衆議院

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第10号 平成18年4月13日(木曜日)

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平成十八年四月十三日(木曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 伊吹 文明君

   理事 今津  寛君 理事 園田 博之君

   理事 谷  公一君 理事 谷川 弥一君

   理事 山本 有二君 理事 大島  敦君

   理事 北橋 健治君 理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    井上 喜一君

      石原 宏高君    浮島 敏男君

      江崎洋一郎君    衛藤征士郎君

      小川 友一君    小野寺五典君

      大野 功統君    岡本 芳郎君

      加藤 勝信君    北川 知克君

      小杉  隆君    近藤三津枝君

      佐藤  錬君    坂井  学君

      篠田 陽介君    菅原 一秀君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      寺田  稔君    並木 正芳君

      西本 勝子君    葉梨 康弘君

      広津 素子君    松本 洋平君

      三ッ矢憲生君    水野 賢一君

      大串 博志君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田島 一成君

      武正 公一君    長妻  昭君

      鉢呂 吉雄君    平岡 秀夫君

      馬淵 澄夫君    松野 頼久君

      森本 哲生君    鷲尾英一郎君

      渡辺  周君    石井 啓一君

      谷口 和史君    佐々木憲昭君

      塩川 鉄也君    菅野 哲雄君

      滝   実君

    …………………………………

   内閣総理大臣       小泉純一郎君

   総務大臣         竹中 平蔵君

   外務大臣         麻生 太郎君

   財務大臣         谷垣 禎一君

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   厚生労働大臣       川崎 二郎君

   農林水産大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣

   環境大臣臨時代理     二階 俊博君

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (規制改革担当)     中馬 弘毅君

   国務大臣

   (食品安全担当)     松田 岩夫君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   財務副大臣        竹本 直一君

   厚生労働副大臣      赤松 正雄君

   環境副大臣        江田 康幸君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  上田 紘士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中藤  泉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          谷口 隆司君

   政府参考人

   (内閣府市場化テスト推進室長)          河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣府計量分析室長)  齋藤  潤君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   浜田 恵造君

   政府参考人

   (文化庁長官官房審議官) 辰野 裕一君

   政府参考人

   (林野庁長官)      川村秀三郎君

   政府参考人

   (国民生活金融公庫総裁) 薄井 信明君

   政府参考人

   (中小企業金融公庫総裁) 水口 弘一君

   参考人

   (商工組合中央金庫理事長)            江崎  格君

   衆議院調査局行政改革に関する特別調査室長     大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  大野 功統君     石原 宏高君

  加藤 勝信君     寺田  稔君

  薗浦健太郎君     浮島 敏男君

  西本 勝子君     近藤三津枝君

  広津 素子君     坂井  学君

  松本 洋平君     小川 友一君

  三ッ矢憲生君     江崎洋一郎君

  大串 博志君     鷲尾英一郎君

  近藤 洋介君     田島 一成君

  馬淵 澄夫君     長妻  昭君

  前田 雄吉君     篠原  孝君

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     大野 功統君

  浮島 敏男君     薗浦健太郎君

  江崎洋一郎君     三ッ矢憲生君

  小川 友一君     松本 洋平君

  近藤三津枝君     西本 勝子君

  坂井  学君     広津 素子君

  寺田  稔君     北川 知克君

  篠原  孝君     松野 頼久君

  田島 一成君     近藤 洋介君

  長妻  昭君     平岡 秀夫君

  鷲尾英一郎君     森本 哲生君

  佐々木憲昭君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  北川 知克君     篠田 陽介君

  平岡 秀夫君     馬淵 澄夫君

  松野 頼久君     前田 雄吉君

  森本 哲生君     大串 博志君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     加藤 勝信君

    ―――――――――――――

四月十三日

 国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外五名提出、衆法第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出第七四号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出第七一号)

 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出第七二号)

 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七三号)

 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

伊吹委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、来る十七日月曜日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として商工組合中央金庫理事長江崎格君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、内閣官房内閣審議官上田紘士君、内閣官房内閣審議官中藤泉君、内閣府市場化テスト推進室長河幹夫君、内閣府計量分析室長齋藤潤君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、財務省主計局次長松元崇君、財務省理財局次長浜田恵造君、林野庁長官川村秀三郎君、国民生活金融公庫総裁薄井信明君、中小企業金融公庫総裁水口弘一君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長千坂正志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 本日は、各案の審査に関し、政策金融改革その他全般について集中審議を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷川弥一君。

谷川委員 おはようございます。自由民主党の谷川弥一でございます。

 やったことをいろいろ言うのは簡単ですが、それを考え、実行し、結果を出すのは容易ではありません。質問に入る前に、郵政民営化ほか、行政改革で歴史に残ることを仕上げつつある小泉内閣の皆様方に敬意を表します。

 ところが、私の選挙区長崎三区は、壱岐、対馬、五島列島という国境の島々が有効投票の六割弱を占める過疎の町であり、その行政改革の負の部分をまともに受けております。それらの島々では、公共事業が一番の産業であり、それらに働く多くの人が住んでおります。その公共事業が半分になり、大変な状況の中での地方交付税のカット、郵政民営化です。

 当選後、何かの会合で総理にお会いしたとき、田舎の選挙は大変だったねと声をかけていただいたとき、それまでの苦労が吹っ飛びました。私も、さきの選挙で県民にこう訴えました。私ども田舎の自民党代議士は、王手飛車をかけられているんだ。王をやったらその時点ですべてが終わるのだから、涙をのんで飛車をやることを許していただきたい。飛車をやるということは、公共事業のカットであり、交付税のカット、郵政民営化なのだ。そのかわり、命をかけて歩を金にして戦うと。

 歩を金にするためには、次のことが必要です。

 質問の第一、政府金融機関の行革。特に、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫を含めた現行機関を一つの機関とし、商工中金は民営化するとのことですが、我が党の衛藤先生を初め数人の委員が、中小零細企業に対するその機関の今までの役割について述べ、今後ともその機能は果たすとの政府答弁をいただいております。その意味では再度質問する必要はありませんが、私の経験を話し、三機関についてはGDP比二分の一削減達成という目標の中であってもその機能は死守すると答えていただきたい。

 以下、その理由を述べます。

 私の関係する会社は、四社連結で、平成十六年度売り上げ二百十六億五千二百万円、当期利益が一億九千六百万円です。平成十七年七月十九日、ある大手銀行に借り入れ申し込みに行ったとき、住宅用宅地は仕入れ後一年経過したらゼロ査定になり、その金額を資本金から差し引く、すると、おたくの会社は債務超過になるからだめだと言うわけですが、ここで中小公庫がなかったら黒字倒産になるところでした。東京商工リサーチ企業情報によると、年間の売上高でこの会社以上の総合工事業の会社は、全国約二十万社ありますが、その中で三百社しかありません。その一社がこんな理屈の通らないことで倒産していいのでしょうか。大手金融機関には、哲学もなく、理念もなく、国益という考えもありません。

 中小企業は、日本の企業の九九%を占め、雇用、税金、サラリーマンの年金、医療、介護保険料の半分を納め、国家に貢献しているのです。三金融機関が、国から平成十六年度に、中小企業金融公庫四千百八十二億七千九百万円、国民生活金融公庫二百五十四億一千八百万円、農林漁業金融公庫五百十一億五千五百万円、商工組合中央金庫はありません、合計四千九百四十八億五千二百万円の支援を受けていますが、その額は中小企業が健全になり国家に役立っていることに比べたらわずかなものです。事実、資本金一億円以下の企業を中小企業と定めたとき、それらの企業が国に納める算出税額は、平成十六年度四兆八千九百七十三億一千二百万円となっております。また、先ほど述べました企業が負担している社会保険料等と合わせるとき、さらにこれらの数字は膨らむわけです。

 これが要請の理由です。御所見を賜りたいと思います。

中馬国務大臣 日本の大きな経済の下支えをしているのが中小企業ということは、よく認識をいたしております。

 今お話がありました政策金融に係る貸付金の残高の対GDP比の半減目標、これは全体にかかわることでございまして、新政策金融機関にはこれを継承させる機能を限定するとともに、平成二十年度に、商工中金及び日本政策投資銀行の完全民営化に向けた措置及び公営企業金融公庫の廃止、これらの措置を講じまして政策金融全体から切り出すことによってこの数字を達成しようとしているものでございます。

 ただし、新政策金融機関については、行政改革推進法第四条第一号において、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能を担うことが明記されておりまして、中小企業及び農林水産業者の資金調達を支援する機能は新政策金融機関にしっかりと残すこととしております。

 また、第四条第四号におきましては、内外の金融秩序の混乱または大規模な災害等、そうしたときの被害に対処するために、新政策金融機関を中心とした危機対応体制につきましても整備することが規定されております。

 したがいまして、本法案においては、中小企業者及び農林水産業者に対する配慮がなされると考えておりまして、さらに、今後の詳細な制度設計とそれを踏まえた制度の企画立案において、今、御意見がございました趣旨を踏まえて検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

谷川委員 二番目の質問は市場化テストについてですが、芸術等の分野が官民競争入札の対象になじむかどうかにつきまして、本委員会において聖域なしという表現が議論の対象となっている節もありますが、改めまして申し上げます。ここで、芸術文化、先端技術開発部門、医療技術は別だと明確にしていただきたい。

 以下、芸術分野に絞って述べますが、昨年、九州国立博物館に行ったときのことです。一瞬、東京ディズニーランドか上野動物園に来たのかと思いましたよ。おじいちゃん、おばあちゃんが何十台というバスからどんどんおりてくるのです。とまらないでください、もう少し速く歩いてください。国宝級の作品の前には、三列、四列並んでいるんです。私はぴょんぴょんと跳びはねて前の人の頭越しに見ていましたが、頭にきて十七、八分で出てきました。この状況で芸術の鑑賞ができますか。利益を追求する民間に任せることになると、こうなります。

 文化芸術はその民族の誇りであり、その民族の知性を代表する気品に満ちたものであります。ここに三つのぐい飲みを持ってきました。ちょっと見てください。一個が五百円、五千円、五万円です。仕込み等に違いはありますが、原料はほぼ同じ土です。芸が違うのです。こねるとき、焼くときの魂の入れ方が違うのです。この部屋にいらっしゃる方々、これは、わかりますか、どれが五百円、どれが五千円、どれが五万円と。

 もう一例を出させていただきますが、万葉集に「旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子はぐくめ天の鶴群」。次は西行ですが、「願わくば花の下にて春死なむその如月の望月の頃」。次は山頭火です、「焼き捨てて日記の灰のこれだけか」。この理解の上に夏目漱石の「吾輩は猫である」「明暗」の二冊を読んでみる。世界に誇る文学です。世界の文豪トルストイやドストエフスキーに比肩できる、すごい人だと思います。その値打ちがわからない人たちがちょっとだけ千円札に使いましたが、一万円札で使ってもいい人なんです。

 雪がはらはらとスイセンに落ちている、白と黄色の調和が心にしみる、これが日本の文化のそこはかとないものです。市場化テストの対象にと考える人の品性を疑います。万が一、夏目漱石のすばらしさを理解できない人々が監理委員会のメンバーとして選ばれたら、日本の文化の危機的状況だと思いますが、御所見を賜りたい。

山口副大臣 谷川委員にお答えいたします。

 谷川委員は、当選以来、党の方でもいろいろ、非常に地元の文化を愛しながら、また、すばらしい発言をして、今のすばらしい問いに答えられるかどうかわかりませんけれども、間違いないように答えたいと思っております。

 公共サービス改革法案は、国民のため、公共サービスの経費の削減だけでなく、その質の維持向上をも目的とするものであります。この目的を達成するために、広く国の行政機関等が実施する公共サービスを検討の対象としております。

 そして、この中では、まず対象となるかどうかは、関係する国の行政機関との協議、監理委員会における審議を通じて適切な検討を行うわけであります。今先生のおっしゃった文化芸術といった分野についても、関係者との適切な協議などの本法案に規定する手続を通じて検討していくわけでありますけれども、その際には、いろいろな今おっしゃったことにかんがみながら、長期的かつ継続的な観点に立った対応をしっかりとやっていきたい。

 また、今、最後の御指摘の、監理委員の方がそういった見識があるかという問いでございますけれども、この監理委員会は、今の公共サービスの改革という趣旨を実現し、国民のニーズにこたえられるという公正中立な御審議をいただきたい。そして、その委員の任命に当たっては、この役割をしっかり果たせるように、先生の思い入れのような人を、すぐれた識見を有する方々を委員にすべく、先生の御指摘を踏まえながら、幅広い観点から、各界各層、これからのことでございますので、慎重にやっていきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。

谷川委員 三番目に、この行政改革に関する特別委員会の最大の目的は、公の負債九百四十一兆円に対して資産は六百九十五・九兆円ありますが、その多くは諸般の事情で即換金できません。景気回復によってふえる税金と、景気回復による金利上昇による利払い増の問題もあります。つまり、景気がよくなっても悪くなっても負債がふえる状況も考えられるということです。それに、少子高齢化による人口減少等々があります。

 問題の本質は、国策を民主的に決めなければならない民主主義の本質の欠陥にあると考えるわけです。宗教、哲学、理念、信念、人生観、生きがい等々を軽視して、物の充足による幸せを国策に据える限り、アメリカの双子の赤字、日本の財政破綻の可能性が抜本的に解決するわけがありません。

 小泉政権発足以来五年間で、血のにじむような努力をして一般会計を三・六%、約三兆円削減しましたが、社会保障への財政資金の投入だけは一六・八%、約三兆円の増加となり、二〇〇六年度は一般歳出四十六兆円強の四五%近くに膨らみました。世論調査をしても、六割弱の人々が年金、医療、介護を最重要視すると答えております。借金を続けてもいいから今の福祉を優先せよという、自分が幸せならば子や孫はどうなってもいいんだということでしょう。第一次大戦後の大恐慌による生活苦を解決するために起こした満州事変を批判する人たちが、我が子孫の権利を侵しているんです。借金による福祉を要求し、縦の満州事変を、そのことに気づかずにやっているのです。

 なぜこうなるのか、理由は二つあります。一つは、政治、行政、評論家に理念とロマンがない。そして、マスコミが発行部数や視聴率を上げるために大衆迎合するから。

 それぞれリーダーたらんとする人たちは、自分独特の哲学、生き方を決めることだと思います。私の生き方について述べますが、大した才能もない私が一人前になれたのは、父親に以下のことを習ったからです。一つ、きょう何をやるべきかを決めろ。二つ、決めたらとことんやり抜け。三つ、おのれの影法師と相談せよ。

 このことに対する答えはその時々で変わりましたが、六十四歳の今の考えを述べてみます。

 一のイ、決めるためには、理想とする事柄や人を決め、自分のそれとの違いを一覧表にして差を出す。その差の中から直すべきものを列挙する。優先順位をつけて目標を決める。

 二のイ、人間には、食欲、睡眠欲、性欲のほかに、心の本能、苦を避け楽を求める保守本能と、結果として悪いことを人のせいにする美化本能があります。このことに一日も早く気づいて、おのれを鍛えるために努力する習慣をつけるのです。

 私は、次の禅話を心の支えにしております。

 「如何なるか是れ仏法的々の大意」、仏法の真髄とは何ですか。臨済禅師はその答えに喝と言いました。ごたごた言うな、自分が何をせんばいかぬかぐらい自分で考えればわかるだろうが、一生懸命生きていけよということだと僕は解釈しているんですが、これはそれぞれについて考えてください。

 同じように、「如何なるか是れ仏法的々の大意」、喫茶去と趙州禅師は言いました。肩に力を入れんで、目くじら立ててぎゃあぎゃあ言わんで、まあお茶を一杯飲んで帰らんね。そこから先は、また帰って自分で考えて、自分でやるべきことをやればいいんじゃないの。

 こういうことを日本全国の一億二千万の全家庭でやったら、随分考えは変わるんじゃないんでしょうか。この委員会でも、目くじら立てて責め立てる人がおりますが、責め立てる物差しで自分をはかってください。そういうことを言って、社会福祉というものを根本的に考えないと行政改革なんてしたって何にもならぬ、私はそういうふうに思っております。

 三つ目は、一日が終わったらお日さまやお月さんに照らされた自分の影を見て相談しろということですから、あなたが生きてきたことのきょうの一日には悔いは残っていないのかということをよくよく考えろということだと思うのです。

 自分の豊かな生活を維持し、また、子孫に迷惑をかけないために、自分自身を強くするという大運動を日本全国で起こさない限り、行政改革は絵にかいたもちになるんだということを内閣を代表する官房長官にぜひお答えいただいて、日本人の生き方を変えましょう、そういうことを僕は強く言いたいわけです。

安倍国務大臣 ただいま委員から極めて高邁なる哲学に基づいた御質問をいただいたわけでありますが、社会保障というのは、まさに負担があって給付があるわけではないわけでありまして、給付をふやすためには負担もふやさなければならない。そして、持続可能たらしむためにはみんなが納得する負担でなければ持続していかない、こういうことではないか、このように思うわけであります。また、この社会保障制度をしっかりとしたものにしていくためにも、基本的には財政を健全化していかなければ、社会保障の給付を確保していくこともできないんだろう、このように思うわけであります。

 一九七〇年は社会保障の給付全体で三・五兆円しかなかったわけでありますが、大体今は八十六兆円ぐらいでしょうか、二十倍以上になったわけであります。その間、極めて給付は厚くなっていった。しかし、今後さらに給付の対象の人口がふえていくという中において、給付全体の重みは重たくなっていくわけでありますが、支え手は減っていくということではないか、こう思うわけであります。

 その中で、我々は、まず、財政の健全化を図るためにプライマリーバランス、二〇一〇年代の初頭に黒字化をする、そういう目標を立てまして、この三年間連続で、今年度は四・七兆円、その前年度は三・一兆円、そしてその前は六千億円と、いわゆる基礎的財政収支の健全化に向けて大きく前進をしていると言ってもいい、このように思うわけであります。

 基本的には、今先生がおっしゃったように、子や孫に負担を残さないという基本的な考えのもとに、削るべき歳出はしっかりと削っていく、歳出の改革にもちゃんと取り組んでいかなければいけないわけでありますが、それと同時に、やはり今委員が御指摘になられましたように、国債に対する市場の信認をしっかりと得なければ金利にはね返ってしまう。そのためには、やはり景気をしっかりと回復していく、あるいはまたデフレを克服していくということも大切でありますし、それと同時に、財政を健全化させていくという意思をしっかりと示し続けていくことも当然必要になってくるというふうに思います。その観点から私どもはこの財政の健全化に向けまして構造改革を進めているということではないか、このように思うわけであります。

 私の地元長州の大先輩の吉田松陰先生の言葉に、天下の大患の大患たるゆえんは大患たるを知らざるにある、世の中の一番大きな問題は、その大きな問題があることを知らないことにあるということでありますが、その問題を知っていれば必ず解決ができる、このようにもおっしゃっているわけであります。私たちは、問題の所在は知っているわけでありまして、その問題を解決する方法も知っている、そしてそれを今勇気を持って実行している、こういうことではないか、このように思います。

谷川委員 ほぼお尋ねしたいことは終わったんですが、時間が若干ありますので、さらにお聞きしていきます。

 フランスで二二・八%、二十一から二十四歳までの失業者。ドイツが一五、イギリスが一二とかいって、日本も八・九か九あるんですが、結局、若者に職場がないということは、いろいろ理由がありますが、一番大きな理由というのは、生産性が上がった、特にコンピューターの導入によって上がったという構造的な問題が僕はあると思うんです。

 ここでぜひ考えていただきたいのは、過去において経済的に豊かになった地域からは必ず歴史に残る文化が起こっておるんです。失礼ですが、アメリカの場合には若干そこに問題がある、長い歴史の中で見ると。その弟分みたいな生き方を日本がしておっては、この問題は解決できない。必ず日本人の知恵と才覚で心を耕す仕事をぜひつくっていただきたい。たとえ給料が三割ぐらい下がったにしても、自分らしい、人間らしい生き方で堂々と芸術文化に浸りながら生きていけるような、そういう世の中をつくっていかない限り、この問題は決して解決できないと僕は思っているんです。

 四月の六日の日経の経済教室に「世界に誇る「美の国」に」というのがあります。「二十一世紀の国造りの礎は、従来の世界的潮流である富国強兵型システムを超えた「文化力」の追求にある。日本は多様な自然と人々の「生」が融合した「文化的景観」という概念を軸に、国全体のあり方や地域性を再定義し、「美の国」とよべる世界に誇る国家を築き上げるべきだ。」大賛成なんです。

 御所見があればお聞きしたいと思います。

伊吹委員長 どなたに聞きますか。文化的な答弁をされる方は。

谷川委員 どなたになるんですかね。委員長、指名してください。

伊吹委員長 それでは、最初からお座りいただいていた安倍官房長官と、それから中馬行革担当大臣の文化的答弁を待ちましょう。

 安倍官房長官。

安倍国務大臣 ことしはさきの大戦が終わって六十一年が経過したというふうに思うわけでありますが、この間、自由民主党は結党五十年を迎えています。自由民主党の目標としては、まず第一に、何とか敗戦の荒廃した国土を立て直していく、衣食住に毎日心配しなくてもいい、そういう日本をつくっていくということではなかったか、このように思います。この目標はまさに達成されたと言ってもいいんだろう、このように思うわけでありますが、やはり大切なことは、今委員が御指摘されたように、果たして心のよりどころは何だということではないか、このように思います。

 その心のよりどころは、GNPの率でもないし、例えば金融資産を幾らためたかということでもないんだろう、このように思うわけでありまして、海外の国々から、日本人はすばらしい、日本人のたたずまいは美しい、そして日本は文化に富んだ国である、このように尊敬されることであり、また、日本の文化や伝統や歴史ではないか、このように思うわけであります。

 私どもといたしましても、このいわゆる損得という概念を超えた価値をしっかりと教育において子供たちに教えていくことも重要でありますし、そしてまた、私たちの生き方そのものが海外の人たちから尊敬されるような、そういう国をつくっていくことによって私たち自身が自分自身にも誇りを持てるのではないだろうか、このように思うわけでございまして、今先生が御指摘になられましたような文化面においても、しっかりと国としても振興していくということは極めて重要ではないか、このように思っております。

中馬国務大臣 歴史をひもときましても、もちろん経済的な大きな繁栄といいましょうか、そのゆとりが前提ではありますけれども、例えば元禄時代、ただ商売に励むだけではなくて、ああして多くの、委員長のお地元の京都なんかでもそうですけれども、だんな衆はただ仕事一辺倒ではなくて、少し決められたことをやれば、後はそれこそまた着かえていろいろな音曲を楽しんだり、詩歌をなべたり、そうしたのがあの元禄文化を構成したわけでもございます。欧米においてもそうなんですね。

 しかし、明治以降、日本の国は本当に欧米に追いつき追い越せでやってまいりました、それで戦争でつぶれ、現在に至っておりますが、しかし、それでもなおかつ、これが適当かどうか知りませんが、何とかファンドとか、何とかモンとかいってお金を稼いだ人が何か尊敬されるようなことではなくて、また国民の方も豊かになってまいりました。千四百兆という大きな金を銀行に預けたままになっている。まあ、それがいいとは言いませんけれども、それだけのゆとりがあるんですから、こういったものをもっともっと文化的なものに活用する。それは、税制であったり、あるいはまたボランティア活動であったり、また何かそうしたものの土壌をつくって、そして世界第二の経済大国日本が、芸術文化の面でも国際的に大きく評価される国に仕上げていきたい、私はその願いを持っている一人でございます。

谷川委員 私はルールを守らぬと好かぬのです。ですから、時間が来たらもう答弁は要りません。しかし、与えられた時間は有効に使いたい。そういう意味で最後にもう一枚引用させていただきますが、さっきのは川勝平太国際日本文化研究センター教授でした。

 最後の引用は、中央大学教授富田俊基さん。「日本の国債は、毎年の発行額、利払い費、残高などどれをとっても危機的な水準にある。国際金融市場では信用懸念も起きており、将来世代に新たな負担を先送りせず、人口減少下の社会保障制度が持続できるようにするために、抜本的に国債残高の上昇に歯止めをかける必要がある。」こういう心配をしているということを伝えて、終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて谷川君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 委員会の理事をしておりまして、きょうで審議八日目を迎えたわけでございます。夕方まで終えますと大体五十時間、質問も延べで八十人を超え、数えてみますと私が七十一人目でございます。

 さて、我が国の置かれている状況からしますと、私は、改革というのは休みなく進めなければならないというふうに思っております。今回の一連の法案は、理想を求めながらも理想におぼれず、現実を直視しながら現実に流されない、そういう内容になっていると考えております。

 中でも行政改革推進法案は、政府金融機関、特別会計、公務員、人件費、国の資産などについて、いつまでという年限を明示して、再編成数、整理合理化数、純減率、GDP比での縮減率など数字を明記した過去にない画期的なものであり、人口減少社会のもとでのあるべき政府、簡素で合理的、効率的な政府への大きな一歩であるというふうに、私自身、高く評価しているところでございます。そして、早期の法案成立と、成立後も論議を深めて、国、地方を通じたプライマリーバランスの黒字化のために、財政、社会保障の定量的なビジョンを我々政治家は示さなければならないというふうに思っているところでございます。

 さて、質問でございますが、限られた時間でございますので、三点について、プライマリーバランス黒字化への道筋と、国と地方との行政改革、そして行政改革の留意点についてお尋ねしたいと思います。竹中大臣が公務であるということでございますので、少し順序を変えて質問させていただきます。

 まず、国と地方との行政改革でございます。

 地方公務員は、法五十五条で、今後五年間で百分の四・六縮減するということが決まっているわけでございますが、ただ、総人件費改革といいますのは、私は総数の純減と給与制度の見直しの掛け算だというふうに思っております。

 総数の純減数百分の四・六というふうに明示された。では、給与制度の見直しはどうかということでございますが、多くの都道府県では国に準じて給与構造の見直しが十七年度にされた。しかし、残念ながら、指定市はほとんどされていない。されたのは千葉と北九州だけで、ほかは、その他十二団体は十九年四月までの実施を目指して取り組み中。まだまだ取り組みがおくれているわけであります。総数の純減と給与制度の見直しの掛け算である限り、両方とも、それぞれが頑張って改革のために取り組まなければならないと思います。

 先般の質疑で、地方公務員の数は、今後五年間で、都道府県と政令市は五・三%純減という数が公表されたわけでございますけれども、しかし、給与構造の現状を見るとやや危惧しているところがございます。

 この辺について、これからも強い指導と、それから、純減数の計画ベースの公表だけではなくて、給与構造をどういうふうに変えていっているのかということもあわせて公表しないと、総人件費改革の趣旨に合わないのではないかというふうに考えているところでございますけれども、竹中大臣の所見をお伺いいたします。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 谷委員御指摘のとおり、人件費というのは、まさに賃金単価掛ける数量であるところの定員でございますから、その両方をしっかり見ないと総人件費の抑制というのはできないわけでございます。その意味で、賃金は大変重要である。したがって、地方公務員の給与構造の見直しにつきましては、国の改革を踏まえて速やかな見直しを我々としても地方に強く要請をしているところでございます。

 この実施に当たりましては、準備期間が短かったということもあって困難も予想されたのでございますが、本年三月の時点では四十六都道府県でやる、八割を超える市区町村でことしの四月から実施予定としているところでございますが、まさに今委員御指摘のとおり、政令指定都市についてはおくれているようでございます。千葉市、北九州市に加えて、実は堺市が今度入りましたので三市ということになりますが、その他の団体につきましてはまだ行われておりません。十九年四月までの見直しを念頭に具体的な検討が行われている状況であるというふうに認識をしております。総務省としては、これは速やかな取り組みを引き続き強く求めていきたいというふうに考えております。

 それに関連しまして、例の集中改革プランにつきましても、各団体から提出をしてもらっておりますが、四月から五月にかけて我々もヒアリングを実施しまして、詳しい内容を把握することにしております。その際は、定員の純減目標だけではなくて、給与構造の見直しでありますとか給与適正化の取り組みについても各団体の状況を把握することにしておりますので、これは、我々の必要な助言、要請を含めまして、強力にぜひ推進をしてまいりたいというふうに考えております。

谷委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 国家公務員の方も、なかなか、各省庁の抵抗といいますか、膠着状態だというような新聞報道もあるわけでございますけれども、ぜひとも中馬大臣のこれからの積極的な取り組みを期待し、お願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 国と地方との関係で大変気になっているのは、公営企業金融公庫の今後のあり方です。

 私の選挙区、兵庫五区でございますけれども、六つの市と三つの町があるんですけれども、調べてみますと、公営企業金融公庫の残高が一千三百億ある。つまり、今まで一千三百億を公庫で資金調達していた。それが今度廃止される。しかし、まだまだ地域住民に必要な下水道とか道路とか病院等々の整備は、ほかの地域と同様、私の選挙区でも必要とされております。そうなると、政府出資金はどういう扱いになるのかな、あるいは、地方自治体が支払い続けてきた利息が原資となっている債券借換損失引当金など約二兆五千億あるわけでございますが、これはどうなるのか。

 実は、与野党を問わず、国の財政再建に使うべきだ、先日もぜひ使うべきだと民主党の方が言われておりましたが、そういう一方的な偏った見方ではなくて、現実に小さな市町村が頼りにしている、そういう資金調達に差し支えがあってはならないと思います。全国一千八百余りの市町村への細やかな配慮なしに、きずなということをキーワードとする政治はできないと考えておりますが、谷垣財務大臣の御答弁をお願いいたします。

谷垣国務大臣 私は、谷委員の隣の選挙区でございますし、よく似た地域なんですけれども。

 今の公営企業金融公庫は、今まで地方自治のために大きな役割を果たしてまいりましたけれども、今度の政策金融機関の改革で、平成二十年度で廃止して、資本市場を活用した仕組みに移行しようと。詳細な制度設計については、今、中馬大臣のもとでいろいろ検討が進められておりまして、私もそれには積極的に協力しなければいけないと考えているところでございます。

 そこで、今、政府出資金、債券借換損失引当金等々、大体二兆八千億ほどあるわけでございますが、これをどうしていくのかというのは、具体的にはこれからどうしていくのかという制度設計の中で詰めていかなければならない問題でございますけれども、この公営公庫というのは国が出資をした機関であるということを考えますと、基本は、やはり国に帰属するという中で、国の財政再建に少しでも貢献していく中で考えていくということではないかと思います。

谷委員 満足な答弁ではございませんけれども、また別途いろいろな場で頑張っていきたいというふうに思います。

 行政改革は大変大事でございますけれども、しかし注意しなければならないのは、どういうふうに時代が変わっても、行革は必要でも、守るべきものは守らなければならない。歴史とか伝統とか、先ほど谷川委員も質問でありました文化とか、そういうことだろうと思います。

 そこで、その文化に絡んででございますけれども、独立行政法人という制度ができた、そして、その制度の最大のメリットと期待されたのが、目的積立金という名の報奨金制度だ。頑張れば頑張るほど自分たちで使える、そういう仕組みであるわけでございますけれども、それが残念ながらどうもなかなかうまくいっていない。流した汗が報われるような仕組みに必ずしもなっていない。なっていないからどういうようになっているかというと、もうこんなことならば使い切ろうという傾向が一部に出ているように思います。

 具体的には、国立美術館とか博物館等々です。独立行政法人になって相当入館者の数なり収入もふえた。ふえたけれども、それが十分返ってきていないといいますか、新たな目的積立金のスキームにフィットしていないということであります。このままでは、せっかく関係者の皆さんが一生懸命頑張って入場者をふやして、たくさんの国民の方に芸術を鑑賞していただいているのに、これからも頑張ろうというやる気をそぐのではないかということを危惧しているわけでございますけれども、こういう憂うべき現状について、所管しております総務省の竹中大臣の考え方をお尋ねしたいと思います。

竹中国務大臣 文化に絡んで、独法の役割、そして、それに対してどういう措置があり得るかという御質問だと存じます。

 独法というのは、弾力的ないろいろな運用をしていただくということを目的にしております。そうした意味で、制度としては目的積立金という制度が設けられておりまして、これは、条件としては、まず経営努力に基づいて生じたお金であって、かつ、主務大臣の承認を受けた金額についてはこの目的積立金に繰り入れるという制度になっているわけでございます。これを承認するに当たりましては、これは、あらかじめ各府省の評価委員会の意見を聞かなければいけないということ、また、財務大臣と協議しなければいけない、そのような取り決めがございます。

 繰り返しますが、独法というのは自律的で効率的な経営ができるようにするためでございますから、こういう努力に基づいてしっかりとした目的のために積み立てられるお金というのは、私はやはり十分に活用すべきであろうと思います。

 もちろん、ある種の、今申し上げたような仕組みの中でそれが野方図になされてはいけないというふうに思います、しっかりとしたチェックのもとになされなければいけないと思いますけれども、そういうことの活用というのは、委員御指摘のように私は必要であろうかというふうに思います。

 この目的積立金に関して、例えば統一的な判断基準が考えられるとか、総務省として、総務大臣として何ができるかということに関しましては、私自身、ぜひ十分勉強してまいりたいと思います。十分に勉強した上で必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

谷委員 ありがとうございました。ぜひ積極的な取り組みを、早期の取り組みを期待したいと思います。竹中大臣、結構でございます。

 守るべきものを、文化を今一つ例にとったわけでございますけれども、自然、森もそうだと思います。森というのは、経済的な視点だけでは判断できない、一度失えば回復するのはなかなか大変なことだということで、平成十年に、国有林野事業の三兆八千億の債務のうち二兆八千億を一般会計で見たわけであります。それだけ公益性を国自身も認めている。また、今回の政策金融改革でも、林業などの資金調達の期間が大変長い、最長で五十五年、平均で二十五年という長さにかんがみて、新政策金融機関の金融機能として農林水産業というのが明示されたわけであります。

 さて、今回の特別会計の改正です。

 実は、私は自民党の中で直接これを担当していたわけでございますけれども、今回の法改正の趣旨は、この特会の設置の目的及び今までの国有林野の改革の実施状況を踏まえ、借入金に係る債務の着実な処理などを講じつつという記述があります。このことは、債務の新たな処理、つまり、平成十年度に引き続き、会計の状況からしていま一度の税投入ということも当然選択の一つになり得るという法案の内容だと思いますけれども、その点について、まず中川農林水産大臣、続いて谷垣財務大臣、今回はいい答弁をよろしくお願いいたします。

中川国務大臣 国土の三分の二を占める森林あるいは林野事業の重要性というものは、もう改めて谷委員に申し上げるまでもないと思います。

 そういう観点の中で今またこの法案を御審議いただいているわけでありますが、そういう中で、平成二十二年に向かいまして、これから、今御指摘のような、例えば条文で言うと二十八条とかいった形で努力をしてまいるわけでありますけれども、その後、民でできるところは民でということで独法にいくわけでありますが、その場合に、債務がどうなるかという、後の議論として税の議論が出てくるんだろうと思います。

