衆議院

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第1号 平成16年3月1日(月曜日)

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本分科会は平成十六年二月二十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      植竹 繁雄君    尾身 幸次君

      滝   実君    石田 勝之君

      生方 幸夫君    細川 律夫君

二月二十七日

 植竹繁雄君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十六年三月一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 植竹 繁雄君

      滝   実君    保坂  武君

      生方 幸夫君    田島 一成君

      細川 律夫君    松崎 哲久君

      三日月大造君

   兼務 小宮山泰子君 兼務 橋本 清仁君

   兼務 肥田美代子君 兼務 古本伸一郎君

   兼務 松野 信夫君 兼務 室井 邦彦君

   兼務 若井 康彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務大臣政務官      松本  純君

   財務大臣政務官      七条  明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            武智 健二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   鈴木 康雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         中條 康朗君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           糸川 昌志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           藤井 章治君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     原田 令嗣君

  石田 勝之君     松崎 哲久君

  生方 幸夫君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  原田 令嗣君     早川 忠孝君

  田島 一成君     三日月大造君

  松崎 哲久君     石田 勝之君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     保坂  武君

  三日月大造君     長安  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  保坂  武君     尾身 幸次君

  長安  豊君     生方 幸夫君

同日

 第一分科員肥田美代子君、第三分科員古本伸一郎君、室井邦彦君、第四分科員小宮山泰子君、第六分科員橋本清仁君、松野信夫君及び第七分科員若井康彦君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

植竹主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました植竹繁雄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うこととなっております。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 平成十六年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十七兆九千七百四十四億九千五百万円であります。

 今日の我が国を取り巻く厳しい情勢のもとでは、引き続き構造改革をスピード感を持って実施することにより、デフレ不況を克服しつつ、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくり上げていくことが必要であります。本予算は、これを踏まえ、行政改革、地方分権、IT政策などを重点的に推進するとの考え方に基づいて取りまとめたものであります。

 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

植竹主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細の説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

植竹主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

植竹主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

植竹主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎哲久君。

松崎(哲)分科員 おはようございます。

 民主党の松崎哲久でございます。

 昨年十一月に初当選をいたしまして、本日が初めての質問機会となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ただいま大臣から予算について御説明がございましたように、本日は、総務省所管の予算について質問させていただく場でございます。初当選、初質問ということもございまして、まず、私が代議士となりました原点と申しますか、代議士になる前の選挙の際に感じましたことを取り上げまして、御質問させていただきたいと思います。もちろん、総務省の所管でございますし、予算に絡むことでございます。

 実は、私は、大臣御存じかどうかわかりませんが、選挙を四回やっております。苦節十一年、三回落選の末に今回初めて当選させていただいたんですが、昨年の総選挙の際に初めて見まして、大変に驚いたものがございます。

 候補者や運動員が選挙期間中に選挙運動に使用いたします電車などのパス、特殊乗車券というんですが、制度はもちろん知っておりました。しかしながら、私自身が実物を手にしたのは初めてだったんですが、大臣はこのパスをごらんになったことがございますでしょうか。また、御自身で使用されたことがございますでしょうか。

麻生国務大臣 存在は知っております。見たことはありません。使ったこともありません。私のところは余り使う機会がないんだと思いますが、使うことはありませんので。

松崎(哲)分科員 率直な御答弁を伺いまして、感謝申し上げます。

 選挙運動は自動車でするというのが昨今でございますから、当然、見たことも使用したことも、まして候補者自身が使用したことがないのは普通だと思うんですけれども、それでは、想像と申しますか、大臣の陣営ではどのくらい使用されているか、例えば回数でも結構ですし、額に換算しても結構でございます、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 私の知っている範囲で、うちの選挙区内で使っているのは、これはたしか十五枚もらえるんだと思いますけれども、うちで使っているのはいないと思います。

松崎(哲)分科員 それでは、大臣、使っていらっしゃらないということは、これは候補者の陣営が請求はできるんですけれども、請求をされていないということだというふうに理解してよろしいのかなと思いますが、実は、これが実物でございます。もしよろしかったら見ていただければと思うんですが。

 特殊乗車券というのは、こういう定期券のようなものですね。実際に定期券を代用しているんですけれども、金額が書いてございます。私の場合は、これは一万七千二百九十円という金額が書いてあるんですが、そこで、私が思いましたのは、金額が書いてあるということは、ひょっとして鉄道会社にこの料金を支払っているんだろうかというふうに思いました。

 実際は、大臣と同じように私のところも使用しないんです。私のところは十五枚請求はいたしまして持っておりますけれども、ひどいときには事務所の机の中に眠ったままのこともあるんですね。私の場合、交通渋滞を避けて隣の駅に移動するときとか、スタッフが県庁の選管へ行くときとか、最終日の打ち上げのときには大人数で移動したりしますので、そういうときに使わせていただいてはおりますけれども、大体、累計で数千円程度、多くても一万円程度、金額に換算すれば、使ったのはそのぐらいの数字ではないかと思うんです。

 これに対して、私の場合ですが、一枚一万七千二百九十円掛ける十五枚、合計二十五万九千三百五十円分のパスが交付されていることになるんです。もちろん、これは候補者の数だけ出ますから、私の選挙区では三人立候補いたしましたので、全員が請求したとして、一選挙区で七十七万八千五十円、こうなるんですが、大臣の場合、計算上で結構なんですが、福岡八区の場合、幾らになるでしょうか。大臣は御存じなくて結構なので、選挙部長さん、お願いいたします。

高部政府参考人 特殊乗車券の運賃につきましては、鉄道とバスで異なりまして、また鉄道の運賃は、御案内かと思いますが、都道府県内の旅客営業キロ数に応じて定められているところでございます。

 それをどう選ぶかというのは、各候補者が選ぶということになっておりまして、十五枚の特殊乗車券のすべてをJRで利用したというふうに仮定いたしますと、大臣の場合でございますが、今おっしゃられた額と同額になりますので、二十五万九千三百五十円、都道府県内の営業キロ数が同じでございますので、一枚当たりは同じということになりますので同額になるということになります。

松崎(哲)分科員 県内の営業キロ数は同じだと。私は埼玉県で、大臣は福岡県なんですけれども、全く同じというのはちょっと解せないんですが、上限が決まっているとか、そういうようなことでしょうか。

高部政府参考人 この特殊乗車券の発行方法につきましては国土交通省の告示で定められているところでございまして、鉄道、軌道の場合は三ランクでございまして、都道府県内の営業キロが二十キロまでのもの、それから二十キロを超えて五十キロまでのもの、五十キロを超えるものという三段階で金額が決められておりますので、埼玉県と福岡県、同じ額になるということでございます。

松崎(哲)分科員 事情はわかりました。

 もう一度確認させていただきたいんですが、営業キロ数に応じて金額が定められている。そうすると、JRの場合でも私鉄の場合でも同じということなんでしょうか。

高部政府参考人 鉄道、軌道につきましてそのように定められておりますので、同じでございます。

松崎(哲)分科員 それでは、基本的には、二十五万九千三百五十円掛ける三百小選挙区というような感じで計算してよろしいかなと思うんですが、念のために伺いたいんです。この金額の計算なんですけれども、これは一カ月と書いてあるんですけれども、日数を掛けてあるということでしょうか。

高部政府参考人 この特殊乗車券は、選挙時の使用でございますので、選挙の一定期間の利用を前提にしておりますので、それぞれ、十五枚の後払証で、一枚もらいますと、それ一枚につき幾らという払い方でございます。

松崎(哲)分科員 先ほど大臣にお見せしましたけれども、この実物なんですけれども、有効期限が十一月十四日までと実は書いてあるんですけれども、投票日は十一月九日でした。選挙運動は当然八日までしかできないわけなんですが、これが十四日までというふうに書かれてある、それまで有効だということの根拠といいますか、理由といいますか、ございますでしょうか。

藤井政府参考人 お答えを申し上げます。

 制度の沿革は非常に古いわけでございますが、さかのぼって調べてまいりますと、昭和二十四年、国鉄が発足いたしました当時に、乗車券の通用期間の延長の期限が五日間というふうに定められておったところでございます。

 これに基づきまして、昭和二十五年の公職選挙法の施行に伴う公職の選挙立候補者用特殊乗車券の発行方法等を定める件の告示に際しましても、この通用期間が選挙期日後五日を経過する日までというふうに通用期間を適用したものでございまして、これは当時の、旅行終了までの必要日数とか、あるいは列車の運行状況とか、乗車距離、あるいはまた不測の列車の不通といったようなことを勘案して、最大限とって五日間というふうにしたものだと推定しておるところでございます。

松崎(哲)分科員 わかりました。それについてはちょっと申し上げたいこともあるんですが、時間も限られておりますので、そのことはとりあえず打ち切りまして、この費用は、だれがだれに対して払っているんでしょうか。少なくとも候補者は自分自身では払っていないということでございますが。

高部政府参考人 ちょっと手続を御説明いたしますと、特殊乗車券は、先生御案内だと思いますが、選挙長が公職の候補者旅客運賃後払証というものを交付いたしまして、これと引きかえに候補者に交付するということになっております。

 この特殊乗車券を交付いたしました鉄道事業者でございますとかバス会社等は、旅客運賃後払証を添えまして総務省に後払い運賃を請求するという仕組みになっておりまして、この請求を受けまして総務省は、事業者の別、後払証の枚数を確認いたしまして支払いをするという形になっております。

松崎(哲)分科員 総務省が最終的にお払いいただくということですから、つまりは国民の税金ということだと思います。

 私は、このパスの実物を見まして、これはおかしいんじゃないかなと思ったのは、この金額が、実際に我々がといいますか、陣営が使用した金額ではなくて、一定の金額があらかじめ定められていて、その全額が、バスなども含めてですけれども、鉄道会社に払われている。とすると、何かそこにやはりむだがあるんじゃないか、こういうふうに思ったわけなんです。三回過去に選挙している間、そのむだを知らずにいたのは、私自身も不明ではございますが、まさかという思いをそのときしたわけでございます。

 この金額、総務省さんが最終的にお払いになりました金額、総額では一体幾らになるんでしょうか、二十五万強の全体の金額というのはどうなりますでしょうか。

高部政府参考人 平成十五年十一月九日に執行されました衆議院議員総選挙におきます特殊乗車券の後払い運賃として、現在までに、現時点でございますが、請求を受けた金額は約九千九百三十万円でございます。

松崎(哲)分科員 確認いたしますが、今のは小選挙区だけということでございますね。比例区にパスはないということと承知しておりますが。

高部政府参考人 衆議院の場合におきますれば、比例代表選挙におきましてはパスはございません。

松崎(哲)分科員 参議院の選挙、それではどうでしょうか。ことしは参議院の選挙がございますので、当然、十六年度予算に計上もされていると思うんですが、選挙区と比例区とに分けてお答えをいただければと思います。

高部政府参考人 参議院の選挙区選挙の特殊乗車券の制度は、衆議院の小選挙区の制度と同じでございます。

 それから、参議院の比例代表選挙の特殊乗車券につきましては、非拘束名簿式の選挙制度が導入された際に、名簿登載者を対象として創設されたところでございまして、全国を区域とするというような事情もございましたので、特殊航空券も交付、要するに飛行機ですね、飛行機も使えるようになっているということと、それから特急料金も含む急行料金、選挙区の場合ですと乗車賃だけなんですが、急行料金も無料となるといった点で若干制度が異なっているところでございます。

松崎(哲)分科員 質問なんですけれども、その選挙区、比例区の場合、ことしの予算でも結構ですし、三年前の選挙の実績でも結構ですが、金額、選挙区、前回も非拘束式だったと思いますが。

高部政府参考人 参議院選挙の実績を申し上げますと、十三年の参議院選挙の実績が手元にございますので申し上げさせていただきたいと思いますが、概算で申し上げますと、比例代表の分が約一億円でございます。それから、選挙区選挙の分が約四千七百万円でございます。

松崎(哲)分科員 ありがとうございます。

 以上で事実関係は大体わかりましたので、次は大臣に質問させていただきたいと思うんです。

 このパスの制度は、広く申せば選挙公営ということになりますけれども、いつ、どういう趣旨で始まったのか、パスについてとその他に分けて御答弁いただけたらと思うんですが、大臣には細かいことは余りお伺いするつもりはございませんので、選挙公営の目的とか意義といった点、できればお願いしたいと思います。

 それから、時期等については、選挙部長さん、また補足で御答弁をいただければと思うんですが。

麻生国務大臣 これは、それこそもう大分前の話で、松崎先生が生まれる前、昭和二十三年、議員立法で導入をされておる経緯があります。当時は今と違って、物というか、車自体も、ほとんど選挙で使っている方は裸トラックを使っているような時代でしたので、今のような時代とは全然違いますし、交通もほとんど鉄道に頼っているところが極めて多かったという時代にできておりますので、多分それが時代背景としては大きかった。

 もう一つは、極めて敗戦直後の混乱の時期で、貧しい時代でもありましたので、選挙に要します金の制度やら何やらが、今のような政党助成金もありませんし、いろいろな意味で形が全然違っていたと思います。そういった基本的なことに関しては、ある程度援助、補助というものをやった方がより公平ではないか、多分そういう哲学がその背景にあったと推定をされるところだと思いますけれども、細目につきましては承知をいたしておりません。

高部政府参考人 大臣の答弁を補足させていただきたいと思いますが、選挙公営制度はどういう目的かということでございますが、選挙の公営は、国または地方公共団体がその費用を負担いたしまして、候補者の選挙運動を行ったりあるいは候補者の選挙運動の費用を負担する制度というものでございます。

 公職選挙法は、選挙運動について種々の規制を加えているわけでございますけれども、そういう中でありましても、選挙にはなお多額の経費を要して、それが選挙の腐敗につながるおそれがあるといったようなこともございます。そこで、金のかからない選挙を実現するとともに、候補者間の選挙運動の機会均等を図る手段といったようなことで選挙公営制度が採用されているものでございます。

 歴史をたどりますと、随分いろいろな歴史がございまして、一番古いのは、はがきの利用というのが大正十四年に始まっておりますが、その次に、今問題になっております制度等をあわせまして、昭和二十三年に公営の制度がいろいろできておるわけでございます。その後、昭和五十年あるいは平成四年といった形で公営の制度が充実されてきているというような状況でございます。

 特殊乗車券につきましていいますと、今大臣から御答弁ございましたけれども、昭和二十三年、議員立法でされたところでございますけれども、それ以前にも、事実上の措置として、国有鉄道については割引乗車券が発行されていたようでございますが、この法律におきまして、これを法律上の制度といたしまして国有鉄道以外の交通機関にも及ぼしまして、かつ全額国庫負担したものと承知しております。これが昭和二十五年に公職選挙法が創設された際にも引き継がれまして、衆議院の選挙に加えて参議院あるいは都道府県知事の選挙にも適用されるようになったというような経緯でございます。

 特殊乗車券の制度につきましては、広い選挙区を通じまして活発な選挙運動を行うためには、あらゆる交通機関を一〇〇%活用しなければならない候補者にとって交通費が大きな負担となっていたというようなことで、これを公費で負担するという趣旨で創設されたものと承知しております。

 なお、この制度の導入とあわせまして、選挙運動用自動車等の使用台数の制限が図られておりまして、選挙運動用自動車等の乱用により選挙運動費用が多額になることを防止するといったことも当時の提案理由には言われているところでございます。

松崎(哲)分科員 選挙公営の意義というのは、今の大臣の御答弁それから選挙部長さんのお話のとおり、その意義というのは広く認められてしかるべきだと思っております。公営による補助があるからこそ、資力にかかわりなく、また集金力にもかかわりなく、真摯に政治を考える者が立候補できるという民主主義の根幹だと思いますから、この制度は当然維持されてしかるべきだと私は思っております。

 しかしながら、そうであればこそ、むだな出費を省く必要があるのではないかというふうに考えます。特殊乗車券、この制度はその最たるものではないかというふうに思います。例えば、実際に使用した区間、使用した料金を実費で弁償するというようなことであれば、方法はいろいろ考えられると思いますが、むだを省けるのではないかというふうに思います。

 私はこのパスを見まして、一万七千二百九十円掛ける十五の二十五万九千三百五十円という計算をしたときに、恐らく二十五万円ぐらいはむだにしているんじゃなかな、こういうふうに思ったわけでございます。もちろん、自分自身が請求しなければいいんですが、十五枚を同時に使うというケースは実際あるわけですから、やはり使わせていただきたい。こういうふうに、制度としてはあった方がいいと思ったわけです。

 しかしながら、そのやり方、運営の仕方でもっとむだを省くことができると思いますので、当選したら、ぜひこの制度の廃止を提案したいというふうに思ったんです。ですから、本日、この第二分科会のトップバッターとして役を与えられましたことを大変うれしく思いました。

 大臣、ぜひこのむだを廃止する方向で御答弁をいただけないでしょうか。

麻生国務大臣 松崎先生御存じのように、これは議員立法でできていまして、閣法とは少し違いますので、総務省がやめるとかやるとか言うことはなかなか難しいところですので、これは一回、議運なりそういうところでお話をいただかないと、こちらの方としてはなかなか言えるという種類の法律ではないという点もちょっと御理解をいただいて、実費払いとかいろいろなやり方はあるような感じはいたしますし、むだは省くにしかず、当然のことだと思いますので、今の時代に合わせてみると、もうちょっといろいろなやり方があるのではないかという感じが私の率直なところです。ちょっとここは議運等々で一度この話を持ち出していただいても、これは知っている人は余りいないと思いますね、正直なところ。そういった意味ではいい指摘だと存じます。

松崎(哲)分科員 踏み込んだ御答弁、どうも大変ありがとうございました。

 ちょっと選挙部長さんに確認なんですが、今、大臣、これは議員立法だということでございましたが、改正につきましても議員立法だったんでございましょうか。

高部政府参考人 ちょっと今は手元に資料がありませんので、この種の公営制度の改正がすべて議員立法でやられているかどうかはわかりませんけれども、この種の選挙運動のルールづくりといいますか、公営のルールづくりにつきましては、やはり土俵づくりのようなものもございますので、各党間でいろいろ御議論をいただいて対応するというのがこれまでの通例だというふうに承知しているところでございます。

松崎(哲)分科員 先ほど、衆議院の小選挙区についてはパスがあって比例区はない、参議院は選挙区も比例区もある、比例区は非拘束名簿になったときにあるということでございましたね。

 それで、衆議院の比例区の場合も、政党選挙だからないという前提だとは思うんですけれども、やはり活動としては個人名で選挙をしていることになるわけですので、例えば昔の参議院拘束名簿式のときには、個人名でたすきをかけたりという選挙運動はできなかった。しかしながら、今の衆議院の比例の場合には、個人名でもたすきをして重複立候補して活動できるわけですから、この選挙区についてはないということについては整合性がやや欠けているんじゃないかなと思う部分もございます。

 もちろん、私は、先ほど選挙部長さんの御説明の中にありましたが、参議院の比例区のようなところについては実際にかなり費用がかかるわけですから、やはり相当額、むしろパスといいますか、公営の制度があってしかるべきだったと思います。

 いずれにいたしましても、大臣の御答弁にございましたように、時代状況が大分変わりまして、歴史的意義も薄れてきているテーマではないかなというふうに思っておりますので、この点につきまして、大臣御指摘のように、各党間でというようなお話でございました。これはまた私の今後の活動として努力をしてまいりたいと思います。

 最後に、私の質問の趣旨は、必要なものは出す、むだなものは省く、こういう観点で、たとえ小さなものでも見直してまいりたい、それが私の議員活動の原点なんだということを、大臣それから総務省の方々、国土交通省の方々、そしてまた委員の各位にもぜひ御理解いただきたいと思います。

 これを廃止という方向に持っていければ、衆議院の選挙につきましては一億円の国費が省略できるということでございますし、また参議院につきまして、仮に選挙区だけ廃止したとしても、やはり約五千万円むだが省けるということですから、そういう意味では、この質問をさせていただきましたことを機会に、ぜひ総務省さんの方も、いろいろ資料をおそろえいただくことを含めまして、議員立法ということであれば、議員の立法活動にぜひ御協力も賜りたいというふうに考えております。

 きょうは私の初質問でございまして、全くふなれなことでございまして、委員長にも御迷惑をおかけいたしましたけれども、御協力いただきまして、どうもありがとうございました。大臣にも踏み込んだ御答弁をいただきまして、大変ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

植竹主査 これにて松崎哲久君の質疑は終了いたしました。

 次に、田島一成君。

田島(一)分科員 滋賀二区選出の田島一成でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、今分科会で、今地方で大きな議論を巻き起こしております市町村合併につきまして、大臣以下総務省の皆さんにお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まず最初に、合併特例法の施行以来、現行三千三百の市町村の体制下で法定協議会の設置状況が既に調査をされています。本年一月一日現在で、法定協議会そして任意協議会を設置している市町村が千八百を突破した、また全市町村の七〇%というふうに公表されておりますけれども、その一方で、明らかになっていない、これまでに解散された法定協議会の数ないし任意協議会の数がわかりましたら、お示しいただきたいと思います。

大野政府参考人 今の法定協議会の状況の一番新しいデータでございますが、五百十法定協議会がございまして、千八百八十九市町村、全国の市町村数、今は三千百三十五でございますので、六割を超える千八百八十九市町村が五百十の法定協議会に参加しているということでございますが、今御指摘の解散の例、実は法定協議会の解散についてのデータしかございませんけれども、十五年度になりましてから法定協議会の解散したケースが二十九ございます。その協議会に入っておりました市町村数は百二十六、こういうふうになります。

 それから、法定協議会の枠組みから離脱をする、諸事情がありまして一たん出てしまうという市町村もありました。これが、八市町村が離脱をしてしまったということでございます。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 解散の背景、もしくは離脱の背景というのは一概に言えないと思うんですけれども、もし主な理由で承知をしていらっしゃいましたら、お示しいただけませんでしょうか。

大野政府参考人 率直に言いまして、合併協議が進展をいたしてまいりますと、いろいろな協議項目をそれぞれ詰めていくわけでございますが、ぎりぎりのところになりますと、新しい市の名前をどうするか、それから、新しい市役所の位置をどうするか、これが最大のネックになるところが多いわけでございます。そういったことから枠組みが壊れてしまう、あるいは離脱をするという事態になっているものと思われます。

田島(一)分科員 よく一般的に言われますのに、新しい市の名前、もしくはその役所の位置が決まれば、もう九割合併は進んだようなものだというふうに言われるわけですけれども、それ以外に理由等を承知されているケースはございませんでしょうか。

大野政府参考人 これはなかなか表に出てまいりませんけれども、裏の理由の中に、新しい市ができます場合に、どういった方が新しい市の首長さんになられるかということについても、なかなか難しい問題があるようでございます。

田島(一)分科員 おっしゃるとおり、いろいろな状況、例えば、市長だけではなく、助役に各町長が入るとか、そういう話も結構出てきて、それがもう感情論になってしまって崩壊するケースというのが非常に多いのかなというふうに思います。

 今、お示しいただきました二十九の法定協議会の解散、それから百二十六市町村が入っているということ、それから離脱もあるということですけれども、この数字、単純に読み取られて、多いと評価されているのか、こんなものだろうというふうに評価されているのか、いかがでしょうか。

大野政府参考人 私どもは、一つの合併協議会も壊れることなく、最後まで合併成就のために御努力をいただきたい、こう思っておりますので、そういった観点からは多いということでございますが、今申し上げました数字の中で、新しい枠組みの市町村で合併しようというふうに考えられて新しく法定協議会を立ち上げるという例が約五割近くございますので、リターンマッチもあるということでございます。

田島(一)分科員 リターンマッチに期待もしたいところなんですけれども、タイミング的に、平成十七年度末、今度の新法でもう一年延ばそうという方向にあるやに聞いておりますけれども、それはタイミング的に十分間に合うと承知していらっしゃいますでしょうか。

大野政府参考人 今、大変厳しいタイムスケジュールになっているというふうに思っております。

 ただ、新法の問題、今いろいろ検討中でございますけれども、私どもは、単純に一年延長するとか、そういったことは考えておりませんで、少なくとも、これまで十七年の三月三十一日に向けて皆さん方はずっと努力をしておられるわけですから、経過措置は考えてみたいと思っております。

 十七年の三月三十一日までに、合併する市町村がすべて議決が終わりまして知事に申請をするというところまでいっていただきました上で、なお県議会での議決等いろいろな事務作業がございます。今見ておりますと、それが大体七カ月程度かかっておりますから、そういったところまで、申請まで持ち込んでいただいたものにつきましては、一年間程度、あらゆる合併に対する支援措置というものが使えるようにしようということでございます。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 自主的な合併をと言われながら、今おっしゃったように、平成十七年度末という期限の焦りなどから自治体も非常に焦っている。その焦りから、住民に対してきちっとした情報伝達、公開ができずに、住民サイドも、本当にいいんだろうかという不安から悩んでいる、同意が得られずに、結局解散に至ったり、離脱に追い込まれたというケースがあるやに承知しております。

 現在進行形の法定協議会であるとか任意協議会についても、今、こうした危険とは非常に背中合わせの状況にありまして、これから先、解散、離脱という数字がふえることはあったとしても減ることはないんではないかというふうに私も想像はしておるんですけれども、実際に、周りでは、合併の意向がありながら近隣の市町村に相手にしてもらえない自治体という存在がございます。この辺、どのように認識をしていただいていますでしょうか。

大野政府参考人 いろいろな地域の事情がございます。また、いろいろな理由から今委員御指摘のような問題があることも承知しております。

 財政的な問題、相当債務が多いというふうな町村もあるわけでございますし、それから、外海離島というふうなこともあって、どこに一緒になるべき中心となる市があるのか、こういったところもありまして、さまざまな事情がございます。

 そうした議論がありますものですから、都道府県がもう少し前面に出て何かできないかというふうなことを、実は昨年の十一月までの地方制度調査会でも議論がされたわけでございまして、これは今後引き続き検討するというふうになっているところでございます。

田島(一)分科員 そもそも地域性だとか住民感情等が全く違う同士が一つの自治体になる、いわば恋愛から結婚に至るまでのそんなプロセスによく例えられるように、その過程においては非常に混乱が生じるのは当然のことだというふうに思います。

 ただ、平成十七年度末という非常に厳しい日程、当初は余裕があったわけですけれども、結局駆け込み寺的に、いわゆる、もういい時期に来てしまったから慌てなきゃという焦りにも似た思いから、隣がだめだったらその反対側とかというふうに、もう何でも来いというような判断に陥っていらっしゃる、そんな首長さんの姿勢というのも実は近々でよく見せていただいているのも事実でございますし、焦りの部分では頭の切りかえが自治体もなかなかできずに、また、それに伴って住民もできていないというのも現状でございます。

 どんなに住民説明会を開催したり、また広報紙だとかホームページでPRをされても理解をしてもらえない、そんな御苦労、涙ぐましい奮闘を目の当たりにさせていただいているんですけれども、一番の悲劇としては、とどのつまり、もう合併目標を決めていながら、住民投票であるとか意向調査をして、その結果でどんでん返しを食らってしまうという結果が一番惨めだと思うんですね。

 情けない話を御披露させていただくんですけれども、実は私の地元の選挙区でも、県の合併重点支援地域指定を受けまして法定協議会を設置して、来年の二月に合併目標を既に定めてきたんですけれども、ついせんだっての住民意向調査の回答を受けて、彦根市ですけれども、彦根市の市長が合併断念をほのめかす、そんな発言をいたしました。結局、そのことによりまして、市内の市民はもとより、合併するはずだった近隣の三町までもが混乱に陥りまして、それこそ今日まで築いてきた市町村間の信頼関係であるとかコミュニティーにまで大きく溝、亀裂を入れてしまうというような状況が今出てきております。

 麻生大臣も、それこそ福岡県の地元でいろいろな市町村合併のパターンだとか事例をごらんになっていらっしゃることというふうに思いますけれども、こうした、究極、目前に迫って崩壊するというケース、この辺、事情であるとか背景を大臣として把握していらっしゃるかというふうに思うんですけれども、どのようにお考えなのか、また評価していらっしゃるか、お答えいただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 これは田島先生、町村合併に限らず、民間の会社も同じでして、合併直前でだめになった会社というのは実は数知れずありますし、編入、合併、いろいろありますけれども、事情がわかればわかるほど合併はできないという方向にいくところと、最初はそうでもなかったけれども、よくよくやってみたらその気になったとか、これは全国、ケースは実にたくさんありまして、十で合併する予定だったんだけれども三、三、四でいこうとか、これは実にいろいろあります。

