衆議院

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第1号 平成17年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      伊藤 公介君    伊吹 文明君

      二田 孝治君    生方 幸夫君

      吉良 州司君    田中 慶秋君

二月二十四日

 伊藤公介君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席分科員

   主査 伊藤 公介君

      伊吹 文明君    坂本 哲志君

      二田 孝治君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    田中 慶秋君

      田村 謙治君

   兼務 宇野  治君 兼務 加藤 勝信君

   兼務 佐藤  錬君 兼務 中山 泰秀君

   兼務 葉梨 康弘君 兼務 樽井 良和君

   兼務 赤嶺 政賢君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務副大臣        山本 公一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           荒木 慶司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田村 政志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  伊吹 文明君     坂本 哲志君

  生方 幸夫君     荒井  聰君

  吉良 州司君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     古川 禎久君

  荒井  聰君     田村 謙治君

  稲見 哲男君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 禎久君     城内  実君

  田村 謙治君     今野  東君

同日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     伊吹 文明君

  今野  東君     生方 幸夫君

同日

 第一分科員佐藤錬君、中山泰秀君、第六分科員宇野治君、葉梨康弘君、第七分科員加藤勝信君、樽井良和君及び第八分科員赤嶺政賢君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

伊藤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました伊藤公介でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うこととなっております。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 平成十七年度の総務省所管予算案につきまして、概要を御説明させていただきます。

 一般会計の予算額は、十七兆四千八百七十六億三百万円であります。

 我が国の経済の再生と発展のためには、引き続き、構造改革をスピード感を持って実施し、デフレからの脱却を確実なものとしつつ、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくり上げていくことが必要と存じます。

 本予算案は、これを踏まえまして、行政改革、地方分権、ICT政策、国民の安心、安全の確保等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。

 以下の事項の説明につきましては、各委員のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

伊藤主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本(哲)分科員 おはようございます。自由民主党の坂本哲志でございます。

 最初に、質問の機会を与えていただきました、心から感謝を申し上げたいと思います。分科会初めての質問でございますので、どうぞお手やわらかによろしくお願いいたしたいと思います。

 まず、マスメディアの集中排除の原則の問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 現在、ライブドア、ニッポン放送株の取得合戦のようなものがやられておりますけれども、これとはまたちょっと違う問題でもございますし、昨年来いろいろと問題化していることでございます。昨年の十一月に、大手の新聞社のグループの会長がテレビ局に対しまして名義株を持っており、これが実質新聞社のグループ支配になるのではないか、そういう議決権を有する株であるというようなことで問題が浮上いたしました。その後、全国の新聞あるいはテレビ、そして地方の新聞、テレビ、さまざまな集中支配の構造というような問題が出てまいりました。マスメディアの集中排除の原則が守られていないのではないかということで、今日に至って社会問題化しているところでございます。

 マスメディアの集中排除の原則とは、これはとりもなおさず放送法第二条第二項に定められておりますけれども、放送することができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することによって、そして、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするという趣旨にのっとりまして、電波法第七条にのっとって総務省の省令が出ているところでございます。複数放送局の支配の制限というふうに言われるものでございまして、もう一つは、テレビ、新聞、ラジオ、これが一体となって支配することを禁ずるというようなものでございます。

 つまり、同一地域に議決権を有するテレビ局は一つである、議決権を持つ株一〇%超を複数以上に保有することはできないというものであります。省令で定められているということでありまして、裏を返せば、都道府県一県域に一局は一〇%超の株を持って議決権を有することができるけれども、複数はできませんよ、二局以上はだめですよということでございます。

 これらの原則が昭和三十年代につくられてきたわけですけれども、これが、名義株というようなものの存在によりましてこれまであいまいにされてきた、そして、なし崩し的に中央もそして地方も支配の構造といいますか、そういったものがいつの間にかつくられてきてしまっているというこの現実、事実、そのことは否めないのではなかろうかなというふうに思います。

 総務省がことしに入りましてこういった実態を調査いたしまして、二月に、新聞、テレビ七十一社に対しまして、名義株の保有、あるいは、その他支配する側、される側それぞれに省令に違反するものがあるというようなことで七十一社に対しまして是正の指導をしたところでございますけれども、これまでに、三月までに一社を除いて七十社が、名義株問題も含めて是正をする、あるいは是正された、問題が解消されたというような報告がなされているというふうに聞いております。

 放送法それから電波法にのっとりました集中排除の原則は、これからの放送事業に対してのさまざまな公平性、透明性、それを高める上でこれからしっかりと遵守されなければならない問題であるというふうに思います。これがこれまで何かにつけてうやむやにされていたところに、あるいは未整備であったことが、今回のライブドアとニッポン放送の間のさまざまな株の取得問題、ひいては外資によるマスメディアの間接支配、これは安全保障問題も絡んでくる重要な問題でございますけれども、こういうものに発展してきたというふうに思います。ここで、もう一度その原則にのっとって、集中排除の原則というものをしっかりと各マスコミ、マスメディアの中に浸透をさせなければいけないというふうに思うところであります。

 しかし、一方で、この放送局の発展過程というのは、非常に日本の場合にいろいろ複雑な、多様な要素をはらんでおります。特に、昭和四十年の後半から五十年にかけまして、各地方に地方の放送局が二局、三局と出てまいりました。UHFそしてFM放送局、さらに、その後、衛星放送、そして地域のコミュニティー放送局というような、さまざまなメディアの形態が出てまいりました。

 そういう中で、どうしてもやはり地方の、地域の有力なメディアあるいは新聞社、県庁あるいは市役所、そういったものが放送局の株の仕切りをしてくる、そして、地域なら地域の一つのメディアの構造がこれまででき上がってきているというのが現実であろうというふうに思います。最近はこれにデジタル放送の問題が出てまいりまして、ローカルテレビ局のデジタル放送化への投資に関する経営基盤の強化の問題というのも出てまいりまして、これは昨年いろいろと論議されたところでございます。

 そこで、集中排除の原則をとにかく貫くということは、これは道理であり、これは今後総務省の間でも各マスコミに対してしっかりと指導をしていかなければいけないところでございますけれども、私が問題にしたいのは、ここで放送局の整理が必要になってくるのではないか、もう整理が必要な時期になっているのではないかなというふうに思います。

 まず、中央のキー局あるいは中央紙と地方のローカル局、地方紙の区分けの問題がある、中央と地方の整理の問題があるというふうに思います。

 これは、中央と地方ではかなりその放送網の発展過程というのが違っております。そして、特にその中で、地方に行きますと、一つの都道府県をネットワークといたします、県域といたします地上波の放送局、そしてラジオ局、さらに後発のFM局というのがございます。そして、それにおくれて設立をされております地域のコミュニティー放送局というものがあります。これは、市町村を一つのエリアとして、それぞれが、議会の状況とかあるいは災害への対処の仕方とかあるいは交通情報とか、まさに生活の利便性を高めるために活用されている放送局ということで、これは、採算を度外視して、地域の新聞社なりあるいは放送局なり、あるいは市役所なり県庁が出資をして、そして、その中で生活放送局というような形で放送をされているというような局でございます。

 ですから、キー局がある、そして地方局がある、地方局の中にこれまでの都道府県をエリアとする地上波の放送局がある、そしてFMがある、そして地域のコミュニティー放送局がある、こういった非常に多様な複層的な構造になっておりますので、このことに対して、集中排除の原則、一〇%超の株を複数にわたって保有することができないということを原則的に適用するのはいかがなものかなというような気もいたします。

 地方の放送局を支えるためにはそれなりの良質の地方の企業が必要なわけでございますけれども、地方の良質な企業といえば、それは放送局、新聞社以外には、地方の銀行であったりあるいはデパートであったりということで、数が限られてまいります。どうしてもそこに出資という問題が絡んでくると、なかなか出資ができない、そして、その放送局あるいはコミュニティー放送局の存亡そのものにもかかわってくるというような問題が起きてまいります。そういうことで、一律の原則的なものだけでの指導が行われますと、地方におきましては、経済界も言論界も、それから行政も含めて困惑をしているというのが実情であります。

 そこで、今後、さらに地域の実情を勘案しながらいろいろな御配慮をお願いしたいと思いますけれども、放送局のそういった整理、その中でどういう形で集中支配の排除というような原則ができるのか、そして、本当に地域の小さなコミュニティー放送までそういったものが必要なのかどうか。それはそのまま災害時にはまさに公共放送になるわけでありますし、有事の際はさらにもっと大きな公共性を有するわけでございますので、今後のメディア排除の原則をどこまで適用するのか、そして、もっと地方の実情を勘案した、きめ細かな省令なりが必要ではないのか。

 ことしは免許更新をする放送局が多いわけですけれども、それ以降の指導のあり方、そういったものについてお伺いをいたしたいというふうに思います。

山本副大臣 先生の御指摘は、今、麻生大臣とひそひそ話をしておりまして、大変難しい質問だなというようなことだろうと思います。

 基本的には、先生さっき御指摘がありました五百二十一社から報告を受けまして、そのうち五十五社がいわゆる違反をしていたということが判明をいたしました。その五十五社のうちに、テレビ局が二十五社、FM局が二十二社、コミュニティー放送局五社であったというふうに、これも地方ローカル放送局が主であったというふうに承知をいたしております。

 そして、その後、是正を求めましたところ、三月末には、おおよその社が是正をいたしますという回答をいただいております。それの回答の中で、一社だったと思いますけれども、どうにもうまく解消できないという答えが返ってきているところもございました。そこのところが、まさに今先生がおっしゃった問題点なんだろうと私は思っております。私も地方で放送関係、若干関係をいたしておりましたけれども、なかなか先生がおっしゃる良質な株主が確保できないというのが、地方のこれはやはり悩みなんだろうと思っております。

 そういう意味において、今後、総務省もやはりこの種の見直しを当然やっていかなければいけないわけでございますけれども、地方のローカル局に対する配慮というものが十分に生かせるような見直しをやはりやっていかなければ、中央のメディアと地方のメディアのありようという、メディアというのは本質においては一緒だろうということでございましょうけれども、経営においてはやはり内容に相当な差があります。といって、では地方にはメディアは必要ないのかといえば、これも十二分に、今日的な状況でございますから、必要であります。

 そういう中で、中央のありようと地方のありよう、メディアのありよう、経営のありよう等についてはやはり配慮が必要なんだろうというふうに思っておりますので、十二分に御指摘を踏まえまして見直していきたいというふうに思っております。

坂本(哲)分科員 ありがとうございました。

 いろいろな技術革新に伴いまして、地方のメディアは地方で独自性を出そうというふうにしておりますけれども、なかなかやはりそれができないというのが実情でございます。

 これはやはり、非常にマスコミュニケーションそのものが同時化してきたといいますかスピード化してきたといいますか、それに伴って日本全体が同じような世論の中で動いていく、そういう中で、地方の世論あるいは地方の独自性、地域のメディアの特色、それをどうやってつくり上げていくのか、どうやって自主番組、自主制作、そういったものをしていくかということは、非常に現実的には厳しい問題になっておりますので、多様な意見あるいは民主主義の展開という上からもぜひよろしくお願いいたしたいと思いますし、今言われましたコミュニティー放送局にしても、一〇%超の集中排除の原則でやりたいんだけれども、もう買い手がいないわけですね。買い手がいなくて、とにかくそれの株を買ったら、その株を持つのは大したことないわけです。大したことないと言いますとおかしいのですけれども、一〇%ですから、三億の資本金に対して三千万ぐらいでありますけれども、それでも出す人がいないというような、それが今の地方の経済界の実情でもございますので、どうかその辺のところもしんしゃくをしていただいて、今後の対策をよろしくお願いいたしたいというふうに思います。

 続きまして、市町村合併の問題についてお伺いいたしたいと思います。

 平成の大合併、紆余曲折をたどりながらも、そして、それぞれの地方が、地域が問題を持ちながらも、かなり進んでまいりました。三千百ありました市町村が二月現在で二千七百七十一と、四百近く減ったということで、これからもっともっと進めなければならない部分はありますけれども、まずまずそれぞれの県や市町村の努力によって進んだ方かなというふうに思います。

 しかし、これによりまして、合併して大きな市ができる反面、合併しなかった村がそのまま残って、要するに格差が非常に地域では大きくなっていく、これらについてどうするか、あるいは、合併はしたけれども果たして財源は大丈夫か、あるいは、今後それぞれの住民意識を一つにしていくためにはどうすればいいんだろうかということで、いろいろな悩みを抱えながら、あるいはいろいろな不安を抱えながら恐る恐るスタートしているというのが実情でございます。

 私たちにとりましては、先々週から先週、今週、そして来週、来月だと思いますけれども、先生たちもそうだと思いますが、合併した市町村の市長選の選挙とかそういうのが次々に行われておりまして、私たちにとっては悩ましいところであります。どっちを応援してもいけないし、どっちかに手を入れたらまた言われるしということで、非常に私たちは私たちなりに厳しい選択なり悩みがあるところでございます。行政は行政で、そして、住民の皆さんは住民の皆さんでそれぞれにやはり不安を抱えてのスタートでございますので、これに関しての不安解消といいますか、あるいは今後の道筋をつけるという意味でも、国の今後の第二段階の、次の展開の対応策というものをしっかり示していただきたいなというふうに思うところでございます。

 そこで、何点かお伺いいたしたいと思いますけれども、まず第一に、合併市町村としなかった市町村、非合併市町村の間で、国からの財政支援あるいは国庫補助事業等に対して明確な差が必要である、区別が必要であるというのがやはり支配的であります。これは、合併した町村が多いわけでございますので、特にそういう声が高まっております。そこで、国としては、その取り扱いにしっかりと差をつけるということをこれからしていただきたい。

 合併町村に対しましてはしっかりした交付税措置がこれまでもとられてきたことになっておりますけれども、国の財政事情が非常に厳しい中で本当にこれまでどおりの交付税措置が合併町村に対してとられるのかどうか、非常に不安感も持ち上がってきているところでございますので、ぜひこれまで同様に、交付税措置一つとりましても合併自治体と非合併自治体の区分けができるように、あるいはできるのか、その辺をお伺いいたしたいというふうに思います。

 それから、全国の多くの合併協議会で、合併後の市町村建設等におきまして、合併によって生じた重複または間接部門の効率化の手段といたしまして、定数の削減という問題があります。そして、職員数の適正管理というものをそれぞれの合併町村が協議会の中でうたっております。しかし、その具体的な手法あるいは合併後の定数の適正化の計画というものは、具体的なものはまだ未策定な状況でございます。ほうっておくと、これがこのままずるずるとやって、何のために合併して、何のために職員数を削減しようとしたのかわからないというようなことになりがちでございますので、適正な職員定数等の管理につきましては、定数、それから組織、それから給与、これらの各面から専門的かつ長期的な形で厳格に国の方から指導をしていく、そして、十年たったらこれだけの成果が、これだけの効果が確かにあったというようなものにしていただきたいというふうに思います。

 ぜひ、その辺の御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。

 それから三番目でございますけれども、合併によりまして、三百五十万人の横浜市も、そして千人に満たない村も、一くくりにして基礎自治体でございます。この基礎自治体論というのがもう既に限界に来ているというふうに思います。今後、基礎自治体がどういうものなのか、どうあるべきなのか、そしてどうやって次の自治体を構成して、そして国家を構成するか、その統治機構といいますか枠組みといいますか、それを論議しなければならないときに来ているというふうに考えますので、どうか、その辺の御所見についてお伺いいたしたいというふうに思います。

 それからもう一つは、小さな町村、一万人以下の町村がそのままの形で残っております。この組織形態につきましては第二十八次の地方制度調査会等で論議をされることになっているというふうに聞いておりますけれども、その論議の状況、あるいは今後の論議のスケジュール、そして、一万人以下、現実的にはもうやはり自治体として成り立っていくかどうか、どんなに努力しても、山村あたりで五千人、二千人、千人というような、中には非常に厳しいところがあるというふうに思います。その辺の、取り扱いと言うと失礼でございますけれども、考え方、今後の進め方、そのことについても御意見、御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。

今井副大臣 坂本委員に御答弁申し上げますが、坂本委員さんは地方自治、地方政府に大変明るい方でございまして、この合併に当たりまして大変な御協力もいただき、なおかつその上で大変な御心配もしているし、効果あらしめんという立場での御質問かと思うわけでありますが、何とかこの合併を円滑な中でも積極的に推進していかなければいけませんし、そのための支援策というのは、総務省としても当然考え、実行をしておりますし、これからもフォローアップもしていきたい、こういうふうに思っているわけです。

 御案内ですから、合併に対します普通交付税の算定の特例、いわゆる合併算定がえがありますし、そのほか合併特例債、いわゆる建設事業に対します財政の措置をします。それから、合併直後には当然いろいろな形で諸費用もかかることでございましょうから、普通交付税における合併補正、いわゆる交付税の措置もやらせていただいておるわけであります。それから、合併市町村に対する特交、特別交付税、これらにつきましても十分配慮をしていかなければならないと思っておりますし、合併しなかった市町村にはないさまざまな支援策というものも当然考え、実施させていただきたいと思っているところでございます。

 財政状況が極めて全国的に国、地方とも厳しい中ではございますけれども、市町村合併に関する財政需要につきましては、毎年実行いたします地方財政計画の策定を通じまして、地方交付税の総額を確保して万全の措置をとらせていただきたい、かように考えているところでございます。

 二点目でございますが、合併に伴う職員の適正管理、とりわけ定数、組織、給与、これらについて国の方でも適切なアドバイスが必要ではないかという御趣旨の御質問かと思うわけでございますが、地方分権を進めて、今後、少子高齢化社会を迎える中で行政需要は多種多様で拡大してくるわけでございますので、地方政府、いわゆる基礎自治体の行財政基盤をしっかりと強化を図っていかなければならない、そのための合併でもあるわけでございます。行政サービスの向上をしっかりと進めつつも、行財政の効率化が図られることが大きな期待をされておりますし、私ども国のみならず、そこに住んでいる住民の皆さんもそれに対する期待があるものと思っているわけであります。したがって、合併された地方政府における定数、給与のあり方、これはもう重要な課題、このように総務省としても認識をしているところでございます。

 したがいまして、地方公共団体の定数の管理あるいは給与の適正化、これらにつきましては、さまざまな情報の提供あるいは助言を行っているところでございますが、この合併を機会に、さらに適正な定数の管理あるいは給与の制度の運用、これらにつきましても今後とも適切な対処をしてまいりたい、そして国としての責任も果たさせていただきたい、かように考えているところであります。

麻生国務大臣 二点御質問をいただいたんだと思いますが、一番大きなところで横浜市三百四十二万六千人かな、一番小さな自治体で、東京都青ケ島二百三人、愛知県富山村二百九人、多分これが一番小さなところなんだと思いますが、これを同じ自治体でどのように扱うかということなんだと思うんですね。確かにおっしゃるとおりなんですが、逆に、いろいろなことも考えないかぬのは、八丈島の南七十五キロにあります青ケ島に二百三人も住んでいただいているおかげで、少なくとも竹島みたいな話は起きないということなんだと思うんです。そういった意味では、日本という国土を守っていく意味においては結構大きな問題なんだと私どもはそう認識しておりますし、山村僻地と言われますけれども、そういうところで農業をしていただいているおかげで治山治水がうまく保たれているという点もやはりこれは考えないかぬところであって、人口割りで何でもすればいいというものでもないのではないかというところは忘れちゃいかぬ大事なところだと思っております。

 いずれにしても、そういった点からいくと、今、政令都市、それからいわゆる中核市、特例市、市、町、村、大体そういって権限はずっといろいろ与えられ方が違っているんですが、そういったものでやっていかないかぬと思っていますが、どうしても、合併したいと思っていてももらい手がないというところも正直申し上げて全国の中では結構あるものですから、そういったところでは、逆に、今地方自治法で決められている中で、いわゆる外国でやっておりますシティーマネジャーみたいなものを県から連れてきて、その人にそこでやってもらうとか、やり方はもう少しいろいろ今後考えていかないかぬ問題だと思っておりますが、いずれにしても、二十八次の地方制度調査会においても今この問題が討議をされておるところでもありますので、この経緯を見ながら、私どもとしては、こういったところも地方に、一律的にとさっき言われましたけれども、全部一律にということではなくて、そういった特殊事情というのは十分に考えた上で対応していく必要があるというのは確かだと思っております。

 いずれにしても、合併が始まったおかげで、今二千二百、私が就任いたしましたときに三千百でしたので、約九百ぐらい一応話ができ上がりつつあるところまで来ましたので、今年度、三月三十一日段階で多分二千前後のところまで行くような感じがいたしますけれども、いずれにしても、そういったところできちんと対応をしていったおかげで指数は少し上がってきたような感じがありますので、そういったものの経緯を見ながらさらに検討をしてまいらないかぬところだと思っておりますが、いずれにしても、それでも格差は残りますし、地域によってその事情は全部違っておりますのはもう御存じのとおりなので、先生のあの菊池のあたりもいろいろまた特別な事情もありますから、そういったところでは実態というものをよく御存じなんだと思いますので、私どもも、そういった実態を踏まえながらきちんと対応していかないかぬところだと思っております。

坂本(哲)分科員 ありがとうございました。

 国土保全上あるいは国防上、本当に必要なところがあると思います。しかし、基本として、また一方で、権限移譲、地方の自治にたえ得るようなスケールの自治体もまた必要であるというふうに思いますので、多様なその辺の対応策を今後よろしくお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤主査 これにて坂本哲志君の質疑は終了いたしました。

 次に、荒井聰君。

荒井分科員 民主党の荒井聰でございます。きょうは、総務大臣と少し大きなテーマの話をしたいなと思ってございます。

 大臣、最近、霞が関の若い官僚と率直に話をする機会はございますか。最近、若い霞が関の極めて優秀な官僚たちがどんどん霞が関をやめていく。こういう時代ですから、キャリアを積んで新しい世界に転出をしていくという働き方というのは、ある意味では若者たちの一つの典型なのかもしれませんけれども、しかしそれにしても、私は、原因はもっと別なところにあるのではないかと。そして一方、例えば社会保険庁のでたらめだとか、あるいは、かつては極めて優秀な成績を誇っていた警察の検挙率が急激に下がってきてしまったとかいう、行政の質という意味で非常にドロップダウンがあるのではないか。

 そこを一番よく感じているのが若手の官僚であって、その若手の官僚たちにとって今の政府あるいは霞が関というのは、自分たちが感じていることを本当に行政の中に反映できるような仕組みになっていなくなってしまったのではないか。そんなふうに感じて、将来の自分たちの仕事、あるいは、国のために何かをしようとして難しいハードルを乗り越えてやってきたその世界が、実はその力を十分に発揮できるような状況になっていなかったということに失望をしているということが見られるのではないか。

 かつて、城山三郎が「官僚たちの夏」という有名な小説を書いていましたけれども、あのころの若い官僚たちというのは、自信に満ちて、この国をどうやって引っ張っていくのかという理想に燃えていた。ところが今は、その気分が本当になくなっている。なぜなくなったのか。それは、私は、政治の、あるいは大臣の責任がとても大きいんだと思うんです。

 こんな点、大臣、最近どういうふうにお思いですか。また、若い官僚たちとそんな形で議論したことはございますか。

麻生国務大臣 あるかと言えば、私六十五ですけれども、私の世代にしては若い人と結構やっている方なんだと思いますが、荒井先生、これは幾つか考えないかぬところだと思っています。少なくとも、もうかなり前から人事院総裁が東大総長のところに来て、もう少しいいやつに行政職試験を受けさせてくれと。いいやつは司法試験を受けて行政職を受けないということを東大総長に頼みに行っていたという事実があります。もうかなり前の話です。

 もう一つは、やはり開発途上国においては、僕は中央によります計画経済というのも結構効果を発揮し得ると思いますけれども、ある程度経済が成熟してくると、なかなか官僚主導、業界協調という形のものではなくなってくる。いろいろ今、地域主権とか地域分権という言葉に言われるように、いろいろな意味で、国民の欲しいものも、三つぐらいでは、とても三種の神器とか三Cとかいうような時代でなくなってくると、多様化してくると、やはりいろいろな意味で官僚というものの要求される質が変わってきたと思うんですね。

 例えば、日本の官僚は優秀だけれども、では、アメリカの官僚は優秀か、イギリスの官僚は優秀か、ドイツの官僚は優秀かと言われたら、それはみんな、ちょっと大したことないんじゃないかなと、これはみんな官僚なら知っていますよ。一対一でやればみんなそう思いますから。

 そういった意味では、官僚よりもっと優秀なのが、弁護士、司法に行ったりビジネスに行ったり、いろいろ政治に行ったりしていたんだと思いますので、そういった意味では、学校によって優秀か優秀じゃないかが決まると思うほど世の中簡単じゃありませんけれども、結構優秀な学生が、行政に行かずに、司法に行ったり実業界に行ったりいろいろなことをするのは、それは決して一方的に悪いわけではないと私は思っています。これがまず第一、認識として。

 もう一点、官僚の意識として今言われました点は大変大事なところなんですが、士気が下がるというのは非常に問題なんだと私は思っております。会社でも同じことですけれども、士気が落ちるというのは非常に大きいマイナスポイントなんだと思います。

 今、やはり役人というものをやって、最終的に仮に次官までいって給料幾らですかといえば、二千三百万円ぐらいか四百万円ぐらいか、知らないけれども、次官やったことないからわかんないな、そんなものですよ。二千三、四百万だと思うんですね。傍ら、NHKで三千万ぐらい、三千ちょっとだと思うんですね。民放の方は一億皆いっているという時代になってくると、天下りもない、給料は安い、官官接待もない、何でおまえ官僚やるんだ、お国の行政はそこそこ成熟しておるやないかというと、何となく、自分を生かす、やりたいということはもっと別のところにあるんじゃないかという気になってきているという社会全体の風潮があるんだと思います。

 そういった意味では、一概に悪いとばかりは言えませんけれども、ただ、私どもは、いわゆるモラルとか士気とか倫理とかいうところが、質に合わせてそっちの方も低下してくるというのは、こっちこそがゆゆしき問題かなという感じが率直な実感です。

荒井分科員 今大臣が最後に言った士気の低下、そこが一番問題なんだと思うんですよね。国の金を使って研修をしたりあるいは留学したり、極めて優秀なのが、それが終わったら外資系の会社に行ってしまう。

 私は、彼ら若い官僚にとっては、知的好奇心とか知的関心とかいうものからいけば、行政というのは物すごくおもしろい世界だと思うんですよ。それがどこかでリプレースして、給料の高いところに行ってもいいやというそのチェンジする心というものを私は行政の責任者というのは十分認識すべきだと思うし、そういう優秀な人材が組織から出て行ってしまうということ自体を反省する、あるいは恥ずかしいことだというふうに考えるべきだというふうに思うんですね。

 ところで、どうしてそういうふうにリプレースしてしまうのかというと、自分たちが求めている理想的な行政がやはり実施できていないからなんだと思うんですね。最近の、先ほどもちょっと言いましたけれども、基本的な行政の部分について極めて失敗が多い。

 例えば、年金計算のときに一番大事な出生率の計算なんというのは、これはある意味では非常に専門的なものですけれども、それをベースにしていろいろな計算をしていくわけですから、その出生率の計算のところで間違えているということは、これはすべてのところでの間違いにつながっていくわけですよね。そこをちゃんと是正できていない。

 あるいは社会保険庁が、四百万も五百万も年金未払い人がいる、これは行政の基本的な仕組み自体に問題がある、恐らくそこで働いている人たちはみんなそう思っていたと思うんですよ。でも、それが是正できなかった。それがなぜなのかということについて、ちゃんとした政府内でのしっかりとした反省とか評価とか、そういうものがしっかりなされていないんではないか。

