衆議院

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第1号 平成27年3月10日(火曜日)

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本分科会は平成二十七年三月五日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

三月九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    平沢 勝栄君

      辻元 清美君    赤嶺 政賢君

三月九日

 平沢勝栄君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十七年三月十日(火曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 平沢 勝栄君

      井上 貴博君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      大野敬太郎君    黄川田仁志君

      田畑 裕明君    比嘉奈津美君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      阿部 知子君    小山 展弘君

      辻元 清美君    寺田  学君

      長島 昭久君    本村賢太郎君

      赤嶺 政賢君    梅村さえこ君

      宮本  徹君

   兼務 大西 健介君 兼務 篠原  豪君

   兼務 高井 崇志君 兼務 吉田 豊史君

   兼務 吉村 洋文君 兼務 赤羽 一嘉君

   兼務 真山 祐一君 兼務 吉田 宣弘君

    …………………………………

   国務大臣

   (金融担当)

   (デフレ脱却担当)    麻生 太郎君

   国務大臣         上川 陽子君

   国務大臣

   (原子力防災担当)    望月 義夫君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (福島原発事故再生総括担当)           竹下  亘君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (拉致問題担当)

   (海洋政策・領土問題担当)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       山谷えり子君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (再チャレンジ担当)

   (クールジャパン戦略担当)            山口 俊一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (女性活躍担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府副大臣       平  将明君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   衆議院事務総長      向大野新治君

   参議院事務総長      中村  剛君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 阿部 芳郎君

   裁判官訴追委員会事務局長 岡本  修君

   国立国会図書館長     大滝 則忠君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   会計検査院長       河戸 光彦君

   最高裁判所事務総長    戸倉 三郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  林  伴子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  秋山 公城君

   政府参考人

   (内閣官房教育再生実行会議担当室長)       高橋 道和君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       笹島 誉行君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 安田 貴彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府迎賓館次長)   竹井 嗣人君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武川 光夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   関  博之君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  石原 一彦君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           成瀬 茂夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    鈴木 基久君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            中島 淳一君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小野瀬 厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   秋葉 剛男君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           芦立  訓君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    藤野 公之君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   山下 和茂君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中山 峰孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           長谷部正道君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           海堀 安喜君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       加藤 久喜君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 黒田 憲司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 高橋 康夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

   衆議院調査局第一特別調査室長           古田 義祐君

   衆議院調査局第三特別調査室長           石上  智君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     宮崎 政久君

  衛藤征士郎君     井上 貴博君

  辻元 清美君     阿部 知子君

  赤嶺 政賢君     真島 省三君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     田畑 裕明君

  宮崎 政久君     大野敬太郎君

  阿部 知子君     寺田  学君

  真島 省三君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     比嘉奈津美君

  田畑 裕明君     黄川田仁志君

  寺田  学君     小山 展弘君

  宮本  徹君     梅村さえこ君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     宮澤 博行君

  比嘉奈津美君     岩屋  毅君

  小山 展弘君     長島 昭久君

  梅村さえこ君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     衛藤征士郎君

  長島 昭久君     寺田  学君

  赤嶺 政賢君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  学君     阿部 知子君

  畑野 君枝君     斉藤 和子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     金子 恵美君

  斉藤 和子君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     本村賢太郎君

  本村 伸子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     辻元 清美君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

同日

 第二分科員篠原豪君、高井崇志君、第三分科員吉田豊史君、第五分科員赤羽一嘉君、真山祐一君、吉田宣弘君、第六分科員吉村洋文君及び第七分科員大西健介君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十七年度一般会計予算

 平成二十七年度特別会計予算

 平成二十七年度政府関係機関予算

 (皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管)


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     ――――◇―――――

平沢主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項についての審査を行うことになっております。

 平成二十七年度一般会計予算、平成二十七年度特別会計予算及び平成二十七年度政府関係機関予算中皇室費について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。

山本政府参考人 平成二十七年度における皇室費の歳出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 皇室費の平成二十七年度における歳出予算要求額は、六十一億一千六百九十万九千円でありまして、これを前年度当初予算額六十一億四千九百八十四万六千円と比較いたしますと、三千二百九十三万七千円の減少となっております。

 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。

 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十五億六千二百九十三万九千円、皇族に必要な経費二億二千九百九十七万円であります。

 次に、その概要を御説明いたします。

 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。

 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費七億四千三十四万九千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費四十八億二千二百五十九万円でありまして、前年度に比較して九万八千円の減少となっております。

 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千二百八十三万九千円の減少となっております。これは、宜仁親王殿下の薨去及び憲仁親王第二女子典子女王殿下の御結婚に伴うものであります。

 以上をもちまして平成二十七年度皇室費の歳出予算要求額の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、国会所管について審査を進めます。

 まず、衆議院関係予算の説明を聴取いたします。向大野衆議院事務総長。

向大野事務総長 平成二十七年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は、七百四十二億九千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三億三千五百万円余の増額となっております。

 これは、議員定数五名減に伴う議員歳費等の当然減がある一方、給与改定に伴う議員、議員秘書及び職員の人件費の増加等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げますと、国会の権能行使に必要な経費として四百四十二億六千八百万円余、衆議院の運営に必要な経費として二百九億円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員関係の諸経費、事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費でございます。

 また、衆議院施設整備に必要な経費として十一億三千六百万円余、民間資金等を活用した衆議院施設整備に必要な経費として七十九億八千四百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議事堂本館等の施設整備費、議員会館等の整備に係る不動産購入費でございます。

 このほか、国会予備金に必要な経費として七百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十七年度衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平沢主査 次に、参議院関係予算の説明を聴取いたします。中村参議院事務総長。

中村参議院事務総長 平成二十七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は、四百四十億八千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億三千五百万円余の増額となっております。

 これは、主に、議員歳費、議員秘書手当、職員人件費の増額等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 まず、国会の権能行使に必要な経費として二百三十億八千六百万円余、参議院の運営に必要な経費として百五十五億五千二百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、議員活動に係る諸経費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございます。

 次に、参議院施設整備に必要な経費として十一億六千七百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として四十二億六千八百万円余を計上いたしております。

 これらの経費は、各種施設整備に必要な経費及び議員会館の不動産購入費でございます。

 最後に、国会予備金に必要な経費として五百万円を計上いたしております。

 以上、平成二十七年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平沢主査 次に、国立国会図書館関係予算の説明を聴取いたします。大滝国立国会図書館長。

大滝国立国会図書館長 平成二十七年度の国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算は、一般会計及び東日本大震災復興特別会計予算から構成されております。

 このうち、まず、一般会計に係る歳出予算要求額は、二百億三千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億二千五百万円余の増額となっております。

 これは、退職予定者の増に伴う職員人件費の増加等によるものでございます。

 その概要を御説明申し上げます。

 第一は、運営に必要な経費でありまして、人件費等九十九億八千六百万円余を計上いたしております。

 第二は、業務に必要な経費でありまして、国会サービス経費及び情報システム経費等七十四億八百万円余を計上いたしております。

 第三は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、十億九千二百万円余を計上いたしております。

 第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十五億四千七百万円余を計上いたしております。

 次に、東日本大震災復興特別会計に係る歳出予定額は、一億四千三百万円余でありまして、東日本大震災アーカイブの運用に要する経費を計上いたしております。

 以上、平成二十七年度国立国会図書館関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平沢主査 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を聴取いたします。阿部裁判官弾劾裁判所事務局長。

阿部裁判官弾劾裁判所参事 平成二十七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は、一億九百五十二万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百十三万円余の増額となっております。

 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における事務局職員の給与に関する経費及び事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費でございます。

 以上、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平沢主査 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を聴取いたします。岡本裁判官訴追委員会事務局長。

岡本裁判官訴追委員会参事 平成二十七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は、一億二千八百十三万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四百七十二万円の増額となっております。

 この要求額は、裁判官訴追委員会における事務局職員の給与に関する経費、訴追事案の審査に要する旅費及びその他の事務費でございます。

 以上、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、裁判所所管について審査を進めます。

 最高裁判所当局から説明を聴取いたします。戸倉事務総長。

戸倉最高裁判所長官代理者 平成二十七年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。

 平成二十七年度裁判所所管歳出予算の総額は、三千百三十億九千七百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千百十億五千八百万円と比較いたしますと、差し引き二十億三千九百万円の増加となっております。

 次に、平成二十七年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。

 まず、人的機構の充実、すなわち、裁判官、書記官及び事務官の増員等であります。

 かねてより裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化する民事訴訟事件の審理充実、成年後見関係事件を初めとする家庭事件処理の充実強化等のため、裁判官は、判事三十二人、書記官は三十四人、事務官は一人、合計六十七人の増員をすることとしております。なお、このほかに、速記官から書記官への振りかえ五人も計上しております。

 他方、政府の定員合理化計画への協力として七十一人の減員をすることとしておりますので、差し引き四人の純減となります。

 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。

 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため、百四十九億五千七百万円を計上しております。

 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として三十九億七千四百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。

 第二に、刑事事件関係経費として四十四億九百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。

 第三に、家庭事件関係経費として六十五億七千四百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。

 また、庁舎の耐震化及び狭隘施設の整備のための経費として百四十億三千九百万円を計上しております。

 以上が、平成二十七年度裁判所所管歳出予算の概要であります。

 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、会計検査院所管について審査を進めます。

 会計検査院当局から説明を聴取いたします。河戸会計検査院長。

河戸会計検査院長 平成二十七年度会計検査院所管の歳出予算について御説明申し上げます。

 会計検査院の平成二十七年度予定経費要求額は、百七十一億二千八百万円余でありまして、これを前年度予算額百七十億四千六百万円余に比較いたしますと、八千百万円余の増額となっております。

 ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院の運営及び会計検査業務に必要な経費等であります。

 次に、その概要を御説明申し上げます。

 まず、会計検査院の運営に必要な経費として百五十二億六千万円余を計上いたしております。これは、会計検査に従事する職員等の人件費及び庁舎の維持管理等に必要な経費であります。

 次に、会計検査業務に必要な経費として十八億円余を計上いたしております。これは、国内外における実地検査等のための旅費及び検査活動を行うためのシステムの開発・運用等に必要な経費並びに検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修に必要な経費であります。

 次に、会計検査院施設整備に必要な経費として六千六百万円余を計上いたしております。

 以上、会計検査院の平成二十七年度予定経費要求額の概要を御説明申し上げました。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣及び内閣府所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 平成二十七年度の内閣及び内閣府関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣所管の平成二十七年度における歳出予算要求額は千九十億九千百万円でありまして、これを前年度当初予算額一千百四十一億五千百万円に比較しますと、五十億六千万円の減額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣官房には、情報収集衛星システムの運用・開発等、内閣の重要政策に関する総合調整等のための経費として九百六十三億九百万円、内閣法制局には、法令審査等のための経費として十億七千万円、人事院には、人事行政等のための経費として百十七億一千二百万円を計上いたしております。

 次に、内閣府所管の平成二十七年度における歳出予算要求額は三兆五百五十六億五千八百万円でありまして、これを前年度当初予算額九千七百五十三億五千百万円に比較しますと、二兆八百三億七百万円の増額となっております。

 要求額の内訳といたしまして、内閣府本府には、経済財政政策、女性の活躍、少子化対策、暮らしと社会、科学技術イノベーション政策、宇宙空間の開発・利用、国家戦略特区、地域活性化、地方分権改革、沖縄政策、北方対策、国民の安全・安心の確保、規制改革、公文書管理制度等の推進のための経費として二兆七千四百三十四億七千七百万円、宮内庁には、その人件費、事務処理のための経費として百八億二千八百万円、公正取引委員会には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用、消費税転嫁対策を含む中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まり強化、競争環境の整備等のための経費として百七億三千九百万円、警察庁には、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費として二千五百四十二億三百万円、特定個人情報保護委員会には、社会保障・税番号制度における適正な特定個人情報の取り扱いの監視・監督等のための経費として八億六千五百万円、金融庁には、金融庁一般行政、金融市場整備推進、金融機能安定確保等のための経費として二百三十五億四千八百万円、消費者庁には、消費者の安全・安心の確保、地方消費者行政の推進等を図るための経費として百十九億九千九百万円を計上いたしております。

 以上をもって平成二十七年度の内閣及び内閣府関係予算の概要の説明を終わります。

 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。竹下復興大臣。

竹下国務大臣 平成二十七年度復興庁予算について御説明申し上げます。

 まず、復興庁においては、東日本大震災からの復旧復興の加速化を推進するための予算として、東日本大震災復興特別会計に総額二兆四千三百六十四億円を計上いたしております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、住宅再建・復興まちづくりについては、津波被災地において、防災集団移転促進事業等の事業着手が進展し、まちづくりの動きが本格化する状況を踏まえ、引き続き、住宅再建・復興まちづくりを加速するために必要な経費として一兆三千四百八十七億円を計上しております。

 第二に、産業、なりわいの再生については、本格的な産業復興を進める段階に移行しつつあることを踏まえ、自立的で活力ある地域経済を再生する、創造的な産業復興を加速するための取り組みを強化するために必要な経費として千六百七十五億円を計上しております。

 第三に、被災者支援については、被災者の方々の住宅再建、被災した学生の修学等を引き続き支援するとともに、避難の長期化、災害公営住宅への移転の進捗に対応するため、見守り、心のケア等の被災者の健康、生活面での支援を強化するために必要な経費として千二百八十七億円を計上しております。

 第四に、原子力災害からの復興再生については、除染、放射性物質汚染廃棄物処理を推進するとともに、早期帰還支援と新生活支援の両面から福島の復興再生を加速するために必要な経費として七千八百七億円を計上いたしております。

 そのほか、「新しい東北」先導モデル事業等の実施に必要な経費として所要額を計上しております。

 なお、東日本大震災復興特別会計においては、復興庁予算に加え、復興加速化・福島再生予備費や震災復興特別交付税交付金など一兆四千七百二十三億円を計上しており、全体では三兆九千八十七億円を計上しております。

 以上、平成二十七年度の復興庁予算の概要について御説明申し上げました。

 何とぞよろしくお願いをいたします。

平沢主査 以上で説明は終わりました。

 それでは、御退席くださって結構です。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 平成二十七年度の防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十七年度予算においては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を守る態勢を強化するため、「平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成二十六年度〜平成三十年度)」に基づき、新たに導入することとされた装備品の取得も含め、統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施することとしております。

 具体的には、各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能のさらなる充実に留意しつつ、特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力の向上を重視するほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、ゲリラ、特殊部隊による攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視し、必要な事業を計上することができたと認識しております。

 平成二十七年度の防衛関係費の一般会計歳出予算額は四兆九千八百一億四千万円となり、前年度の当初予算額に比べ、九百五十三億四千六百万円の増となっております。

 継続費の総額は、平成二十七年度護衛艦建造費で九百億二千二百万円、平成二十七年度潜水艦建造費で六百五十八億八千百万円となっております。また、国庫債務負担行為の限度額は、武器購入、航空機購入、弾薬購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で二兆四千五百四億四千四百万円となっております。

 また、東日本大震災からの復旧復興に係る経費を、平成二十七年度一般会計とは別途、東日本大震災復興特別会計に歳出予算額三百二十八億七千六百万円を計上しております。

 これをもちまして平成二十七年度の防衛省関係予算の概要説明を終わります。

 なお、時間の関係もありますので、主査におかれましては、お手元に配付してあります資料を会議録に掲載されますようお願いを申し上げます。

平沢主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま中谷防衛大臣から申し出がありましたとおり、防衛省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢主査 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平沢主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)分科員 自由民主党の宮崎政久です。

 昨年十二月の解散・総選挙を経て国会へ戻していただきました。選挙の期間中、そして選挙が終わりましても地域を歩かせていただいて、地域の皆様の声を拾って、そしてそれを国政の場で実現するのが政治家である私の務めであると思っております。確かな国家観をもとに地域に寄り添い、地域に根差して、地域が必要としている課題を解決していく、そのための一助として、きょうはこの予算委員会の第一分科会で中谷防衛大臣と質疑をさせていただけることを大変光栄に思っております。

 一昨年のこの予算委員会第一分科会で、認可外の保育施設に対しても認可保育園と同じように防音工事の助成対象とするべきだという旨の質疑を立てまして、当時の小野寺五典防衛大臣と議論をさせていただきました。そこでの御答弁、そして取り組みをいただいて、今、私どもの地元沖縄では、認可外の保育施設に対しても防音工事の助成が始まっております。

 まず冒頭、現在のこの取り組み状況について、政府の方から報告をいただきたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきました認可外保育施設の防音工事につきましては、地元からの御要望のほか、今先生御紹介いただきました、一昨年四月十五日の予算委員会の分科会におきまして先生から御指摘ございました。それらを踏まえまして、沖縄県における認可外保育施設の防音工事の助成について、平成二十五年度から実施をしているところでございます。

 具体的には、まず、平成二十五年度補正予算におきまして三件、一千百万円の実施設計、さらに平成二十六年度予算におきまして、今述べました平成二十五年度に着手した三件を含みます八件、二億二千三百万の実施設計及び工事を実施しておるところでございます。一部の施設につきましては、今年度、平成二十六年度でございますけれども、今年度内に工事完了を予定しております。

 現在御審議いただいております平成二十七年度予算案におきましても、引き続き認可外保育施設の防音工事に係る経費を計上しているところでございます。

宮崎(政)分科員 ありがとうございます。

 目の前で困っている人がいれば、その人の話を聞いて、そして寄り添って、ともに思いを一にして課題を解決していく、私は、二十年沖縄で弁護士をしていく中で、常に心に刻んでいたことであります。

 認可外の保育施設も防音工事をしてもらえないですかと、一人のお母さんがあるとき、これは、子育ての勉強会の、防音の話じゃない席だったんですが、そういうところで、ぽろぽろ涙を流しながら、何とかならないですかと言っていた、その思いを形にしたい、ただそれだけの思いから動いたことでありました。

 こうやって御理解いただいて、多くの取り組みをしていただいていることに、地元を代表して、一言御挨拶と、そして心からの感謝を申し上げたいと思っております。

 本年の四月からは、子ども・子育て新支援制度の中で新しい取り組みがされていくわけであります。これまで、認可、そして認可をされていないという意味での認可外という保育施設の枠組みから、事業所内保育とか小規模保育とかさまざま、言ってみますと、今まで認可か認可外かというと認可外に類似するというふうに言えるような保育施設が新たに制度のもとに入ってくるわけでございます。

 このような形で認可外の保育施設にも防音工事を進めていただいた、この思いをぜひこの新制度の中でも続けて実現していただきたい、地元からもそういう声が多々上がっております。

 中谷大臣から、ぜひ、この新制度に向けて、地元が困っている防音工事への取り組みについての御所見をいただきたいと思っています。

中谷国務大臣 宮崎委員は、日ごろから地元の要望をもとに政治活動を積極的にされているわけでございますが、ただいまのお尋ねに対しまして、子ども・子育て支援法等の施行によりまして保育の事業を行う施設として新たに加わった家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業を行う施設や幼保連携型認定こども園についても、平成二十七年度から防音工事の補助対象施設に追加することとしております。

 防衛省としましては、今後とも、防音工事の補助対象施設の拡大について、地元からの御要望を踏まえまして努力をしてまいります。

宮崎(政)分科員 大臣、ありがとうございます。

 防音工事に関して、子供が通っている、預けられている施設の先で違いがあるということを了解している人はなかなかいないでしょう。それが防音工事であればなおさらだと思うんです。

 ですから、今御答弁いただきましたような形で、これは、予算の問題、そしてまた施設側の事情というのもあります。こういうことをしっかりと地元で周知もしていただいて、我々もそれに努めてまいりますので、多くの県民、そして次の時代を担う子供たちがよりよき環境で保育される、育成されていくということに私も尽力してまいりたいと思いますので、どうぞまた、改めてのお力添えを賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 この防音工事に関しましては、実はたくさん地元から要望が上がっております。まだまだ十分でない点があるんです。これを挙げ始めると、日ごろ、議員会館の部屋に防衛省の方に来ていただいて、いろいろな協議をしておりますけれども、この限られた時間の中で全てやり尽くすことはできません。幾つか挙げさせていただいて、議論したいと思っております。

 まず、防音工事というのは、その後に復旧というのがあります。例えば空調施設などにつきましては、十年を経過した後に壊れた、機能の全部もしくは一部を失った場合に復旧の対象になるという定めがあるわけでございます。しかしながら、物が機械でありますし、それぞれ、きちんとした使用、通常の使用をしていたとしても、十年たたずして壊れるという場合は、私どもも生活していて普通にあるわけであります。そうしたらどうなるか。沖縄は暑いですから、クーラーなしで暮らしていくことはできません。私費で取りつけざるを得ないわけですね。私費で取りつけたような場合に、当初、防音工事でつけられたものとは違うものがついているわけであります。

 この私費で取りつけられたものについても復旧の対象となるのかどうなのか、まず、この点について制度の御説明をいただきたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 空調機器の機能復旧工事に関する御質問でございますけれども、防音工事により設置いたしました冷暖房機、エアコン、換気扇などの空調機器、また防音建具の機能復旧工事につきましては、先生御指摘のとおり、防音工事により設置した機器で、防音工事後十年以上を経過し、機能が低下している機器を対象としているところでございます。

 お尋ねの、住民の方々が私費で交換した場合についてでございますけれども、これは通知という形で実施基準を定めております。防音工事により設置した空気調和機器にかえて、補助事業者、これは住民の方々でございますけれども、みずからの負担で設置した空気調和機器は、当該防音工事により設置されたものとみなすということで、防音工事完了後十年以上を経過すれば、私費で交換した場合につきましても機能復旧工事の対象となるということでございます。

宮崎(政)分科員 この点は、地元では実は余りよく知られていない部分なんです。

 私費でつけちゃったら、いわゆる権利落ちみたいな形で、もう復旧の対象にならないと思っている方もおられて、諦めて、そのまま十年たっても、また次に、その私費でつけたのが壊れたときに、しようがないさ、一回それでもうやっちゃったんだからねという方もたくさんおられる。中には、私費でつけるときに、後でちゃんと説明できないといけないからといって、壊れた古いものを押し入れにしまっているなんという人も結構いるんです。

 実は、防衛省で出していただいている「住宅防音工事のあらまし」という資料があります。資料一をごらんください。これは刊行物でありますけれども、ホームページでもダウンロードをして見ることができるようになっているものです。二枚目を見ていただきますと、機能復旧工事という欄がありまして、ここでは先ほど中島局長から御説明いただいたような記載があるんですが、その二つ目のところを見ますと、「住宅防音工事が完了した日から十年を経過し、その機能の全部又は一部を保持していない空気調和機器が対象となります。」という記載しかないんです。

 そうすると、これは普通に読んだら、十年満たずして壊れちゃって、自分で私費でつけたのは、最初つけたものと違うものですから、これじゃ対象になるかならないかがわからないというか、むしろ、それは対象にならないというふうに思っている人がいたとしてもおかしくない状況なんですね。

 今御説明があったとおり、基準がある。基準を全部書いたら、基準どおりになりますから、ペーパー何枚にもなるわけであります。こういう重要なところは、もっとわかりやすく地域の皆さんに説明をすることが不可欠じゃないかと思っております。姿勢のあらわれだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 非常に適切な御指摘ありがとうございます。

 ただいま申し上げました、住民の方が私費で交換した場合の取り扱いについては、ほかの基準と同様に当省のホームページにおいて掲載しておりますが、これについて、さらに住宅防音工事のパンフレットの方にも掲載するなど、住民の方々に対する周知により一層努めてまいりたいと思います。

宮崎(政)分科員 ありがとうございます。

 地元の中には、もちろん熟知されている方もおられるでしょう。しかし、ああ、そうなの、よかったと思う人もたくさんおられると思います。ぜひ速やかな改善をお願いしたいと思っております。

 まだもう少し問題がございます。資料二をごらんいただけますでしょうか。これも同じく、事務手続について防衛省の方で公にしている書類でございまして、ホームページなどで見ることもできます。

 二枚目を開いていただきますと、住宅防音工事を実施した場合には、それが補助対象財産でありますので、善良な管理をしてもらう。ですから、もしそれを処分することになるとすれば、それは事前に地方防衛局長の承認をもらってくれということが書いてあるわけです。

 では、空調機器についてはどうかというと、処分制限期間というものがございまして、六年を経過した以降のものについては承認は必要ないけれども、六年以下のものについては承認が必要だというふうに定められているわけであります。これはどういう趣旨、理由から六年と定められているんでしょうか。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅防音工事により設置したエアコン等につきまして、今、先生御指摘のとおり、善良な管理をしていただく必要があるということで、国の補助事業として実施しているということで、財産管理の観点から、六年間というふうな期限を定めているところでございます。

宮崎(政)分科員 これは、一般的には、財務省の規定なども参考にしながら、いわゆる減価償却の期間などを参考にして定められているものであるからこそ、財産管理の期間だということになっているんだと思います。税法上の問題であるとかそういう細かい話を別にすれば、一般的社会常識で考えれば、六年たてば、物の財産としての価値が一般的にはなくなる場合が多いということも念頭に入っていることは、もう明らかなわけであります。

 資料の三という写真のつづりをごらんいただけますでしょうか。これは、北谷町の宮城で、平成二十一年から二十二年にかけて防音工事として施工された空調機器の写真で、私がこの週末に撮ってきたものであります。

 一枚目が、室外機の設置の状況であります。これは五、六年経過しているものなんですけれども、物によってさびとかの進度が違います。この二枚目の写真のものは、よく見ていただくと、底に穴があいているのが見えるかと思います。これは、五、六年たって、穴があいている。まだ使えるんです。ちょっと、異音といって、がががっという音がし始めたぐらいのものであります。三枚目の写真は、ちょっと穴が大きいようなものであります。こういうものも中にはあるわけです。このクラスになってくると、結構音が大きくなってきて、四枚目の写真になると、もっと大きい穴があいているものであります。このクラスですと、ぐわっという空気を取り入れるときの音がすごくするようになってまいります。五枚目の写真になりますと、もう底があいちゃっていまして、これはもう使えないというようなものなんです。

 つまり、同じ集合住宅に設置をしたとしても、例えば設置した場所の向きであるとか階などによって、その壊れ方の程度というのは違います。この今写したものは、防さび、防塩害加工を当然全てした上で、これは補助事業者がやるんですけれども、設置したものなんです。

 実際、先ほど十年を超えなければ復旧の対象にならないと言ったけれども、財産処分の規定は、六年を経過したら承認は要らないという形になっている。今写真で見ていただいたように、十年待たずして使えなくなっちゃうというのは余り珍しいことではありません、我々の感覚からすると。だから、普通、十年未満でいったら、自分のお金でつけないといけない人が多い。

 だから、例えば、沖縄はやはり所得が低いですから、実は中古のクーラーを安い価格で入手する市場なんというのも普通にあるんです。それで何とかしのがないといけないなんという方もおられるし、中には、我慢をして暑い中で暮らしているという方もおられます。

 私がここで申し上げたいのは、六年の処分制限期間があるということであれば、思い切って六年をもって、機能を一部喪失した、全部喪失したものについては復旧の対象にすると定めて統一をしていただいて、もちろん、十年もつのであれば、それは六年経過した後、壊れたときに申請をするということになるわけですから。ただ、一般的に六年ぐらいで財産的価値を喪失するということも理解した上での規定がある以上、これは六年に定めていただいて、申請は壊れたときにする、こういう形で、地域の、これは我慢をしないで生活できるような形に整えていただきたい、そう思っています。大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 住宅防音工事によって設置したエアコン等については、防音工事完了後においても善良な管理をしていただくという必要があることから、六年間の一定の手続を必要としております。他方、エアコンの機能復旧工事の対象を十年としておりますのは、住宅防音工事によって設置されたエアコン等の機能維持の観点から、エアコン等の故障の発生の時期等を把握するための調査の結果を踏まえて設定されたものでございます。

 このように、エアコン等の処分制限に係る六年という期間と機能復旧工事に係る十年という期間についてはそれぞれ個別の目的により設定しておりまして、一律に論ずることは必ずしも適当ではないと考えております。

 いずれにしましても、住宅防音工事のあり方については不断に検討を行いまして、防衛施設周辺の生活環境の整備に努めてまいりたいと思っております。

宮崎(政)分科員 不断に見直していただくということが非常に重要だというふうに思います。

 これは、日ごろ防衛省の役所の皆さんと協議をしていく中で、どういうふうにしてこの十年というのは定まったんだ、六年で定まったんだみたいな議論をよくするわけで、当然、これは調査なども全くせずに定めたわけじゃないということは、もちろん、地元もよくわかっております。

 しかしながら、現実をもう少し見ていただいて、この地域で困っている人、特に、私が再三再四空調のことを取り上げるのは、やはり暑い中で生きていけないんですよね、亜熱帯の沖縄では。ですから、そのことについては、きょう、ここでの御答弁は承りますけれども、ぜひ不断に見直しをしていただきたいというふうに思うわけです。

 そして、住宅防音工事に関する空調の件を、もう一つだけ挙げたいと思います。

 住宅防音工事の対象になるのは、現に人が住んで、生活をしている住宅なんです。今、そこに人が住んでいるわけですね。沖縄で人が生活をしている住宅、しかも、住宅防音工事の対象となるエリアです。つまり、浜辺の静かなところであるとか、山原の静かな山奥であるとか、そういうところではなくて、基地があって住宅防音工事の対象となるようなエリアでクーラーなしで生活するところがあるかといったら、これはないですよ。ありません。

 しかしながら、今の住宅防音工事では、その申込書を受領した時点において、対象住宅に、その人が住んでいる家に空調機器が設置をされている場合には、サッシなどについての防音工事はするけれども、ついているからという理由で空調は補助の対象にならない。つまり、防音工事で空調はやらないということになっているわけであります。

 こういうことは前はなかったんです。前は、ついていたとしても、同じようにこれをやっていたんです。ところが、それが変わってしまったんですね。ちょっと簡潔に、これはいつ、どういうふうにして変わったのか、教えてください。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 空調機器につきましては、防音工事の実施に伴いまして閉め切った屋内の温度上昇を防止する、これによりまして屋内環境の保持を図る必要がある場合に設置に係る経費を補助の対象としているところでございまして、これは昭和四十九年の制度設定のときからずっとこういうふうな形でやっておりました。

 当初、エアコンの性能につきましては、屋外機から発生する騒音値、これが四十五デシベル以下であるといった低騒音型の機器を使用することとしていたところでございますけれども、その後、市販のエアコンの性能が向上いたしました。屋外機の騒音値が四十五デシベルを下回る低騒音型が一般的になった、こういう状況を踏まえまして、市販のエアコンを使用するということに変わってきております。

 もう一つ、一般世帯のエアコンの保有台数でございます。

 当初、住宅防音の事業を開始した当時、普及率が一二%、一世帯平均〇・一五台という状況でございました。しかしながら、平成十八年に調査をいたしましたところ、普及率八八%、非常に向上しております。一世帯当たり二・六台という状況になりました。

 こういうような状況下におきまして、平成十八年七月七日、骨太の方針におきまして閣議決定されております。これが周辺対策の抜本見直しということでございます。この中で、より一層の合理化、効率化を図ることとされたことを踏まえまして、工事を希望する居室にエアコンが設置されている場合には既存のエアコンを使用することとし、この居室にエアコンの補助は行わないというような経緯がございます。

宮崎(政)分科員 もう一点、政府の方にお聞きしたいんですけれども、今、現にエアコンが設置されている場合には既存のエアコンを再使用などしていただくというふうな御答弁ですけれども、では、設置されているエアコンが故障しているとか、稼働しない状況になっている、エアコンはあるけれども壊れちゃっていて使えないものがある、使えないものがそこにあるだけだ、この場合は、補助の対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 空調機器が設置されているということで、故障していたとしても、その対象にはなりません。

宮崎(政)分科員 おかしいんですよ。つまり、防音工事をする、サッシ等をかえたりして、うるさいですから、それも一定の指数以上、嘉手納基地の周辺でF15、そしてまた普天間基地の周辺で回転翼のヘリコプターなどが飛ぶ、うるさい、だから、閉めないともう生活ができないから閉めざるを得ない。それで、沖縄の亜熱帯で、六月から夏が始まるとよく言うんだけれども、それよりも前から、閉め切ったら暑くて暮らせないですよ、これは。サウナに入っているんじゃないのと。ましてや、命にもかかわるぐらい危険ですよ、閉め切った状態で。

 それで、今、人がそこに生活して、一定のうるささ指数以上になっているから防音工事をしますといって、申込書が郵便でぽんと来た日に空調機器がついていたら、それはサッシはかえるけれども空調機器はやりませんよと。だって、人が住んでいるんですから、クーラーがあって当たり前なんです。しかも、壊れちゃったクーラーは、取り外すのもお金がかかるわけです。新しいものをつけかえないということになると、取り外すだけでも業者さんにお金を払わないといけないですね。ですから、もう少しで補助の対象になるはずだから、ちょっと待っておこうといって、外さないで壊れたものがあるだけだというような状況で、機能していないものであったとしても、補助の対象にしない。余りにも形式的過ぎる。そもそも防音工事の何たるかということを、私は、若干勘違いしているんじゃないかなと思うんです。

 つまり、防音工事というのは防音区画の整備をするということと、もう一つ、そこの対象住宅における生活を保障していくという側面があるわけです。あってしかるべきなのであります。生活するのに必要だから、そのうるさい環境の中であったとしても生活するのに必要であるから、例えばサッシをつけましょう、クーラーをつけましょう、換気扇をかえましょう、こういう形になっているのに、たまたまクーラーが既存のものである、しかも生きている人がいるんですよ、そこに、その状況で、既設のクーラーがあるから、それが仮に壊れて機能していなかったとしても、それはやりませんと。しかも、それは最初の防音工事のときに対象にならないわけですから、あとは一切対象にならないわけですね、何年たとうが。

 私は、住宅防音工事をする時点で既設のクーラーがあった場合、それは生活に必要だからあるわけですから、それがもし機能しているのであれば、使えるのであれば、それは当初は使っておいてもらっていいでしょう、かえるのはもったいないですから。だけれども、これが壊れた時点で、追加で対象にするとか、例えば空調復旧の類似のような扱いをして復旧の対象にするとかということにして、対象に加えるべきだと思っております。中谷大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 先ほど御説明いたしましたが、平成十八年に変更を行いました。エアコンの普及は相当進んでまいっておりまして、現在においても、エアコンの普及率に大きな変化が見られるわけではないということを踏まえましたら、防音工事実施前に所有者が設置したエアコンを再び復旧工事の対象とすることは困難であると考えておりますが、いずれにしろ、住宅防音工事のあり方については、不断に検討を行い、防衛施設周辺の生活環境の整備に努めてまいりたいと思っております。

宮崎(政)分科員 これは本当に見直していただきたい。不断の見直しの最たるものだと私は思います。

 中谷大臣から今、最後に、防衛施設周辺に住んでいる皆さんの生活環境の整備をしたいと、お言葉をいただきました。最たるものなんです、これは。地域から上がってくる要望というか苦情というか諦めというか、これの最たるものであります。

 やはり、安全保障施設周辺に住んでいる我々の理解と共感があって初めて国の安全保障政策における持続可能性が維持できると思っております。ですから、この点はまた今後協議を進めてまいりたいと思っておりますので、ぜひ、その整備に向けての見直しをお願いしたいと思っております。

 別の点に、話を進めさせていただきます。

 北谷町にあります嘉手納基地の第一ゲート、これをぜひとも改修していただきたいと思います。

 資料の四をごらんいただけますでしょうか。一枚目に地図と写真、写した方向の矢印が描いてございますが、めくっていただきますと、二枚目の写真は、朝、これはけさもそうです、私は見ていないですけれども、必ずこうでありました。第一ゲートから那覇向きに、ずらっと、ずっと車列が並んでおります。これは、嘉手納基地に、第一ゲートに入っていく車両です。ちょっと見えますけれども、Yナンバーの車両が並んでいるのがわかると思います。

 二枚目の写真は、今度は第一ゲートから嘉手納方向ですけれども、ずっと車が並んでおります。

 そして、三枚目の写真は、五十八号線に直角で接している町道の砂辺浜川境界線の、五十八号側から撮ったところですけれども、これも、ずらっと並んでおりまして、別に意図的に撮ったわけでも何でもありません、先頭車両のナンバーを見ていただきますとYナンバーでありまして、基地の中に入っていく車両であるわけであります。

 この辺の渋滞というのは、非常に激しい。地域の人も、出入りをしようと思ってもなかなかできない。過去にも何度もお願いをして、例えば、ポールを立てていただくとか、さまざまな手をとっていただきました。今後、一枚目にあるような形で、砂辺浜川境界線の方から第一ゲートの改修をしていただくなどして、ストレートに入れるような形でやっていただきたい。

 交通渋滞解消のための取り組み、大臣の御所見をいただきたいと思います。

中島(明)政府参考人 今御指摘の第一ゲートの交通渋滞につきまして、先生御指摘のとおり、累次の機会に要請がなされております。

 現在、沖縄防衛局におきましては、まずは、同ゲート付近の交通渋滞の状況把握ということで、一月から交通量の調査を開始しておりまして、三月末まで実施することとしております。

 この結果を踏まえまして、米側また関係機関と調整の上、渋滞解消に向けて具体的にどういうふうな対応が可能か、検討してまいりたいというふうに考えております。

宮崎(政)分科員 最後になりますけれども、この第一ゲート、これは長いこと私もお願いさせていただいている件で、大臣の取り組みへの御決意を伺わせていただいて、質問を終わりたいと思います。

中谷国務大臣 私も沖縄に伺う場合がありますが、この道路はいつも非常に混雑しているというふうに認識をいたしておりますので、今後、米側とも関係機関とも調整の上で、渋滞の解消に向けてどのような対応が必要なのか、具体的に可能かどうか検討してまいりたいと思っております。

宮崎(政)分科員 ありがとうございました。終わります。

平沢主査 これにて宮崎政久君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子君。

阿部分科員 民主党の阿部知子です。

 本日は、分科会のお時間を頂戴いたしまして、中谷防衛大臣と少しじっくりと、自衛隊員の人権問題について、幾つかの事案を挙げながら質疑をさせていただこうと思います。

 まず一番目は、いわゆるいじめ自殺問題であります。

 既に大臣も御承知のように、横須賀の護衛艦の「たちかぜ」艦内で起きたいじめ自殺問題、昨年の四月、高裁の判決が、いじめであったという認定をされて、しかるべく御家族にも金額的な謝罪という形であらわされたものであります。この事案は、まず、二〇〇四年に御家族側が息子さんを亡くして、二〇〇六年に提訴。約十年がかかった事案でございます。

 一九九九年には、佐世保の「さわぎり」という護衛艦の中で同じような事案があったということで、この事案以来、自衛隊の、特に隊内におけるいじめ自殺問題が大きくクローズアップされております。

 そうした高裁判決が確定しましたと同時に、ほとんど時間を置かず、今度は八月には、防衛大学校で二年生の生徒が上級生八人にいじめを受けて、この事案はもう大臣も御承知と思いますが、陰惨の一言に尽きます。例えば、委員会でも取り上げられたことがありますが、陰毛にライターをつけたり、本人の写真を黒枠で囲ってLINEに流したり。私は、最近起きた十三歳の少年の殺害事件と同じ質の、抵抗できない者を無理やりに力をもっていじめていくという構造があるなと大変残念に思っている事案です。

 そうこうしておりましたら、今度は工科学校、これはいわゆる高等学校、これも横須賀にございますけれども、そこでもいじめ事案が発生して、親御さんが提訴なさるという、相次いでおります。

 さらに、また護衛艦の中で、上司によるパワハラで自殺をされた事案が昨年の九月に発覚いたしまして、これも海上幕僚長が謝罪をするという形になっております。

 これだけ相次いでまいりますと、一体自衛隊のいじめ自殺対策はどうなっているのだ、隊員の人権、大事な宝である人権を守るべき自衛隊内で何が起こっているんだろうと、国民も大変に懸念の目を向けております。

 まず冒頭、大臣のいじめ自殺問題についての御見解と今後の御決意、取り組みを伺いたいと思います。

中谷国務大臣 以前からこの問題を先生から御指摘いただいているわけでございますが、私も、いじめ自殺はあってはならないと考えておりまして、防衛省・自衛隊においていじめ自殺事案が生起をしているということは、まことに遺憾に存じております。

 この対応といたしましては、服務指導の徹底、隊員の心情把握、カウンセリング体制の整備等の措置を講じまして、事案の発生防止に努めております。昨日も私は部隊視察を行いましたけれども、エレベーターに乗りましたら、その壁に相談担当官を写真で掲示しまして、何かあったら相談してくださいというような対応をしておりました。

 そして、防衛省の中におきましては、いじめ等の防止に関する検討委員会を昨年九月の十七日に設置いたしまして、この第一回の検討会議を開催した後、検討委員会のもとに設置された幹事会、これを二回開催するとともに、幹事会のもとに設置された作業部会、これを週一回程度開催するなどいたしまして、いじめや自殺、事故等の防止に係る有効な施策について検討しているところでございます。

阿部分科員 今大臣のおっしゃったような幾つかの取り組みがありながら、逆に私が冒頭紹介したようないろいろな事案が起きてくるということは、今の対策に大きく欠けたるところがあるからなんだと私は思います。

 先ほど大臣のおっしゃった検討委員会も、私の方で、どんなメンバーで、どんな内容を検討しておられますかと公開を求めましたところ、ほとんど内容をお伝えいただけない。

 そして、実は、私は医療現場ですから思いますが、医療事故等が起きたとき、もちろん内部調査の委員会は立ち上がるんですけれども、と同時に、最近では、第三者委員会と申しまして、外部の目できちんとこれを点検して、瑕疵なきか、あるいは、患者さんの人権は守られたか、これを言いかえると、自衛隊員の人権は守られたかということになってまいります。

 まず、この情報の非公開性、そして、早急に、もうこれは十年やってきたことです。私が当選して間もないころに問題も取り上げ、社民党当時でございましたが、こぞって各議員で取り上げて、カウンセリング体制を含めて、つくっていただいた。だが、やはり内向きで、外からの目が入らないということが非常に閉塞感を高めているように思います。

 ぜひ調査の第三者委員会を、警務隊も内側のものであります。今やっている検討会も内向きであります。外の目を入れて、本当に風通しよく、国民のための自衛隊にするための第三者調査という手法を考えてみられてはいかがでしょう。

中谷国務大臣 この問題は非常に、自殺、またいじめの事案が減少しないということは極めて遺憾であると思っておりまして、こういった部内の検討もそうでございますが、先ほど御提案がありました部外有識者、これに対するヒアリング、現在は実施しておりませんが、今後の検討において、必要に応じて実施してまいりたいと思っております。

阿部分科員 内部の調査委員会と独立性を持った第三者委員会の方が、内部の委員会がヒアリングしても、それは聞く側にとっての情報の取捨選択が起こりますので、大臣、きょうのところはその御答弁かと思いますが、きちんと独立性を持った第三者委員会、何度も申しますが、医療ではそれが当たり前になりました。起こしてはいけない事故、でも、起こってしまった場合にどうするかということで、自分たちの瑕疵なきかを外の目で見てみて、よりよくするということですから、御検討をいただきたい。

 と同時に、きょうは大臣に、軍事オンブズマンという、これはスウェーデンで一九一五年に発足し、第二次大戦後、ドイツで、実際に動き出したのは一九五九年と伺っておりますが、ちょうどメルケルさんも来日のさなかで、ドイツでは、再軍備に際して、なぜあの優秀だったドイツの国防軍がナチス・ドイツという勢力によって席巻され、差別を起こし、殺りくを起こしたかを自己点検するという意味合いもあって、軍事オンブズマンというものをつくりました。超党派の国会での議決に基づいてつくったものであります。

 これの特徴は、あらゆる隊員がオンブズマンと称する一人の人間に、この方はドイツでは副議長あるいは議長などをなさった公平中立な方を任命しているようですが、その方に、自分の隊での出来事、あるいは、この命令は不当ではないか、おかしいのではないかというようなことを直接訴えていけるという制度で、毎年六千件からの相談があるそうでございます。

 大臣任期中に、ぜひこの軍事オンブズマン制度、いろいろ情報を集め、また、ドイツに行って、当事者であるオンブズマンの方に会っていただいても結構です。

 私は、実力組織で一番大事なものは人、人権だと思います。そこをたがえると、異常なことが内側にも外側にも必ず起こってくると思いますので、軍事オンブズマンについての大臣の御所見を伺います。

中谷国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 くしくも、昨年の一月に、私は、国会に情報監視審査会をつくるべきだということで、平沢委員長も一緒でしたが、超党派でドイツへ行ってまいりまして、ドイツの国会にあります軍事情報委員会の委員長にお目にかかりました。その委員長にお話を伺いまして、やはり軍に関するものにおいてはこの委員会が全ての権限を持って調査することができるんだということを言われまして、こういう意味では、御指摘の軍事オンブズマン制度が国会にあるということで、見聞を広めてまいりました。この記録は国会の方に提出しておりますので、御参考にしていただきたいと思っております。

 そういった件で、防衛省としましては、こういった自殺等の事故が起こった場合に、公正な立場で調査し得る隊員によって調査を実施しておりますが、必要な対策を講じてきておりまして、現時点では、必ずしも内部調査等に限界があると認識はしていない。また、防衛省としては、従来いろいろな対策を講じておりますので、今後とも強力に推進をしてまいりたいと思います。

 御指摘をいただきました軍事オンブズマンにつきましては、私も、現場を見てまいりました人間といたしまして、さらに情報収集を図るなどいたしまして、引き続き調査研究に取り組んでまいりたいと思いますが、国会で設置をされておりますので、防衛省以外での検討も必要になってくるのではないかというふうに思います。

阿部分科員 私は、前段の御答弁の、内部調査で十分だというのは、やはり違うと思います。私が抱えてきた医療の事故の長い歴史から見ても、やはり第三者というのは必要です。

 それから、後段の御答弁は、確かにそれこそが文民、シビリアンコントロールなんだと思います。

 議会が軍事にかかわるいろいろな情報というものを点検し、なお軍事オンブズマンというものは特定の人を任命するという仕組みで、これをぜひ、実は、防衛大学校御出身の中谷大臣が現大臣であるときに積極的に推進をしていただきたい。大臣は、やはり自分の後輩が大事と特に思われる、現場を知っている、だったら、よりよい人材を、本当に国民のために、人権意識を持って育てていただきたいので、うなずいていただいているので御決意と思いまして、次の問題に行きます。

 次は、同じように自衛隊内で起きております、教育訓練と称します訓練における死亡事案でございます。

 大臣のお手元に、この十年間のいわゆる教育訓練というものの中で起きている死亡件数、陸海空それぞれ、私の方でまとめて出しました一覧があるかと思いますが、十年間で、陸であれば四十九、海上自衛隊であれば十四、そして航空自衛隊は九人。

 この教育訓練、逆に、自衛隊の訓練といえば過酷なのは当たり前じゃないかというふうな一言で、多い死亡数が隠れてしまっているように私には思えます。それぞれに原因があり、それぞれに救えた命があるのではないかと思いますので、その観点から次に質問をさせていただきます。

 まず、具体的な事案ですけれども、海上自衛隊の潜水医学実験隊、横須賀にございます最新の、水深四百九十メートルまで深く潜るということを技術的に開発している、日本記録もお持ちの実験隊でありますが、そこで、昨年の五月二十三日に、十メートル余りのプールの中で教官お二人が溺水、死亡されました。

 私は、何でそんな高度な実験隊で、わずか十メートルで、四百九十メートルまで潜ろうかという方が、それも、教官ですから実力も知識も随分お持ちの方が亡くなったのかと思って、現場を視察させていただきました。

 大臣のお手元に、どういう事態で起こったかという図がございます。

 これは、実は、そこに潜るときに、外側から酸素を引いて、それをとりながら潜っていくということで、一人が潜り、溺れたといって、もう一人の方が潜り、この方も溺れ、救出に向かった三番目の方は、今度はタンクを背負って救出に向かいました。すなわち、酸素の配管からとったお二方は亡くなり、三番目の方は、恐らくその二人を見たからでしょう、御自分は酸素ボンベを背負って救出に向かわれました。

 これが、今一年近くたとうとしておりますが、いまだに調査中ということで、事の真相、再発防止などが解明しておりませんが、大臣は御存じでしょうか。

真部政府参考人 今委員が御指摘になられました、潜水医学実験隊の潜水訓練中における死亡事故につきましては、事故発生後に直ちに事故調査班を部隊の方につくりまして、調査を実施いたしておるところでございます。また、それとともに、捜査当局の捜査に全面的に協力している、そういう状況にございます。

 本件は、今御指摘のとおりの事案でございまして、そういった、訓練を受けた、むしろ練達と言っていい隊員二名が亡くなるという特異な事案でございまして、調査には慎重を期して、今鋭意行っているという状況にございます。

阿部分科員 通常、自衛隊内の事案ですから、警務隊が調べられて、事件性があれば警察にも行くということですが、実は、まだ捜査中というかお調べ中である中で、ここの最高責任者は転勤を既になさいました。私は、やはり、事態が起きたときに、本当に、その隊員の命を守れなかった、どうしてだろう、そこの最高責任者がくるくるかわっていったのでは、隊員にも申しわけが立たないと思います。

 大臣は、じかに現場に行っていただきまして、私は、行ってみて、何でこんなところで溺れただろうと正直言って思いました。配管の問題ではないかと。だって、お二人は同じような状況で、熟達した人が亡くなるわけです。そうであれば、環境整備をすれば、このお二人は死なずに済んだんだと思います。若い隊員を育てて、五十代の、本当に経験豊かな方お二人を亡くした、重大な人的損失であります。

 大臣、ぜひ現地にも行って、これは自衛隊にとっても重要な機関です、潜水訓練の実験の場所というのは。治療にも応用できます、潜水医学で。ぜひごらんになって、早急な善後策をとっていただきたいが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 昨年発生しまして十カ月たちましたが、私も、非常に優秀な二名の隊員が死亡したこと、まことに残念でありますし、心より哀悼の意を表します。

 この事故につきましては、現在、潜水医学実験隊に設置された事故調査班において、原因究明も含めて慎重に調査を実施いたしております。現場を視察ということも、責任者としては当然そういった点も考えていかなければなりませんので、適切に対応してまいりたいと思っております。

阿部分科員 一点目のいじめ自殺でもそうですし、この事故事案でもそうですが、私は、対応が遅いと思います。だって、組織された実力部隊で、再発防止というのは至上命題だと思います。あたら命をここで失っていくということを繰り返させてはならない、その一点の決意がなければ、私は、次々問題が起きてくると思います。

 例えば、自衛隊では、大臣にお示しした中にもあると思いますが、雪の中の訓練で死亡が相次いでおります。これは、寒いと、五度下がると心停止のリスクは二倍以上に高まるという中で、冷たいところではAEDもききません。そういう状態で、スキー訓練で死亡が相次ぎました。照屋さんが質問をして、何でこんなに多いのだと。そういう環境下でやる訓練であれば、AEDの装置も含めて、十分救命対応ができるようにしなければならない。

 その後、最近は事案が少ないので、恐らく改善されたと思いますが、思いたいですが、ほかにも、持久走中の死亡も、陸上自衛隊四十九人の死亡のうち十九人、半分近くは走っている訓練で亡くなっちゃう。

 何が問題かといえば、健康診断、そういうリスクをかけていいかどうかのチェックも、私は不十分じゃないかと思います。ぜひ、再発防止のため、スピード感を持って、貴重な隊員の命を守っていただきたいと思います。

 三点目の質問に行かせていただきます。

 これは、昨年の七月一日、武力行使の新三要件、集団的自衛権も含むという閣議決定がなされた直後に、中学生をお持ちの御家庭にダイレクトメールで、御家庭ではなくて子供本人宛てに高等工科学校の募集のダイレクトメールが届きました。びっくりした親御さんが、一体これは徴兵制になっちゃったのと思って、私のところに声をかけてこられました。

 余りにもいいタイミング。別に、そこでそう思ってやったのではないことは私は理解いたしますけれども、ベネッセだって、受験情報を、持っている個別の名簿を勝手にほかに回して、ほかの案内が来たらびっくりという世界で、この自衛隊における中学生に対する地方協力本部から行ったダイレクトメール問題、これは法律の根拠もございません。

 送った事務所は一カ所で、五百一件というふうになっておりますが、この事案も、それからさらに、住民基本台帳で抜き出して、ダイレクトメールを送るなりなんなりするに必要な基本情報をとるのも、十八歳以下というのは適用にはなりません。いわゆる工科学校は、昔は自衛隊員でしたけれども、そういう扱いをしておりませんので。

 二重三重の法令違反でこういうダイレクトメールが行くという事態は、大臣はどうお考えですか。

中谷国務大臣 自衛官等の募集において、中学生本人に対して文書による直接の募集を行ったこと、及び、自衛隊法施行令第百二十条に基づいて中学生の氏名、生年月日等の情報に関する資料の提出を市町村長に依頼したことが生起したということは、甚だ遺憾でございます。

 この理由について、やはり、自衛官等の募集事務の実施部署において、根拠となる規則等の理解が徹底されていることが重要であると考えておりますので、今後、募集事務を行う関係部署への教育を徹底しまして、関係規則等の周知徹底を図り、再発防止に努めてまいりたいと思います。

阿部分科員 自衛隊は国民との信頼があってこそですから、本当に、受け取った側がびっくりして、何が起こっているんだろうという不安を抱くことのないような、法令にのっとった運用をすべきだと思います。

 その中で、地方自治体は、自衛隊法の要請に基づいて、住民基本台帳から適齢者という、例えばその三月に高校を卒業する人などを含めた情報を引き出して、それを紙媒体ないしは電子データで協力本部の方に送っているということであります。

 私もこの事案をずっと聞いてきて、最近になって、電子データでも送っているんだということを知って、これは電子データの取り扱いにおける秘密の保護というのでしょうか、ベネッセの問題もそうだと思いますが、そこが極めて不十分な中で、大体、御家族にしてみれば、我が子の情報がそういう形で協力本部に、紙であれ電子データベースであれ、上がっていることなどは御存じないわけであります。なおかつ、セキュリティーも、紙でも問題ですが、電子データベースの場合はさらに問題と思いますが、この事案はどう思われますか。

中谷国務大臣 紙であれ電子データであれ、個人情報の管理というのは非常に重要でございます。

 時代が進歩しまして、電子媒体の利用というものも非常に多くなってまいりましたので、よくしっかりと情報管理に努めてまいりたいと思います。

阿部分科員 私がこう申しますのは、現状において、もちろん、大臣おっしゃるように、紙も大事、電子データも、どっちも情報は個人情報ですから守られねばいけませんが、相次ぐ事案の中で、御家族側も、国民の側もなかなか安心できないということが一番問題なんだと思います。やるやるといっても、どこに漏れていくかわからない不安を国民に抱かせるということが問題です。

 大臣、御存じでしょうか、先ほどちょっと申し上げましたが、自分の子供の情報あるいは自分の情報がこういう形で協力本部を通じて届け出られているということを住民は知りません。住民基本台帳で自分の情報がどこに行っているかということを、この場合、住民は知らされておりません。

 となると、やはり個人情報保護の、もちろんこれは防衛省だけの問題ではございません。住基台帳を扱う自治体の側の問題もあろうかと思います。どういう情報をどこに出したかということを全く知らされていない中で起こっていることでございます。

 私は、自衛隊の信頼のためにも、こうした陰から陰というか、わからないところでというふうなことはなくしていくべきで、もちろん、住民基本台帳の個人情報保護における扱いと知る権利と重なってまいります。問題意識の所在を大臣も共有していただけて、今後何らかの、自治体側との対応を含めて検討をしていただきたいが、いかがでしょう。

中谷国務大臣 自衛官等の募集に関しまして必要な募集対象の個人情報については、自衛隊法の九十七条及び施行令の第百二十条の規定によりまして、法定受託事務を根拠として、市町村から当該情報に関する資料の提出を得て、自衛官及び自衛官候補生の募集に利用いたしております。

 また、自衛隊法の二十九条一項及び三十五条を根拠とした自衛官等の募集事務の遂行のために、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を通じて当該情報を得ておりまして、自衛官、自衛官候補生、陸上自衛隊高等工科学校生徒等の募集に利用いたしております。

 具体的には、個別に文書による募集を行うなどの方法により、この遂行のために利用いたしておりますが、こういった取り扱い等につきましては、かつて自衛隊の中でリスト問題が発生しまして、特に電子データの管理等について、私も、大臣のときの問題でしたから、その後しっかり対応していると思っておりますが、さらに電子媒体の情報の管理に努めてまいりたいというふうに思います。

阿部分科員 今、大臣は写しの閲覧とおっしゃいましたが、実際はそれだけじゃなくて、住民基本台帳から抜き出した情報を閲覧して写してきているだけではなくて、電子データで送っている。ないしは、最近では、協力本部が自治体職員に対して、そのリストを紙媒体並びに電子データで送ってくれという要求をするわけです。

 これは、実は法令根拠はありません。どのような形で出すか、どのような協力をするかは自治体側の問題であります。必要な情報を出して写していかれるところまでは、恐らく大臣の側の所掌になるでしょう。しかし、こうやって自治体職員側に過剰な要求をするということも、私は法令根拠がないと思っております。

 この点について、大臣の今の御答弁はちょっと、もう時間がないので残念ですが、十分配慮していただきたい。自治体の職員に過重な業務になりますから。いかがでしょう。

真部政府参考人 今委員御指摘の点でございますけれども、自衛隊法施行令の百二十条を踏まえまして、防衛省からは、市町村長に対しまして、自衛官及び自衛官候補生の募集に関して必要な募集対象者の氏名等の情報について、資料の提出を依頼いたしておるところでございます。

