衆議院

メインへスキップ



第1号 平成22年2月25日(木曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成二十二年二月二十三日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      池田 元久君    奥野総一郎君

      三谷 光男君    渡部 恒三君

      山内 康一君

二月二十四日

 池田元久君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席分科員

   主査 池田 元久君

      大谷  啓君    奥野総一郎君

      小室 寿明君    菅川  洋君

      永江 孝子君    三谷 光男君

      三宅 雪子君    皆吉 稲生君

      渡部 恒三君    山内 康一君

   兼務 山田 良司君 兼務 竹内  譲君

   兼務 古屋 範子君 兼務 吉泉 秀男君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           日原 洋文君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     小室 寿明君

  渡部 恒三君     大谷  啓君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     菅川  洋君

  小室 寿明君     三宅 雪子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     渡部 恒三君

  三宅 雪子君     皆吉 稲生君

同日

 辞任         補欠選任

  皆吉 稲生君     永江 孝子君

同日

 辞任         補欠選任

  永江 孝子君     奥野総一郎君

同日

 第三分科員吉泉秀男君、第四分科員山田良司君、第五分科員竹内譲君及び第八分科員古屋範子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

池田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました池田元久でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。原口総務大臣。

原口国務大臣 おはようございます。

 平成二十二年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十八兆五千九百三十六億円であります。

 地域のきずなを再生し、その創富力を築くとともに、暮らしを守る雇用を創出し、持続的成長力、競争力の源泉となる国民の生産性を向上させることが必要です。

 本予算案は、これを踏まえ、地域主権の確立、ICTによる新たな経済成長、国民の生命、健康、生活を守る行政の推進、行政改革の推進などを柱として取りまとめたものであります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

池田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池田主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

池田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小室寿明君。

小室分科員 おはようございます。民主党島根一区の小室寿明です。

 私も、地方行政に長らく携わらせていただき、また、県会の場で四期十四年の仕事をさせていただきました。自分としては、地方自治に生きるというつもりでこの間やってきたんですけれども、二〇〇一年、小泉さんの政権誕生以降、大変厳しい思いをしてまいりました。二〇〇四年の地財ショックやその後の三位一体改革で、まさに地方は、特に財政は破綻の危機に瀕したわけでございます。そういう中で、私も〇五年の郵政解散の選挙に挑戦をし、そこでは苦杯を喫して、今回、再戦の機会を与えていただきました。

 そこで、地方財政をどう立て直すのかという視点で幾つかお尋ねをしたいと思います。

 一つは、この地財の一番大きな課題として、一般行政経費と単独事業の見積もりが地方の実態と非常に乖離をしている。その部分を無視して単独事業だけを圧縮して一般行政経費が賄えない、こういう状況がずっと続いているわけですけれども、この乖離の実態というものをお知らせいただきたいと思います。

小川大臣政務官 まず、委員の島根県庁また県議会における大変長年のお務めに深く敬意を表したいと思います。

 その上で、いただいたお尋ねでございますが、確かに地方財政計画は地方自治体の歳入歳出の見積もりでございまして、これはできるだけ正確に、的確にということを常々心がけております。

 しかしながら、決算との乖離が生じてきた実態は御指摘のとおりでございまして、例えば五年さかのぼりますと、平成十六年段階で、一般行政経費については決算の方が計画額よりも六・七兆円大きく、また、投資経費につきましては逆に計画額が四兆円上回るといったようなことがございました。

 それから三年間是正措置を続けてまいりまして、直近の数字がとれております平成十九年度の決算では大幅にその乖離は縮小されておりまして、行政経費で三・九、投資単独で〇・九兆円ということでございます。

小室分科員 一般行政経費がまだ三・九兆円も足りないということですから、今回もいろいろ是正措置を講じていただいているというふうに思うんですけれども、今後、地方の本当に基礎的に必要な行政経費、もちろん、政策的に取り組んでいる乳幼児医療費助成とかいろいろあろうかとは思いますけれども、しかし、現実に地方の行政には不可欠な要素になっているわけですから、この是正にしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、今後の考え方をお聞きしたいと思います。

小川大臣政務官 御指摘を踏まえまして、これからも、過去三年間行ってまいりましたのと同様、あるいはそれ以上に見積もりの正確を期して、的確を図ってまいりたいと思います。

小室分科員 次に、地方行政で今一番大きな課題となっている医療再生について、地財に関連してお聞きしたいと思うんです。

 特に、市町村がやっている国民健康保険、これは本当に厳しいよという状況を常々お聞きいたします。また、自治体立病院も医師不足とか、例えば島根県でいいますと、雲南市に雲南公立総合病院というのがありますが、三十二名いた医者が十七名しかいなくなっているとか、おととし、津和野町では、農協がやっていた厚生団の病院を自治体で受けて町立病院にしましたけれども、ここは十二名いた医者が四人しかいなくなったとか、隠岐では産婦人科の医者がいなくなって子供が産めなくなる事態も出てくるとか、本当に厳しい自治体立病院運営になっております。

 そこで、まず、国保財政に対する地方財政計画で、繰り出し基準等を設けて自治体が自治体立病院を支援する仕組みになっていると思うんですが、この改善に向けての取り組みはどういうふうになっているんでしょうか。

小川大臣政務官 国保財政についてのお尋ねでございます。なかなか保険料だけでは賄えないという状況の中、公費負担を相当援助する形で成り立っております。

 お尋ねの繰り出し基準でございますが、低所得者の保険料を補てんするための保険基盤安定制度、あわせて、高齢者の比率が高い場合など市町村単体の責めにはなかなか帰せない事由がある場合の財政支援、国保財政安定化支援事業、これらの措置をとっております。

 しかしながら、今年度、平成二十一年度でこの期限が切れるわけでございまして、検討いたしました結果、来年度以降、さらに四年間、こうした措置を継続させていただきたいと思っております。

小室分科員 継続いただくのはいいんですけれども、さらに充実に向けた取り組みをしていただきたいと思います。抜本的には、これは医療保険制度の一体的な改革をしないと解決しない問題でありますから、課題としてその間は残っているんだということを十分認識して対応していただきたいと思います。

 さらには、自治体立病院の繰り出し基準についても、今回改善を図られたというふうに仄聞しておりますけれども、具体的にどのようになっているのか。特に県分をふやしたという話もありますが、市町村立や一部事務組合など、まさに地域医療の現場で頑張っている病院が厳しいんだという声が強いんですけれども、その対応策についてもお聞きしたいと思います。

小川大臣政務官 先ほど委員の方から、お地元の病院の医師の先生方の減少について大変厳しい状況を御指摘いただきました。

 確かに公立病院につきましては、主に不採算部門を先頭に立って担っておられたり、あるいは医師不足や近年の診療報酬のマイナス改定の影響をもろに受けたりということで、大変厳しい状況にございます。現実問題、都道府県立病院や市町村立病院、また、一部事務組合の形で存続をしております病院については非常に赤字の割合が高くなっておりまして、七割前後ということでございます。

 こういう状況に対する方策でございますが、まず、平成二十一年度に、過疎地や産科、小児科、救急医療などの非常に採算の厳しい部門に対する交付税措置を二五%増いたしまして、三千六百億円まで高めております。その不採算病院の適用要件についても緩和するなどの努力を重ねております。

 さらに、来年度、平成二十二年度でございますが、インフルエンザ対策を初めとした感染症医療に対する措置、また、社会問題化もしております周産期医療に対する措置をさらに充実、拡充する予定でございます。

 いずれにしても、御指摘を踏まえて、今後も対策を強化してまいりたいと思います。

小室分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 関連になってしまって申しわけないんですが、過疎法の拡充、延長が議論されておりまして、できれば早く、二月の頭にでも可決をしたかったんですけれども、国会審議の都合でずるずると先延ばしになっております。今回、与野党協議の中では、従来のハード物からソフト事業にも拡充をするんだ、地域交通とか集落支援とか、あるいは、特にこの医療対策とか、ソフト事業に市町村が取り組めるような対応策をとろうという議論がされております。

 議員立法ですので、ここで議論するのもどうかなという気もいたしますけれども、想定されている範囲では、基金を積んで医師不足対策にも応援をしていくんだという中身になっているんですけれども、想定される範囲でどのような枠組みをしていただけるものなのか。

 あるいは、島根県の方から要望を受けているのは、特に医療の問題、医師不足対策については、県全体で取り組まないととてもできない、その全体の回しの中でやっていくんだ、こういう議論もあって、去年は知事の方からも、県でこういう医療対策をやる場合の支援の方策も考えてほしい、こういう要望をさせていただいたんですが、そのあたりについてどのようにお考えでしょうか。

小川大臣政務官 過疎法の延長につきましては、まさに今、国会内で御議論をいただいておるというふうに承知をしております。

 ただ、政府内、総務省におきましても、この法律の通過を前提に諸施策についての研究を既にスタートいたしておりまして、今月、特にソフト対策をどう具体化していくか、各自治体の先進的な取り組みなど材料を集めまして、今研究をスタートしております。

 結論的には、今詳細を申し上げる段階にはまだございませんが、御指摘を踏まえまして、地域医療はもちろんのこと、交通、集落支援を含めて、柔軟に各地域の実情に応じてお使いをいただけるような、そんな仕組みを心がけてまいりたいと思っております。

小室分科員 市町村メニューということがメーンになっていて、都道府県で医師確保対策を進めていくということについて支援してほしいという声があるんですけれども、そこらあたりについてどのように考えておられますか。

小川大臣政務官 過疎法との関係で直接申し上げますと、やはり市町村での対策が中心になろうかと思います。

 ただ、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、都道府県立病院も大変厳しい状況にあることは事実でございまして、諸般のさまざまな政策を総合的に実施していく中で、御指摘の点は十分実現できるように努力をいたしたいと思います。

小室分科員 別途、地域医療再生基金なんかも積んでいただいていますので、県、市町村挙げて私ども努力していきたいと思いますけれども、医療対策について総務省として全面的にまた御努力いただきたいというふうに思います。

 関連をして、自治医科大学を設立して、これで地域の医師は養成されるんだという期待があるんですけれども、現実には三人、四人の枠しかないし、なかなかそれが定着しないという声も強いわけです。さらには、最近は専門志向も強いわけですから、それぞれ科目を自分で選んでしまって、なかなかそれがうまく地域にフィットしないということがあるんですけれども、地域医療を担う総合医というものを育てていくんだというのがやはり自治医科大学の柱にならなければならないと思うんですけれども、定着率とか医師養成の考え方とか、その辺についてお聞きしたいと思います。

小川大臣政務官 先ほどの点も含めて少し補足を申し上げます。

 先ほどちょっと過疎法との関係に引きつけ過ぎてお答えを申し上げたので、若干修正させていただきます。

 そもそも、都道府県が、医学生に対して行っております奨学金事業、また、研修医の皆さんに対して資金を貸与している事業を行っておりまして、これらについても地方交付税措置を行っておりますし、休日、夜間の救急や分娩など、今大変厳しい状況にある医療行為についても、国庫補助事業並びに地方負担分に対する地方交付税措置をあわせて講じておりますことを御報告申し上げたいと思います。

 その上で、自治医科大学の取り組みでございますが、昭和四十七年の創設以来、二千名に余る卒業生が医療に従事をしていただいております。委員御案内のとおりでございますが、卒業後は九年間、各都道府県知事の指示に基づいて、離島や山村、過疎地域を中心とした地域の医療機関で御勤務をいただくということが修学資金の返済免除の条件となっております。

 そこで実態でございますが、実に七〇%前後の皆様が出身の都道府県に戻られるといった形などを通じて地域の医療に貢献をしていただいている。このことを踏まえて、こうした側面からも今後も充実を図ってまいりたいと思っております。

小室分科員 これは医師不足対策全体の話になるんですけれども、医師免許の話にもなってくるんですけれども、地域医療を担う人材という意味で、やはり総合医を養成するという考え方をとらぬといけないんじゃないかな。それから、例えば地域医療に携わるということを医師免許の条件にするとか、そういう話も別の場面でさせていただいているんです。

 自治医科大学は特に地域医療を担うための人材育成ということになっているわけですから、外科や脳外科、それも大事なことではあるんですけれども、地域医療に携わる人材を育成する方向というのもさらに明確にしていただければというふうに思います。

小川大臣政務官 大変失礼いたしました。

 当然、地域で医療に携わるということは、何か特段の高度なあるいは専門的な医療というよりは、まず一次的なさまざまなことに対処できる総合的な能力を要するわけでございまして、そういう意味では、委員御指摘のとおり、総合医というものを念頭に置いたプログラムを実施いたしておりますし、今後もそうした方向で進めてまいりたいと思っております。

小室分科員 引き続きよろしくお願いをいたします。

 それでは、地域主権改革の大きな目玉になっている一括交付金についてお尋ねをしたいと思います。

 総務委員会の議論もありましたので、一括交付金化されたとしても補助金の総額を全く減らすつもりもないし、自由度を高めて地方の裁量を広げていきたいというお話もございましたけれども、本当にそういうことができるのかなという懸念もあるわけです。いま一度、原口大臣の方から、一括交付金化に伴う補助金見合いの財源がきちっと確保されるのかどうか、基本的な考え方をお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 小室委員におかれましては、地方議会において地域主権の前進に大変なお力添えをいただいておりますことにまずお礼を申し上げた上で、今の御質問にお答えをします。

 まさにひもつきであることによって、私も小室委員の御地元、島根にかつて村おこしで入ったことがあります、実際に公共事業は来ているんですけれども、その公共事業の果実はどこへ戻っているのか。中央へ戻っているわけです。地域に行くお金が、この間、前原国交大臣と議論をしていると、六六ぐらいが戻ってしまう。こんなことがあれば、なかなか地域は再生しない。ですから、私たちは、ひもつき補助金自体をなくす、そして、ひもつき自体をなくすと同時に、地域が自由に使える税源、財源をふやそうと思っているわけです。

 よく、一括交付金にしたら、その分コストも減りますね、その分自由度もふえますね、だから減らしましょう、こういう議論があるのも一方で事実です。

 しかし、現状は、冒頭に委員がおっしゃったように、三位一体改革で地域が物すごく疲弊をしているわけで、その地域をしっかり支えるためには、一括交付金化した上でその額をしっかり維持していく、これが大事だ、このように考えているところでございます。

小室分科員 次に、テクニカルな話で恐縮なんですが、一括交付金化に先駆けて、社会資本整備交付金という形で一・一兆円、農道とか下水道とかの補助金が使い道自由な形で交付をされるということなんですが、現場で話を聞くと、今まで島根のような地域はいろいろな特例補助かさ上げなどを受けておりまして、調べてみると、後進地域特例法という法律に基づいて、あるいは過疎法や半島、離島振興法などもあるようですけれども、そういう措置をしてきたわけですけれども、補助金じゃなくて一括交付金ということになると、補助金ならかさ上げがあるんだけれども一括交付金はどうなんだという話もあって、ちょっとこれは正確かどうかわかりませんが、来年の一括交付金の配分がなかなか決まらないという話もあるんです。このあたり、かさ上げ措置などがどういうふうに反映されるのかということをお聞きしたいと思います。

日原政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの社会資本整備総合交付金、まだ仮称でございますけれども、これにつきましては、既存の補助金、交付金の大半を廃止いたしまして、地方公共団体が行う社会資本に関する基幹的な事業のほか、関連する社会資本整備や、その効果を高めるための幅広い事業を一体的に支援する仕組みとして創設するもので、平成二十二年度におきましては二・二兆円の予算を計上してございます。

 制度の詳細につきましては現在検討中でございますけれども、これまで後進地域特例法等の国の負担または補助のかさ上げ措置が講じられてきた事業につきましては、引き続き同様のかさ上げ措置を講じていくということを基本にいたしまして、今後の検討を進めていく予定でございます。

小室分科員 ありがとうございます。

 さっきの総額確保と似たような議論になるんですけれども、減ってしまっては何の意味もないということになります。その中で本当に地域に最適なやり方というものを我々もしっかり工夫してやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今のは来年度の社会資本整備の総合交付金の話なんです。このほかに、今後さらに何倍もの規模で一括交付金化の制度設計が行われていくということで、私もその議論にしっかり参加していきたいと思いますが、現時点でこういう問題があるんだということを踏まえて、総務省としてどのような考え方なのか、お聞かせください。

原口国務大臣 簡単に言うと、三位一体改革の逆をやればいいと考えているわけです。

 それはどういう意味かと申しますと、三位一体改革は、お国の島根県も、佐賀県も、財政力が弱ければ弱いほど厳しかったわけです。そして、財政規模が小さければ小さいほど厳しいし、過疎地であればあるほど厳しい。その分、大変なダメージがいっているわけで、私たちは、財政力の大きさあるいは強さ、そういったものにしっかりと配慮した一括交付金化というものを考えていきたいと思っています。

 都市部の非常に生産性の高いところでは、一括交付金化してくれれば、自由にしてくれれば、額は減らしてもいいよ、そういう県もあるんです。それはありがたいことだと思います、みずからの創富力をしっかりと出して。ただ、そういう県ばかりじゃない。これから社会資本の整備や地域のかさ上げというものが必要なところにしっかりと目配りのきいた施策、一括交付金化の設計を行ってまいりたいと思いますので、ぜひ委員も入っていただいてお知恵をください。よろしくお願いします。

小室分科員 ありがとうございます。

 地域主権改革は鳩山政権の一丁目一番地ということで、原口大臣を初め政務三役に頑張っていただきたいと思いますし、私もしっかり応援させていただきたいと思います。

 次に、合併絡みで一点お伺いしたいと思うんです。

 市町村合併がどんどん進んで、我が島根でいうと、五十九市町村が二十一市町村にまで縮減をいたしました。西の方は非常に合併も進んで、行政効率という意味ではよかったのかもしれませんが、周辺部の衰退とか、いろいろな問題も生じているというのも事実でございます。

 特に懸案となっているのは、あちこちに統廃合された小学校とか公民館の空き建物がいっぱい残っていて、物すごく見た目が悪いといいますか、有効に活用もされていないという状況なんです。

 よくよく聞いてみると、補助金適正化法のこととかがあって、なかなか廃止するにも廃止ができないとか、あるいは撤去するにもお金がかかるのでそれはなかなか難しいとか、地域で活用したい人にできたら有償ででも譲渡できないかというような話もあるんですけれども、そういうことについてもう少し弾力的な措置をお願いできないかと思うわけでございます。

 現在、学校施設等については、これは大臣が認める者ということのようですが、十年を超えたものについて、きちっとした理由があれば補助金の返還免除を認めるというような方向もあるようですけれども、ぜひそれを五年程度に短縮してもらえないか、あるいは有償譲渡も認めてもらえないかというお話が自治体から来ております。あるいは、不要施設の撤去についても、きちっと後始末をして次の展開を考えるということも必要だと思うんですけれども、その辺の支援の方策も含めてお尋ねしたいと思います。

高井大臣政務官 お答えいたします。

 私も徳島県という小さな県でございますので、問題意識は全く同じで、いろいろなことを伺っているところです。

 委員もよく御承知だと思うんですが、おっしゃったとおり、補助目的外に使用する場合には各省各庁の長の承認が必要であって、基本的には国庫補助金に相当する額を国庫に戻さなくてはならないということが原則になっております、別の目的に使う場合は。

 しかしながら、この間いろいろな議論を経て、平成二十年六月には財産処分手続の大幅な弾力化を我が省としても行いました。

 具体的に申し上げますと、国庫補助事業完了後十年未満の財産処分について、無償による転用等については、市町村合併等に伴う学校の統廃合などの場合、原則として国庫納付金を不要というふうにしております。

