衆議院

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第1号 平成18年2月28日(火曜日)

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本分科会は平成十八年二月二十三日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊吹 文明君    大野 功統君

      河井 克行君    松岡 利勝君

      大串 博志君    細川 律夫君

二月二十八日

 松岡利勝君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午後二時三十四分開議

 出席分科員

   主査 松岡 利勝君

      伊吹 文明君    大野 功統君

      河井 克行君    佐藤ゆかり君

      中根 一幸君    大串 博志君

      逢坂 誠二君    西村智奈美君

   兼務 滝   実君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     安倍 晋三君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (有事法制担当)     沓掛 哲男君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   国務大臣

   (金融担当)

   (経済財政政策担当)   与謝野 馨君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)

   (構造改革特区・地域再生担当)          中馬 弘毅君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (食品安全担当)

   (情報通信技術(IT)担当)           松田 岩夫君

   国務大臣

   (少子化・男女共同参画担当)           猪口 邦子君

   内閣官房副長官      長勢 甚遠君

   内閣府副大臣       嘉数 知賢君

   内閣府副大臣       櫻田 義孝君

   内閣府副大臣       山口 泰明君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   内閣府大臣政務官     後藤田正純君

   内閣府大臣政務官     平井たくや君

   内閣府大臣政務官     山谷えり子君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   厚生労働大臣政務官    西川 京子君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 阿部 隆洋君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     黒澤 隆雄君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   会計検査院長       大塚 宗春君

   最高裁判所事務総長    竹崎 博允君

   政府参考人

   (内閣府「道州制特区」推進担当室長)       薄井 康紀君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  三國谷勝範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          中江 公人君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長)           藤木 則夫君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  伊吹 文明君     山本ともひろ君

  大野 功統君     佐藤ゆかり君

  大串 博志君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     飯島 夕雁君

  山本ともひろ君    中根 一幸君

  西村智奈美君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     大野 功統君

  中根 一幸君     伊吹 文明君

  逢坂 誠二君     大串 博志君

同日

 第七分科員滝実君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管)


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     ――――◇―――――

松岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました松岡利勝でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成十八年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成十八年度における歳出予算要求額は六十八億五千百五十七万三千円でありまして、これを前年度当初予算額六十八億七千百五十万一千円と比較いたしますと、一千九百九十二万八千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十二億五千三百九十八万八千円、皇族に必要な経費二億七千三百五十八万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億五千四十四万八千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十六億三百五十四万円でありまして、前年度に比較して二千三百八十四万二千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三百九十一万四千円の増額となっております。これは、憲仁親王第一女子承子女王の御成年に伴うものであります。

 以上をもちまして平成十八年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。

 それでは、どうぞ御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成十八年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百五十三億五千百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十二億九千万円余の減額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でございまして、六百二十九億三千五百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 増加した主なものは、議員会館出入車両等警備業務委託費、情報統括責任者補佐官等業務委託費、会議録作成方法調査委託費及び国会審議テレビ中継装置等整備費でございます。

 一方、減少した主なものは、議員歳費、議員秘書手当、職員の人件費及び憲法調査会最終報告書作成等経費でございます。

 なお、新議員会館整備を民間資金等活用事業として実施するために必要な業務支援委託費を引き続き計上いたしております。

 第二は、本院の施設整備に必要な経費でございまして、二十四億八百万円余を計上いたしております。

 この主なものは、国会審議テレビ中継施設整備費、本館委員長室他硝子屋根整備費、分館環境整備費及び分館太陽光発電施設整備費でございます。

 第三は、国会予備金に必要な経費でございまして、七百万円を計上いたしております。

 また、改革推進公共投資事業償還金の産業投資特別会計へ繰り入れに必要な経費につきましては、平成十七年度をもって繰り入れが終了しますので、計上いたしておりません。

 以上、簡単ではございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。川村参議院事務総長。

川村参議院事務総長 平成十八年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度国会所管参議院関係の歳出予算額は、四百六億八千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億一千百万円余の減額となっております。

 これは、主に、改革推進公共投資事業償還金の減額、参議院施設費の減額によるものであります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百八十四億七千二百万円余を計上いたしております。

 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十二億一千百万円余を計上いたしております。

 これは、新議員会館整備、清水谷議員宿舎整備、本館自家発電施設改修、テレビ中継施設機器整備及び本館その他庁舎等の整備に必要な経費であります。

 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成十八年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。黒澤国立国会図書館長。

黒澤国立国会図書館長 平成十八年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百三十一億六千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億七千五百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、管理運営に必要な経費、すなわち、人件費及び事務費等であります。その総額は、二百二億四千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三億六百万円余の減額となっております。

 これは、主として、デジタル・アーカイブのシステム開発に必要な経費の減額によるものであります。

 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億一千二百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千二百万円余の増額となっております。

 これは、科学技術分野の電子ジャーナル等の単価増に対応するための経費の増額によるものであります。

 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十九億四百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、五千八百万円余の減額となっております。

 以上、平成十八年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。阿部裁判官弾劾裁判所事務局長。

阿部裁判官弾劾裁判所参事 平成十八年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千七百七十七万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十二万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成十八年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千六百五十二万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四十四万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。竹崎事務総長。

竹崎最高裁判所長官代理者 平成十八年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成十八年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千三百三十一億六百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百五十九億四千九百万円と比較いたしますと、差し引き七十一億五千七百万円の増加となっております。

 次に、平成十八年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、増加し、かつ、複雑困難化している民事事件、刑事事件等の適正迅速な処理を図り、また、裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官七十八人、合計百五十三人の増員並びに振りかえによる書記官七十人及び家裁調査官三人の増加をすることとしております。

 他方、平成十八年度には七十五人の定員合理化をすることとしておりますので、差し引き七十八人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、二百六十二億二百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、裁判員制度広報関係経費として十三億五千二百万円を計上しております。この中には、新聞・雑誌広告、タウンミーティング経費等が含まれております。

 第二に、知財事件関係経費として一億千八百万円を計上しております。この中には、IT化、専門研究等経費、外部への情報発信のための経費等が含まれております。

 第三に、民事事件関係経費として八十二億九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員経費、専門委員経費等が含まれております。

 第四に、刑事事件関係経費として九十五億三千四百万円を計上しております。この中には、国選弁護人報酬、精神保健審判員等経費、鑑定入院命令に伴う入院経費等が含まれております。

 第五に、家庭事件関係経費として六十九億八千九百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、裁判員制度導入のために必要な施設を整備し、庁舎の老朽狭隘化に対応するための経費として二百二十二億二千三百万円を計上しております。

 以上が、平成十八年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、裁判所所管については終了いたしました。

 それでは、御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。大塚会計検査院長。

大塚会計検査院長 平成十八年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。

 会計検査院の平成十八年度予定経費要求額は、二百三億四十四万円余でありまして、これを前年度当初予算額二百四億百三十八万円余に比較いたしますと、一億九十四万円の減額となっています。

 これは、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査業務に必要な経費であります。

 この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百四十億二千万円余、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十二億四千二百万円余、その他の経費として三十億三千七百万円余を計上いたしました。

 以上の経費には、会計検査機能を充実強化するため、次のような経費を計上しております。

 第一に、国会からの検査要請への対応と行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査要員の増員等の経費として一億六千六百万円余を計上いたしております。

 第二に、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費として二十三億一千二百万円余を計上いたしております。

 第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費として二億六千二百万円余を計上いたしております。

 以上、簡単でありますが、会計検査院の平成十八年度予定経費要求額の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 別に質疑の申し出もありませんので、会計検査院所管については終了いたしました。

 御退席いただいて結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。安倍内閣官房長官。

安倍国務大臣 平成十八年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成十八年度における歳出予算要求額は九百四億六千万円でありまして、これを前年度当初予算額九百十九億四千五百万円に比較しますと、十四億八千五百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として七百九十三億二千万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億五千八百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百億八千二百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成十八年度における歳出予算要求額は五兆六千百五十一億一千百万円でありまして、これを前年度当初予算額五兆六千七十二億四千五百万円に比較しますと、七十八億六千六百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、少子化社会対策、青少年健全育成、男女共同参画社会の実現、国民生活行政、防災対策、原子力安全の確保、食品安全の確保、地域再生、沖縄の振興及び沖縄対策、北方対策への取り組み等の推進のための経費として五千二十億四千七百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百六億六千二百万円、公正取引委員会には、迅速かつ実効性のある法運用、競争環境の積極的な創造、ルールある競争社会の推進等のための経費として八十三億三千八百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百九十四億一千五百万円、防衛本庁には、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費として四兆二千六百四十五億五千八百万円、防衛施設庁には、基地周辺対策事業、在日米軍駐留経費負担及びSACO関連事業等のための経費として五千四百九十億二千万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として二百十億七千二百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成十八年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

松岡主査 以上で説明は終わりました。

 与謝野国務大臣以外の国務大臣は御退席くださって結構であります。

    ―――――――――――――

松岡主査 内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかり君。

佐藤(ゆ)分科員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 本日、この予算委員会第一分科会で質問の機会をいただきまして、まことに心より御礼を申し上げます。

 本日は、金融庁所管案件についての質疑ということですので、ライブドア事件を初めとします金融問題を中心に御質問させていただきたいと思っております。

 ライブドア事件は、金融自由化の時代の変遷の光と影を示す、そういった象徴的な出来事ではなかったかと考えております。

 確かに、資本市場のグローバル化、金融工学の発展とともに自由化の流れというのは避けられないという状況の中で、また同時に既得権益をなくすためにも、やはり事前審査型の行政から事後チェック型の行政への移行、こういったものも逆戻りすべきでない重要な施策であったのではないかと思われます。ただ、規制緩和と事後監視行政の強化というものは一対として行うべき改革ではないかと思われるわけですが、そうした中で、市場の自由化の方が促進される一方で、盤石な事後監視体制の構築の方におくれが出るのであれば、やはり公正な金融市場の形成に向けて信頼を損ね、そして国際的な競争力をも日本の市場において損ねる結果にもなりかねないと思われるわけでございます。

 そこで、まず第一に、ライブドア事件の発生に至りましたいわゆる昨今の日本の企業文化、企業土壌の変化について、大きな御質問でありますけれども、お伺いさせていただきたいと思います。

 かつて、九〇年代の初頭ぐらいまでは、日本の企業、あるいはドイツでもそうだと言われておりますけれども、いわゆる企業文化としては大企業でも長期的な投資スタンスに立って雇用計画を立てる、従業員を雇っていく、あるいはそういう意味で地域にも密着した形でのいわゆる地域密着型の企業経営というのが日本の従来的な経営として言われてきたかと思います。長期的なスタンスに立って雇用や設備投資を行っていく、そういうものがなされていたわけであります。

 ただ、経済のグローバル化が進む中で、そしてその一方で国内的には、日本が残念ながら九〇年代の後半からデフレが進行してしまう、そういった経済状況の中で、拡大基調の企業経営というのは許されない時代になってしまったということがあったと思います。そうした中で、米英型の企業経営、株主重視型、いわゆるリターンを重視していく、その背景として、徹底したコスト削減を行ってリターン重視を行う経営の方に日本企業も軸足を移してきたということが背景としてあったと思われます。

 そのリターン重視の経営なんですが、やはりこの結果、株主への決算報告の重要性というのが増してきたというのが一つあると思います。そうした中で、企業経営者におかれましても、毎期利益を出さなければならない、こういったプレッシャーが経営者の方々にもかかってくる。例えば、ある四半期に利益捻出のために、この四半期はやや赤字になりそうだ、赤字に転落しそうだというようなときに、あえて利益捻出のために人員カットを行ってようやく黒字にして、そして翌期に人員をふやして戦力を戻す、そういったいわゆるパフォーマンス的な、非常に短期的な会計上の操作による、いわば株価対策のような決算報告というのがなされるということは珍しくなくなってきてしまったということが言えると思います。

 本来ならば赤字が出ていたはずの四半期に、人員削減や経費削減をして無理やり黒字化して、しかし縮小したままでは実際に事業が継続できませんので、翌期もしくは半年後にまた陣容をもとに戻す。そういった、ある意味で本質的に企業会計上は事業報告になっていないような会計、ある意味で会計ゲームと言ってもおかしくないかと思いますが、そういった状況が日本の企業でもやや進んできてしまったということがあったと思います。その中で、企業会計ゲームをさらに一歩進めて、今回、金融手法で違法を犯してまで会計操作に取り組んだというのがライブドアの事件ではなかったかと思われるわけであります。

 こうした企業会計ゲームにいわゆるマネーゲームがさらに油を注ぐような形で実態としてなってしまっている。今の日本の企業制度あるいは企業文化、そしてさらには、究極的には企業会計基準を仕切る企業会計基準委員会での検討ですけれども、今足元でライブドアの事件を受けて企業会計の基準のさらなる再整備、検討というのを進めるというようなことは伺っておりますが、より大きな枠で、企業会計基準委員会での検討のみならず、将来的に企業会計の法整備も含めた取り組みについて大臣がどのようにお考えか、所見をお伺いしたいと思います。

与謝野国務大臣 私は、日本の企業は、その大宗はそれぞれの社風に基づいて浮利を求めない、じっくりした経営をされていると思います。そういう中で、世の中、先生言われましたように事後チェック型に変わる、また金融の面では間接金融から直接金融というふうに大きな流れができているわけです。

