衆議院

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第1号 平成17年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大島 理森君    西川 京子君

      松岡 利勝君    石田 勝之君

      岩國 哲人君    佐藤 茂樹君

二月二十四日

 松岡利勝君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席分科員

   主査 松岡 利勝君

      大島 理森君    津島 恭一君

      西川 京子君    石田 勝之君

      泉  房穂君    近藤 洋介君

      平岡 秀夫君    佐藤 茂樹君

      白保 台一君

   兼務 宇野  治君 兼務 山下 貴史君

   兼務 泉  健太君 兼務 市村浩一郎君

   兼務 津村 啓介君 兼務 西村智奈美君

   兼務 桝屋 敬悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (青少年育成及び少子化対策担当)         南野知惠子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 小池百合子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (男女共同参画担当)   細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (有事法制担当)     村田 吉隆君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (産業再生機構担当)

   (行政改革担当)

   (構造改革特区・地域再生担当)          村上誠一郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)

   (情報通信技術(IT)担当)           棚橋 泰文君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 阿部 隆洋君

   裁判官訴追委員会事務局長 高田 健一君

   国立国会図書館長     黒澤 隆雄君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院長       森下 伸昭君

   最高裁判所事務総長    竹崎 博允君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  西  達男君

   政府参考人

   (内閣官房構造改革特区推進室長)

   (内閣官房地域再生推進室長)

   (内閣府構造改革特区・地域再生担当室長)     滑川 雅士君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       浅野間一夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            名取はにわ君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  田口 義明君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  東  良信君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      羽毛田信吾君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    矢代 隆義君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  戸田 量弘君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   辰野 裕一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           北井久美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長)           松嶋  賢君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     薦田 康久君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          松尾 庄一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     佐藤  錬君

  石田 勝之君     中村 哲治君

  岩國 哲人君     吉田  治君

  佐藤 茂樹君     白保 台一君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     西村 康稔君

  中村 哲治君     大谷 信盛君

  吉田  治君     近藤 洋介君

  白保 台一君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  西村 康稔君     中山 泰秀君

  大谷 信盛君     川内 博史君

  近藤 洋介君     泉  房穂君

  高木美智代君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     津島 恭一君

  泉  房穂君     平岡 秀夫君

  川内 博史君     石田 勝之君

同日

 辞任         補欠選任

  津島 恭一君     大島 理森君

  平岡 秀夫君     岩國 哲人君

同日

 第五分科員山下貴史君、市村浩一郎君、第六分科員宇野治君、桝屋敬悟君、第七分科員泉健太君、第八分科員津村啓介君及び西村智奈美君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管)


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     ――――◇―――――

松岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。羽毛田宮内庁次長。

羽毛田政府参考人 平成十七年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成十七年度における歳出予算要求額は六十八億七千百五十万一千円でありまして、これを前年度当初予算額六十九億二千六百八十三万七千円と比較いたしますと、五千五百三十三万六千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十二億七千七百八十三万円、皇族に必要な経費二億六千九百六十七万一千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億三千三百八十万四千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十六億四千四百二万六千円でありまして、前年度に比較して二千五百十九万二千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千十四万四千円の減少となっております。これは、故宣仁親王妃喜久子殿下の薨去等に伴うものであります。

 以上をもちまして平成十七年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十七年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百六十六億四千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億三千万円余の減額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百三十九億五千七百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 増加した主なものは、議員外交充実強化経費、憲法調査会最終報告書作成等経費及び国会審議テレビ中継装置等整備経費でございます。

 一方、減少した主なものは、職員の人件費及びシステム構築に伴う情報化推進関係経費でございます。

 なお、新議員会館整備を民間資金等活用事業として実施するために必要な業務支援委託費を引き続き計上いたしております。

 第二は、本院の施設整備に必要な経費でありまして、二十四億八千五百万円余を計上いたしております。

 この主なものは、新議員会館を民間資金等活用事業として整備するための施設実施設計費並びに本会議場硝子屋根改修及び分館委員室照明整備等の本館等庁舎の整備等に要する経費でございます。

 第三は、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに必要な経費でありまして、一億九千二百万円余を計上いたしております。

 第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、七百万円を計上いたしております。

 以上、簡単ではありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 なお、別途、新議員会館整備等事業を実施するため、民間資金等活用衆議院施設整備等事業として、限度額千五百七十七億五百万円余、年限十五カ年度の国庫債務負担行為を要求しております。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。川村参議院事務総長。

川村参議院事務総長 平成十七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度国会所管参議院関係の歳出予算額は四百九億円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十五億九千九百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度に計上されました通常選挙に伴う改選関係経費の減額によるものであります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百八十四億七千百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十二億七千四百万円余を計上いたしております。

 これは、新議員会館の実施設計、発注条件検討、本館議場屋根改修、テレビ中継施設機器整備及び本館その他庁舎等の整備に必要な経費であります。

 第三は、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに必要な経費でありまして、一億四千八百万円余を計上いたしております。

 第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成十七年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。黒澤国立国会図書館長。

黒澤国立国会図書館長 平成十七年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は二百三十九億四千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億二千七百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、管理運営に必要な経費、すなわち、人件費及び事務費等であります。その総額は二百五億五千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億九千六百万円余の減額となっております。

 これは、主として、退職者数の減に伴う退職手当の減額によるものであります。

 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、九億七千万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一千三百万円余の増額となっております。

 これは、科学技術分野の電子ジャーナル等の単価増に対応するための経費の増額によるものであります。

 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十九億六千二百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一億三千三百万円余の減額となっております。

 第四は、平成十三年度補正予算(第二号)により支出いたしました改革推進公共投資国立国会図書館施設費の償還金でありまして、四億五千三百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億八千八百万円余の増額となっております。

 以上、平成十七年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。阿部裁判官弾劾裁判所事務局長。

阿部裁判官弾劾裁判所参事 平成十七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千八百万円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三十八万円の減少となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。高田裁判官訴追委員会事務局長。

高田裁判官訴追委員会参事 平成十七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億三千六百八万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百二十二万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。竹崎事務総長。

竹崎最高裁判所長官代理者 平成十七年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十七年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百五十九億四千九百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百五十六億二千七百万円と比較いたしますと、差し引き百三億二千二百万円の増加となっております。

 次に、平成十七年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中、特に、増加し、かつ、複雑困難化している民事事件等の適正迅速な処理を図り、また、裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官六十五人、合計百四十人の増員並びに振りかえによる書記官百二十五人及び家裁調査官五人の増加をすることとしております。

 他方、平成十七年度には五十五人の定員を削減することとしておりますので、差し引き八十五人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、三百六億四千九百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、設立される知財高裁の態勢整備及び知財事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として一億五千二百万円を計上しております。この中には、IT化等のための経費、外部への情報発信のための経費、専門研究経費等が含まれております。

 第二に、裁判員制度導入のための態勢整備を図るための経費として十六億四千百万円を計上しております。この中には、裁判員制度広報経費等が含まれております。

 第三に、民事関係事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として百十五億九千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員経費等が含まれております。

 第四に、刑事訴訟事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として九十九億九千百万円を計上しております。この中には、国選弁護人報酬等が含まれております。

 第五に、家庭事件の事務処理態勢の充実を図るための経費として七十二億六千六百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の老朽狭隘化に対応し、さらに、裁判員制度導入のために必要な施設を整備するための経費として百二十六億一千三百万円を計上しております。

 以上が、平成十七年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席いただいて結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。森下会計検査院長。

森下会計検査院長 平成十七年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。

 会計検査院の平成十七年度予定経費要求額は、二百四億百三十八万余円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億二千九百七十九万余円の増額となっています。

 これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。

 この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百四十億一千百万余円、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十二億八千万余円、その他の経費として三十一億八百万余円を計上いたしました。

 以上の経費には、会計検査機能を充実強化するため、次のような経費を計上しております。

 第一に、行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査要員の増員や横断的検査等を充実強化するため特別検査を二課体制にするなどの組織再編を行う経費として六千七百万余円を計上いたしております。

 第二に、有効性検査、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費として十六億八千六百万余円を計上いたしております。

 第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費として三億二千二百万余円を計上いたしております。

 以上、簡単でありますが、会計検査院の平成十七年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もございませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 平成十七年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成十七年度における歳出予算要求額は九百十九億四千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百二十九億三千百万円に比較しますと、九億八千六百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百三億八千二百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億千六百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百四億四千七百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成十七年度における歳出予算要求額は五兆六千七十二億四千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額五兆五千九百五十九億七千二百万円に比較いたしますと、百十二億七千三百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、少子化社会対策、青少年健全育成、男女共同参画社会の実現、国民生活行政、防災対策、原子力安全の確保、食品安全の確保、地域再生、沖縄の振興及び沖縄対策、北方対策への取り組み等の推進のための経費として四千五百六十一億四千五百万円、宮内庁には、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる事務等のための経費として百七億七千百万円、公正取引委員会には、迅速かつ実効性のある法運用、競争環境の積極的な創造、ルールある競争社会の推進等のための経費として八十一億三千百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百七十四億七千万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆二千九百四十六億二千二百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業、在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千六百十三億八千五百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として百八十七億二千百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成十七年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 小池国務大臣以外の国務大臣は御退席いただいて結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。白保台一君。

白保分科員 一番バッターで質問をさせていただきます。委員会室も第一委員会室で、第一分科会で一ばかりそろっておりますが、名前も白保台一でございますので、よろしくお願いします。

 最初に、認可外保育園の問題についてお聞きしたいと思います。

 この認可外保育園の問題、特に、私どもの沖縄県の認可外保育園の問題については、平成十三年の予算委員会の一般質問で初めて取り上げました。実態が非常に厳しい状況にありまして、そういう状況等も訴えて今日まで来ているわけでありますが、非常に厳しいというのは何かというと、認可外保育園が全体の五〇%を超えておる、こういう状況がなかなか改善されない、そういう中で、私も何度かこの問題を取り上げてきたわけでありますけれども、きょうもまた引き続きこの問題についてお聞きしたい、こう思っております。

 沖縄県というのは、御存じのように、出生率が一・七九人と全国一位であります。そういった中で、沖縄県の認可保育所の利用率というのは五〇%以下、全国最下位でありまして、五〇%以下というのは全国的に見ても特殊な例なんじゃないかな、こういうふうに思っておりますが、まず、厚生労働省から所見を伺いたいと思います。

北井政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄の保育所の状況でございますけれども、認可保育所につきましては、平成十六年四月一日現在で、沖縄県では三百三十八カ所、入所児童数は約二万八千人ということでございますが、それに対しまして、認可外保育施設につきましては、平成十六年三月三十一日現在で、沖縄県で五百三十二カ所、約二万八千人ということになっておりまして、入所されている児童の数で見ますと、認可保育所に入っておられる子供さんの数と認可外保育所に入っておられる子供さんの数はほぼ同数ということでございます。

 それに対しまして、全国におきましては、認可保育所は二万二千四百九十カ所、入所児童数百九十六万七千人に対しまして、認可外保育施設につきましては六千九百五十三カ所、入所児童数約十七万七千ということで、認可外保育施設の入所割合というのは非常に低くなっておるところでございまして、沖縄県は認可外保育施設に入所している児童の比率が全国に比べまして極めて高い状況にあると認識をいたしております。

白保分科員 極めて高いというよりも、異常なぐらい高い。これは長い歴史がありますから、特に幼稚園を小学校に併設する、そういうこともあって、長い歴史の中でそういった形ができ上がってきていることもよくわかっているわけでございます。しかし、それにしても、ちょっと進まないなという感じを強く持っております。

 そこで、沖縄県における保育整備事業というのは大変おくれているわけでありますが、全国平均の七割という県民所得の低さですね、こういったこともありますが、大枠として沖縄県の認可保育園におけるところの保育料に対する一人当たりの費用負担の割合はどうなっているのか、この辺をお示しいただきたいと思います。

北井政府参考人 民間の認可保育所運営費の負担割合ということでお答えを申し上げたいと思いますけれども、保育の実施に要する費用総額から国の示す基準によりまして保護者負担分を控除した額、そのうち二分の一を国、残りの四分の一ずつをそれぞれ都道府県と市町村が負担することとなっておるところでございます。

白保分科員 そこで、保育料の設定について、自治体によってそれぞれ格差が生じているのでありますが、この辺の説明もお聞きしたいと思います。

北井政府参考人 今御答弁申し上げましたのは、国や地方自治体の補助金や費用負担の割合ということでお答え申し上げましたが、一方で、実際に保護者に御負担をいただく保育料につきましては、これは児童福祉法によりまして、家計に与える影響を考慮して児童の年齢などに応じて、市町村がその意味では裁量の範囲で定めることができることとなっております。

 つまりは、保育の実施に実際にかかる費用と、それから家計といいますか所得の能力を組み合わせて、市町村がある程度の裁量で定められるということで、保護者に御負担いただく保育料については全国一律ということにはなってございません。

白保分科員 さて、そういった中で、これまでも本委員会等含めて、何度かやりとりをしてまいりました。なかなか改善をされない、さまざまな事由があるわけであります。

 そこで、厚生労働省も非常に御努力なさって、沖縄県といろいろと話し合いをなさったりしてこられたわけでございます。去年の委員会でも、当時の坂口厚生労働大臣、厚生労働省はさまざまに努力をされて、県ともいろいろと打ち合わせをしたり協議をしたりしてこられたわけですけれども、なかなか前へ進まない。したがって、これはもう沖縄の特殊な例でありますので、沖縄担当大臣とも協議していきたいな、こういうことも言われていました。

 そこで、私はまた、沖縄北方特別委員会で当時の茂木大臣にも、こういったことも厚生労働大臣おっしゃっておりますが、協議をされて、こういう状態というものをぜひ変えていただきたいというお話を申し上げましたら、茂木大臣も大変、それでは話し合いをしなきゃいけないね、こういうことでありました。

 先ほども申し上げましたように、県民所得が大変低い、そういった中で共働きの人たちも多いんですが、認可外に行っていれば、働いた分を全部そっちにつぎ込まなきゃいけない、このような状況もあるわけで、この辺の改善というものを両省で、両大臣でお願いしたいということで申し上げたわけですが、小池大臣といたしましては、この辺の、これまでの経過等を含めて御答弁をいただきたいな、こう思います。

    〔主査退席、西川(京)主査代理着席〕

小池国務大臣 大変沖縄は出生率が高いということで、元気な県の一つだというふうに認識をいたしておりますけれども、一方で、こういった待機児童が他の他府県と比べて非常に多いというのを、認識を新たにしたところでございます。保育所の待機児童、そしてまた認可外保育施設の問題については、先生の前の御質問なども含めて、まさにその必要性を感じるところでございますし、また早期の解決が望まれるものだと思います。

 沖縄県では、認可外保育施設の認可化を中心として、今、待機児童の解消に向けて着実な取り組みを進めておられるところでございます。昨年、坂口大臣、茂木大臣の御答弁にありますように、内閣府としても引き続きこの問題に関心を持ちまして、そして、沖縄県、厚生労働省に対して、一層の取り組みが行われますように働きかけてまいりたい、また、きょうこのように御質問いただくということは、それを促進させるという意味では大変有意義な御質問をいただいた、このように思っているところでございます。

白保分科員 非常に前向きな御答弁をいただきまして、前進があればいいな、こういうふうに大きな期待を申し上げたいと思います。

 そこで、次の問題ですが、これも昨年の予算委員会、これは第五分科会でございましたが、障害者支援費制度の状況について質問をいたしました。これは先ほども申し上げましたように、大変厳しい経済状況の中で障害児を持っておる親御さんたちの大きな悩みがありまして、去年の二月に、私どもの代表代行の浜四津と私が、地元のそういった父兄の皆さん方にお会いしました。その後、第五分科会で質問をいたしましたところ、非常に素早い、待機児童の問題はなかなか前へ進まなかったんですが、この問題は非常に素早い対応で、大きな解決を見ていただきました。

 これは、二〇〇五年度から、学校の空き教室などを使って障害のある中高生を放課後に預かるタイムケア事業を開始するという形でもってこたえていただきました。御努力いただきました皆さん方に深く感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、ここで言うところのタイムケア事業について御説明をいただきたいと思います。

松嶋政府参考人 障害を持つ中学生、また高校生の放課後の夏休みなどの長期休暇の活動の場などの確保について、これまで、議員を初め地方公共団体や関係団体から多くの要望をいただいているところでございます。

 それらの要望に対応するために、身近な小学校などの空き教室を利用いたしまして中高生障害児を預かるとともに、日常的な社会適応訓練のサービスを行う障害児タイムケア事業を平成十七年度予算案に新たに計上したところでございます。

 また、本事業は、障害児を持つ親の就労支援と日常的なケアからの一時休息も目的としておりまして、夕方や土日、祝日も利用可能とできるよう、ニーズに柔軟に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

白保分科員 非常に地元の皆さん方は、この事業が始まるということで大変喜んでおりまして、ぜひ今後もこの問題についてはしっかりと取り組んでいただきたいといって、先日も、私、父兄の皆さん方とお会いいたしましたら、大変喜んでおりました。きょうの公明新聞にも大きく報道しておりまして、「新年度から放課後対策実施」ということで、非常に皆さん方が喜んでいるのが出ております。後ほど大臣にも差し上げたいと思いますが、そういうことであります。

 そこで、もう一点申し上げたいことは、障害児学童について、地元の保護者からは、長期休暇に対応する体制づくりや、それから、保護者が就労している家庭に限定されている現行制度を緩和していただきたいという御要望が出されております。それについてどういうふうに対応が可能なのか、これについてもお伺いしたいと思います。

松嶋政府参考人 障害児タイムケア事業に係る平成十七年度予算案につきましては、約八億円を計上しております。今後、本事業の趣旨を踏まえまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。

 また、本事業につきましては、親の就労支援や障害児の居場所の確保を目的として実施するものでございまして、事業の実施に当たりましては、地域のニーズ等、また地域に合ったような形で柔軟に対応してまいりたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。

白保分科員 ありがとうございます。

 では、次の問題に移らせていただきます。

 日本は今、ビジットジャパン、観光立国を目指しています。小池大臣も、沖縄を隅々視察されたりしながら、沖縄での観光立県について大変御支援をいただいているわけでございますが、観光のバックボーンであるところのものは、我々は豊かな文化、こういったものが大変必要だろうと。

 先般の沖縄北方特別委員会で大臣が御答弁をされた、こども環境大臣ももう既に始動しておるということで、なかなか早い取り組みをしてもらっているな、こういうふうに思っておるわけでございますが、文化振興が乏しくてはこれまた観光の素材は脆弱なものになりますし、そのためにも、地域の伝統文化にもっと力を入れていかなければいけないだろうなと思います。

 幸い、私どもは、独特の文化、豊かな文化を持つわけでありまして、そういった文化を伝える、こういったものがあります。しかし、その文化を伝えていく、こういう人材に焦点を当てて一層の支援策をとっていかなきゃいけないのではないか、こういうふうに思っておるわけでございますが、まず、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 せんだって、八重山地方も訪れさせていただきました。その際に、地元の皆様方から、沖縄の伝統芸能、赤馬節とか高那節とか、それから与那国小唄とか御披露いただきまして、一緒に楽しませていただいたところでございます。また、先ほど他の大臣とお話をさせていただいているときに、組踊がすばらしいねということで、ファンなんだということをおっしゃっていた方がおられました。

 ということで、このような重要無形文化財に指定されているものもあれば、また、老若男女の幅広い方々が伝統芸能を受け継いでおられるというすそ野の広さ、また、島ごとにさまざまな歌や踊りが存在するという点でとても多様性もあるなと思っております。本当に沖縄の伝統芸能は大変特色あるものですし、また、今なお生きた文化として魅力のあるものだ、このように思っております。

 ちなみに、私の地元には随分沖縄の方々が住んでおられまして、沖縄の舞踊を教えるお師匠さんみたいな方が大変頑張っておられて、そして、そこのおけいこ場が沖縄出身の方々のネットワークの核になっていたりもするということで、沖縄そのものもそうですし、沖縄の皆さんがほかに出られたところでも沖縄の文化が根づいているというのは、これはすばらしいことだなと思っております。

 その伝統芸能を保存し、また継承し、さらには将来に向けて発展させていくということは、今先生御質問の中でおっしゃいましたように大変重要な観点であろうと思いますし、沖縄の文化の振興という点で、これから観光産業への寄与にもつながるものと思っております。

 具体的には、昨年の一月に、御承知のように、国立劇場おきなわが開場いたしております。伝統芸能の保存、継承、伝承者の養成の拠点として機能するということと、国立劇場での公演を目標として、あの舞台に行こうという方々が歌そして踊りをたしなまれるような、そういう励みの場になればというふうに思っているところでございます。

白保分科員 そこで、文化庁にお伺いしたいと思います。

 現状として、これは今もお話がありましたように、国立劇場おきなわができたわけですが、多くの人たちが、文化芸能関係者が多いわけですけれども、どのような支援策を講じておられるのか、また、地元のそういった関係者がその支援策をどう活用しておるのか、この辺のことについて伺いたいと思います。よろしくお願いします。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄の伝統芸能に関しましては、重要無形文化財として昭和四十七年に組踊を指定いたしますとともに、その保持団体として伝統組踊保存会を認定いたしまして、実演家や伝承者の育成、技術の向上など、人材育成を支援いたしているところでございます。また、平成十二年には琉球古典音楽、平成十五年には、組踊音楽太鼓に関し高度の技能を要する者をいわゆる人間国宝として指定いたしまして、わざの保存、活用、伝承を図っているところでございます。

 さらに、平成十五年度から、小中学生に対し、土曜、日曜などにおいて伝統音楽や郷土芸能などを継続的に体験、習得できる機会を提供する伝統文化こども教室事業というのを行っておりますけれども、ここにおきましても、三線や組踊、クイチャー、エイサー等の教室を地域や関係団体の協力を得ながら行っているところでございます。

 加えて、先ほど来お話があります、昨年一月に設置いたしました国立劇場おきなわを拠点にいたしまして、組踊等沖縄の伝統芸能の保存、振興と、さらには、伝統文化を通じたアジア太平洋地域の交流の拠点になるということを目指して、この活動の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

白保分科員 非常に、先ほど大臣のお話もございましたように、行くところ、行くところで、沖縄伝統芸能をそれぞれが継承して励んでいることは確かなんです。私も先般、大臣が沖縄に行かれているころに関西に行って、そういう関係者とお会いしてお話も伺ったんですが、沖縄には三線の研究所が至るところにある。それから、舞踊の道場と言っていましたけれども、今ごろは研究所というふうに言っていますけれども、こういうお師匠さんがいっぱいいらっしゃる。また、空手道場やらいろいろなものが多く、至るところにあるわけです。

 そういった中で、三線の先生方はそれで生計を立てているかというと、そうではなくして、ほとんどの人が昼間は働いていて、夜みんなが集まってきて、これを伝承したり励んでいるというような状況なんですね。生計ができるのは舞踊研究所の有名なお師匠さん方ぐらいかなという、これぐらいすそ野が物すごく広いんです。しかし、みんなそれぞれの努力によって、その伝統芸能というのは習得し、そしてまたそれを継承させていっている。これが現実の姿です。文化芸術振興基本法というものもつくりましたが、地域にそういった人たちが努力をしている、その辺にもしっかりと目を当てていただきたいな、こういうふうに思っているわけであります。

 そこで、一番肝心なことは、先ほどからありますように、組踊なんです。非常にすそ野の広い文化芸術というのは、今度は、その中からいい人もいっぱい出てくるわけですけれども、継承していかなきゃならない国指定の組踊、そういったものについて、ではその人たちがきっちりと継承できるかというと、沖縄県立芸術大学を卒業して、とりあえずどこかに就職して、そうしないと生計立てられませんから、優秀な人であっても、そうやってやってきている。

 だから、大事な文化芸能を、伝統芸能を継承していこうといっても、なかなかこれは難しいのが現状なんです。そういった人たちを見て、大学の先生方がみんな集まって、何とかしなきゃいけない、NPO法人でもつくって支援していくかなということも言ったり、非常にそういう面では厳しい状況にあることは確かなんです。

 したがって、そういった国指定の芸能等を継承していくために、その人材を、先ほど大臣にもお伺いしましたが、まさに人材をどうしっかりと育てていくか、これは非常に大きなポイントです。せっかく国立劇場おきなわをつくっても、そういう人材を育てなかったら、組踊ではなくて、ほかのものでもって一生懸命支えている。

 現実に、組踊だけではできません。私もこの間、組踊を見てまいりましたが、大学生が、若い人たちが非常に大きく育ってきているなということはわかりますが、この人たちが生活ができないというんですよ。生活ができなきゃ練習もできませんから、そういう面でこういった人たちをどう支えていくか、文化庁の皆さんにお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

辰野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年一月に開場いたしました国立劇場おきなわにおきましては、国の重要無形文化財である組踊の活動の拠点であるということとともに、その正しい継承と伝承者の養成というものを本来目的としているところでございます。

 このため、具体的に申しますと、組踊の立ち方や三線、笛等の地方を養成するため、十名程度の研修生に対しまして、実演家としての素養や芸の質を高めるための実技、講義等を三年間にわたり指導する。これは講師の中には、先ほど申し上げました人間国宝の方々もいらっしゃいますけれども、そういう事業をこの四月から立ち上げたいというふうに考えているところでございます。

 文化庁といたしましては、この国立劇場おきなわを通じまして、実演家が活躍できるような環境整備に努めるとともに、今後とも実演家の育成という課題にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

白保分科員 大変いい答弁でございましたが、現実に人間国宝の皆さん方も支援策をよくわかっていないというところもございますし、ぜひそういったところも、文化芸術振興基本法等もできて、また文化庁もこうやって支援するんだぞということもぜひ教えていただいて、しっかりとした継承者ができるように、せっかくハード面での立派なものをつくりましたから、仏つくって魂入れずじゃどうにもなりませんので、この魂の部分にしっかり魂を入れていただく、そういうことでお願いをしたいと思います。

 さて、最後の質問ですが、IDB総会が行われます。もう目前に来ておるわけですが。

 かつて私も、沖縄開発庁があったころに総括政務次官を務めさせていただきました。そのころに、ちょうど沖縄サミットが開かれるということで、非常にみんなそこに取り組みが、ばっと目が集中しているときに、こちらにいらっしゃる皆さん方、沖縄開発庁の幹部の皆さん方も、これはサミット後をどうするのかねと。線香花火みたいにぱっと終わってしまって、あと、万国津梁館もつくっていつでも国際会議が開けるような形があっても、サミットが終わったらその後は結婚式場みたいに使われているんじゃどうも意味もないから、この後のことが大事だねということで、皆さん非常に努力をしていただいて、ちょうどそのころにIDBの総会というのが出てまいりました。

 それはもう、IDBの総会をそのころに言ったら、サミットが目の前にあるのにどうしてまた次の大きな話ができるかというぐらいの雰囲気の中でも、役所の方では着々と進めてきていただいて、いよいよIDBの総会というような目に見える形で出てまいりました。

 さて、この後の問題ですが、これからも沖縄県はコンベンションアイランドを目指しておりますから、そういう面では、今後の国際会議等について国はどのように取り組んでいらっしゃるのか、また考えていらっしゃるのか、そのことをお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 IDB総会もいよいよ四月に迫ってまいりました。五千名規模ということで、大変大きなインパクトになってくることと存じます。

 国際会議などの各種会議の沖縄開催の推進ということですけれども、これは御承知だと思いますけれども、平成十二年六月の閣議了解に基づいて各省庁の連絡会議を設けているところでありまして、各省庁で綿密に連携をして、そして政府全体で進めていきたい、かように思っているところでございます。

 例えば、私は今、環境担当もさせていただいておりますので、国際会議のときにはいつもちょっと沖縄というのを頭に置いて、そして実行させていただければ、このように思っているところでございますし、また、沖縄における国際会議の開催の推進というのが、沖縄がアジア太平洋地域における国際交流拠点としてますます発展するという意味では、担当大臣といたしまして大変重要なポイントであると思っております。

 そういった意味で、国際会議でもって沖縄が元気になるという方向を目指してまいりたいと考えております。

白保分科員 もう時間も参りましたので。

 私自身は、持論として、国連アジア太平洋本部を沖縄に置くべし、こういうことを常に言ってきておりますが、そこへ持っていくためにも、国際会議が積み重なっていくことが非常に大事であります。特に、アジアには世界の人口の六割の人が住んでおりますし、沖縄に軸を当ててコンパスで丸をかいたら、二千キロの間に多くの人が入ってまいります。そういう面では、国際会議をする会場としては、地域としては非常に適しておるな、こう思っておりますので、今後とも御努力をいただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西川(京)主査代理 次に、公正取引委員会について質疑の申し出がありますので、これを許します。山下貴史君。

山下分科員 きょうは、公正取引委員会に対しまして、何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、今から約三年前ぐらいになろうかと思いますが、平成十四年の五月に、私の地元でございます北海道岩見沢市に公正取引委員会の皆さん方が立入検査に入られたということがございました。

 入札談合の疑いということで、岩見沢市の市役所、それから市内の関係事業者の営業所、事務所に立入検査にお見えになった。その日、検査を終わって、それで市はしばらく、ちょうど五月から六月にかけてというのは通常の公共事業の発注時期に当たっていたわけでございまして、どういうふうに対処するか、手続その他、公取の検査が入ったということで対応を考えておられたんだろうと思いますが、一定の検討の結果、やはり七月に入りましてある程度入札を再開した。そうすると、その再開の直後に再び公正取引委員会の大勢の皆様方が立入検査に入られたという事実がございました。

 その後、この事案は、排除勧告等がなされ、審決が出、課徴金の納付命令、納付と、一連の手続を経てこれは完結をいたしておりますけれども、この事案につきまして、事実関係をちょっと確認させていただきたいと思います。

 まず、この事案について、法律を読ませていただくと、「活動の端緒」という規定がございまして、こういう公正取引委員会が仕事を始める場合に、職権でイニシアチブをとって仕事を進められる場合と、それからまた私人、関係者からの通報、通告、こうしたものを受けて仕事を始められるという場合と、二通りあるという規定になっておりますが、岩見沢市に入られたこの事案についてはそのいずれであったのかについて、お答えをいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、公正取引委員会が違反行為を事件として扱うに当たってその情報をどこから得たか。二つありまして、職権探知と申告人からの申告情報ということはそのとおりなんですが、さて、岩見沢の事件がどちらであったのかということにつきましては、申告者の立場を保護しなければ申告制度が成り立たないということを我々は大変重視しておりまして、公正取引委員会の職員というのは、一般の公務員よりもそういう意味でも重い守秘義務を課されているということもございます。

 実はこれは、こういうところが情報源でございましたというようなことをヒントを与えますと、これからのいろいろな活動に支障を来す。公正取引委員会はそういうことで申告についてその情報源を外に出すということがあり得るんだなというようなことを持たれますと、申告制度の運用に大変支障を来すということから、これは建前論を申し上げているようにお聞きになられるかもしれませんが、従来から、個別の事件の端緒が何であったかということについては申し上げるのを控えさせていただくということ、そういう立場をとらせていただいておりますので、御理解をいただきたいと思います。

山下分科員 今のお話でございますけれども、四十五条の「活動の端緒」の規定を読みますと、もしそういう通報、通告があった場合、必要な調査をしなければならないという規定や、また一定の書面その他でそういう通報、通告がなされた場合に、適切な対応をとるにした場合にしてもとらない場合にしても、これを報告した者に通知しなければならないとか、いろいろ義務を公正取引委員会に課しているわけでございますね。

 でありますので、その公正取引委員会が果たすべき義務が満度に、適正に果たされたかどうかというのは、そうすると、今の端緒は述べられないという話ですと、外から、つまり我々の立場から、皆様方がきちんと条文に即して仕事をされたのかされなかったのかわからないということになってしまうのではないかな、こう心配するわけです。

 もちろん、そういう個別の方々の利益を守らなきゃいかぬ、これは当然だと思いますが、ただ、抽象的に端緒がどっちだったのかということもやはり明らかにできないんでしょうか。もう一回お願いします。

竹島政府特別補佐人 申告人に対しては、それが顕名である場合には、どういうことをしたかということをお知らせするというのが義務だということでございまして、一般社会に対して、どういうのが端緒であったかということを言わなきゃならぬというのは、これは別問題であると認識しております。

 いずれにしましても、この事件につきましては、立入調査もいたしまして、冒頭に言及されましたように、課徴金の納付を含めて一連の手続が終わっているわけでございまして、これが職権探知であったか申告人による申告であったかはともかくとしまして、その結果についてはすべて公表しておりますので、おわかりいただける、理解していただいていると思っております。

