衆議院

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第6号 平成18年4月6日(木曜日)

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平成十八年四月六日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    秋葉 賢也君

      井上 喜一君    衛藤征士郎君

      大野 功統君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    小杉  隆君

      佐藤  錬君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      とかしきなおみ君    冨岡  勉君

      並木 正芳君    葉梨 康弘君

      松本 洋平君    三ッ矢憲生君

      水野 賢一君    村上誠一郎君

      大串 博志君    近藤 洋介君

      武正 公一君    鉢呂 吉雄君

      馬淵 澄夫君    前田 雄吉君

      渡辺  周君    谷口 和史君

      谷口 隆義君    塩川 鉄也君

      菅野 哲雄君    滝   実君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   法務副大臣        河野 太郎君

   財務副大臣        赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   浜田 恵造君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   日野 康臣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 鳥生  隆君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     冨岡  勉君

  太田 誠一君     とかしきなおみ君

  村上誠一郎君     西本 勝子君

  石井 啓一君     谷口 隆義君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   太田 誠一君

  冨岡  勉君     大野 功統君

  谷口 隆義君     石井 啓一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、財務省主計局次長松元崇君、財務省理財局次長浜田恵造君、財務省理財局次長日野康臣君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長鳥生隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘でございます。

 三十分の時間ですから、とんとんと質疑を進めてまいりたいと思います。

 今回の行革推進法案でございますけれども、私、ちょうど今から二十四年前の昭和五十七年四月に役所に入りました。そのときは、一番トップの方というのは戦前の内務省採用の方でございました。当時、私は、こんなすごい法律ができるとは、この岩盤のような官僚制度の中で、考えてはいなかったわけでございます。

 しかしながら、今の現状というのは、すごい法律ではあるんだけれども、大分違うと思います。何か今、政府資産を圧縮すれば、独立行政法人改革を行えば、あるいは特別会計改革を行えば、何となく財政赤字の中でそれが解決してしまうかのような、あるいは、もしかしたら誤ったメッセージを国民に与えてはいけない。

 これは、当時、二十四年前ですけれども、中曽根行管庁長官、さらには渡辺大蔵大臣が増税なき財政再建路線というのを進めてまいりましたけれども、当時とは、その財政赤字の状況にいたしましても、あるいは人口構造にいたしましても、やはり大きく異なってまいります。

 このような行政改革、しっかり官に切り込む、まず隗より始めよということで切り込む、そういう法案を通す、それは通すんだけれども、あえてここでは税の議論はいたしませんけれども、やはり並行して、給付の問題、負担の問題、ある意味で痛みを伴う構造改革というのはやはり進めていかないと、これからの人口減社会の中で、日本社会、日本の国家というもののしっかりしたスリム化というのは図ることができないんじゃないか。

 したがいまして、この行革法案、私は大変な評価をいたしますけれども、これだけではない、やはりこれからも痛みを伴う構造改革を進めていかなければならない、そういうメッセージを国民に対して与えていかなければならないんじゃないかというふうに思います。

 経済財政担当の与謝野大臣から御見解を承りたいと思います。

与謝野国務大臣 構造改革という言葉には、経済学的な意味と実際上の意味と二つあると思っておりまして、経済学上の意味は、資本と労働を効率の悪い部門から効率のいい部門に移すという意味だろうと思っております。

 小泉内閣が推進してまいりました構造改革は、一つは財政再建に結びつく構造改革、一つは効率のいい社会をつくって社会の生産性を高める、そういう構造改革、私自身はその二種類に分けております。今回の行政改革にかかわる一連の法案というのは、やはり直接財政再建に資するというよりは社会の効率性を高める、そういう側面が強いんだろう、そのように思っております。中にはもちろん財政再建に貢献するものもございますけれども、やはり効率のいい、生産性の高い無駄の少ない社会をつくるというのがこの法律の私は本旨である。

 したがいまして、これさえやれば何もかもうまくいくんだという誤ったメッセージを国民に与えてはいけないというのが委員の御質問の趣旨であるとすれば、私は全くそのとおりだと思っております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 まさに、昨日も議論になりましたけれども、そこら辺のところが、この法律の題名が「簡素で効率的」であるというところに私も込められているんだろうというふうに思います。

 そこで、次に中馬大臣にお伺いいたします。

 この誤ったメッセージということで、これからちょっと官民の事業仕分けのお話をしてまいりたいと思うんですが、その前に、政労交渉が始まりました。労働基本権の問題あるいは身分保障の問題、いろいろございます。

 ただ、私思いますのは、誤ったメッセージということで、今まことしやかにマスコミ等で、身分保障と労働基本権をバーターしようと。これはびっくりしたのは、一部上場企業の相当な重役の方も、公務員の身分保障を撤廃するかわりに労働基本権を与えてもいいんじゃないか、そんなことを私直接聞いたことがあるものですから、誤解というのがあるんじゃないか。

 そこで、きょうは三十分しか時間がございませんので、資料ということで御説明は省略したいと思うんですが、資料一、二ということで用意させていただきました。

 これは、人事院から提供をいただきました資料をもとにこちらで作成したものなんですが、資料の一、誤りの一ですけれども、我が国の公務員の労働基本権というのは他の先進国と比べて著しく制約をされているという誤解、これは必ずしもそうではないということを資料の一に書いてあります。各国においてもそれ相応、提供する公共サービスの内容によって労働基本権というのは一定の制約があります。

 資料の二でございます。身分保障を撤廃したからといって、では簡単に首を切れるようになるのかということでございます。この資料の二、これについては、民間の労働者においても、労働基準法上、相当程度の身分保障というのがなされておりますということが書いてあります。

 ですから、ここで身分保障と労働基本権のバーターというような誤った議論が先行することになりますと、これはもうとてつもなく収拾がつかなくなる。政労交渉の中で、そのような誤ったメッセージ、これには絶対乗らないということで、中馬大臣からの御決意を伺いたいと思います。

中馬国務大臣 葉梨委員からまさに適切な今回の公務員改革も含めた行政改革に対する御認識をちょうだいいたしました。

 確かに、そういう誤った議論であったり認識といったものが、議論を非常に平行線にしてしまったり、おかしくしていることもこれまた事実でございます。官が担わなければいけない公のお立場ということと公務員とが混同されて、公の立場でも民間の方がやっていいわけでございますから、そういうことも厳密に定義した上で議論しないとおかしくなってくると思います。

 今の御指摘でございますが、公務員の身分保障とそれから公務員の任用では、情実人事を排して成績主義で任用を行うこととしていることから、公務の中立性、安定性の確保のため、職員が恣意的にその職を免ぜられないような規定が設けられているものでございます。他方、公務員の労働基本権につきましては、その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約がなされていることは御承知のとおりでございます。このため、労働基本権の制約と身分保障とは対比して論ぜられるべき事項ではないと認識いたしております。

 なお、私の方も直接やってまいりました政労協議、労働組合との率直な協議でございますが、この一月からまた再開いたしております。そして、三月二十日の政労協議におきまして、労働基本権の問題についても議論いたしました。そして、これを付与するとか付与しないとかはともかくといたしまして、今後、時代も変わってまいりました、現時点におきますニュートラルな立場で検討する場を設けることとしまして、今後、検討場のあり方等につきましては関係者と調整していくことで意見が一致したわけでございます。

 この場におきましても、公務と公務を担う公務員の範囲、あり方についての総合的な検討を踏まえて基本権のあり方を論議することとしておりまして、予見を持つことなく、幅広い観点から検討がなされることが必要だ、このように考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。はっきりとここでおっしゃっていただきましたので、大変ありがとうございました。やはりこのような誤解が国民に伝わることのないように、ぜひともしっかりとした政労協議をお願い申し上げたいというふうに思います。

 ただ、個人的には、やはりこの労働基本権の議論というのは公務員制度改革の中で避けて通れない議論ではあろうかというふうに思います。そして、このことは、これからちょっと議論をいたします官民の事業仕分け、何を公がやるのだ、何を民がやるのだということで、私は密接に絡んでくる部分があるんだろうというふうに思います。

 個人的に申し上げると、時間もありませんのでこの資料の説明については省略をいたしますが、ドイツの方式、つまり企画立案を担う官吏とそれ以外の職員それから労働者を分けて、あるいは労働基本権の付与の仕方についても分けているというようなことは、今後、我が国においてもやはりある意味で参考にしていかなければいけない部分なのかなという感じもいたします。

 そして、官民の事業仕分けの問題についてもやはり似たようなことがあるんだろうというふうに思います。完全に政策の企画立案を担う部門、これについては、やはり民間に任せるということは多分できないんだろうというふうに思います。そうなりますと、実際に、行政ではあるけれども業務を担当する部門について、どのような部分を民間に任せることができていくのかどうかということが議論になるわけですけれども、そのような中で、単純な業務といいますか、私自身が役所にいたのが警察というところで、単純な業務ではあるんですけれども、非常に国民の安全にかかわる仕事をしてきたわけでございます。

 そこで、やはり国民の安全、公権力という議論が昨日もございましたけれども、国民生活の安全、国民の安全、安心、ここら辺にかかわる部門についてはやはり公の部門がしっかり責任を持っていくんだということが、この法律の第二条の基本理念、国民生活の安全に対する配慮、そこら辺ににじみ出ているのではないかなというふうに私自身は感じるんですけれども、中馬大臣から御見解をお願いしたいと思います。

中馬国務大臣 国民が国家に期待しているもの、求めているものは、申すまでもなく、生活の安定その他もございますが、やはりこの安全、安心といったことが大きな要素かと思います。そういう意味におきまして、簡素で効率的な政府を実現することといたしましても、このことに対してはしっかりとした責任を果たしていく必要があろうかと思います。このことにつきまして政府として適切な役割を担っていく必要があることから、改革に当たっては、国民が安心して暮らせる社会の実現を目指すとともに、国民生活の安全に配慮しつつ進めるという考え方も、これも法案にしっかりと盛り込んでおります。

 また、他方、安全に関するものはすべて官が行うということではございません。官でしかできないことは何かは時代に応じて変遷することも事実でありまして、公共サービスの質を高めつつ国民負担を抑制するためには、官と民の役割について不断の見直しを行っていく必要があるということを念頭に置かなければいけないと思っています。先ほども申しましたように、公がしっかりと責任を持たなければいけないことと、それを実施するために公を公務員がやらなければいけないかどうか、民間でもできることは民間に移すというのが今回の法の一つの理念でもございます。

葉梨委員 では次の質問は、こちらで国民生活の安全ということで申し上げましたけれども、今、私、警察におりましたのでということで警察の例を挙げさせていただきましたが、国民生活の安全というのは必ずしもそれに限られたものだけではないだろうというふうに思います。例えば防災の問題がある。あるいは、治山とかいった国土保全の問題もありましょう、環境保全といった問題もありましょう、食の安全、安心といった問題もありましょう。ただ、そこら辺のところを、やはりどの業務を民に担わせるのか、あるいは今後どのような業務を非公務員化していくのかということに当たって、そういった安全への配慮は非常に必要であるというような御答弁であったかというふうに思います。

 ただし、もちろん個々にはしっかりと検討していかなければなりません。その意味では、私自身は、検討するに当たっては聖域なくしっかりやっていくことは絶対に必要である、ただし、それに当たって、国民生活の安全、これは単なる治安というだけではなくて、国土保全あるいは食料の安全保障、そういったものを含めてしっかり配慮をしていかなければならないということであったかというふうに解釈をいたしまして、またこちらからも御意見を申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ただ、そうはいっても、いろいろな事業仕分けの中で、官に残る、あるいは最後に御質問させていただきますけれども、特別会計の中で特別会計として残っていくといっても、しっかりと行政改革の世界の中では切り込みをしていかなければならないというふうに思います。

 そこで、聖域なき総人件費改革ということについて御質問をさせていただきたいんです。

 いろいろな見直しを行います。そして、この業務は官でやります、これは公務員がやりますというような形で公務員として残るというものであっても、やはり私は公務員の純減の必要性は減じないんじゃないかというふうに考えますけれども、中馬大臣から御見解をお願いしたいと思います。

中馬国務大臣 もうこれは言わずもがなのことでございますが、先ほど申しましたように、今までは時代的な背景もありましょう、民間が育っていなかったといったこともありまして、かなり公の担う面を公務員がやっておったことも事実でございますが、これが相当の部分がもう民間に任せても公的な役割をしっかりと担ってもらえる、もちろんそれを監督するのは中央官庁であったりそれぞれの地方政府であったりするかもしれませんが、そういうことだと思っております。

 そういうことで、これから、公であるから公務員でしっかりとやっていかなければいけないということとは別な形で、人口が減っていくんですね。人口が減っていく中で公務員の数が今のままであっていいはずもありません。先ほどから申しますように、相当の業務を移していく、そしてまた人口も減っていく中で、公務員の数は、公的な役割が非常に必要だということがあったとしましても、現状のままでいいとは私は認識いたしておりません。

葉梨委員 ありがとうございます。

 今の人口が減っていくということ、非常に大きなポイントであろうかと思います。

 実は五年で五%という数字、これは本会議でも民主党の方からどういう理由ですかという質問があったかに思います。私自身も、経済財政諮問会議のある委員の方というふうに申し上げておきたいんですけれども、ある委員の方とお話ししていたら、もともと最初のところは総務省の方で一〇%削減の定削計画が出てきて、これは純減じゃないんですけれども、まあその半分ぐらいは純減しろよというような面もあったというふうにもお聞きはしているんですけれども、後々いろいろ考えてみますと、結構これはいいところの数字なんじゃないかなというふうな感じもしております。

 そして、私、実は昨年来、公務員給与改革断行を求める若手議員の会というのをつくりまして事務局長をやっています。そして、いろいろな形で各省庁の人事担当者ともお話しする機会があるんですけれども、公務員の数を純減する、純減すると言うと困るんですよねと人事担当者の方は言います。何でですかと。今までやっていて、これは独法化したり非公務員化するんだったらわかる、ただ、そうじゃなくてもともとの官がやるべき業務を純減しろと言うと、何か今までやってきたことは本当に無駄をやってきたような感じで士気が落ちちゃうんです。そんなような話も時々聞くことがあります。しかし、そうじゃないんですよ。今もお話しの人口減の話、これを持ち出すと、ああ、なるほどと納得する。

 これは人口減ということでおっしゃられましたけれども、私自身は、やはり一つの目安として、働く労働人口ですね、二十から六十四歳とか二十から五十九歳、そういう中で、公務員の年齢というのは大体そんなところにおさまるわけですから、その人口の中でのやはり公務員の数の比率というのを上げないで一定に保っていくということは、国民に対するメッセージとして私は必要なんじゃないか。それは少なくとも努力をしていかなきゃいけない。

 その意味でいいますと、国立社会保障・人口問題研究所の、これは中位推計ですけれども、二十歳から五十九歳までの労働人口は平成十七年六千九百五十四万二千人、平成二十二年六千五百六十八万六千人、これは五・五五%の減。二十歳から六十四歳までとしても、七千八百一万から七千五百六十万で三・一%の減。ですから、五年間で五%というのは、そこら辺の数字からも私は結構いい数字なんじゃないかというふうに思っています。

 ただ、そういうような理屈でいきますと、実は、治安だとかあるいは入国管理、そういった業務についても、対象となる人間が減っていくのであれば、当然やはり減らさなければいけないというような方向性というのは出てくるんだろうと思うんです。しかしながら、私は別に治安を減らせと言っているわけではありません。個々の、時々の業務、これの大切さ、あるいは業務量に応じて、やはりふやすべき部分というのも出てくるんだろうと思います。

