衆議院

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第2号 平成19年3月1日(木曜日)

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平成十九年三月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 三原 朝彦君

      小野寺五典君    細田 博之君

      柚木 道義君

   兼務 佐々木隆博君 兼務 笠  浩史君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進準備室長)        藤岡 文七君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      高部 正男君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  前原 誠司君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     前原 誠司君

同日

 第五分科員佐々木隆博君及び第八分科員笠浩史君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十九年度一般会計予算

 平成十九年度特別会計予算

 平成十九年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

三原主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算及び平成十九年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。

佐々木(隆)分科員 おはようございます。

 私は民主党の佐々木でございますが、北海道の六区という旭川を中心にした地域が選挙区でありまして、そこに住んでいて、今、分権というのが本当に進んでいるのかという観点や、ある意味でその分権の象徴と言える交付税などについて、大臣にお伺いをしたいということであります。よろしくお願いを申し上げます。

 最初に、今回、改革推進法というのが昨年の国会で決まっているわけでありますが、平成五年、九三年の衆参での決議から始まって、九五年には分権推進法、合併特例法、そして五回にわたる勧告、九九年には分権一括法というふうに進んできて、その分権一括法で、機関委任事務の制度の廃止や国の関与の見直しというようなことが進められてきたわけでありますが、そういう経過を経て、昨年、地方分権改革推進法というのが成立をしたわけであります。

 経過を踏まえて、この新しい改革推進法の意義についてまず大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

菅国務大臣 委員今御指摘になりましたように、さきの推進法において国の関与の廃止縮小等が行われました。しかしながら、地方公共団体に対する法令による事務の義務づけだとか、あるいは枠づけの緩和だとか、地方の自由度の拡大という点でも解決すべき問題が残っていたわけであります。

 さきの臨時国会で成立をしたこの地方分権改革推進法というものは、そうしたさきの推進法を踏まえた中で、地方分権を推進するために、国と地方の役割の明確な分担、そして国から地方へ、権限あるいは財源、税源、そうしたものを移譲させて、地方の自由度を高めて、魅力ある地方、そして地方がみずから物事を決めて実行に移す、そのかわり責任もとってもらう、そういうことの中でこの改革推進法を成立させていただきました。そして、この一括法案を三年以内にということになっておりますので、何としても私どもは、政治のリーダーシップにおいて、地方分権を確実に推進するような体制を今つくっているところであります。

 これから少子高齢化時代の中で、やはり地方の役割というのは今よりもはるかに大きくなってくるだろう。そういうものに対応すべく、この地方分権改革というものを担当大臣としてもしっかりと推進していきたいと思っています。

佐々木(隆)分科員 今大臣からお答えをいただきました。もちろん、今大臣が答えていただきましたことは、いずれも重要なことだというふうに思っているわけであります。

 後ほどまたちょっと触れたいというふうに思うんですが、片方で分権、分権とずっと言われ続けてきているわけでありますが、片方で、私は、近年、むしろ国の地方への、介入と言ったらちょっと表現が適切ではありませんけれども、いろいろな部分で国がむしろ権限を強めてきているのではないかというような危惧も少し持っているものですから、そういう視点でいろいろ御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、昨年の改革推進法の成立に合わせて、成立の過程でといいますか、地方六団体が分権改革推進法の骨子案というのを提案しているわけでありますが、その中から六つほどお伺いをしたいというふうに私は思っています。

 「施策及び基本方針」の中で地方税財源の充実強化ということを提案しているわけでありますが、一つには地方交付税及び国庫補助金の見直し、それから税源移譲、税源配分の見直しというようなことが提案されていますが、そこら辺の視点というものは盛り込まれているのかどうか。

 それから二つ目には、地方交付税の名称の変更ということも提言をしているわけであります。いわゆる地方共有税ということを提案しているわけでありますが、いわゆる地方固有の財源である交付税についてどのように今回の中で明確化されたのかということ。

 それから三つ目には、これは私はもう一つの非常に大切な点でないかというふうに思っているのは、政策立案等への地方の参画ということを提言していまして、仮称ですが、地方行財政会議の設置だとか、さらに、地方分権改革推進委員会に地方六団体の推薦枠三人を入れてほしいというようなこと、三人の採用というようなことが提言をされています。

 そのほかに、政府レベルの推進本部の設置、地方分権改革推進白書などについて、それぞれ提言をされているわけであります。

 先ほど申し上げましたように、交付税というのは、国が交付をするわけではなくて、本来、地方共有のというか固有の財源だと思うんですね。そういった意味で、どうもこのごろ、国がその配分について地方よりも何か少し権限を強めているのではないかという危惧を私は持っているわけでありますし、同時に、地方交付税ですから、地方の意見というものがしっかり反映されなければならないんだというふうに思うんですが、そういう点で、今、六点ほど挙げましたけれども、これらについてそれぞれお答えをいただきたいというふうに思います。

岡本政府参考人 私から、財政関係の今の委員の御指摘の点についてお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、地方税財源の充実、補助金等の御質問がございました。

 今回の地方分権改革推進法に当たりましても、まずは、基本的に地方の役割を強化するという観点に立って事務事業のあり方を見直すということがうたわれておりますし、また、その見直し内容に応じまして、補助金、交付税、税財源の配分といったような財政上の措置を検討して、その役割分担のあり方にふさわしい地方分権を推進するという観点から、財政上の措置を含めて分権推進計画を策定するということとして組み立てられているわけでございます。

 したがいまして、当然、これから検討し進められていきます地方分権改革の議論の中におきましては、私どもといたしましても、地方税財源の充実確保を図るという方向で検討されていくということになるものと思っております。そういう意味で、六団体から幾つか提言されております補助金、交付税、税財源配分の見直しといったような点につきまして、方向としては六団体と一致しているというふうに考えております。

 また、交付税の具体的な見直しにつきまして、地方共有税の御議論がございました。

 今委員御指摘のように、地方交付税が地方の固有財源であるという基本的な性格は、私どもも累次の国会等でもお答えをさせていただいているところでございます。

 そういうような地方側のいろいろの意見というのを、今回、六団体の方は、意見書の中で具体的に地方共有税というふうに提言をされておられまして、その特徴的な内容としては、国の一般会計を通さないで直接特別会計に繰り入れるということ、それから財源不足が発生するような場合には法定率の引き上げをするといったような、交付税の独自性といったものをもう少し強めるような、はっきり見えるような形にしてはいかがかというような御提言というふうに理解をいたしております。

 私どもといたしましても、従来から、特別会計への直接繰り入れといったことや法定率の引き上げの議論、地方の固有財源でございます地方交付税の性格を明確化するという観点からは望ましいというふうに考えております。

 これにつきましては、財政当局の方からは、やはり交付税を一般会計から除くと主要な税目の状況を一覧性のある形で示せないのではないかという意味で、特会への直入は困難であるというような御議論でありますとか、国家財政の極めて厳しい状況にかんがみれば法定率の引き上げは難しいといったような議論をそれぞれ闘わせているところでございまして、これらの見解が異なっておりますことから、これまでいろいろな議論をさせていただいております。

 こういったようなことも含めまして、先ほど申し上げましたような、まずは事務事業の国と地方の役割分担を明確に仕分けするということを踏まえて、これにふさわしい地方税を充実するという観点から、税財源配分の議論、また交付税、補助金の議論といったことが展開されていくこととなると思っておりますので、当然、六団体から出ておりますようなそういう提言も我々としては十分踏まえて今後議論をさせていただくということになると思います。

藤井政府参考人 御指摘の中で、地方六団体からの骨子案の中にございました地方行財政会議の設置等の問題について御説明申し上げたいんですが、私ども、分権改革推進法を立案するとき、地方六団体からの骨子案が示されているわけですが、そういったものの中から、制度化する必要があるというものは可能な限り取り込むということで措置しているところでございます。

 ただ、地方行財政会議の設置の問題については、こういう会議を法制化する、制度化するということについてはいろいろ広範な観点から検討をする必要があるというようなことで、この会議の法制化そのものについては法案には盛り込んでおりませんが、ただ、国と地方がこういう分権改革を進める際に、意見を言い合って意思を疎通して、できるだけ実情に即した改革をするということは極めて重要だというふうに考えておりまして、第四条におきまして、「国は、地方分権改革の推進に関する施策の推進に当たっては、地方公共団体の立場を尊重し、これと密接に連絡するとともに、地方分権改革の推進に関する国民の関心と理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。」ということで、むしろ自主的に意思を疎通すべきだということを盛り込んでいるところでございます。