 現時点におきましては、できるだけ債務については、御指摘のような平成十年からスタートしております努力を進めていって、一層努力をしながら、この法案の趣旨に沿って、二十二年の時点で債務について御指摘の税投入がどうなるかということも含めて考えていきたい。今はやるべきことを着々とやりながら、成立した暁には、御努力いただいたこの法律の趣旨にのっとって引き続き努力をしていきたい、現時点ではそういうふうに考えております。

谷垣国務大臣 これからこの特会を見直していくわけですが、現在のスキームでも、利払い費、事業運営に必要な経費等々については一般会計から繰り入れが行われているわけでございます。

 それで、今後、一般会計への統合ないし独立行政法人化といったことで、事業の実施主体とか区分経理を見直していくということに恐らくなるんだろうと思いますが、その際に考えなければならないことは、先ほど谷委員がおっしゃったように、国有林野の公益的機能をどうして維持していくかというのは確かに欠かすことのできない観点だと私も思います。しかし、もう一つ、やはりこれだけ厳しい財政事情でございますから、国民負担をできるだけ減らしていくという観点もなきゃいけないんだろうと思います。ですから、特会を移していく中でどういう努力ができるのかということも、これはぎりぎり考えていただかなければいけないことだろうと私は思っております。

 今、中川大臣が御答弁になりましたように、そういういろいろな議論を踏まえた上で、さてその後どうするかということではないか、このように考えております。

谷委員 私自身の考えは、三十一ある特別会計の中で唯一の企業会計です、確かに財務大臣言われるように相当一般会計から投入している、投入していますけれども建前は企業会計、こういう建前をいつまでも言ってはいけないというのが私の基本的な考えであります。

 山といいますか、林野、森林の重要性にかんがみて、国民負担も十分考えなければなりませんけれども、やはり使うべきところには使う、我々の次の世代のために使うという政治をやらなければならないというふうに思います。

 中川大臣にもう一つお尋ねします。

 そういうことで、この特別会計は、一部を独立行政法人、そのほかを一般会計に統合ということでございますけれども、その際に、国土の保全とか国民の安全、安心とか、あるいは大事な自然遺産も後世に残す、いわば未来への責任と申しますか、そういうふうな考え方で万全を期さなければならないというふうに思いますけれども、簡単で結構でございますので、その決意といいますか、考え方をお願いいたします。

中川国務大臣 先ほども申し上げましたように、森林が仮にないとすると、日本は国土全体が大変なことになるということは言うまでもないことでございまして、財務大臣も、御認識を今御答弁でいただいているわけであります。

 金額に直すと七十兆円分の投資が必要だ、効果があるという試算も出ているわけでありますから、民でできるところは民でという趣旨は十分踏まえながらも、他方ではもっと国民の安全、安心、あるいは発展のために森林を維持発展させていく、あるいは未来に伝えていく、こういった観点はますます重要になってきているというふうに思いますので、御指摘の企業会計的な部分を超えるといいましょうか、できない部分については、やはりそこは国民のコンセンサスを前提にして、民でできない、しかし国民的、国家的に必要な森林の果たす役割というものは、今後も維持するために全力を挙げて努力していきたいというふうに考えております。

谷委員 それでは、三番目の質問で、プライマリーバランス黒字化への道筋でございます。

 資料を一枚配付させていただいています。先月二十九日の経済財政諮問会議への竹中議員提出資料でございます。二〇〇二年から二〇〇六年までプライマリーバランスがどれだけ改善されて、国と地方がどれだけ寄与したかという資料でございます。

 これは交付税をどう見るかによって国と地方との貢献ということが食い違ってくるわけでございますけれども、交付税を地方の方も相当痛みを負いながら頑張ってきたというふうに見ると、ここに書いてございますように、国の方は歳入増が大きく貢献し、地方の方は歳出減がプライマリーバランスの改善に大きく貢献している、特に公共投資などは大変大きな数字になっているというのは御承知のとおりでございます。

 さて、理論家であり、党内きっての政策通と評価の高い与謝野大臣は、これをどういうふうに見られているか、今までのプライマリーバランスの改善を国と地方との関係で見て。こういうとらえ方についての御意見をお尋ねしたいと思います。

与謝野国務大臣 この議論は、ほとんど意味のない議論だろうと私は思っております。これは、地方から言わせれば、自分たちが削減努力をしたから地方全体の財政がよくなってきたんだという議論、それから国の方から見ますと、国が地方に渡したお金が十分過ぎるほどだったから地方がよくなったという議論、この二つがぶつかっているわけですが、実は、両方とも国民の一つのお財布から出ているわけでございますから、国民にとってはほとんど意味のない議論だろうと私は思っております。

 ただ、地方のプライマリーバランスは、もうプラスになっている、こういう状況。国のプライマリーバランスは、まだ相当ギャップがある。ですから、国民の目から見れば、国も地方も財政状況は同時並行的によくなってほしい、多分、国民はそうお考えになっていると思っております。

 地方財政は、例えば三位一体改革を見ましても、三位一体改革の一つの柱である交付税の改革というものは、どう見ても十分な進展を見せているとは言えないという問題があります。地方財政計画が正しい姿なのかどうかということも、これから点検する必要があります。公務員の給与水準が適正かどうか、定員が適正かどうか。地方財政については、地財計画のあり方、基準財政需要のあり方、地方交付税のあり方、万般をきちんと見直す必要がある。ただ、地方は地方です、自分たちさえよくなっていけばいいんだという立場は、地方団体の方もおとりにならないと思いますし、また、国民が望んでいるところでもない、そのように思っております。

谷委員 大臣が言われるように、私も、国と地方の将来像を考えるときに、往々にして、国の財政再建重視かあるいは地方分権の徹底かとか、あるいは、地方の責任重視かナショナルミニマム重視かというふうに、相対立するかのような、対立軸があるかのように整理されますけれども、大事なことは、国民の視点に立てばどちらも一緒だ。確かに財布は一つでございますので。

 そういう面で、バランスをとりながら、目配りしながら、また、このプライマリーバランス黒字化という大きな目標に向かって国、地方がそれぞれ痛みを分かち合うということが必要ではないかというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 谷君の質疑は以上をもって終了いたしました。

 次に、江崎洋一郎君。

江崎(洋)委員 自由民主党の江崎洋一郎でございます。本日は、政策金融改革についての集中審議におきまして、お時間をいただきました。

 まず、政策金融改革につきましては、私ども自民党でも行政改革の重要事項といたしまして精力的に検討を進めてまいりました。私も、党の財務金融部会長として議論を担わせていただいてきたわけでございます。

 まず最初に、改革を進めるに当たってのポイントを申し上げたいと思います。

 政策金融とは、予算、税と並ぶ重要な政策ツールでございます。したがって、金融的側面ということだけでなく、政策ツールとしての有効性をしっかりと認識し、残すべきものはきちんと仕分けして存続させ、今後ともこれを活用していかなければならないと思います。

 また、改革に当たりましては、民間金融から必要な資金供給を受けることができない人、厳しい条件でなければ融資が受けられない人、中小零細企業を初めとするこういう方々への配慮が重要でございまして、借り手の視点が極めて重要だと考えております。

 行革推進法は、我が党内の議論を反映したものでございます。本法案に沿って個別の機関ごとの改革をどう進めていくかについて、私自身も中小企業政策を一つのライフワークとしてきております、特に借り手の視点に立って質問してまいりたいと思います。

 以下、商工中金、政投銀、新政策金融機関の順に質疑を進めさせていただきたいと思います。

 まず、商工中金の完全民営化についてお尋ね申し上げたいと思います。

 商工中金の歴史を振り返ってみますと、非常に長く、中小企業者のための金融機関として大きな役割を担ってきたわけでございます。例えば、昭和四十年代後半のオイルショック時には緊急の特別融資を行いました。また、円高不況におきましても、迅速な融資を実施したということがございました。また、数年前には、貸し渋り、貸しはがしが横行していたときも、中小企業者に対してまさに最後のよりどころとしての金融機関としての機能を果たしてきたわけでございます。

 現在、商工中金の完全民営化の問題につきまして、全国の中小企業者がもちろん注目しているわけでございます。私のところにも、地元の中小企業者の皆さんからいろいろな御意見が来てございます。例えば、民営化後も商工中金のこれまでの機能を継続されるよう配慮してほしい、あるいは、商工中金が利益第一主義になってしまい、我々中小企業者が切り捨てられるのではないかといった生の声も伝わってくるわけでございます。こういった中小企業者の方々の声に我々は本当に真摯に耳を傾けなければならないと思っているわけでございます。商工中金の民営化に当たり、しっかりとした措置を講ずることによって、中小企業者の方々の不安を取り除くことができるのではないかと考えているわけでございます。

 そこで、二階経済産業大臣にお伺いを申し上げますが、商工中金がこれまで果たしてきた機能は完全民営化後も維持されるべきと私は考えておりますが、中小企業政策をお預かりになる担当大臣としてどのようなお考えか、まず御意見をいただきたいと思います。

二階国務大臣 中小企業にとって事業資金の円滑な資金調達が極めて重要なことは、今さら申すまでもありません。

 江崎議員も御指摘のとおり、商工中金は、貸し渋りや貸しはがし、これは本当に嫌な言葉でありますが、現にこういうことが行われておったことも事実であります、そこで中小企業にとって安定的な資金供給を行うなど重要な役割を果たしてまいりましたことは、ただいま御意見のとおりであります。

 商工中金の民営化に関しましては、行政改革推進法案において完全民営化すると同時に中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう必要な措置を講ずるものとする、こう明記されておるわけであります。

 そこで、今後詳細な制度設計が行われることになりますが、商工中金の民営化については、改革続行内閣の一員として、きちっとこの改革はやり遂げるつもりであります。しかし同時に、議員も御指摘になられたように、完全民営化の後も中小企業のための金融機関となるようにしてまいりたいと考えることは当然のことだと思っております。

 そこで、金融問題に特にお詳しい江崎議員からの御提案でありますが、そのために必要なしっかりとした担保措置を今後講じてまいりたいと思っております。そして、この改革が中小企業経営の将来に悔いを残すことのないように仕上げていきたい、そのように決意をしておるところであります。

江崎(洋)委員 大臣からのかたい決意をちょうだいしたわけでございます。商工中金の完全民営化後も機能を維持してほしいといった中小企業者の声には、大臣、ぜひともおこたえいただきたいと思います。

 そして、民営化に当たりまして、商工中金の資金調達手段がまた気になるわけでございます。当面、金融債の発行を継続することは、これはやむを得ない、当然のことではないかというふうに私は考えております。しかし、仮にそうしたとしても、財務基盤の整備なしに民営化を行ってしまえば、当然、商工中金の調達金利が上昇し、結果として商工中金の財務体力の悪化は目に見えているわけでございます。調達金利の上昇は、言いかえてみれば貸出金利の上昇となって、借り手たる中小企業者が結果としてそのコストを背負うということにもなりかねないわけでございます。

 そこで、二階大臣に再びお伺いします。

 商工中金の財務基盤の整備は民営化に移行するための大変重要な柱であると日ごろからおっしゃっているわけでございます、私も全く同感でございます。商工中金が完全民営化後も中小企業のための金融機関として機能を果たすことが可能となるように、しっかりとした財務基盤の整備を行い、財務面の不安なく中小企業融資にしっかり取り組めるようにすることが重要ではないかと考えているわけでございます。そこで、政府出資の取り扱いも含めて、財務基盤の整備についてどのように取り組んでいこうとお考えなのか、二階大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 完全民営化の後の円滑な業務運営に必要な財政基盤を確保するということは、御指摘のとおり、非常に重要な課題であると考えております。

 行政改革推進法案におきましても、商工中金の完全民営化に当たっては、「必要な財政基盤を確保するための措置を講ずる」とされておるのであります。今後詳細な制度設計が行われますが、商工中金が完全民営化の後も中小企業のための金融機関としての機能を発揮できるように、しっかりとその点を担保してまいりたいと考えております。

 政府出資の扱いにつきましても、単に引き上げればよいというものではなくて、商工中金が、財務面の不安をなくし、中小企業の金融関係にしっかりと取り組むことができるように、財政基盤の確保のための措置を行うことは当然必要であると考えております。

江崎(洋)委員 商工中金の民営化につきましては、きちっとした道筋を、二階大臣を中心にぜひともお願いをしたい次第でございます。

 次に、谷垣財務大臣に、政策投資銀行の完全民営化につきましてお伺いをさせていただきます。

 政投銀完全民営化に当たりましては、当然のことながら一定の移行期間が必要であろうかと思います。本法案におきましても、政投銀への政府出資につきましては、五年後から七年後をめどとしてその全部を処分するものとするとされておるわけでございます。

 移行期間は、完全民営化に向け、ビジネスモデルを確立するとともに、株式を円滑に売却する期間でありますが、売却収入の最大化を図るためには、市場の評価が重要であり、いわば市場と対話をしつつ民営化のプロセスを進めることが重要ではないかと考えております。

 昨年十一月に政投銀の完全民営化の方向が示されたときには、市場は先行きの不透明感や不安感からこれにネガティブに反応しました。同行の財投機関債流通利回りの対国債スプレッドは、約一・五べーシスポイントも上昇しました。スタンダード・アンド・プアーズの一つの政投銀の格付でございますが、民営化後、政投銀の格付が低下する可能性が高いという指摘もございました。市場の評価を念頭に置きますと、政投銀を一体として完全民営化することと、企業価値を含みます銀行のブランド力、こういったものも引き続き維持していくことが重要じゃないかと思います。そして、移行期に最適な企業行動や業務運営ができるように必要な法的手当てを行うということが重要でございます。

 そこで、財務大臣にお伺いしたいわけでございますが、財務省として、引き続き政投銀のブランド力を確保し、企業価値の維持向上を図るため、移行期の政投銀に係る法的手当てについてはどのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

谷垣国務大臣 今、江崎委員がおっしゃいましたように、政投銀は貴重な経営技術と申しますか金融技術というものを中に蓄積しておりまして、そういう経営資源を散逸させてしまうというのは日本経済にとってもいかにも惜しいことでございますし、また、財政再建という観点からいいましても、今委員が御指摘になりましたような、そういう政投銀のブランド力、企業価値を維持しながら株を売却していくといいますか、そういうプロセスが私は必要だろうと思います。

 そのために何をしたらいいかということでありますが、特に移行期間において大事なのは、先ほどおっしゃったブランドイメージを守っていく、ブランドイメージを高めていくということを念頭に置きながら、投融資、資金調達といった業務の基礎となる根拠について法的手当てをきちっとするということがまず大事ではないかと思います。

 それから、移行措置としては、新機関の投融資を適切に行うための自己資本の確保というものがなきゃいけないと思いますし、また、安定的な資金調達というのがこの業務をきちっとやっていく上の基礎でございますから、そのために移行期は政府保証というようなものをどう考えていくか、このあたりをしっかり組み合わせて、ブランド力、企業価値の維持、充実というのを図っていくというのが課題ではないかと思っております。

江崎(洋)委員 政投銀が完全民営化後も民間金融機関としての収益性を十分確保し、企業価値の最大化を図るため、同行のノウハウなどの経営資源を最大限活用して、特に地域再生や事業再生、ベンチャー支援、プロジェクトファイナンスなどの分野において、引き続き出資と融資を柔軟に組み合わせた長期のリスクマネーを供給していくということが大変重要ではないかと考えております。

 こうした業務に対応するためには、安定的に中長期資金を調達することが肝要でありまして、借り入れといういわば受動的な資金調達だけではなくて、債券の売り出し発行や大口預金の受け入れなど、いわば能動的な資金調達手段ということも含めて多様な道を確保していくことが必要であろうかと思います。財務大臣、この点はいかがでございましょうか。

谷垣国務大臣 完全民営化後の詳細な制度設計はこれから詰めていかなきゃならないんですが、委員がおっしゃったように、ポイントは出資と融資を組み合わせた長期のリスクマネーを提供していくというのがこの政策投資銀行の一番の長所といいますか売りでございますから、これがきちっとできるようなビジネスモデルを確立する必要があるということだろうと思います。

 そのためには、資金調達基盤をどうしていくかということがやはり一番ポイントになってくるわけでございまして、ですから、そうなりますと、論点整理というものをつくっておりますが、その中にもありますように、債券や借り入れによる調達のほか、預金によるホールセールの調達等々、いろいろ議論をして詰めていかなければならないと思っております。

江崎(洋)委員 完全民営化後の政投銀は、純粋な民間企業として経営されるわけでございます。そういった意味で、先ほど大臣から御指摘もございました、長期のリスクマネーの供給を基本とします、しっかりとしたビジネスモデルを確立していくことを我々も本当に期待しているわけでございます。そのためには、繰り返しになりますが、移行期間中、この銀行のブランド力を維持していくということとともに、完全民営化後のビジネスモデルにつながるような万全な業務運営を行うことが重要ではないかと思っております。また、その結果として、株を市場で高く売ることができるわけでございます。中馬大臣におかれましても、ぜひ、行革担当大臣とされまして、今後の詳細設計の、制度設計の責任者でございます、十分にこの点は御配慮いただきたくお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、続きまして、中馬大臣に新政策金融機関の制度設計につきましてお伺いをしたいと思っております。

 まず、国際金融関係につきましてお伺いを申し上げたいと思います。

 今回の制度設計によりまして、今のJBIC、国際協力銀行は大きく二つに業務が分かれるということで、国際金融業務等は新政策金融機関に行く、そして円借款は新JICAに統合されるということで、それぞれの業務がそれぞれ承継されるということでございます。しかしながら、二つに機関が分かれたとしても、それぞれの情報というものは効率的に共有化をして、国として今後国際金融業務あるいは政府援助をどのような政策でその国に打っていくかということについては、やはり統合的に運用されていくべきではないかというふうに考えている次第でございます。そういった意味で、円滑な業務運営というのが大事ではないか、一つ重要なポイントではないかと思っております。

 今後官房長官のもとに設置されます海外経済協力に関する検討会、今後というか既に動いておる機関でございますが、この報告書でも、従来JBICとして一体であったことによって得られた連携機能の利点を損なうことなく引き続き生かすような工夫をすることが重要とされております。この点は、大臣、どうかしっかり御配慮いただきたいと思います。

 今回の制度改革によりまして、国際金融業務については、国益を踏まえて、国際競争力確保、資源エネルギー確保、また国際金融秩序の安定に関する業務に限定して新政策金融機関に継承することになったわけでございます。

 私が特に国際金融業務につきまして民間銀行から聞くところの話では、こういった国際協調融資というようなものは、巨額であり、長期であり、また民間ではカントリーリスクがとり切れないといったものも多くある、そういった意味で、最初に国際業務を担う政策金融機関が出てくれることによって、結果として初めて民間も合流して参加できるというようなスキームも現実にあるということでございます。そういった意味で、新政策金融機関が国際金融機能を従来のJBIC以上に発揮する必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 そこで、中馬大臣にお尋ね申し上げますが、諸外国もかかる観点から政策金融には力を入れていると聞いているわけでございます。例えば、中国輸銀あるいは韓国輸銀との競争の激化も勘案すれば、国際金融業務が果たしてきた資源エネルギー確保やあるいは国際競争力確保などの機能は今後ますます重要と考えられるわけでございます。そのためには、制度設計上、国際金融業務の独立性が高くなるようなことを図っていく、それによって新体制移行後もその機能が遺憾なく発揮されるのではないかと考えるわけでございます。官房長官のもとに置かれた検討会の報告書でも、先ほどのように組織的独立性については言及するところがございました。この点について御配慮いただきたいと思いますが、中馬大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

中馬国務大臣 江崎委員は、国際的にも銀行業にもタッチしてこられましたし、海外の御経験も非常に長うございます。JBICがいかに大きく海外で展開しているか、ノウハウを持っているか、そしてそのブランドといったものも評価されているか、これは十分に御承知でございまして、そのことが今御報告がありました検討会でもはっきりとうたわれておりまして、これまで果たしてきた国際金融業務は引き続き重要と。そういう認識のもとに、JBICブランドの維持、新政策金融機関の国際部門の一定の組織的な独立性、国際部門の長の対外的な位置づけ、こうしたことを含めたJBICの現在のステータスを活用できる体制に配慮して制度設計を検討すべし、このようにされております。重要方針でもこうしたことはうたわれておりまして、新しくできます新政策金融機関でも、国内部門と混然一体となるのではなくて、大枠としましては国内と海外の方を分けることにいたしております。

 そして、今御指摘がありましたように、これからの国際競争力の大きな社会の中でも日本が引き続き活躍できるように、そして、資源エネルギーの獲得競争が始まっております、こういった中でもこの国策的な意味での金融業務、国際的な金融業務が十分に果たせるような制度設計に心がけてまいりたい、このように思います。

江崎(洋)委員 今、中馬大臣から明確にございましたが、国際部門と国内部門を明確に分けていくということで、海外の方から見ても明確に独立した国際部門があるということを認識できるような、そういった配慮をお願い申し上げたいと思います。

 次に、今度は国内部門でございます。新政策金融機関の中の国内部門の方にお話を移らせていただきたいと思います。

 新政策金融機関が行う業務については、先ほど来申し上げた国際金融と国内金融、この二つに大きく分かれるということで、この業務の内容、性格は異なるわけでございます。

 国内金融業務でも、とりわけ利用者を考えてみますと、小口の事業資金を比較的短期の間無担保で借りたいという個人・零細事業者、設備投資のためにある程度まとまった資金を長期で借りたいという中小企業者、自然条件に大きな影響を受けるという事業特性に対応した長期、低利の融資を受けたいという農林漁業者など、国内の分野においてはさまざまな借り手という方がいらっしゃるわけでございます。この利用者の違いによりまして、求められる専門性あるいは審査の視点は大きく異なるわけでございます。

 そういう意味で考えますと、言葉はどうかと思いますが、やはり、もちはもち屋的に専門性を発揮して、それぞれの利用者のニーズに十分にこたえていく、利便性の維持向上を図るということが重要ではないかと考えるわけでございます。

 そもそも、政策金融は政策の一翼を担うものでございます。おのおのの政策分野の専門性は重視されるべきでございますし、組織を統合した結果、専門性が低下していってしまうということであってはならないわけでございます。

 また、例えば組織的な対応ということで考えてみますと、支店網についても、借り手の立場から考えると配慮が一定に必要ではないかと考えておるわけでございます。特に、先ほど申し上げましたような国民生活金融公庫からお借りになられている方々、ここはやはり小規模な事業者の方々が身近に相談できる窓口というものが現在も全国に支店として展開しているわけでございます。統合に当たりまして、これら支店網、行革の時代でございますから当然支店は統合せざるを得ないと思いますが、しかし、大幅にどんどんどんどん集約していくことがなされてしまいますと、利用者に不便をかけるのではないかという懸念もあるわけでございます。

 そこで、中馬大臣にお伺いしたいんですが、どのような統合計画というものを今お考えなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

中馬国務大臣 どの支店をどう統合するとか、そういった具体的な話にはまだ及んでおりません。今後の制度設計にまつところでございます。

 今お話がありました、利用者の立場に立った改革を今回するわけでございますから、離れたところにぱらぱらとあるところ、それをつぶしてしまったらということでございまして、それをつぶすことはやはり利用者の利便にかなわないわけでございますから、逆に、そこがそれぞれの機能を持つことによりまして、中小公庫の機能だけではなくて農林中金の機能をそこが持ったりすることもできましょうし、県庁所在地なんかでは同じのが近くに三つも四つも共存している場合がありますが、これは一つにした方が……。このごろは一つの事業でも、農林か食料かまたは工業かわからないような混然一体とした、中小企業でも他部門の業態が一つになったようなのがあるわけでございますから。あらかじめ農林業務だとかそういうことじゃなくて、逆に統合された方が借りられる場合でも利便性が高まる。たらい回しにされるんじゃなくて、そこでいろんなことが総合的にぱんとやってもらえる、そういう要素もあるわけでございますから、そうした利便性を、利用者の立場に立った統合ということをこれから考えていくべきだと思っていますし、そういう制度設計にしてまいりたいと思います。

江崎(洋)委員 中馬大臣、ありがとうございます。利用者の方々が建物に入って、どこの窓口に行って借りればいいのかなというように迷うことがないような組織に、ぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 最後に、この新政策金融機関の危機対応につきまして、どのような整備がされるかということについてお伺いを申し上げたいと思います。

 この危機対応体制については、現在の法案では、例示されている中には金融危機や大災害といったケースが主体で書いてあるわけでございます。しかし、私が冒頭申し上げました、例えば商工中金の例などで申し上げても、円高不況や石油ショックなどの場合にも機動的に対応していくべきではないかというふうに考えているわけでございます。

 そのためには、多様な場合に対処できるように、発動要件そのものというのは制度設計上は余り硬直的なものにせずに、弾力的に発動ができるようにしておく必要があるのではないかと考えております。この点につきまして、中馬大臣に、十分御配慮いただきたいと思いますが、御見解をお願い申し上げます。

中馬国務大臣 これは新政策金融機関だけが担うとか、あるいはまた商工中金はもうそういうことの役割ははねてしまうんだということではないんですね。過去の場合でもそうですけれども、あの阪神・淡路大震災でも、あるいはまたその前のショックのときでも、それから、この間からのあの大きな金融不安の中でも、国が責任を持ってその役割を担うのはもちろん、そうした政府系金融機関も大きな役割を果たしましたが、それぞれの金融機関にもいろいろと要請をして資金を出してもらうとか、あるいは各自治体がかなり責任も持ちました。こういったことを総合的にやりますが、その機能というのはここにちゃんと担保されるということがこの新政策金融機関の中でもうたわれておりますから、そのことも十分に果たしていく制度設計にしてまいりたいと思います。

江崎(洋)委員 最後にまとめさせていただきますと、今般の一連の改革は、民でできることは民でやるという考えに立って進められているわけでございます。政策金融改革もそのスタンスに沿って進められておりますが、重要なことは、本当に民でできることかどうかということをしっかり見きわめる必要があろうかと思います。

 そういった点で、国内の中小零細事業者の方々あるいは個人事業者の方々が民間金融機関から必要な資金供給を十分受けられないときには、きちっと政策金融機関が対応していくということも重要ではないかと思います。また、国際金融の分野で、民間金融機関がJBICとの協調融資なしに資源確保関連等の融資を行うことは難しいという状況であります。こういった点を十分に踏まえて、今後、詳細制度設計を進めていただきたくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊吹委員長 これにて江崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井啓一君。

石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。

 本日は、政策金融改革を中心に質問させていただきます。ただいまの江崎委員の質問と重複するところがございますが、よろしくお願い申し上げます。

 まず、新政策金融機関の国際金融業務でございますが、官房長官のもとの海外経済協力に関する検討会の報告書を受けまして、この法案の第五条第四号では、国際金融業務は、現在の国際協力銀行の外国における信用が維持され、その業務を主体的に行える体制の整備が規定をされております。これは今後の詳細設計で詰められるところではございますが、どのような体制、組織形態を想定していらっしゃるのか、行革大臣と財務大臣にそれぞれお伺いしたいと思います。

中馬国務大臣 今江崎委員に述べたとおりでございますから、重複を避けて簡単に申し上げますが、例の重要方針にもちろん書いておりますし、海外経済協力に関する検討会の報告書、こういったことにもかなり具体的に書いております。

 そういうことで、これらの報告書も踏まえまして、今後の詳細な制度設計並びにこれを踏まえた制度の企画立案、この過程において、委員の御趣旨を十分に入れて制度設計してまいりたいと思います。その際に、海外のことでございますので、現在のJBIC等の外国における信用の維持、業務の主体性の遂行、これが可能なように制度設計してまいります。

谷垣国務大臣 これから詳細な制度設計は中馬大臣のもとで詰めていただくわけでございますが、その際にきちっと踏まえておくべきことは、先ほど石井委員が引用されました検討会の報告書をきちっと踏まえる、重複を避けて、そのことが一番大事だということだけ申し上げたいと思います。

石井(啓)委員 昨年閣議決定された行革の重要方針の中では、新政策金融機関においては、国内部門と国際部門、それぞれ明確な旗印を立てるということで記述をされておりますし、今回、新政策金融機関が株式会社形態も認められているということで、例えば、新しい政策金融機関を持ち株会社といたしまして、その下に国際金融部門を子会社としてつける、こういうことも具体的な組織形態では有力な案ではないかなということを、これは私の個人的な意見でございますけれども、申し上げておきたいと存じます。

 続きまして、商工中金でございますが、経産大臣にお伺いいたしますけれども、商工中金を完全民営化するに当たって、財政基盤について、まず資本構造をどうするかというのが重要な課題でございます。

 現在、政府出資が約四千億、民間出資が約一千百億円でありますけれども、政府出資については無配当、民間出資については三%の配当ということでありますが、仮にこの約四千億の政府出資をすべて株式として売却するということになりますと、これは配当負担が相当ふえますので、収益構造はかなり厳しくなるということがございます。

 一方で、では政府出資を全部引き揚げちゃえばいいんじゃないかということになりますと、今度は民間出資しか残らないということになると自己資本比率が相当低下いたしますので、これは銀行として立ち行かなくなっていくということで、ここについては相当の工夫が必要になってくるというふうに思います。

 それから二つ目ですが、資金調達でございますけれども、今の商工中金は金融債の発行に大半をゆだねているわけであります。現在の資金量約十兆二千億のうち金融債が七兆八千億で約七六%を占めているということでありまして、これは将来とも安定した資金調達の基盤を確保する必要がある、こういうことがございます。

 法案の第六条第三項でも、完全民営化に当たって、商工中金の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置が規定されておりますけれども、どのような措置を想定されているのか、お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 商工中金の民営化につきましては、円滑な業務運営に必要な財政基盤の確保や安定した資金調達基盤の確保は、石井議員が御指摘のとおり、極めて重要な問題だと考えております。行政改革推進法案におきましても、御承知のとおり、商工中金の完全民営化に当たっては、必要な財政基盤を確保するための措置を講ずると明記されております。

 したがいまして、本法案が成立された後に詳細な制度設計に移りますが、商工中金が完全民営化の後も中小企業のための金融機関として機能を発揮できるように、財政基盤の確保に取り組んでまいりたいと考えております。同時に、安定した資金調達基盤の確保につきましては、完全民営化の後も資金調達に支障がないように、しっかりとした取り組みを考えてまいりたいと思っております。

 今国会におきまして、行政改革推進法案の審議及び経済産業委員会等におきましても、中小企業、なかんずく商工中金の完全民営化につきまして、たくさんの御意見をちょうだいしてまいりました。この各党の御意見を十分尊重しながら、制度設計におきまして、本当に改革してよかったなと中小企業経営者の皆さんも安心ができるような改革、だれのための改革であったかということが明確に御理解いただけるように努力をしてまいりたいと思っております。

石井(啓)委員 よろしくお願いいたします。

 続いて、同じく商工中金でございますが、現在、商工中金から融資を受けているいわゆる中小企業の皆さんからも、完全民営化の後も、やはり現在の中小企業融資を中心とした業務をぜひお願いしたいという強い要請を受けているところでございます。

 法案の第六条第三項では、商工中金の有する中小企業等協同組合その他の中小企業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融機能の根幹が維持されるための必要な措置、これが規定されているわけでありますが、これについてはどのような措置を想定されていらっしゃるのか、二階大臣、お願いいたします。

二階国務大臣 商工中金は、これまで民間金融機関から借り入れが困難な中小企業者に対しましても、将来の成長性等を見込んで思い切った融資を行うなど、重要な役割を果たしてまいりました。この完全民営化の過程におきまして、私ども、関係者の御意見等をちょうだいしてまいりましたが、商工中金がいかに今日まで中小企業の育成のために努力をしてきたかというその足跡が見えるわけでありまして、私は、このことを高く評価したいと思っております。

 商工中金の民営化に関しまして、ただいま御審議をいただいております行政改革推進法案におきまして、石井委員もお述べになりましたとおり、中小企業等に対する金融機能の根幹が維持されることとなるように必要な措置を講ずるものとする、このことが明記されておることによって、中小企業の皆さんはこれに大きな期待をかけておられるのであります。私としましては、商工中金の民営化を改革続行内閣の一員としてきっちりやり遂げることは当然のことでありますが、同時に、完全民営化の後も中小企業のための金融機関とすることが大切である、これは政治を担当する立場からも、その重要性は十分考えておるわけであります。

 今後、詳細な制度設計の中で、先ほども御答弁申し上げましたように、中小企業専門の金融機関となるように、そして各党からお示しをいただきました中小企業の発展、維持、継続、このことに十分配慮しながら、当委員会の審議また与野党の皆さんの今日までの御発言を体して、制度設計に取り組んでいきたいと考えております。

石井(啓)委員 よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、今度は政投銀でございますけれども、財務大臣にお伺いいたしますが、政投銀の完全民営化に当たって、やはり資金調達をどうするかというのが大きな課題でございます。現在は財投の借り入れあるいは政府保証債に過半がゆだねられているわけであります。それから、政府保証のついていない財投機関債も発行しておりますけれども、これは実質的に政府保証がついているのと同様というふうにみなされておりますので、かなり有利な発行条件で資金調達がされている。

 これの完全民営化に当たって、これをどういうふうにしていくのかというのが大きな課題でありまして、将来とも安定した資金調達に円滑に移行していくということが極めて重要でございます。法案の第六条第三項では、完全民営化に当たっての政投銀の円滑な運営に必要な財政基盤の確保、このための措置が規定されておりますが、どのような措置を想定していらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

谷垣国務大臣 政投銀は、今おっしゃったように、今までは政府保証債それから財投からの借入、こういうもので資金調達をしてきたわけですが、完全民営化した後は民間金融機関となるわけですから、自分の信用で資金調達を行っていかなければいけないということだろうと思います。

 それで、完全民営化後の資金調達のあり方、これは今後詳細な制度設計をしていかなきゃいけないわけですが、その際のポイントは、先ほど来の御議論にもございますように、出資と融資を組み合わせたリスクマネーを長期に供給していくというのがこの銀行の一番のポイントでございますから、それに相応じた、相ふさわしい体制を整えていかなければいけないということだろうと思います。

 それで、これは論点整理というものをつくっていただいておりますが、債券あるいは借入による調達、これが基本にあるわけですが、そのほかに、預金によるホールセールの調達等々、こういうものも検討していかなければいけないのではないかと思っているわけでございます。それから、完全民営化する以前のいわゆる移行期ですが、ここの移行期においても資金調達について必要な法的手当てはやはり要るであろうと思います。安定的な資金調達体制に円滑に移行していくということで、政府保証等々をどうするか、このあたりも十分議論をしていかなければならないのではないかと思っております。

    〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕

石井(啓)委員 今谷垣大臣から指摘がございましたように、政投銀というのは出資と融資が一体となった長期資金を提供するというところに大きな特徴があるわけでございます。法案の第六条第三項では、政投銀の有する長期の事業資金に係る投資機能の根幹が維持されるための必要な措置が規定されておりますけれども、これにつきましてはどのような措置を想定されていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今おっしゃったようなビジネスモデルをつくっていくということでありますが、そのためには、移行期においても引き続き、インフラといった長期融資あるいは地域再生とか事業再生を行ってきましたけれども、そういった新しい金融技術を活用した投融資業務を行うというような完全民営化後のビジネスモデルをつくっていく、構築していく、そういう資金運用をきちっとやっていくということが必要じゃないか。そして、先ほど申し上げたように、そのための資金調達の基盤を確立していく必要があるわけでございます。

 具体的にはこれからの制度設計なんですが、投融資や資金調達などの業務の根拠について、やはり必要な法的手当てを行う。それから、移行措置として、新機関の投融資を行っていくためにはやはり自己資本がきちっとしていなきゃいけないということだろうと思います。それから、先ほど申し上げたような政府保証も、安定的な移行をしていくためには考えなければいけないのではないか。そんな手当てが必要ではないかと考えているところでございます。

石井(啓)委員 今度は、現在、国民生活金融公庫で行われています教育貸し付けについてお伺いしたいと思います。

 これは実は、私ども公明党がこだわった点でございまして、当初、経済財政諮問会議の民間議員の提案では、この国金の教育貸し付けを廃止する、民間の方に全部やってもらう、こういう案であったわけでありますけれども、ただ、現状の民間の教育ローンの実態を見ますと、今国金で教育貸し付けの融資の対象者になっている方を、全部カバーできるとはとても思えない、これはぜひ残すべきだということを主張いたしまして、法案の中では第八条第二項で、低所得者の資金需要に配慮をしつつ貸付対象範囲を縮小するということで、残すということになったわけであります。

 これは財務大臣にお伺いしますけれども、どの程度までこれを縮小する想定でいらっしゃるのか、確認をさせていただきたいと思います。

    〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕

谷垣国務大臣 今まで国民生活金融公庫でやってまいりました教育資金貸付制度というのは、主に入学時に必要な費用、入学金とか授業料、こういうものをお貸しするということで、学生生徒を持つ世帯の経済的負担を軽減していこうということであったわけですが、貸し付けの対象の範囲を縮小するとされているわけですが、その際に低所得者の資金需要に配慮せよ、こういうことになっておりますので、この点を十分踏まえて制度設計を中馬大臣のもとでしていただくということではないかなと考えております。

石井(啓)委員 国金の教育貸し付けは縮小したけれども、その分野を民間の方がカバーしなかったというようなことにならないように、ぜひ、現在の民間の教育ローンの実態もよく調べていただきまして、受験生を持つ親御さんが不安のないようにしていただきたいと思います。

 続いて、沖縄振興開発公庫でございますけれども、これは法案の第十一条第一項で、現行沖縄振興計画の最終年次であります平成二十三年度までは公庫として残しまして、それ以降に新政策金融機関に統合するということになりました。これは私どもも大変評価をいたしたいと思います。その上で、第十一条の第二項では、「沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるもの」という規定がございますけれども、これは特利制度を初めとする沖縄独自の制度というふうに理解をしておりますが、そういったことでよいのか、確認をいたしたいと思います。

 あわせて、十一条の第三項で、統合に当たって、沖縄県の区域を管轄する新政策金融機関の事務所が、その業務を自立的、主体的に遂行することを可能とする体制という規定がございますけれども、これは、新しくできます沖縄の現地事務所でほとんどの案件の決裁を可能とする体制だというふうに理解をしておりますけれども、この点についても中馬大臣に確認させていただきたいと思います。

中馬国務大臣 今石井委員からお話ございましたように、沖縄は、例の沖縄振興計画が二十三年度までですから続いております。その関係がございますから、統合するに際しましても、一挙ということではなくて、一年おくれたような形になります。

 ともあれ、十一条の第二項につきまして、沖縄振興開発金融公庫の業務のうち、本土公庫等の見合いの業務を廃止することの例外として、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ、特に存続させる必要があるもの、これを除くことを規定したところでありまして、その趣旨は、行革の重要方針にのっとりまして、沖縄独自制度や、今お話がありました特利制度を残すということでございます。

 また、第三項の、自立的かつ主体的に遂行することを可能とする体制、これにつきましては、政府・与党合意の政策金融改革について、これは十七年の十一月二十九日ですが、これと行政改革の重要方針におきまして、自己完結的機能を残す、このようにいたしております。

 こうした基本的な方向が規定されておりますので、これをできる限り忠実に条文化したのが今回のことでございまして、沖縄金融公庫が新政策金融機関に統合される時期に関しては、お話しのとおり、平成二十三年度に現行の沖縄振興計画が終了した後としているところでありまして、今後、適切な時期に、委員御指摘の決裁のあり方等を含めた具体的な姿を検討していくことになります。

石井(啓)委員 すべての案件というふうには申し上げませんけれども、大半の案件が現地の沖縄で決裁ができるような体制をぜひ御検討いただきたいと思います。

 続きまして、法案第十四条で、独立行政法人それから特殊法人、公益法人の融資業務の見直しの規定がございますけれども、これは私は、今行っている融資業務の必要性があるのかどうかということがまず一つの観点、もう一つは民間金融機関でそれが代替可能かどうかという、この二つの視点が今後の見直しに当たっては目安になるのではないかというふうに思いますけれども、この点について中馬大臣にお伺いしたいと思います。

 ちょっと具体的な例を挙げたいと思うんですが、今、独立行政法人の日本学生支援機構、かつての日本育英会ですね、ここが奨学金貸与事業を行っているわけでございます。これは教育支援あるいは子育て支援という政策上、必要だと思いますけれども、現在の奨学金の有利な条件での貸し付けがとても民間金融機関で行えるとは思えないわけでありまして、そういった点を考えますと、私は日本学生支援機構が行っている奨学金貸与事業というのは当然存続させるべきであるというふうに考えますが、この点については文部科学大臣から確認をいたしたいと思います。

中馬国務大臣 政策金融改革につきましては、経済全体の活性化を図る観点から、必要な政府の関与を残しておきながら、民間にできることは民間に任せて、そして政府は撤退していくという方向で改革を取りまとめているところでございます。

 独立行政法人等の行う融資等の業務につきましても、こうした今回の改革の趣旨を踏まえまして見直しを行うことにはしております。しかし、独立行政法人が行う融資等業務については、ことしの夏をめどに政府としての基本的な考え方を取りまとめた上で、今お話がありました、いろいろなケースがございます、個別の法人ごとに業務の見直しを行いまして、本年度中に政府としての結論を得ることといたしております。

 今後、政府としましても、基本的な考え方を取りまとめるべく検討を行いまして、各法人の行う融資等業務の見直しが適切に行えるようにしてまいりたいと思います。

小坂国務大臣 石井委員が御指摘の日本学生支援機構の奨学金貸与事業につきましては、学力及び家計基準を総合的に勘案して奨学生を選考いたしておりまして、無利子奨学金のほか、長期、低利な有利子の奨学金制度も持っておるわけでございます。また、死亡、心身障害による返還免除や経済的理由等による返還猶予制度など、民間金融機関等の教育ローンとは異なる、教育独特の支援的な配慮がなされた貸与条件となっておるわけでございます。

 文部科学省といたしましては、日本学生支援機構の奨学金事業は、平成十八年度予算におきましても、無利子貸与四十六万人、また有利子六十三万人の利用者を予定するなど、教育の機会均等を達成するために、民間では代替できない、国が責任を持って行うべき教育政策と考えておりまして、日本学生支援機構の融資業務の見直しに当たっては、効率的な事業の実施を念頭に置きつつも、奨学金事業の趣旨や重要性をしっかりと踏まえて対応してまいりたいと考えております。

石井(啓)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、最後の質問になるかもしれませんが、公益法人改革について質問をさせていただきたいと思います。

 一般社団法人、一般財団法人法案でございますけれども、この法案の第十一条第二項で、一般社団法人については、社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めを無効にする規定がございます。また、法案の第百五十三条第三項第二号では、一般財団法人では、設立者に対して剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めの無効を規定しています。すなわち、一般社団、一般財団においては、それぞれ社員や設立者に剰余金または残余財産の分配はさせないということが大前提でございます。

 ところが、この法案の第二百三十九条の第二項では、一般社団法人、一般財団法人を解散する場合の残余財産の帰属の規定がございまして、これは第一項では定款によって定めるとなっているんですね。定款では、社員とか設立者に帰属させないということになっていますから、それはそれで結構なんですけれども、第二項を読みますと、定款により帰属が定まらないときは社員総会または評議員会の決議によって定めるというふうになっていまして、これは社員、設立者への帰属も可能になっているんですね。

 ですから、当初、存続時には、定款でそういう定めはだめだ、社員、設立者に残余財産の定めはだめだとなっているんですけれども、解散時には可能になっているという規定になっていまして、これはどういうことなのかと。この理由を確認したいのと、こういう規定になりますと、当初そういう残余財産の分与を無効にした十一条、百五十三条の措置の抜け道になってしまうのではないか。これがちょっと私、懸念材料でございますので、どういう法律の考え方なのか、確認をしておきたいと思います。

伊吹委員長 それでは、立法論として答えてください。中馬国務大臣。

中馬国務大臣 我が党においても御党においても、ここのところではいろいろと議論がございました。

 善意の方々が当然こうしたことをしていただけるのと同時に、また逆に、一つの利益を上げる営利法人的な形でこれを運営して、最後に残ったのを全部分け前にしてしまうということになりますと、これは営利法人に結果的になってしまいます。こういうことがありまして、ちょっとこの点、わかりにくかったかと思いますけれども、これを整理させていただく意味で、私は、逆にこのことをはっきりと、読ませていただいた方がいいかと思います。

 委員御指摘の、定款で帰属の定まらない残余財産の帰属を社員総会または評議員会の決議によって定めるという規律は、法人が解散し、清算手続開始後のものであります。一般社団法人、一般財団法人は、登記のみによって設立可能な法人でありまして、その活動は官庁の一般的な監督を受けずに法人の自律的な意思決定によることとされております。したがいまして、法人の解散後、清算手続が進行し、全債権者へ返済が終了した段階で残存する残余財産の帰属についても、法人の自律的な意思決定にゆだねることが相当であり、当該法人の社員総会または評議員会の決議によって定めるものとしているところでございます。

 しかしながら、あらかじめ定款で社員や設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を付与することについては、剰余金または残余財産の分配を目的とする営利法人との区別がつかなくなる、このためにこれを禁止したものでございます。

 したがいまして、清算段階における具体的な残余財産の帰属を法人の自律的な意思決定にゆだねることと、あらかじめ社員または設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めを禁止することは、相互に矛盾するものではなく、かつ、抜け道となるものではない、このように考えます。

石井(啓)委員 この点は、実はもう少し議論したいところなんですけれども、きょうは質疑時間が終了いたしましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 以上をもちまして、石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 ここから総理にも御登場いただきましてお答えをいただきたいと思っておりますが、一昨日に引き続き、それこそ委員長の御配慮もいただき、きょう、こうして質問させていただけるのを大変感謝したいと思っております。

 なぜきょうわざわざこうしてもう一度質問に立たなければならないか、振り返りたいと思うんですが、私、一昨日この委員会で、中馬大臣以下、それこそ、民間が落札をした場合の公務員の人事権であるとか配置転換、その責任はだれかという、非常にわかりやすいつもりで質問をさせていただいたところでありますが、どうも迷宮入りをしたようなところもありました。中一日ありましたので、過日の御答弁でももう一度しっかりと役所の混乱を整理して御説明したいと大臣もおっしゃっていただきましたので、そこからもう一度、御答弁をしていただきたいと思います。

伊吹委員長 それでは、整理をして、中馬行政改革担当大臣。

中馬国務大臣 質問にお答えする前に、四月十一日、田島委員の御質問の際に、答弁の中で少しあいまいな部分がございまして、ここで少し混乱いたしましたこと、心からおわびを申し上げたいと思います。

 官民競争入札等で民間事業者が落札した場合、業務に従事していた公務員の処遇についてでございました。まず、政府部内での配置転換と新規採用の抑制により対応することが基本でございまして、一方、本人の同意があり、落札事業者が希望する場合には、公務員を退職して落札事業者のもとでその業務に従事することとなるわけです。この場合、落札事業者のもとで勤務した元公務員は、公務への復帰が法的に保障されるわけではありません。落札事業者のもとで勤務した元公務員が再び国家公務員に採用された場合には、公共サービス改革法案に基づき、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例が適用される、このようにしたことでございます。

田島(一)委員 大臣、今のお話ですと私の質問に答えていることにはならないんですよ。今回の制度の実態を御説明、解説いただいただけであって、私は、人事権であるとか異動の責任はどこにあるのか、だれが持つのかということを聞いたわけなんですね。本当ならば、政府サイドがこの人事権、いわゆる公務員の制度の根幹をなす肝心の問題をもっと丁寧に御説明されるべきだと私は考えます。しかしながら、それがない。

 そんな中で、実はきょう、皆さんのお手元に一枚の図式化したものをお配りしました。私の方で、今回市場化テストにかけられて民間のC社がX省のB業務というのを落札した場合、Bという業務に勤務をしていた公務員Aさんはどういうふうになっていくのかというのをかいたわけであります。これは、自分で言うのもなんですが、非常にわかりやすくかいたつもりなんですね。(発言する者あり)本当に、そうなんですよ。政府がこれぐらいやって説明をしないとだめなんだけれども、恐らく、政府の方々もこのところまで大臣に御説明をされていなかったから、おととい、あんな感じでそれぞれ御答弁される方の意見が食い違っていた、そういうことじゃありませんか。

 今、御丁寧におわびの言葉もおっしゃいましたけれども、もう一度、この絵と照らし合わせながら、私、質問も整理をし、かみ砕いていきたいと思います。

 例えば、公務員Aさんが、民間企業のCが落札をしたと同時に、要は過員状態、波線で囲っておりますけれども、現行法上、この公務員Aさんの仕事はなくなるわけであります。なくなってしまったとき、今御答弁では配置転換と新規採用の抑制で対応することが基本だとおっしゃいましたけれども、では、自発的にやめていく場合は、この矢印の上に行っているとおり、C社の社員となる。これは一定、本人の同意があるわけですから理解もしましょう。

 ところが、やめる意思がない場合、ここに「Y省に配置転換」というふうに書きました。ひょっとしたらこれは、X省ということ、同じ省の中で配置転換があるかもしれませんけれども、Y省に配置転換をするとした場合、この責任は一体だれが持つんですか。X省の意思でこのAさんを受け入れるのか、それともY省が受け入れたいといって初めて成り立つのか、非常に基本的な問題なんですよ。過員状態になったと同時に、この人事権や異動の責任はだれになるのか。X省の大臣なのか、Y省の大臣なのか。わかりやすくお答えください。

伊吹委員長 まず中馬国務大臣、先ほどのつながりでまず答えてください。

中馬国務大臣 これは、外部に出ていく場合じゃなくて、内部に残って、そして仕事が、そこが民に移ってしまったからないということでございますから、あくまで内部の配置転換の問題でございます。首を切るんじゃなくて、研修を受けたり、また、その方のもちろん御了解も含めて転勤をしてもらうことになるわけでございますけれども、その場合のことでございますが、同一任命権者に属する機関の部内での配置転換が行われる場合には、その任命権者が責任者となります。

 例えば、A省からB省へ配置転換が行われる場合など任命権者を異にする機関の間での配置転換が行われる場合には、A省からB省に配置転換となることについてはA省大臣が、またB省の中でのどのポストに配属するかについてはB省大臣がそれぞれ責任者となります。

田島(一)委員 申しわけない、私、X、Y、Zというふうに省の名前を書いたものですから、この流れでちょっと御答弁くださいよ。

 ということは、Y省に配置転換するとなった場合は、Y省の大臣がその任命権者というふうにおっしゃいました。しかしながら、必ずしも、Y省に配置転換先のポストがあるかどうかというのは、何の担保も保障もないわけですよね。場合によっては、この下に矢印をつけましたが、受け入れ先がないということも十分にあり得るわけですよ。本人はやめる意思がないと言っていても、受け入れ先がない、つまりはY省の大臣にポストがないよと言われたら行く先がなくなるわけなんですね。今の公務員制度法上では職務がないわけですから、このAさんを引き続き配置転換で使おうとしても、これは無理なわけなんですよ。

 にもかかわらず、今し方は、配置転換と新規採用の抑制により対応することが基本だとおっしゃいました。やはりこれは御答弁でも逃げていらっしゃるんですよ。基本だというだけであって、新規採用の抑制と配置転換で必ず責任をとりますとまではおっしゃっていないんですよね。これはちょっと公務員に対して余りに無責任な逃げ口上じゃないですか。お答えください。

伊吹委員長 それでは、山口内閣府副大臣。X、Yを使って答弁してください。

山口副大臣 お答えいたします。

 きょうの資料、配付をしていただきまして、私も本当に明快にわかりましたので、きょう伊吹委員長と似ているような服を着まして、委員長ほど明快ではありませんけれども、答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、X省でBの業務を民間企業のC社が落札した、こういう設定でございます。それで、今公務員のAさんが、これにはY省と書いてありますけれども、本来であればX省内部でまずあるかないかということが先だと思います。そしてその後、X省内部でやはりないなということになりましたら、今度はY省というかほかの省庁で、あればそこへ行く。そして、もしそこもなかったということになれば、この下に書いてある、受け入れ先がないというのでクエスチョンがありますけれども、これは特に今新規採用の抑制ということで、当然その年度にやめる、補充で入れるということでありまして、そのときの責任の所在、これは当然、最初X省から例えばY省へ行く省庁間の場合は、X省の大臣がまず責任をとる、責任者であります。それで、行った先の中は、それぞれの、当然Y省の大臣の責任になるということでございます。

田島(一)委員 思わぬところで新規採用の抑制というお話がちょっと持ち出されたんですけれども、では、今の御答弁を確認したいんですが、受け入れ先がないということは絶対にあり得ないと断言できますか。

山口副大臣 今おっしゃった、受け入れ先がないということははっきりは申し上げられない、そのときの運用というか状況で、うまく配置転換でいくときとないとき、それははっきりは申し上げられません。

田島(一)委員 はっきり申し上げられないとおっしゃっても、今、これ、何を議論しているんですか。その先が、はっきりわからない、それでいて、こうして、やめる意思がない公務員の首を切ることもあり得ますよということをはっきりおっしゃっているのと一緒ですよ。本当にいいんですか、それで。

山口副大臣 何度も同じで申しわけないんですけれども、まずはそれぞれの省庁の中、そして今度はその省庁になければ他の省庁、今は一府十二省あるわけでありますけれども、そしてその中の配置転換でなおないようであれば新規採用の抑制をするということで、これは四十八条でうたっていることでございますので、それ以上はお答えようがないので、それで御理解をいただきたい、こう思います。

田島(一)委員 新規採用で抑制とおっしゃるんですけれども、新規採用の抑制分と、そして民間企業が落札したことによってオーバーした分の数、これを必ず抑えることができるかといったら、こんなものはもう当てにならないわけですよ。だれかがこうやってあぶれてくることも想定しなければならない。あり得るんじゃないかと私は心配しているわけなんですね。

 公務員一人一人が、それこそ自分が当たっている業務が市場化テストにかけられて仕事がなくなるかもしれない、でも自分は公務員として残っていたいんだけれども、残念ながら首を切られるかもしれない、そういう不安におののいているのが今の状況ですよ。これに対して、しっかりとその職は守りますよという担保をこれまでお示しされていたんですよ。にもかかわらず、ここに来て、あいまいな、そういう不安定な状況を露呈される。これは、この法案自体がいかに穴が多過ぎるか、そして、今までお答えくださっていた流れと随分狂ってきたという問題点が露呈したと私は思いますが、どうでしょうか。

山口副大臣 済みません。同じことを言われても、やはり、この四十八条を読んでいただければ、これで御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください。

田島(一)委員 今、四十八条ということをおっしゃいました。これははっきり言って、制度としてできているのかどうか。これははっきり申し上げて、制度じゃないでしょう。基本計画では、生首を切らないとおっしゃっていましたよね。にもかかわらず、これ、四十八条でお逃げになるんですか。

山口副大臣 もう何度も同じことになるのでありますけれども、今、まずは省内、そして省庁間、そして、そこがなければやはり新規任用の抑制ということで、それはしっかりと政府が責任を持って対処するということで御理解をいただきたいと思います。

田島(一)委員 ちょっと切り口を変えて、もう少しこの部分を聞きたいと思います。

 この配置転換、もちろんおっしゃるとおり、X省の中でまず努力をされる、これは当たり前のことだと思います。しかし、これが、X省にポストがないよ、職務がないよというときは、この図のとおり、Y省にお願いをしなければならないわけですよね。では、Y省で入れてくれというのはだれが言うんですか。X省の大臣でしょう。これは強制できるんですか。Y省の大臣に、このAさんを使ってくださいとはっきり言えるんですか。

山口副大臣 政府の中に雇用調整本部を置いて、その中でそれぞれ、任命権者は大臣と大臣でしょうけれども、当然、運用的には官房同士の話し合いでできると思います。

田島(一)委員 では、それは強制的にできるというふうに理解をしていいんですか。

山口副大臣 調整本部でそれぞれ調整して、しっかりとやっていきたいと思います。

田島(一)委員 どこに書いてあるんですか、それが。根拠法を示してください。

山口副大臣 お答えいたします。

 三月三十一日の、雇用調整本部の中で、その大枠の中でそれを決定しているそうです。(田島(一)委員「私は法律を聞いているんですよ」と呼ぶ)

伊吹委員長 質問でもう一度言ってください。

田島(一)委員 根拠法をお示しください。いつ協議をしたか、そんなことは聞いていません。

山口副大臣 政府の行革推進本部決定でございます。

伊吹委員長 山口副大臣、委員長から申し上げますが、行政行為すべてを法律に書くということは必ずしも必要ではないんです。しかし、行政行為として雇用調整本部で調整をしていくための基本的な根拠の法令は何かということを答えてください。

山口副大臣 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律関係の四十五条の二項で、「前項の国の事務及び事業の合理化及び効率化に伴う定員の改廃に当たっては、その対象となる事務及び事業に従事する職員の異動を円滑に行うため、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築並びに職員の採用の抑制その他の人事管理上の措置を講ずるものとする。」ということでございます。

田島(一)委員 今おっしゃってくださいましたけれども、これは結局減らす方の話だけなんですよね。では、必ずその次新しいポストにきちっとつけますよという担保となる根拠法ではないじゃないですか。それをもう一度よく分析、かみ砕いて解釈されたら、私が最初聞いた話の根拠法にはなっていませんよ。果たして、本当にそれで根拠法だと言い逃れていこうとするんですか。それだったら、これは余りにもずさん過ぎる法案だとしか私たちは言いようがないですよ。

山口副大臣 田島委員はずさんだとおっしゃいますけれども、今総理もいらっしゃいますけれども、やはり官から民、そして民にできることという筋からいって、このサービス法案については決してずさんではないと私は確信しておりますので、御理解をいただきたいと思います。

田島(一)委員 もう一度質問をいたします。

 減らす側については、今御提示いただいたことで私は結構かと思います。しかし、新たにY省なりに配置転換をして入れていこうとする部分の根拠法としては、それは不適切ではないですかという質問です。

伊吹委員長 委員長から申し上げますが、法案の提出者として、法案の立法に含まれている趣旨を明確に答えてください。

山口副大臣 四十八条にございます。「国は、第二十四条の規定により公共サービス実施民間事業者が実施することとなる官民競争入札対象公共サービスの実施に従事していた職員を、定員の範囲内において、他の官職に任用することの促進その他の競争の導入による公共サービスの改革を円滑に推進するための措置を講ずるよう努めるものとする。」この四十八条でございます。

田島(一)委員 同じことを多分繰り返していると思うんですよ、委員長。

 任用の促進というふうにおっしゃいましたけれども、やはりこれは減らすことの話であって、そこのところにきちっと配置転換をやりますよという責任になるような根拠じゃないと私は思うんですね。

 もう一度御説明をやってください。条文を読んでいただくことは、よくわかりますから、その中身について、副大臣なりに、私が示したこの絵ほど易しくとは言いませんけれども、お示しください。

山口副大臣 今ちょっと聞きそびれたので、もう一度質問を、済みません。

伊吹委員長 山口副大臣、田島君の質問は、減らす場合ではなくて、今、この提出資料に沿って、各省、政府内の配置転換をするための根拠法令にそれがなるかどうかということを聞いておられるわけです。ですから、立法した趣旨を明確に答えられればいいと思います。

山口副大臣 先ほど読ませていただいた四十八条の中に配置転換も含まれている、そういうことでございます。

 では、総理の御指示もあります、四十八条を読ませていただきます。

 「国は、第二十四条の規定により公共サービス実施民間事業者が実施することとなる官民競争入札対象公共サービスの実施に従事していた職員を、定員の範囲内において、他の官職に任用することの促進その他の競争の導入による公共サービスの改革を円滑に推進するための措置を講ずるよう努めるものとする。」ところでございます。

 ぜひ御理解をいただきたい。

田島(一)委員 わかりました。では、おっしゃることを一つの根拠として話を進めましょう、もったいないですから。

 定員の範囲内でということが盛り込まれていますね。定員は絶対にオーバーさせませんよね。定員の中に必ずおさめるということがどこに根拠としてありますか。(発言する者あり)

伊吹委員長 山口内閣府副大臣。

 委員席は静粛に願います。

山口副大臣 最初の、四十八条があります、定員を抑制するというところでございます。

田島(一)委員 私が申し上げているのは、定員の範囲内でということが前提にあるわけですよ。定員の範囲を超えての、例えばこのようにAさんのような方がふえてきた場合、それでいて、このY省以下、配置転換の受け入れ先がない場合、結果的にこのような受け入れ先のない方々がどんどん出てくるんじゃないですかという心配から申し上げているんです。

 制度としてきちんと担保ができている、そうお答えできるのならばお示しをいただきたい。

山口副大臣 そこは、田島委員、これだけわかりやすくかいていただいた頭脳明晰な方でありますので、わかっていただきたいと思うんですけれども、そこは定員を抑制して、そこへ人を回すということで御理解をいただきたい、こう思っております。

田島(一)委員 私が申し上げた、御答弁としては、新規採用の抑制とは聞いていましたけれども、定員の抑制というお話もされましたよね。

伊吹委員長 訂正してください。山口内閣府副大臣。

山口副大臣 定員ではなくて採用でございまして、申しわけございません。

田島(一)委員 本当に、これだけでも十分時間が来てしまうので、非常にもったいないんですけれども、もう一点の、自発的におやめになったケースにちょっと入らせていただきたいと思います。

 自発的にやめた、これは本人の意思ですから、同意に基づいた形で落札業者であるC社の職員に結局Aさんがなる、これは理解できるんですが、公務員に復帰を希望した場合、今、冒頭の中馬大臣の御答弁では、法的には保障されていないというふうにおっしゃいました。しかし、答弁では、一昨日は、選考採用という方法で新たに、この図の中ではZ省というふうに書きました、XもYもあるかもしれませんけれども、新たに省庁に入ることができるというようなお示しをされたんですけれども、法的に保障されずにこの選考採用というものできちっとZ省に入省することができるのかどうか、このあたりの担保は一体どこにあるのか。根拠なりもあわせて、法文なりもあわせてお示しをいただけませんか。

伊吹委員長 まず、一昨日の答弁に関してですから、中馬国務大臣から答えてください。

中馬国務大臣 今度は外に出られた方でございましょう。本人の同意のもとに公務員を退職して落札事業者のもとで勤務した者は、公務への復帰が法的には保障されるわけではありません。

 このような前提のもとではありますが、採用試験を原則とする国家公務員につきましても、一定の条件を満たす場合には選考採用を行うことが可能であります。任命権者である各府省の大臣等が、選考採用の条件に合致するか否か等個別具体的に判断した上で、再び国家公務員に採用することは可能でございます。

田島(一)委員 そのお話をもう一度かみ砕いていきますと、結局、民間に行ったと同時にもう一度公務員に復帰できるかどうかというのは、本当にあいまいな状況のままで今回のこの法律が今議論されているんですよね。自発的にやめても帰れますよという前提だったでしょう、もともと。違いますか。

山口副大臣 委員の御指摘の、今度はこの図で言わせていただきますと、C社の社員になって三年なり五年で切れて、今度はまた公務員に復帰をしたい、こう希望のという御質問だと思います。

 この場合については、今度、右に書いてありますこの資料からいきますと、「一般D氏」の場合は採用試験を通常受けるわけでありますけれども、「選考採用」と書いていただきました。この選考採用に当たりましては、今までX省でB業務をやっていた実績、要するに、すばらしい仕事をしていたとか、また、今度は民間C社へ入りまして、このC社でやはり成績が上がって、あ、これは民へ官から来たこのAさんはすごいな、もしこういう判断をいただいた中であれば、これはこの人事権者が、大臣でありますけれども、認めた場合は、その省、これだとZ省になっておりますけれども、入省できる、こういうシステムでございます。

田島(一)委員 今、いみじくもC社での業績に言及をされました。

 実際に、民間企業C社に入社をされて、そこで働くことがこの先本当に選考採用のポイントとなるのかどうか。選考採用のポイントとして、業績として評価をされるのかどうか。今副大臣はそこまで言及されたんですけれども、そこまでチェックするだけの覚悟が本当におありなんですか。見ることが実際に可能なのかどうか。

山口副大臣 それは、今度、採用する側の大臣、各省庁だと思うんですが、例えばZ省であればZ省の大臣、運用では多分官房だと思うんですけれども、今までのX省のときの業務、それだけでいいか。例えば任命権者が、やはり民間に三年なり五年いたときの、これも参考にするというのか、それはそのときの任命権者の判断でありまして、当然、両方判断するのではないかな、私はこう思います。

田島(一)委員 するんではないかなというようなお答えは、これはちょっと想像の域を超えていないわけですよね。もう少しはっきりと、おっしゃるならば、お答えをいただきたい。大臣の所見ではなく、きちっとした政府見解として御答弁をいただきたい。お願いします。

伊吹委員長 では、中馬国務大臣、担当大臣として、行政の運用の指針を明確に答えてください。

中馬国務大臣 まず、今のお話、少し混同があるように思いますが、無理やりに意に反して行かれる、いわゆる、そういう意味での若干条件をつけたような天下りでも何でもないんですね。自主的にそこの場へ行って働いていらっしゃった方、これは普通の場合にも大いにあり得ることだと思います。それが今度は、帰ってくることが何か条件で、帰ってきたときに、もとのとおりに復帰しないといけないとか必ず採用をしなきゃいけないということは、これは法的に考えてもそういうことはあり得ないということで、法的にはそういうことはあり得ません。

 しかし、今言ったような条件のもとでございますから、そういうことで、一般採用の中におきましても、その部署、その経験ということは若干考慮した上で、それで、なおかつ採用された場合には、退職金の継続といいましょうか、これも計算上はしますよという、若干そこのところには、この場合の恩典といいましょうか、がついていますけれども、一般論では決してないと思います。

田島(一)委員 恩典がついているとか一般論ではない、このあたりがすごくあいまいだと思うんですよ。政府の見解であるならば、根拠法であるとかその背景をきちっとお示しいただいて、このような流れで可能ですよということをお示しいただかないと、このような当事者が将来出てきた場合の、余計に不安をあおるだけだと思います。もう一度明確にお答えをいただきたいと思います。

中馬国務大臣 その者の退職前の公務員としての勤務経験と落札業者における勤務経験とを勘案して、これらの職務経験が一定のポストに任用するに足るものと評価できれば、選考採用により当該ポストに採用することが可能でございます。

田島(一)委員 結果的に申し上げて、公務員として入省されたAさんの、今回の市場化テストによる民間企業が落札をしたケースで、どのような道をたどっていくのか、また公務員に戻れるのか戻れないのかという不安も、実は今、御答弁が一昨日から随分迷宮入りをしたかのように、おわかりいただくように、本当にしっかりとした根拠としての制度が明らかになっていない。これも私は事実だと思います。

 一昨日申し上げたんですけれども、私ども民主党、今回の国会は安全国会だというふうに申し上げました。国民の安心、安全を支える、それの土台はもちろん公共サービスでありますし、その一線で活躍いただいているそれぞれ公務員の将来を、このような形で、制度の問題点、そして現行の国家公務員法との矛盾が随分明らかになったと思うんですけれども、総理にもお越しいただいております。

 ぜひ、これまでの中馬大臣の答弁も含め、本当に公務員の身分保障というものをどのようにお考えなのか、そして、安全、安心の社会をつくり上げていく上で、今回のこの一連の行政改革法案がどれだけ国民の安心、安全につながるとお考えなのか、総理の所見としてお答えいただけませんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 田島さんは民主党ですよね。民主党は、今の政府の公務員の減らし方は不十分である、もっと減らしなさいという立場ですよね。そうじゃないんですか。盛んに政府案を批判されておりますけれども、それはもっと減らせということだと、今の田島さんの質問を伺っていますと、同じような、今の政府の考えているよりもっと難しいことになるんじゃないでしょうか。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 これは、民主党の立場というものをこれからも質疑を通じてはっきりしていただきたいんですが、公務員の減らし方が多過ぎるというのなら、今のお話わかりますよ。民主党は、これは不十分でもっと減らしなさいという立場であるという質問者の立場としては、私は、伺っていまして、これはちょっとおかしいのではないかなと思っているんです。

 そこで、政府の提案は五%純減目標を掲げておりますが、安心、安全のための公務員はふやしていかなきゃならない。一律ではないんです。でありますから、治安関係の場合には、それを担当する公務員についてはふやしていかなきゃならない部分もある。一律ではない。そして、国民負担を軽減するために、また民間の活力を発揮してもらうためには、民間に任せていけば、民間に任せられるものは公務員である必要はないから減らしていく。その配置については、それぞれ担当の役所の責任者、大臣が責任を持って、配置転換なりあるいは人員の抑制をしていくということであります。

 民主党が真に、これでは減らし方が足りない、もっと減らせという主張をしていただくならば、これはまた違った質問があるのではないかなと思いながら私は聞いておりました。

田島(一)委員 私は、一言も減らす、ふやすの議論は質問しておりません。今回のこの市場化テストの流れの中で、公務員の立場がこのように変わっていく、しかしながら、それについては何一つ制度的な担保がないです、それに対してどのような手続をこれから踏むんですかという質問を今まで続けてきたんですよ。

