衆議院

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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      大塚  拓君    船田  元君

      宮本 岳志君

四月十一日

 岩屋毅君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    大塚  拓君

      田畑  毅君    比嘉奈津美君

      船田  元君    堀井  学君

      前田 一男君    宮本 岳志君

   兼務 佐藤 英道君

    …………………………………

   国務大臣

   (原子力防災担当)    石原 伸晃君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (国家安全保障強化担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           根本  匠君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)

   (国土強靭化担当)

   (防災担当)       古屋 圭司君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (海洋政策・領土問題担当)            山本 一太君

   国務大臣

   (女性活力・子育て支援担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   森 まさこ君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (再チャレンジ担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   内閣府副大臣

   兼復興副大臣       寺田  稔君

   総務副大臣        柴山 昌彦君

   総務副大臣

   兼内閣府副大臣      坂本 哲志君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     島尻安伊子君

   財務大臣政務官      伊東 良孝君

   衆議院事務総長      鬼塚  誠君

   参議院事務総長      橋本 雅史君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君

   裁判官訴追委員会事務局長 辻本 頼昭君

   国立国会図書館長     大滝 則忠君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   会計検査院長       山浦 久司君

   最高裁判所事務総長    大谷 直人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小西  昭君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           河合 正保君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      山本信一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 引原  毅君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

   財務金融委員会専門員   北村 治則君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     田畑  毅君

  船田  元君     前田 一男君

  宮本 岳志君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     比嘉奈津美君

  前田 一男君     堀井  学君

  赤嶺 政賢君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  比嘉奈津美君     衛藤征士郎君

  堀井  学君     船田  元君

同日

 第六分科員佐藤英道君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

岩屋主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました岩屋です。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。

山本政府参考人 平成二十五年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十五年度における歳出予算要求額は、六十億七千七百六十一万六千円でありまして、これを前年度当初予算額六十一億九千五百二十三万四千円と比較いたしますと、一億一千七百六十一万八千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十四億九千二百八十四万一千円、皇族に必要な経費二億六千七十七万五千円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億一千六百九十一万八千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十七億七千五百九十二万三千円でありまして、前年度に比較して八千七百十一万八千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千五十万円の減少となっております。これは、寛仁親王の薨去に伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十五年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いを申し上げます。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。鬼塚衆議院事務総長。

鬼塚事務総長 平成二十五年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百十九億七千四百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十億九千四百万円余の減額となっております。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百三十三億五千万円余、衆議院の運営に必要な経費として百九十四億二千四百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 減少した主なものは、東日本大震災復興財源確保のための特例措置により減額すべきものと定められた歳費及び職員人件費等でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十二億三千九百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として七十九億五千二百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、新議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十五年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

岩屋主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。橋本参議院事務総長。

橋本参議院事務総長 平成二十五年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百四十億四千四百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億一千万円余の減額となっております。

 これは、主に、東日本大震災の復興財源確保のための特例措置により減額すべきものと定められた議員歳費及び職員人件費の減額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百三十五億二千七百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十億二千七百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十二億一千六百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、本館その他庁舎の整備等に必要な経費及び新議員会館の整備に係る不動産購入費でございます。

 次に、国会予備金に必要な経費でございまして、五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十五年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

岩屋主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。大滝国立国会図書館長。

大滝国立国会図書館長 平成二十五年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算は、一般会計予算と東日本大震災復興特別会計予算から構成されております。

 このうち、まず、一般会計に係る歳出予算要求額は、百八十七億八千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、七億四千九百万円余の減額となっております。

 これは、主に、東日本大震災の復興財源確保のための特例措置により減額すべきものと定められた職員人件費の減額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等として八十五億四千万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等として七十三億二千三百万円余を計上いたしております。

 平成二十五年度においては、特に、デジタル・アーカイブシステムによるサービスの拡充に要する経費に重点を置いております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千二百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十六億四千七百万円余を計上いたしております。

 第五は、東日本大震災復興特別会計へ繰り入れに必要な経費でありまして、一億八千五百万円余を計上いたしております。

 次に、東日本大震災復興特別会計に係る歳出予定額は、一億八千五百万円余でありまして、東日本大震災アーカイブの運用に要する経費を計上いたしております。

 以上、平成二十五年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

岩屋主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。石川裁判官弾劾裁判所事務局長。

石川裁判官弾劾裁判所参事 平成二十五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、九千七百七十四万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、八百七十一万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、簡単でございますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

岩屋主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。辻本裁判官訴追委員会事務局長。

辻本裁判官訴追委員会参事 平成二十五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億一千三百七十一万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、九百五十万円余の減額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。大谷事務総長。

大谷最高裁判所長官代理者 平成二十五年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十五年度裁判所所管一般会計歳出予算の総額は、二千九百八十八億七千八百万円余でありまして、これを前年度当初予算額三千百四十六億六千四百万円余と比較いたしますと、差し引き百五十七億八千六百万円余の減少となっております。

 次に、平成二十五年度一般会計歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官及び書記官の増員等であります。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められている中で、民事訴訟事件の審理充実及び家庭事件処理の充実強化のため、裁判官は、判事三十二人、書記官は三十三人、合計六十五人の増加をすることとしております。なお、このほかに、速記官等から書記官への振りかえ十五人も計上しております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力として六十五人の削減を図るほか、さらなる合理化により一人の削減を上積みすることにより、合計六十六人の定員削減をすることとしておりますので、差し引き一人の純減となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百七十二億五千八百万円余を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として四十九億七千百万円余を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として六十億八千二百万円余を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十二億五百万円余を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化等のための経費として百五十八億五千八百万円余を計上しております。

 なお、平成二十五年度裁判所所管特別会計歳出予算には、経費の計上はございません。このため、東日本大震災復興特別会計に計上のありました前年度当初予算額と比較いたしますと、三億六千四百万円余の減少となっております。

 以上が、平成二十五年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。山浦会計検査院長。

山浦会計検査院長 平成二十五年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十五年度予定経費要求額は、百五十九億二千三百万円余でありまして、これを前年度予算額百六十六億二千八百万円余に比較いたしますと、七億五百万円余の減額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百四十億六千七百万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十八億一千二百万円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として四千三百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十五年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十五年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十五年度における歳出予算要求額は九百六十九億五千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額九百八十五億千八百万円に比較しますと、十五億六千三百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として八百四十九億千八百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として九億九千九百万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十億三千八百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十五年度における歳出予算要求額は七千三百二十五億九千九百万円でありまして、これを前年度当初予算額一兆四千五十六億四千二百万円に比較しますと、六千七百三十億四千三百万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、経済財政政策、科学技術政策、行政改革、規制改革、国民の安全・安心の確保、暮らしと社会、地域活性化、沖縄政策、北方対策、宇宙開発利用等の推進のための経費として四千四百五十八億三千百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百二億六千三百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用、中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まり強化、競争環境の整備等のための経費として八十八億二百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千三百七十億七千九百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進、金融機能安定確保等のための経費として二百二十一億二千万円、消費者庁には、地方消費者行政の支援、消費者教育の推進、消費者事故被害の拡大防止及び厳正な法執行等のための経費として八十五億三百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十五年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。根本復興大臣。

根本国務大臣 平成二十五年度復興庁予算について、御説明申し上げます。

 まず、復興庁においては、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進するための予算として、総額二兆九千三十七億円を計上しております。

 以下、その主要施策について、御説明申し上げます。

 第一に、被災者支援については、被災者の方々の住宅再建、被災した学生の修学等を引き続き支援するとともに、コミュニティーの弱体化、孤立化が問題となっている中で、心のケア等を支援するために必要な経費として、千八百八十三億円を計上しております。

 第二に、町の復旧復興については、本格的な復旧や復興に向けた公共インフラ等の整備を事業計画及び工程表に沿って推進するために必要な経費として、一兆六千六百七十億円を計上しております。

 第三に、産業の振興、雇用の確保については、津波浸水地域等における産業の本格的な復興や雇用の確保のために必要な経費として、三千七十五億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、国が前面に立って福島の深刻な諸問題に対応できるよう、新たな事業制度を創設するなど、原子力災害からの福島の復興及び再生を加速するために必要な経費として、七千二百六十四億円を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁所管予算に加え、震災復興特別交付税交付金や復興加速化・福島再生予備費など一兆四千八百三億円を計上しており、東日本大震災復興特別会計予算全体では四兆三千八百四十億円を計上しております。

 以上、平成二十五年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。小野寺防衛大臣。

小野寺国務大臣 平成二十五年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十五年度予算においては、周辺国による軍事力の近代化及び軍事的活動の活発化や東日本大震災という未曽有の大災害の経験を踏まえ、国民の生命財産と領土、領海、領空を断固として守り抜くため、平成二十五年度の防衛力整備等についてに基づき、防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、各種事態への実効的な対応及び即応性の向上、日米同盟の強化、国際的な安全保障環境の一層の安定化への取り組み、効果的、効率的な防衛力整備を重視しつつ、防衛省・自衛隊が国民から期待される役割を果たす上で必要な事業と、このための所要額を計上することができたと認識しております。

 平成二十五年度の防衛省所管の一般会計歳出予算額は、四兆七千五百三十一億九千七百万円であり、これに財務省所管予算五億八千百万円を加えた防衛関係費の一般会計歳出予算額は四兆七千五百三十七億七千八百万円となり、前年度の当初予算額に比べ、三百九十九億九千六百万円の増となっております。

 新たな継続費の総額は、平成二十五年度護衛艦建造費で七百五十八億九千九百万円、平成二十五年度潜水艦建造費で五百三十一億三千六百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設整備等で、一兆六千五百三十四億三千四百万円となっております。

 また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費を、復興庁一括計上分として、平成二十五年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に計上しております。東日本大震災により被災した自衛隊施設や装備品等の復旧については、歳出予算額五百六十二億九百万円、国庫債務負担行為の限度額六百五十一億三千七百万円を計上しております。

 これをもちまして平成二十五年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願い申し上げます。

岩屋主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小野寺防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岩屋主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岩屋主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

岩屋主査 内閣府所管について審査を進めます。

 金融庁について質疑の申し出がありますので、これを許します。田畑毅君。

田畑(毅)分科員 おはようございます。比例東京ブロック選出、自由民主党新人議員の田畑毅と申します。

 本日は、質問の機会を与えてくださり、まずもって御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。国会での質問というのは、私、本日が初めてですので、何とぞよろしくお願いを申し上げたい、このように思います。

 さて、本日は、主に、安倍政権が推進をいたします成長戦略に関しまして、金融、特に地域金融機関が果たすべき役割、こういった切り口から質問させていただきたいと思っております。閣内でまさに成長戦略の最前線にいらっしゃる寺田副大臣、そして伊東政務官と、金融面で密度の濃い議論をさせていただければ望外の喜びでございます。

 さて、安倍政権が進めます経済政策、いわゆる三本の矢でございますが、このうち、民間投資を喚起する成長戦略を真に軌道に乗せていく、このためには、私は地方経済の活性化というのが非常に不可欠だと理解をしております。

 と申しますのも、私自身、大学を卒業しましてからかなりの長い間、約十四年間でございますけれども、日本銀行に勤務していた、そういった経験がございまして、そこで、特に地域金融機関の立入検査ですとかオフサイトモニタリング、このようなことを担当していたからでございます。

 当時は、地域金融機関におきましても、かなり前でございますが、貸し渋り、それから貸し剥がしなどが横行しており、まさに地方の中小零細企業は疲弊をしていた、こんな状況でございました。加えて、近年では、サブプライムローン問題、それからリーマン・ショック等々の問題も生じまして、過度の信用収縮が発生する状況に陥っているのではないのかな、このように私は理解しております。ただ、もっとも、安倍政権が進めます強力な経済政策によりまして、状況は徐々に改善してきていると私は思っております。

 そして、その三本の矢のうち、民間投資を喚起する成長戦略というのは、これは、私なりに解釈をしますと、地方経済の活性化にほかならないのではないのかな、このように考えているところでございます。そのためには、経済の血液たるお金を地方の中小零細企業あるいはベンチャー企業に回していくといったことが必要だというふうに考えております。

 安倍政権のこうした経済政策のもと、地域金融機関が果たすべき役割について金融庁はいかがお考えでしょうか。副大臣の御見解をお伺いします。

寺田副大臣 お答えをさせていただきます。

 今委員御指摘のとおり、今、安倍内閣一丸となって、経済の底上げ、そしてまた地域の活性化をやっていこうということで三本の矢を放った、あるいは放たんとしているわけでありますが、そうした中、地域をよくしていくこと、これは極めて重要なことであり、地域の活性化に金融庁としても全力で取り組みをさせていただいているところであります。

 具体的には、地域金融機関が適切に地域金融を担い、そしてまた地域の金融ニーズに応えていくこと、これは極めて大事なことであります。

 実は、先月の十八日にスタートいたしました、ETICを改組、拡充してできました新しい機構、地域経済活性化支援機構、これは、まさに地域の活性化のために、その嚆矢として、さまざまなコンサル機能あるいはまた出融資機能を発揮してリードしていく機関として、これまでの事業再生に加え、地域活性化事業あるいはまた再生現場の強化事業、こうした新たなウイングを加えて、地域経済をしっかりと支えていく方針のもと、約一兆円の与信枠、貸出枠を二十五年度予算でも御審議いただいているところであります。