 しかしながら、治安だからといって、入国管理だからといって、全く検討の俎上にのせないということであってはならないというふうに思います。定員の見直しというのはしっかりやっていく、その結果として減らさないという選択肢もあり得るけれども、しっかりそこは聖域なくカバーをして見ていくんだということが私は必要だと思いますけれども、中馬大臣から御見解をお願いしたいと思います。

中馬国務大臣 大きく時代が変わってきて、先ほどお話ありましたように、ある一定数はともかくとして、だんだんと相対的に役人の比率が高まっていくということは、やはりこれは是正しなければいけないことでございます。その中で、委員もいろいろと党の方でこうした公務員改革等についても御勉強していただいていること、本当に私どもも心強く思っている次第でございます。今御提言がありましたこと等につきましても、これは一つのアイデアでもございますし、大いに私どものこれからの参考にしてまいりたい、このように考えております。

葉梨委員 それでは総務大臣に、二問を分けてと思いましたけれども、時間の関係もありますので一緒にしてお聞きしたいと思います。

 一つは、今のは国家公務員の話なんですけれども、またがる話という意味では地方にまたがる話、つまり地方公務員に対する話でございます。

 この法律の中にもその条項はあるわけですけれども、先般三月の二十七日、地方公務員の給与に関する研究会から、例えば国公準拠の問題あるいは級別の比較の問題、そこら辺について、私は比較的合理的な形での報告書が出たというふうに思います。ただし、報告書は報告書で終わらせてはなりません。地方公務員の、人件費の問題については昨日来議論がありましたけれども、給与の問題についてもしっかり総務省さんも指導していただきたいということが第一点でございます。

 そして、第二点でございますが、これは省庁間をまたがる話でございます。

 今の五年五%という話、その先には平成二十七年にGNP比半減という話が待っております。労働人口減のスピードはさらに加速する、その中で、公務員の純減というのはさらにもっともっとやっていかなきゃいけないという場面が出てくる。そうなりますと、今、聖域なく見直すというふうに申し上げましたけれども、必ず出てまいりますのが一つは省庁間配転の議論でございます。ただ、省庁間配転といいましても、業務をたがえるわけですから、しっかりとしたところで再教育、再訓練をやって、ある程度業務を身につけさせて別のところに移す、そういう機能が絶対に必要になってまいります。

 また、さらには天下り、ずっと先日来お話もありますけれども、天下りの関係でいいますと、高齢公務員についても、例えば六十歳になった時点である程度の再教育訓練を施して、今度は別の業務で、今度は安い給与で働いていただくというようなことも将来的には考えていかなきゃいけない。そうなりますと、今総務省に人事・恩給局というのがありますけれども、そこの機能というのを本当に将来にわたってしっかり強化していかなければならないでしょうし、またさらには、省庁間をまたがる話ということで、総務大臣ですからなかなかお答えはしづらいかもわかりませんけれども、将来的には内閣府に置いていくといったような選択肢も考えていかなければならないんじゃないかというふうに思います。

 以上、一つは地方公務員の問題、一つは内閣における人事機能、これの強化の問題ということで、総務大臣からお答えを願いたいと思います。

伊吹委員長 竹中総務大臣、二点について御答弁ください。

竹中国務大臣 二点についてお答えを申し上げます。

 まず、第一の地方公務員の給与の問題でございますけれども、これは、委員御指摘くださいましたように、去る三月二十七日に地方公務員の給与のあり方に関する研究会から報告が出ております。この中におきましては、これは、従来、制度、水準の両面について国家公務員の給与に準じるというふうにしていたわけでございます。その地方公務員の給与決定のあり方を、給与水準については地域民間給与を重視する方針で刷新することという非常に重要な御提言が出ております。また、民間給与の調査対象となる企業の拡大でありますとか官民比較方法の改善など、人事委員会機能の発揮等、それについても提言をいただいております。私としては、この提言に沿って、地方公務員の給与における地域民間給与のより的確な反映に向けた改革の具体的な取り組みをぜひ順次進めていきたいと思っております。これが第一でございます。

 第二点の点、これも今後教育訓練、再配置等々の機能が重要になってくるので、その機能を高める必要があるのではないか。御趣旨はそのとおりであるというふうに思っております。政府全体としては、こうした目標を実現するために、国家公務員雇用調整本部、これは仮称でございますけれども、これを内閣に置きまして、職員の採用の抑制、配置転換を実施することとしておりまして、今、内閣官房で必要な検討が進んでおるというふうに承知をしております。この機能が重要である、強化される必要があるという方向は、全く私はそのとおりだと思っております。三月三十一日の行革の推進本部においても、効果的な研修のあり方について検討を進めるというふうにされたところでございます。

 総務省としては、また私としては、この調整本部の事務に必要な協力を行いまして、内閣官房と連携して改革を推進して、その先にどういうことがさらに必要かということを検討してまいりたいと思っております。

葉梨委員 あと五分になりましたので、次の質問に移らせていただきたいと思います。与党ですから、パンクチュアルじゃなければいけませんので。

 ただ、この質問ですけれども、実は、私も公務員制度改革で塩川前財務大臣といろいろ勉強会をやっていまして、今度は行革特で質問するんだということだったら、やはり再配置、それから再教育、加えて、高齢公務員の再教育、そういった機能の強化ということはぜひとも言ってくれというようなことを言われましたので、これは約束でございますので質問をさせていただきました。そのことを中馬大臣にもお訴えを申し上げて、質問は省略いたします。

 次に、現財務大臣の谷垣財務大臣に伺います。

 特別会計改革でございます。

 特別会計改革についても、やはり聖域なくやっていく必要はあるというふうに思います。ただ、これは、非常にこれまた誤ったメッセージということで、特別会計として残ったものは何か役所が自分の権益を守ったというふうなイメージが時々マスコミで言われることがあるんです。

 こちらに太田先生はいらっしゃらないんですが、党の行革本部の中で特別会計委員会というのがありまして、各省庁の官房長を全部呼び寄せたことがあります。そこで私からも発言をさせていただいたんですけれども、特別会計で残ったからといって甘えるなよ、それで自分たちの権益を残したというふうに思ったら違う、これは、特別会計で残したというのは、単純に経理の区分上、一般会計であるよりもそちらの方が技術的に非常に動かしやすい、効率的だから残したのであって、特別会計として残ったものについては、統合したものについても、これは本当に、外に出したもの、独法化したもの以上に、あるいはそれと同じぐらいにしっかりと汗を流していただきますよということを、私、各省の官房長に対して申し上げたことがございます。

 そこで、申し上げますと、よく特別会計の恩典ということが言われます。ただ、恩典というふうに言うと、私は、弾力条項については、個人的にはより財政規律をしっかりしていかなきゃいけないなというふうに思うんですけれども、例えば、剰余金、それから繰り入れの規定、これは、地方公共団体から、負担金がありますときに、それを一々一般会計に戻して、また翌年度一般会計に入れる。これは大変な手間であるし、さらには、そういう規定をなくしてしまうと、下手をすると、この財政規律の問題から年度末になってお金をどんどん使ってしまう、そういったことも起こってきてしまう。

 さらには、借入金の規定というのも、これは借入金についての財政規律をしっかりしなければいけない。変に勝手に借りちゃいけないということはあるんですけれども、例えば空港整備なんかを考えてみたら、やはり借り入れをしなければいけない部分というのは当然出てくる。そういう意味でのまさに財政上の技術的な問題から、ここは恩典というんじゃなくて、そういう措置を存置しているんだと。

 さらには、一般会計。一般会計からの繰り入れが大きいもので特別会計に残したものもございます。しかしながら、これは今申し上げたような、例えば地方公共団体からの負担金の部分がある、あるいは民間事業者からの負担金の部分がある。そういうふうになりますと、分けて会計をしていきませんと、これは人のお金ですからいけないというような理由で特別会計に残したんだというようなこと、これをやはりしっかりと、役人を守るためにやったんじゃないということ、これをわかりやすく国民にメッセージを伝える必要があるかと思います。

 財務大臣から、本当に一言で結構ですけれども、御見解をお願いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今回の法案の中にはいろいろな規定が組み込まれておりますけれども、例えば統合する場合でも、単に残すんじゃないぞ、効率化や何かのメリットをきちっと出していけという条文がありますけれども、これも葉梨委員が党等の議論で大変汗をかかれた、その汗が反映しているんだと思っております。

 それから、特会を改革していくに当たって、そこに特典があるようではいけない、一般会計と違うところはできるだけ整理をしていくようにという規定もございますが、しかし、特会を残していくには、例えば受益と負担の関係がはっきりするように、あるいはそのことによって特会の財政規律がはっきりするように、そのあたり、しっかり議論をしながらいいものをつくっていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

葉梨委員 そして最後に、具体の制度設計の話について、その統合です。

 統合については、これは実は主計の方ともいろいろお話もしているんですけれども、今後の制度設計ということになってきますけれども、統合した特別会計については、例えば共通の業務勘定を設けるといった形で、やはり具体的な財政規律あるいは統合メリットを出すということ、外に対してやはり具体的な施策を打ち出していく必要があると思います。

 制度設計に当たって参考にしていただきたいと思いますけれども、財務大臣から御見解をお願いします。

谷垣国務大臣 今の点も十分念頭に置いて検討したいと思います。

葉梨委員 ありがとうございました。

 本日は、この行政改革の推進法案、大変重要な法案である、しかしながらこれだけではない、やはり一里塚である、これから構造改革をしっかり進めていかなきゃいけないし、それから今後残された課題も大きいということを重点に質疑をさせていただきましたが、今後とも、私ども知恵を絞っていいものをつくってまいりたい、そのためにもこの法案を早く通していただきたいということを訴えまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 私は当委員会の委員ではありませんけれども、本日は質問の機会をいただきましたので、三十分ばかり質問をさせていただきたいと思います。

 行政改革推進法案、非常に重要な法案であります。二〇〇六年の三月末には政府の負債も七百七十五兆円という大変なことになるわけでありますし、また、遊休政府保有資産、売却できるものは売却をして債務の償還に回していくということは、これは非常に重要なことだと思うわけであります。そのようなことにつきまして、私も今、党の政府資産、負債の圧縮のチームの担当でありますので、質問をさせていただきたいと思います。

 この問題につきましては、六百九十五兆円の政府保有資産があって、国有資産があって、このうち約四百三十兆円程度が売却可能だというようなことが言われております。国民一般には、そんなに売却可能な資産があるのか、それを売っちゃったらどうなのかというようなことになるわけでありますが、そこをきょうはちょっと深く入ってお伺いいたしたいと思うわけであります。

 今、ちょうど財務金融委員会でこれから審議に入ろうといたしております国有財産法、当委員会がございますので、大臣がこちらに引っ張られまして、向こうの審議も今のところ進んでおりませんが、これから入るわけであります。この国有財産法は、国有財産の有効活用の促進、また国有財産の売却の促進、庁舎等の効率的な整備の推進ということ等々が法案の内容でありますけれども、いわば行政改革推進法の事前準備の位置づけの法案ではないか、このようにも思っておるわけであります。

 そこで、お伺いをいたしたいわけでありますが、昨年に行政改革の重要方針が出されまして、政府資産の売却目標が定められたわけでありますけれども、政府の資産規模の対名目GDP比を今後十年でおおむね半減させるというような長期的な目安を念頭に置きながら資産のスリム化を図っていくというような状況のようであります。また、一方で、政府資産・債務改革の基本方針の中で、真に必要な部分のみ厳選して保有するというようなことになっておるわけであります。

 それで、私はまず初めにお伺いをいたしたいのは、この真に必要な資産のみ厳選をして保有するということにつきまして、一体どういうようなことをおっしゃっておるのか。谷垣大臣また与謝野大臣、お二人にお伺いをいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

谷垣国務大臣 国の保有している資産のうち売却できるものは売却して、少しでも国の財政健全化に役立てたい。それから、資産、債務全体を圧縮してスリムなものにしていこうというのは、行革に当たって極めて重要な課題でございます。

 しかし、他方、今おっしゃったように真に必要なものは持たなきゃいけない。具体的に言いますと、例えば防衛施設とか、それから在日米軍への提供資産、これはやはり日米安保の基礎を支えるものでございますし、それから刑務所等の行刑施設、こういったものはすべて国民の安全とか安心につながってくるものでございまして、その基盤を形成するものでございますから、そういうものはやはり国がしっかり保有していく必要がある、こういうことでございます。

 今後、具体的に進めていくに当たりましては、一つ一つに当たって精査をしなければならないわけでございますが、そういう考えに立ってこの資産・債務改革というものを進めていきたいと考えております。

与謝野国務大臣 まず、国の資産の中で、売ってお金になるものと売れないものと多分あるんだろうと私は思っております。国が持っている資産のうち持っている必要のないもの、これはどんどん売って財政再建に役立てたらいいと私は思っておりますが、やや誤解がありますのは、政府のバランスシートをつくりましたら政府の資産が何百兆なんということが書いてありまして、これがあたかも売るとお金になるという誤解を与えているわけでございますが、政府の持っている固定資産でありましても、今谷垣大臣からお話がありましたように、全く売れないもの、売ってはいけないもの、切り売りはできないもの、こういうものもあります。

 また、政府の資産のうち流動性の高いものにつきましても、これは、資産を持っているけれども借り入れと見合った資産だ、あるいは資産であるけれども例えば年金のお金をお預かりしている、これは資産と言っていいのか、ただお預かりしていると言っていいのか。これは、むしろ政府の資産に勘定していいのかどうかという根本的な問題すらありますので、やはり、正味の資産であって、なおかつ売却可能であって、あらゆる行政目的に照らして売却可能であるという判断をされたものに多分私は限定されるんだろうと思っております。

谷口(隆)委員 両大臣おっしゃっていただいたことのとおりだと私も思うわけでございまして、先ほど、冒頭お話をいたしましたように、国有財産が六百九十五兆円あって、そのうち過半の四百三十兆円あたりは売却可能だというようなことを申しましたら、それじゃ売っちゃったらいいんじゃないか、こういうような話があるわけですが、まさに与謝野大臣がおっしゃったように、河川だとか道路だとか港湾だとか海岸だとか、こんなものは売るわけにはまいりませんし、武器が物品の中に九兆円程度ありますけれども、これも売るわけにはまいりません。また、運用寄託金、今、年金のことをおっしゃいましたけれども、このようなこともそうであります。

 ですから、資産と負債が両建てをしておるものは、おっしゃるように売っても何にもならないわけでありますから、そのあたりの誤解を解いた上で、本当に売却できるもの、売却してそれによって債務の償還に充てられるもの、このようなことで厳選をしてこれから始めていかなければならない、こういうように思うわけでありますけれども。

 それで、次にお聞きいたしたいのは、先日の経済財政諮問会議で谷垣大臣が提出された、資産・債務改革における資産売却についてという資料についてお伺いをいたしたいわけであります。

 大臣の出された資料は、今後十年間で約十一・五兆円の売却を目指しているというようなことで、一つは民営化法人に対する出資が八兆四千億、また未利用国有地及び物納財産等が二兆一千億ほどある、また一般庁舎、宿舎の効率的な使用により不用となった不動産が一兆円程度あって、これが合計で十一兆五千億、こういうようなお話であります。一方、大変な御苦労を今いただいております自民党のプロジェクトチームの皆さんが出されたものがありまして、それを拝見させていただきますと、けた違いでありまして、百十二兆円のボリュームになっておるわけであります。

