衆議院

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第1号 平成13年3月1日(木曜日)

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本分科会は平成十三年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

三月一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      亀井 善之君    高鳥  修君

      野呂田芳成君    仙谷 由人君

      辻元 清美君    森田 健作君

三月一日

 亀井善之君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十三年三月一日(木曜日)

    午後二時開議

 出席分科員

   主査 亀井 善之君

      高鳥  修君    野呂田芳成君

      桑原  豊君    今田 保典君

      三井 辨雄君    辻元 清美君

      森田 健作君

   兼務 石毛えい子君 兼務 長妻  昭君

   兼務 東  祥三君 兼務 藤島 正之君

   兼務 石井 郁子君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当大臣) 福田 康夫君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当大臣)     伊吹 文明君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      斉藤斗志二君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当大

   臣)           橋本龍太郎君

   国務大臣

   (金融担当大臣)     柳澤 伯夫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当大臣) 麻生 太郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当大臣) 笹川  堯君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   内閣府副大臣       坂井 隆憲君

   内閣府副大臣       仲村 正治君

   内閣府副大臣       村井  仁君

   防衛庁副長官       石破  茂君

   内閣府大臣政務官     西川 公也君

   内閣府大臣政務官     渡辺 具能君

   内閣府大臣政務官     山崎  力君

   衆議院事務総長      谷  福丸君

   参議院事務総長      堀川 久士君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 天野英太郎君

   裁判官訴追委員会事務局長 片岡  博君

   国立国会図書館長     戸張 正雄君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院長       金子  晃君

   会計検査院事務総局次長  諸田 敏朗君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   最高裁判所事務総長    堀籠 幸男君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   江崎 芳雄君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長

   )            坂東眞理子君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  池田  実君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      湯浅 利夫君

   政府参考人

   (警察庁長官)      田中 節夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (警察庁長官官房国際部長

   )            島田 尚武君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    五十嵐忠行君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  中尾  巧君

   政府参考人

   (財務省関税局業務課長) 若狭 正幸君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局職業家庭両立課長

   )            熊谷  毅君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力

   局長)          奥村 裕一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   内閣委員会専門員     新倉 紀一君

   予算委員会専門員     大西  勉君

   決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  仙谷 由人君     後藤 茂之君

  辻元 清美君     金子 哲夫君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤 茂之君     桑原  豊君

  金子 哲夫君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  豊君     今田 保典君

同日

 辞任         補欠選任

  今田 保典君     三井 辨雄君

同日

 辞任         補欠選任

  三井 辨雄君     仙谷 由人君

同日

 第三分科員藤島正之君、第四分科員石毛えい子君、第五分科員東祥三君、第六分科員石井郁子君及び第七分科員長妻昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管)




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     ――――◇―――――

亀井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。谷衆議院事務総長。

谷事務総長 平成十三年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十三年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百八十八億七千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十五億七千九百万円余の減額となっております。

 これは、主として議員定数二十名減に伴う議員関係経費及び総選挙関係経費のほか、前年度補正予算(第1号)に計上されました施設整備費の増額相当分が減少したことによるものであります。

 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百五十三億八千九百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費であります。

 その増加した主なものは、新たに、新議員会館基本計画策定・調査費、衆議院名誉議員胸像設置経費を計上しているほか、立法情報システムの充実強化等の情報化推進関係経費、テレビ中継放送及びインターネット中継に要する運営等諸経費であります。

 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、三十四億七千五百万円余を計上いたしております。

 この主なものは、議事堂本館及び分館の昇降機改修、憲政記念館展示室等改修及び本館等庁舎の諸整備等に要する経費でございます。

 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。

 以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

亀井主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。堀川参議院事務総長。

堀川参議院事務総長 平成十三年度参議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。

 平成十三年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は四百四十億五千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十億九千五百万円余の減額となっております。

 次に、その概略を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、四百十二億七千九百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比較し十八億六千三百万円余の増額となっておりますが、これは、主として、第十九回参議院通常選挙の実施に伴い見込まれる改選関係経費のほか、情報化推進関係経費の増額、新議員会館基本計画策定・調査費等の計上によるものであります。

 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十七億七千二百万円余を計上いたしております。前年度に比較し二十九億五千八百万円余の減額となっておりますが、これは、主として、平成十二年度補正予算で二十七億七千七百万円余が補正計上されたことによるものであります。

 平成十三年度の施設整備といたしましては、傍聴参観テレビ中継施設の設計、切り回し、本館その他庁舎の整備等に要する経費を計上いたしております。

 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成十三年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 どうぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

亀井主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。戸張国立国会図書館長。

戸張国立国会図書館長 平成十三年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十三年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は三百七億七千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十七億七千四百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百七十九億八千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十五億四百万円余の増額となっております。

 これは、主として、平成十四年度に開館を予定しております関西館の移転等開館準備経費及び同じく十四年度に全面開館を予定しております国際子ども図書館の開館準備等に要する経費並びに電子図書館基盤システムの開発及び蔵書の電子化経費を計上したことによるものであります。

 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、七億四千三百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千百万円余の増額となっております。

 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、百二十億四千六百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四十三億二千百万円余の減額となっております。

 これは、主として、関西館の施設整備に必要な経費のうち、平成十三年度に計上することを予定していた経費につきまして、その一部を平成十二年度第一次補正予算に計上したために生じた減額であります。

 以上、平成十三年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

亀井主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。天野裁判官弾劾裁判所事務局長。

天野裁判官弾劾裁判所参事 平成十三年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十三年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億二千三百九十四万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九百八万円余の増加となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

亀井主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。片岡裁判官訴追委員会事務局長。

片岡裁判官訴追委員会参事 平成十三年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十三年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億四千二百六十八万円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、千四百一万円余の増加となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費、その他の事務費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

亀井主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、国会所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

亀井主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。湯浅宮内庁次長。

湯浅政府参考人 平成十三年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成十三年度における歳出予算要求額は七十六億一千八百四十六万円でありまして、これを前年度予算額七十億五千五百二十七万五千円と比較いたしますと、五億六千三百十八万五千円の増加となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十九億八千六百五十一万一千円、皇族に必要な経費三億七百九十四万九千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億八千二百六十二万一千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費六十二億三百八十九万円でありまして、前年度に比較して五億六千百七十六万一千円の増加となっております。その増加の主な理由は、香淳皇后大喪儀及び陵の営建に必要な経費五億一千五百七十六万円を計上したことによるものであります。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して百四十二万四千円の増加となっております。これは、寛仁親王第一女子彬子女王の御成年に伴うものであります。

 以上をもちまして平成十三年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

亀井主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構でございます。

    ―――――――――――――

亀井主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。堀籠事務総長。

堀籠最高裁判所長官代理者 平成十三年度裁判所所管歳出予算要求額について御説明申し上げます。

 平成十三年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は三千百九十七億八千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百八十六億六千六百万円と比較いたしますと、差し引き十一億一千九百万円の増加となっております。

 次に、平成十三年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず人的機構の充実、すなわち裁判官、書記官及び家裁調査官の増員であります。

 増加し、かつ複雑困難化している民事関係事件等の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判官三十人、書記官四十人、家裁調査官五人、合計七十五人の増員及び振りかえによる書記官二百人の増加をすることとしております。

 他方、平成十三年度の定員削減として三十六人が減員されることになりますので、差し引き三十九人の定員増となるわけであります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 裁判関係経費の充実のため、庁用図書等の裁判資料等の整備に要する経費として八億七千六百万円、OA機器整備等の裁判運営の効率化に要する経費として二十四億九千三百万円を計上しております。また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百四十億九千三百万円を計上しております。

 以上が、平成十三年度裁判所所管歳出予算要求額の概要であります。

 よろしく御審議のほどをお願いします。

亀井主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

亀井主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。金子会計検査院長。

金子会計検査院長 平成十三年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。

 会計検査院の平成十三年度予定経費要求額は百七十二億八百五十七万余円でありまして、これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。

 この要求額の内容について申し上げますと、人件費として百三十八億八千九百万円、旅費として八億五千四百万円、その他の経費として二十四億六千四百万円を計上いたしました。

 これらには、会計検査機能を充実強化するため、行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査要員の増強等、有効性検査、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費、検査能力向上のための研修及び検査活動に資する研究の充実を図るための研修・研究経費が含まれております。

 以上、簡単でありますが、本院の平成十三年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

亀井主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

亀井主査 会計検査院所管について質疑の申し出がありますので、これを許します。桑原豊君。

桑原分科員 民主党の桑原でございます。

 私は、今大変問題になっております内閣官房報償費にかかわる疑惑に関連して、会計検査院の皆さんに御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、いろいろな具体的なお話を聞く前に、今回の、総理外国訪問に伴う内閣官房報償費の疑惑、これは総理及び随員の宿泊差額を内閣官房報償費を使って支払っていたことから発生した問題でありますけれども、内閣官房報償費をこの宿泊差額に充てていたことを知っていたのかどうかということをお伺いしたいと思います。

石野会計検査院当局者 これは先日の委員会でもお話しさせていただいたわけでございますけれども、内閣官房報償費の使用の一つとして総理の外国訪問に際してのものがあるということの説明は受けておるということを申し上げたわけですが、その中身につきまして、本件の松尾元室長に宿泊費の差額として支払ったものであるとの説明を今まで受けていなかったのではないかと思われましたので、その点のことを申し上げたところでございます。

 ただ、本院としましては、今後、この事実関係の把握に十分努めていきたいというふうに思っております。

桑原分科員 後で具体的な、会計検査院がどんな検査をされていたのかということをお聞きしますから、それとの関連でまたお尋ねをしたいと思いますけれども、官房報償費が差額に充てられていた、あるいは、外務省は、例えば外務省の職員が海外へ出張して、そして差額が生じたような場合には、外務省の機密費を充てていたということを言っておるわけですね。予算委員会の答弁でも言っております。

 そういったことが外務省でも行われておった。そして、内閣官房でも行われていた。これがわからないというのはどういうことなんですか。今何か、よくわからなかったようなお話でしたけれども、それはどういう意味ですか。

石野会計検査院当局者 これまでの検査の過程というお話だと思いますが、これにつきましては、具体的にどういう検査を実施したかという、その証跡というものがはっきり残っておりませんので、今申し上げたように、そういう説明を受けていたか否かということははっきりしないということを申し上げたところでございます。

桑原分科員 これが問題になって、当時、ちゃんと実地検査に赴かれた方々はそのことを既に知っておったのかどうかということは、お聞きになっておるのではないかと思うんですが、それはどうなんですか。

石野会計検査院当局者 現在所掌しておりますそれぞれの課及びこれまでの担当につきましても、可能な限り、どういう状況であるかということは聞いておりまして、その結果、今申し上げたようなことになっておるところでございます。

桑原分科員 いや、その結果、その検査に行かれた方々は、報償費がそれに使われていたということをその時点ではわからなかったと言っているのか、そのことは検査の中でわかったと言っているのか、どっちなんですか。

石野会計検査院当局者 宿泊費の差額に充てられていたという説明を受けたという証跡がないということでございまして、いろいろ本院の中の担当者等に聞きましても、そういう説明を受けたということをはっきり申す者はございませんので、今言ったように、そういう宿泊費の差額としての説明を受けていたとは思えないということを申し上げているところでございます。

桑原分科員 その肝心のところがはっきりしないと、この先、質問をしていくにしても、非常にこちらもやりにくいんですが。そこら辺がはっきりわからない、どうも説明を受けていなかったようだというニュアンスが強いんですけれども。

 それで、そういうことで、今使われていたということが明らかになったわけですから、では、このことは、旅費の差額を報償費で賄うというようなやり方が報償費の適正な使い方なのかどうなのか、この点については、会計検査院としては、財政法との関連もございますが、どういうふうに判断をされますか。

石野会計検査院当局者 今回の事態につきましては、現在、検査中でございます。使用目的に従って適切に使用されているのかどうかということにつきましては、その具体的な使用状況というものについての事実を確認した上で判断していく必要があると考えておりまして、そういった事実関係を検査し、問題があるのかどうかということを検討していきたいというふうに思っております。

桑原分科員 現在の時点で、外務省も、報償費をそういうものに使っていた、こういうふうに述べられております。それから内閣の方も、ちゃんと、内閣の報償費をそれに充てたんだと。こういうことを前提にして今みんな議論をしているわけですよね。

 ですから、皆さんが皆さんの立場からある意味では調べなくても、そのことは事実として、前提として議論を今しているわけですから、その上で私はお聞きをしているわけですので、それでもなおかつこの問題については評価が下せないということですか。

石野会計検査院当局者 今回の、報償費が宿泊費の差額に充てられたということでございますが、それに至る具体的な状況というものがどういう状況であったのかということは、やはりさらに事実を調査し、確認した上で判断する必要があるというふうに考えておるところでございます。

桑原分科員 では、私の聞き方を一般的な聞き方に切りかえて聞きますが、そういった旅費の差額を報償費で充てていくというようなことは、一般的にはどうなんですか。

石野会計検査院当局者 報償費の使い方としましては、その事務事業の執行のために適宜適切に使うということでございますので、やはりその個別具体的な使用の状況というものによって判断が変わってくるものというふうに思います。

桑原分科員 一般的にもお答えになれない、こういうことですね。

 それじゃ、財務省、当時は大蔵省ですけれども、平成十二年、昨年の三月三十一日付で旅費法の運用方針を改定いたしました。そして、従来、そういった宿泊差額に報償費を充てていたという運用を改めて、旅費の差額は旅費の中で補てんをしていくというやり方に変えたわけですけれども、会計検査院として、このことについて何らかの相談を受けたとか、意見を申し上げたとか、そういったことはあるんですか、ないんですか。

 そしてまた、このことについては、会計検査院としてはどんな評価をされておられるんですか、どんな判断をされておられるんですか。

石野会計検査院当局者 旅費の使い方の承認という事項につきましては、財務省において行われているものと承知しておりまして、これが事前に検査院に対しまして相談があったかどうかということにつきましては、今ちょっと承知しておりません。

 そして、そういった承認が与えられた経緯ということにつきましては、今後、どういう経緯でなされたのかということを、その前後の事情というものを十分お聞きしながら対処してまいりたいというふうに思っております。

桑原分科員 それじゃ、これまたひとつ一般的なあれですけれども、財政法の第三十二条は予算の目的外使用というものを禁じております。そして、三十三条は予算の彼此移用、要するに、予算をこっちからこっちへ流用したり、あるいは移用したりする際には国会の決議を要するというようなことで、そういうことなしにやった場合には違法だということになるわけですけれども、そういったことの規定に違反をしているかどうかというのは、会計検査の対象になるんですか。そういう基準で検査をするかどうかということなんですけれども、対象になるんですか。

石野会計検査院当局者 検査の観点といたしましては、今お話しのございましたように、違法、不当な事態がないかということは重要な観点の一つでございまして、報償費につきましても、そういった観点から、従来、検査を実施してきております。

 したがいまして、今お話しの点につきましても、今回の事態に即しましても、やはりそういう事態にあるのかどうか、違法、不当な事態がないのかということは関心を持って検査していきたいというふうに思っております。

桑原分科員 そういうことが検査の対象になり得るということであれば、報償費が旅費の差額に充てられていたという問題を検査するときに、その充てられている経費が目的に沿って使われているかどうかということは、それはどういう目的の経費なのかということを知らなければそんなことを検討することもできないわけですから、私は、そんな考え方なら、報償費の旅費の問題を検査するときに、当然、この旅費のために使用しているお金は目的に合っているかどうかということも検査しなきゃならぬのじゃないかと思うんですけれども、どうなんですか。

石野会計検査院当局者 今回の事態につきましては、今お話しのような事実関係を十分検査いたしまして、今後、どういう問題があるかということを検討していきたいというふうに考えております。

桑原分科員 今後、そういう観点も含めてこの問題については検査をしていく、こういうことでよろしいわけですね。

石野会計検査院当局者 従来からも、違法、不当な事態がないかという点については、検査の観点として検査を行ってきております。したがいまして、今回の事態につきましても、同様の観点で検査をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

桑原分科員 三十三条の予算の彼此移用または流用という問題です。

 予算委員会の審議の過程で、外務省の報償費が内閣の報償費に上納された、それは三十三条のこの規定に違反をしているのではないか、そのことを示唆する文書がここにあるということで、我が党の同僚議員も質問をして、この文書によればそういったことが示唆をされている、鑑定をぜひやりたいと思っていると。

 今までの調べでは、この文書を書いた方は当時の官邸におられた担当の参事官であったというようなことで、そういう文書も一つの示唆をするものだということで議論をしておるわけですけれども、例えばそういったことについても、その文書が本物であるかどうかということがいろいろ議論されておりますけれども、会計検査院は、今後、そのことについて違法性がないかということも含めて検査の範疇で考えていく、こういうことになるんでしょうか。

石野会計検査院当局者 外務省の報償費といいますのは、これはもう御案内のとおりでありますが、外務省の職員がその取扱責任者となっておりまして、この取扱責任者の責任において執行されているというふうに承知しております。

 今回の事態につきましては、その具体的な使用状況等の事実関係を確認した上で判断する必要があると考えておりまして、会計検査の観点から、報償費の管理体制でありますとかそのチェック体制、そういった事実関係を検査し、問題のあるなしということを検討していきたいというふうに思っております。

桑原分科員 ですから、内閣の報償費が外務省の報償費からいわゆる三十三条に違反をして無断で彼此移用されたというような疑いもあるということでいろいろ議論をしているわけでして、そういう議論を踏まえて、そういったことなどの真偽も含めて検査の中では対象にしてやっていく、そういうおつもりですかと聞いておるんです。

石野会計検査院当局者 当然、検査に当たりましては、今お話しのような状況というものは十分踏まえまして、検査の際にはそれを参考にしてまいりたいというふうに思っております。

桑原分科員 それじゃ、具体的に内閣官房報償費の検査についてお聞きをしたいと思います。特に今回のこの件ということに限ってお聞きをしたいと思うのです。

 この内閣官房報償費、報償費一般について言えることですけれども、いわゆる計算証明上の特別扱いをされておりまして、計算証明の関係書類を検査院に送付するということではなしに、そういった書類については手元に保管をして、そして実地検査の際に提示をする、こういうやり方で特別扱いをされているわけですけれども、この内閣官房報償費の部分についてどういった検査をどこの、この内閣の場合はどこが担当課になるのか、どこの担当課が出かけていって、実地というのはどこの現場ということですね、どこで調査をされて、どの部分まで詳しく見られたのかということをまずお聞きしたいと思います。

石野会計検査院当局者 検査院で内閣官房の検査を担当しておりますのは、一局の財務検査課でございます。ここの担当者が、毎年、年一回でございますが、三日間程度、検査を実施する中で、内閣の報償費につきましても検査を実施しているというところでございます。

 その検査の中身でございますが、そこで計算証明の書類といいますか、手元に保管されております領収証等の証拠書類の提示を受ける、あるいはその支出に至りました状況の説明を聴取するというふうなことで実施してございまして、先ほど来申し上げていますように、違法、不当なものはないか、あるいは支出目的に従って適切に使用されているかどうかなどについて検査しているところでございます。

桑原分科員 そうすると、単刀直入に聞きますと、松尾元室長に面接して、彼が提示するいろいろな証拠書類あるいは彼のいろいろな報告、そんなものを受けて検査をされたんですか。

石野会計検査院当局者 今まさに検査の途中でございまして、種々の関係の書類というものは内閣官房の担当者から提示を受け、説明を聴取してきているというところでございまして、今まさに検査の過程の問題でございますので、詳細についてはここまでにさせていただきたいと思います。

桑原分科員 いや、私は、今この問題の発覚があって行っている調査のことをお聞きしているのではなしに、過去、この検査はどこまで行われてきたのかということの中で、かつて松尾元室長のときに彼も含めて調査をしたのか、こういうふうに聞いておるんです。

石野会計検査院当局者 従来の実地検査の過程におきまして、本件の事態がどういう説明がなされておったのかということにつきましては、さらに今検査中でございまして、その中で明らかにしていきたいというふうに思っておりますが、いずれにしましても、従来の検査におきましては、先ほど来申し上げておりますように、手元保管となっております領収証書といったような証拠書類の提示を受ける、それから、その支出に至った状況というものの説明を受けて検査してきておるということでございます。

