衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      井上 喜一君    金子 一義君

      倉田 雅年君    佐藤 剛男君

      中馬 弘毅君    笠井  亮君

二月二十六日

 倉田雅年君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 倉田 雅年君

      安次富 修君    井上 喜一君

      金子 一義君    佐藤 剛男君

      篠田 陽介君    高鳥 修一君

      中馬 弘毅君    林   潤君

      藤井 勇治君    笠井  亮君

   兼務 桝屋 敬悟君

    …………………………………

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (拉致問題担当)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)

   (消費者行政推進担当)  岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)  渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   内閣府副大臣       木村  勉君

   内閣府副大臣       山本 明彦君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   内閣府大臣政務官    戸井田とおる君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   衆議院事務総長      駒崎 義弘君

   参議院事務総長      小幡 幹雄君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 濱坂 豊澄君

   裁判官訴追委員会事務局長 白井  始君

   国立国会図書館長     長尾  真君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   会計検査院長       伏屋 和彦君

   最高裁判所事務総長    大谷 剛彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   原田 正司君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            板東久美子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  清水  治君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    池田 克彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中村 明雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局食糧部長)         奥原 正明君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            長尾 尚人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局次長)          神谷 俊広君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   内閣委員会専門員     杉山 博之君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   安全保障委員会専門員   板垣 芳男君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  井上 喜一君     高鳥 修一君

  金子 一義君     林   潤君

  中馬 弘毅君     藤井 勇治君

  笠井  亮君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  高鳥 修一君     安次富 修君

  林   潤君     篠田 陽介君

  藤井 勇治君     赤池 誠章君

  石井 郁子君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     井上 喜一君

  赤池 誠章君     中馬 弘毅君

  篠田 陽介君     金子 一義君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

同日

 第五分科員桝屋敬悟君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

倉田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました倉田雅年でございます。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長、よろしくお願いします。

風岡政府参考人 平成二十年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十年度における歳出予算要求額は、六十七億七千四百八万七千円でありまして、これを前年度当初予算額六十八億二千四百二十七万二千円と比較いたしますと、五千十八万五千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費六十一億七千二十四万九千円、皇族に必要な経費二億七千九百八十三万八千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億四千三百二十六万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十四億二千六百九十八万七千円でありまして、前年度に比較して五千三百三十八万八千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三百二十万三千円の増額となっております。これは、憲仁親王第二女子典子女王の御成年に伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

倉田主査 ありがとうございました。

 以上で説明は終わりました。

 それでは、風岡さんは御退席して結構でございます。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。駒崎衆議院事務総長。

駒崎事務総長 平成二十年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、六百六十九億九千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十五億一千万円余の増額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、まず、国会の権能行使に必要な経費として四百十八億五千万円余、本院の運営に必要な経費として二百十五億二千三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 増加した主なものは、新議員会館整備等事業費、G8下院議長会議の開催に必要な経費、新会議録作成システム構築経費でございます。

 一方、減少した主なものは、職員諸手当、青山・高輪議員宿舎の維持管理経費でございます。

 次に、本院の施設整備に必要な経費として十五億四千万円余、民間資金等を活用した本院施設整備に必要な経費として二十億六千九百万円余を計上いたしております。

 これらの主なものは、本館外部建具改修費、国会審議テレビ中継施設整備費及びその他本館等庁舎整備費並びに新議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費でございまして、七百万円を計上いたしております。

 以上、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

倉田主査 では、次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。小幡参議院事務総長。

小幡参議院事務総長 平成二十年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度国会所管参議院関係の歳出予算額は、四百三億九千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十六億一千五百万円余の減額となっております。

 これは、主に、前年度に計上されました通常選挙に伴う改選関係経費の減額によるものであります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百十九億五千万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十九億八千九百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十七億六千七百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として六億七千九百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、国会審議テレビ中継施設整備、新清水谷議員宿舎整備、本館外壁・建具改修、議員控室内装改修等に必要な経費及び新議員会館の整備に係る不動産購入費であります。

 次に、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

倉田主査 大変ありがとうございました。

 続いて、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。長尾国立国会図書館長。

長尾国立国会図書館長 平成二十年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は、二百十九億六千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九億九千二百万円余の減額となっております。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、九十六億九百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、七億三千五百万円余の減額で、これは、主として、退職手当の減額によるものであります。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、資料費及び事務費等として九十四億四千五百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、三億四千七百万円余の減額となっておりますが、特に、デジタル・アーカイブ及び電子図書館コンテンツの構築に重点を置いて増額を図っております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十一億七百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千万円余の増額となっております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十八億百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千九百万円余の増額となっており、関西館第二期建設準備に重点を置いております。

 以上、平成二十年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

倉田主査 御苦労さまです。

 続いて、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。濱坂裁判官弾劾裁判所事務局長。

濱坂裁判官弾劾裁判所参事 平成二十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億一千七百九十六万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百二十八万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。

 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

倉田主査 ありがとうございました。

 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取します。白井裁判官訴追委員会事務局長。

白井裁判官訴追委員会参事 平成二十年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億三千四百八十三万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百四十万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でございます。

 以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

倉田主査 御苦労さまでした。

 以上で説明は終わりました。

 それでは、御説明いただいた方々は御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取します。大谷事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成二十年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千二百七十五億八千百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千三百三億九千四百万円と比較いたしますと、差し引き二十八億一千三百万円の減少となっております。

 次に、平成二十年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、増加し、かつ、複雑困難化している民事事件、刑事事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図り、また、裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官百人、合計百七十五人の増員及び振りかえによる書記官二十人の増加をすることとしております。

 他方、平成二十年度には百人の定員合理化をすることとしておりますので、差し引き七十五人の純増となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、二百二十六億五千六百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として七十五億六千二百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員経費、労働審判員経費、知財事件関係経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として七十八億七千九百万円を計上しております。この中には、精神保健審判員等経費、鑑定入院命令に基づく入院経費、裁判員制度施行準備経費、裁判員制度広報経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として七十二億千五百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、裁判員制度導入のために必要な施設を整備し、庁舎の老朽狭隘化に対応するための経費として二百億四千三百万円を計上しております。

 以上が、平成二十年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどをお願いします。

倉田主査 御苦労さまです。

 以上で説明は終わりました。

 大谷さん、御退席いただいて結構です。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。伏屋会計検査院長。

伏屋会計検査院長 平成二十年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十年度予定経費要求額は、百七十五億一千二百五十一万円余でありまして、これを前年度当初予算額二百十五億九百七十九万円余に比較いたしますと、三十九億九千七百二十八万円の減額となっております。これは、会計検査院の移転に必要な経費等の計上がなくなったことによるものであります。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費であります。

 この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百四十億八千七百万円余、中央合同庁舎第七号館の維持管理等経費として六億七千百万円余、その他の経費として二十七億五千三百万円余を計上いたしております。

 以上の経費には、会計検査機能を充実強化するため、次のような経費を計上しております。

 第一に、国会からの検査要請への対応と行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査体制の充実強化経費として八千四百万円余を計上いたしております。

 第二に、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費として二十億八千七百万円余を計上いたしております。

 第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費として二億八千八百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

倉田主査 御苦労さまです。

 以上で説明は終わりました。

 それでは、伏屋さん、御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

倉田主査 それでは、続きまして、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。町村内閣官房長官。

町村国務大臣 平成二十年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十年度における歳出予算要求額は九百六十三億三百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百八億七千八百万円に比較しますと、五十四億二千五百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百四十三億七千六百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十一億八千八百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百七億三千九百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十年度における歳出予算要求額は七千九百四十六億七千万円でありまして、これを前年度当初予算額七千九百六十三億九千百万円に比較しますと、十七億二千百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、その主なものについて御説明いたします。

 内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策・イノベーション、暮らしと社会、国民の安全・安心の確保、地方の自立と再生、沖縄対策、北方対策等の推進のための経費として四千八百十九億六千九百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百十億六千五百万円、公正取引委員会には、迅速かつ実効性のある法運用、ルールある競争社会の推進、競争環境の積極的な創造等のための経費として八十六億八千二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千七百三十五億二千九百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融機関等の監督、証券取引等監視委員会の運営等のための経費として百九十四億二千六百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

倉田主査 ありがとうございました。

 以上で説明は終わりました。

 それでは、皆さん御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

倉田主査 それでは、次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。石破防衛大臣。

石破国務大臣 平成二十年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十年度予算については、安全保障環境を踏まえた防衛力の近代化、政策立案機能や情報保全機能を強化するための組織づくり、国際社会の平和と安定のための取り組み、効率性と優先度を踏まえた防衛力整備の推進、弾道ミサイル防衛システムの運用基盤の充実・強化など、必要な事業はおおむね確保できたと認識いたしております。

 予算の作成に当たりましては、財政事情が引き続き厳しく、また、防衛装備品の調達に係る信頼が揺らいでおる状況にあり、これまでにも増して合理化・効率化の努力を行い、国民の御理解をいただけるよう努めました。

 平成二十年度の防衛省所管の歳出予算額は、四兆七千七百九十六億五千万円で、前年度の当初予算額に比べますと、二百十六億五千七百万円の減となっております。

 これをもちまして平成二十年度の防衛省関係予算の概要の御説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。

 以上でございます。

倉田主査 ありがとうございました。

 この際、お諮りいたします。

 ただいま石破防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

倉田主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

倉田主査 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。高鳥修一君。

高鳥分科員 自由民主党の高鳥修一でございます。

 本日は、防衛省に関連をいたしまして、イージス艦の衝突事案について、それから、イージス艦に関連いたしておりますが情報保全体制について、そして自衛官の待遇改善について、大きく三つの問題について質問をさせていただきます。

 今般、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸との衝突事案が発生いたしましたことは、まことに遺憾なことであり、被害に遭われた関係者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。同時に、いまだ行方不明となっておられる吉清治夫さんと御長男の哲大さんの一刻も早い救出を心からお祈り申し上げます。

 新潟県中越地震、中越沖地震と二度の地震を地元で体験した者として、いざというときにみずからの生命の危険を顧みず国民の生命財産を守る活動に従事される自衛隊の皆様に、私は日ごろから心から敬意と感謝の念を抱いております。

 被災地に自衛隊員が立っている姿を見るだけで、私たちは守られている、そういう安心感を得ることができたという現地の声も聞いております。「マリと子犬の物語」という、中越地震で被災した山古志を舞台にいたしました映画を大臣はごらんになったでしょうか。多くの方々が、感動といいますか、かわいそうで泣いたという話でありますが、私は他の方々と泣くところが違っておりまして、自衛隊の活躍に対して敬意と感謝の涙が流れたのであります。それぐらい私は自衛隊の支持者であるだけに、今回の事案の発生については本当に残念に思っております。

 徹底した原因究明と再発防止に当たらなければなりません。万一にも情報の隠ぺいと疑われるようなことがあってはならないことは言うまでもありません。

 石破大臣は防衛にかかわる諸問題について高い見識と知識を有する方でありますので、できる限り大臣より御答弁をお願いしたいと思います。

 まず初めに、通告しておりませんが、けさの朝刊等で新たな報道がなされております。防衛省の首脳が事故直前の当直士官をヘリコプターで移送して事故前後の状況を直接聞いていたこと。事故当日の十二時ごろには証言内容が大臣に伝えられていたこと。当日十七時の自民党国防部会、これは私も出席をいたしておりますが、そういう話は出なかったと思いますが、これは事実でしょうか。

 事故が発生したことは事実であり、まことに遺憾なことではありますが、事実は事実として、ありのままに国民に対して開示をすることが信頼感につながると思います。防衛省側に不利にならないように、事前に話し合いをされたのではないかと勘ぐられかねないとも思います。

 この件について、大臣の今の率直なお気持ちをお聞かせ願えますでしょうか。

石破国務大臣 今委員御指摘の件は、きのうの安全保障委員会でもお答えをいたしたことでございますが、防衛省におきまして一刻も早く事故状況を把握し、対外的に説明をすることが必要である、そのような行動でございました。

 この事実関係の解明は決して容易なものではございません。したがいまして、海上保安庁の厳正な捜査を待つほかはない、これまで申し上げてきたとおりでございます。結果論となりますが、海上保安庁の御了解を得ないで乗組員の聴取を行っておったことは、内部的な調査であったとしても、必ずしも適切ではなかったと考えております。

 なお、衝突時刻の公表が丸一日おくれたという御批判を賜っておりますが、これは、断片的な情報をばらばらと逐次発表することはかえって混乱を生ずる結果となりかねませんので、情報の確認、海上保安庁あるいは官邸を含みます政府部内との調整に時間を要したということは当然のことでございます。

 いずれにいたしましても、どういう形で情報を開示するか、そして当事者として、まず初動の段階で何があったかということを把握するということについて、再考の余地はあるものというふうに考えております。

高鳥分科員 今大臣の方から、再考の余地はあったのではないかという率直なお気持ちをお聞かせいただきました。ぜひとも、信頼回復に対してこれからも全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、二十年前に潜水艦「なだしお」と釣り船が衝突をして三十名のとうとい命が失われた事案が発生しておりますが、このときの教訓というのは生かされなかったのでしょうか。安全教育が十分であったと考えておられますでしょうか。

石破国務大臣 「なだしお」の事件の後、いろいろな教訓がございました。一つは、海上保安庁への連絡がおくれたということがございまして、あのときに、たしか二十一分を所要したのではないかというふうに思っております。今回、これが十六分でございまして、五分縮まったからいいじゃないのというお話には全然なりませんで、もう少し早く海上保安庁に通報することができなかったかということは、早急に検討しなければなりません。

 あるいは、「なだしお」は潜水艦でございましたので、セール、いわゆる艦橋の部分のスペースが非常に小さいわけで、見張り員が一人しか立っていなかったわけですが、この見張りをさらにふやすという体制をあのときとりました。

 そのときに見張りの重要性ということが再認識をされまして、海上自衛隊においてそのようなことの徹底教育というものをさらに充実させたのでございますが、では、にもかかわらず、その原因の特定を私が今するわけではありませんが、見張りが十分であったかどうかということについて、さらに改善の余地がないかどうかについては、この事故原因の究明がなされるということとはまた別として、そのことの徹底はしていかねばならないと思っております。

 「なだしお」の教訓のもう一つは、海上交通センターとの連携というお話でございましたが、今回の海域はその海域に該当するわけではございませんので、「なだしお」事件の教訓の三つのうちの二つ、これを私どもはもっと生かす、あるいはさらに充実する、検証する、こういうことの必要性は痛感をいたしておるところでございます。

高鳥分科員 今、大臣の方から、見張りの重要性についてさらに徹底した教育を進めてきたというお話でありましたが、「あたご」の監視体制についてお伺いをいたします。

 見張り員は十二分前に漁船の灯火を確認し、二分前に再度確認してからも、さらに全速後進という回避行動をとるまでに一分かかっている、これに対してどのような問題点があったと思われておられるでしょうか。回避行動がいかにも遅かったと私は思うんです。

 そして、もう一点、今度は早い、遅いではなくて、回避行動の方法についてですが、海上衝突予防法では、二隻の進路が交差する横切り船航法では、他船を右方向に見る船が右にかじを切る、正面から向かい合う行き会い船航法では、両船に同等の回避義務があり、互いに右転が義務づけられているということであります。清徳丸はこれに従って右にかじを切ったから「あたご」とほぼ直角に衝突したのではないでしょうか。「あたご」は、結果的に右にかじを切らなかったわけでありますが、全速後進よりも右に大きくかじを切った方が減速につながるという指摘もありますが、この回避行動が適切であったのか、お答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 当省といたしまして、現在、海上保安庁によります捜査に支障を及ぼさない範囲で、説明責任を果たすとの観点から、「あたご」から報告を受けた内容について開示をしておるわけでございますが、その内容のうち、衝突直前の状況につきましては、衝突一分前の四時六分ごろ、当直士官は「あたご」に後進をかけ、手動操舵に切りかえさせたというふうに聞いております。また、その際には、かじを切っておらないということでございました。

 まさしく委員御指摘のように、海上衝突予防法八条には、衝突を避けるための動作として、「針路又は速力の変更」、これは第二項でございます。「速力を減じ、又は機関の運転を止め、若しくは機関を後進にかけることにより停止」することが挙げられております。

 この回避行動が適切であったかどうか、あるいは、ほかの手段があったかどうかということは、捜査の結果を待つべきものでございます。二月二十三日に海上保安庁から、防衛省から報道機関への発表等について、本件の捜査機関たる海上保安庁としては、事故原因の核心に触れるような内容は控えるようにというような申し入れがありました。これ以上申し上げることは控えなければなりません。

 これはあくまで一般論のお話なのですが、回避行動をとる場合に、右へかじを切るということになると、ではどういうことが起こるのだろうかということがいろいろな議論になるのだろうと思っております。今回の件に限らず、あくまで一般論でございますが、そのときにかじを大きく切る、大きな船が大きく切るということについて、適切な場合と適切でない場合があるというようなことが関係の書籍には書いてございまして、まさしく今回何が一番適切であったか、今回のがどうであったかということが捜査によって解明されるものと考えております。

高鳥分科員 今回の事案については、まだ捜査中であり、海上保安庁の捜査に支障のない範囲でしかお答えになれないということでありますが、ただ、この回避行動をとることが遅かったという御認識はおありでしょうか。

石破国務大臣 こういうお答えをしておしかりをいただくかもしれませんが、まさしくそこも捜査の核心にかかわる部分でございます。だれがどのような認識をいつ持ったかということについて、私ども今、「あたご」の乗員と接触をしておるわけではございません。だれがどういう認識をいつ持ち、どのような決断をどの時期にすべきであったかということについて、私ども今、それについて言及できるだけの材料を持っておりませんので、そのことについてなかなかお答えしにくい状況でございます。

高鳥分科員 そういう状況ですと、なかなか質問する方も質問しにくいのでありますが、それでは、一般論として、十二分前に漁船の灯火を確認したという見張り員は、相手が避けてくれると思ったと証言しているという報道がありますが、通常、このような判断を見張り員がするものでしょうか。

石破国務大臣 これも報道でございますので、私どもが聞いたわけではございません。防衛大臣として、自分が確認していないことについてあれこれお答えをすることは適切ではないと思っております。

 ただ、これもまた一般論、ごくごく一般論ですが、そういう判断というものは、それは見張り員がするものではございませんで、それはそのときの運航の責任を負っておる者、今回の場合には、今回の場合にはといいますか、当直士官が判断すべきものだということが当然の原則でございます。そういうような個々のばらばらの判断ということが行われることは通常ないというふうに、これは一般論として申し上げられることだと思います。

高鳥分科員 ありがとうございます。

 今般の衝突事案は、広い海の中の偶発的な衝突とは言えないのではないかと思います。複数の漁船の灯火を三キロほど先に確認をしながら、自動操舵を続けたことに対する反省はないのでしょうか。

 そもそも、自動操舵に関する規定がどうなっているのか、教えていただけますでしょうか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 自動操舵装置の使用に関しましては、船員法の施行規則におきまして、船舶交通がふくそうする海域や視界が制限されている海域等を航行しようとするときは、速やかに手動操舵ができるようにしておくべき旨は定められておりまして、これは自衛隊の船にも適用をされております。

 このほかに、法令規則上、どのようなときに自動操舵にしてよいのかということにつきましては、決まりがあるわけではございませんが、一般論といたしましては、周囲に船舶が多く航行していたり、他の船舶と接近するときなどは手動操舵に切りかえるべきであるというふうに考えられております。

 それで、本件事故の原因は、もちろん今後の捜査によって明らかになるものと考えておりますので、現時点におきまして、この艦艇の操舵の適否について申し上げることができないわけでございますが、防衛大臣からは、当面の安全対策として、自動操舵に係る内規を定めて、いかなる場合にだれの判断で自動操舵にできるのかをできるだけ明確にするようにという御指示を受けておりますので、自動操舵の運用上の実態、あるいは必要性をよく確認しつつ、早急に具体的な方策を検討してまいりたいと考えております。

高鳥分科員 今、御答弁の中で、手動に切りかえるべき決まりが今のところあるわけではないと。ただ、大臣より内規を定めるべきだという御指示があったということでありますので、今後航行の規定をしっかりと定めていただきたいと思います。