 そのときに何を考えなければならないのかといいますと、やはり適切な情報開示ということ。情報開示というのは、ただ開示したというだけではなくて、その開示されたこと自体をチェックするシステム。また、変な話ですけれども、チェックする人たちをまたチェックするというシステム。そういう中で、多くの投資家たちが真実性の高い情報に接しながら自分たちの投資行動を決めていく、こういうことでなければなりませんし、もう一方では、取引が行われるときにあらゆる側面から公正さというものを維持していかないと市場の信頼というものがなくなってしまうということで、市場のルール、市場に対する監視体制等々、もろもろのことをやっていかなければならない。日本は随分整備された制度を持っておりますけれども、さらにこの整備に努めていかなければならないと思っております。

 ただ、問題は、先生がいみじくも御指摘されたように、例えば四半期開示を義務づけるということになりますと四半期ごとに株主に対していいところを見せなきゃいけない、そういう動機も生じますので、そのことがじっくりした長期的視点に立った経営方針と果たして両立し得るかという基本的な問題も、先生御指摘されたとおり、私は存在するんであろうと思っております。

 ただ、企業は株主のものということを言われる方がありますけれども、私は必ずしもその言い方が正しいとは思っておりません。

佐藤(ゆ)分科員 ありがとうございます。

 米国型の企業会計基準がグローバルスタンダードをつくるというような時代にある中で、やはり日本としてのあり方というのをもう一度考えていくということも重要ではないかと思っております。

 次に、ライブドアの事件を受けまして、投資事業組合について少しお伺いをしたいと思います。

 投資事業組合は、日本の企業会計基準ではまだ連結対象にはなっておりません。民法上の組合でしかないということで、証券取引法上の監視下にも入らないというのが今の現状でございます。そういった意味で、今回ライブドアの事件が引き起こされたように、不明朗な金融取引の温床にも場合によってはなりかねない、そういった現状にあるかと思います。

 ただ、一方で、米国のケースですと、今回ライブドアの事件が起こりましたような、実質的な支配をしているような投資事業組合については毎期、四半期の連結決算の対象になっているということになっております。それから、投資事業組合とは別に、一般的に公開企業におきましても、アメリカの場合にはエンロンとワールドコムの会計不祥事の事件以来、企業改革法が制定されまして、ここで財務報告において企業経営者の責任の明確化というのがうたわれるようになりました。要するに、報告内容に事実と異なる記載がありましたり、あるいは重要な事項の省略があったりした場合に法令違反とみなされて、最長十年の禁固刑、または百万ドル以下の罰金、これは円換算にいたしますと大体一億二千万円弱の罰金になるんですけれども、こういった禁固刑もしくは極めてきつい罰金、あるいはその両方が科せられるというのが、アメリカの企業会計、ここでは明記されているわけであります。

 まさしく、会計のいわゆる報告内容の義務違反を行った場合には厳格な処罰の対象というのが、やはり会計不祥事の後にきちんと法整備でされたということだと思いますが、こうした状況の中で、日本もやはり投資事業組合の連結会計基準に向けて、投資事業組合をどういうふうに扱うか、その基準の明確化に向けて、先般、自民党の企業会計小委員会でも提案を出したと思いますが、企業会計基準委員会等で今後は明確化に向けて検討されるという方向までは伺っております。

 そこで、投資事業組合の連結会計基準の明確化、いわゆる連結会計にするかどうかということの基準の明確化のみならず、もう一歩踏み込みまして、連結対象とするという基準を強化する方向での御検討についてはいかがお考えかというふうにお伺いしたいと思います。

 私の理解では、あくまでも企業会計基準の委員会等での検討は、連結会計にのせるかのせないかの基準を明確にするというところでとどまっているようにお伺いしているんですが、このあたり、もう一歩踏み込んだ強化の方向で御検討されないものかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の会計基準におきまして、会社が他の会社等の意思決定機関を支配していると認められる場合、これが他の会社等は連結されるという、この実質支配力基準、これは現在でもそのようになっております。これは他の会社等が組合等である場合も同様でございます。

 この実質支配力そのもののいろいろな運用に当たりまして、これがもう少し明確化できないかということで、今ASBJの方でもこの検討を進めているわけでございますが、事柄自体は、既に実質という概念がございますので、検討の方向といたしましては、この基準、これをより一層明確化する、そういうことで早急に検討を行う方向と承知しております。

佐藤(ゆ)分科員 今のお答えでは、あくまで実質的な支配下にある投資事業組合の連結会計基準に該当するかどうかの明確化というお答えであったかと思いますが、アメリカの企業改革法の結果を受けまして、これは企業改革法の結果以前にアメリカでは、実質的な支配下にある投資事業組合については連結決算の対象にするという規定があるわけですけれども、こういったグローバルな中で、日本の会計基準だけ不明朗な部分を残すということはやはりよろしくないかと思います。ぜひとも、連結対象の基準に加えるというような強化の方向で中期的には御検討をいただきたいというふうに思っております。

 それから、この関連ですけれども、もう一つ、有価証券報告書におきます経営者責任の明確化の問題でございますけれども、こちらの方も、先般、自民党の企業会計小委員会で提案を取りまとめられたとおりでして、経営者責任については明確化するというような方向で検討するというような提案が出されたとおりかと思います。

 この点につきましても、企業経営者、いわゆるCEOの責任のみならず、実はCEOの方々、中にはやはり財務に全くタッチされていない方々もおられるわけでして、実際の会計、財務にかかわることになりますと、実は財務の最高責任者、いわゆるCFOの方が力を握っている、実際を決定されているというような現状もあるようでございます。ですから、そういった意味で、企業経営者のCEOの責任の明確化のみならず、CFOも含めて責任を明確化する方向で御検討はいただけないものか、お伺いしたいと思います。

与謝野国務大臣 アメリカでも、エンロンとかワールドコムとか、いろいろな不祥事があって、その後、やはり会社の最高責任者たちは宣誓文に署名をするというようなことになりました。それは、佐藤委員御指摘のように、自分は知らないといって経営者が言い逃れはできない、また、やはり企業として、世間に発表する決算等々のことについては最高の責任者もかかわっていて、それに対してみずから直接的な責任を負うという意思表示でもあるわけでございます。

 日本も、自民党の御提案どおりの方向で作業をしなければならないと思っております。

佐藤(ゆ)分科員 ぜひとも、少なくともCEOの責任の明確化には取り組んでいただきたいと思いますし、やはり将来的には、両面からきちんと監視するという意味も含めて、CFOも含めるいかんの是非論というのもぜひ御検討いただければというふうに思っております。

 では次に、このライブドアの問題を受けましてもう一つ、事前審査ではありませんけれども、上場基準について、そういった審査の方向に関する点で一つ御質問させていただきたいと思います。

 最近の株式動向を見ますと、ライブドアのショックが起きまして、東証一部も急落したわけですけれども、その後、比較的速やかに東証一部の方は回復基調を見せているというところではないかと思います。これはまさに、日本の経済の再生に対する国内外の投資家の方々の強い期待のあらわれと言えるかと思いますが、その一方で、東証マザーズなどのいわゆる新興市場につきましては、まだまだライブドアのショックからの立ち直りに時間がかかっているという状況ではないかと思います。

 まさしくライブドアの事件の結果、やはり新興市場に上場している企業の会計あるいは倫理観、こういったものに対する投資家の信頼がやや薄らいだということがあったのではないかと思われるわけですが、こういった新興市場の上場企業の信用低下につきまして、やはり一部、市場からも、リスク回避のために新興市場を離れて、東証一部に投資家の方々が戻っていってしまっているという、いわゆる質への逃避が起きているという報告も受けております。

 そうした中でやや懸念されますのは、やはり新興市場に上場している企業の基準なんですけれども、こういった不明朗な企業が健全な企業と一緒くたにマーケットに上場されているというような印象が市場の中で流れてしまいますと、やはり健全な市場形成、あるいはリスクマネーの育成にとって非常に懸念される状況になってくるのではないかと思います。

 特に、日本の場合ですけれども、今景気回復が全国的に本当に鮮明に出てきている中で、次のポイントとしては、総理も施政方針演説で挙げられましたように、地域の活性化、これが非常に重要な局面になってきているというところだと思います。

 現状を見ますと、日本の場合には、企業数の中でも大体八割は中小企業が占めているという日本経済の現状があるわけですが、こういった中小企業におきましても、これからのポイントは、閉鎖していく旧態型の中小企業、あるいはその閉鎖企業の件数に対して、新規に活力ある企業を起こしていく、そうした新規の企業の設立件数が上回るような形で、企業部門の新陳代謝というのをやはり進めていかなければならない。そういう極めて重要な状況に入ってきていると思います。

 そうした中で、リスクマネーの育成、資本市場の育成というのは極めて重要性を持ちまして、中小企業の部門での新陳代謝を進めるに当たりまして、やはりリスクマネーを供給するマザーズなどの新興市場の信憑性、これは極めて重要な問題であると思います。

 そうした中で、今回、ライブドアのように、いわゆる粉飾決算のような疑惑を持たれる企業が出てきた。その一方で、やはり企業経営者の方々には、新興企業でありましても、一生懸命努力をして、きちんと公正なルールに従って利益を出している、そういった企業もおられるわけでございます。同時に、こういった新興企業で、そういった粉飾企業と、それから正々堂々と法令遵守の企業とが混在している中で、適正な投資判断がそがれてくるということがあるかと思いますが、投資家から見ましても、やはり適正な投資判断がそがれる中で、より情報を収集しなければならない。そういう情報コストも上がってきてしまって、いろいろな弊害が出てくると思います。

 そこで、本題に入りますが、これはやや東証の問題かと思われますけれども、上場基準についてお伺いしたいと思いますが、東証の方では、実は、こういった問題を受けまして、新興企業の上場基準というのを少し強化していくという方向でいっているかと思います。

 確かに、新興市場の上場企業と申しますと、東証一部などに上場されています大企業と違いまして、まず社歴の短い企業が圧倒的に多いということがあると思います。ですから、やはり同じような条件で上場を考えるということはとても難しい。そうしますと、より一層重要になってくるのは、こういった新興企業の企業経営者そのものの資質、あるいはその経営理念、あるいはガバナンスの体制がどうなっているか、こういったものに対して、より入念にチェックを加えて上場を決定していく。そういったプロセスが大事ではないかと思いますが、こういった東証の自主規制のあり方について、雑駁ではありますけれども、金融庁としてどのようなお考えか、お伺いしたいと思います。

三國谷政府参考人 御指摘のとおり、公開企業がガバナンスに十分配意する、それから適正な開示に努めるということは、根幹の問題と承知をしております。東証マザーズにつきましては、高い成長の可能性を有すると認められる新興企業を上場対象としておりまして、そうした企業の資金調達の場として役割を果たしているものと承知をしております。

 この上場基準は、利益の額や純資産額は問わないなどの特色を有している一方で、例えば有価証券報告書等の法定開示書類に加えまして、既に四半期ごとの業績概況の開示を義務づけている、あるいは適時適切な開示が行えるような組織体制となっているかどうかといった内部管理体制につきまして、上場申請会社に加えまして、会計監査人に対しても申請会社の整備状況等をヒアリングすることとしているなど、それ相応の配慮をしているところでございますが、この審査の適正化につきましては、より一層今後とも努力していく必要があるものと考えております。

佐藤(ゆ)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ新興市場の信頼の回復に向けて考えていただきたいと思います。

 それから、少しライブドアの事件からは離れますけれども、やはり同じように今株式市場で問題視がされております見せ玉の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。

 見せ玉につきましては、昨今、デートレーダーの株式市場参加がふえます中で、やはりかなり問題化されておりまして、いわゆる架空の注文を出して相場に影響を及ぼして、そして最後のところで成立する前にキャンセルをするという動きでございますけれども、金融庁の方もこの見せ玉に対して、今回罰則や課徴金の適用の拡大を考えておられるというふうに伺っております。それがまさに、今国会提出の金融商品取引法案で検討されているというふうに伺っておりますが、この法案の枠組みの中で短期的にどのような強化策を考えられるかどうか、お伺いしたいと思います。

与謝野国務大臣 委員御承知のように、最近は素人と思われるデートレーダーなんかが、そういう見せ玉というような手法をとっております。証券監視委員会もそういう不正な取引に対して随分監視を続けておりますが、昨年十一月になりまして、証券監視委員会から金融庁の方にいわゆる建議が行われまして、その中で、内容を申し上げますと、一つは「顧客による「見せ玉」等売買の申込み行為による相場操縦を課徴金の対象とすること」、それから「証券会社の自己の計算における「見せ玉」等売買の申込み行為を刑事罰及び課徴金の対象とすること」と。これは、証券市場を監視している委員会がやはりこういうことをした方がいいという建議をされているわけでございます。

 さらに、私どもとしては、課徴金制度について、現行の制度の実施状況等を踏まえつつ、今後、課徴金の額の水準を含めまして、制度全般のあり方について検討してまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今般のいわゆる金融商品の取引に関する法律、実際は証券取引法等の一部を改正する法律案において、建議を受けての所要の措置を講ずることとしております。

佐藤(ゆ)分科員 その金融商品取引法案の中で、これまで御説明を伺っておりましたところによりますと、見せ玉が発生して、その結果利得が生じた際に課徴金を課すというような方向性で検討されているというふうに伺っておりますが、実際のところ、その見せ玉が発生して利得が発生したかどうかの確定につきましては、現東証のリアルタイムの市場の監視体制につきましても、あるいは証券取引等監視委員会の体制につきましても、本当にその利得の確定ができるほどの監視体制にあるのかどうかというのはやや懸念が出るところであります。

 先日、私、東証に視察に行ってまいりましたが、フロアのリアルタイムの監視係の方々、これはすべて新卒採用で、東証のプロパーの人員ということを伺いました。そして、なおかつ、何と一人当たりリアルタイムで五百銘柄程度を同時に監視されているという状況でございます。

