衆議院

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第3号 平成22年3月1日(月曜日)

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平成二十二年三月一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 平岡 秀夫君

      小野塚勝俊君    梶原 康弘君

      松原  仁君    坂本 哲志君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

   兼務 徳田  毅君

    …………………………………

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     平野 博文君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   政府参考人

   (内閣法制局総務主幹)  林   徹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  谷畑  孝君     橘 慶一郎君

  山本 幸三君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     山本 幸三君

  橘 慶一郎君     高市 早苗君

同日

 辞任         補欠選任

  高市 早苗君     谷畑  孝君

同日

 第三分科員徳田毅君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 〔内閣、内閣府(内閣府本府)及び防衛省所管〕


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     ――――◇―――――

平岡主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 おはようございます。

 きょうのこの分科会に質問させていただく機会をいただきました自由民主党、橘でございます。

 冒頭、新聞、テレビ等の報道で、チリに大きな地震がありまして、そしてまた太平洋側に津波があったということであります。官房長官におかれましては、昨日も大変お忙しかったのではないかと思います。被災された方あるいは避難された方々にお見舞いを申し上げながら、また、政府としてはよろしくお願いを申し上げたい、このようにまず申し上げます。

 きょうは三項目にわたる御質問をこの三十分の中でさせていただこうと思っております。内閣官房のあり方について、また法律の整理の必要性について、そして年末にまとめられました新成長戦略、六月に最終的におまとめになるわけですけれども、このことについて順次御質問をさせていただきたいと思います。

 最初に内閣官房のあり方についてでありますけれども、このことは、昨年の臨時国会の十一月十八日にも平野長官からもお答えをいただいている部分でありますが、内閣官房が、それぞれの政権のニーズに合わせてと申しますか、いろいろな組織が内閣府も含めてだんだんふえてきている。このことは、前回も、定員の数字も長官からお答えをいただきながら、現在七百三十七人までなっておりますよ、こういうお話があったわけであります。

 そこで、この二十二年度予算の定員を見ましても、また今回も、内閣関係ではやがて七、八十人の増員というふうにお見受けしております。そしてまた、この後、法律でも国家戦略局の設置ということが提案されてくるわけでありますが、前回の質疑でも申し上げましたように、ただ組織をふやしていけばいいということはないであろう。やはり長官からも、不要な部分についてはばっさばっさとぜひ取り組みたい、そういう前向きのお答えもいただいておったわけであります。

 しかし、この四月に向けての今回の御提案ではふえるだけというような感じもいたすのですけれども、このあたり、あれから三カ月たちました、どういうお考えであるかということをここで一度お伺いしたいと思います。

平野国務大臣 この前の御議論も含めてでございますが、私は、基本的には先生と同じ認識に実は立っております。

 今までの経過を考えますと、時の政権は、みずからの政策をより強く打ち出す、そのための組織を当然つくっていこうというのはやはり自然の摂理だと思うわけであります。しかしながら、それぞれのスタッフ機能、役割というのは政権がかわってもそこにそのままあるわけであります。

 そういうことを考えますと、今までの政権、自公政権あるいは自民単独政権のときにずっとつくり上げてきた組織がある。象徴的なのは、平成十三年ですか、省庁再編、こういう中で、より官邸機能の強化、こういうところで、大きくそこに人員が集められた組織になってきた、こういうことであります。

 したがって、昨年、民意により政権交代ということでございますから、私は、やはり鳩山政権において大きくこの仕組みを見直していく、いわゆる政治主導と一般的に呼ばれておりますけれども、そういう観点で組織のあり方あるいは既存の組織の改廃を含めて見直さなきゃならない、こういうことでございます。

 私も、政府の一員として官房長官を拝命いたしまして、なかなかわからなかったのですが、数字的に見ましても、官房だけでも七百数十人おられる、あるいは内閣をサポートする内閣府におきましても、かなり大きく人員的にも肥大化している、こういうことをやはり改めなきゃならないし、必要なものは、政治主導という考え方のもとに、いわゆる縦割り行政を、いかにその弊害が出ているか、そのことをやはり横断的に、官邸主導のリーダーシップのとれる組織に変えていきたい、こういうことであります。

 しかしながら、一つには、そのときの政治判断でつくられた組織と法律によって定められた組織、こういうことがございます。今、私の考え方としては、できる限り改革を進める、こういうことで、既に十の会議体等については廃止並びに休止をさせている、あるいは法律に基づいてある部分についても、休眠状態にしながら、必要であるものは継続しているというのが今の実情でございます。

橘(慶)分科員 認識として共有するものがある。これは前回も今回も全くそうだと思います。

 ただ、そうであれば、それをどのように実行していくかということが課題ではないか。お考えは全くそのとおりであり、また、いろいろな制約があることもわかります。ただ、今回の御提案の中でも、先ほど私が冒頭申し上げたように、また七十人ばかりふえていくということであれば、なかなか歯どめがかからないんじゃないか、このことを非常に心配する。これはまた内閣委員会で法案の質疑の際にも申し上げなければいけないことだと思います。

 そこで、やはりどこかでスクラップ・アンド・ビルドとか上限を設けるとか、そういったことで歯どめもかけられて、その中でやっていかなければいけないんじゃないか、このように思うわけですが、いかがでしょう。

平野国務大臣 まさに先生の御指摘のとおりでございまして、私の官房の立場、あるいは、今回まさに鳩山内閣がやらなきゃならないというのは、将来のあるべきビジョン、これも非常に大事でありますから、国家戦略室という室をしつらえまして、今回、法案で、局という、政治主導をより法的に担保された組織として国家戦略局を、今、国会に審議をお願いいたしているところでございます。

 加えて、今先生の論点の一番大きなポイントであります、行政の仕組みを、本当に必要であるか必要でないか、このことをしっかり見きわめていく行政刷新会議、これを今立ち上げておりまして、これも法律に基づく仕組みとして、内閣府の中に総理直轄の二つの部隊として組織化をお願いいたしているところでございます。

 したがいまして、先生の趣旨で申し上げますならば、行政刷新会議が、既存の組織あるいは政策遂行体制が本当に必要であるかどうか見きわめていくための大きな司令塔、判断をする組織として機能すれば、先生のおっしゃっていただいている、指摘されていることについてはかなりの成果が出てくるものと私は期待をいたしているところであります。

橘(慶)分科員 考え方としてはそれでよろしいのですが、要は、多分、順番が違うわけでありまして、先に、ある程度整理をされてそういう新しいものを入れていった方がいいんじゃないかというところが、究極、異なっている考え方ではないかなと思っています。この辺はまた内閣委員会で、審議の中でさせていただくことかと思います。

 ちょうどコンピューターに例えますと、コンピューターの記憶容量は今大変多いわけですが、そこにすばらしいプログラムをいろいろとダウンロードしたりインストールしていく、そういうことをやっていきますと、最初はいいんですが、やがてファイルが多くなるとコンピューターが動かなくなる、そのことを一番心配しております。七百三十人の方が八百人になれば、なお、その内閣官房の中の総合調整はまた難しくなってまいります。

 そこに関連して一言申し上げますと、これは国の組織によく言われることですが、セクショナリズムという言葉があります。省庁と省庁、あるいは課と課。今回も、この質問をいろいろつくっていく中でいろいろなレクチャーもいただいたんですが、どうもやはりそれを全体に感じますのは、内閣府、内閣官房であっても、いろいろなセクショナリズムということがある。もっと一体として、そして少数精鋭でやっていかないと本当の意味での課題解決には取り組めないんじゃないか、そんな危惧をいたしております。

 一応、ここで御所見をいただきたいと思います。

平野国務大臣 まさに先生御指摘のところだと思います。

 私も民間の企業にいましたから、よくわかります。より成果を生むためにはどうするか。これは先輩の上司の教えでもございましたけれども、スタッフが多くなり過ぎまして実働ラインが動かなくなる、いわゆる船頭多くして物事が動いていかない、こういう形態になるのが一番組織としては最悪のパターンだろう。スタッフはスタッフに徹して、物事を進めていく方向に対する仕組みでなきゃならぬのですが、今度はスタッフの立場の自分の存在感を示していくために、方向性が、ベクトルが一つに合っていかない、こういう組織にややもするとなりがちであります。

 したがいまして、私は、民間でそういう仕事をさせてもらった経験を踏まえて、本当はスリムにしていくということが非常に大事であります。私は、特にこの政府の組織におきましても、やはり、極めて優秀な方々がそれぞれの役所におられるわけでありまして、いわゆる国家、政府全体の益よりもそれぞれ自分が依拠するところの益を優先する、このことだけは改めて、国民の利益のために、国民の益のためにやり得る政府にしていかなければならない、このように考えているところであります。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 スリム化しなきゃいけない、そこは全く一緒なわけでありまして、そういう視点で、例の法案、ちょっと気になるところがあるということでございます。今、平野長官おっしゃったので、私もそう思うんですが、社長室の大きい会社というのは余りいい会社ではないということになるんじゃないかなと思っております。

 それでは、二番目の質問の方に移らせていただきます。

 今、長官からも、やはり法律にいろいろ根拠があると、それによって組織ができ仕事ができと、まさにそのとおりであります。そこで、この法律の整理、私のネーミングでいいますと法律の仕分けということになるわけですが、このことについて少し問題提起をさせていただきたいと思います。

 フリップを一つ持ってまいりました。皆様方には書類でつけております。

 国の法律がどれだけあるか。当然、立法府はいろいろな法律を生み出してまいります。時に、非常に大事ないろいろな課題があって、そのたびに法律はつくっていくわけですが、その法律が今どれだけあるのか。これは法務省さんの方でしっかり整理をされておりまして、お伺いしますと、平成二十年六月末で千七百九十一本の法律があるそうであります。

 このグラフにありますように、法律の数は、実は、やはり国会をやるたびにふえていくわけですが、こうやって見ますと、二度ほど山が崩されているというのがおわかりになるかと思います。最初が昭和二十九年、一九五四年、日本が新しい形で進み始めたときに一度整理をしたということであります。次は昭和五十七年、これは臨時行政調査会、第二臨調のときに一括整理をされたものであります。どうやら、大体三十年置きぐらいに整理を実はかけてこられたようにお見受けするわけであります。

 一九八二年から、ことしで二十八年たちました。そろそろ三十年に近づきつつあるわけであります。前回は行政改革の一環という形で法律の整理に取り組まれたわけですが、現状、こういった状況について何か御認識があれば、ここでお答えいただきたいと思います。

平野国務大臣 今、改めて、先生からのお示しをいただきました法令件数について見ているわけであります。法律をどんどんつくっていくという状態にあるのかなと。しかし、そのときに本当に不要になっている、その法律をつくっていく上において、関連法案、精査は当然されていくわけでありますが、そのときの法律の廃止をきちっと法律で基づいてやっているか、それが十分にやり切れていない姿がこういう状態になっているのかな、このように認識をいたします。

橘(慶)分科員 やはりそういう形で、個々の、日々の行政課題に、あるいは法令、法律の課題に対応していくことがどうしても優先される中で、立ちどまって一回見直すという機会はなかなか難しいと思います。

 しかし、また一面、法律の中には、その制定当時は非常に重要だったわけですが、やがて、世の中の変化あるいは国民の意識の変化等によりまして、やはり関心が薄れたり、あるいは実益に乏しくなってくるものもあると思います。しかし、その中でも、法律で報告を義務づけたり、国会、私どもにもそうですけれども、義務づけをいただいたりしておりますと、どうしてもそれは行政府としては続けていかなければいけない。そういったものが、私もこの六カ月ぐらい、こうやって議員会館におりましてもいろいろな報告をいただくわけですが、中にはやはり、いや、最近、ここは余り関心なくなっているんじゃないかなというものもないわけではありません。しかし、それを行政府ではとめることはできません。

 そうなってきますと、実は根拠法令の廃止ということをしますと、そういった、今皆さんが余り求めておられないお仕事、あるいはそのための組織、そういったものは削っていける、そうすれば予算も削っていける。そうなってきますと、根拠法令の廃止というのは、行政改革なり、皆様方のお言葉で言えば予算のスリム化といいますか、削減の中で一定の効果があるんじゃないかと私は思うのですけれども、このことについての見解をお願いいたします。

平野国務大臣 今、私どもも、無用に置いておくという考え方はとっておりません。したがって、法律に基づく制度や組織、事業を含めて、やはり国民の目線、観点から刷新をしていくという考え方に立っておるところでございまして、先ほども申し上げましたが、行政刷新会議というのはそういう視点からも物事を見詰めていく、こういう組織でございます。

 さらには、行政刷新会議のもとに、いわゆる規制・制度改革、こういう概念の分科会をも設置し、この中で、大幅に各種の法令に基づく許認可等々についても見直しを重点の一つの仕組みとして考えているところでございます。

 したがいまして、先生の御指摘のところについては、おおむね大体六月ぐらいまでにその大きな基本的な対処方針を取りまとめていく、こういう考え方に実は立っているところでございまして、先生の御指摘された点、そこに一つの大きな開花があるもの、私はこのように思っております。

 しかしながら、私は、やはり法律が不要になったもの、これについてはその法律を廃止していく、こういう考え方は常に持っておかなければならないと思います。しかし、生産性という考え方も一方で見詰めていかなければならないと思いますから、毎年そのことを見ていくのか、ある時期に見ていくのか、その都度、法律をつくっていくときに、今までの法体系等をしっかり見詰めて、そのことについて国会にお願いをするのか、やり方の方法が一つは知恵の中にあるのだろうと思います。

 行政府がそう思っても、立法府の御協力なければなかなかできない部分もありますから、そういう意味でより効率的に物事を進めていく、こういう考え方からすれば、そういう考え方に立つときには、ぜひ先生にも御協力をお願いしておきたい、このように思います。

橘(慶)分科員 今ほど平野長官からも立法府の役割もあるというお話、そのとおりだと思います。立法府で最後はつくっていく、あるいはやめていくということだと思います。

 この問題については、昭和五十五年三月五日にも、予算委員会第一分科会、この分科会ですね、一度取り上げられた後、昭和五十七年の法律整理になったわけであります。また、平成二十年六月には、私どもの一期上の先輩の先生方によりまして、この後に御質問される徳田毅先生も入っておられたわけですが、不要な法律を廃止するための第三者機関の設立、先ほど平野長官もおっしゃったように、やはり生産性ということから考えたら、いつも皆さん前向きに進まなきゃいけない中で、やはり違った視点でやるとなれば第三者機関ということもあると思います。

 ドイツやフランスでは、立法府も入りまして、法律の簡素化ということを、ずっと一つそういうことをやるところを置きまして進めておるということも、私、調べさせていただいたところであります。これは立法府も含めてお互いに考えていくべき課題だと思いますが、行政府の立場から、立法府に対してと言ったら変ですけれども、何か御所見があればお願いいたします。

平野国務大臣 今後、先生の今の御指摘を踏まえて、やはり実効性の失っている法律につきましては、行政の非効率化ということにならないように法改正をしっかり進めていく、こういうことですから、先生のそういう考え方のことも一つの大きな知恵だと思っておりますし、またそのことを踏まえて十分に研究をしてまいりたい、このように思います。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 このことに少し関連をして、少し話題が横へずれますけれども、今度は、法文化の維持のようなお話になってまいります。

 法律には片仮名表記の概念がいろいろと取り入れられるということが、時代の流れの中でふえてきております。古くはモーターボートとかクリーニングから始まったわけですけれども、ここへ来まして、やはりいろいろなコンピューターの発達によりまして、平成十四年度には電子メールという言葉が、平成十五年度にはインターネットという言葉が、また平成十六年度にはコンテンツという言葉が法令用語として定義をされたわけであります。平成二十一年度にはバイオマスという言葉も定義されております。

 ただ、閣法と衆法との違いということもあるわけですけれども、平成十七年に内閣提出で、グリーンツーリズムについて農山漁村滞在型余暇活動という形で定義をされた法律ができた、その二年後に、今度は議員立法によりまして、エコツーリズム推進法というのができてきているわけであります。

 私は別に、この一つ一つの法律の趣旨が悪いとか、そういう意味ではありません。ただ、日本の法律の法文化ということから考えますと、やはりそこに何らかの一定の体系といいますか、整合性というものは必要ではないかと思います。

 そこで、先ほどの質問の絡みでありますが、最近、立法府では非常に弁護士資格のある先生方がふえておられます。そういった方々を含めて、政策的というよりは、むしろ、そういう違った視点から、超党派の審査会みたいなものが立法府の中にも自己抑制的にあってはどうかな、こんなことも思うわけであります。

