衆議院

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第1号 平成24年3月5日(月曜日)

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本分科会は平成二十四年三月一日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月二日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      今井 雅人君    岸本 周平君

      武正 公一君    橋本 博明君

      石破  茂君    山本 幸三君

三月二日

 武正公一君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十四年三月五日(月曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 武正 公一君

      今井 雅人君    小野塚勝俊君

      神山 洋介君    岸本 周平君

      小山 展弘君    長島 一由君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      三宅 雪子君    本村賢太郎君

      石破  茂君    近藤三津枝君

      長島 忠美君    山本 幸三君

   兼務 あべ 俊子君 兼務 赤澤 亮正君

   兼務 馳   浩君 兼務 大口 善徳君

   兼務 宮本 岳志君 兼務 渡辺浩一郎君

   兼務 照屋 寛徳君 兼務 山内 康一君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地域主権推進担当)

   (地域活性化担当)    川端 達夫君

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)

   (原子力損害賠償支援機構担当)          枝野 幸男君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   防衛大臣         田中 直紀君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (東日本大震災総括担当) 平野 達男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (拉致問題担当)     松原  仁君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙開発担当)     古川 元久君

   国務大臣

   (防災担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   復興副大臣        末松 義規君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   文部科学副大臣      森 ゆうこ君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   総務大臣政務官      森田  高君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   復興大臣政務官      津川 祥吾君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   衆議院事務総長      鬼塚  誠君

   参議院事務総長      橋本 雅史君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君

   裁判官訴追委員会事務局長 杉若 吉彦君

   国立国会図書館長     長尾  真君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   会計検査院長       重松 博之君

   最高裁判所事務総長    山崎 敏充君

   最高裁判所事務総局民事局長            永野 厚郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  種谷 良二君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室長)         中村 秀一君

   政府参考人

   (内閣府行政刷新会議事務局次長)         冨永 哲夫君

   政府参考人

   (内閣府行政刷新会議事務局公共サービス改革担当事務局長)         舘  逸志君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   村木 厚子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      風岡 典之君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  岩瀬 充明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    舟本  馨君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  森本  学君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局長)      岳野万里夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 井波 哲尚君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 田中 順一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森岡 雅人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           桑田 俊一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        伊澤  章君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            加藤 洋一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           花岡 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           吉崎  収君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     南  哲行君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 田村明比古君

   政府参考人

   (気象庁予報部長)    西出 則武君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  松本隆太郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  枡田 一彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  岸本 周平君     三宅 雪子君

  橋本 博明君     小野塚勝俊君

  山本 幸三君     近藤三津枝君

同日

 辞任         補欠選任

  小野塚勝俊君     菅川  洋君

  三宅 雪子君     本村賢太郎君

  近藤三津枝君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     神山 洋介君

  本村賢太郎君     橋本  勉君

  長島 忠美君     山本 幸三君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     皆吉 稲生君

  橋本  勉君     長島 一由君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 一由君     小山 展弘君

  皆吉 稲生君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     畑  浩治君

  高井 崇志君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     岸本 周平君

同日

 第二分科員赤澤亮正君、照屋寛徳君、第三分科員あべ俊子君、第四分科員馳浩君、大口善徳君、第六分科員渡辺浩一郎君、第七分科員宮本岳志君及び第八分科員山内康一君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十四年度一般会計予算

 平成二十四年度特別会計予算

 平成二十四年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)


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     ――――◇―――――

武正主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算及び平成二十四年度政府関係機関予算中内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。藤村内閣官房長官。

藤村国務大臣 おはようございます。

 平成二十四年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十四年度における歳出予算要求額は九百八十五億一千八百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千三億二千五百万円に比較しますと、十八億七百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百六十五億三百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億六千五百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百九億五千万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十四年度における歳出予算要求額は一兆四千五十六億四千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額一兆一千五百七十八億三千百万円に比較しますと、二千四百七十八億一千万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、行政刷新、新しい公共、国民の安全・安心の確保、暮らしと社会、地域主権改革・地域活性化、沖縄政策、北方対策等の推進のための経費として一兆一千百四十四億三千百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百五億四千三百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用、中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まり強化、競争環境の整備等のための経費として八十七億四千二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千三百九十九億五千九百万円、金融庁には、金融庁一般行政、投資者等保護、金融機能安定確保等のための経費として二百三十億九千八百万円、消費者庁には、消費者事故被害の拡大防止、厳正な法執行及び新たな消費者問題への対策等の推進のための経費として八十八億六千八百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十四年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 どうぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武正主査 以上で説明は終わりました。

 内閣官房長官以外の大臣は御退席くださって結構でございます。

    ―――――――――――――

武正主査 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三宅雪子君。

三宅分科員 おはようございます。民主党三宅雪子でございます。

 昨日、天皇陛下におかれましては、無事に御退院されましたことを、国民の一人として心からお喜び申し上げたいと思います。

 予算委員会の第一分科会のトップバッターということで大変光栄に存じております。また、お忙しい中、藤村官房長官には御出席いただきまして感謝を申し上げます。

 質問の前に一言申し上げたいことがございます。

 本日、私は初めて内閣府の質問をさせていただくわけなんですけれども、正直言いまして大変驚いたことがございます。内閣府は調整官庁だということは理解しておりましたけれども、幾つかの質問につきまして内閣府にお聞きすると、それはほかの省庁と言われて、そこの省庁に行くと、それは内閣府と言われて、言葉は悪いんですけれども、いわばたらい回しといった状況が多々ございました。

 縦割り行政の省庁の壁を痛感したわけなんですけれども、特に、この後質問します自殺対策などは、しっかりと各省庁連携して取り組まなければいけない問題だというふうに思っております。そういった意味で、ぜひこの点を改善していただきたい、そのことをまずお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、官房長官のお時間もございますので、初めに、政府広報につきまして質問をさせていただきます。

 民主党は、二〇〇七年参議院選挙中に、当時の安倍政権の政府広報につきまして、与党自民党の年金問題の主張がそのまま記載されていると、当時の鳩山幹事長が、これは政府広報費の流用であり公職選挙法違反であると批判したことがございます。これはもちろん、官房長官もよく覚えていらっしゃると思うんですけれども、そういったことを踏まえますと、政府広報と党の広報のあり方というのは、批判していた民主党政権としては、しっかりとした線引きをすべきと私は考えております。

 そこで、政府広報と党の広報につきまして、その違いを、官房長官の御所見をお聞かせください。

藤村国務大臣 今お尋ねは、政府広報それから政党における広報、この違いはいかんということでありますが、まず、政府広報について一応きちんと申し上げますと、政府広報は、政府の重要施策について、その背景、必要性、内容等を広く国民に周知し、これらの施策に対する国民の理解と協力を得ることを目的として実施しているものである、これが一応きちんとした政府広報の言い方であります。

 それから、政党における広報、これは、それぞれの党のお考えを国民に広く周知し、そしてその政党の考え方を、国民の皆さん方にも理解とさらには協力を得るということ、あるいは選挙における支持を得るということなど、政党の広報は、それぞれの党のお考えに基づいて行われている、こういうことであろうと思います。

三宅分科員 ありがとうございました。

 今のお話ですと、政府の重要施策、そしてその必要性、背景などを広くというお話だったんですが、重要かどうかはどなたがどのように御判断されるんでしょうか。

藤村国務大臣 政府広報においてどういうテーマを取り上げるかというのは、まず、政府ということですので、各府省それぞれの役所があります。それぞれの役所がそれぞれのお考えに基づいて、もちろんそれは政務三役、そしてそれぞれの大臣が最終御判断をされる、こういうことであろうと思いますし、それから、政府全体としてある程度統一的な広報を行うという場合は、これは内閣の方で統一して行います。

 私、一昨年の副大臣時代には、その年度の初めには副大臣会議などを開きまして、各府省で考えている広報をそれぞれ寄せていただいて、それぞれダブりがないか、あるいは共通性はあるのかなどなどを整理した上で、内閣官房である程度統一して行うというふうな広報もございまして、それは内閣官房長官が最終的に判断をする、こういうことだと思います。

三宅分科員 今回、質問に当たりましてお聞きしたところ、それでは、内閣府の中では副大臣、政務官で御担当者はいないということなんでしょうか。

藤村国務大臣 御承知のとおり、内閣府には、先ほどずらっといらっしゃったそれぞれの特命担当大臣がいらっしゃいます。それから、内閣府に副大臣は三人、それから政務官も三人だと思いますが、それぞれに役割を分担して行っていて、もちろん、ですから、政務三役というのは、それぞれの特命担当大臣のもとに副大臣、政務官がいて、全体を調整、統合するのが内閣官房長官ということになろうと思いますし、内閣官房長官のもとには三人の副長官がいらっしゃる。一人は事務ではあります。

 以上です。

三宅分科員 それでは、この政府広報についてなんですけれども、ちなみに、今年度の予算額、それからその使い道をテーマごとに教えてください。

藤村国務大臣 今年度とおっしゃいました。平成二十三年度について申します。

 平成二十三年度における政府広報予算額は、当初の予算と、それから一次補正で若干の追加がありましたので、合わせて五十四億円となっています。

 それで、今年度について、政府広報、これは政府広報室という担当事務局がありますが、さまざまな広報テーマに対応した広報媒体として、例えば新聞の突き出し広告、あるいはラジオ番組などの媒体について、年間を通じた契約、毎年のように行っているというものと、それから、特にその年度においてのさまざまな重要なテーマについては別途、新聞記事広告、それからテレビCM、雑誌など、その都度適切な媒体を組み合わせて広報を実施しているということでございます。

 細かくもし言うなら申し上げますが、今、全体として申し上げました。

三宅分科員 どうもありがとうございます。

 ちなみに、五十四億という大変大きな金額であるわけでございますけれども、こちらの方は事業仕分けの対象とはならなかったんでしょうか。

藤村国務大臣 過去の事業仕分けでは、政府広報そのものが取り上げられたことはちょっと記憶にはございません。

三宅分科員 年間五十四億といいますと大変多額の広告費ですので、やはりしっかりとした基準を設けて、重要施策というのは理解できるんですけれども、基づいて執行していただきたいというふうに思います。

 今まで、郵政民営化なども、閣議決定の前に政府広報の枠で広告していたという事例もあるようですけれども、余りよくない前例かというふうに私は思っております。TPPなど、現在、大変党内で大きく議論が分かれている問題もありまして、党内はもちろんのことなんですけれども、国民の皆さん、そして野党の皆さんの誤解を生じないように、今後ともぜひ対処をお願い申し上げたいというふうに思います。

藤村国務大臣 今、多分、委員の頭にあるのが、一つは社会保障・税一体改革関連の政府広報、それからもう一つは今おっしゃったTPP、この二つかと思います。

 今年度において、社会保障と税一体改革については、政府・与党で議論を積み重ねて、昨年六月にいわゆる成案、それから昨年末にそれを具体化した素案を決定して、本年二月には、その内容を政府における大綱としての閣議決定をした、こういう順序を経てきているわけであります。

 そのそれぞれにおいてさまざま議論があるというふうにおっしゃっておりまして、さまざまな議論がある、それをやはり国民の皆様にも、こういう議論があるのですよということは、政府の立場でその時々に、重要なテーマでございますのでお知らせしていくというのは必要かと思います。

 それから、もう一つのTPPについては、これも、昨年、我が国が参加に向けての交渉という話をやりとりする中では、もちろんさまざまな議論がありました。そのときに特に言われたことは、あるいはメディア、あるいは国民の皆さんが、一体何を議論しているんですか、TPPは何が問題なんですかということは、非常にたくさんのお声もありました。

 もちろん、それぞれの政党からも、できるだけ現時点での情報をやはりどんどん政府からも出すように、わかっているものは全部出せ、そのぐらいのことも言われておりましたので、これも、今から、まだTPPをどうするかというのは議論の最中ではございますが、一体何が問題か、どういう議論をしているのかなどはやはり政府広報で取り上げていくべき対象だ、そのように考えたところではありました。

三宅分科員 どうもありがとうございました。

 私はもちろん、政府広報自体を否定するものではございませんので、ぜひ、今のお考えをお伺いいたしまして、公平な形で実施していただくことをお願い申し上げて、私の藤村官房長官への御質問を終わらせていただきたいと思います。

 官房長官は時間がおありということで、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは次に、自殺対策に移らせていただきたいと思います。

 昨年二〇一一年の自殺者なんですけれども、速報値でありますが、残念ながら、三年連続で三万人を切ることができませんでした。また、この人数はあくまでも自殺と断定されたものでありまして、不審死の中には原因がわからないケースもありますし、また、行旅死亡人、旅先で亡くなった方、身元不明者の方ですね、こういった方々は含まれていないわけでございます。実数はもっと多いのではないかとも言われております。

 現在の自殺の件数の調査の仕方はどのようになっておりますでしょうか。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、自殺対策推進に当たっては、現状把握が大変大事だというふうに思っております。

 自殺の数字の把握そのものは、警察が調査をするわけでございます。そのために、内閣府の自殺対策推進室は昨年から、警察で調査をしたものについて自殺原票データというものの提供を受けまして、それをもとに、性別ですとか年齢、階級別ですとか職業別、そういった属性ごとによる集計、それから、その結果を踏まえた分析を行って公表をする、それから、自治体にその結果の提供を積極的に行っているところでございます。自殺原票データの作成の方は、警察庁の方で適切に行われているものというふうに思っております。

 警察としっかり連携をして、実態把握に努めたいと考えております。

三宅分科員 ありがとうございました。

 まさに今、村木統括官がおっしゃいましたとおり、正確な数値の把握こそが予防策に重要なことだというふうに思っております。ぜひ、警察との連携を密にして、正確な数値の把握に努めていただきたいと思います。

 さまざまな自殺対策の施策の一つに、いのちの電話というものが大変広く一般に知られているところでございますけれども、今回、私も、内閣府の方から、このいのちの電話は民間のボランティアということを聞きまして、大変驚きました。

 では、国は電話相談につきましてどのように取り組んでおられるか、教えてください。

 また、浸透している民間のいのちの電話に対して、何か助成はされているんでしょうか。

村木政府参考人 御指摘のとおり、電話相談は大変重要でございます。

 政府といたしましては、一つは、各県の精神保健福祉センターで実施をしているこころの健康相談統一ダイヤル、これについて、全国どこからでもかけられるように、できるだけこれを幅広い地域でやっていただけるようにということで、現在広めているところでございます。

 それから、いのちの電話でございますが、これはもう四十年来の長きにわたって民間団体が開設をしているということでございます。特に、毎月十日の自殺予防、いのちの電話、非常に重要な活動だというふうに思っております。

 これにつきましては、内閣府から各都道府県に交付をしております地域自殺対策緊急強化基金、それから、厚生労働省の方でも自殺防止対策事業の助成金がございます。こういったものを御活用いただいて、積極的に取り組んでいただいているところでございます。

三宅分科員 どうもありがとうございました。

 こころの健康相談統一ダイヤル、名称が覚えにくく認知度が低いように感じます。私自身、今回初めて知ったわけでございますけれども、ちなみに、後藤副大臣、いのちの電話とこちらのこころの健康相談統一ダイヤル、どちらの方を御存じでしたでしょうか。

後藤副大臣 先生おっしゃるとおり、私も、この電話の問題については、最近まで実は知りませんでした。

 いのちの電話というのは、先ほども統括官からお答えをしましたように、もう四十年以上の歴史がある、このこころの健康相談統一ダイヤルというのはことしで四年目ということで、ある意味では、着実に認知はされつつあるものの、先生がおっしゃるように、まだ周知が不十分な点があります。

 そういう意味で、番号は〇五七〇―〇六四―五五六で、「おこなおう まもろうよ こころ」ということで、少し語呂が悪いところがあるんですが、統一ダイヤルということで国民の皆さん方にできるだけ覚えていただければと思います。

 もう一つ言えば、先ほどもお話があったように、民間団体やまた都道府県それぞれの中で、この心の問題、自殺防止の対策の問題というのがスタートしたという歴史的な経緯と、先ほど先生からも、今回の事案で内閣府の方に相談をしても、何か各省でばらばらでちゃんとまとめてくれないというお話については、もし具体的な事案があったらぜひ教えていただきたいと思いますが、やはり内閣府が府として各省を統一的に総合調整するという役割でありますので、それについてはこれからもきちっと対応していきたいと思います。

 当初、平成二十年の九月十日からこの統一ダイヤルがスタートしたときには、十道府県でありました。それが二十一年の四月一日から四県が追加をし、そして現在では、政令市も含めると三十一都道府県と政令市という形で対象がふえておりますので、そういう意味では御利用なさる方も着実にふえています。

 あわせて、昨年の九月の自殺予防週間、九月の十日から十七日の一週間だったんですが、このときには全国四十七都道府県全てで、この電話にそれぞれの都道府県の協力も得ながら対応し、ことしも、今ちょうど一日から七日まで自殺対策強化月間になっておりますので、そういう意味では、この一週間は全ての四十七都道府県で対応をしています。

 あわせて、今回ある意味ではプラスに働いた部分もあるかもしれませんが、AKB48の皆さん方のCM広報も含めて、ちょうど先ほどお話しした「おこなおう まもろうよ こころ」というのも、テレビのCMに出ながらやっておりますので、そういう意味では、これから着実にいろいろなCMや広報媒体、先ほどもお話があったように、きちっとして理解を得、そしてやはりわかっていただかないと電話のかけようもありませんから。

 ただ、統一ダイヤルだけがあればいいという問題ではなくて、それぞれの家族の方、一番近い方、そして会社にお勤めであれば会社も含めて、いろいろな各層が協力をして、そういうふうに非常に精神的に追い詰められた方のお気持ちを解いて、やはり悩みを相談するということは、この電話だけではなく、いろいろな角度から対応していかなければいけない問題だと思いますので、そういう関係団体、企業にもそういうふうなお願いをしながら、先生御指摘のように、この問題というのは基本的にあってはいけないことですから、それをできるだけゼロに近づけるように、最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っています。

三宅分科員 お取り組みにつきましての御説明、ありがとうございました。

 しかしながらも、こころの健康相談統一ダイヤル、ぜひ名称の変更も含めて、浸透されますようにお願い申し上げたいというふうに思います。

 また、いのちの電話につきましては、最近大変つながりにくいという話があります。人手不足が原因ではないかということでありますが、先ほど助成のお話が村木統括官からもございました。さらなる支援が必要だと思います。ぜひこれもお願い申し上げたいと思います。

 では次に、三月一日からインターネット検索サービス会社九社が、自殺にかかわる用語を打ち込むと、最初に自殺相談窓口の電話番号を表示するなどの取り組みを始めております。

 こうした自殺対策につきましては、民間での取り組みがどうしても若干先行しているように見えてしまうんですが、国として、今後新しい取り組みなどは考えていらっしゃるのでしょうか。

後藤副大臣 先ほどもお答えをしましたように、民間だから、政府だから、地方自治体だからということではなく、やはり幅広い、国民各層、それぞれの組織、関係者が協力をして、それぞれの立場でやはり対策をしていくということが大切だと思っております。

 先ほどもお答えをしましたように、ちょうど今、三月の七日までが自殺対策強化月間であります。その中では、先生御指摘の民間企業の方々、そして弁護士やお医者さんの団体の方々、そして経済界、労働界も含めてそれぞれ、相談会を実施するなど、いろいろ幅広く情報提供や意見交換を行っております。

 その中で、御指摘の検索会社、民間の方々もその一環として、私たちも情報提供を当然させてもらっております。そして、各社が足並みをそろえて、自主的でありますけれども対応してくれるものと思っておりますので、そういう意味で、政府の動きというものが、どちらが早いかということでなくて、やはり足並みをそろえてやっていくということが大切でありますし、JR東さんも、生きる支援トレインということで運行も、電車の媒体を使ったことも対応しております。

 そういう意味で、政府全体としても、こういう自主的な取り組みも含めてですが、やはりそういう輪が広がっていけるように、情報提供、そして意見交換、さらには、先生御指摘のように、当然財源の問題がありますけれども、今は基金という形で、地域が使える、民間団体が使えるようなものがありますけれども、そういうものの拡充というものもできるだけできるように、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

三宅分科員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいというふうに思います。

 また、時間の関係がありまして、二つほど質問を飛ばさせていただきたいと思います。

 次に、自殺と向精神薬の関係につきまして御質問いたします。

 一九九九年のSSRI導入後、自殺がふえたのではないかという指摘が最近取り沙汰されております。このことが事実かどうかは別として、内閣府の中に置かれております有識者による自殺対策推進会議で、このテーマについて議論はされましたでしょうか。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 自殺対策推進会議でございますが、ここでSSRIの導入後の自殺者数の問題を、直接議題として取り上げて議論したということではございませんが、うつ病治療に関しては、SSRIを含む薬物療法の現状や課題、問題点、また認知行動療法の利点や普及促進策、さらには精神科医療の抱えているさまざまな課題等々、いろいろな角度から御議論をいただいているところでございます。

三宅分科員 ありがとうございます。

 議論されていることで安心いたしました。ありとあらゆる可能性を排除せずに、ぜひ議論をして、有効な自殺対策をぜひ見つけていただきたいというふうに思います。

 また次に、国が外部の有識者に依頼する審議会の委員などのモラルが最近問題となっております。

 そうした中、この自殺対策推進会議なんですけれども、こちらにおきましては、例えば直接的な利害関係があるように見えます薬品メーカーなどからの講演の謝礼、顧問料などにつきまして、報告義務などは課していますでしょうか。

後藤副大臣 先生御指摘の自殺対策推進会議の委員の方々、学者の方やお医者様、看護師、弁護士、いろいろ関連の深い、専門性のある方にお願いをしております。

 そんな中で、先生が御指摘の、委嘱した外部有識者の方の報告義務等ですが、国家公務員本体でありませんので、報告義務自体は課しておりません。ただ、例えば独立行政法人であるとか、それぞれの組織の中で倫理規程等を持っているところは、当然それに従って報告を世の中にしたりということはしております。

 私が今までお聞きをしている中では、いろいろな御指摘というのは伺ってはおりますが、特定の民間企業の活動の推奨、擁護といった、ある意味では偏った主張というものは、当然議事録は公開をされていますし、会議自体も公開の中でやっておりますので、公平中立にやっているというふうには認識をしております。

三宅分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、国民の皆様に誤解が生じないように開催されて、議論をしていただきたいというふうに思います。

 次に、障がい者総合福祉部会につきまして質問させていただきます。

 障がい者制度改革推進会議及び障がい者総合福祉部会なんですけれども、こちらは、五十五人の障害当事者及び団体が参加して議論をしました、本当に画期的なスキームと承知しております。

 まず初めに、この総合福祉部会とその上位組織である障がい者制度改革推進会議の庶務が内閣府と厚生労働省というふうに分かれているわけですけれども、この理由を御説明ください。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、親会議とよく呼んでおります障がい者制度改革推進会議でございます。これは、平成二十一年十二月に障がい者制度改革推進本部長決定で開催が決まっております。このとき、内閣府が障害者のための施策に関する基本的な計画の策定や推進を行っているということで、その会議の内容に一番近い業務を担当しているということで、庶務を内閣府が負うということに決定をいたしました。

 その後、この推進会議の決定によって総合福祉部会が置かれております。この総合福祉部会の方は、障害者自立支援法をめぐる論点に関する検討も含めて、障害者に係る総合的な福祉法制の制定に向けた検討を行うということでございましたので、これは障害者自立支援法を所管する厚生労働省が庶務を行うのがよかろうということで、親会議の方でお決めをいただいたものでございます。

三宅分科員 ありがとうございました。

 二月八日、五カ月半ぶりに開催されました障がい者総合福祉部会、私も参加しておりましたけれども、この日に、障害者自立支援法にかわる新しい法案の説明とともに、この部会の基本的な役目は終了したことになるという旨の説明が一方的になされまして、多くのメンバーの方々が大変失望されて、それは報道されたとおりでございます。

 私自身この場にいましたので、この日のことはいまだに忘れられないわけでございますけれども、私どもは障害者総合支援法、新しい法案に向けて努力はしていかなければいけないとは思っております。その一方、障がい者総合福祉部会はこの時点でなくなってしまったという理解でよろしいんでしょうか。

後藤副大臣 私も議事録を拝見しましたが、なくなったということではなくて、総合部会で東室長の方から、基本的な役割は終了したということで、総合福祉部会自体が存在がなくなったというふうには承知しておりません。

三宅分科員 ありがとうございます。大変安心いたしました。

 何が言いたいかといいますと、この障がい者総合福祉部会のように、障害の当事者の方々から直接意見を聞くという場を設けることは大変すばらしいことだと思います。今後の障害者施策の推進に当たりましても、そうした議論の場に障害当事者も参加して、意見を言えるこのスキームをぜひ続けていただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

後藤副大臣 先生御指摘のとおり、直接、障害者の方が施策の審議にかかわることは重要だと思っています。

 そういう意味で、昨年八月に改正された障害者基本法においても、障害者政策委員会というのが一年以内にできることになっておりますが、その政策委員会の中でも、障害者の方、障害者の自立または社会参加に関する仕事に従事される方ということで、障害者の方も入った中で、さまざまな実情も踏まえた対応ができるように、最大限、委員の人事も含めて、バランスをとった形で対応していきたいというふうに考えております。

三宅分科員 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、最後に、私も、厚生労働委員会に所属しておりますので、委員としまして、今後、法律の施行に当たりまして検討事項とされています部分につきまして、障害当事者の方々の意見が最大限取り入れられるように、厚生労働省に対しても働きかけていきたいというふうに強く思います。

 そういった私の気持ちを申し上げまして、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

武正主査 これにて三宅雪子君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋分科員 社会民主党の照屋寛徳です。

 最初に、きょうは齋藤官房副長官もお見えでございますので、齋藤副長官にもお尋ねをしたいと思います。

 報道によりますと、政府は去る二月二十三日、在日米軍再編見直しに関して、齋藤勁官房副長官を座長に、関係省庁の副大臣らによるチームを設置したようであります。

 副長官に、このチームの設置目的は米軍再編見直しに限ったものなのか、そこら辺をお伺いいたします。

齋藤内閣官房副長官 おはようございます。

 現在、まだ正式にそのチームの設立が決まり、そして発足したという事実はございません。

 御承知のとおり、二月八日の日米間での共同報道発表にあるとおり、抑止力を維持そして強化しつつ沖縄の負担軽減を早期に実現していくという観点から、現行の再編計画の調整について議論を行っております。この過程で、外務省、防衛省が中心となりまして、関係省庁が一体となってさまざまなレベルで全力で取り組んでおります。

 過日、私も沖縄県に野田総理と同行させていただきまして、県知事、そしてまた県議会、あるいは経済界の方々と、短い時間でありましたけれども、いろいろ意見交換の場にも同席させていただきまして、幅広い県民の方々の御要望も承ったのも、実は実感しているところであります。

 その中で、当然、沖縄県におきましては、SACO合意、そしてさらには再編に絡むさまざまな合意が今日まで進められておりますが、進展していること、進展していないこと、さまざまございます。言ってみれば、今回の日米の協議の中身と同時に、沖縄の場合はさまざまな課題が実は山積をしているわけであります。

 今後の取り組みの中では、現在、官房長官をヘッドにいたしまして、外務省、防衛省、そしてまた財務大臣、もちろん総務大臣も御一緒ですが、沖縄問題に対するさまざまな協議を行っていますが、今の現状と観点に立つならば、相当幅広く政府一体となってということでありまして、そのもとで、関係省庁の副大臣がいろいろ実務的に詰めていくことが、時間的なスピードアップも図っていく意味も含めて必要だろうということは、官邸内でも議論をしていることは事実でございます。

 ちょっと回りくどい答弁でございましたけれども、現時点でまだ、スタートをしているということではなく、内部でいろいろ意見交換をしていることは事実であり、今後、長官また関係大臣とも協議をしていく中で、官房長官と私どもでは、なるべく早くスタートをさせていきたいという構想はあることは事実でございます。

照屋分科員 チームとしては正式発足ではない、内部的な議論をしている段階だ、こういうふうに理解をしたいと思います。

 齋藤副長官とは同じ年でありますし、同じ参議院同期でございますし、副長官はもう沖縄の現状、現実というのは非常に詳しく知っておられるわけでありますから、沖縄では、報道があって以来、このチームは普天間飛行場の辺野古移設に強行シフトするチームなのかな、こういう警戒、懸念もございますので、齋藤副長官には、沖縄の声を真摯に受けとめて、内閣の中で御奮闘いただきたいと思います。

 また、報道では、総務省もメンバーに加わる、こういうことも報じられております。そうすると、沖縄振興も対象になるんでしょうか。その場合、沖縄政策協議会との関連ではどのような位置づけになるんでしょうか。お尋ねをいたします。

齋藤内閣官房副長官 ただいまお話ししましたように、また、官邸内でこうやってなるべく情報公開をしようということでお話しさせていただいています。官房長官と私では、先ほど答弁させていただきました内容で協議をしておりますが、今この委員会室にも御同席いただいています川端総務大臣、沖縄担当大臣でございますが、必ずしもまだこういった経緯については、正確に官房長官の方からお伝えしていないのではないかというふうに私自身は思います。

 しかし、これは位置づけとして、まだしっかりとした、このチームそのものについての定義とかスケジュールは明確ではありませんが、沖縄全体の、当然、振興策も含めて課題になるだろうということは十分推察をされるというふうに思います。

 いずれにしましても、今後、しっかりと関係省庁と協議した上で明らかにさせていただきたいというふうに思うところであります。

照屋分科員 川端大臣もお見えでございますので、お忙しい大臣に配慮をして、質問の順序を変えて大臣から先に聞いて、退席を願いたいと思います。

 去る二月十日に閣議決定された改正沖縄振興新法、特措法では、国が基本方針を定めた上で、沖縄県が策定主体となって振興計画を作成する、振興計画が基本方針に適合しない場合、総理大臣は県知事に変更を求められるとあります。

 沖縄では、この基本方針によって県や市町村の自由度が縛られるものではないか、骨抜きにされるのではないかと心配する声が大きくなっております。大臣の力強い一言で県民の懸念を払拭していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

川端国務大臣 御質問ありがとうございます。

 実は、同様の御質問を沖縄の方からいろいろ伺っておりますので、聞いていただいて大変ありがたいと思います。はっきりと説明させていただきたいと思います。

 新たな振興特別措置法では、沖縄の自主性をより尊重したいとかねてからの御要望でございましたので、今までの沖縄振興計画では策定主体が国でありましたけれども、これを、計画の策定主体は県に変更いたしました。これによって県で自主的につくっていただくことになりました。

 これで、沖縄振興計画への国の関与については、振興計画に基づく事業について法に基づく国の財政上の特別措置が講じられる、要するに財政措置をとるわけですから、一定の関与は必要であります。全く自由にということではありませんので、関与の程度は、事前の同意を求める等の強いものではなくて、基本方針に適合していないと認められる例外的な場合にのみ県に対して事後的に変更を求めることができるという最小限のものにとどめ、県の自主性を最大限尊重するものとしております。

 沖縄振興基本方針には、沖縄振興に係る個別具体の事業ではなくて、この基本方針は振興の意義や基本的な方向性等を規定する予定でありまして、これまでの法案に係る県との調整状況に鑑みても、御懸念の点が生じることは想定しておりません。

 なお、参考まででありますが、他の地域振興法において、国の財政上等の特例措置を受けるため地方公共団体が策定する計画については、例えば、沖縄振興法や小笠原振興法においては、国への事前の同意協議を求めております。今国会に提出された福島復興再生特措法においては、国の方針に適合する場合に限り認定することとしておりまして、これに比べますと、沖縄振興計画への国の関与は、基本方針に適合しないと認められる例外的な場合にのみ県に対して事後的に変更を求めることができるという中身になっておりまして、沖縄振興計画への国の関与は最小限のものとしているところでございます。

照屋分科員 大臣、基本方針、それから一括交付金の交付対象事業や選定基準、手続などの詳細を定める交付要綱は、いつごろ沖縄県や市町村に示されるのでしょうか。既に準備はできているのでしょうか。法案成立後、速やかに県や市町村に提示できない場合、四月一日からの新年度において事業計画策定や予算執行に影響が出るのではと心配しておりますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 お答えの前に、先ほど私、ほかの地域振興法で、沖縄振興法と言ってしまいました。奄美振興法でございました。訂正させていただきます。奄美振興法、小笠原振興法においては、国への事前の同意協議を求めておるということでございます。

 今のお問いでございますが、使い道を限定しない自由度の高い一括交付金千五百七十五億円を今回一括交付金として創設したところでありますけれども、お尋ねの交付要綱等については、現在関係省庁とも調整中でありまして、沖縄県や市町村等の年度当初からの事業の執行に支障が生じないよう鋭意準備を進めているところでございます。

 交付要綱の国からの発出は、予算案及び沖振法改正案の成立が前提でございますが、沖縄県等の年度当初からの事業の執行に支障が生じないよう、事前に県ともよく相談をしてまいりたいと思っております。

照屋分科員 もう川端大臣よく御承知のように、沖縄の戦後処理問題、これは、未収骨の遺骨の問題、それから不発弾問題に象徴されます。

 沖縄では、発見された不発弾は自衛隊により、種類が確認され、動かすと危険なものは現場で処理作業が行われます。しかし、処理までの間の管理体制は決して十分とは言えません。誰かが監視しているわけでもなく、持ち去ろうと思えば可能な状態なんです。

 そこで、このような動かせない不発弾の発見後、処理されるまでの監視、管理を失業対策に生かそうと、沖縄の遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅代表が障害者自立支援NPOと連携して提案しております。私は検討に値するナイスアイデアと考えますが、不発弾管理の必要性とNPO等への民間委託の是非について川端大臣の見解を伺います。

川端国務大臣 御指摘のように、沖縄には大変大量の不発弾があり、今なおこの対処に大変な、危険と同時に不安があるので、政府としても最大限、他に比べて、予算を含めてあるいは制度を含めて手厚く進めているところであります。平成二十二年度が約八億円、二十三年度で十六億円、二十四年度の予算二十四億円というふうにしているわけですけれども、今後ともに不発弾対策は大変重要であると思っております。

 今御指摘の部分は、私も新聞の論壇では読ませていただきました。二つの視点があると思うんですね。こういうものを監視するというものの安全上でどういう施策をとるのか。もう一方では、NPOの皆さんというのは遺骨収集を含めて熱心にやっておられますが、ここでも御指摘の、ある種の雇用対策、失業対策をどうするのかという、それをうまく合わせたらいいではないかという御提案だというふうに思います。

 不発弾の監視、管理業務をどうするのか、そのときに民間委託ができるのか、やるべきなのかということ。一方で、全体としての雇用失業対策事業をどうするのかという両方の観点から、沖縄県、それから、これは実際、市町村が主にやられます、市町村の意見を聞きながら検討を進めて、不発弾対策がより一層着実に前進するように進めてまいりたいというふうに思っております。

照屋分科員 大臣、私の質問は終わりましたから、もう御退室願っても結構でございます。

 神風防衛政務官がお越しでございますので、お尋ねをいたします。

 私も社民党も那覇軍港移設に反対の立場であります。そのことを先に断った上で、防衛省に伺います。

 那覇軍港の移転に伴う環境アセス方法書作成業務ですが、平成二十三年度予算に契約ベースで一億七千四百万円、同じく契約ベースで平成二十四年度予算に六千五百万円が計上されております。平成二十三年度分は執行済みでございましょうか。

神風大臣政務官 お答えを申し上げます。

 那覇港湾施設につきましては、平成十八年五月の日米ロードマップにおきまして、浦添に建設される新たな代替施設に移設した後、全面返還されることとなっております。沖縄の負担軽減のため、できるだけ早く、早期に移設を実現することが重要と考えているところであります。

 この代替施設につきましては、浦添市及び那覇港管理組合が整備を計画している事業用地に隣接して建設することから、環境影響評価につきましては隣接する事業用地と一体で行うことが合理的であろうと考えており、これまで浦添市と調整をしてまいりました。

 平成二十三年度予算につきましては、環境アセスの方法書作成等に要する経費として約一億七千四百万円を計上しておりますが、浦添市等との調整が整っていない現状のため、まだ執行をしていない状況でございます。

 既に年度内の環境影響評価の着手は困難な見通しであることから、改めて平成二十四年度予算案に、方法書作成に係る経費として約六千五百万円を計上しているところでございます。

照屋分科員 政務官、防衛省は、那覇軍港移転事業に伴う環境アセスメントを、県や那覇港湾管理組合とともに浦添市土地開発公社が進める西海岸開発事業の環境アセスと一緒に進めたい意向のようであります。一方で、浦添市は独自に進めたいとの方針でありますが、双方で折り合いはついたんでしょうか。

神風大臣政務官 環境影響評価の進め方につきましては、これまで浦添市との間で調整を行ってきておりますが、これまでのところ、浦添市から防衛省に対してアセスを別々に行いたいとの意向が公式に伝えられたということはございません。

 また、いずれにしましても、当省としては、浦添市また那覇港管理組合の三者間での協議を行い、地元の御意向にも十分配慮しながら、円滑に事業を進めていきたいと考えているところでございます。

照屋分科員 政務官、確認でございますが、そうすると、現段階で、別々に進めたいという浦添市からの公式な申し出はないということなんですか。

神風大臣政務官 防衛省の方からは、三者で共同してということを再三にわたって要請しているところでありまして、それに対して、浦添市の方から公式にそれはできないという回答はいただいておりません。

照屋分科員 それでは、厚労省、お見えでしょうか。残りの質問でお尋ねしたいのは沖縄戦の戦後処理との関連で、戦没者遺骨のDNA鑑定について尋ねます。

 私が昨年三月二十二日に依頼した西原町字幸地の森で見つかった旧日本兵と見られる五柱、それから、五月三十一日に依頼した那覇市真嘉比で見つかった一柱の二件、鑑定機関に検体を提出したのはいつでしょうか。鑑定結果がまだ出ない理由は何でしょうか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 既に委員から御指摘いただいております沖縄県西原町の五柱、また、那覇市真嘉比の一柱の御遺骨につきまして、昨年受領しました後、速やかに鑑定機関に対して鑑定を打診したところでございます。

 沖縄など南方地域におきましては、高温多湿のためDNAが壊れやすく、遺骨から鑑定に有効なDNAを抽出するために検体のさまざまな部位から複数回にわたってDNAを抽出する必要があるといったことなどから、DNAの抽出に時間を要する場合があるところでございます。

 現在、那覇市真嘉比の一柱につきましては、引き続き、御遺骨からのDNAの抽出作業を継続中でございますけれども、西原町の五柱につきましては、御遺骨からのDNAの抽出ができましたので、関係御遺族に対しましてDNA鑑定の案内を送るべく準備しているところでございます。

照屋分科員 厚労省、私はやはり、旧日本兵、あるいは民間人でもしかりでございますが、御遺骨を遺族に速やかにお返しするというのは国の責任だと思うんですよ。私は、戦争責任には時効がないと思っている。もう六十六年余りが経過して、速やかに御遺体を返還する、遺骨を返還するというのは大事なことなので、この西原町で発見された五柱の日本兵と思われる遺骨もほぼ完全な状態でしょう。不思議なぐらいですよ、こういうふうに発見されるのは。

 それから、真嘉比の検体にしても、どうも私は、せっかく厚労省にお願いをしたのに、厚労省の方で鑑定機関へ依頼することをど忘れしておったんじゃないかと思いますが、どうなんでしょうか。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 西原町の五柱につきましては、委員からお預かりいたしまして、鑑定機関に対してお願いをしたところでございます。

 また、真嘉比の一柱につきましても、委員から御遺骨をお預かりしまして、鑑定機関と話をいたしまして、やはり、御遺骨の状況等を把握した上で、鑑定機関としても御遺骨の状況を踏まえてDNA検体の抽出作業等をやる必要があるということでございますので、そういった状況を把握するときに少し、把握するという時間を要したところでございますけれども、現在、鑑定機関の方で抽出作業を進めているところでございます。

照屋分科員 先ほど申し上げましたように、ことしで戦後六十七年ですよ。御遺族も相当高齢化をしております。したがって、私は、DNAの鑑定、照合は時間との闘いであると考えております。

 昨年の分科会でも質問しましたが、厚労省は、御遺族のDNAをデータベース化する気があるのかないのか、その後検討しているのかいないのか、ずばりお答えください。

 というのは、なぜ照屋寛徳がしつこくしつこく、去年もことしもこんな質問をしているかというと、私の義父、女房のおやじなんか、兵隊で沖縄戦に徴用されて、死に場所もわからない、遺骨も返ってこない。それで、女房も僕ももう六十七歳ですよ。だからこそ、この日本兵や民間人、特に日本兵ですが、いろいろ資料があるんだから、DNAをデータベース化することについて御見解をお聞かせください。

森岡政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者の御遺骨のDNA鑑定につきましては、平成十五年三月に取りまとめました戦没者遺骨のDNA鑑定に関する検討会の報告書を踏まえまして、死亡者名簿等の記録資料から戦没者及び遺族を一定程度推定できまして、また、遺族から適切な検体が提供されまして、遺骨から鑑定に有効なDNAが抽出できるという場合に、希望する御遺族に対しまして、全額国費負担で実施してきたところでございます。

 沖縄などの南方地域につきましては、高温多湿のためDNAが壊れやすく、これまでの技術では遺骨から鑑定に有効なDNAが出にくいなどの事情があったところでございます。

 現在、技術が進歩しておりますので、こういった状況を踏まえまして、委員からも御指摘いただいたところでもございます、御遺骨を御遺族にお返しするため、南方地域でのDNA鑑定のあり方につきまして、有識者の会議で検討をお願いしているところでございます。

照屋分科員 終わります。

武正主査 これにて照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳分科員 おはようございます。自由民主党の馳浩です。

 きょうは、沖縄県を日本一の子育て先進県にしたい、こういう関係者の思い、また私の思いも含めて質問をさせていただきます。

 まず最初に、策定された沖縄振興特別措置法の概要についてお伺いをいたします。

川端国務大臣 おはようございます。

 今回提出させていただきました法案では、沖縄の優位性を生かした自立型経済を発展させるための施策を沖縄がみずから主体的に講じることにより、その潜在力を十分に引き出すことが可能となるよう、さまざまな見直しを行いました。

 主な改正ポイントとしては、従来国が決定することとしていた沖縄振興計画については、国は大まかな基本方針を策定するにとどめ、県が振興計画を策定すること、国際物流特区を創設し、IT、金融を含めた各特区について税制上の特例措置を拡充するとともに、県の自主性尊重の観点から、観光や産業高度化地域について、知事による地域指定の仕組みに変更すること、子育て支援等の沖縄振興に必要な配慮規定を創設、拡充すること、平成二十四年度予算において創設した一括交付金の根拠規定を明記することなどが挙げられております。

馳分科員 そこで、今お示しをいただきました、確定をし予算措置されている国の一括交付金についての概要をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 沖縄の一括交付金については、沖縄振興に資する事業を県が自主的な選択に基づいて実施し、沖縄の自主性が最大限発揮されるよう、平成二十四年度予算において一千五百七十五億円創設したものです。一括交付金のうち、経常的経費については、沖縄独自の制度として創設し、八百三億円を計上、投資的経費については、全国制度である地域自主戦略交付金と同様の拡充に加え、さらに沖縄独自に対象範囲の拡大を図り、七百七十一億円を計上したところでございます。

馳分科員 そこで、今は恐らく沖縄県議会でも来年度予算審議に入っていると思いますが、沖縄県が発表した一括交付金を含めた来年度予算の要求について、その概要をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 沖縄県においては、平成二十四年度が、新たな法律に基づき第一歩を踏み出すと同時に、復帰四十周年の節目を迎え、県民主導で沖縄を創造する新たな時代のスタートとなる年であることを踏まえ、今申し上げたのは沖縄県の予算の説明資料でございます、ということを踏まえ、予算を編成されたと聞いております。

 沖縄県の平成二十四年度一般会計予算の総額は、過去最高額となる六千八百七億円で、対前年度比一一・九%の増、このうち、一括交付金については一千四百五十一億円を当初予算に計上されたと承知をしております。

馳分科員 その中に、沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会が要望している、沖縄子ども・若者総合五カ年計画の根幹をなす要望事項は反映されているでしょうか。

 そこで、ちょっと資料を用意させていただきました。

 沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会、十三団体を申し上げます。沖縄県学童保育連絡協議会、沖縄県私立保育園連盟、沖縄県児童養護協議会、沖縄県里親会、沖縄県民生委員児童委員協議会、沖縄県保護司連合会、沖縄県更生保護女性連盟会、沖縄県PTA連合会、沖縄県子ども会育成連絡協議会、沖縄県ファミリーサポートセンター連絡協議会、NPO法人りんくいしかわ、NPO法人サポートセンターゆめさき、沖縄子どもの貧困解消ネットワーク。

 以上、十三団体であり、資料の二と三に、初年度予算積算として一覧表をつけてございます。これは、今申し上げました十三団体が検討の上積算としてお出しになった、初年度に必要と思われる事業項目十三項目、必要経費四十七億一千百万円。

 実は私は、この団体から直接お話を伺い、去年とことし、二度、現地視察をさせていただいた上できょうの質問に臨んでおりまして、昨年来、こういった要望事項を、沖縄の特殊事情を踏まえて、一括交付金制度ができて沖縄県が自主的に事業計画を作成することができる、いよいよ子供たちの健全育成、児童養護の環境整備に本格的に取り組みたい、そういった中から出てきた、いわば現場の要望であるということをまずお示しをしたいと思います。

 そこで先ほどの質問であります。こういった要望事項は反映されているでしょうか。お伺いいたします。

川端国務大臣 お答えの前段で、まず、これは沖縄県の予算でありまして、一括交付金の額を含めてどういうふうにするかは、予算編成に至るまでずっと沖縄県とも随分協議をしてまいりました。その部分でも、沖縄県の方からは、予算編成というと、どうしても我々は、積み上げで、これに幾ら、これに幾らだから、国からの補助金としてこういうふうにというふうに、今までの慣例はそうだったんですが、今回の部分は、一括交付金というのは、あくまで、経常的経費と投資的経費を含めて、特に経常的経費に際し、ソフト事業に関しては沖縄県みずからが考えてやるんだということでどういうことですかと言うと、いや、みずから考えるからというふうなやりとりの中でありますので、あくまで沖縄県のお考えを紹介してここで御報告させていただくということであることをお答え申し上げたいと思います。

 お示しいただきました沖縄子ども・若者総合五カ年計画に掲載されている事業について、沖縄県の来年度予算案に盛り込まれた児童福祉、青少年育成関連事業について県に照会をさせていただきましたところ、沖縄県としては、母子生活支援施設の設置に関する事業として、民間アパート等を活用した母子家庭生活支援モデル事業六千万円、学童保育料の減免措置に関する事業として、放課後児童クラブに対する家賃補助三千万円、学童保育指導員補助に関連する事業として、人件費を含む放課後児童クラブへの運営費補助、これは、一括交付金というよりは、厚生労働省の放課後子どもプラン推進事業を活用して、人件費を含めた放課後児童クラブへの運営費補助を実施ということで、運営費補助全体で八億円を盛り込んだと聞いているところでございます。

馳分科員 ありがとうございます。

 大臣、私の本音を二つだけ申し上げます。要は、やはり一括交付金という形で現場の要望することをよりダイレクトに実現をしたい。視察の結果、二つのハードルがあるということがわかりました。

 つまり、現場にいる関係者、要望団体と沖縄県や沖縄県内の各市町村との意識の差、あるいは法律的な壁、こういったものが一つのハードルになっている。ふだん子供たちに接している、児童養護や健全育成を担当している、子供を直接見ている方たちと行政側との意識の差があるんだなというのが一点目。

 二点目は、一括交付金といいましても、国と県と市町村となってくると、視察に行っていて、こういうことがあったんですよ。私たちが、国会議員が質問をする。そうすると、市町村の担当者が必ず県の担当者の顔色を見てから答弁されるんですね。ここがやはりなかなかもどかしいんですけれども、市町村からすれば、団体の要望に応えてあげたい。けれども、県議会の、つまり、沖縄県としての予算をクリアしなければいけませんから、県の担当者の顔色をうかがう。そうすると、本当に、沖縄県が国に要望していることと、現場が県に対して要望していることと、ここはやはり差が出てくるんだなという部分の、二つのハードルを感じましたので、そういうことを踏まえて、今から申し上げたいと思います。

 二月十日、沖縄の子どもを貧困から守る連絡協議会の代表が沖縄県の青少年・児童家庭課の田端課長と面談し、意見交換したそうです。以下の四点の条件をクリアしなければ一括交付金は採択されないとのことだったそうです。

 一つ、全国から見て沖縄の特殊性が説明できる事業であること。一つ、各省庁の既存補助金では対象となっていない事業であること。一つ、職員人件費や現金給付とする事業には充当できない。一つ、地方交付税措置されている費目、これは一般財源化されている費目のことですが、これへの充当は困難であるということで、協議会が求めておりました、施設の建設費はだめ、土地の購入費もだめ、減免措置も現金給付に当たるからだめということで、だめ、だめ、だめと、肝心かなめの要望事項がみんなだめ、こういう回答だったそうなんです。

 協議会が要請しているものは、本来なら県や市町村が既存の補助金を活用してつくるべき施設。それが沖縄県の歴史的経緯からこれまで整備されてきていないからこその要請です。また、既存の補助金では地元負担が大きくてできないため、今回の一括交付金を活用して整備してほしいという要請です。

 これこそ、二十七年間の空白と、復帰後の第四次にわたる沖縄経済振興計画の恩恵も受けることができず、児童健全育成、養護施設の基盤整備が放置されてきたという沖縄の特殊事情です。

 このままではいつまでたっても沖縄の子供たちの貧困の連鎖はとまりません。児童福祉の基盤整備、施設整備がない中で、幾らソフト事業をやれと言われても、やる場所がないのです。どうか、本土並みの基盤整備をして、本土並みの生活をさせてください。

 以上が協議会からの要望でありまして、私も、意見交換をさせていただきながら、このハードルを越えることはなかなか難しいなということを実感いたしました。そこで、ここで何とか政府のバックアップをお願いできませんでしょうかという、わらにもすがる思いでありました。

 沖縄の児童健全育成や児童福祉の現場の声が一括交付金の配分に反映されるように何とかバックアップをお願いしたい、こういう切実な声を賜り、きょう質問に立たせていただきました。大臣の御所見、あるいはアドバイス、あるいは対応できること、こういうことについてお伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 熱心に現地まで何度も行かれての部分で、今の御説明でその場の雰囲気が、何となく私も空気感を感じることができました。

