衆議院

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第2号 平成17年2月28日(月曜日)

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平成十七年二月二十八日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 松岡 利勝君

      大島 理森君    川上 義博君

      早川 忠孝君    石田 勝之君

      泉  房穂君    高山 智司君

      長安  豊君    佐藤 茂樹君

      長沢 広明君    丸谷 佳織君

   兼務 木村 太郎君 兼務 佐藤  錬君

   兼務 寺田  稔君 兼務 室井 邦彦君

   兼務 高橋千鶴子君 兼務 東門美津子君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       村田 吉隆君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   国務大臣

   (金融担当)       伊藤 達也君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   棚橋 泰文君

   内閣府副大臣       七条  明君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   総務副大臣        山本 公一君

   内閣府大臣政務官     江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官     木村  勉君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 阿部 隆洋君

   裁判官訴追委員会事務局長 高田 健一君

   会計検査院事務総局第一局長            諸澤 治郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 塩沢 文朗君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        上原  哲君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    岡田  薫君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  増井喜一郎君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (財務省主計局主計官)  片山さつき君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官)          尾山眞之助君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局総務課長)        椋野美智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       佐藤 正典君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         南部 明弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   井田 久雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         森下 保壽君

   政府参考人

   (国土交通省河川局次長) 土屋 彰男君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  矢部  哲君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 上野  宏君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長坂 昂一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            松浦祥次郎君

   内閣委員会専門員     高木 孝雄君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     早川 忠孝君

  石田 勝之君     高山 智司君

  佐藤 茂樹君     丸谷 佳織君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     川上 義博君

  高山 智司君     泉  房穂君

  丸谷 佳織君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  川上 義博君     大島 理森君

  泉  房穂君     長安  豊君

  長沢 広明君     遠藤 乙彦君

同日

 辞任         補欠選任

  長安  豊君     石田 勝之君

  遠藤 乙彦君     佐藤 茂樹君

同日

 第二分科員木村太郎君、室井邦彦君、第五分科員佐藤錬君、東門美津子君、第六分科員寺田稔君及び第八分科員高橋千鶴子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 〔国会、内閣及び内閣府所管(内閣府本府、防庁、金融庁)〕


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     ――――◇―――――

松岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高山智司君。

高山分科員 民主党の高山智司でございます。きょうは、国会のことに関しまして質問をさせていただきます。

 まず初めに、二月の頭に、この衆議院事務局の電気施設課の課長が逮捕、こういうような報道がありましたけれども、この件についてまず事務総長の方に伺いたいと思います。

 これは、事件の報道がなされまして、それで逮捕者が出まして、その後、事務総長の方でどういう規則に基づいてどういう処分をまずなさったのかという点が一点。もう一つは、事務総長の方で、その後、それを受けて、本当に事実だったのか、どういう悪いことがあったのか、こういう内部調査をされましたか。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 一月の十九日に逮捕がございまして、その後、国会職員法に基づきまして事実関係を、本人が逮捕されていたものですので、確認できるまで、これは正確に事実を把握しなければもちろん処分できないわけでございますので、それで、本人が保釈になりまして、その後本人から上申書が出てまいりまして、その上申書に基づきまして、国会職員法に基づく懲戒処分をかけました。それは、まず国会職員考査委員会にお諮りいたしまして、その後で処分権者の方で、本人につきましては懲戒免職ということで処分をいたしました。

    〔主査退席、佐藤(茂)主査代理着席〕

高山分科員 その後、この事件の報道がなされてから、内部調査というのはされたんですか、内部調査を。要するに、会計検査院の調査では出てこなかったんだけれども、こういう逮捕者が出たということで、当然内部調査をされていると思うんですけれども、その結果を教えてください。

駒崎事務総長 もちろん、逮捕の後で、内部で調査いたしました。その結果、接待を受けているという者が五名判明いたしましたので、それにつきましても減給の懲戒処分を行いました。

高山分科員 これは減給の処分ということですけれども、停職等の処分はないのでしょうか。

駒崎事務総長 ただいま、現行の国会職員法におきましては、懲戒処分といたしましては、懲戒免職と減給と戒告ということになってございまして、停職に当たるものはございません。

高山分科員 一般の国家公務員法では停職というのもありますけれども、そうしますと、その減給の処分をされている方というのは、今現在、こちらの方に出てきてふだんどおり働いているということでございますか。

駒崎事務総長 はい。おっしゃるとおりでございます。

高山分科員 そうしますと、これからまた内部調査とか、またさらに、三月からもう一回会計検査院がするという報道もありましたけれども、そういう際に、また、今現にそちらで働いている、実際に嫌疑をかけられた方が働いている中で調査は行われる、こういうことでございますね。

駒崎事務総長 そういうことでございます。

高山分科員 会計検査院の検査が入る前にも当然内部調査はしていたと思うんですけれども、やはり当事者がいる中ではなかなかやりにくいのではないですか。だから、例えば休ませるですとか、何らかの、その当事者がいなくなるような方法をとらないと、なかなか公正な調査が期待できないと思うんですけれども、事務総長はその辺はいかがお考えでしょうか。

駒崎事務総長 調査は担当の副部長を含めまして厳正に行っておりますので、本人がいるからといって、そこら辺は、厳しくいたしているつもりでございます。

高山分科員 厳しくやっていたのでしたら、このような逮捕者が出る前にもう内部の段階で既にそういううみは出ていたと思うんですけれども、それが期待できないから、これはさらに、もっと厳正に、例えば内部調査をやるのでも厳正にやらなければいけないし、外部からも調査をしなければいけないというふうに私は思います。ちょっとこれは残念だなというふうに思いました。

 次に、ちょっと会計検査院の方に伺いたいんですけれども、これは報道によればですけれども、会計検査院の方に内部告発もあり、衆議院の議長から特別に要請があって調査をしたというような報道がありましたが、それはまず事実ですか。

諸澤会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 私ども、設備工事契約の検査に当たりましては、契約方式の妥当性など契約全般について検査することとしているものでございます。今回報道されております電気施設課にかかわる工事につきましても関心を持って検査している、そういうところでございます。

高山分科員 今の会計検査院のお答えでは、関心を持って調査ということでしたが、そもそも、一回目の検査ではどうしてこれは発見されなかったんですか。これは会計検査院の方にもう一度伺います。

諸澤会計検査院当局者 今のお尋ねは、刑事事件になっている事案がわからなかったのかということでございますけれども、会計検査院は、犯罪を発見するという目的で検査をしているわけではございません。また、そういう犯罪を発見できる権限を有しているわけでもない、そういう状況をぜひ御理解いただきたいと思っております。

高山分科員 それでは、念のための確認ですけれども、会計検査院の方にもう一度伺いますけれども、衆議院のこういう報道もあったということで、参議院あるいは国会図書館、こういったところは適正に予算が執行されているか、こういったことは今検査されていますか。言える範囲で結構でございます。

諸澤会計検査院当局者 最初に申し上げましたとおり、国会に限らず、私ども、こういう設備工事などに関しましては、さまざまな角度から契約全般についての検査を進めているところでございます。一般的には、このような事案につきましてこういう報道がなされた場合には、さまざまな角度から、またいろいろなところについての検査を関心を持って取り組んでいくというような、そういうスタンスで検査をしているということを御理解賜りたいと思います。

高山分科員 今度、衆議院の事務総長の方にまた伺いますけれども、今回の会計検査院の検査がありまして、まず初めに、これは内部告発が本当はあったんだと。例えば、こういう内部告発があった場合に、こういう人が調査して、不正があったら公表していくとか、こういうことが内部的に制度化されたりルール化されていますか。

駒崎事務総長 今回につきましては、調査委員会というものを立ち上げまして、人事、会計、それから当該の電気施設課の課長を含めまして、庶務部長がキャップになりまして、それで内部調査をまず行いました。

高山分科員 それは事件の報道があってからということですか。事件の報道以前からそういう公益通報制度のようなことは制度化されているんでしょうか。

駒崎事務総長 事件が報道される前に内部的に通報がございまして、それを受けまして、まず事実関係の確認等を、その調査委員会を設置いたしまして調査に入りました。

高山分科員 私の質問は、まずこれが制度化されているかということなんですけれども、それとはまた別に、もちろんそれもお答えいただきますけれども、まず、事件が明るみに出る前に調査をして、それで何か疑惑の点やら問題はありましたか。

駒崎事務総長 いろいろ事実関係を調査いたしたんですが、その際に出てきたのは、歳暮とか中元につきまして受領しているという事実が出てまいりまして、それは、国会職員の倫理規程というのがございまして、明らかに衆議院の職員倫理規程に反するものですので、国会職員倫理審査会という、これも外部の先生方に委員になっていただいておる審査会があるんですが、そこに事実関係を報告いたしまして、その事実関係に基づきまして処分をまず行いました。

 ただ、その段階では、今回の事件に発展するまでの事実関係が把握できなかったものですので、確かにそういう意味では調査が不十分と言われる御批判はあるわけですが、私どもの方では、その調査委員会でできる限りの調査はしたつもりでございます。

高山分科員 今、調査委員会で調査をされたけれども、その時点では発見できなかったと。これは、そういうことはあるとは思います、理解は示しますけれども、まず、そういう内部告発があったときに、こういう手続で、この人が調査していくんだ、それは事務総長直轄だとか、あるいは議長直轄なんだ、こういうようなことは制度化されているんですか、されていないんですか。

駒崎事務総長 今までこういうことがなかったものですので、今回初めてそういう事件というか通報がございましたので、その際には、やはり私のところでその設置を検討いたしまして、人事、会計、それから当該電気施設課の職員、関係部局の職員によって調査委員会を設置したということでございます。

 以降も、こういうことになれば、そういう関係部局の職員のもとに調査委員会をつくるということになろうと思います。

高山分科員 事務総長、そういうことは、つまり、事前には全然そういう内部調査制度は存在していなかった、こういうことですか。ちゃんと、きちんと制度化されてやったのではなくて、場当たり的にと言うと聞こえは悪いですけれども、そういうことがあったので調査委員会を開いた、事前の段階ではそういう内部調査の制度はなかったんだ、こういうことですね。

駒崎事務総長 確かに、今回の事件を受けて調査委員会を設置したということでございまして、こういう事件があればこういうことになっていくということで、先例にもなりますし、以降も、こういう調査委員会を速やかに設置して調査していくことになろうと思います。

高山分科員 これは、要するに、事前には制度化されていなかったということだと思うんですけれども、今、それこそ国会で公益通報者の保護制度だとかこういうのがもうどんどん通っていって、今、民間の会社でも、みんな、大きい組織だったりするのは、内部的にコンプライアンス重視でいこう、だから、疑いをかけられたときには、まずみずから疑いを晴らすんだ、そういう公正な組織がまず事前に設置されている。場当たり的に、何か問題が起きてからごちょごちょごちょっとやると、逆にこれは疑いを深めることになると思います。

 ですから、今後、そういう内部通報者制度ですとか調査の制度だとかを事務総長の方でつくるお考えはありますか。

駒崎事務総長 今、国会職員倫理規程というのがございまして、それには、国会職員倫理審査会というのがもう既にできておりまして、それの事前の調査の段階につきましては、今先生がおっしゃるような組織はある程度検討してつくっておいたらいいのかとは思っております。

高山分科員 とにかく、国会の職員の方というのは、非常にふだんから我々国会議員の周りの世話をしていただいて、非常にお世話になっておるんですけれども、逆に、これは三権分立の精神から、国会議員そのものからしかまずチェックされないということでございますので、逆に、みずから襟を正すといいますか、厳格なことをやっていかないと、これからますます疑惑の目で社会一般から見られるようになるのではないかと思いますので、これは、今まではそういう運用でやっていた、あるいは慣習でやっていたということもありましょうが、ぜひとも世間一般の基準と同等のことを、一つの国会という企業体というか組織としてやられることを強く望みます。

 では、ちょっと話は変わりまして、衆議院あるいは参議院の議員会館の周りの警備の状況についてお尋ねしたいと思うのです。

 今、衆議院の議員会館の入り口のところに警備の方が立っているんですけれども、あれはどうも民間の方のように思われるんですけれども、今まで衆議院の議員会館はみんな警務部の方に警備していただいていたんですけれども、あれはなぜ民間の方になったのか、その経緯をまず教えてください。衆議院の方からお願いします。

駒崎事務総長 これは、衛視さんがやっておったことを民間に変えたというのではなくて、平成十五年の後半、おととしの暮れでございますが、国際テロ組織の脅威が増している状況がございまして、その際に、国会議員の議員活動の拠点である議員会館への車両が入構するときの警備体制が非常に手薄であるという御批判がございまして、事務局内において検討いたしました。

 これは、議院運営委員会に院内の警察及び秩序に関する小委員会というのがございます。そこの先生方とも御協議させていただき、それで、平成十五年の十二月十八日に、院内の警察及び秩序に関する小委員会の御了承を得ました。それから、平成十六年の一月九日は、議院運営委員会の理事会でも警備の強化策について御了解いただいたわけでございますけれども、それをもとにいたしまして、議員会館の警備ということを、今先生おっしゃるように、民間の方に委託いたしまして強化したという経緯でございます。

高山分科員 それでは、今度参議院の方に伺いますけれども、参議院の方でも、駐車場やら会館の入り口の警備を強化されたと思うんですけれども、これはどのような経緯で、だれが今行っていますか。

川村参議院事務総長 お答え申し上げます。

 議員会館は議事堂の囲障外のため、原則として議院警察権の及ぶ範囲外ではございますけれども、議員会館及び同構内の警備に関しましては、警務部が所掌することとされております。これによりまして、議院運営委員会理事会及び議員会館自治委員長の御了承のもと、入構する車両の点検、不審車両の早期発見に努めるため、平成十六年二月九日から、新たに南門及び北門に衛視を配置しているところでございます。

高山分科員 これは、今度、新しく議員会館も建て直して、PFI方式でいろいろ民間の施設も入ったりということでございますけれども、これは、今の衆議院と参議院の議員会館で、どうして衆議院の方は民間委託して、参議院の方は今までの衛視さんで賄っているわけですか。これは違いがどうして出たのか、特に衆議院の方に伺いたいと思うんですけれども。

駒崎事務総長 この時期は、院内の本館の方の警備もかなり厳しく対応いたしましたので、その際に、警務部では、院内の警備強化に加えまして金属探知器を設置したりいたしまして、かなりの業務の増大が図られたわけでございまして、議員会館の入構の車両の警備等に割ける要員というのはその段階では確保できなかったものですので、民間に委託したということでございます。

高山分科員 今の衆議院の事務総長の説明ですと、その時期、衆議院の方では警務部の方が人手が足りなかったというようなお話でしたけれども、参議院の方は、では人手がそのとき余っていたというようなことなんですか。それとも、どういうことで参議院の方は民間委託しないで済んだんですか。これは参議院の方に伺います。

川村参議院事務総長 お答え申し上げます。

 参議院におきましても、人が余っているということではございません。あくまでも、現行の体制の中で警備のレベルを上げるためにはどうすればいいかということで、警備体制の見直し、あるいは監視カメラ増設といった機器の導入等を踏まえまして、全体的な体制の総点検をいたしまして、新たな北門、あるいは議員会館の北門、南門の警備を行ったということでございます。

高山分科員 では、今度衆議院の方に伺いますけれども、参議院の方はいろいろな見直し等々で賄ったということですけれども、これは、どうして衆議院の方ではそういうやりくりはなさらないで民間委託になさったんですか。

駒崎事務総長 そのおととしの暮れの状況が、何か国会にテロ攻撃等があったときに適切に対処しなきゃいけないというのがまず大前提にございまして、それで、院内の警察及び秩序に関する小委員会、議運の小委員会の先生方とも相談して、まず、会館の警備が手薄であるということになりましたので、そこは何とか、衛視さんの方は本館の構内の方に手いっぱいになったということで、そこまでちょっと検討するというか、まず早急に議員会館の警備は強化しなきゃいかぬということで、民間にお願いしようということにいたした次第でございます。

高山分科員 今の御説明、構内のこちら側の警備が大変だったというんですけれども、それは参議院も同じなんじゃないんですかね。仮に、年末だったので緊急のやりくりだったというのは是といたしましても、これは今年度、また来年度、同じように要求されていますか。それとも、もうやめて、これはちょっと時間がなくなってきたので言いますけれども、大体年間二千五百万ぐらいの委託費だというふうに聞いておりますけれども、例えば衛視さんを二人ふやす、三人ふやすといったようなことに切りかえられたんですか。それとも、今までのままずっと委託されているんですか。

駒崎事務総長 なかなか衛視の数をふやすというのは現実的に難しいと思います。したがいまして、今のところは今までどおりのことを考えておるわけでございますが、しばらくこういう形で定着してきてしまっておりますので、何らか、今参議院とのお話もございましたので、こちらの方といたしましても検討していく必要はあろうかとは思います。

高山分科員 参議院の方に伺いたいんですけれども、参議院の方は、余った人数でやったのではなくて、やりくりして非常に衛視の方に頑張っていただいたということですけれども、ことしやらあるいは来年度、衛視さんの増員要求とかされていますか。

川村参議院事務総長 お答え申し上げます。

 先ほど、現時点におきましては体制の見直しということでさせていただいておりますけれども、治安情勢もますます悪化する心配もあるわけでございまして、国会の警備強化に対する要請も増大しているということから、平成十七年度予算におきましては、議員の皆様方の活動の安全を確保するために、厳しい財政情勢のもとではございますけれども、衛視の増員要求を今行っているところでございます。

高山分科員 ちょっと時間がなくなってきましたので、衆議院の方に念のためですけれども、参議院の方は増員要求をして何とかしのごうと。それで、衆議院の方は、これは確認ですけれども、今回のこの民間会社ですけれども、これは適正に委託されている、今までの電気施設課のようなことはないと思いますけれども、こちらは、まず、随意契約だったのか競争入札だったのか。また、こちらの民間警備会社の方に、よもや警務部の方や国会の職員の方、こういった方が天下りですとかこういったことはないということの確認だけをさせていただきたいと思います。

駒崎事務総長 この契約につきましては随意契約で行ってございます。それは、テロ対策の一環として実施するものでございますので、委託内容の詳細について公表を差し控えなければならないということでございます。公表を前提とする競争入札はふさわしくないということで随意契約を行いました。それで、今お話しの、この民間の会社に衆議院の職員が行っているということは全くございません。

高山分科員 わかりました。とにかく、今随意契約ということでしたけれども、これは、国会の事務局の契約はほとんど随意契約が多いんですよね。全然競争入札がない。これも不思議だなと思いましたが、ちょっと話を変えて、今度は裁判官の弾劾裁判所と訴追委員会のことで伺います。

 まず、もう時間がないので私の方から言いますけれども、これは、裁判官の弾劾裁判所というのは、いわゆる裁判官を裁くのに、権力分立というか三権分立のこともあるし国民主権だということもあるので、これは弾劾してやめさせるところは国会に置こうと。そして、最高裁判所内に置くと、身内でのこともありますので、全然関係ない訴追委員会、また弾劾裁判所という国会議員で構成されるところにやろうという趣旨だと思うんですけれども、訴追委員会の方に年間大体どのぐらい一般国民の方から、この裁判官はおかしい、けしからぬというような訴えが来るんですか。これは訴追委員会の方に伺います。

高田裁判官訴追委員会参事 お答えいたします。

 昨年度で言いますと、八百三十二件来ております。ただ、この件数でございますが、誤解がないように御説明申し上げますと、これは延べの訴追請求された裁判官でございまして、普通の訴追者の方は、自分が関係した裁判官を全員訴追するというのが一般でございますから、結局、最高裁裁判官に関してはもう必然的に多くなるということでございます。

 ちなみに、昨年度の上の方から七名を合わせますと、八百三十二件中三百九十九件が、七名の方が訴追している、こういう事情でございます。

高山分科員 今、昨年のものを伺いましたけれども、八百三十二件と。それで、いろいろ整理されても四百件近くということでございましたけれども、これは実際、裁判官訴追委員会というのは検察官の役割だと思うんです。これをされる国会議員の方に、この八百三十二件だとか四百件、これは到底処理するだけ時間がない、また、事案について本当に全部訴追すべきかどうか判断する時間もないし、そういう情報も与えられていないと思うんですけれども、実質的に、この事件はこうです、大体こういうのですよというのを分類されているのは、これは訴追委員会の中ではだれがやられているんですか。

高田裁判官訴追委員会参事 お答えいたします。

 裁判官訴追委員会の中には事案課というのがございまして、その事案について調査するわけでございます。それと、調査員というのが三人おります。その調査員が主となって関係資料を裁判所から取り寄せ、それらについて問題を整理する、事務局長もそれを見て報告書を上げる、こういうことになっています。

高山分科員 それでは、裁判官訴追委員会で実際に訴追委員の先生方に、いろいろこういう事案でございますと説明をする当事者は事務局長ということでよろしいですか。

高田裁判官訴追委員会参事 訴追委員会において概要を説明申し上げるのは、事務局長である私でございます。

高山分科員 これはちょっと個人のことにわたるかもしれませんが、事務局長の高田事務局長は、前職は何をされていたんですか。

高田裁判官訴追委員会参事 東京地裁の民事部の裁判長でございます。

高山分科員 弾劾裁判所とか裁判官訴追委員会というのは、これは、被告人は裁判官になるわけですよね。それが、前職が裁判官だった方が実質的な審査をされて訴追委員の国会議員の方に説明する、これは制度趣旨に反するんじゃないですか。

 念のため、ちょっと伺いますけれども、前任者の方は、私、これはちょっとリストを自分でつくりましたけれども、前任者の方、片岡さんという事務局長、これは前職は何をやられていたんですか。

高田裁判官訴追委員会参事 東京家裁の裁判官だったと思います。

高山分科員 これは本当に、裁判官が被告人になる法廷で、検察官役の人の実質的な審査をしている人が裁判官出身だ、これは制度趣旨に反すると思いますよ。

 それで、しかも、この前職の方は、今現職は何になっていますか。前職の方が裁判官訴追委員会の事務局長をやられて、次戻ったときは何をやられているんでしょうか。ちなみに、その三代前、四代前の方も皆さん何をやられているか、私は調べてきましたけれども、事務局長の方からわかる範囲でお答えください。

佐藤(茂)主査代理 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いいたします。

高田裁判官訴追委員会参事 前の片岡局長は、やめられた後、東京高裁に戻られ、その後、佐賀地家裁の所長を今やっておられます。

 その前の方も、大体、一たん東京高裁に戻った後、その後、各裁判所、地方裁判所あるいは家庭裁判所の所長になっておられる方が多いと思います。

高山分科員 今、事務局長の方からいみじくも、一回戻った後というような形で、何か出向のような形をとられているようですけれども、それは構造的な問題ですよ。裁判官が被告となるはずの法廷の検察官、また、これは弾劾裁判所の方の事務局内にも、若手の方ですけれども裁判官の方が出向のような形で来ていただいているという話を伺いました。伺ったというか、調べましたけれども、裁かれる側の人が実質的な検察官の一番トップをやられているというのは、これは構造的に制度趣旨に反すると思うんですよね。これは絶対改める必要がある制度だと思いますので、それをお願いいたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

佐藤(茂)主査代理 これにて高山智司君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤(茂)主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸谷佳織さん。

丸谷分科員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、青少年の薬物乱用防止及び脱法ドラッグ対策についてお伺いをさせていただきます。

 ちょうど平成十年、今から七年前でございますけれども、当予算委員会におきまして、同様の青少年の薬物乱用防止の問題について質問をさせていただきました。

 当時は、第三次乱用期というふうに言われておりまして、携帯電話ですとかあるいはポケットベルなどのコミュニケーションツールの発達によりまして、青少年がファッション感覚でドラッグを乱用するといったようなこの深刻な問題について、何よりも青少年自体が正確な薬物に対する知識を持つことが大事であるという視点から、厚生省所管の薬物乱用防止キャラバンカーの増設を訴えてまいりました。

 その結果、現在は、この薬物乱用防止キャラバンカー、麻薬取締官事務所があります八地区に一台ずつ、全国に八台配置していただいておりますし、また、警察庁の方の薬物乱用防止広報車の方も全国で五十三台、実に全国を今走り回って薬物乱用防止を青少年に対して訴えていただいているわけでございます。

 また最近は、薬物乱用防止プラス脱法ドラッグという新たな局面が出てまいりました。七年前から考えますと、当時はポケットベルなどのコミュニケーションツールによりといった質問をさせていただいたんですが、現在ではポケットベルといったものはもうほとんどなくなり、ほとんどが携帯電話またインターネット等で、その速報性また所有率も高くなり、よりこの情報量が急増してきたというふうにも言えますし、脱法ドラッグなどの問題の多様化が進み、青少年の薬物乱用防止はより深刻な問題になってきたというふうに思います。

 政府におかれましては、平成十年に薬物乱用防止五カ年戦略を策定されまして、四つの柱、一つ目には青少年対策、そして二つ目には密売対策、三つ目に水際対策と国際協力、そして四つ目に再乱用防止対策を掲げて、この五年間取り組んでいらっしゃいました。しかしながら、その後も第三次乱用期というのは継続しているという認識に立ちまして、平成十五年の七月に新五カ年戦略を策定し、より積極的に取り組んできていらっしゃいます。

 この取り組みを踏まえまして、現在の青少年の薬物使用検挙数等、実態からお伺いさせていただきます。

伊藤政府参考人 最近の青少年の薬物乱用状況についてお答えをしたいと思います。

 まず、過去十年間の覚せい剤乱用少年の検挙人員の推移を見ますと、平成七年から九年まで増加を続けまして、ピークの平成九年には千五百九十六人の検挙がございましたけれども、最近は五年連続して減少いたしておりまして、昨年はピーク時の四分の一以下の三百八十八人でございました。

 警察では、青少年の薬物乱用が増加したことにかんがみまして、平成十年より全国的に青少年の薬物乱用防止キャンペーンを展開いたしまして、薬物乱用防止広報車による街頭キャンペーンや、とりわけ中学、高校におきましては、薬物乱用防止教室を開催しまして、薬物乱用防止に努めてきたところであります。中高校生の検挙人員は、この十年間に、ピーク時の二百六十二人から昨年は四十五人へと六分の一近くに減少したところであります。

 ちなみに、警察におきましては、平成十五年度は一万二千五百校以上におきまして薬物乱用防止教室を開催いたしたところであります。

 他方、麻薬及び向精神薬取締法違反につきましては、これまで年間二十人に満たなかった検挙人員が昨年は八十人となっておりまして、最近二年連続して急増しているところであります。その約八割をMDMA等錠剤型合成麻薬に係る事犯が占めておりまして、少年層への浸透が懸念されるところであります。また、大麻取締法違反につきましても、昨年は二百二十一人でこの十年間で最高となっており、今後の乱用の拡大が懸念されるところであります。

 昨年度の青少年の薬物乱用の事例といたしましては、都内で高校生らが学校内で合成麻薬MDMAを女子高校生に譲り渡した事例であるとか、北海道で女子高校生七人が学校内等におきまして大麻を所持したり譲り渡した事例など、学校内の事案も見られるところであります。

 以上であります。

丸谷分科員 この十年間、今おっしゃっていただきましたように、覚せい剤等の乱用の数は確かに減ってきておりますけれども、逆にMDMA等合成麻薬、この数がふえてきている。また、いわゆる脱法ドラッグという問題が深刻になってきたことが今言っていただいた数からもわかるわけでございます。

 覚せい剤を使用した者のうち、約八〇%が十五歳から二十九歳の間に初めて覚せい剤を使用しているという調査結果も出ております。このことを見ましても、青少年の薬物乱用防止、若いときに薬に対する正しい知識を持つこと、薬物を乱用するとどうなるか、まずその危険性をしっかりと知識として身につけることが大事だというふうに思います。

 学校教育におきましては、新学習指導要領に基づく小学校での薬物乱用防止に関する指導ですとか、あるいは中学校、高校における乱用防止教育の充実等を行うことになっておりますけれども、実際に、小学校、中学校、高校の場で現在どのような薬物乱用教育が行われているのか、文部科学省にお伺いをいたします。

尾山政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年七月に策定されました薬物乱用防止新五カ年戦略におきましては、中高校生を中心に薬物乱用の危険性の啓発を継続すること等によりまして、青少年による薬物乱用の根絶を目指すことが盛り込まれておるところでございます。

 この新五カ年戦略を踏まえまして、文部科学省におきましては、警察職員や麻薬取締官OB等が薬物の恐ろしさを具体例を挙げながら指導する薬物乱用防止教室の推進でございますとか、小中高等学校に入学したすべての児童生徒を対象とした薬物乱用の健康への影響等を解説したパンフレットの配付などの施策を推進しておるところでございます。

 さらに、平成十七年度におきましては、中高生が自己の健康を適切に管理できるよう、薬物乱用の問題を初めとするさまざまな健康課題を総合的に解説した教材を作成、配付することを計画しておるところでございます。

 また、現行の学習指導要領におきましても、これまでの中学校、高等学校に加えまして、小学校高学年でシンナー等の健康への影響について新たに盛り込みますなど、薬物乱用防止に関する指導内容の充実も図っておるところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携協力いたしながら、学校における薬物乱用防止教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

丸谷分科員 再度お伺いさせていただきたいんですけれども、その薬物乱用教室、また授業の中に盛り込む等の推進は、文部科学省さん、今されていらっしゃるというお答えがございましたけれども、実際に、実績として、その教育、授業が実施された数というのは把握していらっしゃいますでしょうか。

尾山政府参考人 個別の事例はともかくといたしまして、平成十五年度の薬物乱用防止教室の開催状況について申し上げますと、小学校につきましては、全体の二二・五%の五千百六十六校で延べ六千百十六回の教室が開催され、参加児童数が四十五万五千百十七人ということでございます。

 中学校につきましては、五三・四%の学校で実施されまして、延べ回数が六千七百六回、参加生徒数が百四十二万九百二十四人ということで把握いたしておるところでございます。

    〔佐藤(茂)主査代理退席、主査着席〕

丸谷分科員 今、小学校で二二・五%、中学校で五三・四%という数で実績として御報告をいただきましたけれども、この数は低いなというのが実感でございます。

 脱法ドラッグ等、あるいは、先ほども申しましたけれども、携帯電話、今、小学生でも持っておりますし、またインターネットのアクセスも簡単にできるということから、このコンテンツに対する事業者への取り締まりはまた別の問題としてやらなければいけませんけれども、青少年に対して、小学校高学年ぐらいからが適当かと思いますが、中学校、高校と、薬物に対して正しい知識を持たせる、いわゆる子供たち自身にドラッグに対してノーと言う武器を持ってもらうためには、この薬物乱用防止推進教育というのは非常に重要であると思います。

 その観点から申し上げれば、今御報告いただいた授業実施数というのは非常に少ないと申し上げざるを得ない状況にございますけれども、今後、こういった実績を踏まえて、さらに文部科学省としては推進していかれるおつもりかと思いますけれども、この点について再度お考えをお伺いします。

尾山政府参考人 先生御指摘のように、大変実施状況としてはまだまだの状況だというふうに思っております。すべての学校において実施していただくのが望ましいわけでございまして、そのように指導してまいりたいと思っております。

丸谷分科員 ありがとうございます。

 この薬物乱用防止について青少年に知識を持ってもらうためには、学校という場だけではないと思っております。もちろん、厚生労働省が所管をしております薬物乱用防止キャラバンカー、これも、今、全国に八台ございまして、例えば町内といった地域であったり、あるいは、お子さんと一緒にお母さん、御両親も含めて、この薬物に対する知識を広めるための啓蒙活動を行っていただいていると思いますけれども、実際に、この増台もしていただきましたキャラバンカーが有効に使われているのかどうか、この点について、活動状況を御報告願います。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 薬物乱用防止キャラバンカーは、平成四年度から運行を始めまして、平成十三年度からは八台体制で運行しております。

 平成十五年度における運行状況は、訪問箇所数が千三百八十カ所、見学者数は約二十一万人となっております。

 キャラバンカーについては、年々、学校からの訪問要請がふえておりまして、青少年等に対する啓発活動において大きな役割を担っていると考えております。

丸谷分科員 さらに学校及び親も含めた薬物乱用防止のために、せっかく増台もしていただいたわけでございますので、全国を一生懸命駆け回っていただきたいというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 続きまして、麻薬取締法では取り締まることができない脱法ドラッグについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 このいわゆる脱法ドラッグ、麻薬ですとかあるいは覚せい剤のゲートウエードラッグ、いわゆる入り口にもなるというふうに言われておりますけれども、とても簡単に入手できるようになっております。

 私も、質問に当たりまして、自分でインターネット検索、「脱法ドラッグ」というふうに入力をしますと、すぐに出てまいりましたのが、脱法ドラッグ専売サイトというところにすぐアクセスできるわけなんですね。この専売サイト、本当にもう見てびっくりしたんですけれども、タイトルがレッツ脱法というふうに書いてありまして、こういったものを載せている事業者は一体何なのかというふうにも思いました。

