衆議院

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第8号 平成18年4月10日(月曜日)

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平成十八年四月十日(月曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      安次富 修君    秋葉 賢也君

      井上 喜一君    石原 宏高君

      衛藤征士郎君    大野 功統君

      太田 誠一君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    木原 誠二君

      小杉  隆君    佐藤  錬君

      菅原 一秀君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    並木 正芳君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      福田 峰之君    藤野真紀子君

      馬渡 龍治君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    水野 賢一君

      大串 博志君    逢坂 誠二君

      近藤 洋介君    鈴木 克昌君

      田村 謙治君    武正 公一君

      鉢呂 吉雄君    福田 昭夫君

      馬淵 澄夫君    渡辺  周君

      石井 啓一君    谷口 和史君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

      菅野 哲雄君    重野 安正君

      滝   実君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   財務副大臣        赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           出合  均君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            関戸 秀明君

   政府参考人

   (内閣府規制改革・民間開放推進室長)       田中 孝文君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 久元 喜造君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 佐々木豊成君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 太田 俊明君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 吉田 義一君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     福田 峰之君

  太田 誠一君     小野寺五典君

  小杉  隆君     藤野真紀子君

  菅原 一秀君     木原 誠二君

  薗浦健太郎君     石原 宏高君

  三ッ矢憲生君     馬渡 龍治君

  近藤 洋介君     逢坂 誠二君

  武正 公一君     福田 昭夫君

  馬淵 澄夫君     鈴木 克昌君

  前田 雄吉君     田村 謙治君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

  菅野 哲雄君     重野 安正君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     薗浦健太郎君

  木原 誠二君     菅原 一秀君

  福田 峰之君     大野 功統君

  藤野真紀子君     小杉  隆君

  馬渡 龍治君     三ッ矢憲生君

  逢坂 誠二君     近藤 洋介君

  鈴木 克昌君     馬淵 澄夫君

  田村 謙治君     前田 雄吉君

  福田 昭夫君     武正 公一君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

  重野 安正君     菅野 哲雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、人事院事務総局総括審議官出合均君、人事院事務総局給与局長関戸秀明君、内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、内閣府政策統括官東良信君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛施設庁長官北原巖男君、総務省大臣官房審議官久元喜造君、外務省北米局長河相周夫君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、文部科学省高等教育局長石川明君、文化庁次長加茂川幸夫君、厚生労働省政策統括官太田俊明君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省北海道局長吉田義一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 本日は、各案の審査に関し、公務員制度改革及び公益法人制度改革に関する問題を中心として集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 民主党衆議院議員の大島です。

 きょうは、朝早くからありがとうございます。公務員制度改革につきまして何点か質問をさせてください。

 今回の公務員制度改革に当たりまして、国家公務員法をざっと目を通させていただきました。私が考えるに、昭和二十二年に立法化された法律としては中身が極めて斬新な法律であると考えております。

 例えば、二十九条「職階制の確立」として、ここには「職階制は、法律でこれを定める。」ということで、内容につきましても、「職階制を立案し、官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて、分類整理しなければならない。」と書いてあったり、あるいは三項におきましては、「職階制においては、同一の内容の雇用条件を有する同一の職級に属する官職については、同一の資格要件を必要とするとともに、且つ、当該官職に就いている者に対しては、同一の幅の俸給が支給されるように、官職の分類整理がなされなければならない。」ということで、これは官職についてのジョブディスクリプション、要は、個々の官職につきましてどのような仕事であるかを細かく定義せよということになっております。そして、細かく定義した上で、それについての資格要件あるいはその俸給、給与については同じでなければならないという法律でございまして、この二十九条を読みましても、昭和二十二年のときとしては極めて異質な法律であると考えております。

 まだ異質なところがありまして、例えば三十五条は、官職に欠員が生じたらどうするかという記述になっておりまして、まず採用から始まるんです。採用があり、次に昇任があり、降任があり、転任があるということで、まず、官職があいたらそこは公募せよというのがこの三十五条の規定なんです。

 この二十九条あるいは三十五条につきまして、総務大臣、まことに申しわけないんですけれども、これまで二十九条、三十五条につきまして実施されたことがあるのかどうか、この法律がしっかりと実施されたことがあるかどうかについて御所見を伺わせていただければ幸いと存じます。

竹中国務大臣 制度についてのお尋ねでございますけれども、この制度そのものについては人事院が担当している制度でございます。そして、それについての法律というのはできていない、十分に整備されていないというふうに聞いております。

大島(敦)委員 公務員制度改革が難しいのは、昭和二十二年、施行が二十三年で、国家公務員法の明確な規定があるにもかかわらず、いまだかつてこれが守られていないというところが、公務員制度改革を考える上で非常に重要な論点だと私は考えております。

 これまでもたびたび公務員制度改革が行われても、どうしても、このなかなか守れないというところが、これは守った方が私はいいと考えておりまして、もしも守れないのでしたら国家公務員法を全面的に改定すべきだと私は思うんですけれども、その点につきまして、政治家としての御所見を、これは総務大臣になるのか、あるいは中馬大臣からも御所見をいただければ幸いでございます。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、職階制につきましては人事院の規則等で定めることになっているわけでございますけれども、これは順次定めるということになっているというふうに承知をしております。

 公務員は、そもそも公務員法で国民全体の奉仕者として位置づけて、その上でしっかりとした制度をつくっていこうということだと思います。同時に、制定後六十年を経て、これはいろいろな国民の見方も出ているということかと思います。そうしたことを踏まえながら運用し、必要なところは改正していくということが必要であるというふうに思います。

中馬国務大臣 昭和二十二年当時の公務員法、それがこうしてなかなか実現されていない面もあるわけでございますが、それも時代が大きく変わってまいりました。そのときには一つの合理性があったのかもしれませんが、これだけ長期間実施になかなか移せなかったというのも、日本の実情的なものもあるのかもしれません。

 そういうことから、それも含めてこれからの一つの大きな課題ではありましょうが、今回こうして皆様方に御提示しております公務員制度改革につきましても、今の行政改革推進法の中でもう一つそこのところは検討課題になっております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 この国家公務員法の一番最初の、これは原始国家公務員法というそうなんですけれども、制定時の国家公務員法を人事院からお持ちいただきました。その一番最初の国家公務員法の規定を読んでみますと、これは極めて明確な意思でつくられている法律です。

 まず、今の国家公務員法では、例えば人事院の設置については、内閣の所管の下に人事院を置く、そして内閣に報告しなければならないという記述しかないんですけれども、一番最初の国家公務員法では、この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため、内閣総理大臣の所管のもとに人事委員会を置くということになっておりまして、この法律に書いてある、先ほど述べました職階制の導入あるいは採用についても、その実施を担保するため、それを実施することがこの人事委員会の目的であるということで、まずは明確に規定されているわけなんです。

 したがいまして、この法律がもしも守られていれば、今の国家公務員のあり方というのは大きく姿を変えているのかなと私は考えているところでございます。時代は、この制定時のときから六十年弱経過しまして、この国家公務員法の中身はそれほど悪くないのかなと自分は考えているところもあるわけなんです。

 もともとこの国家公務員法は、聞くところによりますと、フーバーさんというアメリカの方がGHQの招きで日本に来て、日本の二つありました大きな官僚組織、軍と日本の官僚組織を解体するための意図を持ってつくった法律であるということを学者の論文で読んだこともございます。したがいまして、この法律というのは、中身が実施できないというのは、大きな抵抗があったから先ほど竹中大臣がおっしゃったとおり実施が難しかったのかなと考えております。

 その中で、竹中大臣に伺いたいんですけれども、今後の国家公務員のあり方を考える上で、今回の制度改定についてもいろいろな案が出ております。行政改革推進本部報告ということで、三月三十一日に「行政改革の実施状況」ということで非常にわかりやすい資料を出していただきまして、その中で、国家公務員の例えば官民の人事交流をする、あるいは役所間でも一定の割合の人事交流をするということがうたってありまして、このことは一定の前進かなと考えております。

 現行の国家公務員法でも、先ほど私が述べましたとおり、まずは、三十五条においては、官職に欠員が生じたら、ポストがあいたら採用をしろということが、公募をしろということが明確に規定をされているわけなんです。したがいまして、この法律を生かすことによって、例えば、今の、現行の国家公務員の方でも、一つの官職があいたら下から昇進をするのではなくて、一たん公募をかけるということも法律上はできるという理解だと思うんですよ。

 もう一つは、どういう官職かというのをしっかりと定義せよということがあるわけです。日本の官僚、日本の国家公務員の皆さんの仕事を、一つ一つ、どういうお仕事をしてどういう資格が必要なのか、そして、どういう報酬を支払うべきなのかというのを規定しろということになっているわけなんです。

 したがいまして、これは総務大臣の竹中大臣にはなじみやすい法律かなと思うんですよ。やはり、このような改革、本当の改革は、国家公務員法の中に改革があるのではないかなと私は思っているんです。国家公務員法を厳粛に法律にのっとって施行したときに初めて日本の官僚組織は変わってくるのかなと思うんですけれども、その点についての竹中大臣の御所見を伺わせてください。

伊吹委員長 大島君に申し上げますが、経緯、それから、ここに至るまでの背景がかなりあると思うんですが、それは人事院からはよろしいですか。(大島(敦)委員「それもお願いします」と呼ぶ)

 それでは、まず出合総括審議官は今までのここに至る経緯を御説明して、そして、竹中大臣に答えていただきます。

出合政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法、先ほどもお話のございましたように二十二年の十月にできておりますが、戦前の天皇の官吏という身分的な官吏制度を改めて、新しく、日本国憲法を受けまして、国民に対して公務の民主的かつ能率的な運営を保障するということを目的として現行の公務員制度をつくっております。

 この過程において、当時のアメリカの連邦公務員制度というようなものがベースにあって、それを参考にしながらつくられたというふうに承知しております。

竹中国務大臣 先ほどから委員に法律の大変重要な点の御指摘をいただいているというふうに思っております。

 まず、先ほどの答弁で不足があるといけませんので、もう一度委員の御指摘も踏まえて確認をさせていただきますけれども、職階制を確立してそれを実施する、職階制は実施することができるものから逐次これを実施するということと、その実施について必要な事項は特別の定めのあるものを除いて人事院規則でこれを定める、そういう仕組みになっている。

 今直接お尋ねがありました欠員補充については、人事院規則に別段の定めがある場合を除いては、おっしゃった、採用、昇任、降任、転任等々、そして、人事院が特別の必要があると認めて任命の方法を指定した場合にはその限りではないということになっている。その意味では、人事院の方におかれまして、現実的な御判断を、その時々で適時適切に御判断をいただいているというふうに思っております。

 委員が専らお尋ねの官民交流のこと、これは私たちの今の政策的な関心事の一つでございますが、これは今の人事院ないしはこの制度と決して矛盾するものではなくて、どうしても年功序列、終身雇用的な中で人事とか発想とかが硬直化する懸念がないわけではない、そういうことに対応するための現実的な施策として、官民の交流というのは意味があることではないかと考えておりますので、この制度をしっかり活用しろという委員の御指摘は、私はそのとおりだと思います。それについては人事院でも適切な御判断を常にされていると思っておりますが、今申し上げたような現実的な判断から、官民の交流というのもやはり意味のあることであろうかというふうに思っております。

大島(敦)委員 竹中大臣の御指摘はよくわかります。

 先ほど、人事院あるいは人事委員会の設置の変更というのは大きく国家公務員法の性格を変えたと理解をしておりまして、もともとは人事委員会で各職階制をしいて、そして、ポストがあいたら公募をしろ、しなさいよということで法律が定められたにもかかわらず、これは国会の議を経ての法律改正ですから、当時の諸般の事情があり、人事委員会から人事院になり、そして人事院規則に基づかなければ、このようにしろというふうになっているんですけれども、本来の法律の趣旨に基づいて施行を、要は政策を立案していくというのが私は国のあり方として正しいと思っているんです。

 もしもそのようにしないのであれば、この法律、国家公務員法を大幅に改正することによって現実に近づけていく必要があると考えているわけなんです。それで、今後、今の国家公務員法の公務員制度というのは、少しずつ着実にということかなとは思うんですけれども、将来を見通せば、もっと大きく変える必要があるのかなとも考えるわけなんです。

 例えばこの中には、留学した人がやめた場合にはそれなりに、要はお金を請求するなんということも改革の中に入っておりまして、自分も会社員をやっているときに、留学した私の同僚の人たちもみんなやめてしまったなという思いを強く持っていまして、二十代、三十代の公務員の方にとって魅力ある職場とは言えなくなってきているのかなと思うわけなんです。

 それで竹中大臣に、例えば今後の公務員のあり方について、先ほど私が述べたのは公募のシステムなんですけれども、今アメリカの国家公務員ですと二万一千三百七十二のポストがホームページ上で公募をされていたりもするんですよ。アメリカも公募をしており、イギリスもこのような形で公募をしており、ドイツにおいても日本と同じような制度なんですけれども公募というシステムを取り入れて公務員を公募しているわけなんです。

 これからの公務員制度のあり方として、例えば市役所の方とか、あるいは県庁の方とか、あるいは国家公務員の方でも、町場の方から見ればしっかり働いていないのではないかなと言われることもあるわけなんですよ。これは、一生懸命働いているんだけれども、そういう見方をされているのかもしれない。

 でも、私、民間の出身として思うには、国家公務員の方というのは転職ということができないんです。私も一回転職をしているわけなんです。会社の人事が気に食わなければ、満足できなければ、転職ということで民間のサラリーマンの人は自分の身分を保つことができる。ただ、国家公務員の方あるいは地方公務員の方は特殊な仕事をしているわけですよ、法律にのっとって、条例にのっとって、規則にのっとって仕事をしていますから。公務員の方が一たん職を失うと次の職場というのがなかなか見つからないところが、身分を守ろうとする強い意思が働いてくるのかなと私は考えているわけなんです。

 これからの公務員制度のあり方として、国家公務員の方も地方公務員の方も、一定の資格を有すれば、例えば埼玉県庁にお勤めの方が、奥さんが沖縄の出身の方で、沖縄県庁の企画の課長のポストにあきがあったら、そこの公募で、要は人事異動ができるような、公務における求人情報誌が月一回出るようなイメージですよね、そのようなシステムをつくりませんと、これからの若い人たちの公務員の働き方として人材を保てないのかなと私は考えるわけなんですけれども、その点について竹中大臣は非常に斬新なアイデアとお考えをお持ちだと思いますので、ぜひ御所見を伺わせていただければ幸いと存じます。

竹中国務大臣 余り斬新なことを言うと事務方から怒られるかもしれませんですが、委員の御指摘の、まず、魅力ある職場でなければいけない、そのための何らかのインフラとか装置とかが今のままで果たしてよいのだろうかという問題意識は、私もそのとおりであるというふうに共有をいたします。特に、公募のシステムとか転職の、つまり、公務員の中での雇用の流動化というようなものがもっとできるようにならなきゃいけないというのは、私はそのとおりだと思います。

 実は、これは一つの経験として申し上げますが、私が内閣府の経済財政の担当大臣のとき、まさにこういう経済分析の仕事こそいろいろな形での流動化があるべきだというふうに考えまして、公募をいたしました。それで、経済雑誌等々にそういうものをかなり出しました。かなり多くの反響があることを期待いたしたんですが、実は、公職の中からも、また民間からも、驚くほど反応が少のうございました。

 これは、いろいろ、来た方の面接等も通して非常に明らかになってくるのは、まさに労働市場全体の雇用の流動化なんですね、民間は民間で、公職は公職で、今の中にいることの安定性というのがあって、そのルートからはみ出すことの一つのリスクというのが皆さんなかなかとれないでおられるのではないのかなというふうに思いました。

 これはしかし鶏と卵の関係でございますから、いろいろなところで募集が可能になれば一つのところから離れていきやすいという状況もあろうかと思いますので、私は、こういった内閣府のときに試みた公募のようなシステムはいろいろなところで広がっていく必要があると思っております。そして、そのための労働市場の情報提供というものが、しっかりとできるようなシステムは何らか考えていく必要があるだろうというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 竹中大臣も、今後の仕組みの中で、国家公務員法という非常にいい法律があるものですから、その中で対応可能なところはしっかり、多分今の公務員制度改革のその次にある改革かもしれないんですけれども、ぜひそのことを視野に入れて御検討いただければと思います。

 時間の方がもうすぐなものですから、中馬大臣に前回の私の宿題で一点質問したい点があります。これは、公益法人改革の中で、一般社団、一般財団という名前の問題なんです。

 私ども同僚議員と話をしますと、一般社団と公益社団とどちらが上位にあるかというと、一般社団の方が上位にあるのかなというイメージを持たれる方が多いんです。恐らく、登記で社団、財団の名前を使えるとなると、登記で使えるわけですから、おおむね多くの方はいい方向で使うと思うんですけれども、中には社団、財団の名前を悪用する方が出てくるかもしれないというおそれがあるわけなんです。

 したがいまして、もう法律は通っていますから改正は難しいと思うんですけれども、社団、財団の名前を例えば一般人的法人とか一般財的法人とか全く別の名称にする必要が、法律の建前、今回の制度改定からしてもふさわしいと私は考えるんですけれども、その点についての中馬大臣の御所見を伺わせてください。

中馬国務大臣 今回の法律でこうした形になるわけでございますが、経過措置として五年間を設けております。五年間の間には、今委員がおっしゃいましたような若干の混同が住民の間にも起こるかもしれませんけれども、しかし、はっきりと公益という名前がついております。公益がついているかついていないかで、そこは今までの違いを大いにPRする必要があると私は思っておりますが、あとは一般と公益ということでちゃんと区別しておりますから、経過措置の間はともかくといたしまして、それははっきりと分けていただけるものだと思っております。

大島(敦)委員 時間となりましたが、財務大臣の谷垣大臣にはまことにお忙しいところありがとうございました。一問質問をしてよろしいでしょうか。

伊吹委員長 はい、結構です。

大島(敦)委員 今回、国家公務員の共済年金のあり方について一問質問をつくらせていただいておりまして、今の検討状況とその方向につきまして、大臣の御所見を伺えれば幸いでございます。

谷垣国務大臣 共済年金は民間と違うところが幾つかあるわけでございますが、職域部分というのがございます。これをつくられたのは、公務員にさまざまな身分上の制約が課せられている、それから民間企業についてもいわゆる企業年金が相当普及している、こういう点から昭和六十一年に設けられたわけでございますけれども、これは今検討の最中でございまして、三月二十九日に政府・与党協議会の中で被用者年金一元化の検討状況というのが出されまして、これを踏まえまして具体的な検討を進めていくということになっております。

 この職域部分については、公的年金としての職域部分は廃止して、その後、企業に設けられている三階部分に相当する仕組みの必要性にかんがみて、その制度設計は人事院の企業年金等の実態調査結果を踏まえて検討する。民間でも、この三階部分をどうしていくか、いろいろな議論があると思うんですが、そこらあたりの実態調査を踏まえて結論を出していこうということで、今議論を進めております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて大島君の質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝委員 おはようございます。

 きょうは、公務員問題を中心にしての委員会だそうでございますから、その中でも独立行政法人の関係で質問をさせていただきたいと思います。

 今の内閣の基本方針は、民でできるものは全部民へ、こういうようなことを強調されているわけでございますけれども、その中でも、当然先駆けて独立行政法人はやってきたわけですね。その中で、私は、きょうは、国立大学あるいは博物館、そういった点を中心にしてお話をさせていただきたいと思うんです。

 現在の国立大学、九十近くの大学があるわけでございますけれども、これがこのままの姿でいくのかどうか、大変疑問なところがあるんではないだろうかなと。先般もここで意見が出ていますように、毎年予算は減らされる、定数は削減しなきゃいかぬ、その中で国立大学が、その機能を、そのままの姿、現在のような数でいけるのかどうか。

 まずその辺のところから、これは文部科学省の高等教育局長から御答弁をいただきたいと思います。

石川政府参考人 国立大学の規模等についての見通し、考え方についてのお尋ねでございます。

 国立大学につきましては、その再編統合について、平成十三年の六月でございますか、大学が一層活力に富み国際競争力のあるものになるようにという観点から、大学、特に国立大学の構造改革の方針の一つの柱として、この再編統合といったようなことが位置づけられてございます。各大学におきましては、こういった方針を踏まえまして、大学改革の推進、あるいは教育研究の一層の発展等の観点から、再編統合について幅広く検討がなされているところでございます。

 ただいま委員の方から御指摘ございましたように、現下の大学を取り巻く諸情勢、大変厳しいものがございますけれども、法人化後の国立大学にとりまして、それぞれの大学の既存の資源を有効に活用したり、あるいは教育研究分野の幅の広がりを確保する、そしてまたスケールメリットを生かして経営基盤を強化するなど、教育力、研究力の充実を図っていくということがこれまで以上に大きな意味を持ってくるものと考えられるところでございまして、文部科学省といたしましては、再編統合に関する各大学の自主的な検討状況などを踏まえながら必要な支援を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

滝委員 全体の国立大学そのものについては平成十三年の六月の結論ということが伝えられているわけでございますけれども、その六月の全般的な整理統合の方向づけを受けて、その年の十一月に教員養成系大学あるいは学部の懇談会の答申が出ておりますね。そこでは何と言っているかというと、同じことだと思いますけれども、やはり大学というのは一定の規模を持たないと活性化できない、したがって、教員養成系の大学学部にあっても整理統合を進めるんだ、こういう懇談会の結論であるわけでございます。

 ところが、教員系大学の関係者の話を報道で見る限りにおいては、なかなかそれが進まない。なぜ進まないかというと、大学は全部伝統がありますから、それにこだわっているというところもあるんでしょうけれども、特に地元の教育委員会が整理統合に反対の意向が強い。したがって、教員採用となると、地元の教育委員会、都道府県教育委員会の意思が非常に左右するものですからなかなかこれがしにくい、こういうようなことが報道されてきたわけでございますけれども、こういった問題については政府参考人はどういうような情勢把握をされているんでしょうか。

石川政府参考人 ただいま教員養成系大学についてのお話がございました。

 確かに、先生が今御指摘いただきましたように、教員養成に関する懇談会というようなものが持たれまして、それについての統合等の議論も行われております。ただ、この教員養成大学あるいは学部の統合につきましては、単なる規模の問題だけではなくて、そういったことによる教育効果あるいは連携、そういった点も議論をされております。そしてまた、今先生が御指摘になりましたように、教員養成というのは、地元の教育委員会といいましょうか、公立あるいは私立も含めました学校と大変密接な関係がございます。そういった側面も考えながら検討を進めていく必要があるということで、現実問題としましては、規模だけでなくてさまざまな問題を検討する必要があるということで、なかなか一律に議論が進まなかったものと考えております。

滝委員 ありがとうございました。

 そういう中で、今状況が変わってきているように見ているんですよね。というのは、御承知のように、二〇〇七年が、二〇〇七年問題といって団塊の世代の退職が始まる。教員の場合には、それから七年後だと思うんですね、本格的に退職が始まるのは。小学校の教員は、生まれてから七年後でございますから、当然、これからむしろ教員養成の学部では学生をふやしていかないと、現在の教員の大量退職の穴埋めができない、こういう問題がございますよね。したがって、いわば二〇〇七年から七年後の二〇一四年を目指して、恐らく二、三年後ぐらいからぼちぼち大量穴埋めの準備を始めるということになってくると、この整理統合がどこかへ行ってしまうんじゃないだろうかな、こういうふうにも考えられるわけでございますけれども、その辺のところをにらんで高等教育局長の方はどういうようなことを文部省の中で議論をし、あるいは大学側と意見交換をしているのか、その辺のところをお述べいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答えを申し上げます。

 教員養成の見通し等についてのお話でございます。

 ただいま委員の方から御指摘ございましたように、今後、退職教員はふえる傾向にございます。従来は教員養成につきましては、それぞれの、そのときそのときの需給見通し等を踏まえまして、どちらかというとずっと抑制基調で、教員の養成の規模につきましてはふやさないという方向で対応してまいりました。しかしながら、ただいまお話がございましたように、今後大きく需要が伸びるというようなこともございまして、昨年の四月、厳密に申し上げますと三月の末に、私どもとしましても、それまでの抑制方針をやめまして、教員養成につきましても養成規模を拡大するという方向でそれぞれの大学の自由にお任せをするという方針をとっているところでございまして、今後、そういった中でそれぞれの教員養成の規模の充実が図られていく、このように考えているところでございます。

滝委員 そこで、これからの問題として一つ御指摘をさせていただきたいのは、現在の教員養成系大学は、教員の需給の問題が年度間でばらつきがあるということで、単なる教育学部だけじゃなくて、いわば総合学科を設けているんですよね。大体、多かれ少なかれみんな持っていると思うんです。我が地元の奈良教育大学も、隣の京都の教育大学も、教員養成学部とともに例えば情報学科であるとかあるいは芸術科であるとか文化科だとか、そういうのを設けているわけでございますけれども、今政府参考人がお述べになりましたように、全体として教員の数をふやさないように維持してきたというのは、恐らくそういうところでもって学科の柔軟性を持たせたということだと思いますけれども、そういう点はこれからどうなるんでしょうか。

石川政府参考人 教員養成系学部、ただいまお話がございましたように、単純と言うと語弊がございますけれども、一番典型的な形での教員養成という形だけではなくて、情報ですとか人間科学ですとかそういった多様な形の学科も一緒に設けられております。これは、昔はいわゆるゼロ免課程とも言っておりましたけれども、必ずしも教員養成を目的とするものではなくて、多様な人材養成を行おうという趣旨でやってきております。

 そして、これらのものにつきましても、基本的には教員養成の課程認定といったようなものが行われておりまして、免許が取れて、教員の道も開かれているわけでございまして、これから多様な人材を養成するということで、こういった学科も含めまして、教員養成の幅といったようなものはこれからも広がっていくのではないか、このように考えております。

滝委員 そこで、いわば総人件費抑制という観点から、独立行政法人もその例外ではないと思うんですね、国立大学の人件費のほとんどは補助金で出しているわけでございますから。

 問題になりますのは、学校の子供の数が減れば当然教育系大学の教職員スタッフは減る、こういうふうに直観的にはみんな思っているんですけれども、今申しましたようにこれは減らないんです。七年後からもう一遍教員養成の学生数をふやさなきゃいかぬ。こうなってくると、せっかく行政改革担当大臣は当てにしていた人件費がこういうところで予定どおりいかないことになるのでございますけれども、こういった点について、中馬大臣はどういうような細かい積算の上で今後五年間で五%の定数抑制ということをお考えになってきたんでしょうか。

中馬国務大臣 今御議論がなされておりますように、教員養成の大学の件につきましては、そうした需要がふえてくる、先生がおやめになる方が多うございますから、その補充の問題等で一時的にふえることになりましょう。

 しかし、長期的に見れば、完全な人口減少社会に入っておりますし、それぞれの大学では定員に満たないところがたくさん出始めている中で、こういったものに対する対応の仕方でございますが、教員養成で教員の資格を持った方だけが教員だということではない方法も今度私たちは提言をいたしております。そうしたものを民間の方々からもちょうだいいたしまして、そうして、もう既に始まっておりますが、資格を持たない方でも一定の条件のもとに学校の教員に任用できる形にいたしてまいりました。

 そのほか、いろんな形の、民間的な大学の方も割合安易に、安易にと言うと失礼でございますが、一定の資格のもとで、こうしたものが大学に認定されるといったことも出始めております。

 ともかく、そうした時代に合わせましてやっていきますが、独立行政法人にしたことによりまして、これは国立大学法人と言っておりますが、これにしたことによりましてかなり自由にいろいろなことが対応できることになりますし、また、今お話がありました、それぞれ統合することも含めてこれからいろんな制度が大幅に変わっていく、また、変わらなければいけない、それも国民のニーズに合わせた形でやってまいりたいと思っております。

滝委員 今中馬大臣がおっしゃったように、これからの問題として出てくるのは、いずれにしても教員の場合には七年後から本格的に補充、穴埋めの問題が出てくるわけです。そうすると、今の行政改革の見通しで立っている五年間で五%の問題は、その段階では解決しないんですよね。

 これはかなり大きな数字になるんです、国立大学の教員の数は現在六万人ぐらいあると思うんです、六万人ぐらいあると思いますから。その中で、こういう教員養成系大学学部は特殊な事情を持っている。そういうものを含めて減らすというのは並大抵のことじゃないと思いますので、私は、この際、もう一遍文部科学省当局においてもきちんと議論をした方がいいように思うんです。

 特に、教育系大学は何が問題かというと、幼稚園から小学校、中学校まで、みんな自前で実習の学校を持っているんです。実習の学校を持っているのは当たり前といえば当たり前なんですけれども、ここだけでも足りないものですから、大体ほかの学校に、公立の学校にも実習生を送っていると思います。そんなことで、なぜ抱え込むんだろうかという疑問もあるわけでございますから、私は、教育の質を維持するということは大切でございますけれども、全体としてどうするかということはやはりこの際考えておかなきゃいけないんじゃないか、こう思います。

 それからもう一つ、独立行政法人の関係で文化庁の次長さんを政府参考人でお呼びしていると思いますけれども、国立博物館、国立の美術館もそうなんですけれども、日本の美術館とか博物館というのはコレクションの累積が余りない。したがって、独立行政法人になって収入を上げていくためには、いろいろ企画展覧会をやらないと収入がふえないということになってくると思いますね。東京国立博物館で、ことしの一月から二月にかけて、中国、日本の書の至宝展というのをおやりになりました。これは行列ができるぐらい、満員の御盛況であったわけでございます。当然、こういう催しは博物館あるいは美術館でなければできないと思うんです。

 私は、その中で、恐らく職員の定数としては大したことないんだろうと思うんですけれども、こういうふうな独立行政法人の職員定数、予算の問題をどうやって考えていくのか、その辺の今までの情勢を、文化庁の次長さん、政府参考人としてお述べいただければありがたいと思います。

加茂川政府参考人 国立博物館について御説明を申し上げます。

 国立博物館は、独立行政法人化後、その特性を生かしつつ、柔軟かつ機動的な業務を展開してきておるところでございます。最近の例で申しますと、例えば台風被害を受けました厳島神社の復興支援を速やかに実施いたしましたり、中国で新たに発見されました文化財をいち早く日本で展覧するなど、こういった例も見られておるわけでございます。そのほかにも、開館時間の延長、外国語の展示解説の充実など、入館者の立場に立った業務の改善もあわせて行うことによって、法人化後、入館者数は大きく増加をしておるところでございます。

 本来、国立博物館は、文化財を収集、保存いたしまして、これを次代へ適切に継承するという重要な使命を担っております。この使命は法人化後も変わらないわけでございまして、この使命を達成するために、安定的な財政の基盤の確保と長期的なビジョンに基づく不断の調査研究が不可欠であると考えてございます。

 一方で、委員御指摘もございましたように、独立行政法人化後の課題もございます。例えば、業務の効率化による運営費交付金への影響でございますとか、自己収入の確保が求められておるわけでございまして、こういった財政上の課題も明らかになっておる国立博物館等独立行政法人におきましては、こういった課題に真摯に取り組みつつ、定員の問題もございましたけれども、厳しいこういった課題に真摯に取り組みつつ、今後とも本来の使命を十分に果たしていかなければならないと考えておるところでございます。

滝委員 時間が参りましたので、ここで終わらせていただきますけれども、先ほど申しましたように、日本の場合は、イギリスの大英博物館でありますとかフランスのルーブル美術館とかと違って、そこへ行ったら必ず自分が見たいものがあるというような形態をとっていないんですね。それはコレクションが累積していないから。そのためには企画展をやらなければいかぬ。企画展をやれば多少の収入増にはなるけれども、本当にそれでいいのかどうかということも含めて、やはり私はただ単に予算だけを切っていけばいいあるいは定数を切っていけばいいというものではないように思いますので、国立という名前で注目されている以上は、それはそれなりの配慮が必要じゃないだろうかなと。

 そういう意味では、私は、先ほど申しましたように、五年間で五%の中で、全体の中で揺すぶれば何とかなる、こういうのが行革担当大臣のお考えかもしれませんけれども、なかなかそうはいかぬだろうということだけ申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて滝君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串委員 ありがとうございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、三十分という時間をいただきましたので、若干駆け足になろうかと思いますけれども、議論をさせていただければというふうに思います。

 まずはこの行政改革推進法案の財政的な面でのいろいろな効果についてでございますけれども、この行政改革推進法案の中には財政面で大きな効果を及ぼすというふうに規定されているところがたくさんございます。例えば、公務員に関していいますと、総人件費につきまして、十年間でGDP比半減、あるいはそのベースとして公務員の数につきまして五年で五%等々、いろいろなプログラムが盛り込まれているわけでございます。

 先般、特別会計の議論をさせていただきました。そのときに、特別会計につきましては財政のところまでは及ばなかったわけでございますけれども、特別会計の部分につきましても目標値のプログラムがございます。これにつきましては、二十二年度までの間に二十兆円のオーダーの財政の健全化に向けた寄与を行うというふうな規定が盛り込まれているわけでございますけれども、財務大臣、これにつきましてどのような具体的内容を考えられていて、どのような達成の見込み、度合いがあるかということをお尋ねします。

谷垣国務大臣 今おっしゃったように、五年間で二十兆円財政貢献できるように目標を立ててやろう、こういうことでございますが、これは当然のことながら、今の国の厳しい財政状況にかんがみますれば、特別会計の中の積立金あるいは剰余金、こういうものを可能であるものは取り崩して、できるだけ財政健全化に活用していこうということでございます。

 それで、行政改革の重要方針を閣議決定したわけでありますが、この中で、剰余金などのスリム化を徹底するといったことによりまして、先ほど申しましたように今後五年間で合計約二十兆財政健全化への貢献を目指す、この規定を行政改革推進法にも盛り込んだわけでございます。

 どうやってやっていくかということでございますが、まず手始めに、十八年度予算で各特会の剰余金、積立金について見直しを行いまして、合計十三・八兆円の剰余金、積立金、これを財政健全化のために活用する。その一番大きな部分は十二兆に上ります財融資金の金利変動準備金の取り崩しということでございますが、残り六・二兆について、今現段階で、ここでこうという明確な見通しがあるわけではございませんけれども、特会の剰余金、積立金を精査して必ず実現したい、このように考えております。

大串委員 ありがとうございます。

 剰余金等々を利用して財政健全化に、再建化に寄与するようにしたいということでございましたけれども、果たしてこの目標が、先般、特別会計の見直しにつきまして、検証という言葉が多い、あるいは統合という内容が多いということで、実効性が問題だというふうな議論をしました。この特別会計の財政的効果の部分についても、これが果たして本当に十分なものかというところに関して少々検証させていただければと思うんです。

 まず、先ほどおっしゃいました、十八年度予算で財融特会から金利変動準備金のところを十二兆円寄与されているということでございましたけれども、これもいろいろな前提をお聞かせいただきますと、かなり過度に保守的な見積もりを前提とされた上で十二兆円が限度だということで議論されているように私はお見受けしました。