 この資料の提出につきましては、地方公共団体に対する国の関与の基本原則や地方公共団体との関係に配慮して、防衛省からのあくまで依頼を申し上げているところでございます。

 防衛省といたしましては、この資料の提出をいただくことは自衛官及び自衛官候補生の募集事務の円滑な遂行のために必要でありまして、今後とも、この依頼に際しましては、地方公共団体に対し、資料の提出の根拠たる法令等を丁寧に説明申し上げて、その上で、地方公共団体が実施可能な範囲での協力をお願いしていくつもりでございます。

阿部分科員 あくまでも依頼であるという明確な答弁、ありがとうございます。

 終わらせていただきます。

平沢主査 これにて阿部知子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野敬太郎君。

大野分科員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 きょうは、大臣、大変お忙しいところ、また連日の予算審議でお疲れのところ、御対応賜りましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。また、皆様も大変お疲れさまでございます。

 地方創生というのは本当に重要な課題だな、そう思っておりますけれども、きょうは三月十日、四年前のあすでございますけれども、震災が起きた。きょう、朝、出勤をする前にテレビを見ておりましたが、現地で国のいろいろな支援をいただいて、いろいろな事業を改めて始めて、一生懸命努力したんだけれども、やはりなかなかうまくいかないんだ、そんな会社も結構あるようでございまして、復興に対する努力というのは、政府としてもしなくちゃいけないんだな、政治家としても、我々もしなくちゃいけないんだなと改めて思っている次第でございます。

 地方創生というのは、やはり何といっても人口減少に絡むということで、昨年ぐらいから急に危機感を物すごく我々も抱いておりますし、日本人、国民全員でこれは一生懸命努力をしていかなくちゃいけないんだ、人口減少という長期的な展望も相まって、アベノミクスの第三幕の経済の活性化、これももう一つの主要な目的だと思いますので、本当に重要なんだなと改めて思っています。

 まず冒頭に、地方創生、これは、実はこれまでも地方活性化という意味ではずっと各市町村あるいは住民の皆さんも一生懸命取り組んでまいった、そんなところだと思いますけれども、改めて、地方創生という概念になって、地方活性化という文脈と一体どう違って、どういうふうに政府として取り組んでいくのか、意気込みみたいなものを大臣から賜れればと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

石破国務大臣 これはあちらこちらでお話をしていることで、委員とも議論させていただいていることですが、私が高校生のころ日本列島改造というのがあって、勤め人のころ田園都市構想というのがあって、当選一回のころ、ふるさと創生というのがあって、我が党であろうが、あるいは野党の方々であろうが、選挙のときに地域の活性化を訴えない人は誰一人いないということだと思います。連綿としてやってきた。

 ただ、数字を見ると、地方の活性化とはほど遠い状況が今起こっているということは、これは何なんだろうか。人口減少も、別に天変地異のように今始まった話ではなくて、今までもずっとこういうことは指摘されていた。

 ただ、増田論文にあるように、我々は少子高齢化という言葉に惑わされていたのではないか。平均寿命が延びて、長生きしてくださる方がふえた。それはとてもいいことなのだけれども、自然減というものがそれだけおくれたことによって、子供は少ないのだが、人口が減らないように見えるというような状況はあったと思う。

 少子化と高齢化は全然別の現象なんだ、言われてみれば当たり前の話ですが、ふと気がついてみると、私は先般、長崎県の五島列島というところに行っていたのですが、そこはもう、二〇四〇年に二十代、三十代女性が八割減るというようなところもあるわけで、持続は不可能なことなのだということが、北海道から沖縄まで全ての市町村でこのままいけばこうなるということが明らかになったというのは、これは大変なことだと思っております。

 よって、人口が減るというのは決していいことではない。世の中には、人が減って何が悪い、昔だってそういう時代はあったじゃないかとおっしゃるんですが、人口はそうであったとしても、人口構成が全然かつてとは違うのだということで、この人口減というものに正面から取り組む。二〇六〇年に一億人、あるいは国民の皆様方の御希望を阻害している状況を取り除くとすれば、出生率というのも上がるはずだ。今まで、出生率とか人口とかに言及することは結構ヘジテートしてきたところがあるんですが、それに正面から取り組むということです。

 私どもとして、地方創生と言っているのは、委員の御地元もそうだと思いますが、昭和四十年代から五十年代にかけて地方が元気だったのは、公共事業と企業誘致というものが多くの部分を負っていた。それと同じことはもうできないのだということで、今まで潜在力を伸ばし切れないでいた第一次産業あるいはサービス業等々の潜在力を最大限に引き出すのだという作業を、国と地方が、どっちが上とかどっちが下とかいう話じゃなくて、本当に共同作業としてやりましょうね、そして全国一斉にこれに取り組みましょうねと。

 そこにおいては、単に補助金をまくとかそういう話ではない。その地域地域の創意工夫に合った形で国は支援をするし、それの効果検証もきちんと行うということで、今までとは違う取り組みを、国と地方が共同作業として、全国一斉にそれを行う。そして、点検というものをきちんと入れ、PDCAのサイクルを稼働させるという点において、今までと全く違うのだと思っております。

 これは、もう後がないという思いのもとに、政府そして地方、国民一体としてやりたいと思っております。

大野分科員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃるとおり、去年あたりから急に危機感が物すごく強くなってきた。私、それはなぜかなと。もともと、以前から少子化で出生率が物すごく低くなっている、これは随分議論をされてきたんだと思いますけれども、一番の大きなポイントは、やはり見える化が進んだ、これが一番のポイントなんだと思います。いろいろな対策を打つ上で、見える化、現状が見えていないと、やはり対策も、どうしようというのが出てこない。これは後ほど議論もさせていただきたいと思いますけれども、見える化が一点。

 それから、見える化が進んだ上で、改めて、では目標というのは何なんでしょうか。国家というのはどういうふうなものであるべきなんだろうか。これはもう、見えないと当然それが出てこないんだと思うんです。

 そういった意味で、長期ビジョンとして国家が一億人弱を目指す、こういうことを改めて打ち出しましたけれども、これはすばらしくいいことだと思うんです。

 そこで、もう一つ、かねてから疑問に、疑問というかどうなんだろうなと思っていたことがございまして、それは何かというと、国は一体どうあるべきなんだという議論において、短期的と長期的、あるいは帰納的な視点と演繹的な視点、つまり、現在から未来に向かって、今こういう状況なんだからこういうことを対処していかなくちゃいけない、こういう帰納的な観点と、いやいや、こういうふうな国を目指すべきなんだ、だからこそ演繹的に、その目標を目指して今からこういうことをやっていかなくちゃいけないんだ、こういうバランス。

 あるいは、地方においては特にそうですけれども、資本と社会のあり方。これは要するに、無駄とか無駄じゃないとか、あるいは合理主義とか、そういった観点ですね。

 例えば、地元で、とある場所で、これは全国でよくある話だと思いますけれども、小学校とかが、子供も少なくなったし、学校の先生も大変だからというので、統廃合が進んでいく。統廃合が進むと何が起こるかというと、当然、子供にとっては遠くなって、お母さん方もお父さん方も、ちょっと見送りも大変だなという話になってしまう。そうすると何が起こるかというと、いや、ちょっと大変だし、仕事もちゃんとしたものがないし、じゃ、東京に行くかという話になってくる。

 これは社会と資本のバランスという話になりますけれども、やはり、どこが無駄じゃないのか、どこが無駄なんだ、こういう社会と資本のバランスというのは、どこかでしっかりと議論をしていかなくちゃいけないんじゃないか。

 例えば、一票の格差というのがあります。先ほど大臣もお触れになられました増田寛也先生、昨年の、実はちょうど選挙の直前にたまたまなったんですけれども、随分前からお招きを申し上げていたら、ちょうど選挙になってよかったんですけれども、それはおいておきまして、議論させていただいて、同じ質問をさせていただいたんです。

 要するに、一票の格差で、田舎の方はどんどん人口が減っていく。そうすると、議員の数も当然減っていきます。そうすると、田舎を考える議員がどんどん減っていきます。田舎が衰退します。田舎が衰退すると、また議員も減っていく。要するに、負のスパイラルに陥ってしまいます。これもある種、社会がどれだけコストをそこにかけていくんだという問題にも絡む。つまり、社会と資本のバランスという話にもなると思います。

 また、ミクロとマクロのバランスというのもあるんだと思います。例えば、今観光の政策をやっています。二千万人を日本にインバウンド、やりますという話でございますけれども、大臣も会長をやられていますCIQの議連も、私も入らせていただきました。

 例えば航空の問題でありますと、地元にいますと、やはり人が来てほしいものですから、直接、航路を設定しようとしてしまいます。そうすると何が起こるかというと、日本の地方都市を海外に、例えば仁川であるとかそういうところにどんどん結んでいくと、海外の空港のハブ化をどんどん促進してしまうような形になってしまう。

 逆に、それはちょっと違うのかなと。要するに、日本の国際空港のどこかのハブ化をどんどん推進して、そこから地方に引っ張ってくるような、こういう政策をとらないといけないんじゃないか。これは私のかねてから思っている視点でありますけれども、これもマクロとミクロのバランスをとっていかなくちゃいけないんじゃないか。

 いろいろな問題があると思うんです。何か、今やっていることが、今対処するという意味では正しいのでありますけれども、ただ、何年か先、何十年か先の日本の国家像を描いたときに、今やっていることが果たして正しい方向に向かっているんだろうかという点が何個かあるんです。

 例えば、もう一つだけ申し上げますと、待機児童の問題も都会では結構問題になっています。どんどんインフラというか保育所、それは正しいんです、絶対に。待機児童がたくさんいらっしゃる。そういうことではどんどんやらなくちゃいけないんですけれども、では、それをどんどんやっていくのが将来の国家展望として、一体、正しい方向なのか、ここの議論が私は何かちょっと欠けているような気がしております。

 この点、要するに、戦略的、国家のこうあるべきだ、こういう観点から、ちょっとちぐはぐ感が見えなくもない。間違っているとは言いませんけれども、そういったものをしっかりと統一する議論をしていかなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。

 これは政府参考人の方からで結構なんですけれども、大臣からでも結構なんですが、ぜひこういったことにもうちょっと、推進本部というか事務局というかが統一してこうやっていこうということをお示しいただければありがたいなと思っているんですけれども、いかがでございましょうか。

石破国務大臣 ありがとうございます。

 今回の取り組みは、要は、丸亀で起こっていることは丸亀でないと多分わからぬのだろう、高松で起こっていることは高松でないとわからぬし、さぬき市で起こっていることはさぬき市でないとわからないと思っているのですね。

 今まで、国が少子化をとめるとか地方を活性化するとか、いろいろなことを言ってきましたが、結局、地方の側にしてみれば、国のいろいろな施策があって、その中のどれをとろうかな、これをとると補助率が高いよね、自己負担も少ないよねと、それがそこに本当にベストマッチングかどうかということの精査がないままに、国のメニューの中から選ぶというような国と地方との関係があったと思っておるのです。

 それを全部寄せ合わせてみるとどうなるんだという、合成の誤謬みたいな話ですが、そんなことが起こるのか起こらないのか、部分最適の総和は全体最適になるのか等々、いろいろな議論はございます。ただ、それをあれやこれや考えていてもしゃあない。

 委員が御指摘の東京の待機児童、これを解消したら、では一体何が起こるんだろうかということはございます。東京の一極集中を是正するというのは、東京をどんどん、富も人も減らしてそれを地方に移転しましょうというお話では全然なくて、東京は東京として、世界で一番安全で、やはり集積度が高いですから、いろいろな人材が集まる、一つの牽引役としての東京の位置というのはもっと強化をしなければいかぬだろう。しかしながら、地方がこのまま衰退していくということは何を意味するかというと、人材供給力そのものを失うということなんだと思います。

 それぞれの役割というものをきちんと果たしながらという議論は、これから先も委員のいろいろな御見識を承りながらやっていきたいと思いますが、まず始めようと。それぞれの地域が、今起こっていること、後ほど委員から多分御指摘があるんだろうと思いますけれども、それぞれの市町村で、実際、自分の町は何なんだろうかということがよくわからないままに対策を打ってもしようがない。

 私は、おっしゃるように、マクロとミクロ、そして今と将来というものがうまく整合するようにやらなきゃいけないと思っています。ただ、今自分の地域をというところからまず取り組んでいきたい。それから全体像はだんだんと見えてくるのだろうという、余りお答えになっていなくて恐縮ですが、委員がおっしゃっているような問題意識は、実は私もずっと悩んでおることで、今と将来、ミクロとマクロ、そこは整合するようにこれからやっていきたいと思っております。

大野分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、決して、東京だけがという話で申し上げたつもりはなくて、冒頭、大臣がおっしゃっていただいたとおり、一緒になって何かやらないといけない。国と各地方都市、それから東京、一緒になって、一緒の方向を目指していかなくちゃいけないんだろう、そんなことはすごく思う次第であります。

 ところで、一方で、では地元で、これは必ずしも私の地元ということではないんですけれども、いろいろ、首長さんやら地方の議員さんとお話をしておりました。結構、意識のギャップを感じたりするんです。何だかんだといっても、やはり金くれよというお話になってしまったり、まだまだ地方としては見える化ができていないからこんなことになるんだなとちょっと思う次第であります。

 では、同じ方向になって地域の方々がやっていただけるような環境をつくるために、一体どういう取り組みをされているのかなというのをちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方創生は、委員御指摘のように、人口減少克服に向けて、国と地方が危機意識を共有しながら連携して取り組む待ったなしの課題であると認識をしております。

 その意味では、地方公共団体はこれから地方版の総合戦略をつくっていただくわけでございますが、そういった危機意識の上に立って、主体的に取り組んでいただくことが重要でございまして、政府としても、そういう危機意識の醸成に向けて、さまざまな周知、説明に努めてきているところでございます。

 何点か具体的なことを申し上げさせていただきますと、国の総合戦略を閣議決定した当日には地方向けにも留意事項を通知したことを皮切りといたしまして、一月に、二回にわたりまして担当者の説明会を開催させていただきました。

 また、一月の十四日には、石破大臣名で、地方団体の首長さんあるいは議会議長さん宛てに書簡を発出いたしまして、地方版総合戦略の重要性、あるいは策定についての要請を行ったところでございます。

 そのほか、ブロック説明会ですとか、内閣府に地方創生推進室といった体制を整備いたしましたほかに、特に、市町村に直接情報伝達するような仕組みもつくりまして、認識ギャップができるだけ生じないように、今いろいろやっているところでございます。

 そういう中で、熱心に取り組まれている自治体さんからは、個別に自分たちの町の取り組みの御提案ですとかあるいは御相談、いろいろいただいておりますので、そういった重要性も、深まってきているのではないかと思っていますが、これからさらに、地方において、産業界、あるいは行政機関、教育機関、金融機関、労働団体、メディア、いわゆる産官学金労言、この参画もいただきながら地方版総合戦略をつくっていただけるよう、政府としてもしっかりと支援をしていきたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、今、政府としても、各市町村、県にいろいろな交流というかチャンネルを設けていただいて、一緒の方向を目指そう、こういう話であると思いますけれども、多分実際に地元で起きているのは、今、先行型の地方創生交付金が交付されたと思いますけれども、これはある種、人口割り、財政力割りということになっているんだと思うんです。来年、本格的な交付金に向けて、ではどういうものをしっかりとやっていこうか、こういう議論で、結局、各市町村あるいは県では、他県との、他市町村との競争、つまり、交付金が競争を生み出している。もちろん、今までもずっとやる気を持ってやられていたんだと思いますけれども、改めて、そういった意味で、やはり交付金をしっかりととっていかなくちゃいけないんだ、こういう力になっているんだと思います。

 これはこれですごくいいことではあるんだと思いますけれども、一方で、今すごく重要なのが、これは政府の方も随分おっしゃっている市町村の連携。連携をやはりしていかなくちゃいけないですね。特に、状況を見える化した上で、では戦略的にこういう連携をしていかなくちゃいけないんだ、そういうことだと思うんです。

 そこで、連携という意味ではどういった促進の政策をとられているのかというのをお伺いしたいんです。

 私自身は、これはきょうの最大の提案の一つなんですけれども、先行型の一部のうちに三百億の部分があると思いますけれども、この部分なんかは、連携を深めていくための使い方、つまり、連携する市町村と共同で提案をするならこれを出しますよとか、そういった方向でお使いになるのもいいんじゃないか、それは前から思っていることでございます。

 いずれにせよ、この連携についてお伺いをさせていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方創生の推進に当たりましては、地方団体間の連携協力、これが大事であると考えております。

 これまでも、地方向け説明会等を通じまして、地方版総合戦略の策定に当たりまして、例えば広域観光、あるいは都市農村交流、こういった個別施策での連携のほかに、例えば定住自立圏、連携中枢都市圏という圏域を設定いたしまして連携を進めていくようなことを地方にも助言をし、促してきたところでございます。

 委員今御指摘の、例の交付金の上乗せ分について御意見があったところでございますが、この上乗せ分につきましてはこれから制度設計をするところではございますが、今し方申し上げましたように、地域連携、これは重要な視点の一つだと考えておりますので、今後の上乗せ交付の検討の一環においても、今の視点も含めて検討を進めていきたいと考えております。

大野分科員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、地域間の連携というのは本当に必要だと思いますし、今の中核連携都市構想というのもあるやに伺っていますけれども、必ずしも地理的にということでもないんだと思います。もっと弾力的に、マーケットあるいは産業構造、そういったものの見える化をしっかりと進めて、戦略的に連携というのを深められれば、そんな思いでございますので、またお取り組みに御期待を申し上げております。

 もう一つ、私は見える化、見える化とずっと申し上げていましたけれども、見える化というのはどうやったら一番いいんだろうなとずっと思っていたところ、二年ぐらい前から中企庁が産業構造の分析ができるようなツールを開発しているんだ、こういう話を伺いました。

 ではというので、その議論に私も時々参加をさせていただいておりましたけれども、これは、地域経済分析システムということで、まち・ひと・しごと創生本部の地方の総合戦略をつくるに当たっての情報提供のツールということになっているんだと思います。今まで、多分、こういった見える化できるようなものを国が提供するなんということはなかったと思っています。本当に重要なツールだと思っています。

 このシステムについて、改めて大臣に、このツールの重要度というか、あるいは地方にこうやって使っていただきたいなという御認識や御知見を賜れればありがたいなと思っているんですが、いかがでございましょうか。

石破国務大臣 これは、委員御指摘のように、本邦初演の取り組みであります。

 地域経済分析というのは何をやるかというと、産業、人口、観光自治体比較ということにおいて、一体、我が町はどういう立ち位置にあるのだと。

 人、金、物は一体どこから入り、どこへ出ていくのであろうか。人というのは男性なのか女性なのか、一体どのような年齢がどのような理由によって出ていくのかということがわからないと、人口政策の打ちようがない。

 観光客でも、一体どこから来てどこへ出ていくのか、そしてどのようなルートをたどっていくのか、何でうちはとまってくれないで素通りなのかとか、いろいろなことは数字を見ないと、ああでもない、こうでもないと言っていてもしようもないお話でございます。

 これを可能な限り詳細なデータという形で自治体に御提供する。それが、猫に小判という言葉がいいかどうか知らないが、見ても何のことだかわかりませんではどうにもならないので、丁寧に説明会をやって、これはこのように読むのですというふうに、活用してもらわねばならぬ。

 今、政府委員が答弁をいたしましたように、これをやるに当たっては、役所、役場それから市役所だけで考えても仕方がなくて、産業に携わる人、学問に携わる人、あるいは労働関係に携わる人、言論に携わる人、金融に携わる人、みんなでそれを見て、これは一体どういうことなんだろうか、商売をやったことがない人間が考えてもしようもない話でございまして、そのようなことに最大限生かすようにしたい。

 そして、それは常にリニューアルというものをしていって、それの成果というものをきちんと、まさしく見える化ということをしていき、住民、納税者に何をやっているのかということがわかり、当事者意識を持っていただく、そのために活用したいと思っております。

 ですから、委員もこの作成についていろいろ御努力いただいていますが、ここを改善すべきだ、あそこはこうすべきだというような御指摘は、まさしく国民を代表する議員の皆様方からも賜りたいと思っております。

大野分科員 ありがとうございます。

 継続してフィードバックをしていかれるということでございますので、継続して開発はされるということだと理解をいたしました。

 私は、もともと中小企業政策、産業構造の分析という視点で見ておりましたので、まち・ひと・しごとというより地域の活性化というか地方創生という文脈においては、もう一段、機能を改めて追加していかなくちゃいけないんじゃないか。

 それは、一つは、例えば農業とかあるいは水産業とか、こういった一次産業の産業構造の分析も当然含めないといけないでしょうし、もうちょっと言えば、今、BツーBの分析だけになっておりますけれども、やはり、我が町のこの物を、こういうふうなここの産業と連携して、こういうマーケットに売れるんじゃないかというようなCの部分の分析というのも当然あってしかるべきなのかなと思うんです。これはかなり難しい話だと思います。

 もう一つ、ついでに言えば、海外とのマーケット、これはさらに難しくなるかと思いますけれども、一部ジェトロなんかが持っている、もっともっとマクロ的な問題意識、そういったものも、分析のツールとしては、一般に公知されているようなものであっても、このツールに入れることによって見えるものが違ってくるんじゃないか、そんな思いでございます。

 あとは、観光であればJNTOとか、あるいは不動産とか、不動産はレインズだったかな、ちょっと名前は忘れましたけれども、そういったビッグデータもあると思いますので、ぜひいろいろなものを追加していく。

 もう一つ、改めて言えば、このツールを使う自治体としては、一体こういうことをやったらどうなるんだろうかということをやはり知りたいと思うんですね。要するに、過去にほかの市町村がやられた事例を時系列でデータで持っておけば、ああ、こういうことをやったらこういうふうになるんだということがわかるようになるんだと思うんです。

 こういったものをどんどん追加いただければと思うんですけれども、この展望について何か御知見を賜れればと思いますが、いかがでございましょうか。

若井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域は大変多様でございますので、この多様な地域におきまして地方創生を力強く実現していくというために、農林水産業でございますとか観光業、医療、福祉産業、それぞれに極めて重要な分野があるわけでございますから、こういったものについてのデータを充実していくということは非常に重要なことであるというふうに私どもも考えてございます。

 私ども、この地域経済分析システムにつきましては、来年度における第二期の開発も予定してございます。そういった中で、地方自治体のいろいろな御要望を承りながら、そしてそれがどういうふうに役に立つのかということをよく考えながら、委員の御指摘も踏まえて、前向きに検討させていただきたい、このように考えてございます。

大野分科員 時間が参りましたので、これにて終わらせていただきたいと思いますけれども、この地域経済分析システムは本当に重要だと思いますので、ぜひ今後とも頑張ってやっていただければと思います。

 ありがとうございました。

平沢主査 これにて大野敬太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上貴博君。

井上(貴)分科員 自由民主党、福岡一区の井上貴博です。

 このたびは、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は、国家戦略特区における法人税減税についてどのような試みができるか、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 安倍政権は、成長戦略の柱として、法人税減税について、来年度から数年間で現在の三五%台から二〇%台に引き下げる方針を閣議決定し、これを受けて、与党税調は、昨年末、来年度の国と地方に納める法人実効税率を、二〇一五年度と一六年度の二年間で三・二九%引き下げることを決めています。

 昨年五月、福岡市が国家戦略特区に指定をしていただきました。本当にありがとうございました。福岡市の国家戦略特別区域会議においては、安倍総理が掲げられる世界で一番ビジネスがしやすい環境の実現に向けて、主に雇用、創業に関する規制改革についての議論がなされています。

 昨年、内閣府から特区に関する税制改正が幾つか提案され、エンジェル税制の要件緩和など、一部実現されたことは、特区推進のための環境整備が整えられたと、高く評価しているものであります。

 しかしながら、福岡市の区域会議における議論を踏まえて提案された、国家戦略特区における創業五年以内の一定の企業に対する法人税の軽減措置、いわゆるスタートアップ法人減税の創設については、残念ながら実現には至らなかった状況にあります。

 それでは、内閣府から財務省に対して税制改正要望されておりましたスタートアップ法人減税についての質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、このスタートアップ法人減税の意義と概要をお聞かせいただきたいというふうに思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のスタートアップ法人減税でございますが、ベンチャー企業等の創業及び成長を促進するという観点から、平成二十七年度の税制改正プロセスにおきまして、まさに御指摘がございましたように、福岡市の区域会議などからの御要望というものを踏まえまして、私ども内閣府より、国家戦略特区内において、創業五年以内の一定の企業に対する法人税の軽減措置ということで創設の要望を行わせていただいた、こういうものでございます。

 以上でございます。

井上(貴)分科員 今御説明があったとおりでありまして、国家戦略特区は全国六カ所が指定されておりますけれども、その成果は全国に広げられているという状況を聞いております。

 私は、大胆な規制改革等を実行するための突破口である国家戦略特区には思い切った規制緩和や税制上の特例措置が必要だと考えますが、特区だけに減税が適用され不平等ではないか、一国二制度ではないかということもよく耳にいたします。この点についてはどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

 また、減税の適用されない既存の企業や特区以外の企業への影響をお聞かせください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区における税制でございますが、もちろん、委員御指摘のとおり、特区に指定されなかった地域でございますとか、また特区内でございましても税制の適用対象とならない企業が出てまいろうかと思います。それらのバランスも当然に配慮する必要はあろうかと思いますし、昨年末の与党の税制大綱にもかよう記入がされておるところでございます。

 ただ、その上で、御指摘のように、特区だけに減税が適用されて不公平でないかとか、また一国二制度ではないかなどの御懸念を解消するような制度設計、こういうものが必要である、考えていかなければならないものであろうと考えております。

 なお、もちろん、減税の適用されない既存企業でございますとか特区以外の企業への影響というものもございますが、これは恐らく、先ほど申し上げました制度設計次第というようなことであろうかと思っております。

 以上でございます。

井上(貴)分科員 今説明いただいたとおり、いろいろな諸課題はあるかというふうには思っています。ですけれども、国家戦略特区と言われているものを国家がつくり、そしてそれを実行させていくためには、やはりここが突破口になるんだという意識を持って我々も提案をさせていただきましたし、それに対して政府も本当にいろいろな形でサポートもしていただきました。だからこそ、ここが、ここからが正念場だというふうに思っております。

 先ほど述べましたとおり、オール・ジャパンの法人実効税率が引き下げられている中、国家戦略特区だけにさらに減税する必要があるのかということもよく耳にいたしますし、そういうふうに言われることもよくあります。

 私は、国全体の法人実効税率の引き下げとともに、国家戦略特区、国家戦略のみ柱として、特区の創業企業に限って行うこのスタートアップ法人減税が相乗効果を生んで、そして、安倍政権が本気で成長戦略に取り組んでいくということを世界に発信する大きな材料になるんだと確信しています。

 この点についてお聞かせください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府といたしましても、まさに御指摘のように、国家戦略特区の目的は、国際競争力の強化等々さまざまございますけれども、その中で、世界で一番ビジネスのしやすい環境の創出というものを目指すべきだということを考えておるところでございます。その目的のために、ベンチャー企業等の創業及び成長を促進する環境を整備する観点から、昨年、税制改正要望を行わせていただいたものでございます。

 まさに、例えば御指摘の福岡、雇用、創業の特区でございますので、これは税制だけではございませんが、現在の国家戦略特区法においても、初期メニューといたしまして雇用労働相談センターというものを創設させていただきまして、また、福岡市ではつとにジョブカフェとして創設していただいたというようなこととなっております。

 またさらに、さきの臨時国会で残念ながら廃案となりました法案の中の、法人設立手続の簡素化でございますとか迅速化のためのワンストップセンターも盛り込んだ改正法案を本通常国会にも提出させていただくよう準備を進めているところでございます。

 引き続きまして、かような手段を講じまして成長戦略というものに取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。

 以上でございます。

井上(貴)分科員 ありがとうございます。

 ここが突破口となって、今お話しになられたような法改正もひっくるめて御尽力をいただければありがたいというふうに思っています。

 その中で、この減税が適用される法人には制限があるのか。それから、特区に限った減税であれば、脱税それから悪用というようなことが考えられるケースが出てくるのではないかという不安を持った方々もいらっしゃいます。実際これをやるに当たっての問題点などをお聞かせいただければありがたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 まだ、今現在制度は創設されていないわけでございますが、仮に制度を創設する場合の御質問だと受けとめております。

 まさに先生御指摘のとおり、恐らく、税を創設する場合のいろいろな要件と制度設計というものにかかわってくる問題だと思いますけれども、やはり、特定の企業に例えば法人税を優遇するというような場合、一種脱税を企画したような実態の伴わない法人というものが設立されたり、一種悪用と申しますか、そういう懸念は当然あろうかと思います。

 したがいまして、そういう悪用を防止する手だてを講じるために、法人の実態などを税の適用過程でよく把握して、租税回避などの悪用を防止するような制度設計というものを考えていく必要があろう、以上、考えておるところでございます。

井上(貴)分科員 ありがとうございます。

 このスタートアップ減税ですけれども、要は、五年間というのがみそでありまして、起業してからの五年間、これが、余りまだ法人税を納める状況にない、立ち上がったばかりの企業ですから、法人税はほとんど納めていないと言われております。実態をお聞かせいただきたいと思います。

 スタートアップ減税を実際に実施して、創業五年間の法人税率をシンガポール並みの一七%にした場合、減収額はどのくらいになるかをお聞かせください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 スタートアップ法人減税を実施した場合の、しかもそれを創業五年間の企業に限った場合の減収額というお尋ねでございます。

 私どもも、昨年の要望時にいろいろと計算をさせていただいたわけでございます。中小企業統計によりまして、全中小企業のうちの創業五年以内の企業数でございますとか従業員規模等々を、これは大企業の子会社というものはちょっと趣旨が違うと思いましたので省いて計算させていただいたわけでございますが、仮に実効税率を二〇%とした場合、六特区全体の減収額、一定の推計をしたところ、約四・五億円程度というように試算を行わせていただいたところでございます。

 以上でございます。

井上(貴)分科員 そうなんですよ。このスタートアップをやっても、法人税収というのは、通常どおり納めてもほとんど払っていない、実質上、国家戦略特区をとっている六都市であっても、要は、国税で四・五億円、地方税では六・四億円しか税収はないんですね。

 ですから、そういう面では、国家戦略特区というもののスタートアップに関しては、シンガポール並みの一七%にしたとしても、国税上それから地方税上においても影響が大きいというような状況ではないというのは、今の数字でも御理解いただけたものだというふうに思います。

 そういう中で、逆に、このスタートアップの減税をやった場合に、対日投資の増加、それから雇用創出、どういう効果が生まれるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のようなスタートアップ企業を税制によって支援した場合ということでございますが、設立についての支援措置を行った場合、これは恐らく、海外から新たに日本に日本法人をつくって立地する企業も対象として入れた場合でございますが、一般的には、当然、経済規模に比べて非常におくれておると言われておる対日投資の増加、また、もちろん雇用も一定の要件とする制度設計をした場合に雇用創出という効果が、御指摘のように、これは具体的に、定量的には、制度設計にもよりますので、現在すぐにお答えするのはなかなか難しいものであろうとは思っておりますが、かような効果が見込まれるものというように考えております。

 以上でございます。

井上(貴)分科員 数字上で本当は知りたかったかったんです。ですけれども、今、四・五億円、六億円ぐらいの税収見込みがなくなる分と、このスタートアップによって対日投資やそれから雇用創出のことを考えると、莫大なプラスになるのではないかというふうに想定されていますし、本当に、安倍総理が掲げられる世界で一番ビジネスがしやすい環境、これは総理がお話しになられたわけですから、その方向に向けて何らかの結果を我々は出していかなければいけないものだというふうに思っています。

 ですからこそ、このスタートアップというのは、小さな投資で大きな効果を生むという面では、我々は、福岡だけの問題ではなくて全体的にも、もし福岡が成功すれば、全国の千八百市町村が同じようにやってもらえればいいんだというふうに僕は思って、提案をさせていただいています。

 その中で、国家戦略特区においてのこのスタートアップ法人減税を試験的に実施して、これまでのお話のように、非常に小さな税収額であるのにもかかわらず、対日投資の増加や海外進出の企業の国内回帰による税収の増、それから雇用創出、これは大きい効果が生まれるものだというふうに思っています。安倍政権が第三の矢としての成長戦略に本気で取り組んでいるというのを世界にアピールする絶好のチャンスだというふうに考えています。

 また、国内にとどまらず世界から評価を受ければ、スタートアップ法人減税は、国家戦略特区のみならず、今お話ししましたように、オール・ジャパンの法人実効税率の引き下げにつながっていくものだというふうに思っています。

 この五年間というのが、全国的にも、そんなに多く法人税を払っているものではないというのがわかっているわけですから、スタートの段階の五年間はこういう措置をとって、そして五年後はちゃんと、数年後に払うであろう二〇%台の法人税を納めてもらえばいいわけですから、そうやって、まず小さな芽を、種をまいて、そして大きく育てるというような状況をつくっていただけるとありがたいというふうに思っています。

 福岡市も、雇用と創業に関しては、規制改革の検討をしていく中で、その目玉としてこのスタートアップ減税を引き続き検討していきたいと考えております。これが実現すれば、先ほどからお話ししましたけれども、安倍総理が掲げる世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出することができます。そして、成長戦略の大きな柱になる魅力的な政策だと私は考えています。ぜひとも政府として、この政策実現に向けて、福岡市と共同歩調で前向きに御検討いただければありがたいというふうに思っています。

 最後に、今後もこのスタートアップ減税を進めていく上で、政府としての御意見を石破大臣にお聞かせいただければありがたいというふうに思います。

石破国務大臣 これは、市長のお話を何度も承りました。私は、その市長の御主張というのはそれぞれごもっともな点があって、福岡が置かれた地理的な優位性というんですか、大陸に近い、アジアに近い、そして福岡の方々の進取の気風というものを最大限に生かすということで、非常に魅力的なお話だと思って承ったのです。

 ただ、今、政府委員が答弁をいたしましたように、そうすると、一国二制度ではないかとか、そういうお話が出る。そうすると、いやいや、減税額というのはわずかなものですと、こういう話になるんですが、いや、額の問題じゃない、そもそも制度として、法人税というものにおいて一国二制度はどうなんだいというお話になって、議論はまだ収れんをしていないということでございます。

 ですから、委員御指摘のように、これでおしまいというお話ではなくて、これから先、いろいろな懸念されることをどのようにして解消していくかということですが、お話は、多分、次は法人税減税一般論に行くんだろうと思っています。

 法人税減税というものをやることについては、政府として方向性は定まっているところなのですが、一方において、ではどうやって課税の裾野を広げるべきなのかというお話がある。もう一方において、いやしかしだな、しばらくは政策的な、つまり、いろいろな努力を行った企業に対して減税をするものであって、何もしていないところにそもそも減税をするというのは政策的な効果としていかがなもんかい、こういうお話がありまして、そういう議論を詰めていく必要はあるんだろうと思っております。

 ただ、アジアの国々とこれから先競争していく上において、それと対等の税制というものをしく必要はあるというような見解には、私ども、もっと耳を傾けるべきなのかなと個人的には思っております。

 くだくだ申し上げましたが、平成二十七年度税制改正におきましては、創業支援、国家戦略特区でございますが、そこにおきましたエンジェル税制、いわゆる一定の黒字企業でも対象となるような、そういうエンジェル税制の拡充というものを行うことにしております。ですので、何もしないわけではなくて、これを御活用いただくことによってスタートアップ企業の成長促進にはプラスになるというふうに思っております。ですので、まず、このような税制をきちんと活用いただくということが重要でございます。

 今、二十七年度税制改正の審議が行われておりますので、私からその御要望について具体的に言及することは避けさせていただきたいと思っておりますが、福岡のいろいろな取り組みというのは、多分、日本全体を変えていく取り組みなんだろうと思っております。この機を逸することなく、私どもはこれを生かしていきたいと思っておりますので、福岡市長を初め、あるいは福岡の商工会議所関係の皆様方、あるいは井上議員を初めとする地域を代表する方々、そういう方々の御意見を聞きながら、日本全体というものが、安倍政権が目指します活力ある日本社会、第三の矢というものを実現するために、これから先も大きなお力を発揮していただきたいと思っております。

 今後ともよろしくお願い申し上げます。

井上(貴)分科員 石破大臣、本当にありがとうございます。

 今お話しになられましたとおり、さまざまな諸課題はあることは十分承知しております。そういう中で、これから、アジアと本当に経済的に戦っていかなければいけません。日々、そういう状況下の中でビジネスはもう行われておりまして、そういう中で、福岡は、特にアジアに近いというか、アジアと融合した状況下の中で生活しております。福岡が、間違いなくこれから日本の牽引をしていく一つの都市になり得る地理的な要因もあるというふうに思っています。

 このスタートアップ法人税減税は、今回、福岡市が提案をさせていただきましたけれども、福岡市だけが企業がどんどん来てくれればいいというような提案ではありませんで、これは突破口で、創業五年間は、全国の千八百市町村が将来、全部が一七%のシンガポール並みになったらいい。それを、福岡がまず突破口を開いて、そして、五年間は、まだ法人税が払えない企業に関しては、創業に関してサポートし、六年以降はきちっと法人税を、将来二九%払っていただくという状況をつくっていければいいというふうに思っていまして、私は、この福岡のスタートアップ法人税減税に関しては、自分のところの福岡だけがよくなればいいなんというような提案ではないということを最後に話しておきたいというふうに思っています。

 このことを踏まえて、日本の成長につなげていくために、また秋の税調でも議論をさせていただいて、ぜひ、この法人税減税を使って、日本をもう一度、ビジネスがしやすい環境をつくっていくように努力をしたいと思います。どうか、それにまた御尽力をいただければありがたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

平沢主査 これにて井上貴博君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山分科員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 二年ぶりに戻ってまいりましたものですから、少しまだブランクがありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最初に、ISILによる日本人人質事件に関連したことをお尋ねしたいと思います。

 安倍総理は、国会答弁で、二〇一四年八月十六日付でヨルダンに日本人人質事件現地対策本部を立ち上げたということで述べておりますけれども、この初動の時点におきまして、本省から現地に対して、日本人人質事件現地対策本部、どのような指示が出て、そしてどのような現地対策本部が立ち上がったのか。これは初動の一番最初の大切な時期だったと思いますが、これについて御答弁をお願いしたいと思います。

鈴木(哲)政府参考人 お答えいたします。

 昨年の八月十六日の夜でございますが、湯川さんが行方不明になったという情報を認知いたしました。これを受けまして、現地においては、シリアから退避をしているシリア大使館臨時事務所、これがヨルダンの大使館の中に入っておりますので、その臨時事務所の馬越シリア臨時代理大使を長としまして、アラブ、イスラムの専門家を中心とした現地対策本部を設置、立ち上げをしたところでございます。

 ヨルダンに現地対策本部を置いた理由としましては、シリアの治安が極めて危険な状況にあるということで現地で直接情報収集ができないこと、それから、ヨルダンが情報収集の拠点であるということから考慮したものでございます。

 一方、外務本省におきましては、現地からの報告を受けまして、官邸を含めて速やかに報告を行いました。総理に対しても、総理秘書官を通じて報告をいたしまして、総理からは、情報収集に全力を挙げることと、邦人の保護を最優先に対応するという御指示をいただいたところでございます。

 外務省におきましては、これを受けて速やかに、三好領事局長を長とする対策室を立ち上げ、先ほどの総理の指示を現地の対策本部に伝えるとともに、一緒に情報収集等に当たったところでございます。

小山分科員 わかりました。

 次に、災害対策、津波対策についてお伺いしたいと思います。

 特に、津波対策ということになりますと、一番望ましいのはやはり、津波堤防を構築して、その津波堤防でしっかり津波を防いでいくということができれば一番いいわけですけれども、津波堤防の構築については、一義的には県が対応するということとなっております。

 しかしながら、東海地震、南海トラフ地震が懸念をされております静岡県の例えば遠州灘の津波対策につきましては、静岡県の予算規模でこれに対応するというのは、規模からして困難な状況である。震源地から遠い天竜川西岸の浜松市のような政令市であれば、市としての規模も大きいですし、また企業からの三百億円の寄附というものもありまして、整備が進んでおります。これは、L2にも対応できるような、かなり立派な津波堤防であるということです。

 一方で、天竜川の東岸、より想定震源地に近い地域におきましては、磐田、袋井、掛川、御前崎と地方自治体も四市にまたがりまして、一致した対応をするには、自治体間の調整もなかなか困難であるということで、難しい。また、住民、経済界からの寄附もありますけれども、なかなか、三百億円もぼんと出すような、こういう寄附をする企業もありませんでして、なかなか十分な金額を準備できていないという状況でございます。

 これは静岡県の例ではありますけれども、静岡県に限らず、国として津波堤防構築に対して支援をする必要もあると考えておりますけれども、現時点においてどのような対策を行っておりますでしょうか。

 いわゆるL1の津波に対する防災・安全交付金制度がありますけれども、例えば、この制度を利用しつつ、二階建てのような形になるかもしれませんが、L2にも対応できる堤防強化部分を地方自治体が支出して、全体としてL2の津波に対応する対策、津波堤防をつくっていくというようなことは可能であるかどうか、こういったことについて御答弁をいただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えをいたします。

 海岸堤防につきましては、中央防災会議で見直された防災基本計画において、比較的発生頻度の高い一定程度の津波、いわゆるL1津波に対して整備を進めることとされたところでございまして、遠州灘沿岸の海岸管理者である静岡県からは、今後、L1の津波の高さまでの堤防のかさ上げを行うということと、津波が堤防を乗り越えた場合にも粘り強く効果を発揮する構造に改良する予定であるというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、政府の基本的な考え方も踏まえまして、財政制約等ございますけれども、L1の津波の高さまで、ここまで堤防の整備に交付金による財政支援を充てるということで支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

小山分科員 堤防については、現時点でも、林野庁の管轄で、防風林を守るための堤防というのがある。しかしながら、これが高波で、三百メーター、波にさらわれて流されてしまった。高波で流される堤防が津波に対応できるんだろうか。これは、コンクリートでしっかり補強してあれば、少なくともさらわれて流されちゃうということはないと思うんですけれども、この三百メートルのところについては、復元をするのにまだ二年、三年かかってしまう。非常にこういった心もとないところもありますので、少なくとも、L1ということであっても、今ある堤防の構造強化ということもぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 また、関連しまして、例えば、東海地震財特法、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、地防法の内容、これは両方とも議員立法でございますけれども、こういった地防法、東海地震財特法の内容を一部修正いたしまして津波堤防構築に予算を配分するといったことは、これは議員立法ですけれども、法律を改正すれば可能なんでしょうか。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる東海エリアを主とした地震財特法、さらに全国を対象とする地防法、このいずれも、地震そのものに対する防災対策として、消防用施設あるいは公立小中学校の耐震化などを国庫補助のかさ上げ対象といたしておりまして、津波による被害を軽減するための堤防施設についてはその対象とはされていないところでございます。

 この対象施設についてですが、いわゆる防災関連施設としては道路や港湾などの広範囲にわたりますけれども、道路や港湾の整備そのものはまさに公共事業そのものでございまして、地方公共団体が実施すべき事業ということで、かさ上げの対象とはされず、緊急に整備が必要な、インセンティブが必要な消防用施設あるいは小中学校の耐震化などが現在も対象とされているところでございます。

 一方で、南海トラフ法がございまして、これは津波避難対策を主眼といたしております。ただ、この南海トラフ法でも、堤防施設については国庫補助の対象ではございませんで、避難場所あるいは避難経路のみがその対象とされております。

 内閣府としては、津波による人的、物的被害を最小限に防止するため、津波堤防等の整備につきましても本来の公共事業として重要と考えておりまして、関係省庁との連携のもと、防災・安全交付金の確保など、しっかりと取り組んでまいります。

小山分科員 津波堤防の構築というのは、津波というのは実際に来てみないとわからないというところはございますけれども、堤防をつくることで、今、地価も非常にこの沿岸部は下がっております、こういった経済面、あるいは住民の心の不安といったものを取り除くというような効果もあろうかと思っております。一番いいのは、津波を堤防で防いで一切被害が出ないということが一番理想ではあると思うものですから、もちろん、コストとの関連性はあるんですけれども、堤防の整備にもぜひこれからも力を尽くしていただきたいと思います。

 次に、GPIFのポートフォリオについてお伺いをしたいと思います。

 株式運用比率を二五%から五〇%にふやすという変更が行われておりますが、これに伴って、運用のリスク管理、ガバナンス体制というものも、当然、リスクも大変高まってくるわけですから、それに対応した変更というものも行われているかと思います。どのような対策あるいは体制の変更というものを行われているか、御答弁願います。

山崎(伸)政府参考人 お答え申し上げます。

 年金積立金の管理運用は、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行われるものでございまして、年金財政上必要な利回りを確保しつつ、債券や株式等の価格変動に対し、分散投資によってリスクを抑えた運用を行っているところでございます。

 また、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFでは、株式運用は全て運用受託機関を通じて行っておりまして、この運用受託機関の選定、管理においては、GPIF法が定める受託者責任を果たすよう、リスク管理等を行っております。

 さらに、昨年十月に公表いたしました御指摘の基本ポートフォリオの見直しにあわせまして、運用委員会から建議が行われまして、GPIFにおきまして、必要なガバナンス体制の強化に取り組んでいると承知いたしております。

 具体的に申し上げますと、まず、内部統制の強化を図るために、GPIFを監視する運用委員会に新たにガバナンス会議を設置いたしまして、投資原則や行動規範の策定を進めております。執行部におきましても、コンプライアンスオフィサーという役職を新設いたしました。また、リスク管理体制の強化を図りますために、マクロ経済分析や市場予測に係る体制の強化、運用資産と年金給付の両面を一体的に分析するリスク管理ツールの導入、さらに専門人材の強化などを進めていると承知しているところでございます。

小山分科員 今、対応中、制度整備中ということで、また、いろいろな専門家の方も入って、極力このリスクを管理して、また、運用の失敗ということがないようにということで御尽力されているということは、その御尽力の努力というものはわかりました。

 ただ、私も金融機関に勤めた経験がございます。そういった中で、私の勤めていた金融機関も、農林中央金庫ですけれども、大変運用をやっておりました。研修等で運用のリスク管理体制を聞いたときには、本当にいろいろな委員会があって、また、失敗がないようにということでやっておりましたけれども、それでもリーマン・ショックのような大きな株価の変動が来ると、当時も世間から、国会でも国会審議の俎上に上げられるような批判を受けたことがございました。

 ですので、やはり私は、大切な年金資産でございますので、でき得る限り、株式運用の比率を著しく高めること自体、控えていくべきではないかなというふうに考えております。今後とも御尽力をお願いいたします。

 次に、協同組合関係のことについてお伺いをしていきたいと思います。

 イギリスや韓国では、二〇一二年、国際協同組合年に合わせて協同組合基本法が成立し、特に韓国では小規模協同組合も設立しやすくなりました。この点では、日本は一歩おくれてしまっております。当時、民主党政権は野田政権でございましたけれども、これは本当に、こういった協同組合基本法等がこの年にできなかった、協同組合憲章も制定できなかったということは、大変残念に思っております。

 この協同組合憲章やあるいは各協同組合共通の協同組合基本法というものを制定すべきじゃないかということが、国際協同組合年実行委員会からも示されておりますし、また、小規模協同組合の設立も促進すべきというようなことが求められていると思っております。この点は私は現在でも特に情勢は変わっていないと考えておりますけれども、これらの小規模協同組合の設立や、各協同組合を横串で貫く協同組合憲章あるいは協同組合基本法の必要性、制定について、政府の認識をお尋ねしたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、農業協同組合、消費者生活協同組合、信用金庫、信用組合などさまざまな協同組合が存在しておりまして、事業内容ごとに個別の法律で、個々の、おのおのの協同組合が規定されているという状況でございます。

 このため、まずは、各協同組合を所管する省庁がそれぞれの組合が抱える課題に適切に対処していくことが基本と考えております。

小山分科員 確かに、各所管省庁のということは大事なことだと思います。しかしながら、例えば今いろいろと准組合員の制度なども議論になっておりますけれども、農協は農協で、支所の統廃合などを行って、地方ではこの経営がさらにスリムになるということが要求される。漁協は漁協で、これも大変、店舗の統廃合も行って、水揚げ高も減っていく中で、支所も統廃合されていく。森林組合も、今大変合併も進んでおりますけれども、非常に支所等も少なくなっていく。こういう中で、実は、それぞれがばらばらにやっていると、それぞれが先細りになっていくというようなこともございます。

 そういった中で、本当の農山村、こういった地域というものを支えていくというには、むしろ一つの連携をしていく、あるいはかなり先の将来においては、生命産業共同体あるいは地域協同組合、こういった発想というものもこれから必要になってくるのではないか、そんなことも私は考えております。

 そういった観点からも、やはり、今まではそれぞれの所管省庁で各協同組合というものを所管してやってくるという、これも大事なことですけれども、それにプラスして、協同組合そのものをいかに振興していくかという視点もこれからは必要になってくるのではないかと考えておるところでございます。

 そして、民主党政権におきましては、NPOやNGO、労働組合、協同組合等の非営利団体を新しい公共と名づけまして、行政組織が担ってきた公共の一部を彼らが担うことも期待して、これらの非営利団体が活発に活動することを支援いたしました。これは、その前の政権からも取り組みがなかったことではないと認識をいたしております。特にその部分を強調したということだと思います。

 この新しい公共というものですけれども、この考え方、あるいは非営利団体への活発な活動支援の姿勢というものは、現政権においては、継続されていたり、受け継がれているというようなこと、あるいは、ここは考え方が変わって、特にこれはもうなくなっているというようなことについての現状について、御答弁をお願いしたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘の点、結論から言えば、受け継いでいるということになります。

 内閣府では、経済財政担当大臣、つまり私のもとに、有識者から成る共助社会づくり懇談会を設置いたしました。中京大学の奥野先生に座長をやっていただいているわけでありますが、平成二十五年の四月にこれを設置しまして、我々が目指すべき経済社会の実現に向けて、自助の精神に立ちながらも、御指摘のような共助の精神でともに助け合い、支え合うことが重要であると考えまして、共助社会のあり方について審議を行ってきておりまして、近々報告書を取りまとめて公表する予定であります。

 審議会におきましては、共助社会づくりを進めるに当たりまして、これまで地域社会において重要な役割を担ってきた自治会であるとかあるいは消防団、商店街等はもとより、委員御指摘のNPOを初めとした公益的な活動を行っている法人等、さらには民間企業、ソーシャルビジネス事業者、金融機関、教育機関、行政といったさまざまな主体、そして地域住民一人一人がその担い手であり、共助社会づくりの当事者であるという意識を全ての人が共有することの重要性が指摘されてきているところであります。

 政府といたしましても、共助社会づくりの実現に向けて、関係者と連携をしつつ、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

小山分科員 大変いい御答弁をいただきました。

 新しい公共というような名前で、当時の鳩山由紀夫総理が大変力を入れた政策でありました。鳩山元総理には人格否定的な発言や批判報道が大変目立っておりますけれども、また、批判されるべき点もあったかとは思いますが、かの鳩山内閣の方針も、その後の民主党政権のみならず、安倍政権も引き継いでいただいているというような御答弁もいただきまして、政権がかわっても、よいものはよい、継続されるものは継続されていく。政権交代というものが今後起こり得るこういう時代においては、このような引き継ぎというもの、当然出てくると思いますし、これ自体は私はいいことだと思っております。

 願わくは、やじの飛ばし合いとか足の引っ張り合いみたいな政治からだんだん脱却をしていって、もちろん、考えの違いはある、立場の違いというものは当然あるわけですけれども、そういったものを、敬意を持ちつつ、異論をお互いにというかそれぞれが唱えていく、こういう建設的な国会、青臭いようなことを申し上げますけれども、そういう政治に近づいていくべきだと思います。

 また、今、民主党の方では共生社会、共生ということを議論しておりますけれども、共助社会というところともかなり近い議論もあるのかな。ですから、日本全体として今必要な方向性というのは、ある程度共通の認識というものも生まれてきているのではないか。こういったもの、共通認識を一つの土台にして、今後、与野党間あるいは国民全体の中で議論を深めていく必要があろうかと思っております。

 また、協同組合に関連しまして、二〇一二年に発表されました国際協同組合年に関する政府広報オンラインにおいて、政府は協同組合の活動を後押ししていきます等々の広報がなされております。この政府広報オンラインに示された協同組合に対する姿勢や方針というものは、現在でも踏襲されておりますでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、二〇一二年の国際協同組合年が協同組合の認知度の向上につながることを期待いたしまして、二〇一二年に「協同組合がよりよい社会を築きます〜二〇一二年は国連の定めた国際協同組合年〜」といたしました政府広報オンラインの記事を掲載したところでございます。

 この記事の中には、協同組合を後押しするに当たっての留意事項など政府の基本的な考え方を示したところでございますが、この基本的な考え方につきましては現在においても変わっておりません。

小山分科員 政府広報オンラインでは、協同組合が地域社会の持続的発展への貢献を重視ということも述べられております。

 今、農協法の関係で准組合員制度の議論もされておりますけれども、農協は協同組合として、農業者だけの組合、法律上は農業者が正組合員ということになっておりますけれども、それだけではなくて、やはり協同組合として、地域の持続的発展に貢献する存在でもあり、また、ますます今後、地域のインフラとしての役割というものも期待されているところだと思います。

 農協の前身である産業組合は、農業協同組合ではなくて農村協同組合として、地域協同組合でございました。これが戦時中の統制の中で、それこそ農会と一緒になったりというような歴史もあるんですけれども、そのことはおきまして、この政府オンラインを踏まえまして、今後、准組合員の議論が進むことを期待したいと思います。

 また、協同組合の価値と原則の尊重がうたわれておりますから、もともと組織体や組織の原理というものが株式会社とかそういったものとは違いますので、イコールフッティングという言葉も非常に使われますけれども、これはもともと組織原理等が違うわけですから安易に使われるべきではないと思いますし、またイコールフッティングも、何をもってイコールとするのかということが大事になってくる。全く一緒だったら株式会社になればいいわけですから、そこは違う原理で動いているところを、ぜひ、この政府広報オンラインも含めて踏まえた上で、今後の議論というものが展開されることを期待していきたいと考えております。

 次に、医療についてお尋ねしたいと思います。

 二次医療の救急病院等の大規模病院が、市民からの要望ということもあるでしょうし、また大規模病院の収益増加ということもありまして、風邪等の軽度な救急患者も受け入れて、二次医療、重症の患者への対応に専念できなくなっているという事例がございます。

 今後は、軽度の救急患者については開業医等が対応して、また大病院は二次医療を中心に行っていくというような役割分担ということが必要になってくるかと思っておりますが、経営ということからしますと、二次医療の大規模病院の経営が不安定にならないように、保険の点数のつけ方等の工夫がこれからますます必要かな、求められていると考えておりますけれども、政府の認識について伺いたいと思います。

吉田(学)政府参考人 委員御指摘いただきましたような医療機関の役割分担、医療機関間の機能分化と連携を進めるということは重要であると私どもも感じておりまして、診療報酬などにおいてこれまでもさまざま取り組ませていただいております。

 具体的には、一定規模以上の病院で紹介状なしに受診された患者さんなどについて初診料などを低く設定するとか、あるいは医療機関が患者さんから特別の料金を徴収することができるようにするというようなこと、大病院では専門的な診療等を担っていただいて、軽症の患者さんはまず診療所などを受診していただくようなことを促す仕組みを設けております。

 また、大病院等に対する診療報酬の評価としましては、前回の平成二十六年の診療報酬改定において、体制が充実して高い機能を有する特定集中治療室、いわゆるICUについて、より高い点数をつけるとか、あるいは全身麻酔による手術や放射線治療などが一定数以上にあるなど高度な急性期の医療を担っていただいている医療機関について、より高い点数を評価するということなど、医療機関それぞれの特性に応じた評価を行ってまいりました。

 また、今国会に法案を提出させていただいております医療保険制度改革の中には、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担を導入するというようなことを盛り込んでおりまして、外来あるいは医療機関間の機能分化を進めたいというふうに私どもも思っております。

 今後とも、それぞれの医療機関が適切に機能を発揮いただけるように、診療報酬については中央社会保険医療協議会において検討してまいりたいと思っております。

小山分科員 では、最後に一問、もし時間があればお願いします。

 中国へのお茶の輸出について、中国は日本茶についての放射性物質検査証明書を要求しておりますが、この証明書の様式について日本政府と中国政府の間では合意がなされておらず、実質的に中国に茶葉を輸出できない状態にあります。このような状況について、現在どのような交渉を行っているか、進展状況についてお尋ねしたいと思います。

長谷部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございましたお茶を含め、中国向けの日本産食品の輸出につきましては、平成二十三年三月の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故によりまして、現在、福島県等十の都県産のものが全面的に停止されておりまして、それ以外の道府県からのものにつきましても条件つきで認められている状況でございます。

 しかし、条件つきで輸出が認められている道府県でありましても、青果物、お茶等につきましては、輸出の条件となっております放射性物質検査証明書の様式がいまだに合意できておりませんで、当方から累次にわたる要請を行っておりますが、政府間の協議の場を設けることさえ困難な状況にございます。

 中国は日本産食品の重要な輸出先国の一つでございますので、一刻も早く協議を再開いたしまして、放射性物質検査証明書の様式を合意するとともに、全面的に輸入停止となっております十都県からの輸出を再開できますよう、引き続き、あらゆる機会を通じて中国側に粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。