 これについても、政府側というのは、ある意味で違う立場にはなりますけれども、御所見があればお願いいたします。

平野国務大臣 これを私が政府の一員として答えると、立法府の先生方からおしかりを受けるところでございます。

 しかし、いわゆる今日までの概念の言葉、法律の用語的なことよりも、私は、大事なことは、やはり国民がわかりやすい言葉である、このことが基本だというふうに思います。何かわかりにくい言葉だけをしつらえて、従前と同じ慣例、慣行に基づいて書くという考え方もあると思うんですが、私は、今の時代、やはり国民がわかりやすい、そういう視点も入れていくことが大事であろう、こういうふうに思っております。

 しかしながら、立法府のお立場での審査、行政府の立場での部分、行政の方ではできるだけそういう考え方に立ってやっていくべきだと思っておりますが、行政府と立法府とが合同でと、こういうところに私が言及する立場にないことも御理解をいただきたいと思います。

橘(慶)分科員 もう一つ、法律の改正の方法ということについてでありますけれども、今、既存の法律を変える場合、語句や条文を、何々を何々に改める、何々を何々に改めるという形で法律の本文は実はつくっていくわけであります。そうすると、改正法を私どもが審査するにしても、実際は、本文ではなくて、新旧対照表を見なければ、どうなったかよくわからない、そういうことになるわけであります。

 それで、私どもの先輩議員の提案の中には、この改める形式というのを、いっそ新旧対照表で、こういうふうに変えますというような形での、そういう法律のスタイルにしてはどうか。先ほどの質問とはちょっとまた矛盾をしまして、これは大いに変えていくということになっちゃうわけですけれども、これは賛否いろいろあるかと思います。

 ここで一度、このことについての見解をお伺いしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 今ほど、先生からお話しいただきました改め文と言われる逐語的改正方式でございますが、改正点が明確であり、かつ簡潔に表現できることから、従来より我が国における法改正の形式として用いられているものであります。

 一方、新旧対照表でございますが、現在は改正内容の理解を助けるための参考資料として作成しているものでありますが、逐語的改正方式をやめてこれを改正法案の本体にするということにつきましては、一般的には新旧対照表は改め文よりも相当に大部となることが避けられません。

 したがいまして、全体について正確を期するための事務にこれまで以上に多大の時間と労力を要すると考えられること、また、改正法案を国会で御修正いただく場合には、現在、新旧対照表は新しい部分ともともとの部分の二段の表になっていますが、場合によっては、それをさらに三段、四段組みにすることが必要になるというような議論もございます。

 したがいまして、御指摘のような新たな改正方式につきましては、国会で合意いただくことが大前提であるというふうに私どもは考えております。

 以上でございます。

橘(慶)分科員 どうもありがとうございました。このことについては、そういう御見解を含めて、みんなでまた考えていかなければいけない問題だと思います。

 もう一問あったわけですけれども、やはりだんだん時間も過ぎ去っていくわけであります。第三番目の国家戦略についての御質問、せっかくですから、これもやや提案的な部分もありますし、ちょっとお伺いしておきたい部分もあるので、こちらに移らせていただきたいと思います。

 年末に、これからの経済を何とか上向きにさせたいという思いでつくられました国家戦略、言ってみれば骨組みの部分だと思いますけれども、これを拝見させていただきました。しかし、ちょっとやはり時間的な制約もあったと見えて、言ってみれば十分に目配りがされていないという嫌いを私は持っております。

 例えば、農業関係の食料自給率、木材自給率、農林水産物や食品輸出など、そういったところについては、五〇%とか一兆円水準とか、具体的な目標も立てられて、詳細に書かれているわけですが、実は、本文全体を最初から最後まで読み通して、ものづくりとか製造業という言葉は一切出てこなかったというふうに私は読みこなしております。それもちょっとまた片手落ちではないかなと思っております。

 いろいろな見方、環境とか健康、いろいろなアプローチができるにしても、やはり日本の一つの心臓部分である、平野長官もそちらの御出身なわけですが、ものづくり、製造業ということを全く位置づけていない戦略というのもちょっとどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。

古川副大臣 お答えいたします。

 私どもも、委員御指摘のとおり、我が国の将来の成長にとってものづくりは重要であるという認識については、全く違いはございません。

 ただ、そこの部分の言葉を使うか使わないかという視点でございまして、さきにまとめました基本方針におきましても、グリーンイノベーションやライフイノベーション、そういう戦略的な分野の中でのものづくりや技術開発を後押しして、新たな需要と雇用の拡大を目指していく、またさらには、そうした高いものづくりの技術、それを生かしてつくられる製品などをアジアを初めとする世界に展開していく、そうしたことも確認をさせていただいております。

 さらには、経済産業省におきまして、新成長戦略の基本方針を踏まえて、日本産業の今後のあり方を示す産業構造ビジョンを策定すべく、去る二月二十三日に産業構造審議会に新たに産業競争力部会を設置したというふうに聞いております。

 そういった意味では、私どもは、先ほど委員から御指摘があったように、ものづくりの重要性、製造業の重要性、そういうものを十分に認識した上で、六月の最終報告の取りまとめに向けて新たな成長戦略の策定を行ってまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 地域活性化の部分でございますが、農林水産業の六次産業化、交流人口の拡大、文化遺産の活用、そういった地域を元気にと言われるテーマは書き込んであるわけであります。

 しかし、私も地方で自治体を預かっていた時期があるわけであります。そこで一番悩ましかったことは、若い方々が、勉学とかいろいろなことで都会へ出られるわけですが、なかなかそれが戻ってきていただけない。そこで思うことは、もちろんお祭りもあります、それから見どころもあります。しかし、それだけで、では、帰ってこいよと言っても、現実、皆さんいろいろな仕事をしたいわけでありまして、むしろ、いろいろな仕事の場がないと、帰ってこいと言われてもなかなか生活できませんよ、こういうことになってくるんじゃないかと思います。

 その中で、観光産業あるいは農林水産業はもちろん大事です、しかし、それだけではやはり十分な受け皿になり得ないんじゃないかという心配をするわけであります。この辺、いかがでしょうか。

古川副大臣 私どもも、地域活性化というものは今後の日本の成長を考える上でも極めて重要な課題である、そのことについての認識は委員と全く同じでございます。

 その中で、特に若い人たちに、それぞれの地域に定着をしてもらう。そして、その若い人たちに、その地域の場で仕事を持ち、そしてまた家族をつくり、次の世代を育てていただく、やはりそういう状況はつくっていかなきゃいけない。

 そのことは、どれかやれば、何か一つの政策でいいというものではなくて、やはりさまざまな面で、トータルとしての面で、その地域に若者が魅力を感じ、仕事を持ち、そして住めるような環境をつくっていく、そういうことが大事だというふうに考えております。

 そういった意味では、先ほど委員からも御指摘がありましたが、私どもは、観光というものを一つの地域活性化の大きな重点に置いていくというものがいいんじゃないか。なぜかといえば、地域には、さまざまな土地固有の歴史や文化あるいは芸能など、人を引きつける魅力が都市部よりもあるというふうに私どもは認識しております。

 そういった形で、人々がその地域に大勢いらっしゃるということ、そのことが新しい雇用の場というものも生んでいくわけでございますから、また、そうした人々が来ることによって、そうした人たちが何か物を買い求める、そうしたことがその地域の伝統産業など、そういうものを活性化させることにつながるわけでございますから、私どもは、観光というものを起爆剤にして、その地域の産業やあるいは雇用を生み出せるような、そうしたことをぜひ努力してまいりたいと思っております。

 さらには、私ども、新政権のもとで、新しい公共という考え方、NPOを初めとするそうしたものをぜひ育てていく、地域において人々が地方の創造力や文化力、そうしたものをNPOなどの活動を通じて育てられるような、そういう施策を打っていく、そうしたトータルの形の中で、ぜひ、若い人たちが地域に定着のできる、そうした環境をつくってまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 時間が参りましたので、お答えはこれでありがたいわけですけれども、ただ、一言コメントさせていただくと、私が霞が関から出ましてまた戻ってくる間に、溜池山王という駅ができました。溜池山王という駅には大変たくさんの若い方々が闊歩しておられます。しかし、今、古川さんからお答えいただいた、そういったことだけで、あの溜池山王を歩いている、闊歩しているああいう方々がどれくらい戻ってきてくれるかということについては、非常に疑問に思うわけであります。

 なぜなら、いろいろな自己実現の場、すなわち、情報産業もあります、金融もあります、通信もあります、あるいは本社機能、いろいろなものがある中で、本当にそういった、お仕事に疲れました、観光に来ました、それだけを受ける地方ということでは余りにも受動的な地方ではないか。このように思うというところを、ぜひ六月に向けて、またいろいろとしんしゃく、そしゃく、何が地方の若者の自己実現の場になるのかということをお考えいただきたい、こういうことであります。

 これで終わりますが、平野長官とは認識は一致しております。しかし、順番が何か違っている。つまり、減らしてからふやす、これが私の申し上げたかったことでありまして、この点については、また引き続きいろいろとディスカッションをさせていただきたいと思っております。

 きょうはどうもありがとうございました。

平岡主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、徳田毅君。

徳田分科員 自由民主党の徳田毅でございます。

 本日は、迷走を続けている普天間基地移設問題について、私のふるさとである徳之島がこの移転先の候補地として挙がっているということが何度か報道なされ、そして、本当に徳之島では大変多くの島民の皆さんが心配をされております。きょうは、そのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、昨日、徳之島の伊仙町で長寿・子宝シンポジウムというものが開かれまして、私は徳之島に行ってまいりました。徳之島では、泉重千代さん、本郷かまとさんという二人のギネスブックに載られるほどの長寿の方がおられ、また、今、六十五歳以上の方が三五%、百歳以上の方も十八名おられるという、大変長寿の町であります。その一方で、合計特殊出生率が発表されまして、そうした中で、徳之島の伊仙町が二・四二、また、近隣の徳之島町、天城町は二・一八と、島全体がやはり子宝の島であります。

 そうした中で、今、突然降ってわいたようにこの移転の問題が持ち上がった。多くの島民の皆さんは、この長寿また子宝の島に基地は必要はないということで反対をされている。しかしながら、その一方で、一部の方がやはり振興策というものを当てにして、賛成論も出てきている。この二つのグループの中で、今、少しずつではありますが、そうした摩擦、対立が起き始めているというのが現状であります。

 やはり、このように政府の方がはっきりと方針を申し上げていただけない。また、報道がなされるばかりで正式に説明もない。島の人たちは判断する材料もないわけです。そうしたことからこのような混乱が起き始めているということについてどう思われているのか、まず最初に官房長官にお伺いしたいと思います。

平野国務大臣 徳田先生にお答えをいたします。

 先生のお父さんには、私は昔大変お世話になりました。特に私は大阪でございますし、特に先生のお父様は、タイ国、中国との関係を含めて大変御熱心な方でありまして、その息子さんとこういう立場でさせていただくことを思ってなく、大変うれしく思っております。

 さて、今、先生の御質問でございますが、徳之島、こういうことに言及されましたが、私は、この委員会等々でも申し上げておりますが、普天間の基地の問題については、やはり今置かれている普天間の基地の過重負担、危険性の除去、そのためのかわり得る場所、施設についてゼロベースで検討する、こういうことで、期限も五月末、こういうことに切ったわけであります。

 したがって、今、先生おっしゃるように、そういう風評等々が起こり、起こったところについてはそういう御迷惑をかける、こういうことも当然予測をされるものですから、私は、ゼロベースで、私としては、ここがいいとかここがどうだということは今まで述べたこともございませんし、そういうことを発信したこともございません。

徳田分科員 確かにこの問題は、国の外交、安全保障の問題でありますし、大変デリケートな問題。私も沖縄にも先日行ってまいりまして、沖縄の方にもお話を聞いてまいりました。戦争の歴史、また基地の負担を背負ってきたこの歴史の中で、多くの人たちが心配をされているのは事実だ。だからこそ、今政府がゼロベースでと言われるのはよくわかります。

 しかしながら、候補地と挙がった地域については、自分たちのふるさとがこれからどうなっていくか、これは沖縄も一緒だと思いますよ、大変心配をされている。そして、火のないところでは煙は立たない。風評とは言われますが、新聞報道でこれだけ何度も繰り返し報道されれば、それは何もかも、あくまで風評だとは言い切れない。だからこそ、皆さんが心配をされておるわけです。

 だからこそ、島での混乱、これは候補地と挙がる地域はどこでもそうだと思いますが、そうした地域での混乱を鎮静化させるためにも、きょうはちょっと正直に、できる限りで答えていただきたいということを思います。

 昨日、徳之島三町長にもお話をお伺いしてきました。昨年の十一月、十二月、そしてことしの一月二十五日には民主党の牧野聖修議員が徳之島に来られて、そして関係者に接触し、普天間基地の移転をということを打診されております。そのことは官房長官は把握をされておられますか。

平野国務大臣 今、この問題に関しましては、いろいろな方々が、ここがいいんじゃないか、ここは難しいよとか、自薦、他薦を含めて、情報としては私の方に上がってきております。

 民主党の牧野聖修議員が徳之島に行かれたということについては、後で知りました。その結果は、報告は受けておりません。

徳田分科員 結果は報告を受けておられないと言われましたね。

 一度目、二度目については、牧野聖修議員が個人で来られたということも言われておるんですが、三度目については、内閣官房調査官の須川さんという方も同行されておられます。この方は名刺も出されておりますし、そういう立場で来られたのであれば、公費で徳之島にも来られたのではないか。

 また、牧野聖修議員は、報道機関の取材に対して、官邸には逐一報告しておると明確に答えておられますし、また、その行かれたときには、三町長に対して、東京に上京して官房長官に会ってくださいということまで言われております。それでも御存じないと言われますか。

平野国務大臣 その話は新聞で書かれておりましたから承知いたしておりますが、官邸に報告をしているということでありますが、私には、直接、全くございません。

徳田分科員 かしこまりました。

 きょうは質問時間が三十分しかないことですし、このことについてこだわって問答を繰り返したいとは思いません。

 ただ、どうしても答えていただきたいのは、ゼロベースでということでありますが、では、現段階で、普天間基地移設の候補地として徳之島が、官房長官を長とされる基地移設問題検討委員会の中で挙がっているのかどうか。また、今国民新党さんは、キャンプ・シュワブ陸上案というものを提唱されまして、それに付随して、アメリカ海兵隊の訓練先として徳之島を候補地として検討されているという報道もなされておりますが、現段階でどのような検討の状況になっているのか、教えていただきたいと思います。

平野国務大臣 これは先生には大変申しわけなく思いますが、いろいろなことを発信いたしますと、またそれに尾ひれ羽ひれがついていろいろな憶測を生むということでございます。しかし、五月の末までにということでありますから、しかるべき時期には、当該の方々にも当然御理解をいただかなきゃならない、こういうことになるわけでありますから、その時期が来れば御協力を要請する、こういうことは、仕事の仕組みとしては当然であろうと思っております。

 したがって、今先生の御指摘の、現状どうなっているんだということについては、いろいろな予見を与えるということで、議員の質問で大変重いわけでありますが、御理解をいただきたい、このように思います。

徳田分科員 石原伸晃代議士からの代表質問の中で鳩山総理は、五月決着について、与党の三党合意のもとでの選定、地元の受け入れ同意、さらにはアメリカ側の合意という三点を念頭に置いて五月までに結論を出すと言われました。

 今、その三つのうちの一つ、地元の同意、これは必ず必要不可欠なものだと思いますが、それでは、その同意を得るために、今、しかるべき時期と言われました。五月に決着をつけるといえば、そのしかるべき時期というのは大体いつごろなのでしょうか。

平野国務大臣 当然、地元の皆さんの御理解と、日米の関係でありますから、アメリカとの関係についても理解を求めていく、こういうことであります。

 したがって、何回も先生にはきちっと答えておりませんことをお許しいただきたいと思いますが、五月末ということでありますから、逆算をしていただきますと、一日で合意を得られるなんということはあり得ないわけでありますから、それに必要な時間軸のもとに、取り組みは並行してやっていくのか、パラレルにやるのか、順番をどうするかということは当然あると思いますが、しかるべき時期に理解を求める、こういうことは当然だと思っております。