 したがいまして、これが答えというものは正直言ってないんですが、私どもは、基本的には、今回の町村合併は、世の中、地方の時代とか、地域主権といって、地方に権限が渡されて自由裁量権がふえるという流れに事は進んでおるわけですから、そのときに、任されたはいいけれどもそれにこたえるだけの行政能力はない、財政能力もないというところ、いっぱいあるでしょうが。いっぱいありますよ。いい人だなというので町長なんかやれる時代じゃもうなくなっていますよ。間違いなく、町を経営するという才能がなかったらできない。そういうことになってきた。

 おまけに、行政手続オンライン化法なんという法が通って、全部インターネットでおりてくるときに、キーボードを見たらほろせが出るなんというような手合いばかり抱えた町役場で、国やら県から来た資料なんか、どうやってあけるのかもわからないんじゃ話にならぬでしょう。そういうところに、おたくはいるんですか。それだったら、こういうのをやめて、これを雇わないとえらいことになりますよと。やっと去年ぐらいから、おおということになって慌てて。これはもともとずっと前からの話でして、試験がないと試験勉強しないのと同じような話になっておるというような感じが正直なところなんです。

 実際問題として、今、いろいろな地域でいろいろごたごたしているとは思いますけれども、私どもとしては、これは、地域の時代に合わせてこういったことはやっていかぬと、最終的に迷惑するのはその行政サービスを受ける地方住民ということになろうと思いますので、その意味では、基本的には、合併ということによって地域の力をつけてもらう、一自治体の行政能力、財政能力を高めてもらうという方向は、流れとして正しいと思っています。

 今回は十七年三月三十一日ということで一応スタートさせていただいておりますが、二十八次の地方制度調査会というのが近々スタートいたしますので、その中においても、この十七年三月三十一日以降の方法については、いろいろ検討しなくちゃいかぬ問題だと理解はしておりますけれども、私どもとしては、今回は、一生懸命やってこられたところと全然これまで手をこまねいて何もしてこられたなかったところ、一緒の扱いというのは、それは一生懸命やられた方にとっては納得しがたいところだろうと思いますので、そういった意味では、十七年の三月三十一日という線はきちんと守ってやっていかなきゃいかぬものだと思っております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 今、民間企業のお話を引用されたと思うんですけれども、ただ、民間企業においては、上から圧力をかけられるケースというのはないわけですよね。現在の市町村合併というのは、あくまで総務省からの一定の話があった上でみんなこれは進んでおります。ですから、なかなかそれは同じような目線でとらえることは難しいんじゃないかなと私は思っております。

 その点はいいとして、今し方も大臣が御答弁くださいましたように、小さな自治体、町レベルの自治体においては、経営能力であるとか、また、いろいろな、財政規模の小ささ等から、合併の必然性というのは、皆さん、非常に緊張感を持って前向きにとらえていらっしゃいます。

 しかし、もう既に、例えば十万以上の自治体等になりますと、これ以上お荷物を抱えなくてもいいんじゃないかというような感情に流される住民が随分いて、対等合併であったにしても、いわば、吸収する側、される側というような感情で、全く住民意識が違ってきているんですね。私どもの地元の意向調査でも、明らかに、近隣の一万に満たない町の答えと十万以上の彦根市の答えと大きく違いが出ました。

 この辺のギャップをどう埋めていくかが、これからの総務省並びに都道府県の大きな課題だというふうに思うんですけれども、新法をつくられるに当たってどうお考えなのか、お答えいただけるでしょうか。

麻生国務大臣 彦根の例をとられましたけれども、これは近江、滋賀県の例ですけれども、この辺が彦根だと思いますが。まとまっているところ、まとまっていないところ、これは多分歴史もあったでしょうし、大体あの町長だからやりたくないとか、いろいろあるんです。私のところにいっぱいありますからよくわかりますよ。あいつは来年四月でやめるから、そうしたらその後合併しようとか、実にいろいろあるんです、こういうのが各県に。それは、表向きは別な理由がくっついていますけれども、裏の話はそれですから。だから、そういった話をまともに聞いていると、こっちもちょっとあほらしくてやっておられぬというような感じに正直ならないわけじゃないんです。

 いずれにいたしましても、こういった話は、感情論というのは、これはもう避けて通れませんから、財政論だけでやるというのには無理がある、私はそれは間違いなくそう思います。

 ただ、そういったことを含めましても、少なくとも、いろいろな地域地域、三千百三十五の市町村がありますので、その中で例が違いますから、それに対して、総務省としては、これでやれというような強制的なことをやるつもりは全くありませんし、その地域にとってやはりやった方がよかったなという結果を生み出さないとこれは意味がないと思っております。そこのところはやはり自主的にやっていただく、県も、そういったところでは、おたく、合併しないと将来えらいことになりはしませんかということでいろいろやる。

 それでもどうしてもという例が、この間出ました長野県だと思います。長野じゃだれもあそことはくっつきたがらないこともあったものですし、財政力指数の問題もあったでしょう、いろいろな問題があったんだと思いますが、彼は岐阜県といって、県境を越えて合併ということも、これはちょっと正直問題はありましたけれども、県境を越えて合併という線で話がまとまっておるという例もありますので、役所としては結構柔軟に対応していきたいと思っております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 そんな現状から、今回、新法が必要になってきたというふうに承知しておるんですけれども、この今回の改正案、拝見しておりますと、知事の権限を強化して、混乱時にはあっせん、また調停もできるようにするというふうに聞き及んでおります。

 確かに、懇話会、協議会の議論の最中では、県のリーダーシップを望む声というのも非常に多いんですけれども、私、もっと早くに、この知事の権限、それからあっせん、調停ができるようにするように手だてをするべきだったというふうに思うんですけれども、ちょっと遅過ぎたんじゃないかなというふうに思っておるんです。

 もっと早くから知事がリーダーシップを発揮していればよかったと思うケースが随分見られるんですけれども、なぜ最初から県が混乱解消に向けてできる環境整備というものに取り組まれなかったのか、その点をお答えいただけませんでしょうか。

麻生国務大臣 現行の特例法、新しいのじゃなくて現行の特例法におきましても、必要な助言ができるとか、いろいろな形で、情報提供ができるとか、必要な調整を行えるようになっております。

 今の法律でもなっておるんですが、これはかなり、口を出した知事さんと口を出さなかった知事さんの差は大きい。これは、知事さんの性格と言うのもなんでしょうけれども、いろいろその地域の事情にもよるんでしょうけれども、市町村の方がどんどんやっていったところもありますし、政令都市のところなんかは、政令都市を目指してふわっとまとめていった。変な言い方をすれば、政令都市になったらもっといいぞといって、隣の市であろうと何だろうと、おまえ、八十万を超えたら政令都市になれるというので、わあっと集めていった例というのもありますし、今度出ようとしている浜松などというのは、これは多分、県庁所在地の静岡市より浜松の方が大きくなると思いますね、あれは。

 そういった形の例もあります。これは、知事さんが別に言わなくてもどんどんやっていった。地域によっていろいろ違いますので、最後に、いよいよにならない限りは、知事に何とかしてもらおうじゃないかという地域の話に、そういう雰囲気になってこないとなかなか出てこないので、おたくの國松さんなら國松さんのところに頼みに行っても、あいつならどのみち何もやってくれぬじゃないかと市町村が思うか、國松ならやってくれると思うか、そういう信頼関係を含めて、これはなかなか、ちょっと一概にこれとは、田島さん、言いにくいところだと思います。

田島(一)分科員 おっしゃるとおり、四十七都道府県、それぞれカラーがありますし、もちろん知事さんだって四十七人四十七色でなかなか、それはおっしゃるとおり違うのであろうと思うんですね。

 ただ、当初、三年前に、自治省から各県に対して、県内の合併パターンを示せという指示を出されました。私、ボタンのかけ違いはここから実はスタートしたんじゃないかなというふうに思うんです。

 滋賀県でも、五十の市町村を七つの合併パターン、七つの市にしようという基本パターンをつくられました。そのときにも、七つ出てきたんですけれども、けんけんがくがく、いろいろな議論がありました。何でこんなところとくっつかなきゃいけないんだとか、それはもう言葉を絶するような、いろいろな裏工作とかがあって、本当に大変だったことを、今さらながら、当時県会議員でしたものですから思い出しているんです。

 その当時、県がはっきり申し上げたのは、これはあくまで既成事実だとか勧告ではない、議論の素材であるということを強調されました。もちろん、自治省の方からも当時そういうような指示を出されたんですが、結局、そこのところで、強制力というものを持たないのが県だという一定の方向をつけてしまったような気がするんですね。

 そういう事実、つまり、県は例ばかり言うけれども、具体的にこうした方がいいよという助言、情報伝達より踏み込んだことはしないというふうに、もう色をつけられてしまったように思うんですけれども、その点について、これから先本当に、あっせんだとか調停というのが県サイドからできて、また、市町村がしっかりとそれを頼りにしていけるのかどうか。私は非常に不安を感じるんですけれども、いかがお考えでしょうか。

大野政府参考人 基本的には、合併というのは、やはり当事者が、自分たちでどうするか、自分たちの地域をどうするかというのがあくまでも基本でございます。現在の特例法でもそうでございますし、それから、二十七次の地方制度調査会での議論でもそこは変えるべきでないということであったわけでございまして、これからも自主的な合併を推進していくということは理念的には変わらない、こう思うわけであります。

 都道府県がさまざまな広域自治体としての役割を果たすという観点からいいますと、そこに何がしかの、ある程度、都道府県が言い得ることについて、それなりに市町村が対応していただけるような工夫というものもこれはあってしかるべきだ、このように思っております。しかし、それが強制であってはならないということだけははっきりさせた上で、今検討しているところでございます。

田島(一)分科員 おっしゃるとおり、私も強制であってはならないと考えます。

 しかしながら、県のリーダーシップというのは、どこまで発揮すべきがリーダーシップなのか、この辺が本当に四十七、それぞれ違うんですね。マニュアルがあるわけでもない、頼りにしていく市町村によってもその温度差はまちまちだ、みんな結構その点で混乱している。合併自体が、本来、将来展望をしっかりと描いて、新市のビジョンをかいて、夢とか希望を語れる、そんな合併論であってほしい、地方制度調査会ももちろんそれを前提に進めてこられたんですけれども、なかなか絵にかいたようにはいかない。究極は、先ほど大臣がおっしゃったように、もう感情論だけでこれはうごめいていて、地方市をほとんど支配しているような状況であります。

 ある意味では、総務省の方から、今度の新法において、そのあたりの微妙なサインを都道府県に出してくださるんだろうというふうに私は非常に期待しているんですけれども、そのあたりの意気込みを最後にちょっとお尋ねしたいと思います。大臣、お願いいたします。

麻生国務大臣 田島委員の言っておられるところは、これは滋賀県の話を主にしておられるんだと思いますし、彦根の話が特に身近なんだと思いますが、これは、本当に地域によって物すごく差がありますので、これが答えというのは多分ないんだと思っているんです。いずれにしても、損得だけという話でもいかないんだと思うんですね。

 こっちの方がもうかりますよとか、もっといい思いをしますよという財政面からだけでいきますと、それは確かに、特例債やら何やら、いろいろな面で有利という点は否めないと思います。しかし、傍ら、それくらいの金をもらうくらいだったら、もらってあいつと一緒になるんだったら、いいです、そっちの方がよっぽど気分がよくないということもありますし、これはなかなか難しい。

 加えて、合併します当時、小さな町村が一緒になった場合、これは議員の総数というのが、今一番大きいのは百八十六ですか、百八十六人の議会なんていったら、これはどこか体育館でも借りて議会でもやらぬ限りはとてもできないんだと思いますけれども、そういったようなものが、きちんとされると三十幾つまで減るというんだったら、なかなかそれもよろしくない。

 また、編入なら別でしょうけれども、町村の対等合併ということになると、新しい町名は何にするのか、それから、新しい庁舎の場所はどこにするのかというようなところも、県で決めてくれなんて言われても、県の方も、これは下手にさわったら、庁舎の場所じゃないところが全部反対側なんてことになると、これはまた話が込み入りますので、そういった意味では、これは手間暇かけても話し合いでやっていかぬとどうにもならぬのじゃないか。

 また、住民の、そこに住んでいる人の意識としても、財政事情はこのままでいったらどうにもならぬ、行政手続が全部インターネットになったらどう対応するんだというところも答え切らない等々、いろいろなことがあろうと思いますので、ぜひそういったことも考えて、これが答えというのは、ちょっと正直ないんだと思います。

 一つだけ私どもが思っておりますのは、これは勅選知事じゃないんですから、きちんと、強制的ではなくて、よく話を聞いた上で手間暇かけてやっていく以外にこれは手がないだろうなというのが率直なあれですけれども、ただ、言われましたとおり、平成十七年三月三十一日で切れちゃったから、もうそれは後は何もしませんというわけにはいかぬだろうなというのは、多分第二十八次の地方制度調査会で出てくる答申にもなろうかと思いますので、この後を受けましてどう対応するかという点につきましては、改めて検討していかねばならぬ問題だと思っております。

田島(一)分科員 ありがとうございます。

 時間もなくなりましたけれども、最後に申し上げておきたいのは、感情論はどうしようもないとこれで逃げてしまうのは、一度地方に市町村合併という今後の大きな政策課題を国から投げかけたわけですから、その責任というのはやはりとっていかなきゃいけない、これは責任論として、ぜひ御認識をこれからも深めていただきたいというふうに思っております。

 とりわけ、コミュニティーの崩壊だとか、そういうものに本当につながってもらっては、地域に住まう住民、ひいては国民一人一人が結局不幸な思いになってしまう、そういうことだけは、私も含め、それぞれの首長さんも地方公共団体の職員の皆さんも大変心を痛めていらっしゃいます。どうぞその辺をしっかりと踏まえていただきまして、新法の上程、そして、今後の市町村合併をしっかりと見守っていただきたい、そのことを切にお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

植竹主査 これにて田島一成君の質疑は終了いたしました。

 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)分科員 本日、初めて質疑に立ちますので、何かと手順が悪いかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。民主党、小宮山泰子でございます。

 麻生総務大臣におかれましては、私の父、小宮山重四郎が大変お世話になり、ありがとうございました。恐らく、父が生きていれば、麻生大臣と、郵政事業のことでは、考え方等いろいろな議論ができてよかったんじゃないかなと、この場に立たせていただくと感慨深いものもございます。

 また、大臣とは日本青年会議所でお目にかからせていただいたことがございます。地域主権の実現という意味においては非常に、長年のいろいろな思いがあり、そして今大臣をされていると思います。私自身も、その会員として、やはり地域主権を目指していかなければいけない、そして県会議員を通させていただいて、地域のことは地域でできる行財政構造改革を進めていきたい、その思いで、やっとここまでたどり着きました。本日は、いろいろございますけれども、ぜひ、夢のある、そして国民が政府に対しても信用が持てる、そういうような答弁をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 私自身、日本に暮らしていて、日本人として、安心して暮らせ、そしてだれもが何にでもチャレンジができる、そういった活力ある日本をつくりたい、そういう思いでこの衆議院に臨ませていただいておりますけれども、近年、通信や放送など、急激に環境が変化しております。多くの面でさまざまな技術を使い、そしてさまざまな情報を手に入れ、自由に情報にアクセスしていくという場面がふえています。

 その一方で、デジタルデバイド、情報格差の問題というのも出てきているかと思います。情報機器を操作してそれを自由に扱える、そして情報を入手できる者とできない者に今後もますます格差が生まれていくということが懸念されることと、そしてそれは事実であるということは容易に推測できると思うんです。

 まず初めに、デジタル地上波放送の進捗状況について御説明をいただきたいと思います。特に、エリア拡大の状況と今後の計画について開きがあったのか、また、導入時期の総務省の試算と開きがあったのか、あわせて説明をいただきたいと思います。どうぞ大臣、よろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 今、地上波についてのお話があっておりましたけれども、デジタルデバイドというのは非常に大きな問題と存じます。

 産業革命で、最初に蒸気機関車が出て、それが内燃機関にかわったときに、蒸気機関車にこだわったイギリスが落ち目になって、内燃機関にぱっとかわったドイツとアメリカがわっと伸びた。あれと同じで、やはりマルコーニのトンツートンツーから始まった情報通信という世界が、間違いなく今、ユビキタスとかインターネットとかいろいろな表現がありますけれども、猛烈な勢いで情報が進んだのに乗り切らないと、多分、かつての蒸気機関車にこだわったというのと同じようなことになりかねぬと思って、日本としては、御存じのように昨年の十二月に地上波デジタルに踏み切って、放送を開始したんです。

 少なくとも、取り急ぎ、住んでいらっしゃる関東、中京地域、近畿地域という三地域で今放送を開始させていただいて、約一千二百万世帯が今既に可能でありまして、お住まいの関東地域でいったら六百九十万世帯が、いわゆるケーブルテレビ等々含めまして受信可能。この間に、テレビの受信機の出荷台数は、一月末までの累計で五十三万五千台というのが今の現状ということになっていますので、これをさらにどんどん広げてまいりますので、二〇一一年までには全国でどこでも見られるような形にしたいと思っておるんです。

 思ったより広まっていくのが早かった。テレビの受像機を買っていただく方々も、見て、やはりきれいというのは大きかったんだと思います。双方向とかいろいろな技術を使いこなすより、とにかく見てきれい、顔色の変化が見える、お相撲さんの色が変わっていくのが見えるなんというのはやはりデジタルハイビジョンでなければというところもありましたので、私どもの思ったより早く事は進んでいるかなと思っております。

 多分、今後どうするんだというところが一番御関心のところなんだと思いますけれども、二〇一一年にはアナログテレビは使えなくなるという方向で事は進んでいますので、まず、今買いかえて、十年もつということになると、そのころにはこのテレビだめなんです。だから、そういったところは周知徹底をさせないかぬということで、今、ビックカメラ初めいろいろな大きな会社、いっぱい売っているところがありますけれども、あそこらでも、このテレビは二〇一一年までということはきちんとしてもらわないかぬということで、テレビ、いわゆるそういった家電というものを扱っておられる方々に対しては、そういったところを徹底してくださいということを申し上げて、今後とも、受信可能地域のエリアの拡大に総務省としては取り組みたいと思っておりますし、国庫債務負担行為等々も認めることにしております。

 そういった意味では、周波数の変更に伴います激変緩和の対策として予算もつけたりということで、これは将来において非常に大きな消費需要を期待できるところでもありますし、経済の活性化にも影響するところですし、地方に住んでいる方々にとりましても、この情報家電の成功というものはかなり生活を変えることになると思っておりますので、非常に期待をしていると同時に、一生懸命取り組まねばならぬと思っております。

小宮山(泰)分科員 私もこのデジタル化には大変期待はしているんですけれども、統計的に、若い層とかにまだまだ周知ができていないとか、いろいろなこともあるかと思います。実際にテレビが使えなくなるということもございます。また、現在はある意味で非常に高額なテレビという形ですので、当然、我が家もまだまだ控えている状態でございます。具体的には、どんな手段をとっていかれるのか。

 通告よりも先に進んでしまいますけれども、そうなりますと、いろいろな措置もされていくという今大臣のお話がございましたけれども、現実には市場に任せていくというようなこともあるかとは思うんですが、低所得者の方々、今テレビ自体は、実際にはうちにも一、二台転がっている部分はあるんですが、十年ではなくて二十年とか、非常に耐久性が実際にはあるので、それを使い続けている方々もこれから当然出てくると思います。当然、日本の技術は優秀ですから、十年ぐらいのといっても、もっと長もちしているのも現実だと思います。

 そうなりますと、今までの既存のテレビが使えなくなったとき、テレビから緊急の放送など、いろいろな情報を今私たちは日常的に手に入れている。ほかの人の家に行って、まさか見せてくださいと言うわけにもいきません。そういった方々には、今後、いろいろな補助など、そういった措置などもしていく予定があるのか、もしくは計画があるのかもあわせて伺わせていただければと思います。

田端副大臣 お答えさせていただきます。

 おっしゃるように、確かに、低所得者層といいますか、そういった方々も含めて、普及をいかにしていくかというのは大きな課題だと思います。

 かつて私たちも、子供のころに、電器屋さんの前でカラーテレビで人だかりになって、テレビの最初のころ、そういうことがありました。

 だから、今約五千万世帯ですか、テレビが普及しているということと比べますと、大変な違いがあると思いますし、また、その分大きく、値段といいますか、当時は給料の何倍分のお金を出してテレビを買うという時代でしたから、そういった意味ではやはり、いかに普及していくか、生産拡大していくかということが大きなテーマだ、こう考えております。

 そういう意味で、デジタルに関しての、CS、BS、地上波、こうありますが、それらの技術的な、相乗的な技術基準というものを策定して、相乗りができるようにやっていくということで今までも推進してきたところであります。また、地上デジタル推進全国会議というのがございまして、そこで策定されたデジタル放送推進のための行動計画というものがありまして、それに基づいたメーカーあるいは関係者に対する意識の一体的な形での取り組み、そういったことも今推進しているところでございます。

 ちなみに、二〇〇〇年十二月からBSのデジタルが始まっておりますが、そのころと、昨年の十二月のデジタル放送開始、この三年間で、ブラウン管方式による三十二型で値段を比較しますと、三年前は四十万円であったのが今二十五万円というふうに、大きく値段の上においても効果が出ているところであります。今後、これからそういう意味で推進していくことができるかな、こう思います。

 それから、お尋ねの、まだ我が家も戸惑っているという方もたくさんいると思いますが、私は、一つは、そういう意味ではチューナーをつけていただいて、六万円弱でチューナーがあると聞いておりますが、セットトップボックスをつけることによってデジタル放送が見られるという意味では、二〇一一年までの間はそういう形で少しショートリリーフをやっていく、こういうことも可能ではないか、こういうふうに考えているところでございます。

小宮山(泰)分科員 ショートリリーフの件はもちろんですけれども、見られなくなった時点、当然並行して放送される時期がありますので、その点に関しましては、実際に受信ができなくなるという可能性も含めて、恐らく直前になって、年金もそうですけれども、直前になってみんな慌てるというのが現実だと思いますので、近くなりましたら、ぜひこういった計画に関しても検討いただければなと思っております。できることならば、そのときに我が党の方が政権をとり、検討できればと思っているのですけれども。

 続きまして、このデジタルに関してなんですけれども、今までNHKは十五年ほどアナログハイビジョン放送を随分推進されていたと思うのですが、アメリカ国内においてのデジタル放送の採用というか、そういったものが影響しているのかという話も随分聞かれますが、その点に関して御説明いただきたい。

 それから、テレビのデジタル化というのは、先ほど麻生大臣もおっしゃっておりましたけれども、世界において、恐らく日本の放送なりそういったものに関しては非常に普及する可能性がある。ある意味で、一つの産業としてもとらえられるようになってくる重要な、日本のすばらしい資源になるというのでしょうか、輸出品目になるかもしれません。そう考えますと、この方式自体がほかの国でも通用するのかという問題も当然出てまいります。

 ドラマやドキュメントなど日本でつくられた映像が、やはり世界じゅうで、日本の理解も深めるという意味も含めまして、流通することは望ましいことだと思いますが、世界の各国の中においてデジタル化への政策というのがどのように進んでいるのか、比較がありましたら、ぜひ教えていただきたいと思うのです。

武智政府参考人 お答えいたします。

 まず、アナログハイビジョンからの切りかえの問題についてでございますけれども、御指摘のとおり、平成元年、ハイビジョン実験放送が開始されて以来、アナログハイビジョン放送が提供されているところでございます。

 こうした中で、デジタル技術の急速な進展に伴いまして、平成九年三月でございますが、当時の郵政省におけるBS4後発機検討会の報告書におきまして、BS4後発機の段階における放送方式をデジタル方式とするという方向性が打ち出されたところでございます。

 その理由でございますけれども、これは、デジタル放送技術が平成十二年ころには既に成熟した段階に達すると展望され、その利点を生かして、多様化、高度化する国民の選択にこたえることが期待されているというのが一点目。二点目に、周波数利用効率が飛躍的に高まり、周波数の有効利用が可能となること。また、放送産業のほか、通信その他関連産業の発展に寄与することが期待されている等を踏まえて、技術革新による利便を国民、利用者が十分に享受できるようにデジタル放送技術を早期に導入することが重要であるとされたということでございます。

 次に、世界各国の動きはどうかという御質問でございますけれども、現在、地上デジタル放送につきましては、我が国を含めまして世界十三カ国において本格的に開始されているところでございます。

 先進国の例で申しますと、米国、カナダ、オーストラリア、韓国では高精細度の放送を特徴としたデジタル化を推進しております。また、英国を初めとする欧州諸国では、多チャンネルを特徴としたデジタル化が推進されております。

 また、これらの先進国以外の地域においても、例えば中国では、二〇〇一年より試験放送を実施しておりまして、二〇〇五年には本放送を開始、二〇〇八年の北京オリンピック開催時には高精細度放送を開始予定と聞いております。また、ベトナム、インド等においても、現在試験放送が実施中ということでございます。

小宮山(泰)分科員 現実に日本はデジタル化が進んでいきますので、そういう意味では、やはり世界じゅうでこの方式というものがある意味で標準になると頼もしい産業になるのかなということを期待しております。

 実際に、この先ですけれども、将来的には衛星デジタルにさらに移行するという話もあるようです。その場合、現在多額のいろいろな設備投資をしている地上放送局というのですか、そちらの方は必要なくなるんではないか、衛星で空から来ますから。そういった懸念、危惧する声も放送業界の方でありますけれども、設備投資の規模に関してはどのぐらいになっているのか。また、デジタル化において、そういう面でも経済的にいろいろな意味で負担等かかっているかと思いますので、その場合にどう対処されていくのか。

 引き続きまして、やはり放送局であれば広告収入によっていろいろ運営している、それによって私たちは自由に映像を見ることが現実的にはできているということですけれども、デジタル放送へ移行することで、当然、撮影の部分ももちろん変わってくると思うのです。

 そうなりますと、今でさえそういう意味ではいろいろな不況がある中で維持できない。例えば、広告業界、大きな産業ですけれども、各スタジオを持っている中において、これからもっとデジタル化するに従って、逆に言えば大手しかそういう設備自体が対応できなくて、すべて取りかえるというふうになりますと大手しかできなくなる、そういう懸念もあります。そうなると、今経済界の方でも問題になっている中小企業等にやはりしわ寄せが来る。そういう意味では、本当にこの問題というのはいろいろなところに影響を与えていくものだと思います。

 先ほど、本当に色がきれいとか、そういった話がありましたが、それはもう撮影時から始まっていることですので、その点に関してどういった施策を総務省としては考えているかもあわせて伺わせていただきたいと思います。両方になります。

田端副大臣 私の方から設備投資に関してお答えさせていただきますが、民間放送事業者におけるデジタル放送の関係の設備投資額は、民放連の調査によれば、ローカル局を含め百二十七社全体で八千百億円と民放で見込まれております。これにNHKの方として約四千億ということが予定されているわけで、恐らく総額一兆二千億ぐらいの設備投資になるのではないかと考えられます。

 そして、そういう中で総務省としてどうするんだということでございますが、これらの設備投資に対しての法人税の特別償却あるいは固定資産税の減免といった税制措置、それから財政投融資あるいは無利子、低利融資、通信・放送機構の債務保証による金融支援、こういったことを今考えているところでありまして、デジタル化に関しての円滑な移行ができるように推進していきたいと思っております。

 先ほど大臣の方からもお話がございました、番組制作事業者に対してのアナログ周波数の変更対策費として総額で今千八百億円の国費投入が計画されているわけでありまして、そういった意味でも、順調にデジタル化への移行が進むように支援しているところでございます。

小宮山(泰)分科員 大変欲張って私は随分質問を考えてきたんだなと、今ちょっと時間を見て唖然としているんですが、移動体通信のことに移りたいと思っております。

 けさの新聞にもありましたけれども、ナンバーポータビリティーサービス、総務省が推進されるということで話が出ていますが、このサービスをするに対して多額の、約一千億円の設備投資が必要であるけれども、その負担をするところがまだ決まっていない、あいまいであるということで、この問題、世界でももう始まってはいますけれども、日本も推進するということであります。この点に関して、どこが負担をしていくのか、その御所見をまず伺いたいんですが。