 次に、レーダーの性能についてお伺いをいたします。

 対空レーダーというのは、SPY1Dという最新のものだそうでありまして、百以上の目標をとらえ、数十の目標に対処できる能力があると言われておりますが、対水上レーダーはOPS28Eというものでありまして、通常の艦船と変わらない、これは私が事故当日の国防部会で質問したことに対するお答えであります。

 その中で私がお聞きしたのでありますが、レーダーの記録は残らないものなんでしょうかということを質問いたしております。それに対する答弁が、水上レーダーは記録をするようになっていないという御答弁がありました。水上レーダーに事故当時何が映っていたか、結果として不明なわけであります。

 今回の事件を受けて、原因の究明という観点から、レーダーの記録を何らかの形で残す必要があるという認識はお持ちでしょうか。内々に確認したことでありますが、訓練中であれば一時間程度なら記録が残せるというふうにも聞いておりますが、そういう認識がおありかどうかお聞かせください。

石破国務大臣 当該「あたご」は、レーダー指示機、というのはレーダーの表示装置のことでございますが、これを二種類装備いたしております。このうち、CICに設置されておりますレーダー指示機、OPAの3Fというものでございますが、これにつきましては、設定を手動で行うことによりましてこのレーダー指示機に表示されている情報を記録させることは可能でございます。ただ、これは所要の設定を手動で行うということをやらなければなりません。

 レーダーが探知した船舶の航跡情報は、今般のような事故において、事故の調査、分析にも有効であるということは確かなことでございます。今後、私どもの艦船につきましても、レーダーで探知した情報を常時記録することについて、装備、機能の付加を含め、今後の事故調査の方向性を見つつ検討するように私から指示を出したところでございます。

 やはり記録ができるようにした方がいいと思うのですね。それはもう事故などあってはならないことでございますが、やはりいろいろなことを考えましたときに、それがもう二十四時間、三百六十五日それを全部記録しなきゃいかぬということではなくて、ある意味ぐるぐる回るような、エンドレスみたいな形で上書きをされるような形であったとしても、これはある程度記録が残らなければならないのではないかと私は思っておるところでございます。

 あるいは、ボイスでありますとか航海レーダーの情報等々、これにつきましても同様でございまして、このことの検討は既に指示をいたしておるところでございます。

高鳥分科員 やはり水上レーダーの記録が残っていると物証になりますので、証拠を残してはまずいという認識があったのでは、もう大変よくないことだと思っておりました。

 その点に関しまして、大臣より、原因究明のためにはこういった措置も必要であるし、検討するという指示をされたということでありますので、大いに評価をしたいと思います。

 次に、航海情報記録装置についてお伺いをいたします。

 一般の船舶であると船舶安全法で義務づけられている航海情報記録装置が自衛隊の船舶には設置が義務づけられていないということでありますが、同じく、改善するお考えはおありでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 護衛艦「あたご」につきましてでございますけれども、御指摘の航海情報記録装置、いわゆるVDRでございますけれども、それによって記録されます日付、時刻、位置、速力、船首方位など主要な航行情報を「あたご」につきましても常時記録できる機能は備えられております。

 他方、御指摘のとおり、自衛隊法百九条の規定によりまして、船舶安全法及び関連省令の適用を除外されておりますものですから、船舶安全法に定められております航行情報記録装置というものそのものは搭載しておらないということでございますけれども、繰り返しになりますけれども、主要な航行情報を常時記録できる機能は備えられておるわけでございます。

 今申し上げました主要な航行情報に入っておらない、常時記録されておらない部分、先ほど御指摘のありました、レーダーが探知した船舶の航行記録、レーダーの情報でございますけれども、あるいはボイスレコーダーによる音声記録、こういう点につきましては、先ほど大臣から答弁がございましたけれども、今般のような事故において十分に調査、分析等に有用であると考えられることから、今後、そういったボイス及び航海レーダーの情報について常時記録し得るよう装備、機能の付加等を行うことについて、今後の事故調査の方向性を見つつ検討するよう大臣から指示をいただいたところでございまして、検討することとしております。

高鳥分科員 ぜひ積極的に改善に取り組んでいただきたいと思います。

 今回の事案から、レーダーの能力と監視員の体制が現状のままであるとすると、二〇〇〇年十月に米海軍のイージス艦コールがイエメンで自爆テロ攻撃を受けて十七人が死亡、三十九人が負傷しているようなケースにどのように対応するのでありましょうか。無灯火で高速で接近してきた不審船にどのように対応ができるのか。そしてもう一点、暗い海上で漁船と不審船をどうやって識別するのか、現状で対応に不備はないのか、お聞かせください。

石破国務大臣 コールの事故というのは、アデン港で停泊中のアメリカのイージス駆逐艦コールが攻撃を受けたというものでございます。

 今回のとかなり状況設定が異なっておりますので、同一に論ずることはかなり難しいかなというふうに思っておりますが、コールの場合には、私も、アメリカ海軍でこんなことが起こるのかねということを実はあのときに直観をしたのですね。

 その後、いろいろな報道等々あるいは論文等々を読んでみますと、全く脅威に対する認識が船全体が欠けておったということでございます。委員も既に御案内のことかと思いますが、ここで脅威レベルが高いよということの認識が非常に低かったということ。本当は高いのですが、その認識をほとんどの乗組員が持っていなかったし、乗員もブリーフィングを受けていなかったし、ブリッジにはだれも乗っていなかったということですし、あるいは上甲板にも上級士官がだれもいなかったと。よくもこんなことが起こるねというようなお話でございました。

 私ども、停泊中の艦船につきましては、それなりの警戒態勢をとっております。同時に、これは地上における基地警備ということからもあわせてさらに改善の余地がないかどうか考えていかなければなりません。

 今回の事案について、不審船と漁船かどうかの識別ができるかということですが、それはケース・バイ・ケースでございます。どのように認識した場合に警告を行うか、そのやり方等々、それはマニュアルによって定まっておるというふうに考えております、恐らくそうではないかと私は思いますが、そういうような夜間に無灯火で接近する小型船について、それの攻撃というものが予測される場合には、排除できるような体制というものは、もう一度徹底をしていかねばならぬだろうというふうに思っております。

 今回の件、いろいろと私どもとして考えなければならない点が多くございまして、行方不明の方の捜索を全力で行うということとはまた別として、そういうような国民の皆様方の御懸念、御不安を払拭できるように努めてまいりたいと存じます。

高鳥分科員 脅威に対する認識が欠けていたということでありましたが、この点について、マニュアルで定まっているという当方の御認識であるということであります。ぜひ徹底していただきたいと思います。

 それから、時間がなくなってきましたので簡潔にお答えいただきたいんですが、防空レーダーとか潜水艦の音を識別するソナー等も、娯楽用の電波を阻害するとして電波法の規制を受けているということであります。このため、日本近海で性能を大幅に下げるかオフの状態であるということでありますが、平素から何らかの基準に基づいてこれらの装備の使用を可能にする電波法の改正について検討するお考えはありませんか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊のレーダーの使用につきましては、電波法のうち、無線局の免許等に関する規定の適用の除外が自衛隊法にございます。それで、自衛隊法の百十二条第二項、第三項でございますが、ここでその周波数等につき総務大臣の承認等が必要とされております。

 イージス艦の対空レーダーにつきましては、自衛隊のものを含む各種レーダーへの干渉を防ぐために一定の制限を設けて運用していますが、日本近海で出力を下げたりというようなことは求められておらず、特段運用上の問題はないと考えられております。

 なお、イージス艦を含めまして護衛艦のソナーにつきましては、これはそもそも電波を使用する機材とはなっておりません。

高鳥分科員 済みません。時間がなくなってきましたので、この問題で最後の質問にしたいと思います。

 防衛大臣及び総理に対する報告のおくれというのが指摘をされておりますが、今般の事案を受けて、反省点と改善点をどのように考えておられるか。情報というボールを受ける側の受け取り方が遅かった、そのために大臣が責任をとることで済ませるということですと、ボールを投げる側の体制がそのまま残ってしまいましてなかなか改革が進まないと思いますので、その辺も含めて大臣の所感をお聞かせください。

石破国務大臣 これは、現在通達を見直しております。

 まず、今回の場合には海上幕僚長でございますが、海上幕僚長から大臣に直接速報が上がるようにという体制をとりました。このことによって、もうこんな事故はあってはいかぬのでありますが、ほかの重大事態が生じました場合にも、海上幕僚長から即座に上がってくるというふうに直したところでございます。

 また、この通達そのものが、軽微な事故、通常な事故、重大な事故、こういうふうに分かれてそれぞれ事細かに決まっておるわけですが、何が軽微で、何が重大で、何が普通かというようなことがその場で判断に迷うようなことがあってはならぬことでございまして、これも、通常と重大に分けるとか、あるいは、第一報を受けたオペレーションルーム等々から直接大臣秘書官に上がるとか、そういうような結節点といいますか、途中にいろいろなものが入ってくる、あるいは判断の際に主観が入る、迷いが生じる、そういうようなことがもう極力ないように通達そのものを全部見直したいということで、現在作業しておるところでございます。

 何とか今週中に、官邸への通報も含めまして、新しいやり方というものを確立し、実施をしていきたいと思っております。

高鳥分科員 次に、情報保全体制について簡潔にお聞きをいたします。

 情報保全隊が今度三自衛隊で統合されるということでありますが、これについては三回目の改変ということであります。第一回目が昭和六十年の宮永事件、第二回目が平成二年の萩崎事件、そして今回が、イージス艦に関する資料を自衛官が自宅に持ち帰り中国人妻に渡したという事案。これらを受けて、情報保全隊という形で新たな組織となると思いますが、実際にどのような強化が図られるのか。

 これは、予算とか人員のほかに権限の強化をする必要があると思っております。特に、今一番問題なのは、情報保全隊の調査について隊員が協力をするという義務規定がない、これが問題であると考えていますが、この点をどう改善されるのか、お聞かせください。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 要するに、現状の問題点ということを端的に申し上げますと、各自衛隊ごとがそれぞれ規模の小さい情報保全隊を保有している、こういった情報共有を徹底的に進めるということで改善をしていきたいということでございます。

 それから、二点目は、情報収集の対象につきまして、ともすればカウンターインテリジェンス情報ということをきちっと重視してやるような体制がなかったということで、この点につきましては、防衛省全体としてきちっとした統一方針を示して収集強化をしていくということでございますし、また、その場合に、ちゃんとした活動が行えるような体制というのを、カウンターインテリジェンス委員会というものを設けまして、その中で徹底を図っていくということを考えております。

 それから、そもそも、各自衛隊に分かれておりますので、地域ごとに非常に偏在をしておって、情報保全隊員が配置されていないような場所もあるというようなお寒い現状でございますので、そういったことも含めてやっていきたいということでございまして、二十年度予算におきまして三十五名の増員をいただきまして、数は少のうございますけれども、一千名近い体制を全体として運用していくということでございます。

高鳥分科員 実際、四十名とか三十五名とか人員はふやしてきたことは事実ですが、にもかかわらずこのような事案が発生をしておりますので、やはり権限の強化はどうしても必要であると思いますので、この件は引き続きまた要望させていただきます。

 時間がなくなりましたので、最後に一点だけ、自衛官の待遇改善について。

 昨年の予算委員会第一分科会で、私、自衛官の待遇改善について質問いたしました。賞じゅつ金の問題、あるいは警衛隊などの各種手当の改善を図るべきと申し上げましたが、平成二十年度にはどのような待遇改善が図られるのか、今後の取り組みや見通しについてお聞かせください。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、隊員の給与面などの処遇につきましては、隊員が安んじて、かつ誇りを持って業務に従事できますように、平素から最も重要な施策の一つということで従来から改善を図ってきているところでございます。

 特に、御指摘の自衛官の手当等につきましては、昨年六月、自由民主党の国防部会から「自衛官の質的向上と人材確保・将来の活用に関する提言」ということで提言をいただいておりまして、その中で、苦労の多い第一線で勤務する者などに対しては労苦に報いるべき、あるいは、危険な業務に従事した者に対してはその危険度に見合う十分な手当を支給すべきといったような御指摘をいただいているところでございます。

 また、これを受けまして、同月末に、私ども防衛省として公表いたしました「防衛力の人的側面についての抜本的改革報告書」の中におきまして、自衛官の業務の特殊性を反映しているか、あるいは人材確保のための真に必要な手当となっているか、あるいは真に苦労した者に報いる手当体系となっているかといったような観点から、今後諸手当の再整理を検討していくということにしておりますが、防衛省といたしましては、こうした経緯を踏まえまして逐次改善の努力を行っていきたいと考えております。

 そこで、現在御審議いただいております平成二十年度予算案でございますけれども、一つは、陸上自衛隊の西部方面普通科連隊というものがございますが、そこの中の特殊な作戦に従事する小隊につきましては、階級の初号俸の一六・五%の支給割合となる特殊作戦隊員手当といったものを新たに設置することといたしております。それからもう一点、海上自衛隊の特別警備隊というものがございますが、ここの警備隊員の手当の支給割合を、従来の初号俸の三三%から四九・五%に五割引き上げるといったような改善措置を盛り込んでいるところでございまして、今後とも、先ほど申し上げました国防部会の提言あるいは私どもの改革報告書の趣旨に従いまして、引き続き努力を行ってまいりたいと考えております。

高鳥分科員 防衛省・自衛隊の皆さんには、国民の生命財産を守る信頼される存在であり続けていただきたいと思いますし、そのために石破大臣には引き続き全力で信頼回復に取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

倉田主査 これにて高鳥修一君の質疑は終了いたしました。

 次に、林潤君。

林(潤)分科員 自由民主党の林潤です。

 本日は、予算委員会の分科会ということで、国策の根幹となります防衛問題と、そして教育問題について質問をさせていただきます。

 原点に立ち返れば、我々政治家の務めは国民の生命と財産を守ることです。しかしながら、これは自衛隊にも共通することであり、今回の海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船と衝突したことは、あってはならない重大事故で、大変残念に思うのであります。

 石破大臣におきましては、今回の事故を受け、原因究明を指示するとともに、連日、国会の答弁や記者会見に応じるなど不眠不休で事態収拾に向けたたゆまない努力を続けていると察します。私も、個人的に大臣を防衛問題に精通した先輩議員として尊敬をしており、今回の件では当事者として、また責任者として最も心を痛めていることと察します。事件の詳細については、海上保安庁が現在調査中でありましょうが、防衛省としても、一日も早い原因究明と再発防止に向けて取り組んでいただきたいと切に願います。

 まず、今回の事件は、国民と自衛隊の根本的な信頼関係にかかわります。自衛隊は、独立国として本来必要欠かさざるものでありながら、冷戦時代はその存在自体冷たい扱いを受けておりましたが、自衛隊に対する国民の意識というのは、この十数年で大きく変わったと感じます。

 阪神・淡路大震災の災害救助活動から始まり、イラクやアフガニスタンでの復興支援活動を通じ、その頼もしい活躍ぶりが国民の目に焼きつきました。そして、昨年からは、防衛庁から防衛省に昇格し、閣議開催や予算の要求で権限も拡大し、海外派遣が本来任務になりました。私自身、報道機関で記者をしていた者といたしましても、自衛隊に関するメディアの扱いも確実に変わってきたと実感をしております。

 このように、年月をかけて名と実が伴いつつある中、防衛省・自衛隊では、昨年から、イージス艦情報漏えい事件や守屋前事務次官による収賄事件など、立て続けに規律保持や情報管理に関する問題が発生していることは、非常に残念にたえません。福田総理も、昨年十月の自衛隊の観閲式で、こうした案件を問題視し、国の防衛は国民の信頼なくしてはなし得ないと訓示をしておりますが、大臣は、今回のイージス艦衝突事故も踏まえ、一連の問題によりまして、自衛隊は国民の生命財産を本当に守ってくれるのか、こうした安心感がどのくらい損なわれたと考えておりますか、その御認識をお伺いいたします。

石破国務大臣 今回、あってはならない事故が起こりました。本当に申しわけのないことであります。心からおわびを申し上げなければいけないことであります。

 去年の一月九日に、防衛省に移行をいたしました。ある意味、とても晴れがましい思いを皆が共有したことでございましたが、その後に起こったことというのは、もうとにかく、今委員御指摘のようなことばかりが起こっておるわけでございます。

 他方で、防衛省といいますか、自衛隊に対する国民の皆様方の信頼度というのは、内閣府の調査だったと思いますが、極めて高い、八割を超えているんだと思うのですね。そういう国は世界でも非常に珍しいものでございます。これをどうして維持していくかということを考えていかねばなりません。

 私は今でも、一人一人の隊員は本当にまじめに、懸命にやっていると思うのです。そのことは、私は今でもそのように思っておりますし、そうだと断言できると思います。これをどのように変えていくのかということは、相当深く考えていかなければいかぬのだと思っております。

 海上自衛隊の事案が多くなっておりますが、やはりここには何か、文化というのか伝統というのか、伝統墨守というふうな言葉がありますが、何か、文化そのものを変えていかねばならないことがあるのではないだろうか。そこには、人事とかそういうものも含みます。

 これは直接の関係はないのかもしれませんが、私は、帝国海軍というのはなぜだめになっていったのかということに対して、相当強い関心は持っております。なぜ帝国海軍というのはあのようにどんどんおかしな組織になっていったのだろうか。そこのところをもう一度、同一視するつもりはありませんが、考え直していかないといけないことだと思います。

 国の独立を守り、平和を守り、国民の生命財産を守るというのは、そんなに容易なことではありません。やはりこういう組織というのは、その国にあって最も厳正な規律を持たねばならぬというものだと思います。あわせて申し上げれば、最も厳正な規律を持たねばならぬということは、彼らに対して最も重い栄誉が与えられねばならないということではないんでしょうか。最も厳正な規律は課すが、栄誉はそうではないということであれば、それはどうなのでしょう。

 私は、防衛省になったときに、これで問題が終わったとは思わないということを随分言いました。その国において最も重い栄誉が与えられ、最も厳正な規律が課せられる、そういうような組織になっていくべきではないか。これは、防衛省だけが考えることではなくて、国の政治全体で考えていかねばならないことだと思っております。

林(潤)分科員 最も重い栄誉が与えられるということ、私も理解をいたしました。やはりこれも国民全体で議論しなければいけないことなので、大臣もそうした形で、先導者となって、この件を、ピンチをチャンスに変えて進んでいただきたいというふうに思っております。

 今回衝突事故を起こしました「あたご」は、期待の五隻目のイージス艦であり、特段な知識がない国民から見ましても、高性能のレーダーや世界最高水準の防空能力を持っているから、まさか事故はないだろうという思いもあったでありましょうし、また、対空ミサイルの性能とかから大きく国防に寄与してもらえるだろうという、こうした期待と安心も大きかったと思います。また、有事の際には自衛隊は国民にも協力を仰がなければならず、それには日ごろからの理解が大切であります。

 今回の衝突事故によりまして、この期待の新鋭艦や防衛省・自衛隊という組織そのものに関しましても、その威信と信頼は傷つけられたと思いますが、大臣は国民の信頼をどのように回復していくか、取り戻していくか、抱負をお聞かせください。

石破国務大臣 それは、基本に立ち返ることだと思います。

 ハイテク艦であります。自動操舵装置というのを備えた、イージス艦ではこの「あたご」が初めて装備をいたしました。そのハイテクに対する過信がなかったかということ。これは、やはり基本は海上衝突予防法に書いてあることをきちんと遵守しているかということなのでございます。ハイテクの過信というものがないか、あるいは国を守る誇りというものがよもやおごりにつながってはいないかということ、国民一人一人を大切にしないで何で国が守れるんだということだと思います。

 私は、この「あたご」の件に関して、それがどうだこうだと言うつもりはございませんし、それはこれからの捜査なんでございましょうが、やはり基本に立ち返ること。いつも申し上げております自衛隊員の服務の宣誓、事に臨んでは危険を顧みず、身を挺して職務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる。自分は今この瞬間もこの誓いに忠実であるのかどうなのか、仮にそうでないとするならば、それは自衛隊員でいる意味がないのでございます。

 そこの基本に立ち返るということしか、私は、国民の皆様方の信頼というものを回復する道はないだろうと思っております。圧倒的多数の隊員が頑張っていることと、しかしながら、もう一度基本にみんな立ち返ろうというふうに言うこととは、それは両立するものでありまして、みんな一生懸命頑張っているからいいじゃないかということでは済まないのだと思っております。