 沖縄の児童福祉の充実は、沖縄振興にとっても、未来につなげるという意味では大変重要な施策であるというふうに私も思っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、原則論で申し上げますと、一括交付金は、沖縄が自主的に選択した事業を実施して、沖縄県の実情に即してより的確、効果的に施策を展開されるようにという趣旨で創設されました。

 しかし、そういう意味で、自主的にということで何にどう使ってもいいのかということでいいますと、この交付金は、地方交付税のような一般財源ではありません。補助金等適正化法の対象となる国庫補助でありますから、沖縄の特殊事情に鑑み、沖縄の振興に資する事業に活用していただくという大原則でありますので、このような観点から、どう使うかは、この趣旨に鑑みて県において自主的に御判断をいただくというのが原則でございます。

 御指摘のような事業についても、まず、具体的に県としてどのように判断するかが第一関門でございます。その上で、県の御意向があれば適切に対処してまいりたいと思いますが、その使途について、今一部言われましたけれども、施設整備や土地購入を直ちに排除するというものではありません。これは、そういうものには一切使えないという意味ではなくて、事業によるということだと思います。事業によっては、施設整備費や土地購入費に充てることは、別に排除しているものではありません。

 それから、四条件についてでありますが、県が自主的にこういうことだろうという、これは国とのいろいろな意見交換を踏まえて県がお示しになったもので、国としてこういう条件をつけろということを言ったものではないということであります。

 その一つ一つ、一括交付金は、いわゆる沖縄の特殊事情に鑑みて沖縄の振興を図るということでつくるのですから、一般論として言えば、既存の補助金により対応が可能であるものはまずは既存の補助金で対応していただきたいというのが、原則論としてはそうなります。

 それから、職員の人件費というのは本来一般財源で見ますから、そういう意味では、やはり人件費そのものを交付金というのはちょっとなじまないのかなというのは、私はそう思います。

 それから、個人の負担になる部分、極端に言えば、一括交付金をみんなにいろいろ分けるという現金給付というのも、これもちょっと性格としては、たどれば沖縄の振興に資することは間違いないですけれども、やはり事業として沖縄の特殊事情にということでは、少しこれはなじみにくいのかなというふうに思います。

 ただ、一切人件費等に充てられないのかといえば、それはやはり沖縄はそういう意味で特段の事情がありますねという、特段の説明ができるものを、これもまた排除するものではありません。

 さらに、一番最後の方で、ちょっとわかりにくいのですが、地方交付税措置されている費目で一般財源化されている費目というのはどういう趣旨で言われているのか。いわゆる地方交付税というのはいろいろ積算根拠がありますから、その項目をそのまま手当てしているという前提ですから、それをまたこの部分で交付金を充てるというのは確かになじみにくいのであろうというふうに思います。

 いずれにしても、個別の事業については、県のお考えもお聞きしながら判断をしたいというふうに思います。

 ちょっとお問いがありましたので事務的に問い合わせたところ、何度か行かれているようですけれども、県に正式にこういう詳細で御要望されたのは、一月の中旬ぐらいですね。ほぼ沖縄の予算編成があらあら成ってきた部分でもありますので、これから、やはりそういう背景は大事な視点であることは間違いありませんので、県、市町村ともよく御相談をいただく中で、本当に沖縄らしく、そういう背景があってということで御判断いただくのがいいのではないかというふうに思っております。

馳分科員 では、二つほど申し上げたいと思います。

 沖縄の特殊事情、これについては細かく後ほど関係者にお伺いします。

 二つ目。実は、私もこの話を伺ったのは、去年の九月なんですよ。それで、関係者の皆さんとお会いする中で、私なりの国会議員十八年間の悪知恵といいますか、猿知恵といいますか、こういうことを申し上げたんです。おっしゃることはよくわかりますが、現場での裁量が大きく左右しますと。

 そこで、自民党、民主党、社民党、公明党、共産党含め、沖縄県独自の会派もありますから、県議会におられる全ての会派、二つ目、沖縄県内市町村の議会関係者に、大変申しわけないけれども、ロビー活動として全ての方にこういう要望を出し、膝詰めの議論をしてくださいと。間違いなく、政党関係者というのは、政治家というのは、できない理由よりも、どうやったらできるようになるか、こういう知恵を持っています。

 例えば、サービスの利用料の負担が大きいときには、どう考えても、基盤整備があればあとは本当にランニングコストの問題になってくるだけでありまして、その基盤整備の部分が整っていないのであるならば、それを何とかできるような工夫というのはありますよ。

 したがって、文句ばかり言ってないで、希望ばかり言ってないで、これを取りまとめるのが政治の力のいいところで、それも特定の政党や会派に行っちゃだめですよ。全てのところに同様に持っていって、議会質問をしてください。議会質問を通じて、当然、行政の側は、法令に基づいて、あるいは条例に基づいて、できる限りの対応をしてくださるはずですし、その裏打ちとなる予算というものが沖縄振興特別措置法そして一括交付金、こういった形で予算化されつつありますと。昨年の場合においてはまだ概要ができておりませんでしたから、したがって、そういうふうにやってくださいよというアドバイスを申し上げて、今日に至っているということです。

 きょうの私の質問に大臣答弁をいただきました。実は、この議事録をまた現場に送りまして、あとは県議会、市町村議会、この三月議会だけではなくて、四月、九月、十二月とか、各議会でしつこくやってくれと申し上げたら、こうおっしゃったんです。県議会や市町村議会の議員さんもおられまして、いや、沖縄の議会は八割方基地問題中心で、こういった児童の健全育成とか児童養護の質問というのはなかなか議員さん方が関心を持ってやってくださらないんだと言うから、それこそ皆さんの責任じゃないですかと。私のような国会議員がのこのこ沖縄まで出かけていって、浦添市議会とか竹富町の議会とかへ行ってやるわけにいかないんだから、そこは皆さん、できるだけの情報は私たちも調べますが、あとは現場の市議、県議の皆さん方でやってください、こういうふうに、アドバイスというと僣越ですが、一応そういうふうに申し上げてきたという経緯を申し上げておきます。

 では、もう時間もございませんので、沖縄の特殊事情について、統計数字をお示しいただきながら考えたいと思います。

 沖縄県の出生率は、全国平均と比較してどのくらいの順位ですか。

伊澤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年人口動態統計の確定数によりますと、合計特殊出生率は、全国で一・三九のところ、沖縄県では一・八七であり、全国で一位となっております。

馳分科員 沖縄県の県民所得は、全国平均と比較してどのくらいの順位ですか。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 一人当たり県民所得につきましては、平成二十一年度で見ますと、全国の二百七十九万一千円に対して、沖縄県は二百四万五千円となっており、四十七都道府県中四十六位となってございます。

馳分科員 沖縄県の失業率、特に若年失業率は、全国平均と比べてどのぐらいの順位ですか。

竹澤政府参考人 完全失業率につきましては、平成二十二年の平均で見ますと、全国の五・一%に対して、沖縄県は七・六%となっておりまして、全国で最も高くなっております。

 一方、若年、十五歳から二十四歳の完全失業率、これを二十三年平均で見ますと、全国の八・二%に対して、沖縄県は一三・四%、こうなっております。四十七都道府県の個別のデータというのはございませんものですから順位を出すことはできないんですけれども、こういう厳しい状態になってございます。

馳分科員 一三・四%という数字は大きいですね。

 次に、沖縄県の離婚率は、全国平均と比べてどのくらいの順位ですか。

伊澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十二年人口動態統計の確定数によりますと、人口千人当たりの離婚率は、全国で一・九九のところ、沖縄県では二・五八となっておりまして、全国で一位となっております。

馳分科員 沖縄県のDV保護法に基づく保護命令の数は、全国平均と比べてどのくらいの順位ですか。

永野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成二十三年一年間の那覇地裁管内の申し立て件数ですが、七十七件、発令件数が六十二件です。全国の地裁管内別の申し立て平均件数が五十四件ですので、那覇地裁は十三番目でございます。発令件数で見ますと、平均が四十二件ということで、那覇地裁が十二番目ということになっています。

 さらに、人口百万人当たりの申し立て件数を申し上げます。全国の申し立て件数が二十一・五七件、発令件数が十六・八二件であります。これに対して那覇地裁は、申し立て件数が五十四・七六件ということで第二番目、そして、発令件数は四十四・〇九件ということで三番目でございます。

馳分科員 ちょっと順番を飛ばしますね。

 沖縄県の小中高等学校における不登校率は、全国平均と比べてどのくらいですか。

城井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 平成二十二年度における沖縄県の小中高等学校を合計した不登校児童生徒数は三千六十九人で、在籍児童生徒数に占める割合は一・五%であります。一方、全国の在籍児童生徒数に占める不登校児童生徒数の割合は一・三%でありまして、沖縄県は全国平均を上回っております。

馳分科員 沖縄県の少年非行事件の発生率、再犯率、傾向、これは飲酒、喫煙、深夜徘回、怠学、暴行傷害、全国平均と比べてどのくらいの順位ですか。

岩瀬政府参考人 お答えいたします。

 まず、沖縄県における平成二十三年中の刑法犯少年及び触法少年の検挙、補導人員につきまして、十歳から十九歳の少年非行を千人当たりの人口比に直しまして全国の人口比と比較いたしますと、全国平均の約一・一倍で、全国第十四位でございます。

 このうち、暴行及び傷害につきましては、全国平均の約一・五倍で、全国第三位となっております。また、再犯者率につきましては、刑法犯全体では全国平均の約一・四倍で全国第一位、暴行及び傷害に限りますと、全国平均の約一・一倍で全国第十四位となっております。

 次に、不良行為少年の補導人員について見てみますと、同様に全国の人口比と比較をいたしますと、飲酒は全国平均の約七・二倍で全国第一位、喫煙は全国平均の約二・三倍で全国第三位、深夜徘回は全国平均の約三・三倍で全国第一位、怠学は全国平均の約八・三倍で全国第一位となっております。

 このように、沖縄県におきましては、少年の再非行や飲酒、深夜徘回等で補導される不良行為少年の割合が全国的に見て総じて高くなっている状況でございます。

馳分科員 最後に、川端大臣、文部科学大臣もお務めになりました。今、ざっとこういった統計数字を拝見しながら、私も深刻な現状であるとの認識を持っておりますが、大臣の認識をお伺いして、私の質問を終わります。

川端国務大臣 沖縄を担当しまして、沖縄の活力、将来性という意味では、出生率が高い、若者が多いということが日本じゅうで一番いいという、将来に向かっての活力があるというふうには思いますが、今お聞きしたような数字を見ますと、その中はかなり厳しい状況に置かれているというのは、原因はいろいろあるんだと思いますが、そういう意味では、若い人がたくさんいるけれども問題が多いという側面も非常にあるので、これは沖縄振興にとって常に意識をしなければならない非常に大きな課題であるというふうに思います。きょうの御指摘は、そういう意味では非常にいろいろと考えさせられる御指摘であったというふうに思います。

馳分科員 終わります。どうもありがとうございました。

武正主査 これにて馳浩君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。田中防衛大臣。

田中国務大臣 平成二十四年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十四年度予算については、一層厳しさを増す安全保障環境や東日本大震災における教訓を踏まえ、平成二十二年十二月十七日に閣議決定された平成二十三年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に基づき編成される予算の第二年度として、動的防衛力の構築を着実に進める上で重要な予算であります。

 具体的には、実効的な抑止及び対処能力の確保、アジア太平洋地域の安全保障環境の一層の安定化、グローバルな安全保障環境の改善に向けた取り組みの推進等を重視するという考え方のもと、防衛省・自衛隊が国民から期待される役割を果たす上で必要な事業と、このための所要額を確保することができたと認識しております。

 防衛省としては、厳しさを増す財政事情のもと、真に必要な機能に資源を選択的に集中することで、国民の御理解をいただけるよう予算の編成に努めました。

 平成二十四年度の防衛省所管の一般会計歳出予算額は、四兆七千百三十五億一千八百万円で、前年度の当初予算額に比べますと六百十六億七千九百万円の減となっております。

 新たな継続費の総額は、平成二十四年度護衛艦建造費で一千百六十九億八千万円、平成二十四年度潜水艦建造費で五百五十九億五千六百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設整備等で、一兆七千百六億三千万円となっております。

 また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費として、東日本大震災により被災した自衛隊施設や装備品等の復旧、被災地域での災害派遣活動に使用した装備品等で減耗したものの回復や、今後の当該活動に即応し得る能力の維持、自衛隊の災害対処能力の向上等に関する事業に対し、歳出予算額一千百三十六億一千万円、国庫債務負担行為の限度額六十八億六千八百万円を計上しております。これら東日本大震災からの復旧復興に係る経費は、平成二十四年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に計上しております。

 これをもちまして平成二十四年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

武正主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま田中防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武正主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武正主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武正主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内康一君。

山内分科員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、最初に、防衛省に質問させていただきます。

 まず最初に、イランの情勢についてお伺いします。

 今、イランの情勢が緊迫している。いつ武力衝突が起きてもおかしくないような状況が生じつつあるわけですけれども、そういった場合の邦人の緊急避難というのも防衛省にとって重要な課題だと思います。

 もしイランで何かあった場合に、邦人の避難のためにどういった準備をされているのか。もちろん、詳細について述べられないのは承知しておりますが、どういった指示を出されたのか、あるいは他省庁との連絡はどうなっているのか、緊急時のコンティンジェンシープランというか、そういったものをどのようにお考えなのか、お伺いします。

田中国務大臣 イラン有事の際の在外邦人保護のための自衛隊の対応についての御質問と思います。

 防衛省・自衛隊は、自衛隊法第八十四条の三に基づき、邦人等の輸送の依頼が外務大臣から防衛大臣に対してあり、輸送の安全が確保されていると認められる場合に在外邦人等の輸送を行うことができます。

 防衛省・自衛隊は、平素から、在外邦人等の輸送が必要な場合に備え、関係省庁と連携しつつ、事態に応じて速やかに対応できるよう、その体制につき不断に検証を行っているところでございます。

 外務大臣から、外国における災害、騒乱、その他の緊急事態に際して、生命または身体の保護を要する邦人等の輸送の依頼がありましたのは、平成十六年四月に、サマワにおいて日本人を含む外国人の拘束事件が多発する状況の中で、イラクからクウェートまで、C130Hにより邦人十名を輸送したことがございます。

 イランの状況でございますが、緊迫をいたしておりますけれども、そのような状況がありましたら民間と協力をするわけでありますが、外務大臣から要請がありましたら、自衛隊が保有するC130Hあるいは政府専用機、そしてまた空中給油輸送機、こういうものを準備いたしまして対応するということで、省内でも話をしてきておるところでございます。

山内分科員 ぜひ、イランだけじゃなくて近隣国も含めて、事前に、空港の状況とか、調べておくべきことをきちんと調べておいていただきたいと思います。この地域については、緊張状態が二十年ぐらいの間ずっと続いているわけですから、ある程度情報の蓄積もあるかと思いますが、一年たつと状況も変わりますし、防衛省の駐在自衛官がいる国はいいですけれども、それ以外の国なども含めてしっかりと用意をしていただきたいと思います。

 次に、海上自衛隊の海賊対策について質問させていただきます。

 仮にイランで緊急事態、イランの緊張が高まってくると、日本以外の欧米諸国、アメリカやヨーロッパの国も海賊対策に海軍の船を出しているわけですけれども、そういった欧米の海軍の船がペルシャ湾の方に向かって、海賊対策の方に船を充てられない、穴ができてしまう可能性があるのではないかと思います。

 そういったときに備えて、今のうちから、今行っているP3Cとか護衛艦だけではなくて、さらに追加的に海上自衛隊の船をふやしておくと、アメリカやイギリスやフランスといったようなほかの国の海軍の船が抜けた場合の穴を埋めることもできますし、近くに海上自衛隊の船があれば、ヘリコプターを使ってということもあろうかと思いますが、邦人保護、緊急時の邦人の避難にも役に立つかもしれない。

 そういった意味では、今アデンに行っている護衛艦、P3C、P3Cをふやしても余り効果はないかもしれませんが、船に関しては、派遣する数をふやすと、アメリカのようなほかの同盟国に対する、ある意味貸しができるという意味でも有効なんじゃないかと思いますが、そういった追加の派遣についてお考えではないでしょうか。質問させていただきます。

田中国務大臣 先生のお話は大変参考になるお話だと思っておりますし、頭の体操というような感じで、今、イラン情勢が緊迫した状況の中で、対応策を政府全体で考えてきておるところでございます。

 現段階で、防衛省・自衛隊としては、何らかの対応を行う必要がある状況にあるとは認識をいたしておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、政府全体の対応の中で、とるべき措置があれば適切に対応してまいりたいと思います。

 また、先生の御指摘の、海賊対処法で今ソマリア沖・アデン湾で防衛省が対応してきておるところでございますし、万が一そういう緊迫した状況が出た場合に、確かに各国がペルシャ湾の方にシフトするということもございます。

 そういう中で、我が国は、今、アデン湾の地域を指定して、そしてまた想定して海賊対策をやってきておるわけでありますので、当然、我が国としては、増強するということ、そしてまた、その地域を引き受けるかどうかということになるわけであります。当然、政府としての手続がございますし、国会の了解も得ていきながら対応することにはなると思いますが、今のところ、そのような具体的なことで準備を進めておるということではございません。

山内分科員 ぜひ、頭の体操ということで、検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、また頭の体操みたいな質問をさせていただきます。特に細かい政策知識は問いませんので、頭の体操的にお答えをいただければと思います。

 先日も予算委員会で自民党の岩屋委員から中期防衛力整備計画についての質問がありました。国際環境が大きく変わっていく中で、自衛隊のあり方を大きく見直していく必要があるのではないかと思います。例えば陸海空のバランス、少しずつは変わっているとは思います。しかしながら、全体の自衛官の人数とか予算のバランスということでいうと、余り大きな変更があるようには思えません。日本は島国ですから、陸上自衛隊が大体十四万人ぐらい、海上、航空がそれぞれ五万人ぐらい、これからもこういうバランスで本当にいいのかということ。

 そもそも、敵の軍隊が上陸してきて日本の国土で戦車同士が戦う、余り望ましいことであるとは思いません。できることなら、海か空で、日本に近づく前に撃退してほしいわけですけれども、予算だけを見ると、例えば今年度予算、陸上自衛隊一兆七千七百億円、海上自衛隊一兆一千億円、航空自衛隊一兆四百億円、圧倒的に陸上自衛隊の予算が多いということがあります。

 人件費が多いのはわかるんですけれども、それにしても、このバランスというのをもう少し、日本が島国であることを考えると、海や空、特にインド洋の海賊対策などもありますから、任務が非常にふえている海上自衛隊は人手とか船の数の点で足りなくなっている部分があると思います。

 そういった意味で、陸海空の三つのバランス、もう一度ゼロベースで考え直すということが必要ではないかと思いますが、防衛省のお考えをお聞きします。

田中国務大臣 防衛政策の抜本的な見直しについて、特に人員配置についての御質問だと思います。

 具体的には、各自衛隊に係る予算配分については総合的な見地から思い切った見直しを行うということで、潜水艦の造船や新戦闘機、新輸送機の導入などにより、警戒監視、防空、輸送等の機能を重点的に配備することにいたしております。

 各自衛隊の定員については、陸自については効率化、合理化を図る一方、海自や空自については削減せず現在の水準を維持するということにいたしておりますが、さらなる努力をしていきたいと思っておりますし、御指摘の北海道に配備している戦車等については、前大綱の水準から四百両まで縮減をするという方針も出しておるところでございます。

 また、南西地域の防衛力強化、動的防衛力という中にありまして、島嶼の防衛を、周辺海空域の安全保障や島嶼部における防衛体制の充実を図ることで増強してきておるということでございますので、一応、方向は動的防衛力ということで対処してきておりますが、また、先生の御指摘のように、さらなる工夫をしていくことで対処していきたいと思います。

山内分科員 一応そういう方向に向かっているのは私も承知をしておりますが、やはりスピード感を持って転換していくことが必要ではないか。北海道にあれだけ戦車がありますけれども、ロシアの最新鋭の揚陸艦でもそんなにたくさん戦闘車両は運べないわけですから、むしろ島嶼防衛のための海兵隊的な部隊を考えていくとか、そういうことが必要ではないかと思います。

 今、西部方面の普通科連隊という、島嶼防衛の専門部隊ですけれども、わずか六百人で日本のこれだけたくさんある離島を守れるかというととても無理だと思いますので、前年比何%とかそういう変革ではなくて、もっとスピード感を持って、思い切ってシフトしていっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっとこれも頭の体操的に質問をさせていただきます。

 任期制の自衛官の方々というのは、大体、高校を卒業されて二、三年自衛隊に勤めてという人たちが多いわけですけれども、こういう任期を終えた自衛官の再就職というのは、それなりに、景気が悪い時期は大変になっております。

 そういった意味では、就職だけではなくて、例えば、高校を出て二年か三年自衛官を勤めたら、まだ二十一か二十二ぐらい、若いわけですから、そういう人たちに大学に行く奨学金を用意するとか、そういったことも考えていいんじゃないかと思います。そうすれば、任期つきの自衛官になる動機づけというか、メリットも大きくなりますし、それから、自衛隊で経験を積んだ人が社会のいろいろなところにいるというのは非常にプラスも多いと思うんですね。

 日本では社会人の大学入学率というのは平均すると二%ほどですが、OECDの平均は二〇%以上です。だから、二十五歳以上の大学入学者というのは先進国では二割、三割当たり前という世界ですから、任期制の自衛官を終えた隊員のために大学に行く奨学金を用意する、こういったことも考えてはどうかと思います。

 例えばアメリカでは、GIビルといって、第二次大戦に従軍した兵隊が大学に行くための奨学金をつくりました。これは、実は、教育学の世界で非常に評価されています。大学教育が一気に普及して、知的な職業につく人をふやすために非常に効果があったと教育の世界では大変評価されている法案なんですけれども、こういったものを日本でも導入するということはどうでしょうか。

 そして、例えば、奨学金をもらった元自衛官の学生は四年間予備自衛官になるということになれば、予備自衛官の確保にもプラスになるかもしれない。私は、昔、フィリピンの大学に留学していたんですが、フィリピンの学生は、ROTC、リザーブ・オフィサー・トレーニング・コープといって、軍隊の予備役になるための訓練を土曜日とかにみんな受けさせられます。そういった意味では、学生生活を続けながら予備自衛官をやる、こういったことは、夏休みとかあるわけですから、ほかの職業についている人よりはやりやすいと思うんですね。

 そういった新しい制度をつくって、予備自衛官の確保、それから、若くして退官した任期制自衛官の将来のために奨学金制度を設ける。どうでしょうか。

田中国務大臣 任期制自衛官の退職時の支援施策に関する御質問だと思います。

 新防衛計画の大綱においては、自衛隊が遂行すべき任務や体力、経験、技能等のバランスに留意しつつ士を増勢することとしており、これを受けて、防衛力の実効性向上のための構造改革推進に向けたロードマップにおいて、援護施策の充実に努めているところでございます。

 先生御指摘のように、再就職に有効な職業訓練などの就職支援施策は行っておりますが、進学等のための奨学金を支給する枠組みについては、現時点では設けておりませんが、今先生お話しの復員兵援護法、GIビルについて、私もまた、御指摘のように研究させていただきたいと思いますし、このような諸外国の制度を我が防衛省もぜひ活用ができればと思っておるところでございます。

 身近な経験でありますけれども、私も、防衛省で任期制自衛官が終わりまして手伝ってもらった青年がいるわけでありますが、自衛隊の中で免許証を取ってくるわけでありますので、出てきまして運転をお願いしたら、どうも東京では土地カンがない、駐屯地から九州までは行ったことがあるけれどもと。

 私は、そんな身近なところから再就職が可能な教育をしていくことも大事だと思いますし、大学へ行って新たな分野を学ぶ、そしてまた自衛官としての経験をさらに生かしていく、こういう道もあっていいのではないかと思っておりますので、よく勉強をして、研究させていただきたいと思います。

山内分科員 次に、予備自衛官の増加のために、国家公務員あるいは地方公務員の予備自衛官をふやすことが必要ではないかという観点から質問させていただきます。

 もう既に千三百人ぐらい地方公務員、国家公務員の予備自衛官がいらっしゃるそうなんですけれども、例えば、大ざっぱに考えると、博物館とか美術館とか印刷局とか、そういう公務員は、国家の緊急事態は、多分そんなに忙しくないと思うんですね。それに対して、警察とか消防は緊急時も忙しいと思うんですけれども、いざ有事というときに、必ずしも緊急対応要員ではない部署の公務員については今まで以上に予備自衛官にもっとなってもらうような枠組みというか政策をとってはいかがでしょうか。

 民間企業に予備自衛官をお願いするといろいろ仕事の関係で忙しいということもありますが、公務員であれば理解も得やすいと思いますし、また、防衛に関する知識のある公務員というのは、危機管理能力という面では、トレーニングを受けているわけですから、本業にも役に立つかもしれない。

 そういった意味で、公務員の予備自衛官をふやすということについてお伺いします。

田中国務大臣 国家公務員及び地方公務員における予備自衛官等に関する御質問と思います。

 国家公務員または地方公務員である予備自衛官は、御指摘のように約千三百人、即応予備自衛官は約五十人、予備自衛官補は約五十人おります。予備自衛官、即応予備自衛官を確保していくことは大変重要なことだと思っております。

 特に、御指摘のように、公務員の皆さん方も、この大震災等におきましても緊急に対応していただいておるということでございますし、確かに公務員は大変忙しい状況でありますが、職種によってはそういう緊急時にも対応できるという方々もいらっしゃるわけでございますので、私は、こういうものを含めて、多くの国民の皆さん方に予備自衛官制度についての御理解をまずいただく、そしてまた御協力をいただくという形をとっていければと思っておるところでございますので、また先生の御協力もお願い申し上げたいと思います。

山内分科員 続きまして、また公務員の、今度は、予備自衛官ではなくて、任期制自衛官への採用についてということを提案させていただきたいと思います。

 公務員として、例えば三十年、どこかの役所で働く中で、そのうち二年か三年、志願して任期制自衛官として働くといったような制度もつくってはどうかなと思います。

 実は、青年海外協力隊に公務員が参加するときには、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律という法律が既にあります。公務員、学校の先生みたいな地方公務員とか国家公務員を含めて、協力隊員になるときは現職参加ができるんですね。現職参加して、またもとの職場に復帰できるという法律まであります。

 同じように、任期制自衛官で、公務員の中で二年か三年自衛隊で働いてみたいという人がいれば、そういう制度をつくってもどうかなと思います。戦前はそういう制度が普通にありました。例えば、命のビザで有名な外交官の杉原千畝さん、彼も、外交官試験に受かって外交官になった後、途中で二、三年、陸軍にみずから志願して兵隊になって、それからまた外務省へ戻って外交官になっている。

 こういうことがあると、実はほかのいろいろなプラス面もあると思うんですね。外交官で自衛官を二、三年やっていれば、安全保障に関する現場の知識が身につく。防衛省に人事交流というのはあるんでしょうけれども、それとは別に、そういう任期制自衛官で二、三年働いてみる。あるいは、海上保安庁の職員が二、三年任期制自衛官で海上自衛隊へ行けば後で連携も容易になるとか、いろいろなプラス効果があると思うんですね。地方公務員の人で自衛官経験があれば、危機管理能力とか防災の対応能力も身につくと思います。

 現職の公務員の二、三年の任期制自衛官への参加、こういうことがあるといろいろなメリットがあると思うんですけれども、そういう制度はつくれないものでしょうか。

田中国務大臣 先生の御指摘は、自衛隊員以外の公務員に自衛官の経験を積ませる仕組みをつくることについての御質問だと思います。

 国家公務員等の人材育成は政府全体として取り組むべきものであり、その重要性に鑑み、現在も事務官等については省庁間での交流及び地方自治体との間においても人事交流を行っているところでございます。

 任期制自衛官への対応ということでございますけれども、技術、経験、知識等の特殊性に鑑み、自衛隊員以外の公務員を出向等の形で短期間自衛官として勤務させることについても検討はいたしておりますけれども、慎重な検討が必要だという認識でございます。

 やはり、先生のお話のように、任期制自衛官の制度をよく認識して、そして、その役割を担っていただくために、防衛省といたしましても、この制度についてもっとよく皆さん方に理解をしていただいてやっていきたいと思いますし、教員の皆さん方が福祉の環境を体験して、そして教員になられる、こういう制度も導入されたわけでありますので、多くの方々が定年退職をされた中で、次のことにつきましてこの制度を活用できるようなものにつくり上げていく努力はしていければと思っております。

山内分科員 アメリカの国務省とか国防省には海兵隊上がりみたいなのがいっぱいいるわけですけれども、そういう人は、恐らく、安全保障もよくわかっていて、外交もよくわかっている、そういう人材になっていると思うんですね。そういった意味では、余り慎重にならずに、いろいろアイデアを出していただきたいと思います。

 以上で防衛省の質問は終わりまして、内閣官房に質問をさせていただきます。

 東日本大震災におきましては、どちらかというと、我々のように政府の外から見ていると、政治主導といえば政治主導、しかしながら、何となく、ふだんから危機管理のための専門のセクションの人たちが余り動いていなかったような印象を受けました。

 内閣官房には、内閣危機管理監という非常に重要な、官房副長官級のポストがあろうかと思います。そして、内閣官房は、日ごろ、平素から、津波だ、原発事故だ、テロ対策だといろいろな緊急事態を想定したシナリオを準備して、対応のマニュアルもできているはずです。しかしながら、東日本大震災のときは、そういう事務方の危機管理のプロの人たちというのが動いているのかどうか、外から見ていてわからない。むしろ、報道されていたのを見ると、当時の菅総理が官邸で混乱していたり、あるいは、菅総理が引っ張ってきた民間の大学の先生たちが前面に出ていた、そういう印象しか受けません。

 実際、事前に用意していたこういった内閣官房の危機管理のプランとかシナリオというのはどの程度有効に生かされていたんでしょうか。その点についてお尋ねします。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災におきまして、内閣危機管理監は、発災後速やかに官邸対策室を設置いたしまして、あわせて、関係省庁の局長等から成る緊急参集チームを招集し、関係省庁からの情報の集約や政府としての初動措置の総合調整を集中的に実施するとともに、協議の結果を内閣総理大臣等に報告し、必要な指示を受け、各省庁へ徹底するなどの役割を果たしたところでございます。

 具体的に申し上げますと、電源車やポンプ車の確保ですとか住民の避難など、各省庁のオペレーションの調整や情報共有、それから地方自治体との連携などの総合調整を行い、各省庁の持ち得る限りの力を結集させて初動対処に努めてきたところでございます。

 今回の地震、津波や原子力発電所事故への対応についての反省、教訓等を踏まえまして、引き続き、実効性のあるマニュアルの整備ですとか訓練の実施、それから資機材の高度化など、危機管理対応のさらなる充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

山内分科員 もうそろそろ時間なので、質問というより、最後に意見を言わせていただいて終わりにしたいと思います。

 東日本大震災の後、いろいろな何とか対策本部がたくさん立ち上がりました。恐らく内閣官房が事前に用意していたものよりもたくさんできて、結局、それが乱立して混乱を招いたのではないかと思います。そういった意味では、今後、危機管理において政と官の役割分担をどうするのかということが重要ではないかと思います。ある意味、あしき政治主導と言ってもいいような例もたくさんあったんじゃないかと思います。

 私は、危機のときほど、その道のプロの、防衛省であったり、警察であったり、国土交通省であったり、そういった部門で、日ごろ、平素から、災害対策のことを考えて、専門のトレーニングを受けて、そしてマニュアルをちゃんと整備している人たちの意見を大事にするべきだと思っております。今回の東日本大震災の反省をきちんと将来に生かすために、どういう作業が行われたかという検証作業と、今後のマニュアルの改定、今後の意思決定や意思疎通のあり方の改善、そういった将来に向けた改善に努めていただきたいと思います。

 えてして、こういう大きな災害の後は、アメリカのFEMA型の組織をつくれみたいな意見がよく出るんですけれども、私は、組織をいじくるよりも、今ある組織をきっちりと見直して、足元を固めて改善を図っていくことが先決だと思っておりますので、ぜひ、内閣官房では、今後に向けた改善作業を行っていただきたいと思います。

 もし何かあれば一言。なければ、以上で質問を終わります。

齋藤内閣官房副長官 時間がないようなので、一言だけにさせていただきます。

 議員とは私も昨年国対で御一緒させていただきまして、ちょうど三・一一のときは私も院内におりまして、まさか九月から官邸に入るということは想像もしていなかったんですが、日々緊張した仕事をさせていただいています。

 そして、今のお申し出につきましては、まさに、政治と行政、政官連携してが大切だということについて、新しい法律をつくるということについては、この間いろいろと対応している部分もありますが、まずは原発については、政府事故調、そして民間でも、あるいは国会でも事故調が行われ、政府の原発におきます事故調が中間報告を取りまとめまして、今私どもがすぐ取り上げねばならないことについてはすぐ生かさせていただいているつもりでございます。

 いずれにしましても、日ごろ、いつ何どき起きるかわからない自然災害を含めまして、私ども政府と、そしてまた行政が一体となって十分取り組ませていただくことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございます。

山内分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

武正主査 これにて山内康一君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村分科員 民主党の本村賢太郎です。

 田中大臣初め政務三役の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 東日本大震災から一年がたとうとしております。防衛省・自衛隊の皆様におかれましては、復旧復興を初め、被災地の皆さん、そして私たち国民一人一人に大きな勇気を与えていただいたことに、改めて感謝、御礼を申し上げます。

 また、米国を初め諸外国の皆様におかれましても、東日本大震災の復興に関しまして大きな御支援をいただいたことに、この場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 きょうお配りさせていただきました、私の地元であります神奈川県相模原市の相模総合補給廠に関する質問から入らせていただきたいと思います。

 この相模総合補給廠でございますが、二〇〇六年の五月一日、日米ロードマップの合意を受けて、そして二〇〇八年六月六日、日米合同委員会の中で、在日米軍相模総合補給廠の一部返還の合意がなされております。昨年そして一昨年前と予算委員会分科会でこの相模総合補給廠の質問の機会をいただき、返還の時期等々の御答弁を頂戴してきたわけでございますが、まず冒頭、平成二十四年度、来年度の予算に関して、相模総合補給廠管内の予算の内容をお聞きしたいと思います。

    〔主査退席、今井主査代理着席〕

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度の相模総合補給廠の一部土地の返還に係る政府予算案の内容ということでございますけれども、二十四年度予算案におきましては、相模総合補給廠の一部土地の返還に伴い必要となる施設の整備を実施するための経費として、境界柵、家族住宅等の整備に係る経費として、契約ベースで約六十億円を計上させていただいているところでございます。

本村分科員 きょうお配りしました資料に基づきまして、だいだい部分、鉄道・道路用地の返還約二ヘクタール、そして家族住宅区域及び野積み場の一部返還約十五ヘクタール、この一部返還が日米合同委員会で合意がなされているわけでありまして、昨年もこの場で、まず鉄道・道路用地の返還二ヘクタールに関して、防衛省の方から、二、三年を努力目標として返還をしてまいりたいという御答弁をいただき、さらに、さまざまな条件が整えばその範囲内で完了して返還を早めていきたいという御答弁もいただいているわけでございますが、今のこの二ヘクタール部分の返還の状況に関して、時期等も含めて、御説明をお願いいたします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 道路用地の二ヘクタールの先行返還に係る御質問でございますけれども、この部分につきましても、返還の条件に従いまして境界柵等の移設の整備工事をやっているところでございまして、現段階では、おおむね二年程度で完了できるのではないかというふうに見積もっているところでございます。

 なお、地元相模原市の方から、全体十七ヘクタールの返還のうち二ヘクタール、道路用地について先行返還の御要望もあるというふうに承っておりますので、その具体的な時期等については、改めて相模原市等と調整させていただければというふうに考えておるところでございます。

本村分科員 次に、この十五ヘクタール部分、家族住宅及び野積み場の一部返還に関しまして、昨年のこの分科会におきまして防衛省の方から、十五ヘクタール部分に関しては三、四年程度で実現をしていきたいという御答弁もいただいているわけでございますが、この十五ヘクタールに関しては、現状を返還時期等も含めて御説明いただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 残る十五ヘクタール部分の返還の完了時期でございますけれども、先ほど申し上げました二ヘクタールも同様でございまして、施設整備の期間については、今後の予算の状況、工事の工程などにかかわるということもございます。

 そういう意味で、現時点で具体的な整備の完了時期について確たることを申し上げるということは困難ではございますが、十五ヘクタール部分については、おおむね三年程度で完了できるよう努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

本村分科員 今、山内局長の方から、二ヘクタールに関しては二年程度、そして十五ヘクタールに関しては三年程度という御答弁をいただきまして、地元としても、加山市長を初め市民の一人として大変うれしく思いますし、ぜひとも、田中大臣の強いリーダーシップによってこれを一日も早く推し進めていただきたいと思っております。

 そうした状況の中で、確認も含めてもう一点質問いたします。

 先ほど、二年程度、そして三年程度という形で、二ヘクタール、十五ヘクタールの御答弁がございましたが、二〇一三年度、そして二〇一四年度という形で捉えてよろしいでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年度、二〇一四年度、二年程度あるいは三年程度ということでございますので、これはある意味で現時点での見積もりということでございまして、確定的な時期ではございませんが、先生の御指摘になったとおりというふうに御理解いただければと思っております。

本村分科員 地元としても、大きな市街地にこの基地負担、二百十四ヘクタール、相模原のど真ん中でありまして、政令市相模原の発展のためにも基地の返還は喫緊の課題であります。加山市長そして相模原市議会初め市民の大きな願いでありますので、時期等がようやく、また前向きな御答弁もいただきましたので、本当に感謝申し上げたいと思います。

 次に、この黄色の部分、共同使用部分三十五ヘクタールに関して質問させていただきます。

 これに関しましては、平成二十二年十月六日に私どもの加山市長と、そしてワーシンスキー米陸軍司令官、前でございますが、覚書が取り交わされまして、共同使用の申請書を二十二年十二月に南関東防衛局へ相模原市から提出したというふうに伺っております。

 もう一年以上も経過しておる場所でありまして、ぜひとも、田中大臣、日米合同委員会で、私ども相模原市の願いである野積み場の共同使用に関して、年度内、合意に向けて頑張っていただきたいんですが、その意気込みをお伺いいたします。

神風大臣政務官 ただいま御指摘の点でありますが、現在、約三十五ヘクタールの共同使用に係る日米合同委員会の合意を得るために、日米間で協議を行っているところでございます。

 本共同使用につきましては、地元の期待が高いものと承知をいたしておりますので、合意時期について確たることを今申し上げられない状況ではありますが、防衛省としては、可能な限り早期に合意できるよう精いっぱい努力をしてまいりたいと思っております。

本村分科員 今、神風政務官からも、できるだけ早くという御答弁もいただきました。

 この共同使用に関しましても、先般の衆議院予算委員会で、櫛渕衆議院議員から中川防災担当大臣に、首都圏の防災拠点として相模総合補給廠の位置づけの御質問もさせていただき、中川大臣から、一つの案として受け入れたいという御答弁もいただいておるわけであります。

 ぜひとも、私ども相模原市、そして、南関東地震、首都直下型地震等々、切迫性の高さも言われている中で、防災機能を兼ね備えた形でこの共同使用地域を活用していきたいと思っておりますし、また、市民の憩いの場として、スポーツ、レクリエーションの場として、これからもさらに活用できるように、防衛省の皆様の御尽力をお願いしてまいりたいと思います。

 私ども相模原市は、昨年の十月二十六日に、災害時における在日米軍との相互支援に関しても市長と司令官の方で覚書を取り交わしておりまして、基地返還を求めてはいますが、米軍の皆さんとの理解もしっかり深めながら、基地の負担軽減をこれからもお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、やはり私の地元でありますキャンプ座間の中央即応集団司令部の移転に関しまして、朝霞駐屯地から平成二十四年度を目途にCRFの部隊が来られるということであります。もう既に、キャンプ座間、今いわゆる分屯地でありますが、間もなく駐屯地になるわけでありますけれども、この場所において、今、CRFの受け入れの準備が着々と進んでいるわけでありますが、このCRFの規模等々をまずお伺いしたいと思っております。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの、朝霞駐屯地から移駐する中央即応集団の関係をお答えさせていただきます。

 中央即応集団の司令部がキャンプ座間に移転することに関しましては、先生御存じのとおり、平成十八年五月の日米安全保障協議委員会、2プラス2で承認されました再編の実施のための日米ロードマップにおきまして、二〇一二年度、平成二十四年度までに実施、さようになっております。

 これを踏まえまして、平成二十四年度に、中央即応集団司令部の要員約二百五十名が、朝霞駐屯地からキャンプ座間へ移駐する予定でございます。

 また、同司令部の移駐に伴いまして、現在の座間分屯地を、現在まだ仮称ではございますが、座間駐屯地とさせていただきたいと思っております。そういたしますと、駐屯地支援機能の整備が必要になってまいります。座間駐屯地業務隊、これも仮称ではございますが、こういった部隊を新編させていただきたい、かように思っておりまして、約四十名の増員が予定されておるところでございます。

 その結果、現在の座間分屯地の定員、これが現在約二百八十名でございますが、今後、座間駐屯地というふうな形になった場合には、約五百七十名、このようなサイズになってくるというふうに予定いたしております。

本村分科員 CRFの概要がほぼわかってまいりました。

 本当に、今、東日本大震災を含めて、国民の皆様が、国防というものに対して、さらには防衛省・自衛隊に対して、より御理解をいただける大きな機会でありまして、CRFの移転に関しましても、私自身は歓迎をしてまいりたいと思います。

 その中で、もう一点、昨年も御質問したんですが、実は、日米合同委員会の中でも、キャンプ座間内のヘリポートの話がございます。このことに関しまして、昨年、朝霞駐屯地において、CRFのヘリの離発着は、平成二十一年度は大体七十回程度ということでございました。

 参考で結構なんですが、二十二年度はどのぐらいであったのか、お答えをお願いいたします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 朝霞駐屯地におきます中央即応集団のヘリの離発着回数でございますが、平成二十一年度は約七十回ということでございました。

 ただ、この回数につきましては、年度年度、さまざまな要因で変動するものでございまして、平成二十二年度は東日本大震災の対応ということもございまして、この回数が約百五十回となっております。

本村分科員 平成二十一年度は、CRF、朝霞で七十回程度、昨年は大震災等々で百五十回というお話もございました。

 ぜひ、地元市としても、事前にどのぐらいの頻度があるのかということも含めて御説明いただけると、市民の方も大変受け入れやすくなるのじゃないかと思いますので、事前にCRFの規模、時期等々がわかりましたら、今後、よりよい説明をまた地元市にお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次の質問は、二月八日、在日米軍再編見直しに関する文書が日本と米国の中で取り交わされたわけでありまして、この中で、普天間移設とパッケージであった、例えば沖縄の海兵隊のグアム移駐や、さらには沖縄本島中南部の米軍五施設・区域の返還を切り離して先行させるというお話もございました。

 こういった状況の中で、昨日、共同通信が配信した記事によりますと、普天間飛行場の大規模な補修が行われるんじゃないかという記事が各紙に掲載されておるわけでありまして、誤ったメッセージとならないようにしていかなきゃいけないと思っております。

 既に日本政府は、一九九六年の日米特別行動委員会の合意以降、滑走路や格納庫などの主要施設の補修に関しては、移転協議中との理由で予算計上をしてこなかったわけでありますが、今回、この記事によりますと、日本も費用の分担をせざるを得ないということで、米国の方に細目を求めたという記事もあったわけであります。

 まず、二月二十七日、八日に日米外務・防衛当局の審議官級協議が行われ、このような話があったのか、お伺いいたします。

西政府参考人 先生、先般行われました審議官級協議の関係のことをお答えさせていただきます。

 申しわけございません。今のところは、まだ日米間における協議が続いております関係で、その詳細に関しましてはちょっと控えさせていただきたいと思っておりますが、私どもといたしましては、普天間飛行場の危険性が除去されないまま固定化する、これは絶対に避けなければいけない、このように思っております。

 今後とも、私ども、移設のために全力を尽くしてまいる所存でございます。御了解いただければと思います。

本村分科員 総理も、一刻も早く普天間の危険性を取り除くという御答弁をしているわけでありまして、今回の記事が、沖縄県民を初め全ての皆さんに誤ったメッセージとならないように、田中大臣初め政務三役、防衛省の皆さんの御説明を県民の皆様にしっかりとしていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、厚木飛行場に関しまして質問させていただきます。

 これも私の地元、隣市でございまして、厚木飛行場もやはり岩国への移駐が、空母艦載機五十九機、二〇一四年を目途に行われるというお話でございますが、これは、先ほどお話ししました二月八日の日米のいわゆる合意でも、二〇〇六年のロードマップの記載のとおり、一四年までに五十九機の艦載機が移転するということで変わりはないでしょうか。

渡辺副大臣 この問題については、地元の議員として大変熱心に取り組まれていることに心から敬意を表したいと思います。

 二〇一四年までにロードマップの再編案を着実に実施するという方向につきましては変わりございません。

 また、岩国という名前が出て、知事さん初め岩国市長さんが、この問題で非常に不信感を抱かれたといいますか、田中大臣のもとに知事、市長もお見えになりました。そして再三、国会では野田総理が、岩国への追加の負担はないということを繰り返し申し上げておりますので、この点については、ロードマップどおり二〇一四年までに完了するということで、厚木の艦載機の移転を、二十四年度にも必要な予算を計上しまして、今着々と進めているところでございます。

本村分科員 今、渡辺副大臣の方からも、岩国へのいわゆる沖縄からの海兵隊の移駐もないということで、予定どおり二〇一四年という答弁をいただきましたので、その時期を目指して頑張っていただきたいと思います。

 次に、岩国の基地に関する質問をちょっとさせていただきますが、受け入れ側として、二〇一四年までに米軍の住宅千六十戸を建設するということでありまして、七百九十戸は基地内、二百七十戸が基地外というふうに伺っております。

 この基地外に関して、愛宕山の山口県住宅供給公社の跡地売却が昨年進んでおりましたが、ことし、一転して千五百名の海兵隊の移駐という話がありまして、山口県の二井知事や岩国市の福田市長等々がこの売却に関して難しいという、一時凍結している状態でございます。

 この理由も含めて、私はこれは再開してもらわなきゃ困ると思っておりまして、今後の見通し等も含めてお話をいただきたいと思います。

渡辺副大臣 この問題は歴代の副大臣が担当してまいりまして、山口県と岩国市の御理解をいただくべく交渉を続けてきたところでございます。

 昨年十二月の末に、山口県知事及び岩国の市長さんから、愛宕山の用地の国への売却という旨の回答をいただきまして、金額も提示して議論が始まったところへ、今回、岩国に沖縄の海兵隊が移転してくるのではないかということで、それならばちょっと留保させてほしいという、本来なら議会に諮っていただくところでございますけれども、売買契約を少し留保されるというような回答をいただきました。

 それだけに、総理も再三再四、この点について、岩国に追加負担はないということを申し上げておりますし、御理解いただくべくしっかりと山口県と岩国市にお伝えしておりますし、また、財政当局との関係もありますので、ここは双方のさまざまな、もう会計年度が二十四年度始まりますので、この土地の売買については鋭意推し進めるように最大限の努力をして、とにかく、そもそもの話からして、根底から変わってしまうことがないように御理解いただくべく、今努力を最大限しているところでございます。

    〔今井主査代理退席、主査着席〕

本村分科員 ぜひとも、知事、市長を初め、市議会、市民の皆さんから御理解いただけるように鋭意進めていただきたいと願っております。

 次に、岩国基地に絡みまして、FCLPの訓練の候補地となっております、二〇一一年六月二十一日に、新たな自衛隊の施設のため、馬毛島という検討対象が上がってまいりましたが、馬毛島の今の検討状況はいかがでしょうか。

田中国務大臣 空母艦載機着陸訓練、FCLPの施設の選定状況についての御質問だと思います。

 現在、南西地域における防衛体制の充実のための自衛隊施設を整備するとともに、その施設においてFCLPを実施することについて検討を進めており、施設の場所については、先生御存じのとおり、馬毛島は、その地理的要因や土地面積が十分確保できることから、検討の対象であるということで、地元に説明をしてきておるところでございます。

 防衛省としましては、現在、自衛隊の具体的な利用計画を検討するとともに、FCLPの運用所要を満たし得るか否か、米側と協議を行っているところであり、また、馬毛島の土地所有者とは、検討の一環として、土地所有者の考えを伺っているところでございます。

 平成二十四年度予算案においては、基礎的資料の収集に要する経費を計上しているところでありますが、我が国の安全保障上の重要な課題でありますので、できるだけ早く、早期に実現できるよう、地元の御意見に十分配慮しつつ検討を進めていきたいと思っております。

本村分科員 今大臣から、馬毛島も大事な防衛の一環として取り入れられているということでありまして、来年度予算、たしか二億円の事前調査の調査費が入っていると思いますが、地元市ともよく連携をしながら、協力をしながら推し進めていただきたいと願っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、厚木基地落下物事故に関してでございまして、電子戦機プラウラーが、御存じのとおり、二月八日、厚木基地周辺で二メーター掛ける一メーターほどの大きな落下物を落とし、車にぶつかったという事故がございました。

 私は、米国の緊急リリース等を含め、翻訳した記事を見て、ちょっと他人事というか、この文章、落下しましたとか、紛失したとか、いかなる個人にも被害がありませんでしたみたいな記載がありまして、ここは米国に強く、やはり大臣として、これから日本政府としてもまた強い意思を示していただきたいと願っております。

 御存じのとおり、昭和五十二年九月二十七日に横浜市緑区に米軍の偵察機が墜落し、三名の方がお亡くなりになっています。子供を含め母子三名でございますが、今、横浜の港の見える丘公園に母子像が建立されているわけであります。お母さんが病院で子供を抱きたい、もう既に亡くなった子供でありましたが、そのことを伝えずに、皮膚移植等々の手術をしながら回復の方向で一生懸命治療しておりましたが、治療のかいなく命を落とされたということでありまして、最後に子供が抱けなかったという、親にとっては大変悔しい思いもしたわけであります。