徳田分科員 メーンに徳之島を挙げても、これは徳之島だけの問題でなく、本当に奄美全体の問題であります。そして、子供たちにどんな島を受け継いでいくのかということが問われる問題。そうしたことを判断するのに、今出したとしても三カ月ぐらいしかないわけです。一日では無理だというのは当然のことでありますが、それでは、三カ月で地元の同意が本当に得られると思われますか。

平野国務大臣 得られると思いますかというよりも、得られるようにしなければなりません。同意というのは、どこまでをもって同意というかは別にいたしまして、やはり地元の皆さんの理解を得られるということの行為は、当然プロセスとしてはあるわけであります。

 今、先生御出身の奄美ということを言われておりますが、奄美の持っている自然の問題、奄美における島の実情、天然記念物のアマミノクロウサギ等々、いろいろなこともよくわかります。そういう長寿の島を次の子供さんにきちっとしておきたい、この先生の気持ちは十分よく私は理解をいたします。

 しかし、この問題については、やはり日本の安全保障、こういう視点で、日本国民全体が、また当該の地域の方々にもそういう思いで御理解をいただきながら進めなきゃならない国の施策であるということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

徳田分科員 そのことは十分理解しているんです。しかしながら、三カ月前にそのことをしかるべき時期として政府の公式な見解を発表しようが、二カ月前であろうが、地域での混乱というものは防げない、免れないと私は思います。

 きょうは、防衛省の方からもおいでいただいていると思いますので、少しキャンプ・シュワブ陸上案についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 キャンプ・シュワブ陸上案というのは、二〇〇五年の日米安保協議委員会、いわゆる2プラス2でも議論されて、日本側が提示したところ、アメリカは、訓練に支障が出る上に騒音被害、環境悪化につながるとして拒否した経緯がありますが、このキャンプ・シュワブ陸上案の実現可能性について、防衛省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

楠田大臣政務官 徳田委員にお答えします。

 まず、防衛省の今置かれている立場も御理解をいただきたいと思いますが、先ほど官房長官の答弁にもありましたように、まず与党の中での検討委員会がある、そして基本政策閣僚委員会もあるという中でのさまざまな議論であります。

 その中で、我が省として求めに応じてさまざまな説明をする機会はありますが、何かしら主体的に我々で判断をするような状況にはございません。先ほど御質問がありましたけれども、防衛省としては、キャンプ・シュワブの陸上案については、我々自身で判断をしているわけではありません。その点について評価をしているわけでもないというのが現状であります。

徳田分科員 きょうは何一つ答えていただいていないんです。では、皆さん、何しに答弁されに来たんですか。

 確かに難しい問題だというのはよくわかっています。しかしながら、新聞でこのように何度も報道されているから混乱が続いているわけです。では、これがうそだ、根も葉もない話だといったら、政府から正式に抗議していただいたことはあったんでしょうか。基地移転をされる、もしくは海兵隊が訓練先とする、どちらにしても徳之島にとっては大きな問題ですよ。だからこそ、きょう私は質問をしに来たわけです。

 五月末には決着を出す、結論を出す。しかし、それまでに皆さんがしなければならないことは、検討委員会の中で議論をされるだけではなく、本当に同意を得るための努力をする。では、三カ月されたということが本当に努力を尽くしたと言えることなのでしょうか。もう少し真摯に答えていただきたいと思います。

 それでは、平野官房長官にお伺いさせていただきたいと思います。

 一月二十四日に名護市長選挙で移設反対の稲嶺氏が当選をされた直後、記者会見の場で、地元の意向についてしんしゃくしなければならない必要はないというふうに答えたということが大きな問題になりました。この発言の趣旨についてお伺いをさせていただきたいと思います。

平野国務大臣 これも、議員が御指摘された、しんしゃくをしないという言葉は、確かに私は発言をいたしております。しかし、マスコミ報道も、そのことが事実のように言われておりますが、私、前提条件がございました。名護市長選挙の結果については、これは民意は理解をいたします、しかし、私の今の立場では、検討委員会という中で、要は、危険性除去、負担を軽減するための代替の施設、場所については、そういう予見を持たれるということになりますから、技術的な面、環境面、そういうことを含めて検討している場であります。そういうことについては、検討委員会という場においての議論、検討をしていく上においてはしんしゃくをしない、こういうことを申し上げました。

徳田分科員 もう一度、ちょっといま一つわからなかったんですが、検討委員会の中で議論をする場では地元の意向というものはしんしゃくしないということですか。

平野国務大臣 まず、安全性の確保、負担を軽減する、こういう技術的なところを検討委員会で議論しておるところでございましたから、そのことが案と固まり、そのときに地元の皆さんの考え方はどうなんだというのは、プロセスとしては当然、地元の理解を得ていかなければいかぬ。

 このことについては事実でございますが、検討委員会で議論をしているときには、そういうことを別にいたしまして、技術的な負担軽減、危険性の除去をとれるところについてゼロベースで検討していきましょうということが、もともとの検討委員会の趣旨でございました。そこの、検討委員会においてはという前置きがあったのを、報道では前置きを取っちゃったものですから、何という官房長官だと先生が言われるような雰囲気になっているということでございます。この間、名護の市長が私のところに来られたときにも、そのことについてはきちっと、そういうことですよということは申し上げました。

徳田分科員 確かに、沖縄の普天間基地などは、台湾海峡や朝鮮半島の極東アジアの有事というものを想定して設置されているということから、このオペレーションなどについても、技術面、また安全面、負担の軽減、そうしたことが優先される。

 しかしながら、この基地移転の問題については、地元の賛同、協力というのは不可欠だと思います。ですから、検討委員会の中でも、そうしたことをしっかりとしんしゃくするどころか、しっかりと尊重していただきたい、それも話し合っていただくのがやはり検討委員会の場なんだと私は思いますが。

平野国務大臣 検討委員会の場かどうかは別にいたしまして、今先生の指摘の、地元の理解を得る、得なきゃならない、こういうことは政府としては当然だ、こういうふうに思います。

徳田分科員 牧野聖修議員が徳之島に来られたとき、関係者の方に対して、振興策について一部言及をされておるわけです。それは御存じないことかもしれませんが、しかしながら、徳之島で賛成をされている方は、やはり振興策を当てにしている。その背景には、大変厳しい島の経済状況があるということが言えると思います。

 先ほど、全国の県民所得が発表されました。そうした中で、東京の平均所得が四百五十四万円に対して、沖縄は二百四万九千円、そして奄美は百九十七万円、それほど厳しい状況なんです。こうした格差是正、離島振興というものは、基地が来る来ないとは別に、必ず政府が取り組んでいかなければならない問題だと私は思いますが、その件についてお伺いさせていただきたい。

平野国務大臣 もとより、先生が御指摘のとおり、いろいろな地方あるいは島々の皆様方の国民生活については、先生御指摘のところはあるというふうに思います。

 したがって、今までは、沖縄の施策の進め方というのは、ややもすると基地とセットのような考え方をとっておられたところもあるようには思います。しかし、私は、本来そうあるべきではない、こういうふうに基本的には思います。しかし、現実の対応としてそうせざるを得ない、また、地元もそういう思いのもとにおっしゃっていた過去の経過も私はあるように思います。

 この間、沖縄の問題について、ずっと過去の取り組み、進め方、振興計画等々、今レビューを全部私自身いたしておりますが、徳田先生がおっしゃるように、徳之島においての島の振興策、これは、基地が来る来ないにかかわらず、本来、政治が、政府がそういうことを含めてやらなきゃいけない、こういうふうに私は思っておりますし、徳田先生のまた御協力も得たい、このように思います。

徳田分科員 今、官房長官から、島の振興について、格差是正については政府が必ず取り組んでいかなければならない問題だというありがたいお言葉もいただいたわけですが、実は、今年度予算の中で、奄美振興開発に伴う予算が前年比でマイナス二九%、八十三億も大幅に削減をされています。言葉ではそうしたきれいな言葉を並べていただけるかもしれませんが、やっていることは全く違うわけです。

 島の人間からするとどういうことかと。昨年の選挙のときには、実は奄美版マニフェストというものが出されました。そこで、民主党政権になってもこの奄振予算を今の水準から軽減しないということを約束されたわけです。しかしながら、ふたを開いてみると、予算がマイナス二九%と過去にないぐらい大幅に削減をされている。その上に今度は、振興策を目の前にぶら下げて、基地を持ってきていいかと言われている。そうした中で、島民の方は本当に憤慨をされております。

 このことは、すべてがつながっているとは思いませんが、結果としてそういう状況になっているということ、そのことを御理解いただきたいと思います。

 それでは、お答えいただきたいと思います。

平野国務大臣 予算の数字面から見ると、そういうふうになっているところは事実だと思いますし、どのエリアにおきましても、発している言葉と実態が随分違うじゃないかということは言われるかもしれません。

 しかし、限られた財政、財源の中で、最大限その思いをやはり政府としても持ちながら進めていく、このことについては変わりないわけであります。予算がつかないからけしからぬ、こういうことよりも、そういう思いのもとに、やはり政府がすべてやるということよりも、島民の皆さんと十分に連携をとりながら、やはり自立していただく努力と、政府がなさなきゃならない施策と、あわせて相乗効果が得られるような制度設計をしていくことが大事だ、こういうふうに思います。

徳田分科員 この件については事前に官房長官にお伝えをしておりませんが、しかしながら、限られた予算と言われましても、予算の配分の哲学として、富める地域から貧しい地域に、強い人から弱い人へと再分配をするというのは当たり前のことであります。では、この限られた予算の中で、島のような貧しい地域をどのように助けていくのか、自立させていくのか、格差是正を図っていくのか、そこが問われているわけです。

 そこで、マイナス二九%、八十三億、これは事業規模にしたらその倍ですよ。では、その予算が執行されてしまえば、島でどれほどの会社が倒産し、失業者が出ると思われますか。官房長官の御出身は、和歌山県のかつらぎ町ですか。かつては二万五千人を超えていた地域も、今、二万人を切ったということも、調べてみるとそういう数字が出てきました。離島に限らず、そうした地域においては大変今も苦しんでいるんだと思いますが、そうした地域に何ができるかということが求められている。しかしながら、それをするに当たって、限られた予算だからしようがないんだと言われたら、それは地元の方も憤慨をされるのではないでしょうか。

平野国務大臣 限られた予算だからしようがないというよりも、今、先生御指摘されるように、限られている予算の中でどのように知恵を絞って活性化を図っていく、振興をしていくかということが、今、政治にも、また地元の自治体の皆様方にも求められているということですから、しっかりと連携してやっていきたい、こういうことを申し上げておきます。

徳田分科員 もう時間もありませんので、このことについてまた押し問答を繰り返そうとは思いませんが、限られた予算の中で知恵でと言われましても、奄振予算の中を見ると、公共事業は大幅に削られた、では、自立するために農業振興が不可欠なわけですが、今度は土地改良も削られている。では、島はどのように発展していけばいいのか、自立していけばいいのか、それは知恵の出しようもないところまで追い込まれているんです。

 そのことについて、もし少しでも関心があっていただけるのであれば、このことについてお調べいただいて、そして、ともにということでありましたら、本当にこれは与野党を超えて取り組んでいかなければならない問題だと思いますので、自民党も反省すべきところはたくさんあると思いますが、民主党政権のもとで、島の人たちに、島の振興というものを必ず図っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後になりますが、奄美では、十二市町村すべての首長、議長がこの基地移設反対の決議をされました。鹿児島県の伊藤知事も、地元の意向は十分に尊重されなければならないという発言もされております。先ほどの答弁では大変心配なところもありますが、しかしながら、きょうは、きのう徳之島へ行ってまいりまして、この米軍普天間基地移設反対の要望書を預かってきております。どうかこの要望書を受け取っていただいて、そして、これから五月までに政府は公式な結論を出されると思いますが、この地元の意向というものをどうか十分に尊重していただくことをお願いしたいと思います。

 最後に、一言御答弁をいただきたいと思います。

平野国務大臣 今、徳田議員のおっしゃった部分、あるいは、その要望書ですか、いただいた部分をまだ見ておりませんから何とも言えませんが、十分読ませていただきます。

 また、私が島の振興を含めて云々ということで徳之島を訪問しますと、平野が来たら何だ、こういうこともよく言われるものですから、遠くから、今先生御要望いただきましたところを含めて検証してまいりたい、このように思います。

徳田分科員 ありがとうございました。これで終わらせていただきたいと思います。

平岡主査 これにて徳田毅君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、梶原主査代理着席〕

    ―――――――――――――

梶原主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 内閣官房に引き続きまして、三十分たちまして、もう一度登板させていただきます。

 きょうは三月一日でありまして、いよいよ春も近いということであります。私の選挙区はチューリップの球根栽培が非常に盛んな地域でありまして、きょうは、砺波市さん、高岡市さんの方の早咲きのチューリップを胸に挿させていただいて、ちょっと委員会室に春をお届けしながら質問させていただきたいと思います。この辺までは何とか規則上大丈夫ですよね、コサージュでありますので。よろしくお願いしたいと思います。

 質問の趣旨は、先ほど古川さんとも少しお話させていただきましたけれども、地域をこれからどうするんだということでありまして、今回の予算、公共投資、かなり厳しい切り込みになっております、地域、地方は大丈夫かなということ。そしてまた、そうはいっても、やはり五兆円強の公共事業費というものが厳然としてあるわけであります。これをどんな形で有効に使っていくかということについては、せっかくの予算ですから、大事なことであります。

 効果的な公共投資は何か、どんなものが国家戦略あるいは経済成長に生かせるのか、そういう観点から御質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 中井大臣には、お忙しいところ、ありがとうございます。途中、挟みますので、よろしくお願いいたします。

 フリップを先に出させておいていただきます。きょうは、これが骨であります。先ほどの平岡主査さんからもちょっと言われていたんですが、ここに挙げている数字、詳細な計算根拠などはつけておりますが、あくまで橘個人が試算をしたものであります。公共投資が減額されたものがどんな影響が地方にあるのかということを、政府のいろいろな数値を使わせていただいて、試算をいたしました。

 一つだけ、経過について一言申し上げておきたいんですが、こういったことをできませんかということを随分内閣府の経済財政分析担当さんに申し上げました。しかし、どうしてもやってもらえなかったということがあります。どうしてもやってもらえないなら自分で計算しますということで計算をして、事前にお届けもしてあります、三週間ほど前に。

 そういうものであるということで、あくまで私の試算ですが、一応根拠は、経済見通しなり内閣府さんの資料と、あるいは人口なり公的固定資本形成のデータを使って出しておる。中身については詳細資料につけてあるということで、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

 先に、本題に入る前に、二十二年度の第二次補正予算からちょっと復習をさせていただきたいと思います。

 私、臨時国会、十一月十八日に質問させていただいたときに、当時の菅国家戦略担当大臣といろいろ公共投資の議論をしまして、菅大臣からも、公共事業は地方に仕事を持っていって雇用やお金を流すんだ、日本全体の格差を縮める上での効果というものは認めます、ただ、BバイCとかいろいろな問題の中で、コンクリートから人へという御答弁であったかと思います。

 そういうことで、これはなかなか公共事業は厳しいなと思っていたところが、第二次補正予算では、地方単独事業向けということで、五千億円の地域活性化・きめ細かな臨時交付金を盛り込まれたところであります。

 コンクリートから人へという哲学でありますが、やはり景気ということもあるでしょう。なぜここで五千億というところについて、意図されたところをお伺いしておきたいと思います。

 済みません。指定していません。どうぞ、そちらでお願いします。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 きめ細かな臨時交付金については、十二月八日の閣議決定におきまして、電線の地中化、都市部の緑化など、地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等を支援するというふうに明記させていただきまして、きめ細かなというのは、これは中小零細の事業者の皆さんを含めて、従来以上に経済主体の細部にまで行き渡るような対策をさせていただきたいという趣旨であります。

 そのことの背景には、自民党政権下におかれましても、補正予算の中で、過去に約二・五兆円の麻生政権下での交付金が配付をされましたが、これが大規模な公共事業であったり、中小零細事業者とは余り関係のなさそうなプロジェクト型の交付金であったことから、そのすき間を埋めるというような意図も込めまして、このような形にさせていただきました。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 やはり、地方にとっては公共投資の役割があるということをある意味でお認めいただいたかと思います。後の質問につながっていく、その認識は大事だと思います。