 この機構の後押し、サポートも得ながら、地域金融機関が地域における適切な金融機能を発揮して、地域を支えております中小企業あるいはまた中堅企業、さらには小規模事業者、また零細事業者に至るまで、そうした円滑な金融に相努めてまいりたい、そのように考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。非常に力強い御答弁をいただきまして、頼もしく思っております。

 続きましての質問をさせていただきます。

 民間投資を喚起する成長戦略、これでございますけれども、これを具体的かつ効率的に移行を進めていくためには、今ございました中小零細企業あるいはベンチャー企業等々に、いわゆるリスクマネーというのを適切に供給してやる必要があるのかなというふうに私は認識をしております。

 もちろん、私ももと銀行におりましたので、銀行の財務内容の健全性をしっかりと担保していくという必要は理解をしているところでございます。したがって、銀行の尻をたたいて、むやみやたらに貸し出しを伸ばしていけということを申し上げるつもりはございません。

 しかしながら、私の耳には、地域経済の発展を手助けすることが使命であるはずの地域金融機関ですらも、現状、やや過度な担保至上主義にある、そういったような声も聞こえてまいります。具体的には、信用保証協会つきの融資でないと、幾ら黒字を計上していても融資には見向きもしてくれないとの声が聞こえてまいります。

 成長戦略を後押しするためのリスクマネーの供給と銀行の健全性の確保のための担保主義とのバランスの問題、これが非常に重要だと思われますけれども、金融庁といたしましてはこうした問題に今後どのようなスタンスで臨んでいくのか、副大臣の御見解をお伺いいたします。

寺田副大臣 まさに委員御指摘のとおり、バランスが極めて重要であります。

 もちろん、健全性の観点から、担保を徴求する、あるいは適切な保証を得るというのは必要な行為でありますが、同時に、リスクテークをして与信を行う、そうしたリスクテークを行うことが銀行の本業であり、リスクテークなくしてまた利益も生じないわけであります。

 したがって、金融機関に対しては、過度に担保や保証に頼ることなく資金供給を行うべきであるというふうな観点から、実は、委員も御高承のとおり、監督指針におきまして、総合的な監督指針を我々金融庁は公表いたしておりますが、その中で、健全な融資慣行の確立とともに、担保、保証に過度に依存しない融資の促進、これを明記させていただき、さらに、健全な融資慣行は必ずしも担保、保証に頼ることなく、貸し付けは、借り手の経営状況あるいはまた資金使途、さらには回収可能性等を総合的に判断して行うものであるというふうなことを明記し、公表させていただいております。

 そうした両者のバランスのとれた融資の態度、これが実現するよう監督をしてまいりたい、そのように考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 そのバランスというのがやはり一番必要なところでございまして、アクセルとブレーキというんでしょうか、そうしたところで経済成長というのが実のあるものになっていくんだな、私もこのように理解をしていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、続きまして、地域経済の活性化を引き続き質問させていただきたいと思いますけれども、そのためには、中堅・中小企業の資金調達の手段の多様化といったことも重要な課題かなというように私は理解をしております。

 例えば、信用力の高い大企業、トヨタですとかそういったところであれば、みずから社債を発行して市場性の資金を直接市場から調達したりすることもできましょうが、中小企業、零細企業となってくると、そういうこともなかなか難しいでしょう。メーンバンクからの、地方銀行、信用金庫などからの借り入れ、すなわち間接金融がほぼ一〇〇%とならざるを得ないというのがやはり実情ではないかなと思います。

 そうした中、最近、ABLですか、すなわち企業の在庫ですとか売り掛け債権等の流動資産を担保とした融資のことでございますけれども、こうした新たな融資形態というのは、不動産担保ですとか保証に過度に依存しないものとして、私も注目をしているというところでございます。

 そこで、金融庁ではABL等の新しい融資の形態を広めていくためにどのような取り組みを行っているのか、お聞かせください。

寺田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、これまでの金融機関の融資の担保、これは不動産がやはり中心であったのは事実でありますが、ただ、我が国企業のアセット面の実態を見てみますと、在庫あるいはまた売掛金といったものを大変多く保有している実態がございます。

 そうした点に着目をして、委員御指摘のこのABL、これの積極的な活用を慫慂いたしたいと考えておりまして、今般、金融検査マニュアルの改定を二月五日に行いまして、ABLについての方針、また運用の明確化等の措置を公示させていただきました。

 具体的には、この動産・売掛金担保につきまして、検査マニュアル上、それを一般担保として認める。これは、一般担保というのは客観的な処分可能性がある担保であるというふうなことで、一定の掛け目を基準として設定して、処分可能性のある担保というふうな位置づけにしております。そういうふうな一般担保として認められれば、その部分については貸倒引当金が不要になるというふうなことがございます。その条件の明確化を行ったところであります。

 また、ABLの周知徹底のため、大臣の指示に基づきまして、金融庁幹部とともに手分けをして全都道府県を回り、金融機関に対する説明会、これは、三月末の金融円滑化法の失効後の対応とともに、全国で説明会を開催してABLの普及について言及をいたし、その普及と汎用化について取り組みをさせていただいているところでございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 やはり中小企業と申しますと、信用保証協会の枠はもう全てとうに使い切ってしまった、創業のときに自宅も抵当に入れてしまっているというような企業が大宗を占めるのかなと思います。

 そうした中で、やはりバランスシートを見た場合に、総資産の側を見ますれば、優良な企業への売掛金というのがございますわけですから、そういったところをうまく担保として活用して融資につなげていくということが非常に重要かなと思います。なかなか、いろいろテクニカルな部分で広がっていかない部分もあるかと思うんですけれども、それは今後の金融庁さんの取り組みに期待をします。

 そして、今副大臣御答弁ございましたとおり、いろいろな金融機関を集めましての説明会というのがあるやに御説明がございました。

 私も金融検査マニュアルをもとに立入検査なんかしておりましたけれども、金融機関は、自己査定というのをマニュアルどおりにやって、それで検査でその正確性を検証していくという作業になりますので、金融庁さんの方から、こうしたABLに関しては一般担保として扱えるんだよということで周知徹底をしていただけると、金融機関の方も非常に安心感が広まるのかなという感じがいたしますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。

 さて、続きましての質問でございます。

 続きましては、やや古い話になりますけれども、話は十年ほど前にさかのぼります。これは私が銀行にいたころの話なので、引っ張り出してきた話なのでございますけれども。

 金融庁では、平成十五年だったというふうに記憶しておりますが、地域金融機関向けに、いわゆるリレーションシップバンキングの機能強化に向けたアクションプログラム、ちょっと長いので、以下、リレバンというように略しますけれども、このリレバンなるものを策定されております。

 この主な目的は、地域金融機関の不良債権問題の解決にあったわけでございます。大手金融機関、メガバンクと地域金融機関、地銀、第二地銀、信金等とはおのずと業態、客層も違うわけですから、不良債権問題の解決の仕方も違ってくるので、地域金融機関に関してはこのリレバンで対応していこうというようなところに主眼があったかと思うんですけれども、その裏返しとして、不良債権問題の解決を見た暁には、中小企業金融の再生と持続可能性の確保ということもうたっていたわけでございます。

 要するに、これは、言うと、地域金融機関でも不良債権問題の解決というのは喫緊の問題ですよ、でもそれが解決したら、地域金融機関のあるべき姿、すなわち、地域に根差して、地域の金融ニーズに機敏に対応しましょうよ、地域住民、地域企業に対して金融サービスをきちんと提供しましょうということだったと思います。

 金融庁は、このリレバンの中で、創業ですとか新事業支援機能等の強化などもうたっておったところでございますけれども、あれから十年ほどがたちましたけれども、現時点におきまして、その取り組みに関する評価を副大臣にお伺いしたいと思います。

寺田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員の御記憶どおり、ちょうど十年前、平成十五年の三月に、いわゆるリレバンの方針、正確には、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム、これを公表いたし、ちょうど十年間にわたって、地域金融によりますいわゆる地域密着型金融、この取り組みを促し、また慫慂いたしてまいりました。

 中でも、委員御指摘の、創業あるいはまた新事業支援機能の強化の取り組みにつきましては、不良債権問題処理の暁には、各地域金融機関におきまして、例えば、業種別に担当者を配置する、あるいはまた、そうした目ききを行う研修を行う、あるいは融資審査の態勢の強化、新たなニーズあるいはシーズを的確に捉まえるための産学官とのネットワークの構築、連携、また、いわゆる中小企業支援センターとの連携、また、政府系金融機関でそうしたものを取り上げておりますところの日本政策投資銀行でありますとかあるいは日本政策金融公庫、こうした政府系金融機関との連携もうたい、創業、新事業支援のための取り組みを行って、そうした融資実績も、現実、拡大を見ておりまして、一定の成果はあったものというふうに我々も評価をいたしております。

 現在の監督指針におきましては、地域の金融機関が、みずからの規模や特性、地域の事情、また利用者のニーズ、あるいは地域におけるさまざまな創業の状況、これらも踏まえて、自主性を発揮しながら、それぞれの金融機関の特性を生かした取り組みを一層推進していく、こういったようなことも促しておりまして、金融庁としても、こうした取り組みのさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 まさしく副大臣おっしゃるとおり、ニーズ、シーズの発掘というんでしょうか、それがまさに、今この成長戦略を軌道に乗せていくためには必要になってくるのかなと私は思います。

 特に地域金融機関というのは営業エリアが限られているわけですから、ある意味、地域の企業ですとか地域の住民の方と、ちょっと言葉がいいのかどうかわかりませんが、運命共同体、一緒にウイン・ウインの形で成長していくというのがあるべき姿でございますので、そうした地域のニーズ、シーズを発掘していって成長を促していくということに期待をさせていただきたいと思います。

 では、次の質問に参りたいと思います。

 さて、お金の流れを活性化していくといった観点からは、いわゆる約一千五百兆円に上る家計の金融資産をいかに有効活用していくかということも重要だというふうに言われております。貯蓄から投資へと言われて久しいわけでございますけれども、こうした観点から、今般、金融庁が掲げました日本版ISAの意義や効果について、副大臣の御見解をお聞かせください。

寺田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、我が国の家計金融資産、千五百兆に上るわけですが、その大宗は現預金あるいは貯金に集中をしているのが現状であって、まさに、貯蓄から投資を促していこうということで、日本版ISA、これの導入を我々は図らんとしているわけであります。

 これによりまして、家計の安定的な資産形成の一助といたしますとともに、経済成長に必要な成長マネー、リスクマネーの供給にもつなげていくというふうなことで、まさに貯蓄から投資への流れを助ける一つの重要なツールがこの日本版ISAになるのではないかというふうに考えておりまして、今回の税制改正によりまして大幅にこの中身も拡充をいたしまして、日本版ISAとして創設を目指しているところであります。

 これが今後のそうした貯蓄から投資へという流れを確たるものとするとともに、家計の金融資産が有効に活用されて、いわゆる貯蓄と投資の好循環が発生をし、それがひいてはデフレ脱却の後押しとなっていくことを我々は期待をいたしております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 さて、次は、ややマクロ的な質問をさせていただきたいと思います。

 金融分野で民間投資を喚起していく上では、お金の流れを活性化していく必要がある、これは先ほど来申し上げているところでございますが、そのためには、例えば総合取引所の創設というのも一つの有効な手だてだと思われますが、現状及び金融庁の今後の取り組みをお聞かせください。

寺田副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、総合取引所は、金融、証券、また商品取引の垣根を取り除いて、利用者利便の向上あるいはまた国際競争力の強化、また世界標準に合った取引所スタイルの実現、これを目指すものでありまして、これはまさに、お金の流れをさらに活性化していく、こうした効果があるものと我々は期待をいたしております。

 この総合取引所は、第一次安倍内閣の平成十九年の閣議決定、いわゆる骨太の方針二〇〇七の閣議決定において総合取引所の推進というふうなものが盛り込まれて以来、重要な政策課題として取り組みをいたしておりまして、昨年の九月に、その実現のための金商法の改正を行い、いわゆる改正金商法が成立をいたしたところであります。

 また、本年の一月に閣議決定をいたしました緊急経済対策におきましても、この総合取引所は、金融資本市場の活性化策の一つとしてその位置づけを行っているところでありまして、こうした中、御高承のとおり、本年一月には、東証グループと大証の合併によりまして、総合的な取引所の中核となることが期待をされております日本取引所グループ、JPX、これが成立をいたしました。

 この総合取引所の実現に向けまして、政府として、今後、いわゆる商品取引分野における統合、働きかけ、また関係者への理解の促進、また啓蒙普及、さらには今後の政省令等の整備に積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 やはり閣内で最前線で成長戦略にお取り組みをされていらっしゃいます寺田副大臣の力強いお言葉を聞きますと、私も非常に、勇気が湧いてくるというのも変な話でございますけれども、そんな気持ちがいたします。

 東京、ニューヨーク、ロンドンというのは世界の三大市場でございますので、東京マーケットがどんどん強くなっていくということが、やはり経済から日本を取り戻すという安倍内閣の政策にも合致してくるのかなと私は思っておりますので、今の御説明ですと閣議決定等々でもう随分進んでおるようですけれども、ぜひ総合取引所の方の今後の進捗もどうかよろしくお願いしたいと思います。

 さて、時間も迫ってまいりましたので、一点、財務省さんに質問をさせていただきたいと思います。

 本日の新聞にも載っておりましたが、先日、日本銀行が量的・質的緩和をして以降、国債の金利がかなり乱高下をしているようでございます。このような状況をどのように見ていらっしゃいますか。伊東政務官にお伺いをいたします。

