衆議院

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第1号 平成18年2月28日(火曜日)

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本分科会は平成十八年二月二十三日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      臼井日出男君    金子 一義君

      河村 建夫君    田中 和徳君

      小川 淳也君    松野 頼久君

二月二十八日

 田中和徳君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午後二時三十五分開議

 出席分科員

   主査 田中 和徳君

      臼井日出男君    河村 建夫君

      萩原 誠司君    小川 淳也君

      松野 頼久君

   兼務 飯島 夕雁君 兼務 田中 良生君

   兼務 橋本  岳君 兼務 山本ともひろ君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  橋口 典央君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  小室 裕一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    衞藤 英達君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 岡本 佳郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        桑島 靖夫君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労働保険徴収課長)     森岡 雅人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課長)  中沖  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用保険課長)       宮川  晃君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部企画課長)           中野  寛君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 増田 優一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  臼井日出男君     萩原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  萩原 誠司君     臼井日出男君

同日

 第一分科員飯島夕雁君、山本ともひろ君、第三分科員田中良生君及び橋本岳君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

田中主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました田中和徳でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 平成十八年度の総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十五兆八千二百八十六億円であります。

 小さくて効率的な政府を実現するとともに、デフレからの脱却を確実なものとするためには、さらに構造改革を加速、拡大し、二十一世紀にふさわしい仕組みをつくり上げていくことが必要です。

 本予算案は、これを踏まえ、行政改革、地方分権、ICT政策、国民の安心、安全の確保等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。

 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願いを申し上げます。

田中主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本ともひろ君。

山本(と)分科員 自由民主党、京都二区、近畿ブロック選出の山本ともひろです。

 本日は大変貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、総務省所管の事項に関して幾つか御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、携帯電話についてお伺いいたします。

 今現在、携帯電話というものは我々の日常生活で大変重要なツールになってきているかと思います。それは、大臣も含め、皆さん同じような認識だと思います。

 例えば、通話だけではなくて、電子メールの送受信、あるいはテレビを見る、あるいはインターネットにアクセスをする、あるいはラジオを聞く、果てはお財布にまでなる、大変貴重な生活のツールとなっているわけですが、その中で感じますのは、携帯電話の通話エリア、これも都市部と地方との、格差とまでは言いませんが、非常に開きがあるように感じます。

 私自身は京都市の出身でございます。京都市は政令指定都市ですので、大変大きな町あるいは都市部という形になろうかと思いますが、実は、私の出身地であります京都市の左京区というところは随分と南北に広い行政区になります。北部の方になりますと、例えば、大臣、地名を言われてもわからないと思いますが、例えば広河原、久多、別所、花脊、そういった地域になりますと、携帯電話は通じない。五人や十人の住民であれば特に問題はないんでしょうけれども、世帯数でいきますと二百以上になる、住民の数になるとその倍以上、五百人以上になる。その人たちが日常生活で携帯電話を使うことができない。もちろん、お持ちなんですよ。都市部に来られることもありますよ。しかしながら、携帯電話が通話できない、通じない。

 そこで何が問題かといいますと、セキュリティーの問題。政府は安全、安心だとよく言います。大臣も、多分こういった言葉はよくお使いになられると思います。各党の議員もよく使います。安全、安心、それが大事なんだと。

 そういった意味合いでは、京都市というのは、実は防災、防火に非常にすぐれた都市であります。それは、消防庁あるいは消防署の職員の皆様が日々熱心に活動していただいているということもあると思います。また、京都市は重要文化財がありますので、日ごろからそういう防災、防火の訓練が、歴史が、ずっと培われてきた、そういったこともあると思います。

 それ以外に、実は消防団、京都市の場合は各学区ごと、小学校ごとに消防団を組織して熱心に活動してくれています。したがって、防災、防火で非常にすぐれた成績を残しているわけですが、大臣は御存じだと思いますが、消防団というのは基本的にはボランティアです。サラリーマンの方もいますし、自営業者の人もいます。農家の人もいます。二十四時間です。連絡が来れば、すぐ現場に駆けつける。

 しかし、会社にいる人はオフィスに電話がかかってきます、自営業者ならその事業所に電話がかかってきます、農家の人たちは、例えば外で畑を耕しているとき連絡もつかない、駆けつけることもできない、そういったこともございます。

 確かに、民間で携帯電話はやっております。ですから、民間にできることは民間にということはいいことだと思うんですけれども、民間にできないことは政府でやる必要性があると思うんですが、そういった、今もって我々の生活で非常に大事なツールである携帯電話が通じないエリア、いわゆる圏外というエリア、国として、地方も財政は厳しいですが、国も財政は厳しいですけれども、国として何とかそういうところをカバーする、そういう対策を大臣はどのようにお考えですか、お聞かせください。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、携帯電話というのが本当に多面的に重要な役割を果たしていると思います。今にして思えば、携帯電話のない時代、私たちはどうしていたんだろうかと思うぐらい、本当に重要だと思うんです。

 委員は京都の御出身でいらっしゃいますが、私が大変親しくしております京都大学の教授が、実はちょっと夜酔っぱらって転んで骨折をしてしまいまして、携帯電話で家族に連絡して救急車を呼んで大事に至らないで済んだ、その友人が言っていましたけれども、携帯が通じる地域でよかったなと。そのことは大変実感があると私も思います。

 そういう意味では、私たちも、基地局の整備というのは重要であります、あくまで民間主導を原則としながらも、過疎地域等の不採算地域における整備に関しては国としても積極的に取り組むべき課題である、これは国としての対応が必要であるという基本的な認識を持っております。

 このため、総務省では、平成三年度から一般財源による補助事業、移動通信用の鉄塔施設整備事業というのを実施しておりまして、その整備に努力してきたところでございます。そして、これに加えまして、さらに整備を促進するために、昨年の電波法改正によりまして、電波利用料を財源とする補助事業、無線システム普及支援事業というのを新たに創設したところでございます。

 我々としては、これらの補助事業を活用しまして、携帯電話のサービスエリアの拡大に今後とも積極的に努めてまいりたいというふうに思っております。

山本(と)分科員 国としても積極的に補助事業を進めていただいているというお話ですが、補助事業ですと、どうしても国あるいは地方、また事業体も出資をしなければいけないという形になろうかと思います。できれば国でしっかりと何とか通話エリアの拡大に努めていただきたいなと思っておりますので、どうぞ御検討のほどよろしくお願いいたします。

 引き続き携帯電話のお話をさせていただきますが、今、携帯番号を持ち運びしようというポータビリティー制度の議論がなされています。その中で、私は、そもそも、番号というものを利用者が自由に持ち運べないというのは非常に不便だなと常々思っておりました。

 簡単なところ、一番最初に大きなA社という会社があった、そこで携帯番号をとった、携帯の契約をしたと。その後にB社、C社といろいろな会社が出てきた、いろいろな会社がいろいろなサービスを行っている、いいサービスもあれば悪いサービスもあるでしょうけれども。そういった中で、他の会社の携帯のデザインがいい、そこに変えたいと思っても、携帯の番号を変えなければいけない。変えるとなると、自分が登録している人たちにまた連絡をしなければいけない。大臣も御承知だと思いますが、携帯電話、十件、二十件の登録じゃありませんよね、もう何百件と登録をしている。それに一々番号変えました番号変えましたなんて、とてもじゃないけれどもできない。しかしながら、変えてしまうと本当に番号が変わってしまう。それを何とか変えようというポータビリティー制、非常にいいと思うんです。

 結局、一番最初に大きなシェアを持っていた、あるいは先行した企業が契約をとってしまうと、要するにその番号を、言い方は悪いですけれども、人質にとって自分たちで顧客を囲い込みができる、ユーザーを囲い込みができる。これがいわゆる市場原理で、公平性を欠くということになると思います。したがって、ポータビリティー制度を導入しよう、検討しようということは大変いいことだと思います。

 しかしながら、最近ある新聞で民間の携帯会社の方がこのようなコメントをされていました。日本の携帯市場はユニークである、他の先進諸国に比べてユニークであると。どういったところがユニークかというと、通話よりもメールを使う、携帯メールをよく使う、それが他の先進諸国に比べて日本の携帯市場のユニークなところだと。したがって、携帯の番号を移動できるというだけで携帯の会社を変えるのか、Eメールアドレスは変えられない、Eメールアドレスを変えられないのであれば、日本独自のユニークな、携帯メールをかなり使う、その市場の中で番号だけ変えられてもそうそうポータビリティー制度を利用しないんではないかというようなことをおっしゃっていました。

 一方で、総務省の研究会の報告書によりますと、余りメールアドレスはこだわらない、番号の方は必要だけれども余りメールアドレスはこだわらないというようなアンケート調査が出たと。したがって、メールアドレスの持ち運びに関してはそんなに早急に検討しなくてもいいだろうというような報告書が出ていました。いろいろ立場の違いがありますので、いろいろな意見があっていいと思うんですけれども。

 私もかなり携帯のメールは打つ方ですので、できることであれば、メールアドレスと番号が本当は一緒に持ち運びができれば非常に便利だなと思うんですけれども、そのあたりはいかがお考えでしょうか。よろしくお願いします。

竹中国務大臣 今山本委員が御紹介になりましたけれども、日本の携帯電話の使い方がユニークだと。確かに、世界の中で見るとユニークだと思います。携帯電話、電話というのはこうして聞くものだというふうに思っていたんだけれども、今、日本人はほとんど見るものだと、見て使うわけですね、まさにメールの利用頻度というのは非常に高いものになっているんだと思います。

 携帯電話の番号のポータビリティーについては、御指摘のように、これまでもいろいろな議論を踏まえまして、いよいよ本年の十一月一日から導入されるということになっております。このポータビリティーについては、利用者の利便の向上、利用者のチョイスがふえるということ、そういうチョイスを通して競争が促進されるという効果がありますから、やはりこれはこれで大変重要なことだ。十一月一日を控えて、マーケットそのものも非常に大きな変動があるんではないかということを言う方もいらっしゃるわけでございます。

 ただ同時に、これも今御指摘になられたように、メールアドレスに関してはなかなかそうはいかない。この理由は、ある意味で極めて単純明快な技術上の問題でございまして、今は携帯電話事業者とアドレスのドメイン名が一対一で対応していますので、それについて、ドメイン名の割り振りの仕方そのものがもうそうなっている、これは日本だけでなくて世界的に多分そうなるんだと思いますが、そういうことから、これはポータビリティーを実現できるものなら実現したいけれども、そんなに簡単じゃないということになるんだと思います。

 もちろん、これは競争を通してでございますから、ビジネスではいろいろな工夫が私はなされてくると思います。例えば、事業者を変更した場合に、変更後のアドレスに転送するようなサービス、昔のドメイン名を入れれば転送する移転サービス、これは多分技術的に可能でありましょうから、そういう工夫は民間の中で出てくるのではないだろうか。変更後のアドレスの一斉通知サービス、デジタルな記録は残っているわけでありますので、そこに一斉通知するようなサービスというようなことも考えられる。しかし、これは民間のサービスにおいてむしろいろいろな利便を競ってやっていただければありがたいな、私たちはそういう期待を持っております。

 もう一つは、ウエブメールなど携帯電話事業者のドメイン名に依存しないメールサービスを利用している場合には、これはもう当然のことながらそういう問題は生じないわけであります、携帯事業者とアドレスのドメイン名が一対一で対応していないわけでありますから。そういう方もいらっしゃるし、ひょっとしたら、こういうことをきっかけにそういう方もふえていくのかもしれません。

 技術的な問題としてクリアできない問題も現時点ではありますけれども、いろいろなサービスの競争を通して利便が高まるということを我々は期待しております。

山本(と)分科員 ありがとうございました。私もポータビリティー制度が本当にうまくいく、そしてまた市場が活性化されることを願っております。

 続きまして、NHKの問題を少し質問させていただきたいと思います。

 今現在、NHKは受信料がなかなかうまく徴収できないというような問題があろうかと思います。それも少しずつではありますが回復してきている、そういう話もございますが、そういった中で、今現在、NHKがBSデジタル放送等で、画面の左下隅に連絡を下さいというような、スクランブルではありませんが半透明で画面が見える、画面が見えるけれどもきれいにテレビを見るためには、そのメッセージを消すために連絡を下さい、連絡をしていただければうまく受信料も徴収することができる。受信料の公平負担という意味合いでは、私は非常にいい制度だと思っております。

 しかしながら、今の地上波では恐らく技術的にできないんだと思いますが、これから地上波放送も、地上波デジタル、いわゆる地デジというものが開始されると思いますが、その地デジの中においてNHKとしてそういったメッセージというものを掲載される予定があるのか、また、そういったものを検討していないというのであれば、なぜなさらないのかということを教えてください。

中川参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今衛星放送におきましては、メッセージ機能を出すということで衛星契約に結びつくということでいろいろ成果を上げているところでございます。このことは、地上デジタル放送におきましてもデジタル技術を使いまして可能でございます。

 ただ、それを実際に実現することになりますと、特別な信号を地上デジタルの放送に乗せて発射していかなければいけないということで、まず一つは設備整備に大変多額な経費がかかります。それからまた、今、衛星デジタルの場合は一つ一つCASカードというものをテレビに差し込みまして、それでそのチューナーの個体識別をしているわけでございますが、そういったものを一台ずつ差し込んでいかなきゃいけないというようなことで、運用経費が非常にかかります。

 それで、地上デジタル放送を現在受信できるテレビというのは、大体八百五十万台ほど今出回っているというふうに考えておりますが、間もなく一千万台を超えると思います。それからまた、最近では、テレビだけではなくて、パソコン、DVDにもそういったチューナーがつきまして放送を受信できるというふうになってまいりました。そういたしますと、これは推計でございますが、将来には一億台から一億五千万台くらいの、そういったチューナーが出回るというふうに考えられます。そういったものに対するメッセージ機能を出すことになりますと、運用経費が大変多額になるということで、場合によっては、現在御契約いただいている契約世帯数をはるかに超える台数に対して維持経費がかかっていくということになりますので、そういったコストパフォーマンスを考える必要がございます。