 また、いろいろないわゆる脱法ドラッグがインターネット上で、そこのサイトでは販売をされておりまして、さまざまな、快感を高めるものですとか、あるいは興奮するような用途が書かれておるもの、あるいはレイプに即効性がありといったようなふれ込みで販売されているようなものもありまして、これは決して見逃すわけにはいかないなというふうに思っている次第でございます。

 この脱法ドラッグについては、インターネット、あるいはアダルトショップですとか、あるいは雑誌の通販などで入手可能な状況でございまして、値段の方も比較的安く手に入る状況でございます。

 そういった影響があると思うんですけれども、財団法人の日本中毒情報センターによりますと、通称フォクシーあるいはデイトリッパーについての問い合わせが、一九九八年では一件であったものが、二〇〇一年には三件、そして二〇〇二年には八件、二〇〇三年には二十七件と急増しているという状況が報告をされております。そのほとんどがインターネットで入手をしたということでありまして、フォクシー、デイトリッパーにつきましては、本年、政令を改正し、麻薬指定し規制することとなっておりますが、これらは本当に氷山の一角でしかないというふうに感じております。

 ほかにも、芳香剤ですとかあるいはビデオクリーナーといった名前で売っているものがあるということをお伺いしました。

 どれほど簡単に入手できるものなのかというふうに思いまして、うちの事務所の男性でございますけれども、調査に行ってもらいました。新宿のいわゆるアダルトショップというところに行きまして、陳列棚を見てみると、本当に、これが実際に買ってきたものでございますけれども、ハイライズと言われているものです。これの後ろを見てみますと、確かにビデオクリーナーとして販売をしているんですね。用途もビデオクリーナーとして販売をして、値段は約三千円ほどであったそうでございますけれども、お店の人は、もちろん、非常に精神を高揚させるのにはこんなにいいものはありませんよと言って販売をしていたそうです。

 これは、どのような形でこのビデオクリーナーを使って精神を高揚させるのかというふうに聞きましたら、これは鼻から吸引するだけで大丈夫ですと。どうやらことしぐらいから取り締まりが厳しくなるようですので、お客さん、今のうちに早く買っておいた方がいいですよ、こういった売られ方をされています。

 まさしく脱法ドラッグとして使用されているものに対して、ビデオクリーナーですとかあるいは芳香剤といった商品名で売っている。このことは薬事法によって規制することができるのではないかというふうにも考えている次第でございますけれども、まず、この点について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる脱法ドラッグについては、最近、青少年の間で乱用が広まりつつあり、また、先生御指摘もございましたとおり、麻薬や覚せい剤の乱用につながる、いわゆるゲートウエードラッグになるとも言われておるわけでございまして、規制の強化が必要であると考えております。

 このため、厚生労働省においては、脱法ドラッグの買い上げ調査やインターネット監視などを行いまして、医薬品成分が検出された場合等には薬事法に基づく販売中止等の指導を行っております。また、脱法ドラッグのうち、科学的根拠に基づいて依存性や精神毒性などが確認されたものを麻薬に指定してきたところであります。

 さらに、今般、脱法ドラッグ対策等について幅広く検討していただくために、専門家から成る脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会、これを設置し、今月二十二日には初会合を開催したところでございまして、本検討会において、ことしの十月を目途に提言を取りまとめていただくこととしておりまして、厚生労働省としても、こういった御提言等を踏まえまして、脱法ドラッグ対策を積極的に進めていく所存でございます。

丸谷分科員 芳香剤ですとかあるいはビデオクリーナーといったような商品名でこういった脱法ドラッグを扱っているようなケースにつきまして、薬事法を改正するまでもないのかもしれませんけれども、このような商品名で脱法ドラッグを売らないようにするために、厚生労働省として何か考えられることはないかというふうにお伺いをしたつもりでございましたけれども、もう一度御答弁願えますでしょうか。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった薬物に関しましては、関連する五つの法律があるわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げました薬事法に基づく販売中止等の指導とともに、この脱法ドラッグについては、科学的根拠に基づいて依存性や精神毒性等が確認されたものを麻薬に指定してまいりましたところでございまして、本年度も、脱法ドラッグの二成分、5―Meo―DIPT、AMT等を麻薬に指定する予定でございます。

 このような対策を講じつつありまして、今後とも取り組んでいきたいと思っております。

丸谷分科員 実際に、今、本年度には政令を改正して、デイトリッパーですとかフォクシーは規制の対象、麻薬指定になるわけでございますけれども、現実を見てみますと、現在麻薬指定をされているのは百四十六種類、それに対して脱法ドラッグと言われているような商品は百種類ほどあるのではないかというふうに言われています。既に指定されているものが百四十六種類に対して、また新たに対応を急がなければいけない商品だけでも百種類あるというふうに言われている中で、特にこの脱法ドラッグの難しさというのは、調査研究、その効用等を実際に把握するのが難しい、時間がかかる、実際には一、二年かかってようやく麻薬と判定されるというような状況の中で、一つ一つ調査研究し指定していきますというだけでは、やはりこれは対策が遅いと言わざるを得ないというふうに私は考えております。

 きょう、お忙しい中、内閣官房長官、来ていただいております。政府の中にも、総理を本部長としました薬物乱用対策推進本部をつくられまして、内閣官房長官も副本部長でリーダーシップをとっていただいているわけでございますけれども、今までの話も含めまして、政府として、特に脱法ドラッグに対してどのような危機感を持っていらっしゃるのか、また、調査、対策についてどのように臨んでいかれるのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

細田国務大臣 青少年の薬物問題について丸谷議員がこれまでずっとお取り組みいただいておりますこと、大変敬意を表したいと思います。また、現に脱法ドラッグを店に行って求められて、その実態も調べられているということも、まことに時宜に即したことで、我々、なかなかそこまでやりませんので、いろいろ教えていただきたいと思います。

 おっしゃいましたように、次から次へと、まず一つ規制すれば次へ行くというような実態がございますし、ようやくMDMA、いわゆる合成麻薬押収も、前回の新五カ年計画で努力しまして、平成十四年の十七万錠から四十七万錠というふうに規制も強化されている。そして、さらに脱法ドラッグが次々にふえて、今おっしゃいましたように、百四十六種類の麻薬があるけれども百種類の脱法ドラッグが出ているということは、大変な事態でございます。

 ようやく、今、先ほど厚生労働省から答弁のありました検討会も、実は先週から始まったんですね。専門家を集めて始まったということでございます。罪刑法定主義という観点からいうと、どうしてもその薬物を特定しなきゃならない、そして、それをまた法律等で規定しなきゃならない、規定していると、それの非常に類似の変異体みたいなものがまた出てきて、そこで脱法するという、追いかけっこになっておることは深刻な実態だと思います。

 政府としては、薬物乱用対策推進本部として、さらに脱法ドラッグについてより効果的な方策がないのかどうか、この専門家の検討会の検討も踏まえまして、ぜひ、より強化していくような対策を考えてまいりたいと思っております。

 政府におきましては、青少年による薬物乱用の根絶に向けまして、薬物乱用防止教室あるいはキャラバンカー、おっしゃいましたような巡回、それから「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の実施など、啓発、指導を推進しているところですが、政府も、脱法ドラッグは合法だと思っているかもしれないけれどもだめですよということは、幾ら言ってもおかしくないわけですから、社会的常識でございますから、そこを強力にやりながら、他方で法律的規制を強化する、そういうことであろうかと思いますので、議員のおっしゃるように、政府としてもこれからも懸命に対策を講じてまいりたいと思っております。

丸谷分科員 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 最後に、文部科学省の薬物に対する意識等の調査報告書を見て、御紹介をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、薬物乱用に対する考え方、小学校五年生から高校三年生まで調査をされました。

 その結果でございますけれども、絶対に使うべきではないし許されることではないという認識を持っている男子、小学校五年生から高校三年生は八二・二%、女子は八七・四%と、非常に高い割合で絶対に使ってはいけないという認識を持っていることがわかります。しかしながら、他人に迷惑をかけないので使うかどうかは個人の自由であるというふうな答えをした数は、男子では八・六%、そして女子では六・三%と、これは、少ない数ではない子供たちが、他人に迷惑をかけないんだから大丈夫だろうというふうに考えていることをうかがい知ることができます。

 しかしながら、薬物乱用による事件あるいは犯罪を見ても、他人に迷惑をかけないということは決してないわけでございますし、当人の体をむしばむことはもちろんでございますが、この青少年の認識を、誤った認識を持っている者に対してはこれは直していかなければいけないという観点から、現在、厚生労働省所管の薬物乱用防止キャラバンカー、麻薬指定されているものに関して広報啓発活動を行っているというふうに承知をしておりますけれども、今後、このキャラバンカーの中に、脱法ドラッグも含めて、最近の方向性も含めて内容を追加するべきだというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

 そして、政府としましては、テレビのコマーシャル等も使って脱法ドラッグに対する注意喚起を行うべきと考えますが、この二点について、最後お伺いをさせていただきます。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 薬物乱用を防止するには、厳重な取り締まりによって手に入らないこと、それが大事でございますが、加えて、啓発活動によって、薬物乱用の危険性に関する知識を普及し、薬物に一度たりとも手を出させないようにすることが重要と考えております。

 お話のございました脱法ドラッグにつきましても、薬物乱用防止キャラバンカーの活用を含め、青少年に対する啓発活動の強化を図ってまいりたいと存じております。

丸谷分科員 済みません、厚生労働省、もう一度お返事を聞かせていただきたいんですけれども、今申し上げたのは、薬物乱用防止キャラバンカーを有効的に使っていっていただきたいということに加えまして、脱法ドラッグ等の内容も追加してはいかがかというふうにお伺いしたんですが、この点について検討していただけないでしょうか。もう一度お伺いします。

黒川政府参考人 お答え申し上げます。

 脱法ドラッグについても、薬物乱用防止キャラバンカーの活用、これを含めまして、青少年に対する啓発活動の強化、これは脱法ドラッグでございますけれども、図ってまいります。

丸谷分科員 ありがとうございます。

 あと、政府、テレビコマーシャル等の注意喚起について御答弁を願います。

細田国務大臣 おっしゃいましたように、青少年対策としても、あるいは将来の日本国民の健康問題から見ても、大変重要なことでございますので、強化してまいりたいと思います。

丸谷分科員 どうもありがとうございました。

 本年十月に検討委員会の調査報告もまとまると思いますけれども、それを待たずにも、できることは一つ一つ取り組んでいただきたいというふうに再度お願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

松岡主査 これにて丸谷佳織君の質疑は終了いたしました。

 次に、早川忠孝君。

早川分科員 自由民主党の早川忠孝でございます。

 昨年は、相次ぐ台風の襲来や新潟県の中越地震、あるいはインドネシア・スマトラ島沖地震など、自然災害の脅威にさらされ続けた一年でありました。その中で、この国会のあります東京都、あるいは私の地元であります埼玉を中心とした首都圏は、台風、地震、津波、いずれの災禍もこうむることはありませんでした。

 しかしながら、昨年の十二月十五日、さらには今月の二十五日に、政府の中央防災会議首都直下地震対策専門調査会が発表された首都圏の被害想定結果というのは、大変深刻な内容であります。

 マグニチュード七・三の首都直下型地震が発生した場合、死者は最大で一万三千人である、一千百万人が飲料水を使えず、百六十万軒が停電になるとされている。さらに、避難者が七百万人に及び、仕事中に被災するいわゆる帰宅困難者が六百五十万人に及ぶという試算結果であります。

 さらには、経済被害結果については、建築物あるいは公共施設などの資産喪失による直接被害が六十七兆円、交通寸断による被害、海外や全国への波及を含む生産、サービス停止による間接被害が約四十五兆円、総被害が約百十二兆円になるということが報告をされております。

 国民の生命財産を守るというのが国家の至上命題であります。政治が果たすべき最も重要な役割であるということは言うまでもありません。

 私は、政治の世界に転ずる以前から、弁護士として、日本弁護士連合会の自然災害に対する法制度検討小委員会の副委員長、あるいは全労済協会の自然災害に対する国民的保障制度プロジェクト会議の座長などを務め、地震保険制度や自然災害にかかわる補償制度等についてかかわってまいりました。

 私が国政に挑戦する契機となったのも、十年前に発生した阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件の発生であります。防災を含めた国家の危機管理体制を構築していくことが、私自身の最大の課題であると考えております。

 本日は、初心に返りまして、防災、わけても我が国の中枢であります首都圏における災害の備えについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、阪神・淡路大震災以降の国の災害対応の体制についてお伺いいたします。

 昨年は、新潟県の中越地震、インドネシア・スマトラ島沖地震等が発生し、二月の二十二日にはイランで地震が発生し、多くの方が被害に遭われました。阪神・淡路大震災後、各地方公共団体でも災害に対する意識が高まってまいっております。各種の防災対策が行われておりますけれども、国における災害に対する初動体制がどのように変わっているのか。また、東京都では、都庁周辺に災害対策住宅を設け、防災管理監、防災担当職員約二百名が単身で暮らしておられると伺います。果たして国の対応はどうなっているか、内閣官房にお伺いいたします。

堀内政府参考人 お答えをいたします。

 緊急事態への対処に当たりましては、その未然防止に最大の努力を払うとともに、万一発生した場合に、その被害を最小限にとどめることが肝要であるというふうに考えております。

 そのため、関連情報を迅速に収集、集約するとともに、早期に政府として総合力が発揮できる体制を整えることが重要であると考えております。

 このため、阪神・淡路大震災以降、政府といたしましては、二十四時間体制で情報を収集する内閣情報集約センターを設けるとともに、局長級の緊急参集チームの設置、官邸危機管理センターの整備、あるいは危機管理部門全体を統括いたします内閣危機管理監を設置するなど、危機管理体制の整備充実に努めてきたところでございます。

 今後とも、政府といたしましては、緊急事態に対して、国民の生命、身体、財産を守るために、その対処のあり方について不断の点検を行い、危機管理体制の充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、災害対策住宅の関係でございますけれども、官邸からおおむね二キロメートル以内、これは歩いた場合でも三十分以内を目安にしておりまして、この二キロメートル以内にあります宿舎のうちからいわゆる防災担当職員用宿舎を指定いたしまして、平成十二年四月から、災害等の緊急事態への対処に当たる内閣官房を初めとする関係省庁の職員を入居させているところでございます。

 これによりまして、勤務時間外における緊急事態の発生に際しましても、必要な要員が迅速に官邸等へ参集することが可能となりまして、早期の初動対処が行えるものとなっているところでございます。

早川分科員 次に、災害廃棄物等の処理体制についてお伺いいたします。

 災害が発生した場合に、まず取り組まなければならないのが災害廃棄物の問題だと言われております。し尿や瓦れきなどの処理についてどのような取り組みが行われることになるのか、あるいは、瓦れきの仮置き場、最終処理場の確保等はできているのか、また、災害廃棄物の処理計画の策定、実施方法のマニュアルの策定などは行われているのかについてお聞きしたいと思います。

 あわせて、地方公共団体の仮設トイレの備蓄状況及び維持管理費用の確保等ができているのか。

 これは環境省と厚生省、順次お答えを願います。

寺田政府参考人 政府といたしましては、阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、災害時に大量に発生する瓦れきなどを円滑に処理するためには、平素から、災害廃棄物の処理を含めて防災体制を整備しておくということが重要である、こういう認識に立ちまして、平成十年の十月に、防災体制の整備、震災時の応急対策、さらに復旧復興対策等につきまして、基本的な考え方と留意事項等を取りまとめました震災廃棄物対策指針というものを作成いたしております。

 具体的には、この指針に基づきまして、各地方公共団体に対し、震災に伴って発生する瓦れきの量を推計すること、また、仮置き場の配置計画や瓦れきの処理処分計画、これらを震災廃棄物処理計画として取りまとめていただくということをお願いしているところでございます。

 ただ、残念なことでございますけれども、必ずしもその処理計画の策定状況というのは十分なものにはなっておりません。このため、環境省といたしましては、適宜、都道府県を通じまして市町村に策定を呼びかけておりまして、今後とも引き続き、各市町村におきまして円滑な廃棄物の処理が実行されますよう処分計画が立案されますよう、働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。

小島政府参考人 お答えをいたします。

 仮設トイレの御指摘でございますが、当省が所管しております災害救助法におきまして災害救助基金というものがございます。これは、各自治体の一般行政費から毎年何%かを積み立てていくということでございますが、その運用方法の一つといたしまして備蓄物資の事前購入というものができることになっておりまして、仮設トイレもその保管に要する経費等の支出が認められているところでございます。

 現在におきまして、平成十四年八月現在でございますが、仮設トイレ約三万個、簡易トイレ約百万個が全国の都道府県で備蓄をされているという状況でございます。

早川分科員 次に、首都圏の防災対策についてお伺いいたします。

 東京を中心とした首都圏でも、大地震、先ほど申し上げました懸念があります南関東直下型地震、さらには東海地震など、多くの地震の発生が懸念されているところであります。

 現在、東京を中心とした首都圏での大地震に関しては、中央防災会議の専門調査会での検討が進められているわけでありますけれども、この専門調査会の検討の進捗状況と今後の予定はどのようになっているか、内閣府にお聞きしたいと思います。

 その際、首都圏における被害想定を公表されているわけですけれども、その想定される揺れあるいは津波の大きさとその被害の内容等についてお聞きしたいと思います。

柴田政府参考人 首都地域におきます発生の非常に切迫性が指摘されておりますマグニチュード七クラスの地震に対しまして、首都機能の確保策に着目した地震防災体制を確立いたしますために、平成十五年の九月に中央防災会議に首都直下地震対策専門調査会が設置され、以降、積極的に論議を重ねてまいりました。

 昨年の十一月十七日には、防災的観点から妥当と考えられます十八のケースの地震を想定し、それぞれの震度分布等を公表いたしました。さらに、十二月の十五日には、揺れ、火災等によります建物被害、死傷者の発生等の被害想定結果を公表いたしました。委員が冒頭お触れになったものでございます。また、先週、二十五日でございますが、経済被害、それから交通被害及びライフラインの施設被害、人的被害のうちの交通被害、避難者の発生等の想定を行っております。

 今回の被害想定によりまして、当初検討予定をいたしておりました一通りの被害想定が全部出そろったということになってございます。

 今後、専門調査会では、公表いたしました被害想定の結果を踏まえまして、施設の耐震化等の予防対策、それから発災時の広域応援体制などの応急対策のほか、首都中枢機能の確保策について取りまとめていく予定でございます。

 また、専門調査会での検討を踏まえまして、内閣府といたしまして、来年度には首都直下地震対策についてのマスタープランとしての大綱を取りまとめ、地震発生時の各省庁の具体の役割等を定めた活動要領の見直しを行いまして、首都地域の地震対策を強力に推進してまいりたいと考えてございます。

 また、揺れの関係につきましてでございますが、首都地域において想定した地震のうち、被害の広域性や発生の蓋然性等から重点を置いて検討すべきものというのが、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震でございます。これでは、都心部で震度六強、震度六弱が一都三県に及ぶ広域的な強い揺れが発生することになってございます。人的、物的被害につきましては、先ほど委員がお触れになったとおりでございます。経済被害についてもそうでございます。

 なお、津波につきましてでございますが、幾つかの地震については想定を行ってまいりましたが、東京湾は、地形的な特性の影響がございまして、最大となるケースで五十センチ未満と、大きな被害は想定されなかったということになってございます。

早川分科員 南関東一都三県の地方公共団体における震災時に備えての食料、物資の備蓄の現状について、これは消防庁にお伺いしたいと思います。

東尾政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の一都三県における備蓄状況でございますけれども、東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県の合計で、平成十五年四月一日現在の数字がございますけれども、ペットボトルなどの容器入りの飲料水は八万リットル、それから米が約百三万キログラム、乾パンが二百二万食、インスタントめんが約百万個となっております。

 これらについては、阪神・淡路大震災以降、各団体の備蓄は、民間の協定によるいわゆる流通備蓄も含めまして、徐々にかなり充実されてきているものと承知しております。

 消防庁といたしましては、引き続き、各地方公共団体において、水、食料等の備蓄を行いまして、みずから災害に備える体制の確立を行うよう働きかけてまいりたい、このように考えております。

早川分科員 次に、基幹的な広域防災拠点等の整備状況についてお伺いいたします。

 現在、河川による輸送のための拠点としての機能を持つ基幹的広域防災拠点の整備が、東京都の有明の丘、それから川崎の東扇島において進められております。その規模と進捗状況がどうであるかについてお伺いをしたいと思います。

 あわせて、平成九年に、内陸防災拠点整備の実現化方策検討委員会において、主要大河川と幹線道路、鉄道の結節点付近で首都圏の防災空間ネットワーク拠点となり得る地区について、高規格堤防や、これと一体で整備の進む河川管理施設を活用し、まちづくりと複合化した広域内陸防災活動拠点の整備について調査検討を図っておられると言われております。その後の調査の推進状況をお伺いしたいと思います。

 前段は内閣府、後段は国土交通省にお願いいたします。

柴田政府参考人 お尋ねの二つの広域拠点でございますが、東京の有明の丘、川崎の東扇島でございますが、これらの拠点につきましては、平常時は市民の憩いの場や防災教育の場として機能いたします。ただ、首都圏で大規模な災害が起きた際には、国と関係地方公共団体の合同の現地対策本部としての機能や物流のコントロールセンターとして機能することにいたしてございます。

 具体的に、有明の丘でございますが、十三・二ヘクタールございます。ここには、現地対策本部の機能を確保するための本部棟、ヘリポート、オープンスペースの整備を考えてございます。また、東扇島地区でございますが、これは十五・八ヘクタールの土地でございますが、荒川などの舟運を活用いたしました災害応急物資のための基地機能を確保するための諸施設、オープンスペース、入り江の整備を予定いたしてございます。

 両地区とも、平成十九年度からの一部供用開始に向けまして、オープンスペースについての設計、地盤改良などの工事を鋭意進めているところでございます。

土屋(彰)政府参考人 平成九年度から平成十年度に、国、地方公共団体などにより、お尋ねの内陸防災拠点整備の実現化方策検討委員会による調査が行われました。

 この調査で検討された内陸防災拠点につきましては実現されておりませんが、同じくこの調査会で検討された震災時における河川舟運による緊急物資等の輸送については、緊急用船着き場及び緊急用河川敷道路の整備に取り組むとともに、災害発生時の避難場所や災害応急対策活動の拠点として、物資輸送の基地やヘリポート等として活用できる河川防災ステーションの整備を進めているところでございます。

 例えば、首都圏の中心市街地を流れる荒川につきましては、地域防災計画と調整を図りつつ、荒川リバーステーション整備計画として、河川管理者が現在まで九カ所の緊急用船着き場を整備し、隅田川も含めた他の船着き場と連携した緊急時の舟運ネットワークの形成を図ることとしております。

 また、緊急用河川敷道路につきましては、延長約七十八キロメートルの整備を現在までに行っておりまして、緊急輸送道路に指定された主要幹線道路と接続しているところでございます。

 今後とも、首都圏の防災空間ネットワークの構築に向け、緊急用船着き場や緊急用河川敷道路等、震災時における救援活動や緊急用物資等の輸送あるいは復旧に資する施設の整備に取り組んでまいります。

早川分科員 次に、災害時の緊急通信網整備と第二東京タワー構想、さらに首都機能移転への取り組みについてお伺いいたします。

 テレビの地上放送が二〇一一年、デジタル波に完全に移行することに伴い、首都圏の自治体間で第二東京タワー構想をめぐって誘致合戦が白熱化しております。

 埼玉県においても、新タワー建設に向け総務省に要請を行っているところであります。さいたま新都心は、関東平野のほぼ中心にあり、地盤が安定した大宮台地に位置しておりますし、国の広域防災拠点に位置づけられた官庁施設もあり、災害時の関東地域の立地条件あるいは情報発信の基地としての条件が整っていると考えられます。

 そこで、総務省としてのお考えを伺いたいと思います。

 あわせて、首都機能の移転が議論され始めてから大変長時間かかっております。さいたま新都心には、首都圏の防災対策をバックアップし、危機管理の一環としての官庁施設があります。国の中枢機関としての国会は、これは、災害時にどこかに移転させることが必要となる可能性もあると思います。

 そこで、首都機能移転についての取り組みの状況についてお伺いをいたしたいと思います。

 前段は総務省、後段は国土交通省にお願いいたします。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の新タワー構想は、首都圏における六百メートル級の超高層タワーにつきまして、NHK及び民法キー局五社による検討が進められているものでございます。

 一昨年、平成十五年の十二月に新タワー推進を目指したプロジェクトの発足を見たわけでございますけれども、これは、事業者間で合意されたところによりますと、現在のタワーの継続利用の可能性も残しつつということにはなっております。しかしながら、いろいろなところからの提案もございまして、御指摘なさいましたように、それらの候補地について今いろいろな面からの検討が行われているというぐあいに聞いております。

 本件につきましては、基本的には放送事業者が、今申しましたように、事業経営の観点その他いろいろな角度から検討をしていただくべきものというぐあいに総務省としては認識しておりますけれども、私どもも引き続き注視して見守ってまいりたい、これが基本的スタンスでございます。

上野政府参考人 お答えいたします。

 首都機能移転につきましては、現在、国会に設置されております国会等の移転に関する政党間両院協議会において検討が進められているところでございます。

 この協議会において、昨年の十二月の二十二日に座長とりまとめがまとめられました。この中で、協議会としては、今後は、防災、とりわけ危機管理機能、いわゆるバックアップ機能の優先移転についての考え方を深めるための調査検討を行っていくこととされたと認識をしております。

 したがって、今後、協議会において防災対策の観点からの議論が進められるものと考えておりますが、国土交通省といたしましては、国会における検討が円滑に進められるよう積極的に協力してまいりたいと考えております。

早川分科員 いろいろ首都圏の防災を中心としてお伺いをしてまいりました。国土の安全を確保し、国民の安心、安全を守っていくというのは、極めて大事な国家の課題であると思います。

 最後に、防災全般の取り組みにつきまして、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 先生の御質問にお答えをいたしたいと思いますが、先生が冒頭に御発言なさいましたように、先生の国政へのチャレンジの動機が阪神・淡路大震災ということで、大変防災についての高い御見識と、それからその必要性の高い認識をお持ちだということに対しまして、担当大臣としても深く敬意を表したいというふうに思っております。

 我が国は本当に災害が多い国でございまして、先般、一月の初めに神戸市におきまして国連の世界防災会議というのを開いたわけでございますが、昨年末にスマトラの大津波がございましたものですから、参加国も一挙に大変ふえまして、百六十八カ国の参加国がございました。

 そういう中で、我々がいろいろな災害に関するプレゼンテーションをしていく中で、日本という国は実にいろいろな災害を克服して今日ここまで来たんだな、特に、阪神・淡路大震災のあの未曾有の体験を経て、十年たってここまで復興してきたということを世界の皆さんに知ってもらう、世界の皆さん方も、そうした日本の防災に対して、あるいは復興に対しての努力というものをみんなわかってくれたのではないか、こういうふうに私自身も思いました。

 そういう中で、東海地震も、あるいは東南海・南海地震、これも迫ってまいります。特に、先ごろ発表いたしました、首都直下地震につきましても被害想定を出しました。被害想定を出した後では、それに対しての対策を講じなければいけないということであります。対策の一番の中心は耐震化だ、こういうふうに思いますね。

 しかし、そういう中で、我々は、さきに申しました東海あるいは東南海・南海地震については、地震防災戦略というものを立てまして、数値目標を立てて、不幸にして地震が起こった場合でも被害をできるだけ少なくしていくという努力をしておりますし、この首都直下につきましても、先ごろ出されましたああいう被害想定に基づきまして、来年度中には大綱を出して、同じように減災の努力を世の中に示したい、こういうふうに考えておるわけでございます。

 特に、首都圏、関東圏は、我が国の経済、政治の中心でございますから、被害想定の結果を見ても、直接被害もGDPの二割になるような大変巨額なものであることは当然でございますが、間接被害が非常に大きいということになっておりますので、我が国全体のためにも、あるいは世界に対しても、防災のためあるいは減災のための努力を一層早期に進めなければいけないというふうに考えているわけでございます。

早川分科員 今、大臣から御決意を承りました。

 災害、まあ地震でありますけれども、これを予知するということは、現在の科学技術ではほとんど不可能ではないかと思います。我々としては、こういった災害に際しての被害の発生を最小限にし、さらには二次被害、三次被害の拡大防止に努める、これをしなければならない。あわせて、災害に対して強い国土づくりあるいは国民生活づくりをしていかなければならないと思います。

 冒頭に御紹介をした中央防災会議の被害想定結果の根底となる震度七の発生の確率というのが、十年以内に三〇%、三十年以内のスパンで考えれば七〇%だ、こういうふうに言われております。そういう意味では、どのような課題よりも優先して、この首都直下地震に対する国としての取り組みが求められると思います。

 東京周辺に防災拠点を整備し、さらには早急に迂回道路の確保に努め、さらには、この被害想定によれば瓦れきが八千三百万トンから九千六百万トンに及ぶというふうに言われております。こういった想定結果というのは、これは現実に我々の目の前に控えている危険であるというふうに考えております。ぜひとも、国として全力を傾注していただきたいということを要請して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松岡主査 これにて早川忠孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、長沢広明君。

長沢分科員 公明党の長沢広明でございます。

 私もきょうは防災対策を中心に質問させていただきます。

 昨年、我が国は、大変に多くの台風や洪水そして大地震と、相次いで自然災害に遭遇をいたしまして、犠牲となられました皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災され、いまだ復興の途上におられる皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 自然災害は、事前に予測できる範囲が限定されておりますし、今回の地震災害のように防ぎ切れないという面があることも事実でありまして、いざ災害が発生した際に、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するために、災害対策基本法総則には、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策等を定めることによって、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図ること等がうたわれております。

 現在、内閣府の防災担当の村田大臣を中心にさまざまな対応が検討され、手を打っていただいていると思いますけれども、現状の防災対策の中で、少しまだ取り残されている部分、見落とされているのではないかと思われる部分について、きょうは何点かお聞きをしてまいりたいというふうに思っております。

 先ほど来、ずっとこの防災で大臣大変に御苦労をされていらっしゃいますけれども、非常に大事なことは防災とそれから減災、こういうふうに言われておりまして、特に、災害時の問題につきましては、昨年の中越の大地震でも、いわゆる情報伝達手段ということが非常に注目をされていますし、重きを置かれているというふうに思います。

 私は、その中でも特に、首都圏における地震あるいは災害が起きた場合の情報伝達手段の非常に大事な角度として、地下鉄や地下街というところの対応をきちんとした方がいいのではないかというふうに思っております。

 地下鉄におきましては、一日当たりの利用者が全国で千三百三十六万人、東京地区におきましては、東京メトロと都営地下鉄で、東京メトロに五百六十七万人、都営地下鉄で二百万人の方が一日当たりに利用をされております。

 一方、地下街は、消防庁のデータによりますと、全国で六十三カ所、延べ百二十七万平方メートル、東京都には十三カ所、約三十八万平方メートルもあるということになっておりまして、この中にはビルの地下とか地下道は含まれておりませんので、そこを入れますと、さらに一日の中で地下で活動している人というのは格段にふえると思います。

 そこで、お伺いしたいんですが、このような地下鉄、地下街等で災害が起こった場合の情報伝達について、基本的には地下街あるいは地下施設の施設管理者が責任を持って放送設備などを使って情報伝達をするということになっておりますけれども、もしこのいわゆる管理者が責任を持つ放送設備等が機能しない場合、できない場合、使えない場合、こういう場合はどのような形でそれを補完するかということを法令上どのように定められているか、またどういうふうな役割をそれぞれの部署で考えているかということについて、地下鉄の場合は国土交通省、地下街については消防庁の方から、それぞれ簡単に説明いただきたいと思います。

森下政府参考人 お答えいたします。

 地下鉄につきましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令に基づきまして、列車と運転指令所間、及びトンネル内から運転指令所間に連絡できる通信設備を設けることを義務づけております。これによりまして、各地下鉄事業者は、列車無線設備及びトンネル内に沿線電話機を設けているところでございます。

 地下トンネル内で災害等が発生した場合には、この列車無線設備によりまして、運転指令からの情報を受けた列車乗務員が、車内放送や案内表示機等によりまして、鉄道利用者への情報提供を行うこととしております。また、万が一列車無線設備が使用できない場合には、トンネル内の沿線電話機を使用することとなっております。なお、この通信設備や車内放送設備は、主たる電源が絶たれた場合でも一定時間機能することとなっております。

 以上でございます。

東尾政府参考人 地下街についてお答え申し上げます。

 地下街は、消防法によりまして、放送設備などの義務づけをしておるところでございます。これは、管理権限者に対して行っておりますけれども、この放送設備については、停電時にも活用できますよう非常電源は保持しております。

 ただいま先生御指摘の、これらが万が一使えない場合のことでございますけれども、その場合においては、消防法において、従業員が利用客を安全に避難誘導するよう義務づけておりまして、これらの施設については、年に二回、その訓練も行っているところでございます。また、要所要所に安全な経路を確保しているところでございます。