 有償の方に関しましても、国庫補助事業完了後十年以上経過したという建物でありますけれども、国庫納付金相当額以上を当該地方公共団体の公立学校施設整備のための基金に積み立てることができるというふうにしておりまして、相手先を問わず国庫納付を不要というふうにしているところでございます。

 さらに、公立学校を統廃合した際に不要となった施設の解体撤去等に要する費用については、統合のための整備事業とあわせて国庫補助の対象としているところでございます。公民館等についても、有償処分以外の財産処分については、つまり無償の処分については、国庫納付を不要としておりますので、また御理解をいただきたいと思います。

 現在、先ほど来お話ありました過疎法についても、弾力的にこうしたことも含めることができるように検討しているというふうにも聞いておりますので、これからの議論の中でいろいろぜひお力をかりたいと思っています。

小室分科員 ぜひしっかりと御検討いただきたいと思います。

 時間も限られておりますので、最後に、障害者自立支援法に基づいて、ガイドヘルパーということで、障害をお持ちの方が移動する際に介助をするという事業がございます。これは自治体の事業ですから、自治体ごとに取り扱いが異なるということです。

 ただ、移動する場合、例えば松江市の人がどこかの市に行ったときに、松江市ではガイドヘルパーを受けられるけれども、その先に行ったときに受けられない。逆に、そこの人が来たときに、松江市では受けられるけれども、地元ではそういうふうになっていないとか。なかなかこの取り扱いに差があるので、これは国が一方的に押しつけるということではないと思うんです、それぞれの自治体の裁量の範囲でやられることではあるんですが、今、交通基本法も議論されていますけれども、移動の権利を確保するという意味合いでは、全国である程度移動の自由が確保されるということも必要だと思うんです。これは、総務省でいえば助言というようなことになるのかと思いますし、所管の厚生労働省でいえばどういうふうな対応をしていただけるのかということになるんだと思うんですが、どういう考えなのか、お聞きしたいと思います。

原口国務大臣 委員の御指摘、とても大事だと思います。

 私は障害者基本法を起草した起草者ですけれども、まさに一人一人の障害を持った方々が持っていらっしゃる移動の権利を保障するというのが大事でございます。また、昨年、成立をした公共サービス基本法においては、国民の公共サービスにおける権利を全部抜き出しました、それを中央政府、地方政府が保障していく責務がある、こういう法律体系になってこれはもう成立しておりますので、今申し上げた二つの基本法に沿ってしっかりと総務省としても助言、指導、そして政策を打っていきたい、こう考えています。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましても、現在、先生の御指摘の障害者自立支援法に基づきます移動支援を各市町村にきちんと実施をしていただきたいということで、技術的助言ということでありますが、今の法律体系、補助体系の中でも必ず行っていただきたいぐらい必須の事業としてお願いをしておりますし、個々人の方のニーズをきちんと踏まえて、その御要望に沿った形での支援ができることをよく心がけていただきたいということを繰り返しお願いをしてきておるところでもございます。

 また、この障害者自立支援法を廃止して新しい総合的な福祉制度をつくるということで、既に当事者の方々中心の推進会議というものも立ち上がっておりまして、この中でも移動の権利性ということを踏まえてどのように考えるのかということが課題として挙げられております。

 この議論を踏まえましてきちんとした位置づけをし、また、我々も努力してまいりたいというふうに思っております。

小室分科員 時間が来たようですから終わらせていただきたいと思いますが、島根は、たったと言ったらちょっと語弊がありますね、七十二万人しか人口がいなくて、日本のチベットなんて言われるようなことも間々ありますが、私は、チベットという国は、人は少ないけれども、自然も文化も歴史も豊かな非常にいいところだというふうに思いますし、そういう地域にこそ私どもはなりたいと思っております。

 古事記という書物が編さんされて千三百年。そのうち、島根というような地域は出雲神話に彩られた非常に特筆される地域であったということでございます。また、明治維新には隠岐騒動という、自治政府をつくる、立ち上がる運動もありました。また、中海・宍道湖干拓淡水化をとめた、巨大公共事業をとめた全国でも初めての例だったということで、自立の気概もあったんですけれども、工業化とか農業の衰退とかそういう中で過疎、高齢化を迎えているということでございます。

 私どもも、鳩山政権成立を機に地域主権改革をしっかり進めて自立をしていきたいと思いますので、総務省、政務三役の皆さんにぜひ頑張っていただきたいと思いますし、原口大臣もぜひ島根にお越しいただいて、県民を鼓舞いただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

池田主査 これにて小室寿明君の質疑は終了いたしました。

 次に、山田良司君。

山田(良)分科員 東海比例の山田良司でございます。

 大臣チームの皆様におかれましては、国家のために日夜御尽力いただいておりますことを衷心より敬意を申し上げたいと思います。

 今回は、こういう機会を与えていただきましてありがとうございます。主に地方分権改革、地域主権改革の概括的な質問を中心にさせていただきたいというふうに思います。

 地方分権改革、これはまさに我が国において第三の改革、すなわち、明治維新、戦後の改革に次ぐ第三番目の大きな改革と私は位置づけております。

 この点におきまして、地方分権国家と一口に言いましても、いろいろなレベルがあろうかと思います。国によってさまざまなモデルもあろうかと思いますが、我々が目指すべき国家像、日本がこれから目指すべき地域主権国家の国家像の概括的なレベルはどこら辺にあるのかということを、まずお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 山田委員におかれましては、初代の、合併の下呂市長としても、地域主権改革の先頭に立ってくださっております。

 その上で、どんな国家像を目指すか。今までは中央集権で、だれかが一つのところを持ち上げれば、そのおこぼれで何とかあとの地域も上がっていくだろうというような、まさにピラミッド型モデルなんです。

 私たち、これは民主党の姿もそうですけれども、OSで例えてみると、リナックス型です。すべての人が自由に、オープンに入ってこれる、そして、すべての人たちがその中でみずからの生きがいやみずからの志を果たすことができる。こういうモデル。例えて言うと、泉のわき出るような、ファウンテン型モデルと私は申し上げています。

 そこにおいて地域という形はどうなっているのか。世界のルール、あるいは貧困や暴力や戦争としっかりと向き合える、そういうタフな中央国家、中央政府があって、それと、まさに、みずからの地域をみずからがはぐくむ基礎自治体、みずからの責任と知恵において地域の皆さんの力を最大限フルに発揮できる、こういう基礎自治体の、まさにパートナーシップを考えておるわけでございます。

 まさに委員がおっしゃるように、私たちの地域主権改革というのは、今まで中央に集まった霞が関の中央集権体制、これはある意味では明治以来と言ってもいいでしょう、それを根本から打破していく第三の大きな変革であるというふうに考えております。

 どうぞよろしく御指導をお願いいたします。

山田(良)分科員 まさに、そういう歴史的な場面に我々は遭遇しておる。政権与党の一員として、大きく、私自身も協力していきたいなという感じはいたしております。

 そういう中で、とにかく基礎となるのは基礎自治体である。道州制なのか、基礎自治体中心なのかという議論の中で、基礎自治体を主にして行っていくという方向かと思います。それは、私もそのとおりであろうかと思います。

 ただ、注意しなければいけないのは、単純に基礎自治体の規模を人口比でもってくくってしまう、こういったあり方であってはなかなか実が伴わないであろう、弊害が多くなるであろうと思います。といいますのも、やはり平成の大合併は光と影がございまして、地域の文化、伝統というものを一網打尽になくして合併してしまったような地域もなくはない。そういう中でさまざまな弊害が生まれてきておることも事実であります。

 したがいまして、人口の少ないところを取り込むような形の、強引な人口に基づく基礎自治体の構成というのを何としても避けていただきたいと思うんですが、その点、大臣、どうでしょうか。

原口国務大臣 全く同じ考えを持っています。

 と申しますのも、上からの押さえつけの道州制にも同じことが言えるんですけれども、ピラミッド型の今の集権体制を八つに分けたところで、何にも意味がありません。それと同じことで、歴史や文化や伝統、そして人々の意識と離れた形の合併は成功しません。やはり、そこにお住まいの住民、常民という概念を言う方もいらっしゃいますけれども、その住民の地域に対する誇りや一体性がないと、それは合併としてもなかなかできないわけです。

 これは単なる人口規模ではございませんで、例えばヨーロッパの山間地域に行くと、三百人、四百人、五百人の町が、みずからの地域でワインをつくってみたりして非常に豊かな暮らしをされています。名古屋から飛騨高山に向かう途中に御地元がありますけれども、本当に美しい、すばらしい町ですよね。その町としての一体性ということをやはり考えるべきであり、歴史や伝統といったものに根差した合併であるべきだ、そう考えています。

山田(良)分科員 ありがとうございます。

 よく、日本のコミュニティーは豆腐に例えられるわけであります。要するに、豆腐のようなやわらかい固まりで壊れやすい、しかし、砂のように味気ないものでもなければ、れんがのようにかちんかちんの固まりでもない。やはり豆腐である。豆腐は、あの大きさだから豆腐なんですね。もしあの豆腐が二倍の大きさになったら壊れてしまう、形をなさなくなる。それぐらいのコミュニティー上の集まりであり、固まりである。これが日本の農耕社会のコミュニティーであるということで、これをぜひとも大切にしていただいて、今御答弁されたような形でぜひとも進めていただきたいなと思います。

 とにかく、この地域主権改革は民主党の一丁目一番地ということでありまして、今回の政権交代が、要望、陳情の窓口がただ単に自民党から民主党に移っただけの政権交代であるならば、大した意味はない。やはり、本当のところ、これから地域主権の国家に変えていくんだという形でなければいけない。自民党の焼き直しのような、陳情利益を優先するような形であっては決していけないと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 二問目の地方交付税につきまして、三点ほど事例を挙げて御質問させていただきたいと思います。

 観光立国を宣言いたしました、小泉政権時代でございますが。お手元に、外国人観光客受入国トップ四十という資料をお配りいたしましたけれども、ごらんになっていただきますように、日本が世界で三十位の入り込み客という順位になっております。

 観光立国というのは、方向として極めて正しい。これからの日本の二十一世紀の産業の大きな一翼を担うものとして観光はあり得ることでありまして、特にトップテンを見てみますと、G8が全部入っているんですね。日本だけが断トツ三十位ということで、大きくおくれをとってしまっているということで、非常にこれはショッキングなデータでもあります。

 とにかく、フランスなんかは、日本が年間七百三十万人であるのに対して、七千九百万で十倍以上の外国人を受け入れ、お客さんを呼んでいるというデータが出ております。軒並み先進国はそれぞれけたが違うぐらいの、観光というものに対して大きな力を入れて国づくりを行っておる。フランスも、農業国と言われながら、一番の収入は観光であります。アメリカも、一番の収入は観光であるというふうに聞いておりますが、こういったことに我が国においても大変力を入れていく必要があると思うわけであります。

 特に、日本は人口減少化社会という中で、人口を減らさないための施策というのはこれからきちっととっていかなきゃいけない。しかし、ふえない中でどうやって活性化していくかと考えたときに、定住人口プラス交流人口を集めて国の活性化、地域の活性化を図っていくというのがやはり大きなポイントである。その意味で、観光というのは非常に大きな意味合いを持つわけであります。

 そういう中で、なぜこれほど先進国は観光客が多いかと考えたときに、やはりその国の文化、歴史、その国らしさというものが、どれを見てもぱっと、何となくその国のイメージが浮かんでくるような、そういう感じがいたします。

 日本においても、日本らしさというものをこれから地域においてつくっていく、もっと言えば、その地域らしさという、いかに差別化を図ったまちづくりをしていく必要があるかということが大事かと思います。

 よく、国際的でなければいけないと言われておるわけですが、最も日本的であることが最も国際的であることにこれからなってこようかと思います。欧米諸国の亜流、すなわち、敗戦以降、日本はひたすら西洋文化の上澄み液を一生懸命すくうことばかりに熱中して、それはそれで大きな利益もあったわけでありますが、日本らしさ、本来の伝統、文化というものが忘れ去られて、ほこりがかぶってしまっているのではないかなという感じがいたします。

 そういう意味で、日本らしさをこれから国においてつくらないと、幾らビジット・ジャパンで日本に来てください来てくださいと言ったところで、日本らしい魅力が国の中に、地域の中になければ、これはかけ声倒れに間違いなく終わってしまう。外国人から見て本当に魅力のある、日本的な国だな、文化のある国だなと思っていただけるような方向をこれから進めていく必要があると思います。そういう意味においても、観光地と言われる地域は、さらに磨きをかけ、まちづくりを進めていく必要があると思います。

 そんな中で、地方交付税というものがあるわけでありますが、観光地の中で、地方交付税をもらわなくても自主財源だけでやっていけるようなところがあればいいんですが、極めて少ない。やはり、地方交付税というものをいただきながら、今まちづくりを行っておるわけであります。

 しかし、地方交付税というのは、ナショナルミニマム、シビルミニマム、必要最低限な市民生活を送る上で、税収だけで足りない部分を補っていただくものであります。そういう中で、観光地というのはどういうものかといいますと、市民サービスを充実させるためのまちづくりプラス、観光客を呼ぶためのまちづくりもしていかなきゃいけない。その分、余計にお金がかかるということであります。したがいまして、その分、今申しましたように、どんどん新しいまちづくりをしていかなきゃいけない。

 コンクリートから人へではありますが、コンクリートをはがす公共事業、今まで味気のないようなまち、全体像になっていたところをはがしていくような、そして、日本らしさ、地域らしさをつくっていくような公共事業もどんどん地域の努力でしていく必要があるわけでありまして、そういう中で、まちづくりのためのプラスアルファのお金がかかるという現状がございます。そういった面を交付税で加算措置とかいうことが可能なのかどうなのか、御質問したいと思います。

原口国務大臣 これは大事な御視点だと思います。

 この間、私たちは、遠野市と紫波町に、これは岩手県ですけれども、参りました。まさに緑の分権改革で私が主張しているのが、今山田委員がおっしゃったところでございまして、地域の創富力、特に文化の継承力。この間、小学生のアンケートを見たんですよ、そこの地域の。そうしたら、何をやってほしいかというと、今、コンクリートをはがすという話がありましたけれども、自分が通った小川やあのあぜ道をしっかり残してほしい、あるいは、自分が学んだ祭りをそのまま残してほしいと。伝統や文化をしっかりと残すことによって、あるいは継承することによって、本当の日本らしさというものが生まれてくる、そこに向けて私たちは資源を投下しようとしているわけです。今回、一・一兆円交付税を十一年ぶりにふやして緑の分権改革を言っているというのも、まさにそこに思いがあるわけです。それは、それぞれの地域でまた考えてほしい。

 私は、今週の政務三役会議で、政務三役に、文化の伝承というようなものも指標化して数値化しなさいと。私たちが言っている緑の分権改革を、ビジョンというのは、単なる形容詞では終わってしまいます。

 ここに委員が出していただいたように、これは観光。今、中国から来ている人たちは百一万人ですね。これはすぐ一千万人になりますよ。しかし、一千万人になって、どこがどう受け入れるのか。歴史街道のようなものをつくって面として受け入れるのか、そうじゃないのかでは全然違うわけです。リピーターも違う。

 ですから、今お話しのところをしっかりと踏まえてビジョンをつくっていきますので、ぜひそのビジョン策定にも、委員、参加してくださいね、よろしくお願いします。

渡辺副大臣 これまでも観光地に対しては、地域おこしや観光、物産キャンペーン等に関する経費は交付税措置しているところでございまして、さまざまな形での、活性化推進特例費というものを二十二年度において創設しております。

 何より私は伊豆半島でございます、ここに藤本国土交通政務官がいますが、私も観光立国の推進本部の副本部長という名前で活動を一緒に、国交省の方にも行って、まさに成長戦略としての観光もやります。私も伊豆半島にいてよくわかるんですけれども、例えば河津というところで、今桜祭りをやっていまして、早咲きの桜を見るのに、人口が六千人の町に週末二万人の方が来ていただく。来られれば、当然、まさに交流人口の話をされましたけれども、まず駐車場は足りないぞ、あるいはトイレが足りない、いろいろな行政サービスを求められる中で、予期しなかったさまざまなニーズが生まれていますし、その分の行政経費というものもかかっているわけでございます。

 ありがたいことに、観光地に来れば来るほど、これはいろいろな方の期待にこたえるとなると、まさに先生がおっしゃるようなことは、いろいろなところでこれは成長戦略として考える上で必要なことだと思っていますので、そういうところもきめ細かく、我々としても地域の声を拾って、実現できるように、観光立国の推進本部の中でもぜひ先生の御提案等を真摯に検討してまいりたいな、提案してまいりたいなと思っております。

 ありがとうございます。

山田(良)分科員 ありがとうございます。方向性として大変心強い御答弁をいただきました。

 交付税でこの観光分を見るということは、技術的に大変難しい面もあろうかと思います。今観光地であるところも、これから観光で頑張ろうというところも、どうやって仕分けをしていくのかというのが変難しくて、簡単にはいかないと思いますけれども、いろいろな工夫の中でぜひこれから、てこ入れを地方交付税に限らず、いろいろな形で行っていただきたいと思います。

 同じような視点なんですが、環境、林業についてもちょっと述べさせていただきたいと思います。

 林業は、業としての側面もありますけれども、半分はやはり公共的なものでございまして、CO2を吸収して酸素を出すということで、大変我々にとってなくてはならない財産であるということであります。

 ただ、今、林業、林野が大変荒廃しておりまして、野放しにしておくと、これは田舎だけの問題ではない、国土が保てなくなるということになれば、勢い災害が発生する、都会の問題でもあるということで、国全体として林業、林野というものを守る必要があるのではないのかということであります。

 そういう中で、現在の地方交付税は面積に応じての換算がされておるようでありますが、私にとりましては、これはまだまだ弱いんじゃないか、少ないんじゃないかと思います。いかがでしょうか。

小川大臣政務官 林業あるいは林野に関するお尋ねでございます。

 これまでも地方交付税の算定上は努力をいたしてまいりました。例えば林野行政費、あるいは林野、水産関連、そして地域振興費の部分についても国土の保全対策等々、多々努力をしてまいったわけでございますが、例えばまだまだ総額足りないぞという御指摘があるとすれば、この御指摘を踏まえて検討していかなければならないと思います。

山田(良)分科員 ありがとうございます。

 そういうことで、時代的なニーズ、環境という側面、そういった視点もぜひともこれから取り入れていただきたい、より強化していただきたいと思います。

 もう一点でありますが、今、地域医療が大変荒廃しております。病院一つつくるにしましても、本当に一番話題になるのが、採算性が上がるのか、赤字になってしまうんじゃないのかというようなことで二の足を踏む、あるいは、議論になってなかなか進まない地域、自治体が多いわけでございます。

 しかしながら、命は平等でありまして、都会の命も田舎の命も、これは違いはない。都会にいて助かる命が、田舎にいて助からないなんということであっては決してならないわけでありまして、採算性とか赤字云々ではなくて、国民の命を守るという意味が政治の使命であるというようなことから、こういった点にもぜひとも留意をしていただきたいと思いますが、この点についてもお願いします。

原口国務大臣 地域の医療を支えるために、私たちはありとあらゆる政策をやっていきます。

 その一方で、医院がフルセットであること、それから、私たちは、ICTを使った遠隔医療やさまざまなもので、医師不足や医療の資源不足というものも解消したいと思っています。