 ということで、そのことも含めまして今多角的なところで検討を進めているというところでございます。

山本(と)分科員 そうなりますと、一億台という、またさらにそれ以上の台数が出るという、そうなりますと把握も大変でしょうし、確かに費用、コストもかなりかかるとは思うんですが。

 では、今現在、いわゆる車、カーナビなどにも附属についてくる車載テレビ、ああいうものでも、あるいは、おっしゃったとおりPCでもNHKは見られる。あるいは、これから携帯電話のワンセグも始めようと、それでもNHKが見られる。そういった場合の受信料の徴収はどうされるつもりですか。

小林参考人 お答えいたします。

 委員も御承知のとおりだと思いますけれども、言うまでもなく、放送法三十二条で、NHKの放送を受信できる設備を設置された方につきましては受信契約を義務づけられているということでありまして、それに基づきまして受信契約をお願いしておりますけれども、御指摘のように、車載テレビあるいはパソコンのテレビも同じでございます。あるいは今携帯電話でテレビが始まるということでございますけれども、それにつきましても、あくまでもテレビの受信機であるということでございましたら、つまり、受信機能がある、チューナーがついているということでありましたら、当然ながら受信契約の対象になるものでございます。

 ただし、受信契約は御家庭の場合は世帯単位ということでございますので、既に受信契約をいただいておれば、あと車載なりパソコンにテレビがついたとしても、それはその契約の中でということで、改めて受信契約を結んでいただく必要はないということでございます。

山本(と)分科員 今、NHKの受信料は世帯単位だというようなお話でございました。世帯で払っていれば車載テレビの受信料を払う必要はないというお話だったと思います。

 そういう話でいきますと、例えば病院、ホテル等に我々が行った際に、テレビを見るのにお金を払わなければいけない。これは、世帯で払っているにもかかわらず、病院に行ったりホテルに行ったときに、テレビを見るのに、NHKを見るのにお金を払わなければいけないというのは、受信料を二重に支払っていることになるということでしょうか。

小林参考人 いわゆる世帯以外の受信契約に関連することでございますけれども、それにつきましても、放送法に基づきまして総務大臣の認可を受けて定めております日本放送協会放送受信規約というのがございます。それに基づきまして、事業所、ホテル、病院等も入りますけれども、それにつきましては、テレビを設置していらっしゃいますと、そのテレビの設置者であります事業者の方から、それぞれの客室あるいは病室ごとに、テレビ設置台数に応じまして受信契約を結んでいただくということの定めがございます。そういう形で現在受信料を支払っていただいているということでございます。

山本(と)分科員 済みません、ちょっと私、理解ができなかったんですけれども。

 私自身が、例えば病院に入院をすると。その部屋にテレビが置いてある。そのテレビを見るためには、廊下にある、何かプリペイドカードみたいなものを買わなければテレビが見られないようになっている。そのプリペイドカードを私が買ってきてテレビを見る、NHKを見る。でも、私はNHKは世帯でちゃんと受信料を払っている。払っているにもかかわらず、NHKを見たい、でも病院では見られない、あるいはホテルでも見られない。プリペイドカードを買わなければ見られないというのは、やはりおかしいんじゃないでしょうか。

小林参考人 委員御指摘の点は、多分、御家庭でも契約されてお払いいただいている方が入院された場合ということでありますけれども、この契約の主体はあくまでも事業主さんであるということで直接契約を結んでいただくということでありますけれども、多分委員が御指摘いただいているのは、家でも払っていれば、入院した場合は間接的にまたその分プラスアルファ払っているんじゃないかという結果になるんではないかという御指摘だと思いますけれども、これは基本的に、受信契約上あくまでも事業主さんの方と契約いただいていると。

 ちなみに、もちろんお宅からテレビをお持ち込みになれば、それにつきましては世帯の延長線上ということでお金をいただかないということになります。

山本(と)分科員 非常にややこしい理屈で、わかるようでわからないんですが、放送法で受信機を設置した事業者が支払わなければいけないというお話が今ありましたね。ホテルや病院であれば部屋ごとに支払う。そういう形になりますと、例えば大きなホテルあるいは大きな病院は、何百台という受信料を事業者が支払う。私、それも少しどうかなと思うんです。

 といいますのは、ホテルに泊まる宿泊者あるいは病院に入る患者というのは、国内であれば基本的には日本人が、日本国民が寝泊まりをする、日本国民はおよそ世帯でNHKの受信契約を結んでいる。外国の方がホテルに来ることもあろうかと思いますが、外国の方は、諸外国でNHKのBS放送を見ていたとしても別に受信料を払わなくていいわけですから、外国の方が日本のホテルに来ても特に問題はないと思うんです。

 ただ、日本人は基本的に世帯で払っているわけで、その日本人がホテルを利用する、病院を利用する、その際に、ホテルの事業者が何百台分も受信料を払わなければいけない。それも、既に受信料を払っている人たちが見るためのテレビが何百台とあるわけです。そのために、事業者が山ほど受信料を払わなければいけない。それは放送法で定められていて、NHKとしてはきちっと放送法を遵守して活動されているわけですから、何の問題もないと思うんですけれども。

 そうなると、この放送法そのものを少し考え直さなければいけないのではないかなと私は思うんですが、大臣、いかがお考えですか。

竹中国務大臣 NHKの問題に関しましてはいろいろなことがありまして、そして、受信料の支払いに対して、それを拒否される方も出てこられて、それを契機にいろいろな議論が幅広く行われているというふうに承知をしております。

 今の決まりは、もう繰り返しいたしませんけれども、放送法第三十二条で受信設備を設置した者はNHKと契約をしなければならないという形になっているわけでございます。したがって、設置する病院は、病院で受信機を設置したら契約しなければいけない、そういう仕組みになっているわけでございます。

 理念としては、これはNHKの放送を見ているかどうか、それのサービス関係に対応して料金を支払うのではなくて、これは広く負担を求めている負担金であるという考え方に今は立っているんだと思います。負担金と考える限り、今の制度そのものに一定の合理性があるというのも事実なんだと思います。しかし、現実問題として、本当に非常に多くのテレビを設置しているホテルや病院等々について同じでよいのかという素朴な疑問は、私は以前からあったのだと思います。

 実は、NHKにおきましても、平成十八年度から二十年度の経営計画におきまして、事業者のより合理的な受信契約への改定を平成十九年度中に実施することを検討するというふうに表明をしております。これは、要するに、今のいろいろな、世帯ごとに契約を結ぶとかというのは、日本放送協会放送受信規約というNHKの規約でありまして、この規約は総務大臣の認可になっているわけでございます。我々としましては、そういった声を踏まえて速やかにNHKにいろいろなことを検討して対応をしていただきたいという気持ちでおります。

 もう一つは、より幅広いNHKのあり方そのものについてもいろいろな議論がなされておりますし、また今委員もそのことに少し言及をされたと思いますが、通信と放送の融合時代を迎えて、総務大臣の懇談会におきましても、国民、視聴者の立場から、受信料制度を含めたNHKのあり方について、そもそも論も含めた検討を行っておりますので、そうした場での検討もしっかりと行ってまいりたいと思います。

山本(と)分科員 大臣も以前から私と同じような問題意識をお持ちだったと今お伺いして、大変ほっとしております。かなり、言葉遣いとして正しいかどうかはわかりませんが、ちょっと乱暴かなと思うんです、ホテルや病院で事業者が設置をした、それも何百台と設置している、それをすべて受信料を払ってくださいというのは。

 基本的に、日本国民は既に世帯で契約をしていれば受信料を払っている。にもかかわらず、ホテルの事業者、病院の事業者、別に本人が見るわけではありませんよね、ホテルを利用するユーザーあるいは入院患者が見るため。そのために相当その事業者が負担をするというのは、確かに負担金という意味合いでは相当な徴収料になるかとは思うんですけれども、少し放送法を、先ほど答弁もありましたが、いろいろなデジタル技術が進むことによって受信機そのものが至るところに出回ってしまう、それも億単位でふえてくる、その受信機を設置した者が契約を結んで受信料を払うという方法は、今までどおりの価値観でいきますと、この放送法そのものがなかなか実情に合わなくなる法になってしまうんじゃないかなと危惧をいたしておりますので、大臣としても検討していただきたいなと思います。

竹中国務大臣 先ほど御紹介しましたように、NHK御自身も、平成十八年度―二十年度の経営計画におきまして、事業者のより合理的な受信契約への改定を実施することを検討するというふうに表明をしておられます。

 どのようにするのが本当に公平な負担金の負担体系になるのか、これは実は個別の中身に入るといろいろな議論があるのだと思います。しかし、問題意識としては、事業者のまさにより合理的な契約という観点でNHKには検討をしていただきたい。そうした規約の認可に当たっては、総務省として、総務大臣としてしっかり国民的な観点から見ていきたいというふうに思います。

山本(と)分科員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて山本ともひろ君の質疑は終了いたしました。

 次に、田中良生君。

田中(良)分科員 自民党の埼玉十五区の田中良生と申します。

 私は、竹中大臣とお会いするのは、実はちょうど一年ぐらい前にホテルオークラのロビーでお見かけをいたしまして、無理やりお声かけをさせていただいて記念撮影を撮らせていただきました。それが一年後にこうして竹中大臣に質疑をできるということは、まさに光栄であり、夢のような思いでおります。

 私は、昨年の総選挙におきまして、自民党の公募によりまして八月十五日に公認をいただきました。それまで民間の企業人でありました。稼業といたしまして、教習所ですとか、タクシー会社、また織物工場、そういったものをやっておりました。また、二十代のころより、新規事業の参入ということで、有線放送事業ですとか、第一種通信事業、IT関係、また不動産事業、そのようなものを社長として経営をしておりました。ホリエモンほどもうかることができませんで、自民党の公認もいただくことができました。

 ただ、私は、社長は今おりて、新しい人生ということでこの政治の世界へ飛び込んだということでございます。ですから、この質疑も人生初めてということですので、ふなれではございますが、どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、まず、行政改革問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 行政改革推進法の成立に向けまして、今、総理、大臣、そして内閣、多くの方々が大変御尽力をいただいています。深く敬意を表するところでございます。私も民間の企業人として、民間は、私のような小さな企業を持っている者でも、人件費の見直しですとか、あるいはリストラ、人員削減、またコストの削減、まさに血のにじむような努力をここ十年ほどしてまいりました。今現在のこの安定した経済を支えているのは、やはり民間の血のにじむような努力がある、私はそのように思っております。総選挙においても訴えました。次はだれの番、やはり官のリストラ、官の改革の番であろうということを訴えながら選挙戦を戦ってまいりました。

 行政改革につきましても、平成十二年十二月に閣議決定されました行政改革大綱におきましては、行政組織・制度の抜本改革、地方分権、規制改革の推進、行政事務の電子化等電子政府の実現、あるいは中央省庁等の改革の的確な実施、それぞれを柱といたしました改革のあり方を定め、実施されてまいりました。

 またさらに、小泉内閣のもとにおきまして、平成十六年の十二月、今後の行政改革の方針を閣議決定し、行政改革を不断に取り組むべき課題とし、さまざまな課題を位置づけられております。政府及び政府関係法人のスリム化、行政効率化の推進、行財政制度及び運営の改善、透明化、規制改革の推進、電子政府・電子自治体の推進、公務員制度改革の推進、公益法人制度の抜本的改革、地方分権の推進等々、このようなものを掲げて、今まさに小泉改革の集大成、改革の総仕上げを実施しようと御尽力をいただいていることでございます。

 両者の文言また内容を比べてみますと、前者にありました地方公務員制度の抜本的な改革、そして、その中を構成する信賞必罰の人事制度、再就職に関する合理的かつ厳格な規制がなくなり、地方分権の推進に置きかえられていて、中央主導の色合いが薄められているように私には見受けられます。

 三位一体の改革が進められる中で、地方自治体でもスリムで効率的な運営が今求められております。政府は平成十七年十二月の二十四日に行政改革の重要方針を閣議決定され、総人件費の削減に向けて今口火を切ったわけでありますが、これに限らず、今後中央政府が行う改革を早期に地方自治体でも準用すべきものと私は考えております。この点に関しまして、政府の御意見はいかがなものでしょうか。

竹中国務大臣 まず、田中委員が本当に御立派に御活躍をしておられることを私も大変頼もしく拝見しているところでございます。

 大変重要な官のリストラについての御質問をいただきました。

 恐らく、民間企業人としての御経験、立場から見ますと、やはり官のリストラが大変まどろっこしく、遅くというふうにお感じだと思います。いろいろな会合、特にタウンミーティング等々で、官のリストラについて出席者からもっとやるべきだという意見が出されますと、必ずと言っていいほどその場で拍手が起こります。それだけ、国民の皆さんから見て、もっと厳しくやってくれという願いは強いというふうに思います。

 御指摘のように、昨年十二月の閣議決定で行政改革の重要方針を決めております。その中で、公務員の総人件費改革に関連をしまして、公務員の総数の純減五%というのを国家公務員について決めている。

 実は、純減五%というのを、その純減という目標が今までなかったわけですね、我々は一年前、二年前からやはり純減目標をつくろうということを言っていたんですが、ほとんど相手にされませんでした。それは話としてはわかるけれども、そんなことできっこない、公務員で純減なんかできないんだ、純減目標なんかつくれないんだと。グロスでといいますか、全体として下げる目標はあるんですけれども、しかし一方で必要なものをふやす。だから、純減がどのくらいになるかというのは目標値としてはなかったわけです。

