衆議院

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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石田 真敏君    杉浦 正健君

      中馬 弘毅君    渡辺 博道君

      枝野 幸男君    細野 豪志君

      池坊 保子君

二月十九日

 石田真敏君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 石田 真敏君

      坂井  学君    杉浦 正健君

      中馬 弘毅君    土井 真樹君

      橋本  岳君    渡辺 博道君

      伊藤  渉君    池坊 保子君

   兼務 古屋 範子君

    …………………………………

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   鳩山 邦夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  橋口 典央君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            桜井  俊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君

   総務委員会専門員     伊藤 孝一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  杉浦 正健君     坂井  学君

  中馬 弘毅君     橋本  岳君

  池坊 保子君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     杉浦 正健君

  橋本  岳君     土井 真樹君

  伊藤  渉君     上田  勇君

同日

 辞任         補欠選任

  土井 真樹君     中馬 弘毅君

  上田  勇君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  赤羽 一嘉君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤  渉君     池坊 保子君

同日

 第五分科員古屋範子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 〔内閣府(地方分権改革)及び総務省所管〕


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     ――――◇―――――

石田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました石田真敏でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、内閣府(地方分権改革)及び総務省所管について審査を行うことになっております。

 なお、両省所管事項の説明は、両省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中内閣府(地方分権改革)所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。鳩山国務大臣。

鳩山国務大臣 平成二十一年度における内閣府所管の予算案のうち、地方分権改革担当大臣として私が担当する分野に係る経費は、千四百八十六億二千百万円となっています。

 この経費は、地域再生基盤強化交付金の活用や地方の元気再生事業の推進による地方再生戦略の推進、地方分権の推進、道州制特区の推進を進めていくためのものであります。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

石田主査 以上をもちまして内閣府(地方分権改革)所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。池坊保子君。

池坊分科員 公明党の池坊保子でございます。

 鳩山大臣の所管は広範囲にわたられるので、大変お忙しい中、私は、お役所の筋書きどおりの答弁ではなくて、いつも国民の視点に立って大臣は御答弁いただいているのを、深く、時に感動しながら伺っておりますので、御無理を申し上げてぜひ大臣の御答弁をいただきたいと、この時間になりました。

 きょうは、地方分権の中で、特に今、経済の大恐慌を受けて大変な思いの中対応しておりますハローワーク並びに雇用均等室について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

 小泉元総理のもとで、地方分権ということが、三位一体の言葉とともに言われてまいりました。地方でできることは地方で、もう国がすべてやるべきではないという理念は、私も賛成でございます。

 しかしながら、国がしなければならないこともあるんじゃないか。外交、防衛、福祉、医療、教育などなどだと思います。そしてまた、地方だけに任せていたら地方格差が出てまいります。そのすき間を埋めるセーフティーネットを国はしっかりとしていくべきだと思いますが、大臣は地方分権に対してどのような理念をお持ちか、お伺いしたいと存じます。

鳩山国務大臣 基本的には池坊先生と同じ考え方でございまして、地方分権というものは大胆に進めていかなければなりませんが、かといって、何でもかんでも地方にやらせればいいというものではないと思います。

 例えば、フランスでは、義務教育というものに関しては、比較的中央集権的色彩の強い国だとは思いますが、国家が完全に責任を持っております。我が国は義務教育においても地方分権が進んでおりますけれども、私の知っている情報に間違いがなければ、フランスにおける義務教育諸学校、公立の諸学校の教員は国家公務員だと聞いております。

 そういう考え方もあるんだろうと。つまり、教育というものは一番大事だから地方に任せておけない、地方によって教育の理念等が違ってはおかしいから全部国でやるんだというのがフランス方式であるとするならば、そういう考え方もあるんだなという参考にはなる、そう考えております。

 地方分権改革推進委員会からの二次勧告を受けて、これで工程表をつくっていく仕事を私がしなければなりませんけれども、本当に地方に任せるべき点は何であるのか。というよりも、今先生おっしゃったように、国が責任を果たすべき点はどこにあるのか。それは、外交、安全保障、司法だけではないだろう、そう思いながら、やはり一つ一つ具体的に検証していく必要があると考えております。

池坊分科員 その御答弁を伺って、ちょっと安堵いたしました。

 数年前に義務教育国庫負担について、つまり、公立学校の先生方の給与はどこが負担するのか、国じゃなくて地方に全部よこせというときにも、私は強い信念を持って、国がかかわるべきではないかと、これを堅持することに力を注いでまいりました。

 総理はさきの施政方針演説の冒頭に、目指すべき社会の中で、今、政府に求められる役割の一つは、公平で透明なルールをつくることであり、また、皆が参加できる社会をつくること、さらに、高齢者、障害者や女性も働きやすい社会、努力が報われる社会をつくることが重要ですと表明されております。政府は小さければよいということではなくて、社会の安全網を、信頼に足る、安定したものにしなければならないというふうにも述べていらっしゃるんです。

 しかしながら、二〇〇八年十二月八日の地方分権改革推進委員会による第二次勧告において、国の出先機関の見直しについて勧告しておりますが、厚生労働省の出先機関である都道府県労働局については、「現行の組織を廃止して、ブロック機関に集約し、地方厚生局と統合する。」こととしております。

 この勧告がそのまま実施されますと、現在、都道府県に労働局というのは一つずつでございますから、大臣、四十七あるんですね。ところが、ブロック化されるというと、七つとか八つになってしまいます。

 労働局の下に第一線機関として、労働基準監督署とハローワークがございます。これを維持していけば国民は困らないと思われるかもしれませんけれども、大臣、労働局の中には、大変な業務をいたしております雇用均等室という組織がございます。これは何をしているかといいますと、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などに関する相談や、企業に対する指導を直接行っているんですね。それからまた、雇用均等室では、都道府県単位で決められております最低賃金の改定を行うために、地元の労使団体と調整したり、違法派遣の指導をしたり、地元の自治体と連携して雇用対策をつくるという仕事もしております。それからまた、働く女性たちのさまざまな相談も受けております。

 私は、都道府県に一つしかないということも問題ではないかと今まで思っておりましたのに、これがブロック化されたらどうなるのだろうかと懸念を持つものなんです。

 最低賃金の改定を行うといっても、私が住んでおります近畿は大体まとまりがいいですけれども、例えば富山の最低賃金を決めるのに、経済状態も雇用情勢も全く違う名古屋にあるブロック局でその地域に密着した議論をしろといっても、それはできるわけがないと思うんですね。

 現在は雇用情勢が大変厳しくて、機動的に雇用対策を打って難局を乗り切らなければならないと思います。地方自治体と労働局との一層の連携が求められますが、そうした連携が図られるのだろうかなどと心配いたしておりますが、今の私の説明をお聞きになって、大臣は率直にどのように思われますか。

鳩山国務大臣 地方分権改革推進委員会から第二次勧告が出て、これは国の義務づけ、枠づけの問題もありますけれども、やはり、出先機関の改革というんでしょうか、出先機関の整理をする、そして、国と地方の役割分担を変えていくというこの大きな仕事が与えられて、今、工程表づくりをいたしておるわけでございます。

 その中で、恐らくさまざまな反対意見が寄せられるとは思いますけれども、例えば、地方整備局、北海道開発局、あるいは地方農政局等がございまして、河川とか道路のような、トンカチ関係というとあれでしょうが、そうした事柄に関しては、私は、大胆に権限を地方に移していく、出先機関も今までと違った形にしていくべきだと正直に思います。

 問題は、池坊先生がおっしゃり、また御心配されておられるような、人間に直接かかわる部分については、やはりそう簡単に割り切っていけるものではないだろうと思っております。

 そういう中で、厚生労働省という役所があります。もちろん、厚生省と労働省が一緒になってできたわけですが、地方厚生局というのがブロック機関である。都道府県労働局は、御承知のように四十七あるわけですが、これもブロック化して、これを合体して厚生労働局にしたらどうかというふうな基本的な考え方のもとで作業はいたします。いたしますが、そのことが、今池坊先生がおっしゃっているような、ハローワークや雇用均等室の機能が大幅に損なわれるようなことは絶対あってはいけない。組織としてはブロック化の方向を考えても、機能は完全な形で残さなければならないというふうな発想をしたらどうかというのが現在の考え方でございます。

 多分、今先生がおっしゃった、最低賃金の話をされましたけれども、雇用均等室というのは、ほかでは全く相談できない、唯一の窓口なんだろう。これが都道府県単位のものが消えてしまって、富山の方が名古屋へ行くというのは確かに問題がありますから、ハローワークとか雇用均等室というものは、あくまでもきめ細かく残すという形での再編を考えるべきかと存じます。

池坊分科員 大変心強い御答弁をいただいてうれしゅうございますが、例えば今マスコミに、年末年始、問題になりました派遣村、ほとんど女性はいなかったと思います。それは、何も雇用を打ち切られて生活に困らないから来ていないのではないんですね。子供を抱えて、乳飲み子を抱えて派遣村には行けないというのが女性の現状なんです。

 今、今年度末には十四万二千人の非正規雇用の女性たちが失職するのではないかと言われております。女性の大多数は、半分以上が非正規雇用なんですね。こういう人たちが一番この不況のあおりを受けるわけです。

 労働局がブロック化となった場合に、特に問題になりますのは、今申し上げた雇用均等室です。今でも現場を歩いておりますと、働く女性からの悲鳴に似た訴えとか要望が聞こえてまいります。雇用均等室というのは、先ほども申し上げましたさまざまなことをやっているとともに、女性の権利を守るための唯一の機関なんです。これは地方だからといって格差があってはならない、やはり国で全部女性の権利は認められなければならないと思います。

 セクシュアルハラスメントに悩む女性とか、妊娠したらやめなさいと言われた、あるいは、育児休暇をとろうとしたらその場で解雇されたというような例がたくさんあるんですね。鹿児島で妊娠してやめろと言われた女性が、大きなおなかを抱えて、交通費を負担して、福岡に行けと言われても、現実には行けないんですよ。どうしてこういうような勧告が出るのか、余りにも現場と乖離しているのではないかというふうに私は思えてなりません。

 労働局をブロック化する、そのときに雇用均等室もするということは、今、きめ細やかにというふうにお答えいただいたので、ちょっと安心しながら現状をお話し申し上げましたけれども、もしも労働局をブロック化するならば、雇用均等室は知事室に置くとか、そういういろいろな工夫があると思いますので、このブロック化に対してちょっと御答弁をいただきたいと思います。

鳩山国務大臣 今、先生は知事のところに置くというお話をされました。それは一つのお考えで、四十七人知事さんがおられる、その知事部局のところに例えば雇用均等室のようなものを置くとすれば、これはいわば国から都道府県への事務事業あるいは権限の移管ということになる。そういうやり方もこれからは十二分に考えなくてはいけない。

 ただ、とりあえず、とりあえずというのは変ですが、ブロック化しても、先ほどから先生が示されている御懸念、御心配がないようにする。つまり、妊娠した鹿児島の女性が福岡に行かないで地元鹿児島で相談に行けるというこの機能はぜひ残したいと思っておりまして、その場合は、例えば、ハローワークはかなり数がありますから、ハローワークの中にそれを併設するというような形で機能だけは残さなければならない。機能というか、雇用均等室がやっている仕事は四十七都道府県に存在するようにしなければならないと、先生のお話を聞いてつくづくそう思いましたので、そういう形で指導をしていきたいと思います。

池坊分科員 大変ありがとうございます。多くの働く女性たちがこれで安心できるのではないかと思います。

 知事室に置きますときにも、地方交付税でこれが手配いたされますと、本当は使われないということもございますので、やはり私は、国の目が行き届くということが地方格差を呼ばないために、これはセーフティーネットとして必要なのではないかと思います。

 それともう一つ、雇用均等室に寄せられる相談というのは年々増加しておりまして、昨年度は相談が約三万件ございました。(鳩山国務大臣「三万も」と呼ぶ)そうなんですよ。これは労働者からの相談が増加しておりまして、事業主からの相談も三分の一あるんですね。三分の二は労働者からですけれども、事業主もこういうときどうしたらいいのかわからない場合があるわけです。それはなぜかというと、女性は男性には理解できないさまざまな問題を抱えている、それは妊娠、出産だったり、子育てをしながら、それから母子家庭で働いている方々もいらっしゃいます。今までは専門家とか経験者、専門の訓練を受けた人、経験に富んだ職員がデリケートな問題に対して対応してきました。ですから、これもぜひそのようにしていただけたらと思いますが、ちょっと大臣のお考えを伺いたいと思います。

 医療においても、女性専門外来というのを公明党が頑張ってつくりました。これは、女性は男性とはまた別のさまざまな問題を抱えているので、別の外来診療が必要ではないかということなんですね。これもそういう問題を含んでいると思いますので、こういう専門家の手配、今までどおりそういうことにも配慮していただけたらと思います。

鳩山国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。

 私、麻生総理と分権改革推進委員長との会談に立ち会ったわけですね。お二人とも企業経営経験者あるいは現職の企業経営者なんですが、お二人の話し合いを聞いていて非常に参考になりましたのは、およそ組織を動かすときには人が動くことになる、つまり、人の動きというのはとても重要で、数さえ合えばいいというやり方をすれば絶対失敗をするんだ、適材適所ということによほど気を配ってやらないとうまくいかないということをお二人で話し合っておるのを聞いたわけでございます。

 そういう意味でいえば、これから地方分権改革の中で出先機関の改革をやる、例えば都道府県労働局の形も変わる。そういう中で、先生のお話を承っておりますと、雇用均等室のようなところは、それに見合った方が応対しなければ多分全く何もできないでしょうね。河川工事の担当だった人が急に雇用均等室にやってきたとしたら、絶対対応できない。

 そう思いますと、先ほどから申し上げておりますように、特に人間を扱う部署についてはきめ細かく配置をしなければならないと申し上げましたが、例えば人間の配置というんでしょうか、そうした能力を持った、相談にきちんと応じられる方がその場所に存在するということは、大いに気を配っていかなければならないテーマだと認識しています。

池坊分科員 大臣がおっしゃるように、たとえ部屋がございましても、そこに相談を受けてきっちりと答えられる専門家がいないと、ただあるということだけでは何の役にも立たない。大臣がおっしゃるとおりだと思います。

 今大臣がおっしゃいましたように、地方分権改革推進委員会というのが開かれて、これがいつも勧告をしております。この勧告も第二次勧告なんですが、私は、この委員会の存在そのもののあり方というか、委員会というのはどれだけ大切なのか、そして、その選考の方法についてもちょっと大臣のお考えを伺いたいんですね。