桑原分科員 今のお話ではさっぱり、従来の検査のやり方も、もう既に終わった話なのに、そのことの中身もよくわかりませんね。

 例えば、これは新聞報道ですけれども、情報提供者の領収書などについては取扱責任者の手元に保管する、これは特別扱いのやり方ですね。しかし、内閣官房のある幹部は、首席内閣参事官、現在の内閣総務官に当たる方が書類に判こを押したら領収書は全部廃棄される、出し入れの帳簿だけで会計検査院はオーケーだ、こんなふうに述べたと新聞などでは報道しておりますけれども、かつて、そういったように領収書などが破棄されてしまっていたとか、あるいは、本来ならちゃんと手元にあるべき領収書がなくて松尾元室長の個人的な収支報告のようなものだけが報告されていた、こういうようなことで非常に不審に思った、こういうようなことはなかったんですか。かつての検査ですよ。

石野会計検査院当局者 これまでの検査の中におきましては、必要と認めたところにつきましては、十分説明を受ける、あるいは関係の書類の提示を受けるということで検査してきておるところでございます。

 ただ、今回の、松尾元室長に宿泊費の差額として支払われたものがどういう状況であったのかということは、今まさに検査しておる段階でございまして、その中で明らかにしていきたいというふうに思っております。

桑原分科員 全然話がわかりませんが、皆さんは従来のこの種の検査で一体どこまで検査をされていたんですか。

 例えば会計法上は、取扱責任者のところまでで検査は打ち切りなんだ、取扱責任者が会計担当に請求をして、そこからお金がおりて取扱責任者の手に渡れば、そこまでで会計検査というのは会計法上は一つの区切りなんだと。松尾というのはその先にいるわけですね。その取扱責任者から現金を何人かを経て渡されたというその先にいる人物でして、そういったところまで検査をしていたのかどうかということを私はさっき聞いておるのに、それも全然答えておられぬのですけれども、そこはどうなんですか。

石野会計検査院当局者 今お話しのとおり、会計法上は、取扱責任者に渡るということで一応の区切りがついておるということだと思います。

 ただ、報償費はその使用の目的というものがあるわけでございまして、これがその目的に沿って使われたかどうかということを確認するのはやはり検査院の検査であろうというふうに思っておりますから、その取扱責任者から支払われた先の状況ということにつきましても、当然、検査をしてきておるところでございます。

桑原分科員 どうもわからないのは、報償費であるからその先までちゃんと見るのが責任だ、こういうふうにおっしゃるんだけれども、今これまでの議論では、報償費であるかどうかもわからなかった、こういうふうにずっとおっしゃられてきたわけですよね。どうもそこら辺が矛盾するんですけれども、従来も、報償費だということがわかっていたものだからその先まで調査をしていたということなんですか。

石野会計検査院当局者 報償費につきましても、従来から、その取扱責任者がどういう取り扱いをし、使用をしておるかということについては、先ほど来申し上げていますように、証拠書類の提示を受け、説明を受け、検査をしてきたところでございます。

 ただ、本件の、今回の事態というものが、具体的にどういった経緯で松尾元室長に渡り、それがどういうシステムになっておったのか、それから、使用状況がどういう形になっておったのかということは十分検査していかなければならないというふうに思っています。そういった意味で、本件事態の発生原因ですとか再発防止策ということもあわせて検討していく中で検査をしていきたいというふうに思っております。

桑原分科員 最後に、もう一回だけ確認をして終わります。

 九七年の段階から九九年の段階に五千四百万円にわたって松尾元室長が横領をしたという疑い、この部分が今問題になっていますね。この時点においては、松尾元室長も含めて、会計検査院は報償費の行方を追及するということも含めて検査をした、ただ、その検査がどういう検査であったかというのが極めてはっきりしないので今改めてその部分を検査している、そういうことなのかどうかということを最後に答えていただいて、私は終わりたいと思います。

石野会計検査院当局者 繰り返しになりますが、内閣官房の報償費につきましては、毎年、年一回三日間程度の実地検査の中で報償費の検査をしてございます。その過程では、証拠書類の提示を受けたり、説明を聴取したりして検査をしてきたところでございます。

 本件事態につきましては、さらに、どういう状況にあるのかということの詳細を検査したいというふうに思っております。

亀井主査 これにて桑原豊君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして会計検査院所管についての質疑は終了いたしました。

 それでは、退席されて結構です。

    ―――――――――――――

亀井主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。福田内閣官房長官。

福田国務大臣 平成十三年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成十三年度における歳出予算要求額は一千二十三億四千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額七百二十六億二千万円に比較しますと、二百九十七億二千二百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星のシステム開発、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百億五千万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億九千四百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十一億九千八百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成十三年度における歳出予算要求額は五兆六千八百九十九億二千百万円でありまして、これを前年度当初予算額五兆六千七百三十九億二千五百万円に比較しますと百五十九億九千六百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、男女共同参画社会の形成の促進、青少年の健全育成、国民生活行政、防災行政、原子力安全対策、沖縄対策、沖縄振興開発、北方領土問題の解決促進、国際平和協力業務、遺棄化学兵器廃棄処理事業、政府広報等のための経費として四千三百五十三億九千八百万円、宮内庁には、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる事務等のための経費として百十七億五千五百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千七百四十二億八千八百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆三千六百五十四億八千三百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業、在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千八百九十五億一千三百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として百三十四億八千四百万円を計上いたしております。

 以上をもって、平成十三年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

亀井主査 以上で説明は終わりました。

 国家公安委員会委員長以外の大臣は御退席されて結構です。

    ―――――――――――――

亀井主査 警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東祥三君。

東(祥)分科員 自由党の東祥三でございます。

 伊吹国家公安委員長ももう御推察のとおり、今、日本の社会が、かつて言われた安全の神話が音を立てて崩れ落ちていくような気がしてなりません。治安の悪化がその問題であります。本日は、主に自動車あるいはまたオートバイ等の盗難について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。

 近ごろ、新聞紙上などで凶悪犯罪が掲載されない日がないほど多くの事件が起こっているわけでありますが、私の地元であります江東区においても凶悪犯罪が目立ってきております。その中で、高級車、高級オートバイをねらった盗難事件が近年多発しております。事例を一つ挙げますと、住居の中にオートバイを入れてシャッターをおろして、しかもコンクリートで固めた土台にチェーンを巻きつけて固定させているにもかかわらず、一夜のうちに持ち去られたという例もあるわけであります。バイク自体、大型とも聞いております。このような事例はほかにも挙がっています。

 現在、実際のところどれくらいの被害が報告されているのか。認知件数、検挙件数、全体に占める被害額の推移と犯罪の傾向について、まずお答え願いたいと思います。

    〔主査退席、高鳥主査代理着席〕

五十嵐政府参考人 自動車盗の認知件数でございますが、ここ数年三万五千件前後で推移してまいりましたが、平成十一年には約四万三千件、平成十二年には約五万六千件と増加しておりまして、特に近年は、施錠してある高級自動車の被害が多くなっているという傾向が見られるところであります。

 一方、検挙の関係でございますが、ここ数年一万件から二万件の間で推移しておりますが、最近の検挙結果を踏まえて見ますと、暴力団員等により組織的にビジネスとして自動車盗が敢行され、海外に不正に輸出されている状況がうかがわれます。

 オートバイ盗の認知件数につきましては、ここ数年約二十五万件で横ばいの状態であり、一方、検挙件数につきましては、一昨年まで五万件前後で横ばいでしたが、昨年は約二万三千件という状況にございます。

東(祥)分科員 今の刑事局長の御報告というのは衝撃的なのですけれども、こういった被害状況を踏まえた上で、警察庁として今後どのように対応を考えられているのか、この点についてお答え願いたいと思います。

五十嵐政府参考人 警察庁におきましては、先ほど申し上げましたような現状を踏まえまして、昨年八月、組織的に敢行される自動車盗について、全国警察に対し、取り締まりと防犯両面の緊急の取り組みを指示したところでございます。

 取り締まり面では、組織窃盗捜査を強化するとともに、税関との密接な連携により、盗難車両の輸出を水際で阻止するための対策を講じているところであります。

 また、防犯対策といたしましては、従来から車両の所有者に対して、ドアの確実な施錠等の注意喚起を呼びかけるなどしているところですが、これに加えまして、関係業界団体等に対しまして、自動車のドアのこじあけ等防止対策とか、イモビライザーシステム搭載車の普及拡大など、ハード面での盗難防止対策を一層強化するよう要請しているところでございます。

 なお、オートバイ盗対策ですが、コンビロック装置を盗難比率が多い原動機付自転車に装備させる旨、日本自動車工業会から回答を得ているということで、こういう対策も進んでいくというふうに思います。

東(祥)分科員 関税局にお尋ねいたしますけれども、今刑事局長からもお話がありました盗難車両の還付率、被害者の手元に戻る確率が年々低下していることから、海外へ不正輸出されていると考えられますけれども、実態の把握状況はどのようになっているのか。

 こちらが昨年十一月、当時通産省、現在経済産業省から入手しました資料によりますと、一九九九年、約五十八万台の中古車が輸出された。警察の資料によりますと、一九九九年の盗難台数、今の刑事局長のお話にもありましたとおり、四万三千台ですから、仮にこれらがすべて海外へ不正に売り飛ばされているとするならば、七・四%の割合で不正輸出されていることになります。税関の摘発が同年百六十六台という数字でありますから、五十八万台に対して〇・〇二八%の割合で見つかっているということになります。

 発見の数が明らかに少ないと思われるわけですが、このことは、我が国と日本製品のイメージダウンにもつながりかねない、国民の財産が喪失することを意味すると私は思うんですが、この点についてどのようにとらえられているのか、まずお聞きしたいと思います。

若狭政府参考人 お答えをいたします。

 最近、自動車等の盗難事件が急激に増加している、あるいは窃取された車の一部が海外に輸出されているのではないかという報道がなされておることは私ども十分承知しておりますし、警察庁の方からもいろいろお話を伺っているところでございます。

 関税局、税関といたしましては、この問題につきまして、以前より、東議員からも御意見も賜りましたし、また、国会議員の先生方からいろいろ御意見等をいただきながら、水際における厳正な取り締まりに努めてきたところでございます。

 具体的には、税関といたしましては、不正輸出のおそれが高いと考えられる貨物を中心とした慎重な審査、検査を行っているところでございますが、その際に、不審な中古車両を発見した場合には必ず警察に通報をしているところでございます。

 その結果として、税関が発見いたしまして警察に通報して盗難車両の摘発につながった件数でございますが、これが平成十二年、昨年、件数で六十六件、摘発台数は二百二十八台となっております。なお、ことしに入りましても七十台を摘発しているところでございます。

 この摘発事例の手口を見ますと、一つには車体番号、車台番号等を偽造した上で中古自動車として輸出申告がされてきたものがございます。また、そのほかに、中古自動車の部品であるとかあるいは電気製品などと品名を偽って輸出申告をされてきているものが出てきているのが実態でございます。

東(祥)分科員 平成七年に輸出貿易管理令が規制緩和により廃止された。これはこれでいいことだと思うんですけれども、これを機に、中古車両の輸出が簡素化されたことによって、逆に近年、海外へ不正輸出を含めた車両が多く流出しているのではないか、こういう推測も成り立つわけでありますが、所管の経済産業省として、この点についてどのように考えておられるでしょうか。

奥村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私ども、中古自動車の輸出につきましては、昭和四十年から平成七年まで、中古自動車の粗悪なものが輸出されまして日本車のブランドの評価を低下させる、こういったことを防止するために輸出貿易管理令をしいておりましたけれども、その後の日本車の性能の飛躍的な向上等によりまして当初の規制目的を達成したということもございまして、平成七年に規制緩和をして廃止したわけでございます。

 そういう中で、一方、この規制緩和と盗難自動車の関係ということにつきまして因果関係があるのかないのか、私ども、警察庁の資料等をいただきまして見ましたところ、私どもの規制緩和は平成七年からでございまして、その後四年間は盗難台数も横ばいで推移しておりまして、この規制緩和と盗難自動車の増加ということとはなかなか結びつきがたいなというふうに思っている次第でございます。

東(祥)分科員 今御指摘のように、この規制緩和と不正輸出がリンクされていないということであれば大変いいことであります。さらにデータが今後加わっていくわけでありますから、その辺の研究もぜひ精密に行っておいていただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、海外へ不正輸出されることを防ぐためには、どうしても水際で検挙することが必要になるんじゃないかと思います。この点については昨年の秋にもお問い合わせさせていただいたんですけれども、輸出時に正規のルートでは不正行為は行えない仕組みをつくるべきじゃないのかというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

若狭政府参考人 お答えをいたします。

 税関におきましては、限られた人員によりまして膨大な輸出入申告を適正かつ迅速に処理していくということが求められておりますことから、すべての輸出貨物を検査することは困難であります。このために、不正な輸出入の危険性が高い貨物と危険性の低い貨物に選別した上で、不正な輸出入の行われる危険性が高い貨物につきまして重点的に審査、検査を行うということにならざるを得ないということにつきまして、まず御理解をお願いいたすところでございます。

 そういう考えに立ちまして、盗難車両の取り締まりにつきまして、不正輸出を水際で阻止するための取り締まり策をこのたびまとめました。

 まず一点目といたしましては、先ほど警察庁からの御答弁もございましたが、盗難車両に関する各種情報の交換を初めとする税関と警察との協力体制を整備いたしました。それから二点目といたしまして、税関の現場におきましては、必要に応じ、輸出者から通関時に抹消登録証明書の提示を求めて、車台番号等の確認を行うことといたします。それから三点目でございますが、この三月から、例えばコンテナを開くことなく丸ごと検査できる大型エックス線貨物検査装置というものを導入いたしますけれども、こういった検査機器等を活用いたしまして、不正輸出のおそれのある貨物につきましては一層厳正な検査を行うということ。こういった内容の取り締まり策をこのたび取りまとめまして、去る二月一日から実施をしているところでございます。この対策を適切に実施することによりまして、盗難車の不正輸出の摘発に努めてまいりたいと存じます。

    〔高鳥主査代理退席、主査着席〕

東(祥)分科員 ことしの二月から取り締まりが強化されている、そういう御報告を受けまして、極めて勇気づけられる思いがいたします。今後とも、関係省庁との協議の上、通常の業務の流れの中で、不正行為ができないような仕組みを確立していっていただきたい、そのように思います。また御健闘を心からお祈りしたいというふうに思います。

 さて、昨今の盗難事例で、ナンバープレートから持ち主の住所、氏名を割り出して、その上で用意周到に盗難計画を立て、そして実行に移すということが見られるそうであります。簡単にナンバープレートから所有者を特定できるのは、防犯の観点から、また個人情報の秘匿から問題があるのではないかと考えるんですけれども、所管の陸運局として、この点についていかがお考えになっているのか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自動車につきましては、道路運送車両法という法律がございまして、これに基づきまして所有者等を登録することになっておりまして、車の所有権を他人に対して主張できる、いわゆる対抗力を付与する、こういう仕組みになっております。登録された事項につきましては、だれでも知り得る状態にしておくということによってこの機能が機能する、こういう仕組みになっているわけでございます。

 そこで、車両法の中では登録事項等証明制度というのを設けておりまして、この制度によりまして、ナンバーが特定できればだれでも自動車の所有者などを知ることができるということになっておるわけです。この制度によりまして、自動車の取引を行う際に所有権の存在が明らかになりまして取引の安全が確保されるということになりますが、あわせて、盗難に遭った場合でも所有権の主張ができるというような面もあるわけでございます。

 したがいまして、自動車盗難発生防止の観点から、一般にナンバープレートから所有者が特定されないようにすべきではないかという御指摘なんですが、登録事項等の証明は社会的に必要な制度として機能していることも事実だと思っておりますので、この制度そのものに制約を加えるということは難しいのではないかな、こう思っているところでございます。

東(祥)分科員 おっしゃられるとおり、難しいんです。だから僕は聞いているんです。

 今のお話ですと、確かに、窃盗犯といいますか、盗難する人間からすれば、今いい形で機能しているものを悪用しているということですから、今度はこの悪用をどのように防いだらいいのか、それは多分別の観点で考えていかなくちゃいけないということをおっしゃっているんだろうと思うんです。

 それでは、こういう盗難、とりわけ自動車の窃盗だとかに関して、量刑が少ないんじゃないのか、だからやるんじゃないのか。日本において量刑が少ないため犯罪に手を染めると供述する者も多いというふうにも聞いております。例えば、初犯ならば執行猶予がつく、外国人ならば国外退去、本人からすれば重いとは感じないようでありますから、したがって、こういう事件が起きてしまうのではないのか。

 同じく犯罪防止の観点から、量刑を重くする必要があるというふうに考えるのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

古田政府参考人 ただいまお尋ねの問題につきましては、おっしゃるとおり、犯罪に対する量刑はどうあるべきか、これは私どもとしても非常に関心を持って考えているところでございます。

 ただ、一般的に申し上げまして、御指摘のような、背後にかなり組織的な背景もうかがわれるような事件につきましては、その全体をできるだけ明らかにして、これを量刑に反映するように、ふだんから検察当局においても努力をしているところでございます。ただ、なかなか組織的背景まで立証が不可能な事件というのもまたこれは少なくないということも実情でございます。

 したがいまして、今後とも、そういう観点も含めた捜査というようなことを、警察当局とも十分連携をとって、きっちり行って、これをできるだけ量刑に反映させるという努力を重ねていきたいと考えております。

東(祥)分科員 大変悩ましいことで、今刑事局長がおっしゃってくださったことになっちゃうんだろうというふうに思うんですけれども、ぜひ頑張っていただきたいと言うしかないんです。

 先ほどもお話がありましたが、現在の制度においては、輸出車両が正規のルートを経たものなのか否かというのを実際すべて調査するのは難しいと、そのとおりなんだろうと思うんですが、不正な取引を防止するという観点から、その車両の履歴を生産の段階から追うことはできないものなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えさせていただきます。

 私ども登録制度を持っておる観点から御説明させていただきますが、自動車の新しい所有者の方は、その自動車を運行の用に供するためには、所有者でありますとか、車台番号だとか車種とかいったものを登録いたします。つまり、製造されたものが新しい所有者に移った時点から私どもの登録制度が始まるということになっております。それまでは会社の所有のものになります。登録をしなければならないことになっております。

 登録の際には、真正な所有者であることを確認するために、本人及び前の所有者の印鑑証明をもらっております。それから、登録の原因を証する書面として、前の所有者が作成した譲渡証明書を担当します陸運支局の方に提出してもらうことになっております。それから、自動車の歴代の所有者につきましては、自動車登録ファイルというのがございまして、そこに記録してございます。陸運支局等におきましては、提出された譲渡証明書に記載された前の所有者がこの私どもの持っておるファイルに記載された前の所有者と異なる場合には、登録を拒否するということになっております。

 このように、この制度に乗ってくれば、盗難等を経て不正に転売された自動車を登録して運行の用に供することは極めて難しくなるという点におきまして一定の役割を果たせるかな、こう思っておるところでございます。

東(祥)分科員 御指摘のとおり、ちゃんとルールに乗っかってやってくれれば不正な取引というのは基本的にないわけでありますけれども、それに乗っからないでやっているところに不正な取引というのは出てくるので、それをどのようにしたら防止していくことができるのかということなんだろうと思います。

 国家公安委員長、先ほどの御報告によれば、盗難車両問題というのはある程度今は横ばい状況だ、そういう御報告でありますけれども、この問題は今後どういうふうに推移していくかわからないのですけれども、これを防いでいくということに関して、国家公安委員長としてどういうことをお考えになっているのかということについてお聞きしたいんです。

伊吹国務大臣 今先生と参考人との間のやりとりを伺っておりまして、制度、政策すべてそうなんですが、あることを担保しようとすると、必ずその副作用が起こる。その難しい事例だなと思っておりますが、しかし、今国土交通省が申しました、守るべきものを守りながら、そのあたりをどうするかということは一つございます。

 それからもう一つは、基本的に取り締まりをもう少ししっかりとさせなければなりません。警察も今年度予算で、実は既存の定員の配置についての大幅な見直しをいたしております。従来の感覚で人がついているところ、例えば警視庁もそうですが、これを地域関係、今おっしゃった交番あるいは地域の巡回、そういう仕事をしてくれる人たちのところへ少し回していく。

 その大きな見直しをした上でなお、全国的に国際化が進み、IT化が進んでおりますから、多様な犯罪も出てきておりますし、そういうことを含めると、見直しをした上でなお、率直に言って一万人以上の人が足りない。総務省との間のお話し合いも進めまして、今般約二千人の増員をいたしております。警視庁にもそれ相応のことをしなければならないと思っておりますが、そういうことと両々相まって、地域の方に安心していただけるように、できるだけやってみたいと思っております。

