衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩永 峯一君    小坂 憲次君

      田野瀬良太郎君    深谷 隆司君

      赤松 正雄君

二月二十六日

 田野瀬良太郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 田野瀬良太郎君

      飯島 夕雁君    岩永 峯一君

      遠藤 宣彦君    小坂 憲次君

      深谷 隆司君    福田 峰之君

      赤松 正雄君

   兼務 佐々木憲昭君

    …………………………………

   総務大臣         増田 寛也君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  久保 信保君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (消防庁長官)      荒木 慶司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木内喜美男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木倉 敬之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課地域生活支援室長)      寺尾  徹君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  小坂 憲次君     飯島 夕雁君

  深谷 隆司君     遠藤 宣彦君

  赤松 正雄君     田端 正広君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     福田 峰之君

  遠藤 宣彦君     深谷 隆司君

  田端 正広君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 峰之君     小坂 憲次君

  赤松 正雄君     大口 善徳君

同日

 辞任         補欠選任

  大口 善徳君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  古屋 範子君     石井 啓一君

同日

 辞任         補欠選任

  石井 啓一君     赤松 正雄君

同日

 第一分科員佐々木憲昭君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

田野瀬主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました田野瀬良太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。増田総務大臣。

増田国務大臣 平成二十年度の総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十六兆七千五百十億円であります。

 安定した経済成長と改革の推進のためには、成長力強化や地方の再生に取り組むとともに、行政改革を今後とも強力に推進し、二十一世紀にふさわしい、簡素で効率的な政府をつくり上げていくことが必要です。

 本予算案は、これを踏まえ、行政改革等の推進、新地方分権改革の推進、元気のある地域づくり、ICT分野の国際競争力強化、国民の安心、安全の確保等を重点的に推進するとの考えに基づいて取りまとめたものであります。

 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願いを申し上げます。

田野瀬主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田野瀬主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田野瀬主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田野瀬主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤松正雄君。

赤松(正)分科員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、聴覚障害者、とりわけ中途で失聴された人たちの参政権の問題について若干お伺いをいたします。

 この問題につきましては、先日、総務省を御訪問させていただきまして、いわゆる全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全難聴というんですけれども、その理事長を初めとする皆さんと一緒に谷口副大臣に要望をさせていただきましたけれども、きょうは改めて、確認の意味も込めまして、御質問をさせていただきます。

 御承知のように、音声情報が得にくい、中途で、人生の途上で何らかの障害があって耳が聞こえにくくなった、聞こえなくなってしまったという方々が、選挙において、視覚情報が少ないために、候補者が話をする内容がよくわからない、理解できない。また、そういう人が全国に今三十五万人ほどいると言われております。一方でまた、七十歳を超えますと、二人に一人が難聴になる、こう言われております。全難聴も、二千六百四十万人の高齢者のうち、日常生活上支障を来す難聴者は一千万人を超える、こういうふうな指摘もしております。

 中途失聴者は、言葉でコミュニケーションをとってきたために手話の習得が困難であって、当然、年をとりますと、難聴になられた方の手話の理解は非常に難しいということになります。そういう現状の中で、話し手の話の要点をつかんでそれを筆記して聴覚障害者に伝達する要約筆記というのは、中途失聴者のみならず難聴の方には極めて有効だ、こんなふうにされているわけです。

 ただ、公職選挙法では要約筆記及び要約筆記通訳者の活動が認められていない、こういうところから、与党の方においても、政党全体におきましても、この問題、前進をということで、今日までいろいろな角度で議論がされてきているところでありますけれども、きょうは、数点にわたりまして、総務省また厚生労働省の担当部局の長の方に確認をして、最後に大臣の御見解をいただきたい、こういうふうに思っております。

 まず、冒頭、現在の衆参の選挙を通じまして、参議院の比例区の政見放送のみに手話通訳が認められていますけれども、すべての政見放送に字幕及び手話通訳付与の義務づけをしてほしいという要望がございます。このことについて、総務省としては課題は認識しているということですけれども、その認識の中身について簡潔にお聞かせ願いたいと思います。

久元政府参考人 今御指摘いただきましたように、政見放送につきましては、参議院の比例代表選挙については手話通訳を付して録画をすることができる、また、衆議院の小選挙区選挙の政見放送については、いわゆる持ち込みビデオ方式が採用されておりますので、候補者届け出政党は持ち込みビデオに字幕や手話通訳を付することができるというふうにされているところであります。

 この点につきましては、去る二月の八日に、全難聴の方から谷口副大臣に対しまして、すべての政見放送に字幕、手話通訳の付与を義務づけるよう要望いただいたところであります。

 総務省といたしましては、障害者の方々がより投票しやすい環境を整備することが極めて重要であると認識しておりますが、同時に、解決すべき、技術的な側面を含めた課題もある、そういうものが課題としてあり続けてきたわけでありますので、それらの課題を一つ一つどう解決していくのかということが私どもの任務であるというふうに考えているところでございます。

赤松(正)分科員 課題があるんだけれども一つ一つ解決するというお話でしたが、代表的なものを一つ二つ挙げていただけますか。

久元政府参考人 例としてということで一つ挙げさせていただきますと、例えば持ち込みビデオ方式をどう拡大するかということ、これにつきましては、やはり選挙運動の基本にかかわる事柄であろうかと存じます。

 技術的な問題といたしましては、持ち込みビデオ方式以外に、放送局で録画をするということが考えられようかと思います。この点につきましては、これに字幕をつけるということになるわけでありますけれども、字幕をつけるといったときに、放送局での録画でありますから、収録時間が極めて短い中で行う、候補者が多数となった場合に、それぞれ政見に字幕を付すということは技術的、時間的になかなか難しいといったようなこと。また、字幕に表示できる文字数に限界がありますから、これを放送事業者の側でどう要約するのかということが、選挙の公正確保の観点からどういうふうに克服するのかといったようなことを一つの例として挙げさせていただきたいと思います。

赤松(正)分科員 これを聞くと、延々と続きそうな感じがいたします。しっかりと一つ一つの検討を進めていっていただきたいと思います。

 次に、演説会で、いわゆる要約筆記を、話の中身を要約して、それをスクリーンを通じて上映する、こういうことが公選法における映画等のたぐいに当たるとして認められていない、こういうことがあります。

 この要約筆記というのは、何をどう要約するかというのはなかなか難しいという問題があろうかと思いますが、一方で、手話は、非常に効果的ではあるんですけれども、難しい概念を表現するという部分ではやはりなかなか限界があろうかなという感じがしますので、手話も非常に大事ですけれども、同時に、要約筆記のそういう演説会等におけるスクリーン上映というものは何とかならないのか、こういう指摘をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

久元政府参考人 要約筆記をスクリーン上上映するということは、一般的に文書図画の掲示ということになろうかと存じます。

 公選法上、この文書図画の掲示の方法というのは制限されておりまして、選挙運動のためにアドバルーン、ネオンサイン、または電光による表示、スライドその他の方法による映写等のたぐい、こういったものを掲示する行為は、この禁止の規定に該当するというふうに考えられるところでございます。

 スクリーン上の要約筆記の表示を認めたらいいじゃないのかということとも関連いたしまして、個人演説会場での、屋内での文書図画の規制というものをそもそももう撤廃したらどうかという議論も各政党の間でも出てきているというふうに聞いておりまして、これはまさに選挙運動のあり方に関する問題でありますから、各党各会派で十分御論議をいただければというふうに考えているところでございます。

赤松(正)分科員 今、選挙部長が後半でおっしゃったことはそのとおりだろうなと思います。より基本の部分における、そういう文書図画の配布という問題、これを政党間でしっかり協議をするということが先決だろうなという感じがいたします。

 次に、公選法では、選挙運動に従事する者として手話通訳者が記されており、また、手話通訳者には一日一万五千円以内という報酬の額が施行令に定められております。要約筆記通訳者についても同様の配置は認められないのかということ。今のお話で、今現在の時点で認められないという困難な状況を言われたことについてこういうことを質問するのもあれですけれども、仮定の話になりますけれども、そういうふうな配置ということについての見解を求めたいと思います。

久元政府参考人 要約筆記を行う通訳者に対して報酬を支給することの可否ということは、当然ながら、前提といたしまして、要約筆記を選挙運動として認めるかどうかということがあろうかと思います。

 その上で申しますと、選挙運動員に対する報酬支給の問題ということになりますので、これはやはり、原則として、選挙の自由の確保という観点から選挙運動は無報酬であるという原則論、それに対しまして、選挙の実情との調和をどういうふうに図っていくのか、こういう問題でありますので、選挙運動員への報酬支給、その対象者の拡大ということがこれまで行われてきたわけでありますが、これはやはりいずれも議員立法で行われたという経緯もありますので、この要点筆記の可否も含めまして各党各会派で御論議をいただければというふうに考えております。

赤松(正)分科員 また、中途失聴、難聴者は、ファクスやメールといった、そういう、耳ではなくて目を使う部分の活動というものは十分できるわけですけれども、これはまた、先ほどからのテーマであります文書図画の配布とみなされて選挙期間中は使えない、応援する候補者の投票依頼ができないということがございます。

 また、レアケースでしょうけれども、ファクスやメールが使えなければ中途失聴、難聴者自身が候補者として立候補するということも難しい、こういうことがあります。

 選挙活動にファクス、メール等が利用できるようにしてほしい、こういう訴えがあります。答えはわかっているような気がいたしますが、改めて確認の答弁を。

久元政府参考人 ファクス、メールをどういうふうに活用するのか、これも選挙運動にかかわる事柄でありますので、やはり各党各会派で御論議をいただければというふうに考えております。

 論点といたしましては、ファクスを自由にした場合に、一方的にファクスが送られてくるといったような問題が発生しますけれども、この辺をどう考えるのか。認めるとした場合にも、無制限に認めるというわけにもいかないでしょうから、数量規制などをどういうふうにしていくのかという問題があろうかと思います。

 メールにつきましても、一方的に送られてくる迷惑メールの問題というものも当然ありますし、メールに通有する問題といたしまして成り済まし等をどうするのかといったような問題があります。メールについては、非常に安いコストで選挙運動ができるのではないかといったような事柄の反面、アドレスを大量に取得するといったようなビジネスも存在するようでありますので、かえって金がかかる選挙につながるのではないか、こういったような議論がなされているというふうに私どもは承知しているところでございます。

赤松(正)分科員 次に、厚生労働省にお聞きをいたしたいと思います。

 手話通訳士を登場させるだけで、昨今の状況では、私どもも演説会をやったときに、あるいは通常の政治活動でも、手話通訳者を横に置いてやりますとそれだけで、極めて障害者に優しい、そういう政党だ、あるいは候補者だと言われる傾向があります。ただ、聴覚障害者の多くの方々にとりましては、先ほども申し上げましたように、手話もいいけれども、要約筆記もまたさらに、より理解が深まる。

 こういった認識の違いというのは、一方で要約筆記に対する認識が世間一般で低いということがあるんではないか、そういう感じがいたします。要約筆記者を養成するボランティアの皆さんの方では人手不足を嘆いておりまして、要約筆記を利用する聴覚障害者の方も少ないという現状があります。

 こういった状況を踏まえて、要約筆記の認知のための普及ということについて厚生労働省はどう取り組んでいるのかということを聞きたいわけですけれども、聴覚障害者の方が選挙演説会で情報を得るには、手話通訳だけではなくて要約筆記も重要だ、そういうことで、現状では要約筆記を活用されるケースは少ない、こういう状況に対して、厚生労働省としては取り組みを進めていくためにどのような対策をとっているのか、現状についてお聞きをしたいと思います。

寺尾政府参考人 お答えいたします。

 聴覚に障害のある方々にとりまして、選挙演説会などさまざまな場面におきまして、要約筆記や手話通訳によって情報を得ることは大変重要なことだというふうに考えておりまして、そのため、各市町村、都道府県におきまして、要約筆記や手話通訳などを行っていただける方を養成する事業あるいは派遣する事業を実施してきておるところでございます。

 ちなみに、十八年度末におきまして、要約筆記奉仕員の数は、全国で一万二千六百八十九名の登録をいただいております。また、手話通訳奉仕員の方々につきましては一万二千九百二十六名の登録をいただいております。

 今後とも、厚生労働省といたしましては、聴覚に障害のある方々のニーズを十分に踏まえまして、要約筆記者の派遣などの、情報支援に必要な人員の確保、養成に努めてまいりたいと考えております。

赤松(正)分科員 今のことに関連しまして、地域生活支援室長に聞くべきテーマでしょうかどうか、ちょっとあれですが、要約筆記という仕事をするその資格といいますか、何をどういうふうにして要約するという、要約筆記の概念規定、そういうものについては、争いはないというか、もう固定しているものだと考えていいわけですか。

寺尾政府参考人 お答えいたします。

 要約筆記者の登録といいますか資格取得に際しましては、各都道府県などにおきまして必要な研修を実施しまして、要約すべき内容についてどの程度の知識と技術を持っているかということを、きちっと研修をしまして、必要な技量に達した方に対しまして資格を与えて登録をしていただくというふうな形をとっております。

 要約につきましても、パソコンでやる場合でありますとか手書きでやる場合もございまして、その要約の仕方も、全文を書く場合と、それから主要な点だけをとってやるという、技法がいろいろございますが、その辺も含めまして、研修において技量を確認して資格を与えて登録していただいているというふうなことになっております。

赤松(正)分科員 そうしますと、室長、それは各県で行われている。今、通告していないのであれですが、このところの、概略で結構ですけれども、大体、各県ごとにどれぐらいの方が応募してどれぐらいが合格するというか、ざっと見て非常に難しいんですか、それとも、結構、ある程度の修練を経ればだれでも受かる。だれでも受かると言ったらおかしいですけれども、かなり受かりやすい。その辺の難易についてちょっと教えてください。