 このようなことによって、放送設備の補完的体制を整えている、こういうことでございます。

長沢分科員 今御報告いただいて、一つの角度としては、今の対応は、一時的な避難誘導ということは一応確保はされているというふうに思います。

 ただし、私は、地下街あるいは地下鉄等の対応で情報伝達手段が大事だというのは、いわゆる地下から逃げるということだけではなくて、場合によっては、地上で災害が起きて、地下街に逃げるという場合もあるということを考えますと、地下街に対して、一方的な避難の、一時的な誘導の情報伝達だけではなくて、いわゆる恒常的にきちんとそこに、地下街にいる人たちに有効な情報がちゃんと伝わっていける体制、これを持っておくことは非常に大切なことだというふうに思っているわけなんです。

 その意味で、私は、いわゆる電波を使った情報伝達手段というのは非常に大事だと思っていまして、特に、ラジオを重視しておいた方がいいのではないかというふうに思っております。

 新潟の震災の発生で、テレビでも大変に生々しい映像を私たちも見て震災の悲惨さを目の当たりにしたわけですけれども、いち早く現地を訪れた我が党の調査チームの報告によりますと、道路は寸断され、電気はとまり、テレビはもちろんのこと、新聞も手にすることができなかった。

 それでは、被災された方々は何を頼りに情報を入手していたかといいますと、もちろんそれは、テレビではなく、なおかつ携帯電話でもなかった。それはラジオであったということで、被災された皆さんが肌を寄せ合って耳を傾けた先というのはラジオであったわけです。ラジオから流れるパーソナリティーのその温かい声に励まされてきた、その確かな情報に勇気を持ってきたということであります。

 放送事業者、在京の八社が、昨年の十二月に、新潟県の長岡市、小千谷市、十日町市において共同で調査した結果がありますが、それによりますと、情報収集のために最初に接触したメディアは何でしたかという質問に対して、ラジオだったと答えた人が七割、震災から一週間の間にどのメディアに接触しましたかという質問に対して、これは圧倒的にラジオで情報を得たという方が九割に達します。

 特に、新潟の災害の場合は、中越地震の場合は、家がもう崩れそうになっているのでなかなか家に帰れない、そして車の中で生活をするという方もいらっしゃって、そういう方々は、車のラジオをつけたり、あるいは自宅から携帯ラジオを持ち出したりして、余震の続く恐怖と不安の中で、ラジオの声に励まされ、勇気づけられていたという話があります。

 災害時では、携帯電話は通話が集中してかかりにくい。テレビは非常に情報量は多いですけれども、テレビそのものをつけられるという状態に災害時はなかなかならないということを考えますと、地上波のラジオの電波というのは、被災者にとっては大変有効な情報収集手段になっているということが、中越の地震の事実でもはっきりしたのではないかというふうに思っております。

 特に、私は、ラジオによる音声情報というのは、情報を得るということだけではなくて、パーソナリティーの声、そのような温かみ、こういう心と心のつながりを思わせるようなその中身に非常に災害の後の人々の心をいやす効果もありますし、大変にそういう意味では大事な手段というふうに位置づけた方がいいのではないかと思っております。このような点を含めて考えますと、ラジオが、被災者の方々の被災された直後からの行動に対して非常に大きな影響力を持つと思われます。

 これは、済みません、大臣に御認識をお伺いしたいというふうに思っておるわけなんです。

 防災担当大臣として、情報伝達手段の中で特にラジオの持つ役割、私は、ラジオの電波を防災情報として使っていくということは非常に大事なことだというふうに今お話をしたわけなんですが、そのラジオの影響力に対する大臣の御認識を少しお伺いしたいと思います。

村田国務大臣 災害が起こったときに、地震に限らずあらゆる災害でございますが、災害がこれからどういう状況になっていくか、そういう情報をまず発信することが大変必要であります。それから、その後でいろいろな被災者に対する情報を提供する必要性が生じます。

 例えば、今回の中越地震でも、いろいろな物資が届いている、あるいは、我々も何とかして、自動車の中に避難している方に対しまして、そこよりももっと自衛隊のテントの方が居住性がよくて、そういうところに移っていただきたい、あるいは、ホテル等も用意しましたよとか、そういう情報を流したいというその必要性。我々の提供できるサービスのキャパシティーと、それから需要のミスマッチというものは非常に大きくて、我々の方が提供したいのがずっと多いわけですね。それが被災者まで的確に届かないということに対して、我々はかなり苦労をしておりました。

 そういう中で、ラジオというのは大変いいなと私は思っておりましたし、事実、小千谷等へ行きまして、電池がなくてもぐるぐる回して発電しながら聞けるというものを持っている方もおられました。かつまた、地元でも、災害FM放送というものを長岡とか十日町市で開局しまして、地域のニーズに密着した情報を伝達しているということもありましたし、それから、在京の放送社の幾つかがラジオを無償供与したということもありました。そういう意味で、先生がおっしゃるように、災害時の情報伝達の手段としてラジオというものは非常に有効である、こういうふうに私自身も認識しているわけでございます。

長沢分科員 災害時の情報伝達手段としてラジオは大変に重要だという御認識を大臣に改めて表明していただきまして、本当に、私自身も同感でございます。

 ところが、大変残念なことに、特に大規模の地震の発生が懸念されている地域におきましては、地上波のラジオが聞きにくいという難聴エリアが存在をしているわけであります。NHKによりますと、NHKのラジオ第一放送は、全国二百二十三局で全世帯の九九・九%をカバーできるネットワークだということでありますけれども、特に、大都市圏では、超高層ビルによる影響とか、あるいは地下鉄、トンネル、地下街、地下道において電波が届かないという難聴エリアが存在をしております。

 地下鉄でいいますと、例えば東京では、都営地下鉄は全線でAMラジオの受信ができますけれども、東京メトロは百八十キロ全線で聴取することが全くできません。地下街におきましては、ラジオが聴取できるのは広島市内と東京の八重洲の地下街、これは聴取できるように体制がとられた。あと、横浜、川崎でも若干聞けるところがあるというふうにありますけれども、日本全体の地下街から見ますとごくわずかであります。

 地下鉄、地下道などで被災した場合、こういうところは情報が遮断される可能性が高い。被災者がパニックに陥る可能性がありますし、ここで活動される人たちの安心、安全を確保するためにも、災害発生時の情報伝達の補完体制を充実させる意味から、特に、地下鉄、地下街などの難聴エリアにつきましてはいち早く解消する必要があるというふうに訴えたいと思っておりまして、まず、この点について、国土交通省、消防庁にそれぞれ見解をお伺いしたいと思います。

森下政府参考人 お答えいたします。

 鉄道施設内で災害等が発生した場合には、一義的には、鉄道事業者におきまして、車内放送や案内表示機等により旅客に対し情報提供を実施しまして、適切な避難誘導を図ることが基本であります。しかしながら、ただいま御指摘のとおり、ラジオ放送は、災害発生時に鉄道利用者が情報を入手する手段の一つとして有効なものと認識をしております。

 お尋ねのありました防災の観点から、今後、地下鉄でラジオ放送を受信できるように措置すべきかどうかは、災害発生時の防災情報の伝達手段としてのラジオ放送の位置づけにつきまして、政府全体での防災対策や放送制作上の観点からの検討を踏まえた上で、国土交通省として鉄道事業者に対しどのような指導ができるか検討をしてまいりたいと存じております。

 以上でございます。

東尾政府参考人 地下街についてお答え申し上げます。

 先ほど御説明いたしましたとおり、消防法に限って言えば、地下街のテナントなどは既にもう避難誘導させるための義務を定めておりますので、これらに対してラジオの難聴地域の解消のための義務を課すことは難しいわけでございますけれども、より広く防災対策ということで考えますと、先ほど防災大臣からもございましたとおり、災害時における情報伝達手段としてラジオの有効性というのは極めて重要でございます。

 このため、地下街の設置管理者において、先ほど先生御指摘のように、一部そのような難聴エリアの解消に取り組んでいるところがございますけれども、私どもといたしましては、今後、地下街における難聴対策のために、例えば、地方公共団体が地下街の設置管理者となっているような場合に、防災対策基盤事業を生かしてその整備を進めるなど、多方面にわたる対策を講じながらこの解消に努めてまいりたい、このように考えております。

長沢分科員 大変すばらしい検討の角度を今言っていただきまして、地下鉄、地下街、地下難聴エリアにラジオがどう届いていくか。これは大変、私は、特に大規模な都市型の震災が場合によっては本当にきょう、あすにでも起きる可能性があるという中で、一刻も早く、打つべき手は絶対に打っておくべきだというふうに思っておりますので、全力でその検討を進めていただきたいというふうに思っております。

 難聴エリアが解消された場合、どのような効果が起こるかといいますと、これは調査でも出ているんですが、ラジオが地下街で聞こえるようになれば聞こえるようにしてほしいという人は、これも民放連のラジオ委員会の調査ですけれども、全体で六三%の人が、ラジオが聞こえるようにしてほしい、こういう答えが返っておりまして、聞こえるようになったら地下街でラジオを聞きますよという人も非常に率が高くなっているわけであります。全体として五〇%以上の人が、半数以上の人がラジオを地下街、地下鉄で利用するというふうに。

 そうしますと、今、デジタル化に伴いまして、携帯電話でテレビが見れるようになったり、今も携帯電話でラジオが聞けるようになっているという機種も出始めておりまして、そのような形で、デジタル化の中で、同時にデジタル時代のラジオの位置づけということは非常に大事な認識を持つ問題だというふうに思っております。

 今、防災の観点から国土交通省そして消防庁から御見解を伺いましたけれども、一方、電波という角度でいえば、総務省の方でラジオのあり方ということを検討されているというふうに聞いております。デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会というのが設置をされておりまして、特にアナログも含めたラジオの活用、位置づけということについては総務省の方で検討されているというふうに思いますので、この懇談会の中で主にどのような議論が行われているのか、ちょっと端的に御報告をいただければと思います。

山本副大臣 御指摘のデジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会は、昨年九月に第一回会合を開催いたしまして、以後、現在に至るまでさらに二回の会合を開いております。そこでは、ラジオのデジタル化のあり方などの発展方策に加えて、ラジオの社会的役割についても検討課題としておるところでございます。

 具体的には、新潟中越地震におけるラジオ関係の対応や、被災地域でのラジオの聴取状況等の御報告をいただき、御討議をいただいておるところでございます。その中身については、先生御指摘のとおりでございまして、ラジオのすぐれた移動性や携帯性やパーソナル性といった特徴が災害時において大きく生かされているということが懇談会での共通の認識ということになっております。

 懇談会では、今後、地下街でのラジオの難聴エリア解消に関して、またラジオの普及推進の観点、特に、先生御指摘ございました携帯電話における放送、特にFM、テレビのドッキングということもございますので、これの普及につれてのニーズが高まってくるというふうに認識をいたしております。

 そういうことの観点から、国や放送事業者等の役割はどうあるべきか、具体的にどのような取り組みを進めるべきかについて御議論をいただくことにしておりまして、その内容も踏まえつつ、総務省として対応を検討してまいりたいというふうに思っております。

長沢分科員 今報告ありましたとおり、電波の管理という角度から、総務省の懇談会の中でも、難聴エリアも含め、恐らく不感対策という形で、アナログ放送も含めたラジオの活用の仕方ということを検討されている、そういうふうになっております。

 こういうふうに今お話を伺いますと、この問題を解決するのは一体だれなのかということが逆に見えなくなっていきます。今、防災は内閣府ですが、電波の管理は総務省、施設の管理、指導は国土交通省、そして一部地下街等の防災担当として総務省の消防庁。しかし、全体の防災のキーステーションは私は内閣府にあるというふうに認識をしているわけなんですが、難聴エリアを解消するというそれだけですと、では総務省なのかと。では地下街どうするのか、いや、それは事業者の、地下街、地下鉄を持っている施設管理者の問題だ、あるいは放送事業者が努力すべき問題だということで、なかなか話が進まなくなっていくという問題があります。

 防災という観点から考えますと、災害を最小限に食いとめる努力とともに、被災後の被災者のケアという観点も非常に大事でありまして、先ほど私指摘したとおり、地下が逃げ場になる場合もあるわけで、そういう中で、恒常的にきちんと意味のある情報を被災者個人個人がちゃんと受けとめられる体制をつくっておくということは非常に大事だ。

 そういう意味で、ぜひ、私は、内閣府の防災担当大臣を中心として、総務省、国土交通省、消防庁、その他関係省庁で知恵を出し合って、ラジオの難聴エリアの解消という角度に対して有効な取り組みを進めていく、この一本化ということが大事だというふうに思っておりまして、内閣府を中心に、総務省、国土交通省、消防庁、これまでも防災という観点ではこういう枠組みはつくられていると思いますが、その中できちんと難聴エリアの解消へ向けての取り組みを開始していただきたいというふうに念願いたしますが、防災大臣、いかがでございましょうか。

村田国務大臣 私が御答弁いたしますと、あくまで防災という観点になるわけでございますけれども、そうした観点からお答えをいたしますと、あくまで災害が起こったときに情報の空白地帯がないことというのが、これがもう必須の条件になりますので、そういう観点から、我々は、防災情報をどうやって的確に十全に被災者に伝達するかという観点から、関係各省あるいは施設管理者とも話し合って、先生が御指摘のような心配ができるだけないように、そういう問題を解消していく努力を続けたいと考えております。

長沢分科員 そういう観点で、一つは、ケースワークとして、私、去年の九月に、東海地震、東南海地震の対応を視察したい、見たいということで、名古屋に行って名古屋の状況を見てまいりました。私、選挙区とも全然関係ないんですけれども、名古屋は地震対策の枠組みができている、しかも全国有数の地下街、地下鉄が走っているということで、そこでどういう対応がとられているのかということを聞いてまいりました。

 名古屋市内でラジオ放送局各社の皆様からも現状を伺いましたし、名古屋市の消防局、総務局、交通局等の担当者の方々からも、地下鉄、地下街の防災体制についてお話を伺いました。また、非常に古い地下街も、私も自分で歩いてまいりました。ラジオが聞こえるのかどうか、自分でラジオを持って地下街の中も歩いてみました。

 名古屋市内の地下鉄、地下街ではいまだラジオを受信することはできませんけれども、地元の放送局の皆さんは、NHKも民放もみんな力を合わせて防災対策やらなきゃいかぬ、東南海地震対策やらなきゃいかぬ、こういう自覚のもとに、ラジオを持って町に出ようという呼びかけをしたり、地震のたびに、その地震の情報を素早くラジオで流すというマニュアルをつくって、統一にそういうシステムをつくるという粘り強い取り組みをされております。

 名古屋市内の地下街は、一日五万五千人余りの方々が利用されている。非常に古い地下街から新しい地下街、いろいろ組み合わさっておりまして、中には非常に狭くてすぐ手が届くような、そういう地下街もあるということで、こういう中での防災対策が非常に大事だなというふうに思いました。

 地下鉄は、一日に約百二十万人の人が名古屋では利用されている。地元のラジオ関係者の皆さんからは、被害を最小に食いとめたいという熱意を感じられました。一方、名古屋市の担当者の方々とお話をしましたところ、地下街あるいは地下鉄等の地下施設における防災対策等についてはやや意識が低いような感じが私はしまして、ちょっと心配に思いました。

 放送事業者の方々がいろいろな取り組みをされ、また民間の方もいろいろな取り組みをされているんですが、特にこの名古屋という地域で、私は、特に震災対策という意味で、名古屋における取り組みの中で、例えば名古屋市あるいは県の東海地震対策の枠組みの中に、テレビ、ラジオを含めた放送事業者の方との連携をそういう場で検討するとかいうことも含めてこの取り組みをスタートしていただきたいというふうに思っておりまして、特に名古屋で取り組みをされていることについて大臣はどのように認識をされているか、また御感想をいただければというふうに思います。

村田国務大臣 名古屋でございますけれども、大変広い地下街があるわけでございますけれども、あくまでも、そうした地下街の人たちあるいは名古屋市の当局を含めまして、施設管理者とともにそうしたラジオの電波がうまく伝わるようにどういう努力をしていくか。私どもも、費用の負担の面とかそういう問題もあろうかと思うんですね。それからまた、いろんなツール、先生も御指摘になったように、携帯電話がどう発展していくのか、あるいはそのほかのメディアが開発されていくのかどうか、そういう問題点もあると思うんですね。

 一番大事なのは、一つは費用対効果という点になるかと思うんですが、しかしながら、名古屋市の地下街は大変大きな地域でございますから、そうしたところにいる住民あるいは被災者が的確な情報を得るということは最も大事なことでございますので、そうした話し合いが進められていくことを心から私も期待しているわけでございます。

長沢分科員 ありがとうございました。以上で終わります。

松岡主査 これにて長沢広明君の質疑は終了いたしました。

 次に、木村太郎君。

木村(太)分科員 おはようございます。自由民主党の木村太郎であります。

 私も貴重な時間を三十分いただきましたので、るる御質問させていただきたいと思います。ちょっと地元のこと、ローカル的な話になりますが、ただ全国的なこともありますので、随時質問させていただきたいと思います。

 まずその一つに、ことしの日本海側を中心とした豪雪地帯の雪の状況が、例年になく豪雪になっているということであります。

 先週木曜日の二十四日、この大雪に関しての各関係省庁の連絡会議というのが開催されたと聞いておりますが、実はその日、私は、党の玉沢災害対策特別委員長とともに、党の防災を担当とする専任部会長という立場で青森県に行きまして、その豪雪の実態というものを調査、視察してまいりました。近々新潟にも行く予定になっております。

 今季の冬は、気象庁は当初暖冬というような長期予報をしていたと私は認識しておりましたが、私の視察してきた地元の例でいいますと、青森市では去る二月十三日の時点で積雪が百六十三センチ、これは観測史上六番目、そして十九年ぶりの豪雪ということになっております。また、弘前市では十五日の時点で百二十二センチメートルに達しまして、これは観測史上最高ということになっておりますが、実はこの二、三日も大分雪が降りまして、きのうの時点で百四十五センチに達しまして、いわゆる観測史上の最高値というものを更新しているということであります。私ごとでありますが、自分の家の屋根の雪おろしも今季三回やりまして、地域の皆さん大変困っているということであります。

 日本海側を中心としたこの記録的な大雪、豪雪というふうに私は思っているんですが、気象庁の考え方をお示しいただきたいと思います。

長坂政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、暖冬傾向かという御質問がございましたが、ことしにつきましては、十二月の上旬から中旬にかけましては、日本各地におきまして気温が平年に比べましてかなり高目に推移をいたしました。その後、今も御質問にございましたように、年末年始、一月の十日前後、さらには二月の上旬から中旬を中心に、日本付近で一時的な冬型の気圧配置が出現しまして、これに伴う寒気の流入が繰り返されたところでございます。

 ことしの冬の温度の傾向でございますが、今申し上げましたように、最初は非常に高温でございます。その後は寒暖の変化が非常に激しいところでございまして、あえて申し上げますれば、冬全体としては若干平年に比べて暖冬傾向かということが申されようかと思います。

 ところで、次に雪の降り方でございますが、ことしにつきましては、雪の降り始めが例年に比べまして遅かったものの、先ほど申し上げましたように、年末年始以降の強い冬型の気圧配置に伴いまして、断続的に北海道、東北あるいは北陸の各地の特に山沿いを中心に大雪になっております。

 もう既に先生、数字を挙げて今御質問があったようですが、若干繰り返させていただきますと、まず一日当たりの降雪量でございますが、青森県では十二月下旬以降一日二十センチ以上の降雪、これが頻繁に見られております。例えば、青森市ではこの二カ月間に合計で八日間に及んでおります。また、新潟県の中越地方でも一日二十センチ以上の降雪にしばしば見舞われておりまして、長岡ではこの二カ月間に計六日間にわたって観測されております。中でも、二月一日には一日の降雪量が七十九センチにも及んでおります。

 積雪の深さにつきましては、先ほど先生からもございましたように、弘前で百四十五センチ、それから新潟県の中越地方の津南では、二月十二日に一九八九年の観測開始後第一の記録でございます三百六十九センチの積雪の深さを観測しておるところでございます。

 一般に申しまして、降雪量は、年々の変動がかなり大きく、かつ場所にも大きく依存する気象要素の一つでございますが、今後とも、年によっては、寒気の流入等に伴い、本年の冬、北日本で見られるような豪雪に見舞われるということは十分見込まれるところでございます。

 以上でございます。

木村(太)分科員 やはり、例年にない豪雪ということだと思います。

 そこで、雪による人的また住宅を中心とした物的被害というのはどういう状況になっているのか、お聞きしたいと思います。また、そのあかしになるでありましょう、全国で豪雪対策本部等を設置した地方自治体の数はどのぐらいに上っておるのか、お聞かせいただきたいと思います。

東尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、雪の被害でございますけれども、十六年十二月から十七年二月二十五日までの間の調査でございますけれども、全国で死者六十一名、負傷者五百五十名、住家の全半壊四十九棟、これは新潟県中越地震で全半壊認定を受けていた四十六棟を含む数字でございます。人的被害だけで見ますと、昭和六十一年の死者八十二名に次いで大きな被害となっております。

 これを受けまして、災害対策本部などの設置状況でございますけれども、法律に基づく災害対策本部、また地域防災計画に基づく災害警戒本部、これは災害対策本部を設置するまでには至らないような状況で設置するものでございますが、この状況でございますが、まず、災害対策本部は現在のところ二県五十三市町村で設置、また、警戒本部は六県百八市町村で設置されておりまして、非常に多くなっております。

木村(太)分科員 今まで御答弁いただいたことを踏まえまして大臣にお尋ねしたいと思いますが、単に大雪、豪雪というふうにしてとらえるのではなくて、災害対策基本法が定めております災害の一つとして雪害、雪の害としてとらえ、今後の対応をすべきだ、こう思いますが、防災担当大臣の御認識をいただきたいと思います。

村田国務大臣 私も、新潟中越、山古志村に行ってまいりまして、知事と一緒に屋根の上に上がりまして雪おろしを多少試みてまいりました。大変な作業だなと私自身認識して帰ってまいりました。

 ことしは本当に記録的な雪害で、私ども、先生も御指摘になりましたように、各省の連絡会議を開きまして、情報を集め、共有しつつ、これから融雪期を迎えますものですから、その対策に怠りがないように、これからも努力していきたいというふうに考えておりますが、当然、災害対策基本法の災害に豪雪も当たるわけでございます。

木村(太)分科員 ありがとうございました。

 そこで、具体的なことを幾つかお聞きしていきたいと思います。

 まず、国土交通省にお伺いしたいと思いますが、私の地元の青森県の例でいいますと、除雪費が既にもう底をつきそうでありまして、最終的には県レベルで三十一億円に達しそうである、また、県内の市町村では既に二百二十四億円を突破しまして、合わせて六十二億円ぐらい不足になる見通しがこの時点で出てまいりました。これは、新潟県を初め他の地域でも同じことの困難に直面しているというふうに思っております。

 先週の金曜日、国交省が国道、県道の除雪費に対して追加配分する方針を示され、また、市町村道、これは直接的には補助制度というのはふだんありませんけれども、過去五回、特例措置としてバックアップしているようでありますが、この市町村道に対しても、必要かどうかの調査を開始するということを国土交通大臣が示されたと聞いております。また、道路局長さんのお話ですと、あした、もう弥生三月でありますが、早目に、三月の上旬にはその方針をきちっと示していくということを発表したと聞いております。

 時期はわかりましたので、近いうちに、集計された、また調査をした結果において、いわゆる不足分の額がはっきりと確定してくると思いますが、この額に対して、どのくらいの対応がなされるものなのか、過去五回の特例措置もありましたので、いわゆる中身というものにおいての方針をお伺いしたいと思います。

増田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、県管理道路についてでございますが、県管理道路の除雪費につきましては、国土交通省において、当初配分におきまして既に補助を行っているわけでございますが、今先生から御指摘がございましたように、この冬の状況にかんがみまして、追加の配分をいたしたいということでございまして、現在、各道府県におきます降雪状況、除雪費用等を踏まえて算定をしているというところでございます。

 それから、市町村道につきましても、これも先生からお話ありましたように、通常は普通交付税及び特別交付税で財政措置するわけでございますけれども、このような全国的な豪雪の年で、地方財政の措置だけでは間に合わないような場合には、国土交通省において、幹線市町村道の除雪費についても臨時特例措置を講じてきたところでございまして、本年度におきましても、この臨時特例措置を実施する方向で現在検討を進めておりまして、御指摘の調査を行っております。

 お尋ねの補助内容、補助額の算定等の関係でございますが、できるだけ早期、三月上旬を目途に調査結果をまとめたいというふうに考えておりますが、一例を申し上げますと、豪雪地帯に指定された市町村、あるいはまた最大積雪深が百センチメートルを超える市町村というものを対象にいたしまして、かつ、積雪積算値、これは毎日の積雪深を累計した数字でございますが、これが平年のおおむね一・五倍以上となる市町村、これを対象にいたしまして、これの幹線市町村道に係ります除雪費の不足分というものを把握いたしまして、これを勘案いたしまして特例措置を講じたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、現在調査中でございますので、調査結果を踏まえて、できるだけ早期に市町村に対する支援を行いたいというふうに考えております。

木村(太)分科員 いや、私が聞きたいのは、その仕組みはわかっておりますので、大体どのぐらいの、例えば何十億不足がはっきりしたことに対して、いわゆる補助事業的にいうと国が半分出すとか、その中身を聞きたいんですね。そのルールがあるのかどうか、また、ないとすれば、過去五回の特例とかありましたから、過去の実績なんかを踏まえて、どういうような補助の内容になっていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 まず、県管理道路の追加配分につきましては……。失礼いたしました。今、当初の予算で保留してございます事業費が大体……。失礼しました。六十一億ほどございます。これだけでもし足りない場合、これは平成十二年度も行いましたが、増額を今検討したいと思っておりまして、ちなみに平成十二年度におきましては、この額にさらに二十六億円分の増額を追加したというような状況でございます。

 それから、幹線市町村道につきましては、現在、これも今調査をしておりますが、ちなみに前回の平成十二年度の特例措置の際には、対象市町村三百六十七市町村に対しまして、臨時特例措置分で約六十三億円を補助対象にしたというところでございます。

木村(太)分科員 額じゃないんですよ。額がこれからはっきりわかったことに対して、何%補助するのか。では、その今のお答えですと、具体的な平成十二年のときの額、それは不足分の何%ですということが出てくると思うんですね。そうすると、平成十二年以上に先ほど御答弁あったように豪雪になっているわけですから、それ以上の割合で補助される、そういう方針で皆さん頑張るという決意を示していただきたいんですよ。

増田政府参考人 今、調査、積算中でございますが、先生御指摘のように、できるだけやりくりをしながら、地元県市町村の要望にはこたえられるような形で積み上げてまいりたいと思っております。

木村(太)分科員 ぜひ、平成十二年以上の豪雪でありますので、しっかり、示された額に対して、平成十二年以上の割合で皆さんの御支援をお願いしたいと思います。

 次に、農林水産関係についてお伺いしますが、当日、玉沢委員長と視察したときに、地元のリンゴ園地も視察してまいりました。特に矮化が進んでいる地域は、これから雪が解けていくに当たって枝が折れていく、また、そういう状況がもう既に発生しておるわけであります。

 現地の生産者あるいは生産団体の代表から直接言われたことの一つに、そういう被害が少しでも出ないようにみずから作業をするために、農道、林道の幹線的な道路だけでも除雪してくれないかというようなお話がありました。ただ、先ほど来言ったように、県も市町村も除雪費がもう底をついている、農道なんかには目を向ける状況ではありません。こういう御意見をどう農水省としてとらえるか、お伺いしたい。

 また、もう一つ言われたのが、私も初めて知ったんですが、雪を少しずつ解かすために炭を用いるという方法があるんだそうでして、こういったことにも、雪というのは毎年降るわけですから、しっかりとした助成みたいなものも考えてくれないかというような御意見もありました。また、果樹共済についても、これは対象になるのかどうか、ぜひ国の方に問い合わせをしてほしいというようなことも現地で生産者サイドから言われましたが、こういった点についてお聞かせいただきたいと思います。

南部政府参考人 御説明いたします。

 農道につきましては、農業の生産性の向上でありますとか農産物の流通の合理化を図るため、また、農村地域で生活環境の改善に資するために整備を進めているところでございます。

 このような農道につきまして、管理は主に市町村の方で行われておりまして、除雪対策というようなものにつきましては、積雪期におきます農道の利用の実態を踏まえて、管理者である市町村におきまして必要な対策が講じられているものと私どもは認識しております。

 ただ、その管理者の方が、既設の農道であっても、除雪なりそういうものが必要であることとか、新たに防雪対策でありますとかそういうものが必要とされる場合には、本来の農道の整備事業は当然でございますが、別途、整備された農道としても、農道環境整備事業という事業を持っておりまして、それによりまして、既設の農道の必要な場所に防雪さくでありますとか消雪パイプというようなものの施設を整備することへの支援を行っておるところでございまして、現地のそういう雪の状況を見て、市町村、県とも話をして支援してまいりたいというふうに考えております。

 それから、先ほどお話しいただきました炭をまくという話でございますけれども、炭は黒うございまして、雪を解かしたり農地の土壌の改良というようなものに効果があるものでございます。特に寒冷地の水田や畑などでやられているというふうに承知しておりますが、このような融雪剤の散布につきましては、営農の一環として行われているものがございまして、これは一つは営農の一環としてやられているものだろう。もう一つ、農道の除雪ということで行われるということになれば、管理者である市町村がその管理の中でやっておられる、もしくはやられるというふうに考えているものでございます。

佐藤(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 果樹共済につきましては、御承知のように、果実の収穫高を補償する収穫共済と、資産でございます樹体そのものの被害を補償する樹体共済がございます。御指摘のような、リンゴの枝が積雪により折れた場合につきましては、樹体共済の補償対象となるわけでございます。

 しかしながら、果樹共済の実施に当たりましては、どの共済を採用するかは、地元の農家の意向に従いまして、農業共済組合で自主的に選択することとなっております。これまでのところ、リンゴの樹体共済を実施している県はそれほど多くない状況にございます。主産県の青森県におかれましても、現在のところ、実施されておられないという状況にございます。

 しかしながら、豪雪地帯におきまして、積雪等によります樹体の損傷に対して、樹体共済は有効な対策の手段と考えられますので、農家の声をよく聞きまして、できるだけこれに沿った形での共済の実施がなされるよう、農業共済団体を指導してまいりたいと考えているところでございます。

木村(太)分科員 農道の件の管理は市町村がやるということは私も承知しています。しかし、その市町村が、除雪費がもう底をついてしまって不足分が出ている、そういう状況ですので、何とかならないかという現地での声であったわけですね。先ほど答弁で、最後、県ともいろいろ連絡をとるということでありますから、ぜひ連絡を密にして、対応できることを少しでも御支援いただければなというふうに思います。

 次に、総務省にお聞きしたいと思っておりましたが、先ほどの答弁でありました対策本部等、かなりの市町村が設置しているようであります。ということは、その市町村の財政にも大変悪影響を与えているということでありますので、ぜひ特別地方交付税の配分等において最大限バックアップしていただきたいというふうにお聞きしようと思いましたが、既にその方針を示されているということでありますので、御要望にしておきたいと思います。

 次に、国交省にもう一つ聞きますが、実は私も今、国会からの推薦で、また大臣からの辞令をいただきまして、国土審議会の中の豪雪地帯対策に係る特別委員のメンバーに加えさせていただいております。これだけの豪雪であっても、いつか雪は解けるわけでありますから、形に残るものは、幾らお金を費やしてもないわけであります。しかし、形に残る、また投資的な意味を持って抜本的な雪対策ということを考えますと、流雪溝や消雪溝の整備ということが大事だと思います。この整備に対しての今後の進め方というものをお聞かせいただきたいと思います。

増田政府参考人 冬期の道路の交通を確保するための方策等につきましては、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法という法律がございまして、この法律に基づきまして、除雪事業のほかに、防雪事業といたしまして、今御指摘がありました消雪施設、融雪施設の整備、それから凍雪害防止事業といたしまして、例えば流雪溝の整備等を行っているわけでございます。先生御指摘のように、流雪溝でありますとか消融雪施設は、除雪作業の軽減や円滑化を図る上で大変有効な施設と認識しておりまして、整備の促進に努めております。

 これらの施設につきましては、特に中心市街地や駅周辺等の歩行者の多い地区について中心に支援をいたしておるところでございますが、中心市街地や駅周辺等の地区以外におきましても、流雪溝につきましては人家連檐部等で、また消融雪施設につきましては人家連檐部のほか急な坂道や交差点ということで整備を進めているところでございます。

 ただ、これらの施設の整備に当たりましては、水源の確保でありますとかあるいは地域住民の方々の協力などが必要なわけでありますけれども、これらの方々との協調のもと、しっかりと整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

木村(太)分科員 そういう仕組みであることは私もある程度知っています。だから、今現在どのぐらい整備して、例えば今後五年間でどのぐらい整備したいとか、そういうことを聞きたいんですよ。制度の仕組みみたいなことは私も知っています。