 と申し上げますのは、今もおっしゃいましたように、経営者の方が多かったり、あるいは学者の方が多かったりしております。この審議委員は行革優先、効率優先の専門家ばかりで、それぞれの方々が、それぞれ自分の政策の分野で効率的に、より合理的にというふうな意見を出していらっしゃいます。私は、国民の安心、安全を守るためのセーフティーネットというのが、そういう方々によって進められていくと、だんだん薄くなっていくのではないかなという気がしております。

 よく、広い視野の人たちの意見を聞きたいからこの審議委員会というのがあるというふうにおっしゃいます。私は、いろいろな方々の意見を聞くことは大変いいことだというふうには思いますが、現場の声を一番よく聞いているのは、選挙によって選ばれた政治家ではないかと思うんですね。答申なり勧告なりを私たちが聞くことは、謙虚に耳を傾けることは必要かと思いますが、いつも政治主導ということが言われてまいります、最終的には、その方向性は必ずその場の担当の政治家がお決めいただきたいというふうに私は強く願っております。

 この審議委員の選考、それからあり方について、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。個人の御意見で結構でございます。

鳩山国務大臣 私、昔、文部大臣もいたしましたが、その前に文部政務次官というのをいたしておりまして、若干お酒を飲んだときだったかと思いますが、別に公の席ではありませんが、よく役人等に言ったのは、当時、臨教審がありました、臨教審が神様だったら、文部官僚は要らないし、おれたち国会議員だって要らないじゃないかとすごんだことがあるわけです。臨教審の先生方にはすごく立派に審議していただいているわけです。それは尊重しなければならないけれども、それがすべてだったら、役所も議員も要らないということになってしまうというふうに思うことは、正直ございます。

 ですから、地方分権改革推進委員会についても、立派な方々に御審議いただいて、私は文句を言える立場には全くありませんけれども、先生のおっしゃるような意味合いは、十分我々は考えていかなければならないと思います。

 ただ、この地方分権改革推進委員会は、政府に勧告をするという第三者機関でございますから、そこに政治家を入れるというのはちょっと無理があるかなというふうに思うわけです。ただ、これは国会同意人事でございますから、一応衆参両院が認めた委員会の委員ということになります。

 そして、結局、委員会の勧告を受けてこれから工程表をつくっていく場合に、私も与党の人間でございますから、公明党、自民党の皆様方の御意見というのをよく調整させて、承っていく。そして、実際にそれを政策にしていく場合には、国会という場を通して法律ができ上がっていかなくちゃならない。

 こういうことでございますので、政治主導という意味でおっしゃるならば、政治の判断がこれからは地方分権改革にもどんどん入ってくるものだと思っております。

池坊分科員 お酒を飲みながらとおっしゃいましたのは個人の意見として伺い、あとはしっかり大臣の御答弁として伺わせていただきますが、私も文部科学副大臣を三期いたしまして、中教審ですべて決まるのはおかしいといつもいつも申しておりましたので、実は、委員会のあり方とかいうことを伺いましたのは、私自身の常に思っておりますことを質問させていただきました。

 時間が参りましたので、最後に一つだけ、国直轄事業の負担金についてお伺いしたいと思うんです。

 二月十二日の本会議で、鳩山大臣は、国直轄事業の負担金について、今まで国と地方を通じた役割分担あるいは財政状況の中で地方に三割とか三分の一の負担を負わせるということが起きているけれども、これは国と地方の権限配分の問題としても根本から考え直していかなければならない事柄であると言っていらっしゃいます。

 主として公共工事、国土交通省にかかわることが多いのですけれども、私の地元である大阪では、橋下知事が、関西空港の連絡橋道路の国有化事業で、巨額の負債を抱えた関空会社の財務改善策を国が示さない限り、大阪府は来年度に負担予定の七億円を当初予算案に計上しないということを発表されました。また、国道や一級河川などの整備費用のうち、法律で地方自治体に負担が義務づけられている国直轄事業負担金の一部を来年度予算案に計上しない方針も発表され、事業ごとに最大で約二割削減する。これは大阪府民が大変拍手喝采しているんですね。

 御存じのように、大阪というのは大変な赤字を抱えております。橋下知事は府民の絶大なる信頼も受けて、大幅な改革を強引とも言われる手法でしておりますが、それでも、未来のことを考えるならば、子供たちに負担を負わせてはいけないとみんなそれに賛同しているわけです。

 私は、これからの時代は、国と地方がきちんと協議し、ただ三分の一とかという負担を負わせるのではなくて、事業内容を精査し、行う事業、行わない事業を峻別して負担の割合を決めていくべきではないかと考えておりますが、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。

鳩山国務大臣 今後の地方分権を考える上で、やはりこの直轄事業の地元負担の問題というのは避けて通れないと思います。

 一つは、これは国交省あたりと話し合うと相当厳しいものになると思いますが、やはり直轄事業というのは限定すべきだと思うんですね。全国的に見て必要だ、全国的な見地から絶対必要だという基礎的な広域的な事業のみを直轄事業とするということが大事だろう。直轄事業は減らすべきだと基本的に思っています。だから、河川とか道路については徹底して見直さなければならないと思っております。

 その場合に、本来ならば、直轄事業は国が全部やるわけですから、国が全部負担をするというのが筋なんだろう。ただ、地域に及ぼす便益があるから地方公共団体にも応分の負担を求めているのが現状だと思ってはおります。

 問題は、地方が行う事業、例えば補助国道なんかその典型ですけれども、これは、つくるときは国もお金を出して、地方もお金を出して補助国道はできますけれども、維持管理は、国は一円も出さなくて、地方が全部負担するわけですね。だから、直轄国道というか、もちろん国道以外もいろいろありますが、直轄事業の場合は、維持管理を全部国がやればいいのに、維持管理まで地方に十分の四・五を求めるというようなやり方がある。そういう意味で、直轄事業がやはり地方にとって負担になるという問題がございますので、これは地方分権の本質の問題としてこれから見直さなくちゃいけないとつくづく思っております。

 大阪の件も、御主張はよくわかるわけですが、結局、例えば大阪の道路に関していえば、カットされれば、やはりその分、事業の進行がおくれるというふうな形になってしまうのはやむを得ないのかな、こう思っておりますが。

 この問題は、私は、地方分権とか国と地方の役割分担のかなり本質の部分だと思って、これから中長期的な課題としては大課題だと思っております。

池坊分科員 時間が参りました。

 時代はどんどんと急速に流れております。国民の意識も高まってきております。役所も、ただ守るだけでなくて、その時代の流れとともに変わっていかなければならないと思います。

 私は、大臣は、かんぽの宿に象徴されるように、おかしいということに対しては国民の目線に立って切り込んでいただきますので、大変に御信頼申し上げておりますので、これからも地方分権に、正しい地方分権のあり方を追求しながら進んでいっていただきとうございます。

 きょうはありがとうございました。

石田主査 これにて池坊保子君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

石田主査 次に、総務省所管について政府から説明を聴取いたします。鳩山総務大臣。

鳩山国務大臣 平成二十一年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十七兆七千三百五十九億円であります。

 国民生活と日本経済を守るためには、生活対策に盛り込まれた地域活性化対策などの諸施策を速やかに実施するとともに、国、地方を通じた大胆な行政改革を進め、国民に温かい効率的な政府をつくり上げていくことが必要です。

 本予算案は、これを踏まえ、定住を支える地域力の創造、地方分権の推進、ICTによる成長力強化、行政改革等の推進、消防防災行政の積極的推進、経済社会の基盤としての安心、安全の確立などを重点的に推進するとの考え方に基づき、取りまとめたものでございます。

 以下の事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきます。

 よろしくお願いいたします。

石田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま鳩山総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田主査 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本分科員 こんにちは。自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは、予算委員会の第二分科会ということで、総務省所管ということで鳩山大臣に質問をさせていただきます。

 パブリックコメントという制度があるのは御承知と思います。平成十八年に施行された行政手続法に基づいて、各省庁が政令だとか省令だとかそのほか決め事をするときに、一般の方の声をきちんと聞いてそれを政策に反映させていこう、こういう趣旨で始められたものでございまして、数は大変たくさん実施をされているわけでございます。

 これはちょっと個人的な話になりますが、もとをたどれば、実は、一九九五年ごろに神奈川県大和市というところが都市マスタープランをつくったときに、一般的な住民参加というのはもっと早くからいろいろな例がありますけれども、インターネットを使って、電子メールとかでそういう意見を広く求めたという例が、恐らくネットを使ってたくさんの方の意見を聞いて政策をつくっていこうというのが最初なんじゃないかなと思っています。

 それから、東京都の基本計画づくりだとか、中央区の、やはりこれも基本計画ですね。それから、一九九七年から藤沢市で電子会議室みたいなものが始まって、ネットを使って、自治体の場合は市民というか住民の方々の意見を聞いて政策に取り入れていこうというものが進んでおります。

 私も、そのころ大学院生をしておりまして、東京都の話とか藤沢市の話は運営側でかかわっておりました。だから、そういう中で国の方も、平成十八年はつい最近にはなりますけれども、そういう形で制度化をされて、法律をつくるときは議会で民主的な手続というのをしっかり担保するわけですけれども、そうじゃない政令だとかいろいろなそのほかの決め事についても、きちんといろいろな方の声、国民の声を聞くんだぞという形を担保する仕組みができたわけであって、このパブコメというのは大変意義のあることだと思っているんです。

 ところが、これは大臣も答弁なされ、御記憶だと思いますが、二月の六日の予算委員会、民主党の逢坂誠二議員の質疑のときに、例の、ちょっと言い方は悪いんですが、一般的に天下り政令と呼ばれているものがテーマのときに、決める際にパブリックコメントをやっていたわけですね。だけれども、パブリックコメントの締め切りが十二月の十七日までということになっていたにもかかわらず、総務省、それから官房もそうですが、十二月十日に起案をされていて、十二月十六日に決裁終了。だから、十六日に恐らく大臣がこの花押を書かれたということなんだと思うわけです。だとすると、何のためにパブコメをやっているんですかという話になるわけですね。

 ちゃんと皆さんの意見を聞きます、聞いたら、当然ながらそれをじっくり……。もちろん、受け入れるか、それとも今回は意見は意見だけれどもそうじゃないことを決めますということにするのか、それはその時々で役所で判断をすることはできるわけです。しかしながら、ちゃんと考えて、反映をするべきものは反映をし、そして閣議なりなんなりというプロセスにかけていくのが当然正しい筋であって、あの質疑を聞いて私は愕然としたわけであります。

 また、このパブコメ制度については、二月七日の朝日新聞で、パブコメを受けた意見についてどういうような形で対応しましたということを本来はきちんと公開しないといけないんですが、それがされていないままずっと放置されているのが厚生労働省で四十八件、そのほか総務省、農水省の役所にもそういう報告漏れがあったということが早稲田大学の学生さんの指摘で明らかになった。まことに情けない話であります。

 こういうことを聞くと、いかにパブコメという制度が形骸化をしているのか、そして、国民の声を聞くと言いながら役所が勝手に決めておるんだな、だからこそ、役所国家だの官僚国家だのというような話になるんだなということを強く感じざるを得ない。大変残念な出来事であります。ゆゆしき問題だと思っています。

 そこでお伺いしたいんですが、こういうようないろいろ指摘がありましたが、大臣、何でこんなことが起こったというふうに認識されておられるか。あわせて、逢坂議員はいわゆる天下り政令というものについて取り上げられましたが、そのほかのものについてどうなっているのか、もしわかっていないんだったら、ぜひほかにも注意をするようにしていただきたいと思いますが、そういうことも含めて、どういう背景で、この天下り政令の話だけなのか、そうじゃないのか、なぜ起こったのかということをぜひ教えていただきたいと思います。

鳩山国務大臣 先般の予算委員会における逢坂誠二さんとのやりとりに関して言えば、私自身も決裁をした人間でございまして、パブコメが終了する前に花押を書いているわけでございますから、そこのところを役人からの説明も聞かずに、パブコメはどうなっているかと一言聞けばよかったわけですが、それも聞かずに流れ作業のように決裁をしたことについては深く反省しなければいけないというふうに思っております。

 中学かそこらのころに、小学校の上級生だったかもしれませんが、法律というのはどうやったらできるか。衆議院と参議院とあって、両方通れば法律ができる。今のようにねじれてはいなかった時代だとは思いますけれども。それに対して政令とか省令というものは、例えば政令は内閣が決めればそのままでき上がる、つまり、そこには民主的な議決という手続がないわけですね。ないけれども、命令を発することができるという権限が発生をします。

 そういう意味で、したがって、政令、省令、規則、その他幾つかあるんだと思いますが、パブリックコメントというものを定めた行政手続法の趣旨はそこにあるんだろうと。あるならば、私は橋本岳先生のように藤沢でそうしたことにタッチされた経験がないからまだ意識が十分ではないかもしれませんけれども、パブリックコメントというものをきちんと受けとめて、それが政省令に影響を及ぼすことがあるわけですよね。結局、その意識がなくて、パブコメという手続をやりさえすればいいんだという、パブコメの意味を真剣に考えない空気というものが霞が関に充満しているとするならば、その空気を吹き払う必要があるんだろうと思います。

 別にまぜっ返すわけではありませんが、私、今でも痛切に覚えておりますのは、私は環境派でございますので、ブラックバスやブルーギルが、オオクチバスもコクチバスも、外来種がどんどん釣り人関係で、湖から湖に、川から湖にというふうに放されていって、全国の淡水の生態系がぐじゃぐじゃになってきているという中で、ブラックバスをどのような形で退治していくかというときに、パブコメがかかった。

 ブラックバスを退治して日本の生態系を戻せという方は余り声が大きくない。ところが、片や組織的な、釣りの雑誌等でこれが宣伝をされて、とにかくブラックバスを退治してはならぬという物すごい数のパブコメが、多分あれは小池百合子環境大臣の時代に押し寄せた。これは鮮明に記憶しているわけです。

 パブコメというのは、何かそういうこともあるものだから、これは実際の数でやったら、ブラックバスは日本の生態系を破壊していい方向に行っちゃう。そんなこともあるものだから、何かパブコメというのは、手続としてどこかでちょっと公告すればいいぐらいの、そんな感覚になっているおそれがありはしないか。

 今の橋本先生の御意見を承って、私自身の反省も含めて、パブコメをやるということは、パブリックコメント、その国民のコメントが行政に反映されるべきなんだというぐらいの気持ちにみんながなれるように空気の醸成に努めたいと存じます。