藤岡政府参考人 地方分権改革推進委員会の委員構成及び政府レベルの推進体制についてお答え申し上げます。

 まず最初の地方分権改革推進委員会の委員の構成でございますが、地方分権改革推進委員会の構成につきましては、昨年の地方分権改革推進法案の審議の際に、総理の方から、地方分権改革の推進に当たってすぐれた識見を有する方に参加していただきたいと考えており、当然、その構成の中には地方の実情に精通した方々にも入っていただく必要がある旨の考え方が示されているところでございます。

 政府といたしましては、現在、この総理の方針に基づき必要な準備を進めているところでございまして、今後、国会の御同意を得まして委員が任命されることとなっていると承知いたしてございます。

 次に、政府レベルの推進体制についてのお尋ねでございます。

 昨年十二月十五日に地方分権改革推進法が公布されまして、同日付で菅大臣が地方分権改革担当の内閣府特命担当大臣として任命されたところでございます。あわせて、内閣府に地方分権改革推進準備室が設置されまして、同法に基づきまして、地方分権改革推進委員会の発足に向けた準備等が進められているところでございます。

 地方分権改革の推進に際しましては、先ほど大臣から言及がございましたが、新分権一括法案の国会提出を含めまして、地方分権改革推進委員会の勧告等を踏まえての地方分権改革推進計画の作成から実施までを三年間で集中的かつ一体的に推進するという方針が示されているところでございます。

 今後の推進体制につきましては、この法律におきまして、地方分権改革を集中的かつ一体的に推進するために必要な体制の整備など、国の責務が規定されているところでございます。本条の趣旨をも踏まえながら検討していく所存でございます。

 以上でございます。

藤井政府参考人 一点、答弁漏れがありました。地方分権改革推進白書の件でございます。

 これも、地方六団体の骨子案では、「政府は、計画に基づく施策の実施状況及び実施状況についての委員会の意見を国会に報告する。」というような形での白書を整備しろという趣旨の御意見をいただいていたところでございます。

 これも先ほど申し上げましたように、地方分権改革の推進に当たっては、国民の関心、それから理解を深めながら国民に開かれた形で取り組むということは極めて重要なことということで、個別の条文におきましても、地方分権改革推進委員会が改革の指針をまとめた場合、政府に勧告するということになっているんですが、その勧告はやはり国会にも報告するということを義務づけるとか、あるいは、政府は勧告を受けて地方分権改革推進計画というものを策定して、それに沿って分権改革一括法を立案するという手順になるわけですが、そういう推進計画をつくった場合は、これも国会に報告する、それと、その旨を、やはり国民にも要旨を公表するというようなことで、趣旨に沿った運営がなされるように法律に盛り込んでいるところでございます。

佐々木(隆)分科員 三十分しか時間がありませんので、ちょっと、再質問をしていると時間がなくなりますので。

 例えば、充実強化をしていかなければならないと今お答えいただいたんですが、文書にはあり方について検討するとなっていたり、それから共有税のところでは、望ましいというふうに今答弁をいただいたんですが、残念ながら、私としては望ましいんだけれどもというようなニュアンスでとれたんですけれども。

 交付税という名前は、僕はやはり余り適当な名前じゃないと思うんですよね、国が交付するという形ですから。本来固有の財源だと片っ方で法律で言っておいて、交付するというのはどうも……。やはり共有税と地方六団体が提言したというのはそれなりに意味があって提案をしているんだと思うので、これはやはり検討すべきじゃないかなというふうに思います。

 それから、白書のところで、確かに勧告や何かについては国会に報告するとなっているんですが、必要なのは、計画の段階でどう公表するかというようなことももちろん必要なんですが、結果についてどうやって国民に示すかということについて白書という形で提言しているんだと思うんですね。やはりそういうことなどもしっかり踏まえて、ぜひ推進していただきたいということを要望させていただきます。

 次に、交付税についてお伺いをさせていただきます。

 交付税は、私が今さら申し上げるまでもありませんけれども、財源保障機能と財源調整機能というものを有しているわけでありますが、一つに、財政制度審議会の方では、自立を促すという意味も含めてですが、財源保障範囲を縮小すべきというような方向で言っているわけであります。一方、地方財政審議会の方では、事務事業などの見直しがかつて行われていますが、そこの削減などをしっかり見きわめて、そうした根拠に基づいてやっていく必要があるというふうに言っているわけで、ちょっとここは違うわけですね。

 そのほかに、推進法以来、先ほども少し申し上げましたが、自治事務と法定事務に分けられ、事務区分が再構成されたんですけれども、近年、むしろ受託事務が増加をしているのではないかというようなお話も伺ったりするわけであります。

 こうした交付税について、事務処理の方法や義務づけなどにおいて、整理合理化の基準、具体的手順、作業規模などについてお示しをいただきたいというふうに思います。

岡本政府参考人 地方交付税の算定に当たりましては、委員御指摘のように、各種の法定受託事務を初めといたしまして、自治事務等、法令により義務づけられました事務事業を行うのに必要な経費といったものを、地方財政計画の策定を通じて、そのマクロとしての財源をまず確保するという措置を講ずるわけでございます。

 また、個々の団体に交付税を配分する際に当たりましても、交付税の基準財政需要額にそれぞれの事務をきちんと算定し、その財源を確保するということをやっているわけでございまして、そういう過程の中から、地方財政計画の策定、地方交付税の算定というプロセスを通じまして、個々の地方団体におきます各種の事務の確実な履行を確保するという過程をとっております。

佐々木(隆)分科員 ここも時間がありませんので次へ進めさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、むしろ受託事務などが増加しているなどという話も聞きますので、そういった意味では、事務の区分なんかももう一度やはりきちっと地方と整理をしていただくとか、あるいはまた、どういう基準だということを、しっかりだれにでもわかるような基準をやはり明確にしていく必要があるんではないかということについて提言をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、新型交付税についてお伺いをいたします。

 地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、当時の竹中総務大臣の私的懇談会でありますが、ここの報告書で新型交付税というものが提案をされました。一方、新地方分権構想検討委員会、地方六団体がつくるビジョンの中間報告では、国の関与を薄め、地方の積極的関与ということを提言しているわけで、ここも微妙に少しニュアンスが違っているわけであります。

 ただ、新型交付税、私は、人口と面積という二つの基準でわかりやすくするということ自体は反対をしているわけではなくて、それはそれで一つの方法だというふうに思うんです、それでなくてもわかりづらいと言われていた交付税ですから。ただ、その中で、地方からは財源の保障機能が低下をするのではないかという懸念の声が上がっていることは、大臣なんかもお聞きしているんではないかというふうに思います。

 ことしは一割の予定のようですけれども、簡素化をするということは、その分だけ項目が大ざっぱになる、ちょっと表現は悪いですが、大きくなるものですから、その分だけ透明性がかえって不明確になるというおそれも片方ではらんでいるわけですね、大きなくくりになるものですから。そういった意味での透明性というのはどのように確保されていくのかということ。

 特に、今回なんかでも、私のところにもいろいろな自治体から問い合わせが来るんですが、例えば面積でも、当初、面積と人口、そのまま割り返してみたら、例えば僕みたいな北海道に住んでいるところは相当多くなるんではないかというふうに思っていたら、どうも、宅地が一で農地が〇・七で山林が〇・五だとかという補正がどんどんどんどん入ってきて、結果として少なくなってしまったというようなことだとか、地域振興費などというものが今度新たにつけ加えられるということで、要するに、そういうところがブラックボックス化していくのではないかという心配もあるわけですが、この点についてお伺いをいたします。

菅国務大臣 まず、新型交付税の導入の考え方でありますけれども、今委員からも御指摘ありましたように、非常に交付税というのはわかりにくい。今、九十数個の算定項目がありますけれども、これを導入することによって、六十幾つ、三十前後減るわけであります。基本的には、地方自治体の長の皆さんからは、まず、わかりにくい、それと同時に、予見可能性を高めてほしい、交付税が来年は幾らになるのかわからない、予見可能性が高められなければなかなか町の財政運営の見通しをつくることができない、そういう意見も数多くありました。そういう中で実は導入させていただこうという考え方であります。