山下分科員 その問題は、後日というか、機会があればさらにまたちょっと検討してみたい、こう思います。

 平成十五年の一月三十日に、私の計算では延べ百三十三社に対しまして五つに分けて勧告が出され、そして、それはいずれも応諾されて、三月十一日に審決されていると理解をいたしております。また、一月三十日付で市に対しても、いわゆる官製談合第一号ということで改善措置を求める通知が発出をされている、こう理解をいたしております。

 その後、平成十六年の二月五日に至って九十一名の事業者に対して課徴金納付命令が出され、これは完納されたというふうに伺っておりますけれども、課徴金の算定方法について、法律では規定はございますけれども、この岩見沢のケースについてはどのように算定されたのか、御説明をいただきたいと思います。

楢崎政府参考人 いわゆる談合事件におきましては、談合が行われた期間、実行期間でございますけれども、その実行期間において、いわゆる談合の合意あるいはルールの対象となった物件につきまして、その契約額に大企業であれば六%、中小企業であれば三%を掛けて計算をして金額を定めて納付を命じ、合計五億二千九十四万円の納付を命じてきたところでございます。

山下分科員 そういうことだろうと思うのでございますが、公正取引委員会から岩見沢市に三十日付で出された「改善措置について」という文書の中で、いろいろどういうことが行われたのか事実関係を簡潔に記されているわけでございますけれども、その中で、「工事の設計金額又は設計金額から一定額を差し引く等して算出した金額」を受注予定者に割りつけていた、こういう記述があります。私はたくさん調べたわけではないのでございますが、つまり、設計金額から一定額を差し引くなどして算出した額というのを、この意味というのはどういうふうに理解したらいいんでしょう。ちょっと説明をいただければと思うんです。

 私の理解では、事務的な積算で設計金額が出てきますが、つまり、その金額から頭で何割とか何%落とした、そしてはじいて決めた額というふうに理解するのかな、こう思うわけですね。そうした場合、つまり、一定のはじかれた金額で仕事をする、そうすると、通常の利益率、工事を請け負うなりしたことによる利益率よりも、その分圧縮されるというふうに考えられるかなと思うのでございます。

 今御説明いただいた岩見沢市の業者に課された課徴金の算定をどうするかというときに、そういうことは配慮されたのかされていないのか、事実関係だけお教えいただきたいと思います。

楢崎政府参考人 お答えいたします。

 課徴金の納付命令は、予定価格とか設計金額に対して課されるわけじゃございませんので、実際に契約をした契約金額に対して課されるわけでございますので、そういった一定金額を差し引くとかどうか一切考慮せずに、契約金額に対してかけているわけでございます。

山下分科員 あわせて、排除勧告が審決された場合、現にそうだったのでございますが、対象となった事業者は、岩見沢市以外の公共工事の発注者がいます。例えば北海道とか、そういうところですね。そういうほかの公共事業の発注者も、岩見沢市のそういう事業者で勧告の対象となった事業者に対して、何か自分たちの発注工事においても指名停止処分というのでしょうか、そういうのが現に行われました。これは何か私もよくわからない、どういうルールでそうなるのか。何カ月とか指名停止期間を設けて、その間全く入札に入れないという事態になりました。

 御案内のとおり、北海道の場合は、三月、四月というのは非常に、実は、三月はゼロ国債の発注、つまり、先の年度の先食い契約を三月にたくさんやります。四月に入っても割と早目に契約をするという傾向がございまして、その岩見沢の事業者は、ほかのところからも締め出しを食ったがゆえに、大変厳しい状況に置かれてしまったという事実があります。

 今お尋ねの、ほかの発注者、公的な発注者、これはどういう法的な根拠を持ってそういう指名停止処分その他を行うのか、事実関係をもしあれであれば教えていただきたい、こう思います。

竹島政府特別補佐人 指名停止につきましては、これは第一義的には、まさに発注者が地方自治体であったり国であったりいろいろありますが、いずれにしても発注者が決めることでございまして、公正取引委員会が積極的にこのことについてかかわっているわけじゃございません。

 それを申し上げた上で、せっかくのお尋ねですから、私が存じている範囲で申し上げますが、指名停止については、中央公共工事契約制度運用連絡協議会という長ったらしい名前のものが、各省が構成メンバーのものがございまして、これが一定のモデルといいますかガイドラインを示しているわけでございます。恐らく、大方の地方自治体においては、基本的にはこれに基づいて指名停止の運用を行っている。

 それで、岩見沢市で、独禁法違反を問われて、それが決まった。これは、勧告の段階では指名停止をしてはいけないというのが基本的考え方なんですが、違反行為が確定したという段階では、当然、岩見沢市が発注者として指名停止をするということは自然なんですが、では、それ以外の市なり北海道がこれにどうかかわるかというのは、その業者がほかの市でも指名を受ける立場にある、道からも指名を受ける立場にあるという業者である場合には、それを見た他の発注者が、この業者については適当ではないという判断のもとに指名停止をすることがあるという考え方で運用されていると理解しております。

山下分科員 ありがとうございました。

 それで、あと事務的なことをさらにちょっと教えてもらいたいと思います。

 課徴金納付を命じられます。そうすると、これは命じられた者はとにかくやりくりをして納めるということになるわけでございまして、岩見沢の場合も、これは完納したと私も聞いておりますが、大変苦労して、何億円という現ナマが、本来市の経済に回るべきお金が国庫に入ってしまったという大変厳しい現実があったわけでございます。

 そこで、この課徴金というのは、会社の経理上あるいは税法上、要するに損金扱いになるのかどうなのか。それとも、課税後の利益から払わなきゃいけないものなのか。どうもそっちの方らしいんですけれども、そうすると、中小の会社は、三%といっても大変厳しい、五十万の足切りがあるといっても厳しい。それがどっちかは明確に教えていただきたいと思います。

 あわせて、仮に本当に払えないという場合、例えば金融機関だって、そういう課徴金を払うための融資話には乗らないわけです、普通は。なかなか資金調達も大変になる。それが原因かどうかはともかく、倒産の憂き目に遭った会社も現に出ております。そういう減免措置とか、本当に経営上苦しい場合の減免その他の措置というのは用意されているのかどうか、あわせて教えていただきたいと思います。

楢崎政府参考人 課徴金納付命令を行いまして、期限までに納付されなくて、さらに督促状に指定する期限までに納付されない場合には、国税の滞納処分の例によって徴収するという手続になっております。

 一方、当該事業者の財政事情等によりまして、課徴金を期限までに納付しがたい場合も現実にあるわけでございますので、そういった場合には、国税の徴収緩和制度の例によりまして、例えば納付の猶予を行ったり、また、全く財産がないということで徴収ができないというふうな場合には滞納処分を停止するというふうな措置も講じられておりまして、事業者の負担能力を考慮した取り扱いあるいは運用をしているところでございます。

 課徴金は、あくまでも損金扱いにはされておりません。

山下分科員 損金扱いについて、されていないということはわかりました。

 これは、理由というのが何かあるのかな、こう思いまして、かつてこの制度ができ上がってきたときに、いろいろ恐らく先輩の皆様方が考え方を整理してこういう扱いになっているんだと思うんです。損金には当たらない、つまり、通常、課税後の利益から出せというふうになっている意味合いというのは、何かあれば、ちょっと追加的に説明してください。

竹島政府特別補佐人 これは税制当局にお聞きいただかなきゃならぬことですが、現実には、法人税法、所得税法で、罰金とか課徴金というものは損金算入しないという規定がされているわけです。その心は、罰金なり課徴金を損金算入してしまったら、企業に対するペナルティーとしての意味がなくなってしまうということにあるのだろうと思います。

山下分科員 やはりペナルティーということなんでしょうね。

 それで、次に、これもお答えしづらいかもしれませんが、要するに、端緒は、職権探知かどうか、そこは問わないとして、当然、ある程度、事案について予見というか、こういう事案かなという思いを持って立入検査をされた、そしていろいろ調べられた、その結果に基づいて勧告その他の手続に移っていかれた。

 あえてお聞きしたいんですが、立入検査前にある程度探知していた、思い描いていた事案の全体像と、入っていろいろ書類審査、証拠等を分析してつかんだ全体像と、相違がありましたでしょうか、なかったでしょうか。そこを、わかったらというか、ぜひちょっと答えていただきたいと思います。

楢崎政府参考人 お答えいたします。

 事件によりまして、当該端緒と同様な違反行為が認められて処理をする場合もございますし、当該端緒よりも大きく事件が膨らんで処理される場合もございます。そういう意味で、いろいろではございますけれども、個別事件につきまして、端緒と実際の違反行為の内容が同じであったとか食い違いがあったかどうかにつきましてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

山下分科員 もう一つ、これは一般論でございますが、当然、公正取引委員会が行っておられる競争政策というのも、これは立派な行政でございますから、最近はやりの行政評価の対象として評価をしていくということになるんだと思います。みずから、自分たちのやっていることにどういう点数がつけられるのか。

 そこで、あえてちょっと教えていただきたいわけでございますが、こういう談合を摘発した仕事、これが行われた。当然、多額の予算もかけて、旅費その他大変な費用をかけてこれはやられた仕事でございますから、そうした排除勧告、そして課徴金徴収といった一連の行政、仕事、これがどういう政策効果を上げたのかということについて、これから先、客観的にどう定量的手法を持って評価していくのか。

 非常に抽象的な質問で申しわけないんですけれども、ただ、本当にどういう効果をもたらしたら、皆さん方の立場として、成功だったというか、きちんとやった仕事だったというふうに評価をすることになるのか。お願いします。

竹島政府特別補佐人 確かに、御指摘は大事なことだと思います。

 そもそも、独占禁止法というのは、公正で自由な競争というものを実現するために設けられている法律でございますので、そのルールに違反する者についてはきちんと処分をするということで我々は仕事をしているわけですが、その政策的な意味合いは何かということになると、同じものを、よりよいものをより安く提供したり製造したり請け負ったり、こういうことで、よりよいものをより安くということに尽きるのではないか。したがって、公共工事のように税金が財源である場合には、なおのこと、その税金がまさによりよいものをより安く公共工事として支出されるようにやっていくべきだということだろうと思います。

 そういう観点からしますと、公正取引委員会でも、過去、そんなに多くのケースではございませんが、二、三具体的な経済分析的なことをやっておりまして、端的に申し上げますと、これは落札率に影響が出てくる。

 談合があった場合となかりし場合で、どの程度落札率に変化があったか。落札率というのは予定価格分の実際の落札金額ということなんですが、談合がなされている場合にはそれが一〇〇%に近い、九〇%の上の方であることが一般的でございます。要するに、予算も組んで、この工事は一億円の予定価格と思われるからもう九千何百万円で談合の上落札しましょうということが行われているわけです。

 それが、公正取引委員会が立入調査等をいたしましてその談合組織をやめさせますと、大体公共工事の場合には二割ぐらい、八〇%ぐらいになる。これは一概には言えません、五%しか落ちない場合もあればもっと落ちる場合もございます。物品なんかの場合はどんと落ちることがあります。しかし、公共工事は押しなべて申し上げますと約二割落札率が下がるということでございますので、一億円の工事であればそこで二千万円近い税金のむだ遣いが回避されるということになるわけでございまして、そういう事例は多々見られております。

 今回の独占禁止法の改正をお願いして、その中で大きな項目として課徴金の引き上げということをお願いしているわけですが、六%を一〇%に大企業の場合はさせていただきたいということで申し上げていますが、その作業の過程で、我々は数十の事例について分析をいたしまして、平均一六・五%。これは入札談合だけではなくて、価格カルテル等も含めまして、いわゆる独禁法違反で課徴金の対象になるような違反事例において、どの程度の不当利得が現実に発生したのかということを推計してみましたところ、一六・五%という平均が出てまいりました。その中で入札談合は約二割ぐらいを占めているという実績も出ておりまして、今申し上げましたようなことで、政策評価としてはそういった効果があらわれている。

 したがって、談合やカルテルという独占禁止法違反行為はきちんと摘発をして、そういうことが行われないようにウオッチをしていくということが現実問題として大事であるというふうに申し上げることができると思っております。

山下分科員 今のお考え、本当に私も賛同できるものなのでありますけれども、そう申し上げた上であえて一言つけ加えますと、独禁法一条の目的規定でも、やはりそういうことを通じて、それぞれ雇用とか国民実所得の水準を高めるとか、経済の民主的で健全な発展を促進する、ここに最後帰着するわけですね。

 ですから、マクロの事案についてはおっしゃったとおりだと思うんです。落札率を見れば歴然としている。それはそれとして、ただ、やはり地域経済というものに、全国的な事案ということならこれはいいのでございますが、地域に立ち入ってどんとやると、まさにその地域で成り立っている経済、これに思わぬ別の形の影響も出てまいります。それは独禁法のスコープからこぼれるということかもしれませんが、私のような立場の者としては、ぜひそういう面もあわせ持って職務に精励していただければありがたいな、こんなふうに思ってもおります。

 もう一つ、最後に、時間がなくなってまいりましたので簡潔に、岩見沢の事案とは関係ない質問でございますが、例えば、国際的にいろいろグローバルな経済の時代に入ってきて、さまざまな国際的な契約取り決め、これが日本にさまざまな影響を及ぼす、こういう時代になってきております。特に我が国は、エネルギーとか食料ということでいうと大変な輸入国でございまして、大変な影響、輸入に関して神経質に物を考えていくべきだ、こう思うわけでございます。

 例えば、OPECという石油輸出国機構は、これは時々テレビでも出ます。まさにこれは日産の、一日の原油の産出量をコントロールして、国際的な原油価格を一定の統制をする、こういう目的を持って輸出国機構ができている。時々見直しをして数字を決めている。これは政府ですから、政府にそれぞれ輸出に当たる企業がございます。そこが、政府の方針に従って、石油の販売その他をやる。日本の輸入業者は、そことコンタクトをして原油手当てをする。

 同じような、ちょっと形は違いますが、オーストラリアは小麦の大輸出国でございますが、小麦について、これはもう会社化しておりますけれども、オーストラリア小麦ボードと称する輸出独占体を持っています。こことしか輸出契約できないんですね。これは会社ですが、日本にも支社があって、その支社とコンタクトをして契約する。ほかに生産者が豪州の中にいても、全くそれは商談ができない。こういう現実に今直面しています。

 これは今すぐ独禁法上の事案というふうにならないのかもしれません。ならないと思いますが、ただ、これは冒頭言ったように、これからグローバル化する経済の中で、公取行政、独禁行政の世界でもスコープに入れて、何らかそれに伴う弊害があるのであれば是正するような取り組みというのを、今後ぜひ公取としても考えていっていただけないのかな、こう思っておりまして、これについてお考えを述べていただいて、質問を終わりたいと思います。

竹島政府特別補佐人 独禁法、名前はその国々で違いますが、一般的には競争法、これの適用対象というのは事業者ということになっておりまして、裏返して言うと、国家が管理したり国家が決めたことに基づいて行われているような事業というのは、国家を相手に事業者と言うわけにもいかないわけでございまして、OPECのような場合はなかなか独禁法の適用という問題は難しいんですが、しかしながら、今のように原料とか素材が大変暴騰しているというようなことで、エネルギーとか食料等において懸念すべき事態が起きている。その裏に何かカルテル的なことがあるのかないのか、国家貿易がどういうふうに関与しているかというのは、これは広い意味で大変大事な問題だと思っております。

 そういう意味で、我々も外国だからこれはノータッチということではありませんで、外国の民間事業者であれば、当然、それが日本のマーケットに外国から独禁法違反的なことを命じてやらせているというような場合、これは問題にしておりますし、これからもそうなんですが、豪州の小麦は、一応これは私も御質問をいただくというので勉強しましたら、かつては政府の会社であったけれども、今や一応民営化している、しかしながらなお国家の影響下にあるということで、輸出の一元をしておる。これはそういう意味ではグレーと言ってよろしいかと思いますが、問題に全然ならないとは言い切れないようなケースかなと思っておりまして、これからもいろいろそういう方面に目を光らせてといいますか、問題意識を持って取り組んでいきたい。

 ただ、これは通商問題でもあると思いますので、経済産業省も白書の中でそういうことについて懸念を示しているというようなことも私聞いておりますけれども、これは政府全体で、特に通商交渉というようなレベルで議論しなければ解決しないのかなというふうにも思っております。

山下分科員 ありがとうございました。

 それでは、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて山下貴史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして公正取引委員会についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西川(京)主査代理 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)分科員 民主党の近藤洋介でございます。

 私は、内閣府の所管しております地域再生、地域の再生、そして地域の産業の再生について質問をしていきたいと思っております。

 まず最初に、政府の骨太方針二〇〇四にも、第二章の部分のところで書かれていると思うんですが、地域再生には民間の資金をしっかり活用しよう、民間の知恵とお金を活用しようということが、骨太方針にしっかり、政府の方針にうたわれているわけであります。

 その中で、特に、最近非常に伸びが著しいのは、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、民間資金を活用した社会資本の整備、いわゆるPFI、これについて伺っていきたいと思っているわけです。

 PFIにつきましては、新聞に、この出所は、数字は日本政策投資銀行のようなんですけれども、二〇〇四年度のPFI事業が昨年の三・一倍の九千二百億円に達しようとしている、大変な勢いで伸びているという数字も報道に出ております。財政が非常に厳しい中、こうしたPFI事業であるとか、また政府におかれて検討している市場化テストの試み、されているわけであります。幅広く民間の資金と知恵を公共分野に投資する社会投資ファンドなんという考え方も含めて、大変これから大きな意味を持ってくる。その最初、先駆的な動きをしてきたのがPFIだと私は感じております。

 そこで、PFIに対する環境整備、事業整備で、このたびの税制改正で固定資産税、都市計画税、不動産取得税の減免措置が盛り込まれました。プライベート・ファイナンス・イニシアチブでありますから、補助金をPFI事業に出すというのは、これはやはり本末転倒だと思うんですね。そうではなくて、こうした環境を整える、官がやるものと民がやるものを同じ立場にさせるということは極めて大事なことだと思っているわけであります。

 この件につきましては、実は私、ことしの五月、決算行政監視委員会の場におきまして、当時の金子大臣の方にこの点の問題を伺いました。税の問題でイコールフッティングすべきではないかという話。これは実は、想定問答にはなかったことで恐縮だったんですが、ただ当時、金子大臣は、大変この問題について大事である、政治の判断も含めて一生懸命やっていきたいという御答弁をそのときいただきました。結果として、税制改正、与党の中でも検討され、政府の中にも今回盛り込まれたということでありますので、当時の大臣のお言葉どおり実行されたのだなと思って、大変評価をしているところであります。

 ただ、あえて、若干残念なのは、この減免が二分の一であるということであります。なぜ二分の一なのか、どうなのか。私はやはり、イコールであるとするならば、固定資産税も都市計画税も、官がやる事業に対しては、当然、官が官に税をかけるわけないです。地方自治体に国がみずから税を課すのは、これはないわけですから、無税なわけですが、民間事業者がこうした事業をするときにはやはり無税であるべきだ、二分の一ではなくて全面的に減らすべきではないかなという気がしているわけですが、こうしたイコールフッティング、官民の業のイコールフッティングのことについて政府はどのようにお考えか。まずこの点、伺いたいと思います。

浅野間政府参考人 PFIの促進税制についてのお尋ねでございます。

 現在、PFI事業の重要性にかんがみまして、政府で講じておりますものが三つございます。港の公共荷役施設初め三分野につきまして、固定資産税などが二分の一というふうな措置があったわけでございます。先生の御質問にございましたように、さらなる拡充ということで、私ども一生懸命お願いをして、昨年十二月の税制改正で、新しく、その拡充ということで新規に追加されたわけでございます。

 これは税制当局の方でお答えになる話かと思うんですが、私どもといたしましては、恐らく税の公平性なりあるいは既存の税制とのバランスといったこともお考えになったかと思いますけれども、そういう中で、さらに一歩進めていただいた。具体的には、一定の要件に該当するPFI事業につきまして固定資産税など二分の一というふうなことでお認めをいただきまして、現在、地方税法の改正という形で国会への上程をさせていただいておるところでございます。

 引き続き、PFIの促進に向けてはさまざまな検討、努力を積み重ねていきたいと思っております。よろしくお願いします。

近藤(洋)分科員 何から何まで、PFIといってもいろいろございますから、ほかの協業がある場合、全部減免せいと言うつもりは私もございません。ただ、明らかに代替措置がないといいますか、用途を限定して、その分についてはやはり官とのイコールフッティングというのをきっちりすべきではないかと思っております。この辺につきましては、また地方税法の改正の議論でもございますから、別のところでもしていきたいと思いますが、引き続き、ぜひ、内閣府は旗振り役なわけでありますから、頑張っていただきたいと思っているところでございます。

 そこで、このPFI事業でございますが、内閣府からいただきました資料によりますと、平成十六年十二月末で、実施計画を公表しているPFI事業は全体で百八十ある、そのうち国は二十であるということで、地方公共団体が百三十四実施している。

 この数字でも明らかなように、無論、国の事業がPFI、それは国もやっていいわけですけれども、やはり主役というか、舞台は地方自治体であるなという気がしているわけでございます。地方自治体がそれぞれ行財政改革の中で知恵を出し合って進めていくものなのかなという気がしているわけでありますが、しかし、このPFI事業というのは、なかなか専門的なファイナンスの、プロジェクトファイナンスを組成する知恵であるとか、また、今までの発注形態とは考え方ががらっと変わるわけですから、大変知恵が要る仕事だとも思うわけであります。

 そこで、大変知恵が要るから難しい、その中で、それぞれの自治体が頑張っているわけでございますけれども、地域間で、それぞれの地域が、例えば私の地元の山形県でも住宅をPFI事業でするとかいろいろ行っておりますけれども、それぞれの地域が競争する、いい意味でアイデア競争する環境をつくらなければいけないのかなと思っているわけであります。

 その辺は、やはり政府として、地域間の競争を促すようなインフラ整備というか、向こうではこういう知恵があるんだ、こっちではこういう知恵を出してきましたよ、それは国内に限らず、海外の事例ではこんなことをやっていましたよというのを、知恵をプールして、それを自治体にどんどん情報交換をしていく、そして地域間で競争を促していくという施策が必要かなと思うわけですが、その点に向けた環境整備についてはいかがでしょうか。

浅野間政府参考人 PFI促進のための環境整備、支援措置についてのお尋ねでございます。

 先ほど、税のお話を申し上げましたけれども、税に限らず、予算でございますとか、さまざまな知恵を出して、特にこれからは地方公共団体のボリュームが圧倒的に多くなるというふうに思いますけれども、その支援のための知恵を絞っております。

 特に、私どもの問題意識といたしまして、PFI法が日本で施行されましたのが五年前でございます。昨年の九月でやっと五年ということで、現在百八十ということでございますが、多い少ないという評価はあろうかと思うんですが、残念ながら、全国四十七都道府県がございます中で、まだ実績がない県が十残っているという状況。私どもの問題意識の一つとして、PFI事業を御担当になる公共団体側の職員さんのノウハウをいかに高めていくか、これが一つの大きな課題だろうというふうに思っております。

 今年度、予算をつけていただきまして、知識がゼロの方であっても、これを読めば、どういう書類をつくってどういうふうにすれば事業を立ち上げられるかという導入支援マニュアルというのを今現在つくっておりますし、また、各省さんの方も、各省それぞれ所管の事業がございますので、全国へ出かけていかれて研修会を開いていらっしゃったり、それから、私どものPFI室の方で現在ホームページを立ち上げておりまして、いろいろな情報を発信しておりますけれども、来年度予算がもし成立させていただきましたならば、さらに拡充をした形で、新しいPFIの動向ですとか、さまざまな情報を網羅した、一種、PFI年次報告というものを、まだこれは日本にございませんので、こういったことを考えまして、さらにPFI促進のための支援策を拡充してまいりたいと考えております。

近藤(洋)分科員 ぜひ進めていただきたいと思っているわけであります。

 PFIにつきましては、PFI基本法、これは議員立法でありますけれども、見直しの作業を与党内におかれては進められているという話を聞いております。議員立法でございますから、私ども民主党としても大変関心を持って、よりよいPFIの環境ができるように、私どもも具体的に政策を提言していきたいと思っているところでございます。

 続きまして、地域再生について具体的に伺っていきたいと思うんですが、まず最初に、昨年から各地の地域再生の計画を公募されて、第一次、第二次が終わって、現在第三次中だというふうに伺っております。私の地元の山形県でも、全体で五つの計画が政府から認定を受けました。現在、進んでいるわけであります。

 その私の地元の山形県で認定をされました超精密技術関連産業集積促進計画というものの中に、米沢市のオフィス・アルカディアという団地の取り組みがございます。この造成は、旧地域整備公団、今の中小企業基盤整備機構が造成した土地なわけでありますが、全国と御多分に漏れずといいますか、大変残念なんですが、二五・九ヘクタール中、埋まったのがわずか一区画だけ、〇・五ヘクタール。一等地なんです。米沢駅からすぐのところで、大変立派なところを造成しているんですが、閑古鳥が現在鳴いている状況であります。

 米沢市は、東北でも有数の電機産業を中心とした工業の集積地でもありますし、山形大学工学部もございますので、そういう意味では、クラスターとしても大変な地力は持っているところなんですが、地場の力はあるんですが、その団地自体は閑古鳥が鳴いている状況ということでございます。

 私ども米沢に限らず、全国各地でこうした事例が続いているとは思うんですけれども、公団さんが整備をされた土地、やはりなかなか法律の枠もあるかと思うわけでございますが、こうしたものを、より地域の連携、産業の連携を促す意味でも、中小企業に限らず、中小企業の整備の観点からも重要かなと思っているわけです。

 こうした全国各地のあいている工業団地を埋めてといいますか、地域産業を興す、後押しする施策をどのようなことをお考えなのか、これは経産省になるかと思うんですが、地域再生にとっても大変大きなテーマでございますので、伺いたいと思います。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 今、先生からお話ございましたように、オフィス・アルカディアの土地、その他地域振興整備公団が行いました土地造成、工業団地の造成の中でまだあいている土地が随分たくさんございます。こういうものをやはり地域再生の観点から有効に活用していかなくてはいけないと考えております。

 今ございましたように、特に昨年、山形県から提案されました地域再生提案であります今の産業用地の用途緩和についてでございますけれども、今回の通常国会におきまして提出をしております中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案という中で対応することとしておるわけでございます。

 具体的には、創業であるとか、あるいは経営革新であるとか、あるいは異分野連携を行います中小企業者等に対しまして、産業用地を当初の目的以外の用地として活用できるように所要の措置を講ずる予定でございます。

 これによりまして、例えば今先生御指摘のございました米沢オフィス・アルカディアにおきましては、これまで対象とされていた事務所、営業所のみならず、工場等の立地が可能となる等、有機エレクトロニクスを初めといたします超精密技術に関する集積がより一層促進されていくということを考えているところでございます。

近藤(洋)分科員 御指摘のとおり、オフィス・アルカディア米沢につきましては、有機エレクトロニクスバレー構想、これは県が四十七億円を投資して、山形県が開発予算を組んでいる。四十七億円で大きいか少ないか、有機ELは大変すそ野の広い産業ですから、もっと多く出せばいいという部分はあるんですが、少なくとも山形県にとってみますと、これは乾坤一てきのプロジェクトで県も進めているわけですね。

 そう進めている中で、やはり国の用途制限でちょっとというのは、これはまずいわけでありますし、そういう意味では、今度、法案が提出されているわけで、この法案はこれから審議するわけでありますけれども、そういうこととあわせて、連携、異業種が集まって、そして、例えば有機EL産業が金融面でも動きやすいように措置も含めて考えていただきたいというか、進めるべきではないかと思っているわけでございます。

 続きまして、その中で、今国会提出されている地域再生法案について伺っていきたいと思うんです。

 まず、この法案の目的を、重要広範議案でありますからあれなんですが、改めて、せっかくですので、この法案の目的を簡単に伺いたいと思っております。

林田副大臣 日本の経済、今どういう状況になっているかというのは、それぞれ判定といいますか、あると思いますが、私自身、やはり地方がまず元気にならない限り、全体としては上がってこないだろうというふうに思っております。そういう中で、現下の非常に厳しい財政事情の中で地方がいろいろな面で苦労されている。これは、先生も地元で、今の話も含めまして聞いておられるんじゃないかと思います。

 したがいまして、この地域再生法、今国会に提出させていただいておりますのは、要するに、元気のある地方、具体的には首長さんと言った方がわかりやすいかもしれませんけれども、切磋琢磨していただいてアイデア合戦をやっていただきたい。厳しい中で知恵、汗を流すところが元気がある、そういう首長がいかに多く出てくるか。平成の大合併等々もありますので、分権社会も非常にいろいろな形で出てこようかと思います。そういう中で、何遍も言いますけれども、元気のある地域をいかにアイデア合戦で競ってもらうかということに尽きるかと思います。

近藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 地域でそれぞれ活性化してもらうためのこの法律なんだということなわけであります。

 その中の一つの柱に、内閣府に道路整備交付金と汚水処理整備交付金と港湾につきまして一括計上して、今まで各省庁ばらばらだったものを一つの窓口で判断して、そして、それを交付金として渡すというプログラムが入っているわけであります。

 これまでの考えによりますと、霞が関の農水省、厚生省、建設省、それぞれ各省ばらばらだったものを一つにまとめて、そして、地域の知恵に沿って、これまでの縦割り行政の弊害をなくして、地域の計画に沿った形で予算を重点配分するというこの趣旨は私も大変大事なことだ、すばらしいことだと思っているわけでございますが、これはこれで一つ、三つの分野についてこういうことをしますということです。

 さらに、地域の、先ほど副大臣おっしゃっていただきましたが、元気のある首長が、自分の独創的なアイデアでこれまでの予算を、中央省庁の縦割りの予算をもう少しまとめていこうではないかと。例えば福祉関係であるとか農村整備であるとか、ほかの分野も含めて、まとめていく動きを政府全体としてさらに取り組むべきではないかな。既に各省庁でも補助金の一本化というのをやっておるわけでありますが、内閣府として、また来年度以降の動き、どんなことをお考えなのか、ぜひお伺いいたしたいと思います。

林田副大臣 今国会に提出させていただいております地域再生法につきましては、今委員おっしゃいましたように、具体的に、要するに、多省庁にまたがる今までの補助金というか、それを一括して内閣府で予算計上しようという考え方を入れております。

 具体的には、道整備関係で二百七十億円。これは国交省、あるいは林野庁、あるいは農免道路関係の農水省、それから汚水処理施設、これはもう非常にそれぞれ首長さんも悩んでおられるようでございまして、国交省の部門とか、集落排水、あるいは環境省部門、それぞれございますし、港一つとりましても、同じ港でも港湾と漁港がちょっと区別がつきにくい。それぞれあるものですから、そういうテーマ別に、今回は三つのテーマにしかなっておりませんけれども、ただ、これをいろいろ各省庁と詰めていく段階の中で、今委員おっしゃいましたように、それぞれ各省庁、やはり地域をいかに活性化させるかということについては非常にいろいろな検討をされております。

 恐らく委員は、先般の新聞記事等々でもお読みになったかと思いますけれども、いわゆる今回の地域再生基盤強化交付金以外にも、新たに創設される、これは厚労省所管になろうかと思いますけれども、地域介護・福祉空間整備交付金、あるいは農林省の村づくり、あるいは住宅関係の国交省、もろもろございますし、これは実は、二月十五日、つい先日でございますけれども、地域再生本部におきまして、地域再生のためのプログラム二〇〇五を出させていただいております。

 したがいまして、これをお読みいただいておると思いますけれども、地域再生計画と、それぞれの各省庁が持っているそういう地域関係を振興する部門、これも連携してやっていただきたいということをうたっております。

 いずれにしましても、今後も、地域からの地域再生に関する提案募集を実施してまいりますし、これらの地域からの声を踏まえつつ、地域のための、先ほど言いましたけれども、地域の創意工夫を凝らしアイデア合戦を展開したい、全国で展開したいという思いでございます。

近藤(洋)分科員 地方財政は大変厳しい状況にある、私も、自治体の方々と話をして、大変そんな声を聞くわけであります。政府の三位一体の改革の中で、非常に地方に対する交付金が減らされたということで、そういった声を聞くわけでありますが、ちょっと、ややうがった見方をしますと、今回のこの考え方は、大変僕は思想としてはすばらしいと思うわけであります。ただ逆に、今までどおりと同じような配分の仕方では、何となく形を変えてしまっただけではないかというふうに言われてしまいますので、ポイントは、なかなか難しいことだとは思うんですが、各地域においては既にもう進められている事業がある、その事業があるから、それを継続して何とか進めていきたいという声があるわけです。