 きょうは、個別事案を使っての大変貴重な御意見を伺ったと思っております。

東(祥)分科員 それでは続きまして、これも底流で深く前者の問題とかかわっていると思うんですけれども、不法滞在外国人の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 昨今、新聞、テレビ等で、不法滞在している外国人のピッキングを含む窃盗による犯罪が報道されることが多く見受けられるようになりました。治安大国を誇る日本において極めて憂慮すべき現象であると思えてなりません。私の住む地元の江東区におきましても、昨年からことしにかけて不法滞在外国人の犯罪が目立ってきておりまして、地元の警察と町会や各種地域の団体と連携をとって防犯体制を強化しつつあるところであります。

 そこで、まず初めに不法滞在者の実態数についてお尋ねしたいと思います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、在留期間を超えて我が国に在留するいわゆる不法残留者の総数でございますが、平成十二年一月現在、約二十五万二千人という高い水準を維持しております。この数年、大体二十数万人台で動いておる状況でございます。このほかに、密航等で我が国に不法入国するいわゆる不法入国者が約三万人ぐらいおると推定されておりますので、合わせますと、我が国に不法滞在する外国人は約二十八万人に上っております。

 不法滞在者の多くは、不法就労に従事している者も多いわけでありますし、その背後には悪質なブローカー組織も存在しておるのが状況でございます。

 不法滞在者の居住分布状況につきましては、全体の半数以上が首都圏に集中しているのが現状でございますし、その他は大阪府、愛知県に多く居住しております。最近は、特に不法滞在の長期化が進んでいる状況にございます。

 委員御指摘のように、不法滞在者による犯罪もかなりふえておりまして、最近の統計によりますと、在日外国人犯罪で検挙された者のうち約六〇%が不法滞在者だと言われておりますし、その一部による凶悪犯罪とか組織犯罪が急増しているのが実情でございます。

東(祥)分科員 これまたある意味でショッキングな事実なんだろうと思いますけれども、犯罪と不法滞在者とのかかわりについても今言及してくださいました。六〇%前後という極めて高い数字であります。

 不法滞在の数をいかにして減らしていくかというのが非常に重要な施策なんだろうと思いますけれども、先ほど国家公安委員長の方からもお話がありました。そういうことをやっていくためには当然人が必要だ。それも今強化する体制にあるけれども、また、聞くところによりますと、実際、検挙したとしてもそれを収容する場所がなかなかないということも聞いております。他方、犯罪はどんどんふえていってしまっている。

 そういうふうに考えていきますと、どうすればいいのか。現在、警察庁また法務省、それぞれのこれらの問題に対しての取り組み、限定されていると思いますけれども、その取り組みを教えていただき、また、どういうふうにしていけば不法滞在者がいなくなり、その結果として不法滞在者による犯罪が少なくなっていくのか。もとを断たなければいけないわけでありますから、この点について、現在やられていることと、これからさらにやろうとしていることについて、それぞれ取り組みをお聞かせ願いたいのであります。

島田政府参考人 数字の面から若干つけ加えて答弁をさせていただきますが、御質問のとおり、我が国の国際化の進展に伴いまして、来日外国人による犯罪が深刻化しております。

 平成十二年中における検挙は、検挙件数三万九百七十一件、検挙人員一万二千七百十一人で、過去十年間で検挙件数では四・九倍、検挙人員では二・七倍に急増しております。また、平成十二年中における来日外国人の検挙人員一万二千七百十一人のうち、不法滞在者は六千八百二十七人、五三・七%と過半数を占めているところであります。

 これらに対する対策でありますけれども、何と申しましても、犯罪者を徹底して検挙する、これがまず警察にとっては最も重要な課題であるというふうに思います。次いで、入国管理局、海上保安庁、税関等の関係機関がより一層連携を強化して、漏れのない体制をつくること。そしてさらに、何と申しましても、出どころの外国に対して一層緊密に連携を強化して、必要な要請等も行っていく。若干ではありますけれども、その効果も出始めているというふうに考えておりますので、その方向でさらに強化してまいりたいと考えております。

東(祥)分科員 もう時間が来ましたので終わりにさせていただきますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 時間が来ましたのでお答えは結構でございますが、やはり水際で抑えなくちゃいけませんから、不法滞在者がいるということ自体、これを何としてもなくしていかなくちゃいけない。と同時に、不法滞在者が発見されたならば、その人を送還して、そして戻ってこられないようにする。しかし、現実にはまたすぐ不法に来日するケースも多々あるというふうに聞いております。もしそれが事実であるとすれば、入管の際の審査が余り厳しくないのか、そこに何か遺漏があるのかということを指摘せざるを得なくなるわけであります。

 他方、摘発から強制送還まで手続に相当時間がかかっているんじゃないのか、こういう指摘もあります。時間がかかる、そうすると摘発がおくれてしまう、その結果としてまた問題を引き延ばしてしまう、これも極めて大きな問題なんじゃないのかというふうに思うんです。

 この水際の問題と事務手続の簡素化、どうしても必要なことなんだろうと思うんですが、それが不法滞在者を少なくしていくために重要な要素なのではないかというふうに思っております。

 専門家の方々でございますので、どうかその辺を十分考慮していただいて、また治安大国、安全な国日本、これをつくり上げていくために御尽力願いたいと思い、そのことを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうぞよろしくお願いします。

亀井主査 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。

 次に、今田保典君。

今田分科員 私は、民主党の今田保典でございます。

 今、毎日のように新聞等で交通事故の話題が載っております。この交通事故を何とか少なくしたいというような思いで私もおるわけでありますが、昨年の交通事故死者数は九千人を超えております。これは、一昨年よりも六十人ほどふえているというやに聞いております。目標でありました八千人を割るということはできなかったわけでありますが、さらに、件数につきましても九十三万件という、実に恐ろしい数字が出ておるわけであります。これまた八万件の増加、こういうことでありまして、さらに、けがをされた方も含めますと、まことに大変なことだな、こういうことを思うわけでございます。

 したがいまして、こういった状況にかんがみ、交通警察行政の役割、ありよう等について私なりの疑問点を幾つか質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。

 今ほど申し上げましたように、交通事故を何とかなくしたい、いわゆる交通事故防止のための本格的な取り組みというようなことで、現在、これらの交通事故を総合的に分析して、根源的にどういったところに問題があるのかというようなことを分析するために、交通事故総合分析センターというようなことで設置されているというふうに私は理解をしておるわけですが、残念ながら、依然として重大事故がふえておるわけでございまして、この交通事故総合分析センターの役割というものがどのようにお役に立っているのかということを考えれば、残念ながら、まだいい方向に行っていないのではないかというようなことを言わざるを得ないわけでございます。

 この点について、担当する省庁としてどのようにお考えなのか、あるいはどのように分析されているのかお聞かせをいただきたい、このように思います。

坂東(自)政府参考人 お尋ねの交通事故総合分析センターにつきましては、道路交通法の交通事故調査分析センターというものの指定を受けておりまして、交通事故とそれから人、道路、車、こういった観点から、一つは、全国で発生しましたすべての人身事故に関するデータ等をもとに作成されております交通事故統合データベースによるマクロ調査分析、そしてもう一つは、実際の交通事故現場に臨場して行うミクロ調査分析、この二つの分析手法というものを駆使いたしまして、総合的な分析調査研究を行っているところでございます。

 そして、当分析センターは、社会的な反響の大きい重大事故につきましては、科学的あるいは総合的な調査研究を行っているところでございまして、最近の事例といたしましては、厚底靴を履いた運転者と交通事故発生の相関関係、あるいはチャイルドシート、エアバッグの使用の効果、こういったものにつきまして調査研究を実施し、その結果、都道府県で実際の現場の交通安全対策に生かされているところでございます。

 また、当分析センターにおきましては、こういった調査結果を報告書としてまとめるほか、広報誌イタルダ・インフォメーションというものを年数回発行いたしまして、全国の関係機関、団体等に無償で配布したり、あるいは研究発表会を開催するなどいたしまして、調査結果を広く国民に伝えるように努めているところでございます。

 現在、警察庁といたしましては、関係行政機関とも連携しながら、当分析センターの機能強化に努めているところでございまして、また各都道府県警察におきましても、管内の社会的反響の大きい事故の調査研究に当たりまして、この分析センターを積極的に活用しているところでございます。

 今後とも、この分析センターがより充実した調査研究を実施し、その結果を的確な交通安全対策に反映することができますよう、さらに指導をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

今田分科員 いろいろ分析されたものは当然、資料として残っておるわけでございますが、今ほど御答弁ありましたように、当然、関係する団体に情報を出すのだ、こういうことをお話ありました。

 運輸業界でも、当然、それぞれの企業で交通安全には努力をされているのだろうというふうに思いますが、なかなか交通事故がなくならないということで悩んでいる企業もたくさんあるやに聞いておりますし、またあるのだろうというふうに思います。そういった企業の事故防止対策に対してどのように突っ込んだ情報提供をやっているのか、もう一点、お聞かせいただきたいと思います。

坂東(自)政府参考人 当然ながら、交通安全対策というのは、ひとり行政機関でやれるものではございません。やはり関係団体とかあるいは企業の方々も交通安全というものに大いに努めていただかなければいけないということでございますので、そういった企業から要望があれば、当センターの分析結果というものも出して、活用していただくとか、あるいは機関誌に発表するとかいったようなことに努めているところでございます。

今田分科員 ぜひひとつ、むしろ積極的にそういったところに情報提供していただければありがたい、このように思います。

 次に、今ほどいろいろな交通事故があるというようなことで、国民は全員そういった願いを込めて、交通安全週間あるいは旬間それぞれあるわけですけれども、そういったときには、大変なお忙しい中をそれぞれ協力していただいて、交通安全運動にかかわっておるわけでありますが、残念ながら、そういう状況にありながら交通事故がなくならない。また、ドライバー、特に若い人なんですが、そういった運動に余り関心を持っていただけないというのが実態でございます。

 その原因には、いつもいつも同じような交通安全運動をやっている、このことが一つの風物詩にもなっているのですが、しかし、何といっても、関心を持ってもらわなければならないわけでありまして、今の交通安全運動に若いドライバーの方々に関心を持っていただいて、何としても事故を起こしちゃならぬのだという意識づけを強く持ってもらうために、もう一工夫も二工夫も必要なのではないかなというようなこと、今までの交通安全運動がどうもマンネリ化しているのではないかというような感じを持っているのですが、当局としてはどのようにお考えというか、感じられておるか、お聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 委員御指摘のように、交通事故の被害者というのは、死者にいたしましても負傷者にいたしましても大変大きな数を数えているわけでございまして、この交通事故の防止はまさに国民の悲願でありますし、交通安全というのは国民的課題であるというふうに認識をしております。

 やはり何といいましても、交通事故防止に対する国民の意識というのを高めるということが何よりも大事でございまして、このために、特に春秋の交通安全運動につきましては、政府の交通対策本部決定に基づきまして、関係機関、団体とも連携して、各種のキャンペーン等を開催して、交通安全思想の普及、高揚に努めておるところでございます。

 しかし、御指摘のように、一部にマンネリ化しているのではないかという指摘もございますので、従来よりその都度、交通事故の情勢に応じ重点を絞って、効果的に国民の間に交通安全意識の浸透を図ってきたところでございます。特に若者、若年ドライバーという話がございましたけれども、そういうような者を中心に、やはり地域住民参加のもと、より身近な運動が推進されるように、道路交通環境の改善に向けた取り組みというものも、目下それに向けて取り組みを推進しているところでございますけれども、今後もやはりそういう方向で取り組みを推進していかなければならないと思っております。

 特に、交通安全運動の現場活動に携わる警察、あるいは交通事故の現場に最も近いところにある警察といたしましては、関係機関、団体と連携して、交通安全運動のあり方、やり方等についてやはり工夫を重ねなければいけない。そして、一人でも多くの地域住民の方、一人でも多い若い方が交通安全意識というものを高めるよう、そういうような工夫、運動のあり方というものを今後とも求めてまいりたい、そして交通安全意識の高揚に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。

今田分科員 二十一世紀にもう入ったわけですから、二十一世紀にふさわしい交通安全運動をやる、そういった考え方に立ってしかるべきだ、こういうように思いますので、ぜひ御努力をいただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 次に、交通安全に大きくかかわっておりますのが交通渋滞でございます。今の若い人は、交通渋滞に巻き込まれてそれが解消されると、それっということでスピードを出すのですね。大変危険きわまりないこと、そういうドライバーの気性といいますか、そういったものがどうも出やすいのが今の若いドライバーの方なのですね。そういった意味で、この交通渋滞をいかになくすかというものが交通安全にとって一つの大きな課題だろうというふうに思うわけでございます。もちろん、この交通渋滞によりまして、時間のむだあるいはエネルギーのむだ、いわゆる環境面でも大変な問題になっておるわけであります。

 そこで、御承知のように、東京都で、渋滞解消あるいは環境保全というものを考えて、ロードプライシングというものを打ち出して、準備を進めておるわけでございますが、私も、交通運輸産業に以前携わってきた一人として、大変関心を持っておるわけであります。

 このロードプライシング構想に対しまして、警察庁等々の考え方等について、もしあればお聞かせをいただきたいと思います。

坂東(自)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、東京都が交通渋滞あるいは交通公害等の対策に積極的に取り組んでいるということは、交通の安全と円滑の確保あるいは交通公害等の防止という観点からTDM施策を積極的に推進する立場にある私ども警察といたしましても、評価をしているところでございます。

 そしてまた、御指摘のこのロードプライシングにつきましては、交通需要マネジメントの考え方に基づく手法の一つといたしまして、当庁の課長等も東京都の委員会に委員として参画をしているところでございますが、このロードプライシングの導入に当たりましては、やはり都民、国民のコンセンサスというものが非常に重要ではないか。あるいはまた、その効果、影響あるいは実効性等、さまざまな課題があるというように私ども認識しているところでございまして、今後、交通管理を預かる警察といたしましても、こうした機会を通じて検討をさらに深めてまいりたい、このように考えているところでございます。

今田分科員 よその国でも似通ったことをやっている国もあるというふうにお聞きしておりますので、私もいろいろなところで勉強させていただきまして、これから機会があれば意見を交わしたい、このように思っておるところであります。

 次に、バリアフリー法がせんだって成立いたしまして、これは与野党の皆さんが本当に懸命に努力をしていただき、私もその一人としてやらせていただきました。そこで、その具体的な施設あるいは機器整備等のことについて、該当する方々から非常に今関心が強まっておりまして、あるいは期待が集まっておるわけであります。そういったものに対して早くこたえるべく、それぞれの関係の省庁で努力はされているのだろうというふうに思います。

 ただ、今、縦割り行政の関係で、一つの施設をつくるときに、これをつくって終わったら、違う施設を同じ場所でまた工事に入っちゃう、こういうことが間々あるわけでございまして、特に道路関係はそうなんですよね。一度道路を掘ってやっと直ったなと思ったら、同じような場所をまた掘って工事をやる、こういうことがよく見られるわけでございます。

 したがいまして、私の申し上げたいことは、そういう事業の重複する部分をしっかりと関係する省庁間で調整をして、むだな経費、さらにむだな期間をなくしていただきたい、こういう思いがあるわけでございますが、この点について何か工夫をされているのかお聞かせをいただきたい、このように思います。

坂東(自)政府参考人 効果的な交通バリアフリー化の推進のためには、委員御指摘のように、関係事業主体の連結が不可欠であるということでございますので、いわゆる交通バリアフリー法に基づきまして市町村が作成する基本構想に即して、公共交通事業者、道路管理者、そして都道府県公安委員会が互いに連携し、一体的にバリアフリー事業というものを推進することとしているところでございます。

 また、各地域におけるバリアフリー化の効果的な推進のためには、委員御指摘のとおり、関係省庁における連携が重要であるということから、関係省庁の担当課長で構成する交通バリアフリー法関係省庁連絡会議というものが設置されておりまして、去る二月一日にも第一回の会議が開催されておりまして、その席上において活発な意見交換が行われているところでございます。この会議は今後とも随時開催されるということでございますので、こうした機会を通じて関係省庁との連携を強めて、バリアフリー施策の実が上がるように努めてまいりたい、こう考えているところでございます。

今田分科員 次に、公共交通を利用する際、乗客が公共交通に携わっている方々に対して、いろいろな暴力あるいは迷惑等々が最近ちょっとふえているのですよね。そうしますと、公共交通を利用されている乗客が大変迷惑をしている部分が数多く今見られます。

 そういったことが残念ながらふえておる、こういうことでございまして、せんだっても、地下鉄のシートをナイフで切り裂きをやったというようなニュースも流れておったわけですが、こういった公共交通の安全運行に重大な支障を及ぼすような行為が最近見られる、このことについて何らか対策を練らなければならないのではないかというような思いをしているわけです。平ったく言えば、何か法制化を進めるというようなことだろうと思うのですが、そういったことを何かの機会に検討されておるのかどうかお聞かせをいただきたい、このように思います。

黒澤政府参考人 委員御指摘の、公共交通機関における暴力行為等に関する警察の対応でございますが、例えば、軽犯罪法、迷惑防止条例の刑罰法令に該当する行為につきましては、取り締まりを実施いたしておるところでございます。そしてまた、警察官職務執行法、酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律の規定によりまして、泥酔者、酩酊者につきましては、保護等の措置をとっておるところでございます。また、各事業者などと連携を図りまして、こうした暴力行為等の発生状況に応じまして必要な防犯指導などの対策を講じておるところでございます。

 委員御指摘の法制化の問題についてでございますが、今後とも、こうした暴力行為等の発生実態を把握し、またその推移も十分に注視しながら、公共交通機関における暴力行為等への対応に関しまして、関係省庁、事業者等と緊密な連携を図りまして、検討をしてまいりたいと存じます。

今田分科員 ぜひひとつ早急に対策を練っていただきたい、こういうふうに御要望申し上げます。

 次に、先ほども申し上げましたけれども、非常に今、交通渋滞が至るところでありまして、このことで非常に市町村とも、それぞれの自治体で悩んでおるわけでございます。交通渋滞解消の一端として、公共交通の利用促進というものを進めるべきではないかというふうに私なりに思っておるわけでございまして、いわゆる公共交通の走行環境を改善する必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。

 例えば、公共車両優先システムあるいは車両運行管理システム、そして陸上でいえばバス専用道路あるいは優先道路、そういったものを確立いたしまして、交通渋滞をそういった公共交通に乗っていただいて解消する、こういうことが私はこれから必要なんだろうというふうに思うわけでありますが、これに対しての積極的な推進というものを、あるいは対策というものをお考えなのかどうかお聞かせをいただきたい、このように思います。

坂東(自)政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、マイカー利用者というものを公共交通機関の方に転換を進めていくということは、交通の円滑化を確保するために極めて有効なものというように私どもも認識しているところでございます。そのためにも、委員御指摘のように、公共車両優先システムあるいは車両運行管理システムの整備というものを、バス専用あるいは優先レーンの拡充、中央線変移方式の拡充などとあわせて推進してまいることが重要、このように考えております。

 また、こういった施策を推進していく上では、道路管理者、バス事業者などの関係機関との連携を密にすることが不可欠なもの、このように認識しているところでございますので、そういった連携というものをよく図るように各都道府県警察を今後とも指導してまいる所存でございます。

今田分科員 今ほど御答弁がありましたけれども、まさしくそのとおりでございまして、当然それぞれの地方自治体が具体的に取り組むということになるのだろうというふうに思います。そういったときに、いろいろなところからこれを進めるに当たって意見が出たりあるいは不満が出たりするわけであります。しかし、それをやはり断ち切って、勇気を持ってやらぬとなかなかこの問題はできないのだろうというふうに思いますので、ぜひひとつ取り組んでいただきたい、このようにお願いをしたいと思います。

 次に、せんだっても起きましたけれども、バスジャックの問題でございます。

 今まではバスジャックというのは余り考えていなかったのだろうと、私もそうだろうと思ったのですが、最近どうもふえておるわけでございまして、これに対しての防止策というものをいろいろ考えていかなければならないのだろうというふうに思うわけであります。例えば、バスの天井の方に、外の方に、非常事態が発生しましたよというようなランプをつけたり、あるいは何かの形で通信をできるような装置をつけたり、いろいろな方法があるのだろうというふうに思うわけであります。