 それで、いろいろ現地にも行かれ、いろいろな御協議をされた結果、これを出されたわけでありますけれども、谷垣大臣の資料と、自民党のプロジェクトチームの皆さんの資料とを拝見いたしますと、一番大きなのが財政融資資金貸付金、これは二百七十五兆円ありますけれども、この中で百兆円圧縮できるというような報告になっておるわけであります。

 このような、自民党のプロジェクトチームの皆さんに大変な御努力をしていただいた結果の報告書と、谷垣大臣が諮問会議で出された報告書との間の乖離について、大臣の方からお伺いをいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 私は、過日、経済財政諮問会議に約十一・五兆円政府資産の売却収入の目安があるという資料をお出しいたしました。そして、この十一・五兆円という数字は、そういう国の資産を売却することによって財政再建に資することのできるもの、財源となるもの、それが十一・五兆だということでお出しをしたわけでございます。

 したがいまして、自民党で御苦労いただいて、大変いろいろ知恵を絞っていただいた財政改革研究会の案との大きな違いは、財融特会の貸付金を証券化する、それが約百兆できるじゃないかというお話でありますが、自民党の整理でも、それは売却することによって財源となるものではないという整理が行われているわけでございます。

 この行革の方針の中にも、今後十年ぐらいをめどに政府資産・債務の規模をGDP比で半減していくといったような目標ということがございますので、むしろそちらの方の全体のスリム化ということに資する案だというふうに私は理解しているわけでございまして、その百十二兆という数字と私の出した十一・五兆、けたが一つ違うじゃないかというのは、そういう整理の違いが一つあるんだろうというふうに思っております。

 その上で、百兆円を超える貸付金を証券化することによってスリム化を果たしていこうというアイデアでございますが、これは相当検討しなければならない面が私はあるんだろうと思っております。

 一つは、財投の資金というのは国の信用を背景に調達してきたものでございますから、それを外した場合に調達コストというものがやはりかかるようになってくるわけでございまして、そういうプレミアムの上乗せ部分というものがやはりございます。それから、そういった証券化をしていきますと、どうしても手数料とかいろいろなコストがかかってくるわけでございまして、そういうことをやった結果、むしろ国の負担になってしまうというようなことがあるとすれば、これは私は相当よく考えなきゃいかぬということになるんだろうと思います。

 それから、一方、百兆を超える証券化ということになりますと、マーケットに与える影響というのもこれは十分考えておかなければならないことだろうと思います。現在、資産担保証券のマーケットの規模は大体八兆円ぐらいだったと思いますので、これが百兆というようなものが出てくるとなったときにマーケットがどうなってくるのか、このあたりも慎重な判断、検討が必要ではないかというふうに私は思っておりまして、今後、そのあたりは十分議論もさせていただいて結論を出していくということでなければならないのではないかと思っております。

 いずれにせよ、財政再建に資するということだけではなくて、資産、債務全体をスリム化していく、GDP比で半分ぐらいを目指していくという目標がございますので、一体そのためにはどういう手法があるのかというような工程表も、今後よく議論をして出さなければなりません。

 私は、やらなければならない一番大きなことは、今までも財投を圧縮してまいりまして、今後もその動きを続けていくということが一番基本にあるんだろうと思っておりますが、そのほかにどういう手法があるのかということは、よく議論をさせていただきたいと思っております。

谷口(隆)委員 谷垣大臣が今おっしゃったことは、一つは、財政融資資金貸し付けは、これは与謝野大臣もおっしゃったように財投債という見合いの負債がございますので、これを売却しても、資産、負債が両建てになっておりますから、そういう意味では新たな資金が生まれてこない。

 それで、今、谷垣大臣がおっしゃったように、これを証券化したらどうかというような自民党の皆さんの発想がある。それに対しては、おっしゃるように、この財投資金の貸し付けは、今国債の金利が一・八%程度ですから、非常に低金利でやっているわけですね。これを証券化等で運用するというようなことになってまいりますと、リスクプレミアムがその上に乗ってまいりますので、今試算をいたしますと大体〇・四%程度それがアップするだろう。

 ですから、おっしゃるように、コストとして、十年間で考えますと四兆円程度のコストがかかってくる。それにつけ加えて証券会社の手数料も入ってくるということでありまして、一体何のためにやっているのかということにもなりかねないわけで、そこはやはり慎重に慎重に、国民の皆さんの負担をふやさないという観点でやはり私はやっていく必要がある、このように思うわけであります。

 それで、今までの国の考え方だけではなくて、民間ベースの考え方も導入して、この際、資産処分をしていったらどうかというような考え方がありまして、先ほど谷垣大臣がおっしゃった証券化というのはまさにそういう意味合いでありますし、聞いておりますとリースバックというような手法を入れていけばどうかというようなこともあるようでありますし、この証券化、またリースバックについて今度はお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。

 民間の不動産の証券化、いろいろなやり方がありますけれども、二つの形態があると言われております。一つは、所有者がある不動産をオフバランスにしたいために証券化を行うという手法です。証券化という手法を通じて、SPC、特定目的会社に不動産を売却しまして、SPCが資金調達を行う、これはオフバランスをしたいということです。もう一つは、最初に投資家の資金を集めてファンドとしまして、これを元手にこの運用益を投資家に分配する。このような二つの証券化の手法があるわけであります。まず、前者の方は物ありきということで資産流動化型証券化と言われるもの、後者の方はまず金ありきということで資産運用型証券化と言われるようなもの、このような二つのパターンがあるようであります。

 こういう観点でまいりますと、今、政府資産の売却で考えておられるようなスキームは、むしろ前者の方、まず物ありきというような証券化を想定したやり方を考えておられるように思うわけであります。この証券化をすることによって、先ほどの話に戻るわけでありますけれども、どの程度の債務の圧縮ができるのか、またコストをカットすることができるのか、こういう視点でいった場合に、この証券化がどれほど役立つものなのかというような疑問もあるわけであります。

 また、リースバックというのは、現に政府が保有をいたしております国有財産を一たん売却して、これをまた賃借する。庁舎なんかがあれば、この庁舎を一たん民間に売却して、それでまた賃貸料を払えばいいじゃないかということのやり方であります。

 ところが、民間の部門、企業一般ではこのリースバック、セールス・アンド・リースバックとも言いますけれども、これは目くらましの方法として使われることがあるんですね。本社を関係会社に売却しまして、それで関係会社から賃借を受けるというようなこと、これが売却と認められるのかどうかというようなことがあるわけであります。そうしないと安定的に賃借が保証されるというわけではないものですから、例えば国有財産におきましても、民間に売却をし、売却をした当事者の方が、いや、これはまた違うところの用途に充てたいんだと言われた場合に、これからも長くこの賃借を続けるということが可能なのかどうかというようなこともあります。

 こういうようなリースバックも、当初、売却することによって一時的に資金が入るわけでありますけれども、長期的に賃借を続けておりますと、売却をした資金をはるかに超えるような支払いが生じるといったようなこともあります。

 ですから、目先、資金を手に入れたいがために必要な資産を売却してこれを続けていくということは、かえってロスが生じるということにならないのか、こういうように思うわけでありまして、民間の手法といえば、何か目新しいもので魔法のつえみたいな形に思っておったら、実はよく考えたらコストだけかかって実体のないものであったということのないようにしなければならないということで私は今申し上げておるわけでありますけれども、これに関しまして与謝野大臣に御答弁いただけますか。お願いいたします。

与謝野国務大臣 先生は問題の核心をずばりついておられると思います。

 まず、証券化については、証券化の、アセットバック・セキュリティーの市場というのは十兆に満たない市場でございますから、百兆もの貸付債権を証券化して売りに出すということは、そういう証券化市場で消化できるかどうかという問題があります。それからもう一つは、百兆を売り出したときに、百兆の証券化したものが一体市場で幾らで評価されるかという問題で、百兆が百兆で評価されるのかどうかという問題が当然ありますし、先ほどからお話がありますように、当然それを取り持つ方に手数料を払わなきゃいけないという問題があります。しょせん、貸付債権を売るということは、将来入ってくるであろう利息を先に売っているというだけの話でありまして、別に資産価値がふえたというふうには私は思っておりません。

 それから、リースバックについては、これは多分簡単な話なんだろうと思います。これは、一時的な資金繰りのためにやるリースバックとか、先生は益出しの話をされておられましたし、またリースバックというのは、償却とかそういうのが経理上面倒くさいからリースでやった方がいいよというような場合もあるし、いろいろなケースがありますけれども、しょせんは、相手様が若干の利益を上げるということになればその分だけは国の損になるということはもう明々白々だろうと私は思っております。

谷口(隆)委員 まさに与謝野大臣、私と全く考え方が同じだと思います。

 ここで、国有財産を売却しろ、しろという一つの流れもありますけれども、よく考えて、後顧の憂いのないような形でやっていかなければなりません。しかし、一方でこれほど政府負債もふえておりますから、使っておらないような遊休国有財産については徹底して見直しをして、売却をしていかなければなりません。また、公務員の宿舎等も今言われておりますけれども、公務員の宿舎も、緊急対応ということで、仮に大震災、天災でもあればすぐ駆けつけなければなりませんから、都心のところでもやはり一定程度は必要であります。

 こういうことも含めて、何か魔女狩りみたいな感じになって、全部つぶしたらいい、売ったらいいということにならないように考えていく必要があると私は思うわけでございます。一時のそういう流れに乗じるというようなことのないように、ぜひ進めていただきたいと思います。また、そのあたりのことも国民の皆さんによく理解をしていただくように、きめの細かい説明もぜひしていただきたい、このようにお願いをする次第であります。

 それと、もう一つお伺いをいたしたいのは、この行革推進法の中で会計のことに言及しているところがあります。「政府は、企業会計の慣行を参考とした貸借対照表その他の財務書類の整備を促進するため、当該書類を作成する基準について必要な見直しを行い、その他必要な取組を行う」、こういうことになっておるわけでありますが、御存じのとおり、今、公会計基準と言われるものが既に協議をされ、出されておるわけでございますし、国の財務書類は、もう既にしっかりとした財務書類が出されております。

 こういうようなもう既に作成されておる財務書類の基準があるわけでありますけれども、今回さらに見直しを行うべきだというような推進法の文言があるわけでありますけれども、どのようにこの条項を考えればいいのか、谷垣大臣にお伺いをいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 昨年の九月に国の財務諸表というのを発表いたしまして、今まで五、六年かけたんでしょうか、国の公会計をこういう形で、民間の基準にものっとってやっていこうという作業が一応完結したわけでございまして、今後それを私どもも利用しなければなりませんが、よくまた研究し、利用していただきたいと思っているわけでございます。

 それで、企業会計の考え方を参考としたこういう公会計に関する財務書類の整備ということは、これは国の資産及び債務の管理に資するという観点もございます。今後ともその整備を一層進めなければいけないと考えておるわけですが、そのために財政制度等審議会に検討をお願いいたしまして、四月四日から検討を開始したところでございます。

 具体的には、一つは、財政の効率化に資するための財務書類の活用方法、それから財務書類の一層の活用に資するための資産、負債の計上方法等の見直し、それから二つ目には、国際会計士連盟による国際公会計基準等の国際的な基準と我が国の基準との整合性、それから三番目に、地方において国と整合性のとれた公会計制度を早急に整備できるようにするための総務省や地方における取り組みとの連携のあり方、こういった点について検討をしていただきまして、ことしの六月ごろをめどに中間的な取りまとめをお願いしたところでございます。

 この法案に書いてあります条文の精神にのっとって、そういうことを推し進めているわけでございます。

谷口(隆)委員 谷垣大臣が今おっしゃった、この公会計基準は、会計基準というのはどういう意味があるかといいますと、一番重要なのは比較可能性なんですね。基準をころころ変えちゃうと前年度と比較して当年度の状況がわからなくなってくるというのがありますから、ここのところは基準でありますので、しっかりと、今検討していただいているということでございますけれども、一たん決めた基準をずっと守っていただかなきゃなかなか比較はできないということになります。そういう観点で、六月ごろ出されるということでありますけれども、ぜひしっかりとしたものを出していただきたいということを申し上げまして、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。

伊吹委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 行革関連法案、質疑させていただきますが、引き続き、独立行政法人、初日に質疑をさせていただきましたが、さらにそれを深めてまいりたいというふうに思っております。

 まず、きょうも各省大臣おいででございます。私は、この間、国会での質疑は、大臣と、あるいは副大臣、政務官、政治家同士の質疑ということで行わせていただいておりますので、それぞれよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 まず、一問目でありますが、文科大臣もお見えでございます。一日目のときに、きょうもお許しをいただいて、出身省庁別の独法の役員内訳一覧をお配りしております。ごらんをいただきたいと思いますが、一ページ目、六百五十七名中、所管省庁三百二十二名、約五割という表でございます。この中で、特に文科省は百四十九人中八十二人が所管省庁なんだ。これが、予備的調査をもとに、私はこうした数字を分析させて提出をさせていただいておりますが、やはりここの考え方がどうも政府と違うといったところからまず入らせていただきたいと思います。

 お手元の三ページ目をごらんいただきますと、これは国立特殊教育総合研究所の役員氏名の一覧表でございます。理事長の方の出身を見ますと、滋賀大学で採用されて、そして平成五年に文部省に転任をされて、平成十五年退職をし、そしてという形で出ております。この国立特殊教育総合研究所、今独法の理事長になっておられますが、私はこの方はやはり文部省の出身の方だというふうにカウントをしているんですが、文科省としてどのようにこの方を考えておられるのか。

 続いて、これはもう質問通告しておりますのでお願いをしたいんですが、四ページ目は国立国語研究所。やはり、所長の方は、昭和五十年に国立国語研究所で採用されて、そして昨年三月三十一日に退職をして、この独法の国立国語研究所の所長になられております。この方についても、やはり文科省の出身、いわゆる文科省からこの独法への天下り、他省庁と同じように当然そういうふうに私はカウントをしておりますが、どうなのか。

 それから、五ページ目をごらんいただきたいと思いますが、物質・材料研究機構。この方は、文部省東京大学採用、そしてその後、先端科学技術研究センター長、通商産業省工業技術院産業技術融合領域研究所長、そして経済産業省産業技術総合研究所産業技術融合領域研究所長、そして平成十三年四月一日に退職をして、この物質・材料研究機構の理事長に就任をされております。

 やはり、文部省と書いてあるのも含めてなんですが、国立大学で採用されて、しかもこれだけ政府の各研究所の所長も歴任をされている。退職をされて、また独立行政法人物質・材料研究機構の理事長に就任をしている。当然、いわゆる政府、文部省からの天下り、これは私もカウントをするわけです。

 以上、三つの独法の長の方を文部科学省としてはどのように把握をされているのか、お答えをいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕

小坂国務大臣 武正委員、前回も御質問いただいたとき以来、どうも見解の相違というところがあるように思うわけでございますが、私ども文部科学省としては、役員の選任に当たりましては、その法人の目的及び業務にふさわしい役員人事を行っているというふうに考えております。

 今御指摘をいただきました文部科学省の役員数が百四十九となっておりますが、私どもの方のカウントでは百四十五となってまいります。また、所管省庁別に八十二という数字をお示しでございますが、私どもといたしましては、研究教育職員、教授、助教授、研究員というものは従来から民間扱いとしておるところでございまして、政府内共通の基準でございます。そういう意味で、私どもは三十六という数字に置きかわるわけでございまして、八十二が三十六に置きかわりますと二四%という比率になるわけでございまして、この辺のところが議論の焦点になっていると思うわけでございます。