 また、患者の権利法という、医療法自体見てみますと、これは医療の質をチェックする形になっていないんですよ。数だけを規定している。だから、多くの人たちが重複受診をしている。そういったところも、政府としてはセットでしっかりと変える。そして、医療の構造そのものを変える中で、しっかりと国民の皆さんの安心、健康を守っていきたい、こう考えています。

    〔主査退席、三谷主査代理着席〕

山田(良)分科員 ありがとうございます。そういうことでぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 今申し上げました観光、環境、そして健康、三Kといいますか、特に我が国が目指すべき大きなポイントでありますが、今、一括交付金の議論の中で、流れとしてはそういうことでよろしいかと思いますが、国として力を入れる、柱になるような政策にはめり張りをつけて、国はこれでやっていくんだ、これで使うんだというような視点も、全部が全部一括交付金化するというのではなくて、国家として力を入れていく分野においてはめり張りをつけて、何らかの形で予算配分をぜひともしていただきたいと思います。

 時間の関係で次の質問に移ります。懐かしい響きがあるかと思いますが、首都機能移転についてでございます。

 以前、女王バチ理論というようなことが言われまして、国会が、首都機能が動けば、それにつれていろいろなものが動いて、地方分権の促進役になるのではないか、牽引役になるのではないかというような話の中で、首都機能移転論議がされました。そして、平成二年においては国会決議までされて、やっていくんだという方向になったわけでありますが、これは現在どうなっていますでしょうか。

藤本大臣政務官 国土交通大臣政務官の藤本でございます。

 現状どうなっているかということをストレートに申し上げますと、今山田先生がおっしゃったように決議があって、平成四年にはその法律ができ上がりました。これは議員立法ででき上がりました。その議員立法ででき上がった法律をもとに、平成三年八月には、衆議院、参議院において国会等の移転に関する特別委員会が設置されました。それをもとに平成十五年の五月に中間報告が衆議院、参議院で出され、その中間報告を受けて、超党派で国会等の移転に関する政党間両院協議会が設置をされて検討をされ、座長取りまとめがされたわけなんですが、その段階で、どういう機能をどのぐらいどこに移転するのかとか、そういうことについては社会経済情勢を反映しながらさらに検討すべきであるという結論になったことを受けて、国土交通省としては、現在調査をしている段階でございます。

 調査の中身というのが、分散移転に関する調査。これは、分散移転については、本年度、平成二十一年度は韓国の調査を行っておりまして、来年、予算が成立した場合、ドイツの調査をする予定でございます。それともう一つ、危機管理のバックアップ機能として、司令塔が東京でなくなった場合にどういうような影響が起こるのかということに対する調査を進めているというのが現状でございます。

山田(良)分科員 ありがとうございます。

 現実問題として、首相官邸も新しい大きなものができたり、あるいは議員会館もことし新しくなる中で、国会が動くということがいかに大変なことかという実感も受けております。また、候補地選定をめぐって各地域で綱引きがあったということで、理念としては総論賛成で、各論になってくるとなかなか進まないのがこの首都機能移転の問題なのかなと感じます。

 そういう中で、今さまざまな事例を検討しながら、まだ立ち消えじゃない、頑張ってやっていくんだというお話でございました。その方向でお願いしたいと思います。

 ただ、一つの切り口としまして、理念ではなくて現実を考えると、今言いましたように、なかなか進まないとなったときに、日本が議院内閣制をとっておる以上は、国会と行政というのはそんなに離すことはできない、やはり一体の中で、近くの中でやっていかないと効率が悪いわけですが、司法、最高裁判所を物理的に西日本に、あるいはどこでもいいんですが、移すことによって、地方分権を加速させる一つのものになるのではないか。そしてまた、三権を一括で移転するよりもはるかに現実的ではないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 これは幾つかの観点から大事な御指摘だと思います。

 先ほど国交省の方からもお話がございましたけれども、そもそも、この地震大国の中でこれほどのヘッドクオーターが一カ所に集中していていいのかと。この間、政府の地震対策本部の中でも議論しましたけれども、やはり第二首都機能を早く持たないといけない、バックアップ機能を持たないといけない。その過程で、何をどのように移していくのかといった、その道筋をもう議論するときに来ているというふうに思いますので、委員の御指摘を、司法をどうするかというのは一つのオプションだと思いますけれども、踏まえて議論をしてまいりたい、こう考えています。

山田(良)分科員 この議論というのは、自民党政権下ではなかなか進まなかったわけですが、政権交代という、今がこの最大のチャンスであるということで、私もぜひとも協力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 余り時間がありませんので、最後の質問をさせていただきます。

 選挙についてでありますが、選挙の投開票ですが、これも明治以来の旧式なやり方が今なお続いておる。要するに、被選挙者の名前をフルネームで書いて、少しでも違っていたり、おかしな形になると無効になってしまうということで、非常に非効率であろうかと思いますが、簡略化したものに変えていく。例えば、名前の上にマル・バツを打つ、マークシートにする、電子投票は今一部自治体で行われておりますが、こういったことを国政においてもやっていく方向性はあるのかないのか、お聞きしたいと思います。

階大臣政務官 山田委員の御質問にお答えいたします。

 山田委員におかれましては、既に与党の政策会議でも何度か今のような御指摘をいただきまして、私どもの方でも検討させていただいております。

 おっしゃるとおり、記号式投票あるいはマーク式投票については、投票の効力の判定が容易になって疑問票や無効票が減少するであるとか、行財政改革という面でも選挙人が短時間で投票できるというメリットもございます。

 そういったことも踏まえまして、総務省としましては特に異存はないところではございますけれども、この問題については選挙制度の根幹にかかわることでございます、各党各会派で議論を進めていただきたいということで、私の方からは、既に海江田万里先生、民主党の政治改革推進本部事務局長の方にも、山田先生からそういう御指摘があったということも伝えさせていただいておりますので、ぜひ党内あるいは国会内での議論を進めていただければなと思っております。

 よろしくお願いいたします。

山田(良)分科員 ちょっと時間をオーバーいたしましたが、丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。地域主権では私も一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

三谷主査代理 これにて山田良司君の質疑は終了いたしました。

 次に、三宅雪子君。

三宅分科員 民主党・無所属クラブの三宅雪子でございます。

 本日が二回目の質問となります。回数を重ねて、原口大臣のように饒舌になりたいなというのを目標にしております。よろしくお願いいたします。

 また、予算委員会の分科会で質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。

 今回は、原口大臣及び政務三役の皆様に四つの項目で質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まずは一つ目なんですが、地域主権についてお尋ねしたいと思います。

 今回の政権交代の最もわかりやすい変化は、中央集権から地域主権国家になることだと私はいつも地元で主張しております。前政権のもと、十年もかけて、ようやく三千二百三十二から千七百三十へと市町村が再編されてきました。その間、明治維新の廃藩置県にかわって廃県置州の時代が来るとか、三百の基礎自治体をつくるなど、いろいろな議論があったと承知しております。結局は、国の新しい形が漠然として見えないまま今日に至っているように私は感じております。

 前政権のもとでは、三位一体の改革という名のもとに、地方は著しく疲弊をしてまいりました。私の選挙区は群馬でございますが、元総理が四名も出た地域でございますが、残念ながら、シャッター通りがふえ、大変疲弊しているのを私自身が身をもって感じております。従来どおりの補助金制度ではどうにもならないと私もいつも感じております。

 そういう意味で、地域の疲弊が保守地盤を突き崩して、そして政権交代が起きたと私は思っております。この政権が歴史に名を残して、二〇〇九年が一八六八年、一九四五年に匹敵する年であったと言えるかどうかは、日本が地域主権国家へと変貌できるかどうかにかかっていると思うのですが、いかがでしょうか。

 そこで、日本の国の形は今後どうなっていくのか、国と地方の関係はどうあるべきなのか、地域主権国家についての原口大臣の御所見をお聞かせください。

原口国務大臣 三宅委員にお答えいたします。

 まさに委員がおっしゃるように、日本は大変大きな国であり、地域は多くの潜在力を持っています。お父様がシンガポールで大使をなさっていますね。シンガポールは都市国家ですけれども、人口規模は日本よりもはるかに小さい。しかし、みずから決断し、みずから地域を、国をつくることによって、世界にも冠たる金融のセンターであったり物流のセンターになっているわけです。

 では、日本はどうかというと、一回中央にお金を集めてそれを地方に分配する、この政治が長く続いているんです。この政治が長く続いているお陰で何が起きているかというと、みずからの地域をみずからが責任を持ってつくる、この当たり前のことが逆に言うとできなくなっている。地方自治体がみずからの増減税の権利さえ実質上奪われている。それで地域がよくなるわけはないんです。

 ですから、今委員がおっしゃったように、中央集権、霞が関、これは官僚が悪いんじゃないんです。官僚にまさに依存をし、おんぶにだっこでやってきたこの状況を一遍に打破する、そして地域がみずからの責任において地域を支えるきずなをつくる、この成長点をつくっていきたい、これが私たち地域主権改革の基本的な考え方です。これは、単に分権ではなくて、民主主義そのものの変革であるということも申し上げておきたいと思います。

三宅分科員 大変わかりやすく御説明いただき、ありがとうございます。つまりは原口大臣、私は原口大臣の手腕が歴史を変えると言っても大げさではないと思っております。

 そこで、私は選挙の際に、地域の活性化のためにはひもつき補助金制度をやめて一括交付金制度にしなくてはならない、それは政権交代によってしかできないと言ってきたのですが、原口大臣は平成二十三年度からひもつき補助金を一括交付金化するとはっきりと断言をされていらっしゃいます。

 これは大変すごいことだと思うんですが、ぜひ実現していただきたいと思っております。その具体的な進め方をぜひ教えてください。

原口国務大臣 おっしゃるとおり、ひもつき補助金で地域が何のデメリットを受けているかというと、ひもつきで中央からいろいろなものも出てくる。地域の創意工夫がなくなるだけじゃなくて富まで、例えば公共事業でいうと、十六に補助金が分かれているわけです。その十六の補助金ごとにメニューをつくらなきゃいけない。その補助金ごとに中央の資本が出てきて、それをまた中央に戻していく。地域には、今群馬のお話がありましたけれども、その群馬に落ちるお金は吸い上げられてしまう。これを変えようと。

 ことし、その前段として、国交省、農水省の交付金というものを用意させていただきました。あるいはきめ細やかな交付金、これは第二次補正で出させていただいたものですけれども、地域がみずから、例えば、自分のところは学校の耐震をしっかりやろうと思えばそこに使えるような、みずからの判断がしっかりと、中央政府がこれをやりなさい、あれをやりなさいと言うんじゃない、そういう形に第一弾としてしているわけです。

 第二弾、今おっしゃるように、二十三年度は、国、地方協議の場が今度法制化されますから、その法制化された国、地方協議の場、もう実質動いていますけれども、その中でも地方の意見をよく聞きながら制度設計をしていきたい、そう考えています。

三宅分科員 ありがとうございます。

 ただ、一つ気になることがございまして、一括交付金制度が実施されるようになりますと、補助金行政のもとで配置されてきました出先機関の必要性がなくなってしまうように思うのですが、そうなりますと、現在の二十一万人の国家公務員の方がどうなってしまうのか、こちらが私は気になっております。

 前政権時代には、県に移行するような指摘もあったようですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

原口国務大臣 今国の出先機関は、平成二十一年度末の定員は十九・三万人なんですが、これを全部地方に移すというのは現実的じゃないと思います。

 ただ、二重行政、県議会でチェックも受けない、あるいは国会からのチェックも遠い。

 あれは、タクシー券の話があったときに、私たちの仲間が関東整備局まで行ったわけです。見せてくれという話をしましたら、あのときは団長が菅さんだったと思いますけれども、エレベーターに乗っているけれども、いつまでたっても動かぬ、何をやっているかといったら、電源を切っていたわけですよ。まさにそういうガバナンスのきかないこと。あるいは、汚染米の話もありましたね。なぜ汚染米をチェックできなかったのか。

 そういうものからすると、今まで依存と分配の政治の中にとっぷりとつかって、そのマシンだったものは私は原則廃止だと。ただ、生首を切ったり、あるいは労働行政のように、労働基準監督局とかハローワークまで、それを地方に移管するということは少しやり過ぎなんだと思います。

 要するに、人間の尊厳をしっかり保障する部分、この部分は中央政府が、あるいは中央政府としての責務の部分、これはしっかり残しながらも、原則廃止に向けた工程をつくっていきたい、こう考えているところでございまして、名古屋の河村市長は、自分のところに渡してくれれば何でもいい、自分たちでもやれるのがありますよと。あるいは、大阪の橋下知事も同じようなことをおっしゃっている。そういうやる気のある自治体に権限と財源を付して移管をしていきたい、こう考えています。

三宅分科員 ありがとうございました。

 地域主権国家への転換こそが政権交代の意味を地域の方たちに御認識いただく大きな柱だと思っております。

 また、その改革ができなくては、日本は本当にだめになってしまう。これから、私は原口ビジョンを地域の皆様に積極的に御説明していきたいと思っております。何が何でも先頭に立って、地域主権社会を実現していただきたいと思いますので、もう一度御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

原口国務大臣 ありがとうございます。大変頼もしいです、フジテレビでも頑張っていらっしゃって。そういう情報の発信力、それからネットワークの力。

 今回、原口ビジョンは二つあるわけです。

 何を私たちはやろうとしているかというと、明治五年、ここで私たちの先達がこの大きな日本の国家の基礎をつくるときに何をなさったか。歩いていける距離に三つの国家の安定の基礎をおつくりになったわけです。一つが郵便局、もう一つが派出所、そしてもう一つが学校なんです。

 今ICTの革命と言っていいようなものが起きています。黒船はもう来ているんです。ただ、見えないけれども、その黒船に対応する政治は今まで何も動いていなかった。私たちは、政権交代で、ICTを利用して国民の生産性を、例えば電子教科書を配ったり、やはり人材を育成することに第一の優先順位をつけていきたい。これが一つです。

 それからもう一つは、先ほど答弁しましたけれども、地域が持っている力、あるいは人材が持っている力、緑の分権改革ということで、それを引き出す。

 この二つを大きくやっていきたいと思いますので、ぜひ三宅委員には先頭に立っていただいて、国民の皆さん、それから各地域各地域にモデルをつくる、見えないと無理ですから、群馬の御地元でもぜひ緑の分権改革のモデル地区をつくってください。一生懸命応援しますので、よろしくお願いします。

三宅分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、地域主権とも大きくかかわることだと思いますが、先日、有志の議員にお声かけをいたしまして、名古屋の河村市長をゲストに、住基ネットを考える勉強会を開催させていただきました。その席上、河村市長が、住基ネットからの離脱も視野に有識者や市民の意見を聞いていく、自分は反対だ、そのようにおっしゃっていました。

 残念ながら、住民台帳カードの普及率はいまだ三%と伺っております。実は私も持っていないのですが、大臣はお持ちでしょうか。

原口国務大臣 私も持っていないです、私は反対なので。

 総務大臣が反対と言ってはいかぬけれども、河村さんと同じように、私たちは野党時代、これは反対してきました。しかし、これを全部なくしていいかというと、そうは思っていなくて、今国民の情報を、みずからの情報をコントロールする、あるいは国民がみずからの権利を行使する、このための番号というのはどうあるべきかというのを、この間、原口五原則というのを出させていただいて、新たな国民IDという形で議論をしているところでございます。

 それができたら私もIDを持ちますが、今のところ、それは持っていません。済みません。

三宅分科員 ありがとうございます。

 細かくは総務委員会で議論すべきだと思いますので、次に進みたいと思います。

 住基ネットとともにいつもひっかかっていることがございまして、ぜひこの機会にお聞きしておきたいと思ったわけでございますが、それは有線ラジオ放送のことについてでございます。

 先日の予算委員会で城井議員からも質問があって、そこで大臣は調査するとお答えになったと思います。新聞にも許可を得ないまま電柱にケーブルというふうに報道されていましたが、私もテレビ局出身だったということもありまして気になりまして、担当者に御説明を受けました。一社は時間をかけて改善しているそうなんですが、もう一社はいまだ違法状態を続けていて、まだ半分ぐらいしか改善をされていないそうでございます。その理由は、いろいろ先方はおっしゃっているんですが、一本一本調査するのに時間がかかる、コストがかかる、人手もかかるということで対応がおくれている、そのような言いわけをされているということです。

 三度ほど改善に十分応じられないとの御報告を受けているとの説明でしたが、どうしてこういうことを許してこられたのかというところが信じられないところでございます。

 その後、調査に着手されているのか、改めて指導をされたのか、教えてください。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 委員御指摘の問題意識、原口大臣そして我々政務三役も共有をしております。

 平成十二年以降、キャンシステムは、正常化に向けて取り組むと言ったものの、三度にわたって経営上の理由を挙げながら延長をして、今日に至っております。このことに対しては大変遺憾であると同時に、総務省としても、その行政、放置してきたことに対して大変深く反省をしているところでございます。

 そこで、過日でございますが、原口大臣の指示を受けまして、チームを立ち上げて、これまでのキャンシステムにかかる総務行政のあり方を調査するとともに、今後、正常化に向け、ぐっと推し進めていくよう対応策を検討していくということになっております。

三宅分科員 ありがとうございます。

 やはり既得権益のようなことは許してはいけないと思いますので、ぜひ徹底した調査をお願いしたいと思います。

 そこで、最後の質問になりますが、実は私は民間会社に勤めていましたときに、港区の消防団の団員でございました。長い期間ではなかったんですけれども、それなりに活動に参加させていただいておりました。国会議員になっても続けていきたかったんですが、法律によってやめなければいけないということで、退団をしたことが今でも残念でなりません。

 ことしの出初め式に議員として出席をさせていただいたときは本当にうれしく、感動いたしました。そして、消防署の方々に私も消防団員だったんですというお話をしたところ、大変に喜んでいただきまして、そのこともあわせてうれしかったことが私の記憶に残っております。

 そして現在、御存じのように、犯罪が大変多様化して、消防団の必要性も高まっております。例えば、秋葉原の連続殺傷事件の際なんですが、消防団の方が要請を受けて十三人出動されて、大変活躍されたと聞いております。

 地域社会のコミュニティーを守る上でも大切な役割を消防団は担っていると思っているんですが、残念ながら、配付しました資料にありますとおり、消防団の数がピーク時の二百九万人から、これは大分前の数字なので今お渡ししている資料の数字とはちょっと違うんですが、現在は八十八万五千三百九十四人と大幅に減っているんですね。半分以下となっております。

 地域の防災力を強化するためには、やはり初期消火も必要ですし、消防団員の活躍が求められると思います。そして、その充実、人員確保のためにどのような対応をされているのか、お聞かせいただけたらと思います。

原口国務大臣 これはとても大事な御指摘だと思います。

 今まで、キャンペーンだ、それから養成だというのをやっているんですが、私は、最初に総理からこの職を御指名いただいたときに、真っ先に指示をしたのがここなんです。なぜかといえば、地域に貢献をしている方々がどんどんみずからの居場所をなくしている、あるいは、三位一体改革によって地域の一体性もなくなっている。これを根本から見直すようにという指示をいたしました。

 と申しますのも、これは総務委員会で少し答弁をしましたけれども、世界消防協会の総裁と議論したときに、日本はこんな現状だと言ったら、それは信じられないという顔で反論されたんです。消防団になる人たちは選ばれた人たち、そして小さいころから、消防団のジュニアで、地域消防のジュニアで、そしてどんなに地域に貢献することがすばらしいか、人の命や安全を守ることが大事かというのを、小さいころから教育の中に入っている。そして、消防に入れば、企業の給与も違うし、あるいは、とりもなおさず毎日の訓練そのものでみずからの日常にも役に立つ。ロープの結わえ方とか、あるいは救急救命であるとか、消防というものは、どんなに社会の中にも大事だし、みずからの人生の中にも大事かということを小さいころから教え込むということでございます。