 ふやすか減らすかの議論よりも、まず、今働いている公務員がしっかりとした意思を持ってこれからも引き続き仕事をしていく、そして、この先、民営化をされたり、またC社に落札をされたりしていった場合に、このAさんを代表とする公務員はどのようなモラールでしっかりと仕事をしていけるのか、また公務員に復帰したいという自分の意思があったらそれにこたえることができるのか、私はそこに根差した形でこの国民の安全、安心というものを総理に聞いているんですよ。

 もちろん、全国の四百万という公務員が今この不安にさらされています。でも、公務員だけではない。はっきり申し上げれば、一番犠牲になるかもしれないのは国民ですよ。その状況の中において、今、今回のこのおつくりになられた制度、随分問題点も出ました、矛盾も出てきました、それを総理としてどうかみ砕いていらっしゃるのか。公務員の身分保障というものをどのようにお考えなのか、その一点に絞ったお答えをください。

小泉内閣総理大臣 いや、減らせ、ふやせという話をしているんじゃないと言っていますけれども、民主党はもっと減らせ減らせと言っているんじゃないですか。(田島(一)委員「私はそれを今聞いていません」と呼ぶ)田島さんは違うと。

 でありますから、それは、公務員の皆さんの意識も、これからの新しい時代の変化に……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 対応できるようにやはり変えてもらわなきゃならない場合もあると思います。そういう観点で担当部署において配置転換なり人員抑制なりをしていかなきゃならない。今のままでいいとは思っておりません。

田島(一)委員 時間も参りました。

 やはり、今回、公務員の身分保障というものがあいまいなままでこの法律を今審議しているところであります。私たちも、全体的な公共サービスのあり方という議論の前提の中で、法案も後ほど提出をしていく中で、また議論を進めていきたいと思っています。

 時間も参りましたので、ここで質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて田島君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原委員 民主党の篠原孝でございます。

 先ほどの議論を伺っておりますと、総理が答弁されたくてうずうずしておられるようですので、きょうはたっぷり総理に質問させていただきます。

 まず、食品安全委員会。最近新聞紙上をにぎわせております。資料をお配りしております。先ほど田島さんの資料は一枚で簡潔明瞭にできているということですが、私のは例によって八ページでして、たくさんありますけれども、非常に教育的なペーパーじゃないかと思いますし、おもしろいペーパーでもありますので、手前みそですけれども、じっくりお読みいただきたいと思います。

 まず、プリオン専門調査会の委員の任免についてですけれども、これはなかなかいろいろ問題があったんじゃないかと思います。見ていただきたいんです。この一ページ目、新聞紙上のをみんな選び出しまして、要点だけを書き出しました。

 金子先生、政府のお墨つきを与えるため利用された、黒いところだけ見ていってください、不十分な審議しかできなかった。山内先生は、輸入ストップで問題になったときに、先生方が安全と言ったと責任をなすりつけた、輸入再開に向けた条件整備で政治的誘導があったのは明らかだ、こうやって皆さん不満たらたらなわけですね。六人がやめました。

 これをよく見てみますと、つい最近こういうのがあったんです。どういうときにあったかというと、道路関係の四公団民営化推進委員会のときに、委員が七人おられたんですが、ごちゃごちゃして二人になってしまってということがあったわけです。覚えておられると思います。これが大問題になるんです。ここからいろいろな不備が出てくるんですよね。

 これは、委員の皆さん、六人の専門調査会の皆さん、独立機関ということで鳴り物入りでできました。農林水産省と厚生労働省に任せておいてはいけない、行政改革の一環ですよ、第三者的な独立機関がきちんと判断していかなければいけない、僕はこれはいい考えだと思います。それでできたんですが、さっぱり役割を果たしていない。そして、何か変なふうに使われているということで、六人の皆さんが不満を述べながらおやめになっているんじゃないでしょうか。松田大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

松田国務大臣 お答え申し上げます。

 今回のプリオン専門調査会の専門委員の改選は、専門委員にも任期を設けるという内閣府の方針に従いまして、二年の任期を付すために行われたところでございます。具体的には、年齢や本人の意向を踏まえまして、十二名全員の辞任願を提出していただきまして、四月一日付で再任及び新任の専門委員も含めて任命が行われたところでございます。

 今個々の委員のいろいろな何かコメントのことがございましたが、その点について私はコメントする立場にはないと存じます。

 いずれにいたしましても、食品安全委員会におきましては、当然のことでございますが、BSE問題に関する審議に当たっても、中立公正な立場から科学的な議論に徹するなど、適正な運営に努めてこられたところでありまして、今後とも独立したリスク評価機関としての役割を適切に発揮され、まさに国民の最も願う健康保護を最もまた重視して食品安全行政が推進される、当然のことでございますが、私としては努めてまいりたい、こう考えております。

篠原委員 今力説されましたけれども、そういうふうに実動的に動いていないから皆さん不満を述べられておやめになったんじゃないでしょうか。ちゃんと食品安全委員会に働いていただくには、もう一回、公募するなりしてきちんとやり直ししなくちゃいけないんじゃないでしょうか。先生方もそういうことを言っておられます。消費者も不安を感じているんじゃないでしょうか。出直して委員をちゃんと選考し直す考えはおありになりませんでしょうか。

松田国務大臣 お答え申し上げます。

 現在起こっております状況は、委員もよく御案内のように、まさにリスク管理側で一生懸命原因の究明と、またその再発防止のために御努力をいただいているところでございます。

 EVプログラムが遵守されることを前提に私ども評価をさせて、食品安全委員会のリスク評価が行われたわけでございます。その状態を今どうこうという立場には、状況にはないというふうに思っております。

篠原委員 三ページのところを見てください。これは一々触れている時間はありませんけれども、山内先生は公研という雑誌の中でこのように、政府の見解と我々の見解はこんなに違うんだ、我々はこんなに努力したのに政府はそれをちゃんとそんたくしてくれない、全然違うことを言っていると率直に述べておられます。

 次に、四ページを見てください。これが一番大事な資料でございます。総理、じっくりごらんいただきたいと思います。

 食品安全委員会はできたんですが、どうもないがしろにされているんじゃないかと私は思います。この表、右側を見ていただきたい。四ページの表です。

 これを見ていただきたいんです、一番右側のフライング一というのを。どうもおかしい。これは最初からおかしいんです。普通は諮問して答申するのにもかかわらず、諮問も何もしていないのに、先に中間取りまとめということでBSE対策について検証結果、これは例の二十カ月未満は検査しなくたっていいという見解を先に出すんです。これが最初のフライング一です。

 二番目、これが最大のフライングですけれども、左側、二〇〇四年の十月二十一日から三日間、大統領選挙の前に日米局長級会合が開かれました。それでアメリカは、ウイズイン・ア・マター・オブ・ウイークス、数週間以内に輸入を再開されるであろうということをアメリカで勝手に発表しているわけです。

 それで、これがいかに大きいフライングかというと、右側の食品安全委員会のところを見ていただきたいんですが、二〇〇五年の五月六日にBSEの国内対策の見直しについて答申が出て、二十四日に初めて、二度目の諮問です、米国産牛肉の輸入再開について諮問しているんです。二〇〇五年の五月です。それよりも数カ月早いのにもかかわらず、もう日米局長級会合が開かれておる。食品安全委員会をないがしろにされてきたのは、何よりも総理じゃないかと思います。

 総理は、ですけれども立派なことをおっしゃっているんです。私が初めて予算委員会のメンバーで質問させていただいたのは二〇〇四年の十月十九日です。そのときに、総理は、科学的知見に基づいてやるんだ、食品安全委員会の委員の皆さんの判断にゆだねるんだと。それから、ことしの一月二十日の施政方針演説ですね。皮肉なことにその日に、あのインチキ牛肉が成田に届いていたわけです、ちょっとまずい牛肉が届いていたわけですけれども。そのときも科学的知見を踏まえてとおっしゃっているんですけれども、しかし、残念ながら、科学的知見は無視されてきたんじゃないでしょうか。総理自身もそういうふうにお考えになってもいいような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 まず、その批判は当たらないと思っております、結論から申し上げれば。食品安全委員会では、議論を尽くして、さまざまな国民の意見を聴取した上で決定されている。それは、国民の食に対する安全、安心を確保する、これが大前提であります。

 そこで、資料でいろいろ言われておりますけれども、アメリカ側は日本の立場と違いますよ。アメリカ側の立場と日本の立場が違うということはおかしいことではないんです。アメリカ側の立場に立ってみれば、アメリカ人は日本人以上に毎日肉を食べている、しかも安全なんだ、アメリカに来る日本人もアメリカの肉を平気で食べているじゃないか、アメリカの人はそう言いますよ。だから、アメリカの人たちは、なぜこれだけ安全な牛肉を日本が輸入しないのかということで日本に不満を漏らしている。それは別に悪いことではないと思います。

 しかし、そのアメリカの安全の基準と日本の安全基準は違うんだ、日本にアメリカの肉を輸出したいんなら日本の基準を守ってもらいたいというのが私の立場ですよ。

篠原委員 しかし、全然守ってくれていないわけですね。日本とアメリカは安全基準が違いますよ。だから、日本にちゃんと輸入するんだったら、日本の基準に合わせるのが当たり前です、そんなことは。しかし、そんな緩和された基準でずっと来たんじゃないです。

 総理、この年表を見てください。これは事実に基づいて淡々と書いているだけですからね。これはいかに政治的に決められたか。総理の気持ちもわかります。アメリカとの関係も考えなくちゃいけないというのもわかります。しかし、日本の国民の食の安全を真っ先に考えるのが総理の立場です。

 しかし、いろいろ工夫されているのはわからないでもないんですが、ちょっと皆さんがお気づきにならないところですけれども、二〇〇四年の九月二十二日に日米首脳会談でそういうことが話題になって言われたわけです。

 島村農林水産大臣の任命です。

 総理は、厚生大臣を二度、というか形式的には三度ですけれども、長くやっておられます。ですから、総理の任命を見ていると、中川昭一さんとか額賀さんとか二度目の大臣というのが多いですね。僕は、これは非常に、余計なことですが、いいことじゃないかと思っております。プロをちゃんとやるんですね。

 しかし、例えば中川さんは、今いませんけれども、農林水産大臣をやった、経済産業大臣をやった、WTOが大変だ、中川さんが続けてやる、これは何となくわかるんです。しかし、九月二十七日に、なぜ突然島村さんが二度目の農林水産大臣をやられるか。島村さんはベテランで非常に老獪な政治家で、私は非常にいい方だと思います。しかし、なぜというのがあるわけです。

 僕はなぜというのを、総理、そんなことは違うとおっしゃられるかもしれませんけれども、先に私の推測の方を言いますと、二十三日に、食品産業議員連盟の会長として、牛肉の輸入の再開を早くやってくれと言ってこられたんです。まあ、簡単に言うとカモがネギしょって来たという感じで、悪いんですけれども、表現は悪いかもしれません、これはこの人にやってもらうしかないんじゃないかと。

 それからもう一つ、この年表のところで、黒い線で対立みたいに書いてあります。これは、本当は対立じゃなくてぴったんこで、イコールなんですよね。二〇〇五年の十月三十一日、中馬大臣が大臣になられました、松田さんも大臣になられました、あの組閣の日です。これは一般的には、十一月二日だ、二日だと総理はおっしゃっていたんです。突然十月三十一日になったんです。二日早まった。

 これについて、何かどこも書いたりしているのはないと思いますけれども、この十月三十一日というのは、プリオン調査会の答申が出たんです。総理はこれを非常に気にされて、これが余りでかい記事になってほしくないというふうに思われたんじゃないかと思います。済みませんね、こういう政治的な判断を私ばかりしていて。

 これは、こういうのを、総理の知恵か飯島秘書官の知恵か僕は知りませんけれども、知恵者がおりまして、民主党と自由党が合併した日曜日にわざわざ藤井総裁の解任をぶつけるとか、五月十四日に、小沢代表になりかかったときに北朝鮮への二度目の訪問をぶつけるとか、そういう立派なことを、そんなふうにこれをやってこられたんじゃないかと思うんですが、総理、いかがでしょう。そんなのはガセネタだ、ガセ推測だとおっしゃるかもしれませんけれども、これは私への総理の最後の答弁になりますので、正直にお答えください。

小泉内閣総理大臣 篠原議員のそのような勘ぐりがあるとは想像していませんでした。

 これは、十一月二日予定の内閣改造と言っていますけれども、これはあくまでも国会議員の皆さんなりメディアの皆さんが想像していたことであります。私は一言も、いつ改造するかとは言っていないんです。メディアの方が、皆さんが勝手に新聞で、改造は十一月一日から二日と想像していたんじゃないんでしょうか。私は一言も、いつ改造するか言っていません。それは私の政治判断なんです。(篠原委員「島村大臣」と呼ぶ)

 島村大臣も、立派な農水大臣経験者で、見識を持っておられる。そういう中で起用したまでであります。

篠原委員 まあ、そういう答えしか返ってこないんだろうなというのは、さっきの予測と同じように予測できましたけれども、しかしこれは、その次のページを見ていただきたい。

 またもう一つ、総理の立場がわからないでもないと言ったのは……(発言する者あり)かかわっているんです、食品安全委員会の関係で。

 いいですか。牛肉・かんきつ交渉というのがありました。総理、覚えておられると思います。五ページです。これと同じような感じなんです。このときも、牛肉・かんきつも、竹下さんとレーガンさんといろいろ交渉されているんです。今、懐かしく思い出されるかと思います。佐藤隆さんです。福田さんに私淑して国際人口問題議員懇談会の会長まで引き継がれましたが、農林水産大臣を一生懸命やっておられました。これは、やはり総理と大統領で決まっているんです。全く図式が似たような感じで来ているんですね。日本とアメリカの問題で、こういうふうに決着がつけられてしまうんですよ。

 総理はこの問題についてどうおっしゃっているかというと、絶対日本には間違いはないんだ、アメリカが悪いんだ、日本側にミスはないんだとおっしゃっているわけですね。私、違うと思うんです。やはり拙速で、急いで急いでやって認めてしまって、そして変な牛肉が入ってきたのはやはり日本側にも問題があったと思うんですけれども、総理はまだ日本側には全く問題がないとおっしゃるんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 それは、日本の基準を遵守すべしということが前提ですから。それで、日本側の基準、危険部位を除去しなさいとか、あるいは、月齢二十カ月以下ですか、ほかの国は三十カ月、日本はもっと厳しく二十カ月以下。日本の基準を遵守すべしという前提ですから。それが、危険部位等が除去されていなかったというのを日本側が見つけたんですから。そうでしょう。それで今、輸入全面停止ですよ、その会社だけじゃなくて。

 これ、いけませんか。アメリカが遵守してくれれば問題なかったんです。どうなんでしょうか。

篠原委員 総理のよくちょろまかされる論理だと思いますけれども、日本がやはり不始末なんです。拙速で、きちんと事前調査もしなかったし、チェックしていないんです。韓国は、日本が再開したので再開しようと思っていますけれども、まだしていないんです。今、盛んに事前査察をしているんです。ですから、総理のおっしゃったのは、自分のたばこの不始末で火事を起こしておいて、火事を消したから別に悪いことはない、そんなような感じになるんじゃないでしょうか。

 ライブドア問題と違って、やはり日本側にも、日本側には共同責任として問題があるんです。あるんですよ。総理、やはりこれを解決しないと、アメリカが悪いんだったら悪いでいいです。アメリカにちゃんと言っていただきたいんです。アメリカはやはり問題なんです。

 しかし、どういうことが問題かというと、あちらから年次改革要望書とかで、規制緩和、規制緩和というのが来ています。我々は規制緩和しました。いろいろなことでしています。しかし、牛肉については、アメリカは、規制緩和し過ぎているんじゃないかと思います。例えば、二つの会社、日本に一回の輸出経験もないにもかかわらず輸出許可をして、そして不始末をしでかしている。やはりこんなのは問題なんです。規制緩和が行き過ぎたんです。

 総理が好きな言葉で、構造改革というのがあります。私は、アメリカの食肉業界は、構造的な欠陥があると思います。急いで急いで急いでやって、効率一点張りで、きちんとチェックもしないで、農務省の役人もチェックもしない、研修もサボっている。

 やはり、構造改革なくして輸入再開なしとアメリカに叫ぶべきだと思いますけれども、そういう姿勢で臨んでおられますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 現在、アメリカの牛肉が日本に入ってくる、入れてほしいと言っている状況ですが、日本は、その問題、問題があるから輸入停止を続けております。

 今のお話の中でありましたように、問題がありますので、どうしてこういうことが起こったのか、原因と、それから、これからこのようなことがないような再発防止、それの話し合いをしているわけであります。それがはっきりすれば日本は輸入しますよ、というのは、日本の基準を遵守してくれないと日本は輸入できませんということをはっきり申し上げて、その話し合いをしているわけですから、では、今まで危険部位も入ってきた、あるいは日本の基準に合わない牛肉を入れないように、アメリカ側にも努力してもらいたいし、日本側にも、そういうものが入ってきた場合にはきっちりと防止できるような体制と、そもそもそういうものを入れないようにアメリカ側で努力しなきゃならないためには日本側として何ができるかということも含めて、今検討しているわけです。その点の話はよく詰めていただかなきゃならない。

 その安全基準がきちんと遵守されれば、日本は、別におくらせているわけじゃない、この基準をしっかりと乗り越えてくれれば輸入しますよということをアメリカに申し上げたんです。アメリカは、何でおくらせるんだ、何でおくらせるんだ、非関税障壁じゃないかという不満がうっせきしているというふうに聞いておりますけれども、日本はおくらせているわけじゃない、安全基準さえ守ってくれればすぐにでも入れますよと言っているんです。そういうアメリカの誤解も日本は解かなきゃならない。日本に対して、日本人に対しては、日本の基準を守ってもらうようアメリカに今要請しているわけです。その点は、やはりしっかりやっていかなきゃいけない問題だと思っています。

篠原委員 総理、安心してください。アメリカからも援軍があらわれました。六ページと七ページを見ていただきたいんですが、ニューヨーク・タイムズ、四月六日付の新聞、英語が得意な人は英語を読んでいただきたいんですが、七ページに訳もあります。

 クリークストーン社というのが全頭検査をさせろと言って提訴いたしました。そうしたら、ニューヨーク・タイムズは、全頭検査をすべきだ、やらせるべきだ、それでもって全体を全頭検査していくべきなんだということを社説で堂々と述べているんです。これは非常に大事なことで、アメリカもこういうふうに考えを変え出したんです。日本がきちんとした態度をとっているからです。

 総理は歴代三位の長期政権になられました。いろいろ功績を残しておられます。何か民主党は、全部、総理がやったことはみんな悪いみたいに言っているけれども、いいこともやっておられて、例えば、僕は、ハンセン病患者に対してちゃんと、国家賠償訴訟のときに、役人がごちゃごちゃ言ったんだろうと思うんです。総理は政治的決断をされまして、ちゃんと補償金を払われた、こういうことをされています。

 僕は国際的にもぜひしていただきたいと思います。日本は大輸入国です。日本がきちんとした態度をとり続ければ、アメリカも日本の基準に合わせるんです。世界じゅうがその基準に合わせるんです。わかりません。BSEが、今後クロイツフェルト・ヤコブ病の原因になって、何人も出てくる、しかし、日本が、武部大臣、農林水産大臣が全頭検査と言い、小泉総理がそれをバックアップして、大輸出国のアメリカの基準も変えた、したがって、クロイツフェルト・ヤコブ病患者は、ほっておいたらもっともっとこんなに多くなったのに、これだけになっていると、後世に名を残すことになるんじゃないかと思うんです。

 こういう態度でぜひ臨んでいただきたいと思うんですけれども、決意をお伺いしたいと思います。

小泉内閣総理大臣 今までの方針を堅持して交渉してまいります。

篠原委員 以上、終わります。

伊吹委員長 これにて篠原君の質疑は終了いたしました。

 午前中の質疑は以上とし、午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十分開議

伊吹委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、委員長初め理事の皆様に本委員会にて質問をさせていただく機会をお与えいただいたことにまず冒頭感謝を申し上げます。

 また、質問に入る前に、ぜひ政府の皆様また委員長にお願いをしたいんですが、我が党が今資料の要求をお願いしておりまして、平成十六年度各省における独立行政法人、公益法人の随意契約状況というものでありますが、作業は大変だと思うんですけれども、五月に出るということらしいんですが、この審議の中で使いたい資料でございますので、ぜひ審議中に出していただきたいということをお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 まず、ちょっときょうは資料がたくさんございまして、総理、資料の一をごらんになっていただけますでしょうか。

 これは、先日、予算委員会の中で、我が党の前原前代表が資料を要求させていただいて出てきた資料なんですけれども、天下り団体千七十八、それで国費の支払いが六兆円である、そしてまた随意契約の割合が約九五%であるという資料でございます。

 総理、もう一つ、もう一枚めくっていただいて、これは総務省が出した平成十七年度公益法人に関する年次報告書でありますが、ここに正味財産額の規模というのがあるんですが、驚くなかれ、社団と財団を合わせると十兆円正味財産があるというふうに総務省が出している資料にありますので、この二つの資料をごらんになって、本行革特別委員会の趣旨であります、財政にどれだけ寄与するか、行政改革を行うことによって財政にいかに寄与するか、そういう観点から、まず感想、所見をいただきたいと思います。

小泉内閣総理大臣 もとより、行政改革というのは簡素で効率的な政府をつくるように努力しようということでありますから、財政面でも寄与できるようにしていくのが望ましいと思っております。

松野(頼)委員 毎年の予算が六兆円いっている、そして、正味財産が十兆円あるということについてはいかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 今後、よく資料を点検して、そのような財政負担が必要かどうか、そういう見直しを進めていくことが必要だと思っております。

松野(頼)委員 また、この契約の約九五%が随意契約であるということが資料にも書かれているんですね。これは、さんざん、当委員会におきましても、随意契約を行うことによって政府の調達価格が競争原理の行われないところで行われる、それによって価格が高くなるというふうに指摘をされております。

 こういうばくっとした総論でお話をするよりも、一つ各論でお話をしたいと思うんですが、資料三をごらんください。たまたま、去年の郵政民営化の特別委員会の前の予算委員会のときに、政府広報についての随意契約の問題を私が取り上げさせていただきました。その資料三の社団法人の日本広報協会というところであります。

 これが幾つかのウエブデザイン等々をやっておるんですが、これは全部随意契約なんですね。内閣の広報がこういう状態で、まだまだ、おととい提出していただいた資料のごくごく一部の一ページなんですけれども、こういうものがずらっと並んでいる。この内閣広報が随意契約であるということに対して、官房長官、いかがでしょうか。

安倍国務大臣 政府広報について、昨年の予算委員会で委員から特に御指摘をいただいたわけでございまして、公益法人へ随意契約ということで御指摘をいただいたわけでありますが、この中で、日本広報協会に対する政府広報ウエブサイトの契約と財団法人の日本広報センターへのテレビ特別番組の契約について個別にそれぞれ御指摘も受けたわけでございまして、今先生は全般について随意契約が多いということであったわけでありますが、まず個別の契約がどうなったかということを御説明させていただきたいと思うわけであります。

 これらの随意契約につきましては、既に政府広報ウエブサイトについては平成十七年十二月から一般競争入札にいたしました。そして、テレビ特別番組については平成十七年度当初から企画競争にいたしまして、それぞれ見直しを行ったところでございまして、両法人への随意契約額は大幅に減少しているところでございます。さらに、平成十八年度からは、政府広報に係る契約全般について定めた取扱業者選定基準を改定して、一般競争、企画競争を原則とすることを明確化するとともに、社団法人日本広報協会と随意契約を行っていた政府広報展示室の管理運営を一般競争入札に変更するなど、引き続き個別の見直しを進めているところでございます。

松野(頼)委員 今、官房長官、平成十七年の十二月と一つおっしゃいましたが、それは間違いございませんでしょうか。

安倍国務大臣 入札仕様書の作成など所要の準備に予想以上の時間を要したために、その期日になってしまった、こういうことでございます。

松野(頼)委員 その次のページをめくっていただきたいと思うんですが、昨年私が二月の十七日に予算委員会で指摘をした後に、内閣府大臣官房広報室がこういう紙を実は私のところに持ってきているんです。どうか見てください。これは今回の日本広報協会に対する随意契約をこのように改めますということを書いてきている紙で、十七年の六月から仕様書を作成、七月官報公告、八月下旬入札、九月三十日稼働準備、こういう予定で直しますということを私のところに言ってきているんですが、今の答弁だと十二月にも同じようなことをしているということですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

安倍国務大臣 確かに御指摘のとおりでございますが、その予定で進めてきたところでありますが、先ほど答弁をいたしましたように、入札仕様書の作成など、そうした準備に当初の予定よりも予想以上の時間がかかった結果、十二月からとなった、このように私は報告を受けております。

松野(頼)委員 この内閣府大臣官房広報室というところが、こうやりますというペーパーを実は出しているんです。そのペーパーと違うことが行われているわけですね。

安倍国務大臣 当初はその予定で進める予定でございましたが、残念ながら、先ほど申し上げましたように、当初の予定というか予測よりも準備に時間がかかって、結果としてそうなってしまった、こういうことでございます。(松野(頼)委員「当初の予定はこうだったけれども紙で出してきているんですよ、これは会計法にかかわる問題なんですよ、委員長」と呼ぶ)

伊吹委員長 質問を続行してください、一応答弁はしておりますから。疑問があれば質問の中で。

松野(頼)委員 では、官房長官、この随意契約をした理由は何なんでしょうか。

安倍国務大臣 随意契約にした理由としても、これは従来から政府が答弁をいたしておりますように、基本的には、これは一般競争入札にしていくということにいたしました。特別な理由がない場合には、そうすると。そして、先ほどからの答弁の繰り返しではありますが、六月の時点で提出をさせていただいたこの紙の日程では、今委員が御指摘になったように、七月に官報公告をして、八月下旬に入札をして、九月の三十日までに稼働準備、こういうことであったわけでありますが、その後、先ほど来答弁をいたしているように、六月からのその後の準備の状況がおくれてしまった、こういうことでございます。これは意図的におくらせているのではなくて、基本的に随契から一般競争入札に変更するという、大きな変更には全く変わりがないということであります。

松野(頼)委員 ですから、平成十七年度が再び随意契約だった理由をもう一回お願いします。

伊吹委員長 安倍内閣官房長官、なぜ随意契約になったのかということを述べてください。

安倍国務大臣 これは、入札仕様書の作成がおくれてしまって、それが十二月までかかってしまった。ですから、十二月以降については、これは一般競争入札でやっていく、こういうことでございます。

松野(頼)委員 私が予算委員会で指摘したのは二月の十七日でございます。十カ月もかかるのかという問題もあるんですけれども、それと同時に、会計法にのっとった随意契約の理由を述べてください。

安倍国務大臣 政府広報のウエブサイトにつきましては、平成十三年度に開設をした際、社団法人の日本広報協会にホームページのデザインも含めて運営等の業務を行わせたわけであります。これを踏まえまして、社団法人の日本広報協会に排他的権利があると考え、随意契約を行っていたわけでございます。

 詳しく申し上げますとそういうことになるわけでありますが、平成十七年十二月からは、ホームページのデザインに関する権利関係を整理した上で一般競争入札に変更した、こういうことでございます。

松野(頼)委員 一般競争入札に変えられるなら、排他的権利の保護じゃないんじゃないですか。

安倍国務大臣 これは先ほど説明をいたしましたように、つまり、権利義務等に関連して排他的権利がそれまではあったというふうに考えていたわけでありますが、その後、この権利関係を整理した上で新しくスタートするということにおいては排他的権利が生じなくなったという判断をした、こういうことであると思います。

松野(頼)委員 要は、排他的権利を保護するために一般競争入札ができないからといって随意契約をされてきたわけですよね。それが変えられるならば、排他的権利の保護じゃないんじゃないでしょうか。もう一回答えてください。

安倍国務大臣 排他的権利がないということを確定するためには権利等を整理しなければいけないわけでありまして、その権利を整理した結果、これは一般競争入札で行うことができる、そう判断をしたのでございます。

松野(頼)委員 その二枚先の六ページをごらんください。これは会計法と予決令及び特定政令。この特定政令は、政府調達協定、いわゆるマラケシュ条約、これは国際条約なんです、それに基づいてつくられた政令がこれなんですけれども。

 要は、十三条に、こういうくだりがあります、他の物品をもって代替させることができない芸術品または特許権の排他的権利に係る物品は、これは一般競争入札しなくてもいい、随契をしてもいいと書いてあるんですよ。こうやってはっきりと。これは美術品ですか、それとも著作権があるんですか、どうなんでしょうか。

伊吹委員長 論点は明確になっていると思いますから、著作権があるんならあると。どうぞ。

安倍国務大臣 著作権というふうに理解をしております。

松野(頼)委員 著作権というのは、その著作権料を支払わなきゃ著作権にならないんですよ。著作権を持っているんでしょうか、これ。お答えください。

安倍国務大臣 当局といたしましては、このウエブサイトに著作権があるというふうに判断をしたわけであります。

松野(頼)委員 では、なぜ一般競争入札に変えられるんですか、十八年は。

伊吹委員長 安倍官房長官、整理をしたという実態を説明してください。(発言する者あり)

 委員長が議事を整理しますから、静かにしてください。

安倍国務大臣 この著作権につきましては、広報協会が持っていた著作権を内閣府に移した結果、それが整理ということでありますが、そのことによって著作権についての排他的権利がなくなった、こういうことであります。

松野(頼)委員 つくられたものの内容は違うものだと思います。ですから、著作権は発生しません。

 どうぞ。

伊吹委員長 松野君に申し上げますが、官房長官も一つ一つの契約の極めて細かなところまではわからないわけだから、大きな質問は答えさせますから、まず事実関係を政府参考人に少し説明させたらどうでしょう。よろしいですか。

 広報室長、来ていますか。よろしいですね。

 それでは、皆さんの御同意を得て説明させます。事実関係を説明しなさい。

谷口政府参考人 内閣府政府広報室長の谷口でございます。

 今ほど御答弁がありましたように著作権の関係につきまして権利関係の整理をいたしまして、その上で、従来の随契から一般競争入札に移行したということでございます。

伊吹委員長 それは、官房長官があなたの言ったことは既に答えておられるんだよ。だから、整理をしたということの具体的内容を説明しなさいと言っている。

谷口政府参考人 権利関係的に整理をいたしますと、ウエブサイトの運用に伴いましてさまざまなノウハウがございました。それらを包含した形で、従来、契約というベースで申しますと随意契約ということで日本広報協会が受託をして運営をしておったわけでございますが、ただいまノウハウと申し上げましたけれども、これらの問題を権利的な面から整理いたしました上で、入札の方法に切りかえるというような整理を行ったという経過でございます。

松野(頼)委員 ですから、入札ができるものならば、最初から入札をすればいいんじゃないですか。

伊吹委員長 それでは、できるだけ閣僚から答えましょう。

 安倍官房長官。

安倍国務大臣 デザインに関する権利関係を整理する中において、著作権を日本広報協会に放棄してもらった結果、排他的権利が生じないということで一般競争入札に変更できた、こういうことでございます。

松野(頼)委員 著作権は別に放棄しなくても、デザインはつくった人が持っているんです。ですから、著作権を理由にされるんであれば、すべてのこういうデザインのものは競争入札というのが成り立たなくなるんですよ。違いますか。

 要は、私が申し上げたいのは、この会社のことを申し上げているんではありません。政府広報予算百十億。この紙で見たって、全部同じような理由で、排他的権利の保護ということで何百件もの随意契約をされているわけですよ。これによってどれだけ多くの政府調達コストが上がっているのかという問題を私は取り上げているんであって、この一件が云々という話をしているんではありません。これは明らかに、会計法、政令、そして条約で、国際間でもこれだけ縛っている問題なんです、随意契約ということは。このことで申し上げているわけであります。

 変えられるならば、もともと排他的権利の保護じゃないわけです。もう一回、お答えください。

安倍国務大臣 ですから、今回、整理をいたしまして一般競争入札に変えたということでございますが、しかし、それは個々の契約によって、今委員が指摘をされた案件につきましては日本広報協会にデザインに関する著作権的な権利があるということであったわけでありますが、それを放棄して……。これは、内閣府が持っている、どちらかにあるということにおいて契約上も整理されたということではないかと思います。

松野(頼)委員 この広報協会から権利を放棄したなんという話は私聞いたことありませんけれども、それは本当に事実ですか。

伊吹委員長 広報室長、事実関係だけを述べなさい。

谷口政府参考人 失礼いたしました。

 事実として、放棄をいたしまして移されているというような経過でございます。

松野(頼)委員 それは本当にうそじゃありませんね。そんな話は聞いたことありませんけれども、何かペーパーでやられたんですか、それは。

谷口政府参考人 書面、書類という形ではございませんで、ただいま御指摘の権利の関係を整理する過程において移されたというような経過でございます。

松野(頼)委員 いつされたんですか、それは。

谷口政府参考人 恐れ入ります。

 権利関係を整理したというふうに申し上げましたが、その前後の間においてそのような権利の移行がなされているというようなことでございまして、書面上、書類上というような取り扱いのものではございません。

松野(頼)委員 それはいつされたんですか。

谷口政府参考人 恐れ入ります。

 随契時代に規定をしてございますものと、一般競争入札に移して、その上で権利関係の確定させたものとを比べますと、先ほど申し上げましたような変化が生じているというようなことでございます。

松野(頼)委員 それはいつ放棄されたんですか、日本広報協会は。

 委員長、これは一回ちょっと整理していただいて……。

伊吹委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こして。

 内閣府谷口政府広報室長。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 十七年の十一月三十日付でございます。

松野(頼)委員 委員長、著作権法上、放棄をするといって電話をした場合に著作権が発生するのかしないのか、ちょっと文科の著作権課を呼んでいただきたいんですけれども。ちょっと一回中断して、ぜひそのことをお願いいたします。

伊吹委員長 松野君、当初から質問の内容がそういうことであるならば、きちっと整理をして、理事会を通じて政府参考人を呼んでおかれなければなりません。ですから、質問を続行してください。

松野(頼)委員 呼んでいない人を私も答弁させましたので。これは充実した審議を行うためだと思います。

伊吹委員長 ここにいればいいです。ここにいませんから。

松野(頼)委員 こういう答弁が私は来るとは思いませんでした、日本広報協会が著作権を放棄したなんということは。では、書面があるんですかと言ったらば、書面もないという状況なんですね。そうすると、どういう形で著作権を放棄したのか、だれに対して放棄をしたのか。その使われたビデオが、では一体どこまで使われていいのかという、本来であれば契約書があるはずなんですよ。これに関しては著作権料は発生しません、これに対しては著作権料が発生します、こういう使い方はいいですよ、こういう使い方は悪いですよという。本来、著作権の世界というのは当然その権利義務に関してあるはずなんですけれども、どういう形で著作権を放棄したのか。そういう答弁が私は出るとはちょっと思いませんでしたので。これは、これ以上続けない方がいいんじゃないでしょうか。(発言する者あり)僕の時間でやっていますから。