橋本分科員 空気の醸成というのは、それはもう当然のことなのでありまして、それがないんだったらしない方がいいのでありまして、ぜひお願いをしたい。

 ブラックバスの話がありましたけれども、パブコメというのは両極端なんですよね。来ないものは全く意見がない。先ほどの天下り政令にも意見が来なかったというふうに伺っていますし、そうじゃなくて、同じ意見が名前だけ違ってやたらと来る例もあるやに伺っています。

 それは、意見を出す人の方も、本当はその辺は制度の趣旨をよくわかって、量の問題じゃないので、そこはちゃんと意見を出す国民の側もやらないといけないんだと思います。ただ、だからいいかげんに扱っていいという話じゃないので、そこのところはぜひ対応し、再発防止をしていただきたいと思っているんですが、簡潔で結構ですので、どういう形でその指摘に対する対応、あるいは再発防止策を考えておられるか、教えてください。

鳩山国務大臣 これは、平成二十一年二月十三日付で総務省行政管理局から各府省意見公募手続等担当課室長あてに通知を発しておるわけでございます。

 これは具体的に書いてありまして、一つは私がサインしてしまった件に絡みますが、いわゆるフライングみたいなことはしてはいけないと。つまり、パブリックコメントの最中なのに決裁手続を進めるようなことはいけないので、十分それは時間をとりなさいというようなこととか、それから、先ほど橋本岳先生御指摘のように、パブリックコメントを受け付けながらこれを公表しない、あるいは二年間も公表しなかったなんという例、こういうことがないようにという形で通知を発しております。

橋本分科員 対応されたということで、そこは評価をしたいと思うのです。

 これは要望ですけれども、いやしくも国民から意見公募手続を軽視している等の疑念を抱かれることのないように、意見公募手続の適正な運用の推進に云々と書いてあります。手続を手続として適正に運用というのは形式的な話なのであって、ちゃんと意見を酌むということが大事ですから、ぜひともそこのところまで踏まえていただいて、その中身をきちんと重視するように空気を変えていただくさらなる方策を期待したい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 では、パブコメつながりで、厚生労働省さんにも、きょうお越しをいただいております。

 現在、意見公募中のものの一つに、医療安全調査委員会設置法案の大綱等に係るパブリックコメントというのが実施中であります。これは去年の六月からずっと開きっ放しで、期限が区切られていません。行政手続法上は三十日以上と書いてありますが、何日以内とは書いていないので、別にそれ自体は悪いことではないのですが、一体その後どうなるのかなということはみんな気にしているわけです。

 同時に、この大綱に関する検討会というのもずっと続いて、何回も、去年の秋口もやっていますので、これはどうなるのかなという注目は、ちょっとその辺は高いし、手続的にもきちんと運営されるよねということを確認させていただきたいと思うんです。

 そこでまず一点、今申し上げた法案、まあ大綱ですから法案の一歩手前、これについて今国会で提出をしたいと思っていらっしゃるかどうか、教えてください。

榮畑政府参考人 厚生労働省といたしましては、医療の安全の確保の観点から、医療死亡事故の原因究明であるとか再発防止を図るような仕組みをつくっていく必要があると考えております。そのため、昨年、この医療安全調査委員会に関します第三次試案とか大綱案をつくり、公表したところでございます。

 この第三次試案及び大綱案に関しましては、患者さん等々からは早期の成立を期待する御意見があり、ただ、また一方でさまざまな御懸念も御指摘があるところでございます。

 これらにつきましては、厚生労働省に設置しました検討会で関係者からのヒアリングなんかもさせていただいたところであり、また、地方におきましても、六カ所でございますが、一般公開の説明会を順次開催して広く御議論してきていただいておるところでございますし、今後、大体の御理解がちょうだいできるようになれば、国会へ法案を提出させていただきたい、そういう作業を進めていきたいと思っておるところでございます。

橋本分科員 るる経緯も御説明いただきました。要するに、質問に対する答えとしては、理解を得られるような状況になれば提出したいという形で今進めておられるということですね。

 では、大綱を公開してパブコメもまだし続けていますけれども、それから、その検討会でそれを受けて議論されて、今さまざまな御懸念というような話がありましたが、具体的にどんなポイントが挙がっているか、幾つか例を挙げてください。

榮畑政府参考人 第三次試案及び大綱案に対しましては、例えば、医療安全調査委員会から警察への通知を行う仕組みは削除すべきであるとか、異状死に係るお医者さんの届け出義務を規定する医師法第二十一条について、診療行為に関連した死亡については警察への届け出の対象から除くべきであるとか、また、WHOのガイドライン案との関係はどういうふうになっておるのか等々、さまざまな御懸念が寄せられておるところでございます。

 これらの御意見につきましては、昨年十月に、主要なものにつきましては、その段階における厚生労働省の考え方として、私どもの考え方はお答えさせていただいたというところでございます。

橋本分科員 厚労省の考え方は昨年十月に示されたということですが、その後もパブコメはあいていますし、実際、コメントが寄せられているかどうかわかりませんが、それはまた随時公開をされるなり議論していただくなりということが要るんだろうと思うわけです。

 さらに、これはパブコメと離れてちょっと寄り道をしますが、昨年、この件についてちょうどこの予算委員会の分科会で質問させていただいたときに、Ai、要するに死体に対する画像診断についての質問をさせていただいて、研究をやりますという御答弁をいただいております。

 二年の研究でまだ途中だということでありますが、とりあえず大体一年弱たったところでどんな実績が上がっているか、この機会に教えていただけますでしょうか。

榮畑政府参考人 死因究明に関する画像診断の有用性等の研究につきましては、医療事故死の調査への活用というのを考えつつ、平成二十年度から二年間で厚生労働科学研究として実施されているところでございます。

 まだ初年度目でございますから現在進行形でございますが、これまでのところ、実際に死体に対してCT等による撮影を実施して、解剖結果との比較を行って、その有用性等を検証しているような作業を進めてきていただいております。

 現在まで四医療機関において三十二例について検証を行ったというふうに承知しておりまして、二十一年度も厚生労働科学研究として進めていきたいと思っておるところでございます。

橋本分科員 ちなみに、三十二例というのは大体予想どおりな進捗だと考えておられるか、どういうふうに考えておられますか。

榮畑政府参考人 そういう点では、私どもも、画像診断の有用性なんかを測定する際には、ちょっとまだ少ないだろうと思っておりまして、二十一年度に、二十年度はまだこれから続きますけれども、二十一年度にかけましても、さらにその研究を促進して、やはりもっと症例を集めていきたいなと思っておるところでございます。

橋本分科員 そういうことで本件についてはパブコメもあいているし、検討委員会もやっているし、研究の方が二年でまだあと一年以上ありますから、その結果が間に合うかどうかはわかりませんけれども、法案提出前までは既定の準備はできているけれども、まだその中でもいろいろ時間があっていろいろなことが進んでいるわけですよね。

 行政手続法第四十二条には、パブコメについて意見を十分に考慮すべきということになっているわけでありまして、大綱案に対するパブコメは、行政手続法に基づかないパブコメ、任意のパブコメですから束縛されるものではありませんが、でも、趣旨としては御意見を募集しますということでやっているわけですから、当然その趣旨にのっとって、行手法四十二条にのっとった形で御対応をいただかなければならぬ。

 今、鳩山大臣からも、寄せられた意見というのをしっかり重視するのだ、そういう空気をつくるという御答弁をいただいたわけですから、その大綱案を、今、案として出していたものを必要に応じて修正されるなり、その結果、法案の形になったときに何らかの変更が加わるなり、当然あるだろうということを期待するわけであります。だからこそ、いろいろな議論を重ね、検討を重ね、パブコメを求めているわけですよね。

 ですから、結局、大綱案のところで時間がいろいろ経過をして、それこそ前に質問してから一年もたっちゃったし、大綱案になってから、それは去年の六月ですから、もう大分時間もたっているわけで、当然ながらその間の議論を反映させるということが大事なことだと思いますが、そこの点について御答弁をお願いします。

    〔主査退席、渡辺(博)主査代理着席〕

榮畑政府参考人 先ほどもお答えいたしましたが、第三次試案及び大綱案につきましては、第二次試案までにちょうだいした御意見とか、省内の検討会におけるいろいろな検討なんかを踏まえて作成させていただいたところでございます。また、その第三次試案につきましても、さまざまな御意見があり、第三次試案及び大綱案に対してちょうだいした御意見については、昨年十月に、一たんでございますが、厚生労働省としての考え方を作成したところでございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、医療安全調査委員会という仕組みについて御理解をちょうだいできるように努めてまいりたいと考えておりますが、当然、その過程の中でちょうだいした御意見につきましては、十分に考慮させていただきながら、さらに検討を続けていかなければならないと思っておるところでございます。

 以上でございます。

橋本分科員 十分に考慮をしてということでございますから、具体的にどのように考慮されるのか、それはいろいろな議論がありますから、その際にもまた議論させていただきたいと思います。

 きょうは考慮するんだということを伺ったということで安心をして、そして鳩山大臣には、その手続として、ちゃんと形だけではなくて、パブコメあるいはそのほかの意見募集という制度、それは例えば、議員あるいは政党、あるいは厚労省さん方でもやられている検討会なら検討会、さっき話に出ていた中教審、そういったいろいろな人たちの意見を聞いて国の政策をつくるとかという中で、パブコメというものもあって、当然ながら同じように重視をしなければいけない、何に何を適用するかというのは議論がありますが、ということで、しっかりと大臣のお立場で監視をして、チェックをして、そういうものがきちんと実践されるように努めていただくように希望を申し上げて、質疑を終えます。

 ありがとうございました。以上です。

渡辺(博)主査代理 これにて橋本岳君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)分科員 公明党の伊藤渉でございます。

 大臣とはほんの一週間前にも議論させていただきましたけれども、引き続き、地デジの推進ということで御議論させていただきたいと思います。

 前回、十三日の委員会での質疑の中でも、大臣から、国を挙げての取り組みであり、国が責任を持っていかなければならない、また、デジタル放送への完全移行、これは放送サービスの高度化、また周波数が余ってくる、それを有効利用できるということで、これはもう国策として取り組んでいくというふうに力強い御答弁をいただいております。

 その中で、特に、全国に約五万施設、また六百五十万世帯の方が利用をされている受信障害対策施設、これの改修ということで、前回もいろいろ確認をさせていただきました。

 引き続き、この点について、まず総務省にお伺いしますけれども、この受信障害対策施設約五万、こういう数字を私も承知していたわけですが、これは、そもそも全国すべての受信障害施設を漏れなく計上していると理解をしてよろしいでしょうか。

山川政府参考人 お答え申し上げます。

 受信障害対策共聴施設につきましては、その設置、変更及び廃止の際に、有線テレビジョン放送法または有線電気通信法による許可あるいは届け出が必要であると規定されておりまして、許可、届け出がなされた施設の数が約五万施設、平成二十年九月末現在で五万五十八施設ございます。

 もちろん、廃止等による施設数の変動も想定されますので、今後とも、私どもは、関係機関の協力を得ながら、施設数の把握には努めてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(渉)分科員 これは通告しておりませんが、大事な点ですので、再度確認しますけれども、これも、局長もよく御存じのとおり、なかなか実際に届け出がされていないといった話もお伺いをするんですね。

 そうすると、全体の母数が五万と思ってやっていた。前回の質疑でも、全体が五万、その一割もまだ改修が進んでいない。しかし、もし、届け出をされている数を五万と把握されているのだとすると、実際に存在する受信障害対策施設というのはその数倍にも及ぶという話を実は現場では耳にするんですけれども、その点は、総務省としてはどうお考えでしょうか。

山川政府参考人 御指摘のとおり、五万という数は、許可あるいは届け出があった施設でございます。許可あるいは届け出というのは、原則これはしてもらわなければいけないということでございますので、私どもとしては、把握できている数は確かに五万でございますが、それ以外にどういった施設が実際に動いているのかということを把握することも当然重要だというふうに思っておりまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、関係機関の協力を得ながら、そうした実態の把握ということには努めてまいりたいというふうに思っております。

伊藤(渉)分科員 重ねてこの点申し上げておきますけれども、実は、この五万というのは、登録されている施設数ということではなくて、聞くところによると、ゼンリンの何かそういう地図のようなもので調べられるという話も聞いたことがありまして、この五万は届け出されている数じゃなくて、そういった別のもので調べたので、ほぼ実在する受信障害対策施設に近い数字が把握されていると実は私は思っておりました。今、局長の答弁は少し違っておりましたので、もう一度、そこの事実関係をまず押さえていただければということをお願いしておきたいと思います。

 この受信障害対策施設改修支援の話を何回もしてまいりましたけれども、その際の答弁は、必ずと言っていいほど、基本的には受信障害の原因となった建物等の所有者及び共聴施設の利用者を当事者とする協議によって対応方法について決定をされるものと承知しておりますといったような御答弁をされるわけです。

 しかし、何度も私も考えておりますけれども、果たしてそう言い切れるのか、もはやそう言い切れる状況ではないのではないか、こういうふうに思っております。

 今も申し上げたとおり、受信障害対策施設の改修の進捗は、全体が仮に五万だとして、その一割もいっていない。また、これは直接このこととは違いますけれども、ことしの一月の調査でも、世帯への地デジの受信機の普及率は四九・一%、これは目標を下回っているわけでございます。

 この受信障害対策施設のことで申し上げますと、そもそもこれまでは、既にアナログの電波が流れているところに建物が例えば建ちますから、その建物が原因となって受信障害が発生をしますから、建物が原因者ということで受信障害対策施設をつくりました。しかし、今やらなければならない受信障害対策施設の改修というのは、今のままだったら必要ないんです。アナログから地デジに変わるから必要になるんです。

 そう考えたら、シンプルに言うと、これは、要するに地デジ化することが原因じゃないんですかと言われても仕方がないと私は思いますし、私自身も何度も考えますけれども、地デジにすることそのものが今回は原因になっているんじゃないかと思えます。

 ましてや、愛知県で起きているケース、これは昨年の臨時会でも大臣にも御説明申し上げましたけれども、地デジに移行をすることに加えて、いわば太陽が東から西へ移るように、送信点が名古屋のテレビ塔から瀬戸に移ります。その結果、いわば電波障害、つまり太陽による日陰の位置が逆に出るようになるということなんですね。

 今申し上げたように、まさにこれまで繰り返し大臣が御答弁いただいているように、国策として進める地デジへの移行、これが根本的な原因になっていると私は言わざるを得ないと思っています。問題が今後全国の各地域、現場で発生をしてくるだろうと。

 そういう意味で、これは改めて、もう総務省のリーダーである大臣が引っ張っていただかなければ、とても動かせない。それはさまざまな予算の制約があると思いますけれども、そんなことを言っていて間に合わなくなったら大変なことになるというのが、私の根本的な問題意識でございますので、ぜひ、この受信障害対策施設の改修などさまざまな現場での取り組みが必要となるのは、そもそも地デジ化を進めることがすべての引き金なんだ、こういう根本認識に立って政策を進めていただきたい。