 こういった事故が過去ございまして、今回、再発防止策や原因究明がないままに、二月十一日にはプラウラーがまた飛んでいるという状況でございます。

 大臣として、このような事故をどのように捉えて、再発防止、原因究明について説明があったかどうか、そして、今後米国政府に強く原因究明、そして再発防止がなければ飛ばさないぐらいの強いメッセージを送っていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

田中国務大臣 米軍航空機からの部品落下事故についての御質問だと思います。

 御不幸な過去の事案があったということで、大変お悔やみを申し上げたいと思います。

 本件事故は、平成二十四年二月八日十四時ごろ、米海軍所属のEA6Bプラウラー電子戦機が、厚木飛行場に着陸する際、機体から外部パネルが脱落して、同飛行場北部のフェンス付近に落下し、県道走行中の車両一台に当たり、損傷を与えたものであります。

 防衛省としては、連絡を受けて、直ちに米軍に対して事実関係の照会を行うとともに、関係自治体への情報提供を行っております。また、事故当日以降、米軍に対して、遺憾の意を伝えるとともに、原因究明及び再発防止等について申し入れたところでございます。

 在日米軍がその活動を円滑に行うためには、米軍の施設・区域の周辺住民の御理解を得ることが極めて重要であると認識しておりますが、御指摘のように、米軍機の事故の発生は極めて遺憾でありまして、深く憂慮しているところでございます。

 米軍においては、日ごろから航空機の整備点検等、事故の防止に努めているものと承知していますが、防衛省として、米側に対し、安全対策を徹底するように引き続き強く求めてまいりたいと思います。

 この事案につきましては、事故後、二月二十三日に、日米合同委員会において、日本側から米側に対し、事故報告書の早期提出、事故原因及び再発防止策の速やかな公表、地元自治体への説明等を要請してきておるところでありますので、先生の御指摘でもございます、私からも米軍に対して注意を喚起していくということで進めたいと思います。

本村分科員 ぜひとも、原因究明、そして事故の再発防止を含めて米国からの回答がございましたら、地元市初め皆様にまた御説明いただきたいと思います。

 時間になりましたので、これで質問を終わりにいたしますが、昨日のニュースでも、中国の国防費が二〇一二年度一千億ドルを超えたという記事がございましたし、中国、北朝鮮、ロシア等々初め、切迫性の高い部分もございます。

 ぜひとも、日米同盟の堅持はこれからも非常に大事な部分でございまして、だからこそ、こうした米軍機の落下事故によって国民、市民の不信、不安が募るようなことがないように、大臣として強い御指導、リーダーシップを発揮していただくことをお願いして、私からの質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

武正主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野塚勝俊君。

小野塚分科員 民主党の小野塚勝俊でございます。

 田中大臣初め政務三役の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、予算委員会分科会ということでございますので、具体的な事例について伺いたいと思います。一つ目は米軍の所沢通信基地の件、二つ目は防衛医科大学校及び同附属病院、この二点について伺いたいと思います。

 今からちょうど二年前、この予算委員会の第一分科会で質問いたしましたのが、実は私の国会質問デビューでございました。そして、そのときも、今回と同じように米軍の所沢通信基地と防衛医大及び同附属病院について質問をしております。本日は、その二年間の成果についても確認ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、米軍の所沢通信基地について伺います。

 「基地全面返還は市民の願い」、これは、所沢市の町じゅうにスローガンとして高い塔のような看板がたくさんございます。大臣、私の地元所沢にお越しいただきますとすぐ見つかりますので、もしよろしければごらんいただければと思いますが、米軍の所沢通信基地の全面返還、これは私のライフワークの一つでもございます。

 以前から、地元所沢市からは本当に多くのさまざまな要望が行われてまいりましたが、それがなかなか前に進んできませんでした。それが現実でありました。そのような状況下、私は、国会議員とさせていただいた後、平成二十一年秋以降、基地全面返還に関して、防衛省また外務省の方々と連日のように議論をさせていただきました。

 初めは、全面返還なんて無理ですよという雰囲気が役人の方々からもございましたが、しかし、さまざまな議論の結果、全面返還に向けて、まず基地の中央のところに道を通すいわゆる東西連絡道路、この用地返還をさせることが全面返還への第一歩となり、その後大きな返還へとつながっていくのではないかという結論に至りました。

 そこで、その結論を受けて、具体的に何を行っていくか。まず、平成二十二年度の予算編成に際しましては、東西連絡道路の用地返還に向けた目的で、米軍の所沢通信基地の地形測量調査や既存施設の埋蔵物調査などを行うため、事前調査費を四千七百万円計上することとなりました。

 そしてその後、平成二十二年二月二十五日、私、先ほど申し上げましたように、この予算委員会の第一分科会におきまして、当時の北澤防衛大臣に東西連絡道路用地返還に向けた覚悟のほどを確認させていただいた次第でございます。その場で、北澤防衛大臣からは大変前向きな御答弁をいただくことができまして、私と防衛省そして外務省の方々と行ってきた話を、大臣のお墨つきをいただいて進めることができたという次第でございます。

 東西連絡道路用地に向けて大きく加速度を増していくこととなりました。防衛省の方々の御協力、米軍、米国政府との具体的な細かいところも含めた粘り強い交渉が重ねられましたが、その中で一つのネックとなっておりましたのは、仮に日米間で東西連絡道路用地の返還が合意されたといたしましても、所沢市の金銭的負担が余りにも多くなった場合、財政規模が小さい一地方自治体においては賄うことができません。絵に描いた餅となり、結局実現できない話になってしまいます。

 そこで、所沢市の金銭的負担の軽減が返還に向けて大きなハードルとなりました。これについてもさまざまな細かい交渉を重ね、結果として、当初予想されておりました所沢市の負担金額に比べ、約七億五千万円の負担減というところまで軽減することとなりました。

 また、東西連絡道路用地返還のみならず、今後、全面返還に向けたさらなる基地返還を続けるために、東西連絡道路用地の返還時に、道路用地の南側に位置する施設を北側に移すという交渉も行ってまいりました。結果、所沢米軍通信基地の主要な施設は道路の北側に移設することとなりまして、道路用地の南側の返還への道筋が可能となるというところまでこぎつけることができました。

 これらのさまざまな交渉の結果、昨年の三月八日に、東西連絡道路用地の返還に関する国としての最終案が提示されまして、これも絶妙なタイミングであったわけですが、もし三月十一日、東日本大震災が発生した後の提示であったならば、震災の影響を受けて、最終案の提示は相当後ろ倒しになっていたことと思います。それが、三月八日に最終案が提示され、三月二十四日に、所沢市の基地対策協議会といたしましても、これを受け入れることを結論として出されました。国も所沢市もオーケーとなり、一歩進んだ形で、その後、米軍、米政府との交渉が行われたわけでございます。

 そして、正式な手続や米政府内、米軍内の調整もまとまり、ついに、本日から十一日前となります本年二月二十三日、東西連絡道路用地の返還について、日米合同委員会において合意に至ったわけでございます。まさに、一九八二年、昭和五十七年以来、三十年ぶりの米軍所沢通信基地の返還が実現することとなりました。これだけの面積の米軍基地が返還されるということは、全国的に見ても、近年では大変まれなことなのではないかと思っております。

 そこで、田中大臣にお伺いしたいと思うのですが、今回合意いたしました日米合同委員会の意義について、どのようにお考えでございましょうか。

田中国務大臣 先生の長年の御努力が今日を迎えておると思っております。

 東西連絡道路開通までのスケジュールについてでございますが、今後、米側の返還条件となっているアンテナや通信局舎、倉庫等の施設の移設整備を実施し、所要の事務手続を経て、米側から用地が返還されることとなります。この施設の移設整備については、これまでの所沢市と当局との調整により、双方において移設経費を負担し、今先生がお話しの御努力があったと思いますが、実施することとしており、今後も、移設整備の実施方法等について、所沢市とも十分調整しながら実施していく考えでございます。

 いずれにしても、防衛省としては、これら移設整備等の実施に当たり、所沢市及び米側と鋭意調整し、できる限り早期に土地の返還が実現できるよう努力してまいる所存でございます。私も、西武線から所沢の状況を拝見することもございます。私自身もこの件につきまして鋭意努力をしていくことをお約束したいと思います。

小野塚分科員 田中大臣から大変に力強い御答弁をいただきました。ここまで至りました結果を、本当に最終的な道路開通まで、ぜひ防衛省の皆様方にもお力をいただいて進めたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、今回の東西連絡道路用地の返還につきましては、その返還によりまして、米軍の所沢通信基地が南北に分かれることになります。また、主要施設が道路の北側に移設することとなりますので、それを受けまして、今後は道路の南側部分の返還というのも課題になってまいります。

 冒頭申し上げましたように、所沢市民の皆様の願いというのは全面返還でございます。今回の東西連絡道路用地の返還も、全面返還への第一歩にすぎないと私は考えております。次なる第一歩は南側部分の返還となりますので、今回、三十年ぶりに米軍所沢通信基地の東西連絡道路用地の返還が実現いたしましたように、また、今大臣から心強い、大変力強いお言葉もいただきましたので、強い政治の意思をもちまして、ぜひ、南側部分の返還に向けて、私も行動を続けてまいりますので、防衛省におかれましても、田中大臣、また政務三役の皆様におかれましても、引き続き御指導をまたいただきまして、交渉を続けていくことを強く望みたい次第でございます。大臣、うなずいていただきましたので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、防衛医科大学校及び同附属病院に関して伺いたいと思います。

 冒頭、私の問題意識を申し上げます。

 防衛医大病院は、設立されたのが一九七七年、昭和五十二年でございます。当時、私は五歳でございましたが、まばゆいばかりのすばらしい病院でありました。しかし、以来三十五年たちまして、組織として、またシステムとして、人、物、金、さまざまな点で現在ほころびが出てきているように私は見えます。

 合計いたしますと年間で約二百億円とも言われているお金が防衛医大、防衛医大病院につぎ込まれているわけでございますが、この立派な施設を保有している防衛医大及びこの病院を、本来の目的に近づけ、再びかつてのように輝きを持つ組織にしなければならない、その問題意識で質問をさせていただきます。

 私が議員とさせていただいてからも、一つ一つ改善は進んできております。平成二十二年四月には新病棟が開設され、外来診察室及び病室面積の拡大、個室の増加などによって患者の療養環境は改善してまいりました。また、平成二十二年の補正予算におきましては、新たに最新の医療器具二十六種類、四億二千七百四十九万円分が病院に納入もされました。

 さらに、防衛医大病院の看護体制の強化を目的といたしまして、従来三年制の高等看護学院から、防衛医大の中に四年制の看護学科を新設しまして、人員もふやすという法案が提出されております。ちなみに、現在の高等看護学院とは違いまして、看護学科を御卒業された方は、四年間の一・五倍の期間に当たります六年間を医官の方と同じように自衛隊員として勤務していただく形、防衛医大の病院などに勤務していただく形となりますので、このような形でも看護体制が変わってくる、改善されてくるものと思います。

 残念ながら、この法案、衆議院では民主党及び公明党さんの賛成によりまして一旦は可決をされましたが、参議院では審議をさせていただけていない状態でございます。ぜひとも自民党さんにも御協力を賜りまして、法案を成立させていただいて、防衛医大病院の看護体制の強化を実現したいところでございます。

 このように、防衛医大病院は改善に向けて徐々には進んでおりますが、本日は、防衛医大、防衛医大附属病院が、本来の目的に照らし、さらによき組織となるために議論を行いたいと存じます。

 防衛医大自体は、医師である幹部自衛官の養成や自衛隊の医官の教育訓練を目的に、一九七四年、昭和四十九年に開設された、まさに我が国唯一の組織でございます。

 自衛隊法上、自衛隊は、国防を主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとされています。この主たる任務に該当するのが自衛隊の防衛出動であり、公共の秩序に関する活動として治安出動、災害派遣などが位置づけられておりますが、今度の日曜日で東日本大震災から一年がたちます。

 主要任務の一つであります災害派遣に関連してでございますが、大震災の際、防衛医大の対応はどのようなことが行われていたのでしょうか。確認させていただければと思います。

下条大臣政務官 お答えいたします。

 防衛医大の対応と成果についての御質問でございます。防衛医大自体は、発災後直ちに、医師二名、看護師二名、薬剤師一名から成る防衛医大DMATにより、入間基地の広域災害搬送拠点の立ち上げをまず行いました。東京立川のDMATセンターにも、調整要員、医師一名を派遣いたしました。さらに、被曝患者の受け入れ要請等に備え、除染テントを設置し、医師等を待機させていただきました。

 また、被災地への派遣も行っております。厚労省からの要請を受けて、医師一名を福島県に派遣し、入院医療機関の調整や医療支援を実施しました。日本看護協会の要請を受け、看護師一名を岩手県に派遣し、被災地における看護支援を実施しました。また、東京都監察医務院と協力して、医師一名を派遣し、御遺体の検案支援を実施させていただきました。さらに、宮城県内の御遺体安置所支援を行う東北防衛局職員等のメンタルヘルスケアを防衛医大の精神科医が実施させていただいております。

 東日本大震災に際しての医療支援等の一翼を私どもは担ってきたというふうに判断しております。

小野塚分科員 ありがとうございます。

 今、下条政務官からお話がありましたとおり、防衛医大の近くには航空自衛隊の入間基地がございます。そういう意味においては、非常に地理的なものにおいてもオペレーションができるところでもあり、また、責任の一端を大きく担っていらっしゃるのがこの防衛医大であり、その病院であると思っております。大変難しいオペレーションが必要となってくると思います。

 その一方で、地域医療におきましても大変大きな、重要な任務を担っているのがこの防衛医大病院でもございます。大震災のような有事の際、地域医療とのかかわりというのはどのように想定なされているでしょうか。

渡辺副大臣 先生が大変防衛医大のことについて取り組まれていることに敬意を表したいと思います。

 私もかつて訪ねたことがございまして、いろいろお話を伺ってまいりました。一つに、地域住民の診療では、高度な設備をもって入院に対応できる三次救急医療機関でもありまして、また、研究機能を持っている特定機能病院という役割、そして、予備のベッドを活用して、緊急時には負傷者等を収容できるような災害拠点病院として、三つの指定を受けているわけでございます。

 エリア的には、防衛医科大学、八十万人とも九十万人とも言われる方々が対象です。それだけに、先生は多分、首都圏直下型地震等を念頭に置かれていると思いますけれども、その際には、とにかく、地域の拠点病院として、今回の震災の拠点病院が、東北の病院がどのような活動をしたか、また何を求められたか、また、何ができて何ができなかったかということについては、今防衛省の方でも検証をしております。その中で、医療機関の役割について、どうしていったら一番事が起きたときに対応できるだろうかと、来るべき事に備えて、今、検証を始めたいと思っております。

 その中で、今までも埼玉県や所沢市との国民保護実動訓練やいろいろな合同訓練には参加しておりますけれども、やはり、今おっしゃったように、震災からちょうど一年、あの忌まわしい、本当に大きな犠牲を出した震災の、痛い痛い、大きな大きな教訓も、もう二度とこういうことがないように、少しでも人の命を救えるような形で、防衛医科大学のあり方についてはぜひ取り組んでいきたいと思っております。

 また先生からいろいろ御指摘、アドバイスがございましたら、よろしくお願いいたします。

小野塚分科員 ありがとうございます。渡辺副大臣におかれましては、防衛医大にもお越しいただいたというお話、また今の御答弁、本当にありがとうございます。

 有事の際というのは、組織の面が重要です。特に、私、今回の大震災を受けて、まさに人というのも重要だと思います。特に、防衛医大という、まさに自衛隊の組織の一つでございますね、このところにおいては、人事におけるトップ、その人材というのは非常に重要になってくると思うんです。

 今、首都圏直下型のお話もいただきましたが、それ以外にも、こんなことは考えたくありませんが、万々々が一ということを踏まえれば、例えば戦争などの有事なども考えられます。そのようなときに、防衛医大のトップである学校長、またはトップじゃなくても教官の方々、このような方々に、そのような有事のときのオペレーションの訓練というのはどのような感じになっているのでございましょうか。

渡辺副大臣 防衛医科大学を出た後に、全国の自衛隊病院やあるいは部隊で勤務をして、時には国際貢献の医官として現場に若いうちにも行っていただきます。特に、研究をする機能も、私かつて伺ったことがあるんですが、例えば銃創とか爆創とかという、聞きなれない、銃の傷とか爆弾を受けた後の傷とか、こういう、普通の医療機関では研究しないようなことも研究している先生がいまして、防衛医学という立場からいろいろ貢献されている方々がいらっしゃいます。

 また、そういう方々が教授等に当たるんですが、多分、先生の御指摘は、防衛医大の先生じゃなくてよその大学から来られる方が多いんじゃないか、それで何かあったときに対応できるのかというような御指摘かと思いますけれども、今、医科大学の四十三名の教授のうち、防衛医大卒業の方が八名いらっしゃるんですね。あとは他大学からですけれども。

 ただ、先生がおっしゃったように、開校してまだ三十八年ですから、十八歳で入学した方が、最初の卒業生でまだ五十六歳ということで、一線で活動されている方も多いんですが、今後はいろいろな人材が、特に防衛医大の本当にプロパーといいましょうか、卒業生として就任されるようなことも当然出てくると思いますけれども、ぜひそういう意味では、防衛医学のまさに権威という方々が指導者となるべく、いろいろ今後は考えていきたいなというふうに思っております。

 以上です。

小野塚分科員 ありがとうございます。本当にその問題意識でぜひ進めていただければと思います。

 今、一期生の方が五十六歳というお話もございました。やはり組織というのは、トップがみずからの出身であったりすると、同じ釜の飯を食べた仲間ということもありますし、その士気も高まってまいります。そのようなことも踏まえて、ぜひ組織体制を、いわゆる国の組織であります。国が、防衛省がしっかりとイニシアチブをとってやっていただければと思います。

 また、あとは具体的に人、物、金について申し上げますと、病院には八百床の定員があるわけなんですが、現在、運用の問題で五百五十床まで減少していると聞いております。また、患者の方々の数も、平成元年とか三年のころは一日当たり六百人を超えていらっしゃったのが、現在、平成二十一年以降は四百七十人を割り込んでいるという現状でございます。このような現状について、何か改善策についてお考えでございましょうか。

渡辺副大臣 病院の収益についてでございますけれども、人の不健康が収益というのも、何か私は非常に言葉は抵抗があるのですけれども、それでも、独法化とか、いろいろ検討されたことはあります。ただ、防衛医科大学という大学の特別性を考えますと、なかなか独法化ということにもならない。この話は一回見送られました。

 また、反面、そうはいいながら、健全な運営のために、あるいは地域の医療機関としての顔も、防衛医大としての特性とあわせて、地域の信頼される医療機関としての、医療機械なんかも含めてあの病院で診てもらいたいということを考えると、やはりどうしてもこれから考えていかなければいけないのは、防衛予算は限られておりますが、その中で、防衛医大のいろいろな医療の装備品といいますか、医療機器、機材なんかの確保については取り組んでいかなければなりません。

 その点については、我々も防衛医大の方々に申し上げているのは、防衛医大としてこれからどういう予算が必要なのか、ぜひ病院の中から上げていただきたい。そして、これから首都圏の直下型の中で、地域の中核病院としての機能を有していって、何かのときには対応する拠点になりますから、何が必要かということについては、受け身の形ではなくて、防衛医大の側からも、ぜひ、防衛予算の中でこういうことが必要だということがあれば、財政当局とも、我々三役が後押しをして予算確保に向けて努力していくので、少し物を言っていただけるような防衛医科大学になっていただきたいということでお願いしているところです。

 また、先生も防衛医大にかわって、直接言えないことは先生を経由してでも、ぜひ我々に言っていただけるようにお願いをしたいと思います。

 ありがとうございます。

小野塚分科員 ありがとうございました。そのとおりでございます。

 いわゆる独立行政法人の議論がありました。平成二十年にはありまして、結局見送りになったわけです。それで、今、副大臣おっしゃっていただいたとおりの理由だったわけですが、一方で、国立病院というのは以前は国立病院特別会計というのがあって、それが独立行政法人になって、言葉は収益というのはあれですけれども、いわゆる収益がわかるようになっているわけですね。

 例えば、私の地元にございます西埼玉中央病院という国立病院なんですけれども、これも、例えばバランスシート、またPL、またキャッシュフロー計算書、これを見ようと思えばすぐ見られます。しかし一方で、防衛医大病院というのは、それが一般会計と一緒になっている関係もありまして、なかなかわからないという形です。

 そういたしますと、もちろん、予算交渉の中でいろいろ必要なものは獲得していく。大臣、副大臣、政務官のまさに御指導、また、私ももちろんそういうことを申し上げますが、システムとして、やはり交渉の中でとなりますと、国の財政が厳しい折、ちょっと待ってくれよ、後にしてくれ、ほかの病院ではまだまだそんな医療器具はないから、もうちょっとたってから、ほかの病院一般に入ってきたら、その医療器具を入れましょうという後回しになりがちなんですね。それをどうにかしてシステムとして変えることはできないか。一般会計化いたしますと、結局は、言い方はあれですけれども、財務省の懐に入って財務省と交渉しなければ、その医療器具は入ってこない。

 一方で、防衛医大病院というのは大変に重要な任務を担っている病院でございますので、それを、例えば一例としてですけれども、防衛医大病院で上げた利益については、何らかの形で、特別会計とは言いませんが、独立行政法人というわけにもいきませんが、防衛医大ではなくて防衛医大附属病院の分だけ別建てするだとか、また、そういう別建てという形ができないのであれば、一般会計の中に入れるときであっても、この部分は防衛医大病院のいわゆるプラスの利益として入っているんだから、防衛医大病院にちゃんとそれに見合うだけのものは最低でもつけてほしいとか、そういう形の、独立行政法人にならぬとも、何か防衛医大病院にインセンティブが働くような制度が必要なのではないかと思うんです。

 実際に他の病院と比べましても、防衛医大病院で働かれている医師、看護師、理学療法士の方々、大変激務の中、働かれています。その激務の中で働かれていくために、そのモチベーション、やる気を高めていくためにも、頑張れば頑張っただけ、お給料であったり、またはいろいろな立派な医療器具が入ったりして、患者さんのためにも役立てる。そういうシステムを、いわゆる一般会計という大きなくくりの中に入ってしまうとわかりづらくなる、そこは何かインセンティブが働くようなシステムをつくれないかというのが、実は私が議員になってからのずっと問題意識で、これは防衛省の方とも、また、私、財務金融委員をずっとやっておるんですが、そこでも議論をさせていただいている次第でございます。

 その辺、今の国家財政におきましては、これだけ重要な防衛医大がじり貧になってしまいかねない、お金の面だけでじり貧になってしまって、ひいては日本の国防にもかかわる問題でございますので、ぜひそこは何らかの知恵を、私も当然出しますので、それはぜひ防衛省の皆様方、政務三役の皆様方においても御指導をいただければと思う次第でございます。

 予算・決算の透明化ワーキングチームということを党の中でも立ち上げています。先ほどの、一般会計に入れたときにその利益を戻す、そういうことも透明化していくことによって、防衛医大がよりよき形になるようなシステムをまた党の中でも議論していきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 それで、先ほど副大臣からおっしゃっていただきました人の部分なんですけれども、四十三名中八名でいらっしゃる、こういうところを、ぜひ国の、防衛省としてのグリップをしっかり持っていただいて、人事を行い、国防をやっていただきたいんです。

 例えば、大学内、病院内の人事はどのように決められているのか。防衛を担う大変重要な大学でございますので、国がイニシアチブをとるという意味においてそこがどうかということもお伺いしたいですし、また、ちょっと具体的な例であれですけれども、学校長の勤務延長というのが前学校長のときにも行われております。そのときの事情はどういうものであったのか、また、今回の学校長はどういうことになるのかということも含めて、先ほどの問題意識も含めてお答えをいただければと思います。お願いいたします。

渡辺副大臣 学校長の人事について、現在の学校長がどうなるのかということについては、まだこれは今時点でどうこうと具体的に言えるような、人事に関することでございますので、大変申しわけありません、現時点でお答えは差し控えさせていただきます。

 前回あった勤務延長の点につきましては、当時、まさに防衛医大のあり方検討ですとか、三年の看護師養成課程を四年にする四年制化の検討が行われていたということで、引き続きその問題にかかわっていただきたいということで延長されたと承知をしております。

小野塚分科員 ありがとうございます。

 問題意識は、働いている方々の、本当に激務の中でのモチベーションを高めるということでございます。先ほど、第一期生の方が五十六歳、今幹事でいらっしゃる方も五十六歳でいらっしゃいます。そういうことも含めまして、ぜひ人事には、自衛隊という大きな組織の人事を担われている政務三役の皆様でございますので、特にこの防衛医大につきましても、同じような問題意識でぜひ行っていただければと思います。

 防衛医大、先ほど申し上げましたように、我が国唯一の大変重要な任務を担っている組織でございます。病院におきましては、医師の方、看護師、理学療法士の方、現在、人数が足りているとは思えません。先ほどの法改正におきましても、看護体制が変えられるように今進めているところでございますが、国として、最高水準の医療が大学校で学べ、そして、附属病院でその医療が行われるような学校にしていただければと思います。

 組織、システムとして、人、物、金、さまざまな点で、今、正直、ほころびが出ている現状を具体的に改善していくこと、この点、私も国会議員の一人として、また地元の議員といたしまして、しっかりとかかわっていく所存でございます。ぜひ、防衛省におかれましても問題意識を持って進めていただきたいことを強く望みまして、私も汗もかきます、そして政務三役、田中大臣、渡辺副大臣、そして下条政務官、お知恵をいただきまして、防衛医大のこと、また病院のことにつきましても、改善、問題解決していくことをどうかよろしくお願い申し上げまして、私の最後の言葉とさせていただきます。どうもありがとうございました。

武正主査 これにて小野塚勝俊君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺浩一郎君。

渡辺(浩)分科員 新党きづなの渡辺浩一郎でございます。

 きょうは、防衛装備品の調達のことについて、ひとついろいろと質問させていただきたいと思っております。

 我が国の周辺を取り巻く環境が大変厳しい中、何か変なことにならなければいいなと思っておりますけれども、もしも有事になったときに、やはりそれぞれの国が持っている装備品の優劣が有事の際の決着の大きなかなめになるということが、当然考えられるわけです。昔でいうと、兵器の優秀さが問われることが当然出てくるわけですね。ですから、この装備品のよしあしというのは、やはり日本としては相当努力をしていかなきゃいけないというふうに思うわけです。

 幸いにして、私どもは、装備品についての優秀な技術を一方では少しは持っているかと思っておりますけれども、そういった状況の中で、ことしの一月に三菱電機の水増し事件が起きました。

 このことについて、基本的なことだけちょっとお伺いしたいんですけれども、この三菱電機の水増し事件、ことしの一月に起きましたが、何について、いつ、幾らで契約をしたのかということを、わかる範囲で結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 今回のこの過大請求事案でありますけれども、現時点においてわかっているのが、平成二十一年度に契約を締結した〇三式中距離地対空誘導弾、契約金額がおよそ三百三十六億円、この契約について、昨年の秋に、防衛省に対して部外から、いわば垂れ込みといいますか、不正やコストの水増しを行っているという情報提供がありまして、抜き打ち調査を一月十七日に防衛省で行い、そしてその十日後の一月二十七日に、指摘のような工数等のつけかえといういわゆる不正があったことは情報提供どおりだったということで、今現在、さらに細部にわたって調査をしているところでございます。

渡辺(浩)分科員 その発覚した状況ですけれども、情報提供者がいたということでございますが、もう少しそれを差し支えない範囲で聞きたいなということと、新聞報道によりますと、鎌倉製作所というんですか、これは三菱電機とどういう関係なのか、ちょっとそのこともお教えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 どなたから情報提供されたというのは、正直、私どももわかっておりません、大体匿名で行われることが多いものですから。防衛省あるいは私どもの議員会館の事務所等に何らかの情報提供がありますが、真贋のはっきりしないものも含めて、ほかにも実はあるんです。それが、デマの類いなのか、ライバル社を例えば少し中傷する意味なのかも含めて、信憑性の非常に疑われるものまでもございます。そういうものもあるということは御承知おきいただければと思います。

 今お話のありました三菱電機の関連会社ということで、調べたところ、実は、幾つかの会社が過大に申告したということもございました。これは、三菱電機さんも弁護士の方を入れて内部の調査もしております。そして、我々の方の装備本部から人が入って特別調査を行っておりますけれども、三菱電機の本体以外に、四社の会社がやはり水増し請求をしていたということが指摘されました。

渡辺(浩)分科員 今の副大臣からの話では、俗な言葉で言うと垂れ込みというんでしょうか、内部告発か何かわかりませんけれども、情報提供があってこの不正が発覚したということでございますが、防衛省としては、不正のチェックを、恒常的とは言いませんけれども、組織的にチェックする体制はあるのかどうか、その辺をちょっとお教えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 かつての過大請求、NECの事案ですとか、あるいは山田洋行事件とか、我々も野党のときに随分追及しました。その後、いろいろな調達のあり方をめぐっては、違約金を設けたり、あるいは水増し額を倍額にしてペナルティーとして、しばらくは事案としてなかった、結果的に把握できなかったわけですけれども。

 この点について、やはり今回のことを深刻に受けとめました。防衛装備品は、市場性がなくて、ほかに比較をする、いわゆる常識的な価格というものがない分野ですので、非常にわかりにくい。それが適正な額かどうかということも非常にわからないだけに、予算の執行について、防衛省内で監察本部があって、防衛省内のさまざまな人のいろいろな不正であるとか、考えたくはないですけれども、いろいろな予算の不適正な使用の仕方があれば防衛省内で対応できますが、相手方がどのような形で、例えば今回のように工数をふやして、工程数をふやして、過大な額を見積もっているというようなことになりますと、これは正直、性善説に立つしかないのかなと思います反面で、こうしたことについて、やはり一度こういうことをやってしまうと大変な信頼の失墜になりますよと。

 今は倍ですけれども、私はきのう事務方にも言ったのは、賠償額を、不正額の倍じゃなくて、本当に三倍とか五倍ぐらいにして、とにかく一回やってしまったら取り返しがつかないぐらいの会社の損失になる、それぐらいのペナルティーは考えるべきではないのかというようなことも考え、話をしました。

 とにかく、今回のことについては事実関係を徹底的に調べて、そして厳しい形で、ほかのメーカー等にも二度とこういうことがないようによくわかっていただく、そういう思いで、今回のことについては徹底して調査をしたいと思っております。

渡辺(浩)分科員 副大臣、ありがとうございました。

 民間の企業がどういうふうにして水増ししているかということが、それはなかなかとめられない、性善説に伴ってやっているとすればなかなかわからないというのは当然だろうと思いますけれども、であるがゆえに、性悪説ではないですけれども、防衛省として、やはり抜き打ちでチェックすることが時にはあるんだということが、かなり抑止になるんじゃないかと思うんですね。

 私は、今回の三菱電機の件は防衛省はよくちゃんと調べたな、そういう意味ではよかったなと思っております。ですから、これを機会にちゃんとチェックするんだぞということを、民間、三菱電機等々、いろいろな防衛産業の分野に知らしめるのも一つのいい方法ではないかなと思うんですね。ですから、そういうことはぜひ御検討いただきたいというふうに思います。性悪説もあり得るということで、そうしないとやはりぴりっとしないことだろうと思いますので。

 それで、今回は三菱電機が防衛省に対して水増しをやったんですけれども、それ以外に、JAXAとか内閣の衛星情報センターの三部門についても三菱電機に対して指名停止をしたということでありますが、これは本当なのかどうか、また、その指名停止は大体いつごろまでなのかということをちょっとお教えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 この点については、今も申し上げましたけれども、徹底した調査、これは会社の方も内部調査をしておりますし、私どもとしても調査を行います。そんなに長く時間はかけられないとは思いつつも、大変多岐にわたっているのかどうか、まだ今のところは最終的な調査の報告を受けておりませんけれども、とにかく、この点については、早送りして、しっかりとした処分を決定したいと思っております。

 ですので、今の段階で指名停止をいつまでということは、ちょっと断定的に申し上げられる状況ではないということでございます。

渡辺(浩)分科員 だとすると、三菱電機という会社が宇宙関係とか防衛産業の分野でかなりの技術を持っている会社だと聞いておりますけれども、日本の防衛とか宇宙産業の中で三菱電機が指名停止を食らうことによって、それが大きな痛手を食らうと思うんですね。JAXAにしても、それから内閣の情報センターにしても、いろいろと衛星を打ち上げようとしておりますし。

 そして、もう少し細かく聞きますと、既に三菱電機と契約したものも全部とりあえずパアにするのかということだけはちょっとお聞きしたいんですね。それでなくて、今まで契約したものは続行していくということなのか、申しわけないけれどもこれを機会に今までやっていた三菱電機の契約は全て指名停止にするのか、その辺だけちょっとお教えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 もう既に契約してしまったものについてはそのまま履行をしていくということでございますが、これから新たなということにつきましては、当然、指名停止でございます。

 ただ、真にやむを得ないということを我々は一つ条件としています。それは例えば、修理をしなければいけない、そしてそのメーカーでなければ修理できない、そのパーツがないというような場合、これはいろいろな防衛装備の運用上の空白をつくってしまうことになりますので、その点については例外としますけれども。

 いずれにしても、今後、とにかく三菱電機さんにも今回の事実解明の調査については積極的に協力していただいて、その上で、とにかく早く事実を解明するよう全面的な協力を求めたいというふうに思っています。

渡辺(浩)分科員 今、既に契約しているものについては継続していくということを聞きまして、ほっとしました。新たな契約については、指名停止期間中はともかく三菱電機を外すということでありますけれども、装備品をきちっと連続してつくっていかなきゃいけない中で、指名停止を食らうことによって、今申しましたように、影響は非常に大きいものがあると思うんですね。

 ですから、こういう指名停止があった場合でも、何らかの方法で継続できる方法もひとつやはり考えておきませんと、装備品の調達というのは結構連続性があるものですから、そこだけすぽんと抜けたらあと全部パアになるということだってあり得るわけですから。

 私どもは、武器とは言いませんけれども、装備品の性格から、例えば三菱電機がなくても大丈夫なようなことになっていればいいですけれども、それは技術の問題ですから、そうなかなかうまくいかないと思うんですね。ですから、こういう水増し事件が起きたときにでも対応できる措置というのは、これからやはり真剣に考えていただければなというふうに思います。その件について、御答弁をお願いいたします。

渡辺副大臣 防衛装備を担当する企業というのはほとんど独占もしくは寡占という形でございますので、どちらかが欠けてしまうと、あるいはその社が欠けてしまうと日本の装備品に穴があくのではないかと。御指摘ももっともですし、反面で、こちらも国民の血税を預かって契約をする以上は、やはりそこにおごりや甘えが出てモラルハザードになってしまってもいけない。そこは、持ちつ持たれつの関係ではありますが、非常に悩ましいところではございます。

 それだけに我々は、限られた防衛予算の中から装備品を発注して、その上で、類いまれなる技術を持ったしかるべきメーカーが、日本の国防を担っているのだというまさに自負心と気概を持っていただきたいんですけれども、だからといって、今回のような水増し請求、工程数を意図的にふやしていたなどということがあって、社会的に指弾を受けるようなことがあってもいけない。

 ですから、そこはよくお互いの使命を理解しながら、何か事があった場合には、私ども税金を預かる側としても、そこはやはりペナルティーを科さなきゃいけない、しかしそのペナルティーによっては日本の国防に穴があくという、非常に難しい局面でありますので、委員の御指摘はごもっともでございます。

 そういう中で、我々としてもしっかりと事実解明をしながら、今後の防衛装備の調達のあり方について、今回を機に、繰り返しになっておりますけれども、やはりしっかりとしたものを確立していかなければいけない、そのための最善の手法を考えていきたいなと思っております。ありがとうございます。

渡辺(浩)分科員 これは平成九年のときのNECの事件とか、あるいはその後、平成十年だったですか、前の守屋事務次官の件とか、いわゆる不正行為がずっと続いている中で、何かほとんど事が改善されていないような気がいたします。

 しかしやはり、特殊な分野ですから、私は、それぞれの技術の分野で競争させて、AがだめならBで何とかするというぐらいの幅広い技術体系をつくっていくことがまた一つ日本の装備品の調達での大きな課題じゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひこれからも、これを契機に、これを防ぐと同時に、やはり日本の防衛産業の育成にも鋭意力を入れていただきたいと思っております。

 話をかえますけれども、事前にお見せしました資料についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 入札結果等に係る情報ということで、今話が出ました三菱電機について、平成二十二年九月二十九日に防衛省からの通達があるわけですけれども、これについて、お手元にあるかと思いますけれども、価格点が百点満点で九十八点、技術点が二百点満点で百二十五点、総合評価点が三百点満点中二百二十三点、こういう結果が出ておると……

武正主査 渡辺委員に申し上げますが、資料は配付されていませんので、口頭で言っていただけると。

渡辺(浩)分科員 そうですか、それは大変失礼いたしました。

 それで、ちょっと質問ができにくくなっておりますけれども、これの結論を言いますと、公告第四六号ということで、入札で、三菱電機が税なしで二万九千円、NECが七十三万円、三菱重工が百八万という形が出ています。ちょっと差があり過ぎるんですけれども、入札価格というのは当然一切事前には発表されていませんが、落札した結果、入札の結果に対する情報としてこういう資料があるかと思うんですけれども、その結果、三菱電機さんは二万九千円でやっている、三菱重工さんは百万以上だ、すごい差があるんですね。これはネットで調べたものですから通常私どもの手に入るものですけれども、これが余りにも差が大きくて、ここに私は非常に大きな問題があるんだろうと見ているんですね。

 三菱重工に関して言えば、物は何だかわかりませんけれども、この差が余りにもあります。多分一般的には百万円以上のものだったと思うんです、その入札の金額というのでしょうかね。ですけれども、それがべらぼうに安くて、三菱電機は三万円弱でとっているということに非常に違和感を感ずるわけですけれども、これに対して何かコメントがあれば、ちょっとお教えいただきたいと思います。

渡辺副大臣 先生からいただいたこの資料では、即応型小型衛星の衛星規模と機能、性能の何か調査についての案件ですね。ですから、恐らくこれは、役所が入札をかけたら、二万九千円から、今御指摘のように七十三万二千円、百八万円と。多分、三菱電機さんの場合は、独自に何か調査分析した技術資料があったのではないかというようなことを役所の方の答弁の紙には書いてあるんですが、一般的に見ると、金額の差というのは常識的に考えてこんなに違うものなのかなと。ある社は二万九千円で、あるところは百八万円ですね。

 私自身も今これを初めて見ましたので、ちょっとこれはぜひ三役と相談して、どういう事情でこういうことになるのかということは、ぜひ確認をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

渡辺(浩)分科員 この書類だけを見る限りでいいますと、やはり、最低価格というものがないからこういう結果になるんじゃないかと思うんですね。昔、とある建設会社が、皇居のところの建物を建てるのに一円といって落札した経緯があるんですね。こういう極端な例もあると同時に、最低価格というのがないがゆえに幾らでもいいということになっていたのかどうか、その辺だけちょっとお教えいただきたいと思います。どなたでも結構です。

渡辺副大臣 最低価格制というのはとっておりません。

渡辺(浩)分科員 そのことがとても大事で、最低価格を公表するかどうかというのはまた別のことですけれども、このことによって非常に金額の差がついたんだろうと思っているんですね。

 それで、なぜ三菱電機がこういうわずかな金額で落札したかということが問題だと思うんですが、例えば、これは調査費ですけれども、結局、後になって元を取るために人件費とかいろいろな形で時間をかけて水増ししているということが当然考えられるわけですよ。これは業界の長年の間の体質なんですね。

 ですから、安くとって、とにかくとる、それがまた継続することになりますから、とにかく安くとって、普通だったらば、例えば何百万のところを何万円でもとって、あるいは何千万、何億のところを非常に安くとっておいて、それを後で水増しして、それで会社としてはともかく赤を出さないということが当然考えられますし、またそういう体質をいっぱい聞くわけですよ、あちこちから。その一つの例として、私、きょう出させていただいたんです。

 こういうことをやっている限り、つまり最低価格というのがない限り、水増しということはしょっちゅう起きることだと思うんですね。ですから、この水増し事件、今回は一月にたまたま発覚しましたけれども、何といっても、平成九年のNECからあって、それから守屋事件があって、今回の三菱電機の経緯があって、いつまでたっても直らないときに、やはりこの調達についての民間会社のありさまというのをもう少し深く考えた上で対応をぜひ考えていただきたいというふうに思います。これはつまり、最低価格がないということからくる水増しかもしれませんので、ぜひお調べいただきたいというふうに思います。

 時間が少しずつなくなってきましたので、装備品についてもう一つ質問させていただきたいと思います。

 装備品の調達についての改革ということでございますけれども、装備品の調達をする人というのが、いろいろと問題点があるんですが、何年もかかって基本計画を立てる、あるいは実施計画を立てる、それから品物を納入するということがあるわけですけれども、非常に長期にわたる中で、それを担当する役所がみんなそれぞれの分野に分かれているわけですね。分かれていて、しかも、防衛省の役人の人たちが二年か三年で交代をしていくことによって、調達についての一連の流れがずっとわかる人がなかなかいないんじゃないかと思うんですね。一人の人あるいは複数の人たちが調達をわかるというのであれば非常に癒着があるかもしれませんけれども、今回のように、いつまでたったって調達の不祥事が起きるということは、やはり組織を変えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思うんですね。

 そういう意味で、これを機会に、防衛省の中で調達の専門の人たちを育成する気があるのかどうか。もう何十年とこの調達の問題はやっている。しかも、学識経験者に来ていただいて、いろいろな案はあるんですけれども全然直っていないというのは、やはり問題があると思うんですね。ですから、ある意味では、ここはひとつ、調達について本当にわかる専門官をきちっと育成していくという気があるかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

渡辺副大臣 私どもも、野党にずっとおりましたときから、この防衛省の調達のいろいろな不祥事については何度となく追及してまいりました。

 平成十八年に、公共調達の適正化ということで財務省から通知が出されました。いろいろな通達が累次行われて、調達改革というのはかなり行われてきているだろうというふうには思っております。平成二十二年六月に調達の契約制度研究会も立ち上げまして、今般までもやってきております。

 しばらくはこうした事案がなかったんですけれども、またここへ来てこういう事案が発覚したということでございますので、とにかく、内局にも、幕僚の方にも、制服の方にも専門家がいるわけでございますけれども、そこをしっかりと見られる人材を育成して、そして、時にはやはり外部からの、もちろん国会の予算審議も一つのフィルターではありますけれども、恒常的に役所の方にもいろいろな調達、外部の意見を聞いて、やはりそこは間違っても誤解を招いたり不信感を招いたりすることがもう二度とないように、先生の御指摘も踏まえて改革に取り組んでいきたい、そのように考えております。

渡辺(浩)分科員 この調達問題は大変大事な分野ですから、冒頭申しましたように、装備品の優劣が有事の対応の決め手になることも当然考えられますので、そのことをぜひ念頭に置いて、私も、これからこの調達の問題については、機会があれば何回も何回も質問させていただきたいと思いますので、ぜひこの問題にも強く取り組んでいただきたいと思っております。

 最後にちょっとお伺いしたいんですが、この調達問題が大事だということの中で、工廠という、防衛の装備品を国がつくることが考えられるかどうか。しかも、戦前のように国が全部つくるということではないと思いますけれども、どんな分野をやるかとかは別にしまして、一部でいいですから国が防衛の装備品をつくるという考えをお持ちかどうか。その辺をぜひお聞きして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

渡辺副大臣 いわゆる戦前、戦中の工廠をイメージした施設をつくることは現時点で考えてはおりません。

 ただ、昨年暮れに武器輸出三原則の見直し等が行われて、これから日本の、メード・イン・ジャパンのすばらしい技術、人の命を守る、あるいは国際貢献の現場で活動する人たちの危険性を除去する装備品に対して、ほかの国からも大変強い関心をいただいております。

 その中で、例えば、技術研究本部が民間に委託をするいろいろな研究品等、あるいは、それが試作品から今度は汎用品となって、かなり選択肢もふえてくるでしょう。そういう意味では、我が国が自前の研究能力を持って実証し、そして、それがひいては世の中の役に立つというようなものはまたチャンスが広がってくると思いますので、工廠というイメージではありませんけれども、日本の技術が世界に、あるいは世界の技術を取り入れて日本の技術がということができるような形で、もちろん予算の制約はございますけれども、行っていきたい。また先生から具体的なアドバイス等ありましたら、ぜひお聞かせをいただければと思います。ありがとうございました。

渡辺(浩)分科員 武器三原則が緩和されている中で、ぜひこれからもこの調達のことにお力をいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

武正主査 これにて渡辺浩一郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。風岡宮内庁次長。

風岡政府参考人 平成二十四年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十四年度における歳出予算要求額は、六十一億九千五百二十三万四千円でありまして、これを前年度当初予算額六十二億九千六百万九千円と比較いたしますと、一億七十七万五千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十五億七千九百九十五万九千円、皇族に必要な経費二億九千百二十七万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億四千五百七十七万七千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十八億三千四百十八万二千円でありまして、前年度に比較して一億三百八十二万五千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三百五万円の増額となっております。

 これは、文仁親王第一女子眞子内親王が平成二十三年十月御成年に達せられたことに伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十四年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議をくださいますようお願いいたします。

武正主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。鬼塚衆議院事務総長。

鬼塚事務総長 平成二十四年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度国会所管衆議院関係の歳出予算は、一般会計予算とあわせまして、新設される予定の東日本大震災復興特別会計予算から構成されております。

 このうち、まず、一般会計に係る歳出予算要求額は、七百四十億六千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億九千三百万円余の増額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百四十五億二千九百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百四億一千三百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十二億一千万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として七十九億八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、新議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 次に、東日本大震災復興特別会計に係る歳出予定額は、三億七千六百万円余でありまして、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会に必要な経費を計上いたしております。

 以上、平成二十四年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

武正主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。橋本参議院事務総長。

橋本参議院事務総長 平成二十四年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度国会所管参議院関係の歳出予算は、一般会計予算と、新設される予定の東日本大震災復興特別会計予算から構成されております。

 このうち、一般会計に係る歳出予算要求額は、四百四十五億五千四百万円余でございまして、これを前年度と比較いたしますと、三億一千七百万円余の減額となっております。

 これは、主に、職員人件費の減額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百三十二億三千二百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十九億三千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十一億円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億八千万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、本館その他庁舎の整備等に必要な経費及び新議員会館の整備に係る不動産購入費でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費でございまして、五百万円を計上いたしております。

 続きまして、東日本大震災復興特別会計に係る歳出予定額は、三億七千六百万円余でございまして、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会に必要な経費を計上いたしております。

 以上、平成二十四年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

武正主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。長尾国立国会図書館長。

長尾国立国会図書館長 平成二十四年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算は、一般会計予算と、新設される予定の東日本大震災復興特別会計予算とで構成されております。

 このうち、まず、一般会計に係る歳出予算要求額は、百九十五億三千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十三億二千五百万円余の減額となっております。

 これは、前年度第三次補正予算に計上されました東日本大震災アーカイブの構築経費が減少したこと及び業務・サービスシステムの最適化による情報システム経費の減額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等として九十五億四千四百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等として七十二億三千九百万円余を計上いたしております。

 平成二十四年度においては、特に、業務・サービスシステムの最適化により再構築しました図書館サービスシステムの安定運用に要する経費に重点を置いております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千二百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十六億六千二百万円余を計上いたしております。

 次に、東日本大震災復興特別会計に係る歳出予定額は、一億四千三百万円余でありまして、東日本大震災アーカイブの運用に要する経費を計上いたしております。

 以上、平成二十四年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

武正主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。石川裁判官弾劾裁判所事務局長。

石川裁判官弾劾裁判所参事 平成二十四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億六百四十六万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七十五万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、簡単でございますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

武正主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。杉若裁判官訴追委員会事務局長。

杉若裁判官訴追委員会参事 平成二十四年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億二千三百二十二万円余でございまして、これを前年度予算額一億二千四百二十八万円余に比較いたしますと、百六万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、簡単でございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武正主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。山崎事務総長。

山崎最高裁判所長官代理者 平成二十四年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十四年度裁判所所管一般会計歳出予算の総額は、三千百四十六億六千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百億二千二百万円と比較いたしますと、差し引き五十三億五千七百万円の減少となっております。

 次に、平成二十四年度一般会計歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化し、かつ、事件数が高水準にある民事訴訟事件及び家庭事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官は、判事三十人、書記官は、六十五人、合計九十五人の増加をすることとしております。なお、このほかに、速記官等から書記官への振りかえ十五人も計上しております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力として六十五人の削減を図るほか、さらなる合理化により三十人の削減を上積みすることにより、合計九十五人の定員削減をすることとしておりますので、純増減はございません。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百八十九億四千三百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として五十四億一千四百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として六十六億二千二百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十九億七百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震対策等のための経費として百四十七億一千九百万円を計上しております。

 続きまして、平成二十四年度裁判所所管特別会計歳出予算の総額は、三億六千四百万円でありまして、東日本大震災復興特別会計に、裁判所庁舎の耐震化による司法基盤強化のための経費を計上しております。

 以上が、平成二十四年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

武正主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。重松会計検査院長。

重松会計検査院長 平成二十四年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十四年度予定経費要求額は、百六十六億二千八百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十億四千万円余に比較いたしますと、四億一千百万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百四十六億七千二百万円余を計上いたしております。

 これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十九億七百万円余を計上いたしております。

 これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として四千九百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十四年度予定経費要求額の概要を御説明いたしました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

武正主査 以上で説明は終わりました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

武正主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。

山本(幸)分科員 自由民主党の山本幸三です。

 きょうは、敬愛する自見大臣にわざわざ来ていただきまして、分科会は個別の案件を取り扱ってもいいということになっていますので、少し個別の案件の話をさせてもらいたいと思うんですが、最初に、証券取引等監視委員会の問題であります。

 実は、インサイダー取引の嫌疑がかけられた事件がありまして、嫌疑者は民間の金融関係の会社の社長さんだということでありますが、その情報伝達者として、ある証券会社の部長さんが、Aさんといいますが、その会社の社長さんと同時に強制調査を受けて、今も参考人という立場だと思いますけれども、調査の対象になっているわけであります。