 それを全部聞いてしまうと、今までどおりと同じ配分ということでありますから、当面、一、二年は、どうしてもそう思い切った重点配分等、地域のアイデア合戦が生かせるようなことが果たしてどこまでできるのかなという気はしているんですが、しかし、やはり、知恵を出したところにはきっちりそれだけのものが出てくるという仕組みにつくりかえるために、この制度をつくられたんだろうなと思っているわけでございます。ただの看板のつけかえだと思われないようにしなければいけないのではないかと思うわけであります。

 そこで、副大臣に伺いたいんですが、その体制なんですけれども、内閣府に舞台を移して、各省庁から部隊の方が来られると聞いております。説明に来られた役人の方がおっしゃっていました。ただ、これは、副大臣も霞が関のお役所で大活躍された方ですから、釈迦に説法でございますが、なかなか、内閣府に出向して、後ろを見ないで仕事をすることができるのかなと思うわけです。

 これはやはり、ふるさとがあるわけですから、しかも、ふるさとにはいずれ各省の役所の方は帰るわけでありますね。内閣府で、どうしてもやはり自分のところに、ふるさとというか、もとの派遣された職場を見て、建設省なら建設省、農水省なら農水省のことを見て仕事をしてしまうのではないかと思うわけであります。

 また、とりわけ内閣府という役所は、もともと母体は、経済企画庁さんだとか沖縄開発庁さんだとか総務省さんだとか、比較的公共事業とは縁のない、どちらかというと、経企庁を中心に、エコノミストの皆さん方だとか、分析はするけれども、それは公共事業とは比較的縁のなかった方のところに新たな方々がどんと入るわけでありますから、これは相当政治も含めてリーダーシップを発揮しなきゃいけませんし、役所の人事の仕組みとしても新しい何かをつくらなければいけないんじゃないかな、ただただ出向していた人をつくっただけでは大変なのではないかなと。ノーリターンルールというか、行ったらもう戻ってこないよというところまで、ある意味では必要なのかもしれません。

 その辺も含めて、内部の体制整備について、所管大臣としてのお考えを伺いたいんです。

林田副大臣 御案内のとおり、内閣府、行革の一環として、十三年ですか、以来、各省庁からそれぞれ出向して現在のものをやっておりますし、また、業務内容も、どちらかというと企画立案というか、理論武装をやるところかなという取り扱いがあったかと思います。

 そういう意味合いでは、この今回の法案を提出させていただいておる三交付金につきましては、はっきり言って、現場といいますか現地の話になるわけです。そういうことで、わからない者がいろいろなヒアリングをしてもだめだし、ましてや、これをやることによって、何だ、これはまた内閣府が一つふえただけじゃないか、説明に、それはもう本末転倒でございますので、この辺をきちっと、我々内閣府として、グリップというか仕切りをしていきたいというふうに考えております。

 なおかつ、先生もいろいろな本を出されておるようでございますけれども、それぞれ公務員といいますかお役人も、確かに自分の省庁というのも意識はあろうかと思いますけれども、そういうことは、表に出ていってこれができる話ではさらさらないというふうに私自身思っております。

 したがいまして、今回のこの法案につきましても、内閣府においても、村上大臣のリーダーシップのもと、各省庁より各種施設にいわゆる精通したというか、現地の部門に精通した職員に出向していただいておりますし、ノーリターン制度というところまで、ちょっと私どものあれでお答えはできませんけれども、これは職員一丸となってやってまいりますし、私自身も、委員の御指摘に沿うように、遺漏なきよう十分に意を用いてまいりたいというふうに思っています。

近藤(洋)分科員 ぜひ、仏つくって魂入れずじゃないですけれども、やはり実効性を担保するような組織運営が重要かなと重ねて御指摘をしていきたいと思っていますし、この点につきましては、国会の場は、役所をチェックするのが国会の仕事でありますから、国会においても、その運用について議論をしチェックをしていきたいと思っているところでございます。

 副大臣から重ねてお話ございましたように、地域の状況が本当に大変厳しいのは、私も切実に感じているところであります。

 私は一昨年、もう一年半になるわけですが、議席を初めて預かりまして、選挙のときの公約は、政治家の公約は余り、皆、選挙のときだけで忘れると言われるわけですけれども、私の選挙公約は、地方を元気にする、中小企業を元気にするんだ、仕事をつくるんだということをずっと訴えてまいりました。あれから一年半たって、我が山形県も含めて地方が元気になったのかなというと、そういう気はしないですね。それは何も、与党が悪いんだ、悪いんだ、政府が悪いんだとだけ批判するのは無責任だと思っておりますから、私も議員の一人として、これは、この一年半を総括すると、私は、公約どおり結果が出たのかというと、残念ながら、まだ出ていないな、まだやっていないやるべきことがたくさんあるなと思うわけでございます。

 地方が経済の主役だということは、私も心底そう思っておるわけでございますが、地域再生法で本当に地域が再生できるんだろうか、私はまだまだやるべきことはたくさんあると思っています。人材の育成から始まって、さまざまな総合戦略をしなきゃいけないと思っておりますし、正直申し上げて、これは、竹中さんの経済政策では私は地方は再生しないと思って確信を持っておるわけでございますが、それはともかくとしても、この法案で果たして本当に地域が再生するのか、副大臣の意気込みと決意を最後に伺って、終えたいと思います。

林田副大臣 この法案の話でございますものですから、どうしても役所ベースの話になっておるかと思いますけれども、今議員がおっしゃいましたように、地域再生、要するに地域に住んでいる人たち、この人たちがどう思うかに私はかかっているんじゃなかろうかと思います。

 どうしても役所サイドで流れていく場合は、県の行政機関あるいは市町村の行政機関を通じての話が多うございますけれども、恐らく、我々も政治家でございますから、その人たちとばかり接触しておるわけではございませんし、この地域再生につきましても、地元に帰りますと、それぞれ、若手、わかりやすく言えば、そこに生まれ育って、そこでずっと生活せざるを得ないというか、こういう人たちがまず地方を支えていると思うんですよ。

 こういう連中と言ったら失礼ですけれども、こういう方々がどういう思いでこれから自分の地域をつくり上げていきたいのか、その手伝いを行政がやるのであって、なおかつ政治がやるという心構えでやっていただいたと思っておりますし、そういう、先ほど首長さんという話をしましたけれども、これは法案の話なものですからそういう話もしましたけれども、全体として地域が元気が出るような方に持っていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)分科員 ありがとうございました。質問を終わります。

西川(京)主査代理 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松岡主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋分科員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 本日のこの予算第一分科会におきまして、三十分ほど時間をいただきまして、例年のことでありますが、自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の施行について、本日は警察庁の交通局長、そして国土交通省の自動車交通局次長さんにもおいでいただいております。大事な議論だと思っておりまして、毎年、私はこの分科会で議論をさせていただくわけであります。よろしくお願いをしたいと思います。

 今申し上げましたこの代行業の業務の適正化に関する法律、平成十四年六月一日から施行されまして、足かけ四年がたっているということでございます。実際に、全国を回りましても、代行業のステッカーを張りました車が随分見られるようになりまして、この法律が定着をしてきているのかな、こう思っているわけであります。適正化法、この法律ができる前から比べますと、随分、認定の事業者、この法律では都道府県の公安委員会の認定を受けるということになっておりますが、認定事業者、相当その数がふえてきておる、こういう感じがいたします。大体、状況としては来るところまで来たのかなと思っておりましたけれども、この一年間の推移を見てもやはり数が漸次ふえている、こういうふうに感じております。

 今の認定事業者の推移でありますとか、あるいは業務に従事しております随伴自動車の台数などの数字の推移というのは、適正化という観点からどういうふうに警察庁は認識をされておられるのか、最近の状況と認識をまず伺いたいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる運転代行業法ですが、平成十四年六月一日から施行されたわけですが、同法に基づき都道府県公安委員会の認定を受けた自動車運転代行業者は、平成十六年末現在で全国で五千六百四十七業者であり、業者が保有する随伴用自動車は約二万二千九百台となっております。法律成立前の平成十二年五月末時点で把握しておりました自動車運転代行業者は二千七百十五業者、随伴用自動車は約一万六千九百台でございました。認定の件数等はこれを大きく上回っておる状況でございまして、認定制度が導入されることについて周知が図られ、申請が適切に行われたことや、法律の施行を契機として新規参入が相当数あったものと考えております。

 警察庁といたしましては、運転代行業の適正化に必要不可欠であります各都道府県公安委員会における業者の認定が円滑かつ適切に行われており、飲酒運転の防止、運転代行業の健全化等の観点から望ましいことと考えておるところでございます。

 引き続き、国土交通省と連携して、業者に対する監督等を適切に行うなど、運転代行業の業務の適正な運営を確保してまいりたいと考えております。

桝屋分科員 今御報告がありましたように、法律の施行前は二千七百ぐらいの業者が五千六百、まさに倍ぐらいになっているわけであります。今お答えがありましたように、とりわけ交通安全、飲酒運転の防止等については大きな効果が出ているという御認識かというふうに伺いました。

 私もそのように感じておりまして、先ほど申し上げましたように、全国的にどこへ行きましても繁華街等にはこの車が見られるわけでありまして、ある意味では、今まで客待ちで違法駐車しているような状況もこれではっきりするわけでありますから、そういう意味では、私はこの法律の成果といいますか、あったんだろう、こう思っております。

 ただ、これが、適正事業者という考え方はもちろんないんでしょう、ある程度の条件をクリアしていれば認定をいただけるわけでありますから。これからどうなっていくかということでありますが、ある意味では、これは二つ、もろ刃のやいばのような気がいたしまして、変に参入規制なんかをしてはならない、やはり適正に事業を行いたいという方々については広く門戸が開かれているという状況も必要であろうと思いますし、あるいはまた、逆に、余り多くの方が入ってきて過当な競争になったり、そこがやはり、競争相手が多いとどうしてもさまざまな問題が出てきやすい状況もありますので、そういう意味では、業者がふえればふえるほど、やはり適正化に向けての取り組みも、行政指導等の取り組みも必要になるのかな、こう思ったりしているわけであります。法律が執行されて今日までの状況を見ながら、私もそこは複雑な心境で今の状況を見守っているわけであります。

 法律は十四年六月一日から施行されましたが、昨年六月から道路交通法の改正によりましてこの代行業に従事する従事者、とりわけお客さんの車に乗ってお客さんの車を運転し、お客さんを乗せて代行をするというそのドライバーについては、二種免許が義務化されたわけであります。

 一定の準備期間を置いて準備されまして施行されたわけでありますから、おおむね順調にいっているのかなと思っているんですが、第二種免許が義務化された昨年六月以降の状況、従事者の免許取得の状況、大体従事者の半分ぐらいは免許を取得して、二種を持っておかなきゃならぬということをいつも聞かされているわけでありますが、取得の状況、さらには、二種免許の義務化ということについて円滑に制度が運用されているのかどうか、この点も重ねて状況をお伺いしたいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 運転代行業に従事する者の第二種免許の取得状況でございますが、運転代行業法が施行されました後の平成十四年十二月十五日時点では、全従業員の一四%、約六千七百人でありましたが、平成十六年末現在では、全従業員の約五二%に当たります三万二千百人が取得している状況でございます。

 おおむね円滑に進んでいるのではないかと認識しております。

桝屋分科員 ありがとうございます。昨年の義務化についても大きな混乱もなく移行できた、こういう御報告であったと思っております。

 この適正化法が施行されて今日までの状況、さらには二種免許が義務化される時点、先ほど私はきれいな言葉で言いましたけれども、やはり現場においては、相当業者もふえておりますから、熾烈な競争が行われたり、新たな業者がどんどん生まれてくるわけでありまして、そこはなかなか難しい状況がある。

 前回も申し上げましたが、例えば無届けの車があったり、あるいは認定を受けていないまま事業をおやりになったり、さまざまな問題がある。そんな中で、やはり、ここは法律の趣旨に沿って的確に取り締まり等をやり、法律の趣旨を貫徹するという取り組みが求められたわけでありまして、昨年の六月、この二種免許の義務化ということが一つの起点となって、私は改めて適正化のための取り締まり等が行われるのではなかろうかということを昨年も議論させていただきましたが、どうでしょうか。取り締まりの状況、特に義務化になりましてから今日まで、中には検挙されたという事例があるやに聞いておりますが、そうした状況を少し御報告いただきたいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 警察では、昨年の六月一日のいわゆる義務化に向けまして、自動車運転代行業者に対し、従事者の第二種免許取得促進の指導を進めてまいりましたが、平成十六年六月一日の施行直後から第二種免許運転の取り締まりを積極的に推進いたしておりまして、平成十六年中の七カ月間で、二十六都府県におきまして、無免許運転で六十四件、無免許運転の教唆、幇助で八件、無免許運転の下命、容認で二十六件検挙しております。

 都道府県によって取り締まり状況に若干の差はありますが、都道府県とも、地域の実情を踏まえまして、状況に応じ、第二種免許運転の指導取り締まりを積極的に推進しているものと承知しております。引き続き、地域の実態に応じた適切な指導取り締まりを推進するよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

桝屋分科員 今の御報告では、昨年の六月以降、取り締まりについても取り組んでいただいている状況が御報告されたわけでありますが、今お答えがありましたように、都道府県によって若干の差がある、こういうことなんです。例えば、無免許の検挙数、六十四件という話がありましたが、これを見ても、二けたの件数のあるところもあれば、都道府県別に見るとですよ、あるいは全くその実績がない、ないのがいいか悪いかは別といたしまして、私は、数は少ないですから比較はできないと思いますが、取り締まりの対応について、大分温度差があるのではないかということも感じております。

 ここは、新しく義務化が導入されて、やはり検挙されるといいますか、取り締まりがされたということは、相当従事者、それぞれの代行業者にとって大きな影響になるわけでありまして、私は、初動の体制が非常に重要だと思っておりまして、取り締まりに相当の違いがあるのではないか、取り組みに差がついているのではないか、こう感じるわけであります。現場の声を聞きましても、都道府県やあるいは所轄によって取り扱いが相当異なっているんじゃなかろうか、この代行業の適正化の取り締まりについても、かなり差があるんではないかということをよく聞きます。

 ここはやはり、一生懸命まじめに法律を守って正直に取り組んでいる業者と、それから違法な業の運営をなしているというところに差があってはならぬわけで、正直者がばかを見るようなことがあってはならぬわけでありますから、私は、法律の信頼を高めるという意味でも、ここは全国統一の取り組みが求められるのではなかろうか、こう思っております。

 重ねて伺いたいと思っておりますが、全国でそうした違いはないのか、警察庁としても的確な指導通知等をお出しになって取り組んでおられるのか、その辺の状況を重ねてお伺いしたいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 今ほどは二種免許に係る無免許運転及びその教唆、幇助等についてお答え申し上げたわけでございますが、それ以外に、法施行全般にわたりましては、平成十四年六月一日の代行業法施行以来、昨年十二月末までに、無認定の営業でありますとか、あるいは損害賠償措置義務違反、いわゆる無保険の営業でございますが、そのような自動車運転代行業違反といたしましても七十二件取り締まっておりますし、また、そのほか、白タク行為等の違反を二十一件検挙しているところでございまして、全国を見ますと、それぞれいろいろな取り組みで、取り締まりの結果はそうなっておりますけれども、取り締まりの姿勢といたしましては、代行業の健全化のために指導取り締まりをしっかりとやっていく、こういう姿勢でございます。

桝屋分科員 重ねて伺いますが、昨年の六月以降、警察庁として各都道府県の県警等に指導通知を出されたようなことがあるのかどうか、確認をしておきたいと思いますし、所轄によって随分差があるということを申し上げましたが、警察も、今回人員増をいたしましたけれども、大変な国家公務員の総定員の管理の中で警察官はふえたわけでありますけれども、それでも大変だというのは、よく私も理解しております。

 したがって、この代行業の取り締まり等については、相当私は差がついているんじゃないかという気もしないでもない、それは現場を回りますとよく私も感じるわけでありますが、もう一回、そこは通知等を出されているのかどうか、取り組みを確認したいと思います。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 昨年の六月一日の二種免の義務化に先立ちまして、平成十六年四月二十日でございますが、私ども全国に通達を発しまして、この法施行に伴う、一部施行に伴う交通指導取り締まり方針についてということで示達しております。この中で、さまざまな違反内容についての取り締まり、それから指導取り締まりに従事する警察官、これが十分に承知していない場合があるかと思いましたので、指導、教養の徹底ということで指示しております。

 以上でございます。

桝屋分科員 ありがとうございます。では、また機会がありましたら、昨年の施行前の、施行のための通知についても見せていただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 先ほど、一等最初に申し上げましたように、足かけ四年になります法律であります。先ほどの二種免許の取り締まりの状況に加えて御報告がありました認定の問題、あるいは損害賠償等の措置について義務違反なども、いろいろ件数もあるというお話でありました。

 これから、見直し条項がこの法律にはございまして、五年後の見直しということになっておりますが、そろそろそうした見直しの時点も視野に入れてさまざまな検討をしなきゃならぬと思っております。今のような取り締まりの状況等を踏まえて、適正化のために警察庁として取り組まなければならない課題というものがそろそろ整理されてくるのかなと思っておりますが、まだ、おまえ、そうは言っても早いよというふうに言われるかもしれませんが、そんな検討がもしあればお示しをいただきたいと思います。どうでしょうか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 今ほどお話にございましたように、運転代行業については、法施行から正味でいいますと二年九カ月、それから代行運転自動車運転者への二種免の義務づけから九カ月経過した時点でございまして、当面その効果を見きわめていく必要があると考えておりますが、さらに施行から五年を経過する平成十九年をにらみつつ、国土交通省とも連携いたしまして、運転代行業に係ります交通事故の発生状況、あるいは利用者の声、あるいは事業者の法の遵守状況等の継続的な把握にも努めてまいりたいと考えております。

桝屋分科員 少し私の思いが先走りかもしれませんが、いずれにしても、五年の見直し条項があるわけでありますから、その辺の整理もお願いをしておきたいと思います。

 現場を回りまして、先ほどからいろいろ申し上げておりますが、一番大きい問題は、やはり盆とか正月とか、それから土曜とか日曜、まあ日曜はないんですが、金曜日の夜とか、大変にこの事業が忙しく、繁華街がにぎやかになる時期には、無届けの車両が営業しておったり、それを横で見て、一生懸命まじめにやっている業者が指をくわえて見ているとか、そういう話もよく聞くわけでありまして、あのステッカーについて、これは今それぞれ認定を受けた事業者が自分でつくって頒布をするということだろうと思うんですが、やはりそうした、例えば急に仕事が忙しくなれば、手持ちの車両でやるということも往々にして可能性があるわけでありまして、そうしたステッカー等については、公安委員会が管理をするとか、少し管理の方法を考えるというようなことも私は知恵として出されていいのではなかろうかと。ただ、そういうやり方は往々にして行政改革に反するというふうに思うところもありまして、これは知恵の出しようがあるんじゃないかと。

 それから、もう一つは、やはり情報公開。その当該地域においてどれぐらいの業者が認定を受けて、何台を届けておって、どういう営業をしているのかという、その辺の状況が利用者あるいはその業者の中で閲覧ができる、そういう情報公開というのは私はある意味では大事じゃないかということを昨年も申し上げましたが、そうしたことも一つのポイントとして検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の代行運転自動車標識につきましては、これは他の自動車の運転者等に対しまして、随伴用自動車が後続、後からついてくるということを周知するため代行運転自動車に表示しなきゃならないということでございますので、その趣旨から、交通の安全を図る観点から、その表示が徹底されるということが重要であると考えております。

 また、その認定事業者についての情報開示の点でございますが、これは確かに運転代行業の利用者の利便にも資するものでございますので、一部の県において、県警本部のホームページに事業者の一覧が掲載されているところもあるようでございますので、こうした取り組みを他の都道府県に紹介することなどの措置についても検討してみたいと考えております。

桝屋分科員 ぜひお願いをしたいと思います。

 今お話がありましたように、そのステッカーについては法の目的は確かにあるのでしょうが、今の現場の状況からしますと、例えばやはり公安委員会が認定をする。その認定された事業者が例えば十台の営業活動をするという届けをしているのであれば、一から十までの枝番を振って、せっかくステッカーを張るわけでありますから、そうした管理の方法というのはあるんじゃなかろうかというふうに思うわけでありまして、法の目的もそうでありますが、ぜひ有効なツールとして活用も御検討いただけたらとお願いをしておきたいと思います。

 時間もなくなりましたので、きょうは国土交通省さんにもおいでいただいておりますが、見直し作業、話は早いという感もしますが、やはり大事でありまして、国土交通省におかれては、法の執行、今日までの状況を視野に入れて、これから見直しに向けて検討の課題が幾つかあるんじゃなかろうかと思っております。例えば、AB間移送の問題や、あるいは料金メーターを義務づけるというようなことについても議論があるのかないのか、あってもいいのではないかというふうに思ったりしておるのでありますが、国土交通省における検討の状況をちょっと伺いたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省といたしましては、自動車運転代行業適正化法の施行五年後の状況の検討につきましては、そのときになりましたら警察庁と緊密な連携を図りつつ行うこととしております。それにより、見直しを含む所要の措置を講じることが必要かどうかにつきましては、いわゆるAB間輸送、料金関係等を含めた事項ごとに両省庁で協議してまいりたいと考えております。

桝屋分科員 それから、せっかく国土交通省さんにおいでいただいております。いわゆる損害賠償措置でありますが、代行の保険を義務づけるということで、当然ながらその基準についてはこれは省令で基準が設定されていると思いますが、現場に聞きますと、代行業の保険、代行保険と、それからやはり任意保険なんかも皆入られているようなんですね。さまざまな利用者のリスクに対して万全を期そうということでありますが、この辺の内容についても、やはり現状をよく聞いていただいて、検討課題にしていただきたいと思っているのでありますが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 現在、自動車運転代行業適正化法では、利用者保護の観点から、自動車運転代行業者に対して代行運転自動車について損害賠償措置を講じることを義務づけており、損害賠償限度額等についても国土交通省告示により基準を定めているところであります。

 国土交通省としては、自動車運転代行業適正化法の施行五年後の状況の検討作業の際に、損害賠償措置の項目につきましてもあわせて検討してまいりたいと考えております。

桝屋分科員 大体以上がきょう私が議論したかったことであります。分科会ということでもありまして、あるいはまた、内容が内容だけに、大臣や公安委員長をお呼びしておりません。しかし、きょうの御回答の中でさらっとお答えをいただいた感じもするのでありますが、ぜひ大臣や公安委員長にも御報告をいただいて、見直しに向けて私はぜひ検討を開始していただきたい。

 きょうは言っておりませんが、やはり行政が直接行うべきことと、それから公益法人もあるようでありますが、公益法人改革全体の見直しも行われている中で、その役割ということも、あるいは今現にどれだけ機能しているのかという問題もあるわけであります。

 さらには、私が毎年この問題を取り上げておりますのは、利用者の利便を損なうような適正化法では決して定着はしないということがあるわけでありまして、そういう意味では、そろそろ、二種免許が義務化されたということはある意味では大変な出来事でありまして、二種免許というのは一体何なのか、それが義務化されたということはどういう次なる展開があるのかということも踏まえて幅広く検討をしていただいて、まだ二年ぐらい時間がありますので、私は、検討作業をしっかりやっていただきますようにお願いをしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松岡主査 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして警察庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、金融庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。泉房穂君。

泉(房)分科員 民主党の泉房穂です。これから三十分間、無権限取引、スキミング等を含みますこの問題につきまして、大臣に、また副大臣に御質問したいと思います。

 この問題につきましては本当にホットな話題でありまして、伊藤大臣みずから一月十一日の記者会見でも積極的な発言をなさっておられます。小泉総理も前向きに取り組むということを言っておられますが、その後、一カ月たちました。今の金融庁におけるこの問題に関する取り組み、特にといいますか、本日は補償に限って質問させていただきますので、預金者に対する補償につきまして、現時点の取り組み、そして今後の予定につきまして、スケジュールもあわせてお答えいただきたいと思います。

七条副大臣 この問題について私の方からお答えさせていただきますけれども、金融庁といたしましては、先般、偽造カードにおける不正行為について実態調査をいたしました。それを、二月二十二日にその結果を公表いたしまして、その結果の報告を踏まえまして、より実効性のある犯罪防止対策の検討、また被害者が発生した場合の対応について、補償のあり方についても真摯に検討をしながら、全国の銀行協会を通じて各金融機関に対して要請をいたしたところでございます。

 同時に、法律やシステム等の専門家から成る偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループを金融庁の中の監督局内に設置いたしました。そして、被害に遭った預金者への補償のあり方を含めて、犯罪防止策あるいは犯罪発生後の対応のあり方を検討してまいったところでございます。

 なるべく早く、そういう形の検討をいたした結果を踏まえて結論を取りまとめたいと思っておりますが、金融庁といたしましては、このスタディグループの検討結果に基づいてさらなる偽造カードに対する対策を講じていく予定であり、特に、今先生がお話のありました預金者への補償のあり方についても、例えば、約款でありますけれども、この約款のあり方やその運用を含めた現状の対応でよいのかどうか、あるいは、今すぐできるものがないかどうかということも含めて、見直しの必要性があると考えて真摯に受けとめ、今検討しているところでございます。

泉(房)分科員 金融庁としても前向きに取り組んでいるということでありますが、この問題につきましては、御案内のとおり、もう平成六年のころから議論がなされておりまして、その後も補償もほとんどなされていないという実態があろうかと思います。

 具体的に、その補償ですが、大臣としてのお考えを聞きたいのです。

 預金者からしますと、みずからのあずかり知らぬところである日突然お金がなくなっている。中には、三千万円もみずからの通帳から引き出されてしまっている方も出ておられます。こういった方に対して何の補償もしない、そのようなことがいつまでも続いていいとは到底思えません。

 そこで、大臣として、やはり補償について、もちろん一定の要件等は必要かもしれませんが、一定の場合おいて補償をしていく、そういうことは必要であるという御認識なのかどうか、まずそれをお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員は、この問題について、党のプロジェクトチームの責任者の一人として取り組んでおられることを承知いたしておりますし、各党においても、この問題について真剣に検討がなされているということを承知いたしております。

 今、委員から、補償についての基本的な考えについてお尋ねがあったというふうに思います。委員御承知のとおり、我が国の民法におきましては、預金の払い戻しにつきまして、銀行が善意無過失であればその責任を問われないものとされている民法四百七十八条の規定がございます。これに対しまして、標準的なキャッシュカード規定、いわゆる約款でございますが、この中で、カードにつき、偽造、変造、盗用その他の事故があった場合、その払い戻しが偽造カードによるものであり、カード及び暗証の管理について預金者の責に帰するべき事項がなかったことを確認できた場合、当該金融機関は免責を主張しない旨の規定が盛り込まれているところでございます。

 先ほど副大臣から私どもの取り組みについて御答弁をさせていただきましたが、全銀協におきましても、一月下旬にこの問題についての申し合わせがなされました。その中において、規定や法に照らした真摯な対応というものを補償の検討としてやっていく、あるいは、補償つき預金商品の開発への取り組みが挙げられているものと承知をいたしておりますので、こうした取り組みの強化というものが着実な成果が上がっていくことを期待いたしておりますし、私どもとしても、個別の問題についても真摯な対応をしていただくことを期待いたしているところでございます。

 今、私どもといたしましては、副大臣からもお話をさせていただいたように、金融庁の中にスタディグループというものを設置させていただいて、そして、専門家の方々に参加していただきながら、利用者保護の実効性というものを確保していく観点から、私どもとしてどのような対応をしていくことが必要なのか、今のままでよいのか、見直しが必要なのかと真剣に検討をいたしているところでございます。

 こうした私どもの検討も踏まえて、さらに金融機関の方々に新たな要請もさせていただきたいというふうに思っておりますので、個別の問題も含めて真摯に対応していただくことを期待していきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 いろいろ御説明をいただきましたが、質問はシンプルでありまして、銀行が善意無過失であったとしても、その場合であっても、預金者の損失というものを金融機関のお金でもって補償すべきか否かという価値判断の問題であります。その基本姿勢を大臣に問うているのでありますから、シンプルにお答えいただきたいと思います。

 大臣としては、たとえ金融機関が善意無過失であったとしても、一定の場合には補償を要する場合があるという御認識なのかどうか、イエスかノーかでお答えください。

伊藤国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたように、この補償の問題については、個別の問題についても銀行の皆様方に真摯に対応していただきたいというふうに思っております。

 今、この偽造キャッシュカードの問題というのは、非常に犯罪技術というものが巧妙化しておりますし、高度化しております。そういった実態に的確に対応しつつ、そして、ATMシステム利用者保護の実効性を確保していくために、被害が生じた場合の預金者の補償のあり方について、先ほど申し上げさせていただいたような専門家のチームを編成して今検討させていただいているところでございます。そうした中で、私どもとして、現状の対応でよいのか、あるいは見直しをしていく必要があるのか、真剣に検討していきたいと考えておるところでございます。

泉(房)分科員 ストレートな質問をしたんですが、現時点でそのようなお答えであれば、ならば、岩原座長のもとにスタディグループ、岩原座長のお考えは、もう御案内のとおり、個人的には法整備が必要であるというような新聞報道もなされております。かねてよりこの分野の御専門でもございます。岩原座長のスタンスは明らかだと思いますが、タイムスケジュール的には、スタディグループが四月下旬ころまでに何らかまとめて、それを受けてという動きが始まるのではないかとも聞いておりますが、そのあたりはどのようなのか、教えていただければと思います。

伊藤国務大臣 スタディグループについてのタイムスケジュールについての御質問でございましたが、私どもといたしましては、その議論の様子があろうかと思いますけれども、でき得るならば、一定の結論というものを四月の下旬をめどに取りまとめていただきたいということを考えております。また、その旨のお願いをさせていただいているところでございます。

泉(房)分科員 基本的なスタンスとしては、何らかの形でこの問題を、預金者に何とかお金が戻るような工夫をしているというようなことであろう、それは共有認識だという前提でお話しさせていただきますが、諸外国の場合、大臣お詳しいと思いますが、アメリカにしろイギリスにしろ、ドイツにしろオーストラリアにしろ、やはり何らかの手当てをしております。日本は、いまだ約款にとどまっております。平成六年に約款にただし書きがつきましたが、なかなか十分な補償はなされていないと私は考えます。

 大臣は、そのあたりの実態認識、今の現行の約款で十分だったのかどうか、そのあたりの現状認識を問いたいと思います。

伊藤国務大臣 今御指摘がございましたように、諸外国におきまして、この問題に対して法的な手当てをされている国もございます。また一方で、法的な手当てではなくて、金融機関の自主規制ルールに基づいて対応している国がございます。そうした諸外国のさまざまな取り組み、こうしたものを私どもも十分研究していきたい、検討していきたい。また、このスタディグループの中でも、そうした諸外国の取り組みについての議論がなされていくだろうというふうに思います。

 先ほど、座長を務められる岩原先生についてお話がございました。法制化するかどうかについては、岩原先生のお考えも含めてさまざまな議論があろうかというふうに思います。

 法制化についてのメリットは、法律関係の明確化が図られるというメリット。一方で、デメリットが、その柔軟な対応に課題があるというふうに言われております。また、約款につきましては、ルール設定が容易であり、柔軟な対応が可能である、この点がメリットでありますけれども、デメリットとすれば、やはり実効性の確保に課題がある、あるいは独占禁止法との関係を考慮する必要があるというふうに指摘がされているところでございますので、こうした点も踏まえてスタディグループで専門家の皆様方に御議論をいただきたいというふうに思っております。

 御承知のとおり、このメンバーの中には、岩原先生のような法律の専門家もおられますし、また長年消費者運動に携わってこられた代表の方も入っておられますので、そうした専門的な見地からもこの点について御議論を深めていただきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 いろいろ質問しても、スタディグループの話になってしまうと、なかなか大臣自身の生の言葉が聞けずに残念に思うんですが、大臣にしてもいろいろ思いはあろうかと思います。この問題は、やはり立証責任の問題がかなり大きな問題だと理解しています。

 大臣も、お話ありましたように、補償という目的を達成するためには、必ずしも法律の制定のみならず運用面でしている国もあるわけですから、両方の方法があろうかと思います。

 ただ、ポイントは、原則として金融機関が補償する、しかしながら、一定の場合には金融機関が補償せずに預金者の負担に帰するという、その原則と例外の問題であろうと思います。そこが、我が国の場合、ほかの国と違って、原則は金融機関は責任を負わないというところに最大の問題があろうと認識しておりますが、この認識は大臣と共有できるものなのかどうか、お答えをお願いしたいと思います。

伊藤国務大臣 恐らく、委員のお尋ねの中には、挙証責任の転換の問題も含まれているのではないかというふうに思います。法律により、この点について一律に立証責任の転換を求めることについては、その必要性あるいは合理性等、幅広い観点から、慎重な検討が必要ではないかというふうに思っております。