寺尾政府参考人 お答えいたします。

 都道府県別にどれぐらいの方々が毎年研修を受けておられるかということを、ちょっと今手元に細かい数を持っておりませんが、要約筆記者になるための研修事業の中身といたしましては、全要研なんかにおきまして、ある程度の必要な技量のレベルの要約筆記の研修資料をつくりまして実施しております。

 決して簡単なものではございません。短期間で習得できるということでもございません。ある程度の経験と学習が必要であろうというふうに認識しております。

赤松(正)分科員 厚生労働省、さまざまな課題を抱えて、今国民の信頼をかち取るためになかなか大変な山場に差しかかっていると思いますけれども、こういった問題も、地味なあれですけれども、非常に大事なポイントだと思いますので、しっかりとお取り組みを進めていっていただきたいと思います。

 また選挙部長に戻りますが、五年前の国会で、要約筆記が公選法に抵触するとした野党の方の質問を受けて、当時の大臣が、聴覚障害にどう対応するかというのは大きな課題だとして、要約筆記を前向きに取り入れる必要があるとして、さらに突っ込んで前向きに検討していきたい、こういう、前向きを連発された答弁をしておるわけですけれども、その後、進捗状況はいかがですか。先ほど来、各政党間の協議にゆだねられる側面が多いという話がありましたけれども、その辺、大臣答弁を受けた以降の対応についてお願いをいたします。

久元政府参考人 平成十五年の国会審議におきまして、要約筆記に関する質問に対しまして、当時の片山総務大臣から、インターネット等の選挙運動での活用も考えているので、この要約筆記のことを指しておられるのだと思いますが、各党各会派でも検討していただきたいし、政府でも検討していく、こういった答弁が行われたところであります。

 この四、五年の間に障害者の団体の皆様からいろいろな要望をいただいてまいりました。この間に制度改正が行われて実現できたものもありますし、なお残されている課題もあるわけであります。

 私どもが責任を持って対応すべき分野の事柄につきましては、必要な検討も行い、また研究もしてきたところでありますが、要約筆記に関する問題というのはやはり選挙運動の中身に関する問題でありますので、私どもは私どもなりに研究もしてきたところでありますけれども、やはりこれは、先ほど申し上げておりますとおり、選挙運動に関することとして、各党各会派で御論議をいただきたいというふうに考えているところでございます。

赤松(正)分科員 大臣にお伺いします。

 要するに、先ほど来の選挙部長の答弁があるわけですけれども、やはり、各党各会派、政治の現場にいる人間が判断をしていく上における基礎的素材といいますか材料をしっかり調えるというのが総務省、総務大臣のお仕事だろうと思うんですね。

 そういった意味で、先ほど来いろいろな課題があるということについて、しっかりその課題を整理するという意味合いも込めて、検討する研究会、こういったものを、政党会派とは別に、ぜひともそういう研究会を設けてほしい、その研究会の委員として、現場で苦労している障害者の皆さん、難聴者の皆さんも参加したい、こういう要望があるんですけれども、これについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

増田国務大臣 先ほど来、先生の方から全難聴の皆さん方の要望を受けたお話、いろいろ聞いておりました。

 私も岩手の知事をしておりましたときに、こういった中途失聴者の皆さん方それから難聴者の皆さん方との話し合いの場が随分ございまして、途中で、かなりのお年になってから急に聞こえなくなるということで、今先生お話ございましたとおり、手話の技術もなかなか持ち得ないような皆さん方ですから、生活においても大変不便しておられる。それから、権利行使のための、選挙権の行使、これは一番基本の権利でございますので、その点においても非常に御不自由しているというのは大変深刻な問題だなというふうに思っております。

 そして、この点について、お話ございましたとおり、やはり、技術面も含めて環境をきちんと整備するというのは私どもの重要な役割でございます。技術面での進歩というのも大変速うございますので、今厚労省のお話がございましたとおり、手話通訳者ですとか要約筆記の技術を持っている人たちの養成、研修というのは大変重要でございます。と同時に、そういった人たちも助けるような、技術的に、いろいろなことをぱっと例えば変換できるような技術というのも今後新たに生まれてくるんじゃないかと思いますので、そうした面での技術開発を促していくようなことも必要かなと思っております。

 いずれにしても、先ほど委員の方からお話ございました、そういう不自由を感じておられる皆さん方との意見交換、それからさらには研究会といったようなことは大事だというふうに私は思っておりまして、例えば、今お話ございました全難聴の皆さん方とは、総務省選挙部の方で、来月になりますが、三月十一日に、こうした問題についての意見交換会を直接開催する、こういうことを決めております。この全難聴の皆さん方との意見交換会、三月十一日の場におきまして、またさらに具体的に突っ込んだ御意見、御提言もいただきたいというふうに思っておりますし、その上で、今お話ございました研究会の設置につきましても、その状況を踏まえて今後考えていきたい。

 やはり、技術的にいろいろ検討していく上でも、直接そうした皆さん方の御意見を十分にお伺いするということが大変重要でございます。問題点のより掘り下げにもつながってくると思いますので、そうした御意見を十分にお伺いして、その後の具体的な取り組みを、よく考えて進めていきたい、このように考えております。

赤松(正)分科員 ありがとうございます。

 三月十一日に意見交換をそういう障害を持たれた皆さんの団体とされた上で、その上で研究会的なるものを設置するということで、ぜひとも環境整備していただきたいと思います。

 世の中全体に、やはり、健常者であってもいつ何どき、先ほど来言っているような、人生の途中で事件が起こり事故が起こり、そういう障害を持たねばならなくなるということでは、すべての人が予備軍と言ってもいいわけでございまして、そういう点で、多くの人に、こういうことをやっているんだという宣伝といいますかPRもしていく必要があろうかと思います。

 そういった点で、総務大臣、しっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、飯島夕雁君。

飯島分科員 自由民主党の飯島夕雁でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 私の選挙区は、昨年破綻しました夕張を初めとする旧産炭地を抱える、いわゆる地方の厳しさが集約されたようなそんな地域でございます。福田総理が御就任されて以降、地方再生というものを最重要課題に掲げ、増田総務大臣を初めとする総務省の皆様方が本当に地方再生のためにいろいろ御尽力くださっていることに、この場をかりてお礼を申し上げます。そして、私自身の選挙区内事情、特に旧産炭地を抱えておりますので、各個別の自治体事情についてもいろいろと御相談に乗っていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入るわけでございますが、既に御存じいただいているとおり、地元の産炭地は、財政状況が非常に厳しい状況にある中で、今、職員給与の大幅なカットはもちろんのこと、あらゆる工夫や努力、また住民の負担などもお願いしながら、財政再生団体にならないよう懸命の努力をしているところであります。

 まず、こうした中で今度新しく創設されました地方再生対策費は四千億ということでありまして、厳しい行財政運営を余儀なくされている自治体にとっては大きな期待につながるものになりました。こうしたものについて、総務省としてはどのような目的で創設をされたのか、総務大臣にお聞きしたいと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今お話しの地方再生対策費でございますが、これは、近年政府として歳入歳出一体改革、それから三位一体改革といったようなことを進めてきたわけでございますが、その中で、地方の一般財源としてやはり一番中心となるべき地方交付税がかなり急激に減少してきた。そして、その結果として、特に先生の地元などが該当すると思いますが、財政力の厳しい地方団体を中心として財政運営が大変厳しくなってきた、こういうことの認識がございました。

 その際に、地域の、あるいは地方の再生に向けて、基本は地方自治体が自主的、主体的な取り組みを進めていくということが大変重要なわけでありますが、主体的、自主的な取り組みを行うためのお金すら不足する、そういったような状況を何とか改善したいということで、標準的な経費の歳出を決めております地方財政計画に新たに地方再生対策費という枠をつくりまして、四千億を創設する。これを具体的には交付税の算定を通じて市町村、なかんずく財政状況の厳しい地域に重点的に配分する、こういうことで考えたものでございます。

 したがいまして、地方団体の安定的な財政運営を確保するという目的でございますが、特に自主的、主体的な活性化策を考えていく上での必要な財源を確保しよう、こういう目的で新たにこのような枠を設けたものでございます。

飯島分科員 ありがとうございます。

 まさに地元は主体的に取り組む余裕すらない、総務大臣のお言葉どおりでございます。そして、今特に財政の厳しい地域に重点的に配分していただくというシステムを御説明いただいたわけでありますが、実は、大変申し上げにくいんですが、財政的に非常に厳しい地域から、今回の地方再生対策費について少し混乱が生じております。

 例えば市町村分の試算で、人口一万人規模の団体であれば八千万円程度というペーパーが以前出されているかと思います。人口規模を四つに区分して試算したペーパーでございますけれども、そういった自治体が、人口が一万人以上ここはいるので八千万円程度の対策費が交付されるのだなというふうに考えておりましたところ、実際の需要額の試算では八千万よりも大分、数千万円単位で減額されているという団体が発生いたしました。

 数値の提示の仕方に問題はなかったのでしょうか。

久保政府参考人 地方再生対策費でございます。

 先ほど大臣から御答弁がございましたように、算定額は四千億円といったかなり多額に上っておりまして、また、財政状況の厳しい地域に重点配分するといたしておりますために、特に人口規模の小さな地方公共団体におきましては、地方交付税額に大きく影響が出てくるというふうに考えております。そこで、各地方公共団体の平成二十年度の予算編成の役に立つということ、そして地方交付税の予見可能性を高めるといった観点から、できる限りの情報提供に私どもはこれまで努めてまいったつもりでございます。

 ただ、地方財政対策が決着いたしました年末の段階におきまして、個々の地方公共団体の試算額まで提示できる状況にはなかったということがございましたために、ただいま委員御指摘のように、人口段階別に平均的な試算額を公表いたしましたが、その際には算定の考え方もあわせてお示しをいたしまして、人口規模が同程度の地方公共団体でありましても、算定に用いる指標によってはある程度の幅が生じるということには御注意いただきたいといったことで、年末も説明をいたしたつもりでございます。

 その後、合併市町村に対する算定の特例、これは合併前の市町村ごとにはじくということにいたしております。そういったことも含めまして、地方公共団体ごとの試算を行いまして、ことしになってから、一月の二十二日に全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議というのを開きまして、その席上で試算の仕方と試算額をお示しして説明をした。そしてまた、同時に、同日公表ということをいたしました。

 私どもといたしましては、地方公共団体の予算編成作業を念頭に置きまして、それぞれの時点でできる限りの情報を提供したというふうに考えておりまして、何とぞ御理解をいただきたいと思います。

 今後も地方公共団体に対しまして算定方法の考え方などについて十分説明してまいりたいと考えております。

飯島分科員 ありがとうございます。

 総務省としていろいろな形で説明をしていただいたということでございますけれども、当初大きい数字が出ますと、正直言ってその数字に期待してしまう、厳しい自治体であればこそそういった状況がございます。補足説明の中で、追加でどんどんしてくださったのだと思いますけれども、やはり最初の期待値が大きいと減額されたというイメージになってしまいまして、せっかく新しく創設されたもののよさというか、そういったものが半減してしまうような気がいたします。どうかそういったことも含めまして、また御検討いただきたいと思っております。

 特に補正係数や測定単位が、今回、耕地面積や第一次産業に就業している方を採用するといった切り口がございますけれども、先ほど申し上げました旧産炭地はそういった農地がございません。それからまた、林野も含まれておりましたけれども、国有林などは該当除外でございます。確かに国有林は、自治体は何もしませんけれども、面積を占めているというだけで、そこで耕地を耕すこともできないという制限もかけられております。そうした中では、地方対策費の算定の考え方、ここにもやはりある程度の御配慮をいただきたかったなという思いがどうしても残るわけであります。

 例えばの例で、財政力指数というような言葉が一般的によく使われていて、そこの自治体の体力をはかる大きな目安になっております。そういった客観的に、あっちが高かった、こっちが安かったというようなことが個別に生じないようにできるだけ努力するような客観的な割り算の仕方、掛け算の仕方というものをお示しいただくことが大事だったのではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。

久保政府参考人 これは委員御案内のとおりのことになりますけれども、地方再生対策費におきましては、地方経済の活性化や農山漁村の活性化、そして基礎的条件の厳しい集落の生活機能の維持とか、農地、森林が持つ多面的機能の維持といった地方再生に必要な経費を算定するということにいたしまして、経費の内容に応じて算定方法を定めたところでございます。

 具体的には、各地方公共団体の人口と面積の要素で算定するということを基本としながら、人口規模のコスト差、人口段階補正でございますとか、経費の必要性を示す指標といたしまして、第一次産業の就業者の比率や高齢者人口比率などを反映することにいたしております。

 普通交付税でございますので、普通交付税の算定は全国一律の算式によって行うということでございまして、個々の地方公共団体の置かれたそれぞれの事情、ただいま産炭地のお話がございましたけれども、そういった事情を反映するということは、限界といいますかなかなか困難なこともございます。

 私ども、算定方法の簡素化といった要請も踏まえながら、算定しようとする経費の内容を適切に反映できるように努めたと考えておりますけれども、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。

飯島分科員 ありがとうございます。

 産炭地という特有のものだけを取り上げることはなかなか難しいのかもしれません。しかしながら、特に財政が厳しい地域に重点的に配分という、この趣旨からしますと、いろいろな角度からやはり検証をしていただきたいというのも、また本音でございます。

 今後についても、地域を何とか活性化して体力をつけていくということが、今疲弊しております地方を再生していく重要なかなめになると思いますので、こういったことを御質問した上で恐縮ですが、また今後ともこういった対策費等の御支援を続けていただきたいと思います。その際には、またわかりやすく、各自治体まで津々浦々、情報の混乱がないように、有効的に、主体的に取り組む余裕をつけていただけるような仕組みづくりをぜひともお願いしたいと思います。