 交付金の配分につきまして、四千五百億円を機械的に配分され、五百億円は二月三日までに、これは質問主意書を出しておりますので、二月三日までに地方自治体から申請をさせて、それをもとに配分をされるということになっておりますが、現状、どうなっておりますでしょうか。地方圏には配慮はありますでしょうか。

大塚副大臣 委員におかれては、元市長であられますし、大変御関心の高いところかと思います。

 作業上の現状を申し上げますと、ほぼ配分の計算は終えておりまして、間もなく各自治体に御通知申し上げる段階まで来ておりますが、おっしゃるように、四千五百億円については、これは外形基準に基づいて配分をさせていただきますが、今回の残りの五百億につきましては、これはこの交付金の趣旨に沿った事業なり事案を提言していただいた先にやはり重点的に配分をさせていただきたいという形で、今検討が最終盤を迎えております。

 具体的には、一団体当たりの申告してきた事業が、本当に細かいものをしっかり拾い上げていただいているものとか、それから、四事業を例示したわけでありますので、その四事業を中心に挙げていただいている先、さらには、過去に麻生政権下においても交付をしていただいた資金が基金等に大きく積まれたままの先、これは、逆にそこに財源があるわけですから、そういう先については少しマイナスの検討を加える等々、まさしく検討の方もきめ細かな配慮をさせていただいておりまして、ほぼ終盤を迎えております。

 ざっくり申し上げますと、四千五百億の配分が、これが都道府県と市町村が大体四対六になるのに対して、五百億についてはこれが三対七ぐらいということで、市町村の方により重い配分になる予定でございます。

橘(慶)分科員 今年度はあと一カ月ということにもなってまいりますので、ぜひ早急に進めていただいて、やはり年度内に手をつけなければいけないという趣旨でありましょうから、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、第二次補正でも五千億、言ってみれば公共的なものを追加されたという中で迎えました平成二十二年度予算、公共事業費二割減少ということでありまして、それは、もちろん日本全体の話でありますけれども、地方圏により大きなマイナス効果が及ぶんじゃないかということで、このボードをつくってまいりました。皆様方には手元にございます。

 公的固定資本形成に及ぼす経済効果、GDPの計算でいくと、公共投資の分野で二・一兆円マイナス効果があるという、これは政府経済見通しであります。私はもっと大きいのかなと思いますけれども、何か事業のやり残しとかあるいは土地費に行くもの、いろいろ言われて、これは小さ過ぎるような気もしますが、一応二・一兆円、これはそのまま承りました。

 それを地方圏と大都市圏、大都市圏は地域経済動向、地域経済の分析の中で使っておられる三つの都市圏、関東、近畿、そしてまた東海というところの公的資本形成の今までの割合を入れたものですが、大体今まで、これは平成十八年の数字ですが、地方と大都市は六対四の割合で、やはり地方に手厚い公共投資ということになっているということで、そのままいきますと、地方で一・二兆円の減、大都市では〇・九兆円の減ということになってまいります。

 子ども手当、大体一兆円くらいの経済波及効果があると、これも内閣府さんから出された資料であります。これは二十年十月一日の推計人口で、この推計人口からしますと、五五対四五ぐらいになるんですかね、大都市が五三%、地方が四七%の対象のお子さんがいらっしゃいます。そうすると、それを単純にいきますと四千七百億円と五千三百億円になります。

 ほかにはもちろん義務教育の無償化とか戸別補償、いろいろありますが、代表的なこの二つでいきますと、やはり地方圏、これは引き算した数字は余りにも恣意的だと思いまして載せませんでしたけれども、地方圏で七千五百億円のマイナス、大都市圏では三千五百億円のマイナス。これだと地方圏の方が倍ぐらい厳しく出てくる。

 もっと言うと、分母があるわけで、分母に、地方圏のGDP、大都市圏のGDPがあります、それをやりますと、もっともっと地方圏へのいわゆるポイントとしてのマイナスは多分大きいであろう。そこまでは資料にはつけましたが、このボードは、余りそこまでいくと過激かと思いまして、それは載せませんでした。どうかその意のあるところは御理解いただきたいと思います。

 質問にはしませんでしたが、ぜひもう少し地域経済分析をやるスタッフ、ふやしてほしいとは言いませんが、もう少し機能的に強化していただきたいということは苦言として申し上げておきたいと思います。

 それはそれとして、こんなふうに地方経済におけるマイナス効果はやはり一定あるんじゃないかなと思うんですが、まず、ここで一度、このことについての御感想があればお願いしたいと思います。

古川副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員がこのように御自分で試算をされたということについては敬意を表させていただきたいと思いますし、一つの試算としては、そうした試算の仕方もあるかなというふうには思っております。

 ただ、公共事業関係費の削減について、それの大きなマイナスの効果を懸念しておられるということでございますけれども、私ども、今ここでこれまでの公共投資のあり方というものを立ちどまって一度考える必要があるんじゃないか。そのことは、委員は市長もやっておられたわけでありますから、この公共事業のあり方が、本当にこういう形が効果があるのかということは、多分御自分でいろいろ考えられたこともあるんじゃないかと思います。

 現実、これまでは、需要面からの景気対策として、当面のGDPを押し上げる効果を重視した公共投資が多く行われてきたわけでありますけれども、しかし、それが無駄と言われるような、要するに余り波及効果のないような、そういう公共投資も多かった。そのことが、結果として、公共投資が社会資本として供給面からどれくらいマクロの生産力の向上に役立ったか、そういう数字を見てみますと、その数値は大きく低下している、そのことは委員も御承知だと思います。

 こうした反省を踏まえて、私どもは、二十二年度予算においては、国民生活が第一、コンクリートから人へ、そうした理念のもとに、非効率な公共投資を減らして、そして事業仕分けなどを活用して予算を組み替えていく、全面的な組み替えを行う。

 そうした一方で、これは子ども手当を経済の面から見ておられますが、私どもは、総合的な少子化対策、子供を社会全体で育てる、そういう社会をつくっていくことが、先ほどの成長戦略の問いもありましたけれども、やはり将来の日本の成長のためにも非常に大事なことである、そうした大きな転換を行うことによりまして、国民生活に安心と活力をもたらす、そうした視点から予算の編成を行ったところでございます。

 そういう意味では、この公共投資のところだけを見て、そのマイナスだけを見るのではなくて、さまざまなほかの施策全体として国民生活に安心とそして活力を与える、そのことが、経済で申し上げれば消費を喚起することにもつながってくるわけでありますから、余りここだけを取り上げてこのところのマイナス効果を強調されるのは、かえって全体としてのマインドを萎縮させることになりますし、そこはやはり全体としての施策を見ていただきたいというふうに考えております。

橘(慶)分科員 さきの平野さんとのやりとりもそうなんですけれども、認識において大きいところでそんなに大きい違いがあるわけではありません。ただ、多分決定的に違うとすれば、私が申し上げたのは、後の質問にも出てまいりますが、やはりカーブを切るときに余り急カーブを切られない方がよろしい、そしてまた、節約をしてからふやしていくということが大事だという意味であります。

 先ほど国家戦略局の話もありました。行政組織をスリム化したいという思いは一緒であります。であれば、スリム化をされてからふやしていけばよろしい。ここでも一緒であります。より効果的なものに効率化していかなきゃいけない、それは同感であります。しかし、それであれば、後から質問しますが、そんなに慌てて一気に一五%とか二〇%も切らなくたって、四年間で割っていけば五%ずつ下げればいい話。その辺、もう少し経済全体というものに対しての影響ということも一面見ないといけないのではないか。

 一言で言えば、個々の政策に別に問題はない。それは大変喜ばしいこともある。しかし、それを全部足し算したときに、それで大丈夫なのかなというところがポイントではないかと思っております。

 そこで、この二次補正の対応も含めて、もう一つお伺いしたいわけであります。

 これから予算が始まるわけです。これから景気がどうなっていくか、これから効果がどうなっていくか、これからと言われるのはごもっとも。しかし、確かに二割ほど事業費を削減される。もし厳しくなってきたということになれば、やはり第二次補正のようなことを考えられるのかどうかということなんですね。しかし、九十二兆円というところまで出動もされておる。腰だめのものもあるようにもお伺いしておりますが、そのことも含めて、仮定の質問は答えにくいとは思いますけれども、もし地方は余り芳しくないなということになった場合のお考えをここでお伺いしておきたいと思います。

古川副大臣 先ほど委員の方から急なカーブを切るなというお話がございました。

 私どもも、今回の予算でも、そしてさきの経済対策でも、地方経済には十分配慮をいたしております。だからこそ、先ほど議論もございました緊急経済対策におきましては、地方公共団体に対するきめ細かなインフラ整備等を支援する交付金や、国税収入の減少に伴う交付税減少額の補てん等で、合計三・五兆円程度の地方支援を盛り込んでおりますし、また、二十二年度予算におきましては十一年ぶりに地方交付税を一・一兆円増と大幅に増加をいたしております。

 ですから、その地方の中で、この交付税の中で、ふやした分で本当に必要な公共事業等があるのであれば、それは自主財源の中でやっていくことも十分可能なような御配慮もさせていただいております。さらには、一兆円の経済危機対応・地域活性化予備費というものも計上いたしております。

 私どもは、こうしたさまざまな政策の効果もありまして、二十二年度の実質GDPの成長率は一・四%というふうに見込んでおります。これは、二十二年度においては、公需の減少を民需の需要が上回って、それが地方の経済にも波及していくというふうに考えております。

 なお、今後、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することには留意する必要があります。

 したがいまして、私どもとしては、まず第二次補正予算、そして一刻も早くこの二十二年度の予算を成立させて、これを一体として切れ目なく執行していくこと、そのことがやはり地方経済にとっても重要なことであるというふうに認識をいたしております。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 一兆円を別にまた用意もされておるということはわかっております。そうすると、五・八兆円の公共事業費がまた六・八兆円に戻ったりするという、そうすると一五%とか二〇%削減でなくなるということも見越しております。

 ただ、全体としては、何といいますか、九十二兆の枠は大変厳しいんじゃないかなという懸念を表明させていただいて、後段の方へ入ってまいりたいと思います。

 そうであれば、やはり効果的な公共投資というのはどういうものがいいんだ、どういうことが地域の経済なり、いわゆる中小の皆さんに喜んでいただけるか、こういうことを少し後半で質問させていただきたいと思います。

 少し順番をやりくらせていただきます。せっかく中井大臣に御出席いただいております。

 十一月十八日にも、芭蕉の俳句の話もありましたし、信号機、頑張ります、こういうふうにおっしゃっていただいて、数字を見せていただくと、要求額を満額確保いただいたわけであります。警察官の方も、地方警察官、今の状態の厳しい中では十分増員いただいたと思っております。

 この一月、二月、地元におりましたら、やはり駅前の交番の派出所の方が、頑張っていますよ、一生懸命やっていますよ、では、それをこの場で披露するからねという話もしておりました。本当に警察の皆さん、頑張っておられます。交通事故死者数も五千人を割り込みまして、このことについても感謝を申し上げたいと思います。

 さて、今後の交通安全対策、そしてまた、そうはいっても、前も申し上げたとおり、信号機の要望、この永田町かいわいはございません。しかし、地方は全然この風景とは違います。信号機の要望が非常に強いということを実感しております。そういったことについての今後の対処も含めてお伺いをさせてください。

中井国務大臣 せんだってに引き続いて御質問、御激励、大変感謝を申し上げます。

 地道な数字を挙げての、地方自治体での経験を生かした御質問、本当に感心して聞かせていただいております。予算委員会全体で自民党さんがこういう質問をされた方がよかったんじゃないかと、余分事ながら思わせていただいておりました。

 先ほど、資料をつくってくれと言ったけれどもなかなか難しくてつくれなかったというお話がございましたが、いつでもおっしゃってください。また私ども、政治主導でやっていまして、優秀な副大臣やらおりますから、相談して、つくらせて、いい論議をやっていきたい、こんなふうに思っております。

 ただ一つ、私、三重県人なものですから、資料を見させていただきましたら、中京圏で大都市圏になっておりますが、半分以上は大都市圏ではないというのが私ども三重県人の主張であり認識であり統計であります。大体、鈴鹿、四日市ぐらいまでが名古屋圏の中にあるかな、こんなふうにも思っていますので、そういう意味では、いろいろな資料があるんだろうと思います。御相談をいただけたらと思っております。

 御指摘の信号につきましては、御激励いただいて、まあまあ満足のいく数字になっておりますが、まだまだ需要、御要望が多うございます。これに十分おこたえできるだけの財源がないことも事実ですが、優先順位、あるいはまた創意工夫が要る。信号でも、中身を変えて、この時間帯に点滅、学校の生徒さんが登下校するときだけの信号、あるいはこの永田町の近辺でいけば、もっとスクランブル信号というものを考えて交通の流れをよくしたらどうだとか、そういう創意工夫を十分にしていくべきだ。そこら辺で地方の御要望にこたえる方法というものを考える。事務方にも常々申し上げているところでございます。

 最後に、五千人を割りました交通事故死者数を十年で二千五百人に、世界一交通事故死の少ない国にするんだということで頑張りますので、よろしく御支援のほどをお願いいたします。

橘(慶)分科員 大臣、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

 あと、せっかく国土交通省、また文部科学省さんも、それぞれの方に来ていただいております。少し質問をまとめながら聞いてまいりたいと思います。

 効果的な社会資本の整備、その中に一つ、ミッシングリンクの解消ということも挙げられております。

 その中で、高速道路、まだ開通していない区間でも、私どもの地域でいいますと、それこそ中井大臣の三重県へ行くための東海北陸自動車道なぞは、二車線で開通してから大変効果が上がっていまして、一日一万台を超えるような、高山までのところでは、岐阜の真ん中ぐらいまではそうなんですが、四車線化、国幹審で通っておるんですけれども、もう少し検討させてほしいというお話もありました。

 また、高速道路を活用するためのスマートインターチェンジのお話もここ数年あったわけであります。

 こういったものについて、ミッシングリンクの解消はどうであるか、そしてまた、二十二年度予算における取り組みの方針、少し新聞にも出始めておるようでありますけれども、ここをお伺いしておきたいと思います。よろしくお願いします。

藤本大臣政務官 橘委員にお答えいたします。

 今、ミッシングリンクの質問でございましたけれども、いわゆるミッシングリンクの解消など高速道路の早期整備については地方から大変要望が強いというふうに認識をしております。

 ただ、高速道路の今後の整備のあり方につきましては、これまでのさまざまな経緯とか、国民の皆様方からの広い意見を踏まえつつも、必要なものについてはできるだけ効果的に整備をしていこうという考え方ではあります。

 ただ、高速道路につきまして、新しい基準を今鋭意検討中でございまして、これは、今までの基準だけではなくて、本当に必要なのかどうなのかということをきちっと明確にしていくということで、平成二十三年度、再来年度の予算編成のときまでにこれを具体的に示していきたい、そのように考えています。

 以上です。

橘(慶)分科員 こちらの質問をまとめたのが申しわけなかったんですが、東海北陸自動車道四車線化、あるいはスマートインターチェンジなど、高速道路をさらに生かしていくということについて、これは通告もしておりますけれども、いかがでしょうか。

藤本大臣政務官 それでは、あわせて四車線化とスマートインターチェンジについてもお答えいたします。

 もちろん、我々としても、四車線化の問題あるいはスマートインターチェンジ、これを使って高速道路をもっともっと活用できるような方向にしていくということ、これは大変重要だというふうに思っています。

 大体、基本的な考え方として、これから新しく整備をするということもあるんですが、それ以上に、今ある資源をどう活用するのか、もっと活用できるようにしていくということがより重要なんだろうというふうに考えております。

 今質問ございました東海北陸自動車道の四車線化事業につきましては、現在、整備主体あるいは整備手法を含めて再検証しているところでございまして、現時点で六つの箇所について要望があるわけなんですが、それにつきましてはその結果をまとめた上で公表してまいりたい。

 スマートインターチェンジにつきましては、これは御承知のとおり、申請主義をとっておりまして、地方公共団体が国に申請するということでスマートインターチェンジを進めていくということになるわけなんですが、これも今の段階ではETC専用ということになっておりまして、ある意味、我々は、高速道路の無料化ということを進めていく中で、一つの議論としては、ETCの方だけが得をするといいますか、利便になるということに対しての若干の不公平感というのが出ているということも含めて、スマートインターチェンジにつきましてはもう少し幅広い議論をした上で再検討して、必要な事業として認めるのであれば効率的につくっていこうという考え方でございます。