増田政府参考人 ただいま申し上げました雪寒対策につきましては、平成十五年度を初年度とする五カ年計画を決めて進めております。そういった中で整備を進めておるところでございます。

木村(太)分科員 だから、何%になるんですか。豪雪地帯、特別豪雪地帯の何%をカバーするとか、もちろん、地理的にできないところもあります、水が必要ですから。そういうことを聞いているんですよ。そういうことをちゃんと、事前に質問取りに来たでしょう。そういうことをきちっと答えてくださいよ。

松岡主査 通告もあったんでしょうから、質問の趣旨に的確に答えてください。

増田政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。

 ただいま申し上げました五カ年計画の内容としては、除雪六万五千キロメートル、それから防雪千七百キロメートル、それから凍雪害防止千キロメートルという五カ年の計画を平成十五年の十月に閣議決定いたしております。

 現在の整備状況でございますが、関連部分を申し上げますと、いわゆる消雪パイプ類、消雪施設、消雪パイプにつきましては、一般国道から市町村道まで計で三千九百二十一キロ、既に整備が済んでおります。それから、流雪溝につきましては、これも一般国道から市町村道まで計でございますが千四百四十四キロ、整備済みということでございます。

木村(太)分科員 時間がなくなりましたので急いで聞きますが、最後に防災関係で、実は地元でカンボジア船籍の船が座礁しまして、油が少し漏れ始めている、また、積んでいた木材が海岸沿いに流れ出ているということになっております。これに対しての国としてのバックアップをぜひお聞かせいただきたい。

矢部政府参考人 お答えを申し上げます。

 二月十一日に、カンボジア籍船ヘレナ二号が座礁したという情報を得ております。現在、海上保安庁及び関係自治体において対応を行っているところでございます。

 海上保安庁からは、二月十八日に、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づきます油防除措置要請が関係自治体に発出されております。油防除及び座礁船舶の撤去につきましては、船主が適切な対応を行うことが前提でございますが、しかしながら、船主が適切な対応を図らない場合には、関係自治体が措置を行い、船主に費用の請求を行うことになります。国におきましては、万が一船主による費用の支払いがなされないときに備えまして、自治体に対する財政的な支援制度を設けているところでございます。

 今後は、補助の要件に該当するかなど、自治体と国とで相談の上、適切に対応をしてまいりたいと思います。

木村(太)分科員 ぜひお願いしたいと思います。

 あと一分ぐらいあるみたいですので、最後にお聞きしますが、実は、昨年の暮れの防衛の新たな大綱、あるいは中期防衛計画をつくる中で、財務省の考え方がどんと示されまして、全国幾つかの駐屯地、基地等の廃止みたいな報道が大きくありました。その中の一つに、私の地元の陸上自衛隊弘前駐屯地もなくなるかのような報道があったわけでありますが、私も、防衛の政務官を経験した一人としても、全くなくなるということはあり得ないと考えております。この場において、防衛庁の考え方、弘前駐屯地の安全保障上の位置づけ等、ぜひお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

飯原政府参考人 弘前駐屯地につきましては、我が国の防衛及び大規模災害への対応といった観点から、地域において重要な役割を果たしておると考えておりまして、引き続き今後とも重要な役割を果たしていくものだと考えております。

木村(太)分科員 ありがとうございました。

松岡主査 これにて木村太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉房穂君。

泉(房)分科員 民主党の泉房穂です。

 きょうは、被災者支援におけるいわゆる公助、共助、自助のうちの共助のあり方につきまして、村田防災大臣、また国家公安委員長でもある村田大臣に対しまして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 村田防災大臣に対しましては、被災者生活再建支援法という形で何度か御質問させていただいております。その際もよく大臣の方からも、被災者支援につきましては自助、共助、公助、このバランスが重要である、そのようなお話をいただいております。

 自助と申しますのは、例えば耐震化であるとか地震保険への加入、みずからできることはしておくということであります。公助といいますのは、まさに被災者生活再建支援法のように、税金をもってどの程度公的に支援をしていくかという問題であります。そしてもう一つ、本日質問させていただく共助、具体的にはボランティアの活用であるとか、また義援金、お金に限りません、毛布とか飲料水など、そういったものをいかに有効に、適切に迅速に分配していくか、そういった問題も極めて重要であろうと思います。

 そこで、まず冒頭、大臣に対しまして、この共助の重要性、ボランティアや義援金などの被災者支援における重要性、また自助、共助、公助のうち、私としては、やはり財源に限りのあるこの時代におきましては共助の重要性というのが極めて大きいものと考えますが、大臣の認識をまず問いたいと思います。

村田国務大臣 泉先生とは何回も議論をさせていただきましたが、本日は冒頭から自助、共助、公助のバランスが被災者の支援については大切であるという御指摘を受けまして、大変ありがたく思っております。今後とも、そうした意味で、そのバランスについて正しい御理解をいただきたいというふうに思っております。

 ボランティアあるいは義援金、あるいはいろいろな支援物資につきましては、我々、公助あるいは自助の努力をサポートする、こういう意味で、大変崇高な意思に基づく共助ということで、高く評価しているわけでございます。そうした共助の差し出しといいますか、御協力がスムーズに行えるように、私どもはその環境の整備に努めなければいけないというふうに考えております。すなわち、支援をするときの、差し出す方のときのいろいろな問題、配分のときのいろいろな問題については環境整備に努めなければいけないというふうに理解をしておるところでございます。

泉(房)分科員 ボランティアにつきましてはまた後の方でまとめて御質問したいと思いますが、先に義援金などにつきまして御質問したいと思います。

 現状認識でありますけれども、今回の例えば新潟などにおきましても、いわゆる生活再建支援法によって支援をしていくというのも極めて重要であるともちろん私も思っておりますが、そうでなくても、義援金という形で被災者のもとに一定の金額が渡っていく、そのことによって随分助かる面もあろうかと思います。しかし、その配分の方法、時期とか、迅速な分配ができているのか、また適切な、つまり、集まった善意のお金が有効に、本当に適切に使われているのか、このあたりにつきましては、どの程度きっちりしているのかということにつきましていろいろ議論もあろうかと思います。

 このあたり、大臣の認識としまして、また、いろいろ私としては、もう少し工夫の余地もあるのではなかろうか、もっと速やかに、かつ、もっと適切に分配できるような工夫の余地があるのではないかと思うのですが、この点、一般論で結構ですが、大臣の認識を問いたいと思います。

村田国務大臣 義援金につきましては、公平に配分されるということが一番大事なことであろうかと思うんですね。しかし、他方、公平ということに加えまして、やはりできるだけ早く配分されるということが被災者のニーズの観点からも大切だな、こういうふうに思っているわけです。したがいまして、公平かつ迅速に配分するためには、あらかじめ配分の基準をつくっておかなければいけない、こういうことなんだろうと思うのです。

 集まった、寄せられた義援金は地方公共団体が責任を持って配分する、こういう仕組みになっておりまして、その配分に当たってのルールでございますが、厚生労働省におきまして、大変多くのノウハウを積み重ねておられます日本赤十字社が策定しておる、義援金取り扱いのガイドラインというものをこしらえておりまして、そうしたものによって配分される、こういうことが今なされている、こういうふうに思っているわけでございます。私どもは、そうした義援金取り扱いのガイドラインによって、これを参考にして地方公共団体が配分するようにということで、都道府県にその趣旨の徹底を図っている、こういうことでございます。

 ちなみに、新潟の中越地震において二百億円を超える義援金が寄せられて、大変ありがたく思っているわけでございますが、これは一遍に全部ばんと配分するわけではなくて、何回かに分けて、もちろんボランティアの方にも配分されることがございますが、新潟中越地震の場合には十一月二十日に第一回分が配分された、こういうふうに聞いております。

泉(房)分科員 このお金の問題につきましては、まさに大臣おっしゃったように、公平かつ迅速というのが極めて重要である、全く同感であります。

 しかしながら、最近の新聞やテレビなどを見ておりますと、いわゆる津波詐欺という言葉もあるようですけれども、例えばそういった被災者支援をかたってお金を集めて、そのお金を適正に処理せずにみずからの懐に入れてしまう、そういったことが横行している。これは、日本だけのことではありません。海外でもスマトラ沖地震に関してそういったことがなされている、非常に問題であるというような指摘が、各マスコミでもなされております。

 こういったことにつきまして、大臣としてもゆゆしき問題であろうと認識されていると思いますが、この点の御認識はいかがでしょうか。

村田国務大臣 せっかくの個人としての善意をそうした形で踏みにじる行為はまことに許せない、こういうふうに思いますので、詐欺ということであれば、法と証拠に基づいて私どもとしては厳正な対処が必要である、こういうふうに認識をしております。

泉(房)分科員 今、大臣の方から直接お言葉もありましたが、まさに人の善意を踏みにじる、許すまじき行為だと思います。

 ただ、ところが、この問題につきましては、もちろん被災者支援だけの分野ではありません。ボランティアにつきましても、もちろん被災者ボランティアもあれば、福祉のボランティアもあります。このような善意の募金につきましても、被災者の分野に限らず、物すごい広い問題ではあります。

 例えば、街頭募金などにおきましても、まさに難病の子供たちを救おうということでお金を集めて懐に入れたり、また、例えば拉致被害者の家族会のような装いをしながらお金を集めている。町でそういうのを見かけますと、皆さん、被災者支援、また難病支援、拉致被害者支援、そういったことで頑張っているんだなという認識のもとに、百円とか、中には千円とか、お金をその募金箱に入れる方もおられると思います。

 ところが、その募金が全く有効に使われることなく、いわゆる詐欺ないし横領に当たるような形で犯罪になってしまっている、こういった指摘が最近テレビ報道などでもなされておりますが、こういった問題につきまして、一体、実態把握はどの程度できているのか、これは警察の分野かもしれませんが、このあたり、どの程度実態を把握できているのかについて問いたいと思います。

岡田政府参考人 今、委員から、義援金についての実態というお話がございました。

 善意で義援金を出される方もたくさんいると思いますが、時に、それを詐欺に使うといったことも見られるところでありますし、義援金ばかりではなくて、災害時に事故に遭ったとか、災害時の救助が必要だということで、自衛隊をかたったり、あるいは消防署員をかたっての詐欺行為等もかなり行われておりますし、そうしたことは私ども警察としてもかなり重大な問題と考えておりますし、その手口は、多くの場合、振り込め詐欺のような形にもなりますし、あるいは直接街頭募金のような形にもなっていると思います。

 そうしたことの実態を的確に踏まえて、先ほど大臣の答弁にございましたように、私ども、具体的な事実が犯罪になるものであれば、法と証拠に基づいて適切に対処してまいりたい、こう考えております。

泉(房)分科員 極めて重要な問題であるという認識は今お伺いしましたが、では、実際こういった犯罪が横行しておる実態の中で、どの程度現状で対策がとれているのかという問題であります。

 今おっしゃったように、いわゆる振り込め詐欺のような場合、さきの臨時国会でも本人確認法の改正、また今国会でも携帯電話の規制など、いろいろ対策はとられていっているようにも思います。ただ、いわゆる街頭などでお金を集めた場合、全く野放し状態になっているのではないか、そのような指摘がなされておりまして、まさに全く規制が及ばない状況にあるのではないかということを非常に危惧しております。

 具体的には、道路使用許可をとる者もおりますが、とらなくても、もちろん募金は集められます。その集めた募金について、どこに使ったかということを後で問われることもほとんどない状況じゃないかということを極めて危惧しております。

 今御答弁ありましたが、実際、では、そういった実際上犯罪が横行していると思われるにもかかわらず、検挙事例はあるのかどうか、実際に警察としてそういった取り締まりがなされているのかどうか、現状の取り締まり状況について問いたいと思います。

岡田政府参考人 検挙状況についてお尋ねでございますが、義援金絡みのものといたしましては、阪神大震災のときに、それを名目として詐欺をした者が逮捕されたという報告を受けております。

 それから、この前の中越地震におきましては、これは義援金ということではございませんでしたけれども、たしか消防署員をかたって詐欺未遂になった事案を検挙したりしております。

 それから、街頭の違法な募金活動といいますか、そうした報道がなされていることについては私どもも承知しておりますし、関心を持って見ておりますが、そうした事例について詐欺という形で検挙になったというものは、ほかの道路交通法違反とかそういったものについては別として、私どもでは現時点ではまだ報告を受けておりません。

泉(房)分科員 今まさに答弁があったとおり、街頭募金をかたった悪質な詐欺行為というものは昔から指摘されており、中には、地方公共団体の中ではそういった条例というものを制定している自治体もあるようですけれども、ただ、国の対策としては本当に不十分ではないかというふうに危惧いたしております。

 現行法上、一体どのような対策をとり得るのかといったときに、実効性ある対策というものがなかなか難しいのではないかというふうにも思いますが、このあたり、現行法上でも十分な実効性ある対策がとれるとお考えなのか、何らかの検討を要するとお考えなのか、質問したいと思います。

岡田政府参考人 御案内のように、この種のものだけではなくて、ここ数年の犯罪状況を見てまいりますと、詐欺罪を初めとする知能犯罪が急激に増加をしております。そのために、私どももそれなりの体制もとっておりますし、さまざまなことをやってきておりますが、いずれにいたしましても、犯罪が起きたときに、必ずしもすべての事件が検挙されるわけではございません。しかし、私どもとしては、与えられた条件の中で、法と証拠に基づいて厳正に対処していくという基本方針でやっているところでございます。

泉(房)分科員 法と証拠に基づいて厳正に対処というのは決まり文句なんですが、この問題は、法と証拠がなかなか難しいといったところにまず問題の所在があるというのは御案内のとおりだと思います。

 実際上、募金箱にカンパする方は、通りすがりで、被災者支援だな、難病の方の子供を救うんだな、拉致被害者のためになるんだなと思って、本当にまさに善意でカンパをするわけですね。でも、その後、そのお金がどう使われたかにつきまして、個々の方が関心を持ってチェックできるものでもありません。実際、そのお金が本当にどこに行くかということをやはり公的な一定の規制などをしていかないと、本当に野放し状態が放置され続けてしまいます。

 これは、まさに被害者の問題でもありますけれども、まじめにやっておられる拉致被害者の家族の方、難病の支援をしているそういう家族の方、被災者支援に取り組むまじめな方々に対しても本当に迷惑な話でありまして、人の善意を踏みにじる行為を放置していいはずがないと思うわけです。

 そこで問いたいのは、現行法上、実効的な対策が困難なのであれば、やはり何らかの対策についての検討を始めてはいかがか、こういう質問であります。少なくとも実態調査につきましてはまだ不十分だと思いますので、実態調査を始めてはいかがか、また、実効的な対策があり得るかどうかの、まず検討で結構ですが、こういったことを始めるおつもりはおありかどうかを問いたいと思います。

岡田政府参考人 委員おっしゃいますように、善意の人たちの気持ちをネタにしてこの種の犯罪を犯すというのは、大変重いことだろうと思います。そういう意味では、検挙された場合には、かなり情状の悪質な犯罪として処理されることになるだろうと思います。そういった抑止力というのは一つあるんだろうと思いますが、そのほか、そうした行為に対する規制のあり方については、さまざまな考え方、やり方というのは当然あり得るのだろうと思います。

 それで、それにつきまして、では具体的にどのような規制が必要かとか、あるいは実態はどういうものであるかということについては、そういった法整備をするとすれば、その趣旨なり目的、あるいは規制の方法、そういったものを総合的に検討して結論が出されるものだろうと思いますが、私どもは私どもの立場として、厳正な取り締まりをしていくとともに、あわせて、そうした検挙活動その他の活動からこの種の違法行為の実態の把握に努めてまいりたい、このように思っております。

泉(房)分科員 今の答弁ですが、こう聞いてよろしいんでしょうか。実態把握にさらに努めていく、また、法整備が必要か否かについても検討をしていくという理解でよろしいでしょうか。

岡田政府参考人 法整備という点につきましては、恐らく、必ずしもすべての規制なりなんなりを警察庁がやるというものではなかろうと思いますので、さまざまな立場、さまざまな人といいますか、組織なり、あるいは国会議員さんも含めてでありますけれども、関連してくるだろうと思いますので、私どもは私どもの立場として、実態を踏まえた上で、どうすべきかということがあれば当然検討してまいる、こういうことでございます。

泉(房)分科員 答弁としては、非常にまだ、現時点でその程度なのかもしれませんが、大臣、もしよろしければ、今のやりとりを聞いて、この問題について、防災大臣の立場で結構ですが、被災者支援に対して善意を踏みにじるような行為についてやはり一定の、何らかの対策が必要ではないかと思うんですが、このあたり、お立場もおありでしょうが、一言お願いしたいと思います。

村田国務大臣 では、国家公安委員長の立場としてお答えをさせていただきます。

 やはり、今局長が答弁申し上げたように、実態ですよね。例えば、そうした行為が組織犯罪の団体に流れるというような実態を把握している場合には、我々は我々の責任としても動いていかなければいけないということだろうと思いますので、警察は警察の立場として、これがどういうものか、どういうことが行われているのか、資金がどこに流れているのか、かつまた、そういう事例が非常に多いのかどうか、そういうことについてやはり実態把握が先行する、こういうことではないかなというふうに思います。

泉(房)分科員 確認ですが、大臣、実態把握に努めていくという理解でよろしいでしょうか。

村田国務大臣 警察としては、そういう違法行為と疑われる実態があるならば、常にアンテナを高くして実態把握に努めているということではないかと思っております。

泉(房)分科員 本日の質問はこの程度にして、実態把握をなさるということですので、少し時間を置きまして、実態把握をした上でどういった対応が必要か、そのあたりをまた質問していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そして、もう一つ、ボランティアの問題について問いたいと思います。

 この問題につきましては、政府としても非常に前向きに取り組んでおられるのではないかというふうに感じております。

 そこで、まず具体的に、現時点におけるボランティアの支援といいますか、活用についての政府の取り組みのポイント、そして今後の予定などにつきまして、まず総論として問いたいと思います。

村田国務大臣 ボランティアという活動が世間一般に認識され始めたのはやはり十年前の阪神・淡路大震災であろうか、こういうふうに思いますね。人呼んで、その年、今から十年前でございますが、ボランティア元年、こういうふうに称されているわけです。

 その後、目立つ動きとしては、ロシアのナホトカ号のときも私も行きましたけれども、大変なことでありましたけれども、みんな油だらけになりながらお手伝いをしていただきました。

 ことしになっても、中越地震でも八万人を超える方が参加していただきました。不幸にして一人亡くなられてしまいましたけれども、私どもとしては、自分の貴重な時間をなげうって被災者の支援に駆けつけてくれるという方々の善意には本当に頭の下がる思いをしておりますが、一方で、多彩な、かつきめ細かな災害地に対するサービスの提供ということを考えたときには、もはやボランティアはなくてはならない存在だ、こういうふうに私どもも認識しております。

 そこで、政府の認識、それからどういうことをやっているかということは、やはり受け入れ態勢をきちんとするということが一番大切。だから、被災地の自治体がボランティアを受け入れる、そういう認識をきちんと持つことによって、ボランティアの活動状況もまるっきり変わってくるし、被災者に対しての協力というか、助かる度合いといいますか、それも格段に向上する、こういうことではないかというふうに思います。

 それとともに、今度はボランティアも、わっと押し寄せただけでは、烏合の衆になって、かえって非効率で邪魔になるという事態もありますから、一方で地方公共団体が受け入れ態勢をきちんとするということと同様に、今度はコーディネーターというのが必要になってくるわけで、コーディネーターという動きも、あるいはそういうボランティアの知識と経験にたけた人たちも大変蓄積が出てきておりまして、大変好ましいことではないかなというふうに思っております。

 政府としてやるべきことは、そうしたボランティアの活動の場を広くかつスムーズにするための環境整備をやっていくということが、政府に課せられた使命ではないかというふうに思っております。そのために、政府としては、昨年も二回、そのうち一回は私が出させていただきましたけれども、ボランティアの集いとか懇談会みたいなものを催しまして、ボランティアの抱える問題について的確にそのニーズを我々が把握していく、こういうことが必要ではないかなというふうに思っております。

 要は、地方公共団体の受け入れ態勢が一つ。もう一個はお金の問題ですね。交通費とかそういうものも必要で、いかにボランティアであっても必要であろうし、そういうことが御要望の主たる内容であったかなというふうに私どもは理解をしております。

 あわせて、ボランティア保険なんというものができましたので、不幸にしてそういう事件が起こった場合には対応する体制というものもきちんとできているということでございます。

泉(房)分科員 今の大臣の答弁は非常にありがたい、認識を共有するものでありますが、おっしゃるように、やはり幾つか重要なポイントがあって、受け入れ態勢の整備、またボランティアコーディネーターの育成などは非常に重要だ、全く同感であります。

 そこで、この受け入れ態勢なんですが、これはもう起こってからばたばたするのではなくて、あらかじめきっちりと体制を整備しておく、これは重要だと思うんですね。

 ただ、残念ながら、災害というのはどこでいつ起こるかというのがわからないものですから、神戸の場合などでも、本当にまさか関西にあんな大きな地震が来ると思っておりませんでしたし、今回の新潟も地震が来るというような予想が特にあったわけでもありません。

 とすると、全国の津々浦々、どの市町村などでも、やはりそういった事前の体制整備がどうしても大事だと思うんですね。ところが、地域防災計画にこういったボランティアの受け入れ態勢を決めているところもありますけれども、まだそう多くないのではないか。そのあたり、きっちりと事前の準備をしていただく。もちろん、国と地方の関係がありますから無理強いもできないんでしょうが、やはり全国津々浦々でちゃんと事前に準備をしておく、そういったことは極めて重要であろうと思いますが、このあたり、御認識はいかがでしょうか。

村田国務大臣 ボランティアと地域防災計画、あるいは地域防災計画におけるボランティアの位置づけでございますが、私どもは、先ほど答弁申し上げましたように、国としても地方公共団体においても、ボランティアというものは、その役割の重要性というものはことごとく認識をしている、こういうふうに思うんですね。

 その上で、では、地域防災計画にどうやってボランティアを位置づけるかということについては、地域の特色もあるし、まさにボランティアなんで、その地域のニーズとの関係で決まってくるということで、どこまできっちりと決めるのが適切かどうか、あるいは、ボランティアの自由な活動を妨げるような決め方をしても余りよくないだろうし、そこはなかなか難しいところがあるのでございます。

 地域の実情に応じて考えていってもらいたいということが、地域防災計画とボランティアの関係ということではないでしょうか。地域、地方公共団体でどういうボランティアの活用方法を考えるかということで決まっていくんじゃないかなというふうに私は理解しております。私はむしろ、かなり自由度があっていいのではないかと思っております。

泉(房)分科員 ボランティアの問題については、実際、地震が起きた被災地などは、本当にちゃんとやらなきゃいけないという認識を強く持ってその後もきっちりしていくんですが、なかなか我がことと思えない部分は、大事だとは思いながら、ボランティアの重要性についてはどなたも否定はしないんですけれども、大事だと思っても、きっちりと、では、本当に災害が起こったときに、だれがどういった形で連携をしていって、どういった公共施設を提供するなども含めてちゃんとしておかないと、本当に災害というのは急に起こり、かつ、本当にいろいろなことをしなきゃいけないものですから、やはりあらかじめ準備できることはしておくにこしたことはない。

 しかも、地震に遭った被災地だけではなくて、やはり国がある意味のイニシアチブをとって、そういうふうになる方向を探っていただきたい。これは一応私の意見として聞いていただければと思います。

 そして、時間の限りもありますので、先ほど大臣の方からも、十年前のボランティア元年、阪神・淡路大震災のお話をいただきました。一月十八日、国連防災世界会議にもお越しいただきまして、ありがとうございました。

 そのとき、大臣として実際に足を運ばれて、やはり十年たってもまだまだ被災地は大変だという思いもされたのではないかと思いますし、ボランティアの重要性も改めて御認識いただいたのではないかと思うんですけれども、そこで、一月十七日を忘れないという形で、神戸市や兵庫県などは強く言っております。その一月十七日の持つ意味というものは、まさに大臣おっしゃったように、ボランティア元年に象徴されるように、本当に助け合いの精神の始まりであったと思います。

 この一月十七日、閣議決定で防災とボランティアの日と定められておりますが、若干のイベントをする程度にとどまっているのかなと思います。この日の持つ意味を、もう少し内容を充実化させていく、こういった工夫の余地もあるのではないかと思うのですが、このあたり、いかがでしょうか。

村田国務大臣 一月十七日をボランティアの日というふうに決めまして、その前後の日をボランティア週間、こういうふうに決めております。

 ことしは、国連世界防災会議が神戸で行われましたので、あの会議の中でもボランティアの参加をいただいての会議を開いたわけでございまして、そして、国連の会議のセッションの中でも、ボランティアの代表をお招きして御発言もいただいた、こういうことでございます。

 ボランティアについては、ボランティアと災害というのはもう切っても切れない関係にございますので、ボランティアと地方公共団体、あるいはボランティアと住民のつながり、あるいは訓練への参加等々、ボランティアの存在というものをもっともっと幅広く国民に認知するような努力を政府としても続けていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

泉(房)分科員 ありがとうございました。

 大臣とはまた、被災者生活再建支援法、公助の問題でもまた質問したいと思いますが、私も、公助も大事ですが、共助の重要性は極めて認識しておりますので、大臣と認識は同じだと思っていただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

松岡主査 これにて泉房穂君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

松岡主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、核燃料サイクル問題を中心に質問させていただきたいと思います。

 青森県は、今、来年七月の再処理工場稼働に向けて、ウラン燃料を用いてのウラン試験が開始されております。むつ市が立地要請をした中間貯蔵施設、プルサーマルの燃料となるMOX燃料加工施設など、原子力施設の集中立地が進められようとしていることに強い危惧を持っております。県民は、この間の相次ぐ事故やトラブル隠しなどで、原子力行政に対する一層の不信感を募らせています。

 こうした中で、注目されていた新原子力長計の中間取りまとめが昨年十一月に発表されましたが、結果として、使用済み燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする、いわば従来の全量再処理路線を改めて基本方針とすることとされました。

 しかし、これは、高速増殖炉の破綻やプルサーマル路線の行き詰まりを反映し、再処理能力を超えた使用済み燃料は中間貯蔵をするということで、当面の矛盾をすべて棚上げにしただけにすぎず、到底納得できるものではありません。再処理ありき、その前提には原発増設ありきの国策が、出口のない苦しみを県民に押しつけているということを、まず強く指摘しておきたいと思います。

 そこで、初めに原子力委員会に伺いますが、原子力長計の改定作業に当たっては、昨年一月からご意見を聴く会などが重ねられてまいりましたが、こうした国民から出された意見をどのように計画の中に反映させる努力があったのか、まず伺いたいと思います。

塩沢政府参考人 ただいま先生から御質問のありましたように、原子力委員会におきましては、昨年六月から新計画の策定会議というのを行っております。この審議はすべて公開で行っておりまして、先生御指摘の核燃料サイクルについての中間取りまとめを行うに際しても、すべての資料、すべての議論を公開して、十八回、延べ四十五時間余にわたる審議を経まして、中間取りまとめを行った次第でございます。

 核燃料サイクル政策についての評価を行うに当たりましては、極力、政策選択の根拠の明確化を図るという観点から、使用済み燃料の直接処分も含め四つの基本的なシナリオを設定し、エネルギーセキュリティー、高レベル放射性廃棄物の発生量等の環境適合性、経済性等の十個の視点からできるだけ定量的に評価をし、これを総合評価した上で中間取りまとめに至った次第でございます。

 これも先生御指摘ございましたが、この間、ご意見を聴く会等の開催により国民各層の意見を幅広く聴取させていただきまして、その結果については、新計画策定会議で紹介し、中間的取りまとめの審議に反映をいたした次第でございます。

 いずれにいたしましても、今後、中間取りまとめ、あるいは各議論の節目節目に行っています論点の整理をもとにさらに議論を深め、適宜国民の意見を伺いつつ、新計画策定についての議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

高橋分科員 すべて公開のもとで行われているし、意見を反映されているというお話だったと思います。公開でやってきているということはもう十分承知をしておるんですけれども、ただ、意見を聞きおくだけではなかったのか、それが反映されたかという点では、まだまだ危惧が残っております。

 例えば福島県の佐藤知事は、十二月二十一日付朝日新聞の「私の視点」というコーナーの中で、「これまでいわばタブーとされてきた、使用済み燃料を再処理せずに廃棄物として処理する「直接処分」を含めた複数のシナリオに基づく検討が七月末、原子力委員会の策定会議でようやく始まった。 ところが検討開始後わずか四カ月もたたない十一月十二日、再処理路線継続の結論が出されてしまった。」とし、「委員の主張が異なっている点を丁寧に拾い上げ、明らかにしながら議論すべきところを、半ば多数決で決めてしまった。」「市民から寄せられた要請や疑問について検討を行うべきだという声は無視された。」こういう指摘をしています。

 これをどう受けとめるのかが問われているのではないでしょうか。

 私は、今回の長計の改定を非常に注目していた一人として、同じ気持ちであります。今回お話があったように、使用済み燃料の処分の方策について四つのシナリオが想定され、直接処分が初めて一つの選択肢として検討項目の中に入りました。また、その検討の過程で、直接処分に対する費用については、平成六年に総合エネルギー調査会原子力部会のワーキンググループの中で試算をした経緯があった、しかし、それを試算がなかったと答弁してきたことを大臣が陳謝するという事案もございました。

 私は、この問題を考える上で、コスト論のみで比較をするべきではない、そういう立場にもちろん立っております。ただ、直接処分の可能性についても早い時期に検討していた、選択肢としてあったということに着目をしたいと思っております。

 しかし、示されたのは、全量再処理あるいは部分再処理に比べ、直接処分は政策変更コストがかかる、電気料金について約〇・九円ないし一・五円が必要になるので、処分費用だけの比較で見ると確かに安いかもしれないけれども、政策変更コストを加えると、むしろ同じか高いというふうに描かれているわけであります。

 私は、この政策変更コストなるものが、何か、もう戻るのは無理だからと政策誘導的に使われている印象も否めないと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

塩沢政府参考人 お答えいたします。

 核燃料サイクル政策の中間取りまとめに当たりましては、政策変更コストの問題だけではなく、先生も御指摘になられましたが、エネルギーセキュリティー、環境適合性、将来の不確実性への対応能力の面、それに加えまして、国、民間事業者が核燃料サイクルの実現を目指してこれまで行ってきた活動と長年かけて蓄積してきた社会的財産、これは具体的には技術あるいは立地地域との信頼関係、あるいは我が国において再処理を行うことに関して獲得してきたさまざまな国際合意等、これらについて維持すべき大きな価値を有しているということが、政策変更の問題のみならず、それらの問題も総合的に判断をして核燃料サイクル政策の継続が適当というふうに取りまとめられた次第でございます。

高橋分科員 私が言いたかったのは、それだけを指摘しているということではなくて、総合的だとは言うけれども、この部分が異質だということが言いたいわけです。そこが突出しないということは、今お話ししたとおりでよろしいですね。

 それで、殊さらここが強調されると、例えば公共事業の再評価制度、こうしたものの意義がやはり問われてくると思うんですね。政策変更は当然あり得るのだ、まして、コスト試算そのものが明確な基準もない、もっともっと多方面から時間をかけて議論、そして研究を積み上げる必要があります。そして、国民がその上で選択した場合には、政策変更も当然あるんだということを了解するべきだということを指摘しておきたい。

 そのことを踏まえて、次に行きたいんですけれども、今回の中間取りまとめで、では、国民の疑問に答え、明らかになったことがあるのかということであります。むしろ矛盾が深まったのではないか。その最たるものが中間貯蔵の問題です。中間貯蔵なければサイクル成り立たずという抜き差しならない事態になっております。

 御案内のとおり、中間貯蔵については、むつ市が一方的に名乗りを上げたこと、また、この見直しを求めた住民投票条例案を議会が否決するという、二重の意味で住民が無視された事態が進んでおります。

 最大の関心は、言うまでもなく、使用済み燃料がこのまま永久的に置かれるのではないかということでありますが、これに対する答えは中間取りまとめの中でどう書かれているでしょうか。二〇一〇年ごろから検討を開始するということでしかありません。しかも、「中間貯蔵された使用済燃料の処理の方策は、六ケ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理にかかる研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて」検討するものであり、「その処理に必要な施設の建設・操業が六ケ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う時期までに結論を得る」とされております。つまりは、二〇一〇年からということすらあやふやではないか、単なる先送りではないか、この点についていかがでしょうか。

塩沢政府参考人 中間貯蔵された使用済み燃料の処理につきましては、今回取りまとめられました中間取りまとめにおきましては、その中間貯蔵された使用済み燃料の処理も含め、これは再処理をするということが基本方針として確認をされたわけでございます。