 これは本当にできるのかどうかというのは、去年の夏ごろまでは私たちも自信がなかったんですが、それこそ郵政民営化のあの選挙を通して簡素で効率的な政府に向けての国民の意思表示をいただいて、いわばその勢いで去年の秋にこの純減目標というのを初めてつくることができました。やはりこれは一つの前進であったと思うんです。

 あわせて、委員のお尋ねは、地方についてもこうした観点からしっかりと取り組むべきだという御指摘と御質問なわけですが、実は地方の公務員につきましては、五年間で四・六%の純減を実現しております、過去について。これは、実は国家公務員の純減というのは、ちょっと数字は今持っておりませんけれども、せいぜい一%ぐらいでありますから、それに比べると地方の定員の純減というのは国家公務員をはるかに上回る形でこれまでもやってきたわけでございます。しかし、我々のさきの閣議決定においては、地方についてもこの過去の実績四・六%を上回るようにやるということで、私たちは、今そのことの呼びかけといいますか要請を地方に対しても行っております。

 また、給与についても地域の民間給与の水準を的確に反映したものでなければならないということで、今回の国家公務員の給与構造改革に準じた改革を徹底いたしまして、人事委員会機能の強化に取り組むということ、そして、特に地方公共団体の場合、給与情報等の情報開示を行うことが住民自治の原動力として大変重要であろうというふうに思っております。そうしたことの徹底を、行革指針の集中改革プランの作成を通して地方にも呼びかけております。

 そういうことを重ね合わせて、地方についても引き続きしっかりとした改革を行ってもらいたいというふうに思っております。

田中(良)分科員 ありがとうございます。地方自治体も、どちらかというと、私の受けている感じでは、やはり市町村の方が非常に実際の削減が進んでいて、その中間にある県、自治体ですね、都道府県、こちらの方の純減がなかなか進んでいないような感じも受けております。ただ、今お話をお伺いさせていただきまして、中央と地方と連携を持ったいろいろな形での改革をぜひ進めていただきたい、そのようにお願いする次第でございます。

 続きまして、地方行政改革、地方公務員対策に対する国の責任についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、三位一体の改革に当たりまして、地方の権限の強化とともに、地方自治体の効率的な業務の推進、人事制度の確立をまさに強力に推し進めて、中央と地方が一体となって目標達成に邁進していく、そんな必要があると思っております。地方分権の流れの中でこれを担保するということを中央政府としてどのようにお考えでおりますでしょうか。今の質問とダブるようではございますが、ぜひ、この間の行政改革の進捗状況を踏まえつつ、地方公務員制度改革に対する内閣の見解についてももう一度お話をいただきたいと思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘の地方公務員制度改革についてでございますが、これにつきましては、一昨年十二月に今後の行政改革の方針というものが閣議決定されておりまして、その中で、「地方分権の進展、住民の行政に対するニーズの高度化・複雑化等に対応して、公務の能率的かつ適正な運営を確保するため、より客観的な評価制度の導入を通じた能力・実績重視の人事制度の確立や職員の任用・勤務形態の多様化の取組を支援するなど、地方公共団体における改革を推進する。」とされているところでございます。

 私ども総務省といたしましても、こうした人事制度の確立につきましては、各団体で行われている優良事例の紹介でありますとか、あるいはモデル例を提示いたしますとか、そういったことを通じまして積極的に支援を行っているところでございます。

 またさらに、公務員制度改革につきましては、今お話もありましたが、昨年十二月の行政改革の重要方針という閣議決定におきまして、さらに、今大臣からもお話がありましたが、総人件費改革の進捗状況等も踏まえつつ、関係者との率直な対話と調整を進め、できる限り早期に具体化を図ることとされております。地方公務員につきましても、地方自治の本旨に基づきまして、地方公共団体の実情を十分勘案しながら、地方分権の時代に即した地方公務員制度の構築に努力してまいりたい、このように考えている次第でございます。

田中(良)分科員 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、地方自治体の発注業務での契約についてもちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 防衛施設庁の官製談合等に見られますように、公務員が退職して民間あるいは公益法人などに天下りをして、調達や工事情報を漏えいし、不適切な契約を主導する、そんな行為が頻発しておる現状があります。こうした行為は何も中央省庁の官僚に限ったことではなくて、地方公務員の間でも同様なことが起こっているのではないか、そのように考えられます。その点に関しての認識はいかがなものか、見解をお願いしたいと思います。

小笠原政府参考人 先生のお話もございましたけれども、公務員が営利企業と接するに当たりまして、厳正な服務規律の確保あるいは倫理の保持というものが求められることは、国家公務員であれ地方公務員であれ当然のことでございますし、私ども常にこれを心しておかなければならないことと考えております。

 ただ、先生のお話に関連しまして申し上げておきたいことは、地方公務員の場合、国家公務員に比べますと再就職の実態あるいは退職管理のあり方というものが相当異なっております。つまり、国家公務員のようないわゆる早期退職慣行といったものが地方公務員の場合ございません。あるいは、一般的に国家公務員と比べ営利企業に対する職務権限の影響力が相対的に限定されているとか、そういったこともございます。このように、御指摘があったような問題の背景をなす事情が、国家公務員と異なっているということは御理解賜りたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

田中(良)分科員 今話がありましたように、国家公務員の早期退職の奨励ですとか、今まさに取り組んでいる改革のものであろうと思いますけれども、であるならば、地方に見習えるというような部分もあるのであれば、国の部分においてもそういういいものを一度検討し、改革にぜひつなげていっていただければと思います。

 それではここで、これからの公益法人改革の方向性についてお伺いをさせていただきます。

 そもそも、民間と競合する分野におきまして過度の営利事業を行うということは、もともとの公益法人制度の設立意図から見てもおかしいのではないか、そのように感じるところでございます。

 現在、公益法人の認定基準及び遵守事項といたしまして「公益的事業に係る事業費が、原則として、全事業費及び管理費の合計額の半分以上を占めること。」というような縛りがかけられております。小泉改革が進めてきた、民にできることは民にという原則を重視いたしますと、これを改めまして、もっと事業の範囲を逆に限定するべきではないか、そのように考えますが、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 公益法人は、公益を本来目的とする法人である以上、公益的事業の実施を主たる目的としていなければならないわけでございますけれども、一方で、こうした法人が健全な運営を維持し、十分な公益的事業を行うための収入を確保することも必要でございます。

 このため、閣議決定、公益法人の設立許可及び指導監督基準等におきましては、先ほど先生御指摘がございましたように、公益事業の規模は総支出額の二分の一以上とし、収益事業はこの要件を満たしている限りにおいて認められるということ、収益事業は公益法人としての社会的信用を傷つけるものではないこと、収益事業の一定割合以上は公益事業のために使用することとされておりまして、公益法人が行う収益事業について一定の制限を課しているところでございます。

 新たな公益法人制度において、公益的事業の規模を見直し、公益法人が行う収益事業の範囲をさらに限定すべきではないかとの御指摘でございますけれども、法人が満たすべき公益的事業の規模について過重な要件を課すことといたしますと、公益認定の対象となります法人の範囲が限定されることになり、結果として、公益的な事業の促進を図るという新たな制度の目的を達成できないおそれもありますことから、基本的には、現行の指導監督基準で定められております制限と同等のものを課すことが適当ではないかと考えているところでございます。

田中(良)分科員 しかし、やはり、不要な業務の廃止ですとか人事の適正化、あるいは公正な人事評価、そういったものを進めながら、不正や非効率な業務の削減、これは何といいましても、今内閣が進めている小さな政府の実現にはぜひとも必要な改革である、私はそのように思っております。そのような観点からも、公益法人法に関しても見直し等をぜひ御検討いただければと思っています。また、中央政府の改革の意思を地方自治体にもぜひ共有していただいて、改革を強く推進していただくことをお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。ちょっと角度を変えまして、地方自治体から伺った声によりまして、臨時財政対策債についての質問をさせていただきます。

 現在、地方自治体は、三位一体の改革の推進などによりまして大変厳しい財政事情に直面しております。地方交付税の削減によりまして、不要事業の見直しなど地方政府も精いっぱいの努力を行っているようではありますが、それでもなお財源が不足して、やむなく臨時財政対策債に頼らざるを得ない状況だという苦しい声が聞こえてまいります。

 臨時財政対策債は、平成十三年に導入され、現在は十六年から十八年まで制度が延長されております。政府といたしましては、平成十九年度以降、臨時財政対策債をどのように取り扱いをしていく考えがあるのか、お聞かせいただければと思います。

竹中国務大臣 今田中委員が御指摘になられましたように、いわゆる臨時財政対策債につきましては、これは国と地方の責任関係の明確化を図ろうという観点で十三年度に導入したわけでございます。今は十六年度から十八年度までの三年間の制度として位置づけられております。当初十三年から十五年度まで、そして今は十六年度から十八年度ということで、これまでも例は二回、六年でありますけれども、三年ごとにそういう仕組みを活用してきているわけであります。

 仮に平成十九年度以降も現在の財源補てんスキームを継続していくとした場合には、財源不足が解消されなければ、これを補うための臨時財政対策債の発行額が拡大をしまして、元利償還額が累増していくということになるわけであります。このような状態にならないようにするためにも、とにかく早期に財源不足を縮小、解消して、臨財債の発行の抑制、解消に努めていくということが当然必要なことになってまいります。

 実は、そのためにも、歳出歳入一体改革と整合を図りながら、我々としては、今後の問題について、中期地方財政ビジョンの策定に取り組んで、できるだけ早期に健全な財政運営が可能となるように努めていきたい、その姿を示していきたいというふうに思っているわけでございますけれども、それでもなお財源不足が生じる場合には、地方財政対策を通じて、地方財政の運営に支障が生じないように適切に対処をしていくことになるというふうに考えております。

田中(良)分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次に、質問を変えまして、ケーブルテレビに関してのお話をお伺いさせていただきたいと思います。

 ケーブルテレビは、ここ数年で急速に普及してきております。その加入率は全国世帯の三六%、世帯数では千八百万世帯にも上っている、そのように聞いております。一方、ケーブルテレビ事業者の事業環境といたしましては、CS放送等の多チャンネル放送事業者、ビデオ・オン・ディマンド等のコンテンツ配信を行う事業者との競争の激化で大変厳しい状況にある、そのように認識しているところでございます。

 そこで、通信と放送の融合について質問をさせていただきたいと思います。

 ICT技術の進展のペースが非常に速く進んでおります。いわゆる通信と放送の融合が進んできていると言われております。一方で、技術の進展への制度的な対応が一般的には後手になりがちだ、そんなようなことも言われております。最近では、いわゆるIPマルチキャスト放送というものが出現をしてきております。

 そこでお尋ねをいたしますが、新しい技術への対応や通信、放送の融合の観点から、昨今、ケーブルテレビに関してどのような制度改正が行われているんでしょうか。また、いわゆるIPマルチキャスト放送と言われるものについて、通信、放送の制度上の位置づけがどのようになっているのか、お尋ねをしたいと思います。

清水政府参考人 今先生御指摘の通信と放送の融合の問題ですが、通信と放送の融合の場合には、例えば伝送路、例えば端末、例えば事業体の融合と、さまざまなステージがございます。

 その中で、とりわけ、近年、通信と放送の伝送路、これが光ファイバー等の進展とも伴いまして非常に融合という状況が進んできておりまして、いわばそれに対応するスタンスから、ケーブルテレビ等の設備利用の規制緩和を行うことを目的といたしまして平成十三年六月に電気通信役務利用放送法というのが制定されまして、翌年一月から施行されてございます。これによりますと、総務大臣の方で電気通信役務利用放送事業者の登録を受けることになりますが、これを受けると、みずから設備の全部あるいは一部を設置しなくても、電気通信事業者の役務を利用してケーブルテレビですとかCS放送を行うことが可能になったわけでございます。

 現在、ケーブルテレビに関しては、この法律の適用で総務大臣の登録を受けている事業者が十六社ございます。十六社ございますが、その中でも古い方式の例えば六四QAMだとか、いろいろな方式を使うものがありますが、IPマルチキャストを用いて行っている者は四社でございます。

 なお、こう申し上げますと非常に数が小さいようになりますが、このほかにも、いわゆるIPを用いて番組提供をしている、いわば通信の世界での事業をしている者がおりますのは、先生御指摘のとおりでございます。

田中(良)分科員 それでは、次に、デジタル化についてのお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、政府で進めている地上放送のデジタル化の推進に当たりましては、これだけ国民に普及しているケーブルテレビのデジタル化の対応を順調に進めていくことも重要な課題であると考えております。

 そこでお聞きいたします。ケーブルテレビのデジタル化の対応については今後どのようなスケジュールで進み、国としてはどのような取り組みを行っているのか、お話をお聞かせいただきたいと思います。

清水政府参考人 先生御指摘のとおりに、ケーブルテレビが全国約一千八百万世帯で普及しております。したがいまして、このケーブルテレビのデジタル化の促進が大変大きな課題だと思っております。

 電気通信審議会の方の答申、これは十一年五月に出たものですが、あるいはまたe―Japan重点計画二〇〇四においても、二〇一〇年までにケーブルテレビのデジタル化を目指すとされているところでございます。ただし、ケーブルテレビのデジタル化のためには、例えばヘッドエンド、受信設備から送信のところに至るまでのデジタル化、それから、伝送路、ケーブルテレビ自身が今持っていますのが例えば二百五十から四百五十メガぐらいだったりしまして、今回の場合七百七十メガぐらいが要りますので、それを広帯域化しなければいけません。