 例えば、二点、事務方からはお尋ねしておりまして、資金繰りの観点から十二兆円が上限なんだ、あるいは金利変動に備えるために十二兆円が上限なんだ、金利変動という観点からすると、すなわち総資産の十分の一を積み立てておかなきゃならないという考え方のようでございます。金利変動に備えるために総資産の十分の一を積み立てるというこの考え方は、金利がこれまでのように二%から八%の範囲で動く、これにも耐えられるように考えるとすると、総資産の十分の一は積み立てておかなきゃならない。これを一つの目標値とされているようでございますけれども、八%まで金利が急に上昇するということを前提とされるということを考えると、これは極めて、保守的といえば保守的ですけれども、余りに保守的かもしれないなというふうな感じを覚えます。

 例えば、財務省におかれまして、十八年度予算の後年度への影響試算をされています。この中でも、例えば、金利が五%に上がることのみをもってして、今後三年間で国債費の増額はプラス四・七兆、プラス八・六兆、プラス十二・五兆と。五%に上がるだけでもこれだけの国債費の増額が財務省でも試算されている。つまり、八%まで金利が上がるということを、しかも急に上がるということを前提とされて、そのために十二兆が上限なんだというのはかなり保守的に過ぎるのではないかなという感じがするのが一つ。

 もう一つ、外為特会からも相当な繰り入れがなされているんだと思いますけれども、外為特会につきましても、今般の行革法案の中でも改めて規定を設けられています。もともと外為特会は一般会計に繰り入れられることになっていたんですけれども、それに改めて追加する形で剰余金を一般会計に入れるんだということを、確認的か、あるいはさらに意思をあらわしてか、書いていらっしゃいます。こういう観点からしても、外為特会からもより積極的に一般会計への繰り入れなりをやっていくことが可能なのではないかというふうに私は考える次第なんでございます。

 先ほど、十八年度予算で十三・八兆円の貢献を盛り込んでいただきました、そういう御説明でございましたけれども、今、残り六・二兆ということをおっしゃいました。ちなみに、外為特会からの最近の一般会計への繰り入れを見ておりますと、大体、一兆五千、六千、七千、こういうオーダーの繰り入れが毎年なされているわけでございます。残り四年間、一兆五、六千をまた仮に外為特会からできるとすると、これだけでも二十兆円のレベルはクリアできるわけでございます。

 こういう観点からすると、本当にこの二十兆円というレベルが十分なレベルに達しているのかというところに関して、財務大臣、御意見を承れればと思います。

伊吹委員長 財政投融資特会と外為特会と二つ御質問がありますから、財務大臣。

谷垣国務大臣 財融特会と外為特会、どちらの貢献についても余りにも保守的な、かた過ぎる見積もりではなかろうかという御趣旨でございました。

 それで、まず財融特会の方から申し上げますと、確かに財融特会というのは、民間とは異なりまして、極めて長期の、しかも固定の融資を行っておりますので、金利変動に耐えられなきゃいけないという考えが前提にございまして、そのために、どのぐらいのストレスに耐えられるかというシミュレーションをいたしました。それが、今委員がおっしゃいましたように、二%から八%へ、あるいはまた八%から二%へという、金利が変動した場合でも耐えられるようにということで、それが現実の金利情勢から見れば余り可能性のない、蓋然性の少ない見方ではないかという御批判があることは、私も承知しております。

 しかし、これはあくまで、こういう金利変動が望ましいとかそんなことを考えているわけでは毛頭ございませんで、過去現実に、三年ぐらいの間でしたか、二%から八%へ、またその八%から二%へ金利が変動したことが現実に起こっているわけでございますから、それをやはり踏まえて、それに耐えられるような制度設計はどういうことか、財務の健全性を確かめる前提としては必ずしも高過ぎる前提ではないというふうに私は思っております。

 それから、確かに、金利が八%になれば我が国のこれだけ公債を抱えている状況では財政はもたなくなるではないかと。一方で財融特会ではそういうことを考えながら、片っ方ではもたないような前提で考えることがおかしくはないかということは、あくまでこのような大幅な金利変動は私どもの政策目標としては抑えるような努力をしなければいけないのは当然でございます、こういう金利循環の蓋然性が直ちにあるということを私ども想定しているわけではありませんけれども、過去現実に起こったことを考えますと、それに耐えられるようにしていこうということでございます。

 一方、千分の百が、十分の一とおっしゃいましたが、これが多過ぎるのではないかという御意見もございます。特に、民間の生保会社といったような長期性資産の多いところだってそんなには積み重ねていないではないかという御議論があることも事実でございます。

 ただ、財融特会の場合には、いわゆる民間の会社にある資本というような概念がございません。民間の会社の場合には、そういう金利変動に備える準備金ないし積立金みたいなものと、それに加えてやはり資本というものが大きな変化に対するバッファーになっているという点がございまして、そういった点もあわせて考えますと、長期の財融資金と同じような長期性資金の多い企業においては、財融特会と必ずしもかけ離れた状況、むしろ高く積んでいるところもあるということを御理解いただきたいと思います。

 それから、為替の方でございますが、為替の方も慎重に見積もり過ぎだということはございますが、今、毎年毎年確かに一兆何がし、税外収入の大きな部分を外為特会からの繰り入れということで賄っているわけでございます。ですから、そういうことを前提とすれば、毎年毎年そのぐらいの貢献はこれからもできるじゃないかという御意見があることは事実でございます。

 ただ、これは、今のような内外金利差の状況というものを今のまま前提にすればこれからそのようなことが可能でございますけれども、今、国際的にも長期金利の動向が変化の兆しと申しますか、そういうのが見られる中で、このような状況がいつまでも続くとは言えないと私は思います。一%金利が上がった場合には、やはり一兆ぐらいの金利の負担がふえるといいますか、それだけの剰余が減るわけでございますから、私は今の状況の外為特会は貢献ができるということを安易に前提にするのは間違いではないかと思っているわけでございます。

大串委員 二十兆円というこの目標、先日来申しておりますように、行政改革推進法案というものをつくって、せっかく提出されるからには、実効性のある、かつ、効果のあるものにぜひしていただきたいという思いからこういうふうに述べているわけでございます。二十兆円という目標に必ずしもとらわれず、できる限りの財政再建への貢献を果たしていただければという強い思いがあるわけでございます。

 こういう目標設定は非常に重要でございまして、私、二十兆円の財政の健全化への貢献という設定以外にも、ほかにも目標の設定はあり得るんじゃないかと思っております。委員長のお許しを得まして資料を配らせていただいておりますけれども、例えば一つには、一ページの資料にございます特別会計の歳出規模の表にございますけれども、一番下にございます特別会計の歳出の純計のところ、十二兆円と黒塗りにされているところがございます、ここが重複分等々を除いた特別会計の歳出ということになろうかと思います。こういう面についてもきちっとした目標を定めていくとか、例えばこの辺につきましては、昨年の経済財政諮問会議でも民間委員の先生方や、あるいは財審のレポートにもこの十七兆円を厳格な査定をしていかなきゃならないんだというようなことも既に指摘されております。これが、まさに一番つかみどころのある財政削減の目標になり得るんじゃないかというような思い。

 それから、そのほかの目標としては、歳入面も私はあろうかと思うんです。特別会計は、歳入が特定財源等々自動的に入ってくる面があって、それによって事業の見直しがききにくいインセンティブ構造になっているところがあると思います。資料の四ページ目に特別会計の歳入をまとめさせていただきました。一番下に家庭生活に直結したものとして、ガソリンとかあるいは電気料金、あるいは航空機燃料税等々、こういうふうに国民生活に非常に絡み合ったところでの税負担があるわけでございます。税負担を下げるという考え方もありましょうし、あとは特定財源を一般財源化していくという考え方もありましょう。

 いずれにしても、特別会計に自動的に流れていくようなこの歳入を、見直して減らしていく、より一般的な考え方に戻していく、こういうふうな目標設定があってもよかったんじゃないかという感じがするんです。今後、特別会計に関していろいろな考え方を出して実効性のあるものとしていかれようとすると思うんですけれども、財務大臣、この辺に関してはいかがでございますでしょうか。

谷垣国務大臣 五年間で二十兆という目標以外に歳入歳出面で基準を設けるべきだという御主張でございます。

 今委員がお配りいただいた資料、最初のページを見ましても、大きなところは、国債償還費、利払い、あるいは地方交付税、それから財融資金、社会保険給付というようなところが圧倒的なところを占めているわけでございまして、結局、そういうことをやろうといたしますと、それぞれのところの特会の特色に根差した改革目標というのをつくる必要があるということになるわけでございますが、それは、今もいろいろなところで議論されております、いわゆる国と地方の関係の見直し、あるいは財投の見直し、社会保障制度の見直しそのものでございまして、一律にそこらに何%数値をかぶせればよいというわけには私はなかなかいかないだろうと思います。やはり一つ一つの特会の特質に根差したきめ細かい対応を、そして、政策的な対応、制度的な対応を目指していかなければならないわけでございますが、では、全体でどれだけの数値ということになりますと、必ずしもそういう対応に応じない面があるのではないかなという感じがするわけでございます。

 それから、特会の歳出は特別の経費確保のための歳入と表裏になっている場合がございますが、歳出を圧縮すればそれだけの財政健全化効果があるとは必ずしも言えない面があるわけでございます。そこで、歳入面を考えたらどうかということだろうと思います。

 これは、確かに、余分な歳入があれば無駄遣いにつながるじゃないかということでそこは見直せという御主張も今までありまして、そういう観点から、電源開発促進対策特会は剰余金組み入れを行おうということをやったわけでございますが、歳入面の改革を論じるということになりますと、今申し上げたような電源開発特会はどうなのかという、個別をきちっきちっと議論していく、それでないと、私はなかなかここから先は進まないんじゃないかというふうに考えております。

大串委員 ありがとうございます。

 歳出面に関して私が申し上げていたのは、先ほどの社保の問題とか交付税の問題以外の十二兆、十七兆、あっちの方でございますので。まさに、今おっしゃいました個々の特別会計の事情を踏まえながら、そこの見直し、歳出歳入両方について個々に見直していただくというのはもちろん基本だろうと思います。ですから、歳出歳入両方に関して、両方を抱き合わせた形でしっかり見直しをしていただいて、本当に実効性のある形での財政再建化の実を上げていただきたいというのが私の強い希望でございまして、それがないと、やはり本当の実効性というのが上がってこないんじゃないかというふうな気がしておるわけでございます。

 行政改革推進法案の財政的な面の効果という観点からしますと、もう一つ指摘したい点がございまして、例えば独立行政法人の問題でございます。

 総人件費改革などのところを見ておりますと、ここは国、地方、そして独立行政法人や特殊法人なんかも含めての考え方を指摘されております。ところが、資産、債務の圧縮のところを見てみますと、これは一般会計と特別会計のところでとどまっておりまして、独立行政法人や特殊法人のところまで網がかぶっていないということになっております。ところが、その独立行政法人は数が大変今ふえております。百を超える独立行政法人ができ上がっていて、今般の特別会計改革の中でも、さらに独立行政法人化していこうというものもふえている。

 そういう中で、資料をお配りさせていただいておりますが、六ページを見ていただきますと、これは各省庁所管の独立行政法人が所有している研修施設や福利厚生施設を、各省にこういう定義でお尋ねしまして御提出していただいたものをそのままここに掲げさせていただいております。定義とか区分とかが必ずしも横ぐしが通っていないこともあろうかと思います、全部悉皆かどうかもきちんと確認しておりませんし、いずれにしても、各省にこの定義でお投げして、いただいた資料をそのまま掲げさせていただいております。一部省庁からは時間の関係で御提出いただけなかったところもありますけれども、それは、その省庁の名誉のために申し上げておきますと、ちょっと急だったものですから、非常に御迷惑をおかけしまして、ありがとうございました。

 これを見ておりますと、独立行政法人はいろいろな施設を持っております。保養所、研修所、交流会館、テニスコート、競技場、運動場、いろいろあります。先日、我が党の前田議員からも、NEDOの研修センターがいかに使われていなかったか、立派につくられた上で使われていなかったかというような指摘もございました。

 独立行政法人、現在も、一般会計、特別会計両方を含めて、運営費交付金、その他補助金、それから施設費補助金も含めると三兆円を超える額がつぎ込まれております。そういう中で、資産、債務の見直しをしていくときに、独立行政法人を除外していいものかというのが非常な思いとしてあるわけですけれども、この点につきまして総務大臣の御所見をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 これは、独法につきましては中期計画の終了時にその組織のあり方そのものを大きく見直すという非常に大きな枠がはまっております。その中で、当然のことながら非常に厳しいチェックが行われ、今回、その非公務員化等々も進んでいるわけでございますので、その中でしっかりとやっていくというのが独立行政法人の本来の趣旨であろうかというふうに思っております。

大串委員 ありがとうございます。

 その独立行政法人、今、私、非常に大きな危惧を持っているわけですけれども、特別会計につきましては塩川元大臣の方から離れですき焼きをというような話も比喩的にございました、独立行政法人に関して言いますと、さらにその先の、離れの下の地下室というような形で、物事がわかりにくくなってきているんじゃないかという感が非常にするわけでございます。

 独立行政法人は、御案内のように、中期的な運営を許すということで予算の面でも単年度予算主義から複数年度予算主義に移って、そして、中期計画、中期目標のもとでしっかりとした目標を立てて、その目標に達しなかったら責任をとってもらいますよというガバナンス、インセンティブの仕組みを植えた上での効率化を図っているわけでございます。

 ところが、恐らく竹中大臣は独立行政法人の中期目標、中期計画やその評価報告なんかを見られていると思いますけれども、私自身も政府におるときに独立行政法人の目標づくりやあるいは結果の評価などに携わりましたが、実は、数値的な目標、計画をつくるというのは非常に難しいんです。数値的な目標や計画をつくるということが難しいがゆえに、それが達成できなかったときに責任をとってくださいねというこのガバナンスの仕組みも、実は本当に達成しにくい。

 そういう中で、いろいろな省庁が、今所管の特別会計やあるいは特殊法人やあるいはそれ以外の法人も独立行政法人に成りかわって、その数がどんどんふえている。先ほど申しましたように、一般会計、特別会計から流れ込んできている運営費交付金、補助金、その他施設整備費なども三兆円を超える額になってきている。これは非常に実は大きなボディーを持つようになってきておりまして、その独立行政法人に対するチェックの目が例えばこの行政改革推進法における目標設定などにおいてもないというのは非常に心配なものでございましたから、そこはぜひ、総務大臣、これからよく目を光らせていただいて、独立行政法人は私はこれから本当に問題が大きくなると感じておりますので、これからもぜひ目を光らせていただけたらというふうに思います。

 済みません、この辺からもっともっと続きを議論させていただきたいんですが、時間も来ましたので次に行かせていただきます。

 この行政改革推進法案の大きな枠組みについてですけれども、私は、この行政改革推進法案の大きな枠組みに非常な問題意識を持っておりまして、行政改革推進法案の中で官と民の仕分けをしなきゃならない、しましょうねということが書かれています。それをどうするかというのが書かれてないところが非常に問題だということを述べましたけれども。

 資料の七ページを見ていただけますでしょうか。

 これはカナダの政策評価のガイドラインでございます。九〇年代に、いわゆるニュー・パブリック・マネジメントということで経営的な手法を用いて政府の活動を合理化していこうという考え方が起こったときに、カナダではこのプログラムガイドラインを入れました。これで財政赤字をすごく減らしていく効果があったわけです。ここを見ていただきますと、一番目に公益性の基準とありまして、二番目に政府の役割基準を入れて、この二つがオーケーだった場合には次は何があるか。次は連邦政府と州政府の基準なんです。すなわち、国と地方、どっちがやるかということを必ず第三段階目で見るというのが行政改革の非常に大きなポイントになっていたわけです。

 連邦制と単一国家という違いはありますが、この行政改革推進法案には残念ながら国、地方の役割をどういうふうに見るかという仕分けの観点がない、この点が非常に問題かというふうに思っております。この点に関しまして、所管の中馬大臣の御意見をいただきたいと思います。

中馬国務大臣 地方分権につきましては、御承知のとおり、国会決議までもいたしております。そして、それにのっとって一括法で、そしてまた三位一体の改革でどんどんと進んでおります。これが一つの我が国の行政の流れでございまして、この法律に殊さらまた地方分権すべしとは書いておりません。

 逆に、ここでの主体的な目的は、民でできることは極力民に移していこうではないか、こういうことですから、市場化テストとか、あるいは公益法人そのものも、主管官庁から外して、民間の方が、認定していただいた、ああした法人をこういったことにしておりまして、これが抜けているという御指摘は当たらないかと思います。

大串委員 この法律に、それ以外のところでやられているということだと思いますけれども、本当であれば行政改革推進法案に、これは政府として行革国会でこれが行革の全精神なんだというふうにおっしゃるのであれば、やはり国と地方の役割分担もきちっとここに入れ込むのが筋だろうというふうに私は思うわけでございます。この点に関しては極めて重要な点がここに残っていようかというふうに思います。

 時間も来ておりますので、二つお尋ねできればと思います。

 竹中大臣に、国と地方の役割分担、この法律にないわけですけれども、そこをどうしっかりやろうというふうにされているのかというところを。それと、今、その点に関して懇談会で議論をされている中で地方の破産法制のことも議論されているやに聞いております。この点については後ほどまた深く議論させていただければと思いますけれども、地方の破産法制のことを議論していくのであれば、一つテクニカルな点になりますけれども、与謝野大臣にもあわせてお尋ねしたいと思いますけれども、地方の規律をより強めていくためには、地方破産法制を入れるのであれば、そのときに金融機関による地方に対する貸し出しのリスクウエートは現在のようにゼロであってはいけないというふうに思うんですが、まず、総務大臣と与謝野大臣、この一点一点に関しまして、ぜひ御意見をいただいて、よろしくお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 私は最初の問題に答えればよろしいかというふうに思いますが、国と地方の役割分担というのは、これは中馬大臣御答弁くださいましたけれども、我々の骨太の方針等々、逐次のいろいろな政府文書でも、これは不断に見直すということだと思っております。

 これは今この瞬間もやっているわけでありますし、地方分権一括法を受けて自治事務、法定事務等々がなされたわけでございますから、これをしっかり、これに基づいた上で不断に見直しをしていくというのが我々の基本的な姿勢でございまして、そういう姿勢の一環として、先般の三位一体の改革も行われているわけでございます。これは、法律の中で、むしろその底流として我々としては一貫して行っていかなければいけない問題だというふうに思っておりますし、また、御言及いただきました懇談会におきましても、今後の、例えば交付税のあり方そのものを考えるに当たっても、やはりこの問題と切り離しては考えることができません。その意味では、瞬時にこれは行えるものではございません、不断に、常に問題意識を持って行っていきたいものだというふうに思っております。

与謝野国務大臣 国と地方の役割につきましては、役割のほかに財源をどうするかという深刻な問題がございます。

 地方もまた財政規律を持たなきゃいけないということは当然のことでございますし、竹中大臣のもとで、破綻法制等、地方のことについては根本的な議論がされているわけでございまして、そういう中でそれぞれの財政状況に応じて例えば金利水準が決まってくる方が正しいんじゃないかという意見も実は我が党の中にございますし、さまざまな観点から、地方の財政規律を維持し健全なものにするための努力はしなければならないと思っております。

大串委員 これが行革の総体だとおっしゃるのであれば、やはり国と地方の総体の姿もあらわしていただきたかったということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

伊吹委員長 以上をもちまして大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 私はこの委員会の委員ではございませんで、主に財務金融委員会を中心として活動しておりますが、公益法人制度改革の税制ということで登板させていただいて、議論をさせていただきたいと思います。

 公益法人制度改革につきましては、先週、民主党の市村浩一郎議員が議論をさせていただいておりますので、そのときの議論も踏まえて、その延長線上でさらにもう一歩踏み込んだ議論をさせていただければと思っている次第ですので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 若干、市村議員ともかぶってしまう部分もございますけれども、今回の公益法人制度改革、その法案、まさに公益法人制度というものが数十年以上余り手をつけられずに今まで来て、それを今回抜本的に改革するというのは、大変おくればせながら、いいことだとは思います。ただ、結局、その条文の中には税制についての規定というのは全くなされていないという状況にございます。

 先週の議論におきましても、大臣が、新しい制度が動き出す平成二十年度までに税制上の措置を講ずるという御答弁はなさっておられますけれども、そしてまた、昨年におきましては政府税調でも検討していらっしゃるということは承知をしておるわけですが、やはり今回、とにかく公益法人制度を百年以上ぶりに抜本的に改革するんだという中で、税だけを切り離すという理由をまた改めてお伺いさせていただきたいと思います。

山口副大臣 お答えいたします。

 公益法人制度改革については、いわゆる行政委託型公益法人の改革が進められている中で、例のKSD事件を経て、制度全般、その必要性が強く認識をされまして、今回の明治二十九年創設以来の抜本改革に至ったのは、委員御承知のとおりだと思います。

 その過程で、この問題に関係の深い税制についても、昨年の六月、政府税調の新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的な考えの中で、改革後の新制度のもとで公益性を有すると判断された法人に対し、法人税制や寄附税制上の優遇措置を講ずるべきと指摘がされる。また、公益法人制度のあり方と並行いたしまして、政府税調の場で一定の方向をもって議論をお進めいただいておるところであります。

 こうした経緯を踏まえつつ、今回、公益法人制度改革三法案を提出し、その中で、新たな公益法人が行う公益的な活動の重要性を踏まえ、新制度施行までの間に対応する税制上の措置を講ずることを明確に定めているところであります。その具体的な内容については、法案の内容や国会における御議論を踏まえながら、新制度施行までの間に所要の措置を講ずることとしており、委員の後回しとの御批判は当たらないのではないかと考えております。

谷垣国務大臣 委員のおっしゃるように、今度のこの制度改革は、明治にできた民法以来の、自然人と並ぶ法主体である法人をどういうふうに考えていこうかという大きな改革だと私も思っております。ただ、税だけ後回しにしたということではございませんで、税が非常に重要な役割を果たすことは、私もこの問題では多分委員が意図しておられることと同じことを考えていると思いますが、ただ、議論の順序として、まずどういう制度がつくられるか、それに合わせて制度設計をしていこうと。だから、何もしていないわけではございませんで、昨年六月には政府税調で基本的考え方を公表いたしました。それから、この法案の中にも、新たな公益法人が行う公益的な活動の重要性を踏まえて税制上の措置を講ずるという旨が規定されておりますので、先ほどおっしゃったように、施行までにきちっと税制も議論をして、合わせて施行できるようにしよう、こういうことでございます。

田村(謙)委員 私がお伺いした、税は後で定めるということについてのちゃんとした明確な理由を結局お伺いできなかったんですけれども、例えば、今副大臣がおっしゃっておられた、確かに昨年政府税調の答申が出ました。ただ、そこを拝見しても、しっかりと決まっているわけじゃないですよね。

 そもそも、政府税調の答申というものは、政府税調である程度考え方を示して、その中に、例えば、より検討を進めるべきとか、これこれについてはこういう方向にすべきとか、極めてあいまいな、どうともとれるような表現のものがたくさんあります。まあ政府税調はいつも大体そうだと思いますけれども。毎年十二月上旬に政府税調で次年度の改正案について方針を示しても、結局その後に自民党の税調でひっくり返される、あるいは棚上げされることというのは幾らでもありますよね。

 ですから、去年政府税調で議論したというのは、それは当然やるべきですけれども、去年やったからそれでどうという話じゃないですよね。あくまで議論を始めましたというだけであって、またさらに副大臣おっしゃいました、今回の公益法人制度改革の法案において、税制についても、政府税調の考えを踏まえとは書いていませんが、とにかく優遇をすると。まあ優遇をすると書くのは当たり前のことで、私がお伺いしているのは、どういう優遇措置を具体的にどこまでやるのかということを何も書いていない。先ほど副大臣もおっしゃったように、政府税調で今議論をしているわけですよね。結局、議論はやっている、進んでいる最中であって、まだ決まっていないわけじゃないですか。

 そしてまた、谷垣大臣がおっしゃったように、全体の制度がどうなったか見きわめてから議論するというのはわかりますよ。でも、もう既にその制度というのはこの法案になっているわけですから、毎年の税制のサイクルが確かにいつも年度末に決めるんだ、まさに政府税調とそして自民党税調のサイクルがそれしかないんだから無理なんだという理由以外に明確な理由はどうも思い当たらないんですよ。

 それと、せっかくこういう特別委員会をつくっているわけですよね。今回本当に、行革全体も非常に大きなテーマですけれども、その中で公益法人制度改革というものも大変大事な改革、もう大改革だということは大臣そろって先週もおっしゃっておられました。そういう公益法人制度改革の中で大変重要な意味を占める税制を結局今回取り扱わないということは、本当に大改革と思っているのかどうかということですよ。税制はもう、例えば自民党税調そして財務金融委員会で議論すればいい、あとは本会議でしゃんしゃんでいいというふうにしか思えないんですけれども、いかがでしょう。

伊吹委員長 税制改正に関することですから、谷垣財務大臣、答えてください。

谷垣国務大臣 結局、先ほどの何で税は後なんだということを申しますと、まず第一に、今まで大体そういう仕組みでやってきたということは確かにあるわけです。まず法律をつくりますけれども、税制改正はその法律の施行までにやってきたのが今までの例であるということは一つ確かにございます。ただ、それだけで今度そうしようとしているわけじゃございませんで、やはり税の優遇措置等をつくる場合には、どういう制度設計が行われていくかということが詳細にわからないと、なかなか細部まで制度設計ができないという面がございます。これが二点目ですね。それから三点目とすれば、そしてその法制度の施行のときまでには税制を合わせていこうという、三点の考えでやっておりますので、委員からおしかりを受けるようなことではないのではないかと思っております。

 ただ、では制度設計というのはもうこの法律でできているじゃないかというふうにおっしゃいますけれども、新しい制度下での公益法人で、法人本体に対する課税とか、あるいは寄附金税制に関する優遇措置を議論するにつきましては、やはり幾つか制度を見ておかなきゃならないところがまだ確定しておりません。例えば、残余財産の帰属がどうなるのか、あるいは公益法人にかかる財務上の規制の内容等を見きわめる必要がございますけれども、これは結局、政省令等にゆだねられるんだと思うんですね。ですから、そっちの方の議論と並行してやっていかないと、なかなか税の方で制度が詰まらないということがあろうかと思っております。

 それに加えまして、昨年の税調の基本的考え方の中でも触れていただいておりますが、新しい制度下の公益法人に対する公益性の認定の仕方、あるいはその後の監督のあり方、こういったものについてどういう運用体制がつくられていくかということも見きわめる必要があるんじゃないかと思っておりまして、そういう議論と並行しながら制度を詰めていきたいと考えているわけであります。

田村(謙)委員 私は、税制に関しては毎年のスケジュールを崩さないというのは、やはり怠慢にしか思えないんですけれども、もちろん税制の非常に細かいところというのは、今回の公益法人制度の優遇税制についても、非常に細かい仕組みについて別に全部を、まさに税法をそのままこっちに持ってこいという発想を私は持っているわけではありません。

 ただ、例えばの話ではありますけれども、公益性の認定がどうなるか。今回、認定の委員会をつくるわけですよね。そこで、認定の委員会をつくった場合、例えば去年の政府税調の答申を見る限り、あるいは従来の公益法人制度を考えると、新しい公益社団法人そして財団法人は、従来の公益法人と同じような優遇税制を受けるのかなというふうな感じがしますが、例えばそういった方向性についてはいかがなんでしょう。

赤羽副大臣 お答え申し上げます。

 まず、現行の民法三十四条に規定をされている公益法人の課税対象につきましては、その公益法人の残余財産の帰属の態様ですとか事業活動の実態等を踏まえて設計されておりまして、そのすべての収益を課税対象とするのではなく、他の法人との競合性が生じるいわゆる収益事業、三十三事業のみを課税対象とするところでございます。

 新制度の今後の公益法人につきましても、今申し上げましたような適切な制度設計が確保されている限りは、これまでどおり一部の事業収益についてのみ課税するという考え方を維持することが基本になると考えております。その際には、他の法人との競合性が課税すべき事業収益の一つのメルクマールになる、そのようにも考えております。

 ただし、今大臣からの御答弁もありましたように、課税対象となる具体的な範囲につきましては、今後の公益法人制度改革に対する設計が明らかになった段階で、税制全般についての具体的な検討が図られるものと考えております。

 以上でございます。

田村(謙)委員 先ほどの大臣の御答弁に戻りますけれども、まさに、例えば残余財産をどうするかとか、確かに今回の新しい公益法人制度のより詳細、政省令で決めるようなことがわからなければ決められない、税制の詳細な部分というのはあると思いますよ。でも、全体をかっちりと決められない、まさに税制においても政省令で決めるような部分というのはあるわけですよね。政省令あるいは国税通則で決めるような話もあるわけですから。

 まさに税法レベル、あるいはもう少し簡単でもいいですけれども、大枠について、今回の公益法人制度改革に合わせてしっかりと規定するのがなぜ不可能なのかというのはやはりよくわからないんですけれども、もう一度お答えいただけますか。

伊吹委員長 谷垣財務大臣、先般来の市村君の質疑と極めて重複していることですから、それを踏まえて、統一的に答えてください。

谷垣国務大臣 細部にわたりましては、確かに委員のおっしゃるように政令等で詰めていかなければならないわけですが、やはり私は、税の考え方として、まず制度が基本にあるんだろうと思います。制度というのは、この場合でいえば法人、公益法人というのはどういうものとして設計されるのかという基本的な考えがあって、それに対応して法人を税の上でどう規律していくかという形で税法ができるんだろうと思っております。

 その上で、基本的な考えをもう少し盛り込んでもいいではないかというお問いかけだと思いますが、それは、この法律の中にも今後の設計に合わせて税も考えていくということが書かれておりますし、そういうことも考えまして、昨年、政府税調におかれましては、いわゆる基本的考え方というのを出していただいたんだと思います。ですから、ここから先は、そういった詳細なところを見きわめながら詰めていくという考え方でよいのではないかと私は思います。

田村(謙)委員 私も先ほど申し上げましたように、とにかく公益法人制度の大改革、それは当然税制も一体として、この特別委員会はもうまさに行革国会と首相がおっしゃっている、その一番メーンの委員会ですよね。そのメーンの改革の一つである公益法人について税制だけ切り離すというのは、やはり私には逃げというか棚上げというか、従来どおりのスケジュールでいいんだというふうにしか思えない部分があります。

 平行線になると思いますので、より具体的な話を。結局、方向性が、去年の政府税調の答申だけしかそういう意味では手がかりがありませんので、どうしてもあいまいになってしまうんですけれども、まず一点目です。今回、公益法人制度、まさに公益社団法人と公益財団法人というのが認定委員会で認定をされる、それについては要するに優遇税制が適用されるということになるんだと思いますが、その一方で、先週、市村議員がさんざん議論いたしましたNPOについては、認定NPOというのは国税庁が認定をするということになっていると思いますけれども、まさに、NPOについては国税庁、そして今回のこの公益法人については認定の委員会、そういうように分かれてしまっている、それは税制の優遇についても。

 そういうような制度というのはほかの国にもあるんでしょうか。例えば、よく主税局が参考にしている英米独仏でそのような制度というのはありますか。

佐々木政府参考人 主要国についてお答え申し上げます。

 すべて完全に調査をしているわけではございませんが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、それぞれ判断をいたしますものは税当局あるいはチャリティーコミッティーのような組織、いずれかが判断をするということになっております。

伊吹委員長 佐々木参考人、今質問しているのは、どこかの国において認定をする組織が別々であるかどうかということを聞いているわけです。

佐々木政府参考人 再度申し上げますと、すべての国について調査を尽くしているわけではございませんが、先ほど申し上げましたアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスにおきましては、どこか一つの組織が判断をしているということでございます。

田村(謙)委員 委員長、ありがとうございました。

 今度この公益法人制度改革をすると、委員会はできます。非常に、中立性が保たれるような、この法案を見る限りはいい委員会だと私も思いますけれども、そういう委員会で認定するところもあれば、ほかのNPOについては国税庁だけで判断をする。何か、場合によってはダブルスタンダードのような。それこそ英米独仏、そういうNPOとか、いわゆる非営利法人先進国においてそういうふうに分かれているところはないわけですよ。

 例えば、今回税制についてもしっかり議論していれば、そういうことも浮き彫りになったりするわけですよね。先週の議論、まさに市村議員の議論でもそうですけれども、結局、税制というのは後になっていますからそこまでの議論にはなりませんけれども、何でNPOと今回のこの公益法人で分けてしまうんだという漠然とした議論になりますけれども、例えば、税制で見るとそういう問題があると思いませんか。大臣、いかがですか。

谷垣国務大臣 今の御議論は、結局、認定NPO法人制度と今度の新しい公益法人の考え方とをどういうふうに整理していくんだということになるんだろうと思うんですね。

 それで、NPO法人、特定非営利活動法人制度、これはもう制度ができてから七年、法人数が二万五千を超えるというような形で着実に社会に定着してきていると思います。それで、ボランティア活動といったもののさらなる発展が必要なわけでございますから、それを促すためにも制度はやはり引き続き置いておく、そしてそのさらなる発展を図るということが適当であろうというふうに考えているわけでございます。

 そうしますと、新たな公益法人制度と併存させるということになるわけですが、非営利活動を行う法人に対して複数の選択肢を提供する、そういう意味で、民間部門による公益的活動の発展につながるという面もあるのではなかろうか、こういう考え方で、こっちはこっちで残しておくということになるわけでございます。

 それで、では新しい公益法人制度ではどうするかということになりますと、これはもう今さら私がるる申し上げるまでもなく、官が、それぞれの主管官庁が公益はこうだという形で認定していたのをやめて、もっと一般的な形で民間の公益を担う機能を高めようということで第三者機関によって統一的に見直そうということになったわけでございますから、それはそれで、民の担う公益を推進していく上では新しい考えを取り入れた画期的な部分があるんじゃないかと私は思います。

 そこで、税の考え方としては、第三者機関が公益性があると認定した場合には税の面でもできるだけそれに合わせていこうという考え方で今後の税制を設計しようとしているわけであります。では、それは国税庁が判断すればいいじゃないかということになりますが、そこはやはり、認定NPOの方は税の優遇をどうするかという観点から判断するわけでありますから、国税庁が判断するという仕組みをつくったわけでありますが、むしろ、公益性の認定そのものと税制を合わせていこうという新しい考え方を今度取り入れるわけですので、その認定が第三者機関になる、こういうことではないかと思います。

田村(謙)委員 結局、今までの制度をそのまま残すというか、公益法人というのがあって、それと別に特定非営利、いわゆるNPO法人というのがある。それをそのまま残してやっていこうということ、本当の抜本的な改革ではなくて、今までの制度に乗っかってそれをある程度いじるということにしか思えないんですね。実際、ほかの国にそんな例は見当たらないわけですよ。

 そもそも、NPOにしても、税制を優遇するというのは、まさに公益性が非常に高いというふうに国税庁が認定しているわけですね。その認定が非常に厳し過ぎるがゆえに今認定NPOというのは非常に少ないという大変な問題がありますけれども、それは今回の公益法人制度改革には残念ながら入っていませんのでこれ以上は議論しませんが、やはりそういったいびつな体制というものが結局今回またできてしまうということは、税制の面から見ても非常に問題だというふうに思っています。