 これは六兆円という政府の随意契約にかかわる問題なんです。この一つの会社が云々ということは私はどうでもいいんですよ。ただ、排他的権利の保護という文言がずっと来ているんです、随意契約の中にたくさん出てくるんです。それが、この一つのこと云々というよりも、排他的権利の保護ということで長年にわたって随意契約を行ってきたわけですから。そのことを私は言っているんです。ちゃんと答えてください。

谷口政府参考人 突然のお尋ねでございますので、事実関係をよく整理いたしました上で、後日、御報告を申し上げたいと存じます。

伊吹委員長 松野君、質疑を続けてください。(松野(頼)委員「委員長、今のじゃできないですよ、どういうことですか」と呼ぶ)

 では、内閣総理大臣。

小泉内閣総理大臣 お話を聞いていて、要するに随意契約でなくても、競争入札できるのに随意契約したのはおかしいということでしょう。だから、よく点検して、競争入札できるものは競争入札するということでいいんじゃないでしょうか。

松野(頼)委員 では、それまでの問題は、私はこれをきょう初めてやっているんじゃないんです。去年の二月の十七日に同じ問題を取り上げて、まだやっているから言っているんです。変えていないから言っているんですよ。

 もう一回整理するまで時間を待っていますので、ぜひ整理させてください。

伊吹委員長 松野君、あなたの疑問をもう一度質問してください。それについて政府の方で答弁の整理をさせますから。

松野(頼)委員 この排他的権利の保護で……。もうわからなくなってしまった。

 排他的権利の保護で随意契約をしていたものが、どういう形でことしの十八年度からできていいようになったのか。それでは排他的権利の保護に当たらないんじゃないですかということを聞いているんです。どうぞ。

谷口政府参考人 お答えを申し上げます。

 変更前におきましては、ウエブサイトのデザインの変更を逐次行っておったわけでございますけれども、そのデザインの変更を日本広報協会が行ってきたということでございます。

 事実経過として申し上げますと、十二月から契約の形式が随契から一般入札に変わったわけでございますが、一般競争入札のもとでの契約において、先ほど申しました権利関係を整理した上で、新たに入札の制度のもとで受託いたしました事業者、内閣府から委託をするわけでございますけれども、これにおきましてウエブサイトのデザイン変更を行うというような経過、変化がその間に生じたということでございます。

 細かな事実関係については、整理をしてまた御説明を申し上げたいと存じます。

伊吹委員長 松野君、質疑を続けてください。(松野(頼)委員「整理してから答えますということですから、ここは重要なポイントでございますので、しっかりと整理をしていただいてお答えいただくのがよろしいかと思います」と呼び、その他発言する者あり)

 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こしてください。

 この際、松野君の残余の発言時間につきましては、後刻許可することといたします。

 長妻君、少し時間が繰り上がって恐縮でした。

 長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。端的にお答えをいただければ幸いでございます。まず公益法人の法案、あるいは市場化テスト、あるいは天下り。これは天下りの部分がほとんど、一行しかないので私はがっかりしているんですが、それもおいおい質問させていただきます。そして、一部、他の委員会等でも話題になっております地方整備局。

 国土交通省の八つの地方整備局に対になるような形で天下り団体がある。お配りの資料の九ページ目に天下り団体がございますが、常勤役員は全員が天下りの方。職員も、ひどいところは五二%も天下りの方、二百四十八人中百二十九人という関東建設弘済会もある。民間からの出向者ということで九百四十二人も出向しているところ、正職員の二百四十八人をはるかに上回るところもある。そして、すべての天下り団体が地方整備局から全部随意契約で仕事を受注している。一番比率が高いのは、中部建設協会というのは、この天下り団体の全売り上げの九九・七%を随意契約でもらっている。こういうところがございます。

 そして、その中で一つだけ団体を取り上げさせていただきたいと思うんですが、これを総理も見ていただければと思うんですけれども、国交大臣も見ていただければと思うんですが、資料にもございますけれども、九州建設弘済会という天下り団体がございます。常勤役員七人はすべて天下り。そして、正規の職員百十六人、うち天下りが三十二人。国交省OBのお子さんも三人、御兄弟も一人おられる、無試験です。そして、ここには国土交通省の九州地方整備局から、随意契約で、二〇〇四年度に二百五十一件七十億四百万円のお金が流れている、九州建設弘済会に売り上げの九六・二%流れている。

 それで、何の仕事を発注しているか。今はやりのアウトソーシングですね、官から民へということで。一つは積算補助、つまり、予定価格を決める積算をしたり設計図書をつくったり、そういう入札の書類をつくる補助業務。そしてもう一つは、公共事業の現場監督補助。そういう業務などなど、それ以外もあります、アウトソーシングでこの天下り団体に投げている。

 この団体が全部自分でやるのかと思ったら、そうじゃなくて、これは近藤委員なんかも資料要求で出てまいりましたけれども、それを一部またはほとんど民間企業に丸投げしている。民間企業と契約を結ぶ、出向契約を結んで、そして民間企業の方がその業務のために六十九社四百五十七人がこの九州建設弘済会の身分になって、民間企業の方が国交省の今申し上げたような仕事をする、こういう構造です。そうすると、正職員よりも四倍ぐらい多い民間企業の方が、官の衣といいますか、国交省の仕事をしている。まず、これを御理解いただきたいんです。

 そして、私も気になりました、積算補助というのは入札価格を決める大切な業務です、まさか、この六十九社の中にその入札の書類をつくった方がいらっしゃって、その案件で自分の出身の会社が落札するというようなことがないだろうなと思ったわけですが、国交大臣、実際そういう事例はありましたか。

北側国務大臣 私もけさほど報告を受けたばかりでございますが、平成十六年度に国土交通省が全国の建設弘済会に発注しました積算補助業務、二百五件あります、この二百五件について確認したところ、該当する事例が二件あったというふうに報告を受けております。これはともに、九州建設弘済会に出向している技術者が積算補助を行ったといった事例でございます。

 以上です。

長妻委員 これは驚くべき話なんです。つまり、どういうことかというと、〇四年だけ調べると、積算補助、入札の書類をつくる、図面をつくる、そういう作業をこの天下り団体に任せたら、そこに民間からの方が出向して、その方が国交省の立場でつくった。しかし、その方の出身元の会社が落札して受注してしまっていた。

 官製談合というのはお役人が漏らしますね、予定価格とかをOBが。ところが、民間企業の方が官の中に入って、自分で積算書類をつくっちゃっている。漏らす必要ない、自分の会社ですから。

 この案件、工事の名前と落札率あるいは金額などを教えていただけますか。

北側国務大臣 落札率については、私、今手元にございませんが、ちょっと誤解のないように申し上げておきます。

 この積算補助業務、これは委員の方もお聞きになっていただいたかと思いますけれども、実際に、経費の積算とか予定価格の算出とか、こういうことをやることではありません。鋼材の材質などの仕様を既製の設計書から転記するという補助的な作業内容で、この業務内容では工事の価格は知り得ません。工事価格の漏えいなどの問題は発生をしておらないというふうに聞いております。

 また、積算補助業務に携わる技術者は、他の企業より早く発注工事に係る情報を得ることから、その出向元企業が対象工事を受注することを避けるために、出向元企業は対象工事を受注する可能性がない企業とするなど、出向者の適正配置に心がけているところでございますが、今委員のおっしゃったように、当該工事についてはその徹底が十分でなかったということでございます。

 いずれにしましても、建設弘済会への民間からの出向者の問題を含めまして、この建設弘済会への業務委託のあり方につきましては、今本省で開催しております建設弘済会への業務委託のあり方検討委員会において検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

長妻委員 工事の件名、どういう工事だったんですか。

北側国務大臣 これは、平成十六年七月二十一日と十一月十七日に豊国工業株式会社と契約をしました大正搦樋管機械設備工事及び旧陣屋川樋管外三箇所開閉機動力化工事、この二つについて積算補助を行っていたということでございます。

長妻委員 今言われた工事というのは、水門の扉、水門の工事なんですよ。今、談合の疑いで公取が調査に入っている、その二件をこの豊国が落札されておられるということでございます。

 そして、何かこの出向者が国交省の立場で書類をつくったのは一部のちょっとしたことだというふうに言われましたけれども、大臣、その方がかかわった図面、つまり、業者が入札に参加したいというときにお渡しする図面の何枚にその方がかかわったか、全部か一部か。これは、大臣にきちっとレクチャーしてお答えいただきたいということで事前に言っておりますので。

北側国務大臣 きょう午後に追加御質問があった件ですね。私、その間ずっと参議院の国土交通委員会で法案審査をやっておりますので十分にお話は聞いておりませんが、今確認しましたら、十枚ということだそうでございます。

長妻委員 私が聞いているのも十枚です。その十枚が、今手元にありますが、これが大正搦の水門の工事の参加企業に渡す図面。十枚。ここでその出向の方が図面にかかわった。この一枚目はほとんどその方が自分でかいた。そして、二枚目、三枚目、四枚目も、この図面の作成にかかわった。

 では、この図面の作業というのはいつごろからその方はするわけですか、出向の民間企業の方は。

北側国務大臣 詳細な事実関係は、できれば政府参考人から聞いていただいた方が正確に答えられると思いますけれども、今言っておりますのは、三カ月前と聞いております。

長妻委員 これは、私が聞いておりますのも、大体三カ月前にこの仕事に着手する。つまり、百歩譲って大臣が言われたようにこの方が予定価格そのものを知らないとしても、そこは精査しないといけないんです、こういう入札の書類の作業を、入札する日の三カ月前に。

 それで、これは細かく、ゲートの一般図とか、扉の構造図とか、戸当たり構造図とか、こういう図面を見る立場にあるわけです。そういう意味ではアンフェアなんですね、普通の一般の参加企業に比べると。

 そしてもう一つ、公正取引委員会にお尋ねしますけれども、この今申し上げた会社というのは、水門の談合等で過去に何か違反に問われたことはありますか。

竹島政府特別補佐人 お尋ねの企業につきましては、昭和五十四年の十月、国等が発注する水門工事等に関しまして入札談合を行っていたということで、時の公正取引委員会が勧告をしておりまして、同年十二月四日に、その勧告について応諾がされ、審決がされているということでございます。

長妻委員 これは、北側大臣、私は、ちょっと重大な、深刻な話だと思うんです。このことを知っているのかどうか。九州地方整備局の方は、そういう会社で、しかもその会社が受注する可能性のある、結果的に受注したわけですけれども、その仕様書を、国交省の立場で作業をさせていたと。入札のときに配付する資料の。これは、国交省の九州地方整備局の方は、この人はそういう企業から来ている人、それを国交省の立場で作業させているんだなと。これはわかった上での話なんですか、大臣。

北側国務大臣 当該九州地方整備局の担当者がそういうことを知っていたかどうか、私は聞いておりません。(長妻委員「きのう通告しました」と呼ぶ)聞いておりません。

 先ほども申し上げましたが、平成十六年の二百五件について調べさせていただきました。そうしたら、二件、今御指摘のところが出てまいりました。実際その入札価格を知り得るような立場にはございませんが、しかし、今委員のおっしゃったように、国民の皆様から見て疑念を生じるようなことはしてはならないわけでございまして、こういう出向者を仮に使うにしても、その適正配置には当然心がけなければいけない、そういう面でやはり問題があったというふうに思っているところでございます。

 そもそも、この民間からの出向者の問題も含めまして、この建設弘済会の業務委託のあり方につきましては、先般、第一次の見直しをさせていただきましたが、さらに、この問題も含めまして、業務委託のあり方についてしっかりと検討をさせていただきたいと考えているところでございます。

長妻委員 先ほどの総理の答弁もそうですけれども、これからはちゃんとやりますと。でも、ちゃんとやるには、どういう原因で、どういう状況でそういう問題が起こったか調べないといけないんですね。

 これは、いつも北側大臣は直前の質問で答えられない、答えられないと連発されておられますけれども、これはきちっと前もって申し上げたんですよ、九州地方整備局の方がこの企業と知りながらそういう作業をさせていたのかどうか。どうですか、大臣、ちょっと整理して答えてください。

北側国務大臣 その九州地方整備局の担当者が、今問題になっております豊国工業株式会社が、かつて指名停止ですか、公取から指導を受けておったということについて、そういう企業であるかどうか、そういうことについて知っていたかどうか、これは私自身は聞いておりません。確認をして、また御報告をさせていただきたいと思います。

長妻委員 しかも、この企業に対して国交省から天下りというのはございますか。

北側国務大臣 国交省のOBが一名行っているようでございます。

長妻委員 しかも、その一名というのは課長相当職以上だということで、あと何名行っているのかわかりませんが、こういう非常にわかりにくい、おかしな関係がある。

 そして、この九州地方整備局というのは、勤務時間中に今の天下り団体などへの再就職のあっせんとか仲介はしているんですか。

北側国務大臣 これは一般論でございますが、国土交通省におきましては、民間企業等から、必要な知識、技術を有する人材の求めがあった場合には、それに該当する者がいれば、本人の意向の確認を行った上で適宜企業側に情報の提供を行っております。

長妻委員 これは、私がかつて質問主意書を出して、平成十六年八月三十一日の質問主意書への答弁書、これは小泉総理の名前で答弁書をいただきましたけれども、そこにこういうふうに書いてあるんです。過去五年間に関して、「それぞれの課等において当該職員の再就職につきあっせん、仲介等を行ったことが確認された」人数ということで、政府の閣議決定の答弁書に「あっせん、仲介等を行ったことが確認された」という文字があるんです。そして、国土交通省の九州地方整備局総務部人事課及び企画部企画調整官が仲介、あっせん等をしたというのが百一人あるという答弁書があるんですよ、百一人も。

 あっせん、仲介はもうやめた方がいいんじゃないですか、あっせん、仲介は。

北側国務大臣 先ほど答弁したとおりでございまして、情報の提供をさせていただいております。

長妻委員 大臣、どうしたんですか。ちょっとおかしいですね。事前にきちっとお尋ねする内容を検討しておいてくださいと。

 あっせん、仲介はもうやめますか、この九州整備局。

北側国務大臣 今申し上げた情報の提供につきましては、これは、企業、団体等の需要にこたえる等の観点、また職員の在職中の職務の適正な執行を確保していくという観点等々、必要に応じてこれまで行っているものでございます。人事院規則に定められた基準に基づくチェック等、ルールに乗っかってきちんとされている、適正になされていると考えております。

長妻委員 仲介、あっせんというのはこれからも九州地方整備局は続けると。そういう意味なんですか、大臣。

北側国務大臣 人事院規則等、ルールに乗っかって、適正な手続に従って行っていくということでございます。

長妻委員 これは、総理、聞いていただきたいんですけれども、今回出てきた法律がございますけれども、簡素で効率的な政府を実現するためには、天下り禁止、天下り対策、これが私は本丸だと思っているんです。不正や税金の無駄遣いの裏には天下りがある。もうあらゆる事件や事実が証明しているじゃないですか。

 しかも、この法律で私が愕然としましたのは、天下りについて書いてあるところはどこですかと聞いたらば、一行だけですと。六十三条、「退職管理の適正化並びにこれらに関連する事項について、できるだけ早期にその具体化のため必要な措置を講ずること。」と。これだけ。これはお役人にさすがの総理も従ってしまったんじゃないか、骨抜きになっているんじゃないか。一番の重要な天下りが何でこんな一行なんですか。しかも、抽象的な。

 国会図書館を通じて調べてみました。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、ニュージーランド、メキシコ、トルコ、オランダ、こういう先進国には――再就職の仲介、あっせんを正規業務で日本はやっているんですよ、OBの方、退職予定者の方の仲介とかあっせん。どこに押し込むか、照会を受けてどこにはめるか、これを勤務時間中に中央官庁の官房人事課とか官房秘書課がやっている。そういう国は、今申し上げた国ではやっていません、日本だけだということでございますけれども、総理、せめて仲介、あっせんを勤務時間中にやるのはもうやめようと、ぜひ御決断いただきたい。

小泉内閣総理大臣 これは今までもいろいろな委員会で質疑がなされたと思いますし、私も何回か答弁しているんですが、天下りの弊害をなくすということについて、いろいろ検討すべき余地はたくさんあると思います。

 ただ、官民の人材交流という観点から、これを今進めようとしております。能力のある人は民間からも官庁に来てもらおう、また、官庁からも実地の訓練……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

小泉内閣総理大臣 あるいは実務の研修等を兼ねて民間に行ってもらおうと。いわば人材の交流ですね。

 それで、今御指摘の建設弘済会の業務委託、これは疑い等ありますから、今までのやり方も適正でない部分があったなと率直に反省して、今後、見直していくべきものがあると思っております。

 それと同時に、公務員もやはり職業選択の自由がありますから、法律で一切、一度公務員になったらば民間に行っちゃいけないというのは、これはなかなか法律上無理があると思います。

 そういう点で、今は出身官庁の人は役員等には三分の一以下にしようという内規とか、あるいは、今後、公務員の早期退職制度といいますか慣例といいますか、この退職年齢を三年おくらせようと。これについても、今まで公務員の身分保障等ありますから、五年かけて三年おくらせよう、できるだけ公務員として働きたい人は働いてもらおう、早期退職勧奨というものを是正していこうということでありますから、そういう点についてはやっていきたい。

 また、今御指摘の問題については、今後、疑念のないような適正な見直しが私も必要だと思っております。

長妻委員 いや、悪いことでなければ、これからも堂々とあっせん、仲介はやりますと、そういうことなんですよね。それを何ではぐらかされるんですか。

 公益法人二万六千程度あるということで、今申し上げた弘済会などは、北側大臣、一たん廃止するような形で見直していく、必要があれば、本当に厳選してまたつくっていくということでどうですか、一たん廃止するというのは。

北側国務大臣 この建設弘済会の問題は、昨年の秋でしたか、御指摘いただきまして、国会でも何度か御論議いただきました。

 私の方から、昨年の秋の段階で、建設弘済会ではなくて、民間に最初から委託できるものはしっかり委託しなさい、そして、本当に建設弘済会でないといけない部分についてのみしっかりやっていきなさい、そういう見直しをしっかり点検してもらいたい、こういう指示をいたしました。

 その第一弾として、三月の末に取りまとめをしてもらいまして、これまでやっていた業務の中でこういうものについては民間でやってもらおうということで、実際、この十八年度から、一部十七年度からやっておりますが、そういうことをさせていただいているところでございますし、またさらに、これで終わりではなくて、先ほどの民間からの出向の問題、こういうことも含めて抜本的な見直しについて今論議をしているところでございます。

長妻委員 今回、今法律が出ている公益法人の見直し、私非常に危惧するのが、今二万六千程度ある公益法人のかなりの部分がいわゆる公益社団法人、公益財団法人に移行しちゃうんじゃないか、そういう懸念があるんです。

 例えば、中馬大臣、今申し上げたような、私にしたら非常に癒着している、そういう問題が起こりやすい団体、具体的に言うと九州の弘済会、こういうのはまさか公益社団法人に認定しないと。大体そういう基準ですね。

中馬国務大臣 先ほどから出ております公務員の再就職のことでございますが、権限、予算等を背景とした、今お話ありました押しつけ的なものであってはならず、また、退職した公務員の再就職によって公務の公正な執行がゆがめられてはなりません。ですから、こういった問題を排除していくことが今回の目的でございまして……(発言する者あり)

伊吹委員長 ちょっと静粛に願います。

中馬国務大臣 他方、職員が在職中に培った経験や能力を有効に活用することを否定するものじゃありません。

 ですから、今回のこの法律体系の中で、そうしたお役所と民間との癒着を外すために、公益法人を……(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛に願います。

中馬国務大臣 これは、今までのように主務官庁が許認可をして、場合によってはつくらせるようなことまでもして、こうした関係がありましたが、これが一度は外れてしまうわけです。それがまた再編されるかどうか、それは委員会の方々がお選びになることではございますけれども、しかし、そうした問題があったこともこれまた事実でございましょうから、これは今度の公益法人改革の中で各主務官庁から外れて、一度精査した形でもう一度再編する。その中では本当に公益があるものとないものとの仕分けもできてまいりますし、その中で、今言ったような、そこで過去に行われておったような、人の派遣だとか、あるいはそうした談合までも生んでしまうような体質までも改めていこうというのが今回の法律の改正でございます。

長妻委員 これは大変申しわけないんですが、公益とは何か、収益事業とは何かという中馬大臣の哲学というか基準というか、そういうものがあって、あとは事務方が判断するということになると思うんですが、それが見えてこないんです。

 公正取引委員会にお伺いしますが、今私が申し上げた積算補助という業務をまさに落札した企業の人間が国交省の立場でやっていた、これは調査するおつもりはありませんか。ぜひ調査していただきたいんですが。

竹島政府特別補佐人 ただいま公正取引委員会はこの水門関連の工事において入札談合がまた行われたのではないかということで審査を継続しているところでございまして、今具体的におっしゃったことはこの入札談合の調査とどういうかかわりがあるかというところがちょっと私は理解できないところもございますが、いずれにしましても、関係した企業についてはできるだけの情報を集めまして厳正に審査をしていきたいと思っております。

長妻委員 もう一点、また水門の話で、同じこの九州建設弘済会の話をします、違う話を。

 先ほど申し上げたように、国交省の九州地方整備局は、先ほど申し上げたのは積算補助の仕事、今度は現場監督補助の仕事もここに投げているわけです。ここがやらないで、またその仕事を民間に投げて、出向契約を結んで、四百五十七人のうち何人かが現場監督補助の仕事をしている。

 私は、また懸念を持って調べてみました。まさか自分の会社がやっている工事の現場監督を、国交省の立場でその会社の社員が出向とはいえやってないだろうな、まさかないだろうなと調べたら、これは北側大臣、どうでしたか。

北側国務大臣 これは平成十六年度の数字でございますが、それで調査をしたところ、全国の建設弘済会に発注した監督補助業務が二百五十三件ございます。そのうち、今委員のおっしゃったのに該当するのが一件ございました。九州地方整備局が平成十六年十一月八日に株式会社協和製作所と契約した甘久水門外一件ゲート修繕工事において、その企業から九州建設弘済会に出向している技術者が監督補助を行った事例が一件あったわけでございます。

 この件につきましては、監督補助業務に携わる民間企業からの出向者が出向元の会社が実施する工事の監督補助を行う、これは当然許されないわけでございまして、これについては極めて遺憾だというふうに思っておりまして、当然、これにつきましてはきちんと適正配置ができるように心がけさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

長妻委員 これは一定の限定をして調べて、これだけ出てきているわけですから。それで、水門ですよ、さっきも今も。今、水門談合を公取は調査していると。自分の会社が工事をしているのを、国交省の立場でその会社の人が現場監督補助をしている。それは、その会社の人が悪いのかどうかわかりません、国交省がそういうことをわかっていながらやらせているわけです。

 もう本当に癒着、なあなあとしか言いようのない、こういう問題がある。私は氷山の一角だと思いますので、総理、全省庁で今のような問題がないか、資料がある限り調べていただくという、御指示を今ぜひいただきたいんです。

小泉内閣総理大臣 既に先日の閣議で、御指摘のような官製談合等について各担当大臣にしっかりと対応するように指示しておりますし、今御指摘の点につきましても、公正さを疑わせることのないように改めて全省庁に指示をしたいと思っております。

長妻委員 ですから、このケースは今初めて出ているケースなので、積算補助とかあるいは現場監督補助をこういうまさに関係する民間の会社にやらせている可能性が全省庁にあると思うんですが、その観点で、資料がある限り一度調べてみろと、これをぜひ言っていただきたいと思うんです。もう一回。

伊吹委員長 では、総理、もう一度答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 今、私は答弁したつもりなんですけれども。

 今の御指摘も含めて、公正さを疑わせることのないように、しっかりと調査をし点検するように指示していくということを今私は答弁したつもりなんですけれども、改めて申し上げます。

長妻委員 調査し点検するということで、これは速やかに公表して。

 日本の公共事業は、先ほど松野委員からもありましたけれども、随意契約が多過ぎる。その先は多くの団体に天下りがいる。そして、これもずぶずぶの天下りの関係、民間に投げている。こういうことがはびこっていて、簡素で効率的ということを言うのであれば、これが本丸だと思うんです、天下りの問題が。そこを何で一行しか書いていないのか。

 会計検査院にお伺いしますけれども、これらの問題、今申し上げた積算補助と現場監督補助、これは検査されますか。ぜひしてください。

大塚会計検査院長 会計検査院は、公共工事における各工事の設計、積算、施工等について適正に行われることが必要である、そのように考えております。

 本件につきましては、詳細なことは把握しておりませんけれども、委員御指摘の内容を参考にしつつ、設計、積算が適切であるか、施工等が適切に行われているかといったような点につきまして、委員御指摘の点を留意しながら検査してまいりたい、このように考えております。

長妻委員 そして、天下りの問題でいえば、当の会計検査院が過去五年間で幹部が検査対象に天下っているということで、何人おられましたか、検査対象への天下り。

大塚会計検査院長 検査対象へ再就職した者は十五名でございます。

長妻委員 これは幹部だけの数字だと思いますけれども、幹部以外の方で検査対象に就職した方は何人ぐらいおられますか。

伊吹委員長 大塚院長、数字は把握できていますか。

大塚会計検査院長 把握できておりません。

伊吹委員長 いやいや、私に答えるんじゃなくて。

長妻委員 出すんですか。調べて出しますか。

大塚会計検査院長 一応私どもは、平成十一年八月十六日以降のものについて、人事院の規定に従った、ルールにのっとったものについてのみ把握して、それを出すと。(長妻委員「調べて幹部以外のものを出しますか」と呼ぶ)

 それについては、個人のプライバシーの問題にもかかわってくると思いますので、現在はその予定はございません。

長妻委員 出さない。これは、総理、どうなんですか。

 会計検査院で、その幹部十五人のうち、私はその方に直接お話も聞きました。そうしましたら、自分が現役時代に何回もその団体に直接立入検査をしたと。そこに天下っている方もいらっしゃいます。自分はそこで何代目かだ、一代だけじゃないと。会計検査院の方が何代目かだと。その団体は、昨年、官製談合で職員が二人逮捕されました、成田空港株式会社、以前の新東京国際空港公団。ですから、うがった見方をすると、会計検査院の方が天下っているので検査が非常に甘くなって、うみがたまって逮捕者が出たといううがった見方もできなくはないと思うんです。

 では、検査院長に聞きます。検査対象への天下り、これはやめましょう。やめましょう。どうですか。

大塚会計検査院長 会計検査院の検査は、検査院というのは、財務検査、有効性検査といったような非常に特殊な能力を、言ってみれば養成しております。ですから、そういった長年培った検査に関する知識、その経験を生かし得るようにというふうに考えておりまして、再就職先における会計経理の適正化、内部監査の充実に十分寄与していただきたい、こんなふうに考えております。

 たとえOBが就職している団体等が検査対象でありましても、検査に手心を加えたり影響が出るようなことは決してないということであります。

長妻委員 私が聞いた事例は、天下りの方が会計検査院の後輩が検査に立ち入るときに一緒に立ち会う、必ず立ち会う。そして、会計検査院にその職員が呼ばれたときは、自分が電話で後輩と時間調整する、こういう話も聞いております。

 これは総理、ぜひ決断してください。質問主意書も、会計検査院には聞いちゃいかぬと言うんです。何でかと思ったら、憲法で規定されている内閣じゃないと言うんです、会計検査院は。独立した、非常に厳正中立な正しい正義の機関だ、だから内閣から外れているんだと。総理、検査対象への天下り、これはせめてやめた方がいいんじゃないかとぜひ言ってください。

小泉内閣総理大臣 それは、検査対象への固定的な天下りというのはやめた方がいいと思っております。

 特別な能力のある方がある民間の機関に行ったと。しかし、それを定例的に慣例的に、検査院の人が同じような企業に、先輩あるいは後輩が天下りしていくというのはよろしくないと思っております。

長妻委員 院長、今総理から話がありましたけれども、もう何代も続いているんですよ、私が知っている少なくとも二つの例は。何代も続くのはもうやめるということでいいんですね、院長。

伊吹委員長 会計検査院長、総理の答弁を踏まえて。

大塚会計検査院長 私、何代も続いているかどうかというのは、人事課の方には資料がないということで、個人の記憶の中にはあるのかもしれませんけれども、正式な書類という形ではないということなので、十分委員の御指摘を踏まえて検討はさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

伊吹委員長 静粛にしてください、これから答弁しますから。

大塚会計検査院長 総理の御発言を踏まえて十分検討させていただきたい、こんなふうに思います。

長妻委員 そうしましたら、検査対象に天下っている幹部以外の人の人数を出してください。

 総理、一言言ってください、それは出してと。人数だけでいいんですよ。名前を出せと言っていませんから。まず総理、言ってください。まず総理、言ってくださいよ。さっき出さないと言っているんです。

 じゃ、まず検査院答えてください、調べて出すと。調べて出す。

伊吹委員長 長妻君、委員長から申し上げます。

 先ほど委員がおっしゃったように、内閣と検査院の関係は非常に微妙ですから、一般論として先ほど総理が適当じゃないという答弁をされましたが、指示ができるかどうかというのは別問題ですから、まず検査院長から答弁させます。

 検査院長。

大塚会計検査院長 国家公務員の退職後の状況については、公務を離れた個人に関する情報でありますので、一応、公表は予定していないというふうに申し上げます。

長妻委員 私は、かなり驚くべき実態があると思うんです。検査対象に、幹部だけで十五人。

 まずは人数だけでいいですよ。名前は調べて出せと言っていません、職員の。私は一カ月前からずっと言っているんです。会計検査院に頑張ってほしいんですよ、国民の皆さんも、我々も。

 総理、人数ぐらいはどうだと言ってください。

小泉内閣総理大臣 一般論として、私は会計検査院の役割というのは重視していますから、独立の機関として無駄はないかきっちりと検査してほしいということでありますので、常識として人数ぐらいは出せるんじゃないかと。プライバシーもありますから、個人の名前は。人数ぐらいは出せると私は思うんですけれどもね。

伊吹委員長 それでは、総理の今の一般的感想を踏まえて、大塚会計検査院長。

大塚会計検査院長 総理の一般的感想を踏まえまして、これから検討させていただくということで、よろしくお願いいたします。(長妻委員「だめだめ、出すか出さないか、もう一回答弁させてください」と呼ぶ)

伊吹委員長 長妻君、立って言ってください、答弁は一応しているわけですから。もう一度。

長妻委員 私は会計検査院に頑張ってほしいんですよ。そういう疑われることをやらない方がいいですよ。

 それで、独立した機関だと委員長からもありましたが、先ほどの会計検査院の答弁、何ですか。幹部以外出さないでいいというルールを人事院が決めたからおれは出さないんだと、こういうふうに聞こえました。独立した機関なら縛られないじゃないですか。出すと言ってください、人数だけは。

大塚会計検査院長 個人が特定されるおそれもありますことから、出すという予定はございません。(長妻委員「出す予定はないって、さっきの答弁と違っていますよ」と呼び、その他発言する者あり)

伊吹委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こして。

 会計検査院長大塚君、もう一度答弁をしてください。委員長から申し上げますが、ただいまの総理の一般的感想を踏まえて、全体の数字が出せるかどうかということはプライバシーとどういう関係があるかということも説明してください。

大塚会計検査院長 総理の一般的な感想を踏まえまして、これについて検討させていただいて、またお答えしたいと、こんなふうに思います。

伊吹委員長 速記をとめてあげてください、これは質問者に気の毒だ。

    〔速記中止〕

伊吹委員長 速記を起こして。

 大塚院長。

大塚会計検査院長 前向きに検討させていただきます。

伊吹委員長 長妻君に申し上げますが、この件については理事会で諮りますから、理事会への資料要求としてください。

長妻委員 では、理事会に要求します。よろしくお願いします。

伊吹委員長 理事会でお諮りいたします。

長妻委員 最後に、毎日新聞のこういう報道がございました、「国交省「談合継続を」 廃止望む業界に」ということで、水門の問題ですけれども。北側大臣、水門の問題で調査チームをつくりますか。調査チームをつくって徹底調査されますか、国交省の中に。

北側国務大臣 そのような報道があったことは承知をしております。そのような報道の前にも、さまざま水門工事については報道がございますので、私の方から、その入札の状況等につきまして調査をしっかりするようにということは指示をしてございます。

長妻委員 最後にもう一点ですが。

 きょう、財務大臣もお越しいただいているんですが、私はちょっと財務大臣に苦言を申し上げたいんですけれども、実は財務省にも同じ問題があるんではないのか、会計検査院のような。

 というのは、主計局で、自分が予算査定した独立行政法人とか特殊法人、自分が非常に手塩にかけたというか予算査定をした団体にその主計官が天下っている、こういう事例はないのかな。いろいろなうわさは聞きますが、確かなことはわかりませんので、私、質問主意書を書いて出しましたら、それは答えられない、こういう御答弁でしたので、この際、ぜひ御調査いただきたいと思うんですが、いかがですか。天下りです。

伊吹委員長 谷垣財務大臣、約束の時間が来ておりますから。

谷垣国務大臣 以前、長妻委員から質問主意書をいただきまして、そのとき平成十三年八月十六日から平成十七年八月十五日までの間に退職した本府省の課長、企画官相当職以上の財務省主計局職員の再就職状況についてはお答えをしました。そして、そのほかのお尋ねについては、個別の人事に関するもので人事情報の管理の観点から問題があることなどから答弁を差し控えたいとお答えしたところでございます。

長妻委員 次期総理を目指す方であれば、人事管理上問題がある、でも、それは疑いを持たれるような事例ですから、速やかに省内に指示をしていただきたいということをお願いします。

 その天下り問題が改革の本丸ですので、総理、ぜひ逃げないで取り組んでいただきたい。お願いします。

伊吹委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、長妻委員に引き続きまして、質問をさせていただきます。

 先ほどの会計検査院の態度を見ておりまして、与党、野党とも、会計検査院というのがいかに秘密主義に守られているか。内閣からの独立をいいことに、その人数すら出さないということにつきまして、この会計検査院のあり方についてもこれから我々は取り組んでいかなきゃならぬ。総理おっしゃったように、一般的な感想として、聞けば聞くほど、よっぽど何か隠しているんだろう、よっぽど何かあるんじゃないかと思われても仕方がないわけであります。そのことをまず冒頭申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 今長妻委員からも指摘のありました地方整備局の問題、これは先般の委員会でも私は取り上げました。