 私は、今その結論を早く出してくださいと。そして、地域における消防、私も消防で県会議員のときからこうやって皆さんに敬礼をし、そして訓練やいろいろなところでお話をしました。夏の暑い中、冬の寒い中、本当に大変な訓練をされているわけです。訓練のありようや、それから企業の支援の仕方、あるいは税制上の優遇といったことからも根本から考えていきたい、そう思っていますので、現実に消防団員でいらっしゃったんだから、教えてくださるとありがたいと思います。

三宅分科員 ありがとうございました。

 私自身の経験からいいますと、こういった地域のコミュニティーにかかわりますと大変地域の皆様とも親しくなりますし、鳩山総理がおっしゃっていた家族のコミュニティー、地域のコミュニティー、会社のコミュニティー、そういった意味では、これから大変重要になってくるのではというふうに思います。私も、微力ながら、この消防団員の経験を生かして、何か人数をふやしていくようなアイデアを出す機会がありましたら、ぜひ参加をさせていただきたい、そのようにお願い申し上げます。

 ちょっと時間が短いんですが、大臣、政務三役の皆様の御活躍を御期待申し上げ、私の質問とさせていただきます。本日は、ありがとうございました。

三谷主査代理 これにて三宅雪子君の質疑は終了いたしました。

 次に、古屋範子君。

古屋(範)分科員 公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、地上デジタル放送移行に向けた質問をしてまいります。原口大臣、よろしくお願いいたします。

 二〇一一年七月の地上デジタル放送完全移行まで一年半を切りました。アナログ放送がなくなると知っていても、すべての視聴者が全国でこの期限までに対応ができるのか、これは非常に難しい問題かと思っております。

 そこで、初めに、国民への周知ということについてお伺いをしてまいります。

 政府は先般、メディア媒体を通じていろいろなPR活動をされている中で、九月に、全国一万二千人を対象として行った地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査というものを実施されました。それによりますと、例えば、アナログ放送停波の認知度というのは九八%、かなり高いと言うことができようかと思います。一方で、アナログ停波時期の認知度ということは八九・六%、約九〇%ということで、まだ一割の方がいつ停波するかということまでは御存じないということが見てとれます。

 こうした調査結果を踏まえまして、特に高齢の方々は、地デジを見るためにはどうしたらよいのか。私も、夫の母と一緒に暮らしているんですが、部屋に地デジ用のテレビを購入したんですが、二〇一一年七月にはそれをまた買いかえなければいけないんじゃないかと言ってみたり、実際、本当のところをわかっていないという方が多いのかなというふうに思っております。

 移行までに残された期間を考えますと、利用者のお問い合わせ、こうしたものにきめ細やかに対応する相談体制の強化、これが非常に求められているというふうに思います。また、地上デジタルテレビ放送を視聴するための具体的な作業、手続に関する認知度はまだ低い。さらに、具体的なデジタル化への対応情報に関する周知広報が、されていると思うんですが、さらに今後必要になってくるというふうに思っております。

 国民生活に密接に関連する地上テレビのデジタル化は、国民の皆様の理解がなくては実現はできないと思っております。そこで、なぜデジタル化に完全移行するのかについて、国民に対してより一層丁寧に、わかりやすく説明を行っていくべきと考えます。アナログが見られるのだからこれでいいという方も中にはいらっしゃいます。

 そこで、国民がデジタル放送に対応するために必要な情報を的確に伝えていく、このことへの取り組み、相談体制の強化等について、大臣のお考えをお伺いいたします。

原口国務大臣 古屋委員におかれましては、特にアレルギー疾患対策を求める全国運動をなさって、大変な成果を上げていただきました。私もアレルギーがあるものですから、この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。

 やはり、そのときの運動の御知見をぜひ教えていただきたいんです。一つ一つの知識、なぜデジタル化しなきゃいけないか。それは、双方向にもなるし、希少な電波を有効に活用できる。だけれども、こういったことを言っても、なかなかすべての人にはわかるわけではない。やはり、アドボケートする、かわりにだれかがこうだよと言ってあげる、そういう地域のきずなや人と人とのきずなの中から普及をしていかなきゃいけない。

 とはいえ、もう後ろが切れていますから、これは二〇一一年の七月ということで、そこで停波を延ばすという選択肢はなかなかないんですね。ですから、今お話しのように、円滑な相談体制や説明、それから、やはりこれは国民運動にしていかないかぬのかなと思っています。

 これは、行政が、いろいろな人たちがデジサポを手伝ってくださっています。これをさらに広げていくためには、認知度を深める。それから、何を買えばいいかというのは、これは高齢の方だけでなくて、やはりわかりにくいですよね。そういったものも丁寧に丁寧に説明していくということが必要だと思いますので、ぜひ、アレルギーのとき、すごいですよね、それを教えてください。私もおかげさまで、じんま疹、このごろ出なくなりました。お礼を込めて申し上げたいと思います。ありがとうございます。

古屋(範)分科員 冒頭、アレルギーのことに言及されましたので、これは、議員になって今七年目になりますが、議員になる前に神奈川県で約十四万人のアンケート調査を行い、アレルギーの実態というようなものも調査をいたしました。また機会がありましたら申し上げたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 大臣おっしゃいますように、これは国の政策としてデジタル化を進めていくわけなんですが、やはりそこには民間の活力やまた地域の活力、そうした国民全体の運動が必要なんだろう、このように私も考えております。

 そこで、具体的な件に入ってまいりますが、受信機普及への取り組みについてお伺いいたします。

 地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査、先ほどの調査を見ますと、昨年九月の時点における地上デジタル放送対応受信機の世帯普及率は六九・五%となっております。約七割ということなんですが、目標は七二%であったかと思います。若干届いておりません。今後、二〇一一年七月の完全移行に向けて、すべての世帯でデジタル放送が受信できる環境整備をしていくことが重要であります。この受信機の件に関して、さらに取り組みが必要かというふうに思っております。

 公明党も、これまで、円滑な完全移行を目指しまして、特に、低所得者に対するチューナーの配布、また受信障害地域の解消を求め、国民への一層の普及促進に取り組みを重ねておりますが、さらに低廉な価格のチューナーが普及しやすい環境を整備すべきと考えております。現在、デジタル受信機の低廉化、多様化は進んでいると思います。デジタル受信機の早期購入を促進するためには、国民が早く購入したい、こういうインセンティブを持つような政策が必要であります。

 そこで、前政権で立ち上げましたエコポイント制度、これを活用したデジタルテレビ普及促進、あるいは低所得者への受信機購入等への支援の強化が求められております。このことをまずお伺いしたいと思います。

 また、デジタル受信機の普及について、これも都道府県別の状況を見ました。そういたしますと、一番高い奈良県では七八・四%となっておりますが、一方で、一番低い岩手県では五五・二%。二三・二%、かなりの差が地域によってあるということが明らかになってまいりました。こうした特に普及率が低い地域ですね。残された期間で、岩手県においては残された約半分ということになりますが、デジタル化対応を行うために、他地域よりもこうしたおくれている地域こそ促進をしていく必要がある、このように考えますが、地域格差を踏まえた取り組みについてお伺いいたします。

内藤副大臣 幾つか御質問をいただきましたので、ちょっと短時間、走るようになるかと思いますが、お答えさせていただきたいと思います。

 まず、エコポイントについてなんですが、前政権で始めていただいたエコポイント、その効果もありまして、順調にテレビが販売をされております。それをさらに継続していきたいということで、今御審議をいただいております来年度予算案の中に、九カ月、つまりことしの十二月まで延長させていただき、そしてさらにテレビの普及率を高めていこうというふうに考えているところでございます。どうか予算案の審議、よろしくお願いを申し上げます。

 そしてまた、やはり経済的弱者への配慮も、おっしゃるように大変重要でございます。今年度の予算案では六十万世帯の経済的弱者を中心にチューナーの無償配布並びにアンテナの工事を無償で行わせていただいておりますが、二百七十万がその対象でございます。全世帯が五千万ということを考えると五%に相当する世帯、そういった世帯の方々にしっかりと手を差し伸べるような、そんな対策も全力で進めていきたいと思っております。

 そしてまた、先生御指摘の、地域によっていろいろばらつきがあるということもございました。今後、やはりきめ細かな説明だとか相談体制を強化していかなきゃいけないと思っております。そういった中で、平均値的なこれまでどおりの説明会なり相談会を続けるのではなくて、めり張りのある、具体的に言えば地域の特性を踏まえた説明会あるいは相談体制を進めていくことで、さまざまな格差だとか、そういった問題に対処をしていきたいというふうに思っております。

 先生御指摘のように、残念ながら、今岩手県はデジタルテレビの普及率が大変劣っているわけでございますので、そういったことも勘案をして説明会あるいはまた御理解を求めていきたいと思いますし、また、さきの質問でも出ておりましたが、辺地共聴とかさまざまな問題を抱えている地域、それぞれでございます。そういったそれぞれの地域に特化した説明会を開催していく中で御理解を深めていきたいというふうに考えております。

古屋(範)分科員 エコポイント、これは経済的効果は非常にあるというふうに、特に家電の販売に関しましてはすそ野の広い産業でありますので、ぜひこれは推進をし、また使い勝手もよくしていただきたいと思っております。

 私も、エコポイントの申請を先日行ってみました。結婚して今二十四年たつんですが、二十四年使った冷蔵庫が壊れまして、すごく物もちがいい方なんですが、購入をいたしまして、その申請を自分でやってみまして、家族で何がいいか話しながら、食べ物で、では牛肉と海鮮ということで、非常に楽しみに使える制度ですので、ぜひこれも促進をしなきゃいけないというふうに思っております。

 また、地域間格差につきましては、かなり顕著な結果が出ておりますので、やはり高齢化率ですとか、あと中山間地域、そういった地理的な要因等々もあろうかと思います。ぜひ、おっしゃるようにめり張りのきいた、重点化した施策をこれから打っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

内藤副大臣 実は私も、最近冷蔵庫を買いかえまして、エコポイントを申請しました。本当に、その経験上、添付をする書類に書いている番号、なぜこんな長い番号をまた記載しなきゃいけないのか。やはり高齢者の方々はそこはちょっと間違えるだろうなということで、実際、多くの方々が不備で差し戻されております。

 ということで、継続するに当たっても、やはりできるだけわかりやすい、簡素な形態に変えるようということで問題提起をしました結果、来年度から継続するに当たっては、添付する書類に記載されているものはわざわざ申請していただく方に記載をしていただくことがないよう、そういった配慮もさせていただいていることをあわせて申し添えさせていただきます。

古屋(範)分科員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 次に、地デジ完全移行に向けて、政府は、今も言及をなされましたが、受信に必要なチューナーの無償支給ということで、これをNHKの受信料全額免除世帯に拡大するということで、現在、無償給付の申し込みが続いております。この事業初年度の二十一年度は六十万世帯への配布が目標でありましたけれども、昨年の十二月二十八日の申込期限が迫っても、目標の八割、約五十万世帯にとどまっておりました。そのために、申込期限を本年二月二十六日までと延長されましたが、その期限ももうあしたとなっております。

 この無償配布の対象、約二百七十万世帯でございますが、この達成の見込みはいかがか。

 そして、無償配布の対象者である生活保護受給世帯、これ以外の、障害者などいらっしゃる住民税非課税世帯、あるいは社会福祉事業施設入所者などに対して、どのように支援制度の情報提供を行うかが大きな課題であります。これらの方々に対して、情報が確実に提供されますよう、効果的な情報提供の方策を講じる必要があると考えます。

 この効果的な周知、支援の施策についてお伺いいたします。

原口国務大臣 今、昨年十月一日から受け付けを開始して延長したというお話ですけれども、本年二月二十二日現在で約六十二万件の申請書が届いておるところでございます。引き続き、さらに支援を必要とする方への周知の徹底は、おっしゃるように、とても大事です。

 ですから、具体的には、テレビ等を通じて行うほか、自治体、障害者団体の御協力をいただいて実施をしておりまして、本年度以降の支援に当たっても、さらに取り組みを強化していきたいというふうに思います。

 私も時々テレビに出させていただくので、地デジの推進の時間をとってくれるといいなと思っていますが、番組内容に私たちがとやかく言うわけにはいきませんので、ありとあらゆる媒体を使って周知徹底をしていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。

古屋(範)分科員 ぜひ、待つのではなく、こちらから積極的な働きかけ、情報提供をしていただきたいと思いますので、これもよろしくお願いいたします。

 また、先ほども少し触れましたが、高齢者また障害者について、デジタル機器類への苦手意識というものがあろうかと思います。それにより情報内容がなかなか理解できない、デジタル化への対応がおくれがちになっていることが懸念をされております。

 このために、テレビ受信者支援センター、通称デジサポにおいて、これらの方々に対し、必要性、個別な対応方法などを説明し、きめ細やかな対応をされているとは思いますけれども、その際、一般的な情報提供、説明、助言だけにとどまらず、地デジ関連の悪徳商法、そういうものに遭わないような具体的な対応、しっかりと最終的なところまでサポートする体制が必要ではないかというふうに考えます。

 高齢者へのサポートの強化ということについてお伺いしたいと思います。

内藤副大臣 先生御指摘のように、特に技術的な観点で弱者ともいうべき高齢者に対しては、本当にきめ細かな対応が必要だと思います。自治体等とも連携をして対応していきたいと思っておりますが、具体的には、来年度はこのように考えております。

 地域の実情や各世帯の受信状況に応じた個別の相談会を、スーパーや量販店等、生活圏に近い場所で重点的に開催していくこと。

 そして二つ目は、相談会の参加者や電話での相談者に、戸別訪問が可能であるということを積極的に案内していきたいと思っております。そして、その中でいえば、電器店等の協力を得ながら、年間約百万世帯の訪問を予定しております。

 そして三つ目でございますが、戸別訪問に当たりましては、アンテナ設置や調整方法、チューナー受信など受信方法の説明、そしてまた身近な販売店等の紹介等、具体的な対応策も御提示をさせていただきたいと思いますし、また、特に高齢者は悪徳商法にひっかかりやすいというところもありますので、そういったところも十分注意を喚起するなど、きめ細かな訪問あるいは相談体制をとっていきたいと思っております。

古屋(範)分科員 やはり高齢者は、おれおれ詐欺を初め、私たちもこういうものの規制を考えれば考えるほど、それ以上の悪徳商法というものが出てきて、これから完全移行に向けてここが非常に懸念をされております。

 ぜひ、より一層の注意喚起をお願いしたいと思いますし、スーパー、量販店での相談というのは非常にいいことだというふうに思っております。また、そうした戸別の訪問、これは大事ですし、またそれが悪徳商法に利用されないように、ぜひこの辺も正確な情報提供をお願いしたいと思っております。

 次に、地上デジタル放送の難視聴地域への対応について、少し細かい質問で恐縮なんですが、してまいります。

 地デジ放送への完全移行化後も現在のアナログ放送受信可能地域を一〇〇%カバーしていくというために、各放送事業者は今、中継局の整備を進めております。しかしながら、総務省が本年一月二十九日に発表いたしました地デジ難視対策放送対象リストの策定状況では、アナログ放送が終わる二〇一一年七月の時点でも地デジ放送の受信できない難視聴世帯が、東京都で百七十九世帯、また栃木県で二千五百五十九世帯、そして神奈川県が二千六百六十九世帯、合計で五千四百七世帯あるということがわかっております。

 特に、私は横須賀市に住んでおりますが、鎌倉市におきましては、こうした一部の地域で電波が届かない。また、中継局建設にも、古都でありますので、景観保護のために待ったがかかる。地デジ難民が発生しかねない状況であります。一昨年十月に、このままでは全世帯の一割に相当する五千から七千世帯にテレビ電波が届かなくなると予測数字が報告されたほどであります。

 三方を山に囲まれた地形の鎌倉では電波が届きにくいため、国と放送事業者でつくる関東広域地上デジタル放送推進協議会が、山頂にデジタル中継局を建てる解決案を示しました。しかし、この建設予定地は、古都保存法に基づき鎌倉市が定める特別保存地区に指定されているために、鎌倉市は新築の建物を原則として認めておりません。鎌倉市では規制地区外で建設地を探すよう求めておりますけれども、山間部の大半が規制区域でありまして、別の候補地を見つけることは困難というふうに言われております。

 世界遺産登録も目指している鎌倉市からは、地上デジタル放送への完全移行に伴う難視聴対策につきまして、地形的な要因やこうした歴史的風土を損ねるために工作物等を設置できない難視聴地域に対する中継局の整備、またケーブルテレビ活用等への助成など、難視聴世帯を解消するための対策を講じてほしいとの御要望をいただいております。

 これに対しまして、総務省の早急な対応が必要と思いますが、いかがでしょうか。

山川政府参考人 先生御指摘のとおり、鎌倉市の市街地で、地形的な要因とかあるいは放送電波の特性等の違いにおきましてデジタル難視の状況が発生しております。

 同市内はケーブルテレビが提供されておりまして、おおむね五〇%の方が御加入いただいているんですが、私どもで調査をいたしました結果、個別受信をされている約五千世帯ぐらいの方々の難視が特定されておりまして、地デジ難視地区対策計画に掲載いたしまして、現在対策を検討しております。

 先生御指摘のとおり、放送事業者が鎌倉市内に新たなデジタル中継局を整備したいということで、鎌倉市と連携して検討を進めてきたんですが、当初希望いたしました衣張山という東側の山を考えたんですが、古都保存法に基づく歴史的風土の特別保存地区ということでございまして、これがなかなか難しゅうございました。そこで、現在、鎌倉市役所の屋上に中継局を整備する方向で調整を進めさせていただいております。

 ただ、鎌倉市役所の屋上に中継局を整備した場合でも、山から送りますとかなりの部分カバーができるんですが、市役所の場合には約千七百世帯の難視が残ると私ども推定をしております。

 この対策といたしまして、放送事業者及び関東総合通信局は、地元の自治体と連携いたしまして、ケーブルテレビによる解消を検討しておると伺っております。

古屋(範)分科員 新たな候補地が見つかって一歩前進とは思うんですが、それでもまたこうした世帯が残ってしまうということですので、さらにそこのところはぜひ自治体と、また住民とも協力をしながら、こうした難視聴世帯、これがなくなるように最後まで努力をお願いしたいというふうに思っております。

 それから、もう一地域、三浦市というところでも難視聴地域が残されております。

 三浦半島の先端に毘沙門という地域があるんですが、ここは目の前に海が広がっておりまして、また、そこには周りが小高い山があるということで低層地域、盆地となっておりまして、非常に地形的な要因なのか、ここは電波が届かない地域であります。

 三浦半島という、漁業が盛んな地域であります。であるからこそ、気象ですとか防災など、こうした生活に必要な情報が非常に重要であります。着実な送受信環境の整備が求められております。

 そこで、この三浦半島地域の難視聴対策についても、ぜひ国が責任を持って対策を講じていただきたいというふうに思っております。

 また、特に新たな難視聴となる地域については、中継局の増設あるいは共聴施設のデジタル化改修等において住民負担、市町村負担が生じないよう、三浦市も非常に財政的に厳しい市でございますので、財政支援措置の一層の充実を図るべき、このように考えますが、いかがでございましょうか。