 ただし、私は、委員と問題意識が共有されているというふうに考えているのは、やはりどのような形で利用者保護、被害が生じてしまった場合の対応の実効性というものをしっかり確保していくか、この点については、私は、委員と問題意識が共有されているというふうに思っておりますし、また、だからこそ、スタディグループというものを設置させていただいて、幅広い専門家の皆様方に参加していただいて、あらゆる観点から検討していただいて、その検討結果を踏まえて、私どもとして対応策について真剣に考えていきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 大臣とかなり本音のところでは認識が共有しているのではないかとは察しますけれども、今のお話だと、スタディグループの検討を待って四月下旬というお話でしたが、それを待って、その内容を受けて、それが法律の制定なのか、ないしは約款の改正なのか、いずれの方法にしろ、今の大臣の言葉をかりれば、実効性あるまさに預金者の保護というようなことを目的としているという理解をしたいと思いますが、それはそれでよろしいですね。

伊藤国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 私どもとして、やはり実効性というものを確保していくことが非常に重要でありますので、二月二十二日の日にさらに金融機関の方々に要請をさせていただきましたけれども、この要請の実効性というものを担保していくために、二十四条で、各金融機関の方々に、こうした犯罪に対する緊急の対応の方針というものを取りまとめて金融庁に御報告を願いたい、そして、私どもは、それをフォローアップしながら、実効性というものを確保していきたいというふうに考えております。

 また、先ほど来お話をさせていただいているスタディグループの設置の問題、その検討を受けて、私どもとして検討を真剣に進めていくということもまさにそうした観点からの考えであります。

泉(房)分科員 大臣も、前提として預金者保護という大きな目的達成という念頭があろうと思いますが、その場合、問いたいのは、保護されるべき預金者といいますか、もちろん、成り済まして詐欺行為をするような預金者が保護されるはずがありません。諸外国を見ましても、一般的には、故意、重過失がない預金者については保護される、ないしは、過失については議論があろうと思いますが、そのあたり、一般的には、やはり故意、過失のない限りは、預金者は保護されるという理解が諸外国の例だと思います。日本の場合も同様のことが一般的には言われておりますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

伊藤国務大臣 委員は法律の専門家でいらっしゃいますので、我が国の民事法制の基本的な枠組み、そして、その中における預金者保護のあり方というものを私どもとして考えていかなければいけないわけであります。

 偽造キャッシュカードの問題につきましては、銀行のキャッシュカードに関する約款という問題があります。その約款のあり方でありますとか運用、こうしたことも含めて、先ほど来お話をさせていただいている今後の対応策について今真剣に検討していきたいというふうに思っているところでございます。

泉(房)分科員 質問しても、質問と答えが合っているような合っていないようなもどかしい思いをいたしますが、一定の預金者が保護されるのは当然でありますが、その要件についてはいろいろ議論をこれからしていくという理解は私も共有いたします。

 次に、保護されるべき取引形態であります。

 議論を見ますと、偽造のカードに限定されるような向きも見受けられますが、諸外国を見ましても、カードの偽造に限らず、カードの窃盗なども含んでやはり保護しているというのが一般的であろうと思います。この点、大臣の認識を問いたいと思います。

伊藤国務大臣 私どもといたしましては、今、偽造キャッシュカードの問題、この被害というものが急増をいたしております。したがって、この被害に対する対応というのは、大きく分けて二つありまして、一つは、これ以上の被害の拡大というものを防止していくために適切なセキュリティー対策というものを講じていく。そして、もう一つは、被害が発生した場合の補償を含めた対応というものをしっかりやっていくことだというふうに考えております。

 したがって、こうした観点から、スタディグループにおきましても検討していただいているところでございますが、この中で、まず、緊急的な課題として、偽造キャッシュカードの問題、このことについて集中的に検討をしていかれるというふうに思っているところでございます。また、委員からはほかの無権限取引の問題についての御指摘がございました。

 いずれにいたしましても、こうした問題につきましては、その被害の実態というものを私どもとしても注意するとともに、必要に応じて、平成十五年の一月に本人確認法というものが施行されましたし、また、これに合わせて、全銀協に対して私どもも要請をさせていただいて、全銀協においてもその対応策が講じられているところでございますので、金融業界の積極的な取り組みを引き続き私どもとしても促しながら、適切な対応というものをしていきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 大臣自身もお詳しいと思いますが、無権限取引は大きく言って四つ類型があろうかと思います。カードの偽造、カードの盗難、ネットバンキングのような場合、そして通帳などの盗難。すべて共通しているのは、預金者の方から見ますと、みずからのあずかり知らぬところで、通帳を見たらお金が減っている、要するに、預金がなくなってしまっている、にもかかわらず、原則として補償が受けられないという、預金者から見れば全く同じ話であります。

 もちろん、場面は違いますから、それぞれの対策は違う面はあろうかと思いますが、まず今、大臣の方から安全対策という話も出ましたが、ならば、安全対策をとるべきなのは、この四つとも同じく安全対策をとることが必要であろうと思います。まずこの点は、ただ一つ、カード偽造のみの安全対策で足りるとは考えていないと思いますが、この点、四つとも安全対策が要るということでよろしいですね。

伊藤国務大臣 まさにそのとおりでありまして、そうした観点から、本人確認法というものが施行された。また、これに基づいて、私どもとしても、全銀協に対して、安全対策、被害の防止対策というものをしっかりやっていただきたい、そのことを要請させていただいて、それを受けて、全銀協としてもその対応策というものを講じておられるというふうに考えております。

泉(房)分科員 先ほど、大臣としては、安全対策の面、そして、補償を含めての預金者保護の点の二つを言われました。

 まず、一つ目の、安全対策の必要性は四つとも共通であるという認識だと思います。では、預金者保護につきましては、この四つで預金者保護の必要性は違うのでしょうか、同じなんでしょうか。私は到底違うと思いませんが、預金者保護の必要性も四つとも同じであるという認識でよろしいでしょうか。お答えください。

伊藤国務大臣 預金者を保護していくということにつきましては、これは私どもにとりましても、非常に重要な問題であるというふうに認識しております。

 ただし、実際に被害が生じてしまった場合に、委員も御質問の中で、一定の要件でありますとか、一定の形でというふうにお話をされているように、この被害というのはさまざまでありますので、その実態に対応した形で対策というものを考えていかなければいけないというふうに思っております。

 我が国の民事法制は民事法制としての一つの考え方というものがございますし、その中で、こうした、利用者を保護していく、預金者を保護していくためにはどうしたらいいかということを真剣に考えていかなければいけないというふうに思っております。

泉(房)分科員 大臣のお話からしますと、やはり四つとも大事である、四つについて安全対策もまた預金者保護も必要であるというお考えだと思います。

 であるならば、もちろんいろいろ場面も違う面がありますから、それぞれの施策がその四つに応じて違ってくることはあり得るのかもしれません。しかしながら、無権限取引の四類型それぞれについてやはり検討を要するのではないかと思います。岩原座長も、偽造カードのみに限ることは問題であると何度も文献で触れられて書かれておられます。

 ところが、今回スタディグループ、スタートから四類型のうちの一類型に限ってしまうのは、少なくとも検討するわけですから、具体的な施策の段階で場面が分かれることがあり得るとしても、検討につきましては、無権限取引の四類型をやはり実態調査し、それぞれについての預金者保護のあり方について検討していく、これはしていいんじゃないかと思うのですが、このあたり、大臣のお考えをお聞かせください。

伊藤国務大臣 この点につきましては、やはり政策の優先順位の問題だというふうに思います。

 今、この偽造キャッシュカードの被害というものは大変急増しております。そうしたことに対して実効性のある対応策というものを、先ほどお話をさせていただいた、被害の拡大というものを防止していく、犯罪の防止の観点からの議論と、そして、被害が発生した場合の適切な対応、補償の問題も含めた対応策について、これをやはり緊急に検討していかなければいけない。

 そうした今の課題の中で、スタディグループにおきましては、緊急課題として、まず、無権限取引全体の問題に先立って、この問題について集中的に御議論をされるというふうに承知をいたしております。

泉(房)分科員 四つのうちのカードの偽造が優先的だとおっしゃるんですが、その理由がよくわかりません。

 具体的に、例えば、ゴルフ場でマスターキーを使ってカードをとられたケースの場合、そのとられたカードを真正カードに、もう一つ別の偽造したカードを使って引き出すのか、ないしは、とったそのカードを使って引き出すのか、そしてそれを戻した場合、預金者にとって何の違いもありません。カードが真正なカードだったのか偽造カードだったのかという違い以外に、預金者側にとっては何の違いもありません。

 そのあたりを考えますと、少なくても、偽造カードに限定せず、カードの盗難についてもあわせて検討するのが当然だろうと思うのですが、大臣のお考えによりますと、どうして偽造カードがほかの三類型と違うのか、お考えがあれば御説明願いたいと思います。

伊藤国務大臣 ここは平行線の答弁になって大変恐縮なんですけれども、先ほど来お話をさせていただいておりますように、偽造キャッシュカードの被害がやはり急増している、これに対する対応というものをしっかりやっていかなければいけない。そうした認識の中で、私どもとしても、実態調査を行わせていただいて、それに基づいて、副大臣が答弁をさせていただいたように、全銀協に対して、あるいは各金融機関に対して要請を重ねてさせていただいたところであります。

 また、無権限取引全体についてのお尋ねでございますけれども、やはりこうした被害というのは、先ほどもお話をさせていただいたように、さまざまなケースがあります。個々によって、その中身というものは違ったものがございます。

 やはり、その被害の補償につきましては、私法上の契約に関する問題でありますから、基本的には、司法の場を含めた当事者間で解決が図られるべき問題であるというふうに考えておりますし、また、この点については御理解をいただきたいというふうに思いますが、偽造キャッシュカード以外の問題につきましても、各金融機関の方々に対しまして、先ほど来お話をさせていただいているように、積極的な取り組みをしていただくよう引き続き促してまいりたいというふうに考えております。

泉(房)分科員 同じ質問をして平行線になっても仕方がありませんが、少なくても、大臣のきょうの答弁を見ましても、四類型、無権限取引すべてについての安全対策が必要であり、預金者保護も必要である、ただ、優先的にまずカードの偽造をするというお立場からすると、では、カード偽造については、速やかに補償にたどり着くように、目的達成のためにするという、そこの価値判断に基づいてそれをするという理解でよろしいんでしょうか。

伊藤国務大臣 先ほど来御答弁をさせていただいているように、安全対策については、まず、四類型をお示しになられましたけれども、偽造キャッシュカード以外につきましては、本人確認法を施行する、あるいは、私どもとして、全銀協に対して要請をさせていただく、また、それに基づいて対応策を講じるというようなことがございました。

 そして、偽造キャッシュカード問題というのは、最近急激にこうした被害というものが生じてきておりますから、こうした現状にかんがみた安全保障面の対策というものをしていかなければいけない。同時に、被害が発生した場合に適切な対応が金融機関においてもとられるように、私どもとしても要請をさせていただいているところでございますし、先ほど来御答弁をさせていただいているように、スタディグループを構成させていただいて御議論をいただきながら、その結論を受けて、今のままの対応でよいのか、あるいは見直しをしていく必要があるのか、真剣に検討していきたいと考えております。

泉(房)分科員 この問題は本当に、今始まった話ではありません。御案内のとおり、もう十年も前から、どうするかという議論があり、その時点で約款のただし書きをつけ加え、しかも、そのときに偽造に限ってしまっていたという問題があります。

 昨年、一年ほど前から、我が党の中塚一宏議員なども何度も指摘させていただいておりますけれども、検討の時間は十分にあっただろうと思います。あとは決断の時期が迫っているんだろうと私は思います。

 その際に、今の全銀協の対応を見ておりますと、この火曜日の全銀協の会長の答弁を見ましても、約款の改正すらせず、今の約款の運用でやるかのような発言にも受け取れます。これは、もう十年も前からこの約款はあったわけでありまして、きょうの大臣の答弁にありましたが、私も、別に法改正のみがすべてと思っておりません。約款の改正によって同じ目的が達成されるのであれば、それは一つの手法であろうと思います。

 ただ、少なくとも、今の約款のままで、運用面のみでその目的が達成できる、つまり預金者保護という目的が達成できるとは到底思われませんが、このあたりの大臣の御認識を問いたいと思います。

伊藤国務大臣 委員がもうまさに指摘をされたように、今の状況というのは、その実効性が問われているんだというふうに思います。

 今お話がございましたように、委員は、必ずしも法改正を絶対やらなければいけないということではない、約款の見直し、運用のあり方においても対応ができるというようなことも、少しお話しになられたのではないかというふうに思います。

 したがって、私どもも、こうした点を踏まえて、スタディグループでもいろいろな形で検討をしていただいて、そして、その結論を踏まえて、今のままの対応でよいのか、見直しをする必要があるのか、約款のあり方、運用も含めて真剣に検討していきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 今の答弁は、私の質問の受けとめ方がちょっと違うのであります。私は、今の約款の運用では不十分である、少なくとも約款の改正は最低限必要ではないかという質問だったんですが、いかがでしょうか。

伊藤国務大臣 私の答弁の仕方がちょっと適切でなかったかもしれませんが、約款のあり方、運用、そして法律的な手当て、こうした問題もすべて含めて、私どもとして、現在の対応でよいのか、見直していく必要があるのか、そのことを真剣に検討していきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 大臣としても、現時点で発言できる精いっぱいを言っておられるのかもしれませんが、ただ、まさに大臣がおっしゃるように、近々、本当に急ぎの話であります。ゆっくりできる話ではありません。

 いつまでに金融庁としては、めどとして、補償の問題について一定の解決策を出すのか、めどをお教え願いたいと思います。

伊藤国務大臣 私どもとして、今、さまざまな対策を講じているわけであります。それを受けて、まず、全銀協はこの問題に対する申し合わせを公表いたしました。その実効性というものが本当にあるかどうか、着実に成果というものが出てくるかどうか、そのことを私ども注意深く見守っていきたいというふうに思っております。

 そして、さらに、二月二十二日に、私どもとして金融機関の方々に要請をさせていただいたわけでありますし、この要請の実効性を担保していくために、二十四条によって、それぞれの金融機関のこの問題に対する対策の方針というものをまとめていただいて金融庁に御提出をいただき、その後、フォローアップをしていきたい、そのことによって実効性を担保していきたいというふうに思っております。

 その上で、今、同時にスタディグループを立ち上げさせていただいて、そして、できれば四月の下旬までに結論をまとめていただきたいということを考えながら、今、作業を進めていただいているところでございますので、その結論を受けて、私どもとして、真剣にこの問題に対するさらなる対策を考えていきたいというふうに思っております。

泉(房)分科員 最後に一点だけ、大臣御案内のとおり、各党にて議員立法の動きもございます。大臣も法制定を排除するものではないと思いますが、議員立法でこういった問題についての一定の解決策が出た場合、金融庁としては特に反対するものではないという理解でよろしいでしょうか。最後に一点、確認したいと思います。

松岡主査 質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。

伊藤国務大臣 これはもう、立法府がさまざまな観点から御議論をいただき、その中の御判断の問題でありますので、私ども行政として、それを尊重していくということになろうかと思います。

泉(房)分科員 ありがとうございました。

松岡主査 これにて泉房穂君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 本日、お時間をいただきましたので、PL法の改正の問題について御質問させていただきたいと思います。

 やや付言をいたしますと、昨年の六月ですか、消費者基本法が制定されまして、目下、消費者基本計画を策定中ということでございます。今年度中ですので、三月、来月中には閣議決定されるというふうに伺っております。消費者問題の歴史的な変革期に当たるわけで、こうした機会に国会議員としてこの議論に参画できることを大変光栄に思っております。

 もっとも、振り返ってみれば、このように消費者保護が重要な課題として浮上してくる背景には、やはり数多くの不幸な出来事があったかと思います。三菱ふそうのリコールの問題とか、あるいは雪印、六本木ヒルズの回転ドアなど、いろいろと記憶に新しい問題も起きたわけですけれども、どうしてもそういう問題が起きてから事後的に行政が対応するというのが、ある面では仕方ない部分があるんですけれども、従来見られたのかなと思っています。

 そうした中で、今般、内閣府のイニシアチブによって消費者団体訴訟制度の議論がかなり進捗しておりまして、来年にも具体的な議論になっていくものと思うのですが、こうした努力については積極的に評価しながら、残された課題について本日ここで議論させていただきたい、そういう趣旨でございます。

 本日は、制定十年を迎えるPL法にスポットを当てまして、世界的に見ますと、PL法というのは製造物責任法ですけれども、事後的に被害者を救済するという側面はもちろんあるわけですけれども、その反射的な効果として、事前に企業が予防するというか、そういう問題事案にならないように努力をするという、その抑止的な部分に産業界にとっても非常に意味がある法律であって、何も消費者の側だけに立って議論をするわけじゃなくて、産業界にとってもPL法というのはある意味では大変期待もされた法律であったのかな、私はそういうふうに考えております。

 しかしながら、訴訟件数がすべてとは申し上げませんけれども、この後触れてまいります訴訟の件数とか、あるいは、これは一つアンケートを私は手に持っておるんですけれども、平成十五年度の高等学校教育課程実施状況調査というのがあるそうです。高校生がどういう社会科の知識を持っているかというアンケートのようなんですけれども、ある資料を読んで製造物責任法と民法の考え方の違いを読み取り、その内容を表現することができる高校生というのが二九・一%ということで、PL法について少なくとも高校生は余り認知をしていない、そういうアンケートもあるようです。

 また、訴訟の件数については、これは内閣府さんに事前にお聞きした数字ですけれども、PL法を施行してから十年たつわけですけれども、ことしの二月一日現在で、訴訟件数は六十一件のみ。ちなみに、原告勝訴の件数はうち二十三件ということでありますけれども、先進国の中でも極めて少ない活用のされ方、訴訟件数だということだと思います。

 ただ一方で、これは内閣府さんの国民生活センターあるいは全国の消費生活センターで受理されたPL法関連の苦情処理件数というのが、この十年間で四万四千九百七十件というふうに承っておりまして、まあ、ざっくり四万五千ですね。潜在的な苦情の件数はかなり多いにもかかわらず、PL法が活用されて訴訟になったものはほんのごく一握り、六十一件ということなわけです。

 そういったことも考えますと、このPL法の使い勝手をよりよくすることが内閣府さんの取り組みとして非常に意味があるのではないかな、そういうことを思ったものですから、以下、具体的な質問をさせていただきます。

 まず、国民生活センターですけれども、この十年間でこうしたPLに関する苦情相談を四万五千件受けたわけですけれども、個別の商品名について、一般消費者がその情報にアクセスできる状態になっているんでしょうか。

竹中国務大臣 きょうはPL法関連の御質問をいただいておりますが、マクロの財政金融に大変お詳しい津村先生から国民生活に直結する重要な問題について光を当てていただいたということで、国民生活局を所管する大臣として、まず感謝を申し上げます。

 御指摘のように、PL法は制定されて十年になります。私も記憶しておりますが、十年前、このPL法が制定されるときに、随分といろいろ注目されて、議論があった。それにしてはというべきか、この十年間、その施行の状況について必ずしも十分な社会的議論がなかったというふうに私自身も感じております。

 お尋ねの、国民生活センターでの苦情相談の内容等々でございますけれども、御承知のように、このセンターでは、都道府県や市町村の消費生活センターの中核センターとしての役割を果たしておりますので、苦情相談情報等を分析しまして、消費者や関係省庁に悪質な商法や商品の安全性に関する情報提供を行っております。

 ちなみに、このセンターでは、PL法に関する苦情相談等に基づきまして、この十年間に、電気刺激による筋肉増強をうたった商品の安全性など十一事例の個別の商品名を公表しているところでございます。

 この十一というのをどのように評価するかという問題もあろうかと思いますが、センターとしては、今委員のお尋ねに関して申し上げるならば、国民からのアクセスというのは、その道は開かれておりまして、それなりの役割を果たしているというふうに認識をしているところでございます。

津村分科員 マイクの関係でなかなかお顔が見えないんですけれども、質問を続けさせていただきます。

 今、十一件という数字を出していただいて、確かに、商品のレピュテーションといいますか、みだりに名前を出して問題事案だということになればそれは買えないということになって、これは軽々に商品名を公表するのは難しい、それは一面の真実だと思います。ですから、必ずしも十一事例が少ないということを申し上げるつもりはないんですが、しかし一方で、六十一件が訴訟に取り上げられた。そのうちの二十三件は原告が勝訴した。ですから、少なくとも、司法の場において一つの結果が出たということですね。

 では、振り返ってみたときに、これは結果を見て物を言うのは簡単だということではあるんですけれども、しかし、その二十三件が、じゃ、それまでにどれだけ国民生活センターなり消費生活センターに届けられていたか、苦情案件として来ていたのかということがやはりあると思うんですね。すぐに数字がぱっと出なければそれは結構なんですけれども、裁判になるぐらいの事案ですから、それが四万五千件の中にたくさん潜り込んでいると思うのです、日常的なものとして。そうしたものを、四万五千件、多いといえば多いわけですけれども、しかし、十年間で全国でということですから、これは事後的にしっかりフォロー、分析をされているのか、フォローアップですね。

 逆に言うと、少なくとも二十三件の原告勝訴になった事案について、最低限、仮に結果が出てからでもいいとは思うんですけれども、どのように国民生活センターでフォローアップをなさるのか。国民生活センターの方がどのようにこの苦情処理案件について事後的に検証、分析をされているのかということについてお聞かせください。

竹中国務大臣 委員のお尋ねは、PL法でございますから、これに基づいて司法の場で回答を求める道がある、一方で国民生活センターという、より身近な相談の場がある、それが相互にどのように連関しているのかという問題意識が背後にあるのかと思います。

 ちょっと今、訴訟件数とそれぞれの公表した十一がどのような関連になっているのか、申しわけございません、今手元に数字がなくて、はっきりと申し上げることはできないのでございますが、国民生活センターそのもののPL関連事案に関して申し上げますと、これは裁判とは直接関係があるものではございませんから、勝訴、敗訴にかかわらず分析、検討を行っているという立場でございます。そして、製品事故の未然防止、被害の解決に役立てているというものでございます。

 PL法判例の分析結果については、製品関連事故情報というブロシュアがありまして、それを通しまして、そういう形で全国の消費生活センターに情報提供をしております。これは二カ月に一回の頻度で情報提供をしております。そして、消費者と事業者の間における製品関連事故のトラブルの解決に直接役立つような情報提供を行っているということでございます。

 また、センターの出版物、これは「国民生活」等々いろいろありますが、そういう出版物でありますとか研修講座、またさまざまな機会を通じて消費者や消費生活相談員等への情報提供を行っておりまして、製品事故の未然防止、被害の解決に役立てたいと思っているところでございます。

 国民生活センターとPL法関連事案についての情報提供の中身については、以上のような点でございます。

津村分科員 それでは、少し具体的な話、改正のポイントについてお話をしていきたいと思います。

 PL法の訴訟件数が少ないということについては、何も私がきょう思いついて申し上げているわけではなくて、これは消費者の方々や一部マスコミ報道等も取り上げている社会的な事実なわけですけれども、そうした中で、では、どうしてそれだけ使い勝手が悪いのか、断言してしまってはあれかもしれませんが、使い勝手をもっとよくするにはどういう方法があるのかというときに、よく推定規定の議論がなされると思います。

 裁判において、裁判所が製造物の欠陥に関する事実上の推定というのをどう柔軟に活用していくか、そういうテーマかと思うわけですけれども、十年前のPL法制定当時の議論を振り返ってみますと、そこには、例えば商工委員会、当時は商工委員会と言っていたんですね。例えば、平成六年六月十日に当時の寺沢国務大臣が、「経験則、事実上の推定等を柔軟に活用することにより、事案に即し、公正に被害者の立証負担の軽減が図られることを期待しております。」と述べられているとか、あるいはその五日後に、商工委員会を通る際の衆議院での附帯決議では、より具体的にこのことについて触れられています。

 そういった国会での議論もあった上でこのPL法というものが成立しているわけですが、実際に十年間やってみてうまくいかなかった、そう評価せざるを得ないと思うんですが、今後、この製造物の欠陥を推定する推定規定をPL法に取り入れるべきという考え方について御意見を聞かせてください。

竹中国務大臣 法律の根幹、法律の根幹の構造に係る大変重要な問題の御指摘であるというふうに思います。

 PL法というのは、ある意味では画期的な法律なわけです。それまで、何か事故、事案が起きた場合も、その被害者は製造者の過失を立証しなきゃいけなかったわけですけれども、そうではなくて製造物の欠陥を立証することによって前に事態を進めることができる、その意味では画期的だったわけでございますが、ただし、その場合も、あくまで被害者が立証する必要があるという点では、これは従前と変わらない一つの大きな構造を持っているわけでございます。

 そこで、今御指摘の推定規定、いわゆるみなしの問題が出てくるわけでありますけれども、この立法時におきまして御指摘のような議論があったというふうに私も承知をしております。法律ができたとしても、被害者の立証責任はなお課題ではないか、したがって、製造物を適正に使用したにもかかわらずその使用によって損害が生じた場合においては、その損害が適正な使用により通常生じるべき性質のものでないときは、その製造物に欠陥があったものと推定をする、みなすということ、この推定規定をPL法に織り込むべきだというふうな議論がなされたということは承知をしております。

 しかし同時に、その当時の議論としましては、製品の特質、事故の態様等、個々の事案ごとの相違があるわけでございますから、その相違を捨象して一律にこれを導入することには問題が多いのではなかろうか、また、裁判においては現実問題として、事案に応じてまさにケース・バイ・ケースで事実上の推定を柔軟に活用することができるわけでありますから、そうした事案に即した公平な被害者の立証責任の軽減を図ることが可能ではないか、そうした考え方から導入がなされなかったというふうに承知をしております。

 今後、まさにこの法律施行以降十年でありますので、訴訟事例等を収集、分析することとしておりますけれども、その際には、この事実上の推定の活用状況がどうであったのかということについて、私たちなりにしっかりと把握をしてまいりたいと思っております。

津村分科員 内閣府さんなりにきちんと把握していくということですから、それはぜひやってください。お願いします。

 続きまして、懲罰的賠償制度の話について一つ御質問させてください。

 米国のPL法においては、懲罰的賠償制度というものを活用することによりまして、製造業者が危険なものを市場に流通させることを、先ほど私が申し上げました抑止する効果ですね、こうしたものは懲罰そのものに大きな意味があるというよりはむしろその抑止効果を高める、そういう意味で産業界ないし消費者への安心感を生み出していくというある種の知恵、工夫だと思うのです。

 こうしたものを、今回、リコール隠しその他消費者問題というのが不幸にして大変脚光を浴びている、そういう中で消費者基本計画というものを今策定するという大変大きなお仕事をされているわけですけれども、こうした中で、この懲罰的賠償制度について検討をしていくということについては、お取り組みの準備はございますか。

竹中国務大臣 懲罰的賠償制度の問題は、私自身も海外での生活体験の中で、なるほど、これは随分厳しい制度を採用している国があるんだな、これはやはり一つの抑止効果としての意味はあるなというふうに個人的には感じたことがございます。

 一定の要件のもとで、賠償義務者に対して、現実に生じた損害の範囲を超える金銭等の支払いを命ずる。そうすることによって、まさに法的制裁制度といいますか、それによって抑止力を高めるという趣旨はあるんだろうと思いますし、また、PL法の制定時においてはこうした議論がなされた、主張があったということも承知をしております。

 しかし同時に、こうした法的制裁制度というのは、日本の法風土全体の中で部分的に取り入れられるというものでもないだろうということで、その時点では適当ではないというふうな趣旨で採用されなかったというふうに承知をしております。

 この制度については、平成十三年度におきまして司法制度改革審議会で、この懲罰的損害賠償制度については、民事責任と刑事責任を峻別する我が国の法体系と適合しない等の指摘もあることから、将来の課題として引き続き検討すべきというふうに指摘されているというふうに承知をしております。

 私は、PL法を所管する大臣でございますけれども、どうも、法律を超えたより大きな日本の法風土といいますか、法体系の中でやはり議論されるべき問題であると思いますので、これは私自身もそうした重要性を一面で認めながら、今後の動向には、まさに司法制度改革全体の中での動向には、ぜひしっかりと注視をしていきたいと思っております。

津村分科員 さすが竹中大臣と申しますか、司法制度改革全体の中でというお話は、今まさに私も申し上げようと思っていたところなんですけれども、法風土というのは、おっしゃるように、風土という言葉がつくぐらいですからなかなか簡単に変えることはできないと思います。しかしながら、日本の法風土についての強い問題意識がこの十年間の、あるいはそれ以前からの司法制度改革の流れを強力に後押ししてきた問題意識であったのかなと思います。

 PL法は、どちらかというとその先駆けとして十年前に導入をされて、私も導入された当初は、何かアメリカっぽいものが日本にも、PL法という名前自体がそもそもアルファベットですし、何かすごいのができるんだなという印象を持ちましたけれども、その後、後を追うようにして手続面でもいわゆる司法制度改革が進み、さらにはロースクールや司法試験のあり方が変わっていく中で、今後法曹人口をさらに拡大していこうという、それはもう既に進んでいますね。そうした中で、環境はある意味では整いつつあるし、またそれを後押しする問題意識自体は引き続き厚いのかなという気がいたします。

 そういう意味では、十年前でもそうした将来の課題として検討ということがあるわけですから、今その将来になっているわけで、ぜひ、具体的な課題として検討をしていっていただきたいと思います。

 関連してほかにも質問いたしますので、懲罰的賠償制度についてはそれだけにします。

 続きまして、少し具体的な、これも今日的なテーマかなと思いますが、現行のPL法においては、有形的な存在である、有体物という言葉を使うんですかね、有体物が適用の対象であるとされているんですが、いわゆるデータベースとかデータとかプログラムとか、そういうソフトですね、こういったものは有形でないという理由で、無体物と言うんですか、法律の適用の対象外だというふうに伺いました。

 しかし、現代社会において、言うまでもなく、そこに大きな差別化をするどんな根拠があるのかな、余り説得力がないのではないかなというふうに思うんですけれども、その辺は今、今日的な議論としてはどういうふうになっているんでしょうか。

竹中国務大臣 今、津村委員から法風土のお話がございましたけれども、まさに法風土の根幹にあるのが成文法か判例法かというところなんだと思います。

 そうした観点からいいますと、現実、世の中、我々が使っているもの、実際のいわゆる動産だけではなくていわゆる無体物、プログラムがいい例だと思いますが、そういうものに対する依存度、そういうものの重要性というのが高まっているわけですから、これはやはり、一つは判例等々でそういうのがたくさん出てくるような社会であれば、それはそれで一つの判例による新しい法実態をつくり出すということが可能なわけですが、日本の場合、成文法の場合でありますから、それをどのように今後取り入れて勉強していくかというのは、やはり大変重要な課題であるというふうに思います。

 現実問題として、頭の中では、例えば、何らかのプログラムが不都合で、プログラムが不都合であるがゆえに自分が損害を負ったような場合、これは、今の製造物責任法の対象には多分ならないわけですね。そうしたことが本当に今のようなIT社会の中で起こり得るというのは、これは現実の問題になりつつあると思いますし、私自身は非常に強い問題意識を持っているところでございます。恐らく、その場合に、その因果関係をどう認めるのかとか、プログラムの欠陥というのをどのように認めるのか、詰めるべき点もたくさんあるんだと思います。

 まずは、まさにPL法から十年たった今、このIT技術の急速な進展を踏まえながら、PL制度において無体物がどのように扱われているのかといったことの事例の収集、分析を我々としてもやらなければいけないと思っております。

 それと、やはり海外の状況、海外で有体物だけじゃなくて無体物についてどのような法的枠組みを準備しているのか、準備しようとしているのか、そういうような事例についても、これは内閣府としてはしっかりと勉強していきたいというふうに思っているところでございます。

津村分科員 先ほどから大臣、大変前向きな御答弁をいただいていると思っておりまして、もちろん、具体的な作業にすぐに入れるわけではなかなかないのかもしれませんが、十年の節目に当たって私は、その十年はこの七月ですけれども、少し早目にこういう分科会で、ふだんは私は御存じのように財務金融委員会と安全保障委員会に所属しておるんですが、こういう機会ですのでお話をさせていただいていて、今後、恐らく七月、八月にかけて、またPL法十周年というようなことで、さまざまな方がさまざまな角度、お立場から再検証されるのであろう。それに多少先駆けて、現時点での議論を少し整理したい、そういう思いでここに立っておるわけでございます。