林(潤)分科員 大臣の基本に立ち返るという姿勢、これは非常にいいことだと私は思うし、こうした多種多様な案件がそれを気づかせるきっかけになると思っております。どうか、国を担う根幹でありますので、それが末端まで浸透するように、ぜひ配慮していただきたいと思っております。

 今回の衝突事故は発生から防衛大臣や総理大臣への報告がおくれたことも指摘をされておりますが、情報伝達のための報告に関しまして、事故を受けて、急遽、省内の内規を改正して改善を図ったと聞いております。

 しかし、昨年十二月にも海上自衛隊横須賀基地で発生した護衛艦「しらね」の出火でも、同様に報告がおくれております。衝突事故のような大事故で初めて内規に問題があることがわかり、人的被害のなかったこうした出火のような事故では、こうした情報伝達の不備が教訓として生かされなかったのかというふうに思います。

 また、内閣官房や防衛省内でも、防衛省改革会議、文民統制の徹底を図るための抜本的対策検討委員会、防衛省改革推進チームなど、いろいろなチームを立ち上げ、一丸となって再発防止と信頼回復に取り組んでいたことは承知をしておりますが、そのたびに出ばなをくじかれる構図となっております。国民にとっては、せっかくのシステム、法律があったとしても、それが実際に生かされるという担保がなければ、不安を払拭することはできません。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、絶対にこれなら大丈夫だというものを国民に提示することができるんでしょうか。

石破国務大臣 しなければなりませんし、いたします。

 委員から御指摘を受けて、本当にそうだなと思っているのですが、「しらね」の場合には人命が損なわれるということがなかった。しかし、考えるまでもなく、あのDDHのCICが燃えているということは、それは重大な事故に決まっておるわけでありまして、これは、私、海上幕僚長から報告を受けましたが、やはりその時間が相当遅かった、驚くほど今回の「あたご」と時間が似ているのですね。

 それから、人命にかかわらないからいいじゃないか、いいじゃないかとは言いませんが、重大度の認識が低かったとしたらば、そこはすごく反省しなければいかぬことで、「しらね」のときにやはり遅いと、あのときに通達を改正しておくべきだったというふうに、私自身、今猛省をいたしておるところでございます。

 今回の「あたご」の件を受けまして、海上幕僚長、海上でなくても陸上でも航空でもいいのですが、そこから大臣に直接上がるということは速報として、その日のうちに通達を改めました。しかし、それだけではだめなので、先ほど高鳥委員にもお答えをいたしましたが、判断をするときに迷いがあってはいけない、主観がまじってはいけない、そしてあちらこちらに判断する人間がいてはいけないということで、この通達を全面的に改めることといたしまして、現在、作業をいたしておるところでございます。

林(潤)分科員 「あたご」と時間が似ていて、そして通達を改善すべきだったということも、もう大臣がおっしゃっているので、私もこれ以上申し上げることもございませんけれども、やはり国民が一番心配をしていることは、今回の衝突事故、確かに情報伝達の問題だけではなく、危機管理全般に対してあらゆるシミュレーションができているのかということが一番心配だと思うんです。十二月に「しらね」で起こったことが、情報伝達が遅かったから、二月、人命にかかわるかどうかわからないですけれども、今回こうやって行方不明の件が起こってしまった、こうした重大事故を引き起こしたわけなんですけれども、ほかに同様な事例がないのかということを一番心配しているんじゃないかと思っております。

 確かに、今回、いろいろな改善を即座になさって、その対応というのは非常に早いなというふうに思っております。しかし、幹部を更迭することで本当に組織全体が立ち直るのかというような疑問も国民にはあると思いますし、また、全然別件ではありますけれども、前次官の収賄事件、本当に今後不正が起こり得ないようなシステムになっていくのか、こうしたことを国民は注視していると思っております。

 武器を携行し、場合によっては実力行使もあるからこそ自衛隊には高いモラルが求められる、これは大臣も御認識をしているとおりです。私がお聞きしたいのは、この組織全体のことについてなんですけれども、防衛省全体を預かる最高責任者の大臣といたしまして、この組織、やはり全体的に抜本的に立て直していかなければ、私は、せっかく先ほど内閣府の調査で八〇%も信頼があると言っていたものがどんどん崩れてきてしまうと思います。災害復旧、一生懸命やってきて、少しずつ自衛隊に対する認知が高まっていった、こうした中で、大臣の刷新に対する意欲をお聞かせください。

石破国務大臣 実は、警察予備隊から始まりまして、保安隊になり、防衛庁になり、今日、防衛省・自衛隊となっているわけですが、その間にいろいろといろいろなものを積み重ねてきて、結果として、防衛省・自衛隊という組織もそれを動かす法制も、いい言葉でいえば精巧なもの、でもひっくり返せば、ガラス細工のように一つ壊れれば全部ががらがらと壊れてしまうようなものになってはいないだろうか。

 そして、いろいろな事故が、事件が起こるたびに組織をいじってきましたが、結果として増築を繰り返した温泉旅館みたいになっていませんかということを、私はもう七、八年前から申し上げておることでございます。この組織全体をもう一度見直してみようじゃないかということを私自身は考えておるところでございます。

 もちろん、官邸におきます有識者会議の方向性を受けて、私どもとして議論し、作業をしていくことでございますが、文民統制といった場合に、統制する側は我々政治家なのですね、国民に対して責任を負えるのは政治家しかございませんから。それが見て、一体これはどこで、だれが、何をやっているんだということがわからないような組織は使いにくいに決まっているんです。本当にこれでいいかと。

 今回の「あたご」の件にしましても、それは、海上保安庁とも調整をとらねばならない、あるいは危機管理のセクション、ほかのセクションとも調整をとらねばならない、それをやるのは背広なのか制服なのかどっちなんだというようなことで、責任の所在と権限があいまいになっている面も私はあるんだと思っております。

 次官の件が御指摘ございました。

 これは、次官が何をやっているのかということについてきちんとした監視の目が、監視という言葉は私は嫌なのですけれども、そういう信頼関係で結ばれることは大事なのですが、その監督の目が行き届くような仕組みにしていかなきゃこれもいかぬのだろうと思っております。本来、こういう病的なことを前提にして語るのは必ずしも適切ではないのかもしれませんが、この組織全般を本当に使う側からして使いやすい組織にしていく。

 それから、私は、以前「宣戦布告」という小説、麻生幾さんの書いたのを読んだのですが、いざ北朝鮮が何か行動を起こしたときに、日本の自衛隊があるいは政府がどのような混乱を生ずるかというのをリアルに書いた小説でしたね。私はそういうことが起こってはならぬと思っているのです。

 ですから、そういうのを、私は、ちゅうちょというか、迷うことなくいろいろなシミュレーションをやるべきだ、訓練をやってみるべきだ。そこで、ここが問題、あそこが問題というのが出てくるはずなんです。そこを改善していくということもあわせてやっていかなければいけない。私は、そういうことが今まで必ずしも十分じゃなかったし、訓練をする場合に、シミュレーションをする場合に、アクターたる政治家がそれに参加しなきゃだめだと思うんですね。こういうふうにうまくいくはずだみたいなことはだめなのであって、こういうふうにうまくいきませんでした、だからどうしますかということをちゃんとやっていかなければ、いつの日か本当にとんでもないことになりかねないと私は思っております。

 そうならないように私としては全力を尽くしたいし、今でもそうならないような備えはできる限りいたしておりますが、しかし、ありとあらゆる事象を想定するのが私ども危機管理を担当します者の責任であるというふうに思っております。

林(潤)分科員 こうした責任の所在と権限の問題や、あるいは、あらゆる事態を想定する、そしてみずからもそれを体験していこうというような姿勢を十分に酌み取ることができましたので、大臣、今後もその刷新に向けて全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 また、このイージス艦に関連してではありますけれども、昨年の十二月に、イージス艦「こんごう」に搭載された海上配備型迎撃ミサイルSM3の発射実験がハワイ沖で行われ、迎撃の試験に成功いたしました。米国以外では初めて成功したということで、他国の弾道ミサイルの脅威に対し、日米共同で立ち向かうこうした基礎が完成したこと、私は画期的な出来事だと歓迎をしております。

 一昨年の七月に北朝鮮が弾道ミサイルを実験し、十月には核実験と、こうしたことを受けまして、政府はSM3とパトリオットの前倒しを決めて、そして今回の成功まで極めて順調に推移してきたというふうに思いまして、関係者の努力に改めて敬意を表するものであります。

 横須賀基地でも米海軍のシャイローが既に配備をされまして、海自は「こんごう」を初めにほかの三隻のイージス艦にもSM3を搭載する、そして今後二年ほどの間に実戦配備をすると聞いておりまして、首都圏に配備されたパトリオットとともに、日本全土がミサイル攻撃からカバーをされるようになります。これは日米同盟にとっても新しい一歩になったようにも感じます。

 ここで、今回のミサイル実験の成功を含めましたミサイル防衛、MDのシステムの進捗について、石破大臣の感想と今後の見通しや意欲についてお聞かせください。

石破国務大臣 この「こんごう」のミサイル発射実験、これはアメリカの同盟国としては初めて迎撃に成功したということであって、極めて意義深いものだというふうに考えております。私どもからも、江渡副大臣が現地に参りまして、つぶさにそれを見てまいり、報告を受けたところでございます。

 委員御指摘のように、SM3を配備し、PAC3を配備しということでございますが、ミサイルが飛んでくるというのは、北朝鮮から一発のミサイルが飛んでくるという実にシンプルなケースだけではないわけであって、多弾頭飛んでくるということもございましょう。あるいはロフテッド軌道みたいなもので飛んでくるということもある。ありとあらゆる飛び方をするのだと思っております。

 これはスパイラルアプローチというやり方で、どんどんどんどん進化するやり方をとっておるわけでございますが、この日米の共同の研究あるいは開発というものが今後ともさらに密になっていって、ミサイル防衛システムというものが、日本に向けてミサイルを撃っても落とされちゃうんですよという意味の、新しい意味での拒否的抑止力、そういうものがきちんと担保されるように今後とも努力をしていかねばならないものだというふうに考えておるところでございます。

 そのためには、今後とも日米の緊密な協力というものが不可欠でございますし、あわせてこのシステムがきちんと動くかどうか、ミサイル防衛法制というものがきちんと機能するかどうかは、それは日ごろからきちんと訓練をしておかなければならないものだというふうに私は思っているところでございます。

林(潤)分科員 こうしたミサイルの防衛が進歩すればするほど、今後は日本国内の法整備などが急務になってきます。特に、集団的自衛権の行使の解釈をめぐる問題についても検討しなければ、本当の意味での運用が完成されたとは言えないと思います。

 安倍前政権では、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会を立ち上げまして、特に米イージス艦が攻撃を受けた場合に日本が反撃できるかといった集団的自衛権の解釈について、この課題に対しまして検討を重ねてまいりました。

 集団的自衛権の解釈に関しては、現政権は懇談会を開いていませんが、本来、集団的自衛権は行使できないとするのがこれまでの憲法解釈です。しかし、防衛を預かる大臣としましては、議論自体を活発にさせ、有事をシミュレーションすることは、国民の生命や安全を守るためにも、日米同盟のためにも必要なことと思いますが、今後、省内や懇談会などで集団的自衛権に関する議論を活発化させる考えはあるのでしょうか。抱負や決意についてお聞かせください。

石破国務大臣 現在我が国が導入しておりますBMDは、あくまで我が国の防衛を目的としておりまして、第三国の防衛のために用いるというものではございません。したがいまして、政府として現在、集団的自衛権の行使は憲法に定められた自衛の範囲の必要最小限度を超えるのでこれを行使することは許されないという政府解釈があります状況において、防衛省内で集団的自衛権というものを行使するとすればというような議論をすることはございません。

 ただ、いわゆる政治の場において、安倍内閣において安保法制懇ですか、そこでそんな議論が行われておりました。あるいは、まさしくこの国会の場においてどうなんだろうねという議論は、それは私は一議員として思うのですが、なされるものだし、そうあるべきだろうと思っております。

 やがて将来的に技術が進んで、アメリカのみならずどこの国でもいいのですが、ミサイルを落とせるというようなことになっていって、そしてそれを落とせる位置に我が国のイージスしかいなかったということがあったとして、それを落とさないということはどういうことなのだろうか、それはかなり限局的な状況なのかもしれませんが、そのときに、法律論はあれこれあるのかもしれませんが、国際社会における我が国の立場あるいは同盟の存在意義、そういうものはどうなのだろうという議論は、それはなされるのかもしれないなというふうに私は思っております。

 いずれにいたしましても、今の政府の解釈からいたしまして、防衛省の中で集団的自衛権の行使を前提とした議論は行っておらないものでございます。

林(潤)分科員 こうした集団的自衛権の議論を含めまして、また今回の衝突事故の一日も早い再発防止と原因究明、そしてまた省内改革を抜本的にやること、非常に山積はしておりますが、大臣、どうもありがとうございました。

 残された時間で、文科省関係について最後に質問をさせていただきます。

 今回は歴史教育について質問させていただきますけれども、私の地元神奈川県が、今月、学習指導要領で選択となっております日本史を県内すべての県立高校において必修化を決めた件についてであります。

 神奈川県教育委員会の計画によりますと、日本史を履修するか、地理と新設二科目を選ぶという内容であります。本来なら、自国の歴史を学ぶことは自国の文化や伝統を大切にすることにもつながり、国際化時代にも不可欠な教養のはずですが、我が神奈川県の県立高校の生徒は約三割が日本史を学習しないで卒業する現状があることから、大変に前向きな取り組みであると評価をしております。一方で生徒の負担が増すとの指摘もありますが、日本史必修化を要望している県も幾つかあり、神奈川県の取り組み次第ではほかの県にも広がる見込みがあります。文部科学省の見解をお聞かせください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 日本の歴史の教育につきましては、現在、小学校では、我が国の歴史を人物を中心に学習する、中学校では、世界の歴史を背景に我が国の歴史の大きな流れを学習するということで、義務教育段階の終了までに日本の歴史をしっかり教えることとしております。その上で、高等学校におきましては、世界の歴史の大きな流れを学び、我が国と諸外国の歴史と文化が相互に深くかかわり合っていることを考えさせるという観点から、世界史を必修とした上で、日本史と地理から一科目を選択するという構造になってございます。

 現在、学習指導要領の見直しの作業にかかっておりますけれども、その審議に当たりました中央教育審議会の答申では、高校における現行の必履修科目の定めは一定の合理性がある、現実的な選択肢であること、ただし、世界史の内容について、日本史や地理との関連を一層重視する観点から見直す必要があるという方向での提言をいただいているところでございます。

 今先生お話しの神奈川県の教育委員会におきましては、必修科目の世界史を履修した上で日本史をとらない生徒について、地理を選択した上で、さらに教育委員会が独自に設定する日本史の内容を含む科目を履修させようという動きでございます。

 神奈川県におきましては、学習指導要領その他法令の規定に抵触しない範囲で、教育委員会として設定する独自の科目の内容について平成二十年度より研究を開始するというふうに伺っております。神奈川県の取り組みは、歴史学習の充実のための一つの考え方と受けとめております。具体的にどのような研究を積み上げられるのかをしっかり見守ってまいりたいと考えております。

林(潤)分科員 ありがとうございました。

 最後に要望ですけれども、我が国の近現代史教育について、歴史教育の中で中世以前の歴史を学ぶ意義も大変大きいと思いますが、それ以上に、現代の多様な社会システムにつながるような歴史、つまり、近現代史を学習する方が社会に生きていく上でより役立つと常日ごろから私自身は思っております。特に、アメリカと戦争した歴史があることも知らない若い世代がいることも事実ですし、社会人としていろいろな社会問題に携わる場合にも、無知が悲劇を生み出しかねません。

 しかし、小学校から高校までの歴史教育の現状は、古代から江戸時代までの学習で時間切れになってしまったり、さきの大戦に対する国論を二分するような案件を避けようとするばかりに近現代史の学習をできなかったりするケースがあると聞いています。

 文部科学省におきましては、今後とも、近現代史に対する取り組みをしっかりやって後世の人材育成に努めてもらいたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

倉田主査 御苦労さまです。

 これにて林潤君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勇治君。

藤井(勇)分科員 おはようございます。自民党の藤井勇治でございます。

 何点か質問をいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、北海道洞爺湖サミットの警備体制についてお伺いをいたします。

 ことしの七月七日からでしょうか、主要国首脳会議、そしてさらに、その前段には関係閣僚会議というのが順次開催されると伺っておりますが、この警備体制について、警察庁の基本方針とそれから準備状況についてお伺いをしたいと思います。

 特に、サミット期間中の緊急連絡体制それから不測の事態に対して十分に準備をしていただいていると思いますが、先般十九日に起こりましたイージス艦「あたご」と漁船との非常にショッキングな衝突事故では、政府の危機管理体制の不備が問題となっています。事故後の情報伝達では、総理には百二十分後に、そして防衛大臣には九十分を要したということでございますが、防衛省の今までの説明では、担当者が事実確認を行った上、係だ、局長だ、次官だと段階的に連絡したため時間がかかったとおっしゃっております。これではいざというときには到底対応できないではないかというふうに考えます。

 この点、まず警察庁の連絡体制はどうなっているんでしょうか。もしこの事故が警察庁の管轄であったら、首相には何分で報告が届いたのでしょうか。よろしくお願いいたします。

池田政府参考人 最初に、サミット警備の基本方針と準備状況でございますけれども、サミット、主要国首脳会議は、主要先進国の首脳が年に一回一堂に会するという極めて重要な会議でございまして、参加されます首脳等の身辺の安全と行事の円滑な進行を確保するということは、開催国の重要な任務であるというふうに認識しております。

 特に、ことしのサミットは、米国の同時多発テロ以降我が国で初めて開催されるサミットだということで、以前にも増してテロの脅威は高いものと考えております。

 また、最近の各国のサミットをめぐる情勢を見てみますと、いわゆる反グローバリズムを掲げる団体の大規模なデモなどが多く起こっておりまして、それに伴い、違法行為も懸念されるという状況でございます。

 加えまして、いわゆるアウトリーチ国というものが最近のサミットには参加しておりまして、主要国の首脳以外にも多数の国から首脳が参加することが予定されております。

 さらに、今お話もございましたけれども、関係する閣僚会議が四月から全国各地で開催されるなど、安全確保をめぐる情勢は楽観を許されないものと認識しております。

 また、最近のサミットの傾向を見ますと、開催地のみならず、大都市圏の重要施設や公共施設が攻撃されるというおそれもございます。

 このような厳しい情勢ではございますけれども、警察は、開催国としての治安責任を果たすべく、テロ関連情報の収集と集約とさらに分析、また、入国管理局等との連携によりますテロリストなどの発見、それから入国阻止、さらに、重要施設や公共交通機関の警戒警備などの諸対策を推進しているところでございます。

 また、過激な反グローバリズムデモによる暴動などの発生に備え、来日する要人の身辺の安全を確保するため、全国の警察において現在鋭意実践的な訓練を行っているところでございます。

 このように、サミットをめぐる情勢は極めて厳しいというふうに考えておりますけれども、警察といたしましては、開催国としての責任を果たすべく、総力を挙げて安全確保に万全を期してまいりたいというふうに思っております。

 次に、サミット期間中に突発事案、重大事案が起こった場合の情報伝達はどうかということでございますけれども、ちょっと一般論で恐縮でございますけれども、警察では、警察庁及び都道府県警察のいずれにおきましても、緊急事態に迅速に対応できますように、夜間、休日を含めて二十四時間の執務・当直体制をとっているところでございます。

 警察庁におきましては、都道府県警察あるいは関係機関などから通報があった場合、大規模災害や重大事故、事案の発生等を認知した場合には、直ちに担当部門それから関係幹部に速報するとともに、内閣にございます情報集約センターを初め関係機関に通報するというシステムを整えております。そのために、例えばあらかじめ事案の類型ごとに担当課、担当者を定めておりまして、さらに、事態ごとで担当者がかわる、連絡先が変わるということがございますので、それを間違えないように、簡単な操作で一斉に送信できる、そういうようなシステムを整えて、連絡とか参集にかかる時間の短縮ということに努めております。