 そして、重ねて申し上げますと、そういう意味であれば、総務省が当事者として、主体的また主導的に地デジの移行に取り組んでいかなければならない。

 この二つの点について、ぜひ大臣にもう一度御見解をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 今、伊藤先生のお話を聞いておりまして、まず愕然としましたのは、五万カ所の件なんですね。もし数倍あったらどうしたらいいんだろうとまず思いました。五万カ所のほんのわずかしかまだ改修できていないという状況の中で、もしこれが十万カ所あったり十五万カ所あったら、一体どうなってしまうんだろうかとまずぞっとしましたから、これはとにかく、実態、いわゆるビル陰等の、共聴施設というんでしょうか、受信障害対策施設が幾つぐらいあるのか、これは徹底して調べるように、今命じましたので、しっかり頼むよということでやってもらいます。

 先生からの御質問は、本当に、私としてはぎりぎりの判断をしなければいけない部分が幾つかあるんじゃないかなと。確かに、予算も随分組んできてはおります。アメリカは延ばしたけれども、日本は延ばさないんです、それを皮肉った週刊誌記事も出ておりましたけれども。延ばさないで二〇一一年の七月二十四日と決めてやるのであれば、これは、先生おっしゃるとおり、国策なんですよ。国が決めてやるんですよ。そうしたら、その責任は、最終的には国が全部とらなくちゃいけない。

 ただ、私は、先生と違って理科系の知識がないんです。あれは名古屋タワーというんですか、それから瀬戸タワーへの説明を受けたときには、ああなるほど、それは影が逆に出るから大変だなと、それは先生の御説明でわかりました。ただ、私は理科系の知識がないものですから、アナログの対策施設はアンテナをどの程度変えればいいのと言うと、いや、大きく変えなければいけない場合と少し変えればいい場合と両方ありますとか、では、そこから引っ張る電線はどうなのと言うと、いや、そのまま使える場合もありますし使えない場合もありますと。正直言って、私の知識ではついていけない部分がある。

 知識としてはついていけなくても、デジタルですべての国民が受信、受像できなければいけないというのが私の仕事だ。となると、どこまで国の責任でやるべきかということを本当にこれからも真剣に考えていきたい、こう思います。

 確かに、おっしゃるとおり、例えばビルがある、デジタルが受信できない、それはビルのオーナーとビル陰になる方々との民間人同士の自主的な話し合いだろう。しかし、この話し合いがうまくいかないときどうする、お金がないときどうする、どれだけお金を出せるのか、問題は尽きませんが、ここには模範的な答案がいっぱい書いてありますけれども、私としては、国策として決めた以上、ぎりぎり国がどこまでできるかというものを追求していきたいと存じます。

伊藤(渉)分科員 大変ありがたい御答弁をいただいたと思います。

 繰り返し繰り返しこのことを取り上げてきたのも、大臣に正確に現場の情報を御認識いただきたいという思い、そして、国策として進める地デジ化、これは何としても達成しなければならないという思いからでございますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 既に、こういった改修、実際に現場ではCATV技術協会といったところが実施をします。これも前回申し上げたように、一年前ですから、来年の七月以降ぐらいに全部やれと言われても、とてもじゃないけれども間に合わない。実際に、彼らにとっては新たな仕事が発生してくるわけですから、私が思うに、悪い話ではない彼らですら、既にエクスキューズを始めていると私には見えるんですね、後でやれと言われたってできませんからねと。

 こういう状態に既に来ているということは、既に来年度の予算の概算要求の準備も始まっていく、二十一年度の予算の補正の議論もちらほらと聞こえてくる、こういったところにすかさず手を入れていかなければならないと思いますので、非常に重要なタイミングだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今、こういったことが現場で何に基づいて進んでおるかといいますと、きょう配付資料を用意しましたけれども、平成十八年の十一月二十七日付で総務省の方から「都市受信障害対策共同受信施設の地上デジタル放送対応に係る周知の促進について」という通達、これが情報通信政策局地域放送課長から各総合通信局放送部長らにあてて発出をされております。配付のとおりでございます。

 この通達の中、一ページ目、線を引いて1と下の方にしてありますが、「今後、関係者に対する説明会を開催する等、より一層積極的な周知広報に取り組まれるとともに、関係者間の協議が円滑に設定・遂行されるよう積極的に取り組まれたい。」こういうふうに書かれております、本省から各地方部局に対して。

 実際にこれをやるのは、今、地域に登場し始めているデジサポ、こう考えていいのか。デジサポは、現場の最前線で、関係者間の協議が円滑に設定、遂行されるよう積極的に取り組むことが当然求められると思いますけれども、これも局長の方に見解をお伺いしたいと思います。

山川政府参考人 まず、デジタル放送への完全移行に当たっては、国としても必要な支援を進めてまいるわけでございますが、放送事業者はもとより、メーカー、地方公共団体あるいは受信者の皆様、共聴施設の所有者、関係の皆様にもそれぞれの役割を果たしていただくことが必要というふうに思っております。

 繰り返しになりますが、受信障害対策共聴施設のデジタル化対応につきましては、原則、当該施設の所有者及び利用者による当事者間協議により、対応方法等について決定されるものというふうに理解をしておりますが、この協議を積極的に促していくために、デジサポにおきましても、必要な情報の提供あるいは調査、補助金の交付等の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

伊藤(渉)分科員 局長は、重ねてその点を強調される。お立場上仕方がないと思いますけれども、そういうことを踏まえて私がきょうも繰り返し申し上げているのは、そもそもの根本的原因は地デジを推進することにあるのではないか、また、それをお聞きいただいて、大臣が、ぎりぎりの判断をしなければならないということまで、模範解答を見られた上で御答弁いただいているという事実をよく認識していただきたいと思います。

 現在、愛知のデジサポには四名の職員の方が実はいらっしゃいます。これも現場を見に行かせていただきました。男性が三人と女性が一人いらっしゃいました。この四名でどれだけのエリアの相談等の対応をされるんでしょうか。

山川政府参考人 デジサポにつきましては、すべての都道府県に拡充、設置されておりまして、今月の二日から業務を開始したところでございます。各デジサポは、設置されている都道府県の区域を対象に業務を実施しております。

 愛知のデジサポでございますが、昨年十月から業務を開始しております。その対象エリアは、愛知県内となっておりまして、今、センター長の下に四名の職員がおるわけでございますが、五名が一体となりまして、県内のテレビ受信者等の皆様からの技術的、専門的な受信相談に対応しております。

伊藤(渉)分科員 これもるる申し上げてきているとおり、本当に地デジを国策として積極的に進めようと思うと、このデジサポが行政府の最前線の基地になると思うんです。ありとあらゆる相談が愛知県下からざっと寄ったら、とてもじゃありませんけれども、四人では対応は苦しいと僕は思っていますので、この点もよく御検討をいただきたいと思います。

 もう一回、今の通達に戻らせていただきます。

 一枚めくっていただいて真ん中辺に、「1 基本的考え方」とあります。この(2)、下線部の2ですけれども、「デジタル放送はアナログ放送から置き換わるものであり、地上波放送における受信障害に変わりがない」とあります。

 ここも、これまでの大臣の答弁がございますように、国策として進める地デジへの移行が根本的な原因となってさまざまな問題が発生しているということからすると、基本的には受信障害の原因となった建物等の所有者及び共聴施設の利用者を当事者とする協議によって対応方法について決定されていくものということではなくて、これはもう局長が何度も御答弁いただいている言いぶりですけれども、地デジ化を積極的に推進するためには、行政府である総務省が当事者の一人として主体的に取り組んでいくものとして根本の考え方を改めていく必要がある、こういうふうに考えております。

 この点についての見解をまずお伺いしたいのと、その上で、上記の今の通達について、受信障害が解消しない世帯に対しては、やはり総務省が主導をして所有者と共同施設の利用者の協議を整理するといった趣旨の文章にした上で、速やかにこの通知文を徹底し直す必要があると思いますけれども、ここは、これまでの答弁の流れから、ぜひ大臣にまた御答弁いただきたいと思います。

鳩山国務大臣 確かに、先生がおっしゃるとおり、アナログから地デジへの移行というのは国策として進めているわけでございますから、先ほどから何度も申し上げるように、国が最終的には責任を負うものと思っております。

 ただ、受信障害の原因となった建築物等の所有者及び共聴施設の利用者、これらが当事者でございまして、協議によって対応方法について決定されるものというふうに総務省では言い続けてきているわけでございます。

 それは、事案ごとにそれぞれが全部応用問題なんだろう、基本問題があって、大体あとはその類型だというんじゃなくて、一つずつ応用問題があるので対応が異なっているという難しい点があるだろう。

 それから、私はもう忘れましたけれども、民法なんかだと、例えば道路に面していない土地とか、そういうような場合は、いろいろな権利義務が発生したりしますよね、もうほとんど覚えておりませんが。ただ、妙な話ですが、電波に関しては、何というか、電波受信権みたいな権限が表向きうたわれているわけではない。したがって、当事者間の話し合いでということがそこから出てきているんだろうと。

 我々総務省としては、当事者間の協議の促進とか、共聴施設の改修の支援には予算を組んだとか、こういうことで対応をしているわけでございます。さまざまな協議が行われるんだろうと思いますが、その協議が円滑に進むように、調査もする、デジサポも頑張る、補助金も交付する、こういうことでやっているわけです。

 ですから、これが一応の模範答案なんですけれども、これで済むかという御指摘を先生からいただいているわけですから、これは、これからの推移を見きわめながら、これでは済まない部分についてはさらに突っ込まなくちゃならぬ、こういう思いです。

伊藤(渉)分科員 大変前向きなお答えをいただきまして、感謝申し上げます。

 本当に大臣のおっしゃるとおりで、私は、現時点において済まないだろうと思っている。であれば、繰り返しになりますけれども、平成二十二年度の予算の概算の要求が始まっていく、二十一年度の大規模な補正の議論も始まっていく、このタイミングで政治家である大臣が決断をしなければ致命的になりかねない、こういうふうに思っています。

 今まさに大臣もお触れをいただいた、一番最初に私がこの地デジの問題を国会で取り上げたときに、今やテレビというのは生活に欠くべからざるもので、憲法で言うところの最低基準の文化レベルという中に入ってくるんじゃないかというようなやりとりもさせていただきました。であれば、まさに大臣がおっしゃった受信する権利、これは実は世界的にも例がありませんけれども、もし政策的に進めるためにそういうことまで視野に入れなければならないのであれば、これこそ政治家の仕事だろうというふうに思いながらこの話を進めさせていただいておりますので、ぜひ前向きな御検討をいただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、残り二つの質問は、そうした大前提に立って、今の通達の文章をこういう趣旨で変えるべきではないかという問題ですので、二つあわせて局長にお伺いをします。

 まず、三ページ目ですね。真ん中辺に、「2 費用負担の考え方」ということがございます。これについては、ここの中に、なお、対策施設のデジタル化改修を行う場合、その負担が著しく過重となるもの等について国が改修費の一部、または、例えば愛知県のように、地デジへの移行に伴い電波の送信点が変更になり、その結果、新たな受信障害が発生するといった特別な事情がある場合はすべてを補助する、こういった趣旨の文章を入れていくべきではないか。

 また、「3 その他」のところですけれども、ここは線を引いてありますが、「調査することが必要となることから」、これも前回の質疑から言わせていただいているとおり、調査をするといっても、現場はどれを調査すればいいかわからないんですよ。だから、調査の必要なエリア等を総務省がまず提示する、そしてその目安に従って、この平成二十一年度からまさに総務省の御尽力でスタートをする補助、こうしたスキームを活用して、文字どおり行政府の主導で、関係者を立ち会わせて、具体的にはデジサポだと思います、ここが調査を実施していく、こうした前向きな趣旨の文章に変更をし、再通達をすることで、文字どおり現場が困らない、また現場に過度の負担が生じない。

 これは、つまるところ、完全移行に向けて必ず達成をしていくという趣旨から必要だと思いますけれども、この点について、ここは通達文の細かい話ですので、局長にお答えを求めたいと思います。

山川政府参考人 受信障害対策共聴施設でございますけれども、当該施設の所有者及び利用者による当事者間協議を原則とするとしつつも、私どもも、国として、どこまで国の責任でやっていくべきかということは考えてまいりたいというふうに思っております。

 当然、限られた期間の中で完全デジタル化を実現していかなければならないということでございますので、この当事者間の協議を強力に推進する、あるいは、それ以外の可能な限りきめ細かな支援を実施していくということは当然必要だというふうに思っております。

 先生の御指摘のような、例えば当事者間への情報提供を細かくするということも有効な手段というふうに思っておりますし、今まさに御審議いただいております平成二十一年度予算につきましても、国による改修支援を盛り込ませていただいておるところでございます。

 具体的に、補助あるいは調査方法、二つの点の御指摘でございますが、調査方法につきましては、どういう方法が可能かということは幅広く検討をいたしまして、コスト面も検討をしなければいけませんので、効率的かつ適切な方法を見出していきたいと思っておりますし、補助につきましては、平成二十一年度の予算案を成立させていただければ、その時点で、当然考え方の整理を、調査、補助ともでございますが、行っていかなければいけないというふうに認識をしております。

伊藤(渉)分科員 ありがとうございました。

 ここまで、私も政治家にさせていただきまして約三年強が過ぎようとしております。この三年強の間は、まさに政治そして行政に対する信頼は失墜の一途をたどっていると思います。

 そういう意味で、これほど大きな政策で、また間に合わなかったとか、現場で混乱が生じるようなことがあれば、本当に私ども国の経営を預かる政治家の立場としては致命傷になる、そういう極めて高い危機意識の中からこうした質疑をさせていただいておりますので、ぜひとも、きょう御答弁を大臣からいただいたとおり、前向きにこの政策をさらに進めていただきたいということを再度お願いしまして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡辺(博)主査代理 これにて伊藤渉君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂井学君。

坂井分科員 自民党の坂井学でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、忙しい中、大臣にもおいでいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初でありますが、今、郵政民営化の見直しの検討会をやっておりまして、ちょうど今、党内におきましても一時から合同の部会が開かれてやっておりましたが、その中において幾つか論点があったんです。

 そのうちの一つ、通常貯金の限度額としてまだ今一千万円というのがありますが、その撤廃の問題。それから、かんぽ生命で、がん保険、これは実際の保険の中でかなり扱い額、扱い割合、パーセンテージが高くなっていると思いますが、このがん保険がいまだに扱われていないということでございます。

