衆議院

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第2号 平成19年3月1日(木曜日)

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平成十九年三月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 斉藤斗志二君

      井上 喜一君    大野 功統君

      園田 博之君    高鳥 修一君

      林   潤君    三ッ林隆志君

      枝野 幸男君    長妻  昭君

   兼務 津村 啓介君 兼務 寺田  学君

   兼務 前田 雄吉君

    …………………………………

   防衛大臣         久間 章生君

   国務大臣

   (金融担当)       山本 有二君

   国務大臣

   (国・地方行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (地域活性化担当)

   (道州制担当)      渡辺 喜美君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   内閣府大臣政務官     岡下 信子君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      川村 良典君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河  幹夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門山 泰明君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          上田 紘士君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          菊池 洋一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   内閣委員会専門員     堤  貞雄君

   財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     高鳥 修一君

  大野 功統君     林   潤君

  馬淵 澄夫君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     井上 喜一君

  林   潤君     大野 功統君

  長妻  昭君     馬淵 澄夫君

同日

 第四分科員前田雄吉君、第六分科員津村啓介君及び寺田学君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 〔国会、内閣、内閣府(金融庁)及び防衛省所管〕


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     ――――◇―――――

斉藤主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。前田雄吉君。

前田分科員 おはようございます。民主党の前田雄吉です。

 きょうは、最近業務を拡張しつつある金融サービサーについて、これを抑制するべきではないかというお話と、特にまた、連帯保証人に対して過酷な取り立てが今なされていますので、それに対しても何らかの枠組みを設けるべきではないかという趣旨で御質問させていただきたいと思っております。

 金融サービサーは、御承知のとおり、外資系、消費者金融系、銀行系、またRCCそのものもそうですし、そして独立した公認会計士等がやっているサービサー、以上の五つの種類に分けられると思うんですね。

 そこで、そのサービサーが業務を拡張している。それで、確かに弁護士法の例外規定で金融サービサーが設けられたわけでありますけれども、今、例えば外資系の金融サービサーが銀行から一括して債権を買い取り、買い取った途端返済を迫る。これもまた一括ということで、非常に苦しい。また、そこの中に経営陣を送り込み、決算書を変えて、結局民事再生を打って会社を乗っ取るというようなケースも見られてきました。それは大きなケースですけれども。それからまた、細かいところでは、保険料の未払い、医療費の未払い分、こんな取り立てにも案内業務ということで金融サービサーが介入しつつあります。

 これが本当に果たして国民生活から見て正しいものかどうか、私は非常に疑問を感じております。弁護士ならばしっかり人権意識もありますので過酷な取り立てはしない。しかし、この金融サービサーはそうした方ではないわけでありますので、弁護士法の例外でありますので、過酷な取り立てを繰り返すということで、私は若干懐疑的な見方をしておりますので、きょうはそんな趣旨で進めさせていただきたいと思っております。

 まず初めに、預金保険機構やRCCの資産算定評価によれば、債権買い取り価格を決めるときに担保物件の価格評価しかしない、担保価値のないものは一律千円、こういう国会の答弁が続いておりましたけれども、昨年末に、整理回収機構の債権回収業務に関する質問主意書、平成十八年十二月七日、提出者河村たかしさんということで出されまして、これへの回答の中で若干違った趣旨の答弁が返ってきております。連帯保証人の資力についても十分考慮されているとの質問主意書の答弁がありました従来のRCCの方針とは違う答弁が返ってきております。

 これは一体どちらが正しいのか、あるいはどちらの方向でいかれるのかということをお答えいただきたいと思います。

山本国務大臣 RCC、整理回収機構が金融機関から債権を買い取る際の価格につきましては、対象債権の担保評価額、対象債務者のキャッシュフロー、連帯保証人の有無、連帯保証人の資産の状況等を勘案して算定していると承知しておりまして、国会におきましてもその旨の答弁をしているところでございます。

 また、御指摘の質問主意書におきまして、RCCが債権を買い取る際の価格の算定につきましては、連帯保証人の資力についても考慮されると承知しているとの答弁が出ておりますけれども、これが国会の答弁と異なるものではなく、同旨を述べたものでありまして、従来のRCCの方針と一致しております。

 なお、RCCにおきましては、備忘価格として一律に千円で買い取った債権があるが、これらは債務者や保証人からの返済が見込まれず、かつ、担保物件の処分によっても配当が見込まれない債権や担保がない債権であると承知しております。

 以上でございます。

前田分科員 ということは、連帯保証人に対しても資力を考慮するというのが正しいということですね。

 ならば、連帯保証人は、その債務については、確かに保証するという承諾はしているわけでありますけれども、もともとは債務とは関係のない方なものですから、私は、この過酷な連帯保証人に対する取り立てには十分注意を払っていただきたいというふうに思っております。

 また、最近のケースですけれども、RCCの弁護士が、余じんを残すなというのがRCCの方針である、こういうことを平気で債務者側の弁護士さんに述べております。緒方常務はこれを否定しておりますけれども。余じんを残すなということは、身ぐるみはげということですよ。こんなことが許されたのでは、回収方針として間違っている、RCCができたときのこの国会での議論とは全く違うわけであります。

 その点、今多くの中小企業が債務で苦しんでいる、回収で苦しんでいる状況でありますので、景気がよくなってきた、それとは全く関係のない状況の皆さんが多く見られます。安倍内閣が本当に再チャレンジを標榜されるんでしたら、こうした多大な債権回収、債務に苦しみ、厳しい債権回収に苦しんでいる皆さんをお救いいただきたい。それがためにも、ぜひ大臣、この連帯保証人に対して、強力な債権回収、人権を無視した回収に注意を払っていただきたいというふうに思っております。これを申し述べさせていただきます。

 次に、サービサーが買うとき、もともと情報は何もないわけであります。先ほど、資力を考慮すると。買う側は連帯保証人の個人情報を入手しているわけであります。これはどのように入手しているのかということを伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 RCCにおきましては、債務者や連帯保証人の資力等の個人情報につきまして、債権の譲り渡しをする金融機関より開示を受け、入手しているというふうに承知をいたしております。

前田分科員 今おっしゃったように、銀行側から個人情報を得ているわけであります。

 しかし、債務者の同意なしに金融サービサーに個人情報が流れている、こういう現状があります。この価格が決まるときには当然債務者側の情報を得るのは当たり前だという金融サービサーの意見は意見で、それは正しいかもしれません。しかし、債権回収に当たって、個人情報を盾に回収をされるようなケースがふえてきております。私は、これは個人情報保護法に抵触するのではないかというふうに思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。

佐藤政府参考人 一般に、金融機関が債権譲渡に際しその保有する個人情報を第三者に提供することの当否につきましては、関係法令に従い、個々の具体的な事例に応じて判断されるべきものというふうに考えております。

 金融機関が債権譲渡を行うに際して、実務におきましては、債権譲渡並びに債権の適切な管理及び回収に関する譲渡人及び譲受人の経済的利益を保護する観点から、必要な範囲において債務者及び保証人に関する情報を提供することが慣行として定着しているというふうに承知をいたしております。

 それから、個人情報保護法との関係でございますが、一般的には、金融機関があらかじめ本人の同意を得ないで個人情報を第三者に提供するということは、個人情報保護法第二十三条第一項に基づき禁止されております。

 ただし、債権譲渡に付随して譲渡人から譲受人に対して当該債権の管理に必要な範囲において債務者及び保証人等に関する個人データが提供される場合、この場合には個人情報保護法第二十三条により求められる、いわゆる第三者提供の同意を事実上推定できるということのために、改めて明示的に本人の同意を得る必要はないというふうに解されているところでございます。

前田分科員 そこが厳格に守られなければいけないところなんですね。債権の管理の場合は確かにそれであってもいいと思いますが、それ以外のケースで使われる個人情報が多く外へ流出してくるケースがあるわけです。それは個人情報保護法に抵触するというふうに私は考えておりますので、厳格にこれはまた監督していただきたいと思っております。

 次に進みますけれども、金融サービサーが連帯保証人に対して、主たる債務者が資産ゼロの場合、債務者への過酷な取り立てが私のところに多く寄せられております。例えば給与の差し押さえ、自宅への仮差し押さえ等、さらにはまた破産申し立てまでしている。この連帯保証人に対して身ぐるみはぐ回収を許していいのかというふうに私は思いますけれども、ここからは法務省さんの領域だと思いますので、ぜひお答えいただきたいと思います。

菊池政府参考人 お答え申し上げます。

 債権回収会社、いわゆるサービサーの債権回収の仕方といたしまして、ただいま御指摘のありましたような連帯保証人に対する請求、給与その他の債権あるいは不動産といった財産に対する強制執行、さらには破産の申し立てといった法的手続をとっている例もあるというふうにお聞きをしております。

 私どもといたしましては、今申し上げました手続は、いずれも法律で認められた債権回収の手段でございますので、それ自体は問題があるとは考えておりません。

 しかし、法律によりまして、サービサーが、債務者などの私生活の平穏を害するような言動をして債務者を困惑させるとか、あるいは本来債務を負っていない親族の方などに肩がわりの弁済をみだりに要求するといったことは禁止されておりますので、私どもではサービサー各社に対する定期検査の際などにそういうことはチェックいたしておりますし、また、時によりますと、債務者の方から私どもに過酷な取り立てを受けたといったような苦情を受けることがございます。そういった場合には、必ずサービサーの方にお問い合わせをいたしまして、調査なり監督なり指導をいたしております。

 今後とも、そういう基本方針で臨んでいきたいというふうに考えているところでございます。

前田分科員 ぜひ債務者の皆さんの悲痛な叫びを法務省としても聞いていただきたい。金融庁ももちろんそうですけれども。

 では、実際に金融サービサーが破産申し立てをしたケース、これはどのぐらいあるのかということをお聞きしたいと思います。

 先ほど挙げました河村たかし氏の質問主意書への答弁の中で、「RCCが確認している範囲では、平成十四年四月から平成十八年三月までの四年間に債権者として破産手続開始の申立てを行った件数は七十六件であり、このうち連帯保証人に対して破産手続開始の申立てを行った件数は八件である」と。先ほど言いましたように、サービサーが身ぐるみはぐ、おまえ破産しろといって申し立てるわけですね、それだけでも、RCCだけでも先ほど言いました七十六件。そのうち連帯保証人まで及ぶ破産申し立て、これはやり過ぎではないかと私は思うんですね、それが八件あります。

 実際の数として、こうしたサービサーが破産申し立てをするケースがどのぐらいあるのかということを伺いたいと思います。

菊池政府参考人 私どもでは、サービサーが破産申し立てを行った件数というのは実は統計をとっておりませんけれども、主要なサービサー数社に対しまして問い合わせ、調査をしたところ、おおよそ、合計で年間十件程度というふうにお聞きをいたしました。

 ただ、これは、今申し上げましたように、主要な数社でございますので、全体の件数は、まことに申しわけございませんが、今承知をしておりません。

 いずれにいたしましても、破産の手続が始まりましても、サービサーが破産をした債務者に面会を強要するとか、その親族の方に面会を強請するといったようなことは不適切でございますので、そういったことがないように指導監督についてはさらに徹底をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

前田分科員 主要数社で十件程度ということですけれども、RCCもサービサーに含まれますので、そうすると二十件弱ぐらいだろう。さっきのは四年間で八件でしたので、もっと少ないかもしれませんけれども。連帯保証人に対して破産申し立てするというのは、先ほど来申し上げていますように非常にやり過ぎであると私は思います。

 また、少し話を戻しますけれども、債権譲渡の場合、債務者から銀行に対して譲渡価格の開示を求められた場合、自分の債務が幾らで売られたかという情報でありますので、私は、債務者自身の請求があれば、当然これは開示されるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがお考えですか。

佐藤政府参考人 債権の譲渡価格を債務者に開示することにつきましては、債権譲渡における個別の債権の評価といった営業上の重要な情報を開示することとなるなど、銀行やあるいは債権回収会社の正当な利益を害するおそれがあるということに留意が必要であろうかと思います。

 したがいまして、債権譲渡の際に債務者から譲渡価格の情報開示を求められた場合に、債務者自身にこれを開示するか否かにつきましては、銀行及び債権回収会社の経営判断によるべきものというふうに考えております。

前田分科員 経営判断によるべきものという御答弁を今いただきましたが、私はそうだと思いますね。

 このときに、さっきの質問主意書の答弁の中でもありましたし、今もお答えの中でありましたけれども、RCCの正当な利益を害するおそれがあるという話がありました。では、この正当な利益とは何を指すのかということをお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 正当な利益の意味でございますけれども、RCCが債権の管理、回収等を主な業務としているということは、先生御案内のとおりでございます。

 したがいまして、債権額の範囲内において、個々の債務者の実態に応じて最大限の回収を図るということがその意味であろうかと思います。

 RCCが債務者に債権の買い取り価格を開示した場合には、そのような回収努力に支障を及ぼすおそれがあるということで、質問主意書に対しまして「RCCの正当な利益を害するおそれがある」というふうにお答えをさせていただいているところでございます。

 御案内のとおり、RCCは公的資金を用いて破綻金融機関あるいは存続金融機関等から不良債権を買い取っておるわけですが、その回収に努めておりますので、いわば国民負担の最小化を図る、こういった目的、役割も担っているということでございまして、先ほど申し上げましたRCCの債権回収業務に支障が生じた場合には、国民負担の増加につながるおそれもあるということかと存じます。

前田分科員 今お話があったように、最終的には、RCCは税金でやっている、税金を出しているから国民負担の最小化を求めるためにRCCの利益を守るんだということだと思いますけれども、全国の債務者、中小企業が今どんな状況にあるかと申し上げますと、一昨年三月に、RCCが純益行からの債権の買い取りをやめたんですね、もうかっている銀行からはもう買わないと言ったわけですよ。そうしたら、当時みずほ銀行、銀行協会会長行ですけれども、そこからも飛び込みで三月までに債権を送りつける。その中にひどいケースもあったんです。勝手に遺産相続登記をみずほ銀行がやってしまって、これは坂石米穀店という熊谷のお米屋さんでしたけれども、勝手にみずほ銀行が登記をして、債権をRCCに売りつけた、飛び込みで。そうしたケースは、もうみずほのものではありませんし、みずほは知りません。RCCですよ。そうしたら、今度はRCCが過酷な取り立てを始めるんですね。

 今申し上げましたように、それは一例で、これからまた財務金融委員会で私もこの案件をみずほ銀行頭取を参考人に要求しましてきちんとやりたいと思っておりますけれども、RCCというのはそういった過酷な取り立ての中で純益も上げている。だったら、債務者の人権を守る、そうした回収方針をきちんと貫いていただきたいというふうに思いますね。

 正当な利益を害するので買い取り価格は教えられない、つまり、原価を教えればもうけが少なくなるという話ですので、そんなばかなことではなくて、きちんと債務者の状況を判断した上で、先ほど開示するかどうかは経営方針によるというお話でしたけれども、ぜひ開示の方向に向かっていただきたいと思います、本人が要求すれば。私はそういうことを申し述べさせていただきます。

 そして、今、債権を買い取りました、その買い取り価格の法外な倍率の金額で回収をしているわけでありますよ。十倍とか。私は、これは何か上限を設けて、何倍以上の回収は認めない等の規制をすべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