 人口と面積、さらには今までの実績というのもありますから、そういうことも考慮しながら、地方団体と何回となく連絡をし、算定方法についても詳細に説明をし、そんなに差がないような形にしないと地方は大変でありますから、そういう中でつくり上げていくということでありますので、透明性も確保できると思いますし、心配をしているような方向にはならない、こう思っています。

佐々木(隆)分科員 これから始まることですから、心配するなと言われても多少心配なわけではありますけれども、結局、人口と面積といっても、さっき言ったような補正係数が入ってきたりなんかするわけですよね。そういうものなどについても、当初そういうのはなかったのが途中でだんだんだんだん明確になってきたという経過があるみたいで、ぜひそういったことも明確にしていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなりました。二問同時にお伺いをしたいというふうに思います。一つは、安倍内閣の目玉である頑張る地方応援プログラムについて、もう一つは、地方公共団体の財政健全化法について。

 これをあえて対比して出すわけではないんですけれども、片方の頑張る地方応援プログラムは、市町村のプロジェクトについて特別交付税と交付税と二つで出すということなんですが、これはプロジェクトについてということになっているので、なぜ交付金でやらなければいけないのか、何かほかの事業でやるべき課題ではないのかというふうに思うわけですね。そこに行政がインセンティブをつけるという意味がどうも明確でないと思うんですね。

 それから、普通交付税の方で成果指標というものを使うというふうになっているんですが、その成果指標というものの客観性についても、ここに書かれているようなものであれば、これは普通、何もわざわざここの応援プログラムで算定基礎に入れなくてもいいような項目ではないのかというふうに思うんです。

 そういった応援プログラムにおける、なぜ交付金なのか、そして成果指標というものの客観性というものが確保されるのかという点が一点。

 それから、もう一つは財政健全化法であります。

 北海道は夕張の問題で、夕張は財政再建団体の指定を申請したわけでありますけれども、もちろん夕張にも責任はあるというふうに私は思っています。思っていますが、あそこは炭鉱城下町で、その炭鉱が閉山になったときに、何かをやらなければいけなかったというときに、余りにも性急過ぎたといえば性急過ぎたんですが、ああいう大型補助事業などに取り組まなきゃいけなかったという事情は、北海道に住んでいる私としてはよくわかるわけであります。

 そういった夕張の問題は、夕張だけの問題ではなくて、それと、例えば地方自治体が十分なことをやってこなかったとしても、そこに住んでいる住民の行政サービスが低下するということと、これは全く違う話なわけで、結果、そこにいる住民のところにそのしわ寄せが行ってしまうというようなことになってはいけないというふうに思うんです。

 これらについて、今、ルールづくりといいますか、健全化法の提案も検討されているというふうに聞いておりますけれども、どのようなことが検討されているのか、これをあわせてお伺いをいたします。

菅国務大臣 頑張る地方応援プログラムでありますけれども、委員もよく地方をごらんになってわかられると思いますけれども、地方にはそれぞれの特徴とか魅力とか、それぞれの町に必ずあります。そうしたものを生かして、まず地方に魅力あるものをつくってほしい、そういう地方の頑張るシステムをつくりたいということが一つの趣旨であります。

 それに対して、成果指標、これは客観性のあるものでなきゃならないというふうに思っています。私も今地方に出向いてこれを説明しながら、私から副大臣、政務官、出向いて説明をし、また、地元の市町村長の皆さんからも実はさまざまな意見を聞いて、七月の末ぐらいまでの間には、できるだけ早い時期に決めたい、こう思っております。

 それで、例えばAという町、Bという町があって、Aという町が行政改革を一生懸命やっている、Bという町は行政改革を余りやらない。しかし、行政改革を幾らやってもそのことが算定されないという不満、それぞれの長の皆さんから数多く実はありました。そういう面で、例えば行政改革を指標として出すとか、そういう中で行っていきたいと思います。

 それで、交付金、これは御承知のとおり、地方交付税というのは自由に使えるお金でありますから、補助金でなくてそれの方が町としては取り組みやすいだろう、そう考えておるところであります。

 それと、財政健全化法でありますけれども、これは今、私ども作業を行っております。基本的な考え方としましては、夕張市は、昨年の六月、財政再建団体になるということを議会で決めました。そこまで、実は財政状況というのがはっきりわからない、特に第三セクターだとか公社だとか、そういうものについては全く私ども掌握し切れていませんものですから、そういうものの財政支援も含めて、市全体の財政が明らかになるようなものもやはり必要だろう。そして、その財政指標をもとに、危険信号があったら、そこでまず一たんイエローカードのようなもので財政再建をきっちりやってもらおう、それで、見ながら、レッドカードのような形になる。そういう意味で、レッドカードに陥らないような仕組みをつくっていきたいという趣旨でございます。

 夕張市の皆さんには、安心して夕張市で住み続けることができるように、私どもは、一定水準の行政サービスというのは保障させていただきます。

佐々木(隆)分科員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、今言った応援プログラムは、今大臣のおっしゃった魅力を生かすとか行革のインセンティブということになれば、私が先ほど申し上げました交付税というのは固有の財源という視点からすると、どうもちょっとそこにまだひっかかりが私の中には残るわけであります。国がインセンティブを与えるというものと地方固有の財源というのをどう整合させるのかという点にはまだちょっと疑問が残りますが、また機会を見て論議をさせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

三原主査 これにて佐々木隆博君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 民主党の柚木道義でございます。同僚議員の佐々木議員に続きまして、大臣、そして文科省さん、とりわけ私の地元でも大変に要望の強い項目を中心に、持ち時間の中で幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 早速質問に入りたいと思いますが、消防団の団員、そして消防団そのものへの待遇改善、あるいは団への支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 なぜこれを冒頭に申し上げるかといいますと、今地域の中で、例えば防災であったり、防犯でありましたり、あるいはまちづくりでありましたり、子育て支援関係であったり、さまざまな地域活動が行われておるわけですが、そういった中でも、とりわけ消防団員の皆さんの活動というのは、消防防災活動に加え、今申し上げましたようなさまざまな活動に従事をされていらっしゃる。そういった面も踏まえますと、これは大変に地域の中での住民活動のある意味インフラ機能と申しますか、そういった側面を担っている、そういった認識のもと、この活動への支援というのがひいては地域活動全体の底上げ、インフラ整備につながる、そういった認識でございまして、冒頭にお伺いをさせていただきたいと思います。

 消防団員といいますと、火災が起こったり、あるいは、私の地元岡山県でありますと、平成十六年度の台風、大変な死者も出る災害もございました。そういったさまざまな災害のときに、マンパワーとして大変大きな力を発揮する役割を担っているわけでございます。

 ところが、御案内のように、消防団員、現在ではサラリーマン化が進み、その約七割が仕事をしながら従事されていらっしゃったり、さらには高齢化が進んだりとかそういった中にあって、現状ではその活動が大変に困難を来しているという声が多く私の耳にも届いているわけでございます。

 資料の中にもおつけをしておりますように、実は団員報酬についても、この四年間ほどは、一枚目の資料を見ていただくと、団員の一番下のところですね。平成十五年度以降十八年度までは三万六千円でずっと据え置き、そういった状況も続いてきております。もちろん、こういった報酬が目的で団員の方々が活動されているというわけではございませんが、そうはいっても、こういった面も活動を実際に行っていく上で大変に重要であるというふうに考えるわけでございます。

 そこで、今回、予算委員会分科会ということで、ぜひ大臣に、こういった団員の皆さんの活動の士気にもかかわることでもございますし、またそういう高齢化、さらには常備消防と加えて、消防団員の皆さんの活動、実際に百万人を切るというような状況にもなっていることもかんがみ、ぜひとも報酬の引き上げをお考えいただきたいというふうに考えるわけでございますが、大臣の見解はいかがでございましょうか。

菅国務大臣 冒頭、消防団員の日ごろの活動に対して大変御理解をいただき、そして支援をいただいていますことに、消防を所管する大臣として感謝と敬意を申し上げたいというふうに思います。