 今話がありましたけれども、地方整備局が発注をしている、全国の八ブロックに八つの天下り法人がございます。今出向職員の話がありました。これは、全部調べてみますと、八法人全部で五千九百八十人いるんです。平成十六年度の数字ですが、およそ六千人。そのうち正規職員が約二千三百人。三千七百人が出向職員です、全国八ブロック合計して。計算しますと、八つの法人の六二%は出向職員が占めているんですね。六割が民間の、地元にある、あるいは全国に支店を持っている、いわゆるコンサルタント会社からの出向なんです。

 中でも、先ほど九州の例が出ました。九州建設弘済会が六百六人中四百八十三人、八〇%が出向。関東建設弘済会、東京・大手町にありますが、千二百四十四人中、出向者九百九十六人、割合にしてこれも八〇%。つまり、職員のうち正規の職員が二割しかいない、八割は出向職員。ちなみに、四国建設弘済会というのが五百十四人中三百八十六人、これも七五%。

 つまり、地方整備局が業務を発注している法人というのは、民間からの出向者がいなかったら受注できる能力がないんですよ。身の丈以上の仕事を受けている。だから、民間からかき集めてこなきゃいけないわけです。かき集めるという言葉がいいかどうか、とにかく、もうお願いして来てもらうしかないわけなんですね。

 ちなみに、この八つのブロックにあるそれぞれの整備局が発注をしているいわゆる天下り法人、出向元の企業上位十社、全部出してくれと言って出してもらいました。そして、合計すると八十社のうち約三十社が従業員の半数以上を出向させているんですよ。驚くべきことなんですね。

 どことは言いませんけれども、中部地方のある出向元の企業では、従業員が五十五人なのに五十五人出向している。これは、帝国データバンクですとか、あるいはその会社が持っているいわゆるホームページから会社概要を見まして引っ張り出した数字です。ちょっとばらつきがありますけれども、九州のある会社では、従業員五十九人なのに五十人も出向しているんですね。常識的に考えたら、出向元の企業は仕事にならないですよ。これは事実上の専属下請ではないかなというふうに思わざるを得ないんですけれども、国土交通大臣、この現状をどう説明されますか。

北側国務大臣 建設弘済会、委員もよく御承知のとおりなんですけれども、ずっと昔はこれはそれぞれ整備局でやっていた業務を、整備局が河川管理、道路管理等々をやっておったわけでございますけれども、これを、どんどん人員の削減が続いてくる、そういう中でできるだけ外部委託をしていこうということで、公物管理補助業務だとか、それから発注者の支援業務だとか用地事務の補助業務、外部委託できるものについてこの建設弘済会を使ってやっておるということでございます。

 今委員のおっしゃっているのは、この建設弘済会自体が民間の出向者が多いじゃないか、また、そもそも民間のところが多くの人間が行っているではないか、こういう御指摘をいただいているところでございます。

 例えば、河川であれ道路であれ、そうしたさまざまな事業というのは、年度や時期によって大きな違いが出てまいります。また、工事現場が各地に点在をしておりまして、それぞれ大規模であるだとか。そういう意味では、例えば、弘済会の方で固定的に人員を抱えてしまうよりも、その都度、臨機応変にといいますか柔軟に民間から出向者を受け入れてやった方がより効率的な業務ができるのではないか、こういうふうなことでこういうふうになっておると理解をしております。

 しかし、この民間出向の問題につきましては、先ほどから御議論もあって、私も答弁をさせていただいておりますけれども、民間コンサルタント会社からの出向実態、こういうのをもう一遍よく把握させていただいて、改善をしなければならないところはしっかり改善をさせていただきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 今、改善するとおっしゃいました。ぜひやっていただきたいと思うんですね。

 これは年間契約なんですね、出向元とこの公益法人との関係は。年間で契約してしまったら、正直言って、この職員は、出向する人間は、国土交通省管轄、所管のこの公益法人の人間になるわけですね。だから、もとの会社にしてみると、先ほど長妻さんも指摘されましたけれども、よっぽどうまみがなかったら、自分たちの会社、社員が五十五人しかいないのに五十五人も出向させて、本来、ほかの業務が全くできないことになってしまうでしょう。実態は延べ人数だから違うというような説明もあるのかもしれませんけれども。

 一つ例を挙げます。

 これは関東建設弘済会の例ですけれども、例えば、土木施工管理技士、建築施工管理技士、こういう資格保有をしていないと仕事ができない。これを持っている人間の数を調べましたら、この関東建設弘済会では、正規の職員は百四十七人、出向が六百四十四人なんですね。一対四の比率なんです。土木施工管理技士の一級を持っている人でなければ現場監督はできない。つまり、現場監督は出向元企業の方になるんですよ。言ってしまえば、指導監督的な業務につく人たちが民間会社からの出向の人間で、そうでない人間は、ではそのもとで仕事をしているのか。これはあべこべじゃないですか。こういう実態がある。

 とにかく、どういう計算かわかりませんけれども、中には社員の数を超えて出向している会社もあるんです。どう考えても、今ある八つの法人、この関東建設弘済会に限らず、天下り法人はとても健全な法人とは思えないですね。

 今おっしゃったような、外部に委託をすることによってどんどんふえているんだ、そして、法人のいわゆる受注する額というのが上下をするから、その方が柔軟なんだというような意図でおっしゃられたと思いますけれども、これは全部調べました、東北建設協会から始まって九州建設弘済会に至るまで。この八つが、十四年度から十六年度までの間に、どこもすべて資産がふえているんですよ。

 これは驚くべきことなんですけれども、例えば関東建設弘済会、三年間で十一億円も資産がふえているんですね。職員とか会員、会員というのはOBの方々、会費を何千円か払って入るらしいんですけれども、職員の数というのは、多いところで九州建設弘済会の四十四人、三年間でふえているのが。四国建設弘済会に至っては三人です。北陸もそうなんですけれども。つまり、職員はふえないけれども、資産だけはどんどんふえているんです。

 資産をふやすだけの資産があるんだったら、正規の職員を採用したらいいと思うんですけれども、こういう、どう考えても、調べれば調べるほど、ちょっと健全な状況じゃないなというふうに思いますけれども、この実態把握に努めて改善すると。もっと言いますと、こんなに、全職員のうちの八割を民間の出向者で占めるのであれば、この民間コンサルタント会社に競争入札で発注すればいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺、いかがですか。おかしいと思いませんか。

北側国務大臣 先ほど委員の方から、出向職員の方が管理しているんじゃないのか、こういうお話ございましたが、監理技術者はあくまでプロパーの職員がさせていただいております。やはり河川とか道路とか、その管理、安全にかかわるところがございますので、そこのところはやはりプロパー職員がきちんと管理をしているということでございまして、出向職員が指導監督的な業務を行っているということはございません。

 それと建設弘済会の人数は余りふえていないけれども資産はふえているんじゃないか、こういう御指摘があったわけでございますけれども、これは当然、公益法人でございまして、公益法人には公益法人の資産についてどうするかというのは一定の基準が決まっておりまして、収益を上げる団体ではありませんので、そういう面でその基準の中でなされているというふうに考えているところでございます。

 それと、最後に御質問がございました、そもそも民間でできるのではないのかと。これについては、例えば、公物管理、河川や道路等の管理補助業務につきまして、この中で、道路管理だから、河川管理だから、その補助業務だから、これは公益法人でないといけないということではなくて、しっかり中をもう一遍よく見て、区分できるものは、この中で民間でできるものは民間にやってもらおうというものについては、きちんと区別をして民間にお願いをしていきたいというふうに考えております。

 例えば、具体例を申し上げますと、河川、道路における単純な巡回だとか状況の確認だとか、こういうものについては分離発注をして民間の方にお願いしてもいいのではないか、そういうことも今検討しているところでございます。

渡辺(周)委員 その答弁につきましては前回のときにもいただいたんです。今とにかく私が問題にしているのは、この八つの法人が身の丈以上の業務を受注して、出向職員で賄いながら、資産はふえ続けているんですよ。一体何のために存在しているのか。せめて、だとすれば国土交通省、これはもう無理だと、そうしたらもう発注量を減らしたらどうですか、本当に。あるいは、身の丈を超えて受けられないんだったら、この公益法人はもう受けなければいいんですよね。あるいは、資産を取り崩して、それで正規の職員をふやしたらいいんだ。そうすれば、こんな民間から六二%も出向することがない。

 先ほど長妻さんがおっしゃったみたいに、民間から当然出向して、公益法人の、いわゆる建設弘済会、建設協会のユニフォームかどうか知りませんけれども、その姿で仕事をして、出向元の会社との関係を考えたら、当然そこには不健全な関係が生まれたっておかしくないんです。そこのところは非常に疑念の残るところなんですね。ぜひここのところは見直す、これを本当に徹底してやっていただきたい。そのことの決意を後で伺いたいと思います。

 もう一つ、この八つの天下り法人以外に、また似たような団体がございます。社団法人九州地方計画協会というところがございます。これは、先ほど申し上げました九州建設弘済会と目と鼻の先にあります。博多の駅前、博多にありますけれども、ここが随意契約ですべて、年間収益十七億四千万円、これで、この間国土交通省の方が来られたので、ここの年間の事業収益のうちの大体どれぐらいだと聞いたら、全部ですと言った。つまり、一〇〇%が九州地方整備局からの随意契約八十七件だ。これも、河川だとか、調査などの補助業務をやっている。つまり、九州地方計画協会という社団法人は、九州建設弘済会と目と鼻の先にありながら、同じような仕事をしているんですね。

 それで、これまた同じような仕事が出てきました。これは公益法人の便覧を見まして、いろいろ見ていると驚くんですけれども、今度また同じ福岡の久留米に北部九州河川利用協会というのがございまして、ここもまた同じような仕事をやって二億円の随意契約を受けている。

 この三つを合わせただけで、これは前原前代表が資料要求した随契の資料の中にありますけれども、これで何と約九十億円。こういう類似した団体がもうとにかくあります。しかも、先ほど、もうずっと我々指摘しているように、随意契約で、ほとんど事業を行わなくても、もう受けるだけで存続する、こういう仕組みになっているわけです。

 この九州の地方計画協会、この実態、私の認識は正しいでしょうか。また、これを見直すんだったら、どうぞあわせて、見直すと言ってくださいませ。

北側国務大臣 九州だけ四つあるんですね、今委員のおっしゃっているとおり。これは四つのそれぞれの弘済会なり協会なり、やっている業務は全然違う業務をそれぞれ担当していて、重複でやっているわけではありません。ダムとか河川とか分けてやっている。ほかの地方は一つでやっているのを四つに分けてやっているということでございます。

 ただ、この建設弘済会、九州の四つも含めまして、北海道も含めまして、こうした公益法人の問題については三月末にまず第一次の取りまとめをさせていただきました。民間企業でできるものは整備局の方も民間に直接出すということでやってくれということで、まず第一次の案の取りまとめをさせていただきました。

 それで終わりではなくて、今委員のおっしゃった民間からの、民間コンサルタント会社からの出向実態、こういうのもよく把握をさせていただいて、改善方策について検討をさせていただきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 では、あわせて伺いますが、それだけじゃ終わらないんですよ。もっと言ってしまえば、将来はなくす、あるいはまずその段階として統合する、こういうことはお考えになっていないですか。

 ちょっと今九州の例、地方の例を挙げましたけれども、これまた国の中央にあるものだけでも、これは挙げるとかなりの数が実は出てくるんです。これも見直さないかぬなというふうなことで申し上げたいんですけれども、例えば、国土交通省の河川局が所管をしている公益法人、これは東京都内にあるものです。これだけでもびっくりするような数が出てまいります。こういうもの。それから、ダムに関する団体だけでも七つも八つもあるんですね。それから、下水道に関する団体だけでも七つも八つも出てくるわけでございます。

 こういうのを一つ一つ見ていくと、ちょっと申し上げますと、例えば河川関係だけで、これは東京にあるものだけです。社団法人日本河川協会、財団法人河川環境管理財団、財団法人河川情報センター、この三つ。この三つだけで、中央区と千代田区麹町にあるんですが、随意契約で出ている額だけで三つ合わせて九十四億五千三百万円。いろいろ見ますけれども、大体似たり寄ったりの仕事をしているんです。

 これは現業でない。先ほど申し上げたのは現業の、いわゆる公物管理の方なんかをやっている現業部門の公益法人ですが、こちらはどちらかというと啓発とか調査事業だとかいう名前の何か機関誌を出したりしている。

 また、緑化関係だけを見てみましても、財団法人都市緑化基金、財団法人都市緑化技術開発機構、財団法人日本緑化センター、財団法人公園緑地管理財団、もう一つ、社団法人日本公園緑地協会。聞いただけではどれがどれだか全然わからない。これはみんな大体、港区虎ノ門、赤坂、千代田区一番町、平河町。この五つの似たような団体だけで職員が八十二人、役員が二百二十六人いるんですよ。それで、合計しただけで、ここに出ている随契の金額だけで八十三億三千万円。

 これは一つの例ですよ。先ほど申した河川、それから今のが緑化関係。もっと言うと、下水道関係だけで九つあるんですね。これは、お金が出ているものも出ていないものもあります。ダム関係だけでも、都内だけで五つあるんですよ。名前を聞いたって、多分大臣もわからないと思いますよ、どう違いがあるか。それぐらい同じようなものが、実はこの霞が関の目の届く東京にも、あるいは地方の整備局が、先ほど来指摘しているように発注しているような公益法人も、とにかくこれだけあるんです。

 これは、ぜひ最後に総理に聞きたいと思いますけれども、この公益法人というものを一回整理するために、ゼロベースで全部出させるべきじゃないか。これとこれも五つもあって、これは一つでいいじゃないか。それだけでも、こんな東京の一等地にあるオフィスを撤退するだけでも、かなりの家賃負担が減るわけですね。

 どうですか、総理、今聞いていて。ぜひ、公益法人、特に随契の契約の形態のみならず、存在そのものをやはり統合して考えた方がいいんじゃないですか。総理、お答えください。

中馬国務大臣 先ほど申しましたように、今回のこの行政改革の中で、それぞれの主務官庁が、自分のとあえて言いましょうが、そうした団体をたくさんつくっていることも、これまた事実でございます。そうしたそれぞれが、主務官庁の許可を得てでき上がったものでございますし、二万六千何百かあるわけですね。そうした一般財団、社団法人というものを一遍全部見直すわけでございますから、その際に、今委員がおっしゃったようなことを、本当に私は真剣に、それぞれの新しい公益社団、公益財団を決める際には本当に精査して決めていかなきゃいけない、このように認識をいたしております。

小泉内閣総理大臣 中馬大臣の答弁されたように、今まで公益法人は主務官庁の許可制だったのを今度はなくすわけですね。これはもう百年ぶりの改革だと思います。

 そういう中で、今の公益法人、御質問で指摘されたように、本当に必要なのかどうか、これは見直さなきゃいかぬと思います。また、この仕事が適切かどうかということも、反省も踏まえて、今後、適正なものにするために、各主務官庁も努力しなければいけないと思っております。

渡辺(周)委員 いや、総理、ぜひ実態を調べて、これはもう整理する、統合する、あるいは廃止するということを今お述べいただいたと理解していいですか。その御決意を聞かせてください。

小泉内閣総理大臣 これは、もう許認可制じゃなくなるわけですから、今後、どのような登録をされて、これがどういう公益性を有するのかという点については、よく検討していかなきゃならない問題だと思っております。

渡辺(周)委員 ぜひ、これは類似のこういうのが、もう本当に、これぐらいの本があるんですよ。国土交通省の所管をしている公益法人の本だけでこんな厚いんですよ。持って歩くだけで肩が凝るような物が。

 それが、今申し上げただけで、下水道なんかが、ちょっと見ましたら何と九つあるんです、東京都内だけで。九つの団体に、すべてこれは、所管の部署は下水道企画課なんですよ、全部。ところで、下水道企画課というのは霞が関に何人ぐらいいるんですかと聞いたら、大体二十五人か三十人ぐらいだと国土交通省の方が言っています。本省に二十五人しかいないところが九つもの、これがみんな、大手町だとか赤坂、六本木、内神田、虎ノ門、こういう一等地に持っているんです。これはもうどう考えても天下りの人たちが行くためだけに存在している。一つにしてしまえばいいのに、こんなことが起きている。

 ちょっと時間がなくなりましたので、これは指摘をして、ぜひこの問題、また改めて、どう役割が違うのかについても追及したいと思います。

 さて、農水大臣、前回も質問を予定しておりましたけれどもできませんでした。農林水産省にも、実は類似の団体があります。

 農林弘済会は農林水産省と同じところにございますね。ここが、筑波農林研究団地の運転保守管理、およそ二億円。それから、農林水産省発行の印刷物、大体四千八百三十六万円。両方合わせて大体二億四千四百万円。随意契約総額のうちの九五%がこの二つなんですけれども、そもそも、役所の中にある公益法人がその役所の設備の保守管理、あるいは印刷を請け負っている、こういう実態があるんです。御存じかと思います。

 それから、林野弘済会。これまた、二十五億五千万円の随意契約のうちの約二十億円、七八%。指名競争入札はたったの三億円、一二・二%しかない。

 こういう天下り団体が、例えばこの林野弘済会だったら、警備の業務あるいは清掃の業務、これも請け負っているんですね。こういう問題について、これはぜひ見直すべきだと思いますけれども、農水大臣、いかがですか。

中川国務大臣 御指摘のように、農林弘済会と林野弘済会、二つございます。

 随意契約の割合が非常に高い、御指摘のとおりでございます。農林水産省の中にある、これも事実でございましたけれども、一部、撤退というか、今お引き取り願っているところでございます。

 随意契約につきましては、農林弘済会につきましては、筑波団地の高温水電力供給システム、これは安全性の問題がございますので若干おくれますけれども、印刷事業は十七年度限り、つまり本年度からはもうやめるということにしております。林野弘済会につきましても、物品、役務については競争入札にする、調査研究事業委託についても、地域に受注し得る者がほかにいない場合を除いて、競争入札に移行したいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 我々もうずっと指摘をしてきて、ここで政府も、今までだってできることを、前回も言いました、例えば公益性であるとかあるいは豊富な経験と豊富な知識が必要なんだということでずっとやってきた。ところが、この数カ月、この半年ぐらいから、これは世論も含めて野党の我々も言い続けた。そうしたら、これはまずいと思ったのか、大分見直しの例が出てきた。今までこれは公益だからあるいは経験と知識が必要だからとやってきたものが、半年後には競争入札になったり民間委託が検討されるんです。

 最後に一つ申し上げますけれども、先ほどの国土交通省関係の八つの公益法人、ここには、実は入札監視委員会というのがあったんです。

 入札監視委員会というところがどれぐらいの頻度でやっているんですかと聞いたら、大体年に四回だと。メンバーは、法律家、公認会計士とか大学教授。では、なぜこういう随意契約の適否についてはやらなかったのかと聞いたら、これはある役所の方が言っていました、余り何度も会合をやると委員の先生に嫌がられると。とんでもない話であります。そもそも、この入札監視委員会というのは工事能力の評価のために始めた委員会で、入札がいいのかあるいは随意契約がいいのかどうかということについては今までほとんど検討されなかった。つまり、入札を検証する仕組みがないから随意契約をはびこらせてきたんですね。

 絶えず目を光らせる組織という意味では、我々は行政監視院、こういうものを提言しているんですけれども、まさに、この見直す、先ほど来見直す、見直すという言葉が出ていますけれども、総理、こうした形で、ここだけのかけ声だけではなくて、たとえ総理が任期が終わって退陣をされることになっても、どなたが総理・総裁になっても、我々が政権をとったらもちろんやりますけれども、その点について、今言われていることはやる、あるいは、入札あるいは随意契約のあり方についてちゃんと見直す、すべて見直すということについて、御決意を述べていただきたいと思います。

伊吹委員長 それでは、申し合わせの時間が来ておりますから、簡単に。

北側国務大臣 では、簡単に答弁させてもらいます。

 入札監視委員会につきましては、弁護士、会計士等が入って、第三者機関として、公共工事の入札契約の適正化を行うに当たって第三者の意見を適切に反映させるということで設置をしているところでございますが、今委員のおっしゃったように、この入札監視委員会について、建設弘済会への業務委託を初めとする随意契約全般についても審議の対象とするとともに、さらなる充実について積極的にぜひ検討したいと思っております。

小泉内閣総理大臣 談合の問題につきましても、また公益法人の問題につきましても、これは与野党が改革競争をして、国民からの批判にしっかりとこたえていかなきゃならない問題だと思っております。

渡辺(周)委員 終わります。

伊吹委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正でございます。

 それでは、まず冒頭、きょうは環境副大臣の方に、臨時代理もお見えでございますが、まずお聞きをしたいのが、環境省、この五年間、随意契約二千七百六十四件、丸々すべて単独の業者の見積もりで済ませていた。既に報道では随契比率五年間九三%という報道があって、過日の当委員会でも質疑を行ったんですが、改めて、総理も出席いただいておりますので、なぜこの随意契約二千七百六十四件、予決令でいえば九十九条の六、相みつをとらなきゃいけない、にもかかわらず、五百万円以上の支出で相みつを一切、すべてとっていない、その理由をお聞かせいただけますでしょうか。

江田副大臣 委員の質問にお答えさせていただきます。

 予算決算及び会計令第九十九条の六におきましては、「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」とされております。しかしながら、先日もお答えさせていただきましたけれども、お尋ねの調査研究費等の契約につきましては、その専門性のためにほかの事業者と契約することができないということから随意契約としているものでございまして、その性質上、他社から見積もりを徴することは困難と考えてきたところでございます。

 しかしながら、契約の透明性、効率性の確保の観点からしまして、随意契約の見直しが求められていることにもかんがみて、このような随意契約であっても、極力何らかの方策を検討していくことが重要であると考えております。このような見地から、六月までにまとめる見直し計画の中で見直すべきは見直していく、強くそのような姿勢で指示しているところでございます。十分に検討してまいりたいと思います。

武正委員 平成十六年度だけ見ても、環境省の随意契約五百五十七件のうち、環境保全調査費、これが一番多いんですが三百八十件、そのほか大きいところを言えば、公害調査費六十七件、鳥獣等保護費二十七件、情報処理業務庁費十二件など、どうしても専門性を要するとは到底思えないものも科目としては入っているわけなんですね。

 そこで、もう一度、副大臣、お答えをいただきたいんですが、御提出をいただいた五年間五百万円以上の全契約、これを見ましたら、例えばダイオキシン、これについてちょっと例を挙げますと、平成十五年度ダイオキシン類環境測定精度管理調査、これは随意契約でございます。それから、同じく平成十五年度ダイオキシン類簡易測定法実証調査等業務、これも随意契約でございます。そして、平成十五年度ダイオキシン類大気環境モニタリング調査業務、これは一般競争入札ということでございまして、何が一般競争で何が随契なのか、これを見ても非常に違いがわからない。

 この三つの事例について、副大臣、どうして一つは一般競争で、残り二つは随意契約なんでしょうか。御説明いただけますでしょうか。

江田副大臣 御質問にお答えさせていただきますが、今のダイオキシン類の調査でモニタリングだけは一般競争入札になっているということの違いということでございますが、今後においても、これは今検討しているところでございます。基本的には見直してまいりますけれども、調査手法の確立等を詳細に見まして、一般であるべきか、専門性のために随意であるべきかというところを今見直しさせていただいているところでございます。

武正委員 つまり、一般競争入札と随契の違い、これについては御説明できないということだと思います。

 きょうは、それぞれ各大臣に同じような御質問を、三名の方にさせていただいております。財務大臣、農水大臣、厚労大臣、既に、環境省と同じように過去五年間五百万円以上の契約、この全契約を本委員会に出していただきたい、こういうお願いを委員長にさせていただきまして、私はきょうなぜそれが出てこないのかな、来週火曜日ということで御回答いただいていますが、やはりこれだけ随意契約の問題が本委員会で特にきょう議論の中心になっているだけに、なぜ出てこないのか、これについての御説明もそれぞれ大臣にはいただきたいんですが。

 まず、そうは言っても、質問項目で挙げさせていただいております。財務大臣、農水大臣、厚労大臣の順番で、五百万円以上のそれぞれの本省発注全契約に占める随契割合、既に環境省は九三%、明らかにしていただきました。九三%の二千七百件すべて相みつとっていないと。しかも、今のように、一般競争入札と随意契約、ほとんど違いがないということも明らかになったわけですが、それぞれの割合をそれぞれの三大臣にお答えをいただくと同時に、本委員会に提出をいただいた、先ほども指摘があった、前原議員の指摘による平成十七年度分の随契、それぞれの五百万円以上の契約のうち、随契ですね、相みつをとっていない割合が何件中何件で何%か。以上をそれぞれ三大臣からお答えをいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 平成十二年度から十六年度の五年間、五百万円以上の本省発注全契約に占める随意契約の割合、これは今作業中でございまして、物理的にまだ答えが出てきておりません。

 ただ、今まで作業してお答えできるところをお答えしたいと思っておりますが、財務省における公共調達の総契約件数に占める随意契約割合、少額契約は除きますが、これは平成十六年度において約三九%でございます。それから、財務省における特定役務等、これは政府調達に関する協定の適用を受ける契約、これの総契約件数に占める随意契約割合は平成十六年において約三〇%となっております。

 それから、御指摘の五百万円以上の随意契約のうち相見積もりをとっていない割合は一〇〇%となっているものと考えております。その理由は、御指摘の五百万円以上の随意契約については、会計法二十九条の三、第四項のうち、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」というものに基づいておりまして、契約相手が一事業者しかない随意契約でありますので、見積もり合わせを行うことができないということによります。仮に契約相手が二社以上あり得る場合には入札を行っているということでございます。

 いずれにせよ、政府の方針に基づき行っている随意契約の適正化は今作業中でございますので、現在緊急点検を行っておりまして、見直しに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

中川国務大臣 農林水産省におきましては、平成十二年度から十六年度の五年間におきまして、本省一般会計の物品、役務、工事等の発注全契約に占める随意契約の割合は四〇%でございます。

 相見積もりにつきましては、今財務大臣からもお話がありましたが、二百五十万あるいは百六十万という基準がございますので、五百万円以上ということになりますと相見積もりというものはないわけでありますので、これは一〇〇%ということになります。平成十七年度におきましては、まず契約件数は四百五十八件でございまして、相見積もりをとっていない割合は、同じ理由で一〇〇%ということになります。

川崎国務大臣 平成十二年度から十六年度までの五年間における一般会計五百万円以上の本省発注契約千二百三件、うち九百三十七件、七七%が随意契約でございます。随意契約については、すべて相みつをとっておりません。理由は、これらの契約は契約内容の専門性のため他社と契約することができないことから随意契約としているものであり、その性質上、他社から見積もりをとることは困難であると考えております。

 しかし、一方で平成十六年八月に省内各部局に対し適正な契約の執行等について通知を出し、以降の契約適正化の取り組みの結果、十六、十七は今集計中でございますけれども、随意契約の件数は減少しておるというふうに理解いたしております。

 なお、特別会計まで含みますと、十二年から十五年は、まだこれも数字ができていませんけれども、十六年だけで見ますと、九百五件中六百二件、六六%が随意契約となっております。

 これだけでよろしゅうございますか。(武正委員「十七年度は」と呼ぶ)

 平成十七年度における厚生労働省と独立行政法人、所管法人との間に行われた随意契約ですね、五百万円以上の全契約、これについては三百六十九件となっており、先ほどの話のとおり、随意契約は見積もり合わせを行っておりません。

伊吹委員長 武正君、財務大臣が補足したいそうですが、よろしいですか。(武正委員「はい」と呼ぶ)谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 先ほど、平成十六年度だけで、十七年度を申し忘れまして、平成十七年度、五百万円以上の契約件数は八十五件でございます。そして、八十五件の契約のうち見積もり合わせを行っていない割合は一〇〇%、そして、総契約件数に占める五百万円以上の随意契約の件数は三・五%でございます。

武正委員 まず、財務省は資料が、まだ調整が整わないということですが、農水省と厚労省はちゃんとお答えになっているのに、なぜ資料が提出できないんでしょうか。これについてお答えをいただきたいと思うんですが。

伊吹委員長 委員長から申し上げます。

 この件は、民主党会派の理事も参加しておられる理事会において私から申し上げましたが、行政府は立法府の法令審査に最大限協力するということは、行政府の大変大切な仕事です。

 しかし、同時に、血税で動いている公務員は、ほかにも本来の行政の仕事があります。したがって、最大限督励をいたしておりますので、そろった段階で立法府に提出するという返答をもらっております。

武正委員 私は、そろって出すのではなくて、できたところから出すべきだというのが私の考えで、申し上げたまでです。

伊吹委員長 承りました。

武正委員 そこで、今それぞれお答えをいただきました。三省庁に限ってお答えをいただいたら、五百万円以上の随意契約、相見積もりを一〇〇%とっていないというお答えでございました。

 そこで、まず財務省にお伺いをいたします。

 平成十七年度、今言った何十件か、三・五%、確かに、資料をいただいた二千五十六件のうち六十件が随契でございます。大変細かいお金の分の契約もすべて載せていただいておりますが、例えば国有財産鑑定評価依頼、財団法人日本不動産研究所、七千六百五十二万五千五十円でございますが、これについては、国有財産鑑定評価は本当にここしかできないんだろうか。ここ一社だけで相みつをとらない。先ほど理由を言われましたように、会計法上、競争に付することができない、競争を許さない、こういうことでございます。

 もう一つ例を挙げますと、これは財団法人国際金融情報センター、千二百三十五万五千八百六十九円、米国経常収支と米国産業の構造変化の関係に関する調査委嘱契約、これも相みつをとらないで一社単独随契でございます。理由を書いていただいております。当初、企画案募集の結果に基づき選定した業者であり、その企画をもとに包括的で定量的な調査結果を取りまとめる必要があることから、最も本調査の趣旨及び目的を熟知している業者であってこれら知見の活用等が競争を許さないことから、会計法第二十九条云々、該当するためということでございます。それから、これは財団法人日本税務協会、記帳指導等に関する事務の委託、これもずらずらっと並んでまいります。これも、本当に財団法人でなければできないんだろうかということでございます。

 これは、ひとり財務省だけではなく、厚労省さんにおいては、お手元に資料としてまた御提出させていただきました、各都道府県の雇用開発協会、ここがまた随意契約で受注をしております。

 あるいは、農水省さんに至っては、大変、随契の件数、五百万円以上の件数も多い。その中で、本当に相みつをとらないでいいんだろうか、競争を許さないんだろうか、こういったものがたくさん散見されます。

 独立行政法人水産総合研究センター、農林水産研究高度化事業にかかわる委託事業。あるいは、先ほどダイオキシンのことを挙げましたが、財団法人日本食品分析センター、一千四百十万三千四百円。やはり有害物質リスク管理等委託事業、ダイオキシン類の実態調査などなど、今の三省庁、一例を挙げましたが、いずれも予決令九十九条の六、「随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」。環境省だけじゃないんですよ。今挙げた三省庁も随意契約で相みつをとっていないんです。

 総理、一般企業で、五百万円以上の契約で、社内で相みつをとらないで稟議が上がるでしょうか。多分、自民党さんもそうだと思います、民主党もそのような会計規程を内部で設けていると思うんです。例えば五万円以上の支出については相みつをとることとか、そういうようなことを設けて、やはりその内部での会計行為、支出行為、そしてそれを会計としてチェックする行為、内部での牽制、これを働かせる意味で、このように相みつをとるようにどの会社でも行っている。

 五百万円以上の支出で環境省は一切相みつをとっていない。今三省庁に聞いたら、三省庁も相みつをとっていない。これで、この行革法案、税金の無駄遣いを正す、これが本旨。効率的で簡素な政府、一円でも税金は無駄にしないんだ、こういう本旨でこの法案は提出をされたんじゃないんでしょうか。環境省だけじゃないんです。今の三省庁も相みつを一切とっていないんです。

 このことをお聞きになって、どのようにお感じになられましたでしょうか。

小泉内閣総理大臣 随意契約について、その必要性のないものは競争入札にする、この趣旨を今後徹底していかなきゃならないと思っております。

武正委員 現に、相みつをとらないで五百万円以上の支出契約を一社単独とする、それも随意契約の一〇〇%。このことについて、現状認識、あるいはこれまでそういうこと、あるいは今も行われている可能性が高い。

 随契から一般競争入札へという話はもちろん理解をいたしますが、では、随契はゼロにするんですか。ゼロにしないでしょう、今の政府は。ゼロにしないとすれば、やはり、相みつをとらないで済ませられる、済ませている、しかも一〇〇%相みつをとっていないというのは直すべきだと思うんですが、どうでしょうか。

小泉内閣総理大臣 随意契約、必要性があるかどうか、そして、費用の削減、効率化を考えて、正すべきは正すべきだと思っております。

武正委員 一昨年の十二月から、もう一昨年からこの随契の適正化、適正化と言いながら、相変わらず十七年度も相みつを一切とらない。つまり、予決令の九十九条の六の違反なんですよ。相みつをとらない。しかも、随契の一〇〇%とらない。これはもう一社しかできないんだ、ほかに技術はないんだ、こういうことで、環境省だけじゃなかったんです。財務省も農水省も厚労省も随契で相みつをとっていないんです。予決令違反ですよ、予決令違反です。

 このことについて総理はどのように御認識されますか。

伊吹委員長 まず、予決令及び会計法の所管大臣として、谷垣財務大臣。

谷垣国務大臣 先ほどお挙げになりました一つ一つのあれを私は全部今つまびらかにお答えする能力はございませんけれども、例えば国有財産の鑑定評価の場合、日本不動産研究所みたいなところがございます。私は昔弁護士をやっておりましたけれども、高度なものはやはりここに頼もうというのが自然だったと思いますので、恐らく、ほかに全くないかどうか今断言する能力はありませんが、今まで、ほかに競合する者があるときは皆競争入札でやってまいりましたので、ここのところは多分そういうことが言えるのではないかと私はこれを見て思います。それから、日本税務協会もお挙げになりましたが、全国規模で統一的に記帳の指導ができるというところはほかにないと私は思います。

 そういうようなことでございますので、今、全部予決令違反だとおっしゃった、我々もさらに精査をして改善に努めますが、全部予決令違反だというのは私は違うと思っております。

武正委員 私が言ったのは、全部とは言っていないんです。一〇〇%相みつをとっていないのは予決令違反でしょうと言ったんですよ。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 実際の業務というのは、私は詳しくありませんのでわかりませんけれども、要するに、随意契約でなくてはならないのかどうか、よく検討する必要があると思います。