 もう一点、さらに具体的な話をお伺いいたします。

 先ほど公益法人についてどのような課税があるかというのを財務副大臣の方からお答えいただきましたけれども、結局、何に課税をするか。公益社団法人、公益財団法人について、収益事業については課税をする。その三十三業種というものが現在列挙をされていて、それをどうするか検討しなければいけないということは昨年の政府税調の答申にも出ているわけでありますけれども、まさに、現代において公益法人等が行う事業活動というのは大変多様化をしている、そして営利法人との間の課税のアンバランスというのが生じているということがあると思います。

 そもそも、公益法人であっても収益事業に課税をするという発想自体は、営利法人との競合を避ける、営利企業と競合するからという理由だと思いますけれども、やはりそういう発想自体というのがだんだん時代おくれになってきているんじゃないかなというふうに思うんですよ。

 先週も議論がありましたけれども、広い意味での公益法人というものの役割は、官から民へという流れの中で、民でも民間企業ができないような、それこそ普通の民間企業では利益を上げられないような事業について、例えばボランティア精神とか、そういった方々がまさに自分の利益を追求せずにやっていく。そういう事業で重なる事業というのはたくさんあるわけですね。特に福祉とかが一番わかりやすいと思いますけれども。そういう状況の中で、とにかく営利企業と競合するんだ、それを三十三個並べました、それを仮に幾ら拡大をしていっても、やはりどうしてもわかりにくいと思いますよ。

 また欧米の話を出して恐縮ですけれども、欧米においては、既に、例えば公益法人の本来の事業、公益目的の事業についてはとにかく非課税にするという原則があって、公益事業に関連しない事業については課税をするという明確な大原則をとっていますよね。

 日本だけが収益事業を限定列挙して、それをさあどうしようかと混乱した議論をしていると思うんですけれども、それについていかがお考えになりますか。

谷垣国務大臣 委員のおっしゃった、営利法人と競合関係にある三十三を限定列挙しているわけでありますが、これについては去年の六月の政府税調の基本的考え方の中でもいろいろな議論がされているわけですね。

 それで、限定列挙されている収益事業の範囲を拡大すると同時に、現行の収益事業の範疇であっても一部非課税とされている特定の事業内容についてその妥当性を再検討すべきであるという考え方とか、あるいは、公益法人等が多様な事業活動を行っている現状がございますので、課税対象を個別に列挙するよりも、例えば対価を得て行う事業というように包括的に定めた上で、一定のものを除外するといった考え方もあるのではないかという指摘が確かにございます。

 その内容については今後よく見直しを図るべき事柄であるというふうに考えておりますが、今委員のおっしゃった議論は、突き詰めていけば、本来事業を非課税とすべきという外国の例も挙げられました、そういう考え方に連なっていく議論をされているだろうと思うんですが、これは現行の民法三十四条の法人でどういう法人がつくられてきたかということと私はやはり関連があるんだろうと思います。

 これは今まで各省庁の自由な裁量のもとで公益法人が許可されてきた。本来事業として、同窓会のような共益的な性格が濃い、そういうことをやっている、これは中間法人がなかったということとも関連してくるわけですが、そういうものも社団法人として活動を行っているような例がございます。それから、実質的には営利法人と変わらないような活動をしているものがあるわけで、それを一律に本来事業非課税という形でやるのが適当かどうか。そこはなかなかとりがたいところがございまして、そういう中で従来ずっと、限定列挙するような今の収益事業課税の方式がとられてきた。

 この範囲については見直しする必要があろうかと思っておりますが、まだそこらあたりの、今委員のおっしゃったところまで突っ込んでいくには、ちょっとまだ今の日本の法人の実態というものは、なかなかそうはいかないんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

田村(謙)委員 もう時間が来ましたのでこれ以上質問いたしませんけれども、いろいろな意味で、きょうもわずか三十分ですがお伺いをしていても、結局、抜本的な改革といいながら、今までのもちろん過去の経緯というのはいろいろ大事なところがありますよ、ですけれども、抜本的に改革する場合は、過去のそういう経緯を振り払って、ゼロから今後のあるべき姿を考えて制度設計をするというのは大変重要なことだと思うんですね。

 今回のこの公益法人というのは、まさにNPOと一緒に、全体を含めて本来考えるべきであったと思いますし、例えば最後の具体的なことについても、今までの収益事業を限定列挙、その延長線上で考えるという考え方というのは極めて日本特異で、それは日本は確かにNPO制度というのがまだまだ欧米に比べて日が浅いですけれども、だからといって過去の経緯でちょっといじるだけでしようがないんだというふうに私は思いません。

 やはりそこはできるだけ、とにかくNPOや公益法人について、社会におけるその役割というものを今後重視していくのであれば、欧米のいいところもしっかりと見習いながら、もちろん完全にまねするべきだと私は思っていませんが、過去の経緯にとらわれて、かつ税だけを切り離して、今回この委員会でちゃんと議論できないのは大変残念に思いますけれども、またいずれ財務金融委員会で議論させていただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

伊吹委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木克昌でございます。

 私も、今議題になっております、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案の中で、とりわけ公務員制度改革を中心にお伺いをしていきたい、このように思っておるわけでございます。

 まず、改革というと、やはり新しいチャレンジをしていくと同時に、過去を振り返って、歴史をきちっと踏まえていくということも必要ではないのかな、このように思うわけでございます。

 公務員制度改革について、大きな流れを今さら申し上げる必要もないかもしれませんが、平成九年の十二月に行革最終報告書が出されたのは御案内のとおりであります。そして、公務員制度改革の基本方向に関する答申ということで平成十一年三月にまとめられた。その後が行革大綱、平成十二年の十二月にまとめられております。そして、行政改革推進事務局が平成十三年の一月に設置をされて、今回のいわゆる公務員制度改革の大綱になっていくわけでありますが、この間、いろいろとずっと過去のデータ、資料を見ておりますと、幾つかの問題があるんですね。

 これは例えば人事院の問題、省庁の問題、あえて言えば組合の問題、そして政府の問題、政治家の問題、そういうことがいろいろと絡み合って、結局なかなか進んでいっていないということであります。例えば組合は権利を守るということに主力を置くわけでありますし、例えば人事院はやはり制度を守るということに立つわけであります。省庁は権益を守るということでありましょうし、政府は権力を守る。あえて言えばそういうことになるんではないか。また、政治家は、これも言い過ぎかもしれませんけれども、票を守る、立場を守るということだと思うんです。

 そういう中で、本当に、今回どういう形でこれを進めていくかということで、簡素で効率的なということをおっしゃっておるわけでありますが、今回の改革の中で、むしろ人に温かいという部分が欠落をしておるんじゃないのかな、であるならば、やはり改革というのはなかなかそう簡単には進んでいかないんじゃないかな、私はこのように思っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、そういうことで今回の法案を見てみますと、幾つか欠落をしておる部分があるわけであります。先ほど来我が党の委員から御指摘もあったわけでありますが、例えば公務員制度改革では、いわゆる労働基本権の問題というのはほとんどさわられておらない。それから、国民はやはり公務員制度改革で一番問題なのは天下りなんだという部分についても、決して私は切り込んでおるというふうには思えません。また、いわゆる地方分権の問題も、結局ここは十分に切り込んでおらないということであります。

 では、この法案は一体全体何なのかというと、時間がなくなる前にあえて私は申し上げておきたいと思うんですけれども、結局、いわゆる増税をしていくための、国民をある意味で納得させる、そういう一つの陰の部分というか裏の部分というのがあるような気がしてなりません。そうでないということであるならば、きちっと今からの議論の中でぜひ御説明をいただきたいし、御開陳をいただきたい、このように思っておるわけでございます。

 さて、最初に、今回のこの国家公務員改革で何といってもやはり目玉というか一番の大きなポイントというのは、今後五年間で五%の定員を純減する。これは今まで、いわゆるこういう数値を示して年限を切ってということはなかったことですね。しかし、逆に、本当に大丈夫なんでしょうかという気が実はしてなりません。

 それは、先ほどから申し上げてきたように、一連の流れの中でそれが言われるだけで結局なされてこなかったということでございまして、例えば、各省庁一律五%というような状況には恐らくならない。そんな不条理なことをおやりにならないと思うんですが、一方で例えば七%減らす、一方で一%ふやすというような、恐らくいろいろな省庁間で異動をしてバランスをとって、最終的には五パー純減という形になっていくというんですけれども。

 私も小さな田舎の市の首長経験をしておりまして、実は、この部分というのは一番難しいわけです。もちろん、平常的に人事異動というのは行われておるわけでありますから、できぬことはないということでありますが、やはり、今我々は国を本当に変えていこうということですから、失敗は許されない。そういう中で、そんなに簡単に私は、例えばこちらを五パー減らしてこちらを一パーふやしてというわけにはなかなかいかないんじゃないかな、それにはやはり相当の訓練をしていくようなことも必要ではないのかなというふうに実は思っておるわけであります。

 経済財政諮問会議の総人件費改革基本指針ということで、拝見をしますと、「個別業務のスリム化に伴う配置転換の仕組み等を検討する。」こういう一文があるわけであります。まさにこのいわゆるスリム化に伴う配置転換の仕組みというものはどのようなことを今お考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

中馬国務大臣 最初に、鈴木委員は今回の法律のことを、結局は増税のための下ごしらえではないかといったことでありましたが、これはちょっと、そういう誤解といいましょうか御理解をしていただきますと、少し情けなく思っております。今回のこの大きな改革は日本の一つのあり方を変えていこうとする大きな流れ、改革ではないかと私は思います。ある意味では民主的な革命とでも言えるものだと私は認識いたしております。

 これまでのように、お役所が何かを決めて、そしてその枠の中で物事を進めていく、あるいは法律にがんじがらめにされて、何か行うときでも届け出を出し、そして許認可がなければ物事が進められなかったという時代的な背景があります。しかし、それを改めて民にできることは民間に極力移していく、そしてそこで責任を持ってやっていただく。あるいはまた、いろいろな規制がございました、規制の範囲の中の自由主義ではなくて、規制を外した中で、それこそ自律した形でやってほしい、こうした大きな改革だと御認識をちょうだいいたしたい、このように願う次第でございます。

 その中でのやはり一つは、大きな改変をしていきますと、これを構成しているといいますか実施をいたします公務員の改革というのは大事でございまして、今言いましたような形でどんどんと仕事を民間に、地方に移してまいりますと、結果的には国が、公務員がやる仕事は、企画立案とか、あるいはまた何か国が本当にやらなければいけない基準を定める、こういったことにかなり限定されてくるわけでございます。

 そうすると、一般の業務にタッチされている方は、かなり民間に移したり、あるいは、首を切るということではなくて、減員不補充という形でもスリムにしていくことが私は必要だと思っております。と同時にまた、日本の人口もこうして減少を始めているわけでございますから、それに合わせなければなりません。ともかく、そうした中でのこの公務員改革、人件費改革をやっているところでございますが、これはやはり一つ目標がなければどの方向かわからないかもしれません。大きな目標をつくりながら、短期的には五年で五%は減らしましょうということを人数の形では言わせていただいております。

 そして、今、委員が御指摘になりました、これはなかなか難しいということはよくわかっておりますが、市長時代にいろいろ御苦労されたようでございますが、最近では相当、二割、三割、大きく減らしている自治体もたくさん出てきておりまして、そういう事例はあちこちで御存じかと思います。そのときにも、かなり民間の方にいろいろな仕事を移したり、民間の方が自主的にボランティア精神で自治体の業務の一部を担われたり、そういうことも始まっているわけでございます。

 ただ、五年間で五%という数字の実現方策でございますが、これは、おっしゃるように各省庁が全部一律にということではございません。はっきり一つの項目を指定しまして、民間の方々のいろいろなお知恵もかりて、その項目を、これは検討に値する、あるいはもう時代的な役割が終わったんではないかということで一つの対象にして、そこでかなり大きく構造的な改革も踏み込んでもらう。それによってかなり減らせるんではないか。そしてまた、定員の不補充とかそういうことも少し、減らしていくといったことの中でやっております。

 ただ、そうしますとアンバランスになるところがあります。それは、今御指摘ございましたような研修ということをはっきりとうたっておりまして、第四十五条第二項に、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築や配置転換される職員を受け入れるための採用の抑制等を行う、このように規定をしていることでございます。これは、そういったことに対しましての方向としまして、配置転換、採用抑制の枠組みにつきまして先月三十一日に行政改革推進本部の了承をいただいたところでありまして、具体的な内容については今後さらに検討することといたしております。

 この場合、従来と異なる職務に従事する職員について、円滑な職務遂行に資するための研修が必要でございまして、職域、職種等に応じた効果的な研修のあり方についても検討を進めていきたいと考えております。

鈴木(克)委員 御丁寧に御答弁いただいておるわけでありますが、しかし結局、核心の部分については、私はそんなにうまくはいかないんじゃないかというふうに思っております。

 先に少し議論を進めさせていただきますが、いわゆる今回のこのスリム化の中で、早期退職論と、それから、いわゆる肩たたきをやめてきちっと定年を延長してという論と、二つ実はあるわけですね。今回は、いわゆる早期退職論を是認したような形に思えるわけであります。これは当然、先ほど申し上げたように天下りと関連をしていくわけでありますけれども、そのところで順次お伺いをしてまいりたいというふうに思うんです。

 去年の十月二十一日、経済財政諮問会議の資料を拝見すると、民間議員の方からこんな資料が出されておりまして、国家公務員のめり張りをつけた純減を行う、そのために退職不補充、新規採用の抑制や早期退職制度等新たな制度や制度改革の検討を行うという一文があるわけであります。こうした民間議員の案などをもとに、諮問会議の総人件費改革の基本方針にも、早期退職制度という言葉は使われておらないんですが、「退職者に対するセーフティーネットの整備にも配慮する。」というような形で、まさに早期退職を前提にした仕組みづくりを行おうとしておる。

 そうすると、早期退職をさせるべきではないという論と矛盾をするということと同時に、では、天下りをしないということであるならば、その早期退職者を例えばどうやって食べさせていくのか。要らぬ心配をせぬでもいいと言われるかもしれませんけれども、首を切られる側にしてみれば、やはりこれは切実な問題なわけですよね。これはどういうふうにお考えになっておるのか。

 言うまでもありませんけれども、諮問会議の中でも例えば奥田議員などはかなりそのことを言ってくれまして、私が一番心配しているのは、やめる人をどうやって救っていくのかという社会的なセーフティーネットがまだ具体的に検討されていないんだ、それから、例を引くと長くなりますけれども、いずれにしても配置転換といっても簡単に移れるのかという不安があり、こういった具体的な人の異動の問題について十分に検討しなきゃならないということを、民間議員も本当にそのところを心配しておるわけですよ。

 私は、早期退職が絶対にいけないということではありませんけれども、しかし、その裏には、要するに天下りで片づけたりまた新たな組織へ移したりということがあれば、これはもう全く国民を欺くことになってしまうわけでありますから、いわゆる早期退職制度という言葉ではないけれども、セーフティーネットの整備というのは一体全体何なのかということをきちっとお答えいただきたいと思います。

中馬国務大臣 昨年の十月の諮問会議といいましょうか、この中で民間議員の方々がこうした議論もされたことは承知いたしております。基本方針の策定をする経過の中でこういった議論が出てまいりました。これは、御承知のとおり、あの大きな、十年に及ぶ不況の中で、かなり民間がスリム化に努力をいたしました。そのときには、いわゆる希望退職といいますか、こういったことで、かなり思い切って減らす手段としてそういうことをとられたこともこれは事実でございます。また、三年間で二割減らすといったようなときにはこういう方法をとらざるを得ないかもしれません。

 しかし、私どもは、五年で五%という形で今こうして提言もさせていただいております。その中におきましては、そうしたドラスチックな方法をとらなくてもいけるのではないかというのが私どもの想定でございまして、これは先ほども御説明しましたような研修とかあるいは新規採用の抑制、こういったことを行うことによって、そういうことがなくてもできるのではないかというのが今回の我々の案でもございます。

 閣議決定した行政改革の重要方針におきましては、「新規採用の抑制など人事管理上の対応を行う。その際、公的部門の長期的な雇用戦略や退職者に対するセーフティネットの整備にも配慮する。また、個別業務のスリム化に伴う配置転換の仕組み等を構築する。」このようにいたしております。

 そして、定員の純減に伴う職員の雇用の確保のため、配置転換、採用抑制等の取り組みが求められることをあらわしておりまして、行政改革推進法第四十五条においては、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築や配置転換される職員を受け入れるための採用の抑制等を行う、このように規定をしているところでございます。

鈴木(克)委員 私がお伺いしたかったのは、一体全体そのセーフティーネットは具体的にどういうものなんですかということをお聞きしたかったわけでありますが、退職者不補充でいくとか、それはセーフティーネットでも何でもないわけですよね。だから、やはりこの部分を本当にきちっとしていかないとこれはとてもできませんよという御指摘を私は申し上げておるわけであります。

 先に進めさせていただきますが、いわゆる今回の防衛施設庁の官製談合問題でありましたように、結局、これは早期退職慣行による問題ということだと私は思うんですよね。むしろ退職年齢を引き上げて、同期の多くの職員が定年まで職場で働くことができるようにすべきだ、こういう議論があったわけです。過去、公務員制度調査会は、六十五歳の定年延長、平成十一年の三月にそういうあれも出しておるわけですね。

 そういうような中で、平成十四年十二月十七日ですか、いわゆる閣僚懇談会で早期退職慣行についてというのがあるわけでありますけれども、まさに勧奨退職年齢を引き上げるための計画の検討が行われておる。こういうことが示されておりますし、先ほど申し上げたように、総理も、こうした申し合わせに沿って、退職年齢を引き上げるようにすると、たしか参議院だったと思いますが、国会で答弁されておるわけですね。

 これは、先ほど二番の、くどくなりますが、早期退職制度を言ってはおらないけれども、セーフティーネットの整備という言葉と逆行して矛盾をするのではないのか、基本方針と矛盾をしておるのではないかというふうに思いますが、これは大臣、矛盾じゃないんでしょうか。私は、どう考えても明らかに矛盾だというふうに思うんですけれども。

中馬国務大臣 早期退職慣行の是正につきましては、これは一般の方々の話ではなくて、いわゆる幹部職員、1種幹部職員の早期退職勧告といったようなことになっておりましたけれども、これを段階的に引き上げまして五年間に三歳上げていくということ、これは総理も答弁されておりますが、こういったことと、先ほどからお話が出ておりますようなこうした今回の改革の中で、いわゆる希望退職的なことを募ってやるということとは話は違うわけでございまして、そこのところは正しく御理解をちょうだいいたしたいと思います。

鈴木(克)委員 何かこう歯切れが悪いし、御理解をいただきたいと言われても、そこが理解できないものですから質問をさせていただいておるわけであります。これは、聞かれた委員の皆様がなるほどなとおっしゃれば、それは私の理解力がないということでありますが、私はこれはもう全くおかしいと。矛盾が本当にあるのかないのか、もう一度ぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。

伊吹委員長 中馬国務大臣、もう少し具体的に答えてください。

中馬国務大臣 早期退職慣行の是正につきましては、いわゆる天下りの弊害を是正し、公務員が志を持って行政に専念できる環境を整備するため、特に批判の強い1種幹部職員の勧奨退職年齢について、平成十五年度から十九年度に五年間をかけて段階的に引き上げ、平成二十年度には平均して三歳以上高くすることを目標として取り組んでいるところであります。これは先ほど御説明いたしました。この方針は、平成十六年末の今後の行政改革の方針等でも掲げられておりまして、引き続き政府全体として取り組んでいるところでございます。

 今、議員御指摘の諮問会議における議論につきましては、お答えしましたとおり、十一月十四日の総人件費改革基本方針の整理では早期退職制度を設けることまで言及したものではないと理解しておりまして、御指摘は当たらないと思います。

鈴木(克)委員 また別の機会にただしてまいりたいというふうに思いますが、要は、どういう説明をしてもここはやはり矛盾が出るんですよ。私はそのように理解をしております。

 では次に、この申し合わせ、先ほどの申し合わせですよね、早期退職慣行の是正についてという閣僚懇談会の申し合わせでありますが、能力主義の徹底ということがうたわれております。公務員の能力主義はどのような人事評価基準で行うのか。

 利益の追求を行うということではありませんよね。民間なら、売り上げを上げ利益を上げて会社の発展に貢献をするのがある意味では評価が高いということに、それだけではありませんけれども、そういうふうになるわけでありますが、では、公務員に対して、的確な評価というのは一体全体どのようにお感じになっておるんでしょうか。仮に的確な評価が行われなかった場合に、不利益な評価を受けた者は救済をされる仕組みがあるんだろうか。また、不満が多発してかえって混乱を招くおそれがあるんじゃないでしょうか。このことをお伺いしたいんです。

 私はなぜこういうことをお伺いするかというと、実はかつて市長時代に、ここに持ってまいりましたけれども、部下が上司を査定するという制度をつくりました。もし御入り用ならあれなんですが、今もこれは蒲郡市では継続をしております。やはり従来の感覚と違うものを取り入れていくということが必要であって、ただ人事評価を適正にやりますと言うだけではなくて、では具体的にどういうふうにしていくのかということでないと、これはやはり改革というものは進んでいかないんだ、このように私は思います。御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 鈴木委員御自身大変御努力をされて、その経験に基づく大変重要な御指摘だというふうに私も思います。

 委員御指摘のように、民間の企業であればその成果とか能力とかというものはやはり比較的はかりやすい面がある。これも難しいことは難しいですが、言われたように、売り上げとか利益への貢献とかというので、やはりだれもが納得しやすい尺度があると思います。しかし、一方で、公務の方も、やはり能力のある者、成果を上げた人が登用されて報われるということ自体はこれは必要だ、これは委員もお認めになっておられることだと思います。

 その意味では、まず、どのようにするかということの前に、やはり職員の士気を高めてこそこれは意味があるわけでございますから、その能力や実績をどのようにはかるかについては、公務の特性を踏まえて、そしてやはり公務員自身に納得できるような形でなければいけないというのは私もそのとおりだと思います。

 具体的にどのようなことが必要になるかということについて、もちろんそのための制度設計を今一生懸命やっているわけでございますが、方向として申し上げれば、能力については、その評価対象になる職員層が実際の職務遂行の場面で求められる具体的な行動に着目して評価を行うということが一つやはり重要な側面になってこようかと思います。そして、実績については、結果ももちろん重要でありますけれども、その質的な面とかプロセスがどうであったかというような点についても評価を行うということにしております。また、上司、部下の双方向のコミュニケーションの充実によって、評価についての納得性を高める工夫も必要と考えます。今委員が言われた部下が評価するというのも、その納得性を高める一つの工夫であろうというふうに理解をいたします。

 いずれにしても、最初に申し上げましたように、制度に対する職員の信頼を醸成することが肝要でございますので、その評価に対する不満が出た場合にそれにどのように対応していくかも含めて、そのために、今、数次の試行を行おうとしております。この数次の試行を通じて蓄積されてまいります実証的な知見をもとに、まさに公務にふさわしい評価のシステムを、これは努力して構築していかなければいけないというふうに思っております。

鈴木(克)委員 我々は、やはり批判をするというだけではなくて建設的な提案をしていく政党であるというふうに思っておりまして、ちょっとお時間をいただいて部下が上司を査定するという内容をちょっと御紹介させていただきますが、能力評価と態度評価と成績評価、この三つに分かれております。能力評価の中には、問題意識、企画力、調整力、指導・統率力、判断力、洞察力というふうに分かれております。それから、態度評価については、責任感、積極性というふうに分かれております。そして、成績評価では、進行管理、問題解決というふうに分かれております。

 先ほど大臣がおっしゃったことはほとんど具体的な形として、さらに着眼点として、例えば、二、三の例だけにとどめますけれども、問題意識としては、担当業務を向上させようという意識、問題点の把握、原因の探求能力。それから、指導・統率力では、部下を把握、育成し組織を統括する能力というようなことです。それから、例えば成績評価の中の進行管理では、業務の進行を把握し、計画と進行のずれを修正し、適切な対策を講ずるというようなことです。

 これは御参考に、もし御入り用ならいつでも御提供をさせていただきますが、本当にこういう多方面から評価をしていく。しかも、上から一方的ではなくて、本当に仲間からそして部下からもやはりこういう評価を受けるという形の中で行政改革というものが進んでいかなくてはならないのではないかな、私はこのように思って御提案をさせていただくものであります。

 さて次に、行政改革の重要方針という中で、「第一次試行を平成十八年一月から開始する。」というふうになっておるわけですね。御案内のように、これはもう既に三カ月が経過をしたわけであります。そして、その三カ月の実績というのはあるのかないのか、その経過について説明をいただきたいということと、十八年度中に第二次試行を行うというふうにも書かれておるわけですね。では、今後の計画について第一次とどのような点で異なった内容の試行を行うのか。この点について御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 まず、今三つの、能力、態度、成績について御提示いただいたのは、大変興味深く拝聴いたしました。これもぜひ参考にさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、現状でございますけれども、第一次試行は、本府省の課長級、課長補佐級でございます。その職員、約二千九百人が今対象になっております。本年一月から六月末までの六カ月間実施しておりまして、この中で公務の世界にふさわしい評価のあり方についての実証的な知見を得たい、第一次のまさに試行でございます。

 先ほど申し上げた観点を踏まえまして、そのやり方でありますけれども、この試行の開始の前に新たな評価の考え方はどうであるのかとか、評価項目、評価基準等々、またマニュアルの整備、試行の参加者への訓練を通じましてその趣旨とかやり方の徹底を図っております。また、期首に、最初に、今期の業務の進め方、目標等について面談を実施させていただいていまして、その業務遂行に当たっての認識の共有化等々も図るということに努めております。いずれにしましても、今のようなやり方で六月まではこの試行を続ける予定でございます。

 二次試行についてのお尋ねでございますが、基本的には一次試行の結果を丹念に検証して、その上で足らざるところを補っていくということが、必要な改善を行った上で行うことが必要だと思っておりますが、いずれにしましても、今度は対象範囲を拡大して実施する予定でございます。具体的な内容については、この第一次試行の結果も踏まえまして、今後、具体的な調整を行いたいと思っております。

鈴木(克)委員 続いてお伺いをしてまいりますが、小泉構造改革では、国から地方へ、そして官から民への方針に沿って国の業務を見直して、小さくて効率的な政府をつくろうというふうになさっておるわけであります。

 その一方で、先ほどから申し上げておるように、国家公務員の五%純減の計画が出されておる。本来の構造改革のあり方として、業務を見直し、その結果として公務員の数が決まってくるというのが私は順番だというふうに思うんですね。公務員の五%純減という陰には、それに対応した具体的な業務の見直しがあってしかるべきです。それは国から地方へ、そして官から民へ、そういう具体的な業務の見直しがあってしかるべきだというふうに思います。

 では、五%の純減に対応した業務の削減は、どのようなものが考えられているのか。例えば、この業務を地方に移譲することによって何人の定員削減が可能になるとか、また、別の業務を民営化することによって、アウトソーシングすることによって、いわゆる何人の削減が可能になるというのがあってしかるべきだと私は思うんですね。そうした業務の見直しの結果というのが定員の削減とイコールになっていかなくてはならないというふうに思うわけです。

 私は、まず先に定員削減ありきというと、ベッドの大きさに合わせて人の身長を決めよというような話でありまして、これはまさに本末転倒ではないのかなというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。

中馬国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、そこはかなり細かくこの法律にも規定をいたしております。

 五年五%以上の国家公務員の純減を実現するため、この行政改革法案では、まず、行政に対する需要の変化が認められる事務事業の減量に向けた検討、これは四十六条で書いております。また、地方支分部局の事務事業の見直し、これは四十七条に規定されております。民間にゆだねる方策の検討、これは四十八条でございまして、いわゆる市場化テスト、これはまた別に法律も出させていただいております。

 それから、最近、大変なIT化が進んでおりまして、かなりオンラインで申請ができたりもいたしております。こうした情報通信技術の活用をすることによってということも規定して、四十九条に書かせていただいております。また、非公務員型独立行政法人への移行の検討、これは五十条ですね。こうしたことで具体的に事務事業の削減を進めることといたしております。

 現在、行政減量・効率化有識者会議、この知見を活用して業務の大胆かつ構造的な見直しを進めておりますが、また、この内訳につきましても、農林統計、食糧管理、北海道開発、ハローワーク、社会保険庁、森林管理等々、有識者会議の皆さん方が各省庁とヒアリングをしながらこれを詰めているところでございます。

鈴木(克)委員 やはり具体的なものはなかなか出てこないということでございますが、またこれは別の機会に御質問をしてまいりたいと思います。

 次に、三位一体の改革との関連でお伺いをしていきたいと思うんです。

 三位一体の改革、それによって例えば国の定員が何人削減されるのか、逆に、ではその改革によって地方の定員は増加するのかしないのか。普通なら増加するというふうに思うわけでありますが、今回の場合は公務員もさらに削減をしろということになっておるわけですよね。それはわかります。国も削減をするんだ、地方も削減しなさい。

 しかし、一番問題なのは、その結果、地域の住民や国民に対して必要なサービスが本当に提供できるんですか。要するに、この担保なんですよ。このことについてはどのようにお考えになっておるのか、御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 厳しい財政状況の中に我々は置かれております。したがって、公共サービスを提供するに当たっても、これは国も地方も両方とも、できるだけ民間にゆだねることは民間にゆだねて、そして真に行政として対応しなければいけない政策課題等に重点化して、そして簡素で効率的な行政を実現しなければいけない、これはもう国、地方共通の課題であると思います。そして、それに対して今国民の厳しい目が向けられているということも事実であろうかと私は思います。

 地方公務員の定員につきましても、これまで過去五年間四・六%減ってきたわけでございますけれども、今後五年間でこの地方公務員総数の四・六%、過去のトレンド以上の純減に向けた各団体の取り組み、これはもちろん地方が決めることでございますけれども、国としては地方に対して要請をするという立場にございますので、要請をしているところでございます。

 その場合に、委員まさに言われますように、本当に必要な行政は、これはやっていただかなければいけないわけでございます。地方においてそうした適切な判断をしていただいた上で、本当にめり張りのある人員配置をしていただいて、必要な行政サービスの低下を招かないように、これは十分に配慮をしていただくことが重要でございます。

 また、事務事業全般の総点検、組織の見直し、そういうことを合わせわざでもって、国民の厳しい目、そして厳しい財政状況の中で、何とかこれまでのトレンドを上回るような純減をしていただきたいということを我々としては要請をしているわけでございます。

中馬国務大臣 今総務大臣が御答弁になったとおりでございまして、我々はそれをツールとしまして、手段といたしまして、市場化テストとかあるいはいろいろな規制を緩和して、地方でも物事がどんどんと進められるようにもしている次第でございます。

鈴木(克)委員 最後に、私の方から申し上げておきたいのは、要するに、純減の数字がひとり歩きをして今おっしゃったように国民への行政サービスが低下をしたり、それから自治体の自律を妨げるというようなことのないように。それをやらなければ、何にもならない、ただ数字合わせだけに終わる。それは、私は、本当の改革でもなければ合理化でもないということを申し上げたいというふうに思います。

 最後に、これは御答弁は要りませんけれども、きょう、私は、職員の服務の宣誓に関する政令というのを持ってまいりまして、御答弁は要りません。要するに、公務員になられると宣誓書を出されるわけですね。

 そこには、「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」こういうものを、宣誓書を恐らく全職員は出されて勤務をされておるというふうに思うんですね。

 冒頭私は申し上げました。要するに、簡素で効率的な政府ではなくて、効率的ではあるけれども温かい、人に温かい政府というのをやはり私はつくっていかなきゃならないと思うんです。そういう中で一番大事なのは、公務員の数、そしてその財源が厳しい、これはもちろんあります、しかし、本当に公務員としてどういう仕事をしていくのか。

 小さい政府がいいか大きい政府がいいかと国民が問われれば、恐らく大方の人は小さい政府がいいと答えると思うんですよ。しかし、その結果、自分たちの生活がどう守られていくのか。まあ、極端なことを言えば、本当に効率的な、そして安心と安全をもらえるような政府であるならば、負担が若干多くてもいいという選択も私は国民にあると思うんですよ。

 ここのところを本当に公務員として自覚を持って、効率的な、しかも、先ほどから申し上げているように、人に温かい、そういう行政を、またそういう政府をぜひ我々はつくっていかなきゃならない、そういう目線でこれからもいろいろと私も御注文を申し上げたり御提言をさせていただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、三十分間休憩いたします。

    午後零時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。質疑の申し出があるので、これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 私は、基本的には通告に基づいて質問をさせていただきますので、まだおなかのぐあいが落ちついていないかもしれませんが、ぜひ各大臣には明快な、簡潔な答弁をお願いいたします。

 初めに、現在の景気拡大期は小泉政権発足後の〇二年二月に始まりまして、ことし五月にはバブル期を、十一月にはいざなぎ景気を抜けば戦後最長になる、脱デフレ宣言も視野に入ってきたのではというような話がございますけれども、しかし、一方では格差の拡大、二極化の進行、リスクの増大などが見られまして、何のための改革なのかというのがわからなくなってきているのが現状ではないか、そのように思っております。今最も必要とされることは、国民の安全と安心を確立することではないかと考えております。

 そこで、今回の法案であります簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案が何を目指してやろうとしているのか、そういう観点から質問をさせていただきます。

 まず一つ目、法の目的及び基本理念についてお伺いをしたいと思います。

 小さくて効率的な政府の具体像について、ぜひとも中馬大臣からお答えをいただきたいと思っておりますが、平成十七年十二月二十四日の閣議決定をした行政改革の重要方針には「小さくて効率的な政府」とうたっているわけでありますが、この具体像がなかなかはっきりしないうちに、どうも法律の名称まで変わってきてしまった。この小さくて効率的な政府の具体像は何だったのか、教えていただきたいと思います。

中馬国務大臣 重要方針策定時において「小さくて効率的な政府」という文言を使わせていただいておりますが、これは、これまでの政府の役割を見直して、民にゆだねるものは民へ、そしてまた時代的な役割を終わったものは廃止し、また無駄を徹底的になくすことによってその規模が大胆に縮減された政府を目指すものである、このようにしてきました。

福田(昭)委員 なかなかはっきりいたしませんけれども、いろいろな統計を見ても、例えば政府支出についてもOECD諸国三十カ国のうち下から六番目とか、国民負担についても下から四番目とか、あるいは政府の権限、規制につきましても十一番目と、どちらかというと、もう既に小さな政府になっているんではないか、こういう評価がなされておりまして、そのことにつきましては、実は政府が出しております平成十七年版の経済白書でも、比較的小さな政府だ、こう明記してあるわけですね。その割には、何か小さくて効率的な政府の定義がないままに今回法律の名前では変わってしまったのではないか、そういう大変な疑問を感じているわけでございます。

 そうした中で、一方、また別な点から考えてみますと、十八年度の予算の総額を見ても、一般会計は八十兆円を切ったということで大変自慢にしているようでございますけれども、三十一の特別会計を加えたり、あるいは政府関係機関の予算、歳入面で考えますと、これを合計しますと、何と五百七十六兆円になるんですね。もちろん、ここには重複部分もあるわけですから、これを差し引かなくちゃならないんですが、それを差し引いても三百兆円をはるかに超える総予算が実はあるわけであります。これを考えると大きな政府じゃないかと思いますし、債務額の大きさ、国、地方合わせて一千兆円という借金を抱えれば、これも大きな政府かな、こういうことも言えるわけでございますが、まさに小さくて効率的な政府の具体像がないままに法律が変わったわけでございますが、そこで、今度の法律の名前でございます「簡素で効率的な政府」の具体像についてお伺いをいたします。