 たまたま、この部長さんは私の知人でありまして、そういうインサイダー取引の可能性があるのならしようがないじゃないかと言ったら、いや、自分は全く身に覚えがない、社長さんの株取引なんて一切知らないし、金銭の授受も一円もないということでありまして、それならそれで堂々と闘えばいいじゃないかということでやっているわけでありますが、いつまでたっても結論が出ない、これが私は大問題だと思っております。

 九月に始まってもう六カ月目に入ってきているわけでありますけれども、情報伝達したかどうかというのは、そんなものは私の感覚でいうと、一カ月もあればいろいろなパソコンとか書類とかを見て証拠があるかどうかわかるはずでありまして、結局、そういう確証がつかめない、その結果、何とか本人の自白に持っていきたいということなんでしょう。いろいろな形で、陰に陽に、ある意味でいじめみたいな感じで調査が行われている。

 問題は、その間にその情報がリークされまして、これは出所がわからないからどこだと言えないんですけれども、銘柄まで出ているということになると、これは監視委員会、金融庁関係から出たとしか思えないわけであります。

 それで結局、新聞沙汰になって、その結果、会社も個人も実損が出ている、実害が出ている。会社は、いろいろな取引で主幹事を外されるとか提案を受け付けられないとか、実損が出ている。個人についても、ほかの仕事を一切できないわけでありますし、ある意味で退任に追い込まれるような状況になりつつある。これは本当に、嫌疑、そういうものが犯則行為にならないということになれば、誰がその責任をとるのかという話にもなってくるわけであります。

 しかも、その個人の非常に必要とするパスポートとか自宅用のパソコンとか、自宅用のパソコンなんてちょっと調べれば内容は全部コピーもできるだろうし、業務と関係ないんですからすぐ返してしかるべきだと思うんですけれども、そういうものも、幾ら要求しても返してくれない。

 また、聞いてみると、明らかに許可状もなしに書類を押収している。これは金商法違反としていずれ裁判になれば大問題になると私は思いますけれども、そういうこともある。

 しかも、どんな調査、取り調べなんだと聞いてみると、対象になっている銘柄についての話は、自分が知る前に既にそうした買い付けが行われていたということが明らかになって、対象銘柄については全く確証がない。その結果、ほかの株で取引しているんじゃないかとかいうような話ばかり。そして、あなた、帰るところがなくなりますよとか、家族はどうなるんでしょうね、社宅は出なきゃいけないんでしょうねとか、そういう不安をあおるような話ばかりされている。

 私は、こういう調査のやり方しかできない監視委員会というのはある意味で本当に必要なのかなというようにも思ってきていまして、今度、金商法の改正があるということでありますが、場合によっては、逮捕して勾留したらちゃんと期日があるわけですから、調査期間の限定とか、あるいは全面可視化、これは長くするんだったら全面可視化をしてもらう。実は、テープをとっているんです。だから、これが出れば大問題になると私は思います。

 そういうことも含めて、こうした案件、細かい話は大臣にお聞きしても、きょうはそこまで言っていませんので無理だと思いますけれども、恐らくこのことについては大臣もそんなに御存じないと思うんですね。

 つまり、証券取引等監視委員会、八条委員会で、これは大臣はこの前も言っておられましたけれども、ある意味で独立性を担保されているような形になっていまして、それをいいことに好き放題にやっているし、特に、監督下の金融業界、証券会社とか銀行、その連中に対しては非常に厳しくやっている。

 他方で、嫌疑者の会社社長に対しては、パスポートなんか返して、彼は海外に旅行もしているんですよ。しかも、彼は任意調査に応じていないということで、ちゃんとした調査をしっかりやっているような雰囲気はない。

 しかし、監督下の証券会社の社員だけは週に二回呼んで、余り関係のない話ばかりして、あとは、自白しないとだめですよみたいな話ばかりに持っていくというようなことであります。監視委員会というのはそんなので時間を浪費するんだったら、私は、検察の中にこういう案件をやるところをつくってもらって、さっさとやってもらった方がいいようにも思うし、あるいは、アメリカのSECみたいに本当に権限を持って起訴までできるようにするか、どっちかじゃないかと思っていまして、これは、これから私は監視委員会のあり方についてじっくり検討していきたいと思っています。

 いろいろ申し述べましたけれども、そういう個別の案件があるものですから、ぜひ大臣に、これは八条委員会で今まで大臣は遠慮していたと思うんですけれども、ちょっと実情を調べていただいて、特に、告発するならすればいいんですよ、早く。裁判でけりをつけた方が早く終わっちゃう。だから、そういう意味で、ずるずると余り時間を延ばすというのは好ましくないので、その辺のことについてぜひ御検討賜れればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

自見国務大臣 敬愛する山本幸三先生にお答えをさせていただきます。

 今先生が言われたとおり、証券等監視委員会はいわゆる八条委員会的性格がございまして、先生御存じのように、昔は八条委員会でしたが、内閣府ができると、権能としては八条委員会的でございますけれども、法律が変わったということでございますけれども、金融庁設置法により、独立してその職務を行使することとされておりまして、犯則調査のあり方の是非について私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

 ただし、一般論として申し上げると、証券取引等監視委員会の行う犯則調査は、今先生も言われたインサイダー取引、あるいは有価証券報告書の虚偽記載等の疑いがある事件に対して、御存じのように、金商法の規定により、質問、調査や、裁判所の許可状に基づく証拠の差し押さえ等により行われるものと承知しておりまして、事件の規模、内容によりまして調査が比較的長期に及ぶこともあろうが、犯則事件の真相解明のために必要な範囲内で行われているものと私は承知しております。

 もう一点、先生から、開示をしたらどうかという話でございましたが、監視委員会の犯則調査にも検察のような可視化を導入すべきではないかという御意見でございました。

 検察においては被疑者の逮捕後の取り調べについて試行的に可視化の取り組みが行われているものと承知していますが、証券等監視委員会が行う質問、調査はあくまで任意で行われるものであり、逮捕権限を有する検察の取り調べとは性格が異なるものと認識をいたしております。

 しかし、今先生がいろいろ御意見、あるいはいろいろお述べになられたわけでございますけれども、証券取引等監視委員会においては、限られた人員のもとで、先生御存じのように、アメリカのSECと日本の証券等監視委員会のスタッフの違いというのは先生もよくおわかりだと思うわけでございますけれども、そういった中で厳正に調査を行っていると承知しています。

 いずれにしても、山本先生からの御指摘の点を踏まえて、あらゆる選択肢を排除することなく、金融庁、証券取引等監視委員会、総力を挙げて、市場の公正性、透明性の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

山本(幸)分科員 八条委員会との関係で限界もあると思いますけれども、これはぜひやっておいていただきたいと思います。そういう改善が、ある程度のルールづくりというのが必要だと思いまして、特に期間に対しては。それぞれについて改善が行われないということになると、いずれ金商法の審議があるでしょうから、そのときに私は細かく徹底的にやりますから、そのことをぜひお願いしたいと思います。

 そこで、今、スタッフが少ないという話がありまして、そうなんだろうと思いますが、監視委員会の軽重が問われているのは、嫌疑者でもない情報伝達者みたいな話については毎週二回も呼んでぎりぎり聞いている、結果は全然出ない、確証も出せない、そんなことばかりやっているのに、一方で、オリンパスとかAIJ投資顧問とか、あるいは公務員のインサイダーとか、ある意味では会社が潰れたり、大変たくさん被害をこうむる人が出てくるような問題については全然手がついていなかった。これはやはり組織のガバナンスとしての問題があると私は思います。

 スタッフが少ないなら少ないで、物事の軽重というのは当然あるわけでありまして、むしろそういう大きな問題、例えばAIJだって、この前、財務金融委員会で民主党の方が指摘していましたが、三年前にはある情報誌にちゃんと、AIJは問題だと言われていたわけですよ。にもかかわらず、そうした検査なんか行われていなかったということでありまして、オリンパスなんて何なんだという気がいたします。

 そういう意味で、私は、この監視委員会は明らかに組織上のガバナンスの問題があるというふうに思わざるを得ない。その点について、ぜひ大臣、これをしっかり見直さないとまさに監視委員会の存在意義が問われるというふうに思いますので、その点についての大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。

自見国務大臣 山本議員にお答えをさせていただきます。

 先生も言われましたように、証券取引等監視委員会は八条委員会的性質を有するものでございますから、調査、検査に関することは、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

 しかし、一般論として申し上げれば、証券取引等監視委員会の調査、検査、対象先の選定に当たっては、監督部局からの情報、外部から寄せられる情報等を積極的に活用し分析を行うと同時に、市場環境の変化、個別業者であれば、その市場における位置づけや抱えている問題点を総合的に勘案し調査、検査実施の優先度を判断しており、リスクに基づいた調査、検査を行っているものと承知しております。

 また、先生から、監視委員会の開示検査では細かいところばかりを相手にして問題ではないかというふうな御意見もあったわけでございますけれども、証券取引等監視委員会の有価証券報告書等の虚偽記載に係るこれまでの課徴金勧告事案では東証一部上場企業に対する勧告も行っており、小規模な企業ばかりを相手にしているというのは必ずしも当たらないのではないかというふうに思っております。

 しかしながら、今先生から提起された問題意識については、私も政治家でございますから、しっかり真摯に受けとめて、今さっきも申し上げましたが、金融庁、証券取引等監視委員会、総力を挙げて対応してまいりたいというふうに思っております。

山本(幸)分科員 自見先生は、お医者さんをやっておられて、患者の痛みがわかる。本当に、まさに苦しんでいる人もいるわけですよ。場合によっては自分の一生を潰しちゃうわけですから。あるいは、AIJなんか、年金をもらえなくなるような人は大変なことになるのでね。これは、痛みのわかる自見大臣でありますから、ぜひしっかりと、そういう問題が抜けがないように、痛みを感じて対処してもらいたいなと思います。

 しかも、私が自見大臣を尊敬しているのは、郵政についても、立場は違いましたけれども、やはり筋を通して信念を曲げないというところですよ。前の日まで反対反対と言っておいて、次の日になったらぱっと賛成したという人もいたんですからね。

 そういう意味で、私は自見大臣を大変尊敬しているのでありまして、そうした信念を持って、痛みのわかるような行政を、役人から上がってきたことだけをうのみにするんじゃなくて、ぜひお願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと問題をかえます。

 去年の大震災からちょうど一年が迫ってきたわけでありますが、あの大震災が起こったときに、市場を開くかどうかというのは大問題だったわけですね。結果的に市場を開きました。ところが、そのことによって大損害をこうむった人がたくさんいるわけであります。

 特に、オプション取引をやっていた人は大変な目に遭ったんですね。例えば、日経二二五の先物のオプション取引。オプション取引というのは、証拠金が少なくて大量の取引が行われるものですから、予想がばあっと外れたり、大暴落したり、大高騰したりしたとき、非常に予想外のものが起こったときには一気に損害が何十倍になるわけですね。そういうことが起こるわけであります。実際、去年の大震災のときにそれが起こったわけであります。そういう意味で、市場をあけていたのが本当によかったのかどうかという問題があるわけであります。

 そういうオプション取引で損害が出る可能性があるということを見込んでいなかったのかどうか、それについて金融庁の見解を聞きたいと思います。

森本政府参考人 山本先生にお答えいたします。

 東日本大震災発災後、週明け、三月十四日でございますが、証券取引所を開場するかどうか、その判断は、まず取引所の判断があるわけでございます。

 東京証券取引所におきましては、市場を通常どおり開きまして投資家の需給を反映した適正な価格形成をすることがその責務であると考え、また、仮に東証をクローズした場合、日経二二五の先物取引等は海外の取引所でも行われておりますので、そうした不十分な需給のもとで株価水準が形成されてしまうという可能性があることも留意いたしました。

 そうしたことを踏まえて、全体として、東証市場をクローズすることはかえって東京マーケット全体の信認を損なうことになるといったことから、前日の三月十三日に、十四日には通常どおり開場したいという連絡が金融庁にございました。

 金融庁といたしましては、取引所のシステムが正常どおりに作動すること等を確認した上で、その判断を適当なものであると認めまして、夕刻発表いたしました金融担当大臣談話におきまして、金融市場及び証券市場については、システム等は正常に作動しており、三月十四日以降も、円滑な経済活動を確保する観点から、通常どおり取引が行われることになっておりますといった発表を行ったところでございます。

山本(幸)分科員 全く通常どおりの取引が行われなかったんですよ。海外でやっているからといって、株というのは、需要と供給がいろいろな考え方が交差しているときに意味があるんだけれども、一気に落ちるということが確実なときにはそんなことは言えない。

 どういうことが起こったかというと、オプション取引している人は、三月十一日に大震災が起こった後、これは暴落することがわかるわけですから、放っておけば自分の損害が何十倍、何百倍になる、破産する。そこで、一生懸命、三月十一日の震災が起こった後に、証券会社に手じまいをするということをやろうとしたんですよ。ところが、携帯電話もパソコンのメールも一切つながらない。それはそうでしょうね、我々だってつながらなかった。そうすると固定電話しかないんですけれども、固定電話も一切つながらなかった。証券会社は留守電のテープが回っているだけです。これは、あけた十四日もそうです。パソコンはもちろん証券会社は受け付けない、固定電話も全く証券会社は受け付けなかったんだ。これは被害を受けた人からちゃんと、そういう状況だったと私のところに幾つも来ています。

 結局、にもかかわらず、証券会社は証拠金の倍率を十四日に一気に倍ぐらいに上げちゃったんだね。

 投資家が何の手も打てない。証券会社は一切電話も受け付けない。そして、証拠金を倍に上げてすれば、翌日もう強制決済が行われるわけですから、大損害が出て、みんな破産に追い込まれたんです。これは思慮が足りなかったと私は思いますね。そういうことを考えておかなきゃ、証券会社は本当に。

 聞いてみると、証券会社のシステム自体は受け付けられるようになっていましたと金融庁の担当者は言うんだけれども、なっていないんだよ。証券会社は、固定電話も十四日中まで全く受け付けなかったんだ。そして強制決済されたんだ。後は、今度は取り立てをやっているだけです、今。その結果、今裁判になっていますので、ここから先は裁判の話になりますが。

 私は、このことはよく考えておかなきゃいけないし、では、次に直下型大震災が起こったときにどうするんだという話になりますので、この点は、大臣ぜひ、次に対してよく検討してもらいたいと思います。いかがでしょうか。

自見国務大臣 震災があったのが金曜日でございまして、月曜日からマーケットをあけるかどうかというのは非常な決断が要った話だと思いますが、先生もう御存じのように、売買代金シェアがおおむね八割超である場合には取引所は市場を閉鎖しないこととされているということが、たしか東証の内規で決めてあります。

 そういったことがございますので、基本的に、非常にいろいろな、株でございますから上がったり下がったりするというのはあるわけでございますけれども、東京市場の高い換金性が証明されたことは投資家心理の改善に好影響を及ぼしたというプラスの面もあったわけでございます。

 また、そういった意味で、いろいろな外国の後からの評価を見てみますと、先生御存じのように、例えばゴールドマン・サックスだとかJPモルガンだとかバンク・オブ・アメリカだとか、こういったところは、マーケットが開いた状態を支持するというふうなことを、後からでございますが、また日本の証券会社大手もそういった発言をしておりますので、やはり、こういったときは日本の経済がきちっと機能しているんだということを世界に示す必要があるというふうに思っております。

 しかし、先生が今言われたような問題点もあるわけでございますから、きちっとそういったことも勘案しながら、プラスマイナスあるわけでございますけれども、そういった意味で、やはり日本全体が、大震災であったけれどもちゃんとマーケットは開いているということもまた大事でございますから、そういったことを総合的に勘案して判断させていただきたいというふうに思っております。

山本(幸)分科員 それは、海外の証券会社とかヘッジファンドとかは歓迎するんですよ。だって、もうけたんだから。一方は暴落するときに証券会社に何の連絡もとれなくて手の打ちようがない、他方はばんばん売っちゃえば大もうけしたんですよ。オプション取引というのはゼロサムゲームなんだから、大損した反対側には大もうけした連中がいるんです。それが海外のヘッジファンドであり、海外の証券会社ですよ。それを理解されていなかったら問題になりますよ。だから、大臣、これは次が大事なことです。

 それから、もう一つだけ指摘しておきますが、この問題を調べていて、私、非常に日本の証券市場というのはいびつだというのを発見して、びっくりしました。

 今回のオプション取引の強制決済、売買を一番やったのはニューエッジ証券というところであります。金融庁の担当者も知らなかった、このニューエッジ証券というのはどういう証券会社かというのを。これは、フランスのソシエテジェネラルとカリヨン何とかというのがつくったオプション取引専門の証券会社ですが、恐らく、海外のヘッジファンド等からの依頼を受けてオプション取引を日本でやっている。オプション取引をやれば、さっき申し上げたように、桁が違いますから、現物市場を動かす。今、このニューエッジ証券というのは大体二割のシェアを持っているんです。恐るべきシェアですよ。これで全部やられている、日本のオプション取引が。そうすると、日本の株価も全部動かされるということですよ。

 こういういびつな存在があって、この震災のときに売って、そこが取り次ぎしているんでしょうけれども、それに、これは下がるぞといって、ばあっと売りを仕掛けた。これというものを買って実際に売った、そして安くなったものを買ったというヘッジファンドなんかは大もうけしたんですよ。

 そういう状況に日本の証券市場があるということは、これは日本の証券市場が完全競争にないという話になり得るので、また私もこれからちょっと調べますけれども、ぜひ大臣も問題意識を持ってやっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

武正主査 これにて山本幸三君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井分科員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、金融全般について大臣と副大臣にお伺いをしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最初に、金融税制についてなんですが、私は、税というのは、いろいろな観点がありますけれども、一番大事なことは、まず公平公正であること、それからもう一つは簡素であること、この二つが一番大事だと思っておりまして、これは金融税制も同じだと思っております。

 実は、二十三年度の税制改正のときに、上場のデリバティブですとか先物と、それから店頭デリバティブの税制を統一していただきまして、損益通算も拡大するということをやっていただいたので、大変これはすばらしいことだったなと思うんですが、まだ課題も残しております。

 先月の社会保障と税の一体改革の大綱のところにも、三十五ページにありましたけれども、まず一つは、証券にかける軽減税率を延長しておりますが、これはいろいろな意見があって、資本市場に影響が出るので今本則に戻すべきではないとか、そういう意見も多々ありますけれども、私は、それは景気を回復すればいいだけの話であって、いたずらにここをずっと延長して軽減税率を引き延ばすのは決していいことじゃないと思っております。

 本則の二〇%に戻すということは、税を簡素にするという意味でもやらなければいけないんじゃないかなということは思っておりますので、ここに書かれている方針については全く異存がないんですが、一つ、そこで同時に行われます日本版のISAの導入というところに関して、きょうはまず最初に質問をしたいんですね。

 これは実は、金融業界の方と話していると、非常に評判が悪い制度であります。

 何かといいますと、さまざまな、ちょっと最初の資料を見ていただきたいんですけれども、当然、こういう制度を導入するに当たっては、システムコストなりなんなり、かなりイニシャルコストがかかるんですね。

 ところが、この制度は、まず三年間の限定でやりましょうということでありまして、しかも、三百万円ずつ、一年に百万円ずつで三百万円までしかできない、一度売却をするとまた次買うことができない、そういうたてつけになっていまして、簡単に言いますと、採算が合わないということです。

 おまけに、一元性というか、一人一口座というのをどうやって担保するのか、ほかのところの証券会社でもつくっているのをどうやって確認するのかとか、もろもろ考えますと、とてもコストが合わないので、これでは導入ができない。少なくとも十年ぐらいやりますということであれば導入も考えるけれども、三年後はどうなるかわからないと言っているということで、非常にこれは導入が難しいということをおっしゃるわけですね。

 ところが、これは証券会社の中にも温度差がありまして、大手の証券会社の方にお話を聞けば、それは体力がありますから、システムを開発してやりましょうということで、かつ、大手証券会社にとってみれば、これは囲い込みができるわけです。ところが、中堅、中小の証券会社はその開発コストが出せないので、結果的にこれはやれないということになって、そこに格差が出てしまうという問題が非常に生じるんじゃないかなというふうに考えております。

 まず、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。

中塚副大臣 まず、本則税率化につきましては、今お話がございましたとおり、景気動向ということを勘案するということでございます。

 その本則税率に合わせて導入を予定されております日本版のISAなんですけれども、確かに、今先生が御指摘になられたようなお声があるということについては承知をいたしております。

 景気動向にもよりますが、二十六年一月からこれを導入するということでございますので、私ども金融庁といたしましては、先ほど税のところでも公正、透明ということがございました、市場についてもやはり公正、透明と。もう一つは、投資家の保護ということもありますが、さらには投資家の利便性の向上ということも、これはまた大事な視点なんだと思います。

 市場関係者の皆さんや有識者の皆さん、また国会での議論というものも伺いながら、どういうふうに改善をしていくべきかということについては、引き続き検討をさせていただきたい、そう思っております。

今井分科員 ありがとうございました。

 繰り返し申し上げますけれども、業界の方のお話を聞くときは、大中小、いろいろな証券会社の方、金融機関の方に意見を伺っていただかないと、一部の方だけの意見を聞くと、それがさもその業界の意見のように思われてしまうところもありますから、そういうところはぜひ御配慮いただいて、いろいろな方の意見を吸収していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それに関連しましてなんですが、先日、予算委員会のときに参考人で来られました森信参考人が、日本版IRAの提唱をされておりましたけれども、実は、私もこれはずっと興味を持って取り組んでおりまして、非常におもしろい制度だと思っております。もちろん、これは年金ということの観点で考えるべきものでもありますけれども、一方で、資本市場にお金が流入するという面におきましては証券市場の問題でもあるということで、ここで質問させていただきます。

 以前、四〇一kの導入ということがあって、ことしで十年になると思いますけれども、四〇一kにはいろいろな問題点があると私は思っておりまして、まず一つは、ポータビリティーですね。全員が持てるわけではなくて、いろいろな階層というか職種の方によって制度が違うという問題があります。

 それから二点目は、これはちょっと逆の問題なんですけれども、四〇一kは少し税制が優遇され過ぎているんじゃないかなということなんですね。四〇一kの場合、積み立て時、運用時、給付時、全部非課税になっておりまして、ほかのものと比べますと余りに税制優遇がよ過ぎるという面があって、これもやはり税の公平性という面では少し考えなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 もう一つ、これは逆の問題ですけれども、今度は拠出の限度額がまた低いということもあって、いい悪い両方あるんですけれども、いろいろな問題点があるわけなんです。

 こうした問題点を一つ大きく改善できるのは、この日本版IRAの制度じゃないかなというふうに私は思っております。

 お手元の三枚目のペーパーを見ていただきますと、これはイメージ図ですね、この間の参考人の資料にもあったと思いますけれども。

 今、一階、二階、三階という部分がありますけれども、三階部分のところがそれぞれ制度がばらばらになっています。税制の面でもばらつきがあります。いろいろな拠出の額とかもばらつきがあります。おまけに、所管している官庁もばらばらです。

 こういうことではなくて、あまねく全員が加入していけるようなIRAの導入をすれば、年金という面においての公平さも担保されてくる、そういう制度になってくるんじゃないかなというふうに私は考えておるんですけれども、この点につきまして、厚労省と、できれば金融庁の方にも、この面に関しての考え方を御答弁いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、IRAにつきましては、アメリカで個人が金融機関等に開設した積み立て勘定ということで、個人年金制度ということで位置づけられているということでございます。

 このIRAにつきましては、個人による老後の所得確保の一つの手段ということで認識しているところでございますけれども、恐らく先生御承知のことと思います、あるいはこの資料にもございますけれども、現在、同じような個人が入れる制度として、個人型の確定拠出年金だとか、あるいは国民年金基金制度がある、こういう状況になってございます。

 これらの制度につきましては、例えば、個人型の確定拠出年金については中途脱退の要件を緩和するだとか、そうした制度の改善を行っておりますし、あわせて、国民年金基金制度につきましても加入年齢の引き上げといったようなことも行ってきているところではございます。引き続き、こうした現行制度の周知と改善ということをまずは行っていくということではないかと思います。

 御指摘の点もあろうかと思いますけれども、年金なり、あるいは老後の保障という観点も踏まえながら、どういうことが可能かという観点で考えていくべきかというふうに考えてございます。

中塚副大臣 お尋ねの日本版のIRAでありますけれども、先ほどまさに委員がおっしゃいました、例えば税の問題について申し上げれば、これは年金ということで仕組むとすると、保険料として拠出をする段階で課税をするのかどうかとか、あるいは給付を受けるときに課税をするのかどうかとか、そういったいろいろな問題がございます。

 ですので、そういった問題は、またほかの年金制度との整合性、それこそさっきお話がありましたとおり、ちょっと四〇一kが税制上優遇されているんじゃないかといったような御意見もあるわけでありまして、ただ証券投資にとどまる問題ではないと思っております。

 ただ、お話しのように、これが新たな資産形成にも資する、さらには証券市場の活性化等につながるものであるということであれば、ぜひ関係機関とともに検討をしてまいりたい、そう思っております。

今井分科員 ありがとうございます。

 非常に大きなテーマですので、この場でやるやらないということは決められるものではないことは承知しておりますけれども、先ほどのペーパーを見ていただいたとおり、本当にばらばらなんですね。

 これから一階、二階部分のところの年金の統合をやっていくというのが民主党の一つの大きな目標だと思いますけれども、三階部分もやはりこれは整理していく必要があると思っておりまして、その整理をする一つの方法として、こういう日本版のIRAというのに移行するということも方法としては考えられるんじゃないかなと思っておりますから、これからもこれはまた議論させていただきたいと思いますので、きょうは問題提起ということでとどめさせていただきたいと思います。

 次に、それに関連してなんですが、先ほどもちょっとお話をしましたとおり、税の簡素化という面におきましては、いろいろな金融商品間の損益通算をきちっとやっていくことで金融商品がより使いやすくなるということがあると思います。二十三年度の税制改正では一部やっていただきましたけれども、五枚目のペーパーに国際比較がございますが、日本の損益通算を含んでいる商品は、ほかの国と比べますと必ずしも多くはないということなんですね。

 ですから、この部分をもう少しやはり拡大をしていかなきゃいけないというふうに考えておりまして、大綱にもそういう方向が書いてあると思いますが、そういう方向性で問題はないか、間違いないかということをまず御確認したいと思います。

中塚副大臣 公社債等の課税方式なんですけれども、ぜひ委員御指摘のような方向で取りまとめたい、そう思っております。

 二十四年度税制改正のときにも、当庁として要望をいたしました。大綱では二十五年度税制改正における検討事項ということになったわけでありますけれども、やはり、多様な金融商品へ投資をしやすい環境というのをつくっていかなきゃなりません。そういう意味からも、公社債だけではなく、それも含めて、幅広い金融商品間の損益通算の範囲を拡大していきたい、そういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

今井分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 今、既にお話が出たんですけれども、公社債のところの見直し、課税方式の是正ということも大綱に書いてあるんですが、四枚目のペーパーを見ていただきますと、これは金融庁の検討している資料なんですが、四角のところをちょっと見ていただきたいんですね。上場株式、公募株式投信は、インカムゲインも、キャピタルゲイン、ロスも申告分離ということになっていますけれども、債券、公社債、これは、実はインカムの方は源泉分離になっていますが、キャピタルゲインとロスは非課税です。

 最近、新聞等でよく広告が出ている商品があるんですけれども、例えば南アフリカランドとか、非常に高利回りな外貨建ての債券で、本来利回りが七%とか八%あるものを利回りを〇・五%程度に抑える、そしてその利回り部分を価格に織り込んで割引債をつくります、それで最初は安い値段で発行して満期で一〇〇で返しますという商品を、最近、証券会社さんはたくさんつくっています。

 これは、法律的には合法なんですが、どういうことが起きるかといいますと、償還期になりますと、償還まで持つと差益として課税されますけれども、償還の一日前に売却してしまえば、これはキャピタルゲインとして認識されますから、課税がされません。つまり、本来利子所得として課税できるはずのものが、売却益に入ってしまっていることで課税ができなくなってしまっている、税務当局から見ればそういう商品なんです。投資家からすれば節税商品になると思いますけれども、これも、やはりこういうところが、統一されていないことによって起きている商品だと思うんですね。

 ですから、やはり私は、それは投資家にとってみれば、あるいは証券会社さんにとってみればそういう商品はありがたいというのはよくわかるんですが、どうしても、私も金融機関におりまして、そういう商品がやりたいという気持ちは非常にわかるんですけれども、それでも、やはり税というのは公正公平じゃなきゃいけないというのは強く思っておりまして、だから、その辺のところはしっかり合わせるべきだなということを思っておりますので、その点について、ちょっともう一度御答弁いただきたいと思います。

中塚副大臣 損益通算範囲の拡大は、まさに話の筋としてはおっしゃるとおりでございます。

 それで、金融・証券税制は、日本版ISAもそうですけれども、配当・譲渡所得に係る税率を本則に戻す、そのことにあわせて取り組むということになっておりますので、これもそうそう時間があるわけではありません。さらに詳細をちゃんと調査し、制度設計についてまた提案をさせていただきたい、そう思っております。

今井分科員 ありがとうございました。本当に繰り返しになりますが、やはり公正な税制を目指すということで、いろいろまたそういう観点から検討していただきたいと思います。

 続きまして、AIJの問題についてお話をお伺いしたいと思います。

 この問題は大変大きな問題をいろいろ抱えております。もちろん、AIJの中でどういうことが行われたかということをまずは調査することも大事でありますが、これからさまざまなことをやっていかなきゃいけないと思いますけれども、大きく言いまして、やはり短期的なものと長期的なものと分けて考えていく必要があると思うんですね。

 まず、短期的な面でお伺いしたいんですけれども、今、二百六十五社に一斉検査が入って、一次の提出が三月十四日というふうに広報されていたと思いますけれども、その後、二次をやるというお話でしたけれども、大体、いつごろまでにこの二百六十五社の検査が終了するというふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

細溝政府参考人 お答えいたします。

 検査と議員はおっしゃいましたが、やっておりますのは調査でございます。

 この事件が起きましてから、二月二十九日に、投資一任業をやっております金融商品取引業者二百六十五社に既に調査に入っております。これは、通常の年一回いただいておる報告書のリニューと、それから新たな、顧客の属性でありますとかそういったものを調査しておりまして、一応締め切りは、三月十四日までに書類を提出してほしいというふうにお願いしております。

 それからその中身を分析して、絞り込んで、二回目の調査につなげたいということでございまして、現時点でいついつまでに終わる見込みかと聞かれますと、ちょっと、現時点、申し上げかねるところでございます。

今井分科員 そういう答えなんでしょうけれども、大変深刻な問題ですから、できるだけ人材を投入して、集中的にやっていただきたいということをここでお願いしておきたいと思います。

 もう一つ、では、ここで、損失をこうむった人たちをどうするかという問題が多分議論されると思うんです。公的資金を入れる入れないとかという議論も恐らく出てくるんじゃないかなと思います。私の県でも、三つほど、やはり投資していた企業年金がありますけれども、いろいろとお話を伺います。

 ただ、やはりこれも、税金を投入するしないということは非常に公平性を考えなけりゃいけないことであって、安易に、かわいそうだからとか、そういうことでやるべきじゃないということだと思っておりまして、この点を検討するに当たっては、そういう公平性、公正性、誰に責任があって、国はどこまでかかわるべきかということをぜひ慎重に考えていただきたいなというふうに私自身は考えておるんですが。

 これから先のことだと思いますけれども、基本的な考え方について、もしお考えがあればお話しいただければと思います。基本的な考えでいいです。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 御承知のとおり、公的年金として一階、二階のところは位置づけられているわけですけれども、今回の出てまいっております厚生年金基金を中心とする企業年金部分につきましては、これは私的な年金という位置づけになっているということでございます。

 こうしたことから、この部分につきましては、主として事業主が、従業員の方々とよく御相談した上で、その設立を行って、その運営を行っている、こういうことでございますので、個別のケースは、実態はこれから把握しますけれども、一般的に申し上げますれば、まずはこれにつきましての対応としては、当該事業主の側が、例えば掛金の掛け増しだとか、そういう方法で対応していくというのが基本ではないかというふうに考えてございます。

今井分科員 そういう観点で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あと、今後どうするかという話なんですけれども、まず御確認と、ちょっと数字をいただきたいんですが。

 報道ベースで、二〇一〇年度、こうした投資一任の会社に対して、大体三百社ぐらいあると思いますが、検査を実施したのが十五社というふうに報道が出ておりましたが、これが事実かどうかという問題。

 それから、一九九七年に規制緩和をしてから、一連の流れで登録制になってきていると思いますが、その間、金融庁の検査体制というか人員がどういうふうに推移してきたのか、この点、お伺いしたいと思います。

岳野政府参考人 ただいま先生から数字につきまして御質問がございましたので、数字につきましては事務方の方から御説明申し上げます。

 証券取引等監視委員会の検査の実施状況についてでございますが、私ども、従来、検査の実施状況を、数字を公表してございます。先生がおっしゃいました二十二年度十五件という数字は、投資運用業者の数字として十五件という数字を公表してございます。

 これにつきましては、先生はもうお詳しいから、あえて御説明のために申し上げますと、金融商品取引法は、非常に多様な業態がございまして、しかも兼業ができるということで、あるA社を、これは何だと。例えば、この会社は、証券会社、第一種金商業者でもあり投資運用業者でもあるといったような、数字が非常に、私どもとしては、そういった業態の検査の実施件数を重複がないように数えるために、投資運用業者十五件と申しますのは、複数の業務の種別の登録を得ている場合に、主たる業務に着目して十五件という数字をはじいているということを補足させていただきます。

 それから、検査の人員の問題でございます。

 九七年にというお話を言われまして、先生がおっしゃられましたのは日本版ビッグバンのことかなと存じますけれども、一九九七年と申しますと平成九年となりますので、平成九年度における証券検査に携わる職員の数を申し上げますと、百二十四名でございます。これは、私どもの証券取引等監視委員会にございます証券検査課が三十三名、あと、地方の財務局に証券検査官の部門がございまして、九十一名、合わせて百二十四名でございます。

 その後、定員の拡充、検査体制の拡充をお願いいたしまして、足元の二十三年度でございますが、二百九十三人ということで、平成九年度に百二十四名であったところ、現在、二百九十三ということでございます。内訳は、監視委員会が百十九、地方の財務局の監視官部門が百七十四となってございます。

今井分科員 ありがとうございます。

 もう時間が余りありませんので、最後に、大臣に私の意見を申して、ちょっと御感想をいただきたいんですが。

 これから、これに関していろいろな見直しがされると思うんですね。もちろん、九七年のときに五・三・三・二規制がなくなって、運用の自由化というのがあって、どんどん自由化に行きました。それで、自由化を進めるときには、必ず監視、監督というのをしっかり担保していくということがセットで行われないと、いろいろな不正も起きますし、金融は暴走するんですね。

 逆に、こういう問題が起きたときに、では、ひどいからといって、どっと規制をどんどんかけてしまうと、また市場が後退して、全く資本市場の活性化はならないという問題があって、どうも日本の、これは日本人の特徴なのか行政の特徴なのかわかりませんが、問題があるたびにどちらかにどんどん振り子が振れ過ぎるんですね。ですから、ぜひ今回のことを考えられるときもバランスを持ってやっていただきたいなということが、私の一番申し上げたいことなんです。

 どこまで自由にするのか、では自由にするならどれぐらいの管理体制がなければちゃんと担保できないのか、そのところの一番いいベストミックスはどこなのかという観点を、今後検討するときには一番重要視していただきたい。内容については、これから、あるいは政府、あるいは党で議論があると思いますけれども、基本的な原則のところは、余り極端じゃなくて、一番いいベストミックスを探すという観点でぜひやっていただきたいなというのが私の願いなんですが、その点につきまして最後に御感想をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

自見国務大臣 今井議員にお答えをさせていただきます。

 先生は本当に、金融界御出身で、たしかシカゴにも五年おられたということで、為替についてだったり、いろいろな、金融一般について極めてすぐれた見識をお持ちでございますが、今の御意見、まさに、金融庁といたしましても、先生御指摘の点、実はこれは非常に大事な点だと思います。

 そういった規制、監督のあり方を含めて、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁とも密接に連携しながら、何よりも国権の最高機関のメンバー、国会議員の先生方でございますから、先生方の意見もしっかり承りながら、金融庁あるいは証券等監視委員会、総力を挙げて再発防止に努めてまいりたいというふうに思っております。

今井分科員 ありがとうございました。

 これで終わります。

武正主査 これにて今井雅人君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子君。

あべ分科員 こんにちは。自由民主党のあべ俊子でございます。

 きょうは通告どおりの質問をさせていただきたいと思っております。特に、私は、税と社会保障の一体改革、大変期待をしておりましたところでございまして、きょう直接岡田副総理に質問ができるということは本当に感謝の限りでございます。

 そういう中におきまして、社会保障番号、この連動の中で、私は、税と社会保障の一体改革、総合合算制度というのが非常に大きな意味を持っていると思うわけでございますが、税と社会保障の一体改革担当大臣として、岡田副総理、これに関しては何か御意見ございますでしょうか。

岡田国務大臣 そもそも総合合算制度とは何かということですが、低所得者の家計に過重な負担をかけない観点から、家計全体をトータルに捉えて、医療、介護、保育等の制度横断的に自己負担の合計額に上限を設定するものでございます。一体改革大綱でも、番号制度の導入を前提に、二〇一五年度以降の導入に向け検討していくこととされております。

 今回の一体改革の一つの重要な視点が、所得の少ない方に対するしっかりとした配慮を行うということでありますので、それを具体的に体現するものとして、この総合合算制度というものは非常に意味のあることだというふうに思っております。

あべ分科員 そうしますと、今、総合合算制度、特に高額医療の部分と介護保険の合算制度は既に行われているわけでございますが、今は申請主義になっています。岡田副総理、これは次はどういう形になっていくんでしょうか。

岡田国務大臣 この合算制度については二〇一五年度以降の導入ということで、今後さらに具体的な検討をしてまいりますが、今私が申し上げましたように、消費増税に伴い実施する医療保険、それから介護保険の低所得者対策の検討状況、あるいは番号制度の実施に向けた検討状況なども見きわめながら、今後具体策を検討していくことになるということでございます。

あべ分科員 副総理、もう少し歯切れよく、今から検討していくじゃなくて、申請主義であって今までこぼれていた方が非常に多く、制度そのものを知らない方もいらっしゃったわけです。

 今回、社会保障番号を使いながら税と社会保障の一体改革を行っていくときには、これまでの申請主義からそうではない形になっていくのかどうか、簡潔にお答えください。

岡田国務大臣 基本的には、それは申請主義ではなくて、当然、番号が共通に入っているわけですから、計算をして、そして超過するところについてはきちんと対応する、こういう形になっていくということでございます。

あべ分科員 ありがとうございます。

 私、国会議員になって七年目になりますが、一年生のときから、この社会保障番号、ソーシャルセキュリティーナンバーをぜひとも入れないと、シームレスの、国民中心の社会保障が実践できないと思って言っておりましたが、当時、先輩議員から、百年かかるけれども頑張れと言われまして物すごくショックを受けたんですが、七年目にこうして副総理と議論ができるところまで来たということで、本当にうれしく感じているところであります。

 そうしますと、この総合合算制度なのでありますが、社会保障番号のマイナンバー法案の中には、実は、医療・介護機関というのが内包されていません。政府参考人の方、この件に関してお答えいただけますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー法案、二月十四日に国会に提出させていただきました。この法案が可決されましたら、二〇一四年から番号を国民のお一人お一人にお持ちいただき、二〇一五年から、先生今御指摘ございましたように、税、社会保障それから災害の領域で番号を使える、こういうことになっております。

 番号法案では、九十三項目につきまして、第六条の規定に基づきまして別表で使える分野が規定されておりますが、社会保障につきましてはその分野に入っておるわけでございます。

 給付については入っておるわけでございますが、医療、介護につきましては、特に金額の部分については適用されますけれども、医療情報とか機微性の高い情報につきましては、来年度、厚生労働省の方でそういった情報につきまして番号法案のいわば特別法を提出いたしまして個人情報の保護に万全を期す、こういうふうに言っておりますことから、現段階におきましては、医療の内容等にかかわります情報につきましては、この番号法案で使うということは想定していないところでございます。

あべ分科員 私が申し上げておりますのは、その合算制度の中に、別にどういう治療の内容であったかとか介護の内容であったかということでなくて、総合合算制度でございますから、幾らかかったかの情報が必要であるということを申し上げているわけであります。

 そうしたときに、社会保障番号の総合合算制度を行うのであれば、使用できる機関が、行政だけではなく、医療・介護機関も入らなければおかしいのではないのですかという質問をしたわけです。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 給付につきましては、保険者、介護保険者等が給付を担当することになっております。金額面の把握につきましては、そういった点で十分対応できると思います。

 なお、医療、介護にかかわります金額、こういうところにつきましては、その保険者が最終的には支払いの対象になるわけでございますので、そういった意味で、合算制度を構成することにおいて問題があるというふうには考えておりません。

あべ分科員 すなわち、今のお話を整理いたしますと、社会保障番号を入れたときに総合合算制度になる、総合合算制度になるけれども、それは申請主義にはならない、しかしながら、それに対しては、病院、医療機関、介護機関では把握ができないので、後から償還する形になるという形しかとれないという理解でよろしいですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 どのような制度をつくるか、これにつきましては副総理から御説明申し上げたところでございますし、リアルタイムに把握するようなシステムが構築されるようなことになりますと、医療機関、介護機関の方においても使えるようになりますし、また、この総合合算制度は、医療機関、介護機関だけではなく保育料、そういったことも想定しておりますので、そういった意味で、利用者負担が生じる場面において、そういう利用者負担について全て集計いたしまして、またその方の世帯の所得情報などと照らし合わせまして合算するようにするわけでございます。

 今、冒頭から委員の御指摘ございましたように、現在は事後的に合算するような形になっていますが、どれだけリアルタイムにできるかというようなことにつきましては、それこそ多数の医療機関、介護機関がこれに参加いたしておりますので、まさにそういった問題もあり、厚生労働省の方で医療、介護の特にそういう情報につきましては、多くの機関がこの制度に参加するという問題もあり、機微的な情報であるということも含め、どういうシステムにするかということも含めまして、現在、さらに厚生労働省の方で検討しているということでございます。

 それらのこともあわせまして、いずれにしても、一年後に法案が出てまいりますし、実際の利用につきましては二〇一五年から、体制が整った、税、社会保障の領域で使うということでございますので、それらの状況を踏まえまして、具体的な制度の仕組みということを考えてまいりたいと思います。

 いずれにしても、この番号制度につきましては、先生から御指摘のありましたように、今まで、申請主義というか利用者の方々にお任せしていて、また、その利用者の方々が自分がそれに該当するかどうかわからない、こういう状況に置かれていることを改善する。行政の側で、この方についてはこういうサービスが提供できる、そういうことが把握できますので、そういったことでその方々に積極的にお知らせをし、プッシュ型と申しておりますが、そういう行政にスタイルも変えていく。そのための重要な基盤になると思いますので、先生のお考え、御指摘の方にできるだけ沿って、より国民の皆さんに使いやすい制度になるように、具体的に、法案だけでなく、この番号制度をうまく動かすためにはシステムの設計が重要になりますので、そういったことも踏まえて考えてまいりたいと思っております。

あべ分科員 中村室長、大変丁寧な御説明をありがとうございますが、私の質問の百倍ぐらいでお答えいただかなくても結構でございますので、もう少し簡潔にお願いしたいというふうに思います。

 副総理、ではお聞きします。

 今の総合合算制度の話を聞いておりますと、事後精算になるかもしれないということでありますが、そうしたときに、私は、社会保障の中に無駄があるとすれば、事務費が特に膨大な量ではないかと思っているところであります。将来的にその事務費を削減していくためには、その場で精算ができる、さらには高額療養における現物化、すなわち現金のやりとりがないまま、あなたの医療はここまでお支払いすればもう大丈夫だという安心があるものが必要だと私は思いますが、総合合算制度にあわせて高額療養部分がこれから現物化ができるだろうかということの将来への思いを、副総理、お願いいたします。

岡田国務大臣 委員の御指摘もよくわかるんですけれども、総合合算制度は、最初に申し上げましたように、これから具体的な制度設計をするということでございます。それから、これは古川大臣が担当しておりまして、私の立場で、余り今、決められていること以外のことは言わない方がいいというふうに思います。これからまさしく政府の中で検討していくことでございます。

 それから、事後に超過部分が返ってくる形になるのか、それとも、医療機関などで最初からこれ以上のものはもらわないということになるのか、そういったこともこれからの制度設計にかかわることですが、一方で、マイナンバー制度というのは、プライバシーの保護ということもあって、その情報が余り広く行き渡るということになると、そういったことに反する場合も出てくるかもしれません。そういうことを総合的に判断して全体を組み立てていかなければいけない問題であるというふうに思っています。

あべ分科員 確かに省庁の縦割りがあるのはわかりますが、副総理は総理の次に偉い方でありますから、やはりそこのところは、税と社会保障は、行うときに、社会保障番号を、マイナンバーをどうしていくかということの整合性がとれなければいけないと私は思っておりまして、特に、このマイナンバー法案、社会保障番号を入れていくときに、一番大きいのは省庁の抵抗なのであります。これはなぜかといいますと、横断的にデータが行き来いたしますと省庁の再々編成に連動するからでありまして、私は、国民が、弱者の方々が省庁の縦割りで輪切りにされてしまうことは、本当に見ていてつらいことでございます。

 それを考えましたときに、社会保障番号と税と社会保障の一体改革をどう連動させるかということの岡田副総理の思いは必ずや達成されるものだと思いますので、ぜひ、総合合算制度、高額療養の部分の現物化ができるということが低所得者対策にとっても大切だと私は思っておりますので、ここのところをもう一度、御自分の思いで結構でございますから、教えていただけませんでしょうか。

岡田国務大臣 これはこれから検討していくことであります。私自身の感想といいますか、そういうものは申し上げない方がいいというふうに考えております。

あべ分科員 私は、この税と社会保障の一体改革、岡田副総理はほかの方々よりも非常に強い思いを持っていらっしゃると常日ごろ考えております。ですから、本当に言いたいことは山ほどあるけれども、副総理という立場上、言えないおつらさもわかるわけでありますが、もう少し岡田副総理の個性が出た方が、この税と社会保障の一体改革はよりよいものになっていくんじゃないかと実は思っているところでもあります。

 それとあわせて質問させていただきたいのですが、給付つき税額方式、これに関しても税と社会保障の一体改革の中に入っておりました。

 私は、ワーキングプア対策として、働いても働いても、じっと手を見てもお金がない方々、そういう方々に対してどう対応していくのかということをずっと考えておりました。これは党を超えてやっていかなければいけなかった部分だと思っております。特に、アリとキリギリスが最後は一緒というのは、また、キリギリスさんの方が楽をしているということの方がやはりまずいことだと思うんです。

 この給付つき納税方式、余り甘やかしちゃいけないと勘違いしている方もいらっしゃるんですが、そうではない、これは就労支援という形ではないかと私は思っているわけでございますが、岡田副総理、ここのところの整理を、ぜひ給付つき納税方式に関しての思いを聞かせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 従来、税というと取られるばかりということでありますが、所得の少ない方には、もちろん、例えば住民税、所得税が一定の範囲でかからないということでありますが、逆に言うと、税を負担しない所得層の方にとってはいろいろなメリットがそこにないということになります。

 給付つき税額控除ということになりますと、それが逆に、そういった所得の少ない方にとってもメリットがあるということで、ある意味ではシームレスに、所得の少ない方から所得の多い方に全体がつながっていくということになるわけでございます。

 そういう意味で、税・社会保障一体改革の中でこの給付つき税額控除というのは非常に重要なものだというふうに考えておりまして、これもマイナンバー制ができるということ、できたということが前提にはなりますが、制度設計を急ぎ行い、マイナンバー制度の導入とあわせてしっかりと導入していきたいというふうに考えております。

あべ分科員 そうすると、この給付つき納税方式は実は無理じゃないかという、財務にお詳しい方々が何人もいらっしゃるわけでございます。それは、所得が把握できないのではないかということでありますし、さらには、税を徴収するところと、税を払ってもいない人たちを追いかけてお金を払うのかという議論も出てくるわけでございますが、この給付つき納税方式と歳入庁というのはセットの話でございますか、教えてください。

岡田国務大臣 歳入庁の検討は、私のもとでチームをつくりまして既に始まっております。その歳入庁を議論する際に、この給付つきの税額控除というのも一つの検討項目、ファクターの一つであるということになっております。

 これは一対一に対応するものかどうか、つまり、歳入庁がなければできないものかどうかというのは、それはもう少し議論を詰めてみないと必ずしも断言はできないわけでありますが、所得の捕捉ができないから給付つき税額控除ができないというのは、ある意味では、今も所得の捕捉がある程度できることを前提にいろいろな制度が組み立てられているわけですから、そういう意味では、現在程度の所得の捕捉状況であっても、給付つき税額控除は、私は、可能だし、それをより精緻にすることでより精度が高まるということだと思います。

あべ分科員 そうしますと、そもそも、今、岡田副総理のもとで歳入庁の構想の部分が話し合われているということでございますが、歳入庁をつくる一番の目的は何でしょうか。

岡田国務大臣 一つは、ですから、納税していただくということと保険料を御負担いただくという非常に似た行為、これを別々にやることは非効率ではないか、一体的にやることでより効率的にできるのではないか、特に保険料の未納ということが問題になる中で、そういったことに対していい影響が考えられるのではないか、基本的にはこういうことだと思います。

あべ分科員 そうすると、徴収の一元化ということが一番の目的ではないかと思うのですが、それでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 基本的にはそういうことかと思います。

 さっきの給付つき税額控除、これの話ですと、もちろん所得の捕捉の問題と、それから支払うという問題が出てまいります。では、支払うのはどこが支払うのか、そういう問題も出てまいりますから、歳入庁の問題というのはそこにもかかわってくるわけでありますが、基本は、やはり保険料を払っていただき、納税していただくというところにかかわる問題だと思っています。

あべ分科員 そうすると、歳入庁の一番わかりやすい形というのは、国税庁と社会保険庁の機能の一体化ということなんでしょうか。

岡田国務大臣 最も典型的にはそういうことです。

 ただ、地方税というのもございます。だから、そこも視野に置いて議論してみないと。実際の保険料ということになりますと、限られた所得の方を対象にしている国税庁というよりは、むしろ住民税など幅広く納税していただいている地方との親和性はより高いという議論もあり得ます。