 もとより、サミットにおきましては、テロなどの事態を発生させないということが最も大事であるわけでございますけれども、万が一にも緊急事態が発生したという場合には、伝達等も含めた各種の対応に遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております。

 それで、ただいま、もし何か起こったときには一体どのぐらいの時間がかかるのかという御質問なのでございますけれども、事案によりましてこれは一概にはなかなか申し上げがたいところでございますけれども、例えば最近の突発事案の例を見ますと、昨年の七月に発生いたしました新潟県の中越沖地震の場合でございますけれども、十時十三分に発生いたしまして、その二分後の十時十五分には警察庁に災害警備本部を設置しております。そして、その旨は十時二十分に官邸に通報しているという実績がございます。

 以上でございます。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 安全確保に向けまして大変な態勢を組んでいただいていますことに敬意を表します。正確、迅速、機敏な対応をとっていただいて、安全確保に努めていただきたいと思います。

 次に、お伺いしておりますと、サミット警備は、警察だけが行うものでもなく、住民の皆さんの協力や理解が必要だと考えます。その中で、お聞きしましたのは、東京千代田区麹町の住民の皆さんが麹町サミット警備地域協力会なるものを発足されたと聞いております。このような地域の皆さんの動きに対して、警察はどのように把握して、また、この協力会の皆さんに対してどんな助言やら交流を深められておられるのかをお聞かせ願います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまお話ございましたとおり、サミット警備成功のためには、地域の皆さん方、住民の皆さん方や関係機関の御協力が何よりも必要だというふうに考えております。そのため、いろいろな形で住民の皆さんに御説明をしているところでございます。

 例えば、北海道におきましては、北海道庁と連携をとりまして、警察庁の方から担当審議官が現地に出向いていろいろな御説明をしたり、あるいは北海道警の方で御説明をしたりしております。あるいは管轄の警察署におきましても、地域安全協力会というものが設置されておりますので、それを通じて地域の皆さんとの連携に努めているというところでございます。

 それから、北海道以外、先ほども申し上げましたように、今回のサミットは、ほかの地域、特に大都市圏は危険があるということで、今お話がございましたように、警視庁なども非常にその対策をしているところでございまして、今お話しの麹町サミット警備協力会、そういうような地域の協力会が発足しているところでございます。

 このような組織を通じまして全国的にサミットに対する機運の醸成を図るということが極めて重要だと我々は認識しております。麹町以外の各所にありましても同じような対応をしていくように努めているところでございます。

 警察としましても、こうした取り組みによりまして、国民の方々に対してこれまで以上に理解を深めていただきまして、さらにいろいろな形での協力を賜るように努めて、サミットの安全確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 地域の皆さんの協力というのは非常に大事なことであると思います。いろいろな地域の情報も入りますので、ぜひ地域の皆さんの協力を得るために、こういう協力会の皆さんをあちこちでつくって、そして、情報交換、協力していただくことを警察も育てていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今と少し関連するんですが、サミット警備や関係閣僚会議が行われる都道府県、その地域においては、警備に伴いまして交通規制を行うこともあろうかと思います。また、北海道では観光シーズンの時期に入ってまいりますし、北海道の道民の皆さんはもちろんのことでございますが、観光客への影響等が懸念されます。

 かなり前から関係方面の協力依頼を求めていく必要があると思いますが、過去のサミットの警備の経験から、国民の皆さんへの協力対策はどのように考えておられるのか、どんな方法をとっていかれるのか、御説明をお願いいたします。

池田政府参考人 ただいま御指摘ございましたとおり、警備の万全を期すためには、いろいろな形で交通規制その他、国民に御負担をかけることも、どうしても出てまいるところでございます。

 そこで、このような負担を少しでも減らすために、現在、各省庁の方にお願いをいたしまして、いろいろな形で関係機関、団体に、こういうような規制が行われます、あるいはこういうようなことがございますので、例えば不要不急の車両などは出さないようにしてほしいとか、そういうようなお願いをしているところでございます。

 もとより、そういう負担がございましても、住民の皆さん、それから観光客への影響を最小限にしていかなければいけないというふうに我々考えております。したがいまして、住民の皆さんや観光客の皆さんに対しましても、どのような規制をするかということをできるだけ前広に広報をいたしますとともに、先ほども申しましたように、関係機関の方々には不要不急の車の利用を控えるようにお願いいたしまして、円滑な交通の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 このサミットは何としてでも成功させなきゃいけないところでございますが、事前に、交通規制、警備体制についてできるだけわかりやすく親切に国民の皆様に明らかにして、日々の生活に支障がないようにしていただくようにぜひお願いをしておきます。

 国家公安委員長にお伺いしたいと思うんですが、サミット会場であります北海道のザ・ウィンザーホテル洞爺ですか、非常にすばらしいホテルだそうでございますが、このホテルや周辺に委員長がみずから行かれて、既に下見をされたというふうにもお伺いしておりますが、国家公安委員長として、サミット警備に臨まれるお気持ち、決意をお聞かせ願いたいと思います。

泉国務大臣 八年前の沖縄サミットは、県民の皆さん、そして関係機関のお力添えをいただきまして、無事に終えることができました。しかし、そのような状況がそのまま続いておるわけではなくて、先ほど警備局長が御説明しましたように、状況が大変変わってきておる事態がございます。そういうことを踏まえまして、とにかくサミットに参加される首脳の皆さん方の身辺の安全と行事の円滑な遂行を確保するということは私どもの使命だというふうに考えておるところでございます。

 今局長が御説明しましたように、反グローバリズムでありますとか、開催地でないところでの不法な活動が行われる、そういうことが考えられるわけでございまして、厳しい状況にある中で開催国としての責任を果たしていかなければならない。そのためには、委員御指摘いただきましたように、国民の皆さん方、あるいは開催される地域の皆さん方にお力添えをいただかなければならないわけでございまして、これまでも、地元自治体の皆さん方とのお話し合い、あるいは住民の方々とのお話し合いをさせていただいておりますが、なお一層御協力と御理解をいただきながら、警備に万全を尽くしていきたいと思っております。

 先ほど来お尋ねいただきました警備そのものの考え方、あるいは突発事故が起きたときの連携のあり方、さらに、最後にお尋ねいただきました観光客等への配慮等も踏まえまして、もう一度サミットに向けての態勢を強化していくように心がけてまいりたいと思います。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 国家公安委員長の決意のもとに万全の態勢で臨んでいただきたいと思います。

 この治安の問題でございますが、私たちが、地域の皆さんが毎日本当に平穏で暮らせる、そして生活が平穏にできるということは、何といいましても治安がよくなくてはなりません。私は、最近、日本の治安情勢は大変厳しい状況にあると認識しております。このような情勢のもとに、内閣の最重要課題であるというふうに国家公安委員長も申されました、世界一安全な国日本、これを復活させるために、今回の主要国首脳会議、関係閣僚会議、警備体制に万全を期していただく、そして成功させる必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、輸入ギョーザ中毒事件、これについて若干質問させていただきます。

 中国製の冷凍ギョーザによる食中毒事件が発生をいたしました。国民にとり毎日の食生活は命の源でございまして、市民生活にも不安が広がっております。被害の拡大防止と早期の原因究明を目指す必要があります。

 報道によりますと、今月の二十一日から二十二日にかけて、中国から公安部の関係者の方が複数お見えになって、警察庁との間で中国製冷凍ギョーザ毒物混入事件について情報交換が行われたという報道がございました。これについて、どんな情報交換があったのか、支障のない範囲で御説明をお願いいたします。

米田政府参考人 中国製の冷凍ギョーザ薬物混入事件につきましては、発生の後から警察庁と中国の公安部との間で連絡を取り合ってまいりました。去る二月の二十一、二十二日、両日でございますが、中国公安部の幹部が来日をいたしまして、警察庁の幹部と突っ込んだ情報交換をいたしました。

 その協議の場では、まず警察庁から、この薬物混入が、一つは、密封された袋の内側からメタミドホスが検出されているということ、それから、その検出されているメタミドホスというのは、日本国内で流通している試薬とは異なる不純物が含まれていること、さらには、その流通ルートが、中国を出てから、日本国内で複数の健康被害が出ておりますが、日本国内での流通ルートにクロスする部分がないこと等の科学的客観的な根拠を示しまして、日本国内において薬物が混入された可能性は極めて低いということを説明いたしましたほか、これまでの捜査状況につきましても情報提供を行っております。

 一方、そのとき、この事案に係ります中国における捜査体制あるいは捜査対象者、製造工場の状況等について説明が中国公安部からございました。

 こういうことで、非常に忌憚のない情報交換を行ったということは極めて意義のあることと考えておりまして、また、この会議の結果、今後も日中捜査当局で緊密に情報交換をしていくということも合意をしたというところでございます。

藤井(勇)分科員 中国の公安部の方との非常に貴重な意見交換が行われたというふうに認識しております。

 一方、二月の二十五日からきょうまででございますか、日本の警察庁の次長以下が中国を訪問して、中国公安部との首脳会談を行っているという報道もございました。その際、中国冷凍ギョーザ毒物混入事件、これも当然話題になり、協議するということになっていると思います。また、実際に協議されたのか、もし協議されていればその概要についても、支障のない範囲で結構でございますが、教えていただけますか。

米田政府参考人 二月の二十五日から警察庁次長が訪中をしておりまして、中国の公安部と両国警察当局の首脳級同士の会談を行ったところでございます。その中で、中国製冷凍ギョーザ薬物混入事件の問題についても話し合われました。これまでの捜査状況と今後の捜査協力について協議をいたしまして、事案の全容解明に向けて捜査幹部同士の緊密な連携の確保等について合意がなされたところでございます。

 また、これに引き続きまして、翌二十六日、この次長には警察庁刑事局の幹部も同行をしておりまして、その実務者同士の会議、二十一、二十二日に日本において行われたものに引き続きまして、今度は二十六日、北京において実務者同士の会議が開かれたということでございます。

藤井(勇)分科員 大変貴重な情報交換が行われているようでございますので、ぜひ早期解決を目指して頑張っていただきたいと思います。

 この中国製冷凍ギョーザ毒物混入事件は、先ほども申し上げましたが、国民の皆さんも非常に不安の一途で見守っております。この捜査に対して国家公安委員長は警察をどのように指導していかれるのか、委員長にお伺いをしたいと思います。

泉国務大臣 このたびの事案は、国民に大変不安を与えたという意味では、私ども警察にとっても大きな問題だと思っております。

 警察庁から捜査状況等の報告を受けて、全容解明に向けての捜査を行うことは当然でございますが、日中捜査当局間の捜査協力の推進、そして被害の拡大防止という観点から国民への情報提供等を行ってきたところでございます。

 私自身も、先日、兵庫県警にお邪魔をいたしまして、捜査体制を組んでいただいておる状況、そして科学的分析の状況等をつぶさに見せていただきまして、一層の督励をしてきたところでございますが、警察庁として、今まで、今局長から御説明いたしましたように、中国の公安当局幹部との情報交換あるいは鑑定結果等の広報などを行ってまいっております。

 国家公安委員会といたしましては、今後とも、中国公安当局とさらに緊密に連携をとりながら事案の全容解明に向けた捜査を推進するよう指導していきたい、一日も早くこの原因究明をしてその後の対策が立てられるように努力をいたしたいと思っておるところでございます。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 申し上げましたように、この事件は国民の皆さんの関心も非常に高く、また緊急性の高い問題であります。国民生活に混乱を招かないよう、一日も早い原因の究明と事件の解決を図っていただきますようにお願いをいたします。

 それからもう一点、国家公安委員長にお伺いいたします。銃砲刀関係でございます。

 去年の四月でございました、統一地方選挙の真っ最中でありますが、長崎市長銃殺事件、それから愛知県の長久手の立てこもり事件、さらに東京や福岡での暴力団の対立抗争による発砲事件など、銃を使用した凶悪な事件が続発をしております。

 先般には銃刀法の一部改正によって重罰化されましたが、いまだまだ国民の皆さんの間には銃砲行政に対する不安があります。このため、警察庁では、銃砲規制の厳格化に向けた取り組みをさらに強化するということで、昨年末からことし春にかけてでしょうか、許可を受けた猟銃等の所持者すべてに対し、十七万人、三十万丁といいますか、これらを総点検するということでございましたが、その進捗状況、それからどんな課題があるのか。また、事件発生以来、きょうまでに警察庁として講じられた措置などについて御説明を願います。

泉国務大臣 委員御指摘のように、四月の長崎市長事件以来、昨年は多くの銃にかかわる事案が起きたわけでございますが、特に十二月の長崎県佐世保市で発生した事件を受けまして、警察庁としましては二つの総点検を実施しているところでございます。

 このうち、すべての許可銃を対象とする「十七万人/三十万丁・総点検」につきましては、二月の十五日までに約七割が終了をしたところでございまして、立入検査等により銃刀法違反等が発見されまして事件化等の手続を推進するなど、各都道府県警察における積極的な取り組みを行う中で成果が上がりつつあると認識しております。

 また、銃砲行政の総点検につきましては、一月中にすべての都道府県警察から聞き取り調査を完了いたしておりまして、現在、問題点の整理、検討を行っておるところでございまして、三月中には結果をまとめて公表いたしたいと考えております。

 現在実施しております二つの総点検を通じて、あのような痛ましい事件の再発を防ぐためにどうしたらいいか、法改正も視野に入れまして、しっかりとした銃砲規制の厳格化のための対策を築き上げてまいる所存でございます。

 それから、一方、違法なけん銃についても、厳しい銃器情勢を踏まえまして、委員御指摘いただきましたように、さきの国会で、暴力団によるけん銃事犯の特性に着目した重罰化等を内容とする銃刀法の一部改正をお願い申し上げたところでございます。

 引き続き、銃器犯罪のない社会の実現を目指しまして、国内外の関係機関との連携強化、そして密輸密売組織の壊滅、暴力団の管理に係る武器倉庫の摘発、さらに広報啓発活動を行って銃のない社会を目指してまいりたいと考えておるところでございます。

藤井(勇)分科員 本当に、思わぬ銃事件が発生いたします。銃砲規制の厳格化に向けて、引き続き調査、そしてあらゆる措置を講じていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後にもう一点だけお聞きをいたします。警察捜査のあり方についてお伺いをいたします。

 大変ショッキングな事件として、鹿児島県会議員選挙に係る公職選挙法違反事件で、昨年二月に、鹿児島地方裁判所で十二名の被告全員に対して無罪判決が言い渡され、確定をいたしました。いわゆる志布志事件であります。また、そのほかに富山の氷見事件もあります。

 この志布志事件にかかわった元被告人の方々や、あるいは家族の皆さん、また支援者の皆さん、関係者の皆様に本当に大変な心労や負担をかけたことと思います。そして、無罪判決において取り調べを含む警察捜査の問題点が指摘され、その結果、国民の皆さんの信頼を大きく失ったということも現実でございます。

 このような中で、いよいよ平成二十一年五月から導入される裁判員裁判制度のもとで、警察捜査の結末が直接国民の視点で検証されるということになってまいります。

 警察庁は、このたび、一月に、一連の事件の深い反省のもとと書いておりましたが、「警察捜査における取調べ適正化指針」を発表されております。読ませていただきまして、多くの改善点が見られるわけでありますが、その中の一つに、調べに対する監督を行う機関の設置を決められております。実は、この監督機関というのは、私は外部かと思ったんですが、警察内部に設置されたものであるということでございました。

 せっかくの機関でございますが、内部機関が適正な監督をなし得るのか、その機関がしっかりと機能するのか、これについて御説明をお願いいたします。

倉田主査 大変重要な点でございますけれども、時間が経過しておりますので、できるだけ簡潔にお願いします。

米田政府参考人 では、簡潔に御説明いたします。

 ただいまの適正化指針は四つの柱を設けておりますが、その中で最も重要と考えておりますのが取り調べの監督の強化でございます。監督の強化の柱として、捜査を担当する部門以外の部門に監督をさせる。つまり、今までは犯人をつかまえるという役割と捜査を適正化するという役割がいずれも捜査の部門の中で行われておったのを、適正化する、監督をするということを専門にする部署を捜査とは関係ない部署に設けるということで、内部のチェック機能を働かせようというのがこの仕組みでございます。

 当然、犯罪捜査の機密性等もございますので、これの適正化というのはまずもって私どもの警察の内部において、内部のチェック機能を十分に働かせて行うのが適当であろうと判断した結果、そのような方法をとったものでございます。

 都道府県警察に対しましては、その趣旨を徹底して、取り調べに係る不適正な行為が未然に防止されるように万全を期してまいりたいと考えております。

藤井(勇)分科員 ありがとうございました。

 もう時間が来ましたので、また後でよろしいのでございますが、先日、二月十五日ですか、最高検察庁、最高検が、取り調べの録音、録画の試行の検証について、録画が有効という中間取りまとめを出されました。これについて、警察庁、法務省、どんな思いをされているのか。また後で結構でございますが、お聞かせを願いたいと思います。

 時間も来ましたので終わりますが、いずれにいたしましても、国民の皆さんから信頼される警察でなければ正しい真の情報も入ってまいりません。どうぞ、日々大変な激務でございますが、国民から信頼される警察人を目指して努力していただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

倉田主査 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 次に、桝屋敬悟君。

桝屋分科員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 この第一分科会、久々に予算の分科会で、本日は、運転代行業の問題について政府参考人と議論をしたいと思っております。

 平成十四年六月一日に施行されました自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律によりまして初めて、きょう議題にいたします運転代行業、法律上の位置づけを与えられたわけであります。事業として市民権を得て、その後、大変に事業者がふえているという状況にございます。事業法ができる前は全国に二千ぐらいの事業者だと思っておりましたけれども、その後、随分ふえているようでありますが、最近の現状について、警察庁から、それぞれの公安委員会で認定されている事業者数、そして従事している車の台数などについて御報告をいただきたいと思います。

末井政府参考人 いわゆる運転代行業法に基づきまして都道府県公安委員会の認定を受けた自動車運転代行業者は、十九年末現在、全国で七千二百五十三業者でありまして、業者が使用する随伴用自動車は二万八千二台となっております。

 法律成立前の平成十二年五月末時点で把握しておりました業者は二千七百十五業者、随伴用自動車は一万六千三百八十四台でございましたので、事業者数において約二・七倍、随伴用自動車の台数は約一・七倍への増加となっております。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたとおりの状況でありまして、二千七百十五事業者、これが二・七倍の七千二百を超える、こういう状況でございます。

 こうした事業者の大幅な増加とともに、ダンピングの問題でありますとか、あるいは不適正な事業者、営業実態、こうしたものも見られるわけであります。業界全体としても、なかなか悩ましい問題を抱えている状況がございます。

 こうした状況に対応するために、実は、立法府、国会における有志によりまして、運転代行事業の議員懇話会を立ち上げまして、ずっと活動を続けてきたわけであります。私もそのメンバーでありますし、自民党の福井の先生でありますが山本拓先生や、和歌山の谷本先生、さらには保岡興治先生あたりにも参加していただいて、多くの方に入っていただいて、業界団体の悩ましい声なども聞かせていただいてきたわけであります。

 若干時間がありますから、その議員懇話会の活動の中でさまざまな実態を聞かせていただきました。認定台数を超えた台数での稼働、あるいは、認定後、代行保険を解約しまして失効したまま営業している業界の実態、そういう事業者もある、こういうことでありますし、営業所を持たずに携帯電話一本で営業を行っているという事業者も見られることなどなど、この法に基づいて適正な運営をされている事業者の中で、やはり昨今の厳しい経済状況の中で、新規参入者がまことに参入しやすい業界でありますから、こうした実態もあるということもるる伺わせていただきました。

 その上で、私ども議員懇話会としては、「自動車運転代行事業の現状と問題点」という整理をいたしまして、昨年、国家公安委員長あるいは国土交通大臣に対して、五年後の法律の見直しということもあるわけでありまして、ぜひとも取り組んでいただきたいと強い申し入れを行ってきたわけであります。

 こうした私ども議員懇話会の立法府における取り組みに対しまして、両省庁によって検討も行っていただきました。両省庁の特段の取り組みをいただいた上で、今後の取り組み方針がまとめられたというふうに理解をしております。時間に限りがありますが、そのポイントについてあらあら、警察庁あるいは国土交通省、両者から御報告をいただきたいと思います。