中馬国務大臣 重要方針では小さなと書いておりましたが、この法律では簡素でとなっていることについての問い合わせでございます。

 それより前に、総理の施政方針演説では「簡素で効率的な政府」という表現が使われました。「小さくて効率的な政府」と同じ趣旨ではあるんですけれども、法案化するに当たりまして、小さくてというよりももう少し内容がわかる方がいいんじゃないかというお気持ちと同時に、小さな政府と言った場合には、社会保障について低負担、低給付にするといった意味も含み得るために、この法案の実現により目指している政府の姿と比べて誤解を招くおそれがあるんじゃないか、こういった議論もあったようでございます。そして、総理とも御相談をいたしました。やはり簡素で効率的な政府、この方がいいんではないかということで、これにさせていただきました。

 といいますのも、いろいろと言葉のニュアンスでそれぞれ解釈も違うかと思いますが、総理の描いておられるこれからの政府の姿のイメージに、言葉としては小さくより簡素での方がフィットすると考えられた、このように解釈いたしております。

福田(昭)委員 今、変わった理由はよくわかりましたが、しかし、これは無理やり変えたと言った方がよろしいですね。小さくて効率的な政府と簡素で効率的な政府は、日本語として同義語じゃありませんよ。ぜひ「国家の品格」を書かれた藤原先生に聞いてみたいところでございますが、これは決して同義語ではありません。政府が出した言葉といいますか、法案の名前ということでは、私は、これはまさに国民をペテンにかけるような、そういう変更だと思います、基本的に。

 ですから、これも本当に、どちらかというと、きっと本音のところは、私の方が想像すれば、もう既に小さな政府になっている、これはしまった、この辺で名前を変えておかないと、先ほど中馬大臣が言われたように、これから社会保障費をどうやって確保するんだろう、歳入歳出の一体改革をこれからやる、増税を考えるというふうになったときにどうするんだ、そんな心配も出てきて、簡素で効率的なと変わったんじゃないですか。私はそう想像いたしております。

 私の前に質問した鈴木先生の方から、増税に向けての下ごしらえじゃないか、そんな指摘もあったようでございますが、私はそんな思いもいたしているところでございます。

 それでは、今、社会保障の問題も出ましたから、政府としては、国民の負担をできるだけ抑制するという言葉がこの法律に入っておりますけれども、最終目標として国民負担率をどの程度に抑えようとしているのか、その考えをぜひ教えていただきたいと思います。

中馬国務大臣 具体的に国民負担率を何%にするといったようなことはいたしておりませんが、これを抑制するという気持ちはここには出ていると思います。

 具体的に申しますと、本法案におきましても、特別会計の改革では今後五年間で総額二十兆円程度寄与するためにこれを減らしていくということ、総人件費改革では今後五年間で公務員の五%以上を純減するほか、十七年度の国家公務員の人件費の総額の対GDP比を十年後にはできる限り半減に近づけるようにするとか、あるいは国の資産・債務改革でも十七年度末の国の資産の額の対GDP比を平成二十七年度末以降できる限り半減に近づくように留意する、こういった一つの目安をつけながら、国民負担率が今後上がらないように、むしろ減らすように、このようにする意図がここにはっきり出ていると思います。

福田(昭)委員 それでは今回行政改革をやる意味がないですよね。今、国民が心配しておりますのは、年金はちゃんともらえるのかとか、医療費の負担はどの程度で済むのか、そういう心配をしている中で、これからの長期にわたるそうした目標がない行政改革というのはどういう意味があるんでしょうかね。

 ただ、これは私が申し上げるまでもなく、今の日本の国民負担率は三五%台とよく言われております。アメリカに次いで低い方だと言われております。しかしながら、借金を含めるともう四六、七%いっているんじゃないか、こういう話がある中で、財務省などが考えているのは何とか五〇%程度に抑えたいという話があるというのを、私も物の本で読んだりもしているんですけれども、こうしたことについては全く議論されないで、ここでこの法律案が出てきたんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 先ほど説明しましたように、それぞれ人件費はこう、特別会計はこうといったような形で、今よりも決してふえはしない、逆に減らす方向でやっているわけでございまして、これは当然ながら国民負担率も、現在よりも少なくとも上がらないということだけははっきり言えるのではないかと思います。

伊吹委員長 福田君、少し答弁が抽象的になっておりますので、経済財政諮問会議を担当しておりました竹中総務大臣から補足をいたします。

 竹中総務大臣。

竹中国務大臣 今、委員は法律についてのお尋ねでございますが、この法律全体を含む経済財政運営の基本的な考え方として、潜在的な国民負担率などで見て五〇%程度に抑える、そのような形での議論を進めるということは、これまでも諮問会議において議論をされまして、また、いろいろな文書等々にも示されてきたことだというふうに承知をしております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 そこで、ちょっと私は提案をしたいと思うんですが、今、経済財政諮問会議の中では予算の額が多い社会保障とか地方交付税がどうもねらい撃ちにされているようでございますが、しかし、私はこの社会保障費だとか地方交付税を減らしたらだめだと思うんです。ますます所得格差が開いている中で、それこそセーフティーネットも崩れていくと思いますし、都会と地方の格差もどんどん拡大していくと思うんです。

 問題は歳出の中身を変えることだと私は思うんです、総額を減らすということよりも。例えば、しっかりとニーズのあるところにお金、予算を振り向ける、それが社会保障費であったりあるいは地方に出すお金だと思います、私は。ニーズがあるところにお金を出せば、私は経済の専門家ではありませんが、必ず国民のサービスも向上して、雇用も増大して、経済成長も押し上げる、私はそういう役割をしっかり果たしてくれると思います。

 多分、ヨーロッパの北欧の国々を見ればそれは明らかでございますし、また、日本の国でも介護保険がスタートして、これはすばらしい役割を果たしているんですよね。国民に対する介護サービスが数段向上しました、そして、若い人たちの働く場がふえました、雇用もふえました。したがって、皆さん給料をいただけますから、いただけばちゃんと使います。したがって、ちゃんと経済成長も押し上げております。

 したがって、本当に必要なところにお金をかける、これこそ私は構造改革だと思うんですね。ですから、幾らお金をかけてもそうした役割を果たさない分野にお金をかけておいたのでは、いつまでたってもだめだと思います、基本的に。ぜひ、そういった観点からの見直しをしていただければというふうに思っております。

 それでは次に、二番目の質問に行きたいと思っていますが、総人件費の改革についてお伺いをしたいと思います。

 まず、改革のあり方についてでございますが、法律の中を見てみますと、特に第四十二条に、平成十七年度に比して、平成二十七年度以降の各年度における国家公務員の総人件費を、国内総生産の額に占める割合を二分の一に近づけるということについてお伺いしたいと思いますが、この二分の一に近づけるという目標を立てる理由は何でしょうか。何か具体的な根拠はないと私は思っているんですが、教えていただければありがたいと思います。

中馬国務大臣 財政諮問会議やその他民間議員の方々の、これからの国のあり方等におきます議論の中で、こうした今後の目標を定める必要があるということの中で、具体的に十年間でこれだけということではございませんが、一つの大きな方向として、今委員申されましたような、GDP比で現在の人件費を、かなり国の役割を地方に移したり民間に移していくわけでございますから、これを減らしていく、その方向として国民にわかりやすい一つの長期的な目安といったことでこの数字が出されまして、しかし、具体的には五年間で五%ということで実行に移す数字でございまして、これは目安と考えていただくのが適当かと思います。

福田(昭)委員 目安ということですけれども、基本的には、公務員の給与は今のところは民間準拠を原則として決めるということになっているわけですよね。それなのにGDP比で比べるというのはどういうことなのか。また、私の方から言わせていただければ、これは、ただ単に国家公務員の人件費あるいは地方公務員の人件費を引き下げたというイメージを国民に与えるための目標なんじゃないでしょうか。

 したがって、非常に疑問がありますのは、この分母の中に、もう既に民営化が決まっている郵政公社の職員二十六万人が入っている。それから、もしかすると全部これは非公務員化されるのかもしれませんが、独法の七万人も分母に入っているんです。これは、言ってみれば、最初から減るのがわかっているじゃないですか。そういう公務員の数までしっかりと分母に入れておいてGDP比二分の一以下にするというのは、これは全くごまかしですよ、単に国民をだますための。本当にひどいやり方だと思いますよ。ここをどう思われますか。

中馬国務大臣 総人件費という金額の面と公務員の数の問題とは違いますから、そこのところは一つ区別していただきたいと思いますが、ともかく、これからの日本の国のお役人といいましょうか、そうした公務員が果たすべき役割はどの方向かということの長期的な目安でこの数字が出ているわけでございます。

福田(昭)委員 大臣、それはちょっと違うんじゃないでしょうか。数を減らすということは、総人件費を減らすということにつながりますよ。総人件費を減らすというのは、大臣にこんなことを言っちゃ失礼ですけれども、給与の基本単価掛ける人数じゃないでしょうか。だから、数を減らすということは総人件費を減らすということだと思います。そう思わないでしょうか。

中馬国務大臣 もちろん、今言った人数掛ける給与そのものでございます。

福田(昭)委員 それでは次に、改革の具体的な手法でございますが、事務事業の見直しなどをして純減計画を立てると言うんですが、この具体的な事務事業の見直しと、それから五%純減をするという計画は、これはいつごろできるのか、お答えをいただきたいと思います。

 また、法案では、五%以上純減のために、国が現在行っている幾つかの事務事業を具体的対象としながら、人員削減、統廃合、民間委託、民間委託の適否の検討、非特定独立法人のいずれかの方策をとることが示されておりますけれども、見直しに当たっては国民が十分に理解できるような基準とか視点というのを明確にする必要があるんじゃないかというふうに考えておりますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

中馬国務大臣 これもかなり具体的に法律の方で書いております。四十六条から五十条までの条文、ごらんいただいたらわかるかと思いますが、業務の大胆かつ構造的な見直しを進めることによりまして、定員の純減を進める重点事項について事項ごとに基本的な考え方を示したところでありまして、ここで示した方向性を踏まえ、現在開催している行政減量・効率化有識者会議の知見も活用して、さらに具体的な純減の方策を取りまとめることとしたいと考えております。

 有識者会議は、この年度末、三月三十日に、それぞれの検討状況を踏まえまして、各省庁とのヒアリングも踏まえて中間取りまとめを決定しましたけれども、さらに引き続きこの検討を深めているところでありまして、政府としましては、この有識者会議の議論を踏まえ、遅くとも本年の六月までに政府の方針を決定することといたしております。

福田(昭)委員 六月まででは、法律の審議ができないんですよね。今回これを出してくれなかったら、中身の議論が全くできないわけですよ。そういった意味では、中馬大臣が出されたのか小泉総理大臣が出されたのかわかりませんけれども、全く私は総理大臣として不見識な話ではないかと思うんですね。中身のないものを法律として出すというのは、とんでもない話かなというふうに思っております。

 次に移りたいと思いますが、配置転換等の計画についてお伺いをいたします。

 このことにつきましては雇用調整本部を設置して配置転換等の計画を立てるという話でございますが、その話もきっと、先ほどの話ではまだできていないんだと思いますけれども、ただ、その中で一つ救いがありますのは、生首を切らないという話が出ておりまして、それだけは救いがあるのかなというふうに思っておりまして、その点についてぜひ中馬大臣のお考えをお伺いしたいと思いますし、配置転換等の計画を策定するに当たりましては、ぜひとも幅広い検討と労使の十分な話し合いをお願いしたいと思っていますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 配置転換につきましては、四十五条第二項に、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みを構築しまして、この配置転換をスムーズにするようにいたしております。また、採用の抑制を行うことによりましても、この規定を盛り込んで抑制の一つの手段にしたわけでございます。

 また、配置転換、採用抑制の枠組みにつきましては、三月三十一日の行政改革推進本部で了承しまして、さらに内容の具体化を進めるため、定員の純減についての具体的な方策を定め、六月には全体計画を策定したい、先ほど申し上げたとおりでございます。

 こうした政府全体としての配置転換、採用抑制等の取り組みにつきまして、職員の雇用を確保したい、生首を切らないということは俗な表現でございますけれども、こういうことを考えておりまして、そのためには職員及び職員団体、組合の御理解と御協力がなければこれはできません。そういうことで、私どもも連合側と政労協議という形でそうした検討を始めているところでございます。

福田(昭)委員 生首は切らないということは確認してよろしいでしょうか。

中馬国務大臣 いわゆる本人の意に反して生首を切るということはいたしません。

福田(昭)委員 ありがとうございました。ぜひ約束は守っていただきたいと思います。

 次に、特定独立行政法人などの総人件費の削減についてお伺いをいたします。

 この中で、国家公務員と同様に五%以上の純減をするということはそれといたしまして、私は、先ほど私どもの同僚であります鈴木委員の方からも話がございましたが、独法や特殊法人、公益法人などの総人件費の削減に当たっては、やはり何といっても天下り役職員の退職金を廃止することが必要だと考えております。地方団体でも外郭団体に天下り的に行っておりますけれども、既に廃止をしている団体が多分たくさんあると思います。私が勤めておりました栃木県庁でもそうなっておりますので。ぜひとも天下り役職員が二重三重に退職金をもらわないような仕組みを即座につくるということが大事だと思っています。そのためには、早期勧奨退職制度を廃止して、小泉総理もここで答弁しているようでございますが、定年まで働けるような仕組みをいち早くつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 少し世間から批判がございました退職金の二重取りといったようなことでございますが、退職公務員の退職金のいわゆる二重取りといったことに対しましては、平成十五年の退職手当法の改正によりまして、国家公務員が国への復帰を前提に退職し独立行政法人等の役員に就任した場合には、退職手当を国への復帰後の退職時にのみ支給し、独立行政法人等からは退職金の支給を受けないこととして、その活用を進めているところでございます。

 また、特殊法人等役員の退職金についても、退職公務員に限らず大幅に削減したところでございます。御承知かと思いますが、百分の三十六を、平成十六年が百分の十二・五と三分の一に引き下げるとともに、業績勘案率を乗じて若干成績にも応じた形をとらせていただくことにいたしました。

 このほか、特殊法人等の長及び役員の選任につきましては、国家公務員出身者の割合を二分の一以下にするなどの取り組みを進めているところでございまして、国民の信頼の確保に努めていきたいと思っております。

福田(昭)委員 中馬大臣の答えでは一つ抜けているんですね。何が抜けているかと申しますと、要するに、現職でやめる公務員が外郭団体へ行って戻ってきたときには、公務員としての退職金をもらうから外郭団体からはもらわないと言うんですね。そうじゃないんですよ。国家公務員をやめて外郭団体へ行ったらもらうんでしょう。この答えが入っていませんね。

 ですから、ここが大事なところであって、やめた後、例えば事務次官とかをやった後、道路公団はなくなりましたね、民営化になりましたが、そちらの総裁になってまたもらって、どこかの相談役になってまたもらってと、こういう二重三重の退職金は廃止すべきだというのが私の意見でございます。

中馬国務大臣 今答弁しましたように、これはゼロにはしておりませんけれども、もちろん特殊法人なりそこでお勤めになったときの経過のことはあるわけでございますから、それを大幅に減らした、三分の一程度にしたということで今お答えした次第でございます。

福田(昭)委員 大幅に減らしたんじゃだめなんです。これはゼロにしなくちゃだめなんです。ゼロにしなきゃだめなんです。そうすれば天下りはなくなります。それでもやるような気概のある人を雇ったらいいですよ。そんな退職金目当てに勤めるような人を雇っていたのでは、絶対よくなりません。一たん公務員として退職金をもらっているじゃないですか。

中馬国務大臣 委員の一つの御意見として参考にさせていただきます。

福田(昭)委員 私は、そうして捻出したお金をぜひとも振り向けてほしいところがあるんですよ。どこだと思いますか。地方の独立法人化された国立大学です。今、困っています、運営費を財務省から削られて。人件費も今度は五%以上減らせ、人も減らせと。地方の大学はみんな困っています。都会の大学は、少しは大企業と組んで研究費を獲得したり、そういうことをしやすいんですよ。しかし、地方の大学はつらいんです。米百俵の精神を言われたのはどなたでしたか、やはり日本をしっかり再生するためには何よりも教育が一番大事です。

 そういった意味から、ぜひ、そうした、もうもらわなくていい人の退職金を全廃して、それを地方の大学に振り向けてほしい、私はそう思いますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 その分を充てるかどうかは別にいたしまして、大学は独立行政法人化いたしました。そうする中で、非常に自由度が与えられたわけでございまして、場合によっては職員の方々にかなり大幅な給与を与えたとしても、もっと人数を減らして効率的にやっていくとか、ほかのところを思い切って削減していくとか、あるいはまた、外部との中で委託研究費をちゃんともらって、それで大学を運営していく、いろいろな方法があるわけでございますから、これが一つの今後の独立行政法人化した大学の自由度でもありますし、それが大学の自治にもつながるわけだと思っております。

福田(昭)委員 それでは、議論してもしようがないので、次の質問に入ります。

 地方公務員の総人件費の削減についてでございますけれども、こちらの方は大分答えが出ておりますのでちょっと省きまして、一点だけ御質問させていただきます。

 地方公務員の数は四・六%以上純減をするということになっておりますけれども、団塊の世代の大量退職とか、あるいは市町村合併による大幅な減、あるいは市町村合併に伴う都道府県の出先機関の統廃合、権限の移譲、そんなことからも、人数として四・六%以上の削減がもしかするとできるのではないか、こう思っておりますが、このことについて竹中大臣の答弁をお願いいたします。

竹中国務大臣 地方公務員の純減に関しましては、いろいろな御意見がございます。今、福田委員がおっしゃったようにもっと減らせるのではないかという御意見もあれば、一方で、これまで過去五年で四・六%も減らしてきたのでこれ以上は非常にきついんだという御意見もございます。

 数字から申し上げますと、平成七年から十一年連続しまして、累積二十四万人の純減を地方公務員は実現をしております。その意味では、地方公共団体において行革の努力は行われてきたということだと思います。

 しかし、これはやはり国民の見る目は厳しい、そして財政も厳しい、したがって、地方公共団体においてもこれまで以上に徹底した行革を進めていただきたいという意味で、四・六%を上回る、そういうことを地方にも要請しているわけでございます。

 実は、都道府県と政令市につきましては、いわゆる集中改革プランをつくってもらいまして、それで平成二十二年四月一日の職員数の数値目標状況を聞いておりましたけれども、先般、この速報値の取りまとめが終わりました。

 その数値目標を公表している四十二都道府県と十二政令市全体で、実は五・三%の純減となっております。この五・三%という数字を申し上げるのはきょう初めてなのでございますが、速報の取りまとめとしてはそのような数字が出ております。

 これは、それぞれ大変真摯な取り組みがなされているというふうに思います。今の委員の御指摘も踏まえて、やはり四・六%の上積みを我々も期待しているところでございます。

福田(昭)委員 それでは次に、公務員制度改革の質問に移らせていただきます。

 まず、人事院勧告制度のあり方についてでございますけれども、これはもう私が申し上げるまでもなく、人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置としてあるわけでありますが、この制度を今後も続けていくのか、それとも労働基本権を認める考えなのか、お伺いをしたいと思います。

中馬国務大臣 公務員の労働基本権につきましては、その地位の特殊性と職務の公共性から一定の制約がなされておりまして、これに見合う代償措置としての人事院勧告制度が設けられている、委員のおっしゃるとおりでございます。

 労働基本権のあり方につきましては、国民意識も十分に踏まえて現実的な姿勢で検討していく必要がある、このように考えております。このため、労働基本権についてはニュートラルに検討する場を設けることとしたところでございまして、検討の場のあり方につきまして、今後、関係者と調整していくことといたしております。

 これは、第二回の政労協議といいましょうか、ことしに入りましてから三月二十日に行いましたが、ここで私の方と組合側とで合意したことでもございます。

 この場におきまして、公務と、公務を担う公務員の範囲、あり方につきまして、総合的な検討を踏まえて労働基本権のあり方を議論することとしておりまして、予見を持つことなく幅広い観点からの検討がなされる必要がある、このように考えております。

福田(昭)委員 まだニュートラルだというお答えでございますけれども、そろそろ、国際労働機関、ILOからも厳しい勧告を受けておりますので、それらを踏まえて、この際、労働基本権を認めて、人事院のあり方そのものもここでしっかりと考え直す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 そういったことも含めて率直に議論してまいりたいと思っています。

福田(昭)委員 それでは次に、官民比較方法の見直しについてお伺いをさせていただきます。

 まず、これは人事院総裁にちょっとお伺いをしたいんですが、二〇〇五年、去年の春闘時、勧告時には、現行の比較企業規模は民間会社の従業員の過半数をカバーしており、このような状況に大きな変化がなければ適当なものと考えていると回答しているようでございますが、その考え方が今回法律案で変わってきて、それに基づいて対応しているようでございますが、その考え方が変わったのは何の理由で変わったのか、お答えをいただきたいと思います。

佐藤政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 官民企業の比較方法のあり方につきましては、現在、人事院において、学識経験者による研究会、それから各界有識者による懇談会を設置いたしまして、検討をお願いしているところでございます。今般、研究会の中間取りまとめをいただいたところでございます。

 公務員給与につきましては、人事院は従来から職員団体と十分な意見交換を行ってきておりまして、本年の春闘期におきましても、職員団体と官民給与の比較方法に関しても意見交換を重ねて、本年の民間給与実態調査の調査企業対象規模につきましては、企業規模五十人以上の小規模企業を調査の対象に含める必要があると判断しているところでございます。

 実際に本年の勧告の際に比較対象とする企業規模をどうするかということにつきましては、研究会等における今後の検討状況等を踏まえて、各省または職員団体等の意見も十分に聞きつつ、引き続き検討していきたいと考えております。

福田(昭)委員 時間がありませんので簡潔に申し上げますが、ぜひとも企業規模の見直しに当たりましては、今総裁も労使の協議を進めるという話でございましたが、現在の企業規模が決まったのは、御案内のとおり池田総理と太田総評議長のトップ会談で決まった、そしてそれが社会的な認知も受けてきた、こういう話でございますから、この際、どうなんでしょうか、小泉総理がやめないうちだったら、小泉・高木トップ会談ということも行う必要があるんじゃないでしょうか。

 私は、公務員の給与をこれ以上下げる必要があるのかと思っております。一人一人の給与ですよ。それはどうしてかと申し上げますと、昨年の特別国会で平均四・八%下げることにしたわけですね。五十年ぶりの給与の構造改革ということで四・八%下げたわけですよ、基本的な給与を。そうした中で、今、大企業がことしの春闘からまた賃上げが始まったんですね。しかも景気も、これは小泉総理、竹中大臣のおかげかどうかわかりませんが、よくなってきたということですね。今、経済財政諮問会議では、歳入歳出一体改革の中で、名目成長率をぜひ四%にしたいという竹中大臣派と、いや、三%にしたいという谷垣大臣派と二通りということで、両方ともしかし三%以上の成長を考えているわけですね。それで、五年たったら、国家公務員、地方公務員の給与は四・八%下がっているんですよ、毎年毎年その間に民間の企業は上がっていく。それでもさらに公務員の給与を引き下げる、こういう話なんでしょうか。

 私は事務事業の見直しとか地方に事務事業を移管するとかそういうことによって公務員の数を減らすというのはいいことだと思いますけれども、公務員一人一人の給与をそれこそ民間の小さい企業以下に下げたら優秀な人材は集まりません。また、現職の公務員だってやる気を失います。そんなことをやっていいのかどうか、私は大変疑問を持っておりますが、そうした中でしっかりとした官民比較の見直しもやってほしいと思っております。いかがでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 先ほど御答弁申し上げましたように、現在、検討会で十分検討いただいております。それから、職員組合とも協議を重ねております。一方で、最近の、去年からやや異なったかなと思っているところは、一つは閣議決定の要請がございましたし、その後の官民比較等に関する国会における議論あるいはマスコミの論調等が、今の百人規模というものをもう少し下げたらどうかという論調が非常に多いような気がいたしております。

 したがいまして、少なくとも調査においては五十人規模まで下げますけれども、実際にこれから給与勧告の際にどの程度の企業規模にするかにつきましては、今後十分検討させていただきたいと思います。

福田(昭)委員 マスコミに左右されちゃだめですよ、総裁。マスコミの給与は高いんですからね、全然。そのマスコミが下げろ下げろと。とんでもない話ですよ。そんなことに左右されてはいけないと私は思います。

 それでは次に、地方へのさらなる税財源の移譲についてお伺いをしたいと思います。

 過日の経済財政諮問会議において、これは私を初め地方の皆さんがびっくりいたしておりますが、竹中総務大臣が、交付税をあと六兆円は削減可能だ、こういう発言をしたという報道がございました。このことは本当なのかどうか。また一方では、いや、五兆円の税財源移譲もするんだ、こういう報道もございましたが、これも本当なのかどうか。そして、五兆円を税財源移譲するならば、それは何をもって移譲するのか。その辺をお伺いしたいと思います。

伊吹委員長 竹中総務大臣。真意をしっかりと説明してください。

竹中国務大臣 真意をお話しする機会を与えていただきましてありがとうございます。

 御指摘のような、六兆円の交付税削減が可能という話をしたというような報道は承知しております。しかし、これは諮問会議での話でございますから、議事録を読んでいただきましたら、そうではないということは明快に御理解をいただけると思います。

 先般、諮問会議で御議論させていただきましたのは、それぞれ成長率が三%、四%の場合、そして歳出削減がこのペースで進む場合、横ばいの場合、歳出が伸びる場合等々、八つのケースを想定しまして、国と地方の、これは成長とともに税収もふえてまいりますが、どの程度の収支改善が二〇一一年までに可能か、そしてプライマリーバランスの改善が見通せるかということの機械的な試算を出させていただきました。これは八通り出させていただいたというのはそのとおりでございます。

 それについて、その中の地方の収支の改善幅をとらえて、あるメディアが交付税の削減が可能というような報道をしたわけでございます。しかし、これはまさにこれからいろいろな議論をしていく中での一つのめどを議論するための機械的な試算として、国、地方の収支の改善がどのくらい期待できるかということの試算を示しただけでございますから、それをもって交付税削減が可能とか、それは全く違います。

 これは福田委員ともいろいろな場で御議論させていただきましたが、交付税というのは、要するに中間的な支出です。地方が社会保障、公共事業、いろいろなことについて歳出をできるだけ切り詰めなければいけないというのは、これは恐らくそのとおりだと思いますが、その歳出と歳入の差に当たる交付税について、中間的な支出をいきなり削減の目標にするなどというのは、これは政策論としてはあり得ない話である、これは重ねて私自身が申し上げているところでございます。そういう政策論をしているということをぜひ御認識を賜りたいと思います。

 そして、税源移譲に関しましても、これはかねてから不交付団体をもっとふやせという議論がございます。それについても、単純に不交付団体をふやす、何%にするということをやる場合には、これは当然交付税のかわりに地方税が入ってくる仕組みでなければなりませんから、今の仕組みを前提として考えるならば、これは、例えば二十万人以上都市の半分を不交付団体にするならば、たしか五兆円だったと思いますが、そのぐらいの数字が出てくるということを、これも今後の議論のための一つのめどとして、機械的な試算として御報告をさせていただきました。

 交付税をどうするか、税源移譲をどうするか、これはまた極めて高度な政策判断でございますから、そんな単純な議論ではございません。そういう議論をきちっと諮問会議ではしておりますので、ぜひ議事録等々を御参照いただきながら真意を御理解賜りたいと思います。

福田(昭)委員 私も竹中大臣とは今国会で三回やり合って、交付税削減ありきではやらないという発言を、三回答えをいただいているわけでして、きょうは四回目だと思っていますので、しっかりとやっていただきたいと思っています。

 それでは、そろそろ時間がありませんので、最後にちょっとお話をさせていただいて、終わりにしたいと思います。

 実は、行政改革推進本部を設置するというのは五年と書いてあるんですよね。私は五年じゃ足りないと思っています。少なくとも十年間本部を設置してしっかりとやっていかないと、この日本の国の改革はできないと思っています、基本的に。しかも、法律の中身を見ても、総人件費改革も十年後を目標にしているし、資産の処分も十年後を目標にしているものもあるわけですね。特別会計などでも十年後を目標にしているものがある。そうした中で、行革本部を五年しか置かないというのは、これは本当にやる気があるのかな、こういうふうに思います。しかも、この行政改革と歳入歳出一体改革というのは密接不可分の関係にあるわけですよ。どちらも、両方を十年計画でやる、それぐらいの計画を立ててやらなかったらできないと思います。

 ほかの国の例を見ても、それは明らかであります。オランダのパートタイム革命、これは十五年かかりました。イギリスのサッチャー改革、十八年かかりました。ニュージーランドの改革も十年以上かかっております。小泉総理はまだ、やったといっても、たった五年です。あと少なくとも五年、とにかく十年以上やらなかったら、とてもとてもできません。

 もう時間がないからお答えは要りませんが、これは民主党政権でやるということを宣言して、私の質問を終わります。

伊吹委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、いわゆる行政改革推進法案につきまして質問させていただきたいと思いますが、この法案を勉強させていただきまして、まさに総理がおっしゃるとおり、この小泉政権の最後を締めくくるにふさわしい法案だなというふうに思いました。

 いや本当に、中身を読んでみますと、公務の本質を外している、公務とは一体何かということを外した、的外れなことがいっぱい書いてあるな、あるいはまた、分権の思想も何もない、国の仕事の責任を放棄するだけだというようなこと、あるいは、今法案を審議している最中なのに総理がいろいろなところで削減の話をするなど、これはやはりその辺の整合性もとれていないというようなことで、小泉政権の五年間を象徴するにふさわしい法案を出してきたものだと、まさに看板倒れと言わざるを得ないというふうに思っているところであります。

 本来であれば、これは総理に直接お話をしたかったわけでありますけれども、きょうは、中馬大臣を初め関係大臣の皆さんに、このあたりについて少しく議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、私、先月三月三十日の朝でありますけれども、三時半ぐらいに目が覚めました。朝目が覚めると、新聞が来ていないときはすぐネットでニュースをチェックするというのがいつものことでありますが、そこで、先ほどの竹中大臣に私どもの福田委員が質問した交付税六兆円削減という朝日新聞のネットニュースを見まして、もう愕然としまして、手足がわなわな震えまして、これは日本の国がつぶれるというふうに思ったわけであります。

 その真意は違うんだということを先般自民党の何かの会議でも、あるいはきょうも公式に御発言をいただきましたので、それは違うということはわかりました。だがしかし、ああいうような記事にされるような発言をするということは、相当にやはり注意をしなければいけない。

 昨日、私は栃木県宇都宮市で講演がございましてやっておりましたら、講演が終わった後に会場から手を挙げた自治体関係者が、ぜひともあの六兆円について質問してくれ、あんなことをされたらもう我々は大変なことになると悲鳴にも似た声が上がるわけでありますので、自治体の関係者が今、あの発言が見出しになっただけでどれほどの思いで日々過ごしているかという、その現場の大変な思いというものを踏まえて、今後の発言あるいは会議の進め方というのに留意していただきたいと思いますが、いかがですか、竹中大臣。

伊吹委員長 竹中総務大臣、もう一度真意を説明してください。

竹中国務大臣 逢坂委員には私の真意は御理解をいただけたということかと思います。その上で、そういうことの記事が出ないように注意をしてくれということに関しては、これは私も十二分に注意をいたしますが、しかし、とにもかくにも何か議論をする際にそのようなバイアスがかかった記事を書こうとする、そういう議論が出るということは、これはちょっと私一人ではとめられない面もございます。これは、日々、当然のことながら注意をして、そのときも非常に慎重な発言をしているわけでございますけれども、それでもおもしろおかしく議論が展開されるということは残念ながら間々ございます。

 引き続き、私なりに一生懸命注意をしながら、しかし真意を御理解いただけるように努力をしてまいりたいと思います。

逢坂委員 竹中大臣、地方の実態を踏まえて、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 さてそこで、いよいよ法律の本題に入っていきたいと思いますが、まずそもそも論ですね。今回のこの法案、いわゆる行政改革推進法の第一条から第二条にかけてのところで幾つか御質問したいと思います。

 まず、中馬大臣、第一条に簡素で効率的なというような言葉がございます。それから改革という言葉がございますけれども、これは具体的にはどういうことを指しているか、特にここの法律が意図する改革というのは何なのかというところを簡潔にお知らせ願います。

中馬国務大臣 戦後これまで日本は、あの焼け野原から欧米先進国に追いつき追い越せという中で、官がかなり強い力を持って、権力と資金を集めて中央集権的に進めてきたことは御承知かと思います。そうする中で、もうその時代は過ぎて、逆にそれがありますと民間の活力を発揮するにも非常に制約が出てきたり、あるいは、いろいろと肥大化したままでこれがなかなか縮小されない。しかも、人口減少社会に入っていく中で、もうそろそろかなりの部分は民間に移せるのではないか。その大きな、官から民への仕事の移管の問題がございます。業務の移転の問題もございますね。それから、もちろん中央から地方へという流れもあります。

 そうすることによって、公務員の数は、結果的にお役所というところは、これは本当に企画立案、そしてまた国がどうしても守らなければいけない基準をつくったりすることに特化されてくるわけでございまして、それ以外のことはかなり民間に任せられるのではないか、こういう一つの大きな流れの中での改革でございます。その結果、こうした形でそれがなし遂げられたときには効率的で簡素な政府ができていく、このように私たちは認識した上でのこの法律だ、このように認識していただきたいと思います。

逢坂委員 大体これまで話されていること、官から民へ、あるいは分権という話もされました、中央集権という話もされましたが、この法律の最初に、喫緊の課題である、大至急やらなきゃならない課題なんだということが書いてございますが、この喫緊の課題だという理由はなぜなんでしょうか。この点については、財務大臣と中馬大臣、お二人にお伺いをしたいと思います。

中馬国務大臣 今言いましたように、国際的な問題もございますし、それから人口減少が始まってまいりました。早くしないと大変な国民負担に、それぞれの負担になってまいります。それと、今は少し景気もよくなってまいりましたけれども、不況の中でもっとそれぞれの地域や個人や企業に大いに能力を発揮してもらいたい、こういったことも私は喫緊の課題だとした意味であろうかと思います。

谷垣国務大臣 私は、いろいろなことを考える背景に、人口減少に日本が既に入っているということと、グローバル化に伴いまして中国やインド等が非常な勢いで発展している、その中で日本が存在感を維持するためにはどうしたらいいかという、二つの課題があると思っているわけですが、それが行革の背景にもあるんだろうと思います。

 そこで、喫緊の課題というのはどういうことかといいますと、今、中馬大臣がおっしゃったことでございますが、私の仕事でいえば、非常に財政の状況が悪い。このままでいけば、少子化、人口が減っていく社会にたえられる財政の姿ではない。また、財政が悪いということになると、人の気持ちに水を差して、世界のこういう競争といいますかグローバル化の中で、日本自体の足場もなくなってしまう。そういう中で、働き手は団塊の世代が引退をして、働き手の数、支え手の数が少なくなるというと、この体質、特に財政の悪い体質を改めるのはまさに喫緊の課題である、急がなければならない、時間に余りゆとりがない、こういうことではないかと思っております。