小山分科員 ぜひ、今後とも御尽力をお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

平沢主査 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、田畑裕明君。

田畑分科員 おはようございます。自民党の田畑裕明でございます。

 第一分科会でこうして質問の機会をいただきまして、大変ありがたく、感謝申し上げる次第でございます。

 有村大臣にも、本当にお忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございます。大臣には子供の貧困対策について質問をさせていただきたいと思う次第でございます。

 ちょうど今、三月、この時期は卒業のシーズンでもありますし、私の地元では、きょうは公立高校の入試も行われているわけでありまして、それぞれ年代年代によって、この三月、四月は、お別れ、そしてまた出会いの季節、またスタートするような季節でもなかろうかと思います。一人でも貧困から脱却をして、自分の未来に明るい夢を持って活動できる子供たちを、国としてもしっかりセーフティーネットを張って、助けていただきたいと思う次第でございます。

 それでは、入っていきたいと思います。

 現代日本における格差の問題、とりわけ貧困対策は、社会保障政策であったり、教育の充実、最低賃金政策、また正規、非正規雇用者の労働者間、男女間の処遇の格差の是正ですとか、複合的に対策を講じていく必要があろうかと思います。また一方、高所得者であったり、高資産保有者に対する所得、資産課税のあり方も引き続き議論をしていくべきかと感じております。

 昨年の一月に、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されたわけであります。そして、昨年の八月の下旬、子供の貧困対策大綱が取りまとめられたところであります。それを踏まえて、二十七年度、次年度は、法律やその大綱の策定を踏まえて、全国各地においてよりきめ細かく子供の貧困対策が実施されることを期待するものでございます。

 ちょっと大綱の中身を紹介しますと、大綱では、日本の将来を担う子供たちは国の一番の宝であり、貧困は、子供たちの生活や成長にさまざまな影響を及ぼすが、その責任は子供たちにはない、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないように、必要な環境整備と教育の機会均等を図る子供の貧困対策は極めて重要である、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、子供の貧困対策を総合的に推進するため、ここに子供の貧困に関する大綱を策定するとあります。

 大綱ではさまざま定められておりますが、具体的には十の基本的な方針が示されております。中でも、教育の支援について、学校教育による学力の保障、学校を窓口とした福祉関連機関との連携、経済支援を通じて、学校から子供を福祉的支援につなげ、総合的に対策を推進するとともに、教育の機会均等を保障するため、教育費負担の軽減を図るともしております。特に、学校をしっかりプラットホーム化してということが定められているわけであります。

 特に貧困世帯の家庭というのは複雑な家庭環境を抱えるケースが非常に多いわけでありまして、福祉的アプローチ、まさに一人一人に寄り添った、伴走型の支援体制を構築することが非常に大切であろうかと思います。

 私も、地域の学校現場ですとかそうした関係者の皆さん方の現場の声を聞く機会が多いわけでありますが、まさに、お一人お一人、千差万別な対応をそれぞれの皆さんが主体的に取り組んでいらっしゃる、これは、子供の未来を考えてというか、非常に頭の下がる思いでもあります。

 特に、学校現場において、学外の行政機関や関係者、関係団体や多様な職種との協議や交渉には、大きな時間であったりですとか、またこれは移動というものも伴うわけでありまして、その中でも、特にスクールカウンセラーという方々、福祉の専門職種でもありますが、この方々の活躍というのは非常に貢献度が高いのではないかと私は考えるわけであります。

 少し前置きが長くなりましたが、次年度、そうした貧困対策において、学校現場においてどのように充実を図ることを目指しているのか、また、スクールソーシャルワーカー等も配置の拡充というものが盛り込まれているかと思うわけでありますが、そうしたカウンセラーであったりですとか、特にスクールソーシャルワーカー、その配置の拡充に向けての取り組み状況について、まずお聞きをさせていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきました、生徒指導上のさまざまな課題に対処するために、教育と福祉の両面において専門的な知識、技術を持っておられる、そうした児童生徒を取り巻く環境に応じた支援を行うスクールソーシャルワーカーの果たす役割は非常に大きいというふうに私ども認識しているところでございます。

 御指摘の子供の貧困対策に関する大綱におきましても、学校を貧困対策のプラットホームと位置づけまして、「地方公共団体へのスクールソーシャルワーカーの配置を推進し、必要な学校において活用できる体制を構築する。」というふうにされているところでございます。

 これを受けまして、私どもといたしましては、平成二十七年度予算案におきまして、スクールソーシャルワーカーを約一・五倍増の二千二百四十七人に拡充する、そして貧困対策のため新たに六百人の重点加配について、所要の経費を計上させていただいているところでございます。

 今後とも、多様な社会的背景で課題を抱える児童生徒に対応するとともに、子供の貧困対策を一層推進するという観点に立ちまして、スクールソーシャルワーカーを初め、各種施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田畑分科員 答弁ありがとうございます。

 これは各地方自治体にしっかり働きかけをお願いしたいわけであります。そうは申せ、スクールソーシャルワーカーも、短期的な雇用という、短期、臨時といいますか、ずっと各学校に専属的にという段階にはまだまだ時間がかかるのかと思うわけでありますが、今ほど申したとおり、非常に複雑な環境の中で苦しんでいる、もがいている子供さんたちにしっかり寄り添って導きをする、そういう役割が非常に大きいのではなかろうかと思います。

 もちろん、学校現場の教員の方々のサポート役としての活躍も期待されるわけでありますので、まずこの一・五倍の増員について、そしてまた重点加配の六百人、このしっかりとした配置について、これからもしっかり指導していただきたいなと思うわけであります。

 この貧困対策については内閣府の方で大綱を取りまとめてタクトを振るという形になろうかと思いますが、今ほど文科省さんからの御答弁であったわけでありますが、学校現場は文科省管轄であり、また、そこを出た形の中での、地域においてのサポートは厚生労働行政が管轄をしている部分もある。俗に言う、各省ごとに非常に縦割りの中で、非連携にならないように、内閣府さんのしっかりとしたコントロール並びに総合力をしっかり発揮していただいて、特に新しい法律に基づいての施策でありますから、実効性の上がるように取り組んでいただきたいなと思う次第でございます。

 学校の次は、地域でのいろいろな学習の支援についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 貧困対策とあわせて、生活困窮者自立支援法に基づいて、これも連動しながら、連携をしながら、子供の貧困対策ということをしっかり行っていかなければならないと思っています。

 二十七年度からは、生活困窮者世帯の子供に対する学習支援事業が恒久化されるわけであります。この取り組みについても各自治体の判断に委ねられる部分が多いわけでありますが、いわゆる貧困世帯の学習支援の充実に向けた取り組みについて、国としてどのように支援をしていくのか。これまた、地域の多様な人材をしっかり活用して、いろいろなネットワークをしっかりつくっていくことも非常に肝要かと思いますが、その辺のことについて御答弁をお願いしたいと思います。

谷内政府参考人 お答えします。

 本年四月より、生活保護に至る前の段階におられます生活困窮者に対しまして、相談支援や就労支援等を包括的に実施し、その自立を促進するための生活困窮者自立支援法が施行されます。

 議員御指摘の学習支援事業につきましては、現在は生活保護世帯の子供を対象に予算事業として実施しておりますが、平成二十七年度からは、この法律に基づきまして、生活保護世帯以外の生活困窮世帯の子供に対象を拡大して、さらに、自治体が事業を継続的に実施できるよう、予算事業ではなく恒久的な制度とすることとしております。

 現在御審議いただいております平成二十七年度予算案におきましては、この事業を自治体において着実に実施していただけるよう、生活困窮者自立支援制度全体で国費四百億円、また、子供の学習支援事業につきましては、事業費ベースで三十八億円を計上しているところでございます。

 また、自治体に事業の実施意向を確認しましたところ、今年度、二十六年度は百八十四自治体で実施しておりましたけれども、来年度、二十七年度は三百二十四自治体で実施するとお答えをいただいておりまして、大きく拡大する見込みでございます。

 今後とも、各自治体に対しまして事業の意義を丁寧に説明するなど、積極的に事業を実施していただくよう、厚生労働省としましては取り組んでまいりたいと思います。

田畑分科員 ありがとうございます。

 特に生活保護家庭の方々の学習支援、やはりこれも貧困の連鎖を断ち切るためにもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 今お聞きすると、百八十四の自治体が三百二十四ということでありますが、自治体の希望的なことについてはちょっと事前にお聞きはしていませんが、そうは申せ、自治体の数からいえば、まだまだ少ないわけでありますし、そこに埋もれてしまっている子供たちもたくさん発生をすることが想定されるのではなかろうかと思います。

 この制度、恒久化をして、二十七年度からスタートということでありますから、様子見の自治体もあるのではなかろうかというふうには予想されるわけでありますが、しっかり、好事例も含めて、啓蒙啓発に努めていただいて、また、そこで担う、これはNPOだったりですとか教員のOBの方ですとか、そういった方々を想定されているんだと思いますが、そういう民間の皆さん方の力をしっかり発揮できる体制をつくっていただきたいなと思っております。

 いろいろな、場所の問題であったりですとか仕組みについても戸惑う部分もあるのではないかと思いますから、地方自治体の方々をしっかりフォローしていただきたいなと思います。

 それで、有村大臣、お越しをいただいております。

 内閣府さんの方では、子ども・子育て新支援制度、この辺のことも管轄かと思います。貧困に直接関連ではありませんけれども、幼稚園ですとか保育所、認定こども園の、理想的には幼児教育の無償化ということにつなげていかなければいけないと思いますが、まずは、低所得世帯への負担の軽減ということが次年度以降、図られるわけでありまして、これは一つ、まず一歩かなと思うわけでありますが、全面的な導入に向けての財源確保、この問題もひとつ、しっかり取り組んでいただきたいなと思うわけであります。

 来年度以降、貧困に対して国民運動をしっかり展開していこうということが示されているわけであります。それはそれでもちろんごもっともなことでありますし、貧困を非常に暗い部分として何か覆い隠すのではなくて、やはり社会全体として理解を深めていく、そしてまたしっかり応援をしていくという取り組み、これは非常に大事な、肝要なことでなかろうかなと思っています。

 ただ、いろいろ地域でお話を聞くにつけ、ネーミングではありませんが、子供の貧困ということ、それ自身は、子供にはそんなに、そんなにというか全く罪はないわけであります。まさに親の自立であったりですとか親の生活能力、もちろん、身体的なハンディを負ったりですとか、さまざまな後天的な流れの中でお子さんが貧困に陥ってしまうという、後天的な要因もあろうかと思うわけでありますが、ややもすれば、子供の貧困がクローズアップされ、親の自立であったりですとか親のしっかりとした扶養義務が非常におろそかになることがむしろ肯定をされてしまう。

 そんなことは当然いけないわけであろうかと思いますから、一義的には、両親を含めた保護者がしっかりとした扶養義務を果たしていって、我が子のために、それこそ自分の生活を少しでも削って子供の未来のために導くというのが本来の姿ではなかろうかとも思うわけでありますが、そうは申せ、しっかり国民運動として当然展開をしていただきたいということは私の思いでもあるわけであります。

 大臣として、もちろん、小さいお子さんもお抱えをし、子育て世代でもあろうかと思いますが、そうした国民運動に対する御決意であったりですとか、やはり貧困によって苦しむ方々を一人でもお救いするといったことについての決意をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 田畑委員が先ほどおっしゃいました、例えば文科省、厚労省別々で子供の貧困対策をするのではなくて、内閣府として、関係省庁と連携をして、省庁の縦割りが支援の切れ目にならないように、内閣府で総合調整力を発揮すべしという御提案は、一同、肝に銘じてやっていきたいというふうに思っております。

 子供の貧困対策を進める際には、当然、行政が取り組むだけではなくて、地域の事情に精通し、地域に根差したボランティアの方々、民間支援団体等の協力を得ることが成功の鍵だと思っています。

 御言及いただきました子ども・子育て支援新制度は四月から実施と相なりますけれども、やはり、子供が置かれた虐待の状況あるいはネグレクトの状況など、そういう機微に入る仕組みや情報を持っていらっしゃるのは、実は、現場の保育園、幼稚園、認定こども園の先生方、親御さん、みんな知っているという状況もございます。そういう、みんなで子供たちの安全、特に貧困対策ということの国民運動をすることは極めて大事で、御言及いただきました昨年八月の子供の貧困対策に関する大綱におきましても、国を挙げて推進できるよう、国民の幅広い理解と協力のもとに貧困対策に効果を上げていく旨高らかに明記をしております。

 具体的には、国、自治体、民間企業、団体によるネットワークをしっかりと構築して、情報を収集、提供する、また、すぐれた地域の取り組みを表彰して、横展開の参考度を上げていくなど、官公民が連携、協働するプロジェクトを推進したいというふうに考えております。

 教育問題に長年取り組まれ、地域の解決力のために現場に行っていらっしゃる田畑先生の御指摘でございますから、その具体的な展開方法については早急に検討を進めまして、しかるべきときにしかるべき布陣で大胆なスタートが切れるように、準備を加速化していきたいというふうに考えております。

 そして、田畑先生、後半御指摘いただきましたとおり、やはり子育てにおける家族、家庭の役割と責任ということが第一義的には極めて大事だという価値も、これまた私たちは、その都度、その価値の確認をしていくべき話だと思っております。

 同時に、例えば一人親家庭の方々、貧困の中で仕事を兼務して、激務の上に精神疾患になられるという方も傾向としてはあります。あるいは病気、けがの方、どうしても夜間シフトに入らなきゃいけない子育ての一人親の家庭の方もいらっしゃいます。

 そういう意味では、委員もおっしゃったように、社会のセーフティーネット機能がしっかりと機能し、また、情報を欲しがっている方がワンストップで必要な情報をとれるような、そういう体制に加速化していくことも極めて大事なことだというふうに思っています。

 子供たちの未来が、家庭の事情によって将来の可能性が閉ざされることのない社会の実現に向けて努力をしていきたい、加速させていきたいというふうに考えております。

田畑分科員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、弱者の声、そしてまた子供たちのそうしたシグナルを、地域の大人を含めて、我々政治家も、特に、しっかり聞き取る能力というか、そうしたネットワークをつくっていかなければならないのではなかろうかと思います。

 今、アベノミクスで経済をしっかり牽引していこう、そして、税収を上げていこうという大きなグローバルな経済の中での政策がもちろん一つ大変大事ではあろうかと思いますが、このような、貧困の対策であったり、最近は格差といったようなことも政治問題としてはクローズアップされつつあろうかと思いますが、しっかりとした日本の民主主義社会の中で、頑張る方が報われる社会、そしてまた、頑張ろうとする方々をしっかり支えようとする政府の取り組みを、これからもしっかり応援していきたいと私も思っているわけであります。

 大臣も、所管業務が多岐にわたっているわけでありますが、子供の貧困対策であったりですとか、子ども・子育て新支援制度の充実に向けて、そのお力を遺憾なく発揮していただきたいなと思います。ありがとうございます。

 それでは、続いて、地域創生、地域の活性化ということについて質問をかえたいと思う次第であります。

 ちょうど私、地元は富山でありますが、三月十四日、今週の土曜日になりますが、北陸新幹線が金沢開業ということに相なるわけでございます。富山の次が金沢ということで、終点が金沢であります。大臣も金沢の御縁ということでありまして、非常にうれしく思っていらっしゃるのだと思うわけでありますが、五十年近くの計画から工事着工ということになりまして、地域では非常に明るい話題として、まさに、それこそ地域活性化の起爆剤にしようというムードで、非常に盛り上がっているところでございます。

 今、国を挙げて、もちろん地方創生ということで、それぞれ地域の特色に合わせた地域づくり、そしてまた、さまざまな自治体のアイデアをしっかり活用した、伸ばすべきところを伸ばしていこう、そんな取り組みを行っていこうとしているわけでありますので、これはもちろん、その方向に向けて、官民が力を合わせてしっかりやっていかなければいけないと考えるわけであります。

 特に、地方創生の総合戦略、この中でも大きく四点、地方における安定した雇用の創出ですとか、地方への新しい人の流れをつくる、若い世代の就労、結婚、子育ての希望をかなえる、そして、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携することを目指す、四点とももっともでありますし、もちろん、これまでそういったことについて何もやってきていなかったとは申しません。しかしながら、ようやく検証制度もつけた中で、そういうことの実現を国を挙げて行っていくということ、これは、どの地方にとっても非常に期待することが大きいのではなかろうかなと思います。

 もちろん、そういった地方活性化については、これまで、各種さまざまな特区といったようなものをつくりながら、地域限定で、そしてまた、特定の分野についてモデル的なものを導入する取り組みが、ここ十年来ずっと続けられてきているのではなかろうかと思います。今の安倍政権になっても、国家戦略特区であったり、そしてまた、今申しましたが、これまでの総合特区であったり、構造改革特区、特区制度が果たしてきた効果であったりですとか、その評価というものが国としてももちろん認識をされているのではなかろうかと思います。

 まず一問目は、そのようなこれまでの特区制度の取り組みに対する評価、そしてまた、地方創生につながる、地方創生総合戦略も含めて、どのようにこれを生かしていこうとされているのかについて、まずお聞きをしたいと思います。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、これまでいろいろな特区がございました。

 例えば、構造改革特区でございますが、これは、農業の株式会社の参入でございますとか、公の施設の指定管理者制度、これはもう既に全国制度となっておりますが、そういう規制改革に取り組んできたところでございます。

 また、国家戦略特区でございますけれども、過去何十年も規制改革の提案がなされてははね返されてきた、いわゆる岩盤規制と申しましょうか、そういうもの、医療、農業、教育などの分野におきまして規制改革の実現をなしてきたというところでございます。

 御指摘のように、まち・ひと・しごと創生総合戦略、昨年末に閣議決定させていただいたものでございますが、ここでも、地方創生の観点から、特区法の改正案の提出を、国家戦略特区でございますが、位置づけ、やる気のある地方公共団体が規制改革により地方創生が実現できるよう、新たに地方創生特区というものも指定するということを盛り込ませていただいているというところでございます。

田畑分科員 ありがとうございます。

 今の、最後に触れられた地方創生特区についてちょっとお聞きをしたいと思っております。

 これは、やる気のある地方自治体が、規制改革によって地方創生が実現できるように、国家戦略特区をさらに進化させるというようなことが定義づけられているようでございます。これまで上がってきた地方創生特区のアイデアについて、今月中にも指定の発表がなされると仄聞をしているわけでありますが、これまで省庁間の調整であったりですとかがなされてきたと認識をするわけでありますが、指定の発表の時期であったりですとか、今後の、指定を踏まえた具体的な施策のタイムスケジュール感とか、そういったようなことについてもちょっとお聞きをしたいと思います。

 また、その中でも、近未来技術実証特区でございましょうか、これも非常に具体的に、目詰まりをしているといいますか規制的な部分をしっかり打破して、新たな産業の育成につなげていこうというようなことが肝いりで位置づけられているんだと認識しております。このこともあわせて、ちょっとお聞きをさせていただきたいと思います。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地方創生特区の指定ということでございますが、これは、国家戦略特区の一類型、進化させたものといたしまして、昨年夏以来の自治体の御提案に基づきまして、国家戦略特区のワーキンググループでございますとか内閣総理大臣を議長といたします諮問会議の民間有識者による評価を踏まえまして、同諮問会議におきまして今月をめどに公表させていただく予定でございます。

 指定に当たりましては、現在の規制改革メニュー、その中でも、なかなか困難として使われていないものがございます。そういうメニューでございますとか、あるいは、御指摘の近未来技術実証の検討会で、ドローンでございますとか遠隔医療、自動走行というものについての積極的な受け入れというようなものを判断基準として、作業を進めているところでございます。

 以上でございます。

田畑分科員 ありがとうございます。

 もちろん、指定前でありますから、どれをどう指定するとか、そういうことはもちろん答弁はないと思いますが、今ほど御紹介あった事例について、これは非常に先駆的な取り組みもあろうかと思いますから、しっかり指定そしてまたその推進について取り組んでいただきたいと思います。

 一方、地域再生計画、このこともちょっと一点触れたいと思うわけであります。

 こういうような、地方創生ということでいろいろ地方自治体からアイデアを出してもらうこと、これ自身も非常に地方自治体の中においても職員の刺激にもなろうかと思いますし、その地域が、もちろん行政だけで動いているわけでありませんから、民間のさまざまなイノベーションの促進につなげるであったりですとか、さまざまなそうしたプロジェクトによるプラットホームをつくっていく取り組み、これは非常に有意義ではなかろうかなと思っています。

 手前みそでありますが、私の選挙区は富山市になります。富山市も非常に、富山県もそうでありますが、首長のリーダーシップによって、さまざま地域再生計画を今も御認定いただいたりしているわけであります。

 一つ、二つ、ちょっと紹介をしたいと思います。

 一月に認定をいただいた富山市の地域包括ケア拠点施設整備というのは、まさにこの地域再生の方は、省庁が横断されていることによって、またがることによって、なかなか既存の補助制度や交付金制度が活用できないことについて、地域再生計画の中で位置づけられている戦略交付金であったりとか基盤強化交付金というものを活用して推進ということを目指しているわけであります。

 これは富山市の中でも、医療・介護の一括的な地域包括ケアシステムを全国でつくっていこうということが今求められてやっているわけでありますが、富山市の場合は、その中に、産後ケアであったりとか病児、病後児の保育機能を付加するであったりですとか障害児の支援施設も付加をしながら、高齢者のネットワークのみならず、それこそ乳幼児含めた、妊婦さんとかも含めた、そうしたネットワークをしっかりつくっていこうということを今、認定というか指定を受けているんだと思っております。

 これは、町中の小学校の跡地を活用して、そこの土地に新たな施設を整備しながら複合的に行っていくということであります。繰り返しますけれども、産後ケアの応援室であったり、障害児支援施設、病児・病後児の保育室、そしてまたまちなか診療所といったようなものを位置づけますし、医療介護の連携室、そこにも機能を持たせます。まちなかサロンとして、さまざまな皆さん方がそこに集うようなスペースも準備をしながら、地域連携室やカンファレンスルームを整備していくといった、一体的にそうした相談体制やそこでの窓口業務的なことも盛り込むといったこと、これも、地域再生の一つの非常に大きな、全国展開できる好事例にもなるのではなかろうかと思います。

 もう一つ、農業に関しても、六次産業化の取り組み、これは、今エゴマと言われる、エゴマ油を抽出するような農場、工場をつくっていこうということでありまして、ソフトカプセルをつくりながら、それを今度は海外にも展開しようということも目指しているわけであります。

 これも、具体的に言うと、経産省の補助メニューの中にはちょっと合致しないということでありますので、地域再生計画の認定をいただいたということになろうかと思っています。

 もちろん、全国の自治体からそのようなことが上がってきた中で、皆様方の指導や、また連携をしながら取り組みが進められていくものだと思うわけでありますが、幾つか通告していますが、ちょっとまとめて言います。

 これまでの認定における実績や効果であったりですとか、それぞれの交付金の意図することであったりですとか、特に、二十六年度補正で地域再生戦略交付金が五十億盛り込まれておりますが、これの交付スケジュールについてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 それでは、まとめて三点ばかりお尋ねがあったかと思いますが、お答えをさせていただきます。

 まず、地域再生計画でございますが、地域再生制度、これは、平成十七年以来、千七百十八件の、まさに御指摘のような地域の知恵を生かした自立的、自主的な取り組み、やる気のある取り組みを支援させていただいているところでございます。

 また、評価基準といたしましては、新規雇用者の創出でございますとか地域交流人口の拡大というものを必ず各市町村が事後評価するということで、相応の目標が達成されているということでございます。

 また、先ほど御指摘のありました交付金でございますが、既に十七年からは、地域再生基盤強化交付金といたしまして、道、汚水処理、港の三分野におきまして、所管省庁を超える一体的な整備というものに御支援をしているところでございます。

 さらに、御指摘のありました二十六年度補正では、地域再生戦略交付金というものを創設させていただきまして、地域再生計画に位置づけられた、まさに御指摘のような既存の補助金の対象外、すき間と申し上げてよいのかどうかあれでございますが、それで既存の補助制度と一体となって実施することによって効果が高まる事業というものを御支援させていただいています。

 一例では、先ほど御指摘の富山市でのエゴマのソフトカプセルとか、それは既存の補助制度ではございません。そういうものを一回目の計画認定でしておりまして、現在、戦略交付金についても、第一回目の申請をいただいておりまして、今審査の最終段階という状況でございます。

 以上でございます。

田畑分科員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

平沢主査 これにて田畑裕明君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉村洋文君。

吉村分科員 私は、維新の党の吉村洋文でございます。本日、午前最後ということで、よろしくお願いいたします。

 私の方からは、公務員制度改革についてお伺いしたいというふうに思っております。

 まず、前提なんですけれども、今後、少子高齢化が確実に見込まれる、そういった時代に突入することは間違いないというふうな状況でございます。私は一九七五年生まれでございますけれども、そのころは七人から八人ぐらいの働き手で一人の高齢者を支えるという時代だったわけでございますけれども、現在では三、四人に一人、そして二〇五〇年、これは見込みですけれども、約一人で一人の高齢者、働き手一人に対して一人の高齢者を支える時代が来るのではないかという数字も出ております。

 二〇五〇年、人口が一億人を切る。政府においては、これをそうさせないようなカーブを目指しましょうと。それはまさに目指すべきところだとは思うんですけれども、今出ている数字でいうと、一億人を二〇五〇年には切っていく、そして、大まかですけれども、約一千万人が子供たち、約四千万が働き手、そして四千万が高齢者になる。そういった、もう想像もつかないような時代が到来することがほぼ確実だ、そういうふうな状況でございます。その中で、将来の子供たち、孫たちに負担を残さないような仕組みを今からつくっていくのが非常に大切だろうというふうに思っております。

 そういった意味で、我々維新の党はさまざまな改革をお訴えさせていただいているわけでございます。そのうちの一つ、これが公務員制度改革になってくるかというふうに思います。

 公務員制度改革についてなんですけれども、これは、私もこの国会に来る前は大阪市の議員をしておりました。市の議員をしておると、やはり理事者の方、公務員の方といろいろな話をしたり相談をしたりする中で人間関係というのも生まれてきて、個人的な感情というのも生まれてきて、公務員改革をぐいぐい推し進めていこうというのは余り言いたくないというような個人的な感情にもなるんです。

 ただ、その点に関して言うと、やはり政治家が言わなければ誰が言うんだというような分野だと思っております。そういった中で、地方において、私の場合は大阪においてですけれども、公務員制度改革をそういう目線で進めてきたという点があります。

 きょうも、そういった視点から、公務員制度改革、変えなきゃいけないところはたくさん国にもあるとは思うんですけれども、ちょっと何点か絞って大臣にお伺いしたいというふうに思っております。

 公務員制度改革と申しましても、単に公務員給与をカットするというようなやり方ではなくて、やはり今の制度のここがおかしいんじゃないか、あそこがおかしいんじゃないか、民間の目から見て、あるいは有権者の目から見てそう思われるところがたくさんあると思うんですね。そこについては是正をしていかなければならないというふうに思っております。

 人件費についても、国家公務員で約六兆円です、地方公務員で二十一兆円ぐらいですかね、合わせて二十七兆円が国の予算の人件費になっているわけですから、正すべきところは正すということが必要だろうと思っております。

 そういった中で、まず、公務員の評価の方法についてお伺いしたいと思います。

 現在、公務員の評価の仕組みというのはどのようになっているんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の国家公務員の人事評価制度は、平成十九年の国家公務員法の改正によって導入されたものでございまして、昇任、昇給、勤勉手当、人材育成等さまざまな側面で活用するものでございまして、能力・実績主義に基づく人事管理を行うための基礎となる重要な役割を担っております。

 また、具体的に申し上げますと、人事評価は、審議官、課長などの職位ごとに定められた客観的な評価基準に照らし、発揮した能力を評価する能力評価と、面談等の所定の手続を経て設定された目標に照らして、上げた業績を評価する業績評価から構成されております。

 また、能力評価、業績評価ともに、課長級以下の一般職員につきましては五段階で評価することとなっております。

吉村分科員 先ほど御答弁ありました、例えば能力評価であれば、客観的に評価していく、業績評価についても、実際の業績に基づいて評価していくということでございます。その評価の方法は五段階評価ということでよろしいんですよね。

 その五段階評価なんですけれども、これが果たして適正に実施、運用されているのか、この点について、私の問題意識でございます。

 五段階評価が適切に実施される、それは言いかえれば、しっかり頑張っている公務員の皆さんは適正に評価されるべきだというふうに思いますし、逆に言うと、そうでない公務員の方もいらっしゃると思いますが、そういった方の評価も適正に行われなければならない。

 そこの、頑張っていないところの評価というのは、実は内部では非常に評価しづらいところだと思います。それは、人間の感情もそうでしょうし。

 例えば、これが民間になってくれば、やはり自分たちの生き残りをかける。売り上げに対して経費がかかって、そして税を納めていくというのが、民間の人たちが普通にやっていることです。ですので、そこの出ていく経費というのをしっかりと制していく、そして、きちんと評価される人が評価されていく、それによって組織というのは成り立っていく。これは、民間の場合もそうですし、公務員組織もそうであろうというふうに思っております。

 組織がしっかり活性化して、そして、その組織は誰のためか。公務員の場合は国民のためだということは、もちろんこれは憲法に書いてあるわけでございますけれども、国民のためにしっかり働く組織になっていくためには、その評価がきっちりと、頑張っている職員は評価され、そうでない職員もしっかり評価される仕組み、そういった仕組みが必要だろうと思っております。

 それがこの五段階評価で分類されていくことになっているというのが一般論でございますけれども、では、具体的に、国家公務員の場合の五段階評価の分布割合というのはどうなっているんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 評語分布の結果につきましては、人事評価制度の本格実施から五年目の検証といたしまして、平成二十六年二月に、当時の総務省から公表されたものでございます。

 その中で、課長級以下の一般職員につきましては、能力評価で申し上げますと、Sは五・八%、Aは五三・八%、Bは三九・八%、Cは〇・五%、Dは〇・一%となっておりまして、また、業績評価で申し上げますと、Sは六・〇%、Aは五一・九%、Bは四一・五%、Cは〇・五%、Dは〇・一%の分布となっていたところでございます。

吉村分科員 まさに、ここの評価の割合の偏り、これが、明らかにこの評価が機能していないことを客観的に証明しているんだと思います。

 というのは、先ほど、五段階評価で客観的に評価する、あるいは業績をもって評価するという五段階評価ですというふうにうたわれております。そして、人事院が出しているこの冊子ですか、ここにも五段階評価というのは出ているわけでございますけれども、その中をひもといていくと、では、どういう分布なんだというところで見ていけば、下位のC、D、これは五段階中二つの評価の枠があるわけでございますけれども、能力評価、業績評価、いずれもCが〇・五%、Dが〇・一%。二つ合わせても〇・六%。ということは、S、A、Bで九九・四%を占める。これは、もう事実上の三段階評価になっていると思います。

 そこで、一番問題になるのは、やはり頑張っていない職員も頑張っている職員と一緒くたに評価されているということで、私はモラルハザードという問題が一つあると思いますし、逆に、頑張っている職員がしっかり評価されていない仕組みにもなっているというふうに思っております。そういう意味で、この分布が明らかにおかしいのかなというふうに思っております。

 例えば、このパンフレットを見ますと、懲戒の対象になった人数なんかも、案件数が書かれておりまして、平成二十三年度でいうと三百八十三件、平成二十四年度で同じく三百八十三件、二十五年度で三百三十二件という懲戒処分があるわけでございます。

 この懲戒処分について言うと、評価とはちょっと違うところではあると思うんですけれども、懲戒というのは、秘密漏えいであったりセクハラであったり、公金の横領、酒酔い運転、非行の隠蔽、黙認というような、こういった処分例も書かれております。

 これは、いわゆる非違行為と言われているもの、場合によっては刑事処分にも該当するような、そういった職員がいる。そして、三百八十三件でございますから、これについては、評価対象が約三十三万人というふうにお聞きしていますので、〇・一%を超えるぐらいの人数が懲戒処分になっているという現状なんですね。

 そういった、刑事処分に当たるような懲戒処分に当たる人数ですら三百八十三件あるというにもかかわらず、このC、D評価を見ますと、対象の公務員が約二十七万人というふうにお聞きしていますが、ということは、Dでいうと、〇・一%ですから、約二百七十人ぐらい。つまり、刑事処分にも当たるような懲戒処分に該当する公務員数よりも少ない評価がこの五段階評価のうちの一つに当てはめられているというのは、これは明らかに適正な評価がなされていないんじゃないのかというふうに思うわけでございます。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、現在の、私は、これは余りにも偏っていて、適正な評価がなされていないというふうに思うわけでございますけれども、この分布の割合、CとDが〇・五%、〇・一%、九九・四%が上三つに偏っているというこの評価のあり方について、分布割合についてどう思われるのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 吉村委員御指摘のとおり、やはり、高い志や能力を持ち、難易度の高いプロジェクトを抱え、頑張っている人間が報われるというのは、およそ行政組織であれ国家であれ、あるいは学術研究、学校、営利企業など、組織の信用や秩序を守っていく上で、また、構成員の士気を高め、業績や生産性を高めていく上で、極めて大事な価値だと私も思います。

 その上で、先ほど笹島統括官が言及されましたが、国家公務員の人事評価というのは、給与のみならず、任用や、どのようにどの段階で人材を現下の課題に対応すべく育成すべきかという、さまざまな側面において活用されます。その背景には、能力・実績主義の人事管理を行うという哲学がございます。

 そういう意味では、職員一人一人の能力や実績をできる限り客観的に把握して、適切に評価する仕組みということが必要で、絶対評価により行うものとしております。この評語、いわゆるこのカテゴリーには何割の人にという割合をあらかじめ決めているわけではございません。

 人事評価に当たっては、最初の評価者以外にも、複数の人がそのフィルターが正しいかどうかの確認を行っており、また、評価者の研修制度ということも、年二千人程度の受講者を設けておりますけれども、公正性、透明性にも配慮しつつ、適切に評価する仕組みを整備してきております。この仕組みの中で各任命権者において評価された結果が現在のものだと認識をいたしております。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

吉村分科員 適正に、厳正に評価されているのであれば、CとDで〇・六%という評価になる、これについても適正だという御認識なんですか。そこの大臣の御意見はいかがか、お伺いしたいと思います。

有村国務大臣 御指摘のとおり、現在のところ、それぞれ適正に、公平性を保った上でかような評価がついたものというふうに認識をしております。

吉村分科員 評価方法は適正だという御意見だと思うんです。

 それに基づいて客観的に出てきている評価結果、〇・一%、〇・五%、これについて、この数字は特に問題ないというふうにお考えなのか、そのあたりをもう一度お伺いしたいと思います。

有村国務大臣 先ほど申し上げたとおり、国家公務員の人事評価というのは、まず絶対評価によって行っております。任命権者において評価なされた結果でございますので、もともとの割合を決めているわけではございませんので、適正だと思っております。

 ちなみに、Cというのは、職位、職務、職責において求められる行動や役割を一部しか果たしていない、多くの者が見てそのような評価だというところがCがつきます。また、Dの場合は、本人の不利益処分となる分限の契機、トリガーとなるレベルでございます。

 そもそも、求められる行動、職責が果たされていないということを意味する下位評価を受ける職員が多数在籍することというのは、国家公務員として、国民にも申し開きのできないことになりますし、望ましいものではないというふうに思っております。

吉村分科員 下位評価が出ると望ましいものではないということですけれども、これは五段階で評価するという話でございますので、下位評価を出さない、いわゆるブラックボックスに入れ込むということになっているというのが私の認識でございます。しっかりと評価がされれば、しっかり五段階に分かれるはず、そのように思っています。なれ合い評価、寛大評価が公務員内部で行われているんじゃないんですか、そのように思うわけでございます。

 それは、とりもなおさず、どこに関連してくるかというと、昇給の仕組みにも関連しているわけでございます。この昇給の仕組みについてお伺いします。

 今、公務員の給与について、当然、昇給というのは、頑張った職員がより昇給になり、そうじゃない公務員、職員についてはそうじゃないというような仕組みがなされてしかるべきだというふうに思っております。

 特に、民間では、それこそ今、ワーキングプアだ、これを何とか解消しなきゃいけないというような問題意識の中でさまざまなことが行われている、そして努力が行われているわけでございますけれども、確実に昇給するような仕組み、そんなことは民間にはないわけでございます。

 現在の公務員の給与の昇給の仕組みについて、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の昇給につきましては、一年間の勤務成績に応じて行うということになっておりまして、四号俸の昇給を標準とした上で、勤務成績が極めて良好な場合は八号俸以上、特に良好な場合は六号俸の昇給とする一方で、やや良好でない場合は二号俸の昇給、良好でない場合は昇給しないということにしております。

 この昇給区分AからEまでの決定につきましては、人事評価に基づいて行っておりまして、具体的には、毎年一月一日の昇給日前における直近の能力評価及び二回分の業績評価の全体評語を用いているところでございます。

 上位の昇給区分A、Bにつきましては、上位の評語がある職員について、評語の組み合わせに基づきまして、一定の上限割合の枠内で決定することといたしております。

 また、下位の昇給区分D、Eにつきましては、いずれかの評語が下位のCであれば、昇給区分のDに、それから、全ての評語が下位のCまたはいずれかの評語が最下位のDであれば、昇給区分はEに決定することとされているところでございます。

吉村分科員 先ほどの五段階評価は、これに密接に関連しているということでございます。能力評価、それから年二回される業績評価、これが密接に関連して、昇給の仕組みが組み立てられている。

 まさに先ほどの、適正な評価がきっちりなされているのか、これについては、国民の皆様の税も関連している重要な部分だということ、組織内のモラルの問題だけではなくて、ここには税投入、そういったところもあるわけでございます。

 その点に関してですけれども、先ほどの昇給の仕組み、四号俸を中としながら、八、六、四、二、ゼロということになるんですか。号俸の割合があると思うんですけれども、平成二十六年の昇給の分布割合、八号は何%、六号は何%、四号は何%、二号が何%、ゼロ号が何%、そういった昇給の分布割合、それについてちょっとお教えいただきたいと思います。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの平成二十六年一月の昇給における昇給区分の決定でございますが、昇給区分が決定された者のうち、Aに決定された者、八号俸以上、これが五%でございます。それから、B、六号俸、これが二〇%ということ。それから、昇給区分Cが七一・八%、昇給区分Dが一・九%、昇給区分E、昇給なしとされた者が一・三%となっております。

吉村分科員 つまり、二号の昇給が一・九%、ゼロが一・三%、四号が七一・八%、八号が五%、六号が二〇%ということは、結局、四号俸以上昇給するというのが約九七%、公務員全体の九七%が確実に四号俸上がっていくというのが、今の公務員給与の仕組みだというか実態だと思います。

 この実態について、やはりこの実態は明らかにおかしいんじゃないのかなと。適正に評価されている、そういうふうには思えない。ここに国民の税が投入されているという意味で、余りにも民間の感覚とかけ離れ過ぎているような、そういった評価がされているんじゃないのかということのように思っております。

 この分布割合、昇給しないという分野でいくと一・三%、二号が一・九%、約九七%の職員が確実に四号俸上がっていく、この分布割合について、大臣は客観的に今の結果についてどのようにお思いなのか、御所見をお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員も御案内の上でお聞きいただいているのかと存じますけれども、国家公務員の昇給というのは人事院規則等において定められております。

 そして、まず明確に申し上げなければならないのは、人事評価の評語分布の結果が直ちに昇給区分の分布割合となるわけではないということを明確に申し上げます。

 そして、昇給区分ということでございますが、絶対評価で行う最初の人事評価において標準以上の評価を受ける者が多数を占める中で、御指摘のとおりです、成績の標準の方を無理やり下位の昇給区分に当てはめることということは、職員の長期的な士気の維持あるいは人事管理の観点から、妥当ではないという価値も堅持しております。

 民間企業との乖離ということを御指摘いただきましたけれども、我が方が見ていますと、民間企業においても、昇給の分布率の設定をそもそも設けていないという企業や、分布率を設定はしていても、実は緩やかに運用しているという企業も多く調査にも出てきておりますが、厳格に分布に落とし込むことによって評価ランクの決定に無理が生じるなど、評価への信頼性が低下することを避ける意味合いがあるというふうに認識をしております。

 お手盛りかどうかという、世間の厳しくもまた強い関心があるという緊張感を持った上で、給与制度あるいは昇給制度については、公務の人事管理や民間の動向も踏まえつつ、第三者機関である人事院において専門的見地から引き続き適切に対応されていくものだというふうに理解をいたしております。

吉村分科員 専門的機関の人事院という御指摘なんですけれども、ここにやはり政治的な判断、当然、独立行政委員会ということで、その存在の意味はわかっておりますけれども、そこが本当にきちんとされているのかということの政治的な判断というのはやはり入れていく必要があろうかと私は思っております。それが、国民から見ればほぼ誰の関与もないブラックボックス化しないようにしっかりと見ていくのも、これは政治の役割であろうというふうに思っております。

 本日、ちょっと資料をお持ちして、お配りをしているわけでございます。その資料を見ていただけたらと思うんです。

 先ほどの四号俸必ず九七%が昇給するというような仕組みでいうと、資料の二、これについては、国の行政職の給料表になるわけでございますけれども、例えば二級であれば百二十五の号俸があるわけでございます。ということは、級が上がらない、すなわち、職務の重さ、あるいは職責の重さが変わらない状態の中で、四号俸必ず上がるとなれば、百二十五の号俸があるわけですから、約三十年必ず上がり続ける、これがほぼ今の実態になっているんじゃないのかなというふうに思っております。これが果たして適正な評価と言えるのかという問題意識を持っております。

 そして、民間は、先ほど申し上げたとおり、自分たちの倒産リスクという中でやっているわけでございます。しかしながら、国には倒産リスクがないという中で、どこで歯どめをかけていくのか。民間がそうじゃないから国もいいんじゃないか、そういう理屈は絶対成り立たないと思いますし、しっかりとここは、より厳しい、税が投入されているという意味で、非常に厳しい基準になされることこそが、それこそ、しっかりと頑張る職員、頑張る公務員が出てくる、そういった組織になるのではないのかというふうに思っております。

 そして、ここからは提案も兼ねてということにはなるんですけれども、資料一を見ていただけたらと思うんですが、これは大阪市で改革をした中身でございます。それと国とを比較した表です。

 大阪市も、これは大阪市以外のどこの地方公共団体も、恐らく公務員組織となればこうなるんだろうなというふうに思います。五段階評価で同じようにやっているんですけれども、もともと、二十四年度、このときは、S、一番上が〇・八、上から、三八・〇、五九・六、一・三、〇・三、すなわち、下位二つについては、国と同じように、ほぼ評価されていない、こういったなれ合い評価がされてきたわけでございます。

 これは明らかにおかしいだろうという問題意識の中で、その評価というのを変えまして、しっかりと評価するということで、相対評価を導入いたしました。条例上で割合を定める。第一区分が五%、第二区分が二〇%、第三が六〇%、下位区分が一〇%と五%という条例上の割合を定めました。

 そうすると、しっかりと評価をしました。そうすれば、客観的な結果として、評価分布がこのように変わっています。上から、四・九%、一九・七%、六〇・一%、一〇・一%、五・二%。しっかり評価すれば、やはりこういった分布が適正評価、お手盛り評価と言われないような評価がなされる、そのように思っております。

 そうじゃなければ、そもそも五段階評価と銘打つのはやめて、三段階評価にしたらいいというふうに思っております。国民に対して、五段階評価でしっかり評価しているというふうに表立って言っている以上、やはりなれ合い評価にならないような、そういった仕組みが必要だろうというふうに思っております。

 この相対評価についても、これが絶対なものだというふうな認識はございません。ここにも課題があるというのは、もちろん私も認識はしております。ただ、今のなれ合い評価の、三段階でやっているような評価の仕組みと比較すれば、やはりここにはしっかりと問題意識、そして、国民の、市民の税が投入されているという中でこういった評価をするというのも、どちらがベターかという意味であれば、私は、相対評価でしっかりとまずは評価していくという仕組みづくりが、有権者、国民、市民に対する説明、そして、しっかり中で働く人間が、頑張っている人間が評価されるという意味でも必要であろうというふうに思っております。

 これについて、こんな相対評価を国でも導入すべきじゃないかというふうに私は思っておりますけれども、これについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の、御発言の背景にある、やはり緊張感を持って主権者たる国民に仕えられるような制度になっているのかどうか、その構成員がしっかりと安心できて公務に精励できる人事制度になっているかどうかということは、常に高い緊張感を持って見ていかなければいけないというふうに思っています。

 先ほど申し上げましたが、人事評価の評語区分の結果が直ちに昇給区分の分布割合となるわけではないということをいま一度申し上げた上で、人事評価は、能力・実績主義に基づく管理を行うための基礎であり、人材育成の側面も少なくありません。ゆえに、まず絶対評価を行い、人材育成などに活用する。

 その上で、昇給など原資配分を行う局面においては、委員御指摘のような、相対評価の知恵ということもございます。所定のルールに従って、相対評価と同様の活用を行っているところであり、これは実際に行っております。引き続き、適切に実施していくことが必要だと考えております。

 なお、民間の調査においても、民間企業の人事評価の仕組みで、まずは人事評価を絶対評価で行う企業というのが、私どもの調査でも八割を超えております。

吉村分科員 時間が来ましたので私の質問を終わりますけれども、これ以外にも給与の資料をきょうお配りしております。重なりが余りにも大きいという問題点もあるかと思います。

 やはり、最初に申し上げた、一番大きな政治理念として、少子高齢化、一人が一人を支えるような時代になる中で、民間と離れたような、あるいは、しっかりとした税の使われ方がされているんですかと疑われるような公務員の評価システム、昇給システム、給料表のシステム、これを変えていくのは政治家でしかできないと思っています。

 ですので、しっかりとそこは、できれば問題意識を共有して前へ進めていきたいということをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小田原主査代理 これにて吉村洋文君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

平沢主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田宣弘君。

吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。

 初めての国会質問でございます。国民の皆様のために、負託を受けた者として国民の皆様のお役に立てるように全力で仕事に取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 さて、神奈川県川崎市では、未来を担う大切な少年が、これもまた未来を担うべき少年の手によってその命を奪われるという、その事実が強く推知されるという大変悲しい事件が起きました。残された遺族の皆様の悲しみの深さはいかばかりか、まずもって少年の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、少年の遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げるものでございます。事件の報道に接した国民の皆様も、大変な御心痛であろうかと思います。

 事件の真相は、犯行を犯してしまった少年の処遇とともに、今後、警察の捜査と司法の場面で解き明かされていくことになるだろうと思いますが、他方で、置き去りにされがちなのが被害者の救済という側面ではないかと思います。川崎市の事件では、被害者の少年はお亡くなりになっておられますので、残された遺族の皆様が支援といいますか救済の対象になってくるかと思うのですけれども、国として、残された遺族の皆様にはどのような支援策があるのか、内閣府からお教えいただければと思います。お願いいたします。

安田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、川崎市の事件は、未来を担う少年の命が奪われるという、大変痛ましい、重大な事件であると認識をしております。

 政府におきましては、平成二十三年三月に閣議決定された第二次犯罪被害者等基本計画に基づき、関係省庁が連携協力しながら、犯罪の被害に遭われた直接の被害者とその御家族、御遺族のための各種施策を推進しているところであります。

 犯罪被害者等施策の推進に当たりましては、御家族、御遺族を含む犯罪被害者等が、犯罪等による直接的な被害だけではなく、精神的な被害も含めてその被害を回復、軽減し、再び平穏な生活を営むことができるよう推進していくことが重要でございます。

 そうした認識のもと、同計画では五つの重点課題として、損害回復、経済的支援等への取り組み、精神的、身体的被害の回復、防止への取り組み、刑事手続への関与拡充への取り組み、支援等のための体制整備への取り組み、国民の理解の増進と配慮、協力の確保への取り組みを掲げており、例えば、御遺族を含めた犯罪被害者等に対する損害回復、経済的支援の制度として、犯罪被害給付制度等があるところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。遺族の皆様も、そういった厚い支援策のことを知って、大変に心強いかと思います。

 さて、被害者は亡くなっていませんけれども、場合によっては同じぐらいの心の傷を残してしまう犯罪に性犯罪があるかと思います。性暴力を受けた結果、将来にわたり心身に癒やしがたい傷を抱え続ける場合も少なくないと思われます。したがって、性犯罪被害者の救済は、犯罪被害者支援の中でも極めて重要ではないかと思うわけでございます。

 警察庁の資料によりますと、平成二十六年の強姦と強制わいせつ事件の認知件数は両方合わせて八千六百五十件、一日に引き直してみると二十三件以上も発生していることがわかります。この数字はあくまで認知件数ということですが、性犯罪を受けた被害者の方の立場に立ってみると、こういった被害というものはなかなか声を上げることが難しい、そういった側面があると思います。したがって、そこに上がってこない数字というものも考えられるのかなと思うわけでございます。

 そこで、お尋ねしたいのは、性犯罪には、まず、どのような特徴があると国の方で御認識をされておられるのか、また、認知されなかった数字というものは何らかの形で推知できるものなのか、できるとして、推知できた数字というのはどれくらいに上りそうなのか、そして、そうした前提を踏まえて、国としてはどのような性犯罪支援策を講じておられるのか、法務省と内閣府の方からお教えいただければと思います。

小野瀬政府参考人 性犯罪の特徴に関しまして、性的事件の被害申告率について申し上げますと、平成二十四年に法務総合研究所が犯罪被害についての実態調査を実施しております。

 これによりますと、性的事件、これは、強姦、強制わいせつ、痴漢といった性犯罪のほか、セクハラ等の、一部、法律上処罰の対象とならない行為も含まれているものでございますが、この性的事件の過去五年間の被害申告率が一八・五%と、調査対象としました個人犯罪被害の中では最も低かったとの調査結果が出ているものでございます。

安田政府参考人 性犯罪被害は、被害直後のみならず、長期間にわたり被害者の心身に重大な悪影響を及ぼすものであります。先ほども答弁がございましたように、捜査機関への被害申告率が低く、潜在化していると思われることがその特徴の一つとして挙げられると認識しております。

 このため、第二次犯罪被害者等基本計画におきましては、犯罪被害者等一般に向けた施策にとどまらず、性犯罪被害の特徴を踏まえ、性犯罪被害者支援に焦点を当てた施策を多数掲げているところでございます。例えば、警察においては、女性警察官の配置を推進するとともに、性犯罪被害相談窓口の設置等を行っております。

 また、内閣府におきましては、平成二十四年に、被害者の心身の負担軽減や警察への届け出促進、被害の潜在化の防止等を目的として、いわゆる性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設及び運営に有益な情報等を盛り込んだ手引を作成し、地方公共団体を初めとする関係機関、団体等に配付するなど、地域における性犯罪被害者等支援体制の整備の促進を図っているところであります。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 ただいま御説明いただいたところによりますと、性犯罪というのは、かなりの暗数というものがあるのだなということがわかります。そして、具体的な支援策を現実に実施する機関というのは、これはやはり地方自治体が中心になってくるのかなということがわかりました。

 私の地元、九州の福岡県では、「性暴力被害者支援センター・ふくおか」という支援事業を県の独自の予算で立ち上げております。このセンターは、性犯罪被害者に考えられる支援策、警察、病院、弁護士と多方面にわたる相談をワンストップで受けられるようにする、そして、その秘密がそれぞれの場面で徹底的に守られる、そういったところに大きな特徴がある事業です。秘密保持の観点から、センターの場所がどこか、協力病院がどこかに至るまで、全く明らかにされていない。わかっているのは相談のための電話番号だけでございます。

 福岡県では、このように、性犯罪の被害者に対する支援というものを施策として頑張っているのでございますが、それでも種々の課題が見えてきたようでございます。そこで、事業の一部について国のバックアップを受けているというふうにお聞きしております。

 そこで、お尋ねしたいのですけれども、福岡県以外では、このような性犯罪支援事業というふうな施策を実施している自治体というのはありますでしょうか。そしてまた、実施できていない自治体をバックアップするような国の施策にはどのような施策があるのか、内閣府と厚生労働省に、あわせてお尋ねいたします。

武川(恵)政府参考人 お答えいたします。

 内閣府におきましては、性犯罪、性暴力被害により苦しむ女性を少しでも減らすことができるように、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置やその機能強化、性犯罪、性暴力発生防止の広報啓発などを行っておられる地方公共団体の取り組みを対象に、今年度から実証的調査研究として事業を実施しております。

 この実証的調査研究の対象地方公共団体のうち、例えば滋賀県や和歌山県におきましても、福岡県のような取り組みが行われているところでございます。

 これらの取り組みにつきまして報告書を取りまとめまして、調査研究対象以外の地方公共団体にも周知することによりまして、地方公共団体における性犯罪被害者支援の取り組みを促進していくこととしております。

 なお、今年度の予算約四千万円を、平成二十七年度予算案におきましては約一億円に増額計上させていただいているところでございます。

福島政府参考人 お答えいたします。

 性犯罪の被害に遭われた方に対する支援を行うに当たりましては、産婦人科あるいは精神科といった医療機関の果たす役割は非常に重要であるというふうに認識をしております。

 第二次犯罪被害者等基本計画におきましては、厚生労働省では、医療機関に対してワンストップ支援センターについての啓発を行うほか、犯罪被害者支援団体等からワンストップ支援センター開設に向けた相談があった場合には、協力が可能な医療機関に関する情報を収集して提供する、こういうふうにされておるところでございます。

 これを受けまして、厚生労働省におきましては、内閣府が作成した「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」、これを、平成二十四年の七月に、医師会、四病院団体協議会、病院の団体でございますけれども、ここに対しまして、関係機関に周知していただくように依頼をしております。

 また、本日でございますけれども、全国医政関係主管課長会議を開催しております。この中におきまして、昨年に引き続きでございますが、各都道府県に対しまして、犯罪被害者支援団体等からワンストップ支援センター開設についての相談があった場合には、その具体的な要望内容を踏まえて、医療関係団体等と連携しながら対応するように依頼をしておるところでございます。

 さらに、ワンストップ支援センターに関する情報提供に関しましても、医療機能情報提供制度を活用しながら、被害者のプライバシーに配慮した、わかりやすい形での情報提供、こういうことを進めていただくように説明を行っているというところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 さて、公明党は国と地方の議員が約三千名存在するネットワーク政党でございます。その三千名のうち、約九百名が女性議員でございます。その女性議員が昨年、団結をして、女性の元気応援プランを作成し、昨年の五月十四日に安倍総理大臣に申し入れをさせていただいております。その中に、性犯罪被害者支援の拠点を各都道府県に整備するような、そのような支援要望も盛り込まれておるところでございます。

 ぜひとも、その実現に向けて国にもお力をおかしいただき、いまだ声を上げることができない性犯罪被害者の救済に力を込めていきたい、そのようにお願いを申し上げたいのですけれども、有村大臣のお受けとめと所感をお聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 昨年五月、御党、公明党から政府に対して貴重な御提言をいただいたと承知をしております。私も、九月の着任後、敬意を持って拝読をさせていただきました。

 九月に私、大臣に就任をさせていただいたんですけれども、やはり性犯罪被害に関しては、最も弱い立場に置かれ、声を上げにくいところにいらっしゃる方々に光を当て、ともに立ち上がらずして女性活躍などあり得ないという強い問題意識を私自身、持っておりまして、就任後、最も早く女性活躍担当大臣として現場視察をさせていただいたのは、実は、ほかならぬこの性犯罪、性暴力の被害者支援を行う民間団体でございました。

 想像を絶する被害がございます。先ほど特徴のお尋ねがありましたけれども、性犯罪のまず第一義的な特徴といえば、私は、被害者のほとんどが女性だということを挙げたいと存じます。

 身内、特に実の父親やあるいは継父によって犯罪被害をお嬢さんが受ける。それを知った実の兄から同様の性犯罪被害を再び受ける。そして、それを知ったお母さんからお嬢さんがしっかりとケアをしてもらえるのかと思いきや、母親からは、あなたが言い寄ったんじゃないのというふうに、逆にお嬢さんが責められているという、大変凄惨な、私自身、突き刺さるものを覚えながらの視察でございました。

 また、例えば、緊急避妊用のピルなどにおいても、心身に負担のかかる、特に精神的に負担のかかる一定の手続を経なければ、一万円かかるピルを被害者が自己負担をしなきゃいけないという現状も知りまして、大変ショックを覚えた次第でございます。

 性犯罪は心の殺人とも言われますけれども、その中でも、犯罪直後から精神的ケアの専門的なお医者様の加勢をいただくことによって、数年後、十数年後にPTSDの発症を避けることができるなど、そういう現場ならではの知恵もできているというところに一定の希望を感じたことも事実でございます。

 ボランティアとして二十四時間体制で被害者に寄り添っていただいている民間の御支援ということに、本当に頭が下がる思いで伺いましたけれども、ここにはバックアップがもっともっと必要だと私自身、思っております。

 そして、先ほど福岡県の御紹介がありましたけれども、都道府県の地域に根差した主体的な取り組みということに心からの敬意を表した上で、ただ、都道府県の、志ある県だけの善意に委ねていていいのかという問題意識を私自身も持っております。

 先ほど局長から答弁がありましたけれども、やはり実証的な調査研究事業の好事例を周知して、また、ワンストップ支援センターの開設、運営のノウハウということを横展開していきたい。けれども、まだまだでございますから、来年度、大幅にこの実証研究ということを拡充し、そして、世論のバックアップということも同時に喚起してまいりたいというふうに考えております。