 その後、バスジャックがあった後、いろいろ関係する皆さんと検討されているやに聞いておるわけでありまして、ぜひそれらを、もし今お示しできるようであればお聞かせをいただきたい、このように思います。

黒澤政府参考人 委員御指摘のとおり、各種施策を講じておるところでございますが、警察庁といたしましては、昨年の五月でございますけれども、運輸省及び関係業界団体に対しまして、事件発生時の対応方策及び再発防止対策につきまして早急に検討していただくよう要請いたしますとともに、各府県警察に対しまして、関係業界と連携した再発防止対策を推進するよう指示したところでございます。

 具体的には、事件発生時の対応策としては、例えば対応マニュアルなどの整備、御指摘ございましたが、非常表示灯等の通報システム、あるいはGPSなどを活用した位置情報管理システムの整備、そしてまた再発防止対策といたしまして、車内やバス運行ターミナルなどの防犯設備の整備、防犯広報の実施などについて要請したところでございます。

 こういったことを受けまして、社団法人日本バス協会におきましては、統一対応マニュアルを策定いたしておりまして、各事業者に対しまして早急に対策を講ずるよう要請されまして、各事業者におきましても、緊急連絡装置を装備した車両の整備でありますとか、その他各種の積極的な対策が講じられていると承知をいたしております。

 また、府県警察におきましても、バス事業者と連携を図りながら、実践的な防犯訓練、バスターミナル等の防犯点検を実施するなど取り組みを強化しているところでございます。

 今後とも、関係機関、団体等と緊密に連携を図りながら、この種事案の再発防止に努めていく所存でございます。

今田分科員 今ほど、いろいろなことが考えられるというようなことで、いろいろな対策をマニュアルにして、それぞれの関係する皆さんにお示しをしているのだ、こういうお話があったわけですが、いや、それはそれとしていいのですが、実際は、バスの乗務員がどのような行動を起こすかということでございまして、バスの乗務員に対して、具体的に訓練等も含めたものをどのような形で今後するのかというのが課題だろうというふうに私は思うのですね。この点は具体的にどうなのですか。

黒澤政府参考人 例えば、バス会社との防犯連絡会議とかそういった会議の席上、あるいは先ほど申し上げました防犯訓練等、いろいろな場がございます。例えば乗務員に対しましては、もちろん意識の注意喚起という点はあるのですが、例えば車内における乗務員の行動といたしまして、基本といたしまして、まず乗客の安全確保を最優先する、運行の安全確保に最善を尽くす、そして、乗客及び運行の安全を確保するため、原則として犯人の要求に従った行動をする、こういった三原則を示すとともに、犯人への対応要領、具体的な留意点などを示しておるところでございます。

 それから、非常点滅装置等の点灯、パッシング、こういった操作要領でありますとか、それから、先ほども申し上げました位置情報でございますけれども、バスがこの種事犯のときにはコースを外れてどこを走っているかわからない、そういうような状況になりますので、そういったときの対応要領でありますとか、具体的な訓練、指導等を行っておるところでございまして、そういったことも継続して今後ともやってまいりたいと考えておるところでございます。

今田分科員 ぜひひとつ御努力をいただきたい、このように思います。

 最後に、高速道路の速度規制について、一点だけお伺いします。

 現在、高速道路は、それぞれの車両が、大きいものから小さいものまで走行しているわけですけれども、速度制限が一定していないために、追い越されたり追い越したりするという場面が非常に多くなって、かえって危険だというような話も出ております。したがって、車両別に速度制限を設けるということはしないで、一定の速度制限にした方がむしろ安全ではないかというような話が出ております。

 特にトラック関係の業者からは、現在八十キロなものですから、そういうことで常に追い越されるというようなことで、むしろ危険性があるというような話もお聞きするわけでありまして、この点についてはどうお考えなのか、あるいは検討されたことがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

亀井主査 坂東交通局長。なお、時間が超過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

坂東(自)政府参考人 高速道路での大型貨物自動車の死亡事故につきましては、これは依然として多発しているところでございます。例えば、速度超過による死亡、重傷事故率というものは、普通乗用自動車に比較して十倍と、極めて高い状況にあります。また、諸外国におきましても、大型貨物自動車と他の車両との間には、日本と同じような速度差が設けられているところでございますので、現時点におきましては、大型貨物自動車の最高速度の引き上げにつきましては慎重に対応すべきもの、このように考えておるところでございます。

今田分科員 終わります。ありがとうございました。

亀井主査 これにて今田保典君の質疑は終了いたしました。

 次に、石毛えい子君。

石毛分科員 民主党の石毛えい子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。警察庁に主にお尋ねして、最後に内閣府関係でお願いいたします。

 最近、外国人に対する偏見、差別を助長するビラが警察から配布されている、そういう事態がございました。きのう、ヒアリングの際にもお渡ししてございますが、私の手元には、神奈川警察署が「ピッキング窃盗団にご用心」ということで、「中国系外国人が携帯電話で話をしている。中国系外国人が運転する車が駐車している。等を見かけた時は、直ぐに神奈川警察署」、電話番号を書いて、こういうビラが配布されているというような事実が起こっております。

 これは市民団体からの抗議もございまして、配慮に欠けていたというようなことで回収をされたということのようでございますけれども、こうした事実が起こっていることを御存じでいらっしゃいますでしょうか。また、全国的にどれぐらいの案件がこういうことで起こっているということは把握されておられますでしょうか。そのあたりをまずお尋ねいたします。

五十嵐政府参考人 お尋ねの件につきましては、昨年九月下旬に、神奈川県の神奈川警察署が管内の自治会等に対しまして、「ピッキング窃盗団にご用心」などと記載したチラシを配布したものの、その後、その内容に一部誤解を招くような点があったことから、神奈川警察署において回収することといたしました。神奈川警察署が一月下旬ころに配布先に確認したところ、当該チラシは既におおむね廃棄がなされていたとの報告を受けております。

 また同様に、誤解を招きかねないチラシが、昨年十一月下旬から十二月上旬にかけまして、警視庁の赤羽警察署等の管内において配布され、その後、回収したものと承知しております。

石毛分科員 今、具体的な御指摘をいただきましたけれども、警察庁とされましては、全国的にどういう状況になっているかということはお調べでいらっしゃいますでしょうか。その点をちょっとお尋ねしたいと思います。

黒澤政府参考人 私どもの方で承知をいたしておりますのは、ただいま刑事局長から答弁申し上げました警視庁の事例でございます。

石毛分科員 山梨などでもこうしたことが起こっているというふうに伺っておりますし、今大変いろいろな意味で、きちっとしなければならない、特に人権ということの観点からきちっと対応していく必要がある、こういうことだと思いますので、ぜひともお調べいただけますとよろしいかと思いますけれども、これは質問でお出ししておりませんけれども、いかがなものでしょうか、お尋ねいたします。

黒澤政府参考人 同種の事案があるのかどうか、そういったことにつきまして調査をいたしてみたいと存じます。

石毛分科員 ぜひともお取り組みをお願いいたします。

 そこででございますが、神奈川警察といいますのは、昨年もいろいろなことで世上課題があるというふうに注目されたところだと認識しておりますけれども、ひとり神奈川警察に限ったことではないのかもしれません。先ほどは東京のお話もいただきました。どうしてこういう問題が起こってくるというふうに認識をされておられますか。そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

五十嵐政府参考人 どうした背景でということなんですが、先ほどの神奈川の事例について申し上げますと、神奈川県内におけるピッキング用具を使用した侵入盗の事件の認知件数ですけれども、一昨年が千百三十三件であったものが昨年は四千百八十四件ということで、非常に大幅に増加している状況にございます。また、同種事件の、このピッキングの事件の昨年一年間の検挙人員は四十六名ですが、そのうちの三十七名、約八〇%ですけれども、これが中国人となっております。

 神奈川警察署におきましては、このような実態を踏まえまして、犯人検挙と被害防止の観点から御指摘のチラシを作成したものですが、その中におよそ中国人一般が対象であるかのような表現があったことは遺憾でございまして、今後、このようなことのないように都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

石毛分科員 伺うところによりますと、中国大使館の方からこうした表現をめぐりまして申し出もあったというふうにきのう御説明いただきました。外務省を通じてお答えをしたというふうに伺っておりますけれども、どういう観点でお答えをされたのかということをお教えいただきたいと思います。

黒澤政府参考人 警視庁の事例でございますけれども、このビラの記載に不適切な表現があったということで、例えば、チラシの中に「中国人かな、と思ったら一一〇番」といった配慮に欠ける不適切な表現があったということで、不適切な表現があったことは遺憾である、そしてまた、防犯ビラは回収をした、こういったことなどを外務省を通じて答えておるところでございます。

 なお、このビラでございますけれども、ピッキング用具使用による侵入盗窃盗件数が警視庁管内では近時大変ふえておりまして、これはその旨文書で申し上げてあるのですが、昨年の一月から十月末現在で約一万件、ピッキングによる侵入盗の窃盗が警視庁管内でございまして、それを一昨年の同期と比較しますとほぼ倍増いたしておりまして、地域住民からも、この種犯罪の予防と取り締まりについての多くの相談、要望が寄せられておりまして、治安上極めて憂慮している状況にあるということで、警視庁がこのピッキング用具使用による侵入窃盗事件で昨年の一月から十月までに検挙した被疑者三百五十四人のうち、約七割強に当たる二百五十七人が中国人被疑者でございまして、この種侵入窃盗が強盗等の凶悪犯罪に発展する危険性があるため、警視庁においては、これらの重点的な取り締まりを目的として総合対策本部を設置して、パトロール等各種警察活動を強化しておるところでございまして、こういった犯罪の予防、検挙活動の一環として、防犯ビラによる地域住民に対する防犯対策を行うことといたしまして、この防犯ビラの作成例を警察署に本部において示しまして、そして、警察署二署でございますけれども、この種のビラを配ったり掲示したという経過もあわせて説明をいたしておるところでございます。

石毛分科員 ピッキングに関する事実行為がどの国の方によってなされたかということ、ただいまの御説明ですと、三百五十四人のうち二百五十七人が中国人被疑者ということでございますから、必ずしも実際に行った方であるかどうかというのはまだ確定には至っていない段階だと思います。

 そうしたことも含めまして、行為に対する事実といいましょうか、結論は別としまして、そういう事態が起こったということと、それから、不適切な表現と今おっしゃいましたけれども、「中国人かな、と思ったら一一〇番」というこの間には、恐らく、つなげてはいけない、つなげることのできない飛躍があるというふうにどなたもお思いになるんだと思います。ですから、こうした防犯ビラが不適切ではないかという声が市民の間から起こったのだというふうに私は理解をしております。

 まず、一つこのことに関連してお尋ねしたいと思いますのは、日本も批准いたしました人種差別撤廃条約の第二条第一項には、「各締約国は、個人、集団又は団体に対する人種差別の行為又は慣行に従事しないこと並びに」次のところですけれども、「国及び地方のすべての公の当局及び機関がこの義務に従って行動するよう確保することを約束する。」こういう条文が人種差別撤廃条約の第二条でございます。

 この第二条第一項と照らし合わせてみますときに、明らかに、こういう防犯ビラを出されているということは、警察署という公の機関によって人種差別条約の第二条第一項に抵触したというふうに私自身はとらえるわけですけれども、警察庁としてはどのような御認識をお持ちになりますでしょうか。

五十嵐政府参考人 人種差別撤廃条約の解釈そのものにつきましては、お答えする立場にはございませんけれども、この条約の第二条は、あらゆる形態の人種差別を撤廃する政策及びあらゆる人種間の理解を促進する政策をすべての適当な方法により遅滞なくとることを義務づけたものであると承知いたしております。

 御指摘のチラシにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、ピッキングによる侵入盗事件の実態を踏まえまして、不審者を見分ける着眼点を記載して、犯人検挙と犯罪防止の観点から管内住民に注意喚起を呼びかけようとするものでありまして、およそ来日している中国人一般を対象にしているものではありません。

 なお、一部誤解を招くような点があったことにつきましては、今後、このようなことがないように都道府県を指導してまいりたいと考えております。

石毛分科員 それでは、少し観点を変えましてお尋ねしたいと思います。

 御存じのように、ただいま、二〇〇四年を最終年度といたしまして、国連人権教育の十年の取り組みが進められているところでございます。私の手元には、内閣府の人権教育のための国連十年推進本部、これはことし一月から名称がもしかしたら変わっているのかもしれませんけれども、この機関から昨年九月二十一日付で出されました「「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画の推進状況」という報告書がございます。この報告書の中には、御存じのことであると思いますけれども、「警察職員」という項目もございます。これを拝見いたしますと、「評価と今後の課題」と書かれておりまして、ちょっと間を省略しますけれども、「警察学校における専門教育や職場における研修会等により、被疑者、被留置者、被害者等の人権に配意した適正な職務執行を期するための教育を行ってきたところであり、今後もこれらの教育の一層の推進を図る。」というふうに記されてございます。

 きのうも、ヒアリングにいらしていただいた方にお話ししたのですけれども、私は、先ほどの防犯ビラというのは、神奈川の警察署が出されたビラとしましては、まことに人権意識に欠けるビラだというふうに思います。

 比喩が適切であるかどうかということはありますけれども、私ども政治家は、選挙に関連しまして、それこそ善意で、ありがとうございましたというふうに書いたとしても、警察の方は目を光らせてチェックをしていることが多々ありまして、私のようにまだまだキャリアの浅い者は、自分が書いた文章を一々読んでいただいて、チェックをしてもらって、これで大丈夫でしょうかということで、私信は別にいたしまして、お手紙を出しているというような、そうしたことを警察から言われている身にしますと、警察の方はよくこういうビラを出されるものだという、何か思いが非常に私は複雑になってくるわけでございます。

 そういう気持ちの一端も披瀝をしながら、警察だけのことではないと思いますけれども、警察においてこの人権教育というのは一体どうなっているんだ、そういう思いがいたします。広報といいますのは、少なくとも公の機関の公的な情宣を行うものでございますから、念には念を入れて、どこかに問題を持っていないかということはきちっと点検するのが当たり前の方法論だと思いますけれども、そのあたり、人権教育について、時間の関係もございますので、簡単にお答えいただけたらというふうに思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 人権教育でございますけれども、警察の業務は犯罪捜査というような非常に人権に深くかかわりを持つ仕事でございます。そういう意味で、警察官に対する教育の柱の大きなものとしてこの人権教育は位置づけなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。

 具体的に申しますと、警察における教育は各級警察学校における教育と、それぞれの職場における教育と二つに大別されるわけでございますが、警察学校におきましては、新たに採用された者あるいは昇任をした者等に対しまして、例えば憲法とか刑事訴訟法とか警察法、そういったような法学教育の場を通じて、また捜査実務の授業の中で、人権の持つ意味合いあるいは人権を擁護する考え方について教育を行っておるわけでございます。

 また、警察署等の職場におきましても、幹部がそれぞれ機会機会をとらえまして具体的な事例を挙げたりして指導をする、あるいは部外から講師を招聘いたしまして研修会を行うといったようなことで、職務に関連をした人権にかかわる教育というものを実施しているところでございます。

石毛分科員 柱の大きなものとして位置づけているにしましては、仕事を進める上での精神の隅々まで行き渡っていないのではないかという思いがいたします。

 警察庁長官にお尋ねしたいと思います。

 今までの御答弁などをお聞きになって、それから、私はこの二月に警察庁長官としてなさいました訓示の要旨を拝見しまして、「組織犯罪対策の推進」というところに、外国人の犯罪に関連して訓示をなさっていらっしゃるわけですけれども、この文書を拝見いたしましても、そうした外国人が起こす、あるいは起こすであろう、起こすかもしれない犯罪に対する留意とともに、外国人という、私たち人種差別撤廃条約などを踏まえて対応する必要がある、そうした関係についてはお触れになっていらっしゃらない。大きな柱とされているにしては、あの訓示の中にもそういうこともお触れになってよろしかったのではないかというふうに私は考えるわけですけれども、時間の都合もありますので、簡単に御答弁いただければと思います。

田中政府参考人 警察活動に当たりまして、人種差別をしないなどの人権尊重すべきことは当然でございまして、私自身も従来からそれを旨として仕事をしてまいりましたし、先ほど官房長から申し上げましたように、第一線に対しましても人権教育等を推進しているところでございます。

 御指摘の、二月十九日の本部長会議の私の訓示でございますが、一般的に、本部長会議の訓示におきましては、その時々の治安情勢に応じて、重点事項を網羅的に述べておるわけではございませんで、特にその重点となる事項を申し上げているわけでございますけれども、二月十九日におきましては、特に不法滞在外国人が組織的犯罪に絡んでいる事案が非常に多い、そして、日本の治安を見ました場合に治安の根幹を揺るがしかねない、そういうような問題に立ち至っているという非常に深刻な状況であるということを申したところでございます。

 その中で、御指摘のように、人種差別にかかわるというような文言は用いませんでしたけれども、総合的な来日外国人対策を推進し、国民の間に生じている外国人に対する根拠のない不安感や恐怖感の解消に努めるようにと述べまして、外国人に対する差別的な見方が助長されることのないよう指示しているところでございますので、十分私としては考えながら訓示をしたつもりでございます。

石毛分科員 そうはおっしゃいますけれども、私は、先ほどの防犯ビラは根拠のない不安感や恐怖感をあおっているという側面があるというふうに思いますので、ぜひとも次回の機会にはこのあたりはお受けとめいただけたらというふうに思います。(伊吹国務大臣「委員長、ちょっといいですか」と呼ぶ)残された時間、もう一問ぜひともお伺いしたいと思いますので、短くお願いいたします。

伊吹国務大臣 ただいま先生のいろいろなお話を伺っておりまして、私は政治家としてこれは先生とやはり少しお話をしなくちゃいけないと思うのです。

 確かに、外国人一般とか中国人一般という言葉を使ったのは、明らかに先生がおっしゃっているような観点から不用意であって、これは私は直すべきだと思います。

 社会の秩序とか公益と個人の人権とのバランスというのは常に政治家が考えなければいけない問題であって、多くの被害を受けている人がいるということは事実ですね。ですから、私は、あのビラを見たときに、国際化が進んできて外国人による犯罪が多発しているということも事実です。ピッキング盗については、検挙した者の中で、送検をされて、そして有罪になっている人の七割ぐらいが中国人であるということも事実です。ですから、そういう事実を並べた上で、不審な挙動の人がいれば届けてくださいと。外国人の犯罪が多発しております、統計によれば幾ら幾らのうち中国人の方の比率がこれだけです、不審な方がおられれば最寄りの交番に届けてください、こういう事実と公益を守るような表現にしたらいいのではないかと言っておりますので、やはり困っている日本人が多いということは御理解していただいて、少し私も表現に注意をさせますので、どうぞよろしくお願いします。

石毛分科員 私も、事実を事実として、きちっと確定された事実であるならば、それを示すということは、これは事実の問題だろうと思います。

 ですけれども、そこからかけ離れた表現といいますのは、表現自体が意識をまたつくっていってしまうというところがありますので、そこに、一般論ですけれども、差別という社会意識が胚胎してくるという、これは私が申し上げるまでもないことですので、そうしたことに、こういう時代でありますからこそ、より厳しい、また感性ある認識の仕方と業務の遂行が必要なのではないかというふうに私も考える次第でございますので、私の方もつけ加えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 最後に、一問お尋ねしたいと思います。

 人種差別撤廃条約も大きな流れの一つとして申し上げてよろしいかと思いますけれども、この通常国会では、さまざまな場面で障害をお持ちの方の欠格条項の見直しという法案の、閣法の提出もございます。

 時代は、大きな流れとして、いろいろな要件によって差別をしないというような意味で、例えば障害者差別禁止法の動きなどを見ますと、世界で数十カ国がこうした法律を制定している。それから、男女共同参画に関しましても、均等法、性差別禁止法ですとか、大きなうねりが国際的にはあると思います。そういう意味で、私は、経済のグローバル化と同時に、人権のグローバル化というのも二十一世紀の大きな潮流になっていくことですし、日本もこの中にきちっと座を得ていく必要、据えていく必要があると思います。

 少し質問が飛躍するわけですが、差別禁止法を日本の中で早急にプログラムにのせていく必要があるというふうに私は考えているわけでございます。これは、本通常国会の代表質問でもお触れになられていた内容でございますけれども、いかがでございましょうか、お尋ねいたします。