有冨政府参考人 番号ポータビリティーにつきましては、各方面から利用の意向が非常に強いということもありまして、総務省で、携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会、こういったものを開催いたしまして、これまで検討していただいております。

 まだ最終的な報告はいただいておりませんが、先般二月の二十六日に会合が持たれまして、そのときに大きな方向性が示されております。

 一つは、相当の利用者ニーズが存在する、おおむね三〇%ぐらいの人が利用したいという意向があるということなんですが、これを絶対値に直しますと、今八千万でございますので、三〇%、当然二千四百万人というようなニーズがある。それから、先生今ありましたように、諸外国においても導入をしている。それから、いろいろ費用と効果の関係につきまして試算をしていただいたわけでありますが、導入コストを上回る便益もあるのではないかというようなことで、ざっくり言いますと、導入するということがいいのではないかというような方向が出ております。

 これは、NTTドコモもあるいはauも、あるいはボーダフォンもツーカーも入った研究会でございますので、当初はいろいろ議論がありましたけれども、やはり利用者のニーズが高いということを踏まえれば、導入するという方向でとりわけ問題はないのではないか。ただ、どう導入するかというのは問題がある。

 今先生言われましたように、費用がかかるではないか、それをだれがどう負担するんだというようなことでございますけれども、研究会におきましては、費用がかかるというところは何だろうかということが二つあります。

 一つは設備投資、それから維持、運用にかかる費用、こういったものにつきましてはどうするか。これは、携帯電話を利用する人とそれから事業者というものが負担をするんであろう。

 それから、使いますと当然手数料等かかります。これは明らかに、具体的に利用する人が負担するんであろうというようなことでございますけれども、ただ、これは理論的な話でございますので、実際は、これは具体的な事業者からもありましたけれども、いざ導入するとなりますと、当然コストについては最大の低廉化を図りたいということでございますので、競争におきましては、これをどうするかはこれから事業者が考えるということになります。

 いずれにせよ、今先生の言われた問題も論点としてございますので、今後、この最終報告に向けての議論の中でより深まっていくものだろうというふうに期待をしております。

小宮山(泰)分科員 本当にちょっと時間が慌ただしくなってきたんですが、そうなりますと、利用者負担ということで総務省の見解があるということで理解してよろしいんでしょうか。

 そして、実際には、メールアドレスの普及率というのも非常に大きいと思います。実際にメールアドレスも変わると思っている利用者も多いのではないかと思いますが、サーベイリサーチの調査によりますと、番号をそのまま引き継ぎたいと答えている九二・一%のうち、メールアドレスも変更せずに使えるならば、五一・六%の人がそのまま契約会社を変えていきたいということも言っているようですけれども、実際、ドメイン名がキャリアの会社の名前になっていたりということで、ポータビリティーは現実的には移行しないんじゃないかということもある。その上、利用者負担を強いていく形になっていくということになりますと、どれだけ現実性があるのか。

 また、日本の市場の形成から見ると、当然、電話機ゼロ円とか町でたくさん見ますけれども、業者がインセンティブをもらってやるという形になります。その中で、会社を移行する、とんとんとんとん変えていく、そういったポータビリティーができるということ自体が、今の私たちが安価に通信機器を入手できる環境というものを変えていってしまうんじゃないか、そういうおそれもありますので、その点に関して簡単に御所見を伺いたいと思います。

有冨政府参考人 三点あったと思いますが、一つは、先ほどから利用者負担と言われるものですが、これはあくまでも理論上の話でございますので、実際は多分、コスト削減等あるいは競争により料金の中で消し込んでいく可能性もないわけではないというふうに思っております。

 それから、メールアドレスの関係でございますが、これは今先生の言われたような調査結果もございます。ただ、私どもとしては、実際総務省なりに調査をいたしておりまして、七七%が電話だけのポータービリティーでも利用したいという意向もございます。それから、二一%の方が、メールアドレスの利用がなければ嫌だという人もございます。

 そういったことも踏まえまして、先ほど申しました研究会では、携帯電話の番号ポータビリティーと比べますと、メールアドレスのポータビリティーについては必要性が低いんじゃないか。それから、メール転送機能とかあるいは移転先メールアドレス通知とか、こういったことについて代替も可能である。それから三つ目は、メールアドレスのポータビリティーについて、ドメイン名を変えるということになりますので大変コストがかかる、技術的な課題も多いということなので、当面ここは見送った方がいいのではないかというような方向が出ております。

 いずれにしましても、ここは、先ほど申しましたようにまだ中間でございますので、改めて報告を待って対応したいというふうには思っております。

 それから、インセンティブの関係でございますが、これは、ポータビリティーを導入いたしますと、そのためのインセンティブ、非常に負担が多いのではないかというようなこともありますが、逆に、今インセンティブのあり方については大変問題があるというふうにも経営的にはございますので、研究会では、こういったインセンティブの低廉化も含めて、すべての利用者にとって利益があるような市場構造あるいは費用負担となるように見直すことが望まれるというような結論も今いただいておるところでございます。

小宮山(泰)分科員 次のことに移らせていただきます。

 地域再生の施策について伺いたいんですけれども、まず大臣に一点、あわせて伺いたい、通告とちょっとあれですけれども。

 市町村合併、先ほどのいろいろな答弁を伺っておりまして、現在いろいろな条件はございます。そして、私の選挙区の中でも、合併の協議会が壊れた事情もございます。そういったものも当然見込んでいろいろなことを考えていらっしゃったと思うんですが、実際には、総務省としては、現時点で予定どおりこの点が進んでいるのか伺わせていただきたいのが一点。

 そして、地域のことは地域でということで、地方分権のことが当然できるからこそこの市町村の合併ということも出てきているかと思うんですが、昨年十月に始まりまして、内閣にできた地域再生本部の方で、麻生総務大臣、選挙直後になります十一月二十六日付かと思うんですけれども、総務省として地域再生を目指すと。どんな再生を目指すのかもあわせて御所見を伺わせていただければと思います。

大野政府参考人 合併の状況でございますけれども、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、私どもは、法定協議会が今一つも壊れることなく進んでほしい、こう思っておりますので、そういった観点からいたしますと、解散したり離脱をするということについては甚だ残念なことだと思っております。

麻生国務大臣 地域再生プランの方につきましては、町村合併を進めるに当たって、例えば四町で合併という話が決まったら、学校は二つしか要らぬ。しかし学校は実際四つある。二つはやめる。そして、この学校を例えば、職業訓練校にしたいとか、生涯学習センターにしたいとかいうことをすればみんなうまくいくというときには、これは予算の目的外変更ということになりますので、文部省としてはだめですということになるわけです。

 これは、明らかに、合併したくてもそれがあるからできないということになっているというのでは、これはいかがなものかということで、こういったところに関する場合、返せという話を返還免除という話で事を進めております。

 今、経済財政諮問会議でこの話をして、かれこれこの六月ぐらいで実際問題としていろいろ出てきたところをやりますので、文部省に限りませんけれども、こういったものの有効活用は多分リニューアル債の話で、六月ぐらいには大体その方向で事が動き始めるだろうと思っておりますので、いわゆる合併をするに当たっての阻害要因が、先ほどの松崎先生やらが御質問になっておりました感情論の話以外で、実際問題としてのいわゆる規制とか、そういった法律とか政省令によるところのものであるならば、それを外すなりやめるなり変更するなりという方向で現実に進めてまいりたいと思っております。

小宮山(泰)分科員 時間となりました。本当はもっとこの地域再生について伺いたかったんですが、この中において、規制緩和をもっと進めれば、地域が債務を起こさなくてもできる部分もたくさんあるかと思います。

 そして、この中で大変気になったのが、アルゼンチンなどで非常に有効に活用されています地域通貨、これに行政が関与するということは、逆に言いますと、日本の今私たちがふだん使っている紙幣通貨とかの信用の問題等とかかわってまいります。やはり地域のことを地域で決めるという意味では、行政を通す形ではなく、また、こういう二重の通貨というものを国が施策として推進するのはなかなか矛盾があるということもある程度御指摘させていただきまして、また、その中で、住基カード、ICカードを使うという意味においても、その安全性もこれから恐らく問われていくということも御指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

植竹主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。

 次に、肥田美代子君。

肥田分科員 私は、市町村合併の問題に絞りまして、お尋ねをいたしたいと思います。

 まず、今回の合併の理念と目的はどこにあるか、そういうことでございますが、明治の大合併は、地縁共同体から近代的な国家行政、例えば義務教育や徴税、戸籍などを担うことのできる市町村づくりという目的がございました。また昭和の大合併は、地方自治法の制定による行政事務配分、あるいはシャウプ勧告に基づいて市町村を新しい地方自治制度の担い手に再編しようという目的がございました。

 そして、平成の大合併でございますけれども、どのような理念を掲げて、どのような目的のもとに推進されているか、大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今肥田先生御指摘のとおり、明治四年、廃藩置県をやって、町村合併を含めていろいろやらせていただきましたあの時代というのは、いわゆる中央集権ということによって、日本は明らかに、近代工業化社会を目指す目的のためには、中央集権化しないと、三百諸侯そのままのばらばらの状況ではどうにもならぬということで、兵制とか、いわゆる税制とか教育制度を含めまして、いろいろなものを統一しないとやっていけない。結果は極めて明確でして、一九〇五年、明治三十八年には、あのナポレオンすら勝てなかった帝政ロシアに勝てたんですから、それは間違いなく成功した制度だったと思います。

 しかし、それから百三十年たって、今、脱工業化社会という言葉が言われて久しいと思いますが、どうやら近代工業化の次の時代になってきて、明らかに物すごい勢いで世の中が変わってきて、戦後も、地方というものは、学校ができ、公民館ができ、体育館ができ、いろいろな形でそこそこの箱物がそろった段階で、これから必要なものは何ですかと言われたら、それは地域に一番近い行政体が考えるべきということになる。これは当然のことだと思うんです。

 そういう流れで地域主権の方向に事が動いていったときに、その地域の住民の要望を受けて対応できるだけのいわゆる行政能力、そして財政能力、この二つがその地方自治体にないと住民の期待にこたえられない。したがって、地域の、地方自治体の体力を強くするというのが本来の趣旨であって、それによって住民自治の自由裁量権がふえる、その方向に事を動かしていくための町村合併と私は理解をいたしております。

肥田分科員 地方制度調査会答申にも、分権型社会を制度的に確固たるものにするという大きな目標を掲げております。

 しかしながら、理念の輝きとは裏腹に、合併に戸惑う市町村が存在することも確かでございます。例えば、合併しない宣言が発せられた町もございました。市の規模に比較しまして町村の規模が大きくて合併のメリットが少ないという理由で合併が進捗しない地域もございます。

 大阪府三島郡島本町の場合は、人口三万人の町でございます。合併によって、住民サービスが低下しないだろうか、町の個性や地域コミュニケーションが揺らぎはしないか、住民の意思が反映されにくくなるんじゃないか、そういう心配が皆さんの中にございます。

 こうした市町村の状況から見ましても、今後の合併は厳しい状況が予測されますけれども、現在の進捗状況と今後の見通しについて、大臣の見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 進捗状況の細目につきましては別の者に答弁させますが、今言われました話は、まあ何にでも出てくる話ですから、別に今回に限った話だとは思いませんが、少なくともサービスが落ちるのではないかという点が一つあります。今よく例に引かれますように、仮に人口二、三千人の町におきましては、一人にかかります行政経費は約百三万円ということになっております。それが人口三万人ぐらいになりますと、半分ぐらい、約五十万ぐらいになって、もう少しふえますと三十万とか、だんだんだんだん下がっていくんです。

 そういった意味では、一人当たりにかかります行政経費が大きく変わるという点につきましては、それはその分だけ経費が浮くことになりますので、その意味では、サービスという点におきましては、間違いなくきちんとしたサービスが受けられるだけの、あとは資源の配分の話ですから、そこのところはやれるようになります。

 また、インターネットというものが、行政手続はすべてオンラインでできるような法律が昨年の二月に通っておりますから、この点につきましても、そういったものはきちんと対応できる。これは、町長さん、首長さんの経営能力にもよりますよ。経営能力にもよりますが、そういったこともきちんとできるようになる。

 また、町の名前がなくなるという点についての御不満は、区というものを幅広く使えるような形にしますので、その点では、政令都市じゃなくても区が使えるような形になりますので、そこのところはいろいろな対応ができると思います。

 この種の話は、長いことこれを前向きにやってこられた方々は、住民に結構この種のメリット・デメリットが行き渡っているんだと思いますが、何となく、来年の三月三十一日だというふうになって、やっと試験の前の日になって初めて勉強するみたいな話になってくると、どうしてもばたばたばたっという話になっているようなところがなきにしもあらずなんで、私どもとしては、前からきちんとやってこられた方と今まで何もしてこなかったところとが同じ扱いというのでは、それはいかがなものか、前に一生懸命努力しておられた方にはそれなりの応分の対応があってしかるべきと思っております。

 今言われたところは、三千百三十五もありますので、いろいろ対応が違うのは肥田先生おっしゃるとおりなんですが、私どもとしては、そういった差があるのは十分承知の上で、さらにこういったところを進めてまいった方が、長期的には明らかに、地方住民にとっては、自分の住んでいる自治体のいわゆる行政能力、財政能力が高いという方が住みやすいということになると確信をいたしておりますので、基本的には合併の方向で進めたいと思っております。

大野政府参考人 現在の市町村数でございますが、三千百三十五ございます。法定協議会が今五百十ございます。それで、法定協議会が全部うまくいって新しい市ができれば五百十の市ができる、こういうことでございますが、この法定協議会に参加している市町村が千八百八十九あります。ですから、目の子で差し引きしますと、仮に今の五百十の法定協議会がすべて合併に至りますと、市町村数は千七百六十ぐらいになる、二千を切る、こういうことでございます。

肥田分科員 今の大臣の御答弁に関連いたしまして、重ねてお尋ねしたいと思います。

 大きな市と合併する側の町村の不安なんですけれども、これまで自助努力で築き上げてきた福祉、教育、子育てや介護、水質保全や緑の育成など、住民の生活基盤となっているこの行政サービスの将来像が見えないとおっしゃるんですよ。それで、私はやはり小さい町村の不安というのはこのことに尽きると思います。

 基礎自治体の将来像は合併協議会の論議の課題だと思いますが、合併を提唱し、合併を推進しているのは政府でございますから、政府の責任で、合併に伴う小規模市町村の将来不安を取り除く見取り図を示すべきだと私は思うんですけれども、大臣はどう考えられますか。

麻生国務大臣 これは、かかって小さな市町村長さんの、それこそリーダーシップ、経営能力に問われるところが大きいと思いますね。シティーマネジャーを採用しますか、収入役やめてください、議員何人います、十五人、冗談じゃありません、三人にしてください、町長、三人で回り持ちにしてください、これはありますから、そういったようなことができますかという点が、僕はその町長にとって非常に大きなところだと思う。それによって行政経費ががたんと下がりますから。

 うちは別に合併しなくても、うちは県から補助金をもらわなくても、交付税をもらわなくてもうちはやれますという話で、緑の部分は環境省から別のというようなことは可能だと思いますが、今までと同じような行政で、パソコン一つ打てないようなのばかりいっぱい抱えて、そういう町長で、そのまま今のままでというお題目だけじゃなかなか難しい。基本的に、住んでいる側の立場としてみれば、うちはとてもじゃありませんよという話になりますので、それは、住んでいる方と町長さんとの話やら何やらをよくよくしていただかないといかぬのだなというのが一点。

 もう一個、そういったところにつきましては、どういった形での補助の仕方があるか、援助の仕方があるかというのは、これはちょっといろいろ考えてみないかぬところだとは思います。思いますけれども、それは町長さんのビジョン、その町政における町長さんのビジョンというものがはっきり示されて、それにより多くの共感が得られるということなのであれば、それはまた一つの新しいアイデアなのであって、我々の考えつかない、また全然別の視点からこれはということなのであれば、それは考えられると思いますけれども、それ相応の努力もしていただかないといかぬのであって、これは、従来のままでここだけというものの特別扱いみたいな話はなかなか難しいかなという感じが、今伺った話では率直な実感です。

肥田分科員 確かに、町長さんのビジョン、それからリーダーシップは大切だと思います。

 ただ、今申し上げましたように、特例措置という優遇措置を政府がつくってどんどんやろうというふうに進めていらっしゃるわけですから、私は、一番小さな単位の、合併する側の市町村に対しては、さっきちょっと大臣がどういう援助の方法があるか考えますとおっしゃいましたけれども、やはりその援助の見取り図みたいなものをもうぼつぼつ示していかないと、これは難しい段階に入ったのかなと思うんですけれども、いかがですか。

大野政府参考人 先ほど来、麻生大臣申し上げておりますように、合併は何のためにするかということでございますけれども、今肥田委員おっしゃったように、住民に身近なサービス、典型的には福祉ですね、それから教育、そういった住民に身近なサービスというのは、身近な自治体ができる限り自分の財源ですべてできるようにしようということが基本的な考え方でございます。これを補完性の原理というふうに言う方もいらっしゃいますけれども、身近なことは、住民サービスはできるだけ地域の自治体がすべてできるようにしようということが基本だと思います。

 それに向けて合併を進めているということでございますが、そういった中で、現行の特例法の中では、合併特例債とか、あるいは交付税につきましても、しばらくの間はこれまでの交付税を保障するというふうな特例はございますものの、あくまでも、いわば、合併したいけれども、した場合の不安を解消するための障害除去でありまして、そのためにやっているということであります。今これが、来年の三月三十一日で法律が切れますから、その後の新しい世界で考えますと、できるだけみずからお考えいただくような工夫の中で、引き続き合併というのは続いていくんだというふうに私どもは考えております。

肥田分科員 合併特例措置の問題点も指摘しなければいけないと思っております。

 例えば、合併特例債につきましては、元利償還金の七〇%が地方交付税で措置されるために、合併特例債を活用して、ひょっとしたら不必要な箱物建設を行うというモラルハザードも引き起こしかねないし、一方、国におきましても、地方交付税による財政負担をふやしている、そういうこともございます。また、時限措置とはいえ、合併により巨大な議会が誕生する例もございます。

 こうした状況は、合併のメリットとされます規模の利益それから効率化に逆行した状況が起きているんじゃないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えになりますか。

麻生国務大臣 それも重ねて、その町長さんもしくは新しく合併された首長さん方のいわゆるリーダーシップの問題であって、一番多いのは百八十六人、たしか町村会議員足してそれぐらいが多分最大。基本的には三十五、六人になるはずが、百八十何人。当面の間は六十何人でいくべきところが、そうはいかないというので百八十何人というような例は幾つもあります。

 途中の時期には幾つかはあると思いますけれども、落ちつく先は、合理化された、効率化された自治体というものになっていかぬと本来の意味がありませんので、少なくとも、従来百八十何人でやっていた、助役さんも十人、収入役さんも十人いたところが、それぞれ、収入役は一人、助役も二人ぐらいになって、そして議員さんは三十何人になるというところに落ちついていくわけですから、そういった意味では、途中の経過のところではあり得るとは思いますけれども、基本的には、職員を含めまして、多いのをそのまま集めてそのままじゃ意味がないんだと思いますので、そこらのところは、首長さんとしてのいわゆるリーダーシップ、経営能力、経営努力というものが要求されるところだと思います。

肥田分科員 平成十七年三月で、市町村合併の特例法は期限切れを迎えます。

 期限切れ後の話なのでございますが、財政支援なしの強制合併論もあるといった論も聞こえてまいります。合併は強制するのではなく、適切な情報公開のもとで、住民みずからが自治体の規模を判断し、決定できるような仕組みをつくり出すことが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。また、行政改革大綱などで示された自主的合併の原則は、今後取り払われるのかどうか。もう一つ、さらに、合併しない市町村の扱いはどうなるのか。こうした点を含めて、期限切れ後の市町村合併推進策についてお尋ねします。

大野政府参考人 今、合併新法を検討しておりますけれども、基本的には、昨年の十一月に答申がなされました地方制度調査会の答申をできるだけ忠実に法案に落とそうという考え方でございます。あくまでも自主的な合併の推進を進める、こういった枠組みの中で、しかしながら、合併特例債などのような財政支援措置は、これはもう廃止をするというふうなことは答申にもございますので、そういったことを踏まえながら考えていくということでございます。基本的には、繰り返しになりますが、自主的な合併を推進するための障害になるものをできるだけ取り除く、こういった組み立てで法案を考えてまいりたいと思っております。

 そうした中で、一つの大きな新しい方向といいますものは、広域自治体であります都道府県、都道府県は現在もさまざまな形で市町村の合併に御尽力いただいておりますけれども、都道府県が、みずからの地域の中の市町村のあり方をどうするかということにつきましては、国の指針を踏まえまして構想をつくっていただく、その構想の中でおおよその方向をお示しいただくようにできないものかということがございますが、その中で、小さな市町村をどう扱うかということについても一定の方向を出していただくということでございます。

 しかしながら、これは、例えば一万人未満の人口の市町村をどうするかというようなことにつきましては、法律の中には書かない方向で考えているということでございます。

肥田分科員 そうしますと、都道府県の方に一定の方向を出してもらうということは、国の大方針としては、強制合併はあり得ないというふうに理解していいんですか。

大野政府参考人 御指摘のとおりでございます。

肥田分科員 一番の問題は、やはり財政問題だと思います。

 市町村が合併した場合に、財政支援によって、経過期間中の交付税や地方債の収入は、合併しない場合よりも多くなると思います。しかし、これは一時的なものでございます、さっき大臣がおっしゃいましたように。財政支援の経過期間十年、それから激変緩和の期間五年の十五年間が経過しました後、交付税の算定がえや特例債発行が終わると、歳入は減ります。逆に歳出は、特例債償還のためにふえるということが予測されます。

 このために、合併は得か損かとはかりかねている自治体もあるようでございますが、経過措置が終わっても合併自治体の財政は悪化しないという担保はありますか。担保できるとすれば、その根拠をお示しいただきたいと思います。

瀧野政府参考人 合併後の基礎的自治体の財政の見通しでございますけれども、十五年後、特例の期限が来ました後どういう状況になっているかということにつきましては、まだなかなか見通しは難しいものがあろうかと思います。

 ただ、我々といたしましては、現状、非常に厳しい財政状況に地方財政は置かれているわけでございますし、その中で、特に借入金の残高二百兆円を地方財政全体として抱えておりますので、今後十五年たちましても、その償還が始まるというふうに考えますと、厳しい状況は引き続き続くだろうというふうに考えております。

 そういった中で、算定がえ等の財政措置を、十五年程度今措置しているわけでございますけれども、その間にいろいろ財政健全化に取り組んでいただいて、その後、スリム化された状況の中で財政運営ができますように、それぞれの団体で努力していただくというのが基本ではないかなと思います。

 その際、我々といたしましては、基礎的なサービスがそれぞれの地方団体で提供できますように、三位一体の改革も進めながら、さらに交付税の財政調整機能をきちんと発揮させて、地方団体が財政運営に支障のないようにしていくということはぜひ取り組んでいかなきゃいけないというふうに考えております。

肥田分科員 もちろん団体の努力は必要でございますが、今私が最後にお尋ねしたのは、合併自治体の財政が悪化しないかどうか。未来のことはわからないとおっしゃいましたけれども、そこのところが大変皆さん心配していらっしゃるところでございますので、その担保ができるのかできないのか、その辺はどういうふうにお答えになりますか。

大野政府参考人 自主的な合併が特に進んでまいりましたここ数年間の自治体の財政状況を見てみますと、多くの場合に、合併自治体は財政計画をつくりまして、例えば、当然、合併の効果としては職員数が減るということもございますし、それから議員の数も減るということもございますし、事務事業の見直しなどもやりますので、そういった計画をつくっております。

 例えば、西東京市などにつきましても、十年間の財政計画をつくりまして、十年間で何十億あるいは百何十億減らす、こういうふうにやって合併したわけでございますが、その実績を見ております限り、ほぼ計画どおり、着実にそういったコストの削減ができているというふうなことを勘案いたしますと、少なくとも、現状のままで合併しない自治体に比べますれば、合併したところはコスト削減の効果が働いてきておりますので、今後についても同じように想定ができるというふうに思っております。

肥田分科員 市町村の合併は、地方分権を担う規模や体制を整えることが主眼でございます。国から地方への税源移譲が基軸でなければいけないと思います。

 現在、国と地方自治体の仕事量はおよそ一対二、税収の比率はおよそ二対一と逆転しております。この税収比率を一対一として自治体の自主財源をふやさなければ、基礎自治体の判断で必要な事業を選択できないという地方分権とはほど遠い状況が続いてまいると思いますが、基礎自治体に対する国からの税源移譲は今後どのようにお進めになるつもりか、大臣に伺います。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、よく言われる三割自治のところですが、地方交付税というのを入れて言っていただきますと一・五対一・五ぐらいのところの比率になるというのはまず御存じのとおりのところですが、基本的には地方の交付税の部分がいわゆる地方財源にかわっていく、補助金の部分がかわっていくというのが、今大きな流れとして出てきているんだと思います。

 一つだけ、それだけやって渡していけば交付税がなくなるではないかという話をよくされる方がいらっしゃいますが、基本的にはその地域によって、そこにいる人口、そこにいる法人の数によって、同じ地域であっても格差が必ず出ます。それは、人口の多いところの方は住民税やなんかが多くなりますし、法人の多いところは法人税が入りますが、それがないけれども面積が非常に広いというようなところでは明らかに偏在しますので、そういった点も考えて、地方交付税というものがある程度そういったものを調整する機能を維持することは絶対必要になります。

 これは今後とも必要なんだと思いますが、交付税ばかりやたら頼り過ぎるということのないように、やはり基本的には今やっております税制の部分で、いわゆる基幹税を、所得税から住民税へというような基幹税をさわってやっていくということは今後とも大事なところなんであって、昨年度末の税制改正でいわゆる譲与税、まあ一定期間、ある程度時間がかからないと幾らになるかわかりませんから、その間、譲与税という名前とはいえ、少なくとも所得税という名の基幹税を地方住民税に移すという方向がはっきり出たというのは、一つの新しい流れに向かって踏み出したという感じがいたしております。

肥田分科員 もう一つお伺いしたいことがございますが、地域自治組織、このあり方でございます。

 第二十七次の地方制度調査会の今後の地方自治制度のあり方に関する答申におきまして、旧市町村に自治を認める地域自治組織、この制度を活用して、合併による規模拡大後の住民自治の充実を図るとしておりますが、この地域自治組織の誕生で、従来の消防団活動、それから自治会活動、公民館活動、コミュニティー活動などが危機に瀕するのではないかという住民の不安もございます。

 地域自治組織は分権時代にふさわしいコミュニティーの再生になり得るかどうか。また、地域自治組織に何が期待されているのか。基礎自治体の誕生に伴って旧庁舎が残りますよね、これは旧市町村の自由裁量で利用できるのかどうか。あわせてお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 消防団等々、これらの組織をどうするのかというのは、これは私どものところがいい例かと思いますが、私どものところは二市八町あるんです。ここは、消防は合同で既にやっております。二市八町合同で、嘉飯山広域消防連合という形で既にそういった形になっております。

 いろいろな形で、その地域の特性があろうと思います。郡単位で既にやっているところもあります。いろいろその地域によってやり方はあると思っておりますので、特にその地域にとって支障が起きる、今回の合併によって、規制によって支障が起きるということはない。

 また、名前がという話につきましては、御存じのように、区というものを、政令都市でなくても区を認めることにしていますので、そういった意味で、特にノスタルジックなものを含めて何となくという話も、その点も抑えられると思っております。

 私どもとしては、今の御質問のところで、自治組織の自主性は十分に尊重されるものだと思っておりますし、そこがなくなった後どうするかという話は、ちょっとその建物のレベルによるんですよね。もういよいよ崩れそうなものをそのまま使わせろと言ったって、それは危なくてやっておられぬということになりますので、その分は郵便局で代用するとか、いろいろな形を考えないかぬとは思いますが、基本的にはその地域において目的外使用ということをある程度認める方向にはなろうと思っております。