 以上です。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 やはり既存の道路あるいは既存のものを生かしていくという観点ですから、それはより効果的ではないかという思いもいたしますので、またよく御検討いただきたいと思います。

 ETCのお話がありました。あと二つ、ぜひ何とか質問していきたいと思います。

 一つは、ETCのお話もある、それとまた、これは皆さんお使いのSuicaというJR東日本のカードですけれども、これは非常に便利であります。今回、私、東京に久しぶりに来まして、これで地下鉄でもモノレールでも、何でもかんでもぱんぱんぱんぱん乗っていける、バリアフリー化にも大変いい、すばらしいカードだと思います。

 地方でも、私の選挙区ではございませんが、富山市さんで、富山ライトレールあるいは富山地方鉄道におきまして、passcaとかecomycaとか、こういうカードをつくってやっているわけですが、大規模事業者だといろいろ頑張って、それがまたコンビニエンスとかいろいろなところで使えるわけですが、なかなか地方では皆さん、そこまで体力はなかったりします。例えばこういったものを応援するというのも効果的な公共投資じゃないかと私は思うわけです。そうすれば、切符の自動改札機とか、そういう製造業にも波及をしていくということであります。

 ちなみに、富山県には切符の自動改札機はまだありません。そういう意味で、私は、こういうのもデバイドではないかと。デジタルデバイドというのがありますが、私はこれをSuicaデバイドと申し上げたいと思っております。ぜひこういったことも一つ公共投資として考えられないかということ、ちょっと簡潔にお答えいただければ幸いです。

藤本大臣政務官 時間がないので簡潔に申し上げますが、鉄軌道のICカードについては、私も大変便利だなというふうに感じておりまして、鉄道の利用を促進するという意味では大変大きな効果をもたらしているんだろうと思います。

 今、JR東日本のSuicaの御紹介がございましたが、実は急速にこのICカードがふえておりまして、現在、全国で、多分七十二か三ぐらいだと思いますが、これを超える鉄軌道事業者が導入して、発行枚数も五万三千ぐらいを超えているというふうに聞いております。

 ただ、一義的には、このICカードの普及というのは鉄道事業者が判断するものだというふうに判断をしておりますが、国土交通省としては、国としても地域公共交通活性化・再生総合事業制度というのがございまして、その中で応援できるものは応援していきたいというふうに考えております。

 以上です。

橘(慶)分科員 効果的な公共投資をぜひ御検討いただきたいと思います。

 何とか、高井政務官に空振りせずに済みました。学校耐震化でございます。

 これはなぜ効果的かというと、まず、箱物はもうやめようという話がよく言われますが、これは箱物ではありますが、既存の箱物ですから、これをやっても箱物はふえません。管理コストもふえません。

 そしてまた、学校耐震化をやりますと、建築ということで、いわゆる柱を補強するだけじゃなくて、結局、そのときに例えば電気の照明を取りかえたりボイラーを取りかえたりということで、私は自治体におりましたので、発注が、建築あるいは電気設備、それから機械設備と、多様な業種の方々、中小に発注ができるわけであります。そしてまた、そういったものは製造業にも波及をするということで、いわゆる事業効果面でも非常に波及効果の多い事業、そして子供たちが喜ぶということであります。

 そう考えると、本当は、保育所の耐震化とか公民館の耐震化とか、まだまだ効果的な公共投資で広げていけるものがある。済みません、ここから自民党的になりますけれども、本当は子ども手当よりも、そういったいろいろなものをやっていけばもっともっと波及するんじゃないか、こう申し上げたくなるわけですが、きょうは学校耐震化に絞らせていただきます。このことは社会資本整備の方向として大事ではないか。そしてまた、鳩山首相からは例の一兆円枠を用いての追加対応の示唆もあったわけですが、ぜひここは、頑張りますというお話をいただいておきたいと思います。よろしくお願いします。

高井大臣政務官 委員におかれては、市長時代から耐震化の方も随分御尽力をいただいておりますことも承知した上で、本当に激励の御質問、ありがとうございます。

 本当に、子供たちの活動の場であるのに加えて、やはり災害時には地域住民の応急避難場所となるわけですので、御指摘のとおり、学校耐震化は極めて重要だと考えています。

 耐震化によって、まさに御指摘のとおり、学校の安全性の確保だけでなく、建築や電気設備それから機械設備、給排水とか空調などの関係工事の実施などによって、確かに地域の中小企業の受注機会の拡大等にも貢献して地域経済が活性化するということは、私どももそれはそのとおりだと思っております。

 総理からも、これまでに、公立学校施設の耐震化について、二十二年度予算の効果的、効率的な執行に努めることはもとより、その執行状況を踏まえながら、一兆円の予備費を含む二兆円の景気対策枠の活用も視野に入れて進めていきたいという旨の御答弁がございました。

 そうしたことも踏まえて、まずは、我々としても、二十二年度予算の早期成立を目指して、予算を効果的、効率的に執行することで、まず今計画しているより多くの耐震化事業を採択していきたいと思いますし、その上で、地方公共団体のニーズや財源確保、財源手当てでの見込みも踏まえて、関係省庁、特に財務省に対して、一生懸命私たちもあらゆる機会を通じて予算の確保に努めてまいりたいと思いますので、どうか御協力の方、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

藤本大臣政務官 済みません。数字を言い間違えまして、ICカードの今の普及状況で、先ほど発行枚数が五万と言いましたが、五千三百万枚ということでございます。

橘(慶)分科員 時間が来ましたので終わらせていただくわけですが、やはり公共投資、いいものをやっていくことは大事だということと、やはりちょっとカーブの切り方がきついんじゃないかと。きついということについて、やはりぜひ認識いただきながら地方を注視していただきたい。私どもにすれば、少し予算を組み替えたいという気になってくるわけであります。そういったことをぜひお願いしたいと思います。

 これで終わりますが、せっかく中井大臣がおられます。きょうも短歌で締めさせていただきたいと思います。

  新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事

 大雪の対策、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

梶原主査代理 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂本哲志君。

坂本分科員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 私は、現政権が一丁目一番地と位置づけております地域主権の問題についてお伺いをいたしたいと思います。

 地域主権、民主党さんはこの言葉を常套句として使っていらっしゃいますが、どういろいろ考えても、この地域主権という言葉はどういうふうにとらえていったらいいかということがわかりません。それから、地域主権に基づいてどういう国の統治形態をとろうとされているのか、そのこともよくわかりません。それに向けて工程表も作成されているようですけれども、その工程が、どこまで、どういう形できちんと進められるかということもよくわかりません。そういうことで、逐一、順を追って、そういった私がよくわからないところをお尋ねしていきたいと思っております。

 まず、地域主権の意味であります。

 私たちは、地方分権とか、あるいは地方の自立、あるいは地方の主体性、あるいは地域の自立、こういった言葉は、理念的にも、あるいはいろいろな意味でも使ってきましたけれども、地域主権という言葉については余り使ったことがございません。

 というのは、やはり主権というのは、国民主権あるいは主権在民、憲法にしっかり明記されたものでありますし、統治権あるいは最高決定権あるいは最高独立性、こういったものを含めた、その国あるいはその地域の唯一最高の権力である。これを、地域主権という形でもう一つ置きかえるならば、主権が二つあるのかというようなことにもなってまいります。

 私は、不用意に使うような文言ではないと思いますけれども、この地域主権の使われている意味について、主権の意味あるいは地域の範囲、このことをまずお伺いいたしたいと思います。

大塚副大臣 御質問、ありがとうございます。

 御下問の件につきましては、今後、この国会にも提出をする予定であります、地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の中でいずれ明定をさせていただくことになろうかとは思いますが、地域主権改革ということであるとすれば、これは、地域住民がみずからの判断と責任においていろいろな物事が決められるように、そして、その地域住民を中心に成り立っている地方公共団体が自主的かつ総合的に行政を広く担っていけるようにするというような方向性で明定をさせていただくことになるのではないかというふうに思っております。

 もっとも、今、主権そのものの定義も含めてという御下問がございましたので、若干さらに付言させていただきますと、国民主権ということに関しては、委員も私どもも恐らく何ら異論のないところだとは思います。しかし、国民主権という場合に、本当に国民の皆さんが、自分たちの判断であるいは自分たちの責任で、国を動かすための貴重な財源の使い道等の決定において関与をできているかどうか、こういうことが大変実質的に重要なポイントになってきているというふうに思っております。

 したがって、この国民主権を体現する上でも、従来の国のあり方ではなかなか今私が申し上げましたような実質的な国民主権の機能を担保できていないのではないか、こういう問題意識から、私の記憶でも、もう二十数年前から、当初は地方分権という言葉が徐々に普及し始め、やがては地方主権と言う方々が登場し、そして私どもは地域主権というふうに申し上げているわけでありますが、これは二つの意味があると思います。

 一つは、やはり、身近なところで財源の使い道を決めていく、このことにより本当に国民主権の実質的な機能を担保するということ。そして、地方から地域に徐々に言葉が変わっていったわけでありますが、恐らく、地域の方が、エリア的には地方よりも狭域、より狭い地域のことを概念的には指しているのではないかな、このように考えております。

坂本分科員 国民主権を体現する、あるいは具体化する、そのもう一つの柱としてといいますか手法として地域主権。非常にやはり私は矛盾しているなというふうに思います。

 やはり、国民が主権を持って、そして国としていろいろなものを定める、その中で地方政府と中央政府の役割をしっかりさせる。もし言葉を使うなら、地域の自立あるいは地域の主体性、国家主権という言葉に対抗して使うならば、地域の主体性であります。自立性あるいは主体性、こういったものをやはり文言としては使うべきであって、私は、主権という言葉を不用意に使うべきではないというふうに思っております。

 それで、今言われましたように、地方主権に関するさまざまな法律をこれからつくっていかれるということであります。

 地域主権戦略の工程表、いわゆる原口プランというものを読ませていただきましたけれども、その中に、地方分権推進一括法の失効に伴って、地域主権一括法を今後制定するというようなことが工程表の中に載っておりました。その法律の中でも地域主権という言葉を使われるんでしょうか。そして、その法律の中で地域主権という言葉を使われるのであれば、その定義というのを定められるんでしょうか。その定義について、もし定められるならば、教えていただきたいと思います。

大塚副大臣 重ねての御質問、ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、定義はこの法案の中で明定をさせていただく方向で、今検討を進めております。

 繰り返しになりますが、現状、私どもは、地域住民の皆さんがみずからの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるように、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く行政を担い得るようにするというニュアンスでの検討を進めております。

 さらに、文言として明定するかどうかは別にして、ただいま申し述べましたような、かつての地方分権から地方主権、そして今日の地域主権に至る一連の潜在的な考え方、意識というものは、しっかりと国会の中で共有をさせていただければ幸いと考えております。

坂本分科員 地方分権から地方主権、あるいは地域主権へということでありましたけれども、もう今は地方主権という言葉は使いません。一時、ブームのようにして使いましたけれども。やはりそれは、マスコミも含めて、地方のマスコミも含めて、主権のあり方がどうあるべきかということをきちんと考えたからだろうと思っております。

 そして、より身近な住民の方々の判断と自主性によっていろいろな物事を決めていくというふうに言われますけれども、最終的にそれを保障するのは、やはり国であります。国家の保障であります。ですから、国の法律があって、そして地方の判断があって、国がそれを保障できるということであって初めて地方の判断というのが具体化を帯びてくる。何もかにも地方の方で主権を持って判断して、それが可能であるかどうかということになると、これは非常に国家自体が、国自体がばらばらなことになりますので、私はそこは慎重にやるべきであろうと思っております。

 それと、主権論あるいは分権論を論じるに当たって、権限の移譲というのも第一に考えなければならないことでありますが、同時に、やはり、税財源の移譲、税財源をどういうふうにして地方の方にあるいは地域の方に配分していくか、国と地方の配分のあり方がどうあるべきかということも十分これから考えていかなければならない問題であると思います。そう考えましたときに、今の地方交付税の原資であります国税五税の配分率、三二%あるいは二九・五%、こういったことに対しての変更というのはあるんでしょうか。

 それから、菅財務大臣が、将来的な財源の問題として、消費税も含めて、これから財源的なものを論議していかなければいけないというようなことをおっしゃいました。仮に消費税について今後いろいろな論議があるときに、当然、今の地方消費税一%、この配分もまた問題になってくると思いますけれども、消費税を今後どうするかという論議の中で、当然、地方への消費税の配分割合、こういったものも同じ俎上に上ってくるんでしょうか。

 お答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 これは、地方の六団体、知事会の方ですとか、あるいは、二〇〇四年に、三位一体改革の前に税源移譲の話がございましたときに、地方自治体の方から要望がありました。そのときは、たしか地方消費税、今の一%を二・五%にすべきだというような要望があり、また、今でも、偏在性の少ない地方消費税を地方のために拡充すべきであるという要望はたび重ねていただいているわけでございます。

 もちろん、我々の政権としては、三党の連立発足の合意に当たって、四年間では消費税のアップはしないということは決めておりますけれども、ただ、税制改革を今後議論していく中でも、まさに国と地方の協議の場の中で、行財政を進める中で、どうしても地方への財源移譲、税源移譲は必須となってくる。その上で、当然これは検討されていくべき課題だというふうに考えております。

坂本分科員 交付税の方はどうですか。

渡辺副大臣 これは、来年度予算を策定するに当たっては、原口総務大臣は交付税率の引き上げということを強く主張しておりました。現行の三二%から、およそ四三%だったと思いますけれども、交付税率の引き上げによってとにかく交付税を確保すべきであるということで、随分財政当局ともやりとりをしておりました。

 当然、このままいきますと、交付税については、地方の自主的な財源である交付税が来年度以降も、私の個人的な考え方ですけれども、かなり厳しくなっていく。その部分を臨財債という将来の先食いで穴埋めしているわけでございますから、地方交付税のあり方、そして先ほど御指摘のあった地方の税源のあり方については、当然早急に結論を出すべき問題であろうというふうに思っております。

 当然、認識は一緒であります。

坂本分科員 では、もう一回重ねてお伺いします。

 交付税の配分率については、それは、きょうは大塚副大臣もお見えですから、財務省の観点からもぜひお答えいただきたいというふうに思うんですが、少なくとも今の政権の中で、総務省ということでなくて政権の中で、交付税の問題について、三二%から四五%というようなことで、いろいろな話し合いが行われているんですか。それが一点。

 それから、消費税については、私は以前、決算特別委員会で当時の増田総務大臣に質問しましたときに、今渡辺副大臣が言われましたように、偏在性の少ない消費税が地方の財源確保には最も効果的な財源であるというようなことをおっしゃいました。その方針というのは今も、現政権になっても続いているわけですね。

 この二つ、お伺いしたい。

渡辺副大臣 最初の御指摘ですけれども、原口大臣は、交付税率の引き上げ、法定率の引き上げということにかなり腐心をしておりました。残念ながら、それは実現しなかったわけですが、御存じのとおり、地方交付税法の第六条の三の二項で、まさに交付税率、法定率の見直しもしくは地方行財政の改正ということで、どちらかを選択するわけでありますけれども、ここまで後者をとって、さまざまな、たび重ねての臨財債の発行によって何とかつじつまを合わせてきているわけでございます。

 ですから、当然、検討課題としては、これは大臣もたび重ねて発言しておりますが、交付税率の引き上げも含めまして、地方が安心して政策を遂行できるような財源の確保あるいは税源の確保についてはやっていくということでございまして、その方針には変わりはございません。

    〔梶原主査代理退席、主査着席〕

坂本分科員 大塚副大臣、いかがですか。答弁できる範囲で結構でありますので。

大塚副大臣 私自身は財務省の担当ではございませんので、税調のメンバーであり地域主権担当の立場から、可能な範囲でお答えをさせていただきます。

 地方交付税の法定率の話は今渡辺副大臣が申し上げたとおりですが、私のラインのところで、一括交付金の制度設計をさせていただくことになっております。そういたしますと、その一括交付金の制度設計がどうなるかということなども含めて、国と地方の関係が定まってまいりますので、そのことと連動して地方交付税のあり方ということも決まってまいるものと思っております。

 また、消費税については、これは菅財務大臣がこれから議論を始めるというような御趣旨の発言をされておりますので、その議論の中で国と地方の配分も定まっていくものというふうに思っております。