 果たして今、東証の方も、こういったことで本当に不自然なマーケットの動きというのがすぐにでも監視できるものなのかどうか、あるいはそれを補う形で、証券取引等監視委員会の方で、見せ玉の摘発について、見せ玉の行為そのものの摘発について十分な監視体制が行われているのかどうか、そのあたりを再度お伺いさせていただきたいと思います。

 それから同時に、その利得の特定が難しい場合に、やはり見せ玉の行為そのものに対する課徴金を課すなどの御検討はされないものかどうか、改めてお伺いしたいと思います。

三國谷政府参考人 各部門における監視体制の充実強化というのは、これから大変重要な課題と承知をしております。

 東証の場合でございますけれども、東証におきましては、市場の信頼回復に向けましては、企業風土の変革への取り組みといたしまして、東証アクティブ・プランというのを二十一日に発表したところでございます。その中で、業務体制の強化や専門スキルの向上、組織のオープン化の観点から、外部の人材を広く公募等により登用することとしているところでございます。こうした取り組みを含めまして、東証におきましても、安定的かつ円滑な運用を確保するため、システム整備や組織体制の強化などをしていく必要があると考えているところでございます。

 次に、課徴金の問題でございますけれども、現行証券取引法上の課徴金制度は、違反行為者に対しまして金銭的負担を課すことにより、違反行為の抑止を図る制度として導入されたものでございます。その際、課徴金の額の水準といたしましては、一義的、機械的に算出できる基準といたしまして、経済的利得相当額を用いることとしているところでございます。

 こういった利得の有無にかかわらず、不正行為の存在を根拠といたしまして課徴金を課す、そういった制度を導入することにつきましては、現在の課徴金制度の性格を変えるところもございまして、こういった問題につきましては、課徴金制度のあり方等、全体の検討の中で引き続き検討してまいりたいと考えております。

佐藤(ゆ)分科員 ぜひともやはり監視体制を強化していただいて、本当に実質的な課徴金の制度というものを導入していただきたい、そのように思っております。その意味で、例えば証券業界、金融業界の方々の中途採用も含めて、監視体制の強化というのも一つあるべき方向性ではないかと思う次第でございます。

 時間も限られてまいりましたので、与謝野大臣は経済財政担当でもおられますので、せっかくですので、金融政策と今後の財政再建の絡みについて、一つだけ最後に御質問させていただきたいというふうに思っております。

 昨今、日銀の金融政策の量的緩和の解除の話が紙面をにぎわせているとおりでありますけれども、今の資産価格の動向を見ますと、やはりバブルを創出してはならないという一つの思いがあるように思います。それと同時に、財政再建はしなければならないので、そうはいっても長期金利は上がってもらいたくない、非常にナローパスの上での金融財政政策というのが今後望まれてくるという難しい状況に入るかと思います。

 そこで、万が一、日銀が量的緩和を解除に入った場合に、大臣としては今後の財政再建の観点から、ある意味で日銀の独立性ではありますけれども、日銀のあるべき政策運営についてどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。

 特に、財政再建の観点からは、名目の長期金利をできるだけ名目の成長率、GDP成長率より下回るような状況で抑えて運営していくのが望ましいという論議があるわけですけれども、いわゆる名目成長率対名目金利の論議ですけれども、その観点で、例えばデフレ期待あるいはインフレ期待というのを抑えてうまくコントロールするために、インフレターゲットを導入しながら、量的緩和の解除以降もゼロ金利政策を維持して、低金利を維持して財政再建を望むのが望ましいのか、そのあたり、量的緩和政策の解除後の財政再建から見ましたあるべき姿について、一言お伺いできればと思います。

与謝野国務大臣 ようやく日本の経済も正常な姿に戻りつつありますけれども、やはり今の金融政策の状況、これは平常時の金融政策ではないと思っておりますから、金融政策自体も普通の姿に戻らなければならないと思っておりますし、委員御心配の財政の姿も正常な方に戻すようにこれから我々努力をしなければならない、重要なことであろうと思っております。

 そこで、長期金利でございますけれども、長期金利は一体だれが決めるのか。だれも決められない。これは、市場で資金の取り手と資金の出し手の間の関係で決まってくるんだろうと思っております。一部で、長期金利をあたかも政府や日銀がコントロールできるように言う方がおられますけれども、それは確かにほんの短期間コントロールすることは可能かもしれません。しかしながら、長期金利は、経済の専門家であられる佐藤委員に対しては多分釈迦に説法だと思いますけれども、実質成長率プラスインフレ期待率プラスリスクプレミアムというのが多分長期金利の中身であるわけでして、架空の世界で、名目成長率よりも長期金利がずっと安い状況が仮に続くという世界があったとしたら、それは、お金を借りまくって平均企業に投資をすれば限りなくもうかるという話と同じでございまして、そういうことはあり得ないんだろうと思っております。

 そこで、やはり財政を再建するんだという政治の意思が長期金利を抑える役割を果たさなければならない。やはり財政規律というものが失われたときには、それは長期金利はとめどもなく上がっていくものだと思っております。せめて我々がやらなければならないことは、財政に対して強い規律を持つことだろう、それが長期金利も抑え、長期金利を抑えることによって財政再建にもまた資することができる、そういうような循環になっているのではないかと私は思っております。

佐藤(ゆ)分科員 ぜひとも、プライマリーバランスの二〇一一年度の黒字化に向けまして、よりよい金融財政のポリシーミックスを、与謝野大臣に御活躍をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

松岡主査 これにて佐藤ゆかり君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根一幸君。

中根分科員 自由民主党の中根一幸です。

 昨年九月当選以来、決して満を持したわけではございませんが、初めての質問をさせていただきます。何分ふなれなもので、お聞き苦しい点等々あると思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、早速質問に入らせていただきますが、小泉政権のもとで主要行の不良債権問題の解決に積極的に取り組んだ結果、主要行の不良債権比率、平成十四年三月期には八・四%あったものが二・四%まで低下しております。このように、不良債権問題の解決と金融システムの安定確保が達成されたことは、高く評価すべきことだと私も思っております。他方で、幾つかの課題が引き続き残っております。

 本日は、そういった中で、二つのことを中心に御質問させていただきたいと思います。一つは、地域経済と地域金融の再生について、そしてもう一つは、金融関係にかかわる利用者保護の促進についてお伺いしたいと思っております。

 まず、一番目の地域金融の現状と今後の課題ということでございます。

 主要行の不良債権比率、先ほど述べたように、劇的に低下する中で、一方で、地域金融機関、大丈夫かという声が依然として聞かれているわけでございます。地域金融機関の不良債権比率、主要行と比べると確かに、例えば地域銀行で五%台と高い水準にあるわけでございます。

 そこで、質問ですが、地域密着による金融を進める中で、地域金融機関の現状に対する評価、そしてまた不良債権処理に対する見通しについてまず質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

与謝野国務大臣 地域金融機関の現状に対する評価はどうかという御質問でございますが、地域金融機関につきましては、いわゆるリレーションシップバンキングという名前で呼んでおりますけれども、地域密着型金融の機能強化に関する何回かアクションプログラムを発表しまして、それに基づきまして、地域の再生、活性化や中小企業金融の円滑化を図るとともに、金融機関自身の健全性確保、収益性向上に取り組んでいるところでございます。

 こうした取り組みが一定の成果を見せる中、地域金融機関の不良債権比率等の主要財務諸表は、全体として引き続き着実な改善基調にございます。

 不良債権処理の見通しについて予測することは困難ではございますけれども、今後とも、各金融機関が自己責任と健全な競争のもとで地域密着型金融の一層の推進を図り、地域の中小企業の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、リスク管理体制の強化などを通じて経営の健全性を確保していくことを期待しております。

 また、当局としても、検査監督を通じて各地域金融機関の経営状況を的確に把握し、早目早目の経営改善を促すことによりまして、地域の金融システムの安定に万全を期してまいりたいと考えております。

中根分科員 ありがとうございます。

 続いてですが、地域金融機関、これはある面で地域から逃れられないという運命があるわけでございます。つまり、経営改善は地域経済の再生と両輪で進めていく必要がございます。

 この地域経済は、大臣御承知のように、東海地方のようなところもあれば北海道や東北地方のようなところもあり、実際、経済情勢が厳しいところも存在するわけでございますが、地域金融機関に対して融資の円滑化の観点からどのような対応をとっているか、お伺いいたします。

与謝野国務大臣 まず、財務省の全国財務局管内経済情勢報告によりますと、地域経済の概況は、地域差はございますけれども、全体としては緩やかな回復が続いているところでございます。

 こうした中で、各地域金融機関は、地域密着型金融の機能強化に関する累次のアクションプログラムに基づきまして、地域の再生、活性化や中小企業金融の円滑化を図るとともに、金融機関自身の健全性確保、収益性向上に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、十五年度以降、経営相談、支援機能の強化、担保、保証に過度に依存しない融資の取り組み等が積極的に進められているほか、創業、新事業支援への取り組みが着実に進捗しておりまして、地域の融資の円滑化の観点から一定の成果が見られるところでございます。他方では、事業再生の分野においては、具体的な成果があらわれるまで時間を要するといった側面もございます。

 今後とも、新アクションプログラムを踏まえ、各金融機関が自己責任と健全な競争のもとで地域密着型金融の一層の推進を図り、地域の中小企業等の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、地域経済の活性化やみずからの経営力強化に向けた取り組みを進めていくことを期待しております。

中根分科員 ありがとうございました。

 小泉内閣の構造改革の成果、また民間の血のにじむような努力により、我が国の全体の景気がようやく回復する中で、いまだ一部の地域においてはその果実を実感できない方々もいらっしゃるわけです。今後とも進めていきます構造改革について、国民の支持を得続けていくためには、こうした地域地域へのきめ細かい目配りが必要と考えます。

 そうした中で、地域金融機関は、地域経済の中心であり、地域再生の中心となる気概を持って取り組む必要があります。金融庁としても、こうした取り組みをしっかり後押しするよう切にお願いを申し上げます。

 続いて二番目として、利用者保護の促進について幾つか質問をさせていただきます。

 金融システムが安定化する中で、金融庁が監督する金融機関の営業現場や金融庁の監督の外、またすき間に、利用者保護の観点から問題が生じております。

 そこで質問ですが、近年、保険会社や銀行などの不祥事が多発しております。金融機関は信用の商売であり、これはどの業界でもそうですが、金融機関は他の業界とは異なる高いコンプライアンス意識が必要と思います。利用者保護を重視する観点からは、金融庁はコンプライアンス関係の不祥事に対して厳格な対応をとる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

与謝野国務大臣 保険会社につきましては、約款どおりのことをしなかった、不払いなんという言葉で言われましたけれども、こういうものが大手の保険会社でもその事例が見られたということは大変遺憾なことでございまして、金融庁としては、法令に基づきましてしかるべき措置をとったところでございます。

 また、金融機関で働いている職員の方々が、預金者からお預かりしたお金を横取りする、着服する、あるいはそれを転がして、長期間隠ぺいをしながら自分のために使ってしまうというような事例もありますし、まさかと思うようなこともございます。例えば、顧客の名簿が流出するというような大変嘆かわしい事件もあります。

 これは、金融関係、保険、銀行等の方々の高い自覚が必要でございますけれども、また金融庁としても、やはり保険の契約者、あるいは銀行にお金を預けておられる預金者、こういう方々の信頼というものがあって初めてそれらの業が成り立つわけでございますから、金融機関、保険会社等の自覚も大事ですけれども、また金融庁も、法令に基づいて適切な検査監督、あるいは法令に基づいた是正措置等々をきちんと忠実にやっていかなければならないと思っております。

中根分科員 ありがとうございます。

 今大臣言われたように、昨年ですか、保険会社による多数の不払いが発生したわけでございます。これは本当に保険契約者の信頼を揺るがすものであり、私自身も遺憾に思っております。

 こういった中で、保険会社の経営改善の状況、どのようにフォローアップしているか、詳細について再度伺っておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

佐藤政府参考人 適時適切な保険金等の支払い、これは保険会社としての営業をやっていく上で最も基本的で重要なことでございます。

 今般、生命保険会社の中で不適切な保険金等の不払いが判明した、あるいは損害保険会社につきましても、特約等で規定されている付随的な保険金の不払いあるいは支払い漏れといったことが広範に起きたということは、大変遺憾なことだというふうに思っております。

 生保につきましては、私ども金融庁の方で、全部で三十九社ございますけれども、一斉の点検をお願いし、その中で一社について業務停止命令をかけ、さらに業務改善命令を発出したということでございますし、残りの三十八社につきましても、各社ごとにその自覚を促すということで要請等をいたしておるということでございます。

 また、損保につきましては、四十八社に対して一斉の調査を実施いたしまして、支払い漏れのあった二十六社に対して業務改善命令を発したということでございます。残る二十二社につきましても点検の要請等を行っているということでございます。

 この業務改善命令の中では、徹底した原因究明ということが必要でございましょう。それからまた、それに基づく実効性のある業務改善、またその計画の策定ということを求めているところでございまして、現在、私どもに提出されました業務改善計画に基づいて、それが実効性ある形で実施されているかどうかのフォローアップを行っているということでございます。

 業務改善計画の具体的な項目としては、例えば、経営者自身による責任のある経営管理、ガバナンスとも言っていますけれども、その体制を再構築する。あるいは、保険金の支払い体制あるいは支払い管理体制といったものについて、落ち度がないような形で進めていくような仕組みを構築する。さらには、生命保険会社、相互会社形態の場合ですと、特に総代会の運営方法の抜本的な改善といったものが含まれておりますし、また損保に特有の話としては、商品開発の体制の見直しといったこと、さらには、これは生保、損保共通でございますけれども、お客様からの苦情に対して的確に対応するといったこともテーマになっておるわけでございます。