 そういう意味では、理念的な話、法風土も含めて、今のようなお話を聞ければ大変意義深いかなと私は思っておりまして、竹中大臣のお話は大変前向きなお答えをいただけていると思っております。

 もう一言申し添えるとすれば、IT社会の進展の中で、先進国の事例も見ながらとおっしゃいましたけれども、私ども日本は、IT先進国である、世界をリードするんだというようなことも一方では言っているわけですから、海外の事例も私も勉強してみますけれども、海外に先駆けるぐらいの気概でぜひ取り組んでいただけたらなと思っております。

 それでは、今のテーマと非常に関連するんですが、今、有体物、無体物という話でしたけれども、もう一つの論点として、これも制定当初からある論点だと思うんですが、動産と不動産を区別することの意味について当初から議論があったと思います。

 少し具体的な話ということで、これは私みずから考えるきっかけを身近に与えられたものですから、あえて言及しますけれども、私は岡山に住んでおるんですけれども、岡山市の南古都楢原という地域があります。この地域にまたいで小鳥が丘団地という新興住宅地、最近ではないんですけれども、比較的新しい住宅地がございます。ここで、分譲された土地を水道管の工事をしていたら、そこの土壌から有害物質が検出をされたということで、大変住民の方々に大きな不安を与えている事案になっています。

 ただ、私、ここで個別事案について、これは県や市の方でもさまざまななお取り組みをされていますし、また、当事者双方も非常に懸命な取り組みをされております中で、ここでその議論をさらに深くするわけではありませんけれども、その当事者双方から丹念に事情を聞いてみると、やはり現行法では十分にカバーされていない、必ずしも十分でない領域なのかなと。

 やはり国としても、一つは責任の所在ということもあるでしょうし、既に事案があるから、さあ、どっちの責任だ、そういう、冒頭申し上げた、後ろ向きというか事後処理の話ではなくて、事前的な、抑止的な仕組みというものをしっかりとつくっておけば、それは契約の以前の段階で、双方がより強い当事者意識というか責任意識の中でトラブル回避のために努力をするということに自然となっていくわけですから、そういう意味では、環境を整えていく、システムをつくっていくというのは、これはやはり国政の重要な役割なのかなという気がいたします。

 恐らく、そういう問題意識もあって、平成十五年の二月ですから二年前ですけれども、土壌汚染対策法というのが施行されております。これも一定の効果はあるんでしょうけれども、しかし、今回の事案などを見ると、やはりさまざまな不備があることもまた事実で、PL法のこの動産、不動産の問題が一つこれはキーになり得るのかなというようなことを考えるわけでございます。

 今回、消費者主権の時代ということで、消費者基本法、消費者基本計画という話が出てきているわけですけれども、PL法改正の論点の一つとして、この動産、不動産の定義の件、ぜひ御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まず、いろいろな意味で、きょうの御質問は本当に問題の先取りをいろいろいただいているというふうに思っております。

 御指摘の岡山市の事例については、私も承知をしております。これは大変重要な事案であるというふうに思っております。

 ちょっと私ごとでございますが、この不動産というのは、やはり日本の社会の中で非常に特殊な取り扱いを今までされてきたという経緯があるんだと思います。これは普通、契約があって、例えば車を売る、売らないということで、その車に欠陥があったら、これは要するに契約解除ができるわけですね。

 ところが、不動産の場合は契約解除ができないんだそうです。これは私も、実はその当事者になってびっくりしたことがあるわけですけれども、それは、契約解除するということは損害が非常に大きい、国民的財産を失うという、非常にこれは明治時代の発想だと思うんですけれども、だからこそ、欠陥住宅という問題が実は現実問題になっている。

 そういう中で、実は、今度はプロダクトライアビリティーの観点からやはり動産ばかりでなく不動産の問題を見るというのは、私は確かに一つの視点ではあろうかと思います。私自身聞いております限りでは、この立法時においてもいろいろな御議論はあったようでございますけれども、不動産というのは、その紛争の大部分が契約当事者間における目的物自体の性能に関するものであって、契約責任で対応が可能なのではないかという議論が一方であった。

 もう一つ、諸外国をリードしなきゃいけないという御指摘はあるわけでございますが、実は、ECの諸国でもこの不動産はそういったプロダクトライアビリティーの対象とはされていないというようなことを踏まえて、当時のような事情になったというふうに聞いております。

 しかし、いずれにしても、今委員御指摘のように、不動産についても安全性にかかわる問題等も見られるようになっておりますから、まずは、先ほどと結局同じことになりますが、事例の収集、分析というのをこの十年を機に私たちとしてもぜひしっかりとして、今後の方向性をぜひ考えていきたいと思っております。

津村分科員 もう時間が近づいておりますので簡潔に申し上げますが、今の、途中大臣からもおっしゃっていただいたように、やはり各国をリードする、それから不動産については、日本の法制について、今大臣の御指摘があったようないろいろ論点、問題点があるわけですから、そこはぜひ、これを機に御検討を深めていただきたいと思います。そういったことも今前向きに述べていただいたのかなと思っております。

 最後に、これはもう申し上げて終わりますけれども、消費者基本計画の素案というものが、これは十二月ですか、発表されまして、三月の閣議決定に向けて、一月まではパブリックコメントを集めて、今それを分析するというか、紙に落とす作業に恐らくなっているのかなと思います。その中で、これは二十一ページに唯一、製造物責任法の話が出てくるんです。今の最後の御答弁ともオーバーラップしておりますけれども……

松岡主査 質疑時間が過ぎていますから、簡潔にお願いいたします。

津村分科員 はい。

 被害救済の事例を幅広く収集、分析する、そういうことが触れられていますけれども、収集、分析するだけでは、それは評論家、研究者の仕事で、やはり当事者である国民生活センターさんあるいは内閣府さんにおかれては、その分析の結果さらにどういう取り組みをしていくかということも、方向性をぜひ、まだ三月になっておりませんので、もう一歩踏み込んだ表現を書いていただいてもいいのかな、そのことだけ申し上げて、終わります。

松岡主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美君。

西村(智)分科員 民主党の西村智奈美でございます。

 きょうは、予算委員会の分科会で内閣府に対して御質問をさせていただきます。主に用意させていただいているテーマは二つ、男女共同参画関連といわゆる官製談合についての二つでございまして、まず、男女共同参画関連の方から質問をさせていただきたいと思います。

 日本の中で、内閣府の中に男女共同参画局が設置をされ、細田官房長官が担当大臣ということで非常に積極的に取り組んでいただいていることと思いますけれども、まず細田官房長官から、このテーマに関してどれほどの思いを持って取り組んでいただいているのか、そこからお聞かせいただけたらと思います。

細田国務大臣 男女共同参画問題については、非常に多面的な要素があると思います。

 日本の古い社会的風習から、どんどん近代国家になり、その中に古い因習のような男女差別が存在したり、女性にとって働きにくい、また子育てをしながら働くということが非常に難しいとか、そういう環境があります。また、職を得まして働いておりましても、男女において条件の優劣等もある、差別もあるというようなところもございますし、不利なところもある。

 他方、世界的に見ますと、欧米、あるいはアジアにおいても、中国その他を見ましても、非常に女性の参画がまさに男女平等で進んでおりまして、その点では日本はおくれておるというふうにも思うわけでございます。

 また、非常に少子化になってまいりまして、そういった問題が、人口が減っていく、もう来年からは減少するということも大きなかかわりがある。少子化問題は、担当の南野大臣もおられますけれども、これは両々相まってこの社会問題に取り組んでいかなければならない。

 たくさんの要素がございますので、一言では言い尽くせないわけでございますが、非常に日本社会にとっても日本の将来にとっても大切な問題であると認識しております。

西村(智)分科員 細田官房長官からは、男女共同参画政策に対して非常に理解のある姿勢で取り組んでいただいているということを今お聞きできたと思っております。

 少子化対策についてもいろいろ言われてはおりますけれども、男女共同参画政策と根っこは同じというふうに今の発言の中から聞き取らせていただきましたし、まさにそういった意味では、男女共同参画社会基本法の中に言われておりますとおり、この課題は日本の最重要課題であるというふうに言われておりますので、今後とも積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 ただ、先ほどおっしゃっていただいたように、日本の現状は残念ながらまだまだと言わなければいけません。北京行動綱領の策定から十年になりますけれども、この十年の間、国際社会の中で、ジェンダーエンパワーメント指数、GEMというふうに呼んでおりますけれども、この数値で見ますと、日本のランキングは何と二十七位から三十八位に下がっているわけでございますね。率直に申し上げて、グローバルな基準と日本の現状との間はどんどん格差が広がってきているというふうに言わざるを得ないのではないかと思います。

 そこで、予算関連について御質問なんですけれども、実は、私は民主党の中で男女共同参画政策調査会の事務局を担当しておりまして、先般、関連予算についてヒアリングを受けました。総額では十兆六千億ということでしたけれども、率直に申し上げて、男女共同参画政策と果たしてどれほど関連のある予算の中身になっているのかということを非常に疑問に思うところもあったわけでございますけれども、担当大臣、官房長官としては、今回の予算案、とりわけ男女共同参画関連、どのように評価していらっしゃるか、お聞かせください。

細田国務大臣 おっしゃいますように、平成十七年度の予算として御審議をいただいております要求ベースでいうと、いろいろ整理をすると十兆六千二百九十億円も男女共同参画関係予算があると言われておるわけでございます。しかしながら、これをつぶさに見ますと、社会保障関連の予算が全部入っているとか、考えてみると、これは男女共同参画に無関係ではないというものが全部入っておる、大きな数字であります。

 しかし、これは、予算をいろいろな関係で整理するときに、やはり関係があるのであるから算入すべきであるといういろいろな慣例がありまして、どうしてもこうなってしまうわけですね。厚生年金保険国庫負担だけでも四兆円、これを入れたり国民年金を入れたりするということでございますので、その中からいろいろ取り分けて詳細に分析しなきゃならないと思います。

 内閣府の関係の男女共同参画局の予算で見ますと、政府案ベースで四億一千二百万円ということで、一千百万円増ということで二・七%増となっておりますので、厳しい予算の中では一応の重点予算であるということは認められていると思っているわけでございますし、これらは、中を見ますと、男女共同参画の慣行、制度の見直し、意識改革の予算とか雇用の関係の予算とか、細かい予算がいろいろ入っておりますが、これは表をごらんになっていると思いますので、余り細かく申し上げることは控えたいと思います。

 今後とも、男女共同参画の趣旨、特に十一の重点目標に沿った予算額というのをしっかりと確保してまいりたいと思っております。

西村(智)分科員 総務省の予算などでは、こういう説明があったんです。女性消防団員の活動環境整備、加えて、婦人防火クラブとの具体的な連携方策についての検討、それがいわゆる男女共同参画関連予算であるということでしたけれども、このとき、非常に驚いたんですけれども、家庭にいるのが婦人、そういう御説明が実は聞かれたわけでございます。こういった施策が男女共同参画関連予算として説明されている現状というのは、私は、これは内閣府としてはもう少し、やはりもう一歩前に踏み出して積極的に取り組みをいただきたい一つの事例であると思っております。

 つまり、男女共同参画関連予算は、男女平等の視点、ジェンダーの視点、それがしっかりと生きてこその予算であるというふうに思っておりますし、そしてまた、今回の基本計画の改定に当たりましては、十一の重点項目に限らずに、関連するあらゆる施策に男女共同参画の視点を持って取り組むことの重要性をこれははっきりと書くべきだというふうな指摘もあるわけでございます。

 それで、次のお伺いなんですけれども、基本計画の改定に当たりまして、こういったジェンダーの視点をしっかりと持って取り組むこと、あるいは新しい分野への取り組みということの必要性について、今の時点ではどういうふうに検討が進んでいるのか、お聞かせください。

細田国務大臣 現在、男女共同参画基本計画に関する専門調査会におきまして、新しい基本計画の策定に当たっての基本的考え方について調査検討が行われております。専門調査会においては、次期基本計画に新たに盛り込む事項といたしまして、科学技術、地域おこし、町づくり、防災、災害復興などの分野が取り上げられております。

 実はきょう、この予算委員会等が終了いたしまして、ちょっと夕方遅くなるんですが、六時十五分から約一時間、男女共同参画会議が行われるわけでございまして、これらの今申し上げたような分野を取り上げまして、有識者の方々と意見交換をすることとしております。意見交換といいましても、この分野で非常に権威のある委員の皆様方にお願いしておりますので、それぞれの分野ごとに活発な意見をいただくということでございまして、毎回、この参画会議というものは非常に有意義な議論をさせていただいております。

 そしてまた、おっしゃいました現行の計画におきまして、ジェンダーに敏感な視点の定着を図るということが明記されているわけでございます。今伺いますと、まだまだ敏感でない方々がいる、この日本の社会の中にもまだまだたくさんそういう方もおられるわけでございますが、できるだけそういった面での意識の啓発普及活動をこれからも強力に行っていかなければならないと思いますが、ジェンダーに敏感な視点の定着を図るということを明記されておりますので、次期基本計画においても明確に位置づけをする必要があると考えております。

 今後、専門調査会におきまして、中間的な論点整理を公表しまして、各界各層からの意見を取りまとめる予定であります。それらを参考とした専門調査会からの報告を受けて、夏ごろに予定されております男女共同参画会議からの答申を踏まえまして、新しい基本計画の策定に取り組んでまいりたいと思います。

 西村議員も、この御担当ということで責任あるお立場で取り組んでおられますから、何かまたさらにいいお知恵があれば承りたいと思っております。

西村(智)分科員 基本計画の策定のときに、ジェンダーに敏感な視点を定着させるということについては、専門調査会の皆さんからも工夫を凝らしていただきたい、知恵をおかりしたいというふうに思いますけれども、ぜひともこの点がしっかりと生きてくるように、私は、基本計画の中にジェンダーに敏感な政策立案をするということを義務づけてもよろしいのではないかというふうに考えておりますけれども、ぜひその点を含めて御検討をお願いいたします。

 さらに、先ほどの御答弁の中で、意識啓発をこれからも進めていきたいということでございました。ところが、実際には、意識は少しずつ変わってきているというふうに見てもよろしいのではないでしょうか。内閣府の方で行っております男女共同参画社会に関する世論調査では、夫が外で働き、妻は家庭を守るべきだ、そういういわゆる性別役割分業意識について反対が賛成を上回っている、ことし初めてだそうでございますけれども、そういう状況になりました。

 意識は変わりつつあるんですが、まだ実態のところではそれほど進んでいないということでございます。こういう状況になっている要因、つまり、意識は少しずつ変わりつつあるけれども、実際のところでは、先ほど大臣が冒頭おっしゃってくださった働き方の問題、育児や介護の家事の分担の問題、そういったことが進んでいかない要因というのは一体何なんだというふうにお考えでしょうか。

 そしてまた、そういった阻害している原因を乗り越えていくために、今後、具体的に何をどういうふうに取り組んでいかれるのか、お聞かせください。

細田国務大臣 いろいろな要素がありますし、これまでの家庭における教育あるいは夫婦の関係とかいろいろなものが影響しているとは思うわけでございますが、先ほどおっしゃいましたように、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだという考え方については、この調査開始以来初めて、そうではない、そういうものではないという意見が上回ったわけでございます。

 しかしながら、女性の育児休業取得率は七三%なのに男性が〇・四四%であるとか、それから、予算委員会あるいは内閣委員会でもいろいろ御議論はありますが、女性が出産をしてまた勤めようとするとさまざまな障害や不利があるというような実態があるとか、いわゆる共同参画で一緒に働く、女性も働く場がどんどんふえてくるといっても、その後の条件等においても大きな差があるという事実もたくさん指摘されております。

 そういった中で、これは私は今個人的にも思うことですが、いよいよ人口が下がってくる、それで、もう女性は自分が子供を出産しよう、もちろん、これは夫婦で相談をしながらということでございますが、そういうことにおいて非常に低下をして、出生率が下がってくるという今の実態。そして、人口が減少を始めるというときに、今まで無理解であった男性とかあるいは企業の意識がもうコペルニクス的転換をする時期が来たんじゃないかなと。

 それが、私も男女共同参画の担当大臣としても、少子化対策の担当大臣と相協力して、ここで大いに政策を進めるチャンスではないかと思いますので、そういった決意をまた新たにしておるところでございます。これは経済界とか地方公共団体とか、幅広くこういった意識をさらに進めていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。

西村(智)分科員 官房長官、よろしくどうぞお願いいたします。とりわけ、最後のところの経済界の協力なくしてはやはりこの分野の政策は進んでいきませんので、ぜひそこは、最後におっしゃっていただいた心強い決意の言葉を常に傍らに置いて、これからもどうぞよろしくお願いいたします。それでは、関係の質問はこれで終わらせていただきます。

 続きまして、いわゆる官製談合のことにつきまして質問をさせていただきます。

 私の選挙区は新潟一区、新潟市でございまして、今回、大変残念なことに、新潟市での官製談合事件が発覚をいたしました。公正取引委員会が独占禁止法の規定に基づいて、事業者に対して勧告を行いました。また、発注者である新潟市長に対しまして、入札談合等関与行為防止法、いわゆる官製談合防止法と呼ばせていただきますけれども、その規定に基づいて改善措置要求を行ったところでございます。

 今回、官製談合防止法に基づいて改善措置要求が行われたのは、新潟市と、もう一つ、北海道の岩見沢市、この二つであるわけでございますけれども、まずお伺いですが、新潟市の件に関しまして、発注者である新潟市長に対して改善要求書が恐らく出ていることと思いますけれども、その改善要求書において、談合にかかわった新潟市の部署及び役職の方の個人名を特定しているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

 また、あわせて、岩見沢市のケースですけれども、こちらにおける改善要求書では、部署名あるいはかかわった方の個人名、この記載があるのかどうか、そこを確認させていただきたいと思います。

    〔主査退席、西川(京)主査代理着席〕

楢崎政府参考人 七月二十八日に、新潟市長に対しまして改善措置要求書を手渡したわけでございますけれども、その要求書におきまして、個人名等特定をして、こういった事実があった、そして改善措置をしていただきたいということを要求しているところでございます。

 そして、岩見沢の件、一番最初の改善要求でございますけれども、これにつきましては、職名のところの特定というような形になっております。

西村(智)分科員 官製談合防止法がスタートいたしましてからこの二つのケースだけしかないわけですけれども、なぜ、新潟市に対する改善要求書だけに関与されたとする者の個人名が記載されたのでしょうか、なぜ、岩見沢市に対する改善要求書ではそういった記載がなされなかったのでしょうか。

楢崎政府参考人 岩見沢の件につきましては、一番最初にいわゆる官製談合防止法の適用事例といった形で、そういった形で処理をしたわけでございますけれども、新潟市につきましては、その後の、岩見沢市の事例等を踏まえまして、より適切な形で改善要求をし、また具体的な形で改善要求をした方が調査をなさる上で有効であろうというふうに考えて行った次第でございます。

西村(智)分科員 今の御答弁は、聞き方によっては岩見沢市に対する改善要求書が適切に行われなかったというふうにも聞こえます。また、その後の調査なりが適切に行えるようにということの御答弁のようでございましたけれども、その真意は何なんでしょうか。もう一度御答弁ください。

楢崎政府参考人 岩見沢市におきましても、当局におかれましてきちんとした調査が行われたというふうに承知しておりますけれども、個別の事件ごとにどういうふうな対応をとって要求するかといったことは、事件ごとの特性に応じて判断していくべきものと考えているところでございます。

 そういった意味で、この新潟市の案件につきましてはそのような形で改善要求をしたということでございます。

西村(智)分科員 それでは、次に確認をさせていただきたいのは、新潟市長に対して手渡したとされる改善措置要求書、これはそれ以外のところには渡っていないでしょうか。私のところに説明に来てくださったときに見せていただいた資料には、概要ということで記載がございまして、部署名までは書いてあったんですけれども、個人名までの記載はございませんでした。どうでしょうか。

楢崎政府参考人 いわゆる官製談合防止法に基づいて改善措置要求をしたといったことについてのその概要につきましては、公正取引委員会として行った職務であるということで、公表、新聞発表等しているところでございますけれども、改善要求書それ自体につきましては、先ほど申しましたように、新潟市長に手交したといったことでございまして、私どもの方からその要求書を市長以外のところに手交したといった事実はございません。

西村(智)分科員 改善措置要求書は新潟市長以外のところには渡っていないということを確認させていただきました。

 それで、その改善措置要求書が手交された後というふうに承知しておりますけれども、公正取引委員会が調査に入った後になりますね、検察が公正取引委員会に強制捜査に入るに至りました。これは初めてのケース、二つしかないんですから初めても何もないのかもしれませんけれども、この検察の強制捜査を受けたことについて、公正取引委員会としてはどのように受けとめていらっしゃいますか。

楢崎政府参考人 検察当局の方で偽計入札妨害罪として捜査を開始されたわけでございますけれども、その端緒を得て、裁判所の令状を得て、公正取引委員会で留置している資料等について押収、捜索、差し押さえがあったということでございます。

西村(智)分科員 私は、事実経過ではなくて、どういうふうに受けとめていらっしゃるかということをお伺いしたんです。

楢崎政府参考人 当然、公正取引委員会といたしまして、入札談合行為といったものは悪質な事案であるというふうに考えておりますし、また、それに市職員等が関与するということはあってはならないことでございます。そういった入札談合関与等行為を防止する観点から、検察当局におかれまして捜索をされ、また起訴されたといったことは、こういった行為を防止する観点から一つの意味のあることだというふうに考えているところでございます。

西村(智)分科員 私も、官製談合については、これはあってはいけないことだと思っておりますし、今回、私の地元自治体で起こったということを大変残念に思っておるんです。

 ただ、今の御答弁ですと、検察が公正取引委員会の方に強制捜査に入ることも、それは明らかにする上で一つの意義のあることであるというような御答弁でしたけれども、それでしたら、公正取引委員会は一体何を目指して職務を行ってきておられるのかということになりはしませんでしょうか。

 私は、そういった意味からも、公正取引委員会の仕事のシステム、あるいは官製談合防止法の法律のありようそのものについても、いろいろこれから議論をしていかなければいけない大きな問題点があるのではないかと思っております。

 公正取引委員会のOBである平林氏とおっしゃる方、こういうふうにおっしゃっておられます。検察の強制捜査によって官製談合の構造が初めて明らかになる、刑事事件では被告個人しか罪を問えない、業界全体でいかに談合をしたかの全貌を示すのは審判だけである。

 つまり、こういう発言を公正取引委員会のOBの方がされているということを含めて考えても、公正取引委員会では官製談合をそもそも明らかにできない、防止できない、こういう仕組みになっているというふうなことをこの平林氏自身が語っているのではないか、こういうふうに理解をせざるを得ない。これは私の感想なんですけれども、いかがでしょうか。御所見がありましたら伺います。

竹島政府特別補佐人 いろいろ御指摘をいただきましたが、新潟の件に関しましては、そこからちょっと私も重ねて御説明させていただきたいんですが、私どもも、これは官製談合の事実があるということを認識したわけでございます。しからば、なぜ公正取引委員会がみずから告発しなかったのか、こういうことになるわけで、検察当局に資料を押収されるというのは公正取引委員会としてみっともないではないか、こういうお気持ちもあるかもしれませんが、確かに、そこはこういう経緯なんです。

 本体の入札談合事件を告発する場合には、それに伴って官製談合の事件についてもかくかくしかじかの職員がこういう行為をしておりましたよとあわせて告発するということは、実際問題できるわけでございますけれども、今回、残念ながら、本体の方の入札談合事件そのものが刑事告発に至らなかった。それは、そこまでの、刑事告発の条件をクリアするだけ審査が深まらなかったということでもあるんですけれども、そういたしますと、官製談合だけ切り離して単独で告発するというのは、実際問題なかなかしにくいという現実がございます。

 そこで、では、何で検察庁が公正取引委員会に来て、留置している資料を押収するのか。これは、我々は行政調査、任意調査でもって捜査している。これは一般的にそうなんですが、行政調査権限で得た情報なり資料なりを犯罪捜査のために用いてはならない、そういう規定があるわけでございます。右から左に資料が使えればある意味じゃ効率的なんですけれども、それはいかぬということになっておりますので、公正取引委員会としては、部分的な情報は得ているわけですけれども、それを、あくまでも任意調査で得た資料でございますから、検察当局に渡すわけにはいかないんです。

 そこで、それをクリアするためには、検察当局が令状に基づいて押収するという、そういう手続でこちらが持っている情報を得て、それで向こうのお仕事をしていただく、こういうことになっているわけです。それでそういう形をとったということでございまして、私どもは、今回の検察庁のおやりになったことは大変意義があるということで、評価をしております。

 それから、これから先なんですけれども、本当に悪質重大な独禁法違反事件というものについては、刑事告発をこれからさらにきちんとやっていかなきゃいかぬということはそのとおりなんですが、現実問題、さっき申し上げたように、証拠とか証言というものが得られませんと、刑事告発のバーというのは非常に高いわけでございます。こういうことでやっていたぐらいの話じゃだめなんでございまして、非常に具体的な情報なり証拠なりというものを押さえないと、刑事告発に持っていけない。

 そのためには、今の任意調査である行政調査権限しか持っていない公正取引委員会ではだめだ、やはり、脱税とかにあるような犯則調査権限という強制調査権限を持つ必要がある。そういうことになりますと、より証拠を得られやすい。

 さらには、今、独禁法の改正でお願いしております課徴金減免制度ということで、会社として具体的に自白をしていただくと、具体的な証拠が得られます。そうすると、その中に、実はこの件は官製談合だったんです、役所のだれそれさんからこういう指導なり情報があったんですということがあわせて出てまいりますので、官製談合についても刑事告発がよりできやすくなるだろう、その必要があるだろう、こういう現状の欠陥部分を補う改正も、今回、この国会で継続審議でお願い申し上げている独占禁止法の改正法案に盛り込んでいる、そういうことでございまして、公正取引委員会として、官製談合を含め、要するに談合の防止のためには、これからますます毅然として対応していきたいというふうに思っているところでございます。

西村(智)分科員 時間が来てしまったんですけれども、今の委員長の御答弁の中には、大変重要なポイントが幾つか含まれていると思います。行政調査権限しかないので、そこで調査した資料なりは、これは犯罪捜査には使えないということですけれども、この調査資料を検察が押収して、それがいわゆる証拠書類などとして流用されているかどうかを確認されたのかどうか、これがまず一点です。

西川(京)主査代理 時間が来ておりますので、要望は簡潔にしてください。

西村(智)分科員 まず、その点について最後に確認をさせていただきたいと思います。

 それから、独禁法の改正につきましては、これは私たちとしても必要だというふうに思っておりまして、もう今の仕組みの中では明らかにすることのできないことをしっかりとやるために改正はすべきだというふうに思っております。

 最後の点、確認させていただけますか。

西川(京)主査代理 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

楢崎政府参考人 検察当局においてどういうふうに証拠としてお使いになっているかどうか、詳しくは存じ上げませんですけれども、当然、公正取引委員会が留置した資料を捜索して差し押さえたということでございますので、そうした資料の中には証拠として活用されている部分もあるのではなかろうかというふうに考えております。

西村(智)分科員 終わります。

西川(京)主査代理 これにて西村智奈美君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村分科員 民主党の市村でございます。

 また時間をいただきましたことを心から感謝申し上げ、質問に入らせていただきます。

 きょうは、竹中大臣に今来ていただいているんですが、ちょっと、交通局長がいつも最後の最後にという議論ですので、最初にきょうはちょっと警察庁の方と議論させていただきたいと思います。

 この問題につきましては、何度も私はいろいろな場で質問をしておりますが、全国的な規制速度の見直しをやってほしいということでございます。その観点で、ここ数年、そうした規制速度を見直したという実績は具体的にありますでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 速度規制の見直しでございますが、これは随時点検して見直しを行っているところでございまして、平成十五年度におきましては、全国で三千百七十一区間、二千五百五十二キロメートルにおきまして速度規制の見直しを行っているところでございます。

市村分科員 その場合、速度規制を例えば上げたというケースがあったとして、上げた結果、例えば事故発生率が上がってしまったとか、そうしたことがあるのかどうか。もしくは、上げたことによりまして、騒音や排ガスについてまたひどくなったとか、そういう現実はありますでしょうか。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 それによりまして、速度の引き上げ、引き下げ、両方あるわけでございますけれども、(市村分科員「上げたことで」と呼ぶ)はい。それで、その結果、速度規制の特に引き上げを行いますときには、ほかの安全施設の整備などあわせてやる場合が多いわけでございますが、場所場所によりましてさまざまと思います。

 それで、全体につきまして、あるいは個々につきまして、事故が具体的にどの程度ふえたか減ったかということについて御説明する材料が警察庁にはございません。

市村分科員 説明する材料というか、年々そこの場所での事故発生件数とか、当然資料としてとっているはずですから、規制速度を上げる前と上げた後の事故発生件数とか比較すれば、上がったか下がったか、また変わらないかということは当然わかるはずなんですが、いかがでしょうか。

矢代政府参考人 お答えいたします。

 そういう意味では、個々に事前、事後の状況を見ているわけでございますので、場所によりましてはほとんど変わらない、あるいはちょっとふえた、あるいは、ほかの対策が多分組み合わされていると思いますが、減っている場合もある、そういういろいろな報告でございます。

市村分科員 今のお話、私なりに解釈すれば、これは、例えば速度規制を多少上げたとしても、そう大きな影響があるわけではないというふうに私はそれをとらせていただきたいと思います。

 であれば、私もずっといろいろな場で申し上げてきましたが、具体的には阪神国道北神戸線、七号線ですね。大変いい道路でありまして、しかしながら、規制速度は六十キロ。ところが、いつも申し上げておりますが、道路公団の車とパトカー以外は一台たりとも守っていない、速度を守っていないわけですね。守りたくても守れないんです、あの速度を。六十キロで走ろうという方が難しいんですね。しかし、そんな規制を課しておいて、じゃ、今度はスピード違反で捕まると、六十キロから何キロオーバーという話になって、これは納得いかないわけです。

 実際に、兵庫県議会でもこうした議論もされているということでありまして、だから、北神戸線だけじゃなくて、全国的にそうした例は多々あると私は思います。ですので、再三申し上げておりますが、駐車違反につきましても、実勢に見合ったような取り締まりのあり方にしよう、また規制のあり方にしようというふうに見直しを進めていただいておるわけですね。しかも、住民の意見を聞いて、ガイドラインをつくってやろう、こういう話なわけですから、規制速度につきましても、できる限り実勢速度に合わせた取り締まりといいますか規制速度にしていただいて、その上で、きちっと交通ルールを守ろうというふうな意識をつくっていかないと、このままだとだれも守らない。信頼していないわけです。だって、守れないんですから。守れないものを守れという方がおかしいわけでありまして、やはり守るようにしていただきたい。

 だから、そういった意味では、北神戸線だけじゃない、全国的に実勢速度に合わせたような規制速度のあり方にしていただきたいというふうに再度また要望を申し上げたいんですが、ちょっと局長の方から一言お願いいたします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 速度規制は、交通の実情、それから道路の実態を踏まえまして適切なものであるべきでありまして、したがいまして随時見直しをやるわけでございます。

 北神戸線、御指摘いただいておりますところにつきましても、設計速度が六十キロのところでございますけれども、例えば見通し線ですか、見通しの距離、視距でございますとか、あるいは加速、減速の際の車線長、テーパー長でございますとか、それからカーブ地点におきます片カントでございますとか、そういったところの必要なところを改良いたしますと速度規制の見直しが可能になるということで、いろいろ御相談申し上げながら、予算がちょっとまだつかないわけですが、そういう検討をやるわけでございます。

 したがいまして、そういう可能なところ、全国いろいろあると思いますけれども、そういうものについての取り組みはこれからもしっかりやってまいりたいと思います。

市村分科員 もう一点だけ警察庁の皆さんに御質問したいんです。

 あとは、交通違反取り締まりの中で、例えば一時停止違反とか左折禁止、右折禁止とかいうのがありますけれども、大体、一時停止違反にしても、隠れているケースが多々あるんですね。多分、恐らく、警察の役割というのはそうした交通ルールを守らせるということだと思うんですが、であれば、隠れていないで、堂々と前に立っていて、それで守らせるという方が当たり前であるのですね。

 守らない方が悪いんですよ、守らない方が悪いんです。悪いんですが、しかし、残念ながら守らない人がいる。それを守らせたいというわけですから、隠れていないで堂々と立っていれば、みんな守るんですから。しかも、左折禁止とか、左折したところで待っている。それでどんどん回っていくわけですよ。いかにもお客様いらっしゃいという感じで、にこにこしながら待っていらっしゃるケースがこれはやはりあるわけです。