逢坂委員 中馬大臣、谷垣大臣、お二人の言うことはよくわかるわけでありますけれども、後段で谷垣大臣が財政の話をされましたが、こういう状況を引き起こした原因というのはどういうふうにお考えでしょうか。財政の悪い状況、こんなふうになってしまったんだ、もう喫緊の課題である、それに今もう大至急対応しなければいけないんだ。

 こういう状況を引き起こしたというのは、なぜこんなことになったんですか。財政というのは、朝起きてみたら急に悪くなっているものではないはずであります。徐々に徐々に悪くなっていくものであるはずですが、なぜこんなことになったんですか。

谷垣国務大臣 これもいろいろな考え方が可能だと思いますが、私は、長期的に見れば、あの高度経済成長の時代あるいは人口がふえていく時代、いわゆる右肩上がりの時代に、非常に日本はうまくいった。そのときの、例えば税金の使い方といいますか金の回し方といいますか、そのときに最適であったものが後々に必ずしも最適であるわけではない。そこのところの見きわめが十分でなかったということが背景にあるだろうと思っております。

 もう少し短期的にいいますと、やはりバブルがはじけて新しい体制をつくらなければならなかったわけでございますが、その中で税収が減った。それから、やはり景気が悪くなってきて、景気の底が割れるのではないか、デフレスパイラルに陥るのではないか、そういう中で思い切った減税等々もやり財政の下支えをした、そういうことのツケが公債の残高という形になってきている、こんなふうに考えております。

逢坂委員 ということは、バブルがはじけてもう十年以上たつわけでありますから、この十年余り全く対応を間違ってきたということなのではないかという気もしないでもないんですね。

 私、自治体の現場におりまして、自治体の現場では、歳出をいかに減らすかということはもう十五年も前から、あるいはもっと前から一生懸命やっておりました。特に、平成に入った初めのころですか、地方単独事業費なんというものは、自治体で、できる、できないは自主的に判断させてほしいという言い方をしたのですが、そうではなくて、国の計画がたくさん予算を抱えているんだからそれは消費しなきゃいけないということを、ある種無理強いをされた時代もございました。こういう時代のことは谷垣大臣御存じないかもしれませんが、これはいかにも、この十年、二十年余りの財政運営が野方図だったということの結果。

 しかし、その結果、中身を十分吟味もせずに、今、喫緊の課題である、だから行政改革が必要なんだというのは、余りにも私は虫がよ過ぎるのではないかという気がするんですが、中馬大臣、いかがでしょうか、この法案の担当大臣として。

中馬国務大臣 もちろん財政的な要請もございましょうが、私が冒頭に申し上げましたことがやはり国民的な課題として喫緊だ、このように理解しております。

逢坂委員 私はそういうことを聞いたのではないんですが、ここでお答えになっていただくのはいろいろ難しいこともあると思います。

 次に、第二条中に透明性の確保という文言がございます。これは非常に重要な言葉ですね。病気の患者さんを診察する、診断する、実態がわからなければ治療の方針は立てようがございません。この透明性の確保、今、日本が大変な状況に来ているというのは、財務大臣、中馬大臣のお話でよくわかるわけですが、この透明性の確保というのは具体的にどう図るおつもりですか。

中馬国務大臣 これは、こうした改革を進めるには、国民の理解がなければ、協力も含めてなければ、なかなかできません。そういうことから、これは国民と一体になってやろうといたしております。

 そのために、具体的には、政策金融改革におきましては、新政策金融機関の経営内容に関する情報の公開を徹底することを、新政策金融機関のあり方の一つとして第五条で掲げさせていただいております。また、特別会計改革におきましては、これは第十七条でございますが、その経理の明確化を目的に掲げるとともに、特別会計に係る情報の開示等のために必要な措置をとることとしております。これは第十九条第一項、第二項で規定をいたしております。さらに、国の資産及び債務に関する改革においても、財政運営に関する情報を積極的に公表するとともに、これは五十八条第二項です、貸借対照表などの財務書類の整備を促進することとしております、第六十条です。

 これらの改革を通じまして、政府に係る諸活動の透明性のより一層の向上が図られると同時に、国民の御理解、御協力が得られることの担保といたしております。

逢坂委員 透明性の確保というのは、私は、もっと当たり前のことなのではないかという気がするわけですね。法の条文に書いてあるからそのことをやるというようなものではなくて、そもそもきちんと明らかにするんだという基本姿勢を持たなければいけない。そうしなければ、せっかく改革をしても、やはりまたモグラたたきのようになってしまう。

 午前中の質疑の中でも母屋と離れの話がありましたが、どうも最近は母屋と離れ以外に地下室もあるようだということでありまして、多分、私は、地下室以外に今度は別荘も出てくるような気がするんですね。ですから、この透明性の確保というのは、単に条文に書いてあるということだけではなくて、もっと政府を挙げてがっちりと実態を明らかにするんだということを、その方針を明確にする。

 なぜ私がこんなことを言うかといいますと、私はこの永田町に来ておよそ二百日が経過をいたしましたが、具体的な情報は、霞が関の皆さん、ほとんど全く出そうとしない。これには本当に恐れ入る。こんなことで改革ができるのかと。公務員の実数、定数、それすらわからない。先ほど大臣が復帰可能性のある公務員という話をされましたが、そういう話についても、では復帰可能性のある公務員は何人いるんだと言っても、具体的には出そうとしない。いや、それはそれぞれの地方支分部局でやっているとか、それぞれの局だと。

 こんなことで改革できるんですか。このあたりの強い決意を、これはこの法案を仮に通すにしても、そこのところがなければ実効性が担保できません。いかがですか。

中馬国務大臣 もちろん、これは政府の取り組む姿勢ではございますけれども、同時に、これは院が国会として大いに行政をチェックしていただきたい。そういったこともひとつ含めて、これからこの法案の趣旨に照らして、国民が一致して頑張っていけるような、一つの今後の改革に持っていきたいと思っております。

逢坂委員 本当にそれでいいんでしょうか、今の姿勢で。院がチェックをしていただきたいというふうに言いました。院がチェックできる仕組みなんですか。

 例えば、今通常国会の冒頭に出された平成十七年度の補正予算、四兆五千億円に及ぶものでした。例えば、あの子細にわたる積算資料を出してほしいとお願いして、子細にわたる積算資料なんか一向に出てきやしない。大項目だけで一千五百億とか八百億とか、それで予算審議をしてくれ、こんなものは、一般国民の感覚からしてみると、言葉は少し過ぎますが茶番ですよ。物を見せないで判断しろと言っているようなものじゃないですか。もっとそこのところに踏み込んだ、霞が関の官僚に対しても、もっと資料を出せ、もっと情報を明らかにするんだという姿勢を示していただきたい。それがなければ、これは出発点が全くだめですよ。

中馬国務大臣 私どももこうした諮問会議等の席にも出ておりますけれども、そうした中で、民間議員ともどもかなり役所に強く迫っていることもひとつお伝えをしていく次第でもございます。なかなか歯がゆいところがあるお気持ちは私どもも共有するところがありますけれども、これはひとつ、大きな改革、これこそ国民のこの改革を願う気持ちも私たちの後ろについているということも御認識をちょうだいいたしまして、この改革だけはなし遂げたい、このように思っております。

逢坂委員 いや、それが担当大臣の発言だとするならば、国民は何とも心もとない。担当大臣ですら実は情報をつかむために苦慮しているという今の御発言でありますけれども、一体こんなことでこの国はいいんですか。もう少しこの点については真摯な姿勢を持って明快にやらなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 さらに一言、お願いします。

伊吹委員長 中馬国務大臣、決意をしっかりと述べるように。

中馬国務大臣 今回のこの改革は、前回の、あの国民の大きな、改革を進めるべしという期待を担っておるわけでございまして、これを背景として、私どもも強くこの改革をなし遂げてまいります。

逢坂委員 先ほどの答弁はそのまま議事録に残るかと思うんですが、やはりそういう実態があるということを政府・与党、大臣としてもお認めにならざるを得ないというのがこの国の病巣の根幹にあるというふうに思っております。うなずいていただきましたので、ぜひともこれはがっちりとやっていかなきゃいけないというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、もう患者の診断ができないことを前提にしてこの法案はあるんだということだと私は思いますので、もしそうでないとするならば後で御訂正願いたいと思いますが、この第二条の中に、仕事の仕分けということが書いてありまして、その検討を行った上で改革が行われるというようなことが理念として書いてあるわけですが、この検討のスケジュール等具体的なことについてお教え願えますか。

中馬国務大臣 この法案におきましては、基本理念及び総人件費改革、特別会計改革、市場化テストなどの各改革分野において、事務事業の仕分け及びそれを踏まえた検討を行う、このように規定をしております。

 仕分けの具体的な作業は各改革を具体化する過程で行われるものでありまして、例えば総人件費改革については、民間人から成るいわゆる有識者会議の意見も踏まえながら、事務事業の要否や実施主体の仕分けについて検討を行い、遅くとも六月ごろまでに、行政改革推進本部の議を経て政府としての方針を決定することといたしております。

逢坂委員 いずれにしても、その検討を行った上でやるということでよろしいんでしょうね。よろしいですか。

 それで、今回の改革でありますけれども、要するに、先ほどの答弁でもありましたとおり、官の仕事を民に移すというのがこの改革の根幹部分の一つであろうというふうに思うのですが、果たしてそれで行政改革と言えるんでしょうか。官が行うべき仕事というのは時代や分野や場所によっていろいろ変わってくるとは思うのですが、本来官が何をなすべきかという議論をせずに、ただ単に今ある仕事を民に移してさえいけばそれは改革であるというのは、どうも私は改革には思えないのでありますが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 何度も申しておりますが、今回の改革は、お役所の仕事を民間に移していくというただ形だけの問題ではなくて、役所が担うべき仕事は企画立案、あるいは一つの大きな、国がやるべき基準をつくって、その実施主体はもちろん民間でも地方でもということでございまして、そういうことからいえば、委員の御質問の趣旨は十分心の中に入っていると思います。

逢坂委員 私の質問の趣旨が十分心の中に入っているという答弁をいただきましたが、であるならば、単に国の仕事の仕分けをして民に移すではなくて、もっと、政府や自治体が本来行うべき仕事、公務とは何だ、政府のあり方とは今の日本のこの社会においてはどうなんだということを議論することが先決だと思うのですが、そうではないんでしょうか。

 第二条の書き方なんですが、私、これは提案ではありますけれども、整理、仕分けを踏まえた検討を行った上で政府が本来果たすべき役割をしっかりとさせるというのが実は前提なんじゃないでしょうか。しかも、その前にさらにあるのが、先ほど私が言った透明性を高めるということですよ。仕分けをして単に民に移すということだけではうまくいかないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 今申しましたように、ただ形として移すということではなくて、役所がやるべき仕事は、もう先ほどから何度も申しておりますように、一つの大きな基本を決めたり、そしてそれを実施する。外交、防衛といったものも含めて、国の担うべき仕事をしっかりとした上で、あとのものは任せていくわけでございますから、それが国と地方であったり、国と民間である、この仕分けといいましょうか、これはもうはっきりしているんじゃないかと思います。

 地方の担うべき役割につきましても、これまた市場化テストとか、あるいはいろいろな公益法人の中で、どんどんと民間の方で手を挙げていただきまして、一つの公共サービスを担っていくということも十分に今度は可能になってまいるわけですから、こういったことが今度の大きな改革の意図だと御理解ちょうだいいたしたいと思います。

逢坂委員 どうもやはり本質が外れているというふうに、私は何度答弁を聞いても思わざるを得ません。

 もうかれこれ二十年も時間が経過いたしましたけれども、国鉄がJRに分割・民営化されました。これは、国鉄の当時の状況を思えば、法人、組織としてのあり方、これをあのまま放置しておいたのではもう倒れてしまうということで、分割・民営化という道をとらざるを得なかったのだというふうに私は理解をしておりますが、そのときに公共交通機関の果たす役割というものを十分議論し得たかということでありますけれども、残念ながらそこは十分な議論はなかった。まさに国鉄が、日本国有鉄道が会社として立ち行かないということを最大の制約条件として分割・民営化をする。その際に、どういうサービスを提供するかについては市場に任せるという結論だったわけであります。

 その結果、今全国で何が起きているか。もう随分前のことだから余り議論をする人もいなくなりましたが、地方の交通路線はもうずたずたであります。北海道においては、本当に行きたくても行けないところがたくさん出てきた。先般私どもの同僚議員のお父さんが亡くなって、旭川の北の和寒というところで葬儀が行われた。旭川空港までは東京から行けた、でも、そこから先はJRでは行けない、そんな状況になっているわけであります。

 今回の行政改革も、本当に政府が税でなすべき仕事は何かということをちゃんと考えてやらなければ、同じような状況が五年後、十年後に生まれやしないか。そのときに、あのとき国会でつくったのは政府の責任放棄法ではないかというふうに言われるようなことがあっては私は大変だと思うのですが、いかがでしょうか。

中馬国務大臣 私は、国鉄民営化の議論の中、実際にそこにもずっとタッチしておった一人でもございます。しかし、今、あれを民営化せずして、地方交通線、地交線と言っておりましたが、こういったものを全部残したらどういう状況になるか、もう一々ここで挙げるまでもないと思います。

 当時からもう言われておりました。それを例えば残したとしても、もちろんほとんど利用される方がないわけです。ほとんどの農家は車を二台、三台お持ちでございまして、そしてまた、車を運転できない人はどうするんだということも、もちろん御議論としてはありましょう。しかし、そのときには地方自治体がそれなりの福祉サービス的なこともするということが一つの前提でございました。

 そういうことの前提の中で、あの大きな国鉄という、言えば無駄をこうしてなくして、四十万人近くで動かしておったものが今十数万人で動いて、そしてある意味では非常に効率のいい今のJRになっているわけでございまして、そういうことの御理解なしに、ただ一部の地方のローカル線のことだけを取り上げられてこれがおかしいと言うのは、いかがなものかと私は思います。

逢坂委員 私はそういう話をしたのではありません。線を全部残せなどということは一言も言っておりません。公共交通機関の果たす役割というものをしっかりと考えた上で吟味、議論されるべきであって、会社のあるいは当時の日本国有鉄道の財務状況だけを一つの大きな制約条件にして物事を進めるということは問題が多い、それと同じ構図が今回の行政改革に見てとれはしないかという指摘をしたのでありますので、お間違えのないようにお願いしたいと思います。

 さてそこで、総人件費改革に話を移していきたいと思いますが、時間があれば本当にあしたの朝までもやりたいぐらい、私はこの法律は悩ましくて悩ましくて、もう寝るに寝られない法律なのであります。四十二条の第一項中に人件費総額の削減ということが書いてありますが、この四十二条第一項に定める人件費総額、これだけで、中馬大臣、今回の国が目指そうとしている行政改革の目的は達成できるんでしょうか。

中馬国務大臣 人件費だけで改革の目的が、できるとは言っておりません。人件費を切り口として、その構成要素である定員の数と給与の額に着目して、その改革の方向性を示した次第でございます。国家公務員の五%純減などを通じまして、全体として実効ある改革がなし遂げられるものだ、このように確信いたしております。

逢坂委員 人件費だけでという私の質問の意図は、実は、この四十二条の第一項にある人件費の総額の削減という人件費の中には実は含まれていない、人に払っているいろいろな対価があるのではないかということであります。

 それも守備範囲にしなければ、先ほどの母屋、離れ、別荘の話でありますが、要するに、外へ外へと押しやってしまう。母屋の人件費だけはきれいにしました、だけれども離れでは人件費という名目ではない形でお金をもらっている人がいる、別荘へ行ったら運営費交付金で人件費を賄っている、それは人件費でないというようなことになる可能性もある。その点において、この四十二条の規定は甘いのではないかということであります。いかがでしょうか。

中馬国務大臣 委員は、非常勤職員、こういったことも対象にするべきでないかという御趣旨のようでございますが、非常勤職員の勤務とかこういったものは、審議会の委員から事務補助職員までさまざまでありまして、職務の内容に応じた管理が必要であることから、行政改革推進法の対象とはいたしておりません。非常勤職員等への支給は各府庁の予算の範囲内で個別の業務の必要性に応じて行われておりますから、この業務についても無駄の排除の観点から不断の見直し等を通じて適切に対応されるものだ、そういう判断でやらせていただいております。

逢坂委員 非常勤のところは多様性があって、あたかも、それは大変で手がつけられないからやらないというふうにしか聞こえないのでありますけれども、そういうところも実は先ほどの透明性という観点からいうと明らかにして、きちっとしたことをしていくのが私は大事だというふうに思います。

 さて、そこで、四十二条の第二項であります。GDPの関連の話を先輩議員もしましたが、GDP比二分の一に、平成二十七年、人件費総額をするんだということでありますが、これは趣旨としては、中馬大臣、人件費をある種GDPと呼応させる、連動させる、大まかに、大きな方向として、そういう発想としてとらえてよろしいでしょうか。

中馬国務大臣 国の担う役割の中で、こうした公務的な人件費というものの考えでいいかと思います。

逢坂委員 その点がやはり私はこの法案の方向性の大きな間違いだという気がするわけですね。公務、公共サービスというものは、果たして経済活動に比例するんでしょうか。逆じゃないでしょうか。

 経済活動が盛んなとき、調子のいいときは、どちらかといえば役所はそんなに手を下さなくても、いろいろなことが自律的に民間の力で、個人の力でやっていけるんじゃないでしょうか。経済活動が衰退していく、なかなか地方も国も大変だというときにこそ、政府が手を差し伸べなければならない分野の割合が高くなるんじゃないでしょうか。それが公務というものじゃないでしょうか。

 公務というのは、ある種、緩衝材の役割を果たしている、バッファーであります。そういう考え方を持たずして、単に経済の多い少ないによってサービスを提供するのであれば、公務の存在意義はどこにあるんですか。

中馬国務大臣 すべて公務は公務員がやるということでは私はないと思いますね。こうして、基本的なことだけはもちろん公務員が責任を持ってやりますけれども、それ以外の公務サービスの方は地方に、あるいはまた民間に、ボランティア的な要素も含めて私は移管していくのが成熟社会だと思っています。

 そういう意味では、しておりますけれども、しかし、今おっしゃいましたような長期的な目標として何を置くかにつきましては、この十年先に、今の人件費、たまたま一つの、国の規模をあらわしますGDPに比べて、半分ぐらいは減らしましょうじゃないか、もちろん、こうして例の郵政の方も民営化されるわけでございますから、そういうことを含めた一つの目安としていただいているわけです。

逢坂委員 ここでも誤解があるようでありますけれども、私は、公務をすべて、いわゆる公にかかわる分を全部公務員がやれというふうに言っているのではありません。

 このGDPとの連動という観点において、経済が小さくなっていったときに、先ほど中馬大臣も、基本的に公務が担う役割があるというようなお話をされましたけれども、そこの部分は変わらないのではないですかということなんです。そういう、安定的にやらざるを得ない分野がもし仮にあるとするならば、これは単純な話でありますけれども、経済の規模の大小によってもその部分は変わらないとするならば、経済の規模が小さくなったら公務が果たすウエートが相対的に大きくなるということの方が実は公務の本質をついているのではないかということであります。いかがでしょうか。

中馬国務大臣 逢坂委員は、地方自治体の長も御経験になったはずでございます。地方はまさにそういうことでございまして、ほとんどのことを、昔は、いわゆる村落共同社会のころには幕府から補助金をもらってやっておったわけじゃありません。すべて村の人たちがボランティアで、自分たちの村の話し合いの中でやっておったわけでございまして、そういう一つの、それぞれが責任を持った形に持っていこうとする中で、何か小さくなったり貧しくなったりすると全部公が役割を果たさなければいけないというのは、私はちょっと考えが及びません。

逢坂委員 私はそういう話は一切しておりません。

 私の経歴も御存じだと思うので言いますが、私のかつて勤めていた町でも、図書館の管理も役所が手放し、これは町民の方にやっていただきとか、道路の維持管理、除雪も、国がいわゆる外注だとかアウトソーシングだとか市場化テストと言う前に、既にもうそれはやっているわけであります。

 だがしかし、本来、やはりそぎ落としてそぎ落として残っていったときに、公務というものが担うべきものがあるだろうということなんですね。それを考えてみたら、公務員の給与の総額をGDPに連動させるというのは、実は、公務員の給与などというものはGDP逆比例じゃないかとすら思うんですが、いかがですかということです。だから、公務員が全部やれということを私は言っているんじゃないんですよ。

中馬国務大臣 何度も申しますように、これと連動してそのとおり減らせと言っていることじゃないんです。あくまで長期的な目標として、今これだけの規模があるのであれば、それをこのぐらいは一つのまずは目安にしようじゃないか。短期的なことでは具体的に五年五%という、そしてまた、それぞれの重点事項につきましても、具体的なことまでも今検討課題に入っているわけでございます。しかし、その先はもうそれで終わりかということになりますと誤解になりますので、国民的な一つの目標であり、目安として十年後の姿を御提示しているような次第でございます。

逢坂委員 やはりこの法律を基本的に担う根っこの部分の発想というものの大きな違いがある、これがやはりこの五年間の小泉改革に対する多くの国民の違和感ではないかと私は思っております。

 いずれにいたしましても、ちょっと次の話題に行きたいと思います。

 実は、先般、六日の日ですか、これは新聞報道ですが、小泉総理が公務員の削減について、北海道開発局の職員を少なくとも二、三割は必ず純減するようにまとめてほしいと指示をしたというような話が新聞記事に載っておりました。総理はこんなことも言っているんですね。「開発局ぐらいは五%以上の大胆な削減策を出して党が賛成するならばこれはおもしろい」。この発言には私は驚くわけでありますけれども、「開発局ぐらいは」「おもしろい」と。

 きょうは総理がいないので、こんなことで血圧を上げても仕方がないのでありますけれども、この点について国土交通省の北海道局長に、こういう発言というのは、実際受けて現場では対応可能なんですか。どういう実態になっているのか、お話し願いたいと思います。簡潔にお願いします。

伊吹委員長 国土交通省吉田北海道局長。簡潔に、遠慮なく答弁してください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 北海道開発局の定員につきましては、昭和四十年度のピークに比べまして約半分に減少するなど、スリム化に努めてきたところでございます。また、三月二十二日の行政減量・効率化有識者会議におきましては、地方整備局における民間委託状況等も勘案しまして、約四百人程度の削減を行うとの見直し結果を御説明したところであります。さらに、有識者会議の中間取りまとめを踏まえまして、現在、民間委託の拡大、組織、業務処理体制の見直し等の検討を進めております。

 北海道開発局では、積雪寒冷地であり広域分散かつ低密度な北海道におきまして、大規模な災害から国民の生命財産を守ること、全国的な視点から道路や港湾による基幹的なネットワークを構築、管理すること、さらには安全、安心な食料の安定供給を図ることなどの国の基本的な責務を踏まえまして、基幹的な社会資本の整備、管理を実施しております。

 国の機関としまして、北海道の特性を踏まえ、このような責務や使命をしっかりと果たしつつ、行政のより一層の簡素、効率化に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

逢坂委員 北側国土交通大臣、今の北海道局長の発言、それから総理の発言を受けて、どのような感想をお持ちになられますか。

北側国務大臣 総人件費改革の実現に向けまして、国家公務員の純減というのは重要課題だというふうに考えております。それはもう北海道開発局に限らず、すべての業務について効率化をしていかなきゃいけないと考えております。

 その際、行政減量・効率化有識者会議というのがありまして、そこで中間取りまとめがあるんですが、それを踏まえてしっかりやっていきたいと考えておりますが、ただ一方で、今局長が申し上げましたように、北海道には北海道の特性がございます。北海道以外の例えば整備局と単純に比較することはいかがなものかと私は考えております。

逢坂委員 現場の声を聞くと、頭ごなしに二割、三割と言われても困るというようなことだというふうに私は思うのですが、中馬大臣、これも、先ほど私が指摘した第二条でありますけれども、整理等の仕分けを踏まえた検討を行った上で、やはりちゃんとした数を出さなければいけない。そういう検討も行わずに、一方的に二割、三割というのは少し暴論ではないですかという気が私はするわけであります。

 にもかかわらず、中馬大臣はこんな発言をされているんですね。「「首相が数字を出したのであれば、純減計画の推進に大いに役立つ。国交省に対する大きな具体的な指示と考えられる」との認識を示した。」これは北海道新聞、四月七日の夕刊、全道版に出た言葉でありますけれども、これは一体、今この法律を審議して、提案している担当大臣の発言ですか。この法律をないがしろにする発言じゃないですか、どうですか。

中馬国務大臣 これは今、有識者会議の方々が、それぞれのこうして項目までも挙げて、ちゃんと項目は、これはもう閣議決定もしております。その中の一つに北海道開発局も入っております。そうする中で、すり合わせしている中で、これはなかなか思う数字が出てこないといったことも聞いておりましたがために、総理がこういう御発言をされたかどうかは私は新聞情報でしか知りませんが、しかし、このようなことが一つ、役所の方と有識者会議の方々のすり合わせの中で、私はかなりバックアップの力になるなという率直な意見を申し上げただけでございます。

逢坂委員 いろいろなところからいろいろな声があるようでございますけれども、雑音は少しおいておくといたしまして、私と大臣との話でございますので。

 これはやはり、法律を今示して、これを議論して、法にはいろいろな手続、プログラムを書いている。しかし、それを飛び越えてないがしろにするような発言をとらまえて、いや、それは自分にとってもよいことになるかなというような、具体的な数字が出てこないからよいことになるかなというような発言は、これは法の議論そのものを、じゃ、やらなくていいということになりはしないですか。やはり、その辺には十分な配慮が必要だと私は思います。いや、大臣、よろしいです。

 さてそこで、もう時間もございませんので、谷垣大臣と中馬大臣に、税というものについてどういうふうに考えるかということをお伺いしたいんです。

 これは私の財布、手帳なんですが、手帳に千円札が入っておりますが、千円、日銀券でございます、千円札が入っておりますが、この私が持っている千円と税の千円との違いというものをどうとらえるかということですね。このあたりについてどうお考えでしょうか。すなわち、税が果たすべき役割、税の実現すべき役割というのは何かということについて、御見解をお聞かせ願いたいと思います。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。北海道同士で対話しないように。

谷垣国務大臣 大変難しい質問をいただいて、今示された千円札と国庫にあります千円と何が意味が違うかと、ちょっとどうお答えしたらいいかわからないんですが、結局、税というのは、特別の対価を払わなければいけないというものではないんですね。国が必要なあるいは自治体が必要なサービスを提供するためのその費用として、特別な対価なしにいただくというものであります。しかも、権力をもってそれを徴収するということができる、それが一番の特徴ではないか。そういう意味で、今委員の財布の中に入っておられたものを使われるときは必ず対価性ということがあると思いますから、その違いがあると思います。

逢坂委員 まさにそうだというふうに私も思うわけですね。払ったお金と受けるサービスとの関係が明確でないのが税の一つの役割であります。すなわち、市場原理に支配されていないのが税の役割の本質の部分であります。ただし、その価値を実行するためには、市場原理を使って最大限の効率化を得るということが大事だというふうには思うわけですね。

 したがいまして、そういう観点からいうと、今回のこの行政改革法というのは、本当にその趣旨にのっとっているかどうかということは私は甚だ疑問というふうに言わざるを得ません。

 質疑の時間が終了いたしましたので、最後に何点か申し上げて終わりたいと思いますが、この法律は分権の精神も盛り込まれておりませんし、これはやはり、机上で考えた、現場を不幸にする法律ではないかというふうに思わざるを得ません。しかもこれは、これまでの一九五五年以降の政府・与党がやってきたことのツケ、それを明確にした、要するに自分たちはこんな悪いことをしてきたんだ、こんな結果になっちゃったよというようなざんげの法律じゃないかと。しかし、そのざんげをきちんとせずに、それを直すことを改革というふうに言っている。これはやはり問題があるのではないかなというふうに私は思っております。

 そこで、最後に、この条文を見て本当に国民の皆さんは納得すると思いますか。第四十七条の第一項第三号であります。「公共事業を担当する部局の事務の全体について、公共事業に係る事業量又は費用の減少に応じた減量を行うこと。」簡単に言いますと、公共事業が減ったら事務量を減らしなさいという条文なんですよ。すなわち、こんなことをこれまでやってこなかったんですかということなんですよ。

 公共事業が減ったら事務量が減るのは当たり前、それに応じてやっていくのが当たり前なのに、あえてこういうことを書かざるを得ないこの法案、ここにこの法案のそもそもの問題、一体今まで何をしてきたんだというところが、この条文を国民に見せたら本当にあきれてしまう、私はそんなふうに思います。

 ぜひとも、こういったことも含めて、本当の意味での改革が進むように私からお願いを申し上げまして、委員長、時間が延びましたけれども、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

伊吹委員長 逢坂君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、私は、公務員制度、公務という問題、あるいは公権力の行使ということにかかわる問題について質問したいというふうに思います。

 最初に厚生労働大臣に伺っておきますが、厚労省の方でもともとつくっていらっしゃる資料で、内閣府市場化テスト推進室が出した資料というのを見ましたけれども、要するに国民年金保険料の納付率の推移というものを、もともと厚労省でつくっておられるのを見ましたけれども、私この推移を見ておりまして、九〇年代、バブル崩壊後ですね、九五年の超円高不況までは大体八五%ぐらいの納付率でずっと推移してきているんですね。

 この超円高不況、一ドル八十円とか、あの不況になったときから、さらに、一九九七年の消費税増税など、九兆円負担増をかけて消費不況がずっと深刻になったときですね、このときに納付率がだんだん落ちていって、大体七二%ぐらいまでこれを見ていると落ちてきて、そしてその後、二〇〇一年のIT不況などと言われたときに大規模なリストラが行われました。それから、不良債権処理加速ということでリストラ、倒産、失業ということが済んだときに、本当に一年でどんと収納率、納付率が落ち込んで六二・八%と、そこからずっと推移しているわけですね。

 ですから、私、やはり考えてみると、厚労大臣、大企業がリストラをやれば、当然厚生年金から国民年金に移る、所得が減るものですから納付も大変になってくる、つまり、分母が大きくなり分子が小さくなるわけですね。それから、中小企業の方も、こちらはもともと国民年金であったとしても、倒産すれば納付が大変になってくると分子は小さくなってくるわけですね。分母が大きく分子が小さくなれば、これはだれが考えてみても納付率が落ち込んでくるのは当たり前のことでありますから。

 今度国民年金徴収分野についていろいろお考えのようですが、この納付率とか収納率の向上を考えるのなら、一番取り組まなきゃいけないことは、生首を切るとか賃下げを図るとか、正規雇用を減らして非正規のパートやアルバイトや派遣に、つまり賃金の少ない不安定なものに置きかえていくという、こういう企業利益第一主義といいますか、そういうやり方を抑えて労働者の雇用とか人権とか労働基本権をきちんと守る、そして、経済を立て直して国民所得が伸びていくようにしていく、そういう政策を進めるということが、これは政府として国民年金の収納率を考えた場合でも一番大事なことだというふうに思うのですが、厚労大臣のお考えを最初に伺っておきます。

川崎国務大臣 質問通告を受けていなかったんですけれども、たまたま次の重野さんの御質問でそういう質問を受けておりましたので、申し上げますと、一つは、七〇から六二、これは社会保険庁に移管されたときでありましょうから、半分ぐらいの理由が、免除制度を大幅に変更しております、したがって、それによって減ったというように考えております。

 一方で、経済の影響がどう出ているかということになりますと、実は、国民健康保険もやはり五%ほど落ちております。そういう意味では、この十年間、若者の雇用が厳しかったというのがこの数字に出ているということは事実でございます。

 したがって、私ども、若者の雇用をしっかりお願いしたいということで、先日も経団連に副大臣に行ってもらいましたし、十三日には日商の会頭ともお話をする。やはり雇用がだんだん改善されてきておりますので、まさにこの十年間、企業がリストラ等のことを行っていた時代、若者の雇用は大変厳しゅうございましたので、その問題に経済界も目を向けてほしいというお願いをいたしておりますし、また、総理も、若者ができるだけ正規雇用という形で進めていけという御指示もいただいておりますので、しっかりやっていきたい、そういう認識をいたしております。

吉井委員 若者の問題だけじゃなしに、中堅の皆さん方がリストラされて、要するに厚生年金から国民年金へ移っていった、分母が大きくなったわけですね。そして、分子の方は支払うことが大変となれば小さくなるわけですから、この点で、若者はもとより、すべての国民の、働く者の雇用とか人権とか労働基本権とか、こういうところをきちっと大事にしていくという、厚生労働大臣としての一番大事な役割を果たしていただくということが私は一番大事な問題だというふうに思っているんです。

 もちろん、悪意ある延滞とか滞納は論外として、普通の国民はこの不況で所得が落ち込んで払いたくとも払うことが困難だという人、これを、今度、国民年金法の改正の部分を見ますと、九十二条の二の二で信販会社、カード会社が第三者納付できるようになりますね。これをカードで支払いは可能ですから、これは年金の収納率を高めるということはできるかもしれないと思うのです。しかし、それが国の国民に対する債権を信販会社や債権回収会社につけかえるだけだったら、この年金問題の本当の解決にはなってこないわけですね。

 私は、こういう点では本当の解決をどうしていくのかということを、これは直ちにここでお答えは出ないかもしれませんけれども、しかし、厚労大臣として国民年金の徴収問題をお考えいただくときは、このことが一番肝心かなめの問題として考えなきゃいけない一つだというふうに考えることが大事じゃないかと思うのですが、伺います。

川崎国務大臣 国民年金をお納めいただく若者の立場、いや、お年寄りの方も含めてですね、どういう形で支払いをしたらやりやすいかということでカードでもできるように変えたということでございますので、そこは御理解いただきたい。

 若者がどういう形でお金の支出をしているかということになると、やはりカードで支出をしているウエートが高い。そういう形でも支払いができますよという形で、若者の利便性という観点から変えさせていただいたことでございますので、どうぞそこのところは御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 これは二〇〇四年十二月八日の日経産業新聞に「年金徴収、わが社に任せて」と、オリエントコーポレーショングループの日本債権回収の話など幾つかの債権回収会社のことを紹介しておりますが、要するに、信販会社、ローンカード会社、債権回収ビジネスから、年金や税務、国保など徴収業務の民間開放の要求が大きくなってきたのは二年前からのことじゃないかと思うんです。

 そこで、今度は行革大臣、中馬大臣に伺いますが、この市場化テストというのはどういう企業から要望が出されてきましたか。

中馬国務大臣 今の年金の徴収ですか、事務局の方からお答えさせます。

伊吹委員長 ちょっと待ってください。吉井委員の御質問は、年金、国保等にかかわらず、一般論としてですね。(吉井委員「そうです、今申しましたように、税務、国保、年金など徴収業務です」と呼ぶ)すべての徴収業務についてオファーのある企業ということをおっしゃっているわけですね。(吉井委員「そうです、どういう企業から出たか」と呼ぶ)

 それでは、内閣府河市場化テスト推進室長。

河政府参考人 今、具体的にどこの企業ということは申し上げられませんけれども、この二年間に私どもの会議に寄せられた、あじさい月間あるいはもみじ月間等での御要望の中のものから幾つかの問題点を指摘して関係省庁と議論してきたものでございまして、いろいろな、個人あるいは法人、提案された方々は各般にわたっておられます。