 その広帯域化が必要になりますので、総務省ではデジタル化を推進するために、国庫補助ですとか税制ですとか、あるいは、無利子あるいは低利子融資等の支援、それから、単価が安くなりますというメリットも出てまいります技術基準の整備等の措置を講じたところでございまして、平成十七年の十二月末現在の数字で約一千二百三十万世帯において地上デジタルの放送の視聴が可能になっているところでございます。まだデジタル化に至っていないところもございますので、今後も引き続き、先ほどの目標に応じての施策を実施してまいる所存でございます。

田中(良)分科員 二〇一一年にアナログの放送が終了するということであります。テレビをデジタルテレビに買いかえる、それができないと、アナログ送信が終了してしまいますから、テレビが見られなくなるということであります。

 例えば家で一台はデジタルテレビを買えても、今家の中には二台、三台とテレビがあるわけであります。このテレビは一体どうなってしまうのか。テレビがある日突然映らなくなるということが起こるわけであります。これはもう大変大きな社会問題になって、それこそ政権を揺るがす、それぐらい大きな大問題になる。今は、テレビの重要性、たかがテレビという思いもあるかと思いますけれども、実際にテレビが映らなくなると、大変な、マスコミもこぞって大騒ぎをする。これは今からもっと真剣に、新しいデジタル化のための施策も次から次へと打ち出して、そして、何といっても国民に理解をしていただく、周知徹底する、私はこれが足らないのではないか、これが現実であろうと思います。

 一方、ケーブルテレビは地域の町おこしということでスタートしたり、あるいは国の施策としての始まりは民間の活力、地域資本を利活用するということでもあります。IPマルチキャスト放送によりまして、伝送路を使うと先ほどのお答えでもありましたけれども、NTT回線を必ず使うということも出てくるわけであります、NTT独占という一時代前の状態に戻りかねない、そんな懸念も持っているところでございます。地域の振興という観点からも、ケーブルテレビに関しても、慎重なる施策、通信と放送の融合という部分に関してのお取り組みをぜひお願いしたい。

 時間となりましたので、質問を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

田中主査 これにて田中良生君の質疑は終了いたしました。

 次に、橋本岳君。

橋本分科員 自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 特に竹中先生には、今を去ること十数年前、私が大学に入りまして最初に受けた授業が竹中先生の経済学の授業でございまして、国会議員になってみると、郵政の委員会では大臣としておられ、その後また総務大臣にもなって総務委員会にもまたいらっしゃるということで、御縁があるなと思いますし、また、いい学生だったと思えませんが、先生の教えもあって、こういうような立場にならせていただいたこともあろうかと思います。心から改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 さて、きょうは、大きく三つの点について御質問をさせていただきます。ちょっと内容が盛りだくさんですので、答弁はできるだけ簡潔にまずお願いをしたいと思います。

 まず一つ目は、国勢調査を初めとする政府統計の問題についてでございます。

 昨日の総務委員会でも質問がありましたけれども、昨年秋の国勢調査の実施に当たりまして、さまざまな問題、トラブルなどがクローズアップされたということがございます。かぎのかかるマンションなどではなかなか調査員が入れない、会えない。あるいは、協力をなかなかしてもらえない。個人情報保護意識の高まりと言うと聞こえはいいわけですが、個人情報保護法とは相入れないし、むしろ統計法上はちゃんと回答、申告ということになりますが、義務がある。しかしながら、なかなかそれが周知されていない。また、調査員の方々にかかる負担もふえていまして、仙台市などでは大勢の方が辞退をされるというような事態も出たようでございます。

 こういう国勢調査に代表されます政府統計、これは、行政の運営を考えるその根幹をなす重要な基礎資料でございまして、スムーズかつ正確に実施をされることが大変大切であると思っておりますし、また、衆議院議員になる前は私はシンクタンクにおりましたが、その在職中も調査のために、国勢調査あるいは商業統計、そういったものの大変お世話になってまいりました。行政のための資料というだけではなくて、そういう民間あるいは学術的な調査研究の基礎的な資料としてもこれは大変重要な役割を持っているものというふうに私は認識をしておるわけでございます。

 さて、そこで二つお伺いをいたしますが、まず一つ、特に昨年明らかになったわけでございますけれども、その国勢調査の実施上どのような問題が生じたか、その背景にどのようなものがあったのかということ。

 それからもう一つ、それについて政府としてどのような対応を検討されているかということ。特に広報について、いつも国勢調査の年になると、ことしは国勢調査ですという告知が政府広報などであるわけですけれども、その時々で広報するのではなくて、常日ごろから、国勢調査というものの結果はこのように生かされていくですとか、あるいは国勢調査の重要性、必要性というものを常々から広報していく、その周知をしていく、あるいは、国民として実は義務という側面もあるということも周知をしていって、ある意味で愛される国勢調査を目指してほしいなと思うわけでございますが、そういうようなPR、広報などの改善を含めて、どうしていくか。昨年の問題に対する検討状況などについて、統計局長から御答弁をいただきたいと思います。

衞藤政府参考人 昨年の国勢調査は、先生御指摘のとおり、全国的には順調にいったと認識しております。この場をおかりしまして、国民の皆様方、九十万の調査員、それから市町村、都道府県の関係の官の方々にも御礼申し上げたいと思います。

 ただ、都市部におきまして、先生メンションなされましたように、一部において調査困難な状況がございました。具体的には、調査員が世帯と接触できない状況、それから、仮に接触できたとしても、なかなか場合によって記入を得られないような状況、それから、こういった困難な状況を予想しましてといいますか、調査員の確保がだんだん難しくなってきているような状況、それから、一部これはまた特異な、因果関係はよくわからないんですが、調査票を詐取するような、かたりのような問題もございました。

 これらの背景は、先生既にお話しございましたが、一つは、やはり都市部を中心としましたオートロックマンション。これは、東京都の場合、二十三区でも人口の半数がオートロックマンション居住者というようなことも聞いてございまして、かなりその辺で接触が難しくなったというふうに伺っております。それから、共働き世帯それから単身世帯の増加によりまして世帯が不在がちであって、ともかく接触が難しいというような問題、これも背景としてございました。それから、プライバシー意識。ちょうど四月ですか、個人情報保護法も施行になりまして、そういった観点もございましたでしょうか、プライバシー意識の高まりもございました。

 そのほかまだいろいろ背景がございますが、そのような問題がございまして、今の政府の対応でございますが、また五年先、五年ごとにございますので、かなり抜本的といいますか、根本的な見直しが必要じゃないかというふうに考えてございます。

 というようなことで、本年一月から有識者の懇談会を大体月一回ペースで開いてございまして、先ほど申し上げましたさまざまな課題を含めまして、分析でありますとか幅広い対応策の検討をしているところでございます。例えば調査方法のあり方、それから先生御専門のメディアを含めた国民理解の促進方。特に、先生もおっしゃっているように、五年ごとだけの広報ではなくてふだんの広報に心がけなくちゃいかぬのじゃないかというような議論も今ぼちぼち出てございます。それから、調査員業務のあり方、調査内容の検討もこの有識者の懇談会で考えてございます。

 というようなことで、大体ことしの夏ごろまでにはこの改善の基本的な方向をその懇談会で取りまとめていただくというようなスケジュールでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり、調査の意義とか必要性につきまして幅広い国民の皆さん方の御理解が必要と考えてございますので、日ごろからの広報を含めまして、かなり通年的といいますか、組織的、直接の実施広報だけじゃなくて、事前、それから実施広報、また場合によりましてといいますか、調査結果が出たところでの、事後広報という言葉が適当かどうかわかりませんが、結果を皆さん方に還元すべく努力してまいりたい、かように考えてございます。

橋本分科員 ありがとうございます。

 懇談会を設けて検討されているということで、ぜひその有識者の方々の御意見も伺って、またそれ以外の国民の方々の声も伺って、地味ですけれども本当に統計というのは重要な問題だと思いますので、その広報のあり方、それから調査方法、いいかどうかは別として、ネットを使うだとか、例えば今は全数ですけれども、必ずしもすべての項目について全数がいいのかどうか、あるいは調査内容、項目、そういったもの、見直す視点はいろいろあると思いますので、ぜひ、今抜本的にというお言葉もございましたので、しっかり見直しをして実りのある統計としていただきますように要望を申し上げます。

 ありがとうございました。

 次に、消防団についてお伺いをしたいと思います。

 地域の安全、安心を守る消防防災ですけれども、大きく、消防本部あるいは消防署による常備消防、それから、非常備消防と申しますか、地域の消防団によって守られているわけであります。もちろん常備消防も重要なんですけれども、特に、わざわざ別にお仕事、本業を持たれながら自分の意思でボランティア的に地域の安全を守る活動に従事をされている消防団の方々、あるいはその組織というのは大変重要なものであろうというふうに考えておりますし、本当に貴重な存在だというぐらいに私は思います。

 年末に、夜警をされる消防団のその機庫に激励に上がらせていただいたんですけれども、しっかりと皆さんが回っていらっしゃるということで、大変その認識を新たにいたしまして、大げさに申しますと感激もいたしました、こういう方がしっかり頑張っていらっしゃるということで。

 その中で、まず一つお伺いをしたいんですが、歩いている中で、消防団の施設あるいは装備がちょっと老朽化していると申しますか、平たく言うと、ここのポンプ車はひびが入っておってのうとか、そういうような話が出てくるわけでございます。これは主としては市町村が対応する問題であるというふうに考えているわけでございますけれども、団員の方々が安心をしてしっかりと活動していただくために、国としても何かしら関心を持っておかれる必要があるのではないかと思うわけでございます。

 国として、そういう消防団の施設、装備などに関して、もちろん数的な把握というのはあると思いますが、それ以外、どのぐらい質的な把握をされているか、あるいは、老朽化といった面も含めて、施設、装備の更新を促すためにどのような取り組みをされているか、教えていただけますでしょうか。

板倉政府参考人 消防団が非常に重要な防災機関であるということにつきましては、全く私どもも同じ考えでございます。

 消防団の施設、装備の状況でございますけれども、現在それぞれの消防団がどういう装備を持っているかということにつきましては、私ども調査をしております。常備と同じようにしておりまして、例えばポンプ自動車を何台所有しているとか、そういうことは調べておりますが、残念ながら、何年たったものを何台持っているかというところまでは実は調査はしておりません。ただ、更新をしておりますので、何年ぐらいで更新をしているかということを調べておりまして、消防団の例えば消防ポンプ車でありますと、十七年間ぐらい平均的に使用して、それで更新をしているというのが平均的な数字でございます。

 そういうことで、お話がありましたとおり、これは基本的に市町村で対応していただかなきゃいけない仕事でございますけれども、私どもといたしましても、やはり消防にとって、言ってみれば、人と資機材は両方とも大事でございます。そういう観点で、できるだけ装備を充実していただくという趣旨で、地方財政措置も講じまして、財政的に苦しいところはこういう措置を活用してやっていただくということでお願いをしてきているわけでございます。

 今後とも、そういう意味で、その重要性にかんがみまして、PRに努めていきたいというふうに思っております。

橋本分科員 ありがとうございました。

 十七年間という数字は、聞いて、なかなかインパクトのある数字だなと思っております。物もちがいいのはいいことだとは思いますが、それにもほどがあるなという気はいたしますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 もう一つお伺いしたいと思います。

 消防団について、やはりその団員数の減少というものが問題となっていると思います。十年前には約九十八万人だったのが、昨年では約九十一万人ということになっております。消防団の方々、要員を確保していくために、例えば消防団自身の存在の重要性というのをPRしていくだとか、そういうことも含めた要員確保の取り組みというのがどのように行われているか、それが十分であると思っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

板倉政府参考人 消防団員の確保につきましては、私ども消防庁にとりましても最重要の課題の一つだというふうに認識をしております。ただ、いろいろ対策を講じておりますけれども、残念ながら、こうすれば団員がふやせるという特効薬的な政策が見つかっていないというのが実態でございまして、これまでやってきたこと、また新しいことを組み合わせて、今一生懸命頑張っているという状況でございます。

 一つは、やはりPRが大事だということでありまして、入団促進のためのポスターですとかビデオを私どもの方でつくりまして、各地方団体に配付をするなどしまして、活用をお願いしている。と同時に、事業所向け、女性向け、大学生向けなど、それぞれ対象別のパンフレットをつくったり、インターネット、メールマガジンなどを活用していろいろとPR活動をやっております。また、表彰を積極的にやって、例えば消防団活動に非常に理解のある事業所を表彰するというようなことで、事業所の協力も得やすいような、そういうこともやっております。

 ただ、申しましたとおり、そういうことでなかなか減少に歯どめがかからないというのが実態でございますので、新しい方法といたしましては、一つは、郵便局の職員ですとか地方公務員、農協の職員、さらには大学生も含めまして、新しい分野に消防団員のなり手を開拓するといいましょうか、やっていくというのが一つ。女性の団員確保、これにつきましては大分前からかなり積極的にやっておりまして、相当ふえております。今後とも、これは一生懸命やっていこうということでございます。

 それと同時に、どうしても、非常勤の仕事ではありますけれども、夜中であろうが何であろうが起こされて、何かあったら行かなきゃいけないということもありますし、休みの日は休みの日で訓練に呼び出されるということで、かなりハードな任務でございます。そういうことで、ちょっと訓練は行けないけれどもやはり団員として何かできることをしたいというような方もたくさんいらっしゃるわけでございまして、これを機能別の団員という形で位置づけまして、フルではないけれども、機能別の団員という形でなっていただけないかと。

 団員を一回やめたOBの方、この方は非常に知識も豊富でございますから、そういう人に、もう一度団員となって、やれることをやっていただくというようなこと、そんなことをいろいろと考えております。これはかなり浸透しつつありまして、それなりにそういうことが効果を上げればうれしいなというふうに思っております。

