、沖縄における知的クラスター等の形成のため、琉球大学等の研究機関及び民間事業者等との間で共同研究や研究成果の事業化等の連携の取り組みを促進するよう努める旨を規定いたしております。

 御指摘の琉球大学の医学部及び同附属病院の移転に際しましては、同法の趣旨に合致するものがあれば、沖縄振興に資するものとして沖縄振興予算で措置をされるということは、国の支援方策の選択肢としては排除されておらないというふうに考えております。

 ともあれ、国の支援のあり方につきましては、沖縄振興特別措置法の趣旨を踏まえて、国際医療拠点形成の具体的な内容をもとに判断をされるべきものであろうと考えております。

下地委員 琉球大学の、全面的なパンフレットの中に出ていますけれども、これに重粒子線って三百億かかると書いてあるんですよね。これを県に県にと言われると、できませんよ。一括交付金でこれを全部県にやれなんと言ったってできませんよ。だから、これを振興法で、直轄でやっていく。今、ユニバーサルの話が出ていますけれども、こういう琉大の話なんかはもうできるだけ直轄でやっていく。そういうふうにして県の負担を減らしていく。これも沖縄県に対する配慮なんですよ。

 だから、今回、今大臣もおっしゃったように、入るということですから、振興費で、このメニューに合致したものは入るということですから、ぜひ積極的にメニューに合致するようなものを入れてやってもらいたいということを、琉大と、ぜひ内閣府が、この措置法に書かれている琉大という言葉の重みを、私たちが書いたときの重みをしっかりと認識してやってもらいたいというふうに思います。

 それで、最後になりますけれども、副大臣。この五項目の中の普天間飛行場の五年以内の運用停止というのがありますけれども、運用停止というのは何年何月までが運用停止ですか。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止については、沖縄県から、平成二十六年二月の十八日の普天間飛行場負担軽減推進会議の開催から五年をめどとするという考え方が示されております。

 政府としては、このような同県の考え方を踏まえて取り組むとしておるところでございます。

下地委員 だから、五年って何年何月ですか。日にちを言ってください、日にちを。

左藤副大臣 始めは、起点は、平成二十六年二月の十八日。それから五年ということですから三十一年の二月の十七日になるんですかね。

下地委員 辺野古の基地の完成は何年ですか。

左藤副大臣 これはまだ、工事等今進行中でございますが、やっているところでございますので、まだはっきりしたことはわかりません。

下地委員 防衛省、事務方。何年って決まっているんだから。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年またはそれ以降というふうに決まっております。

下地委員 副大臣、辺野古の完成の方が遅いんですよ。もうそれはよく御存じだと。それでも、守って、運用停止ですよ。運用停止というのは飛行機が飛ばないことですよ。普天間の飛行機が飛ばないことが運用停止の最大のポイントですけれども、大丈夫ですね。

左藤副大臣 これはどうしても、住宅や学校等に囲まれた、市街地の真ん中にある普天間の飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは、地元も政府も同じ共通認識だと思っております。このような認識のもとで、辺野古への移設が普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の策と思っております。これは日米間でも再確認をしております。

 こういう中で、危険性の除去を少しでも早く実現するという観点から、仲井真前知事からの御要望については、官邸に設置された、これも先ほどお話ししました普天間飛行場負担軽減推進会議なんですけれども、また、個別の会談などを通じて、地元の意向を伺いながら進めさせていただきたいと思っております。

下地委員 これは国が決めたことで、地元の意向はないんですけれども。

 飛行機が飛ばないことでよろしいですか、運用停止の基準は。それだけ最後に聞いて。飛行機が飛ばないことが運用停止ですよね、これのイエスかノーかを言ってください。

左藤副大臣 それについては、先ほど申し上げたように、地元の意向を踏まえまして進めさせていただきたいと思います。

下地委員 後でやりましょう。

古川委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案に入る前に、辺野古の新基地建設問題について、沖縄県による臨時制限区域内での立入調査の問題に絞って質問をいたします。