 この二点に関しまして、今どのようなお考えなのかということをお聞きしたいと思います。総務省さんとそれから金融庁さんですか、それぞれお願いしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 郵貯の限度額の関係でございますが、御指摘の点につきましては、昨年の四月一日に、ゆうちょ銀行から、総務省、金融庁、それから郵政民営化推進室に対しまして、郵政民営化法施行令の改正要望書が提出されたところでございます。

 具体的には、流動性預金を預入限度額の対象に算入しないことについて要望があったものでございます。

 総務省といたしましては、ゆうちょ銀行に対して要望について説明を今求めているところでございまして、他の金融機関等との競争関係に影響を及ぼす事情だとか、あるいはゆうちょ銀行の経営状況等を勘案して、金融庁とともに、施行令の改正の要否について検討しているところでございます。

 それから、がん保険の関係でございますが、かんぽ生命保険ががん保険の販売を希望していることは承知しております。

 しかしながら、現時点で、かんぽ生命保険より正式に認可申請が行われておりません。

 正式に認可申請等があれば、郵政民営化法の枠組みにのっとって、郵政民営化委員会の意見も踏まえて、他の金融機関等との競争関係に及ぼす影響、それからかんぽ生命の経営状況等を勘案して、金融庁とともに、審査の上、判断してまいりたいというふうに考えております。

居戸政府参考人 ゆうちょ銀行の通常貯金の限度額のお話でございますが、今総務省から御答弁がありましたように、総務省あるいは郵政民営化推進室だけでなく、私ども金融庁も、通常貯金を含む流動性預金の預け入れ限度額の撤廃に関する政令改正の要望をいただいているところでございます。

 この政令改正の是非につきましては、現在、郵政民営化法に沿いまして、他の金融機関との間の競争条件に影響を及ぼす事情、ゆうちょ銀行の経営状況その他の事情を勘案しながら、総務省とともに検討をしているところでございます。

 もう一つの、かんぽ生命のがん保険の点でございますが、かんぽ生命が具体的に要望を表明したということは私ども今のところ承知しておりませんで、現時点では当庁からのコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、仮に新商品に係る政令改正要望や認可要望が出された場合には、郵政民営化法に沿いまして、郵政民営化委員会に意見聴取した上で、私ども金融庁及び総務省においてその可否を検討することになります。

坂井分科員 御答弁ありがとうございました。

 こういった現場の方からそういうような声が上がってきた場合は、そういうのに合わせていろいろとお考えいただきたいと思います。

 また、もう一点、これはせっかくの機会ですので私の意見を申し上げさせていただきます。これは、総務省さんにぜひお願いをしたいと思っております。

 大臣の今回のかんぽの宿の指摘で見ても明らかなように、日本郵政の今の経営のあり方そのものに対して、今、物すごくその信用というものが失墜をしている状況だと思っております。私も、きょうも現場の局長の方とお話をさせていただいてまいりましたけれども、特に現場が、要は、日本郵政のやり方に対して今十分信用ができていない状況であります。

 きょうの部会でも議論になりましたけれども、十年後に果たして本当に郵便局に代理店としてちゃんと契約をするのかどうか、見捨てられるんじゃないかということも含めて、まだ全く見通しが立っていない中で、三年たてば株式を売却する、こういうことを経営陣がずっと言ってきたようでございますが、私個人の思いといたしましては、やはり現場との信頼関係、そして当然、総務省との信頼関係、そしてまた国民との信頼関係というものをしっかりと構築してからでなければ、これら株式の放出という、完全に民営化させるということそのものが時期が尚早ではないか、十年という期間が法律の中で設定されている以上、その中でしっかりと信頼関係をつくり、そして、多くの国民が安心をしてより便利になったと言えるような状況が見通せるところまでやはり責任を持つべきではなかろうかと、私の意見を述べさせていただきます。

鳩山国務大臣 坂井委員の御懸念は、そのとおりだと思うんです。

 つまり、私は、郵政民営化に賛成した人間でございますし、とりあえず今の形をとることについても賛成をしたわけでございます。

 ただ、郵政民営化担当大臣としては、郵政民営化という巨大な改革ですから、巨大であればあるほど、光も強く、影も色濃く出るということで、その影となるような部分を少しでも、取り払っていくというんでしょうか、取り除いていくことが大事だと。

 例えば、昔の特定郵便局長さんたちは、それぞれ地域のリーダーとして、ゲマインシャフトというか、一つの精神共同体の核であり、あるいは郵政文化というものがそこにはあったから、郵便局に対する絶対の信頼というんでしょうか、それは、お金を預けるにしても、貯金するにしても、保険に入るにしても、あるいは郵便というのは絶対に間違いなく届くものだという、そういう信頼があった。そういうものが揺らぐような部分があるとするならば、それは民営化の影の部分として取り除いていかなければならない、そう考えております。

 そうした中で、一体、日本郵政という会社は何をやっているんだというのが、かんぽの宿をめぐる私の思いでございまして、不透明きわまりないことを平気でやるということであるならば、まず日本郵政が信頼を回復することがとても大事であって、そのためには、このかんぽの宿問題、残念な事件ではありますが、この解明に全力を尽くしているところでございます。

坂井分科員 大臣、ありがとうございました。

 それでは次に、地域力創造プラン、鳩山プランと名づけたこの計画について質問をさせていただきたいと思います。

 環境革命家の大臣でありますから、この地域力創造プランの中に、自然との共生という文言や、人も自然界の一員であるということをしっかりと意識をしてやっていかなきゃいかぬ、こういう内容が入っておりまして、まさしく地域活性化という中に新しい視点を取り込んだプランではなかろうか、また、名前に鳩山を冠している以上、やはり、かなりの思いを込めてこのプランをつくったのではないかなと想像するところでもございます。

 私ごとでありますが、大臣の御自宅の食卓でいろいろとお話をさせていただいたものを、それこそ、こういう場所であるとかもしくは官邸で議論をしたいな、こういう私の希望もございまして、地元活動を一生懸命やっているところであります。

 そういう中で、今回は、まず、鳩山プランと名づけたこの地域力創造プラン、どうやら三本の柱から成っているようでありまして、見ると、三本の柱がそれぞれちょっとちぐはぐなところもあるようでありますが、そこも含めて、どういう理念でこの鳩山プランをおつくりになったかというところをお聞きしたいと思います。

鳩山国務大臣 私も、この三本の柱がどういうふうに融合していけるのかはちょっとまだ疑問でございまして、鳩山プランの三本柱と申しますが、これはとりあえずつくったプランでございまして、定住自立圏構想は具体的に予算等も伴って動き出してまいりますが、こうした考え方は、深化と進化、両方、年々シンカしていく中で私の従来から持っております自然との共生という理念に近づけていきたい、こう考えております。

 坂井学代議士におかれては、大学を卒業した後に実際に自然農法に取り組むなど成功も失敗もいろいろあったようでありますが、そうした中で、環境に対する私の姿勢を評価して私の事務所に来ていただいて六年間も同じかまの飯を食った。私の今唱えております環境についての理論の半分以上は坂井学君に学んだところであろうと思いますし、私が環境についての本を一冊書きましたが、それも実質上は坂井学代議士との共著のような性格だというふうに思うわけでございます。ですがゆえに、この鳩山プランについての一番の理解者ではなかろうか、あるいは鳩山プランについての欠陥や欠点についても一番よく見抜いておられるのではないか。

 そういう観点から物を申しますが、要は、私の自然との共生というのは、人間は霊長類で万物の霊長であるから地球のシステムから何を奪ってもいいという考え方、そして、右肩上がりの経済成長を心から信じて歩んでいけば結局は人類の繁栄というのはあっという間に終わってしまう、一億年以上も繁栄した恐竜たちに比べれば、わずか、産業革命以来何年になるんでしょうか、これから長く続いても五百年ぐらいで人類が滅んでいったとするならば、恐竜よりもはるかに愚かな生物が人類であったということになる、したがって、人間も生物界の一員であって何も格別にあがめ奉られるべき存在ではないという謙虚な姿勢、自然界の中で万事を支配して生きていくのではなくて自然界の中の一員として生かさせてもらっているという、そういう謙虚な姿勢が何よりも大事だと考えております。

 また、日本人は縄文以来、非常にそういう文化あるいは文明を築いてきた。日本人ほど自然と共生をしてきた民族はほとんどないでしょう。

 幾ら我が国が山がちとはいえ、国土の六割以上が山林に覆われている。もちろん、坂井代議士が最も嫌う純林行政という愚かな政策をやった。杉やヒノキの純林をつくって、結果としては、災害に弱い林をつくり、生態系がそこから消え去っていくという愚かな純林行政はありました。むしろ今は、混合林を育てるという方向が正しいということが立証されてきていると思いますけれども。

 それでも、やはりこれだけの森林が残されているというのは、私は、日本人がすべてのものに神を見て、日本は神の国とは言わないけれども、森にも山にも川にも石ころにも神を見るという日本人の非常に謙虚な姿勢がこれだけの自然環境を残してきていると。むしろ、世界に対して、この縄文以来の日本の自然との共生思想をこれからは世界に発信するという役割を我々は持っているのではないか。

 国内に目を転じますと、定住自立圏構想という形で、中心市と周辺市町村が相互に一対一で協定を結ぶというような形で、一つの中心市と周りの市町村とが合わさって一つの圏域。この中では、人口は減らない、むしろふえていく。そうすれば、例えば周辺市町村に近代的な大病院をつくらなくてもいい。中心市の方に近代的な病院があれば、周辺市の分も全部請け負う、患者を全部お受けいたしますという契約を結ぶ。もちろん交通のインフラもつくっていくわけでありましょうが、これは本格始動をいたします。

 それと同時に、地域おこし協力隊と言っているんですけれども、若者が都市から農山漁村に出かけていって、最低一年以上はそこに住んでいろいろな手伝いをする。それは、森林整備の手伝いをする、農業に従事する、漁業に従事する、いろいろなやり方があろうと思いますが、そうした形で、できれば一年以上定住していく中でその地域に骨を埋める。坂井代議士は熊本で骨を埋める寸前までいって挫折したんだと思いますけれども、できれば本当は骨を埋めるところまでいけば一番いいんだろう、こう思います。

 それからもう一つの、三本目の柱は、過疎地というのは要するに日本の原点なんだろうと。最も生態系がよく保持されている地域、二酸化炭素を吸う地域。

 田中角栄先生の詠んだ歌で、「末ついに海となるべき山水もしばし木の葉の下くぐるなり」かな、何かそういうのがあるんですね。要するに、海に流れ込んでいく水も最初は枯れ葉をくぐっているんだ、まさに水の浄化というのも山村がやっているじゃないかと。

 ですから、都市住民は本来、農村、山村に対して感謝の気持ちを持つべきだ。そこで都会と農山村との共生というものを考えていきたいと思うし、その一番の山村である過疎地域に集落支援員というものを特別交付税でつくり上げて、きちんと限界集落まで見回れるような、そんな仕組みを今考えております。

 その三つを合わせるとちぐはぐではないかと言われると、そのとおりでございまして、もっとこれが深まるように研究を続けてまいります。

坂井分科員 ありがとうございます。

 今お話があった中で、右肩上がりの経済成長を信仰するというのは、それから脱却をすべきではないかというお話や、今までのあり方、考え方から、要は、人間が自然界の一員であるということを自覚すべしというお話がありました。

 そこで、今、定住自立圏構想ということがありましたけれども、それを構想する、定住自立圏というものを考えるときに、環境容量というような発想とか資源の自給という観点からいろいろな議論をもう少し組み入れてできないかというような提言を私は実はいただいております。これは、島根県の中山間地域研究センターの笠松浩樹主任研究員という方がおられまして、久留米出身でございますが。

 研究員から、私もいろいろと、現場にいて、実際に現場でやりながら考えるときに、ずっとそれを継続して、そして毎回維持をしていかなければいけないということになると、廃棄物の問題であるとか、人口の問題であるとか、それから食べ物の問題であるとか、自立をしていくということを考えていくと、どうしても容量があると。その容量を超えた人口であったり、容量を超えた廃棄物であったりということは、要は、その地域に余計な負荷をかけるようになりますから、そうすると無理が出てくると。

 もう一つは、資源。

 資源という場合は、ここは大きくは食料でありますけれども、当然、その地域に都市部があり、そして地方があり、ただし、地方で生産できる、もしくは生産可能な範囲内で、都市部の人口がいることによって、その地域で、資源の自給ということで、この資源の自給は食べ物が一番わかりやすいわけでありますが、例えばクリーンエネルギーなども、うまい形で連携をとってやっていくというようなことをしていかなければ、要は、よく言われるサステーナビリティーという言葉を考えれば、このような考え方も必要ではないかと。

 こういうような御指摘をいただいているわけでありますが、大臣はその点、どのようにお考えでしょうか。

鳩山国務大臣 今私どもが枠組みをつくっております定住自立圏構想でそれができれば最高にいいというふうに思っております。それは、フードマイレージという言葉もありますが、地産地消が原則になれば無駄なエネルギーを使う必要は全くないわけでございます。

 結局は、地球温暖化というものを常に二酸化炭素のせいにしています。多分そうなんだろう。温暖化ガスというものがあって、二酸化炭素が地球を温暖化させる、温室効果がある。メタンガスの場合はその二十三倍ぐらいの温暖化力があるというようなことが語られていまして、二酸化炭素、温暖化ガスと、温暖化のことばかり議論されて、それが地球環境問題だと、こういうふうに言われておりますが、実は、坂井先生がよく御承知のとおり、二人で勉強いたしましたエントロピーのことを考えてみれば、要するに、地球という大きな環境の許容量を超えたエントロピーが出ているから地球が温暖化するのは当たり前なので、それは、本来は、人口が減らなくちゃならない、人口も多過ぎる、経済生産の量も多過ぎる、それが温暖化ですから。エントロピーは増大して減ることがないというのは熱力学の第二法則で、例外がない。だから、許容量の範囲内で暮らすというのは恐らく最も大事なことなのではないか。ノーベル賞候補と言われた松井孝典先生がおっしゃっているのも、行き着くところはそこなのではないかな。

 だから、私は、地球全体も許容量を超えてはいけない、そして、その地域地域も、許容量の範囲内で資源も自給して、廃棄物も吸収できる範囲内にとどめて、そこに桃源郷ができて人が心豊かに平和で幸せに暮らせたら最高だという理想は、坂井先生と全く変わるところはございません。