山川政府参考人 御指摘のとおり、三浦市の毘沙門地区等六地区の七百二十世帯におきまして、新たな難視地区ということが実態調査により特定をされてございます。この地区につきましては、放送事業者と私どもの関東総合通信局が、昨年の十一月の六日に、地元の三浦市への難視聴の状況や今後の対策につきまして説明を実施させていただきました。

 今後、放送事業者等がこれら地区の最適な対策につきまして検討を進め、本年中に三浦市や住民に説明し、理解と協力を得て具体的対策がつくられるよう努力をしてまいりたいと思います。

 また、こうした具体的対策につきましては、先生御指摘のとおり、できる限り住民の負担を低減させていただきますよう、国といたしまして財政支援措置を設けております。

 具体的には、辺地共聴施設の新設につきましての補助、これは三分の二の補助を今実施させていただいておりますが、これに加えまして、御審議いただいております二十二年度の新規予算につきまして、個別受信対策といたしまして、高性能等アンテナ対策、補助率三分の二でございます。それからケーブル等の加入対策、これは定額補助でございます。上限三万円を予定しておりますが、こうした財政支援措置を拡充してまいりたいと思っております。

古屋(範)分科員 高齢化の激しい地域でもございます。ぜひ、そうした住民負担あるいは市の負担、こういうものが少しでも少なくなるよう、また地デジ難民が発生しないよう、よろしくお願いいたします。

 それから、アンテナの改修につきましてお伺いをしてまいります。

 受信機を買いかえたとしても、アンテナの改修という問題が残っております。地デジに対応したテレビは六割以上の世帯に普及しているわけですが、今後、個別のアンテナ工事を必要とする世帯は、この方法でテレビを見ている約二千万世帯のうち約四百万世帯あり、さらに受信障害対策共聴世帯約六百二十万世帯のうち、アンテナでの個別受信への移行世帯が約四百三十万世帯、合計八百三十万世帯の工事が必要となってまいります。

 こうしたアンテナ、受信設備の切りかえを呼びかけ始めたのは昨年になってからで、テレビの購入だけでなくアンテナ改修工事まで必要な地域がある、この認識が十分徹底されていないというふうに考えます。

 どの地域でアンテナ改修が必要か、また費用を安くするための方法など、こうしたきめ細かい対応が必要と思いますが、いかがでございましょうか。

原口国務大臣 大事な御指摘ですね。

 本当に、今までVHFアンテナで受信していた首都圏、関西圏というところは、UHFにかえないといけないんですね。それが、今委員がおっしゃったような世帯がおられる。そして、ビル陰が想像以上に進んでいないんです。計画まで入れて五割以下ということで、今後、共聴施設デジタル化加速プログラムというのを早急にまとめて、対策を強化することにしております。

 また、アンテナ工事、これはエコポイントがつきますので、積極的に周知徹底をしてお願いをしてまいりたい、こう考えております。

古屋(範)分科員 ありがとうございました。

 地上デジタル放送移行へのさらなる施策の推進を求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

三谷主査代理 これにて古屋範子君の質疑は終了いたしました。

 次に、大谷啓君。

大谷(啓)分科員 民主党の大谷啓でございます。

 まず、原口大臣、内藤副大臣におかれましては、総務省にかかわるさまざまな分野で新政権の新しい取り組みで精力的に活動されておりますことに敬意を表したいと思います。

 きょうは、予算委員会の分科会ということでございますので、若干細かい質問も含まれると思いますが、ぜひ御答弁をお願いいたします。

 きょうは、主に三点、一つは地域主権改革に向けた取り組みについて、もう一つは、先ほど古屋議員からも質問がありましたが、地デジ対応に関する取り組みについて、最後に、これからの成長戦略の一つでありますICT維新にかかわる政策について、この三点を中心に御質問をさせていだたきたいというふうに思います。

 まず第一点目は、地域主権社会に向けた取り組みでございます。

 私も、去年初当選させていただいて以来、できるだけ地方の声、地元の声をしっかり聞こうということで、私の選挙区は八つの行政区にまたがる選挙区でございますが、それぞれの行政の自治体の理事者などと繰り返し意見交換を重ねてまいりました。

 そこで私も初めてわかったのが、地方の行政の中にいわゆる主体的なノウハウ的なものがかなり欠けているのではないかな。その一つの原因としては、今まで国のありとあらゆる政策について、国から基礎自治体に対して直接何か伝達するというよりも、常に都道府県を介して伝達している。そういう中で、例えば、地方の予算を組むにしても、あるいは財政健全化計画を立てるにしても、すべて、私どものところでいうと大阪府ですけれども、大阪府の府庁にいろいろ問い合わせて、そこにある意味任せっ切りではじき出している、こういう状況があるんだというふうに思っております。

 実際、私の選挙区の中でもかなり財政的に厳しい市町村がございまして、そこでは財政健全化計画を今まさに立てているところでございますが、例えば十年間の財政フレームについて検討しているわけですが、我々が今考えております地域主権、例えばひもつきの補助金をやめて一括交付金化するですとか自主財源をどんどんふやしていく、そういうことは全く考慮されないまま、今の国の形を前提にした財政フレームを立てられる。私は、それに意味がないとは言いませんけれども、今そういう作業をするよりも、我々国の意向に沿った形で彼らが自主的にいろいろな考えをつくり、国の政策に対して意見を言っていく、こういう形をこれからつくっていかなければいけないのではないかな、そのように思っています。

 すなわち、今の地方自治体は、基本的に待ちの姿勢で、なかなか自分たちの考えというのを発せられない。これは、先ほど申し上げましたとおり、今までの都道府県を介したいろいろな情報の流通のやり方を変えなければ、我々が考えております地域主権のビジョンというものが基礎自治体に伝えられないのではないかなというふうに考えておりますが、そのあたりに関しまして大臣のお考えをお聞かせいただきます。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

原口国務大臣 ありがとうございます。

 大谷委員の御指摘は、極めて正しいと思います。待ちであれば、そこから生み出せるものは限られています。みずから主体的に、自立的に行っていく、これがとても大事です。

 大谷委員はシリコンバレーへのICTの投資事業にもかかわっておられますけれども、アメリカで、友人と話すと、半分冗談のようにワシントンから遠ければ遠いほど新しいものが生まれると。これはシリコンバレーで働く人たちの一つの矜持のような言葉になっていると私は思うんですけれども、この間もルース駐日大使ともそんなジョークをしたわけです。つまり、指示を待たないでみずからフロンティアを開拓していく、この気持ちがその言葉にあらわれていると思います。

 私たちは、地域をみずからつくっていくんだという人材育成をしていきたい、こう考えているところでございまして、国の形そのものが大きく地域主権改革で変わる、これは自由の改革であり民主主義の改革だということもあわせて御理解をいただいて、地域独自の力を、創富力を引き出す、そういう変革につなげていきたい、こう思っております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 まさに、今、原口大臣がおっしゃられましたとおり、地域、地方がそれぞれ主体性を持ってこの国を変えていくんだ、こういう姿勢を私どもしっかりとつくっていかなければならないというふうに思っておりますので、ぜひ引き続きの御尽力をお願いいたします。

 あともう一点、これは若干細かい話なんですが、私どもの地元の方からも上がっている話といたしまして、いわゆる地方公務員の給与についての話がございます。

 今現在、いわゆる地方公務員の給与水準につきましては、ラスパイレス指数をベースにした評価が総務省において行われているものと理解しております。そのラスパイレス指数、いわゆる年齢別の構成をうまく合わせて比較して、国家公務員に対しての適正な給与水準というのを地方に求める、こういう考えだと思うのですが、実態から考えますと、これを全国一律に本当にこういう指数が正しいのかどうか、標準化できているのかどうか、そういう疑問もございますし、私どものある市町村の中からは、これから地域主権社会をつくっていくのであれば、ある程度地方公務員に関する給与水準にも自由な裁量をつくってほしい、こういう意見もあるわけです。

 地方の財政が大変厳しい中で、本当に私どもの地元の市町村も相当な努力をされて給与を下げる、あるいは人をスリム化する、そういうことをやっているわけですが、それは決して給与を下げることが目的でもなければ、人を減らすことが目的でもない。できるだけトータルとしてコストをかけずにしっかりとした住民サービスを提供していく、こういう考えだと思います。

 そういう中では、やはり地方の中には、もっと高い給与水準でないといい人材が採れない、今のままの公務員という形であればなかなかいい人材が入ってこない、こういう現状もあるわけでございまして、そういう意味で、これから地域主権に向けた地方公務員の給与水準についてのお考えをお聞かせ願います。

原口国務大臣 これも大谷委員の御指摘、とても大事だと思います。

 いいものにはそれなりのコストがかかる、これは当たり前なんです。その当たり前のことが、もちろん、地域の職員の皆さんの給与については議会を含めた地方公共団体の御判断により決められるものでございます。これは国家公務員もそうなんですが。

 例えば、先ほどの三宅委員のお父様がおられたシンガポールでは、シンガポールの公務員、百人の給与はすごいですね、中には二億を超える方もいらっしゃる。そういう方がいらして国民から文句が出るかというと、そうじゃない。むしろ、それなりのパフォーマンス、それに沿ったパフォーマンスをされているということでございます。

 私は、今、日本を覆っている縮み思考というか、みんながひとしく貧しくと、あるいは賃金の下方硬直性、こういったものも勘案して変革をしていかなきゃいけないと考えておりまして、ラスパイレス指数、今までの政権がいろいろなことを考えていた指数自体についても再考察を加えるという大谷委員の御姿勢は、極めて大事なことだ、そのように考えております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 私は、地域主権に向けては、できることからどんどんやっていく、その中で地域、地方の自立を促す、こういうことが必要だと思います。これから地方との協議の場をつくって具体的な地域主権のマイルストーンを決めていくことになると思うのですけれども、その過程においても、どんどんできることからやっていく、こういう姿勢で臨んでいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、地デジの対応についてでございます。

 先ほど古屋議員の方からもいろいろな質問がございましたが、最後に原口大臣の方から答弁がございました、いわゆる民間での、特にビル陰を中心にした難視聴地域における共聴施設の地上デジタル化について、私も非常に懸念を持っております。

 つい先日も、総務省の方から、いわゆるビル陰の受信障害を避けるために利用している共同施設、これは総務省で管理しているだけで約五万六千カ所、そのうちのまだ二五%しかデジタル化対応していない状況だ、そして、目標のまだ半分にも満たない数だというふうに発表がございました。

 私の地元でも、いろいろな地区地区で地デジ対応に関する問い合わせが来ているような状況でございます。中身を見てみますと、特に共聴施設、ビル陰の共聴施設については、もう十何年も前の話でだれも実態がわかっていない。そもそも、各家庭において、自分のところで今アナログテレビを見られているのが、自分のところのアンテナなのか共聴施設のアンテナなのか、あるいはケーブルテレビから来ているのか、これすら全く各家庭で把握されていないというような状況でございます。

 そういう中で、実際にいろいろなCMを見て、これからデジタル対応だということで地デジのテレビに買いかえても、実は地デジが全く映らない、こういう地域が私どものところでも非常に多くございまして、特にビル陰の問題につきましては、民間・民間の話ですから、なかなか国としても関与し切れない状況だというふうに理解はしておりますが、やはりこれのデジタル化を早急に進めなければ、とても来年の七月時点での完全デジタル移行は難しいというふうに思っております。

 私は、いわゆる受信機についてのデジタル化については大分認識が浸透しているというふうに思うのですが、実際の受信のアンテナの部分についての理解というものが非常に足らない、そういう意味では、各世帯にその認識をどんどん高める必要があるのではないかなというふうに考えておりますが、この共同受信施設の地デジ対応に向けた施策について、具体的に教えていただければと思います。

内藤副大臣 御質問ありがとうございます。

 先生御指摘のように、いわゆるビル陰障害の対策を済ませたものは二五・八%、四分の一にすぎません。そしてまた、計画ありを含めても四八%というのが実情でございます。残り一年五カ月となった今、徹底的にこのビル陰対策を講じていかなければなりません。

 ただ、このビル陰の問題の難しいところは、単に技術的なものだけではなくて、原因者と言われる施設管理者と受信者との協議が必要で、そもそも一体原因者がだれなのか不明な状態にあるところも少なからずある、これがこの問題を困難にしている大きな原因でございます。

 ですから、先ほどの質問でもお答えをしましたが、まずは関係する方々を集めて協議を促進させていただく。このことは改めて言うまでもありませんが、原口大臣の御指示のもと、過日、共聴施設デジタル化加速プログラムを立ち上げるよう私の方に指示がありました、一週間以内にお示しをさせていただく予定ではございますが、その基本的な考え方を簡単に申し上げさせていただくならば、これまで実際二五%が対策をし、さらにまた二十数%が計画段階まで来ている、こういった成功事例を踏まえて分類化をして、そして、このビル陰難視に対しての対策のノウハウ化を早急に進めていき、それを踏まえてめり張りある対応を今後一年間で全力で行っていく、そのことでこのビル陰問題の解消に向け取り組んでいきたいというふうに考えております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。ぜひそのプロジェクトには期待したいところだと思いますが、もう少し実態的な話を申し上げます。

 一番の問題は、実は、デジタル化によってビル陰の問題がクリアしてしまっている、こういう地域がかなり多くあるのですね。そういう意味で、今まではビル陰対策としての共聴施設を介してアナログのテレビが見られていました、ところが、デジタル化したことによって、家にアンテナを立てれば見られますよというところに対して今まで費用を負担していたビルだとかマンションの管理組合、事業者は、本当にもうここから先は全く費用を負担する必要がないんじゃないか。こういう話が、いわゆる住民とその事業者との間での話をややこしくさせているわけですね。さらに、そこで仮に費用負担についてまとまったとしても、住民の一部には、うちはもうケーブルテレビに入っているからその費用負担はしたくない、そういう形で住民の中でも意見がばらばらになってしまう。

 私は、こういう状況が共聴施設のデジタル化対応をおくらせているというふうに思っておりまして、ぜひその辺の本当の実態をしっかりと政府の方でも把握されて対策を講じられたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

内藤副大臣 御指摘のように、本当に、デジタル化によってアナログ時代は障害を抱えていたところが一気に解消してしまうところがある。そういったところに対しては、例えば今までVHFのアンテナしか持たないところは、実はUHFのアンテナでもって個別受信していただくよう理解を求めていかなきゃいけない。あるいはまた、ビル陰難視がすべて解消されればいいんですが、一部分残る場合、これがまた問題でございまして、例えば、今まで百人で対応していたものが、障害がまだ残る十世帯で対応しなきゃいけない、そうなると負担額が当然ふえる。

 そういう問題もございますので、総務省といたしましても、いわゆる利害調整ですとか、まずはその問題の所在を認識していただくと同時に、当事者間の調整を進めるべく全力で対応していきたいというふうに考えております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 私は、これはあくまで個人的な見解ではありますが、実際できるかどうかもわかりませんが、これは最終的には国勢調査のタイミングで地デジ対応についてのヒアリングをするぐらいの覚悟でなければ、来年の七月の完全移行というのは本当に難しいのではないかなと。先ほどの話になりますが、地デジ難民というものが多く発生してしまうのではないかと危惧しておりますので、ぜひ全力を挙げての取り組みをお願い申し上げます。

 あと、それにも関連するんですが、実は今、総務省の地デジ対応云々の話の中で、ケーブルテレビのヘッドエンドにデジ・アナ変換器を置く、それによって当面の間アナログテレビの延命措置を図ろうということについて、ケーブルテレビ事業者への要請あるいは協議が始まっているやに聞いております。私が聞いている話ですと、ケーブルテレビ各社もおおむね賛同しているようなところがありまして、実際、来年度予算について補助金を半分つけるというような形でこれを広げようという動きもあるやに伺っております。

 これは、実は、まだ国民にも知らされていないことでございまして、ある意味、デジタルテレビに買いかえなきゃいけないというのをどんどん促進しながら、一方でアナログテレビをケーブルに入っていればしばらく使えますよという状況になったときに、本当にこれはいかがなものかなというのもありますし、また、ケーブルテレビ事業者からも、そういうことで協力はしたいけれども、今までデジタル化対応するためにぜひうちのサービスに入ってくださいという動きがあった中で、急に営業変換して、しばらくアナログテレビを見られますよという形にもなかなかしづらい、そういう現実的な問題もあろうかと思います。

 このケーブルテレビのデジ・アナ変換に対する施策について、今現在のお考えをお聞かせいただければと思います。

内藤副大臣 先生御指摘のように、実際に、過日、二月の十九日なんですが、各ケーブル事業者に要請をいたしました。暫定的な措置として、平成二十七年三月まで、あくまで暫定的な措置としてデジタル・アナログ変換をしていただくように要請をいたしました。

 その理由は、改めて言うまでもございませんが、何らかの理由で二〇一一年七月までにデジタルテレビを買いかえることができなかった人たちのために、スムーズにデジタル化に完全移行できるようにと。アナログテレビのままでもケーブルテレビさえ契約していればそのまま継続できるという、そういった目的でございます。

 ただ、これを未来永劫続けるわけではございません。あくまで暫定措置としてお願いをするわけでございますし、また、ケーブルテレビ事業者にもコスト負担をかけるわけでございますから、そのために三分の二まで補助できるということで予算額として十八億八千万円を計上させていただきましたし、また、平成二十七年三月に無事終えられるように、その数年前から周知徹底活動も努めてまいる所存でございます。

 以上です。

大谷(啓)分科員 私は、この動きは、政策転換とまでは言いませんけれども、ある意味大きな方針の転換ではないかなと。

 ある意味、ケーブルテレビ自体が国民全世帯にパスを張っているわけではございませんので、国の施策としてメッセージを伝えるというやり方もなかなか難しいかと思いますが、やはり国民全体に知っていただかなくてはならないことではないかなと。当然、これからケーブルテレビ事業者との細かい協議が進んでいくと思うんですが、どこかのタイミングでしっかりと国民にメッセージを発せられるようお願い申し上げたいというふうに思っております。

 続きまして、これも私どもの地域に関することですが、携帯電話のエリア整備についての話でございます。

 実は、平成三年より携帯電話等のエリア整備事業が推進されておりまして、毎年多くの予算を割きながら、いわゆる地理的に条件不利な地域、過疎地ですとか、辺地、離島、そういったところにおいていわゆる携帯電話等の基地局を整備するときに補助金が出されてきた。これによって、いわゆる携帯電話事業者が採算が合わないエリアでも携帯電話がつながるような国の施策が行われたというふうに理解しております。

 先日、総務省の方に聞きましたところ、この施策によってかなりの範囲で携帯電話がつながるようになっていますということだったんですが、実はその一方で、いわゆる地理的に条件不利な地域に該当しない集落、例えば私どもの選挙区で河内長野市というところがあるんですが、これはいわゆるニュータウンと山間部が一緒になっているような市でございまして、そこの特に山間部の集落はなかなか携帯電話がつながらないという状況でございます。しかし、今のエリア整備事業では、この地理的条件不利な地域には該当しないんですね。いわゆる過疎法で定められた過疎地ではない、ほかの法律、政令で定められた地域じゃないということで、そこに対する補助が行われていないという現状でございます。

 こういった地域は、携帯がつながらないと若い人たちがどんどん外に出て行ってしまって、ますますエリア内での過疎、高齢化というのが進んでいる実態でございまして、地元の方からも、何とかしてほしい、こういう声が多く聞かれているような状況でございます。

 今後、この携帯電話等エリア整備事業で、こういった今までの枠組みに当てはまらない地域にもぜひ補助金が出せるような形で進めていただきたいというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 委員が御指摘のように、法制度上は条件不利地域に該当しない、しかし、実際には条件不利地域と同様、もしくはさらなる整備困難性を有する地域があるということを私たちも認識しています。