 これは、私は、政府の中の検査機関というのは、会計検査院と並んで行政評価局とか行政管理局の役割というのは物すごく大きいと思うんですよ。もしも数年前に、社会保険庁のああいう問題点についてしっかりと是正をすべきだ、そういう評価なり勧告をしていたら私は状態が変わっていたんじゃないかと思うんですけれども、このあたりどうですか。

麻生国務大臣 今、社会保険庁の例を言われましたけれども、これはもう荒井先生御存じのように、集金するシステムが、昔は自治省の市役所、区役所で全部やっていたんですね。それがあるとき社会保険庁でじかでやるというときに、私どもとしては、失礼ですけれども、おたくら全部足して支店は三百、自治省を全部足しますと三千百、十分の一に下がったら集金は十分の一に下がるぐらいの覚悟をしておかぬととてもできませんよということを当時政治家の立場で申し上げたことがあるんです。結果的に、自分で始められることになってどんと落ちたというのは事実だと思うんです。言うなれば、仕組みが悪いということはこの社会保険庁の集金のことに関しては言えると思っております。いろいろシステムとして、厚生労働省と一緒になったんだから、労災保険だって、保険だってみんな一人のやつが一緒に集めればコストは三分の一に下がるんじゃないか、単純計算すればということにもなりますので、そういったようなこともこれはあわせて考えておかなきゃいかぬところなんだと私どもも率直にそう思います。

 また、自分のところの社会保険庁の例で、今、自分の年金がどうなっているかというのを聞きに行く場所は三百しかないわけですから、一選挙区に一つしかないと思っていただいてよろしいので、そこまで行くというのは結構大変な話なので、そこまでわざわざ行ったら、わあっと人が殺到しているものだから二、三時間待って、自分のあれを聞くのに三分か四分というんだったら、自分の自己認証がはっきりわかる住基ネットなら住基ネットを使って、これを入れれば、自分の今払っている額、将来もらえる額が幾らというのが出るようなシステムにしたらどうだと、これは、行管局として正式に社会保険庁、厚生労働大臣に対してこれは勧告を昨年いたしております。

 社会保険庁に限りませんけれども、その他いろいろ私どもも、このたびやりました農林統計局は、今こんな数要るはずがないではないかということで、農林統計局はかなりな数、千何百人今度減らすことになっておりますし、食糧庁というのを今BSE対策の方にずっと移したり、いろいろなことをさせていただいておりますので、そういったようなことを含めまして行管局としての仕事は非常に大きいと私も思います。

 会計検査院より、こっちの全体の組織というものを今の時代に合わせた組織に対応をするようなあれを、ちょっと、おたくの役所こうなんじゃないのと言えるのは、役所の中じゃなかなか言いにくいところだと思いますので、行管の仕事というのは、ある程度、好かれることはないと思いますけれども、やらなきゃいかぬ責務があるだろうと私も思います。

荒井分科員 今月号の文芸春秋なんですけれども、この文芸春秋の中に、立花隆、私は、今、日本の評論家の中で最も知的に高い評論家だと思いますけれども、彼が「日本の敗北 核融合と公共事業」という一文を書いております。

 これの中で、日本が今進めている熱核融合、ITERという技術があるんですけれども、このITERの技術は本当に将来性があるのかどうか。このITERという技術に何千億もかける、このITERの施設を、日本とヨーロッパ、本当はもう一つアメリカの三者でそれの誘致合戦をやっていたんですけれども、アメリカはおりたんですよね。それで、今はヨーロッパか日本のどっちかでこの熱核融合の施設、何千億をかける施設をつくろうということで、文科省が中心になって一生懸命誘致合戦をやっています。

 それに対してこの立花隆は、このITERという技術は、将来性はない、アメリカは別の技術に転換している、その技術はむしろ日本の大阪大学がつくり出した技術だったんだ、文科省が熱核融合にはこの技術なんだということを率先したために誤った方向に進んでしまったということを書いています。

 私は、これはぜひ評価局やあるいは総務大臣に知っておいていただきたいと思うんですけれども、今の原子力政策というのは本当にこれでいいのか。旧科学技術庁が中心になってやっていたけれども、科学技術庁というのは、やはり産業界との関係というのはそんなに大きくないですよ。研究者の集団ですよ。そういう研究者の集団に日本の原子力政策の大宗というものをずっと任せていたというよりも、私は、旧通産省、今の経産省が、原子力については面倒くさいからと全部押しつけていたんじゃないかと。本当に今必要な原子力政策というものを、最も必要としている産業界との深い関係のある経産省が逃げていたんでは、日本の原子力政策なんてできないですよ。

 このITERの問題に絡んで行政評価局はどんな行動を今までとってこられたのかというのが大変私は興味のあるところなんですけれども、別に通告はしていないですから結構なんですけれども、そういうのが実態なんですよね。私は、多分立花隆の指摘することが当たっているんだと思うんですよ。行政評価というのは、科学技術に関してはなかなか踏み込めない、新しい技術に関してはなかなか踏み込めないというところがあるんですけれども、しかし、それならば、行政評価局の評価の仕方自体をもう一回考えてみる必要があるんじゃないですか。自分たちだけで今やっておられるんだと思うんだけれども、そうじゃなくて、外部の知識人あるいは諸外国の知識人も入れたようなボードをつくって、その中で専門的なものをもっと評価のあり方、手法というものについて見直しをしていく、そういう時代になっているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 文部省というところで、大学を所管していますので、博士号をやるんですけれども、文部省の役人で博士号を持っているのはいないと思うんですね、私の知っている範囲では。それが博士号の査定をやるのはおかしくはないかということになったらどうするという話をして、当時だれも返事ができなかった記憶があるんですけれども。今言われたように、そういったもののわかるところは、外にそういったプロがいるんだったら、そういったのを使って決める、その人たちの発想を聞くという柔軟性というのは大変大事なものなんだと思うんです。

 ITというのを始めましたときに、少なくとも、各役所で全然これはうまくいかずにごちゃごちゃになりましたときに、党でやることにしたんですけれども、そのときには、そういったことを決める偉い方というのは、これまたITは全然わからぬという、六十以上でこんなことをやっている人というのは余りいませんから。そこで私どもは、選挙は弱いけれどもITは強いという代議士がいっぱいおりますので、そればかり十何人集めて、各役所とe―Japan計画というのをやり始めたんです。ところが、役所の方も、局長あたりの決裁権があるのは、これはITは全然わからぬというようなのばかりがずっと出てきますものですから、単語は通じないし話は通じないし、もう全然話になりませんから、とにかく一人わかるやつを出せ、それで、わかるやつに決裁権も与えろ、そうしないとこの会議に来ても意味がないというので、毎週一時間、かれこれ一年少々やったんだと思うんです。結果として今どうなったかというと、そのときに、当然、外部の人も講師にいっぱいそこに呼んで、外国人も呼んでいろいろした結果、今日、日本というのは、行政手続オンライン化法というのを一昨年の二月に法案を通して、五万一千本の法律を一本の通則法で変えてということまで成功させたことをちょっと今思い出したんです。

 そのときに、やはり外部の人の意見の採用というのは結構大きかったと思いますね。最終的に決断するのは、それは私ども政治家が決断することになるんですが、それを全部まとめて内閣に上げて、内閣もそれをそっくりそのまま採用して、今日、世界で間違いなく最も進んだ電子化された政府、現段階では多分間違いなくそうです。最速のブロードバンド、最低の料金等々を含めまして、行政手続はほぼ九七、八%書類は要らないことになっております。

 そこらのところがうまくいった経験からいきますと、今御指摘のあったというか御提案のあったところというのは、いろいろその種のプロを呼んでくるべき、意見を聞かせるべきというのは、まことに正しい指摘だと思います。

荒井分科員 今、大臣から、行政評価の仕方についても検討を加えていくという答弁ですが、今までのやり方と違うやり方というのもぜひ模索していただきたいなと思っているんですね。

 そんな中で私、最近非常に気になっています二つの事例があるんです。時間がないですから二つ一遍に言ってしまいますけれども、一つは、犯罪の検挙率が低下をしてしまったということですね。

 最近の犯罪は、例えばおれおれ詐欺でありますとかあるいはやみ金融でありますとか、これはほとんど警察庁の生活安全局が対応しているんですね。生活安全局は大変優秀な局ですからそれでいいんですけれども、しかし、おれおれ詐欺にしてもやみ金融にしても、その根っこのところは広域暴力団なんですよ。広域暴力団が、ある種の新しいビジネスを求めてそういうおれおれ詐欺やあるいはやみ金融の世界の中に入ってきた。これを取り締まるのは、私は、生活安全局だけではなくて、広域暴力団を扱っている刑事局がもっと前に出ないと、本来的な解決の手法というものができないんじゃないかというふうに思うんですよね。そのあたりは評価局で一度検証してみるべきなんではないかというふうに私は思いますね。

 それから第二点が、最近、京都議定書というのが二月十六日に発効いたしました。これは、日本が中心になって、京都でこの京都議定書、CO2を削減しようという世界条約の骨格をつくったわけです。ある意味では、私は、日本が世界に環境問題で発信できる、あるいはその主導性を世界に主張できた大変いい事例だと思うんですよ、京都議定書は。しかし、京都議定書が発効してしまったら、きゃあっとみんな騒いでいる、驚いている。本当は六%の削減でよかったはずなのが、いつの間にか一四%の削減になってしまった。発効した瞬間からもう実現できないという事態になってしまった。これは、恐らくこの六%なり一四%のギャップの中には、原子力発電所の立地がどのぐらいかというところにミスカリキュレートがあったんだと思いますよ。

 しかし、日本が誇る環境政策の一番大事なところは、日本が率先して守れなかったというのは物すごいばかげた話で、どこに、そのプロセスの中に誤りがあったのか、あるいはミスがあったのかというのを私ははっきりさせるべきだというふうに思うんですよね。

 それで、こういうポイント、ポイントのところで日本は大きな改善をしていかなきゃ、仕組みとして改善していかなきゃ、そして、その仕組みの改善に行政評価局という局が果たす役割は物すごく大きいと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 今の御指摘に限らず、行政評価局の指摘というのは、これは、今後の予算の査定、いわゆる行政評価に基づいて、予定と結果とはこんなに違っておるではないかという点を指摘して、よって来年度の予算は、この点はできなかったんだからということで、少なくとも、道路のあれはできた、五年たっても全然着手できなかったとか、十年たって全くだめになったのは全部やめということを含めて、こういうのはきちんとすべき。

 私は、評価局というのは、この間も総理と話したんですが、これが多分一番今後のかなめになりますと。私もそう思いますので、行政評価局、今、京都議定書の話がいろいろありましたけれども、いろいろ数として、何といいますか、幅広いテーマというのかな、そういったものをさらに呼びかけていかないかぬところだと思います。

 いずれにしても、これを実際に国民にとって関心の高いテーマというのに関して今のような話なんだと思います。どうも、役所におりますと、国民の関心の高いテーマより目の前の自分が追われている仕事の方に、どうしてもそっちに行きますので、そこらのところは、こういうテーマについてということはちょっと別な観点から指導せないかぬところかなと思って、今は参考になりました。

荒井分科員 そこで私は、行政評価局というのが総務省にあるのが本当に適切なのかどうかと。もっと中立的な機関にするとか、あるいは、少なくとも、公正取引委員会の所管が内閣府に移ったように、中立的でかつ勧告権を伴うようなそういう組織形態に改めることも検討したらどうなのかというふうに思うんですが、ここはいかがですか。

麻生国務大臣 今の御指摘は、これは内部監査を含めていろいろ考えないかぬところなんだと思いますが、今すぐ第二次再編というところは、行き着くところはそこになるんで、そういった意味では、林野庁を外して環境省にくっつけた方がいいんじゃないかとか、巷間もういろいろ言われていますのはいっぱいありますので、そういった意味で、取り急ぎ今直ちにこういう変更ということを考えているわけではありませんけれども、今御指摘のところを含めましてこの評価の話は極めて大きいところだと私どもも思っておりますので、内部監査を含めてもう少しきちんとした対応をしていかねばならぬものだ、私もそう思っております。

荒井分科員 私は、橋本行革の十二省庁再編というのは、そろそろもう一回見直したらどうなのか、本当にあれが効果的な行政を発現するための行政改革だったのかどうか、どうも違うんじゃないか、単にくっつけただけで、くっつけたことによる弊害の方がむしろ大きくなっているんじゃないか、そんなふうに思いますので、行政改革を担当する大臣として、ぜひそのあたりも含めて私は検討するべきだというふうに思います。

 さらに、会計検査院とか、あるいは財政当局の大蔵省と行政評価局がどういうふうに連携をしていくのか、現時点でどんな形にそこはなっているのかというのを、もしも事務当局で説明していただけるとありがたいんですけれども。

田村政府参考人 今御指摘の、会計検査院それから財務省主計局との連携でございますが、会計検査院とは定期的に、私どもの行う行政評価監視のテーマと会計検査院が行う会計検査の検査報告について意見交換をしておりまして、相互にダブらないように役割分担をするようにということでやっております。

 それから、主計局が新たに始めました予算執行状況調査につきましても、どういうテーマにするかというのは、私どもの行政評価監視と、これも連携をとってお互いに効果が上がるようにということで、ここ二年ほどという形で、連携を強化するということで三者意識を統一して当たっておるところでございます。

荒井分科員 いずれにしても、私は、小さな行政評価とかあるいは小さな会計検査とかするべきじゃないと思うんですね。まあ、するべきじゃないというのは、そこもやってもいいんですけれども。

 そういうのばかりをほじくっていて、実は、公共事業が十年も二十年も工事もできないで、その間ずっと調査費ばかりつけていて、その累積が数百億になったなんという大型公共事業、あちこちにありますよ。あるいは、公共事業の発注の際に本当に公正な契約条件が設定されているのかどうかとか、どうして、大きなむだが出そうなところ、出ているのではないかとつぶやかれているようなところを行政評価なり会計検査の対象にしないのか、私は不思議で仕方がないんですね。もっと大きな、国民が本当に関心を持っている、先ほど大臣はおっしゃっていたけれども、関心を持っているところに光を当てていく、それを開示していくということが皆さんの大きな仕事だと思います。

 ぜひそういう点をしんしゃくして、行政評価というのは私は極めて大きな仕事だと思います。そして、その結果が恐らく、冒頭私は言いましたけれども、若い官僚たちの士気を高めていくことにつながっていくんだというふうに思いますので、ぜひ頑張ってください。

 これで終わります。

伊藤主査 これにて荒井聰君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤錬君。

佐藤(錬)分科員 自民党の佐藤錬でございます。

 この場で麻生総務大臣に質問をするのは初めてでございます。いささか緊張と興奮を覚えておりますが、同じ九州人同士、近くでございますが、三十分間、いい議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、地方は、それぞれ三月議会を控えて、一日も早く新年度予算が成立をするように待っているわけで、一日も早い予算成立をなし遂げなければ地方は困るということで、ぜひ頑張っていきたいと思っております。

 さて、私は、常日ごろ思うんですが、国民の代表というのは政治家であって、官僚や役人ではありません。権力の執行者は官僚や役人であり、政治家ではありません、議院内閣制で大臣になりますけれども、地方を含めれば。したがって、民主主義というものは、政治家つまり大臣が官僚、役人の首を自由自在にすげかえられることが貫徹されるところで守られるんだと思います。

 国家、政府が今日まで余りにも何から何まで、隅々にまで介入してきたがゆえに、逆に、国家としての本来の仕事、責任、役割を放棄してきたのではないか、政府が何でもやる雑用係に化してきているのではないか、そんな気もいたします。国家観の喪失であります。戦後六十年、もうそろそろ戦後の終わりにしなければならない。日本の再生を図るためには、この失われた国家観の回復を図らねばならないのではないかということを考えます。

 特に、健全なる財政再建は、安全保障を初めいろいろ考えますと、将来のためには必ずなし遂げておかなければならないものだというふうに思います。国と地方の財政赤字の削減と豊かな福祉行政サービスというものは、本来的に矛盾するものであります。個人におきましても、借金を返しながら豊かな生活をすることは矛盾するわけであります。したがって、徹底的な支出の削減、痛みに耐えるよう国民を説得するしかないと思います。

 財政再建のためには、小さな政府を志向するしかないと思います。結局は、それを決めるのは政治であります。政治が国の命運を決めるのであります。自民党は改革する保守、保守政治の再生がここに求められているのだと思います。

 国と地方の役割分担、昨年は、三位一体、国、地方の税財政改革で、地方六団体、知事会を中心に意見を聞いたわけですが、これは私はちょっと疑問に感じてまいりました。やはり決めるのは政治であります。そこで、主権者である国民に、関係者はわかっておりますが、やはり三位一体改革というのをわかりやすくさらに説明しなければいけないのではないか。

 そこで、大臣にお聞きするんですが、国がなさねばならない責任とは何か、また地方に任せた方がよいのではないかという仕事とは何か、この国と地方の役割分担というのが明確でないんですね。今、義務教育についてもいろいろ議論があるところでございますが、そこを、細かい話はいいですが、基本的にどのようにお考えになっておられますか。

    〔主査退席、二田主査代理着席〕

麻生国務大臣 小さな政府、だけれども強い政府じゃないとだめだと思いますね。小さくても弱い政府、効率の悪い政府はもっとだめです。したがって、小さい政府、だけれども強くて効率のいい政府、まずこれが大事なことだと思っております。

 そのときに、国として最低限何をしなくちゃいかぬかといえば、外交、治安を含む国防、そして教育、四番目ぐらいに多分財政ということなんだと思いますけれども、国がどうしてもやらないかぬのは、基本的にその三つが最終責任を負わないかぬところだと思っております。

 そこで、地方との役割分担をやっていくときに、やはり佐藤先生、歴史的に見て、明治四年の廃藩置県で三百大名を四十七にして、しかもそれは勅選知事で、いきなりぼんと知事を送り込んでいっているわけですから、本省の課長になる手前ぐらいのところでみんな知事に出ていったわけです。

 そのころは、中央集権をやることによって何を目的とすればいいかといえば、当時の明治政府としては、ロシアの植民地にならない、明らかにこれが国家目標だったと思いますね。当時のアジアの状況は、マレー半島はイギリスに、インドシナ半島はフランスに、インドネシアはオランダに、フィリピンはアメリカに、大体列強の植民地でありましたので、このままでいったら我々はロシアの植民地。それを避けるためにはどうすればいいかというのをきちんと明確にして、目的はそれ、手段として富国強兵、殖産興業、もうはっきりしていたんだと思うんです。

 それにあわせて全部というので、義務教育制度もイギリスに先立つこと三年も早くやっているというのは、これは全部一律にやって、近代工業化社会時代には間違いなくその制度は当たったんだと思うんです。戦後も多分、官僚主導、業界協調という中央集権制度をやって、たった十年で、もはや戦後ではないとか、三十年もすればアメリカを上回る経済力を自動車とかいろいろな部分でつけるようになった。

 これは当たったんだと思うんですが、多分、一九八〇年代ぐらいでほぼこの制度の本来の目的は達し終わっていて、いよいよもたなくなってきて、プラザ合意になっていきなりドルが暴落というようなことになっていくんです。

 やはり国として、一部の人たちが決めて全部一律というのは多分終わったということになると思いますので、いろいろな意味で、地方でできることは地方に、地方分権という流れは正しい流れなんだと思っております。

 そのときに大事なのは、今度はその地方分権を支える国民、県民の意識がどうなるかというところでして、国の方も地方へやらせて大丈夫かと。大阪府なんという例が出ましたけれども、これはちょっと極端な話にしても、何となく地方というのは何をやっておるかわからぬというイメージは、中央と地方との信頼関係を損なうという意味では非常によろしくない、私はそう思います。

 そういった意味では、地方も、任された以上はおれたちもきっちりやっておかないかぬという意識、経営感覚の意識、そういったものを持ち合って、政府はなるべく国家の、教育なら教育の基本のところをばしっとやりますけれども、あとの具体的なあれにつきましては地方でとか、いろいろその地域に向いたところが出てきて、先生の選挙区からは、少なくとも福沢諭吉は中津から出ておるわけですから、きちんとあの時代をつくり上げていった人というのが地方から出てきたというのは事実だと思う。

 そういった意味では、地方に多くの人材というのが埋もれている、隠れているのがきっちり出てきてあの時代を支えたんだと思いますので、逆に言えば、そういった人材は探せば地方にいるだろうし、地方の方がおもしろいというので、いろいろな意味で時代が少し変わっていくとは思いますけれども、私どもとしては、最初に戻りますけれども、国の基本は、小さくても強い政府、それが基本だと思います。

佐藤(錬)分科員 ありがとうございました。

 さて次に、実は私は、昭和四十七年からこの永田町ででっち奉公を始めて、ここに来るまで三十年、地方で政治修行を積んできたわけですが、その昭和四十七年に発刊された劇的なベストセラーでありました田中角栄先生著の「日本列島改造論」の目的は、失われ、破壊され、衰退しつつある日本人のふるさとを再建することにあったと思います。

 中の文章の一節に、日本列島を現在よりもっと豊かで、公害の少ない、住みやすい国土に改造することは可能である。そのためには、産業も、人口も、文化も、すべてが大都市を目指して集まるという過度集中の流れを思い切って転換し、開発の重点を地方に移していかなければならないとあります。私は、まさにこれはそのとおりで、今もそう思っております。

 そこで、国、地方の税財政改革、いわゆる三位一体の改革で、本来、地方特有の地方財源である地方交付税を国は配分しているわけですが、税源移譲といっても、我が大分県を初め、税源の少ないところに対する地方交付税の配分は基本的にどのようにお考えになっておられますか。

麻生国務大臣 今、町村合併が進んで、私が総務大臣になりました一昨年の九月末から今日までで、三千百ありましたものが、三月末で多分二千前後になります。今現在で二千二百五十ぐらいですから、九百ぐらい町村合併が進んだことになるんですが、佐藤先生、それだけ進んでも、やはり東京都内でこんな込み合ったところもあれば、こんななんて言ったら、伊藤公介先生の選挙区ですけれども、込み合ったところもあれば、青ケ島みたいに全村民合わせて二百三人というところも同じ東京都内であるんですね。

 私どもから見ますと、今言われたように、それはどうしても、合併したくてももらい手がないというところもいっぱいあるわけですね。大分県の上の方に行けば大分ありますね、青ノ洞門から上のところへ行ったらかなりいろいろありますので、ああいったところの例を見るまでもなく、今後ともかなり差が残ることはやむを得ぬと思うんですね。私はそれは決して悪いことだとも思わないんですよ、田舎は田舎のよさがあるんだから。そういった意味で、私はそれは認めないかぬところだと思うんです。

 問題は、その人たちの生活が、行政サービスの最低限が確保できる。例えば、テレビが見られるとか電話が通じるとか、少なくとも電気、水道がちゃんと来るとか、一応そういった最低限の経済生活、生活水準というのが営まれるようなものを確保する必要があると思うんです。

 そういった意味では、やはり今の税制というものを考えたときに、大分是正されて、今国税と地方税との差は六対四ぐらい、五八対四二ぐらいになったとは思うんですが、それでも地方の税の方が何となく絶対量が足りない。不交付団体というのは今東京都ぐらいだと思いますので、そういった意味では、これはもうちょっとフラットにしていかないかぬ。

 そうすると、法人税というのは、例えば東京と沖縄という例を引きますと、五倍、六倍、五・八倍ぐらいだと思うんです。そういうのに比べて、消費税というのでやりますと、約一・二倍前後のところだと思いますので、そういった意味では、こっち側のいわゆる負担の偏在、税の偏在、偏っているところの少ないようなものにして、結果として国と地方との比率を、六対四を最低五対五ぐらいのところまでにはする必要があるだろう。そういった意味では、地方税のあり方というのをもう少し考える。

 例えば国税五税と言われるもの、たばこ税とか酒税とか法人税とかいろいろあるんですが、そういったものの比率も二五%か三二%ぐらいになっていると思いますが、そういったいわゆる国税五税と言われるものの法定率も一回考えてみる必要がある。というようなことは、中期的に考えていって、何となくお国から下しおかれるという感じじゃないんじゃないですか。何となくそこらのところをもうちょっと考えないかぬでしょうし、地方にしてみれば、東京の水は茨城県の大利根川からの水がほとんどじゃないかと。茨城県はその大利根川の水は東京にはやらないと言われたら、東京はやっていけませんから。

 そういった意味で、お互いさま、みんなこうなっているところというのはふだんの生活だと見えてこないところなんだと思うんですが、それはみんなお互いさま、おかげさまで、森林があるおかげでSOxがNOxがCO2がという話になると思います。

 そこらのところも考えて、双方、双方というのは、地方も中央もとかいうと何だか対立するような概念になりがちですけれども、私どもはそれぞれのよさがあると思いますので。田中角栄先生のときには、地方と中央を、とにかく均衡ある国土の発展という言葉を使われたのですが、そのおかげさまをもって、結構、道路やら何やら随分行ったところもありますし、そこの差がついたことも、政治力やら何やら差がついたことも確かですよ。確かですけれども、今考えてみますと、昭和三十九年、新幹線ができたときには、東京駅も京都駅も大阪駅も、外から見たらみんな同じにつくった。あれは東京駅とみんな同じにしたかった、東京と同じになりたかったんです。

 しかし、よく例に引いてしかられるんですが、今新しい新幹線の駅の一番は青森県八戸駅なんです。これはもうとても、八戸にしちゃなんて言うとまた大島先生に怒られるかもしれませんが、八戸じゃ考えられないぐらいな、えっというようなガラス張りの駅なんですよ。八戸に一番似合わないのはあれじゃないかといつもからかうんですけれども、しかし、あれは八戸の人が考えて、これがおれたちといって、東京とは全く違うものをつくり上げたわけです。それはみんな金も出していますしね、いろいろな意味で。

 そういった意味では、新潟銀座とか、銀座なんかないのにそんなこと言った時代とは、佐藤先生、今全然違った時代になってきて、地方はやはり、すすきのといったら札幌だと思うし、中洲といえば博多だと思うぐらい、皆自分たちのプライドが出てきているので、そういったものがもうちょっと、もっと胸を張っていけるようなものになっていかないかぬという感じはします。

 私は、人物は地方、人材は東京とよく言うんですけれども、人物というのは多く地方に見られるのも今でも確かだと思いますので、そういった者がちゃんとその地域で胸を張っていけるような制度、またそういった人たちの、住んでいるおれたちのというもの、胸を張れるものというのが、これだけ豊かになってくれば価値観が違ってきますので、地方には地方のよさということを堂々と言い切る、言えるような雰囲気づくりというのが国としては大変大事なところだ、私自身はそう思っております。

佐藤(錬)分科員 聞きたいことが山ほどあって、時間も迫ってきましたので、端的に聞いて、端的に答弁をいただければありがたいと思います。

 今大臣が触れられた地方交付税の問題ですが、おかげで十七年度地方財政計画においては、地方税、地方交付税、臨時財政対策債を合わせた主要な一般財源は十六年度並みに確保していただきました。ぜひ十八年度においても十七年度並みの一般財源総額を確保すべきであるというふうに考えております。

 地方団体においても、職員給与の独自カット、定数削減、事務事業の見直し、さらには究極の行政改革である市町村合併等に積極的に取り組んでおります。我が大分県は全国一、二の合併推進県ではないかと思いますが、しかしそれでも、さっき大臣が言われたように悩みが多くて、首長のリコール運動だとか、議員定数は削減される、苦しみ悩みながらやっておるわけです。だから、ある意味では、国以上に改革に取り組んでいるんではないか。地方ではこれだけ苦しんでいるのに国は何だという批判がたくさん出るぐらいです。