 そういうこと全体で少し整理して議論してみなければいけないというふうに考えています。

あべ分科員 実は、国税庁も、名前は変わりましたが旧社会保険庁も、結構嫌がっている話らしいんですが、なぜ嫌がっているか、岡田副総理、御存じですか。

岡田国務大臣 嫌がっているかどうかということも含めて、私、余り軽々に物を言わない方がいいというふうに思っています。

あべ分科員 副総理になると、腹膨るるわざが非常に多くなって、おつらいことじゃないかと思っているところでございますが。

 さらには、全世代対応型と言われている税と社会保障の一体改革、どうも全世代に余り見えないんですが、岡田副総理、これは全世代対応型とはっきり明言できますか。

岡田国務大臣 全世代型だというふうに思っております。

 もちろん、今でも、例えば医療に関して言えば、医療というのは高齢者医療だけではなくて、働く世代もあるいは子供たちの医療もありますので、社会保障というのは別に高齢者だけを対象にしているわけではございません。

 しかし、今回、全世代型というふうにあえて申し上げましたのは、従来の社会保障三事業、年金、医療、介護、これももちろん、障害者の方々とか、対象は高齢者だけではないわけですけれども、この三事業に加えて、子ども・子育てを加えることで、そこに力を入れ四事業とすることでより全ての世代に社会保障が裨益する範囲が広がる、こういうことだと思います。

あべ分科員 特に今、格差が広がっている中において、私は、特に社会保障部分は、ジニ係数と言われる所得格差、特に再配分機能が非常に大きいと思っております。

 ただ、税に関してはそろそろ限界部分もあるのではないかと私は思っておりまして、この格差を縮小していくという効果に関しまして、社会保障、私は、もっともっと実は踏み込んでもいい部分もあるのではないかと思っているわけであります。

 今回の税と社会保障の一体改革の中に、ちょっと踏み込みが足りないけれども、実はこういう思いがこの中にあるんだということがございましたら、岡田副総理、教えてください。

岡田国務大臣 まず、消費税で収入を得て、それを社会保障に使うということ自身が、私は所得の再分配につながっているというふうに思います。

 もちろん、消費税は所得税に比べれば累進度が低いわけですから、比べるものによるわけですが、基本的に消費の多寡に応じて税を納税していただく。社会保障の給付の方は、所得の多い方も少ない方も基本的に同額の給付である。国民年金にしても、あるいは医療、介護にしても、所得が多い少ないで給付が多くなったり少なくなったりということは基本的にはない世界。そういう意味で、消費税で納税していただいて社会保障に使うということ自身が所得の再分配になっているというふうに思います。

 それに加えて、今回、所得の少ない方に対するいろいろな配慮、例えば、年金でいえば最低保障機能を強化するということを考えておりますし、あとは、保険料について、所得の少ない方に対してより配慮をして、この二極化が進む中で、例えば国民健康保険の保険料すら払えない、したがって医療が保険適用されない、そういうことも決して珍しくなくなってきた中で、所得の少ない方に対する十分な配慮ということが求められている、そういったことにかなり配慮した改革になっているというふうに考えております。

あべ分科員 そうすると、特に給付つき納税方式、ここの給付の部分を実は保険料と代替している国も幾つかあるわけでございまして、副総理はそこの部分を、これは現金だけですか、それとも社会保障の自己負担分を支払わなくて済むという形の、ある種、いわゆる公助としての考え方としての給付ということもお考えでしょうか。

岡田国務大臣 そこはいろいろな制度設計があり得ると思います。

 ただ、今我々が考えているのは、自己負担部分に関しては、それは総合合算して、所得の少ない方に対しては一定の限度以上は御負担いただかなくていいようにしようということで整理をしているわけであります。もちろん、おっしゃるように、給付つき税額控除で給付をする際に、その給付にかわって、そういった御負担部分、自己負担部分について、例えば相殺するとか、そういうことはあるかもしれませんし、いろいろな制度設計があり得ると思います。

 そういうことも含めて、これから、委員のいろいろな御提言もいただきながら、制度設計を具体化していきたいというふうに考えております。

あべ分科員 私は、消費税に関しましては、いつまでも反対ができるものではないと思っております。そうしましたときに、消費税を導入するのであれば国民の理解を得なければいけない、これは議員定数の削減と歳費の削減だけの話ではなくて、私は、国民の一人一人の生活がどう変わるかということが一番大切なんだと思うんです。

 すなわち、消費税を上げるときには福袋ではいけないということであります。消費税を上げたら自分たちの生活はどういう形になるんだということが目の前で見えるということが大切でありまして、そのために、総合合算制度、これが一番理解しやすいのではないか。あなたの医療費は年間幾らしかかかりません、福祉の部分、介護の部分もこれだけです、だから消費税を上げさせていただきたい。将来は不安は残るけれども消費税は上げるという話では、全く理解ができない話だと思いますので、特に岡田副総理におかれましては、この総合合算制度の精査をもっと、福袋でない形でお願いしたいというふうに思うわけであります。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

武正主査 これにてあべ俊子君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島一由君。

長島(一)分科員 お疲れさまです。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 三十分という限られた時間でなるべく多くのことについてお尋ねしたいので、岡田副総理におかれましては、簡潔な御答弁をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、まず、税と社会保障の一体改革に関連して、歳入庁についてお尋ねいたします。

 消費税の増税については、税を上げる前に無駄を省けという国民の声があると同時に、特に年金の未納の改善を求める声があります。そこで、徴収率がおよそ九八%と比較的高い税金と年金を一元徴収すべきという観点から、歳入庁の創設がいち早く求められていると思います。

 そこで、岡田副総理にお尋ねしますが、歳入庁については、いつを目途に立ち上げて、どれぐらいの年金保険料の徴収改善を見込んでいるのか、お尋ねいたします。簡潔にお答えください。

    〔主査退席、今井主査代理着席〕

岡田国務大臣 歳入庁につきましては、二月二十四日に私のもとに作業チームをスタートさせ、これから検討作業を本格化させるところでございます。大綱の閣議決定を待ってスタートさせたということであります。

 いろいろな観点で検討しなければなりません。国民年金保険料の納付率向上にどのぐらいつながるのか、あるいは社会保険行政や税務行政全般の効率性確保に資するのか、それから、今後導入が見込まれるマイナンバー、給付つき税額控除、新年金制度などにとってふさわしい体制か、そういったところについてしっかりと議論していかなければならないということでございます。

 ですから、御質問に答えるとすると、大変申しわけないんですが、まだ具体的にお答えするところまでは至っていないということであります。

長島(一)分科員 消費税の増税については、二〇一四年の四月に八%、二〇一五年の十月に一〇%と、数字は明確になっているんですが、その理解を得るための国民に対しての説明材料の数字がなかなか明らかになっていないので、私も説得に当たりますけれども、なるべく早く数字をいただきたいと思います。

 その上で、歳入庁というと、どうしても国税と国民年金の一元徴収がメーンになってくるんですが、実は市町村の協力も得た方法もあるということのために少しお話をさせていただきたいと思うんです。

 私が神奈川県の逗子市長をしているときに、それまで、水道については神奈川県、それから下水道については逗子市と別々に徴収していたんですが、平成十五年に一括徴収するようになりました。水道は、皆さん、とめられると困るからほぼ一〇〇%なんですけれども、下水道については、とめようがないので、未納が横行していました。これを一括して、平成十四年の約九二・八七%から平成二十一年には九九・一九%と、人口六万の、一般会計が大体百八十億円の小さな町ですけれども、それでも、年間五千万円、徴収が向上しました。

 年金と税金も同じことが言えると思います。

 実は、年金については、御存じかと思うんですけれども、平成十四年の末まで市町村が徴収事務を行っていました。そこで、年金の徴収事務を、市町村に戻すだけでなく、ほぼ一〇〇%近い徴収率を誇る市民税と一元徴収することで、年金の未納を大きく改善できると思います。特に税金の徴収については、市民税の担当者も、滞納処分のノウハウのほか、収入や資産など個人情報を詳細に把握して取り立てるからです。

 こうした年金徴収の一元化の構造改革特区提案を、実は、平成十七年に逗子市長として国に提案しました。そのときは残念ながら却下されてしまったんですけれども、年金と国税というのがメーンだと思います。先ほどのあべ議員の質問にもありましたけれども、いろいろな抵抗もあるかもしれません。状況によってはそういう選択肢もあるということは、岡田副総理には知っておいていただきたいと思います。

 その上で、歳入庁が創設されることによってどれぐらい収入がふえるのかということを、先ほど明快な御答弁はなかったんですけれども、厚生労働省に、国民年金の約四割の未納が改善するとどれぐらいのコストになるのかと数字を無理無理出させたところ、保険料ベースで約五千八百億円ということでした。

 一方、税金については、国税庁に確認したところ、先ほど述べましたように九八%ということですので、税金と年金を一元徴収して税金と同じように年金保険料も同じ比率で徴収することができれば、私の試算では、年間約五千六百八十億円の収入アップということになります。国家公務員の給与が七・八%の削減、二カ年で約六千億円の節減効果というわけですから、これが恒久化する効果に匹敵するわけです。

 それでも、消費税額一%で約二・五兆円ということですから、消費税と比較すれば、歳入庁を創設すれば消費税を上げなくてもいいというレベルではないものの、ばかにならない金額には間違いないと思います。

 そこで、お尋ねいたしますけれども、歳入庁の創設による収入改善のシミュレーションについての所見、それから、場合によっては、国税と国民年金の一元徴収ではなく、市町村における税と年金の一元徴収について、岡田副総理の見解なり所見をお尋ねしたいと思います。

岡田国務大臣 先ほどの逗子市での市長時代の御経験の話は、これは非常に興味深いものがございます。

 確かに、今の歳入庁、国税と年金の保険料徴収を一体化するということが一つの軸になっておりますが、実際に国税を御負担いただく方々と、それから国民年金の保険料をお支払いいただく方で、必ずしもオーバーラップしていない部分というのはかなりございます。それよりは地方税と保険料ということの方が、既に対象がかなりオーバーラップしているという意味で、より実効性が上がる可能性があるということだと思います。

 そういうことも含めて、先ほどもちょっと申し上げたんですが、やはり、徴税当局と、それから年金の保険料を集めること、そこの親和性についてもしっかりと議論の対象にしていかなければいけないというふうに考えております。

長島(一)分科員 御答弁ありがとうございます。

 続きまして、これも消費税に関連してなんですが、ちょうど十一日で震災から一年を迎えるわけです。この三週間、連続で被災地に入って調査をしてきましたけれども、福島県の南相馬市が消費税の減免特区の提案の準備をしております。

 この件については、先週の木曜日の総務委員会で、地方消費税に関連して川端総務大臣にお尋ねしましたけれども、南相馬市に限らず、被災三県について消費税を上げるということを、二〇一四年の四月から向こう五年間、増税分を減免したらどれぐらい減収になるか尋ねたところ、清算という手法から無理に概算すれば、地方消費税分でおよそ五千六百億円、全体として約二・三兆円などと、初めて推計が示されました。

 しかし、被災地に限って間接税を減免する例というのは、世界的に見てもほぼないということと、技術的に難しいということでしたけれども、私、消費税の増税については、被災地に対しての一定の配慮が必要ではないかと思います。

 そこで、岡田副総理にお尋ねしますけれども、低所得者対策として俎上に上がっている簡素な給付措置はどのようなイメージか、また、被災地には特別の配慮ということで、さらなる簡素な給付措置への上乗せが選択肢となり得ないのか、一括してお尋ねいたします。

大串大臣政務官 いわゆる消費税に係る逆進性対策のところの論点でございます。

 長島委員においては、党でもこの点に関してかなり熱心な議論をいただきまして、本当にありがとうございます。

 所得の低い方々への対応ということで、今回、社会保障と税の一体改革大綱では、逆進性対策として、二〇一五年度以降の番号制度の本格稼働、これを前提として、給付つき税額控除や総合合算制度等々で所得対策をしていく、こういうことを考えます。

 それまでの暫定的、臨時的な措置として簡素な給付措置というようなことを書いて、その内容についてはこれから検討してまいりますが、給付の開始時期や対象の範囲、基準となる所得をどう考えるか、あるいは財源をどう考えるか、さらには執行を、これは給付措置ですから、何がしかの執行体制が必要になります。税とは異なります。こういうことをどういうふうにするのかということを考えていかなければなりません。

 そういったことを含めて、まず、社会保障と税の一体改革の実施によってどれだけの所得格差対策が打たれるかということを前提にしながら、さらに、それでも対応できない所得対策、格差対策に対して、こういった論点を含めて検討していきたいというふうに思います。

 一方で、私も復興の担当をしておりますが、被災地の皆様に復興の道をしっかり歩んでいただけるような形にしていくということもやはり大切なことでございます。ただ、その中で、被災地の皆様に対するところのみ特別な消費税に関する対策をするということに関しては、先般も御質疑いただきましたけれども、なかなか困難な面があろうかと思っておりますので、慎重な検討が必要かというふうに思っております。

 震災に関しては、いろいろな予算措置等々も含めて、できる限りの復旧復興を果たしていただくというような対応をまずはしていくことが第一義であろうかというふうに考えます。

長島(一)分科員 被災地の復興への対策ということで、交付金を初めいろいろな対策があると思います。ただ、一方で、消費税に対しての理解を求めるわけですから、その辺に対しても、やはり民主党政権は血が通った政治をするなという一定の配慮は、岡田副総理、お願いしたいと思います。

 それからもう一つ、消費税の増税については、党の税調の議論でも、食料品については除外すべきという声はありました。そのとき、食料品を除外すると減収になる、実際どれぐらい減収になるかと財務省に後でただしたら、約四分の一減収になるということでしたけれども、党内の議論の中では、一〇%までは食料品は除外せず、一〇%を超えたときに考えるべきじゃないかという話で終わっております。

 食料品の除外について、岡田副総理はどのような考えをお持ちか、お尋ねいたします。簡潔にお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 ここは議論が分かれるところですね。我々は、将来的には給付つき税額控除ということで考えているわけです。

 私は、個人的には複数税率は好きではありません。なぜそう申し上げるかというと、やはり、そこに、国が優劣をつける、そういうにおいが感じられるからです。あるものには安い税率、あるものには高い税率、それは他の食料品でもいろいろございます。例えばフランスでも、キャビアは標準税率だけれども、フォアグラやトリュフは軽減税率だ。恐らく、トリュフやフォアグラはフランスで生産されているということが関係してくるんだと思いますね。どうしてもそういう配慮が入ってくる。

 つまり、国が物事のいろいろな価値を決めるという考え方が入ってまいりますので、必ずしもそれは適切ではないんじゃないか。食料費は最低限に抑えてでも、例えば一点豪華主義で、いいステレオを買いたいとか車を買いたいとか、そういう人もいますから、やはり個人のライフスタイルに中立的でないやり方というのは余りいい制度とは言えないんじゃないか、私、個人的にはそう思っております。

長島(一)分科員 御答弁ありがとうございます。

 ちょっと時間が限られているので、次の質問に移らせていただきます。

 消費税の増税の大義については、日本の現役と高齢者の人口構成が、いわゆる、現在三人対一人で支える騎馬戦型から、やがて一人が一人を支える肩車型になる、だから、持続可能な年金制度を維持するためだと言われておりますけれども、そうであるならば、年金制度自体も、現役世代が直接高齢者を財源的に支える今の賦課方式から、現役世代が自分の分を直接積み立てていく積立方式に切りかえるべきだという指摘もあります。

 これについての岡田副総理の所見、答えられる範囲で構いませんので、お願いします。

岡田国務大臣 確かに、人口構成が変化していく中で、賦課方式というものはいろいろな、いろいろなというか、一定の限界があることは間違いありません。そういう中で、積立方式ということが一つあるわけであります。

 私は、基本的に二つの問題があるというふうに思っています。

 一つは、大きな経済変動があったときに、もちろん利回りが、例えば、物価の上昇に応じて運用も実績が上がればいいんですが、そうでないということになりますと、その部分をどうするのか。ほとんど意味のない少額の年金を受け取ることになりかねないという問題が一つ。それからもう一つは、過去債務というか、二重の負担の問題がございます。

 実は、私と自民党の野田先生初め、民主、自民の有志の議員が集まって、年金制度の理想の姿を議論したことがございます。それは積み立てにかなり近いものであります。そのときには、やはり積み立て不足というものが出てまいりまして、それをどう埋めるかということもあわせ議論しなくてはいけない、こういうことになったわけでございます。

長島(一)分科員 この点については維新の会も船中八策の一つに入れておりまして、維新の会が言っているからどうということはないんですけれども、外部の有識者の指摘とかがあっても、なかなか説得力を持つ一つの主張ではあると思いますので、それに対して、もしその選択肢をとらないのであれば、今も一定わかりやすくお答えいただいたと思うんですけれども、もう少し継続的に、あらゆる場面で丁寧に説明していただきたいと思います。

 次に、行政改革についてお尋ねしますけれども、冒頭述べましたように、税を上げる前に無駄を省くべきだという声には大変根強いものがあります。

 ちょうど今月から、LCC、ローコストキャリア航空会社が就航して話題を呼んでおりますけれども、本社業務の徹底した合理化として、一つは、文房具やパソコンについては個人所有物の持ち込み。ちなみに、パソコンについて、持っていない人には十二万円の購入補助をしております。また、本社オフィスを成田空港から二つ先の駅ビル内に移して家賃を四分の一に節減するなど、徹底した合理化を進めております。

 私が今例示した民間の節約術は十分に国の役所にも応用できると考えます。かなり細かいことで恐縮なんですけれども、岡田副総理の所見をお尋ねしたいと思います。

舘政府参考人 ただいま、民間企業における創意工夫について御質問をいただきました。

 行政改革の第一歩は、まず、日常の行政事務における無駄を可能な限り削減していくことから始まると考えております。そのような観点から、行政事務で多数使用している事務用品の調達に至るまで、コスト削減を図るべく、競り下げの試行や共同調達の拡大など、取り組みを進めているところでございます。

 また、政府部内で購入している雑誌、定期刊行物などの身近なコストの見直しも重要なことでございまして、今後とも、納税者の視点に立って、民間の創意工夫も参考にしながらコスト削減を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 今、答弁がありましたが、やはり民間企業並みのコスト削減努力ということは当然のこととして求められると思います。今、いろいろなことを政府の中でも検討しておりまして、そういう民間の動きも参考にさせていただきながら、政府の中で一つ一つ徹底していきたいというふうに考えております。

 けさも、私の部屋に新聞が六紙配付されるわけですが、そのうちの三紙は自宅でとっておりますので、これはもう要らないということを指示したところでございます。

 また委員の方からもいろいろな御提言をいただきながら、少しずつの積み上げの中で、それが膨大な税金の無駄遣いを排除することになってまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。

長島(一)分科員 今のローコストキャリア航空会社の事例は、全部のほかの民間がやっているわけでもないし、かなり民間の中でも踏み込んだ事例だと思います。そういった意味で、やはり税の負担をお願いするには、民間の中でも先端事例を少し参考にしながら、国でもそんなことをやっているのかというような、国民にわかりやすい材料を用意していただきたいと思います。

 それから、次に、公務員の人事評価に関連して、独立行政法人改革、政府系公益法人改革についてお尋ねします。

 国家公務員については、無駄の削減に努力した人とそうでない人との評価をするようにと総務省から通知が出されておりますが、まだ本格的な評価はこれからと言えます。

 そこで、私が特に指摘したいことは、人事評価システムをきちんと確立するとともに、在職中だけでなく退職後も生かされるように、独立行政法人や政府系公益法人のポストの公募の際に、現役時代の人事評価を活用し、頑張った職員は転職できたとしても、無駄の削減に消極的だった職員はポスト公募で確実にはねられるようにすべきと考えます。しかし、現行、人事評価記録については、本人開示すら認められておりません。

 そこで、岡田副総理にお尋ねしますが、人事評価記録を独立行政法人や公益法人のポスト公募に活用できるようにシステムを整えるとともに、人事評価記録を本人には情報公開すべきと考えますが、いかがでしょうか。岡田副総理のお答えできる範囲でお願いします。

田中政府参考人 国家公務員の人事評価制度を所管する総務省の立場から御答弁を申し上げます。

 かねて先生から、行政改革に功績がある人が報われる仕組みをつくるべきという熱心な御指摘を頂戴いたしております。

 ただいま御指摘の直接の論点ということで申しますと、国家公務員が再就職の公募に応募するに当たりまして、人事評価記録書につきまして、まず一つは、記録書そのものはいわば公開をするという論点、それから、職員であった者が応募します応募先の組織にいわば情報提供するという論点があろうかと思います。

 これは、いずれも先生よく御案内の論点かとは思いますけれども、まず、人事評価につきましては、職員の昇進等の人事管理に使用するために制度設計されておりまして、人事評価記録書そのものの開示、公開は、内閣府令で公開しないということにいたしております。

 また、情報提供ということで申しますと、国家公務員法第百六条の二が、府省の人事当局の職員による他の職員の再就職あっせん、すなわち、あっせんとは、要求、依頼だけではなく、情報提供も含む広範な概念でございます。

 いずれにしましても、非常に重要な御指摘だというふうには私ども思っております。問題意識としては、よく承りまして、受けとめさせていただきたいというふうに思います。

    〔今井主査代理退席、主査着席〕

長島(一)分科員 この人事評価について、本当に行革もすごく大事なんですけれども、その前提としての人事評価のシステムを確立することは肝だと思いますので、その点、岡田副総理、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、行政監視システムについて若干お尋ねしたいと思うんです。

 この間、行政刷新プロジェクトチームでも、行政監視システムをほかの国と比べた場合に、一番弱い部分は準内部統制なんですね。ちょっと専門用語になるんですけれども、例えば、内部統制については行政評価や政策評価、それから外部統制は国会や会計検査院に当たるんですけれども、それぞれ、内部統制は、内部に精通しているという強みがある一方で、身内のチェックのために甘くなりがちで、一方、外部統制は、客観的かつ公正に問題点にメスを入れられるものの、内部の事情には精通していないという弱点があります。

 そこで、内部に精通していながらも、ある程度独立した内部の組織である準内部統制機関が有効です。我が国では、これに近いものとして、例えば、総務省や外務省がコンプライアンス室に弁護士や会計士などを配置し、内部通報以外にも、業務改善の指導を行っております。

 こうした取り組みは、総務省とか外務省だけでなく、全庁的に徹底していくことがとても重要だと思いますけれども、岡田副総理の御見解をお尋ねいたします。答えられる範囲で構いませんので、お願いしたいと思います。

岡田国務大臣 これはなかなか難しいところがあると思います。既存の、今お話しの総務省や外務省、どのぐらい機能しているかということもよく検証する必要があると思います。その上で、意味が十分にあるということであれば他省庁にも及ぼしていくということだと思っております。

 我々、行政刷新会議などで外部の方々からいろいろな御指摘をいただきましたが、あの中には政治家も入って、そして外部の有識者とともに議論していただいたわけであります。ああいう形も、新しい統制の形として私は非常に有効ではないかというふうに思っております。

長島(一)分科員 この準内部統制機関の全庁的な徹底ということについては、行政刷新プロジェクトチームのペーパーでも、かなりまとめて提言をしております。海外と比べた場合に、ここが一番の日本の弱点ですので、岡田副総理もしっかりと目を光らせていただきたいと思います。

 それから、政策評価法について、これは本当は総務省の話なんですが、国会議員全員にかかわることですので、岡田副総理も承知をしていただきたいですし、ちょっとお尋ねしたいんです。

 会計検査院と同じように、政策評価について、毎年、各省庁がどういうふうにやったかということが、二、三センチぐらいの冊子なんですけれども、全国会議員に配られるんですね。ところが、これは去年から指摘しているんですが、全く読み物になっていないというか、会計検査院の報告書と比べると、何をどう評価したのか全くわからないし、インデックスでしかないんですよ。そうすると、これを政務三役も活用しづらいですし、このことは指摘してきているんですが、なかなか変わりません。

 そういった意味で、岡田副総理は、これをまず読んだことがあるかどうかと、この改善、本来の所管は総務省なんですけれども、これに対する見解があればちょっとお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず最初の御質問、真剣に読んだことはまだございません。

 それから、そもそもこういう書類というのは、余り読んでおもしろいものではございませんが、理解されなければ意味がありませんから、御指摘のようなことがあるとすると、それは改善できないか、よく議論してみる必要があると思います。

長島(一)分科員 ありがとうございます。

 これは最後の質問になるんですけれども、この間、私も新人議員として、行政刷新のプロジェクトチームあるいは党の行政改革調査会のワーキングチームでいろいろな形で会議に参画して、ペーパーを事務局長なんかと取りまとめてきたんですが、政調に上げて、その先、例えば、当初の素案がだんだんだんだん丸まってしまって、非常に最終的に抽象的で、せっかくの議論が何だったんだろうと思うことが、兵隊、一議員として、間々あるわけですね。

 これが果たして、政調に上げて、その先、私なんかが見るとかなりブラックボックスなんですけれども、本当に今まで議論してきたことが生かされるんだろうか、それとも、これは、ねじれ国会の中で、各党に理解していただいて法案を通さなきゃいけないから、筆は丸くなっているけれども、その後、規則とか細則で生かしていくんだということなのか、その辺が現場としては見えにくいところがありますので、本当に、ペーパーを見たときに、がっかりするときも、あるいは、どうなっているんだろうと疑問が湧くところもあります。

 行革を所管する副総理として、ぜひ、君たちの議論は絶対に無駄にしないんだという意気込みを最後に聞かせていただきたいんですが、よろしくお願いします。

岡田国務大臣 私も初代行政改革調査会長ですから、当然、党の中で非常にいい議論が具体的に行われていることはよく承知をしております。その結果が、通って、御提案の法案という形になって、一つ結実しつつあるということだと思っております。

 それに加えて、私としては、党でそういったいい議論が行われているということは十分承知しておりますので、党と政府で意思疎通をよくして、皆様から御提案いただいたことが具体的な政策として実施できるように、懸命に努力してまいりたいというふうに思っております。

長島(一)分科員 岡田副総理におかれましては、過去、選挙で演説のときに、「スミス都へ行く」という映画が自分も好きだ、信念を曲げないでいろいろ主張していく議員に感銘を受けているという話をいただきました。私も本当にそう思います。今、副総理という立場で、いろいろ本当は言いたいのに言えないという場面もあるかもしれませんけれども、ぜひ、岡田副総理の持ち味、キャラクターを生かしていただいて、日本国のために頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

 失礼します。

武正主査 これにて長島一由君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)分科員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日は、野田内閣のナンバーツー、岡田副総理に御出席をいただいております。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 先般、二月二十八日の予算委員会で、東日本大震災を教訓として、日本国憲法に緊急事態条項を盛り込むべきであるという論点で質問をさせていただきました。まず、この点をもう少し深掘りさせていただきたいと存じます。

 東日本大震災は、まさに四月の統一地方選挙を迎えた時期に発生いたしました。そこで、国会では次のような法律を成立させました。東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律、非常に長い名前です。この法律を成立させました。

 この法案は、震災から六日目の三月十七日に衆議院で可決し、翌三月十八日に参議院で可決するという迅速な対応がなされました。この法律の施行によりまして、今回の大震災、原発事故の影響で、総務大臣が地方選挙を適正に行うことが困難と判断した場合には、地方議員や首長の選挙期日を延期し、その任期を延長させることが可能となったわけです。

 この法律により選挙期日が延期された選挙の数は、岩手、宮城、福島、茨城の四県で六十七にも上りました。任期が延長された首長と地方議員は、岩手県知事を初めとし、千二十二名です。また、選挙期日が最も延期されたものは、福島県議会選挙を初めとした福島県内八つの選挙です。延期された日数は二百四日、およそ七カ月となります。

 さらに、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故によりまして、岩手、宮城、福島、茨城の四県で、当初予定されていた選挙を適正に行うことが困難になった有権者の数、二百六十万人。選挙期日の延長によって何とか民意を反映することができた、これが実態です。

 岡田副総理、このような政府と国会の迅速な対応により、選挙期日などを延長する特例措置法を速やかに制定し、被災者の参政権を何とか保障しようとしたわけですが、本件についての見解をお示しください。

    〔主査退席、今井主査代理着席〕

岡田国務大臣 委員御指摘の選挙の延期ということですけれども、これは、私、与党の幹事長でありましたので、よく覚えております。

 とてもできない状態ということを踏まえて、これは与党、野党なく協力して、非常に重要な決断だったと思いますが、選挙の期日を先送りすることができた。その後、落ちついたところで選挙ができたということで、任期が延びるということはある意味では異例ではありますけれども、しかし、とても選挙ができる状況じゃなかったわけですから、そういう中で例外を設けることができたということは非常によかったというふうに考えております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 先般の予算委員会で、三月十一日の東日本大震災のような緊急事態が発生したときに、衆議院が解散されていたらどうなるのかという質問をさせていただきました。こちらのパネルを使わせていただきましたので、もう一度使います。

 こちらのパネルにあります憲法四十五条、五十四条の衆議院の任期と解散後四十日以内に総選挙を行わなければならないという規定、そして、下にあります憲法十五条第三項の参政権の保障の間に矛盾が生じるのではないかというふうに質問をさせていただきました。法制局長官より、これに関する答弁を二回いただきました。その内容を総括させていただきますと、大体このようなことをおっしゃいました。

 そのような緊急事態時に、たとえ衆議院が解散していて、選挙期日を憲法の規定により変更できない状態で総選挙が行われているとしても、憲法第十五条第三項の参政権は憲法と法律の範囲内で保障されている、このような御答弁でした。

 そして、緊急時においても参政権を保障しているとする論拠として、法制局長官の御答弁によりますと、法制上の制度として、公職選挙法では衆議院議員の任期や総選挙の期日を動かすことはできないが、例えば、不在者投票や繰り延べ投票などで担保できるから参政権は保障されているという御趣旨の御答弁をいただきました。

 では、まず、東日本大震災のような緊急事態が発生したときにおいても参政権が保障されるのだとする一つ目の理由、おっしゃいました不在者投票について考えてみたいと思います。

 緊急時において参政権を保障するための制度として、不在者投票は十分であるというふうには、私は到底考えられません。

 今回の災害では、先般の予算委員会での総務副大臣の答弁にありましたように、投票所、開票所、これに予定していた施設が滅失あるいは避難所となっているため、投票所、開票所などの物的設備の確保が困難であったという御答弁をいただいております。また、職員が被災者の避難所の支援や復旧対策に追われており、選挙事務を執行できる人的体制が確立されていなかった、確かにこのような状況でした。

 選挙当日でさえ投票を行うのが困難なときに、不在者投票の場を確保し、そこに選挙事務を行う職員を配置することはできない、これは明らかではないでしょうか。選挙当日でさえ投票を行うことが困難なときに、選挙期日前に投票を行うことができる不在者投票の制度があるから、東日本大震災のような緊急事態時には参政権が十分に保障されているとは、私は全く思いません。

 まず、不在者投票、この点について、法制局長官の見解をお伺いさせてください。

山本政府特別補佐人 前回、私は、繰り延べ投票と不在者投票、その二つを御説明いたしました。

 それで、不在者投票につきましては、これは主に避難している有権者の方々に対する措置でございまして、もう一つ、公職選挙法の五十七条一項においては、天災その他避けることのできない事故により投票を行うことができないときには繰り延べ投票という制度がございますので、その二つを申し上げたつもりでございます。

近藤(三)分科員 長官、もう一度お伺いさせていただきます。

 ということは、この不在者投票という制度は、緊急事態時には十分に参政権を保障しているというふうにお考えなのでしょうか。明確にお答えいただきます。

山本政府特別補佐人 緊急事態にはいろいろな事態があると思いますけれども、主に、この不在者投票は、避難している有権者の方々に対する措置としては有効だと思っております。

近藤(三)分科員 長官、私が伺ったのは、この四十五条、四十六条と十五条に矛盾が生じているのではないかというふうに伺った、そのお答えとして不在者投票が有効であるという趣旨の御答弁をいただいたわけですが、今のお話ですと、私、ちょっと理解に苦しむんですが、もう一度お伺いさせてください。

山本政府特別補佐人 憲法十五条の規定、参政権の保障でございます。そして、それを具体化するものとして公職選挙法という規定があって、それに従って各選挙が行われるわけでございます。

 そして、個々の、災害の実情とか事情とかいろいろあるわけでございますが、総じて、この公職選挙法には今申し上げた不在者投票とそれから繰り延べ投票という制度がありまして、その二つをもって、その事態に応じた柔軟な対応を選挙管理委員会その他の関係者の皆様が行うことによって、有権者の投票の機会ができるだけ確保されるようにということの努力がされると思います。

近藤(三)分科員 もう一度お伺いさせていただきます。

 それでは、繰り延べ投票に移らせていただきます。

 長官は、東日本大震災のような緊急事態が発生したときにおいても参政権が保障されているという中に、繰り延べ投票、不在者投票とおっしゃったわけですが、二点目の繰り延べ投票、緊急時において参政権が保障されることになるという御趣旨を今回も御答弁なさった、先ほどの御答弁でなさったということなんでしょうか。

 天災その他避けることができない事故により投票を行うことができないときには、選挙管理委員会は、さらに期日を定めて投票を行わせなければならない、公職選挙法第五十七条の繰り延べ投票の条文ですね。選挙期日の延期の規定です。憲法第五十四条一項に、解散の日から四十日以内に総選挙を行うとありますから、繰り延べ投票を行うとしても、その期日は四十日以内に行わなければならないと考えます。それとも、当初の選挙期日さえ四十日以内に設定されていれば、繰り延べ投票の期日は四十日を過ぎてもいいというふうに解釈していらっしゃるのか。この点についてお聞かせください。

山本政府特別補佐人 まさにそういうことでございまして、公職選挙法五十七条第一項におきましては、天災その他避けることのできない事故により投票を行うことができないときには、選挙管理委員会の御判断によって、さらに期日を定めて投票を行わせることができるということになっておりまして、選挙自体は、先ほど申しましたような、解散の日から四十日という期限に行いますが、実際の投票ができないということになれば、この規定が動いて、場合によってはそれよりもおくれてもしようがないということになっております。

近藤(三)分科員 ということは、四十日を超えてもよいというふうに解釈をしていらっしゃるということでしょうか。

山本政府特別補佐人 選挙自体はその期日内にする必要がございますけれども、投票自体は、できないということになれば、それはそういうことでございます。

近藤(三)分科員 長官、憲法の規定には、四十日以内で選挙をしないといけないというふうに規定しているわけですね。しかし、繰り延べ投票、四十日を超えて行うことができると今長官がおっしゃったわけですけれども、これは憲法違反じゃないんですか。これは完全に矛盾していますよ。

山本政府特別補佐人 選挙自体は憲法の規定内で行われているわけですけれども、実際に投票所が例えばそういう事態になりましたら、それはもう実際に投票ができないわけですから、その地域の投票だけは選挙管理委員会の判断によって別の期日にできるということでございます。

近藤(三)分科員 山本長官、一年前の東日本大震災のあの惨状を思い出していただきたいと思います。

 長官は、法の番人として、いわゆる法制局のトップとして、総務省などが速やかに作成した、地方選挙の期日、議員の任期を緊急的に延長できる臨時特例法案の法令審査に当たった方ですよね。そのとき、長官は、津波に洗われたあの太平洋沿岸地域の惨状を目の当たりにされたはずです。そして、このままでは憲法十五条第三項の参政権の保障が妨げられると考えられたのではないんでしょうか。だからこそ、大震災発生から六日目の三月十七日にはこの法案が衆議院で可決され、翌十八日には参議院でも可決されたのではないかと考えております。国会議員もみんな同じ気持ちです。この法案の審議に一生懸命当たったはずです。

 そのような対応をされた法制局長官、山本長官、あなたが、東日本大震災のような緊急事態発生時に衆議院が解散されていた場合でも、四十五条、四十六条、そして五十四条の規定を総合すれば、あの惨状の中で、あらかじめ決められている選挙期日を大きく変更することができないとこの前は認められたわけですね。でも、今の答弁では、保障されているという趣旨の答弁をされたわけです。

 私たちは、東日本大震災を大きな教訓として、次の世代のために、そしてお亡くなりになられた方たち、この世に生をうけた私たちの次の世代が一生懸命頑張ろうとしていくときに、次の世代に何を残すべきかということを一生懸命考えなければならないと思います。

 法の番人と言われる法制局の山本長官の今の御答弁というのは、国会議事録に長く残ります。これまでの御答弁に禍根はないんでしょうか。

 改めて、もう一度伺います。

 東日本大震災のような緊急事態発生時に衆議院が解散されていた場合に、憲法十五条第三項の参政権が保障されていると言えるのか言えないのか、そこを御答弁ください。

山本政府特別補佐人 昨年の三月十一日のあの悲惨な状況は、私も本当に一生心に残ると思っております。

 それで、この法案につきましても、直ちに審査をして、真夜中までかかってやっていたわけですけれども、一つ大きな違いがございます。

 これは地方議会の議員の任期、首長の任期と選挙期日でございますが、いずれも、任期の場合は地方自治法、選挙期日は公職選挙法に規定があるわけです。したがいまして、その例外をこういう臨時特例法という形でつくることができるわけです。

 ところが、国会議員の場合は、憲法四十五条本文と四十六条におきまして衆議院議員と参議院議員の任期が定められておりますし、また、五十四条一項には、衆議院が解散された場合に、その解散の日から四十日以内に総選挙を行うと明確に規定がありまして、その例外は書いてございません。

 そういうことで、国会議員のあれは、先ほど申しましたような公職選挙法の規定で対応するしかないということでございます。

近藤(三)分科員 ですから、先ほどからこの二つの間には矛盾があるのではないかというふうに申し上げているわけですが、いずれにしましても、本件につきましては、改めて質問主意書などで答弁を求めてまいります。

 それでは、岡田副総理に伺います。

 東日本大震災から間もなく一年です。東日本大震災、それに引き続く福島第一原子力発電所事故は、私たちに大きな教訓を残しました。その一つが、今回取り上げさせていただいています憲法の衆議院議員、参議院議員の任期、解散時の選挙期日と、緊急事態発生時の有権者の参政権の保障の間に矛盾が大いに発生する可能性があるということです。

 この点からも、現行憲法に緊急事態条項が用意されていないことの問題点が浮き彫りになってきております。早急に緊急事態条項を憲法に盛り込んでいくことは、国会の責務であると考えております。

 一方、この問題は、三権分立の立法府である国会、行政を担う政府、司法との適正な関係にも大きな影響を及ぼす問題でもあります。つまり、緊急事態に立法府である国会が適正に機能しない可能性を内在しているということです。これでは、内閣は的確な意思決定に基づいて行政を執行することができない可能性があります。政府の問題でもあります。

 東日本大震災の三月十一日、岡田副総理は内閣の一員ではあられませんでしたが、先ほどおっしゃいました民主党の要職におられました。今は内閣を代表されるナンバーツーの立場にあられる岡田副総理です。いつ、大地震、大災害が起こるかもわからない、自然条件が大変厳しい我が日本列島です。本日の議論も踏まえ、この緊急事態の参政権の問題について、現行の法制度でこれが十分に保障されているとお考えなのかどうか、政府の見解をお聞かせください。

岡田国務大臣 先ほどからの委員の御指摘は、うなずけるものもございます。憲法の中の二つの条項が、そこで矛盾とまでは言わなくても摩擦を起こしているという状態で、そこの部分について、基本的に、もちろん、先ほどの公職選挙法五十七条というのはかなりの部分を解決することが可能だと私は思いますが、しかし、それでも対応できない場合というのは出てき得る。そういったときに、憲法そのものを変えて、矛盾といいますか、そういうものが顕在化しないようにするということは一つのお考えだと思います。

 ただ、委員も御指摘のように、憲法を改正する議論というのは、政府というよりはやはり議会の中で御議論いただくことが中心で、そういう場もございますから、ぜひお取り上げいただき、そして各党間でよく御議論いただければというふうに思っております。

近藤(三)分科員 岡田副総理は本件について真剣にお考えいただいているという御姿勢を伺いました。問題認識は共通であるというふうに確認をさせていただいたような気がいたしております。

 先般の予算委員会でも、藤村官房長官は、本件につきまして、本当に深刻な受けとめ方をしていくべき話だと思います、このように答弁されました。憲法改正の発議は、もちろん国会にあります。しかし、緊急事態におきましても我が国の三権分立のシステムがしっかり機能することは、行政府である政府にとりましても欠かせないことです。そういう意味からも、本件をしっかりと議論して早急に結論を出し、日本の国情にふさわしい緊急事態条項を新たに定めていくことが私たち国会議員の責務と考えております。

 幸い、ようやく衆参両院で憲法審査会での議論が進められるようになりました。私もその一員でございます。しっかりと対応してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日は、社会保障と税の一体改革につきましても岡田副総理の御見解をお聞きしたいと思っておりました。ちょっと時間が迫ってまいりましたので、一つお聞きいたします。

 政府は、一月六日に、社会保障と税の一体改革素案を閣議決定ではなく閣議報告しました。そして、二月十七日には、一月六日の素案を一字一句変えることなく社会保障・税一体改革大綱として閣議決定しました。正確には、一字一句変えることなくではなく、素案の二文字を大綱と変えて、そのまま大綱として閣議決定されたわけです。

 この素案の閣議報告の一月六日から大綱の閣議決定の二月十七日の間に、一月十三日、岡田副総理が副総理に就任されました。そして、一月二十日に、一体改革・広報に関する基本方針を発表されます。その冒頭の一ページには「まず社会保障改革の内容、意義をわかりやすく国民に説明する。」とあります。

 一体改革の大綱の「はじめに」の最後の部分、このような記述がありますので、読ませていただきます。「本大綱をもって野党各党に社会保障・税一体改革のための協議を提案し、与野党協議を踏まえ、法案化を行う。」このようにあります。

 一方で、野田内閣は二月十八日から、「明日の安心」対話集会を始めたと報じられています。このことにつきまして、二月十九日の読売新聞に以下のような記事がありました。小宮山厚生労働大臣が出席した二月十八日の長崎市の対話集会の会場では、山田元農林水産大臣が姿を見せられ、消費税増税は与野党協議が条件となると発言されたことが記事となっておりました。

 そこで、岡田副総理に伺わせていただきます。

 「与野党協議を踏まえ、」とは、与野党協議がなされなければ法案化は行わないという意味なのでしょうか。二月十七日に閣議決定されましたこの「与野党協議を踏まえ、」の意味するところ、わかりやすく御説明いただけないでしょうか。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、確かに、本大綱をもって野党各党に協議を提案し、「与野党協議を踏まえ、法案化を行う。」というふうに書いてございます。私どもとしては、ぜひ与野党でこの問題をしっかりと御協議いただきたいというふうに考えております。

 これは増税の問題だけではなくて、社会保障の内容についても、でき得れば、法案化する前にお互い協議をして変えるべきものは変える。我々も、我々の案がベストである、もちろん閣議決定した以上ベストということではありますが、それを全く変えられないというふうに思っているわけではなくて、野党の皆様の御指摘もいただきながらよりよいものにして、その上で法案にしたい、そういう思いは強く持っているところでございます。

 そういうことで御提案を何回も申し上げているわけですが、なかなかまだその機運は高まっていないという状況でございます。どこかで法案という形にして、その上で国会で御議論いただくということも必要かもしれません。予算委員会でも何人かの野党の先生方から、やはりこれは法案として出すべきだ、その上で協議しよう、こういうふうに言われたこともございます。できるだけそうなる前に具体的な協議が始まることを期待しつつ、これはいつまでも時間をかけられる話ではございませんので、最終的には法案の形で御協議いただくということもあり得るのかなというふうに思っております。

近藤(三)分科員 与野党協議を踏まえてという、この踏まえてという言葉が何ともわかりにくくて、野田内閣は答弁作成におきましてよく広辞苑をお使いになる、愛用されているそうでございます。それで、私もこの「踏まえる」を広辞苑で引いてみましたところ、考え合わせる、考慮する、よりどころにする。余計にわかりにくくなってしまいました。

 わかりにくい言葉ですが、使い勝手のいい言葉かもしれませんが、先ほども申し上げましたように、一月二十日に政府が発表した一体改革・広報に関する基本方針の「まず社会保障改革の内容、意義をわかりやすく国民に説明する。」というのが政府の姿勢であるはずです。先ほど、大綱に書いてある与野党協議を踏まえて法案化を行うというのは、与野党協議を実際に行ってからという、その進捗状態を見てからということなんでしょうか。その時系列をもう一度確認させていただきたいと思います。

岡田国務大臣 でき得ればそうしたいと思っております。ただ、相手のある話で、やはり法案化してから、国会に法案を出してからでないとなかなか中身の協議はできない、そういう御指摘もいただいているところでありますので、場合によっては、法案化して、その上で御協議を再度お願いするということもあるかもしれません。

 いずれにしても、私は、この社会保障・税一体改革というのは先送りできない問題だというふうに思っております。委員も大体私と同じ世代でありますが、我々の世代の責任として、次の世代に、しっかりとした見通しの持てる日本にして、そして託していかなければいけない、そういうふうに思っておりますので、ぜひ、これからの内容についての御協議について、いろいろな御意見を聞かせていただければ大変ありがたいと思います。

近藤(三)分科員 副総理、国民にわかりやすく説明していくという姿勢、これは税と社会保障の一体改革において確かに一番大切なことだと思います。国民の理解ありきだと思います。そこの部分を、心地よい言葉を積み重ねることによってふわっと理解させることがなきよう、しっかりと誠実な姿勢を国民に示していただきたいと思います。

 時間が参ったので、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

今井主査代理 これにて近藤三津枝君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

今井主査代理 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤分科員 ありがとうございます。

 きょうは、被災地の復興と全国防災についてお話を伺いたいと思います。

 それで、予算委員会でも、中川大臣が防災担当大臣に御就任をされてから質問する機会がなかなかなかったものですから、きょうはそういう意味で私は大変楽しみにして指名をさせていただいて、分科会は大臣は一人しか指名できないというルールでありますので、ひとつよろしくお願いをいたします。

 分科会ですので、地元のことを比較的多く聞いても許されるということですし、かなり地域の個別事情、国全体にかかわることでなくても積極的にいろいろ聞かせていただけるということで、まず伺っていきたいのは、実は当委員会で、先月の二十四日、いわゆる地方公聴会で千葉県に委員の代表が足を運びました。そのときにいろいろな意見を意見陳述人から聴取したわけですが、きょうは基本的に、その陳述人の中で浦安市長と香取市長が切々と訴えられた、具体的には千葉県の松崎秀樹浦安市長そして宇井成一香取市長の発言をちょっと引用させていただきながら、お話を進めていきたいというふうに思います。

 それで、冒頭、末松復興担当副大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、松崎市長それから宇井市長、それぞれ浦安市長、香取市長ですけれども、異口同音で、東日本大震災復興交付金の対象となる基幹事業の五省四十事業の中には、彼の言葉なんですけれども、液状化対策を正面から受けているものが極めて少ないという受けとめだ、大変残念だと。その際に、あわせて、どうも、いわゆる被災三県、岩手、宮城、福島については大変熱心に国も関係者もマスコミも、大変だ大変だということで手を差し伸べてくれるけれども、ちょっと千葉県に対して冷たいのではないかというような感じもあわせておっしゃっていたところでありまして、その辺も含めて、副大臣として、この液状化対策を正面から受けとめているものが極めて少ないという発言について、どのようにお考えになりますか。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 千葉県の液状化対策につきましては、政府として、まず、道路とか下水道、学校などの公共施設の液状化被害につきましては、災害復旧事業ということで、地方の負担なしにしっかりとした対応をしております。

 とともに、二番目ですけれども、市街地における液状化被害への対応の重要性に鑑みて、新たに市街地液状化対策事業というものをこの四十事業の中にしっかり含めまして、創設いたしまして、それで、復興交付金の基幹事業としてしっかりやっているところでございます。

赤澤分科員 ありがとうございます。

 確かにおっしゃるとおりで、私も事前勉強していったところ、市街地の液状化の対策事業が含まれていながら、二つの事業でそれをやっていながら、そういう発言があったので大変驚いたといいますか、これはよく話を聞いて帰らなきゃいけないなというふうに思ったところで、次第に、盛り込まれている二つの事業の使い勝手が悪いというような話が明らかになってくるわけで、きょうはその話を少しずつさせていただきたいんです。

 二番目にお伺いをしたいのは、液状化、今副大臣がおっしゃった事業について事業採択を申請したところ、液状化対策は、これは予防的な措置であるので再検討してくれというようなことを言われて、引っ込めろ、端的に言うとそういうことのようでありますけれども、そういうことを言われたという発言が松崎市長からありました。

 液状化対策については予防的な措置なので事業採択の優先度が低いというのが国の考え方なのかどうか、お伺いをしたいと思います。

末松副大臣 液状化対策については、今四十事業の中に含めて、新たに創設した市街地の事業を含めてやっているわけなんですけれども、実は、優先順位といいますか、これ、いろいろと私ども、今一兆八千億円ほど、第三次補正と来年度の予算を含めてやっているわけですけれども、その中の優先順位ということで考えますと、例えば、自分の住まいを確保するために、この三県の中で、高台への防災集団移転事業とか、それに係る道路の費用とか、あるいは、漁港が全く破壊されて、そういった生活の糧を何とかやるために一生懸命に復旧等を、復興をやらなきゃいけない、そういった事業がどうしても優先されております。

 一方、液状化の対策の予防は、実は、今までやっているのに加えて、新たに予防という意味で、例えば浦安市さんなんかは学校の校庭に、サンドパイルというんですか、砂のくいをどんどん打ち込んで、そこで地層を固めて安全策をとるとか、あるいは道路につきましては、やはり道路の下に地盤をさらにかたくするような、そういった補強の工事をやって、それを対策として抜本的に考えておられる。私もこれは非常に重要だと思うところなんです。

 ですが、そういった液状化に必要な事業が要るところは今全国で二百三十六市町村ございまして、被災地の中でも、多分、数十市町村はそういったところが必要になってまいります。