菊池政府参考人 債権者がサービサーに債権を買い取ってもらうというのは、法律的には債権譲渡ということになろうかと思います。債権譲渡といいますのは、債権の金額なりあるいは弁済期といった債権の内容を維持したまま債権者が移転するということでございますので、少なくとも法律的には、債務者としては、債権譲渡があっても、もともとの債権といいますか債務といいますか、これを全額弁済する法律上の義務があるということになっているわけでございまして、サービサーが債権を買い取っても、法律上は債務者の債務の内容は変わらないということになろうかと思います。

 今委員御指摘の、買い取り価格を一つの基準にして上限を設定すべきではないかという御指摘でございますけれども、ただいま御説明申し上げましたとおり、債務者は本来全額弁済するという法律上の債務を負っているわけでございます。したがいまして、そのような制限を設けるということについては、法律上はやや問題があるのではないかというのが私どもの考え方でございます。

前田分科員 とにかく、過酷な取り立てで苦しんでおられる方がある。債務者の状況を十分考慮して、こうした回収をやっていただきたい。これはRCCについてもそうですし、他行についてもそうです、サービサーについてもそうです。

 それで、この金融サービサーが職域をどんどん拡大している。先ほど私が申し上げたように、未払いの保険料やたまった医療費の回収にまで乗り出して案内業務をしているといいます。そういうふうに私は聞いています。前田さん、あなたのたまっている債務はこれだけですよ、医療費はこれだけ未払いがたまっていますよという案内だということですけれども、これは、そんなことではがきを出すでしょうか。当然、回収までに踏み込んでいるんではないか。

 先ほど冒頭申し上げたように、弁護士法の例外規定でサービサーがあるわけですよ。もともと、弁護士ならば人権意識がある、だからそんな人権を無視しての回収はしない。そこまでサービサーに権限はないわけであります、回収業務まで。債権回収ができるのは弁護士のみということです。

 そこで、今申し上げた案内業務というのがどのようなものかというのを法務省に伺いたいと思います。

菊池政府参考人 案内業務についての御指摘でございますが、これは債権の管理、回収とは別のものでございまして、債務者に対しまして、こういう債務があって、その弁済期はいつですということをあくまで事実上お伝えするということでございまして、さらに、それに応じなければ法律上の手続、差し押さえだとか破産の申し立てだとかするといったことを前提にしたものではなくて、あくまでも債務者の任意の弁済を促すという事実上のものであるというふうに理解いたしております。

前田分科員 では、来たはがきに、もし弁済しなかったら法律的に手続をとらせていただくと言われたら、これは通告にありませんけれども、これは僕は案内業務を逸脱しているものだと思いますけれども、いかがですか。

菊池政府参考人 法律の規定によりまして、サービサーが管理、回収をすることができる債権は定められておりまして、そこに定められていない債権についてはサービサーが管理、回収をすることはできないことになっておりますので、法律で認められていない債権につきまして今御指摘のような形で法的手続をとるといったことは、サービサー法に反するということになろうかと存じます。

前田分科員 今、しっかりとお答えいただきました。案内業務を逸脱した行為を厳しく取り締まらなきゃいかぬと私は思っております。もしそうしたことが行われれば、速やかにサービサーの認可を取り消す、そして法務省が行政処分をしなければいけないと私は思うんですけれども、この事例はあるのか、お答えいただきたい。

 そして、これは最後の質問になりますけれども、この金融サービサー問題というのは、これは一般国民の問題になりつつある。例えば給食費の回収に消費者金融系の小口の回収に強いサービサーがなったら、これは国民生活がこのサービサーによって害されるおそれがある。ですから、何らかのサービサーに対しての規制を設けるべきではないかというふうに思います、国民生活を守る上で。これについて総論的にお答えいただけたらと思います。

菊池政府参考人 まず、サービサーが法で認められていない債権の管理、回収行為をしたということを理由とする行政処分の例があるかということでございますが、現時点ではそのような例はございません。

 それからもう一つ、国民生活の観点からというお尋ねでございます。

 サービサーが取り扱うことができる債権の範囲をどうするかといったことにつきましては、社会の実態なりニーズのほかに、債務者保護といった観点も含めまして総合的に考えていく必要があると思っております。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、サービサーが違法な取り立てや法で禁止された違法な行為をすることがないように、定期検査等の場面を利用いたしまして監督をしてきておりますが、御指摘を踏まえまして、今後とも指導監督には努めてまいりたいというふうに考えております。

前田分科員 時間が来ましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

斉藤主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして金融庁についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。津村啓介君。

津村分科員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。本日、三十分間お時間をいただきまして、昨今の国会改革、立法府の改革について質問をしてまいります。

 いつごろからでしょうか、十数年前から、国会の改革ということがさまざまな面で議論されてきました。もちろん、国の財政が厳しい折ですから、機能的でかつ効率的な組織をつくるということが一つの重要なポイント。そしてもう一つは、やはり行政府とある面では対峙する、緊張感のある国会審議という意味でも、立法補佐機能の強化ということもまた忘れてはならない重要なポイントだと認識しております。

 そうした中で、昨年、機運が高まりまして、与野党を通じまして、議院運営委員会の中に小委員会を設けよう、そして、たしか名前は衆議院事務局等の改革に関する小委員会、私自身も野党側のメンバーとして参加をさせていただきました。九回にわたる議論の末、中間取りまとめというものがまとめられまして、るる報道もされましたけれども、それから一年近くがたとうとしております。今般、平成十九年度予算も組まれているわけですので、その後の取り組み状況について、少し個別にチェックをしていきたいという趣旨でございます。

 まず、駒崎衆議院事務総長に伺いたいと思います。

 大きな取り組みとして、「効率的かつ機能的な組織に向けた取組み」という大きなくくりがあるわけですけれども、その冒頭に掲げられております衆議院事務局の定員の純減について、現在の状況を教えてください。

駒崎事務総長 お答え申し上げます。

 「衆議院事務局等の改革に関する小委員会中間取りまとめ」において、「効率的かつ機能的な組織に向けた取組み」として、平成十七年度の衆議院定員千七百九十五名から、五年間で九十五名、五・二九%以上の定員を純減するとされているところでございます。

 これを踏まえまして、本院におきましては、平成十八年度に二十一名、十九年度に十八名、二年間の累計で三十九名、二・一七%の定員の純減を決定いたしております。平成二十年度以降につきましても着実に純減してまいる方針でございます。

 また、組織改編への取り組みにつきましては、平成十八年十二月末に速記者養成所を廃止し、課長に相当する所長ポストを削減したほか、十九年六月末をめどに青山宿舎及び高輪宿舎を廃止する予定としてございます。

津村分科員 ありがとうございます。

 数字の御説明をいただいたわけですが、この中間取りまとめの目標として、五年後に五%の、正確には五・二九%という数字がたしか出ておりましたけれども、純減を達成するというのが目標だと思いますが、現在の進捗状況から、残すところあと三年でしょうか、これは実現可能であるということを言えるんでしょうか。

駒崎事務総長 議員宿舎、議員会館の統廃合、それから、新たな会議録作成システムの導入、自動車運転手の外部委託による定年退職者の不補充等が予定されておりますので、先生方に対するサービスを低下させることなく着実に純減を実現できるものと判断してございます。

津村分科員 これに関連しまして、いわゆる政党派遣職員の実数及び派遣目的について伺いたいと思います。

 一部報道等をされておりますけれども、衆議院の事務局、参議院もだと思いますが、事務局から政党に職員がさまざまな目的で派遣をされていて、これが、報道等ではですけれども、国家公務員が政治活動に携わっているのではないかというような報道ぶりも見られます。少しこの目的を整理していただければと思います。

駒崎事務総長 各会派の控室に配置されております職員は、各会派に割り当てられた控室の管理のために配置されているものでございます。人数は、現在、男性三名、女性二十一名の計二十四名となってございます。

 実際の職務は、各会派により異なるため個々具体的にお示しすることは困難でございますが、一般的には、代議士会の準備、本会議、委員会の連絡、請願書の提出、議事経過の記録、議案、文書類等の収集、整理、保存、自動車の予約等を行っております。また、本会議の際には、議員への連絡のための本会議場連絡係という役目がございます。

 いずれにしましても、各会派の控室に配置されている職員は、各会派の控室の管理のために配置されているものでございまして、その職責は議員及び会派が議会活動を円滑に行うための補助的業務に限られ、政党の政治活動に直接かかわる職責は担っておりません。

 衆議院事務局といたしましては、各会派に対して、政党の政治活動に直接かかわることがないよう御配慮をお願いしているところでございます。

津村分科員 いわゆる議員バスについても伺いたいと思います。

 昨年、特に夕方便が空っぽで走っているんじゃないかとか、大変注目をされた議員バスですけれども、小委員会のすぐ目に見える成果の一つとして、次の国会からは夕方便を廃止しましたし、朝の便は三本が二本になりました。

 当時の検討の材料として私たちに与えられた数字の一つに、年間の運行経費が衆議院は約三千六百十万円、参議院の方は、これは報道の方からの数字ですけれども、約千四百五十万円というような数字も飛び交っておりました。

 これが、本数的にはざっと言えば五分の二、五本あったものが二本になっているということですけれども、維持管理はそう単純にいくのかわかりませんが、平成十八年度の経費節減の実績、そして、今年度平成十九年度は、さらに赤坂宿舎に集約されるということであれば、さまざまな経費節減効果が期待できると憶測するのですけれども、どのような予算になっているのでしょうか。

駒崎事務総長 財政効果につきましては、国会の開閉日数、燃料費単価等の違いもございまして、節減実績を正確に積算することは困難でございますが、あえてバスの運行だけに係る節減効果とするならば、縮減した三回分の運行に該当する人件費及び燃料費、合わせて年間約六百万円程度の削減効果があると考えております。

 なお、十九年度以降につきましては、運行するルートが減少する予定でございますので、それ以上の効果が期待されるかと思っております。

津村分科員 もう一点伺います。

 これも大変注目をされました、事務総長御自身にかかわることでもありましたけれども、特別給料表適用者の給与見直し。要するに、高給批判ということがあったんだと思います。事務総長以下の給与見直しが報道されましたけれども、実際にはどのように運用されているんでしょうか。

駒崎事務総長 特別給料表適用者の給与の見直しにつきましては、中間取りまとめの方針に基づきまして参議院と調整を行いました結果、国会職員の給与等に関する規程の改正を行い、本年一月より事務総長の給料月額を内閣官房副長官と同額の百四十四万八千円といたしました。この改正によりまして、月額で三万二千円、平成十八年と平成十九年を比較いたしますと、年額で約七十三万円の引き下げとなっております。

 また、常任委員会専門員の上位級の四号給、月額百十七万六千五百円を廃止して、一号給から三号給までといたしました。この結果、最高号給は三号給百六万六千円となり、十一万五百円下がることとなっております。

津村分科員 ありがとうございます。

 続きまして、立法補佐機能の充実強化、これは中間取りまとめの大きなくくりでいうと二番になるテーマですけれども、先ほど私申し上げましたように、単にコストをカットするというだけでは、立法府の機能縮小につながってしまっては元も子もありませんので、逆に立法補佐機能についてはこれを充実強化する方向でしっかりと課題を見きわめていこう、これが小委員会の重要なテーマでした。

 そういった意味で、私たち民主党がこの小委員会の中でも強く主張した点でもありますけれども、いわゆる衆議院、参議院もそうかもしれませんが、調査室に各省庁から出向者をかなり大勢受け入れていらっしゃる、まあ大勢かどうかは判断のあるところですけれども。

 私たちは、例えば野党側から国会質問をするというときに、調査室にいろいろな資料をお願いします。こういう質問をするつもりなので、こういう資料をいついつまでに下さいと言うと、一生懸命集めてくださるわけですけれども、どの程度あるのかわかりませんが、そういう私たちの質問がその出向者によって、場合によっては親元といいますか出向元である官庁に事前に例えば流れて、あるいは照会が行って、それがいわば緊張感のある国会審議というものを阻害する要因になっているのではないか。

 これは私が見てきたわけではないですから断言することではありませんけれども、やはりそういう国会審議、与野党に分かれて、片っ方は、野党の方は調査室に力をかりてという場面があるわけですから、そこは緊張感を保つためにも出向者の受け入れはどうかということもありますし、そもそも衆議院の事務局で専門のスタッフを養成されているわけですから、そこは頑張っていただきたい、そういう趣旨で、出向者というものは本来必要ないのではないかということを、私とそして寺田委員二人で、民主党を代表しておったんですけれども、強く主張させていただきました。

 かなりの部分を反映していただく中で、首席調査員については新たな出向者を受け入れないということになりましたけれども、次席調査員及び一般調査員については、次席については五年後をめどにもう受け入れないということが明記されていると思いますし、さらに一般調査員については五年後をめどに廃止を含めて検討をし直すという、ちょっとわかりにくい表現でしたけれども、現在の取り組み状況をお聞かせください。

駒崎事務総長 今、津村先生お話しのとおり、出向者の取り扱いにつきましては、事務局改革小委員会中間取りまとめを受けまして、まず、専門員及び首席調査員につきましては、既に霞が関の府省庁からの新たな出向者の受け入れは行わないことといたしております。また、次席調査員につきましては、中間取りまとめから五年後の平成二十三年を目途に新たな出向者を受け入れないこととしております。一般調査員に関しましても、中間取りまとめの趣旨を踏まえまして、五年後までに再検討を行うということでございます。

津村分科員 それから、さらに関連してお伺いしますが、調査局の専門性を強化するという中で、もちろん一つは現在いらっしゃるスタッフの皆さんの研修ということ、あるいはローテーションとして、これは事務総長も御熱心だと伺っておりますけれども、調査室はいろいろな調査室がありますが、それをある程度くくりにして、その中での人事ローテーションをしていく、そのことによってより専門性を高めていくということが内部的な努力としてはあると思いますが、やはり民間等の取り組みも参考にすれば、中途採用というか外から専門性のある方をリクルートしてくるという努力も必要だと思います。

 そういった意味で、調査局の専門性強化のための任期つき採用制度の導入ということがうたわれているわけですが、この導入時期と規模について、どういう見通しを持っていらっしゃいますでしょうか。

駒崎事務総長 中間取りまとめを踏まえまして、現在、任期つき職員採用制度を導入するための国会職員法一部改正案を今国会中に提出すべく作業を行っているところでございます。同法案が成立すれば、平成二十年度から実施を予定しております。

 採用の規模につきましては、まず、立法活動の高度化、細分化や行政に対する監視機能の強化に対応し得る専門的知識を有する者を若干名採用した上で、その実績や評価を踏まえながら今後の規模について判断したいと考えております。

津村分科員 続きまして、いわゆる行政監視機能強化について伺いたいと思います。

 ここが特に小委員会の最終局面において私たち民主党が強いこだわりを見せたところでして、実際それを反映していただけたという成果の一つだと自負をしておりますが、調査局のビジョンをまず策定する、その中で、これはそのまま読みますと、大きな2の3の(2)ですけれども、「法律及び政省令の施行状況、委員会決議及び附帯決議等に対する政府の対処状況を常時調査することにより、行政監視補佐機能の強化を図る。」つまり、附帯決議その他を有名無実化させないために、常に立法府がその後の行政府の対応をフォローアップして常時調査をするということで、かなりはっきりと行政監視補佐機能の強化を図るということで明記をされているわけです。

 まず、この調査局ビジョンというのはいつごろできるのか。また、附帯決議、委員会決議等の、常時調査するというのが、現状一部の委員会で既に試験的にイントラネットを活用して始められているということも仄聞しておりますが、これはやはりすべての委員会についてされるということでしょうから、それができるのはいつごろからか。時期を明言してください。