 また、七割がサラリーマン化しておりまして、事業所に勤めている人が七割です。したがいまして、やはり勤めている先の事業所の理解がないと、休んで団活動に参加するというようなことも制限されるということでございますので、現在、消防団と事業所の協力体制に関する調査検討会というのを私どもの方でつくりまして、検討を進めております。もうすぐ一応の結論を出していただくつもりでございますので、またそれに従って、事業所の協力を何とか得て、一人でも多くの団員を確保する、活動しやすくするというようなことを目指していきたいと思っております。

橋本分科員 ありがとうございました。

 一筋縄ではいかない、簡単な問題ではないとは思いますが、例えば、私、正直なことを言えば、不勉強なせいもあるんですけれども、前、会社員をしていたころ、消防団という活動について深い理解があったかというと、余り知らなかったというのが正直なところでございます。常備消防、消防署については、例えば、学校でも事業所でもそうですが、防災訓練などのときにいらっしゃって訓示をされるというようなイメージがあるわけですけれども、消防団にそういうような場所というのもあってもいいんじゃないかという思いもいたしますが、そういうことも含めて、しっかりとぜひ今後とも取り組んでいっていただきたいと思っております。

 さて、ちょっと駆け足で恐縮ですが、三つ目の話題に移ります。

 電子政府についてでございます。

 これまで、e―Japan戦略を初め、さまざまな計画などの中で、電子政府というものの基盤というのがおおむね整ってきただろうというふうに思っていますが、残念ながら、まだ電子申請みたいなものについてその利用が進んでいないというのが現状であると思っております。

 その中で、ことし一月に策定をされましたIT新改革戦略では、二〇一〇年度までにオンライン申請率五〇%を達成するということを目標としてしっかりと掲げて、政府で決定をされておりまして、そして、竹中先生の総務大臣の所信においても、このことについて言及があったと思っております。

 このことについて、私ども自由民主党では、政務調査会のu―Japan特命委員会という委員会で、各省庁並びにユーザーの方々も含めてヒアリングをさせていただきまして、その結果を踏まえて、二月十四日に安倍官房長官に対して申し入れを行いました。

 申し入れの中で、まず「目標値」というのは、例外なく、二〇一〇年度までにオンライン利用率五〇%以上を達成するという目標を掲げること、それの実現に向けて、ただシステム化をするというだけではなくて、きちんと手続などから見直しをしていくべきではないか、添付書類やあるいは電子署名など省略できるものは省略をしてはいかがか、あるいはインセンティブのようなものをしてはどうか、あるいはそもそももっと使いやすいシステムに改善できないかといったような内容ですが、そういう提言をさせていただきまして、もし目標達成が不可能であればシステム投資を凍結する方向での検討を求める、そこまで、ちょっと厳しいかなと思いましたけれども、書かせていただいております。

 そこで、総務省さんはそれを監督されるというか応援をされる立場でございますけれども、実際にシステムをつくられて動かされている、法務省さん、国税庁さん、それから厚生労働省さん、社会保険庁さんもですね、その担当の方にきょうお越しをいただいております。

 先ほど申し上げました提言を受けて、今、オンライン利用促進行動計画の見直しをされていることと思います。まだ中間段階だとは思いますが、先ほど申し上げました申し入れを受けて、現時点で目標をどのように設定されていらっしゃるか、それから、手続の見直し、そのほかについてどのような方向で検討をされておられるか、現時点での御報告をお願いしたいと思います。通告しておりませんが、もし時間があれば、竹中大臣、最後に感想などをいただければと思います。よろしくお願いします。

深山政府参考人 法務省でございます。

 御指摘のとおり、現在、オンライン利用促進行動計画について見直しを行っているところでございます。

 まず、法務省の登記事件のオンライン利用促進ですけれども、登記事件のうち件数の多い登記事項証明書等の交付請求につきましては、これまでも、国民の利便性、行政サービスの向上を図るという観点から、平成十二年度よりオンラインを利用した登記情報の公開サービスを開始するなど、オンライン化を積極的に進めてきたところでございます。

 これらのサービスについては、これまでも一定の利用実績がございますけれども、インターネットを利用した登記情報の提供サービスにつきましては、本年四月から手数料の値下げを予定しておりますことから、今後も大幅な利用率の増加が見込まれますし、これらのサービスには電子証明書等の添付が不要でございますので、他の登記事件に比べてオンラインになじみやすい手続であると考えております。

 このようなことから、これらの手続を中心に、二〇一〇年度までにはオンライン利用率が五〇%以上となるような目標を設定する方向で検討しているところでございます。

 他方、オンラインによる権利等の登記申請につきましては、公的個人認証を初めとする電子認証制度の普及が十分に進んでいないこと、また、登記の先後により権利の優劣が決まるということのために、登記申請時に電子化された添付書類がすべて必要であるにもかかわらず申請に必要な添付書類のうち電子化が進んでいないものがある。例えば戸籍謄本であるとか官公庁の許可証、裁判所の判決などですけれども、こういった障害がございますことから、現時点での利用率は低い数字にとどまっておりまして、二〇一〇年度までに利用率を五〇%以上とすることは極めて高い目標値であると認識しております。

 しかしながら、不動産登記、商業・法人登記を初めとする各種の登記事件についてオンライン利用を普及させることは、国民の利便性の向上や事務処理の効率化という観点から極めて重要な課題であると考えております。

 そこで、これまでも、オンライン指定登記所の拡大、広報活動の充実、システムの改善、添付書類の見直しなどに取り組んできたところですが、さらに、司法書士や土地家屋調査士などの資格者とも緊密に協力をいたしまして、自民党u―Japan特命委員会からの申し入れも踏まえて、関係各省とも連携をしながら、利用促進のためにさまざまな工夫を凝らすことによりまして、オンライン利用の促進に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

岡本政府参考人 国税庁よりお答えいたします。

 国税庁といたしましても、オンライン利用促進行動計画の策定に当たりまして、いわゆるe―Taxでございますけれども、国税電子申告・納税システムの利用拡大に向けて、一層の取り組みについて検討を進めているところでございます。

 例えば、具体的には、第三者作成の添付書類、源泉徴収票などですけれども、こういったもののオンライン化であるとか、それから税理士を通じた一定の手続における納税者本人の電子署名の省略、それから還付申告で早期還付などができないか、これはインセンティブ措置になろうかと思いますけれども、そういった検討。それから、利便性ということで、確定申告期における実際のe―Taxの利用可能時間を拡大するといったようなこと、こんなことを鋭意検討しているところでございます。

 これらの取り組みによりまして、政府のIT新改革戦略に盛り込まれました、平成二十二年度までにオンライン利用率五〇%以上を達成するという目標を目指して、一層のオンライン利用拡大に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

 ただ、その際に、本人確認等のために必要となる公的個人認証など、認証基盤の普及拡大がやはり不可欠の前提であると考えております。その普及拡大に向けまして、政府全体として取り組む必要があると考えておりまして、関係府省との連携を図ってまいりたいと考えております。

桑島政府参考人 厚生労働省でございます。

 御承知のとおり、社会保険、労働保険という国民生活に密接にかかわる部分を所管しておりまして、その関係でオンライン利用を進めていかなければならないというふうに認識しているわけでございますけれども、平成二十二年度、二〇一〇年度までに全体のオンライン利用率五〇%以上というのを最低目標というふうにいたしまして、申請件数全体の約七割を占めておりますのが反復継続して行う手続、あるいは届け出契機が同一のもの、例えば退職とか採用、そういうものなどに重点的にオンライン利用促進の取り組みを行いまして、それ以外の手続への波及効果もねらってまいりたいというふうに考えております。

 具体的にはどういうふうなことを検討しているかということでございますけれども、まず、社会保険労務士、この関係は、特に中小企業事業主のかわりに社会保険労務士が届け出などの提出を代行するということがあるわけですけれども、その場合に、従来は事業主の電子証明書というものも必要だった。これではなかなか進まないということで、そのかわりに、事業主の電子証明書のかわりにID、パスワードというものを活用するということを考えております。

 それから、次に、雇用保険関係の手続では、雇用保険の被保険者証を添付しなさいということになっているわけですけれども、電子申請におきましてはそれを省略しても構わないというふうにしたいというふうに考えております。

 それから、三番目に、住民基本台帳ネットワークシステムというものがあるわけですので、こちらも厚生労働省としても使わせていただきまして、手続の省略を図ってまいりたい。

 それから、四番目でございますけれども、社会保険、労働保険があるわけですけれども、これまでどうしてもそれぞれ窓口が別々ということであったということですけれども、それらの手続につきまして、地方機関の窓口、各種説明会などで相互に利用勧奨を行うということをやってまいりたいということで、以上申し上げたような方策を現在検討している最中でございます。よろしくお願いいたします。

竹中国務大臣 橋本委員の大変御専門に近いITの分野での重要な御質問をいただきまして、うれしく思っております。

 そもそもITに関しましては、二〇〇〇年に、これも橋本委員の先生でいらっしゃる村井純教授に私自身が説得をされまして、やはりこういうことをやらなきゃいけないと。村井さんの議論は大変説得力がありました。そういう思いで私も、村井教授を当時の森総理にお引き合わせをして、額賀官房副長官にお引き合わせをして、そしてIT戦略会議が発足して、それが今のe―Japan戦略に連なってきたわけでございます。

 当時の議論は、実はやはりインフラだと。高速で安価なインフラをつくることが重要で、インフラができれば、その上に乗っかる利活用というのは何とかついてくるのではないかというような思いが本当に私自身ございました。しかし、一方で、インフラというのはなかなかできないだろうというふうにも思っていた。ところが、うれしい誤算としては、インフラが予想以上の速度でできた。しかし、残念な誤算としては、その利活用が思ったほど進まなかった。

 では、次の段階で利活用を進めるために何をしたらいいだろうかということで、実は一つは、やはりコンテンツの流通等々、そういったコンテンツの上に乗る分野の法整備をしっかりやらなきゃいけないというのが一つの課題。そして、もう一つの課題として、政府が直接これを扱う、やはり電子政府だということになったわけでございます。

 実は、現状の利用率は〇・七%ぐらいしかないわけでございますけれども、九十何%利用できるはずなのに〇・七%しかない。これはやはりしっかりとした数値目標をつくろうということ。今回、五〇%という数値目標をつくったのに加えて、それぞれの担当部署にいわば責任を持ってやっていただくシステムをつくったわけです。私はこれは大変重要であると思っております。これについては、各府省に三月末までに行動計画をつくっていただくことにしているわけでございますので、役所の組織というのは、目標を定めて責任分担をはっきりさせるときには非常にしっかり対応していただけるものというふうに私は思っております。もちろん総務省もしっかりやってまいりますけれども、今お話がありましたような方向で、政府として全力で取り組んでまいりたいと思っております。

橋本分科員 ありがとうございました。また、通告もしていないのに御答弁、本当にありがとうございました。

 ただ、今皆さんから御答弁いただいた中で、それは率直な意見だと思いますが、例えば公的個人認証が普及すればとか、であれば、それはさせるような努力をしなければいけないわけですし、書類の電子化などが進んでいないから難しいといったお言葉もちらほらうかがわれ、もちろん、基本的には前向きに取り組んでいただいているものと思いますが、そういうお言葉もあったなということはやはりちょっと気になるところではございます。

 これは大変巨額なお金を使ってつくるシステムですから、そのことは十分肝に銘じて、今後とも利用促進に取り組んでいただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

田中主査 これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。

 次に、飯島夕雁君。

飯島分科員 北海道十区、空知、留萌選出の飯島夕雁でございます。どうぞよろしくお願いします。

 さて、この冬は各地が大変な豪雪に見舞われました。特に新潟や長野では悲惨な事故も相次いだというニュースが連日続きまして、たくさんの事故が全国的に発生しております。こうした中で、国としては、自衛隊の派遣などいち早い対応がなされ、また、この豪雪に伴いまして、市町村道の除雪費補助の緊急措置ということを早期に対応してくださったということで、大変感謝をしております。

 そこで、改めて確認させていただきたいと思うのですが、国土交通省にお尋ねさせていただきます。この措置の内容を具体的に教えてください。

増田政府参考人 市町村道の除雪費についてのお尋ねにお答えいたします。

 市町村道の除雪費につきましては、通常、普通交付税及び特別交付税により措置されているところでございますけれども、降雪の著しい年につきまして、地方財政の措置だけでは間に合わない、そういう場合には特別に国土交通省が市町村に補助する、そういう措置を講じてきているところでございます。

 この冬の降雪状況は御案内のとおりでございまして、例年よりも早く、十二月中旬から日本海側を中心に大雪に見舞われまして、現在の全国平均の累加降雪深、これまでに降った雪の深さを足し上げた深さでございますが、これが平年の約二倍になっておりまして、また、もう既に平年の三月末までの累加降雪深をも上回るなど、記録的な豪雪となっております。

 したがいまして、このような降雪状況を踏まえまして、国土交通省としても市町村道の除雪費について補助を行うということでございまして、今お話がありましたように、二月三日に、一月十日までの降雪状況を踏まえまして、除雪費の不足が著しい市町村でありますとか豪雪による被害が著しい市町村を対象といたしまして、二十二道府県の百九十七市町村に、事業費約五十五億円、国費約二十八億円を緊急措置したというところでございます。

飯島分科員 ありがとうございます。

 今伺った内容にちょっと重ねてになりますけれども、この緊急措置を発動したというか対象になった百九十幾つの判断基準の部分ですが、市町村を選ばれたその判断基準をもう一回教えていただけますか。