武正委員 いや、随意契約でどうか検討じゃなくて、随意契約を今政府はやっておられるわけです。今、全部なくすという法律を出されていないわけです、政府案は。民主党は一般競争入札原則という対案をきょう提出いたしました、さまざまな契約ですね。そういった意味では、政府は随意契約を認めているんですよ、残しているんです。

 その随意契約が一〇〇%相みつをとっていない環境省、財務省、農水省、厚労省、こういったことが出ているわけですから、総理として今の、いや、財務大臣には聞いていないんですよ。

伊吹委員長 いや、法律の所管大臣ですから。

武正委員 いえいえ、私が聞いているのは総理に、この随契が現状あるわけです、現状やっておられる、随契を。やるべきかやらないべきかじゃなくて、相みつをとるべきだと。ゼロ%はおかしい、このことにお答えください。

小泉内閣総理大臣 原則一般競争入札、随意契約でなくてはならないというものもあるから原則なんです。随意契約、必要があるかどうかというのはよく検討しなきゃならない、御指摘のように。随意契約の必要がないというものは一般競争入札に移すということだと思います。

 この点につきましては、全省庁、よく、御指摘を踏まえて検討する必要があると思っております。

武正委員 いや、随契の必要があるかないかじゃなくて、もう既に各大臣がお答えになっているように、随契が必要だからやっているんですよ、政府側の答弁は。政府側のそれぞれの省庁は、この会社しかあるいはこの公益法人しか受注できないんだ、そう言っておられたんです、三大臣は。

 ほかにないんです、ここの会社、ここの財団法人しか。先ほど言われましたよね、日本税務協会は全国でここしかないんだと財務大臣は言われました。随契が必要だと先ほど言っておられるんですよ、三大臣は、随契は必要なんだと。しかも、ここの一社しかできないんだと、特殊な技術あるいはさまざまな理由で。でも、必要なその随契の一〇〇%丸々相みつをとらないということは、この予決令の九十九条の六の違反じゃないですかと。九十九条の六を読みます。

 いや、総理に聞いているので、もう先ほど来財務大臣にはお伺いしております。

伊吹委員長 会計法の所管大臣であり予決令の政令を持っている谷垣財務大臣、法令上のことを答えてください。

谷垣国務大臣 相見積もりをとれるようなものは随意契約ではなく一般競争入札でやらなければならない、これが私どもの法律でございます。

武正委員 だって九十九条の六は「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」と。

谷垣国務大臣 緊急でやらなきゃならない場合に随意契約をやるような場合はございますよね、災害対応とか。そういうときは相みつをとらないということがございます。しかし、そういうことを除いた場合には、相見積もりをとれるようなものは一般競争入札になるわけでございます。

 ですから、委員の先ほどからの御議論は、ほかにないのか、ほかにこれができるところがないのかという議論は、それはおやりになったらいいと思います。私どももほかでできるのかできないのかという議論はしなきゃいけません。ただ、相見積もりがとれるようなものであるならば一般競争入札でやっていただかなきゃいかぬ、こういうことであります。

武正委員 そうすると、環境省、先ほどのお話、財務大臣、九三%が随意契約なんですよ。先ほど言ったように、ではもう一回言いますか、ダイオキシン、三つ挙げましたよ、一般競争入札と随意契約。副大臣、答えられなかったじゃないですか、ということなんです。

 だから、やはりおかしいんですよ。随意契約でなければ一般競争入札なんだ、ほかにないから随意契約なんだと。でも、随意契約だらけ。本当にこれは随意契約にしなきゃいけないんでしょうか。しかもそれが、公益法人に随意契約が多数行われている。しかも、お手元に資料をお配りしたように、そこに再就職をしているわけです。総理、見てください。総理も厚生労働大臣をやられたわけですから、御存じの団体でございます。高齢・障害者雇用支援機構、全国で七十三人が、これは厚労大臣、七十一人に御訂正いただきました、厚生労働省から再就職をしている。そして、三ページ目、四ページ目を見ていただくとおわかりのように、ここに七割のお金が厚生労働省から流れている。この中に、先ほど御提出をいただいた随意契約も入っているわけです。本省から特に公益法人へのお金の流れ、しかもそこに天下りが必ず絡んでいる。

 そして、先ほど担当財務大臣は、いや、ほかは競争できないんだと。だから、一般競争入札に付すか随意契約しかない。随意契約であれば相みつをとる必要はない。では、この九十九条の六というのは一体何なんだということになろうかと思います。このことを指摘し、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岡秀夫君。

平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。

 私は、きょう、政策金融改革そのものについて、総理のいろいろな御見解をお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 というのも、昨年十二月に閣議決定された行政改革の重要方針、この中身と、今回提出されている法案を見比べてみますと、今回の政策金融改革が本来目指しているものが何なのかというのがどうもよくわからない、見えてこない、こんなふうに思うんですね。どうも、勘ぐってみれば、何か改革のための改革というものを標榜しているとしか言えないんじゃないかというふうに私は思います。

 そういう意味で、きょうは大きな点に絞って、時間もありませんので、総理の御認識を伺っていきたいというふうに思っています。

 まず、政策金融改革の量的目標ともいうべきものについてでありますけれども、先ほどの閣議決定においては政策金融の貸出残高の対GDP比半減を平成二十年度中に実現するというふうにしていますけれども、どうもこれは誇大広告なのかなというふうにも思うんです。

 というのは、いろいろ計数を調べてみますと、平成十六年度末現在の現行の政策金融機関の貸出残高、これは八機関で合計してみますと約九十・二兆円ほどあるわけですね。そして、これについて今回、改革後の一つの新しい政策金融機関、これは何が統合されるかというと、国民生活金融公庫の九・六兆円、農林漁業金融公庫の三・三兆円、中小企業金融公庫の七・五兆円、沖縄振興開発金融公庫、これは後で加わるということでしょうけれども一・四兆円、そして国際協力銀行の国際金融八・五兆円、これを合わせても三十・三兆円なんですよね。

 これはGDP比半減ということで、必ずしも実額じゃありませんけれども、平成十六年度と二十年度を比較したって、そんなにGDPが大きく変わるとも思えません。それを考えると、九十・二兆円が三十・三兆円に、約三分の一ぐらいになってしまうということですよね。

 そうであるとするならば、今回の政策金融改革というのは、これは貸出残高を減らしていく、つまり、いろいろなもの、不必要なものについては貸し出しをやめていって減らしていくというのが方針だったのかなというふうに私は思うんですけれども、逆に、今の数字を見たら、これから二十年までの間に何かふやしていこうというふうにしか思えないんですよ。

 総理、どうですか。閣議決定で示されたものは誇大広告だったというふうに言えるんじゃないでしょうか。どうですか。

小泉内閣総理大臣 いや、これは方針として、政府、政策機関の仕事と民間の仕事の役割というものをよく見直していこう、本当にこの政府の機関が必要かどうか、民間でできることをやっているんじゃないのかということで、民間でできるものは民間に任せていこうというその方針の一環なんです。

 しかしながら、どうしても民間にできない、国民金融公庫等の仕事は、民間が融資してくれないだろう、貸してくれないだろう、採算面の点でなかなか苦しい人に対して手を差し伸べる民間機関がないというものについて、どうしてもそういうものに、今までやってきた、必要だというんだったらば、そういうものの機能というものは残しながら、今までの政府の役割というものを厳しく見直していこうという一環でその目標を掲げているわけであります。

 そういう点で、貸出残高について、過大な見積もりという御指摘だと思いますが、その点について、政府内でも、専門家の意見を聞きながら、このような目標に向かって努力していこうということで一定の数字を出しているわけでありますので、その点については担当大臣から答弁をさせたいと思います。

平岡委員 担当大臣の答弁はいいです。

 今総理が言われたのはちょっと違うんですね。

 例えば、今回この法律ができ上がってその法律のとおりに制度改革してしまえば、もう単純に数字が三分の一になっちゃうんですね。だから、何も努力なんか要らないんですよ、この法律でいけば。

 何か異論があるんですか。

中馬国務大臣 今回のこの政策金融は、それまで各省庁が自分たちの一つの権限を発揮する方針としまして、中小企業であったりあるいは輸出金融であったり、そうした政府が関与した形で日本の国を運営しておったわけですね。

 しかし、もうそろそろそうした国の関与をなくしていこうではないかということで、結果的に、今結果の方をおっしゃっていますけれども……(平岡委員「私の質問に答えていない、私の質問に答えてください」と呼ぶ)ですから、それだけのことの……(平岡委員「やめてください」と呼ぶ)

伊吹委員長 ちょっと待ってください。議場内整理は委員長の仕事です。

中馬国務大臣 今言いましたかなりのものを、それまで相当な反対がありましたのを完全民営化したり、あるいはまた公営企業金融公庫のように、もうそれは地方の方で十分にやってください、そうしますと、結果的に政府の役割は少なくなっていることは事実でございます。

 ですから、そのことが、結果的に五〇を割ったからけしからぬという話じゃないと思います。

平岡委員 私が聞いていることに答えてくださいよ、そんな変なことを答えないで。

 この制度改正ができちゃったらもう三十兆円で三分の一になっちゃうということ、それじゃないですかということを言っているだけで、先ほど総理が言われたのは、この制度改正ができた後に、それから少しずつそういった、今総理が言われたような、融資に特化していくという努力をしていく、そのことはこの法律に書いてありますけれども、そもそも数字的に言えば九十兆円が三十兆円になるという、このことをもってしても、半減をするというようなことを大きな声で言っているというのは私は誇大広告だということを言っているんですよ。

 まあ、いいです。そこは理解していただけなければ、また後でゆっくり時間があるときにやろうと思います。

 次に、今度は質的な目標ともいうべきものについて指摘したいと思います。

 先ほど閣議決定の中で、新たな財政負担を行わないというふうに言っているんですね。これは私は、ちょっとこの閣議決定は詐欺的な表現じゃないかというふうに思うんです。

 これに対応する行政改革推進法案の、これは多分四条の第三号になるんだろうと思いますけれども、ちょっと要約的に言うと、現行政策金融機関の純負債額や新政策金融機関の経営責任に帰すべき損失を補てんするための補助金の交付その他の国の負担となる財政上の措置は行わない、こういうふうに書いてあるんですよ。

 一見すれば、何か新たな財政負担を行わないように見えるんですけれども、あくまでもこれは経営責任に基づくものについての財政負担を行わないということであって、政策的な金融、今回残されるようになった、例えば中小企業向け特別貸し付けとか、零細企業への事業資金貸し付けであるとか、あるいは農林漁業向け長期低利融資、こういったものについてはやはり財政負担が必要になってくるんですよ。

 例えば、今までも大体、今私が言いましたような融資に関連していえば、年間一千億円ぐらいの補給金とか交付金が出ています。さらに、中小企業金融公庫が行っている信用保険についていえば、年間千から四千億円ぐらいの出資が行われている。こういうものは、やはり新しい金融機関になっても要るんですね。

 そうであるにもかかわらず、新たな財政負担を行わないというふうに言っているのは、私はまさにこれは詐欺的な表現であるというふうに思います。総理、どうですか。

伊吹委員長 谷垣財務大臣。

 お互いに品性を持った言葉でやりとりをするように。

谷垣国務大臣 平岡委員の今のこのお読みになり方は、正確に読んでおられるんだと思うんですよ、ただ詐欺的という表現が私はよくなかったと思いますけれども。

 まさに、経営陣の責任に帰すべき赤字を財政がしりぬぐいすることはやらないんだという意味でありまして、政策金融でございますから、やはりその政策金融が今度機能はこうするということで議論しましたけれども、その機能を果たすための財政負担というのは、それはどういう方式かはこれから詰めますけれども、当然やらなきゃいけないことだと私は思います。

平岡委員 品性を持ってやろうと思いますけれども……。

 この閣議決定の中にそんなことはどこにも書いていないんです。「基本原則 イ 「小さくて効率的な政府」実現に向け、政策金融を半減 2新たな財政負担を行わない」、これだけ見たら、ああ、今まで政策金融で財政資金を投入してきた、こんなことはやめるんだなとだれもが思っていたと思うんですね。そうしたら、何か法案が出てきたら、今言っていた経営責任に係る赤字の部分だけを補てんしないのであって、これからも政策金融の部分についてはやはり財政資金を投入するんだというようなことは、私は、さっき言ったように、全然みんなが受けている印象とは違う、そういうものだと思うんですね。総理、どうですか。

小泉内閣総理大臣 それは違うんじゃないでしょうか。国会の議論でも政策金融は必要だという議論じゃないですか。全部廃止、民営化なんというのは、政党、どこもないですよ。住宅金融公庫、なぜこれだけ一般財政負担しなければならないのか。それは、民間金融機関のことまでやっていて、民間の仕事を奪っちゃっているじゃないかと。廃止したら、この公庫の仕事は民間でできるようになった。今回も、できるだけ民間の仕事を奪わない、民営化できることは民営化しよう、政策投資銀行にしても、商工中金にしても。

 そういう、民営化できるものは民営化していこう、しかし、中小企業金融公庫とか国民金融公庫、これは民間では融資しない、貸さないというところについては、政府としてしっかり対応しなきゃならないということは、国会でも廃止するなという議論ばっかりじゃないですか。そういう点については、財政措置なしでどうやってできるんですか。混同しないでください。

平岡委員 私は混同していないんですよ。だから、私も、政策金融機関として今後も、例えば年間で一千億円の補給金だとか、あるいは中小企業金融公庫に対する信用保険事業については、数千億円に上る出資金等も必要じゃないでしょうか、それにもかかわらず、閣議決定の中には新たな財政負担は行わないと書いてあることについて、私は、これは国民の目をごまかすような表現になっているんじゃないか、このことを指摘しているわけです。まあ、いいです。大体考えていることはわかりましたから次の話へ移ります、時間もありませんので。

 個別の政策金融機関の問題について、ちょっと検討してみたいと思うんですね。

 日本政策投資銀行とか商工中金を完全民営化するというふうに法律にも書いてあります。この完全民営化の意味なんですけれども、雑誌に竹中総務大臣がいろいろ言っておられまして、完全民営化というのは、ちょっと丁寧に私がしゃべりますと、農林中金のような、根拠法もなければ政府出資もないといったようなものが完全民営化なんだ、こういうふうに言っておられるわけでありますけれども、総理、完全民営化の要件、これがそろえば完全民営化だというのは、そういうことでいいんでしょうか。

小泉内閣総理大臣 定義ですから、専門家に任せます。

平岡委員 総理が描いておられる完全民営化は何なのかなということを私は聞きたかったんですけれども、なぜ聞きたかったかというと、確かに、竹中大臣が雑誌で言っておられるように、それは必要な要件なのかもしれません。

 ただ、道路公団の民営化というのをちょっと思い起こしていただきたいんですね。道路公団は分割して株式会社化されました。確かに政府出資もある程度残るようになっています。ただ、もっと問題なのは、高速道路の建設に対して直轄工事方式というものをやっちゃったんですよね。こういうものをつくって、新しくできた株式会社である高速道路株式会社に運営させるというのは、あくまでも、私は、これを完全民営化というふうな概念で考えたときには、こういうことがあったらおかしいじゃないかというふうに思うんですよね。

 そういう目で今回の法律を見てみたら、これは六条の三項というところにこういうくだりがあるんですよね。商工中央金庫及び日本政策銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置、そして、ちょっと略しますけれども、中小企業等に対する金融機能、長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるような必要な措置、こういうものを講じるんだ、こう書いてある。

 先ほど私が言いましたように、道路公団を民営化して、確かに株式会社にしたけれども、道路公団が建設するのは、直轄工事方式みたいに税金を投入するというような仕組みをつくっちゃう。こういうことで完全民営化と言われたら、私はこれはおかしいんだろうと。だから、この六条の三項というのは完全民営化の定義と相矛盾するんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、総理、いかがですか。

谷垣国務大臣 民営化の定義は、いわゆる会社法、個別法じゃなしに会社法に基づいてつくる等々の幾つかガイドラインがございますので、それにのっとってやる。今おっしゃったところは、そういう金融機関ができても、資本もろくすっぽないようなところじゃ安定的に動いていくわけにはいきませんから、やはりそういう資本などをきちっと充実してスタートするということを講じなければならないということを言っているわけです。

平岡委員 今言われたのは、完全民営化に移行するまでの間の措置なんですか、移行した後も続いていく措置なんですか。今の財務大臣の話は、どうも移行するまでの措置であって、完全民営化に移行した後には関係ないというふうに聞こえましたけれども、それでいいですか。

谷垣国務大臣 それは民営化するときに、きちっと財政的な、財産的な基礎をつくって、財務の体質をつくっておかなきゃいけません。一番中心はきちっとした資本が充実するかどうかでございます。それが終わった後は、自分の責任で動いていくのが民営化ということだろうと思います。

 ただ、もう一つ考えなければならないのは、今までここはいろいろな金融技術を持ってまいりましたので、その金融技術等をばらばらにしないで有効に働くためにはどのような制度設計が必要か、そのためにはどのような資金調達の手法を考えていかなければならないかというような論点は、当然あるわけでございます。

平岡委員 どうも、今言われていることが、私の質問にちゃんと答えていただいていないように思うのでありますけれども、時間がないので次の質問に移ります。

 公営企業金融公庫の件についてちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、今回の改革の中身を見ると、公営企業金融公庫を使っての地方公共団体の資金調達というのをやめて、これはだから公庫を廃止するということですね。地方公共団体の資金調達を、資本市場からの資金調達その他金融取引を活用して行う仕組みに変えるんだ、こう書いてあります。

 どうも、これをどういうふうにやるのかというのがイメージとしてはわからないんですけれども、この言葉どおりにやっていったとしたら、私は、これは個々の地方公共団体が持っているリスクというものを市場の中でさらしていく、そして、そのことによって地方公共団体の資金調達コストというものに差が出てしまうようなことになるんじゃないかというふうに思えるんですよね。

 そういう意味でいくと、総理、総理はまさにそういう改革をしたいということなんですか。地方公共団体がそれぞれ自分たちのリスクのもとに資金調達をしていくという改革を、この政策金融改革の中でやりたいということなんですか。総理、いかがですか。

小泉内閣総理大臣 私は、地方にできることは地方に、民間にできることは民間に、廃止できるものは廃止、その方針に従って各担当が責任を持ってやってくれと。

 担当大臣に答弁させます。

竹中国務大臣 今、委員はリスクと言われましたが、今でも地方は地方債を出しておりますから、その地方債の評価というのは、そのリスク評価というのは、市場で当然なされているわけでございます。

 さらに、地方債につきましては許可制から協議制に移行するというのが、これはまさに政府の方針として実現されつつあるわけでございます。そうした動きと整合的な形でこの公営企業金融公庫の改革も行わなければいけないと考えております。

 昨年末に閣議決定をしました重要方針におきましては、委員御指摘のように、まず廃止をして、そして資本市場を活用した仕組みにする、そして同時に、必要な財政基盤を確保する等一定の移行措置を講ずる。その中で、これは地方公共団体が個々に創意工夫して資金調達をして、まさに資本市場を活用していただくわけですけれども、財務上の戦略として、共同調達の仕組みを活用するという選択肢もこれはまさにあるわけでございます。この点をどうするかということについては、これはいろいろな制度設計があろうかと思いますので、今一生懸命いろいろな議論をしております。

 この点については、地方の意見も十分に聞きながら、まさに適切に対応してまいるつもりでございます。

平岡委員 そこで、いろいろなことを考えておられるということなので、それは、今ここで結論を言えというわけにはいかないのかもしれませんけれども、一つだけお聞きしたいんです。

 今回の政策金融改革の中で、先ほどの閣議決定の中でも新たな財政負担を行わないというくだりがあって、これはさっきも議論したように、どこからどこまでの範囲のことを新たな財政負担を行わないと言っているのかというのがようわからぬという意味でちょっとお聞きしたいんですけれども、この七条の二項に、新しい仕組みのために必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるんだ、こういうふうにしていますよね。だけれども、先ほど閣議決定の中では、新たな財政負担というものは行わないんだと言っている。

 これは、財政負担を含まない措置であるというふうに理解していいわけですね。

竹中国務大臣 閣議決定で述べられておりますように、廃止に向けた一定の移行措置は、これは講じなければなりません。それをどのようなものにするか。これは、いわゆる二十二兆円の債券が今あるわけですから、それを適切に管理していく仕組みというのも当然に必要でございます。そして、地方の共同発行についてどのようなやり方がよいかということについては、これは当然のことながら地方と相談をしていかなければいけないということでございます。

 そうした意味におきまして、移行の後の仕組みのための必要な財政基盤を確保されるための措置を講ずるというふうに書いているわけでございますので、それに伴いまして、例えば新たな財政投入を行うとか、そういう意味での新たな措置はとらないという、これは財務大臣が御答弁になったとおりでございます。

平岡委員 新たな措置を講じないというのは、新たな財政負担は行わないことだということですね。

 ということで、これは議論しただけでも、何を一体やろうとしているのかというのが本当によくわからない今回の行政改革推進法であるということを指摘申し上げまして、時間が来ましたので私の質問を終わります。

伊吹委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。

 松野頼久君の残余の質疑は十七分間許可いたします。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として文化庁長官官房審議官辰野裕一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊吹委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊吹委員長 それでは、松野頼久君。

松野(頼)委員 先ほどの質疑に引き続きまして、著作権の関係の方に来ていただいたと思うのですけれども、随意契約と著作権の関係というのをちょっとお答えいただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。

辰野政府参考人 本件の場合、ウエブサイトの著作権は、当初作成した業者、いわゆる著作者でございますが、ここに帰属をするということになります。

松野(頼)委員 当然、著作権としてはそうだと思いますが、国が随意契約をしていいと言われている特定政令におきましては、本来であれば、著作権ではなくて特許権と書いてあるんですね。やはり、芸術品、美術品、特許権、そういうもの以外は……(発言する者あり)まあ、「等」ですけれども、著作権と特許権は随分違うと思いますが、こういうもの以外は随意契約をしてはいけないということがありますので、どうか、先ほど総理も、以後これは徹底して直すというふうにおっしゃっていただいたので、もう一度、ぜひ今後直していただきたい。

 私たちは、議会の中で、特に政府が政府調達の物品を購入するに当たって、少しでも安い値段で購入をし、やはり財政に寄与するという姿勢をどうか見せていただきたい、このことを指摘させていただいて、次の質問に入らせていただきます。

 ちょっと順番が逆になりますが、厚生労働大臣にお伺いをしたいんですけれども、厚生労働大臣、この資料の十九ページをごらんください。こういう閣議決定をされているのは御存じでしょうか。公益法人の設立許可及び指導監督基準及び公益法人に対する検査等の委託等に関する基準について、実はこういう閣議決定がなされています。

 この閣議決定の中に幾つかありまして、一番下の「4 機関」というところに、理事のうち、同一の親族、特定の企業の関係者、所管する官庁の出身者が占める割合はそれぞれ理事現在数の三分の一以下にすること、こういう規定が実はございます。

 厚生労働大臣、この規定は御存じでしょうか。

川崎国務大臣 こういう閣議決定があったということは、正確には今あれですけれども、頭の中に入っていることは事実でございます。

松野(頼)委員 もうこれも余り時間がないので指摘をさせていただきますけれども、資料のその前のページ、十七ページをごらんください。この労働保険特会の中に、この基準を満たしていない団体が四件入っております。丸をつけているところでございます。どうかしっかりと監督をしていただいて、この閣議決定が守られているのか守られていないのかということをどうかしっかり見ていただいて、御答弁をいただきたいと思います。

川崎国務大臣 御通知いただいておりませんので、詳細は調べて御報告しますけれども、運用指針として掲げられていますのは、正確じゃありませんよ、済みません、十年以上経過している者については、多分、その法人に行って十年以上した者はそのカウントに入れないということがあるようでございます。したがって、三分の一ルールは基本的には守られているという認識のようですけれども、それは精査します。

松野(頼)委員 これは確かに大臣おっしゃるように通告ができておりませんので、ぜひしっかりチェックしていただいて、もしこれにひっかかっているようであればきちっと適正に直していただきたいということをお願い申し上げます。

 あと、資料の十ページをごらんください。

 国土交通大臣にちょっと伺いたいお話がございます。

 実は、本省の国家公務員の中で、一般会計と特別会計でそれぞれで給料が支払われている、こういう職員がいることを大臣御存じでしょうか。

北側国務大臣 承知しております。

松野(頼)委員 それで、七ページの資料で、空港整備特別会計で三百二十七人、自動車損害保険、自賠責特会で六十五人、自動車検査特会で七十九人、これは国交省の所管の特会であります。

 八ページをごらんください。

 これは、平成十七年度の特会への予算要求と現実にいる職員の名簿に載っている人数に違いがあるところがあるんです。八ページです。例えば、国土交通省の中の、これは自賠責特会の中で、保障課というところでは特会への予算要求が六十八名おります。そして、その本省の名簿に載っている人間が六十一名でございます。この差は一体なぜ生まれたのかということをきのうから質問させていただいているんですが、お答えをいただければありがたいと思います。

北側国務大臣 まず、職員録で六十一になっておりますが、これは平成十七年十月時点で、人事異動とか休職等により一時的な欠員が七名生じまして、六十一名となっております。その後、補充を行った結果、平成十八年の四月一日の段階では、現在の実員は六十三名になっておりまして、さらに今、病気休職者が二名おりまして、この者がいずれ復職をしてまいります。したがって、これはいずれ残る二名についても戻ってくるということで、平成十八年度予算要求では六十五名の定員要求をしております。

松野(頼)委員 いや、六十八名じゃないですか。これは七名差が出ている。差し引き七名と書いてあるのは、これは国交省につくっていただいた資料なんですけれども。

 病欠は一人だというふうに聞いていますけれども、きのうの段階では。お答えください。

北側国務大臣 これは平成十七年度末の予算定員でございます。この予算定員が、昨年十月の時点で七名の欠員を生じておったということでございます。

 そして、その後の経過については先ほど述べたとおりでございます。

松野(頼)委員 今回の法案の中で、五年間で五%の国家公務員を減らすという大目標を掲げていらっしゃいます。六十八名で予算要求して、現実には今六十一名しかいないということでありますね。これは、細かいこのことだけを私言っているわけではありません。このページの中にも、また、審査課というところでは三名の人員が予算要求のベースで多くなっております。

 ということは、総務大臣、今、五年間で五%の人員を減らすというこの大目標に対して、現実には予算要求ベースの人員と実際に働いている人員が、これだけの項目の中でこれだけの差があるわけです。このことについてどのように思われるかと、同時に、行革大臣、今後こういう状態をどういうふうな形で直していくのかということをお答えください。

竹中国務大臣 国交省のお話は、今北側大臣がお答えになったとおりだと思うんですが、これは私の立場では、一般論として申し上げますけれども、行政機関のいわゆる実員につきましては、これは採用が当然のことながら年度当初に行われるわけでございます。それに対して、休職、退職、病欠といろいろあると思いますけれども、年度途中に発生するいろいろな事情によって一定程度の欠員が発生するということ、これはあり得ることでございます。また、臨時的な対応のために機動的に人員配置を行うとか、何か急激なことが起こるとか、これもあり得る。その意味では、定員と実員の乖離が生じるということはあり得ることでございます。

 一方で、もしも実際の実員と定員が長期間にわたって、しかも相当程度食い違うということであるならば、これはやはり基本的には業務量に見合った定員配置がなされていないというふうに認めなければならないわけで、これは当然我々としては是正する必要があると考えております。

 御指摘ございましたけれども、この今回の件に関しては、国土交通省の対応状況をよくお聞きした上で、我々としては適切に対応してまいるつもりでございます。

中馬国務大臣 今、総務大臣から御答弁ありましたように、それぞれのところでは、少し若干定員の方が満たないところがあるかと思いますが、あくまで今回のことは、定員管理の形で五年五%という数字を出させていただいております。

松野(頼)委員 もう時間がなくなりましたので、あと一問お伺いをいたします。

 その次の十ページをごらんください。先ほどの、特会で出ている職員の数と一般会計で出ている職員の数であります。国交省所管の自動車交通局、また航空局というところに、それぞれの特会から給料が出ている職員の方がいらっしゃいます。それで、丸をつけている課長さんも、実は特会から給料が出ている課長さんなんです。それぞれの課に、例えば計画課であれば、二十三人のうち十九人が特会で面倒を見ている、そして課長さんは特会から給料が出ている、こういう状態なんです。

 ただ、特会法を読んでみると、それぞれ、次のページに特会法をつけてありますけれども、一般会計との区分経理というのが特会の一つの大きなルールなんですね、ルールなんです。ですから、特会の仕事と一般会計の仕事を一体どういう形で明確に分けているのか、このことを国交大臣、お答えいただければありがたいと思います。

北側国務大臣 もう詳細は省かせていただいて簡単に述べさせていただきますけれども、自動車損害賠償保障事業特別会計については、加害者からの債権回収や保険金の支払いに関する保険会社の監督などの事業を本省において実施しております。また、自動車検査登録特別会計においては、国際基準との整合性をとりつつ、自動車の安全、環境に係る統一基準の策定や、個々の新車の検査を省略できる型式の指定などを本省において実施しております。

 また、空港整備特別会計につきましては、全国的な航空ネットワークを勘案しつつ、空港や航空保安施設の整備及び維持管理や、管制も含む運用サービスを統括する業務を本省において実施しておりまして、そういう本省で業務をしている部分について、今御指摘のあった特別会計から予算が出ておるということだと思います。

松野(頼)委員 特会から出ている課長と、違う一般会計から出ている課長と、その課員の中にもまじっているという状況でありますので、ぜひここは、明確なる区分経理というのを今後気をつけていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて松野君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、中小企業関連の政策金融についてお聞きをしたいと思います。

 その前提として、二階大臣にお伺いしますが、三月に中小企業実態基本調査の速報が発表されたと聞いておりますが、この四年間で中小企業の企業の数はどう変化したか、また、製造業と小売業の個人企業の場合はそれぞれどうなっているか、確認をしたいと思います。

二階国務大臣 お答えをいたします。

 中小企業の数は、二〇〇一年当時は約四百七十万社でありますが、二〇〇四年の時点では、これが約四百三十万社となっております。その中で、製造業の個人企業は二〇〇一年から二〇〇四年の間に二十五・八万社から二十二・二万社に、小売業の個人企業は七十五・四万社から六十四・一万社というふうになっております。

 この原因を考えてみますと、開業率もふえてまいりましたが、それを上回る比率で廃業が進んでおるということが挙げられると思います。この最も大きな原因は、個人事業主が高齢化し、引退の時期を迎えているということが最も多いと考えております。

佐々木(憲)委員 今挙げていただきましたが、これは比率にいたしますとかなり大きな低下なんです。中小企業全体では一一・七%、これは四年間であります。製造業の個人企業ですと一九・五、小売業の個人企業ですと二〇・〇%。

 ですから、総理にお伺いしますが、中小企業というのは雇用全体で七割、四千二百万人が雇用されております。一割減ると、それだけでもう四百万人の雇用機会が奪われるということでありまして、四年で一二%減ったというふうになりますと大変な減少率です。

 この数字について、これは大変ゆゆしき事態だと私は思いますが、総理はどのようにお感じでしょうか。

小泉内閣総理大臣 全体で見ますと、失業率も改善しております。そして、今二階大臣が答弁されたように、廃業もありますが同時に新しい会社を立ち上げようという方もふえておりまして、特に、今まで一千万円以上ないと株式会社が設立できない、あるいは三百万円以上ないと有限会社が立ち上げられないという人に対して、一円以上あれば会社をつくって結構です、会社ができますよという新しい制度を導入したところ、既に三万件以上の会社が設立されて、やる気のある人はやはりいるんだなと。そういうことがやはり失業率の改善、有効求人倍率の改善につながっているんじゃないでしょうか。

 だから、全体を見れば、やはり景気回復軌道に現在の経済状況は乗ってきましたし、やる気のある企業も、中小企業もかなり出てきているんじゃないかなと私は認識しております。

佐々木(憲)委員 やる気のある企業はもちろんあるでしょうが、廃業の方が、今二階大臣がおっしゃいましたように、新しくつくるよりも減る数の方が多いんですよ、全体としては。中にはいろいろな企業があると思いますが、総体として中小企業の数がどんどん減っているんです。景気が回復してもこれは減っているんです。そこに大きな問題がある。

 私は、この中小企業を支援するという点で国の役割というのは非常に重要になっているというふうに思います。とりわけ、新しい事業を起こす、創業を支えるというのが大変大切だと思うんですが、その際、融資を受ける側、中小企業の要望というのをやはりきちっと聞く必要があると思うんですね。十分それを踏まえて親切に対応する、その姿勢が中小企業をふやし、日本経済を活性化する大変大事なかぎになるというふうに思うんですが、総理はどうお考えでしょうか。

小泉内閣総理大臣 事業をやっている方々の意見というものをよく聞いて、必要な資金は提供して、大いに活躍していただきたい、その環境を整えることは重要だと認識しております。

佐々木(憲)委員 その点で、政府系金融機関の果たしてきた役割というのは大変大きなものがあると私は思うんです。

 お配りした資料を見ていただきたいんですが、この一枚目ですけれども、民間銀行の中小企業向け貸出残高というのはこの十年間でかなり減っているわけです。九十兆円、激減であります。しかし、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、この政府系三機関というのが、下支えをずっとやってきている。

 きょうはそれぞれの総裁に来ていただいておりますが、民間金融機関が貸し渋り、貸しはがしというようなことがこの間ありました。そういうときも中小企業業者に対して大切な融資を行ってきたと思うんです。きょうはそれぞれ三名の方に、その役割というものが今後とも必要だと私は思うんですが、どのようにお考えか、それぞれお答えいただきたい。時間がないので一言ずつで、申しわけないんですが、お願いいたします。

薄井政府参考人 国民生活金融公庫は、これまでも、民間金融機関から融資を受けることが困難な小企業等に対しまして小口資金を安定的に供給してまいりました。これからもこの機能は大切と考えております。

 なお、今回御審議中の法案におきましても、国民生活金融公庫の業務は新政策金融機関に継承されると書かれておりまして、新体制下におきましても、政策金融として必要であり、残すべきものとされたと受けとめております。

水口政府参考人 数多くのことがございますけれども、一つだけ申し上げますと、平成十六年七月に新しい業務を開始するということで、融資、証券化、それから信用保険と始めたわけでございますが、そのときに、新しい段階で、量から質へということで私が定めた経営理念、これだけ読み上げさせていただきます。

 中小企業金融公庫は、政策金融機関として、我が国経済の活力の源泉であり、地域経済を支える中小企業者に対し、民間金融機関、地域の諸機関と連携し、多様な手法により事業資金の円滑な供給を行うとともに、コンサルティング機能を発揮することにより、その成長発展を支援することを使命とする。