 そういったところのバランスを考えていきますと、やはり生活の糧あるいは衣食住、これの方がどうしても優先度が高くなるということは否めないところかなと思っております。

赤澤分科員 丁寧な言い方でありましたけれども、おっしゃりたいことはよくわかるという感じだったかと思います。

 端的に言って、住むところがなくなっている方たちを優先にせざるを得ない。予算の制約がある中で、事実上、液状化対策については、言い方はともかく、住む家はあるけれども対策がということであるので、若干優先度が低いところもやむを得ないかなというような感じをお持ちなんだろうと思いました。

 私も理解しないでもないんですが、やはり大変切実な問題であるので、後ほど中川大臣に伺うところもあるんですけれども、例の対策規模ですね、集中復興期間の五年間に十九兆円の対策規模を決めた、十年で二十三兆円。その五年分をほぼ使い切っちゃっているという中で、どうやって実際、今後、予算を確保し、本当にこの切実な液状化についても予算を行き渡るようにしていくかというのは切実な問題ですので、今おっしゃったことは私も理解しないではないんですけれども、ぜひ一歩も二歩も踏み出して、しっかりと予算を確保して対策を打っていくということを副大臣にお願いしておきたい。

 特に切実な声があったのは、液状化対策は浦安市にとっては災害復旧事業そのものなんだ、それをやってもらえないと浦安は復旧しないと言われているのと同じなんだ、こういうことだったので、再度、議事録に残る形でといいますか、末松副大臣、端的に、液状化対策事業を今後は力を入れますということについて、力強い御決意の表明をいただければ大変ありがたいと思います。

末松副大臣 委員も今御理解を賜ったところでございますけれども、とにかく、これについては優先順位の話で、もし余裕があれば当然交付金にも入れたいところでございます。

 また、それができないということであれば、例えば、防災事業費とか社会資本整備総合交付金ですか、こういったところも活用が検討できると思うんです。そういった意味で、我々としても、検討の課題ということで重く考えております。

赤澤分科員 あわせて、副大臣、もう一つ。

 これは宇井香取市長の御発言だったんです。効果促進事業は、採択された基幹事業とリンクしていないと認められないため、使い勝手が悪い、こういう言い方をされていました。この点、御認識はお持ちですか。

末松副大臣 ここは我々もかなり柔軟に考えております。ですから、基幹事業との関連性を合理的に御説明いただければ、それは幅広い活用をしていきたいと思っておりますので、そこは、香取市さんの方でも、水道事業で、他市町村との連絡水道管という話が何か例示に出ていましたけれども、そういったところを個別に御相談いただいて、そこで我々きちんと調整ができるものと思っております。柔軟に考えております。

    〔今井主査代理退席、主査着席〕

赤澤分科員 ありがとうございます。まさに今、先取りしてといいますか、ちょっと時間の関係で、きょう時間があれば聞こうかと思っていて聞かないことにしていた水道事業の話ですね、これを聞くとなると、厚労大臣も厚労省も来ていただかなきゃいけなくなっちゃうので。

 ということなのでありますが、今本当に先取りして言っていただいたとおり、非常に要望が強かったのはそこなんですね。これを見ると、東日本大震災復興交付金の対象になる例の五省四十事業の中に、下水道事業は入っているけれども水道事業は実は入っていない、こういうことなんです。そこについては、そもそも基幹事業として取り上げてもらっていないというところがあって、復旧しているものが道路の上を走っていたり非常に苦しい状態なのでということがあったので、その辺も個別の相談についてはぜひ前向きに受けてあげてほしいと思うんですね。その辺、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 そして、きょう、森ゆうこ文部科学副大臣にもお運びをいただいておりまして、私も日ごろから参議院の予算委員会で御雄姿を拝見させていただいておりまして、きょう質問させていただくことを大変楽しみにしてまいったわけであります。

 市長たちからの要望というのは尽きることが本当にありませんで、しかも、どれも極めてごもっともであります。

 これは本当に、問いにしてみると一つだけなのでありますけれども、非常に深刻だなと思ったのは、基幹事業の学校施設環境改善事業、これは公立学校の耐震化等ということでありますけれども、液状化対策が含まれていない。被災者の避難場所となっている学校の校庭などが液状化で非常に大きな被害を受けている。液状化でぼこぼこと砂も水も噴き上げて、非常にいびつで、そこに集まれといったって、足場が悪いようなところに避難場所ということは本当に勘弁してほしい、こういう御発言でありまして、ここはしっかりと液状化対策を含める方向で考えていただけないか、こういう問題なんですが、副大臣のお考えはいかがでしょうか。

森副大臣 お答えいたします。

 大変申しわけなく思うんですけれども、まず原則として、学校施設における校地の環境につきましては、その整備指針において、建物等を安全に設定できる地質及び地盤であることが重要であるというふうにされておりまして、適切な校地を確保すること、これは地方公共団体が確保する、これが原則でございます。

 また、校舎につきましては、建築時に安全対策として深くくいを打ち込むなど、今回の大震災におきましても、液状化によって校舎が傾くなどの被害は報告を受けていないところでございます。

 しかし、先生御指摘がございましたように、グラウンドについては、液状化によって校庭等に亀裂が生じるなどの被害が生じておりますけれども、その復旧につきましては国庫補助の対象としておりまして、地方公共団体から事業計画書が提出され次第、事務手続を始めておりまして、一部では査定前着工ということで既に事業が進んでいるところでございます。

 問題の、今後、基幹事業として液状化対策を位置づけるということにつきましては、これまでの国と地方との役割分担などを踏まえまして、適切な費用や効果など、さまざまな検討課題があるというふうに考えておるところでございます。

 今のところまだ検討しておらないところでございますけれども、また今後適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。

赤澤分科員 やはり財政的な制約があるものなので、先ほどの末松副大臣の御答弁も森副大臣の御答弁も似てくるところがあって、要は、住まい自体がなくなっている方の方がやはり先だろうということで、なかなか、住まいはあるけれども、少々傷んだ、傾いたということはちょっと後回しになっちゃうんだよという話がありましたし、森副大臣からも、校舎自体は安全なんだ、建物が崩れたり壁が崩落したり、そういうことが決して起きていない中で、校庭についてどういうふうにするかといったようなことだというので、私も一通りの御説明は理解はいたします。

 ただ、大変切実な御要望でありましたので、実際、国庫補助の対象にはして査定等も進めている、災害復旧の対象にはなっているということのようでありますので、門戸を閉ざすことなく、しっかりと受けとめて、極力前向きに。

 これも中川大臣に後ほど伺うことと同じなんですが、先ほどの集中復興期間の予算をもう使い切っているということをしっかり、対策規模を新たに確保する必要がどうしてもあると思うので、その中で、実際、予算の手当てができた場合には前向きに対応していっていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 それでは、吉田副大臣にもお運びをいただいておりますので、まず市街地液状化対策事業。これは私自身が必ずしも違いがよくわからなかったので、国交省出身なんですがぴんとこないところがあったんですけれども、非常に基本的なところから。議事録を残して読ませてあげたい関係者もいるものですから。

 都市再生区画整理事業と都市防災推進事業、これの違いです。両方とも市街地液状化対策事業ということで極めて似ておるわけでありますけれども、これの違いは何かということを簡潔にお話しいただきたいと思います。

吉田副大臣 赤澤先生の真摯なお話を聞かせていただきまして、私自身も、実は発災のときには衆議院の災害対策特別委員長をしておりまして、今お話ございましたこの現場、浦安、それから私は我孫子の方も寄らせていただきまして、それぞれ市長さんからお話を聞かせていただきました。そのとき、市長さんの方から、いやいや、被災者個人への支援策もこれはだめなんですよ、冒頭そういう話がございまして、その後、被災者生活再建支援制度ですとか住宅金融支援機構による災害復興住宅融資というのも、後づけですけれども、させていただくようになったということ、これはやはり、それぞれ超党派での活動の結果ではないかなと思っております。

 そして今、先生の御質問でございますけれども、地盤の液状化により被災した市街地、一度液状化されたところの地盤改良工事による液状化対策を実施するための、制度としてこの二種類があるということをまず御理解いただきまして、一つ目は、都市防災推進事業という形で、これは液状化対策を単独で行う方法でございます。そして、もう一つのやり方は、特に液状化の被害が大きい、また敷地の境界、基準点等が著しく混乱している場合においては、都市再生区画整理事業として、土地の区画形質の整備とあわせて液状化対策を一体的に行う。これが二つの種類の液状化対策であるということで御理解をお願いしたいと思います。

赤澤分科員 ということで、実は、私がちょっとまだ勉強が足りていなかったので必ずしも通告をしておらないんですが、副大臣が御案内であれば教えていただきたかったのは、別途、地籍整備型土地区画整理事業。

 地震の結果、従来、この人の所有地はこういう境界でというような話になっていたものが、事実上かなりずれちゃっている、数十センチとかそういうくらいにずれちゃっている場合に、それを少し動かし直して、公図上の敷地境界と実際が合うようにしてというようなことをある視点では事業として考えておられるようにも、それと今の話というのはリンクはしているんでしょうか。よろしくお願いします。

吉田副大臣 これは平成二十年度から施行がされておりまして、今先生御指摘の部分というのは、既存の制度の中で対応方ができるような土地区画整理事業を実施いたしております。

赤澤分科員 ということで、この際、所有者にとっては大変大きな問題である敷地の境界をきちっと画定した上で、土地区画整理で大規模に市街地液状化対策を進めていくというのが都市再生区画整理事業であって、比較的個別の事業として小規模にやるのが都市防災推進事業であるが、事業の中身自体は市街地液状化対策事業ということでどれも基本的に同じである、そういう理解で正しいということで、副大臣もうなずいておられますので、そのとおり理解をさせていただきました。

 その上で、冒頭御紹介をした松崎市長の発言、端的に言うと、液状化対策を正面から受けとめているものは極めて少ないと。二つ事業が入っているだけでも私は立派なものだと思いましたし、なぜそういうことをおっしゃるんだということを詳しく聞いたわけであります。

 やはり出てきたことは、一つはお金の問題ですね。どうも、負担を大分、民間家屋の所有者の負担を減らすといいながら一世帯百万円を超える負担は到底現実的ではないというのが市長の発言だったんですが、これについて副大臣はどのように受けとめておられますか。

吉田副大臣 私も、松崎市長から、当時そういうふうなお話がございました。あの地域の形態を見ると、市長さんの方からある地域を指さされまして、いや、この地域も、ここは明治時代でと、ここはそういうことがなくてと、事細かくおっしゃられていまして、地盤というもの、液状化というもの、これについては本当になかなか厳しい部分、難しい部分があるなと思っております。

 今申し上げましたように、現在、こういう被災地においての液状化対策の具体的な工法等については、申しわけございませんが、まだ検討が進められているというところでございまして、一戸当たりの負担額の妥当性につきましては、現時点ではお答えすることは困難だと存じております。これはもちろん、住まわれている方々の地域の土地の値段であったり、また、その方々の世代であったり、将来というふうなことも含まれてくるかと思います。

 今申し上げましたように、いずれにいたしましても、被災者の個人負担につきましては、官民一体工事による宅地部分の対策工事の簡素化や共同発注によるスケールメリット等により、可能な限り負担が軽減されるような努力をしていかなければならない、してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

赤澤分科員 そのとおりなのでありますが、私がいろいろと聞いてみる範囲では、新築する場合に、敷地の液状化対策を施すには市長御希望の百万ぐらいで何とかなるんだけれども、既に建っちゃった家について手を加えようとすると、場合によってはその十倍ぐらい金がかかりかねぬというような話があったわけですが、その辺の認識は副大臣のお持ちのものと大きく違っていますか。

吉田副大臣 私の認識としましては、先ほど申し上げましたように、浦安の皆さんはこれからまだ住もうと。ほかの地域におかれると、それだけお金を出すんだったらもう引っ越しちゃうと。それは、周りの土地の値段もあるでしょうし、家族構成のこともあると思います。

 ただ、今おっしゃられましたように、それぞれ個々人の状況も違う部分がありますので、一括してという形ではなく、今申し上げておりますように、被災者の個人負担につきましては、もちろん地盤の状況、工法、安全性の要求水準等によって、これは本当に相当変わってくると存じております。

 ですから、一戸当たりの具体的な費用についてお答えするというのは現時点では困難と考えておりますが、国土交通省の方で試算した一例では、個人の宅地で単独で液状化対策を施した場合と比較して、街区単位で、先ほども言いました大きな形で、公共施設、例えば道路等と一体的に対策を施した場合、個人負担は半額程度に軽減されるケースも想定されるところでございますので、具体的な金額についてはこれからということで御理解をいただければと思います。

赤澤分科員 かなり慎重な御発言をされるので、きっと大事なポイントなんだろうなと思うんですが、私の聞くところでは、半分ぐらいに軽減されるが、五百万、こういうことなんですね。だから、ただ単に単独で、公共施設とあわせてやらない場合、一千万ぐらい。更地で、これから建てる前にやるときは百万。百万なら何とかなるんだけれども一千万かかるとかなわぬと言ったら、いや、負担を軽減しますからといって今回の二事業をやっても、やはり五百万ぐらいにしかならない。個人に五百万出せというのはきついよねということなんだと思うんです。そういうことで、問題点はお互いわかっているところだと思いますので、その辺、具体的な数字はなかなかおっしゃれないようでありますけれども、技術開発も含めて大変切実な問題だ。

 というのは、今から中川大臣にもお話を伺いますが、共通の認識は、国交省の専門家にも聞きました、首都直下地震が起きたら浦安は再液状化のおそれがあると。これは全然否定できないばかりか、より強い揺れに長くやられたらまたやるということなんですよ。そうすると、例えば、今回、一回決断して五百万出すことに決めて、大事なマイホームだからとやられた方がまた同じ金を使わなきゃいけなくなるということも十分あり得ることなので、そこは本当に真剣に、ここ数年で国を挙げて取り組んでいただく価値は大いにあると私は思っておりますので、その点、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。

 ということで、いよいよ中川大臣にトリをお願いするわけでありますけれども、先ほどの話に結局戻るんですね。

 予算委員会で、当時防災を担当しておられた、だから、被災地の復旧復興と全国防災をあわせて持っていた平野大臣に私は質問するたびにずっと、あなた、もう手が回らないでしょう、一生懸命やっているのはわかるけれどもと。彼は否定していましたけれども、正直、回っていなかったんだと思いますよ。

 ただ、乱にあって乱を忘れずということで、これから来る首都直下地震と東海、東南海、南海の地震を合わせると、これは大臣も当然基礎知識としてお持ちだと思いますが、物的被害は間違いなく東日本大震災の十倍近くですね。人的被害も軽く倍ぐらいはいくだろうということが言われている中なんです。

 なのに、十九兆円のうち、全国防災は大体一・三兆という割り振りだったかと思います、阪神・淡路大震災のときの例に倣ったということのようですが。それが結局、もう尽きちゃっているんです。十九兆は、あと残り一兆、全然ない。どうするの。五年の集中復興期間のうち、前の二年で使っちゃったよ、残り三年何もしないのということについては、必ず答えを出していかなきゃいけない。

 平野大臣も、対策規模はわかっています、やらなきゃいけないのはわかっていますから、ちゃんと取り組んで答えを出しますからということはおっしゃったんだけれども、いつですかということを私がしつこく聞くと、いつかはまだ申し上げられないと。

 ようやく専任の中川大臣が来られた。辣腕で、予算をしっかり確保されると私は期待していますし、必ずそうしていただかないとこれは困るわけでありますけれども、その対策規模、十九兆円も使い切ったときに、残り三年間。大体いつごろまでにその辺の対策規模というものをお示しになるつもりか、お伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 非常に大事なポイントを質問していただいて、ありがとうございます。

 私も、過去にさかのぼってといいますか、これまでの対応というのを見てきたんですけれども、大体、首都直下型にしても、あるいは南海トラフにしても、どういう予算規模になっていくのかということについては、従来から具体的な投資規模を出していないんですね。私も就任しまして、そこはやはり出すべきだろうと。その上で、しっかりとした財政を前提にしながらの議論というのが必要なんだろう。これは、もちろん、税で賄っていく部分と、都市開発や何かに伴った形で民間が賄っていく部分と、それぞれまた場合分けもした上での話だというふうに思うんですが、そういう問題意識を持ちました。

 ということで、これから、首都直下型あるいは南海トラフについて、三月中にも、いろいろな形での中間報告とか、それから具体的な震源の域の問題、あるいはその強さ、津波の高さ等々、発表していくことになっていきます。その中で、それぞれが、地方自治体も含めて、具体的な計画を整合性を持たせてつくっていくという段階に入っていきますので、先ほど御指摘をいただいたようなことも頭に置きながら対応していきたいというふうに思います。

赤澤分科員 それで、せっかくの機会なので、認識をそろえておきたいので御紹介したいのは、予算委員会でもお話をしました。当時、大臣でおられなくて、座っておられなかったと思うので。

 要は、過去二千年間に、三陸沖でマグニチュード八クラスの地震というのは四回しか起きていないんですね。例外なく、十年以内、前後十年以内です、関東大震災が前のこともありましたけれども、関東大震災を伴っています。

 ということは、最悪に備えよというのを危機管理の要諦と考えると、今後十年以内に来るという前提で行動しておかないと、完全に備えたことにならないんですね。これは想定外と言えぬ、完全に想定されているということだと思います。

 三連動もあり得る、富士山の噴火もあり得るぐらいのことをきちっと本当に考えないといけないということをぜひやはり共通認識で持たせていただいて、その上で一つ御紹介をしておくと、例えば京都大学の藤井教授なんかは、当初おっしゃっていたのは事前復興という考え方。これは、自民党が今唱え始めておりますけれども。先ほどの首都直下と東海、東南海、南海を合わせると二百兆円ぐらいになるんですが、それに対して、起きるのを漫然と待っていれば二百兆円の財源をどうせ用意することになる。それだけの被害が出て、復旧しなきゃいかぬ。だけれども、例えば二十兆円、三十兆円、四十兆円、それぐらいの規模の公共事業をきちっと施して耐震化とかを全力でやっておけば、被害が半分になる。トータルとしては用意する財源が大分少なくて済むじゃないか。だから、事が起きてから巨額の財源を捻出して復旧復興する事後復興の考えじゃなくて、ぜひ事前復興でいきましょうよと。

 加えて、大臣にぜひお願いをしたいのは、この十年ですよ、地震が起きてから耐震化しても意味がないので。この十年に頻発するであろう巨大地震なので、ここはふだん国が出さないようなところまで踏み込んで、場合によっては、民間企業の社屋や工場の耐震化に真水を入れていくぐらいのことも考える。それぐらいの、ふだんやらないことを一歩も二歩も踏み込んで考え抜くというのが大臣に本当に天から与えられた使命だと私は思っておりますので、そこは議論させていただきながら結果を出していかなきゃいけない。

 その意味で、最後に一つだけお伺いしますが、事前復興の考え方で、今やっている復旧復興と同じような基本法をつくる、庁を決める、担当の組織、大臣も置く。それも、できれば、全国防災と一緒というより、専任の大臣ぐらい。そして、国土強靱化計画。そういった、今起きてしまったことの復旧復興をやっているのと同じぐらいの考え方で、しっかり取り組んでいかなきゃいけない。その取り組み体制、やり方について御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

中川国務大臣 大震災で、一つ、改めて防災計画をつくっていく基本的な考え方として、減災ということがあったんだと思うんですね。これまで、津波が来て、それが越えてこないようにと高い堤防をつくり続けたということだけじゃなくて、それが越えてきたときに、都市計画の中で、あるいはソフト事業の中で、どういうふうにそれに対応していくか、そういうことも含めた形の見直しだと思うんです。その上で、どれだけ誰がコストをかけるか、どこにかけるかということがこれからの議論になってくるというふうに思います。

 御指摘のように、そうした投資が無駄にならない形で、そして未来に生きるという形で、トータルで議論をしていくということが大切だと思います。頑張っていきたいと思います。

赤澤分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

 終わります。

武正主査 これにて赤澤亮正君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山洋介君。

神山分科員 神山洋介でございます。

 中川大臣、大変公務がお忙しいところお時間をいただきまして、ありがとうございました。心より感謝を申し上げます。

 昨今、国会というところがちまたからどう見られているかというと、やはり非常に生産性の低い場所であるというふうに見られていると私は思っております。ただ、本来やはりそうであってはいけないという思いのもとに、きょうは三十分の時間をいただきましたので、できるだけ生産性の高い議論を大上段からさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、大臣にお伺いをさせていただきたいのは、災害対策ということを考えたときに、立法府と行政府と、どういう役割分担、責任の分担になっているか、そこの議論であります。

 震災が昨年の三月十一日にありました。あと間もなく、一週間弱すると一年ということになります。一万五千人を超える方々が亡くなり、いまだに三千人を超える方々が行方不明でいらっしゃる。この多くの犠牲に対して報いるために、私自身は、この立法府の一員としてどんな責任を果たすべきなのかということを実は考えてまいりました。

 そもそも私は、八年ぐらい前からになりますが、災害という分野に対して、もともと、私が生まれ育った神奈川県西部というところは非常に地震災害のリスクが高い場所でもありますので、ずっと関心を持ち続けて、研究もしてきました。その中で、やはりここの部分は、非常に突き詰めて考えていかなければいけない部分なんじゃないかなというふうに思っております。

 震災があって、特にこの一年間、いろいろなことを考えると、私がこの二年半でやってきた、例えば災害対策特別委員会の中でいろいろな議論をしてきた。よくよく思い出してみますと、大きな災害、小さな災害、いろいろありますが、震災があった後に、例えば災害対策特別委員会、予算委員会、いろいろな場で、この災害についてということで議論が非常に高まる。しかし、災害からしばらく落ちついてしまうと、議論がまた下火になるということが私は気になってきました。むしろ逆じゃないかなというふうに思うわけです。

 本来は、災害が起こった後に、その災害から得られた教訓をきちっと固めて、その課題を解決するために立法府がさまざまな制度なり法律を整える、その上で、いざ次に災害があったときに、行政府がそこで、整備をされた法制をもとにオペレーションを円滑に行う、これが本来あるべき道なんじゃないかなというふうに思うわけです。

 その点で考えたときに、大臣、立法府と行政府の責任のあり方、特に、先輩議員でもいらっしゃいます中川大臣に、政治が災害対策に対して果たさなければいけない責任というところについてどうお考えか、まずはお聞かせをいただければと思います。

中川国務大臣 今回の大震災があったときも、私自身は立法府のサイドにおりまして、行政府の対応を見てきた、あるいはまた、行政府に対してさまざまな意見具申をして対応してきたんですけれども、振り返ってみると、本来なら、阪神・淡路の大震災のときの教訓というのがもっと生かされてよかったんだろうというふうに改めて今思います。

 やはり大事なのは、そういう意味からいけば、今回の大震災について徹底的に検証するということだと思うんです。危機対応といいますか、そのときそのときの危機対応というのは、行政府が、それこそ総理大臣を中心に、ある程度の権限というのを任されて、それで俊敏にやらなきゃいけないことに対応していくということだと思うんですが、その後のいわゆる復旧から復興フェーズまでの対応という中には、やはり立法府が、現地の状況それから具体的な現実を踏まえた対応等々含めて、しっかり行政府に対して話を持っていって、その中で具体的な対応を求めていくというプロセスというのは、非常に大きな役割があるんだというふうに私は思います。

 現在、そういう形で実は国会の議論も進んでおりますし、それから、法律を新たにつくり上げていくときも、そうした現場の話あるいは現実の対応を踏まえた議論というのがやはり立法府からしっかり出てくるということ、これは、私が行政府の中にいて改めて感じるところでありまして、そこのところは一つ大事な点かなというふうに思います。

 それから、もう一つあるとすれば、さっきまさに御指摘のとおり、災害があったからそれで慌てるということじゃなくて、ふだんからそうしたネットワークと、それからお互いの役割分担、そして、その中で事が起こったときに絶えずそれがしっかりと動く、働くというシステムをつくっていくということ、これが大事だと思うんですね。

 その議論というのは、やはり立法府を中心にしてそれぞれの、今持っておっていただいているワーキングチームであるとか研究会であるとか、そんな中からネットワークをつくっていただいて、それぞれの団体なりあるいは地方自治体なりということの中で組み合わせたシステムというか、そういうものを立案していただくということ、これは、ふだんの立法府の活動の中で、私はしっかり期待をしていきたいところだというふうに思っております。

神山分科員 ありがとうございます。

 実は、ちょうど一年前になるんですが、私は昨年の二月二十五日にもこの予算委員会の第一分科会の質問に立たせていただいて、災害対策についての議論をさせていただきました。当時は、いろいろ議論をさせていただきたいお話はあったんですが、地元でその前年にあった大きな台風の水害に関連をして、県境をまたいだ場合にはどうだとか、そういった議論をさせていただいたわけです。実は、その議論をこの場でした二週間後に震災がありました。

 それから一年間、時々思うのは、昨年この場で議論をしたときに、確かに、津波の話はしたかといえば、私はここでは申し上げなくて、ここで議論をしたからといって、犠牲者の方の数が少なくなり得たかといえば、もしかしたらそうじゃないのかもしれないということは思いつつも、では、立法府として事前に果たし得る責任を本当に果たすことができていたのかというと、自責の念とまでは申し上げませんが、やはり、後悔の念だったり、ああしておけばよかったという思いがあったわけです。

 今、大臣からもお話がありましたが、まさに今回の震災の教訓を、前回の阪神・淡路大震災もそうですが、どれだけ生かすことができるかということは、極めて大事な立法府としての責任だと思っております。

 恐らく今、政府内でも災害対策法制のあり方に関する研究会という形で、今後の災害対策関連の法制のあり方について、どういう形で見直しをしていくかという議論が既に始まっていると伺っておりますし、幾つか論点も提示をされているというふうに伺っております。私も途中段階の資料を見せていただきました。よく練られたものになりつつあるなとは思っています。

 そこの中にも一つ出てくるキーワードであり、また、今回の震災でありこれまでの震災を念頭に置いたときに、私は、これからの我が国の災害対策の法制度に対して、大きな思想的な転換を加えなきゃいけない部分というのはいろいろあるんじゃないかなというふうに思っています。そのうちの一つが、行政の機能ということに関してなんです。

 我が国の災害対策の法制は、災害対策基本法という大きなものがぼんとあって、最終的には地域防災計画というのがそれぞれの自治体ごとにあってという仕立てになっているわけです。私が見ているのは、地元の自治体の地域防災計画だったり全体の災害対策の災害対策基本法だったりという骨格的な部分だけですが、そのどれを見ても、いざ災害があったときにも基本的には行政は存続をする、これが前提で貫かれているというふうに私は思っています。

 もちろん、存続をしなければいけませんし、存続できるように事前に準備をしておかなきゃいけない、これは言うまでもないと思います。

 ただし、今回の大震災及び原発の災害まで含めると、いろいろ想定を超えた事実があった。そのことを考えたときに、行政の機能が存続しないということもきちんと想定をするということが、私は必要なんじゃないかなというふうに考えております。

 個別の災害対策基本法だったり地域地域の地域防災計画の中に具体的に何と入れるかというのは、これはいろいろな検討があってしかるべきだと思います。政治の意思として、その大きなコンセプトを改めるんだ、場合によってはそこに上乗せをしていくんだという意思は、今回の震災を踏まえた教訓としてきちっと中に入れ込む必要があるんじゃないかと私は考えているわけですが、この点、大臣、いかがお考えか、御見解をいただければと思います。

中川国務大臣 今、さまざまなレベルで、大震災の検証をベースに検討を行ってきています。その中心にあるのが、先ほどお話があったように防災対策推進検討会議なんです。

 この中にもまさに、先ほど御指摘をいただいたような前提で対策をつくっていかなければならない、言いかえれば、それぞれ地方自治体の行政機能が完全に麻痺してしまう、あるいは直接被害に遭って消えてしまうというふうなことが今回もあった、そこに対しての広域的な体制というのをどうつくっていくか、それぞれ国が何をしなきゃいけないか、あるいは、県レベルあるいはまた広域レベルでどういう仕組みをつくっておかなきゃいけないかというふうなこと、こんなこともしっかり問題意識として提起をされておりまして、検討していきたいというふうに思っております。

 近々に中間報告を出すという予定でありますが、大体夏ごろには最終的に、そうしたことも含めて、国、地方公共団体、あるいはコミュニティーであるとか事業者であるとか、それぞれが何をしてどういう連携の中に対応していくかということ、しっかり最終報告として出していきたいというふうに思います。

神山分科員 ありがとうございます。

 行政機能の存続、もしくは喪失をするということ、これはやはり非常に明確にするべきじゃないかなと思っておりまして、これはよく言われる話ですが、発災から特に三日とかそのぐらいのところというのは、いわゆる自助努力で何とか生き抜いていかなきゃいけないというふうに言われるわけです。裏を返すと、行政機能が一瞬、もしくは三日間かもしれませんが、そこはやはり麻痺をするということが既に明らかになっていて、あらゆる災害で共通をしていることであると。

 だとすると、文言上ではありますけれども、そこをきちっとやはり、このタイミング、このタームについてはとまるんだ、とまるリスクがあるんだ、少なくとも、今までどおりのフルパワーで動けるわけじゃないんだということを明確にしておくということは、私は非常に大事なことではないかなというふうに思っております。

 ぜひ、その中間報告を目がけて、そういった部分での指導力をいただけたらありがたいというふうに思っております。

 同じく、今回の震災を受けて、今後にどう生かしていくのかということを考えたときに、もう一つ大事なポイントは、これは必ずしも地震だけの話ではない、原発の話も含めてかもしれませんが、今回の東日本大震災が複合災害であった点だと思います。

 あれだけの大きな地震とあれだけの津波があったということだけでも、この国始まって以来という対応が必要であるにもかかわらず、そこに加えてさらに原発の事故まで発生をしてしまった。この二つの事故に同時並行的に対応するということに関して、さまざまな御批判もあり、これからの多くの課題があったということは、これは改めて議論をするまでもないのかなと思っております。

 では、この複合災害に対してどう対応していくのかということを、これから非常に急ピッチで考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。

 災害対策法制のあり方に関する研究会というところで、こういう論点で今議論をしていますというペーパーを読ませていただきました。一つ残念だったのは、その中に、複合災害に対してどういう形でアプローチしていくのかということが、まあ行間から読み取るぐらいはできるわけですが、明確に書かれてはいなかった。

 何で書いていないのかなということを考えると、それは、そこを考えていないということでは恐らくなくて、それを所管している、具体的に言えば、原発の事故に関して言えば経産省が所管をしていて、原子力災害対策特別措置法の方でいろいろ書いてある。中央防災会議の方から検討されている、今回の震災の教訓を受けての今後の検討というところは、どちらかというと、自然災害についての検討というアプローチから入ってきている。これはいわゆる縦割りに近い話であって、本来は、そこをもう少しミックスして考える必要があるんじゃないのかなというふうに私は思うわけです。

 確かに、もとの原因は、これは法律的に言えば、片や原発、片や自然災害たる地震というものが違うわけですが、では、それぞれの現場現場で何をしなきゃいけないか。避難をする、そこで生活をする、その後復旧をするというところも含めて、これはいろいろな共通点もあると思いますし、現実の、官邸含めオペレーションという意味でいえば、複合災害である限りは、複数の事態に対して同時に対処をしていくということがこれからもいろいろ想像されるわけです。

 今回は地震と原発ではありましたが、考えようによっては、それはパンデミックとの絡みもあるかもしれませんし、あってはなりませんが、戦争という形での何らかの絡みもあるかもしれませんし、いろいろな複合性というものはこれからも想像し得るということを考えると、この複合性に対して、これからどういう形で一体的に対処するのかということは、実は、今までの災害対策法制のそれぞれの分野ごとにきれいに分かれていた中の、若干落ちている部分じゃないかというふうに私は考えているわけです。

 もちろん、中川大臣の所管は重々承知の上でお聞きをしているわけですが、ぜひそういった横断的な取り組みを強めていくということも含めて、この分野での震災からの教訓を生かしていくんだというところで、お力添え、または力をぜひ中川大臣に発揮していただきたいというふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 これも大変重要な点を御指摘いただいたというふうに思っております。ありがとうございます。

 御指摘のとおり、これまでそうした観点がなかった、必ずしも対応が十分でないということ、これは事実だったというふうに思います。

 その上で、三点ぐらいのことになるんだと思うんですが、改めて視点を入れていきたいというふうに思います。

 いわゆる災害の対応、全体として複合的なものをどうマネージしていくかということ、これについても議論が必要だと思います。それから次に、主体間の連携、これも先ほどのお話のように、縦割りということじゃなくて、この連携をどうしていくかということ、これがもう一つ。それから三番目には、これは一つの災害でも、限られた人的、物的資源ということになるわけですから、それが複合的に来たときに、それをどのように配分、配置をしていくか、こんなことを想定して、提起して議論をするということだと思っております。

 特に、防災対策推進検討会議、ここでしっかりとした項目として入れ込んで、そしてしっかり対応をしていく、いわゆる基本計画の中にも記載する方向で検討していきたいというふうに思います。

神山分科員 ありがとうございます。

 この点、非常に大事なポイントでありながら、今までの我が国の法律制度、災害対策全体を考えたときには非常に弱かった部分であり、であるがゆえに、今回のもろもろのオペレーションの中にもいろいろなそごが出てしまったのではないかなと思います。

 一朝一夕にこの部分が強くなるというふうにはならないかもしれませんが、少なくとも、今回の教訓を最大限生かしていくということを考えたときには、ここだけはやはりどうしてもスピーディーにやっていかなきゃいけないところだと思っておりますので、大臣、ぜひそこはよろしくお願いを申し上げます。

 災害対策に関連をして、いろいろな形で、コンセプトを改めたりレベルアップをさせなきゃいけないというふうに私は考えていて、その点に関連をしてこれまで幾つか議論をさせていただきました。

 もう一点、今既に大臣からも主体というお話をいただきましたが、この主体というところも極めて大事な分野だと私は思っています。災害があって、誰が主体となって対応するのかということ。これは先ほども例に出しましたが、それぞれの自治体ごとにある地域防災計画というものを頭から後ろまで全部、これはこんな分厚いものですが、読むとよくわかるわけですが、その中に書いてある主語はほぼ、一〇〇%とまでは言いませんが、九割以上、行政だと思います。

 もちろん、これは行政が、いざというときにどうやって、災害に対してコントロールをしてマネジメントするのかということを規定した文書ですから、主語が行政になる率が高くなるのは当然だとは思うわけですが、一方で、現実に今回の震災が発生をして、数日間の緊急対処の状況があって、その後の応急対処、復旧というフェーズがあってという一連の流れを思い浮かべたときに、震災対応で動いていた主体は、では本当に行政ばかりだったかというと、実は全然違っていた部分があったわけです。

 特に当初、水が届かないとか薬がないとかお医者さんがいないという個別のものに対しては、かなりの部分で、プライベートセクターの方々が実際に大きな機能を果たしてくれたことは間違いないと思うんですね。

 そう考えたときに、必ずしも、計画に乗っけた、行政の上意下達の構造の中にプライベートセクターを全部組み込むべきかといえば、それは違う部分があると思うんですが、こういうもろもろの対処をするときには、行政主体だけではなくて、非常に主体が多様化をしているんだ、この多様化している主体をきちっと連携を深めていくんだということ、これは先ほど大臣もおっしゃっていただきましたけれども、これからの災害対策にとってはすごく大事なポイントだと思うんです。

 きょうは防災担当大臣ということで御答弁をお願いしますというふうに申し上げたわけですが、もう一つ、新しい公共の御担当でも大臣はいらっしゃるわけです。

 御存じのとおり、阪神・淡路大震災及びあの前後のさまざまな災害のときに、多くの方々が災害ボランティアで現地に入って、それが実は、公を担う私という、新しいこれからの社会のあり方の出発点であったんじゃないかという議論が今でもなされているということを考えると、今回の震災を踏まえて、地域からそれぞれの社会を支える、私でありながら公を支えるというこの社会のあり方の出発点として、こういったプライベートセクターの方々も含めてきちっと位置づけて連携を強化していくという取り組み、これは災害対策という側面でも、一方で新しい公共という側面においても、どちらの意味においても改めて大きな意味を持つと私は思っておりますので、この点について、大臣の御決意をぜひお伺いさせていただければと思います。

中川国務大臣 実は、きのう静岡に入りまして、ちょうど、静岡市を中心にしまして全国からボランティアの団体が集まってきて、図上訓練というのをやっておられました。

 そこでも申し上げたんですが、ネットワークというのがしっかり機能して、そして、いざというときに、いわゆる全国ベースでそうした活動が進むという環境をつくっていく、あるいはまた、そのために新たに仕組みをつくらなきゃいけないとすればどういうものが必要かということ、こんなことをもっともっと掘り下げて、それこそこうした団体と連携をしながらつくり上げていかなきゃいけないということ、このことを一つ感じております。

 さらに、きょう、実はここに来る直前に経団連に行っておりまして、防災計画について説明をして、御意見をいただいておりました。

 特に、例えばBCP、ビジネス・コンティニュイティー・プラン、各企業で、それこそ被災したときにどういう行動をとるかというのを事前にプランとしてつくり上げていく、それによって行動計画をやっていくということ、これをみずから徹底していきたい、さらに進めていきたいというお話であるとか、あるいは、いわゆるインフルエンザ、パンデミックなんかのときに、それぞれの指定企業というのが分野分野でできてくるわけですけれども、こういうところで民間企業がどういう形で貢献をしてもらうか、そしてまた、規制緩和ということから考えていくと、今、通常ではだめだけれども、そうした危機対応の中では、ひとつここは弾力的に取っ払わなきゃいけない規制というのがあるじゃないかというような議論、こんなことをしっかりと積み重ねていくということ、具体論でしっかりとやっていくということが大事だというふうに思っております。

 理念としては全く言われるとおりで、ここがなければ、それこそ次の災害を乗り越えていけないということでありますので、そこのところも具体論でもってつくり上げていきたいというふうに思います。

神山分科員 ありがとうございます。

 私も実は、大臣が静岡に行ってという報道を読ませていただきました。そこで図上訓練を見られたということで、最後に私、その点を申し上げようと思っていたので、そこの議論をさせていただきたいと思います。

 いわゆる防災訓練と言われるものがあります。私は、これをレベルアップさせるべきときが来ているんじゃないかと考えています。恐らく、大臣がきのう目にされた図上訓練というのは、静岡の、恐らく防災センターあたりですか、DIGというふうに言われるものだったと思うんですね。地図があって状況付与があって、そういうスタイルではなかったかなと。そういう形ですよね。いろいろなやり方があるんですが、私は、あの形に全国の防災訓練を変えていくべきだと思っています。

 もちろん、事前にシナリオがあって、ここでヘルメットをかぶって、外に行って点呼をして、そこで炊き出しをしてということも、基礎的な動きをみんなで確認し合うという意味では大事だと思うんですが、今、やはりこれだけ訓練が繰り返されてきた中で、例えば、ぐらっと揺れたら火を消しましょうとか机の下に潜りましょうとか、そういった基礎的なところというのは、かなりの率で普及をしてきているんじゃないかなと思うわけです。

 一方で、今回の津波からの避難というのはまさに典型ですが、さまざまな状況がある中で、いざというときには、個々人もしくはそこの数人の判断というのが、実は生死を分ける極めて重要なポイントになるということが言われています。とすると、訓練、トレーニングをすべきポイントは、基礎的な動作も大事だけれども、その次に大事な判断の部分、ここじゃないかなというふうに思うんですね。

 では、この判断のための訓練、トレーニングをどうやってやろうかと考えたときに編み出された方法が、恐らく大臣がきのうごらんになられたDIGという方法だったり、いわゆる状況付与型のシミュレーション訓練と言われるものだと思うんです。

 私自身も実は、きょうこうした議論をさせていただきましたけれども、地元で、もうかれこれ十年近くになりますが、そういった災害時にいざどうしようという仲間を募って、ボランティアの仲間たちでやっているということをずっと続けてきて、地元の方々と、例えば、そういう状況付与型のトレーニングがあるからちょっと一緒にやってみないですかといって、いろいろなところから先生を連れてきていただいて、プロジェクターで動画を流して、こういう状況が今生まれました、さあ、どうしますかというようなことをやってきました。

 その際、参加をされた方々がおっしゃるのは、事前に何が起こるかわからないから非常に緊張感があって、場合によっては、そこで誤った判断をすることもあるわけですが、非常にそれが訓練になって、いざ同じことがあったときには、次はもっといい判断ができるようになるだろうということをおっしゃるわけです。

 これを全国に広めようとしたときに、実は、機材であるとか、あとはマンパワーであるとかノウハウというものが、私は、まだ全国に広げられるほどにはなっていないんじゃないかなと思っています。大学であるとか、静岡の防災センター等々も含めて、いろいろなところにはあるんですが、なかなか、多くの方がアクセスできる状態にはまだ至っていないのかなと。お金をめちゃくちゃかける話ではないんですが、そういったところをうまくつなぎ合わせる、そういったサポートができたら、防災訓練をレベルアップさせるということも含めて、非常に大きな進歩が望めるんじゃないかなというふうに私は考えております。

 最後に、この点、どういう形で、いろいろな方法論があるかと思うんですが、実務的なところでいえば非常に大事な部分ではないかと思っておりますので、きのうごらんになっていただいた感想のところも含めて、大臣のこれからの御決意をいただければと思います。

中川国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、いわゆる状況付与型の訓練というのを見せていただきまして、緊張感がありますし、それぞれの、いわゆるデシジョンメーキングというのか、意思決定過程というのを非常に大事にしていくようなプロセスというのを感じ取りました。

 中央レベルでは、最近こういう型の訓練が入ってきておりまして、あとは、我々、いわゆる政治レベル、三役レベルも含めた訓練にそれを入れなきゃいけないんですが、まだそこが成り立っていないというふうな報告を聞いておりまして、そこのところも工夫をしていかなきゃいけないというところだと思います。

 さらに言えば、やはり地方公共団体に対して、さっき御指摘のように、いわゆる訓練で使用する被害想定や時間経過に沿ったシナリオ、あるいは訓練の進行方法、あるいはまた図上訓練実施上の参考となる事項、こういうものを現在取りまとめておりまして、そういうものを地方公共団体に示しながら、こうした付与型の訓練ができていけるようなシナリオをつくっていくということ、こんなことを私たちとしてはやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう対応を今準備しているところでございます。

神山分科員 ありがとうございました。

 まさに、大臣おっしゃっていただいたように、これは結局、ファシリテーターと呼ばれたり、そこの場面でどういう形でその場をコーディネートするかという、その方の資質だったりとか、あとはそこにある資機材、これは極めて重要になると思います。緻密なものであればあるほど、やはり訓練そのものにリアリティーと緊張感が出てきます。それに基づいて練度も高まるというのが実態だと思います。

 これを全て国がやるかというと、実はいろいろなシステムとかシナリオというのは既にもう存在をしていると思いますので、それをいかにそれぞれの地域地域にきちんと根づいてもらうように国がサポートできるか、ここが極めて重要なポイントだと思っています。お金をかける話ではありませんが、極めて重要性が高い部分ということで、ぜひ大臣にこの部分、お力添え、御尽力をいただきたいというふうに思います。

 最後に、改めまして、あと一週間で震災から約一年がたつということになりました。これから、今御検討中の内容も含めて、我々、特に立法府の側が、さまざまな案件についてどれだけスピーディーに対応することができるかというところが肝だと思っておりますので、その点、ぜひ大臣にも御指導いただきながら、全体をできるだけ早くレベルアップさせていくということに力を尽くしてまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 きょうはどうもありがとうございました。

武正主査 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)分科員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは分科会で質問の機会を与えていただきましたので、私の方は、内閣委員会ということでございますけれども、大災害から一年を迎えるに当たって、これからの防災のことについて、大臣初め皆さんと少し議論をさせていただきたいかなというふうに思います。

 二十四年度予算が提案をされて、今審議が尽くされているところでありますけれども、災害は誰もあってほしくないというのが願いであります。でも、残念なことに、日本は災害がどうしても気象条件あるいはいろいろな面で起こり得る。だとしたら、去年のような大災害のときに、一つでも多くの命を救うこと、そして一つでも多くの財産を守ること、やはりこれが我々政治家に与えられた一番大きな使命なんだろうと思うんです。

 そこで、私は、去年の大災害を受けて、二十四年度予算にいろいろな面で防災の予算を盛り込んでいただいておりますけれども、その基本的な思いはどこにあるのか、少し大臣からお聞かせをいただきたいなと実は思っているところであります。

 私は前に災害対策特別委員会で、どうしても日本の国は、災害が起きてから、災害対策の方に重点が置かれがちだけれども、実は防災ということにきちんと目線を置かないといけないんじゃないかというお話をさせていただいたことがあって、そのときに、去年の大災害を受けて役所のマンパワーが不足するような状況の中で、やはりきちんともう一回、防災に対する役所の体制整備が必要でないかというお話を実はさせていただいたことがあるんです。

 そこで、来年度に向かって、防災という観点で、どんな形で役所の整備を、考えていらっしゃるとしたら考えておられることをお聞かせいただきたいなと思うんです。

中川国務大臣 この大災害を受けて、まず、防災計画をつくっていく基本は、徹底的に検証することだというふうに思っております。

 先ほど御指摘のように、今回の危機対応で、中央政府の組織体系がこれでよかったのかどうか。それから、もっと言えば、先ほどもお話が出ましたが、地方自治体が、関係市町村が、役場そのものが震災を受けて機能しなかったということ、それに対して広域的に対応しなければならなかったわけですが、それが十分であったかどうかということ。あるいは、県自身のあり方も含めて、そうしたトータルな見直し、それから、その検証をした上でのこれからの対応、特に、情報をしっかりとした形でとって、その情報に基づいて判断して役所の体制をつくるということ、このことが大事だというふうに思っております。

 そうしたことを踏まえて、今、検討会の方でそれぞれテーマに応じて議論を重ねておりまして、中間報告がやがて出てきて、夏までに最終報告をしていきたいというふうに思います。その中で、組織についても、そしてそれぞれの役割についても、しっかりとした議論のたたき台を出していきたいというふうに思います。

長島(忠)分科員 夏までに検討報告がされて、それから対策をとられるということなんですが、あえて指摘をさせていただくとすると、若干名、昨年から役所に人員配置がなされたようでありますけれども、災害はいつやってくるかわからない。このような災害があったときに、災害がなかった地域においても、やはり住民の不安というのは募るだけだと思うんですね。一方で、首都直下は、この前、誤りだったということで訂正されましたけれども、四年以内に七〇%以上だとか、東海・東南海・南海地震がいつ起きてもおかしくない状況だという報道がなされるにつけ、やはり不安は募るんだと思うんですね。

 ですから、新年度スタートと同時に、やはり、そのことにきちんと対応できる役所なり人員配置ができたというメッセージを政府から発信してほしかったなというふうに私は実は思っています。よもや抜かりはないと思いますが、そこだけはきちんと整理をしておいてほしいなというふうに要望をしておきます。

 個別に、東日本大震災だけではなくて、災害のときに一番最初に問題になるのが、先ほど大臣がおっしゃったとおり、自治体間の情報の共有だとか、県との情報の共有だとか、国の情報の共有だとか、重大災害になればなるほど、やはり自治体では処理できない情報がいっぱいあるんだと思うんです。

 そのことについて、昨年度の災害を受けて今検討されているというのは、大臣の方でもいいですし、総務副大臣、政務官の方からでもいいので、検討していることがあったら少しお答えをいただきたいなと思うんですが。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 私ども総務省、情報通信を所管している立場から申し上げますが、昨年の大震災におきましては、先生御承知のとおり、情報の共有ということに関してかなり大きな問題が生じたわけでございます。

 一つは、先ほど御指摘の自治体間の問題もあります。そして、技術的にはやはり、通信設備がこれだけ発達した今日においても、あるいは、情報通信が高度化したからゆえのトラブルもたくさんあったわけでございまして、具体的にはやはり、大規模な停電があったり、通信設備の損壊もありました。あるいは、通信需要が多ければ多いほどふくそうするという問題もありまして、国民生活あるいは社会、そして復興においても、多大な障害が発生したわけであります。

 それに対して、総務省では、昨年四月から十二月まで、電気通信事業者を初め関係者による検討会を開催しまして、通信被害の原因を徹底的に分析して、国と電気通信事業者が各主体として取り組む事項をまとめたところでございます。

 大きく四つの項目として対応させてもらった次第ですが、一つはふくそう対策、一つは通信設備の被災対策、いかに減災するかということ、そして、ネットワークインフラが今のままで本当によいだろうか、メールとか通話とか、よりクリティカルな情報を優先すべきではないかと、いろいろな議論をさせてもらって、そして、インターネットの活用全般におけるあり方というものを議論いただきました。

 それを踏まえて、私ども総務省では、通信設備の停電対策、バックアップ対策の強化、そして、通信設備の安全、信頼性に係る技術基準の強化をさせてもらいました。同時に、通信混雑の対策に関する研究開発を不断の努力をもって行っております。そして、電話局舎の被災時に、トレーラーやヘリ、新たな方法による輸送が可能な移動式通信処理設備の研究開発等に取り組んでおります。

 いずれにしても、そういったところでさらにまとめてまいりまして、それを省令等に反映させてまいりたいと思っております。

中川国務大臣 私たちの方も、地方防災のあり方に関する専門調査会というのを中央防災会議の下につくっておりまして、そこでこの問題についても議論をしております。

 具体的には、防災行政無線の整備あるいはデジタル化を促進していくということ、それから、衛星携帯電話の配備と使用訓練を実施していくということ、それから、通信途絶地域との連絡のために、悪路でも走行可能なオフロードバイク等々を設備していくということ。

 そういう多様な情報収集、伝達手段というものを確保していくことが大事だということで、これを報告書として取りまとめていくんですが、それだけじゃなくて、この場合は、災害への準備、それから初動、応急復旧、復興の各段階における、自治体がみずから実施すべき対応リストとしてチェックリストをつくっていきまして、その中でこうしたものがしっかりなされているかどうかをチェックしていくということもやっていきたいと思いますし、それからもう一つは、各自治体がこれまで講じてきた災害対応の事例集、こうしたものを一緒に提示していくということで、それぞれ対応していきたいというふうに思っております。

長島(忠)分科員 非常に厳しい状況の中で、ハイテクが悪いというわけじゃないんですけれども、被災地ではハイテクの限界というものもやはり感じます。というのは、ハイテクがゆえに壊れやすいものもあるんですね。だから、そのときに情報をどうするかというのも一つの課題だと思っているんです。