吉田(宣)分科員 力強い御答弁、本当に感謝申し上げます。

 時間もありません。次に移らせていただきます。

 次は、飲酒運転の撲滅対策というものについてお話をお伺いできればと思います。

 私の地元の九州・福岡は、飲酒運転による大変に悲しい事故が頻発したところでございます。したがって、後に述べますけれども、福岡県においては特段の取り組みがなされております。

 まず、その質問の前提として、全国的な飲酒運転の発生状況の推移と関係法令改正との関連がございましたら、警察庁の方からお教えいただければと思います。

鈴木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 飲酒運転による交通事故発生件数は、ピーク時の平成十二年が二万六千二百八十件でありました。

 平成十三年の道路交通法改正において、酒酔い運転、酒気帯び運転等の罰則の引き上げ、そして平成十九年の道路交通法改正において、酒酔い運転、酒気帯び運転、飲酒検知拒否等のさらなる罰則の引き上げ、車両等や酒類の提供及び同乗行為といった飲酒運転を助長した者に対する罰則の新設などの関係法令の改正を行うとともに、取り締まりや関係機関、団体等と連携した飲酒運転抑止の広報啓発等を強化したところ、飲酒運転による交通事故は年々減少し、平成二十年には六千二百十九件まで減少したところでございます。

 その後、下げどまりの傾向にあり、平成二十五年は四千三百三十五件となっているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 お教えいただいたところによりますとといいますか、私が事前に承知した資料によりますと、現在、飲酒運転の事件の発生数というのはどうも横ばいだというふうにお聞きしております。一定程度、今御紹介いただいたような施策の取り組みというのが功を奏して、下げどまっているのかなというふうな実感を受けるんですけれども、これをさらに少なくするための施策として、私が福岡での取り組みを少し紹介させていただきたいと思います。

 さきに述べました福岡の取り組みですが、特徴的なのは、まず、条例を制定して飲酒運転撲滅に取り組んでいるというところです。この条例には罰則も付されております。

 次に特徴的なのは、アルコール依存症への対応を条例に明記している点。具体的には、二度飲酒運転を犯した人にアルコール依存症かどうかのお医者さんの診断を義務化する、予防、治療と飲酒運転防止を絡めた対策になっているという点でございます。

 非常に画期的な対策だと思うのですけれども、国の方でもこのような観点からの問題意識をお持ちかどうか、内閣府からお聞かせいただければと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月に施行されたアルコール健康障害対策基本法では、基本的施策の一つとして、第十九条において、国及び地方公共団体は、アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対し、その者に係るアルコール関連問題の状況に応じたアルコール健康障害に関する指導、助言、支援等を推進するために必要な施策を講ずるものとすると定めております。また、政府におきましては、この法律の施行後二年以内に、具体的には平成二十八年五月末までに、アルコール健康障害対策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画を策定しなければならないとされております。

 これらを受けまして、内閣府では、現在、アルコール依存症の有識者や当事者及びその家族で構成されるアルコール健康障害対策関係者会議を開催し、検討を行っているところでございます。

 本年一月に開催した会議におきましては、委員御指摘の先進的な取り組みである福岡県における飲酒運転対策の取り組みにつきまして、福岡県の担当室長様からその取り組み内容を御紹介いただいたところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 アルコール依存症との関連で飲酒運転を撲滅するという施策、これは、今の御説明をよくよくお聞きしてみると、緒についているのか、具体的な段階にはまだ至っていないのか、いずれにせよ、検討が始まっているのかなというふうな印象を受けました。

 この問題は各省庁に横断的にまたがっていくような問題であるとも思われますので、各省庁に横断的にまたがっていくような問題に関しては、問題の本質を的確に捉えてこの解決に向けて前進していこう、そうなれば、やはりかなめになってくるのは内閣府ということになるかと思います。

 その意味におきましても、有村大臣には大いにリーダーシップを発揮していただいて、国の方でもこのような観点からの対策というのをぜひ進めていただきたいと思います。有村大臣の所感、受けとめをお聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 九年前でありましたでしょうか、福岡県で大変痛ましい、飲酒運転に起因する事故がありました。社会的にも強い関心を惹起し、問題提起がなされたその事故の教訓を経て、平成二十四年に、福岡県が全国に先駆けて、アルコール依存症との関連に着目した飲酒運転対策に条例を制定され積極的に取り組んでおられる、そのことについては、過去からの経緯を鑑みて敬意を表したいと存じます。

 一昨年十二月に成立し、昨年六月に施行されましたアルコール健康障害対策基本法では、アルコール健康障害の対策を実施するに当たって、健康障害が飲酒運転等に密接に関連することに鑑みて、その連携ということをするように定められております。

 各省庁の縦割りということを乗り越えて、御指摘のように、内閣府としては、その総合調整と防止ということ、啓発に最前線で取り組まねばならないというふうに思っております。

 福岡県の事例も参考とさせていただきながら、特に警察庁、厚生労働省等の関係省庁と協議して、アルコール依存症とそれに起因する飲酒運転について根本的な解決に資するアルコール健康障害対策推進基本計画を平成二十八年五月末までに策定したいとその準備をしております。

 今後も、心して、総合的、計画的にアルコールと、それから飲酒運転の防止に向けての施策を遂行してまいりたいと考えております。

吉田(宣)分科員 大臣、本当にありがとうございます。しっかり私も力を尽くしてまいりたいと思います。

 最後の質問でございます。

 私は、熊本の荒尾市というところで生まれましたが、お隣の大牟田市というところで仕事をしていた経験もございます。その御縁がございまして、昨今、明治日本の産業革命遺産に関する世界遺産登録というのが進んでおるようでございますので、その進捗について内閣官房の方から御説明いただきたいと思います。

成瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」は、幕末から明治にかけ、日本が急速な産業化に成功した時代を物語る貴重な資産群について、世界文化遺産への登録を目指すものでございます。

 資産には、三池炭鉱の万田坑や宮原坑などの文化財に加え、現役で使用されている三池港などの稼働資産を含む、これまでにない文化遺産となっており、日本政府といたしまして、昨年一月末にユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出いたしました。

 その後、ユネスコから委託を受けた審査団体であります国際記念物遺跡会議、いわゆるイコモスにおきまして審査が行われております。昨年九月から十月にかけまして現地調査も実施され、政府においては、これら調査等に対して、資産所在自治体や資産保有企業等と連携して、資産の価値や保全措置等について的確な説明に努めてまいったところでございます。

 今後、イコモスからユネスコに対し、登録の可否に関する勧告が四月末から五月上旬ごろになされ、この勧告を受け、六月末から七月上旬にドイツのボンで開催されるユネスコ世界遺産委員会において登録の可否が決定することとなっております。

 政府といたしましては、この貴重な資産群がきちんと評価され、登録がなされるよう、世界遺産委員国への説明など、万全を期してまいりたいと考えております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 この遺産が本当に世界遺産に登録をされれば、これは地域の宝から国の宝、それから世界の宝へと価値が高まってまいるわけでございます。その意味からも、登録を見据えて、国はしっかりお取り組みをお願いしたいと思います。私も、そのためにしっかり力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 以上、私の決意も述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平沢主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、梅村さえこ君。

梅村分科員 日本共産党の梅村さえこです。

 子供の医療費無料化について御質問させていただきたいと思います。

 子供の健やかな成長は、社会の発展の基盤、国の未来を築くものであります。安倍内閣の言う女性の活躍、子育て支援、少子化対策が真に実効あるものにできるかどうかも、この分野で試されるのではないでしょうか。

 内閣府の子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査では、経済支援として望ましいことについて、教育費、保育の費用とともに医療費が挙げられております。子育てに当たって医療費負担は重大な課題となっておりますが、少子化担当大臣、まず、その御認識を伺いたいと思います。

有村国務大臣 私の記憶が間違っていなければ、委員も二人のお子さんをお育てのお母様だと認識をしております。私も同様でございます。

 やはり子育て中の世代にとって、子供が安心できる環境をみんなでつくっていく、その一つの柱として、しっかりとした質のある医療にアクセスがあるということは、極めて大事な価値だと認識をいたしております。

梅村分科員 ところが、現実的には、受診が大変阻害されている実態があるわけです。

 例えば、歯科診療の問題。歯と全身の健康が指摘され、重要視されておりますが、この歯科治療の実態として、長野県保険医協会の調査では、学校の歯科健診で要受診とされながら受診をしなかった児童が、小学校で四割、中学校で六割おり、養護教員などが記載した受診しない理由には、一人親家庭で手が回らない、親の仕事が忙しくて通えないなどとともに、当日窓口で支払う現金がないために受診できないなどの事例が書かれております。

 三十代の子育て世代の所得は、十年前と比べても大きく減少しております。このように、保護者の貧困による子供の受診抑制が各分野から現在報告されておりますが、少子化担当大臣、こうした事態をどうお考えになりますか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 子供の健やかな成長のために、また親御さんの安心のために、必要な医療を受ける機会を確保することが重要だということは明確でございます。同時に、その仕組みをどう担保するかということを考える上では、受益と負担の公平を図るために一定の御負担をいただくことも必要であるということも現実でございます。

 子供の医療費については、そもそも厚生労働省所管の制度において、これまで、小学校入学前のお子さんについては、医療保険の自己負担額を三割から二割に軽減していただいております。また、未熟児や特定の慢性疾患を抱えるお子さんの医療費について、自己負担額を公費で助成しており、加えて、高額な医療が必要となった場合は、低所得者に対して一般よりも低い負担上限額を設定するとともに、長期にわたって続く場合にも負担軽減の措置を講じている、そういう施策を厚生労働省として実施されていると承知をしております。

 自己負担のさらなる軽減というのは、厳しい財政制約、現下の社会状況ということの中では、ほかのお子さんたちとの関連の施策の均衡等から、現時点では課題が多いというのもこれまた事実であろうかというふうに思っております。

 政府が昨年八月に策定いたしました子供の貧困対策に関する大綱では、教育の支援、生活の支援、また、御指摘の懸念の一部でもあります保護者に対する就労の支援など、各般の施策を盛り込んでおります。これらを総合的に、御本人、家族に行くように推進することによって、子供たちの未来が家庭の事情によることのないように、そういう社会を実現していきたいというふうに考えております。

梅村分科員 子供の貧困対策は大変大事だと思います。私たちも一緒に力を尽くしてまいりたいと思いますが、ぜひ、経済的対策をその柱の一つとして重視をしていただきたいと思います。

 そもそも、乳幼児の医療費の無料化については、一九六一年に岩手県の沢内村を皮切りに、一九七二年には県としては栃木県が初めて実施をいたしました。そして、一九七三年には実施市町村が八百を超え、ついに二〇〇〇年に、全自治体で助成を実現してきております。こうした広がりは、たくさんのお母さんたちの汗がつくり出したものだと私は考えております。

 乳幼児医療費の無料化を国の制度にとの請願署名は、一九六八年に全国に先駆けて運動を呼びかけた新日本婦人の会だけでも、もう既に数百万人を超えております。さらに、乳幼児医療費無料制度を国に求める全国ネットワークは、二〇〇〇年代には、十年間で約百三十万人の署名を国会に提出しております。

 このように、半世紀にわたり、もう親子二代、三代と取り組んでいる。そうした戦後の日本の歴史の中でも最も粘り強く、最も強い要望の一つとしてこの願いがあるわけでありまして、国の制度として子供の医療費の無償化をすべきときに来ていると私は強く感じているところです。

 そこで伺いますが、今、医療費の助成は、就学前、小学校卒業までと、それ以上で、それぞれ通院、入院ごとにどれぐらいの実施率になっておりますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生の方から、全ての自治体、市町村におきまして乳幼児等の助成を行っているということでございますけれども、今の市町村における実施状況につきまして、外来と入院を分けて申し上げますと、外来につきましては、就学前まで実施している市町村が約二四%でございます。中学校卒業まで実施している市町村が六七%、それ以上の年齢で実施している市町村が約九%でございます。

 一方、入院の場合につきましては、就学前まで実施している市町村が約九%、中学校卒業まで実施している市町村が約八二%、それ以上の年齢で実施している市町村が約一〇%ということになってございます。

梅村分科員 今の御説明だけでも、就学前ばかりか、もう多くの市町村で中学卒業まで、通院で六七%、入院で八二%にまで広がっているというお答えでした。きょうの資料を拝見いたしましてもそのようになっており、二十二歳までやっている自治体も生まれております。やはりこの背景には、切実な声が全国の隅々、至るところであるということだと思います。

 きょうは、資料に、新日本婦人の会の会員の皆さんから寄せていただいた実態を一部御紹介しております。これ以外にも、この一週間で何十倍も、お母さんたちの切実な声が寄せられております。

 例えば、見ていただいて、線が引っ張ってありますが、神奈川の十歳、八歳、五歳のお母さんですが、小学生になり医療費がかかります、特に、三人それぞれアトピーやアレルギー性鼻炎を持っていて、一人当たり月に五千円の負担です、私の妹は名古屋にいますが、中三まで助成されています、せめて義務教育の間ぐらいは、どこに住んでいても変わらない助成制度にしてほしいと訴えておられます。

 また、学校でけがをし、養護教諭の先生が、おうちに帰ったら家の人に病院に連れていってもらってねと話すと、先生、お願いだからけがのことはママには言わないで、お金がかかるからと言うお子さんもいます。医療費が大変で、夕飯のおかずをもやしにかえてやりくりしているという御家庭もあります。

 こうした声は既に少子化担当大臣にも届いていると思いますが、きょうの資料、ぜひ目を通していただき、また何かの機会に、ぜひこうした声を聞いていただきたいというふうに思います。

 さて、とりわけ母たちの強い願いは、自治体間の違いをなくしてほしい、どこに行っても安心して医療を受けられるようにしてほしいということがあります。

 そこでお伺いしますが、所得制限や一部負担の有無の自治体割合はどうなっておりますでしょうか。

木下政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年の四月一日時点で申し上げますと、所得制限を導入している市町村の割合は約二三%でございます。一方、一部自己負担を導入している市町村の割合は約四四%でございます。

梅村分科員 一部自己負担があるのが四四%。大変いろいろ大きな差があるんですが、厚生労働省はつかんでいないと聞きましたが、窓口無料、償還払い、そういう方法がいろいろあります。

 例えば里帰り出産で、生まれた子ももちろん、上の子が病気になることもよくある話です。部活で遠征をしてけがをする、これもよくある話です。あるお母さんは、償還払いで請求しなければなりません、受診のため仕事を休み、さらに請求のためにまた平日昼間に時間をつくる、これは働きながらでは大変なことです、日本じゅうどこでも同じように受診できるように無料化をお願いしますと訴えておられます。

 この訴えのように、どこでも子供たちがひとしく受診できる制度にするためには、やはり国の制度にすることが求められているのではないでしょうか。実施すれば、政府が、少子化、女性の活躍、子供の貧困の打開に本腰を入れ始めたという最高のお母さんたちへのメッセージになると考えます。

 少子化担当大臣、やるべきではないでしょうか。

有村国務大臣 切実なお訴え、敬意を持って拝聴いたしました。

 委員からのリクエストをいただきました添付資料の緊急アンケートに寄せられた声は、委員との審議において、全てしっかりと読ませていただくということをお約束させていただきたいと存じます。

 お子さんを育てる親御さんの安心、またお子さんの健康ということをみんなで応援し、その健康を担保できるような状況を社会としてつくっていくことは大事なことだと存じます。

 私もそのように思った上で、同時に、必要な医療を受ける機会を、アクセスを担保することは重要だと明確に申し上げながら、たびたびで恐縮でございますが、一方で、受益と負担の公平性ということも大事だと思っております。受益者が一定の負担をするという原則は貫かれるべきだという方針は堅持させていただくべきだと私自身考えております。

梅村分科員 厚労省はいかがでしょうか。

武田政府参考人 厚生労働省といたしましても、ただいま大臣から答弁がありましたとおり、受益者の負担の観点は非常に大事なものと考えております。

梅村分科員 それでは、就学前の子供の医療費を無償化にする場合、かかる費用は幾らでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 国の事業といたしまして、仮に未就学児の医療費について窓口負担を無料化するとした場合の必要な財源を試算いたしますと、平成二十四年度予算ベースで、機械的な試算ではございますけれども、約二千四百億円程度、このようになっております。

梅村分科員 その中で、波及増はお幾らぐらいの計算になっておりますでしょうか。

武田政府参考人 ただいま先生御指摘がありましたように、医療費の自己負担を無料化した場合につきまして、波及増がかかるというのが一般的に計算をされております。

 ただいま申し上げました二千四百円の公費という点につきましては、現時点で、自治体によりまして未就学児の医療費窓口負担が軽減をされているということが一般的である実態を踏まえまして、波及増がなかったと仮定して計算した場合の数字となっております。

梅村分科員 ゼロということでよろしいんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 あくまで粗い試算でございますので、仮にゼロと計算した場合は約二千四百億、このような試算になっております。

梅村分科員 今まで何度も、この数字については発生するというふうにお答えでしたので、今回初めて、ないもとでの計算だがということでいえば、新しい数字を出していただいたというふうに思いますし、これは、既に市町村が全て実施したからこそ、波及増がないという認識に政府が立たれているということだと思います。

 今、受益と負担のお話がありましたが、ここの部分、やはり圧倒的に負担してきているのは地方自治体になってきているわけです。そして、やはりそういう努力を国がお認めになっているわけですから、今お話がありましたように、全額公費であれば二千四百億円かかるということですが、この二千四百億円は、子供たちの健やかな成長、国の未来を築く重要問題と位置づけて、私は、国の制度化を政治決断としてやるべきときに来ているし、やるべきだというふうに感じます。自治体がもう既に、波及増が生まれないほど努力をしてきているわけですから、国の制度として進むべきときではないでしょうか。もう一度、お答えください。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 その前に、先ほど私、必要な公費につきまして、二千四百円とちょっと間違って答弁いたしましたが、二千四百億円でございます。

 それで、先生御指摘のとおり、波及増を認めるか認めないかという点でございますが、あくまで私どもとして波及増をゼロで計算した場合の二千四百億ということでございまして、単純な試算というふうに受け取っていただければと思います。

 その上で、御指摘のような国の制度化につきましては、現下の大変厳しい国の財政状況のもとではなかなか難しい課題ではないかというふうに考えてございます。

梅村分科員 今まではあくまでもゼロとすることもなかったわけですから、やはりこれは新たな認識に立たれているのではないか。それは、お母さんたちの運動によって、全ての自治体で医療費の助成が行われてきている。受益と負担の関係を考えろと言いますが、自治体がその努力をやっているわけですから、私は、国が政治決断をするときだと思います。

 とりわけ、私の選挙区、北関東ですけれども、群馬県の調査では、医療費を中学三年生まで県で無料化した後、むしろ時間外の受診が減ったということもあります。安心して病院にかかれるようになったことが救急外来を減らす、また、早期発見、早期治療がアトピーやぜんそくなどの慢性疾患の予防、重篤化を軽減する役割を果たすと専門家も指摘しているところです。

 就学前までは国が無料にする、その上に自治体が独自に支援をすれば、どの自治体でも中学三年生まで実現することができるではないですか。このことを強く要望して、次に進みたいと思います。

 この問題に関連しまして、市町村が子供の医療費を窓口無料にした場合に国庫負担が削減されるというペナルティー、いわゆる地単カットの問題についてお伺いします。

 ペナルティーの影響額は幾らになっておりますでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘をいただきましたのは、国の制度として、乳幼児医療などに対して地方単独事業で窓口負担が軽減された場合に、一般的に医療費が増加すると考えられますので、限られた財源を公平に配分するという観点から、窓口負担を軽減する事業を実施している市町村について、事業を実施していない市町村と同じ補助となるよう、増加した医療費分の国庫負担を減額調整しているという制度でございます。したがいまして、国庫負担の調整措置という形で制度化をされております。

 この措置による平成二十四年度における国庫負担の調整額でございますが、合計で約三百八十億円というふうになっております。

梅村分科員 これだけの国庫負担の削減は、やはり市町村の国保にとっては大きな打撃、大きな金額だというふうに思います。

 既に御承知のように、このペナルティーをめぐっては、全国知事会そして地方団体からも強い是正の意見が上がっているものだと思います。そして、二月の国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議の合意文書でも、今後の検討事項になっているかと思います。さらに、与党の公明党さんからも是正の意見が出されておられるのではないでしょうか。

 政府として、国庫負担の削減、ペナルティーはやめるべきではないでしょうか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 この国庫負担の調整措置でございますけれども、先ほど申し上げましたように、窓口負担の軽減で一般的に医療費が増加すると考えられることを前提に、限られた財源の公平な配分、こういう観点から、地方単独事業により医療費の助成を実施した国庫負担を減額調整している制度でございますので、このような制度の趣旨を踏まえ、この国庫負担の調整措置の見直しにつきましては、慎重な検討が必要な課題であるというふうに認識しております。

梅村分科員 ふえるということなんですけれども、先ほど御紹介した群馬県の例におきましても、結局、安全、安心の医療制度をつくることによって、救急外来が減ったり、そしてアトピーだとか慢性疾患の子供たちがやはり早目に是正をされる、重篤化を防ぐというような結果もあるわけですよね。そこら辺はお認めになりませんでしょうか。

武田政府参考人 厚生労働省といたしましては、例えば、先ほど大臣からも御紹介をいただきましたように、一般の方は七割給付、三割負担でございますが、就学前のお子さんに対する給付率を八割給付に引き上げ、また、高額な医療費がかかる世帯に対する高額療養費制度などの充実に努めてきているところでございます。

 地方単独事業による一部負担金の免除、減額につきましては、限られた財源の公平な配分の観点というのは必要な観点ではないかと考えているところでございまして、この制度につきましては、やはり慎重な検討が必要な課題というふうに考えております。

梅村分科員 私が質問したのはペナルティーの根拠で、さきのお答えの中で、無料化にすれば医療費がかかるようになるからその調整だというふうにおっしゃったので、改めて群馬県の例などを出しまして、また専門家の話も出しまして、ふえるのが当たり前なのかと。早目に治療すれば、私も子供がアトピーを持っていますけれども、やはり早いうち早いうちにやれば、ぜんそくまでいかないわけですよね。そういうことについてどうなのかということをお伺いしたので、その点でぜひお答えいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、一部負担金、自己負担の減額の場合に医療費がふえるということについての根拠についてお尋ねがございました。

 これは私ども、これまでの医療費に関するデータを、過去、分析いたしました結果といたしまして、医療費の自己負担が減額をされた場合につきましては、全体にその給付費がふえるという関係があると分析をしております。そこを踏まえて、現在の制度が昭和五十九年度から導入されて現在に至っているという状況でございます。

梅村分科員 過去というのはいつのデータで、いつそういうまとめをされて、そういう調整になっているんでしょうか。

武田政府参考人 恐れ入ります。医療保険の分野におきましては、自己負担の割合が下がることによって一定計数をもって医療費が増加するということを長瀬計数と呼んでおりますが、これは、過去のデータから計算をされて、その数値を使っているということでございます。

梅村分科員 過去というのはいつごろですかということを聞いているんです。

武田政府参考人 私ども、医療保険におきます患者負担と医療費の関係につきましては、申し上げましたように過去からいろいろなデータを分析しておりますけれども、最近で申し上げますと、平成九年九月の改正、これは二割負担の導入の時期でございますが、また、老人医療費につきましては昭和五十八年の二月の改正から平成九年九月の改正まで、こういった過去における自己負担引き上げの制度改正を行ったときの実績の医療費のデータをもとに、長瀬計数というのを算定しているということでございます。

梅村分科員 何度も長瀬計数というお話があり、昭和五十九年というお話もありました。

 今私が訴えさせていただいた声は、この一週間で上がってきた声です。今、貧困が進み、子供の貧困率も一六・三%になり、そして昔よりもアトピーだとかアレルギー性の疾患を持つ子供たちが多くなってきているわけですから、より早い治療がどういうふうな医療の効果があるのか、無料化をすれば実際にストレートに医療費が上がるということだけを考え続けていいのかどうか、これは改めて調査もし、検討し、しっかりと生かしていただく課題ではないかなと。過去、過去、過去ということを言っても、今の子供たちの実態、貧困であえぐ子供たちの医療をめぐる実態をぜひ調べていただいた上で取り組んでいただきたいなというふうに思っているところです。

 さて、時間もなくなってきました。

 このペナルティーが足かせになって、自治体では、窓口負担無料化ができないというお答えがたくさん返ってきているわけですから、このペナルティーの是正が求められると思いますし、また、とあるところでは、税金を払っていないから子供の医療費の助成を行わない、税金滞納世帯には助成をしないというようなところもありますし、また、一旦無料化を年齢拡大しながら、引き下げるようなこともあるわけです。

 私は、国が医療費の無償化を実施すれば、こんなことは起こらないというふうに思います。子供たちを差別したり泣かせたりするペナルティーはやめるべきであることを重ねて強く要望したいと思います。

 最後になりますが、お母さんたちは、子供の医療費の無料化を国の制度にすることを決してこれからも諦めません。政府が決断しないなら、これからも、この五十年続いてきたわけですけれども、実現するまで、日本の母親たち、お母さんたちはこの声を日本じゅうに広げていくことと思います。

 半世紀にもなる、母、女性たち、そして子供たちの願いを真っすぐ受けとめてこそ、国は少子化対策を進めることができると考えます。国が政策的な決断をいよいよするときだということを訴えて、質問を終わらせていただきます。

平沢主査 これにて梅村さえこ君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)分科員 維新の党の篠原豪です。

 国会に参りまして、本日が初めての質問日です。お聞きしたいことがたくさんありますので、閣僚初め答弁をされる皆様におかれましては、できるだけ簡潔に、的確にお答えいただければと思います。では、よろしくお願いいたします。

 さて、連日の報道にありますように、神奈川県川崎市において、中学一年生の上村遼太さんが殺害されるという大変痛ましい事件が起きてしまいました。

 また、昨年を見れば、事件を決して忘れない意味で資料の一枚目に新聞記事を両面で配らせていただきましたけれども、横浜市磯子区に住む三歳の山田龍琥君の事件が起きました。

 改めて、御冥福をお祈りするとともに、御家族の皆様に対して心よりお悔やみを申し上げます。

 こういった事件が後を絶ちませんけれども、私も子を持つ父親として、御家族の気持ちを察するに余りある大変痛ましい、悲しい事件であり、子供、子育て中のこのような事件を二度と起こしてはいけないという強い思いです。

 そういった中、内閣府は、子供、子育てを社会全体でより支えていくための、子ども・子育て新制度をこの四月から実施します。

 資料の二枚目、平成二十七年度予算案総表で、二の「女性の活躍、少子化対策、暮らしと社会等」をごらんいただいてもおわかりのように、対前年度比二兆円を上回る増額となっており、中でも、六千億円の増額となっている子ども・子育て新制度関連の取り組みについて、これは大変重要な政府の目玉施策ということで、それを裏打ちしているというふうに思います。

 そこで、本日は、この新制度を中心にお伺いをいたします。

 さて、この子ども・子育て新制度については、ようやくまとまったという感がありますけれども、子育てが難しい保護者や育てにくい子供など、さまざまな社会的課題が顕在化してくる中において、新制度のもたらす効果への期待は大きなものがあります。一方で、多額の財源を投入して実施するわけでございますから、有効な、生きた施策展開でなければいけないというふうに思っております。

 今回の新制度には横浜市の事業が先進事例として生かされ、私も実は横浜市会議員を十一月までやっておりましたので、その現場で、ここまでの一連の取り組みを見させていただいてまいりました。全国へと広がりつつある状況だと思っております。しかし、その横浜においても、いまだ新制度導入に当たってはさまざまな課題があるというふうに考えております。

 そこで、きょうは予算質疑でありますので、その課題について、実際の利用者の方々、事業者の方々、そして基礎自治体、この三つの視点からそれぞれ課題を少しお話しさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 質問の最初ですけれども、まずは利用者の視点の課題についてお伺いいたします。

 利用者からすれば、入園したい幼稚園や保育園に希望どおり入りたいというのが願いだというのは当たり前のことだと思うんですけれども、まず、この新制度は、利用者から見て、具体的に今の状態と比べ何がよくなるのかを有村大臣にお伺いいたします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のように、予定どおり、四月から子ども・子育て支援新制度を実施させていただきます。

 この新制度では、消費税分の増収分を活用して、子育て支援の質と量、両面にわたる充実を図ります。

 具体的には、子育て支援に関する市町村の住民のニーズを把握して、地域の実情に応じて、保育所、放課後児童クラブ、あるいは保育園、幼稚園の両方のよさを兼ね備えた認定こども園、小規模保育等の、地域の実情に応じた多様な保育を計画的に整備し、しっかりとニーズに応えていくという価値を明確にしていきます。

 また、二十五年から二十九年までの五年間で約四十万人分の保育の受け皿を新たに拡充して、待機児童の解消を図るということを明確にしています。親御さんの安心をつくりたいという思いでございます。

 同時に、保育園や幼稚園の職員の配置を手厚くしたり、あるいは処遇を改善して人材の確保、定着を図ることによって、子供が受ける保育の内容の充実、また親御さんの安心につなげていきたいと思います。

 最後に、共働き家庭だけではなくて、在宅での子育てをしていらっしゃる家庭のさまざまなニーズに応じた支援も充実してまいる所存でございます。

篠原(豪)分科員 いろいろ多岐にわたって、子ども・子育て支援制度においては、新たに子供たちを支えていく仕組みをやるという話でして、今、待機児童対策の解消という話がありましたけれども、これも横浜で先進的な取り組みをやらせていただいたというふうに考えています。

 待機児童対策の解消のときにちょっと考えておいていただきたいのは、やはり、箱物をつくってやるとしても、子供たちは減っていきますので、そのあたりのバランスを、事業シミュレーションをきちっとした上でやっていくことが大事なんだろうというふうに考えています。そういったことも含めてこれから政策を打っていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 今、施設のお話がありましたけれども、もう一つ。やはり、制度が実施されても、現状、待機児童もいるわけで、現実的には、すぐに望むところに入るということもなかなか難しいんだろうというところもありますので、この点についてもしっかりとしたフォローをしていただきたいというふうに思っています。

 そもそもの話に戻らせていただきますけれども、この新制度設計に当たっては、最初は総合こども園、これは幼稚園も保育園も一緒にして、わかりやすい形で、新たな子ども・子育ての支援の制度を抜本的につくり直すということだったというふうに聞いています。

 しかしながら、制度を設計する中で、当初の構想から多く修正を行って、本来であればわかりやすくするはずだったものが、見方によっては大変複雑になってしまったという印象が否めないんじゃないかというふうに考えています。

 具体的には、資料の三枚目をちょっとお目通しいただければと思うんですけれども、横浜市の「本市施設・事業の現行制度から新制度への移行の主なバリエーション」の上の図で見ていただけますように、左側が三月までの現行の制度で、四月からが右側の新制度ということになります。幼稚園の類型が、現行は、左側の部分を見れば一種類なんですけれども、右側の新制度に移行すると、私学助成と給付対象の二種類になります。同じく、認定こども園の類型が、一類型だったものが四類型になります。そして、地域給付型については、これまでは自治体独自の事業だったものなんですけれども、四類型になったということで、複雑になっているんだろうというふうに思います。

 新制度は、やはり幼稚園と保育園の統合だったと理解しておりますので、当初目指していた姿にどのようにしていくのかという問いは残るんだと思います。一方で、現実には四月から新制度が始まります。

 そこで、まず疑問と思うのが、右側を見ていただくとこれだけありますので、このままでは、利用者からすればどの施設を実際に選択すればというので判断に迷うんだと思います。

 そこで、利用者にとっては、実は教育、保育の施設類型が多くなり過ぎてしまっていて、わかりにくくなってしまったのではないかという思いがあります。この点について、有村大臣のお考えを伺いたいと思います。

有村国務大臣 現場に精通された御質問に敬意を表します。

 子ども・子育て支援新制度は、子育て家庭の育児、教育、保育のニーズに応えていくために、それぞれの地域の実情に応じて、事業者の意向あるいは市町村の動向、認定こども園、幼稚園、保育所、小規模保育の地域型保育の施設事業を組み合わせるということで、この地域型保育にも、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育という四類型があります。わかりにくいほどに多いという御指摘は、甘んじて受けます。私もそのとおりだなというふうに思います。

 同時に、待機児童があるところ、あるいはそもそもの需要がかなりなくなっているところという地域差もございますので、やはり地域の実情ということがポイントの一つになってこようかというふうに思います。

 その上では、委員が御指摘のように、箱物をつくるだけではなくて、例えば二〇四〇年、四半世紀後には百万人ずつ人口が減少するということでは、今は活況なこの分野でございますけれども、必ず、人口減ということで、淘汰の時代というのは早かれ遅かれやってくる。そういうことを考えると、まさにプレースメントのためのソフト事業をどのように充実するかということが肝になってくると思っております。

 横浜の例を勉強させていただいても、単に箱物を整備するだけではなくて、保育コンシェルジュということで、これは行政改革の方からも高く評価させていただいた部分でございますけれども、親御さんの、お子さんのニーズということをちゃんと伺って、あなたに適したのはこのようなプランがありますということに、現実のプレースメントをちゃんと需要とマッチングさせることによって、ああ、私はフルタイムの保育は必要じゃなかったわというような、考えが変わる親御さんもかなりいらっしゃるという現場の横浜からの声も届いておりますので、そういう意味では、ニーズに応じた適切なソフト支援も含めて、数が多いという特徴を逆手にとって、きめ細やかにマッチングをしていくということを同時に補強していきたいと考えております。

篠原(豪)分科員 本当にありがとうございます。

 今、保育コンシェルジュのお話をしていただきました。これは、利用者のニーズがいろいろとある中で、一日預けるのか、一時預かりなのか、あるいは在宅でやるのか、いろいろなことがあるんですけれども、どういうものが本当にその御家庭に合っているのかなということを、それを伝えていくということになっていて、その相談を受ける窓口になっているものであります。

 とはいえ、現行の制度においても、情報をどこまで利用者が先に知っているかというのが結構大事になってきまして、先ほどコメントをいただきましたけれども、これだけ新たに多くの類型がある中で、それぞれの施設の特徴を把握して、その上で園を決めるのは、結局、ここまでいきますと、やはり事前に、相談する前に制度を熟知している人が有利になりそうなのかなという印象があります。始まってしまいますので、これはさらにわかりやすく、利用しやすくしていくべきだというふうに思っています。

 もう一つ考えたいのは、同一の年齢の子供を育てるに当たって、早期に統一した考え方にすることが適切ではないのかということについてです。

 保育所保育指針の保育は、養護と教育が一体となって行うとしたものから現在があると認識していますけれども、当初の議論にあったと思うのですが、やはり利用者、特に子供の視点から見れば、三歳から五歳、この間に受ける教育の内容に、幼稚園と保育園で差があるのではないかというものだったと思います。保育園も同じものへ変えていくべきではないかということでした。しかしながら、現行では、まだ幼稚園と保育所の要領、指針がばらばらなままです。それぞれに保育、教育を別ルールで行っている。

 認定こども園の普及を目指すのであれば、教育、保育の内容の一本化をやはり図る方向でいくべきだと考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。政府に伺います。

武川(光)政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園教育要領と保育所保育指針につきましては、先生おっしゃるとおり、それぞれ別個の法律に基づくものでございますので、現在別個に定めておりますけれども、それらの内容につきましては、従来から、これらの整合性の確保に努めておりまして、三歳児以上に対する教育及び保育の内容については、既に相当程度共通のものといたしております。

 また、本年四月から施行されます子ども・子育て支援新制度のもとで、単一の認可制度に改められる幼保連携型認定こども園につきましては、新たに幼保連携型認定こども園教育・保育要領が策定されておりますが、これについても幼稚園教育要領や保育所保育指針との整合性を確保しているところでございます。

 今後とも、これらの整合性を確保することで、発達段階に応じた質の高い教育、保育が提供できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 ありがとうございます。

 中長期的に本当にどういうふうにまとめていくかという話はこれからの課題として出てくると思いますので、その辺も踏まえてこれから運営していっていただければというふうに思います。

 利用者の負担についてもお伺いします。

 国としては、この利用者負担についてどのような制度設計を行ったかということについてですけれども、利用者負担は、新制度上は、上限を設定した上で、範囲内の具体金額については市町村に任せる形をとっています。

 先ほどの施設類型の話について、どの類型を利用するかによって保育料の負担が違うことも気になります。言いかえれば、違いがあってもいいという基本的な考えに基づくものなのか、それとも、今後整理をしていく方向で考えていくべきものなのかという点が積み残されているんだと考えています。

 資料三枚目を見ていただきますと、この上の部分ですね、先ほど言った新制度の上のところの、幼稚園の上と下です、従来の私学助成の幼稚園が残る一方で、新たに給付対象の幼稚園が生まれることになります。

 子ども・子育て支援制度に移行する幼稚園としない園で、実際に利用者負担が異なるといったことになります。そこで、このことについて御見解を伺います。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の私立幼稚園につきましては、それぞれの園が所得によらず保育料を設定しておるわけでございます。一方で、所得状況が比較的低い家庭でも私立幼稚園に通園できるように、各自治体において就園奨励事業として、所得に応じた保育料の補助を行っているわけでございます。

 新制度に移行した場合の利用者負担額は、これは初めから市町村が所得に応じて定める応能負担というふうになっているわけでございますけれども、その額は、現行の私立幼稚園の平均的な保育料額から就園奨励費補助の国庫補助基準額を控除した額を設定するということといたしておりまして、実質的な利用者負担額は新制度に移行した後も大きく変わらないよう配慮をしているところでございます。

 一方、個々の園で、高い保育料を引き続きやりたいというところにつきましては、私立幼稚園の意見も踏まえまして、保護者の事前同意など一定の要件のもとで、園ごとの独自の保育料の徴収が可能となるという仕組みを導入しているところでございます。

 いずれにしても、文部科学省といたしましては、私立幼稚園関係者に制度の趣旨とか内容等につきまして丁寧に説明を行うということで、希望する園が新制度に円滑に移行できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 ということで、事業者の視点からどういうふうかという問題点を、今の御答弁に続けてお伺いしたいと思うんです。

 国が示した給付対象の公定価格が低いという指摘があります。現実には、事業費が現在よりも落ちてしまうので、既存の幼稚園や認定こども園からは、給付の事業に移行できないという声が上がっています。言いかえれば、総事業費が下がって、運営が厳しくなると考えている事業者が実際に多いということだと思います。こういった現場からの声が上がっている現状において、国においては公定価格が低いという認識をお持ちかどうかという点が気になります。

 こういった声に応じて、例えば横浜市のように、独自に予算を出して上乗せしているところもありますけれども、当然、これは自治体の独自財源ですから限界があるんだと思います。

 こういった中で、子ども・子育て新制度に移行できない幼稚園、認定こども園がある実態、この現状についてどのような認識があるかを政府に伺います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 昨年五月に公定価格の仮単価をお示ししたわけですが、その段階において、現行の私学助成の水準が高い地域や園におきましては減収が生ずるという問題も指摘されまして、私どもといたしましては、各自治体に対して独自の助成の検討を引き続き要請するということとともに、国としても公定価格の加算要件等について見直しを行いました。チーム保育加算の引き上げ等を行いまして、そうした対応を講じまして、新制度への移行が円滑に進むよう取り組んでまいったところでございます。

篠原(豪)分科員 そういった方向で公定価格も含めていろいろと環境を整備してきたというお話だというふうに理解するんですけれども、そういうことであれば、これはきちんと伝わらなければいけないんだろうというふうに思います。

 この事業を成功させるには、やはり今の状態では、事業者の側、園側として総事業費が減少するかもしれないという理解の中ですので、新制度の枠組みに移行するメリットが明確にわからなければ、これはなかなかうまくいかないんだろうというふうに感じています。だからこそ、運営内容について、園側にとって何がよくなるのか、そしてこのことをどのように事業者に伝えていくかということが課題だと捉えていますので、この点をきちんと踏まえて進めていただきたいというふうに思います。

 次に、保育士さんの確保についてです。

 認定こども園の保育士さんには、保育士さんと幼稚園教諭の両方の免許が必要ということになります。人材の確保が大事だということでいえば、幼稚園、保育園の職員の方々のお給料をほかの職種と比較して、国が現状をどういうふうに捉えているのかだと思います。

 最後の資料に保育士の平均賃金についてというものをつけさせていただいておりまして、そちらをごらんいただきますと、保育士さんの平均年齢が三十四・七歳、勤続年数が七・六年で、現金給与額が二十一万円余となっています。有資格職業にもかかわらず、これは決して高いというふうに言えないと思うんですね。だからこそ、勤続年数も短いんだろうというふうに思います。

 言いかえれば、魅力あるほどの給与額になっていないということになるんだと思いますし、これは構造的な問題かわかりませんけれども、仮に、安い賃金のまま、退職者のかわりに新卒の方々を入れていくという構造があって、それが変わらないということであれば、人材の確保も難しいんだろうというふうに思われます。

 そこで、保育士の給与は他の職業と比較して低く、魅力ある給与額になっていないということを今申し上げましたけれども、このことについて、保育士の確保が課題となっている中、自治体に任せているだけでなくて、国として直接的なアプローチをどうされていくかということが大事だと思いますので、そのことについてお伺いいたします。

木下政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生、資料に基づきまして、保育士の平均賃金についての資料がございました。

 私どもとしても、この調査、賃金構造基本統計調査で行ったものでございまして、他の職種に比べまして、三百十七万円ということなんですけれども、他の職種はおおむね全職種で四百八十万円ということで、若干低くなっております。

 こうしたことを、できるだけ保育士の処遇改善を行うために、本年四月から施行されます子ども・子育て支援新制度におきましては、消費税を財源として、公定価格上三%相当の処遇改善を行うこととしております。具体的には、職員の勤続年数あるいは経験年数等の取り組みに応じた人件費の加算を確実に行うための仕組みといたしまして、処遇改善等加算を新たに設けることとしております。

 私どもといたしましては、今後とも、担い手となる保育士の人材確保を図るべく、処遇の改善、そして長く働き続けられる職場環境の整備に向けて努力してまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 増額分が保育士さんにきちんと届くようにしていただくということは、とても大事だと思っています。というのは、補助金を出しても、お金を出しても、それが本当にきちっと行き渡るかというのはチェックが必要だと思うんですよね。いろいろな事業者の方々がいらっしゃいますので、それはきちんと指導なさると思うんですけれども、やはりそこのところが一つ気になる点であります。

 今後とも保育士さんの処遇を改善して職場環境を整えていただくということですけれども、これはこの制度の成立に欠かせない点だと思いますので、ぜひ、今言ったことも含めてハンドリングしていただきたいのが一点。

 あと、横浜市で、例えば今回のような待機児童対策をぐわっとやりますと、保育士さんがやはり少なくなる、なかなかいらっしゃらないということになりまして、他の地方から都会の方にいらっしゃる方々もいるというふうに聞いています。そうすると、全国的にやるときにどういうふうになるのかなというのが、一つ心配になること。あと、保育士さんが足りないので、一週間ずっといていただくんじゃなくて、それこそ日ごとにいろいろな保育士さんが入るといったことも発生しているやに聞きます。そうすると、今度はなかなか子供たちにとって家庭的な保育というものが、あるいは三歳から五歳まできちっと教育していくということが、こういったところも副次的な要素としてこれから出てくることが予測されますので、その辺もしっかりと踏まえた上で施策をきちっとやっていただきたいというふうに思います。

 最後に、基礎自治体の視点からの問題を伺いたいと思います。

 これは昨年からの移行に向けた一連の流れについてなんですけれども、やはり国が公定価格を自治体に示したのが非常に遅かったのではないかという指摘があります。加えて、利用者への説明の内容など、他の通知も遅い状況だったというふうにも聞いています。

 自治体からは、給付に移行するための説明もなかなか幼稚園にもできなかったし、このことが移行の数の低さにつながったということも考えなければいけないだろうと。予算編成そのものも自治体は大変だったというふうに聞いています。

 新制度が円滑に実施できるかどうかというのは、事務をつかさどっている基礎自治体によるところが極めて大きいんだろうというふうに思います。特に、私の出身であるような横浜市においては、非常に規模が大きいんですね、基礎自治体なのに人口が三百七十万人いますから。そういったところで、システム開発も含めて大変な思いをしたというふうに聞いています。

 このような声が現場からは上がってきている現実がある中で、新制度へ向けて、国としては施行準備は円滑にこれまで進めてきたかということを、今の時点でもう一度お考えいただく必要があると思っています。

 これは有村大臣に御所見を伺いたいと思います。

有村国務大臣 時間の制約上、最後の御質問、答弁にならせていただくことになろうかと思いますが、先ほど御指摘いただきました幼稚園とそれから認定こども園の返上の問題も含めて、かなり私自身も警戒感を持ってやってきました。

 幼稚園には私学助成のことを徹底的に情報公開するということ、御協力を、引き続き都道府県の御指南もいただきたいということ、また認定こども園は予算編成時にしっかりとケアをしていきますということを代表にも申し上げて、認定こども園も幼稚園も保育園もそれぞれ安心して一つの大同団結をしていただくことに成功の鍵があるということを明確に申し上げ、これの価値観をこれからも堅持したいと思っております。

 同時に、先生御案内のとおり、幼稚園は文科省、厚労省で保育園ということで、それぞれの仕組みあるいは法的根拠が違ってきたもので、あるいは、新しいものを創設するという大改革には限られた時間の中で、自治体もそして各府省のスタッフも極めてよく頑張っていただいていると思います。ただ、事の大きさに鑑みて、御負担をおかけすることがある、多々御迷惑をおかけすることがあったというのも事実、率直に認めます。

 その上で、やはりシステム開発の支援など、安心こども基金を積み増して各事業、自治体の計画の策定を支援したり、あるいはスタッフで厚労省、文科省、内閣府ともに去年の初夏から全国各地に赴いていただいておりますけれども、やはりデータという意味では、公定価格試算ソフトのデータが自動で反映される請求明細書の例などを出させていただいて、これはフリーアクセスでございます。

 新制度の施行状況を踏まえ、自治体に対する必要な支援、また御指摘をいただきました保育士確保、特に多忙感が多くなっているということでの、有効求人倍率は非常に高くなっているという現状を私自身も把握しておりますので、引き続き警戒感を持って、何とか円滑な四月一日からのスタートということに全力を傾けてまいりたいと考えております。

篠原(豪)分科員 今の御答弁をいただきまして、本当に安心しました。

 というのは、やはり大同団結させて、一つの目標のもとに、今おっしゃったように、文部科学省であるとか厚労省であるとか所管があって、だんだん法律がばらばらになって、こういうことになってきた。これは恐らく背景には、今までやられてきた事業者の方々のこれまでの歴史というものがありますから、そのお気持ちは多分あるんだと思うんです。そういったところとうまく折り合いながら、そうはいっても、この国の子供の子育て支援を、本当に政府として次世代に責任ある立場でこれからどうやっていくかというのは極めて重要なことだと思いますので、そういったことを聞いて、そういう方向で進めていただけるのであればというふうに感じました。

 そうはいっても、おっしゃるように、まだ積み残されている。この短い期間の中で、それは、おっしゃったように、省庁の方々も全力でやられてきたかもしれません、自治体の方々も全力でやられてきたし、待っていた事業者の方々も、いつになったらどうなるんだという話もありました。これは何も子ども・子育て新制度にかかわる問題だけじゃなくて、例えば学童保育の問題とかも、これからこの処遇がどうなるんだ、働いている方がどうなるんだといういろいろな問題があって、それも含めていろいろと変わってきたというふうに思っています。

 今、今後のスケジュール管理についても、国の方でしっかり行っていただきたいと思いますけれども、そういうお気持ちだというふうに思います。

 今、一つありましたけれども、給付の支払いの方法について、一元化して委託をしていないので、フリーのソフトがあるとおっしゃいましたけれども、これはやはり自治体がいろいろと任せて、多分、うちなんかは三百七十万人都市ですから極めて大きなシステムになるんですよね。それこそ事業者さんも、違う自治体と、いろいろなところとやりとりをやって、自治体は利用者さんと選定をやって、そうやって三角形に、利用者さんと自治体と事業者さんがある中で、このやりとりがなかなか一元化できないというのは大変だというふうにも、負担が大きいという実態があるんだと思います。

 事務経費について、国の負担が少ないとも聞いていまして、そのことについて、これだけの類型が生まれた中で、大変な基礎自治体の事務的な負担、さっき、人を出しているとかそういういろいろな話がありましたけれども、これはやはり最後に、給付の支払いのシステムの開発、運用を初め、新制度における基礎自治体の事務負担や事務経費負担の軽減が今後求められていくんだろうと思います。なぜならば、大きいところは、もうそれこそ、どういう施設にどういうふうに人を充てていくかという、このやり方だけでも大変になっていますので。そういったときに、制度をきちっとやっていく、国と地方を合わせてやっていくときには、今後、国として基礎自治体に対してどう取り組んでいくのかということを大臣にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

有村国務大臣 それは、自治体の大きさによっても違いますし、現状によっても違いますので、データで我が方が用意させていただいているものが十分かどうかというのは、市場の反応、また代弁者である議員の先生方の御指南もいただきながら、鋭意努力して、また改善を重ねてまいりたいと存じます。御指摘を真摯に受けとめます。

篠原(豪)分科員 どうもありがとうございました。

平沢主査 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 警察庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島(昭)分科員 民主党の長島昭久です。

 山谷大臣、御苦労さまです。また、赤澤副大臣、よろしくお願いいたします。

 きょうは、犯罪被害者の支援事業について少しお話を伺いたいというふうに思っています。

 私は、犯罪被害者支援、地元の地方議員がかなり熱心にやっておられて、その方から感化を受けて、かかわり始めてもう十年以上たつんですけれども、一番衝撃的だったのは、オウム真理教の地下鉄サリン事件あるいは松本サリン事件、あの救済が、事件からことしが二十年でありますけれども、十年たっても被害者の皆さんにこの救済がほとんどなされないまま推移したという、このことに衝撃を受けまして、今から七年前ですか、特別の給付金制度、これは超党派の議員の皆さんと一緒に活動させていただいて、それをつくることができて、そして何とか、二千数百人、負傷された方、亡くなられた方を含めて救済をさせていただいた、こういう経緯がありました。

 欧米に比べて日本の犯罪被害者支援あるいは救済制度は非常にまだまだ不十分なところがあるなということを痛感したんですけれども、十年前に基本法、そして基本計画ができて、それ以降、警察の皆さんを中心に、非常に多岐にわたって犯罪被害者の皆さんに寄り添う、そういう施策が展開されてきたことを、改めて感謝をしたいというふうに思っています。

 きょうお伺いしたいのは、その中の預金保険機構、預金保険納付金を使った制度について質疑をしたいと思っているんですが、その前に、きょうはせっかく大臣がお見えですので、我が国の犯罪被害者支援制度の概要といいますか、現状はどういうことになっているのか、少しお話をいただければと思います。

山谷国務大臣 警察における民間犯罪被害者支援団体への支援でございますが、警察では、民間犯罪被害者支援団体の果たす役割の重要性に鑑み、平成二十六年度においては、国の補助金として、付き添い支援等の直接支援業務の委託、相談業務の委託、被害者支援に関する理解の増進等に係る業務の委託、性犯罪被害者支援業務の委託などについて、約二億六千万円を措置し、都道府県における財政的援助の充実が図られるよう努めているところであります。

 今後とも、関係府省庁とも連携しつつ、民間犯罪被害者支援団体に対する支援が充実するよう警察庁を指導してまいりたいと考えております。

長島(昭)分科員 ありがとうございました。

 それでは、きょうは赤澤副大臣がお見えでございます。本題の預保納付金の制度について少し伺いたいというふうに思います。

 これは、振り込め詐欺救済法というのをつくりまして、三年前、民主党政権下でありましたけれども、振り込め詐欺で被害に遭った方に返済をしていく、こういうスキームをつくって、そこから返済し切れなかった分、つまり、本来は被害者の皆さんに還元をしていかなきゃならない分で大分プールされた資金がたまりましたので、その分を使って犯罪被害者の支援活動をしている団体をサポートしていこう、こういうスキームをつくらせていただきました。

 この点について、現状、このスキームを使ってどういう施策が展開されているかを含めて、副大臣から御答弁いただきたいと思います。

赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。

 事実関係にわたる部分、ちょっと事務方からも一部答えさせる部分があるかと思いますが、最初の質問では私からお答えしたいと思います。

 この預保納付金の制度でありますけれども、振り込め詐欺救済法に基づく被害者救済の手続を経ても、被害者からの返金申請がなされなかったなどの理由により、被害者にお返しすることのできなかった残金ということは、今先生がお話しになったとおりでございます。

 預金保険機構に納付されている金銭のことでございまして、これについては、これまでに、二十五年度末の累計で五十七億六千四百八十四万円ということで、救済法第二十条一項に基づいて、犯罪被害者等の支援のために支出するとされているとおり、具体的には、公募にて選定された日本財団が支援支出金管理団体として、犯罪被害者などの子供への奨学金貸与事業、まごころ奨学金、それから犯罪被害者支援団体助成事業を行っております。

長島(昭)分科員 今、大臣から二つ事業の御紹介がありました。まごころ奨学金事業、それと被害者支援団体への助成事業、この二つであります。

 これは事務方からでも結構ですので、二〇一三年、そして二〇一四年度、過去二年この施策が展開されたと思いますけれども、それぞれについて、まずはまごころ奨学金からお願いしたいと思いますが、総額でどのくらいを使い、どういった事業に展開していったのか、御説明いただきたいと思います。

中島(淳)政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるまごころ奨学金の貸与実績についてですけれども、二〇一三年度は三十一名に対しまして二千八百二十八万円の貸与を行っております。また、平成二十六年度は五十三名に対しまして四千七百五十二万円の貸与を行っております。

長島(昭)分科員 これは、もともとそのための原資、どのくらいの規模があるんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 いわゆる原資につきましては、この事業の開始に際しまして、平成二十五年三月に、事業の担い手でございます日本財団に対しまして、奨学金用ファンドの資金として四十億円を交付いたしております。

長島(昭)分科員 先ほど赤澤副大臣から、五十七億を使って二つの事業を展開すると。そして今、まごころ奨学金には四十億円、まず原資で使っていると。

 大臣、振り込め詐欺、今すごくふえていますよね。それで、これは年々、大体どのくらい機構の方に預保納付金として残ってくるのか。もともと五十七億でスタートしたといって、毎年毎年恐らく数億円単位で積み上がっているんだろうと思うんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 預保納付金の最近の発生額について申し上げます。

 平成二十三年度、四億二千六百五万円、平成二十四年度、五億二千百九十六万円、平成二十五年度は、四億一千二百六十六万円となっております。

長島(昭)分科員 これは、四億、五億というものが毎年積み上がっていくということで理解してよろしいんでしょうね。

 その規模に比べて、今御説明いただきましたまごころ奨学金、一年目が三十一名、二千八百二十八万円、二年目が五十三名で四千七百五十二万円。当初想定していた規模に比べて、かなり少ない印象があるんですけれども、そこの点はいかがですか。

赤澤副大臣 まごころ奨学金については、預保納付金の具体的使途について検討を行ったプロジェクトチームの議論では、学業を終えた後も、みずからが社会により支えられたことを思い出す機会を提供するとともに、就職して自立するよう子供たちにインセンティブを与えようということで、それが重要だという考えに基づき貸与方式にされたというふうに承知をしております。

 本奨学金制度については、関係各所との連携のもと積極的な広報活動を行ってきたところで、昨年六月から募集を通年化するなど、先生御指摘のあったとおりに、利便性を向上させることで利用がふえるように努力中でございます。引き続き、広報活動などを適切に実施すること等により、犯罪被害者の子供などの教育機会の確保に資するよう運営していくことが重要であると考えております。

 現在、奨学金全般について行われているさまざまな議論、先生御案内と思いますが、そういった動向にも配意していく必要があるというふうに考えております。

長島(昭)分科員 通年化したというお話ですが、それまではかなり限定的な期間しか広報されていなかった。

 これは、日本財団が基本的には計画を立ててやっていることなんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 日本財団の行っております事業につきましては、いわゆる振り込め詐欺救済法並びに内閣府・財務省令に基づきまして、預金保険機構が日本財団と支援事業に対する協定を結んで、それに基づいて財団の方で行っております。

長島(昭)分科員 協定を結んでというお話なんですが、これは私、実は最初にスキームをつくるときに多少かかわった立場で申し上げますと、当初は、これだけの原資がありますから百人、二百人規模で奨学生を募っていけるんじゃないか、こういう話だったというふうに記憶しているんですね。しかし、今、半分にも満たない数なんですね。

 大事なところなのでもう一度伺いたいと思いますが、応募している奨学生、つまり、貸与を受けている奨学生の数がすごく少ないということは、金融庁の側、預保機構の側が気づいて、通年化したらどうだ、広報体制は大丈夫かと言ったのか、それとも、日本財団の側で自主的に計画を少し変更していったのか、この辺はどういう関係になっているんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 本事業につきましては、二十五年度が初年度ということで、その応募状況を見ながら、基本的には日本財団と預金保険機構でその事業について検証を行っており、金融庁もその議論に参画をしてまいったところでございます。

長島(昭)分科員 つまり、日本財団と機構とで連携をとりながら、毎年毎年検証して、新たな計画の見直しも含めてやっている、こういうことでよろしいですね。

 では、きょうは文科省にも来ていただいていると思いますが、今、奨学金の制度の話、まごころ奨学金の話をしましたけれども、学生たち、高校生、大学生、奨学金制度全般について、現状、文科省が所管している部分については、トレンドを含めて説明していただければありがたいと思います。

佐野政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、日本学生支援機構の大学等奨学金事業につきましては、平成二十七年度の予算案におきまして、無利子奨学金を四十六万七千人、有利子奨学金を八十七万七千人の学生等に貸与することとしております。