 その国立大学の教員を含まないという三十六の数字と、含むかどうかという点で、今御質問いただきましたこの扱いはどうなるのかという三名のそれぞれの理事長の考え方でございます。

 まず、最初に御指摘をいただきました特殊教育総合研究所の小田豊理事長でございますけれども、私どもは民の扱いというふうに考えております。それはなぜかといいますと、この方は、そもそもが女学院高等学校の教諭を経て滋賀大学の講師、そして助教授、教授となられた方でございます。したがいまして、研究教育に携わった方ということでございまして、大学法人化に当たりまして身分が切りかわっておりますが、それまではたまたま国立大学の教授であったということでございまして、これは民間人の扱いとして私どもは考えているところでございます。

 また、国語研究所の杉戸所長でございますけれども、杉戸所長につきましては、国立の研究機関であります国語研究所の研究員としてお入りになりました。大学ではなくて国立の国語研究所の研究員でございますから、この方は公務員としてスタートをされ、それも純粋の官扱いとして私どもはカウントしておりますから、この方は官扱いというふうにいたしております。

 物質・材料研究機構の岸さんでございますけれども、岸さんの場合には、この方は東京大学工学部の助手として入られて、教授になられております。したがって、私ども、民間人という扱いでございますので、民間人からの御就任というふうに考えているところでございまして、そのように御理解をいただければ幸いでございます。

    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 官房長官、今お聞きだったと思うんですね。内閣官房、総務省、「独立行政法人等の役員に就いている退職公務員等の状況の公表について」ということで、昨年十二月二十六日付で発表されておりまして、独立行政法人の長における退職公務員の割合の状況は百十三人中五十七人、五〇%ちょっと、一人出る。ただ、今の仕分け、文科省と私の見解の相違、すなわち、国立大学を含めない、途中から文部科学省に入った人も含めない、あるいは国立大学に入ってもさまざまな政府の研究所の長を兼ねた方も含めないというカウントでいくと、百十三人中トップは五十七人。退職公務員の割合、約五割だろう。総理も、五割を目指すとこの間言いました。ただ、今言ったような方々を含めますと、私の仕分けでは、所管省庁だけで六五%、他省庁を含めると八二%の長が中央省庁の退職公務員、八割なんです。政府の仕分けは五割なんです。

 そこで、先ほどの二例について官房長官にお伺いをしたいんですが、資料をちょっと見ていただきたいと思います。

 三ページ目、先ほど文部科学大臣、この国立特殊教育総合研究所の方は、滋賀大学、国立大学だし、これは民間の扱いだよというふうに言われましたが、平成五年にもう文部省に転任をされて、これだけの役職も経て、十年たって退職をして国立の研究所の次長になって、そして二年前に退職をしてこの独法の理事長になっておられる。この方を民間人というふうに見るのは、やはり私は無理があるというふうに思います。

 それから、五ページをごらんいただきたいと思います。この方も民間人というふうに文部科学省は仕分けをしておりますが、昭和四十四年、まず文部省東京大学採用、文部省の採用でございます。そして、その後、これだけの政府の研究所を歴任されて退職をされている。そして、この物質・材料研究機構の理事長になってもう五年ということでございます。この方も民間人というのが政府の仕分けだというふうに今文科大臣が言いましたが、私はこれはやはりインチキだと思うんですよ。

 なぜこの人たちが民間人なんでしょうか。そして、天下りの対象じゃない、こういうような仕分けをしている。この仕分け自体がやはり私はおかしいと思いますが、この二人の方を官房長官もやはり民間人である、だから、こうやって十二月二十六日の独法等の「役員に就いている退職公務員等の状況の公表について」にも含めないんだ、これで国民に対して説明がつく、このようにお考えでしょうか。

安倍国務大臣 私ども政府といたしましては、国民の間にいわゆる天下りに対して厳しい御批判があることはしっかりと受けとめているわけでありまして、独立行政法人等の長及び役員の選任については国家公務員出身者の割合を二分の一以下にする、法人の類型に応じて退職管理を適正化することに今努めているところであります。

 ただいま委員が挙げられました二例についてでありますが、ただいま文科大臣が答弁されたように、いわばアカデミックな世界の方であって、基本的には大学の教員という位置づけでございまして、その方が一時的に文科省に来られたとしても、それはやはり、例えば東大の先生であったとしても早稲田大学の先生であったとしても、これはいわば学術的な知識を持っておられる民間人というふうに私どもが考えるのは自然ではないだろうか、このように思うわけであります。

武正委員 到底自然とは思いません。

 そして、今お答えいただけなかったんですが、この物質・材料研究機構、この方についてはいかがでしょうか。まずは文部省東京大学採用。国家公務員でもある。しかも、これだけの研究所の長を歴任されている。文科省の研究所だけじゃないですよね。通産省、経産省、こういったところの研究所の長も歴任をされて、そして退職をして、そして当独法の理事長に五年、就任をされている。こういった方もやはり民間人なんでしょうか。そして先ほど、退職国家公務員の割合は五割という目標からは、当然この人は民間人だから外れるということでしょうか。お答えいただきたいと思います。

 いや、これは官房長官に、もう文科大臣には先ほど伺っておりますので、お願いいたします。

安倍国務大臣 私が所管しているところではございませんからつまびらかには承知をしておりませんが、今大臣のお話を聞いておりましたら、東大の助手として採用され、その後教授になられたということであれば、まさに東大の先生であったのではないか、このように思います。

武正委員 私が聞いたことにはお答えいただけませんが、これだけ各省の研究所の所長も歴任をされているので、やはり私が言いたいのは、助手で採用かもしれません、東大で採用かもしれません、そして教授になられたかもしれません。しかし、やはり文科省という省で国家公務員として採用され、しかも東大の教授から通産省や経産省の研究所の長になっていく、こういった方々を民間人として、五割の目標を達成しているじゃないか、この人たちは民間人なんだよと。この十二月二十六日の、内閣官房と、総務大臣がお見えですが総務省から出されている、これはインチキだと私はあえて指摘をさせていただきます。

 さて、続きまして、資料をごらんいただきたいと思いますが、六ページ以降でございますが、高齢・障害者雇用支援機構の関連公益法人。先日も厚労大臣は、この中で障害者を一・八%、これはたしか職員数五十六人以上の企業でしたでしょうか、雇用しなければならない。現状は一・五%。それに達しない企業は納付金を納めなければならない。その納付金勘定で二百億円のお金を投資信託している、金利をできるだけ稼ぐために。独法の趣旨にのっとっているんだ、このように独法の方も説明をされました。

 でも、そもそも障害者の雇用を引き上げるためのある面ペナルティーとして、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、徴収ということも、独法の理事長は、前理事長だったでしょうか、徴収という言葉もある機関誌で書いておりますが、この本来の趣旨とは違うんじゃないだろうか。その二百億円のお金をできるだけ金利の高いところに預けて、そして金利を稼いでいます、これが独法の本来の趣旨ですということで例を挙げたんですが、その独法からの関連公益法人への厚生労働省出身者の数、そして関連公益法人事業収入の金額のうちその発注割合、これを示したのが六ページから九ページまでの資料でございます。

 八ページ、九ページをごらんいただきますと、社団法人、財団法人、雇用開発協会あるいは雇用促進協会がこれだけ、全国各県に一つずつございます。そして、事業収入に占める当法人発注等に係る金額、割合は、軒並み七割、八割でございます。合計額でいえば、百十八億のうち八十二億ということで七割強。これだけのお金が、この独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構から社団法人、財団法人、関連公益法人に支出をされている。

 そして、お戻りをいただきますと、六ページ、七ページ、それぞれの雇用促進協会あるいは雇用開発協会の役員は、厚労省の出身者が合計七十三名、これも天下り。主に地方労働局の方が中心で、しかも、それぞれの促進協会では、やはりかなめとなるポストに、理事長あるいは専務理事、特に事務局長、専務理事などが多いのかもしれません、再就職をしている。

 この独法から関連公益法人へのお金の流れ、そしてまた天下りの現状、これについて厚労大臣としてどのように御認識でございましょうか。

川崎国務大臣 今お話しいただきましたように、その協会役員千九百十八人のうち厚生労働省から再就職しておりますのは七十一人、先ほど七十三人という御指摘をいただいたのは七十一人と私どもは今把握いたしております。三・七%、ただし三月一日現在でございます。

 この障害者雇用の問題について先日も御質問をいただき、私もお答えいたしましたけれども、納付金という制度と、また、一・八%以上雇用している企業に対する助成金、報奨金、こういう制度を用いている。すなわち、法律に基づいて徴収という仕事、徴収という表現でいいんだろうと思いますけれども、それから助成金また報奨金を支給するという仕事は極めて公的な仕事であろうと思います。切り分けの仕方として、本来機構自体でこの仕事をきちっとやるべきじゃないかという議論もあると思います、極めて公的な性格の高いものでありますから。

 ただ、このスキームとしては、都道府県の知事さん等々、話し合いの中で、また事業団体も入っていただく中で、各地域に協会をつくって、そこで徴収と支給という仕事をしていこう、こういうスキームになっております。そういった意味では、一つのこのシステム全体の中でやらせていただいているということでございますので、私は、他にいい方法があるのかなと改めて思わせていただくと、これを民間にやらせろと、この徴収という仕事とお金を支給するという仕事を極めて民間の性格の高いものにやらせろというのは、なかなか難しい仕事になってまいるだろうなという考え方を持っております。

 もう一つは、その団体に事務局長等の人材を、事実上OBが行っているじゃないか、こういう御批判であろうと思います。ただ、障害者雇用という部門を見たときに、そういう仕事をずっとやってきて経験豊かな人間というのは、多分、公務員か地方公務員かどちらかしか人材活用はないんだろうと。民間にそういう人材をなるべく求めるべきだ、こういう御批判は御批判として受けますけれども、現実にそういう適任者があるだろうかということは考えなきゃならぬ。

 もう一つは、こういう問題でよく御指摘されるのは、現役のころより高い給与をもらって仕事を続けているんじゃないか、こういう御批判をいただきます。そこはきちっとしなきゃならぬだろうと。そういう意味では、現役のときに比べて低い給与体系にはなっておるようでございますので、人材の活用という面で他の方法があれば私もしっかり考えますけれども、今のところこのスキームでやらせていただきたい、こう思っております。

武正委員 人材が民間にいないでしょうか。大臣の方もあるいは委員の方も、それぞれの御地元で、障害者施設やいろいろなところで、民間の方が本当に必死になって働いておられることを目にされていると思うんです。本当に御苦労が多い現場だというふうに思います。そして、そこには大変な人材がいるはずです。そういった方がいないのでしょうか。

 これは多分定期的に、各地方の労働局から、一年、二年で交代で就任をされているんだと思うんです。私は、この再就職七十一人はおかしいと思いますし、また、そこの雇用開発協会や雇用促進協会に七割のお金が独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構から流れる、そして、そこに厚生労働省から事務局長などかなめのポストに二年、三年で定期的に天下っていく、この仕組みはやはりおかしいと思うんですが、今お金の流れの方は大臣答えられませんでしたが、いかがでしょうか。

川崎国務大臣 お金の流れは、基本的には、この協会が各会社から徴収をし一回機構に上がる、機構に上がって今度は逆におりてきて、それが支給事務に使われる、そして人件費もそこに入っている、こういう仕組みでございますので、流れからいきますと、まず集める、徴収という仕事からかかっているということは御理解賜りたいと思います。

武正委員 十ページ、十一ページをごらんいただきたいと思います。

 これは当独法の随契の割合、これをやはり独法から出していただきました。本来であれば一般競争入札に付すべき契約でありながら、あるいは指名競争入札ということもあるのかもしれません。ただ、それを随契でした割合、特に役務等上記以外の契約ということで、この一番下、十五年度下期は八五%が随契ですよ、それから十六年度は七二%が随契ですよと。

 十一ページをごらんいただきますと、特に、契約相手方別随意契約割合一〇〇%の企業、これが載っているわけでございます。

 この独立行政法人、私は、民主党の決算行政監視調査会の独立行政法人作業チームとして、昨年末から、全独法においでをいただいて、メンバーとともにヒアリングをさせていただきました。そして、そのときに、本来一般競争入札に付すべき契約でありながら随契にした契約、こうしたものを聞いてまいりました。随契の割合が大変高い、これが独立行政法人の契約で見られました。

 この独立行政法人の支出について、独法が八割、七割、高いということについて、担当大臣としてどのようにお考えでございますか。

川崎国務大臣 参議院の予算委員会での審議だったと思いますけれども、独法の中で、厚生労働省所管の中で、国立病院機構というのが一番大きゅうございます。ここの発注のシステムをめぐっていろいろな御批判も賜りました。その中で、私自身、独法に対して大臣としてどこまでの命令権があるだろうか、こう申し上げました。しかし一方で、総理もお答えになりましたけれども、私自身、自分の権限の中でやるということを申し上げました。それは厚生労働省と同じような規定でやらせてもらう、そういう指導をする、こう申し上げたところでございます。

 特に独法国立病院機構のことで申し上げれば、例えば、駐車場の管理なんかを一部の会社に随契をしていたということで御批判をいただいた、これは全部直させます。一方で、例えば、医療器具で使い勝手の問題がどうしても出てくる、そこで随契をしていた、しかしそれも直しなさいということで今指示をいたしております。

 今回御批判をいただいているこの問題についても、コンピューターとかエレベーターとか建物の中心になる部分、またはシステムの中心になる部分を納入した。これは多分競争入札で納入したんだと思いますが、その後は、そのメンテナンスがずうっとその会社に続いていく。これは部品調達等、サービス、保守点検がそのメーカーの方がやりやすいという嫌いの中で、そうした方式を用いてきたことは事実です。しかし、この十七年度から、例えばIBMの契約にいたしましてもCSSの契約にしても、これはもう直せということで直させていただいております。十八年度からも、より一層、そうした意味では、できるだけ競争入札をするという基本のもとでやらせていただく。御批判にたえるように私どももしっかりやらなきゃならない、こう思っております。

武正委員 財務大臣にお伺いしたいと思います。

 連日、NHKを中心に、環境省の発注は九三%が随契である、こういった報道がされております。今、厚労省は厚労省所管の独法に対しても厚労省と同じ基準で適正にやるんだと言われましたが、環境省が九三%随契であったら厚労省も同じようなことがあるんじゃないか。

 独法だけじゃない、本省の支出についても、会計法あるいは予決令、あるいはそれぞれの支出の基準、例外規定ということで皆さん説明をされる。政府が進めておられる定員を減らしていく総人件費改革。独法化、そして、しかも非国家公務員化。しかし、非国家公務員化しても人件費は運営費交付金で払われている。この見せかけのことは初日に指摘をさせていただきましたが、この随契割合、お手元の、独法七五%、八〇%、そして個別企業との契約一〇〇%。今、厚労省は本省と同じようにやるんだというふうに言われましたが、環境省の支出は九三%が随契という報道も受けて、随意契約について、このお金の出入りを担当する、そして、しかも財政再建をこれからやろうということで言っておられる担当財務大臣としてどのようにお考えでしょうか。独法の随意契約の率が高いということについて。