 今、いろいろな場面で研究をされているというふうに聞きました。大臣にお聞きしたいのは、緊急時に情報を一括収集して発信するのはどこに置こうと思っていますか。

中川国務大臣 いろいろなレベルがあるんだと思うんですね。

 国に集中させて、それで全国ベースで動かしていくような対応と、県レベルで広域的に動かすのと、それから、それこそ市町村レベルということになると思うんですが、それぞれのレベルレベルで情報を整理しながら、誰が何をやっていくのか、どういう責任を持って情報管理をやっていくのかということを、しっかり定型化していくといいますか、法律までいかずとも、そういうものを事前にルール化しておくということが大事だというふうに思います。

長島(忠)分科員 去年の東日本大震災の折に、先ほど大臣もお触れになっていましたけれども、市町村がほとんど一時的に機能をなくしてしまう、場合によっては、集中してしまうがために県も情報処理ができないでいるときが、やはりこれからの大災害の中で必ず想定しなければいけない場面だと思うんですね。

 そのときに信頼できる情報を一番出せるということを、今のうちから県や自治体と協議しながら、どの場面で国が情報を出すのかということをやはりきちんと制度化しておいた方がいいんじゃないかなと私は常々思っています。

 そのほか、さっきオフロードバイクと言ったんですが、実はオフロードバイクは、私も知っている人はいるんですが、載せる機械によって、国と連携がとれない。無線なんかを積んでいくと、いわゆる自衛隊とかと波長を共有できなくて、出したい情報も出せないという場面もあるんですね。だから、その辺をどう整理するかというのはやはり喫緊の課題だと思うんです。

 私は、去年の災害があったので、夏とは言わずに、できたら春のうちに検討会からいただいて、情報だけはきちんと、命を守るための情報を発信できる体制だけはすぐにでもスタートしてほしいというふうに思っています。そうでないと、去年、いろいろな場面で我々も政府も苦労したと思うんですが、情報が入らない、発信しても届かない、そのために不安が広がるということもあったわけですので、大臣、その辺だけはぜひ取り組んで、いつまでにという目標をやはり持ってやっていただきたいなと思うんです。

 これから災害を想定すると、もう一つ大きな問題が出てくると私は思うんです。

 日本の国で災害が起きると、日本人はやはり道徳心に支えられて、幾らつらい中でも、ありがとうございますとか、おかげさまでという言葉を言いながら我慢しているというふうに世界各国から評価をいただいています。それでもつらい人たちがいつ治安をなくしてしまうかもわからない状況を考え、特に首都直下とか大都市に集中した災害のときには、そういったことを想定をして、治安を警察がやるのか行政がやるのか、そこのところはやはりきちんと整理をしておかなきゃいけないと思うんですが、その辺の考え方について、大臣、お考えはありますか。

中川国務大臣 治安については警察が、私たちの全体の防災計画に基づいて、警察として担っていかなければならない、いわゆる防災計画、治安計画、そういうものを立てながら対応を今始めております。

 そういうものをトータルでもう一回分析をした上で、恐らくそれだけでは十分でないという局面も出てくるんだと思うんです。コミュニティーがそれに対してどう向かっていくか、あるいは地方自治体として何ができるか、そんなことも分析をしながら、それぞれの役割というものをでき得る限り事前にルール化をしておくということが大事だというふうに思います。

長島(忠)分科員 それぞれ個別にいったら、国家公安委員長、いろいろな役割の大臣がいらっしゃると思うんだけれども、災害を想定したときのことはぜひ防災大臣が一括してきちんとおまとめをいただいて、場合によっては国家公安委員長にも防衛大臣にもきちんと指示を出せるようにしておいた方が、私は、実は治安対策で一番有効だと思っています。だから、そこのところはぜひお受けとめをいただいて、目標を定めてやっていただきたいなと思うんです。

 私は、きょう、ぜひ教えていただきたい、そして聞いていただきたいことは、東日本大震災を受けて、これから我々は何年の間にほかの地域の防災対策をやり上げることができるのだろうか、そこのところをきっちりやはり目標を共有化すべきではないのか。

 今のような情報について、例えば一年以内にきちんと全国的に、細かなところまでできなくても、方向性だけは示しながら自治体と協議を始められるというところまで持っていくとか、そしてもう一つは、防潮堤を全国に回すには、これは何百年かかるかわかりませんよね。だとしたら、今回みたいな災害がないとも限らないとしたら、では、津波があったときに、情報をどう伝えて、その人たちは命を守るためにどう避難をするのか、その避難を誘導する役割を誰が担うのかということがやはり一番先に議論されなければいけないことなんだと思うんです。

 その議論の上で、何年以内に、場合によってインフラが必要なんだったらインフラを整備していこうということになるんだと思うんですが、国としては、やはりそんな大きな目標を立てつつあるんでしょうか。どうでしょうか。

中川国務大臣 御指摘のように、防災計画というのは、一発で、トータルでできたからもうそれで万全だということではないんだというふうに思うんです。絶えず、毎年、日本の場合はいろいろな災害がありますから、そこで出てきた知見というのをこの計画の中に組み込みながら、毎年それを更新していく、あるいは新しい予算づけというのを工夫していくということ。もっと言えば、それは政府だけではなくて、民間、地方自治体、コミュニティー等々含めた形の見直しをしていきながら、それをまた具体的な訓練に入れ込んで進化させていくというふうな対応が必要なんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、震災後、基本計画の見直しを一つやりました。それは、これまで、津波ということに対してもっとしっかりとした議論をしなければならなかったけれども、それが足りなかったなということで、津波を新しい項目に入れた。入れたというよりも、その議論を始めようということをしっかり訴えたということと、それからもう一つは、堤防をどれだけ高くしても、想定外という話の中で、やはり越えてくるということも前提にしなきゃいけないだろう。その中で、減災、越えてきたときに、いかに災害を小さなものにしていくか、そこから命を助けていくかというふうな、そういう対応をしなきゃいけないということで、減災という考え方をもう一つの柱に入れたということ、こんなことを一つ一つやってきました。

 次は、こういう考え方に基づいて、具体的に、では、例えば南海トラフであれば、見直したところで地震がどのような想定になるのか。これまでは一つ一つだったんですけれども、三連動ということの中で、暫定的にはマグニチュード九というような、そういう前提を入れながら、知見を持った人たちにそのレベルを提示していただいて、これは三月中に出てきますが、それに基づいて、今度は地方自治体が、具体的な、さっきの減災というもの、今やらなきゃいけないこと、さっきの情報の整理ということもまさにそういうことだと思うんですが、その対応に向いて具体的な計画としては取り組んでいくということだと思います。

 今、もう既に、実は地方自治体ではそういう見直しをやっているんですね。ハザードマップも切りかえながらやり始めているんですが、それをもう一回整合性を持ちながらやっていくということで、最終的には、ことしの夏から来年にかけて、もう一回見直したところで、国がやらなければならないこと、地方自治体がやらなければいけないこと、それから民間事業者も含めて対応をしなければならないこと、これを整理したいと思います。整理をした上で、どういう連携がまたできるかということについても、一つの方向性を持って国民に訴えていきたいというふうに思っています。

長島(忠)分科員 国土交通副大臣も来ていただいております。

 私は、あえてマニフェスト議論はするつもりはないんですが、コンクリートから人へということで、かなりのインフラの部分を否定されてきているわけですけれども、去年の大震災を受けて、やはりそのことは、御党からも考え方をきちんと整理していただかなければいけないんだと思っているんです。

 やはり、命を守るために何が今できるのか。それは、例えば一方では防潮堤かもわからないし、一方では砂防ダムかもわからない。ただし、それのスピードが間に合わないんだとしたら、これから何年間のうちに、災害があってもきちんと命を守るために逃げられるネットワークだけはつくっておかなきゃいけないんだ、私はそう思うんです。大臣はこの前、静岡に行ってこられたようでありますけれども、私も、静岡、愛知、ずっと何十回か出かけさせていただいて、視察をさせていただいております。情報がきちんと伝わることを前提としたら、逃げる場所と逃げるためのインフラというのが必要だと私は思うんです。

 国交省として、私は、やはりきちんと年度計画を立てていくべきだと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。

    〔主査退席、今井主査代理着席〕

吉田副大臣 こういう災害に関しましては、ある意味、私たちよりも数段、御見識も、また現地で頑張られた長島先生の御質問にお答えするというのは大変緊張するんですけれども、今お話ございましたように、道路全体といたしましては、高速道路のあり方検討有識者委員会というのが、昨年十二月九日に中間取りまとめをしております。これは、党とは別に、やはり政府としてしっかり高速道路のあり方をという中で、ここでも、脆弱な地域の耐災性を高め、国土を保全するネットワーク機能の早期確保が最優先課題というふうにされております。政府としても、それにのっとって、ミッシングリンクの解消、また道路ネットワークの強化に取り組んでいるところでもございます。

 また、東日本大震災におきましては、私はそのときの災害特の委員長で、長島先生は野党の次席をしていただきまして、一緒に、毎週のようにお会いして、そのときの情報を集めていくというふうなことをさせていただきました。なるほど、情報というのは、津波だけじゃなくてその後のことも大切だという認識を共有させていただいたんですけれども、ここにおきましても、住民の避難場所、救援救助活動、物資の輸送、防潮堤としての副次的効果など、やはり災害時の高速道路ネットワークが果たす役割というのは再認識をされております。

 多分、長島先生の頭の中には、釜石の地域で、子供たちがずっと逃げていった、地域で、老人の方も御一緒して、そして最後は高速道路に上がることによって全員助かった、そしてそこに車がやってきた、それに乗って避難地域まで行けた、こういうふうな、道路というものは人の命を守る道路でもあるということ、これはやはり、今回の大震災で大変大きく認識が変わったことだと思っております。

 それに基づいて、政府と、そして、ある意味、政府・与党一体でございますので、対応方というのはこれから検討、そして、変更等が必要であるならば変えていくということで対応していきたいと思っております。

長島(忠)分科員 去年からの災害で、国交省が最前線でいち早く駆けつけてくれたということについては、実は私も非常に大きな評価をしています。

 先ほど大臣から、自治体ごとにいろいろな防災計画を見直す中でそのことも考えていくというお話がございました。気象庁とか、いろいろな情報を自治体に伝える段階で、国がきちんと情報を整理して伝えることもやはり大事なことなんだろうと私は思うんです。今、副大臣から答弁いただいた広域的な避難道路とかというのも、原子力とかいうことを想定すれば必要なことだ。

 ただし、町の中で、高台に逃げ上がるためにやはり避難道路をつくりたいというときに、今、市町村の財政では一括交付金なりに頼らざるを得ない。なかなかそこに振り向けられないんだとしたら、防災道路として、高台の避難地も含めて、これは将来的な町の目標ではないかもわかりません、町は安全で安心につくるのが目標なんだけれども、これから五年、十年、その対策の抜本的なことができないんだったら、喫緊、とりあえず高台まで誘導するようなインフラの整備を国交省に命じて、国交省がそのことを最優先して取り組んでいく。これは命を守るため。

 そして、そのことを周知することによって、この前、宮古に私が寄せていただいたときに、ビデオを見せていただいたんです。役場の三階から撮ったビデオだったでしょうか。防潮堰の内側を一台の自転車が逃げているんです。ところが、駆け上がる山がないために、駆け上がるところまで、遠くまで走ろうとして、そのうちに津波が堤防を越えてくる。そこでビデオは切れていましたから、私は助かったものだと信じたいんですが、そういった意味で、やはりどこからでも高台に逃げられるような整備というのは喫緊の課題だと私は思っているんです。

 ですから、そこのところは、余りマニフェストだからとこだわらないで、命を守るためにコンクリートも人も必要なんだという政策は、防災大臣としては発信をしていただきたいなと思うんですが、お考えを一言いただきたいと思います。

中川国務大臣 中長期的なあるべき姿というものが一つあるんだと思うんですが、それはそれとしてしっかり踏まえていくということだと思うんですけれども、御指摘のように、とりあえず今やらなきゃいけないことがあるじゃないかということ、これは、それぞれ各市町村で、課題として切迫して持っておられるんだというふうに思います。そのことについては、しっかり私の方も受けとめさせていただいて、検証していきたいというふうに思います。

長島(忠)分科員 私は、中長期的な安全、安心と、喫緊、たった今できることからいったら、まず最初は、国民に災害のことをきちんと伝えて、命を守るためには自分がどうしたらいいかということを、やはりそのことを一番先にやるべきだと思います。その次にやるべきは、信頼できる情報はここから出るんだよ、どんなことがあっても情報は途絶しないような方法を、それはハイテクだけではなくて、ローテクも踏まえて、人と人とのつながりの中で構築していくことが二番目だと思う。そして三番目、さっき国土交通省さんにお願いをしたように、自分の力で道路を使ってでも逃げられるインフラの最低限の整備だけは喫緊の課題として、これがまず、とりあえず今、命を救うんだと。その間にきちんと国の安全、安心のあり方を考えていくということなんだろうと思うんです。

 もちろん、災害のときの弱者の対策はその中に織り込んでいかなければいけないけれども、一番急ぐとしたら、やはり国民にきちんと、災害の怖さと、そして備えがあったら何とか命を守れるということを、構築して、そのことを伝えるべきだと私は思っています。

 一分しかありません。大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わります。

中川国務大臣 国民の安心感、これが一番基本になるんだというふうに思います。先ほど御指摘いただいたことをしっかり肝に銘じて頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

長島(忠)分科員 ありがとうございました。またよろしくお願いします。

今井主査代理 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本分科員 日本共産党の宮本岳志です。

 昨年九月に紀伊半島を襲った台風十二号災害の復旧復興の問題で質問いたします。

 まず、このパネルを見ていただきたいんです。これは、昨年の九月九日、衆議院災害対策特別委員会の閉会中審査で私が取り上げた、奈良県、大滝ダムのある川上村迫地区で発生した深層崩壊現場の、昨年九月七日、災害直後の写真なんですね。

 あのとき、私の質問に対し、国土交通省の関水管理・国土保全局長は、この土砂の崩落箇所について、「深層崩壊に起因する土砂の崩壊である」、こういう答弁をいたしました。私が、そうであるならば、「徹底的に国土交通省と奈良県で調査を行って、改めて万全の対策を国の責任においてとる必要がある」、こう指摘したのに対して、奥田国交副大臣は、「国としても、今回の災害の大きさにかんがみ、奈良県に対し最大限の支援を行い、土砂災害が発生した箇所による再度災害の防止を図り、地域の安全、安心の確保に努めてまいるつもりであります。」こういう答弁をされたわけです。

 あれから半年たちまして、次にこのパネルを見ていただきたいんですが、これが二月二十七日時点の同じ場所のパネルであります。崩落面の木は取り除かれたものの、傷跡はまだこのように生々しいものであります。

 まず聞くんですけれども、国道百六十九号迫地区の災害復旧事業のスケジュールはどのようになっているか、国交省、お答えいただけますか。

南政府参考人 国道百六十九号迫地区につきましては、被災直後から対岸の迂回路を確保しておりますが、大きく迂回しなければならないという状況になっているために、現在、仮設の工事を進めております。平成二十四年四月中旬までには利用可能となる予定になっております。

 また、橋梁工事を実施するためののり面対策につきましては、平成二十四年三月末から着手いたしまして、平成二十四年九月ごろを目途に完成させる予定になっております。その後、橋梁工事に着手いたしまして、平成二十六年三月末を目途に完成させる予定になってございます。

 以上でございます。

宮本分科員 こののり面の工事ですけれども、二十四年三月末から着手すると。つまり、表層の木などは取り除いたわけですけれども、深層崩壊場所ののり面対策工というのは三月末ですから、まだ来ていない、まだ手つかずの状況なんですね。

 ところが、昨年の十二月十五日から、大滝ダムの試験湛水というものが開始されました。深層崩壊のメカニズムの解明もまだまだこれからという状況で、深層崩壊以前から行ってきた白屋地区の地すべり対策は完了したんですけれども、だからといって早々と試験湛水を開始する、これでは到底地域住民の納得は得られない、不安は拭えないと私は思うんですけれども、これは国交省、いかがですか。

南政府参考人 大滝ダムにつきましては、先ほど御指摘のように、昨年の十二月より、ダムや貯水池の安全性を最終的に確認する試験湛水を行っております。

 試験湛水の開始に当たりましては、台風十二号災害を受けまして、貯水池斜面の変状等について、臨時点検を行った上で専門家による調査を実施いたしまして、試験湛水実施に際しての問題がないかどうかを確認しております。加えて、斜面を観測する機器を追加設置いたしまして、湛水に伴う貯水池周辺斜面の変異の早期把握に備えた監視観測体制の強化を行っております。

 なお、これらの点検、調査の結果や監視観測体制の強化につきましては、試験湛水に先立ち、川上村等の地元の自治体に説明いたしまして、あらかじめ承知いただいておるところでございます。

宮本分科員 私は現場で聞いたんですけれども、住民は、ダム湖に沿った道を走るたびに、徐々に水が上がっていくのを見ながらも、不安の思いは拭えないまま見守っている、こういう声も聞きました。

 奈良県議会の議論を見ておりましても、今後の安全、安心のためには深層崩壊のメカニズム解明は不可欠だ、こういう立場で、国に強く要望しているわけですね。それで、奈良県知事からも、紀伊半島大水害の復旧・復興に係る国・三県合同対策会議の場で、繰り返し深層崩壊メカニズムの解明と対策研究の推進が要望されているはずです。

 そこで、この深層崩壊メカニズムの解明と対策の究明というものはなされたんですか。国交省、いかがですか。

南政府参考人 国土交通省では、これまでも深層崩壊の調査に取り組んでおりまして、その成果といたしまして、平成二十二年八月に深層崩壊推定頻度マップというものを公表しております。

 今後も、引き続き、大学や研究機関と連携いたしまして、深層崩壊の危険性の高い場所や崩壊が発生する時期を特定する手法の研究に努めますとともに、崩壊が発生した場合の被害を軽減するための対策方法についても検討してまいる所存でございます。

宮本分科員 大学との連携と今おっしゃったんですけれども、土砂流出に関する技術開発研究という資料をいただきました。これを見ますと、平成二十三年度から始めて最長三年という研究期間になっているんですね。だから、この研究が終わるのは二十六年三月末ということになります。ですから、まだまだこの深層崩壊メカニズムというものはよくわかっていないわけですよ。まだ研究は始まったばかり。こういう状況のもとで早々と試験湛水に踏み切ったということは、私は問題ありだと言わざるを得ないと思っております。

 大臣、この大滝ダムは、一九六二年の計画決定以来、実に半世紀という長い歳月をかけてきたダムなんですね。当初の建設事業費は二百三十億円でありました。これが、この間六回に上る計画変更を行って、私ずっと計算しましたけれども、今日までに実に三千七百六十億円という額が費やされてきたわけですね。

 それで、今回の試験湛水で、万が一にも、新たに二〇〇三年のような地すべりが発生したり、あるいは、先ほど重大な変状が見られなかったとおっしゃったけれども、試験湛水によって新たに深層崩壊箇所に重大な変状が見られた場合には、再び試験湛水を中止することも含めて、安全第一で対処すべきだ、こう思いますけれども、これは国交省、よろしいですね。

南政府参考人 試験湛水中につきましては、あらかじめ定められました計器、観測機器、今、自動観測機器百九十八機を現地に置いておりますが、そういった観測機器によりまして、貯水池周辺の地山も含む安全性を随時確認しておるところでございます。

 万が一地すべりの兆候が認められた場合には、状況を踏まえながら、まず安全第一に適切な対応をとってまいるということでございます。

 以上です。

宮本分科員 さて、私たちは、災害からの復旧復興といった場合に、東日本の大震災でも、全ての被災者、被災事業者を対象に、破壊された生活となりわいの回復を支援し、地域社会、地域経済の全体を再建することを目的とした施策を実行することがどうしても必要だ、こういうふうに指摘をしてまいりました。その点で、この台風十二号の被災地の現状も、生活となりわいの復興という点では道遠しと言わなければなりません。

 私は、去る二月二十六日、二十七日、台風で甚大な被害を受けた奈良県天川村、それから先ほどのダムのある川上村に入り、住民の皆さんからお話を伺ってまいりました。

 天川村は奈良県の中央部に位置する村で、キャッチフレーズは「天の国・木の国・川の国」、こういうふうに言われるように、熊野川の源流である天ノ川を中心とした観光と林業が産業の中心です。この間、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録され、その主要構成要素である修験道の山、大峰山があることから、山深い自然と、アユやアマゴが泳ぐ渓流を観光資源とした観光産業が比重を高めてまいりました。

 ところが、今回の台風十二号の災害で、山と渓流が深刻な打撃を受けました。このままでは、暮らしもなりわいも再建のめどすら立たないという悲鳴のような声を聞いてまいりました。

 そこで、まず生活再建支援金の支給基準について大臣にお伺いします。

 被災者生活再建支援制度というのは、言うまでもなく、自然災害により住宅が全壊や半壊した場合に被災者に生活再建支援金を支給するという制度ですけれども、これが住宅の被害に限られているために、店舗と一体となったような住宅の場合に、店舗に壊滅的な被害を受けても、居住部分が無事ならば支援金が受けられないといった声が出されております。

 そこで、例えば二階建ての店舗つき住宅で一階が店舗の場合に、一階の店舗が浸水被害を受けて、建てかえなければ到底使用できないような状況になった、二階の居住部分には浸水がなかったというような場合に、つまり一階の打撃が二階にも連動しておって建物全体として建てかえなければならなくなった場合、生活再建支援金の支給対象になるのかどうか、お答えいただけますか。

中川国務大臣 お尋ねの、二階建ての店舗兼住宅のようなケースでありますが、居住部分を含む建物が住家被害として半壊である、または居住部分を含む建物の敷地に被害が生じている。これのいずれかに該当して、当該住宅の倒壊による危険を防止するために必要があること、そして当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額になること、その他これらに準ずるやむを得ない事由のいずれかにより、当該住宅を解体し、または解体されるに至ったケースに該当すれば、結果としては支援法上の被災世帯となって支援金が支給されるということであります。

宮本分科員 内閣府は、そういう趣旨を定めた平成十六年十月二十八日付の内閣府政策統括官通知というものを出しております。「浸水等による住宅被害の認定について」、ここに持ってまいりました。これは、新潟・福井豪雨災害を受けて、豪雨、台風等の災害に係る被災者生活支援法の弾力的運用と積極的な活用を求めたものであります。

 これについて奈良県の現地では、これは例えば浸水により畳に被害があった場合にも床自体に損傷があったと取り扱うといった程度の運用である、こういう主張をする向きもあって、この通知がどういうものであるかということを改めてしっかり確認しておきたいと思うんです。

 そこで大臣に、改めてこの通知の「二」に書かれた以降の趣旨を少し御説明いただきたいんです。

中川国務大臣 お尋ねの、「浸水等による住宅被害の認定について」という平成十六年の内閣府通知の「記」の「二」というところでありますが、これは、1、畳が浸水し、壁の全面が膨張しており、さらに、浴槽などの水回りの衛生設備等についても機能を逸失している場合には、一般的に大規模半壊または全壊に該当することになるものと考えられます。

 それから、2として、法律上、半壊であっても、やむを得ず住宅を解体する場合には、全壊と同様に取り扱うということになるが、浸水等の被害により、流入した土砂の除去や耐えがたい悪臭のためやむを得ず住宅を解体する場合については、やむを得ず解体するものとして、全壊と同様に取り扱うものという趣旨の記述になっております。

 本通知は、浸水による住宅の被害認定は地震の場合に比べて難しい点があるとの指摘を踏まえて、被災者生活再建支援法の積極的な活用を図るということで、各都道府県知事等に対して発出したものでありまして、この通知の周知に努めてまいりたいと思います。

宮本分科員 そこで、重ねて聞くんですが、このやむを得ず解体の場合には、罹災証明が出ない場合でも被災者生活再建支援法が適用される場合があり得るのか、大臣、一言お答えいただけますか。

中川国務大臣 住宅が半壊をしてやむを得ず解体する場合は、支援金の申請に半壊の罹災証明書の添付が必要となる、これは原則であります。

 他方で、住宅は無被害であっても、その敷地に被害が発生したことによってその住宅に居住することができずに解体せざるを得ないような場合は、自治体によって敷地についての罹災証明書が必ずしも発行されていないという現実があります。その場合、罹災証明書の添付は不要ということになっております。その場合、宅地の被害については、宅地の応急危険度判定結果や敷地の修復工事の契約書の添付によって確認をしております。

 いずれの場合でも、解体が完了したことが確認できる証明書、これの添付が必要だということであります。

宮本分科員 天川村は、きれいな水が名物でありまして、これを利用して名水豆腐とか手づくりコンニャクが特産品になっております。コンニャク工場に住み込みで働いているという方、それからペンションに住み込んで経営している、こういう方々も現地にはいらっしゃいます。

 住み込みで働いている場合に、これを居住者とみなすのかどうか。罹災住居の居住者という場合に、そこに住民票がある場合だけを居住者と認めるのか。たとえ住民票がなくとも、郵便物が転送ではなく直接そこへ届く、実態的にそこにお住まいになっているという場合、被災住居の居住者とみなせると私は思うんですけれども、このあたり、大臣、どうお考えですか。

中川国務大臣 被災者生活再建支援制度において、住宅というのは、現実に居住のために使用している建物をいいまして、社会通念上の住宅であるかどうかは問わないということになっております。通常、被災時の居住の確認は住民票によって行っているということでありますが、住民票を有していない場合は、水道、電気等の料金明細であるとか、あるいは郵便物の配達先となっていることなどによって行っているということになります。

 そして、このような方法によって被災時に生活の本拠としている実態が確認できれば、住民票を有しなくても被災者生活再建支援金が支給をされるということであります。

宮本分科員 今回の災害では、現行の生活再建支援制度では、同一の災害で二世帯以上の住宅全壊被害がなければ当該市町村が支援の対象にならないということから、住宅全壊が一世帯だった黒滝村は支援が行われなかったんです。それで奈良県も、これは不均衡だ、こう言っておりまして、国に法制度の改正を求めておられます。それと同時に、奈良は県単独で現行法制度と同等の支援措置を黒滝村の一世帯に対しても行っております。

 奈良県からそういう要望について上がってきて、検討がされているのか。それから、奈良県のように独自に支援を行った場合に、国として交付税の措置があるのかどうか。大臣、お答えいただけますか。

中川国務大臣 これは、線引き上の微妙なところで、区別をしなきゃいけないということで非常につらいことなんですが、被災者生活再建支援制度は、被災した市町村や都道府県のみでは対応が困難な一定規模以上の災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によって対応するということ、これが建前になっています。

 したがって、一定規模を下回る災害においては、被災地方公共団体において対応していくということが期待されておりまして、現在、二十九の地方公共団体が独自の支援制度を設けているということも承知をしております。

 被災者生活再建支援法が適用された災害であるにもかかわらず同法の対象とならない被災世帯に対して、同法と同じ支援措置を都道府県が行った場合には、支給額の二分の一について特別交付税で措置するということになっておりまして、その中で対応していただくということができればありがたいというふうに思います。

宮本分科員 次に、国交省に、天川村坪内地区の深層崩壊現場についてお伺いいたします。

 天川村のある民宿経営者は、主要な産業は河川を中心にしたキャンプ場、ペンションや民宿経営、アユやアマゴの稚魚の放流による漁業で、河川の復旧なくしては生活の再建は困難だと語っておられました。坪内地区で起きた深層崩壊による熊野川への大量の土砂の流入によって、河川断面が減少して、流下能力が著しく低下しておりまして、早急な対策が求められております。

 この地域には、関電が管理する発電ダム、九尾ダムというものがあるんですが、私もその現場を見てまいりましたけれども、これもパネルをつくってまいりました。この九尾ダムは、このとおり完全に土砂で埋まってしまっております。これはダムです。完全に底が見えていますよね。こういう状況です。

 この深層崩壊現場の堆積土砂工事の事業主体は一体どうなるのか、しゅんせつ計画はどのようになっているか、国交省、それぞれお答えいただけますか。

南政府参考人 御指摘の天川村坪内地区におきます熊野川支川天ノ川河道内の堆積土砂への対応につきましては、斜面崩壊への対策を実施する国、河川管理者である奈良県、それから下流の九尾ダムの管理者であります関西電力の三者で調整を図っておりまして、役割分担を今しております。

 それで、河道内の堆積土砂の撤去を行うとともに、既にダム湖の一部につきましては土砂の撤去が実施されておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、被災地域の早期の復旧復興に向けまして、引き続き、奈良県、関西電力と連携いたしまして、対策を進めてまいります。

 以上でございます。

宮本分科員 私は地域住民から聞いてきたんですけれども、二月二十一日の時点で、関電は、利水ダムだから土砂しゅんせつの必要はなしというような態度だったそうです。私が質問の準備を始めたら、突然しゅんせつ申請が出て、確かに三月二日から突如工事が始まったと現地に確認をいたしましたから、現時点で始まっているようです。理由はどうあれ、工事が始まったことは結構なことです。今後とも、住民の意思をしっかりと聞くように関電にも指導してほしいと思います。

 同時に、しゅんせつするに当たって出てくる土砂をどう処理するかというのが大問題ですけれども、これは立て続けに聞きます。

 この深層崩壊での流入土砂をしゅんせつした場合に出る土砂は、いわゆる災害瓦れきとされるのかどうか。搬出に関して法的な規制はあるのか。村外への持ち出しは可能か。また、最終処理までに一時保管場所が必要になるけれども、その土地について条件はあるのか。民間の土地の提供がある場合、使用は可能か。それぞれお答えいただけますか。

南政府参考人 御指摘の災害瓦れきは、流出した家屋やコンクリートがら等を指すと考えております。山腹から崩壊し河道に堆積しているような自然由来の土砂はそのようなものには当たらないということでございます。このような自然由来の土砂は村外への搬出も可能でございます。

 現在、奈良県が奈良県天川村坪内地区で実施しております工事において、土砂は下市町の町営の残土処理場へ搬出しておるところでございます。

 また、最終処分までの間に一時保管場所が必要な場合には、借地契約等必要な手続を踏んだ上で民間の土地も使えるということでございます。

 以上です。

宮本分科員 大臣に、ぜひこれは、先ほど関電がこうするという話も出ましたけれども、なかなか地域住民に知らされていないんですよ。ここの対策工事、どういう手順で進めるかということについて、住民への説明会、現地説明会が必要だと思うんですけれども、検討もされていると若干聞くんですけれども、どういう形で説明を進めるか、お答えいただけますか。

中川国務大臣 御指摘のように、住民の理解を得ていきながら工事を進める、これは本当に、原則、大事なことであります。

 奈良県及び国土交通省が実施する工事について、三月の中旬から下旬に地元説明会を開催する予定であるということを聞いておりまして、そのようにやっていきたいということ。

 それから、関西電力が実施する九尾ダムの土砂の撤去については、二月二十一日に地元説明会を開催し、説明したものというふうに聞いております。

宮本分科員 いや、その説明会ではそういう説明だったと先ほど申し上げたので、事態が変わったんだったら、また、しっかり説明していただきたいと思うんですね。

 最後、時間がなくなりました。中小企業庁に、きょうはお伺いをしたいと思って、来ていただいています。

 それで、生活再建支援法は生活の支援のみでありまして、事業者のなりわいの支援という点では融資制度しかないというふうに聞きました。これは、台風十二号災害の被災事業者に対する中小企業の支援措置ですね。この対応について、九月二十六日の激甚災害指定以降でいいので、簡潔に御説明いただけますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、被災中小企業者の資金繰り対策といたしまして、一般の保証とは別枠で、借入債務の一〇〇%保証が受けられる制度を発動いたしました。

 また、日本政策金融公庫等が実施しております災害復旧貸し付けの金利の引き下げ措置を講じました。

 さらに、信用保証上の追加措置といたしまして、いわゆるセーフティーネット保証四号、これの適用を行いました。

 さらに、これらに加えまして、地元の自治体、労働局、経済団体、金融機関等と連携をいたしまして、被災中小企業者を対象に災害復旧のための経営、金融相談に応じる現地相談会を開催いたしました。

 以上であります。

宮本分科員 いろいろやっていただいているんですが、例えば、先ほど最後におっしゃった中小企業者向けの被災現地相談会ですね。奈良では昨年十月二十一日、五條市で開催しているわけですけれども、していただいたら、五事業者、九件だったというんです。これは当然のことであって、この十月二十一日というのは、まだ国道百六十八号は全車両通行可能になっていなかったんです。それから、大塔町や十津川村の警戒区域が解除されたのは二月七日ということですから、そういうものもまだ全然解除されていない時期なんですね。

 だから、これからやっとこの施策というのは必要になってくると思うんですよ。これは、今後も引き続き要望があればやるということでよろしいですね。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地元自治体、商工会等の御要請も踏まえながら、関係機関とも連携しつつ、しっかり対応してまいりたいと思っております。

宮本分科員 最後の質問になります。

 私、見てきましたけれども、国道百六十八号はいまだに夕刻でもほとんど車が走らないんですね。観光客も本当に戻っていないんです。そういう意味では、これからいよいよ生活となりわいが立ち上がっていくときなんですよ。

 先ほどお話のあった激甚保証と言われる中小企業信用保険法の特例はことし三月二十五日までという期限ですし、災害保証と言われるセーフティーネット保証四号指定は五月二十四日までというふうに期限が切られております。この期限では、私、間に合わないと思うので、防災を担当する大臣として、これについてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 中小企業信用保険法による災害関係保証の特例、これについては、適用期間をことしの九月三十日まで延長するということで、先日、三月二日ですが、閣議決定をいたしました。

 もう一つのセーフティーネット保証四号については、先ほどの答弁のように、状況を見ながら、実際に復旧に寄与していけるように考えていきたいというふうに思います。

宮本分科員 実情に応じた生活となりわいの再建に全力を挙げることを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

今井主査代理 これにて宮本岳志君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山分科員 政務三役の皆様におかれましては、連日の御公務、お疲れさまでございます。

 それでは、質問させていただきたいと思います。

 本年二〇一二年は、国連の定めた国際協同組合年でございます。日本国内の協同組合には、農業協同組合、生活協同組合のほか、労金、信金、中小企業協同組合、全労済、信用組合、漁協、森林組合等の形態があり、非営利組織として事業を営んでおります。

 組織形態は協同組合であり、共通する諸点も多いにもかかわらず、所管省庁は、農協ならば農水省、労金ならば厚生労働省と、所管省庁が多岐にわたっております。それぞれの活躍の分野は違っても、これらの協同組合には、営利を求めず、また、助け合いの協同組合理念に基づいて事業を行っているという共通点がございます。

 国連は、ことしを国際協同組合年とした目的として、協同組合の社会的認知度の向上、協同組合のさらなる発展、そして協同組合の法制度の整備、この三点を掲げております。

 特に、協同組合の法制度の整備ということになりますと、所管省庁が多岐にまたがっているだけに、国連の求める国際協同組合年への対応については、中心となる省庁というものがどうもなかなかない。でも、私は、やはり内閣府が中心になるべきではないかと。鳩山内閣が掲げ、民主党の基本政策の一つである新しい公共の取り組みを行っている内閣府が中心となって、今まで以上に力強く、この協同組合年への対応を進めていただきたいと思います。

 新しい公共を担当する内閣府として、国際協同組合年に対し、どのような対応を行ってきたのか、また、これからどのような対応を行う予定があるか、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 二〇〇九年の六十四回の国連総会において、ことしの二〇一二年が国際協同組合年とするということを決められて、それを受けて、私たちもしっかりとここの政策を進めていきたいというふうに思っています。

 各種の協同組合で、二〇一二年国際協同組合年全国実行委員会を発足させて、関連イベントの開催だとか、それから情報発信等を実施しているということを承知しております。

 そして、内閣府において、先ほど御指摘のありましたように、全ての人に居場所、出番が確保されて、公に参画をしていく社会をつくっていくという新しい公共を推進しているということですが、その上で、地域社会に根差した相互扶助制度が、協同組合の持つ新しい公共の担い手としての一つの機能だと思っております。

 協同組合を含めまして、NPO法人、公益法人、学校法人、社会福祉法人など、さまざまな主体に対する横断的な環境を整備していく。特に、税制であるとか、それぞれの組合組織での基準というものであるとか、組織形態等々、あるいは機能、こんなことを横串を刺して、新しい公共の担い手ということで、実際の活動が地域社会に広がっていくことを後押ししていきたいというふうに思っております。

小山分科員 国際協同組合年実行委員会の皆様も内閣府に対する期待が大変強いですので、ぜひ今後とも対応をお願いしたい。

 また、県ごとにもこの実行委員会というのがございまして、私の地元の静岡県でも、大日本報徳社の社長でもあり、また静岡県の森林組合連合会長でもある榛村純一さんがシンポジウムの基調講演を行っておりますが、この中でも、この協同組合の考え方、理念こそ、国民の生活が第一のスローガンを掲げる民主党政権の基本に近いものじゃないか、据えるべきものじゃないか、そういう御発言をしていただいたということも伺っておりますが、私もそのとおりだと思っております。

 新自由主義、市場原理主義勢力がやや勢いを盛り返しつつある中で、これにおもねることなく、我々は、国民の生活が第一、公正なルールのもとでの助け合いの共生社会の構築に向けて、いま一度、政権交代の原点に戻り、自信を持って取り組んでいくべきであると考えております。協同組合年への対応は政権の基本理念と同じ方向を向いておりますので、ぜひこれまで以上に力強く取り組んでいただきたいと思います。

 次に、防災の関連のことで、津波対策の考え方についてお尋ねしたいと思います。

 津波対策については、一つの考え方として、命山や避難タワーをメーンとし、人命を守ることを考えればいいという考え方と、堤防をしっかりつくって、人命に加えて、できる限り生活と産業も守っていくべきだ、こういう考え方の方もいらっしゃいます。

 東日本大震災と大きな大津波を踏まえまして、国は津波対策についてどのような考え方で対応する方針でありますでしょうか。東日本大震災の前と後の考え方の変更点も含めて御答弁いただきたいと思います。

中川国務大臣 前の答弁でもお話をしたんですが、これまでは、どちらかというと、地震に対しての対応が主になっておりまして、津波というのは、項目ですると本当にサブ的な要素であったということだと思います。今回、大震災を受けましてそれを改めて、一つの項目としてしっかり捉えて、検証して対応していく、これが一つ新しい防災計画の中に位置づけられました。具体的には、東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会を設置しまして、昨年の九月に最終報告をまとめたということでありました。

 その最終報告の中にもう一つ基本的な考え方として加えたのは、これまでは、先ほどのお話にもありましたように、津波が襲ってこないように例えば堤防で防ぐ、そういう防災計画を中心にしたものであったということだと思います。しかし、それが想定外ということで越えてきたわけですが、想定するしないにかかわらず、絶えず津波は越えてくるんだ、そのことに対してどう対応していくか、言いかえれば、減災、被害を最小限に食いとめていく、このことを考え方として付加して、両方の対応をしていくことが大事だろう。特に、住民の避難を軸にしまして、土地利用計画であるとか、避難施設、防災施設を組み合わせてとり得る総合的な津波対策の確立がそれによって必要になってくるということでありますので、その方向でひとつ議論をしていく、そしてしっかりとした防災計画を立てていくということだと思っております。

小山分科員 今御答弁いただきました減災という考え方でございますが、発生が懸念されている東海地震、あるいは東海、東南海、南海の三連動地震におきましては、遠州灘の場合、震源地が大変近いですので、揺れがおさまってからわずか五分で第一波の津波が到達すると言われております。これも地盤が隆起するかとか岩盤の割れぐあいで津波の高さというのは違ってくるんですけれども、命山や避難タワーだけでは、例えば、足の不自由な方とかお年寄りとか、あるいは家具の下敷きになっちゃったりとか、なかなか家から出るのに時間がかかってしまう。こういう場合に、命山や避難タワーまで逃げて、そこのさらに安全な高さまで駆け上がるというのは、逃げ切れない可能性がかなり出てくるかと思います。

 そのようなこともお考えいただきまして、逃げられる人たちの施設ももちろん大事ですし、これはもう一番最初に対応しなければいけないと思いますが、命を守るという観点から、逃げ切れない人たちもかなり発生する場合があるということも踏まえまして、やはり時間的な余裕があれば津波堤防の構築ということも、地域ごとによってこれはケース・バイ・ケースだと思いますが、ぜひお取り組みいただきたいと思います。

 また、近くに山がある場合と平野部が広くつながっているところでも対応は異なってくるかと思います。特に静岡県は、時の事情があったのはよくわかるんですけれども、菅総理が八七%の確率で津波が発生すると言われてしまった地域でございます。ちょっと蛇足な話にはなりますが、観光面とか不動産の地価下落といったような、風評被害というとちょっと言葉が違うかもしれませんが、そういうことも発生しております。そういったことも含めて、ぜひ、この東海地震対策、津波対策をさらに一層進めて、住民の安全と安心を高めていただきたいと思います。

 それと、東日本大震災の後に、沿岸部にある国道に対して、あるいは国道の建設計画に対して、沿岸地区住民からは、国道用地に防波堤を築いて、その防波堤の上を国道が通るようにしていく、別の角度から言えば、道路のかさ上げ、盛り土化を行うべきだと希望する声が上がっております。

 具体例として挙げますと、静岡県の西部地区を走る国道百五十号線、これについては今建設途中ということなんですが、このかさ上げを望む声が、地元の首長あるいは地元の地方議員、市会議員、県会議員からも、大変そのような声が聞かれております。

 現在の計画では、ここの道路について、特に申し上げれば、かさ上げなしの四車線ということになっているんですが、こういった地元の強い希望がある場合、そしてまた災害対策をも視野に入れた場合、道路の計画変更というのは可能なんでしょうか。

吉崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお話に出ました国道百五十号、磐南2バイパスの件だと存じますけれども、磐田市、磐南地域の安全と円滑な交通を確保する目的で静岡県が整備している道路でございますが、平成六年度に都市計画決定されまして、平成二十年度から事業に着手して、現在は主に用地買収を促進している状況ということで静岡県からお聞きしております。

 静岡県といたしましては、今先生のお話にございましたとおり、本バイパスの構造を盛り土構造へ変更してほしいという地域の方々の要望があることは認識しているものの、既に用地買収が相当程度進んでいる事情、それから、このバイパスに磐田市道とか、そういったものが取りついでくるわけでございますけれども、そういった計画への影響、それから沿道の土地利用等を考慮いたしますと、現時点で計画を見直すことは難しいという判断をしていると聞いております。

 一方で、本バイパスに隣接します、今現在まだ事業化されていない区間もあるわけでございますけれども、その区間につきましては、津波を想定した道路構造のあり方を含めまして、防潮堤防整備ですとかあるいは避難タワー設置などの総合的な津波対策について、地域の特性あるいは費用と効果などを勘案して検討していきたいというふうに聞いているところでございます。

 なお、今先生の御質問にございましたことを一般論でお答えいたしますと、都市計画決定済みの道路構造を変更することにつきましては、都市計画法に定める手続を踏んでいただくことによりまして法制的には可能であるということでございますが、ただいま申し上げましたいろいろな事情がございますので、そういったことにつきまして、地元の方々、自治体の方々、あるいは事業当事者、全体でのコンセンサスづくりが大変重要だと認識しているところでございます。よろしくお願いいたします。

小山分科員 実は、きょう質問をするということで、きのうたまたま、ある会合で静岡県の県議会議員さんと御一緒したんですが、県議会においても、先ほど申し上げました県議会議員さん、それから川勝静岡県知事も、この国道百五十号について、あるいは浜松を走る国道一号線バイパスについては、計画変更、かさ上げについて検討していきたいという積極的な答弁を行ったというようなことも実は聞いております。

 いずれにしましても、地元も応分の負担はやはりしなければいけない。ただ、地元のコンセンサスを得つつ、そういうコンセンサスができた場合には、やはりいろいろな対策を踏まえて津波に対して備えて、安心と安全を高めていくということが大事だと思います。またぜひ御理解いただければと思っております。

 それともう一つ、津波対策ということで、津波対策のために、例えば民間企業や民間の個人が避難タワーや命山、私、先ほどからこの質問の場で単語というか、これはテクニカルタームでございます。これは、タワーのように鉄筋などの構造物ではなくて、山をつくるということでございます。こういった避難施設などを民間企業、民間個人がつくったり対策を行うに当たり、どのような支援制度があるでしょうか。現時点において、津波の第三次被害想定で被害想定区域になっていない地区について、支援を受けることができるのでしょうか。政府はどのように対応しているか、お伺いしたいと思います。

花岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の避難タワー等の整備につきましては、地方公共団体が定めております地域防災計画などの都市防災に関する計画において整備することが必要とされたものを対象に、私どもが所管しております社会資本整備総合交付金の基幹事業であります都市防災総合推進事業によりまして、地方公共団体に対して支援を行ってきております。

 御指摘の民間企業等による避難タワー等の整備につきましても、当該施設が、先ほど申し上げましたような計画の中で地域住民の方の災害時の避難拠点として位置づけられ、かつ、災害時の運用につきまして、設置者の方と公共団体の間で協定が締結されるといったような条件を満たします場合に、地方公共団体を通じまして整備費用の一部を支援する、いわゆる間接補助をするということにいたしております。

 また、第四次被害想定が出されました結果、新たに被害想定区域になったような地域につきましても、先ほど申し上げましたような計画を改定し、その中で避難タワーの整備を位置づけるといったようなことによりまして、この都市防災総合推進事業による支援が可能になると考えております。

小山分科員 次に、学校、教育施設の耐震補強工事等についてお尋ねしたいと思います。

 全国的にも大分進んできておりまして、これは私どもの民主党政権の成果であると考えておりますが、二十三年四月時点で八〇・三%の耐震化率が達成されている。二十四年度末には、この学校の耐震化率はどのぐらいまで進む見込みでございますでしょうか。

 それと、もう一つ主に質問させていただきたいのは、もともと建物が老朽化している場合、例えば、耐震化をしても十年ぐらいしか建物としての強度が保てない、応急処置でしかないというケースもあるということも伺っております。これも踏まえまして、耐震化率が一〇〇%達成した場合に、国はその後、学校施設のさらなる地震対策について、建物の老朽化等も含めてどのような対応策、方針を持っておりますでしょうか。お尋ねしたいと思います。

森副大臣 お答えいたします。

 耐震化につきましては、今ほど先生の方から御指摘がございましたように、二十三年四月現在では八〇・九%、そして、本年度の補正予算、また、今御審議をいただいております平成二十四年度当初予算で耐震化率は約九〇%となる見込みでございます。

 また、今御指摘いただきましたように、第二次ベビーブームのときに建設いたしました公立の学校施設につきましては、建築後二十五年以上経過した建物の面積が全体の約七割になるということで、大変老朽化が進んでおります。これにつきまして、私どもも、老朽化対策に対し従来より国庫補助を行ってまいりましたけれども、さらに、老朽化対策の推進方策を検討する有識者会議を今春に立ち上げさせていただきまして、今後の再生整備のあり方等について検討を行うことにいたしております。

 今後も引き続きまして、地方公共団体からのニーズも踏まえまして、必要な支援を図ること等によりまして、公立小中学校施設の老朽化対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

小山分科員 もう一つ、教育施設につきまして、例えば専門学校や各種学校には、これまでは、高等学校や小中学校にあるような耐震工事支援、防災支援の制度はありませんでしたが、現在、政府は、専門学校、各種学校に対して、どのような耐震補強工事の支援を行っておりますでしょうか。また、今後どのような対策を立てていきたいというふうにお考えでございますでしょうか。

森副大臣 先ほど答弁いたしました、平成二十三年四月現在、これは私、何か八〇・九%と申し上げたようですが、八〇・三%でございますので、まず訂正させていただきたいと思います。

 また、今御質問がございました専門学校等に対する耐震化についての取り組みでございますけれども、第三次補正予算におきまして、専門学校等に対して耐震補強工事への補助、そして耐震改築事業に対する長期低利の融資を新たに措置するとともに、二十四年度予算におきましても計上いたしまして、設置者負担の軽減を図っているところでございます。こうした予算措置を利用いたしまして、専門学校等の耐震対策を推進してまいりたいと考えております。

小山分科員 学校や教育施設の耐震工事というのは、いろいろ地防法あるいは東海地震の財特法などもございますが、公立学校あるいは私立学校までは、耐震工事等支援の制度というのは今までもなかなか充実してきたところではあるんですけれども、例えば保育園あるいは専門学校、各種学校といったところについては、こういった制度がこれまでは余り充実してこなかったところであります。

 しかしながら、そこで学んでいる生徒さんの命というものには変わりはもちろんないわけでございますので、教育に対する政府の姿勢というものもここである程度少し見えてくるところもあるかと思いますので、こういった専門学校や各種学校あるいは保育園等に対しても耐震工事の支援をぜひ今後とも充実させていっていただきたいと思います。

 次に、東日本大震災で発生いたしました瓦れき処理についてお尋ねしたいと思います。

 これは、被災地で仮設の焼却施設を建設して処理していくというような考え方もございますし、また、それも今建設を進めているところであるとも伺っております。移動コストもかかりませんし、また、建設するということ自体、ある意味、これはわずかかもしれませんけれども、東北地方の雇用の創出にもつながるというようなことかと考えておりますが、現在の焼却施設の状況、今後建設する仮設の焼却炉の設置数、そして仮設の焼却施設を設置してもなお広域処理が必要な理由等についてお尋ねいたしたいと思います。

高山大臣政務官 小山議員から御質問いただきましたように、こちらの瓦れき処理。まず、ごみ問題というのは自治事務でありますので、当該自治体で処分をしていくというのがもう大原則ではございます。しかし、今回のこの地震のみならず、その後の津波によります被害が到底予想もできないような膨大な量、二千万トンを超える瓦れきを今発生させてしまいました。

 そして、その瓦れきの処理でございますけれども、被災県におきましても、岩手県、宮城県では、今二十五基の仮設焼却炉の整備が進められております。このうち、既に四基の仮設焼却炉が稼働しておりまして、二十四時間体制で今瓦れきの処理、そして焼却を行っているところでございます。

 しかし、これだけやっても、まだなかなか間に合わない。確かに十年、二十年かければ現地だけで処理することができるかもしれませんが、発災から三年後の平成二十六年三月末を目標として瓦れきの処理を行うこととしておりますが、そうしますと、県内処理を行ったとしましても、岩手県でも五十七万トン、さらに宮城県では三百四十四万トンの広域処理をお願いしなければいけないということで、今各県にお願いしているところでございます。