西川(公)大臣政務官 この問題につきましては、何回か各委員から質問が出されました。私も質問を伺っておりまして、理解を深めたところでございます。

 我が国はどうだ、こういうことになりますと、我が国におきましては、平成五年に障害者基本法を制定しておりまして、障害のある方々が障害のない方々とともに地域でともに生活するというノーマライゼーションの理念のもとに、障害者施策を総合的に推進しておるわけであります。

 なお、お尋ねのように、例えば米国のような、一般の企業、事業者に障害者の雇用やさまざまなサービス提供における差別禁止を義務づける仕組みを我が国に導入することについては、検討すべき課題がまだ多い、こう受けとめています。

 障害者の権利を尊重し、障害者の社会経済活動への参加機会を確保するための障害者に関するさまざまな制度の見直しは絶えず進めていく必要があると考えております。

 以上です。

石毛分科員 この課題につきましては、またいろいろな機会をいただいて議論をさせていただきたいと思いますけれども、障害者基本法は、権利法という性格はまだ持つには至っていない、差別を禁止する法律でもないということで、もっと前進させていく必要があるというふうに思っております。ぜひとも、また機会をいただきまして議論をさせていただきたく思います。

 それから、警察庁、きょうは全国的にこういう防犯チラシの中身がどうなっているかということをお調べいただけるという御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、いただきました時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

亀井主査 これにて石毛えい子君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤島正之君。

藤島分科員 自由党の藤島正之でございます。

 警察といいますと、昨今のいろいろな問題でかなり信頼に傷がついておるわけであります。この信頼回復には地道な対応が必要だろう、こう考えるわけでありますが、特に二面があるんじゃないかと私は思うんですね。

 その一面は、やはり犯罪の取り締まりといいますか、不法行為については毅然とした態度をとる、これは警察の一番大事な信頼の問題だと思います。それと、国民といいますか、住民との関係ですね。今ほどもピッキングの話がありましたけれども、やはり住民の安全といいますか、生命財産を守る、これは一義的に警察の仕事でありまして、そういう面を地道に対応していく。この二つに大きく言ったら尽きるんじゃないか、こう私は思うわけであります。

 そういう中でも、いろいろな警察行政があるわけですけれども、きょうは時間も余りありませんので、交通関係について質問させていただきたい、こう考えております。

 まず、暴走族対策でございますけれども、実はせんだって、私はテレビを見ておりまして、非常に腹立たしかったわけであります。それは、二面あるんですが、一面はマスコミの無責任さといいますか、むしろそういう行為をあおるような、そんな雰囲気を持っているという面、それと、見ている人に対して、警察は何とだらしないんだという方向を非常に植えつけようとしているような、そんな二面を私は非常に腹立たしく感じたわけでございます。

 テレビは、警察庁の方はごらんになっていると思いますが、その辺はどうでしょうか。委員長でも結構ですし、交通局長でも結構です。

坂東(自)政府参考人 委員御指摘のように、最近の暴走族というものは大変悪質、凶悪化しているところでございますので、こういった悪質、凶悪化する暴走族に対しましては、私ども警察におきましても毅然とした態度で、特に取り締まりにおきましては、可能な限り、法で許される限り強制捜査で臨むといったような形で対応していきたい、このように考えております。

藤島分科員 私は、この暴走族の問題は、犯罪予備軍をつくっているんじゃないか、こう思うわけですね。私ども自由党は、それは権利は権利としていろいろなことを主張するのはもちろん結構だ、しかし、その裏には責任といいますか、義務が伴っている、ここが大事なことだと思うんですね。この暴走族に関して言うと、何ら保護すべきものがない。彼らはどう言っているかといいますと、ただ走ってたんじゃおもしろくない、みんなが迷惑がるのがおもしろいと。こんなのは一〇〇%許せないと私は思うんですね。

 例えば、都内の道路でありましても、真夜中の時間帯に、これは道路がすいているせいもあるのかもわかりませんけれども、非常な爆音を鳴らしてまず眠りを覚ますようなことをやっておるとか、あるいは高速道路に何十台、何百台も集結して、一般の交通を妨げて平然としている。それがむしろ彼らのやりがいというか、そんなことは法治国家として絶対に許せない、私はこう思うわけであります。

 交通局長に、全国的な暴走族の実態と、その中に占める少年の割合、これを伺いたいと思います。

坂東(自)政府参考人 暴走族の現状についてのお尋ねでございますが、暴走族は減少傾向にございまして、昨年十二月末現在で暴走族の総数は約二万八千人でございまして、対前年に比べますと九百人の減少ということになっております。他方、グループ数につきましては、約千二百グループでございまして、増加傾向にございまして、いわばグループそのものは小規模化している状況にございます。

 この中で少年の占める割合ということでございますけれども、全体の約六七%が少年でございまして、うち十七歳、十八歳が主流でございまして、この十七歳、十八歳で少年全体の約五七%を占めているという状況にございます。

藤島分科員 今数字がありましたけれども、人数が減っていると、そんな甘っちょろい話じゃない。こんなものは一件もあっちゃいかぬ、こう思うんですが、公安委員長の御意見を伺いたい。

伊吹国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。同時に、これは警察が取り締まる部分と、こういう人たちをつくり出さない教育というのかしつけというのか、これは両々相まっていることだと思います。

 一番最初に東先生から御質問をいただきまして、私は非常に共感を覚えながらお伺いしておりました。その後、民主党から人権重視というお話がるるございました。これも我々は配慮しなければならないところです。しかし、憲法の規定でも、諸権利というものは公益の中において認められる。そして、社会の秩序と個人の人権というものは、どちらをバランスしていくかというのは、これは政治家が考えなければいけないことであって、私は、着任以来見ておって、警察の諸君たちが、社会的批判を受けることを恐れる余り、加害者の人権、被疑者の人権にやや偏り過ぎているためにかえっていろいろな問題が起こっているということも気がついております。

 年末に、初日の出暴走族を押さえるかどうかという実は大変な議論があったんです。暴走行為をするまでは暴走族じゃないんですね。しかし、暴走行為をした途端に迷惑をかけます。したがって、国会で多分人権のお話が出るだろうが、これは政治家として私がお話をするからということで、年末には取り締まった、そういう姿勢を重視してやっていきたいと思っています。

藤島分科員 確かに、一方的に押さえればいいという問題じゃないかもしれませんけれども、それは権利とか一般論では言えると思うんですが、事この暴走族関係について言えば、保護すべき何らのものもない。暴走族といえども、おっしゃるように整々と走っている、それには余り関係ないわけですけれども、もともとそうじゃないんですね。あるところへ来て、要するに暴走行為をやろうといって集まっているわけですから、徹底的に取り締まりをすればそれは防げるはずである。確かに、青少年の教育の問題はあるかもしれませんけれども、そういうところにはけ口があるから誘われて入っていく、それが悪の道にどんどん行く。これは重大な問題だと思うんですね、余り議論ばかりしていてもなんなんですけれども。

 そこで、この対策、これは非常に手ぬるいと私は思っておるんですが、警察庁としては、今までと同じ程度の対策でいこうとしているのか、あるいは新たに何かきちっとした対策を考えているのかどうか、その辺を伺いたいと思います。

坂東(自)政府参考人 委員御指摘のように、暴走族にまず加入させないといったようなことは非常に重要だと思います。それから、入った場合におきましては、走らせない、あるいは暴走族から離脱させる、そういった対策が非常に重要だと考えておりますので、私ども警察内部におきましても、交通警察だけでは対応できない。したがって、少年警察あるいは暴力団対策部署あるいは地域警察、そういった各部門が一体となって取り組みをしているところでございます。

 それから、今国家公安委員会委員長からも御答弁いたしましたように、この年末から年始にかけての初日の出の大規模な集団暴走というものについては、やはり私ども警察におきましても、集団警察力をもって対応する必要があるだろうということで、機動隊を初め警察の総力を挙げて徹底した現場封圧の措置をとったところであります。

 さらに加えまして、やはりこの暴走族問題というものは社会全体の問題である、あるいは少年非行の問題であるということでもございますので、警察だけでも必ずしも対応できない。そういったことから、関係省庁との連携が不可欠である。そういった観点に立ちまして、去る二月の五日には、最近の暴走族の実態に即して強力な対策が講じられますように、警察庁あるいは文部科学省等、暴走族に関係する八省庁による新たな申し合わせを行ったところでございますので、今後とも、関係省庁あるいは関係機関と一体となった総合対策というものをより積極的に進めてまいりたい、このように考えております。

藤島分科員 確かに、交通警察だけでやれる問題ではないと私は思いますし、関係省庁話し合いながらやっていかないかぬとは思いますけれども、最初から申し上げているように、これは社会的に犯罪の温床になり、いろいろな若い人たちがそこに入っていく、これは大変社会にとって脅威になる問題を含んでいるという点と、やはり警察がまず第一にやっていかないかぬ。ほかの何かではないんですよ。

 要するに、暴走行為というものが行われるからそこに集まっていくというのでありますから、よその役所よその役所ということでは何ら改善されないんじゃないかという感じがしているんですね。これはいろいろな役所の問題ではあるけれども、警察の権威がかかっているんですよ。あのテレビをごらんになったと思いますけれども、逃げようとするのを追っかけていく、子供の鬼ごっこみたいな、そんなふうにやゆされているわけですよ。これで警察の権威が保てているのかと私は非常に心配しておる。もっと国家のために、金を出すなら出してもらって、専門の警察隊をどんとつくってやったらいいと思うんですね。こういう青少年が成長して犯罪の方にどんどん行くかと思うと大変な社会的問題だ、こういうふうに私は思いますので、ぜひ積極的に対策を考えていっていただきたいと思いますが、その辺の決意をお伺いしたいと思います。

坂東(自)政府参考人 委員御指摘の点も十分に踏まえまして、今後とも、暴走族対策というものにつきましては積極的に警察としても取り組んでまいりたいと思います。

 また、今国会に提出を予定して御審議いただきたいと考えております道路交通法の改正案におきましても、主に暴走族が犯す犯罪でございます共同危険行為に対する罰則の引き上げというものを盛り込んでいるところでございます。

藤島分科員 警察庁長官にもお伺いしたかったんですが、もうおられないので、公安委員長にも、今の点を重ねて決意をお伺いしたいと思います。

伊吹国務大臣 私は、先生と同じような考えです。

藤島分科員 ありがとうございます。

 次に、交通違反の取り締まりについてでございますが、年間の実績と反則金はどれぐらいになっているか、お願いします。

坂東(自)政府参考人 まず、交通違反の取り締まり総件数でございます。昨年の数字でございますけれども、約千百二十四万件ということになっております。なお、反則金の額でございますが、ちょっと手持ちの資料がございませんので正確な数字はわかりかねますが、八百億から九百億程度ではないか、このように見込んでいます。

藤島分科員 なぜお伺いしたかといいますと、反則金稼ぎに取り締まりをやっているんじゃないかというような声がちまたにないわけではないという点からお伺いしたわけですけれども、具体的なケースについてちょっとお伺いしたいと思います。

 せんだって、ある役所の高官に言われたことがありまして、上野の駅の方に買い物に行った、日曜日だったと。そこで、駐車ゾーンがございますね、コイン三百円ですか。私は実は運転免許が二十年ありまして、ずっと優良なんですが、無事故無違反なんですけれども、ここのところ二年ぐらい運転していないんですけれども、その方も無違反でずっと来ておった。ところが、日曜日、たまたまそのゾーンがあいておったということで、とめて買い物に行って、帰ってきたらちょうど若いお巡りさんが来ておって、駐車違反だと言われた。

 平日の忙しいときは稼働しているからいいんですけれども、日曜日は稼働していない、稼働していないのは全部駐車しちゃいけないということだと言われて、全然釈然としない。上司を連れてこいと言っても、そんな問題じゃない、違反は違反だと。これは役所の相当高官なんですけれども、相当頭にきたんだけれども、次の自分の予定があるからしようがないということで、優良ドライバーのあれもそれでペケになっちゃうわけです。非常に不満を持っておられたのですが、これはどういう事象なんでしょうか。

坂東(自)政府参考人 お答えいたします。

 パーキングメーターで時間制限駐車規制というのを行っているわけでございますけれども、こういった時間規制を行っている場合は、例えば時間を限ってとかあるいは曜日を限ってとかいうような形でやっている事例も非常に多うございます。

 そういった場合においては、それ以外の時間あるいはそれ以外の曜日についてどういう規制をかけるかということでございますが、例えば、それ以外の場合においては全面的に駐車規制がかかっているというケースがあります。あるいは、それ以外の時間帯あるいは曜日については駐車規制をかけていないといったような事例もございますけれども、委員御指摘のような場合は、多分それ以外の時間帯、曜日につきましては駐車規制がかかっていたケースではないか、このように思います。

藤島分科員 平日大変混雑している時間帯にゾーンを設けてするのはいいんですが、土日に、駐車がそんなに込んでいないときに原則に戻して、ここら辺は全部駐車違反だから、あなた違反ですよ、これはちょっと普通の人には理解できない話ですね。

 最初に私が申し上げたように、警察は、住民といいますか、そういう皆さんの本当に安全を守るというか、皆さんの納得のいくような警察行政が必要だと思うわけであります。そうであれば、私は、土日に、あいている時間にむしろ稼働しておったって何の問題もないのをもとに戻して違反にするのもおかしいのですけれども、そこに親切にそういう表示をきちっとやっておくべきだ、土日はこれは機能しませんから駐車すると駐車違反になりますよ、こういうふうにやっておくべきじゃないかと思うんですね。その辺はどうでしょうか。

坂東(自)政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、パーキングメーター等によって時間制限駐車規制をかけている、それ以外の場合におきまして駐車規制をかけているかかけていないかということにつきましても、これはやはり規制標識によりまして駐車禁止がかかっているという標識が設置しているはずでございますので、その辺のところをよく見ていただければ御理解いただけるのじゃないかと思います。ただ、そういったものに加えまして、やはり現場における警察官等による指示、説明、あるいはパーキングメーター等の管理を委託している者を通じた広報啓発活動というものを行いまして、規制内容についての御理解を深めていただくための措置をさらに積極的に講じていきたい、このように考えております。

藤島分科員 それ自体が悪いとかいいとかを私は申し上げているのじゃなくて、要するに、そういう利用者といいますか、住民にわかりやすいことをやはりきちっとやっておくという必要があろうかと思うのですね。ただ一回定めたらそれは半永久的にそのままにしておくというような警察行政はよくない、こう思うから私は申し上げているわけであります。

 それからもう一つ、具体的な話になりますけれども、よくスピード違反で捕まった人たちが非常に不満を持っている。例えばどういうことかといいますと、制限時速三十キロでもいいんですけれども、大抵、下り坂のアクセルを踏まないでも自動的にスピードが出ちゃってひっかかりそうなところ、逆に言えば、さっきの反則金の話になるんですけれども、ともかく違反を取り締まりしやすいところ、違反の出やすいところ、こういうところを重点的に取り締まりをやっているんじゃないか、こういう批判があるんですけれども、その点については警察庁はどういうふうに認識しておりましょうか。

坂東(自)政府参考人 交通取り締まりに関しての御質問でございますが、最高速度違反の取り締まりを含めまして、交通指導取り締まりにつきましては、交通の実態、交通事故の発生状況あるいは取り締まりに対する国民の要望等を踏まえまして、悪質、危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いて実施するように各都道府県警察を指導しているところでございます。

藤島分科員 抽象的に言うとそういうことになろうかと思うんですが、私は、今おっしゃったような観点から、ぜひきちっとやっていただかないかぬのですけれども、その前に、そういう発生がないように、例えばそのちょっと前に、この先下り坂、スピード注意とか、そういった標識を置いておいて、なおかつそういう違反があればこれは取り締まった方がいいと思うんですけれども、不用意に余り意識しないまま行っちゃったら御用だ、こういう行政は警察行政に対する不信を招く、こういう観点から申し上げているわけなんですが、その辺はどうですか。

坂東(自)政府参考人 委員御指摘のように、速度の出やすいような下り坂等におきましては、道路管理者等とも連携をいたしまして、速度を抑制するために、速度注意といったような表示をしたり、段差舗装をしたり、あるいは減速帯の表示を行うなど、安全な交通環境の整備に努めているところでございます。こういった対策とも相まって、今後とも適正な交通取り締まりが行われるように各都道府県警察を指導していきたいと考えております。

藤島分科員 私が今申し上げたようなのは、警察だけではできない分野かもわかりませんけれども、スピード注意とか、そういうのでもいいんですが、特に取り締まりをやる場合に、取り締まられた方が、同じ反則金を払うにも納得いくというのが私は警察行政において必要だ、こう考えますので、ぜひその辺を親切丁寧にやっていただきたい、こういうことでございます。

 同じようなことになりますけれども、私は外国生活をしたことはありませんけれども、外国で生活した人が日本に帰ってきて言うのは、日本の交通標識が非常に不親切だと。確かに、交通標識とは違いますけれども、ゴルフ場なんかへ行くと、もう曲がるところから懇切丁寧に、ゴルフ場に黙っていても着けるようになっています。そこまでする必要はないと思いますけれども、全般的に、市街においても非常にそういう標識が不親切だ、こういう話を聞くのですけれども、警察庁はどういうふうに認識しておりますか。

坂東(自)政府参考人 委員御指摘のとおり、運転者に対しまして必要な情報を適切な時点で提供するということは、交通の安全を確保する観点からも非常に重要だと考えております。こういった観点に立ちまして、道路管理者との連携も緊密にいたしまして、合理的な標識の設置に努めて、わかりやすい交通規制の実施を推進していく所存でございます。

藤島分科員 これは先ほどの問題も同じなんですけれども、その標識は警察だけでできるんでしょうか。

坂東(自)政府参考人 道路標識というものは、大きく分けますと二つほどございまして、道路管理者が設置いたします案内標識みたいなものと、それから私ども県の公安委員会が設置しております規制標識等がございます。したがいまして、委員御指摘のような形でわかりやすい道路標識を設置していくという場合におきましては、やはり道路管理者は道路管理者としての立場から、そして私ども公安委員会としては公安委員会の立場から、わかりやすいような標識設置というものに努力していく必要があろうか、このように考えております。

藤島分科員 私も、どの標識が警察庁であり、どの標識が国土交通省であるかとかいう話まで全然認識していなかったものですから、きょうは警察庁の方だけにおいでいただいたわけですけれども、この点は両省庁でぜひじっくり話し合って、国土交通省なんというのは膨大な予算を使っているわけですから、変な公共事業をちょっとやめればこんな金はとてつもなく浮いてくるわけですよ。警察庁はそんなに余裕があるとは思っていませんけれども。ぜひこういうことに使っていただきたいと思います。警察庁にだけ言って申しわけないんですけれども、ぜひその辺は話し合っていただいて、積極的にやっていただきたい、こう考えます。

 それから最後に、歩行者天国の問題でありますけれども、今の実態はどんなふうになっておりましょうか、お伺いします。

坂東(自)政府参考人 いわゆる歩行者天国というものにつきましては、歩行者の通行が多い場所あるいは時間帯等について、歩行者の安全を確保する目的で、地元の方々あるいはドライバーの方々の御協力も得ながら行っているところでございます。

藤島分科員 歩行者天国の制度そのものが悪いとは決して私は思わないのですけれども、この見直し、一回歩行者天国をつくってしまったら半永久的にそこは歩行者天国になっている、こういうような実態はないんでしょうか。

坂東(自)政府参考人 当然、歩行者天国という交通規制をした後、時間の経過とともに、いろいろな交通諸情勢というものは変わってくるところでございますので、適宜適切に見直しを行っているところでございます。例えば、これまでも東京の日本橋あるいは代々木等におきまして歩行者天国を廃止するなど、必要に応じた見直しを行ってきているところでございます。

藤島分科員 やはり交通行政も生きているわけでありますので、警察も忙しいんでしょうけれども、住民の意向、あるいは、この場合は住民だけではなくて交通する人の意向もあるわけですけれども。

 というのは、都内の道路は一方通行が非常に多くなっていまして、行ってみたらいきなりそこが歩行者天国になってしまって通れない、はてどう行ったら自分の目的地へ行けるのかな、こういうケースが結構多い。そうするともたもたしているうちに事故になったりするというようなこともありますので、警察行政として、一回決めたらそのままずっと走るのではなくて、時代も変わるし、いろいろな見方もあるわけですから、血の通った行政をぜひやっていただきたい。

 それが、私が最初に申し上げましたような、犯罪に対して毅然とした態度をとること、あるいは住民に対しての、そういう警察行政サービスの面で血の通ったことをやっていく、こういうことが警察の信頼回復につながるものだと私は思いますので、それを強調して、質問を終わります。