吉井委員 それはちゃんと通告もしてありまして、お話もしてありまして、ホームページにもちゃんと出ているんですね。要するに、ローンカード発行会社、信販会社、債権回収ビジネスからどういう要望が出ているのかというところなんですけれどもね。

 例えば三洋信販債権は、提案書の中で未納者へのペナルティー制度を設けてほしいと。それから、サービサー法では扱える債権は金融債権、リース・クレジット債権など特定金銭貸借に限られているから、未納の国民年金保険料は債権回収の対象にならないから、これを入るようにしてもらいたいと。こういう話などが出されておりますし、私もホームページでも紹介されているものですから整理してみたんですけれども、そうすると、クレディセゾン、オリエントコーポレーション、三井住友カード、オーエムシーカードなど信販会社から、一つは年金、国保、税等の支払いにカードの支払い決済、つまり第三者納付ができるようにしてほしい、二つ目にその徴収業務を債権回収業者にさせてほしい、こういう要望が出ているんじゃありませんか。中馬大臣、どうですか。

伊吹委員長 内閣府河市場化テスト推進室長、事実関係を述べてください。

河政府参考人 先ほどの御説明で申し上げさせていただきましたのは、今回の法案で提案させていただいております国民年金の収納事業の議論のもとは何であったのかということの御質問かと思いまして、それに応じて先ほどのような御答弁をさせていただきました。

 なお、今回の国民年金の収納事業というものを官民競争入札あるいは民間競争入札に付しようということで厚生労働省と内閣府の間で御議論してきた経緯から申し上げれば、いわばカードでの支払いということにつきましては、今回の事業とは別のものというふうに考えております。

吉井委員 いや、そんなことはわかっています。だから、私も言いましたように、要するに、これは市場化テストを含む民間開放要望一覧というのをまとめていらっしゃるわけですよね、そこでは、こういうカード会社のカード決済、第三者納付を認めてくださいということと、徴収業務については債権回収業者にさせてほしいと、この二つのことが内容として出ていましたねということを、これはもともと書いてあるんだから、それを確認しただけで、私は、その確認にきちんとお答えをいただいたらいいと思うんです。

 それで、徴収業務の方については公権力にかかわる部分ということで、これは、徴収業務の支援業務はできるけれどもまだそこまではというふうになっているものももちろんあるわけですが、あるいは弁護士法七十二条の関係でもともとはできなかったんだけれどもそこを取り払おうということもありますが、要するに、最初は、国民年金保険料をお支払いください、市民税の納期が過ぎています、まだ御納付いただいていないようですが通知書を改めてお送りしましょうかとか、国民健康保険をまだお納めになっていただいていないようですが病院に保険でかかれないようになりますからお納めくださいとか、電話は丁寧なんですよ。

 しかし、別に悪意じゃなくて、失業や所得が少ないことから生活が大変だという人が滞納になったとき、そこに、行革大臣、中馬大臣、カード会社が支払いが大変な人のところへ参入したがってくる。これは、大臣、どうしてだと思われますか。

中馬国務大臣 もちろん、各民間の業者等が手を挙げられることは御自由でございますし、それを判断するのは、一つの第三者の機関がこうした形で、何といいましょうか、審議をした上で、各省庁の意見も踏まえてこれを対象にしてまいるわけでございます。

吉井委員 これは信販会社がちゃんと言っているわけですよ。クレジット業界は利息による利益を上げるビジネスをベースにして経営する企業であり、延滞者に対する債権回収管理業務はビジネスの最大の柱の一つだとこの業界では言っているわけです。駅前でティッシュペーパーを配らなくても、信販会社などの借金をしてくれる人がふえると、クレジット業界は利息で大きな利益を上げることができます。年金、国保など、滞納者が第三者納付、カード支払いで債務者になってくるということは、利益の源泉なんですね。ですから、市場化テストを求めている。このカードも第三者納付できるように、それで債権回収の方もやらせてもらいたい、徴収の方もやらせてもらいたいという、ここには市場化テストを求める業界の考え方の一つというものが、中馬大臣、出ているんじゃないですか。

伊吹委員長 吉井君が今ずっとおっしゃったのは、企業の方の要望をおっしゃっているわけですね。それに対して政府がどう判断するかを担当大臣として答えてください。

中馬国務大臣 税金等の徴収業務につきましても、他の公共サービスと同様、本法案の手続にのっとって個別具体的に検討を行うべきだ、このように認識いたしております。

 税金の徴収業務だから当然に市場化テストの対象とすべきでないとも、また逆に、対象にすべきだとも考えておりません。

吉井委員 ですから、公権力の行使の、その税のところをおっしゃったんですが、年金その他は入ってくるわけですね。

 これは先ほどの二〇〇四年十二月八日の日経産業新聞で紹介しておりますが、三洋信販の紹介ですが、ここは、通販会社からの購入代金の支払えない顧客を、債権譲渡を受けて回収業務をやるんですが、電話一回で半分弱回収する、二〇〇四年三月期の営業収益四十五億円、経常利益十八億円と。つまり、そういう徴収業務をやりながら、同時にそのこと自体が新しい利益の源泉になってくるというところがあるんですが、これを見てみますと、カードを使って支払わせると国や自治体の債権が民間に移っていくわけですね。ですから、ここで民民の話になるわけですよ。

 カード発行会社が延滞者に電話催告をするときは、最初は、カードでお支払いいただくこともできますよとお勧めすることは、これは、中馬大臣、法律案では禁止されていませんね。債権回収会社が徴収実務をやるときに、延滞になっていますよといろいろお話しするんだけれども、そのときに、お金が大変だったらカードでお支払いもできますよと勧めること自体は、それを禁止する法律上の条文はありませんね。

中馬国務大臣 こうした民間業者の方が不適切な保険料の請求等をなさないために、それを防止するために、公共サービスの改革法案では、落札した民間業者は公共サービスを適正かつ確実に実施していくよう国等による報告徴収、立入検査等さまざまな監督上の措置を講じていることに加えまして、国民年金保険料の収納事業に適用される法律の特例として、強迫や私生活の平穏を害するような言動により国民を困惑させること、また、偽りその他の不正の手段を用いること等を禁止する措置を講じ、これらについても必要な監督が行われるわけでございまして、このような措置を通じることによって適正かつ確実なサービスの実施が確保されるものと考えております。

吉井委員 私、それは当たり前の話だと思うんですよ。税にしてもそうですけれども、地方でいったら地方税ですね、国民健康保険もそうですね、水道料金もそうですが、みんな要望が出てきて、今度第三者請求オーケーになるわけですね。

 そして、その徴収の業務の中でこの会社が電話催告、これは、どうぞ納期が来ていますからお払いくださいと。それは仕事なんですよね。しかし、延滞している人はそもそもお金がないわけですから、今とりあえず金がないわけですから、ですからローンでお払いいただくこともできますよと。そのことをやっちゃならないという法律上の規定はありませんねということを聞いているんですよ。

中馬国務大臣 直接そこまで具体的には規定はいたしておりません。

吉井委員 それで、今度国民年金法改正でカード支払いは可能になる。

 総務大臣に伺っておきますけれども、税務についてはもともと第三者納付可能なんですが、局長通達で徴収、回収業務支援は可能だと。支援は可能だということで、電話による納付催告などは可能としてきたわけですね。

 今出している地方自治法改正案でいきますと、今度は、国保とか水道料金、手数料その他徴収業務の分野で第三者納付、つまり信販会社などのカードで支払うことが可能となる、こういう道が開かれますね。ここを伺っておきます。

竹中国務大臣 今の御質問の経緯につきましては、これは委託の仕方等々によるわけでございますが、委託の仕方等々によってそういうことが実際に起こり得るかということに関しては、それは起こり得る事例であるというふうに思います。

 ただ、もちろん、それに関しては個人の情報の保護に対して必要な措置が当然講じられるべきであるというふうに思料しております。

吉井委員 それで、先ほども紹介しましたように、クレジット業界は利息による利益を上げるビジネスをベースにして経営する企業であり、延滞者に対する債権回収管理業務はビジネスの最大の柱の一つだというのがこの業界の考え方ですが、国民年金、国保、税金など、徴収という公務の民間開放ですね。これは、入口は優しい催告電話で多分始まると思うんですよ。それで、カードローンの勧めが法律上禁止されていませんから、ついてくると、利益を生み出す最大のビジネスが生まれてくるわけですね。リース会社、信販、サラ金、債権回収会社など財界代表が、規制改革・民間開放推進会議でも直接の主張を代表が言ってきたし、要望書でも声高にこれに出ているような市場化テストを、あるいは市場開放を求めてきたという、このねらいというものは、私は、全部かどうかはともかくとして、そこに大きなねらいの一つがあるということは見なきゃいけないと思うんです。

 既に堺市で電話徴税というのがマスコミでも紹介されておりますが、これは、電話徴税業務に参入しているのは、ジェーピーエヌ債権回収株式会社というクレディセゾン系の消費者金融の無担保債権回収専門サービサー会社ですね。

 クレディセゾンといえばカード発行数千六百万枚、千六百万人で、JCBに次ぐ第二位のクレジット会社であるわけですが、クレジットに関する業務、金融、保証、ギフトカードなどの小売が主な事業内容ですね。ここが債権回収会社を持っているわけで、そのジェーピーエヌ債権回収会社が税の徴収を請け負うということで今やっているわけですね。

 ですから、電話で優しく納税催告を行う、このこととあわせて、カードで支払いができますという勧めを、これは法律上禁止されておりませんから、カードローンで払わせると、そうすると今度は市役所と住民、国民との関係が切れるわけですね、民民の問題になります。

 そのときに、役所の方からすると、とにかく収納率を上げてくれる民間企業と契約する。これは、その会社の方も翌年度以降もまた契約してもらえる、こういうふうになるわけですね。しかし、そこが成績を上げようと思ったら、ローンでとりあえず払ってもらうと、うんと収納率を上げられますから。そういうことはこれから当然考えていかなきゃいけない問題になってくると思うんです。

 それで、市民とクレディセゾンとの関係でいえば、セゾンカードをどんどん使ってもらうと、先ほども業界の話を紹介しましたように、利益の源泉になってくるんですね。こういうふうなやり方は、結局、国や公共団体の国民、市民に対する債権のつけかえであって、これが悲劇的なところへ行ってしまった場合には新たな多重債務やあるいはやみ金なんかが暗躍するようなことになりますから。ですから、市場化テストという言葉は簡単だけれども、相当そのことはきちんと考えてやらないと。公務の分野、そして公権力の行使とか、弁護士法上ももともとこれはできないということになってきたところへ民間参入ということを設けていくということは、これは、これまでの民間委託の話とは違う非常に重要な問題が出てきているので、私は簡単にこういうことは進めるべきじゃないと思うんですが、中馬大臣、どうですか。

中馬国務大臣 一般論で申し上げれば、委員御指摘のような不適切な行為が想定される場合は、例えばそのような行為を禁ずる旨を実施要項においてあらかじめ定めて、契約において民間事業者に義務づけることも可能でございますので、そうした御懸念も踏まえて今後の一つの課題とさせていただきます。

吉井委員 どの債権回収会社も、大体どういう状態かというのを見てみると、九割が契約社員、アルバイト、派遣なんですね。正規の社員はほとんどいないんですよ。そこが電話催告チームを組んで、そういう公のところへ入っていく。電話催告チームのリーダーになる監督者一人も派遣社員、残りの数名から十人ぐらいはみんなアルバイトなんですね。これで電話催告等の回収業務に当たるわけですが、アルバイト比率を高くすればするほど経営効率が高い。つまり、幾ら会社と守秘義務を求めるような契約を交わしても、アルバイト社員がほとんどということになってくると、そもそもアルバイトや派遣で移り変わっていく人たちにプライバシーだ守秘義務だと言ったって、そんな簡単にいく話じゃないんですよ。個人情報がどのアルバイトの人から漏れたかなんかわかりませんよ。

 だから、徴収催告を受ける市民のプライバシーというものは、私はこれじゃ守れないと思うんですね。中馬大臣は守れると思いますか。

中馬国務大臣 委員御指摘のことは非常に重要なことでございますから、御指摘のことも踏まえて、先ほど申しました実施要項とか業者との契約において、しっかりとこれが防御できるようにしていきたいと思っています。

吉井委員 実は、地方自治体でもそうですし、どこでもそうですけれども、例えば地方自治体の例で見ますと、仙台市の徴税リストというのが六万人分流出したというのが大きな問題になりましたね。そのほかにも、五百七十四人分が紛失してしまった。これは民間業者が、またアルバイト、アルバイトとか、下請とかやっている間にどこでどうなったかわからない。こんな状態ですからね。幾らこれから要項だなんだといったって、プライバシーを守ることはとてもじゃないけれどもできませんよ。

 最後に、川崎大臣、プライバシー情報もこれまでから流出が相次いでいた分野ではありますが、同時に、公務労働の中で正規雇用をなくして非正規雇用を拡大する、これは官民ともに、本来、そのことは労働者全体の賃金水準をアルバイト並みの年収二百万円に持っていくことにもつながってしまう。今度の問題というのは、これは働く者すべての、これは公務員の問題じゃないんですよ、公務員も民間もあわせてアルバイト並みにどんどんどんどん賃金が下げられていく、リストラが実際上どんどん行われる。分限免職だ、リストラだということになったら。私は、これは働く者全体にとって大変な問題だと思うんですね。そういうことを食いとめる手だてというのはないんじゃないですか。川崎労働大臣、どうですか。

川崎国務大臣 国民年金の市場化テストについて、もちろん新しい社会保険庁の改革案が通ってからのことでございますけれども、いろいろ御懸念をいただきました。そういうことにならないようにしっかりやっていくということが一つであります。

 と同時に、一方でやはり民間の活力をかりた方がいい分野は当然あるわけで、そこは私どもがきちっとやる部分、例えば強制徴収と言われる部分については国が責任を持ってやりますよ、しかし、一方で民間の力をかりたいというところについてはいろいろな形で協力し合いながらやっていくということは当然出てくる。

 そういった意味では、御懸念のことにならないように注意してまいります。

吉井委員 民間が入りたいという方ですから。

 終わります。

伊吹委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。

 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 行革関連法案に対する質問をさせていただきますけれども、具体論に入ります前に、まず基本的な問題について関係大臣にお伺いいたします。

 この間、政府から出されました経済財政運営に関する基本的文書、直近でいいますと、例えば、構造改革と経済財政の中期展望、これに関するこの一月の改定版を初めといたしまして、経済運営の基本的態度などは、この行革関連法案の前提、あるいは一体をなすものと受けとめていいものかどうか、まずこの点、行革担当大臣の見解をお聞かせください。

中馬国務大臣 御指摘のように、「改革と展望」や経済見通し、これは、本法案、政府の経済財政運営と一体をなすものでございます。

重野委員 そうしますと、「改革と展望」二〇〇五年度改定の中でも書かれておりますけれども、平成十八年度以降についても、名目成長率二%程度あるいはそれ以上の経済成長経路をたどると見込んだことも念頭に置く、こういう文言がありますが、この場合、どの程度の成長を見込んでいるのか、あるいはどの程度の成長が望ましいと考えておられるか、与謝野大臣の御見解をお聞かせください。

与謝野国務大臣 先生、既に数字はお持ちだと存じますけれども、「改革と展望」二〇〇五年度改定、これはことしの一月二十日に閣議決定をいたしましたが、この中で、政府は構造改革に対してさらに力強く取り組んでいくと。また、デフレ脱却に向けた政府、日本銀行一体となった取り組みによりまして、二〇〇六年度以降、実質成長率は一・五%程度あるいはそれ以上、名目成長率は二・〇%程度あるいはそれ以上の成長経路をたどると見込んでおります。

 閣議決定の対象ではありませんけれども、内閣府では、経済財政諮問会議で「改革と展望」を審議するための参考として、試算を作成しております。その参考試算における二〇一一年度の姿を見ますと、構造改革の推進により、実質成長率が一・七%程度と堅調に推移し、物価上昇率についても、デフレから脱却し、GDPデフレーターの上昇率が一・五%程度になることから、名目成長率は三・二%程度に高まると見込んでおります。また、物価の上昇などを反映して、名目長期金利は三・九%程度に上昇するという前提で試算をしております。

重野委員 今、大臣から成長見通しについて答弁がありました。

 他方、この行革推進法第五十八条の二、ここでは、「市場金利の変動その他の要因が財政運営に与える影響を極力抑制すること。」こういうふうな書き方がされております。一方においては二%以上の成長経路、そして今言ったように、一方においては極力抑制というふうな文言が出てくるわけです。

 いずれにいたしましても、こうした数値は本案の前提や幾つかの数値目標に重大な影響を与えるはずでありまして、突き詰めたところ、政府の真意というのはどこにあるのかという点について、財務大臣並びに行革担当大臣の見解をお聞かせください。

谷垣国務大臣 我が国の財政は、もう申すまでもございませんけれども、国、地方を合わせました債務残高が平成十八年度末でGDP比一五〇%を超えるという状況でございますから、やはり金利が上がりますと、すぐ利払い費に影響してくるという関係がございます。こういう状況の中で、仮に名目成長率が上昇した場合に、名目成長率と金利の関係もいろいろ議論があるわけでございますが、名目成長率の上昇に伴って金利が上昇するということになりますと利払い費は大幅に増加する、一%上がりますとおおむね一・六兆円増加するというふうに見込まれるわけでございますので、財政運営に大きな影響が出てまいります。

 したがって、今お引きになったこの法律の五十八条第二項第二号は「市場金利の変動その他の要因が財政運営に与える影響を極力抑制する」ということが書き込まれているわけでございますが、そのためにどうしていくか、この規定によって我々は何をしなきゃならないかということでございますが、国の資産それから債務に関する改革を進めて、資産の圧縮を図るということが一つやはりあると思います。

 それから、歳出歳入一体改革を進めていく中で、先ほど申し上げたようなGDP比一五〇%を超えるというような債務残高をGDP比で見てどうやって引き下げていくかというようなことを視野に入れてこれからの工程を考えていくということ、こういうようなことがこの規定の視野の中にあることではないかと思っております。

中馬国務大臣 今財務大臣もお答えになりましたが、それぞれの経済の変動はございます。しかし、今回ここで、この法律で目指しておりますところは、そうした多少の経済変動とは別に、日本の国のこれからのあるべき方向を指し示して、それに向かって改革を進めていくことでございます。

重野委員 今財務大臣の答弁がございましたけれども、この問題は非常に重要な問題であります。今後とも十分に注目していかなければならない問題だという意識を持ちます。

 そこで、法案の内容に入りますが、まず、行革推進法第二条「基本理念」におきまして、「国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、」という項目があります。そのためには、政府及び地方公共団体の事務及び事業を民間にゆだねて云々、このように書かれております。要するに、民間に事務事業をゆだねて、政府の役割、機能を変えていけば国民は豊かで安心して暮らせる、こういうふうに結論を書いているわけですね。

 そこで、本法に定めるプログラムを達成いたしますと、国民はいかなる豊かさを享受し得るのか。それについてどのように説明されるんですか。

中馬国務大臣 この法律は、政府の役割を見直しまして、政府が行う必要性の減少しているものであれば民間にゆだねるとともに、無駄を徹底的に省く、こうした簡素で効率的な政府の実現を目指すものでございます。

 この実現によりまして、国民から見れば、政府の規模の上昇を抑え、国民負担の上昇を抑制することができるということでございますから、時代のニーズに応じて政府自体が機動的に変化できることによりまして、自律的に企業や地域や個人がその持てる能力を最大限に発揮することができる経済社会の構築に貢献することができる。それが一つの大きな課題でもございますし、それは国民の福利や安寧にも役立ってくるものだ、このように確信いたしております。

重野委員 今の大臣の説明を聞いて、わかったという国民がおるでしょうか。私も今の大臣の答弁を聞いて、具体的なイメージはわいてこないんですね。もっとわかりやすく、具体的に説明する責任というのが政府にはあるんじゃないですか。

 もう一度、わかりやすく言ってください。

中馬国務大臣 それぞれを申し上げますと大変長くなりますけれども、簡潔に申し上げますならば、私たちが今いろいろな事業を展開する、あるいはまた個人が社会生活をする上におきましても、本当に今までのこの枠組みの中で、役所の方に届け出を出したり、そうした一つの枠の中でかなりの生活をせざるを得なかったり、企業活動を強いられたりしているわけでございますし、また、それぞれの法律が時代に合わなくなったこともございましょう。それから、役所が大きな力を持っておって、それに対する税負担も大きくなっていることは、これまた御承知のとおりでございます。

 これを改革していくわけですから、そうしますと、今言いました自由な活動が展開できる、また税金の負担も今後ふえていく可能性も、こうした努力によりまして官の役割を、役割そのものは国の責任としましても、実施は地方に、また個人、企業にゆだねていくわけでございますから、そういう意味では非常に活力のある社会が展開できる。

 そういう意味で、意欲を持ってそういったそれぞれのことに取り組んでいただける、そうした社会になることが喜ばれると私は思います。

重野委員 非常に抽象的な答弁でありますが、そこで私は具体的に聞いていきたいと思うんです。

 まず、社会保険庁の問題について、厚労大臣の見解をただしたいと思うんです。

 社会保険庁は、廃止、解体をされまして、二〇〇八年に全国健康保険協会並びにねんきん事業機構となる予定とされている。そこで、先ほども触れられておりましたけれども、年金行政、特に年金の収納率の問題ですね。かつて八五・七%あった収納率が、一九九七年度には八〇%台を割り込みまして、二〇〇二年度にはそれまでの七〇%台から一気に六二・八%というふうに落ち込みました。現在、そういうところでほぼ横ばいの状況にありますが、二〇〇二年度以降の急激な落ち込み、この原因は那辺にあるというふうに厚労大臣は考えておられますか。

川崎国務大臣 平成九年九月の地方分権推進委員会第三次勧告において国が責任を担うべきということで、十四年から国が担うことになりました。十三年度、地方がやっていた時代が七〇・九%、国が十四年度から六二・八という数字でございます。

 この落ちた理由を三つぐらいに分けております。一つは、免除制度の改正による申請全額免除者数の半減、すなわち、払ってもらうという形に変わりました。これが八ポイント中四ポイントと考えております。それから、先ほど共産党さんから御質問いただきましたように、経済情勢の中での収入の減少、この影響が約二%。それから、市町村から国へ移管された事務対応のおくれや市町村が活用していた納付組織の利用停止、これによる影響が二%。四、二、二、合わせて八%、このように認識をいたしております。

重野委員 多分そういうふうな答弁をされるんじゃないかと予想しておりましたが、私は、ちょっと今の答弁は無責任だと言いたいんですね。

 年金は政府による保険制度なんですね。経済条件によって収納率が左右されるというのであれば、それはまさに政府の経済政策そのものが問題視されるべきものじゃありませんか。それを棚上げして低下理由とするのは、私はちょっと許されないと。

 そこで、具体的に聞きますけれども、免除基準の厳格化がなぜ収納率低下の理由となるのか、その点について、大臣。

伊吹委員長 社会保険庁青柳運営部長、事実関係を述べてください。

青柳政府参考人 免除の基準の統一化がなぜ納付率の低下になるのかというお尋ねでございました。

 これは、それまでは各自治体ごとに免除基準をある意味では弾力的に運用しておったということがございましたけれども、国で統一の制度として運用する際に全国一律の基準にこれをそろえなければならないということで、前年までいわば免除の対象になっておられた方々がこの年度から免除の対象にならなくなった、この数を先ほど大臣の方からお答えした次第でございます。

重野委員 それでは、二〇〇二年度までの制度を変えて、それまで保険課とか国民年金課というのは同じ県庁の中に籍を置いていましたよね、それがそれ以降は独立をして県庁舎から出ていったわけですよね。つまり仕事の内容が変わってきたわけです。それが一つの収納率の低下の原因ということは、私はちょっと無責任じゃないかと思うんですね。

 そもそも、二〇〇二年度まで年金収納事務というのは、さっき説明がありましたように市町村に対する国の機関委任事務で、市町村長の裁量の働く余地は基本的にはなかったはずであります。だから、当時の厚生省は、収納率の低い市町村には国民年金事務取扱交付金の配分で差をつけておりましたね。しかも、地方分権推進一括法が制定、施行された二〇〇二年度に、年金の徴収と給付の一元化は年金行政上絶対条件というふうな建前で、徴収に関する事務を国の直接執行事務としたわけです。このとき、少なくとも法定受託事務というふうな形で自治体の事務としていれば、私はこの数字、ここまではならなかったんじゃないかなという解釈をするのでありますが、そこら辺について大臣はどのようにお考えでしょうか。

川崎国務大臣 一昨年来、社会保険庁という組織全体に対して、国民の皆さん方、また国会から与野党を問わず厳しい御批判をいただきました。そういった意味では、十四年以降の社会保険庁の組織全体がどうであったのかということになると、これはもう御批判いただくとおりだろうと思います。

 したがって、私どもは社会保険庁の長官に民間から人を起用いたしまして、そして各地域を全部回ってもらいました。そして、やはり何といっても職員のやる気が第一でございます。そういう意味では、そうしたもので新しい社会保険庁、すなわちねんきん事業機構をつくり上げようということで、長官が先頭に立ちながら頑張ってもらっておる、こう思っております。

 一方で、社会保障全体をどう考えるのかということになりますと、例えば介護というものは、市町村に徴収からいろいろな施策までゆだねる段階を迎えております。今回の医療制度改革で御議論いただくわけでありますけれども、中心はやはり県という組織がこれから医療というもの全体を担っていく方向へ、だんだんウエートが高まってまいります。一方で、年金は全国一律で国が責任を持つべきだ、私どもそうした考え方を持っております。

 もちろん、その中で今後年金の徴収業務について地方の知恵をかりないのかと言われれば、重野議員の御指摘のとおり、我々において足らざる面があります。したがって、市町村長さんの意見、また例えば所得の状況とかそうしたいろいろな情報をいただいてやっていかなければならない、このように思っております。したがって、過去の知恵もやはり生かしながらやっていかなきゃならぬというのは、重野委員の御指摘のとおりでございます。

重野委員 この間の流れを整理していきますと、国の方も、やはり今大臣も少しは非のある部分というのを認めたと思うのでありますが、地方分権一括法の施行以降、厚生省が何をしたかというのをずっとなぞっていきますと、例えば、任意協力事務など地方分権法にない事務概念をもって市町村に協力を求めた、そういう経過もありますし、二〇〇四年度からは市町村の税務情報を得られるように国民年金法を改正している、こういうこともやっております。

 要するに、それまで三千二百の市町村で徴収していたものを無理やり三百十二の社会保険事務所に吸い上げて、徴収に必要な具体的な情報が得られなくなった、そこに私は根本的な原因があったんじゃないか。つまり、収納率低下についての行政制度上の原因がそこにあったのではないか。

 社会保険事務所のありかはどこにあるか知らぬ人がおっても、市町村役場ならみんな知っていますよ。そこより近いわけですね、国民との距離が近いわけです。そういうところがやっていたという現実から、それを三百十二の社会保険事務所に吸い上げていった、そこら辺が私はやはり、そもそも今日を招く一つの大きな要因になった。

 年度末になれば、役場であれば、もう総員行動で年金の徴収事務等々をやるという弾力的な取り組みができていたわけですね。そういうそもそもの力というものを、そういう制度の変更がそいでいった。そこは認めたくないと思うのでありますが、やはりその点はしっかり認識をしなきゃいけないんじゃないか、このように私は思うんですが、大臣、どうですか。

川崎国務大臣 先ほど、八ポイント下がった中での二ポイントは間違いなくそうした部分があるということで申し上げましたので、四分の一の部分、いや、もっと多いかもしれません、その部分はあったことは事実だろう。しかし一方で、年金というものをどう考えるかとなれば、やはり全国一律で国がきちっとすべきだろうと思っております。

 一方で、国民健康保険も、実はこの五年間で五ポイントほど下がってきております。これは経済の影響もありますでしょう、それから、若者の考え方が少し変化してきているということもあるかと思います。しかし、やはり若者にも社会の、大人としての責任というものをしっかり私ども植えつけながらやっていかなきゃならない課題だろう。そういう意味では、国の悩みも、また市町村における国保等の悩みも同じでございますので、しっかり連携をとりながら、いい仕事ができるように努力をしてまいりたい、このように思います。

重野委員 ひとつよろしくお願いをいたします。

 そこで、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律について、現在、五カ所の社会保険事務所で二〇〇五年度からモデル事業が行われております。さらに三十カ所の拡大を図る、このようにされておりますが、具体的にいかなる業務を民間委託しようとしているのかということが一つ。

 それから、この市場化テスト法が成立した場合、この社会保険事務所の仕事で官民入札を行われるのか、その点についてお聞かせください。

伊吹委員長 どちらが答えますか。では、川崎厚生労働大臣。

川崎国務大臣 三人では混線しますので。

 一つは、先ほどから議論に出ていました強制徴収、免除勧奨、こうした仕事はやはり国の業務だと思っておりますので、これを市場化テストに持っていくつもりはございません。先ほど出ておりました、電話等で納付を督促していくというような業務を民間にゆだねていきたいと思っております。

 一方で、その部分を民間の入札にするわけでありますけれども、そこへ実は社会保険庁が出ていって官民で争ったらどうだという御議論もございますけれども、私どもは、こうした部分に民間の知恵や工夫をかりたいということで競争入札へ出しますので、その部分を官が出ていって争うという形は考えておりません。それを前提の新しいねんきん事業機構の体制づくりをいたしておりますので、そこは御理解を賜っておきたいと思います。

重野委員 そもそも、規制改革・民間開放推進会議の答申の中で、いわゆる官民競争入札の範囲、その中に社会保険関連を加えていると私は理解をしております。この市場化テスト法の一つの柱であります官民競争入札を排して民間委託をするというのであれば、この法案が言う質の維持向上とは結局は単なる人減らし、そういう指摘をされても、これは批判されても仕方がないじゃないですか。どうなんですか、その点は。

川崎国務大臣 そこは確かに、社会保険庁改革、この二年間の議論の中で、全体の人数についても減らせということで、この一年来、人数についても約一万人削減する。もちろん、公務員の人数はそう大きな数ではございませんけれども、今まで非常勤でいていただいた方々についても、そういう意味では新しい段階を迎えるということでございますので、そこは社会保険庁改革、ねんきん機構と、新しい民間の政管健保の組織をつくるという中で大きな変化でございますけれども、この二年間、国民の皆さん方から御批判をいただいた中で出した結論でございますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

伊吹委員長 重野委員は、一般論はいいんですね。社会保険庁に限定しての官の排除の御質問ですね。

重野委員 はい、そうです。

 もう時間も来ました。そこで、最後に、この点について、くどいようですが、今大臣、コストの問題についても触れられました。

 民民入札によって、最終的に官の落札予定額よりも低く落札される。現に、今試行されているところの結果を見てみましても、大変低い額で落札されております。しかし、私は、この年金徴収事務に関して、先ほど懸念も表明されておりましたけれども、単純に官のコストが高いんだというふうに断定できるかどうかという点、基本的な問題でありますが、やはり年金に対する国民の信頼感というものがあるかないか、高まるかどうかということが決定的に重要だ。

 御案内のように、規制緩和の中で、年金を払わなきゃならぬという思いを持っているんだけれども、当座、それがその人の優先順位では後位になるというふうな現実がやはりあるわけですね。そのことが結果的に徴収率の低下につながり、結果としてコスト高、こういうふうになるわけですが、私は、今触れましたけれども、そういう社会情勢ということと、この年金制度がいわゆる維持発展できるというのは表裏一体のものとしてある。そのことをやはり同時に考えて、その解決策を考えていかなきゃならぬ、そういうものだろうと思うんですね。この部分だけ当たっていて、これが改善されるとは私は思いません。

 そういう意味では、基本的な考え方なんですが、もう一度大臣、私の今の指摘に対し、お答えしていただけませんか。

伊吹委員長 それでは、川崎厚生労働大臣。

 申し合わせの時間が来ておりますので、簡単に御答弁ください。

川崎国務大臣 社会保険庁問題、さまざまな議論がございました。しかし、基本的には国が責任を持ってやる、大宗の仕事は国家公務員である職員がやる、そして国の信頼を取り返す。しかしながら、やはり効率的に進めなきゃならない部分もある。御批判いただいたものを踏まえて、国が責任を持ってやらせていただきたいと思っておりますので、どうぞそこのところは御理解賜りたい。

重野委員 終わります。

伊吹委員長 これにて重野君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田誠一君。

太田(誠)委員 久しぶりに質問の機会をいただきましたので、五時間ぐらい質疑をさせていただきたいとお願いをしておりましたらば、国会は野党にサービスをするためにあるんだから一時間にしろということで、我慢をして一時間質問させていただきます。

 先ほどからこの質疑を聞いておりまして、野党の皆さんも含めて多くの方々が誤解をしているというのは、行政改革を本格的に始めたのは小泉内閣ではないわけでして、はっきりしておるのは、内閣に行政改革推進本部ができたのは、その名前だけは、平成六年でありまして、我が党内閣ではなかったわけであります。ここにはそのときの与党の方々も両方にいるわけでありまして、ただ、そのときの、平成六年の内閣の行政改革推進本部は、恐らく法律を一本も成立させないで終わってしまったと思うのでございます。

 その後、平成八年だったと思いますけれども、橋本内閣ができて、行革推進会議というのをつくって、そこから本格的になってきた。ただ、その内閣では総論を描いたのであって、各論については、一九九八年、今から八年前に内閣に中央省庁等改革推進本部というのができて、そこからが本格的なスタートでございます。

 ですから、我が国においても、本格的に行革に取り組んだというのは、短く見ても、一九九八年以来、既に八年間やっているわけでありまして、ぜひそこは誤解のないようにお願いをいたしたいわけでございます。

 その点につきまして間違いがないかどうか、中馬大臣、よろしくお願いします。

中馬国務大臣 太田委員はこのことについてずっと党を指導していただいておりまして、間違いございません。

 本当に、初めは土光臨調あたりから三公社五現業も含めた国営のものを民間に移していくというところから始まっておりますし、今、与野党立場を逆にしている方ももちろんいらっしゃいますが、この間、当時の前原代表も小泉さんと一緒に本を書いたりして、行革の方を一生懸命進めてこられた共通項が非常にあると私は認識をいたしております。

太田(誠)委員 土光臨調までさかのぼられるとちょっとぴんとこないので、お許しをいただきたいと思います。

 中央省庁等改革推進本部ではどういう理念で改革をまとめてきたのかといいますと、その中の一つは、公務員の仕事というのは、実は、企画立案と執行あるいは実施という二つに分けることができる。企画立案と執行とに分けることができる。企画立案は、もちろん法案の企画立案、それからまた予算の枠を決めるための企画立案というような、基本的には政策を決める仕事に携わる公務員もいる。他方で、そのようにして決まった法律を実際に執行する、国民に守らせる、あるいは決まった予算の枠を実際に事業として執行する、そういう二つの役目に分けることができるというのが、当時の中央省庁改革に取り組む前にあった考え方でございまして、それは今なお、今回の公務員制度改革にもその考え方はちゃんとあるんだと思っております。