 夕張が破綻しまして以降拝見しているんですが、やはり自治体が破綻した後、そこでまた頑張っていくというのはかなり厳しいものがあるということを地元で感じています。やはり硬直化してしまいまして、夕張が本来持っていた機能そのものすらなかなか発揮できないという状況がございます。

 こういった破綻を受けて財政健全化法というのができて、いわゆるレッドカードが急に突きつけられるのではなくて、イエローカードから十分注意喚起をしまして、場合によっては総務省の御指導をいただきながら、いろいろな形で再建に取り組んでいくという形ができたことは、非常に評価すべき事柄だと思うんですね。何とか破綻をする前の段階で食いとめるということで、その地域が持っている残存能力を引き出すということが大変重要かと思いますので、さまざまな角度から頑張ろうとしている地域への御支援をまたよろしくお願いしたいと思います。

 今回、私の選挙区内にイエローカードになってしまった自治体が随分あるんですけれども、そこに共通して言えるのが、地方自治体が抱えている自治体病院の存在なんです。

 民間病院が実際進出することがない、医療については不採算地域なものですから、自治体病院しか救急受け入れする病院がないという中で、医療過疎を防ぐために自治体はその病院を手放すことができない、そしてまた民間に委ねることもできないということで、その維持というのが非常に大変なわけであります。

 もともと不採算医療でございますから、そこから黒字を生み出すことも苦しいという中で苦労しておりますが、不採算医療を担っている自治体病院に対する支援についてはいかがでしょうか。大臣、お知らせください。

増田国務大臣 各地域に自治体病院がありまして、この自治体病院というのは、今お話がございましたとおり、民間病院では担うことのできない役割を果たしている。特に、僻地、山間僻地などの、周囲には民間病院すらあり得ない、そういったところでも地域医療を担う中核となっているわけでございますので、特にそうした地域での自治体病院、公立病院の果たしている役割というのは大変大事なものがある、こういうふうに思うわけでありまして、不採算医療ではありながらもきちんとその運営ができるように、やはりこの点は国としても十分な責任を果たしていかなければならない、こういうふうに思っております。

 そこで、こうした自治体病院、特に僻地の病院など採算性の確保が難しいところに対して、きちんと交付税措置を行う、一般会計から繰り出しをして、その必要な経費については交付税措置を行う、こういうことで私どもも財政支援をしてきているわけでございます。

 近年、また、お医者さん不足、それからあと診療報酬の改定といったようなことも重なりまして、全国の自治体病院の四分の三が単年度で赤字を計上しているといったような状況もございますので、昨年の暮れでございますが、こうした自治体病院、公立病院の改革ガイドラインというものをつくりまして、経営改革にやはり取り組まなくちゃいけない、こういうふうに考えまして、幾つかそこで方策を提示いたしました。

 その中で重要なポイントの一つとして、特に、平成十五年度以降急増している不良債務を何年かかけて計画的に解消していきたいということで、一つは、平成二十年度に限ってでございますが、公立病院特例債というものの発行が可能になるようにいたしまして、抱えておりました不良債務を何年かに分けてなだらかに償還できるようにして、単年度での急激な当該団体の財政悪化を防ぐ、これは財政健全化法との関係も出てくるわけでございますが、きちんとした改革プランをつくっていただくということを前提に特例債の発行をお認めして、それで債務の計画的な解消を図っていく、こういうことを行いました。

 それから、もう一つは、十九年度、今年度から三年間で五兆円規模で行うこととしておりますいわゆる公的資金でございますけれども、大変金利が高くて元利償還のときに非常に負担になるものについて、これを補償金免除で繰り上げ償還できるようにして財政負担を軽減させる、こういうことで、今その繰り上げ償還を認めているわけでございますが、そのうち、病院事業についても、全体の中で二千二百億円の償還計画というものを承認いたしました。

 これで、以前に高い金利で金を借りていて、そしてその償還に苦しんでいる病院事業についても、かなり負担の軽減につながっていくだろう。特に補償金免除というところが大変重要でございますけれども、財務省と相談をして認めました。

 大きく言いますと、この二つ。そのほかにいろいろ、今後もこうした自治体病院に対しての交付税措置の拡充等、また来年度に向けて考えていきたいと思いますが、今決めております大きな二つはこの二点でございます。

 こうしたことによって、その地域に欠くべからざる自治体病院に対しての、何とか健全経営に向けてのきっかけといいましょうか、そのための、こうした措置によって、それぞれの病院経営者の方でもいろいろと御努力をいただきたいな、こういうふうに思っております。

飯島分科員 ありがとうございます。

 本当に、民間が進出してこない、自治体でなければそれを担えないという中で自治体病院が存続しており、そこを守っていかなければならないという現状がある中で、心強い御支援の具体的なものを言っていただきました。そしてまた、今後も引き続きそういったものを検討していただけるということで、非常に頼りにしております。

 今回の公立病院特例債ですとか二千二百億円の償還計画の承認の関係等も十分に活用させていただきながら、今後以降も、診療報酬の大幅な引き下げ等がありますと、現場は、一生懸命頑張って健全化に向けてやっておりますが、また大きな打撃をこうむることになりますので、引き続き自治体病院のあり方について御支援いただけますようによろしくお願い申し上げます。

 引き続き、自治体病院に関連して質問させていただきたいと思うんですが、次は、病院ということで、厚生労働省の方にお尋ねさせていただきたいと思います。

 今の質問でもお聞きいただきましたとおり、地元の自治体病院の厳しい現状は御理解いただけたものと思います。病院の側も、自治体病院だからということで単純にすることでなく、やはり、人口減少や高齢化、いろいろと病院を取り巻く環境に柔軟に対応することも必要でしょうし、それからまた、民間並みのコスト意識を持って取り組んでいかなきゃいけない、いろいろなことが指摘もされております。そういったことを各自治体病院も頑張ってやっていかなければならないということも、私も感じているところであります。

 しかしながら、そういった中で、私の選挙区ですと、隣町まで、広域医療なんかもぜひやっていったらいいのではないかというふうに思うんですね。各自治体が同じ医療サービスを個々に同じようにやっていったらお医者さん不足になるし、病床はあいてしまうということが起きかねないわけでありまして、広域連携をしっかり保ちながら、A町ではここを特化して、B町では救急を特化してというような感じで、特殊性を持ちながら広域連携をしていくことも非常に大事ではないかと思うんです。

 ただ、うちの選挙区ですと、隣町まで数十キロ、今の冬道ですと雪で通行どめになったり、なかなか救急体制も厳しいのでございますが、そうはいいながらも、広域医療という着眼点はやはり今後、考えていかなければならないだろうと思っております。

 そうした中で、例えば、今申し上げましたように、救急医療を担う急性期病院、それから、その受け皿としての回復期や維持期を中心にする病院、こういったような役割を地元の診療所などとも連携しながらやっていくことが必要だと思います。そういった医療連携体制の構築を図っていくことについて、厚労省としてはどのような取り組みを行っているのか。

 それからまた、こういった連携体制を整えるためにはやはりお医者さんが必要であります。お医者さんの確保について、どのように厚労省として取り組んでおられますか。お尋ねしたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のように、地域医療の確保をしていくということにつきましては、地域の実情をよく踏まえまして、自治体病院の方、それから民間病院、あるいは診療所をやっていただいている開業医の方、この方々がそれぞれ役割を果たして、機能の分化と連携ということをきちんと組み立てていかなければいけないというふうに思っております。

 そのような考え方のもとに、さきに医療法改正をしていただきましたけれども、医療法におきましては、これまでの医療計画の仕組みを大きく変えまして、その中で、地域の大きな課題であります救急医療でありますとか、小児、周産期の医療あるいはがん、脳卒中といった非常に重大な疾病、そういうものを法律等で指定をさせていただきまして、これを四疾病五事業と申しておりますが、こういうものについて、各医療圏の中で、二次医療圏、三次医療圏、地元あるいは広域という医療圏の中で、きちんと医療圏の役割を明確にしていただき、かつ、ネットワークをきちんと協議を重ねていただいて組んでいただこう、それを明記した計画にしていただこうということにしております。これは、この四月から、具体的に策定が終わってスタートをしていく、五年計画でつくりかえしていくということになります。

 現在、各都道府県におきましては、今御指摘のように、例えば救急医療でありますと、急性期を担うべき病院と、それから、回復をしてきた、回復でリハビリを一生懸命やろうという病院、それから、生活の機能を維持していこうという病院、診療所あるいは在宅での機能というふうなこと、こういうものにつきまして、急性期から回復あるいは在宅、こういう切れ目のないサービスが提供していただけるようにということで、地域の皆さんに集まって協議をしていただいて、医療計画の策定の最終段階に来ております。そのようなことを今進めていただき、また、北海道の方でも、道民の皆さんの御意見も伺うようにしておると聞いております。

 さらに、こういうふうな医療連携を進めていきます上で、診療報酬の面でもやはりバックアップが必要ということで、ことしは、この四月から、新しくまた診療報酬改定の年でもございます。そういうことで、さきの中医協の答申の中で、地域連携の診療計画、クリティカルパスとか言っておりますけれども、地域の病院がどう機能分化をして治療計画でどう連携をしていくか、全体がわかるように患者さんに説明をしていく、共有していこうというものでございますが、これを評価する、点数をつけます対象疾患に脳卒中というようなものも追加をしてきました。それから、妊産婦さんで、ハイリスク、御自身が病気を抱えておるというような方々を受け入れるときに、地域の医療機関と連携をとって当たっていただく医療機関間の連携についても評価をしようというようなことも措置をしたところでございます。

 さらに、今御指摘のように、こういう体制を維持していく上では、医師の確保というのが絶対の要件になってまいります。これにつきましては、政府・与党、昨年五月にも緊急医師確保対策というものを決めさせていただいております。これに基づきまして、来年度の予算につきましても、医師確保対策の推進の予算を大幅にアップしておる。約一・七倍、百六十一億円を計上させていただいておりますが、こういう中で、このような小児救急医療の分野を初めとするお医者さんたちの勤務環境の改善あるいは医師の派遣機能の充実というふうなことについても措置をしていきたいというふうに思っております。

 このような取り組みを進めることによりまして、地域での機能分担と連携ネットワークが広がっていくように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔主査退席、岩永主査代理着席〕

飯島分科員 ありがとうございます。

 実は、私、地元の自治体病院をぐるぐると回っております。そして、いろいろと聞いているんですけれども、例えば破綻した夕張の例でございますが、今、自治体病院から民間の診療所にかわりました。そして老健が併設されました。これによって、夕張の自治体病院の大きな赤字は解消されたわけでございますけれども、夕張で今まで入院してきた方、その人たちが、では今後どうするのかということで、広域連携をいたしまして、近隣の地域の自治体病院で入院が必要な方を受け入れているという実情がございます。これはまさに成功例じゃないかなというふうに思うわけであります。

 ただ、反対側の、受け入れている側の病院の方から見ますと、今までの救急医療体制の中で頑張ってやっているわけですけれども、近隣から続々と患者さんが来るということで、もう手が回らない、次々急患が来る、次々ベッドが満床になる、もうどうしたらいいかわからないという混乱も生じているわけでありまして、成功例と背中合わせで、やはり非常に難しいところがあるわけであります。

 私は、その病棟のお医者さんや看護師さんに、今入院している方で在宅に戻れる方、何とかおられませんかというふうに聞きましたら、やはり、ううんと言って考え込んじゃうんですね。例えば療養病床だったらどうですか、どのぐらいの方が帰れそうですかと聞きましたら、即答で、四割、五割の数字が出てくるわけであります。

 やはり今厚労省の方から御回答いただきましたように、急性期医療、その後のリハビリ、快復期、維持期、こういった場合にも病院が必要でございます。そういったものがあってこそ、救急医療体制というものが本来の力を十分に発揮できて、救急医療ができる、そして、安心して次の医療の、目が届くところに患者さんを送ってあげられるということで、病院側も、もちろん、患者さんや家族も安心できる体制なのではないかと思うんですね。

 今、そういったものをこれまでずっと担ってきたのがどこなのかといいますと、私は、やはり療養病床がその役割を果たしてきたのではないかと思っているんです。現在、厚生労働省では、療養病床の削減ということについての提案を次々と出されておりますけれども、やはり現場を回れば回るほど、そう簡単にはいかないぞ、このままでは大変なことになるぞという印象をどうしても持たざるを得ないというのが実情なわけであります。

 そこで、療養病床についてお伺いしたいのですが、現在、厚生労働省では、療養病床を削減するに当たって、再編成して高齢者にふさわしい施設をきちんと受け皿としてつくりますということをいろいろと検討されておられるかと思います。現在、どのような検討を進めていらっしゃるんでしょうか。

木内政府参考人 療養病床の関係についてお答え申し上げます。

 療養病床の再編成につきましては、平成十八年の健康保険法等の一部を改正する法律で定められたところでございますが、あわせまして、その附則におきまして、療養病床の再編成の受け皿としての老人保健施設等の基本的なあり方や入所者に対する医療の提供のあり方等につきましては、入所者の状態に応じてふさわしいサービスの提供をするという観点から検討を加えまして、その結果に基づきまして必要な措置を講ずるということにされたところでございます。

 これを受けまして、療養病床から転換した老人保健施設の基準ですとか介護報酬につきましては、療養病床の関係者などからのヒアリングも含めまして、平成十九年十月以降、五回にわたりまして、社会保障審議会介護給付費分科会において審議を続けておるところでございます。