谷垣国務大臣 私は、今武正委員がおっしゃいましたように、各省庁それから各独立行政法人、この予算執行というのは、効率的なものであるし、透明性が高いものでなければならないと思っているわけでございます。

 それで、二つ問題があると思うんですね。各省庁から独法に対する契約という問題と、独法からそのさらに先という問題がございます。

 それで、国から独法の随意契約というものがすべて不適切に行われているとは私は思いませんが、国会等の審議でもいろいろ御批判、御指摘がございましたので、先般、二月二十四日、「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」というのを取りまとめまして、平成十七年度に各省庁が公益法人等との間で締結した随意契約について緊急に点検して、適切ではない随意契約を排除する、それから、随意契約に係る情報の公表を充実して透明性を高める措置を講じたところでございまして、ことしの六月をめどにその報告を取りまとめるということにしております。

 それから、独法からその先の問題について私が御答弁するのはちょっと行き過ぎかもしれませんが、これまで随意契約の基準の公表等が必ずしも徹底されていない面が独法にはあったということで、先般、総務省から、各主務大臣を通じて、各法人において随意契約の基準をより具体的なものとするとともに、一定額以上の随意契約については随意契約の理由等を明らかにするような通知がなされたということでございます。

武正委員 続いて、お手元の十二ページをごらんいただきたいと思いますが、これは今の独法の非常勤職員の人件費についてということでございます。高齢・障害者雇用支援機構の役職員報酬、給与、人件費八十三億円のうち約十七億円が非常勤職員の分であるということでございます。

 官から民へ、あるいは事務事業の見直し、そしてアウトソーシング化、こうした中で、実は非常勤職員というものが今ていよく政府あるいは所管省庁あるいは各独立行政法人で利用されているのではないのか、こういった疑念があるわけでございます。独立行政法人も十二万名の常勤職員がいますが、二万名は別途非常勤職員でございます。非常勤職員の人件費が十七億、このことについて厚労大臣としてはどのようにお考えなのか。これはやむを得ない、非常勤職員を大いに活用して行うべきである、このようにお考えなのか。御所見を伺いたいと思います。

川崎国務大臣 高齢・障害者雇用支援機構、平成十六年度決算が八十三・四億円、うち非常勤職員に係る人件費が十七億七千万円でございます。主として就業支援を行う専門職であるジョブコーチなどの仕事をしてもらっております。非常勤職員、総数が六百四十三名、うちジョブコーチ二百四十三名、職業準備支援事業指導員二百一名でございます。

 そうした意味では、非常勤職員を使うことが必ずしも悪いとは私は思っておりませんし、武正委員が御指摘いただいたように、有効的にこういう人材を活用することも大事であろうと考えております。

 一方で、これらの経費については、常勤職員の人件費について一三%程度削減する、こういう行革の方針がございます。それと同じように、非常勤職員に係る人件費を含む業務経費については毎年一%以上を削減するという目標になっておりますので、そういう意味では、非常勤職員の経費だからといってこれが増大するという話ではなくて、効率的な使用というものに努めていかなきゃならぬ、こう思っております。

武正委員 官房長官も記者会見でお出になられるようですので、ここで今のやりとりをお聞きになっての御所見を伺いたいんですが、この高齢・障害者雇用支援機構を例に、公益法人に独法からお金が流れる。全国各一県ずつ促進協会あるいは開発協会、雇用についてある。そして、それぞれの公益法人の総支出に占める独法からのお金の流れは七割以上。しかも、そこに七十一名の厚労省の職員が再就職している、事務局長などに。先ほど厚労大臣は、民間に人材がいないから、こういうような言い方をされた。これについてはどのようにお考えになるか。

 そしてまた、随契の割合がこのように高い、七割、八割。財務大臣は先ほど、適正化をやるんだ、二月にそういった指示もしたよ、六月には結果もまとまるよと。しかし、厚労大臣は厚労省と同じようにやると言いましたが、環境省が九三%随契割合という報道が連日されております。

 先ほど、いみじくも厚労大臣が言いました、独法に対してはなかなか指示ができないんだと。独法というものは、公共性の高い事務事業のうち、国が直接実施する必要はないが、民間の主体にゆだねると実施されないおそれのあるものということで、何となく民間でもなければ国でもない、中途半端といえば中途半端。何とかそれがうまくいくようにというスキームなんですけれども、さっき言ったように、私のは文科省と、政府と違う仕分けなのかもしれないけれども、やはり民間人とは思えないこうした方々、長の八割強が中央省庁から行っている。中央省庁から行っている長、独法、本当にそれで自由にできるのか、民間のそうした活力が生かせるのか、これも非常にあいまい。先ほど、その任命権者である長、任命権者の長は大臣であります、でも独法には言えないんだ、こういったことを厚労大臣は言われました。

 大変この使い分けが中途半端とともに、政府が一体独法とどうかかわるのか、本気でどのように考えておられるのか、そうしたところをやはり私はこの審議で明らかにしていきたいと思います。

 先ほどの人材の面、そしてお金の面、そしてまたこの随契割合が高いという面、これについて官房長官としての御所見を伺いたいと思います。

安倍国務大臣 いわゆる天下りについてでありますが、それは先ほど答弁をいたしましたように、基本的に国家公務員の割合を二分の一にしていく、これは法人の類型に応じて、退職管理をしっかりと適正化に向けて努力をしていくということでございます。

 また、お金の流れ等々については、先ほど個別にそれぞれの大臣が答弁をさせていただいたとおりであります。

 また、随契については、これはもう今後しっかりと、どうして随契になっているかという理由をもう一度精査していく、基本的には競争入札でやっていくという考えの中で、もう一度しっかりと精査をして適正化をしていくということでございます。

武正委員 もう出られると思いますのでお願いをしたいと思いますが、お答えをいただきたいんです。

 連日報道されている、環境省は九三%が随契であるというこの報道、今ちょうど環境大臣は入院をされているということで、きょうもお見えいただいておりません。お呼びもできませんが、内閣のかなめとして、官房長官、これについて、やはり報道がされている以上、私は資料を本委員会に提出していただきたいと思うんです。政府として、今環境大臣はいませんが、官房長官としてお答えいただけますか、そうした資料を出すということで。

安倍国務大臣 委員会としての御要請があれば検討したい、このように思います。

武正委員 それでは、委員長に改めて、来週、集中審議もありますので、この随契というものは環境省のみならず、先ほど来独法それぞれの随契割合が高いということも含めて、やはり本委員会として取り組むべきだ、できれば集中審議で随契というもの一本に絞っても、あるいはほかと一緒でもいいですがやるべきだと思います。今、委員会の要請があればというお話でありましたので、委員長に改めて資料の提出をお願いしたいと思います。

伊吹委員長 ただいまの資料要求の件については、理事会で当然協議をさせていただきます。同時に、独立行政法人その他膨大なものになると思いますから、日程等の都合もありますので、会派の理事とよくお話し合いをして、出せるものをできるだけ早く、特に御要求の強い部分について協議をさせていただきます。

武正委員 私が今特にお願いしたのは環境省の分ですから、全独法とかそういうことではありませんので、環境省の分、これだけ連日報道されておりますので、速やかに御提出をお願いしたいと思います。

伊吹委員長 理事会で協議いたします。

武正委員 そこで、厚労大臣に重ねてお伺いしたいんですが、私は、厚労省から独法、そして独法から各県の雇用促進協会、雇用開発協会というこのお金の流れ、厚労大臣は、いや、もともとはもっと、それぞれの開発協会が現場で徴収をしてきてそれを独法に上げて、そしてまた、そのお金が各都道府県の雇用開発協会、促進協会に流れているんだよ、そこまで御説明をいただいたんですが、やはりこのお金の流れは非常に矛盾があると思うんですね。

 私は、地方分権一括法のときにちょうど埼玉県議会の議員をしておりましたので、あのときに、地方分権するんだな、こういうふうに思っていたわけです。そうしたら、特に雇用労働政策、これが逆に、県庁にいた雇用労働関係の職員の方、みんな厚労省から来られて、県庁職員として県庁の職員の名簿にも出ているわけです。でもこの人たちは厚労省から県庁に来ているんですよ、こういう説明を受けたんですが、この方々が、地方分権と逆行して、今度国に戻っちゃった。それぞれの各県に労働局をつくって、そこに全部厚労省の方がやっておられる。

 やはりここに問題があったから、結局今みたいな、お金をそれぞれの雇用開発協会、促進協会が集めてまたそれを戻すという、そしてそこには、民間人じゃだめだから、やはり厚労省の職員が七十一人再就職しなきゃいけないんだと。やはり、雇用労働政策が地方分権をしていなかったということがこうしたことを招いたんじゃないでしょうか。厚労大臣の御所見を伺います。

川崎国務大臣 雇用労働政策、特に雇用のセーフティーネットをどこでやるべきか、国の責任なのか地方の責任なのか、こういう議論を約二カ月いただいてきました。特に、雇用自体の地域間格差が激しい中で、私は、二カ月皆さん方の議論を聞いた、民主党の中でもいろいろな議論がございました。やはり、雇用政策、今の段階においてはもう少し国が責任を持っていくべき段階にあるだろう、こう思っております。

 正直申し上げて、保険の徴収という仕事と、失業のときに給付をするという仕事と、無料の職業紹介という仕事をセットでやっております。きのうもILOの問題も御下問いただきました。そういった構成、それから諸外国の状況を見たときに、これを分権だから地方に全部やらせろというのは今の議論としてはなかなかなじまないな、こう思っております。

武正委員 今、地方に分権されているのがいわゆる求人情報、企業がどういう人を求めているかという情報は地方自治体に分権を進めてきた。しかしながら、求職情報、どういう人が職を求めているのか、これについては厚労省はやはり地方自治体に任せられないということで来ているわけですが、私はやはり雇用政策は地方自治体をもっと信用していいと思うんです。

 そういう意味では、だれが職業を求めているかという情報を地方自治体に積極的に与えていっていいというふうに思うんですが、やはり、先ほど、セーフティーネットの観点から地方自治体には与えられないというのが厚労大臣の考えでしょうか。

川崎国務大臣 そこはちょっと違いまして、民間の活力を利用すべきところはするべきだ、しかし、セーフティーネットとして、雇用保険の部分と無料の紹介事業というのは国がまず引いた上で、しかし、地方と重層的にかかわり合いを持たなきゃ、やらなきゃだめだと。

 ですから、私どもの副大臣も、北海道、青森、長崎、鹿児島、沖縄で知事さんとお目にかかって、雇用問題をどうしようかということでお話をさせていただいている。地域の雇用創出の方法をお互いに考えましょうということでやらせていただいておりますし、今お話しいただきました職業安定法の改正、平成十六年にしていただきまして、届け出により無料職業紹介を都道府県や市町村ができるとなっております。したがって、ハローワークで持っておる情報は全部都道府県に提供いたします。そうした情勢で進めております。どうぞ御理解賜りたいと思います。

武正委員 確認ですが、そうしますと、どういう人がどういう職業を求めているかという、いわゆる求職情報も地方自治体に既に提供しているということでよろしいでしょうか。求人情報じゃなくて求職情報です、求職情報。ここがかなめなんです。

川崎国務大臣 済みません。今提供しておりますのは、事業主の意向、要するに求人情報です。求人企業名、所在地、電話番号を含む情報の提供をさせていただいております。これを今度、個人のものを全部出せと。というのは、地域外の人も入る可能性もありますので、それをどういうふうに扱ったらいいでしょうか、正直申し上げて。

 例えば私の市でしたら、鈴鹿市が、上野や、私の地域でいいますと桑名の地域の住民で就職をしたい人の情報をちょっとくれと言ったときに、その市に提供するかどうかという問題がかかわってきますので、あくまで今のところは求人情報を提供しているということでございます。

武正委員 ここがやはりポイントなんですね。求職情報、鈴鹿市でもいいですよ。鈴鹿市の市民の方で、あるいは市だけだと、私は雇用政策としてちょっと狭いかなと思うので、やはり県ぐらいだと思うんですね。三重県の県民の方、その方々が職につきたい、こんな職につきたい、そういう求職情報がハローワークに集まっている。でも、これが、先ほど言った厚生労働省は地方自治体には提供できない。

 これで本当に地方自治体が、私は、これから地方自治体こそが雇用政策を担っていくべきだと思っています。そして、現にそういう首長さんがふえています。企業の誘致はもちろん、あるいはやはり雇用政策は地方自治体が頑張らなきゃいけないんだということを掲げた首長がふえています。そのときに、自分の県の県民あるいは市民がどういう職業を望んでいるのか、どういうところにつきたいのか、この情報を地方自治体が得られるか得られないか、大きな差なんですね。

 私は、この点はやはり厚労省として前向きに御検討いただきたい。セーフティーネットというお話、確かに個人情報のこともあるかもしれません。ただ、やはり雇用政策の実を上げる、そのためにも、私は、地方自治体をもっともっと信用していい、あるいは活用していいというふうに思うんですが、この点について御所見を伺います。

川崎国務大臣 多分、私と同じような方向性を目指しているんだろうと思いますよ。私は、正直言って、地域の市長さんたちに雇用問題に一生懸命になってもらうということは一番大事だと思っているんです。したがって、昨年から副大臣に行ってもらって、話しかけをしてくださいと。やっと雇用状況の改善がおくれている地域の知事さんたちがみんな乗り気になってくれて、同じ話し合いが行われるようになりました。

 ただ、先ほど武正さんが言われたとおり、さあ、それじゃ、この地域の一定のものを他地域まで出せるかとなると、ここは少し個人情報の問題もありますね。ただ、その管内でお互いに情報交換ができないのかという仕組みは、少し勉強させてもらいます。

武正委員 ぜひお取り組みをお願いしたいと思います。

 官房長官は今帰られてしまいましたので行革担当大臣にお伺いをしたいんですが、先ほど触れました非常勤職員の人件費ですね。資料十二ページのように、独法については八十三億のうち十七億が非常勤職員の給与分であると。

 それで、政府提出法案は総人件費を五%下げる、こういう目標を立てておられます。民主党は三年で二割という方向性を出しております。その違いがどこにあるのかというのをやはり明らかにしていく必要が、これから民主党も対案提出の中で、本委員会では議論をしていく。当然、与党からも、民主党が法案を提出すれば、この点を聞いてこられると思うんですが、政府提出の総人件費には非常勤職員は含まれるんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 対象にしておりません。

武正委員 当該独法で八十三億のうち十七億、五分の一強ですよね。総人件費に非常勤職員を含まない、こういったところもやはり、本当にこの公務員制度改革を含めた、あるいは財政再建に取り組もう、行政改革に取り組もうと、抜け穴が実はこの非常勤職員ということであるんじゃないでしょうか。このことを指摘させていただきたいというふうに思います。

 そこで、ちょっと質問時間も迫ってまいりました。限りがありますが、この独法に対しての評価、総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、まず、その前に、行革担当大臣もお答えになっておられますので、独立行政法人に対しての評価、これがどのように行われているか、まず行革担当大臣からお答えいただけますか。

中馬国務大臣 その前に、委員の方から非常勤職員のことがございましたが、ちょっとこれは誤解があったらいけませんから付言させていただきます。

 非常勤職員というのは、政府の審議委員とかあるいは臨時職員等も入っております。これは、今回の行政改革の総人件費というのは、結局、それで減らすことが目的じゃないんですね。役所の仕事、今までやっておった行政の仕事、この中でもう不要になったものがあるのではないか、あるいはまた、もう少し民間にゆだねていいのではないか、こういったことを見直して、そしてその結果として五%十分に減らせるということでのことでございまして、そういう形でやっております。