肥田分科員 最後の質問になりますが、大臣がこれまでお述べくださいました合併の理念や目的からすれば、やはり市町村合併は、またしつこいと言われるかもしれませんけれども、国税や地方税の税源配分の抜本的な見直しをしないと、痛みを背負うのは自治体だけだということになりかねません。中央のコントロールから解放され、地域が本来持っているエネルギーを発揮できるような地方分権、地方主権の確立に向けた大臣の決意表明をお願いしまして、私の質問を終わります。

麻生国務大臣 最初に御質問に対して御答弁を申し上げましたように、地方の時代に合わせてという言葉がよく言われますが、地方の時代というのは何かと言われたら、やはり基本的には地方間が競争する時代なんだと思うんです。

 そういう意味では、この行政体とこの行政体と、隣の町でも、極端なことを言えば、こっちの方が税金が安いとかこっちの方は水道料金が安いとかいうので、やはり、あっちの町の方が住みやすい、治安もいい何もいいというのが同じ県内でも隣にあるというので、ではといって、こっちの方は、何でおれのところはできぬのだという声が起きる。理由は、町長に行政能力がないからだとか、町長のリーダーシップがないからだとか、いや、あの地域に問題があるんだとか、実にさまざまな問題がいっぱい出るんだと思います。

 そういったものを含めて、地方が自主裁量権、自由度を増してできるようにするためには、基本的には地方に元気が出るために自由にする、そのためにはある程度金も要るという話なんだと思います。それこそが三位一体かなと思わないでもないぐらいなので、ある程度地方に、自主裁量権、それに伴います行政能力プラス財源というものの三つが大事だと思っておりますので、御趣旨の線に沿って頑張ってまいりたいと思っております。

肥田分科員 どうもありがとうございました。

植竹主査 これにて肥田美代子君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、滝主査代理着席〕

滝主査代理 次に、若井康彦君。

若井分科員 民主党の若井康彦です。

 この間、市町村合併にかかわる議論が続いておりますけれども、私は、その中でも、特に小規模な自治体に対する町村合併の今後のあり方についてお聞きをしたいと思います。昨年の十一月に地方制度調査会の新しい答申が出たわけですが、それを受けて、この小規模自治体、今後どのように取り扱っていくのか、改めて国のお考えをお聞きしたいと思います。

 まず、再確認の意味で、今、全体の自治体の中で小規模自治体が占めております比重について教えていただきたい。自治体の数、総人口あるいは歳入歳出及びそれぞれの全体に占める割合はどのようになっておられるでしょうか。

大野政府参考人 現在の市町村の数が三千百三十五あるわけでございますが、まず、人口一万人未満の市町村が千四百八十七ございます。その場合の、人口総数一億二千万あるわけでございますが、そこに占める割合が六・六%程度。次に、今度は人口五千人未満でございます。五千人未満の市町村が六百八十五ございます。五千人未満の市町村の人口総数に占める割合になりますと、約一・八%。そして、人口千人未満の市町村が四十六ございます。この人口でございますが、人口総数に占める割合はもちろん少ないわけでございまして、約〇・〇三%。このようになっております。

 そして、今度は歳出でございますけれども、市町村全体の歳出の決算額、平成十四年度の数字になるわけでございますが、先ほど申し上げましたように三つのレベル、まず、人口一万人未満の市町村の全体の歳出規模に占めるシェア、割合が約一一・九%。それから次に、人口五千人未満の市町村の歳出全体に占めるシェアが約四・五%。それから、一番小さいわけでございますが、人口千人未満の市町村の歳出決算総額に占めるシェア、約〇・二%。このようになっております。

若井分科員 ありがとうございます。

 前国会におきまして大臣は我が同僚議員の質問に答えられまして、先ほどの答弁にもありましたけれども、人口五千人未満では一人当たりの財政需要は百万円程度だというお話でした。それが一万人を超えると四十万、さらに三十万ぐらいが底になるだろうとおっしゃられたわけですけれども、この数字が、今進められておりますこの小規模自治体合併の必要な動機というふうに考えてよろしいのでしょうか。

麻生国務大臣 これは、銭金だけの話ではないと思うんですね。基本的には、今、このカーブでいきますと、五千人以下だと約百三万円の一人当たりの行政経費がかかる。それが、五千人から一万人になりますと約六十万円になり、そして一万から二万になると四十三万に下がり、二万から三万で三十九万、大体こうずっと下がっていって、三十万、四十万のところになると大体三十万円ぐらいまでずっと下がるんですが、それが五十万超えますとまた少し上がってくるというのが、各地方自治体におきます行政経費にかかる比率の割合であることは間違いありません。

 それは間違いありませんが、しかし問題としては、金さえ安くなったらうまくいくかというと、行政なんてそんな簡単なものではありません。そういった意味では、地方でやはり、行政は、経費は少々高くてもおれはこっちの方に住みたい、町村税を払ってもこっちの方がいいというところはいろいろあるのであって、金太郎あめみたいに一律全部というわけにいくような国でもないと思います。地方に、行政の長の、極めて経営能力のあるような人が町長になると、少なくともうちは、では法人税はまけてやる、法人事業税はまけてやる、そのかわり、おまえ、うちに工場をつくれということでやってうまくやった県なんというのは、御存じのように三重県初めいろいろあるわけです。それによって工場ができ、そこによって住民がふえて、結果として仕事ができ、県としては四日市を中心にうまく回っていったんだと思います。

 そういった意味では、今回の町村合併の基本は、先ほど肥田先生のお話にもありましたように、やはり地方が自由裁量権を増す、そのためにはいわゆる行政能力、財政能力というようなものがきっちり増していくというのが大事なのであって、それにある程度税源もついてくるというように理解をしていただいて。どうしても役所とか大蔵省とかいうのが入ってくると話がさもしくなってくるでしょう。大体、何となく取り越しに強いのばかりになるみたいな話になって、おまけに、今懐が貧しいから言うことも何となく品性が欠けるような話が多いんですが、基本的には、本来の趣旨は今申し上げたようなところが趣旨で、少なくとも、お金というものが非常に大事なものである点も確かですが、金だけというわけではないと御理解いただければと思います。

若井分科員 今の大臣の御答弁、大変に心強く思います。地方分権の受け皿として自治体の改革というものをお進めになるということを趣旨として、この合併の問題についても取り組んでいかれる、財政の効率、行政の効率だけではないというふうに承りました。

 ちなみに、先ほどの一万人未満の市町村がすべて合併をして一万人を超える自治体になったとして、交付税の節約といいますか、どれぐらいになるか。いかがでしょうか。

大野政府参考人 今の合併特例法の考え方でございますけれども、先ほど来大臣が申し上げておりますように、人口が少なければ少ないほど、そうはいいましても一定のコストはかかりますから、どうしても行政経費は割高になるということもございまして、例えば五町村が合併した場合は、当然一つの市になるわけですから、行政コストが減っていくわけですから当然需要額は減りまして交付税も減るということになるわけでございますが、今の合併特例法は、十年間は原則的には五町村で算定した場合の交付税というものを保障する、以後五年間で漸減していきまして、本来あり得る、想定された合併した市の交付税にいずれ落ちつく、こういうことでございますね。

 ですから、くどいようでございますけれども、十年間は交付税は現況を保障されるというふうになっているわけでございます。

若井分科員 その十年後のことをちょっと私はお聞きしたかったわけですけれども、恐らく、私の計算ですと、先ほどの百万が三十万になる、あるいは一万人ですと四十万になる。六千億程度の額にすぎないんだろうというふうに私は算定をしておりますけれども、この六千億円程度の歳出の削減ということで、この千五百の自治体を生かすも殺すも左右できるということでは、非常に大きな問題ではないかということを申し上げておきたいと思います。

 さて、大臣、東京都に青ケ島という島がございますけれども、行かれたことがおありでしょうか。

 居住人口二百人ですが、これが今全国で最小の自治体ということになっております。東京から南二百八十キロに八丈島があり、さらにそこから七十キロ行ったところにこの小さな孤島がある。これが日本の一番小さな自治体だと思うんですけれども、かつて火山の爆発によって八十年間無人島化したこともある。そこへ旧島民の方が帰島して再定住している。現在も頑張っておりまして、この二百人の人口を維持しておるわけです。

 こういう例外のような自治体のお話をすることはちょっとふさわしくないかもしれませんが、このような地域社会があるということは事実でありますし、こうしたものを今後日本の国として大臣は肯定的に位置づけられるかどうか、この辺について御感想をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 初めて伺ったので、答弁の方も、前から聞いていてもいいかげんかもしれませんけれども。

 今初めて伺った話で言わせていただければ、竹島の話を即思いつくところですが、竹島というところに人が住んでいれば話は込み入ったことにはならなかったんだと思います。竹島にたまたま人が住んでいなかったがゆえに今言われているような事態になった、これはもう間違いない事実だと思うんですね。

 同じように、今大陸棚という話がいろいろ出ておりますので御存じかと思いますが、海底にあります資源と関係する話なんで、それはきちんとした形で国連に、地下のいわゆる海図、地底図というものがきちんと証明できればそのものはその国の国土になるというルールが決められておりまして、あと五年間でそれを全部証明せないかぬという形になっております。

 政府としては大幅に予算増をしてこの問題に今取り組んでいるというところにも、今のお話でいきますと、いろいろな意味で、液化ガスの話やらマンガンの話やら全部関係してくるところだと思います。そういったのは国土面積に関係するところだと思いますので、国策上、そういったところに人が住んでいるということは非常に大事な要素だというのははっきりしているように思います。(発言する者あり)

若井分科員 では、一度ぜひ御一緒に視察に行っていただければと思いますけれども。

 今のお話にありましたように、領海三百海里の議論ですとか水産資源あるいは国土管理という議論ももちろんですけれども、そこに伝統的に住んでおられるそうした方々が一種の自主自立の気概で地域を維持していく、こういうモデルとして大変に評価すべき地域だと思います。

 私は、大都市におきましても、今、子供たちの問題、あるいは高齢者の地域での介護の問題、すべてこうしたコミュニティーの問題が本来は一番この地方自治上の問題だというふうに思うわけですけれども、そういう意味で、ぜひこうしたところを積極的に位置づけてほしいというふうに考えております。

 それでは、次の質問に移ります。

 先ほどからお話がありましたけれども、現段階までの市町村の合併の状況ですが、その中で、私がいろいろ見聞きするところによりますと、例えば大都市圏において、非常に広域の生活圏をなしている編入合併についてはかなりうまくいっているように思うんですけれども、こうした小規模自治体の合併の状況については、今どのような中間的な状況なのか、その辺について少しお聞かせいただきたいと思います。

大野政府参考人 まず、全体で今五百十の法定協議会があるということを申し上げましたが、法定協議会に参加しております市町村のうちで、人口一万人未満の市町村数が九百九十二ございます。だから、先ほど人口一万人未満の市町村数は全体で千四百八十七あると申し上げましたが、その中の九百九十二、約三分の二の市町村が法定の協議会に参加をしております。

 それから、次に、五千人未満でございますが、先ほど五千人未満の市町村は六百八十五あると申し上げましたが、その中で四百五十六の市町村が法定協議会に参加をしているということでございます。

 それから、人口一千人未満、四十六市町村あると申し上げました、青ケ島もその一つであるわけですが、その中の二十五、約半数強の千人未満の市町村が合併協議会に参加をしているということでございます。

若井分科員 ということは、今後の見通しとして、これらについても平成十七年三月までにほぼ多数が合併を実現するというふうに考えてもよろしいでしょうか。

大野政府参考人 法定協議会に参加をしていただいておりますので、できるだけ関係の市町村の合意を得た上で、すべての法定協議会が合併に至ってほしいというのが私どもの切なる願いでございます。

若井分科員 それでは次に、先般の地方制度調査会の答申の内容に移りますけれども、小規模自治体をそのまま地域自治組織として移行させるというふうにこの答申を読んでもよろしいのかどうか、お答え願いたいと思います。

大野政府参考人 地方制度調査会での議論の中では、来年の三月三十一日に切れます合併特例法にかわる合併推進の方策をどうするかという議論をいただいたわけでございまして、引き続き市町村の規模、能力の拡大を図ることは必要であるという基本認識のもとに、新しい枠組みの合併新法が必要である、こういうふうにされたところでございますが、その場合に、従来のような財政措置はできるだけとらない、障害除去の政策を基本にするということになりまして、いわば財政措置から行政上の措置、対応を重視するというふうにされたところでございます。

 その中の一つといたしまして、合併特例区的な、合併をした場合に旧来の市町村で、やはり当面、段階的に移行するために、いわばソフトランディングが必要ではなかろうか、こういうこともあります。現にそういう声も、私ども、関係の市町村長さんから大変強くお聞きをいたしております。そういうことでございますので、合併をしたときに限っては、法人格のあるような、そういった特別地方公共団体というものも認めるべきではないか、こういう議論がされております。

 一方で、合併のいかんにかかわりなしに、特に住民自治の強化を図る。これからの地方自治を考えました場合に、組織の合併ですから、どちらかというと団体自治の側面で合併をやってきているわけですけれども、住民自治の強化、つまり小さな自治をどうするかということも非常に大事な課題でございます。

 そうした観点から、一般的な仕組みとして、地域自治組織というものをどこの市町村にもつくれるようにしたらどうか、そういうことを言った上で、合併をしたところに限っては、一定期間、法人格のあるタイプを旧市町村単位に認めたらどうか、こういう議論がありましたので、これを踏まえながら今立法化の作業をしておるところでございます。

若井分科員 私は、半生、全国津々浦々で自治体の地域づくりを応援するという仕事をしてまいりましたけれども、今お話のありました住民自治の強化あるいは住民サービスの自治体としての性能というようなことを全体的に判断しますに、必ずしも規模の大きな自治体が、効率がよい、サービスの水準が高いという印象はどうしても持ち得なかった。

 今、小さな自治体として、一人一人の職員の方々が切磋琢磨しながら自治を高めようという努力をしておられるところも少なからずございますし、そうしたものをむしろこれからは生かしていくことが、先ほど大臣のお話もありましたけれども、いわゆる脱工業化の時代、知識社会といいますか、そうした中では大事なことではないか。むしろ、大都市圏における広域生活圏の中のコミュニティーの不在というようなことの方が、地方自治の制度としては難しい問題になっているような気もいたします。

 そういう意味で、旧の自治体を地域自治組織というような形で、ある意味でいうと四段階になるわけですね。国があり、都道府県があり、市町村があり、さらにこの地域自治組織があるというような形にするという考えもおありでしょうけれども、むしろ逆に、地域自治組織にする以前の問題として、今の自治体の中で、確かに重荷をしょっていると思います、百万の都市と二百人の自治体では当然背負える荷物も違うわけですから、むしろその一部の事務について、みずからそれを委託する、例えば都道府県なりに委託をできる、そういうシステムに変えるということの方が合理的ではないかというふうに常々考えておるわけです。

 こうした考え方について、この地域自治組織の考えと、そういう制度を提案するということは可能ではないのでしょうか。

大野政府参考人 前回の地方制度調査会の中でも、小さな規模の市町村があらゆることをやるということにはならない場合に、今お話しのように、一定の事務について限定的に処理する、難しいものは都道府県の方に何らかの形で考えてもらったらどうか、こういう御議論もございました。

 しかしながら、この点につきましては、現場の町村長から、自治体というのは完全な自治体であるべきである、そういう大変強い反発もございまして、この問題については引き続き検討をすべきだというふうになったわけでございます。

若井分科員 それでは、先ほどお話のありました、第二十八になりますか、この地方制度調査会の中では、そうした議論を引き続きしていただける、そして、小規模自治体の合併の方策については平成十七年度以降についても議論が続けられるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。

大野政府参考人 この小規模な町村の扱いにつきましては、新法の中でどのように考えるかということがまず基本でございます。とりあえず進めるべきとされた前回の地方制度調査会の議論では、人口一万人未満の小規模な町村につきましては、国が指針を示しまして、その指針に基づいて都道府県知事が合併に関する構想をつくる際に、そういった小規模な町村をどのようにしていったらいいのかということも構想の中に明示をすべきだ、このようにされております。

 しかしながら、いろんな条件がございます。外海離島でありますとか、あるいは、既に今回の合併で一たん合併しましたけれどもなお人口が一万人未満という場合もありますので、いろんな条件は勘案いたすべきではございますものの、そういった小規模町村の扱いにつきまして、広域自治体たる都道府県が一定の考え方を示すというふうなことが答申にございましたので、それを法案の中に落とし込むべく作業をしております。

若井分科員 どうもありがとうございました。

 私は、今回のこの市町村合併の議論の中核になっている部分が、先ほど千五百とおっしゃいましたけれども、この小規模自治体の今後のあり方についての議論であるというふうに理解をしております。ですから、この小規模自治体が今持っているコミュニティーの資質みたいなものは、二十一世紀の日本の社会を支える上での最も基本的なベースになるところの議論につながっている。先ほども申し上げましたけれども、大都市圏周辺のいわゆる広域合併、広域自治体の中におけるコミュニティーの再生の議論と通底をしている議論だというふうに考えておりますので、この辺、逆にこれからのそうした大規模自治体のあり方についての議論とあわせて、引き続き御検討いただきたいというふうに考えております。大臣にも、その点、よろしくお願い申し上げます。

 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

滝主査代理 これにて若井康彦君の質疑は終了いたしました。

    〔滝主査代理退席、主査着席〕

植竹主査 次に、橋本清仁君。

橋本(清)分科員 民主党宮城三区の橋本清仁でございます。

 さて、きょうから春の火災予防運動が始まりました。大変に空気も乾燥し、火災の発生しやすい季節を迎えております。そこで、本日は、地域における消防防災のかなめとして極めて大きな役割を果たしている消防団の抱える諸問題について、消防団のさらなる充実発展を支援する観点からの質問を中心に行ってまいりたいと思います。

 特に、我が宮城県におきましては、昨年七月二十六日に発生しました宮城県北部連続地震におきまして、大きな被害を受けた五つの町を中心に、三十七市町で延べ六千百九十二人の消防団員の方が、地域の警戒やパトロール、災害復旧活動、被害状況調査、水防活動などで活躍なさいました。そして、三十年以内に九九%の確率で宮城県沖地震が起きると言われておるこの宮城県におきまして、消防団の活動の充実というのは必要不可欠なことだと思われます。

 諸問題ございますが、私の地元におきまして、新春の消防出初め式の御案内をいただきまして、出席させていただきました。消防の職員さんにまじりまして、消防団の団員が大変にきびきびとした態度で活動をなさっていました。日ごろから消防団の方々は、単に火災の際の活動にとどまらず、現在におきましては、徘回老人、そして行方不明者の探索などを行っておられまして、まさに地域の顔として地域社会に貢献を続けていらっしゃるのであります。

 ところで、年に一回の消防白書、この平成十五年版が昨年の十二月十六日に公表されました。そこでは、消防団の役割を評価しつつ、さまざまな問題を指摘しています。

 まず、最も大きな問題は、やはり団員数の減少です。消防団員は、昭和二十年代の二百万人から全国的に減少が続き、常備消防の充足率の進展が落ちついて以降も減少に歯どめがかからないといった状況でございます。この結果、団員数は平成十五年四月一日現在で全国九十二万八千四百三十二名であり、十年前と比較いたしましても、人数で五万四千五百八十二人、比率にいたしまして五・六%減少しているのであります。

 この理由につきましては、昨年の三月に公表されました「新時代に即した消防団のあり方について」、そこにおきましては、実態調査の結果といたしまして、人口流出、若者流出により入団者が減少したとする市町村が約七四%にも上っております。

 かつては消防団の団員になることが地域における伝統的な通過儀礼となっていたことなども踏まえるならば、昨今の状況はかなり変化をしているということは間違いないと考えております。

 そこで、これから何点かお尋ねいたします。

 まず、消防団への若者の入団促進につきまして、これまでどのような取り組みを行ってきており、そして今後はどのような取り組みを新たに考えているのでしょうか。

 そして、非常に素朴な疑問なんですけれども、これからお答えいただく皆様の中で、消防の実際の現場で指揮をとられたことのある方は何人ほどいらっしゃいますでしょうか。お答えいただきたいと思います。

林政府参考人 消防団につきましてお答えを申し上げます。

 消防団の皆さん方は、日ごろ、日夜を分かたず、それぞれの地域で地域の安全あるいは住民の方々の安心確保のために御活躍をいただいておりまして、私ども、日ごろから、心から敬意を表し、感謝を申し上げているところでございます。

 ただ、この消防団につきましては、御指摘いただきましたように、社会環境の変化等に伴いまして団員数が減少しておりますし、また、団員の状況を見ましても、サラリーマン化が進んでいるとか、あるいは高齢化が進んでいる、こういうような課題に直面いたしているところも事実でございます。

 しかしながら、私ども、地域の防災力を高める観点から考えますと、地域に密着して、かつ要員の動員力があり、そして即応性のある消防団の存在は、今後とも大変重要なものであると認識をいたしておりまして、このために、必要な組織の確保あるいは活動の充実を支援しながら、協力をお願いしてまいらなければならないと考えております。

 このため、消防庁では、消防団の活性化を図り、その充実強化を図るために各種の施策を講じてきているところでありますが、活動環境の整備を図りますためには、消防団の施設や装備に対します国庫補助金を充実するとか、あるいは、団員報酬とかあるいは消防団の出動手当等に対します地方財政措置を充実する、こういう観点からも努力をいたしているところであります。

 加えまして、やはり重要なのは、組織の拡充あるいは団員の士気の高揚でございます。まず、士気の高揚を図りますためには、私ども、啓発ポスター等はもちろんでありますけれども、各種の表彰であるとか、あるいは、模範となるような活動事例をお示しいただきました方々を全国に紹介するような趣旨から、全国消防団員の意見発表会等を開催させていただいておりまして、若手、中堅団員や女性団員の士気高揚にも努めているところでございます。

 しかしながら、何よりも重要なのは、御指摘いただきましたように、団員の確保でございます。現在、九十二万八千人という状況にございますが、私ども、各審議会からの御答申もいただき、百万人の消防団員の確保に向けてこれから努力いたしたいと思っております。

 具体的には、今年度に入りまして、地方団体向けに各種のお願いをいたしております。一つは、御指摘いただきましたような女性の方々、特にコミュニティーに密着して生活しておられますような方であるとか、あるいは地方公務員の方、特に地域と密着している郵便局の職員の方、あるいは農協職員の方、こういう方々にも入団を促進する必要があると思いまして、地方団体にお願いをいたしているところでございます。

 そのような各種の施策を講ずる中で、団員の確保、団の活動環境の整備に努めてまいらなければならないと考えております。

 なお、最後に御質問いただきました、私自身は、生まれ育ちました郷里で父が消防団員として活動しておりましたのを承知いたしておりますが、私自身が直接指揮をとったことはございません。しかし、これまでの経験を踏まえて、団員の皆さん方の御苦労に報いるべく、一生懸命充実に向けての努力をしていかなければならないと考えております。

橋本(清)分科員 それで、さまざまな取り組みを行っていらっしゃるということでしたが、そういう施策をしておきながらも、百万人という目標を達成しないどころか、さらに減少を続けているといった現状が今ございます。

 その点につきましてもまたお尋ねしたいと思いますが、先ほどお答えになられた中に、女性、そういったお言葉がありました。若い男性団員の減少を補う意味でも、高齢の方あるいは女性を積極的に消防団員として活用していくための努力も不可欠と考えます。

 女性については、過去五年間で女性消防団員は八千二百九十人ふえまして、昨年四月一日現在で一万二千四百四十人となっていることは非常に喜ばしいことであります。そういった流れをさらに進めるためにも、女性、そして高齢者の方に共通している要望としては、消防機材をより使いやすいものへと改善してほしいということが指摘できるわけであります。私としても、この機会に強く、高齢者と女性が使いやすい機材、そういったものへの対応はどうなっているのかについてお伺いしたいと思います。

林政府参考人 御指摘いただきましたように、これから、地域に密着した女性の方、若者、あるいは高齢者の方々にも活躍をしていただきたいわけでありますが、そのためには、確かに操作しやすいような機材の整備というのが一つの課題になってきております。このため、私どもは、消防団の装備について、またいろいろな方々の御意見を伺ってみたいということで、検討会を現在開催いたしておりまして、できるだけ早くその結論をまとめたいと考えております。

 例えば、小さく、小回りのきく機材であるとか、あるいはボタン一つで操作がしやすいような、自動機能を備えたような機材であるとか、こういうものについて、具体的にどのようなものが開発可能であり、利用可能であるのかという点も踏まえて御意見を取りまとめ、消防団の皆さん方のお役に立てるようなものをまとめていきたいと考えております。

橋本(清)分科員 そういったものを進めていらっしゃるということですが、ほかにも、サラリーマン団員の増加という問題がございます。

 被雇用者である団員、言うならばサラリーマン団員の増加も、現在の消防団活動に大きな制約を加えています。全国的にはサラリーマン団員は七割弱なのですが、とりわけ、この問題は人口規模が小さな市町村ほど深刻でございます。

 これにより現場で起こっている問題として、実態調査でも、サラリーマン団員の増加に伴い活動が夜間に限定されてしまう、また、活動が祝祭日に集中するために学校行事に参加できない団員が多い、また、休日活動に対する家族の理解が得られない、そして、サラリーマン団員は日中会社に行っておりますから、そういった日中の空洞化、そういったことが指摘されています。そして、こういった事情によって、サラリーマン以外の団員が消防団活動に参加することが難しくなる事態も生じています。

 この問題についての対策としまして、やはり最も効果があると思われるのは、雇用企業に対して団活動への理解を求めていくことだと考えられます。しかし、現状ではその点が非常に弱いのではないでしょうか。実際に、私の地元、四市九町ございますけれども、その消防団長の方々にお伺いいたしても、やはりうまく機能していない、消防団員がみずからのネットワークで雇用企業にアプローチしている、そういう現状なども見られます。

 大切なのは、単に消防庁だけの取り組みではなく、政府全体として、経営団体に協力を要望するとともに、例えば閣僚がそろった場において、全大臣に、問題意識を共有し、それぞれが抱える業界団体へのお願いをしていただく、そういった全省的な取り組み、また、そういった活動を側面から支援してもらうためにも、企業だけではなく労働組合その他の団体にも理解や協力を得るための努力なども行ってみてはどうかと考えられますが、これらの点に関してお答えいただきたい。

林政府参考人 御指摘をいただきました点は大変大切なところでございまして、私どもも、そのようなお考えをいただきながら各界に働きかけていかなければならないと考えております。

 ただ、現在も、具体的には、例えば消防団地域活動表彰という名前ではございますが、消防団員を雇用して、また消防団活動に職員、会社員が参加しやすいような環境をつくってくださる、そういう協力をしていただくような事業所を表彰させていただくとかということもさせていただいているわけであります。経済界あるいは各種団体等を通じまして、個々の企業の方々に、消防団員への加入の促進、あるいは団員となった職員の皆さん方が参加しやすいような環境への御協力についてお願いをいたそうと思っておりますが、今後ともさらにその範囲を広めて努力をしていきたい、こう考えております。

橋本(清)分科員 先ほど、表彰などその他の方策を行っていらっしゃるというお言葉がございましたけれども、調査では、協力事業所への表彰及び広報を挙げる市町村が約六七%、同じく消防団が七三%と圧倒的に多いながらも、実際に表彰などを行っている市町村は全体の約八%しかない、そういった事実を御存じでしょうか。そして、約九一%の市町村が特に支援策を行っていないことについて、どのように分析されているのか。何がネックとなって表彰が進まないのか。消防庁がやれと言ってもやっていない、そういった現実について、これを克服するために国としてできる支援措置としてどういったものが挙げられるか、その点についてお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 私どもも、御指摘いただきましたような実態を踏まえて、今後とも被雇用者団員の確保について、また加入していただきやすいような、また加入していただいた方が活動をしやすいような環境の整備に努めてまいらなければならないと思っておりまして、あらゆる機会を通じて地方団体にお願いをいたしているところでございますが、なかなか地方の段階でそのような活動が十分にできていないような実情があるともお聞きをいたしております。