 また、返還金の回収についてですが、卒業後に初めて返還を開始した者に係る回収率は、平成二十五年度では九七%となっております。

 旧日本育英会から継承いたしました長期滞納者などを含む全ての返還者の回収率については、平成二十五年度では八二・八%となっているところでございます。

長島(昭)分科員 今のお話ですと、無利子の奨学金が四十六万人、有利子の奨学金が八十七万人、まだ利子を払って返還する卒業生が多い状況ですけれども、これから文科省として、むしろ、貸与から今度は給付に変えていくべきじゃないか。親の収入によって子供の教育を受ける機会を奪ってはいけない、制約を受けてはいけないんだ、こういう世の中の状況もあって、有利子よりも無利子、さらには給付、こういう流れは一つ大事なポイントだと思うんですけれども、今、全体のトレンドとしてどうでしょうか。

佐野政府参考人 先生今御指摘ございましたように、全体のトレンドといたしましては、有利子奨学金から無利子奨学金へという大きな流れのもとに予算も計上しているところでございます。

 例えば、無利子奨学金につきましては、平成二十六年度三千億円だったものが、二十七年度予算案につきましては三千百二十五億円、百二十五億円増になってございます。一方、有利子奨学金につきましては、二十六年度予算におきましては八千六百七十七億円だったものが、二十七年度予算案につきましては七千九百六十六億円というふうになっているところでございます。

長島(昭)分科員 政府の奨学金制度というのはまだ給付型には転換をし切れていない、給付型はまだゼロだというふうに承知しておりますが、民間の奨学金あるいは大学、こういったところでは給付型も大分ふえてきているというふうに思いますね。

 副大臣、このまごころ奨学金、これは貸与です。自分でまた社会に出て頑張って自立してと、こういうことの趣旨も先ほど副大臣はお触れになりましたけれども、犯罪の被害者、被害を受けて本当に大変な境遇の中で学校に行く、こういう子供たちですから、やはりこれからは、もちろん、全部給付というのは、これはなかなか大変なことだろうと思いますし、先ほど副大臣がおっしゃった自立支援という意味合いも私は大事だと思いますので、一部を給付型にしていくとかそういう指導を金融庁あるいは機構から、日本財団の方とうまく連携をとりながらやっていく、そんなお考えはありませんか。

赤澤副大臣 長島委員の御指摘は、しっかりと問題意識は理解をさせていただきます。その上で、現時点においては、先ほどちょっと申し上げましたとおり、今の制度のもとで、広報に力を入れ、通年化することで何とか利用がふえないかということで、当面取り組ませていただきたいというふうに思っております。

 それで、金融庁としては、御指摘のとおり、間接的に監督をしているところはあるわけでありますけれども、関係の、文部科学省、それから日本財団の意見などもしっかり聞きながら、さらに、先ほどもちょっと御指摘したとおり、日本学生支援機構の大学等奨学金事業、今後どういうふうに見直しをされて、場合によって形を変えていくか、そういうのも含めて、それとの関係も念頭に置いて議論していかなきゃいけない問題だと思いますので、関係者でしっかり、先生の問題意識を受けとめて、議論はさせていただきたいと思います。

長島(昭)分科員 副大臣、四十億の原資があって、これは決していいことではありませんけれども毎年ふえていく、こういう状況の中で、まだ四十人、五十人、そういう単位の奨学生ということもあります。やはり、返済の重圧を抱えながら、なかなか厳しいものが子供たちはあると思いますので、ぜひここは、一部給付ということを含めて、今後、制度の改善に努力をしていただきたいというふうに思います。

 もう一つの事業、今度は被害者関係団体への助成事業について、過去二年間の実績、お答えいただけますか。

中島(淳)政府参考人 犯罪被害者支援団体助成事業についての実績ですけれども、平成二十五年度、五十九事業に対しまして二億三千二百七十五万円、平成二十六年度、六十三事業に対しまして三億五千八十六万円となっております。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

長島(昭)分科員 ここに犯罪被害者白書というのがございます。この中に、今、預保納付金を使った犯罪被害者等の支援事業について、こういうコラムが、九十八ページ、九十九ページ、百ページにわたってあるんですけれども、ここで紹介されているのが三重の団体への助成の事例であります。

 これを見ると、一つは、チャリティー音楽祭の開催、これに、事業費の総額が六百七十一万円、助成が三百七十五万円、それからもう一つが、なでしこサッカーのチャリティーマッチ、これが、総事業費が六百七十七万円、助成費用が五百八十四万円と、かなり補助率が高いんですね。

 コンサートをしたり、サッカーのゲームをしたりということに助成をされているようなんですが、これと被害者の皆さんの支援とどうつながっていくのか、いまいち、見てもぴんとこないんですが、少し説明していただけますか。

中島(淳)政府参考人 被助成団体が実施する事業といたしましては、犯罪被害者等を支援する団体が自立を目指すために財政基盤を支える仕組みをつくる事業ということで、具体的には、募金活動を行うための広報展開の事業も支援対象といたしております。

 個別の事業についてのコメントにつきましては差し控えさせていただきますけれども、日本財団におきましては、先ほど申し上げました協定に基づく事業規則に定める選定基準に沿って審査等が行われた上で、事業が選定されているものと承知をいたしております。

長島(昭)分科員 今私が紹介した三重の団体のやった二つの事業、これは所管の官庁として適正だと思いますか。これが被害者支援にどうつながっていくのか。それぐらい、国民の皆さんにわかるように説明できないと私はおかしいと思うんですが、いかがですか。

中島(淳)政府参考人 個別の事案について直接言及することは差し控えますけれども、先ほど申し上げましたとおり、犯罪被害者等を支援する団体、財政基盤が乏しいところが多いということで、募金活動を行うような事業、そのための広報展開であるとか、あるいは必要な会場の費用とか、そういったものは対象事業としているところでございます。

長島(昭)分科員 まだ釈然としないんですけれども。

 ところで、犯罪被害者関連の団体、全国にどのくらいあるんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 大変申しわけございませんけれども、手元に計数がございません。

長島(昭)分科員 それでは、四十七都道府県、ここには、各県に大体幾つぐらいずつ、この助成の対象になり得る団体があるんでしょうか。各県に一つずつぐらいあるんでしょうか。

中島(淳)政府参考人 各県ごとに、おおむね一つないし二つの団体があると承知いたしております。

長島(昭)分科員 それで、私はきのう、きょうの質疑の準備のために、日本財団のホームページに行きまして、過去二年の助成実績をちょっと調べてみたんですが、幾つか特徴がありました。

 一つは、先ほどちょっと触れたように、補助率が非常に高いということ。八〇%、九〇%、一〇〇%の補助率です。これは民間団体にとっては非常にありがたい。補助率が高いということは大変ありがたいんですけれども、それだけに、やはりきちっと使っていただかなきゃいかぬと思っているんですね。これが一点。

 それから、今、募金活動を行うための基盤を支援したい、こういうお話だったんですが、その割には、備品とか車両の購入費というのが結構目立つんですね。これが直接どうつながっているか、ちょっと私は首をかしげざるを得ませんでした。

 それから、今御答弁がありましたように、四十七都道府県に大体一つないし二つ、この団体があるんですが、この二年間で、実は、埼玉と栃木は助成を受けていないんですね。それから、長崎と奈良と新潟は、二年目は落選しているんです。そして、逆に大幅に増額されているのが、岩手、群馬、東京、三重。

 例えば、岩手なんかは、一年目が百五十七万円だったんですが、二年目で一千五十四万円とはね上がっています。特に目立つのが三重県なんですね。三重県、初年度が九百五十九万円でしたが、二年目で二千七百五十五万円にはね上がっているんです。最初は二事業でしたけれども、二年目で四事業にはね上がっているんです。さっき言った二事業というのは、なでしこサッカーと演奏会なんですね。

 これはちょっと、疑うわけではないんですが、赤澤副大臣、今の話を聞いていて、私は別に、演奏会、サッカーの開催、全否定するつもりはありません。ただ、この各県の団体の選定の仕方、それから助成のやり方、そして、その助成によって犯罪被害者の皆さんの支援がどのように進んだのかとかという話は、どこで担保されるのか。どこで審査されて、どこで改善されて、どういうふうにその次の年につながっていくのか。ここがいま一つ見えないんです。

 副大臣からでも結構ですし、事務方からでも結構です。適正性と有効性、これをどう担保していこうとされるのか、伺いたいと思います。

中島(淳)政府参考人 犯罪被害者支援団体助成事業につきましては、法律に基づく内閣府令、財務省令、それに基づく協定、さらには、それに基づきまして日本財団の方で事業規則を定め、実施をされているところでございます。

 この内容につきましては、預金保険機構が協定に基づく監督を行うこととなっており、さらに、金融庁は預金保険機構に必要な監督を行うこととなっておりますので、それらを通じて対応してまいりたいというふうに考えます。

長島(昭)分科員 せっかくの機会ですから、ぜひもう一回この事業を洗い直して、犯罪の被害者の皆さんにお返しをするお金が、なるほど、被害者の皆さんの支援に使われているなという手応えを感じられる、そういう事業になるように、ぜひ検証していただきたいというふうに思います。

 ちなみに、犯罪被害者関係団体というのは大きく二つに分かれると思うんですね。一つは、支援団体。これは警察の皆さんがかなり手厚くバックアップしていただいていると思います。もう一つは、犯罪被害に遭われた当事者の皆さんが自主的につくって、そして、みずから犯罪の被害に遭いながら、御家族が遭いながら、街頭にみずから立って募金活動をされたり、本当に手探りの手づくりの状況で活動を進めている、そういう団体も全国にはあるというふうに思います。

 これまでの日本財団が出してきた助成事業、先ほどちょっと紹介しましたけれども、犯罪被害者支援団体ではなくて、犯罪被害者の当事者がやっている団体、この団体への助成実績はありますか。

中島(淳)政府参考人 この預保納付金の具体的な使途を検討いたしました、平成二十二から三年度の、内閣府、金融庁、財務省の政務官によりますプロジェクトチームにおける議論におきましては、「特定の事件や特定の者に対する支援や互助的な支援活動を行うことを目的とする団体ではなく、活動の公益性等が明らかな団体を支援対象とすることが適当である」というふうにされております。

 現在、この報告書に沿った形で、支援支出金管理団体となっております日本財団においては、事業の選定基準を定め、それに基づいて運用を行っていると承知をいたしております。

長島(昭)分科員 そこで伺いたいんですけれども、この当事者の皆さんの、それぞれやはりきっかけはあると思いますよ。当事者の団体でも、基本法ができて以来約十年ですけれども、きちんとした確かな活動実績があるところが結構あると思うんですけれども、そういうところに対する助成は、はなから除外されているんでしょうか。この点、お願いします。

中島(淳)政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、この法律の具体的な資金使途につきましては、制度開始に当たりまして設けられましたプロジェクトチームの報告書に沿いまして運用が行われているということでございます。

長島(昭)分科員 プロジェクトチームの報告書というのは何の法的拘束力もないと私は思いますので、ここはぜひ、きょうの質疑をきっかけに、もう一回見直していただきたい。大臣にも、副大臣にも、これはお願いしておきたいと思います。

 大臣、せっかくお見えですので、最後に一つだけ。

 先月の閣議決定で、犯罪被害者支援事業が内閣府改革の一環で国家公安委員会の方に移管をされるということで、かなり団体の皆さんが、今まで内閣府で共生社会を実現するという一環で犯罪被害者支援事業というのが行われていたんですけれども、そこから外れて国家公安委員会の方に所管が移されることによって、これまでのコンセプトとちょっと変わっていくんじゃないかとか、あるいは、犯罪被害者支援の政府の姿勢に変化が起きてしまうのではないかと非常に心配している向きがあるんですけれども、その点について、最後に御答弁いただきたいと思います。

山谷国務大臣 本年一月二十七日の閣議決定において、犯罪被害者等施策について、平成二十八年四月から国家公安委員会に移管される方針が決定されたところでございます。

 犯罪被害者等施策は、犯罪被害者等基本法や犯罪被害者等基本計画に基づき、政府を挙げてこれまで推進してきたところであり、今回の業務移管によってその取り組み方針に変更はないと認識をしております。

 国家公安委員会としては、犯罪被害者等施策が移管された場合には、関係府省庁と連携しながら、犯罪被害者等施策を引き続きしっかりと推進してまいりたいと考えております。

長島(昭)分科員 大臣は拉致被害者の奪還のためにも先頭に立っていただいていることはよく存じ上げておりますので、ぜひ今後とも、犯罪被害に遭われた方の支援活動をしっかりやっていただきますようにお願い申し上げまして、質問といたします。

 ありがとうございました。

小田原主査代理 これにて長島昭久君の質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学君。

寺田(学)分科員 民主党の寺田です。

 風営法の改正について質疑をしたいと思います。

 風営法といいますと幅広にあるんですが、いわゆるダンス及びクラブ、クラブミュージック、その点に関する法改正、今閣法で出されていますので、委員会質疑に先立って、この分科会でも質疑をさせていただきたいと思います。

 今まで、いわゆるクラブ、音楽を聞いて楽しむ場所ですが、そのクラブに関しての規制というのが諸外国に比べて非常に厳しい環境にあるのがこの日本でありました。もちろん、警察当局としても、さまざまな蓋然性があるから規制をかけておきたいという気持ちがあるのは十分理解できるんですが、文化の振興、そしてまた人間が人生を楽しんでいくための大きな大きな意味があるものだと思っています。

 そういういわゆるクラブに対する規制というものに対して、今回、閣法で規制を緩和する形になりましたが、そもそも、閣法としていわゆるクラブ規制に対して緩和の方向性に向かう時代背景、趣旨というものを御答弁いただけたらと思います。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

山谷国務大臣 お尋ねの法案については、三月三日、内閣から国会に提出され、今後、御審議をお願いすることになっているところでありますけれども、ただいま御質問をいただきましたので、お答えいたします。

 現行の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営適正化法は、客にダンスをさせる営業を風俗営業として規制し、原則として深夜においてこれを営んではならないこととするとともに、風俗営業以外の飲食店営業にあっても、深夜に客に遊興をさせてはならないこととしております。

 しかし、近年、国民の生活様式の多様化が進み、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まっていることや、ダンスに対する国民の意識が変化してきたことなどを踏まえ、政府の規制改革会議における検討の結果、ダンスに係る風営法規制の見直し等が盛り込まれた規制改革実施計画が昨年六月に閣議決定をされました。

 これを受けまして、警察庁においては、外部の有識者から成る研究会から規制の見直しに関する提言を受けつつ、超党派のダンス文化推進議員連盟の議論も踏まえて、風営適正化法の改正について検討を行ってきたところであります。

 こうした経緯を経まして、ダンス自体に着目した規制を改め、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外するとともに、特定遊興飲食店営業の制度を新設し、深夜に客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業を許可制のもとで認めることを内容とする改正法案を今国会に提出したところでございます。

寺田(学)分科員 大枠での御趣旨を御説明いただきました。

 私自身、三年前、それこそ平沢委員長含めて、超党派でクラブに対する規制を緩和していこうということで動き出したのが、ようやく閣法で出てくる形になったと思います。何十年も変わっていない法律であったので、時代と生活様式の変化に追いついていないものでしたので、一刻も早く変える必要性があると思っています。

 大臣には大枠をお話ししていただきましたけれども、局長にお伺いしたいんです。

 ダンスをさせること自体に対する規制をなくしたということでありますが、今回、深夜に営業することに対する緩和もあります。なぜ今まで規制をし、今回規制をなくす形になったのか、なぜ深夜営業できるようになったのか、背景を教えてください。

辻政府参考人 お答えをさせていただきます。

 深夜帯ということでございますけれども、先ほどの大臣答弁にもございました、風俗営業につきましても、原則として深夜においてはこれを営んではいけないとしておりますし、また、風俗営業以外の飲食店営業にあっても、深夜に客に遊興させてはならないという規制をいたしておりました。

 これらはやはり、深夜帯といいますのは、一般的には人が休んでいるような時間帯ですし、夜は暗いというようなこともございますし、そういったいろいろなことで規範的な意識というものが比較的緩くなりやすいというようなところもございまして、この間において、行われる営業の形態によりましてはいろいろな問題が生じるおそれがあるといったようなことなどを勘案いたしまして、これまで規制の対象としておったということでございます。

寺田(学)分科員 ごめんなさい、もう一つです。

 それでは、なぜそれから今深夜営業を解禁する形になったのか、警察庁内部での考え方の変化は何にあるのかということをお伺いしたいんです。

辻政府参考人 お答えさせていただきます。

 これも先ほど大臣から答弁があったところでございますけれども、近年、国民の生活様式の多様化が進みまして、ナイトライフの充実を求める国民の声、これは、国会におきます種々の御議論というものもございますし、また、先ほどもございましたけれども、政府の規制改革会議におきまして種々議論がなされまして、ダンスに係る風営法規制の見直し等が盛り込まれました規制改革実施計画が昨年六月に閣議決定されたということもございます。

 こういった点を踏まえまして、今回見直しを行うこととしたものでございます。

寺田(学)分科員 どうしても難しい答弁になってしまうのがあれなんですが、ナイトライフの充実というものは尊重すべきだというふうに警察としても考えているということですね。さまざまな規制をかけなきゃいけないけれども、そもそも人間生活としてナイトライフの充実というのは大事だという価値観を認めたからこそ、今回こういう形の規制緩和というものに至ったということでよろしいですか。

辻政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申しましたとおり、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まり、規制改革会議等におきまして種々議論が行われまして、そうした議論を踏まえまして、今回の見直しを行わせていただくこととしたということでございます。

寺田(学)分科員 規範的には夜は寝るものだということはありながら、ナイトライフの充実というものに関しても一定の理解を示して今回の改正に至ったということで、今うなずかれていますけれども、それではもう一つ。

 いわゆるクラブ、音楽を聞いて踊っているクラブないしはクラブミュージックに対する認識は警察内部でどのように変わったのか、御答弁いただけたらと思います。

辻政府参考人 お答えをさせていただきます。

 クラブそのもの、あるいは文化としてのクラブということでは警察的には見ていないと申しますか、あくまで私どもは、これまで風営法の規制の対象となっておりましたものにつきまして、風営法上どのような位置づけをしていくのが今の時代に合った形で整理していけるのかというような観点で検討させていただいておるところでございます。

寺田(学)分科員 クラブ自体に対する認識は変わっていないというような御答弁がありましたけれども、いずれにせよ、規制をかけている対象ですから、十分警察としてもその実態ということを踏まえていただきたいと思います。

 これから、二〇二〇年東京オリンピックに向けて、世界各国からさまざまな方が来られて、東京及び日本というものを十分楽しんでもらうということがあると思います。

 大臣、通告していませんが、一言御感想だけで構いませんので、お伺いしたいんです。

 今回、二〇二〇年のオリンピックに向けて、やはりこういうナイトライフ自体も充実させなきゃいけないという声もありますし、そういう一部の声を受けながら、法改正を望む運動も起きておりました。風営法自体、非常に印象論として、余りよく思われていない方々がいらっしゃるかもしれませんが、本当の意味でオリンピックを全体的に成功させるという意味で、今回の法改正というのは大きな第一歩になると思っています。

 そういう意味を含めて、オリンピックと今回の法改正に関して、何かお考えになられるようなことがあればぜひとも一言いただきたいんですけれども、いかがですか。

山谷国務大臣 オリンピックというよりも、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まっていることや、ダンスに対する国民の意識が変化してきたことなど、また、それぞれの御議論を受けての今回の法案の提出でございます。

寺田(学)分科員 それで、警察庁としても、今国民の求める声を聞きながら、今回法改正の内容を詰めていったと思うんです。

 局長で構いませんけれども、国民の求める声に対して、今回の法改正が十分追いついている、声自体を素直に全て受けとめて、十分なものであるという認識なのか、まずは一里塚なのか、どういう認識なのかということをちょっと御答弁いただければ。

辻政府参考人 今回の政府案の立案に当たりましては、それまでの、先ほど来申しておりますような各種会議での検討、あるいは超党派の議連における検討、そういったものも踏まえて検討させていただいております。

 また、立案に際しましては、外部の有識者の先生方から成ります研究会で御議論いただきまして、そこにおきましては、大変多くのダンス関係の事業者の方々からのヒアリングも実施をいたしましたし、そういった事業に関係をして、地域住民と、これまでにもいろいろな問題といいますか、そういった課題とか要望とかもございましたけれども、そういうものをお持ちになっていらっしゃいます住民の方々、こういった方々からも御意見を頂戴いたしました。

 また、パブリックコメントを実施いたしまして、かなり幅広く、いろいろな御意見もいただきましたし、県警を通じまして、地域の商店街とか、そういったようないろいろな方々からこのテーマについての御意見を頂戴するというようなことも行ってまいったところでございます。

 そういう意味では、かなりいろいろな方面からの御意見というものを十分にお聞きしながら、今回立案をさせていただいたというふうに考えているところでございます。

寺田(学)分科員 この法改正の中身を詰める上で、法の枠組みをつくる上で、今局長が御答弁されたとおり、事業者の方、住民の方、専門家も含めて、さまざまなところからお聞きになられたということは理解しました。

 もうこの法律を提出されて、これから内閣委員会の中で議論され、可決された場合には、それに伴って、さまざま、もう一段具体化した細目を決めていく部分があると思います。今お伺いしたのは、法律の枠組みをつくる上で多くの方々からお話を聞いたということですが、これから細目を詰めていく中で、事業者の方々含め、一層多くの方から聞く必要があると思いますが、その認識はいかがですか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいますとおり、これまでも、この法案を立案いたします過程、また、立案いたしました後、これから御審議をいただくわけでございますけれども、今後、これを施行するとなったときに出てくる課題について、そういったような事柄について、これまでも事業者の皆さんとも意見を交換したりということは続けてきておりますし、それはこれからも必要だろうと思っております。

 また、今後、法案が、申しわけございません、まだ審議していないのに、成立した場合という前提でお話しさせていただくのは恐縮でございますけれども、その場合には、いわゆる下位法令ということで定めてまいります。こういったものを定めます場合にも、必要なところの御意見を聞きましたり、あるいはパブリックコメントという手続をとって御意見を聞くということもございますし、また、条例で定めなければならない事項もございますので、これは各県の方で、関係方面からいろいろ意見を聞きながら、議会でも十分御議論いただきながら定めていくというようなことになろうかというふうに思っております。

寺田(学)分科員 法律自体も大事ですが、それを本当に実効たらしめる意味でも、政令を決める、その内容自体をいかに実態に即した形で決めていくのかということが、この法律の趣旨を完遂することになると思いますので、非常に大事だと思います。事業者、そしてユーザー、または既存店の近隣の方々、自治体、多くの方からお話を聞いていただきたいと思います。

 個人的な質問になってしまうかもしれませんが、そういう意味において、本当に現場を知ることが一番大事だと思うんですけれども、局長自身、いわゆるクラブというところには行かれたときがありますか。

辻政府参考人 どこのお店ということは申し上げられませんけれども、行ったことはございます。

寺田(学)分科員 済みません、予想していない返答だったのであれですが、そのときの御印象と、今、法改正前ですので、現行の法律と実態との乖離ないしは合致点、どのような考え方をお持ちになられましたか。

辻政府参考人 お答えさせていただきます。

 現行法で認められておるお店の、現行法で認められている時間帯における営業でございましたので、今回新たに規制の見直しをいたしました部分については、特段の印象というものは持たなかったところでございます。

寺田(学)分科員 いつ行かれたか、それは個人的な御趣味で行かれたのか、お仕事という意味で行かれたのかわかりませんが、まず、この法律が委員会において審議され、無事可決されることになったとしたら、もう一度で構いませんので、また現場の方に足を運んでいただくことをお約束できませんでしょうか、局長。

辻政府参考人 時期などはあれでございますけれども、機会がございましたら、それは可能な範囲内で、現場につきましてまたよく勉強はさせていただきたいと思います。

寺田(学)分科員 おつき合いいたしますので、一緒に勉強させていただければと思います。

 これから法律のもっと細かい部分に入りますが、やはり事業者の方々に聞いてみますと、警察全体にわたることですが、取り締まられる及び許可を受ける、さまざまなことに対してかなり裁量があって、事業者側としても、何に気をつけていればいいのかということがわからない。どういう形で許可が得られるのか、許可が取り消されるのか、そこら辺が非常に不安だという声を聞いています。

 それで、今回、一つの新たな枠組みとして、特定遊興飲食店営業というのをつくります。そのジャンルに入るかどうかの一つの大きな分かれ道が照度にあります。明るさを一つの基準にした理由というものを御説明いただけますか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 明るさということでございますけれども、現在の法律におきましても、既に、設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客席における照度を十ルクス以下として営むものは風俗営業、これは、いわゆる第五号営業、二条一項の第五号に規定されている営業でございますけれども、とされているということでございます。

 それで、この五号営業でございますけれども、現行法では、法律の中にあります一号、これはキャバレーとか、ダンス、接待、飲食でございます。二号営業、これは接待、遊興、飲食でございます。三号、これがナイトクラブ、ダンス、飲食でございますけれども、これらの営業に該当するものについては、それぞれで許可をとることとして、五号営業で許可を重ねてとらないということで法律上整理がなされております。

 そういう意味では、今回、三号営業、ナイトクラブ、ダンスにつきまして、これを風俗営業の対象から外すというふうにいたしておりますので、そういたしました場合には、この重なりがなくなります。今回、この照度の、五号営業というものに重なってくるということで、五号営業の方に現行法の中でも入ってくる、こういうことでございます。

寺田(学)分科員 なぜ照度で分けたのかという理由を、現行法でこういう分け方をしているからという理由は、警察庁の内部では理由として成りますが、やはり一国民、事業者の方々を含めていうと、なぜ暗いとだめなんだ、規制が厳しくなるのかということに対しては、素直な疑問を抱かれているとは思います。

 そこの御説明をあわせてしていただくとともにですけれども、実際、十ルクスという基準を出して、いわゆる新二号営業と、今回新しくなります特定遊興飲食店営業で分かれるわけです。

 私は、照度に対しての専門家ではないですが、さまざまな方からお話を聞くと、照度自体は、計測場所が数センチでもずれるだけで、かなりの数字の変化が出てくる。

 ですので、事業者側としても、どのようなことに気をつけていれば、警察が定める十ルクスというものを満たし、満たし続けているというふうに認めてもらうのかということは、漠とし過ぎていて、非常に不安に思っていると思うんです。一瞬でも十ルクスを下回るような環境があった場合に、直ちに無許可営業だといって摘発をされるということがあるのではないかと不安に思っている方々はいると思います。そういう不安があることも、局長自身、御存じだと思います。

 先ほど申し上げたとおり、なぜ暗ければまずいのかということの御説明とともに、この照度をはかる、そしてまた、法に適した状態かどうかというものを判断する上で、具体的にどのようなことを基準としてお持ちになってやられるのか、局長、御答弁いただけますか。

辻政府参考人 この照度によります規制というものでございますけれども、先ほど申しました風俗営業の第五号営業という形で今規定をされておりますけれども、これは、低照度で営まれます深夜バーや深夜喫茶が風俗事犯を初めとする違法行為の温床となったり非行少年のたまり場となったりしていたことから、昭和三十四年の法改正により設けられた規制でございます。

 十ルクスという照度は、物の色と形がはっきりとわかるか否かの境界となる明るさとされております。つまり、十ルクス以下で営まれる飲食店は、暗さのために見通しが十分に確保されず、風俗事犯や少年非行の温床となるおそれがあることから、これを風俗営業として許可制の対象とし、所要の規制と健全化措置を行うこととしているものでございます。

 それから、照度のはかり方ということでございますけれども、照度の測定方法につきましては、これは現在でも照度の規制がございます。

 これにつきましては、現行の風営適正化法の施行規則第二十九条におきまして、例えば、食卓等の飲食物を置く設備がある場合はその上面、食卓等がない場合は、椅子があればその座面、椅子がなければ、客が通常利用する場所の床面等で測定するというようなことが定められておるところでございます。

 今度、また新しい営業が出ました場合には、こういったようなことを一つの参考といたしながら、規定として照度のはかり方というものを規則の中で定めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、取り締まりということでございますけれども、もちろん、たまさか一瞬何かそうあったというのじゃなくて、そういう営業ということでございます。個別のことにつきましては、個別具体の状況を見ていきませんと認定は出てまいりませんけれども、やはりそういう形での営業という認定をしながら、取り締まり、規制監督に当たっていくということになろうかというふうに思います。

寺田(学)分科員 るる説明いただきましたので、最後の部分だけもう一回確認をしたいと思います。

 もちろん、照度というものを一つの基準にして、許可、また、許可の取り消し、さまざまあるとは思いますが、それの取り締まりに関しては、一過性の、一瞬の、測定が非常に難しいということはありますけれども、そういう一過性のもので何かしら取り締まるということではなく、もっと本質的な意味で照度を一つの基準にしている、その本質的な意味を捉えて取り締まりに臨むということでよろしいですか。

辻政府参考人 本質的な意味合いというのは、なかなか正確に理解するのが難しいところがございますけれども、やはり、この規制に反するような形で営業がなされているかどうかということを見て、取り締まりをしていくということになろうかと思います。

寺田(学)分科員 そういうことで、事業者の方々も、経済活動を営みながら、また、多くの方々に喜んでもらおうと思って頑張っているわけですから、もちろん、その場の中で違法行為が行われている等々がある場合には、それは毅然とした態度で取り締まりに臨んでほしいということは当然ながらですが、今営まれているクラブ及びナイトライフ全般ですけれども、そのことに関しては恣意的な取り締まりがないように、そこは十分実態に即して留意をしてほしいというふうに思います。

 それで、まだまだ抽象的な言葉がいろいろあるんですが、遊興という言葉が出てきます。この遊興というもの自体はどのように警察として解釈しているのか、まず御答弁いただけますか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 遊興という用語でございますけれども、これは現行法でも既に使用いたしております。

 ここで規制の対象となっております遊興でございますけれども、これは、営業者の積極的な働きかけにより、客に遊び興じさせる行為に限られるというふうに解釈されているところでございます。

 具体的には、音楽を流して不特定の客にダンスをさせる行為、あるいは不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為、歌、バンドの生演奏等を不特定の客に聞かせる行為、喉自慢大会等の不特定の客が参加する遊戯、ゲーム、競技等を主催する行為などがこれに該当することとされており、こうした解釈は警察庁のウエブサイトでも公表しているところでございます。

寺田(学)分科員 今具体的な事例をさまざま列挙していただきましたけれども、やはり、冒頭大臣もお話をされていましたが、さまざまな人間生活の、国民生活が変化してライフスタイルが変化している中において、今挙げられたあり方以外のあり方もさまざまあると思いますし、果たしてそれが昭和の初期のころにつくられたこの法律の中で当てはまるかどうかも非常に難しい問題があると思います。

 この遊興がどういうことに当たるのかということに関しても、改めて、実態に即して、かつ解釈というものを、今のナイトライフを含めて、適正なものに変えていくという努力もしなきゃいけないと思いますし、その基準自体も一層明確化しなければならないと思いますが、その点に対してどうですか。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま答弁をさせていただきましたとおり、遊興という言葉につきましては、風営適正化法の中におきましては一応一定の解釈というものがございまして、これは既に先ほど申しましたような形で公表もさせていただいているところでございます。

 新しい法律ができまして、新しい営業が遊興という概念の中でできました場合にも、これと同じ解釈、従来の解釈と同様に解して適用をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

寺田(学)分科員 時間がもうありませんけれども、最後です。

 今回、この法律が通った後に、新たにできた特定遊興飲食店営業というジャンルの営業体が許可されるには、条例の方でその地域を限定するという新しい枠組みになりました。今まで原則自由だったものが、原則だめで、許可されるところが限定的に条例で決められるという仕組みです。私自身、非常に疑義を持っていますが、いずれにせよ、今こういう法律のたてつけで議論をする以上、各都道府県がつくる条例に関しては政令に基づいてやるということでした。

 ですので、その政令自体がどのような価値観、考え方に乗って決められるかというのは非常に大事だと思うんですが、警察庁として、地域の限定ということに関して、現状の営業されている方々の実情も踏まえて、どのように政令を定められるのか、御答弁いただけたらと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、特定遊興飲食店営業でございますけれども、先生ただいま、現在自由にということでございましたけれども、現行法では、風俗営業の場合も、それから深夜の飲食店営業の場合にも、深夜帯におきましては、特にその延長が認められました風俗営業の限定された地域を除きましては営業ができないということでございますので、その営業が今はできないところについて、先ほど来のいろいろな趣旨を踏まえまして、今回はそこで営業をできるようにしよう、ただ、その場合には一定の規制、許可とかをやろう、こういうことでございます。

 その中の一つに、これまで認められなかったけれども営業してもいい場所を条例で定めていこうということでございまして、この営業をしてもよい地域につきましては、特定遊興飲食店営業が、深夜にわたって客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業であり、その営まれ方いかんによっては周辺の地域住民の平穏な生活に障害を及ぼすおそれがあることなどから、原則として、政令で定める基準に従い条例で定める地域内に限って営業を認めることというふうにしているところでございます。

 政令の基準でございますが、これは、これから御議論がございますので、なかなか断定的にちょっと私の方では申しかねるところもございますが、ただ、現在の風営法の各種条例など、あるいは既に定められております政令などをいろいろ参考にいたしますと、例えば、風俗営業、深夜酒類提供飲食店営業等の店舗が多数集合している地域であることですとか、あるいは、住居集合地域や学校、病院等に隣接、近接する地域でないこと、こういったようなことを定めるということが考えられようかと思います。

 いずれにいたしましても、こうした基準につきましては、各方面から、事業者もございますけれども、これまで近隣住民とのいろいろなトラブルがあったこともございますので、そういった方々からの御意見も参考にして、適切な内容となるように検討を進めてまいりたいと思います。

寺田(学)分科員 時間になりましたので終わりますが、いずれにせよ、国民生活の実態に即して柔軟に考えていただきたいということ、そしてまた、オリンピックに向けて、本当にこういう音楽、文化というものは大事でありますので、そこも柔軟に考えて警察当局としても取り組んでいただきたいということをお願いして、終わりたいと思います。

 以上です。

平沢主査 これにて寺田学君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。黄川田仁志君。

黄川田(仁)分科員 自由民主党の黄川田仁志でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、前職におきまして、海洋開発、海洋環境の研究をしておりました。国会議員になったというのも、日本を真の海洋国家にしたいという思いからでございました。真の海洋国家とは、国家の意思で日本の海を守り、利用し、開発して国民を富ませていくという国が真の海洋国家だというふうに私は思っております。そういう意味で、私のライフワークとしてしっかりとこの課題に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

 大臣も御案内のとおり、我が国の領海と排他的経済水域の面積は世界で第六位の広さでございます。今後、この日本の海をどのように活用していくかということは、日本の経済、安全保障、そして環境問題におきまして大変重要な課題であるというふうに思います。そして、海洋を国益のために積極的に活用していくためには、日本の海洋権益をしっかりと獲得し、守ることが必要でございます。

 そこで、本日は、海洋資源開発に大きくかかわる大陸棚の延長について大臣に御質問をしたいと思います。

 まず、我が国の大陸棚延長申請にかかわるこれまでの動き、そして今後の方針について、海洋政策担当大臣である山谷大臣にお願いをいたします。

山谷国務大臣 我が国においては、平成二十年十月に総合海洋政策本部会合を開催し、大陸棚限界委員会に対して大陸棚の延長申請を行うことを決定し、同年十一月に七つの海域について同委員会に申請を行いました。

 我が国の申請に対しまして平成二十四年四月に大陸棚限界委員会による勧告が行われ、四つの海域については一定の延長が認められ、九州・パラオ海嶺南部海域については勧告が先送りとされました。

 この結果を踏まえまして、平成二十六年七月に開催した総合海洋政策本部会合において「大陸棚の延長に向けた今後の取組方針」を決定し、一、四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域については、我が国の大陸棚とするための政令の制定に速やかに着手する、二、小笠原海台海域及び南硫黄島海域については、関係国との間における必要な調整に着手する、三、九州・パラオ海嶺南部海域については、大陸棚限界委員会により早期に勧告が行われるよう努力を継続するということとしたところでございます。

 その後、本取り組み方針に従って、四国海盆海域及び沖大東海嶺南方海域において我が国の大陸棚を設定するための政令を平成二十六年九月に閣議決定し、同年十月から施行したところでございます。

 他の海域においても早期に我が国の大陸棚を設定するため、関係省庁が相互に連携してしっかりと取り組んでいるところでございます。

黄川田(仁)分科員 ありがとうございます。

 四国海盆海域と沖大東海嶺南方海域については日本の大陸棚に設定されたということで、大変喜ばしいことだというふうに思っております。

 そこで、教えていただきたいのですが、四国海盆海域については、沖ノ鳥島も大陸棚延長の基点の一つとなっております。沖ノ鳥島は、国連海洋法条約百二十一条一項で定める島であるということが国際的に認知されたという考えでよろしいのでしょうか。

秋葉政府参考人 御答弁申し上げます。

 大陸棚限界委員会は、国連海洋法条約の規定に従い、沿岸国が提出した大陸棚延長に関する科学的及び技術的データ等を所与のものとして検討して、大陸棚の外側の限界の設定に関する事項について勧告を行うことを任務としてございます。

 したがいまして、大陸棚限界委員会は、特定の地形が国連海洋法条約上、百二十一条に言うところの島の地位を有するか否かについて法的な判断をする権限は有しておりません。

 我が国としては、四国海盆海域について、沖ノ鳥島を基点の一つとする大陸棚の延長を大陸棚限界委員会に申請いたしました。先生御指摘のとおりでございます。同委員会は、国連海洋法条約の規定に従い、この申請を検討し、四国海盆海域における大陸棚延長を認める勧告を行いました。

 我が国といたしましては、昭和六年七月の内務省告示以来現在に至るまで、沖ノ鳥島を島として有効に支配し、かつ、周辺海域に排他的経済水域等を設定してきておりますので、このような権限及び同島の島としての地位は既に確立したものと考えております。

 以上でございます。

黄川田(仁)分科員 大陸棚限界委員会は、基点が島かどうかにかかわらず、科学的、技術的に分析して判断するということで、その結果、沖ノ鳥島が基点となって構成されている四国海盆海域が認められたということでございます。

 それならば、九州・パラオ海嶺南部海域、勧告が先送りされた海域も同様に沖ノ鳥島を基点としておりまして、島かどうかにかかわらず、科学的、技術的に結果が出されてもよいというふうに考えられますが、勧告が先送りされたということに対して、政府はどのような見解、理解、どのような分析をしているのか、教えていただきたいと思います。

秋葉政府参考人 御答弁申し上げます。

 大陸棚限界委員会が勧告の先送りを決定した際の議論は非公開で行われたため、我が国として、その理由について確たることを申し上げることは困難でございます。

 ただ、同委員会が我が国の大陸棚延長申請を検討する際に、中国及び韓国は、沖ノ鳥島が大陸棚を有しない岩であると主張する口上書を累次にわたり同委員会に提出し、我が国は、その都度、反論の口上書を同委員会に提出した経緯がございます。

 同委員会は、我が国が大陸棚延長を申請したその他の海域に関する勧告を行った際、中国、韓国及び我が国のそれぞれの口上書に言及された事項が解決されるときまで、九州・パラオ海嶺南部海域に関する勧告を出すための行動をとる状況にはないということを表明しております。そういう表明をしつつ、同海域については勧告を先送りしたという経緯でございます。

 こうした状況は、我が国として受け入れられるものではございません。九州・パラオ海嶺南部海域につきまして、昨年七月の総合海洋政策本部決定に従って、大陸棚限界委員会により早期に勧告が行われるよう、現在もしかるべく取り組んでおりますが、今後とも一層努力する考えでございます。

黄川田(仁)分科員 大陸棚限界委員会は、本来ならば科学的、技術的に分析をして結果を出すというところでございますが、説明を聞いておりますと、どうも政治的なことも多分に入ってきているような気配がいたします。

 日本の外交においては、表向きは技術的、科学的だといっても、そういう中国や韓国の意図が入っている可能性が排除できないということについては、しっかりと政治的な観点も頭に入れて、今後とも注視して行動していっていただきたいというふうに思います。

 御説明によりますと、そういうことで、勧告の先送りの本当の理由はまだわからないというところで、しっかりとそのあたりも探って、適切な対処を続けていっていただきたいと思います。

 では、大陸棚限界委員会のことはしばらくおいておいて、大陸棚が重なり合う可能性のあるパラオ、このパラオの日本の大陸棚の延長に対する反応と、パラオも大陸棚の申請をしていると聞いておりますが、その状況について教えていただきたいと思います。

秋葉政府参考人 御答弁申し上げます。

 我が国は、平成二十年十一月、九州・パラオ海嶺南部海域を含めた大陸棚延長申請を行いました。同海域につきましては、パラオが大陸棚延長を申請する海域と重複する可能性がありましたため、平成二十一年六月、パラオは、この海域について大陸棚限界委員会が検討及び勧告を行うことに原則として異議はない旨の口上書を同委員会に提出しております。

 一方、パラオは、平成二十一年五月に、九州・パラオ海嶺南部海域とほぼ重複する海域における大陸棚延長申請を行いました。この申請につきましては、現在、大陸棚限界委員会による検討の開始の順番を待っている状況と承知しております。

黄川田(仁)分科員 わかりました。状況は大方理解できました。

 では、「大陸棚の延長に向けた今後の取組方針」に沿って、九州・パラオ海嶺南部海域について、大陸棚限界委員会から早期に勧告が得られるよう努力していきたいということでございますが、今後の努力について、具体的にどのようなことを行っていくのか、大臣、お示しいただきたいと思います。

山谷国務大臣 平成二十六年七月に総合海洋政策本部において決定した取り組み方針においては、九州・パラオ海嶺南部海域について、大陸棚限界委員会により早期に勧告が行われるよう努力を継続するとしております。これを踏まえまして、平成二十六年十二月に、国際法や海底物理学等の専門家により構成される大陸棚延長助言会議を設置したところであります。

 今後、政府としては、同会議による助言も踏まえつつ、関係省庁の緊密な連携のもと、同海域についての勧告が早期に行われるよう、関係国への働きかけや国際世論の形成等を行ってまいる所存でございます。

 黄川田委員は、海洋学の研究をなさってこられ、スキューバダイビングもなさるということで、冒頭おっしゃられましたように、日本は、領海、排他的経済水域の広さが世界で第六位の海洋大国でございます。海洋権益を守る大陸棚の延長について積極的に取り組む、これは大変大事なことだと思います。海の恵み、海の価値の創造に向けて頑張ってまいりたいと思います。

黄川田(仁)分科員 ありがとうございました。

 有識者による助言会議を設置したということで、私も、今後、その動きに注目をしてまいりたいと思います。

 また、それにとどまらず、ことしは太平洋・島サミットが日本の福島で開催されます。議長国はパラオでございますし、親日の国々が多く集まってまいります。この機を利用して、国際世論の形成と関係国への働きかけをしっかりと行っていただきたいと思います。

 山谷大臣初め、総合海洋政策本部、外務省を挙げてしっかりと行っていただくことをお願い申し上げまして、短いですが、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平沢主査 これにて黄川田仁志君の質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平沢主査 それでは、速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、復興庁所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 まず、竹下復興大臣におかれましては、就任半年の間に、東日本大震災の被災地に二十二度、もう既に足を運ばれて、復旧復興に全力を挙げていただいておりますことに、まず心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、限られた時間でございますが、実は、先週の土曜日、三月七日に公明党の東日本大震災復興加速化本部の会議がございまして、東北各県の地方議員さん、また、実は公明党は、三・一一発災以来、ざっくばらんに言いますと、当時なかなか機能しなかった民主党政権にかわって我々が支えていくんだという思いで、被災自治体の担当議員をそれぞれ決めておりまして、その担当国会議員二十八名が参加をいたしまして、大変大きな、四年目を迎えた節目の会合をさせていただきました。

 私も副本部長として参加をさせていただき、その中で、私の後の真山議員が御紹介するかもしれませんが、被災者に対する実態の実地調査、アンケート調査等々を行ったことを各県の被災地域の代表から御報告があり、質疑のやりとり等々やらせていただいたわけでございます。

 そのときに私が思いましたのは、いろいろな苦労はあったけれども、恐らく、福島県以外の被災地域は、時間はかかったにせよ、これから、ある意味では順調に復旧復興が進んでいく見通しが立っている。一方、やはり福島は、原子力災害被災地域という特殊性があって、私自身が経済産業副大臣として原子力災害現地対策本部長を一年八カ月間仰せつかったわけでありますが、私たちの力及ばず、まだまだなかなか先行きが見えてこない。

 私は、本来は、ふるさと帰還を進めて、やはり自分のふるさとに戻り、自分の家を再建し、自分の人生を再建することに早く着手した方がいいという基本的な考えを、私はみずから阪神・淡路大震災の被災者の体験からそういう信念を持っておりますが、現地対策本部で足を運びながら、なかなかそういうふうには進まないもどかしさと難しさがあります。

 残念ながら、私も、現地対策本部長も退任をして、今、高木陽介さんに後任を託しているわけでございまして、党に戻りましたけれども、引き続き福島の再生に取り組んでいかなければいけないという決意の中で、私自身が一年八カ月間現地で格闘しながら、福島復興を阻んでいるというか、ふるさと帰還を阻んでいる要因というのは何なのかな、やはりここの部分は何とか変えなければいけないのではないかと思う点が幾つかございます。

 きょうは、その点について私自身の意見を述べさせていただき、厳密に言うと、所掌は、あるものは環境省であったり、あるものは国土交通省であったり、あるものは経済産業省であったりと、なかなか復興大臣としてはお答えにくいというのはよくよくわかっておりますが、そういう細かい、所掌がどうだとか政府答弁でこう言ったじゃないかなんということは、全くそういう意図はございません。私は、福島再生、福島復興の最終責任者はもちろん総理大臣でありますけれども、竹下復興大臣に、私自身が感じている一年八カ月の思いというか教訓に対して、そのことを共有していただけたらありがたいなということで質問させていただきたい。

 ですから、御答弁は、公式の場ですからなかなか個人の見解というわけにはいかないかもしれませんが、その点は自由に御発言いただければ、こう思っております。

 通告では、本当は、福島のふるさと帰還が進まない要因は何かということをまずお聞かせいただきたいというようなことを書きましたけれども、それは最後でも結構ですので、私は、最初に、やはり福島の難しさの要因の一つは、リスクコミュニケーションの失敗だと。

 当初は、ふるさと帰還、避難指示解除の基準、目安というのを、例えば、放射線量は年間二十ミリシーベルト以下ということを政府自身が打ち出しながら、前政権は、被災者の皆さんのいろいろな声を聞いて、結局は、年間一ミリシーベルト以下を目指すということを言った。

 そうすると、あたかも一ミリシーベルトでなければ安全じゃないということの方が定着をしてしまって、結局、変な話なんですが、例えば、福島とか郡山市に随分避難されておりますが、そういったところの方が結構、一ミリシーベルトより高い値でありながら、そこでは普通に生活をしているにもかかわらず、なかなか地元の、自分のふるさとが一ミリシーベルトにならないからということで、帰ることは大変心配をしているといった、何というか、政府自身が打ち出したものに対する、安全基準を、みずからがその信頼性を損ねてしまっている。

 それは政府だけの責任ではなくて、当時、私に言わせれば、えせ専門家が好き勝手な無責任なことを言って、相当被災者の皆さんの不安をかき立てた。それは私は、さまざまな、マスコミも含めて、同罪だった方たちは多いと思っておりますが、このリスクコミュニケーションをどうするかというのをまずやっていかなければいけないんじゃないか。

 川内村というところでは、長崎大学の原研と連携をとって、山下先生ですとか高村先生が現地に入っていただいて、そこの女性の看護師の皆さんが、そんなに多くありませんけれども、常駐して、一軒一軒訪問されたりしている。そういうところは、我々が何を言ってもなかなか信用してもらえないんですけれども、そういう女性の同じ目線で話すと、すごくそこが功を奏して、昨年の十月一日、川内村の避難指示解除が実現できたのは、私は、長崎大学の看護師の方たちの活動というのは大変大きな貢献があったのではないかと。

 帰ってくる方は、ようやくこれから人生を始めようといういい面も随分ありますけれども、なかなか報道もされないということもあって、まだまだ、このリスクコミュニケーション、大変大きな問題なので、どうすればいいかという明快な答えがあるかないかわかりませんけれども、このリスクコミュニケーションを何とか政府を挙げてしていかなければ、まずそれが始まらないのではないか。これが私は最大のネックの一つだと思っておりますが、その点について、御所見があれば伺いたいと思います。

竹下国務大臣 赤羽委員には、先ほどお話しになりましたように、経産の副大臣として、また現地の対策本部長として一年八カ月、言葉はおかしいですが、本当に現地に溶け込むような形で御努力をいただきまして、私、現地に行っていまして、赤羽さんの話、いまだにしょっちゅう聞くんです。大酒も飲まれたようでございますが、そういう人間関係というものの大切さを改めて痛感させていただいております。

 そういう中で、今お話しになりましたリスクコミュニケーションについてでございますけれども、川内村の折田さんとおっしゃったかな、女性の保健師の方が大変大きな役割を果たしていただいておるというのを、私もじかに会ってお話をさせていただきました。

 政府が信用できない、政府の言うことなんか信用するかという、仮設の住宅に避難していらっしゃる方のそういうお話も直接伺いました。政府は情報を全然、うそばかり言っていたじゃないかと言わんばかりのニュアンスのお声も何人かの方からお受けをいたしました。どうしたら御理解をいただけるのかというのは、我々にとっても大きな大きな悩みでございます。

 今、一つは、帰還に向けて除染がなかなか思うように進んでいない、あるいは、家とその周りはやるけれども裏山はやらないといったようなさまざまな問題もありまして、そのことが一つの障害になっていることは事実であります。

 また、風評被害、あるいはそこに入るかもしれませんが、福島のものは食べちゃだめだ、あそこは危ないんだといったようないわれなき言葉をいろいろな形で、インターネットの上で、あるいは、時には、先ほどお話しになりましたように、評論家の皆さん方がちょっと首をかしげるような勝手なことをおっしゃっておるというのも障害になっております。それをどう乗り越えていくか。これは、徹底的に情報を開示して御理解を賜る以外にない。時間もかかります。そして、こうすれば解決するという特効薬はありません。

 よく感じますのは、私もそうでありますが、安倍総理もたびたび入っておりまして、福島の食事をテレビカメラの前で何回も食べて、本当においしいんです、おいしいなと言いますけれども、ある若者たちに言われましたのは、あんたたちが幾ら食べたってだめだ、若い女優さんとか人気のある歌手の皆さん方に福島のそういう食べてもらうといったようなことをしないと、パフォーマンスの似合う人と似合わない人といるんだということを言われたこともございました。

 そうしたあらゆることを考えながら、絶対にうそは言わない、そしてお一人お一人の心に寄り添うように対応していくということを基本に、根気強くやる以外にないなと痛感しているところであります。

赤羽分科員 ありがとうございます。

 また、風評被害の問題もさることながら、帰れる状況にいかにするかというのは、いろいろな問題もあるんですが、一つの大きなテーマ、ちょっと順番が変わりますけれども、除染の問題ですね。

 除染のおくれというのは当初から予測されていたことで、なかなかうまくはかどらないという現状がございます。今のままでいきますと、相当先になってしまう。少なくとも宅地周りの除染が一巡するまでは、避難指示の解除というのはなかなか難しい。どこまで落とすかというのは非常に現実的にならなければいけないと私は思っておりますが、今の除染のやり方というのは、例えば、これまでは、土を削る、その莫大な削った土を中間貯蔵でどうするか、そういうやり方しかなかったのかなと。

 以前、国土交通省の河川局長をやられた尾田さんという方が、御夫婦で、実は広野町に永住をされました、サポートしたいからということで。専門家なんですね、河川局長ですから。

 土を削ると、そこに客土として土を入れなければいけないし、削るというのはナンセンスだ、だから、掘り返すというんですか、それで本当は十分なんだと。そうすると、実はあれだけの莫大な土を中間貯蔵したり処理するということも相当縮減できたんじゃないかとか、また、仮置き場の問題があって、スタートがつまずいたところも随分ありますし、今、多分、人員の確保みたいなことも非常に難しい。

 私は、極端な話、例えば自衛隊に要請をしてとか、そんなことまでも踏まえて、この除染、二十ミリシーベルトというか、もちろん地元の方がどう受けとめるかですけれども、少なくとも宅地周りはとにかく早く一巡するということを政府としてやるべきだ。これは一義的には環境省ということはよく承知していますが、復興大臣として、環境省と相談をしながらそういうふうに進めていくべきだ、こう考えておりますが、その点について御所見があれば。

竹下国務大臣 おっしゃるように、除染をきっちり進めておかないと、その後の復興の事業に移れませんので、いわば原子力からの復興は一体のものであるというふうに我々も考えておりまして、まずはきっちりと除染をやることだ。

 先ほどお話しになりました、表面の土と、その十五センチぐらい下の土をひっくり返せばいいじゃないかという、確かに数字の上では十分な効果が出ておると言えると思います。ただ、これは当初の取っかかりの失敗もあったかもしれませんが、地元の人たちは、ともかく上をみんな持っていってくれ、上を剥いでくれというのが要求、要望であったようでありまして、それに応えざるを得なかった。

 ひっくり返して大丈夫ですよと言っても、いや、ひっくり返したってそこにあるじゃないかと。なかなか目に見えないものへの対応というものの苦労は、その除染の作業一つにもあらわれていると思います。

 それから、人員の確保の点でございますが、正直言って、絶対に十分だと言い切る自信はありませんが、除染に関しては、かなりのレベルまで人員の確保をいたしております。国が直接やっておる除染についても、去年の後半だけでも延べで一万八千人ぐらい突っ込んでおるという状況になっておりまして、そういったことで、人員の確保は徐々に進んできたかな。

 しかし、まだまだ除染についてはいろいろな問題が残っておりまして、一つは、もともと汚染度の低いところをさらに下げるというところ、これからだんだん、濃いところ、あるいは昔は濃かったところといったようなところに汚染のエリアが広がってまいりますので、そうすると難しさもまたふえてくる。さらに言いますと、森林の汚染というのはやはり非常に大変でありまして、これをどうするかといったような点もまだまだ課題として残っております。

赤羽分科員 除染について、例えば山林について、参議院の委員会でのやりとりも聞いておりますと、そこから風で飛んでくるんじゃないかみたいな、これは明らかにそんなことはないわけで、これもまたリスクコミュニケーションだと思いますので、正しいリスクコミュニケーションをしながら、やはりより効率的なものが、結局は被災地域、被災者のためになるんだということ、これは時間がかかると思いますけれども、ぜひ腰を据えてお願いしたいということが一つです。

 もう一つは、やはりインフラの整備ということが条件になって、このことは、実は常磐道も、五月の連休明けと言っていましたが、見事、三月一日に全線開通になりましたし、六号線ももう開通をしております。商店街とか、これも経済産業省がさまざま、企業立地補助金ですとか復興庁のグループ補助金で相当いろいろなことをやっていただいています。

 ただ、一つ懸念は、JRの常磐線。常磐道がもうできているのにJR常磐線は全く前に進んでいない。このことは、いろいろな背景があるにしても、私は、JR東日本の姿勢は現地本部長時代からも極めて厳しく思っておりましたし、それは少し叱咤激励をして、督促をしなければいけない。

 きょうは答弁を求めませんが、彼らは、もともと、そんなにもうかっている線路じゃありませんからというような思いも多分あるんだと思います。開通をどうするかというのはいろいろな判断があると思いますが、それをいつでも開通できるような、要するに、あのところには川の上の橋脚が相当大きくだめになっている箇所が三カ所ぐらいありまして、ここの工事は私は早く着手するべきだと。

 川の上の橋脚の工事というのは、人がいると渇水期しかできないとか、さまざまな制限があって、実は今、帰還困難で入れない地域は、今こそやれるチャンスなんですね。私も何回も行っておりますが、現実に線量は全然問題ない程度に相当下がっておりますので、ここの橋脚の工事ですとか、そういういつでも開通ができるようなことを、これも国土交通大臣と協力しながら、ぜひやっていただきたい。これも要望にとどめておきます。

 こういったインフラですとか除染ということを進めるという前提の中で、一番の問題は、ここが一番難しいんですけれども、避難指示の解除。私も、現地対策本部長ですから、これは経済産業省の仕事なので、やるんですねと。住民集会なんといっても、百人もすると、反対する人の声の方が大きくて、八割ぐらい賛成でも、何となく十人ぐらいが反対意見を言う。すると、すごくミスリードをして、それをマスコミなんかが大きく書く。

 何か非常におかしな話で、普通の災害ですと、避難指示解除というのは、どちらかというと住民は、早くしてくれ、早く家に戻りたいから、政府が、ちょっと待て、まだ危険が残っているから、これが大体通り相場でありますが、福島の原発被災地域は、国がそろそろいいでしょうと言っているんですけれども、地元住民の方が、いや、まだまだだ、こう言われている。

 これは、一つはリスクコミュニケーションの失敗で、本当に心配があるということも事実ですが、もう一つ、皆さんよくわかっているんですが、避難指示地域の解除宣言は、実は損害賠償の終結宣言でもあるんですね。それは非常にナイーブな話なんですが、私、これを、今の仕組みのまま、これから楢葉とか大型の避難指示解除をしなければいけない地域を説得するというのは大変な作業だ、こう思っております。