 この間、沖縄防衛局がボーリング調査の実施に伴い岩礁破砕の許可区域外に設置した大型のコンクリートブロックによって、サンゴ礁が破壊された事実が明らかになりました。沖縄県は、その実態把握のために臨時制限区域内への立ち入りを求めてきましたが、米軍は、運用上の理由を挙げて応じていません。そればかりか、昨日の地元紙の報道で、臨時制限区域内での調査を沖縄防衛局が行っていると報じられました。

 防衛省に聞きますが、これは事実ですか。なぜ、沖縄県が求めたにもかかわらず、沖縄県ではなく防衛局が調査を行っているんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 沖縄防衛局におきましては、事業者として必要な調査を行っているところでございます。

 他方、沖縄県が米側に行った立ち入り許可申請につきましては、米側の運用上の理由により立ち入りは認められないとの回答があったものと承知をしておりますが、米側の判断基準やその詳細につきましては、防衛省として承知をしておらず、コメントは差し控えます。

赤嶺委員 防衛局において必要な調査という必要性と、その目的や調査の内容を説明していただけますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、この事業実施に当たりまして、浮標、ブイのアンカー設置につきまして、事前に調査の上、サンゴ類の群落等の生息場所を避けて設置することといたしております。

 今般、浮標、ブイのアンカー設置に伴うサンゴ損傷という報道がございましたので、モニタリング調査の一環といたしまして、事業者として必要な調査を行っているものと承知をしております。

赤嶺委員 あなた方は、臨時制限立ち入り区域内で、沖縄県が調査をしたい海域で、サンゴ破壊の疑いをかけられている防衛局みずからは調査をしている。

 沖縄県が求めていたのは、防衛局職員の立ち会いのもとに臨時制限区域内での立入調査を実施できるよう、岩礁破砕行為がなされている蓋然性が高いことから、岩礁破砕の許可権者、許可権者は沖縄県であります、これが、申請外の行為や条件への違反があったかどうかを判断するためです。許可権者として当然の判断の上での調査の申し入れでありました。

 ところが、防衛局の回答は、米軍基地への立ち入り許可手続を求めた九六年の日米合同委員会合意を沖縄県に送りつけて、沖縄県が米軍に申請すべきだというものでした。非常に不誠実さを感じます。沖縄県が、許可権者が求めた調査について防衛省が非協力な態度をとっている、こう言わざるを得ません。

 外務省に聞きますが、九六年の合同委員会合意の四、例外の(b)にはどのように書かれていますか。

冨田政府参考人 お尋ねの九六年の合同委員会の合意、四の(b)でございますけれども、これは、現地レベルで行う立ち入り申請、これは分類3と呼んでおりますけれども、これにつきまして、「分類3の立入のための申請は、合同委員会の日本国側事務局若しくは防衛施設庁が適当と判断する場合、又は合同委員会の合衆国側事務局が合同委員会の日本国側事務局に対して例外的取扱いの要請を行う場合には、分類1」これは合同委員会経由でございますけれども、「又は分類2」防衛施設庁経由でございますけれども、「の経路を通じて行うことができる。」というふうにされているところでございます。

赤嶺委員 米軍基地内への地方公共団体の職員の立ち入りについて、合同委員会合意では例外が定められていて、特別に、現地レベルの交渉でなくてもよいという例外規定があるわけですね。要するに、防衛省が適切と判断する場合には、防衛省自身が取り持って米側との調整を行うことができるということです。それが手続上も定められているということであります。

 にもかかわらず、防衛省はそれをやらなかったということではありませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県の調査に関しましては、先般二月十八日、沖縄県からの実施に係る通知がございまして、沖縄防衛局におきまして、詳細についてお問い合わせをするとともに、沖縄県から米側に対し立ち入りのための申請が必要である旨、御回答したところでございます。