 したがって、今後、携帯電話のエリア、これは携帯電話の中の社会が一つの社会となっている、インフラそのものになっているということもございますので、エリア整備を進めていく上で、このような地域を国庫補助の対象とできるように地域からの要望等も踏まえて検討をしてまいりたい、こう考えています。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、今後のICT維新、ICT政策についての質問でございます。

 原口大臣も事あるごとにクラウド化、クラウド化という答弁をされておりまして、私も、これまでの仕事でIT系の事業投資、あるいは新規事業開発、そういったものをやっておりました。

 既にもう三年ぐらい前の段階でクラウドコンピューティング、当時はそういう言葉を使わなかったんですけれども、こういう概念が起こりまして、いわゆるシステムをつくる、システムを構築するのではなくて、システムを使うんだと。そういう観点でこれからのICTは変わっていく、そういうふうに理解しているところでございます。

 クラウドコンピューティング化がこれからどんどん進んでいくことは間違いないと思うんですが、日本においてクラウドコンピューティング化によるパラダイムシフト、これは一体どういうところにあると認識されているのか、教えていただけますでしょうか。

原口国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、クラウドコンピューティングは、企業等が情報通信システムを保有することなく、ネットワークを介して必要なときに必要なだけICTサービスを利用するということが可能になってきます。これが起こると、より安く、かつ、迅速にサービスを利用するということが可能でございます。

 特に、今度は韓国に行きますが、ぜひ御一緒できればと思いますけれども、我が国のICT利用形態を大きく変えて、効率的な電子政府あるいは協働教育の実現。医療でも、今私が考えているのは直接医療のワンセット。病院に行ってその医療サービスを受ける、これも一つの今までの形態でしょう。しかし、お医者さんのようなコストの非常に高い人たちにつながらずとも、クラウド化したシステムの中で常時別の人たちがモニターしてくれていれば、もっと違う社会が生まれてきます。

 私は、このクラウド化とともにコンピューターは、昔、LISPという、これはプログラム言語ですが、推論言語を研究していたときがありました。推論化とクラウド化、この二つの方向が日本自体の産業のパラダイムそのものも大変変えていく、こう考えております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。私もその辺は同感なんです。

 あともう一点、ちょっと細かい話になりますが、かつてのメーンフレームの時代から、クライアントサーバー、あるいはASP、そういう形でいわゆるシステムの基盤プラットフォームというのは流れてきました。実は、その中で日本が何でここまでおくれてしまったかというと、さきの委員会でも話をさせていただいたんですけれども、物づくりの観点が全く変わらなかったと思うんですね。せっかくメーンフレームからダウンサイジング化しているのに、ユーザー側は今までのようなメーンフレームをベースにした重厚長大な、要求が何でも満たせるようなシステムを求め、そして、つくる側もそのユーザー側の要望に沿ってしっかりと請負型で物づくりをしていく、この文化が実は日本は全く変えられなかったというのが私は大きな原因なのではないかなというふうに思っています。

 そういう観点で考えますと、実はクラウドコンピューティングの一番の日本にとってのパラダイムシフトは、うまくいかなかったときにすぐにシステムが乗りかえられるということだというふうに私は思っています。というのは、アメリカのシステムなんかを見ておりますと、十億円お金を使ってシステムをつくっても、使いものにならなかったら一年ですぐ捨てて、また新しいシステムを別のベンダーに頼む。実は日本はそれが全くできないで、最初から十年使う予定であれば、もう使いものにならないものでも十年間一生懸命使う、こういう文化が私は日本にあったのではないかなと。

 クラウド化されてきますと、まさにサービスを利用するわけですから、いろいろなベンダーの、いろいろなサービス事業者のサービスがあって、初めこっちを使っていたんだけれども、うまくいかなければこっちに使いかえる、こういう時代になるというのは、私は日本にとっての一番のパラダイムシフトだと思っています。

 そういう意味では、ぜひこれからの霞が関クラウドにしても自治体クラウドにしても、今までの物づくりの発想を変える。これは変えなければ、クラウド、クラウドと言っても全く意味がないという形になりかねないので、ぜひその辺は頭に入れておいていただければというふうに思っています。

原口国務大臣 大事な御指摘ですよね。例えば、旅行に行くときのスーツケース、あれは箱と同じですね。壊れればすぐ取りかえる。まさにコンピューティングもそうで、何でもかんでもフルセット、そして、いつまでたってもレガシーを使わなきゃいけない。レガシーをフルセットで使うことのコストと、常に新たなものに乗りかえていくそのコストと比べれば、もうはっきりしているわけです。

 そういったものをしっかりと、今の委員の御指摘を踏まえながら、これはスピードが大事ですから、そして今までの古い利権だ何だというものにとらわれずに、積極果敢にクラウド化を進めてまいりたい、こう考えています。

大谷(啓)分科員 そういう中で、まさに全世界のICTがクラウド化していく中で、我々も国際競争力を持たなければいけないですし、この市場の中で成長していかなければならない、経済発展していかなければならない、そういうふうに思っています。そういう観点で考えたときに、今総務省の中でのいろいろな研究会でも、このクラウドの市場に対してどうしていくのか、そういう議論が進んでいるというふうに理解しておりますが、その根本的な国策ですね、どこでもうけていくのか、要はどういう観点でこの市場で成長させていくのか、それについてのお考えがあれば教えていただきたいと思います。

内藤副大臣 もう先生御存じのことだと思いますが、我が国のインフラ整備状況は世界でトップ。ところが、ICTに関する国際競争力となると、何と二十位に一気に下がってしまう。その理由は、まさに利用、活用が進んでいないというところでございます。そういったときに、このクラウドコンピューティングというのは、さまざまな解決策を我々に提示してくれるんだと思います。

 一つは、よく割り勘効果と言うんですが、低廉にそのサービスを提供することで、例えば今まで資金力の少なさからなかなかICT化が進んでこなかった中小企業だとか小さな病院、そういったところのICT化もどんどん進んでいくだろう。そして、さらにまた、これは特に私のもとで自治体クラウドの研究を続けておりますが、来年度、予算が通過すれば実証実験を開始させていただきますが、低廉のみならず、例えばデータロックインを許さないだとか、いろいろなことでデータの格納の仕方を統一化します、中央集権的に。そのことによって情報の共有が進んでいきます、そのことによって行政の効率化がさらにアップするだろうことが期待をされていきます。

 そのように利活用をどんどん進めていくことで我が国の国際競争力を強めていく、これが私たちの考えでございます。

池田主査 原口総務大臣、簡潔にお願いします。

原口国務大臣 二〇〇五年までは世界一なんですよ。その後はファンダメンタルのところもずっとおくれていて、ファイバー・ツー・ザ・ホームは三割。だから光の道と言っているわけで、利活用といった瞬間に各省縦割りの中に落ち込んでしまいます。ですから、私たちは、まだ総合的にこのICTの戦略を練る段階にあると考えておりますので、よろしくお願いいたします。

池田主査 大谷君、申し合わせの時間が既に経過しておりますので、御協力をお願いします。

大谷(啓)分科員 もう終わりますが、国策のところについては、私は、これは実は空港問題と一緒だと思っています。今のままではデータがどんどん海外に流出する。私は、日本にデータハブ、データセンターハブをつくるというのがこの世界における国策だというふうに考えておりますので、ぜひ、経済産業省の絡みもあると思いますが、一体となって力を尽くしていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

池田主査 これにて大谷啓君の質疑は終了いたしました。

 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時五十七分開議

三谷主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 主査が所用のため、その指名により、私が主査の職務を行います。

 質疑を続行いたします。皆吉稲生君。

皆吉分科員 民主党・無所属クラブの皆吉稲生でございます。

 うかつにも風邪を引いてしまって、声がちょっと聞きづらいかと思いますが、御容赦をいただきたいと存じます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 政権交代によって、国民が大きく新しい政治に期待をいたしております。私の地元も大変な格差の中で本当に厳しい状況に置かれておりますが、何とか変えてくれ、こういうひしひしとした声が今渦巻いております。その期待に本当にこたえていかなければならない、その決意をさせていただいているところでございます。

 最初に、選挙区内で約二百人を雇用されて事業を営んでおられる社長さんが業界紙に掲載をされましたコラムの一部を抜粋して御紹介させていただきます。

 一月二十九日の鳩山首相の施政方針演説に時代のパラダイム変化を感じました。その中で、企業に求められた課題として、一つ、雇用を確保し、失業者を孤立させないこと、二つ、社会的存在として地域社会に貢献する日本型企業モデルを構築すること、そして三つ、新しい公共に参画する人々を支援することにより、自立と共生を基本とする人間らしい社会を築くことなどなどありますが、その目指すべきゴールは私たちが目指します経営品質の目標と同じものであり、感動を覚えました。本年は、激動する社会の環境に対応すべく、我が社の経営品質活動をより深化させたいと考えております。そして、二〇一一年の鹿児島県経営品質賞へ再び挑戦する決意であります。

 このように結んでおられます。

 まさに、この社長が書かれておられますように、むき出しの利潤追求型のぎすぎすとした社会ではなくて、共生の理念のもとに、モチベーションを高めつつ、企業に、ひいては社会に貢献していく社会のありようを求めていくべきだと私も同感をしたところでございました。

 このような観点から、本日は、ILOの第九十四号批准問題、公契約をめぐる問題、そして最後に、私の地元で今事件が発生をしまして、首長の違法、脱法行為に対する政府の対応などについて質問をさせていただきます。

 まず最初に、我が国が、ILOに対する分担金及び任意の拠出金などを含めて、どのような割合で拠出をされておられるか、御質問をさせていただきます。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇〇九年におきまして、一六%でございます。

皆吉分科員 今お答えいただきましたように、これは近年率が少し下がっているようですが、かなり高い出資比率を保っておられます。アメリカに次ぐ高い比率をキープしてこられた、そんなふうに思っています。しかし、政府としてのILOへのアプローチが極めて希薄ではないかな、そんなふうに感じております。

 逆に、公務員の労働問題や国鉄問題、そういった課題などで勧告を受けたり、あるいは条約の批准について極めて消極的ではないか、そんなふうにも感じているところでございます。しかし、これは長い自民党を中心とする政治が続いたことから、ある意味では当然のことか、そんなふうに思っています。

 しかし、政権交代が起こりました。また、世界は、巨大資本が席巻をするグローバリゼーションの渦の中にございます。ボーダーレス化の中で、安い労賃を求めて企業はどこにでも進出をしていくという状況です。国内の産業の空洞化も顕著な状況です。

 日本の立場からしますと、ILOにもっと政治的に積極的にアプローチをして、経済活動におけるグローバルスタンダードに対応する労働におけるグローバルスタンダードを構築していくべきだと考えておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘がありましたように、第二位というパーセンテージという現状になっておりますが、我が国は、ILOの趣旨に賛同し、ILOの創設とともにその加盟国となり、ILOの諸活動に積極的に協力をしてまいりました。

 一般的に個別のILO条約の批准については、それぞれの目的、内容、我が国にとっての意義を検討する必要がございます。その上で、国内のコンセンサス、世界世論も勘案し、批准することが適当と考えられるものについて、国内法制等との整合性を確保した上で批准することとしております。

皆吉分科員 ありがとうございます。

 そこで、少し具体的な課題ですが、いわば公共事業など政府発注の事業で、地方から聞こえることは、子請、孫請で事業主も雇用者も泣かされてしまっている、そういう状況がございます。政府が率先してできるのは公契約における適正な基準を定めていくことではないか、そんなふうに考えています。

 公正な社会をつくっていくというその方向を見定めながら、まずは、公契約における労働条項に関する条約でございますILOの第九十四号条約批准についての見解をお伺いいたします。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 ILO九十四号条約や、いわゆる公契約法は、国や地方公共団体の発注する公共の仕事に従事する労働者の賃金を初めとする労働条件を一定以上の水準となるように規制しようとしているものでございます。

 賃金等の労働条件は、最低基準である労働基準法や最低賃金法などを守ることは当然でありますが、その具体的なあり方は労使間で自主的に決定されることが原則だと考えております。

 いずれにしましても、公契約における賃金等の労働条件のあり方に関しては、発注者である国の機関や地方自治体も含めて幅広く議論を進めるべきだと考えております。

皆吉分科員 この九十四号の問題、まさにその前文に書かれておりますが、いわゆる事業主は賃金に食い込もうとする誘惑にかられる、そのことが結果として労働者を厳しい状況に追い込んでいる、そんなふうに思っています。

 そうした意味で、次の質問ですが、昨年五月成立をしました公共サービス基本法のうち、第十一条、公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備の項につきましては、どのような背景からどのような趣旨で盛り込まれていったのかをお答えいただきたいと存じます。

原口国務大臣 皆吉委員にお答えいたします。

 これは、私は野党時代、起草者の筆頭としてやらせていただきました。当時の民主党案では、基本法第十一条は公共サービスの実施に従事する者の、現行は労働環境の整備となっていますが、権利の保障という形になっておりました。それで与野党で、当時の野党、私たちは野党だったわけですけれども、いろいろなお話をして、そしてこの条文に落ちついているわけです。

 民主党としては、当時の私どもの考え方とすると、しっかりとした公共サービスを国民に保障するためには、そこに従事する皆さんの権利、働く労働環境を整備し、安心して働く、そのことが質の高い公共サービスにつながるんだ、こういう考え方で条文の原案をつくったわけでございます。

 結果としてこのような条文になっておりますけれども、趣旨は、まさに公共サービスの実施に従事する者の労働環境の整備が、安全かつ良質な公共サービスの確保にとって重要であるという考えを背景に、この条文になったところでございます。

皆吉分科員 ありがとうございます。

 大変深い議論がされたもの、そんなふうに認識をさせていただきます。そういう意味では、今大臣のおっしゃった法の趣旨がしっかりと生かされていくということが大事だと思います。

 法施行後、昨年の五月ですので、まだ大変新しい法律でございますが、その具体化に向けてどのような取り組みが行われてきたのか、また、その効果はどのようにあらわれているのかをお伺いしたいと存じます。

原口国務大臣 特に地方の公務に関して言うと、多くの皆さんがこの基本法を中心に条例をつくってほしいというお話をされておられました。

 これは総務省としたら、各地方自治体に指導助言をする立場から、この法の趣旨をしっかりと御説明を申し上げ、そして、国家公務員の給与や地方公務員の給与、勤務時間等のまさに勤務条件の決定、そこでも情勢適応の原則に基づいて、人事院が適正な勤務条件を確保するための勧告を行う制度がございますけれども、さらに、国家公務員、地方公務員の最近の取り組み、育児休業の範囲の拡大や超過勤務の縮減、あるいは、総務大臣に就任をさせていただいたときも、一番最初に、職員の皆さんの心身の健康、メンタルヘルスの防止策といったことについてもお話をさせていただいたわけでございます。

 また、これに加えて、非常勤あるいは現業職員、そういう皆さんの処遇の改善等についても指針を示し、そして、さらなる公共サービスに従事する皆さんの権利保障、あえて私は大臣として権利保障と申しますが、そこに下支えをしてまいりたい、こう考えているところでございます。

皆吉分科員 ありがとうございます。

 原口大臣の大変強い熱意を感じさせていただきました。

 ただ、この法律が国及び地方公共団体の努力義務を定めた条文であるということ、そういう意味では、同法の求める目的というものが達成できるのか、一定の限界があるのではないかということを感じているんですが、その辺はいかがでしょうか。

原口国務大臣 むしろ、限界というより、こういう法体系になっているんですね。公共サービスにおける国民の権利を書き込んで、それを中央政府、地方政府、あるいはさまざまな事業体、本来はここに新しい公共の市民公益も書き込みたかったんですが、そこは抜けています。ですから、そういう意味ではまだ限界はあるんですけれども、大きな前進であるし、これは全会一致で通った議員立法でございますので、国会全体の御意思として、公共サービスにおける国会の強い御意思がしっかり出た法律だと私は思います。

 皆吉委員、あとはこの生かし方なんですね。それぞれの公共サービスにおける権利を国民の皆さんが学んでいただいて、そしてそれをどのように保障していくか、あるいは条例にしていくかということは、ひとえに国民の皆さんのお力にかかっている、それを私たち総務省はしっかりとお支え申し上げたい、こう考えておるところでございます。

皆吉分科員 それでは、話をさらに前に進めるような形になりますが、これは大臣、政務三役の皆様は十分御承知をいただいていると思いますが、各自治体で公契約のあり方についてさまざまな議論がされて、そしてまた、かなり先駆的に取り組まれている自治体もございます。千葉県野田市の問題、最近では東京都の江戸川区の問題等々、公契約について、そこでお働きの皆様方の環境を制度としてしっかり支えていこう、こういうものがつくられております。

 また、国に対しても、これらの法整備をさらに充実したものにということで、自治体の意見書などが約八百寄せられている状況でございます。

 これらの動きについて、少しさっきと重なるかもしれませんが、改めて政府の御認識をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 まさにさまざまな、そこに働く人たちの権利を保障し、そして公共サービスの質を高めていこうという動きだと思っています。

 この間も、北海道大学、総務省の顧問でいらっしゃいます宮本太郎先生と、この公共サービスについての議論をいたしました。公共サービス格差がこれ以上拡大しないためには何をすればいいか。それからもう一つは、良質な公共サービスを受けた方々は社会全体に対する信頼が非常に高い、なおかつ参加意識も高い。こういったことを醸成していくために、各自治体の取り組みを助言やあるいはさまざまな支援という形でこれからも見守りながら拡大を図ってまいりたい、こう考えておるところでございます。

皆吉分科員 ありがとうございます。

 今技術的な支援、助言などを行っておられる、そういうふうにお受けとめをさせていただきましたが、ただ、自力で自治体で頑張ってやろう、そういうところはかなり高い見識をお持ちの首長さんなどが旗を振ってやっておられる、こういうふうに思います。しかし、全体にそれが浸透していくかというと、なかなか困難だろうと思っています。

 そういう意味では、国として、国が発注をする公共事業に対する公契約の法律をつくっていこう、そういうお考えはないのか。今、議員の先生方でも具体的に法案を出していこうという動きがあることもお聞かせをいただきましたが、それらを含めて、大臣としての決意をいただきたいなと思います。

原口国務大臣 さまざまな政府、中央政府、地方政府が発注をする公契約について、例えばトライアル発注、そこに今まで実績がないんだけれども、さまざまな挑戦をする方々が発注できる、あるいは、一定以上の地域に貢献をする企業が受注できる、そういう形を、私たちは議論をずっとしてきたわけでございます。

 公契約のさまざまなありようについても、今委員の御指摘を受けて検討をしていきたい、こう考えておるところでございます。

皆吉分科員 私の最も尊敬をする原口大臣の方から大変心強いお話をいただきました。私も手伝えるものなら、こういう思いでございますので、一緒にそのことを具体的に議論させていただき、お手伝いができたら、そんなふうに思っておりますので、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 実は、私の出身の県でありますし選挙区内でもございます鹿児島県の阿久根市における職員の懲戒免職事件について、政府の考え方をお聞きしたいと思いますが、もとよりこの件につきましては、司法の場で係争中でありますので、一般論としてお答えをいただいて結構か、そんなふうに思っています。

 少し阿久根の現状を簡単に申し上げます。

 人口が約二万四千人、鹿児島県の北西部に位置をする市でございます。農業、畜産、水産業が基幹産業で、一部、金属加工とか、あるいは京セラさんの下請などマイクロチップの関係企業などがございます。そういうのどかな、いわば農村地帯でございます。