坂井分科員 ありがとうございます。

 次は、先ほども触れました、都市住民が、地域おこし協力隊員という仮称がついておりますが、そういう形で地域に入るわけでありますけれども、私自身も都市の人間として、俗な言葉で言うと、よそ者として熊本県阿蘇の山奥で三年暮らしておりましたけれども、やはりそこで大変感じるのは、よそ者に対しては、物すごく地元の方々も危機意識というか危険分子の見方で、何をやらかすかわからぬと、こういう見方で見られますし、その地域で、何が普通の考え方なのか何が当たり前なのかということがわからぬ、こういう状況があろうかと思います。

 実際、この笠松研究員がやっていく中で、都市の方々と地元の方々とがうまく協力するためには、もちろん、技術だとかいろいろな必要とされるノウハウもありますが、それと同等もしくはそれ以上に、そこの地域のことをお互い勉強していただいて、そして、どういう習慣があって、どういうことに気をつけなきゃいけないか、こういうことをいわば事前に研究する、検討する、そしてそれをわかってもらう、この作業が、研修期間ですね、オリエンテーションの時間が大変大事だと、こういうことを言っております。

 単に都市の住民が田舎に行っても、要は、そこで対立があったりぶつかったりということではおもしろくないので、そこのところもぜひ検討をいただけないだろうか、考えていただけないかという御提案。

 もう一つは、これからいろいろな形で田舎、地域に都市部から人を入れていただけるということでありますが、そのときの入れ方も、要は、入った後、ではどういうふうな形でその人たちがそことかかわっていくのか。いわば、地域づくり、国づくりのためにその人たちがどうその後もそこでかかわっていくのか、影響を持っていくのかというようなことも含めて、人材を入れるということに関してお考えをいただければありがたいな、こう思うわけでありますが、ちょっと、大臣からコメントがあれば。

鳩山国務大臣 全くそのとおりでございまして、比較的成功しておりますのが青年海外協力隊だとして、恐らく青年海外協力隊は、行く国でどういう需要があって、どういう地域社会があって、もちろん先輩たちも行くんでしょうけれども、どういう文化で、どういうふうに溶け込んでいけるかというかなりの証左があって送り出されていくから成功しているんだろう。

 地域おこし協力隊というのも、少なくとも、三カ月とか半年というのではなくて、一年以上住んでもらう。財政的には、特別交付税で最初は見ていこうかと思っております。

 これは、その地域にどういう需要があって、どういう働きがいのある場所があって、産業があってということが明らかでなければいけませんから、やはりミスマッチということも起きるかもしれない。ということは、マッチングするためのコーディネートする人たちの役割はまことに大きいし、そのコーディネートということについては、また総務省で別に人材を育てていかなければいけないかなというふうに思っております。

 私は、川の上流、中流、下流の共生ということを申し上げますが、昔、坂井代議士と環境税を一緒にいろいろ考えたとき、もちろん今でも環境税は我々の共通の大きなテーマになっておりますけれども、一般に言う炭素税である環境税に加えて、やはり、例えば昔の水源税と言われたような環境税がこれから注目されるべきではないかなと。

 つまり、都会の人間は農山漁村の恩恵で成り立って繁栄をしている、それを、そのお礼をお金で示すということも必要ではないかとすれば、例えば水道料金にかけるんでしょうか、炭素税ではなくて水道料金にかけたお金が農村や山村に戻っていく、そういう形で、今、石破大臣のところでも新しい農業ということを考えている。

 ですから、やはり、農村や山村にお金もこれから落ちるようにならなくちゃならない、そしてそこにいわゆる雇用が生まれるという条件がある程度生じていきませんと、地域おこし協力隊員は結局帰ってきてしまうのではないか。そういう意味で、総合的にいろいろ考えていかないとこれは成功しないと思いますので、先生おっしゃるとおり、まずコーディネートをしっかりやりたいと思います。

坂井分科員 どうもありがとうございました。

 この鳩山プランは、私も大変期待をいたしております。単純な地域活性化ではなくて、先ほどありましたように、地球の許容量の範囲内、その地域の許容量の範囲内でやっていく、いわば日本のある種のパイロット事業的な色彩がこれは工夫次第では出せるのではないか、こう思っておりますので、ぜひいい形で実現をさせていただきたいと思います。

 時間がなくなってしまいましたが、松永部長においでいただいておりますので、いろいろと、市会議員の年金の件、もうあと一、二年で破綻をすると言われておりますが、今、なくせとか、それから存続をさせろとか、こういう声がありますが、その点に関して、今のお立場、お考えを最後にお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

松永政府参考人 地方議会議員の年金についてお尋ねでございますが、地方議会議員の年金につきましては、平成十八年の法律改正で財政改善のための対応策を講じたところでございますが、市町村合併の急速な進展によります予想を上回っての議員数の減少、あるいは地方行革の一環といたしまして議員の定数や報酬の減少があったというふうなことによりまして、特に市議会、町村議会の議員の年金の財政状況が大変厳しい状況になっております。

 このため、都道府県、市、それから町村の三議員共済会が中心となられまして研究会を設けられまして、今後の地方議会議員年金制度のあり方について御議論されまして、今般、報告書が取りまとめられたところでございます。

 これを受けまして、総務省におきましては、地方議員の代表者の方や学識経験者の方から成ります検討会を設置いたしまして、これから具体的な対応策を取りまとめていく予定でございます。

 議員活動に専念していただくために地方議会議員年金制度の果たしてきた役割は大きいものがあろうかと思いますが、地方議員の方々の御意見等も伺いながら、安定的運営に向けた対応策の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

坂井分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。

渡辺(博)主査代理 これにて坂井学君の質疑は終了いたしました。

 次に、土井真樹君。

土井(真)分科員 自由民主党の土井真樹でございます。

 きょうは鳩山総務大臣に、まず、大臣もよく御存じの投票済証について、よく御存じとはいえ、質問をさせていただきたいと思います。

 知らない方も含めて、投票済証なるもの、非常に知らない方が多くて、当初大臣も知らなかったとお聞きしておりますけれども、我々の地元では、投票所に行きますと、最初、名前をチェックして、投票用紙をもらって、投票所で記名して、そして投票箱に投票用紙を入れて、その後に、テーブルが置いてありまして、そこに投票済証なる小さな紙がずっと何枚か置いてあって、希望者はそれを持っていってくださいという形で、投票済証というものを各投票所に置いてある、市の選挙管理委員会が発行して置いてあるわけですね。

 これは、私も当初日本全国どこでもやっているのかなと思っていたんですけれども、というか、そもそもそういうものがあることは知らなかったんですけれども、よく聞きますと、愛知県ではすべての市町村で発行している。今度は東京に来ましてほかの県の先生方に聞いたら、実はほとんどの自民党の先生は知らないということなんですね。知っているのはほとんど愛知県の先生だけで、ほかの地域は知らないと。

 そういうことで、総務省にかつて、全国で実態はどうなっているかという状況を調べていただいて、ざっと、全国どこで発行していてどこで発行していないかという一覧表をいただきました。特に、愛知県とか岐阜県そして大阪府、この三カ所は、一〇〇%、すべての市町村で発行している。逆に、全く発行していないような県もございます。例えば、高知県とか沖縄とかいうところは発行していない。

 全国非常にばらばらの状況でございますけれども、特に私の地元ではこの投票済証というもの自体が大変な問題を発生させているということで、私も、これについては地元の選挙区の皆さんから、苦情というか、これはおかしいんじゃないか、廃止すべきじゃないか、禁止すべきじゃないかという声をたくさんいただいております。

 きょうはまず、この投票済証というものが、今は、やっているところ、やっていないところ、全国いろいろありますけれども、そもそもどんな経緯で交付されるようになったのか、そしてまたその理由は何だったのか。経緯と理由、それを、まずは総務省に認識をお伺いしたいと思います。

    〔渡辺(博)主査代理退席、主査着席〕

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 投票済証でございますが、今先生からお話ございましたように、市町村によりまして発行しているところがある、また発行していないところもあるというものでございまして、制度としていつからあるというのはちょっと詳細には承知しておりませんが、かなり前から、地域によって慣行的に発行されていたというものかと存じます。

 そして、投票済証がどういう背景で交付されるようになったかということでございますが、一つには、労働基準法の第七条という規定がございまして、使用者は、労働者が労働時間中に選挙権行使に必要な時間を請求したときには拒んではいけない、こういう規定がございます。そういったことから、投票済証というものが、請求のあった時間が本当に選挙権の行使に必要なものだったかどうかということを後になって、事後的に証明するために必要があるというような事情もあったのかというふうには伺っているところでございます。

土井(真)分科員 そういう事情は私も聞いておりますが、では、そもそもこの投票済証、行政が交付する以上、何らかの法的な根拠があって発行、交付していると思うんですけれども、その法的な根拠というものはどのようになっているんでしょうか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 投票済証の交付につきましては、公職選挙法には特段の規定はございません。しかし、反対に申しますと、特段に禁止する規定もないというのが公職選挙法の現状でございます。

 そういうことから、現在、各市町村によりまして、選挙管理委員会が投票を行いました選挙人の方に対して発行しております投票済証というものの法律の根拠ということになりますと、地方自治法に戻りまして、地方自治法の第二条第二項という規定がございます。「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。」こういう規定でございますが、そこにございます「地域における事務」ということで、法律上の位置づけはそのようなものであるということで発行しているというふうに理解しております。

土井(真)分科員 今の法的根拠でございますけれども、そもそも「地域における事務」とは一体何ぞや、「及びその他の事務」とありますけれども。それでは何をやってもいいのかということになるわけですね。本来なら、行政で必要性があるということであるからそういう事務を行うのであって、そもそも法的根拠に基づいた必要性がないものを発行するということ自体が、行政としてやり過ぎではないかというふうに私は思うわけでございます。

 と申しますのも、この投票済証を大変悪用されている事例が多いということでございます。今からその悪用している事例をいろいろお話しさせていただきますが、まず、悪用するということもさることながら、投票済証による投票の強要というんですか、それに対して、強要される側から私に対しても、匿名ではございますけれども、いろいろな投書があって、何とかしてほしいという声をいただいておりますので、少し紹介させていただきます。

 私もホームページを持っておりまして、ホームページに意見箱ということで、地域の多くの皆さんからいろいろな御意見をいただくようにしております。その意見箱にこういうような、代表的な例なんですけれども、一ついただきました。

 私は豊田市に住んでおります、ちょっと固有名詞は控えさせていただきますけれども、某団体に所属していますが、選挙のたびに投票済証という紙をもらってこいと強要します、言論の自由を奪っていると思います、去年だと思いますが、土井先生がテレビで必要ないと言われているのを見ました、その意見には賛同します、これからも投票済証の廃絶に向けて頑張ってください、応援していますと。

 これは匿名で来ております。匿名で来ているにもかかわらず、この方はこの投書をしたことに対して非常に怖がっていまして、その後もう一回メールが来て、先ほど送ったメールについては匿名でお願いしますと。匿名で来ているにもかかわらず、匿名でお願いしますと。そこまでびくびくしながらこういう投書をしてきているということで、その団体、組織の中で非常に締めつけが行われて、そんな中で勇気を振り絞って私にこうして投書してきている。ほかにも多くの声が上がってきております。

 また、私への投書ではないですけれども、ホームページとかブログを見ていますと、これについてはいろいろな声が上がっておりまして、若干紹介させていただきます。

 某組織が投票済証提出を強要に疑問ということで、今行われている愛知県知事選挙で期日前投票を半ば強要していることに疑問の声が寄せられている、これまでも各種選挙で実施してきたこの方の疑問は、1事前に投票に行かされること、2行った証明に投票済証を家族の分まで含めて某組織の役員に提出させられるということです、棄権防止活動と銘打ってこれまでの各種選挙で強要してきたことに、いいかげんにしてほしいと怒りをあらわにしております、棄権防止呼びかけ程度は許されるのでしょうけれども、某組織のやり方は、構成員と家族の名前まで名簿を作成して、奥さん、御両親、子供たちの名簿まで全部作成して、そして投票行動を全部チェックして、あなたは家族が何人だから何枚持っていらっしゃいということで行動をチェックして、未投票者には、行くように、電話を自宅まで直接かけているそうです、特定政党支持や特定候補者の押しつけがましいやり方は、構成員の自由と選択の権利に反するものですというブログ、紹介があります。ちなみに、我が豊田市では期日前投票を済ませた有権者が、当時、この選挙では二万人を超えていて、県下トップというか、その比率は全国トップだと思います。

 短い時間ですけれども、あと一件だけ紹介させていただきますと、市内の大企業の職場では、さきの衆議院選挙の際には、某団体役員によって投票済証の回収を強制しているところがあります、憲法第十五条「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。」に抵触する行為であり、労働者個人の投票する権利にまで踏み込んだ人権問題だと思われます、従業員の多様性、人格、個性を尊重するとした企業行動憲章にも、これはどこかわからないですけれども、反する行為が職場で行われているにもかかわらず、長年放置されておる、以上に対して、行政として、きちんと行政指導を行うように求めますというようなホームページ、ブログもございます。まだほかにも、枚挙にいとまがないぐらいそういう声が、いずれも匿名で上がっているわけですね。

 このように、強要される方々にとってみると、言論の自由あるいは投票の自由がある日本とはとても思えないような状況が、今現在も継続して行われているということでございます。

 それに対して、現実に悪用、これは証拠とかそういうものがなかなか手に入らないものですから、常に伝聞でありますので、伝聞で恐縮ではございますけれども、その悪用の事例を言いますと、言ってみれば、今ブログにもありましたように、特定候補者に投票させるために投票済証を強制的に回収する。それも、先ほど紹介がありましたように、家族全員の名前の一覧をつくって、その枚数だけを全員持ってこいということで、投票済証を提出させる。

 そして、ここからはもう証拠のない話なので、どことは言いませんけれども、持ってきた枚数によって、事後的に、いわゆる事後買収のような、金銭あるいは経済的利益のやりとりがあるやに聞いているわけですね。しかも、それは非常に巧妙でございまして、その場でそういうものの受け渡しがあるわけではなく、ちゃんと帳簿とか名簿にチェックしておいて、いろいろな団体の懇親会とかそういうような任意の集まりのときに、後からそれを経費という形で支給するとか、いろいろなやり方で、いわゆる事後買収に当たるような、あるいはそれに近いような行動が行われていることも幾つか耳にしております。ただし、これは証拠のない話なので。ただ、そういう可能性がある。この投票済証を発行することによって、そういう可能性がある、可能性を生んでいるということでございます。