 この改革のスピード以上に急激に一般財源が削減されますと、そもそもの地方の改革意欲そのものが失われるおそれもあります。地方交付税は、今の国家財政を考えれば将来的には減少傾向に行かざるを得ないというのは理解できます。しかしながら、市町村合併を今やっている最中に急激に削減するということは避ける必要がある。

 十八年度、十九年度、この辺は一般財源の総額確保をぜひお願いしたいと思いますが、大臣の御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 今お話がありましたように、大分県は、別府それから津久見の両市と、例の西村先生の出られた姫島村、これ以外は全部何らかの形で皆ずっとやられたというぐらい意識があるんですが、最も一生懸命やられたと思います。

 今言われた中で、十七、十八年度に補助金の削減をやるときに、三兆の補助金削減のときには、それを裏づけるものはきちんと税源移譲しますという約束をした上で三兆二千億出していただいたあれがありますので、今回もそれを上回って切るとかいうお話もありましたけれども、結果的には百億プラスで事が流れたと思っております。

 十八年度につきましても、今年度やることになるんですが、残り三兆円のうち二兆四千億まで一応めどが立った形にはなっておりますけれども、これをきっちりと実現するというのは地方と政府とのある程度の約束事でもありますので、これをきちんとやらぬと信頼を失うということになろうと思いますので、今御指摘の点を踏まえて対応してまいりたいと存じます。

佐藤(錬)分科員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

 さて、それに関連して、私心配しているのは、今度は合併した後の、新しい市役所があるような中心部じゃなくて、いわゆる周辺部、いわゆる旧町村部対策の必要性であります。

 旧町村部においては、農山村の高齢化、過疎化の進行、雇用の場の減少等々課題を抱えて、さらに合併によって地域が寂れていってしまうのではないか、福祉などの行政サービスが低下するのではないか、伝統文化の保存、継承ができないのではないか、役所が遠くなって気軽に相談に行けなくなる等々の不安や懸念が深刻に広がっております。

 さらに、地域活動への人的、資金的援助も減少するのではないかということが心配されております。特に、道路とか上下水道など生活基盤の整備も都市部と違ってなされておりません。それもまだまだおくれていくのではないか。都会は大体でき上がっておる公共事業、社会資本整備は、地方はこれからやろうとしております。地元は、建設業で働く、日雇いをしながら収入を得る、そして農業も、小さな農業をやりながら生活が何とかできるから田舎にいるのであって、これでそういう公共事業も減ってくる、なくなってくる、そうすると、もう農業だけでは食べていけないから農林水産業も衰退していくということで、もうふるさとでは生活ができない、どんどん人がいなくなるという状況がありますね。

 そこら辺も考えれば、周辺部対策、恵まれた自然環境、地域資源を有し、緑の森林や川上の水源を守るなど、国土保全、安全な食料基地としての多くの機能を有しておる。この人たちの、地域住民の不安や懸念を払拭し、旧町村部の持つ多面的な公共的機能を維持していくために、農林水産などの地域資源を生かした、かつその活用策を具体的に見出せないでいる地域に対する支援が必要だろうと思います。もちろん新市としての一体性が確立されるまでの限定した期間でいいですから、市町村合併を奨励し進めてきた国や県の責任で取り組むべき課題ではないかと考えます。

 既に地域審議会や合併特例債で対応してくれていますし、周辺部の不安、懸念は基本的には新市で解消すべきものであるとは思いますが、当分の間、新市長さんは市役所内の業務の統一等に目を向けられるものですから、周辺部住民までは目が行き届かない。さらに、三位一体の改革の影響で合併しても財政状況は相変わらず厳しいとなれば、過渡的対応ということで、周辺部の活性化に資する、また周辺部の不安や懸念に対処するという意味で、一般施策とは別に、選択集中の特別枠として、周辺部対策ということで新たな何か、交付金になるのか何になるのか、特別枠をお考えいただくようなことはできぬでしょうか。

麻生国務大臣 ちょっと具体的なあれじゃないと何とも申し上げにくいところではあるんですが、今言われた点は、かかって合併された町村の首長さんの経営感覚の問題なんですよね。

 どうしても、一番気をつけておかないかぬのは、やはり選挙をやらないかぬ。そうすると、大きな町だけ優先とか、大体手口は皆似たような発想ですから、そうじゃない、いわゆる人口の少ない過疎地のところはないがしろにされる。これは昔からよくある話で、旧市街がおろそかにされて、新市街だけにえらく偏ったり、それはこれまでも幾つも例がある話でもあるんですが、そういったところはよくよく注意せないかぬところなんだと思います。

 今、極端な例というのを、具体的な例がないとなかなかお答えのしにくいところでありますけれども、少なくとも、今私どもの知っている中で、そういったことを考えて、合併特例債をつくって、基金をつくって、その基金は許可しておりますので、その基金を使って地方をうまくやっていったところなどの例もいろいろありますので、そこらのところは十分に注意を払いたいと思っております。

佐藤(錬)分科員 ありがとうございました。

 大分県の広瀬県政は、新年度予算で、周辺部対策ということで別枠をつくってやるようにしております。ですから、ぜひ対応して御支援をいただければありがたいと思います。

 それから、時間がないんですが、もう一点だけ。

 大臣お地元の麻生渡知事が、初めて選挙をやって全国知事会長になられた。これは、二人で腹を割って、総務大臣と知事会長が腹を割って話せる仲ですから、これほどいいことはないんですが、ただ、闘う知事会とかいうことを前会長から言っておりますが、何と闘って、敵はだれだと見ているのか。

 国と地方は、力を合わせて、平等に、共生共助の関係にあって、地域の住民、国民をどうするかというのに、闘うなんて、友達、友にならないかぬのですよ。知事さんがそうじゃなくても権限が強くて、任期の制限論まで出てきているような中で、ちょっとそこら辺で大臣の御指導をいただいて、余りに知事さんが権力横暴をやると、我々衆議院議員も考えないかぬじゃないかと思っているんです。

 時間がないんですが、一言ちょっと大臣のお考えを。

麻生国務大臣 昔は、全国知事会会長というのは多分名誉職だったと思うんですね。私、何回か見たことがあるんですが、鈴木俊一東京都知事が知事会の会長のころは、全国知事会というのは何カ月に一遍開かれるんですが、こちら側に総理大臣があいさつと言うと、それでは知事さん御発言をと言ったって、だれも手を挙げる人がいなくて、おもむろに鈴木俊一知事がぱっと手を挙げる。では鈴木都知事と振ると、鈴木都知事のあいさつは総理大臣を上回るほど格調高い演説をされて、それではほかに御意見と言うと、何もなし、はいと言って、大体それで終わるものだったんです。

 最近の知事会は、私の方が座長をしておりますので、それでは知事さん御意見はと言うと、はい、はい、はいと言って、小学校のPTAの参観日みたいな、物すごい、四十七都道府県のうち三十人ぐらい知事が手を挙げる。おまけに四十代がいっぱいいますから、とにかく、だれ差しおいてというと、その中にいきますと、一番御高齢は石原慎太郎先生ということになりますので、一番高齢者から行きましょうかなんて言おうものなら、むっとしたような顔をされるんですけれども、ほっておいたらとてもじゃないけれどもというぐらいになった。これが今の雰囲気なんです。これをまとめるというのは結構しんどいだろうなと思っております。

 そういう意味では、昔の名誉職、今はかなり激職になっておりまして、昔は、何カ月か全然東京なんか行かなかったよという時代と違って、今は月のうち五日や一週間東京にいないととてもできないということになってきております。そういった意味では、いろいろ言い方もあろうかと思いますが、今大きく三位一体とか町村合併とかいろいろなことが進んでおりますので、知事会、地方六団体のあれをまとめていくのはなかなか難しくなってきています。

 その意味では、先ほど申し上げました地方税の法定率の話にしても、いろいろな交付税の話にしても、これは財務省と正面切ってやり合ったりなんかしなくちゃいかぬことになってきておりますので、それで、特に梶原さんの、昨年の十二月のころはどうしても地方とぶつかることになりましたもので、六団体といわゆる四閣僚との会議の場というのが正式に設けられたりなんかしております。私どもとしても、これはどうしても必要な時代だと思いましたものですから、六団体と総務省との正式な懇談会というのを初めてスタートさせて、ことし一月十八日に第一回目をやっております。

 そういった意味では、お互いさま、率直に腹を割って話し合うという機会を正式な機関として総務省としてはつくり上げておりますので、そういった形でしょっちゅう話し合っていれば、大体、できること、できないこと、はっきりしていますので、お互いさま、そこは大人の対応になります。

 一応、今までとは違った形になっているのはわかりますけれども、闘うといって、それは闘う場所が少し違うんじゃないかなという感じ、闘う方向もちょっといろいろ考えないかぬところなんだと思っております。

佐藤(錬)分科員 質問時間も終了いたしましたので、これで最後、終わります。もう一点、一番メーンで聞きたかったのがあったんですが、もうやめます。

 要するに、先ほど大臣がおっしゃった大阪市だとか、いわゆる労使蜜月、厚遇の実態、それから山梨県教組の実態、これは教組ですから、地方公務員ですから、私は、これは五十歩百歩で全国にあると見ています、これは調べないかぬのですが。それから、国家公務員も例外ではないだろうと思います、社会保険庁の問題やらいろいろありますが。

 ぜひ、こういう公務員の意識改革というか、労働組合、特に、自治労、日教組、日本郵政公社労組、全郵政、国公連合など連合に加盟している十二労組百八十万人が参加している公務労協が民営化に対する反対活動を始めたというのが記事に載っていました。ここら辺は政治活動、選挙活動もしますし、ただ、国家公務員はあるんですが、地方公務員は懲戒処分だけれども、首長は懲戒処分なんて自分の選挙を考えてできませんから、どうかここら辺を、最高責任者として、大臣、どうぞひとつ改革をお願いしたいと思います。

 もう時間切れで、終わります。

二田主査代理 これにて佐藤錬君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)分科員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 総務省関係で質問するのは初めてでございますが、よろしくお願いいたします。

 私は、きょうは、総務省は大変所管事項が広いわけでありますけれども、その中で、特に通信関係、なかんずくデジタルデバイド、この問題を中心に御質問させていただきたいと思います。

 私自身、実はもう二十年ぐらい前になりますが、郵政省へ勤めたことがございまして、当時、宇宙通信企画課というところでありまして、通信衛星、放送衛星、ああいうことをやりながら、高度情報通信化時代云々という議論をさせていただきました。あのころから二十年たったわけでありますけれども、本当に時代は隔世の感がありまして、中には、聞いてもわからない言葉が次から次へと出てくる。いわんや、機器を見てもこれは何なのかというものが出てきておりまして、そういうものを若い世代の皆さんは自由自在に駆使しているわけでありますから、私自身もデジタルデバイドである、そういう認識をしている、そういう立場から少しお聞かせいただきたいと思います。

 大臣は、所信表明演説の中で、情報通信政策について、一つは、ユビキタスネットワークの実現を目指しますというお話をされ、さらにその中で、特にデジタルデバイドの是正に取り組みますというお話をされておられます。

 申し上げるまでもなく、ユビキタス、これもわかりにくい言葉でありますけれども、一般的に言えば、だれでもどこでもいつでもアクセスできる環境をつくる、そういうことだろうというふうに思うわけでありますけれども、逆に、そういう環境ができればできるほど、また、先ほど申し上げたITとか情報通信の分野がどんどんどんどん進めば進むほど、ある意味では、山が高くなればなるほど谷はその深さをますます深く感じるというか、そういう情勢になって、まさにその谷と山との高さというか、それがデジタルデバイドだということになると思うわけであります。そうしたデジタルデバイドが出れば出るほど、逆に言えば、山の上の人は非常に物事が便利にやれる、相対的に低い人は不便になる。これまでと変わらないといえば変わらない部分もあるかもしれません。

 それからもう一つは、コスト的にも、御承知のように今インターネットだと安いとか、普通に窓口に行くとそれに比べると高い手数料を取られるとかいうことで、経費的にもいろいろな意味でコスト的な面での負担も受けている。

 そして、そのデジタルデバイドも二つ要素がある。

 一つは、先ほど私が申し上げたように、環境は整っているけれどもたまたま使えないとか、そういう状態がある。特に高齢者について、あるいは障害がある方について、いろいろ問題が出てきているわけでありまして、そういう面では、ある意味ではソフト的な対応。アメリカなどでは、役所等で使うコンピューターなんかも、障害者がある程度使えるようなソフトを組み込んでいないとだめだというような形で、あの社会は、まさに競争条件はそろえます、あとどこまでやるかは本人の意思次第だという、その競争条件をそろえるのを非常に熱心にされているなというふうに思うわけであります。

 他方、使いたくても使えないというところが、今言った、特に過疎とかそういうところにあらわれてきている。やはりこれからの時代として、競争社会云々ということがより強く言われれば言われるほど、そのベースというものをできる限りそろえていくということが大変重要ではないかなというふうに私は思っております。

 そして、そういう部分以上に地域のイメージということでも大変でございまして、きょうは、携帯電話の不感対策とCATVのネットワーク構築の議論をさせていただきたいと思うんです。

 大臣の地域もいろいろ過疎地もあるのではないかと思いますが、私どもが住んでいる岡山でもそういう地域がたくさんございます。特に、そういう地域に行っていろいろな方とお話をいたしますと、昔でいえば、電話がないとか水洗トイレがないとかいうことが田舎のイメージでありました。最近では、携帯電話がないというのが田舎のイメージというか、非常に悪い意味でのイメージということになっております。

 特に、何かちょっと蛍が出ると、時々そういう観光を目指して来る人たちがいる。でも、その人たちがみんな言うんですよ、この地域に入ったら携帯電話が通じないですねと。あるいは、息子や娘が彼氏や彼女を連れて帰ってくる。そうすると、圏外になっているということを言われるんだと。それがその後どうなるかは別問題だとは思いますけれども、そういう話を聞くと大変つらいという話をよく聞くわけであります。

 他方で、都会では、地下の喫茶店では、携帯電話が通じるか通じないかがはやるかはやらないかの一つの基準だというような話も聞くわけであります。

 そういう意味で、特に今、携帯電話の話をさせていただきましたけれども、そういうものが通じるか通じないかというのは、私は、大変大きな問題であろうと思います。

 確かに、いろいろな技術がどんどんどんどん進んでおりますから、どこまでどう水準を合わせればいいのか。そして、これまでのさまざまな技術が発展していく中でも、実際に使われずに消えていったものもたくさんあるわけでありますし、今申し上げた例えば携帯電話でも、相当な機能があるんだろうと思いますけれども、多分使っている機能は、何割かいけばいい方で、数%だ。そういえば、自分の、人間の脳も数%しか使っていないから、そんなものかなというふうには思いますけれども、やはりそこに機能があり、人間でいえば頭脳があるということが大変重要だというふうに思うわけであります。

 そういう認識から、まず、携帯電話の不感対策について御質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げました岡山の方でも、今、携帯電話会社は、ドコモ、au、ボーダフォン、三事業者ございますけれども、そのどの事業者の電波も届かないところといってちょっと塗ってもらったのが、この資料なんであります。

 岡山の場合は、こっちが瀬戸内海、見ながら言って失礼ですが、瀬戸内海側が南になります。こっちが中国山地側でありますけれども、山の方にこういう黄色い分布がたくさんあるということで、こういう地域が全く携帯電話がつながらないという地域になっているわけであります。

 これは岡山だけではなく、大臣の御地元にもあり、全国津々浦々そういう地域があると思いますけれども、実際、今の現状の中で、携帯電話が使えない地域、もちろん山しかない、森林しかないような地域はともかくとして、人が住んでいる集落、そういうレベルの中で、しかもどの事業者の携帯電話もつながらない地域というのは一体どのぐらいあるんだろうか。

 そして、そうした地域を仮にカバーしようとすると、今の技術でいえばアンテナを立てるということになると思いますが、どのぐらいのアンテナが必要で、またどのぐらいの経費が実際かかるものなのか。

 その辺をひとつお示しいただきたいと思います。

有冨政府参考人 ただいまの携帯電話の不感地域でございますけれども、全居住人口に占めるエリア内居住人口の割合、これは全国レベルで約九九%でございます。居住地域で携帯電話を利用できない人の割合、これは約一%というふうになっております。また、過疎地におきましては、この割合は約一〇%ということになっておりまして、全国平均よりもエリア整備がおくれているという状況にございます。

 このまだサービスが受けられないという居住地域をすべてカバーするにはどのぐらいのものかという御質問でございますけれども、総務省の方で開催をいたしました調査研究会によりますと、基地局はおおむね一万から二万施設ぐらい要るのではないか。その施設の整備費は約六千億円から一兆二千億円ぐらい、幅はありますけれども、かかるのではないか。それから、つくってもその運用費がかかるわけでありますが、その運用経費は年間でおよそ二百五十億円から五百億円は必要ではないかというような試算が示されているところでございます。

加藤(勝)分科員 ちょっと確認させていただきたいんですが、その九九%というのは、よく携帯電話会社の説明を聞いていると、ある町のどこか一カ所つながるとその町は全部つながったことになって、そういうことで参入しているという事例を聞くんですが、今の九九という数字はどういう算定によるものなのか、ちょっと教えていただけますか。

有冨政府参考人 先生の言われました一部の地域で全部というのは、実はあれは、すべての市町村役場、これがあるところは一〇〇%カバーできているというようなことでございます。それから一キロ四方で見たときのカバー率を見て、今申しました、全国平均で九八・七%というような数字、過疎地域で八九・三%というような数字でございます。

加藤(勝)分科員 そういう不感対策として、その地域で事業をしていただけるかどうかというのは、今、基本的には事業者の判断にかかっているわけでありまして、その地域における、まさにそこにアンテナを立ててさまざまな施設をつくったり、あるいは伝送路を借りて、その事業そのこと自体が採算が合うか合わないかということで判断されているということを聞くわけであります。

 ただ、そうなってきたときに、では採算が合わないということになれば、収入よりも支出の方が高いというわけですから、その部分を補っていかなきゃいけない。そういう意味で、助成措置をとっていただいているわけでありますし、そこは後で御質問させていただきますが、他方で、その自治体がある意味では自分の地域だからという議論はあるかと思うんです。ただ、先ほどお示ししたように、過疎地域ということで大変財政力も弱いということはもう御承知のところだと思う。自治体が前に出ていってやるのは非常に難しいということもよく御認識をいただいているところだと思います。

 そういう中で、平成十六年までは、いわゆる一般財源から鉄塔を建てるということに対する助成をスタートしていただいて、さらに、その鉄塔から、同一町村内にある交換局というんですか、そこまで、いずれにしてもどこか線を引っ張っていかないと固定伝送路に通じませんから、そこまでの費用も助成していただく制度をつくっていただいたということで、私ども岡山県でも、多くの市町村が手を挙げさせていただいて、限られた予算の中でありますから多少順番待ちもしながら、一定の整備が進めてこられたということ対しては、大変感謝を申し上げるわけであります。

 ただ、そういう中で問題になったのは、さっきの試算の中にもありましたけれども、鉄塔は建てました、交換局まで入れました、私は最初それで済むかと思ったら、そうではなくて、その交換局から携帯電話の交換局までの伝送路も、例えばドコモさんなりauさんがNTTさんのところから借りてその事業を運営する。そうすると、そこは自前の施設じゃないわけですから、借りなきゃいけないということで、その借り賃というのでしょうか、そういう費用が発生して、これは経常経費になるわけですから、毎年毎年発生をしていく。それがあるから非常に採算に乗らないんだというようなお話も聞く中で、今回、平成十七年度予算において、電波利用料を活用していただいてそこに対する助成措置を組み込んでいただいたというのは、私は、大変大きな進歩であるし、大きく評価をしたいというふうに思うわけであります。ただ、そのときに、この交付の話をお聞かせいただいたら、前のものか新しいものか、どちらかの選択だというお話だったわけであります。

 私は、これまでのアンテナに加えてその運営費も一緒にすれば、これは相当な部分までカバーが広がる、そういう部分で大変期待をしたんですが、ただしかし、そうなると、財源的にも相当なものが要るなという危惧も一方では感じながら思ったんです。聞くと、既存の、平成十七年度について申し上げれば、これから以後どうなるかわかりませんが、十七年度においては、アンテナ部分のハードの部分か伝送路を借りる部分かどちらかの選択の中で、よりプラスが大きいというか、そちらの方を選択するというような制度にしていただいたということであります。

 そうなると、私が期待したところまでは手が届いていないわけでありますけれども、今回の助成措置を新たに加えていただくことによって、もちろん今手を挙げているところにもどんどん助成ができるというわけではないのは十分承知しておりますが、この制度があれば、財源とかがずっと続けば、どの程度まで不感地域が解消できるのか。今ある百の地域のうち、これまでのアンテナだったら三割ぐらいだったかもしれない、それが今回の措置を加えたらさらに三割、トータルで六割ぐらい解消されるというのか。その辺の目安をお示しいただきたいと思うんです。

有冨政府参考人 今の携帯電話のつながらない地域の整備については、今先生御指摘のとおり、いわゆる移動通信用の鉄塔施設の整備事業というもので年に大体五十カ所を整備してきたものでございます。

 現時点で、地方公共団体等からこのエリア整備をしてほしいという要望の数はおよそ五百カ所に上っております。私どもとしては、この五百カ所はまず速やかに整備をすべきであろうというふうに考えておりますが、この箇所の内容を見ますと、鉄塔だけでいいもの、あるいは今先生言われましたような回線の利用料というものの手当てが欲しいもの、あるいは両方欲しいもの、またカバーエリアが違うもの、もろもろあります。したがって、これは具体的に、先ほど先生の御指摘にあった電波法の一部を改正する法律案が通った段階で、交付金要綱等々を定めながら、また御意見等を聞きながら割り振っていくということになりますので、必ずしもカバーの数がどうなるかとか人口がどうなるかということは今から言えませんけれども、まずはこの五百カ所を先に整備したい。

 先ほど言われましたように、二つの手当てをセットでやるのが本当は一番いいんだろうと思います。ですが、そうしますと、先ほど申しましたように、鉄塔設備だけで五十カ所でございますので、またこれに回線をセットしますとやはり五十カ所ということになりますので、なかなか百カ所というものの整備は進まないだろう、できればこれを分けて進めたいというのが私どもの基本的な考え方でございまして、そういった中でまた制度の改善というものも検討していかなきゃならぬというふうには思っております。

加藤(勝)分科員 今、既存の助成措置に対して手を挙げたところが五百カ所ということでしょうから、新しくまた電波利用の運営費の助成も加われば手を挙げるところもふえていくというふうに思います。ただ、最初にお話がありました、大体全部をカバーするには一万とか二万とかという施設からすると、手が随分届きにくいな、そんな印象を受けております。

 携帯電話サービスの場合、よく第一世代とか第二世代とか第三世代とかというお話で、今二・五とか三ぐらいなのでしょうか、そういうことを言われておるんですが、これがどんどん第四世代とか例えば第五世代と進む中で、これは素人論議だからよくわかりませんが、やはり今、アンテナが四世代、五世代になったら、もう少しよく飛ぶようになるとか多少の障害物は乗り越えるとかいうことになって、その技術の進歩によって不感地区は解消される可能性があるのか。それとも、やはりそれは、あくまでも電波が届くか届かないかということなので、第三、第四になったとしても、今の予想される技術の進展の中では引き続き不感地域は不感地域のままなのか。その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

有冨政府参考人 今の携帯電話の技術革新というのは非常に激しいものがあります。ただ、いわゆる従来型の携帯電話で電波を使うやり方もあれば、あるいは、最近出ておりますけれども、WiMAXというような新しい電波を使って例えばそのラストワンマイルのところを補完するとかというようなこともあります。

 ですから、これは民間の携帯電話事業者もいろいろなことを考えているようでありますので、私どもとしては、単純に今までのように普通の基地局をつくって、そして普通の電波を流してということ以外にも、不感地域の解消に資するような技術は、できる限り技術開発を進めたり、あるいは導入を促進したり、いわばいろいろな施策をミックスしてカバー率を高めるというような形で取り組んでいきたいというふうに思っております。

加藤(勝)分科員 ということは、技術的な面で、アンテナの、例えば今一千万かかるなら百万で済むとか、経費を少なくするとかいうことも含めて、技術的な進歩によって不感対策が進み得る余地もかなりあるというふうに認識させていただいてよろしいですね。

 それから、それでもなおかついろいろな不感地域の解消ということと、今、一方で、郵政民営化議論の中でユニバーサルサービスという話がよく出てきております。

 この電波行政の中ではもともと、ユニバーサル、あまねく日本全国におけるサービスの提供という概念がそこには入っておりまして、申し上げるまでもなく、放送法第七条、あるいは、NTT法というのでしょうか、日本電信電話株式会社等に関する法律の第三条にそういう規定が盛り込まれております。さらには、電気通信事業法においては、ユニバーサル基金というものも設けて、そういう津々浦々の事業によって損失が発生した場合にはその基金を活用する。その基金は、もちろんその当該会社は当然でありますけれども、その当該会社と接続等々をして事業を営んでいる他の事業者も負担をする、そしてその中には携帯電話の会社も入るという構成になっております。いまだ発動はされていないということでありますけれども。

 そうやって考えたときに、確かに固定電話があればいいじゃないかという議論もあるかもしれませんけれども、今申し上げた、どちらかというと固定電話よりも携帯電話中心の社会に今なってきているのではないか。そういうことを考えると、ちょっとやや飛躍的な議論かもしれませんが、携帯電話サービス、移動通信サービスについてもユニバーサルサービスというものを何か課すか、制度的に担保するということをやはり考えていく必要もあるのではないか。今はあくまでもビジネスモデルというか、業者サイド、事業者サイドの中で採算が合うから結果的にやりますやらないですというのじゃなくて、基本的にはやはりサービスをしましょう、後は、どこまでそういう基金をつくるとか国が応援するかというのは別途あるにしても、やはりその辺の理屈というか理念を立てていただくことが、特に最初に申し上げた中山間地、過疎地域で御苦労されている皆さんにとっては大変力強い支援になると思うのでありますが、その辺のお考えはいかがでありましょうか。

有冨政府参考人 携帯電話がつながらないという地域を解消することについては、先ほど申し上げたような、従来の施策に加えて新しい施策にも取り組むというようなことでございます。ただ、この件につきましては、今先生御指摘のとおり、今日的な観点から言いますと、携帯電話にユニバーサルサービス義務をかけてはどうだという議論は相当強い声として出てきております。我々もそれは認識をしております。

 ただ、実は、これにつきましては、さきに電波有効利用政策研究会というものの中でこういったことについての議論をさせていただきました。その時点においては、携帯電話事業者にユニバーサルサービスを課すということについては、少なくとも現時点で、これは議論があるかもしれませんけれども、十分なコンセンサスはないのではないかというようなことでございます。特に事業者の目から見ますと、そうは言ってもねというようなことが多々ありまして、まだなかなか同じベクトルに行かないというようなことでございました。

 したがって、そういう中においては、民間事業者の通話可能地域拡大に向けた自主的努力を前提とはいたしますけれども、何らかの促進方策はないのか、インセンティブを与える方策はないのかということで、今回新しい施策を提案しているというような状況にございます。