 同分科会での検討の状況でございますが、療養病床から転換した老人保健施設につきましては、入院患者の医療ニーズに適切に対応する必要がある、つまり、既存の老人保健施設の基準では対応できない部分もあるのではないかということで、具体的には、一点目といたしまして、介護職員による夜間の日常的な医療措置、二点目として、医師による医学的管理やみとりへの対応、三点目といたしまして、急性増悪時の対応、こういった機能につきましては、従来の老人保健施設に付加する必要があるのではないかということで、御議論いただいておるところでございます。

 療養病床から転換いたしました老人保健施設の具体的な施設基準や報酬等につきましては、そういうことで引き続き介護給付費分科会において議論していただくこととしておりますが、療養病床の転換の受け皿となりますよう、適切な措置を講じてまいりたいと考えておるところでございますので、御理解をよろしくお願いいたしたいと考えます。

飯島分科員 ありがとうございます。

 介護給付費分科会等でも現場ヒアリング等を通じていろいろと現場の把握に努めていらっしゃるということは伺っております。そういった中で、やはり医師が二十四時間いることが必要だという強い声も上がっているということもぜひ念頭に置きながら、本当に現場に即した受け皿になるようにしていただきたい。

 話は戻りますが、自治体病院がそれぞれの特殊性を生かして広域連携をしていくときに、救急病院から一気に介護だけの現場には移れないというのが現状なんです。介護に行く前に、救急医療の後に、経過的にお医者さんのもとで入院治療の必要がある、あるいは脳梗塞等で後遺症が出た方のリハビリの必要がある、そういった方たちに医療が二十四時間確保される場所がやはり必要だという声が多々、回れば回るほど聞こえてくるということをぜひ御理解いただいた上で、今後の真の受け皿づくりについて本当にふさわしいものを御検討いただけますように、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、きょう、総務の分科会でこういった話をあえてさせていただきましたのは、病院の場合ですと、自治体の持ち出し分というのはそんなにないんですけれども、厚労省が、例えば療養病床に入院している人を特養に、あるいはケアハウスにということをよく申し上げますが、これは自治体の負担が大変ふえることになります。住民票もそこに固定するわけですから、その地域住民となるわけでありまして、少子高齢化が進んでいる自治体にとっては、それに追い風というか大変な状況を固定させてしまうという悪循環にもなりかねない。

 そういった中で、総務省と厚労省と省は違いますけれども、一つの自治体が抱えている問題、自治体病院を取り巻いて今行財政改革を必死にやっている自治体一つをとってみれば、それは総務省マターでも厚労省マターでもないのであります。総務省の方が一生懸命、その地域、自治体をバックアップして、何とか元気、体力をつけてもらおうという政策を一方で練ってくださっている片方で、診療報酬が下がる、あるいは地方自治体に直接負担がふえる介護サービスの方に転化していくということをすれば、ぎりぎりのラインでやっている自治体はもろに影響を受けてしまうわけであります。そこのところをぜひ、省庁縦割りでなく連携した中で自治体の本来の再生が目指せるように、総務大臣もいらっしゃる前で恐縮でございますけれども、ぜひとも総務省、厚労省、連携をとりながら、一つの自治体を多角的に見ていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 本日はありがとうございました。

岩永主査代理 これにて飯島夕雁君の質疑は終了いたしました。

 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

田野瀬主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。遠藤宣彦君。

遠藤(宣)分科員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 今回、総務省関係の質問に立たせていただくことになりました。私自身がテーマと思っておりますのは、昨今ちょっと世の中に欠けてきているかなという公の概念、公の仕事をしている人たちが自信と誇りを持って仕事ができるような環境をいかにつくっていくかということが政治家の一つの役割であろう、そういった問題意識から幾つかのテーマを拾わせていただきました。

 冒頭申し上げておきますと、その一つは消防、二つ目は郵便局、とりわけ特定郵便局長、三番目は放送。いずれも、世の中に対して公の意識が強くなければ職務が遂行できない、また世間からそういった役割を強く求められているものでありますので、昨今の風潮にかんがみながら、改めてその役割を確認していければなというふうに思います。

 しかしながら、冒頭、私自身が郵政省出身でありましたので、この部屋を見渡すと、もとの上司の方とか、もとの大臣の方とか、私が採用した方が秘書官にいたりとか、ちょっとテーマを失敗したかなと思うのですけれども、そのあたりは多少御容赦いただきながら質問をさせていだたければなというふうに思います。

 まず、一番初めのテーマ、消防についてお伺いをしたいと思います。

 私自身、選挙区が福岡一区という、博多区と東区、比較的小さい選挙区なんでありますけれども、そこで消防団という集まりの方々とよく会います。私の事務所のある香椎とか、あるいは小早川隆景で有名な名島の消防団とか、あるいは東区の水上消防団とか、皆さんお酒が非常に強くて、本当に、酒を酌み交わしながら世の中の安全とか治安とか防災について語り合うことが多々ございます。

 また、私自身、私ごとではありますけれども、そんな話を聞いていると、昨年暮れに父を亡くして、消防団の方とも話したのですけれども、消防団というのは、いざというときにはありがたい、しかし、ふだんはそのありがたさがわからない、こういった存在だなということを言いましたところ、消防団の方々が、本当にそのとおりだ、我々は、日常は目立たないけれども、本当に一朝有事のときには頑張らなきゃいけないのだ、こういった話を暮れあるいは年明けにしまして、非常に感激といいますか感じ入ったことを今思い出しております。

 さて、その消防団、この歴史をひもときますと、もともとが江戸時代の火消し、いろは四十八組が原型だというふうに記録があります。明治時代になって、消防組として全国組織になった。昭和十四年に警防団、昭和二十二年に消防組織法によって現在の消防団が成立をした。立場的には非常勤の特別職の地方公務員、基本的に本業を持ちながら、地域の安全を守るために活動している。火災や災害時には直ちに出勤、職務に従事しなければならないというふうに規定がされております。

 言うまでもなく、地域を支える極めて重要な組織であるにもかかわらず、昭和二十九年の四月には二百二万人いた消防団の方々が、消防署や常備消防の充実や就業構造の変化に伴ってどんどん少なくなってきて、今九十万人を切ったそうであります。

 こんな中で、特定の活動や役割に限って参加する機能別の団員という制度を導入されたそうでありますけれども、地域において重要性がますます高まっているにもかかわらず、現場においては人が少なくなってきている。そして、後ほど触れますけれども、サラリーマン消防団員、なかなか地元に住んではいない、あるいはほかのところと職住が分離している、そういった方々がふえてきている。お酒を飲みながら、あるいはいろいろな場において話を聞けば聞くほど、重要性は増しているのに消防団の基盤というものが大きく今揺らいできていることを感じざるを得ない、そんなような状況があります。

 しかしながら、地域を支える互助組織で残っている極めて重要なもの、その代表が消防団であり、また、いざというときに地域社会のかなめでありますので、これは何とかしなければならない。そしてまた、彼らはまじめでありますから、おれたち、こんなに大変なんだよとふだんは言わないけれども、改めて考えてみると、極めて重要であり、大変な仕事をしていることがわかります。

 今、いろいろな場面で災害に立ち会う彼らは、惨事ストレス、災害救助などに加わった消防や警察や自衛隊、医療関係者の方々が受ける心理的ダメージは結構問題になっている。調べによりますと、東京の消防庁は、二〇〇〇年にはケア制度を発足させて、グループミーティングなどを実施している。あるいは、二〇〇三年に精神科医などによる緊急時のメンタルサポートチームを創設するなど、いろいろな努力をしている。まず、彼らは本当に、いざというときには心理的ストレスを受ける大変な仕事をしている。

 そして、文字どおり命がけの仕事。私がちっちゃいときに「タワーリング・インフェルノ」という映画を見ましたけれども、格好いいなと思うと同時に、本当に怖い。そして、私も、学生のときに隣の家が火事になりまして、朝の五時半ぐらいだったと思いますけれども、全焼して二人亡くなった。うちにまさに燃え移るんじゃないかという中で、屋根に上って、あっちに水かけてください、こっちに水かけてくださいと、真冬の昭和六十年一月三十日だったんですけれども、そのときに、本当に火が怖かった、そこに果敢に飛び込んでいった消防の方々の姿が今もって忘れられません。本当に命がけの仕事です。

 しかしながら、消防団の存在、これが、後ほど申し上げますけれども、ますます重要になっていく、そしてこの役割が大きくなっていくにもかかわらず、社会全体がその使命、役割、重要性について十分気がついて、そして十分たたえているとは、私はなかなか言いがたいものがあるなというところで、残念に思っております。

 市町村の多くが消防署などの常備消防力を充実させてきた一方で、消防団には消火後の警戒や祭りの警備や行方不明者の捜索などの役割しか与えてこなかった。あるいは、阪神大震災で、神戸市中央区ですか、消防団に消防ポンプが配備されていなかったため火を消しとめられなかったとか、消防団についての扱いがもうちょっとよければいいなと思うことが調べれば調べるほど出てくる。

 言うまでもなく、大規模災害やテロなど、現代、危機が多様化しています。そんな中で、限られた財政の中、お金をかけずに、本当に地域を守ろうという、地元への愛着、愛郷心でやっている消防団というものを極めて大切に、そしてまた動きやすいようにしていくということが大事だと思いますけれども、まず、その認識について大臣にお伺いができればと思います。

増田国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員の方からお話ございましたとおり、消防団の役割というものは、平常時はなかなか地域の皆さん方にも理解が行き届かない点がありますが、本当に、非常時にこれほど頼りにされる存在はない。そしてまた、自助、共助の精神で、自分たちの地域は自分たちで守るんだ、そういうことで、本務は別にありながら、いざというときには真っ先に駆けつける、こういうことでございます。

 私は、地域の防災の中核でございますが、ただそれだけではなくて、地域社会をその人たちがまた守っている、そういう大変重要な存在、それが消防団の皆さん方だな、こういうふうに改めて思うわけであります。

 ところが、やはり社会がこういろいろ変わってくる中で、勤務環境も大変厳しいということもございましょう。九十万人をついに割ってしまって、八十九万人まで今減ってきている、こういうことでございますので、今まさに委員がおっしゃったように、この人たちの職場の環境、消防団の環境というものを一層整備して、そして消防団活動にいささかも滞りがないようにしていかなければならない、こういうふうに私も思うわけであります。

 総務省の方で、この間、消防団員の活動環境を整備するために、今委員からもまさにお話がございました機能別団員の制度を新たにつくってみたり、それから消防団協力事業所表示制度というものをつくったり、あるいは団員確保の支援体制をさらに充実させたり、そうしたことをやってまいりました。

 そうしたこともこれからも工夫をして我々やっていかなければならないと思いますし、消防団の人たちが本当に地域のために献身的に努力していることに対して、何よりもその皆さん方が誇りとプライドを持って活動しやすいような環境づくり、これはいろいろな面でもっともっと工夫の余地はあると思っておりますが、そうしたことに向けて我々も一層努力をしていきたい、そして、何とかその皆さん方とともに地域の皆さん方が地域を守るということに主体的に行動できるように私ども努力していきたい、このように考えております。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございます。

 消防団は本当に、技術はある、規律を兼ね備えている、そして地域への愛着を持っている。こういった方々の役割、まず今動ける範囲をもっともっと広げていってあげること、そしてまた消防団になれる資格を広げていってあげること、そういった二面から、改めての位置づけといいますか、消防団というものを見直す時期に入ってきているんじゃないかなというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、財政が厳しい中で、言ってみれば、地域への愛着の気持ちでやる気のある人たちの活動を制約するというのはもったいない。できる限り、活動という言葉はいいかどうかわかりませんけれども、その人たちの活動の場をどんどん広げていってあげた方がいいと私は考えています。

 今、団員が少なくなっているから、ただただ、とにかくふやすように一生懸命募集するというのではなくて、後の質問にもかかわる話ですけれども、人間はやはり待遇だけで生きているわけではありません。誇りがあって、ああ、彼らが消防団、よくやってくれている人たちだよね、すばらしいよね、こう褒められるような立場、誇りを持って活躍できる機会というのを積極的にふやして、新たな防災活動の受け皿になってもらうのがいいんじゃないか。

 私もいろいろなことでちょっと話を彼らにも聞いたんですけれども、例えば、各家庭を回って家具の転倒防止や耐震補強を指導するとか、救急、常備消防の手が回らなければ、けが人や病人の搬送を消防団に頼むとか、大災害時にどこに人が生き埋めになったかという情報を積極的にとるとか、細かいところの権限を今どこまで与えているかということはきょうは触れませんけれども、消防団、極めてテクニカルな、すごい訓練をしなきゃいけないという自覚を持っている人もいれば、いや、おれたちじゃ無理だけれどもこれだったらできるよという、すそ野の広い、このくらいだったら自分も役に立てるよというような活動をぜひとも広げていっていただければなというふうに思っています。

 そして、先ほど大臣もおっしゃられたように、もはや九十万人を切ってしまった。しかし、その一方で、後ほど触れようかと思っていますけれども、国民保護法制で新たな役割が課せられることになった。住民の避難の誘導とか、役割はますます重要になった。また、大規模な災害、地震が予想されるなど、そういった中で消防団の重要性が高まっている中で、この減少をどうとめるのか。

 そういう問題の意識を持って見たときに、まず、今申し上げたことも含めて、私は三つあると思います。

 一つは、やはり、高まっている役割の自覚と評価。国民保護法制の重要な一機能を消防団が担っているということを一体どのくらい皆さんは知っているのか。実は余り知らない方々が多いんじゃないか。あなたたちは国家の有事のときに役に立つ大変な仕事をしているんですよということをもっともっと宣伝してあげる必要がある。