 そこで、最近は私どもいろいろな機会、地方で、地方団体の皆さん方と接触したり、あるいは団の団長さん、あるいは、これも消防職員でありますが、消防長さんともお話をする機会がございますので、そういう消防長さんあるいは団長さんにも直接働きかける、あるいはいろいろな催し物で企業の皆様方とお会いする機会もございますので、そういう場合は直接個別にお願いをする、こういうような地道なやり方でありますけれども、そういう方法も重ねていかなければならないと思っております。

 ただ、市町村は今いろいろと行財政も改革をしていかなければならない状況下にございまして、今後、地域の防災力を高めるためにはどのような体制をとる必要があるか、どのような支援策を講ずる必要があるか、いろいろと御検討をいただいているところだと思いますので、この機に、中長期的な観点から地域の防災力を確保するために、常備消防のあり方、また消防団のあり方、さらに自主防災組織のあり方、婦人防火クラブのあり方等々を踏まえて御検討をいただきたいと思っております。その中で、消防団に対して、加入促進あるいは地域の事業者に対する協力依頼のやり方につきましても、個々具体に、こういうことでお願いをしていただいたらどうだろうかという働きを強めてまいらなければならないと考えております。

橋本(清)分科員 消防団は、みずからの地域はみずからで守るとの精神に基づき活動を行っているわけですが、その意味では、地域を愛し、地域住民の生活向上に献身的に努力をなされている地方公務員の皆さんが、先ほどおっしゃっていましたけれども、消防団活動に参加されることはとても自然なことですし、そのことが消防団の活性化につながる側面もあるものと考えております。

 実際に、そのような観点も踏まえ、平成十四年の十一月二十五日におきましては、消防庁の消防課長から、各都道府県の消防防災主管部長に対する地方公務員の消防団への入団促進に関する通知が出されました。そして、それに先立つ十一月十九日には、郵政事業庁にあてて、郵便局職員の消防団への入団についての通知も出されたわけです。

 さて、通知から一年以上が経過したわけですが、三年前、二年前の地方公務員、郵便局職員の入団実績と比較して、どれだけの入団実績が向上したのかをお答えいただきたい。実際には人数が減っている中で、こういった施策がどれだけ効果を発しているのかということについてお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 現在手元に、地方公務員で最近どの程度団員が増加しているか、具体的な資料を持っておりません。後ほどまたお答えをさせていただきたいと思います。

 私の記憶では、郵便局職員につきましては、特に昨年、お触れになりましたような通知を出したこともございますし、また私どもも個々にお願いをしておりますし、また麻生大臣の方からもいろいろと地元でお話をいただいたということも聞いておりますが、その結果かもしれませんが、この一年間で、郵便局職員、調べたものがございまして、五千人程度の職員の加入を見ているということを聞いております。

橋本(清)分科員 麻生大臣の持つ影響力というのは極めて大きいものでございますから、そういったもので郵便局員とかそういった職員が消防団の活動に参加するのはいいことですが、そういった活動において本来の仕事に対する負担とならないような、業務量を調整していくといった観点からも、またそういったところをどう調整していくかについてお答えいただきたいと思います。

林政府参考人 地方公務員あるいは郵便局職員、それぞれの職場での任務を持っておるわけでありまして、その任務との兼ね合いが大変難しいことになろうかと思います。

 しかし、私の立場から申し上げますと、地域の行政全般の基本はやはり地域の安全であり、地域の住民の方々の安心が確保できるような体制をつくることである、こういうふうに考えております。地域の安心、安全があってこそ行政が展開でき、郵政事業も展開できるわけでございますので、その点を雇用者である市町村長さんあるいは郵便局長さんたちに十分御理解をいただき、職務との兼ね合いを十分考えた上でではありますけれども、地域の消防活動等への参加を積極的に奨励していただくようお願いをしてまいりたい、理解を深めるよう努力してまいりたいと考えております。

植竹主査 いいですか。何か、今数字はわかりましたか。

林政府参考人 済みません。増加人員はまだわかりませんが、とりあえずわかりました数値といたしましては、消防団員のうち地方公務員の数は約七万人である。増加状況につきましては、まだ調査中であるということをお答えさせていただきます。

橋本(清)分科員 七万人であるということですけれども、その増加の数字、後ほどお教え願いたいと思います。

 また、団員の教育方法として、サラリーマン団員や女性団員の増加を踏まえるならば、従来の消防学校への集合教育だけではなく、インターネットを利用した在宅e―ラーニングの導入に積極的に取り組むことも不可欠ではないかと思われます。

 政府もe―ラーニングに関する取り組みに本腰を入れ出したことは確かですが、現状において、在宅学習を実施している消防団の割合は低く、単に国として頑張っていますよと言うだけではなく、現実に各地域の消防団に導入されて初めて意味を持つものだと考えます。今後も、市町村の消防団のe―ラーニングへの具体的なニーズを受けとめた取り組みを、国としても行うように強く求めるものでございます。

 そして、例えば、今後五年間で在宅学習を実施する消防団の割合をどのくらいまで引き上げたい、そういった目標があったならば、ぜひお教え願いたいと思います。

林政府参考人 消防団員のうち在宅学習ができる職員の割合という御質問でございますが、そういう数値的なものは、現在、私どもとしては持ち合わせておりません。

 しかしながら、消防団員は、日常生活を営みながら地域で消防防災活動をやっていただく必要があるわけでございまして、御指摘のように、なかなか最近の新しい事象に対する知識をふやすような機会、あるいは講習を受けたり訓練を受ける機会に限度があるのも事実でございます。

 そういう事情から、私どもも、消防団員の方々が夜、あるいは家庭で、あるいは寸暇を惜しんでインターネットをあけていただきますと勉強ができるようなものが必要ではないかというふうに考えておりまして、現在、在宅学習としてe―ラーニングの充実を図っていかなければならないと考えております。

 実は、十五年度で予算を確保いたしまして、e―ラーニングのソフトの開発に着手をいたしました。去る二月の二十日に一部運用させていただきましたが、この運用を開始させていただきましたものは、一般住民を含む、まず、災害の基礎知識コースと、やや上級の、深く学ぶコースを完成させることができたわけであります。

 十六年度におきましては、やはり消防団員の皆さん方を対象とした、一般の公務員に比べて中身を充実させたものが必要とされる消防団員向けのソフトを開発していかなければならないなというふうに考えておりまして、いろいろ専門家の方々の御意見も承りながら準備を進めているところでございます。

 これを活用していただくことによりまして、できるだけ多くの消防団員また消防職員、さらには自主防災組織あるいは町内会等の皆様方にも、防災に対する知識を深めていただき、地域の防災力を高めるための準備をしていただければと思っているところでございます。

橋本(清)分科員 去る二月二十四日、今国会に政府提出される予定の国民保護法制の要綱案が公表されました。そこで、要綱案におきましては、消防団あるいは消防本部について、具体的にどのような役割を担うこととなっているのかお示し願いたい。

 そしてまた、例えば、要綱案中には、市町村長による避難住民の誘導等という項目におきまして、消防組合を組織する市町村の長は、当該市町村の避難住民の誘導に関し特に必要があると認める場合には、当該消防組合の管理者または長に対し、当該消防組合の消防長または消防団長に対して必要な措置を講ずべきことを指示するように求めることができることとの記載がございます。

 要綱案の段階におきまして詳細に議論が煮詰まっていない可能性はあると思いますが、現時点において、特に必要があると認めるとき、あるいは必要な措置とは、具体的にどのようなことが念頭に置かれているのかについて、ぜひお答えを願いたいと思っております。

麻生国務大臣 細目、林長官の方から答えさせますが、基本的に、宮城県はちょっと太平洋側ですのでいかがなものかと思いますが、反対側のいわゆる日本海側の方は、結構深刻なんですよ。

 同じような顔をして、えらく日本語のうまい工作員が潜入というような条件を考えますと、顔見知りの橋本消防団員に誘導されるのと、全然知らない滝実に誘導されるのとでは、もう全然信用度合いの顔もけたが違います。奈良県に行けば、それは滝実の顔で、おお、これなら大丈夫ということになるかもしれぬけれども、宮城県では全然だめですから。そうなってくると、やはり知り合いの消防団員がこっちと言うのと、全然知らない者が言うのとでは、もう避難する国民の意識というか気持ちの安心感が全く違いますので、そういった意味では、消防団員の役目は極めて大きいという前提に立っております。

 私どもとしては、この点に関しましては、いろいろふだんから、机上の訓練だけじゃだめ、現実に実習をやらねばならぬということで、この点につきましての予算措置が必要だと思っております。こういったものを含めて、消防団員というものは、従来のものとはまたさらに違った役割を期待されるところだと思っております。また、そういった事態にならないようにするのは当然ですけれども、なった場合の万一に備えておくというのは非常に重要なところだと思います。

 私どもとしては、この問題につきましては、この法制ができ上がりました後は、積極的に消防団等々にこの点につきましての訓練また啓蒙等々をやる、e―ラーニングもその中に含まれるでしょうが、そういったものを含めて、積極的にこの事態に対応できるような訓練なり団員に育て上げていきたい、また、育て上げねばならぬと思っております。

橋本(清)分科員 私、先ほども申し上げましたけれども、消防団員の皆さんにさまざまなアンケートというか、実際に現場で働いていらっしゃる方にもお聞きしたのですけれども。データもあります。

 報酬については、消防団からは、もっと高くてもよいというお答えが約五一%、半数を超えています。一方で、市町村からは、適当な金額であるというお答えが約五六%と半数を超えています。

 恐らくこれは、市町村としても、消防団の果たしている役割を評価するならば、本音としては、現在よりもさらに高い水準に報酬あるいは退職金を引き上げたいという気持ちなのだとは思います。しかし、現状の市町村財政の厳しさを考慮して、やむなく適当な金額であるとのお答えをしているのではないかと推察します。

 そこで、消防庁として、団員の報酬については現在どのように認識しているのか、あるいは、議員立法により平成十四年度から、団員が災害活動で使用した自家用車に損害が生じた場合に、上限十万円の見舞金を消防基金から支給する事業が実施されたわけですが、そうした新たなメニューを政府提案で拡充していく心づもりがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

林政府参考人 団長を含めまして消防団員の処遇の改善につきましては、私ども、意を用いていかなければならないと考えている重要な課題であると思っております。

 先ほどもお答えを申し上げましたが、団員報酬あるいは出動手当等につきましては、地方財政措置を講じているところでございます。大変厳しい財政状況の中ではありますが、十六年度におきましても、出動手当の引き上げをお願いするということにいたしております。

 ただ、現在の団長あるいは団員の皆さん方に対する報酬の額が適正なものであるかどうかということについては、いろいろな御意見があると思っておりますが、私ども、事情の許す限り、地域の安全を確保するためには大変重要な分野でございますので、地域の防災力が低下することがないよう、必要な団員を確保しながら、その団員の方々に理解をしていただけるような水準で処遇の改善が少しずつでも向上していくよう、地方団体の皆さん方にもお願いをしてまいりたいと考えているところでございます。

橋本(清)分科員 さまざまな質問をお伺いしましたけれども、やはり、消防団というのは地域の防災のかなめでございます。これからも、その消防団のさらなる充実発展を促すような、そういった施策をいろいろやっていただきたいと思っております。

 終わります。

植竹主査 これにて橋本清仁君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

植竹主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野信夫君。

松野(信)分科員 民主党の松野信夫でございます。

 私の方からは、住民票、特に外国籍で日本人の配偶者などになっておられる方、最近大変多いわけでございますが、そういう方々をぜひ住民票に記載したらどうかということにつきまして御質問をしたいと思います。

 住民票が我々の日常生活において極めて重要な役割を持っているということは、もう言うまでもございません。学校に入学あるいは転学、あるいは就職のとき、それから不動産でも購入するというふうなときに住民票が必要とされておりまして、実にさまざまな場面で住民票を活用しているわけでございます。

 問題は、現在、外国籍で日本人の配偶者になっておられる、こういう人たちが住民票に記載されていないということで、ぜひ記載をしてほしいという要請が最近出ているわけでございます。

 例えば、これは岩波の「世界」という雑誌で、二〇〇二年の七月号でございますが、これにはトニー・ラズロという方が論文を書いておられます。「住民票が家族と地域を分断する 記載されない外国人配偶者」、こういう表題で問題提起もなされておりますし、また、私の地元の方では、いわゆるクリスチャンの団体の一つ、YWCAあたりでもこの問題を取り上げて、ぜひ外国籍で日本人の配偶者を住民票に載せてほしい、こういう要請が最近大変多く出ているわけでございます。

 こういう要請について、総務省の方としてはどういう考え、あるいはどういうような対処をしてこられたか、まず概括的にお話をいただきたいと思います。

畠中政府参考人 最近の国際化の進展の中で、日本人と外国人のいわゆる混合世帯が増加していることは私どもも承知しておりまして、世帯主が日本人である世帯に外国人配偶者が同居している場合、住民票の備考欄に外国人配偶者の氏名を記載してほしいという要望がなされていることは私どもも承知しております。

 この住民票の備考欄への記載につきましては、個々の市区町村において、行政執行上の必要性を勘案の上、判断することとなろうかというふうに考えておりますが、本例のような世帯構成について的確にしておくことは、市区町村における行政の効率的な運用に資するのみならず、住民の皆様の利便の向上にもつながるというふうに考えているところでございます。

 そこで、私ども総務省といたしましては、既に平成九年の行政実例により、これは電話照会による回答でございますが、妻が外国人であっても住民票の備考欄にその旨記載することは差し支えないという旨を市区町村に助言してきたところでございます。平成十四年の三月十五日でございますが、地方公共団体に対しまして通知を発出いたしました。住民から要望があった場合については、外国人の配偶者の氏名を住民票の備考欄に原則として記載することが適当であると考えられるという旨をその通知で明らかにしておるところでございます。

松野(信)分科員 今のお話ですと、備考欄に記載するように通知をして、それでいいのではないだろうか、こういうことかと思いますが、これは後ほど申し上げますように、備考欄ということだけでは大変不十分だ。また、実際、外国籍の方々からは、備考欄ではなくて、やはりしっかり法改正をして本欄に載せてもらいたい、こういう要請が実際には続いているわけでございます。備考欄に載っている自治体もあれば載っていない自治体もあるということで、実際にはばらばらな取り扱いが現実になされている、こういうのが実態でございます。

 そういうような実態であるがために、実際私のところにも、非常に不都合だということで、さまざまなトラブルが発生したという具体的な実例も報告があります。

 幾つか御紹介をしたいと思います。

 外国籍の父親が載っていないというために、これは母子家庭だというふうに誤解をされて、市の福祉課から訪問を受けて、何か援助しましょうかというようなことを言われた、こういう例もありますし、また、世帯主である日本人の配偶者が死亡したということのために、就学前の子供、まだ三つか四つの子供が世帯主に登録される、こういうようなケースもございます。また、これは多少笑い話的かもしれませんが、日本人の夫あてに、要するにこの人は独身じゃないかということで、結婚相談所あたりから女性を紹介しましょうというダイレクトメールまで送りつけられる、こういうようなケースもあります。またさらに、住民票に記載がないということで、町内会長からあなたは町内に住む資格がないということまで言われた、こういうひどいケースもありまして、これは一刻も早く解決すべき極めて大きな問題だ、こういうふうに考えているところでございます。

 こういう不都合がある、早く解決をしなきゃならない、こういうような認識を大臣自身がお持ちであるかどうか、お聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、先生、この話は、日本みたいに戸籍謄本やら何やらこんな発達しているというか行き渡っている国も、もう御存じのように余りないのです。昔はおよそこの種の例はほとんどまれに見る例だったのですけれども、このところふえてきておりますので、需要が少しはふえてきているであろうというのは想像いたしておりますが、この種の話でむちゃくちゃにトラブルがあってどうにもならぬというようなのに近いのがあったので、備考欄ということになったという背景まではよく知っております。私の知っているところで何人かおりますけれども、それがあるがゆえにどうしてもうまくいかぬという例を寡聞にして知りません。

 今の御質問に関しては、そういう備考欄に書く等々の内容も知っておりますし、その種の人間を知らないわけではありませんけれども、ただ、直接私に、そういうのに対して、これは何ともならぬので何とかせいというような陳情を聞いたことはないというのが正直なところです。

松野(信)分科員 大臣の認識はお伺いいたしましたが、ただこの問題は、何もきのうきょうに始まったというような問題ではないわけです。

 私も調べてみますと、これは平成十四年の二月二十八日に、公明党の山名委員がやはり私と同じようにこの問題を取り上げて、外国籍の配偶者を住民票にきっちり載せたらどうかということで、これは総務委員会でも質問しておられるわけでございます。そのときも備考欄というようなお話を総務省側からされてはおるようですけれども、まだまだそれだけではやはり不十分ではないかというふうに私は認識をしておるところでございます。

 それで、いわゆる日本人と外国籍の方との混合世帯が増加をしている、これは平成十四年の総務省からの、先ほど局長が言われました通知の中にも記載をされているわけですが、どの程度増加をして、数がどのくらいになっているのか、これは確認をしておられますか。

畠中政府参考人 先ほど、不都合が生じているのではないかという先生の御指摘でございますが、私ども、備考欄に記載をするよう通知しておりまして、各市町村ではその旨適切に処理されておられると思いますので、その備考欄に記載されている人がどのぐらいいるか、混合世帯がどれぐらいあるか、ちょっと私ども、恐縮ですが、把握しておりません。

松野(信)分科員 しかし、私が今申し上げましたように、先ほど局長も言われましたが、平成十四年三月十五日の総務省自治行政局市町村課長から各都道府県の総務部長あての「住民票の備考欄への外国人配偶者の氏名の記載について」という通知の中でも、冒頭から「日本人と外国人のいわゆる混合世帯が増加している」という記載があるわけですから、そういうような点についてはしっかり、総務省の方としてはこういうデータというのはつかんでいないんでしょうか。

畠中政府参考人 先ほど申し上げましたように、私どもとして各市町村に聞くなどしては把握しておりませんが、たしか法務省の資料で見た記憶がございます。その資料によりますと、日本人が夫で外国人の妻というものの数、混合世帯ですね、その当時およそ三十万人程度というふうな資料を見たことがございます。

 その後どの程度増加しているのかという御質問については、ちょっと申しわけございませんが、その点は把握しておりません。

松野(信)分科員 別に増加しているかどうかを争うつもりはありませんけれども、こういう点についてはしっかりやはりデータで確認をしていただきたいなというふうに思います。

 私の方も幾つかデータはとってみたんですが、一つのデータとしますと、法務省の入国管理局の関係では、日本人の配偶者等という在留資格がございます。これでどれくらいの数がいるかというと、大体二十七万から二十八万。これが、全部が全部外国籍の配偶者になるというわけではないと思いますが、一つのおおよその数字には違いないかなというふうに思いますので、恐らく三十万人ぐらいが外国籍の方で日本人の配偶者になって、残念ながら住民票の本欄には載っていない、そういう人がそれくらいはおられるのではないか。そうしますと、余り簡単に数が少ないということで処理されるべきものではない、こういうふうに思います。

 それから、備考欄でいいじゃないかということで、この点も私の方で調べてみたんですが、これはもともとは、昭和四十二年の十月に事務処理要領というのが当時の自治省の行政局長通知で出されております。これについては、外国人が実際の世帯主である場合、日本人の世帯員のうち世帯主に最も近い地位にあるものの氏名を記載し、実際の世帯主である外国人を備考欄に記入する、こういうふうになっているわけです。ですから、最初に私がどうも不都合ではないかというふうに申し上げたように、日本人の御主人が亡くなったというような場合にはそれこそ就学前の子供が世帯主になってしまう、こういう点が出てくるわけですね。

 それで、実質的に世帯主以外の外国人についても、先ほど局長の方で言われたように、平成九年の電話の回答、あるいは平成十四年の通知で住民票の備考欄に原則として記載するのが適当だ、こういうふうに一歩改善にはなっているかなという気は正直しますけれども、これは先ほど言ったようにまだまだ不十分でございます。

 それで、現実に各自治体でどの程度この備考欄に記入するというのが徹底されているのか。私は、徹底されているところもあれば、必ずしもそれが徹底されていないところもあるように聞き及んでおりますが、各自治体、どの程度備考欄に記入するというふうになっているのか、これについていかがでしょうか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 これは先生はよく御存じだと思いますが、従来から、外国人の世帯主である場合はその旨を備考欄に記載していた、これは平成九年以前もそのようにしていたものでございます、各市町村におきまして。ただ、世帯主でない外国人配偶者、要するに世帯主が日本人で配偶者が外国人という場合は、えてして備考欄に記載していなかった市町村が多かったということでございますので、私ども、それを徹底する意味もありまして、平成十四年の三月十五日に先ほど申し上げましたような通知を発出したわけでございます。

 したがいまして、私ども、その通知を受けて各市町村において備考欄の記載について適切に対処していただいているものというふうに承知しておりますが、先生の御指摘でまだまだ不十分だ、こういう例があるということをちょっと今把握しておりませんが、そういうことがございますれば、さらに備考欄の記載について徹底を図るよう適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

松野(信)分科員 そうすると、結論としますと、どの程度の自治体が徹底して備考欄に書いているか、あるいは書いていないか、その数的な把握、調査というのは実際にはなされていないということでよろしいですか。

畠中政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

松野(信)分科員 備考欄というところですけれども、これは要するに、住民基本台帳法の規定に基づく法定記載事項ではなくて、いわゆる行政側の執務上の一資料にとどまる、それは居住関係の公証に利用されるような事項ではないというふうに私は理解をしておりますが、そのとおりでよろしいですか。

畠中政府参考人 先生はもう弁護士をしておられるからよくこの仕組みについては御承知かと思い、説明は今まで省略してきたんですが、外国人と日本人の登録制度の違いでございますが、外国籍を有する方は外国人登録法で登録されることになっておりまして、日本人につきましては住民基本の登録制度ということになっております。

 これにつきましては、外国籍を有する人は、我が国に入国する際に主権に基づいて許可を受けなければいかぬ、また、そこに在留し生活するにも同じ許可を受けなきゃいかぬということになっております。

 一方、日本国籍を有する者につきましては、そういう許可も必要ございませんし、こういう外国籍を有する者との基本的な立場の相違に基づきまして、外国人登録制度とは別に住民基本台帳制度として記載しようということでございます。それぞれ別々に居住関係及び身分関係の把握を行っているというものでございますので、住民基本台帳に直ちに外国籍の人も日本人と同じように登録するということにつきましては、この制度の違いから見てなかなか難しい面があるんじゃないかというふうに考えております。

松野(信)分科員 いや、今の局長の答弁は私の質問に対する回答に全くなっていませんよ。

 私の質問は、備考欄でいいではないかというふうにおっしゃるけれども、この備考欄というものはそもそも住基法の規定に基づく法定記載事項ではないでしょう、あくまで行政側の執務上の一資料にとどまるでしょう、そして、備考欄に書いたからといって、居住関係の公証の事項ではないでしょう、これを言っているんですよ。

畠中政府参考人 法律上の、それで公証するものじゃないということにつきましては、そのとおりでございます。

 私が今申し上げましたのは、それがなぜかということ、ちょっと質問を先走りして答弁しました。申しわけございませんでした。

松野(信)分科員 ちなみに、私の地元の熊本市でも、住民票に手書きで外国籍の方が記入されている例がございますので、これは参考のために大臣にちょっと見ていただきたい。

植竹主査 どうぞ。

松野(信)分科員 今、住民票の一事例をごらんいただきましたけれども、要するに、備考欄に、妻だれそれということで、しかもこれは手書きで書いてあるわけです。手書きで書いてありますから、本人さんの訴えなどを聞きますと、これは勝手に私人が書いたものじゃないか、こういうふうに疑われて困る。しかしこれは、れっきとした市の職員の人が、妻だれだれというのを備考欄に、これは外国籍の方ですが、書いているにとどまっている。これが実際のところの運用の実態なんです。もちろん活字を組んで、活字で打ってあるところも市によってはあるようですが、熊本市の場合は、今ごらんいただいたように、こういう手書きですから、しかもこれが公の文書、しかも大変重要である住民票の記載事項証明書になっているわけですね。

 こういうような運用が現実になされているということでは、やはり備考欄での記載が不十分だという一つの証拠になるのではないかというふうに私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

畠中政府参考人 備考欄に手書きで記載されているじゃないかという御指摘でございますが、一方で、書かれている人のプライバシーも配慮しなきゃいかぬということで、配慮する旨の通知も私どもしているところでございます。

 と申しますのは、住民票というのは、原則、不当な目的でない限り、だれでも写しの交付の請求ができるわけです。そうしますと、そういうのがむやみやたらと他人に知られるのはぐあいが悪いだろうという場合もございますので、そういうことも配慮して手書きで書いておられるんじゃないかというふうに理解しております。

松野(信)分科員 そうすると、総務省の側では、手書きにしなさいというような指示はされているんですか。

畠中政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、記載している人のプライバシーも配慮してくださいということは申し上げておりますが、手書きで書くようにという指示はしておりません。

松野(信)分科員 やはり住民票という大変重要な文書で、これは先ほどから申し上げているとおりに、学校に提出されたり、就職のときに使われたり、さまざまな場面で使われるわけですから、それがこういう何か備考欄のところに、いいかげんと言ってはちょっと失礼かもしれませんが、ちょっと手書きをしたぐらいでこれが公文書としてまかり通っているという実態は、率直に言っていかがなものかというふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 法律の話をいろいろ細かくいたしますと、例えば地方自治法の第十条の第一項では、「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」こういうような規定がございます。

 要するに、地方自治法のレベルでは、国籍を問わず、住所があれば住民だというふうに規定をしているわけですね。そして、所得があれば当然、住民票には載っていない方でも住民税を納めなきゃならない、こういうふうになっているわけです。そうしますと、地方自治法では住民だというふうにしておきながら、住民基本台帳法では日本人じゃないから住民ではないという、いささかちぐはぐな対応になっています。

 やはり、法的に見てもできるだけ統一した解釈がなされるのが本筋だと思いますので、できるだけ一致するように解釈としてもやるべきではないでしょうか。

畠中政府参考人 先生御指摘のとおり、地方自治法上の住民は、自然人及び法人双方を含みまして、自然人にあっては国籍のいかんを問わないというふうに解しております。

 一方、住基法上に言う住民につきましては、法人を含んでおりません。また、自然人であっても外国人については、法律の第三十九条によって外国人は適用除外されているということでございます。

 なぜかということでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、外国籍の方につきましては外国人登録法で登録するという法律の建前になっておりますので、そういうことから住基法上では外国人を除外しているということでございます。

松野(信)分科員 住民票に、仮に本欄に記載する場合、実際の法改正はどうだろうかということで、私もこれを調べてみました。衆議院の法制局の方にもお伺いをいたしました。結論は、非常に簡単だということでございます。

 要するに、住民基本台帳法の第七条の第四号にこういうような文言をつけ加えればよろしい。つまり、同一世帯に属する外国人登録法の適用を受ける父母、配偶者または子がある場合にあっては、その旨及びその氏名、こういう条文をつけ加えるだけで、ほかのところはいじくる必要がないというようなことも私自身確認をさせていただいておりますので、ぜひそういう方向で進めていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 こういう法改正についてはいかがでしょうか。

畠中政府参考人 衆議院法制局が先生にどのように御説明したか、ちょっと承知しておりませんが、そもそも、先ほど言いましたように、三十九条で外国籍の方は除外されておりますので、もし先生が御主張のとおりにするとすれば、そこをどうするかをまず検討しなきゃいかぬということになると思います。

 それで、外国人についても住民票に記載するとした場合、住民基本台帳制度と外国人登録制度のあり方の抜本的な見直しが必要になるんじゃないかというふうに考えられまして、ちょっと私どもだけで軽々に判断できない問題があるんじゃなかろうかというふうに考えております。

松野(信)分科員 確かに、軽々に判断できないというのはそのとおりかもしれません。

 ただ、あえて申し上げますと、今局長が言われました住基法の第三十九条、要するに日本人に限るという条項ですが、これは私も改正する必要があるかどうか検討させていただきました。衆議院の法制局の方も検討していただいた。

 結論としては、ここの部分は改正する必要がない、先ほど申し上げたように、第七条の第四号に一文をつけ加えるだけで十分本欄への記載に対応できるし、外国人登録法関係も改正する必要はないということで、極めてシンプルではないか、こういうふうに思っております。この点については、今後とも十分議論し、検討を進めていただければ、このように考えております。