 ですから、当時、避難指示の地域を決めたときの賠償というのは、一応六年をめどにしていて、途中いろいろな審査会のプラスがありましたので、帰還困難区域は恐らく十一年分ぐらい、精神損害についての賠償金も払われておりますし、もう四年ですから、ある意味では五年六年と、現実には六年のうちに避難指示解除をするというのはもう本当にぎりぎりの線になってきまして、この段に及んでは、私の思いは、賠償と避難指示解除時期というのはリンクさせないようにする。要するに、帰還困難区域の方は別で、避難指示準備区域と居住制限区域という二つの地域は、ある意味では、六年、帰ったらプラス一年つきますので、六プラス一の精神賠償は出すと決めれば、いろいろな議論の余地はないんですね。もうこれで決着しましょう、それとは別に、自宅に帰れるようにするというのは、避難指示解除はどんどんやっていきましょうと。

 私も、田村市とか川内村で住民集会をやるときに、ざっくばらんに、もしそれがリンクしなければどうだと言うと、ほとんどの人が、それは早く家に帰って家を修繕しながら賠償金が続くのが一番いいよ、だけれども、そうじゃないからなかなか帰れないんだというような、何か私、根本的にこれは本末転倒な話で、ですから、賠償金が前に出てきて、結局帰れない。帰らないと、日本の木造住宅なんかはどんどんどんどん老朽化してきますし、ネズミが入ったりとかして、その修繕のために費用もかかるし時間もかかる。お互いに何もいいことがないなと。

 ですから、ここの部分は、帰りたい人は早くふるさとに、もちろん全員帰れと言っているんじゃありませんが、帰りたい人が堂々と早く帰って、自分の第二の人生の再建に立ち上がれるように、避難指示解除宣言と損害賠償というのはリンクしないということは、これは必ず研究して何らかの回答を出さないといけないと思うんです。その点についてぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹下国務大臣 赤羽さんお話しになりましたように、避難指示を解除するしないという判断、あるいは住民の皆さん方がそれに同意するかしないかというときに、幾つかの条件はありますが、非常に大きな条件が、賠償金をめぐる問題でございます。それは実際に赤羽さん体験されたように、都路地区にしても川内村にしても、よくやってくれたなという思いは正直言って我々にもあるところでございますが、これから順次解除をして帰っていただいて、みずからの人生ですのでみずから自立していただくというのが復興の大きな目的であります。

 帰りたいな、こう思っていらっしゃる方には、温かい家庭と温かいふるさとをもう一回しっかり取り戻してもらうということを復興の目標としてやっておるときに、期間の障害がある賠償金をめぐる議論というのが、それは人間誰しも、賠償金も含めてでございますが、少ないよりは多い方がいい、どうしてもそういう感覚になることは避けて通れないことではありますけれども、我々も、この問題は非常に頭が痛い問題であります。

 仮に、帰還困難区域はともかくとして、準備区域は、全部一律にすると、そこからちょっと外の人たちがどう思うかという問題も出てきまして、線引きというのは物すごく頭の痛い、あるいは、一旦引いた線というのは結構後々まで大きく重さを持った線になってくるなということを痛感いたしております。

 赤羽さんがおっしゃいました、今決めているというか、線が出ております、六年プラス、帰ったら一年間は月十万円の精神補償は出るというのは、非常にアイデアであるし、我々の中でも、それできちっと解決するなら、一考に値する案であると。

 これは、私は決定権者じゃないものですから決めることはできませんが、環境省、経産省、あるいはそれを最終的には払う東電とさまざまな議論をしながら、これが帰還の障害にならないようにするにはどうすればいいか、懸命に模索していきたいと思っております。

赤羽分科員 もちろん、さまざまな決定機関、決定するためにはお一人じゃ決められないということはよく承知していますので、結構です。

 あと、それで、私がなぜ言いたいかというと、それだけじゃなくて、よく地図が出されます、この色の。これがもう非常に大事な証文みたいになっていて、これがあると、大抵の人は、この真っ赤なところは帰還困難区域で、入るのも大変だと。バリケードなんか張りましたから、入っちゃいけないみたいな。すごく私は、このバリケード封鎖政策というのはミスリードだったんじゃないかと。まあ、いろいろな理由があったにせよですね。

 これは現実には、もうこんな色じゃないんですね。ですから、もう損害賠償には決着をつけたということになれば、この真っ赤なところも、実は、空中モニタリング、最近のを見ますと、もう全然違う色なんですね、これはよく御存じだと思います。

 こういうことも現実にしないと、先週も実は双葉町と大熊町の町長さんといろいろ話し合ったんですけれども、真っ赤っかですから、彼らはもう帰れる地域がないんですが、現実にはそういうわけにはいかない、もう四年たっていて町のビジョンも描けないというのは、何をやっているんだという話になると。だから、線量はもう低いので、例えば双葉町の駅前なんて実は物すごく線量が低いですし、いいところなので、ここで町の絵柄を描いちゃいけませんかねと言われて、私は、私の感想として、地元がやりたいというのだったら、それは帰れる方に反対する人なんていないでしょうと。では、そのとき賠償はといったら、賠償はもう決着済みなんだという整理をすればいい話なんだから、簡単じゃないけれども、それは、地元が帰るというものは政府は応援すると思いますよと答えているんです。その点について、簡単にお願いします。

竹下国務大臣 おっしゃるように、特に双葉町、大熊町はほとんど全ての町が真っ赤っかになっておりますけれども、実際には十分線量の低いところもありますし、大熊町では、大川原地区を拠点にしようということで、もういろいろな絵柄もできておりますし、今度それを後押しするために、特措法の一部を改正する法律を今国会に提案させていただいております。

 また、双葉町でも、駅前やそれから中野地区あたりは低いし、あそこのあたりを拠点にしようという地元の皆さん方の強い思いがありますので、そこはきちっとさらに除染をして、線量が十分低いということをさらに確認をした上で、そういったこともやっていける、真っ赤っかなところでも帰っていただけるということは証明していかなきゃいかぬ、それが第一歩だ、こう思っております。

赤羽分科員 大変心強い御答弁だと思います。

 いろいろな調査をして、双葉町も大熊町の人も、もう帰れないと思っているから帰らないという回答をするんですけれども、大熊町にも最近、東電の給食センターができたとか、さまざまな具体的なものが出始めると、帰ろうとする数字もふえてきている。そういうものだと思いますので、やはりふるさとというのは大事にしながら、最大限バックアップするということはぜひお願いをしたい、こう思います。

 最後に、福島の地域はやはり夢と希望が必要だ、そういう思いで、私は、福島イノベーション・コースト構想という研究会を立ち上げて、昨年の六月、取りまとめをして、総理にお伝えをいたしました。

 内容はもう大臣よく御承知で、大変感動しまして、今週のNHKの「日曜討論」の番組で、大臣の御答弁の最後に、浜通り地域に世界最先端の産業を興し、日本の底力、東北の底力を示すと言ってイノベーション・コーストについて語っていただいたということを、非常に福島の皆さんから感動を持って私のところにもお伝えをいただきまして、大変うれしい限りであります。

 ようやく政府の中でもいろいろ具体的に始まっておりますが、関係するところがすごく多いですし、国と県の役割もいろいろありますし、これは相当強いリーダーシップじゃないと、ややもするとすぐなくなっていってしまう。加えて、復興庁で今やっていただいている、先ほども御答弁にもありました、福島十二市町村の将来像、こういうものとダブルスタンダードにならないようにしてくれというのも、この前、地元のイノベーション・コースト構想会議に私は出まして、そういった話もありました。

 同時に、首長さんたちも、そろそろ具体化していかなきゃいけないから箇所づけもしてもらいたいみたいなことを言っていて、いろいろな案件があって、そこが勝手に箇所づけなんか始まっちゃうと収拾がつかなくなるので、これは復興庁のリーダーシップのもとにやはり進めていっていただきたい、こう思いますが、その御決意を。

竹下国務大臣 イノベーション・コースト構想は、まさに赤羽さん、言葉は汚いですが、言い出しっぺの一人でございますので、これからも責任を持って我々と一緒に汗をかいていただきたいと思っておることでございます。

 箇所づけの問題がいよいよ見えてき始めまして、人間、欲なものですから、それは俺の町へよこせ、これは俺の町のものだということはこれから具体的に出てくる、相当注意しなきゃいかぬなと。

 しかし、方向としては、単に復興するだけではなくて、世界最先端のさまざまな知見、廃炉の最高技術、あるいはそれに関連するロボットの最高技術、医療、医薬の最高技術、そういったものが集積したエリアをあそこへつくりたい。そして、それを中心にして十二市町村の元気を出していく、立ち上げていくということをやっていかなければならないと考えております。

 復興庁、復興にとりましても非常に大切な宝みたいな要件だ、こう思っておりますので、力を合わせてこれからもやらせていただきます。

赤羽分科員 もう時間がないので最後にしますが、私も、党に戻って、福島イノベーション・コーストプロジェクトチームの座長をさせていただいておりますので、責任を持ってフォローしていきたい、こう思っております。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を一つのめどに、福島も地元も大変期待もし、頑張っていこう、こう決意をしております。ぜひお力添えいただきたいと思いますし、アメリカのハンフォードと、あとテキサス州のディザスターシティーというA&M大学のところにロボットの実証の現場がありますので、お忙しいと思いますが、この夏、国会が終わってから、ぜひ御出張いただければということを強く希望しまして、私の質問とさせていただきます。

 きょうは、どうもありがとうございました。

平沢主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、真山祐一君。

真山分科員 公明党の真山祐一と申します。

 前回の、昨年末の衆院選におきまして比例東北ブロックで初当選させていただき、本日、初めての質問の機会をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。私も、震災以前から福島県郡山市の方に在住させていただいておりまして、この機会に被災地の声を少しでも代弁させていただければという思いで本日質問に立たせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、あす、三月十一日、東日本大震災から四年の節目を迎えます。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様に対しまして、心より哀悼の意を表したいと思います。また、被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げる次第でございます。

 先ほども赤羽議員の方からありましたけれども、公明党では、先立って三月七日に、公明党東日本大震災復興加速化会議を被災地仙台市で開催させていただきました。山口代表を初め、被災地担当の国会議員、そして、被災三県のみならず、東北六県の地方議員の代表の皆様が一堂に会して、復興の現状及び課題について意見交換をさせていただいたところでございます。

 そして、復興五年目に入るに当たりまして、公明党として、公明党復興加速化決議を決議させていただきました。その中には、被災者一人一人の声に耳を傾けること、最後の一人が立ち上がるその日まで寄り添うこと、この点を改めて誓い合ったところでございます。

 現在、政府におかれましては、集中復興期間について議論がなされておるかと認識しております。御存じのとおり、被災地の状況はまだまだ復興道半ばでございまして、ぜひとも国が支えていただきたい、また国が支えるべきというふうに考えておりますけれども、集中復興期間以降の財源の確保についてどのように考えていらっしゃるか、復興大臣にお伺いいたします。

竹下国務大臣 復興基本計画によりますと、復興は、十年を一つの単位に考えております。復興庁も、十年という設置期間を設けまして、そこの中でやっていく。その一番最初の一番重要な五年間、集中復興期間というのが二十七年度いっぱいで終わりまして、二十八年度以降はいわば後期の集中復興期間といったような位置づけになってくるのかな、こう感じております。

 私、何回も被災地へ行きましてお伺いしますのは、最終的には、今年度の予算が通りますと、トータルで二十六兆三千億円という予算を前半の五年間に準備して対応した、後半どうしてくれるんだということをしょっちゅう聞かれることは事実でありまして、これは安倍総理も常に言っておりますが、集中復興期間が終わっても我々はとまりません、必ず復興を最後までやり遂げますということをたびたび安倍総理もおっしゃっております。私も、まさにその気持ち、その方針に真っ正面から従って復興をやり遂げていこう、こう考えております。

 ただ、これからやろうとしておりますのは、後半の五年間はどんな仕事が残っているか、また何をやらなければいけないか、早々に精査しながら積み上げていって、それで、結果としてどれぐらいのお金、財源が必要であるかというものをたたき出しまして、そしてその上で、財務省から、変な話ですが、予算をくれ、しかも、五年間の固まりでくれということを我々は要求しようかな、こう思っておるところであります。

 まだ、具体的な金額については、その積み上げをやっていませんので、これからレビューというか見直しをやりますので、具体的には、その積み上げた後にならないことには金額の絵姿というのはなかなか見えてこないわけでありますが、例えば、今日ただいまの時点で、岩手、宮城、福島の三県から出ております、これぐらいかかりそうだという、まだあくまでも推測値でありますけれども、推定で八兆数千億に今なっております。それが本当にそうか、もっとかかるのか、あるいはもっとそれは少なくて済むのかというのは、これから精査をしていかなければならない課題である。

 財源については非常に厳しいです。ぽんと出しますよと麻生さんに言ってもらえばありがたいんですが、それはとても言ってくれぬだろうなと。この間、麻生大臣に、財源頼みますよと言ったら、財源はきついぞとか何か言っていましたので、そう簡単にはいかない、厳しい交渉になると思いますが。

 私の仕事は、そうした復興に要する費用をきちっと見通しをつけて、固まりとしての予算の財源の、キャッシュ、現金でなくていいんです、復興債という債券を発行してありますので、それを返すための財源の裏打ちをきちっと用意することだ。そうすることによって、被災地の皆さん方に、ああ、大丈夫だ、少なくとも今後も五年間はちゃんと政府が財源も含めて保障しているなという安心感を持って、安心して復興に取り組んでいただく、その姿をつくるのが私の仕事でありますので、今、こういう財源がありますというものはありませんが、必ず確保します。

真山分科員 ぜひとも復興大臣に、今ほどありました安心、まさにこれを被災地は求めているというふうに私も認識しておりまして、麻生財務大臣を何とか説得していただいて、予算の確保をお願いしたいところでございます。

 今ほどお話ありました後期復興期間、地元の新聞にもこのように出ておりまして、見出しに、一面になっておりますけれども、後期復興期間というのは、仮称の段階でございますので、もう少し決意があらわれた名称があってもいいのかなというふうに思っておりますので、その点は要望として一つ申し添えたいというふうに思います。

 大臣におかれましては、この後、公務があるとお聞きしております。この後は政府参考人にお聞きさせていただきますので、御退席いただいて結構でございます。

平沢主査 では、大臣はお引き取りください。お疲れさまです。

真山分科員 それでは、続きまして、復興に関する質疑をさせていただきます。

 震災復興に関しましては、やはり大事なのは、第一は住まいの再建であると考えております。

 災害公営住宅がおくれながらも着々と竣工し、被災者の入居が始まっているところでございます。

 公明党は、この四年の節目を迎えるに当たりまして、国会議員、地方議員、党員と一緒になって、避難生活に関するアンケート調査を実施いたしました。

 その結果の一つに、このような結果がございました。応急仮設住宅入居者に対して質問調査を行ったところ、孤立を感じるかという質問に対しまして、約七割の方がそれほど感じないというアンケート調査がございました。これは、一つ復興が前に進んでいるあかしでもあろうかと思います。しかしながら、約三割の方は孤立を感じるというふうに答えております。

 そのアンケート調査の中で、このような具体的なお声もありました。これは、福島県の飯舘村から相馬市に避難されている方でございます。もう既に四年が経過いたしまして、生活や人間関係も避難先である相馬市で根づいてきました、できることならこのまま相馬市でとどまりたいという思いがあるそうです。しかし、相馬市には津波被災者向けの災害公営住宅しかなく、原発事故避難者であるこの方は入居することができないということでございます。

 避難の際、また避難所から応急仮設住宅へ、そして応急仮設から復興住宅、また自立再建へ、このたびにつながり、コミュニティーが寸断されてしまう現実があり、それが一つ、この孤立につながっているというふうに捉えることもできると思っております。

 そうした状況を鑑みて、災害公営住宅への入居条件をある程度柔軟に考えてよいのではないか、このように思っておりますけれども、この点について国交省の御見解をお伺いいたします。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の災害公営住宅の入居に当たりましては、東日本大震災の復興特区法、それから福島復興再生特措法の規定に基づきまして、住宅に困窮する被災者の方々につきましては、原発事故の避難者も含めまして、収入にかかわらず入居することができるということになっております。

 災害公営住宅の入居の募集などの事務でございますが、これは、制度の範囲内で、住宅を供給する地方公共団体、そちらの方の御判断によって行われます。原発事故の避難者を含めまして、市外で被災された方を受け入れるかどうかにつきましても、各地域の実情を勘案の上、各県あるいは市町村において判断されるということになっております。

 また、福島県内の原発事故の避難者向けの災害公営住宅でございますが、これは、住民の方々の意向調査などを踏まえまして、県とそれから避難元の、今お話あった例えば飯舘村などの市町村と、それから避難先、これから具体的にお住まいになるところの各市町村との調整に基づきまして、県が事業主体となって、いわき市あるいは南相馬市など県内で四千八百九十戸を供給することになっておりますが、相馬市内については、県の災害公営住宅の整備予定がないという状況になっています。先生お話しのように、相馬市で整備されている災害公営住宅につきましては、津波、地震の被災者向けというふうに聞いております。

 このように、公営住宅の整備、管理については、つくられる県あるいは市町村の判断を中心に、各地域の実情の上、行われるということで、被災者の方々が一日も早く安心できる住まいに移れるように、今後とも協力してまいりたいというふうに考えております。

真山分科員 今の答弁にございましたけれども、各自治体の判断というお話もありましたけれども、ぜひ、そのあたり、バックアップしていただきたいというふうに思っております。

 また、長期化する避難生活の中で、被災者への心のケアが非常に重要であるというふうに思っております。

 先ほど申しました公明党のアンケート調査によりますと、生きがいが感じられないというふうに答えた方が、仮設住宅では三四%に上る方がそのように答えを出していただきました。

 公明党は、発災当初より、人間の復興を掲げて、震災復興に総力を挙げてまいりました。五年目の節目を迎える今こそ、きめ細やかな被災者への心のケアが必要と考えますが、こちらに関しては復興庁にお伺いいたします。

岡本政府参考人 先生御指摘のように、仮設住宅の避難生活が長期化しておりまして、心のケアはますます重要な課題となっております。現地では、市町村また関係者が見守りなどに力を入れてくださっているところでございます。

 このような期間が長期化することに対応いたしまして、先般、復興大臣のもとに関係の局長を集めまして、健康、生活支援の総合対策を策定したところでございます。

 具体的には、相談員や支援員を確保すること、心のケアセンターによる相談支援を行うことのほかに、御指摘のありました、やはり生きがいをつくるということが重要でございますので、心の復興事業と名づけました生きがいづくり、例えば農作業とかでございますが、そういう作業も新しく取り組むことにいたしております。

 関係市町村あるいは関係者とともに、さらに充実してまいりたいと思っております。

真山分科員 ぜひとも、さらなる拡充をお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、先ほども赤羽議員からお話ありましたイノベーション・コースト構想についてお聞きいたします。福島再生の目玉であり、また希望でもあるイノベーション・コースト構想でございます。

 公明党では、先月、福島イノベーション・コースト構想プロジェクトチームを立ち上げまして、その取り組みの推進に当たっているところでございます。

 政府におきましても、本構想の主要プロジェクトについて、三つの個別検討会を設置し、今月末の中間取りまとめに向けて精力的に検討をされているとお聞きしております。先月開催された構想推進会議では、多くの市町村から、構想の具現化を急ぎ、住民の実感につなげてほしいとの要望があったというふうに聞いております。

 このイノベーション・コースト構想をいよいよ目に見える形で推進していくことが重要である、そのように認識しているところでございますが、新年度におきましてイノベーション・コースト構想をどのように具体化していくのか、特に地元の要望の強いロボット分野における取り組みについて、こちらは経済産業省にお伺いいたします。

関大臣政務官 真山委員の方からイノベーション・コースト構想のロボット産業育成について御質問いただいたわけでございますが、福島イノベーション・コースト構想のうち、ロボット分野につきましては、内閣府とも連携をしつつ、ロボット研究・実証拠点整備等に関する検討会というのを開催いたしまして、具体化に向けた検討を今進めているところでございます。

 さらに、先般取りまとめましたロボット新戦略におきまして、福島浜通りにロボット実証区域を設けることを明記した次第でございます。例えば、屋内ロボット、屋外ロボット、分けていろいろ検討しているんですが、屋内ロボットの方でございますと、モックアップ施設ということでございまして、廃炉作業等、屋内を想定しましたロボットの試験施設をもう建設中でございます。また、屋外ロボットの方でございますと、福島ロボットテストフィールドということで、災害対策ロボットの研究・実証施設をつくって、ロボット国際競技会なども開催したいというふうに考えておるところでございます。

 ロボット開発者の方々に実際に実証を行っていただくことで、同構想の具体化に向けました利用ニーズや課題等の把握に努めることといたしております。

真山分科員 ありがとうございました。

 政府のロボット新戦略において、浜通りロボット実証区域の設置が盛り込まれたということに関しては、一定の前進と評価しておるところでございます。

 その上で、この推進に当たって大変重要になりますのが、やはり産学官の連携であると思います。御存じのとおり、県内におけるロボット関連産業、進出も含めて、充実しつつある状況であるというふうに思っております。

 先般、我が党の山口代表らとともに、南相馬市にあるロボット開発に取り組む企業を視察いたしました。県内外の大学と連携して、研究者はもちろん、未来を担う若い学生を受け入れながら、精力的に研究開発に取り組んでいきたい、そういう意向をお聞きいたしました。しかし、南相馬市の現状を言いますと、除染の作業員、また原発廃炉に伴う作業員の方々の多くが宿泊されている地域でございまして、例えば、こういったロボット開発を進める企業、またそこに連携する大学、研究者、または学生、そういった方々が宿泊する施設が確保できないという現実がありまして、そういった研究者のための寮のようなものがあれば、そういった御要望をいただいたところでもございました。

 実は、福島県には、ロボット技術というか、こういったことに取り組む、また、そういったことに取り組んでいる未来を担う人材がおりまして、例えば福島県内のある高校生は、未来の物づくりを担う国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテストにおいて、一昨年が世界第二位、そして去年は世界第一位を獲得いたしました。彼らは受賞のインタビューの中でこのように発言されていまして、開発、なぜそのロボットをつくったのかという発言に対して、原発事故の対応を見たときに、建屋の中にロボットが入るわけですけれども、このロボットが日本製ではなくて外国製が震災当初どんどん投入されていた、そういった現実を見たことを悔しく思って、ロボット開発をやろう、このようにロボットに向かう動機を持ったというようなインタビューを拝見いたしました。

 原発事故自体は大変残念なことではございますけれども、事故を経験した未来を担う若い人材が活躍できる場がまさにイノベーション・コースト構想であり、そのための宿泊施設等を含めた環境整備が必要と考えておりますけれども、経済産業省の御見解をお願いいたします。

関大臣政務官 今、真山委員から聞かせていただきました、学生の夢であり、問題をみずからの手で解決していこうという志というのは非常に大切なことだと思います。

 今取り組んでおります福島イノベーション・コースト構想なんですが、現在、国際産学連携拠点の具体化に向けた検討を行っているところでございますが、やはり委員御指摘のように、内外の研究者の宿泊施設の確保というのは、我々も重要な課題の一つとして今受けとめているところでございます。

 有識者によります検討会におきましても、企業、研究者や、そして、先ほどお話のございました学生の方々が一定期間滞在できる、そのような宿泊施設、そういったようなニーズが具体的に、声が我々の方にも届いております。

 このようなニーズの声もしっかりと踏まえながら、イノベーション・コースト構想の具体化に向けました検討は、一括で、全体的に捉えまして進めてまいりたいと思います。

真山分科員 ぜひとも、今後とも力強い推進のほど、お願いいたします。

 続きまして、ちょっと時間もなくなってまいりましたが、道路の件に関してお聞きいたしたいと思います。

 現在、中間貯蔵施設の建設、またこの搬入が三月十三日からという話になっておりまして、そのパイロット輸送がこれから始まってまいります。

 先般、三月一日に常磐自動車道が開通いたしまして、それは地元の大変喜びになっているわけでございます。当然、中間貯蔵施設への除染廃棄物の搬入に関しましてもこの常磐自動車道が使われるわけでございますけれども、懸念されているのは、交通量の増加によって、事故、また交通渋滞、そういったことが懸念されているわけでございます。そこで、地元としては早期の四車線化を求めているところでございます。

 その点に関して、太田国交大臣が、被災地復興の観点を重視し、四車線化についてしっかり検討を進めると前向きな発言をされました。地元としては大変期待しているところでございまして、この四車線化の見通しについて国交省にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えを申し上げます。

 常磐自動車道の四車線化についてお尋ねがございました。

 先生お話しのとおり、この三月一日に全線開通したところでございます。そして、その中で、いわき中央インターチェンジから岩沼インターチェンジの間については暫定二車線になってございます。

 そして、先般、大臣の方からもお話がございましたとおり、この暫定二車線区間につきましては、被災地復興の観点を重視し、全線開通後の利用状況や中間貯蔵施設への輸送などの面を考慮いたしまして、四車線化を含めた対策に関しましてしっかりと検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

真山分科員 ぜひとも早期実現を要望したいと思います。

 あわせまして、この浜通りは、常磐自動車道の開通、また六号線の開通によりまして、縦のラインは充実したわけでございますけれども、この縦のライン、また磐越自動車道につながるラインにアクセスする、その周辺道路がございます。東西を結ぶルートでございます。例えば、百十五号線、百十四号線、二百八十八号線、または県道でございますけれども小野富岡線、こういった東西の道路がございまして、当然、中間貯蔵施設への搬入に際して、こちらも交通渋滞、または事故の懸念がなされているところでございます。

 この道路、通ったことがある方はわかると思いますが、それほど整備が行き届いた道路というわけではございませんで、この周辺道路、東西の道路に関しまして、道路の拡幅及び危険箇所の点検が必要と考えておりますけれども、この道路の状況と事業実施状況について国交省にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えを申し上げます。

 福島県内の国道などの状況についてでございますが、まずは国道百十五号でございます。国道百十五号は、相馬福島道路ということで、国土交通省が直轄で事業をいたしております。霊山インターチェンジから相馬インターチェンジの間につきましては、平成三十年度までの供用を目指して、鋭意事業を推進しているところでございます。

 また、国道百十四号につきましては、福島県が管理しておる道路でございますが、現在、浪江町での四車線化のほか、道路の拡幅、歩道の整備といった事業を福島県において進めているところでございます。

 また、国道二百八十八号線につきましては、大型車のすれ違いが困難な箇所の改良事業、こういった事業を福島県において推進しておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、相馬福島道路の事業を推進するとともに、福島県管理の道路の整備につきましても、県の要望を踏まえて適切に支援をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

真山分科員 続きまして、環境省にお伺いいたします。

 これまでは道路管理者が整備を実施してきたわけでございますけれども、今後、除染廃棄物の輸送に際して、道路の整備及び危険箇所の点検について対策が必要であると考えますけれども、環境省の見解をお伺いいたします。

高橋(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中間貯蔵への運搬の安全性の確保は大変重要な課題というふうに認識してございます。

 環境省としては、まず、有識者の検討会を設置いたしまして、輸送の安全なあり方につきまして検討を行うとともに、国、県、それから市町村、関係機関が入りました輸送連絡調整会議というものを設置いたしまして、そこで市町村の意見もお聞きしながら、昨年十一月に輸送基本計画、それから、ことしの一月には具体的な搬入ルートとか安全対策を盛り込んだ輸送実施計画というものを公表いたしました。これに基づきまして、まずは、おおむね一年程度、各市町村から一千立方メートル程度の、比較的少量の除去土壌のパイロット輸送を行いまして、大量の本格輸送に向けて、安全かつ円滑な輸送を実施できるよう確認をして、検証していきたいと思っております。

 輸送の実施に当たりましては、委員御指摘のような道路対策、例えば、必要な道路の改修でございますとか、誘導員を設置するとか、看板を設置するとか、そういう道路対策も行いますし、また、輸送物とか輸送車両を一元的に管理していく、あるいは、道路の状況を勘案しながら、子供の生活環境とか、あるいは混雑、渋滞などを配慮して輸送の時間帯とかルートを選定するとか、そういうハード、ソフトいろいろな対策を講じながら、この輸送実施計画に盛り込まれた諸対策を適切に実施することによりまして、輸送の安全性に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

真山分科員 ぜひとも、さらなる安全対策をよろしくお願いいたします。

 最後にお聞きいたします。

 今まで福島の件を質問してまいりましたけれども、次は宮城県石巻市について質問させていただきます。

 石巻市は、御存じのとおり、震災による地盤沈下によりまして、内水対策に大変苦労されております。その排水のためにポンプ場を新たに建設するわけでございますけれども、建設に当たっては国からの補助を得ているところでございますが、その後の維持管理費が重くのしかかり、自治体の財政状況は厳しい状況にあります。

 このポンプ場の設置、十九カ所になりますけれども、年間維持管理費は二億七千八百万、これに人件費を含めると三億五千万円の維持管理費となります。これが復興の足かせになってはならないというふうに考えておりまして、全額は無理としても、半分、またあるいは段階的にでも国による負担軽減策を講じる考えがあるか、復興庁にお伺いいたします。

岡本政府参考人 御指摘の雨水のポンプ場の維持管理費でございますが、一般的な制度といたしまして、地方交付税で維持管理費の経費を標準的に措置しているところでございます。

 議員の御指摘の点につきまして、総務省及び国土交通省に伝えてまいります。

真山分科員 時間となりましたので、以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

平沢主査 これにて真山祐一君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。高井崇志君。

高井分科員 維新の党の高井崇志でございます。

 先日、三月三日の予算委員会の集中審議で山口IT担当大臣に個人情報保護法のことをお聞きしたかったんですが、極めて限られた時間しかなくて、一言御答弁いただいただけだったので、きょうは三十分間、ぜひお聞きをさせていただきたいと思います。

 ただ、きょう閣議決定されたばかりで、私もぎりぎり法案を入手いたしましたが、十分読み込めておりませんので、その閣議決定の前段で、去年の十二月十九日に、パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子というものが提示されております。この骨子に基づいて、何点かお聞きしたいと思います。

 今回の法律は、私は大変評価をしております。特に、この目的のところに、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出を生むという、この効果的な活用といったものをやはり大きく打ち出していただいた、目的に書いていただいたことは大変評価をしております。

 これは、今、IT業界で、ビッグデータ、オープンデータ、パーソナルデータ、そういったものの利活用が新しい産業をどんどん生んでいく、そういう大きな流れにあります。しかし一方で、個人情報保護法によって、ビッグデータの活用などが萎縮してしまうおそれもある。いろいろ、解釈の仕方によっては非常にグレーゾーンが多くなって萎縮してしまうのではないかという、IT関連業界からたくさんの声をいただいておりますので、きょうは、ぜひそのあたりの誤解を一つ一つ解いていくといいましょうか、そういった形で御答弁いただけたらありがたいと思っております。

 まず最初にお聞きをいたしますが、一番大事な個人情報の定義でございます。ここが非常に曖昧であると、ビッグデータなどの活用に非常にストップがかかってしまいます。

 実は、今回、個人情報保護法改正に当たっては、昨年からずっと検討が進んでいて、六月には大綱というのが決まりました。それから、十二月十九日に、先ほど申し上げたこの法律案の骨子というものが出ております。そしてまた、二月十六日には、IT総合戦略本部のマイナンバー等分科会というところでもペーパーが出ております。

 今回、個人情報の定義を拡充するんだという記述があったり、それがなくなって、いや、明確化なんだという記述がある。一番最新の二月十六日には明確化となっているんですが、ここが非常に重要なポイントだと思いますので、今回の個人情報の定義というのが拡充なのか明確化なのか、そのあたり、大臣、御答弁いただけたらと思います。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

山口国務大臣 先般、予算委員会では時間がなくて、大変御無礼をいたしました。

 今先生の方から御指摘をいただきましたように、もう御案内のとおりで、ある意味、スマホとかインターネット・オブ・シングス等々でビッグデータというのはどんどんどんどん集まるようになり、かつこのビッグデータを利活用することによって、まさにこれまでとは違う地平が見えてくるというふうな状況なんだろうと思います。

 そういう中で、やはり個人情報の範囲というのが若干、いわゆるグレーゾーンというものがあって、企業活動が、その利活用がどうも萎縮をしておるのではないか、ちゅうちょをしておるのではないかというふうな御指摘があることも十分承知をいたしております。

 そのために今回の改正があるわけでありますが、こういった中、現行法の個人情報の定義に含まれると考えられるパーソナルデータ、このうち特に身体の一部の特徴をデータ化したもの等について政令で明確化をするというふうにしたわけでございますので、決してこれは拡充ということではございません。

 むしろ、ある意味、交通整理をすることによってもっと利活用が進むということを想定しておるわけで、これによって個人情報の保護も図りながら、同時にその利活用によって新産業、新サービスがどんどん生まれ出てくる、創出をするということを考えておるわけでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 やはり、ITを推進する、大変造詣の深い山口大臣でございますので、そういったことにブレーキがかからないような法律になっているのだということが確認できました。

 今、個人情報保護、現行法があるわけですけれども、そこの範囲を拡大するものではないということで御答弁をいただきましたが、実は、ちょっとこれは細かいので事務方の方でも結構なんですが、幾つか疑義のある具体的なものがあります。

 先ほどの十二月十九日の骨子案によりますと、実は携帯電話番号というものがこの絵の中に含まれているんですね。明確に携帯電話番号というのが入っております。しかし一方で、現在のガイドライン、経済産業省のガイドラインなんですが、しかし、これが政府としていろいろ準用されて、一般の方はそのガイドラインを見て個人情報を見ているんですけれども、そこの中には、携帯電話番号はそれ単体では個人情報には該当しないと書いてあるわけでございます。

 そういう意味でいうと、この携帯電話番号は、今の大臣の答弁によれば、これは個人情報には入らない、現行法の解釈と同じだというふうに考えられますが、それでよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、経産省のガイドラインでございますが、これは固定電話番号が入らないというふうに書いてございます。

 その上で、現行法もそうですし、今回の改正法もそうですが、個人情報に入るか入らないかというのは、基本的には、特定の個人を識別できるかどうかというところがメルクマールになっております。

 その上で、お尋ねの部分につきましては、携帯電話番号単体が個人情報に入るか入らないか、こういうお尋ねであろうかと思います。

 携帯電話番号は、単体で特定の個人を識別できるかどうかにつきましては、いろいろな考え方がありまして、私ども、法案作成過程でいろいろなヒアリングをいたしました。

 情報通信技術の発展によりまして、民間サービスに活用する場面がふえ、取り扱いによっては特定の個人を識別できるのではないかとの観点から、個人情報に位置づけられるとの考え方がある一方で、民間のサービスの中には、携帯電話番号単体でサービスに活用しているものもありますが、現状、適正に行われているサービスの円滑な運営が、個人情報に位置づけられると困難になるという懸念もあるところでございます。

 これらにつきましては、今後さらに政令で定めることになろうかと思いますので、社会実態や海外の制度等も勘案しながら、政令の作成段階におきましていろいろな意見を聞きたいと思っておりますけれども、基本的には、やはりITの利活用ということを念頭に置きながら決めていきたいというふうに思ってございます。

高井分科員 政令でこれから決めるという答弁が多くなるとは予想していたんですが、しかし、政令で決まるとなると、やはり非常に萎縮効果、どうなるんだろうという不安の声が多いのも事実でございますので、きょうは御答弁は難しいかもしれませんが、これから法案審議、また、私は内閣委員会でもございますので、重ねてお聞きさせていただきたいと思います。ぜひ、そのときには、やはりある程度、もちろん政令で決めなきゃならないものもたくさんあると思いますが、大きなメルクマールはそれまでに決めていただきたいなと。

 これはちょっと通告していないんですけれども、向井審議官は大変お詳しいのでお答えいただけると思うんです。ちなみに、携帯番号はわかりましたけれども、携帯端末のIDとかIPアドレス、これはどうですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 携帯端末のIDあるいはIPアドレスは、やはり基本的には機械に振られたものだというふうに理解してございます。今回は個人に振られたものを対象にしておりますので、これらは入らないと理解してございます。

高井分科員 明確な御答弁ありがとうございます。今後もぜひ一つ一つ明確にしていけたらありがたいと思っております。

 それでは、少し話がかわりますが、実は今回、個人データを外国にいる第三者に提供することの制限というのが新たに加わっております。この十二月十九日の資料でも、そのページが、これは十七ページなのかな、ちょっと資料として出していないので申しわけないのですが、ここの中で、実は、二つの要件が書かれております。

 一つがアというところで、我が国と同等の水準にあると認められる個人情報保護の制度を有している国として個人情報保護委員会が定める国であることという要件と、もう一つは、第三者が個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備していること、この二つが書いてあるんです。

 実は、国境を越えてデータが行き来するというのは、今、グローバル化の時代ですから、当たり前になっています。しかし、新興国が多いんですが、例えば、中国、インド、ブラジル、あるいはアフリカ諸国、こういったところは、自国の製品であるとか、あるいはデータセンターを自国に設置させようということで、ある意味、非常に保護主義的な流れになっている。

 そういった流れに対して、我が国はやはり、TPPを初め自由貿易というのを推進していく、このITでもそういう立場をとるべきだと思うんですが、最初に申し上げたアの前段の、我が国と同等の個人情報保護の制度を有している国をあえて指定するというのは、こういった流れに、つまり自由化の流れに反し、保護主義的な国だと日本がとられかねないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

向井政府参考人 先生の御指摘は、今回の法改正の中にあります、外国の第三者への個人データ提供に対する制限のことだというふうに思います。

 今御指摘のありました二つの要件、提供先の第三者が我が国の個人情報保護法に基づくものと同様の措置を講ずる体制を整備しているというのと、それからもう一つの、提供先の事業者が所在する外国の個人情報保護制度が我が国と同等の水準にあると認められる場合、これらは選択的でございまして、どちらかであればよいということでございます。

 さらにもう一つ、外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得ている場合でも構わない。それは、三つのどれかに当てはまればいいというところでございますので、この部分につきましては、重畳的に課しているということではないことを御理解いただきたいと思います。

高井分科員 それは理解しているんですが、実は、要するに、我が国と同等の個人情報保護制度を有している国というのがわざわざ要るかという指摘でございます。

 これはなくても、つまり、委員会規則で定める基準に適合する体制を整備しておれば十分であって、むしろ、どこの国を指定されるのかわかりません、EUで同じような制度があるというのは承知して、ただ、EUも数カ国しか指定されていないと聞いておるんですけれども、ある国を指定したときに、では、その国にあったら、どんな個人情報保護の体制が整っているかどうかも問わず、もう全てオーケーになってしまうというのは、それはそれで逆に問題ではないかというふうに思います。

 さらには、先ほど言いましたように、日本という国は、国ごとにそういった指定をして、この国ならいい、この国なら悪いというような選別をする国だ、そういうふうに諸外国から受け取られかねないという疑義があると思っておりますが、そのあたりは御検討されましたでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりましたように、EUでほぼ同様の規定がございます。

 もちろん、今回の外国の第三者へのデータ提供の規制につきましては、一つは、やはり、むやみやたらに個人情報が漏れるような国には出したくないというのが一つ。もう一方は、やはりEUと同等の個人情報保護レベルでないとEUから認定されないという問題がございますので、それを意識していることも事実でございます。

高井分科員 実は、私も、EUに詳しいというか、ある外資系企業さんから、EUのこともよく知っている、あるいはEUに所属している方から、いや、この法律だと、日本は世界で一番厳しくなるんじゃないの、EUより厳しくなるんじゃないのという御指摘もいただいておりまして、ちょっとここはこれ以上お聞きしませんけれども、今までなかったのが突然入ってきた規定でございまして、この法律はいろいろなIT事業者と意見交換しながらつくってきたと思うんですけれども、この部分についてはほとんど議論なく入っているので、今度はぜひもう少し掘り下げていきたいと思っております。

 ちょっと一点、確認ですが、それでは、後段の方の、委員会規則で定める基準に適合する体制を整備という項目がございます。これは、では具体的にどんな事例を想定しているのかということで、通告させていただきましたけれども、APECで、プライバシーフレームワークという、クロスボーダープライバシールールという国際ルールがございます。こういったものに準拠していれば、これでこの体制は整備されているという理解でよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、我が国の個人情報保護法に基づくものと同様の措置ということでございますが、御指摘の、APECのプライバシーフレームワークを遵守していることが確認された場合などは、当然該当するものと考えております。

高井分科員 それでは、もう一つ確認したいんですが、これはちょっと通告していないんですけれども、先ほどの十二月十九日の骨子の米印に、現行の各企業の適切な移転手続が合法であることを明確化するためだと書いています。これからすると、現行の各企業が適切な契約を行っているものは、これもオーケーだという理解でよろしいでしょうか。

向井政府参考人 御指摘のとおりでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、次の問題に行きたいと思います。今度は、匿名加工情報についてでございます。

 これは、個人情報に一定の匿名化を施す、それによって匿名加工情報というものにして、これは本人の同意がなくても第三者に提供できるようにするという一歩進んだ規定になっているわけです。

 しかし一方で、では匿名加工情報というのをどうやって加工するかみたいな規則については、今後、個人情報保護委員会で決めていくということになっていると思うんですが、今の法案は見ていないんですけれども、復元できないように加工しなければならないと。復元できないとまで言うと相当厳しい基準になるおそれがあって、そういう厳しい基準を課されると、逆に匿名加工情報というものがうまく使えない、流通できないということになってくると思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回新たに設けます匿名加工情報は、特定の個人を識別できないようにするとともに、作成のもととなった個人情報を復元することができないように加工を行うものとしてございますが、この措置は、利用目的の限定なく、また本人の同意なく第三者に提供することが可能となりますので、データビジネスにおいて、特に有用性の高いパーソナルデータの利活用及び流通を確保する環境を整えるものでございます。

 そういうものでございますので、事業者から負担が大きいと言われております個人情報の取り扱いに関する義務を適用しないとするものでございますが、具体的な加工方法につきましては、先生の御懸念は多分、復元できないというと、今のいろいろな技術を使ったら、およそ復元できないものなんてないんじゃないかという御懸念ではないかと想像いたしますが、そこまで厳しいことを考えていることは当然ございません。

 この措置は、あくまでビッグデータの利活用を推進するための措置でございますので、ビッグデータの利活用にならないほど匿名化が必要になるような措置は考えてございませんので、当然、通常復元できないぐらいのイメージかというふうに考えてございます。

高井分科員 通常復元できないというのがなかなか曖昧でして、関係者からは非常に心配なところなんですが。

 では、もう少し具体化しますと、今は民間企業が既にもうやっているわけですね。そういった加工技術というのは、通常、企業がいろいろ試行錯誤しながらやって、それがいずれベストプラクティスとなって積み上がっていくんだろうと思います。

 昨年の六月に決めた大綱の中には、企業のベストプラクティスを共有するというような記述があったり、あと、マルチステークホルダー、企業を含めていろいろな関係者の方の意見を聞きながらこういう制度をつくっていくというのが、もともと大綱にもあり、そういう精神でつくってきたと思うんです。これが、実は今回の、十二月十九日の法律案の骨子ではなくなっていますし、それから、ちょっと法律は、きょうもらったので全部読めていませんけれども、恐らくそういった視点はないんじゃないかと思いますが、これはどういう理由でしょうか。

向井政府参考人 今回の法律では、実は書いてございます。

 匿名加工情報の加工方法につきましては、個人情報保護委員会規則において、氏名を削除する、住所の市町村以下を削除する、あるいは生年月日を年代に置きかえる等の、匿名加工情報を作成する事業者全てに共通する最低限の記述について定めることとしております。

 その上で、このような個人情報保護委員会規則に加えまして、事業の特性、あるいは取り扱いデータの内容に応じた詳細なルールが必要となると考えるところ、これらにつきましては、事業者の自主的なルールに委ねることを想定しております。それらのルールにつきましては、消費者、その他関係者の意見を聞いて加工方法を作成して、個人情報保護指針という形で民間団体の指針をつくっていただくというふうなことを想定しているところでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 大臣、ここの関係事業者の声を聞きながら規則をつくっていくというのは非常に重要なところだと思いますので、ぜひ大臣からも、御指導、リーダーシップをとっていただけたらと思っております。

 それでは、今の話と関連するんですが、今回、匿名加工情報というのができたことによって、実は、もともと個人情報保護法の規制対象じゃなかった統計情報などがありますけれども、こういったものが法律の読みようによっては匿名加工情報になってしまうんじゃないか。これが匿名加工情報になった途端に、安全管理措置を講ずるとか、取り扱い情報の公表をしなきゃならないとか、いろいろな規制がかかってきて規制強化になってしまうんですが、この統計情報などは匿名加工情報には入らないという理解でよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 統計情報につきましては、現行の個人情報保護法の規制対象外として整理されてございますので、今回、匿名加工情報をつくったからといって、これに入るものではございません。そのように規則等をつくってまいるつもりでございます。

高井分科員 ありがとうございます。

 一貫して、現行法の範囲を拡大するものではないんだという御答弁をいただいているので非常に安心をいたしますが、今後、具体的な規則をつくるときにはしっかりそこを、きょうの御答弁を踏まえていただいてお願いしたいと思います。

 それでは、次の問題に行きます。

 今度は、容易照合性という問題について、ちょっと専門的な話ばかりで大変恐縮なんですが。

 今、現行法では、それ単体で個人情報とは言えないデータでも、他の情報と容易に照合することができて、それによって特定の個人を識別することができるものは個人情報に含まれるんだと。つまり、容易に照合できてしまえば個人情報になってしまう。

 それは、例えば、個人情報のデータベースと、それから匿名加工した情報のデータベース、二つ分けて置いているんですけれども、実際に一人の人間がこれにアクセスするということは、企業であればあると思うんですね。やはり、もともと同じデータベースから端を発しているものですから、これが、一人の人でもアクセスしたら、それは容易に照合できることになるから、これは全て個人情報にみなされてしまうと、では、それを分けるために会社は担当者を二人置かなきゃいけないとか、非常に煩雑なことになると思うんですが、このあたりはいかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 匿名加工情報は、先ほども申しましたが、特定の個人を識別することができず、復元することができないように加工する。一方、さらに、当該事業者も含めて、他の情報と照合して再特定化することを禁止しているというところでございます。

 したがいまして、匿名加工情報は、そもそも、作成に用いた個人情報と照合することが禁止されておりますので、容易照合性は認められないと私どもは解釈しております。

 したがいまして、この匿名加工情報におきましては、容易照合性の問題は生じず、個人情報には当たらないというふうに考えてございます。

高井分科員 大変早口というか、難しい質問で難しいお答えだったので、ちょっとにわかに理解できなかったんですが、また後ほど議事録を読ませていただいて、改めて法案審議のときに確認させていただけたらと思います。

 もう時間がそろそろ参りましたので、最後に大臣にもう一度お聞きしたいと思います。

 今回、個人情報保護委員会が設置されますけれども、これは、先ほどの目的、今回の個人情報保護法の目的の中にも、利活用、効果的な活用がという言葉がありましたように、活用とかあるいはイノベーションを図る観点から、非常に重要な位置づけになると思います。

 似たような組織、三条機関として公正取引委員会がありますけれども、公正取引委員会というのは、やはり取り締まりというか監視、監督というレベルで、そういった活用の促進とかイノベーションの促進というのはちょっと違うんだろう。そういう意味では、公正取引委員会とはやはり趣旨の異なる委員会になると思っております。

 個人情報保護委員会を、そういった利活用、イノベーションの促進を図るという観点から、どのような運営を行っていくのか。特に、先ほどから話がありますように、民間企業の意見をどういうふうに受けとめて規則をこれからつくっていくのかということを、ちょっと大臣のお考えをお聞きします。

山口国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど来、高井先生から御指摘をいただいておりましたように、個人情報保護委員会というのは非常に大事な役割を果たすわけでございまして、御指摘のとおり、公取委とは全く性格が異なるもの、しかも、政令等も委員会の方でというような話になっておりますので、そこら辺は、三条委員会でありますけれども、個人情報保護委員会の運営のあり方は非常に大事だと思っております。

 具体的な検討、運営のあり方については委員会設置後になされることになりますけれども、当然、民間企業の実務に関して十分な知識あるいは経験を有する方を委員等に登用するとか、あるいは、ルールの策定に当たりまして、民間企業の皆様方の意見聴取をしっかり行っていくというふうなことも実は想定をしておるわけでございまして、これによって、個人情報の保護と、そして利活用のバランスのとれた運営がなされるようにということで考えていきたいと思っております。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

高井分科員 ありがとうございます。

 山口大臣はIT担当大臣でいらっしゃって、これまでの御経験からもITには相当な造詣を持たれておりますので、個人情報保護法、ある意味、個人の権利を守る法律であることはもちろんそうなんですけれども、一方で、ずっと申し上げていますとおり、ビッグデータ、パーソナルデータという我が国にとって大変大きな期待のかかる、世界がそういう流れの中で我が国がこれに乗りおくれるわけにはいかない、非常に重要な分岐点となる法律だと思っております。

 ぜひそこを、できるだけグレーゾーンをつくらずに明確に、そしてまた、つくるに当たっては関係事業者の声をよく聞いていただいて進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平沢主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。

 内閣府本府について質疑の申し出がありますので、これを許します。比嘉奈津美君。

比嘉分科員 自由民主党の比嘉奈津美でございます。

 本日午前に、沖縄及び北方対策に関する特別委員会が開会され、山口沖縄担当大臣の所信表明がございました。その中でも沖縄振興への力強い政府の方針をいただきましたが、改めまして、地方創生の観点から、アベノミクスの効果を沖縄県の隅々まで届け、日本経済のフロントランナーを目指して、一括交付金制度と特区制度の活用、そして北部振興策について質問させていただきたいと思います。

 沖縄におきましては、二十一世紀ビジョンでいち早く特区制度や一括交付金を導入し、地方創生を先取りしたものと言える感がございますが、まず、その沖縄振興一括交付金についてお伺いさせていただきたいと思います。

 平成二十四年度より、沖縄振興に資する事業を、沖縄県の自主性を尊重し、存分に活用できるこの制度は、安倍内閣の英断であり、また内閣府のきめ細やかな対応のたまもので、その効果を県民は高く評価しているところでございます。この機会に、県民を代表して感謝申し上げたいと思います。

 そして、本制度は、唯一沖縄県のみ、特殊なものでございまして、政府は国民に対する説得力のある説明を心がけてこられたことだと思いますが、この際、いま一度、なぜ沖縄なのかということで、沖縄振興一括交付金制度の成り立ちの経過をお伺いいたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 沖縄振興につきましては、歴史的、地理的、社会的事情など、さまざまな沖縄の特殊事情に鑑みまして、沖縄振興特別措置法を制定して、これに基づいて各般の施策を実施してきております。

 その中で、沖縄振興予算といたしましては、従前から、公共事業などの社会資本整備に関し、高率の補助が行われ、あるいは非公共事業のソフト事業に対しましても、産業振興等の分野に対して各種の補助が行われてまいりましたけれども、沖縄県側から、より自由度の高い一括交付金の創設について、強く要望がなされました。

 そこで、これを受けまして、平成二十四年の沖縄振興特別措置法改正におきまして、沖縄県の要望を最大限尊重して、県が自主的に選択した沖縄振興に資する事業を実施し、沖縄の実情に即して、より的確かつ効果的に施策を展開するために、ソフト、ハード両面から措置する沖縄振興一括交付金制度が法律上明記されて創設されてきたというものでございます。

 特に、ソフトの交付金に関しましては、補助メニューはございません。県や市町村が自主的に事業を選択しまして、内閣府で一括して執行するという、沖縄独自に創設された制度でございます。

 産業振興、観光振興の分野だけでなくて、これまで必ずしも行政のサポートが行き届いていなかったのではないかと言われております離島振興、教育、福祉など、幅広い分野に活用されておりまして、いわゆる省庁縦割りのひもつきの補助金とは全く異なっておりまして、県や市町村からも御評価いただいているものと認識しているところでございます。

比嘉分科員 沖縄の歴史的背景あるいは特殊な事情を鑑みての上での、そしてまた沖縄の離島の振興を含めて、沖縄の可能性を見据えての成り立ちであるということが理解できます。

 沖縄振興、まだまだ道半ばではございますが、その一括交付金の趣旨を踏まえて、大きな成果を早く見出したいものではございます。

 そしてまた、二点目、お尋ねしたいのですが、平成二十七年度予算成立の過程、概算要求の中で、不用額の精査等で平成二十七年度の予算は減額されたと理解しておりますが、減額措置の経過についてお伺いいたします。

関政府参考人 お答えいたします。

 沖縄振興一括交付金でございますが、先ほども申し上げましたように、離島振興、福祉、観光、さまざまな分野に活用されているところでございまして、私どもも、沖縄振興に大きく寄与するものと考えておりますが、一方で、一括交付金の執行状況などを見てみますと、不用額が生じたり、あるいは繰越額が相当程度発生しているということになっております。

 具体的に申し上げますと、ソフトの交付金につきましては、二十五年度のケースですけれども、多額の不用額が出ております。また、ハードの交付金につきましても、全国平均を上回る繰り越しが生じているということがございます。

 平成二十七年度予算におきましては、厳しい財政事情のもとでございますので、ソフトの交付金については二十億円の減、ハードの交付金につきましては百二十一億円の減ということになっておりますが、総額的に申し上げますと、ハード、ソフト合わせまして千六百十八億円の予算を計上しているというところでございます。

 私どもとしましては、沖縄振興に必要な予算額は確保していると考えておりまして、また、沖縄県サイド、市町村サイドにおきましても、同じような認識をお示しいただいているところでございます。

比嘉分科員 不用額が出ているということは、やはり県、市町村がそれなりにしっかりとした信念を持って一括交付金を利用していくべきであり、また勉強していくべきだと考えて、国と同じベクトルに向かって進んでいけることを望みます。

 そして、やはり消費税の増税の先送り、あるいはふえ続ける社会保障費の増大の現実がこの不用額精査に結びついたことだと理解してよろしいでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 財政上、やはり非常に、大変厳しくなっております。そういう中で、それぞれの事業につきまして実際にどういう使われ方をされているのかということは、当然、私どもの予算のみならず、幅広いそれぞれの予算の分野でチェックされ、どのように効率的、効果的な予算執行をするのかということがテーマになります。

 そういう中で、しかし、私どもとしましては、必要な予算額はきちっと確保するために予算を積み上げようということで作業いたしまして、このように千六百十八億円を確保したというところでございます。

比嘉分科員 本制度は今後の継続が約束されているわけでございますが、政府として、この一括交付金制度の成果と課題をどのように捉えているのか、より国民に理解を得るためにどのような取り組みが行われているのかを教えていただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 まず、成果という点でございます。

 先ほど若干申し上げましたが、さまざまな分野で活用されております。例えば、観光の振興、いろいろな観光プロモーションとか、それから産業振興、これは、企業誘致を行ったり、賃貸工場をつくって産業の誘致をしたり、そういうもので取り組みが進められておりまして、経済の活性化に寄与して、現在、県内の経済面では好影響が出ているという指摘もなされているところでございます。

 また、行政のサポートがこれまで必ずしも行き届いていなかったと言われているような分野で申し上げますと、例えば離島振興では、高校がない離島出身者のための寄宿舎などを設置する、あるいは離島住民の方々の交通コストの支援、離島における人工透析施設の整備などが進められております。

 学力の低さが指摘されているという面もございましたが、これにつきましては、学習指導員の配置、電子黒板やデジタル教科書の整備、あるいは公営学習塾の開設によって、これは具体的な水準の向上がデータとして出ているところでございます。

 また、福祉の分野でも、待機児童が多いということが指摘されておりまして、その解消に向けた取り組みや放課後児童クラブの家賃補助などが進められております。

 このように、各般の分野におきまして、沖縄の振興に大きく寄与しているものと考えております。

 そこで、課題ということでございます。

 一つは、効率的、効果的な予算の執行という観点から申し上げますと、一層の創意工夫を発揮していただいて、より有効に活用していただきたいという点がございます。

 それからもう一点は、やはり自由度の高い交付金であるからこそ、事後の評価をしまして、それで新たな取り組みにつなげていくという、いわゆるPDCAサイクル、これを確立していくことも大変重要なテーマになっていると思っておりまして、私どもも、そういう観点から、必要に応じまして助言や支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

比嘉分科員 一括交付金の有効活用が沖縄の潜在力を引き出し、日本の経済の推進にもなると考え、引き続きの予算の確保を強く強くお願い申し上げたいところでございます。

 特殊事情というのも本当にございます。私も、復帰するまで、中学まで、ドルを使って生活しておりました。そして、車も沖縄は反対側を走る状況。いろいろな本土との格差是正のために、何十年も、政府の御努力はよく存じ上げているつもりでございますが、まだまだ道半ばでございます。この一括交付金をしっかり活用させていただきたいと考えております。

 次に、地方が特色を生かし、自立発展することを目指し、誘導牽引する制度として、沖縄県には独自の特区制度が整備されております。しかも、昨年、使い勝手が大幅に緩和、拡充されました。しかしながら、現況の特区制度の利用を見れば、まだまだ伸びてしかるべきだと考えられます。

 政府は、平成十四年、沖縄振興計画で国際物流の拠点形成を図ることをうたい、空港、港湾整備に力を傾注してまいりました。空港は、那覇第二滑走路の順調な進捗、国際物流の増加と順調でありますが、海に開く港湾に関しては、まだ整備、運用内容が不十分で、実勢にそぐわないと言えるのではないでしょうか。

 沖縄中部にある国際物流特区の中でも、中城湾港は、隣接するうるま地域の賃貸工場も備え、日本国内及びアジアに向け、国際物流、製造拠点立地に適した場所でもあります。しかし、企業誘致に関して、隣接の中城湾港の活用が円滑ではなく、陸路で那覇の港まで物資を運んで使用するという現状が特区の利用の阻害になっているのではないかと考えます。