 そして二番目、これは報酬ですね。報酬の方は、調べてみると、地方交付税算入額で見ると、年額報酬が団員一人当たり大体三万六千円、団長が八万二千五百円、出動手当が一回七千円ぐらいというふうに私は聞いたんです、多少誤差があるにしても。限られた中でも、報酬については、本当に命がけの仕事ですから、できる限り配慮してあげた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 とりわけ、昨今仕事もうまくいかない中で、仕事もいざというときにはほうり出してというか、おいて駆けつける覚悟のある方々ですから、お金だけで報われる話ではありませんけれども、誇りとあわせて、報酬の部分、待遇の部分というものを十分配慮してあげる必要があるんじゃないかというふうに思います。

 そして、最後に、減少の歯どめについてなんですが、ウイングを広げる。地元企業との連携。先ほどおっしゃられたように、消防団協力事業所の認定、表示の制度もできました。これから、住民と消防とそこの企業、工場とかそういったものが連携をしていってやらなきゃいけないという時代に入ってきていると思います。

 そして、連携をすべき相手が、大学、大学生。横浜の金沢区の関東学院大学の運動部との覚書とか、こういった話も大臣、御存じだと思います。今、若者は、最近の若い者はとかいろいろ言われていますけれども、エネルギーを公に向けさせるのに一番いいのは何か。私は、地域を守る、いざというときに役に立つ、そういった仕事を与えることだと思います。さまざまなボランティアがある中で、これはボランティアではありませんけれども、消防団というのは極めて重要な場だと思いますので、ぜひともそこへの周知、啓蒙をお願いしたい。

 そしてまた、OB。年をとったら、もう引退した、OB、OBというんではなくて、それの活用。あるいは女性。こういったものにウイングを広げていただきたいと思います。

 これらを踏まえて、この減少の歯どめ、そして消防団に役割を与えていくということについて、今後の見通し、御所見を伺えればと思います。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 消防団員の処遇改善についてのお尋ねでございますが、消防団員の労苦に報い、その士気の高揚を図りますために、従来から、団員報酬の交付税単価につきましては、適切な額の確保に努めてきたところでございます。ここ数年は、国家公務員、地方公務員とも給与が全体として据え置きあるいは引き下げの状況にあるということにかんがみまして、平成十五年度に引き上げたのを最後に、据え置いてきたところでございます。

 消防団員は、火災や災害が発生した際に出動するのはもとより、ただいま委員から御指摘ございましたように、武力攻撃事態にも避難誘導等重要な職務を担うこととなっております。交付税単価につきましても、その職責に応じた適切な額にすることが必要であると考えております。

 このため、平成二十年度におきましては、昨年の人事院勧告も踏まえまして、消防団員、特に若年層の割合が高く、また団員確保の上でも重要な階級であります団員の報酬につきまして、額的にはわずかでございますが、五百円引き上げをさせていだたくという措置を講じてまいりたいと考えております。

 次に、消防団の充実強化のためには、ただいま御指摘ございましたように、地元企業との連携をとりまして、その協力をいただくことが極めて重要であると考えております。

 消防庁では、全国で現在九十万を切りました消防団員を何としても百万人のレベルにしてまいりたい、そのうち十万人以上は女性消防団員を確保したい、現在女性消防団員は約一万六千人でございますが、これを目指して、消防団の活動環境の整備、消防団活動への理解の促進等、全力で取り組んでいるところでございます。

 その内容につきまして、先ほど大臣からも若干コメントがございましたが、二、三、具体的に御紹介させていただきますと、まず、女性消防団員の入団促進に力を入れてまいりたいと思っています。また、消防団に参加しやすい環境をつくるために、消防団のすべての活動ではなくて、入団時に定めました特定の活動、役割に参加する機能別団員、機能別分団の制度につきましては平成十七年に導入しておりますが、これもかなり進展が見られますので、さらに導入の促進をしてまいりたいと考えております。

 それから、現在、全消防団員の七割が会社などの被用者、サラリーマンという状況にかんがみまして、事業所の理解と協力がありませんと、入団するのも難しゅうございますし、また団員として活動がしにくくなるということがございます。そういった環境を整備するために、消防団協力事業所表示制度を昨年の一月にスタートさせまして、現在その普及に取り組んでおりますが、かなりの取り組みを各団体においていただいておりまして、既に八百を超える事業所が表示証を交付されているという状況でございまして、さらにこれには力を入れてまいりたいと思っております。

 また、消防団の団員確保の上に必要な経験を有する消防団の方々に、地方団体に出向いていただきまして、団員確保の具体的な方策にアドバイスをいただくような、そういった仕組みも設けているところでございます。

 また、消防団員は、先ほど言いましたように被用者の方が多いものですから、三月、四月の時期に人事異動等に伴いましてやめられる方がかなり発生する状況を踏まえまして、昨年から、一月から三月までを消防団員入団促進キャンペーン期間としまして、具体的な取り組み、さまざまなイベント等を行っているところでございます。ことしも、一月下旬に東京におきまして消防庁主催のイベント等を行ったところでございます。

 このようなことで、さまざまな努力を重ねておりまして、団員が減少傾向にございますけれども、子細に見ますと、八都県では団員が増加の状況になっていますし、先ほど申しましたように、女性団員も毎年増加の状況にございますので、私ども、これを反転させていくように努力してまいりたいと考えているところでございます。

遠藤(宣)分科員 ありがとうございました。

 本当に、待遇だけでなく、本人の名誉、誇り、そして社会的な重要性、これが認知をもっともっとされれば、本人たちのためにも、そして社会のためにも、地域のためにもなると思いますので、一層の努力をお願いしたいと思います。

 そして、二番目の質問に行きたいと思いますけれども、やはり、公のために頑張っている人たち、その代表として、私は、特定郵便局長というのを忘れてはいけないなというふうに思っています。

 私自身は、郵政事業はもう民営化はやむないなというふうに思っておりましたけれども、郵政省に入ったときから、特定局長さんたちとずっと勉強会を重ねてきました。彼らはこういうことを言っていた。僕たちは決して割の合わない仕事を何でやっているか、遠藤さん、知っているかい、こういうふうに言うんですね。理由は三つある。一つは名誉、二つ目は権限、そして三番目が待遇。この部分について、不満を持ちながらも、それが原動力になっているんだよ。

 まず一番目の、名誉。言うまでもなく、もともと、地方の素封家が、明治政府にお金がないときに自分の家屋を提供して郵便制度をつくり上げた。その自信と誇りが今の局長さんたちにもある、あった。だから僕たちは公務員なんだと言っていたんですね。だから民営化は反対だ、そういったところが結構強かった。

 そして二番目が、権限。これは、地方の郵政局から流れてきて、本省で決めて、郵政局に来て、そして連絡会に来て、下がってきて、こうこうこういったものをやるんだという指示が来る。しかしながら、そのときにはもう現場と大きな乖離を生じている。こういったものに対して、特定郵便局長は、自分たちがまとまってきちっと意見を言うことによって地域ニーズをしっかりと反映させていく力を持っていた。

 そして三番目が、公務員としてのそれなりの待遇があった。

 この三つが民営化によってどう変わったのか、そして士気にどう影響しているのか、これが今回の質問の趣旨であります。

 特定郵便局長が、いわゆる自分のプライド、誇りを公務員というものに託していた、ずっと自分たちが地域の名士というか地域のかなめであったという誇りを持っていたものについて、今、まずどうやって士気を維持させるのか。

 そして、権限。余りにも兵たん線が長い。ある商品、あるサービスが末端に来たときに、全然売れないものがある。これは、民営化になったことによって、私は、随分、地域のニーズに即したものができる、柔軟な経営ができるようになったと思っています。そして、そこの質問は、人事とか予算とか売り出す商品の選択権を現場にどのくらいおろしていくか。

 そして三番目の、待遇。今まで、公務員ですから、年数が上がれば必ず給料が上がった。民営化されて、やる気のある者、そして自信のある者、努力をしている者がどのくらい評価をされるようになったか。

 この点について、民営化が彼らの士気に及ぼした影響、そして、いいような形で転換をしていっているかどうか、その部分についてお伺いできればと思います。

伊東参考人 お答えいたします。

 三点御質問があったかと思いますが、最初の名誉のことについて申し上げます。

 確かに、委員おっしゃるとおり、郵政民営化によりまして、日本郵政グループの社員につきましてはすべて公務員でなくなったわけでございますが、全国に設置されております郵便局の公共的な使命は変わらないというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、民営化後も、郵便局長が公共的な使命を担う郵便局の責任者であることを十分認識した上で、民営化前と変わらずに、地域住民であるお客様によりよいサービスを提供できるようにしていくことが私どもの使命だと思っております。

 そのために、郵便局長だけではないんですが、そこで働く社員というものが安心して仕事ができるように、これまでいろいろ行ってきたことが引き続きできるように、そういうことをしていくことが重要であると認識しております。そのためといいますか、そういうことが実現できるように、経営側というか会社側といたしましては、常にお客様視点と郵便局視点というものを第一に、フロントラインの声を真摯に受けとめ、それらを大いに取り入れて、きちんとした業務取り扱いができる体制というものを整えていくことが重要だというふうに認識しているところでございます。

 それから、権限のお話が二点目にございました。予算とか人事とか商品選択権というものをどんどんおろしていく必要があるんじゃないかという御質問でございましたが、まだ具体的に、人事とか予算というところが、すべて郵便局長に権限としておろしていくというところまでには至っておりません。

 しかしながら、郵便局会社になりまして、今までの公社時代と違いまして、目標に対して一生懸命取り組むということだけではなく、損益管理ということに対しても当然のことながら関心を持って取り組んでほしいというふうに思っておるところから、それぞれ目標はあるんですけれども、やはり地域の実情に応じた商品、どういう商品をお勧めしていくか、その地域ごとに合った営業活動というものが活発にできるような仕組みづくりというものを郵便局会社においては行おうということで、さまざまな取り組みをしているところでございます。

 それから三点目の、評価といいますか待遇ということになるわけですけれども、これにつきましては、ある程度、公社時代から二つの点、一つは、当然のことながら、会社が求める一定の業績の達成度合いというものの評価があるわけですが、単にそれだけではなくて、それを遂行していく上での行動評価、この二点を中心に人事評価を行ってきております。

 その中でも、短期的なものに絞らず、中長期的な業績も評価しているところでございます。それに応じまして給与やボーナス、そういった処遇に反映しているということで取り組んできているわけですが、民間会社になりまして、当然のことながら、さらにふさわしい評価制度というものをつくっていきたいということで、見直しも検討しているところでございます。

遠藤(宣)分科員 民営化をしてよかったなと、今、成功か失敗か、まだ評価が定まっておりませんから、そのあたりを、名誉と権限とそして待遇、ぜひとも御配慮の上、あの民営化は成功だったと彼らに言わしめられるかどうかがかぎだと思いますので、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。

 もう時間がほとんどないんですが、最後に、放送について一点。

 公の役割を持っている仕事、我々がふだん接している放送、これも総務省の管轄であるんですけれども、最近、特にやらせとか偏向報道というものも問題になることがあります。やめた店員にマクドナルドの制服を着せてやらせをやってみたり、まだまだ尽きない。

 そんな中で、私も一回被害に遭ったことがあるんですけれども、どうやって放送を適正化するか。私自身はメディアの人間と二十年ぐらい前からメディア懇談会というのをやっていまして、メディアの内部の人間がこうすればいいよというのが幾つかあったので、これをちょっと最後に御紹介して、個々の答弁は求めません。

 例えば、訂正をするのに、非常に長期化してしまう、あるいは一瞬で終わらせる。裁判では長期化する、訂正は一瞬でさらっと終わらせてしまう。そうじゃなくて、例えば、特定番組、そういった番組をやったところのスポンサーの公表、スポンサーからのヒアリングをやるべきじゃないかと。これはメディアの内部から出ています。

 それから二番目、メディア事故について。大体、自分たちのまずいことは長く報道しません。ですから、ある種の政府広報的な場において、今これがこういう訴訟を受けていますよと、メディアとか報道とか、そういったものについてつくるべきじゃないか。ホームページでもいいです。

 三番目が、訂正放送は一言で済まさないで、例えば、松本サリン事件でのああいった問題があれば、流した放送時間の一定割合を、一定期間テロップで、そこの何割かの時間帯で流すことを義務づけるとかですね。

 四番目、番組の放送局じゃなくて番組制作者を公表する。

 そして五番目が、これは公共の電波を使っている、つまり公共財、国民の財産を利用して商売している以上、給与とかもちゃんと発表するべきじゃないか。

 こういったことをやらないと放送業界は適正化されないよということを放送局の内部の人間が私の勉強会で言っておりますので、こういったものも踏まえて、今後、メディアの適正化についてどのようにお考えになっているか、大臣に最後に御所見をお伺いしたいと思います。

田野瀬主査 時間が参っておりますので、簡潔に。

増田国務大臣 はい、わかりました。

 有限希少な電波でありますし、社会的影響も大きいということですので、やはり、基本は放送法だと思いますが、番組準則というのが決まっておりますので、それを踏まえて我々も対応する。そして、放送事業者がみずから番組基準というものを今定めていますので、そういう我々の対応を通じて、彼らにもそうした取り組みをきちんと促していくということだと思います。

 もちろん、極端な場合には、放送事業者に対して訂正、取り消しの放送を求めていかなければならないと思っておりますし、そういうことのないことを願っているわけでございますが。

 いずれにしても、問題があれば我々としても当然適切な措置を行政として行う、これは放送法の決まりでございますので、我々もそうしたことをよく見ながら放送法を適切に運用していきたい、こういうふうに考えます。

遠藤(宣)分科員 メディアと政治は国民のかがみといいますので、我々も、襟を正すと同時にメディアの適正化を望んでいきたいと思います。

 最後ですけれども、公の仕事、携わっている者、それぞれが自覚をすることによってこの社会がよりよくなっていくということを我々自身も自覚をしてやっていきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