    〔主査退席、佐藤(剛)主査代理着席〕

末井政府参考人 両省庁におきまして、法の施行後五年を経過したことなどを踏まえまして、法律の施行状況の検討、そしてドライバーや飲食店などの経営者に対するアンケート調査などを行いまして、その結果に基づきまして、今月の七日、運転代行サービスの利用環境改善プログラムを策定したところでございます。

 このプログラムにおきましては、飲酒運転根絶の受け皿としての安全で良質な運転代行サービスの利用環境を改善するために、両省庁が講ずる具体的な方策を取りまとめたものでございますが、その方向性といたしまして二点、利用者の利便性、安心感の向上と、運転代行業の健全化を掲げまして、これに基づいて各種施策に取り組んでいくことといたしました。

 警察庁関係の施策といたしまして、利用者の利便性、安心感の向上のための措置といたしましては、業界団体によります優良事業者認定制度の実施や、優良事業者の情報の利用者への提供に対する支援、協力を国土交通省と連携して行いますほか、顧客の自動車に表示する代行運転自動車標識の表示方法の改善を行うこととしております。

 また、代行業の健全化のための措置といたしましては、違法行為を行う運転代行業者に対する取り締まりや指導監督の強化、そして業界団体が代行業者の従業員に対して行います教育への支援、協力を国土交通省と連携して行うこととしております。

神谷政府参考人 国土交通省関係の具体的施策といたしましては、ただいま警察庁の方から御答弁がありました内容に加えまして、お客様の自動車であります代行運転自動車に係ります車両保険、これを新たに義務づけするということで、損害賠償措置義務の拡充を図ってまいるということが一点。

 それから、現在法律で既に義務づけになっております料金の掲示義務、そしてまたその説明義務につきまして、改めてその周知徹底を図ってまいりたいと思います。そしてまた、料金明細を記しました領収書の発行についても指導をきちんとしてまいりたいと思っておりまして、そういうことによりまして、料金システムの透明化の確保を充実させていきたいというふうに考えておるところでございます。

桝屋分科員 ありがとうございました。

 両省庁によって運転代行サービスの利用環境改善プログラムに取り組んでいこう、こういうことであります。

 通告しておりませんが、確認させてください。この両省庁による取り組みについては、各それぞれの所管には、これは正式な通知文書として発出されているのかどうか。どんな形でこれを決定され、どういうふうになっているのかなという、通告はしておりませんが、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

末井政府参考人 警察庁におきましては、二月七日、策定をいたしました当日に、プログラムの策定につきまして、各都道府県警察本部長、警視庁には交通部長でございますが、このようなプログラムが策定されたという事実をまずもって通知いたしました。

 その中で、プログラムにおいて講ずべき措置につきましては追ってそれぞれ順次に通達をするということも述べておりますが、ただ、当面においては、国土交通省関係と緊密に連携して、自動車運転代行業者に対する指導監督の実施などといった措置を引き続き適正にやっていけ、こういった通達を出しております。

    〔佐藤(剛)主査代理退席、主査着席〕

神谷政府参考人 国土交通省といたしましても、地方運輸局という組織が全国にございますが、プログラムにつきまして周知徹底をきちんと図ったところでございます。(桝屋分科員「通知を出したのか」と呼ぶ)はい。

桝屋分科員 済みません、確認させていただきました。

 それで、ただいまの御説明、この利用環境改善プログラムの中で、御報告があった車両保険を義務づけるということでありますが、いつから実施になるのか、そして実際に損保業界あたりでそうした適切な保険というものがあるのかどうか、商品化されているのかどうか、その点を重ねて確認させていただきたいと思います。

神谷政府参考人 今先生御指摘のとおり、利用者保護の充実をさらに図っていかなきゃいかぬということで、代行運転自動車に車両保険あるいは車両共済を義務づけるということで、現在、国土交通省令の改正を行うということで準備をしておるところでございます。

 現在、車両保険あるいは車両共済でございますが、対人、対物賠償とセットの商品として販売されているものもございますが、やはり義務づけの円滑な実施のためには、車両保険あるいは車両共済単独の商品がどうしても必要になってくるというふうに考えておりまして、現在、保険会社等々とその開発準備を鋭意進めておるところでございます。保険会社の方で中心となって進めていただいております。

 義務づけの実施時期につきましては、そういうことでございますので、その商品の開発状況を十分に勘案しながら、できるだけ早い時期に導入してまいりたい、こういうふうに考えております。

 よろしくお願いします。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 それから、もう一点確認をしたいんですが、先ほどの御報告の中で、両省庁によりましてアンケート調査あたりも取り組んでいただいたということであります。私も見させていただいておりますが、このアンケートで浮き彫りになった現在の運転代行業の実態といいましょうか問題点、今後健全な業界の発展のためにどういう課題が見えてきたのか、御報告をいただきたいと思います。

 これは警察庁の方からお願いできますか。

末井政府参考人 アンケート調査は、昨年の十月、国土交通省と連携いたしまして、全国の一般ドライバー約三千名、飲食店などの経営者約一千名に対して行ったものでございます。

 この調査におきましては、運転代行業の問題点として、料金システムが不透明であること、安心できる業者がわからないこと、交通事故の際の補償が不十分であること、代行運転する従業員が来るまでに長時間待たされること、そして、従業員の態度が悪いこと、従業員が交通ルールを守っていないことなどが挙げられておりまして、このようなことが問題点だろうと認識をしております。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 今おっしゃったとおりのアンケートの結果というふうに私も伺っているわけでありますが、せっかく両省庁取り組んでいただいた実態調査でありますけれども、どうも、結果の中に、私が想定していた、私が知っております現場の状況と大分違う結果も出ているような気持ちがしております。ただし、私に確証はないわけでありまして、これからも関心を持ってこの業界を私は見詰めてまいりたいと思っているわけであります。

 そこで、今回、利用環境改善プログラムに取り組むということでありますが、五年後の法律の見直し、法律そのものに手をつけるというところまでいかなかったわけでありますが、ある意味では、両省庁、これほど運転代行業について検討していただいたことはなかったな、こう思っております。その取り組みについては評価をしたいというふうに思っているわけでありますが、なお業界団体には、例えば、この制度が持ち込み車両を許容しているものですから、それに伴いますさまざまな不適切な業務運営の実態が出ている、あるいは、何度も私も議論しておりますけれども、AB間の問題あたりについてもなお何とか方向性を出してもらいたいという強い要請があるというふうに思っております。

 両省庁としては、この利用環境改善プログラムの取り組みを行うに当たって、今後、業界団体の自主的な取り組みということも期待をされているというふうにこのプログラムの中にも記載がされているわけでありますが、特に業界の自主的な取り組みについてどういう期待を持っておられるのか、これも警察庁からお伺いをしたいと思います。

末井政府参考人 先ほど申し上げましたアンケート調査の結果を踏まえますと、代行業が多くの人に安心して利用されるようにするためには、優良事業者の情報を利用者に提供すること、そして代行業者の従業員に対する教育を充実させることなどが有効でありまして、これらにつきまして、私どもの支援、協力のもとで、業界団体が自主的に実施することが望ましいと考えております。

 そこで、今後、業界団体によるこのような取り組みが早期に実施されることを私どもは期待し、そしてそのように指導もしてまいりたい、このように考えております。

桝屋分科員 この業界のレベルアップのために自主的な取り組みをぜひ期待したい、こういうお答えであったかと思うんですが、そのためには、まずは両省庁共管の社団があるわけであります。設立認可された社団、社団法人全国運転代行協会なるものがありますが、まずは、この社団がせっかくあるわけでありますから、この社団のもとに業界団体が結束をし、一致団結をして、今回の両省庁によります行政の取り組みと相まって、自主的な取り組みを私自身も期待したいと思っているわけでありますが、なかなかそういかない状況があるわけであります。

 いろいろな業界、なかなかまとまらないということはあるわけでありますが、ともかく、この社団のもとに、現在、先ほど七千二百五十三ですか、事業者があるというふうに言われましたけれども、この社団に加入している団体というのは恐らく二百から三百だろうというふうに私は理解をしておりまして、まさに業界を代表する団体というふうには言えない状況になっているわけであります。そこがまた、両省庁による自主的な取り組みを期待したいんだけれども、期待ができないという難しい状況もある。

 我々、議員懇話会、何度も会合をやりまして、立法府、国会議員の中から、我々も努力をするけれども業界も一致団結して頑張ってもらいたい、こういう激励もし、お話も申し上げてきたわけであります。そんな動きもありまして、やっとこの団体も新たな、再構築、再編成といいましょうか、まさに再構築へ向けて再出発、新出発といいましょうか、取り組みをするというふうに私も仄聞をしているわけであります。

 そんな状況の中で、両省庁として、両省庁が認可をされたこの社団の活動などについてどのように支援をしていくのか、御指導されていくのか、そんな点を、警察庁あるいは国土交通省、申しわけないけれども、両方からちょっと感想を聞かせていただきたいと思います。

末井政府参考人 御指摘の社団法人全国運転代行協会は、交通安全に資する産業としての運転代行業の健全な発展を図ることなどを目的としておりますので、私どもは、この協会は、運転代行サービスの利用環境改善に向けた自主的な取り組みの担い手となる団体であると期待をしておるところでございます。まず、そのような認識を持っております。

 そこで、この協会が運転代行サービスの利用環境改善に向けた自主的な取り組みを実施する場合には、プログラムに基づきまして、まず、協会が実施する講習への講師の派遣、運転代行業者の従業員によります交通事故や違反の実態についての情報の提供、国民に対する広報への協力などの支援、協力を行うこととしております。

 今後とも、私どもは、協会の事業の内容が適切なものとなるよう、引き続き指導監督してまいりたいと考えております。

神谷政府参考人 ただいま警察庁の交通局長から御答弁いただいたとおりでございまして、先生おっしゃったとおり、七千の事業者の方がやはり一致団結して事に当たっていただくということが、非常にこの業界の健全な発展には大事なことであろうかと思います。

 国土交通省といたしましても、精いっぱい、警察庁と連携をとりまして、この団体の発展のために尽くしていきたいと考えております。

桝屋分科員 ありがとうございます。

 手前みその話になりますけれども、私ども議員懇話会、一昨年からずっと活動を続けてまいりましたが、すべての、運転代行業界のありとあらゆる団体にお声をかけまして、ともかく皆さん集まっていただこう、こういう努力をしてきたわけであります。言ってみれば、両省庁のかわりに一生懸命応援をしてきた、こういう経緯もあって、山本拓先生や谷本先生あたりの御苦労も大変なものがあったと思っておりますが、その辺の苦労も含んでいただいて、ぜひとも御支援をよろしくお願いしたい。

 やはり飲酒運転の撲滅という観点で、重大な事件も今まであったわけでありますから、何としても社会的な役割を果たしていただく環境づくりをしたい。それができるならば、このプログラムの最後に書いてありますけれども、「運転代行サービスの利用環境改善に向けた更なる取組みについて検討を行い、必要かつ適切な施策があれば、これを具体化する」ということを整理していただきました。課題はまだ残されているという認識のもとに、ぜひ御検討をお願いしたい。

 そこで、やはり何といいましても、まずは両省庁の対応としては、社団の再構築を優先してもらいたい、こう思っております。現状は先ほど申し上げたとおりでありまして、理解ある対応、これから新出発を、ある意味では新しい法人をもう一回立ち上げるというような状況であるわけでありますから、ぜひともそうした状況を勘案の上、きめ細かな御支援、温かい御支援をお願いしておきたい、これはお願いであります。お二人がうなずかれましたので、納得をしたいと思うのであります。

 先日、全乗連の会合に両省庁も行かれて、このプログラムの御説明もされ、タクシー業界の方からはまた代行業界への適正な運営のためのいろいろな声もあったようであります。

 いずれにしても、新しいステージに進んでいけるように、私としては、適正化法というよりも事業法、本当の意味の事業法に向けて、これからも立法府の一員として、国会の一員として取り組んでいきたいという決意を申し上げて、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

倉田主査 御苦労さまでした。

 これにて桝屋敬悟君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。安次富修君。

安次富分科員 お忙しい中、岸田大臣、どうもありがとうございます。ほかの政府委員の皆様にも感謝を申し上げます。

 それでは、貴重な時間でございますので、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 まず、教科書検定問題のその後の対応について、沖縄戦の実相を後世に正しく伝えるための諸取り組みについてお聞きいたします。

 昨年は教科書検定問題が大きな問題となり、沖縄戦とは何だったのかという問題を日本じゅうの人が考えることになりました。教科書各社の訂正申請が承認され、一応の決着は見ましたが、教科書の記述にとどまらず、歴史とは、平和とはといったことを子供たちに伝えていくことが本当の意味での歴史教育だと思うのです。

 沖縄戦関係資料閲覧室の機能強化や所蔵資料をインターネットで閲覧可能にするなど、岸田大臣の積極的な取り組みには敬意を表しております。しかし、来る人を待つという姿勢ではなくして、沖縄担当大臣として、また北方領土もあわせて日本の戦後を所管する大臣として、より積極的に、日本で唯一の地上戦を経験し、住民にも多大な犠牲を出した沖縄戦の悲惨さを後世に伝え、平和を発信する役目を担っていただきたいと思っております。

 例えば、現在、沖縄を訪れる修学旅行等において、平和学習の一環として沖縄への訪問に取り組んでいる高校がありますが、さらに広く啓蒙していただいて、平和学習ツアーを呼びかけることにより、教科書だけでは学べない沖縄戦の実相を学び、平和を考えるよい機会となるのではないでしょうか。

 また、これは文部科学省の管轄ではありますが、毎年、六月二十三日は悲惨をきわめた沖縄での地上戦が終結した日であり、沖縄県においては、その日は公休日となり、沖縄全戦没者慰霊祭が挙行されております。この六月二十三日を、全国の高校において、戦争の悲惨さを伝え、永遠に平和を希求する願いから、特別授業やホームルームを開催するといったことはできないでしょうか。

 これは強制ではなく、個々の高校の判断にゆだねることになろうかと思いますが、このように沖縄戦の実相、戦争の実態を子供たちに伝えていくことが歴史教育、平和教育になると思うのですが、岸田大臣並びに文部科学省の御意見を聞かせてください。

岸田国務大臣 まず、沖縄戦につきましては、さきの大戦における国内最大の地上戦であり、極めて悲惨な戦いであり、多くの県民の方々が犠牲になられ、そしてつらく悲しい経験をされたということ、これは常に忘れてはならないと思っております。そして、歴史の教訓を風化させることがないように、こうした沖縄県民の皆様方の思いを重く受けとめて、そして子供たちに教えていくということ、これは大変重要なことだと認識をしております。

 今委員御指摘になられました平和教育ツアー、そして全国で平和教育の特別授業を行う、こうした御指摘につきまして、全国での平和教育という部分につきましては、直接は文部科学省の検討が必要だというふうに思いますが、沖縄担当大臣としましては、委員御指摘のような考え方は、これは大変重要な考え方だというふうに思っています。ぜひこういった考え方につきましても担当大臣としましては前向きに考えていかなければいけない、そのように思っています。

布村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の昨年十二月の高校日本史教科書の沖縄戦に係る記述の訂正申請の承認に際しましては、専門的、学問的な観点から慎重かつ丁寧な審議を経て出されました教科用図書検定調査審議会の意見に基づきまして承認の決定を行ったところでございます。

 その際に文部科学大臣談話を発表させていただいておりますが、大臣談話におきましては、「沖縄戦は、住民を巻き込んだ国内最大の地上戦である。多くの人々が犠牲になった悲惨な戦いであり、歴史の教訓を決して風化させることのないようにと願う沖縄県民の思いを重く受け止め、これからも子ども達にしっかりと教えていかなければならないと考える。」という談話を出させていただいたところでございます。このような考え方のもとで、文部科学省としては、今後とも沖縄戦に関する学習が一層充実するように努めてまいりたいと考えております。

 先生御提案の点についてでございますけれども、各学校の教育課程につきましては、学習指導要領に基づきまして、各学校の設置者である教育委員会の指導のもとに、地域の実情に応じて各学校において修学旅行の実施も含めて編成いただいているものでございまして、なかなか全国一律にというのは難しい課題があろうかと思います。しかしながら、沖縄戦につきましては、現在発行されておりますすべての教科書において沖縄戦に関する記述もなされているところでございますので、今後とも、沖縄戦についてしっかりと教えられるよう、引き続き努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

安次富分科員 どうもありがとうございます。

 これからも、一過性の問題としてではなくして、普遍的な課題として、ぜひ岸田大臣そして文部科学省の積極的な取り組みをお願い申し上げます。

 次に、ブラジル国営石油による南西石油買収、その経済的影響、効果及び周辺対策事業についてお聞きをいたします。

 先ごろ、ブラジルの国営石油会社ペトロブラス社が沖縄県西原町にある石油精製会社南西石油を買収すると報じられました。また、それに伴い、ペトロブラス社は、買収後に一千億円を投じて設備を新設し、ブラジル産原油を精製、アジア向けに輸出するという計画があるということでございます。この巨大投資は沖縄経済へ大変大きな影響を与えると思うのですが、その経済波及効果が一体どれほどのものになるのか、またそれが沖縄県経済に与える影響等についてどのような予想がなされるのか、お聞かせください。

岸田国務大臣 御指摘のブラジルの国営石油会社ペトロブラス社が沖縄県に参入するという件でございますが、まず沖縄県における石油の安定供給ということを考えますと、これは大変プラスに資するものだというふうに考えております。そして、石油製品の出荷額ということを考えますと、これは沖縄県の工業出荷額に占める石油そして石炭を合わせた製品の割合ですが、約二八%ということですので、石油製品の出荷額というのは沖縄県の製造業において大変大きな割合を占めております。

 こういったことを考えますと、今回の参入は沖縄県経済全体にとりましても好影響を与えるものだというふうに考えておりますし、また、雇用ということを考えましても意味がある、プラスに資するものだというふうに考えております。

 具体的にどれだけの経済効果があるかということにつきましては、御指摘の設備投資の部分がまだ計画ということで、その具体的なものをちょっと把握しておりませんので、数字的にはちょっと今なかなか申し上げるのは難しいかと思いますが、今申し上げましたように、石油価格、あるいは出荷額、あるいは雇用等々、今回の参入はさまざまな点でプラスに働く歓迎すべきことではないかと認識をしております。

安次富分科員 この南西石油があります沖縄県西原町周辺は、百五十社の各種事業所が集積する県内有数の工業専用地域があり、そのアクセス道路となっている国道三二九が渋滞する朝夕は、通勤、輸送車両が周辺集落内の非常に狭い域内道路を通過するため、たびたび事故が発生し、大変危険な状態が続いております。

 御承知のとおり、沖縄は、鉄軌道のない車社会であり、なおかつ米軍基地の存在により東西の連絡は難しく、また南北に走る基幹道路は完全に容量をオーバーしており、慢性的な渋滞を引き起こしております。近年の経済社会の進展に伴う人的・物的輸送、情報の高度化、広域化により慢性的な交通渋滞を引き起こし、県内経済や交通安全上憂慮すべき事態となっております。九州・沖縄地区の渋滞ワーストワンも沖縄なら、ワーストテンにも沖縄が三つ入っているということでもその状況が御理解いただけると思います。

 今回、ペトロブラス社の買収、投資により大きな交通需要が発生することが予想されます。しっかりとした周辺道路対策を講じないと、渋滞やそれに伴う経済損失、事故の増加等の危険性の増加、域内の生活者、特に子供やお年寄りなどが危険にさらされるといった危険性が生じかねません。現在整備中の国道三百二十九号西原バイパスを延伸するなど、いろいろと対策の方法はあるかと思いますけれども、国道三百二十九号バイパスの延長整備や周辺対策事業についてお聞かせください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の地域における道路の整備でございますが、御指摘のとおり、現在、国道三百二十九号線与那原バイパス、四・二キロでございますが、整備を行っているところでございます。具体的には、与那原バイパスにつきましては、平成十六年度に工事着手いたしたところでございまして、平成十八年三月にはマリンタウンプロジェクト内の区間について部分暫定供用に至っているところでございます。