 中城湾港は、平成二十二年度重点港湾の指定以来、施設整備は行われておりますが、利点のある特区制度活用のために、喫緊の課題として、さまざまなニーズへの配慮が必要だと考えます。

 今、港のすぐ横で、県が支援する飼料の大型サイロ建設も行われております。しかし、そこには五万トン級の貨物船舶の停泊可能が条件となっております。また、同じ中部地域、沖縄市では、東部海浜開発といって、泡瀬の埋め立てが行われ、ビーチなどができる、いわゆる新しい開発がどんどん進んでおりますし、沖縄市のすぐ近く、北中城村、これは米軍のゴルフ場でありましたライカムゴルフ場というところでございますが、広大な土地が戻ってまいりました。そこに巨大ショッピングモールが四月にオープンする予定でございます。新規雇用約三千人、そして、アジアナンバーワンのリゾートモールを創造するとうたわれております。

 このような環境の変化が、中国、ASEAN諸国、およそ二十億人もいる巨大マーケットが存在するアジアに、今こそ我が国の新しい顔としての沖縄が飛躍するチャンスだと考えております。アジアに向けた可能性も踏まえて、今後の物流特区の整備促進についてお伺いしたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、中城湾港、これは沖縄の物流特区のこれからの活用に対しまして非常に大きな役割を果たすことが期待されているわけでございますけれども、その中でも、特に新港地区につきましては流通加工機能を有しておりまして、これからの沖縄本島東海岸の物流産業の拠点を形成することが大いに期待されているというところでございます。

 我々といたしましても、中城湾港の早期の整備ということに一層努力していかなければいけないと思っているところでございまして、具体的には、新港地区につきまして、当初予定しておりました平成二十八年度の供用開始ということを一年間前倒ししまして、平成二十七年度中に暫定供用を目指して整備を進めているところでございます。

 また、中城湾港につきましては、港湾整備とともに、その利用ということも極めて大きな問題になってくるわけでございます。

 この点につきましては、港湾管理者であります県が努力をされているところでございまして、現状はと申し上げますと、定期航路の開設ということにつきまして、まず、平成二十六年十一月に先島航路が開設されたというところでございますし、それから、ことしの、平成二十七年の四月には鹿児島航路が開設される予定というふうに我々は伺っているところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、国際物流特区の推進でございますとか沖縄振興計画に基づく港湾機能の拡充にとりましても極めて重要なこの中城湾港の整備を着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。

比嘉分科員 国内、国際物流の円滑化は、特区制度の推進はもちろんのこと、また、沖縄は観光地形成促進地域としても指定されております。将来、もしこの中城の港に大型クルーズ船の寄港が可能となると、沖縄中部、北部の振興に大きく寄与すると思います。前向きな御検討をよろしくお願い申し上げます。

 次に、もう一つ港のお話でございますが、沖縄県北部振興に関してお尋ねしたいと思います。本部港でございます。

 伊江島という島がすぐ近くに見える、海洋博会場のすぐ近くにある港でございますが、この港は、伊江島に渡る手段としてはもちろん、鹿児島の港を結ぶ航路としては不可欠なものであります。また、北部圏内の一次産業、二次産業においても非常に大きな役割を果たしております。

 本部港には、冷蔵施設、冷凍施設というものが整備されました。それが稼働することによって、沖縄の農産物の保存、保管、あるいは冷凍、冷蔵が可能になることによって、収穫時期だけではなく、通年安定的な農作物を出荷することができるようになりました。一つ例を挙げてみると、沖縄のシークワーサーという、いい香りのするかんきつ系がございます。これが、今までは収穫時期にしか出荷できなかったのが、果汁や果実自体を冷凍、冷蔵保存できることによって通年提供できるということで、シークワーサージュースというのがかなり普及するような状況になってきたわけであります。

 しかし、この冷凍倉庫というのも今満杯の状況で、屋外に四十フィートのコンテナを二十本リースして、外部電源により対応している現状であります。この問題が解決されれば、農業生産者にも励みとなり、課題である北部振興に大きく寄与するものだと言えます。

 そして、一番の問題は、この本部港、昨年来の台風により、バースや、エプロンといいますか、沿岸というのですか、この被害が甚大で、復旧が遅々として進まず、東京、大阪航路の実証実験にも支障があり、予定されている京阪神航路には対応不可能であるということでございます。早急の復旧工事や支援があってしかるべきだと考えますが、いかがでございますでしょうか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本部港の災害復旧に関してでございます。

 先生御指摘のように、昨年の七月、台風八号で被災をいたしまして、現在、沖縄県において被災箇所の復旧工事が進められているところでございますけれども、復旧工事の着工がことしの三月になったというふうに伺っております。これは、その間、被災原因の調査ですとか復旧工法の検討等にちょっと時間を要したということで、結果、三月の着手ということになったというふうに我々は伺っております。ちなみに、当該事業は、先ごろ決まりました補正予算の中で財源を工面してやっておるところでございます。

 また同時に、災害復旧と並行いたしまして、沖縄振興計画に基づきます本部港の国内物流ターミナル整備事業といたしまして、引き続き、沖縄県におきまして、岸壁、これは七・五メートル水深の岸壁でございますけれども、この整備が進められているというふうに聞いております。

 それから、航路の件につきましても先生今御指摘ございましたけれども、東京、大阪航路開設の実証実験につきましては、地元自治体によりまして、北部振興事業の枠組みの中で、航路開設、定着に向けた社会実験として、平成二十七年秋ごろに、今のような現状のもとですけれども、予定どおり行われる見込みというふうに我々は伺っているところでございます。

 いずれにいたしましても、内閣府といたしましては、北部振興の観点も踏まえまして、本部港の整備の早期完成に向け、また早期復旧に向けまして、沖縄県の要望や事業の進捗状況も勘案いたしまして、必要な予算措置はしっかりとやってまいりたいと思っているところでございます。

 なお、先生から言及ございました冷蔵倉庫の件でございますけれども、これは、御指摘のように、北部振興事業の枠組みで平成二十二年に整備されたということでございますけれども、既にもう利用が大いに進んで、満杯というふうに伺っておりまして、一部、業者の方が自前でコンテナ等で応急対応されていると伺っております。

 この点につきましても、我々は、今後、地元の自治体の要望等も十分に踏まえて、適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

比嘉分科員 本部港の整備、北部離島を含む全ての振興策の大きな課題の一つだと思います。ぜひ前向きに、よろしくお願い申し上げます。

 幾つか問題点も指摘させていただきましたが、政府、内閣府が沖縄県に真摯に取り組み創設された一括交付金、特区制度を持続していくためには、県、市町村が国と同じ方向を向いて進むことが肝要だと考えます。

 沖縄県の魅力は、アジアの中心を自負する地理的優位性だけではなく、人口増加をたどる若い労働力、労働人口が豊富にあるということ、そして高い水準の研究機関があることなどありますが、沖縄県民は、今こそ、可能性に挑戦、あるいは前進する沖縄を世界に示す好機との気概にあふれております。

 沖縄の魅力を引き出し、政府においては今後とも、日本経済を牽引する、アジアのゲートウエーとしての沖縄県のために邁進されることを強く大臣にお願い申し上げ、大臣からお言葉をいただきたいと思います。

山口国務大臣 ありがとうございます。

 いろいろと御指摘をいただきましたが、比嘉先生御指摘のとおり、沖縄県というのは、東アジアの中心に位置する地理的特性とか、あるいは日本一高い出生率、そして、お話しのとおり、若年層の方が非常に多い。実は、津梁パークの方に視察に行かせていただいたときも、沖縄県の場合、大変優秀な若い人材がおいでだというふうなお話がございました。

 出生率等、そういった優位性、潜在力を大いに有していただいておりますので、今御指摘のありましたアジアのゲートウエーのみならず、実は、骨太方針にも、日本のフロントランナーとして日本の経済再生の牽引役になってほしいということで、私ども、これからも頑張っていきたいと思っております。

 引き続き、これらの優位性とか潜在力を生かしながら、沖縄振興の一括交付金あるいは特区・地域制度を効果的に活用することによって、沖縄のリーディング産業であります観光、これは平成二十五年で既に六百五十八万人、またリゾート産業、そしてIT関連産業も二十五年で三百一社を誘致しておりまして、これらの発展を図っていきたいと考えております。

 また、優位性を生かした国際物流産業の集積、さらには、沖縄科学技術大学院大学等を中心にした、核としたグローバルな知的産業クラスターの形成の進展等々、沖縄振興を総合的、積極的に推進してまいりたいと考えておるところでございます。

比嘉分科員 沖縄には特殊な問題もたくさんありますが、本当に、沖縄で生まれ、沖縄で育った若者は、産み育てやすい環境の沖縄、そして、地方創生が今目指している、地域の人口増加の見本となれる地域だと思います。

 これからもさらなる御支援をお願い申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平沢主査 これにて比嘉奈津美君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)分科員 民主党の大西健介でございます。

 あしたで四年目の三月十一日がやってまいります。震災の犠牲となった方々に、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、復興の力強い進展を強く願いたいというふうに思います。

 そこで、まず、復興予算の使途についてお聞きをしたいというふうに思います。

 過去にも、復興予算の流用というのがたびたび問題になることがありました。そこで、平成二十四年の十一月には、使途を厳格化する方針が閣議決定をされております。対象事業は、被災地の復旧復興、被災者の暮らしの再生に限定をするということになっております。

 しかし、平成二十七年度の予算、復興特別会計には、防衛省でいいますと、大型輸送ヘリCH47の改修費十二億三千八百四十万円が含まれているということでございます。この改修というのは、平成二十二年の海面接触事故による部品交換ということで、震災とは直接関係がないということで伺っております。

 先ほど申し上げた、復興予算の使途の厳格化の閣議決定、そこには確かに、既に契約された事業は経過措置としてやむを得ないというふうにはなっているんですね。ですから、このCH47ですけれども、先ほど申し上げましたように、平成二十二年の事故による部品交換ということですので、二十三年度にはもう契約済みの事業であるので、いいんだということなのかもしれませんけれども、ぎりぎり言えば、途中から一般会計に移すことだって可能なわけであります。

 総額二十五億円の復興財源が自衛隊のヘリの改修に使われている、これはやはり、被災者の心情からするとなかなか受け入れがたいものがあるのではないかというふうに思いますが、改めて大臣の方から、この点について御所見をいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 二十七年度の予算案においては、防衛関係費として、東日本大震災の復興特別会計に三百二十九億円を計上しております。

 具体的には、被災した自衛隊施設の復旧に百十九億円、被災した装備品等の復旧に百九十七億円、自衛隊の災害対処能力の向上に十二億円であり、全て過去に契約した事業の歳出化経費でございます。

 お尋ねの輸送ヘリコプターCH47JAの改修費十二億円は、自衛隊の災害対処能力の向上として計上しております。この自衛隊の災害対処能力の向上に係る予算は、被災地向けの予算ではないことから、平成二十四年十一月の復興推進会議決定を踏まえて、使途の厳格化を図る観点から、それ以降、既に契約した事業の歳出化経費に限るとされております。

 このCH47JAの改修費については、二十三年度第三次補正予算において、五年の国庫債務負担行為で措置した事業の歳出化経費であり、二十七年度予算で終了するものですが、先ほど申し上げた前政権時の決定を踏まえて適切に計上したものであり、問題はないと考えております。

大西(健)分科員 私が先ほど申し上げたとおりで、既に契約済みだからいいんだという御答弁だったと思いますが、ただ、復興財源がヘリの改修に使われている、これは、あすで四年目の三月十一日ですけれども、私は、やはり被災者の感情からすると受け入れがたいというふうに思いますので、改めて指摘をするとともに、以後こういうことのなきよう、ぜひともしっかりと御留意をいただきたいというふうに思います。

 防衛大臣には後ほどもまたちょっと御質問させていただきたいんですが、一旦ちょっと離れまして、警察庁について、ちょっとお聞きをしたいことがあります。

 お手元に、少し古い記事なんですけれども、新聞の記事を配らせていただいております。

 昭和四十九年の十一月、フォード大統領が訪日したときの記事なんですけれども、京都の料亭つる家で非公式の晩さん会が開かれた。フォード大統領も、このもてなしに非常に御満悦だったということであります。

 また、その裏面の方には、これは平成四年の十一月ですけれども、韓国の盧泰愚大統領と宮沢首相が、同じくつる家で昼食をとりながら首脳会談を行ったという記事であります。

 そこで、お聞きをしたいんですけれども、料亭というのは現在は風営法の規制のもとに置かれておりますけれども、ということは、これは法律上は大統領を風俗営業に連れていったということになるんでしょうか。警察庁の方からお答えいただきたいと思います。

辻政府参考人 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営適正化法は、待合、料理店、カフェその他設備を設けて客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業を風俗営業として許可の対象とし、所要の規制を設けております。

 委員御指摘の料亭が、客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業であれば、風俗営業に当たるということになります。

大西(健)分科員 これは、ですから、大統領を風俗営業に連れていったということに法律上はなってしまうということなんですね。

 私の問題意識というのは、本当にそれでいいんだろうかと。料亭というのは、日本文化の集大成の場である。日本料理、これは世界文化遺産にも指定をされましたけれども、和食器、数寄屋づくり、日本庭園、美術調度品、あるいは芸妓や邦楽など、正統派の日本の伝統文化を伝統的日本建築のもとで楽しむことができる空間、これが料亭だというふうに思います。

 近年、日本を訪れる外国人観光客は順調に増加してきており、その多くが日本の文化に非常に大きな関心を抱いている。また、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、この日本のおもてなし文化が凝縮をされている料亭を外国人にアピールするというのは、クール・ジャパン戦略として成長戦略にもつながるのではないかというふうに思います。

 ちなみに、今、岩屋先生が、そうだと言っていただきましたが、実は、私の地元は日本のデンマークという地域で、大正時代に全国から農業視察団が来られた。それを接待するための安城芸妓という芸妓文化が栄えまして、今も残っております。その芸妓文化の総会に、私の地元をたまたま岩屋先生が訪れておられて、総会にも顔を出していただいて、安城芸妓の芸をちゃんと見ていただきましたけれども、そういうものがあるんです。

 ところが、今申し上げましたように、料亭というのは風営法の規制の対象となる風俗営業の一つとされていて、性を売り物にする性風俗と、残念ながら、一緒くたみたいな扱いを受けてしまっている。これは、実際に芸妓の皆さんや料亭の皆さんにとっても、非常にいろいろな思いがあるところであります。

 今国会では、クラブとかダンス営業を風俗営業から除外するというような法改正が予定をされています。確かに、なかなか難しいとは思うんですけれども、ただ、料亭というのを厳格に定義して、そして指定をすれば、私は風営法から料亭というのを除外することも法律上可能ではないかというふうに考えております。この点、警察庁の御所見をいただきたいと思います。

辻政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から性風俗関連特殊営業についてお話がございましたけれども、風営適正化法で性を売り物とする営業を性風俗関連特殊営業として規制しておりますが、性風俗関連特殊営業と風俗営業とは全く異なる営業として区別されており、規制の内容も異なっているところでございます。

 風営適正化法の許可で営んでおります料亭でございますけれども、長年、風営適正化法の規制のもとで健全な営業を継続している営業所が多いことは承知をいたしているところでございます。

 しかし、料亭という名称にかかわらず、客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業というのが風営適正化法の対象になっておりますけれども、このような営業は、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものとなり得るものである一方、営業の行われ方いかんによりましては、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあること、また、このような営業に該当する和風の店にありましても、一部の業者とはいえ、依然として売春等の風俗事犯が後を絶たないこと、仮に規制対象から除外したとすれば、例えば暴力団員等による営業が可能となり、こうした不適格者による悪質な営業が住宅地、学校、病院等の周辺で可能となるなど、さまざまな問題が生じる可能性があることから、料亭のうち、客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業について、これを規制対象から外すことは困難であると考えております。

大西(健)分科員 先ほど性風俗と言ったのは、風営法、風俗営業という法律の網の下にあるというだけで一般の人はそういうイメージを受けるんじゃないですかということを申し上げたということでありますし、今、できない理由をるる言われましたけれども、私は、できるようにする理由を考えてほしい。つまり、厳格に料亭とは何ぞやということを定義して、そしてそれを認定する仕組みをしっかりつくれば、できるんじゃないか。

 クラブについても、例えば明かりの照度とか、いろいろな条件をつけて、それをクリアしたものについてはということだったというふうに思いますので、何でもかんでも認めてしまえば、それが違法な営業の隠れみのになってしまうというのはおっしゃるとおりだというふうに思いますが、厳格にすれば、私はできるのではないかというふうに思っております。できない理由ではなくて、できるようにするにはどうしたらいいのかというのを我々としても考えたいというふうに思いますので、ぜひともこれは継続的にまた議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、私の地元の愛知県、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区という御指定をいただいていますけれども、昨年の十二月に行われた内閣府の評価、これで満点の五点をいただいていまして、全国七つの国際戦略総合特区がありますけれども、これは一番高い評価をいただいております。

 非常にありがたいと思っていますけれども、どういう部分が高い評価をいただけたのか。それから、こうやってちゃんと頑張っているところには、御褒美じゃありませんけれども、さらに頑張るようにインセンティブを与えていただきたいというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

平副大臣 内閣府副大臣でございます。

 委員御承知のとおり、総合特区の評価は、総合特別区域基本方針に基づいて、最初の特区計画の認定から一年を経過した総合特区を対象として、原則として一年ごと、評価・調査検討会において実施するものでございます。

 今御指摘のとおり、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター特区は、規制の特例措置、税制、財政、金融上の支援措置を十分に活用していただいている、さらには自治体独自の支援も進めていただいているところでありまして、その結果、中部地域における航空機、部品の生産高など、同特区が掲げる数値目標を上回る実績を達成しているところでございます。

 いわゆるKPIでありますが、中部地域における航空機、部品の生産高も上回っております。また、名古屋税関管内の航空機類の輸出金額も上回り、さらには愛知、岐阜、三重地域における航空宇宙関連工場等の新増設件数も目標を上回っているということでございます。

 このような点を総合的に考慮いたしまして、平成二十五年度の事後評価において、国家戦略特区七特区で最も高い評価となったと承知をしております。

大西(健)分科員 今も申し上げましたけれども、ちゃんと頑張っているんですから、またその頑張っているところを認めていただいて、さらに後押しするようにしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がありませんので、次は要望にとどめたいと思います。

 愛知県の方に聞いてみると、この総合特区は我々民主党政権時代につくったものですけれども、従来の特区と比べて、一つの特徴として、総合特区推進調整費というのを設けています。ただ、この推進調整費については、使い勝手がいまいちじゃないかというような御意見もありますので、御答弁は時間の関係で結構ですけれども、使い勝手向上、これをぜひお願いしておきたいというふうに思っております。

 それでは、防衛大臣、お待たせしておりますけれども、また戻りたいと思うんです。

 まず、昨年八月に次期政府専用機、後継機種の選定が決まって、それに合わせて、現在のボーイング747―400型機について、二十年以上にわたって整備や運航支援の業務の委託を受けてきたJALが、その座をANAに明け渡すことになったということであります。

 羽田空港の国際線の発着枠がANAに傾斜配分されたということについて、民主党主導のJAL復活を過剰支援だと自民党の方は批判をされてきたということで、そういうことが影響したんじゃないか、こんなことを言う人もいますけれども、そこに来て、政府専用機についてもJALからANAに運航支援業務の委託先が変更になると、これは何かあるんじゃないかというように勘ぐる向きもあります。こうした声に対して、政府はどう説明をされますでしょうか。これは事務方になると思いますけれども、お願いします。

山崎(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 政府専用機の後継機及び整備委託先につきましては、日本航空株式会社とANAホールディングス株式会社の二社から、いずれもボーイング777―300ERの提案をいただいたところでございます。

 企業からの提案書を公正かつ厳正に評価した結果、昨年八月に開催いたしました政府専用機検討委員会におきまして、ANAホールディングス株式会社の提案に決定したところでございます。

 機種等の決定に当たりましては、あらかじめ定められた評価基準に従いまして、企業からの提案書の内容を公正かつ厳正に評価した上で、最も高い評価となったものを選定したものでございます。

大西(健)分科員 今の御説明では厳正に公平にやったんだということでありますけれども、そういう声も上がっているということですので、ぜひともそこはしっかり説明をしていただくとともに、くれぐれもそういうような目を向けられないように、これからも公正中立というところに気を配っていただきたいというふうに思っております。

 次に、水陸両用車AAV7についてお伺いをしていきたいというふうに思うんです。

 中期防衛力整備計画では、尖閣の有事などを想定して、島嶼侵攻があった場合に、速やかに上陸、奪還作戦を行うために、本格的な水陸両用作戦能力を整備することにして、水陸両用車AAV7を五十二両購入するということになっております。

 しかし、このAAV7という機種については、アメリカで導入されたのが一九七一年と、もう四十年以上が経過をしている。アメリカ海兵隊においても、ちょっと能力不足になっているんじゃないか、できるだけ早く新機種を導入すべきじゃないかというような声があるというふうに聞いております。

 資料として、アメリカの議会調査局のレポートの抜粋というのをお配りさせていただいていますけれども、そこにも線を引いておきましたけれども、アップグレードはされているけれども能力不足が見られる、それから、AAVの二マイルという船と陸との間の航続距離は、車両のみならず、水陸両用部隊としての生存可能性の問題が多くある、こういう指摘があります。

 また、水上航行能力についても、時速十数キロ程度しかない。今、非常に火砲の能力が向上して、長距離化が進んでいる。そうすると、十数キロという、ゆっくりゆっくり水上航行をしているのでは、沖合から島嶼の方に向かって進んでいく間にその火砲の格好の標的になってしまうんじゃないか、こういうような指摘もあります。

 自衛隊の装備品というのは、言うまでもなく、一旦購入すると長期間の運用というのが想定をされます。今、現時点では、AAV7以外に、水陸両用車としてほかに選択肢があるのかというと、確かにこれしかない。そこは非常に理解するところではありますけれども、でも、だからといって、これから先、五十二両も買ってしまうということを今決めてしまって本当に大丈夫なのか、いささか性急ではないかというふうに思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 これは、中期防衛力整備計画におきまして、島嶼への侵攻があった場合に、速やかに上陸、奪回、確保するための本格的な水陸両用作戦能力として水陸両用車を新たに整備するということで、水陸機動団、これを新編するということで、まずは二個中隊規模の運用所要に教育所要を含めて計五十二両を導入することとしております。

 防衛省では、平成二十五年度予算において参考品として導入したAAV7について各種検証を行った結果、水陸両用車に求める性能を満足し得ると判断し、平成二十六年十二月に、AAV7を陸上自衛隊として取得する水陸両用車として決定をしたところでございます。

 現下の安全保障環境を踏まえれば、島嶼部に対する攻撃の対応に万全を期すために、水陸両用作戦能力の着実な整備が喫緊の課題と考えており、水陸両用車について一刻も早く戦力化することは極めて重要であることから、性急であるという御指摘はないものと思っております。

 そこで、米軍のAAV7の残存性と申しますか、走行の補強を目的としたアップグレード、これは我が国の次期中期防期間中で戦力化を目指していると承知をしております。また、米国で開発が予定されている新型の双輪タイプの水陸両用車も、現中期防期間中に戦力化をすることは困難であるということでございまして、防衛省としては、水陸両用作戦能力としての欠陥機能を早急に整備することが重要であるとの考えのもとで、AAV7の導入を決定したことでございます。

大西(健)分科員 参考品として最初に調達をして、その後、今年度から本格的に調達していくということですけれども、やはり、今の御答弁を聞いても、本当に大丈夫なのかなと。

 アメリカの議会調査局が、アップグレードしても能力不足が顕著である、それから、水上航行能力、先ほど言ったように、非常にのろのろと上陸を目指してきても、火砲の標的になるんじゃないかと。あるいは、不整地踏破能力というんですか、サンゴ礁とか護岸工事を施された海岸というのを今のAAV7というのは走れないんじゃないかというようなことも言われているんですね。

 何度も言いますけれども、今これしか選択肢がないというのはよくわかります。それから、今の御答弁の中では、アメリカにおいて検討されている次期の水陸両用装甲車についても、中期防の間にはちょっと間に合わないんじゃないかというお話がありましたので、だから、これしかないんだというのはわかるんですけれども、本当にそうなのか。

 ほかの国が持っている水陸両用車、あるいは、独自開発というのは、これはもっと時間がかかるのかもしれませんけれども、本当に能力的に劣っているんじゃないかと指摘があるものを、何度も言いますけれども、まず買うというのは、しばらくは買うというのはわかるんですけれども、五十二両もそろえるんだと今決める必要はないんじゃないかと今御答弁を聞いても改めて思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 決定に際しましては、各国の装備も比較した結果でございます。

 また、アップグレードにつきましては、平成三十一年度に米海兵隊が初期運用能力の取得を目指しておりまして、これが実際に普及をする上においてはまだまだ年月もかかるわけでございますし、また、水陸両用車としてのACVにつきましては、現在検討のみで、具体的なスケジュールがわからないという現状等もありまして、現在のAAV7を導入して、中期防に備えていくということでございます。

大西(健)分科員 何度も申し上げますけれども、今これしかないというのはもう重々わかった上で聞いているわけですけれども、私は、もしかするとほかにも選択肢が出てくるかもしれませんので、ぜひ、これで決まったんだということで、能力のないものを五十二両も買って、これは全部買うと四百億とかすごい額になるわけですから、大変な税金ですので、やはり今後もいろいろな兵器の開発動向等も注視をしていただいて、考えていただきたいというふうに思います。

 それでは、もう一つ、資料の最後につけている新聞記事なんですけれども、陸上自衛隊が昨年、アメリカのカリフォルニア州で、中東を模した砂漠の演習場で共同訓練を行った。

 私も、素人目で見て、これを読んで、専守防衛を旨とする自衛隊が何で砂漠で訓練する必要があるんだ、確かにちょっと変だなというふうに思ったんですけれども、これをわかりやすく、大臣から御説明をいただけますでしょうか。

中谷国務大臣 陸上自衛隊は、平成二十六年一月十三日から二月九日までの間、カリフォルニア州の米陸軍戦闘訓練センターにおいて、米軍との共同訓練を実施いたしました。本訓練には、富士学校部隊の訓練評価隊基幹部隊約百八十名が参加して、実戦的な訓練環境のもとに、日米が共同して作戦を実施する場合における相互連携要領、これを演練いたしました。

 本訓練に参加した富士学校部隊訓練評価隊は、陸上自衛隊富士訓練センターで専門の対抗部隊として多くの部隊と対抗訓練を実施し、陸上自衛隊の一般的な練度を把握するための部隊であり、同部隊が米軍で同様の機能を担う部隊と共同で訓練を行うことによって、現在の陸上自衛隊の練度を確認する能力の維持向上を図ることができたと考えております。本訓練は、このような目的で実施をしたわけでございます。

大西(健)分科員 きのう、事務方から私もそういうような説明を聞いて、富士の部隊の訓練評価を行う部隊が行ったんだ、ナショナルトレーニングセンターに行って、そのナショナルトレーニングセンターがたまたま砂漠地帯にあったという説明なんですけれども、納得できるような、少し取ってつけたような説明のような、ちょっとにわかにはどうなんだろうなと思うのが本音であります。

 一方では、今、自民党、公明党の間で安保法制の協議というのが行われていて、その中で、政府は、海外で人質になった日本人を救出するために、自衛隊による奪還作戦もあり得ると提案をしたということが報じられている。

 シリアで邦人の誘拐殺害事件が起きたということでありますから、そうなると、自衛隊が中東に、砂漠に行って、そういう誘拐された邦人を、人質を奪還するというようなことを想定しているのかな、やはりどうしてもそういう目で国民は見てしまうというふうに思います。ですから、改めて、大臣には、今後も丁寧に説明することを心がけていただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 最後に、たまたま正月のテレビ番組で京都迎賓館の特集というのをやっておりまして、私もそれを見ていました。そのとき、ちょっと驚いたんですけれども、京都迎賓館の屋根は瓦じゃない、ニッケルステンレス複合板というのでふかれている。一応、端には鬼瓦が載っているらしいんですけれども、屋根材が瓦じゃないということを知って、私はショックを受けました。

 ちなみに、銀座に建てられた新歌舞伎座、あれは、私の地元の三州瓦が十万枚載っているんです。鬼瓦が四十個載っている。やっぱり日本の屋根は瓦だろうと。

 改めて、なぜ、この京都迎賓館、瓦を使わなかったのかということについて、納得のいく御説明をしていただきたいんです。お願いします。

竹井政府参考人 お答え申し上げます。

 京都迎賓館の建設に当たりましては、京都御苑の国民公園としての役割、周辺の環境及び景観との調和等に配慮いたしまして、賓客にとっての利便性、快適性等にもさらに配慮しつつ、我が国の歴史、文化に根差した、日本の空間を感じられる和風の態様とするということを原則としておるところでございます。

 本施設の設計を進めるに当たりましては、有識者により構成されます京都和風迎賓施設建設懇談会におきまして種々検討されたところでございまして、この屋根の素材につきましては、デザインや、あるいは材質の特質といいますか、長寿命とか、そういうさまざまな観点から、今先生御指摘のとおり、ニッケルとステンレスの複合材、ニッケルクラッドステンレス鋼というものを採用するということに至ったわけでございます。

大西(健)分科員 時間ですので終わりますけれども、京都迎賓館は、門とか塀については瓦が乗っていまして、これは私の地元の丸栄陶業さんというところの瓦が乗っているらしいんですね。今お話があったように、京都迎賓館運営懇談会というところには、建築とかの専門家、外部有識者の方も出席をしているということですから、今後、建てかえというのがいつあるのかわからないですけれども、やっぱり日本の屋根は瓦、これはぜひまた今後も御検討いただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

平沢主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)分科員 日本共産党の宮本徹です。

 きょう三月十日は、あの東京大空襲から七十年目の日でございます。平和憲法の大切さをかみしめながら、質問させていただきます。

 昨年四月、安倍政権は、武器輸出は行わないと定めてきた武器輸出三原則をやめ、以降、官邸が先頭になって、武器輸出、国際共同開発の動きが急速に進んでいるのは重大であります。

 秋には防衛装備庁を発足させようとしておりますが、武器輸出や国際共同開発を担当する職員は、現在何人で、防衛装備庁になると何人にふえるんでしょうか。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、経理装備局装備政策課におきまして、諸外国との防衛装備・技術協力に関する業務について約五名が従事しておりますが、平成二十七年度に新設予定の防衛装備庁、仮称でございますが、装備政策部のもとに約二十名体制の国際装備課を設置すべく、二十七年度予算案に計上しておるところでございます。

宮本(徹)分科員 五人から二十人に、武器輸出、国際共同開発の体制を大きく強化しようという話であります。

 三月五日付の日経新聞では、十三日に、日本、フランス両政府のいわゆる2プラス2を開いて、武器を含む防衛装備品の協力拡大について合意する、日仏で共同開発や輸出を進めやすくするための協定に署名する、無人機などを念頭に、無人システムの開発に向けた協力も申し合わせる、こう報道されておりますが、これは事実でしょうか。

黒江政府参考人 三月十三日に東京において行われます日仏の外務・防衛閣僚会合に関してのお尋ねでございますけれども、この会合におきましては、両国が置かれております安全保障環境について認識をすり合わせるといったこととともに、両国間で安全保障、防衛協力強化の方策を議論するということでございまして、こういったことを通じまして、日仏間の特別なパートナー関係といったものをさらに強化したいというふうに考えております。

 なお、日仏の外務・防衛閣僚会合につきましては、昨年一月に同じ会合が行われまして、本年も日本で開催することを決定されたということを受けまして実施するものでありますけれども、議題等の詳細、今先生が御指摘になられたようなところについては、現在調整中でございます。

宮本(徹)分科員 新聞に報道されているから、その方向というのは間違いないと思いますが、仮に政府間で防衛装備品の共同開発のための協定を結ぶということになった場合は、国会批准を求める条約になるんでしょうか。

鈴木(哲)政府参考人 お答えいたします。

 日仏間の防衛装備品・技術移転協定についてのお尋ねですけれども、昨年五月の日仏首脳会談で交渉が合意され、以来、交渉を続けておりまして、現在、日・フランス間で交渉を進めているところでございます。

 その前提で申し上げれば、現在交渉中の協定は、国会の承認をお願いするものではなく、我が国の法令及び予算に従って履行される、いわゆる行政取り決めとして締結することを想定しております。

宮本(徹)分科員 つまり、行政取り決めということで、国会にかけないということです。国会にかけないということは、国民に事前に知らせて了承を得るということもやらないわけです。こうやって重大な内容をどんどん進めていくというのは、私は許されないというふうに思います。

 昨年五月の日仏首脳会談での共同プレスリリースでは、「両国は、無人システムを始めとするいくつかの分野において協力する共通の関心を特定した。」と発表されております。

 ここで聞きたいんですけれども、防衛省が軍用無人機を開発する目的は何なんでしょうか。また、無人機開発の最終的な目標は何なんでしょうか。人間の操作なしで動く自律型のロボット兵器まで視野に入れているんでしょうか。お答えください。

中谷国務大臣 昨年五月の総理訪仏時の日仏共同プレスリリースにおいては、「防衛装備協力については、両国は、無人システムを始めとするいくつかの分野において協力する共通の関心を特定した。」とされており、現在、日仏当局間で、これらの分野における防衛装備・技術協力の可能性について議論を進めております。

 防衛省・自衛隊におきましては、これまでも、爆発物処理などの危険な任務や警戒監視といった長期間の単調な任務などにおいて、隊員の安全確保や負担軽減を目的とし、無人機の研究開発を実施しております。

 今後は、画像処理などのスマート化、またネットワーク化のような防衛技術の動向を踏まえて、統合運用の観点に留意しつつ、隊員のさらなる安全確保や負担軽減を目的に研究開発を進めていく予定でございます。

宮本(徹)分科員 初めは攻撃能力がない無人機として始めても、無人システムというのは、やはり無人攻撃機にまで応用されていく危険というのをはらんでいるというふうに思います。

 実際、アメリカでは、自律型のロボット兵器の開発も莫大な費用を投じて進められております。近い将来、いわゆる殺人ロボット兵器が生まれるというふうに言われております。国際社会の方でも、殺人ロボットが生まれたら大変だということで、規制するための会議も始まっております。無人兵器の開発というのは重大な問題があるという認識を持たなければならないというふうに思っております。

 そして、フランスは、御存じのように、無人機という点では、世界有数の無人攻撃機を開発している国でもあります。

 今、無人機攻撃による民間人への誤爆も非常に多くて、国際的に大問題になっております。二〇一三年九月の国連人権高等弁務官事務所のエマーソン氏による報告では、二〇〇四年以来のアメリカの無人機攻撃で少なくとも四百五十人以上の民間人が犠牲になっております。イギリスの調査報道局によると、八百人以上の民間人が犠牲になり、うち二百人以上が子供だとされております。そして、結婚式や葬儀も攻撃の対象になっております。国連の自由人権委員会は、昨年四月二十三日に、アメリカが対テロ作戦として無人機攻撃を行っていることについて、法的正当性、透明性の欠如、人命の損失に関する説明責任の欠如を指摘しております。

 中山外務副大臣にお伺いしますが、無人機攻撃の問題点についてどう認識していらっしゃるでしょうか。

中山副大臣 米国政府は、無人機によるものも含めまして、あらゆる米国の軍事行動は関係法規に従って行われていると説明していると承知いたしております。

 他方で、米国のオペレーションの詳細につきましては、我が国は当事者ではなく、また米国による行動の具体的態様等について承知する立場にはございません。

 その上で申し上げますと、テロ対策の目的で使用されている無人機が文民を巻き込んだ被害をもたらしていることについて、国際社会において関心が寄せられていることは十分承知をいたしております。

 我が国として、無人機によるものであるか否かにはかかわらず、民間人が巻き込まれる事態というのは極力避けなければならないと考えております。政府としては、無人機をめぐる問題について、人道上の影響も含め、引き続き、大きな関心を持って国際社会の動向を注視してまいりたい、かように考えてございます。

宮本(徹)分科員 アメリカの民間研究所にスティムソン・センターというのがございます。そこが、無人機の運用戦略の見直しを勧告する報告書を昨年六月に発表しております。

 報告書は、無人機は、みずからが危険にさらされることなく相手を攻撃し、費用も安いので、紛争にかかわる敷居が下がる、他国も米国に倣って無人機攻撃を行うようになり、地球上のあちこちの地域で紛争を広げる危険がある、こういうふうに強調しております。

 また、アメリカ政府の資金で運営されているCNA、海軍分析センターも、昨年四月、報告書を発表し、アメリカがテロ対策を口実に国外で続ける無人機攻撃が、地元住民の怒りを買い、テロを助長していると、政府の調査、議会による監視を勧告しております。

 中谷大臣はこの報告書の内容を恐らく知っていると思いますが、ここに出てくる無人機攻撃の危険性に対する大臣の認識を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 御指摘の報告書については承知をいたしております。

 昨今の米国による対テロ作戦における無人機を活用した攻撃の拡大状況を踏まえて、無人機攻撃に係る透明性の向上、米議会による米軍無人機作戦の監視、監督の強化、民間人犠牲者の正確な把握、同犠牲者数を減少させる方策の検討、無人機攻撃による被害者支援の検討など、各種の提言を行っているものと承知しております。

宮本(徹)分科員 この報告書を知っているということでしたら、なおさら、軍用無人機の国際共同開発に乗り出していくというのは極めて重大だというふうに思います。

 きょうはここに、社団法人日本機械工業連合会が日本戦略研究フォーラムに委託した、無人機についての防衛機器産業への影響調査報告書を持ってまいりましたが、中谷大臣、この報告書の内容は御存じでしょうか。

中谷国務大臣 同報告書の存在については承知しており、同報告書の中で、当時の防衛庁に要望したい旨の記述がされているものと承知をいたしております。

宮本(徹)分科員 この報告書は、軍用無人機の先進国であるアメリカやヨーロッパ、そしてイスラエルの無人機を調べております。そして、この報告書はこんなことを言っております。我が国の防衛産業は、無人機システムの製品輸出あるいは国際的な共同開発、生産へ踏み出すべきである、そして、外国との国際共同研究、開発、生産の道が開かれれば、諸外国の軍民をも顧客とすることができるであろうと、何とも商魂たくましい報告書になっております。

 そして、経団連も、この間、武器の国際共同開発の推進を繰り返し要望して、ヨーロッパ各国で、無人機を含めた防衛産業政策の調査も行っております。

 昨年秋にNHKスペシャルで武器輸出が特集された際に、防衛省の装備政策課長が日本とフランスの軍事企業の橋渡しをしている様子も報道されました。日仏企業の会議は八時間にわたり、無人潜水艇やレーダーや航空機など、テーマは十一に上ったと報道されておりました。

 中谷大臣、今回の無人機の国際共同開発の動きは、軍用無人機で一もうけしようという国内の軍事産業の要求に応えた動きなんじゃないでしょうか。

中谷国務大臣 昨年五月に、日仏首脳会談において、共同プレスリリースを踏まえまして、日仏間では、無人システムを初めとする共通の関心分野における防衛装備・技術協力の可能性について議論を行うとされております。

 現在、日仏間では、防衛装備・技術協力に関して具体的な協力案件が決定されているわけではありませんが、事務レベルでの協議など、機会を利用しつつ、今後、引き続き協議をしてまいりたいと思っております。

宮本(徹)分科員 軍事企業の要望だということはお認めにならないわけですけれども、この防衛機器産業への影響調査報告書の中では、「わが国の防衛体制整備と無人機」という章を設けております。「一、わが国の防衛作戦における新たな作戦構想」「二、無人機の導入による各種作戦への影響」とあり、「攻撃機としての無人機」という項目もこの中にはあります。読むと、現代戦において無人機に期待される役割は、前にも述べたように急激に増大しつつある、特に、3D、ダル、ダーティー、デンジャラスと言われる任務のうち、SEAD、敵防空施設の制圧や敵航空基地攻撃作戦などの運用には有効であるとともに、高高度に在空し、敵目標の発見に伴い迅速かつ確実に爆撃できる精密爆弾による爆撃などの任務にも無人機は必須のものになりつつある、ここまで書かれております。

 国連が問題視している攻撃機としての無人機にまで視野を入れた国際共同開発を提言しているというのがこの報告書になっております。

 中山外務副大臣、財界のこういう要望に沿って日本が無人攻撃機の国際共同開発という道に進んでいいんでしょうか。

中山副大臣 一般論として申し上げますと、いかなる国とどのような内容の共同開発を行うかというのは、防衛装備移転三原則及び運用指針に従い厳格に審査して決定されるものと承知いたしております。また、新たな原則において移転を認め得る場合は、我が国の安全保障の観点から積極的に意義がある場合等に限定されているのではないかというふうに考えております。

宮本(徹)分科員 いや、一般論で聞いているわけじゃないんですよね。これだけ国際社会でも問題になっている軍用無人機、特に無人攻撃機について伺っているわけであります。

 そして、この防衛機器産業への影響調査報告書の作成は、名立たる企業が調査委員を出しております。この報告書の作成で、調査委員に唯一複数のメンバーを出しているのが、日本電気、NECであります。現在、NECの矢野会長は、防衛装備工業会の会長を務めておられます。そして、一月十七日の安倍首相のイスラエル訪問の経済ミッションに、この防衛装備工業会会長である矢野会長は参加されておられます。

 矢野会長は、イスラエルに何の商談に行ったんでしょうか。イスラエルの軍事企業あるいは国防関係者との接触はあったんでしょうか。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員が御指摘になられましたように、NECの会長が、本年一月の安倍総理のイスラエル訪問に経済ミッション二十一社の一員として同行したというのは事実でございます。

 防衛省といたしまして、その訪問の詳細について責任を持ってお答えする立場にはございませんが、同会長は、防衛装備工業会の会長としてではなく、私企業の代表として同行した、二十一社、皆さんそのようなことだと思っております。また、活動としては、ネタニヤフ首相との会合や経済セミナーに参加したものと聞いてございます。

宮本(徹)分科員 その範囲では全くわからないわけですよね、何をしたのかというのが。個別の企業のことはそれ以上わからないようですので、防衛省自身の動きについて伺いたいと思います。

 先ほど紹介した昨年のNHKスペシャルの中で、防衛省の装備政策課長が、イスラエルの企業なのか国防関係者なのかわかりませんが、軍用無人機について話し合う姿が放映され、多くの国民が驚きを持って受けとめました。

 防衛省の出している装備・技術協力の推進というペーパーを見ると、昨年以降、意見交換を行った国々ということが書かれております。装備・技術協力に関する意見交換を行った国々の中にイスラエルも入っておりますが、一体、イスラエルとどんな意見交換を行っているんでしょうか、兵器の種類も含めてお答えいただきたいと思います。

 また、この間、イスラエルの国防関係者やあるいはイスラエルの企業とどの程度この装備・技術協力について接触があったのか、お答えいただきたいと思います。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 イスラエルは、防衛装備・技術の面でも世界的に見て高い水準にあるものと認識してございます。防衛省といたしましては、世界の装備・技術の最新の動向を適切に把握することは、日本の装備を研究開発する上でも、国際的な装備・技術協力を検討する上でも重要と考えておりまして、このような観点から、イスラエルについても情報収集等を実施してきております。

 相手国政府や企業との関係もございますので、意見交換の大要について申し上げることは差し控えますが、国際装備展示会への参加や、イスラエル国防省の装備・技術の関係者が訪日した際等に、このような意見交換や情報収集等を実施しておるところでございます。

宮本(徹)分科員 NHKスペシャルでは、この防衛省の課長とイスラエルの方々との話し合いにカメラは入れませんでした。きょう、私のアイフォンで撮った写真を資料としてお配りしておりますが、これはNHKスペシャルの写真でございます。具体的には、あの場で何について話し合ったんでしょうか。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国際装備展示会、ユーロサトリ二〇一四年におけるNHK報道の場面につきましてですが、防衛省職員がイスラエルの企業の展示ブースに立ち寄った際に、同企業関係者から無人機に関する展示の一般的な説明を受けたというふうに承知してございます。

宮本(徹)分科員 一般的な説明を受けたというお話ですが、ここにありますように、NHKスペシャルで、防衛省の課長は、イスラエルの機体と日本の技術を使うことでいろいろな可能性が出てくるというふうに述べられております。

 このいろいろな可能性とは具体的に何なのでしょうか。無人機の共同開発も、この間、イスラエルとの間で話題になっているんでしょうか。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、イスラエルというのは大変すぐれた技術を防衛分野でも持っているところでございまして、先ほども申し上げました課長の発言につきましては、我が国への一般的な導入可能性について述べたというふうなものでございまして、議員御指摘のような、何か特定の具体的な可能性について述べたものではないというふうに承知してございます。

宮本(徹)分科員 一般的な可能性ということでありますが、もう一点、お伺いします。

 ユーロサトリにこの防衛省課長が参加した最大の目的は、日本の企業とフランスの企業を国が橋渡しすることだと紹介されておりました。

 防衛省は、この間、日本の企業をイスラエルの軍事企業などへ橋渡しを行ったことはあるんでしょうか、あるいは今後行うつもりはあるのでしょうか。

吉田(正)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、イスラエル、大変高い技術を持っているというところでございますが、他方、企業との関係におきましては、私ども、単に防衛省のみならず、日本の装備関連企業も、国内ばかりに目を向けるのではなく、世界の最新の技術動向を把握しておくことは重要だと考えてございまして、イスラエルも含め、世界の主要関連企業が出展する装備展の開催予定などを企業に紹介してきているところでございまして、今後とも、日本の防衛関連企業とも、必要に応じて適切に連携していくこととしております。

宮本(徹)分科員 今のお話だと、日本の企業にも、イスラエルの企業が参加している展示会にも案内していく、紹介していくという話で、重大だと思いますよ。

 イスラエルは、昨年、御存じのとおり、ガザで二千人もの人の命を奪って、国際的な非難を浴びております。そして、この間、長い間のガザ攻撃に無人機も使用していると伝えられております。このイスラエルと共同して武器を開発するということは、罪なき市民の殺りくを行ってきたイスラエルに軍事的に肩入れして、国際紛争をまさに助長するものだと言わざるを得ないと思います。

 中山外務副大臣にお伺いしますが、我が国の中東外交は、パレスチナとイスラエルの和平実現に向けた方針というのがあると思います。イスラエルとの武器の共同開発という外交方針を外務省は持っているのか、あるいは検討したことがあるんでしょうか。

中山副大臣 御指摘のように、中東和平の実現は、我が国の中東外交の重要な柱であります。一月の総理の中東訪問時の首脳会談におきましても、イスラエル及びパレスチナに対して、中断している和平交渉の早期再開と、入植活動を含め、交渉の妨げとなる一方的措置の最大限の自制を求めた次第であります。

 イスラエルとの間では、両国防衛当局間の交流の促進で一致はしているものの、御指摘のような防衛装備の共同開発を実施するとの方針はございません。

 いずれにしても、イスラエル、アラブ諸国の双方を含む全ての中東諸国とバランスのとれた関係強化を図ることが、我が国の対中東外交の基本方針であります。

宮本(徹)分科員 そういう方針は持っていない、イスラエルと共同開発するという方針は持っていないというお話でありました。

 ならば、防衛省も、こういう展示会に行って無人機について話を聞いてくる、あるいは、日本の企業を、イスラエルの企業も含めて紹介していく、会ったらどうですかということをやるというのは、全くやるべきことじゃないというふうに思います。

 国連でも問題視されている軍用無人機、無人攻撃機の開発を、憲法九条を持つ日本が進めることは極めて問題であります。国際紛争当事国であるイスラエルとの軍用無人機の共同開発に乗り出すことは絶対に許されないというふうに思います。

 防衛大臣にお伺いしますが、軍用無人機の国際共同開発という道に進むべきではないと思いますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 防衛省・自衛隊におきましては、爆発物の処理などの危険な任務や警戒監視といった長期間の単調な任務などにおいて、隊員の安全確保や負担軽減を目的として、無人機の研究開発を行うことは重要だと考えております。

 議員が御指摘をされました無人機の国際共同開発につきましては、政府としては何ら決定をしておりませんが、仮に国際共同開発を行う場合は、防衛装備移転三原則に基づき、厳格な審査を行った上で、我が国の安全保障政策として積極的意義がある場合にのみ行うことといたしております。

宮本(徹)分科員 今は遠隔操作の無人機ですが、世界の無人機の開発は、いわゆるロボット兵器と言われる自律型無人システムに向かっているのは大臣も御存じのとおりです。人間の判断なしに人の命を奪う兵器ということで、国連の専門家も、そのようなロボット開発は凍結すべきだと提言しております。

 そして、先週、三月三日の報道ステーションでは、武器輸出に一定の制限をかけているドイツの武器がテロ勢力に渡っている問題が特集されました。武器は、一旦輸出されたら、どこに行くかわかりません。日本が武器輸出、国際共同開発に乗り出せば、その武器、技術がどこでどう使われるかわからず、未来に、みずから作成した武器や技術でテロ勢力などから攻撃されるということも起き得ます。

 だからこそ、大事なのは、世界で武器の管理規制を進めて、軍縮を進めていくことだと思います。武器輸出三原則があったときは、日本政府は武器管理で世界をリードする立場にありました。憲法九条の精神に立ち戻って、国際紛争を助長する武器輸出政策は取りやめることを強く求めたいと思います。

 最後に、もう一つただしたい点が、昨年十二月から始まった防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会についてであります。

 防衛装備移転三原則からさらに踏み込んで、国が武器輸入国に財政支援などを行う、こういうことまで検討されているということであります。産経新聞などでは、軍事版ODAという見出しも躍っておりました。国際紛争を解決する手段として、武力の行使、武力による威嚇を放棄した日本国憲法の精神に真っ向から反するものだというふうに思っております。

 そして、この検討会で配付された資料には、ASEANを初めとするアジア太平洋地域などに対する海洋安全保障などを念頭に置いた防衛装備品の提供などを想定というふうに書いております。

 中山外務副大臣にお伺いしますが、我が国の外交政策は、これまで発展途上国への援助は、平和援助、人道支援に努めてきたはずだと思います。外務省もこの検討会にオブザーバーで参加しておりますが、発展途上国への武器供与を日本の外交戦略として外務省は検討しているんでしょうか。やめるべきではないでしょうか。

中山副大臣 我が国は、ASEAN諸国が海を守る能力をシームレスに支援していくこととしております。昨年五月のシャングリラ・ダイアログで安倍総理が表明したとおり、ODA、自衛隊による能力構築支援、防衛装備協力など、さまざまな支援メニューを組み合わせて実施をしてまいる考えでございます。

 このような我が国の方針につきましては、私自身、昨年九月に、ASEANの実務の担当者の参加を得て東京で開催された会議の機会に、ASEAN側に説明を申し上げました。

 これは、法の支配を貫徹するための取り組みの一環であり、途上国の法執行能力を高めるための支援として実施するものであります。防衛装備の供与そのものを目的として行うものではございません。

 いずれにせよ、いかなる国との間でどのような内容の防衛装備協力を行うかにつきましては、さまざまな観点で総合的に考慮をしつつ、厳格かつ適切に判断していく考えであります。

宮本(徹)分科員 海洋安全保障のためといって、外務省まで発展途上国に対して防衛装備を供与していくことを認めていくというのは、重大な話だというふうに思います。大体、そうやって武器を供与していけば、アジア各国の軍備拡張を後押しすることになって、アジアの緊張をますます高める道になると思います。その道に私は未来はないと思います。

 日本は、憲法九条を持っているわけですから、やはり武器輸出三原則に立ち戻って、憲法九条を生かした平和外交で軍縮をリードしていく、アジアの軍縮をリードしていく、そういうことこそ日本が進むべき道だということを申し上げまして、私の質問を終わります。

平沢主査 これにて宮本徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮澤博行君。

宮澤分科員 こんばんは。自民党の宮澤博行でございます。

 きょうは、発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回、質問させていただくに当たり、先に述べさせていただくんですが、防衛関係のことを質問させていただくんですけれども、何といっても、内局の方々は、政策的見地から当然これを練り上げてこられておりますし、当然、軍事的な見地から自衛隊の方々もそれをサポートして政策を練り上げてこられている。はっきり言って、私が同じ土俵で議論できる状況ではありません。

 しかし、防衛問題というのは、国民の皆さんが非常に関心を持っているところであります。関心を持っていながら、実は、その情報はどうかというと、マスコミを通してのみ国民の皆さんはこの情報を得ることができます。そうすると、情報量として非常に少ない。そして、削られる以上、正確に伝わっているかどうかわからない。十分かどうかわからない、正確かどうかわからないという中で、国民の皆さんがここに関心を持っているということは、もしかしたら誤解を持って受けとめられることもあるかもしれない。

 逆に、私が地元でさまざま意見交換をさせてもらう中で、国民の皆さんの声をたくさん聞いております。その声に基づいて質問をさせていただき、誤解をどのように解いていくのか、防衛政策をどのように正確に理解していただくのか、その一助になればと思いますので、そういう姿勢で質問させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まずは、一点目にお伺いいたしますのは、平成二十七年度の防衛省の改革の事業についてであります。特に、防衛省の設置法改正、ここにも踏み込んでお聞きしたいと思うんです。

 まず、平成二十七年度の防衛省改革のポイント、これは大きく言うと、本当に二つだろうと思うんです。一つは、統合運用機能を強化するということ、もう一つは、防衛装備庁を新設するということ、この二つの大きなポイントがあって、あとはそれに付随した細かい改革というふうに解釈することができるのではないかと思われます。

 その中でも、統合運用機能の強化、これは私は非常に評価すべきものだと思うんですね。私なりに理由を考えてみますと、まずは当然、安全保障環境が変化している、そういう中において、陸海空が統合されて運用されなければ、防衛もままならない、そういう現状があるということ。もう一つは、これは災害だと思うんですね。東日本のときも統合運用が実際なされた、そういう実績から、常にその形態を平時からとっておいた方がいいのではないか、そういうことは十分考えられると思います。ところが、これが誤解を生むもとにもなっているんじゃないかと思われます。

 ですので、今回、今年度の防衛省の改革の目的についてぜひ改めて御説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

中谷国務大臣 お答えいたします。

 防衛省改革は、厳しい安全保障環境のもと、自衛隊を積極的、効率的に機能させるとの観点から、防衛省の業務や組織のあり方の改革を行うものであり、平成二十七年度においては、統合運用機能の強化と防衛装備庁の新設を行い、あわせて内部部局の改編を行う予定でございます。

 このうち統合運用機能の強化については、部隊運用の迅速性、効率性の向上を図るため、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化し、運用企画局を廃止いたします。これに伴い、統合幕僚監部に副長級の文官ポストである運用政策総括官等を新設いたします。

 また、防衛装備庁の新設は、装備品取得の効率化、最適化を図るため、防衛省内の装備取得部門、内部部局、各幕僚監部、技術研究本部、装備施設本部、これを集約、統合するものでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 今の御答弁の中で何度か使われてきた言葉が、迅速に、迅速にということですね。

 ということは、今までの体制では迅速に部隊運用を統合して行うことができなかったという反省があるということなんでしょうか。そこのところの現実を少しお答えいただきたいと思います。

中谷国務大臣 自衛隊の運用等につきましては、やはり緊急事態等は迅速に行わなければなりませんが、全てを統括していくのは防衛大臣でございます。これらの運用の面におきまして、組織的に迅速に防衛大臣に的確な情報が上がり、そして的確な判断ができるような組織のあり方、これは長い年月をかけて検討してまいりましたけれども、こういった観点で、運用に関して一本化をするべきだという結論に至ったわけでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 もう少し細かいところもお聞きしますが、陸上自衛隊に関しては、今回、陸上総隊というものをつくるということになりましたね。今まで五つの方面隊があったということ、この五つの方面隊があったという現実で、いや、これはちょっと指揮命令が迅速にいかないなと思われたことは大臣の御経験の中でありますでしょうか。そこのところをお願いします。

中谷国務大臣 陸海空自衛隊がございますが、海上自衛隊、航空自衛隊、これは指揮系統が一本化をされておりまして、運用において実施をされておりますが、陸上自衛隊の場合は五つの方面隊が防衛大臣の命令を受けて行動することになっておりまして、そういう面で、やはり陸上自衛隊の動きを束ねて一本化をしていく、そのことが効率的、迅速的に行動がし得るのではないかということで検討した結果、陸上総隊を創設するということになったわけでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 では、防衛省設置法の改正の方に話を移していきたいと思うんです。

 今回、第十二条が実は議論の対象になっているんですね。与党の中で議論をしているときは、まさかここのところがこうなるとは私自身も思っていませんでした。しかし、これが表に出るとこういう批判があるんだなということを逆に感じた次第なんです。

 今回の十二条の改正は、防衛大臣への補佐については、幕僚長の補佐と相まって、官房長、局長、防衛装備庁長官が防衛大臣を補佐するという構造になったということですね。

 私、これも行われてしかるべき改革であると思います。内局の方々は、やはり国際政治の中での判断ですとか、国際法や憲法との兼ね合いでの判断、これをいろいろ補佐するわけですよね。そして、それと並んで、専門的な見地から制服組の方々が防衛大臣を補佐される。これは私は重要だと思うし、当然の形だと思うんです。

 しかし、この改正をもって、報道関係の方々は、文民統制の廃止とか撤廃とか全廃とか、そういう評価を下しているんです。私は、これは大いなる間違いだと思いますし、逆に、政府の皆さん方はもっともっとわかりやすく国民の皆さんに説明しないと、来るべき安保法制の改正の議論のときに非常にこれも足かせになってくるんじゃないかと思います。今のうちに手を打つべきだと思いますが、見解があればお願いいたします。