 しかも、これは特に期日前に、とにかく早く、要するに、例えば選挙期間中にいろいろな候補者の訴えを聞いて、それで候補者の人となりあるいは政策を判断して、自分なりに考えて、どの候補者に投票しようという時間を与えることなく、今は事前投票ができますので、事前投票がスタートした段階ですぐに持ってこいと。候補者の訴えとかそういうものを聞く前に、すぐに、投票日当日に投票じゃなくて、事前に持ってこさせて、集めてしまう。そういう、いわゆる駆り出し投票のような形を強制している。また、聞くところによりますと、その団体それぞれが、それを積んで、どれだけ集めたということを競っているというようなことまで聞いております。

 こういう形で、特にその構成員の人たちというのは非常に立場が弱いわけですね。だから、上から持ってこいと言われたら、それはやはり家族の分まで持っていかざるを得ないんですね。持っていかなかったらどうなるかというと、その職場で非常にいづらくなってしまう。村八分になるのかどうかわかりませんけれども、いづらくなってしまう。ですから、職場でスムーズに働いていこうと思ったら、その指示に従わざるを得ないわけなんです。

 そういう状況の中で、彼らは非常に苦い思い、苦しい思いをしておるわけでございますので、ぜひとも悪用されている実態を皆さんにも知っていただきたいと思うし、また、総務省はこれらの実態についてどのような認識を持たれているか、お聞かせを願えますでしょうか。

門山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からるる御指摘ございました、投票済証の交付に係ります具体的な不正の事案ということになりますと、総務省として把握しているわけではございませんが、ただいま御指摘にもございましたような、選挙犯罪に利用される可能性がある、こういう御指摘はかねてあるところでございますので、投票済証の発行をお勧めするという立場はとっておらないというのが私どもの現状でございます。

土井(真)分科員 お勧めしないというだけではやはり足りないのではないのか。私は、それは行政の不作為になるんじゃないかというふうに思います。

 今お話し申し上げたような非常に多くの悪用の事例がありまして、しかも、個人の投票の自由、投票の自由というのは、だれに投票したかという投票の自由、投票の秘密ですね、だれに投票したかということとあわせて、投票に行ったか行かないかということも投票の秘密に該当すると思うわけですね。また、国民の皆さんはそれを望んでいるというふうに思うわけでございますので、その投票の秘密を侵害するような可能性のあるものに対しては、やはり総務省当局の方も禁止するように本来なら持っていくべきであったと私は思います。

 私は、今申し上げましたように、この投票済証については本当に速やかに禁止すべきであったというふうに考えております。ぜひともこれについては大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 投票済証の件でございますが、投票済証とは何であるかという、その発生史は私もつかんではおりませんが、労働者が労働時間中に選挙権行使に必要な時間を請求した場合には拒んではならないこととされており、投票済証が、請求のあった時間が選挙権行使に必要なものであったことを事後的に証明するものとして用いられることがあると聞いているなんという答弁を今しましたけれども、そんな寝ぼけた答弁ではだめですね。それは話になりません。

 地方自治は、自治事務は何をやってもいいという話じゃないと思うんです。禁止されていないからやっていいなんという答弁も間違いだと思います。社会的に間違いであるならば、自治事務としても認めてはいけないんです。

 そこで、そういう観点から、投票済証がどういうものであるかということを徹底して調査する必要があるというふうに思いますね。法に禁止されていないから自治事務として行っていいなどというのは、これは暴論だと私は思います。

 したがいまして、確かに不正事案についてはこれまで把握していないということですが、それは、土井先生がおっしゃるように、選挙法違反であるという証明が非常に難しいかもしれませんが、選挙権は権利であり、同時に選挙権は公務であるなどという憲法の理論はある、しかし、選挙権の行使というのは高度な精神的な自由権の問題でございますから、それはだれに投票したかを言わない自由も保障されているわけだし、また、投票に行かない自由もあるわけですね。それを、投票済証というのは強要する手段として使われる可能性がある。家族の分まで投票済証を集めていらっしゃいと言ったら、家族が無理やり行かされるということになるおそれがある。

 それが選挙法のどこに当たるというのは、私はまだ実は精査しておりませんけれども、そういう可能性のあるものであるから、本来、投票済証などというものは自治事務としても認めるべきではなかったんですよ。それが認められて出るようになっちゃっているわけですから、今公選法の改正案も出しておられるわけでありましょう。

 いろいろな使用のされ方があるし、それは私たちだって、これを使って強制的に票集めができるかと考えちゃいますよ。支持者や後援会なんかに張る用紙を持っていって、あなたのこの地域でこれに何枚ちゃんと張ってこいとやったら、これは投票の強要になるわけでしょう。それは精神的な自由権を侵す、まさに反憲法的行為になるわけですね。そういうおそれのあるものを放置してはいけないと基本的に私は思っております。

土井(真)分科員 大変心強い大臣の答弁、ありがとうございます。私も全く大臣と同じ考えでございまして、公職選挙法改正について今審議がスタートしておりますけれども、それを待たずとも、本来なら総務省の方で、今言われた自治事務をきちっと禁止すべきであるということを思いますし、ぜひお願いしたいというふうに思います。

 投票済証については以上でございまして、次に、今話題になっている地デジについてお伺いいたします。

 実は、私の選挙区は、愛知県の六分の一を占める非常に面積の広い、東京二十三区がすっぽり入るぐらい広い選挙区でございまして、合併して大きくなったわけなんですが、平野部が大体その面積の三割ぐらいで、その三割ぐらいのところにいわゆる大きな工場が幾つもあるわけなんですけれども、残りの七割はみんな山なんですね。ずっと見渡す限り山、山。その七割の山の、中山間地域というところで生活している人たちといろいろお話をすることがございます。

 そういうようなところはいろいろな問題があります。例えば携帯電話が通じないとかいう問題もありますが、今回、地上デジタル放送に二〇一一年から移行する、その移行はいいんですけれども、今現在、普通のアナログ放送でテレビを受信して見られている世帯が、地上デジタル放送にかわることによってテレビを受信できなくなる地域がかなり多く発生するわけでございます。

 そういうようなところの人たちと話をしておりますと、共同受信施設とかいうようないろいろな方法で何とかそういうところをなるべく少なくして、多くの皆さんが受信できるように工夫を、あるいはいろいろな行政的対応もしているところなんですけれども、そうはいっても、届かないところがかなり出てくるということが地域の声として上がってきます。もちろん、実際私もそこでチェックしたわけじゃないんですけれども。

 そのときに、その地域の人たちがテレビを見るためにはどうするかというときに、どうやら地方のケーブルテレビを敷設しないとテレビがこれから見られなくなってしまうというような声を聞いております。

 特に、中山間地域の、山の中に残っている御家庭というのは、こういう言い方もなんですけれども、若い人たちがどんどん町に出ていってしまいますので、高齢者の方、年金生活者のような方々が非常に多いわけですね。そういうような方々がこれからテレビを見るために、今まではテレビを見るためにはお金がかからなかったのが、ケーブルテレビだと毎月何千円かお金がかかってしまう。これはそういう人たちにとって大変負担が大きくなるのではないか。一回こっきり、例えば受信設備を入れるとか共同施設をつくるとか、一回だけやるという話であれば、それは負担も一回で済みますし、あるいはいろいろな行政からの手だてで何とかすることもできると思うんですけれども、これが毎月毎月何千円というと、やはり大変負担が大きくなってしまう。

 ですから、地デジに移行するときに、ケーブルテレビに加入しないと受信できないというような場合、受信者は全額負担しなきゃいけないのか、それとも何かほかの手だてがあるのか。これについて、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

山川政府参考人 アナログテレビの放送電波でカバーされておりました視聴世帯につきましては、デジタル化後も同様、同等のエリアがカバーされるように、放送事業者がロードマップで示された計画に沿いましてデジタルの中継局の整備を行うことが基本でございます。

 しかしながら、先生御指摘のような、中山間地域などでアナログ放送とデジタル放送のサイマル期間中の周波数の事情、あるいはデジタル放送の電波の特性などで、アナログ放送と全く同じカバーエリアで放送を行うということが確かに困難な場合がございます。

 したがいまして、デジタル化への移行に当たりましては、共聴施設でございますとかケーブルテレビのへ加入というのは有力な代替手段であると考えておるわけでございますが、御指摘のとおり、こうした施設、特にケーブルテレビへの加入につきましては、初期費用負担とか月額の使用料が発生してしまうわけでございます。

 総務省といたしましては、こうした視聴者の負担をできるだけ抑えるために、まずは、例えば施設の整備そのものの負担を減らしたいということで、地域情報通信基盤整備推進交付金というものがございますが、それでケーブルテレビ施設の整備をメニューの一つとして活用することで、国が整備費用の一部を補助する。あるいは、月々の視聴者の御負担を減らしていくために、地上デジタル放送のみを再送信するというメニューをつくることで通常の料金よりかなり低い料金でデジタルテレビをごらんいただけるように、ケーブルテレビ事業者にこうしたメニューの早期導入ということを要請しております。特に、利用者が利用しやすいサービスメニューとか提供条件とか、そうしたものにつきまして検討していただきたいということでお願いをしております。

 こうした取り組みを通じまして、視聴者の御負担がございます場合にも、それができるだけ大きくならないように配慮してまいりたいというふうに思っております。

土井(真)分科員 ありがとうございます。

 地デジに移行するということは大変いいことで、すばらしいことだと思うんですけれども、ぜひとも利用者のいろいろな便宜を考慮しながら導入を進めていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 きょうはどうもありがとうございました。大臣、ありがとうございました。

石田主査 これにて土井真樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、地上デジタル放送移行に向けた取り組み、携帯電話不感解消対策など、鳩山総務大臣にお伺いしてまいります。よろしくお願い申し上げます。

 初めに、JR中央線甲府から高尾間のトンネル区間における携帯電話不感解消についてお伺いをしてまいります。

 携帯電話は、既に全国で一億を超える方々が加入しているということで、国民の多くが情報伝達手段として、日常生活やビジネスにも利用されています。またさらに、携帯電話は災害対策においても情報伝達手段として大きな役割を担っているわけでございます。

 東京の隣に位置いたします山梨県におきましては、JR中央線は東京圏との非常に重要な交通手段となっております。毎年九百万人近くの方々が利用するという基幹路線となっているわけでございます。私も、比例区南関東ブロック選出でございますので、山梨には参ります。この中央線を利用している一人でもございます。この甲府―高尾間には、大小のトンネルが上り二十八カ所、下り三十六カ所存在しておりまして、そのうち十一カ所については携帯電話が不感となっております。

 山梨県では、東京からの企業誘致や観光客などの人的交流の一層の推進を図ろうとしておりまして、このトンネル区間において携帯電話が使えないトンネルがあるということが非常に大きなハンディとなっております。さらに、来るべきユビキタス社会の実現を目指す上でも大きな弊害となっております。

 総務省におきましても、昨年六月に策定いたしましたデジタル・ディバイド解消戦略において、トンネルにおいて携帯電話のエリア整備を計画的に進めることとされております。JR中央線における携帯電話の不感解消への期待が非常に高まっているところでもございます。

 そこで、電波遮へい対策事業における在来線トンネルの携帯電話不感解消へ向けた十分な予算の確保とともに、JR中央線甲府―高尾間のすべての携帯電話不感トンネルにおける電波遮へい対策事業をぜひ実施していただきたいと考えております。いかがでございましょうか、御見解をお伺いいたします。

鳩山国務大臣 携帯電話不感地帯をゼロにするというのは、これは総務省として全力で取り組まなければいけないことだと思っております。

 私が家から国会に来るときに、これは昔から気がついているんですが、白山通りを通ってまいりますと、一カ所だけ携帯で話していると大体八割ぐらい切れちゃう、二割ぐらいはつながったままという場所がある。これがどこか調べてもらおうかと思っておりますが、本当に携帯が絶対通じない場所があると、一体どうやって話を始めたらいいかというタイミングに苦慮します。

 したがって、トンネル内がすべて携帯電話が通じるようになればいいわけでございますが、電波中継施設を設置して利用可能となるようにするための事業が電波遮へい対策事業でございまして、来年度予算が二十八億八千八百万円ということになっております。

 先生御指摘のJR中央線については、おっしゃるとおりの状況にありますので、山梨県からも御要望があります。それから、JR東日本と携帯電話事業者との間で工事計画などについて調整が行われているようでございます。

 先生お話しの十一個のトンネル、昔から有名な笹子トンネルとか小仏トンネル、これは道路を走っても、笹子トンネル、小仏トンネル、あるいは笹子峠というのもありましたが、私も昆虫の研究で子供のころから笹子も小仏も随分行ったりしましたから懐かしい地名を見ましたが、平成二十一年度中に十一トンネルのうちの二カ所は整備ができるだろうと。

 二カ所しかできないのかと役所に聞きました。あとまだ何年もかかるのかと聞きました。できればもう少しスピードアップできればというふうに考えておりますし、先生御指摘のように携帯電話が一億を突破する、災害時の情報伝達手段としても不可欠のものとなっておりますので、十一トンネルすべてができるだけ早く携帯電話不感地帯でなくなるように頑張っていきたい。それだけじゃなくて、全国的にそうなるように頑張っていきたいと思います。

古屋(範)分科員 大臣、ありがとうございました。

 二十一年度中に十一カ所中二カ所という、これは朗報ととらえていいかと思います。全国さまざま、輸送量の点など公平性の観点もございましょうが、ぜひこの中央線は最優先で携帯不感解消に御努力をお願いしたい、そのように思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、先ほども御質問ありましたけれども、地上デジタル放送への完全移行に向けた取り組みについてお伺いをしてまいります。

 テレビは私たち国民にとって生活に深く浸透して、だれもが当然あるものとして利用している情報基盤でございます。これが二〇一一年七月二十四日にアナログ放送からデジタル放送に完全に切りかわる、デジタル放送の受信環境を整えなければテレビが見られなくなってしまう。非常に大きな変化でございます。

 しかし、今でも一部の国民にとっては何が変わるのか、アナログ放送で何の不自由も感じていないテレビが、デジタル放送になり見られなくなるのは非常に迷惑だといった声も少なからず寄せられております。このデジタル放送が、生活の中で重要なものとして果たして現在の時点でとらえられているかどうか、そこは疑問の余地がございます。

 デジタル放送といっても、例えば白黒テレビからカラーにかわったというような劇的な目に見える変化ではなく、その効果が何かということを一体どれほどの国民が実感をしているかということでございます。

 事実、本年一月時点の薄型テレビなど地デジ対応受信機の世帯普及率は四九・一%という発表がございました。地上デジタル推進全国会議が当初目標としていた五八%には届くことができなかったわけでございます。さらに、全世帯の二割強あるという電波の届きにくい過疎地や集合住宅の共同アンテナの改修がおくれ、予定どおりの実施に黄色信号がともり始めたとも言われております。