 また、こういった施策のみではなくて、実は携帯電話事業者は有限希少な周波数をいわば独占的、排他的に与えられているというようなこともございます。したがって、そういった事実を踏まえまして、この不感地域の解消には従来以上に努力をしてほしいということは申し上げております。

 ただ、こういった中で、今日的に言いますと、ユニバーサルサービスのあり方、固定電話だけでいいのか、あるいは携帯電話をどうするのか等々の議論がありますので、実は、ユニバーサルサービス基金の使い方について、あり方についてどうするかという議論の一環の中で、今、情報通信審議会におきましてそのあり方を議論し始めてもらっているところであります。基金をどのような範囲にまで広げるのかどうするのか、あるいは基金の算定をどうするのか、従来のままでいいのかどうか、あるいはだれがどう負担をしてどう使っていくのか等々、課題はたくさんあるわけでありまして、今その議論をお願いしているところであります。今後、この議論の結果を踏まえながら適切に対応していきたいというふうには考えております。

加藤(勝)分科員 いずれにいたしましても、今、お話ではユニバーサル基金云々とありましたけれども、もともと電波料というのはほとんどがたしか携帯電話の利用者が最終的には負担しているというものでありますので、よく御検討いただきたいというふうに思います。

 次は、ケーブルテレビネットワーク構築に向けての対応ということでお聞かせをいただきたいと思っております。

 今のは移動体でありますけれども、もう一つは、インターネットの接続等をするためにはある程度の、また大臣の所信表明にもブロードバンドとございましたけれども、やはりブロードバンドというのは大変大きい。一般の電話回線では非常に遅い、特にそれはADSL等によって高速化できますけれども、中山間地域に行ったら交換局からかなり距離がありますからほとんど価値がない、こういう流れでありまして、道でいったら、まだ細い道しかない、ほかの人は太い速い道を、高速道路を使っているのにという話になろうかと思っております。

 また、そういうブロードバンドを基本的にはケーブルテレビのネットワークの中に、インターネットの機能、さらには総合通信等の機能で、地域のコミュニティー活動あるいは健康増進活動、さまざまなことを今各地域が考えておられるわけであります。

 ただ、やはり、本来ならばそういうようなものも、民間ベースでいけばまたそれが期待されるのでありますけれども、残念ながら、過疎地域というのは市場原理が成り立たないというところに限度があるわけでありまして、どうしても公的支援が求められております。そういう意味でのケーブルネットワーク、公的支援がなければなかなか進まない。

 今でも、新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業ということで相当な金額を出していただいているわけでありますけれども、まだまだ自分のところはという手が相当挙がっていると思うのであります。現下で、まだ構築が進まないから頼みますということで手を挙げている地域、あるいは手を挙げていないけれども必要だと認識している地域はどのぐらいあって、それに必要な事業料はどのぐらいと御認識されているのか、お教えいただきたいと思います。

小笠原政府参考人 今、先生の御質問でございますが、昨年の例で申しますと、昨年百六十一件の御要望が全国にございましたが、現実に昨年時点で採択いたしましたのは二十六件という状況でございます。

加藤(勝)分科員 実は、地元の岡山も、十五年度まではいろいろと対応していただいたんですが、十六年度はゼロということで、町村長さんもかなり高い期待をしていて、予算も実は組んでいた、ところが、ふたをあけてみたらゼロで、しかもちょうど今、市町村合併の時期なものですから、番狂わせで大変困ったという声も聞きます。

 確かに、いただきました資料を見ると、これまでも、当初予算は二十億前後、それにさまざまな補正等のことで、場合によっては一けた高い補助金が交付できたという時代があったので、そこになかなか戻れるとは思いませんけれども、ただ、今相当なニーズと、特に合併を目の前にして、あるいは合併直後の地域のインフラ整備ということで、やはり相当高い期待があります。

 ことしも二十億を切った、たしか十八億四千万ぐらいだったと理解しておりますけれども、今実際、補助金をどういうふうに交付しようとしているのか、その考え方を教えていただきたいと思います。

小笠原政府参考人 今年度の事業につきましては、もちろん今御審議いただいております予算をお認めいただいてからのことでございますけれども、私どもの基本的な考えといたしましては、先生今御指摘になりましたように、過疎地域等の条件不利地域を優先に、またあるいは、合併に際しまして市町村の一体化に役立つようなものを優先にということで事業を採択していきたいというふうに考えております。

 また、全体として財政状況が大変厳しゅうございますので、執行を効率化いたしまして、できるだけ多くの地域に事業が実施できますようにということ。それから、その他、予算以外でも、税制、財政投融資の施策も組み合わせまして、ぜひCATVの整備を支援させていただきたいと考えております。

加藤(勝)分科員 最後に大臣にお伺いしたいと思うのでありますけれども、御承知のように、過疎地域はいろいろな意味で大変困難、厳しい状況にあります。そういうところで、日本はこれからますます高齢化しますよ、人口は減少しますよという話をすると、逆に、何言っているんだ、自分らの地域は三十年以上前から人口は減少しているし、高齢化にはもう行き切っているという状況になってきております。さらに、その様子を見ていると、人口は減少しているんですけれども、世帯数はまだそんなに落ちていないんですね。ところが、多分これから世帯数がどんどん落ちていく時代になる。ですから、日本全体は人口減少時代、過疎地域は世帯減少時代ということで、私は大変な事態になっていくと思います。

 そういう中で、こういう部分というのはある意味で夢の部分でもあります、期待の部分でもあります。そして、今議論を聞いていただいたように、なかなか今のスピードでは、そういう夢を少しでも実現できるかなという期待を受けるまでにはまだ至っていないんじゃないのか。それから、中には、今の制度を駆使しても私たちのところまでは多分来ないぞというようなところも相当ございます。

 そういう意味で、さっき携帯電話のところでユニバーサルサービスの議論もさせていただきましたけれども、大臣、所信表明でもそういうことでお話をされているこのデジタルデバイドの解消について、そして今申し上げた、過疎地域で、それでもこの地域に住んで頑張っていこうと考えられている方々に対して、メッセージとして大臣の所感をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 田舎に住んでいて、多分、山間とか離島とかいろいろ表現はあるでしょうが、やはり一番困る高齢者にとっての問題は、簡単に言えば医者なんですよ。これが一番の問題。

 今の時代というのは、デジタルハイビジョンというのがおととしの十二月から始まったんですが、ばあっと今広まっている。これは画素数が高いものですから、早い話、加藤さん、きょう顔色悪いねというように、顔が全部読めるぐらいに鮮明に出るわけです、写真より鮮明に。

 そういうことになっていきますと、田舎に行って、例えば父ちゃんが倒れた、電話する、救急車が来るまでに仮に四十分かかったとします、四十分かかってそこに着いた。そこからまた搬送するということになりますと、一時間少々たちますと、大体ほぼ、凝血系でいけば脳溢血とか心筋梗塞、いろいろありますが、そうしたときに、ぱっと四十分で着いて、そこに光ファイバーが引いてあれば、救急車がそれをジャックして、いきなりその画面に医者の顔とこっちのあれが両方つながって、四十分ぐらい先の町の赤十字なら赤十字につながって、画面を見ながら救命救急士にどうしろこうしろと言って、はい、心筋梗塞、だから打つ薬はこれとか、アム打てとかアトロピン打てとか、いろいろなことを指示できるわけです。

 こういう指示ができますとどういうことになるかというと、この人は、打たれて、搬送して病院に着いたら、薬が効いていてもう血は溶けて、お帰りください、うまくいけばそうです。悪くても、一日いて。

 ところが、今のままでいきますと、四十分丸々やっていませんから、もう血は固まっていて、それを溶かすためには薬は強く打たないかぬ、それで下手をすれば右半身不随、一週間入院してと。こっちにかかります経費は、それまで納税者だった者が今度いきなり要介護者になるということは、大蔵省にいたからおわかりでしょうが、歳出のけたはもう全然違っちゃうんですよね。

 そういった意味では、国全体の歳出を考えたら、むしろ地方の方がそういったものの恩恵に浴して、その人たちにそこにいてもらうおかげで、山間部は一応、田舎の表現で山がおりてくると言うんですが、そういったこともなく、いわゆるきちんとした整地ができ、治山治水がなされていてということに資する、国全体の支出のことを考えますと、私は、このICTと言われる技術進歩によって、少なくとも活力ある高齢化社会が維持できる、高齢化社会は避けられぬわけですから。

 暗く貧しい高齢化社会しか想像できないのが、今大体そうなんですけれども、実は、このICTのすばらしい技術を使いますと、いわゆる障害者、身体障害者、心身障害者が納税者に変わり得るということを、今も確実にいろいろな技術進歩で示されておりますので、このデジタルデバイドに大変興味がありますのは、むしろ田舎の方こそこれは値打ちがある、私はそう思うんですね。都会はほかの手段がいっぱいありますから。

 だから、そういった意味では、ここらのところは、医療費の削減の意味からも、国全体としてこの歳出は全然別の角度から考えてしかるべきなんじゃないか、今現在はそう思っております。

加藤(勝)分科員 今の大臣の御認識を聞かせていただいて、また、それをひとつ施策に積極的に反映していただきますことをお願いして、終わります。ありがとうございました。

二田主査代理 これにて加藤勝信君の質疑は終了いたしました。

 次に、葉梨康弘君。

葉梨分科員 自民党の葉梨康弘でございます。

 今、加藤委員の方からいろいろとデジタルの話がございましたけれども、ちょっと私はアナログの話でございます。

 本当に大臣には、もう連日大変御苦労さまでございます。分科会でギャラリーはいないんですけれども、後ろに全国の消防団員がみんないると思って聞いていただきたいというふうに思います。

 実は、私ごとになりますけれども、平成十一年の三月に私は警察庁をやめまして、それで当時の葉梨信行の秘書になって、地元に溶け込むべく、いろいろと活動を四、五年やって、それで、おととし当選させていただいたんですが、やはり地元に溶け込むといっても、ずっともう全国転勤生活をしていましたし、外国にも行っていたもので、消防団は四十歳までだったら取手市では入れるものですから、当時、やめたときは三十九歳だったので、消防団に入りなさいと誘われて、ずっとそれから引き込まれてしまいました。

 それで、夜回りをしたり、あるいは水防で出たり、火事でも何回か出たり、最近ですと、出初めは、取手市では中でやるようになったものですから、暖かくなったんですけれども、当初のうちはまだ外で、競輪場がございまして、そこでやっていて、下はもうコンクリですから、すごく寒かったというのを覚えております。

 その意味で、いろいろとまた消防団についてお聞かせを願いたいなと思うんです。

 まず、取手でも、なかなか消防団員のなり手がないんです。茨城県全体で見ても、私の生まれた年の三十四年は八万人ほど消防団員がいたんですが、大体、常備消防が整備されたのは昭和五十三年ぐらい、私はそのとき大学に入ったんですが、そのときが三万一千人、もう今は二万五千人ということで、これは激減状態です。総務省からもいろいろと、私も調べてみたんですが、全国的にもやはり同じような傾向がある。

 そこで、その理由について、まず、どのように認識をされているか、消防庁からお聞かせ願いたいと思います。

東尾政府参考人 ただいま御指摘のとおり、消防団は、かつては全国で二百万人おりましたが、現在は九十二万人程度ということで、大変減っております。

 この大きな理由といたしましては、やはり地域における少子高齢化の影響、それから、社会環境の変化を受けまして、若年層人口が減っているということが大きいと思います。さらに、就業構造を見ますと、サラリーマン率の上昇、つまり、いわゆる賃金で生活する方が非常にふえているということが減少の主な原因と考えております。

 このようなことから、私どもとしては、地域のコミュニティーとつながりの深い方々、特に、女性や公務員、公共的団体職員の入団促進、また、サラリーマン団員であっても活動しやすい環境づくり、こういうことを強力に推進していきたい、こういうふうに考えております。

葉梨分科員 ありがとうございました。

 そうなんですね。サラリーマンになりますと、私の住んでいる取手市ですと、私もきょうも取手から通勤してまいったんですけれども、今半分の世帯が東京に通っているんです。ですから、東京に通っていますと、消防で出動するということはなかなかできません。

 私自身も、国会議員になってから、ちょっと責任を果たせないので消防団をやめましょうかという話もしたんですけれども、多少でも残っていてくれという話がありまして、実は、これは皮肉じゃなくて、全員一斉に消防団員にはメールで来るんです。火事があると、委員会があっても、メールで、出動してくださいというのが来るんです。それはまことに申しわけないからということでしているんです。それでも、昨年ですと、夏祭りの警備だとか、あるいは夜回りだとか、極力、できるときはつき合うようにしております。

 ただし、そうはいっても、世間で思っているほどには、やはり中は本当に非常に温かい世界だし、また、団員ですと十五人なんですが、全員がやらなければいけないということがあるわけではなくて、今お話があったように、サラリーマンでも、出られるときに出てくれればという形で回せるんですけれども、意外とそこのところが知られていないというのもあります。そこのところは、また後でお話を承りたいと思うんですが。

 もう一つは、やはり、きつい、汚い、それから見返りがないというような話もあります。

 ただし、昨年の地財計画でも出動手当を百円上げていただいたんですが、処遇改善を地財計画でやるのは焼け石に水なんです。実は、取手ですと、私の知る限りでは、地財計画よりも、少し財政がよかった時代に、より高い出動手当を設定していまして、地財計画を百円上げても、やはり財政がだんだん厳しくなると出動手当が削られていくような状況になる。

 さらには、団費という形で給料をいただくんですけれども、大体、もう御存じのとおり、全部召し上げになって、みんなで飲み食いに使うというのが消防団の伝統的な話でございます。私、それはそれでいいかなと思うんですけれども。

 意外とそこで評判が悪いのが、例えば、私の属している分団ですと、消防自動車にエアコンがないんです。火事の中へ飛び込んでいくんだから、暑くていいんだという説もあるんですけれども、去年の夏あたりは夜回りするとやはり暑いんですね。

 それから、詰所が古い。詰所が古くて、これは耐震工事をこの間してもらったんですけれども、地震が来たらすぐにつぶれてしまう。古いところも意外と風情があってよろしくて、大臣の後ろにいらっしゃる旧自治省の方々も、総務省のビルは非常に新しくなっちゃいましてインテリジェント化しちゃったんですが、私も警察庁にいて、昔夜まで仕事をしていたときに、下の長寿亭とか大久保とかでカレーライスを食べた。あれは懐かしいなと思うんですが、それはなかなか若い人には受けない。

 ですから、そういった意味では、手当、処遇の改善、それについてもまたお願いもしたいと思いますし、あるいは自動車とか詰所などについて、地財計画、一定の位置づけはなされているかと思いますが、それをさらに各自治体でよりよくしていくために、どういった指導あるいは施策を打たれているのか、ちょっと消防庁からお伺いしたいと思います。

東尾政府参考人 消防団の施設の整備のための方策でございますけれども、ただいま先生御指摘のとおり、国庫補助、地方財政措置があるわけでございますが、これらについても引き続き十七年度でも継続をしてやっていくわけでございますが、新たに十七年度から、地域の安全、安心活動の拠点、これは警察との関係もありまして、自主防災組織や警察とも連携いたしました、いわゆる地域の安全安心ステーションという事業を起こしまして、これによりまして、消防団の詰所などの整備の促進、資機材の整備を図ってまいるというような、新たな取り組みもしております。

 いずれにいたしましても、消防団は地域防災の中核的存在でございますので、責任感とリーダーシップを十分果たしていただけるような施設設備の整備に引き続き取り組んでまいります。

 また、消防団の車両につきましても、これは大臣からも御指示があったわけでございますけれども、できるだけ低コストで快適なものにすべく、車両の標準化にも取り組んでまいりたい、このようにも考えております。

麻生国務大臣 葉梨先生、今、東尾の方から説明したんですが、消防団というのは、よく御存じのとおり、自分で手なれた消防車を使えるつもりで、隣の町へ行ったら、全然システムが違っているんですよね。それが皆、私のところはというのはあるんですけれども、だからあれは高いんですよ。あれを全部一括発注してもらって、標準装備というのをしてもらったら、コストというのはごとんと安くなる。それだったら、ついでにその安くなった分でクーラーをくっつけてくれと。大体、そういうような発想、一括購入というのはすごく安くなる。そういった意味では、今研究しろという話をしておりますので、その中でクーラーの話はちょっと検討させます。

葉梨分科員 研究していただくことは大事だと思いますし、でき得れば、私も、地元で、余り消防団同士が張り合わないように、しっかりと連携をとるようにお手伝いをしたいなというふうに思います。

 それで、今、地域の安全ステーションの話が出たんですけれども、ただ、これも痛しかゆしのところがあって、今非常に治安が悪くなっている、消防団、ただでさえきついというようなイメージがあるのに、さらに治安まで一緒にやれということになると、今度はそこのところも、処遇面で検討、研究をしていかなきゃいけないところもやっぱり出てくるのかなというふうに私自身は考えています。

 それで、消防については消防庁。あと、取手の場合、利根川沿いなものですから、水防でもよく出るところがあります。この間の新潟の関係でも、水防関係はやっぱりもっと連携すべきだという指摘もいろいろあったかと思います。それから、今の警察、地域安全ステーションとの関係あるいは警防関係。そこら辺で、また今後、国土交通省が水防、それから、警察庁が警察、治安ということになりますけれども、より連携を図っていただきたいということをお願いしたいと思いますが、消防庁からよろしくお願いします。

東尾政府参考人 水防や治安の関係でございますけれども、水防は、先生御存じのとおり、水防団が置かれているところもございますが、消防組織法によって消防団本来の業務でございます。したがって、水防管理者の市町村長の指揮のもとに活躍しておりまして、ただいま御指摘がありました、昨年の新潟、福島の豪雨でも大活躍をしたという実績がございます。今後とも、国土交通省とも連携をとって、水防活動の充実に努めてまいりたいと思います。

 また、警察、防犯関係につきましては、先ほど、地域の安全安心ステーション、この事業の中でさらに連携体制をとってまいりたいと考えております。

葉梨分科員 ありがとうございます。

 もう釈迦に説法ですけれども、消防団というのは地域社会の中で極めて重要なインフラだと思います。アナログではありますけれども、やっぱりこれから高齢化が進む中で、本当にその必要性というのはどんどんどんどん高まってくる。

 ところが、イメージがまだ必ずしもはっきりしていないというか、まあ歴史があるからはっきりしているんでしょうけれども、若い人とか、あるいは、取手なんかですと、東京に通うサラリーマンの方は本当に無関心です。

 私のいる地域というのは三千三百戸あるんですが、旧の千八百戸というのは、もともとの白山というところで、古い人が住んでいる。十五人の消防団員はその千八百戸の白山から出ている。もう一つは、ニュータウンが千五百戸、中央タウンというのがありまして、そこはほとんどが東京に通勤していて、そこからは消防団員はだれも出ていない。

 そこで、利根川沿いの方に排水機場があって、そこに私どもも、最近ですと泊まることはないんですが、それでも去年水が出たときは私も夜行きました。それから、国会議員になる前は何泊もいたしました。それで、泊まっていろいろと堤防のことをやっていると、市の職員と間違えられて、あなたたち市の職員だから働くのは当たり前だというふうに言われる。

 それから、花火の警備。取手は大花火をやりますから、花火の警備に出て、風で三十分ぐらい花火がおくれると、警備をやっている私たち消防団員、ボランティアでやっているつもりなんですけれども、何でおくれるんだといって市民の方から怒られる。さらには、やっぱりつらい、きつい、そんなイメージが先行している。

 ですから、私自身いろんな処遇改善、それから今も地域の連携、装備の改善、それも含めてなんですが、子供のときから消防団という存在、それから消防団の活動、それの大切さを知ってもらうという本当に地道な努力が必要だろうというふうに思っています。

 そこで、大臣から、消防団員の士気高揚及び団員確保並びに消防団員の処遇や施設、装備などの改善に向けての御決意を承りたいと思います。

麻生国務大臣 今言われたように、たまたま数字として合っているだけですが、昭和三十年代というのは、簡単に言えば、サラリーマンというのは三〇%しかいなかったんですよ。六十年になったら六〇%になって、今、昭和でいえば八十年なんですけれども、約八〇%はサラリーマンなんです。村とか町の魚屋、八百屋が全部セブンイレブンになっていった、簡単に言えばそういう歴史なんだと思うんですね。

 その結果として、地域のコミュニティーとしては非常に、今言われたような、組織としてはぐあいの悪いものになったというのは、結果として、戦後六十年と言われる中で、余り言われませんけれども、自営業者が減ってサラリーマンがふえた、私はこれは流れだと思っております。

 だから、私らが学生のときには、三〇%しかいませんから、サラリーマンみたいなこと言うなというのは差別用語だった。今はサラリーマンみたいなこと、それはサラリーマンが世論ですから。そういった時代に変わってきましたので、消防団に関しましても、御指摘のとおり、これはどう考えてもサラリーマンがやる以外に手がないんですね。

 そこで、丸々拘束というのをやめよう、ちょっと機能別にやらないかぬのじゃないかというので、いわゆる特定の活動だけ参加できます消防団員とか、女性とか、そういったような方で、機能別団員とか機能別分団とかいったものをいろいろやれるとか、女性団員が入っているから当然のことで、出産の期間、一定期間休団できますとか、そういった制度を今多様化させているので、私どもたまたま郵政省と一緒になっておりますので、郵便局員は消防団におまえ出向せい、出ろという話やら何やら、今いろいろやっておりますのが一つ。

 それからもう一点は、これはこの間消防庁でつくったもので、差し上げますけれども、こういった消防団の重要性というのを小中学校で教える、うちのおやじ消防団にいるのが子供の自慢とか、そういった形にしてやる気にさせるのには、やっぱりある程度子供のときからこういったものの重要性とか、火の用心と回っているおかげで、大事なんですとか、やっぱりコミュニティーに入り込んでいるというのは、今後、国民保護法という法律ができますと、取手の方の関東側はともかく、日本海側のところは結構意識が今でも全然違いまして、私も福岡のこっち側にいますので、もし何かあったらやばいなという意識がみんなあるんですよ。そのときに、国民保護法で最初に誘導してくれたり何かするのは、日本語のうまい工作員かもしらぬ、これはだれでも考えるわけです。そうすると、顔見知りの消防団員が避難の誘導をしてくれるということは物すごく大きいんですね。

 そうすると、そういったのは、ふだん頼りになるなと思えば、やっぱり消防団というのは大事にされるんですよ。ある程度、住民の期待にこたえるというのは、父ちゃんの代から知っている、信行の時代から息子を知っておるとかなんとかというのがいると、おお、とかいって、何となく安心感が出てくるというのは、すごく住民意識としてはでかい。また、あの人のうちは、息子夫婦は外に行っておるけれども、ばあちゃんはたしかうちで一人で残っているはずとかいうのは、郵便局と消防団というのはみんな知っていますものね。

 そういったのがかなり大きな要素になりますので、私どもは消防団の値打ちというのはすごくあると思いますので、感謝されるとやっぱりうれしい。そこが何となく、一般の、職員と一緒に使われるというのはおもしろくない、ばかたれ、おまえ、あれは消防団員で職員じゃないぞという話をするというのはやっぱり大事なところだと思いますので、そこらのところの意識改革とか知識をちょっと広めていくような努力を今後していかないかぬなと思っております。

葉梨分科員 ありがとうございます。

 ぜひとも進めていただきたい。私も、国会議員はサラリーマンではございませんけれども、東京に通勤している消防団員ですので、いろいろとお知恵をまた拝借しながら、一緒に考えていきたいと思います。

 それで、ちょっと時間も押していますが、お手元の資料、これは確認ということでまずお聞きしたいんですが、地元で私どももどんどん今合併が進んでおります。合併が進んでいる中で、これは阿見町と美浦村というのが、この間、美浦村の方で、一月三十日、住民投票がありまして、合併が否決になったというんですが、それはその町と村に関して言うと、財政力指数が阿見町で〇・九九、それから美浦村一・〇五なんで、それはそれで住民の意思かなと思うんです。

 ただ、そのときに、合併の反対派の方が配られているビラで、意外とこの手のデマが飛び交っている面がございます。ですから、そこをまず確認までに打ち消していただくということをひとつ考えていただきたいんですが、質問をちょっと一緒にいたします。

 まず、このビラの左側を見ていただいたらわかるんですけれども、将来十兆円まで地方交付税交付金を削減するんだということが、何か既定の事実のような形に誤解を受けるビラじゃないかと思います。

 もちろん、国も財政難だし、地方も行革を進めなきゃいけません。ただ、その意味で、地方財政計画だとか基準財政需要額、これは工夫が必要だと思いますし、交付税交付金についても地方行革にインセンティブを与える方策を工夫することは必要と考えます。ただし、やはり一方で、地方交付税交付金の財源保障機能、これはしっかりと堅持していくべきと思いますし、また、そういう方針だろうというふうに考えております。

 そこの確認をしたいと思います。財政局長ですか、お願いいたします。

瀧野政府参考人 今ビラを見せていただきましたけれども、地方交付税につきましては、御案内のとおり、地方財政計画で歳入歳出を見積もりまして、交付税等の財源によりまして、地方財政計画にのります地方団体で執行していただきたい事業をきちんとできるようにするということを目的としているわけでございます。

 現在、確かに法定率分というのは非常に少ない額になってございますが、それは本来は交付税率を引き上げてきちんと手当てすべきところ、国、地方、非常に厳しい財政状況の中で、仮の姿として今のような姿になっているわけでございまして、将来十兆円に交付税が減る、そういうようなことはもちろんないわけでございます。

 全体の国、地方の財政再建が必要でございますけれども、必要な事業がきちんとできるように将来とも交付税を確保し、しかも、地方団体にやっていただきたい仕事がちゃんとできますように財源保障機能を充実していくことは必要であるというふうに考えておるところでございます。

葉梨分科員 実は、昨年の三位一体改革の折も、自民党内の議論で私も財源保障機能をしっかりと確保するようにということを発言させていただいたんですが、ぜひともそういう形で、私も努力させていただきたいと思います。

 それで、もう一つのデマがございます。

 今、合併のあめということで合併特例債。地元で聞きますと、どうせそんな合併特例債なんて約束したって、七〇%基準財政需要額に入れるなんて、そんな約束はほごになっちゃうんじゃないかとか、あるいは、合併特例債を認めておいた後で、その事業の認可を途中でとめちゃうというようなこと、そういうことをやりかねない、何かそんな不信感がわっと広がっていて、それは打ち消さなきゃいけないというふうに思っています。

 そこで、これが右側の資料なんですが、各市町村は、私自身はその合併基本計画に基づいて特例債を活用しているものと認識しています。だから、特例債利用事業の認可基準、これをある日突然厳しくするというのは、これは明らかなデマ、誤解だと思います。また、特例債の償還についてもしっかり配意していただきたいと考えますけれども、その点を伺いたいと思います。

荒木政府参考人 合併特例債の許可基準を突然厳しくするような話があるかということでございますが、私どもはそういったことは考えてございません。誤った風評を流されていることは、まことに遺憾でございます。(麻生国務大臣「この顔は信用できないよ」と呼ぶ)

 現在、合併特例債がどんな事業に充当されているか、ちょっと御紹介いたしますと、これは十五年度までの実績でございますが、道路などの生活関連基盤整備に約五割、そのほか、かなり広範な事業に充てられておりまして、小中学校、保育所の整備、コミュニティー施設の整備、あるいは庁舎、消防署などの整備、このように大変幅広い施設整備などに充当されているところでございます。