 あえてもう一つ付言をさせていただければ、例えば法人税なども、これをどのような取り方をするか、そしてそれを配分するか、庫出しにするのかしないのか、これは法人事業税も含めてでありますが、そういう他の税目、税源も含めて、全体として今後の地方の財政のあり方というものを決めていくべきものというふうに考えております。

坂本分科員 済みません、今せっかく一括交付金という言葉も出ましたので。

 これは、これから論じるに当たって、地方交付税とはまた別枠で、一括交付金ということでまた新たな制度設計をされるわけですか。

渡辺副大臣 一括交付金については、これは御案内のとおり、さまざま複雑に入り組んでいる各省庁別の国庫支出金、補助金を一つにまとめていこうではないかと。

 よく例に挙げるんですけれども、例えば都市整備における下水道事業などは、国土交通省の所管であったり、農林水産省の所管であったり、厚生労働省の所管であったりするわけでございます。また、さまざまなインフラ整備においても幾つかの省庁にまたがっている。これを整理統合して一括交付金としてまとめるというのが私どもの考え方でございます。

 将来的な姿としては、そこに交付税も含めて、それぞれどちらも地方の自主財源でございますので、これを将来的に一つにしようというのが私どもがマニフェストでうたった趣旨でございます。

坂本分科員 では、将来的には一緒にするということですね。基準財政需要額等の計算等も同じような形にして、そして一括交付金と地方交付税は一体になるということですか。

渡辺副大臣 いずれは一つにする形が望ましいと思いますけれども、できることからやろうということで、まずは、一括交付金の制度設計を二十二年度内にしまして、二十三年度からできる方向で今検討をする。その点につきましては、これから、国と地方の協議の場など、あるいは地域主権戦略会議等で議論をしていくことになる、そういうことでございます。

坂本分科員 税の問題につきましても、それから権限の問題につきましても、それをどの自治体が、あるいはどういう国のガバナンスの中で分配するか、あるいはお互いに権限を分け合うかということが一番大事だろうと思っております。

 自民党の場合には、これからの、地方を活性化する、あるいは地方分権を推進していくに当たって、また地方政府をつくるに当たって、道州制を目指してやってまいりました。二〇一八年に道州制の導入というのを目指して、道州制基本法というものをつくり上げてまいりました。そして、地方政府を確立させた上で、多くの権限をこの道州に移譲し、そこから各基礎自治体に対してさまざまな措置をとるというような二層制、あるいは三層制と言えるかもしれませんけれども、そういう国の全体の枠組みというものを考えてまいりました。

 現政権あるいは民主党さんのインデックス等を見てみますと、この辺の国の枠組みというのがはっきりしません。多様なる自治体というような文言で一くくりをされておられますけれども、その自治体がどうあるべきなのかというのも明確には提示されておりません。

 小沢さんが、普通の国・日本の中では、三十万人、三百の自治体にするということを以前書いてあったと思います。そして、以前のマニフェストでは、六百から七百の自治体をつくるというようなことを書いてあったと思いますが、現在は、多様なる自治体ということに、またその表現を変えておられます。

 町村合併について、ことしの三月で合併特例法が切れますけれども、この後、各基礎自治体を構成していくための町村合併、今後、進められるんですか、それとも一段落していかれるんでしょうか。

大塚副大臣 現行の合併特例法については、今先生御指摘のとおりでございますので、今後さらに必要になるかどうかということを政権内で認識を統一した上で、今後の対応は決まってくるものと思います。

 その場合の認識というのは、先生も引用していただきましたが、今、私ども連立政権ではありますが、民主党の政策集の中には、「地域主権国家の母体は基礎的自治体(現在の市町村)」という記述がございますので、現在の市町村が今ちょうどこの地域主権国家を担う上で適度な状況になっているという認識であれば、さらに市町村合併を進める必要はないという認識になりますし、いや、まだ若干の統合再編が必要だということになれば、さらなる対応を検討していくということになろうかと思います。

 その上で、先生御指摘いただいた内容について少し付言をさせていただきますと、地域の活性化が必要だということは自民党政権下でもおやりになってきたという御発言が今ありました。そのことの必要性については我々も認識は一致しております。

 ただ、私も地元は愛知県でありますが、田舎の地域もありまして、なかなか思うように活性化が進んでいないということは、今までと同じアプローチをしていては同じ傾向が続く蓋然性が高いということでありますので、どういう変化をもたらせばいいかということをぜひ一緒になって考えさせていただければと思います。

 その際に、私どもは、先ほどの地域主権の御質問とも関係があるんですが、やはり国民主権を体現して貴重な財源を効率的に使うためにも、より住民の皆さんの監視の目の行き届く規模、基礎的自治体においていろいろな物事を決めていくことが重要であるという認識に立っておりまして、先生方の御主張になっている道州制というものがもしそれに資するということであれば、これをマージする余地はあると思います。しかし、中二階、中三階をつくるような道州制であるとすると、これは現在の傾向をさらに続けることになりますので、このあたりの十分な検討が必要なものと思っております。

坂本分科員 現在の市町村で自主的な判断なりいろいろなものができるかどうかを見きわめたいということは、当面、この三月までで特例法が切れるわけですので、切れたままなんでしょうか、どうなんでしょうか。

 合併について、これまで各自治体は、総務省の指導に基づいて、あるいは県の指導に基づいて、いろいろな障害を乗り越えながら合併をしてまいりました。結果として、合併がよかった分、あるいは合併のマイナス分、プラスマイナスいろいろあります。ここでやはり、一万人以下の町村も四百ぐらい残りましたし、どういうふうな状態にしていったらいいかというのは非常に各都道府県も迷っているところだと思いますので、もう少し明確に、どういう方向で進もうとしているのか、お答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 期限が来てもまだ合併を検討している自治体もあります。また、そうした自治体からは、ぜひとも合併の検討を進めているのでというような要望もいただいております。

 我々としては、まず、合併の自主的な機運については決して阻害するようなことはしない。ただし、かつてのように、あめとむちで、何か合併特例債を出して、とにかく合併したらこんなことがある、合併しないとあなたの町はこれからとてもやっていけなくなるというような、あめとむちを使って持っていこうというようなことはしないということです。ただ、さまざま、これから合併の機運がある、自主的な機運の残っているところに対しては、これから協議をしながら、当然、その意思を尊重するということで進めてまいることになろうかと思っております。

 以上です。

坂本分科員 あめとむち、単なるあめとむちじゃなくて、やはり、ある程度の国の方針あたりが示されないと自治体は動けないんです。そして、これまでのようなやり方で活性化ができないと言われても、自治体は自治体で一生懸命努力をして、そして、それは政治の問題とはまた別の問題であると私は思います。ですから、ここはやはり、より効果的なものを自治体の方から引き出すということが大事だと思います。

 最後に、基礎自治体について。

 今、三百五十万人の横浜市から二百人の青ケ島まで、本当に千七百七十、さまざまな都市があります。その中で、政令市、中核市、特例市あるいは一般都市、そして町村というような区分けがされておりますけれども、今後、多様な基礎自治体を考えながら広域連携も図るというようなあいまいとした言い方でインデックス等は書いてありますけれども、この基礎自治体についての区分、区分け、今後、さらに検討される余地はあるんでしょうか。

渡辺副大臣 この点につきましては、これまでも地方制度調査会等で累次の審議がされました。このたび立ち上げました地方行財政検討会議の中では第一分科会と第二分科会をつくりまして、その第一分科会の中で、自治体の基本構造という中で、基礎自治体の点については学識経験者あるいは地方の関係者も入ったところで検討してまいります。

 まさに地域主権にふさわしい自治体のあり方について、私どもは、今までの累次の議論されたいろいろな論点を、もう既に出尽くしていると思っておりますので、これを今度は政府側も入って実行するということで肉づけをしてまいりたいというふうに考えております。

坂本分科員 もう少し時間があるようであります。

 一万人以下の基礎自治体、もっと小さい自治体、それぞれ、自治体というからには、必要最低限やらなければならないことがあるわけです。徴税にしても、教育にしても、福祉にしても、いろいろなものをやらなければいけない。

 ですから、そういう自治体の役割、それと広域行政というのを強調されておりますけれども、新たな広域行政の仕組み、こういったものを何か考えていらっしゃるんでしょうか。それと、一万人以下の基礎自治体に対して、町村に対しては、今後どのような対応をされるんでしょうか。

渡辺副大臣 まさに小規模な基礎自治体に対しては、今まで、大きいところにはある程度配分があったけれども、小さい自治体に対しては非常に財政的にも厳しかったという中で、今後、そうした小規模な自治体に対しての支援は当然今考えているところでございますし、また、これは財源の拡充という意味で検討しているところでございます。

 また、基礎自治体間の広域な連携のあり方、これにつきましては、先ほど申し上げた行財政検討会議の分科会の中で結論を早急に出していこうというふうに考えております。

坂本分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

平岡主査 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平岡主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高市早苗君。

高市分科員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 分科会での質疑時間をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。

 北澤防衛大臣とは、先月、衆議院予算委員会で外国人参政権の問題につきまして短く議論をさせていただきました。本日は、自衛隊法に係る事項と、それから普天間飛行場移設問題を中心に議論をさせていただきたいと思います。

 まず、自衛隊法第百条の五でございますけれども、「防衛大臣は、国の機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓、内閣総理大臣その他政令で定める者の輸送を行うことができる。 自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。」と規定されております。

 防衛大臣、この百条の五が政府専用機などで輸送できるとしております「その他政令で定める者」というのは、どういった方々でしょうか。

北澤国務大臣 例えば総理に準ずる者、したがって、総理の委任を受けて、つい先ごろですと、ダボス会議に三大臣が行きましたが、そういう対応をいたしております。

高市分科員 自衛隊法施行令百二十六条の十六でございますけれども、その他政令で定める者というのは、これは天皇、皇族、衆議院議長、参議院議長、最高裁長官、内閣総理大臣プラス国務大臣。この国務大臣については、「ただし、重要な用務の遂行のため特に必要があると認められる場合に限る。」ということだと理解をいたしております。

 そして、この自衛隊法施行令の一部を改正する政令、これは平成十七年七月二十九日公布、施行のものがございますけれども、これによりまして、平成十七年から国務大臣も一定の条件下で政府専用機を使用できることとなりました。

 国務大臣が政府専用機を使用できるのは、どのような場合でございますか。

北澤国務大臣 先ほど申し上げたことと、もう一つ、代替手段がないとき、ほかに輸送の便が確保できないとき、そういうふうに理解しております。

高市分科員 平成十八年二月の防衛省事務次官通達、このときの要件と変更がないと理解してよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 先生は十分お勉強なさった上での御質問でありますが、今のことについて私が正確な知識を持っておりませんから、後日、またお答えをいたしたいと思います。

高市分科員 それでは、事務次官通達の内容をざっと申し上げさせていただいて、現在、防衛大臣が自衛隊法上この件の責任者でございますので、要件に変更があるかないかだけ、教えていただいたらと思います。

 「国際会議など出張日程を変更することができず、かつ、民航定期便が目的地へ運航していなかったり、国会審議等のため運航外の時間に出発する必要がある等の理由から民航定期便や民間チャーター機による対応が困難又は適切でないと判断される場合」ということでございます。いかがでしょうか。

北澤国務大臣 先生も大臣をお務めいただいたからおわかりと思いますが、国会が開会されておりますと、日本の場合は、金曜日の夕刻から土日を使って月曜日には帰ってこなきゃならぬ、こういう慣例があるわけであります。したがって、そのときに、行くときだけは何とかできるけれども帰りがだめだというような場合もありますので、それにかかわる飛行は認められる、こういうふうに理解しております。

高市分科員 それでは、先ほど大臣がダボス会議の件とおっしゃいましたけれども、あのときに、赤松農水大臣、直嶋経済産業大臣、仙谷前行政刷新担当大臣、古川内閣府副大臣が政府専用機を使用されたと理解をいたしておりますけれども、この三閣僚と一副大臣が政府専用機を使用されたことについては、自衛隊法施行令それから防衛省事務次官通達に照らして妥当だとお考えでしょうか。妥当であるとしたら、なぜでしょうか。

北澤国務大臣 専用機の運航については、私の立場で許可のサインをして運航しておりますから、妥当と認めてそのようにさせていただきました。

高市分科員 先ほど申し上げた施行令ですとか通達に照らして妥当だということでございます。

 それでしたら、その妥当であると判断された要件というのは、どの部分に当たるんでしょうか。

北澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、仙谷大臣が総理の代行をするということで、総理に準ずる者として措置しました。

高市分科員 政府専用機を一度飛ばすためにかかる輸送の直接経費、つまり、燃料と食事代と地上支援費、合計金額は幾らぐらいだとお考えですか。

北澤国務大臣 ほぼ六千万というふうに承知をいたしております。

 委員にちょっとお願いをするんですが、このような細かいことを、たまたま私はつい先ごろダボス会議の実例がありましたから承知しておりますが、事前にお知らせをいただいておくときちんとした議論ができるのではないかというふうに思っております。

高市分科員 この件につきましては、予算委員会でも、先般、後藤田委員であったと思いますが、質問をされているかと思います。

 今おっしゃった金額で、直接輸送経費ということで間違いないでしょうか。ちょっと後ろで聞いていただいても結構です。

北澤国務大臣 許可を出すときにおおよそどのぐらいかかるのかという私の素朴な質問に対して、おおよそそのくらいですという防衛省内からの返事がありました。

 正確な金額が必要であれば、また調査してお答えいたします。

高市分科員 大体、平成二十年度の実績しか私の手元にはございませんけれども、燃料費と食事代と地上支援費というものを足しますと、国外でしたら一回当たりの平均一億二千万円、国内でしたら一回当たりの平均三千六百万円、こう理解をいたしておりました。このほかにも、プラス、平成二十二年度に計上されているもので見ますと、五十七億円の間接経費というものがかかっていると承知をいたしております。

 三大臣と一副大臣がダボスに出発された一月二十九日、あの日は衆議院でも大臣演説がございました。しかし、その後、参議院の本会議が五時十三分に終了をいたしております。ですから、その後でも乗れる民間航空機というのはございました。成田二十一時五十五分発の日本航空、それでまたチューリヒからヘリを利用されますと、仙谷大臣の出番にも十分間に合ったと私は理解をいたしております。

 これは、昨年、麻生内閣でダボス会議に出張したときに、総理自身は政府専用機を使われましたけれども、ちょうどこのチューリヒに着いた時間帯と同じぐらいでございます。大体同じ時間ですので、そこからヘリを使えば十分間に合ったと思います。日本航空を使用されますと、往復運賃でもビジネスでしたら百十一万円、ファーストを使っても二百二十万円、六人乗りのヘリをチャーターいたしましたら、大体一万スイス・フランですから九十万円ぐらいになるかと思います。

 そういう意味では、税金の無駄遣いというのを鳩山内閣はとことん削減していく、そういう強い意思を表明されておりますので、この政府専用機、総理の御名代という形だったからいいんだという形ではなくて、できるだけ足元で、少しずつでもコストが削減できますように、最適の方法を、ほかに代替手段がないのか、チャーターをした場合に幾らかかるのか、こういったことまで含めて考えていただきたい。

 それから、ぜひ北澤大臣のもとで、政府専用機の使用ルール、これは要件を満たせば使えるからいいじゃないかということかもしれないけれども、では、どういった場合に一般の閣僚もこれを使うのか、そしてまたこういう場合は使わないように努力するのか、こういったこともしっかりとルールをもう一度政治家の視点で定めていただきたいなと私は希望いたしますが、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 経過を申し上げますと、あのとき、確かに先生がおっしゃるようなことも想定をいたしましたが、一方で、国会の状況がどうなるかということは極めて不明でございましたので、安全性を確保するために、安全に向こうへ到着できるように政府専用機を使いたい、こういうお話でありましたのでそのような対応をしたわけでありますが、今おっしゃるような無駄をしっかり省いていくということになれば、それはまず隗より始めろでありまして、我々も先生の御意向を十分体してこれから対応していきたい、このように思っています。

高市分科員 どうもありがとうございます。

 あの日は、衆参両院で四演説をやらせてほしいという本会議の設定につきましては、むしろ民主党さんの方から申し入れがあったと聞いております。自民党の国対にも確認をいたしましたけれども、衆参ともに、もしそんな何千万単位で税金が節約できるとかいうようなことで、例えば、次の週明けの月曜日にそれでは行ってくださいとか火曜日にしてくださいということなら、これを拒否するものではないということでございました。そういった申し入れもなかった状況で淡々と開かれたものですから、ぜひこれから、閣僚の方から声を上げていただけたらありがたいなと思っております。