 こうしたこれまでに把握した問題点を踏まえまして、今後とも、検査監督を通じて、各社における保険金支払い管理の体制について改善、整備を促していきたいというふうに思っております。

中根分科員 ありがとうございます。

 他方、近年、金融庁の監督の外にあった外為証拠金取引において多くの被害が発生し、昨年七月ですか、金融先物取引法の一部を改正する法律が施行され、いわゆる外為証拠金取引業者に新たな規制が課されたわけであります。

 ところが、いわゆる外為証拠金取引業者については、改正法の経過措置の期限の昨年十二月末の前に、駆け込み的な、会社関係者による預かり委託証拠金の持ち逃げや、また押し売り、そしてまた無断売買等が多く見られたと聞いております。

 金融庁は、具体的にどのような問題を把握しており、このような問題業者にはどのような対応をしてきたか、これは一般の方々に注意喚起するためにも、具体的な問題の事例を挙げて詳しく説明をいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 今御指摘いただきましたように、いわゆる外為証拠金取引業者、これは改正金融先物取引法によりまして、昨年七月から私どもの監督対象になったということでございます。

 ただ、業者の登録というものが年末の十二月まで猶予されておりましたので、私どもとしては、どういう業者が活動を行っているかというのは、必ずしもわかる立場にはなかったわけでございますけれども、他方で、金融庁や財務局に多数の苦情が寄せられておりました。これらの苦情とか相談等を踏まえまして、この業者に対するヒアリングあるいは報告徴求というものを行ってまいったわけでございまして、悪質なものあるいは深刻なものについては厳正な対応を行ったということでございます。合わせて五十四社に対して業務停止命令の行政処分を行っております。そのうち五十三社が廃業ということになっておるわけでございます。

 それで、具体的な問題でございますけれども、例えば、まずは、会社自体が債務超過状態にあって支払い不能に陥っている、あるいは陥るおそれがあるといったことが一つ典型的なケースとしてございました。それから二つ目に、顧客から預かった証拠金と会社の資産を区分せずに管理して、会社の活動に流用したりしてしまっているといったケースも多うございました。三つ目に、いわゆる不招請勧誘、お客さんの側から要請がないにもかかわらず勧誘を行ったといったケース。それから最後、四つ目に、無断売買を行っていたケース。こんなケースが認められたというところでございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、顧客保護の観点から、外為証拠金取引業者を含む金融先物取引業者に対して適切な監督を行ってまいりたいと思っております。

中根分科員 ありがとうございます。

 こうした金融の状況の中で、私は、二つの点に積極的に取り組んでいく必要があると思っております。一つは、消費者自身が正しい情報を持って選択が行えるよう、金融商品についての正しい知識と判断力を持ってもらうということ。そしてもう一つは、よく言われています縦割り行政ですが、縦割りにより規制のすき間がないように、金融商品の売り手に対する規制の見直しを行うということだと思っております。

 そこで、質問させていただきますが、まず、消費者教育については、もうアメリカやイギリスにおいては、学校の教育などに積極的に取り組みを行っているというふうに伺っておりますが、今後、我が国においても、一般の方々が投資商品を購入していくということを前提に、悪徳商法や犯罪の被害防止という観点から、消費者教育への取り組みを充実させる必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

中江政府参考人 消費者教育につきましては、金融庁といたしまして、これまでも金融庁のホームページにおきまして、先ほどお話のございました外国為替証拠金取引を含めまして各種の金融商品につきまして、注意喚起と申しますか、気をつけてほしい情報などを提供するとともに、中学生、高校生向けの副教材あるいは小学生向けのパンフレットの作成、あるいは金融経済教育に関するシンポジウムの開催といった各種施策を講じてきているところでございます。

 委員御指摘のとおり、近年、詐欺的な投資商品や悪徳商法が見られる中、国民がさまざまな金融商品・サービスの内容を十分理解した上で金融商品・サービスを選択することが求められており、金融サービス利用者への教育はこれまで以上に重要な政策課題となっていると認識をしております。

 そうした問題意識から、昨年三月に、金融担当大臣のもとに各界の有識者から成る金融経済教育懇談会というものを立ち上げまして、そこで精力的に御議論をいただいた上、昨年の六月に、金融経済教育に関する御提言をいただいたところでございます。

 この提言の中で金融庁に求められている事項といたしまして、例えば、金融庁主催のシンポジウムの効果的な活用、初等中等教育段階におきまして学習指導要領と有機的に関連をした体系的な教育プログラムの開発に参画をすること、それから、初等中等教育段階、社会人、高齢者の各段階におきましてすぐれた実践事例の周知を図っていく、また、学校教育の現場レベルでの先生との懇談会、研修会の積極的な実施を通じまして受け手のニーズを把握するといったことなどが挙げられております。

 金融庁といたしまして、今後、政府関係機関や金融関係団体との連携を通じまして、この御提言をいただいた点を含めまして、金融経済教育の一層の推進、充実が図られるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

中根分科員 ありがとうございます。

 同時に、幾ら教育をやっても、一般の方々にとって、日々発達しております金融商品に対応し切れない面があると思います。

 金融庁におきましては、相談等の受け付け体制というのは今どのようになっておるのか、どのような対応をし、どのような成果を上げているのか、また、これについて今後どのようにしていくのか、改めてお伺いいたします。

    〔主査退席、河井主査代理着席〕

中江政府参考人 利用者からの相談の受け付け体制でございますが、金融庁といたしましては、昨年の七月に金融サービス利用者相談室というものを開設いたしまして、金融行政、金融サービスに関する利用者の電話、ホームページ、ファクスなどを通じた質問、相談、意見などに一元的に対応しているところでございます。昨年の開設以来、十二月末までの五カ月半で総受け付け件数は約一万六千件、一日当たりの平均、約百四十件の受け付けというような状況でございます。

 相談室には、消費生活アドバイザーの有資格者など消費者相談のノウハウや金融の専門的知識を有する相談員を配置しておりまして、相談内容に応じて専門の相談員が対応しているところでございます。寄せられた相談につきましては、まず、相談員が利用者の話を十分に聞いた上で、知識の提供や論点の整理などを行っております。

 なお、寄せられた相談等が利用者と金融機関との間の個別のトラブルである場合には、あっせん、仲介あるいは調停の機能を持った当該取引に係る業界団体等への紹介を行っているところでございます。この場合にも、単に連絡先を紹介するだけでなく、紹介する先の機能や相談に当たっての留意点などもあわせて情報提供を行っております。

 また、具体的な相談事例でございますけれども、一つは、預金取扱金融機関における預金、融資業務に関するもの、例えば預け入れ時の説明態勢や融資の実行、返済に関する相談等でございます。二つは、個別保険契約の顧客説明や結果に関するもの、例えば保険金の支払いや保険金請求時における保険会社の対応に関する相談、そのほか、外国為替証拠金取引、未公開株式の取引に関するもの、貸金業者に関するものなど、さまざまなものがございます。

 こういった寄せられた相談内容の情報につきましては、利用者相談室から検査監督部門に回付されまして、検査におきまして、法令遵守体制やリスク管理体制の検証に際して活用しているほか、ヒアリングなど日常の監督業務に活用するとともに、財務局等への情報提供も行っているところでございます。

 例えば、先ほどお話のございました外国為替証拠金取引ですとか不払いなどにつきまして多くの相談等が寄せられておりまして、そうした業者に対して必要に応じて検査やヒアリングを行い、問題が認められれば行政処分を行うなどの厳正な対応を行っているところでございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、寄せられた相談に適切に対応するとともに、相談事例を、企画立案、検査監督におきまして有効に活用しつつ、利用者の方々の保護や利便性の向上が図られるよう、体制整備も含め努めてまいりたいと考えております。

中根分科員 御丁寧な御答弁ありがとうございました。

 次に、金融商品取引法に向けた決意ということで質問させていただきますが、こうした一般の投資家や消費者の保護に向けた取り組みを行っていくことは、我が国のお金の流れを大きく変えていくことにつながる可能性がございます。金融商品への投資について、国民の関心も高まってきております。我が国の経済活性化のためにも、貯蓄から投資への流れを後押しして、一般の国民の方々が活発な投資を行うことができるよう環境整備をしていく必要がございます。

 そこで大臣に、最後、質問させていただきたいんですが、個別、縦割り規制のすき間で詐欺的な業者による被害が頻発している現状にかんがみて、利用者保護のために横断的な規制の枠組みを整備していくことが重要だと考えますが、それについて御答弁をよろしくお願いします。

与謝野国務大臣 まず、世の中にそんなうまい話はないということは、それぞれ国民が考えておかなければならないことだろうと思っております。

 なぜこんな詐欺にかかるのかと思うぐらい、やはり欲というものが普通の人の判断力を狂わせるんだなというケースはたびたび見ているわけでございます。そういう面では、やはり、人より何倍ももうかる、あるいは何倍ものリターンがあるというようなことは、事実あり得ないんだという基本的な警戒心は持っていただかなければなりません。

 しかし一方で、やはり、多少リスクはあるけれども投資をしてみようという、これもまた日本の経済の原動力になるわけですから、そういう意味では、やはり私どもとしては、そういう善意の投資家をきちんと保護する、守るということ。特に、最近、外為の証拠金取引ももう初めから詐欺を目的にしているような業種でございまして、こんなものを放置していいわけはありませんし、また、今回の金融商品に関する法律においては、今委員御指摘のように、昔のように単純に、株は株、預金は預金というような区別がつかなくなって、多種多様な商品、また商品自体の組み合わせ、こういうものが出てきました。

 そういう中で、やはり投資家を守る、全体をカバーする、そういう大きな法制度はどうしても必要になってきた、またそういう時代的な要請があるということを自覚して、この国会で皆様方に新たな考え方の法律を御審議いただく、そして、なるべく早い機会に御成立を図っていただけないだろうかというのが、今の金融庁の立場でございます。

中根分科員 ありがとうございました。以上で私の質問を終わらせていただきます。

河井主査代理 これにて中根一幸君の質疑は終了いたしました。

 次に、西村智奈美さん。

西村(智)分科員 民主党の西村智奈美でございます。

 与謝野大臣、そして、きょうは厚労省の方から西川政務官にもお越しいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、中根委員の質問の中で、規制というような言葉が繰り返し出てまいりました。この間、日本では規制改革というものが行われてきたというふうに承知をしております。

 規制は、私はこれは基本的な考え方だと思っておりますけれども、必要な規制は強化をしなければいけない、ですが、不必要でしかもそれが有害な規制であるときには、それを見直したり撤廃していったりすることが必要だと考えております。

 こういった中で、政府の方は、この間、小さな政府を目指すということで、どちらかといいますと官から私企業へいろんな形で規制を緩和している、なくしているように見えるわけでございますけれども、私は、規制を考えるときに何をもって規制を見るかという視点、これはぜひエンドユーザーサイドに立って規制を見るということを行っていきたいというふうに考えています。

 つまり、規制といいますと、どうしても政府の方から見て都合のよいように規制をつくる、あるいは業者を管理監督しやすいように規制をつくる、こういう発想になりがちなんですけれども、しかし、今そういうことではもうやっていけない。つまり、縦割り行政の中での弊害というものも出てきているわけでございますし、最終消費者の側から見て、この規制は必要なのか必要でないのか、あるいはどういう規制が必要なのか、こういうことを発想していくことが大切なんだろうというふうに思っております。

 こういう私の考えを最初に述べさせていただいて、きょうは保険業法の件について伺っていきたいというふうに思います。

 昨年、保険業法は改正施行をされました。保険業法の改正によりまして、根拠法のない共済が今度は少額短期保険業者というふうになるわけでございますけれども、そもそも根拠法のない共済のどういった点が問題で、どういった必要性から先般の法改正をするに至ったのか、この点から伺いたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、特別な根拠法に基づかずに設立されました任意団体等で行われます共済事業、いわゆる根拠法のない共済、この規模や形態の多様化が進みまして、特定の者を相手方として保険の引き受けを行う共済事業と、不特定の者を相手方として保険の引き受けを行う保険業とを区別することがだんだん容易でなくなりつつあった現象がございます。

 また、近年、共済に関しましては、事業者が所在不明である、あるいはマルチ商法的な勧誘方法が用いられているなど、国民生活センター等への相談件数が増加してきたところでございます。

 ちなみに、共済に関します相談件数は、国民生活センター調べでございますが、平成十年度が三百六十三件に対しまして、平成十五年度八百六十六件、うちマルチに係る相談が、平成十年度四件、平成十五年度百二十一件という状態でふえてきているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、今般の保険業法改正におきましては、保険業法の適用範囲につきまして、契約の相手方が特定か不特定か、あるいは営利か非営利かといったことにかかわらず、およそ保険の引き受けを行う者につきましては、その契約者を保護し、健全な運営を確保するために、必要な規制の対象とすることとしたものでございます。

西村(智)分科員 今回の改正で営利か非営利かを問わず規制の対象にするということになったという御説明なんですけれども、私はいささかそのあたりに疑問を持つところでございます。

 今回、少額短期保険業者、新たに設置をされたわけですけれども、これに適用除外が設けられておりまして、保険業法施行令の第一条の三というところでございますが、そこにるる書かれているわけでございます。