 総務省としましては、今後とも、合併市町村がこの特例債を有効に活用していただきまして、合併後のまちづくりを進めていただきたいと期待しているところでございます。

 なお、特例債を含めまして、地方債の元利償還に要する経費につきましては、毎年度の地方財政計画の策定を通じて歳出に適切に計上いたしまして、地方交付税等必要な地方財源を確保してまいりたいと考えております。

葉梨分科員 ありがとうございます。そのお顔、信用させていただきますので。苦しい財政の中、大変と思いますけれども、地方行革を促進しつつ、地方においてしっかりと予算を組めるように配慮をお願いしたいと思います。

 次に、三点目、これは地方公務員の給与関係です。これは数だけで、簡単で結構なんですが、北海道及び東北六県の県職員のラスパイレス指数を伺いたいと思います。

須田政府参考人 平成十六年四月一日現在の北海道及び東北六県の県職員、一般行政職のラスパイレス指数でございますが、北海道九八・五、青森県九八・〇、岩手県九八・二、宮城県九七・八、秋田県一〇〇・二、山形県一〇〇・六、福島県九九・六となっているところでございます。

葉梨分科員 これはお手元に資料を配らせていただいているんですが、実は、昨年来ずっと、数人で私ども勉強会を持っていまして、せんだって、二月の二十二日でございますが、公務員給与改革断行を求める若手議員の会というのを発足させまして、私が事務局長に就任いたしました。それで、これは人事院から出していただいた資料で、これは国家公務員の問題ですけれども、どういう問題があるかということの一例を出していただいたんです。

 今、北海道、東北の一般行政職のラスパイレス指数を出していただきましたが、北海道、東北については、国家公務員の俸給は民間準拠、この民間準拠というのも百人以上の事業所のホワイトカラーということになりますが、それよりも約五%高いという数が出ています。五%高いわけですから、今のラスパイレス指数でも一番低いところで九七・八ですから、一般行政職で比べると、結局、国家公務員が高いということは地方公務員も高いんだ。二田先生の地元の秋田も一〇〇を超えているということですから、高いわけです。

 さらに、国家公務員と地方公務員、多分共通する問題というのはあるだろうと思います。といいますのは、若いときは必ずしも公務員の場合は民間と比べると給与は高くない。ただし、毎年の昇給が、成績が良好な者というのを昇給させることになっているんですが、国家公務員で調べてみると、これから地方公務員もいろいろと調べてみなきゃいけないんですが、九八・五%が毎年昇給している。これは、病欠とそれから懲戒処分を受けた以外はみんな成績が良好な者で昇給しているという実態が出ている。そうなりますから、若いときは低く抑えられていても、だんだんだんだん高くなってきて、四十から五十、六十になると完全に民間との乖離が出てくるというような形が出ている。

 それで、人事院から資料を出していただいたのは、では、国家公務員で、何歳ぐらいで民間との逆転現象が起きるかというと、三十九歳。私、三十九歳で役所をやめまして、大分損したなと思っておりますが、そんなことで、大分お手盛りの昇給、お手盛りというか非常に機械的な昇給が行われている。さらには、俸給表についても非常に高いというような形のものが出てきています。

 ただ、私自身は、給与をやみくもに下げるべきだとは思いません。やはり仕事をした人には仕事をしたなりに報われる、そういうような形の社会にしていかなきゃいけないだろうと思います。

 ですから、その意味でいうと、公務員の給与というのを見直したからといって、では、幾ら行革効果があるかというのは、もしかしたら、そんなに大して行革効果はないのかもわからない。でも、問題はやはり、これからのいろいろな、少子高齢化社会、それから財政が非常に厳しい、そういう社会の中で、民間に対して、社会保障の問題にしても、公共事業の問題にしてもいろいろと痛みを、あるいは負担の問題についても痛みをということを考えていったときに、ひとり公務員の給与のみが聖域であったとしたら、これは絶対に先に進めることはできないし、世界各国において財政再建が成功した例というのは、公務員の給与にしっかりと見直しを入れた国しかないというようなことも言われております。

 その意味で、私もいろいろとこれから国家公務員についてまた勉強してまいりまして、また、八月の人事院勧告、そんなものにもいろいろとしていきたいし、それから、地方公務員にも当然連動する話です。というのは、今まで地方公務員も国家公務員準拠で、ラスパイレスの一〇〇というのを目標にして、今一〇〇より少なくなったから地方行革が進んでいる。

 ただ、今、北海道、東北を出していただいたように、北海道、東北では、この間、細田官房長官も下げなさいというような検討の指示も出したわけですから、やはりこれもまたうかうかしていられない。ですから、その意味で、国、地方を通じて、これから本当に地方公務員の給与改革、これにしっかり取り組んでいく必要があると思います。

 そこで、いろいろと公務員部の方で研究会を持って検討されているということですから、大臣の方から地方公務員の給与改革についての御決意を承りたいと思います。

麻生国務大臣 難しいのは、葉梨先生、やはり地方公務員は国家公務員に準じるということに大前提がなっていますので、私どもとしては、これは人事院と話をしなくちゃいかぬので、昨年でしたか、総裁とちょっとこの話をさせていただいたんです。

 これは、地方でも難しいのは、今言われましたように、人口が同じような八万の町で、片方は二百人、三百人規模の企業のある地域、同じ八万でも隣のこっちはないということになって、給料だけを比べますと、こっちの町は高いんですよ、その二百人、三百人の企業があるから。こっちはない、安い。そうすると、こっちに合わせるとこっちはえらく高くなって、横の、同じ県内、同じ地域の中でこんなに出るというのをマルかバツかというところが、多分一番最後にひっかかるところかなと私自身はそう思っているんです。

 ですから、そういった意味でちょっとこれは研究せないかぬところでもあるのが一つ。地域の中において、同じ県庁でもこんなに差が出る、市役所でもこんなに差が出てもいいという了解を得ないかぬというところが一つ。

 それから、地方公務員と国家公務員のラスパイレスでいきますと、かつて、一二〇だ、一二〇幾つだというのは大阪周辺では幾つもありましたし、地域によってはもっと高い、筑豊なんかでもあったんです。そういったところでやる気のある市長とかなんとかいうのは、やはり結構頑張って下げてきておるんですね。筑豊あたりは、昔はむちゃくちゃ高かったのが、今八四・九とか、多分日本で一番安いのは七四コンマというのが出ましたけれども、それは国家公務員に準じているか、二割五分も下がってと言われてやられたら、これは多分もたぬと思うね、僕は、常識的には。

 だから、そういった意味では、これは、法律自体をきちんとやらないと、一生懸命やった人が後で違反として罪に問われても、それはちょっとおかしなことになりますので、私どもとしては、これがちょっと大前提で、ことしの八月、たしか人事院から出てくることになっていると思いますので、地方公務員の給与の差、財政諮問会議でもこれが話題になっておりますので、この点は今後詰めないかぬと思っております。

 ただ、最後に、働いたら報われるというような、ここが難しいので、営業だと、これだけ売ったから給料がこれだけ上がったというのがわかりやすいんですけれども、なかなかさような部署ばかりじゃありませんので、ちょっとここらのところの査定はなかなか難しいなというのは役所におられましたのでよくおわかりのところと存じますので、いろいろな点で今後検討をしていかないかぬところでもあります。

 事実、日本の場合は、公務員というものの労働人口千人当たりに占める比率は三十五人ぐらい。フランスが九十人ぐらい、もう九十人を超えていますな。アメリカが七十人ぐらいだと思います。それはがたんと低いんですよ。かつ優秀なんだと思いますが。

 そういった意味でいきますと、この給与の差というのは、ほかの民間がばっと下がりましたからね、昔は民間の方が高かったんですから、そこらのところは、景気の波に影響されるのと景気の波に影響されないのとの差もちょっと含んで考えないといかぬところかなという感じはしております。

葉梨分科員 私は、現段階ではその程度かなと思います。やはり、いろいろと多面的に勉強して、また私どもも提言をしていかなきゃいけないと思いますが、一生懸命また前向きに考えていきたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

二田主査代理 これにて葉梨康弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)分科員 民主党・無所属クラブの田村謙治でございます。

 私は、昨年の十一月に繰り上げ当選をして、まだわずか三カ月でございます。現在、財務金融委員会に所属をしておりますけれども、まだそちらの方の質問がございませんので、今回が初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私の活動しております選挙区は、静岡四区、清水と富士宮を中心としたところでございます。

 昨年来、まさにさまざまな災害が、日本だけでなく世界で多発している、それは皆様もう十分御案内のことでございます。まさに、台風に始まり、そして中越地震、世界を見ましても、スマトラ沖の地震や、そしてそれに伴う大津波、さまざまな災害が多発しているといった状況にございます。

 ちょうど一月のさまざまな賀詞交換会におきましては、昨年をあらわす漢字というのが災いだ、そして、ことしは災い転じて福となすといったごあいさつをさまざまな方々がしていらっしゃいましたけれども、やはり、災いというものは決してそんな簡単になくなるものではもちろんございません。特に地震などにつきましては、前から、私の静岡に関して言いますと、東海地震がもう数十年前から懸念をされて、そして、いつあってもおかしくないという状態が続いているという状況にあるわけでございます。

 私の選挙区ですと、まさに清水港がございます。そして、さらに上の方に行きますと富士宮で、富士山のてっぺんまでが私の活動しているエリアでございますけれども、地震、そしてその地震に伴う津波、そして、場合によっては富士山が噴火するかもしれない、さまざまな災害というものが起こり得る可能性が非常に高い地域の中で、それに対してどのような対策を講じていくかということは、私自身も大変大きな関心を持っているところでございます。

 ただ、私は、十一年間財務省に勤務をしておりましたので、防災といったような面はまだまだ勉強中でございますので、こういった機会をいただきまして、政府のお考えをお聞かせいただければと思っている次第でございます。

 そのさまざまな防災の対策の中で、今回、特に緊急情報伝達システムに絞って御質問をさせていただきます。

 まずは、その中での防災行政無線システムについて、簡単な概要を御説明いただければ幸いでございます。

東尾政府参考人 市町村防災行政無線でございますが、ただいま御指摘のとおり、災害時において必要な伝達のためにどうしても必要な無線設備でございます。

 その種類でございますけれども、広報車などに積載されております移動系、また、病院など関係機関を相互に結ぶ地域防災系などがございますけれども、何といいましても中心は、屋外拡声用のスピーカーや各住宅に設置されました戸別受信機を通じまして住民に一斉に同時通報が可能な同報系でございます。

 私どもといたしましては、同報系を中心にその整備を促進しているところでございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 今御説明ございましたように、移動系や同報系、その中でも同報系のシステムについて力を入れて整備を進めているというお話であったと思いますけれども、その同報系、まさに市町村の役場から住民に対して直接防災情報等を伝える。やはりそこは、特に最近、私もまだまだ勉強中の身ではございますけれども、なかなか地震の予測が難しい、そういった中で、いざ、例えば地震が起きた場合に、どれだけ迅速に伝達をするか、それは決して地震に限らない話でございますけれども、そういった意味で、まさに住民に対していかに迅速に情報を伝えるか、非常に重要なことなんだろうと私も認識をしている次第でございます。

 それでは、現在、まさに同報無線の配備状況というものが全国各地においてどのような状況にあるのかをお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 田村先生のところだけが例外と言っていいぐらい、おたくだけ一〇〇%。大したものです。いわゆる東南海地震とかいろいろな表現が今ありますけれども、昔から言われていたせいもあるんでしょうけれども、やはり、知事以下、その辺、非常に意識が昔から高かったんだと思いますので、ここだけ一〇〇%。全国平均で六七・八%というのが今の実態なんです。

 そういった意味では、やはり、一斉に同時通報というのは非常に大きいんだと思うんですね。日本の場合は地震に限りませんで、基本的には、よく言われる三大災害、地震、台風、火事ということになるんですが、いわゆる地震の予報なんて、ある日突然に来るわけですから、火事もある日突然にということになりますし、台風も三日かそこら前には大体のことはわかるんでしょうけれども、それでも急にという感じの上に、この三つの災害には共通点があって、極めて一過性。地震なんて長くても三分ぐらいで終わっちゃって、火事もまあ数時間、台風で数日間、非常に一過性。

 そして、いわゆる、田村さんは金持ちだから地震が来なくて、隣の麻生さんは貧乏だから地震が来たとか、そういうことはないわけでみんな極めて公平にばんと来る。予報は不可能、一過性、そして極めて公平に来るというのが共通点なんだと思うんですが、そういった意味では、これはもうあすは我が身と両方で思っておかないといかぬところなのであって、共助という意味からいっても、やはりその種の災害通報というものは極めて迅速かつ公平にというところが非常に大事なところなものですから。

 これは、今県別にやると確かに差があるんですけれども、六七%というのはたまたま平均であって、三〇%台のところもありますから、そういった意味では、昨年の豪雨災害のときも、この災害通報がおくれた、またその災害通報の整備ができていない市は特に被害が多かったんですよ。だから、そういった意味では、被害の拡大を招いた一因というのもこれのせいだ、私どもから見るとそういうことになるので、静岡県に見習って、これはすべての市町村できちんとそういった整備ができ上がるように今後とも私どもも頑張らないかぬところだと思っております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 先ほどお答えいただきましたように、同報系システムというのは、屋外拡声子局、屋外スピーカー、そしてまた戸別の受信機、屋内用の小型受信機、その組み合わせによるものだというふうに先ほどお答えをいただいたと思います。今大臣にもお答えをいただきましたように、まさに、屋外スピーカーを含めたシステムという意味では、確かに静岡県は一〇〇%の整備をしているということだというふうに私も聞いております。

 ただ、やはり屋外スピーカーというものは、それこそ夏や冬ですとエアコンをかけて窓を閉め切ってしまう、あるいは、それこそ天候によりまして、雨が降ったりすると音が聞こえなくなる。やはり、昨年の台風におきましても、屋外スピーカーの警報がほとんど聞かれずに、堤防が決壊をして被害者がふえたというような話も聞き及んでいる次第でございます。

 そこは、もちろん屋外スピーカーも当然必要なわけでございますけれども、できる限り戸別の受信機というものを全戸に配備するということがやはり一番望ましいんだろうというふうに私は考えているわけでございますけれども、その戸別の受信機の配備状況についてはいかがでございましょうか。

東尾政府参考人 戸別受信機の全国の整備状況でございますけれども、同報無線を整備している市町村のうち、全戸または一部に何らかの戸別受信機を整備している市町村は八八%ということでございます。ちなみに静岡県におきましては、七二・六%の市町村が戸別受信機を一部配備、全戸配備している市町村が二七・四%ということで、御指摘のようにまだまだ戸別受信機の普及はスピーカーに比べますとおくれているという状況でございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 今お話をいただきましたように、静岡県というのはもともと東海地震のまさに直撃を受けるということで非常に認識が高いということなんだと思います。やはり戸別の受信機というのも一部は配備をしている、まさに配備を進めているところというのはほかのところに比べても非常に多いんだろうと思いますが、ある意味で全戸に配備が完了しているという地域はまだまだそれほど多くはないという状況にあるんだと思います。

 昨年のデータをお聞きしましたところ、百三十六万世帯の中で戸別の配備をしているのはわずか約十四万戸、まさに世帯数でいうと一〇%しかない。また、市町村の数でいいますと、全戸配備をしている市町村というのは、静岡県の六十九の市町村のうち、まだわずか十九であるという話を聞いております。

 そういった意味でも、非常に認識が高くて、整備をほかのところよりも進めているはずの静岡県でもまだまだ不十分であるなというふうに私は考えているわけでございます。一日も早くそういった整備を、全戸配備ということを進めるべきだと私は考えているわけでございます。

 そういった中で、例えば、そもそも屋内用の小型受信機というものが四万円程度する、非常にある意味では高額であるというところもネックになっているというふうに聞いております。また、聴覚障害者向けの機器となりますとさらに非常に高額になってしまうといったような状況にありまして、やはりそこら辺が配備を進めていく上でもネックになっている一つの要因なんだろうというふうに考えているわけでございます。

 そういった中で、国としまして、同報系の防災行政無線の配備をより進める、それについてどのような支援をしていらっしゃるかということを御説明いただければ幸いです。

東尾政府参考人 同報系の市町村防災行政無線の整備の支援策でございますけれども、ただいま御指摘の戸別受信機も含めまして、消防防災設備整備費補助金または地方債による支援というものを行っているところでございます。ちなみに、補助金につきましては、十七年度の予算案において十七・六億円を計上しております。

 また、これとは別に、地方単独事業により整備を行う場合には、地方債と普通交付税を組み合わせるいわゆる防災基盤整備事業による財政措置を講じておりまして、こちらの利用も非常に多い状況でございまして、引き続きこの二つの制度を組み合わせながらその促進を図っていくという考え方でございます。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 今主に支援策として二つの制度がある、消防防災施設等整備費の補助金、そして二つ目に防災基盤整備事業として起債についての支援制度があるというお話を伺ったわけでございますけれども、その一つ目の補助金ついても今後ずっと継続なさる御意向であるのかどうか、お伺いをさせていただきます。

東尾政府参考人 防災行政無線にかかわります消防防災設備整備費補助金でございますけれども、これにつきましては、三位一体の改革との関係について昨年来いろいろ議論がございましたけれども、全国知事会を初めとする地方六団体の方から、防災行政無線にかかわる国庫補助制度についてはこれを税源移譲の対象とするようにという提言がございました。

 これを受けまして、消防庁として検討いたしましたが、この補助金がそもそも地方団体向けの奨励的な意味合いを持つものであること、またこの事業自身が地方に同化定着しておりまして、地方単独事業としても先ほど述べましたとおり多く実施されていることなどから、十八年度より国庫補助制度を改めまして一般財源化する方針を固めている、こういう状況でございます。

田村(謙)分科員 どうもありがとうございました。

 まさに、今まで支援策が大きな柱として二つあった、そのうちの一つの補助金について、それが廃止をされるというお話を今伺ったわけでございます。確かに、三位一体の改革というのは、今大臣が中心になってお進めになっていらっしゃることだと思いますが、地方の裁量に任せる、それぞれの地方自治体がそれぞれの地元の状況に応じてやっていくということで、補助金というとやはり中央省庁のコントロールがきいてしまう、そういう補助金はできるだけ削っていこうというのが三位一体の改革の一つの大きな趣旨なんだと思います。そういった意味では、補助金の話をするというのもその方向性としては正しいとは思います。

 ただ、その一方で、静岡県はもちろんでございますけれども、各地方自治体というのもやはり財政上のさまざまな大きな制約がある中で、幾ら地方自治体の自主性にゆだねても、例えば今回取り上げさせていただいている防災無線のシステムについての整備も、地方自治体の裁量に任せればより進むという保証が全くない。特に、地方自治体の財政状況がますます厳しくなっている中では、私はやはり、地方がさらに今までよりも整備のスピードを速めていくだろうということは、なかなか望めないのではないかなというふうに考えたりもするわけでございます。

 そういった状況において、今後、国としましてはどのようにこのシステムの整備、配備を後押ししていらっしゃるのか、今後の支援の方針についてお伺いできれば幸いです。

麻生国務大臣 一番悩ましいところですよね、田村さん、ここのところは。これは、静岡県を例に引きましたけれども、あそこの場合は、上がそういう意識だから、普及がすごく、ほかのところはへずってもこっちにというので多分やられたんだと思うんですね。

 そういった意味では、平成十七年度は従前どおり十七億六千万だかをきちんとすることにしておりますけれども、十八年、十九年度以降どうやっていくかといえば、これは地方に移管していくことになりますので、その部分はちゃんとやってくださいよという話をしないと、こっちより、別の橋になっちゃったり、川になっちゃったりするとぐあいが悪いなという感じが正直しております。

 ただ、もう一点、防災基盤整備事業というのは、これは年によって違いますが、三十億円から五十億円ぐらいあったと思います。こちらの方は財政措置は今までどおり講じてきておりますので、これは補助事業とほぼ同程度の事業が実施されているんだと思います。

 いずれにしても、昨年の新潟、福井、中越、いろいろ災害がありましたけれども、住民への避難伝達がおくれたところほど被災者が多かった、これだけは非常にはっきりしていますので、国民保護の対応の観点からも、これは、おたくは遅かったからこの間こうなったでしょうがといろいろな例を引くことにもなりますので、そういった意味では、財政措置というものも引き続き講じていかないかぬところだと思っております。同時に、こういった例を見ても、これはきちんとしないと、結果として被災者というか被害が大きくなりますので、それで回り回って後で払う金が大きくなるというのも、これはばかばかしい話でもありますので、きちんとした対応を指導していかねばならぬものだと思っております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 今大臣がおっしゃいましたように、まさに三位一体の改革というのは、地方分権でそれぞれの地方自治体の裁量にゆだねる、中央省庁が余計な口を挟まないという趣旨としては、一般論としては私も大いに賛成をしている次第でございます。

 まさに、災害というのはいつ起こるかなかなかわからない。逆に言うと、来年は起こらないかもしれない。それぞれの地方自治体の厳しい財政状況の中で、どうしても後回しになってしまうという部分があるんだろうと思います。まさに中越地震もそういった部分があると思いますけれども、そんなに大きな地震はないだろうというふうに、ある意味で油断をしている地方自治体の場合には、ますますそういった今回の情報システムについての整備というのもおくれがちになってしまうんだろう。

 そこは、繰り返しになりますけれども、かなり全国的に見ても認識の高いと言われている静岡県でさえも、まだまだ実際、今例えばすぐに地震が起こった際に全戸配備をされているところは限られているわけでございますので、それこそ、大雨が降っていたりすると、屋外スピーカーというものの声もなかなか聞こえないというような状況も出てくるかもしれない。

 そういった意味でも、やはり、防災というのは、地方自治体に幾ら任せても、最後は国が何とかしないのかという国民の声もいざ災害が起きた際には出てくるわけでございますので、引き続き、まさに先ほど大臣がおっしゃってくださいましたように、国としても地方自治体の後押しをぜひとも今後も進めていただきたいということを改めてお願いさせていただければと思います。

 緊急情報伝達システムにつきまして、今までは同報無線用の戸別受信機についてお伺いをいたしましたけれども、もう一点、緊急警報放送システムについてあわせてお伺いをさせていただければと思っております。

 緊急警報信号を放送局から送出して、そして緊急警報放送対応の受信機を強制的に起動や停止をさせるというシステムが昭和六十年から稼働しているというふうに聞いている次第です。ただし、結局、そのシステムに対応するようなBSデジタルの放送受信機や地上デジタルテレビの受信機というものの中で、緊急警報の放送に対応しているものというのがやはり非常に高額である。

 そういった意味では、なかなか普及が進んでいないというような話も聞いているんですけれども、やはり、緊急警報、それによってテレビが稼働するというのは、それぞれの家においては一番警報になるんだろう、効果的なんだろうというふうに考えますけれども、現在の普及状況についてお伺いをいたします。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生おっしゃいましたように、緊急警報放送といいますのは、大規模地震の警戒宣言が発せられた場合、あるいは津波警報が発せられた場合、それから自治体の長から避難勧告等の放送の要請があった場合に、放送局から警報音を兼ねた特別の音声信号を送るものでございます。

 普通のラジオでございますと、オンになっていなければこの放送は聞けないわけです、ついた状態でなければ。オンになっていなくても、しかし、待機状態で、緊急警報放送に対応して起動するというような機能を備えた受信機がございまして、先生がおっしゃいましたように、緊急警報放送対応型のラジオ、あるいは専用のラジオ、あるいは受信機能内蔵型のラジオというぐあいに申し上げておりますけれども、これらを合わせまして、これまで五十五万台程度が出荷されているというぐあいに承知をしております。しかし、これはこれまでに出荷された台数の総数でございますので、余り普及していないというのが率直なところの認識でございます。これは、おっしゃいましたように、コストが高いといったような事情があるということに由来するものと考えております。

田村(謙)分科員 ありがとうございました。

 やはり、今御説明いただきましたように、出荷で五十五万台、日本全国でということですから、非常に小さな数字なんだろうというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、やはり、非常に高額であるということでどうしても普及が進まない。ある意味で需要が少ないから受信機の金額も高どまりのままになってしまう、そういう悪循環がやはり生じているんだろうと思いますけれども、それをいかに普及させるかということについて何か対策は考えていらっしゃいますでしょうか。

堀江政府参考人 ただいま五十五万台と申し上げましたのは、アナログ対応、アナログ型のラジオでございます。実は、御承知のとおり、平成十五年の十二月から地上テレビのデジタル化が本格化しまして、多くの地域で地上デジタル化のテレビが見られるようになりました。このデジタル放送になりますと、いろいろ高度な活用ができまして、例えば携帯端末に放送を流すとか、あるいはデータ放送を流す、あるいはサーバー型のを利用するとか、いろいろ多面的、多様な活用ができることになります。

 そこで、私どもは、この携帯端末に緊急警報、そういうようなものを流す、そういうような形で利用していくことはできないであろうか。今多くの方が携帯を持っておられるわけですから、それは家におられるときだけじゃなくて外を歩いておられるときも持っておられる。それから、大体つけた状態になっておる、そうすると起動される、そういう形。ウエークアップ、それからウオーニングを出せるような形のもので近々利用できるようにならないものか、こういうぐあいに考えております。この携帯端末向けの放送そのものは、来年の春にも実用化されていくんじゃないかというぐあいに考えております。

 私どもとしては、これをいわゆる放送だけじゃなくて、今申しました、防災とかいろいろな公共サービス、公共的な利用という面でどういう形で利用できるか、そのためにどういうシステムが必要かといったようなことの実証試験をやっていきたい。十七年度予算でも、アプリケーションのパイロットプロジェクトのための予算を予算案の中に盛り込ませていただいておりまして、これに積極的に取り組んで早期に実用化できるように進めていきたいというぐあいに考えております。

田村(謙)分科員 どうもありがとうございました。今局長がおっしゃってくださいましたように、まさに携帯の端末に一斉に強制的にそれが放送されるということであれば、確かに今携帯はほとんどの人が持つという時代になってきたわけでございますので、一番そこが効果的なんだろうというふうに思います。

 日本の携帯技術が現在世界の中で一番進んでいるというふうに私も聞いておりますけれども、その恐らく一環なんだと思いますが、ぜひとも世界に先駆けてそれを実現していただきますように、まさに地震で日々おびえている県民とともに活動している私の方からも改めてお願いを申し上げさせていただきます。

 繰り返しになりますけれども、まさに防災、地震に限りませんが、災害はいつあるかわからない、そういった中で、いつまでにさまざまな防災のシステムを整備しなければいけないという期限を区切るのが難しいということはあるわけでございますけれども、やはりそこは、国家の財政にしても、あるいは地方自治体の財政にしても、制約がある中でもできるだけ優先順位としては高い順位としてやっていただきたいということを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

二田主査代理 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次に、中山泰秀君。

中山(泰)分科員 ただいま委員長より御指名をちょうだいいたしました自民党衆議院議員の中山泰秀でございます。

 麻生総務大臣におかれましては、予算委員会、非常に御多忙の中、そしてまた、外は昨晩雪が降るぐらいに非常に寒い中、インフルエンザもはやっておりますし、お体、御健康を維持されながら、ぜひ国政のために行政庁のおさとしてますます御活躍をいただきますことをまずもって心から御祈念申し上げたい、かように思う次第でございます。(発言する者あり)不規則発言で、風邪など引かない大臣だということもございましたけれども、それぐらいの勢いでぜひ頑張っていただければありがたいというふうに考えております。