 今御指摘にありましたように、消防団員というのは、みずからの職業を持ちながら、いざ災害が発した場合は、みずからの町はみずからの手で守る、そういう基本的な考え方のもとに、地域の防火、防災の中核的な役割として多くの皆さんから評価をされておるというふうに思っております。また、その労苦に報いるために適切な感謝の意を表す、このことも大事なことであるというふうに思います。

 これまでも年額の報酬だとか、あるいは出動手当、退職報償金等の処遇改善に努めてきたわけでありますけれども、しかし、ここ数年間据え置かれているということも事実であります。

 特に、市町村の実支給額が地方交付税措置をしている額を下回っているような状況でありますので、団員のインセンティブを考慮し、地方公共団体に対して、地方交付税措置額を踏まえた適切な額となるように私どもからも要請をいたしているところであります。

 いずれにしろ、百万人を現在切っているという御指摘もありました、消防団の充実強化、そういう観点からも団員の処遇改善というのは重要である、こういう認識に立ちまして、これからも検討させていただきたいと思います。

柚木分科員 基本的には前向きに御答弁をいただいたように思うのですが、あえて確認をさせていただきたいのですが、地方交付税関係を踏まえた対応ということで、重要であるというふうな形でございますから、ここは、願わくは、もう一歩踏み込んだ御答弁をいただければありがたいんですが、私がこの問題について総務省さんとのやりとりをさせていただく中で、やはり、公務員全体が大変厳しい中で当然人件費も圧縮という流れの中にあり、そういった中で、団員報酬というところだけにある意味では光を当てると申しますか、そういった面については大変困難な部分もあるということを伺ったわけです。

 その中で今の御答弁をいただいたということなので、あえて私もこういう全体的な財政が厳しい中で、しかし光を当てるべき部分にはしっかりと光を当てていかなければならないという面で申し上げるわけですが、例えば、私、衆議院の厚生労働委員会の方で医療関係の取り組みをしている中で、昨年も診療報酬が三・一六%引き下げられるという中で、医療現場においては、患者さんにしてもあるいは医療機関にしても大変厳しい状況になっている中で、引き上げられている部分があるわけですよね。例えば小児救急、今大変な状況で、あるいは産婦人科、大臣の御地元でもいろいろなことが起こったりして大変な危機的な状況にある、そういうところは全体的には減少する中でも、診療報酬についても特別加算等行われているわけです。

 そういった面も踏まえて、今回、消防団員の皆さんの報酬というのは、当然全体的にはこちらも準公務員ということで人件費圧縮という中で、こういう地域活動を担っていく中で、大臣もしっかりと認識をされていらっしゃるというふうに先ほどの答弁でお伺いしたわけで、そういうところにはむしろしっかりと、こういう財政状況の中にあってもサポートしていくんだ、そういう部分、これは全国の百万近い団員の皆さんに向けて、ぜひ、願わくはもう一つ踏み込んだ御答弁をいただければと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 実際、この消防団活動に従事していらっしゃる方というのは、こういう報酬じゃなくて、まさにその地域に対しての思いの中で、献身的に活動をされておられるというふうに思っています。

 それに対して、私どももそうしたことに対してやはり具体的な形であらわしていかなきゃならない、そういうことで交付税の措置もしっかりさせていただいているわけでありますけれども、残念ながら、市町村でその交付税措置額を下回って支給をされているところも数多くあるわけでありまして、そうしたことに対しても、しっかり対応するように要請をしたいと思います。さらに、現実を踏まえた中で、待遇改善というものについては私はやはり前向きに考えていかなきゃならないだろうというふうに思っておるところであります。

柚木分科員 市町村の対応も、しっかりとある意味では注視しながら取り組んでいただけるということで理解させていただきたいと思います。

 続きまして、同じくその団員活動についての協力事業所の表示と表彰について、さらにお伺いをしたいと思います。

 いみじくも大臣の御答弁にもございましたように、団員の皆さん、もちろん報酬のためだけにやっているわけではございません。むしろ、その地域の中における防災、防犯の取り組みを、ある意味では奉仕活動と位置づける中でしっかりと担っていらっしゃる。

 そういった中で、やはりそういう活動を少しでも多くの地域の住民の皆さんに知っていただき、またそのことが、団員であったり、さらには協力事業所の消防活動への協力体制、あるいはみずからがそういったところにしっかりと参画していくということのインセンティブにつながっていくというわけでございます。

 このたび、そういった意味においては、協力事業所の表示と表彰ということでの取り組みをお伺いしているわけでございますが、実際そうはいっても、例えばそういう表彰が地域の住民の皆さんに本当に浸透していくか、さらにはその活動がしっかりと理解をされていくかというと、やはり表彰される場面であったり、あるいは方法であったり、そういった部分についてのなお一層の工夫を、改善をする余地があろうかと思います。

 私なんかは、地元で、例えば団員の皆さんの出初め式であったり、そういうところに伺うと、表彰されるわけですね。しかし、そこにいらっしゃる方はほぼ団の関係者ということですから、やはりこれは、例えば表彰する場面そのものも地域住民の皆さんが全体に集まれるような、そういったお祭りであったり、町民運動会、市民大会、いろいろなものがありますよね。そういう中でしっかりとPRをしていただくことであったり、さらには協力事業所に対するインセンティブといいますか、融資の条件等に加えていただくというふうなお話もお伺いをしておりまして、十分にそのあたりの取り組みをいただけるものとは思いますが、そういった取り組みについてなお一層の研究、工夫の余地についてぜひ御検討いただきたいと思うんです。

 これについては消防庁からの御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、消防団員の七割が被用者、サラリーマンということでございますので、事業所、企業との関係は非常に重要だというふうに私ども認識しているわけでございます。そういう中で、企業、事業所の方が協力していただけたということが、ある意味では、地域に対する企業の社会的貢献というような位置づけもされるだろうということで、そのことについて、広く地域の方々に認識をいただきたいというような思いを込めて、今度、協力事業所の表示のマークの制度をつくらせていただいたところでございます。

 今、多くの市町村の方で、発足に向けて一生懸命検討しているというようなタイミングだろうと思いますが、今御指摘ございましたように、こういう制度をつくりましても、その表示マークの制度そのものの周知が十分でないと、これはなかなかせっかくのものが生きないということは、御指摘のとおりだろうというふうに思います。

 私どもも、まずもって、この制度を精いっぱい周知して、御理解をいただくような努力をしてみたい。いろいろな企業関係団体を通じてのいろいろなPRもあろうかと思いますし、それから、当然のことでございますが、地方自治体との連携をとりながらの工夫もしていきたいということで、御指摘を踏まえて、精いっぱいその周知等には努めてまいりたいと思っております。

 また、広く事業所との協力関係、事業所の方で消防団員の確保についての御理解をいただき、あるいは活動環境の整備について御理解をいただくという面で、事業所の協力をいただけますように、私どもといたしましては、さらにいろいろな多角的な検討をさせていただきながら進めてまいりたい、かように考えているところであります。

柚木分科員 御答弁にもございましたように、サラリーマンの方でそういう団員である、つまり事業所に勤務されていらっしゃる方が大変多いわけで、実は、私の地元も水島コンビナートのあるエリアでして、企業に勤めながらそういう活動に取り組まれている方、しかも、夜勤等をやりながらですから、特に年末の夜警なんかになると、大変そういう中で頑張っていらっしゃる方々が多いというふうに、私自身聞いておりますものですから、そういう団員の皆さん個人に対してもインセンティブとなるような形で、さらには、そういう先進的な取り組みがあれば、それを全国に普及させていただけるような、そういった形での取り組みをお願いして、次の質問に入りたいと思います。

 消防活動とも関連をするわけでございますが、救急救命士の配置についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、この救急救命士、救急医療の中で、まさにその求められる役割というものが、ますます大きくなっているわけでございます。

 資料にもおつけをしていますように、その運用状況でございますが、三人の中の一人が必ずそういった資格を持つということを確実に配置していくことが、ひいては万が一の際に命を救う、もう少し申し上げれば、救急隊の中にそういった方がいらっしゃるかどうかで、救える命がどうなるかというようなことにもつながってくるわけでございます。