赤嶺委員 ですから、木で鼻をくくったような回答なんですよ。現地レベルの規定があるから、現地レベルで、沖縄県、あなたたちでやりなさいと。

 あなた方は疑いをかけられているんですよ。疑いをかけられているから、立ち入って調査したい。許可権者として当然です。その許可権者の調査に協力する、防衛省も当然の立場じゃないですか。それを、現地レベルでやりなさいと。

 ですから、防衛局は、今回の調査の実施について、今、臨時立ち入り制限区域内での防衛省がやっている調査について、これは事前に沖縄県には報告いたしましたか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、今般、浮標、アンカーの設置に伴うサンゴ損傷という報道がございましたので、防衛省として実施をしておりますモニタリング調査の一環として、事業者として必要な調査を行っているところでございます。

 沖縄県に対して特に御通知等はしていないというふうに承知をしております。

赤嶺委員 一点聞きますが、モニタリング調査の結果は公表するんですね。

山本政府参考人 お答えいたします。

 調査の結果につきましては、沖縄防衛局が設置をいたしました環境監視等委員会から事実関係の報告が求められているところでございまして、同局におきまして事実関係を取りまとめ次第、適切に対応することとしております。

 また、御指摘の調査の結果につきましては、同委員会の資料として公表することになると考えております。

赤嶺委員 それは、いつをめどに行うんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 現時点で具体的な日時等は申し上げられませんけれども、準備ができ次第、事実関係を取りまとめ、公表等の措置をとりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 あなた方は、前回のサンゴ礁破壊のときも、準備が整い次第ということで、半年以上も待たされて、取り返しがつかなくなった時点でやっているんです。

 ですから、臨時立ち入り制限区域内といえども、ここはサンゴ礁を破壊してはいけない場所なんですよ。それを、許可権者が、サンゴ礁を破壊されているのではないか、調査させろと言ったら、調査させないで、そして自分たちがやった。これは県民に対する説明責任を果たしたと言えるような調査じゃないですよ。都合の悪いところを隠していたかもしれない、そういうような疑いをかけられても仕方がないと思うんです。

 そこで、私は防衛省に聞きたいんですが、先ほど、基地内の環境問題について環境補足協定を今やっているという話がありました。米軍は、今度沖縄県を入れなかったのは運用上の理由というのを挙げて、沖縄県の立ち入り申請を許可しませんでした。しかし、その同じ海域で防衛省は同じ調査を現に行っているわけです。極めて恣意的な判断だと外務省は思いませんか。

冨田政府参考人 今回の申請につきましては、先ほど防衛省からも御説明がありましたとおり、米軍の運用上の理由により認められないという回答があったところでございますけれども、これは従来から御答弁申し上げておりますけれども、その運用上の理由の具体的内容について私どもの方からお答えする立場にないということでございます。

赤嶺委員 恣意的な判断であるかどうかというのはきちんと見るべきだと思いますよ。この辺野古の海で進められているのはボーリング調査であります。行き交っているのは工事船や警備船です。米軍の運用上の理由などという説明は成り立ちません。

 基地建設に賛成か反対かで立ち入りを認めるかどうかを判断することは、そもそも許されないことですよ。

 これは環境に与えた被害の調査であります。今、外務省は環境補足協定の締結に向けた協議を進めていると思います。日米地位協定以来初めて、環境について基地の立ち入りが認められる協定だ、このように自慢しております。ところが、こういうときに立ち入りが認められないのであれば、締結する意味がないではありませんか。外務省として、沖縄県による立入調査の実現に向けて、アメリカ側に働きかけるべきではありませんか。

冨田政府参考人 今回の事案に対する経緯については、先ほど御答弁したとおりでございます。

 環境補足協定については、現在も交渉中でございます。そのもとで、立ち入りに関する諸手続について明確化するための努力を行っているところでございますけれども、その具体的内容については、いまだ交渉中でございますので、現時点ではお答えを差し控えたいというふうに考えております。

赤嶺委員 辺野古の海が、サンゴ礁が破壊されている、そういうような蓋然性が非常に高い。しかし、立ち入り制限区域になっている。でも、ここは埋め立てをやってよいという承認の外ですから、サンゴの破壊は許されないわけですよ。それを破壊している自分たちが調査をしましたと言って、沖縄県の立ち入りは認めない。非常に不当であります。