駒崎事務総長 調査局ビジョンにつきましては、今国会中を目途に、現在策定中でございます。ビジョンの策定と並行して、調査局として拡充業務の試行を行っているところでございます。

 行政監視機能強化につきましては、その進捗状況でございますが、まず、法律及び政省令の施行状況については、既に、公布された政令を委員会別及び公布日順に整理して、院内のイントラを通じて先生方へ情報提供しており、今後さらに調査内容を深めることとしております。

 また、委員会決議及び附帯決議等に対する政府の対処状況につきましては、一部の調査室が先行的に取り組んでおりますが、これを調査局全体へ広げ、昨年に議決した法律案に対する附帯決議から順次、それぞれ基本的に五年の間、その実施状況について毎年の調査を実施しようと考えております。さらに、継続の調査が必要なものにつきましては、その後も調査を続ける所存でございます。

 また、各調査室の所管をまたぐ横断的な調査を積極的に行うこととしておりまして、過去一年間で調査報告書を六冊発行いたしました。最新のものとしては、農林水産調査室と環境調査室を中心に、関係調査室と連携して作成した資料として、バイオマスの利活用及び同関係資料集の二分冊がございます。

 その他、各調査室で作成しております法律案等参考資料につきましても、院内のイントラでごらんいただけるようにいたしております。

津村分科員 今おっしゃったバイオマスの部分は私もいただきました。これからも一層の充実をお願いいたします。

 それでは、これは中間とりまとめの大きな項目に沿って御質問しておりますが、大きなくくりの三番目、「衆議院所管の国有財産の活用について」というのがございます。これは、最近では新しい赤坂の議員宿舎にも関連して再び脚光を浴びている大きなテーマだと思いますけれども、昨年の段階で、四つの衆議院所管の財産についてこれを財務省に移管するということが決定をされました。一部報道では、もうずばり売却するという報道ぶりも見られたところですが、これについて、まず、そのときの表現を読みますと、「事務局分室、法制局分室、速記者養成所及び職員研修所は、必要な機能についてその代替施設の確保を含め衆議院の施設整備等を勘案しつつ、できるだけ速やかに財務省に移管する。」非常にわかりにくいんですけれども、要するに、財務省にいつ移管をするのか、そして、資産価値としては幾らぐらいのものであると認識をされているのか、数字を教えてください。

駒崎事務総長 まず、資産価値でございますが、国有財産台帳価格上は、事務局分室は約二十億円、法制局分室は約七億円、速記者養成所は約二十九億円及び職員研修所は約五億円となってございます。

 このうち、現在のところ、速記者養成所につきましては、昨年十二月末をもって閉所され、今年度及び来年度において庁舎等を取り壊す予定となってございます。

津村分科員 ごめんなさい。質問の半分しか答えていただいていないと思うんですが、前段の財務省への移管時期、これが「できるだけ速やかに」ということで、何かいつまでたってもという感じがするんですけれども、いつなんでしょうか。

駒崎事務総長 失礼しました。

 速記者養成所につきましては、二十年度中にでもと考えておりますが、あとの三つにつきましては、まだその時期につきましては決定はしてございません。速やかにということで考えてございます。

津村分科員 それは時期はいつごろ、では、どうやって決まっていくんですか。

駒崎事務総長 この中間取りまとめにございますように、「必要な機能についてその代替施設の確保を含め衆議院の施設整備等を勘案しつつ、」ということでございまして、ここを検討して、その上で財務省と協議しながら時期を決めていくということだろうと思っております。

津村分科員 意地悪で言うんじゃないんですけれども、私はこのときの小委員会の委員でした。この四つは、与野党の議員みんなで見に行きました。事務局の分室も法制局の分室も、今はだれもいないですし、年間にたしか二日か三日、何か無理やり使っているようなことをおっしゃっていましたけれども、速記者養成所はもうないということですし、代替施設は要らないと思うんですよね。

 「衆議院の施設整備等を勘案しつつ、」というのが多分みそなんでしょうけれども、財務省との、例えば地価がどうこうなるのが、幾ら以上になるまで待つとかいうのがあるのかないのか、ちょっともう少し判断材料を下さい。

斉藤主査 駒崎事務総長。しっかり答えてください。

駒崎事務総長 今後、できるだけ速やかに財務省と協議して時期を決めたいと思っております。

津村分科員 時間もありますので、では次の質問に行きますが、今、赤坂議員宿舎の問題が大変注目を集めております。マスコミの報道等が非常に錯綜している感がありまして、どの数字をどういうふうに見れば冷静な判断ができるのか、国民にとって何がプラスでということが正直よく見えにくくなっている感じがいたしますけれども、少し事実に基づいた冷静な議論をしていくという中で、昨年からのこの流れの中での質問という位置づけで伺っていきます。

 青山と高輪の両議員宿舎が、今回、赤坂に移るということで廃止されると。私も青山に住んでいますけれども、六月までに出るようにということなのかもしれませんが、この両宿舎というのは資産価値としては今どのぐらいあるのか、そして、これは赤坂議員宿舎が完成した以降は引き続き放置しておくのか、それとも売却その他活用していくのか、現在の方針を教えてください。

駒崎事務総長 資産価値でございますが、国有財産台帳価格上は、青山議員宿舎は約三十七億円、高輪議員宿舎は約七十七億円となってございます。

 それから、平成十八年六月十四日の議院運営委員会庶務小委員会におきまして、「青山議員宿舎、高輪議員宿舎は、新赤坂議員宿舎への移転完了以降、財務省に移管する。」とされてございます。なお、高輪議員宿舎につきましては、「財務省に移管するに当たっては、土地及び既存建物の有効活用を含めた最も適切な運用について考慮するよう財務省に申し入れるものとする。」とされてございます。したがって、赤坂議員宿舎完成後、青山議員宿舎及び高輪議員宿舎につきましては、適切な時期に財務省に移管することとなっております。

津村分科員 先ほどから財務省に移管という言葉が何度か出てきますが、これは基本的に売却するというイメージでいいんですか。

駒崎事務総長 それは、財務省におきまして御決定なさることだろうと思っております。

津村分科員 それでは、先ほどから話題になっております新赤坂議員宿舎について、その建設が我が国の財政収支にどのような影響を与えるのかという観点から伺いたいと思います。

 PFIの事業契約による総事業費は約三百三十四億と聞いております。その一方で、これができることによって青山と高輪の両議員宿舎が要らなくなるということ、先ほどのお話からもそう考えます。

 また、赤坂宿舎の維持管理費用、メンテナンスのコストというのは総事業費に、このPFI契約のときに含まれている、ここがなかなか伝わっていない部分かもしれませんが、含まれているわけですので、これは今後発生しない、計上する必要がなくなるということだと思います。加えまして、現在、青山や高輪の維持管理費用がかかっているわけですが、これも不要になるということだと思います。

 それから、先ほど青山、高輪の資産価値というのがありましたけれども、仄聞するところでは、簿価よりも大体二倍程度の評価額という数字が、これは事務局の方とのやりとりの中で聞いたことがあります。さらに、もう全部申し上げれば、赤坂の家賃は青山、高輪に比べるとかなり増額になるわけですけれども、これも国の収入の増加要因になると思います。

 こういったさまざまな要因を踏まえて、これはバランスでぜひ比較していただきたいんですけれども、今回、青山、高輪の宿舎を二つスクラップしてもう一つ赤坂宿舎、以前から土地のあるこの赤坂宿舎を建設することによって、収益と費用という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、プラスとマイナスの数字をそれぞれ比較してみていただきたいと思います。数字があると思いますので、教えてください。

駒崎事務総長 新赤坂議員宿舎のPFI事業は、三十年という極めて長い期間にわたる契約のため、収支を算定することは非常に難しいのでございますが、今先生のおっしゃった仮定を前提に考えますと、まず、収入に相当するものといたしましては、青山、高輪両議員宿舎の評価額を仮に約二百億円といたします、それから、新赤坂議員宿舎の今後二十五年間の家賃収入が、全戸入居するとして約九十億円、民間事業用の地代収入が二十五年間で約九億円、それから、旧赤坂議員宿舎、青山議員宿舎、高輪議員宿舎における人件費、維持管理費が約三億円でございますので、二十五年間で約七十五億円が不要となると考えられます。以上で、収入に相当するものは約三百七十四億円と試算できます。

 一方、支出に相当するものといたしましては、PFI事業の総事業費として約三百三十四億円がございますが、加えて、青山、高輪両議員宿舎の平成十七年度の家賃収入が約九千万円ですので、二十五年間で約二十三億円が得られなくなると試算できます。以上で約三百五十七億円となりますが、この数字は、あくまでも仮定の前提での粗い試算をした数字でございますので、そこは御理解をいただきたいと思います。

津村分科員 国民の関心の高いことでもありますし、余り粗い計算をしていただきたくないところだと思うんですけれども、どういう数字を事務局として把握されているかということはよくわかりました。

 収益というか財政収支のプラス要因としては、四つのことをおっしゃっていましたけれども、三百七十四億円、それからマイナス要因としては、二つのことをおっしゃっていましたが、三百五十七億円ということですから、ほぼ見合っているというのか、わずかにプラスが多い、よってこういう新宿舎の建設は国家財政に資するというふうに整理をされているのだということがわかりました。評価は、また少し数字を検討させていただきたいと思います。

 大きな四番といたしまして、きょうるる伺ってまいりましたこの衆議院の事務局改革の、全体を見通した財政効果について簡単に教えてください。

駒崎事務総長 中間取りまとめの事項について、個別具体的な削減効果の積算は困難でございますが、一例を挙げますと、定員純減に係る削減効果として、平成十七年度末定員から平成十九年度においては三十九名純減となっておりますので、その職員俸給予算で比較すると約一億五千七百万円の減額となっております。

 また、先ほど申し上げました事務局分室、法制局分室、速記者養成所、青山議員宿舎、高輪議員宿舎の資産をすべて処分すると仮定いたしますと、国有財産台帳ベースで約百七十五億円の売却益が試算できると考えております。

津村分科員 最後に、簡単に御質問をしたいと思いますが、参議院の事務総長にお伺いします。

 衆議院の方では、先ほどから駒崎さんがお答えくださっていますが、昨年小委員会で一つ一つ、九回、十回と議論をいたしまして、そのたびに記者レクなんかも小委員長はされて、かなり、どういう取り組みをしているかということを国民の皆様にわかりやすい形で情報提供もしてきました。

 そうした中で、参議院事務局でも、議運理事会あるいは改革協議会というんですか、昨年の六月にいろいろな取り決め、検討をされて、現在取り組みを進めている、まだ道半ばだということだと思うんですが、ポイントだけで結構ですけれども、参議院事務局の方では、衆議院での改革を受けてといいますか、あるいは並行的にといいますか、どのような事務局改革の取り組みを現在されているのか。定員の純減、議員宿舎送迎バス、いわゆる議員バスの見直し、給与の見直し、国有財産の返還等あると思いますけれども、具体的にどういうことを取り組まれているのか、今後の姿勢も含めてお答えください。

川村参議院事務総長 参議院事務局の改革でございますが、現在、昨年六月に議院運営委員会理事会及び参議院改革協議会を経て、議長に報告をされました「参議院事務局等の改革のうち、早急に対応を講ずる措置について」に基づき、鋭意推進をしているところでございます。

 その内容は、現下の厳しい財政事情にかんがみ、事務局の業務、機構等の全般的な見直しを行って、立法補佐機能の一層の充実を図りつつ、定員を純減し、簡素にして効率的な事務局機構を整備するための措置となっております。

 具体的には、第一に、五年間で七十二名、五・二九%以上の定員の純減、第二に、五年内の組織改編による課などの数の削減、第三に、議員宿舎送迎バスの運行方式等の見直し、第四に、事務総長、常任委員会専門員四号給等、給与の見直し、第五に、国有財産の返還等の五項目から成っております。

 また、立法補佐機能については、参議院改革協議会での御検討を踏まえつつ、一層の充実を図ることといたしております。

 現在の実施状況でございます。

 給与の見直しにつきましては、先ほど衆議院事務総長から御答弁があったとおりでございます。

 定員につきましては、先ほど申し上げましたように五年間で七十二名以上の純減ということでございますが、十八年度に九名、十九年度は十六名の計二十五名の純減を実施することといたしております。

 組織改編によります課などの数の削減につきましては、本年一月一日をもちまして、業務課を管理課に統合するとともに、速記者養成所を廃止いたしました。

 議員宿舎送迎バスの運行方式等の見直しにつきましては、第百六十五回国会召集日の平成十八年九月二十六日より、朝の宿舎各便、これは二つの宿舎からそれぞれ国会の方に出してあったわけでございますが、これを両宿舎の間の巡回運行方式に変更いたしまして、二台使用していたものを一台の使用に改めております。また、夕刻の議員会館発便は廃止をいたしておるということでございます。

 今後につきましては、昨年六月に了承されました「早急に対応を講ずる措置について」の残る部分の実施に向けまして検討を進めるとともに、議員各位の御意見、議論等を踏まえつつ、不断に事務局の業務、機構等の見直しを行い、一層の事務局改革に取り組んでまいる所存でございます。(津村分科員「国有財産は」と呼ぶ)

 これにつきましても、同様に、施設の種類によりまして、数年内に返すもの、それから議員会館の完成までに返すもの、それから参議院の施設の整備状況を踏まえまして、その状況を見ながら財務当局と相談しながら返すということで仕分けをいたしておるところでございます。

斉藤主査 時間が参りました。

津村分科員 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)分科員 民主党の寺田と申します。

 きょうは、渡辺大臣にお越しいただきまして、道州制について議論させていただきたいと思います。

 道州制に関しましては、安倍内閣発足後、道州制特区法案を通しまして佐田大臣とは委員会でいろいろ議論させていただきましたが、残念ながら佐田大臣はやめられましたので、また改めて新任されました渡辺大臣の方にいろいろお伺いしたいと思いますが、一点、ちょっと通告していないんですけれども、佐田大臣がやめられた後に、後任という言い方がふさわしいかわかりませんが、引き継がれた渡辺大臣ですけれども、佐田大臣との間で何かしら引き継ぎ等はされたんでしょうか。

    〔主査退席、三ッ林主査代理着席〕

渡辺国務大臣 私も、新米大臣なものですから、そのあたりの手続についてはよくわかっておりません。

寺田(学)分科員 佐田大臣と個人的に職務のことについてお話をされたということはないということですか。

渡辺国務大臣 国会などでは出くわしますので、それなりの対応はいたしております。

寺田(学)分科員 私も野党ですので大臣の経験がないものですから、大臣がああいう形でやめられた場合にどのように職務が引き継がれるのかということは全く想像できませんし、周りからも聞くことができないんですけれども、今、お話を伺うところによると、ああいう形でやめられた場合というのは、やめられた前大臣から新大臣の方に何かしら引き継がれるというか、このようなことが問題になっているということが引き継がれないケースであったということでよろしいんでしょうか。

渡辺国務大臣 そういう手続がどういうぐあいになっているのか定かに承知をいたしておりませんで、まことに相済みません。

寺田(学)分科員 では、また改めて、佐田大臣と議論した部分を更新するような形で議論させていただきたいと思います。

 道州制という言葉がややひとり歩きしているような感が最近否めないんですが、道州制といってもいろいろな道州制がありますし、そもそも道州制を入れる理由は何なんだとか、そういう根本的な部分が没却されたまま、ある種、何でも解決する一つの秘策のように道州制が語られているのは非常に残念なんです。大臣として、まず、道州制を議論される理由というものをまた改めてお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