 それでは、普天間の問題に移らせていただきます。

 去る二月十九日に、自衛隊機を徳之島上空に飛ばされた事実はございますでしょうか。

北澤国務大臣 多分その日は、官房長官の沖縄出張だというふうに思いますが、自衛隊機を使っております。

高市分科員 官房長官の御出張に使われたU4の話ではなくて、徳之島上空にこの時期に自衛隊機を飛ばされたことはありますでしょうか。二月中という範囲でも結構です。

北澤国務大臣 特段、徳之島の上空を飛ぶということで飛行したということは今の段階では記憶をしておりませんが、もしだれが使ってということを先生が御存じであれば、おっしゃっていただければ確認はいたします。

高市分科員 二月中に徳之島上空に自衛隊機が飛んでいるかどうか、こういった点につきまして、それでは後ほどの御報告をちょうだいできればと思っております。よろしくお願いします。

北澤国務大臣 多分、官房長官が沖縄へ行くとき、その上を通過したということはあるのではないかと思いますが、それ以上のことは承知しておりません。

高市分科員 はい、結構でございます。

 それでは、もし官房長官がお使いになった以外でそういった飛行がございましたら、報告をいただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

 防衛大臣、うなずいておられますので、このまま続けさせていただきます。

平岡主査 北澤防衛大臣、今の確認を。

北澤国務大臣 資料は、十分調査して御提出申し上げたいと思います。

高市分科員 防衛大臣は、二月二十五日の国民新党の国会議員のパーティーで、国民新党が提唱しておられますキャンプ・シュワブ陸上移設案につきまして、大体方向性は同じであり、その方向に今進んでいると発言された旨が報道されております。

 まず、この御発言は報道されているとおりで間違いございませんでしょうか。

北澤国務大臣 私も、テレビの画像を見まして、ああ、そういうことを言っていたのかなというふうに確認はいたしましたが、先生も長い国会議員生活の中で御承知と思いますが、友党あるいは同僚の議員のパーティーへ行くととかく持ち上げるような話もしますが、あのときは国民新党としての案を私も見せていただいておりますので、ああ、これほど沖縄出身の人が一生懸命になってやっているのかなということで、一部分共感するところもありましたので、パーティーの出席者が沖縄からもたくさんおいでになっているということの中で申し上げた次第であります。

高市分科員 では、基本的にリップサービスということになるんでしょうか。

 大体方向性が同じで、その方向に今進んでいるということで防衛大臣がおっしゃった場合、私の受けた印象では、ああ、それだとキャンプ・シュワブの陸上部に滑走路をつくり、そしてまた島に訓練というものを移転する、こういった方向性で政府もそれを最有力案として検討している、こういったことを防衛大臣が表明されたんだと理解をいたしましたけれども、それは違いますか。

北澤国務大臣 御案内のように、官房長官を頂点として検討委員会が現在進んでおるわけでありまして、政府としての方針が固まったわけでもないし、また、今の段階で私がそれにコメントするというのは不適切であるというふうに思います。

 そういう中で、多少誤解を与えたかもしれませんが、あのときは駄じゃれを込めて申し上げておりまして、下地さんは、下地(しもじ)だけじゃなくて下地(したじ)をつくるのでも上手な人で、たびたび私に御提言をいただいておりますので、その下地さんがまさに天馬空を走るようなお方である、そういう全体の文脈の中で申し上げた次第であります。

高市分科員 それでは、国防上の観点からお伺いしたいことを質問します。

 普天間飛行場を移設したといたしましても、日本の安全保障について寄与する機能そのものはきちっと確保されなきゃいけないと思うんですね。仮に、キャンプ・シュワブ陸上部に滑走路をつくるというような案が動き出した場合、陸上部に建設する滑走路の長さ、五百メートルもしくは千五百メートル、こういった報道がなされておりますけれども、五百メートルの場合それから千五百メートルの場合、それぞれ国防上どのように機能が変わってくるのか、これをお伺いします。

北澤国務大臣 この件については、先ほど申し上げましたように、官房長官のもとで三党協議をいたしておるわけでありまして、今先生がおっしゃったような案のほかにも、サイパンであるとか硫黄島であるとかグアムであるとか、いろいろな報道はなされておりますが、今の段階で私が防衛省としてこのことにコメントするのはまだ適切でない、このように考えております。

高市分科員 それでは、場所はどこでも結構でございます。その滑走路の機能というものでございます。五百メートル級である場合、千五百メートル級である場合、メリット、デメリットはあると思うんですけれども、この点をどうお考えでしょうか。防衛大臣としてどうお考えか伺いたいです。

北澤国務大臣 五百メートルとか千五百メートルという議論の中に、将来的なオスプレーの配備というようなこともそれぞれ念頭にあっての議論ではないかなというふうに私なりに推測をいたしますが、しかし、重ねた答弁になりますが、今の段階で私が個別のことにコメントするのは適切でない、このように考えております。

高市分科員 いや、それは私は違うと思います。官房長官が調整役でいらっしゃいましても、国防上どうなのか、それから在日米軍の作戦展開上どうなのか、こういった専門的な意見については、むしろ防衛大臣がしっかりとその機能を確保できるように発言されていくべきではないかと私は思います。

 つまり、余り短い滑走路でしたら、アメリカ側からは、前回こういう案が浮上したときにも、アフガンから帰還したヘリが着陸して、ヘリを置いておくことができない、それからまた、普天間で運用している機種の多くの部分が離発着できない、こういった疑念が提示されていたと私は理解をさせていただいているんですけれども、こういった観点について、防衛大臣が、防衛大臣のお立場でやはり専門的に分析をされて、この協議の中で物を言っていかれる。これは私は非常に重要なことだと思いますので、もう一度御答弁をお願いいたします。

北澤国務大臣 先生のおっしゃる意味は十分承知をしておりますし、私もそうあるべきだと思います。

 しかし、今適地を検討している中で、その適地もどういうふうに配分されるのかということも明らかでない中で申し上げるのは、重ねて恐縮でありますが、適切ではないというふうに思っております。

高市分科員 私は発想の順番としては、やはり必要な機能を確保する、必要な機能というのは一体何なのか、これを定めた上で、それに適切な場所を探していく、これが大切なことであると考えるものでございます。

 それから、鳩山総理は、この普天間飛行場の移設先について、今でもゼロベースであるという発信をされているかと存じます。ところが、防衛省は、前政権までの方針でありました辺野古移設、この工程表にございます環境影響評価書の作成というものを着々と進めて、一月二十五日には、防衛大臣と官房長官が会談をされて、二月中には、先月中には評価書を提出する方針を固めていたといったことが報道されております。これによって、仲井眞沖縄県知事は大変当惑をされまして、県内での対応に苦慮をされたということも伺っております。

 移設先というのはゼロベースであるはずですのに、防衛省がもとの辺野古移設案を前提とします工程表にある作業を進めていたとしたら、これは国民や沖縄県民や、また社民党への背信行為になるんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。また、これからも、環境影響評価書の提出も含めて、こういった工程表がございますけれども、辺野古移設を前提とした工程表の作業は候補地が決定する以前にも防衛省は進めていくおつもりなんでしょうか。

 以上二点、お伺いします。

北澤国務大臣 環境影響評価書の取り扱いというのは、おっしゃるとおり極めて重要な課題であります。

 ただ、一方で、日米の合意というのは現在も生きておるわけであります。ここのところがなかなか微妙でありまして、政権がかわって、普天間の代替場所についてだけは、鳩山総理が、これを沖縄の声、そしてまた国全体の声を聞いてゼロベースで検討し直す、こうおっしゃっておるわけで、そのことはそのとおりにしますが、環境影響評価書というのは、日米合意に基づいて、あのロードマップの中で二〇一四年を目指して進んできておるわけでありまして、これは極めて政治的な判断を必要とするということの中で、現在まだ提出はしていないということであります。

高市分科員 つまり、日米合意の中で着々とあの工程表を進めていかれるのかどうかということで、進めていく方向性だという御答弁でよろしいんですか。

北澤国務大臣 普天間の代替施設以外はそういうことであります。

高市分科員 そうすると、普天間の辺野古を前提とした工程表に関しましては進めないということでよろしいんですか。どっちでしょうか。

北澤国務大臣 普天間の辺野古沖に移転するということについては、これはゼロベースで現在検討しているということであります。

 現在、キャンプ・シュワブの中で行われている工事は、前政権時代に契約をした事業が進められておるということでありまして、鳩山政権になってからは、このことについて新たに契約をしたという物件はないと承知しております。

高市分科員 きょうは内閣府の副大臣、いらしていただいていますね。大島副大臣、ありがとうございます。

 沖縄担当副大臣は、沖縄県内の道路整備、港湾整備、ダム建設など、社会資本整備に係る事業費の国の補助率、負担率というのが大体何割ぐらいか御承知でしょうか。

大島副大臣 ほぼ十分の八だと記憶はしているんですけれども、場合によっては十分の九の場合もあるかと思います。

高市分科員 私自身が沖縄の担当大臣でありました時期にはおおむね九割、もしくは九・五割という負担率でございました。

 これは、日本国民全体の税負担でございますけれども、とりわけ沖縄には手厚い、つまり、私どもの奈良県で何か公共事業をしようとしましても大体最大五割といったところでございますので、沖縄にとりわけ手厚いという事情は、これは基地の問題だけではなくて、やはり唯一の地上戦が展開された地域であり、そしてまた日本の施政下になかった時期が長うございましたので、インフラ整備がおくれているといった観点からのものでございました。

 一方で、北部振興事業については少し事情が違います。これも県土の均衡ある発展のための事業であるということも一つあるんですけれども、私どもが政権にあった時期には、平成十八年八月二十九日の普天間飛行場の移設に係る協議会で、政府と地元が合意をしたのは、普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況のもと、政府がこの北部振興事業を着実に実施するということでございました。つまり、普天間移設の協議の円滑な進行というのがこの北部振興策の前提だったんですね。

 ところが、鳩山内閣になってから、前原大臣も北部振興策を基本的に継続させるということで、合計七十億円をまた計上されていると思うんですけれども、鳩山内閣からはこの北部振興事業というものは、一切普天間飛行場移設とは関係がなくなった、協議の進行度合いとは関係がなくなったと理解してよろしいんですか。

大島副大臣 お答えいたします。

 これは前原沖縄担当大臣の発言なんですけれども、北部振興策は基地受け入れとは切り離して推進するということで、北部地域の振興に資する事業を推進してまいりたいということが前原担当大臣のお考えでございます。

高市分科員 それでは、続けて議論をしたいところではございますが、私の防衛省に対する質問時間が終了いたしましたので、きょうはここまでといたします。またの議論の機会を楽しみにいたします。

 ありがとうございました。

平岡主査 これにて高市早苗君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平岡主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高市早苗君。

高市分科員 高市早苗でございます。

 きょうは、官房長官、お忙しい時間帯、本当にありがとうございます。

 先般から、新聞報道等で、官房長官御自身が東京を離れて地方に何度か御出張をなさっていたということが報道されましたけれども、昨年九月に官房長官に御就任されてから、東京を離れて地方出張された回数というのはどれぐらいでしょうか。

平野国務大臣 地方というのは大阪ということも含めてでよろしいんでしょうか。(高市分科員「東京を離れて」と呼ぶ)

 東京を離れてということでいきますと、沖縄には二回、大阪には、党のけじめをつけなきゃいけない、代表をやめるとか、そういうところもあって三回、だから合計五回だったと思います。

高市分科員 回数は、お忙しいと思いますので、もしちょっと違っていてもそれは結構でございます。

 私がお伺いしたかったのは、官房長官は、基本的に地方、海外の出張というのは難しいお立場でいらっしゃいますけれども、しかしながら、内閣総理大臣が東京におられたり、それからまた副長官の対応も含めて十分に危機管理できる状況というのをつくっていかれたら、国内出張に関しては割とフレキシブルにできるんじゃないかと理解をしているんですが、これまでの地方出張の中で、どうでしょう、官邸の対応というのはどのように整えていかれましたか。

平野国務大臣 高市先生おっしゃるように、私が地方へ出る、あるいは地方でなくても横浜、東京から離れるというときにつきましては、総理がおられること、副長官が三人いますが、政務の副長官のどちらかが東京におるということを前提に出張させていただいているということでございます。

 加えて、危機管理という観点でございますので、緊急に東京に戻れる計画は整えてその都度出張させていただいている、こういうことであります。

高市分科員 そうしますと、去る二月十九日、二十日、二日間にわたりまして沖縄に御出張されましたけれども、このときも十分に、東京で、官房長官がおいでにならなくても危機管理ができる状況を整えていかれたということでよろしいですか。

平野国務大臣 そういう態勢のもとに出張させていただきました。

高市分科員 この出張のときに、交通手段として自衛隊の多用途支援機を使われております。これはなぜでしょうか。

 といいますのは、先ほど北澤防衛大臣に徳之島上空を自衛隊機が飛んだ実績が二月にあるかとお伺いをいたしましたら、平野官房長官が乗られたときに徳之島の上空を飛んだかもしれないということだったんですが、この多用途支援機を使って沖縄にわざわざ出張されたということは、移設予定先として取りざたされておりますキャンプ・シュワブ、陸上ですね、この上空ですとか、それからまた徳之島の上空視察でもされたんでしょうか。

平野国務大臣 自衛隊の多目的のジェットを使って沖縄に行ったということについては事実でございます。その最大の理由は、私は民間機を云々ということでスケジュールを含めて準備をさせておりましたが、あいにく金曜日、こういうこともあり、なかなか座席がとりにくい、こういう環境もあった。そういう意味で、緊急に戻ってくるということも想定し、自衛隊機を使わせていただきました。これは事実でございます。

 加えて、今、徳之島云々という話がございましたが、上空を飛んでおりますからそれをベースに見に行ったということではありません。空路の過程の中で、この島は何の島云々ということについての部分は、私は窓から見られる状況でございましたから見させていただいたところであります。景色として見させていただきました。

高市分科員 そのほかの、今回の沖縄行き以外の出張でもこの自衛隊の支援機を使われたことはありますか。

平野国務大臣 一番最初に沖縄に出張をさせてもらったときに、沖縄に行くときには民間機で参りましたが、沖縄の上空を見せていただくときには自衛隊機は使わせていただきました。

高市分科員 その場合、自衛隊機はわざわざそのために空で沖縄に飛んでいったということですか。

平野国務大臣 そこは私は承知をいたしておりませんが、現地のヘリを使わせていただいたということでございますし、加えて、ジェットの部分もあったと思いますが、それをわざわざこちらから持っていったかどうかは、そこは私は承知いたしておりません。

高市分科員 先ほどから御答弁を伺っていますと、官邸については、官房長官がおいででなくても十分に危機管理ができる。何せ、この二月十九日、二十日というのは総理が都内においででした。総理の御日程も官邸を中心に動かれておりました。また、危機管理の対応もしていかれた。少し座席がとりにくかったということはございますけれども、民間機を使われる対応が正しかったんじゃないかと私は思います。

 例えば、徳之島の上空ですとか、そういったところも含めて普天間の移設先として御視察されたというのでしたら、それはそれで理解をするんですけれども、非常に、自衛隊の支援機U4を使われたと思いますけれども、これもコストのかかるものでございます。国内で一度飛行しますと大体どれぐらいコストがかかるか、官房長官、御存じでしょうか。

平野国務大臣 先生御指摘のコスト面についても、もしそういうことを使ったときに幾らかかるのかということを私なりに秘書官の方に確認をいたしました。その上で、おおむね八十一万円ぐらいだろう、こういうふうに聞きましたので、秘書官を含めて一緒に帯同する人間を合わせますと、民間機にかかる費用と、費用対コストでいけば、そう自衛隊機を使って無駄にしたという認識はありません。

高市分科員 それでは、その八十万円という試算が実際に正しいのかどうか、資料を御提出いただけませんでしょうか。

 私の方でも、防衛省の御協力をいただいて試算をいたしました。大体、国内で、沖縄は最も遠いところですからもう少しかかるかもしれませんけれども、国内で使用した場合の平均が一回当たり百三十万円、国外だと一回当たり千三百万円、過去の実績で見ますとそうなっております。正しい資料を御提出いただけますでしょうか。