田野瀬主査 これにて遠藤宣彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)分科員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、先ほども触れておられましたが、消防の広域化の問題についてお聞きしたいと思います。

 平成十八年施行の改正消防組織法に基づきまして、今、消防の広域化というのが進められております。市町村消防の広域化については、広域化に関する基本指針で、都道府県が、遅くとも平成十九年度中には、広域化対象市町村の組み合わせまで含めた消防広域化推進計画というのを策定するとされております。

 初めに確認をしたいんですが、現在、全国で、推進計画を定めた県、これは何県あるでしょうか。

荒木政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年二月二十六日現在、長野県及び千葉県の二県におきまして、広域化推進計画が策定されたところでございます。

 その他の都道府県におきましても、市町村、消防関係機関、学識経験者などから成ります協議機関を設けまして検討を行うなど、計画策定に向けまして鋭意取り組んでいるところでございます。

佐々木(憲)分科員 この法制定当時、総務委員会で、当時の消防庁長官は、「広域化を強制するということではない」、こういう答弁をされています。そして、「法律の条文上も、市町村は、「広域化を行おうとするときは、その協議により、」「計画を作成するものとする。」としているところでございまして、その趣旨をあらわしている」、こう述べているわけですね。

 つまり、広域化を行うかどうか、これはあくまでも市町村の自主的判断で行うものであるという答弁だと思いますが、これは間違いありませんね。

荒木政府参考人 平成十八年の消防組織法の改正は、消防防災体制の充実強化を図りますため、市町村の消防の広域化に関しまして、都道府県、市町村、消防本部等の関係者が十分に議論を行うための枠組みを準備したものでございます。

 各市町村におきましては、みずからの地域の今後の消防防災体制のあり方について検討を行い、消防の広域化を行うという判断に至った場合には、関係市町村の協議によりまして広域消防運営計画を作成し広域化を行うものであり、広域化を強制するものではないところでございます。

佐々木(憲)分科員 火災などから住民の生命、身体、財産を守るというのが本来の消防のあり方であり、大変重要な役割だと思います。

 自分たちの町が広域化でこれからどうなるのかということを決めるのは、市町村、住民自身の判断が基本であるということだと思います。

 昨年十一月、私も質問主意書を提出いたしまして、政府から出た答弁書では、消防広域化は市町村の自主的な判断により行われるものとし、その際、広域化の基本指針や推進計画に各市町村は拘束されるものではないということを明言しているわけであります。

 大臣、この答弁書、これは間違いございませんね。

増田国務大臣 消防の広域化は、市町村の自主的な判断ということでございまして、国の基本指針や、冒頭お話がありました都道府県の推進計画に拘束されるものではない、こういうものでございます。

佐々木(憲)分科員 そういうことを踏まえますと、都道府県が推進計画をつくったとしても、各市町村にそれを押しつけるのではなくて、広域化に参加するか否かというのはそれぞれの市町村の自主的判断である、国も県もそれを保障する。大臣、こういう理解でよろしいですね。

増田国務大臣 これは、せんじ詰めれば、広域化は市町村の自主的な判断。ただ、私どもは、各市町村において、今後の消防力強化という観点から、広域化ということについては積極的に検討を行っていただきたい、そういうことを期待しておりますし、今真摯に検討が行われている。

 こういうことでございますが、やはり、地域に根差す、こうしたものでございますので、消防の広域化は市町村の自主的な判断により行われるものである、こういうものでございます。

佐々木(憲)分科員 次に、火災発生のメカニズムと対応という点についてお聞きしたいと思います。

 例えば、ある木造住宅から火災が発生した場合、放置しておくと、全焼するまでに何分程度かかるものか。また、それに間に合うように消火活動を行うとすると、発生後何分以内に消火活動を開始すればいいか。この点、基本的なことですが、お聞きをしておきたいと思います。

荒木政府参考人 お答えします。

 お尋ねがございました、住宅火災が全焼するまでの時間でございますが、なかなか難しい問題かと思いますが、住宅の規模や構造、出火場所や住宅の中の収容物、どんな家具があるかというような、その収容物、あるいはそのときの気象条件、こういったことによりましてかなり左右されることから、一義的にお答えするのはなかなか難しいのではないかと思います。

 しかしながら、一般的に、先着の消防隊が放水を開始するまでの所要時間が六分半を超える状況になりますと、急激に延焼率が高まるということがございまして、火元建築物一棟の独立火災にとどめるためには、消防隊は出動後六分半以内に消火活動を実施することが望ましいということで、消防庁が定めております消防力整備指針におきましては、これをもとに署所の配置等の基準を定めているところでございます。

佐々木(憲)分科員 住宅が密集しているようなところで火災が発生した場合に、風下に延焼するという場合、どういうメカニズムになるのか。それから、四方面に延焼するという場合はどういう状況なのか。あるいは、フラッシュオーバーというようなことも聞きますけれども、それは一体どういう現象で、何分ぐらいそれに至るまでかかるのか。その辺のことについてお聞きしたいと思います。

荒木政府参考人 火災の延焼現象でございますが、これは、熱が伝わる輻射、輻射熱によるもの、また炎が接する接炎、それから火が飛び散る飛び火、こういったものによりまして、あるいはまたこれらの組み合わせによって生じるものでございます。

 一般的に、住宅が密集している地域におきましては、隣接した建物との間隔が狭く、また、旧来の裸木造の住宅、木が外へ出ている古来の日本の木造建築、こういった住宅などの防火性の低い建築物から延焼していくということが推測されるところでございます。

 次に、フラッシュオーバーについてのお尋ねがございましたが、これは爆発現象の一つでありまして、火災の初期の段階で発生した多量の可燃性ガスが室内に充満しているところに、例えばドアをあけて空気が一気に流れ込む、そういったことによりまして室内の空気が一定以上になりましたときに爆発的に燃焼が起こりまして、極めて短時間で部屋全体が炎に包まれる、この現象を指して言います。

 着火してからフラッシュオーバーまでの時間の長短につきましては、内装材料の種類、室内の可燃物品の量、空気の流入条件等によりまして大きく異なるところでございますが、目安として申し上げますと、ベニヤ等の可燃内装材で三分程度、難燃合板等の燃えにくい材料である難燃材の場合ですと四分から五分ぐらい、石こうボード等の不燃材などですと六分ないし八分とされているところでございます。

佐々木(憲)分科員 延焼する場合、風下の住宅、それから隣接する四方面に延焼する、この場合は、時間はどの程度と一般論で考えられていますか。

荒木政府参考人 現在、手元に具体の資料を持ち合わせておりませんが、一般的に申しまして、建物との間隔、それと風向、さらには風下にあります建物が先ほども申しましたように燃えやすい建物かどうか、それによっても異なりますので、いろいろなケースに応じて、それぞれ具体のケースごとにかかる時間は検討する必要があろうかと考えます。

佐々木(憲)分科員 私が聞いているところによりますと、一般的には、二方面に延焼する場合は八分ぐらいだとか、あるいは四方面で十一分ぐらいだとかという数字を聞きますが、大体そんなふうな理解でよろしいですか。

荒木政府参考人 先ほども申しましたように、消防力の基準で根拠にしています六分半というのがございましたが、これまでの経験等を踏まえましてその時間を一つの目安にしておりますが、それから考えましても、今委員の御指摘の時間はある程度現実的なものではないか、このように思うところでございます。

佐々木(憲)分科員 消防力の整備指針というものに基づいて今説明をされていると思いますけれども、火災発生から六分半以内で消火活動を実施しなければならない。それから、八分以内に周辺の建物の延焼を防止するために、一消防自動車から同時に二線のホースを延長し、二方向の延焼防止を可能とするため、一消防自動車の隊員を五名というふうに規定している。これは間違いありませんか。

荒木政府参考人 そのとおりでございます。

佐々木(憲)分科員 火災現場での指揮系統の問題ですけれども、現場で、消防署、それから消防団、それが同時に消火に当たるという場合、指揮系統というのはどのようになりますでしょうか。

荒木政府参考人 火災その他の災害時の消防活動を迅速かつ効果的に行いますためには、消防機関相互の指揮命令系統を一元化しておくことが必要でございますことから、消防組織法第十八条第三項の規定では、「消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動する」とされているところでございます。

 これを踏まえまして、各消防本部や消防学校におきましては、消防団を含めた訓練、研修等に日ごろから取り組んでいるところでございます。

佐々木(憲)分科員 統一した指揮下で両方とも行動する、こういう理解でよろしいですね。

荒木政府参考人 そのとおりでございます。

佐々木(憲)分科員 そこで、広域化との関連でお聞きをしますけれども、広域化によって消防署が広域的統合をされるのか、消防本部が統合されるのか。それから、消防団というのはその際どのようになるのか。この関係についてお聞きしたいと思います。

荒木政府参考人 消防団につきましては、市町村消防の広域化がされた場合にも広域化の対象とはされておりませんで、市町村ごとの設置が基本となりますため、広域化後の消防本部と消防団の緊密な連携を確保することが必要であるというふうに考えております。

佐々木(憲)分科員 消防本部というものが、例えば自治体にそれぞれ一つずつある、それが、三つの自治体が広域化で統合された場合、消防本部はどこか一つに統合される。

 そうしますと、消防団はそれぞれの地域で従来どおり活動するということになりますと、日常的な連携というものが薄れてくるのではないか、火災発生の際の連携というのはうまくいくのかどうか、疑問に思うわけです。現場に直ちに駆けつけるということが可能なのかどうか。この点、お聞きしたいと思います。

荒木政府参考人 消防の広域化が推進されます際に、ただいま委員の御指摘のありました点は極めて重要な点でございますので、そのために、例えば、常備消防の管轄区域内の複数の消防団の団長の中から連絡調整担当の団長をあらかじめ指名する、あるいは各消防団と常備消防との合同訓練等を実施する、さらには各消防署に管轄区域の消防団との連絡調整担当を配置することや定例的な連絡会議を開催する、こういった方策を地域の実情に応じて積極的に講じていくことが必要であると考えております。

佐々木(憲)分科員 先ほど火災発生のメカニズムについてお聞きしたわけですが、六分半以内に駆けつけることが必要であると。そういう状況が求められているにもかかわらず、広域化されて、消防本部が遠いところに移る。

 その場合、今、連絡調整をどうするとか、合同訓練だとか会議だとかいろいろ言われました。それはそれで必要なことかもしれませんが、問題は、火災が発生したときに直ちに現場に駆けつけて対応する、しかも、統一的な指揮のもとでそれをやらなければならない。しかも、短時間ですね、六分半以内というのは。

 そういう状況を考えますと、広域化することが、短時間で駆けつけるということと相反する方向に行くのではないか。広域化すれば、広い地域だから消防車がたくさん現場に駆けつけることができる、今まで一台だったのが、三台も五台も行けると。しかし、問題は時間ですから、時間に間に合うように行けるというのはその近くにいなければいけないわけです。その辺の対応が私は非常に問題になってくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

荒木政府参考人 ただいまの御懸念の点でございますが、消防の広域化が図られます際に、ぜひ御理解いただきたいのは、現在あります消防署あるいは支署、これについては、基本的には従前どおりということで御認識いただきたいと存じます。したがいまして、御心配いただいています、駆けつける時間が長くなる、そういったことは現実には起こり得ない。

 むしろ、先ほど来申しておりますように、指揮命令系統が一元化されますし、今委員からもお話ございましたように、駆けつける消防車の数も、今までですと、別の市町村ですから、別の本部でありますと広域応援という形になりますが、広域化されますと、指揮命令が一つですから、本部からの指令で一斉に近隣の消防車が駆けつけるということでありますので、火災があった際の初期消火の時間が延びることはありませんし、初期消火のパワーがアップするということに多くの地域でなってくると思いますので、私ども、この消防の広域化は、地域住民の生命、身体、財産をしっかり守る上で極めて意義のある有効なものであるというふうに考えているところでございます。

佐々木(憲)分科員 問題は、その地域の消防力というものがしっかりと強化されているかどうかというのが基本だと思います。

 広域化したら何かうまくいくというものではないと思うんですね。六分以内に駆けつけなきゃならぬところを、遠いところから二十分で駆けつけたって、これは意味がないわけですから。そういう点でいいますと、その地域の例えば消防団、先ほども少し議論がありましたが、これをどれだけしっかりしたものにしていくか、その支援というものがどうか、これが非常に大事だと思うんです。

 そこで確認したいんですけれども、消防団の現在の人数、それから過去最高時はどのぐらいいたか、その数字を確認しておきたいと思います。

荒木政府参考人 消防団員の数でございますが、平成十九年四月一日現在で全国で八十九万二千八百九十三人でございます。

 過去のピーク時でございますが、私が今現在手元に持っております資料が昭和三十一年までのものでございますので、この資料では昭和三十一年がピークでございまして、百八十三万人でございます。後ほどまた御報告させていただきますけれども、昭和二十年代後半では、二百万人を超えている時期がございました。

佐々木(憲)分科員 過去最高が昭和二十年代後半で二百万人を超えていた、現在八十九万というのは、地域の消防力という観点からいいますと非常に後退していると思うんですね。

 そこで確認ですが、人口に対する消防団員の比率、これを確認したいと思います。

 例えば、消防が常備されていない町村、この人口比はどうなっているか。それから、消防が常備されている市町村の場合、一万人未満の人口のところ、それから一万人から二万人、二万人から十万人、十万人から百万人、それから政令指定都市、それぞれの、概数で結構です、推計で結構ですが、比率をお答えいただきたいと思います。