 私がこういうふうに問題提起をさせていただくのも、先ほどから申し上げているように、住民票にしっかり外国人の方も配偶者というようなことで本欄に載るということは、当該外国人あるいはその家族にとっても大変な利便性があるということはもとより、行政としても、同一の世帯に日本人もおられれば外国人もおられるということが住民票によって一時にもう把握できる、行政側にとっても非常に便利ではないか。

 特に、例えば大震災でも発生して、家が崩壊するとか大変な災害が発生したときに、その家にだれが住んでいたのかというのも、住民票にちゃんと書いてあればもう一目瞭然、こういうことで災害のときにも大いに役に立つというふうに考えるものでございますので、ぜひ総務省サイドでもさらに御検討していただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

植竹主査 これにて松野信夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、室井邦彦君。

室井分科員 私は、民主党の室井でございます。

 麻生大臣にはこのような身近で質問の機会を与えていただき、また、同じ青年会議所のメンバーとして私も尼崎で活動しておりまして、青年会議所に入会していなければこのような国会への道は歩んでいなかったな、このような思いもございますけれども、緊張して、先輩に御質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 私は、市会議員、県会議員という地方議員で長年活動してまいりました。そういうことで、やはり地方分権に対して非常に危惧するものであり、今、それぞれ地方の首長さんたちは非常に混迷をし、やはりつらい立場で行政を推進していっておるわけでありますけれども、その点から御質問したいと思っております。

 まず、地方分権を早期に確立していくということが一番先決でありますけれども、それにはやはり国と地方の役割分担をしっかりと明確にしていく、これが基本になる、このように思っております。法体系を構築した上で、まず税源の偏在の是正を図っていかなくてはいけない、このように思っておりますけれども、まず地方の容易な歳出構造を見直し、限られた財源を有効に使い、地域の再生、そして、さらに自立的な財政運営の確立につなげるために、今まで以上に人件費の削減や事務事業の抜本的見直しなど、知恵を絞り取り組んでいかなければいけないことは確かであるわけであります。まことの地方分権時代の到来に向けて、今後、地方分権推進派の国会議員として頑張っていく覚悟でございます。

 そういう観点から、地方交付税の見直しは必要かつ必然的なものであると思いますが、地方の声に耳を傾けてみますと、今回の地方交付税の削減を受け、ちなみに我が兵庫県は地方交付税百九十一億減、さらに臨時事業対策債の削減を合わせますと五百十七億減、このように大変予算組みが厳しい状況に至っております。

 また、産経新聞によりましても、やはりマスコミも予算編成の厳しい現状を報道しているわけでありますが、大臣、この事態に対しまして総務省としてどのような対応をされてきたのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、室井先生おっしゃいましたように、基本的には、今回の三位一体の改革、金が少なくなった、税源不足の話等々、これはみんな全部重なっていますので、どれからというとなかなか話が錯綜するところなんだと思います。

 特に、今回の中で、財務省的に言えば、やはり地方財政の借入金、累積総額約二百三兆円というのをどうやって返すかという話が一つ。

 それからもう一つは、これがやたら先に出てくる話なんですが、今までだと、中央集権に非常に近いところですから、ぐあいが悪くなったら中央政府が何とかするというルールが、廃藩置県ですから、明治四年以来ずっとほぼ定着していたと思います。ところが、どうやら時代が変わって、地方の時代ということになってきて、地域同士が競争する時代ということになってくると、基本的には、国の権限を減らして地方に渡すとなると、渡された地方はそれに対応するだけの行政能力と、そしてそれを裏づけするだけの財政能力、そしてその頭に立つ首長さんの経営能力、リーダーシップとかいろいろな表現があるんでしょうけれども、多分その三つが問われることになると思います。

 したがいまして、同じような条件でやっても、ラスパイレス指数やら何やら見ましても、そういったところできっちりやっておられるところもあれば、同じような人口、同じような法人数でもなかなかうまくいっていないところもある。これは、三千百三十の市町村で実にばらつきがあるところだと思います。

 その中にあって、今回の一連の税源不足になってきたのは、これは実は一昨年から、もうこの種の方向になりますよと小泉内閣になりましたときからいって、その方向で事は動いていたんですが、昨年はまあ激変緩和みたいなこともいろいろありましたし、加えて、去年は地方税収が約二兆円どんと減ったものですからその分だけ交付税がまた出た、そういったこともあって、その減った分だけを交付税で埋めたということになっております。

 ところが、今回は、景気が少し戻ってきたものですから、地方税は多分微増ぐらいのところにいくであろうという予想になりますと、去年は二兆円、今度は横並びということになりますので、その例でいくと、またことしもと思ったところがそうはいかなかったというところもありまして、いろいろなところが出てきております。

 ただ、私どもとしては、そうはいってもうまくいかないところがあるであろうことははっきりしていますので、それに対する補てんとか、援助政策としては、よく出てきております地方再生債とか、財政健全化債とかいろいろな表現をしておりますが、ああいったものを使わせていただいて、そういった特殊なところにはやってやらないかぬということが第一のお答えです。

 それから、地方交付税をどうするかというお話につきましては、地方交付税は今後とも要ります。理由は簡単で、尼崎は人口約七、八十万ある大きなところですが、人口の小さなところでは、例えば政府から、交付金はやめる、補助金はやめる、そのかわり全部財源渡しますといっていきなり税源を渡されても、渡された方で、法人もなきゃ人もいないというところなら、取る相手がいませんから。そうすると、税源なんか渡されたって取る相手がいないというところにおいては、今までどおり補助金をもらっておいた方がよかったというところが出ますので、そういうところは、今まで仮に三千万なら三千万来ていたところが、税源移譲となった途端に千万になっちゃいました、税源移譲で取るものがいませんから。そうすると、その二千万の差額につきましては交付税で埋めます、そこのところは。

 そういった形の対応はさせていただかなきゃいかぬとは思っておりますので、交付税の、いわゆるバッファー、ショックアブソーバーみたいなものとしての機能というものは、今後とも引き続き保持されなければならぬものだと思っております。

室井分科員 御丁寧な御説明を賜りまして、麻生大臣は信頼をしておるわけでありますけれども、今の御説明の中で、お話を聞いておりますと、小泉総理の三位一体の改革と多少矛盾しているところがあるんじゃないのかな、このようにお聞きしたわけでありますけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 現場を預かる方の我々としては、やはり現実に合わせていかぬとやっていけませんので、いろいろな意味で御趣旨になるべく外れないように、現状、ある程度激変緩和等々はやらなならぬところだと思っております。しかし、流れ全体としては、地方にそれだけの意欲を持たせるため、元気を出させるためには自由度をふやさないかぬ。すなわち規制を外さないかぬ、自由度をふやさないかぬ。自由になったって、金がなきゃどうにもならぬ。

 今のハイチの話のように、中南米で最も早く自由と独立を確保したけれども、財源がないために、今あそこの話はくちゃくちゃになっておるのは御存じのとおりなので、ある程度自由プラス金もないとどうにもなりません。

 その金の部分は、やはりある程度財源というものをどうにかせないかぬ。その財源をどうにかし切れる状況にあるところ、かつ、し切れる能力のあるところというのと、そうじゃないところとは差ができますので、そこのところはある程度交付税でいろいろな形で補てんをするという必要は避けて通れぬかなと思っております。

室井分科員 さらに、今大臣の御説明の中でも地方交付税の問題に触れていただきましたけれども、もう少し突っ込みまして、地方交付税は地方が自由に使える固有財源である、国がその使途に制限もしくは条件づけができない性格のものであり、憲法で保障された地方自治の理念を実現していく重要な一般財源であるわけであります。この財源を削減されることは、ややもすれば地方分権に逆行する結果を招くことになるのではないか、このような不安、また議論もあるわけでありますけれども、それらの議論を意識してかどうか、地方交付税を歳入調整中心の財源調整機能に純化もしくは財源保障機能の廃止といった主張があるようでありますけれども、総務省としてどのようなお考えであるのか、お聞かせを願いたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、先ほど申し上げましたように、総額約二百三兆円に上ります累積赤字がありますので、その分を今のまま放置しておくわけにはいかぬというところで、ある程度、地方できちんと対応をして、地財計画に基づきましてだんだんだんだん縮小しているところもあるんですが、何となくそこらのところが甘くなっておる。

 例えば、いろいろな意味で、他のところがみんな今のインターネット対応に合わせて人を減らし、後ろ側の方の給与計算等々は全部今機械化でできるように合わせて人を減らし、その分を経費等々、いろいろなことを努力しておられるところと、全然そうじゃないところというのが一緒に三千の中にあります。そういった意味では、ある程度、今までと違って、こういうようなことができる、ITとかICTとかというのが出てきましたからさすがにできるでしょう、そういったところをしていただきさえすればこうなりますよと。

 例えば、町村合併を例に引けば、四町合併しました、学校は四つ要りませんね、二つでいいでしょう。残り二つは、例えば生涯学習に使ってください、何とかに使ってくださいということをした場合に、突如として文部省が来てだめと。なぜなら、目的外使用だから金返せというような話。だから町村合併ができないという話。

 これは、この種の交付税やら何やらのお金の話とみんな絡んでくるところなんですが、そういったところを総合的に勘案せないかぬと思います。交付税につきましては、いわゆる地方行政に携わったことのない方は交付税なんかむだのきわみみたいな話をみんな口酸っぱくして言われますけれども、いろいろあります中では、これは地方の行政サービスを一定限維持させるためには必要な財源、必要な制度だ、私はそう思っておりますので、一概に収入の方からばっさりというところにはくみしないところです。

室井分科員 懇切丁寧な御説明また御回答をいただいたわけでありますけれども、多少重複するかもわかりませんけれども、もう一点取り上げさせていただきたいことがございます。

 それは、法令などによる地方事務が残されたまま地方交付税が大幅に削減されたわけでありますけれども、この点に関しては地方は地方なりに非常に不満を持っておるわけでありますけれども、今後、事務事業の執行方法や体制の緩和については、大臣、どのようにお考えをされておられるのか、お聞きをしたいと思います。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘だと思っております。業界用語で同化定着、同化していて定着しているというようなものにつきましては渡す、もうその方向で、そっくり今、事務手続を含めまして、もうやらなくていいものはやらなくていい、整理されます。

 関係省庁、ほかにもいろいろありますので、そういったところにつきましても、地方でやらなくてもいい、アウトソーシングしてもいいぞ、それから別のところで組んでもいいぞというような形で、そこらの方向につきましては、大体いろいろな関係のものはこの六月までには整理が一応でき上がると思っております。

室井分科員 引き続きまして、地方分権の最後の質問をさせていただきますが、小泉構造改革の柱の一つである三位一体の改革についてはいろいろと議論があるわけでありますけれども、この三位一体の改革及びこれに基づく地方財源政策では税源の移譲の道筋は一応つけられたような感がありますが、十分であるとは申し上げることができない、このように思っております。もっと思い切った大胆な税源移譲を、大臣の力量で強く、また期待をし、求めるものであります。

 さらに、既に地方交付税が削減された地方自治体から、先ほども申し上げましたように、混迷するのは当然のように思われておりますけれども、具体的メニューや工程をさらに速やかに明らかにしてやらないと、地元の混迷が増すばかりであります。

 多少重複をしておりますけれども、大臣、その辺のことはどうお考えか、今後の見通しも含めて、総括的に御意見をお聞かせください。

麻生国務大臣 財源というかいわゆる補助金の削減でまず四兆円、取り急ぎ初年度で一兆円、次は二年間の間に三兆円ということが目的なんですけれども、まず基本的には、地方財政というものの長期的な方向として、三千百三十あります市町村で、財政上の計画人員をトータルで向こう四万人削減してくださいという一つの方向が出ております。

 それから、投資的経費、いわゆる単独事業につきましては、簡単に言えば、平成二、三年の、まあバブルの始まる前までに戻してください。あのころは地方で内需拡大といって、中央政府の方としても地方で事業やれ事業やれとわんわん言ったことは事実ですから、そういった意味の内政拡大というのでわあっとふやしたあのときとは全然今状況が違いますので、済みませんが、あの事業につきましては、平成二、三年ごろまでに、約十年間差し戻してください、それが二つ目。

 それから三つ目。三つ目につきましては、いわゆる単独でやります一般行政経費等々につきましては、介護等いろいろありますが、そのレベルは基本として今ぐらいに据え置いて、これはわあっとむやみに伸ばしていくというようなことはやめてください等々、ほかいろいろありますでしょうが、大まかなところは一応お示しをしております。

 その上で、これは、そんなこともできるのかとか、知らなかったという人が町とか村とか行くとかなり、もう大体想像つかれますでしょうけれども、そんな書類来とったかというような話になって、よく見ておられぬ方も実はいっぱいいらっしゃるのも正直なところです。

 そういった意味では、私ども総務省としては、地方に出ていって、ついては、こっちももうちょっとこんなこともできる、あんなこともできるというノウハウやら、いろいろ各役所、これを言ったら文部省ではだめだったとか、これを持っていったら何とかではだめだったという話はいっぱいありますので、私どもの方としては、この予算が終わりました段階で、地方巡業というとなんですな、地方に出て行って、いろいろな形で現実に各市町村に当たって、来年度、平成十七年度に向かって、概算が八月に始まりますので、いろいろやられることになろうと思いますので、お手伝いを含めて、いろいろお互いに意見交換をさせていただくという段取りをやりつつあります。

室井分科員 大臣の御意見を聞かせていただきまして、多少なりとも心強く思っておりますし、今後ぜひ、地方が強くならなくては日本の国は強くならない、足腰をしっかりと強めていかなくてはいけない、このような持論も持っております、どうかよろしく御指導をお願い申し上げる次第であります。

 次の質問は、私にとりましても非常に不安な気持ちがしておるわけであります。ここに一つの資料を持ってきておりますけれども、四百五十万人の名簿が、これはヤフー恐喝犯という、団体名は申し上げませんけれども、このような記事が出ておりました。

 これについて、非常に私は不安な思いと、そしてまた、今後、行政がどのようにこのような事件に対応し、また、私は私なりに、警察庁の刑事局の方に、捜査第一課でありますか、調べをさせていただいておりますけれども、今捜査中であるということで明快な答えは返ってきておりませんが、これは国民に対する不安というもの、政治不信というものにつながっていく、大きな問題にかかわってくるのじゃないか、このような観点から御質問をさせていただきます。

 このヤフー顧客名簿漏えいによるソフトバンク恐喝未遂事件でありますけれども、二十七日にソフトバンクの代表であります孫さんが記者会見をされまして、四百五十万人もの名簿が漏えいしていたとのことであった、幸い、銀行口座やクレジットカード情報などは含まれていなかったとのことでありました。ソフトバンクは、金銭による補償やメールアドレスの変更などに応じるとのことであり、被害者であるにもかかわらず気の毒であると思う反面、個人情報を扱うことはそれだけ責任重大である、こういうことであります。

 時を同じくして、ソフトバンクを相手取った名簿漏えいによる恐喝未遂がもう一件あったということも報告を聞いております。ソフトバンクに限らず、行政として、今まで電気通信事業者に対する個人情報管理について、どのような行政指導をされてきたか、お聞かせを願いたいと思います。

有冨政府参考人 まずもって、今回のソフトバンクBBから漏えいした個人情報の問題につきましては、極めて遺憾だというふうに申し上げたいと思います。

 総務省としてのこれまでの取り組みでございますけれども、これは、電気通信事業者が保有する個人情報の保護に対する責任というものに対しましては、大変強い国民、利用者の関心があるということでございまして、これはもう平成十年にさかのぼりますけれども、そのときに、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン、こういったものを策定して取り組んできているところでございます。

 具体的に、本ガイドラインにおきましては、個人情報の取り扱いをするその体制あるいは具体的な措置といたしまして、例えば情報の改ざんとか漏えいの防止などの適正管理のための措置を講じるべきというようなこと、それから、各種情報の具体的な取り扱いといたしまして、例えば通信履歴につきましては、保存期間を経過したときには速やかに処分すべきであるというようなこと等を規定しております。

 総務省では、これまでも電気通信事業者が保有する個人情報の管理に問題があったという事例が何件かあったわけでありますけれども、その都度、このガイドラインに基づく個人情報の取り扱いを徹底すべしということで、まず一つは、問題を起こしました電気通信事業者に対しまして、指導文書等で個別に指導する、二つ目は、事業者団体を通じまして、広く各電気通信事業者にもガイドラインの趣旨について徹底するということで、要請文書等を発行して周知啓発に努めているところでございます。

室井分科員 今回の事件のように、電気通信事業関連の企業などは、今後、通信環境の向上により、取り扱う顧客情報は質、量ともにより膨大なものになっていく、このように推測されるわけであります。行政として、どのようにこの部分に対して対処するのか、また予防面と、さらに漏えいが発覚してしまった事後対処の両面について、お答えをいただきたい。

有冨政府参考人 ただいま御説明申しましたような取り組みをしておるわけでございますけれども、しかし、先生の御指摘のとおり、今後さらにIT化が進展するに伴いまして、電気通信事業者が取り扱う個人情報も膨大になってくるということは十分予想されておりますので、今まで以上に電気通信事業者には個人情報の適正な取り扱いが強く求められるものと認識をしております。

 こうしたIT化の進展にあわせまして、さらなる個人情報保護のための取り組みといたしまして、事前とか事後とかという、これは裏腹になりますので、個別にそれぞれというのはなかなか難しゅうございますが、例えば個人情報保護の管理体制、こういったものを徹底して強化していただくというようなこと、それからもう一つは、情報漏えいを防止するため、これは極めて技術的な側面が強うございますので、技術開発等々に積極的に取り組むというようなことを含めまして、実は今、電気通信分野の個人情報保護のあり方、個人情報保護法の成立はありましたけれども、個別分野において具体的に何ができるかということで、電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会を開催していただいておりまして、いろいろと深まった議論を行っていただいているところでございます。

 私ども総務省といたしましては、この懇談会における議論も踏まえまして、電気通信事業者が保有する個人情報のより適正な取り扱いが確保されますように、今後とも必要な措置、監督に努めていく所存でございます。

室井分科員 このような事件が発覚したときにすぐに脳裏に浮かぶと申しますか心配なのは、やはり住民基本台帳ネットワークの問題でありまして、この構築また運用が今本格化してきておる中で、導入どきに、セキュリティー、安全対策の問題とか、いろいろとございましたけれども、本格的運用が始まり、時間が経過した中で、現在、総務省として、どのように安全面において取り組んでおられるのか、また、運用することによって生じた、あるいはわかってきた問題点というものがございましたら、御説明、またお答えをしていただきたいと思います。

畠中政府参考人 住基ネットのセキュリティーについてのお尋ねでございます。

 先生御指摘のとおり、住基ネットに関しましては、セキュリティーが大変重要であるということは私どもも重々認識しておりまして、これまでもいろいろな取り組みを重ねてきたところでございます。

 まず、内部の不正利用を防止する必要がある、そのための対策としまして、これは、住民基本台帳法上、法律上、システムの操作者に一般の公務員よりも重い守秘義務を課しているというのが一点。それから、操作者、市町村とか市役所の操作する者を制限しておりまして、ICカードを持たない者、パスワードを知らない者は操作できないような仕組みになっております。

 それから、アクセスログといいまして、操作する者がどういう情報にアクセスしたかという記録をとることになっておりまして、もし何か問題があれば、その記録を見れば、だれがいつどういう情報にアクセスしたのかというのがわかるような仕組みになっております。

 それから、外部からの侵入を防止するということも必要でございまして、この対策としましては、まず、専用回線を利用しておりまして、しかも、専用回線に流れる情報を暗号化しております。したがいまして、こういうことはないと思いますが、万々一それが漏れても、普通はどういう情報かはわからないということでございます。

 それから、指定情報処理機関でIDS、これは侵入検知装置でございますが、それで常時、二十四時間監視しておりまして、何か不正な侵入があればすぐピピッと鳴るような仕組みになっておりまして、そういうような侵入検知もやっておるということでございます。

 幸いなことに、一昨年の八月から住基ネットは稼動しておりますが、内部、外部あわせて、そういう不正のアクセスまたは住基ネットからの流出、漏えいという事故は発生しておりません。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、セキュリティー対策というのは極めて重要でございますので、私ども、引き続き地方公共団体の指導を積極的に行っていきたい、例えばシステム監査なども導入することによって、セキュリティーのさらなる強化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

室井分科員 ありがとうございます。

 時間が超過いたしましたので、私の質問はこれで終わらせていただきますけれども、四百五十万人もの名簿が漏えいするというこの事件に関しまして、私も今後、警視庁等の捜査の行方をしっかりと見守って活動していきたいと思っております。

 大臣、今後とも御活躍を心から御祈念申し上げます。ありがとうございます。

植竹主査 これにて室井邦彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、三日月大造君。

三日月分科員 どうもこんにちは。民主党、滋賀県第三区の三日月大造でございます。

 長時間の質疑、そして答弁、御苦労さまでございます。

 人生の大先輩でもあり、そして政治家としても大先輩、そしてまた、先ほどの室井委員もそうですけれども、JCメンバーの大先輩でもある麻生総務大臣を初めとする皆様方に答弁をいただくことを大変光栄に思いますし、一生懸命、国民の声の代弁者として、地域の課題や国民的課題について御提起申し上げ、審議に参加をさせていただきたいというふうに思っています。

 私、これからの国をつくっていくに当たってはいろいろとやらなければいけないことがたくさんあると思っているんですけれども、まずは、政治が許してきてしまった、そしてまた、縦割りの官僚社会、官製社会が横行させてしまった、いわゆる税金や財政投融資のむだ遣い、これを改めるということ、そしてまた、天下りを初めとする、不透明で、一部の方だけがおいしい思いをするというような利権構造を断ち切ることというのが不可欠だというふうに思っています。

 あわせて、規制緩和で何でも自由であればそれでいいかというと、決してそうではなくて、安全や公正、そして平等といった社会をつくっていくために、むしろ、社会的規制や監視体制を強化していく、公的な関与を強めていく分野というのもこれまたある。大切なことは、そのバランスではないかというふうに思っています。そしてまた、改革をするに当たっては、目的、ビジョンを明らかにすると同時に、それと分けた手段をしっかりと明示していくことというのが重要だと。

 こういった視点、観点から、総務大臣を初めとする皆様方に、二点にわたって御提起申し上げたいというふうに思っています。

 まず初めに、マクロ的な観点から、郵政公社に対する評価をお伺いしたいというふうに思います。

 昨年四月に、郵政事業民営化のための一里塚と表現をされた郵政公社がスタートいたしました。イメージ一新やサービス拡大という新たな挑戦も図られているというように認識しておりますけれども、まず、総務省、総務大臣はどのようにこの郵政公社について評価をされていますか、お聞かせください。

麻生国務大臣 経歴を見ていたら、西鉄におられたと書いてあったけれども。

 やはり、郵政公社は二十八万人いるんですよね、社員が。二十八万人、それでアルバイト、別名ゆうメイトというのが十二万人、合計四十万人。四十万人の会社といったらそんなにありませんからね。これだけのものをいきなり民営化といったって、四月からですから、まだ一年たっていない段階でどれだけのものがどう変わったかと言われても、なかなか難しいところだとは思いますが、元経営者から言わせてもらうと、生田という人が総裁になって、郵政公社の職員の意識はかなり変わったと思うんですね。いろいろなところで競争がそれを生み出しているところも確かですし、ソクハイだ何だと、いろいろなことで新しく郵便事業というものに参入した会社だけでも三十六、そういった会社で当然いろいろになりますので、いろいろな意味で新しい試みが随分できていますので、民営化とか公社化というようなものがやはり職員の親方日の丸的意識を変えた。

 かつ、生田という人になってから一番はっきりしているのは、あそこから、国民に対してという言葉が一切消えて、すべてお客様という言葉しか使わない。徹底してサービス業という意識の植えつけに成功しつつあるんだと思いますので、今まだ一年たっていない段階でどうのこうの言える段階ではありませんけれども、少なくとも、まず意識の変革からということで、非常にその方向では成果が上がりつつあると思っております。

三日月分科員 ありがとうございます。

 そういう評価を踏まえた郵政事業の民営化というものが、この秋から冬にかけて、経済財政諮問会議を初めとするさまざまな機関で検討され、次の通常国会で提案をされるというような計画が施政方針演説でも小泉総理大臣から述べられていますけれども、その郵政事業民営化に対して、麻生総務大臣の御認識そして御決意、そしてまた、当然のことながら、民営化後の郵便、郵便貯金、簡易保険、これをどうするかといったようなビジョンというものが当然おありだと思うんですけれども、そういった部分についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 先ほど、最初のところで三日月先生の方から言われていましたように、基本的には、郵政公社の民営化というのは目的ではありません、これは手段です。

 基本的に、では何が目的かといえば、少なくとも、これも最初に言われましたように、全国二万四千七百からの全国に散らばったところから小口の金を集めて、その金を、地方ではなくて一回全部中央に吸い上げて、大蔵省なり主計局なり政府なりというものが配分した先が財政投融資であったり特殊法人であったりしたところが間違いではないかという点に関しては、小泉総理と同じなので、自民党の方に向いているかなと思いながら話を聞いていたんですけれども、基本的にはそういう方向なんですね。

 私どもとしては、そこのところが、金の流れを地方にうまいこと行くような形にしないと、金の流れが非常に偏ってしまったではないかという反省というものは、やはり国として、そこの入り口の方から、出口の方じゃなくて入り口の方から何とかしようというのが今回の話だと思いますので、国のバランスをよくする、これが目的の一つだと思います。

 ただ、それをするに当たって、基本的には、民営化するに当たっても、今二万四千七百あります支店というものを、ドイツ・テレコムを初め、これはもうばっさりばさばさ切っていったし、職員も随分切りましたからね。そういった形で郵政公社の生産性を上げるというのをやれば、それは、配達する回数を週六回を週三回に減らせば生産性は倍になるわけですから。しかし、それでは国民の利便を著しく下げることになりますので、それはだめと。

 利便は維持、かつ、二十八万人の従業員、特定郵便局も含めまして、そういった地方にいらっしゃる方々のいわゆる不安を増長するようなこと、おまえは首、おまえはだめだ、やめるんだとか、地方の町村合併が進んでいる真っ最中に、郵便局もなくなっちゃうんだかのごとき話がやたらあちらこちらに出回っていますけれども、これはとてもくみするところではないんであって、それも従業員の労働意欲を阻害しますし、かつ利便にも供さないということで、ユニバーサルサービスというものは維持、そういった形で郵政公社が民営化されるということでないと、ただただ民営化という言葉だけが飛び歩くというのは、甚だ危険と思っております。

三日月分科員 おっしゃるとおりだと思いますし、民営化というのはあくまで手段であって、目的ではないというふうに思っています。しかも、何でも民営化すればいいかのごとく最近語られていますけれども、決して民営化というのは万能ではないというふうに認識をしております。

 民営化そのものが、今、内閣、そして小泉総理大臣、しきりに目的化されているように語られることも多いですし、そしてまた、その先にあるサービスの形や実施体制が全く示されない今の改革論議に対しまして、そしてまた、得意の経済財政諮問会議への、丸投げと言っていいのかどうかわからないですけれども、そういった検討のあり方に対して、国民の多くは非常に多くの不安と不信感を抱えています。ユニバーサルサービスとしての郵便はこうあるべきだ、郵便貯金そして簡易保険に流れてくるお金はこういうふうに使おうといったような大局的なビジョンを示して議論していくことが大事だというふうに思っています。

 先ほど、大臣、西鉄と表現されましたけれども、私は西日本旅客鉄道株式会社、JR西日本におりました。戦後最大の行政改革だと言われたあの国鉄改革は、鉄道を再生するんだという明確な大きなビジョン、目的があって、そのための分割であり民営化でした。しかも、その推進に当たっては、強力な政治力と、そして高まる世論、何よりも国鉄内部の推進勢力、こういったものがうまく結合して成功したというふうにも言われております。

 国民、そしてサービス利用者、そして、郵便事業に従事する、先ほど四十万人とおっしゃいましたけれども、その方々にしっかりとビジョンを示して、胸襟を開いた姿勢での議論をしていく必要があるというふうに思っておりますが、大臣、お考え、御感想等をいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に全く今おっしゃられたとおりなんです。