 そういうもとで進めているボーリング調査は直ちに中止して、沖縄県による立入調査の実現に向けて防衛省も外務省も努力すべきだということを強く求めておきたいと思います。

 今回の法案について移っていきますが、自治体が土地の先行取得をする際の所得税控除などの措置を、返還後も特定駐留軍用跡地として指定することで引き続き適用できるようにするもので、自治体による跡地利用を後押しするものでありますので、これは私たちとしても賛成であります。

 今回の法改正の契機となった米軍キャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区の返還についてお聞きします。

 そもそもキャンプ瑞慶覧の一部返還は、一九九六年、平成八年十二月二日のSACO合意によって、二〇〇七年度までに、つまり平成十九年度を目途に返還することが合意されたものであります。ところが、住宅の移設が条件とされたために、移設条件がついたために返還がおくれ続けて、西普天間住宅地区に限って、やっと今月末の返還が決まったところであります。これが経過であります。

 これまで米軍基地の返還をめぐっては、部分的な、いわゆる細切れ返還、これが大きな問題の一つでありました。細切れで返還されることで、返還後のまちづくりが非常に困難を余儀なくされてきました。

 今回の西普天間住宅地区についても、地元の宜野湾市地主会は、隣接するインダストリアル・コリドー地区の南側部分との、せめて南側部分との同時返還を求めてきました。これは、西普天間住宅地区は県道一本にしかつながっていないため、国道五十八号線や宜野湾バイパスにつながる道路を通すための土地の返還が必要だからです。

 そこで、防衛省に伺いますが、なぜ、この地域の返還が、地元の要望としてのまちづくりや地形、交通の便を無視した西普天間住宅地区に限っての細切れの返還になってしまったのか、今後、地元の要望にどのように対応していくつもりか、お答えください。

原田大臣政務官 お答えさせていただきます。

 赤嶺委員御指摘のインダストリアル・コリドーと西普天間住宅地区は、御指摘のとおりキャンプ瑞慶覧内に隣接をいたしております。

 インダストリアル・コリドーは、平成二年に日米間で返還について引き続き検討との位置づけがされ、西普天間住宅地区は平成八年のSACO最終報告に基づき、それぞれ返還に向けた検討や取り組みが進められてきた経緯がございます。

 平成二十五年四月に公表した統合計画では、インダストリアル・コリドーは、所在施設の移設や所在部隊の国外移転を前提に、二〇二四年度またはその後に返還可能と整理をいたしました。他方で、西普天間住宅地区については、統合計画で、速やかに返還可能な区域としたところであります。

 西普天間住宅地区については、その後、地元と国による協議会で円滑な跡地利用に向けた協議を行い、今月末の返還予定に至ったものでございます。

 御指摘のように、コリドー地区の地主からの要望につきましては、今月末に返還予定の西普天間住宅地区から沖縄本島を南北に縦断する幹線道路である国道五十八号線へのアクセスをより利便性の高いものにする観点から、同時返還を求める要請を受けておるところでございます。

 このような地元の御要望を踏まえ、インダストリアル・コリドーの南側部分については、残りの部分とは切り離した上で、御指摘のようにできる限り早期に返還できるよう、引き続き日米間で協議を続けてまいりたい、このように思います。

赤嶺委員 あのコリドー地区というのは、SACO合意以前に、沖縄に返還しますよと、西普天間住宅地区より先にそういう日米間の合意があったけれども、その後曖昧にされているわけですね。それで、西普天間住宅地区が返還されることになった。しかし、この地区が五十八号線にアクセスできる道路がない。であれば、コリドー地区の南側部分だけでも早く返してくれ、そういうことだろうと思うんです。

 その南側部分の返還というのは、今の地区のアクセスにとってとても痛切な地主の要求だと思うんですが、米側との交渉はどこまで来ているんですか。返還のめどはついたんですか。何が障害になっているんですか。