渡辺国務大臣 道州制というのは、何十年も前からある議論だと思います。

 今回、安倍内閣において、新たに道州制担当大臣という形で担当が設置をされたわけであります。それは、言うまでもなく、今進めようとしております地方分権改革の総仕上げとしての位置づけがあろうかと思います。

 私の方でビジョン懇談会というものをつくりまして、三年を目途に明確なビジョンを打ち出していきたいと思っております。当然のことながら、結果としての話でありますが、中央省庁の再編につながっていくものと思います。

 座長になりました江口さんなどは、四十年近く前の松下幸之助翁の言葉を引いて、廃県置州ということを言っておられました。松下翁の話は私は定かには存じませんけれども、恐らく今の東京一極集中という問題認識もあるのではなかろうかと思っております。

 いずれにしましても、地方が元気になるということが極めて大事なことでありまして、そういった論点についてもこれから積極的に検討していくことになろうかと思います。

寺田(学)分科員 地方分権の総仕上げとしてという御答弁をなされましたけれども、その後に、ビジョン懇をつくっていきましょう、東京の一極集中ということも一つの問題でしょうし、地方が元気になるような一つの施策としてやっていきたいんだということでした。

 東京の一極集中というお言葉が出たんですが、大臣自身、東京の一極集中自体、今の現状ですけれども、いい状態という言い方がいいのかどうかわかりませんが、一極集中是正すべきと思うのか、現状の今の段階であればまだ過剰とは言えないと思われているのか、どちらでしょうか。

渡辺国務大臣 これは見る人によって随分違うと思うんですね。例えば石原都知事などは集積のメリットということをよく言われるような気がいたします。

 かつて首都機能移転論が盛んであったころ、たまたまバブル崩壊と重なって、東京の地価がますます値下がりするじゃないか、首都機能移転などというものはとんでもないというような議論もあったような記憶がございます。今、景気回復が相当跛行的な、アンバランスなものであることは確かだと思いますが、東京、大都市圏などは大変に地価も上昇基調にあって、非常に景気もいいんだと思うんですね。しかし、地方に目を転じてみますと、景気回復の恩恵にあずかっていないところがまだたくさんある。

 構造的な問題として考えてみますと、やはり中央集権ということと東京ひとり勝ち現象、今回は別に東京だけではございませんで、むしろ景気の観点からいうと愛知県などの方がもっといいのかもしれませんけれども、構造的な問題としては、やはり中央集権と一極集中というのは裏腹の関係にあるのではないかと思っております。

寺田(学)分科員 中央集権と東京の一極集中は裏腹の関係であるということは後ほどいろいろ議論したいと思いますが、ちょっと質問の繰り返しになりますけれども、現状の東京の今の一極集中について、道州制担当大臣として、今は是正すべき段階に入っていると見るのか、それとも今の段階は別に容認できると考えられているのか、どちらですか。

渡辺国務大臣 構造改革という観点からすれば、役人主導から政治主導へ、中央集権から地方分権へ、統制型システムから市場型システムへという流れでございますから、中央集権的な残滓があるとするならば、それは是正されるべきだと考えております。

寺田(学)分科員 非常に難しい御答弁なんですが、要は、今の東京のこの過密状態、先ほどの大臣の言葉で言うと、見る人によって違うということですから、私として見ると、過剰に人が集中し、物が集中し、お金も集中しているというふうに思っております。

 大臣自身は、今の東京に関して、そういう意味で、大臣自身が言われた一極集中ということですから、今は一極集中し過ぎていると考えているのか。例として挙げられたように、石原都知事が言われるとおり集積のメリットがあるから、今の規模であるならば別に構わないと考えているのか。どちらかになると思うんですね。今をいいと認めるのか、悪いと認めるのか、是正すべきと考えるのか、どっちかでしょうから。いいと考えているんですか。

渡辺国務大臣 中央集権体制の名残の結果、集中化が進んでいると見られるところは是正すべきであると考えております。

寺田(学)分科員 中央集権の名残がある部分に関しては是正すべきだ、中央集権をやめて地方分権にすべきだと。地方分権をすると一極集中がなくなっていくということなんでしょうか。

 中央集権と一極集中は裏腹の関係にあるということは密接不可分だということを言われているんだと思いますが、これもまた大臣が話された言葉の中ですけれども、首都機能移転という話があります。首都機能移転というものはこの中央集権と一極集中という問題にどのように絡んでくるのか。もっと突き詰めて言えば、首都機能移転ということは道州制担当大臣としては議論する必要があるものと考えているのか、全く必要のないものだと考えているのか、どちらですか。

渡辺国務大臣 これは国会の方で議員立法によってつくられた経緯がございます。私が国会議員になる前でございますが、たしか平成七年に大改正をされたと記憶をいたしております。

 この話は、残念ながら政治的には凍結状態になっております。したがって、私がここでこの問題について殊さらに論ずることは控えますけれども、安倍内閣におきましては、この問題つまり首都機能移転論ではなくて道州制という観点から、分権改革の総仕上げ、国家ビジョンの壮大な抜本見直し、そういうものと取り組んでいるところでございます。

寺田(学)分科員 一つずつ整理していきたいんですが、道州制の議論をこれからされていく中で、そのステージづくりであるとか、もちろん大臣自身の個人的な見解であるとか、さまざまお述べになられるんでしょうけれども、まさしく中央集権と一極集中は裏腹である、そういう意味においては地方分権が必要であろう、その中の一つの要素として首都機能移転ということも今大臣の発言の中で出てきたんだと思います。

 道州制をこれから議論する過程において、首都機能移転というものに関しては、大臣自身、議題の中に入れるべきだと考えているのか、それは全く道州制とは関係ないと考えられているのか、どちらですか。

渡辺国務大臣 地方制度調査会の答申によりますと、これは昨年の二月二十八日に出されたものでございますが、「大都市としての特性が顕著で首都機能が存する東京については、さらに、その特性に応じた特例を検討することも考えられる。」ということを記述いたしております。

 いずれにいたしましても、道州制というのは国家ビジョンの抜本的な見直しでありますから、さまざまな切り口から検討してまいりたいと考えております。

寺田(学)分科員 最初の地制調の話は全く本問とは関係なかったんですが、大臣自身がテーブルづくりをしていく役割を担われるんでしょうから、首都機能移転の問題というものは道州制の議論の中に含んで、もちろんそれを採用するという前提つきじゃないですよ、首都機能移転という一つのツール自体も道州制を議論する中で考えていくと大臣自身が思われているのか。そもそもそういうものは道州制とは関係ないから議論から外していこうと考えられているのか。どちらですか。

渡辺国務大臣 首都機能移転論の歴史については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 道州制の問題というのは、首都機能移転論の延長線にある話ではなかろうと思います。すなわち、この国の構造改革を考えるに当たって、地方分権改革をまず先行させてやっていこう、その総仕上げの形で道州制ビジョンというものがあるんだという位置づけをとっているわけであります。構造改革のさまざまな手法の一つに首都機能移転論というのもあったのであろうと思います。

 日本の歴史を振り返ってみれば、都が移るたびに時代が大転換をするということであります。四百年に一回ぐらいで都が移って、移った先の地名がその次の時代の名前になるというのが日本の歴史であります。したがって、これも壮大な国家ビジョンではございますが、首都機能移転論と道州制論というのは、また別々の切り口から出ている、構造改革の総仕上げ論ではなかろうかと思います。

寺田(学)分科員 大臣が御答弁された中から二点ほど細かくお聞きしましたけれども、東京の一極集中についてと、そのときに出てきた首都機能移転についてです。

 私の解釈として、東京の一極集中に関していえば、中央集権の名残があることによる一極集中はふさわしくないということで、そこは是正すべきだという御答弁でした。首都機能移転に関しては、道州制とは別の議論であるという御答弁だったと思います。

 後段の方は、明確に、最後、首都機能移転というのは道州制議論とは別だと御答弁されましたけれども、最初の東京の一極集中に関していうと、やや抽象度が高いような気がするので、ここだけもう少しはっきりさせたいんです。

 中央集権が残っていることによって東京が栄えているということも否めないとは思うんですが、現象として、人口がふえて、経済規模が東京だけどんどん膨らんでいて、東京ということだけじゃなくて、例えば、港区と釧路で税収に三倍ぐらいの格差があるとか、地域間格差をきょうの午後やるんでしょうけれども、そういう意味において、大臣の言葉を使って言うと、非常に東京のひとり勝ち、そういう状態は否めないと思います。

 ですので、ここははっきりさせておきたいんですが、今の東京の財政規模、原因が構造改革とか中央集権どうこうは別です、今の、データとしてという言い方もおかしいですけれども、人口であるとか経済規模であるとか税収の上がり方であるとか、このように東京がひとり勝ちしている状態はふさわしくないと思われているのか、思われていないのか、どちらですか。

渡辺国務大臣 先ほど申し上げた集積のメリットというものも、これは東京のみならず、オール・ジャパンで効果が出てくる場合がございます。例えば、ロンドンにはシティーという集積された金融の世界があります。残念ながら、日本の金融の世界は、護送船団金融村がずっと長いこと続いてきた結果、開国といいますかオープン化、グローバル化が非常におくれた面がございました。

 おくればせながら、八〇年代からの金融自由化の流れの中で、九七年だったでしょうか、たしか私が国会議員に当選して間もないころでありましたけれども、ビッグバンということをやりました。ビッグバンなどは、大きな銀行がばんと倒れた印象しか残っていないかもしれませんけれども、この延長線に、まさに今のグローバル化を取り込んだ金融の世界での国際展開、まさに東京市場をグローバル化しようという流れがあるわけでございます。

 そういったことを考えると、集積のメリットというものがすべて悪いということにはならないのではないでしょうか。

寺田(学)分科員 一般論としての集積のメリットの是非を聞いているわけではなくて、現状、今ある、ここ東京というもののひとり勝ち状態に対して、大臣自身は御懸念されているのか、いや別にそれは構わぬと思われているのか、どちらですかというのをお伺いしているのです。一般論というのは結構ですので、具体論として今の東京の状態に対して、道州制担当大臣としてどのように思われていますか。

渡辺国務大臣 この前のバブルのときに、土地取引が異常な価格で行われた。今回、不動産ファンドなどの世界でちょっとバブル化しているのではないかというような指摘が二年ぐらい前から出てきております。したがって、そういう異常な現象は是正をされていくべきであると考えておりますけれども、バブルの歴史の教訓にきちんと学ぶならば、同じような失敗を二度と繰り返すことはなかろうと思います。

寺田(学)分科員 この点はしつこく食い下がりたいんですけれども、東京というものを中心としてさまざまな問題が、バブル期を、その前も通していろいろ起きてきている。その一つ一つ、個々の問題に対して、けしからぬとか是正すべきだとか、何とかするべきだということは、いろいろ、その都度その都度、各省庁、各担当者においてやっていくんだと思います。

 今本当に、きょう午後から地域間格差というのをやりますけれども、まさしく大臣が言われたとおり、東京のひとり勝ちというのは否めない状態だと思います。もちろん、十五年後、十年後、要は、高齢者人口が急激に伸びますので、いつまでもというわけにはいきませんけれども、今の状態でいうと東京のひとり勝ちの状態である。このひとり勝ちの状態がふさわしい、ふさわしいというか、このまま看過できるものなのか、是正しなきゃいけないものなのかということを具体的に大臣にお伺いしているわけです。どっちですか。

渡辺国務大臣 都市再生というのも実は私の担当でございます。これは小泉内閣のときに、稚内から石垣島まで、オール・ジャパンの都市再生というものを目指して全国展開をいたしております。東京などではいち早くこの都市再生が、早い段階から進んできたこともあったかと思います。

 ついこの間、六本木のミッドタウンを視察してまいりました。バブル崩壊後の景気の悪い時代に、六本木が非常に風俗化して町の質が落ちてしまった。そこで、ああいった都市再生の手法を使いながら、例えば夜遅くまであいている美術館をつくると人の流れが変わってくるんだ、そういうコンセプトを聞きました。

 これはなかなかおもしろい発想だなと思ったんです。美術館に来る人たちというのは結構レベルの高いお客さんが多い。そうすると、そういう人を相手に例えばイタリアンレストランがお店を構えたりとか、町のにぎわいの質ががらっと変わってくるんだ。私はそのとき、良貨は悪貨を駆逐するということがあり得るのではないか、そう思ったりしたんです。

 したがって、こういった都市再生の手法が地方でも通じるかといったらそれはちょっと難しい話であって、東京のように二十四時間、時間が大変なスピードで流れている空間と、地方の、私の田舎もそうでございますが、時間がゆったりと流れている空間と、やはりそれぞれの都市再生、地域再生の手法は異なってくるんだろうと思います。

 したがって、それぞれの地域に合わせたやり方があり得るわけであって、確かに、東京が地方との比較で見れば非常に勝ち組的な状態にあることは確かであるかと思いますが、では、地方が東京と同じ発展を遂げていくかといったらこれもあり得ない話であって、それぞれの地方でやる気と情熱を持って個性ある発展を目指していくべきではないかと思います。

寺田(学)分科員 地方分権の議論をする中でいろいろ整理して考えなきゃいけない部分があって自分も気をつけているんですけれども、中央集権であるということと、東京が一極集中するということと、役所、裁判所等々首都機能が東京にあるということ、この三つぐらいを並べてみると、それは似ているようでちゃんと明確に分けて議論しなきゃいけないなと思っているんです。

 一個、先ほど議論している中で、首都機能移転というものは、まあ、それはちょっと話は違うでしょうということで、中央集権、東京の一極集中。首都機能移転は、それはまず議論の中から外されていくものだと思うんです。

 先ほど大臣は中央集権と一極集中というのは裏腹であるというお話をされました。では、東京の一極集中というのはどう思いますかと言ったら、中央集権の残り香があると言われたんですが、その残りがあるからこそ一極集中しているんだからその部分は是正しなきゃいけないと。中央集権ということと東京の一極集中というものをかなり密接に考えられている発想を御披露されたんだと思うんです。

 そういう意味でいうと、東京もある意味地方の一つでもありますから、中央と地方という対比でいうと、霞が関が権限を持っていて地方の自治体が持っていないことが問題であるということであって、東京であっても、一地方である以上は中央集権の縛りの中で何かしら規制を受けながらそれでも発展してきているわけですよね。ですので、その部分においては地方分権を進めなきゃいけないと片方で言いつつ、その地方の縛られている一つである東京が勝っている理由が中央集権の残り香があるからだと。中央集権が進めばより一層東京が勝っていくという発想も、その論理の中では出てくるんですよね。

 では、そういう意味でその前段を踏まえてお聞きしますけれども、中央集権の残り香があるから、残り香という言い方はよくないですね、中央集権の残り、そういうような昔の面影があるから東京が一極で勝っているんだという理由というものをもう少し具体的に御披露いただけないですか。

渡辺国務大臣 私は、プラス・マイナス・ゼロという発想はとらないんですね。つまり、東京が勝った分地方が負けているんだという発想ではいけないと思います。やはり、発想としてはプラスサムで考えなければいけない。

 つまり、国全体のパイがふえ続けるという中で、かつてのように結果平等でそのパイの分配をやっていくのか、それともそれぞれの地方が個性と創意工夫によって個性ある発展を遂げていくのか。安倍内閣においては、まさしく金太郎あめ型、結果平等的パイの分配型モデルから個性ある発展型モデルに転換をしよう、そういうことを言っているわけでございます。