 その見直しの中にいろいろなものが入っていることは御存じでございますが、ともかく、人間の数を、定期的にずっとそこに携わってもらう方の改革のことでございまして、臨時の職員の方々は、それぞれ仕事は繁閑がありましたが、急激に人が要るときには、それはもちろんそれでやります。そうしたことは、すべてこれは予算管理の中で行われておりますから、それを人員の数に数えたり、あるいは、もちろん機械化、IT化しなければいけませんが、このIT化を、一々機械を入れてやるよりも、短期的なことであれば人でやった方がよっぽど効果的であるし、短期で済むといったことに対しましてそれを雇っているわけでございまして、これを一々対象にはしていないことを、まず一つは先ほどのに付言をさせていただく次第でございます。

 それからもう一つは独立行政法人でございますが、先ほどからずっとお話が続いております。

 独立行政法人というのは、極力今までのお役所の仕事を民間に移す一つの経過的なことにおいてもこれを手段として使っているわけでございまして、これは、一時的には、移管した当時は身分も公務員でございますが、これを極力非公務員化の方に移していっているわけでございます。そして、逆に、非公務員化された中では、人件費もそこで独自に決めることになりますし、採用や、あるいはまた昇進や、あるいはまたやめてもらうことを含めて、かなりこれは自由度がきいてまいります。公務員としてのかっちり枠をはめられた中じゃなくて、一つの自由度がきいてくると同時に、また、民間とのいろいろなやりとり等によって手数料等の収入を得ることすらできてくるわけでございまして、これもまた一つの、今までの役人の固定した中のことよりも、はるかに行政の効率化あるいはまた住民サービス等にも資するものだ、私はこのように考えております。

武正委員 今、行革担当大臣が、総人件費を五%減らすということについて、減らすことが目的じゃないというふうに言われたんですが、これは大変大事な発言だと思うんですね。これは行政改革ですよね。支出を減らすことが目的じゃないんですか。

中馬国務大臣 何度も言いますように、今回の行政改革というのは、大きな今までの日本の国の行政のあり方を変えていこうということでございます。

 そしてまた、その背景としましては、人口減少であったり、あるいは民が非常に大きな役割を担える力を持ってきておったり、また、NPOといいましょうか、そういう方々までも公的な仕事も十分に担い始めていらっしゃる中で、これを改革していく必要がある、いつまでも公務員という形で行政を担っていくことではない、そういうことを見直していく、その結果として減るわけでございますから、減ることはもちろん財政に資することもこれまた事実でございます。

 だから、まずは何%減らせということではなくて、その結果として五%という数字が出ておりますが、御党は三年で二割という話もありますけれども、我々としては十年間で大きな目標はつくっておりますが、当面、総人件費、人員の数でするならば五年間で五%を実現可能な一つの、そうした行政の改革とも歩調を合わせた形で削減の目標とさせていただいている次第でございます。

武正委員 財務大臣、私は、総人件費の話を今していたので、国家公務員の数の純減の話じゃないんですが、総人件費を五%減らすというこの法案、これは支出を減らすということが目的じゃない、結果的にはそうなると今行革担当大臣が言われましたが、財務大臣も同じ認識でしょうか。

 私は、この条文を見れば、当然、総人件費を減らす、支出を減らすのが目的の法案だというふうに思うんですが、財務大臣の御所見を伺います。

谷垣国務大臣 当然、私としましては、そのことが支出の削減につながることを期待していることは事実でございます。

 しかし、今、中馬大臣が御答弁になりましたように、この行革法案全体の趣旨は、今までの行政のあり方を改めて人口減少社会等々に対応した簡素で効率的な政府をつくっていこう、こういうことでありますから、支出を削減することが唯一の目的となっているわけではないと思います。ただ、私は、そういう作業を通じて財政再建に少しでも資することを期待しております。

武正委員 これが、この法案が簡素で効率的な政府をということで、小さな政府というものが、言葉が消えたもしかしたら理由なのかもしれません。

 私は、総人件費の削減、これをやはり目標として第一に掲げていかないと、さっき言ったような非常勤職員あるいは非国家公務員、いろいろな手だてで抜け道があって、結局は、形になりましたよというような形になってしまうのではないかということを指摘させていただきます。

 そこで、総務大臣には、この評価委員の、先ほど行革担当大臣から指摘がありましたが、十三ページをごらんいただきますと、この間の委員会でも指摘をしたように、評価委員六百三十七人のうち、それぞれのこれは担当省庁の審議会の委員などを経験した人が二百八十七人、そして報酬をもらっていると。

 独立行政法人のこの評価委員というのは大変重い役割を独法通則法で与えておられます。特に三十四条の二項、「当該中期目標の期間における中期目標の達成状況の調査をし、」これは評価委員の評価でありますが、評価のために、「分析をし、並びにこれらの調査及び分析の結果を考慮して」というようなことで、調査や分析やこうしたこともやっていく。

 評価委員には大変公平性、効率性も求められるわけなんですが、ただ、それぞれの所管省庁からだけでも五割近い方が評価委員のうち別の審議会の委員を兼ねている。これで本当に公平、公正な評価ができるのか大変疑問なんですが、担当大臣としてどのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 武正委員御指摘のように、評価委員の役割は大変重要であると私も認識をしております。

 一方で、今は審議会委員との併任の点のお尋ねでございますが、審議会の委員もこの評価委員会の委員も、いずれもこれは任命をされれば非常勤の国家公務員でございます。国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務すべき責務を負うわけでございます。当然、そのことを自覚して公正に職務に当たっていただけるものというふうに思っています。

 したがいまして、これは、あくまでも専門的な知見を生かして審議会で貢献する、そして、かつ専門的な立場から、客観的かつ中立、公正な立場でこれは評価委員としての仕事をしていただくわけでございますから、これはそれぞれにしっかりやっていただくということに話は尽きるわけでございまして、兼務をしているからその中立性が損なわれるということではこれはないであろうというふうに思っております。これは、審議会の委員としてもしっかり公正、中立にやっていただかなければいけないし、評価委員会の委員としてもしっかりやっていただかなければいけない。そういう形で適切な人選がなされているものというふうに私は思っております。

 加えまして、もう一点、その評価が重要であるという点はそのとおりでございますので、これは、二次評価をするために、総務省の中でもそういった全体的な横並びの評価をするシステムを持っているということも委員御承知のとおりでございます。

武正委員 時間が来ましたので終わりますが、総務省のその評価委員会が、国立大学を含めて何百というその独法のさらに評価という、とても数が多くてやり切れない、こういった指摘があることも加えまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 若干、通告をした質問の順番をちょっと入れかえて質問させていただきたいと思うんですが、同僚の武正委員が今指摘をしました随意契約の件につきまして、冒頭質問させていただきたいと思います。

 谷垣財務大臣、先ほどの御答弁でも、今の随意契約の状況については必ずしも適切と言えない部分が多いのではないかということで、政府としても公共調達適正化に向けた取り組みをしているところである、こういう御答弁がございました。六月までにはある程度のものをまとめていきたいという御答弁でございました。

 ただ、気になる点が一点ございまして、大臣、これは行革の推進本部の報告書、三月三十一日の報告書を見ますと、平成十六年の十二月二十四日に出された今後の行政改革の方針という閣議決定の文書がございます。現在の行政改革の重要方針の前のものでございますが、そこに「随意契約の適正な運用等」という項目がございます。その中に「随意契約による場合には、法令の定める要件に合致するかどうかの確認を適正に行う。」と、既にもう一年以上前の内閣の出された報告書に、随契について適正に行うんだということを書かれていらっしゃるんですね。

 にもかかわらず、本委員会で幾つか指摘をされました、さまざまな問題が今発生している。財務省としても、点検しなければいけない、会計法上、法令にのっとって本当に正しいのか、例外規定にのっとっているのか、総チェックするという事態に陥っているわけであります。厳しい言い方でございますが、この一年間、一年半前のこの報告書は一体何だったんだろう、この宣言は一体何だったんだろうか、こう思わざるを得ないわけでございます。

 そこで大臣、大臣も、この点については調査をしなければいけない、内閣を挙げて調査をする、六月までに調査をするとおっしゃっておりますが、本委員会はまさに行政改革を審議する委員会でございますから、これからの審議状況で、慎重審議を重ねているわけですが、六月では、この委員会を六月まで続けるかというと大変疑問でございます。国会の方も会期末というのがあるわけでございますから、六月では報告が遅過ぎるのではないか。せめて本委員会が開催されている、いつまであるかわかりませんが、常識的には連休前なのかなとかいろいろあるわけでございますけれども……(発言する者あり)来週だとすれば、来週中にこの報告を出していただかなければいけない。本委員会が行われているうちに、大臣、その報告を出していただかなければ、委員会の審議ができないと思うのであります。

 既に政府としてはこの随契の問題について認識をされているわけですから、にもかかわらず起きているわけでございますから、各省庁の随意契約について、特に公益法人に発注している随意契約について、なぜ例外規定になったのか、その理由を添付して、契約の内容そしてその理由、各省庁に財務省が大号令をかけて、大臣のリーダーシップのもと、調査報告を本委員会に出していただきたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょう。

谷垣国務大臣 確かに、六月ということでやっておりますが、御指摘のように可能な限り早期に公表できるように努力すべきものと思っておりますので、今それが六月以前のいつになるかということはにわかにお約束できませんけれども、できる限り急がせて、早期に御検討のいただけるように努力させたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ、委員長、今の御答弁も踏まえて、本委員会としてこの調査報告、資料要求をしたいと思いますので、お取り計らいの方をよろしくお願い申し上げます。

伊吹委員長 会派の理事を通じて御要求ください。理事会で協議いたします。

近藤(洋)委員 それでは、最初の質問の方に移っていきたいと思うわけでございますが、本日は、私、政府系金融機関の再編問題を中心にお話を伺っていきたいと思っておるわけです。

 本法案の目的というのは、簡素で効率的な政府をつくるためと政府は説明されています。だれのための簡素で効率的な政府なのかといえば、これはもう言うまでもない、受益者は納税者であり、国民でなければいけない、これは当然のことであるわけでありますけれども、そういう認識のもとに、この政府系金融機関をこの法案では、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、資料一に、一枚目にございますように政府系金融機関を新たな政府系金融機関一つにまとめる、そして、二つの政府系金融機関は完全民営化する、一つは廃止するという統廃合をされるわけでございます。

 こういった再編を通じて、果たして利用者たる借り手にとって、一体この改革で具体的にどんなメリットがあるのか。すなわち、金融がどう変わるのか。国内のお金の流れが活性化して資金が必要なところに回るような改革に、この再編計画でどのようになるのか、まず行革担当大臣にお伺いしたい。

中馬国務大臣 資金の流れがどうなるかということは金融担当大臣からの方が適当かと思いますが、今回の私が担当した形で再編を図っておりますのは、もちろん、今おっしゃったような形で、それぞれの省庁が監督した形の金融機関を、それぞれが持っていたという形をもう少し全体的に統合すること、そして、もう役割を果たしたものは民間に移していくこと、こういった形での今回の再編でございます。

近藤(洋)委員 八機関合計で約九十兆円の金融機関の再編でございます。中馬大臣御答弁のとおり、まさにこれは金融の問題でございますから、金融担当大臣、今回のこの再編で、国民に、金融界にどのような利点があるのか、国民にとってどのように資金の循環が変わるのか、どんな青写真をかかれていらっしゃいますでしょうか。

与謝野国務大臣 委員御承知のように、政策金融機関は日本経済の発展に重要な役割を果たしてきたと私は思っております。今回の政府系金融機関の改革の思想というのは、やはり金融それ自体は市場機能の中で金融というものはなされるべきであろう、市場機能が持つ資源の適正配分機能というものを最大限生かそう、そういうことが大きな趣旨でございます。

 ただし、中小企業、農業等、実際、借り手側が大変苦しい立場にある場合が多いわけでございますから、政策金融自体はその存在意義を失っていないということで、やはりそういう国の政策としてやらなければならない分野は残しておこう、そしてまた、民間が代替できる分野はほぼ全面的に民間に代替していただこう、こういう思想で貫かれております。

 また、海外につきましては、援助機能、あるいは資源やエネルギー等の開発等、物すごく大きなプロジェクトがあった場合、一体国というものが果たすべき役割は何かということも随分議論をしていただきまして、やはり国際社会の中における国としての金融部門というのは一定の役割を残しておく必要があるということで、大きく分けますと、中小企業、零細企業、農業あるいは国際分野というイメージを持って私はこの法案を理解しております。

近藤(洋)委員 大臣おっしゃったとおり、金融というもの、政府系金融の役割をすべて否定したわけではないという御答弁でございました。

 先日の質疑でも、私は、日本全体の資金繰り、とりわけ中小企業の資金繰りについて、銀行貸し出し、間接金融の世界がずっと減っている、この状況は必ずしもよくないんだと。もちろん、ベストミックスといいますか、さまざまな手段があっていいわけですが、中小企業についてはやはり直接貸し出しというものも重要であろうという思いから問題点を指摘させていただきましたが、恐らく与謝野大臣とそんなに認識は変わらないんだろうと思っているわけでございます。

 そこで、改めて確認といいますか大臣の御認識をお伺いしたいんですが、私は、金融というものは、官であれ民であれ、公のものだろうと思っているんです。公だろうと思うんです。官であろうが民であろうが、公のものであろうと思っております。与謝野大臣は金融というものについて、私は、ちょっと雑誌の名前は忘れましたが、与謝野大臣が、金融担当大臣として私の役割は金融を正常な姿に戻すのが仕事だとおっしゃったのを読んだことがございます、バブル崩壊から不良債権を脱して正常な姿に戻すんだというお話をされたのを記憶しているんですが、まさにその公の姿、本来の姿、公だというふうな御認識を持っているかどうか、そして大臣の思う本来の姿というのはどういうものなのか、ちょっと改めてお伺いしたいんですが。

与謝野国務大臣 民間金融機関が公かどうか、あるいは公共的な性格を持っているかどうかというまず第一の質問でございますが、これは当然、多数の方のお金をお預かりしている、また、日本の信用秩序全体を担っているという意味では、私企業ではございますけれども極めて公的な性格が強いものでなければならないし、また、信用秩序を担っているという意味では大きな使命感を持って金融業務に取り組んでいただかなければならないと思っております。

 正常な金融というのは、人様からお金をお預かりして金融仲介を行って、そういう金融仲介を行うことについては一定のリスクをとる、そういう役目を金融は果たさなければならない。また、そういう金融仲介を通じて資源が適正に配分され、日本の経済の発展に資する、こういうことも目指していかなければならないと思っております。バブル崩壊後は金融界は萎縮をして、その萎縮の典型的な例は貸し渋り、それから、ひどい話は貸しはがし、こういうことで相当長い期間リスクテーキングをやらないで金融の世界が生きてきたんではないかと思っておりまして、不良債権比率もここまで下がり、経済の実態もよくなったわけですから、金融機関はリスクをとって金融仲介をする、そういう本来金融が持つべき機能を回復しなければならないというのが、私が正常かどうかと言ったことでございます。

近藤(洋)委員 与謝野大臣の御答弁を聞いていると、全く至極ごもっともなわけでありますが、そこで気になるのが、今回の法案の政府系金融改革が大臣がおっしゃっているようなそういった金融制度をつくるものになっているのかということなんです。