原田大臣政務官 今、鋭意、そのインダストリアル・コリドー地区の部分返還に向けて努力をいたしておるところでございまして、具体的な状況はまだ御報告できるような状態ではございませんけれども、できるだけ部分返還に向けての努力を今後とも続けてまいりたい、このように思います。

赤嶺委員 要するに、時期は決まっていないということですね、交渉の努力をしていくということですね。

 結局、まちづくり、都市づくりにとって一番、非常に大事な問題が、細切れ返還のために、地主の思うように町の開発ができない。そういう細切れ返還というものを背負っているのが今の西普天間住宅地区であります。

 何でコリドー地区が返されないか。それは、あのコリドー地区にある米軍の施設やあるいは米軍の設備が、いわば沖縄県のどこに移すかということで移転先を探しているので返還がおくれている。二〇二四年またはその後ですから、またはその後の方になっていくと非常に困ると思うんですよね。だから、防衛局は、コリドー地区南側部分の返還については責任を持つべきだというぐあいに思います。

 基地の返還はいつでも移設条件がついており、結局、県内でたらい回しにすることで基地強化が行われ、沖縄にとっては全く負担軽減になっていません。移設条件つきであるから返還がおくれているというのが実態です。

 あの土地は、伊佐浜の土地取り上げ闘争ということで沖縄の歴史に残る、銃剣とブルドーザーの土地強奪の歴史を持つ、そして、非常に沖縄県内でも美田が、田んぼが広がっていた、そういう地域であります。銃剣とブルドーザーで奪われた土地の返還に移設条件をつけるのがそもそも間違っているのであって、コリドー地区も含め、基地の無条件撤去、迅速な土地の返還を求めていきます。

 そこで、今度は、軍用地の返還跡地で、これも解決しなきゃいけない問題として、西普天間住宅地区における土壌汚染などの問題について聞きます。

 二〇一四年の八月以降、宜野湾市による西普天間住宅地区の文化財調査中に、油臭やドラム缶などの異物が確認され、急遽、防衛局による汚染状況などの調査が行われました。その経過を聞きたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 西普天間住宅地区におきまして、沖縄防衛局がドラム缶十八本の発掘をしたところでございます。そのドラム缶につきまして、付着物あるいは油臭土壌等につきまして、土壌汚染対策法等に基づき調査を行ったところ、ダイオキシン類やPCB、農薬類は、全て基準に適合もしくは不検出でございました。鉛及びその化合物につきましては、一部土壌において含有量は基準値を超過しているものの、溶出量は基準に適合していることから、汚染拡散の可能性は低いと判断をしております。

 本件につきましては、沖縄防衛局におきまして、宜野湾市等と調整を図りながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 今の答弁だと、まるで安全なものが地中から出てきたような言い方に聞こえますけれども、これはドラム缶の調査の最中にドラム缶が見つかったわけじゃないんですよね。文化財調査をやって手掘りをしていたら、地下に埋設されていた廃棄物が出てきた。そこには汚染物質も入っていた。

 それは、西普天間住宅地区のほんの一部ですよね。西普天間地区、あそこは、五十一ヘクタール、五十二ヘクタール、全部に、そういう土壌汚染のドラム缶や、車両とか、その他いろいろなものが発見される可能性があるんじゃないですか。全部の調査を行い終えるまでにどのぐらいを見込んでいるんですか。それで、あそこにとどまるものですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 西普天間住宅地区の返還後に実施することになる支障除去措置に要する期間としては、約二、三年を見込んでおります。

 返還後から実施する土壌汚染調査の結果いかんによりましては、汚染の除去が必要となる可能性があるため、現時点で確定的なことを申し上げることは困難でございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、跡地利用の促進を図る観点から、西普天間住宅地区の支障除去措置に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 計画では二、三年で土壌の汚染の原因になるような物質は掘り起こして調査できるかもしれないが、しかし、掘ってみなきゃ何が出てくるかわからない地域ですよね。その隣接した場所からは、この間は古い戦車も出てきておりますからね。ここは車両置き場でしたから、まさに二、三年で終わるなんということは、沖縄市のサッカー場を見ても、常識的にもちょっと信じられないんですよね。やはりそういう場合になっても地主に被害が及ばないように政府はきちんとすべきだと思います。