 現在事業中の区間につきましては、引き続き早期の供用を目指しまして事業を推進し、地域の交通の円滑化に努めてまいりたいと考えております。また、現在事業化されていない区間につきましては、将来交通量等を勘案いたしつつ、事業の必要性等について鋭意検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

安次富分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、沖縄の魅力、優位性を生かした海洋レジャー事業の推進についてお聞かせください。

 沖縄振興政策は、観光・リゾート産業などの沖縄の持つ強みを生かせる分野に力を注ぎ、沖縄の持続的発展に寄与する社会資本整備を一層進め、沖縄の優位性を最大限発揮した特色ある地域としての整備を推進していくことが必要であるとの認識は大臣も同じく持っていただいていることと思いますが、観光、レジャーについてお聞かせください。

 沖縄は海に囲まれた海洋県であり、なおかつその海は世界でも類を見ないほどの美しさで、世界じゅうのダイバーのあこがれのダイビングスポットでもあります。日本国内のみならず、世界からも観光客を誘致することのできるこのような沖縄の持つ貴重な観光資源を積極的に活用していくことが、沖縄の振興、発展、自立経済の構築にとって非常に重要であると思っております。

 しかし、この沖縄の持つ強みを現在最大限に生かしているかというと、そうではない部分があると思います。私の選挙区の北谷町宮城砂辺地区海岸も、非常に盛んなダイビングやサーフィンといったマリンレジャーのスポットであるわけですが、このような場所であってさえ、なかなか観光客の方々に不便な思いをさせております。

 簡易施設がないために、車の中で女性の皆さんとかは着がえをするとか、車のドアをあけて、車のドアの陰に隠れてダイビングのあれを着るとか、アクアラングをつけるとか、非常にいびつなといいますか、かわいそうなといいますか、そういう状況が続いているわけであります。

 更衣室やトイレといった基本的なインフラ整備が間に合っていないということでございますし、ダイビングをせっかく楽しみにして来てくれた方々にも、やはり設備が用意されていなければ、気持ちよく観光を楽しんでもらう、またリピーターもふえていかないと思っているのでございますが、日本のマリンレジャーの先進地域として、世界に誇るちゅら海を持つ沖縄の財産を活用していくための環境づくり、施策、特にダイビング用の簡易施設の整備についてお聞かせください。

原田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、海の自然の美しさ、そしてそれを生かしてのマリンレジャー、沖縄の観光にとりまして大変大きな魅力になっておるところでございまして、これからも、沖縄の観光振興に当たりまして、海洋の自然、そして海洋のスポーツ・レクリエーション機能を充実強化していくということは大変重要なテーマであると認識しております。

 従来、このテーマに関しましては、県内に多くのダイビングスポットを抱え、そして多くのダイビング関係の民間事業者とともに行政も支援してきたところでございます。

 具体的には、県内十八の観光振興地域を指定しまして、その中で民間事業者が展開するさまざまな観光施設、その中にはダイビング関係のスポーツ・レクリエーション施設も含まれるわけでございますが、そうした施設整備を行う際に、法人税あるいは地方税の優遇措置を用意するとか、あるいは、行政として取り組む場面では、体験滞在型の施設整備を進めるという観点から、例えばインストラクターによる教室、学習機能の充実、そして一定のレクリエーション施設の整備、ソフト、ハード両面から取り組む場合に、体験滞在型の施設整備を促進する観点での支援事業も展開してきたところでございます。

 ただ、御指摘の地区につきましては、現在十八の観光振興地域の指定の外にあるやに聞いております。また、体験滞在型の施設整備、ソフト、ハード両面からの施設整備につきましては、従来、本島も含めて展開してきておりますが、現在のところ、離島を中心に展開しようというふうに考えております。

 御指摘の点、一般的には大いに県とともに協力し、力を入れていきたいというふうに考えておりますが、具体の地区に係る取り組みにつきましては、関係者とまたよく相談をしてまいりたいというふうに考えています。

安次富分科員 統括官、ぜひ北谷町の宮城砂辺地区の実態調査といいますか、そういう入域観光客の調査、それから周辺の地域の整備状況等々も調査していただいて、観光客にそういう不備がないように、ぜひお願いをしたいと思っております。

 次に、沖縄科学技術大学院大学の建設工事における県内企業優先発注についてお聞きをいたします。

 ベスト・イン・ザ・ワールドを目指して現在建設が進められている沖縄科学技術大学院大学は、自然科学系の世界最高の研究・教育水準と国際的で柔軟性を持った大学院大学として、世界の科学技術の発展に寄与し、また沖縄をアジア太平洋地域の先端的頭脳集積地域として発展させることが大いに期待されているところであります。

 また、それと同時に、沖縄の地理的優位性や地域特性を生かした今後の沖縄振興の目玉となる大変重要なプロジェクトであり、沖縄振興計画でも重要な柱として位置づけられております。

 言うまでもなく、地域振興とは、地域の産業、地域の企業で地域の経済を振興させることが非常に大事であり、いかに政府予算で沖縄振興計画をつくったところで、せっかく沖縄に予算をつぎ込んでいただいても、また県外の企業が持っていってしまうといいますか、還流してしまうということでは、真の意味での沖縄振興にはつながらないと思っております。

 この大学院大学の建設工事において、県内企業が入札に参加が難しいような点数が設定されているということが指摘されておりますが、沖縄県民が待望する世界最高水準の大学院大学は、県内建設業界にとっても、世界に誇れる施設を県内業者によって完成させるという大きな期待が持たれております。県内企業も、施工技術は飛躍的に向上し、すべての工事に対応できる体制を整えているとの自信を持っております。今後の工事発注に県内建設業者、県内産業界が参入できるような特段の御配慮をお願い申し上げます。

岸田国務大臣 御指摘の沖縄科学技術大学院大学構想ですが、まずこの推進については、独立行政法人であります沖縄科学技術研究基盤整備機構が担っておりまして、キャンパスの整備の発注についても、機構が責任を担っているところです。

 ただ、この沖縄科学技術大学院大学構想は、沖縄振興計画において位置づけられているプロジェクトでもありますし、また、その沖縄振興計画では、官公需について、地元中小・中堅建設業者の受注機会の増大に配慮すべきこと、これが定められております。

 こういったことから、内閣府としましては、機構に対しまして、まずは独立行政法人整理合理化計画等で示されております一般競争入札の原則化や契約の透明化の確保、これは一応留意はしなければいけないとした上で、公共工事の品質確保の促進に関する法律、この法律は、議員立法でありましたので、私もこの法律をつくる際にかかわらせていただいた一人でありますが、この法律の趣旨に基づいて、工事の質の確保に留意しつつ、入札参加資格の設定において適切に対応すること、さらには、県内企業の受注機会の確保という意味から、工事の種類あるいは工区等による工事の区分等において工夫をする、あるいは大規模な工事における共同企業体の利用を行う、こういったことで県内企業の受注機会の確保を図る、こういったことに留意してもらいたいという要請を機構に行っている、こういったことでございます。

 ぜひこれからも、機構に対しまして、こういった趣旨が徹底されるようにしっかりと要請をしていきたいと考えております。

安次富分科員 ぜひ岸田大臣の経験も生かしていただいて、いろいろな工夫ができると思います。何も無理を言っているつもりはありません。さまざまなアイデアやいろいろな工夫をして、ぜひ、県内産業界そして県内建設業界、ベスト・イン・ザ・ワールドの大学院大学であるならば、県内企業も、この際、世界水準にまで産業界を持っていくということで育成していただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、認可外保育園に対する余剰備蓄米の支給についてお聞かせください。

 沖縄県は、待機児童数が全国的に特に多く、大きな問題になっております。待機児童数を全国で比べてみましても、東京、神奈川、埼玉、大阪といった首都圏大都市に並んで、常に沖縄がトップファイブに来るのです。これらの都府県とはそもそも人口自体が全然違いますので、率に直した待機率では全国ワースト、全国平均の五倍にもなっております。

 このような状況下で、認可外保育園を利用する方々も非常に多いのですが、そうなると保護者の経済的負担も高くなります。そこで、認可外保育園に対する支援として、政府備蓄米を提供できないかとの取り組みを行ってきたところであります。

 そのような中で、沖縄県の二〇〇八年度予算におきまして、認可外保育園の給食支援として、米代二千百万円を助成する予算を内示いたしました。これは、園児一人当たり一日十一円に相当し、現物を支給するということになっております。認可外保育園の給食費支援を公約に掲げた仲井眞知事のリーダーシップが発揮されたものであると評価する一方で、政府の対応に不満を感じざるを得ません。今回は、政府備蓄米を所管する農林水産省や内閣府の対応が間に合わなかったために、県が独自で支援策をつくったということになるのでしょうか。

 さきに述べましたとおり、待機児童数も認可外保育の利用者数も全国に比べて高く、劣悪な保育環境に置かれている沖縄で、なぜ政府は、困っている人たちに手を差し伸べないのか、働くお母さんたちの負担を軽減してあげようとしないのか。少子化対策だと言いますが、女性労働力も高い沖縄に対してこそ、もっと手厚い支援があるべきではないでしょうか。農林水産省と内閣府の対応についてお聞かせください。

岸田国務大臣 まず、認可外保育施設につきまして、給食費などについて財政支援を求める要請が沖縄県等からあるということ、十分承知しております。そして、この関連で、御指摘のように、政府備蓄米を学校、幼稚園などに無償交付するという制度について、認可外保育施設へ活用できないかという声があるということ、これにつきましても承知をしているところでございます。

 この制度自体につきましては農水省の所管ではありますが、政府備蓄米の無償交付につきましては、現在、学校給食用、学習教材用等が対象になっている、要は保育所が対象になっていないというようなこと、さらには、交付対象となるのは、米給食の増加分のうち六割が上限という制度のありようがあります。

 こういった点において、今回の認可外保育所への支援として活用することができるのか、こういったことにつきまして、農水省あるいは厚生労働省等に事務的には協議をするようにという指示を出しているところであります。今、関係省庁間で検討をしているということですが、今申し上げましたような点につきまして、しっかりと詰めていきたいと内閣府では考えております。

奥原政府参考人 お答えをいたします。

 農林水産省におきましては、米の消費拡大や米飯を中心とする日本型食生活の定着に資する等の観点から、米飯学校給食が増加した場合に、その増加分の六割について政府の備蓄米を無償で交付するという制度を設けておりますけれども、認可外を含めまして、保育所につきましては、これの対象に現在なっておりません。

 昨年来、沖縄県の関係者から、認可外の保育所につきまして、この無償交付制度の対象とできないかという御相談をいただきまして、沖縄県庁ともいろいろ意見交換をしてきたのは事実でございます。その後、沖縄県の方で、平成二十年度の予算で、認可外保育所への給食費の助成、これが計上されたこともございまして、現時点では、沖縄県の県庁の方から正式な御要請はいただいておりません。

 今後、県庁の方から正式な御要請があれば、その時点で検討してまいりたいというふうに考えております。

安次富分科員 保育のかけがえのない子供たちの支援をすることは、私は福田内閣の最も取り組むべき重要な施策の一つだというふうに考えておりますので、認可保育園、認可外保育園ともに、子育て支援という意味で、各省庁が知恵を出して、ぜひ施策の充実をしていただきますよう、重ねて要望いたします。

 最後に、二千円札の普及並びに利用促進についてお聞かせください。

 今、岸田大臣に、お上げはしません、これは現金ですから買収にかかりますので、後で返してください、二千円札。

 これが二千円札でございますけれども、一昨年も、谷垣財務大臣でしたか、質問をさせていただきましたが、洞爺湖サミットを控えた今回もまた二千円札について、この機会に質問をさせていただきます。

 平成十二年七月十九日、沖縄サミットと二〇〇〇年を記念して二千円札が発行されました。この紙幣には、沖縄県首里城の守礼門が図柄に採用されておりますし、沖縄の振興と平和の発信、シンボルとして役立つものと期待していたわけでありますが、普及、利用が伸び悩んでおります。これは、あくまでも記念紙幣ではなく一般札ですから、広く流通させなければならないわけであります。沖縄におきましては、二千円札流通促進委員会を中心に、二千円札の普及促進に活動したところでございます。

 最近、洞爺湖サミットを間近に控え、札幌では二千円札の利用促進を図る運動が進んでいるのを御存じでしょうか。「二千円札お特区」と紹介されておりまして、景気回復、それから地域おこしに一役買っているわけであります。

 私がこうやって二千円札を取り上げるというのは、洞爺湖サミットもございますけれども、二千円札の利用促進をPRすることによって、地域の経済振興、そして日本全体の景気回復といいますか、そういうものでも役立つ、貢献すると思っておりますので、一般的な普及という点で、ぜひ岸田大臣には先頭に立って音頭をとっていただきたいと思うのでございます。

 財務省にも、せっかくつくっていただいた紙幣ですので、どのように利用促進が図られるのか、ぜひ知恵を絞っていただきたいと思いますが、岸田大臣と財務省の御見解を聞かせてください。

岸田国務大臣 沖縄担当大臣としましても、この二千円札、広く流通させ、利用促進を図るために努力をしたいと思っておりますし、広く普及することを心から願っております。

 沖縄においては、民間のボランティア組織である二千円札流通促進委員会、こういった委員会の取り組みなどもあり、二千円札の普及に向けた努力がなされていると認識をしております。私も、昨年、沖縄に行かせていただいた際に、今申し上げました二千円札流通促進委員会、この委員会から二千円札大使の認証をいただきまして、きょう認定証を持ってまいりましたが、このように活動に参加をさせていただいているところでございます。

 今、二千円札をお貸しいただきましたが、私も財布に二千円札を入れております。これは一般札でありますので、できるだけこれを使うこと、目に触れること、これが何よりも大切だと思いますので、こうした沖縄、地元での取り組みにもぜひ協力をさせていただきながら、私自身も、担当大臣の立場から二千円札の普及、流通に向けて働きかけたいと思っていますし、自分自身も使うことによって多くの方々にこうした意識を持っていただくべく努力をしていきたい、このように考えております。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における取り組みといたしましては、今先生がおっしゃいました沖縄、北海道のほかに、実は二千円札の裏面が源氏物語でございまして、ことしが源氏物語の千年ということでありまして、京都府の方においても二千円札の利用促進のための広報等がなされているということは承知しております。

 財務省といたしましても、昨年四月に日本銀行と共同いたしまして、全国銀行協会等に二千円札の利便性について改めて周知し、円滑な流通促進を要請したところでございます。

 地方における各種自主的な取り組みとともに、財務省といたしましても、今後とも、日本銀行と連携しつつ二千円札の利便性等について御理解をいただくなど、その流通促進について努めてまいりたいと思っております。

安次富分科員 終わります。

 どうもありがとうございました。

倉田主査 これにて安次富修君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

倉田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国会所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。篠田陽介君。

篠田分科員 自民党の篠田陽介でございます。きょうは、第一分科会で、国会所管についてということで質問をさせていただきます。

 国会の予算というのは、自民党もそうですが、他党も余り議論しないんです。私、これをちょっと今疑問に思っておりまして、なぜ議論をしないんだろうということ。自民党においても、特に他の省庁に対しては、ああだこうだああだこうだ、いろいろと言うんですが、事国会自体の予算についてとなると、じゃ果たして議員はどのぐらい予算額を承知して、内容をどのぐらい承知しているのかなと。党内で議論をやらない今の制度自体も、私はこれから自民党から直していきたいなと思っています。

 そんな意味において、きょうは、国会の予算、その関連としまして、衆議院を初め国会の改革の今の進捗状況、あるいは国会に導入をされていない情報公開制度、個人情報保護法、そして、参議院で今問題となっております参議院の議員宿舎の移築問題について取り上げたいと思っています。

 まず、国会改革の必要性についてなんですが、今、政治に対する不信感が広まっています。私は、そのためにまず何をやるべきかということ、財政再建の意味も含めて、まずみずからが襟を正す姿勢を示すこと、そして国会から無駄遣いをやめていくこと、これが絶対必要な条件だと思っています。これができないと財政再建などできるはずがないと思っているのが私の持論でありますので、まずは議員も国会の予算に関心を持って、いろいろと注文していく。その意味において、自民党においては来月から国会改革の議論が本格的にスタートします。それで、私も、これまでの先輩たちの取り組みあるいは事務局の取り組み、こういったことをちょっと今勉強しながら、今回の機会に質問させていただきたいと思っています。

 まず初めに、平成十三年十一月十九日に出されました、衆議院議長諮問の衆議院改革に関する調査会答申というのがあります。これは、実に十二名の有識者によりまして、瀬島龍三会長、あとは総勢十二名、そうそうたるメンバーで構成をされた調査会であります。実に三つの分科会に分かれておるそうでありまして、政治倫理、国会審議のあり方あるいは議員の諸経費に関する事項と、延べ三十二回にわたって精力的な議論を行って、そして調査会の全体会合を六回というところで答申をまとめたということであります。

 私、これを見させていただいた中で、日付をかえて今でも出せるんじゃないかと思うほどすばらしい内容だと思っているんです。しかしながら、日付をかえて今でも出せるということは、これが出てから実際今までどうだったのかなということについて疑問を持っています。

 例えば、予算委員会の議論は予算に即したものとするということ。あるいは、党議拘束の緩和。あるいは、議員の歳費に日割り支給を導入する。国会議員は、なるとき、やめるとき、これが日割りではなくて、一日でもその月をまたいだら全額支給をされるということについても、これは疑問を投げかけています。あるいは、立法事務費及び文書通信交通滞在費。今、立法事務費は月六十五万円会派に行っています。そして、文書通信費は百万円議員の個人に行っています。この使途が明らかにされなければいけないということを、この段階で既に述べられております。そして、衆議院、参議院事務局組織の統合を推進するということ。憲法が二院制をとっているからといって、衆参両院の事務局組織がすべて独立している必然性はないと考えるということ。

 私は、今に置きかえてこのまま出したとしても、すぐ通用するような答申じゃないかなと思っています。

 そこで、まず質問させていただきたいのですが、この答申が出てから、どんな経緯を経て、これがどんな政策、国会改革の議論に反映をされてきたのかということを、ちょっと後学のために教えていただきたいと思います。

駒崎事務総長 衆議院改革に関する調査会でございますが、平成十三年四月、当時の綿貫民輔議長の委嘱を受けて発足し、同年十一月、綿貫議長に答申が提出されました。

 ただいまお話がございましたように、同調査会は、政治倫理に関する事項、国政審議のあり方に関する事項、議員の諸経費に関する事項について議論を重ねまして、答申は多岐にわたるものでございまして、その取り扱いにつきましては、綿貫議長から議会制度協議会に諮問されまして、これは議運の委員長、理事で構成されておりますけれども、議長の私的諮問機関ということでございますが、各党間の協議に付され、各党で議論されたところでございます。

 そのうち現在までに実現したものを申し上げますと、平成十四年の四月から、永年在職表彰議員の肖像画の作成費用の公費負担の廃止、永年在職表彰議員特別交通費の廃止、平成十五年一月から憲政功労年金の廃止、平成十六年五月から議員秘書の氏名、採用年月日等の公表、それから、現在も行われておりますが、新議員会館、新議員宿舎の建設等でございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 今現在までに、肖像画をなくしたり、歳費法の改正だとか、公設秘書の名前を明らかにするということ。この答申の内容と実際やっている内容が私はかなりかけ離れているんじゃないかなということを感じています。せっかく十二名の本当にすばらしい方々が集まって精力的に議論していただいた答申でありますので、もっと大事にして、この実現に向けて何をやっているんだということをきちんと示していかなければいけない。恐らく、この会長であられました瀬島龍三様は今大変残念な思いをされているんじゃないかなと私は感じております。

 つきまして、次には、これは国会図書館と衆議院事務局に問い合わせをしたんですが、いわゆる国会事務局改革で、私も当時承知しておりましたが、駒崎事務総長が何か私案を出されたということ、その資料を当然見てみたいなということで国会図書館に問い合わせたら、新聞だけが出てきました。そして、衆議院の事務局に問い合わせたら、ありませんと言われたわけであります。

 それで、国会図書館からいただきました産経新聞の記事なんですが、私案を出したということで、委員部と調査局を統合するとか運転業務は民営化をする、これもかなりすばらしいことが書いてあります。あるいは、いろいろな八カ所の課を統合するだとか、こういったことが書かれております。私、これはちょっと本当に文書を見たいなと思うんですが、いわゆるこの私案は明文化されたものはありますか。