 この場合に、一九九九年に成立をいたしました中央省庁等改革の十七法、十七本の法律を出したわけですけれども、十七法は、この二つの仕事のうち企画立案については内閣の主導ということをうたった。そして、内閣の主導というのは、霞が関ではしばしば言葉をきちんと使わないんですけれども、内閣というのは行政各部の職員のことではないわけでありまして、内閣というのは、あくまでも政治家たる、あるいは政治家と同様の扱いを受ける大臣のことをいうわけであります、閣僚のことを内閣というわけであります。すなわち、内閣主導というのは政治主導ということを言っておるわけでありまして、企画立案についてはこの方向に行こうというのが一つの柱でございました。

 他方、執行あるいは実施については、極力独立行政法人への移行を図るということがもう一つの柱だったわけであります。

 そこで、独立行政法人について、なぜ移行をすればいいのかといえば、独立行政法人については企業会計原則に基づいて内容を開示し第三者のチェックを受けるわけでございますから、効率性と透明性が確保できるはずだということで、例えば執行や実施については独立行政法人に極力移行をすべきということでありました。

 そういう議論の中で、例えば郵政公社はいち早く、これは独立行政法人とは言っておりませんけれども、実は郵政公社というのは独立行政法人のモデル、ひな形なのでございます。そして、この中央省庁改革のときに独法化した最大のものは国立大学法人でありまして、多分、十三万人ぐらいがそこで独立行政法人の方に移った、国の行政機関からそちらの方に移ったわけでございます。

 そこで確認をいたしたいのでありますが、当時の、一九九八年でもいいし九九年でもいいし、私が言う中央省庁改革を皮切りに始まった今日の行政改革までの間、八年ぐらいですけれども、その間に当時の国家公務員の定数がどれだけ定数削減やあるいは独立行政法人化によって減ったのか、割合をちょっと確認いたしたいと思います。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 国の行政機関の定員でございますけれども、これは、平成十三年一月、中央省庁再編の時期と比べさせていただきますが、当時、約八十四万人でございます。それが平成十八年度には約三十三万人にまで、約五十一万人減少ということに相なります。

 減少の内訳でございますが、今、委員御指摘くださいましたように、国立大学の法人化で十三・三万人、独立行政法人化その他の独法化で七・一万人、そして郵政公社化で、これは十五年度の数字ですが二十八・六万人。つまり、合計で約四十九万人が、郵政公社、国立大学法人、そして独法への移行でございます。そして、残り二万人が純減ということになっております。

太田(誠)委員 ということでありますので、この八年間の行政改革の、特に公務員の身分を持つ人の削減というのは大幅に進んでいるわけでありまして、だからもういいということはないんですけれども、相当進んでいるし、さらにこれから進めようとしているところでございます。だから、公務員の数を減らせばいいというものじゃないことはわかっておりますけれども、結果としてあらわれた数字は、相当な改革をやってきたということは申し上げてよいのではないかと思います。

 もともと我が国の国家公務員や地方公務員の数は先進国の中でそう多くないと言われておるわけでございますので、ぜひそれは国民の皆様にも見ていただきたい数字でございます。

 次に、今言う独立行政法人等については、中央省庁の中にも先ほど申し上げたように誤解がございます。例えば、名前を挙げては恐縮ですけれども、きょうは大臣はお呼びしておりませんので、陰口を言うわけじゃないけれども、農林水産省が大変今の公務員の定数削減については不満を持っているわけでございまして、いや、一部の人が不満を持っているわけでありまして、一部の人はどういうことを言っておるのかというと、治山やあるいは国有林の分野で独立行政法人になれと言われて、その期待にこたえて、独立行政法人化をしますと。これは、私がそう言ったんですけれども。しますというふうに答えが返ってきた。感心だというふうに思っておりますけれども。そうしたら、自分たちは独立行政法人化するんだけれども、自分たちとそっくりの仕事をしておる治水分野のダムやあるいは砂防事業をやっておる人たちは、そっくりの仕事をしておるし同じところで働いているのに彼らは依然としてお上であると。また、国有財産ということに着目して言えば、国有林という国有財産を管理しておる仕事と財務省の国有財産管理とは同じ性格の仕事なのに、向こうの方がお上で、自分たちは格下の独立行政法人にさせられてしまったということを言ってこぼすわけでございます。

 その気持ちはわからないでもないので、これはむしろ独立行政法人化が先行しておるところの役所がスタンダードになって、おくれている省庁はそれに合わせて早く改革をしていくということにならなければいけないというふうに思うものでございます。

 そういうことでありますが、格下とか、お上とか民とか、官尊民卑とか、そういうこと以外に、実は、独立行政法人のことを、民間部門に属するものだというふうに霞が関の多くの省庁の人たちは思っているわけであります。独立行政法人はあくまでも行政の実施事務に携わっているのでありまして、その責任は政府にあるわけであります。だから、独立行政法人は、分けてみれば政府部門に属するということをはっきり申し上げておかなければなりません。

 そうすると、政府部門に属するにもかかわらず、民間の組織、法人と混同されているために、例えば規制改革会議に寄せられる要望の中に、独立行政法人の業務を規制緩和しろというふうな要望が上がってきて、それを政府側は真剣に取り上げたりしているわけでございます。

 もう一回申し上げますと、独立行政法人は政府部門であって、これは今私たちは縮小をしていこうとしているわけでありますから、縮小をしていかなければならない独立行政法人に規制緩和を認めてもっと肥大化する、例えば民間の金を自由に調達できるようにしろというようなことが要望として上がってくるわけでございますが、これは全くの間違いであって、もしそのようなことで政府部門たる独立行政法人の業務を規制緩和するということは、政府部門の肥大化につながっていくわけでございます。それは改革に逆行するということでありますので、この際、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 独立行政法人は、今太田委員おっしゃいましたように、一つの公的な責任はやはり政府が負うんですね。しかし、それを実施するのがどこかということで、それが民間であったり、民間的な立場になりました独立行政法人が担っていくわけでございますから、それがまたその役割を拡大して、自分たちが公の一端をまた担い出しますと、今おっしゃいましたように肥大化の方に行くわけでございますから、むしろそれを縮小したり、本当に民の立場に移ったり、民間に委託したりすることの方が私は本来の趣旨だと思っております。

太田(誠)委員 独立行政法人につきましてもう一つ申し上げたいことがございますが、独立行政法人に雇用される職員は、最近の流れでは、おおむね非公務員化するということが流れとなっております。余り抵抗するところが少なくなってきておるのはよいことでございますが。しかしながら、非公務員化しなくても、独立行政法人へ移ることによって、これは現業の公務員であるということが明らかになるわけであります。そうすると、現業の公務員とみなされると、これは一般公務員とは異なった扱いになってくるわけでございます。

 労働三権というのが公務員制度改革の中で一つの大きなテーマであるわけでありますけれども、この労働三権と公務員型の独立行政法人あるいは非公務員型の独立行政法人の関係はどういうふうになるのか。労働三権のうちの特に協約締結権との関係で御説明をいただければと思います、スト権の方は今の時代は余り関心が持たれないテーマでございますので。御説明をいただければと思います。

竹中国務大臣 太田委員のお尋ねは、国の行政機関と公務員型の独法と非公務員型の独法の三つについて、労働三権でございますから、団結権、団体交渉権、そして争議権、それがどのように違っているかということだと存じます。

 まず、国の行政機関については、これは国家公務員でございますけれども、これは国家公務員法上、団結権、団体交渉権は認められているわけでございますけれども、争議権は認められておりません。ただし、その団体交渉権の中の委員言われた労働協約締結権については、団体交渉権は認められているけれどもその中の労働協約締結権は含まれていない、そういう形になります。

 これに関しまして、公務員型のいわゆる独法の皆さんは、国家公務員法の適用が除外されます。そして、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律が適用されるということで、どこが違うかということになりますと、先ほど申し上げました団体交渉権の中の労働協約締結権も認められるということに相なるわけでございます。

 これに対して、最後の、職員の身分が非公務員型の独法の皆さんに関しましては、これは団結権、団体交渉権のほかに争議権も認められるということになります。団体交渉権の中には、当然のことながら労働協約の締結権も含まれることになります。

太田(誠)委員 大変はっきりいたしました。国家公務員、いわゆる国の行政機関の中にいる間は協約締結権はない、団結権だけである。そして、非公務員型の独立行政法人は全部そろっている。松竹梅みたいな関係でございますので。

 今、政労協議が始まって、二回ぐらいやっているんですかね。その中で、特に官公労といいますか連合側の方々は労働三権をきちんと認めろということを言っておられるわけでございますが、この独立行政法人化が実施部門、執行部門について進んでまいりますと、実は、非公務員型の独法へ移行していけば、当然のこととして、労働三権は、今までと同じ仕事をしていたにもかかわらず、物事の考え方が変わってくるから、三権が三分の一のところから、梅から松にどんどんどんどん変わってくるわけでございます。だから、私は、労働基本権のことについて、政府側も、あるいは連合というか官公労側も、余りそのことについて執着をする必要はないのではないか、実質的に空洞化していく話だろうと思っております。ぜひ政労協議は、そういう近い将来のことを見据えた前向きな話になるように期待をいたすところでございます。

 これにも通じるんですけれども、今までも議論されたと思いますけれども、ヨーロッパの常識だろうと思いますけれども、ジュネーブのILOの中での常識はこういうことだというふうに聞いておりますけれども、企画立案とかそういう公的な意思形成にかかわる部門及び防衛、警察、消防など強力な公権力行使部門については別として、それを除いて、公的な意思形成にかかわる部門や強い公権力行使部門を除く一般の公務員は、民間の勤労者と本質的には違いのない仕事に携わっているものとみなされると。特に、定型的な事務についている公務の職員は、これは民間の勤労者と同じ性質の仕事に携わっているんだということが常識であるというふうに理解をいたしておりますけれども、ここら辺の御認識をお伺いしたい。

伊吹委員長 それでは、行革担当大臣からまずお答えいただいて、人事行政一般を預かっておられる総務大臣、その後フォローしてください。

中馬国務大臣 今、太田委員から御説明いただきましたように、ヨーロッパではそのような実情になっております。それぞれ各国の歴史的な背景やその国の事情を反映してこの労働基本権のあり方が決まってきております。

 我が国の場合には、もちろんそれを目指された経緯もありましたが、アメリカの姿を一つ参考にしていることもこれまた事実でございます。

 先ほどからお話がありました我が国の労働基本権の問題につきましても、今非常にわかりやすく説明していただきましたが、独立行政法人化やあるいは郵政民営化、これも行ってまいりますと、これは完全な労働基本権が与えられる形になってまいります。国立大学の方もそうかもしれません。そうしますと、今御指摘のように、労働基本権で連合側、官公労側が要求しておりましたことも、かなりオープンになってきたといいましょうか、付与されてきていることでございます。

 私どもとして、今お話がありました政労協議の中で、こうしたことも踏まえて、時代的な背景や、そしてまた国民の意識もあります、公務員の雇用主は国民でございますからね、そういうことの意識もしっかりと踏まえまして、まずは白紙からそうした検討の場で検討してまいりたい、このように考えております。

竹中国務大臣 基本的に中馬大臣の御答弁のとおりであるというふうに認識をしております。

 言うまでもなく、労働基本権のあり方は、これは各国の歴史的な背景、その国の事情を反映したものであるというふうに思いますが、大きな方向、流れとしましては、太田委員御指摘のとおり、国家の意思形成にかかわるような部分とか非常に強い公権力の行使部分を除く一般の公務員、まさに現業にあずかる方々については、民間の勤労者と同等に取り扱われることが多い、まさに先ほど申し上げました非公務員型の独立行政法人のような例が見られるというふうに思っております。

太田(誠)委員 三年前だったと思いますけれども、我々は公務員制度改革の法律をまとめるために大変苦労をいたしましたけれども、果たすことができず大変残念な思いをいたしたわけでございます。そのときにも我々の認識は今と同じであって、我々の感じでは、官公労の、官公部門の方々と我々は、まあ紙一枚ぐらいの差はあったかもしれませんけれども、ほとんど違いはなかったのに、すうっと途中で出てこなくなってしまって、大変がっかりいたしたことがあるわけでございます。

 公務員制度改革についてはやらなくちゃいけないということは、だれもが、まあそれぞれ関心のあるところは別として、だれもがそう思っているわけだし、今の労働三権の問題も大した認識の違いもないわけでありますから、ぜひこういう場所で与野党よくそういうことを確認され、この行革特別委員会の雰囲気によってさらにこれが進むように期待を申し上げるところでございます。

 次に、独立行政法人に国の機関が移行をした場合に、それでおしまいじゃないんですね。法律にもちゃんと書いてあるんだけれども、独立行政法人になったら、その途端から、移った途端はこれはまさに政府部門以外の何物でもないんだけれども、三年たち、あるいは五年たち、三年か五年置きには必ずチェックをされて、独立行政法人として続けさせてよいのか、それともこの仕事はもう要らないということがはっきりしているものはないのか、廃止すべき業務はないのか、それから、民間委託するものはないのか、あるいは全体として民営化すればいいのではないかというふうなチェックを三年か五年で受けることになっております。

 ただ、今のチェック体制は余り強力ではないという見方もございますから、独立行政法人になったものを、さらに民営化、民間委託あるいは廃止するということについて、ちゃんとやるべきであることは間違いがないわけでありますけれども、それは、まさに独法は途中なのでございます。道の途中、道半ばのところが独立行政法人なのでございます。

 だから、市場化テストについて、この法律が一緒に出ておりますけれども、市場化テストというのは、今残っておる国の機関について市場化テストを、いろいろ案を出されるよりも、むしろ独立行政法人の今の仕事について市場化テストは行うべきなのであります。この点を積極的に検討すべきではないか。独法の仕事こそ、あるいは特殊法人も少し残っておりますが、残っている特殊法人についての業務をきちんと整理して市場化テストの対象とすべきではないか、それが本当ではないか。どうお考えでしょうか。

山口副大臣 お答えいたします。総務庁長官、行革担当大臣をやった大先輩に対して、大変緊張をしておりますけれども、答えさせていただきます。

 公共サービス改革法案は、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することが目的となっているのは、委員御存じのとおりでございます。本法案では、各省庁の業務だけでなく、御指摘の独立行政法人の業務についても、官民競争入札の対象となり得るものとして位置づけております。

 なお、現にモデル事業の中でも市場化テストの対象として事業を実施しているところでありまして、本法案に定める手続を通じまして、太田委員御指摘のようにどのような独立行政法人のどの業務を官民競争入札の対象とするかについては、今後十分検討して大いに進めていきたいと思っております。

太田(誠)委員 ありがとうございました。

 だから、もう一回申し上げますと、国の行政機関が今やっていることを直ちに市場化テストするということも、できればいいんだけれども、むしろ市場化テストというのは、独立行政法人はまさに法律によって常に廃止、民営化、民間委託というチェックをされるわけなので自動的に市場化テストの対象にすればいいではないかというのが今申し上げているところでございます。今の御答弁で結構でございます。

 次に、また公務員制度改革の話に戻ります。

 先ほど、公務というのは企画立案と実施あるいは執行というふうに二つに分かれるということを申し上げましたけれども、その企画立案のような公的な意思形成にかかわる仕事、企画立案などの仕事は、結局のところ、これは法律をどうつくるか、あるいは予算をどう配分するかということでありますので、これ自体は、国民主権の国家、あるいは市民が主権者と言っていいかどうかわからないけれども、地方公共団体のように市民が主権者であるというような、そういう制度のもとでは、究極的には国民や市民といった主権者が全体として選択をするのがこの分野になるわけでございます。したがって、直接民主主義じゃないわけだし、国民投票法が今審議されておりますけれども、そんなに何もかも国民投票できるはずもないわけでありますから、結局のところ、だれがそういう公的な意思形成について責任を負うのかといえば、これは政治の世界がその責任を負うわけであります。政治の決定に供するのがこの分野でございますから。

 では、その分野で、企画立案にかかわる公務員、国家公務員はどういう位置づけなのかといえば、これは政治の決定を補佐する機能ということになるわけであります。だから、同じ公務員でも、執行の方は独立行政法人になるべく行ってもらいたい、企画立案の方は政治主導、政治の責任でもってやることを補佐するんだというふうに二つに大別をされてくるわけであります。

 そして、大変残念だと言っております三年前の公務員制度改革の法案で、既に我が党の中では合意ができたことだけれども、全体の法律ができなかったからなくなってしまったんですけれども、その中で一つこういう決定があったということをぜひテークノートをいただきたいのであります。

 それは、各省の審議官以上の指定職の国家公務員は政治任用とすべきである、政治任用という考え方にすべきであるという非常に強い主張がありまして、それは全面的に取り入れるわけにはいかないけれども、任用についての硬直的な制度設計、一般公務員に適用する硬直的な制度設計は何とか緩和をして、降格を含む柔軟な制度設計にしようということを我が党の中では決定したところでございます。

 これは私も別に詳しいわけじゃないけれども、降格というのは、今の一般公務員の場合には降格をするということは不利益処分になるんですか、つまり、何かやってはならないことをしたというふうな扱いになるそうでございまして、降格ができるということは、政治任用という柔軟な制度設計の突破口になるんだというふうに私どもは理解をいたしておりました。この点についてはどうお考えですか。

中馬国務大臣 委員は党の要職の立場から今おっしゃった公務員改革を具体的な形で進めてきていただいたことは、もう事実でございますし、評価もいたしております。

 今、政治任用のことも含めて、降格の問題が出ておりまして、一つの、何といいましょうか、枠の中で、ある方が次官になろうが、ある方が局長になろうが、そこのところの、その職務手当はあるのかもしれませんが、それがまた別のところへ移られたからといって、それが降格という形にならないという、まあ、あのときの一つの前提でございました。それについてはまだまだ異論があったこともこれまた事実でございます。

 そうしたことの中でこれをどう実現していくかというのがこれからの課題でございまして、今回の公務員制度改革の中でも、そのことも踏まえて論議させていただきたいと思います。

太田(誠)委員 もう一回申し上げますと、我が党の中では、降格も含む指定職の制度というのは全員賛成をいたしたわけでございます。

 ただ、政治任用、今、恐らくおっしゃっておられる、政治任用という制度を全面的に取り入れることはやや心配だと。政治家同士がお互い政治家を信用しないという状態にまだあるわけで、そこまで大きな権力を同僚に与えたくないという雰囲気でございました。ということで確認をいたしたいと思います。

 それからもう一つ、当時の、二〇〇三年の公務員制度改革について、天下りについてどういうことにしたのかということを、これもまたお話をいたしたいと思います。

 天下りについては、たびたびここでも取り上げられているわけでございますが、難しいのは、憲法に定められた職業選択の自由ということがあって、無原則に転職をしてはいけないということが言えないということの問題が一つと、それから、本当に能力を買われて転職をする公務員がまれにはいるわけでございます。めったにいないんだけれども、まれにはいるわけでございますので、そのことを全部なしとしてしまって、天下り全面禁止というのは、やはり何かもう一つ踏み切れないところがあったわけでございます。特に、先ほど言っております指定職、審議官以上の再就職については内閣の了解事項としよう、これは内閣の、つまり政治の、政治家の責任として、内閣の責任において、この人はまさに能力を買われて転職するんだということを判断してあげようと。その結果、それが実はとんでもない癒着の中で行われた典型的な天下りだったとすれば、その内閣が政治責任を問われる、次の選挙でそういうふらちな再就職を認めたことの責任を問われるということでいいではないかということになったわけでございます。

 これは、いまだに、私はこれ以上の改革はないと思うわけでございます。なぜならば、これはよく同僚議員の皆様方にも御理解いただきたいんですけれども、今の制度でも、指定職の任用については、だれを指定職の局長や審議官にするかということは、閣議の承認事項、閣議を開いて決めなくちゃいけないという閣議請議事項になっておりまして、今でも実は形式上はそういう制度になっているわけでありますから、再就職についても閣議の了解事項とすることは、まことに自然な、整合的な仕組みだと思います。この点についても、ちょっと今お考えを聞かせていただければと。

中馬国務大臣 今回の法律におきましても、退職管理の適正化は能力及び実績に基づく人事管理とともに公務員制度改革でできる限り早期に具体化を図っていくべき事項として位置づけたところでありまして、与党申し入れを踏まえまして、早期に具体化を図るべく調整を進めていく必要があると考えております。

太田(誠)委員 済みません、よくわからなかったんですけれども。

 要するに、再就職のことについては、当時の我々が進めていた公務員制度改革はメディアから大変たたかれたわけであります。どうしてたたかれたかといえば、再就職について堂々と認めるケースをつくるということが天下りを放任するものだというふうにミスリードをした。だれがミスリードをしたということは、私はその恨みつらみは言わないけれども、非常にけしからぬことが霞が関においても起きたし、メディアの世界でも起きたわけでありまして、だから、こういう、どこかで職業選択の自由や能力による再就職というケースをきちんとすくってあげるということがなければいけないんだということを申し上げているわけでございます。

伊吹委員長 中馬大臣、今の質問に的確に答えてください。

中馬国務大臣 総理もおっしゃっておりますように、やはり一つの能力を持った方が、意思を持って公務員におなりになって、そして六十歳まで、いろいろな能力をお持ちでございますから、働いていただける、この条件を整えることがまずは必要だと私は思います。

 と同時に、民間に請われる方もありましょうし、また、自分のこれまでの実績を民間で生かしたいという方ももちろんあります。そういったことで、一時待機させられるということではなくて、これと官民癒着の問題はまた別でございますから、堂々と自分の持てる能力を新しい分野の中で、また社会において、あるいはまた大学の先生になる方もいらっしゃいますが、ともかくそういうことが、割合、人的な資源でございますから、発揮できる形はつくっていかなければいけないと私は思っています。

太田(誠)委員 大体よろしいんですけれども、要は、霞が関の官僚組織の中に利益で結びついた天下りかどうかを判断する組織をつくっても、結局そんなものはすぐに緊張感がなくなって批判をされるようなことが起きてくるわけだから、それは特に取り出して、審議官以上については政治責任でもってやろう、その批判は内閣が直接受けようというふうな潔い制度でありますので、これならばいいんじゃないかというふうに、多分御賛成していただけると思いますので、うなずいておられるので御賛成していただいたということで、次の質問に参りたいと思います。

 地方公共団体というのは、実は相当行政の実施部門と言っていい仕事を抱えているわけであります。他方、先ほどからお話し申し上げておりますように、独立行政法人というのはまさに専ら行政の実施事務に取り組む組織であります。そういう意味で、地方公共団体と独立行政法人は、組織の性格として大変共通する点が多いわけであります。だから、両者は共通するという前提でいけば、地方公共団体が地方独立行政法人を設立するということは、制度の設計に携わった我々からいいますと、何かおかしい、屋上屋を重ねることになるのではないか、できればそんなことはやめてもらいたい。地方公共団体の場合は、独立行政法人化ではなくて、民間委託か民営化の方を直接検討すべきだと思っております。この点についていかがでしょうか。

竹中国務大臣 委員御指摘のとおり、地方公共団体そのものが現業的な仕事を主たる任務としているわけでありますから、国における独法の考え方とはやはり違うというその御趣旨は私なりにも理解できるところでございます。

 そもそも、地方行革に当たっては、事務の廃止、民間譲渡の可能性について十分な検討を行うことがまずもって必要でございます。その上で、例えば公の施設の指定管理者制度の活用等々と比較検討して、地方公共団体がみずから実施するよりも、別の機関、独立行政法人を設立して行わせる方が効率的、効果的にサービスを提供できると判断された場合に地方独法化を検討するものである、その旨は地方公共団体に周知をしているところでございます。その意味では、やはり当初から国と、独法と違う限定的な扱いが必要だというふうに思います。

 現実に、地方独立行政法人法は平成十六年四月から施行されまして、現在、大学、病院など全国で二十七法人が限定的に存在しているというふうに承知をしております。

太田(誠)委員 地方独立行政法人の典型的な例としては、地方の公立大学を独立行政法人化したという例が典型だと思っておりますが、あるいは地方の病院を独立行政法人化したという例があるわけでございますが、そもそも大学については学校法人立でつくればいいのであって、地方で必要だと思えば余分に補助金を出せばいいような話でございます。

 本当は国立大学についてもそう言えるんだけれども、国立大学については一生懸命説得をしてやっと独法になってもらったばかりだから、そこまでは言いませんけれども、地方がやる場合には民間の公益法人にしておいて、補助金を差し上げればやっていけるというものはさっさと民間の公益法人に変わってもらいたいと思いますが、独法にした方がいいということではなかったと思うんですね。

竹中国務大臣 大学や病院につきましても、事務の廃止とか民間譲渡の可能性について、当然のことながら十分に検討を行っていただかなきゃいけないと思います。その上で、公の施設の指定管理者制度の活用等と比較検討して、その上でもなお地方独法がいいということについて可否を判断しなければいけないと思います。

 行政改革推進法案の第五十五条第五項におきましても「公立の大学及び地方公営企業について、組織形態の在り方を見直し、公立大学法人又は一般地方独立行政法人その他の法人への移行を推進するもの」というふうにしております。これらを踏まえまして、これは地方公共団体において、住民の目が当然あるわけでございます、それもしっかりと踏まえて適切に御判断をされるべきものというふうに思料しております。

太田(誠)委員 この特別委員会でもう一つの大事なテーマがあるわけでありますが、それは公益法人改革であります。

 公益法人改革については、法案そのものが、実は、余りにも短期間で我が党の中でも審議を余儀なくされたものですから、残念な点がたくさんあるわけでございます。(発言する者あり)それでもいいけれども、せっかく出してきたんだから。

 そして、新たに公益法人として認定を受けようとする法人の中には、補助金など公的助成を不可欠の前提とする法人が出てくるんだろう、たくさん出てくるんだろう。こうした法人がそのままノーチェックで乱立をする。つまり、新しい言葉で言えば認定公益法人というのであります、認定というのは取ってもいいんだけれども、とりあえずは昔の公益法人と区別するために認定公益法人と言っておきます、その認定公益法人になろうとするものが乱立することは改革に逆行するおそれがある。

 それから、実は、この公益法人改革で残念なことだったのは、社会福祉法人や医療法人などが、民法上の公益法人であるにもかかわらず特別法の世界だけは除くということで、この議論から除外されたわけであります。こういうものも含めて、先ほど規制改革の話を申し上げましたけれども、独立行政法人のみならず、公益法人の中にも同じようなものがある。これらについて、例えば規制改革をするというようなことをしたら、どんどん大きな政府に向かっていくわけでありまして、逆にこういう世界は規制を強化すべきではないかというふうに思います。だから、この法律が通った後に、また、かつて取り上げておりました行政委託型法人を特出しして厳しくその内容を詮議したようなことをやらなければいけないのではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

山口副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、公的資金の依存度の高い公益法人など、いわゆる行政委託型公益法人については、平成十四年に公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画を閣議決定いたし、その改革に努めてきたところであります。

 この実施計画においては、交付先の公益法人において当該補助金等の五割以上を他の法人等の第三者に分配、交付するもの、また、公益法人の役員に対する国の助成等についてその解消を図ることとしているところでありまして、平成十六年度末時点におけるその進捗状況としては、閣議決定時に措置を講ずるものとされた二百七十件のうち二百五十一件が措置済みとなっております。十七年度末までにすべての措置を完了することとなっており、現在、そのフォローアップをしているところであります。

 また、御指摘の社会福祉法人や医療法人などの非営利法人については、それぞれの特別の理由に基づき特別法によって設立をされている法人でありますので、一律に取り扱うよりも、公的助成等の関係で委員御指摘のような問題があれば、それぞれの所管省庁において検討され、必要な措置を講じられるべきものと考えております。

太田(誠)委員 そういう説明をしてこういう法律になったわけでありますけれども、縦割り行政の発想からはみんなそろそろ抜け出さなくちゃいけないわけでありまして、文科省の担当だろうと厚生労働省だろうと、単に対象が違うだけでそれぞれ違うものが企画立案をするというのは間違いでありまして、それは一緒に出てきてやればいいのであって、私はきょうは、厚生労働大臣はいなくなったけれども、厚生労働省で医療の何か法人を新しくつくっているのはどうも危なっかしいなと、ああいうものが乱立されるとどうなるんだろうかということを懸念いたしております。

 懸念することばかりでございますが、あと二分ぐらいありますので、最後に申し上げるわけでございますが、公益法人改革について、先ほど言いました認定公益法人に関する一般的な認定基準というのはないんですね。ないんです。そして、おびただしい数の例示をしているわけであります。そのおびただしい数の例示は、かえって、何かそこに書いてあれば、その対象であれば何でもいいんだというふうになってしまうので、そんなものではいけない。本来は、一般的な認定基準を何か置いておくべきだったと思うのでございます。

 だから、それはみんなどうして思いつかなかったかわからないけれども、大体、霞が関は法学部の出身者が支配をしておると言われておって、経済学の考え方というのは、一たん導入されて、先ほど言いました二〇〇一年の行革のときは経済学的なアプローチがちゃんと入っていたんだけれども、最近はまたどこかに消えてしまって出てこないわけでありますが。

 経済学の中には、こういう公益、パブリックインタレストについての活動をちゃんと定義する言葉があって、それは非排除性、つまり、消費をするときに、対価を払っていない人がその活動の成果を享受することを排除できないという活動は、これは公益的な活動、パブリックインタレストに通じる活動とみなされるわけであります。また、非競合性、他人が何かを消費していれば、その隣にいる人は消費できなくなるかというと、そうではなくて、ともに消費できる、競合しないという関係。だから、非排除性とか非競合性というのは、これは言ってみれば当たり前の常識なんでありますから、その常識をきちんと法律の中に書けばよかったわけなんであります。

 例えば公益法人の中で、今は特別法でなっておりますけれども、宗教法人というのがございます。宗教法人というのは、宗教活動というのは何かというと、専門家もおられる中で私が能書きを言うのは大変恐縮なんでございますが、宗教活動というのは、結局は、人々に心の安らぎを与えるためによい教えを普及するということが宗教法人の活動であろうと思います。

 そのよい教えを、お坊さんにお布施をしたり寄進をしなくても、伝聞によってよい教えに触れて、それによって心の安らぎを得る人を排除できないわけでありますから、これは非排除性がある。あるいはまた、隣の人がよい教えに触れて心の安らぎを得たとして、その隣の人が心の安らぎが損なわれるかというと、そんなことはないわけでありますから、これは非競合性ということでございますので、宗教法人は公益法人たる当然の資格があるわけでございます。

 こういう定義をきちんとしていけば、何か特異な、特定の分野が排除されていくという心配はないわけでありまして、どうか、また次の改正のときにはこういうことを考えてやるべきだと思いつつ、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

伊吹委員長 これにて太田君の質疑は終了いたしました。

 次に、安次富修君。

安次富委員 行政改革に関する特別委員会で質問させていただきます。私、自民党の新人の安次富修でございます。

 国の行く末を左右するこの大事な委員会におきまして、貴重な質問の機会を与えていただきました伊吹文明委員長を初めとする理事の先生方には、御配慮を賜りましたことに対しまして深く感謝を申し上げます。

 私は、沖縄県の宜野湾市で生まれ育ちました。今、基地の移転で問題になっている普天間飛行場のすぐそばであります。必ず普天間を動かすというのが私の使命であります。そのため、政治を志したときから、沖縄という地政学的観点から、歴史的視点から、アジアの中の日本と、そして基地の町に育った経緯から、安全保障というものの重要性を常に意識しながら政治に携わってまいりました。本日もその観点から、公務員制度改革も含めて、小泉改革の総仕上げとも言える今回の行政改革に関して、この国の形というものをはっきり示していただきたく、質問をさせていただきます。

 簡素で効率的な政府、いわゆる小さな政府ということでございますが、大きな政府、小さな政府という議論はありますが、強い政府、たくましい政府という議論は余りなされていない気がします。そして、スリムで効率的な政府を推し進めることで、弱々しくて頼りにならない国家になってはならないはずです。

 そこでまず、担当大臣にお伺いいたします。

 今回の行政改革は、明治において誕生した日本の官僚制度、公務員制度の歴史の中にあってどのような位置づけとなるのか、歴史的にどういった意義を持つものとして評価されるものになるのか。また、この改革を行うことによってアジアの経済、貿易、流通、金融に影響を与えることになると思われますが、今回の改革でアジアにおいて日本はどのような地位をかち取ることができるのか。また、日本は広く国際社会の中においてどのような評価をなされることになるとお考えなのか。

 私は、この改革の成功によって日本の底力を広く世界に示し、それとともに国際的信用が増し、国際協調を進める上で大いにプレゼンスの向上に寄与してほしいと思っているのでございますが、担当大臣から、この改革の意義、大局的な観点からお伺いをしたいと思います。

中馬国務大臣 大変大きなテーマとして御質問をちょうだいいたしました。

 日本の置かれた状況、これを申し上げますならば、急速な高齢化をいたしてきております。それから、人口減少にいよいよ入りまして、これも短期的に急に上向くものでもございません。それから、今お話がありました経済の国際化、グローバル化がございます。と同時に、中国を初めとするアジアの大変な経済興隆もございます。それが日本に大きな影響を及ぼしてきていることもございます。また一方、IT化といいましょうか情報通信、これも大きく社会を変えてきております。こうしたものに対応しなければいけません。

 これと今までの行政組織とは大分ずれが出てまいりましたので、これをこうした形に合わせていくことがまずは必要かと思いますが、もっと大きくは、私がかねてから申し上げておりますように、日本の明治以降の近代化の中で三番目の大きな改革だ、国民の意識までも変えていかなければこれに対応できない、私はこのように申し上げている次第でございます。

 一つの中央集権的な形で、欧米に追いつき追い越せという形でやってまいりました。それには、中央に金と権力を集めて、そして国民を統治するという形で明治以降やってまいりましたが、軍部が少し強くなり過ぎた形といいましょうか、国際的に孤立した形の中で、あの第二次世界大戦で敗戦ということを迎えました。

 そこで、民主化を求めました。求めましたというか、アメリカの主導のもとに、GHQの主導のもとに今の民主化の一つの枠組みをつくりました。しかし、この日本の国の国家運営の方式は、やはり明治以降と同じことで、また、当時は焼け野原でございましたから、これにずっと、復興の力を出すためにも、やはり同じように中央に権力と資金等を集めて、そしてまた護送船団等、また産業再生等も政府ががっちりとガードした形で現在の大きな発展を遂げた。アメリカに次ぐ経済大国に仕上げたこともこれまた事実ではございますけれども、先ほど言いました直近のアジアの興隆やあるいはまたグローバル化のこと、そしてまた高齢化のこと、人口減少のこと、これに対応していくには、柔軟にこの官僚組織が変わっていかなければなりません。

 と同時に、民が相当な力を持ってまいりました。自分たちにやらせてくれたらもっと効率的にやっていくという意欲も出てまいっております。そうする中で、人と地域と企業、これらにそれぞれもっと自由にやらせた方が大きな力を発揮してくるものだ、私はこのように認識をいたしております。

 それの一つの意図が、第三のこの近代化の中の民主主義、真の民主主義、また真の自由主義、規制がはめられた中での自由主義ではなくて、伸び伸びと活動していくための自由主義、そういったことを実現するためにも、今委員がおっしゃいましたような歴史的な意義をもってこの改革に取り組まなければいけない、国家的な課題だと認識いたしております。

安次富委員 次に、少し具体的に、今回の公務員制度改革を含む行政改革において、聖域なき改革の大なたが振るわれることになると思いますが、政府の地方支部局についてお伺いいたします。