 この方針によって着々と現在行っております。

 以上でございます。

江崎参考人 中小企業は総じて自己資本が少のうございまして、どうしても借り入れに頼らざるを得ないという状況でございますが、景気状況あるいは金融情勢によりまして民間の金融機関の態度というのは変わります。それから、中小企業自身の経営状況も絶えず変わるわけでございまして、そういう中で、民間金融機関だけでは十分な資金源の借り入れができないというのが中小企業の現状だと思いますが、私どもは中小企業専門の金融機関といたしまして、安定的、長期的な観点から中小企業に資金供給してまいりました。

 こうした機能というのは、これからの日本の中小企業の重要性とかあるいは地域活性化の重要性を考えますと、やはり必要な機能だというふうに思っておりまして、こうした機能はぜひ残していただきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 私が利用者から聞いたところによりましても、政府系金融機関から融資を受けているということで、これは信用を増して、民間の銀行が安心して貸すことができる、こういう状況があるというのが実態でございます。したがって、民業補完という役割、これは非常によく果たしていると思うんですね。よく政策金融というのは民業圧迫じゃないかと言われますが、実は逆ではないかというふうに思うんです。

 そこで、具体的に聞きますけれども、国民生活金融公庫の薄井総裁、例えば新しい会社を起こすときには民間銀行から借りるというのはなかなか難しい、そういう比率は低いと思うんです。しかし、その後は民間銀行からの借入比率は上昇していくと思うんですが、この辺は統計的な実態も含めて紹介をしていただきたいと思います。

薄井政府参考人 おっしゃるように、一般的に小企業自体が担保力が低いとか、あるいは小口で採算に合わないといったようなことから、民間金融機関から借り入れを受けにくいわけですけれども、新規開業ですと、それに加えて経営実績がないということで、なかなか借りられないというのが実態だと思います。

 ただ、私どもの経験からしますと、新規開業企業に私どもが融資をいたしますと、それによって企業はスタートします。そして、一年たち、二年たち、財務諸表も整ってきますと、信用も高まり、次第に民間金融機関からの借り入れができるようになっているということが言えます。

 今データというお話ですが、私どもいわゆるパネル調査というのをやっております。これは、新規開業した企業について追跡調査をするわけですけれども、これによりますと、例えば、開業時に民間金融機関からの融資の比率が一四・七%しかなかったものが、三年後には、民間からも借りられるようになって、四割以上、四二、三%の企業が民間からも借り入れられるようになっているというデータがあります。

 ただ、これは国民生活金融公庫から融資を受けている方のデータでありますので、その限定のもとにそういうことが言えるということです。

佐々木(憲)委員 これは数字的にも大変興味深い数字でございまして、最初に企業を立ち上げるときは、民間の融資は一四%程度なんですね。それが、国民生活金融公庫から借りているということで、安心して民間金融機関が貸すことができる、それで四割以上になる、民間の比率が。これが実態を大変よくあらわしていると思うんです。

 そこで、経済財政諮問会議が、昨年十月、関係者からヒアリングを行っていると思うんですね。配付した資料を見ていただきたいんですが、二枚目。これは、政府系金融機関の見直しに対する要望という、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、連名で出している要望書です。

 そこで、その右下の方にこういうことが書かれているんですね。「政府系中小三金融機関はそれぞれ組織形態やユーザーの違いにより、その機能も異なっており、これらの機能を統合してしまえば、各機関の有する特性が打ち消されることになりかねない。例えば、各機関がそれぞれの分野で培ってきた「目利き」のようなノウハウが薄れ、審査判断の拠り所が専ら定量的・数値的データとなってしまったり、中小企業に対する非価格サービスや育成・指導力などの機能が低下する可能性がある。」「政府系金融機関の見直しによってこのような事態になることは、厳にあってはならない」、利用されている方々がこういう要望を出しているわけです。

 それから、資料三を見ていただければ、これは商工会議所が実施したアンケートの結果が出ているわけです。民間金融機関と比較した三つの政府系金融機関の機能についてこう書いているんですね。取引姿勢が安定している、必要なときに資金が借りられる、担保、保証人の要求が柔軟である、固定金利となっている、対応が迅速だ、こういうことで、それぞれの三つの金融機関を残してもらいたいという要望を出しているわけです。統合すると特色が失われる、薄まってしまう、こういう声が六七%で約七割。それは、資料四、資料五でも、商工会連合会、中小企業団体中央会のアンケートでも結果は同じです。利用者側の圧倒的多数の意見はこうなっているんですね。

 中馬大臣、現在の中小企業向け金融政策を残してほしいというのがこれらを利用されている方々の圧倒的多数の意見です。そういうふうになっていますよね。

中馬国務大臣 アンケートは、それなりの、これまでの経緯を含めて、御回答になった方々の集計だと思います。

 しかし、私たちがこうしてねらっておりますのは、やはり、それを統合することによって政府の関与もなくなってまいりますし、また逆に、一つの統合した中での相互ノウハウといいましょうか、こうした一足す一が二にも三にも機能としても膨れてくるわけでございまして、そうしたことがそれぞれの借り手の方々に対しましての大きなメリットになってくる、私はこのように考えております。

佐々木(憲)委員 統合して大きくなればそれでいいというものではないと思うんです。それぞれの機能というものがあって特徴があるんです。その特徴を残してほしいというのがこれらの利用者の方々の共通の、七割の要望なんですよ。ですから、その点をよく理解してもらわなきゃいけないと思うんです。

 今回統合するということですからね。商工中金は民営化、それ以外の二つの公庫はほかの金融機関と統合する。三つそれぞれ残してもらいたいということからいうと、これは要望にこたえたということにはならないんじゃないんですか。

中馬国務大臣 先ほど申し上げましたように、それぞれの役所の関与という形ではなくて、統一の形でかなり民間に近い運営といいましょうか、これも可能になってまいります。まだその組織形態そのものは十分には詰められておりませんが、今後の制度設計の中で、そうしたものも統合した形で、より大きな、柔軟な運営が図られていく、それは利用者の方々にも大変利便性の高いものだ、このようになるものと私たちは思っているところでございます。

佐々木(憲)委員 では確認しますが、現在、それぞれ三つの金融機関が果たしているそれぞれの特徴がありますよね。その特徴はより一層生かされるということなら、そういうふうに答えていただきたい。

中馬国務大臣 このごろは、大企業ならずとも中小企業でも、食料なら食料だけに特化しているとか、あるいは製造業なら製造業、あるいはまた卸業とか、そういうことではなくて、かなり幅広く、総合したような業態になっている方も多いかと思います。どこというたらい回しをされるんじゃなくて、そこに行けば、今までの複合的な能力でそれに応じた融資もしていただけましょうし、そしてまた、そうしたことの中から新たな利用する方々もふえてくる、そうした大きなメリットが出てくると私は認識いたしております。

佐々木(憲)委員 いや、私は、それぞれの機能がより発揮されるということなのかと聞いているんですよ。ちゃんと、それならそれで答えてください。

中馬国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございます。

佐々木(憲)委員 では、その量的な面を次に聞きましょう。

 法案では、政策金融の貸付金残高については、第五条の六で、「貸付金の残高の継続的な縮小を行うことを可能とするものとする。」縮小と書いてあるんですよ。中小企業向け融資というのは今後縮小するということなんですか。

中馬国務大臣 これは、統合されました新政策金融機関が、従来の農林漁業金融公庫にしましても、かなり大きなところの食料メーカーに融資している場合もあります。そうしたものは、もうこれからはそれぞれ民有機関の方に切り出していくといいましょうか、そういう形になっていく。そして、ここで、政府が関与しなければいけない、本当に政府に頼らざるを得ないことも含めたそうした方々に対する融資はしっかりとやっていくことになりますから、全体としては、そのようなもう民間の方に移していいものにつきましては、それは減らしていくことになりましょうけれども、逆にコンクリートに固まってきたものにつきましては、政府が本当に責任を持ってやっていく、その体制になるわけでございます。

佐々木(憲)委員 ということは、量的には中小企業向けをより一層ふやすということもあるということですね。

中馬国務大臣 場合によっては危機対応等でふやすことも含めて、そして質的な面も私は向上していく、そのようにさせていただきます。

佐々木(憲)委員 この法案はどうもその点が法律上明確じゃないんですが、今そのようにおっしゃいましたから、きちっと我々も監視をさせていただきたいと思うんです。

 大体、政府系金融機関が民業圧迫だと言っているのは大手の銀行だけなんですよ、アンケートの一番最後にそれをつけておきましたけれども。何でそういうことを言っているかというと、政府系金融機関が中小企業に対して低金利で貸している、低金利で貸しているから自分たちは高金利で貸せないから邪魔だ、大体そういう発想なんですよ。ですから、私は、中小企業向けに政府系金融機関はしっかりと役割を果たさなきゃいかぬというふうに思っているわけです。

 さてそこで、最後に労働争議の問題についてお聞きしますが、国民生活金融公庫では長い間労使紛争を抱えております。

 もとをただせば、一九六〇年代後半から、国民公庫当局が自分の意に添わない労働組合だということで介入を行って、一九七〇年代後半からは組合員などに賃金、昇格の差別を行ってきた。これはもう私は政府系金融機関にあるまじきことだと思っているんですが、差別を受けた十九名の職員は二十年前に都労委に申し立てをしたんです。都労委は、公庫の不当労働行為を認めまして、救済命令を出しました。それを公庫が受け入れていれば、これはもう十一年前に問題は解決していたわけであります。ところが、国民公庫はそれを不服としまして、取り消しを求めて東京地裁に提訴したんですね。それ以来ずっとこの裁判ざたが繰り返されております。このまま放置しますと、これは、統合される新しい政府系金融機関全体がこの争議を抱え込むということになるわけであります。

 私は、今からちょうど七年ぐらい前ですが、谷垣大臣が大蔵政務次官をなさっていたころに関係者と一緒にお会いしたことがあります。当時、谷垣さんはこうおっしゃっていたんですね。争議の話は聞いている、同じ職場で長い間争っているのは私も好ましいとは思わない、あくまで労使問題であるが、できるだけ早く解決したいものだ、こういうふうにその当時はお答えになっていました。

 前任の塩川財務大臣も国会でこういうふうに答弁されているんです。「これはやっぱり当事者同士の話でございますから、私からもよく公庫の方にちゃんとするように、当事者間で、言っておきますから。」ということで、これは四年前の答弁ですが、こういうふうにおっしゃったんですが、なかなか解決しない。

 そこで改めて聞きますけれども、もちろん、これはもうそれぞれ言い分はあると思うんです。労働者の言い分もあれば当局の言い分もあると思う。しかし、二十年も三十年もこんなことを長引かせるのは、これはよくないと思うんですよ。やはり、当事者同士の話し合いで早急に解決するというのが望ましい方向だと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

谷垣国務大臣 確かに、佐々木委員おっしゃるように、古い話なんですよね。ですから、私、政務次官のときに申し上げたように、やはりそれは、紛争は長く続くのは好ましくないと思います、私も。ただ、そうですが、これは公庫という中の労使紛争ですから、やはり、公庫でどう解決するかということをお考えいただくべきことだと思います。

佐々木(憲)委員 長い間そういうことは好ましくないということであります。

 そこで薄井総裁にお聞きいたしますけれども、これは公庫の中の問題ですから、長い間これやってきているわけですから、やはり、担当者任せにしないで、総裁自身が当事者に直接会って話し合いをするとか、そういうことはぜひやるべきだと思いますが、そういう意思は全くありませんか。

伊吹委員長 国民金融公庫薄井総裁。

 簡潔に答えてください。

薄井政府参考人 私ども、不当労働行為があったとは考えておりません。したがいまして提訴したわけですが、平成十六年の十一月十七日に、東京高等裁判所におきましては公庫が全面勝訴しております。これに対しまして補助参加人の方から最高裁判所に上告されている、そういう状況が今続いております。それから一年半たっているというのが現在です。

 裁判所の問題となっている以上、私どもとしては、最高裁の最終的な司法判断を得て判断していくことが適切であると思っております。

 なお、私ども、要請行為等については誠意を持って対応していると認識しております。

佐々木(憲)委員 不当労働行為というのは、裁判所でもこれは認定されているんですよ。

 会って話し合うと言っているけれども、総裁は会ったことないでしょう、直接は。直接会って話を聞くぐらいのことを当然やるべきじゃないんですか、同じ公庫の中の話なんですから。

伊吹委員長 それでは、申し合わせの時間が経過しておりますので、最後に総裁、簡単に答えてください。

薄井政府参考人 最高裁まで議論が行っている話でございますし、十分私どもの気持ちは伝えてあるという認識でおります。

佐々木(憲)委員 これは長い話になりますが、今、話し合いという方向も示されました。ですから、きちっと早くこの問題は解決していく、それで、中小企業向けの仕事をしっかりやれるように、いつまでもこんなものを抱え込んでいくということはよろしくないということを最後に申し上げまして、終わらせていただきます。

伊吹委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅野哲雄君。

菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。

 政策金融改革に関連して、沖縄のアメリカ海兵隊のグアム移転に伴う経費負担について総理にお尋ねいたします。

 この米軍沖縄海兵隊のグアム移転に伴って、政府が融資方式の資金拠出に加えて財政支出に応じ、本日からあすにかけて開かれる日米担当局の審議官級協議で負担規模を話し合う旨の報道がされております。報道どおり融資方式と財政支出のミックスで経費を負担するつもりなのでしょうか。これをお尋ねいたします。

木村副長官 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃるとおり、きょうから日米間で東京で今最終的な取りまとめに向けての協議を鋭意行っているところでありまして、具体的な内容については、まさに今この時点でも協議中でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

菅野委員 今協議中で答弁は差し控えさせていただきたいということでございますけれども、こんなことは私は許されることではないというふうに思っているんですね。

 百億ドルのうち三〇%強について国際協力銀行を活用した融資を想定しているとされています。しかし、現行の国際協力銀行法一条は、我が国の輸出入もしくは海外における経済活動の促進のための貸し付け、国際金融秩序の安定に寄与する貸し付け、開発途上にある海外の地域の開発または経済の安定に寄与するための貸し付け、これを目的としており、米軍移転経費のための融資は国際協力銀行の活動に合致しているとは思いません。

 そして、同様に国際協力銀行は、平成二十年度に新政策金融機関に統合されるが、その業務は、資源の海外における開発及び取得の促進、我が国産業の国際競争力の維持及び向上、国際金融秩序の混乱への対応、この業務に限定しており、移転経費融資は行革推進法案第十二条にも合致しないというふうに思います。

 以上を考えれば、国際協力銀行を活用した融資は不可能と考えるんですが、総理の見解をお聞きします。

小泉内閣総理大臣 私はどのような報道が出ているか知りませんけれども、そんな、今議員が言われたような指摘は、政府としては一切発表していませんよ。公表していませんよ。私は、どの報道が出ているかわかりません。今協議中であります、一切公表しておりません。

菅野委員 私は冒頭に、一部報道機関ではそう報じられていますから、この場で確認するために今質問しているところでございます。そして、もしこういうことが行われたならば、重大な問題を含んでいるんじゃないのかという指摘をここでしております。

 それで、そもそも、米軍の移転費用を日本が肩がわりすること自体、とても私どもは容認できるものではない。そして、政策金融機関の業務目的に合致しない方法で資金を融資することは、今回の行政改革の趣旨を政府みずからが破ることになるんだよということを私は指摘しておきたいというふうに思っています。

 さらに、報道に沿えば、百億ドルの三〇%強、すなわち、三千五百億円以上も融資することになる。この巨額の融資は、平成二十年度末までに新政策金融機関の貸付残高をGDP比で半減させていくという行革推進法案の第四条の趣旨にもそぐわないものと私は指摘をしておきたいというふうに思います。答弁は要りません。

 次に、森林管理業務及び国有林野事業特別会計の見直しについて質問いたします。

 この議論というのは、私は、将来にわたる本当に長期の国民の安全、安心に大きくかかわることと考えております。

 前回のやりとりで、私の質問の趣旨は中川大臣には受けとめられていると考えているんですが、森林管理業務の独立行政法人化の検討と国有林野事業特別会計の見直しはどちらを先行させるということではなくて、一体のものとして平成二十二年度までに慎重に結論を得る、そういう認識で、中川大臣、間違いないでしょうか。答弁願いたいと思います。

中川国務大臣 前回も同じ質問をいただきましたが、国有林野の特別会計の見直しと独立行政法人化の検討というのは一体のものでございまして、これは時期的なものも含めて一体なものと。五十条、そしてその五十条の前提である二十八条というものも一体だという前提に立ちまして、そういう御理解をいただきたいと思います。

菅野委員 私は、大臣に平成二十二年度までに慎重に結論を得るという認識で間違いないんですかという質問をしております。

中川国務大臣 結論はそのとおりでございまして、条文を読むまでもないと思いますけれども、五十条で、総人件費改革、国の事務及び事業の見直しの中で国有林野事業の、ここには確かに平成二十二年という言葉はございませんが、二十八条の規定に基づくということで、二十八条に二十二年までに検討すると書いてありますので、時期的にも含めてというふうに先ほどお答えしたとおりでございまして、時期も含めて平成二十二年というものを一体として考えております。

菅野委員 それじゃ、次に移ります。

 前回の私の質問でもなかなか整理ならなかったし、一昨日の民主党の田島委員の質疑においても、そしてきょうの質疑を聞いておりましても、なかなか整理ならなかったなというふうには思っているんです。この公共サービス改革法案、市場化テスト法案について、中馬大臣の見解をお聞きしておきたいというふうに思っています。

 まず、官民競争入札で、民間事業者が事業を落札し、公務員が合意して民間事業者のもとへ移籍したケースについて。合意して移籍、移転したケース。先ほどの田島委員の資料というのが非常にわかりやすいということなんですけれども、このC社の社員となったA氏、元公務員が、公務員に復帰希望した場合は選考採用という形でZ省に入省という場合を一点整理しておきたいというふうに思います。

 先ほどのやりとりの中で、法四十八条に基づいて調整本部で調整してしっかりと対応していくという答弁がなされております。そして、民間企業が落札した場合と同様、公務に復帰希望し選考採用する場合もまた同じように対応していくのかどうか、この点をしっかりと答弁していただきたいというふうに思うんです。

中馬国務大臣 先日、私の答弁で少しあいまいな部分があったということで、そのことにつきましてはおわびを申し上げたいと思います。

 改めて、これは整理する意味で、少し正確を期すために答弁書を読ませていただきます。

 ともかく、官民競争入札等で民間事業者が落札した場合、業務に従事していた公務員の処遇については、配置転換と新規採用の抑制により対応することが基本となっております。

 他方、本人の同意があり、落札事業者が希望する場合、これは心ならずも行くのではなくて希望して行くようなケースでございますが、これは公務員を退職し、落札事業者のもとで業務に従事することとなります。当然でございます。落札事業者のもとで勤務した元公務員には、公務への復帰は法的には保障されておりません、当然でございましょう、これも一般の場合。

 元公務員が再び公務員に採用された場合には、公共サービス改革法三十一条に基づきまして、退職手当の計算上、退職前の在職期間と再採用後の在職期間を通算する特例措置が適用されることとなります。ただし、三十一条があるからといって、公務復帰を法的に保障しているわけではありません。

 試験採用を原則とする国家公務員についても、一定の要件を満たす場合には選考採用を行うことが可能であります。そこで、公務員を退職し落札事業者のもとで業務に従事した者についても、任命権者である各府省の大臣等が、選考採用の条件に合致するか否か等を個別具体的に判断した上で、再び国家公務員として採用することは可能であります。

 したがって、御指摘のようなケースについても、再採用は法的には保障されておりませんが、任命権者たる各省大臣等において、選考採用の条件を踏まえ、採用するか否かを判断することになることと考えております。

菅野委員 そこで、先ほどの田島委員のときに、ここで整理になっているんですが、万が一、定数がなかった場合どうするのかという議論だというふうに思います。そのときに、先ほどの答弁では、法四十八条に基づいて調整本部で調整してしっかり対応していくという答弁がなされているんですけれども、この答弁でよろしいんですね。

山口副大臣 先生にお答えいたします。

 今先生の中で、ちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども、雇用調整本部のところでちょっと誤解があるのではないか。この雇用調整本部においてやるというのは、先月の三月三十一日の件ですけれども、これはあくまでも選考採用でなくて、手前の、この田島先生の紙を使わせていただきますけれども、先生もお持ちですからこれで御説明をさせていただきますと、あくまでも、このC社に落札をして、しかし、この公務員のA氏は役所の中でいきたい、同意しないでやはり公務員で残りたいといった場合に、省庁内、例えばこの場合はX省になっておりますけれども、X省の中では、お互いにそれぞれ官房がありますからやられますけれども、他の省庁、例えばX省からY省、これですとY省ですね、その場合に雇用調整本部が機能を発揮するということで考えております。

菅野委員 それでまた議論がかみ合わないんですが。この民間に行ったA氏が、公務員として公務に戻りたいというふうに意思表示しました、そのときに、定数がないからあなたは戻れませんよという事態が生じるんじゃないですかと。そのときに、定数がないということをだれがどう調整していくんだという質問なんです。四十八条に基づいて、X省からY省に行くという、この調整機関、調整本部で調整するということを兼用するんですかという質問なんです。

山口副大臣 お答えをいたします。

 あくまでも、この調整本部は、選考採用とは切り離すものです。選考採用については、国家公務員法の三十六条、「職員の採用は、競争試験によるものとする。但し、人事院規則の定める官職について、人事院の承認があつた場合は、競争試験以外の能力の実証に基く試験の方法によることを妨げない。」ここから来るものでありまして、またちょっとくどいかもしれませんけれども、この選考採用については、確かに、今先生がおっしゃった、定員がない場合は選考採用は行われる可能性もあります。

 しかし、この選考採用というのは、あくまでも、任命権者が採用するかどうかについては、今まで公務員として働いていた調査結果、実績と、なおかつ、民間に、三年か五年かわかりませんけれども、そこで働いていた実績を見て、ああ、これだったら、定員があれば公務員に復帰をさせようということで決まるわけでございまして、御懸念の、定員がない場合はそういうことも考えられます。

菅野委員 最後に、やはりこういうことも起こり得るということでぜひお聞きしておきたいと思うんです。

 合意して民間に行った場合に、職員の意思に反して他の業務に配置転換が行われた場合、明らかに合意事項と異なることが行われた場合、これはどうなるのか、戻ることが。

 もう一つ、倒産または不測の事態で契約を履行できなくなって撤退した場合も、移籍の際の合意と異なる事態が発生したんだから、本人の希望があれば公務員として再採用すべきと考えるんですけれども、このことについても答弁願いたいと思います。

山口副大臣 ちょっと文章的になりますけれども、今のケースでは、再採用は法的に保障されておりませんけれども、任命権者たる各省大臣等において、選考採用の条件を踏まえ、採用するか否かを判断することと考えております。

菅野委員 以上で私の質問を終わります。

伊吹委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。

 小泉総理大臣には、長時間御苦労さまでございました。理事会及び滝君の御了承を得ておりますので、官邸業務にお戻りいただいて結構です。

 それでは、滝実君。

滝委員 きょうも遅くまで審議を続けさせていただいてまことに申しわけないのでございますけれども、政策金融機関の集中審議でございますから、私は、公営企業金融公庫の問題について少しばかりお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、金融公庫の廃止についてでございますけれども、廃止後の問題についてはこれから議論をする、こういうことでございますけれども、基本的には地方団体が資金の共同調達をすればいいんじゃないか、こういうようなことでこの法案ができていると思うんです。

 問題は、この法案をつくるに当たって、地方団体側の意見がどのような格好で現在まで集約されているのか、そして、これからどうするかというのは、本日も竹中総務大臣が、地方の意見を聞いて、こういうことでございますけれども、もう少し具体的な今までの状況を、これは総務省の政府参考人からお述べいただきたいと思います。

瀧野政府参考人 お答えいたします。

 公営企業金融公庫についてでございますけれども、これにつきましては、これまで、地方債の共同債券発行機関として、上下水道等の住民生活に直結いたします事業のための資金の供給を通じまして、公共料金の抑制なり地方財政の負担軽減を図る役割を果たしてきたわけでございまして、こういったことから、地方公共団体におきましても、この公庫の見直しにつきまして重大な関心を寄せておるところでございます。

 このため、六団体を中心といたしまして真剣な議論を行っておるわけでございまして、例えば、地方財政に関します総務大臣と六団体の意見交換会、こういったものが行われておりますけれども、こういった機会を通じまして、長期、低利の資金の確保とかあるいは財政基盤の確保などにつきまして一致した意見を述べておるところでございまして、一定の集約はされているのかなというふうに考えております。

滝委員 ありがとうございました。

 今も自治財政局長の御説明にございましたように、これは、単なる債券の共同発行だけではなく、政策金融の部分も踏み込んでいると思うんですね。今ございましたように、公共料金の値上げ抑制という観点から、これまでも、水道事業、そういった点については利子補給をしてきましたよね。それは、とりもなおさず、公共料金を抑制するために、こういった公営企業、経営的に努力がなかなか難しい点については補給金を出すんだ、こういうこともこの中でやってきた、こういうことだろうと思うんでございます。

 もともとは、これは戦後の地方債の発行が大きく出てきたその段階で、地方側から何とかこういう共同調達の機関をつくってもらいたいという十年越しの要望がございまして、それに対して、片や大蔵省は徹底的に抵抗してきた。しかし、昭和三十二年に、時の池田勇人大蔵大臣が大臣決断ということでもって、これはやるべきだ、こういうことだったということが、そのときの平田敬一郎大蔵事務次官の回想談に載っているんでございます。

 したがって、単なる共同発行だけじゃなくて、一部政策金融の機能も果たしてきた、こういうふうに思っているんでございますけれども、今までの公庫の果たしてきた機能をどういうふうに評価し、今後どういうふうな格好でその機能を保全していくのか、これにつきまして改めて総務大臣から御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 公営企業金融公庫がつくられました経緯、そしてそれがどのように運営され役割を果たしてきたかにつきましては、今まさに滝委員がお述べくださったとおりであると思っております。また、先ほど瀧野局長からも答弁させていただきましたように、地方公共団体が、上下水道でありますとか交通、そして生活関連の地方道整備等、本当に住民生活に直結する事業を確実に安定的に行うために長期、低利の資金を供給する、まさに長期、低利でございますから、その意味では大変地方の生活を向上させる大きな役割を果たしてきたというふうに思っております。

 しかし、今、公的な金融機能全体を見直さなければいけない、そういう中で、共同債券発行機能に注目をして、そういう機能を果たしてきた、しかし、それについては資本市場を活用する形で、別の形に移行するべき時期であろうということで、これは地方の意見も十分聞いたつもりでございますけれども、今回廃止をする。そして、資本市場を活用して新たな仕組みをつくろうではないかという合意に至ったわけでございます。

 制度設計についてはまさに今議論しておりますし、先ほど局長のお話にもありました地方六団体と総務大臣との会合というものも、実はこの後、きょうも持たせていただこうと思っておりまして、しっかりと地方の意見を聞きながら今の時代認識に合った制度にしていきたいというふうに思っております。

滝委員 ありがとうございました。

 そこで、本題に入るまでに若干余計なことをお尋ねしておきたいと思うんでございます。これは財務省の浜田理財局次長に御答弁をお願いしたいと思いますけれども、財政融資資金特会で、今回、いわば借換債の変動引当金、これを中心にして十二兆円ばかり財政貢献をした、こういうことになっているんでございますけれども、当然ながら、それは金利の大きな変化に伴ういわば剰余金なんですよね。

 ということは、借りる側からすると、国の金融政策、国の財政政策で金利が大きく変動して、そして今まで高い金利を払っていたのに今度は安い金利で出回っている。しかも、十年前後の長期になるとその差を負担するのは大変だ。それが変動準備金として、引当金として継続するならば、同じどんぶりの中での話でございますから、いずれメリットも受ける。しかし、財政融資資金、これはぐっと圧縮しちゃうということになると余り将来メリットを受けない。しかし、相変わらず高い金利を払い続けるのはおかしいじゃないかという議論があるわけですね。

 したがって、引当金を国の財政再建貢献ということで搾り出すのならば、むしろ、今まで高い金利で払っている分を多少低い資金に借りかえさせたらいいじゃないかというのは昔からあるんですよね。しかも、公営企業金融公庫の場合は、ずっと昔から高利の資金の借りかえをごく一部認めています。本当はもっと認めてもらいたいんですけれども、財務省が頑強に抵抗していますから、大体年間二千億ぐらいしか公庫は借換債を認めていないと思うのでございますけれども。

 そういった議論について、これは浜田次長の方から、余りにもあこぎじゃないかということは言いませんけれども、その辺の気持ちはやはり酌んでおかないと、これはなくなっちゃうんですからね、ほとんどもうこれから利用できないから捻出をすることになったと思うんですけれども、その辺のところはどうでしょうか。

伊吹委員長 財務省浜田理財局次長、政府参考人として簡潔に。

浜田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年度におきまして、現下の厳しい財政状況にかんがみ、特別会計改革あるいは資産・債務改革、財政健全化の要請にできるだけ早期に対応いたしますことを念頭に、財投改革の成果によって財政融資資金特別会計におきまして今後資産縮小が見込まれることから、この特別会計の金利変動準備金から十二兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債残高の圧縮を図ることとしております。

 御指摘は、この金利変動準備金は財政融資資金における貸し付けから生じたものであるから、その利益は借入者である地方公共団体等の財投機関に還元されるべきであって、例えば、既往債について補償金なしで繰り上げ償還を行い、同時に低利での借りかえを認めるべきとのことと思われますが、この金利変動準備金につきましては、財政融資資金におきまして、国の信用制度によって最も低利で調達いたしました資金を、利ざやを取らずにまた地方公共団体等に最も低利で貸し付けを行う中で、近年の歴史的低金利の継続という特別の事情により生じた収入であることを踏まえますれば、これを活用いたします用途としては、国民共通の負債であります国債償還に充てることが適切であると考えているところでありますので、御理解を賜りたいと存じます。

滝委員 地方財政に造詣の深い浜田次長とも思えないような厳しい御答弁でございましたけれども、理財局当局としては当然だと思うんですね。

 しかし、これはおかしいという感覚と、いや、これでいいんだという感覚、両方あると思うんです。民間でも、十年、二十年の長期の住宅ローンでも、金利が安くなったときに、借りかえは認めていませんけれども、事実上利子の引き下げをやっているところはたくさんあるんですよね。それさえもやっていないというところに硬直性、これこそが問題じゃないかと思いたくなるほどの問題でございますから、やはり多少は、この際、これから地方団体、今まで借りてきたところはメリットを受けないということがはっきりしているんですから、ただ単に余ったからといって、それを全部財務大臣が喜ぶようなことにやっていたらいかぬのじゃないかなという感じがします。

 いずれにいたしましても、私は、公営企業金融公庫を廃止して、新たに地方の資金の共同調達の機構に何とか移行するようにということについては、時代的にはしようがないと思うのでございますけれども、その際に考えてもらわなきゃならぬことは三つあると思うんです。その三つの要望を出しますので、それぞれ財務大臣と総務大臣からお答えをいただきたいと思うんです。

 一つは公庫の引当金。これは、本来からいえば、平成元年からこの引当金制度ができたんですけれども、財政融資特会と違って、これからも、公庫の二十二兆の引当金がありますけれども、この公庫の貸し出しというか共同調達という格好は続くんですよね。そうすると、今までの金利変動のこの引当金を全部召し上げろとかいう、財務大臣はのどから手が出るほどの思いだ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、多少は何か張れよという魂胆がありありとしていますので、やはりこれは、今までの融資の借りかえ、これからも共同発行が続く以上は、これは金利変動引当金を置いておかないとしようがないというのが第一点ですよ。

 それからもう一つは、この公庫は、政府金融機関としては珍しく、ずっと一貫してヨーロッパで外債を発行しているんですよ、資金調達の多様性を図ると。要するに、国の資金運用部が貸してくれなかったものですから、しようがないから、あちこち外国まで行って借りてきている。それが、大体、年間、日本円にして千二百億ばかりあると思うんです。

 このブランドがここまで来るのは大変だと思うんです。これを簡単に、公庫を外しちゃいました、新しく外国に行って外債発行しますといったって、これは簡単に相手にしてくれない。それは、今までの、毎年毎年外債を発行してきたブランド商品なんです、公庫債という。ここのところをどうやって考えるかという問題が一つあるんです。

 それから三つ目は、これは公募債、債券の公募発行ですから、きちんと貸出金額に合わせてやるんですけれども、帳じりが合わない。帳じりが合わないんですよ。そうすると、必ずその債券発行額と貸出金額のロスが出てくる。それはやはりこういう機構で埋めないと、そのロスは埋められないという問題もあるわけです。

 今、引当金が多くなりましたから、引当金が温存されればいいんですよ。しかし、財務大臣がねらっているように、引当金が召し上げられてくるとそういう余裕がなくなってくるという、この三点の問題がありますので、それぞれ、財務大臣、総務大臣から、これに対する感想を、ごく短く、一分ずつお願いをいたします。

伊吹委員長 一番目は財務大臣。二番、三番は、むしろ総務大臣。

 財務大臣。手を出さずに口で答弁をしてください。

谷垣国務大臣 これからの制度設計ということがやはり基本にあると思います。

 今のこの公営公庫と、それから、次につくっていく機関との連続性というか、連続もあれば不連続もある。そこらが一体どういう制度設計になっていくかということがやはり基本にあって、それに応じてどうするかということを考えなきゃいけないと思うんですが、基本は、やはり国の出資でできた国の機関でございますから、国民共通の負債をどうしていくかということに充てていくのが基本じゃないかと私は考えております。

伊吹委員長 二点、三点について、竹中総務大臣。

竹中国務大臣 委員長から二点、三点ということでございますので。

 確かにブランド力というのがあろうかと思います。そのブランド力というのが、公営公庫独自のブランド力の部分と、実質ソブリン債的なものであるという部分と、両方あったと思います。そういったことをよく吟味して制度設計を行いたいというふうに思います。

 そして、ロスというふうにおっしゃいましたけれども、結局のところ、市場での評価が、どのような形でこの地方債が評価を受けるのか、それによって現実問題として地方公共団体の資金調達にどのような問題が生じるのか、生じないのか、そういうことを見きわめることが私は重要だと思っております。その意味でも、地方の意見をよく聞きながら制度設計をするつもりでございます。

滝委員 地方もなかなかテクニックのことまで総務大臣の理解を得られるような論理が組み立てられないと思いますけれども、もう一遍、池田勇人大蔵大臣が現存しているというつもりでもって、よろしく制度設計をお願い申し上げたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

伊吹委員長 これにて滝君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十七日月曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十三分散会


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