伊東大臣政務官 田畑委員の御質問にお答えさせていただきます。

 四月四日、日銀の政策決定会合における発言で、その日、四日の日は、過去最低金利ということで〇・四二五%に下げたところであります。その翌日、四月五日の日に、これまた午前中に長期金利が史上最低金利という〇・三一五%になりました。この日の午後に〇・六二%までまた急上昇するということでございまして、乱高下というようなお話がございましたが、一時的にはこういった事象が起きてございました。

 私どももこれを承知しているところでございますが、ただ、御案内のとおり、長期金利はさまざまな要因によりまして市場において決まっていくものでございまして、その動向についてここでコメントさせていただくことは、市場に無用の混乱を生じさせかねないというところもございまして、差し控えをさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、長期金利が急上昇をするようなことになれば、財政、さらには経済、国民生活に重大な影響が生ずることになりますことから、日本銀行が、金利全般が経済に与える影響に十分目配りをしつつ、金融政策、金融運営を行うことが重要である、このように思うところでもございます。

 政府といたしましても、市場の信認を維持することによりまして金利の上昇の抑制を図るよう、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを今後とも着実に推進してまいりたい、このように思う次第でございます。

 日銀に御勤務経験のある田畑委員でございます、どうぞ今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げる次第であります。

 ありがとうございます。

田畑(毅)分科員 ありがとうございます。

 日本銀行と政府は、共同声明も出たということで、今すごくいい関係を築けているのかなという気がいたします。

 政務官おっしゃられたように、国債の市場というのはやはりさまざまな要因で動くところがございますので、これは一時的なものかもわかりませんし、今後は日銀が国債を大量に買っていくということになれば、金利はどんどん低下していくのかどうか、ちょっと私もその辺は予測がつきません。いずれにしても、申し上げたいのは、日銀、政府双方で、良好な関係を築きながら、日本経済の円滑な運営に携わっていただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。

 それで、こうした国債の金利が乱高下するという状況があるわけでございますけれども、こうした中で、大量の国債を銀行ですとか保険会社が抱えているという事実があると思うんですけれども、こういった状況を鑑みまして、銀行や保険会社の金利リスクにつきましては、金融庁ではどう見ていらっしゃいますでしょうか。副大臣の御見解をお聞かせください。

岩屋主査 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

寺田副大臣 はい。

 お答えをさせていただきます。

 大量の国債を保有していることに伴う金融機関のリスク、これはもちろん、金利が変動することによる、金利収入の変動もさることながら、それとともに価格も当然変動いたします。金利が上がれば価格が下がる。こうした、特に金利上昇に伴うリスク、これを適切に管理していくことが求められます。

 もちろん、満期まで保有をすれば国債はリスクウエートがゼロでありますように、元金がそのまま、百であれば百戻ってくるわけですが、その手前での売却、また金利の変動に伴うリスクなど、あるいは流動性リスク等も含め、さまざまな国債保有のリスク、これを我々も認識いたしております。

 この金融機関のポートフォリオに占める国債も含め、債券のウエートが大変高まっている中、金融庁としても、そうしたことのモニタリングシステムを確立いたしておりまして、金融機関が抱えますリスクの適時適切な把握に努めているところであります。

 また、金融機関としても、そうしたリスクを十分に認識して、例えば、この価格下落に対する損失を十分吸引できるだけの自己資本を有していることも当然でありまして、これは金融機関もそういう認識を持たないといけませんし、我々もそのように適切に指導してまいりたいと思います。

 金融庁といたしましては、引き続き、金融機関が債券保有に伴うリスクを適切に管理しているか、注視をしてまいりたいと思います。

田畑(毅)分科員 時間も参りましたので、私からの質問は以上とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

岩屋主査 これにて田畑毅君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田一男君。

前田分科員 おはようございます。北海道八区選出の前田一男でございます。

 私は、昭和四十一年生まれ、海軍記念日が誕生日でございます。先祖に泉岳寺の三十八代の住職がおりまして、小さいころから、仏教心といいましょうか、一生懸命努力して、そして世のため人のために尽くしていけるような人物になっていきたい、そのような菩提心というものを持ちたいと思いながら、これまでの時間を過ごしてまいりました。

 社会に出ましてからは、総合商社に勤務をし、その後、政治への志を抱き、北海道に戻りまして、北海道庁で十年、そしてその後、松前という小さな自治体ですが、そこの町の町長として八年務めまして、今回の選挙におきまして、地域の支援をいただいて、国政に上がらせていただいた次第でございます。

 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の一つ目の質問は、人口減少社会、これに対してどのような取り組みをしていくべきかというふうなことでございます。

 先般、人口問題研究所におきまして、将来の人口推計が発表されました。この数値を見て、私はショックを受けたわけであります。現在、一億二千八百万人いる日本人、これが、わずか四十七年ぐらいでしょうか、二〇六〇年には八千七百万人、今の人口から四千万人減って、三分の二にまでなってしまう。そして、この推計によれば、二一〇〇年には五千万人まで減ってしまうという数字であります。

 人口がどんどんどんどん減っていくということは、ある意味、国力の低下、そういったことにもつながっていくのではないかというふうに思います。そう考えると、日本人の生命財産、そして日本の領土、こういったことを守る意味での国防と同じぐらい、日本人の人口を守っていく、支えていくということは大切なことではないかなというふうに思うのであります。

 今回のこの人口問題研究所が発表された数値、また大臣の御認識、そういったことをお聞かせいただきたいと存じます。

    〔主査退席、大塚(拓)主査代理着席〕

森国務大臣 御質問ありがとうございます。

 人口減少の推計値は、前田委員御紹介のとおりなんですが、実は、それに加えて、人口の中の年齢別の構成比が、高齢者の割合がどんどん上がっていくということもプラスされます。例えば、二〇五五年には、現在の子供の数の半分になってしまうという推計値も出されております。それを組み合わせますと、大変な少子高齢化社会、人口の数が下がっていくと同時に、その中の若い人の割合ももっと下がっていくということです。

 そうしますと、労働力人口、十五歳から六十四歳までの働き手と言われている方の大幅な減少による経済成長への影響、さらに、支え手の減少等による社会保障への影響も深刻な懸念がございます。我が国における少子化の進展は、このように国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらすものと承知しておりまして、委員と危機意識を共有しております。

 現在、私のもとに少子化危機突破タスクフォースを設けて、この課題に取り組んでいるところでございます。

前田分科員 ありがとうございました。

 私も、町長として八年間、過疎と戦ってまいりました。子供がどんどん少なくなってきますし、高校を卒業した子供もどんどん都市部に出てしまっているような状況で、ある意味、高齢化の日本の先端を行っていたような、そのような八年であったわけであります。

 その間、国からはさまざまな少子化対策というものが打ち出されました。あるときには、車のチャイルドシートを交付することが少子高齢化対策につながると。首をひねったことを思い出します。また、今も厚生労働省などでは、少子高齢化といえば、幼稚園や保育園の待機児童の解消である、そのように言っておられます。これを否定するつもりはありません。しかし、それは対策のほんの一つであって、それでもって全てが解決することではないということは明らかであります。

 また、私が町長を務めていた松前町では、待機児童というものは一人もおりません。昔つくった幼稚園や保育園のキャパシティーに比べまして、子供の数がどんどんどんどん減っておりますから、待機児童というものは存在しなかったわけであります。

 さまざまなことを考えていかねばなりませんけれども、その中で、もちろん国からはさまざまな少子化対策というものが打ち出されてきましたけれども、本当にこの国の人口減少を食いとめていこう、そして、人口をある程度キープさせていかなきゃいけない、もしうまくいくんだったらふやしていかなきゃいけない、そういう強い熱意というものは、私は、町長時代に、実感としてなかなか感じることができませんでした。

 今お話ありましたとおり、この三月には、大臣のもとで少子化危機突破タスクフォースなるものもつくられたというふうなことでございます。このタスクフォースはどのようなミッションを持っておられるのか。また、大臣は少子化問題について一定の道筋を見出していこうという強い思いを持たれているというふうに思います。その思いの一端をお述べいただきたいと存じます。

    〔大塚(拓)主査代理退席、主査着席〕

森国務大臣 ありがとうございます。

 実は、私、少子化対策大臣になりまして、今までの政府の政策を全て棚卸しをして、マトリックスをつくってみたんです。

 なぜなら、第一次安倍内閣のときに、少子化対策基本法に基づいて、少子化社会対策会議、これは、官邸で、総理が会長で、全ての閣僚がメンバーであるという会議を開催いたしまして、さまざまな政策を打ち出してまいりました。その後、政権交代をまたいでたくさんの会議が開かれ、たくさんの政策が打たれてきたんですが、御存じのとおり、合計特殊出生率は目立った増加をしておりません。

 今、一・三九。最低の一・二六からわずかに伸ばしたけれども、それは、母数が、第二次ベビーブームのときのお母さんたちが産んだからだというような一つの御意見もございますから、政策がこんなに打たれているのになぜ出生率が上がらないのかということで、全ての政策を並べかえまして、女性と男性の人生、出会い、結婚、妊娠、出産、育児、これを横軸にし、縦軸は、地域、家庭、そして働く場所、そういうことで並べてみたんです。そうしたら、一目瞭然だったんです。

 それは、子育て支援の部分、ここに政府の政策がぎゅっと凝縮しておりました。それから、海外と比べますと、予算の総量が少ないですね。そういう意味で、少子化対策というものに、予算額も確保していかなければなりませんけれども、効果的なところに政策の矢を打ち込んでいかなければならないとすると、育児支援のところに政府の政策が集まっている。

 ところが、人口研究所のその白書を読み込んでみますと、結婚した男女は平均して二人産んでいるんです。二人産んだ後の方に育児支援をするのは、次世代育成という意味では大変意義のあるものですが、人口が減少していくところを食いとめるというところには直接の効果が見出せません。子育て支援をしているんだということで、若い方がそこを見て安心感を覚えるという間接的な効果は望めます。

 ところが、結婚がなかなかできない、または結婚をしようと思わないという若者への政策が全くない、それから、結婚したけれどもなかなか妊娠できない、不妊治療も難しい、そのようなところの政策も非常に少ないということが、今回、この政策の棚卸しによりはっきりいたしました。

 そこで、私は、この足りない分野に政策の矢を打ち込んでいくために、少子化危機タスクフォースを立ち上げたんです。そして、やらなければならないことというのは、今までの政府の政策でも、それからマスコミの報道や有識者さんたちの御意見でもさまざま出てきておりますが、やはり実行に移されていないという部分がございますので、いろいろ語るよりもまず実行しよう、そういう意味で、会議ではなくてタスクフォース、すなわち実行部隊という命名をいたしました。

 ですので、この危機突破タスクフォースは、精力的に開催をいたしまして、六月を目途に骨太に政策を入れ込んでいくということを目標に今行っているところでございます。そして、先ほど御紹介いたしました官邸で開かれる少子化社会対策会議、これを第二次安倍内閣で開催しまして、そこの場でこのタスクフォースの結果を報告してまいろうというふうに思っているところでございます。

前田分科員 先ほど、私は、昭和四十一年生まれということを申し上げました。この年はひのえうまでありまして、出生率が、前年よりも二五%ぐっと下がってしまう、一・五八という数値なんですね。これは、江戸時代に、女性の前であれですが、ひのえうまの女性は災いを招くというふうな迷信がありまして、その迷信が昭和になってもまだ残っていたのかもしれないというふうに言われているわけであります。

 その迷信の一・五八よりも今もっと低い数値になっておりまして、私も考えまして、これは、ひょっとしたら、今、日本を取り巻いている空気、そこに何か誤った迷信があるのではないかというふうなことなんです。

 その迷信とは何かといえば、これからの日本はどんどん衰退していくだけである、また、子供を持つと、養育費もかかるし、苦労ばかりあって生活はなかなか苦しくなる、そういうふうな迷信なのかもしれないというふうに思ったのであります。

 しかし、そうではなくて、子育ては本当に楽しいし、家族がたくさんいれば生活自体が本当に幸福なんだということを新しい価値観として打ち出していくことが私は必要だというふうに思うんです。

 そのためには、やはり国としてのビジョン、構想、そういったものを持つべきではないかなというふうに思うんです。幾ら多くの政策があっても、目指すべき日本のビジョン、日本の人口を将来ここまで持っていこうじゃないか、そのためには出生率はここまでにしていこうじゃないか、そういうふうな計画を持つことも一つではないかというふうに思うんです。

 もちろん、そういうことを言えば、批判は出てまいりましょう。人口は個人の自由意思の結果としての数字であるというふうなこともあるでしょうし、また、なかなか子供を持てない人に対しての配慮というものが必要だというふうなことも出てくるかもしれません。しかし、ここは、国としてこのような国家ビジョンを持ってやっていこう、そのような強い意思が、国民にも、ある意味、ああ、それも一つの考え方だな、そういうふうになっていくのではないかなというふうに私は思うのであります。

 例えば、人口がこれから減らない、ふえていくということになれば、今、日本を取り巻く年金の問題とか、また社会保障の問題とか、さらには医療の問題とか介護の問題とかも含めて、ある程度の解決の糸口が見えてくるのではないかというふうに思うのであります。

 これまで、日本の国として、将来人口をこうしよう、また出生率はこのくらいを目指していこうじゃないか、そういうふうな数字は一切出てこなかったというふうに私は認識しているのでありますが、ぜひ、どうでしょうか、このタスクフォースでもって、また大臣のビジョンとして、将来このような人口規模の構想を目指していこう、そのようなことを発表されることはないでしょうか。