 それから、先生のおっしゃられた二〇一〇年の件でございますが、これは、二〇一〇年ごろから検討を開始する、それで、六ケ所再処理工場の操業終了に十分間に合うように、中間貯蔵された使用済み核燃料の処理に必要な施設の建設、操業について検討を進め結論を得るということでございますので、十分に、中間貯蔵された使用済み燃料についての方策は国が責任を持って考えるということではないかと思います。

高橋分科員 国が責任を持って考える、このことはまず大事なことですから確認をしておきたいと思います。その上で、検討を始めるのが二〇一〇年からですから、そして、さまざまな環境がある、検討しなくちゃいけない。そうなると、一体見通しがついてくるのは何年ごろになるんだろうか。これについてはまだ答えることができませんよね。

 それで、そのことと、しかし操業は急がれている、方針は急がれている。なぜかというと、原発サイト側の都合がある。ここを優先させて、やはり、方針の決まらない中間貯蔵施設を稼働するべきではないと思います。少なくとも、中間貯蔵後の処分方針が決定されるまで動かすべきではないと思うが、この点いかがでしょうか。

塩沢政府参考人 核燃料サイクルの考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、我が国のエネルギーセキュリティーに資する、さらには高レベル放射性廃棄物に関する環境適合性にすぐれている、あるいは、我が国のその技術蓄積等の面からも核燃料サイクル政策を進めることがより他の選択肢に比べて有効であるというふうに評価をされたわけでございます。

 そういった視点から、核燃料サイクル政策を進めることが、あるいは基本方針とすることが適当だというふうに評価をされたわけでございます。

高橋分科員 動かすべきではないと言われてそうだとは言わないのは当然であるでしょうけれども、国の立場にしてみれば。ただ、この間の原子力長計の見直し作業においては、プルトニウムバランスも含めて、明確な目標がどんどんできなくなっている、明確化、数字の目標ができなくなっている。そうした中で、今回のさらに先送りがあったということをやはり言わなければならないのかなと思っております。

 そういう意味でも今回の基本方針決定が拙速であったということは指摘しておきたいと思いますが、結局、再処理工場のウラン試験を開始しなければならない。その前には、再処理は確実にやる、このお墨つきを与える必要があったからではないか、県と国のそういう事情があった。私は、しかし、明確な担保がない、お墨つきだけをもらっても矛盾は拡大するばかりなんだ、このことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、原子力政策を決めるに当たって欠かすことができないもう一つの要件である安全問題について質問をしたいと思います。

 ことしの一月十四日、原子力安全・保安院は、日本原燃に対し、ガラス固化貯蔵建屋B棟における崩壊熱の除去解析の再評価、さらには類似の冷却構造を有する設備における崩壊熱の除去解析の再評価を要請しました。これを受けて日本原燃は、十五、十六日にウラン試験を一時休止させて、二十八日には再評価結果報告書を提出、保安院はこれを了承しました。

 私は、ガラス固化の冷却にかかわるトラブルでありますから、これは非常に重要な問題だと思います。保安院は、まず、このトラブルについてその原因をどう考えているのか、伺いたいと思います。

井田政府参考人 お答えいたします。

 日本原燃の特定廃棄物管理施設のガラス固化体貯蔵建屋B棟、これにつきましては、設計及び工事方法の審査を行っておりまして、その過程で、原子力安全・保安院が、冷却性能に関するクロスチェック解析を行いましたところ、同社の解析の一部に疑義を生じた。そのために、本年一月十四日に、類似の冷却構造を有する設備を含めて解析の再評価を指示いたしました。

 その結果、一月二十八日に、日本原燃から、解析の誤りのため所期の性能目標を満足できず、構造の設計を一部変更する旨の報告がありました。したがいまして、今後、これらの建屋の設計及び工事方法の変更認可申請等がなされた場合には、厳正に私ども審査を行うこととしております。

 以上でございます。

高橋分科員 もう少し具体的に伺いたいと思うんですけれども、この問題について、では、最初にだれが発見し、保安院に報告されたのはいつですか。

井田政府参考人 お答えします。

 原子力安全・保安院といたしましては、この工事の設計及び工事方法の申請を受けまして、独立法人に対しましてクロスチェック解析を指示いたしました。その結果を聞いたところ疑義が生じたために、このような指示を行ったということでございます。

高橋分科員 いつというお答えがなかったので、こちらから確認をさせていただきますと、報道によれば、貯蔵施設の原子力安全基盤機構からミスの可能性があるとの一報があったのは昨年の十二月十七日だということを報道されております。原燃側にそれを照会したのは二十二日だと。この点いかがですか。

井田政府参考人 お答えします。

 十二月十七日に口頭にてそのような連絡を受けまして、十二月二十二日に、そういうことについての確証をとるための確認を開始しました。

 以上でございます。

高橋分科員 そうすると、なぜこの間に五日間も間があくのかということなんです。ウラン試験が始まったのは二十一日であります。私は、この報道を見て、やはりウランテストの開始がおくれるのを嫌って事故公表をおくらせたと見られてもやむを得ないのではないか、このように思いますが、いかがですか。

井田政府参考人 お答えいたします。

 本件、ウラン試験とは全く関係のない施設だということがまず一点ございます。ウラン試験を行っているグループが今ありまして、第一グループと第二グループというところでウラン試験を開始しているんですけれども、それは使用前検査が終わり、保安規定が認可されたところでだけできるというような試験でございます。この関係していますガラス固化体の貯蔵建屋というものは、私どもとしてまだ使用前検査も終わっておりませんし、保安規定も認可していないということで、ここでウラン試験ができないということが法的にも担保されているということでございます。

 それから、十二月十七日からの日にちの関係でございますけれども、クロスチェック解析という、コンピューターの二つの異なったコードで行うものです。そうしますと、答えが、二つが全く一致するということはそもそもあり得ないことでございますので、それにつきまして技術的に確証を得るという必要がございまして、一月の十四日に指示を行ったという経緯でございます。

 以上でございます。

高橋分科員 私が聞いているのは、別にそれがあったからといってウランテストをやめろと言っているんじゃないんですよ。ウランテストとは関係がない施設だと。だったら、影響するわけはないんですから、淡々と報告すればよかっただけのことです。この間の事故の経験というのは、まず、事業者からの報告あるいは保安院からの報告が遅かった、そこが国民の不信を買っているということではなかったんですか。もう一度、お願いします。

井田政府参考人 お答えします。

 原子力安全・保安院として、おっしゃるようなことは断じてなかったということをまず申し上げたいと思います。

 先ほども申しましたとおり、クロスチェック解析というものの性格上、我々もきっちりした心証を得てからでなければ動けないということがございます。そういったこともございまして、必要な期間を消費したということでございます。

高橋分科員 この点については一致できない問題でございますので、何度も何度もこうした問題が繰り返されてきて原子力行政に対する不信感が増長してきたという点からいって、それは、今は断じて関係がない、ウランテストと関係ないと言うかもしれないけれども、到底納得できるものではございません。

 私は、東電のトラブル隠しがあったときも、そのときは県議会に籍を置いておりましたので、保安院や事業者、またエネ庁に直接質問する機会がありましたけれども、そのときに、やはり事故調査報告書を読ませていただいて、損傷隠しが発覚し、しかし、そのことが世間に出ることで原発がとまる、それを恐れて黙っていたという生々しい記述があるんですね。

 そういうことをやはり克服しなくちゃいけないということで、この間、反省するという事業者の言葉もあったし、信頼回復のために努めるということをやってきたと思うんだけれども、やはり同じことが繰り返されているんじゃないのかなというふうに思っております。

 電気事業法の改正など、国はいろいろやってきたとこれまでも言っています。しかし、基本は、自主保安、事業者任せであります。国は、事業者を信頼して逆に国民の不信を買っているということが言えるのではないでしょうか。

 昨年の九月に、党国会調査団が再処理工場を視察した際、案内してくれた平田副社長、プールの不良溶接問題についてこんなふうにおっしゃっていました。

 放射能や濃硝酸を扱うところはきちんと対応したが、それ以外のところは、一般産業と同じだという思いがあり、目配りが不足したと反省の弁を述べられていました。事業者ゆえの惰性からくる事故について、防ぐすべが現在ありますか。

井田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原燃株式会社の使用済み燃料受け入れ貯蔵施設のプール水の漏えいにつきましては、お話のありましたとおり、建設時の不適切な溶接施工に起因するものでございました。ただ、これは、同社の品質保証体制、これにかかわる問題を提起するものだったというふうに私ども考えております。

 このため、私ども原子力安全・保安院としましては、平成十五年六月に、同社に対しまして、再処理施設の健全性確認、それと同時に品質保証体制に関する点検、これを行って報告するように指示しました。その結果、平成十六年三月にその報告と改善策の報告を受けております。

 この報告を受けまして、私ども原子力安全・保安院としましては、厳格な審査、検査を行っていくと同時に、専門家の意見を聞きながら、日本原燃の品質保証体制の改善の状況を監視していくこととしております。

 以上でございます。

高橋分科員 改善の状況を監視して、また、しかし、今の体制では、事故が起こってからわかるということが繰り返されてきたのではないのかなと思うんですね。

 平田副社長はこうも言っています。今の再処理工場が原発より六倍の仕事量だ、だけれども、監督業務につく方は残念ながら二倍前後しか配置できていない、こういう現状がありますけれども、その点についてはいかがですか。

井田政府参考人 お答えします。

 青森県の六ケ所再処理施設につきましては、私どもの保安検査官事務所に八名の者がおります。さらに、それに加えまして、一昨年の十月に、原子力の安全体制の強化を行いましたとき、独立行政法人の原子力基盤機構をつくったんですけれども、それのサイクル事業本部、それも六ケ所村に設置することによりまして、そこに十名の者を配置しております。非常に手厚い体制をとっております。

 以上でございます。

高橋分科員 手厚い体制じゃなくて、今言っている、仕事量の六倍に対して監督業務が不足しているという現場の指摘、現場のいわゆる事業者の体制、それはお認めになりますか。

井田政府参考人 お答えします。

 事業者におかれましては、先ほど言いました品質保証体制といったときには、必要な要員を確保して必要な資格の者をやるという、それも含めまして品質保証体制と申しております。そういったものがきっちり働くように監視しているところでございます。

高橋分科員 全く答えにならない、堂々めぐりになっちゃうんですね、これだと。やはり再処理工場そのものが、私たちは、技術がまだ未確立な施設だというふうに指摘をしてきました。この間、やはり設計変更を繰り返してきたわけですよね。施設は非常に複雑になっている。そして、そういう中で、いわゆる管理が厳格にされなければならない重要施設は集中している。だけれども、現場はこういう体制だと。同時に、日程は詰まっている。そういう形で、スピードを上げなきゃいけない、合理化を図らなきゃいけないという実態があるわけです。

 これでどうして国民の信頼を得ながら安全操業できるのかということを率直に見なければならないと思うんですね。このことをまず指摘して、その上で、きょうは、私、原子力安全委員長にせっかくおいでいただいていますので、伺いたいと思います。

 原子力安全委員会も、平成十四年の原子炉等規制法に基づき、チェック機能の強化を図ってまいりました。率直に、その役割を果たされてきたのか、六ケ所の事案と関連させてその感想を委員長に伺いたいと思います。

    〔主査退席、佐藤(茂)主査代理着席〕

松浦参考人 お答えいたします。

 今御指摘の平成十四年八月に、原子力発電施設における自主点検の不正の問題が発覚いたしました。この問題を原子力安全委員会は非常に重く受けとめまして、平成十四年十月に、内閣総理大臣を経由して経済産業大臣に勧告を出しております。

 この勧告では、一つ、事業者による自主点検のあり方をうんと明確にすること、二つ目に、検査実施体制を見直して実効的な規制体制を確立すること、そして、安全に関する情報公開を推進して透明性の向上を図ることを求めているわけでございます。

 この勧告を踏まえまして、平成十四年十二月に、原子炉等規制法、電気事業法、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法が改正されました。そして、それによりまして、原子力安全委員会の役割が強化されたわけでございます。

 具体的には、それまでの原子力安全委員会の規制活動の中心は、原子炉施設を設置するときの設置許可時のダブルチェックが中心でございました。法改正によりまして、その後、原子力施設の建設、運転段階における規制行政庁の安全確保活動についても、四半期ごとに報告を受けまして、その活動内容を適時に監視、監査するという、いわゆるこれを我々は規制調査活動と言っておりますが、これを始めたわけでございます。これまでのところ、三十一件の規制調査活動を実施しておりまして、現在も三件を実施しております。

 また、この規制調査活動を行います場合には、現場におきます実地の調査が重要であります。こういう現場における調査をするということについて、事業者が協力しなければならないという協力義務が原子炉等規制法によって明確化されておりまして、この規定に基づきまして、例えば昨年一年間ですと、十四回の現地調査を行っております。

 今後とも、設置許可段階のみならず、建設、運転段階全般を通じまして、規制行政庁が行います安全確保活動を独立した立場で監視、監査いたしまして、規制の実効性を高めるように最大限の努力をいたしたいと存じております。

高橋分科員 時間が参りましたので、要望を一言だけ述べておきたいと思います。

 今、実効性を持ちたいということで委員長の決意が述べられたと思うんですが、今回の事故に当たっての安全委員会の取り組みなどを伺っても、やはり安全委員会という性格上、事後報告を書類を中心に検証するとか、あるいは保安院の報告を追認しているだとか、さまざまな限界があるということを率直に指摘をしなければならないと思っております。

 やはり推進と規制の分離ということを、いわゆる保安院の役割ですね、明確に独立させるということをしっかりとやるべきだということを言っておきたいし、それから、こうした問題を踏まえて、最初に述べた原子力長計の改定に当たっては、やはり国会で十分審議をするべきだということを要望して、終わりたいと思います。

 以上です。

佐藤(茂)主査代理 これにて高橋千鶴子さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府本府についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤(茂)主査代理 次に、金融庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川上義博君。

川上分科員 自民党の川上でございます。

 実は、先般、予算委員会の一般質疑で金融検査マニュアルのことについて質問をいたしまして、その残りをやりたいと思いますが、実は今、ニッポン放送株の取得の問題がクローズアップされているわけでありまして、まずそのことについて大臣にお伺いをしたいと思います。

 最近、間接金融から直接金融という、資本の自由度の枠がどんどん拡大して、そのための取引の規制緩和というのが進められてきた、その結果、時間外取引というのもその規制緩和の一環であると思います。

 したがって、特に放送業とか、あるいは金融とか保険とかエネルギーとか、国策にかかわるものまで十把一からげで緩和をしてきたというのが、法的規制を加えてこなかったというのが一つの大きな問題だろうと思います。したがって、国策に極めて近い認可事業に関してはある程度の法的規制をこれからかける必要があると思いますが、そのあたりは大臣はどのように現在お考えでしょうか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 一般論でお答えさせていただきたいと思いますが、まず、委員が御指摘になられました立ち会い外取引の問題でありますけれども、これは、取引所市場の機能強化をしていく、その一環の中で、例えば機関投資家の方々のポートフォリオの中身を組みかえていく、あるいは持ち合い株を解消していく、そして自社株取引というものを行うようにしていく、その円滑化を図るために導入された制度でございます。

 ただし、この立ち会い外取引の使い方いかんによっては、相対取引と類似した形態になり得るというふうに考えられることから、公開買い付け制度の趣旨そのものが形骸化するのではないか、こういう御指摘がございます。

 私どもとしても、そういう問題意識の中で、立ち会い外取引というものを公開買い付け制度、TOBの規制の対象にすることを視野に入れながら、今検討をさせていただいているところでございます。

 そして、さらに委員からは、主要株主の問題等々について御質問があったわけでありますけれども、主要株主等をチェックする仕組みを各業法の中で定めるか否かについては、これは第一義的には、各免許業種の所管官庁において検討されるべきものと考えております。

 当省所管について申し上げれば、例えば銀行については、銀行経営の健全性、この確保の観点から、相当程度の銀行の株式を取得し、そして経営に関与しようとする株主については、適切なチェックの仕組みが整えられているところでございます。具体的には、銀行の議決権を五%超保有する株主については、銀行議決権大量保有者として、議決権保有に関する届け出が必要とされているところでございますし、さらに、銀行経営に実質的な影響力を有する株主、原則として二〇%以上の議決権を保有する者については、主要株主として事前認可が必要とされております。また、同じく免許制がとられている保険会社についても、銀行と同様の主要株主規制等がとられております。

川上分科員 立ち会い外取引までどのように踏み込んで規制していくかというのは、新聞で今読んでいるんですけれども、証券取引法を改正する具体的な作業は今どの程度進んで、どのようなお考えがあるのかということと同時に、今銀行の話がありましたけれども、ある程度株式が五%とか一五%集中している場合は、株主適正何とか審査会みたいなものを設けていらっしゃるようですが、ぜひこういった認可事業に関して株主適正基準という、ガイドラインというか、そういったものを設置しておくべきものじゃないかなと思うんですが、そのあたりはどのようにお考えですか。

伊藤国務大臣 立ち会い外取引の問題については、先ほど答弁をさせていただきましたように、立ち会い外取引そのものは、現行法においてはTOB規制の適用対象となっていないわけであります。しかし、その使われ方いかんによっては、相対取引と類似した形態になり得ることから、これを放置しておきますと、公開買い付け制度の趣旨というものをやはり形骸化していくおそれがある、そうした議論があることを承知いたしておりますし、私どもとしても、こういう事態に対応していくために、立ち会い外取引を公開買い付け制度の適用対象としていく、そうした方向の中で、現在、制度的な整備も含めて検討を進めさせていただいているところでございます。

 それから、今重ねて御質問がありました主要株主等の問題でありますけれども、この点については、先ほど来答弁をさせていただいておりますように、例えば銀行につきましては、銀行経営の健全性の確保の観点から、相当程度の銀行の株式を取得し、経営に関与しようとする株主について適切なチェックの仕組みが整えられているところでございますし、また、同じく免許制がとられている保険会社についても、銀行と同様の主要株主規制がとられておりますので、私どもとしては、適切なチェックの仕組みが整備されているものと考えております。

川上分科員 先日、予算委員会で私が金融検査マニュアルのことについて御質問をして、その御答弁で、この金融検査マニュアルの設定は不良債権処理のみを目的に策定されたものではないという御答弁がありまして、さらにその上に、金融庁としては、指導型から金融機関による自己管理型への転換を促進していくという話がありました。

 そこで、金融検査マニュアルはあくまでも不良債権処理が主だったわけでありまして、それだけではないというのはわかっておるんです。しかしながら、本当の目的というのは、不良債権処理が目的だったはずであります。したがって、このマニュアルの有効というのが認められているのが、八%から四%台にずっと落としてきたということだろうと思いますが、限りなくゼロに近づくというのは、不良債権処理というのは本当にゼロというのはあり得ないと思うんです。一体どこまで落とせば不良債権処理が完了したのか。大臣は、どの程度まで落とせば、二%ぐらいは、これは不良債権はもう完了したとお思いなのか。一体どこまで落とすつもりでございましょうか。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 私どもとして、不良債権問題の正常化というものを果たしていきたいというのは、これは金融システムの安定性というものを確保して、そして預金者の保護、信用秩序の維持をしていかなければならない。そうした観点から、金融再生プログラムというものを策定させていただいて、主要行については、十四年三月期八・四%の不良債権比率がございましたので、これをおおむね十七年三月期には半減をさせていく、そして、そのことによって日本の金融システムの信頼性というものを確保していきたい、こうした目標を掲げさせていただいたところでございます。

 十六年九月期には四・七%まで低下をしてまいりました。この半減目標が達成の視野に入ってきたわけでありますけれども、この目標を達成していくために、改革の手綱を緩めることなく、金融再生プログラムの諸施策というものを展開していきたいというふうに思っております。

 また、あわせて、ペイオフが本年の四月から実施が予定をされております。ペイオフというのは、委員御承知のとおり、言うまでもないように、市場規律のもとで、そして預金者が選択をする、そうした前提のもとで金融機関の方々が、一層真剣に、そして緊張感を持って経営基盤の強化、そして収益力の向上というものを図っていく。そうした持続的な取り組みというものが、金融システム全体の安定性というものを持続的に確保していくことにつながっていく。そうした観点から、私どもとしてこの実施を予定させていただいているところでございます。

 こうしたペイオフ解禁拡大ということを考えても、金融機関は、預金者の方々の信頼とそして選択というものの中でそうしたものを確保していくことが非常に重要でありますので、それぞれの金融機関の方々が、地域やあるいは利用者の方々の信頼を確保していくために、リスク管理体制というものを整備して、そして健全性を向上させながら収益力を向上していく、利用者の方々のさまざまなニーズにこたえていけるような、そうした経営の努力をしていくということが非常に大切なことではないかというふうに思っております。

川上分科員 今、銀行の健全というか預金者の保護という話、これは建前なんでしょうけれども、実は今、大手行以外で地方金融機関にずっと検査が行っているわけなんですね。

 これはちょっと通告していないんですけれども、地域金融機関で、昨年に金融機能強化法が施行されて大手行は大体完了したんだろうと思うんですけれども、三井住友はまだ検査続行中、半年以上やっているという話があるんですけれども、地域の金融機関は今どんどんやっているわけですね。

 この強化法の申請事例、こういったものの申請事例は今あるでしょうか。これはちょっと通告していませんけれども、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機能強化法の関係での申請事例は、現在のところ、まだございません。

川上分科員 私はいつも思うんですけれども、検査マニュアルは大手行も地方銀行も信組も全部一律で、それから大企業も中小企業も、例えば債務区分も資産区分もマニュアルの中ではみんな一緒なんですね。これは私は変えなくちゃいかぬというふうに思うわけです。一律の検査マニュアルを、これは中小企業向け、これは一億円以上の大企業向けとか、当然、そのマニュアルもそういった対象によって変えなくちゃいかぬし、金融機関の大小によっても変えなくちゃいかぬ。大体、不良債権処理が、今さっきお答えいただかなかったんですけれども、ある程度マインドが上がったときに、今の検査マニュアルではなくて、需要が上がったときの検査マニュアルに変更していくということも必要だと思うんですね。

 そのあたりのマニュアルの違いというのをこれからお考えなのか。あるいは、先ほど私が言いましたように、資金需要が拡大しているときに今のマニュアルは手かせ足かせになる、したがって、新しくマニュアルをつくるんだというお考えがあるのかどうか。それをお伺いしたいと思います。

伊藤国務大臣 マニュアルを変えるつもりはあるか、こういうお尋ねでございましたけれども、今までこの検査マニュアルというものを実施させていただいて、それが中小地域金融機関の方々にも浸透することによって、リスク管理体制というものが整い、そして自己査定の信頼性というものも大幅に改善をしてきたというふうに思っております。

 また、中小地域金融機関の方々に対しては、委員から、やはり大きな銀行とあるいは地域、中小の金融機関はその特性が違うからという御指摘がございましたが、私どもとして、金融システムの安定化というものを図っていくために、中小地域金融機関に関しては、リレーションシップバンキングに関するアクションプログラムに基づいて、中小企業の再生と地域経済の活性化を図りながら、同時に不良債権問題を解決していく、こうしたアプローチの中で各地域の金融機関の方々がさまざまな努力を展開されてこられた。そのことによって、不良債権比率も低下をいたしてまいりましたし、また、自己資本比率等の健全性の指標というものも改善をしてきたというふうに思っております。

 不特定多数の者から預金を預かり、決済機能を担っている点では、大手行も中小地域金融機関も全く同様であります。預金者の保護や金融システムの安定の確保のために各金融機関の経営の健全性を確保する必要性は、私どもとしてはやはり変わりのないものだというふうに考えております。

 また、中小地域金融機関に対して異なる物差しで検査を実施した場合には、市場やあるいは預金者からは疑念を持って見られてしまい、かえって信認を失うおそれがあるのではないか、こうした問題意識も持っているところでございまして、私どもとして、中小地域金融機関の健全性や信頼性の確保は、継続して地域に密着をした経営を行う前提条件でもあるというふうに思っているところでございます。

 したがって、金融検査に当たっては、すべての預金取り扱いの金融機関について共通の会計基準や、あるいはルールに基づいた検証を行っております。

 また、中小地域金融機関の与信先の中心を占めるものは中小零細でございます。したがって、中小零細企業の債務者については、その経営実態を十分に勘案した金融検査マニュアルの運用が重要でありまして、こうした観点から、十四年六月に金融検査マニュアル別冊、中小企業編を作成して、そしてきめ細かな検証に努めているところでございます。

 今後とも、中小零細企業に対する貸し出しについては、その特性に応じ、経営実態を十分勘案した上で検証に努めてまいりたいと考えております。

川上分科員 先ほど、中小企業編というか、その別冊を私も読んだんですけれども、あれはわからないですね。何が違うんだろうかと思うんですね。だから、運用でいろいろ中小向けは手当てをするという話でありましたが、あれを読んでも、正直、何のことやら全くわからないんです。今の答弁も、まあ型どおりの答弁で、おもしろくもおかしくも何もないような答弁なんですよね。そのように大臣は答えるしかないのかなと思うんですが。

 実は、資産査定の区分の中で、御案内のように四分類あって、細分化すると六分類ぐらいになる。要管理先と要注意先があって、細分化すると要管理先になる。注意先と管理先がどう違うんだろうか、幾ら読んでもわからないんですね。読みました。これはどう違うんですか。わかりやすく管理先と注意先の違いを、これを読んでもわからないですよ、何のことやら。わかりやすく教えてもらえたら。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 資産査定において、要注意先という概念と要管理先、その概念がよくわかりにくい、こういう御質問でございました。

 検査マニュアルにおきましては、この要注意先の債務者、これのうち、当該債務者の債権の全部または一部が要管理債権である債務者、これを要管理先である債務者というふうに判定しているわけでございますが、すなわち、要管理先の債務者というのは要注意先である債務者に包含されているわけでございます。要注意先の中に要管理先である債務者がいる。それは何が違うかといいますと、その債権の一部あるいは全部について要管理債権である債務者ということなわけです。

 したがって、今度は要管理債権とは何かという定義が必要なわけですが、この要管理債権といいますのは、三カ月以上延滞債権、これが一つ。それからもう一つは、貸し出し条件緩和債権、これが一つ。こういったものを要管理債権というふうに言うわけでございます。

 したがって、要注意先である債務者の中で、今言ったような三カ月以上延滞債権の債務を抱えている人、あるいは貸し出し条件緩和債権である債務を抱えている人、これが要管理先債務者、こういうことになるわけでございます。

川上分科員 わかったようなわからぬような。要するに、要注意先があって、その中に要管理先がある、それを三カ月以上の延滞でとかとあるわけだ。

 結局これは、破綻懸念と注意、要管理というのは、まさに接点が結構あって、グレーゾーンになっていて、現場の検査官が自由に、そのときの気分によって判断、査定区分できるというふうなたちのものだろうと思うんですよ。厳密に決まっているわけじゃないものですから。

 ところが、銀行から見れば、第二分類、第三分類された瞬間に、物すごく大きな負担がかかるわけですね。とんでもない差が出てくるわけです。その際に、検査官の恣意によって、いろいろ天国、地獄の分かれ目になると思うんですが、実は、先ほど私が言いましたように、自己責任、自己査定の方に重点を置くんだと。当然それは、マニュアルの基本中の基本ですから、銀行の方の査定に、それを優先にやるんだというふうなことは当たり前だと思うんですが、先ほど申し上げましたとおり、検査官がいろいろな思惑でそのようなことを判定する。

 この検査官は、今どんどんふえているんですよ。銀行の自己査定に任せる、自己責任なんだと言いながら、何ゆえ検査官を、今何人ですか。その検査官の体制と、それから検査官の、民間から多分重用というか、されていると思うんですが、一体、途中から検査官になられた民間の比率はどの程度ですか。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 検査官の数でございますが、当方の金融庁に検査局がございますが、そこの定員が十六年度におきまして四百七十八名でございます。そのうち、お尋ねのいわゆる民間からの出身者といいますか、そういった形で採用した者が平成十七年一月一日現在、ことしの一月一日現在ですが、七十七名在籍をしております。そのうち民間金融機関、そちらの出身というのが五十五名、こういう内訳になっております。

川上分科員 意外と少ないなという印象を受けるんですね。もっとたくさんいらっしゃるのかなと思っていたんですけれども。検査官というのは、そう一朝一夕に資格が取れるものだろうかと思うんですね。だからどんどん、私、一説によると、ことしの予算でも八百人ぐらい増員されてという話を聞いたんですけれども、大学卒業してすぐ検査官になれるものだと思わないから、結局民間から、例えば北拓とか、どこかの銀行から、倒産した銀行とかから相当来ているんじゃないかと思ったんだけれども、違うんですね。なるほど。

 それでは、実は、銀行と金融庁の資産区分とか査定区分でいろいろな意見の違いがありますよね。意見相違が必ず出てきます。そのときの意見の違いを書類で、証拠書類というか、そういったものを残されていますか。銀行の意見、金融庁の意見、その違いを明確に書類として残されているかどうか、お伺いします。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 検査結果につきまして記録した、お互いの交渉のやりとり等につきましては、文書として保管をいたしております。

川上分科員 議論をした証拠書類、これは情報開示の対象になりますね。――ならないんですか。それはおかしいですね。これは、意見の違いを、どのような相違があったのかというのを世間に出すというのは当たり前の話だと思うんですね。

 結局、金融庁の言い分を全部、銀行は弱い立場ですから、ああ、泣く子と金融庁には勝てないみたいなことで我慢してしまうというのは、これは民主的じゃないと思うんですよ。だから、先ほど私が言いましたように、金融庁の判断よりは銀行の民間の判断の方が、貸し出ししている現場のプロですから、当然優先されるべきものでしょう。それは書類として堂々と出すべきものであると思うんですね。

 大臣、そのお考えと同時に、意見が対立した場合に、どちらの判断が正しいのか第三者の機関にゆだねる、解決していただく、こういうものを私はどうしてもつくる必要があると思います。伊藤大臣、ぜひ、そのあたりのことを御答弁をお願いしたいと思います。

伊藤国務大臣 情報開示につきましては、これは情報公開法というものがございまして、開示をいたしますと、関係者の競争上の地位でありますとか正当な利益というものを害するおそれがある、そうした場合には不開示ということになっております。したがって、委員御指摘の点について開示がなされていないということであります。

 それからもう一点、第三者機関へというようなお話でございました。金融検査において十分な意見を行い、議論を尽くすよう、私どもとして努めているところでございますが、検査官と被検査金融機関との間に意見の相違が生じた場合には、被検査機関は金融庁検査局長に意見を申し出ることができ、検査班から独立した専門のセクションが当該事案について審理することといたしております。

 このように、第三者機関への異議申し立て制度を設けておりませんのは、検査結果通知はあくまで事実行為でありますので、行政処分ではないということによるものでございます。

 なお、検査結果等を受けて行政処分が行われる場合につきましては、行政手続法等の規定にのっとりまして聴聞等の手続を経た上で処理されることとなっております。

川上分科員 時間が来たようでありますが、警察の内部監査もそうなんですね。予算委員会でいろいろな議論がありましたけれども、要は、身内でうまいこと処理しちゃうというのが、そうなんですよ、だから、いろいろな重要な問題は第三者機関をつくっているわけですから。だから、検査局長に上げるといったって、検査官が判断したものを検査局長に上げたら、検査官、君の方がおかしいなんて、そんなことは言わないですね。だから、これは必ず第三者機関のものをつくる必要があると思いますけれども、これを最後に、またやりますけれども、どうぞ、何かありましたらお願いします。

佐藤(茂)主査代理 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

西原政府参考人 意見申し出制度の関係でございますが、私に上がってくるんだから認められるはずないじゃないか、こういう御指摘でございました。

 若干実績を申し上げますと、平成十二年一月、この制度を導入した後、十五検査事務年度までの実績を見ますと、二百七十八件の申し出がございましたが、約半数の百三十一件、四七・一%ですが、これについて金融機関の意見を採用させていただいておるところでございます。

佐藤(茂)主査代理 これにて川上義博君の質疑は終了いたしました。

 次に、室井邦彦君。

室井分科員 民主党の室井邦彦でございます。

 きょうは、警察関係が一問、その後、金融関連に対しての質問をさせていただきます。

 早速でありますけれども、今般、非常に凶悪な犯罪、そして、多様化をし、理解のできない少年犯罪が続発しておるわけであります。そういう中で、特に、交番制度というものが今非常に地域の住民から熱い視線で期待をされておるといいますか、やはり心の安らぎといいますか、地域の安全、そしてまた安心して生活をしていく、地域住民としては、交番という問題を非常に重視してきておるわけであります。

 そういう中で、特に今、全国的に統廃合をされている、このような動きがあるということも耳にしておるわけであります。確かに、未然に犯罪を防ぐ、そして抑止力がある、そして初期の段階で犯罪を防止する、そういう観点から、私も兵庫県の尼崎でありますけれども、統廃合の問題で、駅の周辺にある交番所を廃止する、撤去するということで、地域で非常に、交番所の廃止を何とかとめてほしい、このような陳情があるわけであります。