 「保険業の定義から除かれるもの」、つまり今回の改正の適用には当たらないものというふうにいろいろ書かれているわけでございますけれども、この適用除外を決めたときの判断基準が、高度の自治性やあるいは構成員が真に限定されていること、こういったことが要件として満たされているときに適用除外になるというふうに聞いているんですけれども、具体的にはどういう考え方でこの線引きを行ったのでしょうか。

三國谷政府参考人 「保険業の定義から除かれるもの」、保険業法の適用除外につきましては、構成員の自治のみによる監督を理由に自己責任を問うことが可能であることが、法令上、社会通念上明らかである団体を例外的に適用除外としているところでございます。

 具体的には、一つは、共済を運営している団体が高い自治性を有していること。これは、逆に言いますと、万一の破綻の際にも処理を自治にゆだねることが適当と認められること、基本的には同一法人などの極めて同質性が高い団体ということでございます。

 二つ目は、団体の位置づけ、外延が既存の法制度上明確であること。これは、保険業法の適用除外に該当するか否かは、いろいろ刑事罰との問題にも直結した問題でございますので、その辺を明確にすることとの要件を満たすものとしているところでございます。

西村(智)分科員 私は、この法律改正が行われたのは、先ほど御指摘がありましたように、国民生活センターの方に無認可共済に関する相談件数がふえてきたこと、この中でも特にマルチに関する相談件数が急増してきたということでございますので、やはり契約者の権利の保護、権利の擁護、これが最終的な目的なんだというふうに理解をいたします。ですので、契約者保護という観点に立ったときに、この適用除外に関する要件というのはやはり余りにもわかりにくくて、かつ不公平と言わなければいけない部分があるのではないかというふうに考えております。

 無認可共済といいましても、悪い事業者、先ほど挙がったような、相談の対象になったような悪い事業者、これがたくさんあるということは事実だというふうに私も思います。ですけれども、非営利で、ボランティアで、本当に契約者のためにやっている、そういう無認可共済もあるというふうに思うんですけれども、この法改正あるいは政省令の改正に当たって、それら共済にどのように内容を周知して、また意見聴取をどういうふうに行ったのか、その点についてお聞かせください。

三國谷政府参考人 金融庁といたしましては、一つは総務省の実態調査、これは平成十六年十月に行っておりますが、この実態調査あるいはインターネットなどによりまして共済を行っている団体を把握し、また金融審議会などにおいてヒアリングを行うとともに、審議会の論点整理のパブリックコメントを募集するなど、法案作成に当たりまして実態把握及び意見聴取に努めてきたところでございます。

 また、昨年五月の法案成立後でございますが、説明会や政省令案の公表、またパブリックコメントの募集などによりまして、根拠法のない共済の実態把握及び意見聴取に努めまして、政省令案の策定に反映するべく努めてきたところでございます。この過程におきましては、さまざまな団体から面談などを通じまして、いろいろ継続的に御意見や御要望を伺ったりもしているところでございます。

 今後とも、そういった団体が新制度へ円滑に移行し、契約者保護等が図られますよう、それぞれの事情をよく伺いながら、引き続き相談に乗ってまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 問題は、先ほど御答弁いただいた中の、円滑な移行が実際に図られていないということを指摘したいわけでございます。

 意見聴取の過程でも、金融庁の方ではそれなりに御配慮もされたのかというふうに思いますけれども、実際には、本当にこの保険業法の今回の改正で共済制度そのものに激変を強いられる団体が、実はヒアリングの対象になっていなかったり、法改正が施行された、公表されたその後でこの内容を知って、本当にもう自分たちの持っている共済制度、これをどうしようかということで頭を抱えておられる方々が本当にたくさんいらっしゃるわけでございます。

 なぜ私がこのようなことを申し上げているかと申しますと、実は知的障害者の皆さんが自主的につくっている共済制度があるそうでございますけれども、これが今回、法改正によって少額短期事業者の枠内に入らなければならないということになります。非常に大きな衝撃がそういった関係者の方々にあったようでございまして、そして私のところにもお話をいただきました。

 次の問いは、知的障害者の保険加入についてお伺いしたいと思うんですけれども、知的障害者の皆さん、民間の医療保険には加入できないというようなお話を聞いております。これについて金融庁の見解を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 まず初めに、全般的な枠組みについてお話をさせていただきます。

 保険会社がどのような商品を提供し、どのような引き受けを行うかということにつきましては、各社が保険数理に基づく合理性が存在するということを前提といたしまして、それぞれ経営の健全性を確保しつつ、利用者のニーズに合わせた商品の提供を行うということが重要であると思っております。その際、一般的に、医師による診療、治療、投薬を受けたことなどの告知事由に該当する場合には、いわゆる逆選択を排除し、保険契約者間の公平性を確保する、こういう観点から、保険会社は加入できる保険種類あるいは保険引受金額を制限するといったいわゆる危険選択を行う場合がございます。

 他方、保険契約の内容に関しまして、あるいは引き受けに際しまして、合理的な理由なく特定の者に対して不当な差別的取り扱いをすることは認められないということになっております。

 そこで、御指摘の点でございますけれども、限られた時間ではございましたけれども、幾つかの保険会社にヒアリングを行ってみました。その範囲でお答えをさせていただきますと、告知書にはさまざまな疾患が記載されておりまして、これらに該当することによって結果的に引き受けが制限されるケースというのはあり得ると思われますけれども、専ら知的障害者であることのみをもって、これを理由に医療保険への加入を排除している、こういった商品はないものと承知をいたしております。

 それから、このほかに例えばいわゆる無選択型の医療保険という商品もございまして、医師の診査や告知書の提出を行うことなく加入できるものがございます。こうした商品について言えば、例えば年齢制限等の他の引き受け条件を満たしていれば加入が可能であるというふうに承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、当局といたしましては、仮に引き受けに当たり保険事業としての合理性なく特定の者に対して不当な差別的取り扱いが行われているような事態が判明すれば、適切な問題意識を持って対応していくことが必要であろうかというふうに思っております。

西村(智)分科員 短い時間ではありましたけれども、事業者の方にヒアリングを行ってくださったということで、そのことについてはお礼を申し上げたいと思いますけれども、伺っておりますと、専ら知的障害者だからといって加入を阻むような商品はないけれども、告知書にある記載が現実的には加入できないような仕組みになっているということですね、恐らく。そういうことなんだと私は思います。

 そういうことになりますと、もし差別的な扱いがあるようであれば今後適切に対応していくということでございますけれども、そのことについてはぜひ金融庁の方でも検討いただきたいというふうに思います。

 今回、障害者自立支援法がいよいよスタートすることになりまして、応益負担という考え方で、今後障害者の皆さんの負担が恐らく増してくることは明白であろうというふうに考えております。

 西川政務官、負担は実際にこれから恐らくふえていくということになると思われますけれども、知的障害者の方々が入院されたときのことをぜひ想像していただきたいというふうに思います。大体、入院した場合には、多くの場合、付添人が必要だというふうに私は伺っております。付添人が必要であるということは、差額ベッド代もこれまた必要になってくるということでございますけれども、今後、この障害者差別の解消に向けた取り組み、もしできましたら、この保険業法とのかかわりでお答えをいただけると幸いでございます。

西川大臣政務官 日ごろから西村議員の障害者に対する御活動、敬意を表したいと思います。

 先般の障害者自立支援法、障害者の方々の負担がふえるというお話がありましたが、これはやはり、制度全体を持続可能な制度にするため、そういう思いの中で、もちろん負担のふえる部分もありますが、また減る方もいらっしゃいます。そういう意味での大きな枠の中での制度改正だということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 その中で、今回、知的障害者の民間保険の問題の、今まできちんとした根拠法がなかったということで、新しく制度化された中で、どうしてもその制度の中になかなか入れないという問題の御質問かなと思います。

 いわば互助会制度で、いわゆる知的障害者の方が入院した際に入院給付金その他をお互いに給付するための共済を営んでいらっしゃる、そういう互助会制度だと思いますが、これは、実は今回、やはり入る方の権利をきちんと守る、そういうスタンスでの制度改正だと私も思いますので、これは厚労省の立場で言うあれではないのかもしれませんが、ぜひ、できましたら、入る方向で御検討いただきたい。入っている団体もいらっしゃるというふうには聞いております。

 その中で、障害者の方が差別のない社会を目指すということ、これはもう私ども厚生労働省としては本当に一番大切な理念だと思っておりますので、社会のあらゆる分野で、障害者の方あるいは健常者も、お互いに尊敬し合い、尊重し合いながら活動できる方向で厚労省が努力していく、そのことは間違いのない事実でございまして、障害者の基本法にも、障害があるということで差別をされないということをしっかりとうたっているところでございますので、厚労省も、今後、先生のおっしゃる方向で、一緒に努力していくことを申し上げたいと思います。

西村(智)分科員 御承知だと思いますけれども、無認可共済の中で少額短期事業者に移行するというふうに言っているところもあるやに伺っております。しかし、私の地元では、二月、真冬の寒い時期、本当に新潟市は海に近くて雪が横から降ってくるような天気になりますけれども、その中で互助会の皆さんが街頭署名活動をされて、今回こちらの方にもその署名を持って、いわば適用除外にしてほしいという要請をされたと伺っております。聞くところですと、約三十万人の署名を集めて持ってこられたということでございます。これは、一人一人の利用者の立場に立ってみれば、この三十万人の署名の重みというのは極めて重いのではないか、これはぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 ちょっと技術的なところに入りますけれども、共済事業者、今回、法改正によりまして九月三十日までに届け出を行う必要があるということでございます。そして、二年以内に新制度への移行をする必要があるということでございますけれども、仮にの場合を想定して、二つお聞かせください。もし、九月三十日までに、十月一日になっても届け出を行っていないという場合にはどういうことになるのでしょうか。また、仮に九月三十日までに届け出た場合でも、二年以内に少額短期保険業者の登録をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。

三國谷政府参考人 まず、制度の御説明をさせていただきたいと存じます。

 改正保険業法では、施行は本年四月一日を予定しておりますが、その際、現に共済事業を行っている者につきましては必要な経過措置を置いており、一つは、共済事業者が引き続き共済事業を行う場合には施行日から六カ月以内に行政庁へ届け出を行う必要がございます。これに違反した場合は罰則の適用ということになります。

 二つ目は、また、共済事業を行っている者は施行日から二年以内に少額短期保険業者の登録または保険会社の免許の申請を行う必要がございます。これに違反した場合の罰則規定もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、さまざまな団体が新制度へ円滑に移行し、契約者保護等が図られますよう、それぞれの事情をよく伺いながら、引き続き相談に乗ってまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)分科員 円滑な移行ということで二回同じフレーズをお聞きしましたので、あえてそれでは質問させていただきますけれども、今、現状、円滑な移行というのは行われていないというふうに認識されているかと思います。それでは、こういうふうになってしまっている現状は何が原因だったのでしょうか。制度設計が問題だったのでしょうか。それとも、制度の設計をしていく過程で十分にヒアリングをしてこなかったということが問題なのでしょうか。それとも、制度は問題ないけれども、既存事業者の方に問題があるんだということなんでしょうか。どうでしょうか。

三國谷政府参考人 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今回、少額短期保険事業、現在のいわゆる根拠法のない共済、これによりますいろいろな事態というものを適正化していくとともに、その過程におきましては、さまざまな団体がございますが、それぞれの団体が実情に応じまして円滑に移行できるよう、所要の経過措置等を含めながら、それから、いろいろなヒアリングも繰り返しながら、いろいろな条件等も説明しながらこの移行に努めているということを御理解いただきたいと存じます。

西村(智)分科員 大臣の御見解をここで伺いたいと思います。

 知的障害者の互助会の皆さんが本当に大規模な署名活動をされまして、今回の保険業法の適用除外としてほしいというふうに要求されておられるわけですが、金融大臣としてどのような御見解でしょうか。

与謝野国務大臣 これは党の方からも相当強く言われまして、何とかできないかということを随分考えましたし、また全国でこういうことをボランティアでやっておられる方々の代表にもお目にかかりまして、こういう方々まで法の網をかぶせなきゃいけないというのは心苦しいなというのが私の本当の気持ちでございます。

 しかしながら、一方では、不測の事態に備えていろいろなことをきちんと準備しておくということもまた金融庁の立場でございまして、私としては、何とか、移行するときに、事務的な負担その他の負担がなるべく少なくて済むような方法で移行できる方法はないかということを今考えている最中でございます。まだ結論は出ておりませんけれども、本当に、ボランティアで、また善意を持ってやってきた方々の立場をきちんと我々は考えなければならない、そのように思っております。

西村(智)分科員 移行に伴う負担もさることながら、課税対象に新たになるということがやはり大きな問題なんだろうというふうに思います。ぜひ大臣、そこも含めてお考えいただきたい。ただいまいただいた答弁は非常に気持ちのこもった、前向きな御答弁だったというふうに思っておりますので、ぜひ、これを形にあらわすような方向でお取り組みを進めていただきたいと思います。

 最後に、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。

 保険募集人についてでございますが、少額短期保険業者になった場合に、今度は保険募集人も置かなければいけないということになりますけれども、実はテキストも私お借りをしてきました。やはり、勉強すれば保険募集人になることができるという程度かというふうに思いますけれども、最後に確認させていただきたいのは、この保険募集人の人数を、例えば最低何人置くというような形で、その規模に応じて特段の定めなどをするつもりがおありかどうか、そこをお聞かせください。

三國谷政府参考人 委託する保険募集人の人数を含めまして少額短期保険業者がどのような募集体制で保険業を行うかということにつきましては、基本的には経営判断の問題のところがございます。また、取り扱う保険商品によっても変わり得るものでありますことから、一概に必要な保険募集人の人数を申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。