森国務大臣 人口規模等について具体的な構想やビジョンを打ち出すことは重要だと思っておりますので、委員と思いを同じくしております。

 先般も、菅官房長官が、やはり具体的数値を持ってこの少子化という国家的な危機に立ち向かっていきたいという御意思を表明されたところでございます。これについては、早速、野党の委員から御批判も受けておりますが、私たち、ひるむことなく、危機突破タスクフォースと、その後の少子化社会対策会議においてビジョンを打ち出したいと思っております。

前田分科員 何か日本の将来が明るくなるような、わくわくするような今の御答弁だったというふうに私は思います。

 事前にお渡ししておりますこの表をお持ちでしょうか。私も、自分なりに、日本の将来の人口推計、数字を入れながらやってみたのであります。そこで幾つかのことがわかりました。

 一つには、今の人口動態、人口構造を考えますと、今すぐ、ことしから出生率が上がっていったとしても、それでも目立った動きになってくるのには、三十年から五十年ぐらいかかるということであります。また、この五年ぐらいで人口の増減率が、これまでのプラス傾向からマイナス傾向に入りつつある。そのような大事な時期が、今この五年、十年だというふうなことがわかりました。

 今、テレビでも、いつやるんですか、今でしょというふうな言葉がありますけれども、私は、今こそ少子化対策を大胆に打ち出していくべきタイミングではないかと。そうしなければ、三十年後、五十年後の日本人から、あのとき手を打ってもらえればこうはならなかったというふうな声が聞こえてくる、そういうふうな気がするのであります。

 私の提案は、二〇三〇年に、今から十七年しかありませんけれども、十七年あれば十分だと思っていますけれども、二〇三〇年に合計特殊出生率を三・〇に持っていく。持っていくと、試算の上では、二一〇〇年には日本の人口が二億人になる。二〇三〇年、合計特殊出生率三・〇を目指し、そして、二一〇〇年、人口二億人構想。

 大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 大変前向きな御提案をありがとうございます。

 私は、少子化危機突破タスクフォースに、今までにない、初めての委員を一人入れたのでございます。これは人口学の先生です。今まで、人口学の学者が少子化対策の会議に入ったことはございません。人口学の観点から、冷静に、客観的に、目標というもの、それから今の現状把握というものをしなければいけないと思いまして、日本人口学会会長の、明治大学の安蔵教授においでをいただいております。

 安蔵教授に、さまざまな現状の数字、それから今後の推計を出していただいているのでございますが、例えば、今の合計特殊出生率が一・三九でございますけれども、これが仮に二・一に回復するとどうなるかと申しますと、二〇三〇年に二・一に回復した場合には、二一二〇年ごろに九千九百万人で人口が安定する、つまり、V字回復はしないけれども、今ぐうっと下がっているものが打ちどまるということでございます。そして、二〇五〇年に二・一に回復したとすると、二一四〇年に八千七百万人、つまり、そこから約百年後ぐらいになってやっと打ちどまるということでございます。

 人口減少というのは、今三・〇と委員がおっしゃいましたけれども、仮に二・〇になったとしても、百年ぐらいしないと下降カーブがとまらない、とまった後、V字には回復しない、水平方向で安定するだけということでございます。

 そして、委員は三・〇とおっしゃいましたけれども、では、二・〇に、水平方向にするのにどれだけ大変かということですね。

 私のこのタスクフォースに別の委員を入れておりまして、これは日本産科婦人科学会の、産婦人科の教授でございます。また、タスクフォース以外のアドバイザーとして、内閣官房参与として、安倍総理に産婦人科の吉村教授をつけていただきましたので、二人の、不妊治療を初めとした母体の専門家に来ていただいております。

 今現在、未婚の男女のうち九割は結婚したいと思っているんです。だけれども結婚しない。物すごい未婚化、晩婚化が進んでおります。これも、安蔵教授の数値で出ております。

 未婚の方たちの九割が結婚したいと思っている。その九割が全員結婚が実現できたとしましょう。では、その人たちが、希望として子供はどのぐらい欲しいですかというと、二人以上という方が大半でございます。では、二人以上生まれたとしましょう。九割の方が結婚して二人以上生まれた、その場合には、合計特殊出生率が一・七五になるのでございます。

 ですから、今、国民の結婚と妊娠の希望を全てかなえたとしても、一・七五なんです。ですから、それを二・一にまず上げなければいけないということで、結婚したいと思えるような政策、そして、もっと子供を産みたい、産んでも経済的に教育費も大丈夫だよ、それから家族ももっと楽しいものだよということを思ってもらえるような政策を打とうということをまず直近で目指したいと思っているところでございます。

前田分科員 ありがとうございました。

 今はTFR三・〇というと笑われるかもしれませんけれども、しかし、そういったことを国として言い続けて、そして空気をつくっていく。そうすれば、いつかは子供が三人いる家庭がひょっとしたら当たり前になるかもしれません。今二・一の将来推計を御紹介いただきましたが、やはり、目指すところは二・一から三・〇、その辺に持っていきたい部分だというふうに強く感じたところでございます。

 先ほど申し上げたように、今やらなければ、これは将来に対して禍根を残すというふうに思います。この課題を将来の政治家に委ねるのではなくて、私たちの世代でこれについて一つの手当てをして、方向性を見出していくということをぜひさせていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

 続きまして、私は北海道の出身なのでありますけれども、北方領土の返還についての国民運動、そういったことについて考えてまいりたいというふうに思ってございます。

 安倍総理のロシア訪問に心から期待をしているところでございます。今回の訪ロをきっかけに、エネルギーの問題や食料、そして防衛、さらには領土、こういったさまざまな懸案に解決の糸口を見出していけるのではないかというふうに期待しているところであります。

 そのためには、特に領土問題についての解決を期待しているのでありますけれども、そこはやはり外交交渉で総理に頑張ってもらわなければいけませんし、外務省、さらには国を挙げてのある意味での戦いというものが展開されてくるのだろうというふうに思います。

 私は、その上で、やはりなくてはならないのは、国民の後押し、北方領土は日本の固有の領土であるという国民の強い確信が必要だというふうに思います。

 その点、いかがでしょうか。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げます。

 全く同感でございます。やはり、国民の意思、北方領土は我が国の固有の領土であるという強い意思が必要だというふうに感じております。

前田分科員 北方領土が日本の領土であるということを考えるときに、江戸時代の中期に生きた高田屋嘉兵衛、この生き方を子供たちに知らせていくということは非常に重要だというふうに私は思っております。

 司馬遼太郎の「菜の花の沖」という本に詳しいのでありますけれども、この人は、北方の海路交易でもって名をはせた方であります。高田屋嘉兵衛は、国後と択捉、ここに海路を発見したり、また、北方の交易、そういったものを一生懸命やっていきました。

 あるとき、ロシア船が、日本領であった国後、択捉、その辺に入ってまいりまして、そこの艦長、ゴローニンというのでありますけれども、そのゴローニンを松前藩の方に連れていったのであります。

 私は、松前の町長だったのでありますけれども、そのときのことはわかりませんけれども、松前の子供たちは、自分の遊ぶ場所に、ゴローニンが幽閉されていた場所があるんですね。ですから、ゴローニンが連れてこられて、そして、その辺で仕事をしていた高田屋嘉兵衛が今度はその副艦長のリコルドに連れていかれて、その後、リコルドとその高田屋嘉兵衛が大変信頼関係を持って、そういった話し合いの中で、日本に高田屋嘉兵衛は戻ることができて、ゴローニンはロシアに戻っていったというふうなことを知っているものですから、松前の子供たちは、北方領土というのは当然もともと日本の領土だというふうに思っているんですね。

 また、函館にも高田屋嘉兵衛の足跡を紹介するような資料館があるのでありますけれども、函館の子供たちもその資料館をよく知っていますから、そのことはよくわかっているんですね。

 しかし、この資料館も、末裔の方が私財をはたいて、毎年二百万円から三百万円のお金を使ってずっと開いてきたんですが、入館料だけではなかなか難しいんです。それで、もう閉じざるを得ないというふうなことになっているんですね。これは非常にもったいないことだと思っているんです。

 函館には、ウラジオストクの極東連邦総合大学というのがあって、ロシアにも開かれているわけでありまして、その高田屋嘉兵衛の資料館で、ロシア人がふうん、ふうんというふうに見ているんですね。ですから、こういったものが閉じられるのは本当にもったいないというふうに思うんです。

 このような例は全国のいろいろなところにもあるんだというふうに思うんです。わずかばかりのお金でもって北方領土は日本の領土であるということができるのでありますけれども、それが今できなくなりつつある。

 こういった現状についてのお考え、また何か妙案のようなものをお持ちであれば、御開陳いただければと思います。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今回、前田委員のこの質問をきっかけに、私も資料を読ませていただきました。この高田屋嘉兵衛氏の御貢献といいますか、大変なものだというふうに認識をしております。

 江戸時代、北方領土の開拓においてもう本当に多大な功績を残した、北方領土が歴史的に見ても日本固有の領土であるということを示す重要な人物だ、今委員が御披露していただいたとおりだというふうに認識をしております。

 これまで、この高田屋嘉兵衛さんの資料とかいろいろな重要な資料がたくさんあるというふうにお聞きをしておりますけれども、これを子孫の方々が私財をなげうって守ってきた、資料館ということでつくってやっていらしたということでございます。委員が今御指摘をされましたように、今はちょっと閉館をしているというふうにも聞いておりますけれども、正直、ちょっと残念だなというふうに私も考えております。

 しかし、現状、いろいろと調べてみましたけれども、この資料館は外務省の所管である団体が運営しているということ、この団体が公益法人改革の中でこの秋にも解散をすることになっているというふうにお聞きをしております。なので、内閣府としてこの法人に直接的な財産の支援をするということは大変困難だということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、その上で、我々内閣府として何ができるのか、ずっと考えてやってまいりましたけれども、この資料館が保有する大事な資料、これが散逸するということは絶対的に避けなければならないというふうに考えておりまして、今後、北海道あるいは函館市と連携をして、委員のおっしゃったような妙案を考えていかなければならないというふうに思っております。

 例えば、資料のデジタルデータ、今もうとってあるというふうに聞いております。東大がこの資料の重要性ということは大変にわかっているということでありますので、そういったものの提供、例えばネット上で御紹介をするだとか、あるいはこの資料に基づいて北方領土と高田屋嘉兵衛というように銘打った資料を作成したりとか、そのようなことを我々としては早速講じていきたいというふうに考えているところでございます。

前田分科員 ぜひ、政務官を函館にお招きしたいと思います。市民を挙げて、一緒に、高田屋嘉兵衛の足跡、そしてその重要性、そういったことを感じていただけたらと思います。

 本日は、ありがとうございました。

岩屋主査 これにて前田一男君の質疑は終了いたしました。

 次に、比嘉奈津美君。

比嘉分科員 おはようございます。自民党沖縄三区、比嘉奈津美と申します。

 私は、昨年末まで歯科医師として医療に携わっておりまして、きょう初めての質問でございますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 早速、沖縄の話をさせていただきたいと思います。

 皆様よく御存じのように、沖縄は、他府県とは違います非常に特殊な、基地問題であったり領土問題等を抱えて難しい議論がいつも行われる土地柄になっておりますが、本日、私は、視点を変えて、アメリカ、アジアから、いろいろな国々からこれだけ注目を浴びる沖縄というのは非常に大きな大きな可能性を持っているのではないかという発想で、明るい可能性を持った建設的な沖縄の未来に向けてお話をお伺いしてみたいと考えております。

 安倍総理は、施政方針の中で、世界で最もイノベーションに適した地を沖縄につくり上げたいと発言され、また、昨年開学いたしました沖縄科学技術大学院大学にも触れておられます。

 私も以前より、その大学院大学、以下OISTと呼ばせていただきますけれども、OISTに何度か足を運ばせていただいていたり、ことしに入りましてからも、山本沖縄担当大臣、また美ら島議連の議員の先生方とも、そこの視察に伺っております。

 このOISTは、沖縄の、また日本の科学を牽引していく存在というのが私の見解でございます。しかしながら、まだ地元沖縄でも、あるいは全国の皆様にも、余り周知していただけていない状況ではないでしょうか。

 そこで、少しでも多くの方にこのOISTを知っていただく必要があると私は考え、これまでのOISTの歩みと、政府のお考えになるOISTの可能性をお伺いしてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 比嘉委員は、私が担当大臣として初めてOISTを訪れたときも御同行いただきましたし、何度も足を運ばれているとお聞きしていまして、熱心なお取り組みに心から敬意を表させていただきます。

 なるべく正確に申し上げたいと思いますが、沖縄科学技術大学院大学、OISTは、沖縄において世界最高水準の教育研究を行うことによって、沖縄の振興、自立的発展、世界の科学技術の向上に貢献をする、こういう目的で設立をされました。

 去年、二十四年の九月に開学をしたわけですけれども、平成十三年六月に構想されて以来ですから、十年余をかけて開学に至ったということでございます。

 この間の歩みとしては、複数のノーベル賞受賞者を含む機構運営委員会、それから学園設立委員会が、構想を具体化するために議論を重ねてまいりました。設立準備法人、学校法人という二つの法人の根拠法に係る国会審議も行われて、とにかくここまで来るまでに、委員御存じのとおり、大勢の関係者の方々に御尽力をいただいたということでございます。