 そういう観点で、交番所がどのような基準で廃止また統廃合されておるのか、この一点をお聞きしたいことと、もう一つは、今申し上げましたように、尼崎で、ローカルの話になって非常に申しわけございませんけれども、阪神の武庫川駅という駅がございます。そこは東口に交番所があるわけでありますけれども、そこをもう撤去する、廃止をするという一方的な通告が住民にされたということで、今後、その武庫川の交番所の廃止はどのようになっていくのか、ちょっとお聞かせをいただきたい、このように思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、各都道府県警察におきましては、勤務員の不在が常態化しておりますいわゆる空き交番の解消を進めているところでございまして、これに伴い、地域の治安情勢や警察力を勘案して、交番を新設したり、あるいは一方では統廃合したりしておりまして、その結果として、交番の再配置というものが行われているわけでございます。

 交番を統廃合したり新設したりする基準というお尋ねでございますけれども、交番は、その地域の昼夜の人口あるいは世帯数、面積、行政区画及び事件または事故の発生の状況など、治安情勢に応じ、そしてまた一方では警察力に応じて設置されるものでございまして、その統廃合につきましても、具体的な数字的な基準というものはございませんけれども、各都道府県警察におきまして、まさに今申し上げましたような、地域の治安情勢と警察力を勘案して総合的に判断して行われるものでございます。

 お尋ねの武庫川の交番についてでございますけれども、本年三月末をもって廃止する予定であるというふうに兵庫県警察から報告を受けているところでございます。その後どうなるのかということについての詳細でございますが、詳細については承知しておりませんが、武庫川交番の施設につきましては、当面の間は、警察官の立ち寄りや交番相談員の配置などによりまして警察活動の拠点としていきたいという報告を受けているところでございます。

室井分科員 地域の住民の希望が非常に高うございまして、この廃止反対の署名運動、四日間で一万人分の署名運動を展開しておるということで、決まったことというのは覆すわけにいかないかもわかりませんが、一〇〇%住民の希望を聞いてくださいというわけではないんですが、やはり、今お答えもありましたけれども、柔軟な対案、腹案をまた出していただいて、地域住民が安心して安全に生活できる環境というものをぜひつくっていただきたい。

 私も、このような厳しい環境の中で、警察の皆さん方が少ない予算の中で、また少ない人員の中で精いっぱい頑張っていただいている、このことに関して心から敬意と感謝を申し上げる次第であります。もっともっと警察に関しての予算は増額すべきだ、このような個人的な考えもしております。どうかよろしく対応をお願い申し上げます。

 警察の方の関連の質問はこれで終わらせていただきます。

 続きまして、金融の質問をさせていただきます。

 私、前回の分科会で質問をさせていただいておりまして、今回はこれで二度目の質問になるわけであります。それは、昨年、予算委員会の財務金融の分科会で質問いたしました、法令遵守違反、経営者の公私混同、これは情実融資ということになります。この問題が大きくマスコミに取り上げられ、平成十四年、十五年、十六年と、ここに新聞記事も持ってきておりますが、近畿産業信用組合の経営の状況、もう毎年新聞に載る。私は、この件に関しまして、非常に腹立たしい、また不満な思いがあるわけであります。

 そういう中で、御承知のとおり、近畿産業信用組合に預金保険機構から八千六百六十九億円という巨額の金銭贈与がされているわけであります。言うまでもなく、この巨費は、国民があえいでいる、そういう中での血税をこのように金銭贈与されている。この重大さということはもうおわかりかと思いますが、そういう中で、やはり、一金融機関であってもこれは既に公のものと考え対処すべきである、このように私は思っておるわけであります。ガラス張りで、一片の疑いも持たれない、そして公明正大な経営が必要である、このように私は思う。

 そういう中で、いまだに疑問を持たざるを得ない点を早速幾つか質問いたします。

 平成十五年五月から六月に立ち入りの検査があったにもかかわらず、質問した平成十六年の三月の時点でいまだ示達がないのはなぜか、このようにお尋ねをしたところ、以下のような内容でお答えをされたわけであります。申し上げます。

 信用組合の場合、検査から結果の通知まで約三カ月から四カ月の期間が通常でありますというお答えでありました。今回のケースはやや長目になっているとのことでありました。その後、私の質問のかいがあったのか、たまたまその時期が一致したかわかりませんが、翌年の三月十九日に示達をされておりますよね。

 そこで、いま一度お尋ねいたしますけれども、立入検査から示達まで九カ月という異常に長い期間がかかっていたわけであります。それなりの理由があったはずだと思います。それをお聞かせください。

西原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、平成十五年、近畿財務局の方におきまして、この近畿産業信用組合に対しまして検査を行いまして、御指摘のとおり、十五年五月十二日から六月二十三日まで立ち入りを行った。その後、検査結果を通知しましたのが、翌年、十六年の三月十九日ということでございます。このように、約九カ月ということでございます。

 立ち入り終了から検査結果通知までの期間がこのように長くなったというのは事実でございます。しかしながら、個別の金融機関について、その検査の内容あるいは運び方、こういったことについてお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げたいと思いますが、検査におきましては、立ち入り終了後、その立入検査でのいろいろな指摘事項がございます。そういった指摘した内容について、正確かどうか、あるいは合理的かどうか、そういったことについてさまざまな観点から十分に精査を行わせていただきまして、その上で最終的な検査結果を通知する、こういうことでございますので、結局、立入検査から検査結果の通知までに相当な期間を要する場合がある、こういうことでございます。

室井分科員 三月に示達、その後六月に業務改善命令が出されたが、どういった内容のものであったのか、簡単に、わかりやすくその部分をお聞かせください。

佐藤(隆)政府参考人 先ほど来お話ございましたような経緯で、検査結果通知が平成十六年の三月に行われました。

 これを受けまして、直ちに、銀行法二十四条、関係法令に基づいて準用されることになっていますが、この二十四条等の規定に基づいて報告徴求をいたしたわけでございます。その結果、法令遵守等の観点から、経営管理体制、内部管理体制に重大な問題が認められるという認識を私ども持ちました。

 これを受けまして、御指摘のとおり、平成十六年の六月に業務改善命令を発出したところでございます。

 この発出の背景には、役員の法令等遵守に関する認識が不十分であること、あるいは、一部役員の要請に基づき行われた不適切な融資などに対して、理事会の牽制機能や監事の業務監査機能が発揮されていない事例があったといったことが背景にございます。

 具体的な命令の内容でございますけれども、経営管理体制、内部管理体制を見直して、組織的な業務運営体制の確立を図る、こういうことを行わせるために、改善計画の提出、実行を求めました。

 どういう改善計画を求めたかという点でございますけれども、第一点目といたしまして、役員みずからにおける法令等遵守の意識の徹底、それから法令等遵守に係る経営姿勢の明確化、この中には責任の所在の明確化ということも含みます。二点目でございますけれども、理事会の機能強化による全組合的な法令等遵守体制の確立、そして内部牽制機能の充実強化ということでございます。三点目は、監事機能の充実強化ということでございまして、こういった内容の命令でございました。

室井分科員 大変厳しい内容の改善命令である、このように思っております。

 三カ月ごとに実施状況を報告することになっているというようにお聞きしておりますが、改善の進捗状況はいかがですか。

佐藤(隆)政府参考人 先ほど申し上げました命令に基づきまして、近畿産業信用組合の方から、昨年の七月に改善計画が提出されました。これを受けまして、三カ月ごとのフォローアップということで、これまでに、昨年の十月、それから本年に入りまして一月に改善計画の実施状況についての報告を受けているところでございます。

 個別金融機関の具体的な計画の内容、あるいはその実施状況につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、本件の場合は、改善計画の実施完了までの間、継続的に改善状況をフォローアップしていくという仕組みになっておりまして、今後も引き続き厳正にそのフォローアップをやっていきたいというふうに思っております。

 この信用組合が組織的な業務運営を確立できるように、引き続き促していきたいというふうに思っております。

室井分科員 例えばという表現はいかがなものかと思いますが、もし改善の意思や実行が見られない場合、通常だと追措置がとられるのか、また、改善達成を促すというような期間が設定されているのかどうか、お尋ねをいたします。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 金融機関の業務もしくは財産等の状況に照らして、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認められるときには、銀行法第二十六条等の規定に基づき、金融機関に対し、措置を講ずべき事項を示して、改善計画の提出を求め、改善計画の履行状況の報告を求めることとなりますが、その期限を定めて報告を求める場合と、期限を定めることなく継続的に報告を求める場合がございます。

 近畿産業信用組合に対する業務改善命令につきましては、特段の期限を定めず、改善計画の実施完了までの間、その実施状況を三カ月ごとに報告することを求めております。

 また、個別金融機関に関することについてコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げるならば、業務改善命令を受けたにもかかわらず改善の意思や実行が見られない場合など問題があると認められる場合には、法令にのっとり、さらなる監督上の措置も検討することとなります。

室井分科員 私のつかんでいる情報なんですが、改善命令後、表面は取り繕っているようであります。代表理事のファミリー企業への巨額の無担保融資、これはもういろいろな問題が取りざたされております。十七億円を無担保融資したとか、そういう過去の経過から、また、不明瞭な経費の支出、独断的人事などをやっている、以前とは全く変わらない、ややもすれば非常にエスカレートしている、このように私は聞いております。

 金融庁の御努力は、努力をされていることは私はよく認めますけれども、私から言わせれば、先方は金融庁をなめているというか甘く見ているのではないか、これが私の実感であります。

 再立ち入りを行わなければならない現状において、今こそ経営陣の責任を明確にする必要があるのではないか、このように私は思っておりますが、金融庁として、経営陣の解任、入れかえの必要の検証はされたかどうか、また、今後この点に関してどうお考えをされているのか、お聞かせをください。

佐藤(隆)政府参考人 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、個別金融機関に関する具体的な改善計画の実施状況の中身、具体的な点についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、業務改善命令を受けたにもかかわらず改革、改善の意思がない、あるいはその実行が見られないといった場合には、当然のことながら、さらなる追加的な措置というものを私ども考えるわけでございます。

 本件の場合は、期限を定めずに三カ月ごとに報告を出させる、こういう仕組みになっておりますので、その状況をきちんとフォローしつつ、足りない点があればさらに追加的に改善を促していく、こういう流れになってございます。その中で、先ほども申し上げましたような業務改善命令の各項目ございましたけれども、経営責任の明確化といった点も含めまして、それなりの対応を行っているという報告を近畿財務局の方から受けておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き所期の目的、先ほど業務改善命令で述べましたような点がきちんと実現される、完了するまでの間、厳正にフォローアップをしていくということかと思います。

室井分科員 これは平成十六年六月十九日の一部の新聞、先ほど申し上げましたように、重複しますけれども、毎年このような新聞記事が出ておるということでありまして、私の事務所は関西興銀の隣にありましたもので、特にこの件に関しては、いろいろな情報とかうわさが耳に入ります。

 ここで青木会長は「改善命令をきっかけに改める部分は改める。だが、会長を辞める気はない」と、新聞でもこのように言っておられて、すごい人だなと思っておるんですけれども、このように新聞に毎年取り上げられるということは、本当にまともなことじゃないと私は思っていますし、あのように八千六百六十九億円もの公的融資、また血税を投下されている以上、やはりしっかりと行政指導を行っていただきたい、このように思うわけであります。

 もう一点お伺いをしたいことがございます。

 血税を投下した金融機関では、あってはならないという観点から、調査結果の中で政治家への献金などの事実は見られなかったかどうか、お尋ねをいたします。

伊藤国務大臣 委員からのお尋ねでございますけれども、個別金融機関の検査の内容の詳細については公表を差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げれば、検査において不適切な行為や事実が認められる場合には、検査結果として、その重大性に応じた指摘を行うこととなっております。

室井分科員 先ほど申し上げましたように、金融庁の皆様方の御努力に心から敬意を表しております。そういう観点から、何度も申し上げますが、国民の血税を注入した金融機関への監視指導は今後も引き続いて行っていただきながら、再度私にこの近畿産業信用組合の質問をさせないように、ぜひよろしく監督をお願い申し上げ、質問を終わります。

佐藤(茂)主査代理 これにて室井邦彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、長安豊君。

長安分科員 長安でございます。

 本日は、主に前払式証票規制法について御質問させていただきたいと思う次第でございます。また、その前に、昨今マスコミをにぎわしておりますライブドアあるいはフジテレビによりますニッポン放送の買収劇について、一言御質問させていただきたいと思っておる次第でございます。

 本件は、そもそもライブドアが立ち会い場外にて株式を取得するということから始まったわけであります。一方でフジテレビの方は、資本のねじれといいますか、ニッポン放送とフジテレビが親会社、子会社の関係にあって、その株式の資本構成を変えようということからTOBを開始していたというところにあるわけです。

 そもそも、アメリカにおいても、企業買収ということが何度も繰り返されてきたわけであります。そういう中にあって、企業買収というのはある意味時代の流れなのかなと私思っているわけでありますけれども、買収自体がいかに企業価値を高めるのかということが一番重要な要素だと思います。また、さらには、企業価値を高めることによって株式利益をいかに向上させるか、さらには消費者の利益もいかに向上するかということが本来の買収の目的だと私は思っております。今回の買収劇についてはマネーゲームという取り上げられ方がされておる部分が一部ありますので、少し話がややこしくなっているわけでありますけれども、そもそもそういった観点で買収がなされるべきだと私は思っております。

 一方で、今回の政治家また各財界の方々の御意見をお伺いしていると、一般的には、年配の方々がライブドアの動きを批判する、また若手の起業家の方々、また若い方々はライブドアの動きに賛同するというような大ざっぱな動きがあるのかなと私認識しておりますけれども、そういう中にあって、果たしてどちらが正しいのかということはここで議論すべきではなくて、そもそも今回のことは何が原因であったのかということを見詰め直さなければならないと思っております。

 大臣も、マスコミ等へは、今回の立ち会い外取引での株式取得ということ自体は違法ではないということは認識されているというお話をされておりました。確かに私も違法ではないと思っておりますけれども、法律の整備がなかなか追いついていってなかったのかなという気もしております。急激にマスコミへの外資規制というような話も出ており、今後さらなる対応が打たれていくのかなと認識しておりますけれども、しかしながら、私は、公共性のあるマスコミでありますからある程度の外資規制はしなければならないと思っておりますけれども、これを過度にすることによって、またマスコミ自体がぬるま湯につかってしまうのではないかと思っておるわけであります。

 私の個人的な考えでは、今回の買収劇というのは、そもそもニッポン放送とフジテレビの資本のねじれがあった。これをフジテレビ側が解決しようとした。しかしながら、私に言わせれば、のんびり解決しようとしていた。それが、今回のTOBという方式をとったと思います。そもそも、今回、後になって、フジテレビが新株予約権というような権利を行使するというようなことが言われておりますが、ニッポン放送自体が取締役会で決議したこの新株予約権というものを最初から適用されていれば、このような事態は起こらなかったわけです。

 これは、ライブドア、またM&Aコンサルティングが、このフジテレビの動きに乗じてニッポン放送の株を取得するというような状況になってしまったわけですから、そもそもフジテレビ側のある意味危機意識のなさというのは問われてしかるべきではないかと私は思っているわけでありますけれども、こういったフジテレビ及びライブドアの買収劇につきまして、金融大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思う次第でございます。

伊藤国務大臣 今委員からはさまざまな論点からお話があったわけでありますけれども、やはり私ども金融庁の立場からしますと、個別取引のことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 一般論として申し上げますと、やはり立ち会い外取引の問題について、これは本来の趣旨は、機関投資家のポートフォリオの中身を入れかえるとか、あるいは株式の持ち合いの解消でありますとか、あるいは自社株の取得、それを円滑に進めていくためにこうした制度というものを導入して、そして取引所の機能を強化していく、そうした考え方の中で制度が設立をされたわけであります。

 しかし、この使われ方いかんによっては、相対と類似した、そうした形態になってしまう。そうであるとするならば、公開買い付け制度、TOBの制度そのものの趣旨というものが形骸化していくおそれがあるのではないか、こういう指摘がなされているところでございますので、私どもとして、現行法におきましては立ち会い外取引がTOB規制の適用対象になっておりませんけれども、これを適用対象にしていく必要があるかどうかについて検討させていただいているところでございます。

 私どもの現在の認識といたしましては、やはりこうした状況にかんがみますと、立ち会い外取引というものをTOB規制の適用対象にしていくという視点の中で、この問題についての検討を進めていきたいと考えているところでございます。

長安分科員 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃられたとおりで、買収というものは、先ほども申し上げましたが、企業価値を高める、また株主の利益を高める、また消費者にとってもプラスになるような買収でなければならないと私は思っております。そういう意味では、今後、個別の案件ではございます、これがいいきっかけになったと思います。金融監督をする立場として、ぜひ、正常な買収が行われるような基盤整備、インフラ整備をお願いしたいと思うところでございます。

 それでは、本題に入りたいと思う次第でございます。

 昨今、マスコミでも、また我々が町で買い物するような場合でも、多くの電子マネーというものが普及してまいりました。私も興味を持って見ておりまして、マスコミの報道などの件数もどんどんふえていっているというのが現状です。そういう中にあって、今、金融庁といたしまして、どのような電子マネーの類型があり、またその普及の現状というのをつかまれておられるのか、御質問させていただきたいと思う次第でございます。

伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 電子マネーについては、現在、委員御承知のとおり、法令等によって明確な定義がなく、さまざまな概念で用いられている状況でありますが、例えば平成十年に、当時の大蔵省で行われた電子マネー及び電子決済の環境整備に向けた懇談会におきましては、利用者から受け入れられる資金に応じて発行される電磁的記録を利用者間で授受し、あるいは更新することによって決済される仕組み、または、その電磁的記録自体と整理されているところでございます。

 EUにおきましても、これはEU指令というものがありまして、電子マネー機関指令においては、電子マネーについて、発行者に対する請求権であって、電子デバイスに蓄積され、発行した金銭価値より少なからぬ資金を受け取って発行され、発行者以外の支払い手段として受け入れられた金銭的価値と定義されているものと承知をいたしているところでございます。

 このようなもののうち、最近のIT技術の進展等を背景に、交通機関やあるいはコンビニエンスストアで電子的な支払い手段として使用できるものが普及しつつある状況にあるものと認識をいたしているところでございます。

長安分科員 今、電子マネーの定義自体は広くてさまざまな形態がある、その中にあって、鉄道会社であったりコンビニ等で利用できるようなものが出てきているというお話がございました。確かに関東の方では、個別名を挙げますと、JR東日本さんのやられていますスイカ。大阪では、大阪弁をとったのか、イコカですか。コンビニ系では、コンビニで使えるようなものとしては、Edyのようなものがございます。こういったものは電子マネーと呼ぶのか電子財布と呼ぶ方が適法なのか私もわかりませんけれども、こういったものが普及しているわけであります。

 こういった電子財布機能のサービスの現状というものはいかにつかまれておられるのかなということが私も興味があるところでございまして、例えば流通規模であったり、現在の発行高の伸び率であったり、またどのような形態の事業者が発行しているかというところ、個別でなかなか言いにくいところもあるかもしれませんけれども、お答えいただければと思う次第でございます。

佐藤(隆)政府参考人 近年、交通機関であるとかあるいはコンビニエンスストアといったところで、前払式決済手段といたしましてICカードを活用したサービスが普及しているということは承知をいたしております。

 他方、私どもの報告徴求権とかそういう金融庁の権限に制約があるということもございまして、この前払式証票規制法という、いわゆるプリカ法でございますけれども、これに基づいて私どもが権限を行使できる、すなわちこの前払式証票に該当する適用対象というものについてしか私どもちょっとデータがないということでございます。実は、その中でも、典型的な図書券であるとかビール券であるとかといった伝統的な姿のもの、それから、先ほど御指摘のあったスイカ、EdyのようなICを活用したもの、両方のタイプがございますけれども、私ども、その実態を把握するときに、ICを使っているかどうかという区分を設けておらないこともありまして、ICの部分についてどれだけといった数字は持ち合わせていないところでございます。

 ただ、私どもの消費者保護という観点から非常に重要なことは、それを利用されているお客さん、購入者が不測の損害をこうむらないということでございますので、そういう観点から、特に第三者型、つまり、自社の店舗だけで使えるというものじゃなくて、もう少し提携した広い範囲で使えるプリペイドカードの場合についてよくフォローすることがあるんですけれども、この第三者型の業者の数ということだけ申し上げますと、これはICを使ったもの使っていないもの合わせまして、現在千四百六十五社というふうに承知をいたしております。

長安分科員 ありがとうございました。

 今、第三者型のものについての事業者数というのをお話しいただきましたけれども、そもそも、今お話のございました電子マネーといいますか電子財布サービスを提供している事業者に対しましては、どのような審査及び検査の体制をとられているのかというのをお話しいただけますでしょうか。

佐藤(隆)政府参考人 まず、法的な位置づけでございますけれども、前払式証票規制法におきましては、以下のような条件に該当するものを前払式証票というふうに定義いたしまして、この規制の対象としているというところでございます。

 すなわち、第一に、券面に、金額、物品、役務の数量等が記載または電磁的に記録され、第二に、対価を得て発行される証票であって、第三に、提示、交付その他の方法により、代価の弁済、物品の給付請求等に使用される、こういうことでございます。

 近年、いわゆる電子マネーという形で使われているさまざまなものがあるわけでございますけれども、そのうち、今申し上げましたような要件に該当して本法の適用対象になっているというものにつきまして、本法の規定に基づいて登録、届け出を求めているところでございます。

 先ほどちょっと申し上げました自家型、自社の店舗においてのみ使用することができる前払式証票の発行者の場合は、三月末または九月末において前払式証票の未使用残高、すなわち商品券等の発行総額から回収総額を差し引いたもの、これが七百万円を超えるときには、内閣総理大臣に届け出るというふうに求めております。

 それから、他方で、先ほど申し上げました第三者型、すなわち自社以外の第三者の店舗、加盟店であるとかフランチャイズ店等においても使用できるプリペイドカードの発行者の場合には、事前に内閣総理大臣の登録を受けることを求めております。

 そういった業者につきまして、発行者でございますけれども、本法の規定によりまして以下のことが義務づけられております。

 一つに、前払式証票の券面に一定の事項、すなわち発行者の名称、所在地、前払式証票の金額等を表示すること、それから二つ目に、三月末または九月末において、前払式証票の未使用残高が一千万円を超えるときは、その未使用残高の二分の一以上の額に相当する額について、保全措置、例えば法務局への供託等でございますが、これを講ずること、こういうことでございます。

 さらに、登録、届け出をいたしました発行者は、三月末または九月末ごとに、発行額、未使用残高等を報告することになっておりまして、当局は、必要に応じて報告徴求命令を出したり、あるいは立入検査をしたり、必要な場合には業務改善命令を打ったりということをやる、こういう仕組みになってございます。

長安分科員 今の自家発行型の場合の七百万円というのは、これは政令ですね。法律の中で決められているというよりも、政令の中で決められているということだと了解しております。

 次に、今、前払式証票規制法、俗称プリカ法というお話がございました。プリカ法というのは、恐らく、プリペイドカードを規制するということからプリカ法ということが名づけられたんだと了解しております。

 そもそも、この前払式証票というのは、我々国民にはなかなか聞きなれない言葉でございまして、俗に言う、先ほどお話もございました図書カード、あるいは百貨店の商品券のようなものが一番最初に念頭にあって、その後、さまざまな高速道路のハイウエーカードもそうでしょうし、それから電話のプリペイドカードもそうです。このようなものが出てきた。その中で、今回普及し始めた電子マネーというものも適用できるんじゃないか、適用できるんじゃないかというか適用しなければならないということで、適用されているんだという了解をしております。

 今もお話ございましたように、さまざまな消費者保護のための保全措置がとられているということがこの中身でございますけれども、一方で、また種類は違いますけれども、よく最近町で買い物をしますとポイントというものがお店の側から消費者に対して付与されます。また、航空会社などを利用しますと、現在のマイレージプログラムというものがございまして、マイルをためるということができるわけです。こういったものに対してもこのプリカ法が適用されるのかどうか、御意見をいただきたいと思う次第でございます。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のように、最近は、ポイントとかマイルとかという形で商品とかあるいは航空券を購入した際の、その景品といいますか、いわばおまけというような形で付与されているというものがございます。これが現行の前払式証票規制法の対象になるかどうかという御質問でございますが、先ほど監督局長からも御説明申し上げましたように、この前払式証票の要件として対価を得て発行されるというところがございます。

 そういった観点から、今回の今の御指摘のポイントあるいはマイルというのは、いわばおまけでございまして、対価を得て発行されるものではないということから、現行の前払式証票規制法の対象とはなっていないということでございます。

長安分科員 今お話ございましたように、確かに、対価を得て発行していないというところは、先ほどのライブドアの話じゃないかもしれませんが、グレーなところと私は認識をしております。

 例えば家電量販店などで買い物をする、例えば一万円のものを買う、現在ポイント合戦の状況ですから、一〇%、一五%、多いときには二〇%というようなポイントがつくわけです。つまり、一万円のものを買い物すると二千円分のポイントがついてしまう。それを次の買い物のときに使えるというのは、あたかも八千円の買い物をして二千円分のポイントを買うルールになっているという見方もできるはずなんですね。

 こういうポイントというものは、はっきり今、おまけという、懸賞といいますか、懸賞というような取り扱いをされているというお話ではありましたけれども、これだけ多くの流通あるいは企業において採用されているという現状をかんがみますと、何かしら消費者保護ということを考えないといけないのかなと私は思っておる次第でございます。

 消費者が銀行の取りつけ騒ぎのように一気にポイントを行使しようとしたときには、企業の経営自体にも大きな影響を与えてしまうというのはもう火を見るよりも明らかなわけでありますから、そういった意味では、何かしらポイントに対しても、それなりの消費者に対する保全措置というのを事前にとっておく必要があると私は思うわけであります。

 ちょっと話は前後をしてしまいますけれども、先ほど、プリカ法におきましては、保全措置で供託金等が積まれているというお話がございました。この保全措置が積まれていたら、当然、発行者が倒産等をした場合には、払い戻しといいますか、申し出があった方に幾分かその供託金の中から払い戻しをするという形になるかと思いますけれども、今まで一〇〇%保全されなかった例があるのか、あるいは極端に低い例があるのかについてお話しいただきたいと思います。

佐藤(隆)政府参考人 まず、一般論といたしまして、供託をさせておりますので、未使用残高の二分の一という水準でございますが、これくらい備えておけば何らかの問題があったときにもおおむね利用者の方々に返せるんじゃないか、こういう仕組みになっているということでございます。時々問題が生じるわけでございますが、そういったケースというのは、やはり発行者が別の事業をやっていて、別の事業で損を出す、そちらの方にプリペイドカードの代金が回ってしまうといったようなことがたまに見受けられる、こういう仕組みかと思います。

 それで、前払式証票規制法の施行後、発行保証金が発行体の破綻等で、それに伴って還付されたという事例が二十三件これまでにございますけれども、そのうち一〇〇%保全された事例が一七件を占めておりますが、満額保全できなかった事例というのも六件ございます。その六件のうち、保全率が五〇%を下回ったという事例は二件ございます。

長安分科員 保全率が五〇%を下回ったということはどういうことかといいますと、今おっしゃられたように、皆様から預かっているお金をほかのものに使ったということであれば、まだ救いはあるんですけれども、例えば企業の経営が厳しくなる、厳しくなって何とか資金を集めたい、集めるために倒産前に一気にそういった商品券等を発行する、それによって倒産になってしまう、そうすると、当然、保全率が低くなるという状況が考えられるわけです。

 この法律、私も細かく読ませていただきました。三月末また九月末の未使用残高を見て、その二分の一を積みなさいということです。例えばこの三月末に出てくる数字は次の九月末までの間、その数字の半分しか、三月末の数字しか積まれていない。つまり、三月末に一万円分の未使用があった場合には五千円積みなさい、九月末の段階で例えば未使用が百万円あったとしても五千円で結構ですという法律になっているわけです。

 昨今、企業も四半期ベースで決算をするようになってきました。そういう中にあって、いまだに上期と下期の未使用残高だけをベースにお金を供託させるというのはちょっと危険じゃないかと私は思っております。

 また、今お話ししましたように、三月末と九月末という上期、下期だけではなくて、四半期ベースに変えたとしても、これだけお金の流通のスピードというのが急激に速くなっている、そういう中にあって、もう少し柔軟に監視できる体制をとらなければならないのかと思っているわけです。

 一方で、先ほど来お話しいたしました電子マネーについても同様に五〇%の供託金がなされている。これは、私から考えますと、今どきの電子マネーというのは、すべて裏にはシステムというものがあって、恐らく未使用残高というのは毎日でも企業側は把握していると思います。

 そういう状況にあって上期、下期でしか報告をとらないというのはおかしいんじゃないか。逆に言うと、報告の回数はふやしてもらうかわりに、例えば積立金といいますか、供託金は五〇%じゃなくてもいい、もう少し下げてやるということもできるのではないか。

 現在、発行されておりますような電子マネーの発行体というのはもうほぼ大企業で、恐らく信用上問題のないような企業が大半であります。この法律上も、供託金五〇%を積む、あるいは銀行等の保証でもいいということが書いてあります。つまり、保証であれば、その企業の、発行者の与信リスクによって金利、保証料が変わるわけですから、供託金を積む場合でも、発行者の信用度に合わせて供託割合というのを変えていく方が妥当じゃないかと思っているわけであります。

 そういった、現状の通貨の、通貨と見ていいのかどうかわかりませんが、通貨または通貨もどき、電子マネーのようなものというのは、柔軟に、それぞれの特性に合わせた監視体制をとっていくことが必要だと私は思っております。

 現在、先ほど言いましたポイントやマイルの多くは、裏ではポイントからお金のかわりに使えるということになっています。一方でまた、昨今出てきました電子マネーと融通できるような仕組みにもなってきております。そういう中にあって、消費者にとってみれば、法律上は前払式証票規制法で規制されている、されていないという違いはありますけれども、利用者にとっては全く同じような感覚で使われているというのが現状にあります。

 私も、商品券自体に二分の一の供託金が積まれているということ自体も知りませんでした。恐らく国民の皆さんもほとんどの方が知らないという状況にあって、それに対していかに消費者を守っていくかということが重要になってきます。

 そういった意味で、企業も、ポイントあるいはマイルなどというものに対してどのように社内的に、自主的なものを含めて保全措置をとっているのかということを、金融庁として現在つかんでおられる情報をお話しいただけますでしょうか。

増井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からさまざまな御指摘がございました。一つ一つ大変重要な問題だというふうに私どもも思っております。

 いずれにいたしましても、このポイントの問題、あるいはいろいろなICを利用した前払式証票の問題、さまざまな実態があろうかと思っております。したがいまして、よく実態を把握しながら、かつ、これからどういう方向に向かうのかということもよく考えながら、慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。

 今お話のございました処理の仕方、処理といいますか管理の仕方ということでございますが、私ども、必ずしもすべてについて実態を把握しているわけではございませんが、例えば会計上につきましては、例えばこういったポイントなどにつきましては、景品の付与として販売費に計上する、あるいは値引きとして売上額から控除をするやり方、あるいは、こういった例も結構多いようでございますが、一定期間の売上額に対する割り戻しとして引当金に計上するといったようなやり方など、さまざまな態様に応じてそういった会計処理がなされているというふうに聞いております。

長安分科員 今、このポイントの引き当ての仕方についてもお話ございました。また、販売費で計上する等のお話もございました。しかしながら、企業会計ということから見ると、いかに現実に即した形で計上されているかというのが重要になるわけです。このような、今のままでは恐らく、引当金をいつの段階で積むのか、あるいは経費計上するのがいつのタイミングなのかというのは明確な決まりがないというのが現状だと思います。

 そういう中にあって、企業がそれを逆手にとれば利益操作にも使えてしまうという危険があるわけです。利益が出そうなときにはそれを費用計上して利益を削る。そうすると、当然、納税額が減る、課税所得が減るという形になるわけですから、そういった意味での企業会計の基準づくりというのもまたこれからは必要になってくるのかなと私は思っておる次第でございます。

 いずれにいたしましても、先ほど来お話ししておりますように、昨今は偽造通貨まで出てきて、さまざまな通貨に対する我々の信頼感というものがどんどん揺らいでいっているという状況にあります。

 一方で、通貨だけではなくて、今までの通貨政策というのは通貨だけを見ていた。一方で、これからは、裏で流れる電子マネーというものも目に見えない形で流れていく。電子マネーと直結する形でポイントというものも流れていっているわけです。その割合がどんどん高くなればなるほど、従来の金融政策、通貨政策だけでは金融をコントロールできなくなっていくという可能性が十分あるわけです。

 そういった意味でも、今後もしっかりと、それぞれの通貨に合った現状を見据えて、また、適正な法整備をしながら監督していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

佐藤(茂)主査代理 これにて長安豊君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤(茂)主査代理 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤錬君。

佐藤(錬)分科員 自由民主党の佐藤錬でございます。

 竹中平蔵大臣とは、昭和二十六年の同年生まれでありまして、うさぎ年生まれです。しかし、母の胎内に生命を宿したのはとら年ですから、優しく、そして、少々気が荒く激しいところもあると思います。