亀井主査 これにて藤島正之君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

亀井主査 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。麻生大臣、よろしくお願いいたします。

 国民生活局という局は、私は、これからの時代、非常に重要な役割を担っていく局であるというふうに確信をしております。生活者主権とか生活者へ行政の視点をもうちょっと向けよう、こういうことが言われて久しいのですが、実態として、まだ政府のお考えの中には、監督官庁が企業を指導することによって、その先にある消費者の利益を守っていこうというような発想もある。それも一つだと思いますが、これからの時代は、行政が直接、消費者の皆様の利益を守っていく、そういう機能も非常に重要になってくるのではないか。極端に言えば、国民生活省とか、一つの役所として大きく枠組みをつくる、こういうこともあながち的外れではないのではないか。時代の要請があるという前提で御質問をいたします。

 その意味で、国民生活センターというところも、私に言わせれば、今は小規模でやっているような感じを受けますが、非常に重要な役割を担っているというふうに感じております。

 大きい枠組みの話はさておき、現在の中でこういうふうに改善された方がいいのではないかという私なりの意見と、大臣、局長の所感をお尋ねいたします。

 今いろいろ社会面をにぎわす事件というのが、例えば、企業がある製品を販売して、その製品が消費者の皆様の身体に危害を及ぼした、あるいは、例えばカラーテレビが発火をして火事になったとか、いろいろそういうような事件があって、そして、その事件が明るみになると、いや、実はかつてもこういうような被害があったけれども、それは知らされていなかったというような例が、具体的なことは言いませんけれども、私が調べただけでもかなりある。

 そういう意味では、その販売した製品で一回危害が身体に及んだ場合、それを速やかに、大量に出回っている製品の場合は、消費者の皆様にお知らせすることによって被害の拡大を防いでいくというようなことが、非常にこれからの時代、求められているのではないか。

 さきに、ジェットバスで、泡の出るおふろで小学生の女の子が二人、相次いで髪の毛が絡まって溺死をしたという事件がございましたけれども、私が聞くところによりますと、数年前にも似たような事例があって、それがきちんと公表をされていなかったというようなことも伺っておりますが、枚挙にいとまがないというふうに私は感じております。

 そこで、国民生活センターが、余りにクレームが多くて、この製品でけがをしたりしたというような苦情を非常に多く受けて、企業に確認しても、本当にそうだ、企業もそれをきちんと消費者の皆様にお知らせをしない。こういうような事例があった場合に、国民生活センターが、悪質なところは実名で、企業の名前を挙げて公表するというようなことをやられているのです。非常に重要なことだと思います。

 ただ、国民生活センターに問い合わせたところ、今まで実名で公表したのは十件しかありません。長い歴史の中で、国民生活センターができてから実名で十件しか。それも平成三年に入ってから十件、それ以前はありません、こういうような回答であったわけであります。私の記憶では、昭和六十年より前は、結構、実名で国民生活センターが公表をしているというふうにお伺いはしていたんですが、国民生活センターに確認をしたら、正式にはこの十件しかないということなんです。昭和六十年の前にも、多分ちょっと別の意味でされていたのだと思いますけれども、それは質問の本意ではありませんから。いずれにしても、平成三年以降この十件しかない。これはちょっと少な過ぎるのではないか。

 私が確認した国民生活センターに寄せられた苦情の中で、実名は申しませんが、かなり悪質な、その製品を使ったことによって被害が出ている、しかし、回収しなさいと言ってもなかなか重い腰を上げない、むしろ国民生活センターが公表した方が消費者の方にすぐに伝わって被害の拡大が防止できる、そういう事例があるんです。これは、私、知っておりますけれども、名前は出しません。ただ、そういうものも公表はされていないわけで、本当に悪質中の悪質、緊急に公表した方がいいというものが公表されているのであります。当然、製品だけではありません、悪質な訪問販売等の取引もこの中にはありますけれども。

 その意味で、今、公表する基準あるいは手続も、もうちょっと基準も見直して、機動的に公表できるようにする。あるいは手続も、今、検討委員会ということで、委員の方が集まって検討されるみたいですけれども、非常に時間がかかるというふうに感じております。国民生活センターの池田局長に初めにお伺いしますが、もうちょっとその基準を見直して、あと、公表する時間も迅速にやるというようなことをぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 苦情相談の問題とかあるいは危害情報とかいろいろ入ってくるわけですが、PIO―NETに入ってくる情報というのは、委員も御承知のとおり、ある意味でチェックがされていないという問題があるわけでございます。

 したがって、特に実名公表というような場合に至るためには、プライバシーの問題もありますし、それから企業の名誉侵害の問題もございます。したがって、ある程度のデュープロセスを経て、慎重に検討した上で公表するという手続を踏まなきゃいけないということで、委員もう御承知のとおり、いろいろな委員会等を設けて行っているということで、そこら辺は御理解をいただきたいと思います。(長妻分科員「今の質問の、見直しというか」と呼ぶ)見直しというか、常々そういう問題が起こっているときに、デュープロセスというのを行っているのだろうと思います。そこで何か引き延ばしているとか、そういうことが行われているとは私は思っておりませんけれども。

長妻分科員 大臣にもぜひ御理解いただきたいのは、今御答弁ありましたように、確かにある面、無理もないところもあると思います。

 というのは、今国民生活センターが、苦情がわっと入ってきて、例えばその企業に対して、ちょっと教えてください、こういう苦情が入っていますけれども来てくださいと言った場合に、その企業に、いや、忙しいから行けませんと言われると、国民生活センターは全く権限がないわけで、はいそうですか、わかりましたと言うしか今はないわけであります。あるいは、企業の担当者が国民生活センターに来られても、クレームがこんなにいっぱい来ています、けがをしました、どういう原因ですか、それはちょっと今はわかりません、さようならと帰る場合もあるわけでありまして、何の権限も国民生活センターにない。

 だから、ある意味では無理もないことだとは思う、気の毒な面もあるということを問題意識として持っておりますので、ぜひ大臣、私の申し上げたことをもうちょっと御検討、御研究いただいて、そういう何にも権限のない、ある意味では丸腰で奮闘されている国民生活センターの皆様に頭が下がっているのですね、私も。ただ、今の時代、もうちょっと権限なりなんなりを、法律を改正する必要があるのであれば、検討の俎上にのせることが必要ではないかなと思うのです。

麻生国務大臣 長妻先生のその前の御質問のところからお答えをした方がいいと思いますが、基本的には、今日本という国の中で、これまで長い間、投資主導型の経済社会をやってきたんだと思いますが、一渡りして世の中が大体豊かになりまして、余り貧しい人がいない。本当に景気が悪いんだったら、昔みたいに、その辺にもっとホームレスがいっぱいいなくちゃおかしいんだと思いますけれども、そういう人も見当たらない。いわゆる世の中が平均的に豊かになった時代になってくると、当然のこととして、今、投資主導型から消費主導型の経済社会に多分、移り変わっていく過程なんだと思います。

 そういう状況の中にあっては、消費主導型の経済社会の中にあっては、今言われた生産されている品物に関していろいろな意味でクレームがつく。ここはすごく大事なところで、基本的には、新規参入が自由にされて、そして価格競争がそこで当然起きた結果、いわゆる生産者と消費者になれば、その品物に関しては、少なくとも生産者の方が有利な立場にいる。それに対して、消費者がもし被害をこうむった場合には、しかるべき手当てが施されるのは当然というのは、この種のルールをやっていく上で大変大事なところだと思いますので、そういった意味で今御指摘のところは大変大事なところだ、私ども、基本的にそう思っております。

 その上に立ちまして、今の生活センターの話ですが、確かにおっしゃるように、これは、私も四年ほど前に長官をしたときにも実はいろいろな事例がございまして、そのときも発表したのもありますし、そういったものを含めた経験から言わせていただくと、これは物すごくたくさん来る、それはもう確かです。

 そこで調べるわけなんですが、悪質なところは、それを例えばしかるべき監督官庁、そこをやっております通産省管轄のところでしたら通産省管轄の何々局なら何々局のところに、問題ありといって、そこから行くというのが普通の形でして、それでも来ないというのは、この国では余りないんですね。そこでほとんどのことが大体おさまってきているという経緯なんですが、それでもだめなところは、何回か呼んだ上ではっきり公表というので、私どもで公表させていただいたことはありますけれども、その種の話は確かにあります。

 ただ、いきなりそれもふっ飛ばして、ばあんと最初から呼びつけておいて、やらないならやるという権限を生活センターに与えるというのは、何となく規制緩和の折とはまた逆行する方向なんですけれども、今申し上げたようなところで、いよいよできなかったときに当たってはもう少し公表するというのは、一つの手口としては大事。やる方の企業側にしてみれば、非常にそこは一種の責任を問われることになりますので、自分の仕事、商売にも差し支えることになりますので、私は、その意味では、非常に大きな意識を相手に与える意味においては大変有効だとは思いますが、直ちに生活センターが今、権限をというのはちょっとどうか、まだその前にやることがあるんじゃないかなと思うのが一点。

 もう一つは、ただ、それをするに当たっては基準をもっとはっきりさせた方がいいという点につきましては、ぐずぐずぐずぐずして、何となく基準がわからぬというのは担当者の気持ちだけで、物によってこんなに違うというのは公平さを欠くというところはあろうかと思いますので、その種の基準づくりにつきましては、一考を要するところがあるかなという感じがいたします。

長妻分科員 半分前向きなお話をいただきましたけれども、ぜひ池田局長も、そういうことをどんどん大臣に要望をしていただきたい。

 規制緩和とおっしゃられましたけれども、規制緩和は規制緩和で我々も進める。ただ、こういう製品の安全とか等々はちょっと逆に厳しくする必要もあるのではないか、今の日本の現状を見ますと。そういう気もいたしますので、国民生活センターの要望をぜひ池田局長が吸い上げて、どんどん大臣にぶつけていっていただきたいというふうにお願いします。

 次の話題ですけれども、さっきPIO―NETのお話が出ましたが、今、都道府県とかあるいは市区町村にある地域の消費者センターでは、製品の苦情とか、いろいろな、だまされたとか訪問販売とか、そういう受け付けのものが日本全国で四百十二カ所あるということでありまして、そこが日々、そういう苦情を受けているということであります。そこに入った情報は国民生活センターに一元的に流れるべきだと私は思っております。今、PIO―NETで流れるようには一応はなったというふうには聞いておりますが、ただ地域の消費者センターは、都道府県あるいは市区町村の管轄であり、国民生活センターの下部組織ではありませんので、ちょっと情報が来たら入れてくださいねと、これもまたお願いする。PIO―NETでは基本的に入力するということになっているやに聞いておりますけれども、ひどいものになると、都道府県、市区町村の消費者センターが苦情を受けて、その苦情が国民生活センターに届くまで、いろいろな入力の手続とかで、二カ月とかそのぐらいかかってしまうというような事例も聞いております。

 局長、ここに資料がありますが、平成十二年、日本全国の消費生活センターで一年間に受けた苦情の件数が三十四万八千五百九十一件あります。この三十四万八千五百九十一件はすべて国民生活センターに今、集まるようになっているのでしょうか。

池田政府参考人 お答えします。

 委員の御指摘は、すべての苦情がPIO―NETに入っているかということですか。それは、確かにおっしゃるとおり、すべてが入っているということはないと思います。

 ただ、今御審議いただいている来年度の予算案にはPIO―NETの強化拡充というのが盛り込まれておりまして、現在のところ百五十端末がPIO―NETと結びついておるわけですが、この予算案が成立いたしますと、御指摘の四百十二端末すべてにPIO―NETがつながるということでございます。

 先ほども、少し時間がかかるのじゃないかというようなお話がございましたが、例えば、今までは、そういう都道府県でないところの情報というのは都道府県に集約されて、都道府県が自分のところの端末に入れるということで少し時間がかかるわけですが、今度その端末をふやすということになれば、そこで直接入力ができるという形で、情報量は格段に広がるというふうに考えております。

長妻分科員 本当に一刻を争う被害が各都道府県にまたがってある製品で出たというときに、情報がすぐに集まらないと、ああ一件だけだと見過ごされることもかなりありますので、今、整備をどんどん続けているということでは、ちょっと時代の要請には遅いというふうに感じております。

 大臣は多分理解がありましょうから、ぜひどんどん予算を上げていただいて、基本的には、全国の消費者センターが受ける、例えば平成十二年三十四万八千五百九十一件のクレームが瞬時に国民生活センター、PIO―NETに入って、国民生活センターもデータベースとして蓄積できるような、そういう仕掛けを待ったなしで、一刻も早くつくっていただきたい。そのために予算を非常に急速にふやすことに関して国民の皆さんは反対されないと私は感じておりますので、そのところをぜひお願い申し上げます。

 それと、ちょっとそれに関連してでありますけれども、今、特殊法人をいろいろリストラされるという計画を政府は立てておられますけれども、国民生活センターをほかの特殊法人と一緒にして、一律にいろいろリストラ計画をされるというのは、まさかそうではないと思いますけれども、ちょっと国民生活センターはほかの特殊法人とは違う、必要な特殊法人だというふうに私は思っております。

 今後もずっと特殊法人がいいか悪いか、独立行政委員会みたいなものにした方がいいのではないかという議論もありますけれども、そういう意味で、むしろリストラをするのではなくて、クレームの受け付け体制、国民生活センターは大変少ない人数でクレームを受けている。これを、電話回線を極端に言ったら本当に何十本、何百本まではいかないかもしれませんけれども、要員もふやして、分析をする人もふやして、きちんと国民の皆さんにアピールをして、もっとクレームが来るように、当然クレームは玉石混交でありますけれども、それを見きわめる要員をふやす、予算をふやしていく、そういうような拡充をぜひ早急に、これはPIO―NETの拡充も含めてしていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、一言、理解ある発言をお願いいたします。

麻生国務大臣 理解ある発言と言われると非常に答弁に困るのですが、基本的には、四百十二のあれに全部、端末がつながるということになっておりますので、いろいろな意味で今までよりは情報の入手が格段にふえるであろうということは、想像にかたくないところであります。

 苦情が多ければ多いほどいいというわけではないので、苦情が出なければ一番よろしいのです。すべての買った人が皆、満足であれば苦情は来なくなりますので、苦情が多ければ多いほどいいというわけではないとは思いますけれども、世の中、余りいい人ばかりいませんし、だまされる人もだます人もいるので、そういった意味では、その種の話が、いろいろ似たような手口で同じような被害が起きるのを未然に防ぐ努力というのはされて当然なので、そこのところは確かに努力は要るのだと思いますが、基本的には、今言われましたように、この種の問題に対応する役所の立場としては、この国民生活センターというのは非常に大きな役割を果たしているということは、確かに認めていただかにゃいかぬところだと思っております。

 傍ら、今、独立行政法人の話が出ておりますのは、もう委員御案内のとおりですが、基本的には、この種のものは、独立行政法人にしても全く採算が合うような種類の仕事じゃないと思うんですね。したがって、収入がある程度ある、例えばいろいろなもので、特殊法人はいろいろありますので、そういったものとは少し異質なものなので、私どもとしては、この国民生活センターは独立行政法人にはなじまない、基本的にそう思っております。

 それから、今言われたように、より規制が緩和されるということは、だます人もだまされる人の数も常識的にはよりふえるということは、ある程度、人の世の中、覚悟しておかなきゃいかぬところだと思いますので、そういった意味では、この種のセンターというものの充実は、より必要なものだと認識しています。

長妻分科員 非常に前向きなお話をいただきました。池田局長、今の大臣のお話もありましたので、一律に独立行政法人とか、特殊法人のほかと同じように扱うのではなくて、ちょっと一味違う形、それと、PIO―NETでそれだけ情報が集まるということは、それを受ける国民生活センターの人員とか分析体制も比例してちゃんとしなければいけないけれども、今そういうふうになっているのかどうか。憶せずにというか、今後、予算要求をもっとどんどんして、国民生活センターの受け付け体制を、分析体制を拡充して、先ほど大臣からも、公表の基準も多少見直す必要もあるのではないかなというような御答弁もありましたから、それをぜひお願いいたします。ぜひ池田局長、その点はよろしくお願いいたします。

 次に行きますけれども、一つの案としては、私は海外の事例もいろいろ調べましたけれども、苦情そのものを精査して、それを公表していくということも必要ではないかということを感じております。

 それは、よく言われるのは、行政に集まる苦情は三%。全体の中の三%しか行政には集まらないとよく言われております。ほかの九七%は、企業のお客様相談室とか、あるいは販売店さんとか小売店さん、そういうところに苦情が集まる。そういう意味では、我々というか政府は三%しかない。

 ということはどういうことかというと、私も、前、経済誌の記者をやっていましたから、企業を敵だとか悪だとか言うつもりは全くありませんけれども、やはり行政として、今後、規制緩和の流れで自由の裏腹ということもありますから、企業に集まったクレームを、ある基準を政府で決めて、例えば死亡事故が起こった、その場合は無条件で、国民生活センターにそのクレームの内容とかを報告する、あるいはけがをした、けがをされた方が同じ製品で例えば三件以上起こったら、そのクレームは国民生活センターに報告をする。こういうような義務を企業に課していく、そして国民生活センターはそれを公表していく、こういうことが私はこれからの時代は必要じゃないかと。

 先ほど麻生大臣、監督官庁がいるじゃないかというお話もありましたけれども、私、監督官庁もそうだと思いますけれども、ただ逆に、これからの時代は、監督しながらそこのチェックもしていくというのはなかなか心情的にも難しいんではないか、機能的にも。むしろ、独立行政法人というよりも公正取引委員会のような、ああいう独立した委員会的なものの性格で、役割は監督官庁と違う、企業のそういう至らないところがあれば是正をしていくような役割をどう考えられているか。

 池田局長の後に大臣、お二人の御答弁を、そのクレームを、ある基準をつくって、企業から受けてそれを公表する、そういう仕掛けの感想でございます。

池田政府参考人 現在の苦情処理のシステムというのは、おっしゃるとおり企業にも来ているわけです。それから、地方の消費生活センターあるいは国民生活センター、あるいはいろいろな監督官庁のところに来るということで、それぞれがそれに適切に対処するという複層的なシステムで行われているわけです。

 特に、企業に寄せられた苦情相談については、やはり企業が適切に処理するということが望ましいのではないかと考えております。私どもとしては、先ほど申しましたとおり、PIO―NETを充実させるとかいう形で私どものところに来る問題を処理するということで、それぞれのところで適切な処理をしていくということが大切ではないかと思います。

 それから、私どもが所管している公益法人の中に消費者関連専門家会議、ACAPというのですが、ございまして、これは企業の中の消費者対応部門の人たちが集まっているところでございますが、そういうところと連携をとって、企業の自主的な苦情の処理を支援してきております。なお、今後とも一層やっていきたいと思っております。

 ただ、委員御指摘のような、センターへ報告の義務化を図るというような話は、規制緩和というような中でやはり問題があるのではないかなという感じを持っております。

 以上です。

麻生国務大臣 政府が知る苦情は全苦情の三%という、ちょっとその数字を私は知らないんですが、私は正直言って、企業に九七%も行っているのかと思って、正直そっちの方がびっくりしたんですが。

 よく言われるのは、例えば、ミドリ十字なんというのが騒ぎになったのは御記憶あろうかと思いますが、あの種の話は、まずミドリ十字に文句を言うのが筋で、それより先に厚生省にわんわんわんわん乗り込まれても、厚生省にしてみれば非常に、それはおまえ、取り締まる立場の前にその企業に言うてもらわないかぬということに多分なるんですね。

 そういった意味では、基本的には、この国では、何か企業に問題があると、取り締まっていないとか監督が不行き届きだと思って、役所に文句を言ってこられるという数が多いと認識していたにもかかわらず、三%しかないというお話だったんで、それならこの国はそこそこうまくいき始めているのかなと正直思いました。これは、私、正直な実感です。

 ただ、今言われましたように、企業に来たクレームはこっちに、例えば自動車にクレームが来れば通産省に報告せないかぬというようなこと、例を挙げれば多分そんなことだと思いますが、それを義務づけることをやっても、本人が報告しないで隠ぺいすればそれだけのことなんで、問題があるんじゃないかという話は企業に行って、やはり企業の意識の問題なんだと思うんですね。これを隠して見えないようにしておいて、後になったらどでかい話になってそっちの方の損害が大きいのと、最初のうちから問題ありと認めて、すとんと外に出すのと、どちらの方が企業にとって損害が少ないかというような意識が、最近、企業の危機管理としてそういう意識が日本でもわいてきているように思うので、そこが少し救いだと思いますので、直ちに今すぐと言われてもどうかなという感じが、私の率直な実感です。