 世論、押していると思うんですが、これは国鉄ほど押しているかどうかはようわからぬ、今回は。利便を欠いている人は、民営は今とどう違うのと言われると、なかなか難しいところだと思いますので。JRの場合は、明らかにそこのところが、利益が赤だったりいろいろしたんですけれども、こっちはそうじゃありませんから、その意味ではちょっと議論のあれが違うと思うんですが、政治力、政治的な背景、そして、マスコミも多分それに乗っていると思いますけれども、マスコミ世論というのはちょっと一般の世論とは明確には少し違うところだと思いますので、マスコミ世論もこれに乗っておる。

 問題は、中でもうその意欲ができてきているかといえば、私は、少なくとも今、公社の段階で、まずは公社というところで走っていますので、その公社だけでも随分変わってきたとは思いますけれども、基本的には、民営化した方がもっといろいろできるぞと。例えば、今のままだと、今の仕事をすべて民営化するという話だけになっていますけれども、民営化すれば少なくとも、払うものも払うけれども、稼ごうと思えば稼げるものも出てくるというこっちの話が全然ありませんので。

 JRも、民営化したおかげで新たにいろいろ商売をしてもよくなったということもあって、あれは随分利益がいろいろ入った部分もあります。そういったところは、もう少し民営化として、この半年間、一年間ぐらいで随分優秀な総務省の役人が郵政公社の方に行っておりますので、その人たちも、民営化したらどうするというようなことをいろいろ考えて今仕事をしているような感じがしますので、やはり、中からもそういった意見が出てきてうまくやれば、今言われたように、国鉄よりうまくやれるんじゃないかなという感じが正直しないでもないところです。

 ちょっとまだ四カ月でこれと言えるほど、小さな会社でもありませんので、さらに検討してまいりたいと存じます。

三日月分科員 ぜひ、これから議論をしてまいりたいというふうに思っています。

 若干ミクロの課題について御提起をし、お答えしていただきたいというふうに思うんですけれども、簡保の加入者福祉施設、かんぽの宿等の経営改善が順次行われてきております。一部民業を圧迫しながら、そしてまた、放漫な赤字経営を容認していたと言われております加入者福祉施設の見直しそのものには一定の理解をするところではありますけれども、二〇〇〇年の五月の、民間と競合する公的施設の改革によって新設が禁じられたというあの閣議決定以前に用地取得や設計を終えていた全国八施設、この八施設の建設中止といったものが突然その各自治体に通告をされた。二月の三日ですか、通告をされたというふうに聞いております。

 今回新たに建設を中止することになった全国八施設の考え方、そして経緯、経過についてお答えをいただきたいというふうに思います。

田端副大臣 お答えいたします。

 郵政公社におきましては、今もお話がございましたように、採算性ということもいろいろ考えた上で、平成十三年十二月十九日の閣議決定に基づく特殊法人等整理合理化計画、これに基づきまして、宿泊施設やレク施設等の不採算施設については、統廃合、あるいは外部委託とか、こういったことが効率的に進められてきたわけであります。

 特に、平成二十年度までに段階的にこれらの不採算施設を廃止していくということで既に八つの施設の廃止が決まっていると聞いておりますが、なお、今御指摘のあった新設計画をしていた八つの施設についても、そういう採算性確保が困難ということ、あるいは、簡易保険事業が新規の契約が今年度また二割減という現実等もこれあり、そういったことから、計画の中止と、そして今、地元自治体とそこのところを調整している、こういう報告を受けております。

三日月分科員 関係する自治体では、既に覚書を締結し、計画に基づいて用地買収をする、そして、周辺整備をするといったところに多額の公費を投入している実情がございます。特に、私の地元である選挙区の守山市におきましては、最大の投資をもう既にしているんですけれども、設置要望をし、そして誘致が決まってからこれまで十年間で、一部の国庫補助負担もあるんですけれども、地域の活性化の一つと位置づけて、その予算の一割にも当たる三十七億円の投資をしてきております。

 この今回の一方的な計画の中止に伴って非常に苦慮をされておりますし、どうか、先ほども一部大臣の方からございましたけれども、跡地利用を含めた今後の措置に対しましては、地元のそういった投資がむだになることのないように、そして、国、公社の責任において、地元自治体の意向も十分踏まえながら誠意ある対応に万全を期されたいというふうに要望するものでございます。

 ぜひ、その辺のお約束をお聞かせいただきたいというふうに思います。

田端副大臣 先生の御地元の守山市における総合レクセンターでございますが、今回の新規計画八施設の中止決定の一つ、私の地元、大阪府放出のもあるんですけれども、そういう意味では、非常に先生のおっしゃる地元の御事情、そして、期待が大きかっただけにいろいろあったかと思いますし、また、三十七億円ですか、投資もされているということであります。

 これらの問題について、今後このまま開業後十年後にはどうなるかとか二十年後どうなるかというJTBトラベランド調査によっても、相当赤字が累積されていくということも報告されている。こういったこともあって中止の決定という方向になったんだと思いますが、しかし、おっしゃるように、地元の問題ですから、地元にとっては、それだけの投資をしてきたことについてはぜひ誠意を持って郵政公社の方も対応する、こういうふうに報告も受けていますし、私たちも努力していきたい、こう思っております。

三日月分科員 ぜひよろしくお願いしていただきたいというふうに思います。地元のいろいろな関係機関とも調整をしながら、採算性についても十分検討をして投資をしてきたにもかかわらずということで随分苦慮されておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思っています。

 せっかくの機会ですから、もう一点、話題を変えて質疑をさせていただきたいというふうに思うんです。

 日本のとっているe―Japan戦略につきまして、我が国では、二〇〇一年一月に施行されました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法によりまして政府にIT戦略本部を設置し、この間、e―Japan戦略を策定して、e―Japan重点計画、これを年次ごとにつくり、そして実行をされてきております。

 現在では、その基盤整備という段階から利活用の段階に入ってきたというふうにも伺っておりますけれども、IT戦略本部の副部長としての総務大臣の現在の進捗状況に対する御見解と、そして、利活用拡大に向けた課題はどういった部分にあると御認識をされているのか、お伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 e―Japan計画につきましては、これがスタートしました三年前、この近くでいえば、多分、韓国の背中は遠かったと思いますが、昨年十一月のあのサミットで韓国の情報通信大臣に会ったら、もう完全に韓国は抜かれたというところで、この三年間の間に、間違いなく、このe―Japanという計画に基づく国家戦略は当たったと思っております。

 これで当たりましたのは、いろいろありますが、まずは、規制の緩和というのがかなり進んだところだと思っております。

 二つ目は、一昨年通していただきました行政手続オンライン化法という法律で、西暦二〇〇五年までにすべての行政手続はオンラインでつながるということをやったんですが、これは正直、多分、各省庁の抵抗が最も激しかったところだと思いますが、通ってから後、やはり日本の役所というのはすごいので、一挙にその対応にシフトということになりまして、この対応能力はやはりすさまじくあったなと思っております。官房長、局長でパソコンを打てない者なんていっぱいいましたけれども、あのe―Japan特命委員会に出席した局長さんクラスは、二年後にはほとんど全員それが駆使できるようになっていましたので、やはり能力はすごいなというのが正直な実感ですので、これはまず当たったものだと思っております。

 海外から、どうしてこの行政手続オンライン化法などという、我々が夢に見たような法律ができるのか、イギリスやら、それからノキア、あれはフィンランドですかね、ああいったところからも、軒並み、その手口をどうしてやったかという点が皆さん聞きに来るところなんで、ここのところはうまくいったと思っておりますし、結果として、世界最低の料金、世界百メガですから、韓国でいえば一・五ぐらいだと思いますので、日本のブロードバンドは百メガで今は動いていると思いますが、これが世界最低の料金でいっておるという現実は、やはり非常に大きなものだと思います。

 これが一応二〇〇五年までにでき上がった後は、今はやりのユビキタスという、いつでも、どこでも、だれとでもという話のシステムにつくり上げていく。多分、e―JapanがU―Japanに変わっていくんだと思いますが、そういった方向まで確実なものにしていくために、あと、インフラの整備とか幾つか抜けているところがあると思いますが、そういったところはきっちりやって、二〇〇五年、世界で最も電子化された政府というものの達成を確実なものにしたいと思っております。

三日月分科員 二〇〇五年にIT最先進国を目指すという方針には私も賛同をいたしますし、ぜひ強力に推進をしていかなければならないと思っていますし、この間の官民の取り組み、そして技術発展によって成果は上がってきている。いつでも、どこでも、だれとでもネットでつながっている、情報通信可能な環境を構築していくということは、我が国の今後の発展にとっても不可欠だというふうには思っております。

 しかし一方で、こういった環境の構築により、いろいろなところに問題や被害、課題といったことも出てきているのも明らかで、先ほどの室井委員からの御提議にもありましたけれども、ヤフーBBの個人情報の流出、そればかりか、予期されるものとして、あってはならないんですけれども、ウイルス、そしてサイバーテロといった問題、いわゆる情報通信面での安全保障、情報セキュリティーといったものを確保していくということが非常に大きな課題としてあるようにも思うんです。

 あわせて、国としてのそういった取り組みも大事ですし、個人に至っては、最近の携帯電話の普及等により、迷惑メールや多額の架空請求、恐らくきょうここにおいでの皆様方の中にも、そういった迷惑メールや、そして、特に架空請求なんかが来られた方もおありではないかというふうに思っているんですけれども、昨年の被害の相談状況でも、一月から三月の百八十六件から、四月から六月に至っては七百七件、七月から九月は八百七十三件、そして十月から十二月は千七十一件と、ウナギ登りにその相談、苦情が寄せられてきています。

 相談、苦情を寄せることができる方、だれかに相談できる方はまだいいんですけれども、これはもう氷山の一角でありまして、私の地元でも、こういう架空請求にお年寄りや若者が非常に悩まされているような現状がございますけれども、総務省として、この現状認識、そして、今後の対策についてどのようにお考えなのか、お答えいただきたいというふうに思います。

田端副大臣 おっしゃるとおり、ユビキタス社会の実現ということは大変いいんですが、その反面、こういう情報セキュリティーの問題というのは大事な問題だと、私たちもそれはもう全く同感でございます。

 そういう意味で、総務省としては、新しいウイルスの発生に対してそれを阻止していく、こういう技術、それから、サイバーテロ等が発生した場合に、リアルタイムでそれを把握して、そして異常な通信を即時遮断する、こういう技術、こういったことを今研究開発しているところでございまして、十六年度予算においても、こういう研究開発費に三十億円を計上しているところでございます。

 それから、電気通信事業者の皆さんにもそういった意味でも努力をしていただいて、セキュリティー対策、あるいはそういった技術の向上ということをやっていただかなきゃならないとお願いしているところでございまして、例えば、ウイルスチェックサービスなんかも現実に今始まっているわけでございます。

 それから、もう一つ大事なのは、個々のユーザーがいかに自分で守っていくかということも大事だと思います。そういうことで、市販のセキュリティー対策ソフト等も導入して、そして確実にそれぞれの情報をきちっと守っていく、そういうことも啓発していくことが必要だ、こういうふうに考えているところでございます。

三日月分科員 まず、国全体のセキュリティーということに当たっては、IT戦略推進本部にも設置をされております情報セキュリティ専門調査会ですか、こういう省庁横断の組織の有効な活用といったものがやはり求められるというふうに思いますし、個人のセキュリティーという面では、先ほどおっしゃった注意喚起というようなこともありましたし、いろいろな広報やホームページを通じた情報提供もされているというふうには伺っていますけれども、どうか、そういう注意喚起だけではなくて、警察庁も法務省も巻き込んだ対策や取り締まり、そういったことを強化していただかなければ、インターネットで総務省のホームページを見るような人はそういう被害のことはちゃんとわかっているはずですし、当然お金も払わない方ですので、そういった悪質な業者の取り締まりを今後も強化していっていただきたいというふうに思っています。

 もう一つ、より悪質なのは、他人の権利を侵害するような書き込みがインターネット上のウエブや掲示板にあって、このことに非常に傷ついている方々も多くいらっしゃるということも伺っておりますし、この状態が野放しになっているという現状もございます。

 他人の権利を侵害する表現の自由や通信の秘密といったものは守られるべきではないというふうにも思いますので、どうか、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、いわゆるプロバイダー責任制限法ですか、ちょっとややこしい法律があるんですけれども、この法律の改正、ぜひ、アクセスプロバイダーを含めた発信者情報、そういう悪質な、他人の権利を侵害するような情報をいたずらに発信するような発信者に対しては、その情報を開示する、もしくは、そういった書き込み等があった場合には、強制消去等迅速な被害者の救済がとられるべきだ、もしそれができないんであれば、先ほど申し上げたプロバイダー責任制限法を一部改正してでもそういったところに取り組むべきだというふうに考えますが、御所見の方をお伺いしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは三日月先生、前半の部分はもう間違いなく、事実、今の法律でも、特定の被害者の権利を侵害する書き込みについては、これは現行法でも対応可能なんですが、今言われたところの、特定の被害者の権利を侵害しない書き込みについてという新しいプロバイダー責任制限法の話とのところでいきますと、表現の仕方なんですけれども、例えば、名前で滋賀県守山地区生まれの三日月君はと書いてばっとやったら、それは対応になるんですよ、今回の法律では。ところが、例えば守山地区の人間はおかしいとか言われると、これは適用にはならぬわけです。

 そこのところが一番難しいところでして、ここのところが、まあプロバイダー以前の話なんでしょうけれども、人権の話とか差別の話とかいろいろなことが出てくるので、これは、プロバイダー責任制限法か何かの範囲をちょっと超えた範囲らしいので、今言われた点を即やれと言われると、これは表現の自由とかいろいろ難しい問題が絡んできますので、ちょっとこれとは別に考えないかぬところではないかと思っております。

三日月分科員 おっしゃったとおり、今回議論が予定されております人権擁護に関する法律についても議論をしなければいけないですし、当然、民法やその他についてもかかわってくる幅広いテーマの中の一つになってくると思いますから、ぜひ今後とも議論をしていきたいというふうにも思っています。

 時間三十分というのはあっという間で、その時間配分も全くわからないままの時間ではありましたけれども、ただいま、大臣を初めとする皆様方に御答弁いただいた内容の真摯な取り組みを要請しておきたいというふうに思っていますし、ぜひ、将来の国のあり方を決定づけるような郵便事業のあり方や情報通信政策の議論に対しては今後も私は積極的にかかわってまいるという決意を最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

植竹主査 これにて三日月大造君の質疑は終了いたしました。

 次に、古本伸一郎君。

古本分科員 民主党の古本伸一郎と申します。どうぞよろしくお願いします。

 私からは、税財源について、国と地方という観点で、総務省並びに財務省関連につきまして質問させていただきたいと思います。

 戦後の六十年、狭い国土に私たちは肩を寄せ合って生きてきたと思っています。その意味で、国土は、広い平野部、それと山間地域、そして、その間に広がる中山間地域から成っているというふうに思っています。そして、その中山間地域は、国土の約七割、そこに住む国民の皆様は約一割と思っています。

 地方と国の関係につきまして、国が税金を集める、そして地方に配分をするという現在の仕組みが、税収の先細りあるいは少子高齢化、その前提が崩れてきている今現在、私は、より地域の特性や住民ニーズに合致したそういう行政サービスを提供してまいるために、多様性のある自治体運営をぜひしなければならない、そして、それを担保する具体的な税財源を与えてさしあげなければならないんではないかというふうに思っています。

 キーワードは受益と責任であります。地方は、国から税源あるいは権限の移譲を受け、みずから考え判断する、そして実行する。私は、こういった関係からその受益と責任の関係は芽生えてくるというふうに思っています。

 この際、その多くが現実問題過疎地となっている我が国のこの中山間地域にあえて着目をして、この議論の切り口といたしたいというふうに思います。

 私の地元は愛知県の豊田市という、工業と、言うならば住環境、商業が混在したいわゆる都市部と、それから、近隣のいわゆる郡部から成っています。東加茂郡と西加茂郡という、県下でも大変な郡部、過疎地域になっております。そういう意味で、市町村合併、目前に迫りましたこの合併の一つの大きなモデルにもなる地元を私は持っておりますので、そんな思いから、本日はよろしくお願いをしたいと思います。

 まず、地域別予算配分の現状であります。

 我が国の予算が地域ごとにはどのように配分をされているのか。この地域ごとといいますのは、先ほど申し上げました中山間地域か、あるいはそれ以外という切り口で質問をいたしたかったんですが、なかなかそういったデータがないということでありました。このポイントは、地域の偏差、配分の偏差を伺いたいものですから、その意味で、過疎地域活性化特別措置法による過疎地域の区分によればデータがあるということでしたので、それについて、その地域の配分偏差について、全国市町村の状況と過疎地域という区分からそれをつまびらかにしていただきたいと思います。

大野政府参考人 今お話がございましたように、過疎地域という地域を限定することはできるわけでございますので、この十三年度の市町村の決算の状況から私どもなりに把握をした数字を申し上げたいと思います。

 過疎地域の数、本日三月一日でございますけれども、この三月一日現在で合併したところもございまして数が減っておりますが、今現在の時点で千百八十二市町村がございます、過疎地域の市町村。

 この人口でございますけれども、全体で七百六十三万人となっておりますので、日本の総人口に占める過疎地域の人口シェアは六・〇%。六%ということでございますね。人口からは六%だということでございますが、そこで、十三年度の市町村決算で見ますと、国庫支出金、国から市町村の方に来る補助金等でございますけれども、国庫支出金につきましては、過疎地域の比率は七・九%。それから地方交付税でございますけれども、地方交付税になりますと二八・二%。それから地方譲与税、これで見ますと、過疎地域の比率は一三・六%。このような数字になっているわけでございます。

古本分科員 ありがとうございました。

 今いただいた数字をベースに議論を進めたいと思いますが、地域別の予算の配分の現状から見た問題点につきましてまず申し上げたいと思います。

 全国三千二百ある、今、市町村合併しましたので精緻な数字はあれですが、その市町に配分される国庫からの決算金の実に二割がこの過疎地に行っているということであります。一方で、そこに住む国民の皆様は六%だということであります。

 過疎地域に限って議論しますと大変誤解を招く可能性がありますが、私は、この中山間地域、これは、いわゆる平野部と山の間、それから漁村、半島、離島、いわゆるその範疇に入ったものがすべて中山間地域という定義を国もなさっていますので、その意味では、この中山間地域のデータがないので、過疎地域ということに絞って申し上げていますが、これらの地域は、都市インフラや都市型の行政サービスが実は享受できない、大変御苦労なさっている地域なわけであります。

 かつて、この中山間地域から、大変良質な労働力、あるいは水、あるいは農作物を都市部に提供してくださいました。都市部は、それらを元手にして付加価値を生み出し、そして発展をしてまいりました。言うならば、我が国の高度成長のメカニズムの中枢といいますかかなめを担ってきたのが、私はこの中山間地域ではないかというふうに思っています。

 ところが、今御案内のとおり、税収が先細って、わけても、人口がかつてのように大変に急増していくということが考えられない現在にあって、国で集めた税金を地方に配分をするという現在のこの仕組みにつきまして、日本の成長を支えてきたこの中山間地域、まあ過疎地域でもいいですが、それと都市部との関係につきまして、私は、新しい国と地方の関係を議論する上での大変にキーワードだと思っています。その意味で、きょうは、こだわって最初に質問をさせていただきました。

 そこで質問をさせていただきます。この地域別の予算配分の言うならばインバランス、不均衡であります。

 国から過疎地域へその歳入を決算する、交付税交付金や国庫補助負担金も含めまして決算する、これは全体の二割に当たります。それを享受している人口がわずかに六%であります。今後とも、受ける行政のサービスのある、ある意味で地元です、地方です。この受益と、そして、それに伴う財源を負担するのは、今広く国民であります。したがって、この責任のインバランス、不均衡といいますか合致していない、このことについて今後とも是認していくのかどうか、これは大臣の見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 先生のところでいけば、たしか愛知県では珍しく村があるところでしょう。小原村がありますね、おたくは。だから、そういったところからいきますと、やはり今後とも、戦後の話をずっとされましたけれども、敗戦後、豊田に限らず、工業化をどんどんどんどんしていったところの労働力人口は、間違いなく、今言われるところの過疎とか農地とか中山間地からの人口移入がなかりせば、あれだけの労働力確保はできなかった。はっきりしていると思いますね。

 その意味では非常に大きな助けになったんですが、そこから都市部に移った、豊田に限らず、名古屋に移ったいろいろな人たちが、三代目、四代目になって戻っているかといえば、なかなか戻らず、あの辺でいけば岡崎、安城で、安城が都市部というとちょっといかがなものかと思うけれども、とにかく、小原村より安城の方、都市化しているところに定着して戻らぬわけですよ。そこのところが、非常に今過疎化とか言われている問題なんだと思っているんです。

 ところが、この際、ちょっとよく考えないかぬ問題が幾つかあるんだと思います。これは哲学の話ですからね。

 例えば東京都の周辺でいけば、東京都の水はおれたち茨城県の利根川が出しているんじゃないか、だれ様のおかげでおまえ水がなんて言ったって、村山貯水池だけでやれるかと言われれば、東京は全くあそこをとめられたら終わりです。だから、利根川の水を供給している方は、おまえら、水の利用権をおれたちに出せとか、理屈をつければ、環境保全やら何やらで最大に貢献しているのは近隣の県ではないかということになります。

 先ほど、御党の若井さんと言われましたか、あの方の質問の中にもありましたけれども、八丈島のさらに七十キロ南に青ケ島というところがあって、人口百八十人とか二百人とかいう村がある。島ですよね。ここのところに人が住んでいるというところも、これは間違いなく行政経費からいったら恐ろしい金がかかっているとは思いますが、しかし、この島に人が住んでいるおかげで竹島みたいな話にはならない。そうでしょう。

 だから、そういった意味では、住んでいる人たちのいるおかげで日本の国家としては非常に大きなという点は全然別の評価をしなくちゃいかぬという観点も、これは忘れちゃいかぬ。長く都会にいるとだんだんだんだん忘れるところですよ。これは最も大事なところだと思います。

 やはり、今言われましたように、地方交付税というようなものは、ある程度地域に資源というか財源が、人口が偏在をある程度することは、これは人間のことですから、強制的に、この地域に一定割りで人口密度はこれでというわけにいきませんから、そういったところである程度差が出るところは、地方交付税という調整機能というものは、これは今後とも維持しなきゃいかぬ大事な大事な機能だと思っております。

 ただ、問題は、先ほど言われましたように、六%のところに地方交付税が二八ということは、一対四ですから、四倍のお金がそこに行っていることに関してはと言われれば、その分だけおれたちが空気を、おれたちが国土をということになりますので、そこらの評価はちょっと広く議論をせないかぬところだと思います。今この場で、高いとか安いとか、一概にはちょっとなかなか言えぬところだと思っております。

古本分科員 ありがとうございました。

 私も、今大臣がおっしゃったことは大変よくわかります。その上で、もう少し交付税交付金について議論を深めたいというふうに思います。

 税収が多い都市部と脆弱な郡部がその行政のサービスに著しい差があってはいけませんので、ある一定の水準にそれをアジャスト、調整していく、これは必要でしょうし、国として、その意味での交付税交付金の目的については、まことにもってそのとおりだというふうに思っています。

 そこで、受益と責任、サービスを受けることと、それに先立つものを負担していくという、この責任という観点からいきますと、私は、二つの言葉がキーワードになると思うんです。フィージビリティー、事業性と合理性です。

 まず、事業性について伺いたいと思うんですが、地方は、基準の財政需要を計算して、それからみずからの収入との差分を交付税として手当てをしてもらう、こういうことなんですが、その需要の中身を算式で求めていく過程において、当然に、交付税交付金に関するさまざまな取り決めの中でその使途は制限されないということになっていますから、自治体によっては、これはわかりません、わかりませんが、本当に必要なものが査定し切られなかったり、あるいは、過度な、華美な、しょうしゃなものになったかもしれないということであります。

 要するに、需要のある地方が申請をして、査定をするのは、現場が見えない、見えないというか見えにくいこの遠く霞が関でやるというメカニズムについて私は申し上げているんです。

 受益する者と負担する者、これは現状では異なっています。そのギャップを埋めるのがこの法の趣旨だといえばそのとおりなんですが、未来永劫にわたりまして、今申し上げた観点から、事業性はありや、いかにという点についてお伺いしたいと思います。フィージビリティーであります。

麻生国務大臣 業界用語でいえば基準財政需要額というんですが、この基準財政需要額に基づいて、いろいろな形で地方自治体のいわゆる平均的な、標準的な財政基準というのを出すことになっています。地方交付税とそれから普通交付税と二つよく出てくるところですが、こういったものに基づいて、人口的な、客観的なものを基準に当てはめて、これで幾らということに決まっておりますので、実際の歳出とか需要に合わせて全部出しているというわけではありません、基本的には。

 それから、当たり前の話ですけれども、地方が申請したことに合わせてそれに全部出していくか。いや、こっちはそうはいかぬので、基準財政需要額とか、交付税の基準がありますので、それに当てはめてやるというのが立場ですから、それはよほど何かない限り、特別な例でよく引かれるのでいえば、例えば災害が起きたとかいうようなときには特殊な歳出が伴いますので、支出が出ますので、それに合わせてある程度特別に組むことはありましても、新しいものを建てるからといってやみくもに何かというようなことは、基本的には、国として事業に合わせて出すというようなことでやっているわけではないというふうに御理解いただければと存じます。

古本分科員 では、二点目の合理性について伺いたいと思います。

 受益と負担、あるいは受益の責任から申し上げれば、当然に便益を受ける方がその負担をする、まずもっては負担すべきだと思います。さりとて、財政が脆弱であれば、これは国が支えていく。こういうことについては私もそうだと思っていますが、この際、自治体にその責任を持っていただく。それで、そのための税源は与えてもいいのではないかと思うわけであります。

 先ほど申し上げたとおり、キーワードは受益と責任であります。現実問題、受益する自治体、これは自己責任で事業を進めようにも、今は交付税交付金がありますので、例えば歳出削減や税収増だとか、言うならば経営努力をした自治体が、結果として基準財政需要が収入を下回れば交付税交付金は出ないわけでありますので、その範囲におさめたということが結果としてマイナスのインセンティブに作用するわけでありまして、これでは、まじめに、まじめにという言葉は不適当かもしれませんが、要は、やっていこうという気にはなりにくいわけであります。

 その意味で、受益と責任の観点から、合理性が、今現在の国を取り巻く環境から見れば、かつてのように右肩成長ならいいんです、そうじゃない今現在は、この現状の仕掛けをそれでも是認するのか、あるいは、新しい仕組みを御検討していくおつもりなのか、伺いたいと思うんです。

 そこで、その新しい仕組みは、例えばでありますが、中国・四国地区だとかあるいは東海地区だとか、国と市町の間のちょうど中間ぐらいの、そういうブロック単位で完結していく、ブロック単位で交付していくという、言うならば、隣組で自己完結していくといいますか、そういう概念も私はあり得るんじゃないかと思っていますが、そこも含めて御見識を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 その後の方が、道州制というわけではないんですね、今の話でいくと。道州制じゃなくて、隣近所で合わせて決めいという話なんだと思いますけれども、これは、道州制でやるならば、ある程度責任なり決断をおろす人が決められるんですが、お隣近所で話し合おうという話は、これはなかなか現実は難しいと思うんですね。決定権者がだれになるかというのが不明確なままでその種のことをやると、結果的には、くちゃくちゃなことになって、足して二で割るみたいな話になりますので、やはりそれは余り効果的ではないんじゃないのかなというのが正直なところです。

 それから、もう一つの基準財政需要額の話なんですけれども、基本的に言って、歳出を抑制した、支出を減らした、それから、企業の誘致に成功して地方税の増収を図ったとか、そういったような経営努力ですか、会社用語でいえば経営努力をやって、やった結果ふえたから交付税の対象にならなくなったからといって、交付税を減額することはしません。それはもうはっきり申し上げられると思います。