荒木政府参考人 住民基本台帳人口に対します消防団員の比率でございますが、平成十九年四月一日現在で申し上げますと、この数字はまだ精査中でございますので速報的なものということでお聞き取りいただきたいと思いますが、まず、消防が非常備の町村につきましては四・三%程度。消防が常備の市町村につきましては、人口段階別に申しますと、人口一万人未満の市町村では三・〇%程度、人口一万人以上二万人未満では二・一%程度、人口二万人以上十万人未満では一・二%程度、人口十万人以上百万人未満では〇・四%程度、政令指定都市では〇・二%程度。総平均、全国平均ですと〇・七二%という状況でございます。

佐々木(憲)分科員 今数字を確認したんですが、やはり小さな自治体ほど消防団員の比率というのは非常に高いわけですね。全国的には非常に後退しておりますけれども、しかし、地域を支える消防団の役割というのは弱小の自治体になればなるほど大変大きなものがあるということが確認できると思うんです。

 消防力の現状を考えますと、消防団あるいは地域の消防署の職員、その人員の確保とか能力の向上というのは非常に大事だというふうに思います。そこで、私は昨年の質問主意書で確認したんですけれども、政府の答弁で、「整備指針に定める消防力が確保されるよう、助言や支援をしてまいりたい。」こういうふうに答弁されました。

 現在充足率が一〇〇%に達していないと思いますけれども、この充足率が今どのぐらいあるのか、それから、達成するための方策、これは一体どう考えているのか。その原因と方策についてお聞きしたいと思います。

荒木政府参考人 消防力の整備指針に対します消防職員の充足率につきましては、七五%程度で推移をしている状況でございます。平成十八年四月一日現在で申しますと七六%でございます。

 このような状況でございます背景としましては、各市町村における厳しい財政状況や行政改革に基づく定員管理等により、大幅な職員の増加を図ることが困難なことによるものと考えているところでございます。

 しかしながら、地方公務員全体の数が平成十四年から平成十九年の間に六・一%減少している中で、消防職員につきましてはこの間に一・九%増加を見ているところでございまして、大変厳しい財政状況の中でございますが、地域の安全、安心を守るために、各市町村におきましても、消防行政への担当する職員の配置につきましては十分な配慮をしていただいている、努力をいただいているところという認識を持っております。

佐々木(憲)分科員 これは、公務員が減らされているのも問題ですけれども、消防団のふえ方といっても微々たるものなんですよ。充足率が七五%程度という状況は、やはり私は非常に重大な事態だと思います。これをどういうふうに高めるのか。

 大臣、充足率がこの程度だという理由、これは財政力というのが非常に大きな要因となっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

増田国務大臣 やはり消防職員、消防団員の数をきちんと確保して、そして地域の消防力を向上させなければいかぬ。その意味で、各市町村もいろいろ努力をしていただいておりますが、近年、特に今御指摘をいただきました非常に人口の小さなところでの、市町村、特に町村ですね、そうしたところの財政状況が大変厳しくなっている。これは交付税が急激に減ってきているということにもあらわれているわけでございますが、大変厳しい状況であるということは私どもも認識をしておりますので、この点については、今回も交付税を久方ぶりに増額いたしましたが、そういったようなことによってこうした一般的な防災あるいは治安などに関係してくる部分については私どももきちんと見る、こういう必要があるというふうに思っています。

 この点は重々認識をしておりますので、今後もそうしたことについて努力をしていきたいと考えます。

佐々木(憲)分科員 例えば、具体的な例で申し上げますと、鈴鹿市の消防署の場合、各分署では、救急車の出動が一日数回ある。必ず三人が乗車します。しかし、そのときに火災出動が重なる場合、消防車一台に二人しか乗れない、また消防車が出せない事態も起こる。あるいは、岐阜県の東濃・可児六市の充足率でいいますと、四四・八%から六五・一%。そのため、整備指針では一台につき五人とされていますけれども、三人体制という出動が広がっている。こういう状況なんですね。

 ですから、整備指針で一台五人というのは、これはもう消火活動の基本なんです。それが大幅に欠けてしまいますと、三人とか二人、これは、先ほど時間が、仮に六・五分以内に着いたとしても、十分な消火活動ができないということになります。

 それから、消防団の方も、これも先ほどの御答弁にありましたように非常に重要でありまして、財政基盤が弱い町村の育成強化という点については特別の予算措置、これがやはり求められるというふうに思いますが、大臣の決意、予算の面での支援というのを、ぜひ答弁をお願いしたいと思います。

増田国務大臣 特に消防力の関係につきましては、やはり防災という観点からも大変重要でございますし、これまでいろいろな面で環境の整備に努めてまいりました。

 さらに、財政の関係ですね。財政の関係も、私は、特に財政力の弱いところでこうしたところに不安が出てくるというのは、やはり住民の皆さん方にとりましても大変心配だろうと思いますので、今回交付税等の増額等も行われました、なおそうした面についての手当てというのは、地域の実情をさらによく踏まえた上でいろいろ努力をしていきたい。

 やはり、こういった防災関係についてきちんとした対応をとるということが大変重要でございますので、その点についてはなお一層努力を図っていきたい、このように考えます。

佐々木(憲)分科員 広域化というところに力を入れるよりも、私は、むしろ消防団とか消防署の、地域の、特に弱小自治体のなかなか財政力が伴わないところに国はもっと力を入れるべきだという点を最後に強調して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田野瀬主査 これにて佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田峰之君。

福田(峰)分科員 よろしくお願いします。

 私は、公立病院改革についてきょうは質問させていただきたいと思います。

 国民皆保険制度でありますから、日本国民、どこに住もうが、大都市に住もうが僻地に住もうが、これはしっかりとした医療を受ける権利がやはり日本の中にはあるわけでして、こうした中で、必要な医療は、当然、提供していく側が提供していかなくてはいけないと思っています。

 そのときに、一定の水準の医療提供ができる場合に、公立病院で提供していくのか、あるいは民間の病院で提供していくのか、あるいは公設民営だとか、いろいろな形があるわけですけれども、時代が大きく変わってきている中で、それぞれの役割というのはやはり大きく変わってきているのかなというふうに思っていまして、提供者が、例えば民間の病院だとかあるいは公立の病院だとか、提供される側は別にどちらでもいいわけであって、大切なのは一定の医療水準がしっかりと受けられるということであるわけですから、だれが提供するかは実は余り住民としては関係ないわけですね。

 ここで、提供する側が、過去においては時代が違っておったということもあると思いますが、公立である必要性というのは果たしてあるのかどうか、総論で結構ですから、まず教えていただきたいと思います。

増田国務大臣 まず、今委員お話がございましたとおり、これは利用される側の立場に立って考える必要があると思っていまして、その際には、公立であれ民間であれ、質のいい医療が提供されればいい、こういうことだろうと思います。

 そして、公立病院でなければならないというのは、やはり、採算性の面から民間医療機関による提供が困難だ、こうした場合には、どうしても公立でその地域の医療を支えていかなければなりませんから、例えば過疎地域での医療ですとか、あるいは、どうしても不採算医療と言われるような部門がございます、こうしたものについては恐らく、これも地域、周辺の状況にもよると思いますが、公立で提供される場合、あるいはそうした妥当性がある場合が多いであろう、こういうことでございます。

 そうした公立病院の必要性というのはやはり時代とともに変わってくる、そして、大事なことは、やはり医療の質の面であろう、こういうことではないかと思います。

福田(峰)分科員 今大臣おっしゃっているとおりだと思いますね。

 医療の質というのは、では、例えば公立の病院と民間の病院と比べたときに、公立の病院が高くて民間の病院が低いかというと、別に決してそうではありませんし、特別な先進医療を特に研究しているとかそういうことであれば別でしょうが、いわゆる一般の診療科目といいますか、特別なものでない限りは、私は、民間であろうが公立病院であろうが、質というのはさほど変わらないと思っております。

 例えば、これから、ある地域に医療過疎地域があった、住民の状況を見たときにはそこにやはり病院をつくらなきゃならぬというときに、いろいろな選択があると思うんですけれども、いわゆる直営の、そのまま公務員が、直営そのもので、純粋直営といいますか、そういう形で、今後いろいろな自治体が、例えばここに本当の直営の公立病院をつくりたいということを言ってきたとするならば、果たしてそれを、今後総務省は、いや、それはもうちょっと知恵を出した方がいいんじゃないかとか、いや、それはもう純粋直営でもいいんじゃないか、いろいろな考え方があると思うんですが、新規に、本当の直営の病院という公立のものを例えばこれからつくっていかなければならない背景というのは本当にあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 公立病院改革ガイドライン、昨年の末、十二月二十四日に各関係団体にお示しをいたしましたけれども、その中でも、公立病院につきましては、既存の病院の再編、ネットワーク化でございますとか、あるいは経営形態の見直しを通じた民間的経営手法の導入、これを推進していくことが基本的な改革の方向であるというふうにお示しをしております。

 ただ、一方で、例えば過疎地などにおきまして、既存の公的医療機関などが撤退をするといったような場合もございまして、そうした場合に、地域における医療提供体制を確保する必要から、これを地方公共団体が受け継いで、継承して、新たに公的な公立病院を開設するといったような場合も想定されると思います。

 ただ、そうした場合でございましても、例えば指定管理者制度の採用でございますとか、民間的な経営手法の導入、これを図っていくといったことで、最大限効率的な経営が確保されるように留意する必要があると考えております。

福田(峰)分科員 この医療ですけれども、例えば救急医療だとかあるいは小児だとか産科だとか、まさに今本当に求められている、必要性の高い、緊急的な課題といいますか、こうしたものが一方ではありますよね。

 それで、今、採算、不採算という話があると思うんですけれども、例えば、不採算だけれども提供していかなければならないサービスというのは確かにあると思います、今言った救急だとか小児だとか。一方で、提供しなくてはならない医療サービスがあるけれども、それはイコール、だから公立病院だということではないと思うんですね。ほかにも例えば難病対策だとか、災害対策だとか、あるいは先ほど言いました高度先進医療体制ということ、こういうのは確かに不採算だけれども、その分を補助金等を加えて、そして運営をするということは当然これは私も理解ができるんです。

 問題は、民間病院も同様な医療サービス提供ができる、いわゆる一般の診療、そういうものを提供したときに、果たしてそこの部分が、例えば、公立病院と民間の病院と比べたときにその費用というのはどれだけ違いがあるのかなというのは実は大切な視点で、そういうところは、普通なわけですから、特に民間病院に比べてコストがかかるということでは何もないわけですから。

 そういう点を見たときに、問題なのは、必要性の高い不採算の部門と、不必要な不採算部門と言うとちょっと言い方が違うかもしれませんが、それほど費用をかけなくても一般の病院だってできているじゃないかという基準があると思うんですけれども、この辺の区分けというのは、例えば公立病院の中で一体できるのかどうか、その点はいかがでしょうか。

久保政府参考人 先ほど大臣の答弁にもございましたように、公立病院の役割、これは、地域において必要な医療のうち、採算性などの面から民間医療機関による提供が困難なものを提供していくということにあると考えております。

 各公立病院におきまして特定の不採算部門を存続する必要性の有無でございますけれども、それはその地域におけます医療供給体制、これの状況にも左右されると思いますが、例えば救急などの不採算部門の医療でございましても、都市部などで、他の民間医療機関などによって提供され、それが質、量ともに必要な水準が充足されているということでございますと、公立病院において提供する必要性は乏しいと言えると思います。

 いずれにいたしましても、各公立病院が地域において具体的にいかなる役割を担うべきなのか、これについては、都道府県の定める医療計画などを踏まえながら、最終的には開設者でございます地方公共団体において判断されるべき問題であると考えております。

 このたびのガイドラインに基づきまして策定していただく改革プランというのがございますけれども、これにも、当該公立病院が地域医療の確保のために果たすべき役割、これをまず明らかにしてほしい、こういったふうに要請をしております。

福田(峰)分科員 私ももともと地方議員でありまして、横浜の市会議員でしたから、当然そこには市民病院や何かがたくさんありまして、そのときにも、議論をしてきたときに、病院によっても違いますけれども、例えば、ある病院の課題があったときに、その病院の課題において、しつこいようですけれども、一般の診療報酬というのは、例えば患者さんの数が違うというファクターを取り除いたときに、同じだけのコストをかけてできる医療サービスの提供というのは、いわゆる効率性を考えると、民間の病院と公立病院は違うんだけれども、いわゆる高度先進医療だとかそういう特別なものをやる、そこは不採算だけれども、そこの不採算部門と一般の診療の部分との経費区分がなかなかできないんだ、できないから合算になっちゃって、トータルで赤字になってしまうから、例えば繰入金を入れるとか、そういう言い方をしていたんですね。

 やはり、ここの部分というのは確かに難しいとは思うんですが、でもこれをどうにか切り分けできる方法論がないと、何を不採算の基準とするのかとか、何を基準とするのかというのは確かに地域によって違うと区切られてしまうと、多分、ある意味でのどんぶり勘定が続いてしまうような気がしてならないんですね。

 ですから、今回のこのガイドラインの中にはそこのところの区分けをしっかりしなきゃならぬということは書いてはないと思うんですが、この点はもう一回、どういう判断をこれから総務省としてされていくんでしょうか。

久保政府参考人 これはもう委員御案内のように、地方公営企業法の十七条の二、そして十七条の三という経費負担区分の原則がございまして、十七条の二の方は、これは採算がなかなかとれない、あるいは採算をとるというのが適当でないといったようなもの、その場合には一般会計から負担をするんだということが明言されておりまして、また、十七条の三の方は、これは災害でございますとかその他必要な場合には補助ができるということがございます。

 そうしたものを受けまして、私ども、病院につきまして、繰り出し基準、これをつくっておりまして、やはり、一般会計として負担すべきものは繰り出し基準に基づいて必要な額を病院の方に出していただく、また、それについては交付税措置もしているというのが私どもの体系でございます。