中谷国務大臣 改めて説明をさせていただきますが、文民統制というのは、第二次世界大戦以前の事項を反省しまして、戦後の自衛隊を創設する際に、やはり文民統制というものを重視するという観点で考えられたわけでございまして、いわゆる文民統制とは、民主主義国家における軍事に対する政治の優先を意味するものでございまして、我が国においては厳格な文民統制の制度を採用いたしております。

 その文民統制には、まず国会、そして内閣、それぞれによる統制とともに、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営し統制するという、防衛省における統制があります。

 この点、現行の防衛省設置法第十二条は、文民統制そのものを定めたものではありませんが、従来から、官房長及び局長による政策的見地からの防衛大臣の補佐と各幕僚長による軍事専門的見地からの防衛大臣の補佐を調整、吻合する規定であると説明をいたしており、文民統制を担う防衛大臣の補佐を行うという点で非常に重要な規定でございます。

 まさに補佐というものは車の両輪のごとく相まって行っていくものでございまして、今般の第十二条の改正案におきましても、従来からのこうした趣旨自体を変更しないままで、新たな組織構成に適切に対応した規定とする予定でございます。

 したがいまして、防衛省設置法第十二条の改正は、文民統制に何ら影響を与えるものではございません。

宮澤分科員 おっしゃるとおりだと思います。この規定が変わったからといって、文民統制の形が変わるわけではないと思います。統合運用に合わせて改正されるという趣旨で、そのとおりだと思うんです。

 では、逆にお伺いするんですが、防衛大臣、副大臣の方々、政務官の方々、官房長、局長、そして新たに新設される防衛装備庁長官、それから統幕の方々、実際、防衛省の中でどのような形で議論が行われて、その中において、先ほど政治の優先、優勢ということもありましたけれども、それが議論の中で確実に、これは担保されているんだ、その実感が大臣の中にあられるかどうか。当然だと思いますけれども、もう少し、実際の防衛省の中での議論のあり方、意思決定のあり方を含めて御説明していただけると助かります。よろしくお願いします。

中谷国務大臣 あらゆる面におきまして防衛大臣として判断をし統率していかなければなりませんが、政策的見地からの補佐ということで、内局の方を中心に予算とか防衛政策を議論して、そして意見を出していただいております。

 運用に関しては、やはり統合幕僚監部や陸海空の幕僚長から意見を求めて判断いたしておるわけでございますが、極めて重要な判断をする際は防衛会議というものを持ちまして、これは局長級、そして陸海空幕僚長、統幕長を一堂に会して、この案件はどうであるのかという全体の防衛会議を招集しまして、大事な会議を開催しておりますし、また、それぞれの部署においても、横断的に、いろいろな問題について意見交換、意思疎通をしながら決定をしているわけでございます。

    〔主査退席、小田原主査代理着席〕

宮澤分科員 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと本当に思います。

 少し話が戻りますけれども、先ほどの陸上総隊の件ですけれども、これに関して、すごい批判があるんですね。すごいというのは、量の話ではなく、物すごく意外な批判というのがありまして、陸上自衛隊を五つの方面隊に分けてあるというのは、かつて陸軍が暴走したから、陸上自衛隊を分割しておいた方が暴走を食いとめることになる、陸上総隊を創設して本当にいいんだろうかという批判が実はあるんですけれども、全くこれは当たっておりません。

 大臣、こういう批判に対してどう思われるか、少し感想をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 やはり陸上自衛隊を運用に関して一つに束ねておくということは大事なことでありまして、現在は、統合幕僚監部において、オペレーションは全て統幕で行っております。陸海空の運用も統幕で行っておりまして、海上自衛隊の自衛艦隊司令、また航空の航空総隊司令のように、全国の部隊を一元的に束ねる機能を持っておりますけれども、陸上自衛隊はこの機能を持っておりません。

 今後、水陸機動団、また機動師団、機動旅団、こういうものを編成して、統合運用のもとに、各方面隊の警備区域を越えて機動的かつ統合的に運用をするといたしておりますので、先ほどお話をいたしましたけれども、各方面総監部の指揮管理機能を効率化、合理化するとともに、一部の方面総監部の機能を見直して、陸上総隊を新編して、各種事態における陸上部隊等の迅速かつ柔軟な行動と機動的な統合運用等に資する体制を確立して、万全の体制を期したいという考えでございます。

    〔小田原主査代理退席、主査着席〕

宮澤分科員 ありがとうございました。

 では、今回の内局の再編に関して、具体的に伺いたいと思います。

 統合幕僚監部の中に運用政策総括官と運用政策官が新設されるということでありますね。これは、言ってみれば、政策的見地から統合幕僚長を補佐するということではありますけれども、文民統制を担保するためであるという解釈も当然成り立つのかなというふうに思います。ですので、この二つの役職の役割や業務、これをぜひ説明していただきたい。特に、文民統制の担保のあり方とあわせて御答弁していただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

豊田政府参考人 先生から御指摘のありました二つのポストの具体的な役割、業務についてお答え申し上げます。

 部隊運用の迅速性、効率性の向上を図るため、実際の部隊運用に関する業務については統合幕僚監部が一元的に実施することによりまして、統合幕僚監部は、自衛隊の部隊運用のための大臣命令の執行といった従来から担っている役割に加えまして、国会答弁を含む対外説明や関係省庁との連絡調整といった新たな業務も担うことになります。

 こうした新たな業務につきましては、副長級の文官ポストである運用政策総括官を新設いたしまして、例えば、政府参考人としての国会答弁等のほか、実際の部隊運用に関して政策的見地からの統合幕僚長の補佐を行うということでございます。

 また、運用政策総括官を補佐するため、部課長級の文官ポストである運用政策官を新設するなど、統合幕僚監部に約四十名の文官を配置いたします。運用政策官は、運用政策総括官に準じまして、国会、関係省庁や関係自治体への御説明、御連絡、御調整を行うとともに、運用部を初めとする統合幕僚監部内の各部署に対して政策的見地からの助言を行いまして、統合幕僚監部の意思決定について的確性の確保を図る、こういう仕組みになっております。

 こうしたことで、防衛大臣による文民統制を助けるものとして所定の役割を果たしているのではないかというふうに考えておる次第でございます。

宮澤分科員 先ほど、統合幕僚長がこれから国会で答弁をされることはあるとおっしゃいましたけれども、そういうふうになってしまって、政治の方に引っ張られて、本当に現場はそれで大丈夫なのか。そういう懸念が考えられると思うんですが、その点、いかがでありましょうか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の国会答弁の必要性につきましては、まずもって国会において御判断をされる事柄であると考える次第でございます。

 その上で申し上げますれば、各幕僚長を初めとする自衛官は、引き続き、防衛大臣を軍事専門的見地から補佐する者として部隊運用等の隊務に専念すべきであることから、各自衛隊の隊務に関する国会答弁につきましても、従前と同じく官房長及び局長等の文官が行うということを、現在、方針として考えているところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 一問目の防衛省改革については、以上とさせていただきたいと思います。

 それでは、もう一つ質問をさせていただきたいと思います。

 次は、南西地域の防衛体制強化に係る事業であります。

 これも国民の皆様の関心というのは非常に高いです。ですので、この地域の防衛体制を強化するということは、これは国民の皆さんの理解を十分得られるものだと思います。しかしながら、これも、先ほど申し上げたとおり、情報量は極めて少ない。ただ、誤解というものは生じていないかなという感じがいたします。もう少しここのところをPRすることでもって、ああ、防衛省は頑張っている、自衛隊は頑張っているな、そういう印象を国民の皆さんに持たれるのではないかと思いますね。そういう点から、今回、数点について質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、与那国島の件です。

 沿岸監視部隊を置くということですね。この沿岸監視部隊、具体的任務、これは一体どういうものになるんでしょうか、百五十名ぐらいと聞いておりますけれども。平時のときの役割と、もし有事になったときの役割、任務、どういったものを想定しているのか、御説明していただきたいと思います。

黒江政府参考人 ただいま先生御指摘の、与那国島に配備を予定しております沿岸監視部隊の具体的な任務ということでございます。

 この部隊につきましては、平素、有事問いませんで、常続監視、周辺の海域における艦艇、航空機等々、これらの動きにつきまして常続的に監視を行う。このことを通じまして、各種の事態が発生する兆候といったものを素早くつかむ。それを通じまして、事態に対する迅速な対応というものを可能ならしめる、そういう大変重要な任務を持った部隊でございます。

 他方、この部隊を与那国島に配置するということを通じまして、この地域の平和と安全あるいは災害等の対応といったところでは、当然のことながら、所在部隊として対応する部分は出てまいりますので、そういう意味でも、地域の平和と安全といったものに寄与するというふうに考えておるところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 監視とはいうものの、レーダーもそこにあるということですね。しかし、これは上空から監視をするということも同時に行われているわけですから、ここにレーダーを置くということが、どれほど上空からよりもすぐれているんだ、ここに置く意味があるのか、そこの点はまずどうかということ。

 もう一つは、災害対応といいましても、ほかの島に行く手段がなければ、なかなかこれも展開も難しいかと思います。そこの展開能力についてはどのようにお考えになっているのか。

 二点、ちょっとお願いします。

黒江政府参考人 まず、自衛隊が行っております空中からの警戒監視といったものと、この種の固定の地域配備部隊との関係ということでございます。

 これは先生も御案内のことだと思いますけれども、空中からの監視といいますものは、具体的には、航空自衛隊が運用いたします早期警戒管制機あるいは早期警戒機といったものによって行うわけでございますが、これらの部隊といったものを常に二十四時間三百六十五日、ある種の空域に必ず展開させるということは、航空機による柔軟な警戒監視を行う、さまざまな地域で情勢に合わせて柔軟な警戒監視を行うという性格上、必ずしも期待できない場合というものがございます。

 他方、地域にきちんと固定的に配置するこの種の沿岸監視部隊といいますものは、まさに国境地帯に当たるわけでございますけれども、その周辺のまさに軍事的な艦艇、航空機の動きといったものをまさに二十四時間三百六十五日、継続的に情報収集を行い得る、そういう利点を持つものでございます。

 そういう意味で、先生御指摘の、空中からの警戒監視とこの手の固定的な警戒監視部隊といったものは、相補い合いながら、我々自衛隊の行動に必要な情報収集に当たっている、そういう関係にございます。

 また、実際に災害対応等々につきまして必要な輸送能力といいますか、まさに御指摘の点につきましては、我々としても大きな課題だと考えております。

 他方、もともとこの南西地域につきましては、特に陸上自衛隊の部隊の配備といいますか、配置されている人員の数といったものが非常に少ないということがございますので、今回我々、沿岸監視隊を与那国島に配置するということと同時に、奄美大島の方に初動担任部隊といったものも配置するといったことを考えておるわけでございます。

 また、沖縄の本島の方には十五旅団が所在しております。そういった部隊、特に、現在でいいますれば、沖縄の十五旅団が持っておりますヘリ等々によりまして、離島における災害対応、あるいは、これは現在もやっておりますけれども、急患輸送といったような、そういう任務に対応するというのが基本的な考え方でございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。では、与那国島と並んで奄美大島にも、今おっしゃられたとおり、警備部隊が新編されるということですね。

 これは初動部隊ということですけれども、それこそどのような任務を想定されているのか。初動ですよね。そうすると、輸送能力、展開能力がどこにあるのかということ。初動ですから、その後の増派ということはどういうふうに計画されているのか。ここのところも、奄美大島の部隊についても説明をしていただきたいと思います。

黒江政府参考人 奄美大島に新編を予定いたしております初動担任部隊の任務でございますけれども、特にこの部隊につきましては、南西地域におきまして、これは自然災害も含みますけれども、各種の事態が生起した、そういったときに、まさにその場に所在しておる部隊といたしまして迅速な最初の対応を行う。具体的には、例えば港湾でありますとか空港といった重要施設の防護、あるいは、当然のことながら、自衛隊施設の防護といったことも行う。

 他方、事態の大きさによりましては、これは災害が大きかった場合といったようなことも含むわけですが、当然のことながら、増援の部隊というのが必要になるわけでございます。

 これらにつきましては、現在本土に所在しております陸上自衛隊の部隊といったものを、さまざまな手段、これは当然のことながら、海、空の輸送手段、輸送機、輸送艦といったもの、あるいは民間の船舶も動員しまして、速やかに増援を行って事態に対応するというのが基本的な考え方でございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 増派、増援は当然やらなくちゃいけないこととは思いますけれども、与那国島にしても奄美大島にしても、置くということの政治的な意味も相当大きいんじゃないのかなと思います。

 政治的な意味という点から、最後に一つだけお聞きしたいんですけれども、海上自衛隊の基地を沖縄に今後つくるかつくらないか、ここのところはやはり大きな政治的な意味合いを持ってくるんじゃないかと思われます。

 沖縄には海上保安庁の第十一管区海上保安本部があるんですね。巡視船十隻、巡視艇十二隻がある。海上自衛隊と海上保安庁は役割も機能も全然違うとは思いますけれども、それでも、ここに海上自衛隊の基地があるということの政治的な意味というのは大きいんじゃないのかなと私は思います。

 陸上自衛隊をこうして配備されるわけですから、まずは、陸上自衛隊の政治的意味というものについての見解と、もう一つは、最後、海上自衛隊の基地というものを今後どのように検討されているのか。そこのところを最後の質問とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

黒江政府参考人 ただいま先生御指摘のとおり、この地域、広さでいいますと、ほとんど本州と同じくらいの広さに島が点在しておる、そういう地域でございます。そういったところに、もともと必ずしもプレゼンスの多くない陸上自衛隊の部隊を配置する、そのことを通じまして、我が国としてもこの地域の防衛といったものを大切なものだと考えている、そういう意味合いというのは大変大きいというふうに考えてございます。

 他方、海上自衛隊の部隊、海上自衛隊の基地を沖縄方面に配置するかどうかということでございます。この点につきましては、これは先生も御案内のことと思いますけれども、海上自衛隊の運用といいますのは、航空機による周辺の海域の常続的な警戒監視といったもの、これは、日常的に各基地から飛び立ってその海域、空域に行って、それを行う。また、艦艇につきましても、基地を出て、洋上でさまざまな警戒監視活動あるいは訓練といったものを機動的に行っておるわけでございます。そういった意味で、必ずしも、陸上自衛隊の部隊がそこに配置されるといったものと同じようには論ぜられないんだろうということがございます。

 そういったことも踏まえまして、現時点で、沖縄において新たに海上自衛隊の基地を設けるといったことは、計画はないということでございます。

宮澤分科員 丁寧な御説明、まことにありがとうございました。

 これからも、国会議員の一名として、国防のために私も尽くしてまいりたいと思います。

 きょうはまことにありがとうございました。

平沢主査 これにて宮澤博行君の質疑は終了いたしました。

 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)分科員 民主党の本村賢太郎でございます。

 中谷大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、三月十日、東京大空襲から七十年という節目の日を迎えたわけであります。

 また、昨今、アメリカのマイクロソフト社のポール・アレン氏が戦艦武蔵と思われる映像を発表したわけでありまして、まだ確定はしていないものの、菅官房長官も、五日の記者会見におきまして、情報収集、事実確認を行いたいと述べていらっしゃいます。

 フィリピン政府が調査に乗り出すなど、関心を高めているところでありまして、戦後七十年の節目の年を迎えて、戦後七十年談話、そして集団的自衛権の行使容認問題、あらゆる面で安全保障制度が今変わろうとしている、転機を迎えている時期でありまして、この武蔵の発見は、特別な思いを感じずにはいられません。

 そこで、まず冒頭に、大臣、この武蔵に関して、感想をお聞きしたいと思っております。

中谷国務大臣 御指摘の戦艦武蔵の発見につきましては、防衛省・自衛隊といたしまして関与はしているわけではなくて、真偽も含めて、報道以上のことについて承知する立場ではございませんが、当時、世界最大の超弩級の戦艦であった戦艦武蔵が戦後七十周年の節目の年に発見されたとすれば、まことに意義深いことであると思っております。

 この報道に接しまして、改めて、戦艦武蔵の乗組員として亡くなられた方々を初め、さきの大戦で祖国や家族のためにお亡くなりになった全ての方々に対して哀悼の意を表したいと思います。

本村(賢)分科員 ぜひ、私たちも、後世につながる平和という言葉を認識しながら努めていかなきゃいけませんので、また御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 次は、私の地元相模原市に、キャンプ座間、そして相模総合補給廠、相模原米軍住宅と三つの基地がございます。市街地に、四百四十六ヘクタールという、三基地を合計して非常に大きな基地負担をこれまで強いておりまして、きょうはまず、相模総合補給廠の返還に関して御質問させていただきたいと思っております。

 大臣御承知のとおり、昨年の九月の三十日に、米軍再編に係る関係で、相模総合補給廠の一部、十七ヘクタールの返還が行われたわけでございますが、この返還に関しまして、私たち相模原市民も、加山市長を先頭に、非常にこの基地の返還を喜んでいるところでありまして、今後の大きなまちづくりに寄与するんじゃないかと期待を膨らますところであります。

 そこで、まず、平成二十七年度、二〇一五年度の相模総合補給廠に関する予算額と内容についてお伺いいたします。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の、平成二十六年九月三十日、アメリカから返還されました相模総合補給廠の一部土地につきまして、現在御審議いただいております平成二十七年度予算案、この中におきまして、土壌汚染の概況調査、また、現存する建物のアスベスト調査、これらに係る経費として約五千二百万を計上しているところでございます。

本村(賢)分科員 相模原市においては、三月の十五日から、スポーツ・レクリエーションゾーンの計画に関するパブリックコメントもスタートする予定でありまして、きょうお配りの資料の三十五ヘクタールの共同使用に関して進捗はどうなっているのか、お伺いいたします。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 三十五ヘクタール部分の共同使用につきましては、平成二十四年六月、日米の合同委員会で合意されておりまして、現在、相模原市におきまして、共同使用のための条件工事として、この土地におけます境界柵の整備事業を実施しているところでございます。

 共同使用の開始時期につきましては、今申し上げました相模原市による境界柵の整備事業の進捗、それから当省、防衛省及び相模原市が整備した施設の合衆国政府への提供手続、また現地の実施協定の締結といった共同使用に係る諸手続、これの進捗によりますことから、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、防衛省といたしましては、相模原市と調整いたしまして、共同使用の開始に向け、平成二十七年度中の現地の実施協定の締結に引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)分科員 次に、きょうお配りしている資料に、JR横浜線と並行した道路用地の返還というものがこの地図の下側にあると思うんですが、ここは道路用地を含む返還四事案についてでございまして、防衛省がリーダーシップをとって米軍との調整を進めることを期待しておりますが、防衛省の姿勢についてお伺いしたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の、我々、いわゆる返還四事案と呼んでおりますけれども、平成十八年六月、相模原市長から御要請を受けまして、同じ月に、横浜防衛施設局長の方から、今後、日米合同委員会の枠組みを活用して、事案の性格、これは御案内だと思いますけれども、道路用地、それから外周道路、それからウオーターフィルタープラント区域の返還、それから東側外周部分の道路用地の返還、それぞれありますけれども、事案の性格はおのおの異なるものの、貴市、相模原市の御要望に添えるよう努力する所存であるというふうに回答しているところでございます。

 現在、相模原市から事案の具体的な利用計画等を伺っているところでございまして、引き続き、綿密な調整を行い、米側と調整してまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)分科員 この四事案の関係に関しましても、ぜひ防衛省の皆さんにはリーダーシップをとっていただいて、米軍との交渉が一日も早く進むように御努力をお願いしてまいりたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 次は、この地図の上の方、北側外周部分の返還に関してでありまして、これに関しましては、約九千平米の返還が二〇一三年十月十七日に決定していると思いますが、この進捗の状況と現地協定の目途をお聞きしたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました北側外周部分の土地につきましては、相模原市の方から、隣接する道路の混雑解消及び災害時における緊急車両の通行確保ということから市道として整備したいということで、御要請を受けてきたところであります。

 今お話しいただきましたように、二十五年十月に、日米合同委員会で返還について合意に達しておりまして、これにつきましても、現在、相模原市におきまして、返還に際して必要となる条件工事に係る調査を実施しているところであると承知しております。

 返還時期についてでございますけれども、先ほどの件と同じく、事業の進捗、それから提供手続、返還に係る諸手続ということがありますものですから、現時点でかちっという形でいつごろということは申し上げられませんけれども、同じく相模原市と調整いたしまして、返還に向け、平成二十七年度中に条件工事を実施するための現地実施協定を締結するという方向で引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。

本村(賢)分科員 この基地の北側外周部分の返還にも非常に市民が期待しているところでありまして、特に、東京都町田市との境界で、非常に住宅地とも密接しております。

 今お話ありましたように、二十七年度を目途に現地の協定を進めていただけるように頑張っていただくということでありますので、ぜひ、そのお言葉のとおり、現地協定の方も防衛省主導で頑張って進めていただきたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 次は、返還をされましたこの十七ヘクタール部分に関して、数点お伺いしてまいりたいと思います。

 先ほど冒頭にも述べましたように、昨年の九月三十日、米政府から我が国にこの十七ヘクタールの返還がございまして、戦後初めて、補給廠の基地の一部返還に伴いまして、この図のように、まず、一部返還地として十五ヘクタールの部分と、そして、道路、鉄道用地として二ヘクタールの返還用地、合わせて十七ヘクタールがございます。

 この返還に関しまして、まず十五ヘクタール部分に関してお伺いしていきたいと思いますが、返還された十五ヘクタールについて、市の計画が定まった場合の円滑な処理について、財務省の協力を求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、昨年九月末に米軍より返還された相模総合補給廠十七ヘクタールでございますけれども、そのうちの十五ヘクタールにつきまして、現在、相模原市において具体的な利用計画を策定中であるというふうに伺っております。

 財務省といたしましては、市が策定いたします具体的な利用計画を十分踏まえて処理を行うことが必要であると考えてございまして、引き続き、相模原市と十分相談しながら、しっかりと協力してまいりたいと考えてございます。

本村(賢)分科員 この十五ヘクタールに関して、二十二年度にゾーニングが行われて、二十六、二十七年度で利用計画が策定をされて、二十八、二十九年度で都市計画決定の手続が行われ、三十年度あたりから、いわゆる財務省から相模原市の利用計画に沿って売却が進んでいくという認識でよろしいでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 十五ヘクタールにつきましての今後の市のスケジュールについては、私ども、具体的に市からは直接聞いておりません。

 今後、先生の御意見も踏まえまして、市からいろいろ御意見を伺ってまいりたいと考えてございます。

本村(賢)分科員 ぜひ、相模原市からこの利用計画が出ましたら、それに沿った形で御支援をお願いしてまいりたいと思います。

 また、この補給廠は、JR相模原駅の北側に位置する二百十四ヘクタールの大きな基地でありまして、相模原のへそ部分であるJR相模原というか、相模原の開発が非常にここの基地の関係でおくれている部分がございます。

 そのことは御承知かもしれませんが、例えば基地交付金に関しても、これは固定資産税の相当分だということは理解しておりますが、この固定資産税の約三割しか相模原市には来ておりません。そういったことも踏まえて、相模原市が公共的な目的で土地を取得する場合、ぜひ軽減措置を講じていただけるよう、これは質問しませんが、要望として聞いていただきたいと思います。

 次に、二ヘクタール部分についてお伺いしたいと思っております。

 この道路、鉄道用地に関しまして、二ヘクタールは、道路法九十条によって無償譲渡ということでありまして、相模原市の市民も非常にここの供用開始の時期に期待を膨らませているところでありますが、今、スケジュールを聞きますと、二十六年度が土壌調査、これは防衛省が進められるということでありまして、二十七年度が埋蔵文化財の調査を相模原市が行う、そして二十八年度に道路整備を進めて、二十九年度あたりに供用開始を行いたいという市の気持ちも強くあるんですが、おくれることのないように、処理を円滑に進めるよう財務省に協力を求めますが、御所見をお伺いしたいと思います。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の二ヘクタールの南北に伸びる部分でございますけれども、順調に進めば、先生がおっしゃったようなスケジュールで、相模原市において道路として整備される計画であるというふうに聞いております。

 私ども財務省といたしましては、市の道路整備計画を踏まえて、市及び防衛省と十分に相談しながら、しっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

本村(賢)分科員 財務省側から年度はなかなか申し上げられないと思うんですが、一応、市の計画が二十九年度という供用開始の時期を示されておりますので、ぜひ財務省の皆さんのバックアップをお願いしてまいりたいと思います。

 そして、この図を見ていただきますと、北側外周部分の返還という上の部分ですけれども、ここにくぼみがあるんですが、第三ゲート、この第三ゲートから正門までのところを緊急車両が通れるように今なっておりまして、年間二百回ぐらい救急車が通るという話も伺っておるんです。

 今財務省の方からも御答弁いただいたように、この二ヘクタールの返還が正式に行われるのが、もし順調にいけば二十九年度あたりだということでありますけれども、できたら、相模原市としては、市民の願いとして、この供用を開始する前に、例えば緊急車両や歩行者の方々が通行できるような市の要望があった場合、それをお受けいただけないかと考えております。

 財務省の方、いかがでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 この財産につきましては、市の方で道路法に基づく路線の認定と区域の決定がなされれば、財務省から市に対して、道路法に基づいて道路用地として無償貸し付けを行うことが可能となります。その際、相模原市から、道路として使用されるまでの間、通路として暫定的に活用したいという御要望があれば、それを踏まえて検討してまいりたいと考えてございます。

本村(賢)分科員 この地図を見ておわかりのように、ぐるっと、ここの二ヘクタールが供用開始になれば、市民にとっては非常に利便性が高くなるわけでありますので、ぜひ、暫定的にも、この道路の使用ができるようにお力をかしていただきたい、そう要望して、終わりにします。

 次に、米軍機による騒音問題について、数点お伺いいたします。

 今、補給廠の話をさせていただきましたが、この補給廠にも、横田基地の米空軍ヘリコプターが、住宅密集地を低空旋回飛行を繰り返しておりまして、ことしの二月二十五日も、相模原市長名で南関東防衛局長宛てに、米軍機による騒音被害の解消についてという要請をさせていただきました。この周辺が市街地ということもありまして、住民もやはり不安を感じておるという声が相模原市の方にも多く寄せられているということを伺っております。

 そこで、住民に騒音や振動による苦痛や墜落の不安を与えている今の米軍ヘリに対して、防衛省の具体的な対策について伺います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話しいただきましたとおり、キャンプ座間、また相模総合補給廠周辺における米軍ヘリの騒音につきましては、これまでも周辺住民の方々から市に対して苦情が寄せられているところでございまして、防衛省からは、米側に対しまして、飛行に当たって周辺住民へ配慮するよう申し入れを重ねて行ってきているところでございます。

 アメリカ側におきましては、こうした申し入れを踏まえまして、例えば、住居の上ではヘリコプターの飛行高度をできる限り上げて飛行するといった一定の配慮を行ってきているものというふうには承知をしているところでございます。

 こういうことを、定期的にといいますか、日ごろからやっておりますけれども、今先生お話にございました、先月二十五日、相模原市から騒音に関する御要請をお受けいたしました。これを受けまして、翌二十六日、直ちに米側に対してその内容を伝えるとともに、飛行に当たりましては周辺住民に配慮するよう強く申し入れを行ったところでございまして、米側が要請内容を十分理解して対応することを期待しております。

 防衛省といたしましては、今後とも、機会あるごとに、周辺住民の方々への騒音が軽減されるよう米側へ申し入れてまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)分科員 今御答弁あったように、キャンプ座間のヘリの騒音もあわせて、この相模原市においては、補給廠のヘリの問題を最近非常に多く聞いております。特に、キャンプ座間にはCRFもやってまいりましたし、地元の自衛隊に対する理解というものは非常に深くあるんだと思いますが、やはり米軍機に関して、私も防衛省に問い合わせましたら、どうしても米軍機だから運用や頻度などわからないというお話がありましたけれども、ぜひ、我が日本の上空を飛んでいるわけでありますので、市民に不安を与えないような配慮を、米側に対し、お願いしてもらいたいと思います。

 次に、この騒音問題に関して、厚木基地の問題に関してお伺いしていきたいと思います。

 厚木基地の騒音というのは、これは大臣も御承知だと思いますが、非常に大きな問題となっておりまして、実は、この周辺自治体の一部の方々が、NHKの受信料の減免というものを受けておりまして、今、全国で十九施設の基地が対象になっております。また、昭和五十七年にNHKから防衛省に引き継いでから、三十年間、この見直しがなされていないんです。

 ここで、民主党政権時代に見直しを図り始めたと承知をしているんですが、どのような検討を行っているのか、また結論までのスケジュールはどうなっているのか、お聞きいたします。

中谷国務大臣 本事業は、開始から三十年以上経過しまして、社会状況及び騒音状況が変化していることから、現在、指定基準の見直し等に係る調査を委託いたしておりまして、この調査の中で、音響の専門分野に係る学識経験者より構成された検討委員会を設置して、検討を進めております。

 防衛省としては、テレビ放送の視聴障害の実態をより反映させたものになるように、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。

本村(賢)分科員 今の大臣の御答弁で、二十五年度から音響の専門家による意見聴取というのが行われているということを伺っておりますが、二十五年度、そして来年度の予算もついていると思うんですけれども、結論が出る時期というのは、大体いつごろを目安にしていらっしゃるんでしょうか。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきましたように、放送受信事業に係る指定基準の見直しにつきましては、平成二十五年度、二十六年度におきまして、音響の専門分野に係る学識経験者の方々に検討いただいているところでございます。

 いつまでかというお尋ねでございますけれども、なかなか現時点で確たることを申し上げることは困難でございますけれども、まずは、放送受信事業の助成対象区域を見直すための基準の作成といったものをできる限り早期に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

本村(賢)分科員 三年、たしか年間六回ぐらいこの意見聴取会をやっていると伺っておりますので、ぜひ方向性を示されて、恐らくNHKの助成がなくなる地域や拡大する地域があるというふうに思いますので、十分説明に御配慮されながら進めていただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、米軍の厚木基地の移駐に関してであります。

 これは、御承知のとおり、二〇一四年に移駐という話が日米合同委員会で合意されていたわけでありますが、岩国基地の受け入れの問題等々で、二〇一七年を目途にということで変更されたことは承知をしておりますが、たしか空母艦載機五十九機が岩国基地に移駐されるということでありますけれども、この移駐問題で、厚木基地は、移駐後、騒音が静かになるというふうに考えてよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 空母艦載機等の岩国への移駐によりまして、その後の状況でございますが、現時点で確定的にお答えすることは困難でございますが、例えば二十五年度、これは年間二百二十日でありました。そして、二十六年度は約百八十日、これは三月九日時点でありますが、空母が横須賀に寄港して、その間、空母艦載機が厚木飛行場を使用したことを踏まえれば、当移駐によりまして、ジェット戦闘機等の運用が大幅に減少し、厚木飛行場周辺の騒音状況は相当程度軽減されるものと考えております。

本村(賢)分科員 ぜひ、岩国移駐後、例えば、馬毛島の問題もありますが、硫黄島での離発着訓練に関しましては、距離が少し、千四百キロ以上あるということでありまして、一部では、厚木基地に岩国から整備、給油に戻ってきて、そこから硫黄島に飛ぶんじゃないかというお話もあるものですから、かえって騒音がうるさくなるんじゃないかという心配も市民にあるものですから、今の大臣の御答弁で、確かなことじゃないかもしれませんが、今よりも騒音が低くなるということで理解いたしました。

 次に、厚木の空母艦載機の移駐を受ける岩国基地の進捗状況はどうなっているのか、また、再び延期されることがないのか、心配なものですから、この点をお伺いしたいと思います。

中島(明)政府参考人 お答え申し上げます。

 厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐につきましては、日米ロードマップに基づきまして、現在、岩国飛行場において、格納庫、駐機場などの整備を行っているところでございます。また、愛宕山地区におきましても、家族住宅、運動施設などの整備に先立つ造成工事等が行われているところでございます。

 空母艦載機の移駐時期についてでございますけれども、二〇一三年、平成二十五年十月の日米2プラス2において、二〇一七年、平成二十九年ごろまでに完了することを確認したところでございます。

 防衛省といたしましては、今後とも、地元の御理解を得ながら、可能な限り早期に、かつ着実に進めるため、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)分科員 ぜひ、岩国の市民の皆さんの受け入れの気持ちもあるでしょうから、しっかりと御説明しながら、順調に進めるようにお願いしてもらいたいと思います。

 また、馬毛島に関して、一点お伺いしたいんですが、平成二十四年度から二億二千五百万円という予算がついて、二十六年度も七千三百万円、そして来年度は一億五千百万円と予算措置がされております。

 ここで、お聞きしたいんですが、馬毛島に関して、これまでの予算の執行の状況と、そして、大臣にお聞きしたいんですが、やはりこの馬毛島に対する考えというのは、今までどおりで、同じなのかどうか、お伺いしたいと思います。

中島(明)政府参考人 まず、調査の状況について事務方の方からお答え申し上げます。

 空母艦載機の着陸訓練、FCLPと呼んでおりますけれども、これが実施可能な施設の整備場所の予算につきましては、周辺の影響や施設の配置に関する検討を行うため、基礎的資料を収集するということで、平成二十四年度以降、調査費用、契約ベースで約二億九千八百万円計上していたところでございますけれども、この調査に係ります土地の所有者の方との調整が整わなかったということで、現在まで、執行するには至っていないということでございます。

 他方、こういう調査の実施は、今後地元の皆様方により具体的な御説明を行っていく上で必要であるというふうに考えておりまして、平成二十七年度予算案におきましては、契約ベースで約一億五千百万円を計上しているところでございます。

 防衛省としては、調査の早期実施に向けて努力してまいりたいと考えております。

中谷国務大臣 馬毛島は、その地理的要因や、土地の面積が十分確保できるということ等から、検討の対象であると考えております。

 本件は、我が国の安全保障上の重要な課題であると認識をいたしており、できるだけ早期に実現できるように、地元の御意見に十分配慮しつつ、検討を進めてまいりたいと思っております。

本村(賢)分科員 これで質問を最後にいたしますが、最近のニュースで、米軍の岩国基地の燃料漏れ問題というものがございました。県への報告がおくれたということでありまして、知事の方から、遺憾であるというお話がございました。お話を聞きますと、岩国市や岩国の消防の方には事前に通報したようでありますが、報告のおくれを二度と起こさないことが今後重要だと思います。

 ぜひ、内閣府の調査でも、自衛隊に対する意識というものが、国民、九二%以上の方が自衛隊に対しては非常に好感を持たれているという報道もございますので、やはり結果としてこういう事故が起きたときは速やかに報告して対処するべきだと考えますが、今後の対策についてお伺いして、質問を最後にいたします。

三村政府参考人 お答えいたします。

 一月二十日、岩国飛行場内において発生いたしました航空機用燃料の油漏れにつきまして、同日に油の漏出を確認いたしましたところ、いずれも流出箇所近辺にとどまっており、基地外に流出する状況ではございませんでした。

 しかしながら、委員御指摘のように、法令に基づく報告義務はございませんですけれども、岩国市と岩国消防組合に対しては、岩国飛行場が所在すること等から、自主的に情報を提供したところでございます。他方、山口県への情報提供はおくれたところでございます。

 今般の油漏れにつきましては、基地外に流出しなかったものの、結果として皆様に御心配をおかけしたことについて反省をし、今後このような事象が発生した場合においては、岩国市のみならず、山口県へも速やかに情報提供してまいります。

本村(賢)分科員 これで質問を終わりにしますが、ぜひ、我が日本の防衛省・自衛隊が国民から尊敬される存在であってほしいと思いますので、そのことをお願いして、終わりにいたします。

 ありがとうございました。

平沢主査 これにて本村賢太郎君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

平沢主査 次に、内閣所管について審査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田豊史君。

吉田(豊)分科員 遅い時間にと申しますか、日程を見ましたら、この時間にやっているのはここだけということになっておりまして、本当に関係の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。

 早速、質問の方に入らせていただきます。

 私は、今回、教育再生というところにテーマを絞ってお聞きしたい、こういうふうに思っております。

 私自身は、昨年末に初当選した議員でございますので、教育再生ということについての基本的な経緯ですとか、存じ上げないところもございまして、ただ、私自身の政治家としてのやりたい仕事の中の一番大きなことの一つに、教育というものがございます。

 そういう意味で、安倍内閣の教育再生、再生というからには、大きな問題意識があって、その上での再生という言葉だと拝察しますので、まず最初に、どのような問題意識から再生というふうにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。

藤野政府参考人 お答え申し上げます。

 教育再生に係る問題意識につきましては、教育の根本的な目的でございますが、改正教育基本法第一条にあるとおり、人格の完成と国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成でございます。

 そのためには、個々人の潜在能力を最大限に引き出し、互いに認め合い、社会に貢献しながら自己実現を図ることを通じ、一人一人が人生を幸福に、よりよく生きられるようにするための教育が行われることが重要でございます。

 しかし、今なお、一人一人の能力を社会の中で生かし切ることが必ずしもできていないなど、改正教育基本法の理念が十分に実現しているとは言えない状況にあると考えております。

 このような状況を改革することが教育再生であり、世界トップレベルの学力と規範意識を備え、日本人としてのアイデンティティーと教養を持ち、自信と誇りを持って活躍できる人材の育成に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(豊)分科員 確かに、教育再生といったときに、やはり大きなところとして学力、そしてそれを支える規範意識、そういう考え方、その二つをきちっと備えるということが教育の基本だろう、このように私自身も思うわけです。

 国家の基本は教育である、また、教育の基本は国語にあるのではないか、こういうふうな考えというのが私の持論でございます。

 と申しますのも、教育ということを考えたときに、小さいとき、生まれたときから小学校に入るまで、そして小学校、中学校、学びはずっと続くわけですけれども、基本のところの考え方、それを伝える手段というのはやはり言葉であろう、そして、基本的には、日本人であるならば日本語というものがその手段になっていくだろう、そういう意味での国語、母国語というふうなことを私は考えておるわけでございます。

 改めて、教育再生というところを考えたときに、国語教育の重要性についてどのように考えていらっしゃるか、副大臣にお聞きしたいと思います。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 吉田委員のおっしゃるとおり、国語を初めとする言語は、論理や思考にかかわる知的活動のみならず、コミュニケーションや感性、情緒の基盤となるものであるというふうに思います。

 社会のグローバル化の波が押し寄せる中で、そういったグローバル化の社会の中でも、国際共通語である英語力の向上を図る上でも、しっかりとした国語力を身につけさせることは、やはり必要不可欠でございます。

 このため、現在、学習指導要領では、小中学校を通じて、国語科の授業時間をふやすとともに、古典に関する指導を重視するなど、国語教育の充実を図っております。

 また、国語はもとより、全ての教育活動において、説明や論述、討論など、児童生徒の主体的な言語活動を充実しているところでもございます。

 文部科学省におきましては、昨年の十一月、中央教育審議会に対して、初等中等教育における教育課程の基準等のあり方について諮問したところでございます。今後、例えば、小学校において、根拠を明確にした発言をすることや、目的に応じて文章を要約すること、また、中学校においては、根拠として取り上げる内容を正しく理解した上で活用するなど、これまで各種調査において明らかとなった課題を踏まえ、国語教育の充実方策を検討していきたいと考えております。

吉田(豊)分科員 今ほど、副大臣から非常に大切なキーワードを幾つも出していただいたと思っております。

 まず、英語というところなんですけれども、確かに、グローバル化の社会にあっては、英語を身につけるということは、非常に大きな武器になるでしょうし、これから海外で活躍するためには必要不可欠と言っても間違いないと思います。

 その上で、副大臣がおっしゃったように、やはり、英語を学ぶ手前のところに、母国語としての日本語についての力、それをきちっと身につけさせることが非常に大切である、そして、そのためには古典にさかのぼるという言葉を今いただきましたけれども、非常にすばらしいことだと思います。

 古典ということでいうと、具体的には、対象は、小中ですとかそのあたりということは既に出てきているんでしょうか。改めてもう一度お聞きしたいと思います。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 古典に関しては、現在、小学校の例えば低学年で昔話や神話、伝承、また中学年では俳句やことわざの慣用句、そういったものを使いながら学ぶようにさせていただいています。

 中学校においては、文語の決まりや訓読の仕方、また古典の朗読なんかも内容の中に入れさせていただいて、学ぶようにさせていただいております。

吉田(豊)分科員 非常に大切なところです。

 例えば、小学校で俳句といったときに、ではどれだけ中身がわかっているのかという話も当然出てくると思うんですけれども、私が大事だと思うのは、母国語、国語ということになったときには、まずは、意味がわかるという以前に、きちっとそれを自分で発する、そしてそれを聞き取るというところ。昔、論語の素読というものがあったわけですね。こういうような感覚のもとに、まず身につけさせる、そして体で覚えさせるというところも、私は、母国語、国語という意味では基本中の基本じゃないかな、こういうふうに思っております。

 その上で、副大臣の言葉の中に、論理というところが、非常に大切な母国語、国語との関係でいうと出てくるという言葉もいただきました。まさに、本当にそのとおりで、論理ということは考える力ということになると思います。考えるのは何で考えるかというと、何度も戻りますけれども、グローバル化の社会であり、例えば英語であり、いろいろな言葉を使うとしても、考えるベースというのは、やはり国語に返ってくるわけですね。国語の能力というものがきちっとあった上でのグローバルじゃないかなと常々私は思っておるんです。

 けさ、予算委員会の分科会のもう一つ、外交の方にも出席させていただきました。そこで、現場の外交官の方、それから外交に携わる方の直接の現場でのお考えというところと母国語、そして英語という関係をお聞きしましたところ、最終的に、本当の意味でのやりとりをして深めていくためには、やはり自分のところの国語がきちっとできていないと、そこが勝負のところだという、我が意を得たりということだったんですけれども、そういうのは現実であろうと思います。

 教育再生のところでの英語の重要性、私は、当然それはそうだと思っています。けれども、これを推し進めるためには、やはり、今ほど副大臣からいただいたように、基本としての国語というものをきちっと、より重要性を認識した上での、積み上げとしての英語という学習、こういうところに踏み込んでいただきたいなというふうに考えておるところでもございます。

 次の質問です。

 教育再生実行会議の第一次提言を受けてということになりますけれども、道徳というものです。

 道徳の時間を特別の教科として位置づけるということであります。学校現場において、道徳というものは、先ほど話しました論理ですとか、考え方ですとか、こういうことともつながってくるわけですが、実効性のある指導をしていただきたい、こういうふうに思うわけで、この提言を受けて、どのような改善が必要と考えているのか、お聞きします。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 道徳教育を充実し、各学校において一層実効性のある指導を行っていくということは、極めて重要なことというふうに考えております。

 このため、文部科学省におきましては、教育再生実行会議の提言や中央教育審議会の答申を踏まえまして、小中学校等における現行の道徳の時間を特別の教科、道徳という形で新たに位置づけることといたしまして、今年度中に学習指導要領の一部改正等の告示を行いたいというふうに考えているところでございます。

 この改正案のポイントは、いじめ問題への対応の充実、あるいは発達の段階に応じた体系的な指導とするための内容の充実、さらには、問題解決的な学習を取り入れるなどの指導方法の工夫を行うということでございます。

 この改正によりまして、発達段階に応じて、必ずしも答えが一つでない道徳の問題に向けまして、先ほど先生も、国語教育の充実の御指摘もございましたが、道徳におきましても、考え、議論する道徳教育に転換していくことが重要であるというふうに考えておりまして、そうした実効性のある道徳教育の指導に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(豊)分科員 道徳というところを教え始めるのはいつなのかという時期的な問題というのも当然あるとは思うんですけれども、このあたりについて、当然、考えるということは一番大切なことです。そして、それが論理につながっていく、そして、それがいじめ等さまざまな問題を防ぐための力になるということはよくわかります。

 そうなんですけれども、今回の教育再生というところで、道徳というものの重要性が、いきなり考えるとかそういう方向に進んでいるのか、今の御答弁の中では、どんな感じだったかちょっとよくわからなかった部分があるので、道徳というものの初期段階での位置づけとか、そういうことについての考えがあれば、お聞きしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 道徳教育が重要であることは論をまたないところでございまして、小学校一年生の段階から、発達の段階に応じて道徳教育を行っているわけですけれども、課題としては、やはり、学校や教師間の指導のばらつきが大きかったり、あるいは、学年が上がるにつれて、子供たち、児童生徒の受けとめがよくなかったり、あるいは、今、道徳の時間があるんですけれども、教科でないということで、ややもすると軽視されたりということがございます。

 そうしたことから、中央教育審議会におきまして、道徳の時間を特別の教科として、検定教科書も導入する形でしっかりとした道徳教育を行っていきたいと。その場合、価値観の押しつけではなくて、今言いましたように、課題解決型の、考え、議論する道徳教育という形で、より子供たちにしっかりと身につくような道徳教育を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)分科員 本当に、小学校一年生からということであれば、当然、価値観ということ以前に、何よりも現場のことを考えますと、道徳という教育の時間をきちっと現場でとっている、そして、静かな環境で、道徳の本来目指すべき、お互いに配慮する、あるいは全体の中での空気をきちっと読める、こういうようなことを肌で感じさせていくところから始めなくちゃいけないというふうに、特に低学年については、私はそう思います。

 そういう意味で、道徳を特別の教科として位置づけるということは、現場においても、道徳を伝えるにふさわしい、そういう環境が用意されるということについてぜひ御配慮いただきたいというふうに考えるところでございます。

 それでは次に、教育再生実行会議の検討状況ということで資料をいただいておりますが、第五次提言までは矢継ぎ早に出てきていて、そして、その後に、昨年、分科会を設置された。その中で、三つの分科会の第二分科会の方から、六次提言というものが、つい直前、三月四日ですか、出されたというふうにお聞きしていますので、この第六次提言のことについて少しお聞きしたいと思います。

 第六次提言の中で、地域を担う人材の育成ということに焦点が当てられております。私自身は、教育というものこそ、生まれ育った地域と、そしてそこで育つ人間、人間の根っこということを考えるならば、当然そこに力を入れるべきであり、教育というものはそれを踏まえた上でなされていくべきものだ、こういうふうに考えております。

 六次提言で、具体的に、地域を担う人材の育成ということについてどのようなことが提言されているか、お聞きしたいと思います。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次提言では、地方創生の成否は人材にかかっており、教育の果たす役割は大きく、地域を動かすエンジンの役割を担うといった認識に立ちまして、小中学校等や大学における人材育成、文化、スポーツによる地域活性化策と連携した取り組みについて提言をいたしております。

 具体的に申し上げますと、学校は、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、志の高い人材を育成する観点から、郷土の先人、歴史、文化等を取り上げたさまざまな教材の活用など、地域に誇りを持つ教育や地域貢献の意識を涵養する教育を充実すること、コミュニティースクールについて、制度面の改善や財政面の措置も含め、抜本的な方策を講じるとともに、コミュニティースクールの仕組みの必置について検討を進めること、地元企業への就職等を行う者を対象に、奨学金の優先枠を設けたり、返済額を軽減したりする措置を講ずること、地域スポーツコミッション等の活動を促進し、スポーツ大会やアスリートなどのスポーツ資源を活用した地方創生の取り組みを推進すること、新たに日本遺産を認定する仕組みを創設したり、劇場、音楽堂における文化芸術活動の活性化など、文化資源を生かした地方創生を推進すること、こういったことが提言に盛り込まれております。

吉田(豊)分科員 今ほど、地域、郷土を大切にするというところの中で、地域住民それから保護者等がかかわっていくコミュニティースクールというものを重視していきたいというところなんですけれども、これは、私、自分自身のことで考えますと、富山県富山市というところでございますが、それぞれの地域に学校がもちろんあって、学校のもとに自治振興会というものがあって、そして私のところでは、校区と言わずに校下、何々校下という形で言っている伝統がございます。

 それは今のお考えに非常に合致するというか、学校というものがあって、特に小学校というところが全ての人にとっては基本、教育上の根っこになっていくだろう、こういうふうに考えるんですけれども、私が申し上げるようなことが全国的でないのかなというふうな考えもありましたので、ぜひ、このコミュニティースクール化を図るというところの背景についても少し教えていただきたいなと思います。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、現在、全国的には、コミュニティースクールの取り組みがまだ大きく進んでいない地域がございます。こういったことを念頭に、会議におきましては、コミュニティースクールの一層の拡大を加速する必要があるだろうというような観点から、そのためのさまざまな制度面の改善等の提言が行われております。

 また、このために、地方公共団体においても、国の支援策を活用して、全ての学校においてコミュニティースクール化を図ることを目指す、また、学校と地域をつなぐコーディネーターを配置すること、小中一貫教育の取り組みと連携して進めることなども例示をしておりまして、こうした形で人的ネットワークをつくることによりまして、地域課題解決や地域振興の主体になることも目指すということを提言させていただいております。

吉田(豊)分科員 そうしますと、このコミュニティースクールという概念というか考え方というのは、具体的な箱をイメージしているものではないということですか。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるコミュニティースクールにつきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、当該学校の所在する地域の住民や当該学校に在籍する児童生徒の保護者等で構成される委員が当該学校の運営に関して協議する機関を置く学校ということでございまして、箱物というよりは、そういった組織をしっかりつくっていこう、そういうような考え方でございます。

吉田(豊)分科員 非常にいい考え方だと思います。あるものを使って、そして、そこからきちっと地域というものをつなげていこうと。

 私自身が思いますに、教育というものの果たすべき役割の重要性の一つとして、一人一人の人間がやはりどこかに所属しているんだという所属意識というものを自然に植えつけていくということは大切なことではないかなと思います。

 なぜならば、やはり人間というのは一人で生きているわけではなくて、いろいろな人に助けていただいて生きているという当たり前のことに気づかなくてはいけない。そのためには、何らかの形の、所属しているという、それが、例えば今ほど申し上げている小学校単位の学校であったり、あるいは地域であったり、そして郷土であったり、日本という国家であったり、こういうふうな話だと思います。

 教育再生というところの中でこの話が出てきているというのは非常にポイントを得ていると思いますので、ぜひ、このことについても強力に推し進めていただきたいというふうに思うところでございます。

 次に、六次提言の中で、全く別の話になりますが、学び続ける環境というところにも焦点が当てられております。

 特に日本の場合は、小、中、高、大学という形で、年齢によって期間が大きくはっきりと区切られている、今までの歴史でいうと、そうなっているなと思うんですけれども、アメリカにしばらく行ったという私自身の経験とかからしましても、やはり、地域によっては、学校に、特に大学なら大学に入って、それからいろいろな事情で途中で出ても、また学び続けられるというところは非常に進んだ制度だなというふうにも感じるところがありました。

 この六次提言の中の社会人の学びについてという提言がございます。この内容についてお聞きしたいと思います。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次提言では、今後、急速な経済社会の変化や技術革新の進展により、職業のあり方がさま変わりしていく中で、生涯を通して社会で活躍していくためには、一たび就職した後も、生涯で何度でも教育の場に戻って学べる環境の整備が重要である、このような認識に立ちまして、取り組むべき方策について提言をしております。

 具体的には、大学、専修学校等は社会人等のニーズに応じた実践的、専門的な教育プログラムの提供を推進すること、国においてそうした実践的、専門的プログラムを認定、奨励する仕組みを構築すること、大学等でのEラーニングを活用した教育プログラムの提供を推進すること、特に放送大学において資格関連科目の増設、オンライン授業科目の開設等を推進すること、社会人の学びに対する経済的支援のため、日本学生支援機構の奨学金や教育訓練給付金制度の活用を推進すること、また、社会人のニーズに合ったさらなる方策を検討し、支援の充実を図ること、こうした取り組みに最も関係の深い文部科学省と厚生労働省との検討の場を速やかに設置し、事業主の協力も得て、一旦仕事を離れ、あるいは仕事と両立しながら学んだりできるようにするための支援策などを検討すること、こういったことが提言に盛り込まれております。

吉田(豊)分科員 ぜひそういう環境の整備に具体的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 提言が続きますが、第六次提言の大きな項立ての中に、多様な人材が担い手となる全員参加型社会へというところがございます。この全員参加型社会へというところのイメージがとりにくいなと私は思っておりまして、これは具体的にどのようなことをおっしゃっているんでしょうか。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次提言では、年齢や性別、障害の有無、不登校や中退経験の有無、生まれた家庭の経済状況などの環境、さらには都市と地方の違い等を超えて、多様な経歴を持った人々が社会の担い手として能力を発揮できる社会を全員参加型社会と捉えております。

 今回の提言では、我が国社会がこれからも持続的な成長を続けるためには、現役世代の男性中心の労働だけでこれを支え得るものではなく、こうした全員参加型社会の実現が不可欠である、このような認識に立って、取り組むべき方策を提言しております。

 具体的には、女性のスキルアップと職場復帰等を支援するプログラムや大学における保育環境の整備、大学の休学、在学期間の弾力化の推進、高齢者の活躍支援のため、シニア層に向けた教育プログラムの推進、障害のある子供が可能な限り障害のない子供とともに教育を受けられるよう、特別支援教育支援員等を充実し、教師の専門性の向上を推進すること、不登校、中退、ニート等の若者への支援を強化し、フリースクール等での多様な学びへの対応を含めた不登校対策を講ずること、また、貧困の連鎖を断ち切るため、夜間補充教室などの学習支援の取り組みを支援、促進したり、子供の成長段階に応じた経済的支援を充実すること、こういったことで全員参加型社会を目指していこう、そういうような提言になっております。

吉田(豊)分科員 お聞きしますと、そのとおりだなと思いますし、また、当たり前のことだなというふうに思うところでもございます。

 特に、多様性を認め合うというところになりますと、当然、いろいろな環境、いろいろな条件の方がいらっしゃる中にあって、これを認めていくというのは当たり前のことですし、それを認めた上で、しっかりとした一つの秩序があるというところは忘れないで、これについて進めていただきたいなというところでもございます。

 そして、全員参加型社会のところのもう少し細かいところになりますけれども、高齢者等の活躍を支援する、こういうふうな項目も提言されているところでございます。これは、具体的には、教育と高齢者というところを考えたときに、どのようなことをイメージすればよいでしょうか。

高橋(道)政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次提言では、生涯現役で活躍できる社会を実現する観点から、高齢者の捉え方を見直し、その知識経験などを社会に生かしていくことが全員参加型社会を実現していく上で極めて重要である、このような認識に立っております。

 具体的な政策といたしましては、地方公共団体、社会教育施設、大学等の連携によるシニア層向けの教育プログラムを提供することや、地域活動と連動した学習の仕組みづくりなどにより、人材のマッチングも含めて高齢者の社会参画を促す仕組みを構築すること、企業のミドル、シニア社員の退職後の地域での活躍のきっかけづくりのため、地域の活動に現役中から参画できる仕組みづくりを推進すること、また、ベテラン教師の大量退職が進む中、その指導技術等を若手教師に継承したり、実験、実習など多様な教育活動の充実を図る観点から、学校における退職教師の積極的な活用を推進すること、このようなことが提言されております。

吉田(豊)分科員 おっしゃるとおりですし、この高齢者の方々の学びというものは、私は、やはり一つきちっと区切りをつけた上での学びに入っていただくべきじゃないかな、こう考えているわけです。

 なぜかといいますと、昨今の若者は頼りないということをおっしゃる部分もあって、そして、高齢者の方は元気だから、例えば働く場においてもいろいろな場所においても、まだまだ頑張らなくちゃいけないという、あるいは頑張っていただきたいという声も、現場とすればあると思うんですね。でも、それをそのままにして認めていると、それでは、若い者はいつになったらその全てを任されて、そして期待されるような本当の仕事ができるところに行くのかという部分もあります。

 そういう意味で、私は、教育再生でこの高齢者等の活躍支援という言葉というのは、誤解されないように、一つの大きな仕事をなさっていただいた上で、そして、改めてその御経験をきちっと学びという場において整理なさって、それを次の代につなげていく、そういうための応援であり、高齢者の方々の活躍をお支えしたい、こういうふうな理解であると私も感じますので、ぜひそのように進めていただきたい、こういうふうにも思うところでございます。

 幾つか、この第六次提言のところで気になるところをお聞きさせていただきましたが、私は、やはりこの提言のおっしゃっているところは、今にふさわしい、非常に大事なところを押さえていらっしゃる、こう思うわけです。

 その上で、当然、教育というものは、それぞれの人にそれぞれの機会を同じようにお渡しして、そしてそれぞれに学んでいただく、主体性というところだと思いますので、ああだこうだと言って枠をはめるのは間違っているというふうには基本的に思います。

 その上で、何でもいいんだよということでは決してなくて、足りないところについてのこういうさまざまな提言があるというところを最終的にはどのように生かしていくのかということこそが大切な現場での仕事じゃないのかなというふうに思いますので、ぜひ、この後の、提言なされたものについて具体的にどうなっていくのかというところを私自身も注視して、その政策を応援してまいりたい、こういうふうに思うところでございます。

 せっかく副大臣がお越しですので、ちょっと私、幾つか自分の主張みたいなことも申し上げましたけれども、御感想等あれば、お聞きしたいと思います。

丹羽副大臣 吉田委員からすばらしい御提言をいただきました。

 まさに委員おっしゃるように、学び直し、もしくは全員参加型の社会づくりのための教育というのは、これからの多様性を迎える中で非常に重要なことだと私も考えております。そのためには、やはり我々大人が、子供の教育に対してもしっかりと責任を持って、また、子供の教育による格差、そういったことも是正できるような形をとっていくことが大事だと思います。

 またよろしくお願いしたいと思います。

吉田(豊)分科員 こちらこそ、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。終わります。

平沢主査 これにて吉田豊史君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時二十九分散会


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