 OISTは、美ら海に面した本当にすばらしい研究環境にあって、世界各国・地域から優秀な学生、それから一流の講師、教授陣の方々が集まっておりまして、研究設備も最新ですし、これも一緒にOISTを訪問したときに説明がありましたけれども、学部の壁がない組織ということもありますし、あるいは全て英語で教育研究が行われているというふうなこともありますし、非常にユニークな存在だと思っています。

 これから、今言及された安倍総理の施政方針演説にもあったように、沖縄を世界に冠たる科学技術拠点にする、このためにOISTが果たすべき役割はあると思いますし、大きな可能性がある、そういうふうに思っております。

比嘉分科員 ありがとうございます。

 沖縄の自立発展、世界の科学技術の向上を目的に開学に至ったということがよくわかりました。

 また、お答えの中にありました、各学部の研究室自体、オープンスペースでありまして、本当に壁のない状況で、私も歯科医師として歯科放射線科という研究室に一時籍を置いておりましたのでよくわかりますが、例えば物理学であったり生物学であったり全て部屋が別なのですが、この学校におきましては本当にワンフロアで、いろいろなエキスパートの先生方が、何の研究をしているのだろうと隣をうかがいながら、交流をしながら研究を行う、国境なきサイエンスということの現実を高く評価するべきだと私は考えております。

 実際、そこでどういう研究を、学生さんの現状などをお教えいただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 沖縄科学技術大学院大学のカリキュラムは、今大臣からお話がございました、学部の壁がない単一の研究科あるいは専攻で、五年一貫制の博士課程のみが設置をされております。

 研究者については、現在四十六名で、そのうち外国人の方が三十一名でいらっしゃいます。これらの研究者の方々については、国際的に権威のある学術誌への広告掲載などを通じて募集を行いまして、それから、国内外の大学や研究機関から各専門分野でトップレベルの水準の研究をしていらっしゃった研究者を厳格に選考したということでございます。

 それから、一方、学生につきましては、現在三十四名の第一期生がおりますけれども、そのうち外国人が二十九名。これらの学生については、国内外の学士号あるいは修士号を有する者から募集を行いまして、約二百人に上る志願者から、書類選考や筆記や面接、三次にわたる審査、試験により絞り込まれまして、最終的に十八の国・地域から選抜をされたという優秀な学生でございます。

 以上でございます。

比嘉分科員 すぐれた頭脳の人材が活躍できる場面が沖縄につくられつつあると感じます。

 世界に開かれた大学としてこれからも多くの学生さん、若者が門をたたくように、参考までに、学生への支援措置についてお伺いしたいのですが、よろしくお願いいたします。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 沖縄科学技術大学院大学については、大変厳しい、熾烈な世界レベルの国際競争の中で一級の学生を獲得するためには、入学する学生に対して世界の最高水準の大学と同じ程度の経済的支援を提供することによって、経済的な不安なしに研究活動に専念できるようにすることが極めて重要であるというふうに考えております。

 このために、沖縄科学技術大学院大学では、学生をリサーチアシスタント、これは研究者の補助をするという役割に学生を採用するわけでございます。あるいは、ティーチングアシスタント、これはシニアの学生が若い学生を教えるという職務で採用した上で手当を支給しまして、その中から授業料あるいは生活費を賄うことができるよう支援を行っているところでございます。

比嘉分科員 このように学び、研究するのに恵まれたステージで、世界最高水準の教育研究、または沖縄に密着した研究としてはどのような取り組みが同大学ではなされているのか、お伺いします。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 沖縄科学技術大学院大学には、大きく五つの中核分野というのがございまして、そのうち三つを申しますと、一つは分子・細胞・発生生物学、二つ目に環境・生態学、三つ目に物理学・化学、そのほか二つございますけれども、こうした五つの分野を基礎として、分野横断的な研究領域において世界最高水準を目指して研究活動を行っています。

 このような中で、沖縄の自然環境を生かした研究、あるいは沖縄県内の企業と連携しながら行っている研究として、例えば、次のような事例がございます。

 まず第一に、海洋環境に関する分野では、沖縄はまさに島自体がサンゴと言ってもいいものでございますけれども、このサンゴのゲノム解読に成功いたしました。実は、このゲノム解読というのは大変大きな意義がございまして、サンゴは、一つの病気として、白くなってしまって死滅する、これは白化と言っておりますけれども、白化現象が起きるときに、例えば周辺の環境の変化とサンゴのゲノム自体にどういう異常があるか、この関係を解明することを通じて、沖縄の重要な観光資源であるサンゴの保全に貢献するということが期待されております。

 また、エネルギーに関する分野では、現在、再生可能エネルギーというのは大変重要な課題になっておりますけれども、実は、沖縄近海には非常に強い流れの黒潮がございます。その黒潮の中に風車の形をしたタービンを入れまして、強い黒潮の海流でタービンを回すことによって発電をする、こういう研究が今行われておりまして、こちらも再生エネルギーの利用促進に大きく貢献することが期待されております。

 また、もう一つだけ申し上げますと、これは、先生は沖縄をもうよく御存じでいらっしゃいますので、言うまでもございませんけれども、例のショウガ科の多年草であるウコン、それから沖縄特産のかんきつ類でございますタンカン、こうした伝統的な産物、これを食べたときにつくられる化合物に命を延ばす効果、延命効果というのがどのぐらいあるものかということを今一生懸命研究しておりまして、これは、長寿医療の発展に貢献することが期待されております。

 今後とも、大学院大学におきましては、沖縄の振興と自立的な発展という点と、世界の科学技術の向上という二つの大きな目的を見据えながら、基礎的な研究とともに、その成果を生かした、より多くの沖縄に密着した研究成果が上げられるよう、しっかりと支援してまいりたいと思っております。

比嘉分科員 先進的な取り組みが行われているようで、その中でもやはり、沖縄で行われる研究としては、沖縄のブランド化に努めていただきたいと思います。先ほどお話にございましたサンゴに係る研究であったり、海洋環境予報に関することに関しましては、世界においても日本、沖縄が一番であると発信できる力をつけていただきたいと思います。

 そこで、さらに、知的産業クラスターを形成すべく、OISTを核として、研究機構であったりベンチャー企業をその辺に集積、整備を進めていくべきではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 今委員のおっしゃっているところは本当にポイントだと思うんですが、知的産業クラスターの形成について言うと、沖縄振興特措法に基づいて沖縄県が策定した沖縄二十一世紀ビジョン基本計画というのがありますが、沖縄科学技術大学院大学等が核となって、産学官が連携することで国際的な知的産業クラスターの形成を目指すとされておりまして、これは非常に重要だというふうに思っています。その重要性は十分に認識をしています。

 これまでも、沖縄においては、産官学が共同で利用する研究拠点であるオープンリサーチセンターを沖縄県のうるま市に整備する等、研究開発、交流拠点の基盤整備を行っています。

 また、大学院大学、琉球大学、バイオベンチャー等によるウコンやタンカンなどの沖縄産物の成分を分子レベルで解析する長寿医療の研究など、内外の大学、企業、研究機関の連携による共同研究事業が進められております。

 また、OISTにおいては、これまで、大手製薬会社を含め多くの企業との連携協定を進めるとともに、有用な研究成果が出た場合には速やかに特許を取得する方策についての委員会も運営しておりまして、こういうことを通じて、産官学連携に向けた取り組みを行ってきておりますし、また、今後建設予定の第三研究棟には、民間企業との共同研究スペース、技術移転オフィスを設けることとしております。

 引き続き、大学院大学が核となって、県や国の関係機関と十分連携を図りつつ、委員のおっしゃった知的産業クラスターの形成が円滑に行えるようにしっかり政府として支援をしてまいりたいと思います。

比嘉分科員 ありがとうございます。

 安倍総理の施政方針での発言のごとく、世界一のイノベーションの拠点をつくり上げていただきたいと思います。

 少し話は飛びますが、このような知的クラスターを代表する地域として、それを有効活用するために、あくまでも私の考えとして聞いていただいてよろしいと思いますが、今、我が国におきましては、再生医療を経済成長の戦略の一分野として掲げております。我々、党の部会でも、この再生医療の可能性を早期に医療の現場で活用できるように、各疾患、病気病気、そして臓器臓器を、研究室を立ち上げて開発していくという案も出ております。

 そして、再生医療の場合は、医療機関あるいは研究機関のみならず、この細胞を培養また加工するという再生医療製品を製造する施設が必要になってまいります。これは、今までに全くなかった産業でございます。その産業をもしこの知的クラスターのしっかりした沖縄に持ってこられると、沖縄の産業化にまた発展していくかなと私は考えております。また、よきように、前向きに御検討よろしくお願いいたします。

 私は、沖縄は心優しいDNAの島だと考えております。その優しい島で、多くの人々を救うオーダーメードの医療産業をと考えております。よろしくお願いいたします。

 さて、もう一つ、観光立県としての沖縄のお話をしてみたいと思います。

 沖縄県は、知事が掲げる観光客一千万人を目標に、今、関連企業の方々は日々研さんを積んでおります。その観光客誘致の一つとして、MICE、造語で、M、I、C、Eと書き、Mはミーティング、Iはインセンティブ、研修旅行などですね、Cはコンベンション、国際会議、Eはエキシビション、展示会を意味します、MICEの誘致があると思います。

 沖縄県では二〇〇〇年に九州・沖縄サミットという大きな会議が開かれた経緯があり、国際会議の基礎は既に確立されていると考えられます。あわせて、先ほどのOISTにおける成果を生かした学会開催、または知的クラスターの形成の手段としてMICEの誘致が重要だと考えますが、国際会議等のMICE関連の誘致意義としては国としてはほかにどのようなことが考えられるか、お伺いしたいのです。

山本国務大臣 委員のおっしゃったMICEの誘致の意義としては、まず、御指摘をされたように、MICE参加者はその分野の専門家あるいは関心の高い人々ということで、開催時におけるビジネス機会、イノベーションの創出、さらには、先ほどおっしゃった知的産業クラスター形成の促進が挙げられます。それに加えて、二つ目として、MICE開催を通じた、主催者、参加者等の消費支出による大きな経済波及効果があると思います。さらに言うと、三つ目としては、都市の競争力、先ほど委員もおっしゃっていましたが、ブランド力の向上にも寄与する、こういう効果が期待されると私たちは考えております。

比嘉分科員 今大臣のおっしゃるように、このMICEの誘致というものの秘める可能性とは多大なものがあると考えられます。

 さて、これまでに沖縄では国際会議が幾つか行われておりますが、最近どのようなものがあったか、ちょっとお教えいただけますでしょうか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄県内で開催をされた国際会議の状況でございますけれども、最近の主なものとして、まず首脳レベルの国際会議でございますけれども、第六回太平洋・島サミット、これが昨年の五月に開催をされております。会場でございますけれども、名護市の万国津梁館でございます。十七の国・地域が参加をいたしておりました。この太平洋・島サミットでございますけれども、これまで六回開催をされておりますけれども、そのうち三回は沖縄、全て万国津梁館で開催をされているというものでございます。

 また、大規模な会議でございますけれども、ことしの三月でございますけれども、日本商工会議所青年部第三十二回全国大会が開催をされております。四日間の日程で、那覇市の沖縄セルラースタジアムなどが会場でございましたけれども、五千人の参加でございました。

 また、沖縄の特性を生かした国際会議でございますけれども、これはことしの六月の開催予定でございますけれども、地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議が環境省と沖縄県の共催で開催をされることとなっております。会場でございますけれども、今御議論がされておりました沖縄科学技術大学院大学、OISTで開催の予定でございます。

比嘉分科員 太平洋・島サミットなど首脳レベルの国際会議が行われていることを非常に心強く思います。沖縄らしい会議を幾つも行うことによって、やはりブランドの向上につながっていくものだと考えております。

 沖縄の歴史をひもといていきますと、多くの県民が海外へ移住し、現在、北米、南米初め二十三カ国に、約四十万人の沖縄県人の血の流れをくむ方々が在住し、八十六の沖縄県人会が存在すると聞きます。やはり、グローバルな沖縄の立ち位置を大いに役立てて、国外から多くのお客様をお招きできる、おもてなしできる守礼の邦、沖縄の観光産業に結びつけていただきたいと思います。

 確かに、シンガポールなどアジアにおいてもMICEの誘致競争が非常に厳しい状況で、競合地との差別化を図り、通訳などのたくさんの人材育成も行っていかなくてはならないと思います。かつての人と物が行き交う琉球王国の大交易時代を思い出し、広く大きな海原で、たくさんの方が訪れ、人々が幸せになれるような沖縄観光を築き上げるようにしていただきたいと思います。

 最後に、MICE誘致に向けた大臣の意気込みをお聞かせ願えますか。

山本国務大臣 先般、沖縄担当大臣として初めて万国津梁館を訪問いたしまして、やはり、万国津梁館から見る海の美しさ、自然の豊かさに感動しました。あそこに沖縄サミットで来られた各国の首脳は、全員、多分沖縄のファンになって帰っていかれたんじゃないか、やはり来てもらうことだということは改めて思いました。

 その上で申し上げますが、沖縄は、さまざまなニーズに対応したコンベンション施設、リゾートを満喫できる宿泊施設など、MICE施設の充実に加えて、先ほど申し上げた、豊かな自然、独特の歴史文化等との触れ合いなど、沖縄ならではのリゾートコンベンション、これが大きな魅力だと思います。