    〔三ッ林主査代理退席、主査着席〕

寺田(学)分科員 ますます混乱してくるんですけれども、大臣自身のお言葉をかりて言うと、東京のひとり勝ちは否めない、東京の一極集中というものがあると言われているのは、ひとり勝ちと一極集中という言葉を使えば、一つの限られたパイから一人だけが勝っている、その限られた日本というパイの中から一つの部分にだけ一極集中をするという意味でいうと、今の御答弁と全く違うことを事実として認められているわけですよね。

 もちろん、金太郎あめどうこうではなくて、各地方がどんどん力をつけていくことは私も望んでいることですし、そういう意味において東京がどのような役割を果たすか。結局、東京の一極集中を是正するということは、東京には少し我慢してもらうことが必ず出てくるわけですよ。そういうことを我慢させてまでも地方を勝たせるのか。これは東京の一極集中の是正ですから。東京の成長底上げ戦略と発想が似ているんですけれども、東京も勝ち続けてください、地方も追いついてくださいという発想は、要は、議論の上では成り得るんでしょうけれども、大臣が認められたひとり勝ちとか一極集中という事実認定のもとでは成り立たないはずなんです。

 そういう意味でいうと、一極集中はしていないんですか、それともただ東京が勝っているだけなんですか、大臣。

渡辺国務大臣 寺田委員の使われている一極集中という言葉が、かつての要するに結果平等主義の時代のゼロサムゲーム的発想から出ているとすれば、私の言葉遣いと違うのではないかと思います。

 私が先ほどから申し上げておりますのは、ゼロサムゲームでパイの分捕り合戦を東京と地方でやるという発想であってはいけないと言っているんですね。したがって、東京には東京の発展モデルがあり得るでしょう。先ほど申し上げたロンドンのシティーのような金融の集積、グローバリゼーションを取り込んだそういった集積をしていくというのは一つの発想だと思います。しかし、それはまさに東京にだけ恩恵をもたらすものではなくて、まさに貯蓄から投資へという形でオール・ジャパンに恩恵のもたらされるものであるはずなんですね。

 したがって、こういったことを考えれば、東京と地方が対立の構図でゼロサムゲームを延々とやり続けるんだという発想であってはならないと思います。

寺田(学)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、東京と地方という言い方はある種気をつけて使われた方が、一般の有権者、国民の方々の中にも、そして分権の議論をされている方の中にも誤解を生みかねないと思いますので、中央集権と一極集中と道州制、さまざま入り組んでいることですが、そこら辺の認識をしっかりと確立した上で道州制の議論というものに挑んでいただきたいな、こちらとしてもそういうように用意したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻分科員 民主党の長妻昭でございます。

 きょうは、渡辺大臣に天下りの問題を質問させていただきたいと思います。

 天下りといいますのは、税金浪費の元凶、そして官製談合という犯罪の温床にもなり得る大きな問題、この財政危機の今の日本できちっと規制をしなければいけない大きな問題だというふうに考えております。

 私は、省庁による天下りのあっせん、仲介はすべて禁止をする。これは、総理大臣が業務をやめろと人事あるいは官房秘書課などに言えば、それはすぐに実現できる話だと思いますが、非常にもたもたしているというか、官僚の抵抗にたじろいでいるというような印象を持ちます。

 今、渡辺大臣御本人が十の省庁から天下り等の実態をヒアリングされているというふうに聞いておりますけれども、どんなような内容を聞かれておられるんですか。

渡辺国務大臣 総理からの指示がございまして、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる天下りは根絶をする、そのための制度設計を今行っているところでございます。

 したがって、一つには、今どんなぐあいにあっせんをやっているんでしょうかということ、そして、自民党の方でも御検討いただいておりますが、公正、透明に正面玄関から堂々と再就職を可能にする人材バンク、今ある人材バンクではなくて、新しい霞が関人材バンクを構築するにはどういうことが必要か、そういうような議論をやっております。

長妻分科員 これは、ヒアリング予定の省庁というのは何省庁あって、既にヒアリングを終えている省庁というのはどこでございますか。

渡辺国務大臣 現在進行中でございますので、細かなことは控えさせていただきます。

長妻分科員 いや、きのう、事務方の方は、十省庁に大臣が直接ヒアリングしますと。警察、総務、国土交通省、財務省、経産省、農水省、文科省、法務省、厚労省、防衛省ということでありますけれども、そして、一つはもうヒアリングが終わったと。これは事務方より何で後退しちゃうんですかね、情報公開が。

渡辺国務大臣 そういう情報を先生がお持ちであるということを知りませんで、大変失礼いたしました。

長妻分科員 ヒアリングした一省庁からはどんな実態が新たにわかりましたですか、概要を。

渡辺国務大臣 天下りあっせんといいますか、再就職の紹介業務というのは、人事当局がそれ専門にではなくて、人事の延長線でやっているということは想像はいたしておりましたが、そういう実態を改めて感じた次第です。

長妻分科員 もうちょっと具体的に、差し支えない範囲で、事例というか、それをちょっと国民の皆さんにも教えていただきたいと思いますが。

渡辺国務大臣 今のところ、世間で言われているような定式化したコンディショナリティーがあってやっているのとはちょっと違うという報告が多いように思います。

長妻分科員 私は、天下りの業務は大変膨大で、もし天下りあっせん、仲介をやめれば、官房秘書課、人事課の職員はひょっとすると半分ぐらい少なくて済むのかなと思うような膨大な作業だというふうに思うんです。

 お配りをしました資料の二枚目、三枚目でありますけれども、これは防衛施設庁から入手をした平成十七年の資料で、企業が天下りを受け入れるときに防衛施設庁の次長あてに出したもので、お給料の年収額あるいは何歳まで雇います、「下記条件により採用したいので、ご通知申し上げます。」ということで、全部、あっせんも含め役所が管理をしている。次の最後のページのものは外務省。これは平成十三年度、民間企業が外務省に天下りを受け入れた際の採用、「下記処遇条件で採用することを証明致します。」ということで、人事課がすべてこういう書面を保管しております、全省庁。こういうことは御存じでございましたか。

渡辺国務大臣 こういう書面は、人事院の審査の際に、説明用の添付書類で必要なんだということを聞いております。

長妻分科員 それもお役人が後でつくった理屈でありまして、お給料の金額とかあるいは何歳まで働くとか、そういうものは人事院では必要ありませんので、これは別の意味の資料でありますので、こういうもののやりとりというのは人事課と企業と今後も続けていくということは容認されるわけですか。

渡辺国務大臣 こういう文書を初めて見ましたので、この黒く消してあるところが、想像をたくましくして眼光紙背に徹して見ますといろいろ問題点が出てくるのかもしれませんが、せっかくいただいたのでよく勉強をさせていただきたいと思います。

長妻分科員 ぜひ、お役所は隠しますので、ヒアリングされるときは、すべての省庁はこういう文書を全部保管しています、全文書をある分だけ持ってこいということで、天下りのこういう文書を全部入手して公開をしていただきたい、個人情報は黒塗りをして。このヒアリングの結果、今申し上げたことも含めて、結果を公表していただくということもぜひ明言いただければと思いますが。

渡辺国務大臣 ヒアリングは制度設計のために今行っているところでございまして、制度設計が終わりましたら、国会の方に公務員制度の国家公務員法の改正案という形でお示しをさせていただきたいと思います。

長妻分科員 いや、ヒアリングをされた結果も、どんな内容がわかったのか、こういうこともぜひ公表いただければと思うんですが、いかがですか。

渡辺国務大臣 国家公務員法の改正案を今国会中にぜひ出したいと考えておりますので、その審議の中でいろいろ御質問をいただければと思います。

長妻分科員 そして、前の土曜日、二月二十四日の土曜日の早朝のテレビ番組に渡辺大臣が生出演されて、非常に私も興味深い発言があったというふうに思ったわけでありますが、いわゆる渡り鳥、省庁から天下りをして財団法人に行く、そして二回目のまた別の財団法人にその方が行く、また三回目天下っていく、そして高額な退職金をどんどんもらっていく、こういう批判がありました。この渡り鳥も、大臣によると、一段ロケット、二段ロケットと呼んでいるものですよということで、これも省庁があっせん、仲介していたということでありますけれども、どんなことなのでございますか。

渡辺国務大臣 よく世間でそういうたぐいの話が流布していると承知いたしております。その世間で流布している話を申し上げたわけでございますが、いろいろヒアリングの過程でそういったことも聞いているのでございますが、中には、マッチングがうまくいかなくて、どっち側に事情があるのかはわかりませんけれども、短期間でやめてしまうケースもある、そういう人に対しては二回目、三回目のあっせんをすることもあるというような答えも聞いております。

長妻分科員 今、大臣が国会の場で公式にお認めになったというのは、恐らく、まあ大げさに言えば戦後初めてではないかと。

 私もそういう情報は聞いておりますけれども、一回目の天下りは省庁があっせん、仲介する、しかし、その後の民間の財団法人から第二の財団法人に行くときも、もう関係ないのに、そこも省庁があっせん、仲介を差配して、複雑なチャート図が官房秘書課とか人事課にあって、Aさんがこっちに動くとBさんがこっちにはまって、こう複雑に玉突きで、すべてを管理する。

 スーパー護送船団方式というふうに渡辺大臣は言われておりますけれども、そういうものを指しているんだと思いますが、そういう一回天下った後の面倒まで人事課が見るというのは、これは押しつけだろうが押しつけじゃあるまいがもうやめる、これはもう当たり前だと思うんですが、いかがですか。

渡辺国務大臣 いずれにしても、公務員制度改革の要諦は、公務員がやる気と情熱を持って、国家公務員だったら、国家国民のために働いてもらうということ、そして国民サイドから見て公務員制度が信頼するに足るものである、この二点が必要なことなんですね。したがって、これはもう表裏一体の話でありますから、国民サイドから見て不信感を買うようなことは慎んでいかなければならないと考えております。

長妻分科員 この番組の中で言っている一段ロケット、二段ロケット、これは具体的にはどんな意味ですか、一段、二段というのは。

渡辺国務大臣 一回目のあっせんによる再就職、二回目のあっせんによる再就職という意味でございます。

長妻分科員 そうしましたら、押しつけ的天下りという範疇には今ここでの議論というのは入ってないと思うんですが、そういう二回目、三回目の天下りまで省庁が関与してあっせん、仲介しているということに関しては、これまた新たな問題だと思うんですが、ここの規制と実態調査をしようということもぜひ明言いただきたいんですが。

渡辺国務大臣 二回目、三回目となりますと、なかなかそう簡単にはいかないかと思いますけれども、総理からの指示もございまして、今、各省のあっせん、仲介による再就職の状況を調べ始めているところでございます。

長妻分科員 ですから、二回目、三回目というのは、こんなのやっちゃだめですよね。何で役所が、これは企業でも、二回目、三回目の場合も役所があっせん、仲介をしていますから、それを難しいというふうに。これは調査をして規制をするということを何で言われないんですか。こっちの方が悪質な部分もありますよね。もう手が離れた後まで国家公務員が税金で仕事をしているということでありますので、ぜひ意気込みをお願いしたいんですが。

渡辺国務大臣 調査をする過程でできるだけ実態に迫っていきたいと思います。

長妻分科員 そうすると、調査をして規制を検討する、それで調査は公表をするということでよろしいんですか。

渡辺国務大臣 今始めました調査がどれぐらいの期間で終わるかまだわかりませんけれども、今国会で公務員制度改革の審議をするという前提で、スピード感を持ってやっていきたいと考えております。

長妻分科員 これはもう一回ちょっとはっきりさせたいんですが、これは企業でも財団でも独立行政法人でもそうですけれども、二回目、三回目までの天下りをあっせん、仲介する、省庁が関与していくのは、これはだめですよね、当然。いいか悪いかでいったら、そんなことやっちゃだめだ、これはそういう認識でいいんですか。二回目、三回目の天下りのあっせん、仲介、関与を省庁がする、これはもうだめですよね。

渡辺国務大臣 いずれにしても、予算や権限を背景とした押しつけ的な天下り、あっせんによる再就職は根絶をするというのが安倍内閣の方針でございますから、この基本方針にのっとって、いろいろと調べ、かつ制度設計を行ってまいりたいと考えています。

長妻分科員 何か後ろからお役人が耳打ちしたらちょっと変わっちゃったみたいですけれども、そうしたら、押しつけじゃなければ、二回目、三回目、四回目、五回目、そこの天下りもあっせん、仲介してもいい、そういうケースもあるということですか。そんなばかなことないでしょう。一回手離れして、まだ面倒見なきゃいけないんですか、三回目、四回目。それはだめですよ、だめだと。

渡辺国務大臣 いずれにしても、国民の信頼が得られないような公務員制度であってはいけないわけであります。

 一方、今の年功序列主義、それを私はスーパー護送船団方式と呼んでいるわけでありますが、こういうがちがちの年功序列が延々と続いていくがゆえに、要するに、指定職、部長、審議官クラスになると、肩たたきということが行われていくわけですよ。

 したがって、こういう制度を抜本的に変えていくには、やはり能力・業績主義、もうこれは年功にかかわらずに、能力や業績のある人にはそれなりの昇進、それから給与の体系をつくっていくということがやはり基本にあるわけですね。そういうことを徹底させていけば、これは、要するに肩たたきなんということをやる必要がなくなる、官民の人材交流がどんどん進んでいくわけでございますから、そういうことが行われる過渡期にあって、いきなり来年からその年功序列が終わりになるというわけじゃございませんので、こういった肩たたきシステムの国民の不信を招いている部分については、厳格な行為規制をかけていこうということでございます。

長妻分科員 いや、これはまたがっかりしました。何でもう白旗なんですか、お役所に。私は、初め、渡辺大臣が大臣に十二月末就任されて、天下りは、何しろ省庁側から要請をしたものは全面禁止をする、こういう方針を打ち出したけれども、お役所に骨抜きになっちゃったというような話も漏れ聞いておりますけれども、何で二回目、三回目の天下りを、これは認めたというのは前進だと思います、初めて大臣が国会の場で認めたというのは前進でありますけれども、二回目、三回目、じゃ、三回目から四回目に行く天下り、もう民間企業や財団ですけれども、そのあっせん、仲介、関与を中央省庁がして、これはいいということなんですか、悪いんですか、問題ないんですか。それは検討する余地ないですよ、だめですよ。

渡辺国務大臣 いずれにしても、国民の不信感を買うような天下りあっせん、予算と権限を背景にした天下りあっせんというものを根絶していこう、こういう発想で今制度設計を考えているところでありますから、どこからどこまでが適正か、どこからどこまでがだめかというのは、まさに今、これから正念場にかかるところでございます。

長妻分科員 いや、本当にびっくりしました。一回もう民間、財団だって民間ですから、一回天下った方が、次の就職先、ずうっと延々と面倒を見る。八十一歳の財務省出身の方が今財団法人にいますよ、何度の渡り鳥で、年収一千五百万で。ずうっとそこまで面倒を見るというのが問題ない、国民の不信を招けばだめだと。不信の前に、それは役所の仕事じゃないんですから。そういうことじゃ、がっかりします。

 もう一点、大臣は、国家公務員の人材バンク、総務省、七年間で一件だけの実績しかない。これはアリバイでつくっただけの話ですから、要するに、よくあるじゃないですか、アリバイづくりというのが、全然機能していませんと。アリバイづくりという話をされておられます。私もそのとおりだと思いますけれども、そういうことでよろしいんですか。