駒崎事務総長 ただいまの私案につきましては、平成十七年の十一月にまとめたものでございまして、これは、事務局内での検討のたたき台にと思いまして、私の方から事務局幹部には提示いたしております。

 主な内容でございますが、議事部資料課と憲政記念館との統合、会議録作成の新方式の採用、議員会館課の統合、自動車運転手の民営化、委員部と調査局との統合等でございました。

 検討のたたき台としたもので、検討の結果として一定の結論に至ったというものでもございませんでしたので、外部に公表するということは当時からも考えておりませんでした。それ以前の段階と承知しております。

 いろいろ内部で検討しておりましたところ、議運の事務局等改革小委員会というのができまして、そこで議論が始まりましたので、事務局改革につきましては、そちらの結論に沿った改革を今実施しているところでございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 では、あくまでも内部検討のためのたたき台としてということですから、今度、個人的に見せていただきたいと思っています。

 それで、感想でいいんですけれども、事務総長、なぜこういった衆議院改革というのが進まないと思いますか。本当に個人的な考え方でいいです。ちょっとその考え方を、理念をお聞かせいただきたいと思うんですが。

駒崎事務総長 改革が進まないということではなくて、先ほど申しましたように、衆議院事務局改革小委員会というのが平成十八年一月に設置されまして、平成十八年の五月三十一日に中間取りまとめというのを行っております。その中間取りまとめにおきましてはかなりの部分の改革を盛り込んでおりまして、そのうち幾つかの点は実際に改革を進めておりますので、改革は一歩ずつでありますけれども進めているということでございます。

 例えばの話ですが、平成十七年度の衆議院の定員が千七百九十五名おったわけですが、五年間で九十五名、五・二九%、これは政府の方針等にも沿っておるわけですが、その定員の純減ということを今着実に進めているということでございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 着実に進んでいるということでありましたので、これは議員もしっかりやらなきゃいけないと思うんです。議員もしっかり、みずからの身を削っていきながら、衆議院にも、組織にも改革を求めていくという、一緒にやっていくことが必要だと思っていますので、よろしくお願いします。

 それで、今事務総長の方から、衆議院の定員、五年間で九十五名削減をするということと絡むのでありますが、当然、公務員でありますから六十歳が定年だと思うんですが、この六十歳を超えて働いている方、今衆議院に何人いらっしゃるか、それをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

駒崎事務総長 国会職員の定年は政府職員に準じて六十歳ということが原則になっております。国会職員には、平成十三年四月から、政府職員と同様に現行の再任用制度というのが導入されてございまして、これは国会職員法第十五条の四及び第十五条の五において、従前の勤務実績等に基づく選考により、再任用職員または再任用短時間勤務職員を採用することができることになってございます。これに基づきまして採用しておる職員は、再任用職員が十三名、再任用短時間勤務職員が五名でございます。

 それから、非常勤職員として採用されている職員がおりまして、これは現在百十五名おるわけですけれども、そのうち、衆議院事務局を定年退職して採用されておるのは三十五名でございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 その百十五名というのは、いわゆる定員の、機構管理の数、千七百九十五名から五年間で九十五名削減するというところとの整合性はどうなんですか。非常勤の六十歳以上の方々というのはこの数にカウントされているんですか。

駒崎事務総長 定員内にカウントされるのは再任用職員の十三名でございます。非常勤職員はカウントされておりません。

篠田分科員 それに関連しまして、いわゆる衆議院の幹部の方々、この方々でも定年を過ぎてまだ働いていらっしゃる方がいると私は聞いたことがあるんですが、これは事実でありましょうか。

駒崎事務総長 現在のところは、国会職員の定年を超えて勤務している常勤職員はございません。

 しかしながら、国会職員法の第十五条の三におきまして、退職すべき者の職務の特殊性または職務の遂行上の特別の事情から見て、その退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、一年を超えない範囲で引き続き勤務をさせることができる旨の規定がございますので、今後も、同法の趣旨にのっとり、個別の事情を慎重に判断した結果、職員の勤務を延長することはあり得ると考えているところでございます。

篠田分科員 わかりました。

 この国会職員法の十五条の三、特殊性があること、または欠員の補充が困難であることによるということ。では、今、いわゆる六十歳を超えて働いている幹部職員の方はこれに当てはまるという解釈でよろしいですね。

駒崎事務総長 定年というのが、十五条の二にございますように、六十年たった年の三月の末日ということになっておりますので、それを超えている職員は現在のところはおらないということでございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 いずれにいたしましても、私、再任用が悪いというわけではなくて、きちんとその実態を我々も把握しなければいけないという問題と含めて、決して定年になったからやめろというわけではなくて、実際に数を減らしています、減らしていますと言いながら、本当に減っているのかなという疑問を私は実は持っているわけでありますから、ここはまた改めて議論をしていきたいというふうに思っております。

 次に、情報公開制度の関係なんですが、情報公開法、これは、国の行政機関が保有する文書について、個人情報や捜査情報などを除いて原則として公開を義務づけているというものであります。これまで国会が対象外だったということを承知しておりますが、これまで国会が対象外だった理由についてお聞かせください。

駒崎事務総長 情報公開法は行政機関を対象としたものでございまして、国会及び裁判所はその対象には含まれないということでございます。

 衆議院事務局におきましては、さまざまな方面から情報公開について御指摘されたことを受けまして検討を進めて、このほど、裁判所において実施されている情報公開の制度を参考にいたしまして、衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程を事務総長決定で制定したところでございます。この規程に基づきまして、事務局の保有する議院行政文書につきましては本年の四月一日から情報公開を実施することといたしてございます。

篠田分科員 それで、四月一日から情報公開を実施するということを私も何かのニュースで見たんですが、ただしということがやはりありまして、国会議員の活動に支障を来すものは公開しないとも聞いておるんですが、この国会議員の活動に支障を来すものというのは具体的にどういった事例の情報のことをいうのか。また、その算定基準があいまい性が残って、何でもかんでも国会議員の情報に関する関するといって、結局、情報公開制度がきちんと運用されないんじゃないかなという懸念を私は持っているんですが、この国会議員の活動に支障を来すものというものは具体的にどういったものがあるのか、また、その基準についてお考えをお聞かせください。

駒崎事務総長 会派または議員の活動に支障を及ぼすおそれがあるものということでございますが、政党または議員の活動は幅広く種々のものがございますので、一律にその基準を定めることは非常に難しい点もございます。

 開示請求につきましては個別具体的に判断せざるを得ないわけでございますが、例えばの話、先生方が特定のだれかとお会いになっていたというような、特定の政治活動を明らかにするような情報があれば、会派または議員の活動に支障を及ぼすおそれがあるものに当たるのではないかと考えてございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 それはまた四月一日からいろいろな対象ごとに個別に判断されるということでありますが、他方、国会といいましても、衆議院のほか、参議院、国会図書館、裁判官訴追委員会、弾劾裁判所という五つの組織があります。衆議院も参議院も同じ国会議員でありますから、そういった垣根を私は余り気にしておりませんので、きょうは、この衆議院の予算委員会の場でありますが、参議院の事務総長にもお越しいただきました。ありがとうございます。

 参議院は情報公開制度についてやるつもりがあるのか、まずお尋ねします。

小幡参議院事務総長 参議院の現状でございますけれども、参議院改革協議会、議長の諮問機関でございますが、そこでの御議論等に基づきまして、国民に開かれた国会という指針のもとに、早くから国民への情報の開示に積極的に取り組んでまいったところでありまして、郵便、電話、電子メール、その問い合わせ手段にかかわらず、報道機関、国民からの問い合わせに応じる形で各種の情報の提供を行っております。これに加えまして、広報、ホームページ、出版物等を通じまして、参議院からの情報発信も積極的に行っているところでございます。

 今、先生御質問の、今後につきましてでございますけれども、立法府としての特性に配慮しつつ、また、議員各位とも御相談の上で、制度面を含めましてさらなる情報の開示のあり方について検討をしてまいりたいと存じております。

篠田分科員 ありがとうございます。

 これは国会議員と相談する必要があるテーマですか。衆議院の駒崎事務総長の場合は、これは国会議員と相談して決めたことでしょうか。

駒崎事務総長 事務局の内部で検討いたしまして、それを議運の理事会に御協議いただきました。その御意見も踏まえた上で、また多少訂正をいたしまして制定したということでございます。

篠田分科員 わかりました。

 ですから、参議院の方も、いつからやるのかやらないのか含めて、これからぜひ議論をしていただきたいと思います。

 いわゆる国会議員と国会職員、国会職員の方々がお決めになったことを議運の理事会にかけられたと駒崎事務総長はおっしゃいましたけれども、実は国会議員は余り関心がないんですね。そういったことに余り関心を持っている人が少ないと私は思っています。また、選挙があるたびに、また内閣が変わるたびにころころ変わりますから、私はその連続性というものをきちんと見ていただくのが衆議院あるいは参議院の組織だと思っているんです。

 ですから、いろいろな答申も出されましたけれども、やはりメンバーがかわるごとにそれぞれ方針がころころ変わるということがあってはいけないし、それをきちんと監視しながら方向性を見出していくのが国会の幹部の方々、職員の方々だと思っておりますので、ぜひ情報公開制度も含めて積極的な情報発信、公開というものをお願いしたいと思っております。

 個人情報保護法とまた絡む話でありますので、次は参議院の議員宿舎の移築計画について質問をさせていただきます。

 この問題、私自身は、議員宿舎というのはいわゆる寝泊まりする場所でありますから、院の独自性というのは必要がないというのが私の考え方でありまして、まず、あいている部屋がある、あるいは反対計画が持ち上がっているということをトータルで考えて議論してもらいたいなと。しかしながら、院の独自性ということで、衆議院と参議院がなかなか一緒に議論していただけない、歩み寄れないということでばらばらな計画があって、国民からは何のこっちゃというふうに思われているのが現状ではないかと私は思っております。

 それで、参議院におきまして、現状の清水谷議員宿舎を新しいところに移築をしよう、いわゆる宮内庁の宿舎の跡地に移築をしようという計画、これがいろいろな問題が起きて、都が反対をしているだとか、地域の住民が反対をされているとか、いろいろな問題が出てきております。

 そんな中、参議院の事務局の職員の方が、建築計画などに苦情を寄せた住民らの個人情報リストを、いわゆる反対派、地元で反対をしている方々のいろいろな問い合わせだとか、いろいろな抗議の連絡だとか、そういった逐一細かい情報を、いわゆる推進派の方々にその情報を横流しした、漏えいをさせたということで問題が起こって、今たしか裁判になっているはずであります。

 これは、当時出ました読売新聞、二〇〇七年七月七日に書かれておりますが、「参院は「軽率だった」としてリストを回収、職員の処分を検討している。」というふうに書かれておりますが、これは実際、処分はされたのかどうか、お尋ねします。

小幡参議院事務総長 お答えいたします。

 まことに恐縮でございますが、御質問の件に係ります関係職員の処分等に関しましては、現在まさに係争中でございまして、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

篠田分科員 係争中であるから答えられないと。これは結審したら教えていただけますか。結審が終わって判決が出たら教えていただけますか。

小幡参議院事務総長 何らかの方法でお伝えすることはできると思います。

篠田分科員 実際、情報を漏えいさせた職員の方も、反対派の住民のところに行って、私も処分を受けましたというふうに言われたと私は聞いているんですが、これについては事実でしょうか。

小幡参議院事務総長 大変恐縮ですが、先生、もう一度、ちょっと前段の部分を。

篠田分科員 今回のその情報の横流しについて、いわゆる情報を賛成派住民に渡した方、当事者の方が、リストに載っている方に対して謝りに行ったというふうに聞いておりまして、その際に、いや、私ももう既に処分を受けましたというふうに職員の方が言ったそうなんですが、この事実は承知されていますか。

小幡参議院事務総長 大変恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、係争中の案件にかかわることでございますので、恐縮ですが、差し控えさせていただきます。

篠田分科員 わかりました。では、これはまたいずれ教えていただきたい、いつどんな処分を具体的にされたのか。たしか六名ほど当事者がいらっしゃると聞いていますので、どんな処分をいつしたのかということ、これはやはり私は大事なことだと思いますので、やるやると言って実際やっていなかったということが一番いけないわけでありまして、ここを私は心配しておりまして、きちんとした処分をしていただきたい。

 ただ、その処分が及ばないのはなぜなのかということになれば、やはり個人情報保護法に対する、衆議院も参議院もそうでありますが、いわゆる法の、規則の整備がされていないという問題があるんじゃないかなと。だから、簡単に個人情報を流出させてしまうような組織になってしまっているので、あわせて、個人情報保護法の規定の整備もお願いをしたいというふうに思っております。

 引き続き、参議院の議員宿舎の移築の話でありますが、清水谷現場所を、宮内庁宿舎の跡地、いわゆる風致地区と言われているところに移すと。なぜ現行地に建てかえではなくて移築を考えたのか、その理由について参議院にお尋ねします。

小幡参議院事務総長 お答えいたします。

 若干経緯も含めてお話をさせていただきますけれども、清水谷の議員宿舎整備につきましては、平成元年ごろより、議院運営委員会庶務関係小委員会におきまして、議員宿舎の戸数不足、老朽化、狭隘対策等に関してさまざまな議論がなされまして、平成九年には、同じく庶務小委員会におきまして、現清水谷議員宿舎については今後十年程度利用するつもりでという取りまとめが行われまして、同宿舎の耐震補強工事を行いますとともに、新議員宿舎整備の検討に入ったところでございます。

 その後、平成十五年度から十七年度予算まで、庶務関係小委員会の議を経まして、地盤調査、基本計画の策定、埋蔵文化財の試掘調査等の予算をお認めいただきまして、それぞれ実施してまいりました。

 平成十七年の庶務小委員会では、清水谷の宿舎の建てかえにつきまして、代替議員宿舎が不要であること、千代田区及び地元町会等の移転要請があること、さらに国会議事堂と近接していること等を総合的に勘案いたしまして、整備予定地を宮内庁宿舎跡地に決定いたしました。また、平成十八年度予算におきましては、本体建設費を要求することが了承され、お認めいただいたところでございます。

篠田分科員 ありがとうございます。

 それで、議員個人でもこの件についてはいろいろな意見がありますし、考え方もあります。なぜ移転をしなければいけないのか。今説明がありまして、代替地が要らないということ、そして地元の住民が要請をしてきたということ。私、この地元の住民の方々が要請をしてきたから、はい、そうですかというふうなことについてはちょっと疑問に思っておりまして、では、地元の方々の反対要請があったら、それは受け入れるんでしょうか。事務総長にお尋ねします。

小幡参議院事務総長 あくまでも、そういった諸要素があった場合には、議運の庶務小委員会にすべての状況を御相談して御判断いただくということでございます。私の立場でどうするかということはお答えいたしかねます。

篠田分科員 この問題、実際、賛成の方々がどのぐらいいるのか、反対の方がどのぐらいいるのかというのは、現地ではまだ把握できていないと私も思いますが、よく言われておりますのが、この移転の話に絡んで、現地で再開発計画がある、だから移らなきゃいけないということを言われておりまして、私、ここもいろいろと今調べております。

 東京都が出されました東京都市計画地区計画というのがあるそうでありまして、この資料をいただきました。ありがとうございました。都市計画紀尾井町地区地区計画というのがあるということであります。これはいわゆるガイドラインを示したものでありまして、その中で、現行の宿舎の場所、そして移築地、このエリアについての土地の利用の方針が決められている、いわゆるガイドラインというのがあるというのはわかりました。

 ただ、ガイドラインはあるから、ガイドラインはガイドラインとして、指針でありますから、では、実際にその計画があるのかどうなのかということを調べましたら、ちょっと私がいろいろなところに聞きましても、いや、そんな計画があったら逆に教えてもらいたいだとか、そんなことをいろいろと私が言われるものですから、この際、質問させていただきます。

 きょうは国土交通省の方にもお越しをいただきました。

 この地区について、再開発計画というような具体的な計画をどこか出されているのか、御承知であれば教えてください。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘のような千代田区の都市計画紀尾井町地区地区計画につきましては、私どもも承知してございます。しかしながら、議員宿舎が移転した後の跡地の再開発ということについては、私どもも承知しておりません。

 以上でございます。

篠田分科員 ありがとうございました。

 承知していないということでありますので、では、ないのであれば、私は、現行地に建てかえというのが普通の考え方なのかな、反対の方々が多い、都も現状では認めていないという上においては、なぜ現行地に建てかえることができないのかと。我々が主張していますいわゆる共有化というのは極端なのかもしれませんが、しかしながら、まずは、もう少しここは再考の余地があるんじゃないかなというふうに思っています。

 国民からの大事な税金でありますから、原資が税金である以上は、私は慎重に考えなければいけない問題だと思います。できてからいろいろな批判を浴びて、そしてまた国会が不信感が広まっていくという悪循環に陥らないためにも、私は共有化を提言しておりますが、まずは、なぜ移築をするんだということについて十分な説明もいただきたいと思っていますし、また、説得力のある方策を考えていただきたいということを参議院の側にお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

倉田主査 御苦労さまです。

 これにて篠田陽介君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

倉田主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。

 日本国憲法は、すべての国民が個人として尊重され、法のもとに平等であることをうたっております。女性も男性も互いに尊重され、個性や能力が本当に発揮される社会を実現することは極めて重要なことであります。それは社会全体が生き生きと発展する源になると確信しております。

 そこでまず、上川大臣、私自身も、参議院議員時代の九〇年代後半以来、男女共同参画二〇〇〇年プランや国内行動計画の推進、二〇〇〇年の基本計画に申し入れを行うなどやってまいりましたけれども、ことし二〇〇八年は基本法ができて九年目に当たります。二〇〇五年には当面五カ年に実施する具体的な施策について第二次基本計画が策定をされており、この計画の折り返しの年でもあります。そこで、この男女共同参画社会の実現に向けた大臣の御決意について、改めて伺いたいと思います。

上川国務大臣 女性も男性も、すべての個人がその能力と個性を十分に発揮することができ、また、ともに責任を分かち合うとともに、お互いに認め合い、喜びを共有することができる男女共同参画社会の実現は、御指摘のとおり、豊かで活力ある社会を築く上で大変大事である、そして、私たちの国の形を決定する最重要課題の一つであると考えております。

 このため、第二次男女共同参画基本計画に基づきまして、各府省が緊密に連携をしながら、施策を総合的かつ計画的に推進しているところでございます。また、現在、第二次基本計画のフォローアップを行っているところでございまして、その結果も踏まえまして、各省庁と連携し、一層の取り組みを推進してまいりたいと考えております。

 特に、政策・方針決定過程への女性の参画につきましては、社会のあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割合が二〇二〇年までに少なくとも三〇%程度までになるということでございますが、この実現を目指しまして、各界トップへの働きかけや、また、社会の中で活躍が期待されていながら女性の参画が進んでいない分野に焦点を当てた具体的な取り組み等を、官民挙げて強力に推進してまいりたいと考えております。

 あわせて、男女がともに仕事と家庭また地域生活との両立を図ることができるよう、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス憲章と、その推進のための行動指針を取りまとめたところでございまして、ことしを仕事と生活の調和元年とし、国民一人一人が人生の各段階に応じて多様な生き方を選択し実現できるよう、働き方の改革に私みずから先頭に立って取り組んでまいりたいと思っております。

笠井分科員 大事なことだと思うんですが、私は具体的な施策に係って幾つか伺いたいと思います。

 まず、妊婦健診の問題なんですけれども、今、妊婦健診の無料化、公費による助成を求める声が全国で急速に広がっております。

 厚生労働省は、昨年一月に全国の地方自治体に対して通知を出しております。ここにありますけれども、公費負担についても、十四回程度行われることが望ましいけれども、これが困難な場合には五回程度の公費負担が原則であるというふうな形で通知を出している。ところが、実態はどうかといいますと、厚生労働省が昨年十月に調査結果を出しました。八月にやったそうですが、全国平均で見ますと二・八回にとどまっているというのが現状であります。