 沖縄の魅力を存分に発揮できる、また先ほど申し上げたような高い効果が発揮できるMICEの誘致については、委員がおっしゃったように、沖縄観光の質の向上、持続的な発展に大きく貢献するものだというふうに考えております。

 沖縄へのMICE誘致については、閣議了解のもとで政府を挙げて取り組んでおります。これは沖縄サミットの前に出された閣議了解だったと思いますが、沖縄担当大臣として、引き続き、沖縄県等と連携して、MICEの誘致には全力で取り組んでまいりたいと思います。

 それから、あと一つだけ申し上げますと、私は、沖縄担当大臣であると同時に科学技術担当大臣で、総合科学技術会議も担当しておりまして、安倍内閣は、科学技術イノベーションを成長戦略の大きな柱の一つにしております。その中でも再生医療は恐らく核の一つになるということで、沖縄担当大臣として、さらに科学技術担当大臣として、委員がさっきおっしゃった視点はしっかり胸に置いておきたいと思います。

比嘉分科員 ありがとうございます。

 沖縄は本当に、冒頭に申し上げましたように、いろいろな問題がございます。ただ、本当に、いつも怒っているような島、皆さんのイメージかもしれませんが、怒りの島ではございません。優しさの島であって、沖縄の未来の可能性は平和な世界との交流の中にあると思います。その辺を御支援いただきますようお願い申し上げて、質問とかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

岩屋主査 これにて比嘉奈津美君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)分科員 公明党の佐藤英道でございます。

 予算委員会の分科会での質問は初めてでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、沖縄の問題でありましたけれども、私は北海道でございます。まず、北方領土問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 二月に森元総理がプーチン大統領と会談をされました。その中身についてはさまざまに報道されているところでありますけれども、日ロ関係の重要性について確認をされ、領土問題についても議論をされたとのことであります。私は、今後の領土問題解決への協議再開、協議進展への期待を大変に強く感じた一人であります。

 また、今月十日には岸田外務大臣がラブロフ外相と会談をされ、領土交渉の重要性について認識を共有できたという報道もされておりました。

 そして、今月二十九日にはいよいよ安倍総理がロシアに行かれ、プーチン大統領と会談をされるわけであります。首脳会談で北方領土問題について協議が再開されるという期待は非常に大きいものがあります。

 そこで、いま一度、我が国の北方領土問題に対する基本的なスタンスについて、ぜひとも御確認をさせていただければと思います。

加藤内閣官房副長官 佐藤委員にお答えをいたします。

 御指摘のように、日ロ間の最大の懸案でございます北方領土問題については、北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結するというのが私ども政府の基本でございますし、その上で、四島の日本への帰属が確認されれば、実際の返還の時期及び対応については柔軟に対応するというのが交渉に臨む私どもの立場でございます。

佐藤(英)分科員 私は北海道選出でありまして、身近に元島民の方々や二世の方々もたくさんいらっしゃいます。また、千島歯舞諸島居住者連盟の会合にも私もよくお伺いをさせていただいているところでございます。また、道議会議員を務めておりました間にも、いつの日か必ず島に帰りたいと言う方にもたくさんお会いしてまいりました。

 元島民の方々は、昭和二十年に強制移住をさせられた後も、御両親や御家族、御友人らと一緒に島に帰ろうと語り合い、あの豊かな島に帰って漁業をやるんだ、そうした父親の姿を見て育ってきた、そして、いつの日か必ず北方領土返還の日が来ると信じて、その日を心待ちにして、我慢に我慢を重ねてこられているわけであります。

 以来、六十七年が過ぎました。その間、墓参事業が始まり、ビザなし交流が始まり、懐かしいふるさとの地に足を踏み入れることができるようにもなりました。しかし、その間に、御両親が亡くなられ、一緒に島に帰ろうと約束し合った御友人が亡くなられ、元島民の方々は本当に悔しい思い、寂しい思いもされております。また、元島民の二世の方々は、そうした親御さんの背中を見ながら、いつか北方領土を取り戻したいと心に強く誓っておられるわけであります。

 今返還についてさまざまな議論があることは承知しておりますが、北方四島の返還を訴えられる方々がどのような思いでおられるのか、総理初め政府閣僚の方々はよくよく御理解いただいていると思います。そして、その上で、この北方領土問題の協議再開への決意、そして領土問題解決への決意について、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

加藤内閣官房副長官 今、元島民のお話がございました。御承知のように、昭和二十年の段階では一万七千名おられた方が現在では七千名になっておられて、その平均年齢が七十九・四歳、大変御高齢でおられるということ。また、そういう方々の思い、そしてまた亡くなった方々の二世、三世の方々が居住者の方々のその思いを今いろいろ持っておられる。今御指摘ございました、そういったことも私どもは十分重く受けとめるところでございます。

 いずれにいたしましても、北方領土問題、戦後六十七年以上たった現在でも解決されていない大変難しい問題ではございますけれども、四島の帰属に関する問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結する、先ほど申し上げましたけれども、そういう基本方針に従って、ロシアとの交渉、この問題の解決に向けて、粘り強く取り組んでいきたい、かように考えているところでございます。

佐藤(英)分科員 もう本年で六十八年。当時やむなく引き揚げられた元島民の方々は既に御高齢に達しておられ、皆さん、ふるさとの島が返ってくる日をもう心待ちにしておるわけであります。自慢のふるさと、でも今は自由に行けない、遠い遠いふるさとになってしまった、私の余命はあと何年か、残された時間をふるさとで過ごしたい、この元島民の声をどうかお聞き届けいただきまして、領土問題協議、何とか頑張っていただきたいと深く思っているところでございます。

 次に、山本大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 大臣におかれましては、御就任早々、一月十六日に北海道の根室市を訪問され、北海道の地から北方領土の方を御視察され、元島民の方々を初め返還運動の関係者の方々、北海道の方々と懇談をしていただきました。北海道においては、そして私自身も、大臣のこの問題にかける思いというものを強く感じていたところでありまして、心から感謝と敬意を表したいと思っております。

 先ほども触れさせていただきましたビザなし交流でありますけれども、三月の二十九日、北方領土へのビザなし交流事業について、三年をめどに内容を見直すことを決めたという報道がなされておりました。この見直しの背景、目的、方向について御説明をいただければと思います。

 また、大臣のこの問題に対する思いについてもお聞かせをいただければと思います。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 佐藤委員の北方領土問題に対する一貫したお取り組みに対して、敬意を表させていただきたいと思います。

 今お話のあった北方四島の交流事業については、事業開始からもう二十年以上が経過をいたしました。この間、相互理解が深化するということもあって、これまで果たしてきた役割については、一定の肯定的な評価はあるというふうに考えております。

 他方、事業のあり方についてはさまざまな課題の指摘がなされておりまして、昨年度、新船「えとぴりか」が就航して、これもきっかけになって、事業のあり方を見直すこととしたいと思いまして、本年三月末に、北方四島交流事業の見直しについて取りまとめをさせていただきました。

 具体的な見直しの方向性ですが、まず、事業目標を設定するとともに、事業実施後はその検証を行うなど、PDCAサイクルを確立する。これは今までなかなかできなかったんですけれども、この事業にどういう効果があったのか、それを踏まえてどう取り組んでいけばいいのかという検証をしっかりやっていきたいというふうに考えております。

 さらに二番目としては、将来を担う若者など、各界各層の幅広い参加を促進する。これも大事だと思っています。

 三つ目としては、これまではずっと視察中心のプログラムだったんですが、これをやはり対話中心のプログラムに改めるべきではないか、こんなふうに考えておりまして、相互理解のこういうことを盛り込んでおります。

 相互理解の増進を図るとともに、領土問題の解決に寄与するという本来の目的、これを実現するために、戦略的な事業に見直したいというふうに考えております。

 今後、ロシア側との調整を要するものもあります。この問題、非常に難しいのはロシア側の意向というものをしっかり踏まえていかなければいけないというところもあるんですが、実施可能な事項については、今年度の事業から見直しを実施したいというふうに考えております。さらに、その他の事項については、実務者による検討委員会で具体的な検討を進め、おおむね三年後を目途に全般的な見直しを実施していきたいと考えております。

 この問題についての思い、取り組みについてですけれども、私も初めて納沙布岬から北方領土を視察させていただいて、本当にすぐそこに見える、それでも帰れない元島民の方々の思いを強く感じました。私は、北方対策担当大臣であると同時に安倍内閣の領土担当大臣でもありますので、あらゆる手段といいますか、とにかく国内啓発もしっかりやり、対外発信もやり、一刻も早くこの問題が解決できるように、北方対策担当大臣として、領土担当大臣として全力を尽くしてまいりたいと思います。

佐藤(英)分科員 力強い御決意、本当に感謝しております。よろしくお願いいたします。

 平成二十年の世論調査でありますけれども、北方領土問題の認知度、返還要求運動の認知度は、ともに非常に高いです。領土問題を知らないという方は一%しかおりません。返還運動は一割の人が知らないとは言っていますけれども、それでも認知度は九割ですので、低くはない。しかし、返還要求運動への参加意欲の有無については、参加したくないという人が六割になってしまう。そして、参加したくない人のうち、活動の内容がわからない、効果や必要性がわからない、関心がないという理由で参加したくないという人が七割を占めてしまうわけであります。

 ここは、政府、国の努力で改善が見込まれるところだと思います。ですので、私は、ビザなし交流事業の門戸開放にも基本的に賛成であります。ぜひ、広報活動に力を入れていただき、参加する機会を提供して、少しでも返還要求運動への理解を広げていただければと思います。国民のたくさんの方が返還運動を応援していただくことが元島民の方々や運動に参加する人の励みになる、支えになると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 また、一部報道されております農業交流のための民間訪ロ団についても、私は、こうした取り組みも非常に重要であると思いますし、ぜひとも御支援をさせていただきたいと思います。

 それから、山本大臣、北方四島のビザなし交流について、大臣はぜひ行きたいという話をされたということもお伺いをしております。私もこれまで国後、色丹、択捉の三島を訪問させていただいておりますので、ぜひとも大臣には行っていただきたいと思っておるのです。ぜひ、この場をおかりいたしましてお願いいたします。行っていただけますでしょうか。御見解をいただければと思います。

山本国務大臣 北方領土には、担当大臣としてぜひ足を運ばせていただきたいと思っています。大臣になって以来ずっと実は機会をうかがっておるんですが、何しろ四日か五日かかるものですから、今の国会の日程の中ではなかなか時間をとれませんが、どこかで調整がつけば、ぜひとも北方領土には私自身が足を運ばせていただきたいと思っております。

 委員のおっしゃった世論調査なんですけれども、平成二十年の世論調査では、おっしゃったとおり、北方領土返還運動の認知度は九割と高いというのはありますが、しかし、ちょっと私も心配しているのは、北方領土問題の認知度、二十代の認知度が低いということで、特に若い世代の参加は重要だというふうに認識をしておりまして、さらに、委員おっしゃったように、運動への参加意欲も低い、その阻害要因もあると分析されたというふうに認識をしております。

 一方、北方四島の交流事業ですけれども、日本国民と北方四島に居住するロシア人との間の相互理解の促進を図り、もって領土問題の解決に寄与することを目的としたものですが、委員御指摘の返還要求運動への参加意識を向上させるために、四島交流をもっと活用すべきだというふうに考えていまして、そういうお考えは当を得たものだというふうに考えております。

 先ほどもお話が出ましたけれども、本年三月に取りまとめた北方四島交流事業の見直しにおいては、将来を担う若者など各界各層の幅広い参加を促進するということも盛り込んでおりまして、今後、具体化に向けて、実務者による検討委員会で検討してまいりたいと思います。

 さらに、次代を担う若い世代への啓発についても、本年四月に立ち上げたフェイスブック、ツイッターの活用なども通じて、引き続き、裾野の広い啓発に努めてまいりたいと思います。

 もう一度申し上げますが、四島交流事業にはぜひとも参加したいと思っていますので、国会の日程も見ながら、どこかでぜひ伺わせていただこう、訪問させていただこうと思っております。

佐藤(英)分科員 意識啓発のための民間交流の拡大、その先頭に立って山本大臣に訪問していただけることに大変感謝しております。

 あす、私は、千島歯舞諸島居住者連盟の方々と懇談をする機会があります。小泉理事長初め元島民の方々とお会いする機会があります。きょうの大臣のお話、きちっとお伝えをさせていただきたいと思います。

 次に、アイヌの方々にかかわる、アイヌの政策の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 アイヌ民族の方々は、御存じのように、北海道の先住民族であります。長い間、土地を追われ、抑圧され続け、言葉を奪われた非常に過酷な歴史を持っております。現在も二万数千人の方が北海道に住まわれています。現在は他の日本人とほぼ変わらない日常生活を送っておりますけれども、民族としての帰属意識は受け継がれております。

 そのおかげで、現在も伝統文化が継承されているわけであります。せんだって、アイヌ文化に深く根差してきたアットゥシと二風谷イタが北海道初の伝統的工芸品に指定され、私も非常に喜んでおるところであります。

 また、アイヌ政策推進会議の座長には、菅官房長官についていただいております。これも大変に心強いことであります。

 御存じのように、平成九年にアイヌ文化振興法が制定されておりますが、私は、文化振興に加え、アイヌの人々の地位の向上、民族の誇りが尊重される社会というもの、そしてまた、アイヌ施策のさらなる推進、先住民族としてアイヌを位置づけるなど民族としてのアイヌのための法律をつくられてはどうか、そして、その中にぜひともアイヌの日の制定をうたってはどうかと思っております。いかがでしょうか。