渡辺国務大臣 その前に、二回目、三回目のあっせんについてでありますが、一回目のあっせんがこれは押しつけ的なあっせんだという範疇に入れば、当然、それと同じものは、二回目、三回目であっても、これはだめよということになることは、明言をさせていただきます。

 また、人材バンクの件でございますが、私が言ったのは、ちょっと言葉足らずだったかもしれませんけれども、結果として七年間で一人しかマッチングしないという代物であっては、これはアリバイづくりという批判を招くよという意味で言ったわけでございます。

長妻分科員 渡辺大臣は、テレビでは格好いいことを言う、そして国会では発言が違う。テレビではまた格好いいことを言う、天下り根絶だ、そして、二段ロケット、一段ロケット、とんでもない。しかし、国会では別のことを言う。そういうのを二枚舌というんじゃないんですか。格好だけつけている大臣じゃないですか。骨抜きになりますよ、そんなことだったら。アリバイづくりで、こう言われていますよ。全然機能していません、これはアリバイづくりでつくっただけの話ですから、要するに、よくあるじゃないですか、アリバイづくりというのがと。

 格好よくこういうふうに言って、調べましたら、資料をお配りしていますけれども、アリバイづくりでつくったものが、七年間で七千百万円、これはコンピューターのシステムがかかり、専属職員が二人。一人の人件費が年に少なくとも一千万だとすれば、既に二億円以上の税金をつぎ込んで、この人材バンク、アリバイづくり、世間受けするためにつくったということですから、金返してくださいよ、それだったら。

渡辺国務大臣 この人材バンクがなぜ七年間で一件しかマッチングしなかったのか、その点を私の方からは追及をいたしております。その結果、ことしの四月から、これは総務省に聞いていただきたいのでございますが、さらにやり方を変えて、よりマッチングしやすいシステムに変えるということを聞いております。

 いずれにしても、この程度の人材バンクであっては、到底、今人事の延長として行われている再就職あっせんにかわるものとしては不十分なわけでございますから、抜本的な見直しが必要だと考えております。

長妻分科員 これは人材バンクを幾ら見直ししてもだめなんですよ。中央省庁があっせん、仲介をしている限り、みんなそこに行くんです。押しつけ的な天下りだけを禁止しても、押しつけじゃないあっせん、仲介は残るわけですから、こんな人材バンクなんかだれも来やしない。これは税金の無駄遣いですから、中央省庁のあっせん、仲介をやめるということの方が効果がありますから、これはやめてください、こんな税金の無駄遣い、パフォーマンスは。

 そして、渡辺大臣は、大変官僚からの抵抗があると。そして、二月二十四日土曜日の産経新聞の記事を私も読みましたけれども、これは、私がこの前提出した質問主意書を三日間隠していたお役人に対して大臣が激怒されたという記事ですけれども、こういうことがあったんですか。

渡辺国務大臣 私はふだんから声が大きい人間でございますので、私が優しく言ったことでも激怒しているように聞こえたことはあったかもしれません。いずれにしても、三日間隠していたというのは必ずしも正確ではなくて、私のところに報告に来るのに土日なんかもあってちょっとおくれたという事実関係でございます。

長妻分科員 いや、本当にお役所からなめられておられます、お話を聞くと、渡辺大臣。

 これは、二月九日の答弁書ではこういう答弁を政府から私はいただきましたけれども、再就職のあっせん、仲介等が適正に行われる限り、別段問題ない、こういう答弁を政府の閣議決定でいただきましたけれども、この問題のないあっせん、仲介というのは、例えばどういうものが問題ないんですか、問題ないと明言しているんですか。

渡辺国務大臣 それは、たしか十六年か七年のものじゃないですか。(長妻分科員「ことしの二月九日の答弁書です」と呼ぶ)いずれにしても、今制度設計をしているところであって、どこからどこまでが行為規制の対象になるのかならないのか、それを今詰めているところであります。

長妻分科員 きょうは総務省も来られておられますので、これは私のところに戻ってきたことしの二月九日の質問主意書の答弁書、これは総務省が主になってつくったということですけれども、そうしたら総務省に聞きます。再就職のあっせん、仲介等が適正に行われる限り、別段問題ないという、別段問題ないというあっせん、仲介というのは例えばどういうものなんですか。

戸谷政府参考人 これは、各省とまとめさせていただいたものでございますが、詳細については、私どもも特に承知してございませんし、ここでこういうものであるというふうにお示しするようなものは持っておりません。

長妻分科員 何ですか、それは。これは、質問主意書で、あっせん、仲介が適正に行われる限り、別段問題ない、こういう答弁書が出ていますよ。これがコピーですけれども、ことしの二月九日です。わからないというのは、大臣もわからないんですか。だれが、これは幽霊がつくったんですか、この答弁書は。

斉藤主査 総務省戸谷局長、しっかり答弁してください。

戸谷政府参考人 各種法令その他におきまして、いろいろと指弾を招くようなことがないという状況のもとでのあっせんというのはあり得ると思っております。

渡辺国務大臣 恐らく、現行制度を前提にこういう文言になっているんだとは思いますが、先ほど来申し上げておりますように、国民の不信感を買わないような制度にするにはどうしたらいいのかという観点から今制度の設計をやっているところでございますから、今国会中にはきちんとお示しをさせていただきたいと思います。

長妻分科員 これは、押しつけ的じゃない天下りも大きい問題なんですよ、持参金型天下りと言って。財団法人が大物OBを欲しい欲しいと、押しつけじゃないですよ、財団法人の方から大物を下さい下さいと言って、金をつけて、持参金型でもらう。あるいは、官製談合型天下り。ゼネコンが、大物の天下り、欲しい欲しいと、奪い合いの人もいますよ。押しつけじゃないですよ。どんどんもらっていく官製談合型。あるいは、会計検査院は検査対象に天下って手心を加えています、会計検査院は。それだって人質型ですよ。そういうものはいいんですか。

渡辺国務大臣 先ほどから申し上げていますように、押しつけ的あっせんというのは、役所の方から要求ベースでやっているものだけではないんですね。内側から見れば別に要求していない、これは要請されて出しているものだという理解であっても、外側から見たときに、国民サイドから見たときに、これは予算と権限を背景とした押しつけのように見えるあっせんによる再就職じゃないのかと見られる場合には、これは根絶の対象になるということでございます。

長妻分科員 最後に一問ですけれども、この押しつけ的天下りは存在するというふうに記者会見でも明言されましたけれども、では、存在するということを調査して公表するというのは、二月十四日の安倍総理答弁でもございますけれども、いつごろをめどに調査、公表を。

渡辺国務大臣 今国会中に、公務員制度、国家公務員法の改正案を出す予定でございますから、そういうスケジュール観を持って各府省には調査結果を出すよう督促を、督励をしてまいりたいと考えます。

長妻分科員 どうもありがとうございました。

斉藤主査 これにて長妻昭君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして内閣所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

斉藤主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。

高鳥分科員 自由民主党の高鳥修一でございます。

 きょうは、お時間をちょうだいいたしまして、防衛省所管の問題について質問をさせていただきます。

 冒頭、記念すべき初代防衛大臣となられました久間大臣並びに防衛省の皆様に心から省昇格のお祝いを申し上げます。

 去る一月九日、防衛省昇格記念式典に私も出席をいたしてまいりました。安倍総理の訓示の中で、防衛が国家の主権にかかわる重大な任務であること、そして、内外の情勢の変化に伴い、国会議員の約九割の賛成をもって省昇格が決まったことに対する祝意がございました。

 自衛隊員には服務の宣誓がございます。「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」、これであります。総理もこの点に触れられ、過去に殉職された隊員に心から敬意と哀悼の念を述べられました。

 私が特に感動いたしましたのは、総理が、国の内外で活躍する自衛隊員一人一人の姿を脳裏に描くことができると述べられた上で、自分は最高指揮官として常に諸官とともにあるとおっしゃったことであります。心のこもった訓示に私は目頭の熱くなる思いがいたしました。

 隊員を思う温かい心のある安倍総理の強いリーダーシップのもとで、昭和三十九年の閣議決定から四十二年の歳月を経て省昇格の悲願を達成されたことに深い感動と感激を覚えるのであります。

 省昇格に伴い、国民の期待に一層こたえる組織の精強性、規律性を高めていかなければならないのであります。隊員の質的向上を図るには、教育訓練の一層の充実とともに、待遇改善によって優秀な隊員を確保できる募集体制の整備が不可欠であると思います。国防は国家の主権と独立にかかわる最も崇高な任務であり、どこの国でも最高の栄誉を受けるべきであります。残念ながら、言葉で言っても、我が国では実質が伴っていないのではないかと思います。

 そこでお伺いをいたします。

 日本を取り巻く周囲の状況、これは、不審船の侵入事案、あるいは、昨年の北朝鮮によるミサイル発射、核実験、また、中国が十八年連続二けたの軍備増強をしているなど、安全保障環境は決して楽観できるものではないというふうに思っております。

 一方、行革推進法に伴う国家公務員五%以上純減という目標と自衛官の扱いについてどうなっているか。自衛官の数というのは、職務の特殊性から我が国を取り巻く安全保障環境を十分に勘案して定めるべきであると思いますが、この点につきまして防衛大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 確かに、行政改革一般論としての公務員の削減の問題と自衛官の定数なり配置の問題とは別であります。さはさりながら、国を挙げて今財政再建に取り組んでおるときに、やはり防衛省としても努力するところはしなければなりませんから、公務員の定数削減につきましても、国は五%の純減ということを言っておりますけれども、国に準じて自衛官についても何らかの配慮をしていこう、できる範囲でやらなきゃならないということで今努力をしておりまして、給食とかその他いろいろな形で外注できるようなものについては、この削減に準ずる形で定数を減らすということはできないかということでやっております。

 そういうことで、五%というその数字そのものがきちっと決められているわけじゃございませんけれども、我々としても、国全体の動きに協力しながらやっていこうとも思っているところであります。

高鳥分科員 今、五%と決められているわけではないけれども、国の全体の方針に協力をするというお話がございました。

 行革推進法の四十四条の2を見ますと、「前項の規定の例に準じて純減をさせるものとする。」やや開きのある、幅のある表現になっておりますが、ぜひともこの点は安全保障環境を十分に勘案をされまして、慎重に進めていただきたいというふうに思います。

 景気は回復局面にございます。今後、優秀な隊員を募集するためにどのような努力をなさるお考えか。それから、募集について自治体の協力が十分に得られているのかということをお伺いいたします。

 これは自衛隊法の施行令にこのことも書いてあるわけでありますが、例えば私の地元新潟にいたしましても、災害派遣で、十六年の地震、あるいは十七年、十八年にかけて豪雪がございまして、自治体は、助けてもらうときは、ぜひお願いします、こういうことでありますが、逆にふだんの協力が十分に得られていないのではないかという現場の声も聞いておりますので、今後の募集に対する取り組み、この辺のお考えをお聞かせ願います。

久間国務大臣 細かいことについてまた事務方から話があるかもしれませんが、やはり景気の動向と募集環境というのはかなり影響しております。今まで不況のときには募集は非常に容易でございましたが、景気がよくなってくると難しくなるという点もございます。

 それともう一つは、これから少子化が、長い目で見ていきますと、十年、二十年、三十年とたちますと、ぐんぐん進むわけでございまして、そういう中にあって必要定数を確保していくというのがこれまた非常に難しいわけでございます。

 そこで、今、私をヘッドといたします防衛力の人的側面についての抜本改革に関する検討会というのを防衛省の中につくりまして、有識者も入れて、これから先、ライフサイクルも含めて、どういう形でみんなが変わってくるのか、そのとき若年定年制とか、女子の自衛官の採用の問題をどういう分野にどういうふうにやっていくのか、あるいはまた、やめた後の生活といいますか、そういう面も含めましていろいろ検討しながら、募集環境をきちっとしていきたいと思っております。

 地方自治体につきましては、これはいわゆる法律、政令で一応委任事務といいますか、そういう形で協力してもらうことになっておりまして、かなりの自治体が、全部とは言いませんけれども、かなりの自治体が協力していただいております。特に、阪神・淡路大震災を初めとする最近の状況からがらっと変わってまいりまして、自衛隊に対する募集についてはかなり協力が得られるようになってきておりますので、一〇〇%行っていないのが非常に残念なところはありますけれども、だんだんとその辺の環境はよくなってきているということであります。

高鳥分科員 阪神・淡路以来、状況が変わってきているということでありますが、ぜひとも今後とも御努力をいただきたいというふうに思います。

 次に、自衛隊独自の手当についてお伺いをいたします。

 例えば、自衛隊は職務の内容に伴いまして、自衛隊独自の手当がございます。例えば警衛隊、これは昔で言えば歩哨のようなものであると思いますけれども、勤務一回当たり七百三十円、不発弾の処理は時間当たり百十円、そして、遺体収容作業は一日千円等、危険あるいは職務の特殊性に対して報酬が十分であると考えておられますでしょうか。また、これについて改善をするお考えがおありでしょうか。

 特に不発弾の処理というのは危険と隣り合わせでありまして、私は、担当している隊員はよほど十分な手当を受けているのかなと思いましたら、時間当たり百十円ということでありますから、これは余りにも少ないのではないかなと思っております。

 改善についてのお考えをお聞かせ願います。

久間国務大臣 これもどれぐらいの不満があるかどうか、その辺の実情についてはまた事務方から聞いていただきたいと思いますが、自衛隊の給与については、基本的には一般の国家公務員に準じて決められておりまして、また、今言われました夜の警護に当たる、警戒に当たる、そういうものにつきましても、似たようなほかの職種が警察その他あるわけでございますから、そういったところとの比較考量の中で決めておりまして、一般的には、現在のいろいろなそういう特殊勤務手当というのは、まあまあのところじゃないかなと私自身は思っているところでございます。

 今言われました不発弾の処理にしましても、最近では不発弾の処理がかなりスムーズにルーチンになされてきておりまして、その時間当たりの手当が果たしてどうかという問題は、簡単で短時間に終わるということはそれだけ非常に容易なものでありますし、難しいものについては時間がかかるわけでございますから、時間で決めるというのも一つのやり方じゃないかなと思っております。

 その内容については、事務方からちょっと答えさせます。

増田政府参考人 お答えをいたします。

 今先生の方から、不発弾の処理について御指摘がございましたけれども、いわゆる時間当たり百十円と申しますのは、爆発物取扱等作業手当の中で、不発弾等の、わかりやすく言えば捜索するというようなものについては時間当たり百十円でございますけれども、通常の不発弾の処理と言われておりますような信管の除去作業、それから不発弾を実際に手掘りをして発掘していくというようなものについては、日額五千二百円というような形の手当を支給しているところでございます。

 そういうところでございますけれども、今後とも、いろいろ実情を調べまして、必要なところは改善をしていきたいと思っているところでございます。

高鳥分科員 ありがとうございます。

 今、信管を除去するとか、実際の処理の作業は日額五千二百円ということでありましたが、それにしても、私はまだまだこれは十分な報酬とは考えられないと思いますので、ぜひともこの点は今後改善をしていただきたいと思います。

 次に、賞じゅつ金のことをお伺いいたします。

 いわゆる命の重さの関係をお聞きしたいと思うんですが、私の地元には陸上自衛隊の高田駐屯地がございまして、その隊員が、しばらく前でありますけれども、おれたちは命の重さが軽いからなと、ぼやきのような形でありますけれども、こういうことを言われたことがあります。