西村(智)分科員 定めをしないかということをお伺いしたんですが、それはどうですか。

三國谷政府参考人 人数を規則として決めるというようなことは考えておりません。

西村(智)分科員 時間ですので終わります。

 ありがとうございました。

河井主査代理 これにて西村智奈美さんの質疑は終了いたしました。

 次に、滝実君。

滝分科員 私は、特に金融庁に対しまして、法律の条文というか法律の表現、そういった点を中心にして、何点かお伺いをしておきたいと思っております。

 まず、昨今の話題でございますライブドアに関連いたしまして、いろいろな問題があるんだろうと思うのでございますけれども、特にライブドアがおやりになった中で一般に報道されている点では、例えば風説の流布をして株をつり上げ、売り抜けたとか、そういうようなことがございますから、当然、証券取引法違反ということになるわけでございます。そうしますと、その得た利益あるいは元本、利益を得るために株式を売買するのに用意したお金、そういった点は証券取引法百九十八条の二の没収の規定に照らしてどういうことになるんだろうかな、こういうようなことがどうもはっきりしない点がございますので、まず、そういった点についてお尋ねをしたいと思います。

 もともと、刑事罰の基本でございます刑法の十九条に没収の規定があるわけでございます。没収の規定は、刑法では有体物を中心にして構成しておりますから、株の売り抜けによった利益とか、そういうものはもともと刑法の十九条の没収の規定にはないわけでございます。しかし、株式市場の相場操作あるいはインサイダー取引、そういうようなことが議論されましたときに、平成十年の証取法の改正で百九十八条の二の条文が新たに設けられて、没収の規定ができ上がっているというふうに承知をいたしているわけでございます。

 そこでは、犯罪行為により得た財産は没収する、こういうふうに表現をいたしております。ここが刑法の規定とやや違うところでございまして、刑法の規定では、有体物ではございますけれども、没収することができるという選択の余地があるんでございますけれども、証取法の方は没収するという原則を真正面に掲げておりますから、義務的に没収しなければいけない、こういうような読み方になるわけでございます。しかも、そのときの表現で、利益と言わずに「犯罪行為により得た財産」と呼んでおりますから、単純に株の売り抜けた利益を言うんじゃなくて、もともと根っこの投資をした金額も本来的にはその財産に入るんだ、こういうような含みを持ってこの条文がつくられたというふうに思っているんでございます。

 ところが、現実に裁判例を見ますと、財産という幅広いことで没収というか、現実には追徴金という格好をとるわけでございますけれども、この追徴金の計算をするときに差額の差益、利益だけをまともに計算をして、その利益を得るための提供をした、いわば資金、そういうものは初めからカウントしていないんですよね。

 これは、本来の立法趣旨からいうとまことに不思議な話なんです。裁判所の裁判官のおやりになることですから、余り立法府が批判することでもありませんし、金融庁も簡単に批判できる話ではないんでございますけれども、しかし、立法の趣旨はあくまでも、要するにそういう株式市場の相場操作をいかに抑止するか、そのためには初めから用意した資金まで没収してしまわないと繰り返し繰り返しそういう犯罪行為に走る、こういうところから百九十八条の二が構成されているわけでございますけれども、どうもその辺のところがPR不足なのか、あるいは何か知りませんけれども、判決では財産の全部を没収すると言わずに初めから利益だけを計算して済ませている、こういうようなのが判例の状況なんでございます。

 こういった点について、金融庁はどういうふうな受け取り方をこういった裁判例についておやりになっているのか、受けとめているのかをまずお尋ねしておきたいと思います。

三國谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、証券取引法におきましては、特に違法性の高い行為につきまして、犯罪行為により得た財産につきましての没収、没収できないときは追徴規定が定められているところでございます。ここによる「犯罪行為により得た財産」とは、同法による犯罪行為によって得た有価証券や金銭等の財産のすべてがその対象とされるところでございまして、したがって、利益相当額ということではないと承知をしております。

 ただ、個別の事案ということになりますと、これはやはり裁判所の判断において懲役や罰金等に付随して言い渡されるものと承知しておりますので、個別の事案につきましての言及は差し控えさせていただきたいと存じます。

滝分科員 当然個別の事案は裁判官がいろいろな判断をされるんでしょうから、それに対して一つ一つ問題にできるはずのものではございませんけれども、何となく立法の趣旨からいうと違和感があるという感じがするものですから、そこのところが、せっかく相場操縦あるいはインサイダー取引を抑止するために単なる差益じゃなくて根っこから資産を問題にしているというのに、どうも実態がちぐはぐじゃないだろうかな、私はこういう感じがいたします。

 それから、もう一つ具体的に言えば、ライブドアの報道で問題になっておりますのは、例えばライブドアの子会社が利益を上げた、その利益を親会社たるライブドアにつけかえをする、つけかえをしてライブドア本体の収益と申しますか利益を過剰に計上したという収支報告の偽装事件ですよね。こういったときに、子会社で利益を上げた、例えば三十億なら三十億円を、ライブドア本体の利益、二十億なら二十億につけ加えて五十億としたという場合に、その五十億は没収できるものかどうか。私は、これはなかなか無理だろうと、幾ら何でも無理だろうと思うんですけれども、仮定の問題としてそういうことが可能なのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 証券取引法では、財産の没収につきまして、二つの流れ、一つは百九十七条第一項七号等のグループ、これはいわゆる株価操縦とか風説の流布、あるいはインサイダー、そういうグループについて規定しているわけでございます。

 個々の具体的な事例についてこれに該当するかどうかということにつきましては、恐縮でございますが、個別の事案でございますので言及は差し控えさせていただきたいと存じます。

滝分科員 当然、金融庁は、具体的な事案が進行中でございますから、それに対して何もコメントはできないというのはわかるのでございますけれども、この辺のところをほうっておくと、結局、こういう粉飾決算のようなものについて、せっかく証取法で平成十年に改正した趣旨がどうも思うように実態問題として機能しないんじゃないかな、こういう感じがするわけでございます。

 今までの裁判例でございますと、例えば、これは名前がもう判例で出ていますからあれですけれども、平成十六年に判決のあったキャッツという事件では、やはり粉飾決算をしているんですよね。ところが、粉飾決算をしているんですけれども、この判決を見ると、粉飾した決算のところについては没収等も何もやっていないで、ただ単に、株式の売り抜けだけをとらえて三億一千万円程度の追徴金を科しているんです。本体部分について、本来、そういうものをほうっておくとおかしいんじゃないか、こういうようなことでなされているものがどうもあいまいになってきているんじゃないだろうかな、こういうふうに思うわけでございます。

 一方、海の向こうの話ですから、日本の現状とは合わないんですけれども、かの有名なアメリカのエンロンでありますとかワールドコムとか、そういうところのことになりますと、日本とは制度の仕組みが違いますけれども、例えば、米国の証券取引委員会が科しているエンロンの元会長に対する制裁金なんというのは、百億円ぐらいの制裁金を科しているんですよね。

 そういうような日本のいわば金融取引については、アメリカの制度をできるだけ見習って、それをお手本にして、いろいろな仕組みをこの十年間でつくってきた。しかし、当のアメリカは、抑止力のためにそういうような多額の、まあ全然事件も違うし、国柄も違いますから同じもので比較するわけにはいきませんけれども、アメリカの場合には、かなり金額として課徴金なり制裁金なりという格好をとっているんだろうと思うんです。

 日本では想像できないような多額のものをもとにして、抑止力のための仕組みを実行しているというところから見ると、日本の場合にはちょっと、ライブドアの問題が具体的にどういうふうに進展するか、全く見当もつかない、これからの話でございますけれども、少し手ぬるいのかなという感じがするんですけれども、そういう事柄について、金融庁は検討したことがあるでしょうか。

三國谷政府参考人 私ども、エンフォースメントという観点から、例えば課徴金制度につきましても、これまでインサイダー、あるいは発行開示、それからさらには継続開示まで含めて拡大してきておりますし、今国会に提出を予定しております法案におきましても、見せ玉についての課徴金の導入等も検討しているわけでございます。

 逐次、資本市場の健全な発展のためにそのような制度の整備に努めてまいりたいと思っておりますが、あわせまして、今回提出を予定している法案で検討しておりますことは、罰則規定の見直しでございまして、例えば、不公正取引、風説の流布のほか、重要事項に虚偽の記載のある有価証券届出書の提出等につきましても、罰則のさらなる強化が図れないかどうか、現在検討しているところでございます。

滝分科員 ありがとうございました。

 もう一月ぐらい前になりますけれども、この経済事犯を評して、日本では罰金が軽いから、罰金ぐらいどうということはない、やはり株でうまく収益を上げればそれの方が勝ちだなんという趣旨の漫画が某週刊誌に堂々と出てくる。それを見て国民は、何とこの日本の社会というのは法的にきちんと整備されていないんだろうか、こういうような感じを抱くものですから、やはり金融庁としては、こういう際に、いたずらに罰則を強化しておるとか何かというよりも、抑止力をどうやって働かせるかということをおやりになった方がいいと思いますので、そういうような検討が進んでいれば、私はもう速やかに実現をしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。

 それから、貸金業、消費者金融の点について、次の話題にしたいと思うんです。

 去年の七月からことしにかけて、最高裁が消費者金融につきまして、次々と今までにない判例を出してきております。去年の七月十九日の最高裁判決は、消費者金融に対しまして、いわば全履歴の開示をたびたび借り手側が弁護士を通じて業者に請求しているのに、業者がそれについて応じてこなかった、こういうことをとらえて、それはけしからぬ、こういうようなことで判示をしているわけでございますけれども、その際に、最高裁が論拠としてお使いになったものは、法律ではなくて金融庁の定めた規則、あるいはその規則とも関連した業界指導の、金融庁のいわば監督のためのガイドラインというものを、あえて最高裁の判決の中ではそういうものを引用して、業者が借り手側の貸し借りの状況をきちんと開示しないのはおかしい、こういうような判示をしている。要するに、いわば業界の通常の姿というものをとらえて、業者側に開示義務があるんだ、こういうようなことを言っているわけです。

 ところが、年が明けて、ことしの一月十三日あるいは一月二十四日は、引き続き、最高裁は別の観点から、この貸金業法を通じて、いわば業界のルール、あるいは当時の金融関係監督機関も中に入って了解をしていたルールというものを否定するような判決をこの一月十三日と一月二十四日、続けて出しているわけでございます。そういうようなところから見ると、結局この法律というものはどういうことになるのかな、こういうふうに思うわけでございます。

 御案内のとおり、現在の貸金業に関する利息の定め方というのは、利息制限法がある。そしてその上に、刑事罰としての出資法違反の二九・二%という限度額がある。その間の調整役として貸金業に関する規制法があって、その両方の利率の間の調整役を昭和五十八年に当時の議員立法でおつくりになった。それがいわば業界を通じて、あるいは借り手も貸し手も、それが一つのルールになってきているわけですね。

 有名な貸金業法四十三条によりますと、要するに、借り手側に対して契約書をちゃんと明示する、あるいは金を返してもらったときには受領証をきちんと文書で出してもらう、そうすれば利息制限法の利息を超えてやりとりしたものも有効である、こういうルールをつくってきたわけでございますけれども、どうもことしになってからの判決を見ると、そういうルールをある意味では棚に上げて、いわば最高裁が四十三条に新しい条文をつけ加えるような判決をしているんですよね。それは私が言っているんじゃなくて、特に一月二十四日の最高裁判決では、上田裁判官がそういう趣旨の少数意見を出しているわけです。要するに、多数意見によれば貸金業法四十三条に新しい要件を加えるに等しい判決だ、こういうことを言っているわけでございます。

 それは、最高裁判決のことですから、恐らくそういうルールがこれからずっと支配的なルールとして出てくるんだろうと思うのでございますけれども、こういう判決を受けて、金融庁はどういうふうに受けとめておられるんでしょうか。

三國谷政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、昨年の七月十九日、あるいはことしに入りましても一月十三日、十九日、二十四日等、一連の最高裁判決がございます。こういった中で、いわゆるみなし弁済等についての判断が示されておりまして、このことにつきましては、金融庁といたしましても重く受けとめているところでございます。

 これらの判決を受けまして、金融庁といたしましては、資金需要者保護といった観点から、違法とされた貸金業規制法施行規則十五条二項の規定を削除するとともに、期限の利益喪失条項の記載の明確化を求めるなどの内閣府令の改正につきまして、先日パブリックコメントに付したところでございます。

 なお、金融庁では、昨年三月から、貸金業制度に関する懇談会というのを開催しております。貸金業制度をめぐる幅広い論点について、現在、勉強しているところでございます。この懇談会におきましては、過剰貸し付け防止のための規制のあり方、それからいわゆるグレーゾーン金利を含む金利規制のあり方など、貸金業をめぐる幅広い論点が検討課題となっているところでございます。金融庁といたしましても、懇談会の議論の中で、貸金業制度等をめぐる諸問題に対する議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。

滝分科員 この辺は、昭和五十八年以来と申しますか、利息制限法を超える部分について刑事罰の利率との間でどういうふうに調整するかということで、ずっといわば国会マターとして今日まで来た。その貸金業法について、いわば条文を最高裁がつけ加えるような要件を加味するというのは、これはちょっとどうだろうかな、簡単に金融庁がそれで対応するというのはいかがなものだろうかという感じもしないわけではないんです。

 しかも、現在、聞くところによると、こういうような一連の最高裁判決を前提にして、もう既に十年ぐらい前に業者に対して全部借金も返済した、そういうものも改めて返還請求が相当出ている。債権の時効期間は十年ですから、そういう意味では何年でもいいのかもしれませんけれども、少なくとも八年や十年前の既に完済をした部分まで過払い利子返還請求権という格好で出ているということになってくると、この辺の対応をどうするか。八年、十年前に完済したものまで出てくるとなると、これは事柄が穏やかではないような感じがするんですけれども、そういった点についてはどういうふうにお考えになりますか。