加藤内閣官房副長官 政府では、平成二十一年七月のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の報告で提言された施策につきまして、速やかに実現に移していくことが重要との認識から、まず可能なものから、迅速かつ着実に実施をしていこうということで努めてきたところでございます。

 委員御指摘の新たな法律の制定については、この懇談会の報告の中の提言にもございますけれども、政策の検討、推進状況等を踏まえ、単なる理念だけではなくて、法律に位置づけるべきものが一体どういうことになるのか、そうした中身なども含め、さまざまな観点から検討をさらに深めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 また、アイヌの日の制定については、それを意味あるものにしていくためにも、アイヌの方々自身が、アイヌの日の意味また内容等について総意をまとめていただくことがまず望ましいのではないかというふうに考えております。アイヌ民族に関する歴史や文化に対する啓発活動の積極的な実施をさまざまな形を通じてまず行っていき、広く国民の理解と促進をぜひ図っていきたい、かように思っております。

 いずれにいたしましても、今御提案いただきました点につきましては、菅内閣官房長官のもとでアイヌ政策推進会議が設けられておりますので、そうした場を通じて、アイヌの皆さん方の声もしっかり聞きながら、さらに検討を進めさせていただきたい、かように考えております。

佐藤(英)分科員 力強いお言葉、加藤副長官、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、アイヌ民族共生の象徴空間整備についてお伺いをさせていただきます。

 現在、全体の基本構想がまとまっているということは承知しておりますけれども、今後のスケジュールについてお伺いをさせていただきたいと思います。特に整備の年限の定めがないので、これをぜひともお示しいただければと思います。たっての要望でございます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

小西政府参考人 委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘の民族共生の象徴となる空間、いわゆる象徴空間と申しておりますけれども、今後のアイヌ政策における最重要の施策の一つとして、有識者懇談会から御提言いただいたものでございます。アイヌ文化復興の拠点、ナショナルセンターを北海道の白老町の方に整備すべく、政府一体となって検討を進めておるところでございます。

 昨年の七月には、政府の関係省庁連絡会議におきまして、象徴空間基本構想を決定したところでございまして、現在、文部科学省ではそこに設ける博物館、国土交通省ではそこの公園的な土地利用につきまして、また、内閣官房では象徴空間で行われる文化伝承活動の内容等につきまして、それぞれ具体化に向けた検討を進めておるところでございます。

 現時点では、なかなかいつまでに完成と申し上げることが難しい面がございます。今後、その構想、計画、設計、着工、諸段階を経まして、できるだけ早期に整備を目指して、関係省庁と連絡いたしましてしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますので、御支援をお願いできればと思っております。

佐藤(英)分科員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思うのでございます。

 また、今、博物館のお話もございましたけれども、私自身は北海道に住んでおりまして、実は東北以北、東北そして北海道には、国立の博物館はないのであります。そういう意味においても、国立の博物館、そしてまた、北海道であれば、やはりアイヌの方々に関するこうした空間というものは北海道にとっても非常に重要なものでありますので、私は、ぜひ政府を挙げてこの問題については取り組んでいただければと思っている一人であります。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、北海道外のアイヌの生活実態調査を踏まえ、今後どのような施策を推進されるのか、それから、ユネスコが最も消滅の危機に瀕しているとしたアイヌ語についてはどのような施策を行っておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

小西政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の北海道外アイヌの生活実態調査でございますけれども、平成二十二年から二十三年にかけまして実施をいたしました。

 これは北海道を除く全国規模での初めての調査でございましたが、この調査結果を踏まえまして、現在、アイヌ政策推進会議に置かれました政策推進作業部会におきまして、アイヌの方々や有識者の方々の意見を伺いながら、施策の検討が進められているところでございます。

 最近の議論といたしましては、特に道外のアイヌの方々のニーズが高いと思われる施策、例えば奨学金ですとか生活相談、首都圏のアイヌの方々の集いの場といった具体的な事項も含めて議論が進められておりまして、引き続き、関係省庁等と連携協力を図りながら検討を進めてまいる所存でございます。

 加えまして、御指摘ございましたアイヌ語につきましてですけれども、ユネスコから消滅の危機にある言語の一つとして指摘されておるところでございます。

 こちらにつきまして、文化庁におきまして、平成二十二年度から、その言語の置かれた危機的な状況の実態等につきまして調査研究を実施しております。平成二十五年度には、アイヌ語の現存する音声データの整理、分析ですとかアーカイブ化につきましての調査研究を実施する予定でございます。

 政府としましては、アイヌ文化の一つの重要な要素でございますアイヌ語の保存、継承につきましても積極的に取り組んでまいる所存でございます。

佐藤(英)分科員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 きょうお話をさせていただきました北方領土の問題、アイヌの問題、これは北海道のアイデンティティーにかかわる根幹の課題でもあります。本来、この問題は国を挙げて取り組むべき課題であると思っております。今後とも、政府を挙げて積極的な取り組みをお願いしたいと常々思っておりますので、この課題について機会あるごとにテーマとして取り上げさせていただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

岩屋主査 これにて佐藤英道君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

岩屋主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。堀井学君。

堀井分科員 皆さん、おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 本日は、平成二十五年度予算案の審議に際し、当第一分科会におきまして質問の機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。

 昨年の総選挙で当選をさせていただいて以来、私にとりましては初の質問となります。御所管の加藤勝信内閣官房副長官、そして伊達忠一内閣府副大臣並びに関係政府参考人の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 本日、政府のアイヌ施策について、また北方領土の四島の交流事業について、政府の見解並びに現状と課題、今後の方針などについてお伺いをさせていただきます。

 まず初めにアイヌ施策についてお伺いしたいのですが、その前に少しお話をさせていただきたいと思います。

 私ごとでありますけれども、私の尊敬する人物の一人に私の祖父がいるわけでありますけれども、祖父は、戦争を経験し、満州を一日五十キロ歩いた日本兵でありました。祖国日本のために戦った兵士だったわけです。終戦後には傷ついた体で日本に帰国をしたわけですけれども、性格は温厚であり、正義感、責任感が強く、私に対しても、時には厳しく、また時には愛情を持って、人としての生き方、日本男児の生きざまを示していただいて、身をもって道徳教育を受けた人物であります。

 不肖私もその祖父の血と考え方や思いを継承しているものと自負するところでありますが、末は博士か大臣かと言われた時代に、物事に取り組んだら最後まで諦めない、ひたむきに生きたその祖父の姿は、私の成長の糧でありまして、私自身が、人ができるわけがないと思うようなことに取り組み、それをなし遂げることができたのも、そのような祖父の教えがあったものと感謝するところであります。

 その祖父が私が二十のときに他界をしたんですけれども、その葬儀の見送りの際に、葬儀場の外で数多くアイヌの方々が手を合わせて見送ってくださったのであります。なぜかと私の母に聞きましたところ、当時はまだ、先住民であったアイヌの方々への迫害や差別、さまざまな衝突が時折起こっていたのが現状でありまして、そのたびに私の祖父がその仲裁に入って解決をし、先住民であるアイヌの家族を守ってきたのが祖父であったわけであります。今回、国会における私の初質問がアイヌ施策についてでありますから、祖父の血の継承を感じると同時に、強くその使命感を感じているところでございます。

 また、先ほど御質問をされました佐藤英道先生におかれましては、北海道の道議会議員の時代に、私は二期で、先輩の議員でありましたけれども、北海道の環境生活部、アイヌの問題を所管する部門でありましたけれども、そこで委員長を務められておりまして、私が副委員長でありましたから、今回も私はアイヌ施策と北方領土の問題を話すわけですけれども、そういった観点から、同じような質問で、北海道の最重要案件であるというふうに皆様方に思っていただければと思います。

 そこで、改めてアイヌの民族に対する政府の見解をお伺いしたいと思います。

 我が国は、二〇〇七年九月十三日、国連第六十一回総会で採択された国連先住民族権利宣言において賛成票を投じ、結果、同宣言は、賛成百四十三票、反対四票、棄権十一票をもって、圧倒的多数で採択をされたわけであります。

 これを踏まえて、翌二〇〇八年六月六日には、衆参両議院の本会議において、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議が提出され、全会一致で採択をされました。

 同日、当時の町村信孝内閣官房長官は、政府として初めて、アイヌ民族は先住民族であるという談話を発表されましたが、この談話は「アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代へ継承していくことは、多様な価値観が共生し、活力ある社会を形成する「共生社会」を実現することに資するとの確信のもと、これからもアイヌ政策の推進に取り組む所存であります」と結ばれております。

 私は、決議が採択された際、本会議を傍聴されたアイヌの方々が一斉に立ち上がり深々と礼をなさったお姿が今でも忘れられませんが、そのときのアイヌの方々の思いは言葉に尽くせないものだと感じております。

 この町村官房長官談話は、従来の政府の見解から大きな一歩を踏み出した、大変意義深い重い談話であったと認識していますが、今日の政府の見解について、改めて加藤官房副長官にお伺いしたいと思います。

加藤内閣官房副長官 堀井委員にお答えさせていただきます。

 今、御祖父のお話がございました。アイヌの皆さん方が迫害や差別等大変厳しい状況の中で、アイヌの方々、またその御家族を守るために活動されてこられた御祖父の対応に対して改めて敬意を表する次第でございますし、また、その思いを通じて、さらなるこうした活動に取り組んでおられる堀井委員のそうした姿勢に対して、改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 政府におきましては、アイヌ政策につきましては、委員御指摘の国連宣言あるいは国会決議を受けて、平成二十年六月六日に、我が国が近代化する過程において、法的にはひとしく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として改めて、これを厳粛に受けとめ、官邸が主導となって総合的な施策の確立に取り組む旨の官房長官の談話が発表されたところでございまして、これはアイヌ政策にとってまさに画期的な、大きく前進させるものであったというふうに認識をしております。

 この談話に基づき開催された平成二十一年七月の有識者懇談会報告を踏まえ、現在、アイヌの方々が我が国の先住民族であるとの認識のもと、内閣官房長官が座長を務めるアイヌ政策推進会議において、アイヌの方々の声を聞きながら、施策の推進を図っているところでございます。

 特に、この報告の中でも最重要とされた民族共生の象徴となる空間の整備など、新たな取り組みにも重点を置きながら、総合的かつ効果的なアイヌ政策の確立に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 先住民族であるアイヌの方々の歴史や文化を尊重しながら、誰もが尊厳を持って生き生きと暮らせる社会の実現を目指すということが大変重要であります。引き続き、アイヌ政策の着実な推進に努力をしてまいりたいと思っております。

堀井分科員 加藤副長官、ありがとうございました。

 加藤副長官におかれましては、御公務多忙の中、私の御答弁のためにお残りいただいたということであります。個別の施策につきましては、政府参考人の方から御答弁いただきたいと思いますので、どうぞ御公務の方に早急にお戻りいただきますようにお願い申し上げます。

 次に、先ほどにも御質問がありましたけれども、民族共生の象徴となる空間の構想についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 前政権における決定事項でありますが、一昨年六月にアイヌ政策推進会議において報告された民族共生の象徴となる空間構想とは、そもそもどのような構想であるのか、また、現在どのように進捗しているのか、改めて御説明をお願いしたいと思います。

小西政府参考人 委員にお答え申し上げます。

 民族共生の象徴となる空間、いわゆる象徴空間と申し上げておりますが、これは、今後のアイヌ政策における最重要施策の一つとして有識者懇談会から御提言をいただいたものであります。アイヌ文化を復興していく上での拠点、さらにはナショナルセンターといった位置づけで、その整備に向けまして、政府一体となって検討を進めておるところでございます。

 昨年の七月には、政府の関係省庁連絡会議におきまして、象徴空間基本構想を決定いたしました。基本構想では、象徴空間を北海道の白老町に整備するということのほか、象徴空間が担うべき機能ですとか今後の検討課題、象徴空間における整備、取り組み等の基本的方向について、政府の基本的な方針をまとめたところでございます。

 この基本構想を踏まえまして、現在、文部科学省では博物館のあり方、それから国土交通省の方では公園的土地利用をどうしていくか、また、内閣官房では象徴空間で行われますアイヌの文化伝承活動の内容等につきまして、それぞれ具体化に向けた検討を進めておるところでございます。

 現時点では、いつまでに完成すると確と申し上げられないのは申しわけないんですが、今後、具体化に向けまして、検討をさらに加速いたしまして、早期の着工、整備を目指して、関係省庁とも連携を図って、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

堀井分科員 構想の早期実現には、国、地方自治体、さらには北海道アイヌ協会などの関係団体が目標を共有して臨むことが極めて大切だと考えます。

 例えば、計画の第一歩である設置の予定地につきましても、現在予定地とされている北海道白老町のポロト湖畔は、白老町の町有地や民有地も含まれていると伺っております。今後の計画を円滑に進めていただくためにも、計画の進捗に合わせて、土地の取得時期につきましてしかるべき時期に明らかにしていただき、関係者の方との協議を進めていただきますようにお願いをしたいと思いますが、ちょっと詳細な部分ですけれども、この点につきましてはどのようにお考えでしょうか。

小西政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生今御指摘になりました個々具体的な問題につきまして、いろいろと検討すべき点があることは重々承知をしております。先生のお言葉を、ある意味、糧といたしまして、しっかりと取り組んで、できるだけ前に、早期に進めてまいりたいと考えております。引き続きよろしく御支援のほどお願いしたいと思います。