 ちょっと調べてみましたら、ほかの職種は、一律には比べられないかもしれませんが、警察官あるいは消防官との比較において、片や、これは万が一ということがあってはならぬわけでありますけれども、万が一のときの弔慰金あるいはお見舞金の上限が九千万、自衛隊の場合は六千万ということでありまして、三分の二になっている。何でこのようになっているのか。これはやはり士気の低下に私はつながると思いますので、今後改善すべきではないのかと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 この賞じゅつ金につきましても、これは地方自治体の、今言われる警察官の場合もそうですけれども、これは六千万から九千万、県によって九千万のところもありますし六千万のままもございます。自衛隊の場合は、原則三千万でございましたのを、附則で訓令の手当を変えて六千万までしております。それから、この間、イラクに行った場合には、非常に危険性があるところにあえて行くということもありまして、また附則で三千万上積みして、五割アップで九千万までしておりますから、自衛官の場合もそういう場合には九千万までの上限があるわけでございます。

 どの辺に決めるのがバランス上いいのかというのは、これまた非常に難しい点もございます。都道府県のものが全部九千万までアップしてしまうと、みんな大体六千万で、三千万が三千万上がって、それが県によって九千万になった。ところが、みんなが追っかけて九千万になったけれども、県によってはまだ六千万のままだというところもございますので、その辺は、賞じゅつに値する場合を、どの程度の頻度があるのかどうか、そういうことも考えながら今後検討させていただきたいと思います。

 イラクに行ったときに九千万の例が出ておりますから、内容によっては九千万をほかにもつくってもいいんじゃないかと思いますけれども、今の段階でそういうような、より危険度の高い状況がちょっと想定しにくい点もございますので。

 ちなみに、これはいわゆる公務災害の補償金とはまた別でございますから、公務災害の補償金は補償金として別途の制度でございますので、賞じゅつ金としてどれがいいかというのは、一概になかなか……。地方の公務員の上限がそうだからということで、果たしてそれで命が軽いか重いかというような、そういうことにはならない。上限がありましても、内容によって違うわけでございます。

高鳥分科員 確かに、そういう説明を聞けばそうなんでありましょうけれども、現場で働いている人たちはなかなかそのように理解をいただいておりませんで、上限の額だけを見てそのように感じてしまう、そういう実態もあると思うんです。ですから、この命の重さの格差是正は、ぜひ今後取り組んでいただきたいと思います。

 次に、先ほど大臣もちょっと触れられましたが、定年制の関係と、定年後の生活保障の充実ということをお聞きいたしたいというふうに思います。

 若年定年制の関係で共済組合員としての期間も短く、年金受領までに若干の保障はあるものの、再就職の保証もなく、不安定な状況にある。国民のために身を挺して勤務した割には、決して処遇がよいとは感じない。これは現場の声でありますけれども、退職後、自衛隊病院などの医療関係、あるいは共済組合の各種制度を組合員並みに、若干の負担をするにしても利用することができないのだろうか。諸外国の軍隊との比較において、我が国では退職後の保障が薄いのではないかと思いますが、この点をお伺いいたします。お願いします。

久間国務大臣 確かに、アメリカなんかでは、やめた後も軍の病院に行った場合には、ほかの一般の人よりも軽い負担で済むような制度になっております。しかし、我が国の場合は、現職の自衛官であろうとやめた人であろうと、保険制度が充実しておりまして、自己負担の率というのは決まっておるわけでございますから、そういう点ではそれほどの大きな差はないわけであります。

 共済組合に入るか入らないかは、やめてから二年間ぐらいは共済組合としてのいろいろな恩典、それは自分も組合費を継続すれば継続組合員としての制度を二年は認めておりますけれども、これも、共済組合に入っていても入っていなくても、言うなれば共済の保養所その他いろいろな施設も使えるわけでございますので、果たしてどれぐらいが、やめた後、これは非常に肩身の狭い思いをしていることになっているのかどうか、この辺は実態も調べた上で、これから先、共済制度の、共済組合の利用の仕方等の関係については、今言いましたいろいろな検討委員会も含めて検討していこうと思っております。

高鳥分科員 次に、海外に勤務した場合の手当についてお伺いしたいと思うんですが、外務省職員の海外手当、これはいわゆる在外公館手当のようなものでありますが、これは非課税であるのに対して、自衛隊の海外手当、例えば国際平和協力手当等は所得税が課税をされている。これはどういう理由なのか、教えていただけますか。

久間国務大臣 外務省の場合は、在外勤務をしている場合は、言うなれば在外勤務に必要な経費としての在勤手当として出ているわけでありますが、自衛官の場合、在外的に行った場合、例えばイラクに行きますとか、いろいろなところ、この間のアフガンでインド洋に行っているとか、こういう場合はいわゆる報酬として組み込まれておりますから、いわゆる必要な経費として認めているのか報酬として認めているのか、その違いで税の対象になるかならぬかだと思っております。

高鳥分科員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、視点を変えた質問をさせていただきます。

 海上防衛力の整備についてでありますが、日本においては潜水艦の数は十六と決まっているというふうに聞いております。そのため、現在、実際の潜水艦の耐用年数は二十五年ほどであるというふうに聞いておりますが、にもかかわらず、十六年ごとに廃船にしているということであります。この十六に制限されている理由は何でしょうか。

久間国務大臣 これは防衛大綱で、我が国の潜水艦として配備するのにどれぐらいが適当か、そういう議論をした上で、我が国を守るためには十六隻、練習用の潜水艦二隻があればいいということで、それも含めて十八隻でいい、そういうことになっておるわけであります。

 それと、耐用年数、今二十五年とおっしゃいましたけれども、そうじゃございませんで、潜水艦というのは、つくられる過程も違いますけれども、それと同時に、水圧を受けますので、一定年数たったときに、例えば十二年なら十二年たったときに、あとどれぐらいもつか、そういうようなことで検査をしまして、それでやっておりますから、各個艦ごとに耐用年数というのは非常に変わってまいります。そうしてみますと、全部で二十五年というそんな長い期間じゃなくて、平均しても十八年ぐらいじゃないかなという、そこもまた事務方から詳しく聞いていただければ結構ですけれども、そういうようなことでございますので、その個艦ごとに耐用年数を、あとどのくらいもつかを調べまして、そして十六隻の体制を維持しているわけであります。

高鳥分科員 今、検査をなさるということで、それは当然のことであると思いますが、お聞きしている限りにおきましては、十六年ごとに廃船にして、毎年、ここのところ一隻建造しているということでありますから、これは一チーム、一つの潜水隊が四隻ということでありますが、この潜水隊が四掛ける四で十六ということになると思いますが、これが例えば五潜水隊でもいいわけでありましょうし、その辺を無駄のないようにぜひやっていただきたいと思います。

 次に、同じく潜水艦に関してでありますが、過去に中国の原子力潜水艦による我が国の領海侵犯事案が発生をいたしておりますが、原子力潜水艦に対してディーゼル潜水艦で追尾ができるのでありましょうか。これは速度は半分ぐらいというふうに理解いたしておりますが、原子力潜水艦から長距離巡航ミサイルを発射することが可能である以上、我が国も原子力潜水艦に対抗する抑止力を持つ必要があるのではないかと思いますが、大臣の御所見をお聞かせください。

久間国務大臣 我が国の防衛は専守防衛という形で取り組んでおるわけでございまして、そういうときに、今の十六隻の潜水艦と、それから、その潜水艦だけではなくて、その他の艦船、あるいはまた艦船搭載のヘリ、いろいろなことを利用しながら対潜の防御に当たるわけでございまして、ここでディーゼルエンジンの潜水艦が原子力潜に比べて追尾能力がどうだこうだということを申し上げるわけにもまいりませんけれども、そういう意味で、総合力で対抗しようとしているわけでございまして、今のところ、それで一応対抗できると。

 よそまで出かけていって、そこで、ほかの船なり航空機が稼働できない、P3Cその他が行けないような状況の中で、対潜戦争といいますか、それをやるわけじゃございませんので、専守防衛という観点から考えますと、現在の体制で一応十分である、そういうふうに考えているところでございまして、原子力潜水艦を持つ考えは今のところ持っておりません。

高鳥分科員 ありがとうございます。

 我が国の防衛をしっかりと責任ある体制にしていくためには、今後、海上防衛ということも非常に重要であると思いますので、また引き続き御努力をいただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、最後に一問。

 私の地元のことで恐縮でありますけれども、私の地元には陸上自衛隊の高田駐屯地がございます。これは、かつては陸軍の第一三師団、独立山砲第一連隊、また山砲兵第一九連隊など、旧軍時代から九十八年の歴史と伝統を有する駐屯地であります。現在、この駐屯地の出入り口というのが東門一カ所になっております。自衛隊の施設として、いついかなる場合、緊急的な出動をしなきゃならぬ場合もあると思いますから、この出入り口が一カ所というのは、設備的な問題があるのではないかなというふうに思います。

 今、西門を整備するという計画があるわけでありますが、この計画の現状と今後の見通しについてお聞かせ願いたいと思います。

富田政府参考人 お答えをいたします。

 恐縮でございますけれども、先生、東門とおっしゃいましたけれども、現在、西門が一カ所でもって非常に支障があるということでございます。

 そこで、現在、御指摘のように東側につきましては門が一つもないということでありますけれども、そもそも道路ができていないということで現在ないわけでございますけれども、ここにつきましては、上越市が東側に計画しております新たな道路がありますが、その完成時期に合わせて東門を設置するということで、道路に合わせて設置しませんと宝の持ち腐れといいますか、そこで解消できないということでありますので、その際には、西と東でもって二つの門を運用するということでございます。

高鳥分科員 済みません、今私の発言を訂正させていただきます。西門一カ所になっておりまして、東門を整備するということであります。

 道路の関係は、やはり上越市との連携ということになると思いますけれども、特にこの駐屯地があるところは高田城址でありまして、桜の名所でもございます。花見の時期になりますと、大勢の観光客でこの駐屯地の周辺は、かなり道路が身動きとれないぐらい混雑をいたします。それを考えましても、自衛隊の駐屯地という性質上、早急に二方向から出入りができるように整備に対して御支援をいただきたいと思います。

 最後になりますが、国家の主権と国民の安心、安全を守るために省を挙げて頑張ってくださることを心からお願い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて高鳥修一君の質疑は終了いたしました。

 次に、林潤君。

林(潤)分科員 自由民主党の林潤です。

 本日は、予算委員会の分科会ということで、国及び周辺自治体に絡みました防衛問題について質問させていただきます。

 私の選挙区は神奈川県第四区という湘南と横浜の一部にまたがった地域でありますが、この中に米軍家族住宅を抱えた逗子市を含んでおります。

 御存じのとおり、逗子市は池子の森の横浜市域側の米軍家族住宅の追加建設計画の撤回を求め、国に裁判を起こしております。逗子市は、先月十五日の東京高裁による控訴審で訴えが棄却されたことを受けまして、市議会に最高裁上告のための費用を盛り込んだ補正予算案を提出いたしました。

 結果として、予算案が市議会で否決をされまして、逗子市は国への訴えを継続できないこととなりました。しかし、市が上告する予算を盛り込んだことは、すなわち上告する意思があったとみなされるでしょうから、四者協議に向けた見通しが不透明になってきたわけでありまして、住民の意思、そして地域にとっての益、さらに国益とは何かを、国と地元とのパイプを果たすべく地域選出国会議員として考えさせられたわけであります。

 一方、逗子市の隣接自治体の米軍施設にかかわる取り組みを見ておりますと、横浜市は三年前から、米軍住宅などの建設と施設の返還について、国と具体的協議に入りました。それから、小柴貯油施設の返還を初め、全部の返還に備えて跡地利用の検討を進めております。また、横須賀市も昨年六月、米海軍横須賀基地への原子力空母の配備について、初めて容認する考えを示しました。受け入れを前提とした現実対応に現在切りかえているところであります。

 こうした中、今回の逗子市の対応について国はどのような所感を持っているか、お聞かせ願います。

北原政府参考人 林先生に御答弁申し上げます。

 今先生御指摘の、私どもが現在進めております池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域におけます米軍家族住宅等の建設についてでございますが、現在これは、私ども基本構想の策定作業を実施しているところでございまして、この事案の着手に先立ちまして、私どもといたしましては、平成十六年十月に横浜市長さんから回答をいただいているところでございます。その中には、米軍住宅等の建設、それから今先生御指摘になりましたが、施設の返還に係る具体的協議に応じてまいりたい、その際には、周辺の影響だとか、それからまた施設返還に係る課題について真摯に取り組んでもらいたい等々の内容でございます。

 これについて、今先生御指摘のように、逗子市は、平成六年十一月の三者合意に反するということで訴訟を起こしているわけでございます。

 私どもといたしましては、あくまでも三者合意というのは、池子の逗子市域におけます家族住宅建設等をする場合の国と、それから逗子市と、それから県といった三者での話し合い、緑地の環境保全等に努めるといったことを合意したものでございまして、当然のことながら、先ほど御回答いただいた横浜市長さんは入ってはいないわけでございます。

 今先生御指摘のように、去る二月十五日にそうした国側勝訴の判決をいただいているところでございます。その後の、今、上告の話がございました。この点については、逗子市の御判断でございますので、私どもといたしましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思っておりますが、御承知のように、横浜市域におけます米軍家族住宅などの建設というのは、神奈川県におけます在日米海軍の当面の住宅不足の解消を図るとともに、強調させていただきたいのは、神奈川県におきます六カ所の米軍施設・区域、これはトータルで約四百十九ヘクタールという大変大規模なものでございます。その返還に道を開くものでございますので、引き続き我々といたしましてはその実現に向けて努力をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。

林(潤)分科員 こうした建設もやはり地元の理解あってのものと思いますので、適正な形で現実的に話し合いを進めていってもらいたい、このように思うわけであります。

 さて、先ほど横浜市の話もさせていただきましたが、一昨年の十月、日米両政府が在日米海軍横須賀基地に原子力空母を二〇〇八年に配備することで合意をいたしました。横須賀市も、通常型空母の配備を求めまして国との折衝を重ねてまいりましたが、昨年六月、安全性について政府保証を得たこと、そして通常型空母の配備の可能性が全くなくなったことから、配備の容認をいたしました。

 これを受け、反対する市民たちは、横須賀市への原子力空母配備への是非を問う運動を起こしまして、住民投票の条例制定を求めまして、昨年までに四万人を超す署名を集めました。結果として市議会は条例を否決いたしましたが、この基地の町横須賀で、有権者換算しますと九人に一人という、決して少なくない割合の市民が署名したことは事実であります。

 こうした原子力空母の安全性の保証に関しましては、一義的には国が地元の理解を深めるべきだと考えますが、国も、安全性に関するファクトシートの内容を地元自治体へ説明するなど、努力した経緯も見られると思っております。

 そこで、国はこれまでどのような取り組みをしてきたのか、そして地元への説得は十分だったと考えるか、お聞かせ願います。

西宮政府参考人 御答弁させていただきます。

 米国の原子力軍艦の安全性につきましては、米政府は、昨年四月でございますか、御指摘のファクトシート、説明資料というものを含めまして、累次にわたり政府声明や覚書等によりその安全性を保証してきております。また、米原子力軍艦は長期にわたる安全運航の実績があり、これらを踏まえ、政府といたしましては、米原子力軍艦の安全性につき一貫してこれを確信してきているところでございます。

 政府としましては、本件空母交代に関する地元の御理解が不可欠であると考えております。このために、地元自治体も参加する形で、安全対策に関する協議を米側との間で行ってきておるほか、地元の方々からも政府の立場につき御理解を得るべく、外務省で米海軍の原子力艦の安全性についてのパンフレットを作成するなどの努力を行っているところでございます。なお、このパンフレットにつきましては、外務省のホームページにも掲載してございます。