三國谷政府参考人 一連の貸金業の利息制限法等、こういったものにつきましては、現在、いろいろな裁判が進行している、あるいは判決が下されているという段階でございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、最高裁等の判決につきましては、それはそれとして重く受けとめていく必要があると考えているところでございます。

 なお、貸金業制度に関する懇談会、ここにつきましては、制度問題等をめぐりまして、幅広い論点について勉強しているところでございます。

滝分科員 いずれにいたしましても、先ほどの証取法の没収の規定といい、この貸金業をめぐるいわば非常に微妙な問題といい、やはり最近の傾向として、条文上、排除するべきものは排除するということをきちんと書かないと、判決の段階で、どうもその辺のところが立法者の意思を軽く見るか、あるいは棚上げするような判決が出てくるんじゃないだろうかなと。

 したがって、条文の書き方として、今までのように何でも漠然とというか、広い包括的な規定というものはもう許される時代じゃないんじゃないかという感じがするわけでございまして、特に商取引の分野においてはそういう流れが顕著じゃないかという感じがいたしますので、改めてそういった観点からの見直しというか対応をお考えいただいた方がいいんじゃないだろうかなという感じがいたします。

 時間が余りございませんので、最後に、先ほど西村委員が言っておられた例の保険業法の一部改正です。

 これについて、与謝野大臣もかなり十分検討するような意向を秘めた御趣旨の発言をされておりますけれども、私は、どうしても無理であれば、どうやって移行させるのかと。これは大臣がおっしゃったとおりでございまして、どうやって移行させるのかと。

 あるいは、例えば医師会の有志が、あるいは歯科医師会の有志がやっているような休業補償の問題にしたって、生命保険とか損害保険会社がそれに対応するようなものを簡単に提供できるような商品が出てくれば別に問題はないと思うんですけれども、そういうものがどうやっていけるのかということを真剣にお考えいただかないと、これは大変、せっかくいろいろ知恵を絞って今日まで来た、そういういわば補償措置が消えてなくなる、こういうゆゆしき問題でございますので、これはどうやって存続させるのか、あるいはどうやって一般の保険会社の商品に移行させるのか、そういうことを十分にお考えをいただきたいというふうに思います。

 最後に、時間がありませんけれども、金利の問題について大臣に一言、この際コメントをお願い申し上げたいと思います。

 今、政府・与党におきましては、金融緩和の問題で、昨年来、いろいろ議論が報道されているわけでございます。ついけさ方の新聞にも、金融緩和解消の方向、ただし、日銀に対して金利を当分引き上げないようにということも要請したいというような趣旨の報道が載っているような状況でございますけれども、国民から見ると、これは非常にわかりにくいんですよね。

 景気がよくなったというのならば、ようやく十年目にしていよいよ預金金利も引き上げてもらえるのかな、このような預金金利の中ではもう手も足も出ない、こういうような思いも、片や中堅以降の年齢の者に対してはあるわけですよね。若い人たちはそれほど預金ということについての関心がないのかもしれませんけれども、少なくとも中高年齢になりますと、何がしかの預金を持って老後に備える。きんさん、ぎんさんは百歳でもって預金のことを話題にするような日本の伝統的な考え方に従えば、何とかこの際、景気がよくなったならば、あるいは金融が緩和するならば、預金利子を上げてもらいたい。

 ところが、どうも新聞を見ると、そこまではなかなかいかないし、なかなかそういうような政策を政府も与党もとるようなことには一向になっていない、そういう不満があると思いますけれども、それについて、与謝野大臣の方から御発言をいただければありがたいと思います。

与謝野国務大臣 銀行は、例えば大手行をとってみますと、不良債権比率が三%を切った、正常に戻りつつあるように語られることが多いんですけれども、やはりまだ法人税もろくに払える立場になっておりませんし、委員御指摘のように、預金金利というのは、こんな低い預金金利があるのかというぐらいの水準にあります。

 経済は一定の成長を遂げていますし、賃金も、若干ではございますが上昇傾向にある。また、配当はむしろ会社が配当性向を高めようという方向に動いているときに、預金者だけが経済の果実を受け取れないというのは、私は正常な姿ではない。やはり、預金者も貯蓄に対する一定のリターンを期待していいんだろうと私は思っていまして、そういうことに対しても一定のリターンがあることが、やはり個人消費を刺激し、経済をうまく回らせる一つの大事なポイントではないかと私はいつも思っております。

滝分科員 ありがとうございました。終わります。

河井主査代理 これにて滝実君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

河井主査代理 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。逢坂誠二君。

逢坂分科員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうはいろいろお世話になりますけれども、よろしくお願いいたします。

 きょう私は、道州制についてお伺いをしたい。その中でも特に、北海道道州制特区推進法案なるもの、仮称でございますけれども、これらが検討されているということで話を伺いたいというふうに思っております。

 道州制に関しましては、都道府県の状況、明治の時代から社会経済の情勢も大幅に変わってきておりますので、都道府県もやはりある一定の形で変わっていかなければいけないだろうというふうに思いまして、その中で、ある一つの選択肢であるということで重要なものだというふうにも思っております。地方制度調査会でも、きょうですか、多分答申が出されたのだろうというふうに思うわけです。

 まず最初に、内閣府の十八年度に向けた、これはホームページからの情報でございますけれども、重点施策の中で、「「小さくて効率的な政府」の実現に向けた改革を行う」という項目の中、その十番目に、「地方分権のモデル的な取組としてのいわゆる『道州制特区』について、引き続き推進する。」ということが書かれているわけですが、まず、この内容について具体的にどのようなことをお考えなのか、お知らせをいただきたいと思います。

薄井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ございました平成十八年度に向けた内閣府本府重点施策に、「地方分権のモデル的な取組としてのいわゆる『道州制特区』について、引き続き推進する。」という記述がございますが、これは、昨年六月の基本方針二〇〇五、いわゆる骨太二〇〇五にある表現をここに書いてあるものでございます。

 北海道の道州制特区についてでございますけれども、平成十五年に経済財政諮問会議におきまして北海道知事の方からアイデアの御紹介がございまして、その後、平成十六年には具体的な御提案があったところでございます。

 政府といたしましては、この道州制特区、先ほど申し上げましたように、地方分権のモデル的な取り組みとして、現行の都道府県制を前提としながら、広域のメリットを生かした権限移譲等を実現することなどによりまして、国民がその成果を実感することを通じまして、道州制に関します国民的な理解あるいは議論、こういったものが深まることを期待するものとして推進しているところでございます。

 北海道から御提案をいただきました事項、各省にまたがるわけでございますけれども、昨年四月、内閣府の方に「道州制特区」推進担当室を設置いたしますとともに、関係省庁連絡会議というものを設けまして、ここを通じて取り組んでまいっているところでございます。

 具体的には、北海道からの御提案、これは国と道との関係で申し上げますと、北海道への権限移譲の御提案、それからもう一つは、国の地方支分部局と北海道との連携・共同事業の御提案とに分かれるわけでございます。

 このうち連携・共同事業、幾つかございますが、例えば医師の臨床研修の関係であるとか、あるいは道路の除雪の関係など、合わせて二十項目ほどあるわけでございますけれども、この連携・共同事業につきましては、基本的には各省もこれを進めましょうということで合意いたしておりまして、これは工程表をつくりまして、国の地方支分部局と北海道がよく連絡をとりながら取り組みを進めていくということでやっているところでございます。

 それから、権限移譲項目、こちらは十三項目の御提案であるわけでございますけれども、これにつきましては、権限移譲が可能とされたもの、それから、権限移譲自体は難しいけれども北海道とよく連携をとって進めたいというもの、さらに検討を行う必要があるとされているもの、いろいろあるわけでございますが、各省には引き続き前向きな検討、取り組みといったものをお願いしているところでございます。

 なお、北海道知事からは、道州制特区を推進するためには推進法の制定が必要、こういうお考えが示されておりますので、この点につきましての検討も行っているところでございます。

逢坂分科員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 ただいまの答弁の中に、内閣府として道州制についての理解、議論を進めるという答弁があったわけでありますけれども、大変恐縮ですけれども、内閣府として、内閣府の薄井室長として、今、道州制に対しての国民の理解というような点ではどんな程度の御認識でいらっしゃいますでしょうか。若干、御見解をお知らせいただければと思うんです。

薄井政府参考人 お答え申し上げます。

 道州制本体の議論、先ほど委員御指摘ございましたように、地方制度調査会の答申がきょう出るというふうに承っております。本体につきましては、さまざまな御意見がありますし、新聞等でもいろいろ取り上げられているところだと思っております。

 ただ、やはりこれから議論を深めていかなければいけないということであろうと思っておりまして、北海道におきます道州制特区の取り組みというのも、そういう議論を深めていくためのよすがになるものというふうに考えているところでございます。

逢坂分科員 そこで、実はこれは二月二十六日付の読売新聞の記事で拝見をしたわけですが、ここから記事の引用でございますが、政府内でも、櫻田義孝内閣府副大臣らが三月中に法案を国会に提出したいとの考えで、週明けに法案のたたき台をまとめたいとしているというような記事がございました。ここでいう法案というのは、仮称、北海道道州制特区推進法案、今議論をしようとしているものでございますが、この週明けということになると今週ということになるわけです。

 櫻田副大臣にお伺いしたいんですけれども、現在これはどのような進捗状況になっているのか、お伺いをしたいというふうに思っております。

 今回初めてお目にかかりますけれども、お世話になりますけれども、よろしくお願いします。

櫻田副大臣 道州制特区の進め方につきましては、現在、政府部内で検討、調整中でありまして、現時点でその内容をお示しするようなところまではまだいっていないということが現実でございます。

逢坂分科員 まだ内容を示すことができないということでありますけれども、これは先般、二月の十二日でしたか、北海道でこの道州制に関するシンポジウム、フォーラムのようなものが行われまして、その席に副大臣もいらっしゃったかというふうに思いますが、そこで、何とか小泉内閣のうちに法案を成立させたいというような御発言をされていたかと思いますが、その点からいたしますと、なかなか時間としては余りないのかなというふうに思うわけですが、現時点ではまだその内容その他固まっていないということでありますけれども、この点、いかがでしょうか、時間的なものは。

櫻田副大臣 小泉内閣のときで成立させたいという希望は持っておりますが、現在、政府部内で未調整の部分がありますし、これから調整しなければならないこともありますので、とにかく現在調整中ということで御理解いただきたいと思います。

逢坂分科員 それでは、その前に、若干お伺いをしたいんですけれども、今回、地方制度調査会でも道州制の答申が出されたわけでありますけれども、主に中心になってこれを進めようとしている副大臣として、道州制の必要性といいましょうか意義といいましょうか、そのあたりについて御見解をお聞かせいただけますか。

櫻田副大臣 今、少子高齢化時代、やはり小さな政府というものを望むのが小泉内閣の進む方向であろうと思いますし、やはりこれから二十一世紀型の行政組織ですと、地方分権というものを大幅に進めていく必要があるのではないだろうかというふうに思っておりますし、明治時代には七万近くあった市町村でありますが、現在は千八百程度になっておりますし、都道府県においても、四十七の都道府県がそのままになっておりますので、やはり新しい行政組織の姿が求められる時期ではないだろうかな、こんなふうに思っております。

逢坂分科員 そういう認識で道州制の検討をされていくということは、一つの考え方としていいのかなというふうに思いますが、これを現に進める、特区といえども北海道にとってはこれは極めて大きな問題だというふうに思うわけです。政府内での議論は今いろいろ調整中なのでまだはっきりできないということでありますけれども、北海道における議論の状況というのは、内閣府として、あるいは副大臣としていかが押さえていらっしゃいますでしょうか。

 実は、私、この仕事になる前に北海道のニセコという町の町長をしておりまして、そこでこの道州制を考える北海道の会議の委員もやっておりました。そんな関係もございまして、一体、北海道で我々の議論というのは永田町、霞が関の皆さんにはどのように映っていたのかなというところですが、副大臣、御見解いかがでしょうか。

櫻田副大臣 北海道の道州制特区につきましては、平成十六年の八月に北海道からの提案を受けまして、政府の方でも、関係省庁連絡会議を通じまして政府部内で検討してきたところでございます。

 道州制特区を推進するための法案の制定につきましては、本年二月に北海道知事からの要望を受けたが、昨年十二月に北海道議会からも法案の早期制定に向けての意見書が出されていると承知しているところでありますし、北海道の中でも十分このような議論はされているというふうに認識しております。

逢坂分科員 私も今も北海道に住んでおりまして、私の地元ニセコへ戻りますと、地域の方から、私のことを今でも町長、町長と呼ぶ人がいるんですけれども、町長、おい、道州制って一体何なのよ、よくわからぬけれども、最近新聞に出ているけれども一体どうなんだというような話を、ニセコだけではなくて、いろいろなところでも聞くわけであります。

 私としては、道州制というのは、将来の自治、分権を考える上で非常に重要なものだというふうには思うのですが、議論が足りていないのではないかなという印象も持つわけであります。それと、もう一方で、今政府で法案の内容についていろいろ検討されている。もし今国会で成立させるとするならば、一般的に言って、大体三月中には、これはある種成文の形で国会に提出されるのがどうもこれまでのルールなのではないかなというふうに思うわけです。