 これはルールがありまして、税収が増加すると、基準財政収入額というものの七五%相当額が増加するというルールが決まっていますので、交付税はその分減らされることになるというのはおっしゃるとおりなんですが、ただ、留保財源、いわゆる社内預金ですよ、簡単に言えば。留保財源分は二五%上がることになっています。その意味では、一般財源としては基本的には増収になるという形になっていますので、努力すれば全然報われぬというわけではないというところだけは、その額を、二五じゃだめだ、もっと四〇にしろとか三〇にしろとかいうなら全く別な話ですけれども、取り急ぎ、今、丸々ゼロになっちゃうわけではないという点だけはちょっと御理解をいただければと存じます。

古本分科員 ありがとうございます。

 私は、交付税交付金の目的はまことにもって必要だと思っていますので、今現在、仕掛けを何か新しいものを議論していく上で、そういう意味では議論を深めたいというふうに思ったわけであります。

 次に、きょうはこれはぜひ聞きたいと思っています。地域別の、今申し上げた中山間地域かそれ以外か、あるいは過疎地かそれ以外かということでもいいんですが、公共サービスに対するお客様満足度、言うならば、納税者が納税したその対価として受けているサービスに対する満足度調査のようなものを私はしていると思っていたんです。どうも余りやっていないようだったんですが、ちなみに、その地域偏差は、あるのならある、ないならない、お伺いしたいと思います。

七条大臣政務官 これについては財務省の方からお答えさせていただこうと思います。

 先ほど来から先生が言われている受益と責任という話の中、私たちも、当然、予算を査定し、予算を執行していく段階で、各省庁がどういう形で社会のニーズをとらえているか、中央、地方からの意見を聞きながら、きちっとした形でやれているかどうかということを予算編成作業の中でやっております。

 それだけではどうしてもまた難しいところがありますから、当然財務省も、独自な段階で、特に財政全般にわたりまして、財政制度等の審議会、あるいは国民各層から聞いていくということも含めまして、インターネットでのアンケートだとか、地方で公聴会を開く、そういう形で予算に対する予算編成をやらなければならない。それの意見をお聞かせいただきながらニーズに対応していかなければならない。満足していただけるかどうかを把握しているところでございます。

 なお、もう一つ申し上げますならば、それが執行された後で政策をきちっと評価して、今度は効率よく使われているかどうかということも含めて、その政策評価も二年前からやるようにして、その中でさらに満足度を高めていくというやり方も今採用させていただいたところでございます。

古本分科員 ありがとうございます。

 何せ四十兆の税収をいただいているわけです。私は、これは巨額のお金だと思っています。そういう意味では、税は、我が国に住むあるいはそれぞれの市町に住むことの対価である管理費のようなものだと私は思っています。管理費が嫌だからといってこの国を抜け出していくわけにはいかないわけであります。そういう意味で、税金の流れ、どこからどれだけ、それがどう使っていかれたかというのは、これは、今以上にぜひ見えるようにしていただきたいというふうに思います。

 いろいろな持論があるんですけれども、それはまたの機会にしたいと思います。

 最後に、税財源から見た国と地方の関係のありようについて、できればマスタープランのようなものが伺いたいなと思っています。

 ただ、その前に、本日の議論をまとめまして、少し提言を申し上げたいと思います。三つの観点です。

 一つは市場性という意味であります。マーケッタビリティーということであります。

 国は、中山間地域、多くがもう過疎地になっているわけですが、こちらに、ある意味で苦労して歳入決算してきているわけであります。当の国民の皆様は、その地域に住んでいる方が、少なくとも過疎地域の皆さんのカスタマーサティスファクションがどうなっているかというのは、きょうは御答弁いただけなかったわけでありますから、そういう意味では、そういうことがないという前提で申し上げると、市場性、これは、国が徴税して地方に配分する現在の仕組みにつきまして、納税者であり行政のサービスを受けておられるお客様である納税者がいかに満足しているかしていないか、あるいは、足らず前があればどうやって手だてしていくかということにおいて、ぜひ市場性を調査していただきたい、満足調査をしていただきたいという思いがいっぱいであります。

 もう一点目が、先ほど申し上げたフィージビリティー、事業性であります。国が地方に歳入決算する現在の仕組みが今後とも機能するかどうか、これはぜひ、そういう意味で事業として成り立つかどうか検討をしなきゃならぬと私は思っています。

 最後の三つ目が、合理性。これはこだわってきょう申し上げましたが、受益する人、負担をなさる人、これは今ミスマッチになっているわけですね、現実問題。これについて国民的な合意をとっているのでしょうか。選挙で勝ったので、自民党で合意をとっているということかもしれませんが、私は、ぜひそういう意味で、改めて、こういうミスマッチが生じている中で、みんなで郡部を支えていこうじゃないかというコンセンサスがあって、それをやっていけばいいと思いますよ。私はそうあるべきだと思っているんです。そんなことを感じています。

 その上で、最後に質問ですが、地方が求めることは地方にやってもらう、このことについてはどうでしょうか。イエスかノーかということです。

麻生国務大臣 受益と負担、物すごく大事な観点だと思いますので、合理性だけでいけば、よく例に引かれますように、棚田というのが、田んぼがずっと組んであるのを見て、何という非効率的な田んぼをつくっておるんだというのが、経営者からいったら正しいですよ。私はそう思う。しかし同時に、人から見たら、何て勤勉な民だといって褒めるのも正しい角度なんだと思うんです。

 しかし、日本の場合、現実問題として、人口密度が極めて高いところにあっては、そういったところでも田んぼをつくったという経緯ですけれども、その結果、少なくとも治山治水は物すごくよくなった。建設省がやらなくても、ちゃんと民間がやってくれているわけですから。

 また、この国は、西の方からやたら酸性雨が降っているにもかかわらず、木が枯れない。なぜ。農地が間違いなくアルカリ性を保ってくれているから、よって木が枯れない。

 などなどは、いずれも、国が出さなくても地方、民間がやってくれている部分というようなものというのは、余り新聞に出ることもないし、話題になることもないんですが、そういったものもよく正しくきちんとみんなが知った上で、はい、どうするという話をしてもらわないと、ただただ一方的に合理性だけの話で今いくと、トヨタとか何とか、数百の会社で日本の全貿易黒字の八五%ぐらいを稼ぎ出しておるわけですから、そういった意味からいったら、その人たちこそ、外貨を稼いでいるゆえにもっと優遇されるべきではないかということに多分なるんですよ。

 だから、それはそれなりに一つのまた議論として、みんなある程度、受益、払っている方もまた受けている方も、両方で、おたくらの交付税というものは、こういう人たちが稼ぎ出してくれているお金で法人税から入っているんですよとかいうようなところが、では、田舎に住んでいる人は、そんなことはおれの知ったことか、おまえらだっておれたちの空気を吸っているじゃないかとか、いろいろな表現はあるんだと思いますので、これは、両方とも情報をきちんと公開した上で双方で落ちついて話をしないと、何となく片っ方が得して片っ方が損したというような話は国全体の国益を損なうと思います。

 今言われた御提言の点は、三つ言われましたけれども、大変大事な視点からだと思いますので、こういった点を置いて今後ともきちんと検討されてしかるべきと存じます。

古本分科員 ありがとうございました。

 市町村の合併が目前に迫っています。それぞれの首長や関係の議会の皆さんは大変な思いで今やっておられるというふうに私は思っています。ただし、税財源がこのままであれば、早晩、十年先にまた同じ轍を踏むんじゃないかという大変な危惧をいたしております。もちろん、合併努力や合併効果もあるとは思いますが、本気で経営をしていこうという市町については、そのインセンティブが機能する仕組みをぜひ考えていただきたい。

 そのためには、きょうはこの話は余りできませんでしたが、ひもつきの国庫補助負担金ではないと思いますし、交付税も今の仕組みではもう機能しなくなっているんじゃないかと思う。目的は大事ですけれども、仕組みという意味では私はそう思っています。

 未来にわたる、市町村がメリットを感じることができる仕組み、これはすなわち、受益と責任をいかに担保していく税源を移譲していくかということだと信じておりますので、国と地方の新しい関係を、大臣の心意気で、意気を感じる部分がありますので、ぜひ行政をリードしていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

植竹主査 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂武君。

保坂分科員 自由民主党の保坂武です。

 昨年春の補欠選挙、そして秋の衆議院総選挙で当選以来、初めての質問の機会をいただきまして、光栄に存じます。

 しかも、政府答弁を麻生総務大臣にお引き受けをしていただきまして、私も、大変公務の忙しい大臣に御答弁いただけるということで、心より感謝申し上げる次第であります。どうかよろしくお願いいたします。

 苦み走った侍顔で、肩で風を切る男性的な歩きっぷり、そしてダンディーなスーツ姿の着こなし、まさにピンポンでございます。その人は麻生総務大臣のことでありまして、私は、自由民主党総裁選挙のそのさまを見ておるときから、この人こそ庶民の味方である、そして、私も農業の出身でありますから、農民の味方であると。「七人の侍」、そんな映画もございましたが、その勇士を感じさせていただいた人でもあるわけであります。

 今もそう思っているわけでありますが、本日、与党側からの質問が何か私だけというふうなことで、最後のトリになるかと存じますが、貴重なお時間をおかりいたしまして、麻生大臣からこの分科会での御答弁がいただけるということで、感謝をするわけであります。大変、質問も重複をする点があろうかと思いますが、総務省所管事項を中心に何点か質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、政府は、平成の大合併と銘打ちまして、地方の行政システムに大変革を与え、組織のスリム化を促しているかと存じます。既に我が国は、歴史の節目において、たびたび全国的な合併の流れを経験いたしております。いわゆる明治の大合併におきましては、明治二十一年、当時、七万一千を超える町村数が五分の一に変遷した後に、いわゆる昭和の大合併ということで、昭和二十八年、当時の九千五百八十二町村でしょうか、昭和三十六年までにほぼ三分の一となりまして、それぞれに時代の要請に応じた成果を上げてきたと思っております。

 しかしながら、今日、昭和の大合併が実施された昭和三十年代と比べると、その時代背景が大変変わってきたことも事実であります。すなわち、我が国を取り巻く世界経済の変化、国内における産業の空洞化、そして何より、経済活動のみならず社会全体に影響を及ぼす少子高齢化の進行など、今日のデフレ不況にとどまらず、中長期的観点からも、今後、我が国全体がさらに厳しい財政状況に置かれることが指摘されているわけであります。

 私の選挙区であります山梨県は、昨年三月一日に南部町、あるいは四月一日、片仮名で話題になりました南アルプス市が合併をし、来年の十七年三月には恐らく七〇%以上が町村合併をされるのではなかろうかという、特異な、率先している地域でもあるわけであります。

 そこで、山梨県選出国会議員として、既に合併した地元自治体の現状をお訴えさせていただきながら、特に、合併が進んでいるゆえに直面する新たな課題を踏まえ、地方財政のあり方を中心に、合併の目的、あるいは当面の方策、今後の見通しなどについて政府の見解をお尋ねしたいと存じます。

 まず合併のことですが、この平成の大合併の目的そのものは何にあるのか、いま一度大臣のお考えをお尋ねしたい。また、あわせて、合併の進捗状況についてもお伺いをしたいと存じます。

麻生国務大臣 進捗状況につきましては役所の方から答弁させますが、平成の大合併の主たる目的といえば、これはやはり、時代の流れに対応する手段としての合併というぐあいに御理解いただければと存じます。

 今、明治の話をされましたが、明治四年に廃藩置県をやって、いわゆる三百諸侯ありましたものを九十何県にしまして、その後四十何県になってくるんですが、それまでの間、やはり、あの江戸時代は間違いなく地方分権のきわみだったと思いますが、そのときではできない、少なくとも、近代工業化社会に対応するためには中央集権でなければならぬというので、御存じのように、立憲君主制をしいてやるわけですけれども、結果としては、三十七年をして、あのナポレオンすら勝てなかった帝政ロシアに勝てたんですから、これは、間違いなく制度変更としては正しかったと評価されてしかるべきだと思います。

 戦後も、同じように、昭和二十年の敗戦以後、瞬く間に世界第二位の経済大国に復興をなし遂げたという点につきましても、中央官僚主導、業界協調型みたいな形の社会をつくり上げて、当たりに当たってここまで来たんだと思いますが、どうやら時代がさらに変わって、脱工業化社会という言葉に言われるようないわゆる一つの時代が終わって、多分それが、情報化とか知価とかいろいろな表現が出ましたけれども、今、間違いなくそういう方向になってくると、これはどうやら、中央で決めて、あれやれこれやれという時代ではなくなって、価値観が多様化していろいろなことになってきたものですから、地方でやれることはやってもらおうという方がより今の時代に合っているのではないか。

 そこで、地方に分権化する、地域主権にするということになってくると、それを受ける側の地方としても、いわゆる行政能力、いわゆる財政能力というものが、地方にもしかるべき基盤がないと対応できないということで、今、それに加えてITなんというものが出てきて、どんどんいくようになりましたから、別に、山梨県竜王町にいたって東京にいたって得られる情報は、インターネットを使って全く同じですから。

 そういったことになってくると、これはもう明らかに時代が違っちゃったものですから、行政手続はすべて紙はなくなります、オンラインでいきますなんということになってくると、それに対応できる行政能力、それを保持するだけの財政能力というものを地方で持っていないと対応できなくなるというのに合わせて合併するという手段がとられつつあるということだと思いますので、本来の目的は、時代の変換に合わせて地方自治が成り立ち得るような体力、基礎行政能力というものをつけるというのが、本来の趣旨、目的と理解をいたしております。

大野政府参考人 合併の進捗状況でございますが、現在の市町村数、三千百三十五ございますが、法定協議会が五百十立ち上がっておりまして、全国の六割を超える千八百八十九の市町村が法定協議会に参加をしているということでございます。

 先生の地元でございますけれども、竜王と双葉、敷島、三つの町で合併協議会をやっていただいているようでございまして、お聞きしますと、ことしの九月一日でございますか、合併をするというようなことで進んでいるようでございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

保坂分科員 引き続き、交付税についてお尋ねをさせていただきますが、各自治体も、今は予算の編成時期にも当たりまして、財源不足が深刻な悩みとなっているということであります。

 きょうの地元紙におかれましても、財政運営については八割が非常に厳しいというふうにうたっておりますし、まさに、平成合併につきましても六〇%近い町村が肯定的な考えを持っておりますが、ただし、三位一体については厳しい批判をしているという状況にあります。

 そういった中で、この財政厳しい中、交付税の大幅な削減、これが追い打ちをいたしまして、住民はとても大きな不安を抱えているわけであります。合併した方がいいんだ、交付税もたくさん来るぞ、こういうふうな期待をしていたにもかかわらず、非常に財政事情はなお厳しいという状況にあるわけでありますが、この点についてもう一度お尋ねをしたい。

 そして、あわせて、交付税の措置につきまして、合併前の自治体で交付を受けていた税額が向こう十年間据え置きにされるという風評があるわけでありますが、その点についてもお尋ねをさせていただきたい。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 後半の分については当局から説明なり答弁をさせますが、最初の大前提は、やはり保坂先生、地方の交付税借入金総額、二百三兆円というものに膨れ上がったものを何とかせぬといかぬというのが、お金からきた、今回の交付税の削減につながった非常に大きな理由です。

 もう一つ、意外と忘れられていますが、昨年は、地方税の税収が、景気が悪いので二兆円下がった。ことしは景気が少しよくなっておりますから、地方税というものは多分増収、微増いたすであろうと思いますので、前回と同じような比率でまた伸びると思ったら、それは微増になりましたので、多分ほぼ同じぐらいのものになりますので、そこで少し感覚的には、また二兆違うという点等々も、個別に聞いていただければわかると思います。

 それから、これまた地域によってすごく差があるんですが、例えば、今回の補助金の削減という中で、公立保育園の補助金削減という話が出ました。これで約二千億円ということになるんですが、これを地方税に振りかえました。いや、地方税というより、正確には地方住民税ということになりましょうか、振りかえました。

 そうすると、補助金でもらっていたときは、おれのところでは二千万もらっていたんだけれども、地方交付税になったら、うちは人口もないし、取るべき対象の法人もいないものだから、千二百万円に下がった。そうすると、交付税のときは二千万来ていたものが、地方税に振りかえられて自分の自由になるものになったけれども、八百万減ったというのは、人口減のところは多分そうなっていると思います。その点の八百万につきましては交付税で埋めます、そこはもう間違いなく。そこのところがわかっておられない方がいっぱいいらっしゃいまして、そこは確実に埋めます。

 では、多いところはどうするんだとお思いでしょうが、交付税から地方税にかわったらふえたというところは、その分だけ交付税は減らしますから。二千万来ていた、今度は三千万も来ちゃったというようなところは、交付税は逆に一千万減らすことになりますので、そういった形で調整をさせていただきます。交付税は本来そうあるべきものだと思うんですが、そういった形で対応させていただきます。

 しかし、それでも足らぬというところがいっぱい出てくるであろうと思われますので、そこは、地方再生債とか健全化債とかいろいろほかの名目を、約八千億、再生債だけで充てておりますので、そういったもので対応させていただきます。

 これは、個別にはもう実にいろいろありますので、貯金があったところ、なかったところ、おれのところは保育園がそんなに私立なんか一つもないぞとか、いろいろ地域によってすごく差がありますので、一概にこれという答えがあるわけではありません。個別にいろいろあります点につきましては、これは地方税課の方でいろいろ対応させていただきますので、そういった点につきましては、私どもとして、具体的な話につきましては、一律三千百二十みんな同じやり方というわけにいかぬ種類の話でもありますので、個別に対応させていただきたいと思っております。

 今の残りの件につきましては、大野の方から御答弁をさせます。

大野政府参考人 今、保坂委員おっしゃいましたことでございますが、合併に伴ったミクロ的な交付税の額、先ほど大臣はマクロ的なお話をされたわけですが、そこで、合併をいたしますれば、当然、スケールメリットといいますか規模の利益が働きますので、一人当たりの行政経費が安くなるという面がありますので、本来ですと、標準的に算定した経費は減ってくる。竜王、双葉、敷島三町村が合併して一つの新しい、甲斐市ですか、新しい市になれば、当然、新しい基準で交付税を算定しますと減るわけですね。

 しかしながら、御指摘のように、十年間は、合併を理由とした、合併をしたことに伴う交付税の減少はない。従来どおりの三市町村で算出をして、それを交付税の額として合算して交付をするということでございまして、これが合併に伴う合併算定がえと言っているものでございますが、一方、マクロ的な、交付税全体のあり方というものに伴う変動は、これはこれであり得る世界でございます。

保坂分科員 続いて、合併特例債についてですが、既に市町村におきましては、合併の作業をしたりその運営をしてきているところが全国的に多いわけでありますが、合併をされて、ややもすると人件費なども特に経費がかさんでしまっているという町も出てきてしまっているところであります。特例債が、三〇%は地元で負担をしなきゃならぬという中で、いろいろな事業もこれから必要に応じて計画するんですが、メニューがいろいろあって限定される部分もあるんではなかろうかと思いますが、その辺、弾力性を持たせているのかどうか、もっと弾力性を持たせてほしいということがあるわけであります。

 そして次に、合併特例法の在任の特例についてですが、法整備にちょっと問題点があるんではないかなというふうに思うところであります。

 議員の在任期間を二年というふうにされておりますが、素人的に、各市町村は合併に向けて二年の在任期間があるという前提で合併したところでありますが、議員定数が多くなるという市町村においては、それをリコールの手法によりまして解任させるというふうな事案も発生したり、そして今現実に、南アルプス市のように、予定していたときよりか短くしなければならないという事案が発生しているわけであります。その点、特例法をつくったときの意義というものが薄れてきておるわけでありますが、その辺を御指摘させていただいて、御答弁いただきたい。

 三つ目に、特例法が来年十七年三月の三十一日で終わる、その後の十七年四月の一日以降のまた新法なども考えられているのか、お尋ねをいたします。

大野政府参考人 三点ほど御質問をいただきまして、まず合併特例債。

 これは、基本的には公共的施設の整備に充てるということになっていまして、合併市町村が協議をいたしまして市町村建設計画というものをつくっていただく。これは当然協議をしてつくるわけでありますね。それで、その計画に基づいた公共的施設の整備に活用できるということでありますので、その意味では、いろいろ協議の中で工夫して考えていただければ、相当弾力的に活用できるものだと思っております。

 次に、編入合併じゃなくて新設合併の場合の議員の在任期間の特例。

 平成十一年のときに地方分権一括法というものの中で特例法を直したときに、従来一年だったわけですけれども、二年に延ばしたということでありました。これは、いわば合併に伴う障害を除去するということでつくっているわけでございますけれども、御指摘のように、住民の方から見た場合にどのように見えるかということもありまして、いろいろな事例が出てきていることは間違いないわけでございますが、私どもは、この在任特例というものは、障害を除去するためには必要だ、こう思っておりますので、新しい法案の中でも一定のそうした特例は必要であるだろうと思っております。ただ、最終的には住民の方々がどのように判断をされるかというのは、これまた別な話かと思います。

 なお、新法につきましては、先ほどお話がございましたように、来年の十七年三月三十一日で現在の法律が切れます。切れますので、その後の手当てをどうするかということを今検討しておりまして、新しいいわゆる合併新法を出すことにしたいと思っておりますが、その場合も、あくまでも、現状のような財政的な大変な支援をしております合併特例債などというものは廃止をするということにしておりまして、いわば行政的な対応を中心に法案化を進めてまいりたい、このように思っております。

保坂分科員 合併特例法については、その財政的な支援については、今御答弁いただいたような方向で、もうはっきり明確に三月三十一日で現行法でいく、それは切れる。いわば、四月一日からは全く変わった新しい形でいくということで理解をしてよろしいということですね。

大野政府参考人 一点つけ加えさせていただきますと、現在の合併特例法につきましては、十七年の三月三十一日で期限が切れるんですが、その時点までに関係の市町村が合併の議決をしていただきまして、当該県の知事に申請まで終わっておれば、なおその後の作業が、県議会の議決等もございますので、それに半年以上はかかるというのが普通でございますから、その場合は、現在のさまざまな特例制度も活用できるというふうにしたいと思っておりまして、いわゆる一年間の経過措置はお願いしようと思っております。法律改正が必要でございます。

保坂分科員 質問がかわりますが、各地方自治体で、市町村合併を機会に、地域の公共ネットワークやケーブルテレビ等の情報基盤構築に取り組むというふうな自治体がふえているわけであります。財政難で非常に苦慮をしているところでありますので支援を期待しているわけでありますが、十五年度の予算がおおむね二十一億円だったでしょうか、そして、補正もどのぐらいあったかですが、十六年度においての予算はどのぐらいなのか、お尋ねをしたいと思います。

 現在、百八十億、二百億かかるような予算規模で各市町村は期待をしているわけでありますが、それらの当初予算について積極性があるかどうか、ちょっとお尋ねいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘でございますが、地域イントラネット基盤施設整備事業につきましては、十六年度は五十五億五千万円余、CATV、いわゆる新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業につきましては十八億九千万円余となっております。これは、十四年度までは補正予算がございまして、事実上、十五年度も大分繰り越しておりましたものですから、その金額の地域公共ネットの約三百億あるいはCATVの約百二十億に比べれば大きく減っておりますが、当初予算ベースではほぼ例年どおりとなっております。

 以上でございます。

保坂分科員 十六年度においては、何かまだ二十億近い予算方というふうなお話も聞くわけでありますが、ぜひこの点につきましては、当初予算にも予測される百八十億、二百億の整備について、国が増額を徹底して希望されるように私の方からも希望をし、大臣の手腕を期待をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 次に、時間もありませんので若干質問を前後させていただきますが、選挙の投票制度についてです。

 投票時間の延長につきまして、平成九年の公職選挙法の一部改正によりまして投票時間が延長されまして、六時から八時というふうに終わる時間がなったわけでありますが、この基本的な理由をちょっとお尋ねをさせていただきます。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 近年、投票率の低下が憂慮すべき事態だと指摘されることが多いわけでございますが、特に、平成七年の参議院通常選挙におきまして、投票率が五割を切りまして四四・五%となりました。また、翌年の平成八年の衆議院議員総選挙に際しましては、これも、五九・六%ということで史上最低を記録したというような状況だったわけでございます。

 そういう中で、投票率低下の原因はいろいろ指摘されるわけでありますが、有権者が投票しやすい環境を整える必要があるのではないかという観点で研究会を設けたところでございます。この研究会から、最近のライフスタイルの変化でございますとか、余暇活動の多様化、あるいは休日勤労者の増加といったようなことを勘案いたしますと、投票時間を二時間程度延長すればある程度の投票率の向上が期待できるのではないかという提言をいただいたところでございます。

 こうした提言でございますとか、各方面からの御意見も踏まえまして、先生御指摘いただきました公選法の改正を提案させていただいて、成立がされたということでございます。

保坂分科員 したがいまして、投票時間を延長したことによって、その後の投資効果というか、八時まで延長されまして投票率が上がったとか、国政選挙においては上がったようでありますが、地方選挙においてはそうでもないというのが実情ではないかと思うわけですが、その後の、延長してどういう結果が出たのかということについてお尋ねいたします。

高部政府参考人 二時間延長の前後で申し上げますと、平成十年の参議院選挙に際しましては、一四・三二%の増ということで大幅なアップがございました。平成十二年の総選挙におきましては、その前回と比べますと二・八四%の増ということでございます。

 この二時間延長の時間帯で見ますと、平成十三年の参議院選挙でございますと一五・七%、昨年の衆議院選挙でいいますと九・六%といったような状況になっておりまして、この延長された投票時間帯の投票者の増加というのは、選挙によりまして、あるいは時期によりまして、あるいは地域によりまして若干の差はございますけれども、かなりの人数がいるといったような状況でございますし、また、私どもの関係の団体で明るい選挙推進協会というのがございますが、この団体のアンケート調査によりましても、投票時間の延長がなければ投票に行かなかったというようなお答えが二割から三割以上といったような数字で出てまいっておりますので、この延長についてはかなりの効果があったのではないかというふうに思っているところでございます。

麻生国務大臣 簡単に言ったら、委員、五百万人が六時以降に投票したと御記憶いただければいいんじゃないでしょうか。五百万人が十八時以降に投票したという数字になります。

保坂分科員 数字的にはそうなるかと思うんですが、これは国政選挙、地方選挙がありまして、地方選挙になりますと投票率は非常に高い。もう八〇%、九〇%時間内に行ってしまうところもございまして、国政選挙はちょっと人気が悪いというところがあるんではなかろうかと思います。

 これは、時間がありませんのであれですが、経費的にも、二時間を延長したことによって費用が非常にかかる、そして、地方の選挙も殊さらに時間もかかる、今はもう不在者投票で事足りる、そして、投票時間はもう六時でいいと。開票時間は、全くもう夜中の十二時過ぎなければ開票状況がわからないというのが実情であって、まさに三位一体とか何か改革をしている割にはその点が改革にならずに、国民負担はそういう分では多いのではなかろうか。もう少し追跡調査をして国民意識とかということを今やる時期ではないかな、こう思うところでありますので、もう一度そこをお答え願いたいと思います。

高部政府参考人 先生御指摘ございましたように、この投票時間の延長というのは、地域的な差があるようには私ども感じておりまして、特に都市部、人口規模の大きいところでは、十八時以降の投票者が多いといったような状況になっているわけでございます。

 全体として見ますと、確かに、この投票時間の延長ということで二十五億円程度の経費が増加する。かなりの額が増加するわけではございますが、先ほどお答えしましたように、その時間帯の投票者の数が相当多いといったような状況もございます。

 そういう中で、この二時間延長というのは、地域差がございますので、地域によりましては投票所の閉鎖時刻の繰り上げといったようなことの対応もされておるところでございますので、そもそも、この投票時間の延長をもとへ戻すというのは、慎重な検討が必要ではないかと思っているところでございます。

 ただし、この延長の効果というものはどういうふうになっているのかという点につきましては、私ども、引き続きフォローしていく必要があるのではないか、かように思っておるところでございます。

保坂分科員 以上、質問をさせていただきましたが、時間になってしまいました。初めての質問の機会をいただきまして、国政、大変多難なときでありますが、麻生大臣には、侍心で、ぜひ庶民の、農民の味方になっていただいて、大改革を進めながら国政に携わっていただきたい。

 御答弁ありがとうございました。

植竹主査 これにて保坂武君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日火曜日午前九時より開会し、引き続き総務省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十五分散会


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