 政府といたしましては、引き続き米側と連携しつつ、地元の御理解が得られるよう努力してまいる所存でございます。

林(潤)分科員 先ほど、そのパンフレットの話が出ました。「米海軍の原子力艦の安全性」という題でありまして、原子力艦の受け入れのための啓発用に外務省で作成いただいたパンフレットでございます。字も割と大きいですし、図や写真も多い。随所で工夫が見られまして、評価できる点もあると思います。

 ただし、言い回し、文章にたまに専門的なものが出てきたり、結構難しいところもありまして、老若男女、小学生からお年寄りまであらゆる市民に理解されるように、さらに図やイラストに特化して、平易な内容で、そしてページ数も少ないバージョンを作成することも検討し、さらなる住民理解を深める努力をしてもらいたいと考えますが、外務省のお考えをお聞かせください。

西宮政府参考人 御指摘のパンフレットにつきましては、私どもといたしましても最大限わかりやすいものにいたしたいと思って努力してまいったわけでございますが、引き続き、先生の御指摘を踏まえまして、パンフレットを含め、どのような方法で御理解をより一層得られるようにできるか、広報につき考えてまいりたいと思います。

林(潤)分科員 こうしたパンフレットも含めまして、ホームページでも拝見できるということで、一層わかりやすい、努力をしていただきたいと思っております。

 しかしながら、残念なことがございます。こうした安全性に対しまして、内容が浸透していないのかということを、地元住民の方々と話してみると感じることがございます。原子力空母そのものに国民的な大きな誤解があることは、私は問題ではなかろうかと思っているわけであります。

 例えば、市民の中には、原子力空母が万が一事故を起こした場合、放射能漏れなどで核の危険にさらされるという心配が現実にございます。横須賀市でも原子力事故に対応した防災訓練を実施しておりますが、こうした心配をする住民というのは実に多いわけでございます。

 現実に、一九六四年から四十年以上、米国の原子力艦は約千二百回日本に寄港しておりますが、人体はおろか生体に影響を与える放射能漏れというものは一件も確認されていないことを考えますと、核の危険にさらされるという議論は根本的な誤解ではないかと思うわけであります。

 また、原子力空母の受け入れは非核三原則と整合性がとれないのではないかと心配する声もございますが、これも、動力としての原子力と核兵器のための原子力を混同している議論なわけでありまして、原子力艦は核兵器と違うということで、これも根本的な誤解と言えるわけであります。

 ここで私が言いたいことは、そもそも、こうした根本的な誤解があることに対しまして、国は真っ向から誤解を解こうとしてきたのか。国益を考えれば、日本を初めとしてアジア太平洋の平和と安定に貢献することになり、我が国に対する他国の攻撃に対しても大きな抑止力につながるわけであります。だからこそ、国は国益を守るために説明責任の義務があると考えるわけであります。

 防衛は確かに国の専権事項でありますが、地元自治体の協力と住民の理解あってこそのものであります。それならば、行政に対する今までの説明だけではなく、市民集会のような形で地元住民に直接説明する機会があってもよかったのではないか。今後、具体的に市民集会のような説明の場を持つ考えはあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

西宮政府参考人 御指摘のような、市民集会という具体的な形で今計画されているものはございませんけれども、政府といたしましては、引き続き、米側とも連携しつつ、地元の御理解が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと存じます。

林(潤)分科員 最大限の努力といいましても、自治体だけではなく、やはり、住民の理解がどれだけ進んでいるかということを、世論というものを国の方できちんと感じ取る努力が必要かというふうに思います。それを抜きにしまして来年の夏までに原子力空母を配備するということは、いろいろな形で現実的対応がなされたといたしましても、さらに住民に対して安全性を説明してし過ぎることはないと思うわけであります。

 そうした形から、私は今回きちんと、そういう方向に向けていきたいというような言質をいただきたかったわけでありますけれども、引き続き努力ということで、そうした市民集会等も含んだものというような形で進んでいただきたいと希望をするわけでございます。

 さて、原子力空母の安全性ばかりを議論しましたが、性能的にもまた環境的にも、通常型よりはるかにすぐれた部分を持っております。例えば、インドネシアのスマトラ沖地震で災害救助に向かった際には、燃料補給の必要がないため、通常型より丸一日早く到着したと聞いております。そこで、通常型に比べまして性能的、環境的なメリットをお聞かせ願いたい。

西宮政府参考人 原子力空母に関するお尋ねでございますが、米側から聞いておりますところで私どもとして理解しておることを述べさせていただきますと、原子力空母は通常型空母に比して以下のような能力、運用面の諸点においてすぐれている旨の説明を受けております。

 一つは、加速性能、加速力が格段にすぐれておるということでございます。二つ目は、ただいま御指摘もございましたけれども、航行中の燃料補給が不要であるという点でございます。また、そのことと関連いたしますが、三つ目に、艦載機のための航空燃料貯蔵量が通常型の二倍、弾薬貯蔵量が通常型の一・五倍であり、二倍の期間にわたって戦闘作戦行動を遂行することが可能であるというふうに理解をいたしております。また、実際問題といたしまして、現存する通常型空母と比べますと新しい艦であるということも手伝いまして、近代的な設備、指揮統制システムを有し、海軍で最も進んだ通信機能を備えているというふうに理解をしております。

 安全面につきましては、繰り返しになりますけれども、米国政府は累次の機会に原子力空母を含む原子力軍艦の安全性を日本政府に対して保証してきております。

 例えば、先ほどもございましたけれども、原子力軍艦の安全性を詳しく説明した説明資料、ファクトシートを発出しております。先生もおっしゃったとおり、米国の原子力軍艦は、過去約千三百回と理解しておりますが、我が国への寄港を通じて安全運航の実績を有しておるわけでございまして、これらを踏まえまして、政府といたしましては、米国の原子力軍艦の我が国寄港時の安全性を一貫して確信しているところでございます。

 政府といたしましては、このような特徴を有する原子力空母への交代を通じまして我が国周辺における米海軍の展開が引き続き維持されることは、我が国の安全及びこの地域における国際の平和と安全の維持に寄与するものであると考えております。

林(潤)分科員 せっかくこうした形で来年夏に原子力空母が入りまして、安全性のこと、そして通常型に比べて性能的なメリット、こうした点も多々あるわけです。日本人の中に核について議論することにアレルギーが大変にあるということは重々承知をしているわけであります。しかしながら、これも先ほどの繰り返しになりますが動力としての核でありますので、これまで重油で進んでいた通常型から原子力にそれがかわるという、これが時代の流れであるということをきっちり国民に、住民に説明する義務が国にはあると思いますので、一層の啓発普及を進めていただきたい、それについての啓発予算もさらにたくさんとっていただきまして今後もさらに進めていただきたいと思うわけであります。

 さて、この原子力空母は来年夏に配備が前提となっておりますが、原子力空母はこれまでに国内に寄港したことはあったといたしましても、配備されることによりましていわゆる母港化ということは横須賀が初めての事例になるわけであります。横須賀市は、原子力艦とはいえ原子炉を持った地域ということになるわけであります。

 一方、海の方ではなく、陸の方の原子力発電所におきましては、立地する県や市など自治体に対しまして電源立地地域対策交付金というものがありまして、効果的な電源地域の振興を図るため、公共施設整備から福祉対策まで幅広い事業を実施するのに交付されていると聞いております。

 そこで、原子力艦が配備された周辺自治体に関しましては、交付金など補償について国は検討しているのか、また、検討しているなら隣接地域として当該地の横須賀市以外に葉山町など周辺地域は入るのか、お聞かせ願います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今般の米軍再編の特別措置法案におきましては、「駐留軍等の再編」ということで定義を置きまして、これの運用の態様の変更とか、そういうことにつきまして交付金が交付できる仕組みをつくっておりますけれども、先生御指摘の横須賀海軍施設における空母の原子力空母への交代についても、本法案に基づく措置の対象としております。

 ただ、具体的な交付金を交付する市町村名につきましては、この法案の成立後、関係の法令の規定に基づいて防衛大臣が指定することになりますので、現時点で具体的にどの市町村にこれが支給されるかということについてお答えすることは困難でございます。

林(潤)分科員 ぜひ、当該地以外の周辺地域の住民感情というものを考慮しながら、大臣も含めて適切に御検討いただきたいと切に要望するわけであります。

 次に、在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる思いやり予算について質問をさせていただきます。

 日米安保を堅持するためとはいえ、地元住民の理解と負担あってこその米軍施設であります。時には緑や海の環境が破壊されたり、住民の理解が得られにくいこともございます。私の地元の逗子や横浜だけでなく、基地が集中している沖縄初め全国でおよそ二千二百億円を計上しているこの思いやり予算。その内訳は、日米地位協定に基づき家族住宅や従業員の給与、光熱費等が含まれております。

 まず、米軍基地がある世界各国の中で日本のような思いやり予算は国際的に当然のことなのか、また、日本の負担金は比較的高額であるという指摘に対してこれは事実なのか、お聞かせ願います。

西宮政府参考人 いわゆる思いやり予算についてのお尋ねでございますが、まず一般論として申し上げますと、各国が負担しております米軍駐留経費、関係経費などにつきましては、それぞれの国を取り巻く安全保障環境などさまざまな要因を総合的に勘案して負担されているものでございまして、この種の経費を単純に横並びで比較する、あるいは評価するというのはなかなか難しい点があるかと思います。

 また、在日米軍駐留関係経費につきましても、日米でそれぞれどういう負担割合になっていくのかという点につきましては、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲をどのようにとらえるのか、あるいは比較する際の為替レートが変動いたしますので、一概にこれを算定、比較し得るものではないと思いますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、日米双方の置かれている状況のもとで在日米軍駐留経費負担について適切に対応してきているつもりでございます。

 今後とも、厳しい財政事情にも十分配慮して、所要の見直しを図りつつ、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するため適切に対処してまいる所存でございます。

 次に、そうした駐留経費がどのくらいの割合になっているかというお尋ねでございます。

 これにつきましては、先ほど申し上げました事情もございまして簡単に横で比較するのは極めて難しいと思いますが、単純に、公表されている数字ということで申し上げますと、一昨年十一月に公表されましたアメリカ国防省の報告書がございまして、そこでは米軍駐留経費に関する我が国の負担総額は約四十四億ドル、負担割合が七四・五%とされ、総額、割合いずれもアメリカから見て主要同盟国の中では第一位とされているというふうに承知をいたしております。

 なお、この国防省の報告書は大分古いものでございます。間もなく新しいものが出てくると思いますが、ただいまの数字はいささか古いものでございまして、その点御了承いただければと思います。

林(潤)分科員 単純比較はできないということは十分に理解させていただいております。そして、日米安保のために必要なものである、こうした認識もいたしております。

 しかしながら、振りかえってみまして、やはり我が国の防衛は我が国でしっかり守る、日本は独立国である、そういう意識をきちんと持っていただきながら、こうした中で日米安保のために使うものというような考えで、それからもう一つ、財政事情というものも考慮していただきながら、これからも適切な対応をしていただきたいとお願いをするわけであります。

 さて、昨年の七月に北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル七発を発射したことによりまして、弾道ミサイル防衛システムの重要性がますます高まっております。しかし、この発射に対しまして、海上自衛隊のイージス艦BMDシステムは、整備途上ということで十分な対応がとれたかとれなかったか、こうしたところに一国民として疑問が残るわけであります。国民の生命を守るためにも一刻も早い整備が急がれるわけであります。

 昨年の夏には、SM3を搭載いたしました米海軍のイージス艦シャイローが横須賀基地に配備をされました。そこで、BMDシステムとペトリオットPAC3によります多層防衛システムの実用化に向けましては、米国との連携も含めてどのように対応していくのか。大臣に、実用化に向けた意欲などを含め、見通しをお聞かせ願います。

久間国務大臣 これも十年前、私が防衛庁長官になりましたときに、ミサイル防衛は避けて通れないということで、技術研究を共同でやろうじゃないかという話がございました。しかしながら、そのときはガイドラインの取り決めをやっておりましたので、まず周辺事態法を先にやるので、ステップ・バイ・ステップでやりましょうということで、私の次の額賀先生のときにたしかこれは研究に入りました。その後、開発整備はだんだん研究から技術開発になって、それからやっと日の目を見ることになりまして、おくればせながら今現実のものとなってきたわけであります。

 したがいまして、私たちとしてもできるだけ早くやろうと思っておりますけれども、これはやはり予算の面もございます。それと同時に、開発そのものがまだ時間もかかるわけでございまして、今のままでいきますと二十三年度までかかってしまいますので、それを一日も早く、一年度でも前倒しができないかということで取り組んでいるところでございます。

 ようやく今度、入間の方に、あるいはまた佐世保の方にイージス艦なりPAC3なりが入るようなことになってきておりますけれども、これから先、早期にこれを配備したいという思いで、これから先の予算面でも取り組んでいきたいと思っております。

林(潤)分科員 早期の実現に向けて、ぜひ大臣の前向きな取り組みを進めていただきたいと思います。

 最後に、防衛に関する機密情報管理とメディアの関係について質問いたします。

 防衛省の幹部が新聞記者へのリークが原因で家宅捜索されるというニュースが先月十六日に一斉に報道されました。報道への情報提供そのものが罪に問われるということは異例でありまして、メディアが報道を手控えることによりまして国民の知る権利が侵害されてしまうという懸念もあるわけであります。

 防衛秘密については、無論、国益の観点から守るべき機密も多々あるだろうし、漏らしたら処分されるのは当然だと思っております。また、自衛隊法も規定がございまして、二〇〇〇年の駐日ロシア武官の事件ということ、これで守秘義務がさらに厳しくなったことも承知しております。

 しかし、報道機関が適切な方法で取材したとしても、記者へのリークが原因で情報提供者が捜査の対象になるとすれば、結果としてジャーナリズムが事実を伝えられない、あるいはおくれることにつながってしまいます。こうした点を考慮して、国家機密とメディアの関係は健全であるべきだと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。

久間国務大臣 情報等についてはできる限り公表し、あるいは公開して、それはオープンにするというのが必要でございます。

 一方、それを公表したり公開しますと、もう二度とそういう情報が得られなくなるということもありますし、あるいはまたそれが致命傷になる場合もございますから、その辺の兼ね合いをどうするかが難しいわけでございます。

 しかしながら、今御指摘されました内容については、現在、司法的な手続が進んでおりますので触れるわけにまいりませんが、一般論で申しますならば、やはり罰せられるのは、これは非常に防衛秘密であるということを認識した上でそれを漏らすときに罰せられるわけでありますから、そういうことによって一つの大きな枠がはまっておるわけでございますので、そのことによっていわゆるマスコミの取材が萎縮するというような、そういうことはないわけでありまして、堂々としたマスコミの情報収集であるならばそれは問題ないわけでございますから、私はそこでおのずから線が引かれると思います。

 暴力的な手段により、あるいはまた暴力以外のいろいろな手段により、あるいはまたほかに策を弄して違法なことによってやるような場合、そういう場合には双方が罰せられることはありますけれども、防衛秘密というのは原則として漏らした方が罰せられることになっておるわけでございますから、共犯でない限りは、情報収集した側が罰せられることはないわけでございます。

 それは一般論でございます。

林(潤)分科員 十分に理解させていただきました。私も新聞記者出身の国会議員ということで、適切に対応していただきたいとお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

斉藤主査 これにて林潤君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして防衛省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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