増田政府参考人 今回の緊急措置に当たって対象市町村をどういうふうに考えたかというお尋ねでございますが、これまでの市町村道除雪費補助におきます対象市町村の選定の要件というのは、今までは二つございました。一つは、豪雪地帯に指定された市町村、または最大積雪深、最大の雪の深さが百センチ、一メートルですね、百センチを超える市町村、これが一つの要件でございます。かつ、二つ目の要件は、この冬の積雪量の累計、これは積雪積算値、こう言っていますが、これは簡単に言いますと一日ごとの雪の深さをその期間すべて足し上げたもの、積雪積算値でございますが、これが平年値の一・五倍以上となる市町村、この二つの要件でこれまで通常は対応してきたわけでございます。

 今回は、一部前倒しで一月十日現在で行ったということでございますので、それに合わせまして、そのうちの市町村のうち、三つ目の要件を課しまして、この冬の一月十日までの除雪費、実際かかった除雪費でございますが、これが平年の年間除雪費の七割をもう既に上回っている市町村でありますとか、あるいは、または災害救助法の適用を受けた市町村、そういうことで、その三つの要件を満たす市町村を対象に緊急措置、補助を行ったということでございます。

飯島分科員 どうもありがとうございます。

 私の地元選挙区も大変な豪雪地帯でございます。ことしも大雪で、空知管内、留萌管内、各自治体が除雪にかかる経費はかなり膨大なものになっておりまして、大変自治体の経費を圧迫しているという状況がございます。

 ですが、今御説明いただきました選定の要件のところで、割り算の分母が平年の積雪積算値、分子の部分がことしの積雪積算値でおおむね一・五倍というその割り算の部分が、空知管内でいくと、ことし七メートルぐらい降ったんでしょうか、大体平均そのぐらい積もると言われています。私も初めての冬だったので大変びっくりしましたが、この七メートルを一・五倍に超えるということは、もともとが深いだけに、現実的になかなかクリアできない基準でございまして、残念ながら災害の支援の該当にはなりませんでした。

 毎年このように積雪量が多く、そのため除雪費がかかってくる、支出が毎年のように多い地域についても、今回大変ありがたい措置ではあったと思うのですが、今後もまた、実情を把握していただきまして、格段の御配慮等を国土交通省の皆様にもお願いしたい、御支援をいただけますようにお願い申し上げたいと思います。これは質問ではございませんで、ありがとうございます。

 今お話を伺っておりますと、やはり国土交通省の方で出していただきました提案の中では今回の災害に当たる部分での措置はないということがわかりましたので、続きまして、総務省の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 緊急措置が該当しない地区においての救済方法としては、次に、先ほど国土交通省様からお話しいただきましたように、地方交付税、特別交付税といった方法があると思われますけれども、この時期、私自身も地元の各自治体からたくさんの交付税の要望書を預かっております。その中で、やはり共通しておりますものが除雪費に関する部分の要望でございます。その中で、特別交付税の中で除雪費の算定方法というのは具体的にどのようになっているかを教えてください。

瀧野政府参考人 除雪経費に対します特別交付税の算定の方法でございますが、地方公共団体の除排雪経費につきましては、標準的な経費につきまして級地を設けまして普通交付税でまず措置をいたしているわけでございます。豪雪によりましてこの普通交付税措置額を上回って財政負担が生じるような地方団体に対しては、御指摘のように特別交付税で措置をする、こういう順番でございます。

 この特別交付税の算定につきましては、各地方公共団体から、この冬全体の積雪の見込みも含めまして、生ずるであろう財政負担の報告をいただいております。こちらの方で、その中の一般財源所要額というものを把握いたしまして、既に決めております普通交付税措置額をそこから差し引きまして、不足する額を財政状況を勘案しながら決めていく、こういう手段をとっているというところでございます。

 特別交付税は、全体として、十二月と三月に交付するわけでございますけれども、一兆円強の総額がございますのでその中で対応する、こういう形でございます。

飯島分科員 ありがとうございます。

 この額についてですけれども、具体的に、近年の除雪費にかかわる特別交付税措置額の推移といったものはどのようになっておりますでしょうか。

瀧野政府参考人 特別交付税措置額の推移でございますけれども、平成十二年が二百八十七億円ということで、近年では一番多い時期でございました。その後、二百億円を超えるような額が最近は続いておるという状況で推移してございます。

 今年度の特別交付税の見込みでございますけれども、先ほど申し上げましたように、三月までの見込みも含めて各団体から現在出していただいて作業中であるわけでございます。今の見込みでは、先ほども積雪深の話が出ておりましたけれども、非常に雪が多いという状況の中で、過去最高でございました平成十二年度二百八十七億円というのを大幅に上回るだろうというふうに考えておるところでございますが、先ほど申し上げましたように、全体の特別交付税の枠の中で対応ができるものというふうに考えておるところでございます。

飯島分科員 手厚い額を御準備いただいているということで、ありがたく感じております。

 それから、先ほどの説明で、やはり普通交付税で上回ると特別交付税という手順、流れというのが一般的なのだろうと私自身も思います。ですが、これだけの特別交付税が毎年措置されているという実情を伺いますと、豪雪地帯で、もう毎年必ず雪が降りますということが明らかな地域においては、逆に安定的に普通交付税で措置してもいいんじゃないかという考え方も一つあるのではないかと思うんですが、それについてはどう思われますでしょうか。

瀧野政府参考人 御指摘のように、普通交付税の額を最近は実際に要します除排雪経費が上回るという中で、普通交付税で措置するという考え方ももちろんあろうかと思いますけれども、実際には、それぞれの団体を見ますと、実際にかかった額が普通交付税の額の範囲内にとどまるという団体もあるわけでございます。

 そうしますと、余り普通交付税の額が多いということになりますと、それぞれ多い団体、少ない団体が出てまいりますので、むしろやはり、実際の最近の雪の状況をきちんととらえて、このぐらいが標準的な経費だろうというのを、我々も数年あるいは十年に一度見直しをしておりますので、そういう定期的な見直しの中で普通交付税の額は見直していくということにいたしまして、普通交付税の額をオーバーするようなものはきちんと特別交付税で措置していくということの方が各団体の実態に合った対応ができるのではないかというふうに考えておりまして、今のところはそういう考え方の中で、きちんとそれぞれの地方団体で必要になりました除排雪経費を普通交付税と特別交付税で対応していきたいというふうに考えております。

飯島分科員 何か異常気象が言われている昨今でございます。普通交付税の額の見直しということについても、長いスパンで見なければいけないものもあれば、また、ここ数年ということで見ていかなければいけないものも、体感的に感じるものも多々ございます。そういった意味で、きめ細かい見直しをぜひともお願いいたしたいと思います。

 続きまして、加えて総務省の方にお尋ねさせていただきたいのですが、先ほどの算定の中では触れられていなかったようなんですが、豪雪地帯における問題としては、雪の量だけではなくて、もちろん雪がかかわるさまざまな問題として、例えば雪おろし中の高齢者の事故などが報道でもよくされておりました。また、除雪や排雪の作業のときの事故、あるいは除雪、排雪時の路肩への雪の積み重ねによる道路の視界不良が引き起こす交通事故など、降雪量に伴うさまざまな、今度はそこに手を加えたことによる人の事故が起きております。これらについても国の支援として考えることができますでしょうか。

瀧野政府参考人 除排雪対策に係ります特別交付税措置については、従来は原則として道路とか公共施設の除排雪というような経費を対象としたわけでございます。

 ただ、御指摘のように、ことしの豪雪を見ますと、高齢者等の雪おろし作業の中での痛ましい事故があるというようなこともございまして、地方公共団体がいろいろな面で従来とは違った対応をして地域の雪害対策に取り組まなきゃいけないということになってきているという事実はあろうかと思います。

 そういった中で、我々といたしましても、地方公共団体が高齢者世帯の雪おろし支援をするというような場合に地方団体がそれに対して財政負担をするということになりますれば、そういったことについては、従来の道路の除排雪経費と同様に特別交付税措置を講じていくということをしていきたいというふうに考えておりまして、この点につきましては、全国会議の場などを活用いたしまして、各地方公共団体に既に周知をしてきているところでございます。

 今後、豪雪地帯の地方公共団体におきまして、住民の安全と安心を確保するためにいろいろな取り組みが行われると思いますけれども、そういったことにつきましては、地方団体とよく連絡をとり合いまして、財政上、支障がないようにしていきたいと考えております。

飯島分科員 ありがとうございます。

 市町村道の除雪費補助の緊急措置について、先ほど国交省から御説明をいただきました。また、特別交付税や普通交付税の位置づけについて御説明いただきまして、ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、豪雪地帯におきましては本当に雪の量だけでなくて、例えばここ数日は急に寒波が押し寄せてきまして、日本海側からの急激な寒波で大変な寒気の吹き出しがございまして、こういったときには雪の表面をばあっと滑ってくる、雪の温度で風が一気に冷めてしまいまして、農作物、ちょうど今地元ではハウスが始まったところなんですけれども、そういったものが一気に冷えてしまって、農作物への冷害被害というのが急に起きてしまったりとか、本当に細かいことなのですが、実際そこで生活をしている方にとっては大きな被害ということが、例を挙げると切りがなくあるのが自治体の実情でございます。

 そういったことで、大変だ大変だと言ってばかりもおられませんで、雪氷を利用した新しい農作物の貯蔵方法ですとか新しい商品の開発などももちろん頑張って進めているところでございますし、それから、話に聞くところによると、国会を北海道の雪で空調しようという話があるようなないような、そんな話も伺いましたので、そんなことが、今私の選挙区ではもう嫌われ者になっている雪が日の目を見ることがあれば大変いいなと夢にも思っているんです。そういった形で、害になっているものがいい形で活用できるように、自治体の努力、地域の努力も必要かとはもちろん感じております。

 ですが、北海道の道路が非常に夏場は広いんです。私は去年の選挙で当選したので、夏場選挙カーで走っていると、とても広いのでぜいたくだなと思いましたら、冬になったら半分以下になってしまうんですね。トラックがすれ違うのも乗用車がすれ違うのも、ようやっと。でこぼこ道で、こんなになりながら、わだちの中を走っているのをようやっと目の当たりにしまして、なぜ北海道の道路が広いのかということを、夏場はぜいたくに見えるんですけれども、この広さがないと除排雪ができないんだという実態も今、目の当たりにしているという中で、あえてきょうはこのことをテーマにさせていただいたわけなんです。

 そういう中で、私自身の選挙区も含めて、北海道はまだまだ一車線道路がたくさんございます。そういったことについて、やはり生活のパイプラインが、どうしても北海道だけの広い地域になりますと道が途絶えてしまうとすべてが寸断されるということで、各自治体も一生懸命そういう意味での除雪費を予算計上している、そういった中で毎年毎年が繰り返されているという状況がございます。

 ですので、交通量のデータから計算して大体予算がついていくんですけれども、過疎地、僻地であっても、そこに住んでいる子どもがきちんと学校に通い、また病院に行けて、きちんと生活が成り立つようにしていくために、道路の活用データだけでなく、いろいろな角度から、やはり早期にいろいろな形で御支援をいただかなければならないのがまだ北海道の実情ではないかなというふうには感じています。

 質問時間が大分余ってしまいましたが、ぜひとも、今後も多角的な視野で格段の御配慮をいただきたいというふうに感じています。

 大臣、ありがとうございます。どうぞお願いします。

竹中国務大臣 飯島委員の御地元、本当に厳しい自然の中で、皆さんが御苦労しておられるというふうに思います。

 私も、たしか飯島委員の地元に行かせていただく予定をしておりまして、それでヘリコプターで行かせていただく予定にしていたんですが、ヘリコプターが飛ばなくて、行けなくて御迷惑をかけたということがあったということを記憶しております。

 そういう中で、国でできること、地元に頑張っていただかなきゃいけないこと、それぞれやはり適切に行っていくことが必要だと思っております。

 当面の除雪、雪の問題に関しましては、現在、三月分の特別交付税の作業中でございます。ここをしっかりやるのが我々の当面の務めであろうかと思っております。各地方公共団体の除排雪対策の実態をできるだけ正確に反映しなければいけないという思いで、二月の下旬に追加調査を我々も行ったところでございます。この追加調査の結果、そして地方公共団体からのさらなる事情をしっかりとお聞きをして、地方公共団体の財政運営に支障が生じないような適切な算定にぜひ私たちも努力をしたいと思います。

 先ほどから委員自身が御指摘になりましたように、普通交付税でやるのがよいのか、特別交付税でやるのがよいのか、これはいろいろなお考えがあるんだと思います。できるだけ恣意性をなくすため、客観基準で普通交付税でしっかりやってあげたらいいじゃないか、これはこれで一つのお考えだと思います。

 しかし、同時に、先ほど局長も答弁しましたように、雪といっても非常にばらつきが出ますので、そうすると、予定よりも雪の多いところも少ないところも出てしまう。そういうことを考えると、できるだけ柔軟に使える方がよいという面もある。そうすると、特別交付税をもっと減らして普通交付税にしたらいいじゃないかという御議論もあるんですが、一方で、今回のようなことになると、やはり特別交付税に対する期待というのは非常に高まってくるし、実際、特別交付税の中身を見ましても、ことしはやはり雪なんですけれども、昨年、一昨年は台風で特別交付税が大変重要な役割を果たしたという経緯もございます。

 いずれにしても、制度をどのようにしたらいいかということはしっかりと常に検討してまいります。同時に、その運用に関しましては、特に今回の雪、特別交付税の三月の算定に当たりましては、十分に配慮して、我々としてもしっかりと御対応させていただきたいと思っております。

飯島分科員 大臣みずからありがとうございます。ヘリコプターのことまで覚えていただいていて、本当にありがとうございました。

 早速、大臣のお言葉を胸に、特別交付税の申請書、こんなに来ておりますので、近々総務省の方にお持ちさせていただきたいと思います。ぜひ、地域事情をお酌み取りいただきまして、今後も北海道を御支援くださいますようによろしくお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中主査 これにて飯島夕雁君の質疑は終了いたしました。