 そこで、厚生労働省はこのことをどう見ているか、端的にお答えください。

村木政府参考人 妊婦健診に関するお尋ねでございます。

 この妊婦健診につきましては、母子保健法におきまして、市町村は必要に応じて妊婦に関して健康診査を行い、または健康診査を受けることを勧奨しなければならないと法律に規定をされております。この法律に基づきまして、市町村において公費負担等の取り組みを各地域の実情に応じて実施していただいているものと認識をしております。

 また、先生から御指摘がございましたとおり、十九年度の予算におきまして、この妊婦健診の特に公費負担を充実するために地方財政上の措置を拡充したところでございます。

 先生が読み上げられましたとおり、通知におきまして、健康な妊娠、出産を迎える上で最低限必要な五回を基準として公費負担を拡充していただきたいということで自治体にお願いをするとともに、調査も実施をしたという状況でございます。

 経済的な理由から健診が受けられないということがないように、国と地方が連携をしてこういった施策を充実していかなければならないと考えているところでございます。

笠井分科員 充実しなきゃいけないんですが、その到達点は、二・八回ということで、まだまだこれからというところであります。

 もちろん、今年度中あるいは来年度予算などで回数をふやすという動きが広がっているわけですけれども、しかし、この調査を見ましても、未定もしくはふやす予定なしという市町村も一七・七%という形で、かなり高いわけです。

 先日、私は東京の江戸川区に行きまして、妊婦の方や若いお母さんたちから実情や要望を聞いてきました。一回の健診で五千円前後、検査の内容によっては、エコーなんかが入るとかということもあったり、一万円を超すときもある、一万円札が財布に入っていないと不安で健診に行けない、窓口で料金を言われて慌ててまた家に帰ってとってきたこともある、こんな声が次々と出されました。健診に合わせて十万円とか十万円を超えるということでは、経済的にも大きな負担だと思います。

 全国で見ますと、健診を受けずに飛び込み出産という形で死産になる、そういう事件もあったということでありますが、だからこそ、子供の医療費の無料化とともに、安心して産み育てられるようにという世論と運動が今広がっていると思います。

 新日本婦人の会が全国の各地でアンケートや実態調査というのを、大臣、こういう形で草の根でやられているんですね。それで、それに沿って、負担軽減や助成の拡充、無料回数をふやすこと、公費負担で全額無料化をということで署名に取り組んだり、地方の議会、自治体に対しても要請書を出している。そういう運動の中で、東京都では二十三区中二十区で公費負担が十四回にふえることになりました。

 産婦人科のお医者さんからも直接話を伺いましたが、最近は働きながら子供を産むという女性がふえている、初期の流産の割合が高く、働く女性は特に初期から健診をきちんと受けることが大事なんだということを言われました。

 厚生労働省は、最低まず五回、基準というふうに、そしてさらに十四回が望ましいというふうに言っているわけですから、きちんと公費負担がされるようにどんな手だてを講じていくつもりなのか、厚生労働省、端的にお答えください。

村木政府参考人 先生御指摘のように、望ましい回数は十四回、それから、原則としては最低限でも五回ということでございますが、昨年の実態調査では平均で二・八回ということでございました。

 ただ、今後ふやす方向で検討をしているという自治体の数が相当に上っておりますので、再度自治体にもお願いをするとともに、二十年度の公費助成の実施状況につきまして再度実態調査をしたいと思っております。この結果も踏まえまして今後の対策を考えていきたいと思います。

 東京都の例が今挙がりましたが、秋田県などではもう十回ということになっております。こういうよい取り組みの自治体の例などもしっかりと自治体に情報提供をしながら進めたいというふうに考えております。

笠井分科員 よい例を情報提供、これは大事なことだと思うんです。

 同時に、地方交付税による措置をしているということでありますけれども、しかし、この交付税というのが抑制されてきている中で市町村自体がそもそも大変苦労しているというのが現実で、だからこそという面もありますが、自治体にばらつきがあるというのが実情であります。

 なぜ差が出るかといえば、助成の回数や費用は市町村が自分の懐ぐあいで決めざるを得ない。総務省は、少子化対策の交付税措置は、九八年度の百三十億円から〇七年度に計七百億円になっておるということを言われます。また、厚生労働省も、妊婦健診の助成に使うお金はふやせるはずだと市町村におっしゃっているようなんですけれども、なかなかそうできない。

 国は、市町村の基準的な行政サービスに必要な費用の見積もりを九八年度から二〇〇七年度にかけて二兆六千億円以上減額している。あわせて交付税も減らしました。

 こういう中で、去る二月六日付の朝日新聞が特集しまして、その中でかなり厳しく指摘しております。「国は市町村に「行政サービスの費用全体は減らしながらも、妊婦健診などの少子化対策は充実させなさい。費用は公共事業など他の予算を削って工面しなさい」と言っているのに等しい。もっともらしく聞こえる「交付税で措置する」とは、この程度の話なのだ。」と。

 私はこの程度の話だとまでは言いませんが、しかし、現実厳しくされている中で苦労しているというのが現実なわけで、来年度予算案では地方交付税はわずかに増額をされましたが、自治体が厳しい財政運営を強いられていることに変わりはありません。

 東京都内でも、二十区ではそういう形で十四回ということになるんですけれども、財政力の弱い市町村、三多摩の方なんかで見ますと五回以内にとどまる自治体が多く残されている。東京だけ見てもそうです。

 国が十四回程度が望ましいというふうに言われるわけですから、財政的にもこれは思い切って裏づけするというのが当然必要になると思うんですけれども、この点はどうお考えでしょうか。

村木政府参考人 私どもも、地方交付税上の措置、十八年度まで二回を五回ということで、まだ不十分かもしれませんけれども、やっと厳しい財政事情の中で増額をしたところでございます。

 まずは、財政措置がされている五回は何とかどこの自治体でも実施をしていただけるようにという努力を重ねながら、さらに来年度の実態調査も踏まえまして、その後の施策について検討させていただきたいというふうに考えております。

笠井分科員 五回やるのもなかなか大変というところをよくつかまなきゃいけないんだ、それで何が必要かというのを引き出さなきゃいけないんだと思うんです。

 働きながら出産を迎えるという人や、それから三十代を超えて出産という方もふえています。妊婦と出産を取り巻く状況も変化して、リスクも高まっている。健診の意義はますます大事になっているというふうに思います。

 私がお話を伺った産婦人科医の女医さんも、国民の健康を守る仕事は地方行政任せじゃなくて、国として責任を果たすべきだということを強調されておりました。里帰り出産の際の公費負担の要望も強いです。全国どこでも安心して子供を産み育てられる、必要な妊婦健診も無料で安心して受けられるように、十四回程度が望ましいというのだから、財政的にも本当に責任を持って対応すべきだと思うんです。

 いずれにしましても、五回に達しない自治体ではどんな事情や苦労があるのか、それから、十四回やっているところではどういう教訓があるのか、これをまずしっかりつかんで対応すると先ほどもお話がありましたが、そのためにも来年度新たに調査をすると。いつごろ調査というようなこと、あるいは、その調査はいつごろまでにまとめて、必要ならどんなことをいつごろまでに検討する、その辺のことを少し具体的に見通しとかお持ちでしょうか。厚生労働省、お願いします。

村木政府参考人 まだ詳細は詰めておりませんが、二十年度の実施状況ということで、特に、去年調査をしましたときに、来年度にはふやしたいという自治体がかなり数字が出ておりましたので、年度が変わってからということで、できるだけ早いタイミングで調査を実施したいというふうに思っております。また、取りまとめ等はできるだけ急いでやります。

笠井分科員 それでは、妊婦健診にかかわる周知広報ということについて二つ伺いたいと思います。

 一つは、妊婦健診の重要性についての周知広報なんですけれども、厚生労働省は昨年一月の通知でも、周知広報の問題で一項目起こして、母子健康手帳に妊婦健診の重要性について記述を加えるというふうなことも指摘をされております。

 妊婦にとって身近なよりどころである母子手帳に、全国どこでも正確でわかりやすい記述、記載が進むようにすること。また、公費負担の制度も含めて、いろいろな形で周知できると思うんです。例えば、婚姻届をするところにこういうもので案内のパンフレットがあるとか、あるいはテレビなんかの中で政府がCMというか広報の手段もありますが、一層いろいろな知恵を絞って、これから妊娠、出産という方も含めて知らせていくということが必要だと思うんですが、その点についてはどんなことをお考えですか。

村木政府参考人 御指摘のように、妊娠中の健康管理の問題は非常に重要な問題でございまして、その普及啓発というのは大変大事だろうと思っております。

 手帳の記述等も先生から御紹介いただきましたが、さらに、昨年の十二月でございますが、厚生労働省のホームページ上に、健診の重要性をお示しするためのリーフレットを掲載したところでございます。このリーフレットは自由にダウンロードができる形にいたしまして、自治体にもお知らせを出しまして、これをダウンロードしていろいろな形で工夫をして、ぜひこのリーフレットを使ってほしいというお願いを十二月にいたしました。

 また、二月から三月、ちょうど今でございますが、政府広報で国民への周知を今集中的にこの問題でやらせていただいているところでございます。こういった努力をさらに続けてまいりたいと考えております。

笠井分科員 もう一つは、働く女性の妊娠、出産にかかわる権利の問題についてであります。

 近年、共働きの妊婦の方もますますふえております。ところが、働く女性から、職場の状況で、妊婦健診には行きづらい、言い出しづらいという声も数多く聞こえてまいります。例えば、男女雇用機会均等法十二条では、女性労働者は申請すれば必要な通院休暇を取得できるということになっております。この権利が行使できるように事業主への周知や指導を行うことが重要だと思うんです。

 また、この制度が女性の労働者にも十分知られていないという実態があります。そこで、全国労働組合総連合、全労連の女性部が最近行った調査がここにございますが、これを見ますと、二〇〇一年以降に妊娠、出産した正規労働者千八百人について実態調査をやっております。その中で、通院休暇を知らなかったという回答が一三・六%にも上っているんですね。

 厚生労働省は、こういうことについてもどのように周知あるいは指導徹底をしていくおつもりでしょうか。

村木政府参考人 先生から御指摘をいただきました通院休暇等の関係でございますが、特にこの点は私ども非常に重要ということで、先般の雇用機会均等法の改正におきましても規定を強化いたしまして、均等法第十二条におきまして、事業主はその雇用する女性労働者が妊婦健診等を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならないということで、義務づけの強化をしたところでございます。昨年の四月から施行になっているわけでございます。

 この施行の直前の調査で、私どもが持っております数字で、財団法人の女性労働協会が行った調査がございまして、これによりますと、女性労働者千七百二十七人中、お医者さんの指示どおりの回数の健診ができた、あるいは、指示された回数よりも多く受診したとかいう方が九三・六%いらっしゃった一方で、五・六%の方が、指示どおりに受診できなかったというような答えも返ってきております。

 この理由につきましては、やはり社内に申し出をしにくい雰囲気があったということとか、あるいは、時間のやりくりができなかったというようなことが挙げられております。また、先生から御指摘があったように、そういう権利そのものを知らなかったということもあろうかと思います。

 均等法が改正になりましたので、昨年からことしにかけまして、改正均等法の周知ということで、この権利については相当徹底してキャンペーンをして周知を図っておりますので、そのあたりの努力をさらにしっかり続けたいというふうに思っております。

 それから、特に母子手帳等はほとんどの妊娠されたお母様方が見るものですから、こういったものに情報を載せるとか、さまざまな工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

笠井分科員 上川大臣、今質疑を聞いていらっしゃったと思うんですが、男女共同参画基本計画では、女性の生涯を通じた健康を支援するための総合的な対策の推進を図るということが必要であると言われております。また、少子化対策という観点からも、ぜひ妊婦健診の公費負担の拡充と周知広報、今お話がありました問題など、御自身の出産、子育ての御経験もあると思うんですが、それも踏まえてイニシアチブを発揮していただきたいと思うんですが、御見解をお願いいたしたいと思います。

上川国務大臣 先生御指摘のとおり、第二次基本計画におきまして、女性の健康につきまして包括的な支援をしていくということが掲げられておりまして、特に妊娠・出産期というのは女性の健康にとりましても大変大事な時期にあるというふうに思います。そういう意味では、安心して子供を産んで育てることができるように、一番大事な産むというところにつきましては、絶大なるサポートをしていかなければいけないと考えております。

 また、少子化の観点からも、先ほど御指摘がありましたとおり、全国どこにいても安心して穏やかなお産ができるようにということは大変大事なことでございますので、そういう意味では、妊婦健診をしっかりと受ける、そして自分の体について、また赤ちゃんの健やかな胎内での発達についても十分なる理解と、そして専門的な健診を受けていくということは大切なことだというふうに考えております。

 先ほど来の厚生労働省の取り組みでございますけれども、二回から五回にふやし、また、各自治体の中でも先行して、十四回あるいはそれ以上のものも進めている自治体もあるということでありますので、実態をしっかりと把握して、そして、安心して産んで育てることができるような環境整備ということについては、積極的に取り組んでいく必要があるということでございますので、今後とも厚生労働省とよく連携をとりながら、取り組みの一層の改善に向けて努力をしてまいりたいと思います。

笠井分科員 ぜひ役割を発揮していただきたいと思います。

 もう一つ大きなテーマとして、商工業などの自営業における家族従業者、いわゆる業者婦人の問題について伺いたいと思います。

 まず、上川大臣、言うまでもなく、我が国の社会と経済の中で大きな比重を占めている中小企業の経営と仕事が安定をして発展することは、日本の経済の発展と国民生活の向上にとっても極めて大事なことだと思います。そういう意味で、いわゆる業者婦人は、全国で女性起業家を含めて約三百万人というふうに言われておりますが、経営と仕事、暮らしの切り盛り、子育て、介護ということで、文字どおり全力投球で頑張っておられる。加えて、今、原油や原材料費の高騰の折、本当に苦労している先頭に立っているわけでありますが、そうした業者婦人の担っている役割や状況について、大臣、どういうふうに認識されているか、端的にお願いいたしたいと思います。

上川国務大臣 平成十九年の我が国の非農林業におきます家族従業者のうち約八割が女性であるということでございまして、自営の中小企業におきましての女性の家族従業者は大変重要な担い手であるというふうに思っております。経営のみならず、さまざまな、子育てをしながらという御指摘がございましたけれども、まさにマルチの活躍をしていらっしゃるというふうに思います。

 第二次男女共同参画基本計画におきまして規定をしっかり設けまして、女性が家族従業者として果たしている役割の重要性が正当に評価されるよう、また自営業における経営と家計の分離など、関係者の理解が得られるように努力をしていくということが重要であるということでございますので、そういう視点に立ってこれからも努めてまいりたいというふうに思っております。

笠井分科員 大臣が今最後に言われた基本計画の中で、重視していくということの視点に立ってということなんですが、ところが、業者婦人の役割にふさわしいような、あるいは苦労に報いるような施策が実際に十分あるかといえば、決して十分とは言えない現状があると言わざるを得ないと思うんですね。毎年、内閣府から男女共同参画白書というのが出されておりますが、この三年間の白書を見ましても、女性の起業家とかあるいは家内労働者のことは若干出てくるんですけれども、いわゆる業者婦人については言及がない。

 基本計画では経済産業省が担当になっているわけですけれども、この点でいいますと、重視すると言いながら、この間、どういう施策をやってこられたのか、経済産業省にお答えをいただきたいと思います。

長尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほども大臣の方からございましたように、経営と家計を分離して把握するということが重要ではないかということでございまして、そのような観点から、多くの自営業者を含みます小規模事業者に対して、全国約二千六百の商工会、商工会議所の経営指導員が、記帳指導、記帳代行等の支援措置を講じているところでございます。

 それに加えまして、経済産業省といたしましても、商工会等が取り組んでおります「ネットde記帳」等、ITを活用して小規模事業者がみずからの財務状況を把握する、そういった事業に対する支援策の強化を行ってまいりまして、そのような取り組みを促進してまいりたいというふうに思っております。

笠井分科員 実態をよく踏まえてということで、ぜひいろいろまた調査研究してもらいたいと思うんです。

 全国商工団体連合会の婦人部協議会というところが、業者婦人の実態調査を三年に一度やっております。最新のものは二〇〇六年春の調査なんですけれども、回答者数は一万七千百三十五人という大変大規模な調査をやっております。

 そして、東京の実態については東京商工団体連合会の婦人部協議会が調査をしておりますが、今年度分については集計の途中だということなんですけれども、一次集約、四百六十五人分で、その様子、傾向を見ますと、売り上げが前年よりも減った、非常に減ったという回答が、合わせて五八%。病院に行く必要があるのに行けなかったことがあるという人が三七%。理由は、忙しくて時間がないが六五%、治療費が高い、二七%。業者婦人の置かれた状況や苦労の一端があらわれていると思います。基本計画に基づく取り組みでは、まずこうした商工業等の自営業における家族従業者の実態の把握に努めることが大事だ、まさにそういうことだと思うんです。

 最近では、二〇〇二年に、中小企業庁の委託調査として、ここに持ってまいりましたが、自営中小企業者の家族の労働と健康に関する調査研究委員会報告書というのが出ております。

 これは二十二年ぶりにやった調査の結果だということを承知しているんですけれども、二〇〇二年ですから、それからもう六年もたとうとしているわけです。そして、中小企業をめぐる状況というのは一層厳しくなってきている。

 前回の調査について、中小企業庁も、労働状況の改善の一方で、経営面でのニーズなどが改めて把握された、調査を踏まえて施策が促進されるように努力してきたということで評価をし、その後、歴代の経済産業大臣も、一回こっきりじゃなくてこれからも調査をやっていく、海外との比較等も踏まえてよりきめ細かな調査をしていきたいということで、平沼大臣、中川大臣、歴代、繰り返し言われてきました。

 前回の調査というのは二〇〇二年ですから、第一次の基本計画の当時のことでありまして、もう今は二次の計画のもとでありますので、二次の計画でも「商工業等の自営業における家族従業者の実態の把握」ということが五年間で実施する具体的な施策として入っているわけですから、やはり六年ぶりということで、ぜひ調査すべきだと思うんですが、いかがでしょうか、その点。

長尾政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省におきましては、先生御指摘のように、平成十三年度、二〇〇二年度に、自営業における女性を含めた家族従業者や女性経営者の実態調査をやったところでございます。

 それ以外にも、先生御指摘のように、関係団体が三年に一度の調査をやっているということを補完する意味でも、この実態調査というのは非常に意味があったというふうに思っております。

 その後も、女性経営者とか家族従業者を含みます小規模企業等の経営課題の把握につきましては、種々の関連施策を充実する中で、それをどう実施するかといういろいろな意見交換、それから商工団体等からの実態聴取、そういったもの、それから、女性経営者とか家族従業者の方々が集まる会議における意見交換を通じまして、随時情報収集、フォローアップをしてきたところでございます。

 先生御指摘の、女性家族従業者の実態把握調査に関しましては、これまでの情報収集に加えて、改めて実態調査することが必要な事項、各団体がやっています三年ごとの調査に補完してやるべき事項、そういったものとして、具体的な内容それから実施時期等につきまして、関係省庁と連携して今後検討してまいりたいと思っております。

笠井分科員 関係省庁と連絡してということで今あったんですが、大臣、最後に、そういう点では、やはりぜひ現場の実態をつかんで、この問題で冒頭言われましたけれども、大いに大事な役割を持っているということですので、ぜひ、基本計画もあるわけですから、実態調査をやるということで、実現のために努力をいただきたいし、実現していただきたいと思うんですが、その決意と、どうしていかれるかを。

 これは、前回の調査も三百六十四万円程度でできているんですね。この委員会でも私やらせてもらいましたが、本当に明らかにこれは要らないと言われている道路についてもう何十億とお金をかけて調査しているという状況と比べたら、本当に遠慮せずにどんどんやらなきゃいけない話だと思うんですよ。

 その点、ちょっと最後にお願いしたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

上川国務大臣 第二次基本計画の中でも述べられているとおりでございますので、今経産省の方からのお話もございましたけれども、よく実態を、いろいろな形での意見を踏まえた形で施策への反映ということが非常に大事なことだと思いますので、よく検討してまいりたいというふうに思います。

笠井分科員 終わります。ありがとうございました。

倉田主査 はい、御苦労さまです。

 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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