 といいますのも、資料の二に、配付させていただいておりますが、政府系金融機関の「詳細な制度設計に向けた論点整理」というペーパーがございます。あの法案を見ても、なかなか、どういう金融になるのかというのがわからないものですから、行革事務局の方がこういうことを出されてきた。その中には、今言ったようなリスクテークであるとか、こういう政府系金融をつくるのだということは余りよくわからない。要は、組織論だけはあるのですけれども、辛うじて「危機対応関係」というのはあるんですけれども、どうもそういったしっかりした青写真というのが見えないわけであります。

 かつ、要はユーザーにとってこの改革はどういう利益があるんだ、利用者にとってどういう利益があるんだというのが、どうもこの法案なり論点整理からまだまだ見えないという気がしてならない、これは私の感想でございます。ですから、審議で明らかにしなきゃいかぬのですが、しかし、法案としても、非常に大事な政府系金融機関を扱うにしては、こことここをいつまでにやめますということしか書いていなくて、どういう金融機関を目指すのかということが法案からもしっかり見えてこないというのが残念であります。

 その上で、法案の精査をしなければいけないと思うわけでありますけれども、法案の中身で確認をしたいことが幾つかございます。

 日本政策投資銀行、そして商工中金、完全民営化されると法文に書いてあるこの二つの金融機関についてでございますが、法案によりますと、平成二十年度に株式会社化し、その後、五年から七年かけて完全民営化すると書いている。それで、この完全民営化というのは、条文どおりいけば、政府が持っている株式を全部売却すると書いています。

 そこでお伺いするんですが、今、日本政策投資銀行は法律に基づいた銀行であります、日本政策投資銀行法という法律に基づいた銀行。商工中金も法律に基づいた銀行であります。法律に基づいて商工中金などは金融債も発行できているわけでありますが。ちょっと細かな話で恐縮でございますけれども、完全民営化ということは、二十五年から二十七年以降はこういった法律がなくなっていわゆる銀行法だとか、日本政策投資銀行は預貯金を扱っていないのでどういう法律に基づくのか、貸金業法なのかは別にして、いわゆる一般の、普通の法律に基づいた会社になるのかどうなのかというのを確認したいのですが、まず行革担当大臣。

伊吹委員長 それでは、行革担当大臣が答え、その後、所管大臣から答弁をさせます。

 中馬国務大臣。

中馬国務大臣 完全民営化とは、会社法を設立の根拠として政府の出資がない株式会社とすることをいうものでありまして、個別の設立根拠法は廃止することが基本でございます。なお、政策上の要請によりまして特に必要な場合には法律上の何らかの手当てをすることまでも妨げるものではございません。

 いずれにしましても、完全民営化後の商工中金及び政策投資銀行の業務や組織のあり方に関しては、銀行法上の銀行と異なるか否かを含め、先般、三月三十一日ですが、政策金融改革推進本部で了承された詳細な制度設計に向けた論点整理に沿って、今後、具体的な検討作業を進めてまいりたいと存じます。

伊吹委員長 それでは、政策投資銀行所管の谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 今、行革担当大臣から御答弁があったとおりでございますが、政策投資銀行について、完全民営化後の姿は、基本的に、昔でいえば商法、今でいえば会社法に基づいて設立される株式会社になるというふうに考えております。

 具体的な取り扱いについては今後の詳細制度設計の中で詰めていかなければいけないわけですが、完全民営化された後の政策投資銀行の金融制度上の位置づけをどうするか、この点は、業務、資金調達のあり方、そういったものに最も適合するものを選択すべきであるというふうに考えておりますが、いずれにせよ、ここらあたりも詳細制度設計の中できちっと議論をして、完全民営化後のビジネスモデルを確立していかなければいけないということだろうと思っております。

近藤(洋)委員 財務大臣、詳細設計は今後ということです。これは大事なことなんです。非常に大事なことなんですね。ここがはっきりしないと、その銀行がどういう性質なのかわからない。完全民営化と書いている以上は、商法上の設立の会社でありますが特別な法律ではなくて銀行法上の会社だというのが常識だと思うんですね、法律に完全民営化と書いているのであれば。そう受けるのが、やはり世の中の常識ですよ。ですから、そういうことでよろしいんですか。これは、法律上、素直に読めばそうなる。

 しかし、大臣、ちょっと詳細設計は今後ということは、いやいや、そうじゃないよ、特別に法律に担保した方がいいよと思っていらっしゃるというのが大臣としての意思だというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。確認なんですが。

谷垣国務大臣 要するに、完全民営化というのはどういうことかということも関連してくると思いますが、今までの国会答弁、それからその基礎となるガイドライン、こういったものがございます。会社法を設立の根拠とする、さっき申し上げました、政府の出資がない株式会社とすることをいうと。それで、政府が保有する株式を完全に処分して個別の設立根拠法を廃止することが基本でございます。なお、政策上の要請によって必要な場合に法律上の何らかの手当てをするということはこの概念には入っておりませんが、そこらを含めて現在検討中でございます。

 それで、要は、完全民営化後の政策投資銀行については、他の民間金融機関とイコールフッティングなものとして位置づけられるべきものであると思っております。

近藤(洋)委員 では、伺いますが、谷垣大臣なり与謝野金融担当大臣は日本政策投資銀行が本当に民営化会社として成り立つとお考えなんでしょうか。私は疑問なんですね。

 政策投資銀行は、長期の資金を融資している銀行ですね、五年間なりの。かつてこういう長期資金を融資している銀行が日本にもありました。長信銀ですね。日本興業銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、長信銀三行は今なくなりました。下位二行は破綻です。あの産業金融の雄と言われた興銀ですら、今、一つの統合銀行になってしまっている。

 この長期金融というのは、ビジネスモデルとして破綻しているんですよ。あの産業金融の雄と言われた興銀ですらもう単独では生きていけないのに、政府は、親方日の丸と言うと言い過ぎでありますが、日本政策投資銀行を民営化しようとする。そういう時代の中で民営化するならば、相当しっかりしたビジネスモデルを提示しないと、極めて無責任な法案だ、政府の対応だと言わざるを得ないんですが。

 ここは財務大臣か金融大臣、どちらかにお答えいただきたいんですが、金融担当大臣、本当にこの日本政策投資銀行が民間銀行として成り立つとお考えですか。お答えください。

与謝野国務大臣 成り立つか成り立たないかは、やはり経営に携わる方々あるいは民営化された政投銀の方々の努力によるものと思っております。

 ただし、先生が言われたとおり、五年の金融債という世界は、もう国債ともぶつかっていますし、社債で調達した方が安いかもしれませんし、五年の金融債を調達した金融機関というのはなかなかビジネスモデルとしては成立しづらくなっているというのは、私は、先生の御指摘のとおり事実であると思っております。

 そこで、日本政策投資銀行がどう生き延びるのか。また、一般の銀行法上設立される銀行ですから、民間と競争をしなければならない。どの分野で生き残っていくのかということですが、政投銀は過去を積み重ねた実績もありますし、政投銀の審査能力あるいはプロジェクトを企画する能力、これは社会から非常に高い評価を受けておりますので、そういう自分の持った特質を生かしながら民営銀行としてやっていくしかない、そのように思っております。

近藤(洋)委員 私は、政策投資銀行の優秀さというのも認識しています。非常にいい仕事をされているのはわかります。例えばPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブであるとか、さまざまなプロジェクトをやっているのはわかりますが、しかし、これは政府系金融機関として政府の保証があるからいい仕事をされているわけであって、利益が出るかというと相当疑問なんですね。

 能力という意味でいえば、日本興業銀行はすばらしい能力を持っておりました。すばらしい能力を持っておりましたけれども、やはり時流に合わないというか、なかなかお金を貸せないから、ちょっと厳しい言い方かもしれませんけれども、ちょっと怪しげなところにもどんどんお金を貸して不良債権を積み増してしまって、ああいう状況になったわけでありますから、私は、とてもこれは成り立たないのではないかと思うわけであります。

 与謝野大臣が一部お認めになったとおり、やはり政府の方々も不安だと思うんですよ。その証拠があるんです、証拠がある。政府も、これから制度設計しますと言っている割には、実は、この事実を事実上認める行為をされています。

 政府は、昨年の暮れに決めた財政投融資計画の中で、日本政策投資銀行に対して、平成十八年度から、総額九百億円の期間十五年債、十五年間の政府保証債の発行を認めているんですね。今までは五年物、十年物の政府保証債しか発行できなかったのに、十八年度から十五年債を発行するように認めた。

 これはちょっと私はびっくりしたんですけれども、なぜならば、完全民営化するのは平成二十七年、この十五年債は二十七年以降も政府保証債として流通し続けるんですよ、非常にちぐはぐな形なんです。政府が一円も出資していない会社には政府保証債が長期間流れ続ける。こんな会社、私は見たことがないですね。恐らく民間の銀行で政府保証債を発行しているような銀行はないと私は思うんですけれども、これでいわゆる自立した経営、ビジネスモデルと言えるのかどうか。この点について、谷垣財務大臣、何でこういったことをお認めになったのか、論理矛盾があるんじゃないかと思うんですが、お答えください。

谷垣国務大臣 完全民営化した後の政投銀の資金調達手段をどうするかは今後の詳細な制度設計でしっかり検討していかなきゃいけないんですが、いずれにせよ、新体制移行後の政投銀の資金調達においては、当面、債券調達が一定の割合を占めることになるだろうと思うわけですね。

 このため、十八年度の財投計画におきましては、債券調達、これは政府保証債と財投機関債、両方あるわけですが、この債券調達割合を段階的にふやしていく、それが適切ではないかということで、十七年度財投計画に比して事業規模に占める政府保証債の割合を増加させることにしたわけでございます。これは十七年度では二一%でしたが、十八年度は三四%にいたしました。

 他方、政投銀の資金調達につきましては、債券調達割合が増加する中で、市場の動向にもやはり注意を払っていかなきゃならないということがございます。それから、現在、政投銀が政策目的に従って実施しております超長期の貸し付け、三十年なんというものがございますので、それに対応して政投銀の資産、負債のバランスというものをとっていかなきゃならぬということがやはりございます。

 こういう事情にございますので、政投銀の資金調達の安定性を図るという観点から、より長期の安定的な資金調達手段が要るんだろうということで、十五年の政府保証債を認めようということになったわけでございます。

近藤(洋)委員 私はよくわからないですね、今の御説明では。

 なぜなら、昨年の十二月に、政投銀は完全民営化するという方針を昨年の時点でもう閣議決定もして決めているわけです。だとするなら、自立した経営ができるように、だんだん政府保証の比率を下げていく、少なくとも長い期間のものは遠慮するというのが自立した経営の方向感ではないんですか。にもかかわらず十五年債を昨年十二月に決めるというのは、同じ内閣の中で、何かげたを履かせることを片っ方でやらせながら完全民営化でございます、あべこべだと思うんです。これは内閣の方向が不一致なんじゃないですか。

 中馬大臣、どうですか。行革担当大臣として、今の財務省がやった行為はおかしいとお思いになりませんか。

中馬国務大臣 完全民営化した後、政府保証債を持っておれば問題だという発言はいかがかと思うんですが、実際に、電源開発株式会社は十六年度で政府保有を完全売却して民営化しております、それも十六年度末でございますが、六千六百十三億円ですか、ちゃんと政府保証債を持ったままでございます。もちろん、これは返還していきますがね。

谷垣国務大臣 ちょっと補足させていただきます。

 政投銀は何年かかけて完全民営化に持っていく、御承知のとおりでございますが。今、政投銀が何をやっているかといいますと、政策的な長期、低利の融資を行っているわけですね。こういう業務に対応していくために、資金調達面でも、長期の政府保証債、そういったもので資金調達を行っているわけですが、このため、完全民営化した時点でも、従来からやってまいりました長期の投融資に対応した政府保証債等は残るんです。そして、完全民営化後は、こういう政策的な投融資の残高が減少してまいりますと、政府保証債等も償還が減少するという姿になってまいりますので、完全民営化と申しましても、今までの引きずっているものがございますから、相当長期を視野に入れていろいろなことを考えていかなきゃならないということが背景にございます。

 ですから、完全民営化後の政投銀に残存する政府保証債というのは、現在政策金融を現に行っている、今時点でも政策金融を行っているわけですから、そういう事情によるものでございまして、単純に民間金融機関と比較して、果たして政府保証債なんかついているところがあるのかという議論にはならないと私は思っております。

近藤(洋)委員 その点は認めるわけですが、私が申し上げたいのは、五年物、十年物だけだったのに何で殊さらまた長いものを認めたんですか、これが解せないということなわけです。わざわざ長いものを認める。だんだん減らすのに、長期のものを出している。この時期に出すというのは、政府が目指す完全民営化というか自立した経営とあべこべではないか。これは非常にわかりにくい。何のための改革か。この点、なかなか金融の問題は専門的なのでまた次の機会に譲りますが、要は、何のための改革か、政投銀をどう持っていくのか。ビジネスモデルがはっきりしないから、こういうあべこべな、げたを履かせるような資金調達手段を認めることになるんだと私は思います。

 もう一点、全く話は変わるんですが、この改革の議論というのが煮詰まっていない。煮詰まっていないまま生煮えで法案が出されたというもう一つの例として、道路特定財源の一般財源化について確認をしたいと思うんです。

 本日は国土交通省から政務官にいらしていただいておりますが、この道路特会、法律では一般財源化を前提に見直すと書かれています。委員各位も御存じのとおり、道路特会は、平成十九年度から本四架橋分の返済がなくなりますので、毎年四千五百億円の巨額な余剰金が生まれます。

 さて、ここで国土交通省に伺いたいのですが、特定財源の一般会計化といった場合、この四千五百億円浮く部分を一般会計化するのか、それとも全部を一般会計化するのか、どちらなんでしょうか。

伊吹委員長 まず、後藤国土交通大臣政務官が答えて。後、法案提出大臣として中馬国務大臣。

後藤大臣政務官 道路特定財源の見直しにつきましては、特定の税やあるいは税収の一部に限って検討をするというのではなくて、すべてを対象に一般財源化を図ることを前提に検討していくというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、道路特定財源制度の見直しにつきましては、さまざまな意見がありますことから、今後納税者の理解を得つつ、具体的な改正の案を作成していくというふうに考えております。

中馬国務大臣 同じことでございます。

近藤(洋)委員 ですから、どの部分かはっきり御答弁いただけませんでしたね、部分なのか全部なのかということについては。結構でございます、要するにこれから検討するという御趣旨なのかなと理解をいたしますが、そうじゃないんですか、全部をやるんですか。部分化はないんですか、では。全部一般会計化ですか。簡潔にお願いします。

後藤大臣政務官 すべてを対象に、検討の対象になります。

近藤(洋)委員 だから、検討の対象ですけれども、仕上がりは、特定財源として残る部分もあれば一般会計化するのもある、こういうことであるわけですよね。その辺は、すべてを対象に検討するということだから、これから検討するわけですよ。恐らく財務省と国土省がこれから検討するんだろうと思うわけです。その点一つとっても、私は非常にこの法案は不透明な部分が多いと思います。