 次に、萩原誠司君。

萩原分科員 御苦労さまです。特に、委員長、御苦労さまですし、また、大臣初め総務省の方々、ようおつき合いされます、本当に御苦労さまです。また、国会のスタッフの方々も速記の方も御苦労さまでございます。心から感謝をします。

 きょうは、私が昔から思っていた非常にナイーブな質問なんですけれども、旧自治省、総務省、マクロ経済とどういう関係に立っておられるのかな、そういうことから始めたいんです。

 思い出話からしますと、私たちがたまたま経産省にいたものですから、平成四年、五年あたりに、一生懸命に景気対策をする。郵政省も運輸省も、国土交通省も一生懸命にここぞとばかり乗ってきて、さまざまな議論を展開する。その中で、自治省の方々が何となく、ぼんやりといったら違いますけれども、何の話だろうというふうに見ておられて、でも、ずっと議論が進んでいくと、ある日突然、みんなで自治省の方に襲いかかって、妙な税制措置をとったり、さまざまな意味で略奪をしていくのをじっと耐えていただいた、そういう感じがありました。

 一方で、自治体に行ってみると、結構そうでもなくて、景気対策の中で、ああこれはかなわぬなというものもあるんだけれども、逆に、景気対策を使いながら、自分の町のインフラを整備したり、さまざまなことをやる中で、政策的な自然増収というのに結びつけていくような気持ちもあることはある。そういう意味で、いろいろな見方があります。私も、ある自治体の経営をしたときに、自分が要求して免税にした事業所税が、一生懸命景気対策を使いながら工場立地をしたにもかかわらず取れなかったというので、大変まずいことをしたのかななんてことを改めて思ったりしました。

 いずれにしても、私、思いますのは、今、竹中大臣も経済成長についての一定の御見解を持っておられる。そして、経済成長というのは、さまざまな意味で国民全体がステークホルダーであるし、さらに言うと、当然でありますけれども、自治体の経営を考えても大きな意味があるし、あるいはコストもかかるかもしれない。そして、今までの経緯をずっと眺めてくると、総務省、自治省の方々が、マクロ経済運営について、自分たちないし自分たちが抱えている自治体というものが明確なステークホルダーであるということを強く意識してやってこられたかどうかについて若干の疑問があるんですけれども、今後、ぜひ、この機会をとらえて、そういう意識でもって、マクロは自分たちのものだ、自分たちはマクロ経済官庁なんだというような気持ちで、積極的に日本国の経済運営に参加をしていただくべき時期に来ているのかなというふうに思っています。

 そういう問題意識のもとに何点か御質問した上で、時間をぜひつくっていただいて、自主防災組織の話について伺いたいと思うんです。

 まず、今回の景気後退、長いですけれども、後半戦においては、やはり定率減税というものが政府として最大の景気対策の柱、たしか平成十一年、小渕さんのときに始めて、去年、おととしで大体片がついたというふうになっています。これは御案内のとおり、地方自治体も関係をいたしています。

 そこで、お伺いをしておきたいんですけれども、まず、定率減税が始められて、そして最終的にピリオドを打たれるまでに、トータルでの減税規模は幾らぐらいあったのか。そして、これはよく聞きますけれども、その中での国分、地方分はどのぐらいなのか、どういうふうになるのかというお見通しを伺っておきたいと思います。

 そして、それに付随して、この定率減税、当然でありますけれども、景気対策として実施された減税であるわけですが、景気対策としての効果について、総務省としては、内閣府に聞いてもよかったんですけれども、きょうは総務省のマクロ経済化のためにやっていますので、総務省としては一体どういう御見解なのか。

 そこまでまずお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

小室政府参考人 効果の方は専門の大臣がいらっしゃるので、数字の方を私から御報告申し上げたいと思います。

 定率減税、平成十一年度から累計で、十八年度までということで、年間、国税、地方税合わせて三・三兆円の七年半分ということですから、二十五兆円になります。そのうち、所得税の方で十九兆円、住民税で六兆円というのが、御指摘いただいた累計の定率減税の減税総額になります。

竹中国務大臣 きょうの萩原委員の質問はある意味で大変厳しい質問でして、マクロ経済官庁になっていないわけですので、そういう立場でマクロ的な評価というのは、正直言いまして、ほとんど行われていない、ほとんどというか、全くと言っていいほど行われていないわけでございます。

 ただ、委員の御指摘の中から、こういう見方もできるのではないだろうかという点、私の可能な範囲でぜひ申し上げさせていただきたいわけでございます。

 二十五兆円、これは累計ではございますけれども、二十五兆円ということになりますと、GDPの五%に相当するわけでございます。この間の経済成長そのものがそれによってある程度実現されているということを勘案しなければいけないわけでございますけれども、この間の経済成長が実は、十一年から十八年まででいいますと、平均一%強でございましょうから、非常に限られているというふうに思います。それから考えますと、数年かけても、大変大きなマクロ経済政策、いわゆるボリュームで見ると大きな総需要管理政策をとったわけでございますけれども、それにもかかわらず、十分なマクロ的な効果、つまりGDPを押し上げる効果にはやはりなっていなかったのだということになろうかと思います。

 国と地方をあわせて、よりダイナミックにもっと考えていく必要があるかと思いますけれども、一つの直観的な評価と反省としては、今申し上げたようなことが言えるのではないかと思っております。

萩原分科員 大臣から今の時点における見解というのが披瀝されたわけでありますけれども、本来であると、自治体のサイドから見ますと、対策を自治体ぐるみで発動する際に、これはきくんですかという疑問を持たざるを得ないわけでありまして、ぜひ、今後の問題としてで結構でありますので、共連れでやられてしまったという形で地方税を、マクロ経済政策という発想をするのではなくて、ある程度の主体性というものを持った上で、例えば、前回の税制についていうと、ほっといたら破綻が起きるので、破綻が起きたときに地方の声はどうするのかといったことでやったんだとか、まあ何でもいいんですけれども、ある程度の理屈を整理した上でやらないと、無理屈で、いや、その点については大臣が答えますけれども私どもはそんな認識についてありませんみたいなことでは、恐らく今後はもたなくなってくるというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そこで、事務方の方からは事務方としての評価はまだお聞きしていないんですけれども、ぜひ事務方として、この定率減税について、マーケットとしてどう評価しているかについては御認識があると思いますので、その辺についての知見を御披瀝いただきますようにお願いをいたします。

小室政府参考人 マーケットで具体にどのようかというのは大変難しいあれで、実際にマーケットのアナリストですとか経済学者等々、いろいろな論戦、議論を展開しております。

 それらをすべて私ども掌握しているわけではございませんけれども、国会で特に定率減税をどうするかというのが一番盛り上がったのは、前回の税制改正のときでございます。ちょうど一年前の予算委員会の公聴会、こういったところの議論などももちろん読ませていただいていますけれども、萩原委員のおっしゃるのは、そういった受け身の形でなくて、もっと役所として、経済官庁としてということで、その趣旨はよくわかりますし、実際、税制改正等で、経済状況というのが税制に対して大変大きな影響がある。また一方、委員がおっしゃられたように、いろいろな支出の面で組んでいくときには、具体的にどうするかというのがマクロの経済と同時に地域の経済にもいろいろな形で影響がある。その辺、まだまだ不十分かと思いますけれども、十分これからも勉強していきたいと思います。

萩原分科員 よろしくお願いいたします。

 特に今後、地方自治体の例えばボンドについてマーケット評価しようかとか情報公開していこうかとかという話になったときには、恐らくその地方自治体をめぐる経済政策を変更することがマーケットからどういう評価を得るのかということが非常に大きな要因になってくるわけです。自治体をマーケット評価せざるを得ない。現に既に、例えば民間資本を活用した社会資本整備に関する法律に基づいたPFI事業なんか、当然マーケット評価になっちゃうんですね。それが地方自治体の一部としてやられている。

 じわじわ広がる中で、我々も経済官庁として脱皮をするときに、我々というのは経済産業省ですけれども、マーケットの評価を聞こうということをちょうど一九九五、六年ごろから始めて、さまざまな形でマーケットの意見を取り込んだ上で経済政策の立案に使っていく、そういう努力をいたしましたけれども、今後、恐らく総務省としても似たような動きをぜひとっていただく必要がある、そんなふうに感じています。

 この項の最後ですけれども、ところで、やってしまった、やったというか、ようやくやった定率減税が地方財政にどういう影響を与えたかということについての総務省としての総括というか評価、それぞれ、交付団体、不交付団体あるいは交付税特会、これも地方財政の一部と考えていいわけでありますけれども、影響は違いますけれども、総括的な評価をよろしく御答弁願います。

竹中国務大臣 定率減税の地方財政に与えた効果でございますけれども、まず税率についてだけ申し上げると、個人住民税の減収の影響分と所得税の減収による交付税へのはね返り分、影響分、両方出てくるわけでございます。

 前者の方、個人住民税の減収の影響は、平成十一年度の実施以降十八年度までで総額約六兆円でございます。このうち四分の三をたばこ税の国から地方への移譲と地方特例交付金ということで、四分の一を減税補てん債で補てんをしている形になります。これは恐らくもう委員はよく御承知のとおりでございます。

 また、所得税の減収による交付税影響額は、平成十一年度から平成十八年度までで、これも総額六兆円でございます。これは、交付税特別会計の借り入れによって国と地方が折半で補てんをしているということになります。

 したがって、地方財政全体で見ますと、減税補てん債約一・五兆円、交付税の特会借入金約六兆円の債務が増加をしているという形になります。

 もう一つ、この評価を確かに本当にやっていかなきゃいけないわけですが、今回ある種初めて問題提起をいただいて、つらつらと考えるに、やらなきゃいけないのは、そういう地方でのネットでの歳出と歳入のやりくりの問題というのがあるわけでございますが、実はここに国から地方へのトランスファーとしての交付税が絡んできます。交付税をふやしたという、この間ふえている部分がありますから、これについては、実は国から地方へのトランスファーが行われた。これはこれで、地方としてはトランスファーを受けて地元の経済が活性化できたという面がないわけではありません。このトランスファーの分と実際のネットの歳出と税収の分が非常に制度としてややこしくて、今すぐ私の頭の中では整理ができないわけでございますが、トランスファーによる分というのは間違いなくあったんだと思います。

 そのトランスファーを可能にした国としてのいろいろな財政措置そのものは、これは地方に対してもプラスの方向では働いているという点も多分評価をしなければいけないんだと思います。改めてそういう点に関して十分な評価を、これはどこも、日本のどの専門家も行っていないというのは事実だと思います。

 一方で、ここ数年間の三位一体改革の中での基礎的財政収支というのは大幅に今減ってきているわけですけれども、この間は交付税を減らしていますから、交付税を減らしたという意味では、今度は地方から国へのトランスファーが行われているという、その変化分については間違いなくそうなるわけでありますので、そこは、以前の国から地方へのトランスファー、ここ数年の地方から国への実質的な差額としてのトランスファー、そういうものを総合的に分析していかないと、実は歳出歳入一体改革の今後の正しい道筋も描けないということになるのだと思います。

 そういう意味では、減税の実施によって地方の財政が傷んだという面と、トランスファーも受けたという面をどのように整理していくか、我々も一生懸命考えたいと思います。

萩原分科員 とりあえず減税の方はそこまでにしておきまして、次に、いわゆる公共投資を中心とした財政出動の方です。

 平成の不況のときに、最初は、例えば電力とかNTTに投資をしてくださいといって要請をして、何の保証もなく投資をしていただいて、大変御迷惑をかけたこともございますし、また御協力をいただいたこともある。そういうところから随分整理をされてきておりますけれども、一方で、自治体の方につきましては、少なくとも平成十二年の景気対策まで営々脈々として、要請ないしは補助金誘導の形で地方の財政出動が国全体としての財政出動の大きな一翼を担う形がとられてきたわけであります。

 これも随分喧伝された数字でありますので、数字だけで結構でありますけれども、平成の御代に入ってから、いわゆる景気対策に関連して、地方自治体は一体どれぐらいスペンディングをしたのか。これは計画ベースだと思います、実行ベースというのは大変ですからね。公共投資のみで結構ですから、そのトータル。そして、その財源内訳、負担がどうなるのかということも含めて若干教えていただけましたらありがたいです。

瀧野政府参考人 平成に入ってからの景気対策について、地方公共団体、どのような財政出動を行ったのかということでございますけれども、平成四年度から十四年度までに、地方財政の負担を伴うものとしては計十二度の経済対策が実施されております。その際の公共投資に伴う地方負担額、対策ベースでございますけれども、合計二十四兆六千億という巨額に上っているわけでございます。

 この財源手当てでございますけれども、地方債が二十四兆円、それから交付税の増額等が六千億円、こういう内訳になってございまして、地方債の元利償還金につきましては、基本的に、後年度、一定割合を交付税で算入するということでございます。その算入割合は、そのときそのときの経済対策の状況によって若干異なっておりますけれども、八〇%なり五〇%なりというような数字でございました。

萩原分科員 これも相当の額の数字が改めて確認をされたわけでありますけれども、ところで、財政出動の方も二十四兆円の詳細が出て、頑張っているわけであります。もちろん、その現場現場に行きますと、最近非常に使い方も工夫されていますので、効果がないとは言えないんですけれども、では、景気対策、マクロ政策として、この地方の財政出動というものがどういう効果があったのかということについて、もちろんネガティブじゃないわけですけれども、財政当局としての御見解を、大臣ではなくて、お伺いしておいた方がいいかと思いますので、よろしくお願いいたします。

瀧野政府参考人 景気対策におきましていろいろな社会資本の整備が行われるわけでございますので、そういったことに伴います直接的な需要創出効果ということは当然あるわけでございますし、さらに、それに加えまして、住民生活の豊かさとか、あるいは将来の地域経済活動の活性化とか、いろいろな面のプラス要因が出てきているというふうに考えられるわけでございます。