 小山先生御出身の静岡県も非常に今前向きな取り組みをしていただいているということで、被災地からも、また環境省といたしましても、静岡県に非常に感謝しているところでございます。

小山分科員 まさに瓦れきの処理をどうやって全国的に進めていくかということは、よくきずなという言葉が言われましたが、この瓦れき処理については受け入れない、だけれども、日本人はきずなを大切にして助け合わなきゃというのは、やはりどこかこれは違う。やはりきずなとか助け合いということを言う以上は、こういった瓦れき処理についても、私も広域処理でぜひ全国の団体に受け入れていただきたいと思いますし、また、静岡県内におきましては、やはりいつ東海地震が来るかわからない。だから、情けは人のためならずという言葉ではないですけれども、自分たちのことを考えても、やはり受け入れていこうというような意識を持っている自治体の首長さんは、今大変話題になっております島田市以外にもたくさんおります。ですので、ぜひそういった動きを進めていただきたいということも考えておるんですけれども。

 この広域処理に協力しようと自治体が手を挙げておりますが、せっかく善意で手を挙げた自治体でも、これはお気持ちはわかるんです、しかしながら、一部、大変な激しい反対運動が起きまして、そして瓦れき処理に応じられなくなっているようなケースもあったり、あるいはこれからもそういう可能性があるかと思っております。

 その場合には、本当に今手を挙げてくださっている自治体が反対運動のためにもし断念するということになると、ますます広域処理ということがまず見込めなくなってしまう、そういう流れになってしまうと思います。だからこそ、こういった瓦れきの広域処理につきましては、被災地以外の都府県の支援を得るために、どのような広域処理に対する取り組みをこれからも行っていくのか。私も質問を準備した後、野田総理が、新聞報道でもちょっと報道されていることもございますが、その政府の意気込みについてお尋ねしたいと思います。

高山大臣政務官 今、小山委員御指摘のとおり、この広域処理を受け入れていただけるような自治体に対して、反対運動のようなものが起きてしまっているというのもまた一部事実でございます。

 この反対運動をされている方の心配は、放射性瓦れきの問題だと思いますが、今お願いしております岩手県、宮城県の災害廃棄物は、一次仮置き場に置いて、放射能濃度が不検出あるいは極めて微量であることが確認されたものを、さらに、二次仮置き場から県外に搬出するときに再度はかりまして、二重の安全性を確認したもののみまずお願いしているということです。放射性濃度に関しては、不検出あるいは極めて微量というものをお願いしているものでありますので、そこは我々、今までも御理解を求めてまいりましたけれども、今後もそのPRには努めていかなければいけないなというふうに思っております。

 さらに、受け入れていただく自治体に対して、費用の面でも追加的にいろいろな負担が生じないように、今までも対策は練ってきたところでございます。例えば必要な経費、放射線の測定費用、あるいは今現在建設中のそういう処分場に対する費用、こういったものは今までも見たところでございますけれども、昨日、総理からも御指示がありましたように、既存施設の減価償却分に対しても対応すること、あるいは住民説明会等に要した費用、そして、最終処分場の近くで放射能の心配があるということで、そこでのモニタリングの費用、また、最終処分していただきますと最終処分場の面積が減ってしまいますので、将来それをつくるときにまた助成ができないか、また、受け入れ側の自治体に放射線をはかっていただくことで安全性を担保しておりましたけれども、それに加えて、国も前面に出て放射線をはかるなど、さらに一歩踏み込んだ形で国が前面に出るように、ただいま検討しているところでございます。

小山分科員 善意で手を挙げたところが、その善意が裏目に出るというか、あるいは真面目者がばかを見るというか、そういうことがないように、ぜひ国の方も、特に島田市については、細野大臣もみずからお見えになられて、これも県内でも広く報道されているところでございますが、ぜひこういった国からの支援というものも、これからもお取り組みをお願いしたいところでございます。

 済みません、質問時間があと一分少々残っておりますが、ちょうど予定しておりました質問項目も全て終えましたものですから、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

今井主査代理 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

今井主査代理 次に、警察庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。大口善徳君。

大口分科員 公明党の大口でございます。

 大臣、いろいろ質問させていただきますが、どうかよろしくお願いいたします。

 二月二十三日に、国家公安委員長のもとに、捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会が最終報告を発表されました。大臣も熱心に、二回、この研究会におられたということを聞いております。

 この報告書の「はじめに」というところに、「近年、真犯人の存在により人違いであることが明らかになるなど、警察の取調べの在り方が厳しく問われる無罪事件等が続き、警察捜査に対する国民の信頼が大きく揺らいでいる。本研究会は、こうした状況を踏まえ、治安水準を落とすことなく取調べの可視化を実現するために、おおむね二年程度をかけて幅広い観点から検討を行うことを目的として」発足したと。こういうことで、この研究会の目的が、治安水準を落とすことなく取り調べの可視化を実現するための目的であるということが述べられているわけです。

 ここで、「警察の取調べの在り方が厳しく問われる無罪事件等」ということでございますが、これは具体的に何を指されるのか、そして、これらの事件に対して大臣がどのように受けとめられているのか、お伺いしたいと思います。

松原国務大臣 大口委員にお答えいたします。

 今回の研究会の最終報告、御案内のように、二年間で二十三回の研究会の中で最終的な報告が出されました。

 原点として、委員御指摘のように、いわゆる無罪事件等ということでありますが、志布志事件、これは選挙にかかわる問題であります。そして、富山事件、足利事件。こういったもので冤罪が幾つかあったということを踏まえ、警察のいわゆる取り調べのあり方に対してのさまざまな批判というか、そういったものがあったと承知しております。私自身も、こうしたことに関して、極めて遺憾であり、被告人とされた方々には大変申しわけないというふうに考えております。

 警察においては、捜査は国民の信頼抜きには成り立たないものであることを十分に踏まえ、問題点等の検証を行い、再発防止のための取り組みを不断に行っていくことが極めて重要であると私も認識をいたしております。

大口分科員 そういう点で、捜査官の意識改革をしっかりしなければならない、こう思うわけです。そのためにはやはり、警察全体が取り調べについて姿勢が変わったな、こういうところがなければ、これは、捜査官は一生懸命頑張っていただいていますけれども、その意識改革というのがなかなか難しい、こう感じるわけでございます。

 その中で、この報告書では、「公判における供述の任意性、信用性等の効果的・効率的な立証を可能とする」という取り調べの録音、録画の効果については異論がなかったわけでありますが、結局、法制度としての取り調べの全過程の録音、録画については両論併記になったということでございます。

 そしてまた、取り調べの可視化を推進するかどうかについて、「できる限り広い対象・範囲について録音・録画を行うべきと考えられる。」こういうふうに十六、十七ページでは述べられているわけでありますが、「取調べの全過程を一律に録音・録画すべきかどうかについては、意見が分かれた」ということで、結局、両論併記になっているわけでございます。

 そこで、この報告書にもあるんですが、警察は第一次捜査機関として関与し、「刑事司法の入口に当たる警察捜査の段階における取調べの録音・録画は、一般的に、検察における取調べの録音・録画よりも捜査に大きな支障をもたらす可能性が高い」という見解も紹介されているわけですが、大臣は、検察と警察の捜査機関としての違いというものをこういうふうに捉えているんですか。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、最終報告にもその部分が盛られているわけでありますが、検察においては、独自捜査事件を除き、警察等によって既に一定の捜査が行われた事件について、公訴官としての立場を踏まえて捜査を行うものであります。

 警察においては、現行犯逮捕や緊急逮捕といった緊急性を伴う事案を扱うほか、事案の真相が明らかになっていない段階で、いわば手探りの状態から取り調べを始めるさまざまな捜査に当たらなければいけないというふうに、その違いは、やはり検察における捜査と警察における捜査は、委員御指摘のように、違うという認識を持っております。

 このように、警察と検察の取り調べは、性質を異にする面があるということも含め、私としては、これは同列に論ずることはなかなか難しいと思っております。いわば刑事司法の入り口に当たる警察捜査の段階における取り調べの録音、録画については、検察の取り調べに比べ、より慎重に議論する必要があるのだろう、私はそのように思っております。

大口分科員 私はその違いを大きく考えていない立場ですので、そこは御理解いただきたいと思います。

 そこで、今の警察も、実は録音、録画は試行していますね。しかしそれは、裁判員裁判事件について、自白のものについて、取り調べの一部、読み聞かせ、署名、指印の場面についてだけの試行であるわけですね。それについてはこの最終報告書では、それでは不十分だということで、取り調べの可視化の試行の拡大ということについては意見が一致しているわけです。

 そこで、その試行をどこまで拡大していくのかということなんですが、今大臣も言及されましたように、検察庁におきましては、東京、大阪、名古屋の三地検特捜部、それから十地検の特別刑事部、ここで要するに最初から捜査を始める件につきまして、五十九件録音、録画している中で、二十四件が全過程の録音、録画をしているということが、ことしの二月一日の読売新聞で出ているわけであります。

 ですから、警察は第一次捜査権といいますけれども、検察も第一次捜査機関として特捜部あるいは特別刑事部が取り調べをしているわけでありますが、そのときに全過程を含む取り調べの録音、録画を試行しているわけですね。これについてどうお考えですか。

松原国務大臣 委員御指摘のように、検察の方では、こういった全過程の録音、録画も含め一定の水準にあるということは認識をいたしております。

 これはいろいろな議論があるわけでありますが、警察が行う場合は、さまざまな状況の中で調べる段階において、やはり録音、録画によって真相解明がむしろ支障を来すこともあるだろうという想定がございます。

 例えば、暴力団の関係者が、そういったものが録音される、録画されるということに恐れて自白をしないというようなケースも想定されたりしている中で、なかなかいろいろと違った部分があるわけでありますが、この全過程の録音、録画ということに関しては、裁判員裁判対象事件に係る取り調べの録音、録画については、「取調べの可視化の在り方について検討するための実証的資料を得るためのものであることを踏まえ」「可視化の目的に照らして広く試行を実施することを基本」とする、ここまで書かれております。

 その上で、今申し上げましたように、録音、録画によって真相解明に支障が出る可能性も一方においてあるという中で、こういった要請もこの最終報告でなされておりますので、こうした点に対する適切な配慮も必要というふうに考えております。

 なお、これらに当たらない場合において、可視化の目的に照らせば一概に全過程の録音、録画を排するものではないというふうに考えておりまして、場合によってはそれはあり得るというふうな認識であります。

 いずれにしても、どのような場面を対象に録音、録画を実施するかについては、個別の事件の具体的な事情において適切に判断される、それが必要であるというふうに考えております。

 お答え申し上げました。

大口分科員 そうしますと、裁判員裁判対象事件について、要するに、試行をこれからやっていくわけですけれども、警察が全過程の録音、録画をするということもある、こういうことでよろしいですか。

松原国務大臣 今申し上げたとおりでありますが、くどいお話で申しわけないんですが、警察における取り調べと検察とは、ちょっとそういった違いがあるという認識を私は持っております。

 そうした中で、結果として、個別の事件の具体的事情に応じ、取り調べの全過程の録音、録画が一概に排されるものではないことから、ちょっと回りくどくて恐縮ですが、結果として、委員おっしゃるように、全過程を録音、録画することもあり得るというふうに考えております。

大口分科員 やはり、実証的資料を得るためにはあらゆることを試さなければいけませんよね。そういう点からいくと、全過程の録音、録画ということもあるという理解をさせていただきました。

 次に、これは取り調べの録音、録画の試行の拡大ということで、知的障害を有する、コミュニケーションに問題がある被疑者について、罪種を限定せず、裁判員裁判対象事件の試行に準じて試行を開始し、可能な限り広く録音、録画を実施すべきである、こういうふうに述べられているわけですね。

 これにつきましては、さらに積極的に、全過程の録音、録画というものをやるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

松原国務大臣 大口委員にお答えいたします。

 知的障害を有する被疑者については、その障害の程度や内容もさまざまであり、言語によるコミュニケーション能力に問題があり、また、取り調べ官に対する迎合性や被暗示性が高いといった特性を有することから、供述の任意性、信用性等をめぐる争いが生じやすいものと認識をいたしております。

 したがって、その取り調べを録音、録画し、客観的な記録による的確な判断を可能にする必要性が高いという御指摘は当たっているものと承知をしております。

 どのような場面を対象に録音、録画を実施するかについては、個別の事件の具体的事情に応じ、適切に判断されることが必要と理解いたしておりますが、こうした被疑者の特性を踏まえると、可能な限り録音、録画を実施すべきであり、結果として全過程の録音、録画の実施もあり得ると、この問題に関して思っております。

大口分科員 あり得るじゃなくて、積極的に全過程の録音、録画はやるべきだ。大臣、そこははっきり答えてください。

松原国務大臣 事件の内容にもよりますが、全プロセスの録音、録画というものは前向きに取り組む必要があろうかと思っております。

大口分科員 そこで、検察におきましては、知的障害を有する被疑者について、取り調べの録音、録画の試行だけでなく、心理、福祉関係者の立ち会いを求めるなどの試みが行われています。

 この報告書では記載がないんですが、知的障害を有する被疑者について、やはり、心理あるいは福祉の関係の方に立ち会っていただくということを積極的にやるべきである、こういうふうに思っています。

 特に長崎は非常に積極的でございまして、これは長崎方式というものでありますけれども、知的障害の疑いのある被疑者の事件の取り調べで、刑務所出所者の自立支援を担う地域生活定着センターの推薦する福祉関係者を立ち会わせている、こういうことを積極的にやっているところもあります。

 東京、大阪など四地検もやっておりまして、ぜひともこれは前向きに考えていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

    〔今井主査代理退席、主査着席〕

松原国務大臣 委員御指摘のように、最終報告において、知的障害を有する被疑者の取り調べの録音、録画に関し、「専門家の意見を踏まえながら幅広く試行を実施すべき」という指摘があります。

 今の長崎の事例も含めて、そういった多くの事例を私も研究したいと思っておりますが、録音、録画を実施するか否かにかかわらず、知的障害者の取り調べに当たっては、その特性を十分に理解して適切な方法を用いなければならないことから、心理学や精神医学の専門家の意見を踏まえることも有益であります。

 こうした専門家の取り調べへの立ち会いを認めるか否かについては、立ち会いの必要性、立ち会いを認めた場合の捜査への影響等を総合的に勘案しつつ、今委員御指摘のような事例も勉強しながら、検討を進めていきたいというように思っております。

 実際、いわゆる心理士がいる場合、被疑者が心理士の方ばかり向いて当然発言するというケースもあろうかと思っておりますので、そういったことも含め、どういうふうにして有効にできるかというのは検討していきたいと思っております。

大口分科員 ただ、それは検察も同じなんですよ。検察はかなりやっています。ですから、大臣がこれはやる方向で考えている、こういう前向きな答弁をお願いしたいと思います。

松原国務大臣 今申し上げたとおり、そのことが客観的な取り調べにおいて非常に有効であるということになれば、ぜひ大いに取り組んでいきたいと思いますし、その辺は慎重に見定めていきたい、このように思っております。

大口分科員 国家公安委員会なり警察庁に、こういうことを検討する委員会みたいなものは今ありますか。なければ、つくるお考えはありますか。

松原国務大臣 委員の御指摘も踏まえて、研究会ではとりあえず方向性が出されたところですから、この方向性の文書をどういうふうに敷衍するかということで検討していきたい、このように思っております。

大口分科員 研究の段階じゃなくて、もう実施する段階ですので、大臣、もう一度お願いいたします。

松原国務大臣 今、委員の御指摘はよくわかります。その委員の御指摘をよく胸に秘めて、これからまた進めていきたいと思っております。

大口分科員 そこで、今回、取り調べの録音、録画の試行を拡大するわけであります。そうしますと、機器材がしっかり配備されなきゃいけません。

 今、全国で三百八十六台だと聞いております。これは国の補助で県費でやるわけでありますが、現状どうなっているのか、そして今後の整備の方針、どれぐらい整備をしていくのか、それをお伺いしたいと思います。

松原国務大臣 今委員御指摘のように、全国で三百八十六式の機材が整備をされております。

 警察の支署の数が千を超えておるわけでありますから、計算しますと、やはり七百とか、そういった数の警察署においてはこの機材がないわけでありますから、そういったことも含めて、この整備を進めていくべきであるというふうに認識をいたしております。

大口分科員 その予算措置はこの予算では入っていますか。入っていなければ、予備費で対応しますか。

松原国務大臣 予算というのは今大変に厳しい中にありますが、国が全額負担するというケースも今まであったわけでありますが、これは地方と国でどういうふうに分担をするかということも含めて、これから議論が進めていかれるというふうに認識をいたしております。

大口分科員 大臣は不足しているということは認識されていますので、早急に、これは四月から試行していくわけですよね、ですから、もう待ったなしなんです。そこはどうでしょうか。スケジュールも。

松原国務大臣 現在、そういった報告書を踏まえて、新年度をめどとして、こういった試行ができるように状況を整えていきたいと思っております。

大口分科員 四月からですから、お金のことが真っ先にありますので、対応をよろしくお願いいたします。

 今回の報告書で、「取調べの可視化を実現すると同時に、取調べ及び供述調書への過度の依存から脱却し、科学技術の発達や情報化社会の進展等による社会の変化、これに伴う犯罪ツールの高度化・複雑化といった状況に対応し、治安水準を維持していくためには、客観証拠による的確な立証を図ることが可能となる捜査手法を不断に検討する必要がある。」このように述べているわけでありますね。

 そこで、大臣、取り調べの可視化を実現するためには新たな捜査手法の導入が前提と考えておられるのか、お伺いします。

松原国務大臣 委員お尋ねの捜査手法の高度化というのは、極めて重要な議論だと思っております。

 海外を見ますと、捜査によって客観的証拠できちっと固めていくというふうなことが非常に行われているわけでありまして、治安水準を維持していくためには、こういった客観証拠による的確な立証を図ることは極めて重要であり、捜査手法を不断に検討する必要があると考えております。そして、捜査手法の高度化は、犯人性の適正な判断に資するものであり、冤罪を防止する観点からも、これは必要であるというふうに私は思っております。

 DNAのさまざまなデータベースとかも議論があるわけでありますが、このものは可視化の議論とセットであるかどうかという議論でありますが、私は、こういった捜査の可視化と高度化というのは、やはり一つのセットとして議論されるべきものではないかと思っております。

 というのは、結果としてこのことによって捜査水準がどうかという議論はありますが、一方において、やはり捜査の中には、今言ったように、捜査官が、自分の人間性を吐露して、その中で被疑者からさまざまなことを聞く、そういったことはなかなかしづらくなる局面もあろうかと思っておりまして、そういったことを含めると、やはり捜査の高度化とセットで行われることが適切ではないかというふうに私は思っております。

大口分科員 昨年十月二十五日の法務委員会で、平岡秀夫法務大臣は、「新たな捜査手法の導入が必ずしも可視化実現の前提条件となるものではない」、こういうふうに答弁をされています。千葉景子、柳田稔、江田五月の各歴代の法務大臣も同趣旨の答弁をされております。この歴代の法務大臣と、今、松原大臣の答弁との関係はどうなんでしょうか。異なるようにお受けしたんですが。

松原国務大臣 いわゆる取り調べの可視化と捜査手法の高度化の関係については、さまざまな考え方があることは承知をいたしております。

 私は先ほど申し上げたような考え方を持っているわけでありますが、どちらにしても、目指すものは、治安水準を高めながら、そして一方において可視化をどのように広げるかという点においては、同じだろうというふうに認識をいたしております。

 この問題は我が国の捜査のあり方に関する重要なものであり、法務・検察と警察の連携は不可欠でありますから、今後、引き続き、法務大臣とも連携し、議論をして、そのことに関しての認識をお互いに深掘りしていきたい、このように思っております。

大口分科員 そうしますと、法務大臣と国家公安委員長の見解はこの件については異なる、こういうことですね。

松原国務大臣 じっくりと議論して、深掘りをしながら一つの認識を持っていきたい、このように思っております。

大口分科員 異なるということをお認めになったわけですが。

 そうしますと、小川法務大臣と今後協議をしていくという予定はございますか。

松原国務大臣 二月二十七日に、取り調べの可視化や捜査手法の高度化に関し、法務大臣との協議を、一回目の協議、短時間でありますが、行いました。

 認識が違うというよりは、認識が違う云々ではなくて、お互いに、この問題で、日本の警察、そして検察のあり方に関して、可視化という問題もなるべくやっていきましょう、同時に、捜査も、本当にいわゆる冤罪がないようにやっていきましょうと。そういった点ではむしろ同じことだと思っておりまして、そうした中でさらに議論を深めていきたいということであります。

大口分科員 今回、捜査手法の高度化というのが十二項目挙げられているわけですね。これを実現するということは、議論もありましたけれども、大変難しいことではないかなと思うんですね。

 大臣として、具体的に、こういう項目については優先してやっていきたいというお考えはありますか。

松原国務大臣 いろいろな議論があって、やはり大事なことは、そういったことがいわゆる国民のある種の了解のもとというんですか、国民の認識がある中で進まなければいけない。

 そうした中で、私は、一番今拡充していかなければいけないのがDNA型データベースではないかと思っております。これはやはりさまざまな機会に、こういうデータベースがあれば、真犯人を捕まえることにも役立ちますし、冤罪を抑制することにも役立つ、このように思っております。

大口分科員 捜査手法の高度化について、この報告書でも、国民に対する権利の侵害の程度も考慮しなければならないということ、人権のことをしっかり考えなきゃいけないということがあります。それから、DNA型のデータベースの問題については、法制化ということも議論がされております。

 この二点について、どういうお考えでしょうか。

松原国務大臣 今委員御指摘のように、最終報告においても指摘されておりますが、「警察捜査にとって有効性が高いと認められ、かつ、国民に対する権利侵害の程度を考慮しても導入が相当である」ものというものを我々は考えていかなければいけないと思っております。こういったものは、実際試行する中において、また、さまざまな議論の中において、一つの合意点というんですか、コンセンサスがつくられていくだろうというふうに思っております。

 DNAの法制化ということでありますが、現在、警察においては、犯罪捜査上必要になる場合、DNA型鑑定を行っております。

 DNA型記録取扱規則に基づきDNA型データベースの管理運用をしているわけでありますが、研究会においてはDNA型データベースにかかわる法整備に関して議論がなされましたが、率直に言って、結論には至らなかったというふうに認識をいたしております。

 いずれにしても、DNA型データベースについて、自白に依存せず、犯人性を証明することを可能とするなど、非常に有効な捜査手法であると考えており、今回の提言を踏まえ、今後、DNA型鑑定体制の充実等の取り組みが必要であると認識をいたしております。

大口分科員 最後に、通信傍受の拡大について、この通信傍受の拡大等が市民のプライバシーを侵害するおそれが極めて強く、その必要性や相当性については相当な検討が必要不可欠であって、かりそめにも取り調べの可視化と引きかえになされるようなことがあってはならない、こういう日弁連の指摘もあります。

 この件につきまして、大臣はどうお考えでございましょう。

松原国務大臣 取り調べ及び供述調書への過度の依存から脱却し、客観証拠による的確な立証を図ることを可能とするためには、率直に言って、私は通信傍受というのは有効であるとは考えておりますが、委員御指摘のように、最終報告においても記されましたが、「必要性や国民のプライバシーを侵害するおそれ等の相当性を慎重に考慮しつつ、個々の対象罪種の拡大について、その要否を具体的に検討することが望ましい。」これは最終報告において書かれているところであります。

 警察としては、これまでの適用事例に関する分析、検討を踏まえ、その検討結果等から改善を要する点が明確になれば、法務省を初めとした関係機関等と協議するなどしつつ、適切に対応していくことが望ましいと私は思っております。

大口分科員 この可視化の問題、これから法制審議会でまた議論をしていくわけでございます。ぜひとも、国家公安委員長には、警察庁がこの可視化の試行に当たっては積極的な態度で臨んでいただくことを心から要請いたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

武正主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

武正主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。平野復興大臣。

平野(達)国務大臣 平成二十四年度復興庁関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、復興庁においては、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進するための予算として、総額二兆四百三十三億円を計上しております。

 以下、その主要施策について、御説明申し上げます。

 第一に、東日本大震災復興交付金については、被災地の復興地域づくりに必要な事業を地域が主体となって実施できるよう、ハード事業の幅広い一括化、自由度の高い資金の交付、地方負担の軽減等を図り、被災地の復興を支援するために必要な経費として、二千八百六十八億円を計上しております。

 第二に、東日本大震災復興調整費については、地域の柔軟な発想に基づく復興を支援するため、県単位の非公共事業であって、復興基本方針や県の作成する復興計画等に位置づけられた施策の実施を推進するために必要な経費として、五十億円を計上しております。

 第三に、福島避難解除等区域生活環境整備事業については、福島の避難区域等の解除に伴い、住民の速やかな帰還を実現するため、避難解除等区域の生活環境整備を実施するために必要な経費として、四十二億円を計上しております。

 第四に、復興特区支援利子補給金については、復興の中核となる事業の実施者が金融機関から必要な資金を借り入れる場合に、利子補給金を支給することにより、雇用機会の創出等を通じた地域主体の復興を支援するために必要な経費として、十一億円を計上しております。

 第五に、復興庁が、復興に関する行政各部の事業を統括、監理する一環として、東日本大震災からの復興に関する事業に係る経費一兆七千四百二十九億円を一括して計上しており、その内訳としては、公共事業等関係については、三陸沿岸道路の整備、被災地の港湾整備、河川津波対策等、被災地の復興地域づくりに必要な経費及び被災した公共土木施設等に係る災害復旧等に必要な経費として四千八百八十一億円、原子力災害復興関係については、国による除染、高濃度廃棄物の現状把握及び処理、密閉保管、中間処理に係る調査に必要な経費として四千五百六十九億円、災害廃棄物処理事業関係については、瓦れき処理事業の地方支援を実施するために必要な経費として三千四百四十二億円、災害関連融資関係については、被災中小企業に対する債務保証及び低利融資等並びに農林水産業金融支援に必要な経費として一千二百十億円を計上しております。

 これらの復興庁所管予算は、復興に係る国の資金の流れの透明化や、復興債の償還を適切に管理するため、復興事業に関する経理を明確にすることを目的とする東日本大震災復興特別会計において計上しております。

 また、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁所管予算に加え、全国防災対策費や震災復興特別交付税交付金など一兆七千三百二十一億円を計上しており、東日本大震災復興特別会計予算全体では三兆七千七百五十四億円を計上しております。

 以上をもって平成二十四年度の復興庁関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

武正主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武正主査 質疑の申し出がありますので、これを許します。畑浩治君。

畑分科員 衆議院の岩手二区の畑浩治でございます。

 平野復興大臣には、復興に向けてのリーダーシップを発揮していただいていることに深く敬意を表させていただきます。また、津川政務官には、岩手担当の政務官として、本当に細かいところから日常お世話になっております。この場をおかりしまして御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。

 さて、復興交付金についてまずお伺いしたいと思います。

 復興交付金、三月二日に公共団体への配分通知がなされたわけでございます。これは申請に至る過程でいろいろぎりぎりやられたということを、地方から私も聞いております。大臣のお考えは大体、記者会見なり、先ほどの復興特でもお伺いいたしましたが、平野大臣が一つおっしゃっていたのは、一部コスト意識が不十分なところがある、ある事業では説明できない単価を積んできたところもあったと。これは本当にそのとおりだと思います。

 全くのフリーで税金を使わせることはもちろんあり得ないわけで、見るとすればそこなのかなと私は思っておりました。技術的な積算の適正さ、これもしっかり見る、効率的に使わせる。ただ、ちょっとイメージが違ったのは、それ以外の部分は、熟度も、これも仕方ない部分はありますが、あと、本来、四十事業の範囲内で柔軟に使えると思っていたにもかかわらず今回だめだったとか、あるいは当該事業を使うことの当否まで見られたとか、そういう思いを公共団体が持っているようです。公共団体が財務省の査定を受けたような気持ちを持ったということであります。

 これは、どうしてこういうことが起こるのかなと、不満があるかと思うと、あの復興交付金というのは本来、自治体に対して、ある程度というかかなり柔軟に自由度を持って使ってもらう、柔軟に使えるお金だ、自由に使えるお金だ、そういう説明をしたわけです。そういう説明をしておきながら、実際にはぎりぎり見られたという部分の不満があった。

 それはどうしてかというと、恐らく、最初からもうちょっと説明すればいいのかもしれません。例えば一回目とか、復興交付金というのは自由な前提なんだけれども、こういう中でこういう考え方でいくよと、こういうことを事務的にもうちょっと説明して詰めた方がよかったかも、途中過程でですね、そういう思いもあります。自由だという思い込みの中で、交付基準とか審査基準が曖昧だったというか、公共団体には必ずしもわからなかった、そういう不明確だった部分がある、そういうところで戸惑った自治体が多かったのかなというのが私の感想であります。

 改めて、どのような基準で審査、配分されたか、この場でまずそのことをお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 畑委員も、本当に連日、被災地を回りながら、いろいろな意見を酌み上げて私どもの方に上げていただいておりますこと、この場をおかりしまして改めて感謝を申し上げます。

 復興交付金事業計画の第一回の交付でございますけれども、先週の金曜日に行いました。総額については、事業費三千五十三億円、国費約二千五百九億円ということでございます。

 配分に当たりましては、今後速やかな対応が必要なものということで、まず産業復興関連、水産・漁港関連施設、それから住宅、住む場所であります、災害公営住宅整備事業、防災集団移転促進事業、それから液状化対策、滑動崩落対策事業、こういったものを中心に今回は交付金を配分するということで、これにまず集中したという点はございます。

 一方、例えば、大規模な防災拠点基地の整備でありますとか大規模な運動施設、レジャー施設、こういったものの新設につきましては必ずしも今急がなくてもいいんじゃないか。それから、つくった後のメンテナンスも必ずしも十分に考えてこなかったという面も、忙しいですから、あったりしまして、そういった面については、ちょっと時間を置いてディスカッションした方がいいんじゃないか。こういったものについては、緊急性、必要性、それから今後のメンテナンス等々考えて、今回は先送りしたということであります。

 あともう一つは、今回の復興交付金、これは、私どもの説明が必ずしも十分でなかったという点はあったかと思いますが、災害が起こった、その復旧復興との関連性の中で復興交付金を使うということになっております。

 そうしますと、大きな被害がなかった地域、例えば場所が離れて地震でほとんど影響が出なかったような地域の中で、例えば学校の耐震化、道路の耐震化みたいな要望が出てきております。耐震化そのものは非常に必要性はわかるんですが、これを今回の増税までお願いして出した財源で捻出するかどうかということについては、私は、これはまだ慎重な対応が必要だというふうに思っています。

 これも先ほどの復興特別委員会の中でも申し上げましたけれども、東京の直下型地震、非常に高い確率であるというふうに言われております。東南海の三連動もそうです。そこもいずれも学校の耐震化は急がないかぬ、公共施設の耐震化は急がないかぬというニーズがございます。そういった全体の必要性の中でそういったものの耐震化の対応は見ていくものであって、復興交付金というもので対象にするということについては慎重にならなくちゃならないということで今回は採択を見送った、こういった経過もございます。

畑分科員 今おっしゃったようなことをまさに懇切丁寧に説明して進めればよかったのかなという気もしますが、若干、そういうふうな認識が持たれていなかった部分があると思います。

 というのは、先ほどの復興特でもあったんですが、この四十事業には、例えば耐震化事業も入っているわけですね。定性的には入っていると。だから、そういう中で復興交付金というのは自由に使える、この二つの条件が頭に入れば、あとは、じゃ、これに入っているものは使わせてもらえるんだという思いだったんだろうと思います。

 今おっしゃったような、熟度を含めてその都度詰めていく、本当にそうだと思いますし、それでいいと思うんですが、そういう中でいうと、今後の復興交付金の配分基準ですよね。今回は、住宅再建と産業復興にまず緊急度を認めて、やった。これから恐らく、整理した中で、別に学校耐震化にこだわるわけじゃなくて、その部分もあるし、あるいは道路事業もあるかもしれない、インフラ事業というのも出てくるかもしれません。そういうものに対して広がっていくんだろうと思いますが、二回目、三回目の配分基準というのは、大体どんな考えで、どういうふうになっていくのか。

 今みたいな、熟度を詰めながらということがありますが、熟度を詰めながら、その四十事業の部分は、これはエリアの関係もありますし、あるいは、どういう事業をやるかというのはまただんだん検討しなきゃいけませんが、第一回目みたいな形ではないだろうと思うんです。恐らく広がっていくんだろうと思います、率直に言うと。そこの広がっていくめどというか、どういう考え方で広げていくか、そういうところをお聞かせ願いたいというのが一つ。

 あと一つは、やはりエリアがわからないんですよね。定性的に、今回の特定被災市町村、このエリアが、恐らく理論的には復興交付金の対象になるのではないかと思います。一応理論的には、最大限考えて。ただ、実際には、大臣おっしゃったように、被災市町村であっても内陸の方、直接被害を受けていない部分にはどうなんだという議論もあるだろうと思います。

 そこで、今回、エリアの考え方を一つ明確に示していただきたいのは、実際、これからも含めてなんですが、このエリアというのは、事業計画のエリアが、浸水区域を含んだ限定された区域であることが必要なのか。つまり、復興交付金事業計画の中に、浸水区域があること、その被災市町村の全体エリアじゃなくて、その中でもある程度限定される、そういうことになるのか、そこのところをちょっとお答えいただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、対象市町村、二百二十二市町村だったと思いますけれども、ここではまずどういうことが行われているかといいますと、災害救助法の適用を受けます。被災者生活支援法の適用も受けます。それから、公共施設が災害を受けた場合には災害復旧事業が適用されます。こういった部分につきましては、自治体の負担は実質ゼロであります。

 では、復興交付金というのは何かといいますと、災害復旧事業になじまないものがあります。それは何かといいますと、町を再生する場合に、これは災害復旧ではできません、高台移転なんかがそうです。それから、地域が大きく根本的に変わって新しくまちづくりをするといったときには、災害復旧事業が適用できないんです。だから、この復興交付金だということなんです。

 この復興交付金は、そういった意味において、ここで言っている著しい被害というのはそういうことを念頭に置いていまして、これはあちこちで答えていますけれども、津波で著しく被害を受けたことをかなり想定してつくっている、制度設計をしております。

 例えば、内陸部とか、内陸部の中でも今回の特区の指定を受けられるような市町村はございますけれども、そこで、例えば橋が壊れた、道路が壊れた、これは全部災害復旧で対応できます。災害復旧で対応できるものは災害復旧で対応する。家が壊れたときには被災者生活支援金を交付する。

 しかし、繰り返しになりますけれども、内陸部では、町そのものを根本的に変えなくちゃならない。災害復旧は基本的には現況復旧ですから、この制度が適用できないから、今の国の制度をさまざま使って、復興交付金というのを出して、しかも、ハードだけではできないさまざまな面もあるから、効果促進事業をそこに重ねるという二段構造にしたということでありまして、こういったことについては、また一つ一つ丁寧に説明して、自治体の方に理解を得なくちゃならないというふうに思っています。

 ちなみに、私どもは、査定をするということを考えておりません。とにかく制度は制度として運用しますけれども、できるだけ地域の要望は吸い上げたい、そういう姿勢でやっているということであります。

 ただ、きょうも別の委員会でもお聞きしましたけれども、今回は物すごく大きな災害であります。だから、緊急事態だから、細かいところまで審査するつもりはありません。ありませんけれども、ないようにしたいと思っていますけれども、一方で自治体負担はないという中で、自治体の方でも、使う側でもそれなりの責任はあると思いますし、交付する側でもそれなりの責任はあるということで、やはり、ある程度見るものは見させていただくということは、当面の間、これはやっていかなくちゃならないんじゃないかなということで、この点についてもきっちり丁寧に説明をしていきたいというふうに思います。

 畑委員の地域にかける思いはよくわかりますので、その意味も含めて対応していきたいというふうに思っております。

畑分科員 ありがとうございました。

 それで、事業の熟度についてお伺いしたいんですが、これからしっかり見ていく、そこはポイントになるんだろうと思います。ただ、事実として、地方公共団体の体制とか能力等から見ると、おっしゃるとおり、ぎりぎりというか、各府省が財務省で見られるような形でやるととてもできない、もたないと思います。

 それで、お願いしたいのは、審査、査定とは大臣はおっしゃらなかったので、その点は本当にいいと思いますが、一緒につくるという方向で考えてほしい。支援、アドバイスを行いながら、二月十日に復興局、復興支所ができたわけですから、一緒に計画を練り上げていく、そういう形でやっていただきたいなと思っております。

 まさにそういうことだと思いますが、支援に対する方針はそういうことで理解していいのかどうかというのが一つ。そして、実際に復興局、復興支所の職員が、結局どういう形で支援をしてくれるのか。別の委員会で御用聞きという話も聞いて、私はいいことだと思いました、支所は。そういうことも含めてお伺いしたいと思います。

 それともう一つ、復興交付金になじむ事業であって今回採択されなかった事業は、恐らく熟度が低いということでこれから詰めていくわけですが、そういうことをしっかり計画を見直して、コンパクトにするとか計画を見直すとか手法を変えるとか、あるいはそういうことでブラッシュアップするということが必要になります。

 そうした中で、手法を変えたら、実は、合理的に考えれば額が上がる部分ももちろんあるかもしれませんが、そこはおいておいて、そういうふうにブラッシュアップしたものについては、再び、二回目、三回目の復興交付金の採択の対象になって、しっかりとそういう可能性を持って見ていただける、そういうものと理解していいでしょうか。

 この二点をお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 畑委員がまさにおっしゃるように、ともに計画をつくるという姿勢で臨むように、これは強く復興庁の職員にはお願いしています。特に、自治体はやはり忙しいです。忙しくて十分に中身を見切れない、見切れないから、コンサルから出てきたものをそのまま計画で持ってくるというところもありました。そういったところで、単価について、この単価はちょっとというようなものが散見されたということで、それはちょっと見直そうということで後送りしたという経過もございます。

 いずれにせよ、そういった意味で、いいものをつくる、いい計画をつくる、しっかりとした計画をつくる、これは査定をするということではなくて、自治体と一緒につくるという姿勢で、まさに畑委員のおっしゃるとおりの趣旨でやることが大事だというふうに思っています。

 その上で、復興交付金の使い方なんですけれども、先ほど申し上げましたように、必要性はわかるんですけれども、この復興交付金という形がいいのか、ほかの制度がいいのか、これは制度論の問題でございますから、こういったものについても一つ一つ各自治体と真摯に議論させていただきまして、しかし、余り時間がございませんから、余り難しいことも言わせることもございません。ただしかし、議論をしなくちゃならないところはしっかり議論をしていきたいというふうに思っています。

畑分科員 ありがとうございました。

 まさに、どういうものを使っていくか。多分、それは制度ごとに違った考えで、その適切なものを使うということはもちろん必要なんだろうと思います。

 そういう中で、復興交付金と社会資本整備総合交付金の復興枠、この二つの関係が、実は詰めるとわからない部分が私もあるんです。今回、分科会なので、具体的な例でちょっと御質問したいと思っております。

 道路なんですよね。道路がよくわからない部分がある。例えば、復興交付金の四十事業の道路は、市街地相互の接続道路と書いてありますので、道路が適用になる部分は復興交付金であるんですが、これがどういう場合なのかということが一つ。

 例えば、私の理解は、例を出して言うと、私の選挙区だと宮古の重茂半島の道路があります。県道の重茂半島線。これは半島の海沿いを走っていて、今回冠水して、これを単に復旧するというんじゃなくて、内陸の方に、トンネル化も含めて、やはり集落が孤立しましたので、そういう形の新しいルートのつけかえで復旧するということもあるべきだと私は思っております。これは恐らく、直接被災した市街地と、そして直接被災した、浸水した道路をきっかけとして道路をつくる、それで宮古の中心市街地と結ぶことになるわけです、究極的には。だから、これは復興交付金かなと思うんです。これが一つ。

 もう一つ、よく地元で言われますのは、近くの例で言うと、国道三百四十号の立丸峠というのがあります。これは内陸の方なんですよね。宮古市でも、宮古市の旧川井村と遠野市の境でして、峠がありまして、そこの峠を、やはりこれもトンネルにしてほしいという要望があるんです。

 これは遠野側の、今回の震災の補給基地、後方支援基地になりまして、かなりの働きをしたんですが、その遠野から宮古に結ぶルートとしては、かなり狭隘な路線がくねくね曲がっていますので、そこをトンネルにしてほしいという声があって、これは復興支援道路的なという意味で、復旧とか浸水対策じゃなくて復興支援道路、物資補給とかそういう助けるための道路という意味でこれも必要なんだろうと思うんですが、これは恐らく復興交付金ではないだろうと。大臣の今の説明を聞いていると、社会資本整備総合交付金かな、その復興枠かなという気はしますが、そういう理解でいいのか。そこを含めて、ちょっとその辺のデマケを教えていただければと思います。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 今、先生みずから整理をしていただきましたとおり、私どもとしても、復興交付金による道路事業、あるいは社会資本整備総合交付金の復興枠を用いた道路事業、両方あり得ると思っております。

 この分け方といたしましては、基本的には、復興交付金における道路事業は、津波等による著しい被害を受けた地域の復興地域づくりに必要な事業、これを復興交付金において行う。一方で、複数の市町村をまたがるような、広域的な観点からの調整が必要なネットワーク道路等、こういったものにつきましては社会資本整備総合交付金を含めた別途の制度で対応したいというふうに考えているところでございます。

 具体的に、復興交付金においては、道路に関して四つほど例を挙げて私ども御説明をさせていただいております。一番目といたしましては著しい被害を受けた区域内で復興地域づくりと一体となって整備する道路、もしくは防災集団移転促進事業及び区画整理事業など新たな市街地形成に必要となる道路、もしくは著しい被害を受けた区域内からの避難道として整備する高台への階段ですとかあるいは軽微な車道、四番目といたしまして、津波により周辺が冠水をして孤立した集落の孤立解消のための道路、こういったものを考えているところでございまして、こういったものの中で、事業の熟度、必要性等々を考えて事業化してまいりたいというふうに考えております。

 それ以外の道路で、例えば渋滞解消のためのバイパス道路ですとか、物流効率化に資するインターチェンジへのアクセス道路、こういったものにつきましては社会資本整備総合交付金を活用していただければなというふうに考えているところでございます。

 今、委員から具体的に重茂半島についてのお話がございました。

 実際に、この重茂半島における県道でありますが、重茂半島線につきまして、今回、交付金事業計画について申請がなされてきたところでございますが、これが復興交付金事業に適しているかどうかという判断の前に、若干、今回提出いただいたものが、まさに熟度の点においてもう少し検討する必要があるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 県道そのものはまさに隣の町までつながる部分でありますが、一方で、今回、県からいただいたものにつきましては、重茂の地区の、まさに浸水地域の中を通る道路というふうにも示されているところであります。一方で、その浸水地域のまちづくりの計画というものが実はまだ、まさに熟度がそこまで至っていないというところでもございますので、今回についてはこの枠の中には少し入らないのかなという判断をさせていただいたところでございます。

畑分科員 ありがとうございました。

 まさに、そのようなところをしっかり岩手県、宮古市とも今後詰めていく、今詰めているようでございます。そういうことで、そのようにしてしっかりと、次回審査というか、対象として採択をお願いしたいと思っておりまして、そのことを改めてこの場でお願いしたいと思います。恐らく、要件からいうと、孤立解消にもなるし、まちづくりの部分をしっかり整備するとのってくるんだろうと思うので、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、次の質問ですが、社会資本整備総合交付金の復興枠の予算なんです。

 これは、復興交付金とは別に、ネットワークも含めて使うとした場合に、恐らく道路事業も、何の事業でもそうですが、最初はお金はそんなにかからないんですよね、調査、設計、測量ですので。だんだんに用地買収をして、なおかつトンカチをやっていくと、金がどんどんかかってくる。

 復興交付金については、総額幾らという議論は、これまで一応目の子でもされていたんですが、実は社会資本整備総合交付金の復興枠というのは、二十五年度以降、二十四年度ではなくて二十五年度以降、再来年度以降、必要に応じてしっかり確保していく必要が、そういう意味ではあるんだろうと思うんです。それは増額ということも含めて、必要なことが出てくると思いますが、まさにそういうことをしっかりやっていただけるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

津川大臣政務官 これはまさに復興交付金事業と同じポイントだと思います。

 社会資本整備総合交付金における復興事業につきましても、当然のことながら、その事業の進捗あるいは事業の案件数等々に応じまして、二十五年度以降につきましても、予算額については、その進捗状況を十分に踏まえながら、被災地の要望にきめ細かく対応できるように必要な予算を必ず確保してまいりたいと考えているところでございます。

畑分科員 ありがとうございました。

 必要な予算をしっかりと確保ということで、必要があれば、もちろん増額も、あった場合にはしっかり確保する、そういう理解をさせていただきました。

 それでは次に、残った時間は鉄道についてお伺いしたいと思います。

 端的にはJR東日本の山田線と大船渡線なんですけれども、この復旧について、大臣が二月二十九日に、BRT、バス専用運行システムで当面やる必要があるんじゃないかということを言っているようでして、JR東日本の副社長が来て、その点も、仮復旧というか暫定的に、最終の鉄道をやるかどうかの議論をするには時間がかかるから、BRTというのを当面やったらどうでしょうか、こういう考え方も言っているようであります。

 そういうことで、そういうところは聞いておりますが、大臣がそういう趣旨で言ったのかどうか、その点を一つ、これは通告しておりませんが、鉄道局次長に確認したいと思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 今御質問の点でございますけれども、鉄道の復旧を鉄道事業者が判断するに当たっては、やはり津波に対する鉄道の安全運行の確保というのは最優先の課題であるというふうに考えております。

 そのような観点から、防潮堤の整備でありますとか町のかさ上げですとかルートの変更、それから避難路の整備等の対策の要否、こういうものを詳細な検討を行った上で、周辺と一体となった鉄道の復旧の具体計画を策定する必要がある。

 今お尋ねの山田線や大船渡線につきましては、もちろん箇所によって差がございますけれども、このような具体的な復旧計画がまだ描ける状況に至っていない箇所というのが結構ある。そうしますと、鉄道事業者が鉄道復旧について判断できるまでにもう少し時間がかかる。しかしながら、当面の地元の方々の公共交通サービスというものは復旧復興に貢献するためにやはり必要であるので、少し現実的な選択肢もあるのではないか、こういうことを大臣が会見のときに言われたということであります。

畑分科員 復旧ということは、国交省としては、鉄道局としては、まちづくりを一緒に考えなきゃいかぬと。そういう場合に、鉄道単体で考えた場合には、一番重点は安全性の確保なんでしょうか。そこを実は次にお伺いしようと思ったのですが、ちょっと時間もなくなったので、そういう理解ですね。

 では、そういう理解を前提に、時間もなくなりましたので一つ質問をさせていただきます。

 安全の確保というためには、当然、事業主体としては、追加費用も含めてお金がかかるわけですね。端的にはそこの負担が問題になりますよね。それは、最終的には、もちろん法的にはJR東日本の経営判断なわけですが、しかし、JR東日本というのは黒字の鉄道会社ですので、経営支援という名目ではお金は入れられない。これは、これまでちょっといろいろしかけた中で難しかった部分であります。

 ということは、まちづくりと一体になったお金の入れ方を考えなければならないだろうと思います。というのは、全体をかさ上げしてまちづくりと一緒につくるのであれば、論理的には復興交付金という部分があるかもしれない。あるいは、津波防災地域づくり法というのができましたので、津波防護施設という公物と兼用工作物でつくるという方法もあるかもしれない。もちろん、現行をお伺いしましたが、これは例外的に、山が迫っていて、鉄道が海沿いを走っていて、そこをかさ上げする五百メーターぐらいの範囲だという、かなり限定されているということもお伺いしました。

 さはさりながら、何らかのそういうふうな工夫をしていかなきゃいけない。安全性とかまちづくりという観点でお金を入れる方法を考えるべきだと私は思います。そのためには、今理論的に考えられるのは社会資本整備総合交付金なり復興交付金だろうと思うんですが、そこの部分を工夫すべきであると。

 昨年、液状化が起こったとき、個人の敷地にはお金は入れられないという前提があった中で、周辺の道路とか社会資本とか、公共のところにお金を入れることによって、実質的にはその隣の個人の敷地の負担も軽減したということもやりました。

 そういう工夫もしたわけですが、そういう形で何らかの工夫を、今後、制度改正か、新たな制度なのか、復興交付金なのか、社会資本整備総合交付金なのか、あるいは別の制度、復興基金みたいなものがあるのか、そこは考えなければいけませんが、何らかの検討をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃいましたように、現行の制度の中では、経営が黒字基調であるJR東日本に対して災害復旧事業費の補助というようなことは対象外ということで、原則みずからの責任で復旧をするということになります。

 一方で、より内陸への路線の移転を伴う復旧となるような場合に、例えば市街地開発事業においてまちづくりと一体的に鉄道用地を確保する等、まちづくり事業の実施者とJR東日本との間の調整により必要な措置がなされるように検討することとしているところでございます。

畑分科員 ありがとうございました。

 まさにそこなんだと思います。条件づけなんだろうと思うんです。今は、残念ながら、地元の方は鉄道を復旧してくれ復旧してくれという中で、JR東日本は民間企業ですから難しいですという話の中で、まさにどういう条件であればどういうふうなお金が出せるのかというところを、仲介役という意味も含めて、国交省にしっかりそこはやってほしいんです。

 JR東日本は民間企業ですからJR東日本の考えも聞きたいわけですが、ちょっときょうは聞けないんですが、JR東日本に、端的には、どういう条件で、どういうお金が、どれぐらい負担してくれればという条件を示してもらって、彼らに言わせたいんですよね、本当は。そういう前提の中で、国交省なり国としては、いや、これは出せる、出せないという議論をして、すり合わせるというところにそろそろ入らなきゃいかぬのじゃないかなという気はしております。これはまちづくりと一緒になってからの議論ですので、引き続きそういう議論をし続けなきゃいけないと思うんですが、国交省にはしっかり、提示してすり合わせる努力というか、そこの仲介をお願いしたいと思っております。

 そして、新規の制度も含めた、そういう制度の構築なり創設をぜひともまた検討願いたいと思っております。検討ということですから、検討にもいろいろ種類がありますが、ぜひとも前向きな検討ということで私も理解しておりますので、その点、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

武正主査 これにて畑浩治君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時三分散会


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