 この運用状況表を見ていただきますと、救急隊の中における救命士の運用が、しっかりと三人に一人含まれているという比率は、全国で八割を少し超えた程度でございますから、これを、ぜひ今後一〇〇%に向けて、とりわけ大臣の御地元神奈川県は一〇〇%ということですばらしいわけですが、私の地元である岡山県の場合は七六・六%ということで、全国平均を六ポイントぐらい下回っているという意味においては、大変ばらつきがあるわけでございます。

 ある意味では、救命の、命の格差につながってしまうわけでもありますから、この配置について、ぜひしっかりと一〇〇%を目指していく、そして、もしお答えいただけるのであれば、いつぐらいまでをめどにこの一〇〇%を実現していくのかということも含めて御答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

高部政府参考人 救急に際しましては、御指摘ございましたように、早いタイミングでの対応というのが非常に重要でございます。そういう意味で、救急救命士の活動に対して期待が高まっているものと認識しているところでございます。

 そこで、私どもといたしましては、全国すべての救急隊に少なくとも一人の救急救命士が配置できるようにという努力をしてきているところでございます。現在のところは、御指摘ございましたように、八二・四%に当たる隊で一人以上が活動をしているといったような状況にあるわけでございます。私どもとしては、できるだけ早くすべての隊にということで努めてまいりたいと思います。

 委員は十分御案内かと思いますが、この制度が、制度発足そのものが平成三年、動き出したのは平成四年から動き出した、おおむね十五年という期間でございます。その中で、救急救命士の資格を持つ消防職員の数も順次ふえてきたという状況の中でもございます。

 いつごろまでにというお尋ねもございましたけれども、今の時点で、多少それぞれの地域事情もございますので、いつまでとは申し上げられませんが、できるだけ早く、必ず一人はいるようにということが確保できますように、私どもとしても努力してまいりたいと考えているところでございます。

柚木分科員 できるだけ早くという部分をぜひ、これは年ごとの推移を見ていますと、毎年四、五%の上昇といいますか、整備が進んできているように思われますので、そういったことをかんがみますと、四、五年というものを一つのめどに、しっかりと整備の方をしていただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 特別交付税の件についてお伺いをしたいと思います。

 実は私、地元は倉敷市というところでございまして、特に倉敷市がということではないわけではございますが、全国の自治体において、今大変厳しい財政状況の中で、行革についても取り組み、財政のスリム化に取り組まれているやに承知をしておりますが、実は総務省の方では、これまでそういった行革に取り組む、励む自治体に対して、特別交付税の交付によってインセンティブを高めるといいますか、そういった取り組みを行ってきたように聞いておるわけでございます。

 そこで、私の地元の倉敷においても、そういったさまざまな取り組みで実際に成果も上げているというふうに聞いておりまして、意欲的に、そして行革に対して一定の成果も残している、そういった自治体については、これはもちろん普通交付税についてもそうなんですが、こういった特別交付税の措置についてもぜひしっかりと御対応いただけることによって、さらに各自治体における行革へのインセンティブも高まっていくやに考えるわけでございまして、とりわけ特別交付税について、行革との関係でしっかり対応していただけるのかどうなのか、ぜひこれはいただきたいということで、大臣にお伺いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 基本的には、私は柚木委員と全く同じ考え方であります。

 そもそも、交付税の算定の中に行革を推進する機能があるというふうに私は思っております。しかし、現実的には、よく地方の行政の長の皆さんから、同じような団体でもうちは一生懸命頑張っているけれども、頑張ったところが前と全く同じだ、こういうことも実はよく聞いておりまして、私も副大臣に就任をしてから、このことは事務方にも強く指示をいたしておるところであります。

 基本的に私もこの考え方に基づいて行っているわけでありますけれども、例えば十七年度から、行政改革に努力したものについてインセンティブ算定を実は始めています。歳出削減や徴税強化の取り組みといった行革努力に応じて、IT化あるいは休日・時間外滞納整理などの経費を割り増しして算定をしてきております。

 同時に、行革をやろうと思ってもできないという、財政力指数が低いということも実はありましたので、特に財政力指数の、ある意味で平均以下のところにおいても、特別割り増しというものも十八年度において拡充をさせていただいたところであります。

 さらに、十九年度から、頑張る地方応援プログラムの実行に移させていただきたいと思います。その中でもいわゆる経営改革ですか、そういうものも成果指標の一つに入れさせていただきたい。これからの時代の中で、私はこうしたものをさらに拡大していきたい、こう考えております。

柚木分科員 さまざまな措置の中でしっかりと取り組んでいただけるという御答弁というふうに理解をいたします。

 ぜひ大臣、これは私の地元倉敷においても十七年八月一日に二町と合併ということになっておりまして、ある意味では合併後の下げ幅といいますかそういった部分について、先ほど大臣はインセンティブ算出とおっしゃったんですが、その部分との関係といいますか、ぜひそこをしっかり見ていただいて、お取り組みいただきたいというふうにお願いを申し上げ、次の質問に入りたいと思います。

 この時間で質問をさせていただいてまいりまして、消防、防災あるいは救急のことで、大変命にかかわる問題についてもお尋ねをしてきたわけですが、今度は医療の関係で、まさに今、冒頭も少し申し上げましたが、例えば地域に医師が不足をしている、とりわけ小児科医、産婦人科医、特に病院勤務医ですね、救急関係、そういったところで医師が不足をしており、これはもう場所によっては出産をすることすらできない。御案内のとおり、例えば隠岐諸島なんて行くと、人口が二万人程度いる。しかし、つい最近また産科の医師が一人もいなくなって、本土まで行かなければ出産すらできない。そういった地域も出てきている。

 きょう、資料の三枚目におつけをしておりますが、私はそういった大変な医師不足、厚労省の方では偏在ということをおっしゃるわけですが、偏在というのは、不足をしている当該地域においては完全に医師が足りていないということでございますから、そういったことを解消していくためのさまざまな施策、新医師確保総合対策ということで厚労省としても打ち出されているわけです。

 この施策というものが、もはや一省だけの取り組みにおいてはなかなか実効性が上がるということになりづらい部分がこのところ続いてきているという中で、大臣にお伺いをしたいのは、大学の医学部に入学をする学生さん、現在実は、御承知かもしれませんが、奨学金制度というのはもともとあります、そして、その奨学金制度と地域枠、例えば大臣の御地元神奈川県であれば、その神奈川県の方が地元の大学の医学部に入る、そういう一定の枠があるわけでございます。

 しかし、これをただ地域枠であったり奨学金であったり、そういうある意味ばらばらでやっていると、例えば地域枠で入った学生さんなのに、卒業すると他県へ行ってしまう。神奈川の場合は、ある意味都会だからそういうことは逆になくて、むしろ他県から来られる方の方が多いかもしれませんが、例えば私の地元なんかもそうですし、いろいろな地方の方に行くと、せっかく地域枠でとった学生さんが卒業後に他県へ行ってしまう、せっかく奨学金で出た学生さんが、不足をしている産科とか小児科とか麻酔科とかというところではなくて、別の診療科に進まれる。

 もちろん職業選択の自由がございますから、そこまで縛りをかけるのがどうなのかということもあるわけですが、しかし現状をかんがみるときに、本当に不足をしている地域に、そして不足をしている診療科に、学生さんたちが例えば一定期間進んでいただくことによって、まさにそういった医師不足あるいはその診療科における不足の解消につなげていくことが必要なわけでございます。

 そこで、私、提案をさせていただきたいのは、この地域枠と奨学金というものを連動して、つまり、その奨学金の中でも、実は特定診療科に進まれる方に対しての奨学金制度というものがございます。ですから、地域枠で入って、さらにその特定の診療科に進まれる方に対してその奨学金を、しっかりとその地域で卒業後も一定期間勤務をしていただく、そういう仕組みをとることによって、この医師不足の解消あるいは偏在の解消につなげていきたいと思うわけですね。

 そこで、実は、厚生労働省、文部科学省そして総務省さんとが連携をしながら、とりわけ不足診療科におけるそういう取り組みが行われているというふうに認識をしております。その際に、まず一点は、そういった取り組みを積極的に行っていこうとする自治体が取り組む際に、総務省さんとしてそのサポート、支援というものをしっかりと行っていただきたいというものが一点。