 そこで、初めに、大変基本的なことで恐縮でございますが、地デジ放送のメリット、国民生活にとってどのような効果をもたらすのか、今後の課題とともに大臣にお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 私、御党の伊藤渉先生のような専門家でありません。余りこの分野は得意としているわけではありませんが、精いっぱい御説明を申し上げます。

 まず、私、今回総務大臣になってびっくりいたしましたのは、大臣車の車の中のテレビがすごくよく映るのでございます。これは、なるほど、デジタルの受像機は移動に強いということだそうでして、私は自分の車にアナログのがついているわけですが、車のテレビというのはほとんど絶望的な見え方しかしないわけです。野球が好きなので、ナイターをかけると、例えば読売ジャイアンツが守っているのか打っているのかさえ画面ではよく読み取れない。ちょっと映ったかと思ったら、打球が飛ぶのが、球が一どきに二個飛んでいるように見える。こういうことですから、やはりデジタルというのはすごいなと、今度の大臣車のテレビを見てびっくりいたしました。そうした意味で、ゴーストのない、ハイビジョンの高画質、高音質が楽しめるということ。

 それから、データ放送ができる、ワンセグといった携帯の新しいサービスができる。これは、実は、今、政府を挙げてと言ってもいいんですが、日本方式を世界じゅうに売り込もうと思って、アルゼンチン、ペルー、フィリピン、チリと、一生懸命やっておるわけです。国会議員の方々にも外国に行かれるといろいろ宣伝していただくわけですが、このワンセグは日本方式だけと聞いておりまして、ワンセグというのは日本方式の売りの一つで、これは意外と外国人に見せるとびっくりして、ああ、日本方式はこんなのができるのかという話のようでございます。

 また、先生御承知のように、電波の有効利用によって、今までアナログ放送で使っていた周波数の三分の一ぐらいが節約できる。節約分を携帯電話とか国民の安全、安心のための利用などに使えるということで、他用途振り向けということで、これが非常に大きな効果だろう、こういうふうに思っておりまして、これが科学技術が生んだ成果であるとするならば、国策としてデジタル化へ切りかえを図ろうというのが先ほどから御答弁申し上げている趣旨でございます。

 まず、周知、広報にまだ弱点があるんでしょう。それから、受信機の普及については、先生御指摘のとおり、本当は今ごろ六割弱までいってほしいところが五割弱というところなので、これは一層頑張らなくちゃならない。それから、先ほど伊藤先生からさんざんお話のあった共聴施設の改修等は本当に大丈夫か、こういう問題もございますので、これもすべて大きな課題として取り組んでまいります。

 とりわけ、デジサポという組織、これを五十一カ所、全都道府県にあるので、これが中心になってまいりますが、高齢者や障害者の皆さんへの働きかけとか、そうした問題が大きいと思っています。チューナーとか受信機器の購入は、アメリカも相当なお金をつぎ込んだようでございまして、我が国でもチューナーに関しては相当な範囲でその代金をお配りするようにはいたしております。

古屋(範)分科員 大臣、ありがとうございました、身近な例を引かれて。やはり高画質である、あるいは情報量が飛躍的に増大をする。そして、今、ブラジルを初めとする海外にも日本のデジタル技術を輸出していて大きな外貨獲得の分野になる、また、電波の有効活用等々、非常に多くのメリットがあるということがわかりました。また、それとともに多くの課題も残されているということなんだろうと思います。

 次に、国民の皆様に地デジ放送について理解をしていただくための取り組みについてお伺いをしてまいります。

 総務省において、すべての視聴者の方々に地デジ放送を漏れなく届けるために必要な取り組みを進めてこられたというふうに理解をしております。しかしながら、総務省が本年一月に行った緊急調査によりますと、アナログ放送の終了時期を認知していたのが七七・八%と、全体の四分の三に達したものの、実際に地デジを見ている世帯は四四・三%、受信機を持っているが地デジを見ることができない世帯は四・七%、地デジの受信機保有世帯は合わせて四九・一%にとどまっております。

 国民生活に密接に関連するこの地上デジタル化は、国民の理解がなくては実現できないものでございます。そこで、国民の理解を深め、円滑に移行していくために、そのための情報提供や相談強化等が必要となってくると思いますけれども、そのお取り組みについてお伺いいたします。

山川政府参考人 委員の御指摘のように、円滑なデジタル化を進める上で、国民の皆様の御理解をいただくことはとても重要なことだというふうに思っております。

 このため、総務省では、昨年十一月に全国十一カ所に設置いたしましたデジサポを拡大いたしまして、大臣も御答弁させていただきましたとおり、五十一カ所、全国都道府県で設置をいたしまして、各地域のテレビ受信者の皆様からの受信相談に丁寧かつきめ細かに対応するとともに、説明会の開催などの働きかけを実施しております。

 特に、平成二十一年度におきましては、こうした受信相談等への対応に加えまして、高齢者あるいは障害者の方を中心に町内会等の場を活用いたしまして説明会をきめ細かく実施するとか、福祉施設や老人クラブへの訪問説明を行う。あるいは、必要に応じてひとり暮らしの高齢者あるいは障害者世帯を対象に戸別訪問も実施したいと思っておりますし、共聴施設管理者等への訪問説明、あるいは受信環境に関する現地調査の充実など、こうしたセンターの業務の拡充、充実を図りまして、国民の理解を深め、円滑に移行していただくための取り組みを強化してまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)分科員 二十一年度から、高齢者、障害者等を中心にしながら、出かけていってきめ細やかな説明をしてくださるということでございます。

 これは地デジと性質を異にするものでございますが、昨年長寿医療制度がスタートをしたときに、大変高齢者の方々から多くの声が寄せられたわけでございます。私も数カ月はその説明に各地を奔走したわけなんですが、やはり、知らなかった、制度がわからない、そういうところから怒りが込み上げてくるという高齢者の方々が非常に多かったわけでございまして、ぜひ、予定をされているとは思いますけれども、そういったきめ細やかな、高齢者、障害者等々への周知徹底、広報をよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 次に、地デジ完全移行に向けて、政府は受信に必要なチューナーの無償支給対象を約二百六十万世帯に拡大するということを決定されました。これは、自民、公明両党が政府に対して要請したものでございます。既に決めていた生活保護世帯にだけではなく、経済的に困窮度が高い世帯に対して新たに必要な機器の無償給付等を行うというものでございます。

 地上デジタル放送への完全移行まで三年を切ったわけでございますが、これには地デジ対応の受信機器の購入など経済的な負担も伴います。高齢者や低所得者がテレビ難民となる可能性がまだ残されております。

 そこで、公明党は、二〇〇六年から青年局を中心といたしまして地デジ移行の円滑化と負担軽減を求める署名活動を実施するなど、機会あるごとに経済的弱者に対する支援策を訴え、低所得者対策、難視聴地域の解消を一貫して求めてまいりました。さらに、昨年十二月には、党総務部会として、大臣に一層きめ細やかな支援が必要だと訴え、対応テレビやチューナーの低廉化など、視聴者の負担軽減を図ることを求めるとともに、チューナーを無償配布する対象にNHK受信料の全額免除世帯も加えることなども申し入れを行わせていただきました。

 総務省におかれましては、公明党のこうした強い働きかけをお受け入れくださり、高齢者や生活保護世帯に対し地デジ放送を受信するための簡易チューナーを無償で配布する方針を固め、さらに今回の支援策が決定したものと理解をいたしております。

 そこで、今回の支援策の対象者や内容等をどのように考えていらっしゃるのか、具体的な説明をお願いいたしたいと思います。

山川政府参考人 特にお年寄り、高齢者を初め、社会的な弱者の方々にきめ細かく対応していくということは重要だと思っております。

 済みません、私、先ほどデジサポの設置を十一月と間違えたかと思いますが、十月でございます。失礼いたしました。

 この受信機器の購入の内容でございますけれども、地上デジタル放送への移行に伴って、経済的にどうしても対応が困難な方が生じるというふうに思っておりまして、このために必要な支援を盛り込ませていただきました。

 この対象でございますが、今委員御指摘のように、NHKの受信料全額免除世帯としておりまして、具体的には、公的扶助受給世帯、市町村民税非課税の障害者世帯、社会福祉事業施設の入所者でございまして、最大二百六十万世帯になるものというふうに想定をいたしております。

 支援の内容といたしましては、地上デジタル放送を視聴するために必要な最低限度の支援といたしまして、チューナー一台の給付、必要な場合にはアンテナの改修等も行っていきたいというふうに思っております。

 この予算を執行するために必要な法案につきましては、国会に提出をさせていただいているところでございまして、本施策を通じまして、経済的に地上デジタル放送への対応が困難な世帯においても、円滑にデジタル放送に御対応いただけるように取り組んでまいりたいと思います。

古屋(範)分科員 こうしたチューナーの無償支給対象の拡大、私たちも非常に高く評価をさせていただいております。円滑な実施をよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、地上デジタル放送の送受信環境整備についてお伺いをしてまいります。

 これまでもその議論はあったようでございますが、地デジ放送への完全移行後も、現在のアナログ放送受信可能地域を一〇〇%カバーするために、各放送事業者は中継局の整備を進めております。

 しかしながら、昨年六月に公表されました推計値では、現在計画されている中継局の整備が完了した後も、新たな難視聴地域やデジタル化への対応が困難な共聴施設の発生が想定されております。昨年六月公表の市町村別ロードマップによりますと、山梨県では、現在計画されている中継局の整備完了後、新たな難視聴世帯は最大千二百四十世帯、デジタル化困難共聴世帯が最大五百八十世帯発生すると想定をされております。さらに、昨年八月の共聴施設調査では、県内の約七九%の二百十一施設の共聴施設でデジタル化対応の計画が未定という結果でございました。

 これらの地域はいずれも高齢化の著しい中山間地域でありまして、こうした地域の住民は、気象、防災など生活に必要な情報入手のほか、日々の娯楽等をテレビに依存することも多いために、着実な送受信環境の整備が求められております。

 山梨県では、ケーブルテレビ事業者や共聴施設によるケーブルテレビが普及しておりまして、中山間地域の共聴施設等にあっては、中継局整備の未完了、費用の問題等の理由により、デジタル化への対応が非常におくれております。

 ある小さな村では、山の上に受信装置を設け、光ファイバーケーブルで配信する計画を立てましたが、その村にとっては五億という非常に大きな費用がかかると言われております。国から補助金が出るといっても、その地域の負担も大きく、各家庭の初期費用は一世帯当たり五十万円にもなるとの試算が出ております。さらに、月々村営ケーブルテレビの使用料などもかなりかかるので、負担であるとの声が寄せられていると伺っております。

 二十一年度予算案の中ではこの共聴施設の整備に対する国庫補助率は改善されてきておりますけれども、共聴施設整備が必要な難視聴地域を抱える市町村の財政基盤は、大変に脆弱であるという現状を考慮していただきたいと思います。

 そこで、特に新たな難視聴となる地域については、中継局の増設、共聴施設のデジタル化改修等における住民負担の軽減、市町村への財政支援措置の一層の充実を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。

山川政府参考人 二十三年七月の完全デジタル化に向けましては、現在のアナログ放送と同等の視聴環境を確保するために、デジタル中継局や辺地共聴施設の整備につきましては、いわゆるロードマップというものを作成して計画的に推進をしております。

 私どもも、こうした整備に関しまして補助制度を設けて、事業の実施には地方財政措置も講ずるなど、地元負担の軽減を図っているところでございますが、委員御指摘の、デジタル放送の電波の特性等によりまして、これまでアナログ放送は見えたんですけれどもデジタル放送が視聴できないという、いわゆる新たな難視と言われる世帯が最大三十五万程度あるというふうに推定しております。

 現在、まず実態調査を実施いたしまして、難視聴地区の特定を行っております。今後、どうした対策手法を打っていくのが適当かということにつきまして、地元の自治体等と調整を行わせていただきたいというふうに思っております。その上で、ことしの八月までに地上デジタル放送難視地区対策計画というものを策定いたしまして、公表させていただきたいと思っております。

 こうした地域でございますが、中継局の新設等の送信側の対策を優先的に検討させていただきたいとは思っておりますが、どうしても受信者側において共聴施設の新設等による対策が必要な場合もあるというふうに考えられます。この場合には、地元負担の一層の軽減を図るために、平成二十一年度予算案で新たな難視による共聴施設の新設につきまして補助率を二分の一から三分の二に拡充させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

 総務省といたしましては、今後の新たな難視の対策計画の実施状況等も見ながら、すべての地域におきまして円滑にデジタル化に移行ができますよう、放送事業者等関係者とともに必要な措置を検討してまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)分科員 ありがとうございます。

 私たち公明党としても、こうしたデジタル化へのさまざまな努力を今までも行ってきたわけでございます。このデジタル化は、我が国だけではなく、世界的な時代の潮流でもございます。しかし、アメリカでは、この二月にアナログ放送を終了するはずだったのが四カ月延長したというような報道も聞いております。やはり人々が一斉に動くのは直前になってしまうのではないかということも感じております。そうすれば、チューナーやアンテナなど工事する人手などが不足する事態も考えられます。そうならないよう、ぜひ早目に地デジ対応ができるよう、政府としてもさらに手を打っていただきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、デジタル化されることで、生活必需品となったテレビが視聴できなくなることが絶対にあってはならないと思います。日本じゅうどこにいてもテレビが見られる、その実現は国の仕事であると思います。今後もきめ細やかな支援策と、さらなる広報宣伝の活動をよろしくお願いいたします。

 最後に、大臣に、二〇一一年地デジ完全移行に向けた御決意をお伺いしたいと思います。

鳩山国務大臣 先生お触れになりましたように、ハワイはたしか地デジに移行したんでしょうが、アメリカ全体としては、その前に年単位で延期して、ことしの二月だったものを四カ月ぐらい延期するということで、あのアメリカでもそこまで苦労しているんだなと思いますと、我々は延期しないという方針で二〇一一年七月二十四日と決めて、いわゆるあと何日、あと何日というカウントまでしているわけでございますので、相当性根を入れていかないといけないなと。

 つまり、先生からの御質問にもさまざまありましたように、それはチューナーをお配りする話もあります、いわゆる共聴施設の改修の話もございます。伊藤先生によれば、共聴施設というのは本当に五万なのかい、もっと何倍もあったらどうするんだという話も承っております。先生からお話があったようなお年寄りとか障害者の方々の対策もございます。最後には、一部衛星に頼るところが出てくるかもしれませんが、日本じゅうのほとんどの家庭で二〇一一年七月二十四日にデジタル放送が受像できるように頑張ってまいります。

古屋(範)分科員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田主査 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三分散会


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