長妻分科員 時間なので最後に一問ですけれども、まさに大臣のおっしゃられることは、一部、理解できることもあります。

 日本の場合、損害賠償制度に懲罰的賠償制度というのがありませんで、例えば、人間が事故で、製品の不備で亡くなられたとしても一定の金額だというようなことでありまして、アメリカの例で言いますと、GMという会社の欠陥車によって六人の乗っていた方が大やけどをされたということで、GMに、一人頭、日本円にして約一千億円払えというような判決がカリフォルニアで出たというふうに聞いておりまして、これじゃ企業はたまらぬ、行政なんかに言われる前に本当にきちんと対応しないと企業がつぶれてしまう、こういう危機感を持って、アメリカなんかは、言う前にぱっぱぱっぱ対応するという現象も聞いております。

 そこまでは、一千億円というのは行き過ぎでありますけれども、日本でも、どんなに不手際でやってもある一定の金額だというようなことではなくて、懲罰的賠償制度、こういうものも考え方を入れていく、検討する時期に来たんじゃないかなというふうに私は感じておりますけれども、これは多分、法務省の管轄だと思いますが、消費者行政担当の大臣から、感想として一言だけ短く、それで私の質問を終わります。

麻生国務大臣 これはなかなか難しいところですね。これは、弁護士の腕というのが非常に問われることになります。

 御存じかと思いますが、昨年の初めだったか、おととしの暮れだったか忘れましたけれども、泥棒に入ったら、天井が抜けて、床に落ちてけがをして、建てた家の製造が悪いといって、泥棒がその家をつくったやつを訴えたんですね。日本人の常識じゃ、ばか言うんじゃねえぞ、泥棒に入ったり、天井に乗る方がそもそもおかしいと思いますけれども、これは裁判やって勝ちました。弁護士の腕の違いがあったんだと思いますが、家をつくった建築会社はその泥棒に賠償金を払うというんで結構話題になったんで、読まれたかもしれませんが。

 この種の話はなかなか注意しておかぬと行き過ぎになりかねないところがありますので、よっぽど注意してかからないかぬところだとは思いますが、やはり最近の流れとして、企業としても、問題あるものを隠ぺいすることによって後で被害が大きくなったという例が現実的に起きてきていますので、そういったものが一つの流れとして出てくれば、それは一つのいい方向なんじゃないかなとは思っております。

 今すぐ例の懲罰的賠償制度というので、人の方も懲役二百三十年とかいうような、ああいったようなのが日本のあれになじむかなというのは、ちょっと正直、私どももまだ判断はつきかねますけれども、一つの方向としては、大変御示唆に富んだところだと思っております。

長妻分科員 時間なので質問を終わります。池田局長、頑張ってください。

 ありがとうございました。

亀井主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、三井辨雄君。

三井分科員 民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。

 福田官房長官にお伺いいたします。

 きょう私は、特に、二〇〇二年にDPI世界会議札幌大会が行われるわけでございますが、これに関しまして、私の地元が札幌でございますので、今、この世界会議には、札幌初め北海道も一体になって汗をかいて、事務局をつくりながら広報活動をしているところでございます。

 御存じのとおり、国連によって一九八一年に、完全参加と平等のテーマのもと、国際障害者年が提唱されたわけでございますけれども、これに合わせまして、アジアはもっと障害者に対して施策がおくれている、この推進、向上に向けて何とかアジア太平洋でも障害者に対して対策を立てようじゃないかということで、アジア太平洋障害者の十年が一九九三年にスタートしたわけでございます。

 このアジア太平洋障害者の十年も、いよいよ来年、二〇〇二年が最終年ということで十周年のフォーラム、それからRI、これは二年に一回開催されるわけでございますが、リハビリテーションインターナショナルアジア太平洋地域会議、この二つは大阪で開催されるわけでございます。

 DPIの会議というのは、四年に一回でございまして、これで六回目の大会になるわけでございますが、最初はシンガポールがスタートでございまして、前回はメキシコで開催されたわけでございます。日本においても何としてもこの大会を成功裏に終わらせるためにちょっと質問させていただきたい、こういうぐあいに思っているところでございます。

 まず一問目としまして、私は、この障害者施策を総合的に企画調整する立場にあるのは内閣府であると思っておりますし、これらの会議の実行方についてどのように位置づけているのか、そして、この三つの会議をあわせて、この性格や構想、開催規模、見込みなどについて、福田官房長官にお尋ねしたいと思います。

福田国務大臣 三井委員がこの障害者問題に大変真剣に取り組んでくださいまして、本当に敬意を表するところでございます。

 今御指摘ありました、札幌のDPIの大会、そしてまた大阪における太平洋地域の会議とか障害者十年の会議について大変御関心をお持ちであるということでございます。こういう会議が順調にいきますと大変よいことではないか、こういうふうに私も思っております。

 一つ一つちょっと概要を御説明させていただきますが、まず、第六回DPI世界会議でございます。これは、今ちょっとお話ございましたように、障害者の方が四年に一回、各国に集い、開催する会議でございまして、札幌大会は、権利条約の制定などをテーマとして、約百五十カ国から二千人の参加を得て、二〇〇二年十月十五日から十八日まで開催をする予定である、こういうように承知しております。

 次に、第十二回RIアジア太平洋地域会議は、リハビリテーションの専門家を中心に、アジア太平洋地域各国で二年に一回開催されております。大阪大会では、広く障害当事者の参加を得て共同宣言の採択を行うこととされておりまして、約八十カ国、地域から千人が参加されまして、二〇〇二年十月下旬に開催予定でございます。

 もう一つ、アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議でございますが、NGOの立場から障害者施策の推進を図るため、毎年、各国で開催されております。大阪会議は、五十二の国また地域から二百人の参加者を得て二〇〇二年十月下旬に開催される予定、こういうことになっております。

 これらの会議は、民間サイドで自主的に障害者の方々や関係団体がこうした会議に取り組まれる、こういうことでございまして、障害のある方自身の社会参加、そしてまた国際交流を促進する、こういう上でもって大変有意義なことであると思っております。

三井分科員 ありがとうございます。

 まさしく、今官房長官が答弁なさいましたように、これはオリンピックと同じように四年に一回という大変貴重な大会でございまして、特にこの大会、会議に参加される方は重度の身障者の方が多いのですね。二千人から二千五百人の参加を予定しているわけでございますけれども、その中で、約千人ぐらいが車いすとストレッチャーで来られる方なんです。こういう方たちが一度に来られる。特にこの三分の二がアジアからの出席ということを聞いております。なかなか日本人というのは、ボランティアというのは行き届かないところがございまして、また、札幌は十月十五日から十八日までですが、昨年は十七日に雪が降っているのですね。十月というのは非常に寒くて、特に気候の温暖なところから来られる方々が多いわけでございますから、いろいろな問題を実は抱えているわけでございます。特に、リフトつきのワゴン車とかリフトバスとか交通機関の問題、宿泊施設あるいは金融機関とか、こういうところのバリアフリーの問題とか、大変いろいろな問題を抱えているわけでございます。

 ちなみに、長野のパラリンピックの報告書によりますと、約百八十三名の方が参加しているのですね。あるいは、大分で行われました車いすのマラソン大会なんかですと、約五百名から六百名の方が参加されているわけでございます。その規模から見ますと大変な大きな規模でございまして、ちなみに、メキシコ会議では約一千五百名だったのです。ですから、それの約五割増しということで参加されるということでございます。

 ぜひともこの中で私がお願い申し上げたいのは、長野のパラリンピックに並ぶような取り組み方をしていただけないものかということを官房長官にお伺いしたいわけです。

福田国務大臣 長野のパラリンピックと比べられたわけでございます。御案内のとおりでございますけれども、長野のパラリンピックは大変しっかりした基盤の上に実施をされたわけでございまして、長野オリンピック、これはパラリンピックでなくてオリンピックの方ですが、と同じような扱いをされたわけでございます。我が国はもとより、各国国民の注視の中で行われました世界最大の障害者スポーツの祭典であった。こういうことで、政府の方も、閣議了解も得まして、関係行政機関が必要な協力をいたしました。

 今回は、先ほど申しましたように大変意義のあることである、そういう行事ではございますけれども、長野と比較してもいけないのかもしれませんが、私どもとしても、この行事の御趣旨から考えてどのような協力ができるのか、また研究してみたいと思っております。

三井分科員 ぜひ研究方をお願い申し上げたいと思います。

 DPIの皆さんも、決してすべて国にお世話になるのではない、あるいは支援団体だけにお世話になるのではなくて、自分たちでできる限りのことはやっていこうということで、実は私からもDPIの幹部の方にお話し申し上げましたし、DPIの方からも、私たちも一生懸命努力していきたいと。

 ただ、なかなか、先ほど申し上げましたように、今の進捗状況というのでしょうか、既に事務局ができておるのですが、交通の問題、移動の問題についてはどうなっているのかということをちょっと聞いてみたのですが、ノンステップバス、低床なもの、これを大体二〇〇二年の十月十五日の開催までに、今は二台ぐらいしかないのですが、二十台までにふやしていきましょうということは札幌市の交通局とはお話がついているようなんです。

 しかしながら、リフトのバス、先ほど申し上げましたように、特に重障の方が多いものですから、ストレッチャーで運ぶ、あるいは車いすをリフトで運ぶとか、こういうことになりますと、リフトバスというのはなかなか、私も病院等を経営していますけれども、医療施設を経営しているのですが、このリフトバスというのは非常に高額でございまして、北海道でも本当に一台か二台しかないと思うのです。こういうバスが一千名の方が来られる中ではそれで間に合うのかということも実はお聞きしたのですが、全国各地からあいているバスをできればお借りして、ぜひともこれからそういう作業に入りたいと。

 それから、リフトのワゴン車がございますね。私どもの施設にもあるのですが、これは一人から二人乗りぐらいなんですね。これは、通常、高齢者の移動に毎日、在宅ですとかそういうのに使っているわけですね。これを百台用意するというのです。ところが、百台お借りするにしても、北海道だけじゃ間に合わないから、全国各地から百台をそろえていきたいと。しかしながら、今申し上げましたように、そう簡単にはこれは集まらないのではないだろうか、こういうぐあいに私は思っているわけでございます。

 宿泊施設もそうなんですが、今のホテルというのは決してバリアフリーにできているわけじゃございませんし、また、札幌の地下鉄等もエスカレーターもないところがほとんどでございまして、高齢者の方なんかも相当お困りになっているわけでございます。特に、会場が札幌市内なんですが、ホテルとは、近いところでは二十分ぐらい、遠いところで三十分から四十分ぐらいの会場ということになるのです。

 そういう中で、ぜひともやっていただきたいのは、ホテル等を仮設のバリアフリーにするとか、今申し上げました車等への対応とか御助言とか、そういうことをぜひお願い申し上げたいと思うわけでございます。また、この辺のインフラ整備についても、官房長官の御所見の中でお伺いしたいと思います。

風岡政府参考人 国土交通省の取り組みということで御紹介させていただきたいと思います。

 先生御案内のように、私ども、バリアフリー化ということにつきましては、かなり熱心にやらせていただいているというふうに思っております。平成六年度からはハートビル法の施行というような取り組みもしておりますし、また、昨年の十一月からは交通バリアフリー法の施行というものも行っております。また、道路におきましても、歩道のバリアフリーの設計基準をつくるというようなことで、歩行空間のバリアフリーというのをやっております。

 また、こういったバリアフリー施策を私どもとして支援していくために、予算それから税制、融資、そういった面でいろいろな施策も準備をしているわけでございます。特に予算につきましては、十三年度予算において、公共交通機関のバリアフリー化というために二百億円の予算というものを措置しておりますし、また、歩行空間のバリアフリー化ということで予算的には二千五百億円というものも準備しております。さらには、補助、融資ということに加えまして、税制面でも、特に十三年度からは新たにスロープつきタクシーについての特別償却、こういう制度も準備をしております。

 御指摘の、二〇〇二年に開かれます第六回のDPI世界会議でございますが、当然、いろいろな意味で基盤整備、インフラ整備ということが確かに重要な課題であると思います。札幌市内の会場周辺地区それから宿泊のホテル周辺など、札幌の都心地区につきましては、従来より、バリアフリーのネットワーク整備の一環ということで歩道の整備だとか、JRの札幌駅あるいは最寄り駅となります豊平公園駅、こういったところにもバリアフリーということでの取り組みというのは私どもも一生懸命やってきたところであります。

 いずれにしましても、制度はある意味ではいろいろな形でできてきましたので、地元の皆さんの意向というものもよくお伺いをしながら、国土交通省としてさらにどういう取り組み、応援ができるのか、真剣に考えていきたいというふうに思っております。

三井分科員 ぜひお願い申し上げたいと思います。特に、今、高齢化じゃなくてもう既に高齢社会になっておるわけでございますから、バリアフリーというのはもう当たり前のことになっているのじゃないだろうか、そういう意味では日本は大変おくれているなという気がいたしているところでございます。

 予算の問題についてお伺いしたいと思います。

 内閣府の平成十三年度の障害者施策関係予算案の概要を拝見しました。残念ながら、このアジア太平洋障害者の十年、DPI世界会議札幌大会に関する項目は実は見つからなかったわけでございますが、大会の準備として性格づける事業があるのであればお示しをいただきたい。あわせまして、今後、全体の記念フォーラム組織委員会からの要望に基づいて二〇〇二年度の予算で必要な措置をいただけるものと思うのですが、何らかの形で前倒し的に財政支援をしていただけないのかどうか、お伺いしたいと思います。

福田国務大臣 内閣府が平成十三年度予算案において各省庁の障害者関係予算を取りまとめました。その結果、第六回DPI世界会議札幌大会関連経費は計上されていないということでございます。また、二〇〇二年度予算で必要な予算を確保すること、それからまた二〇〇一年度予算、これは計上されていないということでありますけれども、二〇〇一年度予算については執行によりまして財政支援を行うことができるかどうかということについて、関係省庁においてその意義とか必要性などについて検討する必要がある、こういうことでございます。その上でもって対応させていただきたいというように考えております。

三井分科員 ありがとうございます。あと一年、先ほど申し上げましたように、アジア障害者十年というのは最終年度でございますし、DPI世界大会も、DPIの方に聞きますともう二度とこれは日本に来ない大会でもある、そういう意味において、国を挙げてぜひ御支援をお願い申し上げたいと思いますし、来年度の予算にぜひ組み入れていただきたいと思います。

 そこで、お伺いしたいのですが、このDPI世界会議は、先ほど申し上げましたように、今まで五回開催されているわけでございますが、それぞれの開催実績について、福田官房長官、もし御存じでしたら、簡単で結構でございますから御所見をお願いします。

江崎政府参考人 御質問のDPI世界会議でございますが、先生御指摘のように、過去五回開催をされてございます。

 初回でございますが、昭和五十六年、一九八一年でございます。このときにはシンガポールで開催をされております。その後、政変等々で飛んだ年もございますけれども、昭和六十年、一九八五年でございますが、二回大会がバハマ諸島のナッソーで行われてございます。その次、第三回大会、これは平成四年、九二年でございますが、バンクーバーでございます。四回が平成六年、九四年、こちらはシドニーでございます。一番最近の第五回大会、これが平成十年、一九九八年でございますが、メキシコシティーで開催をされておる。このように承知してございます。

三井分科員 まさに、この六回大会は過去の五回大会よりも大変規模の大きい大会になるということは御存じだと思います。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 そこで、お伺いしたいのですが、先ほど官房長官に申し上げましたように、この大会は、メキシコにおいては、セディジョ・メキシコ大統領もあいさつをされているという、まさに国を挙げて、こういう障害者の大会にごあいさつをされるということでございますので、国際的な観点から申し上げまして、総理大臣はそのときはどなたがなっているかわかりませんが、ぜひ総理に御出席いただいてごあいさつを賜りたいということを期待するわけでございます。(発言する者あり)できれば……。本当に皇室関係者は多いのですね。特に中東ですとかアジアにおいては、メキシコ大会もそうでしたが、皇室関係者の方が突然いらっしゃってあいさつをされるとか、そういうこともございますし、ぜひその辺のことについては御検討をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、二〇〇〇年の十月十七日に発足したのですが、超党派による障害者国際会議推進議員連盟、会長が橋本行政改革・沖縄北方対策担当大臣、並びに坂口厚生労働大臣、現職の閣僚の方々がこの議員連盟に参加されているわけでございます。また、我が民主党においても、横路副代表が会長代行として顔をそろえております。

 こうした国政の御支援も進んでおりますし、アジア太平洋障害者の十年を提唱し、国際的にもぜひ先頭に立って推進しなければならないのが日本の立場だと私は思っております。最終年の記念フォーラム並びに第六回DPI障害者インターナショナル世界会議札幌大会をぜひとも成功させるために、官民の枠を超えて幅広い取り組みをお願い申し上げたいと思うのですが、官房長官に御所見をお伺いしたいと思います。

福田国務大臣 もう御案内のことでございますが、アジア太平洋障害者十年、これは国連障害者の十年が終了した後に、アジア太平洋地域においては障害者施策になお立ちおくれが見られるということから、引き続き国際的な活動を通じ各国の障害者施策の推進を図る必要があるという考え方から、一九九二年にESCAP第四十八回総会において、我が国及び中国が提唱して、決議、採択をしたものでございます。最終年に当たります二〇〇二年には、一九九八年のESCAP総会決議により、十年の評価と今後の活動をテーマとする政府間地域ハイレベル会議の開催に向けて努力するということは決定されているわけでございます。

 政府も、この会議を我が国で開催することについて、関係省庁と検討、協議するとともに、民間ベースで行われる先生御指摘の三つの会議との連携、協力のあり方について関係団体などと御相談をしてまいりたい、このように思っております。

三井分科員 福田官房長官からも今御答弁いただいたように、ぜひとも、恥ずかしくない、世界から笑われないような会議に、日本にもこういう温かい会議があるのだ、そして、本当にボランティアも一生懸命やっているのだ、そして、後々嫌な思いをさせない。特に、北海道はちょうど食べ物がおいしい時期でございまして、トウモロコシですとかサケですとか、そういうものをぜひお食べいただいて、それぞれの国に帰っていただいて、札幌はよかったよ、日本はよかったよ、このようにぜひPRしていただける、障害者にも非常に温かい国だということを、ぜひそういうインパクトを与えるようなサービスを提供していきたい。

 それには、今一生懸命、札幌市も北海道も応分の負担をしながら広報活動をしておりますし、DPIの皆さんも、連日、私どもと連絡をとりながら、いろいろな諸団体と交渉を続けているところでございますので、彼らも決して、先ほど申し上げましたように、すべて国にお願いするということではなくて、自分たちも汗かくから何とか国としても御支援願いたいという依頼がございました。私も、北海道、札幌選出の国会議員として、ぜひとも成功させたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間が多少あるようでございますので、質問事項にはないのですが、先ほど申し上げましたように、私も医療施設を経営しながら、いろいろな国を見てまいりました。

 特にバングラデシュに行ったときには、私が大変びっくりしたのは、ちょうどサイクロンがあった後だったのですが、御存じのとおり、大変貧しい国でございましたし、そこでODA資金で建てた病院を見学させていただいたのですが、表向きはれんがづくりですばらしく立派なんです。まさに、本当にこれが病院かと思うぐらいすばらしいのですが、しかし、中へ入りますと、器械類ですとか、医療機器は全くございませんし、患者さんもほとんどいない、ベッドもがらあき、そういうような全く魂が入らないような病院をつくっているのですね。

 これなんか、これは官房長官に申し上げることではないのですが、今後、こういう中で、お金の使い方、ODA資金の使い方、あるいは公共投資の問題も今いろいろ言われておりますが、ああいうのを見たときに、もう一方、ダッカにあるダッカ大学という附属病院なんというのは、本当に野戦病院のような、もうひどい汚い病院でございまして、そこは患者さんがあふれているのですね。

 ですから、なぜODA資金で建てたきれいな病院がこのように患者が入らないんだということをお聞きしましたら、レントゲンの管球が切れているのですね。レントゲンの管球が切れているということはレントゲン撮影もできないんだ、心電図の器械も壊れているんだ、ところが、直すのに、管球というのは一個三百万くらいするのですが、これを買うお金がないんだということなんですね。ですから、私は、後々のことも考えながら、アフターもできるようなODA資金の使い方をこれからしていかなければならないなと。