 一方、そういう公共事業につきましては、それじゃどういうふうになったかということについて、全体としては、先ほども申し上げましたように、十二度というような非常にたび重なる経済対策ということでございましたが、それによって持続的な民間需要の回復というところまでは至らなかった。ただ、日本全体がクラッシュになることは避けられたろうというふうに考えておるわけでございます。こういう状況を踏まえまして、現在、小泉政権下では、不良債権問題への対応など、全体として構造改革を進めるということになってきているというふうに思います。

 総括いたしますと、地方公共団体、公共事業について、国と地方、車の両輪ということで、それなりの役割を果たしてきたというふうに考えておりますけれども、今後は、それぞれのときの経済状況とか、あるいは景気低迷の状況、こういったことを踏まえながら対応していく必要があるのかなというふうに考えております。

萩原分科員 局長に、若干追加してこの項でお聞きしたいのは、国がやったのと地方がやったのとではどっちが効果があると思いますか。

瀧野政府参考人 これは結局、その事業が、単に金額ベースの問題ではなくて、その地域地域にとってどういうような意味を持つかというふうな面まで考えてみますと、その事業が身の回りの生活環境整備に近ければ近いほど地方公共団体がやるべきものだというふうに思いますし、全国土に基盤的なインフラストラクチャーとして整備するようなもの、こういったものは国の指導のもとで行うべきだということで、国と地方で、それぞれ適切な役割分担の中で行われるべきものかなというふうに考えております。

萩原分科員 若干質問を飛ばしながら行きたいと思うんですが、次は、そこで、今まで税及び財政出動で本当に大きな金額を地方自治体も動かしてきたわけですが、それを前提とした上で、また改めて、マクロ経済の成長、景気動向と地方財政の関係について、戻ってみたいと思うんです。

 御案内のように、国税収入に関しましては、当たっているかどうかは別としまして、GDPの成長率に対する名目の弾性値が一・一というので、これ自身が若干マイナスのところがありますけれども、一応定式化をされた形でいつも出ております。そういう意味では、ちゃんと政策を打って、うまくいけば一・一返ってくるんだというある種の予見可能性というものを見ながら日本国の方は運営がされている。

 一方で、地方の財政とマクロの経済の関係というのは、現場でもよくわかっていないんですけれども、そういう議論もしたことがあるようなないような、一体どうなっているんだろうか。さらに言えば、大臣、これから随分議論の中心的なアイテムになっていく予見可能性、地方財政の予見可能性ということを考えた場合にも、景気対策、マクロ経済と地方財政のところがまだまだ研究の余地があるというふうに私ども考えているわけであります。

 将来にわたっての疑問なんですが、ただ、今までのところについて若干やはり見ておく必要がありまして、この間の経済政策全体としていろいろやってきたわけですけれども、マクロの成長と、交付団体、不交付団体、交付税特会について、制度変更はないと言っているんですよ、制度変更はなくて、全国で均質に経済の成長が起こったり経済の減退が起こったり、つまり、岡山でも東京でも同じようなものだ。北海道は、もういなくなりましたけれども、北海道でも鹿児島でも均一に動いている。

 こういうときに、地方経済、地方財政全体として、あるいは交付税全体として、その成長に対する弾性値というのは幾らぐらいか、もしわかれば。わからなければ、わかろうとする気持ちがあるのかどうかというようなことについてお答えいただければ幸いでございます。

竹中国務大臣 改めて、本当に難しい問題を委員は提起しておられると思います。

 効果に関して言うと、効果と、それと税収と、両方今おっしゃったと思いますけれども、乗数効果が地域によってどのぐらい違うかということであるならば、例えば、乗数効果は貯蓄率が高ければ高いほど低くなりますね。だから、例えば富山県のように貯蓄率の高いところであると乗数効果が低くて、東京のような貯蓄率の低いところであると乗数効果が高い、これは多分否定できない事実として残るんだと思います。

 ただ、一方で、乗数だけではなくて、生産波及というまた別の概念がありますから、生産波及効果に関して言うならば、いろいろ公共事業を行った場合に、ワンセットでいろいろなものを持っている東海圏、実は岡山もそれに近いかもしれませんが、そういうところというのは生産波及の効果は高くて、和歌山県なんかは低いということなのだろうというふうに思います。

 そういう形で、非常に効果そのものも多面的に見なきゃいけないということになってくるんだと思います。

 もう一つのお尋ねの、税収についてどうかということでありますけれども、税収について言うならば、基本的には、マクロで見ると、税収の所得弾性値というのは一をやや上回る程度。一・一なのか、一・一五なのか、一・二なのかというのは、それはいろいろ難しいかもしれませんが、弾性値は一より少し高い。高い理由は、所得が累進構造を持っているからだということと、もう一つは、やはり経済全体がよくなっていく段階では、企業収益がそれに振れる形でよくなっていくでありましょうから、今のような状況下では、企業収益がGDPよりもはるかに大きく伸びていきますので、短期的な、瞬間風速でとらえた弾性値は大きくなるというようなことなのだと思います。

 税の構造から考えると、国税と地方税に関して言うならば、したがって、地方税の方が弾性値が当然低くなりますし、固定資産税のように、資産デフレのもとでは、ひょっとしたら一をかなり下回ることもあり得るということだと思います。そういうことを、確かに委員御指摘のように、もっと総合的に、きっちりと分析的に見ていかなければいけない、そういう視点が欠けているというのも事実だと思います。

 総じて言うならば、少なくとも、所得に国税が専ら依存する、そうじゃない形で地方税があるということからしますと、国税の方が多分弾性値は少し高いと考えるのが常識的であろうかと思いますが、しかし、詳細はなかなか難しいということだと思います。

萩原分科員 あと五分あるそうですから、ちょっと質問をさらにはしょっていこうと思うんです。

 今までの議論の中で、もう一個比較をしておくべき点というのがありまして、それは、税と、公共投資を中心とした支出の選択の問題になるんですけれども、これは、現場でいっても、たばこ税で補てんされているとかそういうことはあるんですけれども、たばこ税のときには、本当にたばこ税の補てんがきくのかというと、みんな懐疑的だったんですね。

 なぜかというと、要するに、たばこ税というのは、結構価格弾性値が高い品目であるたばこに依存していて、当初はぐっとくるんですけれども、だらだらと下がっていって、結局、一定地域におけるたばこ税収というのは余りふえないという特徴を持っていて、将来の発展可能性がある税とは思っていないものですから、これがかわりだというふうなことを言われたときに、実は、内心多くの方々は反発をいたしておりました。

 いずれにしても、自治体にとって、例えば住民税を景気対策で減税されるというのはいかにも嫌なんですね。ましてや固定資産税になってくると、自分で要求したこともあるんですけれども、現場へ行ってみると、これはもう嫌でしようがない、本当にそういう実感があるわけであります。

 これもちょっと聞いておきたいのは、総務省の見解として、どうしてもやるとしたら、自治体にとってどちらがいいとお考えか。これはどっちの局長に聞いてもいけないので、大臣からお答えをいただいた方がいいかもしれません。よろしくお願いします。

竹中国務大臣 ちょっと申しわけありません、質問をもう一度できればお願いしたいんですけれども、景気対策という観点からすると、どの税とどの税がということでしょうか。済みません。

萩原分科員 えらく経済学的に言いますと、地方で一単位の減税をするのと一単位の財政を出動するのと、純粋に言うと、マクロ経済ではどっちがいいと思っているのかという問題を聞くべきところを、やや主観が入って、質問が混乱をしたということでございます。

 よろしくお願いします。

竹中国務大臣 まず、減税について、それが住民税のような所得に関するものであるならば、乗数効果は、当然のことながら、減税の場合は消費性向掛ける乗数になります。支出の場合は乗数そのままでありますから、減税よりも歳出の方が効果が大きいというのは、これはもう極めて明確であろうかというふうに思います。

 その税がおっしゃったようなたばこ税とか価格にかかるものである場合は、これはいろいろなケースがあり得ようかと思います。価格弾性値がどれだけかということだと思いますが、多分、たばこの場合は、価格弾性値以上に所得弾性値が結構働いていまして、つまり、所得が高くなって健康志向が高まれば、需要が所得に合わせて減るというような面もあろうかと思いますので、そこは複雑だと思います。

萩原分科員 今、テキストブック的にお答えいただきましたし、さらに、感覚論として、税というものの自治における重要性を考えたときに、その自治の柱である地方税を国からいじることの何となく後ろめたさということも考えて、それからテキストブックに書いてある効果論を考えると、まあ、やはり財政出動の方を優先していくということなのかなということを押さえた上で、次に、財政出動は、でも大変なんですよね、先ほども話がありましたけれども。

 ただし、日本の経済が、言われているように、当然、非ケインズ効果というのが出始めていて、そして、なかなか財政出動をしてもきかないみたいな議論はあるわけでありますけれども、一方で、財政出動をしてもきくという状態もあり得るわけです。

 つまり、非ケインズ効果のやはり一番大きいところは、みんなが、ガバメントが持っている負債の総量について、これはアラーミングだ、心配だということを思うかどうかというところが一番大きな条件になるわけで、これが下がってくれば、またケインズ効果がドミナントになってくるということになるわけであります。

 これも質問をちょっとくっつけちゃうと、あえて一点だけにすると、地方が今、プライマリーバランスは、総体的に言うと、全部でアグリゲートすれば、プラスになっていますよね。大まかに言うと、地方債のストックというのがじわじわと減少傾向になると思うし、なりつつあると言っていいと思います。

 そういう状況のもとで、今後、いい形で地方の財政出動というものを地方が厳選できる。つまり、地方が厳選できて、自分たちの地域の福祉向上にもしっかり使えて、ある程度波及効果がマクロ的にあるというものを、先ほど瀧野局長が、同じ財政出動をするにしても、公共投資をするにしても、国と地方でどっちがいいと思いますかと言ったら、地方の方がいいんじゃないですかというようなふうに聞こえる答弁もありましたけれども、一点、余地を残して、そして感想を聞きたいのは、今後の経済政策、マクロ経済対策をするときに、私は、絶対に地方もないということではなくて、あるとしたらどういう条件のもとであるのか。そのときに、地方が使える余地があるんだったら、今度は地方を使うんだけれども、しっかり考えた上で、国全体の経済に地方が貢献するわけですから、その貢献分をどう見た上でどういう助成措置をつくるのかということが論究可能なのかなと。しかし、いや、地方においても当面、非ケインズ効果がドミナントであるので、そんなものはやってもしようがないと考えるべきかどうか。

 これは研究課題でありますけれども、大臣の御感想をお願いできればと思います。

田中主査 竹中総務大臣、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

竹中国務大臣 基本的には、総需要管理という意味では、これはやはり一義的には国の仕事であると思います。地方はまさに、必要な行政サービスを行って、その対価として、対価ではありませんけれども、応益の税を受けるわけでありますから、地方そのものがマクロ経済管理をやるというのは、これはもう限界があるというのは明らかでございます。

 ただ、地方の振興という観点から、むしろ政策をやる場合には、どうしても何かやる場合には、むしろ需要側ではなくて、その行った投資がどのような生産効果を持つかというような、まさにサプライサイドに着目したようなことを、これはやはり、現実に今までもいろいろ首長さんはお考えだし、今後とも、そういう発想といいますか問題意識は、私は、地方の運営にとって必要ではないかというふうに思っております。

萩原分科員 せっかく消防庁長官に来ていただいたので、一点だけ、自主防災組織について伺います。

 まず、自主防災組織についての期待。そして、自主防災組織がだんだん育っていきますと、さまざまな議論があります。どういうことかと言いますと、例えば、危機のときに災害弱者を救いに行かないかぬのですけれども、そうすると、ある程度の災害弱者に関する情報を例えば民生委員からもらいたい、民生委員は出さないと言っているというような問題があったり、あるいは、自主防災組織が消火活動をしようとすると、例えば、消防法の中で位置づけがないものですから、消火栓を開いていいのかどうかわからないみたいないろいろな問題がありますので、さまざまな意味で、そろそろ、自主防災組織が育ってくると、枠組みを考えてさしあげる必要性が出てきているということを、私どもの地元の活発な自主防災組織の方々の意見を聞いていると、思っています。

 幾つかの質問を一括しましたので、答えられるところだけで結構でございますので、お答えを願えればと思います。

田中主査 板倉消防庁長官、時間が来ておりますので、よろしくお願いします。

板倉政府参考人 自主防災組織につきまして、いろいろ広範な御質問がございました。

 私どもも、阪神・淡路大震災の例を見るまでもなく、自主防災組織が、日ごろの防火管理、火災を出さない、出したときに直ちに消しに行くというような意味で、やはり非常に有効であるといいましょうか、非常に重要性があるということについては大変深く認識をしておるところでございます。

 そういうことで、何とかこういう自主防災組織を育てていきたいというふうに考えておりますが、今御指摘ございましたように、そういう災害の要援護者の情報がなかなか行かない、これはもう消防機関も同じような問題を抱えておりまして、この辺はうまく調整をしていかなきゃいけないということで、いろいろと検討を進めているところでございます。何とか、いざというときに、情報がなかったので何かうまくいかなかったというようなことがないように、その辺は非常に努力をしてまいりたいと思います。

 また、おっしゃいました、災害時における行動といいましょうか、どういう行動をとるべきかとか、その辺のことも、私どももしっかりこれから検討をしていかなければいけないというふうに思っております。

萩原分科員 いろいろ今後に楽しみというか、立派な課題をしっかりやっていくんだという、決意表明に満ちたきょうの質疑に心から感謝をしまして、質問を終わります。

田中主査 これにて萩原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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