 ただ、この間見つかったドラム缶は、米軍の管理地の中で見つかったということで、写真も公表されておりません。もうあそこは返還がされる予定地ですよね。汚染物質が入ったドラム缶が見つかったのに、そのドラム缶を、写真もあるのに何で公表しないんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 西普天間住宅地区におきまして発見したドラム缶の写真につきましては、米側との関係がございまして、現時点では公表を行っておりません。

赤嶺委員 あの地中にどんなものが埋まっているか、掘ってみなきゃわからないという現実があります。しかし、写真を見ることによって、当時その地域で基地の従業員であった人たちのいろいろな証言やいろいろな情報の提供が可能になってきます。

 もし、本気になって土壌汚染を解決したい、地主に迷惑がかからないように早目に解決したいというのであれば、今のドラム缶も公表して、情報を収集して、そして対策をとるべきではありませんか。今は、米側の都合じゃないですよ、地主側の都合を最優先すべきではありませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 米側からは、基地運用の観点から公表は認められないとの回答が得られているところでございますが、今後、返還後に国が行います支障除去措置の過程で発見されたドラム缶につきましては、適切に公表を行ってまいりたいと考えております。

赤嶺委員 今、あそこは米軍は運用していないですよ。空き家ばかりですよ。外から見ても静かな地域ですよ。

 ここまで来ても、その一帯の土壌汚染の可能性が非常に重大。それがどんどんどんどん出てきたら地主に迷惑がかかる。そのためにも防衛省はいろいろな情報を寄せなきゃいけない。しかし、出てきたドラム缶の写真さえ公表しない。これで情報なんか得られないですよ。協力も得られないですよ。

 やはり今、軍用地の跡地利用を速やかに進めるために何が必要かということであれば、勇気を持ってアメリカと交渉すべきではありませんか。どうですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 西普天間地区で返還前に発見されたドラム缶の写真を返還後に公表することにつきまして、今後、米側に働きかけてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 返還後に公表というのも情けない話ですが、情報を得る努力をしていただきたいと思います。

 もう一問。報道によれば、この地域に、跡地利用計画として、国際医療拠点ゾーンについて、OHMIC構想というのが新聞報道でたびたび聞かれます。これはどこが中心となって進めていて、どのような内容のものですか。

山口国務大臣 お尋ねの件でありますが、このOHMIC、自民党のワーキングチームにおいて、西普天間住宅地区の跡地利用に関して、OHMIC構想というものを検討されておられるということは承知をいたしております。

 しかし、政府として検討しておるものではございませんので、また、地元の沖縄県あるいは宜野湾市から要望を受けておるというものでもありませんので、その内容等についてはお答えをする立場にはございません。

赤嶺委員 答えられないという人に次の質問をするのもなんですが、報道では、米軍の医療データを活用した新薬の開発研究機構、沖縄ヘルス・メディカル・イノベーション・センターというものですが、アメリカ海軍の医療データを活用した新薬の開発、共同研究、そういうものは今まで日本の中でありましたか。どうですか。

関政府参考人 お答えいたします。

 私の拙い知識の中では、ちょっとそういうことにつきましては記憶にございません。

赤嶺委員 委員会室で答弁するぐらいの知識をお持ちの方ですから、拙いというのは謙遜として聞いておきます。

 土地利用計画というのは、やはり、住民、地権者が、先祖代々伝わってきた土地ですよ、やっと返ってくる、やっと返ってくるというこの土地に、どこかの党が、何かこうやってくる、それも例がないようなことをやる、そういうことは、大臣も協議会のお話がありましたが、やはり土地利用計画は住民本位に進めていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。

古川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十八分散会


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