 特に、先ほど外務省の方にも申し上げてきたのですが、ODA資金の中で、日本に来られる、今回のDPIに参加される方に、そういうお金をぜひとも回していただきたい。特に三分の二がアジアから来られるわけですから、こういう方々は決して裕福じゃございませんから。そういう中で、登録料も、聞くところによりますと、四万から五万という非常に高額なんですね。日本に来ても物価は高い。そういう意味では、日本からメキシコに行ったときは、一人当たり三十万から四十万かかったそうでございます。

亀井主査 時間が参っております。

三井分科員 そういうことで、ぜひ官房長官にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

亀井主査 これにて三井辨雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。

 政府は、二〇一〇年までの基本方向、二〇〇五年までの具体的施策として、昨年十二月、男女共同参画基本計画を策定しました。しかし、この基本計画全体は、現行の法制度の範囲内での施策や検討事項にとどまっています。また、政府のこれまでの行動計画である男女共同参画二〇〇〇年プランからも、また昨年九月に出された男女共同参画審の答申、男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方からも後退したものであると言わなければなりません。

 二十一世紀に入りまして、日本では事実上の男女平等にほど遠いと言われているわけでありますから、私は、きょうは基本計画の問題で幾つか質問させていただきます。

 まず、昨年九月の答申でございますけれども、その中には、このように書かれているのですね。男女共同参画ビジョンがありましたね。おおむね二〇一〇年までを念頭に置いたもので、「そこに示された基本的方向は現時点においてもなお有効である。この答申もビジョンと同様おおむね二〇一〇年までを念頭に置いて取りまとめたものであり、政府は、基本計画を策定するに当たっての基本的方向としては、ビジョンの内容を踏まえるとともに、人権尊重の理念に立脚しつつ、本答申の第二部において述べる取組を推進する必要がある。」

 つまり、今回の基本計画は、この男女共同参画ビジョン、これは九六年の七月でございますけれども、これに基づいてつくらなければいけない、また、踏まえたものであると理解していいと思うのですけれども、改めて伺っておきたいと思います。

福田国務大臣 男女共同参画基本計画の策定に際しまして、昨年九月に、男女共同参画審議会から男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方についての答申をいただいたところでございます。

 この答申におきましては、男女共同参画ビジョンに示された基本的方向は現時点においても有効であり、政府は、基本計画を策定するに当たっての基本的方向としては、男女共同参画ビジョンの内容を踏まえるべきことが提言されているということでございます。政府としては、この答申を受けて男女共同参画基本計画を策定したところでございます。

石井(郁)分科員 既に二〇〇〇年プランという政府計画がございまして、それが終わったので、改めてまた基本計画ということになっているわけでございますから、そこでひとつ伺いたいのですけれども、今回の策定に当たっては、二〇〇〇年プランの進捗状況を勘案する、残された課題に対応するために必要な施策を盛り込むというふうになっているかと思いますが、ではその二〇〇〇年プランでどこまで何が達成できたのかということで、もちろん施策もたくさんございますけれども、男女平等という観点で、あるいは女性の地位向上という観点で、政府として、主な点としてお答えいただければと思います。

福田国務大臣 男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましては、さまざまな事項を取り上げておりまして、それらについて達成状況を一概に言うことは、取り組み状況とかそれからまたその評価もさまざまでございますので難しいということもございますけれども、二〇〇〇年プラン策定後の具体的な成果の主なものを、委員の御要請でございますので申し上げます。

 例えば、二〇〇〇年プランに提言された男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律について、平成十一年六月に男女共同参画社会基本法が公布、施行されたこと。そして、平成九年六月の男女雇用機会均等法の改正によりまして、募集、採用から退職までの雇用の各場面における女性に対する差別の禁止というポジティブアクションに対する国の援助などが規定されました。それから、平成十一年七月に施行されました食料・農業・農村基本法において、女性の参画の促進が規定されました。また、平成八年五月に男女共同参画推進本部が決定した審議会等委員への女性の参画を二〇%とする目標を、その期限より一年前倒しで達成したことなどがございます。

 男女共同参画社会の実現のための各般の取り組みがこのように進められているというように理解しております。

石井(郁)分科員 そういう状況はあるかというふうに思うのですね。ただ、私どもは、事実上の男女平等という点で考えますと、やはり賃金格差の問題、これが非常に大きな問題だというふうに考えているわけでございます。

 今御答弁のように、ビジョンとプランを踏まえて二〇一〇年までの新たな計画だということでございますけれども、そのビジョンにもプランにもこの男女賃金格差の問題は一定書かれていたわけですよ。にもかかわらず、今回その問題が取り上げられていないのはなぜなのかということを伺いたいわけでございます。

 申し上げるまでもなく、日本の男女賃金格差の問題というのは、EU諸国の賃金格差は男性の約八割です。日本の場合は、女性の平均賃金は男性の約六割、パートを含めますと、四九・一%、五割を切っている。国際的にも際立った格差がある。だから、この是正は急務だと思うのですね。

 とりわけ、九九年の四月から労働基準法の女子保護規定が撤廃されまして、労働省の調査によりますと、所定内深夜労働がある企業の四・三%で女性の深夜労働が行われています。深夜労働、時間外労働など、多くの職場では男性と全く同じような働き方をしている。ある自動車会社では、多くの女性がラインについている。深夜、休日、残業を含めて、男性と全く同じ仕事をしている。しかし、女性の賃金は平均すると男性の七割。仕事の内容、熟練度、労働時間、勤務形態から考えて、賃金は当然同一にすべきだというふうに思うわけです。

 そういうことで、この二〇〇〇年プランにも「賃金格差解消に向けた取組」と一定書かれていました。労働基準法に定める男女同一賃金の原則の徹底を図るだとか、あるいは男女の賃金格差をもたらしている原因を分析して改善方法の検討を行うとか、ずっとビジョンにもプランにも書かれてきた。答申にも一定書かれてきた。しかし、今回の計画から全くそれが盛り込まれていない。これはどうしてなんでしょうか。

福田国務大臣 基本計画の基礎となっております二〇〇〇年プラン、ここでは、男女間の賃金格差は、男女の就業分野、職種、勤続年数に差があることが大きな要因でございますから、これを縮小するには、各種の雇用機会が男女に均等に開かれていること、そしてまた男女がともに職業生活と家庭生活とを両立できることが重要であるというようなことが盛り込まれております。

 今回の基本計画においても、平成二十二年度までを見通した施策の基本的方向及び平成十七年度末までに実施する具体的施策の重点目標として、雇用などの分野における男女の均等な機会と待遇の確保、また男女の職業生活と家庭、地域生活の両立の支援を掲げておりまして、この枠組みに沿って必要な各般の措置を講じていけば、結果として賃金格差の縮小につながる、こんなふうな考え方をいたしております。

石井(郁)分科員 しかし、項目として、この男女賃金格差の解消に取り組むというような、あるいは賃金格差はこのようにあるというような分析というか、問題点の指摘というか、そういうことがないというのは、いかにも現状からかけ離れているような気がしてならないわけですね。

 この点では、私、二月六日の本会議の代表質問をさせていただきまして、総理からも、男女間で賃金格差が存在することは否定できないと答弁がございます。こういう格差をどうやって是正するかというのは、今一つのお考えはいただいたかと思いますが、しかし、それでいいのかなということは、到底納得できないわけであります。

 そこで、その議論は、今十分時間はございませんけれども、この日本の男女賃金格差の是正については、ILOなどから再三勧告を受けていますね。国際社会からも政府の取り組みは注目されている。だから、この問題は、私どもは、企業の責任で、一つは企業としての努力はあると思うんですが、やはり政府として、政治の責任で解消のためにどういう取り組みをするのかということをはっきりお示しいただかなくてはいけないというふうに考えているわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

福田国務大臣 男女共同参画基本計画において、「雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保対策の推進」として、「男女雇用機会均等法の履行確保」「企業における女性の能力発揮のためのポジティブアクションの推進」というようなものを盛り込んでおります。また、「男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援」として、「多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実」「仕事と育児・介護の両立のための雇用環境の整備」などを推進するということを記述しているわけでございます。

 こういうようなことを施策として実施するということが男女賃金格差の縮小につながるというように考えております。

石井(郁)分科員 私どもも、この男女賃金格差が非常に広がるという点でいいますと、低賃金のパートタイム労働者、ここの大半がパートの女性なんですね。パートで働く人たちの大半が女性だという問題があります。ここの問題にきちんとメスが入らないと、この賃金格差というのは埋まらないだろうというふうにも一つ思うわけであります。

 その点で、今回の基本計画には、またパートタイム労働法の改正というような問題も視野に入らない。最初に申し上げましたように、要するに、現行法制の枠の中での計画にとどまっているという問題点を私申し上げましたけれども、今パートタイム労働者の問題でいいましても、やはりパートタイム労働法の改正ということに向かわなければ、この大変な劣悪な状況というのは変わらない。

 例えば、女性の短期雇用者が急増していまして、仕事の内容は正社員と変わらないけれども、昇給もボーナスもない、一日六時間、月二十日働いても月収は十一万に満たないというようないろいろな切々たる状況があります。そういう点で、四年前に比べてもパートタイム労働者の賃金とか労働条件は改善されていないんですね。

 だから、賃金格差は全然埋まっていないという統計もありますので、一体こういう状況をどうやって改善するのか。政府の基本計画の中にこの問題を本当に解決する方向がなぜきちんと盛り込まれないのかという点で、重ねて伺っておきたいと思います。

坂東(眞)政府参考人 お答えいたします。

 パートタイムに関しましては、先生御指摘のとおり、まだまだ大変正社員との間に格差があるわけでございますけれども、パートタイム労働対策を総合的に推進するというのは基本計画の中の具体的な施策の中にも挙げておりまして、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律及び指針の周知徹底ですとか、契約も交わさないで働いているというようなことがございますが、そういったパートタイム労働者の労働条件の明示の徹底ですとか、パートタイム労働者の雇用の安定、パートタイム労働者に対する能力開発等々の施策を講じるということを盛り込んでおります。

石井(郁)分科員 私は、本当に現行法の枠内ではこれは解決できないというふうに考えますから、二〇一〇年までの計画ですから、もっと積極的な方向性を示していいのではないかということで伺っているわけです。

 ちなみに、ヨーロッパでもパートタイム労働者はふえているという点で、九七年にEUがパートタイム労働指令を出していますね。これは、パートタイム労働者であるというだけの理由で、比較可能なフルタイム労働者より不利な待遇を受けないということなどを規定するということで、このEUパートタイム労働指令に基づいて、ドイツまたフランス、それぞれ法改正に向かっているということがあります。

 例えば、ドイツでは、病気手当や有給休暇についてもフルタイム労働者と同様に認められる。フランスでは、賃金はフルタイム労働者との平等比例とされる、年末特別手当も支給対象だ、フルタイム労働への転換を希望するパートタイム労働者に対して、フルタイムポストへの割り当てにおける優先権を認める。そういう形で、待遇の改善、働く方々の権利や生活の保護ということに向かっているわけでしょう。

 私は、EU諸国のパート労働法、また、賃金の時間比例の原則、処遇の平等というILOのパート条約に見られるような国際的到達点に我が国の法制を引き上げていくということがやはり必要だというふうに思いますが、その辺、いかがでしょうか。

 また、答弁を御一緒にいただきますけれども、この点は昨年九月の答申でも触れているんですよ。答申では、「女子差別撤廃条約の選択議定書やILO条約等の未締結のものについて、」「積極的な対応を図っていく必要がある。」というふうに書かれておりました。そして、昨年十二月には、女子差別撤廃条約に違反する行為がある場合は、個人でも国連女子差別撤廃委員会に申し立てができるという女子差別の選択議定書が発効している、十五カ国が批准をしているという状況ですね。

 だから、日本の女性の基本的諸権利を国際的な水準に高めていくということは緊急の課題であり、そういう国際的な到達点に沿って施策を進めなきゃいけないというふうに思うんですが、この二点についていかがでしょうか。官房長官、よろしくお願いします。

坂東(眞)政府参考人 お尋ねのILOパート条約が答申で言っております女性にかかわりの深い未締結のILO条約の中に含まれるかどうかというのは定かではございませんけれども、ILOパート条約につきましては、国内法制とのいろいろな整合性を図っていかなければならないということで、慎重に検討してまいりたいと思いますし、また、パート労働につきましては、厚生労働省の方で所管しておりますけれども、男女共同参画局としても、十分連携をとって、その促進、改善のために努力していきたいと思っております。

石井(郁)分科員 私、最初に申し上げましたように、この基本計画は、男女共同参画のビジョンと二〇〇〇年プラン、そして答申があって出されたものだという、そのとおりだというふうに御答弁いただいたと思うんですが、しかし、この重要な問題、これはもうビジョン以来ずっと指摘されている問題、つまり、「女子差別撤廃条約の選択議定書やILO条約等の未締結のものについて、」「男女共同参画の視点から積極的な対応を図っていく」とずっと書かれたことが基本計画の中に落ちているんですよ。

 官房長官はそういう御認識ございますか。そして、二〇一〇年までこれを落としたままでいくんですか。何でこの重要な問題が落とされているのか、これを伺っておきたいと思います。

福田国務大臣 御指摘の点は、昨年の十二月十二日に策定されました男女共同参画基本計画において、女性にかかわりの深い条約のうち未締結のものについては、世界の動向、国内諸制度との関係も留意しながら、男女共同参画の観点から積極的な対応を図る旨記述をされているわけでございます。

 政府は、基本計画は答申の趣旨を十分尊重したものである、こんなふうに考えております。

石井(郁)分科員 しかし、重ねて、基本計画の中に入っていないですよね。それはどういうことなんでしょうか。これは入っていなくても、ちゃんとその趣旨は踏まえるんだという御理解ですか。(福田国務大臣「そう、そういうこと」と呼ぶ)いや、だけれども、何で入らなかったんですかということを伺いたいんです。

坂東(眞)政府参考人 基本計画の中におきましては、「女性に関わりの深い条約のうち未締結のもの」というふうな表現をしておりますが、世界の動向あるいは国内の諸制度といろいろ整合性を図りながら積極的に対応をしていきたいということでございます。

石井(郁)分科員 今、官房長官の御答弁のように、答申の趣旨はちゃんと踏まえるということで、ぜひこれは政府として、きちんと国際的な動向に、日本の女性の権利を引き上げるという立場で対応していただきたい、早く対応していただきたいということをお願いしたいと思います。

 私ども、この基本計画の中には、大いに積極的に早く実行に移すべきだという問題も幾つかあるというふうに考えているわけですね。

 そういう点で伺いますが、例えば、仕事と子育ての両立のための問題というのは、今大変重要な問題です。長時間残業免除請求制度だとか短時間勤務制度だとか、子供の看護のための休暇などの新しい制度の検討などなど触れられていると思うんですが、こういう点では、五年の計画と言わずに、あるいは五年でもどういう年次計画でされようとしているのか、私たちは、本当に一日も早くこういうことを実行に移すべきだと考えている立場から、お考えを伺っておきたいと思います。

福田国務大臣 男女共同参画基本計画におきましては、仕事と子育ての両立支援につきましては、男女の職業生活と家庭、地域生活の両立の支援を掲げて、多様なライフスタイルに対応した子育て支援策の充実、そして仕事と育児、介護の両立のための雇用環境の整備などさまざまな施策が盛り込まれているところでございます。

 少子高齢化の進展など、我が国の社会経済情勢は急速に変化しているという状況にかんがみ、家庭生活における活動と仕事その他の活動を両立させ、安心して子育てができる社会を築くことは重要な政策課題であるというように考えておりまして、これらの仕事と子育て両立支援に関する施策を着実に推進してまいりたいと思っております。

 また、内閣府に設置されました男女共同参画会議におきましても、現在、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会を設置しまして、さらに検討を進めているところでございます。その検討状況も踏まえながら、取り組みを進めてまいろうと考えておるところでございます。

石井(郁)分科員 仕事と育児や介護など家族的責任を本当に男女が平等に分かち合っていくという点では、やはり男女の働き方の問題、働かせ方の改善とかあるいは労働時間の短縮とか、全体的な問題があると思うんですね。

 そういうことで一点具体的に伺いたいのは、労働基準法の女子保護規定の撤廃のときに、激変緩和措置ということで、小学校入学までの子供の育児や介護に当たる女性労働者で希望する人については年間百五十時間に制限すると、時間外労働の制限措置がとられました。しかし、この措置は二〇〇二年度末には終了なんですね、激変緩和措置ですから。

 この激変緩和措置終了後に、じゃ、これはもうなくなるのかという点は、大変皆さんが関心を持っていらっしゃいますし、なくしたら大変なわけでございまして、政府としてどういうお考えでいらっしゃるか伺っておきます。

熊谷政府参考人 お答えをいたします。

 今ほど先生から御指摘のございました女子保護規定、これは十一年の四月から解消されておるわけでございまして、その後、激変緩和措置が来年の三月まで講じられておるわけでございます。

 その後の問題につきましては、仕事と育児、介護の両立のための雇用環境の整備を図るという観点から、今般、育児、介護を行う労働者が一年百五十時間を超えます時間外労働の免除を請求することができる制度の創設を盛り込みました、育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出いたしまして御審議をお願いしている、そういう状況でございます。

石井(郁)分科員 次に、ちょっと話題を変えまして、各審議会への女性の参画状況、これについて伺いたいと思います。

 この計画でも、国の審議会などの委員の女性委員は三〇%にするという目標が出されております。しかし、昨年九月の調査を見ますと、女性委員が占める割合というのは二〇・九%なんですね。女性委員が三〇%を超えている審議会等はほんのわずかです。百九十七中十八。女性が一人もいない審議会等が十一もあります。部会、専門委員会になりますと、女性の参加がゼロの部会というのはさらにふえるという状況です。

 私は、女性の積極的選任を図ることは政府自身の責任が問われる問題だというふうに思うんですね。これはもう計画として出されていることでありますから、大いに進めていただきたい。すべての審議会について、部会や専門委員会等も含めて、早急に三〇%以上に女性の参画を促進するということを要望したいと思いますが、いかがでございましょうか。

福田国務大臣 国の審議会などにおける女性委員の登用、これは平成十二年度末までに二〇%とするという目標を掲げておりました。これは、平成十二年度末よりも一年早くこの目標を達成いたしまして、そういう達成状況を踏まえまして、昨年の八月に男女共同参画推進本部で、平成十七年度末までのできるだけ早い時期に国際的な目標である三〇%を達成しよう、こういう新たな目標を設定いたしました。これらの内容は昨年の十二月に策定した男女共同参画基本計画にも盛り込んでおります。

 政府といたしましては、新たな三〇%目標の早期達成に向けて、引き続き国の審議会等委員への女性の参画の拡大に努めてまいりたい、こう考えております。

 委員御指摘の部会、専門委員会に属するような方、正規の委員であればすべて三〇%目標の対象となりますけれども、臨時委員とか特別委員、専門委員などにつきましては、正規の委員と異なる位置づけでございますので、三〇%目標の直接の対象とはなっておりませんけれども、今回の基本計画においては、これらの委員についても女性の積極的な登用に努めるという旨を盛り込んでおります。

石井(郁)分科員 最後に一点伺います。

 この基本計画が出されたときに、各新聞の報道の中で、選択的夫婦別姓など民法改正が五年後に先送りにされたということが出されて、ちょっと落胆の声が各方面から出されました。選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の短縮などの民法の改正について、法制審議会は九六年に答申を出している。九八年以来野党共同で民法改正法案が国会にも提出されています。私は、やはり政府として、これは直ちに法改正に着手していただきたいというふうに思いますが、もう五年後などと言わずに、この問題での御決意を伺っておきたいというふうに思います。

福田国務大臣 男女共同参画基本計画におきまして、男女平等の見地から、選択的夫婦別氏制度の導入について、国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進めるという旨を盛り込んでおります。

 この問題は、家庭、家族のあり方とも関連いたしまして、国民生活に大きな影響を与えるものでございます。また、積極、消極のさまざまな議論もありますので、国民の意識の動向を踏まえつつ、今後とも幅広い視点から検討していく必要があるということでございまして、引き続き検討とされております。

 したがいまして、この問題につきましては、男女共同参画会議など公的な場での議論だけでなくて、さまざまなシンポジウムなどを通じまして、国民の意識の動向を踏まえつつ検討していく、そういう必要があると考えております。

石井(郁)分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

亀井主査 これにて石井郁子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十九分散会




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