 私は、本日の質問の趣旨というのは、やはり、日本でいろいろな経済活動が行われているということ、それはずっと日米安全保障また各外国の協力、そしてまた日本独自の国防の観点に立った防衛庁、外務省等の活動、活躍、そういったものがあってこそ初めて、日本のサラリーマンがアタッシュケース一つでブラジルに行き、もしくは北米に参り、そしてまたヨーロッパに出張して、その個人が所属している日本の企業もしくは法人が利益を出し、納税をし、そして国家のために貢献ができるようにという思いで頑張っているんだと思いますけれども、その国防上の観点から見た総務省、いわゆる旧郵政省を含めた役割の大切さということから御質問をさせていただけたらありがたい、かように存ずる次第でございます。

 総務省というのは、歴史的経緯を見ましても、ちょうど戦争中の逓信省という時代、そしてまた旧郵政省、現総務省と推移している中で、国防という観点から見たら非常に大切な部分を所管しているんじゃないか。特に、情報通信、情に報い信義相通ずという、その情報通信の中で電波監理業務というのがあると思いますけれども、電波というのは貴重な資源であるということは大臣もよく答弁の中で申されておられますが、その貴重な電波を使用しながら日本の国防というものも同時に行われているということでございます。

 これは、例えば自衛隊の根幹通信等も見ますと、NTTという電電公社から民営化された企業がそれをつかさどっている部分があり、そしてまた日本の隣には外交上非常に問題点が多い北朝鮮という国が存在をしており、核保有を明らかにし、六者協議にも参加をしない、原因は何だ、日本政府の態度だということをおっしゃるようなことが出ています。

 その中で、米国、日本とアライアンスを組みながら、日米安全保障条約の観点から見て、ミサイルディフェンス網、そういったものを整備する中でも、電波のカーテンというものを張り、ミサイルがいつ発射されたかをGPSで宇宙から感知し、そしてまたこちらから迎撃ミサイルを撃つにしても、電波の情報というものが非常に大切な役割を占めている。それを逆に日本の領域の中で監理をしているのが旧郵政省を中心とする現総務省であり、そしてそのおさが総務大臣ということになるわけでございます。

 そういった点から見まして、今現在、本来であったら防衛庁でございますけれども、それが防衛省に昇格をされる時代には、米国の国防総省のように情報通信のインフラをすべて独自の省庁で管理できる、そしてまた民間のノウハウもちょうだいしながら、それをなるべく国有化し、そして国防の安全上機密を守る意味でも、それを大切に保管していかなければならない。

 特にオウムのテロのときも、オウム真理教の一信者が、学歴も優秀で非常に技術的にもたけた方がNTTの職員として潜り込み、そして何らかの情報を得ようとしていた。九・一一以降を考えても、非常に問題点が多いと言われる中で、ぜひ、現総務大臣として、こういったハード面から見た、そしてまた電波事業を監理している大臣として、そういった総務省の役割、国防に対する役割ということに対してどのようなお考え、御所見をお持ちか、冒頭お聞かせいただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 昔と違って最近の方が、電波の国防の中に占める重要性は増したことははっきりしているんだと思うんですね。四年ぐらい前に、役所のホームページが全部いたずらされるという事件を境に、いわゆるサイバーポリスというものをきちんと装備する必要があるという話をして、結果的に警察の中にそれをつくることになったんですが、ああいうものをきちんと整備するということは、ディフェンスがしっかりすればオフェンスもできることですから、そういった意味では、これは非常に大事なところだと思っております。

 しかし、基本としては、電波というのは周波数が決まっていますので、そういった意味では貴重な希少財産ということになるんだと思います。したがって、これはかなり公平にされておかねばならぬ大事な資源だと思っていますけれども、そういった意味では、電波干渉ということを他国によってされるということのないように、電波監理というものは国の仕事の一つとしてきちんと監理されておかなければならない種類の仕事なんだと思っております。特に今、船もちろん、飛行機もちろん、ミサイルもちろん、最近ではPHSをつくって、おのれの位置を今どこにいるかというのを個人でも車からでもできるようなシステムになっております。こういった意味からも、PHSに限りませんけれども、そういったものは非常に大切なものだと思っております。

 私どもとしては、電波の割り当ての調整というのは非常に大事なものだと思っておるのと、それから、この種のものをむやみにジャミング、妨害されたりすることのないように、きちんと電波の監視をすることによって、混信というんですか混線というんですか、そういったことのないように、こういったことによって防衛業務に支障を来さないような常日ごろの監理というものは非常に大切なものだと思っております。

中山(泰)分科員 今総務大臣の御答弁にもありましたように、つい二、三日前も官邸のホームページに対するサイバーアタックがあったというふうに聞いております。そういった情報を私ども、もう既にインターネットで、人の伝聞よりも早く聞く。そしてまた、人の伝聞が起こるインフォメーション効果の原因そして源が、そういったインターネット上で走るようになってきてしまっている。

 特に、正しい情報ばかりではなくて、間違った情報、誤った情報、情報操作、プロパガンダ、そういったものも含めて、ネット上でいろいろな、いかがわしい情報から正しいものまでが一緒になってアーカイブという形で出てきている時代に、しっかりとしたディフェンスというものをサイバー上でも警察庁の方におつくりをいただいているという御答弁でございましたが、総務省としましても、今おっしゃっていただいたような、電波の帯域を守り、そしてまたその安全を確保し、そして第三者から妨害を受けることに対する神経というものを今後もぜひとがらせていただけたらありがたいというふうに思います。

 麻生総務大臣におかれましては、非常に射撃の名手だというふうに伝え聞いております。ミサイルを撃ってきても、何十年か前だったらずどんと撃てば落ちるかもわからなかったですけれども、今はそうもいかぬ。総務大臣の腕をもってしてもいけないという時代でございますので、ぜひ逆に、しっかりとした電波監理という重い重責を担われている役所として、防衛庁そして外務省とも協力をしながら、国防という観点から、官邸の会議も含めた上で、他省庁と連携をますます深めていただきたいというふうに考えておる次第でございます。

 今御質問させていただいたのは、ソフトというかハードというか、電波というのは目に見えない大切な有限な資源だというふうに私は考えております。もし電波というものに色がついていれば、恐らくもうここは、船の別れを惜しむ岸壁の紙のテープがわっと張りめぐらされているような状態になっているんだと思いますけれども、その電波というインフラ面で総務省は国防を支えているという認識を大臣はお持ちだということは、今わかりました。

 それと同時に、別のソフトというものも総務省が支えていらっしゃるというふうに私は考えております。

 特に、旧郵政省の郵便事業、簡保、郵貯という三事業を今民営化しようという小泉内閣の方針、そしてまた、私は小泉さんという総理を、そしてまた自民党の総裁を尊敬しております。

 どういう点で尊敬をしているかということ。それは、私自身も初めて衆議院の小選挙区選挙に出させていただいたのが二十四歳のときでございました。二十四歳のときに……(発言する者あり)はい、実は選挙期間中に誕生日を迎えまして二十五歳になりまして、投票日に二十五歳であれば選挙にラン・フォー・ジ・エレクションということができるということでございましたので、そのとき立候補させていただいた。結果は、四万三千百四十三票という貴重な票をいただいたのにもかかわらず、お役に立てなかったわけでございますけれども、しかし、その経験が今役立っていると同時に思っております。私は、この議事録をごらんになられる、私に前回の選挙で投票してくださった八万七千百八十七名の、私と会ったことがなくても中山と書いてくださった方に、本当に改めて感謝を申し上げたい。これは私ごとの発言で大変恐縮なんでございますけれども。

 その中で、私は小泉さんが偉いなというのをなぜ申し上げたかといいますと、私が初めて選挙に出るときも、一番最初の選挙の広報ビラに書いた文言というのは、正直者がばかを見ない、そんな世の中をつくりたい、出るくいが打たれない、そんな世の中をつくっていきたいというのを一行目に広報ビラで書かせていただいた記憶がございます。今でもその思いは変わりません。

 そしてまた、私が国会議員として今現在籍を置かせていただいている、国民の代議士として置かせていただいている中で、私のポリシーというのは一貫しておりまして、まず一つは、この日本というのは、国連の分担金、一九・八%を拠出しているにもかかわらず、ちゃんとした国連の委員会、例えば核軍縮の委員会なり、そういった施設が、そしてまた、世界じゅうの人々が集まって平和のために議論をできる場所というのが、国連のオフィシャルな場として日本の国内にはないわけでございまして、将来それを広島もしくは長崎にぜひつくっていきたいというふうに私は思っております。

 実は昨年、WYPSといいまして、ワールド・ユース・ピース・サミットというところで四十一カ国の方が集まって、世界じゅうから三十五歳以下のリーダーが集まって会議をしたときにそれを御提案申し上げたんですけれども、千人の方々が、デリゲーションが、満場一致の拍手をしてくれました。私はそれに本当に尽きる思いがありました。それをやりたいということ。

 あとは、教育の改革をやりたいという思い。これは、今いろいろな複雑な事件がふえていて、人をこんなふうにあやめることというのは今までなかったという中で、考えられない事件、事故が起きている。それに対して、守る、ディフェンスを、例えば子供に防犯ブザーを持たせるのも一つですけれども、そういった事件を起こさないような、犯人を生まないような教育というものをしっかりと、心の教育、ゆとりというものを与えていかなければいけないということが一つ。

 そしてまた、寄附金優遇税制というものも実はやっていきたいと思っています。昨年末も環境税の導入で、自民党の中も議論が非常に分かれてしまった。そしてまた、経済産業省の方から御業界の方にメールが送られて、大臣までがおわびを申し上げるという事態が発生した。そういった省庁間の対立、そして議員同士の対立。意見の議論であったらいいんでしょうけれども、その後に残ったもの、結果というのは何だったのかというふうに考えると、逆にプログレスというものが果たしてあったのか。あったと私は言いたいと思うんですけれども、どうかわからない。

 実は、私は賛成派にも反対派にも申し上げたのは、寄附金優遇税制、環境目的の寄附に対して税の控除を拡充するということ。それをやったら、恐らく棒グラフは、財務省もしくは環境省が試算しているような高い棒グラフは立たないかもわかりません、税収としては。しかし、寄附という目的で、奉仕をする、社会に貢献をしたいという心のあるお金の棒グラフが間違いなく立ったというふうに思っていますし、今、これだけいろいろな金融、経済にしても悪いと言われている中で、寄附金優遇税制というのが一つの突破口になり得るんじゃないか。病院の方でもそういったものをもっと拡充してもいいでしょう。文科省所管の学校の方でももっと寄附金優遇税制をやってもいいでしょう。総務省でも何かお考えになられることがあったらやってもいいだろうというふうに思っています。

 そして、私が今一年生で、今申し上げた三つの志というものを、同じく小泉さんは、逆に言えば郵政民営化をなし遂げたいという思いを一年生のころから持っていた。それをずんずんずんずん、選挙に落選もされながら、当選もし、そして連続当選をなし遂げられて、とうとう総裁選挙にも勝たれて、そして今内閣総理大臣という、国会議員なら絶対そこを目標にしていきたい、特に若い私どもなんかはそう思いながらやっているわけでございますけれども、政治家としてのだいご味というか、今その地位につかれた中でも、いろいろな意見をまぜながらもその御議論を御自身が改革の本丸として打ち出していらっしゃるという中で、私は、それもそうである、そのことは非常に尊敬はします。しかし、いろいろな面で議論がまだ不足している部分も正直あるんじゃないかなということ、それを実は私は心配をいたしております。

 特に、自民党の本部でも、政府側と自民党側で、園田先生を中心にされましていろいろと情報交換をし、そしてうまくまとまるように、そしてまた榎本武揚以来脈々と培った日本の郵政の大切なネットワークというものを守るということは当然でございますけれども、ユニバーサルサービスという面だけがずっと議論はされていますけれども、逆に、郵貯とか簡保とかの資金の運用の部分に関しては余り党内でも議論がされていないということ。

 それを逆にタブーだとして議論を交わさなかったり、一年生で、もうぷちっとつぶされるようなポジションにおりますから、私ごときの発言がどうなるかはわかりません。しかし、私自身も選挙で票を八万票以上ちょうだいしている代議士として心配をしている。いろいろな国会議員、四百八十人衆議院の中にいて、一人ぐらいこんな意見を言うやつもいてもいいんじゃないのかということで、実は申し上げたいと思っている。

 それが、第一問目で申し上げた日本の国防をつかさどる総務省の役目。それは、ハード面、情報通信をつかさどる電波監理、そういうものもある。しかし逆に、郵貯とか簡保の資金をもってして米国債を支えていたりということも、非常にある意味、日米の安全保障を支える、それを側面からフォローしていることになるというふうに私は認識を持っております。

 実際、歴代総理の中で、アメリカに行かれて、では財務省証券を手放しましょうかと冗談でおっしゃったつもりが、次の日の一面に株を下げた総理と出て、本当に株価が落ちてしまったことがある。逆に言えば、それぐらい日本の持っている米国債というものは非常に意味があるということを同時に申し上げさせていただきたいというふうに思いますし、経済市場を混乱させるために私は言うつもりはありません。アメリカとの同盟の関係の中でそれをしっかりと支えていくということは、今後も続けるのは当たり前のことですし、日米安全保障というのは日米のパートナーシップの中で行われている。それをこれからも堅持していくという立場で、民営化後、この部分をどうやって支えていくのかという懸念があるということを申し上げているわけでございます。

 その中で、現在、米国に対して資金を貸し付けており、そしてまた、郵貯、簡保の米国債の保有状況というのがいかがなものかということをお伺いさせていただけたらありがたいと思います。

麻生国務大臣 これはよく動きますので、買ったり売ったり、外貨準備高やら何やらが動きますので、なかなかこの数字というのは難しいところなんですが、いわゆる政府保証債というものやら社債やら含むものでいきますと、保有残高は郵貯だけで九千三百八十億、簡保が四千百五十六、これはいずれも十五年度末残高であります。

 そういった意味では、これはかなりな大きな額であることは間違いありませんし、その他、郵貯、簡保以外にもいろいろなものを日本が持っている部分がありますので、そういったものでいきますと、アメリカのかなりの部分を日本の資本が支えていることになっておるということはもう疑いようもない事実だ、私どももそう思っております。

 これは双方、お互いにここの点は認識した上で、強制的に買わされているというような話もよくされる方がいらっしゃいますけれども、中山先生、一つだけ頭に入れておいていただかないかぬのは、九二、三年、まだ最後のいわゆるバブル、土地が暴落するのは九三年からですから、九二年までのころには、大体民間は銀行に二十兆預金するんです。個人預金です。そして入ってくるわけですが、金融機関に入ってくるその金を、企業が約五十兆借りる。差額の三十兆は日銀やら何やらでこうやっていくという形が大体の流れだったんですが、九三年以後、どんとその流れが変わって、この六年ぐらいで見ますと、企業の金融機関への返済の方が借りるより多い。二十五兆六千億ぐらい毎年返しているわけであります。そうすると、二十兆預金が入ってきて、返済が二十五兆、四十五兆六千億のデフレ圧力があるというのが今一番の問題点なんです。

 簡単に言えば、今これだけ金利が安くてほぼゼロと言われる、ゼロでも企業は金を借りて設備投資をしないという前提で経済学の本が書かれた例は過去ありません。そういった異常事態に今なっておるので、簡保の場合も、ただいまきょう民営化されたからといって、借りるかといったら、企業は今返しているんだから、郵便貯金に来て金貸してと言う企業は、多分、量からいったらすごく少ないと思いますね。

 ですから、そういった意味では、ただいまで言えば、その金の運用先というのは極めて限られるというのが今の実情なんだと思いますが、ただ、これが十年たったらどうなっているかわかりませんよ。そこらの意味では、ここらのところの郵貯、簡保のお金というのは、きちんと運用されることに関しては、日米安保の上からも、日本の国債の運営の意味からも、このお金の使い方というのは、民になったからといって全部野っ放しになっちゃうというのは、かなりおっかない可能性をしょっているということは自覚がないといかぬのだと思います。

中山(泰)分科員 今、総務大臣から御指導賜りましたけれども、本当に、特にその最後のお言葉、民営化にきょうなったとしても、逆に言えば、その部分、アメリカとの関係を考えた中で、そういった米国債を保有することの大切さというのを一番御心配いただいているということ、それは私の質問の趣旨に対する、私が生意気言うのもあれですけれども、本当に完璧な御答弁だったと思います。

 やはり環太平洋を中心として、日本が地政学的に動きたくても動けない、北朝鮮そして韓半島、中国大陸というものと非常に近い中、そしてまた、今、在日米軍のいろいろな問題がある。特に沖縄、後世沖縄に特別な配慮をとおっしゃって割腹自殺をした沖縄の旧日本の軍隊の各将軍その他の御意見、そういったものも、私ども後に続く者としてしっかりとその意味を大きく踏まえて、逆に、その側面から今現在も日本の国防を守っている総務大臣とされて、今の御発言をしっかりとこれからも維持し、そしてまた逆に、それらの国民からお借りをするお金、預けてもらう貯金、そしてまた簡保、その資金というもの、それがどういうネットワークで、これからもお国が預からせていただくことができるのか、そしてまた、それが民間企業になった後も、いかにしてその運用を、国民のために意味のあるお返し、理念のあるお返しをすることができるのかということにこれからもぜひ御尽力いただきますように心からお願いを申し上げさせていただきたい、かように思う次第でございます。

 同時に、昨今テレビを見ておりますと、ライブドアというIT企業、ニッポン放送、ラジオ局を中心といたしましたフジテレビ、その三社の買収劇が行われているわけでございます。これに対して、いろいろなエコノミストの方々、そしてまた政界からも御意見が出ておりますけれども、大臣も御承知のとおり、日本は資本主義社会、そしてまた自由競争社会、特に経済上ではその原則というものをしっかりと守っていかなければいけないというふうに考えておりますが、逆に、若い者がまるで札束で先輩のほっぺたをたたくような行為というものがもしあったとすれば、それは道徳的には許されてはいけないことだと私は思っております。

 しかし、その中で、フジテレビが公共の器であるということ、そしてまた放送事業をつかさどっているということ、そこに外資が間接的に、リーマン・ブラザーズというところが八百億もの株を取得するための資金をライブドアの堀江さんという方に貸して、そのお金で間接的にコントロールするんじゃないか。リーマン・ブラザーズの方は文書を発表して、私たちはそんなつもりはないということを言いましたけれども、逆にその切り口が今いろいろな疑義を、議論を巻き起こしているのも事実でございます。

 その中で、私はこれが郵政民営化の中でサブリミナルに見えて仕方がないという思いがあるんですね。もし、郵政が民営化された後、株式が一般市場に開放されて、外資の方が間接的もしくは直接的に民営化された会社の株を保有した場合、そしてまた、そこに対してボードミーティングの中で意見を言って、それがもし日本の民営化された郵便会社やそういったところに影響を及ぼすような事態があったらどうなるのかなということを心配しております。

 そこで、電電公社がNTTに民営化されたとき、今、このNTTの外資規制の概要というのをちょうだいしましたけれども、NTT法では、NTTの議決権数に占める外国法人保有割合、外資割合が三分の一以上になることを禁止している。そしてまた、外資割合は直接保有分と間接保有分の合計で算出するということで、民間会社として政府が株も保有しながら、いろいろなガードというかディフェンスを考えられているということ。それに関して、この郵政民営化の中で、郵貯、簡保というところが民営化されて株式が市場に出た場合、外資に対する規制、もしくは外資に対する現段階での概念というものがあるのであれば、お聞かせいただけたらありがたいというふうに思いますけれども、大臣の御所見をひとつよろしくお願いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 これは中山先生、ライブドアの話が出て、いきなり、泥縄式の話が最近えらく多いんですが、日本という国に海外からの投資が起きるのをとめているような印象にとられるような拙速は避けたい、基本的にそう思っております。それが第一点なんです。

 もう一点は、今郵貯の例を引かれましたけれども、いわゆるワールド・トレード・オーガナイゼーションという世界貿易機構の中において外資規制をどうやってうまくやるかというのは結構これは難しいルールになっていまして、いかにもクローズな、閉鎖的な社会だということにならないようなことをきちんとやった上で今言われた御懸念を通さないといけないというところがちょっと技術的に難しいところだと思っております。

 それから、一番最初の質問に出ましたライブドアの間接投資というところなんですが、電波法ができました昭和二十五年ぐらいのときにはこんなことを想定してつくったわけでも何でもありませんので、直接投資の部分だけを考えたので今のような形になっているんです。

 アメリカとかフランスとかオーストラリアとか韓国とかいうのは、間接支援もだめ、投資もだめということになっておるわけです。アメリカの場合は、特に第二次世界大戦中、これは、在ドイツ系のアメリカ人が結構多かったものですから、そこだけの放送でばんばんばんばんやられて、かなりアメリカは後方攪乱を食らったという経緯がありますので、間接投資に関しましてもえらくきついことになっているんです。

 日本は今までこの種のことを余り想定していなかったものですから、直接投資だけという規制になっているんです。今現在、直接投資だけの規制になっているのはイギリスぐらいだと思いますので、そういった意味では、今回のこれは、いろいろな御意見があるんだとは思いますけれども、役所としては、泥縄式じゃなくて、きちんと手続を踏んで、その上でこの問題について検討するべしという話をやっておかないかぬところだと思っております。

 イギリスの場合はもう全く規制なしということになっていますけれども、あそこもそんなことは余りやられたことがないのだと思います。私どもとしては、今初めての状態が起きていますので、そこのところでおたおたするということではなく、電波という公共のものを、妙な形にならないように、簡保を含めまして、こういったものをきちんと、妙な形にならないように指導してまいりたいと思います。

中山(泰)分科員 大臣が今御答弁いただいたとおりで、その方向性でお考えをいただいたらありがたいと思います。日本の最後の金融のとりでという大切な部分でございますので、ぜひ慎重に御検討いただければありがたいと思います。

 そして、最後に一つだけ申し上げたいんですが、私は、外国投資、その国が育つためであれば、外国のお金というものをしっかり活用しながら、投資を断るのではなくて、ハゲタカすらも逃げるであろうと言われる日本の、投資後進国と言われていますから、ハゲタカもウエルカムで、まあ、ハゲタカもウエルカムと言ったら言葉に語弊があるかもわかりませんけれども、外国投資というものをしっかりと生かしながら、歴史的に見ても、ロシアのツァーがお金をいっぱい持っていたときに芸術家に投資をして、そのお金でサンクトペテルブルクというすばらしい芸術の町もできている。そして同時に、今度、アメリカがお金を持って、シリコンバレーにお金が集まったら、そこにロシアからもヨーロッパからもインドからも、いろいろな技術者が集まる。投資がどれだけその国にあるかということでいい人材が集まってくるということも効果として非常に大だと思いますので、ぜひその点を留意していただきながら、これからも外国の資本と日本の資本をしっかり融合させて日本のために寄与していただきますように、御貢献を賜りますように、御指導を今後ともよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 二田委員長にも感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 大臣、ありがとうございました。

二田主査代理 これにて中山泰秀君の質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十二分開議

伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。樽井良和君。

樽井分科員 民主党の樽井良和です。

 きょうは、テレビと同じぐらい皆さん見ていらっしゃると思うんですけれども、インターネットについて、またその管理体系についてちょっと質問をさせていただきたいと思っております。

 今、国民の生活やあるいは企業の経済活動に、完全なインフラとしてインターネットが利用されているわけです。普通の通信販売とかそういったところは言うに及ばないんですが、実際に、例えば株の取引ですと、日本証券業協会が半年ごとに取りまとめているものですと、例えば去年、平成十六年四月から九月まで、この上半期だけで六十五兆六千八百八十億円、これだけインターネットで取引されているわけです。

 そしてさらに、インターネットバンキングといいまして、今、銀行の口座にこういうところから振り込んだり、あるいは幾ら今預金の残高があるのかを見たりする、いわゆるインターネットバンキングなんですが、これは都市銀行は一〇〇%ですね、地方銀行と第二地方銀行でも大体九〇%以上がインターネットバンキングを取り入れている、そして、ここから先取り入れるという予定も入れますとほぼ一〇〇%、こういう状態になっております。

 こんな中で、この国民的な経済インフラになっておりますインターネットが、例えば現時点で突然停止したり破綻した場合、どの程度の経済損害あるいは損失が見込まれるだろうか。大体、概算でも結構ですが、総務省の方、算定しておりますでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 これは、正直言って、樽井先生、今の段階で何百兆でしょうという予測というものはありません。

 基本的に今、電子商取引の市場規模だけで七十七兆です。これだけでも物すごく大きな影響があるんだと思っているんですが、これは経済活動だけ見たって多分何百兆でしょうけれども、ほかに社会活動がありますからね、それもちょっと入れぬと。多分今、これのおかげでいろいろ支え合っているところが多いと思いますので、多大な影響が出るとしか言いようがないぐらい、余りにも広範囲かなという感じがしますので、ここらのところの、セキュリティーを含めて一番肝心なところだ、私どももそう思っております。

樽井分科員 七十七兆、そして社会活動プラスということで、本当に多大な影響力を持っているという認識を大臣はお持ちでありますが、実は、IT業界の方が口をそろえて言っているのが、インターネットの管理運営の脆弱性なんですね。

 実は、インターネットというのは、結局ドメインというアドレスがありまして、その管理運営というのが一体どうなっているのかというので、ここをまずちょっとお聞きしたいんです。要するに、ドメインをどういった機関が管理運営しているのか、ちょっとお答えいただきたいのです。

有冨政府参考人 ただいま御質問のドメイン名の管理運営でございますが、これはアメリカのカリフォルニア州にあります非営利法人、インターネット・コーポレーション・フォー・アサインド・ネームズ・アンド・ナンバーズ、ICANNと私ども呼んでおりますが、そこが国際的な政策調整を担っているというものでございます。

 この運営そのものは、ICANNの中に政府諮問委員会というのがございまして、そこに各国政府、国際機関が参加をして、ICANN理事会の意思決定に必要に応じて助言を行うという形になっておりまして、日本では総務省がこのメンバーになっております。こういう形で、官民が連携するというような仕組みになってございます。

 先ほども言われましたドメイン、住所のところでございますが、とりわけドットジェーピーというようなところがありますが、国別のトップレベルドメインでございます。これにつきましては、日本では、株式会社の日本レジストリサービス、JPRSと呼んでおりますけれども、そこが管理運営を行っております。ただ、その管理運営に対しましては、非常に公共性が高いということで、これに対しては、総務省と社団法人であります日本ネットワークインフォメーションセンター、JPNICと呼んでおりますけれども、そことが一緒になって監視等の役割を担っているというような体制でございます。

 こういった形で、国内的にも国際的にも、公益性という観点で官民が連携をとるというようなことでございまして、いろいろと、例えば料金が高いとかいうような問題もあるように聞いておりますけれども、こういったインターネットが安定的に運用できるようにという観点でいろいろ努力をしていきたいというふうには思っております。

樽井分科員 通告とちょっと順序を変えさせていただきますが、カリフォルニアにあるICANNということですよね。あれは、昔はインターNICという機関だったと思うんですが、私は昔、サーバーをきちんとセットするときに、アメリカからわざわざ英文で電子メールをいただいて、それでどうやってセッティングするのかをきちんと訳して読んで、向こうにお金を振り込んで設定する、そういったことをやった経験があります。

 そのときにまず思ったのが、何でインターネットというこれからすごく大事なこういった社会のインフラになるようなものを、アメリカに首根っこを握らせているんだということなんですよね。極端なことを言えば、アメリカとけんかをしたらアドレスを消されちゃうぐらいのことはあり得るんだと。消されないにしても、それはアメリカが管理しているのとほとんど同じような状態で、全世界のドメインが管理状態に置かれているというのがちょっと不審でならないんです。