 そもそも論で、一般財源化するならば、「納税者の理解を得つつ、」というふうに法文に書いていますけれども、私は、一般財源化したら、納税者の理解はなかなか得られないと思います。この点については財務金融委員会で谷垣大臣とも議論させていただきましたのでここではもう繰り返しませんが、私は、一般財源化するならば、その分は税率を本則に戻すというか、暫定税率を下げるということが本筋だと思いますので、これは、「納税者の理解を得つつ、」というのは、何か作文で取ってつけたかのように書いていますけれども、こういう法律が果たして法文としてあるのかというのは、私は法律の専門家でないからわかりませんが、非常にわからない、不透明な部分がある法律だなと思う例として道路特定財源のことを指摘させていただきました。

 いずれにしろ、こういった特会の部分については、各省庁との交渉の中でさまざまな議論が、これから大変な議論が巻き起こると私は思っています。この法律をそのままやろうとしても、まだまだペンディングの部分というか、不透明な部分がたくさんあります。政府系金融機関のあり方だって、さまざまな議論がたくさん残る改革だろうと思うわけであります。

 そこで、実は、振り返りますと、恐らく霞が関なり政治を巻き込んでのさまざまな議論が起こるんだろうなと想像するんですが、同じようなことが実は九年前にございました。第二次橋本内閣での中央省庁再編議論でございます。一九九七年、行革会議の最終報告を受けて、翌年、中央省庁再編法が成立して、現在の一府十二省庁ができたわけですけれども、そのときの事務局の構成図を、この資料の六が現在の内閣官房行革推進事務局、七が当時の中央省庁改革推進本部事務局の体制であります。見比べていただくと、全くそっくりであります。事務局員の人数も大体百三十人ぐらい、事務局長、室長、次長、参事官、企画官の構成も大体同じです。出身官庁も大体同じ。

 大体、霞が関というのは同じことをやるときは同じ構成をするんだな、しみじみうり二つだなと思うわけでありますが、与謝野大臣は当時内閣官房副長官であられました。官邸で指揮をとられました、非常にこの法案についても指揮をとられておりました。谷垣財務大臣は当時科学技術庁長官であられました。中馬大臣は当時自民党の行革本部の委員長代理で、さらには、伊吹委員長は労働大臣であられました。ちなみに、私は当時新聞記者をやっておりましたが。

 そこで、ぜひお伺いしたいんですけれども、七年前と全く同じようなことが今霞が関で起きているんですが、八年、九年前と。中馬大臣、当時の関係者でもあられます。あの省庁再編騒動で、あえて私は省庁再編騒動と申し上げますが、霞が関の仕事の能率は一体どれだけ向上して、どれだけよくなったのか。費用対効果を分析されていると思いますが、お答えいただきたいんです。

中馬国務大臣 改革は、小泉改革で非常に大きく促進していることは事実でございますけれども、古くは土光臨調から始まりまして、こうした大きな時代に合わせた行政の姿を今やっているところでございまして、これもその一つでございまして、しかし、これができたからこそ、いろいろな、建設省と運輸省がばらばらであったのが一緒になって非常に効率的に物事を進めたりしている。数字は直接は出てきませんですけれども、もうそれはだれが見てもわかることだと思っています。

 少し具体的に申しますと、一府二十二省庁から一府十二省庁へ中央官庁の大ぐくりの再編ができました。政治主導強化のために内閣総理大臣の補佐機能の強化、これは、内閣官房機能の充実、内閣府の新設、非常にトップダウンと言われるかもしれませんけれども、こうしたことがどんどんと進んでおります。副大臣、大臣政務官の新設も行われました。行政の減量、効率化は、官房及び局の数を百二十七から九十六に、課、室の数を千百六十六から九百九十五、現在ではさらに減りまして九百になっております。

 こうしたことで、行政改革も含めて、また国民の利便性も含めて、大いに効果があったと私どもは認識いたしております。

近藤(洋)委員 部局の数が減ったのは別に効果じゃないんです。今、大臣御答弁ございましたが、どんどんよくなったとかそういった御発言だけで、具体的にどういうサービス効果があったのかという数字はお出しいただけませんでした。

 そこで、竹中総務大臣、お忙しいところ来ていただいておりますが、行政監察を担当されている総務大臣として、あの省庁再編はどういった効果があったのか、数値としてあらわれたものがあるのか、国民のサービス向上に具体的にどういった効果があったのか、お答えいただきたいのですが。

竹中国務大臣 基本的には、既に中馬大臣がお答えになったとおりだと思っております。

 中央省庁の改革は、内閣主導のもとで簡素で効率的な行政運営を目指したものである。具体的に、特に重要なものとしては、内閣主導の強化のために内閣府の設置など総理大臣の補佐機能を強化したということ、そして、今、一府二十二省庁から一府十二省庁への大幅な再編などがあったということであろうかと思っております。これを数量的に把握することは困難でございますけれども、総理の補佐機能の強化等々ではそれなりの成果が上がっているというふうに認識をしております。

 ただし、これは不断に見直さなければいけません。私の省庁に関しましても、例えば郵政が民営化されるということになりますと、郵政公社を前提とした郵政の行政のシステムからこれは見直さなければいけませんので、この見直しは不断に行わなければいけない問題であると考えております。

近藤(洋)委員 私は、その効果はなかったと思っております。むしろ弊害も一部出ているのではないかと。中馬大臣は国土交通省が効率化の例と挙げられましたが、あんな巨大な官庁、一つ例を言えば、例えば総務省、総務省は実質人事課長が三人もいらっしゃるんです。人事課長とその下につく参事官の方が各省別々で人事をやられているという状況がまだ続いているわけでありまして、効率化の効果が上がったのか私は疑問でございます。

 またもう一点、私はあの省庁再編のことを振り返りますと、あのとき霞が関はあらゆる方が省庁再編に没頭してしまった、あらゆる方がこの大騒動で大騒ぎをした。まさに与謝野官房副長官もうでを、霞が関の方々がどうやったら官房副長官にお会いできるかと一生懸命陳情合戦をされたのを私は取材しておりました。大変な大騒動だったんです。しかも、トップ集団の方々が、このことにかまけてと言うと言い過ぎですが、意識をほとんどこのことだけに集中された。ある役所は、現状維持ができて、何も足さない、何も引かないなんということを言って喜んだ役所もありました。ある省庁は、どこかの局がとられると思って大騒ぎで自分の仕事そっちのけでありました。

 それは、その後に起きた事件にもあらわれているんですよ。その後、まさに九七年以降、山一証券の破綻だ、拓銀の破綻だ、さまざまな金融問題が一気に噴き出た。果たしてあのさまざまな事件は、霞が関が行革というものにすべて集中してしまった、政府がすべて集中してしまった、そして多くの人々がそこに労力を費やしたために適切な対応をおくらせた面もあるのではないかと思っておるわけであります。

 それが証拠に、添付資料にもありますが、今回、大体千人以上のお役人が、キャリア官僚1種の方々が、恐らくあの当時の改革にもかかわったんだろうと想像されるわけでございますが、当時の官房副長官、与謝野大臣、御所見をお伺いしたいんですが。

伊吹委員長 与謝野国務大臣、当時のことを答えてください。

与謝野国務大臣 当時、梶山静六議員が官房長官で、行政改革は総理の秘書官を中心にやっておりまして、官房長官と私は財政構造改革をやっておりました。

 ただ、委員御指摘のように、組織を再編したりなんかということになりますと、官僚組織を挙げてそれに夢中になって本来の業務がおろそかになりがちだということは、私は事実だろうと思っておりまして、官僚が本来国に対して果たすべき使命というものは別にあるわけでございまして、やはり、いたずらに組織をいじるということは日本の社会の進展には必ずしもプラスにならないという側面もあるということは、私は認めざるを得ないと思っております。

近藤(洋)委員 率直な御答弁、ありがとうございます。まさに今同じようなことが行われようとしているんです。

 要するに、何のための、しっかり内容を吟味しないで数合わせだけをしようとすると、そういうことが……。あのときの省庁再編も、最初は大変すばらしかった、最初はすばらしい、この国の形をどうしようかと行革会議の中で議論がされた。しかしながら、数合わせの議論になった途端に、大変な無駄も起きたということであります。

 そこで、今回の行革も、数合わせだけの、今も私の質疑の中でどういう中身の議論か見えない、数だけが明示されているという法案を出してしまうと、そういう議論に陥る懸念があるのではないか。安倍官房長官にぜひお伺いしたいんですが、私は、今回の行革法案でどういった霞が関の方が関与するのか、ちょっと行革事務局の方にも聞いて調べてみました。大臣官房、いわゆる総務課、文書課、そして天下り問題もありますから秘書課、さらには、特別会計はさまざまな原課がありますからそれぞれの原課、企画部局、金融担当部局、大体各省庁どれぐらいおって、そのうちいわゆる1種の方がどれぐらいおるんですかと聞いたら、大体千人でした。積み上げたら千人。東京、この霞が関というか本省にいる1種の方々が一万人でありました。十人に一人が、少なくとも最低十人に一人がこのことにかかわるわけですね。かかわるわけです。大変な騒ぎになりますよ。官房がそういったことであれば、ほかの政策はできなくなりますよ。中身がないとそういうことになるわけですが、まあ、小泉さんは九月でおやめになりますから、法案だけ通せばもういいんでしょう。しかし、作業は残るんです。官房長官、どうでしょう、こういった状況で霞が関を運営できるとお思いになりますか、ぜひお答えいただきたい。中身をしっかりした方がいいんじゃないですか、法案を今のうちに。

安倍国務大臣 ただいま与謝野大臣が橋本行革当時のことについての感想をお述べになったわけでありますが、橋本行革に対する評価は、恐らく委員と我々とでは違うだろう。私たちは、しっかりとした成果は上がっているというふうに思います。

 内閣における重要課題に取り組むために、アドホック的に弾力的に各省から優秀な人材を集めまして、高度で重要な改革課題について短期で集中的に仕事を進めていく。これは当然我々新たに人を雇うわけにはいきません、これはまさに行革に反するわけでありますから。各省から優秀な人材を集めて、この改革案についての取りまとめの作業に当たっている、こういうことでございます。

 確かに、その間、それぞれ省庁においては、行革というのはまさに自分たちがどうなるかという大変関心の高い事柄でありますからそのことに集中するかもしれませんが、しかし、だからといってそれをやらないというわけにはいかない。そしてまた、作業も必要であります。そしてまた、場合によってはそういういろいろな抵抗がある。現状維持の方がいいという人たちの抵抗を排除して、しっかりとこれは行革を進めていかなければいけないというふうに考えるわけであります。

 官邸に今集めておりますこのスタッフについても、出身省庁のことを忘れて、大きな、国家国民ということを常に念頭に置いて、縦割り行政から離れて作業に当たるようにということを私どもも申し上げているところでございます。

 その中で、今回の法案については、政府系金融機関の改革あるいは特別会計の改革等々、また公務員の総人件費の抑制、これは数値目標を掲げてしっかりと我々今回の法律にしたわけでありまして、今後ともこの体制でしっかりと成果を出していきたいというふうに思います。

 それと同時に、各省庁においても業務が滞りなく行われるように、それぞれ全力を発揮してもらいたい、このように思っています。

近藤(洋)委員 いや、官房長官、それは政治がちゃんと方向を示せば役所の方はやるでしょう。だけれども、この法案には方向がないんです。すべてが、検討します、検討します、検討します。そんな法律を出されたら、それこそ各省庁の、出身省庁を背景にした大変な攻防が始まるんじゃないんですかという懸念を申し上げているんです。道路特会一つとっても、中身を整理しないで、ただやりましたということだけで、この法律のままでは、政治は決断をしていない、方向感を示していない法案を出すことは大変無責任なんじゃないかということを御指摘しているんです。

 そして、もっとやるべきことがあって、例えば問題になっている談合問題についてです、こんな大騒ぎをしなくても、官製談合などというのは法案を幾つもつくれるわけです。幾つもつくれる。

 法務省、来ていただいていますでしょうか。河野副大臣に来ていただいておりますが、一つお伺いしたいんですけれども、官製談合は、今、ここ数年さまざまな形で摘発されていますけれども、例えば談合罪、例えば独占禁止法違反、背任罪と、同じことをやっておきながら罪がさまざま違うんですよ。さまざまなんです、同じことをやっておきながら。これは私は問題だと思うんです。やはり、官製談合が犯罪だともし法務省が認識しているのであれば、刑法をしっかり改正して、わかりやすく摘発する、こういう法制度をつくるべきだと思うんですが、法務省の見解をお伺いしたい。

河野副大臣 俗に官製談合と言われておりますが、例えば入札にかかわっている公務員が予定価格を漏らせば競売入札妨害罪でございます。談合にかかわれば刑法の談合罪、大規模な談合になれば独占禁止法に違反をして犯罪を構成するということになっております。ですから、そのそれぞれ構成要件が違うものを官製談合というふうに大くくりに呼んでいるわけでございます。

 刑法一つにおまとめになったらどうかということでございますが、今私の承知しているところでも、民主党から議員立法で刑法の改正が提出をされる。これは国と地方自治体の入札に関連した談合があった場合には三年以下の懲役を罰則とする改正案だと思いますが、これが提出される。それから、与党側からは、官製談合防止法の改正で、国と地方自治体が資本金の二分の一以上を出資している団体の入札に関して談合があれば五年以下の懲役及び罰金刑という、二つの議員立法が提出されております。議員立法が議論されているときに政府側からそれに重複する新たな提案をするよりは、この議論をしっかり注視するのが法務省の役目ではないかと思っております。

近藤(洋)委員 それは当然そうなわけですが、しかし、今まで法務省なり公取、特に法務省だと思うんですが、この官製談合について法整備を怠ってきたという問題点はあると私ども思うんです。しっかりとした法体系をつくる、この責任はやはり法務省だと。今の時点では、確かに我々は民主党案を出しています、与党案も出しています、ぜひ議論をさせていただきたいと思っておるわけでございますが、そういった、法務省が今まで法体制を整備しなかったという問題点はあったのではないかと思うわけでございます。

 そこで、もう時間ですので、最後に官房長官にお伺いしたいんです、独禁法の話で。

 官製談合についてはまた改めて機会をいただいて御議論をしっかりさせていただきたいと思っているわけでございますが、官製談合とはまた別で、独占禁止法、先日の質疑で私指摘をしました不公正な取引。不公正な取引については、現在、罰則規定がありません。ぜひ刑罰を、罰則規定を入れるべきだと思うわけでございます。今、公取当局はこの独占禁止法の見直しも進められていると伺っておりますが、官房長官、この不公正な取引、先日の事案のようなケースについて罰則を入れるべきと考えますが、官房長官の御所見を伺って、私の質問を終えたいと思います。

安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘になったように、独占禁止法上、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法については、当該行為の取りやめ等違反行為を排除するため必要な措置を命ずることはできますが、刑事罰を科すことはできないということになっております。

 これは、不公正な取引方法はカルテルや入札談合等と比較して法益侵害の程度が小さいなどの理由によるものでございますが、先般の改正独占禁止法の附則において、新法の施行後二年以内に課徴金に係る制度のあり方について検討することとされておりまして、これを受けまして内閣府に独占禁止法基本問題懇談会が設けられました。

 この懇談会においては、不公正な取引方法に対する措置のあり方についても検討項目の一つとなっているところでありまして、懇談会の報告書の最終取りまとめは平成十九年六月に予定をされております。不公正な取引方法に対する措置のあり方についても、この懇談会において十分に議論をしていくことになる、このように思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ検討していただきたいと思います。私どもも改正案の検討をしているところでございますので、検討していただきたいと思います。

 以上、時間ですので、終わります。

伊吹委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明七日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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