 そしてさらに、文科省そして厚労省と連携をして今取り組みが行われている、まだまだ数としてはそんなに多くありませんから、さらに拡充をしていくということでぜひ取り組みをいただきたい。

 この二つについて、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。

菅国務大臣 医師不足が地域によって極めて深刻な状況である、このことは私も認識をさせていただいています。そして、こうした現状に対して、地方公共団体で、今委員の資料にもありますように、二十四の県で医学部生を対象に奨学金制度がある。

 総務省として何をやるかということでありますけれども、一定期間地元の医療機関で医療に従事することを条件とする都道府県の奨学金制度について、十九年度から新たに地方交付税で措置をしていきたい、こう思っています。さらに、地域医療対策協議会の開催だとか、あるいは医師不足病院等における地域の開業医の活用に関する経費についても、新たな交付税措置というものを十九年度から考えていきたい。

 こういうことを行うことによって、厚労省、文科省、三省十分に連携をとりながら、国として解消に努めていきたいと思っております。

三原主査 今のことで文科省はいいですか。

柚木分科員 いらっしゃるのだったら、ぜひお願いします。

布村政府参考人 お答えいたします。

 今総務大臣からお答えいただきましたとおり、総務省また厚生労働省と連携しながら、各国公立の大学、特に国立大学を通じまして、地元においてしっかりとした医師養成につながりますように努力をしてまいりたいと考えてございます。

柚木分科員 ありがとうございます。

 時間がもう来ますので、最後の質問に入りたいと思いますが、この医師不足の問題は、御承知のとおり、奈良でも十九病院で受け入れていただけないというような大変な事例も起こっておりますし、ぜひこれはその措置に加えて、実際の取り組みの推移、進捗も見守っていただき、さらにある意味では国が主体となってやっていくんだ、厚労省、文科省、総務省一体となって、スクラムを組んで、どこの地域においても安心してお産ができる、子育てができる、そういう医療提供体制の確立に努めていただきたいということを重ねてお願い申し上げ、最後の質問をさせていただきたいと思います。

 こういった形で命の安心、安全が確保された状況になった上で、教育の問題に最後進めさせていただきたいと思います。

 安倍総理大臣もこの教育改革、ある意味大変熱心に取り組まれていらっしゃるわけで、そんな中、私の地元で、幼児教育の充実について、これも地域のさまざまな実情があるわけですが、しっかりと三年保育というような形で充実をさせてほしい。三つ子の魂百までという言葉もございますが、この幼年期における教育というものが、まだまだ地域間でばらつきがあり、また地域の要望にこたえ切れていない。

 例えば、地元のことばかりで恐縮ですが、私の地元倉敷でも、三歳から幼稚園就園を希望しても、定員を超える希望者がある場合には抽せんから外れる、そういったことで対応し切れていない。実は、私の地元の岡山の場合は、公立幼稚園は全国において二番目に整備をされているというやに伺っていますが、にもかかわらずこういった状況であるわけでございます。

 ですから、お伺いしたいのは、幼稚園、特に公立の幼稚園、公教育の充実ということが大変に重要かと思われますので、そういった部分に関しての、この三年保育を充実させることについて、これは文部科学省さんの方にぜひ前向きな御見解を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 現在、三、四、五歳のすべての年齢の子供を受け入れている幼稚園は、全体の約七割という状況でございます。これを設置者別に見ますと、公立の幼稚園では約四割、私立の幼稚園ではほぼ十割という状況でございます。

 この三年保育を実施するかどうかということは、各地域の実情に応じて設置者が判断いただくという原則になってございます。幼児期の教育、保育に関する保護者のニーズが非常に多様化しておりますし、また三歳からの発達の連続性、学びの連続性ということも考えながら、全体としては実施率は増加しているところでございますけれども、そういう傾向が続くというように、文部科学省としてもできる範囲での支援をさせていただきたいと思っております。

柚木分科員 できる範囲、本当にさらに進めて、教育の機会均等の確保にしっかりと努めていただくことを強くお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

三原主査 柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠分科員 菅総務大臣におかれましては、昨日来の分科会、本当に御苦労さまです。

 私は民主党の笠浩史でございますけれども、きょうは、二点、一点目は教育委員会のあり方について、そして二つ目に放送行政のあり方について、二点に絞りましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初に、教育委員会のあり方についてなんですが、安倍総理が、今柚木委員も言っておりましたけれども、まさにこの国会は教育再生国会であるということで重要であるという位置づけをされております。

 そうした中で、先般、教育再生会議の一次報告というものが出て、恐らく大臣もごらんになっていると思いますけれども、確かに、いいこともたくさん書いてありますし、そもそも教育というのは、党派を超えてしっかりと全議員が総がかりで、国民総がかりということはイコール我々も総がかりで本当に頑張っていかなければならない。そして、国を再生していくための人づくりこそが最重要課題という認識を私も持って取り組んでおります。

 ただ、この中で一つ私が気になっておりますのが、今回、これから閣法として恐らく出てくるであろう、今準備をされている三本の柱、一点は学校の先生方、教員の方々の免許制、そしてもう一点は学校教育法の改正、そして、あわせて地教行法の改正、教育委員会のあり方をどうしていくのかという問題があるわけですけれども、この教育委員会のあり方について、随分昨年も、教育基本法の議論の中でもいろいろな形で伊吹文部科学大臣あるいは安倍総理とも私も議論いたしました。

 我々は、これから、やはりなるべく地方に任せられるものはしっかりと任せてやっていただこうというようなことを民主党としては考えているわけですが、今回のこの一次報告の中で、教育長の任命や教育委員会の評価制度など、受け取り方によっては、今の教育委員会は形骸化している、そこに、教育委員会に対する国、つまりは文部科学省の関与なり権限を強めていこうというような方向で議論が行われているような気がしてなりません。

 その点について、大臣は非常に地方分権というものに熱心だと私は思っておりますけれども、率直にこの再生会議の報告というものを、教育委員会のあり方、この点に絞ってどのようにお感じになっているか、まず冒頭お伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 笠委員が教育改革に大変な熱意を持って取り組んでおられることに、私、心から敬意を表したいというふうに思います。

 そういう中で、今、教育委員会の問題の御質問をいただいたわけでありますけれども、安倍内閣の最重要課題の一つに地方分権改革があります。地方の活力なくして国の活力なし、そうした観点から、昨年の臨時国会で地方分権改革推進法というものを成立させていただきました。そしてまた一方で、教育再生も、これは内閣の最重要課題である、そういう中で、教育再生会議、あるいはその提言を踏まえた中で、中教審を経て必要な法律改正案を今国会に提出させる。そこで、今言われた問題があるわけであります。

 私は、地方分権という視点から、今、教育委員会に関しての法案について、私どもも十分にこれは整理する必要があるだろうというふうに思っております。そして、私が今までも答弁をさせていただいていますけれども、地方の組織は地方で決めるのがいい、そういう観点から整理をさせていただきたい、こう思っています。

笠分科員 私も、この点については本当に、野党とはいえ大臣の応援団になるぐらいのつもりでいるんですよ、我々は。

 今、この重要三法の中でも、とりわけ教育委員会のあり方についての地教行法の改正については、なかなか政府内でも、あるいは文科省、中教審の中においてもいろいろな議論があって、ほかの二法案に比べれば、そう簡単に取りまとめることができないんじゃないかというような状況も伺っているんですけれども、大臣のもとに、先般、政府の規制改革会議の方でも、この今の方向性には明らかに異を唱えるような御意見がございました。さらには、全国の知事会であるとかあるいは市町村長会等々からも、地方自治を預かる大臣に対して、当然ながら、分権の視点を忘れずにやってほしいというような意見も来ているのではないかと思っております。

 もう一度お伺いいたしますけれども、そういう声に対して今後どういうような形で閣内において調整、文部科学大臣に対してもどういう形で直接的に御意見を伝えていかれるのか、そこあたりの決意のほどをぜひお伺いできればと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、私は、地方のことについてはできるだけ地方が独自に決められるというのは、これは自然な姿でありますから、その観点に立って、閣内で当然、調整作業というのはあると思いますので、整理に当たっていきたい。