 この辺の管理運営で、私、人事も含めて、アメリカに首根っこをつかまれているのではないかと思うんですが、この辺の、要するに日本のみずからの安全保障に対する取り組みというものはあるんでしょうか。

有冨政府参考人 ただいま先生御指摘のような、アメリカだけが全体のコントロールをしているというのはいかがなものかというようなことでございますが、これはインターネット自身の歴史的な経緯があるわけでございます。

 ただ、今このように日本だけじゃなくて国際的にインターネットが非常によく使われる、その利用に当たってアメリカの方がそれをコントロールしているというのはおかしいという声は、実は私どもだけではなくて、特に発展途上国の中からも大きな声が出ております。

 インターネットに関するいろいろな問題につきましては、これは現在、国連にインターネットガバナンス作業部会というようなものがこの前設けられまして、インターネットに関するいろいろなテーマについて議論しようじゃないかというような場がスタートしております。その中の一つの大きな問題として、今先生御指摘のように、なぜICANN等において、アメリカ政府のみが有する権限が強いのかということについても当然取り上げられておるものでございます。

 これに対しましては、これがどうかということについてはいろいろまだ議論が分かれておりまして、今申しましたように、むしろアメリカではなくて各国が平等な形で関与できる仕組みをつくるべきではないかというような強い意見もございます。

 ただ、他方では、そうはいっても、今でもインターネットは安定的に作動しているじゃないか、もしも妙な変革をすればかえって混乱を招きかねないんじゃないかというような形で、慎重な意見も出されております。これはどちらかというと、俗に先進国と言われるグループの方が強いわけであります。

 そういった中で、ワーキンググループの中で、この七月に報告書をまとめたいということで今動いておりますので、私どもとしては、日本の利益というものは何ぞやということについて、今申しました途上国の意見あるいはアメリカ等の意見も、これは一長一短があるんです。したがって、そういったことについてもよくよく見きわめながら、これは総合的に検討していく必要があるというふうには考えております。

麻生国務大臣 一昨年のジュネーブで開かれたWSIS、ワールド・サミット・フォー・インフォメーション・ソサエティーという会議のときも、今有冨が答弁いたしましたように、これは結構話題でした。特に世界の発展途上国、例えば中国、ブラジル、また南アフリカ等々の国からは、これはおかしいというのに対して、欧米先進国としては今言われたような話で、双方でやることになったんです。

 結論としては、企業や非政府組織、国際組織を含めたすべての関係者が参加する国際的なワーキンググループを設置して検討を開始しろということを国連事務総長に対して要請することで合意しておりまして、ことしの十一月にチュニスで開かれますWSISの総会でこの問題を討議するというところになっております。皆一様に問題点については認識があるというところだと存じます。

樽井分科員 認識されているということですが、今後、せめて日本に税金を払っているといいますか、日本の法人、日本人というのはできるだけ日本で管理できるように、日本は先進国ですから、その辺をいろいろな安全保障問題も考えてやっていただきたいと強く求めます。

 そして、インターネットなんですが、例えば新潟で地震が起こった場合、道路だったら、別に迂回していけばいいし、あるいは飛行機で飛んでいけば別に構わないんですが、例えばインターネットがある日突然通らなくなった、ダウンしたという場合、この代替措置とかあるいは復旧措置というのはお考えなんでしょうか。どういったやり方があるんでしょうか。

有冨政府参考人 これは今申されましたような災害だけではなくて、例えば、いわゆるDoS攻撃と呼んでおりますけれども、いろいろな攻撃もあり得るというようなことで、インターネットを管理する者、これは重要なテーマだというふうに認識をされております。

 したがって、とりわけドメイン名システムをしっかりと守るという観点でいいますと、例えば設備に過剰な負担がかかるということがあってはいけない。例えば災害でも、線が切れて特定のところに一度にトラフィックが集中する、その結果ワークしなくなるというのはいけないということなので、複数のサーバーを設置するということで、回線を多く引き、さらにサーバーも多く引く。一カ所のサーバーに一つじゃなくてサーバーも複数置くという形で危険分散をするというようなシステム、あるいはサーバーそれぞれの処理能力を高めるというようなこと。それからもう一つは、同じ機能を有する、俗に私どもミラーサーバーと呼んでおりますけれども、それを別な場所に置くということで地理的にも分散を図る。そういう形で各重要なサーバーを持っている管理者は対応しているということでございます。

 また、そういったことに対しましては、それを後押しするという意味では、総務省の施策として、研究開発をしながらもう少しセキュリティーを高めるような努力だとか、あるいは、とりわけトラフィック、流れが変だというようなことがあるわけでありますので、起こってからでは遅いということがありますから、どこにどういうトラフィックが流れているかということについて、これはしっかりモニタリングする必要があるというようなことで、これについてどういう仕組みがいいのか。あるいは、いろいろな災害とかDoS攻撃なんかで、特にそうですが、成り済ましというような形で、非常に多くのトラフィック等を流すということがありますので、それがどこから来ているんだろうかというような通信の相手を特定する、俗に言う、どこから来ているかということをトレーシングするというような機能をうまく運営できないだろうかというようなこともあわせて、これは産官学で連携をして研究しているということでございます。

樽井分科員 サーバーを分散させて置いているということなんですが、これはDNSでよろしいんですか。大親分になりますとルートDNSというのがありますけれども、これはちなみに何台ぐらい設置してあるものなんでしょうか。

有冨政府参考人 ルートDNSというものでございますが、これは世界的には十三台置いてございます。日本では東京と大阪、それから近隣でソウルとパリでございます。

樽井分科員 このルートDNSが壊れた場合、ちょっとインターネットがダウンして動かなくなるんですが、東京と大阪だけというのは、例えばサイバーテロとかの場合ですと、アタックかけてくるなりなんなり方法がすぐでき上がっちゃうので、もうちょっとふやしていただけたらな、こういうふうに思います。

 それで、先ほどもちょっと出てきましたけれども、インターネットをやっている上で、最近話題になっているというか問題になっております要するに成り済まし詐欺、フィッシング詐欺というのがあります。

 普通、例えば三井住友銀行とかのそっくりのホームページをつくり上げて、それを立ち上げて、中にカード番号とかを打ちますと、それを盗まれて、使われてばっとお金をおろされてしまうというような、振り込ませ詐欺とかそういうもののインターネットバージョンといえばいいと思うんですが、こういったものを放置しておきますと、これはどんどんとさらにふえていくことが予想されるんですが、この辺の対策の方は練られておりますでしょうか。

有冨政府参考人 今先生御指摘の、俗に言うフィッシングというような詐欺でございますが、とりわけこれは銀行等金融サービスの面で多いようでありますが、銀行等からのメールを装って、ネットの上で個人情報を不正入手していろいろ悪いことをするというようなことで、これはアメリカの方で随分被害があるというようなことで、いろいろ推計されておりますけれども、我が国でもその具体的な被害が出始めているというような状況でございます。

 したがって、私どもといたしましては、このフィッシング詐欺というものが、電子メールとかあるいはウエブサイト、これが主要なツールになっておるというようなことでございますので、ここは、インターネットのサービスプロバイダーというような事業者の協会、あるいはそれに関連する協会から成りますフィッシング対策推進連絡会というものをこの一月から立ち上げております。

 具体的に何をするかということでございますけれども、プロバイダーがメールの送信者を認証する、先ほどちょっと申しましたけれども、だれがどういう形でやっているんだろうかということを突きとめていくというような技術をどういうふうに導入するのか、あるいは導入を促進していくのか、あるいは、フィッシングサイトというものが、これはけしからぬわけでありますので、それをどういうふうにして削除していくのかというようなことに対する基準づくり、さらには、これは、それを見てうっかりクリックをするというようなユーザーに対しまして、危ないですよというようなものの周知啓発を図るというようなことについて検討を行っております。

 ただ、これは先ほど申しました、フィッシングというものは金融だけではありませんで、先ほど先生も御指摘ありましたけれども、物品の販売等々、いろいろございます。したがって、現在、政府全体でこれは取り組むべきではないかというようなことで、今、内閣官房を中心にいたしまして、その取り組みを、体制を整理し始めたというところでございます。

 したがって、私ども総務省といたしましても、実効性のある対策の実現という形に向けて、関係省庁とも十分連携をして積極的な対応を図っていきたいというふうに考えております。

樽井分科員 これは、何か犯罪が起こった場合に対処する、おまえ、だれなんだというのを追及するというのはあるんですが、未然にそれが起こり得ないようにするシステムというのは、今のところ、まだ開発とかはされていないんでしょうか。

有冨政府参考人 これは、未然にというのは今のところ難しいんじゃないかと思います。やはり詐欺という形ではっきりした段階で、だれがどうやったか、だれがこういう情報を発したかとか、具体的にどういうような詐欺行為を働いたかとかいうことを特定しなきゃなりませんので、それを事前に全部チェックするというのは事実上不可能じゃないかというふうに思います。

 ただ、先ほど申しましたけれども、何らか削除する基準とかいうものをつくっておきますと、それにひっかからないで済む確率は高くなるかなというような思いはございます。

樽井分科員 例えば、先ほど言いましたような、銀行とか証券のホームページであるとかカード会社のホームページであるとか、特にこのホームページからは甚大な被害が予想されるんじゃないかというホームページに特定の認証の暗号をつけるなり、何かそういったシステムというのがあれば、ちょっと難しい、私も思いつかないんですけれども、その辺のこともちょっと考えていって、一般のホームページと同じようにぽんと重要なホームページを管理するというのも、なかなか安全性においては問題があると思いますので、特別な何かアドレスなり、これは一個しか使えないような、そういった、わかるようなアドレスなり何かないものだろうかと考えているところであります。

 ぜひ、知恵を振り絞ってその辺取り組んでいかないと、大変な数の膨大な被害が及んでくると思いますので、その辺のところをよろしくお願いいたします。

 それで、ちょっと話は変わるんですが、スカイプというのが最近出てまいりました。要するに、パソコンにつないでおれば、例えばマイクとかがあれば、普通にパソコン同士で電話をかけられるんですね。それは国際電話でも、通話料、要するにパソコンの接続料金さえ払っておけば無料で話ができるわけです。

 例えば、いろいろな会社の人に聞きますと、中国でもスカイプが使えます、中国の会社とずっと国際電話で、パソコン同士でやりとりして、また、画面は例えばメッセンジャーなんかを使いますと、普通にテレビ電話として機能しちゃうという。これをそのままほっておきますと、NTTとか今まで既存の通信の会社、これが非常に危うい状態になっていくというふうな認識を持っておるんです。

 例えばNTTとかにいたしますと、今までメタルですぐれた通信網、インフラをつくってきて、それにただ乗りしてもうけているようなイメージですよね。こういった中で、新しいビジネスモデルが生まれてくるとは思うんですけれども、ただ乗りしてぼろもうけしていくことによって、今までのガリバー企業がちょっとした技術で押し崩されるような、これは国としても一つの問題としてとらえていかないとだめだと私は思っておりますが、その辺の認識あるいは対応がもしあればお聞かせください。

有冨政府参考人 今、スカイプの例を挙げられましたけれども、これは多分スカイプだけじゃなくて、いろいろな技術開発等あるいは競争の中で、既存の事業者のネットワークをバイパスするというようなことは多々あるんだろうというふうには思います。

 これを、余り具体的なことはいかがかとは思いますけれども、一般論的に言いますと、今申しましたように、電気通信分野というのは非常に技術革新が速い分野でございます。極めて速いと言った方がいいのかもしれません。また、参入自由ということでございますので、いろいろな事業者がいろいろな知恵を出してどんどん入ってくるというような、競争も激しいということでございます。したがって、この辺は、ある面でいうと、競争のあるいは市場原理にゆだねたという中での必然的な流れかなというふうに思います。

 その意味でいいますと、一つには、これは利用者の立場からいいますと、料金が安くなった、便利であるとか、あるいはいろいろなサービスが出てきた、これは便利であるとかというようなメリットも実はあるわけでありまして、ただ、今先生が御指摘のように、既存の事業者にとりましては、これは多大な経営に与える影響があるというようなことでございます。

 ただ、この辺については、やはり、こういう競争社会あるいは技術革新の流れを、ある程度先を見て、事業者がその経営努力を図ったり、あるいは新たな収益をもたらすような新しいビジネスモデルというものを構築したりというようなことがまず基本じゃないかなというふうに思います。

 今、スカイプのお話がございましたけれども、今のスカイプは、必ずしも私どももその詳細を一〇〇%把握しているわけではありませんけれども、今のスカイプのサービスは、パソコン・パソコンという感じの中での通話でございます。

 今先生も言われましたけれども、必ずその通話を実現するためには、相手のパソコンと常時接続でつないでおかなきゃならない、つまり、利用者は毎月月額のインターネット接続回線料金を払わなきゃならないという意味で、ただではない、電話はただだということではありますけれども、回線利用料は払わなきゃならない。それから、通話をするにしても、加入電話にかけるという場合にはやはり通話料も発生いたしますし、既存の加入事業者は、その相互接続というアクセスチャージも手に入れることができる。もちろん、そういった中で、バイパスをしていわば無料で電話をかけられるわけですから、影響はないとは言いません。しかし、今のところ限定的ではないかというような感じで受けとめております。

 しかしながら、今申しましたように、これからは、定額制というのが今相当広がってきておりますが、定額制とブロードバンド、こういうものが一体となっていろいろなサービスが提供され始めてきているといいますと、この流れは多分変えられないだろう。旧来の電気通信事業者というのは、従量制の電話料金で、電話というサービスだけで収益を上げようというようなモデルをつくってきたわけでありますが、またそれに依拠してネットワークを張ってきたわけでありますが、これからはそういう方式というのは相当難しい。

 したがって、この辺については、先ほど申しましたように、どう対応するかというのは、随分これは知恵を出していただかなきゃならないだろう、料金体系も見直したり、新しい経営資源の配分を考えたりしなきゃならないだろうというふうには考えております。

 ただ、総務省として、では、こういった大きな流れに対して既存事業者がどう対応すればいいのかということに対して、何らかのサポートをすることはないのかというようなお尋ねだと思いますけれども、私ども、今にわかに、こういうのがありますと言うだけのものはありません。ありませんけれども、例えば、制度的な理由によって、Aというサービスを開発したいんだけれども、こういうような事情でなかなかできないとか時間がかかるとかいうような意味で、臨機応変に事業展開ができないというような支障が出た場合、これについては、その新しい事業状況に応じたルールの設定というようなことも、これは考える必要があるのかなというふうには思っております。

樽井分科員 先ほどのスカイプですが、例えばスカイプですと、社員が七人ぐらいなんですね。それで、毎日三万人新たに会員がふえていっている、それを使用する人がふえていっているという状態ですので、このままどんどん加速していきますと、本当に通信網というのが、そういったことが実態になりかねないと思います。

 それで、使用者にとってはいいと思うんです。ただ、今までのインフラをつくってきたNTTとかにしますと、では、十年後にメタル線がさびたときに、何でおれたちが復旧させていかないといけないんだというそんな話になりますので、ただ乗りとかいうものに対してある程度のルールなりを設けていかないと、ガリバー企業をハチの一刺しで、技術で打ち倒してしまうというのも、それはそれで一つの流れですけれども、ちょっと社会的には問題だというふうにとらえております。

 実際にパソコンをつけっ放しじゃないと話ができないということですが、例えば、パソコンの子機をつくって、それが物すごい電波で遠くから話せると、もうつなぎ放題の携帯電話ができちゃうわけです、定額制の。定額料金を払っているといっても、さすがに千九百五十円とかで中国にも話し放題だとか、そういうこと自体が今までの常識を覆す流れとして出てきておりますので、これも一つの社会インフラ、あるいはいろいろな会社にしたら利便性もすばらしいと思いますが、この辺の交通整理あるいはビジネスモデルの整理も、ぜひ総務省の方には、力強く考えて、力を入れて改善していただきたい、そういうふうに願いまして、時間ですので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

伊藤主査 これにて樽井良和君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺分科員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、福岡市の博多湾の人工島の問題についてお伺いをしていきたいと思います。

 その前に、総務省として、第三セクターに対するいろいろな方針をお持ちだろうと思います。最近、全国で第三セクターの破綻が相次いでおります。多大な債務を抱えて、それが地方財政を一層圧迫して、市民、住民の負担となっているということが大きな問題になっています。

 この博多港開発、この場合も事実上経営は破綻しているわけですが、福岡市は、将来の地域経済の発展のための先行投資だ、こういう抽象的な説明で、博多港開発を支えることが必要だ、このように言っております。

 総務大臣、破綻した三セクの事業に自治体が手を染め、あげくの果てにそのしりぬぐいを市民の税金や公金で行っているということについて、大臣はどのように考えておられますか。

麻生国務大臣 赤嶺先生、バブルの前後ぐらいですか、あの辺から、第三セクターによるものでやった方がうまくいくのじゃないかというのが随分なされたのですが、バブルがはじけた後、第三セクターによるあれがかなり難しくなってきて、あちらこちらで破綻、累積の赤字がえらくふえて、経営としては立ち行かなくなったという例は結構あると思います、これは博多に限らず。

 大分前、旧自治省のころに、地方公共団体によるこの種のものに関しては、第三セクターに関するいわゆる指針というのを平成十一年に出しているんですが、その後も、第三セクターというものを取り巻く環境というのはそんなに生易しいものじゃないと私どもも理解しておりますので、一昨年、平成十五年の年末、十二月だったと思いますが、いわゆる総務省の自治財政局長通達というのを出したと思うんです。

 そういう意味で、今この種の経営というものにつきましては、これは地域によっていろいろ差があるんですけれども、そういったものに関しましては、安易な救済みたいなことじゃなくて、きちんとしたものをしなければならぬというようなことを書いて通達したと思います。今こうなってきてからではなくて、その前から、既存の団体についても一層きちんと見ておかなければだめというようなことをたしか通達したと思いますが、いずれにいたしましても大きな問題だと存じます。

赤嶺分科員 そうなんです。やはり第三セクターの破綻というのは、バブルの後、全国で相次いで、今大臣は安易な救済についても戒められておりましたが、この問題は国政上も極めて重要な課題だと考えております。

 国の財政も、約七百兆円の債務を抱えて、厳しい財政事情にあるわけですが、地方自治体の財政も極めて深刻です。福岡市の財政事情も例外でないということは大臣がよく御存じだろうと思います。しかも、長期化する不況、資産デフレ、このようなもとで大規模な事業を長期間にわたり行うことの優先性、これも問われていると思います。

 博多港開発の事業は、過大な初期投資、そしてずさんな収支計画、それから無責任な経営にあるという指摘がいろいろなところからなされています。

 私は、あらかじめ通告しておきましたけれども、博多港開発の経営状況について今政府はどの程度把握しておられるのか、また総務大臣についても、この博多港開発のことについてどのように考えておられるのか、聞きたいと思います。

瀧野政府参考人 博多港開発の経営状況についてのお尋ねでございます。

 博多港開発株式会社は昭和三十六年に設立されておりまして、平成十四年ごろまでの間はおおむね順調に推移してきたというふうに聞いております。

 ただ、平成六年度に着手をいたしましたアイランドシティの分譲につきまして、十三年度に開始したのでございますけれども、同時期に金融情勢の変化というようなことがございましたことから、協調融資団が非常に採算性を重視するような融資姿勢に転換してきているという状況がございます。

 これを受けまして、平成十四年度にアイランドシティの土地処分予定価格の見直しをするなど、新しい計画の策定を行う、これに対応して、市の方も資本金を増資するとかあるいは緊急貸し付けをするというようなことで対応してきたということでございます。

 その後、埋立地の処分単価が新事業計画におきます予定価格をさらに下回る、こういうような状況で、決算としては赤字に陥ってきた、こういうことのようでございます。

 今回、このため、埋立地につきまして、一部福岡市への譲渡というようなこととあわせまして、博多港開発株式会社の組織体制とかあるいは事業のあり方について見直しが行われているというふうに承知しております。

赤嶺分科員 今御説明にありましたように、アイランドシティ、これに取り組み始めて赤字、そういう事態になっている。これらのことについて、大臣も熟知しておられることだとは思いますが、どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 先生、福岡というのは人口五百万からあって結構でかいところでして、選挙区も十一区あって、ここはかなり遠いところなものですから、それを言われてもちょっと、北九州市の方なら、元選挙区でしたからまだわかりますけれども、博多の方になると私はなかなかわからないところなんです。

 いずれにしても、第三セクターというようなものについては、今いろいろ瀧野の方から話があっておりましたように、いろいろあるんだと思いますが、何となく、そのうちに土地が上がるだろうという話があったのだと思うのですね。ところが、現実問題としては、土地は今どうにか下げどまったかなという感じが、東京やら何やら、そこそこ、大都会の中心部で、ずっと底なしだったものが底が見えてきたかなというところまでは来ていると思いますが、いずれにしても、この種の話は先送りしない方がいい、私どもは基本的にそう思っていますので、なるべくできるところから片づけていった方がよろしいという指導もしているところでもあります。

 いずれにしても、第三セクターをつくっちゃった後、住宅供給公社とか、いろいろな形でやったんですけれども、需要が足りなくなったとか、地域によっていろいろ状況は違うと思います。この博多の場合は何をしようとされたのだか、最初のころの話を知りませんのでわかりませんけれども、いずれにしても、いよいよというときになって融資がとまったという例のあの件のときだったと思いますので、まあ運が悪かったといえば運が悪かったと言えるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、こういったものは結果責任ですから、きちんとした対応がなされるように指導していかねばならぬと思っております。

赤嶺分科員 きちんとした指導、対応というのは、先ほど大臣も説明されました第三セクターに関する総務省の指針ということになろうかと思いますが、これを地方公共団体に通知し、そして必要に応じ指導もしているということになっています。

 まず、その考え方ですね。その考え方と、それからそれの中身、どういう指導をしていくのか。今、大臣からできるところから片づけていってもらいたいというお話もありましたが、これらについてちょっと説明をしていただけますか。

瀧野政府参考人 第三セクターについての経営状況の把握なりあるいは指導の方向でございますけれども、我々としては、まず実態の把握をきちんとしようということの中で、地方団体の出資割合が二五%以上の商法法人、民法法人、あるいは、出資割合が二五%未満でありますけれども貸付金なり損失補償といった財政的支援を受けている商法・民法法人、それから、地方の三公社と言われる住宅供給公社等、こういったものを対象として経営状況の調査をしております。

 それによりますと、やはりバブル崩壊によりまして非常に経済環境が悪化しておりますものでございますから、非常に厳しさを増しているということでございまして、昨年度の調査対象になりました八千六百九十法人のうち、三千二百四法人、四割弱が赤字、こういうようなことでございます。

 そういうような中で、非常に厳しい状況でございますので、我々としては、通知を出しまして、四点の視点をとらえて経営の見直しをしてくれということを申し上げております。

 一つは、外部の専門家によります監査を活用するなど、監査体制の強化を図っていただきたい。

 それから二つ目には、政策評価の視点も踏まえまして、点検評価の充実強化を行っていただきたい。

 それから三つ目には、情報公開の様式がございますけれども、そういったことを参考に、積極かつわかりやすい情報公開に努めていただきたい。

 四つ目には、完全な民営化も含めて、既存団体の見直しを一層積極的に進めていただきたい。

 こういった四点を中心として御指導申し上げているところでございますし、また、全国会議などでも趣旨の徹底を図っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、地方財政、それぞれの団体の財政状況にも大きく影響する場合があるものでございますから、先ほど大臣も申し上げましたが、できるだけ問題を先送りすることなく対応していただきたいということを申し上げているところでございます。

赤嶺分科員 皆さんが今説明されました指針四点、それの詳しい中身として、公的支援のあり方、これについても触れておられると思います。

 「原則として公的支援は、その性質上当該第三セクターの経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費及び当該第三セクターの事業の性質上能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費等に限られるものであり、」として、「単なる赤字補てんを目的とした公的支援は行うべきではない」、このように指針では述べているわけですね。

 それで、この博多港開発の場合、独立採算で事業を進めるということであったわけです。議会や市民にもそういう説明をしてきました。ところが、先ほどの御説明にありましたように、経済金融状況の変化により経営が事実上破綻したために、市の財政が負担するという公的支援が続いて、公的支援で延命させよう、こういうぐあいになっているわけですね。それが市民に多額の税金の負担、これを強いることになっています。事業を継続すればさらに巨額の税金が投入される、こういう状態に今、博多港開発はなっているんですね。

 ですから大臣、第三セクターのあり方としても、皆さんの指針に照らしても、やはりいろいろ問題があるのではないかというぐあいに思いますけれども、その点いかがですか。

瀧野政府参考人 御指摘のように、公的な支援ということについては非常に慎重でなければいけないということを私どもも通知しているところでございまして、先ほど御指摘になられましたとおり、単なる赤字補てんを目的としたような公的支援は控えるべきだ、こういうことでございます。

 今回の博多港の場合につきましては、これまで行ってまいりましたのは資本金の出資とかあるいは貸付金ということで、将来の土地処分等によりまして、それについては返還されるという建前の中のものでございます。

 それから、今後もいろいろ事業計画の見直しをせざるを得なくなっているわけでございますけれども、金融機関の方からは、ある程度短期的な見通しの中での収支じりが合うということが融資の条件になる中で、実際に土地の処分について、もう少し長い視野の中で対応せざるを得なくなっているということも事実でございます。

 したがいまして、安定的、長期的な観点からこの開発をするということになりますと、民間の金融機関だけに頼るわけにもいかないということのようでございまして、その中で、一部地方公共団体の方に土地の譲渡をしていただくとか、あるいは公的な施設について一般会計の負担を求めるというような仕分けを市の方でしておるように聞いておりますが、基本的には、やはり土地の処分等で上がりました収益をもってその経費を賄っていただくということが基本でございますし、市の方も基本はそこに置いているというふうに聞いておるところでございますので、なおそういった立場で対応していただきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺分科員 基本はそういうことではあるんだが、一定の公的支援やむなき状態に今陥っている、それはそういうことですね。どうなんですか、実態としては。

瀧野政府参考人 実際にいろいろな開発をする場合に、住宅になる部分、あるいは企業用地として分譲される部分もございますし、そのほかに公園になる部分でありますとか、あるいは道路となる部分とか、公的な施設になる部分もあるわけでございます。実際、いろいろな第三セクターについての再建をする場合に、そういった公的な用地になる部分についてどういうふうに考えていくかというのは、それぞれの団体で考え方はいろいろあろうかというふうに思うわけでございます。

 我々は、そこのところはやはりそれぞれの団体で、十分議会で御議論されて御判断をされる部分かなというふうに思っておりまして、福岡市につきましても、そういった観点から、公的な施設について一般会計で負担するというようなことを検討されているというふうに聞いておりますけれども、分譲するような土地について、それを一般会計で、税で負担するというふうな対応というふうには聞いておらないところでございます。

赤嶺分科員 そこのところが、第三セクターが破綻していくことをとめられない詰めの甘さにもなっていくと思いますよ。

 そういうことを皆さんが認めてしまったら、道路や公園や、ここの博多港開発の場合はまだ人も張りついていないところですよね、人も張りついていないところを、しかし、もう実際の運営が破綻して、何とか公的支援の形をとらぬといけないから、学校をつくる、こう言っているわけですよ。学校用地の取得まで、直轄化した後のことですけれども、やっているわけですよ。