 きょうはこれから三十分、同年のよしみで、お互いにざっくばらんに、失礼な点もあるかもしれませんが、本音で議論をさせていただきたいと存じます。

 竹中大臣は、今日まで、経済学者の道を歩かれてこられ、大学教授から小泉政権の中枢に入り、昨年の参院選には突如出馬され、数日の選挙運動で当選。今や政治家、国会議員の一年生となられたわけであります。一方、私は、昭和四十七年、角福戦争直後に永田町にてでっち奉公を始め、秘書から県会議員と、政治一筋三十年の修行を経て、ようやく今、この場に立ち、発言をしております。時まさに戦後還暦。時代の節目、変革の時代を迎えて、政治が国民の運命を決めると思えば、政治家としての使命など、感無量なものがあります。したがって、私はきょうは真剣勝負で質問をしますので、どうぞ大臣にも誠意ある答弁を賜りますよう、冒頭お願いしておきます。

 さて、郵政民営化については、いまだ法案は国会に提出されておりませんが、既に基本方針が閣議決定されておりますので、事前にこの場で議論をさせていただきたいと存じます。

 小泉純一郎内閣総理大臣の郵政事業民営化にかける政治家としての揺るぎない情熱、信念は、まことにすさまじいものを感じます。先般は国会の施政方針演説で、男子の本懐とまで述べられました。我が自由民主党の総裁でもある小泉総理の決断と方針に、その党員である私が逆らうわけにはいかないと思います。同志としての政党の体をなさなくなるからであります。政治家としての筋を通すということは大事なことだと思っております。

 確かに、官から民へ、民でできることは民で、そして官業は民業を圧迫してはならず、あくまでも官業は民業の補完たるべしというのは正論であると思います。しかしながら、国民は不安や懸念を抱いております。国民にわかりやすく説明をしなければなりません。限られた時間、わずか三十分、端的に数点を問いますので、要点を簡潔にお答えくださいますようお願いします。

 まず、議論に入る前に、実はここに、私の地元の特定郵便局長夫人会の会長さんからいただいたラブレターがあるわけです。なかなか日本的な美人で愛らしい奥様の率直な現場の声なので、あえてその一部を披露します。

  民営化で町が元気になる、郵便局のコンビニ化で暮しが便利になるとは政府広報ですが、こちらの局は、狭くてスペースもなく、人手もなく、物品販売はできそうにもありません。政府には自由に使える予算があるのだとはじめて認識しました。税金を使うのはフェアではありません。自分たちの資産を投げ売ってでもという姿勢が必要かと思います。

  字で一軒しかないお店やさん、近頃品数が少なく、欲しいものが仲々手に入らなくなりました。聞けば、「売れないので、卸屋さんに頼んでもあまり置いてくれない……。店を開けておくだけで赤字だし……もう閉めようか……と考えている」とのこと。「町を走るバスのように、村から援助してもらえないかなあ〜」とは車を運転できないお年寄り。将来の民営化された郵便局の姿だなあ〜と実感しています。「民でできないサービスをするのが官」だと思います。

  地元で長年暮し、住民の殆どの方の顔と名前を知っている特定郵便局の「サービス力」はすごいです。安全と安心があります。民間の経営手法があり、公共のため奉仕している公社のままで、充分将来もやっていけます。町と人々の暮しをより元気に便利にし、幸福を提供できると思います。

以上が現場の女性の声であります。

 質問の第一は、いわゆる一般的な学者と称する人の欠陥は、机上で物を考え、室内で論議するだけで、生の本当の現場をよくわかっていないことにあると言われます。明治以来のこれだけの大制度改革をなそうとするのであれば、その担当大臣は忙しいとは思うが、過疎地に足を運び、過疎地の郵便局、特定局、簡易局の実態を視察し、切実な職員の声や、お客である地域住民の不安な声を聞いて、本当に体で現場を知り尽くした上でこの法案づくりに臨んでいるのか否か。

 大臣郷里の和歌山県でもいいんですが、例えば我が大分県の過疎山村には良質の温泉もわきます。四、五日ゆっくり山にこもり、英気を養いながら、改めてじっくりこの制度設計の想を練るなんというのはいかがでしょうか。大臣の御答弁をお願いします。

竹中国務大臣 佐藤委員には、特にこの郵政民営化で非常に大所高所からいつも御指導いただいておりますことを常に感謝を申し上げている次第でございます。きょう、本当に重要な御質問をいただいておりますので、私なりに精いっぱいお答えをさせていただきたいと思っております。

 今、大分の特定局の御夫人の手紙、御紹介してくださいましたが、実は数カ月前に、大分のまさに、ちょっと村は忘れましたけれども、特定局の御夫人が私の部屋を数名で訪ねてくださいまして、今まさに御指摘のようなお話を私もしっかりと伺いました。御夫人方、本当にしっかりと御主人を支えて地元に、しっかりとコミュニティーに根をおろしておられる、そのお姿、本当に私は立派だと思います。

 今委員、サービス力というお言葉を使われましたけれども、たまたま私の郷里の和歌山で、これは過疎地ではありませんが、やはり市の郊外で私の高校の同級生が特定局長をしておりまして、和歌山に行くたびに彼なんかの意見も聞きながら、実感を持つことが大事であるというふうに私自身常に感じております。御指摘のように、これは常に学者の議論であるとか机上の議論であるとかいう御批判を受けまして、私自身、これはやはり、体で感じられるような現場主義を貫かなければいけないと自分自身に言い聞かせております。

 時間の制約等々もありますので、私自身、一〇〇%それができているというふうには必ずしも思わないわけではございますが、そうした中で、これまでも、いわゆる地方懇談会、タウンミーティング、そして郵政民営化のテレビキャラバン、これは二十一の都市に行かせていただきました。そして、民営化のテレビキャラバンに合わせまして、これは具体的には富山県と熊本県と静岡県におきましては、特に地元の郵便局関係者、これは普通局長さんと、それと特定局長さん、そして労働組合の方も来ていただきまして、意見交換の機会なども持たせていただきました。

 もちろんこれで十分だとは全く思っておりません。機会を見つけてさらに、先生おっしゃるような形で、しっかりと現場の声を聞けるようにしたいと思います。

 ちなみに、今、国民の皆さんからいろいろな御質問や御意見をいただくというようなこともやっておりまして、既に四千を超える御意見をいただいているところでございます。先生御指摘のように、現場の声に耳を傾けるように、引き続きしっかりと努力をするつもりでおります。

佐藤(錬)分科員 第二は、なぜ今郵政民営化を急いでなし遂げなければならないのか、その目的は何なのか、日本郵政公社の中期経営計画の実績、結果を見てから検討すべきではないのか、こういう疑問が多くあります。国民が理解し、納得できるように、胸につかえた不安や懸念のもやもやがすとんと落ちるように、国民にわかりやすく説明する責任が政府にはあると思います。大臣の御答弁をお願いします。

竹中国務大臣 今、与党とも真摯な話し合いをしているわけでございますけれども、その中でも、民営化の必要性、とりわけなぜ今なのかということについて、もっともっと説明が必要だぞという厳しい御意見をいただいております。それの御説明については、まさにしっかりと対応しなければいけないと思っております。

 私自身、やや前から思いますのは、改革が遅い遅いというふうにいろいろな御批判をこれまで受けてきた、そして郵政の民営化だけは早過ぎるという御批判を受ける。それがどうしてなのかなということも考えながら、しっかりと御説明をしていかなければいけないと思っております。

 最大のポイントは、郵政事業を取り巻く環境というのがすさまじく激変しているということだと思っております。

 基本になります郵便の事業ですけれども、郵便の取扱量は、一方でEメールの普及等々ございますので、毎年二%から二・五%という減少をここのところ続けております。恐らく、この減少は今後さらに加速していく可能性があるんだと思います。単純にこういう状況が十年続きますと、十年後には二五%とか三〇%今より取扱量が少なくなっている可能性がある。だからこそ、世界じゅうで今、郵政が危機感を持って改革を加速しているということなんだと思います。

 技術革新という観点からいいますと、郵便、通信だけではなくて、実は、金融に関していうと、もっともっと速い技術革新が今進んでいる。日本の郵政のかなりの大きなウエートを、実は金融の仕事でありますので、この金融の技術革新に非常に多様に対応していかなければいけないという、私はやはり危機感を持つべきだと思います。

 もう一つ、物流のサービスの中で見ますと、我々、ともすれば国内の郵便だけに目を向けがちでございますけれども、実は、国際郵便、国際展開、国際物流というのが激変しているということだと思います。特にアジアの地域では、中国や韓国など、毎年、これだけ低成長の時代に、国際物流は一〇%、二〇%という成長を遂げている。その中に実は民営化されたドイツ、オランダの郵政が参入してきているわけで、そうしたことも考えますと、やはり環境が激変している。

 このままいきますと、公社の経営というのは、やはり大変、いわゆるじり貧といいますか、厳しい状況に向かう可能性もあるわけで、そうした意味からは、やはり非常に速やかに対応しなければいけない。その中で、自由な経営の、まさに経営の自由度と柔軟な意思決定の仕組みをこの中に取り入れる、そのための民営化というのは極めて重要であろうかと思っております。

 最後にもう一点だけ。ドイツの例等々を見ますと、ドイツの郵政、ドイチェ・ポストが民営化をしたのは一九九五年でございます。しかし、民営化はまだ完成しておりません。十数年の時間をかけて、これだけの大きな組織ですから、完全な民営化には至らなければいけない。そうした経過期間、準備期間、移行期間を考えますと、やはりできるだけ速やかに民営化に着手をして、その環境激変に対応していく必要があるというふうに考えております。

佐藤(錬)分科員 基本方針を拝見しますと、努力とか配慮という言葉が目立ちます。努力とか配慮という言葉ほど無責任でいいかげんなものはありません。努力したがだめだったとか、配慮したが無理だったと言われることは日常茶飯事であります。

 全国あまねく、くまなく安心・安全サービスを提供するために日夜頑張っている郵便局ネットワークの維持について、努力義務や配慮などのあいまいな言葉ではなく、明確に法律上の義務を課すべきではないのか。このことこそがきっちり担保されることなしに地方の賛同を得ることは断じてないと思います。このことを担当大臣は肝に銘じてほしいんです。

 地方の切り捨ては許されないということを、私はこの場で強く申し上げておきます。大臣、この点についてのお考えを承りたいと思います。

竹中国務大臣 今の佐藤委員の御指摘は、大変厳しい御指摘でございますし、逆に言いますと、大変重要な、本質的な御指摘であるというふうに私も思います。

 御指摘のように、確かに、努力義務でありますとか雇用への配慮とか、そうした表現が基本方針には散見されるところでございます。

 もう委員はよく御存じでございますけれども、まず、基本となります郵便事業そのものは、これは完全な義務です。ユニバーサルサービスの義務でございますので、ここはきっちりとしているわけでございます。これは、日本は国際条約にも加盟しておりますので。

 問題は、民営化する中で、郵便に附帯している事業としての店舗の展開、すなわち窓口ネットワークの事業、それとこれまでやってきた金融の事業、それを民営化の中でどのように位置づけていくかという、ここは大変やはり我々も悩むところであり、難しいところでございます。

 民営化するというのは、自由にやってください、経営の自由度を発揮してくださいということでありますので、その意味でいいますと、民営化された企業に政府が義務づけをするというのはやはり最小限にとどめなければいけないという考え方が私はあるのだと思います。

 一方で、しかし、郵便局は地域で、特に大分や和歌山やそういうところで大変重要な社会的機能を果たしている、そういうものに対しては、やはり社会的な機能を引き続き果たしてもらわなければならない。その経営の自由度、そして社会的な機能、そこのバランスをどのようにとるのか、そして、結果として実効性がどのように保たれるのか。地方に郵便局がないと困ります。したがって、その実効性をどのように担保するのかというところが、やはり今回の民営化の重要なポイントになろうかと思います。

 現状では、基本方針で想定されておりますのは、店舗の配置については努力義務としながら、設置基準については明確にこれを定める。そして、一般監督権限が監督省庁にはございますから、その一般監督権限の中で、実際に店舗がしっかりと国民の利便に供されるような形で配置されるような実効性を保っていく。そのようなしっかりとした制度設計を、これは私としてもぜひ実行したい。

 それがないと、やはり、御指摘のように地方の理解は得られないと思いますし、郵政の民営化が国民のためになったのかというような御批判も出てくると思います。そこは、民営化の趣旨と社会的な機能を両立させるように、ぜひしっかりとした制度設計をしたいというふうに思っているところでございます。

佐藤(錬)分科員 政府・与党協議の中で、地域・社会貢献基金なるものを設置するとのことですが、いわゆる国が三分の一超の株式を持つことになっている持ち株会社に設置するとのことですが、地域や社会への貢献が確実に実施されるに足るような基金の規模、それから体制や制度の整った、そういった基金を本当につくることができるのか。さらに、人口、消費者が少なく採算のとれない過疎地域にある窓口会社や郵便会社が事業を存続するための経営支援に対しても、この基金から充てることが必要になってくるのではないか。

 でなければ、郵便局はおのずと閉鎖に追い込まれ、全国の郵便局ネットワークの維持はできなくなる、公約違反、法律違反、そして政治不信が広がることになってきますが、断じてそんなことはしてはならないと思います。大臣のお考えを承りたいと思います。

竹中国務大臣 地域貢献、社会貢献のための基金という大変重要な点についての御質問をいただきました。

 先ほどから御説明をさせていただいておりますように、民営化された会社の中で、しかし、社会的な機能を果たしていく、特に、これまで郵政というのが大変地域に密着した重要な役割を果たしてきましたので、その機能を後退させることなくしっかりとした機能を果たしていくような仕組みをつくることは、これは大変重要な、この制度設計の中核になるというふうに考えております。

 そうした観点から、この郵政には、地域貢献と社会貢献、そうした事業、地域貢献事業、社会貢献事業を行うということを、より明確な形で計画をつくるというようなことを義務づけてはどうか。その上で、それには主務大臣もしっかりと、つまり政府がしっかりと関与をして、地域の声も聞きながらそういった計画をつくって、社会的な機能、地域的な機能を果たしていくような仕組みをつくりたいということで、先般、自民党との協議、与党との協議の中でお示しをしたわけでございます。それにあわせて、そうしたことを可能にするための財政的な基礎としての基金というものを持ち株会社に設置してはどうかという考え方の基本的な方向提示をさせていただきました。

 委員の御質問は、それを受けて、それがどのような中身になるのか、どのような規模になるのかという大変重要なお尋ねでございます。

 これにつきましては、今、我々としては、方向を示して制度設計に取りかかったところでございますので、その規模がどのぐらいになる、具体的な中身がどうなるということは、大変申しわけありませんが、今の段階で私自身もまだ明確にできていないところでございますが。いずれにしても、委員が御指摘になったように、これでしっかりとした社会的な機能を果たさないと、これは国民の支持は得られない、政府に対する不信も高まるということであろうかと思います。

 私自身は、この新しい考え方の中で、基本方針に沿いながら、しっかりと地域貢献、社会貢献ができる仕組みがつくれるというふうに思っておりますので、今の委員の御意見をしっかりと賜って、責任ある制度設計をぜひしたいと思っております。

佐藤(錬)分科員 よろしくお願いします。

 第五は、公務員の労働組合に求められる意識改革の問題であります。

 国民の代表は政治家であって、官僚、役人ではありません。権力の執行者は官僚、役人であって、政治家ではありません。したがって、議院内閣制における民主主義というものは、政治家、つまり大臣が官僚、役人の首を自由自在にすげかえられることが貫徹されるところで守られるものだと思います。

 そこで、いまだ自民党は了解しておりませんが、先般、閣議決定された政府の郵政民営化基本方針の中に、民営化実現に当たっては、現公社職員の雇用に配慮すると大きくうたわれております。にもかかわらず、中立公正であるべき国家公務員で組織する日本郵政公社の労働組合、すなわち日本郵政公社労働組合と全日本郵政労働組合が、政府方針の郵政民営化に対する反対運動を堂々と展開し、集会などを開いているのは、公務員の政治活動を禁じる国家公務員法に違反しているのではないかと思いますが、郵政民営化担当大臣としては、両組合の民営化反対運動についてどう考え、対処なさるのか。優しいばかりが政治ではありません。厳正に筋を通す強さも政治は持たねばならないと思います。大臣のお考えを承りたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、政治家としてのリーダーシップを発揮するということが大変重要であると思います。その際に、人事というのは非常に重要な一つの分野になるというふうに私も思います。政治家としては一年生ではございますが、ぜひ、その私の立場を踏まえて、しっかりと対応をしていきたいと思っているところでございます。

 今委員お尋ねの国家公務員法に違反しているのではないか云々、これは、ちょっと私、国家公務員法の所管外でありますので、この法律についてということはなかなかコメントができないのでございますけれども、郵政公社の労働組合がこの民営化に反対の姿勢を示していることは承知しておりますけれども、我々としては、今まさに御指摘くださいましたように、職員の雇用に配慮することとしております。公社職員や労働組合の御理解と御協力を得ることが、これが大変重要であるというふうに思っております。

 これまでも、私自身、実は、労働組合の代表の方と会見の場を設けるなど、意見交換を実施してきたところでございますけれども、今後とも、さまざまなチャンネルを通じまして、組合の御理解と御協力を求める努力を、これは担当大臣としてはしてまいる所存でございます。そうしたことを通して、しっかりとこの民営化が職員の理解も得られて実現するように、ぜひ努力をしたいと思います。

佐藤(錬)分科員 次に、特定郵便局長の身分保障について、提言をいたしたいと存じます。

 裁判所の特別送達や内容証明の取り扱いなど、通信の秘密を確保しながら、公的職務が責任を明確にして的確な執行がなされるために、さらに、国民からもその公正性と信用性において、安心、安全、信頼される郵便局を維持するためにも、特定局長にその執行責任者として何らかの公的な法令上の資格を確保するべきであると提言申し上げます。大臣のお考えを承りたいと思います。

竹中国務大臣 佐藤委員の御提言、ありがとうございます。

 執行責任者として、御指摘のように、特別送達そして内容証明郵便、これは大変重要な機能でありますから、これもしっかりと機能できるようにしなければいけません。執行責任者として法令上の資格ということに関しては、しっかりと賜りまして、その方向でぜひ実現に努力をしたいというふうに思います。

佐藤(錬)分科員 ありがとうございました。

 次に、簡易郵便局は、昭和二十四年に制度化されて以来、主として過疎地や離島において郵政事業を国民に提供するための住民に最も身近な拠点として活用されてきており、現在、郵便局ネットワークの約五分の一を占める重要な存在であると承知しております。しかしながら、公務員ではなく、安い手数料だけに頼る請け負いの個人受託ということで、公社に対し契約上も弱い立場にあります。

 この全国四千四百四十六の簡易郵便局は、民営化後も受委託関係が存続されるのか、また、簡易郵便局を存続させるための何らかの身分保障など、処遇改善の支援措置は考えているのか。弱者切り捨ては許されません。大臣のお考えを承りたいと思います。

竹中国務大臣 今回、私自身もいろいろ勉強をさせていただきまして、まさに、佐藤委員、私が生まれた二年前に、昭和二十四年でございますから、二年前にこの簡易郵便局の制度ができたということを知りました。これも御指摘ありましたように、全体の五分の一が簡易郵便局ですから、これは大変重要な存在であるというふうに承知をしております。

 これは言うまでもありませんけれども、この簡易郵便局を活用して、窓口ネットワーク、このネットワーク全体を維持していく、事業を行っていくということでございますから、これは、窓口ネットワーク会社が設立されるとして、その窓口ネットワーク会社にとっては大変重要な経営上の選択肢ということになるんだと思います。我々としては、国民がひとしくこのネットワークにアクセスできるようなことを確保しないと、まさに地方切り捨てになるわけでございますから、これが、現在の簡易郵便局が必要とされる業務を行えるようにするということは絶対に必要な条件であると思っております。

 保障、処遇改善という御指摘がございましたけれども、どういう問題があるのかということはこれからも勉強いたしますが、いずれにしましても、この簡易郵便局が地域にとって必要とされる業務を行えるようにということで、そのことをしっかりと肝に銘じて制度設計をしてまいります。

佐藤(錬)分科員 もう最後にしますが、郵便貯金銀行、郵便保険会社に国の出資がまだ残る約十年の移行期間においては、経営の自由度と民間企業とのイコールフッティングのバランスをうまくとる必要があると思います。要するに、経営を自由にしてイコールフッティングがなければ、これは民間の事業の圧迫になりますし、それの逆になれば、郵政三事業、これはもたなくなります。これは大変難しい調整力を要する問題であると思います。どのようになされるおつもりか、最後にお聞きして、終わりたいと思います。

佐藤(茂)主査代理 竹中担当大臣、質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いいたします。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、民営化の目的は経営の自由度を持ってもらうこと、しかし一方で、民間とのイコールフッティングをバランスさせないと、これは、これだけ大きな組織が市場経済の中にうまく吸収、統合できないということになろうかと思います。

 そのための仕組みというのが大変重要でございますけれども、基本方針の中では、有識者から成る第三者機関である監視組織を活用しながら、透明、公正なプロセスのもとで、段階的にいろんな自由度が拡大していけるような仕組みをするということを明記しております。この第三者組織の声が直接総理大臣に届くような仕組みをしっかりとつくっていくことが必要であると思っておりますので、その趣旨に沿ってしっかりと制度設計をしてまいります。

佐藤(錬)分科員 誠実な答弁をいただいてありがとうございました。どうぞ、この大改革、性根を据えて取り組んでください。

 ありがとうございました。

佐藤(茂)主査代理 これにて佐藤錬君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

佐藤(茂)主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東門美津子さん。

東門分科員 社会民主党の東門美津子でございます。長官、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、二月十九日の2プラス2の際、長官はラムズフェルド国防長官とお二人での会談もあったような報道がございましたけれども、そのお二人の間で、普天間の飛行場と辺野古、いわゆる普天間の移設先とされている辺野古のことも話題に上りましたでしょうか。

大野国務大臣 今回の会談では、いわば共通戦略目標が主な話題でございました。したがいまして、個々の問題については触れられませんでした。

東門分科員 ということは、一切長官の方からもそういうことを話題にもしなかったということですね。わかりました。

 そうしたら、普天間飛行場の移設問題について伺います。

 普天間飛行場の辺野古移設に関して、西那覇防衛施設局長は二十四日の記者会見で、日米間の話として、一方で在日米軍再編の議論は進んでいくが、今の作業の手を抜くことは許されていないと述べて、計画見直しなど日米の合意がない限り移設先のボーリング調査は進めていく考えを示したようですが、訪米中の額賀前自民党政調会長と会談をされたローレス国防省副次官は、適切な移設場所を見出すことが必要だと述べられて、辺野古への移設とは別の可能性を探る姿勢を示したとの報道もなされております。

 米国側が他の移設先を検討する必要性に言及している現在、地元の住民が座り込みをして、本当に長期間になりますが、長期間座り込みをしてまで反対をしているボーリング調査を強行し続けることに何の益があるのでしょうかと私は申し上げたい。

 長官もお聞き及びのように、既に、ボーリング調査によってサンゴが傷つけられていることが確認されています。地元の施設局長は、政府の決定がない限り中止の判断をすることはもちろんできません。在日米軍の再編協議は今後数カ月かけて行われることとなっており、二年も三年も待つわけではないのですから、米軍再編協議が行われている間、一たんボーリング調査を中止する判断、それを防衛庁長官がなさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    〔佐藤(茂)主査代理退席、主査着席〕

大野国務大臣 私も、正月、一月に沖縄へ参りまして、普天間飛行場、そして辺野古を拝見させていただきました。それで、やはり自然環境を保護する、ジュゴンを保護する、あるいはサンゴ礁を傷つけちゃいけない、こういう思いは胸に深く刻み込まれました。

 しかし、この普天間飛行場を辺野古へ代替施設として移していく、このことは、本当にいろいろな議論があって、苦渋の選択の上にできたものでございます。したがいまして、現段階におきましては、辺野古の代替施設を着実に進めていく、これが、沖縄が本当に歴史的にもいろいろな意味で米軍駐留の負担を負っておられる、このことを少しでも減らしていく着実な歩みになっていくのではないか、このように思っております。

 今、数カ月間かけてトランスフォーメーションの話を加速化させていく、こういうお話がございました。その中で、もちろんそういう話が出てこないとも限りません。ただ、今現在、そういう話は全く出ておりませんし、先ほど東門先生がおっしゃった、ローレスがこう言ったじゃないか、こういう話でございますけれども、もしいい案があればということで向こうが投げかけているわけでございますと私は推定、想像しております。

 そういう意味からいきましても、いろいろなことを議論して、地元の皆様とも話し合って、苦渋の選択の上に考え出されたのが辺野古の移設ということでございます。その点につきましては、繰り返しになりますが、この問題を着実に進めていくことが沖縄の負担の軽減につながっていく、このように考えております。

東門分科員 外務大臣の答弁とほとんど変わらない、そういうことになっているんだろうなとは思うんですけれども、長官、SACOの最終報告、それはいろいろございます。その中のメーンが普天間飛行場の移設だと思うんですが、それが辺野古に移設することによって沖縄県民の負担が軽減されるというところが私たちには納得がいかないんですね。

 それを、長官のお考えとしてそこをお示しいただけませんか。この部分だけです。SACO全体を申し上げません。普天間を辺野古に移すことが沖縄県民の負担の軽減につながるとおっしゃっている長官、ここはこうだから負担軽減につながるんだよというお考えをお聞かせください。

大野国務大臣 一月に沖縄を訪問させていただいた際に、私は、普天間の飛行場、これも嘉数の丘から見させていただきました。そして、あの飛行場は本当に町の中にあるような感じであります。それで、すぐ隣に沖縄国際大学がある。その沖縄国際大学の本館の本当にすぐ壁際までヘリコプターが落ちた。本当にあのヘリコプターの事故が人身事故につながらなかったというのは、まさに奇跡中の奇跡みたいな感じがいたしました。そういう意味で、この普天間は絶対に移設をしなきゃいけない、これがやはり出発点になろうかと思います。

 そういう意味で、普天間が永遠にあり続ける、これは負担といった場合、数字にあらわれる負担、数字にあらわれない負担、例えば騒音とか不安感、そういう不安感とか騒音とかを考えますと、やはり普天間を移す、その行き先については、何遍も繰り返して恐縮ですが、いろいろな議論があって、いろいろな調整があって、そして苦渋の選択でできたのが辺野古、こういうことでございます。

 私は、そういう意味で、やはり沖縄の負担の軽減につながっていく一つの道である、このように思っております。

東門分科員 普天間を移設しなければならない、これはもう当然です。県民だれしもそう思っております。しかし、その移設先が辺野古であるということ。苦渋の選択、そこまで行くにはいろいろなことがあったことは長官御存じだと思いますが、それが、あの自然を破壊して埋め立てて、埋め立てる跡もごらんになったと思います。できれば海上に出ていただきたい。そして、座り込みをしている高齢者の方々ともお話ししていただきたい。であれば、そうしたときにはそれが何を意味するか、どういうことなのか、本当にこれで負担の軽減につながるのかということを長官自身がおわかりになると思うのです。

 今の御答弁の中では、普天間は移設しなければならないと。一〇〇%賛成です。でも、それが辺野古に行くことによって県民の負担が軽減されるという御答弁にはならないと私は思うんですが、いかがでしょうか。なぜ辺野古なのか、苦渋の選択だからということでは私は答弁にならないと思いますが。

大野国務大臣 普天間から移設する、この点は同じ思いだと思います。

 それから、辺野古へ行ったらなぜ負担の軽減か、こういうことでございますけれども、辺野古の沖合にそういう施設をつくるわけでございます。そのときに、問題は幾つかあると思います。やはり自然環境の問題、私たちはその辺も十分注意をしながら、サンゴ礁が傷ついたという話もありますけれども、そこは工夫をして、脚のけたのところですね、足げたのところを十分工夫してやっていこう。いろいろな意味で、ジュゴンとかサンゴ礁とかを傷めないように工夫をしながらやっている。そして、あの辺野古の代替施設が沖合にある、こういう意味で御迷惑をかける割合が少なくなる、こういうふうに思っております。

東門分科員 県民の負担の軽減につながるという御答弁ではないと思いますが、でも、余りそこだけ言っても時間がたってしまいますので、ここら付近で終わりますが、一言だけ申し上げておきます。

 今現在、ボーリング調査が行われる前の段階で、準備の段階で、かなりのサンゴが破壊されております。かなりの自然環境が破壊されている。それは地元で実際に海に出て見ている人たちがしっかりわかっていること。これを環境に配慮するとか最小限に抑えるといっても、正直言って言葉だけなんですよ。そういうものではだめだということ。

 本当の意味で負担の軽減につながると政府のおっしゃっていること、防衛庁長官みずから常におっしゃっていることが本当であるならば、今のこの時点で、少なくとも数カ月間、米軍再編の結論がはっきり出てくるまで待っておこうとするのが私は政府の姿勢であるべきだと思います。強く申し上げておきたいと思います。

 それでしたら、今長官がおっしゃるように、何としても普天間は辺野古だ、見直すかもしれませんが、もし今の時点で、今の時点ではこれしか言えないとおっしゃったわけですから、そうであるとしたら、これからボーリング調査を行い、そしていろいろな手続を経て、最短でも九年半、私たちは十何年かかると思いますが、防衛施設庁は多分九年半と言っているかもしれません。九年半ないし十年かかるこの工事、その間、普天間はどうするおつもりですか。今のまま置いておくということですか。

大野国務大臣 安全保障の観点から、これから数カ月にわたっていろいろな議論が行われていくと思います。その中で、今そういう議論はまだやっておりませんけれども、何か糸口があればとは思います。しかし、糸口がどうなっていくのか、これは今から数カ月間の問題でございますので、今の段階で確たることは申し上げられないわけでございます。

東門分科員 それであればなおさら、この数カ月間、結論が出るまで、辺野古も待ったをかけるべき。ボーリング調査に入るということは、むしろ、これはむだな財政支出になると私は思います。県民の負担、そこで本当に頑張っておられる方々の気持ちを考えたときに、とても私は酷なことをなさろうとしていると思います。まだ決まっていないから、これは一方で進めていく、環境をどんどん破壊する、人の気持ちをどんどん傷つけていく、それでは私は政府としてあるべき姿ではないのではないかと思います。

 しかも、普天間がどうなるかわからない。今のまま九年置かれるのか、十年置かれるのか、いや二、三年置かれるのか。今でも撤去してほしい、すぐクローズしてほしいというのが宜野湾市民あるいは県民の大きな願いであるということを強く申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に参りますけれども、今般、2プラス2で、先ほどおっしゃったように、日米の共通の戦略目標も合意されたということですが、この戦略目標を達成する観点から、トランスフォーメーション後の沖縄の基地はどのような役割を果たすことが期待されていると長官は考えておられるのか、お伺いいたします。

大野国務大臣 沖縄は、米軍駐留という観点から見ますと歴史の重みがあります。それから、地理的に言いますと、やはりこれは一つの大きな意味合いがある。まあ、歴史の重みの方は割愛いたしまして地理的に申し上げますと、まず、東アジアの各地に対しまして、アメリカ本土やハワイあるいはグアム島から、より東アジアに近い、こういう問題が一つあろうかと思います。

 それからもう一つは、逆に、東アジア周辺諸国、日本の周辺諸国に対して、どう言ったらいいんでしょうか、近くもなく遠くもない好位置にある。近ければ、向こうから何らかの爆弾が飛んできたら、大砲が飛んできたら届く距離かもしれない。しかし、そう近くもない。しかし、だからといって遠くもない。こういう位置にあるというふうに思われます。

 そういう意味で、沖縄にあります米軍の存在というのは、日本の安全保障にとって大きな意味合いを持っていたし、それだけに、もちろん日本の安全に大いに寄与してきたわけでありますけれども、そのコロラリーといたしまして、やはり沖縄に日本全体にあるアメリカ駐留軍の基地の七五%が集中してしまった。

 これは我々、今この段階できちっと考え直していかなきゃいけない。どんなことがあっても沖縄の負担を、まず目に見える形で、つまり七五%をできる限り減らそうじゃないか、こういう形で努力いたしたいと思っています。

 それから、負担といった場合に、やはり目に見えないものがあります。先ほどのヘリコプターの事故の問題、あるいは演習をやりますと騒音の問題、こういう問題が必ず出てまいります。そういう点からも考えていかなきゃいけないな。

 こういうさまざまな問題を総合的に考えながら、やはり我々は、この数カ月のアメリカとの話し合い、協議の中で、沖縄を初めとする日本の負担の軽減、そしてアメリカの、在日米軍が持っている抑止力の軽減、一見これは相反するようなテーマなんですけれども、これをどうやって相反しないように両方実現していくか、このためにいろいろな知恵を絞り、工夫も凝らして、アメリカの理解も得てやっていかなきゃいけない、このように思っています。