 この地域が実は急速に今疲弊をしてきているという状況があります。もちろん、第一次産業が衰退をしているという状況、さらには、地域的な問題として、新幹線の開通によって在来線が第三セクターの経営となりました。従来は特急がとまっていた駅に特急がとまらなくなった、便もどんどん少なくなってしまった、そういう状況です。さらに、高速道路など高規格道路も建設が遅々として進まずという状況にあります。まさに陸の孤島みたいな、そんな状況になってしまっています。

 そうした中で、地域がどんどん厳しい状況の中で、改革派市長として今の市長は登場されました。市民の大きな期待があったというふうに思っています。しかし、残念ながら、市民に対して、あるいは市の町おこし、そして地域づくりに本当に汗をかくという姿ではなくて、住民と職員との分断を図って、そして職員の賃金が高い、だから阿久根はだめだ、そういうキャンペーンを張られて、結果として職員と対立をし、あるいは議会と対立をし、あるいは市民同士の対立が起こってしまっているというのが今の現状です。こうした中で、一回議会の不信任によって免職になりましたが、再出馬をして再選をされたところでございます。こうした中で、職員への不当な処分が横行をしてしまっている。

 これらの一連の事件について、総務省として事件の詳細について把握をしておられるか、まずそこをお聞きしたいと思います。

小川大臣政務官 先ほど来より、委員の公務、またそこに携わっておられる方々への大変熱い思いをお聞きしながら、質問をお受けしておりました。

 委員のお地元でのさまざまな、事件と言ってよいのか、話題については、報道等を通じて、また適宜必要に応じて、しかるべきルートを通じて、事件の概要については把握をしておるつもりでございます。

皆吉分科員 極めて異常な事件だ、そういうことを言わざるを得ないということであります。

 庁舎内に職員の給料を張り出した、その張り出したものをはがしたために懲戒免職、本当にひどい処分だな、そんなふうに思っていますが、今そのことについては、当該の労働団体やあるいは地域の住民の方々、議員さん方がさまざまな形で取り組みをされています。

 司法の場で、昨年の十月の二十三日、その職員の身分を保全するための仮処分が鹿児島地裁で決定をしました。そして、昨年の十二月七日、その市長が福岡高裁宮崎支部に対して抗告をしていたものが棄却をされました。そして最高裁への特別抗告を断念されました。そういう一連の中で、本訴については、昨年の十二月の二十五日に結審をして、判決が本年四月の九日に予定をされているところでございます。

 こういう事件の中で、少し詳細に入りますが、これは一般論としてお答えいただきたいと思います。

 公平委員会が身分の回復等の裁決を行って、そして、委員会が審査の結果必要があると認めた場合には、地方公務員法第五十条三項に基づいて、不服申立人が受けるべきであった給与を回復させる等の不当な取り扱いを是正するための指示をしなければなりません。任命権者は、その指示に従う義務を負って、その義務を故意に違反したときには、法第六十条三項により、一年以下の懲役または三万円以下の罰金に科せられるとありますが、このような事例が過去にあったのか、そして、このような事態に対する見解をお聞きしたいと思います。

小川大臣政務官 委員も御指摘のとおり、現在、審査中または係争中の案件でございますので、具体の見解を申し述べることは差し控えさせていただきますことを御容赦いただきたいと思います。

 あくまで一般論として、すべての懲戒処分については公正な見地からなされるべきものでございますし、特に、公平委員会の判断、その指示に故意に従わなかった場合には、懲役または罰金刑が科されるわけでございまして、それほどに職員の身分を保障する重要な権利を公平委員会を通じて担保するということでございます。

 また、過去にこのような事案というお尋ねでございますが、少なくとも現在把握をしております限りにおいては、お聞きをしたことはないなというふうに率直に思います。

皆吉分科員 時間も迫っていますので、最後の質問になろうかと思いますが、この一連の事件、本当に悲しむべき事件だというふうに思っています。そして、これに政府としてどうかかわっていくのか、これは大変難しいテーマだというふうに思っています。

 特に、原口大臣みずから地域主権を掲げ、そしてそれを貫徹しようと大変御奮闘いただいている中で、いわゆる地方公共団体のいわば内部に手を突っ込むような、そんな話になりかねない。そういう意味では、今から申し上げることについては厳に抑制的であるべきだ、そんなふうに考えますが、万やむを得ない場合には、地方自治法第二百四十五条の五の是正の要求を行うことがあり得るのか。違法状態を放置する、そのことを容認するかどうかという本当に難しい判断が迫られるわけであります。

 法治国家たる日本で、一首長が市民の皆さんに選ばれたとはいえ、そういう違法状態を放置する、あるいは故意に法律を守らない、そういった状況が許されていいのかどうかというぎりぎりの判断が迫られると思いますが、これらについて、総務省としての、大臣としての見解をお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 自治体の人事管理は法律に基づき適法な対応がとられなければならない。そして、それに違反をした場合は、今委員がお話しのように、地方自治法第二百四十五条の五で、総務大臣は、担任する事務に関し、市町村長の担任する事務の処理が法令に違反していると認めるときなどは、都道府県知事に対して、当該事務の処理について違反の是正または改善のための必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示することができるとされております。

 これはあくまでも係争中の事案ですから、個別の案件について私が申し上げることは今は控えたいと思います。

 しかし、一般論で申し上げますと、やはり労働者同士を離反させたり、市民同士を離反させる、すべての政治家は、これは国家もそうですけれども、労働者の権利を保障する、これは政治の一番優先する課題でもあるわけですね。そのことを放棄する政治というのは政治の体をなしていない、私はそう考えております。

皆吉分科員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますが、阿久根の問題は、将来、地域主権の中で本当に想定さるべき問題だ、そんなふうに思っています。そういう意味では、総務大臣としても注視をいただきながら、また適切な対応を図っていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三谷主査代理 これにて皆吉稲生君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内分科員 公明党の竹内でございます。遅い時間から御苦労さまでございます。

 きょうは、主に地上デジタル放送の完全移行に向けてということで質問させていただきたいと存じますが、地元を回っていましても、やはり、これに向けて御心配をされる方、大変多うございますので、基本的なところを確認しておきたいと思います。

 私どもの公明党の古屋委員も同じような質問をしておりまして、一部重なるところがありますが、恐縮ですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 もし時間がありましたら、せっかく原口大臣に来ていただいておりますので、お聞きしておきたいこともありますので、ちょっと通告外の質問を一問。

 まず最初に、今申し上げましたように、地上デジタル放送というのは、高品質な映像と音声を受信することが可能で、今や世界の潮流となっているということでございます。双方向サービスとかいうことで、将来的には介護のサービスの申し込みや各種公共施設の予約なども可能で、字幕放送、解説放送、それから音声速度も変えられるなど、高齢者や障害者の方にも優しいサービスであって、国を挙げてインフラ整備を進めていく必要があるということにつきまして、本当に大事な問題であると思っております。

 そこで、地デジの普及状況でございますが、二〇一一年七月二十四日のアナログ放送終了に伴う地上デジタル放送完全移行に向けた、現時点における世帯数における普及目標、並びにデジタルテレビを含めた受信機の普及台数の目標は達成されているのかどうか、達成されていると思うんですが、一応、確認まで見解を求めたいと思います。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきたいと思います。

 最新のデータで申し上げさせていただくならば、テレビの普及目標が、最新のデータというのは二〇〇九年九月、昨年のものではございますが、目標値は七二%であったんですが、達成した実績は六九・五%と、ちょっと下回っているのが現実でございます。

 しかし、その後、委員も御案内のように、エコポイント制度を導入した結果、かなりの勢いでテレビが普及しておりますので、その目標は達成し得ているものと理解しております。

竹内分科員 七二に対して六九・五%であったということで、かなり目標に近づいているわけでございます。

 私どもは、これが押し上げられた要因として、公明党が主張して、我が党の当時の斉藤鉄夫環境大臣が導入したエコポイント制度による支援といいますか、こういうのが大いに貢献したと思うんですが、この点につきまして、総務大臣の御認識を伺いたいと思います。

原口国務大臣 竹内委員には、昔、新進党時代、大変お世話になりました。ありがとうございました。また一緒にできれば、そう思っています。

 その上で、エコポイント制度、これはやはり、正直ありがたい制度ですね。環境対策、景気対策、地デジ普及の前倒しの三つの面で効果が期待されている政策でございまして、これまで着実に効果が上がっている、こういう認識をしています。

 また、そのために、エコポイント制度については、明日の安心と成長のための緊急経済対策により、制度を延長するとともに、制度の改善を実施する予定でございまして、さらに地デジの普及に向けてアクセルを吹かしていきたい、こう思っておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。

竹内分科員 次に、高齢者を初め、アナログ波停止時期の周知徹底とともに、経済的に受信機を購入できない方への国による簡易チューナーの無料配布ということも行われているわけでございますし、UHFアンテナの無償改修というのも行われておると聞いておるわけであります。

 この辺は、前の政権のときに、私どもの前任者等がいろいろ四苦八苦、どうするかというようなことで苦心惨たんして、一つは生活保護世帯、それから住民税非課税の障害者世帯、それから社会福祉事業施設入居者で、なおかつNHK受信料の全額免除の申請手続が必要である方々など、約二百六十万人ぐらいの方々にそういう支援がなされた、こういうふうに聞いておるわけでございます。

 世の中、こういう該当者であっても、時には、NHK受信料そもそも契約していない、追い払っているとか、そういう方も多いようでありますし、そういう方々が、そのままほっておけばいつの間にか見られなくなる、デジタル放送を受信できなくなるというようなことになりますから、やはりきちっと契約をして、その上で全額免除の申請手続をしてもらうように、そういう周知徹底を行うべきではないのかというふうに思うわけでございますが、その辺はいかがでございますか。

内藤副大臣 私から答えさせていただきます。

 これも前政権から始めていただいたことではございますが、NHKの受信料の全額免除世帯を対象に無料チューナーの配布を行っていくわけでございます。実際に手続をして全額免除になっている方々がおよそ百十二万人、まだ手続はしていないんだけれども申請をすればNHKの受信料が免除になる世帯を加えると、およそ二百六十から七十万人が我々が対象とすべき経済的弱者だと思っております。

 そこで、実際にNHKの免除を受けている方々に対しては、NHKから実際、全額免除証明書というものを送っておりますが、それにあわせて周知広報を送らせていただいておりますし、それ以外の方々に対しては、自治体だとか障害者団体等の協力を得ながら周知徹底活動に努めていきたいと思っております。

 いずれにしましても、ことし一年間は徹底してきめ細かな説明なり周知活動を進めていきたいと思っております。

竹内分科員 しっかりやっていただきたいと思うんですよね。やはり、免除になるのにそもそも契約を断っているという方が世の中結構いらっしゃると思いますので、その辺をどういうふうにしていくのか、ぜひきめ細かな徹底をお願いしたいというふうに思います。

 それから三番目に、今度は、受信できない集合住宅の問題につきまして確認をしておきたいと思います。

 直接受信が可能なエリアは九六%を超えていると聞いておるんですが、しかし、地域によっては、デジタル放送が受信できるUHFアンテナが設置されていない、VHFアンテナのみの集合住宅が多数存在しているというふうに伺っております。二百万棟、千九百万世帯というふうな数字も出ておりまして、特に、いろいろ総務省からいただいているデータでも、東京、埼玉、神奈川、千葉、茨城などがこのUHFアンテナの設置率が低い、異常に低いという数字が出ておりまして、これは大丈夫かなと。この原因と対応方針につきまして、ちょっと御見解をお伺いします。

内藤副大臣 先生御指摘のように、集合住宅の共聴施設の整備は、特に南関東において四〇%前後という低さでございます。全国にこういった施設は二百十万あるんですが、全国平均七一%であるということで、大変低うございます。

 その理由は、特に南関東ではUHFアンテナを持たない。ところが、地デジというのはUHFアンテナが必須でございます。それが、特に南関東で整備状況がなかなか進んでいない、高まっていない原因でございます。

 そこで、特に南関東を中心に集合住宅に対しての対応を進めてまいりますが、特に管理組合やオーナー等への周知徹底、働きかけを行っていくと同時に、自治体の広報紙ですとかさまざまな手段を使って働きかけ、あるいはまた、不動産管理会社というものも接点を持っておりますが、そういった方々の協力も得ながら対応しております。

 加えてもう一つ、最近始めさせていただいたこととして、不動産の検索サイトがございますが、そこに地デジ対応が完了したかどうかという項目をつけ加えることで、オーナーの方々に地デジを整備しなきゃいけないという意識を高めてもらおうとも思っております。

 以上です。

竹内分科員 意外なデータが出ておりまして、これだけの、日本の首都圏の最も進んでいるはずのところで四〇%ぐらいしか集合住宅で対応されていないというのは、非常にびっくりするような話で、突如これは騒ぎになって混乱する可能性もありますし、この辺はしっかりと対応していただきたいと思うんです。

 私の地元京都でも、意外に極端に低うございまして、何と二九・四%ということで、それで私もここへ来たわけなんですが、今後、京都につきましてはどうしていくのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

山川政府参考人 先生御指摘のとおり、昨年九月末時点の京都府における集合住宅のデジタル化対応率は、二九・四%でございました。

 対応がおくれている理由でございますが、京都では南関東と同様の理由がございます。すなわち、地デジ受信用に新たにUHFアンテナを設置あるいは調整を必要とする場合があるためと考えられます。

 アナログ放送では、京都の場合、大阪局、これは生駒のアンテナでございますが、このVHFアンテナと、それから京都局、これは比叡山にございますが、こちらのUHFアンテナの二本を、それぞれの方向に向けて視聴している場合が多いと我々考えております。デジタル放送になりますと、当初、大阪の生駒山からの電波をUHFアンテナで受けるということを私どもは考えておりました。市内の一部でケーブルテレビがデジタルに対応しなかったという場合もあるんですが、このアンテナ問題が非常に大きな問題ではなかったかと考えております。

 ところが、大阪局からの電波を受けるだけでは京都市内で十分な電波の強さが得られなかったということもございまして、難視聴が発生する地域があるということが判明いたしました。そのために、デジタル中継局、これは、現在の京都局の場所は比叡山でございますが、そちらの新設を計画しておりまして、ことしの夏までに開局する見込みとなっております。

 その結果、既存の京都局、すなわち、比叡山に向いておりましたUHFアンテナが使えることになります。すなわち、今までUHFアンテナで見ておられたNHKの総合とKBSにつきましてはUHFアンテナで入ったわけですが、このアンテナをそのまま使いましてデジタル放送が視聴可能になるというふうに思われます。

竹内分科員 わかりました。比叡山の京都局が設置されることによってかなりアップする可能性がある、こういうことですね。

 次に、集合住宅のアンテナ設置の助成ということで、今まではアンテナ設置に二分の一の補助を国が行っていた。ただ、これは金額制限があって、一世帯の持ち出しが三万五千円を超えた場合ということで、これはいろいろな経緯があってこうなったんです。

 いよいよ、この施行まであと五百十四日ほどになってまいりましたので、こういう不況の中で重く感じておられる方も多い。特に、今建物が老朽化しており、アンテナを設置するだけじゃなくて、棟内の配線自体も全部張りかえないといけないものですから、結構、全体としては負担がふえてくる。しかも、戸数が少なかったら一戸当たりの負担が重くなってくるというようなこともありますので、五百十四日ということで、今後、進捗状況も見ながら、基準の緩和とかそういうことも検討をされてはどうかなというふうに思うんですが、その辺いかがでございますか。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 集合住宅の話をする前に一戸建て住宅の話をさせていただくと、当然のことながら、地デジの対応のためには彼らは自己負担でもって行っているわけでございます。平均すると、大体三万五千円を要するということでございます。

 他方、集合住宅、この整備状況が進んでいないということで、前政権、つまり今年度の第一次補正予算で大変悩んだと。つまり、私的な財産に対して国の補助を当て込んでいいんだろうか、大変悩まれたということでございますが、第一次補正予算で、先ほど先生が御指摘いただいた二分の一の助成をするようになったわけでございます。それで、三万五千円は払っていただくということになるわけでございます。

 どうか、一戸建ての住宅の方々との公平性という観点で、そのあたりの御負担は御理解をいただきたいと思います。

 なお、実績値を申し上げれば、大体一世帯当たりの負担は二万円程度でおさまっているやに聞いております。どうか御理解のほどお願い申し上げます。

竹内分科員 この一年またフォローしていただきまして、最後の一年はやはりきちっと完結しないといけないものですから、その辺、うまくまた対応していただければというふうに思います。

 次に、難視聴対策についてお伺いしたいと思うんですが、意外に新たな難視地域がたくさん発生する、こういうふうに言われておりまして、そういう意味では、難視地域対策としてどのような対策を講じていかれるつもりか、まずそれをお伺いしたいと思います。

原口国務大臣 これも意外なほどに出てきていて、アナログ放送で受信できたにもかかわらずデジタル放送が難視となる世帯は、これは平成二十年六月にシミュレーションを行って、全国で約三十五万世帯と予測をされています。新たな難視十九万世帯、改修困難共聴九万世帯、混信七万世帯というシミュレーションの結果です。

 その後、デジタル中継局の開局に合わせて電波の実測調査を行って、難視地区の特定作業、まずはどこが難視なのかということを見つけなければいけません。最終的に、難視世帯数は当初を下回る見込みでございます。

 難視対策については、国は、中継局や辺地共聴施設の整備を支援しているところでございますが、来年度からは、高性能アンテナ対策支援を追加する等の支援をさらに充実させていきたい。また、NHKや一部自治体も、国の支援に合わせて独自の支援を行ってくださっているところでございます。

 いずれにせよ、アナログ停波までもう五百日ちょっとでございますので、それまでにしっかりとした難視聴対策が可能となるように頑張ってまいりたい。また、暫定的には衛星による対策の実施も予定しなければいけないのかな、こう考えておるところでございます。

竹内分科員 都市部でも映らないというようなことで、意外にクレームといいますか、そういうのが我々にもどんどん来ますので、その辺、何とかしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 最後ですが、辺地の共聴施設をどうするかということで、新設の場合、新たなアンテナというか施設をつくるのに大体平均で一千万円ぐらいかかっているというふうなことで、やはり山の中とか、都市部でもちょっと離れればそういうところがあったりしていまして、一千万というとなかなか大きいものですから、今まで二分の一補助だったんですが、今年度から三分の二にしていただいたんですよね。そういう意味では、よかったなというふうに思っておるわけでございます。

 しかし、一千万の三分の一といっても、三百万を超えるお金でございますし、今後やはり、そういうところをできる限り、村とか小さな過疎地域とかいろいろありますので、自治体が持ち出したりして応援しているところもありますけれども、何とかそういうところにも安心していただけるように、そういう非常に弱小の過疎地域とかそういうところは高齢者が多いですから、しかも経済的な所得が低い方が多いですから、その辺のさらなる支援というものも御検討いただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 平成二十一年度における共聴施設の補助事業の実績を見ておりますと、百二十三施設でございましたが、一世帯当たりの総事業費の平均は約四十七万円です。これは、もちろん国の補助事業がございますから、先ほど申し上げたように、委員もおっしゃったように、費用の三分の二を補助するということでございます。

 しかし、今後、より困難な条件のために負担がさらに過大となることが予想されておりまして、平成二十二年度においては、一キロを超える伝送路整備部分の補助率を十分の十にかさ上げしよう、そして一層の負担軽減を図ることとしているところでございます。