 こんなのは、そこの自治体において決めるべきものである、そういうことではないんじゃないかなと思いますけれども、そういう実態なんかをつかんでおられますか。

瀧野政府参考人 私どもも、先生の方から御質問があるということで、取り急ぎ実態をお聞きしておるところでございますけれども、詳しいところまで十分に把握できているかどうかについては、もう少し時間が必要かなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、そういう公的な施設、あるいは施設用地につきましてどういう負担区分にするかということになりますと、最終的にはやはりそれぞれの議会の中で十分御議論いただかざるを得ないかなというふうに考えておるところでございます。

赤嶺分科員 ここの博多港開発の破綻処理というか、金融機関から融資をとめられた後のそういう処理の仕方自体も非常に異常な面があるわけです。

 博多港開発には、市は五一%の出資をしております。株式会社の場合というのは、普通、出資の範囲内で責任をとるということになろうかと思いますけれども、そういう出資者責任の原則がありながら、経営が破綻して、そして清算、再建のための民事再生、産業再生機構の活用によって財産整理をなすという、こういう運営のあり方から遠く離れているんですね。結局、融資をとめられた、それで、博多港開発の第二工区は全部直轄でやりましょうといったぐあいにして、全部、市がその責任をかぶる。そして、銀行への支払いも、後でも指摘しますけれども、市が負担せざるを得なくなる、それがいろいろなところにしわ寄せが来ている、こういう問題があります。

 ぜひ、博多港開発に関して、私は、皆さんのお気持ちが、本当に三セクの破綻を食いとめたい、そして、市民や国民への負担にしていくのを防ぎたいというお気持ちがあれば、この博多港開発についても、きちんと実情を掌握の上、皆さんの指針に基づいて指導もするということをぜひお願いしたいんですが、この点、いかがでしょうか。

瀧野政府参考人 第三セクターの運営、経営自体が市の財政とある面で非常に密接な関連もあるわけでございますので、福岡市の財政状況がきちんとなりますように、また、第三セクターに対する財政援助をするといたしましても、それが単なる赤字補てんにならないよう、我々も十分注意してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 この質問を契機に皆さんもお調べになったということですが、細かい実情もまだ掌握されていないようでありますので、その点、ぜひ調査と指導をお願いしたいと思うのです。

 今度は、総務省にかかわる、博多港開発の起債の問題についてお伺いをいたします。

 破綻をして、福岡市は、二工区の埋立事業、これを直轄化するということになったわけです。譲渡代金が三百九十六億円、これを全額福岡市は起債で賄うということになっています。福岡市から起債の申請が総務省に提出されていると思いますけれども、どのような方針そして留意事項に基づいて審査をするつもりですか。

瀧野政府参考人 福岡市の方から起債の申請ということが既に提出されておりまして、御指摘のように約四百億円ということで埋立事業を継承したい、こういう内容でございます。

 我々といたしましては、本年度の起債ということでございますので、今後、造成地の売却益などで採算性が確保できるかというようなことを中心に審査して、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 この福岡市の起債は地方公営企業債ということですよね、港湾特会。これはまず採算性を原則として行われなければいけないですよね。その点はいかがですか、採算性という点では。

瀧野政府参考人 御指摘のとおり、今回申請が上がってきております起債は地域開発事業債という公営企業債の一種でございまして、その場合の許可の要件といたしましては、幾つかございますけれども、その中の一つといたしまして、当該事業が地域全体としての開発計画と適合していることということのほかに、事業効果が期待できて、採算の見通しが確実であることというようなこともございますので、こういった許可の方針に従いまして審査をしてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 この採算性ということについての当該事業に対する皆さんの評価はいかがですか。

瀧野政府参考人 実際、その審査につきましては今後検討するという部分が多いわけでございますけれども、これまで市の方からお聞きしている限りでは、市の将来にとっても非常に重要なまちづくり計画の一環であるということ、ただ、現在の経済情勢の中で、従来博多港開発で考えていたときよりはある程度長い範囲、長期的な視野に立った開発をしたいというようなことがございます。したがいまして、民間の短期的な融資よりは、地方公共団体が融資をいたしまして、長期的な視野に立った開発ということも一つの考え方かなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、地域開発事業債を発行いたしました場合に、それの償還が基本的にはその収益の中でできますように、我々も審査してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 第三セクターの事業が破綻をしたので、その破綻処理のために市がその事業を直轄していく、そのために三百九十六億円必要だ、そしてそれは起債で賄うといった場合に、そもそも何のための三セクによる事業であったかという、もう根本を問わなきゃいけない事態に今立ち至っていると思うんですよね。

 市は、港湾特別会計で独立採算で行うと言っているんですよ。それで、収支は五十六億円の黒字になる、こう試算しているわけですね。それは、しかし、第一工区の土地代よりもかなり高目に土地が売れるという想定ですよ。第一工区でさえ、うんと安い土地の値段でやったものでさえ売れ残っているのに、それよりも高い値段で売って五十六億円の黒字になる、その根拠も非常に甘いものがあります。

 その試算自体が非常に甘いわけですが、仮にその試算のとおりであったとしても、工事の直轄化ということによって何が起こるかといえば、本来博多港開発が担うべき道路や下水道などのインフラ整備費百十五億円、これを肩がわりする、それを一般会計から支出するというようなことになっているわけですね。

 さっきの学校用地もそうですよ。教育予算が破綻した三セクの処理に使われているんですよ、大臣、学校用地の購入という格好で。だから、黒字という見かけで出てきても、中身は大変な公費負担につながっていって、実際は赤字ですよ。

 そういうような事業に、本当に起債ということで、それを審査の基準にしなくていいのかどうか、こういうことを考えるんですが、大臣、いかがですか。三セクが破綻し、破綻した事業を市が直轄し、そして一般会計からいろいろな土地の購入という格好でそこに税金が投入される、そういうようなやり方というのはいかがですかね。

麻生国務大臣 これは具体的な例でひとつということになるんでしょう、福岡の例をそんなに詳しく知りませんけれども。何らかの形でやはり市も最初のスタートのところで関与をされたのでしょうから、そこのところはある程度責任は、市も、おれは全然知らないとは逃げられぬと思うね。だから、そこのところはある程度きちんと市もやっていかないかぬところなんだと存じます。

 今の、破綻していった時期というのは、ちょうどバブルの崩壊と時期はみんな合っていますから、そのころに何となく、あっちもやるならおれもやろうというのでわっとなったのが、甘い見通しで、でき上がったときにはバブルがはじけて企業の進出はとまった、誘致した先の企業は皆来なくなったという、多分それが重なって、あとの土地をメンテナンスするだけの資金繰りがつかなくなったという、多分そういう話がその背景なんだと思いますけれども、そういった意味では、やはり基本的にはある程度責任はとってもらわないかぬところだと思います。

 要は、今、少し経済事情が、経済というか、正確には資産のデフレというのが、まあ、あそこはすごく場所のいいところでありますけれども、資産の価額が少しは底を打ったかなというところではありますので、何となくよくはなってくるだろうなという予測はしますけれども、ただ、これまた安易な予測は極めて禁物でして、こういったものはきちんと最後まで、つくった以上は、うまくいった話ではなくて、悪くなった話もいっぱいよく調べた上でかからないといかぬという一つの戒めにしていただかなければいかぬところだと存じます。

赤嶺分科員 私は市が責任をとるべきだと思うのです。その場合に、総務省の責任も非常に重いと思うのですよ。この赤字を埋め合わせるために一般会計からどんどんどんどん支出していくやり方、赤字補てんのやり方、これは私は正しくないと思いますけれども、その点、最後にいかがですか。

瀧野政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、単なる赤字補てんということについては慎重でなければいけないというふうには思いますけれども、いろいろな状況の中で、公的な施設の部分について一般会計からどのぐらいの範囲内で負担をするのかというようなことについては議会で十分御議論いただくというのが一つの方向ではないかなというふうに思います。

 また、民間金融機関から借りるよりは、市が引き取って借りた方が金利が低くなるというようなこともございますので、そういったことを、全体を見ながら対応していただきたいと思いますし、我々もその点について十分留意してまいりたいというふうに考えております。

赤嶺分科員 終わります。それで、市の言い分だけで、皆さんのそこの指導を放棄しないように強くお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次に、宇野治君。

宇野分科員 自由民主党の宇野治でございます。

 きょうは、この第二分科会の質問をさせていただくわけでございますが、実は私も、本来であれば予算委員会の一般の方でこれをやる予定をしておったんですが、状況が変わっておりまして、この分科会にということで、三十分たっぷり時間があるので、そう質問項目はない、三つの質問でございますので、十分な御答弁をいただきたいなということをまずお願いしておきたいと思います。

 まず一番目は、スポーツ拠点づくり推進事業、この事業でありますが、スポーツ事業が総務省で管轄というのも本当に奇異だなという思いをしております。

 ただ、これは、たしか小泉総理が、昔一村一品運動というようなことがありました。各地域ごとでそういう何か目立ったものをしたらどうかということで、スポーツ大会を地域ごとにつくったらどうかという発想のもと、特にオリンピック選手であられる麻生大臣が管轄をしているということもあって、総務省としての地域の活性化のための事業というふうに理解をしておるわけであります。そういう事業がやられることは本当に私もうれしい思いでございます。

 実は、私も学生時代、テニスの連盟の理事長という職をやっておりまして、そのときに、テニスの普及を図りたいということから、大学王座の選手権大会を、従来は東京でずっと毎年やっていたんですが、やはりこれではいけない、地方でということから、私のときに広島で第一回をやろうということで、地方でやるということをスタートしました。

 それから、各地方等転々とするという大会になっておりまして、やはり、地域にとってはまだあのころは硬式テニスというのはなかなかマイナーなスポーツだった。まあ、天皇陛下の御結婚の関係があったんですが、それからちょっと落ち込んできたということもありまして、マイナーだということで、地域でぜひやりたいということでやった経緯があります。

 それと同じようなことが、今回、今度は全部のスポーツでやろうということで、非常に私は感心をしておりますし、ありがたいなというふうに思っておるんです。

 実は、去る一月の二十八日に、この拠点の地域が発表になったわけであります。私もそれを見てちょっとがっかりしております。私の地域からもお願いをした部分があるんですが、たまたま競合しているということもあって、いろいろ話を聞いておったんですが、まず大臣に、このスポーツ拠点づくり推進事業というものの意義というか、どういうことをねらっているのか、それによってその地域をどういうふうにしていきたいのかというような基本的なところをお聞かせください。

麻生国務大臣 これは、昨年の初めごろだったと記憶するんですが、閣議のところでいろいろ出た中で、地域で今かなり差がある、景気復興に関しても、東海地区はいいとか、東京はいいけれども北海道はだめとか、いろいろ地域差がえらい話が出たのが最初だったんです。地域を活性化させるための手口は何かという話が、閣僚懇談会のときだったかどこかで出たときに、私の方から、野球は甲子園、ラグビーは花園とだれが決めたんだ、勝手に、甲子園はいつの間にか、あの暑いときに何も暑い神戸でやる必要なんか全然ないじゃないか、もっと涼しい北海道でやればよかったものをとか、いろいろな意見は出るんですけれども、少なくとも、高校野球でいえば甲子園というものが結果として少年野球の夢みたいになり、ラグビーはいつの間にか花園になり、サッカーは多分、今、国立ということになっていると思いますが、こういったものをその地域でやるというのが、その地域がメッカになるわけですから、それが非常に大きいのではないか。

 それが、例えばスキーでいきますと、長野県白馬村ということに多分なるんだと思うんですが、白馬はやりたくない。なぜなら、ここは大量の赤字を抱え込むからです、その地域では。したがって、とにかく毎回毎回その赤字を抱え込むのはたまらぬというのが白馬の立場なんです。だから、メッカにならないわけです。

 そうすると、ちょっと来年そっちでもってというようなことで、ずっと持ち回りされるものですから、決してメッカにならないというので、それなら、いわゆる補助金の話でいけば、大した額じゃないんだから、その大会運営費やら何やらの一部を負担すれば、だって、旅費なんかみんな自分たちで持つわけですけれども、小さなところではなかなか持てない。ところが、白馬は村のところにホテルはいろいろありますから、宿泊施設はあるわけです。

 そういった意味では、今申し上げたようなメッカをつくるという意味からやったらいかがなものかというのが、町おこし、村おこしになるのではないかという話を申し上げて、たまたま地方自治担当だったから、いきなりぽんと振られて、私どもは、国民スポーツ担当大臣なんて、スポーツと名のつく大臣というのは多分日本の憲政史上初めてだと思いますけれども、それが文部省じゃなくて総務省に来るというのはちょっと待ってくださいと言ったんですけれども、とにかく地域担当だからとかいうのでぽんとこっちに振られて、今やっているんです。結果としては、今言われましたように、申請を求めたところ、あちこちから百以上、苫小牧のアイスホッケーとかいろいろ出てきたんですけれども、その中で二十八の大会を選定いたしたと思っております。

 その中で、いろいろ、アームレスリングは茨城県の友部町だったかな、何かそういったようなところで、なるべく、綱引きなんかそんなというんで、随分地方にも結構振るようにはしたんだと思うんです。もう一つは、やはり近くに宿泊施設のある程度のものがないと、全国大会を毎年継続というのは、結構やはり限られたことは限られたんだと思います。いずれにしても、事の経緯はそういうところでスタートしております。

宇野分科員 ありがとうございました。経緯はまさにそのとおりで、期待をするわけでありますが、確かに、宿泊施設なり、まずそのスポーツ施設というものを完備しなければ、まして全国大会という四十七都道府県の一応代表というのが集まってやってもらうというのでは、なかなか難しいところがあるんだと思います。

 ただ、この選定要領というのを見させていただくと、そういうことも特に書いていないわけでありまして、私が一番危惧をしておりますのは、やりたいという地方の町が手を挙げている、施設も自分のところは何とかするよ、宿泊もちょっと遠いかもわからないけれども何とかするよというところが手を挙げている。また、大都市が同じスポーツに対して手を挙げている、種目は一緒ですけれどもタイトルは違うようなものに手を挙げている。そのときに、さあどっちを選ぶかということになったときに、どういう御判断をするのかなということを心配するんです。

 私は、これは地域、町おこしということであれば、少なくとも政令指定都市は御遠慮いただくのがいいのかなと。確かに、政令指定都市は施設も完璧に充実をしているし、ホテルもいろいろな宿泊も完璧にできる。ただ、それだからこそ、いろいろなことをやっているわけなので、もし競合するようなことであれば、政令都市は遠慮していただいて、地方の都市に優先的に持っていってあげたらどうかなという思いがしておるんです。

 どうもこの選定要領を見ていると、そういうところまではうたっていないんですが、これは委員会で決めるような話なのかもわかりません。ただ、やはり大臣の思いなり総務省の思いとして、この事業そのものの位置づけがどうなんだということをしっかり委員会に言っていただかなきゃいけないと思うんですが、大都市圏でのこの地域、町おこしが本当にいいのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今回の中で、多分神戸だったと思うんですね。政令都市は横浜と神戸だったかな。さいたま市もそうですね。

 神戸のときはちょっと記憶があるんですけれども、神戸のときは、これはたしかダンスか何かでしょう、これはとても、ダンスなんかやろうなんというところはほかに、ここしかなかったんですね。これはもうはっきりしています。ほかのところがなかったのでこれになったんだと思います。さいたまはラグビーだったかな、ちょっと正式に全部覚えていないんですが。

 いずれにしても、今言われたのは、おっしゃるとおり、一つの基準として地域おこしというんだったらということだと思います。だけれども、さいたまの場合はできたばかりで、とにかくこれを核にして、おれのところは何とかというのが非常に強くて、ここのところの誘致運動はすごく熱心だったというのが、あのときの記憶では大きかったかなというのは、それは、私のところなんか来たってだめよ、私が選定するわけじゃないからねと申し上げた記憶がありますけれども。さいたまの方々がえらく熱心だったのと、何としても新しい、浦和、与野、大宮、合併してつくった町なものですから、自分たちの目玉として、全国区でずっとやれるものがというのがえらく御希望だったという記憶があります。ただ、おっしゃるとおり、政令都市に何もすることはないじゃないかというのは、一つの考え方だと存じます。

宇野分科員 ありがとうございました。それで一つ前進をしていただければいいなという思いなんですが、そういう中で、私もちょっと文科省に確認をさせていただいて、小中高を対象とする全国大会クラスというのはどのくらいあるのかということを見ると、大体四百大会ぐらいだろうということで、これはこれからわざわざつくれば別でしょうけれども。

 この四百大会、種目数はちょっとわからなかったんですが、四百ぐらいということは、今、全国の市町村と言われるのは、一時三千三百と言っていましたけれども、合併をして二千五百から二千近くになるという話になってくる。そのうちでこの四百をとり合いになるということになるのかなという思いです。

 そういう中で、私は、今言っているように、本当に小さいところでも何とかやってもらいたい。そのためには、さっき言いましたけれども、設備、施設の充実も考えていかなきゃいけないんですが、その辺は、今回のこの補助金と呼ばれるものの中で、一千万ぐらいの話だとほとんど何もできない。となると、ちょっと厳しいなということなんですが、国民の皆さん方、特に小中高生にとって、全国大会に、東京ということではなくて、先ほどの甲子園だとか花園だとかというような形の目標ができると、非常にこれは夢もある。

 そうすると、例えば私のところで、私は滋賀県の守山市ですが、守山で何々をやるというような話になったときに、守山にとってもいいですし、また子供たちにとっても新しい、旅行だとかそんなことができる。そういうことを考えると、ぜひ地方に、設備、施設を充実するということも必要なので、この辺も少しお考えをいただきたいなということも、ちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。

 それから、この基準でありますが、全国大会規模ということになるんですが、これは大臣もスポーツ、オリンピックも行かれているようなのでよく御存じだと思うんですけれども、これはもう千差万別、いろいろなやり方があるんですね。基本的には、各都道府県の予選会を通過して、四十七の代表をやるという大会にするんだということになるわけですけれども。ただ、一つのスポーツでそういうことにはならないし、また、小学生の場合には、なかなか予選から勝ち上がって、例えば県予選をやって近畿予選をやって全国大会と、こんなに何回も何回も試合をやっていられない。そうすると、どうしても推薦というような形で、地域の協会が、ここは確かに立派だというようなことで、推薦ということもあり得るんですね。

 ですから、そういうことも考えていただかないと、何でもかんでも予選大会をした者でなければだめだというと、それは経費もかかりますし、高校ぐらいになると、インターハイ等がありますから、こういうことになれているわけですけれども、小学校、中学校というのはそういうのがないわけでありまして、ですから、この基準についても再度見直さなきゃいけないのかなと。意外とこれは厳しい基準になっているんですね。例外事項は認めるということにはなっていますけれども、基本的にはそういう、予選会から進んで勝ち上がった者にしなければいけないというような形になっている。

 こういうことになると、なかなか、さっき言った四百の大会すらできない。その選定基準の中に入らない部分がある。そうすると、競技スポーツ、まずオリンピックスポーツと呼ばれるものについては、なかなか難しい。先ほど言っていたアームレスリングとか、こういう新しいものはそういうことが簡単にできるかもわからないけれども、オリンピックスポーツと呼ばれるものについてはなかなか難しいんですが、この基準の見直しということもぜひお願いをしたいんですけれども、この辺についてどんなお考えをいただけるのか。

麻生国務大臣 これは第一回目をやってみた上でいろいろ指摘が出てくるんだと、今、宇野先生が言われたような点もこれは考慮せないかぬということになるんだと思いますが、ただ、仮にも全国大会と銘打って総務省やら文部省やらの支援をくっつけてやる以上、終わった後、あんなやつらが何で行くんだと、毎日新聞の春の選抜野球みたいな話でもいつも毎年よく出る話であるんでしょうけれども。

 私どもから見ますと、きちんとちゃんとやりましたというのがないとなかなか権威としても出てこないと思いますので、ある程度出て決まってから後はちゃんと県予選だけれども、第一回目、二回目はというようなことをもう一つ考えておかないかぬことになるのかなと思わないでもありません。

 もう一つは、特定のスポーツというと、例えばスキーとしましょうか、それは青森やら長野やらだったら予選をやったっていいけれども、熊本で予選をやるなんて言ったってどうやってやるんだと。細川護熙でも代表になれたじゃないかと言われれば、そうなんですよね。だから、それは地域差のあるスポーツというのはどうしてもそういうことになりますので、ここらのところは言い方、考え方はちょっと一つ、どのみちそれはレベルの差は違うんですけれども、いずれにしても考えておかないかぬ大事なところだと思いますので、選手の選考の仕方については、回を重ねていろいろ研究せないかぬところだと思います。

宇野分科員 きょうは非常にいいお話を聞かせていただいておりますので、ぜひ、ことし、十七年から第一回、ある意味では第一回の大会が始まって、十年ほど同じところでやるということを基本に考えているということなので、その中でこれがなくならないように、しっかりと後々まで面倒を見ていただくように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、少し細かい話でありますが、軽油引取税の話を今井副大臣にちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 昨年は災害が非常に多かったわけでありまして、その災害の中で、消防の担う役割というのは非常に大きかったわけです。その消防署の自家発電装置が今いろいろと配備されつつあるわけですけれども、これが何と、昨年私が地元で話を聞いておりましたら、この自家発電に係る軽油の税金がそのまま取られているんだという話で、警察署の自家発は免税になっているのに、何で消防署は免税になっていないのかという話がたまたま地元からありまして、そういうお願いをしたところ、この十七年度から免税措置にしようということをやっていただきました。本当に、消防関係者にとってはいいかなというふうに思っております。

 たまたま、私、きょう全国の消防団意見発表大会というのがありまして、それに私の地元が出ておったので、その話を聞きに行きましたけれども、その際にも、地元の消防団から、先生よくやってくれたなということを言われて喜んでいるんです。

 そこで、私が心配することではないのかもわかりませんけれども、予算的に、これが免税になるということによって歳入が少し減るわけですね。歳入が減るということになるわけですが、どの程度減るのかなということをお教え願いたいと思います。

今井副大臣 宇野議員さんの大変熱心なお取り組みによって税制の改正ができたわけでございまして、大変意味のある税制改正と思っております。

 減税の額、実はささいなことでございまして、国家財政からすれば、八十兆を超える財政なんですが。今回の税制改正におきまして、課税免除措置による減収額でございますが、消防機関が試運転やあるいは訓練の際に使用する軽油の消費量から、全国で年間約二百三十万円を見込んでいるところであります。ただし、もっと大規模な災害ということも想定はしていかなければならないわけでございまして、長期にわたり停電したような場合には、被災地の規模、面積、停電の日数等によってこの減収額というのも変わってくるのではないかと予想しております。

 例えば、消防庁による試算でございますけれども、東海地震強化地域に指定されている地域において五日間停電したと仮定した場合に、約百八十万円の減収額が見込まれているところであります。

 以上です。

宇野分科員 ある意味では安心しました。そう大して財政に影響しないようなんですけれども、やはり地元にとりましては大変ありがたい、もう十万でも二十万でもというような思いがあるわけですから。

 あと、今もちょっと東海地震の関係のお話があったわけですが、確かに私も調べたら、この間の神戸の地震、あの大災害、また中越の大災害、このときも消防で相当使ったんだろうという話をしたら、意外と復旧が早かったので、電気がすぐ来たから、二日間ぐらいしか動かしていなかったということなので、ある意味ではほっとして、よかったのかなということでございます。

 こういう一つ一つの細かいこともあるわけですが、ちなみに、これはちょっと質問のお話はしてなかったかと思うんですが、こういうようなものはほかにもあるのかなという気がするんですけれども、消防については多分見落としだなと思いますけれども、公的なものでこういうのがあったら、また、これはぜひ早目に措置をしていただきたいということを最後にお願いしておきたいと思います。

 それから、続きまして、自動車税の関係でお話をさせていただきます。

 これもことし新たにつくられた税の体系でありますが、自動車税は毎年毎年自動車を持っている方は払うわけでありますが、持ちっ放しであればその地域で払っているわけですが、手放したときにはその税金がどうなるかというと、同じ県域の中であれば別に何も影響はないわけですが、県外にもし払った場合には、何か残った月数分戻すというような面倒くさいことをやっていたということであります。

 それを、分権の関係もあるのか、ということから、今回は県外に出したときについても十二カ月分そのままですよということになるわけですが、これは確かに、固定資産税もそうですね。固定資産税も、土地を持っていて、土地をあるときに手放したときには、そこまでの税金はそれは仕方ないわけですけれども、手放した後は自分は払い過ぎなわけですから、それは、売った相手が逆に払っていただく。これは別に、あくまで紳士協定という形でやっているようであります。これができているわけですけれども、この自動車税については、今みたいなときは、所有者にとって払い過ぎた分についてはどういうものが出てくるのか、それをちょっと教えてください。

今井副大臣 お答えいたします。

 宇野先生御質問のように、大体県内の移転が三分の二だそうです、いわゆる車の移転が。それが圧倒的に多いわけでございますが、お話しいただきましたように、このごろオークションなんというのがありまして、結構県外の取引ということも実はあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、この種の計算方法をなるたけシンプル、簡素にしていきたい、こういうことでございまして、県境を越える自動車の転出入におきましても、自動車税の月割りの還付がなくなる一方、転出先の都道府県での新たな納税義務もなくなる、こういうわけでありますから、そういう意味では、自動車税全体では税制の中立を保っていく、こういうことになるわけでございます。

 なお、個々の自動車取引におきましては、自動車税相当額、この部分が、例えば車検の残存期間によって取引のときに業者がそれなりの配慮、加算するなり減額するなり、取引価格に反映されることが考えられるだろう、こういうふうに思っております。

 いずれにいたしましても、この改正によって混乱があってはなりませんし、実際には十八年度からの適用を予定しておりますので、この間、一年間かけてしっかり周知徹底をさせていただきながら、皆様方の御協力をいただいて、それでシンプルなものにしていきたい、こういうふうに思っているわけであります。

宇野分科員 今お話しいただいたように、その戻すような仕事を中古屋さんがやるということになって、県内の場合はそれを価格に反映することになるわけですけれども、今回県外についてもまた中古屋さんにお願いをしなきゃいけないわけで、ぜひ、中古自動車の関係の団体に周知徹底をしていただいて、所有者に不利益にならないようにお願いをしたいなということです。

 それと、この事務をやっているのは都道府県の自動車税の事務所でやっているわけでありますけれども、この事務所が、これをやることによって相当仕事量が削減されるのではないかと私は見ている。各都道府県からも、もうこれはぜひやってもらいたい、自分たちの事務量を減らしたいということも言っておるわけなんですが、ちなみに、この都道府県の還付に係る事務というのは今どのぐらいやっていて、これができ上がった段階では、細かい数字はできないかもわかりませんけれども、何人分ぐらいの省力と呼ばれるものになるのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

今井副大臣 お答えいたします。

 今回の改正によりまして、年間約二百万件を超える自動車税の還付する事務がなくなることが推計されるわけであります。ただし、すべて還付事務がなくなってしまうのではなくて、自動車の登録が抹消されるときには還付する事務が残るわけでございます。

 そんなことで、いろいろと計算をしてみましたら、人数にしてという御質問でございますが、大体各県一名ないし三名、取引量によってそのくらいの職員の削減にはなるわけでございますので、これは行革にもつながりますし、いわゆる徴収率の向上、その方の仕事をやってもらうとか、そういう意味では意味のあることではないだろうかと思います。

宇野分科員 大変いろいろありがとうございました。今の自動車税など、前に西川きよしさんが言っていた、小さいことからこつこつとという、まさにそういうものの積み上げが行革につながっていくものかなという思いもしておりますので、ぜひまたこういうものがあれば、どんどんどんどん進めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤主査 これにて宇野治君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十八日月曜日午前九時三十分から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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