東門分科員 ただいまの長官のお言葉の中に、負担の軽減を目に見える形で実行していくというお話がございましたけれども、その目に見える形でというのは何を意味しているんでしょうか。海兵隊の数の削減ですか、基地の施設の縮小、整理ということを言っているのでしょうか、あるいは全体を含むのか。

 長官としては、政府の決定ではないけれども、日米が合意しているわけじゃないけれども、私としてはこの方向をアメリカ側に強く言っていきたいということがあればお聞かせください。

大野国務大臣 今申し上げましたとおり、負担というのはやはり目に見える、数字であらわせるもの。ですから、在日米軍の施設・区域も縮小したいな、兵力も減らしたいな、そして同時に、アメリカの軍事力は日本の抑止力として相変わらず維持できる、このような形をつくっていく。そのためにさまざまな工夫を凝らしていかなきゃいけないな、こういうことを今先ほど申し上げたとおりでございます。

東門分科員 でありましたら、一番沖縄県民にとって、今、目に見える形で、肌で感じる形での負担軽減は、普天間の閉鎖であり辺野古への移設断念、これが一番大きいと思います。辺野古への移設は、県内への移設はもういいです、ぜひこれは外へ出してくださいと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、都市型戦闘訓練施設についてお伺いいたします。

 キャンプ・ハンセン内で建設中の陸軍都市型戦闘訓練施設について、町村外務大臣は、二月十六日の予算委員会の中で、何とかレンジを変更できないか、取り組んでいるところだと述べられました。たしか、大野長官も就任後沖縄を訪問された際、似たようなことを発言されていたという記憶がございます。日本側が負担して代替施設を建設するという意味だと思いますが、政府内で検討されているとの報道もございましたが、事実でしょうか。

大野国務大臣 キャンプ・ハンセン内のレンジ4でございますが、やはり私は、一つの考え方、一番大きな考え方というのは、その周辺の皆様、沖縄の住民の皆様に不安を与えない、これが一番の問題点だと思います。

 それに関しましてはいろいろな問題がありまして、一つは、今も先生お触れになりましたけれども、キャンプ・ハンセン内でやるならば日本側の負担にならないとか、いろいろな問題がありますが、そんなことよりも、何よりも安全、安心、これが一番の大きなメルクマールになるのではないか。

 その点につきましては、先生御存じのとおり、アメリカも安全には十分注意いたしますということで、これは例えば騒音対策とか環境対策、安全対策、もう一々細かなことは言いませんけれども、その他の対策ということで打ち出してはきております。打ち出されましたのは、平成十五年十一月でありますけれども、それに対しましていろいろな問題があることは私も十分承知いたしております。

 したがいまして、こういうような地元の皆様の心理的な不安にもおこたえしていかなきゃいけない、そして地元の皆様の理解もちょうだいしなきゃいけない。しかも、一方においてはアメリカの、米軍の必要な訓練の維持もやっていかなきゃいけない。これもやはり相反する、相矛盾するいろいろな要素がいっぱいあります。

 そこで、結論だけ申し上げますと、検討は、米軍ともいろいろとやりとりをしながら幅広く検討いたしております。しかし、現時点では何ら未決定、まだまだ何も決定していない、こういうことでございます。

東門分科員 長官、金武町伊芸区、そこに近いところに住んでおられる地元の住民が求めているのは、本当は建設場所の変更ではないんです。あくまでも建設を中止してほしいというのが地元の住民の願いなんですよ。

 今進められている在日米軍再編協議の中で、政府が沖縄を初めとする地元の負担の軽減と、今さっき長官からもるるございましたけれども、その軽減を図っていくこととしているにもかかわらず、建設中止を米側に求めていないということは納得できません。これはもうずっと長いんですね。地元の住民は、本当に毎朝のように、朝早くからゲートの前で反対を訴え続けているわけです。

 そういう中で、伺いますが、政府は、在沖米陸軍特殊部隊、いわゆるグリーンベレーがこの施設で訓練することが我が国の安全保障や防衛のために必要であると判断しておられるのでしょうか。この訓練場で訓練を行う在沖米陸軍特殊部隊は、我が国で有事やテロが発生した場合、自衛隊との間でどのように役割や任務を分担することになっているのでしょうか。御説明いただきたいと思います。

大野国務大臣 これは一九九七年の2プラス2で、日米防衛協力のための指針という問題で、いわゆるガイドラインにおいて、一つ、日本に対する武力攻撃がなされた場合は、日米両国政府は適切に共同して対処する。一つ、自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するため、役割分担の決定、作戦行動の整合性の確保等についての手続をあらかじめ定めておく。一つ、作戦、情報活動及び後方支援について調整メカニズムを通じて相互に緊密に調整する。こういうことをお互いに合意しているわけであります。

 このため、いつもいろいろな検討作業を行っておるわけでございますが、この具体的内容となりますと、これは緊急事態における日米の対応ぶりにかかわるものですから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 テロとか島嶼防衛とか、こういうことが新しい防衛大綱の中でも大事なことである、こういうふうに言われております。テロの場合における自衛隊と沖縄を含む在日米軍の関係でございますけれども、自衛隊法八十一条の二におきます警護出動という規定がございます。それから、内閣総理大臣が、自衛隊の施設または在日米軍の施設・区域に対する大規模なテロ攻撃が行われるおそれがある場合に、その施設の警護のために自衛隊の部隊の出動を命ずるということもあります。実際には、それぞれの任務を遂行できるように協力ということであるのでありますけれども、陸自等におきましても、やはり警護活動という訓練は行っているということでございます。

 詳細につきまして少しお答えができないところもありますけれども、こういうことで、しっかりと日米お互いに警護をやっていきましょうということが一つ。それからもう一つは、この沖縄の周辺におきましてはやはり島嶼防衛とか、それから、今回もいろいろ沖縄周辺で出来事がありましたけれども、そういう問題が大きく出てくる可能性がある、そういうことで大事なことであると思っております。

東門分科員 長い御答弁でしたので、後でまた質問、ちょっと考えさせていただきたいんですが、もう一点どうしてもお伺いしなきゃいけないことがあります。

 新嘉手納の爆音訴訟の判決についてですが、二月十七日に新嘉手納爆音訴訟の判決が出されました。翌十八日には沖縄から原告団及び弁護団が上京して、防衛施設庁にも今後の対策について申し入れを行いました。その中で、一九九六年にSACO関連で、県民の負担軽減という立場から日米合同委員会で合意されたいわゆる航空機騒音規制措置が守られていないというのが、原告団、嘉手納基地周辺に住んでいる住民の声がありましたけれども、それに対して、施設庁で対応された方は守られているという答弁でした。

 そこで、私は納得がいかないんですよ。守られているならばあのような賠償命令が出るということはないと思うのですが、お伺いします。このいわゆる騒音防止協定は本当に守られているというのでしょうか。もし、そうであるとするならばその根拠、こういう根拠があって守られているということをぜひお聞かせください。

山中政府参考人 平成八年の合同委員会合意によります航空機の騒音規制措置、これは中身がいろいろございます。確かに、例えば飛行の活動等につきましては、とりわけ二十二時、翌朝六時、これは運用上の所要のために必要なものに制限されるというようなことでございまして、私どもが基本的にこの騒音規制措置が遵守されているというふうに判断いたしましたのは、一部、運用上の所要という例外がございますけれども、基本的な嘉手納の飛行場の運用実態としてこういった措置に沿った運用がなされている。ただ一部、運用上の所要のために、先般もございましたけれども、早朝、未明に飛行機が離陸するというような実態は確かにございます。ただ、総体として見ますと、規制措置は遵守されている。これはいろいろな中身があるわけでございますが、総体として我々はそういうふうに見ているということを申し上げたわけでございます。

東門分科員 ということは、何をしても軍がやる分はちゃんと守られている、遵守されている、軍事的な理由があるからということ、もうそれを黙認するしかないと。周辺住民の不安、恐怖感、あるいは健康上への被害、本当に訴えている。そういうものは全然一顧だにしなくて、軍がやっていることなんだからすべて正しいんだ、守られているんだというのが防衛庁の考え方なんですか。地域周辺の住民はどうなるんですか。これは根拠にはならないですよ。根拠として挙げるには余りにもひど過ぎる、体をなしていないです。

 はっきりこういう根拠があるということ、だったらば、そこで離着陸を年間どれくらいの回数やっているか、夜十時から朝六時までの間。そういうのをちゃんと調べて出してください。それならば、ああ、年間五、六回しかないのか、それならばわかるかなということもあるんですが、決してそうではないことを皆さん御存じ、御存じでなければ大変なことです。

 ぜひ、そこのところを示していただきたいと思います。長官、いかがでしょうか。

山中政府参考人 これは平成八年のSACOイニシアチブで、防音壁を設置いたしましたり、周辺環境整備法に基づくいろいろな防音工事、こういうものも実施をしてきております。また、年間を通じていろいろな行事がございます。これは当然、米軍の航空機の運用に伴っていろいろな騒音被害等が発生する、これを運用面でできるだけ米側にそういった地域の事情等に配慮をしてもらう、こういった申し入れ等もこれまで鋭意やって、全体の騒音実態に対応した、私どもなりの地元の方々の負担軽減、こういった取り組みをこれまでやってきているということでございます。

松岡主査 質疑時間が終了いたしましたので、簡潔にお答えください。

大野国務大臣 基地のある町村の負担につきましては、我々思いを深くして、そして、よく話し合ってこれからやってまいります。

東門分科員 ぜひ、長官の今のお言葉、実現させていただきたいと思います。

 どうしても聞きたいことが一点あったのですが、この次、あすの予算委員会で質問させていただきます。

 ありがとうございました。

松岡主査 これにて東門美津子君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田稔君。

寺田(稔)分科員 大臣、連日お疲れさまでございます。

 きょうは第一分科会ということで、やはり防衛の整備、めり張りづけをしながら、冗費を切って、そしてまた必要な分野に回していくというふうな効率化を行っていくことが適正な防衛力の整備につながっていく、きょうは、そういうふうな観点から何点か質問をいたしたいと思います。

 まず、多少順序を変えまして、めり張りづけの張りの方ですね、やはり重点的に整備すべき分野といたしましてBMDの問題がございます。

 これは実は、昨年の十月二十二日の衆議院の安全保障委員会におきましても、私から大臣に御質問させていただいたところでございますけれども、現在、二段構えのシステムですね。イージス艦から発射されるミッドターム防衛のBMD、あとはPAC3。やはり私は、この技術的安定性の観点、あるいは広域カバー性の観点、あるいはまた費用対効果の観点、いずれを見ましても、イージス艦発射のスタンダードミサイルの防衛の方がすぐれているというふうに思っているわけです。

 現に、来年度予算、この数字を見てまいりますと、防衛庁のBMDシステム、イージス艦配備の方が約三百億強。これは恐らく、一艦八発体制の前提の数字かと思いますけれども、こういうふうな数字。これは、今のベースライン6を前提として、さらにバージョンアップされたベースライン7にも対応できるような形になっているわけですね。

 それに対しまして、PAC3の方でございますけれども、予算的には約八百億ですか、二倍強でございます。しかも、これは極めて局所的な配備でございます。御承知のように、現在あります三十ユニットのうちの四ユニット分にしかきかない、極めて局所的です。しかも、このPAC3自体が中枢防衛という発想でございますから、実は、先週の安全保障委員会でも議論になりましたように、タックスペイヤーの問題も別途生じてくるわけですよね。

 そういうふうなことを総合勘案いたしますと、大臣も先週は六分の五だというふうなことを言われましたけれども、やはり優先順位としては、イージス艦のスタンダードミサイルの整備の方をより重点的にやっていくべきであるというふうに思うわけですけれども、この点、御見解をお伺いしたいと思います。

大野国務大臣 けさ、寺田先生が隊友という新聞に記事を書いておられましたけれども、いや、これは大変ミサイルに御造詣が深いなと思って、感銘を受けながら読ませていただきました。

 今のお尋ね、ペトリオットPAC3に重点を置くよりもイージスシステムに重点を置け、こういうことでありますけれども、先生に少しお考えいただきたいのは、やはりミサイル防衛というのは二重になっている。これはもう十分御存じのことなんですけれども、一層目は、大気圏外に出てきた相手側のミサイル、これは百キロから三百キロぐらいまでの間と思われますけれども、それへ出てきて初めて、日本の領域にそのミサイルが落ちてくる、こういうことがわかるわけですから、第一層目は、ターミナルコースでやるよりもやはりミッドコースで迎撃する、非常に大事なことだと思います。

 このことにつきまして、六分の五の確率、実験の結果、六回やって五回成功したということを申し上げましたが、実は、アメリカが先週もう一回やっておりますから、ハワイの近くでやっておりますので、七分の六になったということで、ますますこの的中率、成功率が上がっているわけでございます。

 しかも、イージスシステムというのは数百キロの範囲をカバーできる、そういう意味でも、先生、先ほどのカバー率、カバーが数十キロのペトリオットPAC3に比べてタックスペイヤーとして不公平じゃないか、こういうお話でありました。しかし、やはりターミナルコースへ落ちてくる、もし迎撃に少しでも、なるべくというか、絶対に我々はミッドコースで撃ち落とすべく、もちろんそれがねらいでありますけれども、やはり最終のターミナルコースへ入ってくるミサイルがあるかもしれない。そのときにはやはり、数十キロの範囲です、高さも十数キロにならないと迎撃できないという問題はありますけれども、二段構えでやるところに、私は、安全の上にも安全を考える、こういうシステムの特色があるのではないか。もし一段だけですと、やはり不安です。やはり二層で迎撃して、絶対に安心と安全をお届けする、こういうシステムであるべきだ。

 確かに、イージス型は広範囲で、それからPAC3の方は範囲が狭いんですけれども、こちらは移動できますから、移動ということによってカバーするということもあり得るし、いろいろな意味で考えて、二層である、それからペトリオットPAC3の方は移動できる、こんなことを考えていただいて、やはり両方の構えをこれからも考えていきたいな、このように思っております。

寺田(稔)分科員 私は、ターミナル防衛が要らないというふうに言っているわけではありません。あくまで二層を維持すべきだ。しかし、そうした中で、財政資金の優先順位として、やはりこのイージス艦発射のスタンダードミサイル。それは、コスト面からいいましても、三十ユニット全部整備しますと七千億かかるわけですよね。これはもう到底たえられない負担になると思いますので、ぜひ、そこの優先順位、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、時間の関係で、次に取得改革のお話に移らせていただきます。

 これは、調本の不祥事を受けまして、平成八年から取得改革を進めておりました。その過程では、コストの一〇%削減という具体の数値目標も示されたわけでございますけれども、現在、この総合取得改革ということを行っておられます。そうした中では、CALS・ECの問題でありますとか、RアンドDデュレーションの問題でありますとか、あるいは民生品、汎用品の拡大の問題、いろいろな非常に興味深い論点もあるわけでございますけれども、現在、一体どういうふうな進捗状況になって、どういうふうな成果なのか、お聞かせをいただきたいと思います。

大野国務大臣 大変貴重な税金で支えられている防衛でございますし、調達でありますから、これはもう一文たりともむだ遣いしちゃいけない、こういうことでございます。めり張りと先生がおっしゃいましたけれども、めり張りは本当に大事だな、そして事務的にも、こういうような調達コストを下げていくということは本当に大事だなと思っております。

 常々私はそういうことを事務当局に指示しているところでございますけれども、まず、装備品の調達に当たりましては、やはり手続を簡素化する、効率化する。これによって、単なる事務費でたくさんかかるとかそういうことは絶対やっちゃいけないな。例えば、電子取引もそうであろうし、データの蓄積もそうであろうし、いろいろな意味で、事務の効率化、合理化を図れ、私はこういう指示をいたしております。

 それからもう一つは、やはり今先生がおっしゃっておるように、そういうところのコストは下げて、そしてお金を本当に真に必要な防衛費の方に回していかなきゃいけない、こんな気持ちでやらせていただいております。具体的には、例えば装備品のコスト低減について目標を設定する、これはたしか十三年度に目標を設定いたしておりますが、このような問題。それから、民生品の活用等による競争原理の強化、そして調達の電子化等でございます。

 私は、やはりこういう問題を考える場合に一番大事なことは、透明性だと思っております。だれが見てもわかるようなシステムにしていかなきゃいけない。そういうことで、透明というのは大変大事な問題意識じゃないか。例えば、スイス・ローザンヌのNPOだったと思いますが、透明性と競争力ということを研究したNPOがありますけれども、あそこで、やはりフィンランドは透明性も高いし競争力も高い、こういう結果が出ておりますが、透明性。そして、透明性があれば公正公平につながってくる、このように思っております。

 そこで、具体的に申し上げますと、平成十一年から十三年の三年間で装備品の単価を原則一〇%低減させる、そういうようなコスト低減目標を設定いたしました。平成十三年度予算でその目標を達成いたしております。

 それから、二つ目は、本年度から防衛庁の各機関と企業との間の調達補給関係の文書やその処理を電子化している、そして事務の効率化を図っております。これも先生御存じのCALS・ECという問題であります。

 三つ目は、技術開発に当たって、ほぼすべての装備品分野にわたり民生品や民生技術を、防衛装備だからといって、やはり民生品の、本当に競争の中で出てきたものをちゃんと考え、導入できるものは導入していかなきゃいけない、こういう気持ちで、民生品や民生技術を可能な範囲で適用する、こういった取り組みをやっております。

 これらの取り組みに加えまして、総合取得改革におきましては、効率的な取得組織の確立のために検討を今やっておる段階でございます。

寺田(稔)分科員 今、それぞれ成果の御披露がございました。ぜひ、RアンドDデュレーションにつきましても、これは短縮化しますと相当程度に初期コストが下がります、償却期間も短くなりますから、よろしくお願いしたい。特にCX、PXございますので、よろしくお願いします。

 次に、財政当局の方でやっておりますところの予算執行調査、ちょうど二年半前、私も担当主計官として車両整備工場等取り組みまして、三幕の垣根を初めて取っ払いまして、この統合化、そしてまた外注化を進めまして、約二十四億の成果を出したわけですけれども、ことし、今回、調達の実態調査でありますとか航燃のJP8、あるいは医薬品単価、さらには民生関係の施設単価に取り組まれたやに聞いております。具体的に、この十七年度予算に一体どういうふうに反映をしたのか、これはぜひ担当の片山主計官からお願いしたいと思います。

片山政府参考人 まさに、委員御指摘のとおり、財務省では平成十四年度からこの予算編成プロセスにマネジメントサイクルを導入し、特に事後評価を活用するというために、平成十四年、平成十五年、平成十六年度と引き続き予算執行調査を行っておりまして、平成十六年度分につきましては、全省庁で五十三事業実施しているところでございまして、そのうち、防衛庁につきましては四件ございます。

 御指摘ありましたように、自衛隊病院で使用する治療用医薬品の単価につきましては、この単価を調べましたところ、今後は後発医薬品の使用をさらに促進すること等によりまして低減を図りまして、十七年度予算に八千三百万円を反映しております。

 また、通信、電算機並びに運搬費の調達の実態調査につきましても、通信回線等における各種割引制度の適用の拡充、電算機の換装時における運用上必要なスペック等の見直し、さらに輸送業務における競争入札の拡大等によりましてコストを縮減いたしまして、同じく十七年度予算に一億五千二百万円を反映しております。

 また、民生安定助成施設でございますが、この建設単価の見直しということを今政府で非常に熱心にやっておりましたが、浄化槽工事等をオプション化いたしまして、十七年度予算に六千九百万円を反映しております。

 一番大きな問題は、自衛隊、特に航空自衛隊の燃料の種類だったのでございますが、これにつきましては、実際にJP8、JP4とございますが、種類を変更する場合に、運用上の問題とかコスト増とかどういうものになるかということを、より長期的な観点からさらに縮減効果が見込まれるかどうか検討が必要ということになりまして、これだけはさらに引き続き検討ということになっております。

 ですから、合計いたしまして約三億円強でございますが、今後とも、予算のマネジメントサイクル強化の観点から、この予算執行調査を積極的に活用し、予算の効率化、合理化に努めてまいりたい、かように考えております。

寺田(稔)分科員 ただいまお答えがございました。三億強、やや小粒かなという気はいたします。確かに、最初のうちは大物に手をつけてだんだん小さくなってまいりますけれども、ぜひ、車両についても引き続き取り組みをお願いしたいと思いますし、その他の、特にJP8、成果を出すようによろしくお願いをしたいと思います。

 次に、新中期防、今回、この防衛計画大綱の見直しとともに五年間の計画策定をされたわけですね。防衛庁が年末お配りになりましたこのアジビラからいいますと、どうも一兆円抑制をしたというふうに書かれているんですね。これは私は、なぜ一兆円なのか、実際の数字を見ましてもよくわからないんですけれども、七千七百億だと思うんですけれどもね。これはちょっと、どういうことで一兆円を抑制されたのか、つまり、どのベースからどういうふうに一兆円削られ、その中身は何か、お伺いしたいと思います。

飯原政府参考人 昨年末の大綱、中期防策定過程におきまして、御指摘のように、私どもとしては、体制の見直しによりまして、新中期防によって、契約ベースで一兆円以上、それから歳出ベースで五千億円以上という数字を提出させていただきました。

 具体的には、例えば、陸上自衛隊で申しますと、九〇式戦車の保有台数の見直しということ、海上自衛隊ですと、護衛艦の保有数の見直し、航空自衛隊は、戦闘機、特にF2の保有数の見直し、それから、航空自衛隊それから海上自衛隊に通じますが、艦艇、航空機等の定期検査、修理の方法の見直し、こういったものを合わせまして、今申し上げましたような数字になったわけでございます。(寺田(稔)分科員「どのベースから一兆円かというのは」と呼ぶ)

 例えば、中期防、中期防で対象期間中の保有整備数の減少幅をとりまして、九〇式戦車ですと契約ベースで八百億円の減、それから護衛艦ですと、保有数が減りますので建造数も減るということで、それから船の単価の問題もありますので、契約ベースで六千億円の減、こういったものを積み上げて数字を提出させていただいたわけでございます。

寺田(稔)分科員 恐らく、戦車であれば九百両をベースにされたと思うんですけれども、もうそれは旧大綱ですから。これからの新計画ですから机上の空論になっちゃうわけですよね。つまり、旧大綱に基づく今度の新中期防ではなかったわけで、つまり、新たにこの新大綱ができた以上は、前中期防と現中期防の比較なら非常によくわかりますけれども、ちょっとややミスリーディングかと思いますね。

 つまり、九百というのは大綱ベースの数字で、中期防ベースの数字でもありませんしね。ここはちょっと地元なんかで説明するときも気をつけたいと思いますけれども、一応、そういうふうなことであれば、やはり七千七百億の削減であろうかというふうに思います。

 そういうふうな削減を行う中において、特にF2、百三十機から九十八機と三十二機分の削減になろうかと思いますけれども、これは昨年の三月、ようやく四カ所のふぐあいを解消しましてオンハンドになったわけでございます。これはもう実戦配備、三沢を中心に始まっておりますから、これはこれで支援戦闘機として大いに活躍をしてもらわなければいけないわけですけれども、ちょっと気になりますのは、単価が十五年度が百六億に対しまして、十六年度百十億、十七年度、来年度が百十四億と約八%も逓増しているんですね。

 通常は、初期コストの償却を終えますし、かつ量産効果が出てまいりますから、当然単価は、アセンブリーライン、私も実際に三菱重工のF2のアセンブリーラインを視察してまいりましたけれども、逓減するわけですよね。これはラーニングカーブから見ても当然なわけですけれども、逓増しているというのはどういうことなんでしょうか。

大井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のありました価格、これはフライアウエーコストだと思います。十五年度予算百六億、それから十六年度百十億、十七年度百十四億ということでございます。

 この単価がふえているわけでございますが、これにつきましては、平成十六年度におきまして空対地の精密誘導爆弾を搭載するとか、あるいは平成十七年度から外装型のFLIRを搭載する等のための仕様変更があったということが一つ。それから、もう一つでございますが、平成十六年度からエンジンの製造設備に係る特別の割り掛け費の負担が増加してきているということが主要な単価増になっているというふうに考えております。

寺田(稔)分科員 もちろん、スペックのバージョンアップというのはある話だと思いますけれども、通常はそれをのみ込むんですよね。アブソーブして下がっていくのがグローバルスタンダードだと思います。それを丸々オンしているとしたら、これはちょっと、交渉としてもまずいかなという気がしますので、日米共同開発ですから、ここは十分よく見てください。

 空対地の精密弾なんかも、本当はこれは非常に重要なスペック変更ですよね。余り、我々国会議員にどこまで開示がなされていたかあれですけれども、かつてであれば国会がとまるほどの大きなこともあるわけですから、十分にそこらも開示していただきたいと思います。

 次に、FMSの問題ですね。これは一千億以上あるわけですけれども、ずっと対米交渉を続けてこられたと思いますけれども、この価格内訳の透明化の方は一体どういうふうになっているのか。あと、検査院からも指摘のありました前払い金の滞留問題ですね。これはもちろん、FMSの契約の性格上、オンディマンドであることはやむを得ないにしても、ぜひここらは改善をすべきだと思うんですけれども、どういうふうな状況でしょうか。

大井政府参考人 お答えいたします。

 FMSにつきましては、先生御承知のとおり、米国の会計制度に基づきます米国の調達、これと同じ条件で私どもとして入手ができる、こういうものでございますけれども、そうはいっても、防衛庁としても、やはり価格の透明性につきましては、かねてから米側の方に求めておりまして、例えば、日米FMS会合等を開きまして、極力私どもの方にも米側の価格の内訳というものを出すように要望しております。幾つか実現をしているものもございます。

 それから、もう一つでございますが、こういった価格の内訳について教えていただいているわけでありますけれども、米軍といたしましては、これは全体、米軍の中での調達の中に一部防衛庁の部分が含まれるというような状況でございますので、また防衛庁部分についての内訳というのはなかなか難しい面もありますけれども、その中で、私どもといたしましても、価格の透明化ということが日本において大変求められているので、米側としても協力してほしいというふうに引き続き申し入れているところでございます。

 それから、利子の問題でございますが、FMSにつきましては前払いということでございますので、どうしても米側の方に資金が滞留してしまうわけであります。現在、一千億ほど滞留しているわけでございます。(寺田(稔)分科員「千三百億ではなかったですか」と呼ぶ)はい、一千億円ぐらいです。

 これにつきまして、私どもとしても、何とか利子をつけてくれないかということを米側の方に要求をいたしまして、先ほど申し上げました日米FMS会合の中でも、これを非常に重要な項目として取り上げております。

 最近の動きでございますが、この解決に向けて、やはり大きく前進を見ております。私ども、米国との間で、基本的に利子を付す枠組みというようなものにつきまして基本的な合意に達しておりまして、まだ最終的な決裁がおりていないのでわかりませんけれども、米側からの情報によりますと、ことしの四月一日から利子を付する運用をしていただけるというような話を聞いているところでございます。

寺田(稔)分科員 四月一日から利子がつくということで、それは非常に大きな改善、それは当然、その分は当方の国庫納入になるわけですね。――わかりました。それは非常に大きな改善でありますが、引き続き透明化に向けましても御尽力をいただきたい。

 次に、いわゆる思いやり予算、在日米軍駐留経費負担につきましては、全体のめり張りのある配分の中で、二千四百四十一億から来年度は二千三百七十八億と減っているわけでございます。これは一体、どのような歳出減努力によってこういうふうな減を達成できたのか、御説明をいただきたいと思います。

土屋(龍)政府参考人 在日米軍駐留経費負担につきましては、地位協定の範囲内で、提供施設の整備費及び労務費のうちの福利費等、さらに、現行特別協定に基づきまして、労務費のうちの基本給等、それから光熱水料等及び訓練移転費等を我が国が負担しているところでございます。

 平成十七年度予算案における在日米軍駐留経費負担は、先生御指摘のとおり、二千三百七十八億円でございまして、対前年度で六十三億円、二・六%の減となっております。

 減額の主な内容でございますけれども、これは、提供施設整備に係る前年度以前の国庫債務負担行為に係る歳出化経費の減、これが六十九億円ございます。それに、光熱水料等の単価減、これが九億円ございまして、その他の新規歳出経費とプラスマイナスしまして六十三億円の減となったものでございます。

寺田(稔)分科員 メーンはこのFIPの減ということですね。これは歳出化経費なわけですけれども、くれぐれも、先送りとかあるいは歳国回しとかしないようによろしくお願いしたいと思います。特に、来年は協定の見直しですよね。十分ここらも、ゼロベースで見直していただきたいというふうに思うわけでございます。

 次に、平成十四年に起きましたIPアドレス漏えい事件、これは非常にショッキングな事件でございまして、まさにクローズドシステムにかかわらず、この防衛庁の端末のIPアドレスが外に出てしまうというふうな、もう考えられない事件であったと思います。当然、これに対しては、その後適切な是正策、改善策が施されたものと期待をしているわけでございますけれども、一体どのような改善策を施したのか。そしてまた、当然のことながら、富士通に対しては損害賠償の求償をされたと思いますけれども、一体その状況はどうだったのか、お聞きをしたいと思います。

今津副長官 寺田先生におかれましては、いつも防衛庁に対しまして適切なる御指導をいただきまして、ありがとうございます。感謝を申し上げる次第でございます。

 IPアドレスというのは、IPネットワーク上で個々の通信対象を識別するための番号でございますけれども、御指摘のとおり、平成十四年に発覚した、契約相手方からIPアドレス等の情報が漏えいした事案以来、情報システムの受注企業における情報セキュリティー確保等を検討するために、防衛庁におきましては、庁内検討委員会というものを、平成十四年に防衛参事官を委員長として全庁的な委員会を設置して、検討を実施いたしました。

 その成果でございますけれども、情報セキュリティー管理に関する国際情報等を参考に、調達における情報セキュリティー基準等を作成したところでございます。防衛庁は、この基準等に基づいて、情報セキュリティー確保策の実施を受注企業に対し契約上求めるとともに、その実施状況について監査を行うこととし、平成十六年から情報システムの契約に適用させていただきました。

 また、御質問の、指名停止あるいは損害賠償請求などを富士通に対してするべきではないかということでありますけれども、富士通に対しましては、防衛庁との契約条項において届け出に一部不足が認められておりまして、当該契約条項は適切に履行されていなかったなどを踏まえ、平成十四年八月二十三日より二週間の指名停止の措置を実施させていただきました。

 また、対応措置についてでありますけれども、IPアドレスの変更を、運用に支障を与えないように考慮しながら、富士通の経費負担により実施をさせていただいたところでございます。

 さて、損害賠償請求についてでございますけれども、運用に特段の支障を及ぼしたものとは考えられなくて、防衛庁がこうむった損害を確定することが極めて難しい、こういう判断から、損害賠償請求をすることは困難だと考えているところでございます。

寺田(稔)分科員 指名停止の方は是認ができるわけですけれども、損害賠償、これはやはり付すべきだと思うんですよね。損害が特定できないとはいえ、これはシステムミスの場合、必ずしております。社保庁ですら、しております。いろいろなところでもちろんシステムミスというのはありますし、特に、今回の場合、相当重過失あるいは故意によります漏えいでございます。機密義務にも違反をしておりますし、明らかにこれは重過失、故意によります漏えい事件でございます。

 損害がないといっても、これは、実はハッカリングのエキスパートに言わせますと、IPアドレスがわかるということは、まさに個々人の戸籍がわかるのと同じ意味なんですよね。これは内容自体の漏えいにも、たまたまラッキーで内容の漏えいはなかったですけれども、十分につながりかねない、そのおそれが極めて大きい事件でございまして、これは国際的にも、こういうふうなことはまず起きてはならないことなんですよ。

 ですので、やはり防衛当局としては、ぜひそこらを真摯に受けとめられて対応していただければと思いますけれども、その点、再度、いかがでしょうか。

今津副長官 最近も、ITとかIPとか、私たち随分勉強しなきゃならないことがたくさん出てまいりまして、そういう中の案件でありますけれども、先生がおっしゃったとおりなんです。なんですけれども、私も申し上げましたとおり、防衛庁が被害を受けた、その損害の大きさあるいは量、額、そういうものを確定することが極めて難しい。こういう中において、損害賠償請求をするには至らなかったというようなことでございまして、私どもも、気持ちとしては、そういう気持ちは持たなかったわけではないんですけれども、しかし、それを現実的にすることはできなかったということでございます。

寺田(稔)分科員 額が確定できなくても、しておる例は多々ありますし、そこは、例えばいろいろなことで、慰謝料だってそうですよ、常に、確定できないケースは多いんです。ただ、今まで、いろいろな判例の蓄積もございます。したがいまして、実際につぶさに見れば、プログラムミスに対してどれだけ求償するかという事例も積み上がっていますし、むしろそういうふうなことが非常にもう日常茶飯事ですので、政府当局が手をこまねいているというのはやはりよろしくないと思いますので、ぜひそこは前向きに御検討いただきたいと思います。

 時間も参りましたので、これで質問の方を終えさせていただきます。

松岡主査 これにて寺田稔君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして防衛庁についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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