 ちなみに、知事会の会長からも、私に直接このことについての電話もありました。

笠分科員 大臣、この点について、もう一点だけちょっと率直な受けとめ方をお伺いしたいんです。

 私も、教育基本法等の質疑で文部科学大臣と議論させていただいた中で、我々は、首長さんに権限をひとつ持たせて、これはあくまで選挙で選ばれる立場の方ですから、それが極めて民主的であろう、そのもとで、その首長さんの教育行政をチェックしていくような機関というものは、当然それぞれの自治体の中で考えて、またそういう機関、例えば教育委員会にかわるような機関であれ、そういったものをつくっていくことは当然必要なことだと思っているんですね、選ばれたからその人が何でもかんでもやりたい放題やっていればいいという話ではございませんので。

 ただ、それだと、首長さんに余りにも権限を渡すと、政治的な中立性が保たれないんだというようなことを繰り返し文部科学大臣はおっしゃるわけですけれども、私は、やはり選挙で選ばれて、そして今、神奈川でも、それぞれ知事さんであれ、それぞれの自治体の市長さんであれ、これは全国でも、熱心な首長さん、教育についてはまさにもう国を待っていられない、逆に自分たちの力でしっかりやっていこうという動きがどんどん広がっていますね。ですから、私は、地域の方々の見識あるいは力、そういったものを信じてやっていただくということの土俵に立って、やはり改革の方向を目指していくべきではないか。

 国の責任というのは、最終的な責任はもちろんあるんですけれども、教育行政の事細かな具体的な部分に、教育委員会を通じて、文科省の上意下達的なものを、力を働かせていこうというような方向は、やはりこれはちょっとおかしいんじゃないかと思っておるわけですけれども、その点について大臣の御所見を伺えればと思います。

菅国務大臣 今の教育委員会が果たしてしっかり機能を果たしているかどうかということは、これは多くの皆さんが疑問に感じているという点も私はあると思っています。ただ、私は、地方分権という観点に立って従来どおりの主張をしっかりとしてまいりたいと思いますし、お互いに整理のできない問題じゃないというふうに思っています。

笠分科員 もう一つだけ確認ですけれども、大臣、これは最後は安倍総理が判断をされると。まあ、当然でしょう、いろいろな意見があって。そういうことをおっしゃっているわけですけれども、大臣がこの件について、これまで、安倍総理と直接に、そういう地方の声も受けとめながら、今おっしゃったような大臣の考えを二人でお話しになったりというような機会があったのか。あるいは、今後、もちろん文部科学大臣も当然なんですが、やはり総理に対して強くそのことを要請していただく、そういう行動をとられる御決意があるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 これは最終的に総理が判断するという話をしておりますけれども、私も、今申し上げましたが、そうした立場に立って、これは文部科学大臣と、しっかりと私どもの主張というものをしながら整理をさせていただきたい、こう思います。

笠分科員 では、きょう大臣から力強い御答弁もいただきましたので、またその方向で、閣内において、間違っても、ちょっと今言われているような形での、国、文科省が教育委員会に関与を強めていく方向ではなくて、地方分権、教育における分権の視点というものを踏まえた改正案がぜひ出てくるように期待をいたしたいと思います。

 次に、放送行政のあり方について幾つかお伺いをいたしたいと思います。

 私も、ちょうど三年三カ月前に国会議員になるまで、十年以上、約十四年にわたって民放のテレビ局の方で働いておりました。また、その間、九年以上、政治部の記者として国会で取材に当たっていたわけでございます。そういう自分が民放出身という立場からいたしましても、最近の、バラエティーとはいえ「あるある大事典」の捏造問題、それ以外にもテレビ局の中で不祥事が相次いでいる、これは本当に残念なことでありますし、遺憾なことであると思っております。

 テレビ局というものは、公共の財産である電波をお借りして、そして事業をし、放送を行っているわけですから、当然ながら、公共の福祉に奉仕をしていくという責務があるわけですね。そうした中でこういう問題が続くと、結局は、国民から見たときに、一体全体テレビというのは信用できるのかということにもつながりかねない、そういう懸念で、やはり私自身、特に民放出身でございますから、しっかりしてほしい、もっときちっとやってほしいという思いを持っております。

 憲法第二十一条の表現の自由の保障のもとで、放送法では、放送の不偏不党あるいは真実及び自律を保障することによって放送の表現の自由が確保されているわけでございます。

 他方、放送事業者に対しても、政治的に公平であること、あるいは報道は事実を曲げないですることが求められており、番組制作にかかわるすべての人の放送倫理の徹底というものが求められているのは当然でございます。まさに今、放送人としての自覚と責任、そのことによって信頼回復に努めていただかなければならないわけです。

 こうした中で、メディア、放送行政を預かる最高責任者の大臣が、繰り返し記者会見やあるいは国会審議、先般の予算委員会の中でも、再発防止策を検討するんだということをおっしゃっているわけですけれども、まず、ちょっと大臣の基本認識をお伺いしたいんですが、大臣は、放送局に対して、新たな行政処分の導入などで、政府として、あるいは監督省庁総務省が関与を強めることが必要なんだという認識のもとでこうしたことをおっしゃっているのか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 私のことを強権大臣だとか命令大臣とか、いろいろ言っていますけれども、私は、今委員から指摘がありましたけれども、報道は事実を曲げてはならない、こういう客観性のもとで、やはり報道の自由、編集の自由、そうしたものに十二分に配慮しながら、しかし、私どもは、公の電波というものをそれぞれの放送事業者に割り振りしているという責任もありますので、そうした中で、やはり放送法に基づいてそうした公平、公正、中立な、そして真実の報道をしてほしい、そういう思いの中であります。

 それと同時に、放送の影響というものは非常に大きいものでありますから、しかし、残念ですけれども、例えば今事例にありました「あるある大事典」、これについて捏造されたということが明らかになっております。そして、こうしたことが余りにも多過ぎるのではないか。昨年も四件、行政処分をしました。たしかインゲンマメだったと思いますけれども、これを見て国民の人が、入院騒ぎまでありました。

 今、御承知のとおり、行政指導と処罰、罰則の間には非常に距離があるわけでありますから、何が再発防止策かということで、私自身、非常に深刻な問題としてとらえて対応策を考えているということでありまして、総務省としてまた最高責任者として、これに関与を強めるとかそういう気持ちは全くない、このことだけは明言したいと思います。

笠分科員 大臣がそういうお考えに立って、事を慎重に運ばなきゃいけないと、これは本当に安心をいたしましたし、当然のことなんですが、ただ、やはり性善説でやっていけるのかどうかというようなことも含めて、放送行政についての、ある意味では本当に根本から議論をしていかなければならない、これは重要なテーマであると思います。

 そうした中で、もう一つちょっと具体的に確認をしたいんですが、現在の、例えば処分については、放送法とあるいは電波法の中でこれが定義づけられておるわけですけれども、電波法には、電波の停止であるとかあるいは放送免許の取り消しの処分がある。しかしながら、放送法でできる範囲というのは警告などの行政指導にとどまる。つまり処分ということではなくて、そこに大変大きな開きがあるということが大臣の発言等々からも、そういった趣旨のことをおっしゃっていたかと思うんですけれども。

 今、NHKの問題であるとかさまざまな形で放送法の改正が政府の中で検討されているんですが、この改正の中で、こうした行政処分にかかわる具体的な、例えば新たな罰則であるとかあるいは処分の内容みたいなものを設置する形で考えられているのか。その点についてお伺いをできればと思います。

菅国務大臣 今の現状、行政指導と電波法による処分、ここの間に非常に開きがある。今までも行政指導、去年四回させていただきましたけれども、こうした事実がまだ続いてきている。そこで、私は、新たな再発防止策というのを、必要ではないかなということで、今検討を実はいたしております。

 それも、今委員から指摘がありましたけれども、処分というよりも、例えば、今回のような捏造放送をした場合にみずからその再発防止策をつくってもらう、それに対して私が意見を付して電監審にかける。そういうとにかくオープンな形にして、二度と再びこうしたことが起きないようにそういう再発防止策というのは必要ではないかなというふうに私は思っております。

笠分科員 今の大臣の発言でちょっと確認をしたいんですけれども、私も再発防止策というものを、まずはやはり当該局、その該当する局がしっかりとそれを出して、しかもそれは当然ながら視聴者、国民に対してしっかりとオープンに打ち出していくということが求められるわけです。それが例えば不十分であったとき、あるいはそれに対して大臣なりに、当然監督省庁の大臣としてそれについてのいろいろな見解なりを述べることは、私はそれは当然認められることだと思うんです。