 これだと、やはり警察に対してまだ信用されないとかいうことになりますし、やはり守らせたい、交通ルールをきちっと守るような社会にしたいということであれば、これは正々堂々と、隠れているのではなくて守らせるようなことをやっていただきたい。まずノルマを達成するために待っているんじゃなくて、きちっと守れるような標識もつくっていただくとか、そういうふうにしていただきたいということをまた再度要望したいと思いますが、これについても一言よろしくお願いいたします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 交通の取り締まりも、これはルールを守っていただくため、あるいは交通安全のためでございまして、そのために交通のパトロールもやっておるわけでございます。

 ただ、取り締まりということになりますと、姿を見せた取り締まり、それから見せない場合、両方組み合わせてやっておるわけですが、少なくとも、姿を見せた取り締まりだけでは、限られた警察官でございますので、一般的な抑止力という観点から姿を見せない取り締まりも必要な場合がある、こう考えておりまして、全体のバランスの問題であろうかと考えております。

市村分科員 これはまた内閣委員会でやらせていただきます。姿を見せない取り締まりもあると言われると、これは私も議論したくなりますが、きょうはちょっと竹中大臣がお待ちですので、また内閣委員会でその続きはやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 では、大臣、また副大臣もどうもお待たせしました。ありがとうございます。

 今からの議論、残りの時間を使ってこの間の内閣委員会の続きをさせていただきたいと思います。本当であれば、公益法人改革に関係ありますので、村上大臣にもお越しいただきたかったんですが、どうも分科会の取り決めで、一つのセッションでは一大臣という決まりがあるようですけれども、これからはぜひとも、こうした慣例も場合によっては見直していただくということで、原則はそうだけれども場合によっては見直していただくということを、ちょっと委員長にお願いさせていただきます。

西川(京)主査代理 一応、要望があったことはお伝えいたします。

市村分科員 はい、よろしくお願いいたします。

 それで、この間の続きですが、まず公益法人改革の、この公益法人制度改革に関する有識者会議の中の三十ページに、特定非営利活動法人との関係におきましては今回の公益法人改革の中には含まない、こういう話でございました。

 私は、これはおかしいということを御指摘申し上げている次第でございますが、改めて副大臣、やはり含まないということでこれはよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。

林田副大臣 先般、二十三日の内閣委員会でも、我が村上特命担当大臣が委員から同じような質問を受けたかと思います。そのときも答弁しておりますように、結論から申し上げますと含まないということになっております。

市村分科員 これは大変おかしな話になってくるんです。なぜならば、今の公益法人というのは許可主義で、実情はかなり実体上、認可や認証に近い運用をされているというケースが多いんですが、実際、法律上は許可主義をとっているんですね。しかし、許可主義をとっている公益法人ですら、今度準則主義に変えていこう、一般非営利法人を目指して変えていこうという流れの中にありながら、特定非営利活動法人、これは認証なんですよね。どうしてこれを残していくのか。特定非営利活動法人だって、これは民法三十四条に基づく特別法としてつくられた法人ということであれば、なぜこれを外すのか。やはりこれはなかなか理屈が見えない、立たないと思うんです。

 大臣、特定非営利活動法人を担当されている担当大臣として、含めないということに対してどういう御感想をお持ちなのか。お答えをよろしくお願いします。

竹中国務大臣 公益法人制度改革全体は、もちろん私はちょっと担当しておりませんで、今副大臣の方からお答えいただいたことに尽きていると思うのでございます。

 私が担当する特定非営利活動法人に関して言うならば、これはもう言うまでもありませんが、委員よく御承知のように、認証という簡易な仕組みで法人の設立を可能にする、それで発足六年で二万という法人数に達して、社会の中に着実に定着してきているということなんだと思います。

 実は、当事者からは、この制度を、やはり制度的なメリットや法人形態の選択の幅を確保する観点から、積極的に残すべきであるという意見も寄せられてきたというふうに思っております。この六年間、二万法人という存在を白紙に戻すということは、現実の社会での存在感からいって、これはなかなか難しいというふうに担当の大臣としては実は考えるところでございます。

 委員がお示しになっている見識は、それは大変御立派な一つの見識だと思いますし、分類概念としては大変よく理解できる面がございます。しかし、現実問題としては、こうした現実を踏まえて公益法人制度改革がなされつつあるというふうに思っておりますし、特定非営利活動法人制度を抜本的に見直してくれというような社会的な要請があるかどうか、これは委員の御意見もぜひお伺いしたいと思いますけれども、現実にはむしろ、今のメリット、法人形態の選択の幅を確保してくれという声が私には聞こえてくるわけでございます。

 そうした意味では、今回の制度改革がどういうふうになっていくか。社会的に定着してくると、非常に長い中で見ると、今、この先にスタートしている私たちの特定非営利活動法人について、その中に吸収されていくというのは、非常に長い時間をかければあり得る話なのかもしれませんが、現実に存在しているこの二万法人、そうした存在を考えると、これは、現状の制度は現状の制度としてやはりしっかりと活用させていただきたいと担当大臣としては思っているところでございます。

市村分科員 しかし、大臣、もし法人数を言い、またその歴史を言うのであれば、公益法人の方がはるかに長い歴史を持ち、また多い法人数なんですね。では、この公益法人ですら、つまり財団や社団法人ですら、今見直しをし、かつ一般的非営利法人制度の中に入れるというんですね。しかも、そうした認可とか認証とかじゃなくて、いわゆる基準を決めて、それで登録に近い形でさせようという流れがある。

 もともと特定非営利活動法人ができた背景というのは、これは大臣も御存じのように、やはりなかなか公益法人格を取るのが難しい、財団法人や社団法人格を取るのが難しい、そういう背景の中で、より簡易に法人格を取得できるような制度をつくろうという話だったわけです。公益法人ですら準則主義でやろうとしているわけです。特定非営利活動法人は認証なんだから、これを一緒に一般的非営利法人制度の中に包括していくという考え方の方が非常に素直なんですね。

 だから、大臣がおっしゃることに対して、やはり量とか歴史を言うならば、公益法人の方が古いわけですから、長いわけですから、多いわけですから、それは公益法人制度改革に含めないというにはやはり当たらないと思うんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 市村委員は恐らくこの問題について日本で一番詳しい方のお一人でございますから、私が説明するのもある意味でなんなんですけれども、特定非営利活動法人の制度というのは、当初の、これをつくるときは、大変熱い思い入れがあって私たちも議論に参加しましたけれども、行政の裁量が極力抑制された簡易な認証手続にしよう、それで公益性の確認と法人格の付与を同時にする、この二点を同時にするというところにやはりこの制度の最大のポイントがあるんだろうというふうに思います。

 法人格を与えるということだけではなくて、公益性の確認を行う、それを簡易な認証手続にゆだねているという点がやはりこの制度の最大のポイントであるというふうに私は認識をしております。それで、特定非営利活動法人等に対しては、法人税法上の収益事業以外の所得は非課税という税制上の取り扱いにもなっている。こうした制度的メリットを反映して、先ほど申し上げたような大幅な拡大が出てきたのであろうというふうに思っております。

 その意味では、白地のキャンバスに絵をかくのと、既にいろいろな経緯を経て存在してきているものの間での調和をどのように図るか、それが今回の一つの解決策であったのではないかというふうに私は認識をしております。

市村分科員 どう調和を図るかというのはよくわかるんです。昔から、公益法人を変えるときにも、これだけの長い歴史を持って、これだけの雇用者数もいる公益法人を、そんな簡単に変えられないじゃないかというふうに議論が前あったんですね。でも、その公益法人ですら、今回思い切って改革をしようという流れがあるわけで、やはり一般的、包括的非営利法人制度を目指すということはすごいことなんです。公益法人ですらそうなんです。

 だから、今大臣いろいろと御説明いただいたんですが、今の大臣のお話の中で、要するに法人格と公益性が一体となったものという御説明がありましたけれども、もともと日本は、法人格付与が公益と結びついているところに問題があるというのが私の考えなんですね。民法三十四条がそうなんです。本来であれば、あそこに非営利法人が書かれておかないかぬかったわけです。ところが、この国は、一般的非営利法人制がないまま、その一種である公益法人しか民法に規定していなかったんですね。結局、大きな網をかけないまま、非営利法人の一形態である公益法人のみを営利法人と対置する形で民法に書いてしまったんです。そもそもここに大きな問題があるんですね。

 だから、私はずっと、民法三十四条法人を改正して、大きな非営利の網をかけた中で、その中に公益、共益とかいう、またはいろいろな、宗教団体も私立学校も、いろいろな非営利法人の形態、すなわちNPOの形態があるわけですから、そういうものを入れていくというふうにしなきゃいかぬということを申し上げているわけです。

 しかも、今度の公益法人改革は、民法三十四条の改正も視野に入れているわけです。そのときになぜ、この特定非営利活動法人のみ、しかも、民法三十四条の特別法としてつくられた民法三十四条法人までをこの議論から外すのか。やはりこれは論理的に全く、僕は竹中さんは非常に論理的な方だ、大臣だと思っているんですが、なぜその論理的な竹中さんがここではえらい非論理的な、いわゆる政治的な決断をされるのか。私、そこがよくわからないんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 いつも机上の空論だといって批判を受けておりますので、きょうは逆の御批判をいただいているわけでございますが、成り立ちは今委員言われたように、非常に大きな網というか、全体としてのアンブレラがないままに、特別に幾つかの島のようなところをこれまでスポットを当てて整備をしてきた。これはもう全く日本の制度、公益法人制度はそのようになっていたんだと思います。民法三十四条。それで、今新しい島として、六年前にできた島として、私が所管している特定非営利活動法人がある。

 それで、今、かつてあったその三十四条という古い島を一種の中核にしてというか母体にしてというか、アンブレラを、これはすべてかかっているかどうかはともかくとして、かなり大きな網をかけようというような制度改革になっている。そのときに、六年前にできたこの新しい島をどうするのかという、私はこういう問題なんだと思います。

 これも網の中に入れてしまうのか、まだ定着し始めた、育ち始めた島であるから、これはやはり、この島に参加した当事者から見ると、今この制度が急に不安定なものになると困る、そのような思いは私はあるんだと思います。だからこそ、我々に対する要望としましては、さっき言った、法人格と、それと公益性とを一気に認証してくれるような、このものについては、少なくともこういうふうに置いておいてほしい。

 先ほど申し上げましたように、これは非常に長い時間をかけるとその大きなアンブレラの中に吸収されていくという可能性は、これはまさに論理的なというか、ロジカルに言って当然あり得ることだと思うんですけれども、今の状況を考えますと、今の特定非営利活動法人に関しては、やはり今回のものからは少し除外する形でしっかりと制度を拡充していく、これは現実の一つのやり方ではないかというふうに私は思います。

市村分科員 ですから、私は、政府は何か自信ないのかなと思うんですね。

 というのも、もっとよりよい制度にするわけですから、今の特定非営利活動法人が持っているものよりももっといいものをつくるということを、姿さえ特定非営利活動法人の方に示せば、ああ、なるほど、結局そうか、今よりもっとよくなるんだと。つまり、もっと簡易に法人格も取れて、かつ、税制上の優遇措置も得られるという方向になるのであれば、要するに、よりよい姿を見せていないから、結局、公益法人改革の議論の中に入れないでくれなんという話になるんじゃないかと思うんですよ。

 公益法人ですら、そうやってよりよいものにしていこうという中であれば、今おっしゃったように、現実的にいろいろなものはそんな簡単に変わらない、長い時間がかかるというのは、全く私も大臣がおっしゃるとおりだと思います。だからといって、今回の改革の取り組みの中に全く含まないというのもまたこれは極端な話でありまして、要するに、含んだ中で、ではどうしていくのか、それはひょっとしたら経過措置的に時間がかかるかもしれません、そういう議論ならわかるんです。だけれども、最初から外しますというのも、やはりこれはなかなかわからないんです。

 そのときに、よりよくなるということに対して、きょう財務省からもわざわざ審議官もいらっしゃっていただいているんですが、この間も議論しましたように、やはり何が今足りないかですね。特定非営利活動法人、二万ぐらいできていますけれども、二万を超えたということですけれども、結局活動資金なんですよ、この間申し上げたように。

 では、資金はどこから調達しているかといったら、やはり税金とか保険料がかなりバックアップしなければ活動が維持できないという実態があるわけですね、ここに。しかも、あまつさえ、また官製的な、官が非営利活動法人を使って、そこに相対的に大きな予算を流し込むということで、本当にプチ天下り先と化するような、疑われるような例も出てきているんですね。それじゃだめなんです。やはりNPOを支える資金は民間の資金でなくちゃならないわけです。では、その民間の資金をつくっていくためにはどういう制度があるか、特に税制とかが大切なんですね。

 それで、きょう財務省の審議官もいらっしゃっているんですが、このNPOに関する税制はいろいろ、るるこれまでも議論があったと思いますが、これをもっと私は前向きに、積極的に進めていただきたい、こういう思いでいるんですが、ちょっとまず御感想を聞かせてください。

加藤政府参考人 民間の非営利活動、これは、少子高齢化の進展、社会の多様化する中で、活力ある経済社会を構築していく上で重要な役割を果たしておるという認識を税務当局としてもいたしておりまして、こうした活動を資金面から支えるというこの寄附金につきましても、これは租税を減免するという行為がございますので、それにふさわしい相当の公益性を有するという一定の基準、これは満たしていただく必要がありますが、そうしたものについては、認定特定非営利活動法人ということで優遇税制の対象にしております。

 この税制の経緯につきましては、もう先生大変御存じだと思いますが、近年、要件の適正化、緩和を推し進めてまいっておりまして、十七年度税制改正におきましてもさらなる拡充を図っておりますので、私どもといたしましては、これまでのこうした積み重ねた措置が有効に活用していただけるものと考えております。

市村分科員 前向きに取り組みたいという今のお言葉は、本当に私は評価をしたいと思うんですが、ただ、気持ちはわかるんですが、やはり実態上は私はまだ全然足りないというふうに思っています。

 というのも、アメリカの例でいいますと、もうそうした、今で言う認定された特増みたいなものですね、特定公益増進法人みたいな団体は百万を超える団体があって活躍しているわけです。そして、それを支える民間の資金というのは、個人寄附だけで年間、円に直すと十七兆円から十八兆円がフローで回っているんですね。ストックじゃありません。それだけの資金を、ファンドレージングをやっていて、競争してファンドをレージングするんですね。やはり資金調達競争をやっているわけです。NPOは、私たちのサービスはいいでしょうということを一生懸命訴えて、資金を調達して回っているわけです。これは彼我の差はすごいものがあります。

 だから、私は、これからの日本の社会を支えていく意味で、NPOの存在というのは、これは公益法人も含んだ存在ですからね。NPOイコール特定非営利活動法人じゃありませんので、これからは、NPOというのは、公益法人も含んだ広い概念で使ってください。そうしたものとして、NPOがこの社会に大変重要になると。しかも、その支える資金は、また税金とか保険料といった、いわゆる公に近い資金ではだめなんです。官が管理するような資金じゃだめなんです。民間の資金を、民間であるNPOを民間で支える資金をつくっていくということが大切なんですね。

 まさに、この小泉内閣、民でできることは民でやって、竹中大臣は一生懸命いつも強調されますけれども、まさにこれなんか、今の政権は最も力を入れて取り組まないかぬ課題だと私は思いますよ。しかも、もう間に合いません。早くしないと、今、日本は本当にどうなっていますか。若者がもっと夢と希望を持てるような社会にしていくためにも、NPOで頑張ろう、NPOで自分は就職してみたい、働いてみたい、こうした時代をつくってほしいんですよ。

 これは、NPOは、言うとすぐ何か、いや、NPO、そんな税制優遇なんかすると、またこの財政厳しき折なんという議論がすぐ出てきますけれども、うそですよ。だって、NPOがたくさん出てくれば、事業所がたくさんできるわけです。そこに雇用が生まれるんですね。それで、まず、法人がたくさん生まれれば、当然、法人税を払ってくれます。そこに雇用が生まれれば、所得税を払ってくれます。だから、これはプラスマイナス、絶対私はマイナスにならないと信じています。

 だって、もう今、営利の世界だって、もう一円とか、ほとんど何も規制もなく法人格を取って頑張る時代じゃないですか。当然、非営利の世界だっていいじゃないですか。そして、事業所をたくさんつくってもらって、頑張ってもらって、それでたくさんの税金を払ってもらえば、決して私は財政的に、そのプライマリーバランスのプラスマイナスでいえば、私は十分にマイナスにならずにプラスになると信じています。

 竹中大臣、どうですか。私のこの考えを、ひとつ最後に御感想をお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

竹中国務大臣 いつも私が講演等々で言っていることを今まさに市村委員が言ってくださったというふうに思っております。

 委員がよくお示しになられる公私と官民の違い、これはもう大変重要だと思います。小さな政府を目指していかなければいけない、であるからこそ、公的なことを民のノウハウと民のお金、民の人で賄うということをやっていかないと、この社会は私ももたないのだと思います。特定非営利活動法人を担当する大臣としましては、そういう観点から、税務当局に対しても、そのファイナンスを容易にするような道、常にお願いをしているわけでございます。

 もちろん、この厳しい財政事情で、税当局としては税当局として大変御苦労なさっているわけでございますが、今委員がおっしゃったような一つの理念といいますか、公的なことを民がやる、公私と官民をしっかりと区別して、そのような社会を目指すことは、まさに我々が求めている改革の方向として大変重要であるというふうに認識をしております。

市村分科員 ぜひともお願いします。民営化というのは、何度も申し上げているように、営利企業だけじゃありませんので、NPOも含めたのが民営化ですので。民営化というのは、すぐ今の政府の方は、営利企業、つまり株式会社になっちゃいますけれども、NPOを含めた民営化ということをぜひとも念頭に置いて、これからぜひとも取り組んでいただきたいと思います。お願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて市村浩一郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西川(京)主査代理 次に、防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宇野治君。

宇野分科員 どうもありがとうございます。自由民主党の宇野治でございます。

 きょうは、大野長官みずからお出かけいただきまして質問にお答えいただく、本当に恐縮でございます。限られた時間でございますが、私も、三十分もつかどうかわかりませんけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょう、私は、弾道ミサイルの防衛システム、俗にBMDと呼ばれるシステムについてお聞かせをいただきたいなという思いなんですが、実は私、これは非常に思い入れがございまして、私、滋賀県の県会議員をやっておりました当時、平成五年でありますが、当時はTMDと呼ばれているときでありましたけれども、ちょうど、ノドンを北朝鮮が配備するのではないかというような情報が出てきた。そのときに、やはり心配だからということで県議会として意見書を出そうということで、TMDに対する意見書の賛成討論をさせていただいて、初めてミサイルというものの位置づけというのを勉強させていただき、それ以来、このミサイルのことについては少し、その都度何か思い入れを持ちながら、国会に上がらせていただきました。

 国会に上がらせていただいた途端にこのBMDの話が出まして、今、昨年から配備が始まったという、私にとっては非常に画期的な、うれしい状況になるわけでありますけれども、まず、このBMDの配備のことを少しお聞かせいただきたいんです。

 相手は、私はもう北朝鮮と言い続けていきたいと思うんですが、北朝鮮がこの配備をされてそれを撃ったといったら、十分で届くという、大変厳しい状況になるわけです。その十分間の間に何ができるのかというのも大変厳しいわけでありますけれども、また、何ができるかというか、撃ち落とすしかない、今、日本の法整備では。

 向こうにランチャーが出た、例えば山の中からランチャーを引っ張ってきた、さあ燃料を入れ始めたといったときに、攻めに行くわけにいかない。打ち上がるのを待つしかない。そうすると、撃ってきたら、これを迎撃する。迎撃をするということであれば、やはり日本全国、これは、日本は長細い国ですから、私は、この地域に満遍なくなければいけないかなという思いなんです。

 まずお聞かせいただきたいのは、今回のこのBMDの配置を十六年度から予算化をしてやっているわけですが、これを具体的に、十六年度予算のものについてはどこに配備するのか、今後どこまで配備をする予定なのか、全体的な予算がどのぐらい必要なのか、その辺をまずお聞かせ願いたいと思います。

大野国務大臣 宇野先生のミサイル防衛に対する御理解、本当にありがとうございます。

 ミサイル防衛というのは、まさに、新しい安全保障環境の変化とともに、科学技術の進歩によって、大変、防衛に対する考え方を変えていかなきゃいけない、非常に大切な問題であります。

 今、宇野先生御みずからおっしゃったように、飛んでくる、何だかんだ言う前に撃ち落としていかなきゃいけない、こういう問題がやはりあるわけでございまして、そういう意味で、私は、最近のあるマスコミの世論調査を見ますと、このミサイル防衛の必要性についてイエスと答えた人が六七%あった、これは大変ミサイル防衛に対して、本当にやはり備えていかなきゃいけないという国民の皆様の理解があるんだな、こんなことを思いました。

 そこで、どういうふうに配備していくのか、こういう問題でありますけれども、配備計画、予算上は、これは十六年度に一千億円強ついております。十七年度におきましても、一千億円強要求させていただいております。ほぼ完了しますのが二十二年度ぐらいだと思いますけれども、総計で一兆円近くになるのかな、こんな思いでございます。それぞれの年度で要求をさせていただくということであります。

 それで、この我が国のBMD構想というのは、我が国全域の防護を行う、いわばイージスBMDシステム。それからもう一つは、これは、大気圏外ですから、上層大体百キロから三百キロぐらいのところの、いわばブースト段階が終わったミッドコースで撃ち落とす構想であります。それから、やがて落ちてきて、そして十数キロあたりで迎撃する、こういういわばターミナルコースの防護を行うペトリオットPAC3というシステムでありますけれども、この多重層の防衛システムによって対応するわけであります。

 今申し上げましたように、十六年度からは、まず、イージス艦へのBMD能力を付与、これは一隻でございます。それから、ペトリオットPAC3への転換、これは四個ユニットでありますけれども、十六年度から整備を開始する、こういうことになっております。ペトリオットPAC3一個ユニットが、平成十八年度末に、第一高射群、この第一高射群というのは入間でありますけれども、入間は決まっております。配備される予定でありまして、その他のシステムも平成十九年度以降、逐次配備していく、こういう予定になっております。センサー等を含め、全体のシステムが配備完了するのが平成二十三年度ごろかなと思っている次第でございます。

 以上、簡単でございますが、御説明申し上げます。

宇野分科員 ありがとうございました。

 今、一兆円余りの予算をつけて配備をする、具体的にまだ、第一高射群、すなわちは首都圏を守るということがスタートなのかなという思いなのであります。首都圏を守っていただくことは当然でありますが、相手は何を考えているかわからないリーダーがいるわけであります。私にとりましては、私の地元は琵琶湖を抱えております。琵琶湖は、関西の、近畿千二百万人の水がめでございます。もしその水がめに細菌兵器か何かを撃ち込まれたら、この千二百万人の水がなくなってしまう、こんなこともありますので、琵琶湖もひとつお守りいただきたいなということをお願いしておきたいと思っております。

 そういう中で、今は配備のお話でありましたけれども、当然、それにランニングコストというのが結構かかってくると思うんです。このランニングコストというのは、どのくらいこれからかかっていくのかなと。途中でその変更もしていかなきゃいけない、経費という部分でございますけれども、その辺についてもちょっと言及いただければと思います。

大野国務大臣 ランニングコストは、これからの問題として、今申し上げる段階でありませんので、きちっと見積もりを出した段階でまたお知らせ申し上げたいと思います。

宇野分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それで、さあ配備をされた、配備をされて、これから実際、実戦で入ってくるわけでありますけれども、そのときに、今の法体制で私は非常に心配があるわけでありまして、今の法体制でもしこのミサイルをやろうとした場合には、防衛出動がなければ何もできないというのが今の状況であります。こんなことをやっていたらたまったものじゃない。今までは、船で来たり飛行機で入り込んだりということを想定した防衛出動を考えていたわけでありますが、せんだっても、中国の原潜、あんなよくわかっていながら何もできなかったということもありますし、あれは何も撃ってこなかったからよかったわけですけれども、もしあったらどうするのかなという思いもあります。

 それから、かつてテポドンが日本列島を越えていったということもありますし、また、つい昨年は、北朝鮮の方でミサイルの発射の準備があるというような状況もあった。こういう状況をつかめればある程度何とかできますけれども、でもまだ日本の法整備ではこれを防ぐ際の何かをするということができない状況であります。

 そういうことで、まず、今の、配備はされることはもう決まりましたので、では、その次に、撃つというための法整備についてはどんなことを考えられているのか。お願いします。

大野国務大臣 大変ポイントをついた御質問でございますけれども、防衛出動が下令されているときは、これは問題ありません。ですから、問題は、平時、何にも防衛出動が下令されていない場合、どんとミサイルが飛んでくる、そして日本に落ちてくる、この場合に一体どういうふうな態勢をとっていったらいいのか。

 これは、まず、どんなことがあっても十分程度の中で判断をして落としていかなきゃいけない、こういう問題が一つあるわけであります。それと同時に、やはり我々が重視していかなきゃいけない、絶対守っていかなきゃいけないのは、シビリアンコントロールの問題であります。この二点を中心にして考えなきゃいけない。となると、現行法制ではもう対応できないですね。

 ですから、そういう意味で、今回法律を出させていただきますけれども、この法律というのはどういう対応になっているかといいますと、まず、防衛出動が下令されていない場合、この二つに分けまして、第一は、どうもミサイルが飛んできそうな兆候がありますよ、兆候というのはどういうことか、一例で申し上げますと、例えば、国際情勢から見てその国がどうもというような場合、あるいは、場合によっては、ブースターが立ち上がっているとかランチャーが立ち上がっているとか兵力が集中しているとか、いろいろなケースがあると思いますけれども、これについてはもう少し精査しなきゃいけないとは思います。しかし、何らかの兆候がある場合は、やはり、総理大臣の了承をとって、承認をとって、そして防衛庁長官が、ミサイルを撃ってきた場合にはきちっと撃ち落としなさい、こういう命令を発出しておかなきゃいけない、こういうことだと思います。

 それからもう一つのケースは、やはり、何にもなくても事態が急変するかもしれない、そしていきなり飛んでくるかもしれない、そういう場合に備えて、やはりマニュアルをつくっておいて、そのマニュアルに従って、第一線の部隊はこうこうこういう場合にはきちっと対処しなさい、こういうマニュアルをつくっておかなきゃいけない。そのマニュアルはどうか。それは、先生御存じのとおりでありますけれども、大気圏外へ出て、そして出ますと、方向と速さによって、日本へ落ちてくるかどうか、日本に対して攻撃となるかどうかわかるわけですから、その段階で判断しましてこれを撃ち落としていくということをあらかじめきちっとマニュアルでつくっておく、これが大切だと思います。

 したがって、よく現場の判断といいますが、現場は、防衛庁長官がつくったマニュアルをマニュアルどおり、そういう事態になればそれを確認して、きちっと忠実にマニュアルを守っていく、こういうことであると思います。そういうマニュアルをつくって、何といっても、繰り返しになりますけれども、一番大切なのは、国民の生命財産を守っていく、安全、安心を国民の皆様にお届けする、これが大事なことであります。しかし、やはり装備の関係、いろいろな関係がありますので、二つ目の局面、つまり平時の場合ですね、この場合は、長官が期間を区切って、期間を決めて、ここからここまでの期間やりなさいとか、そういうことができるようにはしてあります。

宇野分科員 ミサイルについての防衛の法制度、法律で今回のこの国会に提案をされているわけでありますが、それを見させていただいても、確かに、今言われたように二つの種類がある。事前に内閣総理大臣に承認を求めてやるということが一つと、今、後段でお話しいただきました、マニュアルをつくって、それを事前に各隊の方に渡しておき、それでその対応でやっていくということになるわけですけれども、私は、このミサイルにつきましては、そんな内閣総理大臣に話をしているような悠長な対応ができるのかなと。常に長官のつくったマニュアルを各所属隊が見ながら、事あれば撃てるというような状況にしていかなきゃいけない。ですから、今もちょっとお話ありましたけれども、ある期間からある期間までというような条件つきになるのかわかりませんけれども、さあそれで本当にうまくできるのかなという思いをしております。ぜひ、もう少しその辺のところの精査をしていただく必要があると思います。

 私が一番心配しておりますのは、そのマニュアル整備ができて撃つということができたとしても、いつその判断をするかということがなかなか難しいんじゃないかなと。高射砲の隊長さんなりイージス艦の艦長さんがそれを最終決断するんだと思うんですが、なかなか今までの戦車だとか艦艇での砲撃だとかというのとは全然違う対応で、本当に迅速性を言われるわけであります。これはお話をしておらなかったのかもわかりませんけれども、防衛大学から出て自衛官になっていろいろやっているんですけれども、そういう訓練が本当にできているのかなという心配をするんです。今までの対応とは大分違ってくるということで、これからがらっと変わらなきゃいけない。その辺の教育体系についても少しお考えをいただいておかなきゃいけないのかなということを、あえてお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 さて、それで、そういう形で配備ができた、法整備ができて撃つことができるようになった、そこで私が次に心配するのは、さあ撃てと言って撃ったときに命中精度はどうなんだろうということであります。これは任すしかないんでしょうけれども。

 実は、こんなことを防衛庁の皆さんに言うのは失礼かもわからないんですけれども、かつて私の父が防衛長官をやっていたときに、東京湾でタンカーが燃え上がって、このタンカーを沈めるのにいろんな方策をやったんだけれどもできない。最終的に、潜水艦から魚雷を発射してタンカーを撃沈しようということがあったわけであります。多分、記録が残っております。ただ、残念ながら、一発目、二発目は下を通ってしまったということで当たらなかった。これは本格的なものとして初めての経験です。こんなこともあったんです。

 動いていないタンカーを動いていない潜水艦が、向こうから何の反撃も来ないのに、しっかり見詰めて撃っても下をくぐってしまった。今回は、動いているものであり、動いているものを動いているミサイル同士でぶつけようとするわけですね。私がよく地元で言っているのは、単純に、せいぜい電信柱と電信柱を上空でぶつけるんだよという話になるわけですけれども、この精度というのは大変な精度になると思うんです。ある意味では防衛機密かもわからないと思うんですが、せんだっても、アメリカの何か実験、これは種類が違うのかもわかりませんけれども、命中ができなかったというような話もあったようでありますけれども、この辺についてどういうふうにするのか。

 一発で当たるというのは難しいと思うんですが、上がってきた、撃ってきた、さあ何発かだだだっと撃つのか、何発ぐらい撃つのか。数撃ちゃ当たるという話があるかと思いますけれども、その辺の命中精度と、これからの配備の数によってやはり本当に撃ち落とせるのだというのと、やはりこれじゃまだちょっと不安だなという思いとがありますので、その辺の精度のことについて少しお話をいただきます。

大野国務大臣 今、宇野先生のお父様のお話をされていましたけれども、私も宇野先生のお父様から、防衛問題のみならず、いろんな意味でお教えを賜ったことを懐かしく思い出しました。

 一つ、今の御質問は信頼性の問題でございます。その前に、教育の問題と、それから、きちっと撃てるのかね、本当に撃てるのかね、こういう御疑問がありましたので、もう一度その点、繰り返しになりますけれども。

 きちっと撃てるのかねという問題は、レーダーで、ブースター段階を終わりますとどこへ飛んでくるのかはっきりする。ブースター段階でももちろんミサイルはとらえられますけれども、その段階で撃つと、どこへ飛んでいくかわからないミサイルを撃たなきゃいけない、こういうことになりますので、やはり方向、どこへ落ちる、日本の領域へ落ちてくる、これが明らかになった段階で撃つ、こういうことになります。

 もちろん、この判断は、判断というか確認ですね。判断ということは私は使いたくない。この確認は現場でやる。そして、その指揮は指揮官がおります。場合によっては統合任務部隊、ミサイル防衛統合任務部隊というのをつくりましてその部隊長がやる、こういうことになりますけれども、そういう意味で、私は、その点はきちっと対応できるようにしていかなきゃいけないし、そのためのマニュアルをきちっとつくっていかなきゃいけない、それは兆候がある場合でもやはりそういうことは大事だと思っています。

 それからもう一つ、教育の問題です。教育の問題、やはり今から始まるミサイル防衛ですから、今から本当に本腰を入れてこの教育に努めていかなきゃいけないと思っておるところでございます。

 御質問の、BMDシステムの信頼性の問題でございますけれども、例えば千三百キロ級といいますと当然ノドンでございますが、弾道ミサイルを対象とした場合、一つは、イージスで上空で撃ち落とすというイージスBMDシステムの場合は、半径数百キロにわたって迎撃ができる。それから、ペトリオットPAC3の場合は半径が数十キロで迎撃できる、こういうことになっておりますが、まず上空で百キロから三百キロの間で、半径数百キロにわたる範囲で撃てるわけですね。それが一つ。それで撃ち漏らすと、今度はターミナルコースでペトリオットPAC3の出番になってくるということで、そこでも撃てる、こういうことになるわけであります。したがいまして、相当程度高い確率で迎撃が成功すると我々は信じております。