堀井分科員 ありがとうございます。

 さまざまな省庁間にまたがる部分も確かにあると思いますし、少しずつ、一歩ずつでも進めていかねばならない問題であります。この点につきましても、どうぞ皆様方のお力添えを賜りますようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、ただいま御説明にもありました博物館基本構想についてお伺いいたします。

 民族共生の象徴となる空間の具体化のために、平成二十五年度予算には三千四百万円が計上されております。二十三年度が一千五百万円、二十四年度が二千八百万円と推移してきた中で、予算が増額されていることは大変ありがたいことであります。今年度三千四百万円のうち二千四百万円が、民族共生の象徴となる空間構想の中核となる博物館の整備、運営に関する調査費となっております。

 そこで、地元関係者の方々からは、大きな期待も込めて、いつ博物館ができるのかといった問い合わせが数多く私のところに届いております。博物館構想は本年八月をめどにまとめる予定とも伺っておりますが、二十五年度予算の使途とあわせて今後の計画を御説明いただきたいと存じます。

 また、行政府におかれましては、大型事業を実施する際、事前に準備室を開設される例が多いと思います。博物館構想についても、構想を具体化していく上で準備室を設置することも一つの方策かと存じますが、いかがでしょうか。

 そして、この準備室には、関係者の意見を反映していくためにも、地元の自治体やアイヌ民族の代表者の方々にも御参加いただくべきと考えます。

 文化庁の御見解はいかがでしょうか。

河村政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁では、民族共生の象徴となる空間についての部会報告などに基づきまして、北海道白老町の「民族共生の象徴となる空間」における博物館の整備・運営に関する調査検討委員会を、昨年、平成二十四年の三月に設置いたしました。アイヌの方々の御参画も頂戴いたしまして、展示機能や調査研究機能のあり方などについて検討を進めているところでございます。

 この調査検討委員会では、お話しいただきましたように、ことしの夏ごろを目標としまして、博物館の目的、性格、それから諸機能のあり方などについて取りまとめた基本構想を策定する予定といたしております。

 この基本構想策定後は、調査検討委員会にワーキンググループを複数設けまして、基本構想の具体化に関する基本計画の検討に着手する予定でございます。

 これにふさわしいさまざまな準備体制の整備も必要とは承知しておりますけれども、まだ、その後の非常に具体的な日程というのは今ここでは確実には申し上げにくいわけでございます。しかし、アイヌの人々の心のよりどころとなる民族共生の象徴となる空間における博物館の構想推進ということについては、私ども、着実に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。また、関係省庁とも連携しつつ、先生方の御指導を頂戴したいと存じます。

堀井分科員 ありがとうございました。

 さまざまな方たちからお話を聞いてまいりますと、皆様方の答弁からもありましたとおり、しっかりしたものをつくっていく、貴重なものでありますし、東北そして北海道で初めてとなるものでありますから、しっかり歴史を調べてつくりたいという御答弁や意見を聞くわけですけれども、やはり当事者の皆様方にとっては一日も早くという気持ちが強いわけでありまして、そうした御意見も胸のうちにおさめておいていただければというふうに思っております。

 次に、アイヌ文化の伝承についてお伺いをさせていただきます。

 先週、四月四日に、国立民族学博物館の元館長、佐々木高明さんが八十三歳で他界をされました。佐々木さんは、長年アイヌ文化の研究にも取り組まれ、アイヌ文化振興法の制定にも御尽力をされた方でありまして、御生前、アイヌ民族の将来について大変にお心を砕かれた方であります。この場をおかりいたしまして、心より御冥福をお祈りしたいと思います。

 アイヌの文化は、人から人へとつなぐ、人の活動が特徴であり、実践を通じて引き継いでいくことが重要でありますが、一方で伝承者の高齢化が進んでおります。先ほど申し上げたとおり、一刻も早く、一日も早くという思いの中には、この伝承する、そしてそれまでの歴史を引き継いでこられた方たちが大変高齢化されているということも一つあります。

 また、伝承者の養成には時間がかかることもあり、民族共生の象徴となる空間構想の具体的な進捗に合わせて、早い段階からアイヌ文化の伝承者を確保していくことが必要であるわけであります。

 この点につきまして、内閣官房の御意見を伺いたいと存じます。

小西政府参考人 まさに委員の御指摘のとおりでございまして、アイヌ文化の伝承者の高齢化、そしてまた、その結果、その数が少なくなってこられるということは、アイヌ語ですとかアイヌ工芸など、アイヌ文化の伝承といった面で、さまざまな分野で深刻な問題であるというふうに認識をしております。

 この象徴空間におきましても、こうした課題に対応しまして、アイヌ文化の次世代への継承といったものを確実なものといたしまして、アイヌ文化の復興を図るための拠点を整備しようというふうに考えてございます。

 さらに、政府といたしましては、象徴空間の早期整備に向けて検討を加速いたしますとともに、象徴空間でアイヌ文化の伝承を担う次世代の人材、特に若手の方の確保ですとか養成にどうやって取り組んでいくのかといったようなことを、アイヌの方々にもいろいろお考えを伺い、北海道でフィールドワーク等も重ねまして、さまざまな検討を精力的に加えておるところでございます。

 できるだけ精力的、可及的精力的な取り組みを引き続きさらに強力にやってまいる所存でございますので、委員の御支援、御指導を引き続きよろしくお願いしたいと考えております。

堀井分科員 ありがとうございます。

 民族共生の象徴となる空間の構想は、政府の担当省庁が分かれる中、官房長官が直接統括されると伺っております。

 本日は、大変緊張感がある場面でありますので、官房長官は御欠席でいらっしゃいますが、引き続き、関係省庁との連携のもと、民族共生の象徴となる空間の構想の早期実現に向け御尽力くださいますように重ねてお願いを申し上げ、政府のアイヌ施策に関する質問は終わらせていただきたいと思います。

 政党がかわって、与党が自民党となって、より力強く、一歩一歩進めていただきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、北方領土に関する四島交流事業についてお伺いをいたします。

 四島交流事業は平成四年から開始をされ、もう二十年が経過をいたします。私は、そもそもこの事業は、領土問題の解決までの間、日本国民と北方四島に現在居住するロシア人との相互理解の増進を図り、最終的に領土問題の解決に寄与するために始まったものと理解をしております。つまり、申すまでもなく、交流そのものが最終的な目的ではなく、最終的な目標は領土問題の解決だと考えております。これも、きょう朝、前田一男同僚議員、そして先ほどの佐藤英道同僚議員がお訴えをしていたとおり、私もその見解であります。

 私自身は、北海道議会議員を二期務めさせていただきまして、そして国会の方に来させていただきました。きょうお越しの伊達副大臣も北海道議会議員を務められて、議員会長までお務めになられております。北海道議会には北方領土対策特別委員会があり、日々活発な議論を深めていることはよく承知であると思います。

 私の同期で当選した仲間には、北方領土とは目と鼻の先に位置する根室市選出の同僚議員がいまして、同期当選組だったわけでありますけれども、議場の議席も隣で、年齢、議員経験も積まれた先輩でありましたので、この件に関してはよく学ばせていただきましたし、御指導いただいたわけであります。

 彼は北方領土に関してはひときわ強い責任感を持って取り組んでおりまして、皆さんも御存じのとおり、メドベージェフ大統領が二度にわたり北方領土を訪問した際も、北海道として毅然とした対応でこの問題に取り組むよう訴えるとともに、ロシア政府に対し強く抗議するよう国や外務省に積極的に働きかけることを北海道知事に求めるなど、地元選出の北海道議会議員としてあらん限りの職責を果たしたものでありました。

 その姿を私自身も間近に見ておりまして、私が国会議員としてこの場所に立つ上で、北方領土の問題をしっかり頼むなという言葉をいただいておりました。先ほどのアイヌ施策と同様に、私自身の政治を進めていく上での最重要案件としてこの北方領土問題の解決にも取り組んでまいる決意であることを皆様方にはお伝えしたいと思います。

 そこで、四島交流事業についてでありますが、私は、去る三月二十八日、高橋はるみ北海道知事が内閣府の山本一太北方担当特命大臣と面会した際、本院の沖縄及び北方問題に関する特別委員の立場からも同席をさせていただいたわけであります。

 高橋知事からの御要請は、現在実施されている四島交流事業について、より幅広い参加を促すため参加者の選定方法を見直すこと、日本側からの訪問事業を住民の交流の充実を図るべく四島住民との対話中心のプログラムに改善すること、並びに、ロシア側からの受け入れ事業を元島民の講話やDVDを活用した研修などでその内容を充実させることが柱であったわけであります。

 政府におかれましては、翌三月二十九日に北方四島交流事業の見直しについて発表をされ、参加者の選考やプログラムについて改善点を示されました。

 今年度は実施可能な事項から見直しを行っていくとのことでありますが、今年度に実施される改善項目について、内閣府より御説明をお願いいたします。

 また、プログラムの内容などにつきましてはロシア側の理解と協力が必要かと思われますが、ロシア側に対してどのように働きかけを行っているのか、あるいは働きかけていくのか、外務省の御説明をお願いしたいと思います。

河合政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本年三月二十九日に北方四島交流事業の見直しについてというものを決定させていただきまして、今後、実施可能な事項につきましては、今年度の事業から見直しを実施することとしております。特に、いろいろと、二十年もこの事業をやってまいりました。あるいは、新たな交流船「えとぴりか」も就航いたしましたので、それを機に見直そうということでございます。

 できる事業としてはことしからやるということでございますが、例えば、今まで実施団体が北方領土問題対策協会、いわゆる北対協と北方四島交流推進委員会との間で分かれてやっていたという部分もありますので、それにつきましての人事交流を行う等、連携を図っていく。あるいは、今まで参加する機会が少なかった元島民の語り部の方でありますとか、いろいろ、若い人たちの作文コンクール、スピーチコンテスト等実施しておりますので、そうした方々にも参加していただく。あるいは、受け入れ事業につきましても、真に有効な場所を選定していくというようなことで、今回東京を想定しておりますが、そうした見直しを行っていくこととしております。

 さらに、残された課題もございますので、これにつきましては、実務者レベルでの検討会をつくりまして、三年をめどに検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生からお話がございました三月二十九日の北方領土交流事業の見直しの公表がございましたけれども、それに先立つ三月二十一日、四島交流事業の我が方実施団体と四島側との間で、この見直しの策定に向けた議論を踏まえた形での協議が行われた、その中で、平成二十五年度の北方四島交流に関する事業計画について意見の一致を見たというふうに伺っております。

 この日本側実施団体と四島側との協議におきましては、二十九日の見直しにも含まれております、スポーツ、文化指導者の交流促進、新たな家庭へのホームビジット、視察中心から対話中心へのプログラムの改善、若い世代の参加者の拡大、こういったようなことが取り扱われたというふうに承知をしております。

 今後、この実施団体間での協議を踏まえまして、近いうちに日ロ両国の外交当局が協議をいたしまして、この二十五年度の四島交流の事業計画を決定していくということでございます。できるだけ速やかにこの協議を進めてまいりたいというふうに、我々としても思っているところでございます。

 以上でございます。

堀井分科員 ありがとうございます。

 領土問題の解決に向けては、本来の交渉とともに、一層国内の機運を高めていかなければならないと思います。そのためには、内外への発信や国内の啓発など、さらに取り組むべき課題も多いと思います。

 伊達副大臣、お待たせをいたしたわけですけれども、副大臣に御答弁いただきたいと思いますが、伊達副大臣は、つい先ほどまで、独立行政法人北方領土問題対策協会の平成二十五年度都道府県推進委員全国大会に御出席をされていらっしゃったと伺っております。

 ただいまの政府側の答弁を踏まえて、敬愛する郷土の先輩議員、北海道出身の先輩議員である副大臣に領土問題の解決に取り組む決意をお伺いして、私の結びの質問とさせていただきます。副大臣、よろしくお願いをいたします。

伊達副大臣 お答えをさせていただきます。

 その前に、先ほど来、前田議員、佐藤議員、堀井議員、本当にこのたびはおめでとうございました。そして、道議会で実践でもう解決に努力をしてきた、こういう方ばかりでございまして、先ほど来質問を聞いていても、私も大変心強く思っているところでございまして、これは息の長い事業でございますが、こういう人たちと一緒にやっていけるということになったらさらに促進をしていくんだろう、私はこう思って、意を強くさせていただいておるところでございまして、今後ともひとつお力をかしていただきたい、こう思っているところでございます。

 それで、今、堀井議員から、私のこの返還にかけた意気込み、決意ということでございますが、北方領土問題は、戦後六十七年が経過しておりまして、解決をいまだ見ない現状にあります。元島民の方々の高齢化が進行してきている中で、政府においては、四島の帰属の問題を解決して、日ロ平和条約の締結をするという一貫した基本方針のもとで、強い意思を持って粘り強く外交交渉を推進してきているところでございます。

 私、内閣の副大臣といたしましても、粘り強い外交交渉を後押しする環境の整備を図っていくために努力してまいりますし、若い世代の北方領土問題への認識を高めるための啓発や教育の充実などにより、一層世論の喚起を進めてまいりたい、こう思っております。

 先般取りまとめた北方領土交流事業の見直しに基づく北方領土交流事業の戦略的な実施などに全力を傾注してまいる所存でございますので、堀井委員の、皆さん方のまた御支援を心からお願いしたいと思います。

 以上です。

堀井分科員 時間が終了いたしました。一致団結して頑張ってまいりましょう。

 本日はありがとうございました。

岩屋主査 これにて堀井学君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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