 ということは、具体的に放送法を改正してやらなくても、今のことでいうとできるわけですよね、より求めていくということは。だから、具体的に放送法を例えば改正するというところまでこの再発防止策はいかないのかどうか、その点だけちょっと確認をさせていただけますか。

菅国務大臣 実は、今までもこうしたことが起きたときに、それぞれの放送事業者に対して再発防止策というのは出させていました。これは当然そうだと思います。

 しかし、このようなことが、次から次と言ってもいいと私は思います。何か、ある意味ではテレビ業界の体質というのですかね、制作会社、孫会社という。私も調査をした段階でも、制作会社には放送倫理というのはおりていますが、その下にはおりていないとか、いろいろな問題が実はありますので、今までは私どもにその防止策というものを出していましたけれども、それは、やはり放送法を改正する中で、私は、国民の皆さんにこういう形にしたいと、そういうものが必要かなというふうに思っております。

笠分科員 これはもう大臣御案内のとおり、いろいろな先進各国で、こうした放送事業についてしっかりと監督をし、あるいは、例えば国民が、市民が人権をそれによって脅かされるというようなこと、これはあってはならないわけですね、そういったことも含めて、独立委員会的な機関によってそこあたりの、例えば免許にかかわる問題であるとかあるいは監督権限というものを担っているというケースが大変多いわけでございますけれども、そういった形で、むしろ政府からは独立した形、第三者機関的なものがそういった役割を果たしていくという方向性の議論というものもどうなのかということも含めて、これはやはり慎重に考えていかなければならないのではないかと私は感じておりますけれども、その点については、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 独立行政機関、これは第三者機関のお話だと思いますけれども、日本もかつてはこうしたいわゆる行政委員会を導入した時期がありました。しかし、結果として、現在のように技術革新が激しく、そして機動的、一体的、また総合的な政策が必要な中においてはやはりなじまないだろうというふうに実は思っております。

 もともと私どもは公平中立な判断が求められている立場でありますし、行政運営に、放送法の運営に当たっても、今のままでも政治的な公平性、中立性というものの確保の支障になるとは私は考えておりませんので、第三者機関、その行政委員会のようなものをつくる考えはありません。

笠分科員 今大臣が公平中立なということをおっしゃったわけですけれども、これは今、大臣は、もちろん自民党が政権与党で総務大臣をお務めになっている。これは、我々が要するに与党になっても同じなんですけれども、やはり日本の場合は、当然ながら政権与党の政治家が大臣を務めるわけでございますから、そのときに、その大臣が務める総務相というものが本当に公平中立な判断というものをできるのかどうかということは、私はこれは、我々も含めて、考えて頭の中に入れておかなければならないことだと思うんですね。

 例えば、大臣は、いや公平中立なんだということをおっしゃった、そういう思いでやられたとしても、受け手の側からすると、それが果たして本当に公平なのか中立なのか、非常にこれは難しいですよね、あるいは国民から見ても。

 ですから、今私がそういうことについて独立的な機関をというのは、まさにそこをしっかりと距離を置いてやらなければ、なかなかこの判断というものをするのは難しいんじゃないか。例えば私が大臣の立場にあっても同じだと思います、これは。自民党だからどうということではなくて、民主党であったとしても。

 その点についての大臣の御所見というものを伺いたいと思います。

菅国務大臣 ですから、そういうことに十分配慮する中で、番組についても、放送事業者みずからが、捏造あるいは事実と違ったと、そういうものをまず提案させるということであります。そして、私の意見を付して、それを国民の皆さんにオープンにする、また電監審にかける。そういう中で、この再発防止策が、報道の自由とかあるいは編集の自由だとか、そうしたものに配慮した中では、私は許されるのではないかなというふうに思っております。

 ただ、いずれにしろ、今のままでいいかどうかということについては非常に深刻に考えております。

笠分科員 私も、その深刻に考えている認識は共通しております。

 今大臣は、例えばアメリカのFCCのような形の、あのままでというわけにはいかないですけれども、これから日本で検討をするというところまでは、なかなか今の時点では踏み込めないと。ただ、例えば今、BPOという形で、放送倫理・番組向上機構というのをNHKと民放がつくって、これは、委員の皆様方も、大臣ももう御存じのとおりで、非常にさまざまなそれなりのきちっとした有識者の皆さんが名を連ねて、かなり機能している部分もあると私は思うんですね。局任せだけではやはりなかなか難しいというチェックをみずからしっかりと、放送局の側から、第三者的な目でもってきちっとした対応もしていただこうということだと思うんですけれども。

 このBPOというものについての大臣の評価、この機能を果たしているのかどうか、その点についての御所見を伺えればと思います。

菅国務大臣 二〇〇三年に、NHKを含めて民放との中で、みずから自助努力をしようという中でこのBPOが設置をされた。そして、正確な放送と放送倫理の高揚のためということであります。実は私はBPOに対して非常に気にしておりまして、BPOがどんな意見を表明したか、そういうことは私自身も非常に参考にしながら今行っております。そしてまた、第三者機関として一定の役割を果たしている、このように私は思っております。

 民放各社も、こうしたBPOを通じて、一層の努力によって番組の質の向上等に、あるいは国民の信頼にこたえていただきたいとも思っております。

笠分科員 今大臣といろいろと御議論させていただきましたけれども、私はやはり、BPOというものが、非常に評価できる部分と、もう少し機能を強化するような方向で、むしろみずから放送局サイドがその機構というものを少し機能強化という方向で、その組織を活性化させ、そして本当に生きたものにしていくというようなことをするような方向で、こういう一連のようなことが起こらないようにというような議論の方が、突然放送法をどうこうしてとかというような、そう受け取られるような発言が大臣の方から出るもので、先ほど大臣が冒頭おっしゃったように、いろいろと何か強権なイメージであるとか、発言がひとり歩きしているところというのがあるんですね。

 ですから、きょう大臣と議論させていただきましたような、あくまで表現の自由であるとか報道の自由というものは尊重されなければいけない、そういう立場に立って、何でもかんでも国が関与を強めていくんだ、介入をしていくんだ、総務省がもう頭から局を指導していくんだというように受け取られている節があるわけですね、これは報道のあり方かもしれませんけれども。

 ですから、そこあたりの大きな方向性というものをしっかりと今後大臣もお話をしていただき、また、局サイド、放送局とも一緒になって、本当に国民から信頼をされるテレビ局、放送局であるということが今まさに求められていることだと思いますので、そうした点についての大臣のお考えを最後に改めてお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 私は、大臣になって、この捏造報道があって、こういう話を実は記者会見で申し上げたんですけれども、幾ら報道の自由とはいえ、事実と異なったことを報道する自由はないと。それはやはり、そうしたことというのは、国民の皆さんに非常に影響が大きいものでありますから。

 ですから、私どもはそれを所管する大臣として、そうした報道の自由、編集の自由というものを十分に配慮する中で、再発防止策を苦慮して今考えていて、その結果として、私が先ほど申し上げました再発防止策というものは、それぐらいだったら国民からも許されるんじゃないかなと実は私は思っていますし、放送局みずからが提出をするわけでありますから、それに私どもは、ただ私の意見をつけるだけであります、それを国民に広くオープンにする、そして電監審にかける、そういう手続のものにしたいというふうに思います。

 いずれにしろ、放送局に長年いらした笠委員の今の発言を真摯に受けとめさせていただいて、これから放送行政を行っていきたいと思います。

笠分科員 ありがとうございました。

 大臣、本当にオープンにしていくことと、また今後の方向性ということについて広く、国会の場もそうですし、国民的な抜本的な議論というものを、こういうタイミングですから、やはりしていくことが私は本当に必要なことだと思っておりますので、ぜひまた、大臣のもとにおかれまして、そうした方向で検討されることをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

三原主査 これにて笠浩史君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして総務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 菅大臣、長い間風邪ぎみのところ御苦労さんでした。ありがとうございました。また、発言もしないで長く座っていただいた小野寺委員も御苦労さんでございました。厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十時三十八分散会


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