 これを実績で申し上げますと、例えばイージスBMDの場合でありますが、けさも実はアメリカでイージスの実験をやりました。成功いたしました。これはけさ、ハワイ沖で七回目の実験をアメリカがやっているんですね。これまで六回やっていますから、合計七回の迎撃試験をやっております。そのうち、六回成功したということであります。それから、ペトリオットPAC3の場合は、さきのイラク戦争でこのシステムを使っておりまして、実戦で使用している。

 これから先といいますと、ちょっと防衛機密にわたるところがありまして申し上げにくいんでありますけれども、我が国も独自のシミュレーションをやっておりますので、そこは信頼性はかなり高い、これは言えると思います。一昨年十二月十九日の閣議決定におきましても、官房長官から、技術的に実現可能性は極めて高い、こういう談話が発表されております。そういう意味で、過去の試験あるいは分析の結果から見まして高い信頼性がある、私はこのように思っております。

宇野分科員 ありがとうございました。

 これで、配備をされて、ハード的な部分、それからそれを撃ち落とす法整備の関係、精度、ある程度聞かせていただきまして、少しは安心をさせていただきました。

 先ほど来お話があった、ちょっと私漏らしたんですが、今の自衛隊は陸上、海上、航空と三つに分かれているわけでありまして、ここが個々に今いろいろなことをやっている。確かに、今まではそれで何とか済んでいた。ただ、今回のミサイル防衛については、海がイージス艦がイージスでの迎撃をやらなきゃいけない、それからまた、PAC3の場合には航空自衛隊がやらなきゃいけない、こんなふうな形で、一緒にやらなきゃいけない部分が出てくるわけですけれども、この辺についても今回の法整備の中で何か入っているようでございますが、具体的にどういうふうにこれからの運用をやっていくのか、そこのところを少し簡単にお願いします。

大野国務大臣 日本の防衛問題全体についても、これから統合運用というのが本当に大事になってくる。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と三つに分けていて、それを統幕議長というところで調整いたしておりますけれども、今度は、来年度予算におきまして統合幕僚長というのをつくって、それぞれの独立性は確保しながら一体的に運用していこう、こういうことになっておりますが、ミサイル防衛におきましても、やはり統合任務部隊、ミサイル防衛の統合任務部隊というのをつくりまして、部隊長の指揮でやる。これは、常時そういう部隊ではありませんけれども、必要に応じそれぞれそういう部隊をつくって統合的に運用していく、このことは非常に私は大事なことだと思っております。

宇野分科員 今の統合運用、まさにこれからの、世界が大体そういう形になっているのが日本がおくれていたというのが私のイメージなんですが、やっと日本も世界と同じような組織体制になってくるのかなということであります。

 ただ、ちょっと今、私も初めて聞かせていただいた言葉だと思うんですが、ミサイル部隊の統合、統合ミサイル部隊というんですか、そういうのをつくられるということなんですが、それは常時ではない。だから、常時ではないと、さっきの話じゃないですけれども、総理の承認をもらって何とかかんとか、こういう手続を踏んでいかないとつくれないようなことだと、その間に撃たれたらどうするんですかという話になってしまうので、ぜひその辺を、常駐というか常時の部分で何か考えていただきたいなという思いをしております。

 本当に、ミサイル防衛については、これから国民の方々も大変心配をしている部分であります。ぜひ対応をうまくやっていただきたいと思うのですが、最後に一つお願いでございます。

 こういう形で、防衛庁が今いろいろな、日本の国の安全、安心のために頑張っていただいているわけであります。ただ、残念ながら、きょうもこれは内閣の委員会という部分に入ってくるわけでありますけれども、防衛庁という流れになっているわけです。早く防衛庁から省の昇格ということを、ぜひとも、長官がなかなか言うことはできないかもわかりませんが、我々も応援をさせていただきますので、事あるごとに話を出して、省の昇格で、防衛大臣なり国防大臣なり、大臣という名前でお呼びできることを期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて宇野治君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岡秀夫君。

平岡分科員 民主党の平岡秀夫でございます。

 きょうは、防衛庁長官を中心にお話を伺わせていただきたいというふうに思っています。

 二月の中旬に、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2、そして日米防衛首脳会談ということで、長官におかれましても大変御苦労があったんだろうというふうに思います。心から御苦労さまと申し上げたいんですけれども、まだまだ多くの課題が残っているようにも思いますので、これからもしっかり日本の国益と、それから、ある意味では全国各地で基地負担を抱えている人たちが多くいる、そのことをぜひ頭の中に置いていただいてこれからも交渉をしていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 ただ、私たちは、日本がこれからどういう日米関係を築いていくのか、あるいはアジアの中で日本がどういう立場といいますか、役割を果たしていくべきなのかという点については、若干ちょっと、今の政府とは少し考え方が違うのかもしれません。それはさておいても、現在、在日米軍がこの世界情勢の中で果たしている役割というものを私たちも否定するものではありません。これについては、しっかりと日本の平和と安全を守っていかなければいけないという考え方の中で在日米軍の問題についても当然考えていかなければいけない、こういうふうに私としては思っているところでございます。

 そこで、米軍再編という問題の中で、在日米軍の兵力構成見直しというような言葉でこの前の日米安全保障協議委員会でも協議がされているようでありますけれども、その中に、在日米軍のあり方というような意味で、在日米軍の抑止力を維持するということではあるけれども、沖縄を含む地元の負担を軽減しつつなんだというようなことで確認がされたというふうに伝えられているところでございます。

 ということで、ちょっと、沖縄を含む地元の負担軽減ということが一体具体的にどんなことを念頭に置いて表現されているのか。例えば、基地を縮小していくとか、あるいは削減していくということであるならば、地元負担が軽減されるということについてはすっきりと頭の中に入ってくるのかなというふうにも思うんですけれども、多分それだけではないのかな、ほかにもいろいろなことを念頭に置きながらこういう表現をとっておられるのかなというふうにも思うものですから、どういうことを考えておられてこういう表現になったのかということについて、まず御質問いたしたいと思います。

大野国務大臣 トランスフォーメーション、在日米軍の兵力構成の見直しという問題であります。

 我々は当初から、この問題を議論する場合には、必ず、在日米軍の抑止力の維持、そして沖縄を中心とする地元負担の軽減、この二つのことを考え方としてずっと主張し続けておりました。今回の2プラス2でもそのことは認められたところであります。

 しかし、先生おっしゃるように、この二つ、一見すると何となく矛盾するようなところもありますよね。それを一体どういうふうにしてやるのか。私は、一つの考え方は、もともとアメリカの言い出しているトランスフォーメーションということの中にあるんじゃないか。

 それは何かといいますと、アメリカが言い出しているトランスフォーメーションというのは、一つは、世界の安全保障環境ががらっと変わってきた。冷戦が終わりました、これがこのトランスフォーメーションの出発点でありますけれども、その後、九・一一があった、こういうことが一つあります。

 それからもう一つ、トランスフォーメーションの原動力になっているのは、やっぱり軍事面における科学技術の目覚ましい向上。つまり、それによって兵力の展開があるいは機動力が著しく向上する、あるいは、ミサイルのような科学兵器がどんどん出てきて、プレシジョン・ガイデッド・ウエポンとでもいいましょうか、誘導弾ですね、それからもう一つは、爆弾一つの爆発力が物すごく向上する。こういうような面があって、それで兵力構成ということと関連してくる、これが一つあると思います。

 それからもう一つは、やはり、今回は共通の戦略目標、お互いに合意しました。あと、日本とアメリカとの間の任務とか役割とか兵力とか、あるいは基地の共同使用とか、そういうことを議論するわけであります。そして、最終的に、在日米軍の区域、施設の問題がゴールとなる、目標となるわけでありますが、そういう中で、やはりお互いにどういうものを負担と考えるかという場合に、一つは、基地の面積とか兵力の数とかこういう問題もありましょうし、それからもう一つは、やはり騒音というような問題、こういうものもあろうかと思います。

 そういうことは念頭にありますけれども、まだ具体的にそこまで論じておりません。論じておりませんが、私どもの頭の中には、そういう数字であらわせるところ数字であらわせないもの、いろんな負担というのがやっぱりあると思います。

 そういうことで、我々はその負担についてやはりあらゆる角度から検討して、今申し上げましたようなあらゆる角度から検討していかなきゃいけない、このような思いで今後取り組んでまいりますけれども、今申し上げたようなことは今から始まる、具体的な問題として今から始まるということでございます。

平岡分科員 確かに今から始まる話かもしれませんけれども、ある程度のイメージは持っておられるのかなというふうにも思います。

 ただ、政府の方で、これで地元の負担が軽くなったでしょうというふうに一方的に思われてもまた困るわけでありまして、そこはやっぱり基地を受け入れている地元の人たちがどういうふうに考えているか、そういうような話し合いといいますか協議といいますか、そういうこともしっかりと踏まえた上で、地元の負担軽減ということに取り組んでいただきたいというふうにお願いしておきたいというふうに思います。

 そこで、若干ちょっと時間配分が悪くてあれなんですけれども、兵力構成の見直しというのもいろいろと新聞報道的には漏れ伝えられている部分がございます。きょうはその内容を聞いても、この前の予算委員会で菅前代表とのやりとりの中でもなかなかお話しになっていただけなかったという経緯もありますから聞きませんけれども、これから数カ月の間、集中的な協議を行うんだというふうに共同発表でも言っておられます。この数カ月の間にどのように行っていくのか。特に、地元自治体との協議というのはどのような段階で、どのように行っていこうとしておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 今後数カ月間で協議を加速させまして、早くゴールを目指してお互いに協議していこう、このことは今回の2プラス2でも合意を見たところでございます。

 やはり米軍基地の問題、再配置の問題というのは、基地のある町の住民の皆様に大変直接影響する問題でありますし、我々としては、そういう基地の皆様に御理解をいただかないとこの話は進んでいかない。ですから私は、たびたび先方、ラムズフェルドに会ったときも、こういう調整が大変なんだ、こういう話はしております。

 当然、政府としては説明責任を果たしていかなきゃいけないし、そして、地元の皆様の御理解をいただくために調整をしていかなきゃいけない、こういうことでございますけれども、どの段階でそれがやれるのかな、これはもういろいろなことを考えながらやっていかなきゃいけない問題であります。したがいまして、いわばまだ意見の交換というか、アイデアを交換し合っている段階でありますから、今の段階では無理だな、ある程度方向性が決まってきた段階かなと。

 いずれにいたしましても、私どもはある一定の段階が来れば説明責任をきちっと果たしますし、または地元の住民の皆様と話し合いをさせていただきたい、このように思っているところでございます。関係各省庁や皆様、住民の皆さん、それぞれ話し合っていこう、こんなふうに思っております。

平岡分科員 この問題について長時間をとって議論するわけにもいきませんし、それをやったからといって、また長官が、もっともっと前向きな、具体的なことを言ってくれるとも思われないので、とりあえず、しっかりと地元の皆さんとの間の調整、協議ということはしっかりやっていただきたい。できるだけ前広にといいますか早い段階で行っていただきたいということを要請させていただきまして、とりあえずこの問題はおいておきたいと思います。ただ、在日米軍の兵力構成見直しというものがいろいろ全国的に行われる中で、基地を抱えている地元自治体あるいはその住民の中でいろいろこれまでも要望が出ていることとの関係が一体どういうふうになっていくのか、どういうふうに整理されるのかというところは非常に関心が強いところですね。

 そういう意味で、私の地元では、岩国市というところでありますけれども、米軍岩国基地の民間空港再開問題というのをずっと前から取り組んでいるわけです。二、三年前に東京都知事が横田基地の民間利用というようなことも言われまして、小泉首相もアメリカに行った際もそういうことを言っておられるわけであります。そうした問題については在日米軍の兵力構成見直しとどういう関係にあるというふうに理解したらいいのか、その辺についてちょっと教えていただきたいと思います。

大野国務大臣 横田の問題、先生のお地元の岩国の問題、それぞれ何らかの機関ができている、こういうことでございます。もちろん現時点では、横田についても岩国についても何らの最終的決定は行われておりませんけれども、例えば平成十五年には、日米首脳会談を受けまして政府、関係省庁と東京都の実務的な協議の場として連絡会をつくっている、これが横田であります。また、岩国につきましては、地元の要望を踏まえて、民間空港再開について日米合同委員会の施設調整部会というところで協議をしている。

 今、新しい局面に向かって進行しているわけですから、それはそれとして尊重しながら、私はやはり、その中で全体の話し合いとの接点もできてくるかもしれないし、それぞれの独自性を保ちながら接点もできてくる可能性は否定できない、このように思っております。

平岡分科員 そういうふうに全体の中でどこかで接点があるかもしれないというそういう状況の中で、片方では、やはりそれぞれの地域、それぞれの基地が、例えば軍民共用というようなときにどういう問題があるのかということについては、しっかりと事前に検討しておかなければいけないということだろうと思うんです。

 実は、岩国の飛行場の民間空港再開については、平成十五年の二月に、先ほど長官が言われましたように日米合同委員会の下部機関に施設特別委員会施設調整部会というところで協議が始まっておりまして、十五年の七月にもその第二回の協議が行われているというようなことであったんですけれども、しばらくとまっていたという話も聞いています。また近く再開されたあるいは再開されるというような話も聞いています。

 こちらの方は、技術面における協議の進捗状況というのは今どういう状況になっているのか、それからその見通しについてどうなっているのかについてお答えいただきたいと思います。

山中政府参考人 これは委員御案内のように、戦後、昭和二十七年から三十九年まで岩国でも定期便が就航いたしておりました。平成に入って、チャーター便の運航も三回ほどあったかと思います。その後途絶えておりまして、地元からすれば、とりわけ山口県東部においてやはり民間空港の再開というのは大変強い熱意がございました。

 今御指摘になりましたように、平成十五年の二月に、日米で施設調整部会を設けてそこで協議をしていこう、いわば民間空港再開の可能性について協議をしていこうということで立ち上がったわけでございます。

 とりわけ、十五年の七月の第二回の会合におきまして、米側から種々の課題が提示をされました。これは例えば、民間航空機の運航便数でありますとか岩国の提供施設・区域の中に民間空港施設をどこに設置するのか、米軍の既存施設との関係はどうなるのかといったような点でありますとか、民間航空機の運航に伴って離着陸のパターンがどういうふうになるのか、あるいは滑走路の共同使用に伴って維持管理の負担というのはどういうふうになるのかというような課題が提示をされました。とりわけ米側は、民航機の運航が米軍の運用にどういうふうに影響を及ぼすかという点に大変大きな関心を持ってきておりまして、今申し上げたような課題について、関係者で整理、協議を行ってきたということでございます。

 私どもとしては、先ほど御指摘のありましたように前回の会合が十五年の七月ということで、一年半ほど途絶えているわけでございますが、施設調整部会を開催するということになりますと、ある意味でいえば次のステップに踏み出す、それだけのねらいといいましょうか成果物といいましょうか、そういうものが得られる見込みというのはやはり必要だろうということで、一年半、むだに時間を過ごしてきたということではございませんで、先ほど申し上げたような技術的諸点について鋭意協議、意見交換をやってきているという状況でございます。

平岡分科員 先ほど、全体の中での接点というような話として在日米軍の兵力構成見直しとの関連もないわけじゃない、そういう話があったと思いますけれども、先ほど、ここ数カ月の間に強力に協議を進めていくんだ、そういうことが言われている中で、この施設調整部会の結論というのが数カ月以内に出されるというふうに考えていいんでしょうか。

山中政府参考人 これは、数カ月以内に施設調整部会における結論が得られるということ、確たることを申し上げることはできませんけれども、私ども実務的な協議、検討を急ぎまして、次の施設調整部会の早期開催に結びつけていきたいというふうに考えております。

平岡分科員 全体の話し合いとの接点の中で、この技術的な問題が障害にならないように、しっかりと施設調整部会における協議を進めていただきたいということを要請しておきたいというふうに思います。

 ところで、民間空港再開とかあるいは民間空港としての利用ということになると、必ず国土交通省との関係が出てきまして、国土交通省は、地方空港については既に概成しているんだという位置づけの中で、なかなか重い腰を上げようとしないというのが現状なわけでありますけれども、この点については、防衛施設庁としては、国土交通省との調整というのはどのように今行っているところなんでしょうか、その状況についてお聞かせいただきたいと思います。

山中政府参考人 岩国飛行場に限定して申し上げますと、民間空港については山口県の方が恐らく事業主体になられると思いますが、山口県と国土交通省との間で民間空港再開に係るいろいろな調整をされ、国土交通省の方が技術的な協力をしているというふうに伺っております。私どもも、県と国土交通省とのいろいろなやりとりの状況は、県の方からいろいろ状況をお伺いしておりますし、また、国土交通省の方からも、いろいろな技術的な観点からの意見をいただいているということでございます。

 さっき申し上げましたように、これら県、国土交通省、それから私ども、さらに米軍、こういった関係者との意見調整といいましょうか、そういうものを今後も鋭意精力的にやっていきたいというふうに考えております。

平岡分科員 この問題、かなり長い間地元の人たちが取り組んできていますので、その地元の意向というものをしっかりと考えていただいて、ある意味では、できること、できないことあろうかとは思いますけれども、積極的な検討、協議ということを行っていただきたいというふうに要請しておきたいと思います。

 次に、若干ちょっと余りにも地元的になってしまいますけれども、実は、岩国市の方では新庁舎というものをつくるということで、前の芸予地震のときに大分傷んでしまいまして、大変危険な状態になってしまったというようなこともあって、建設を今予定しているわけであります。これに対して防衛施設庁の方から、施設周辺の設備の整備というような位置づけの中で補助が考えられているというふうに伺っているんですけれども、この補助についての基本的な考え方、特にSACOとの関連についてどのように位置づけられているのかについて、まずお聞かせ願いたいというふうに思います。

山中政府参考人 これは委員御案内のように、平成八年のSACO最終報告におきまして、普天間飛行場に配備されておりますKC130航空機、これの岩国基地への移駐を受け入れるということにされたわけでございますが、平成九年に岩国市などが民生安定施設に対する助成措置の拡充を要望されました。私どもは、その当時、その時点では明確に事業の内容等が具体化していないものもございました。具体的な要望を踏まえて、誠意を持って対応をするという旨、回答をいたしました。これが、岩国市がいろいろな事業をおやりになる際に、KC130の受け入れというSACOプロセスのかかわりを持ってくるということから、いろいろ私どもが市の事業のお手伝いをするという際に、SACOの枠組みを活用するという考え方で今日まで参ったわけでございます。

 平成十五年度の予算要求に当たりまして、岩国市の方が、先ほど芸予地震のことをお触れになりましたけれども、現市庁舎の耐震構造等に問題がある、また、合併を控えているというような事情の中で、市庁舎の整備計画が具体化をしてまいりました。私どもに対しまして、庁舎建設に際しての助成の御要望があったということでございます。十五年度及び十六年度につきましては、基本設計、実施設計を市の方が実施されておりまして、それに対して一定額の助成をさせていただいたという経緯がございます。

平岡分科員 現在、実施設計が進んでいるということで、実施設計は三月末ぐらいまでにはでき上がるだろうというふうに見込まれているわけでありますけれども、この段階になっても、まだ具体的な補助額というのが決まらない、大体の建設規模というのがわかっているにもかかわらず決まっていないということで、どうも地域の人たちの中には防衛施設庁に対する不信感みたいなものもちょっと出てきているわけでありますね。例えば、厚木のNLPを受け入れなければ補助額が少なくされてしまうのではないだろうか、もっと何か防衛施設庁の、あるいは防衛庁の方からいろいろな条件が出されて、それを受け入れなければ補助が少なくなってしまうのではないかというような危惧があるんですけれども、そんなことはないですよね。

 基本的な、なぜ今になっても決まらないのか、いつになったら決まるのか、どういう考え方でやっているので、今私が申し上げたような地元の人たちが持っているような危惧というのはないんだというふうなことを明確にここで説明していただきたいというふうに思います。

山中政府参考人 これは、実際の庁舎の建設に際しましては、環境整備法の八条の枠組みを使って助成をする、考え方を使って助成をするということでございまして、補助対象面積、それから補助単価、補助率、これが決まりますと補助額が幾らかということになるわけでございますが、これは、単年度単年度の市の工事の進捗に合わせて補助額を決定していくという考え方でございまして、今の時点で、国から、私どもの方からトータル幾ら助成をするというようなことがいわば申し上げられない、そういう状況にあるということでございます。

 ただ、それでは幾ら何でも不親切ではないかということでございまして、さっき申し上げた補助対象面積については、例えば総務省の起債の許可に当たって採用される基準を使うとか、単価については、最新の新営予算単価を使う、補助率については、またこれは防衛施設庁長官が定める補助率、これの最高のものを使うというような基本的な考え方、積算のベースになる考え方等を市の方にお示しして、市の方は、全体の見通しが立てられるような情報提供は私どもの方からさせていただいている。

 ただ、繰り返しになりますけれども、補助額そのものは毎年度進捗に合わせて決定をしていくということから、総額について、今の時点で、私どもの方から幾らということは申し上げられないということでございます。

平岡分科員 年度ごとの補助額というのは進捗状況に応じてということは、私もそれはわかるんです。だけれども、何年かたてば完成をするわけですよね。その完成までの間には、どれだけの事業規模なのかということは既に実施設計の段階ではわかっているという状況の中、最終的にこれだけのものになるということが言えないというのは、ちょっと私には理解が難しいんですけれども、どうして全体のものとしてはこういうことだということが今の段階で言えないんですか。

山中政府参考人 これは、基本設計、実施設計を終わりまして、基本的な施設の規模というものは多分ほぼ確定をしている、今後、変動要素が全くないのかというと、そこはわかりませんが。例えば、単価一つとりましても、これは年度年度多分変動するという要素がございます。そういう意味から、アプリオリに一定の仮定を置いて計算すればこうなるということはもちろん申し上げられるわけですが、これが私どもが決定した補助額の総額だということは申し上げられないということを今御説明させていただいたというわけでございます。

平岡分科員 この場で一定の仮定を置いた場合でこういうふうになるということを言えと言うつもりはありませんけれども、先ほど施設庁長官も言われたように、地元との間ではしっかりと情報提供をさせてもらっているというような話でございました。そこはしっかりと、内々での情報提供であれば、ある程度、仮定を置いたらこうなりますよというふうなことも多分言えるんだろうというふうにも思いますので、特に、実施設計が三月末までにできて、三月末になればもっともっと確度の高い情報として伝えられるということも伺っておりますので、ぜひ地元との関係では、お互いに不信感にならないように、お互いに信頼関係を持って対応していけるようによろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 最後の質問に入ります。

 この前の2プラス2の中でも特別措置協定に関してちょっと発表されているくだりがございますけれども、この特別措置協定は二〇〇六年三月に終了するということでありますけれども、この終了後の話として「接受国支援を適切な水準で提供するための今後の措置について協議を開始することを決定した。」というふうに言われております。

 そこで、この特別措置協定については、今後の措置について協議のポイントというのは一体どういうところにあるのか、この点について防衛庁長官から御説明いただきたいと思います。

大野国務大臣 平岡先生の日本側の在日米軍駐留経費負担、特に特別措置協定の問題でありますけれども、費用は、財布は、防衛施設庁の財布でございます。交渉の窓口は外務省でありますので、私からお答えするのもちょっとつらいところもあるのでありますけれども、やはり今月十九日の2プラス2で議論に出ましたのは、日米ともに大変、特に日本の場合は財政事情が厳しいんです。そういう上に、やはり在日駐留米軍の役割というものは大切であるし、それを支えるための経費も必要だな、こういう認識は共通いたしていたと思います。

 現行の、今先生おっしゃった特別措置協定でありますけれども、特別措置協定が三月で終了した後、つまり来年四月以降の問題でありますが、在日米軍駐留経費負担のあり方については、まず、事務レベルで協議しましょう。事務レベルというのは、もちろん外務省、防衛庁、先方もカウンターパートが入って、事務レベルで協議しましょう。

 今後の協議のポイントになりますのは、もう言うまでもありませんけれども、在日米軍の駐留というのはやはり日米安保体制の中核になる、中核的要素である、これは一つあると思います。それからもう一つは、我が国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定を維持するためにやはり不可欠なんだ、こういう意味合いもあろうかと思います。そういう意味合いを込めて、やはり在日米駐留軍経費というのは、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するために重要な意味を持っているんだろう、こういうふうな頭があります。

 大変厳しい財政事情でありますことは平岡先生も御存じのとおりでありますけれども、来年四月以降、今申し上げたようなことを念頭に置きながら、適切な形で適切なレベルで在日米軍駐留経費負担を継続していく、このことがやはり重要なのではないか、この思いでございます。

 今申し上げました、繰り返しになりますが、適切な形、適切な水準、今ちょっと、事務レベルで今から協議することでありますから、その中身は申し上げるわけにはいきませんけれども、そういう思いで今後事務レベルの協議を開始して、協議、議論させていきたいと思っております。

平岡分科員 ちょっとわかったようでわからないような答弁ではありましたけれども、時間が参りましたので、これでおしまいにしたいと思います。

西川(京)主査代理 これにて平岡秀夫君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西川(京)主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。泉健太君。

泉(健)分科員 京都三区、泉健太です。

 私自身はこれまで、当選以前から災害ボランティア、各地に参加をしてまいりました。阪神大震災あるいは京都で起こりましたナホトカ号の重油流出事故、そしてまた、当選以後についても新潟水害や新潟の地震、こういったものの視察を続けてまいりました。そういった中で、きょうは、いろいろな災害を議員の立場から見て、そしてまた、国会全体がこういった災害にどう対応していくのかということについてお伺いをしたいということで質問させていただきたいというふうに思います。

 まだ議員になる前ですけれども、やはり議員になる前にいろいろなボランティア活動をしていますと、その中で一つの疑問があったんですね。では、果たして、災害時には議員というのはどんな作業、どんな役割を果たしているんだろうかと。特に、もちろん議会で議論が始まればそれはするだろうけれども、緊急時、特に発生直後を含めて、議員というものはどんな仕事をしているんだろうということは、随分といろいろな災害の現場で感じたことでもありました。

 少しおくれた時間の中で防災服を着て対策本部に来られる方もおられるでしょうし、地元の集落でいろいろな情報を聞いて回っている方、あるいは現場で作業をされている方、いろいろおられるかと思いますが、そういったものを議員になってからもう一回調査をしてみますと、全くこれは、立場や権限というものが対策本部に位置づけられたものではないということがわかってきたわけなんですね。

 これは、全国五万人を超えます地方議員の皆様、あるいは我々国会議員も同様でして、災害においては、実は、立法府、議員の役割というものは非常にあいまいもことした存在になっているということがわかってまいりました。これではいけないと。

 時には、私も新潟の現場にもお伺いしましたけれども、中にはですけれども、例えば、うちの地元のところに支援物資を回してほしいということを強硬に発言をされる方や、あるいは地元の要望を先に聞いてほしいとか、そういったむちゃを言う方もおられました。あるいは、対策本部が本当に大変な業務の中で、すべての議員が一生懸命、情報収集だという名のもとに電話をかけてきて、あれはどうなっているんだ、これはどうなっているんだということを個人的に聞いてしまう状況に今陥っておりまして、全国の災害現場でこういったトラブルというか、非常にその位置づけがはっきりしないところで問題が起こっているという現状があります。

 きょうは官房長官にお越しをいただいておりますけれども、この内閣の中で、特に危機管理ということを、やはり企画立案を含めて対応される官房長官ですので、ぜひお伺いをしたいというふうに思いまして、きょうお越しをいただきました。

 実は、河野議長が、昨年の九月にG8の下院議長会議というものがありまして、アメリカの方に渡られています。その中で、河野議長自身が発言をされているんですけれども、阪神大震災のときにおいて議員がどういう役割をしたのかということを述べています。議員は行政と国民の間にあって、国民が一番困っていることは何か、そして、一番緊急度が高いことは何か、どの地域で何が起こっているのかということについて、被災者から意見を聞いて行政に指示を出す、あるいは行政に伝えるという役割を果たしたと言っているんですね。

 でも、一方で、これは少し飾った言い方でして、こういうことも言っているんです。地方議会が機能することはなかった、実際上は災害救助法を適用して、行政府が主体となって災害対策に当たったのであるということなんですね。実際にはやはり、議会が開かれない限りにおいては、議会というものはなかなか機能をしない、議員というものが位置づけがないということになるわけです。

 同じく阪神大震災のときに、与党の災害対策委員会の一員でありました兵庫県選出の高見裕一さんという国会議員がおられました。この方が「官邸応答せよ」という著書でもお話をされていますけれども、当時、被災地で実際に被災をして、議長や防衛庁長官や厚生大臣に次々と被災地からの情報を、まさに寝起きの状態で、どんどん電話をかけて伝えた。こういった医薬品が足りない、病院に行って、その薬の名前をじかに厚生大臣に言う。あるいは、ここの地区で何人生き埋めになっている、とにかく情報だけは送るから、あとは防衛庁なり警察、消防、何とかしてくれ。とにかくその生き埋めの情報を百四十人近く、もう電話の電源がなくなるまで情報を送り続けた。しかし、残念ながら、こういった情報は、基本的にはイレギュラーなルートの情報でしかないという扱いになってしまうのが現状なわけなんです。

 先ほどは、地方議会の議員の皆さんのそういった苦悩というものをお話ししましたが、国会議員においても、幾ら現場にいて、幾らいい情報を持っていても、これが現在ではなかなか災害対策本部の中には有効な情報として位置づけられていないという現状があります。

 そういったことで、私は、災害の多い昨年でしたので、本当に悲しい思い、大変な思いをしてきたわけですけれども、自然災害も含めた緊急事態の中で、もちろん緊急事態法制も与党、野党で議論されているわけですけれども、行政府ではなくして、この立法府、国会に求められる役割というのは何なのか。特に、災害の企画立案をされている官房長官に、行政府のまとめ役として、立法府に対してはどんな役割を望むのかについてお話をお伺いしたいと思います。

細田国務大臣 非常に多角的な面について言及がありましたので、泉議員にどういう順番でお答えしていいかということをやや迷うわけでございますが。

 まず、阪神・淡路大震災の反省をすると、行政府においても全く体制が整備されていなかった。これは、小里議員が永年勤続のとき演説されて、私が後でちょっと答弁の中で申し上げたんですが、とにかく国土庁長官というのはおられて防災の担当部局はあったけれども、政府全体で、警察庁も防衛庁も消防庁も、あるいはさまざまな、厚生労働省とか当時の自治省とか、こういう役所を束ねて指示する指揮命令系統がまだ確立していなかったというのがあの阪神・淡路大震災の悲劇にもつながるし、地方自治体も当時はまず観念的に考えて、いや、自衛隊は来なくていいんだというような感じの話から始まって、やはり来てくれというような、体制がはっきりしていなかった。これの反省で、この十年間、非常に担当行政部局は相協力しまして、体制は整ってまいったと思います。

 したがって、私は、新潟の中越地震の際は、そういう十年間の集大成があった、地震災害が起こって直ちに総理官邸の危機管理センターにすべての関係部局の責任者が集まり、そして危機管理監あるいは防災担当の統括官が瞬時に集まって、まずさまざまな実態調査をして、かついろいろな情報を集めて対応するという体制がとれたという気がいたします。

 十年間の前進を申し上げましたが、それじゃ、それで十分だったかといえば、いろいろな反省点は当然あると思います。

 そこで、お尋ねの議員の関係でございますが、やはり一つは、立法府でございますから、当然補正予算を組むとかあるいは特別の立法をするとかということはございますが、これはまだまだ事後的になり、その意思決定をするまで非常に時間がかかって、今なお行われていることもたくさんありますね。

 しかし、それよりも前に、高見議員についての御紹介がありましたけれども、地元のそれぞれの地区を代表する国会議員が集まって、日本全国の国会議員ですから、だれよりも地元のことを御存じなのは国会議員でございますから、ぜひこれは、行政府に対してもあるいは議員の立法府の仲間に対しても、そして政党においても政党間においても、こんな実態になっているぞ、大変だぞ、こうしなければならないということを訴える義務は、これはまず道義的責任だと私は思いますが、都道府県から選出された議員としては、責務があると思いますね。これはぜひ我々が自戒しなければならないことでございますので、お答えになったかどうかわかりませんが、まずそのことが大切ではなかろうかと思います。