平野国務大臣 試算のベースがどういうベースで試算をしているかどうかわかりませんが、私の試算した中身についてはお出しします。

高市分科員 ありがとうございます。

 特にこの二月十九日、官房長官の出張の御日程を拝見いたしますと、一時十分に官邸を出発され、また六時に沖縄総合事務局沖縄分室を訪問され、そしてまた、夜の七時にホテルでまたその分室の職員の方々と意見交換をされている。一日目はそれだけでございますので、夕方に、六時ごろに沖縄分室に行こうと思ったら、少なくとも、羽田二時四十分発のJALで十分に間に合ったと思います。

 それからまた、二月二十日ですけれども、九時から二十分間、沖縄県知事と面談をされて、その後、慰霊碑に行かれて、そして十一時ごろに、照屋議員経由で総理あてに色紙をくださった方にお礼訪問をされたということだけで今度帰ってこられておりますので、これも一時十分のJALに乗りましたら羽田には三時四十分に着きますから、行きも帰りも自衛隊機を使うよりも民間航空機の方がはるかに、時間をまず節約できます。官邸を出発するのも遅く出られたし、帰ってくるのも四十分ぐらいは官邸に早く着いたんじゃないかと思います。また、JAL往復でしたら、九人で御出張されていますけれども、往復運賃でしたら六十八万二千二百円で済んでおります。

 小さいことをと思われるかもしれませんけれども、それでも鳩山内閣、税金の無駄遣いをなくすと言って取り組みをしていることをアピールされている内閣でございますので、また一つ一つの案件につきましても官房長官の足元で見直していただきたいな、そんなふうに思いますが、いかがですか。

平野国務大臣 高市先生の御指摘、そのとおりだと思います。私も決して、税金を無駄遣いしよう、こういうことではございませんでした。

 金曜日のときに、これは国会の状況がどういう状況になるかわからない、こういう状況と、もう一つは、やはり緊急に帰京、こういうことも予想されるものですから、そういうことで今回は自衛隊機を使わせていただいた、こういうことで御理解いただきたいと思います。

高市分科員 わかりました。

 それでは、ちょっと先般から、総理公邸の改修工事などで質問主意書を出しましてお騒がせをいたしましたけれども、御答弁の書類は二月二十三日に確かに拝受をいたしました。

 ちょっと数点わからない点があるんですけれども、これは答弁書では、和室の床の改修をされた、それからまた経年劣化に伴う内装補修もされたということで、支出額がそれぞれ、二百十八万円、約百九十五万円、二つの金額を書いていただきました。この経費、いずれも内閣官房共通費から出ているということでございますので、まさに官房長官の足元のことだと思います。

 それで、二月十二日に総理大臣自身も官邸で記者団に対して、調べてみました、今、寝室を、和室を洋風にして寝室にしていますということを語っておられます。

 ただ、この鳩山内閣が発足した当時、総理公邸には三カ所の洋室の寝室が既に設置されていたと承知いたしております。また、リビングルームも、いわゆる寝室以外の洋室というのも数カ所、既にあったわけでございます。一方で、和室というのは二部屋しか公邸にはないと承知をいたしております。何で、たくさん洋室があって、たくさん洋室の寝室がありますのに、三つもありますのに、あえて和室を洋風に改修されたんでしょうか。

平野国務大臣 ここは、あるのになぜやったのかということですが、そこにお住まいになる総理の感性もあるんだろうと思いますし、総理として、静かに休みたい場所がたまたま和室だったのでそこを洋室に、寝室として使うために変えられた、こういうふうに伺っております。

高市分科員 ただ、これは費用が内閣官房共通費ですから、それで官房長官にお伺いをいたしております。

 既に洋室の寝室が三つもあって和室が二つしかない、その和室で静かにお休みになりたいからといって洋室にまたそれを変えたというのも、私にはよく理解ができないところでございますし、少ない和室を、一つはとても小さな和室ですし、もう一つは床の間のついた立派な和室でございますけれども、その貴重な和室を日本国の総理大臣が洋風に変えたというのも、とても個人的には残念に思います。

 畳文化の振興ですとか、また日本の伝統文化の振興、こういったことにもぜひぜひ総理には御努力をいただきたいものでございましたので大変残念だと思うんですけれども、この費用を支出された責任者であります官房長官、本当にこういう支出が必要だったのか、そしてまた畳文化という点ではどんなふうにお考えなのか、伺います。

平野国務大臣 畳文化という概念は私も非常に好きでございます。したがって、私、高市先生のように、総理の公邸の中がどんな配置をされているかというのは承知をいたしておりませんので、全体の配置図のもとにこの議論ができないと思いますが、これはやはりあくまでも、総理、御夫人を含めて、お住まいの中で、より快適に暮らしていただく環境整備の一つだということでございます。

 加えて、経年変化に伴う一部分の修繕ということも、これはあって当然だと思っておりますので、先生から畳文化ということからどうなんだという御指摘があったことは、総理にお伝えをしておきます。

高市分科員 ただ、そういった改修に四百万以上も使われるということ自体が私はとても残念に思いますし、これからこの予算を官房長官が担当されていくのであれば、ぜひともここは目配りをしていただきたいと思います。

 民主党政権で得られた仕分けの結果を反映させた予算で、本当に小さな村や町が一生懸命取り組んできてそれなりに実績を上げた、それも数十万円単位で行われている、こういった事業が打ち切られている。そんな現状の中で、快適にお過ごしいただくためにと、もう十分に部屋があるのにまた新たに洋室をつくられる、そんなことに莫大な税金を投入するということについては、私は決して許されるものではないと思いますし、官房長官に十分に御配慮をいただきたいと思います。

 それからもう一つ、これはちょっと官房長官がもとお勤めになっていた企業グループにも関係をするんですけれども、また小さな話だと怒られてしまうかもしれませんが、同じ質問主意書の中で、洗濯機の購入についても答弁が返ってまいりました。これは備品、新たに購入された備品を問うものでございましたが、既存の故障した洗濯乾燥機二台の撤去に係る経費を含め約六十万円、これも内閣官房共通費で支出をされました。

 この既存の故障した洗濯乾燥機二台とあるのが私にはどうもわからないんですけれども、鳩山内閣が発足した時点で、公邸にある洗濯機は二台とも故障していたんでしょうか。二台とも故障していたとしたら、前の麻生総理御夫妻は、せめて修理してくれとか、新しいのを買ってくれとか、何もおっしゃらなかったんでしょうか。

平野国務大臣 済みません、パナソニックの洗濯機かどうかはわかりませんが、麻生総理のときにもこの二台の洗濯機が故障して、何回も修理をしていた、こういうことであります。修理をして、改めて、そういう中において二台を新しく入れたということであります。

 決してぜいたくな洗濯機を入れているということではなくて、私も、本当に六十一万円するんかいなと思って見ましたけれども、パナソニックのあれで一台二十五万円ぐらいでございました。これは、ヤマダ電機とかそういうところで他社のところも見ました。大体二十四、五万円の洗濯機でございましたから、決して高いものを購入したということではありませんし、何回も麻生さんは、そういう中で、故障しながら、修理をしながら使われていたということは事実だ、こういうことでございます。

高市分科員 済みません、パナソニックと官房長官の方からおっしゃってしまわれましたけれども、前の政権まで公邸で使用していた洗濯機は、確かにナショナルNA―VR一一〇〇Rであったと思います。この洗濯機は、一台当たり十万円台の後半で売っております。なぜ、今度新しく買いかえるのに、撤去費用も含めてということでございますけれども、一台三十万五千円、そんなに高いものをお買い求めになったんでしょうか。

平野国務大臣 多分、機器自身はそんなに、三十万円もするものではないと思います。様式が、技術の進歩に伴って、多分新しいドラム型の洗濯機なんだろうと思っておりまして、特に、カタログデータ等々の比較におきましても、使用電力、使用水量あるいは二酸化炭素の排出量の抑制、こういう観点からドラム型の洗濯機を購入した、こういうことでございます。

高市分科員 では、この問題につきましてはまた答弁書の送付を、詳細につきましては楽しみにお待ちをいたします。

 それでは、普天間の問題に移りますけれども、普天間飛行場の移設でございますが、これはまず、日本国の安全をしっかり守ること、そして普天間飛行場の危険性を除去する、つまり周辺住民の命を守ること、それから日本国民全体の税負担、これに係る問題でございますし、私自身も担当閣僚として取り組んできたことでございますので、ぜひお伺いをしたいと思いました。

 この事業は、そもそも普天間飛行場が市街地にあることによります危険性、特に墜落事故の不安、騒音、それから宜野湾市にあの規模の飛行場があることによってまちづくりに大変な制約が出てきてしまっている、こういうことで、宜野湾市民の負担軽減というものを主目的として進んできたものでございます。

 これも、平成八年に橋本総理とモンデール駐日大使がお話をされてから、随分、日米両国それから沖縄県の関係者、御苦労をいただきまして、ようやく平成十八年に辺野古移設案という形が見えた。そして、沖縄県民の多くは海外や県外への移転がいいんだというようなことを望んでおられたと理解をしておりますけれども、それも安全保障上の観点から厳しいかなという状況の中で、沖縄県知事ですとか名護市長ですとか、こういった政治家の方々が政治生命をかけてリスクをとっていただいて、そしてようやく辺野古、キャンプ・シュワブの沿岸部へのV字形滑走路の建設、これがベターなものだと考えるしかない、ベストじゃないけれどもベターだと考えるしかない、こういう方向までこぎつけた事業であると思っております。

 ところが、十月二十九日の参議院本会議でございましたけれども、鳩山総理は、これまでの政権で十三年間何にも動かなかったじゃないですかと答弁されました。これは、この言葉を聞きますと、もうずっとずっと苦労をされてきた、血のにじむような苦労をされてきた政府内の役所の皆さんも、そしてまた沖縄県の皆さんも大変がっかりされたと思うんですね。

 大変この方々の長年の苦労に対して失礼な発言であったと思いますが、官房長官がいらっしゃいますので、内閣として、この発言の撤回、そして関係者への謝罪をいただけませんか。

平野国務大臣 謝罪云々ということは、私はする立場にはございません。総理の御発言がそういう御発言、言葉としてはそうかもしれませんが、真意ははかりかねます。しかし、いろいろな仕組み、いろいろな考え方のもとに関係者が御努力してきたこと、これについては、私は敬意を表したいと思っております。

高市分科員 真意ははかりかねますとここでおっしゃっているようでは困ります。

 実は、この点について、私は去年、質問主意書を提出いたしました。そして、答弁書も返ってきております。その答弁書では、この鳩山内閣総理大臣の御発言は、「沖縄に関する特別行動委員会の最終報告から約十三年が経過しているが、普天間飛行場の代替施設は完成に至っていないとの事実に関して述べたものである。」。こんな人をばかにした答弁はないと思います。

 十三年間何にも動かなかったじゃないか、こういうことが何度も何度もテレビで流れました。地元へ帰っても、皆さんおっしゃっていますよ、自民党政権で何にも動かなかったんでしょうと。

 何にも動かなかったわけはありませんね。もう工程表に関しても、本当に苦労をしながら、徐々に進行しつつありました。大体、場所についても、そして滑走路の形態についても、決着をしたのは前の政権までのことでありました。

 ところが、あの発言の真意が、答弁書によると、まだ移設が完成に至っていないことを言っただけだ、こういう答弁をいただいたんですね。普天間飛行場代替移設、完成していないのは当たり前じゃないですか。だって、もともと、工程表どおりにいったって二〇一四年の完成だったんですから。だから、こういう答弁を政府は返してきているんです。

 質問主意書への答弁というのは閣議決定事項でございますので、ぜひとも、沖縄問題の調整役である官房長官、よく目をお通しください。私自身も閣僚であったときは目を通しておりました。これは、やはり内閣として国民に対して発信する情報というのは統一感がなきゃいけない、そういう思いで、当時の野党の皆様からいただいた主意書に関する答弁書も、自分の所管部分は全部一生懸命読んでおりました。

 内閣としては、明確に、そういう意味じゃなかった、十三年間何も動かなかったじゃないかというのは、そういうこれまでの御苦労やこれまで進んできたことを否定するものじゃなかったということで答弁書をよこされたものと思いますが、それでよろしいですね。そういうふうに国民の皆さんに御理解していただいてよろしいですね。

平野国務大臣 この質問主意書の趣旨等々については政府が御答弁しているところでございますが、今先生おっしゃる意味で、政権がかわった、政治がこういう大きな変化をしたわけであります。その中での物事の采配というのは、当然今までとは違った采配のもとに動くということは御案内のとおりでございます。

 ただし、では、過去やってきたことを全部否定するのかということではありません。それはそれで、やってこられた方々には、やはり私はその立場においての敬意は表さなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。

高市分科員 ありがとうございます。

 それで、これまでは辺野古沿岸部ということで進んでまいりました。この事業の進行については工程表がございましたね。平成十九年十二月十二日の協議会で配付された工程表でございますが、これは守屋次官の事件なんかもあって、実は、自公政権下でもこの工程表より半年おくれて進行しておりました。

 それでも、昨年の十月十三日には環境影響評価手続の知事意見の提出というのが終わっていますので、政権交代さえなければ、平成二十一年、去年の十二月には評価書の作成と送付、そして大体ことしの三月ごろには沖縄県知事意見の提出があって、そしてことしの四月ごろにはこの補正評価書の公告縦覧が行われて、そしてまた四月に防衛省から沖縄県知事に公有水面の埋立許可申請を提出して、うまく、ことしの夏、八月ごろに沖縄県知事が承認をしてくださったら、ことしの秋からは埋立工事、また飛行場施設工事、辺野古ダム周辺の造成工事といった関連工事が始まりまして、半年おくれではあったけれども、ぎりぎり平成二十六年の末までには移設工事を完了できる見通しでございました。

 ところが、鳩山政権がこれを白紙に戻してしまわれた。下手したら、これは平成八年時点ぐらいに逆戻りをしてしまったのではないかということで、私は大変残念に思っております。

 鳩山総理は五月に結論を出すとおっしゃっていますけれども、仮にもとどおりの辺野古案に戻ってしまった場合にも、もしくは仮にほかの場所に決定した場合にも、二〇一四年の移設完了時期というものは変更はないんでしょうか。

平野国務大臣 これはいろいろなパターンがあると思いますから、一概に私はここで即答するということは控えたいと思います。

 私は、今、高市先生御案内のとおり、検討委員会の立場で、ゼロベースで、要は、先生の御持論でもありましょうし、私もそこは共感しますが、やはり我が国の安全保障の問題を含めて、どういう状態に日本はあらなきゃならないかという意味での抑止力でありますとか、いろいろな観点のことを十分踏まえながら、しかし、沖縄県民の普天間の今の実情を十分踏まえた解決策をしなきゃならない。検討委員会としては、そういう状態で一番いい、ベストな場所、施設がどこが好ましいかということを検討しろと命じられているわけでございます。

 したがって、そのことは当然、地元の理解と日米との関係の調整が必要になってくるわけであります。その過程の中で、今先生は、必ず一四年までにということを、私の今の立場で申し上げることはよろしくない、このように思います。

高市分科員 結局、今の御答弁でしたら、残念ながら、普天間飛行場の危険性というのは、そのまま最低二〇一四年まで今だって続くわけでございますけれども、その先も続く可能性があるということになってしまいます。

 ゼロベースに戻されたことによって、またどうせ同じようなプロセスというのは踏んでいかなきゃいけないんですね。これまで時間をかけて取り組んできたプロセスというのは踏んでいかなきゃいけない。あのまま辺野古で、辺野古のまま進んでいたとしても半年おくれで何とか完成が二〇一四年末ぎりぎりかという状況であったのに、それよりは少なくともおくれてしまう可能性が出てきたということでございます。

 ひとつ、もともとの、本来のこの普天間飛行場移設という目的が何であったのかというところにしっかりと目を向けていただきまして、一日も早い危険性の除去、それから確実に国防上支障が出ない、こういう状態というのを確保していただく、そういった御決断を心からお願い申し上げます。

平野国務大臣 先生おっしゃることで、もともと普天間の問題、さらには我が国の安全保障の問題、これをしっかりと見据えた上で結論を出さなければならない、このことだけは私も肝に銘じておきたいと思います。

高市分科員 それでは、質問時間が終了いたしましたので終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

平岡主査 これにて高市早苗君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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