 そういった観点を考えてみますと、北海道内での議論というのは、これは全くできないままに、すなわち、どんな法案が出て、出てきた法案についての、いい悪いとか、ここはちょっとどうかなというようなことについてほとんど議論ができないのではないかという気がするわけですが、このあたりいかがでしょうか。

櫻田副大臣 これから北海道において、いろいろ政権与党としてタウンミーティング等計画もしておりますし、三月四、五と二日間にわたり四カ所でやったりしておりますし、道議会からも意見書というものが出ている以上は、十分道議会の中でも議論がなされているという前提に立っております。また、二月におきましては、北海道における市長会の市長さんでありますとか、町村会の会長の町長さんでありますとか、内閣府の方にお招きして、いろいろな意見を述べたりしているところでありますし、また意見も聴取をしているところでございます。

逢坂分科員 その四回のタウンミーティングがあるということ、あるいは市長会、町村会からも話を聞いているということ、議会からも意見書が出たというようなことを踏まえて、十分議論がされているであろうという副大臣の御答弁でありますけれども、しかし、副大臣、よく考えてみると、法案の中身が決まっていないんですよ。

 決まっていないけれども議論されているというようなところは、これは何か少しおかしいんじゃないかという気がするんですが、やはり法案をがちっと、どういうものになるんだというような、あらかじめの姿というものがない中で意見を聞いて、みんないいよと、それは総論は賛成するかもしれないけれども、各論になるといろいろ問題が出るというのがこの種の問題ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 北海道の立場につきましては、経済財政諮問会議におきましても、高橋知事が二度にわたって出席をして、いろいろ、北海道の置かれている立場、政府に求める事項について意見を述べられておりますので、そういった面からも、二年間にわたり、北海道の中でも十分意見交換がなされているのではないだろうかというふうに私自身は思っております。

逢坂分科員 今、副大臣は、北海道では十分に議論されているんだろうということでございますけれども、私の認識としては、これはまだまだ議論未成熟という感じがいたしますし、そもそも法案の中身、概要すらまだ公式には示せない段階でありますから、できますれば拙速は避けるべきではないか。これは、北海道にとって非常に大事な問題でありますので、お願いをしたいなというふうに思います。

 実は、二月十二日のシンポジウムでありますけれども、私も会場にお邪魔をさせていただいておりました。その席上で、これはその内容を報じた新聞報道からの文言の引用でありますけれども、「関西、東海など経済力を持った地域が一番バッターになってしまうと、北海道は存在感が薄れ、逆に不利になってしまう」というふうに副大臣はその場で御発言をされ、この文言がぴったり正しいかどうかは別にしまして、私もそういう発言をされたのを聞いておりますし、今のチャンスを逃したら次はないというような発言もされていたわけでありますけれども、これはどういう根拠で発言されたんでしょうか。

 と申しますのは、今お聞きしますと、法案の中身も決まっていないよ、今まだ調整中、議論しているんだよと。だけれども、経済がいいところが先にやってしまったら不利になるよとか、あるいは次はないよとか、これはちょっと発言としては少し踏み込み過ぎたのではないかなという印象があるんですが、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 会場に来ていただいて聞いていただいたということで、非常にありがたく思っております。

 私は、実は、道州制というものは非常に日本のあるべき姿として望ましいと思いますし、北海道というものは広大で、四方を海に囲まれている地理的特性から、地方分権のモデル的な取り組みとしては、広域性のメリットを生かした権限移譲を実施するためには最も適切な地域であるというふうに思っておりますし、ぜひ北海道で進めていただきたいという強い私の熱意からであります。

 法案の中身が決まっていないとは言いますが、まだ政府部内で調整が整っていないということだけで、内部については意見は十分出ておりますので、北海道の議員さんあるいは知事の方からもいろいろな意見を聞いておりますし、立場立場で各階層から意見を聞いておるところであります。中身についてはかなり議論は進んでいるということで、ただ、政府部内のいろいろな面でまだまだ調整するところがあるということでございますので、副大臣会議プロジェクトチームもありますが、その中でも現在鋭意議論をしている最中だということをぜひ御理解いただきたい。中身の検討は随分進んでいるということだけで、最終的な調整の結果がまだ出てきていないんだということで御理解をいただきたいと思っております。

 一番バッターか最後のバッターかということは、こんなに北海道、道州制特区について話題になり、議論になり、注目されているときはないのではないか。こんなに熱心に道州制特区を推進しようという機運が盛り上がっているとき、このチャンスを生かすべきだ、このチャンスを逃すべきでない、今がチャンスだ、こういうことを強く北海道の人たちに呼びかけたいという私の熱意のあらわれでございます。

逢坂分科員 熱意はよくわかるわけでありますけれども、これはちょっと例えは悪いかもしれませんけれども、バナナかなんかのたたき売りとは違うわけでありまして、みんなに勧めたいという熱意はわかるわけでありますけれども、中身も示さないで熱意を幾ら訴えても、中身のものを見せないで、いいものだから買え買えと言われているようなところがあるわけであります。その点はやはり御留意をいただかなければ、私も北海道に住所を有する道民の一人でありますから、中身を見ないで、いいんだから、さあ、やれやれと言われても、それはにわかにはやはり信じがたい。やはりちゃんと中身を見て、説明責任を果たして、これをやるとこうこうこうなりますよ、だからこの法案はいい法案なんですというのが、これはやはり、今の時代、先ほど二十一世紀のあるべきという言葉が出ましたけれども、二十一世紀のあるべき進め方なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 会場の方でも私の方からお話しさせていただいた点は、先ほども市町村合併等推進のことについてもお話しさせていただきましたが、柔軟な行政、二重行政の排除、そして効率的な行政体というものをつくるには、やはり、いわゆる国から道に権限の移譲、そして財源の移譲、そして人の移譲を含めた形で進めていくことが望ましいということは、私自身も講演の中でお話しさせていただきたいなと思いますし、道州制の意義についても、そのときお聞きになっていたら多少は理解していただけるのではないだろうかと思っておりまして、時代的背景や道州制の意義については述べさせていただいたというふうに思っております。

逢坂分科員 意義そのものは、だから、冒頭にも申し上げましたとおり、総論としては、これはいいものだろう、検討に値するものだということは、多くの人は理解をしているというふうに思うわけですが、現実にそこで暮らし、生活をしている人たちがどう変わるんだ、単に効率的な政府を目指せばいいということではなくて、そのことによって我々はどんな影響を受けるんだということを明示せずに、単に、法案に賛成してください、いいものだからということでは、にわかには納得しがたいという私の主張も御理解いただけるのではないかなというふうに思います。

 さて、道州制特区、北海道に特に限定した法案になる可能性が高いわけでありますけれども、そこで、憲法九十五条との関係、これについてはどのようにお考えなのか。まず、憲法九十五条、一般論として、この九十五条に該当するかしないかは、いつ、だれが判断すべきものなのか、これは参考人の方で構わないと思いますけれども、見解をお聞かせください。手短にお願いします。

薄井政府参考人 お答えいたします。

 御質問の趣旨、現在検討中の法案が北海道のみに適用される法律ということで、憲法九十五条に言う「一の地方公共団体のみに適用される特別法」、いわゆる地方特別法に該当するかどうか、こういうことでございます。

 一般論につきましては、これはいろいろな御見解がございまして、私どもが、どこがどういうふうに判断するかというのをお答えする立場にはございません。それから、現在議論されております道州制特区推進法案、先ほど来申し上げてございますように、まだ内容が固まっておりませんので、この内容が固まった上でこの点をだれが判断するかという問題もあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、きょうの時点で法案の内容が固まっておりませんので、九十五条との関係についてお答えすることはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。

逢坂分科員 副大臣、これは地域を限定して適用されることになるかならないかという非常に重要な法案なわけですけれども、その憲法九十五条に該当するかどうかについても内容が固まっていない、いつ、どこで、だれが判断するかについても、内容が固まらなきゃ何も言えない話だということなわけですよね。やはり議論としては未成熟なのではないかという印象を持つわけですが、そのあたり、いかがでしょうか。

櫻田副大臣 いろいろ見解はあると思うんですけれども、地方制度の問題に関しては、道州制というものは、ある意味では古くて新しい問題だというふうに私思っておりますし、道州制がしかれたらということは、いろいろな面で長らく議論なされていたことではないだろうかなというふうに思っております。確かに、先生のお気持ちが、北海道にいる人間として、十分私自身も理解はしているつもりでございますが、やはりこの問題は昔からあった議論だというふうに理解しておりますし、議論が足らないんじゃないかという問題ですけれども、これだけしゃべれば十分だということもなかなか見定めがつかないのではないのかというふうに思っていますので、私自身は、国民的議論、熱、話題性、今が私は一番機が熟しているのではないだろうかなというふうに認識しております。

逢坂分科員 特に、今憲法九十五条との関連について絞ってお聞きをしたいんですけれども、第七回国会ですか、随分前の国会でありますけれども、このときに、首都建設法と北海道開発法がこの国会では提案されていたようでありますが、このときに、首都建設法は、その附則の二項に、「この法律は、日本国憲法第九十五条の規定により、東京都の住民の投票に付するものとする。」というふうに規定をして提案された法律のようであります。これは、私が調べた論文によりますとそう書いてあるわけです。

 今回の北海道における道州制特区推進法案、これについては、もし、法の要件、憲法の要件に該当するとなれば、このような附則をつけて提案をするということになりますでしょうか。

薄井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ございました首都建の法律の場合はそういうふうな整理だったと承知いたしておりますが、その後、これは昭和二十年代以降、余りこの地方特別法という形で整理をされたものがございません。その後の国会答弁でもいろいろあるわけでございますけれども、そういった過去の前例なども参考にしながら、どういうふうな位置づけになるのか、最終的に法制的に詰めていく段階でそこは議論される話だろうと思っております。

 今の段階でどうこうということはちょっと申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。

逢坂分科員 すなわち、内容もなかなか説明できない、制定の仕方その他についても説明できないというようなことで、非常にやはり未成熟だという感じを私は強くするわけですね。これは、内部で幾らやっていますとか、我々は議論していますといっても、法を施行してその影響を受ける、客体という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、その影響を受けるのはまさに国民でありますから、国民がそれを知らずして、ましてや、私がこれを、法案が出てきたらいろいろ判断しなきゃいけないわけですから、その私のところにすら内容を言えないということであれば、これはやはり、いかにも未成熟だというふうに私は思うわけであります。

 一点、ちょっと方向を変えまして、副大臣にお伺いしたいんですが、実は、北海道ではこんな話があるんですね。これは論理的にだれかが言ったということではなくて、ちまたの声として、何か、道州制特区推進法案ってリストラ法なんじゃないの、地方支分部局を廃止するとかそういうことをねらっているんじゃないのというような、これはもしかするとうがった見方かもしれないと私は思っているんですが、そんなことではないというあたりを確認させていただきたいんです。

櫻田副大臣 明確にお答えいたします。

 全くそういうことはございません。地方自治に従って、地方自治の成熟は民主主義の成熟だと言われるほど地方自治は大事なことでございますので、そういうことは全く、もうみじんも考えていないということだけは御理解をいただきたいなというふうに思います。

 また、余計なことかもしれませんが、道州制特区につきましては、過去、衆議院選で二回、小泉内閣のもとで、我々、マニフェストという形で政権公約にうたってあり、参議院選挙も一回、合計三回、国政選挙において政権公約としてうたっているわけでございますので、その辺も御理解をいただきたいなというふうに思います。

逢坂分科員 みじんもないという言葉をしっかりと受けとめまして、さすれば何のためにやるのだということであれば、やはりそれは、今の日本の国のあるべき姿を目指して、明治以来続いた中央集権型の社会を本当の意味での分権型社会にして、国民のために、大きな考え方のもとにやっていくということだと私は理解をするわけであります。

 その点において、道州制をどんどん議論して、これは自民党のマニフェストにも、実は民主党のマニフェストにもございますし、それをやるということは、非常に私は、議論をしていくということはいいことだと思います。

 しかし、せっかくそうした大きな前提でやるわけでありますから、今お聞きしますと、まだ内容は示せませんよとか、これからタウンミーティングを開いて意見を聴取しますよとか、そういう段階にある。憲法九十五条に規定する国民投票についても、内容が決まっていないから、その扱いだって、まだどうするかも議論できませんというような、きょう、この五時から三十分の間お話を聞いていたら、決まっているのはタウンミーティングの日程ぐらいのような気もしないでもないわけでありますね。

 これは、いかにも拙速だというふうに私は思うのでありまして、答弁はよろしいんですけれども、十分に議論をして、やはり北海道民も、ああ、これはいいな、これだらみんなで頑張るべや、北海道の人はこういう言い方をするのでありますが、そういうものをお出しいただきたい。そうなれば、私ももう、与野党問わず、地元へ帰って、がっちりと応援をしてまいりたいと思いますし、みんなにも説明をするということもやりたいと思いますので、そこの点をよろしく御配慮をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

河井主査代理 答弁よろしいですか。副大臣よろしいですか。(逢坂分科員「もし、何かあれば」と呼ぶ)

 では、最後に一言、櫻田副大臣。

櫻田副大臣 北海道の先生らしく、北海道に対する愛情というものを質問の中に大変感じて、私も非常に好感を持っておりますし、また先生と考え方、求めるものは同じように思いますし、中身が決まっていないという問題もありますが、そんなに長くお待たせするわけじゃございませんので、本当に近々、短い間に、余り待たせないときにお示しできると思いますので、そのとき十分な議論をさせていただきたいなというふうに思います。(逢坂分科員「時間が欲しいですな」と呼ぶ)わかりました。

河井主査代理 これにて逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣府本府についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十一分散会


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