泉(健)分科員 今、道義的責務があるというお話がありましたが、この道義的責務では、やはり災害時というのは、なかなか、実際のところ、役に立つのは難しいわけですね。地元の方の細かな要望を聞いてそれを個人的に実現することはできても、しかし、本当に行政に動いていただくためには、災害対策本部の中で、議員あるいは立法府、こういったものに対して何らかの位置づけがなされなければならないというふうに私は思います。そこが、今回私がぜひ強調したいところであります。

 河野議長の方に言わせれば、災害時、緊急事態のときに、テロやいろいろなものを含めた緊急事態において立法府に必要とされるものは、一つは、やはり行政のチェックをするということであるということがあります。緊急事態においても、事前、事後、これはチェックが必要でしょう。そしてまた、立法府そのものの機能の継続というものも必要だと思うんですね。私は、これにもう一つつけ加えるんだとすれば、やはりそれは、議員そして立法府そのものが危機管理に対応できるように能力を高める必要があるのではないかということを、あるいは権限を高めることが必要ではないかということを思うわけです。

 そういった中で、実はいろいろ調査をいたしました。

 そこで、日本の全国各地、議会がありますけれども、この代表格である国会がどれぐらい現在緊急事態に対応できるようになっているのかということについて、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 まず、衆議院にお伺いをしたいわけですけれども、現在、緊急事態が起こると、そのとき、例えば、それは遠隔地にいる国会議員、選挙区に戻っている国会議員も含めて、その議員に対して情報提供というのがなされるのか。緊急事態というものは、定義をされているいわゆる緊急事態ということで結構ですけれども、そういった場合に国会議員には情報がどのように伝達されるようになっているのか、お答えください。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 大規模災害が発生した場合等におきましては、中央防災無線網等からの情報をもとに、両議員会館を含む院内各所に緊急放送を行い、正副議長公邸及び議員宿舎等につきましては電話または衆議院防災無線で周知するシステムが確立されてございます。

 また、緊急時の国会議員への情報提供につきましては、警視庁及び内閣府から大規模テロや災害等の情報を得た場合、事務局から直ちに議長、副議長及び議院運営委員長等に直接または電話により御報告いたすこととなってございます。

 また、今お話しの各議員への御連絡でございますけれども、これにつきましては、必要に応じまして、適時適切に対処をいたす所存でございます。

泉(健)分科員 そこですね。今も、官房長官、まさにお伺いされたと思います。適切に適宜対応するということは、これは、言葉を返してみれば、何も今は決まっていないということです。これは、参議院の方にもお越しをいただいていますが、同様な答えが返ってきております。

 要は、各国会議員に対して、国がどんな緊急事態になっても、これは、議員の方から問い合わせをすればもちろんそれについては情報を提供しますよとなっているんですが、じゃ、七百人以上の国会議員がわっと対策本部に電話されたらそれこそ大変なわけでして、そんなことをやってもらっちゃ逆に困るという話もあるわけですね。

 では、本当に国会議員に対して情報提供が行われるようになっているのかといえば、今おっしゃったように適宜ということで、全く決まっていないというのが現状です。

 さらにお話をお伺いしたいと思いますが、国会議員、例えばどこかの地方で大きな災害が起こった、それで非常に多数の死傷者が出ているという状況の中で、そこの地元の国会議員なりの安否の確認というものは、これは議会として行うようなケースというのがありますか、あるいは、そういったものを行うように位置づけがされていますか。

駒崎事務総長 大規模地震が発生した場合、院内、議員会館及び宿舎等の衆議院関連施設におきまして、議員の安否情報につきましては、災害対策本部を設置いたしますので、事務局の関係部署等が行うことにはなってございますが、地方におきまして安否の確認ということになりますと、事務局でいろいろ秘書さん等を通じましてやることしか難しいのではないかと存じます。

泉(健)分科員 ここもやはりそうなんですね。現在では、言ってみれば、私も新潟の地震に行ったときには、小さな福祉施設でさえ、職員さんの安否確認というのは、これは当然連絡網なりをつくってやっているわけですね。では、肝心の国会議員の安否確認というのは、では、議会の中ででも結構です、何かなされているのかというと、実は何にもないんですね。後で、あくまで一般の行方不明者あるいはそういったものの中で、ああ、亡くなられていた人が国会議員だったというぐらいの話で、全くもってそこの安否確認というものがなされることがないという現状があります。

 そういった意味では、議会の構成を助けているというか、一人一人の議員の立場というものは、災害時においては非常にあいまいな形、まだ想定をされていないのかもしれませんが、今はそういった状況にあるのではないかというふうに思っています。

 さらにお伺いをしたいと思いますが、実は、アメリカでは九・一一以降、いろいろな対策がなされるようになっています。日本の国会でも、確かに、警備員が増強され、あるいは車どめが設置をされ、いろいろな対策がなされていますが、やはり統治の継続性、そしてまた、アメリカの場合は、いろいろな、炭疽菌が送られてくるとかそういったこともありますので、地元事務所の安全強化、また職務不能の際の機能継続について議論がなされて、対策もされているわけですね。

 例えば、それは防弾ガラスの設置であったり退避用シェルターであったり、各議員に無線で、LANなりでデータがしっかりと届くようなEメールシステム、ブラックベリー、パーソナルEメールシステムといいますけれども、そういったものを個人に持たせているわけです。あるいは、下院の中に緊急通信センターというものがありまして、これは二十四時間、三百六十五日、休まず議員に対して緊急な情報を提供するというようなことになっているわけです。

 では、そういったものが日本の議会で整備をされているんだろうかということをお伺いしたいと思いますが、衆議院の方に、まず、この退避用シェルターというものがこの国会かいわいに存在をするのかどうか、お伺いをしたいと思います。

駒崎事務総長 現在、衆議院におきまして、災害が発生した場合の対応としては、非常食及び飲料水については、議員、議員秘書、職員その他関係者五千人程度が国会構内で三日間程度は生活を保持することができる量の備蓄を行うとともに、テント、簡易トイレ等の防災用品についても一定数確保しているところでございますが、ただいまお話しの核シェルターは整備してございません。

泉(健)分科員 今、核シェルターとおっしゃいましたか。退避用シェルターですね。核だけじゃないですね。

駒崎事務総長 退避用シェルターについては整備してございません。

泉(健)分科員 参議院もこれは同様だというふうに思います。

 内閣官房審議官の方にもお越しをいただいておりますけれども、官邸の方はどうなんでしょうか。

堀内政府参考人 特に退避用シェルターというものは設置をしてございません。

泉(健)分科員 すべてをあからさまにしろということは言いませんが、少なくとも、国会においては、私は国会議員になってからそういったものを案内していただいたこともありませんでして、非常に、仮に九・一一のような事態が起こったときには、一度に本会議場なり例えばこういった委員会の場に多くの議員が同席をしているわけですね。そういったところで仮に大きな被害があった場合には、日本というのはそもそも国会が開けなくなる状況というものに陥るのではないかということを感じているわけです。

 先ほど、アメリカはいろいろな対策をとっているというふうに言いましたけれども、日本では各議員に対して、今言ったように連絡体制もありませんし、議員の安否がどうなっているかについても何の確認も現在はされないようになっている。多分、事務局とかから会派の方に行って、あとは政党の中で確認をしてくださいとか、そういったことになるのかもしれません。

 公的機関の役割として、しっかりと、公務員である国会議員の立場の確認、安否の確認というものがなされる現状にないというのは、これは非常に私は問題だというふうに思うわけです。

 東京も直下型地震の危険性が叫ばれていますけれども、国会、これは震度何ぐらいまでに耐えられるようになっているでしょうか。衆議院の方、お願いします。

駒崎事務総長 国会議事堂につきましては、国土交通省監修の耐震診断基準に照らして耐震診断を行ってございまして、その結果、構造体の耐震性については問題はないという結論が出てございます。したがって、想定される大地震に対しましても、大きな被害を受けるおそれはないものと判断されます。

泉(健)分科員 震度どれぐらいまでというのを言っていただけますか。――ちょっとまた答弁に時間がかかるみたいですので、別な質問をしたいと思います。

 今後は化学兵器あるいはいろいろな細菌兵器というものの可能性も指摘されるわけですが、今私が座っている本会議のいすの下には防災ずきんというものが入っているわけですね。アメリカですと、これは防毒マスクということも考えられているわけですけれども、衆議院、防毒マスクというものは現在どちらかに、この国会内に用意をされているものはありますか。

西川(京)主査代理 先ほどの質問も兼ねてどうぞお答えください。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 先ほどの震度の件でございますけれども、ちょっと震度について正確に申し上げられませんが、関東大震災とか阪神・淡路大震災程度は耐えられるということでございます。

 それから、今の防毒マスクについても、整備はいたしてございません。

泉(健)分科員 非常にあいまいなお答えですね。そしてまた、防毒マスクについても整備をされていない。こういった形で、日本は安全、安全だというふうに言われますけれども、まだまだ、国会の中枢の中の治安対策というか、大きな災害、緊急事態対策、これがおくれているという感覚を私は持っております。

 そして、まあ、そういった国会のハードの面についてはそれでいいでしょう。

 では、国会の機能、立法府の機能がどうなのかということについてお伺いをしたいと思いますけれども、緊急事態が起こりました、そのとき本会議中で、多くの国会議員に死傷者が出た、そして定足数が満たされない状況に陥りました。この場合、国会法三条では、臨時会の召集を決定する場合には例えば総議員の四分の一以上の連名が必要でしょうし、あるいは憲法五十六条では「総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」国会法四十九条でいけば「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」

 もし、それを上回るというか下回る数しか生存者がいなかったというケース、衆議院は開催可能でしょうか。

駒崎事務総長 日本国憲法第五十六条によりますと、本会議の定足数というのは総議員の三分の一以上と定められてございますので、国会議員の多くが欠けるような事態については特に憲法には規定されてございませんが、国会議員が三分の一に満たないということになれば、本会議は開くことができなくなります。(泉(健)分科員「委員会は」と呼ぶ)委員会につきましては、各委員会の半数以上が出席すれば開くことができますので、委員異動等の手続を行いまして……(泉(健)分科員「委員会も下回ったらできないですよね」と呼ぶ)その各委員会ごとに、半数いればその委員会だけは開くことができるということになります。

泉(健)分科員 ですから、委員会も、もしいなければできないということでよろしいですね。――はい、よろしいですね。

 参議院の方はいかがですか。

川村参議院事務総長 お答え申し上げます。

 今、衆議院から御答弁がありましたように、本会議につきましては、三分の一の定足数が満たされなければ開くことはできませんし、委員会についても、二分の一を満たさなければ委員会の開会はできないということでございます。

泉(健)分科員 できないんですね。これは機能停止ですね。幾ら内閣が召集をしても、それはできない。事実上開けなくなってしまうわけです。これもやはり大きな問題だと思うんですね。

 世界各国では、特に先進国では、こういった場合に備えて合同委員会、人数を制限した中というか、いわゆる小規模な国会を便宜的に開けるようなシステムをつくっているわけなんです。こういったことについて、我々はもっとこれから議論をしていかなければならないし、私は、この合同委員会というものも、今後はやはり、本当に検討して、今必要性に迫られている時期が来ている、そして、設置をしなければならないのではないのかなというような見解を持っております。

 これは、提言としてぜひお伝えをしておきたいと思いますが、官房長官、国会が開けなくなるという状況、こういったことについて、今後の合同委員会の可能性についても、もしよければ御言及をいただければと思うんです。

細田国務大臣 三権分立でございますから、政府としてそれをお答えすることは不適当だと思いますが、内閣でも同じことが起きまして、もし大変なテロその他があって大臣の六割ぐらいが死亡してしまったとか、そういう場合には、当然ながら、発令をして、兼務とかいろいろなことで閣議を開いたり、さまざまな対応策をとらなければならないと思います。

 議会で立法がどうしても必要だという場合の対応については、やはり立法府で御検討をいただかなきゃならぬことであろうという立法論だと思いますので、大変いい御提言でございますから、国会での御議論を提起していただくことが適当ではないかなと思っております。

泉(健)分科員 もう一つ問題を提起しておきたいのが、じゃ、補充という手があるだろうということもあると思うんですね。比例区であれば繰り上げがあるでしょう、小選挙区であれば補選があるだろうと。

 お伺いをしたいんですが、総務省さんがきょう来ておられますけれども、この補欠選挙、もし、じゃ、大きなこういった緊急事態が起こって、多くの死傷者が出た、そして定足数に満たない、補欠選挙だという場合に、それは即座にできるようになっていますか。

久保政府参考人 委員御承知のように、繰り上げ補充というのがございまして、繰り上げ補充の対象者がいない、一定数の欠員を生じているというときには補欠選挙ということになりますけれども、補欠選挙を行います時期につきましては、今御指摘のあったような事態に備えるような特別の規定はございませんで、九月の十六日から翌年の三月十五日までに補欠選挙の事由が生じた場合には四月の第四日曜日、そして、三月十六日からその年の九月十五日までに補欠選挙の事由が生じた場合には十月の第四日曜日に、それぞれ統一補選を行うという定めになってございます。

泉(健)分科員 ということは、これは、現行法でいくと、どんな緊急事態が起こっても最悪半年待たなきゃならないという、非常にとんでもない話になるわけですね。これもやはり考えていかなきゃならない。もう一つ言えば、何か緊急事態が起こったときに改選期が来た場合、これについてもやはり考えなければならないというふうに思います。

 ぜひ、今後の検討課題として官房長官にも御認識をいただきたいというふうに思いますし、それぞれ、各行政、各省庁、検討をしていただきたいと思います。

 時間がないので駆け足で行きますけれども、次に、こういった形で、今お話を皆さんにも聞いていただいたとおり、まず、国会のハードそのものの時点で、非常に今体制が不足をしているということ、そして、いざ国会に緊急事態が起こったときに、国会の制度そのものがこれもまた非常に不完全な状態になっているということ、私はこれを指摘させていただきました。そして、これを早急に改善する必要があるというふうに感じているわけです。

 そしてまた、先ほどの一番最初の話に戻りますが、実は、先ほど内閣官房の方に確認をしたら、立法府の職員が災害対策本部の中には直接入れないというような話もいただいているわけです。では、どうやって情報を得るんですか、議員はマスコミからの情報に頼るしかないんですか。ここはやはり、ぜひ考えていただきたいと思います。

 実は、新潟県、今回の地震、私は再度確認をしましたが、新潟県の方は、今、災害対策本部の中に議会事務局を入れ、そこから議長、副議長、そういったところに連絡をとれるようになっているんですね。そこから会派、そして議員に対して一定、どういった情報を伝えるのかということをちゃんと本部の中で把握、認識をしているわけなんです。こういったことがなされなければならないというふうに思います。

 そういった意味では、全国の自治体、議会、そして国会、この中で議員の関与をどうするのかというのは非常に大きな問題ですので、ぜひ国の方でも考えていただきたいと思いますし、できましたら、災害対策基本法の中で、ぜひ、全国の自治体における議会事務局の関与の仕方あるいは議会の関与の仕方というものについて、調査を私はお願いしたいというふうに思います。そしてまた、災害対策基本法の改正、その調査の結果、必要であれば、ぜひともこれもお願いをしたいというふうに思います。

 そして、これも、最後の提言になります。駆け足になりますが、先ほどの高見裕一元代議士のお話がありましたように、非常に悔しい思いをした中で情報を送り続けたという実態がありました。その経験、その轍を踏んでしっかりと次に生かしていくという意味を込めれば、やはり、災害対策本部の中で議員の役割を位置づけることが必要でしょうし、そして、でき得ましたら、例えばオブザーバー的な立場をいただくですとか、あるいは、これは最後の質問で、ちょっと警察にもお伺いをしたいんですが、議員が災害時に移動をする、例えば災害被災地で移動をする際に、今は、一回一回緊急車両の通行証をとらなきゃならない。これについてもやはり考えなくてはならない。

 議員の役割をしっかりと皆さんに御認識いただけるのであれば、せめて議員にはそういった意味で緊急車両の通行証みたいなものを渡してもいいのではないか、私はそういうふうにも思います。

 最後に警察に質問させていただいて、終わりたいと思います。

西川(京)主査代理 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

矢代政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、災害対策基本法におきます緊急通行車両は、災害応急対策を行うために必要な車両が限定列挙されておりまして、それ以外のものにつきましては諸施策の問題となると思います。

泉(健)分科員 あと、最後の提言についての感想を。

西川(京)主査代理 では、官房長官、一言お願いします。

細田国務大臣 いろいろな角度からすばらしい御提言をいただきました。

 今までの対応は、明らかに、東京はしっかりちゃんとしていて、地方で大地震とかいろいろな被害が起こったということをまず前提としておる。そのときに、地方で被害が起こっても、そこで議員が巻き込まれたり、なかなか意思疎通ができなくなる状況にどうしたらいいか。それから、東京自身が実際に機能麻痺に陥ったときにどこまでできるのかということについては、極めて法体系がまだ未整備であるという両様の御指摘があったと思いますので、これは、国会は国会なりにまたいろいろお考えいただきたいと思いますし、政府はまた政府なりに深く考えてまいりたいと思います。

泉(健)分科員 どうもありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて泉健太君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

西川(京)主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。津島恭一君。

津島(恭)分科員 私は自由民主党の津島恭一でございますが、きょうは貴重な時間をいただきまして、質問をさせていただく場面をいただきました。ありがとうございます。

 そしてまた、私は青森県の出身でございます。ことしは非常に豪雪の中で、新潟や、そして青森、この北国、雪国が大変に苦労している。そして、一日も早い春を待ちわびながら、今闘っている。こういう地域の皆様の声を代弁しながら、質問をさせていただきたいと思うのであります。

 まず最初でありますけれども、昨年の、非常に日本を何度も襲った、台風が多発いたしました。そしてまた、気象とは余り関係ないのでありましょうが、中越地震が起きたり、あるいはスマトラ沖の地震がありました。そしてまた大きな津波もありました。そんな中で、けさのニュースでは、九州は大分暖かい冬だ、こういったことも報道されております。そんな中で、非常にことしは青森は雪が多くて、大変な被害も起きている。

 そういった最近の気象のことに関して、気象庁の方では、今のこの予測というのは、これからの予測というものはどういう状況になっているのか、この辺の認識はどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

長坂政府参考人 お答え申し上げます。

 とりわけ大雨、大雪についてのお尋ねがございました。

 まず、大雨についてでございますが、先生の御指摘の中にもございましたように、今年度、我が国では大雨がたびたび発生し、さらには過去最多数の台風が上陸するなどによりまして、各地で甚大な被害が発生したところでございます。

 ところで、大雨の年間発生回数につきましては、年によってかなり変動をしておりますが、我が国におきましては、近年、その発生回数が増加しつつある傾向が見られております。これに関連いたしまして、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCと称しておりますが、平成十三年に最新の科学的知見を取りまとめましたIPCC第三次評価報告書によりますと、地球温暖化がさらに進むと見込まれる二十一世紀中に、強い降水現象が世界の多くの地域でもって増加する可能性がかなり高いというふうにされているところでございます。

 次に、大雪について申し上げたいと思います。

 今冬の雪につきましては、青森県弘前市で、二月十八日に、積雪の深さが一九八二年の観測開始以来最大の百二十二センチとなり、十九年ぶりに積雪深の記録を更新したところでございます。また、新潟県中越地方の津南でも、二月の十二日に、一九八九年の観測以降第一位の記録である三百六十九センチの積雪の深さを観測いたしております。

 ところで、最近十年間余りの年々の積雪について若干申し上げますと、北陸地方から山陰地方にかけては、年間の降雪量が平年並みあるいは平年に比べて少ない、こういった年が多くなっておりますが、そういった中におきましても、二〇〇〇年一月、二月の冬には、近畿地方の日本海側あるいは山陰地方で大雪が見られたところでございます。また一方、北海道から東北地方の日本海側では、降雪量はこのところ平年並みの年が多くなっておりますが、二〇〇一年一月には、東北地方の日本海側で非常に大きな大雪に見舞われたところでございます。

 一般的に申し上げまして、降雪量は年々の変動が大きい気象要素の一つでございますが、今後も、年によっては強い寒気の流入に伴いまして、今冬北日本等で見られているような大雪に見舞われることも見込まれているところでございます。

 以上でございます。

津島(恭)分科員 大変ありがとうございました。

 やはり、ことしの雪は非常に異常だな、こういうお話であったと思うのであります。そんな中で、先ほどからの繰り返しになりますけれども、本当に大変な雪の中で北国の皆さんは闘っておるわけでありますけれども、残念ながら、そんな中で非常に不幸な事故が多発しております。

 先日も弘前で、おじいさんが自分のところの雪を、除雪機というのがあるんですが、これは各家庭に結構あるんですけれども、この除雪をしている最中に、近くで遊んでいたお孫さんが雪山から転がって、それに巻き込まれて亡くなったという不幸な事故がありました。あるいはまた、雪おろしをするために屋根に上がっていて落ちたという方、あるいは、これは雪国の人じゃないとなかなかわからぬと思うのでありますが、屋根の雪を下からつついて雪を落としたりということがあるんですね。そのときに、不幸にして自分でその雪をかぶってしまってお亡くなりになった方、こういう方が随分と多いのであります。

 それとともに、ことしは、家屋が半壊したりあるいは全壊した、こういった物的被害も非常に大きくなっているわけであります。

 そこでお尋ねをしたいのでありますが、政府におきましては、関係各省庁と連絡会議を開催しながらその対応に当たっている、こういうことをお聞きしております。そしてまた、この先でありますけれども、今度は春先になってまいりますと、雪崩が起きたり、雪解けとともに出水があったり、あるいはまた土砂災害といったものもこれから先に起こり得る、これもまた現実だと思うのであります。

 そこで、こういったことの予防措置、そしてまたこれからの対応、これについても政府の対応を少しお聞きしたいと思います。

柴田政府参考人 委員御指摘のように、ことしは大変な大雪で、大きな被害が出ております。

 政府におきましては、これまで、二月の二日、十四日、二十四日の計三回でございますが、関係省庁連絡会議を開催いたしました。気象状況や被害状況、地方公共団体や各省庁の対応状況について情報の共有を図るとともに、各省庁が連携して警戒に当たっているところでございます。

 二十四日の関係省庁連絡会議、昨日行いましたが、改めて、幾つかのことについて申し合わせいたしてございます。

 一つは、雪崩によります人的被害防止のため、地方公共団体等関係機関に対する適切な指導に努めるということ。

 二つ目でございますが、今後、融雪出水期を迎えるに当たりまして、雪崩、融雪に伴う出水、土砂災害に対しまして、危険箇所の巡視、点検、気象等に関する情報の収集、伝達、警戒避難体制の強化等に努めること。

 三つ、特に新潟県中越地震の被災地におきましては、融雪に伴う土砂災害の危険性が高いため、一層の防災体制強化に努めること。

 四つ、事態の推移に応じ、必要があれば、今後においても災害対策関係省庁連絡会議を開催するなど関係省庁の連絡を密にしていくことを申し合わせいたしたところでございます。

 さらに、三月、来月でございますが、二日に青森県、三日に新潟県に関係省庁担当官を派遣いたしまして雪害状況調査を行う予定といたしており、調査結果等も踏まえ、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

津島(恭)分科員 早速その調査団を派遣していただく、こういうことでございますから、まずひとつ、よく実情をつぶさに見ながら適切な措置を講じてほしい、こう思うわけであります。

 ところで、私は青森県の津軽の出身でございまして、津軽といいますと、これはリンゴの産地であります。そこで、今、リンゴの木というのは非常に矮化になりまして、非常に低くなっております。

 ところが、ここで一つ困ったことがあるのでありますが、ことしのように非常に雪の多い年になりますと、雪でリンゴの木が全部埋まっちゃうんですね。そして、その中で早くも枝が折れたりあるいは木が倒れる、こういった被害も出ているのでありますが、実は、大変なのはこれから雪解けにかけてなんであります。実は、降った雪がだんだん解けるに従って圧雪状態になりまして、非常に重みを増す。それからまた、枝が今完全に埋もれていますので、枝がどういうふうになっているのかよくわからぬという状況の中で、雪が下がると同時に木も枝も引っ張られて折れる、こういった被害もあるのであります。

 そこで、リンゴ農家の方々は、非常に多い雪の中で非常に困っている。特に、除雪もしなきゃいけないのでありますが、園地に向かうその道路も非常に雪が多くて、もう入り込めない、そういう悲鳴も出ているのであります。

 そこでお尋ねをしたいのでありますけれども、こういった被害に遭った場合、どういった支援措置が考えられるのか、あるいは、現実にどういったことが行われるのか、このことをお聞きしたいと思います。

染政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この冬の豪雪によりまして、東北地方を中心に、農林水産業の被害が発生しているところでございますが、青森県のリンゴにつきましては、多くのリンゴの木が雪に埋もれております。そのために、現時点におきましては、被害の状況はまだ明らかになっておりません。

 リンゴの雪害の実態につきましては、雪解けの時期に判明いたしますので、被害が発生した場合には、まずは農林漁業金融公庫によります長期、低利の資金、そして、被害が広範囲に及ぶ場合には強い農業づくり交付金、補助金でございますが、これらによります、折れた枝とかその辺を対象といたしました改植であるとか高接ぎ、この辺のことを対応してまいりたいと考えております。

 このために被害等が発生した場合には、その状況に応じた対応を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

津島(恭)分科員 ひとつこれは本当に、リンゴは非常に、リンゴ農家にとりましてはリンゴの木というのは命綱でありますので、しっかりした対応を今からお願いしておきたいと思うのであります。

 そこで、国道や県道あるいは市町村道の幹線道路でありますが、これもまた雪国の市民、そして住民の皆さんにとりましては大切な産業道路であります。そしてまたある意味で、地域の産業を支えるといった非常に重要な役割もあるのが道路だと思うのであります。

 ところが、御承知のように、青森県、新潟もそうだと思うのであります、ことしは非常に雪が多くて、この除雪費でありますけれども、これが各地区もう底をついてしまった。これも一晩でいきなり降るものですから、いつどうしたらいいのか、なかなか対策も講じられないというのが実情であります。そしてまた、皆さん本当に苦労をされている中で、しかし除雪はしなければいけない、これも現実であります。

 そこで、私は、県に対する除雪費の補助、増額ですね、あるいはまた幹線的な市町村道に対する特別措置を講ずるのが必要だ、こう考えております。

 そこで、けさ、国土交通大臣が記者会見におきまして市町村道への除雪費支援について話をされた、こういうことをちょっとお伺いしておるんですが、その趣旨、中身について少しお聞かせ願いたいと思うのであります。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 我が国の積雪寒冷特別地域、いわゆる雪寒地域には、人口で二割でございますが、国土の六割に当たる地域に人々が住まわれているということでございます。

 先ほど、リンゴの木の背丈の話がございましたが、非常に技術革新が著しいということではないかと思いますが、車社会になって、車に対する性能もそういったことで格段に上がってきております。ライフスタイルの変化や物流構造の変化といったようなものに対応するため、冬期交通の確保ということが従前にも増して非常に重要な課題になっておるという考え方をとっております。

 委員御指摘の、ことしの冬のこれまでの降雪量でございますが、委員の御地元の青森県の東北北部や北陸地方山間部等を中心に、平年を大幅に上回っておるという深刻な状況であると認識をしております。

 国土交通省では、雪寒地域に位置する道府県に対しましては、管理する国道、道府県道の除雪について、降雪状況、除雪費用等を勘案して補助を行っているところでございます。

 一方、市町村道の除雪費につきましては、通常の場合、普通交付税及び特別交付税により財政措置されているところであるということでございますが、全国的な豪雪の年で地方財政の措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省において幹線市町村道の除雪費について補助する臨時特例措置を講じてきたところであり、最近では平成十二年度に実施したところということでございます。

 ことしの降雪は全国的に平成十二年度にほぼ近い水準ということで、先週の二月半ばのデータで累加降雪量が三メーターを超えているというようなことでございますので、除雪費の不足が特に青森県や中越地震の被災地を含む新潟県等の市町村では深刻であるというような要望も聞いておるところでございます。

 このため、本年度においても、平成十二年度に実施した臨時特例措置を実施する方向で検討を進めており、委員のお話にございましたように、本日、私どもの国土交通大臣が、全国の積雪寒冷地域の市町村における積雪状況、助成費等の実態を把握するための調査の実施を指示されたところでございます。

 以上でございます。

津島(恭)分科員 今のお話で、大臣を初めとする基本的なお話はよくわかりました。

 そこで、きょうその発令をした、こういうお話でございますが、これからの除雪費の増額だとか幹線的な市町村道に対する特例措置について、今後の具体的な進め方、このことを少しお伺いしたいな、こう思うのであります。よろしくお願いします。

谷口政府参考人 道府県が管理する道路の除雪費の補助につきましては、既に当初予算で配分をしておるところでございますが、これから降雪状況、除雪費用等を踏まえ、三月に追加配分を行うこととしているところでございます。

 市町村道のうち、幹線市町村道につきましては、先ほど答弁させていただきましたが、国土交通大臣の方から調査指示をするような通知を本日発出したところでございますので、今後は、その調査結果にもよりますが、目標としましては三月の上旬を目標になるべく早期に調査結果を取りまとめ、調査結果を踏まえて、市町村に対する支援を年度内、三月半ばぐらいを目途に公示させていただくように進めさせていただきたいと考えております。

津島(恭)分科員 局長、どうもありがとうございます。結局、各市町村長、自治体は、いわゆる担保ですよね、この予算措置の担保があるかないかで思い切った措置がとれるかどうかということもありますので、非常にありがたいお話ですし、またこれからもしっかり調査結果を踏まえてひとつお願いをしたいな、こう思っているところであります。

 そこで、今、幹線道路の話をお願いしたわけでありますが、市町村道の除雪についても少しお伺いしたい、こう思うのであります。

 実は、今月の二月十二日でありますけれども、自由民主党の県連の主催によります政経セミナーが青森市で行われました。そのときに、麻生総務大臣も我が青森県においでいただいたわけであります。ところが、当日もすごい雪でございまして、予定していた飛行機の到着時刻が大体四十分ぐらいおくれたのではないでしょうか。

 そして、その後、市内に入ってきますと、除雪をしないとなかなか道が、道幅がまず狭められるということ、それから、道路が真っ平らじゃないものですから、自動車の行き交いがなかなか容易ではないといったこと、それに伴って市内は渋滞が非常に多かったのであります。そしてまた、雪は、なかなか道路というのは平面になっていないんですよね。でこぼこがありますものですから車が非常にがたがたしまして、恐らく大臣も、これは聞きしにまさるすごいものだな、大変なものだな、こういう認識はいただいたようであります。

 そこで、大臣が当日少しお話しになったことなのでありますけれども、本県の豪雪に対しまして、地域経済に大きなマイナス効果を与えている、特別交付税という支援システムがあるので有効に使わせていただきお役に立ちたい、こういう、非常に豪雪に対します理解のある温かいお話をいただいたところであります。

 そこで、市町村では、もう既に先ほどからお話をしておりますように、除雪費がなくなっている、そこで交付税措置による支援が不可欠である、こういうことを私は考えております。そこで、どのような措置を講ずるのか一つお伺いをしたいなと思うのでありますが、先ほど申しましたように、大臣のお気持ちも十分に酌んでいただきながらひとつお答えをいただきたいな、こう思うのであります。よろしくお願いします。

瀧野政府参考人 お答えいたします。

 地方団体の除排雪経費につきましては、通常分につきましては、普通交付税の基準財政需要額の算定におきまして、積雪の度合いに応じまして、本年度分でいいますと大体千二百億円程度を既に措置しているところでございます。

 これに加えまして、ことしのように大きな豪雪の場合には、対象の団体に対しまして、地方団体の方から報告されます一般財源の所要額、あるいは普通交付税の個別の措置額、それから降雪量、財政状況、こういったものを勘案しながら特別交付税によって措置をする、こういう仕組みでございます。

 今年度の特別交付税でございますけれども、既に補正予算の段階で、本年度は非常に災害が多いということで、特別交付税七百億円程度の増額を決定していただいておるわけでございますが、こういったことも踏まえ、現在、三月分の特別交付税についての作業をしているところでございます。

 非常に各地の豪雪による除排雪経費は多額に上っているわけでございますし、また、今御指摘がございましたとおり、大臣の方からも青森の状況についての御指示もございますので、そういったことを踏まえ、地方団体の財政状況に支障がないように適切に算定してまいりたいというふうに考えております。

津島(恭)分科員 今まで本当に大変だということを少しでもわかっていただければありがたいなと思います。

 少し時間が早いのでありますけれども、どうぞひとつ、さらにこの雪国の大変さというものをかんがみながら、雪国、そしてまた北国、北陸、特に東北、特に青森・津軽地区、この辺を重点的に御支援いただくことを心からお願いして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

西川(京)主査代理 これにて津島恭一君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十八日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十二分散会


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