 政府の出先機関である地方支部局では、我が国の重要な行政ニーズにこたえるべく、職員の皆様方には日夜職務に邁進していただいているところでございますが、それぞれ、地方支部局の職務の役割や重要性といったものがどのようなものであるかお聞かせ願いたいと思います。

 特に、沖縄においては、内閣府沖縄総合事務局、那覇防衛施設局、外務省沖縄事務所といった出先機関があり、非常に重要な役割を担っております。そこで、政府としてその役割と重要性についてどう認識しておられるのか、内閣府、防衛施設庁、外務省、各省庁の御意見をお聞かせください。また、このような意見を踏まえて、地方出先機関の役割と重要性に対する担当大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

伊吹委員長 それでは、三省庁ありますから、できるだけ政治主導で答えてください。

 まず、嘉数内閣府副大臣、その次に木村防衛庁副長官、それから、外務大臣はきょうは来ていないから河相北米局長、その順番で。

 嘉数副大臣。

嘉数副大臣 内閣府副大臣の嘉数でございます。

 お答えさせていただきます。

 議員は既に御承知だと思うんですけれども、沖縄県が戦後二十七カ年間、本土の行政から切り離され、そのために、復帰の時点で随分と社会資本の整備がおくれ、さまざまな制度が大変おくれていた。そのことをできるだけ早目に、そしてしっかりと整備するためにスピーディーな行政を行おうということからすると、本土から隔離されて、離されて、遠方地にある、本庁の行政がなかなかうまくいかないということがありまして、沖縄総合事務局という役所を設置した。

 それは、今の行政改革を先取りしたような形で、各省庁の出先機関を一つに集めて、一元化して、そして、より効率的に、そしてスピーディーに、そしてまたしっかりと沖縄の整備が進められるように、あるいは振興策がしっかり進められるようにということでつくられた役所でありまして、そのために、やはり相当のスピードで沖縄の社会資本整備がなされてきた。港湾整備にしても、道路整備にしても、あるいはまた沖縄の復興計画にしても進められてきたという経緯がありまして、その果たした役割というのは大変すばらしいものがあります。

 今後とも、まだまだ沖縄県というのは、県民所得にしても全国平均の七〇%しかない、あるいはまた失業率が相当高い、物すごく高いという、これからまだまだいっぱい課題を抱えている沖縄県ですから、しっかりと政府が支えていく。そのためにはますます総合事務局が重要性を増しているということも認識しておりまして、しっかり政府としてその制度が維持される、そして沖縄県民の福祉向上に役立てるように精いっぱい努力をしたい、そのように認識をしております。

伊吹委員長 次に、木村防衛庁副長官。那覇防衛施設局の役割と重要性について。

木村副長官 委員におかれては、特に沖縄の声というものを私どもに時に届けていただいておりまして、この機会に、敬意を表しながら、感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘いただきました那覇防衛施設局でありますが、委員御承知のとおり、昭和四十七年、沖縄復帰に伴って設置されているわけでありますが、沖縄県には在日米軍施設の約七五%が集中しており、騒音などの障害や土地利用上の制約等の多大な御負担を今日までおかけしてきているわけであります。そういう中で、地方公共団体あるいは基地周辺住民の皆さんの御理解、御協力を得るために、また米軍とのパイプ役を含め、円滑な基地行政を推進するために、その第一線で沖縄において那覇防衛施設局がその責任を果たしてまいりましたので、私ども、この那覇局は大変大事な機能を有しているというふうに考えているところであります。

伊吹委員長 外務省河相北米局長。

河相政府参考人 外務省北米局長でございますが、答弁させていただきます。

 御指摘の外務省の沖縄事務所、これは平成十年の二月に設置をいたしまして、沖縄担当大使以下外務省職員がそこの場で業務に従事しておるわけでございます。

 今までも御指摘がありますように、多数の米軍が沖縄に駐留をしている状況のもとで、一つは、まず地元の方々のいろいろな意見に外務省として十分耳を傾けるということ、それから二つ目に、不幸にして米軍関係者による事件もしくは事故というものが発生したときに、その円滑な処理に当たるということ、それから三番目には、県、市町村また広く県民の方々と米軍等との対話の維持促進というものに従事をしてきて、さらに広く言えば、沖縄の国際交流の拡充のためにも協力をしていきたいということで今まで懸命に従事をしてきましたし、今後ともこの重要な役割を果たしていきたいというのが外務省の考え方でございます。

伊吹委員長 以上を踏まえて、中馬行革担当大臣。

中馬国務大臣 沖縄のような離島といいましょうか、また、ああした基地を持った形の、別の意味で国の一つの大きな役割を担っております。これは、ある意味では国が責任を持って、そうした住民サービスまでを含めた責任を持たなければいけない、このように認識をいたしております。ただ、それを実施するのが公務員であるかないかは別の問題でございまして、こういったことを踏まえて、この行革法案の中でしっかりと対応してまいりたいと思います。

安次富委員 続きまして、国と地方の関係、特に過疎地、島嶼部についてお聞きいたします。

 四月五日、ついに小泉政権は在任期間千八百六日ということで、戦後総理としては三番目の長期政権を担ってこられたことになるわけですが、その間、常に改革を訴え、民間にできることは民間で、地方にできることは地方へと、大きな基本的な流れを大事にしてこられたと認識しております。

 地方にできることは地方で、俗に三位一体改革と言われて、地方に対する権限と財源、税源の移譲を進めてこられたわけですが、地方公務員という総枠において四・六%の削減を目指すということは理解できるわけでございますが、それが全都市、全地方一律にということになると、体力のない自治体等においては甚だ大きい負担と行政サービスの低下になるのではないかというような危惧があるわけです。

 特に、私も沖縄の離島県でありますし、また谷川先生も長崎の五島列島出身でございます。離島振興や過疎地域にそういう行政の光を当てていくという観点から、この点について担当大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 今、沖縄の例で申しましたが、沖縄に限らず、こうした日本の国土をしっかりと、ある意味では守っていただいています離島の問題、これは本当に大事でございまして、こういったことに対しまして国の光をしっかりと当てて、また、そこにお住まいの住民の方々の安心や安全も含めて、しっかりと対応していかなければいけないと思っています。

 これはもう国の責任でございまして、先ほども申しました、行政改革のこの法案の中でもそうしたことの配慮は十分にすることをうたっている次第でもございます。

安次富委員 続きまして、国防との関連でお聞きをいたします。

 今回の総人件費の削減に関しまして、まさに小泉改革の真骨頂だと思います聖域なき改革、この中で防衛も例外ではなく、自衛官の総人件費を、平成二十二年度末までに総数を五%以上純減という行政機関の例に準じて削減ということになっております。

 しかし、こういうところも政策的、一律的に五%削減という目標でございますけれども、言うまでもなく、防衛は国のかなめであり、主権国家、独立国家としてよって立つところであります。また、国防というものはただ国内のみの問題であるわけではなく、そのありようによっては、国際情勢をにらみながら、周辺諸国との関係を勘案しながら、その人員、装備等を決すべきものであり、ここでただ国内事情のみをもって人員を五%削減するということになりますと、この国際情勢というものの変化の中で、周辺諸国に誤ったメッセージを発信してしまうおそれがあるものと考えますが、この点について、国際平和維持活動、平和貢献に責任を持つ立場である防衛庁の御所見をお聞かせいただき、さらに、この所見を踏まえて中馬担当大臣の国防の御認識をお伺いしたいと思います。

木村副長官 これから私が答弁することも全部委員がおっしゃってくれたような感じがありまして、大変ありがたい御質問をいただいたと思っております。

 今の御質問の中でも委員に触れていただきましたが、私どもも、自衛官につきましては、その人的勢力そのものが防衛力であり、また定数自体が、他国に対する日本国国家としての防衛の意思あるいは能力を示すものであるというふうに考えておりますし、また、艦艇や航空機などの装備品の運用にも人員が連動していくのはだれもが御承知のとおりでありまして、行政機関の一般の職員とは異なる特殊性を有しているというふうに防衛庁としては考えているところであります。

 そのことを考えてみても、行政改革推進法案におきましても、四十四条第二項によりその特殊性を規定しておりまして、先ほど委員が御指摘いただいたように「準じて」という表現をしているわけでありますので、必ずしも五%削減が目標であることを自衛官については意味していないというふうにも考えております。

 しかし、防衛庁としても、小さくて効率的な政府を実現するという行政改革の諸課題が内閣の重要な政策課題であることは十二分に承知しておりますので、その点を考えて効率的な防衛力を構築することも重要でありますから、教育やあるいは給食、整備などなど、そういった分野において民間委託ができるのではないかということも今検討しているところでありまして、行政改革への取り組みももちろん実施していきたいというふうに考えております。

中馬国務大臣 今、防衛庁の方からお話がありましたとおりで、四十四条二項では、行政機関の職員の定員の純減の例に準じて純減する旨を規定しております。お話がありましたように、教育とかあるいはまた糧食だとか輸送、こうした後方支援の分野は民間に委託あるいは民間人に置きかえることは十分可能でございますから、そういうことも含めて検討してもらいたい、効率的な自衛隊にしてもらいたいということが一つの願いでもございます。

 ただ、防衛の部会等で、私にお聞きになりましたからあえて申しますが、いろいろな意見が日本の防衛のあり方について出ておることは承知をいたしております。鉄砲、竹やり、戦車ではなくて、航空機、ミサイル、レーダーでといったような議論もあることでもございますから、そうしたことも踏まえて、ただ、純減は、一人でも人を減らすということではなくて、限られた予算の中で、私は、効率的に、本当に力強い日本の防衛をする体制をつくっていただきたい、心からお願いをする次第でございます。

安次富委員 しっかり頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、公務員の質の向上について少しお聞きいたします。

 今回の行政改革において、簡素で効率的な政府というスローガンが掲げられているわけでございますが、その中において、総人件費改革として、公務員の業務、人員に対する整理、削減が求められているわけです。その目指すべき理念には大いに賛同できるわけですが、このことによって、いわゆる肩たたきとか窓際に追いやられるとか、職員がやる気をなくしたりモラールの低下を招いたりするのではないかと危惧をしております。

 そうなりますと、経済、国力ともに何となく内向きに、内向的になってしまって、萎縮してしまうのではないかなというふうに心配をしているわけですが、これは単に仕事を整理、削減すれば済むという話ではなく、削減しつつも公的部門のパフォーマンスをいかに維持向上できるかが大事になっているわけですが、公務員のやる気を引き出して、そして全体としてのパフォーマンスの向上にどう努めていくのか、担当大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

中馬国務大臣 公務員の削減がやる気を失うことになりかねないという御心配でございますが、ここでうたっておりますように、それぞれの能力・実績主義で働いてもらうといったようなこと、それから、自分たちの決められたこと、ただ与えられた仕事を日常のんべんだらりとやっているんじゃなくて、一つの意欲を持ってやってもらう体制もここでできる形になってきております。

 また、外部に出て、独立行政法人的な形で、民意を酌みながらまた新たな分野で活動できる方策もとっているわけでございまして、こういったことを踏まえて、決してそのようなことがないように、私たちはこの制度設計の中でしていきたいと思っています。

安次富委員 しっかりやる気を引き出して、頑張っていただきたいと思います。

 せっかく御多忙の中、財務大臣においでいただいておりますので、この機会に少し、ちょっと外れるかもしれませんが、御質問をいたします。

 先ほど秘書官を通じまして、二千円札、これは後で返していただきたいと思いますけれども。平成十二年七月十九日、時の小渕恵三総理の肝いりで二千円札が発行されました。この紙幣は、沖縄県首里城の守礼の門が図柄に採用されておりまして、沖縄の振興と平和の発信、シンボルとして役立つものと期待していたわけでございますが、ことし一月現在、二千円札の発行高は二・四億枚、紙幣全体の構成比で二・三%と、普及、利用が伸び悩んでおります。

 これは、あくまでも記念紙幣ではなく一般紙幣ですから、広く流通させなければならないと思うわけです。これが普及していくことによって、国民生活の利便性にも寄与し、経済の発展にもつながるのではないかと考えるわけですが、小渕総理が七年忌を迎えます。谷垣大臣、どうかこの小渕総理の思いというものを二千円札の普及につなげていただきたいと思いますが、財務大臣のお考えをお聞かせください。

谷垣国務大臣 安次富さんから、二千円札を持って委員会室に出てくるようにというので、きょうは持ってきたわけでございますが……(安次富委員「私のですから」と呼ぶ)ええ、後でお返しいたします。

 それで、小渕総理のときにこの二千円札が出ました。今まで二というのがついた紙幣というのは日本にはなかったんですけれども、アメリカでも二十ドル紙幣があり、諸外国では使われているわけですので、十分これは日本でも機能するはずだというような当時の議論があって、そして、委員のおっしゃるように、守礼の門、裏は源氏物語で京都に関係があるわけでございますが、出した。ところが、残念なことに、今おっしゃったように、一時伸びてきたんですが、最近むしろ減っていく方向にあるのは大変残念だと思っておりまして、これは日銀ともよく議論して、しっかり流通させなきゃいけないと思っております。

 ただ、この減ったのは、平成十六年の十一月に、新一万円札、五千円札、それから千円札が出まして、そういうような関係でちょっと減ってきているという面があるんだと思うんですが、逆にそのときに、自販機等はむしろ新札に切りかえたときに、二千円札の手当てもしよう、二千円札も入っているソフトがほとんど普及したということもあって、もう少しこれは流通させなきゃいけないと思っております。

 私、質問通告をいただきまして、全国では減っているんだが沖縄はどうなっているんだろうと思って調べましたら、沖縄では流通促進に向けた取り組み、流通促進委員会というのもつくっていただいているようですから、その成果もあらわれまして沖縄はふえているんですね。

 ですから、ぜひとも、せっかくこういう守礼の門を入れたいいデザインのお札ができているわけですから、御一緒にまた協力して、私どもも日銀ともよくお話しして、流通の促進を図りたいと思います。

安次富委員 ぜひ財務大臣、お年玉を千円にするのを二千円にすればそれだけ景気浮揚にもなりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 もう時間が来ましたので、中馬大臣、内証背かざれば外相必ず熟す、いわゆる内なる充実をすれば必ずたくましい、すばらしい国家がつくれると思いますので、自信を持って進めていただきたいということを最後に申し上げまして、終わります。

 どうもありがとうございました。

伊吹委員長 安次富君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 私が最後でありますから、どうぞよろしく。委員の皆さんも大変お疲れさまでございます。

 当初、私は、この特別委員会、いろいろな分野がありますから、どうなることかなと思いましたけれども、先週あるいはきょうの集中審議を見ておりまして、実にいい議論が進んでいるな、こう思って、本当に勉強になっております。

 本日は、公益法人制度とそれから公務員総人件費改革、この二つのテーマでありますが、大体朝から重要な論点は出たのかな、こう思っておりまして、先ほどの、同僚の行革の大先輩であります太田委員の、帰られておられますが、本当に、質疑を聞かせていただいて、今日までの行革の流れも改めて教えていただいたような気がいたしております。

 私は、行革というのは、絶えず取り組まなきゃなりませんが、時として政治の意思として大きく取り組んでいく。しかし、それで全部解決できるというものではない。私は、行政改革、改革というのは、やはり性格として非日常的な作業もあるんだろうなと。そういう意味では、三歩進めて一歩下がるとか、そうしたたゆまざる作業なのかな、こう思っておりますが、今回は、この関連法案、推進法案によりまして、政治の意思を大きく今示さなければならない、そんなときかな、こう感じているわけであります。

 最初に、公益法人改革について議論したいと思いますが、一回目で動機について、あのKSD事件等もお話をいたしましたが、きょうはもう少し掘り下げたいと思います。十四年の閣議決定以来ずっと今日まで、先ほど同僚の太田委員は、あっという間に、何か時間がないというようなことも言われましたが、相当、繰り返し、巻き返し、実はこの公益法人制度の抜本改革については議論に議論を重ねてきたというふうに私自身は思っておりまして、そういう意味では、本当に今回やっとでき上がった、こういう感じであるわけであります。

 KSD事件以来、これを契機に、何が問題であったのかということでありますが、ちょっと私の言葉で確認をしたいと思いますが、やはり公益性の判断基準というものが不明確でありまして、営利法人に近いような形のものから共益的な法人、いろいろなものが主務大臣の許可によって多数設立されてきた、こういうことがあるわけでありまして、全国で二万六千。

 私も、国会議員になりまして、実は、公益法人をぜひつくりたいということでお手伝いをさせられたこともあります。私は言いました、そういう方々に。よくよく話を聞いてみると、何も公益法人でなくても、NPOでいいんじゃないかというようなことを申し上げるんですが、皆さん方は、いやいや、例えば厚生労働大臣のお墨つきがいただきたいんだ、こうおっしゃるわけで、まあ、この公益法人の効果というのは我々が思っている以上に大きいものがあるんだなと。よくよく内容を聞くとNPOでもいいのではないかと思ったりするのでありますけれども、やはり大臣のお墨つき、認可が欲しい、こういう価値観というものが定着している、そこに実は大きな問題もあった。

 実際に各省がどういう認可をしているかというと、これも裁量制の問題が多分あるんだろうと思いますが、基準があってなきようなもので、一つの業界では一つの公益法人しか認めませんよみたいな議論があったり、あるいは、一つの業界で、全国で七割ぐらいが加入していないと公益法人として認めませんよというような、基準があるようなないような、私は、そんな裁量に近い、恣意的な判断ということを聞いてきた一人でありまして、そういう意味では、やはり今回改革をしなきゃならぬというふうに思っているわけであります。

 そうした問題点に対して、今回の改革の理念というものを改めてもう一回ここで確認させていただきたいというふうに思います。中馬大臣、よろしくお願いします。

    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕

中馬国務大臣 今回の大きな行政改革の一つのシンボリックなものだとも私は認識いたしております。

 過去、いろいろと経緯がございました。ここに至るまでに相当な苦労があったことも、それぞれの関係者から聞かせていただいております。やはり、これを所管する官庁も、これを任せたら大変だといった一つのこともございましたし、またそれに、既存の公益法人も、これが離れたらどうなるんだ、もう一度これは申請し直すことになるわけでございますから、この心配等もありまして、大変な反対運動的なことも行われたこともございました。しかし、ここにこうして、ようやく皆様方の御理解を得てこの法案にまとめることができましたことは、私は記念すべきことだと思っております。

 御承知のとおり、これは、民法三十四条に基づく、今までの、明治二十九年に創設された公益法人制度を大きく変えることでございまして、それまでは主務官庁の裁量によって、縦割りの許可制でございました。それぞれまた、はしの上げおろしまでもそういう主務官庁が監督する形でございました。

 私も経験いたしましたが、ある文化団体の法人化のお手伝いをしましたけれども、足しげく文化庁、文部省に通いましても、担当者がかわって、また一から書類を出し直させられたり、あるいは基金を積まなければいけない、それがまた額が変わったり、本当に一つの文化的な事業だったと私は思うんですけれども、それが認可されるまでには、これは三年でしたか四年でしたか、かかったようなことでございました。

 ともかく、今回のこの改革は、今までのお役所の関与から、もっと民間にそれぞれの自由を与えまして、一般法人はもう簡単に登記だけで活動ができるわけでございますし、また、公益性の有無につきましても、民間の委員の方々が判定をした上で、特定の主務官庁じゃなくて民間の方々の公正な判断のもとに公益性を認定して、そしてまた活動してもらうことになります。

 そういうことでございますから、これから、この大きな行政改革の中の一つの分野を、民間の形で、この形で担ってもらえるものも多いかと考えております。

桝屋委員 今大臣が御説明されました。全くそのとおりなんですが、我々、与党の一員として、平成十五年の五月の三十日に与党の行財政改革推進協議会として意見の集約をいたしました。

 いろいろな議論があったわけでありますけれども、一つは、今大臣がおっしゃったように、法人格の取得とそれから公益性の認定、これを分離するということをやろうじゃないか。実は、ここに至る、その結論を出すまでに随分苦労をしたのでありますけれども、法人格の取得と公益性の認定は別ですよ、別物にしましょう、それで制度設計をするとどういうことになるかというところへやっと至った、結論を出すことができたわけであります。

 と同時に、そうすれば、当然ながら公益性の認定についてはその基準というものを明確にしなきゃいかぬ。ただ、先ほど同僚の太田委員が、定性的な法文にしたらどうかということで、経済学的な、私もよくわからなかったんですが、非排除性それから非競合性とおっしゃったけれども、そういう定性的な性格づけ、定義づけということも、これはあるのかもしれないなと思いながら聞かせていただきました。

 いずれにしても、公益の認定というのは、まことにまたこれも難しい話で、実はこれだけで一時間、二時間議論をしたいところでありますが、そこはできるだけ法文に書き込んで明確にしていこう、こういうことをやり、さらには、もう一つ、きょうの議論でもちょっと私心配なのは、先ほど同僚の太田委員の意見も若干ありました。

 余りたくさん認定公益法人をつくるのはどうか、こういう意見でありましたけれども、まあそれは変な認定公益法人をつくっちゃまずい、こういう意見だろうと思うんですが、もう一つは、やはり民間の非営利活動を活発化するという思いも我々はあったわけでありまして、そういう価値観を持ちながら、目的を持ち理念を持って実は今回の法律ができたということを私は確認をさせていただきたい、こう思います。

 そこで、二点だけ。伊吹委員長がちょうどいらっしゃらないときに議論しておきたいと思うのでありますけれども、税の問題であります。

 それで、税をはっきりさせろという議論が随分あったわけでありますけれども、やはり、税の議論をするについては、この委員会で随分議論がありましたけれども、基本的な制度設計を明確にしなければ税の議論はできない、これが私は結論だと思います。経緯の中では、NPO法人をどうするかというので随分議論もあったわけでありまして、そこで、今回の一般の社団法人制度、この中に中間法人が包含されるということになりました。ここはもうきょうは時間がないから言いません。

 制度上の背景は私も理解をしておりますが、この結果、一時期議論がありましたけれども、中間法人が一般の社団、財団法人の制度の枠組みに包含されるとなれば、それはもう、その世界は原則課税じゃないのという議論が一時期ありまして、随分関係者に心配をかけたわけでありますが、随分議論がありました。

 昨年の政府税調のワーキングチームで、この委員会でも報告がされましたけれども、公益性を有する非営利法人以外の非営利法人、いわゆるその一階部分、まさに一般社団法人制度、この税制を考えるときに、中間法人を入れた、含むということであります。中間法人というのは、公益を目的とするものでもなければ、あるいは営利を目的とするものでもない、まさに中間の法人でありますから、この中間法人を含むということで、税の議論をするときに大変難しくなる。

 私は、中間法人制度そのものが、平成十四年の四月から施行されたこの中間法人制度がいささか拙速であったのではないかという思いがあるんですが、しかし、ほかに制度がなかったということで、振り返ればやむを得なかったかなと思っております。

 まさに中間法人制度を包含する今回の一般の社団、財団法人制度、この税制を議論するときに、一時期言われたような原則課税という一律の認識ではなくて、これは相当幅があるのではないか。一般の社団法人の、中間法人を含む今回の一階部分の設計については、まさに会費だけで運営をされているようなところから、余り言いたくはないんですが、随分営利法人に近いようなものから、あるいは残った財産をどうするか、残余財産の扱いなんかも、いろいろな内容があるんだろうと思うんですね。したがって、私は、一律に税の議論を一階の部分もすることは難しいというそのワーキングチームの結論は非常に的を射ているな、こう思っております。

 先ほどは、午前中だったですか午後だったですか、民主党の委員の方が自民党の税調のことを大変気にして発言をされておられましたけれども、今や連立与党でありまして、与党税調でしっかりやっているんだ、我が公明党の存在も多少は意識してもらいたいな、ああ、小さい政党は忘れられているなと思ったわけであります。

 そういう苦言を呈しながらも、これは与党税調でこれから議論しなきゃならぬ、こう思っているわけでありますが、ちょっとワーキングチームの一律に考えないという部分について、改めてここで確認をさせていただきたい。

谷垣国務大臣 伊吹委員長のおられないところで議論をするという意味合いがよくわかりませんが、今、桝屋委員がおっしゃいましたように、今度はこの一般社団法人という中に中間法人等も取り込んでいくということになりますと、先ほどお話があったように、同窓会みたいないわば共益的なことをやるところから、おっしゃったように、まさに営利とどこが違うんだというようなところまで、いろいろなものを含むということになりますから、さて、そのすべてについて一律の課税をするということが果たしてなじむだろうか、私も実はそんなふうに思っておりまして、原則課税ということの議論がございました。

 その意味合いも、原則課税という中でいろいろなことを言っておられる方があると思うんですが、仮に、一般社団法人等々につきまして、一律にそのすべての収益に課税を行うべきだという考え方をそう言うとすれば、それはやはり、今申し上げたような多様性から見ていかがかということではないかと思っております。

 去年六月の政府税制調査会の基本的考え方でも示されておりますが、一般社団法人等の例えば残余財産を一体どうするのか、それから、それぞれの事業の性格、活動の実態、課税関係をつくる場合にはこういったものをやはりよく見なきゃいけないということだろうと思いますので、今後、制度を具体化される中で議論を詰めていきたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今回、一般の社団法人制度に中間法人が包含されるということになりましたけれども、私は、ある意味で中間法人は、制度が十四年にスタートしたときの話を若干しましたが、今回包含されて、じゃ今までの中間法人制度がそのまま来ているのかというと、私は、法律、法文をよく読むと、その部分もバージョンアップされているというふうに思っておりまして、そうした意味でもいい機会ではなかったか、こう思っているわけであります。

    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕

 そこで、もう一点だけ。今回の制度改正、先ほど申し上げたように、改革の理念の中に、民間の非営利活動をしっかり応援していこう、活性化させようではないか、こういう観点がもう一つあるのでありますけれども、活性化させようという目的が実はあるわけでありまして、そうした観点からは、政府税調や昨年末の与党税調におきましても、やはり寄附金税制について、このあり方も考えていこうではないかという報告が出されておりまして、私は歓迎をしたいと考えておる一人であります。

 この点についても、今の認定NPOあるいは特増法人並みのものを目指すのかどうか、これはまさに、我が公明党も入ってこれから与党税調で、伊吹委員長の御指導もいただきながらしっかり党としても議論しなきゃなりませんが、その辺、財務大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

谷垣国務大臣 伊吹委員長帰ってみえましたので、税の議論をもっともっとしなきゃいかぬ、こういうことだろうと思いますが、今おっしゃったように、今までの議論の背景に、民間が担う公共というんでしょうかパブリックというんでしょうか、社会のあり方も多様化していた中で、社会のみんなの利益というものを追求するにもいろいろなやり方があるじゃないかという考え方が背景にあったんだろうと私も思っております。

 我々も、財務省としてもそういう認識を持っておりまして、近年の税制改正でも、認定特定非営利活動法人制度、これで認定要件の思い切った緩和をしよう、これは十八年度の税制改正でやっていただいたわけですが、それから十七年度では、所得税の寄附金控除の限度額を総所得の二五%から三〇%相当額に引き上げよう、それから、またこの十八年度でやっていただいたわけですが、所得税の寄附金控除の適用下限額を一万円から五千円に引き下げようというようなことで寄附税制の拡充に努めてきたわけでございます。

 今後は、何度も議論に出ております去年六月の政府税調の基本的考え方にのっとって我々も議論を進めたいと思っておりますが、その中でも、寄附文化をはぐくんでいくためのインフラ整備に積極的に寄与していくという視点があると思っております。こういう流れの中で私たちも議論を進めていきたいと考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、今回一緒に税制もという議論もありますけれども、やはり今回のこの公益法人制度改革、この改革の姿をきちっと詳細につくり上げていく、それがまず第一に必要なことだと。何よりも、税制を議論するについては、認定公益法人については、そのガバナンス等がしっかりと安心できるものにならないとしっかりした税の議論もできないというふうに思っておりまして、与党の一員として我々もしっかりと税の議論もしていきたい、こう思っております。

 きょうのテーマは、もう一点、総人件費改革であります。

 今回の人件費改革については、きょうも議論がずっと出ておりますけれども、一律の削減を行う、一律五年五パーということではないと私も理解をしておりまして、あくまでも国民のニーズを踏まえた、めり張りをつけた改革だということでなきゃならぬ、こう思っております。

 その結果が減員、五%純減になるということでありまして、そこで私は、五年五パーという流れの中で、いわゆる一・五%の部分と三・五%の部分、この性格をきちっと押さえておくことが必要だろうと思っておりますが、中馬大臣に具体的な中身についてお示しいただきたいと思います。

中馬国務大臣 委員おっしゃるとおり、これを、五年五%というただ全体的なことではなくて、かなり具体的に、実現可能な方策も含めて、ここに提示をさせていただいております。

 お話がありました一・五%と三・五%でございますが、一・五%分は、これは各省庁それぞれ減員を努力してまいっておりますが、同時に、時代の要請に応じて増員もいたしております。その結果として、これまでは〇・一%ぐらいしか減っておらなかったのでございますけれども、これからの人口減少社会また今後のことを考えましたときには、やはり、その欠員になった分をすべて補充しておりますと、これは将来の減員に結びつきません。そういうことから、定年退職の方々の補充も含めて、これは少し、三割前後減らした形で新規採用の方をやっていただきたい。こうしたことを通じて、日常の努力においてこの一・五%分を減らしてもらいたいという一つの形でございます。

 それからもう一つは、減量の有識者会議、この方々にも御努力いただいておりますが、一つの構造的なことを、ちゃんと項目も重要項目として挙げさせていただいております。これについて、思い切った構造改革等も含めた減員、この分が三・五ということでございまして、これは、それぞれ六月ぐらいまでに、一つの、各役所とのすり合わせの中で、ヒアリングの中で、これを何とか形あるものにしてまいりたい、それが合わさって五%だ、このように御認識いただきたいと思います。

桝屋委員 今の大臣の説明で、一・五%についてはまさに毎年やっております定員管理、人を整理してそれを増の財源に充てるという定員管理の作業でありますけれども、まさに総務省の行政管理局が行っている定員管理の作業でありますが、この一・五%というのは、私は、ある意味では三・五よりも大変な作業ではないか、こう思っております。

 今、中馬大臣から〇・一%という話もありましたけれども、人数でいきますと、固まりでいきますと、三十三万二千人の五%ですから一万七千人ぐらいですかね。一・五%部分がまさに五千人ぐらい、これから五年間、毎年千人ぐらいやらなきゃならぬ。今までどんなに頑張っても五百いくかいかないかということだったと思いますが、これを、竹中大臣、これから定員管理を毎年やっていく、千人ずつぐらいはやっていく。

 ことし、十八年度は、千五百に近い数字、えらい大きな数字をやられたようでありますが、もうこれで終わりじゃないかと言う人もありますけれども、これをこれから毎年やっていくということは私は大変な作業だろうと思っております。

 そこの困難さ、それをどうお進めになるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 桝屋委員に御指摘いただいたように、これは本当に大変な作業でございます。現場はもう大変な思いをしているというふうに思っております。

 一・五%以上、これは過去五年間の純減実績の倍に当たる五千人以上の純減を確保しなきゃいけないというわけでございます。当然、治安とか徴税、安全・安心など、真に必要な部分には一方で配置をしなければいけません。十八年度の定員の審査結果を申し上げますと、今御指摘くださいましたように全体では千四百五十五減っております。その中で治安と徴税部門では八百七人ふやしているんですね。ということは、その他の部分で逆に二千百六十九人減らしております。

 そういう本当に思い切っためり張りをつけなきゃいけない。困難だろうと言われれば困難なのでございますが、しかし、それでも最大限の努力をしてやらなければいけない目標であるというふうに思っております。

桝屋委員 まさにこの一・五%の部分がベースの部分でありますから、私は、この部分ぐらいは、めり張りどころか、すべての部署一律にやらなきゃできないんじゃないかと思っていますが、しかし、そうはなかなかいかない困難な作業だろうというふうに思っております。

 それからもう一点は、中馬大臣に確認したいんですが、それをやった上で三・五パーでありまして、この三・五パーは、おっしゃったように、重点分野を決めまして、今、六月の計画策定に向けて行政減量・効率化有識者会議で検討が進められているというふうに聞いております。

 きょうも話が幾つか出ておりますが、三・五パーというのは人数にしますと一万二千人ぐらいの純減ですよね。これについて、重点の八分野が、例えば農林統計、これは五千人ぐらいの規模ですよね、固まりとして。このうち、どうできるか。あるいは食糧管理関係、これでも七千四百人ぐらいの規模、これにどれぐらい手を入れられるか。あるいは北海道の開発関係、ここも六千二百人の固まりがある。ハローワークそれから労働保険、これでも一万二千人あるいは五千人というような固まりがある。それから、社会保険庁の関係でも一万七千人。このうち社会保険庁なんかはもう既に三千人ぐらいやろうとおっしゃっているわけであります。あるいは行刑は、法務大臣が簡単じゃないとおっしゃったからこれは難しいんでしょうけれども。あるいは森林の管理、これで五千二百の固まりがある。それからナショナルセンターに五千六百人、五万六千ですか。何人だったですかね、ナショナルセンターは。ごめんなさい、また後でお答えいただきたいと思いますが。

 そうしますと、これは総理お得意の一点突破でありまして、六月までに何とかすれば、私は、やり方によっては一万二千人ぐらいできない数字じゃないなと。

 そうすると、三・五パーという数字が本当にマックスなのかどうか。場合によっては、五パーというのはあくまでも五パー以上ということでありまして、それ以上の成果もやりようによっては、私、勇気を奮い起こして言っておるんですが、党に帰りましたら部会長からえらいおしかりを受けるかもしれませんが、こっちの方は私はやりようによってはやれる、こう思っております。

 そこら辺、今の有識者会議の検討の状況、六月におまとめになるでしょうが、これは大臣としては自信を持っておられるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

中馬国務大臣 三・五%の方でございますが、これは、今お話がありますように、有識者の皆さん方が各省庁とすり合わせをやっていただいております。今の時点では大変難しい答えも返ってきていることもこれは事実でございますけれども、やはり国民的な課題でもございますし、その前にちょっと数字だけ申し上げておきますと、国立高度医療センターは五千六百二十九人です。

 こうした八項目は、かなり人数としてもまとまった形で、しかも時代的な役割がもうそろそろ終わった、あるいはもう民間に移せるじゃないかといった一つの認識のもとにこれを項目に挙げさせていただいておりますが、また、それだけではなくて、七項目を追加で検討課題にさせていただいております。

 これらを合わせまして三・五を六月までにということでございますが、今、私どもも、今度は逆に、今役所の中でこうした折衝をしておりますと非常に難しいということもまた十分にわかるんですが、外部の民間の方々や国民の方々は、五年でたった三・五%かといって逆になじられたりすることもございます。やはりそうした国民の声もあわせて、国民の理解を得ながらこのことは達成していかなければいけないと私は思っています。

 そういうことで頑張ってまいりますので、よろしく御協力のほどもお願いします。

桝屋委員 一万二千人は、大臣、視野に入っているんだろうと思うんです。私は、これで何とか六月にまとめればいいということではなくて、今新たに七事項ふやされたとおっしゃっていましたが、我が党は事業仕分けを言っているわけでありまして、できるだけ幅広く対象にしていただいて検討を進めていただきますようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十一日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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