 年末にお示しをいたしました公立病院改革ガイドライン、ここの中でも、まず当該病院の果たすべき役割、これをきちんと、今委員が御指摘になられましたように、何が、自分たちのつくっている病院の住民に対して果たすべき役割なのか、これをもう一度改めて点検してきちんとしていただいて、それに対して一般会計から負担すべき原則、これをその病院ごとに確立していただきたいということを主眼に置いてお願いをしております。

福田(峰)分科員 これは、そこが明確にならないと、丸め込まれてしまうと、採算が合わないから、だからどうしても一般会計補助だという、そこのところの線引きができないと非常にお金ばかりかかってしまうということがあるので、これは、ガイドラインの中において、改革プランを立たせる中で、ぜひ指導していただきたいなというふうに思います。

 それと、民間病院の経営の経費と公立病院の経営の経費というのは、地域によっても違うと言われたらそれまでなんですが、例えば、同じところに同じように、同じ町中に公立病院と私立の病院があったときに、同じようなところに並んであるときというのは比較的どういう状況かとわかりやすいと思うんですけれども、例えばそういう場合に、病院の経費というのは、いわゆる民間の病院と公立病院と、部門によっても違うと思うんですけれども、トータルとしてどれぐらい差が出てくるものなんでしょうか。

久保政府参考人 全国自治体病院協議会というのがございまして、この協議会が平成十七年六月現在で調査した、自治体病院と私的な病院との経営状況の比較というのがございます。

 これを見た場合には、病床百床当たりで、医業に係る収入、医業収益、これはほぼ同水準でございます。これに対しまして、職員給与費でありますとか減価償却費などを中心といたしました医業費用でございますけれども、これは公立病院が民間病院を上回っておりまして、大体約一割強高い水準にあると考えていいという結果が出ております。

 こうした状況を踏まえまして、私ども、公立病院改革ガイドラインにおきましては、公立病院が経営効率化に係る数値目標を設定した上で、職員給与体系の見直しでございますとか施設設備整備費の抑制といったようなことなど、一層の経費削減、抑制対策に取り組むよう助言をしているところでございます。

福田(峰)分科員 これは、地域住民は、税金の持ち出しで、結局税の中でお金をこっちへ持っていったりあっちへ持っていったりしますから、例えば公立病院を、このままいろいろなお金を入れて成り立たせたとしても、直接懐が急に痛むわけではありませんので、長い目で見れば、地方公共団体が破綻をして地域住民が迷惑をすることはあるかもしれませんが、近い目で見ると多分なかなか実感が伴わないわけでして、大概は、地方公共団体の中で改革の議論をやると、総論賛成、各論反対に大体なっていきます。それで、近くの人たちは、いや、市民病院がこうなっちゃ困るみたいな話が出ると、各論になっていくと反対が吹き荒れるというのが現実問題であります。

 そうした問題では、今回、総務省が背中を押すという意味で、このガイドラインをつくったということは、私は非常にいいと思うんですね。ただ、それを、みんなが言うことを聞くかどうかというところに問題があるわけで、今回のガイドラインをつくることによって既存の公立病院の経営改革というものは果たしてどこまで進むとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 大いに進んでいただきたい、こう思っておるんですけれども、今回のガイドラインにおきまして、これはもう委員御案内のことになるかと思いますけれども、三つの観点におきましてそれぞれ経営について考えていただきたいというふうにしております。

 一つは、現在四分の三以上の事業体で経常赤字を計上している、こういうことになっておりますので、損益収支につきまして、一般会計からの所要の繰り出し後で経常黒字が達成される水準、これを目途として経営の効率化を図るようお願いをしている。経営効率化という点が一点でございます。

 それから二点目でございますけれども、地域における公立病院を、中核的医療を行って医師の派遣の拠点機能をも有するといったような基幹病院と、日常的な医療確保を行う病院、診療所、これとの再編、ネットワーク化、これは県にも仲介していただきたい、こう思っているんですけれども、そういった再編、ネットワーク化ということもぜひとも進めていただきたいというのが第二点目でございます。

 三点目は、これは委員が最初に御指摘いただきましたけれども、指定管理者制度の採用とか、あるいは地方独立行政法人化といったような経営形態の見直しによって民間的経営手法の導入を図るといったような、この三つの観点。

 これは相互に関係しておりますけれども、そういったことから各開設者の間で各病院についての改革プランをつくってほしい、こういうお願いをいたしたところでございます。

 こうした改革を通じて、各公立病院が、みずからに期待されている役割につきまして必要な見直しを図って、安定的かつ自律的な経営のもとで良質な医療を継続して提供することができる体制をぜひとも構築していただきたい、こう考えております。

福田(峰)分科員 今、繰入金を入れた上で黒字になるのかならないのか、そして、黒字を目指せということになりますから、確かに数字的にはそうかもしれませんが、一般的に見れば、繰入金を入れたところで赤字なわけですよね、入れること自体が赤字なわけですから。それを基準にして黒か赤かという議論は、ある意味では止血ですよね、今はまずそれで止血して、健康な体にしていくためにはまず止血しなきゃならぬという意味においては、そこの基準というのは一つのクリア、まだしていませんから、私は、クリアをしていくというのはいいことだと思うんです。

 では、例えば、それぞれの公立病院の改革プランができて、実行されます、その実行される担保として、例えばインセンティブを与えるための幾つかのルールをつくっていますよね。これで止血になりました、では、その先は、今度は止血から健康状態に持っていくというためには当然次なるステップがないといけないと思うんですけれども、次なるステップというのは、この先というのは、まだ終わっていないから先は見えないということではなくて、その次というのはどこに想定をかけているんでしょうか。

久保政府参考人 年末にお示しした公立病院改革ガイドラインにおきましても、改革プランの策定後、まず住民に対して速やかに公表をするということをしていただきたいと言っておりますし、また、実施状況につきましても定期的に点検、評価、そしてまた公表を行うといったことも求めております。

 また、私ども総務省におきまして、各地方公共団体における改革プランの策定、実施状況につきましては定期的に調査をして、その結果を公表したいと考えておりますほか、改革の実施に必要となります経費につきましては必要な財政措置を講じるということにいたしておりまして、こうした措置によって改革プランの策定、実行が着実に進むということをまず期待しております。

 今般の公立病院改革によって、地域において必要な医療提供体制の確保と持続可能な健全経営の達成が期待をされる、こう考えておりまして、委員がおっしゃられます次の段階でございますけれども、次の段階としては、最小の住民負担のもとでさらに良質な医療サービスの提供が可能となりますように、いろいろな機会を通じて私どもも調査をしたり、また、改革プランを見て、さらに必要なことがあるかどうか、こういったことを検証していきたいと考えております。

福田(峰)分科員 この止血の先に来るところが多分一番大切だと思うんです。

 現状、例えば経営の効率化といっても、経営形態の見直しだとかいろいろあると思うんですが、平成十九年度の四月の地方公営企業経営総点検の実施状況を見させていただいても、例えば病院事業のアウトソーシング、医療機械の保守点検だとか清掃、こういうものは多分ほとんどの公立病院が、今までも経営効率化ということを言われていますから、これはもう八割、九割取り入れているというわけですから、ほぼそういうところは終わっているんだと思うんですね。

 最後、絶対に行かなければいけないのは、いわゆる経営形態を見直したときの人件費をどうやって圧縮するかというところが最後のよりどころで、そこをいじらない限りはそれほど経費の比率というのは変わらないんじゃないかなと思うんですね。

 こうなると、いわゆる公立病院の職員として働かれていた方が、例えば指定管理者制度だったりとか民間譲渡だったりとかすると、そこで働いている職員をどうするんだという問題が必ず出てくるわけですね。では、必ず出てくることがわかっているんだとすれば、この人たちをいかに流動化させていくか。例えば、各市町村であれば、企業会計の方から一般会計行政の方に持っていくというやり方もあるかもしれないし、あるいは、申しわけないけれどもそこで退職していただくということもあるかもしれないし、あるいはまたほかの方法もあるかもしれない。

 ただ、ここに最後に行き着くことはわかっているわけですから、では、それに対して一体流動化策というものをどうやって各地方自治体が考えていくかということと同時に、それをどうやって総務省の方が後押しをしてあげるかというのが実は一番難しくて、でも一番そこへ行かないと多分合理化できない話が出てきてしまうので、一体それは何なんだろうと私も考えたんですね。

 ガイドラインには、例えば指定管理者制度をとって、退職してもらうときには退職の引当金や何かを交付税措置をかけるとかというのはありますけれども、それだけでは多分人の流動化のインセンティブにはならないと思うんですけれども、果たしてここの部分は皆さんの中にどういう考え方があるのか、あるいは、それはもう各地方自治体に任せてやってもらえばいいとお考えなのか、その点はどうなんでしょうか。

久保政府参考人 委員もただいま御指摘がございましたように、例えば、やめていくときに退職手当が要るだろう、そのときに、私どもとしては財政上の措置は講じなきゃいけないだろうといったことも考えておりますけれども、やはり基本的には、結局それぞれの地方公共団体においてそこのところは考えていただかなきゃいけない、こう思います。

 一般論として言いますと、その場合、幾つか方法はあるわけでございまして、職制もしくは定数の改廃または予算の減少によって廃職または過員を生じた場合には、これは分限免職処分にすることができると地方公務員法上なっております。ただ、おりますが、まずは、委員が冒頭御指摘がございましたように、任命権者側として、当該業務に携わっていた公務員の配置転換をやはりスムーズにやっていただくといったことが重要であると考えております。

 また、経営形態の見直しに際して、職員の希望退職を募集するといった方法も重要なことだと考えておりまして、そういった場合、例えば職員の要望に応じて、再就職に向けた求職活動について支援をやっていくといったような、いずれにしても、円滑な新体制への移行が図られるようにやっていただきたいと思いますし、また、私どもの方で、何かそういったことでお手伝いができることがあればお手伝いをしていくといったようなことが基本だろうと考えております。

福田(峰)分科員 これは経営形態を変えると、ここに幾つかパターンが出てきていますけれども、例えば全適にしても管理者が給与体系をいじれるとか、あるいは地方独立行政法人化をすれば全く自由になるとか、いろいろ言いますけれども、今まで働いていた、特に現業職の地方公務員の給与体系を思い切り変えるということは、現実的にはできないですよ。でも、それができないと、さっき言ったみたいに経費の圧縮というのはできませんから、例えばそれを市町村に任せてしまうといったら多分できないですよ。

 だから、できないんじゃなくて、では、ガイドラインがあって、経営改革プランがあって、その先に、例えばこういう手法でバックアップしますよというところを、何か引当金以外の方法で皆さんもお知恵を出していただいて、こういうメニューもあるんじゃないんですか、それも背中から後押ししますよということをやらないと、絵にかいたもちになって、そこが一番、さっき言ったみたいに総論賛成、各論反対に絶対なってしまうところだと私は思いますし、その点は、生首を切るというわけにはいかないと思うんですよ。それはやはりやっちゃいけないことだと思う。

 だからこそ、どんな知恵が必要かということがないとこれは乗り切れない課題になるんじゃないかなというふうに思っているんですが、そうした点は、知事を御経験されている大臣も現状よくおわかりだと思うんですが、この先どういう形でそうした面を考えていくのか、具体的にないかもしれませんが、方向性の考え方でもお聞かせいただきたいと思います。

増田国務大臣 ちょうど私が知事のときに、やはり、これは二つの病院、ある市の市民病院でございましたが、統合する経験がありまして、大変苦労しました。組合も違えば、それから給与体系も違えば、それからお医者さんの大学の系統も違っていまして、そして、やはり最後に問題になったのは、定年でやめる人たちに対しての退職ということではなくて、そういうことが、ある時期降ってわいてきて、そして片っ方は一応職員はみんな退職しなければならない。これをどういうふうにするか。

 総務省にかけ合って退職手当債を認めていただいたりとか何かしましたが、やはり、そういったことだけではなくて、今お話あったように、求職、円滑な職場の移転ということ、それをやらなければいけないということで、県としても、その市に入って、求職活動について徹底的に市とともに支援活動する。新しい雇用の場です。これは労働局よりも、やはり県なり地元の自治体がやらないといけない。そして、新たなところを何とか見つけて、少し不十分だったかもしれないけれどもぜひここでお願いをしたいとか、地面をはうような、そんな活動もさせていただきました。それから、あと、場合によっては配置転換でおさまれるような人、能力のある人はそちらの方におさまっていただく。

 やはり、生活そのものに対して、自治体なり、それからまた、これは行政ということですから当然国もそうだと思いますけれども、後ろからちゃんと見てあげて、そして、全体をよくしていく上で我々もきちんと努力しているという姿勢を示さないといけないという経験がございました。

 特に職場、円滑な職場の移行ということについて何かほかにやれることがないかどうか、当然、処遇の問題としては我々も幾つかの手段を持っていますが、それ以外に、自治体の方でこういうことをやる際には国でもこういう後押しができますよ、あるいは、他のところでは、指定管理者なりなんなりに移っていくときにこういう工夫をしてこれは比較的うまく職員の皆さん方の御理解が得られる、そういった事例を紹介する。何かそういうことで、今お話しになったように、こういったことは今後数多く事例として出てくるであろうというふうに思いますので、その点の工夫なりなんなりができないかよく検討してみたい、このように思います。

福田(峰)分科員 はい、わかりました。

 経費を削減するというのは単に無駄を省くということではなくて、そこで経費を省いて、余ったと言ったらおかしいですけれども、その省いたもので緊急対策の救急だとか小児だとか、シフトをしていくための財源だってどこかから持ってこなきゃいけないわけですから、そのために使うためにも、この効率化ということは、ぜひまた知恵と同時にバックアップをしていただきたいなということを申し上げまして、終わらせていただきます。

田野瀬主査 これにて福田峰之君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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