 また、国の支援に加えて、NHKや一部自治体による独自の支援も行われておりまして、私たちは、一方で情報通信を所管する役所であるとともに、各自治体を支援する自治の役所でもございまして、そういったところでもあらゆる政策を総動員して負担の軽減を考えてまいりたい、このように思っております。

竹内分科員 地上デジタル放送完全移行に向けて、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと、あと五分程度時間がありますので、せっかく原口大臣に来ていただいておるので、今回の子ども手当法案の地方負担の話で、結局いろいろもめて、十二月でしたか、現金給付は基本的に中央政府が行うのが原則で、全額国庫負担にすべきだということを大臣はおっしゃっていまして、そのときに、記者会見ですけれども、児童手当の地方負担を批判してきた民主党の自己否定だというふうな御発言もあったかと思うんですけれども、しかし、最終的にこういう形になりまして、児童手当の上にあれが乗っているというような二階建てになっているわけでございます。

 そういう意味で、これは自己否定というようなことの理解でいいのかどうかだけを、まずちょっとお聞きしたいと思います。

原口国務大臣 まさに地域主権改革ということでいうと、私たちは理想の絵があるわけでございます。今回、今委員がおっしゃったように、児童手当と子ども手当が併置する形になっておりますが、今年度限りの措置ということで、今後どうするかということは、四大臣合意というものをいたしまして、地域主権戦略会議の中で議論をして決めていこうと。

 私は、原則をやはりはっきりしなければいかぬということで、先ほど申し上げていたような、委員がおっしゃるような、いわゆる現金給付は中央政府、そしてサービス給付はその地域の事情や一人一人のサービスを受ける国民の皆さんの実情がわかった地方政府が行うべきだ、これが私たちの基本的な考え方でございます。その中にまさに委員がおっしゃるようなキメラのようなものを入れてくるということは、制度自体もわかりにくくなる、また理念も貫徹できないということで申し上げていたところです。

 一方で、委員、私が一番困ったのは保育なんです。つまり、補助金を切られてしまえば、国がその責任を地方に押しつけるのか、さらに保育の質が落ちるのではないかという私が出した案に対するおそれが生まれました。やはり、教育の現場、あるいは保育の現場、福祉の現場、その現場の声を丁寧に丁寧に私たちは拾っていかなきゃいけない、そこでそういうおそれが出てはならないということで、今回、中間的な案になったところでございますが、さらに御理解をいただいて、二十三年度はもっとわかりやすく、理念が貫徹したそういう案にしていきたい、こう考えておるところでございます。

竹内分科員 財源が非常に厳しい中でこういうことになったんだろうというふうに推測はしておるんですけれども、そういう意味では、総理も、二十三年度は満額を実現していきたい、こういう強い決意であるわけですが、しかし、現実問題としては、年金の方に二兆四千億必要ですし、さらに毎年高齢者の社会保障費が一兆円ふえていくというような中で、非常に大変なことになってくるんだと思うんですね。

 そういう意味で、大臣としては、こういう地方負担が残る形での子ども手当の満額支給ということはあり得ない、絶対反対だ、こういう理解でいいんでしょうか。

原口国務大臣 今回も、財源といいますより、保育で使っている補助金を統合して、それをスワップすればしっかりできたわけであります。ですから、私たちは、まずは原理原則をはっきりさせて、そして、中央政府がやるべき責務と地方政府が行っていただくサービスというものをしっかりとやることが必要であろう、そこで、中央がやるからつき合いなさいよというやり方の負担はなるべくなくすべきだということをずっと主張しておるわけでございまして、満額のところについてもそうでございます。

 それから、もう一つちょっと短い時間で申し上げると、やはり一定の成長をしないと、それは全部、縮小する中で何をどう分配するかとやればどこかに無理が来る。しっかりとした安心、安全の福祉や未来を国民に確信していただいて、成長の中で多くの安心をかち取っていく、国民に感じ取っていただく、そういう政策を行ってまいりたいと思っております。

竹内分科員 限られた時間でございますので、大体きょうのところはこれで終わりにしたいと思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

三谷主査代理 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉分科員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大変遅くの時間になったわけでございますけれども、大臣、ひとつよろしく御指導の方をお願い申し上げます。

 人間のための経済を実現するために、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるために地域主権改革を断行します。これは、先般の臨時国会冒頭で力強く鳩山総理が宣言をした内容でございます。明治維新以来続いた中央集権体制、この体制を打破しながら、そして地域主権の国づくり、この宣言に対して、私ども国民は大きな期待を持ったというふうにも思っております。しかし、この間の動きを見ると、一抹の不安も感じている、このことも現状だというふうに思っています。この立場に立って、地域主権、このところに絞って質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 大臣、平成の大合併で四五%の市町村が消えました。消えたというよりも、まず町、村がほとんどなくなった、こういうふうに言っても過言ではないと思っています。確かに減少率では、明治の大合併で減少率七七・八%、昭和の大合併では六四・八%ですから、数字的には低い、こういうふうには言えると思います。しかし、今大きくさま変わりをしたのが全国の自治体地図だというふうに思っております。

 昨年の段階で全国町村会がまとめた報告によれば、合併でよい面もあった、しかし、地域における行政の存在感が薄れ、これまで培ってきた行政と住民相互の連帯が弱体化し、住民の地域づくり活動に支障が生じている、率直にこういう報告書を出しているわけでございます。

 さらに、三位一体改革に伴う地方交付税削減の時期と重なったために、合併特例債を頼りに合併を余儀なくされた、こういう背景、この部分も報告をしているわけでございます。

 そういう面では、強引な、強力ないわゆる国の合併誘導策、そういうことであったのではないか、こういう言い方もしております。

 そういう中で、これから地域を主体とした、また地域の人たちが頑張る、そういう意味での地域共同社会、この取り組みの重要性をこの十年間の中で町村会としては見落としてきた、こういう報告をしているわけでございます。

 大きく減少した町村、そして、これから地域に主眼を置いた国づくりを進めていく上で、私は、この十年間の合併の総括、このことが大変重要だ、こういうふうに思っております。さらには、その総括をしていく上で、どこに主眼を置いてこの総括を検証していくのか、私はこのことが大事になってきているんだろうな、こういうふうに思っています。

 そうした意味で、大臣の方から、この合併、この部分、そういった面の中での考え方、こういった部分を最初少しお伺いさせていただきます。

原口国務大臣 吉泉議員にお答えいたします。

 議員は、石川達三さんの「人間の壁」、これを挙げておられますが、まさに私たちは何を基準にどう総括するかというときに、委員がさまざまな活動を県議会でもなさってこられたように、人間の尊厳なんだというふうに思います。

 私は、平成の大合併と言われるものは、人間の尊厳や地域のきずな、あるいは今、緑の分権改革で創富力、富を生み出す力。山形県は本当に豊かな地域であります。しかし、その創富力を、逆に言うと、財政の論理、あるいは目の前の三位一体改革で、地域の切り捨ての論理でもってずたずたにしてきたのではないか、こう考えています。

 歴史や伝統や文化と離れたところで人間は生きることができません。あるいは、一人一人の人間の尊厳が無視をされて、そして、あなたはこっちへ行きなさい、あっちへ行きなさいという形では、地域に対する参加意識も誇りも生まれてこないわけであります。そういう意味では、三位一体改革と並行して行われた、まさに上からの行政改革的な流れがこの平成の大合併であったのではないか。効率性やあるいは財政の論理というものを真っ先に重視したために、本当は一番大事な、地域が富をつくる力、あるいは共同体を形成する力、もっと言うと文化や伝統、歴史を伝承していく力、そういったものを急速に奪っていったのではないか。

 その結果、公共サービス格差というものが非常に大きく生まれました。財政力が弱ければ弱いほどその公共サービス格差が厳しくなっておりまして、私は、今それを逆転させるべく、交付税の一・一兆円の増、あるいは地域主権改革による創富力の増大ということをやらせていただいているところでございます。

吉泉分科員 今大臣から考え方が述べられた部分について、まさに私も同感でございます。

 そして、やはりこれからどういうふうにしてやっていくのか。そして、その地域の人たちが頑張れる、こういったところに対して、国、地方それぞれ一丸となって、また連帯をしてやっていく、こういった部分が本当に必要だなというふうに思っているところでございます。

 自分自身、今回の選挙戦の中では、県民主役、地方が主役、こういうふうに訴えながら戦ってきた一人でもございます。そしてまた、同じように、地域、さらにはそこの県民、ここが一番大事だ、こういうふうに言いながら戦ってきた、そして代議士になってきた、そういう人たちが多いんだろうというふうにも私は思っています。

 自分自身、町職員の出身でございます。そういう面で、この合併の問題については相当自分自身、地方自治のあり方、その部分を含めて運動もやってきた、そういう状況でございますけれども、今大臣から言われましたように、やはり町である、そういう意味の中で財政力、さらにはその効率性、こういった部分の中で、町同士で、最終的には二つの町が一つになってしまった、こういう経験も持ちながら来たところでもございます。

 その中で、鳩山政権発足間もなく閣議決定された基本方針、大変これも自分自身、力強く思ったところでございます。「国、地方自治体、国民が、それぞれの役割を生き生きと果たしながら社会全体を構成していく。その姿こそ、目指すべき日本のあり方です。」こういう一つの基本方針、大変自分自身は大きな拍手を送りたい、こういうふうに思っています。そして、そこの部分の一番大きな進め役、そういう意味からいえば大臣だろうというふうに私は思っております。

 しかし、この間の動きを見ると、少し言葉だけが先行している、そういうふうに自分自身にとって感じております。

 これまでの自民党政権下の分権改革では、分権推進会議の方から提言を受け、そして方針を決定しても、それぞれ関係する議員、族議員というふうに言えばいいんだろうと思うんですけれども、さらにはそれぞれの官僚、そういう人たちの物すごい抵抗、こういう部分もありながら、進めていく上で、勧告内容も含めて、言ってみれば骨抜きにされてきた、そういう部分も実質、私はこの間の動きの中ではあったというふうに思っております。だからこそ、二度とこういうことにはさせられない、こういうふうに思っております。

 閣議決定をされてから、もう早いもので五カ月を過ぎました。そして大臣は、地域主権は政治主導でないとできない大きな変革だ、こういうふうに述べられておるわけでございますし、そしてまた、連日本当に朝から夜まで走り回り御奮闘されている、このことにまず敬意を表させていただきたい、そういうふうに思います。

 しかし、こういう自分の今の現状、とらえ方、そういうふうにいいますと、今までの地方分権、さらには分権改革、この部分と地域主権は何か同じように自分自身はとらえられる部分があるわけでございますけれども、しかし、今の現状からいうと、流れ、さらには一つ一つの組織、そういった部分を見るとやはり違うのかな、そういうふうにも思っております。

 そういった点で、大臣の地域主権という一つのとらえ方、今までの分権改革、このことと比較をしながら、どういうふうにとらえていけばいいのか、そこのところを答弁をお願いします。

原口国務大臣 いい御指摘をありがとうございます。

 私たちの地域主権改革というのは、これは国民主権をもとにした考え方であります。民主主義は、委員が議会でもずっと頑張ってくださっておりますように、多くの学びを必要とします。民主主義は、与えられるものではなくて、みずからかち取るものであります。そして、地域は、だれかがつくってくれるものではなくて、みずからが参加をして、そして、みずからが主体的に責任を持ってつくるものであります。

 今までの分権改革というのは、中央にある権限を地方に移すという意味でよく使われていました。私たちはそのような分権改革ではなくて、みずからが、まさに先ほど地方が主役、県民が主役と言って自分は当選してきたとおっしゃいました、そのことがまさに私たちの地域主権改革の柱なんです。

 そこで、私たちは、義務づけ、枠づけの撤廃、それから、この間で直轄事業負担金、もうなくなっているわけです。ことしは事務費ですけれども、来年はすべてなくなる。それから、分権改革の基礎となる財政。委員、私は政府税調の会長代行なんです。副会長じゃないんです。今まで地方は、財務省とはやはり一つ下に置かれていた。しかし、それがイコールのパートナーとして議論ができる、自主的な財源、税源をみずからかち取ることができる。

 この地域主権改革というのは、まさに委員が選挙で県民の皆様に、主権者の皆さんにお訴えをされたそのことそのものが私たちの地域主権改革の柱である、そう考えていただければありがたいと思います。

吉泉分科員 ありがとうございました。

 大体同じなんだろうなというふうに思うんですけれども、やはりそれぞれの長い歴史、この部分が地方自治にとっても、または一つの国づくり、こういった部分についてもそれぞれの歴史があるわけでございます。

 そういった面の中で、これまで築かれてきた財政、さらには権限、こういった部分が、やはり中央、国が管理をしながら、その中で一定の方向性を国主導でやってきた、このことは、事実、そういうふうにあると思っております。

 そして、今自分自身思うわけでございますけれども、この状況というものが、今新しく政権がかわって、そして地方から国づくりをしていくんだ、そういう一つの方向、そのことについて努力をする。しかしまた、民主党政権、この部分が変わるというふうになったならば、今度はまた違う、こういうふうな状況にあっては国民が一番困る、そういうふうに思っております。

 そういう面からいえば、やはり今のこういったいわゆる国会のガチンコ勝負みたいな状況になっている中でも、それぞれこういう一番基本的な部分については粘り強く、お互いにそれぞれ真摯に討論をしていく、またそういう保障、こういう部分が私は必要だ、こういうふうに思っております。

 そういう中で、地域主権戦略工程表、いわゆる原口プラン、こういうふうに言われるわけでございますけれども、この中で、自分自身思ってはいますけれども、大臣、本当に丁寧に粘り強くされている、そういうふうにも思っておりますけれども、それぞれ、規制関連、予算関連、さらには法制関連、こういう大きく枠組みをとりながら、今年度できちっと整理しなければならないものはここ、そして二十五年まではここまでやる、こういうふうな一つの工程、こういう部分が、まずは、私などもそれぞれの資料なりを見ると、ああ、動いているんだなというふうにはわかるわけでございますけれども、しかし、今の本予算の編成等々を含めながら、なかなか大臣の思うような状況にはやはりいかなかった部分というのはいっぱいあったのではないか、そういうふうに思っております。

 そういう中で、大臣の方から、本当にこれまで御苦労しているわけでございますけれども、これまで進めてきた中で、進捗状況、さらには、これからまた法案等々出てくるわけでございますけれども、そういう一つ一つのものについて努力も、さらには、こういうところが困難であったし、こういった部分について少し足りなかった、そういうふうな部分も含めながら、進捗状況、この戦略工程の部分について、大臣のお言葉からお願いしたい、そういうふうに思います。

原口国務大臣 ありがとうございます。

 私、総務大臣は、情報通信大臣であったり消防庁を所管する大臣だったりしますから、物すごく広いです。しかし、その中でも、この地域主権改革の部分は、私自身が幾つかできなかったというところもありますけれども、総じて九十五点以上進んでいるところでございます。

 今お話しの原口プラン、工程表について見ましても、これは二十五年度と最初はやっていますけれども、それはむしろ前倒しできるめどがつきました。

 一括交付金についても、ことしの中で、きめ細かな交付金、あるいは一兆円、五千億、五千億の農水と国交との間の交付金、これももう成功しているわけです。また、一・一兆円の交付税の増額、これは実に十一年ぶりでございます。

 義務づけ、枠づけについては、これは文科が補助金の関係で幾つか法律を持っていますから、項目全体からすると、義務づけ百四条項の中のほとんどが、これは義務づけ、枠づけを撤廃できているわけですね。

 そういうことからすると、国、地方協議の場、これもできましたし、法制化もできました。

 ただ、できたところだけ言っているとアンフェアだと思いますので、二つ壁がありました。

 一つは、子ども手当のところなんです。これはまだ審議の最中ですから、私は、やはりサービス給付は、山形県だったら山形県でやっていただく、山形県の市町村でやっていただく、これが基本なんです。しかし、そこは今回、児童手当との併置になりました。これは私自身のまだ力不足だと考えております。

 それからもう一つは、大変厳しい財政状況の中で、国税五税の算入の法定率、これを上げるまでに至らなかったんです。それで、臨時特例債という形を出しながら、ある意味、今回の厳しい財政状況に沿った形で一つの方向を示したわけです。これは、普通の財政状況であればこんなことをやる必要はない。

 ですから、まだそういうところは壁がありますけれども、もっと官僚機構や一部の既得権益の抵抗はある、私は正直そう思っていました。しかし、官僚機構というのは中立で非常に優秀なもので、しっかりと政治が方向性を指し示すことができれば協力をいただけるんだと、逆にその辺は安心をしたところでございます。

吉泉分科員 今もう九五%、そして、ちょっと力不足という部分が子ども手当と交付税の問題、この部分でお話があったわけでございますけれども、私は、やはり交付税の問題は本当に重要な部分で、ちょっと取り上げていきたいなというふうに思っております。

 特に、これは新しい政権の負の財産、それをやはり引き継いでいるというふうには思っているわけでございますけれども……(原口国務大臣「旧政権です」と呼ぶ)旧政権の。そういう面で、地方交付税の代替財源、こういうふうに言えるというふうに思いますけれども、前年度対比でもう二兆五千六百億円も増加をしている。そういう面で、ますます厳しい局面、こういう状況の認識はやはりお互いに持たれるんだろうというふうに思います。

 私たち連立三党の合意では、この問題に対して地方交付税率の引き上げで対応する、そういう方針であった。それは今大臣も言ったわけでございますけれども、やむを得ず臨時財政対策債で賄わなきゃならない、こういう状況というものは本当に残念だなというふうにも思います。

 しかし、このことをやったらば、借金を借金で返す、こういう一つのやり方になってしまうのではないかな。借金が返済期日が来ても払えない、だからまた借金してくれ、それを安易にやっていったらば、これはやはりますます地方の財源、そういった面から含めると非常に大きな課題になるんだろうというふうに思います。

 そういう状況の中で、こういったことを回避していくために、やはりまともな一つのルールがきちっと今までの交付税の中ではあるわけでございますけれども、この筋道の見通しというものが、来年の場合はそれは大丈夫なのか、そんなことを心配するものですから、そこのところをひとつよろしくお願いします。

渡辺副大臣 今吉泉委員からお話がありましたような、この臨財債で、もう臨財債自身が、御案内のとおり、これは将来の交付税の先食いでございまして、本質的な解決にはならない。

 実は、この当初予算を作成しますときに、原口大臣が交付税率の引き上げということで財政当局とも随分なやりとりをしておりました。御案内のとおり、交付税法の六条の三の二項では、これだけの財政不足があった場合は、交付税率の引き上げをするか、もしくは地方行財政計画の改正を行うということですが、本来ならば、もうこれは平成五年に国税五税のいわゆる法定率で交付税を賄えたものが、それ以降、バブルの崩壊とともに、税収の悪化とともに、現状、またどんどんどんどん財源不足が膨らんできているわけでございます。

 ですから、これから私たちとしては、国税、地方税の成長戦略のもとでやはり税収をふやすということと、ただ、しかし、原口大臣が今回の予算編成の際に交付税率の引き上げということを言ってきました。それだけに、この交付税率の引き上げを視野に入れて、今後は、地方の自由なる財源確保に努めていくこととあわせて、やはり成長戦略の中で、私たちは国と地方の税収をふやしていくということのために連立三党でこれはもうやっていくしかないかなというふうに思っています。

 地方の六団体、特に全国知事会からは地方消費税のさらなる拡充をというふうに言われますが、連立三党の申し合わせで、消費税率はこの四年間は上げないということを約束しております。いずれのときかの抜本的な改革のときには当然そういう議論も出てくるでしょうが、今はとにかく、地方の成長戦略の中で、国、地方ともに、国税、地方税の歳入をふやすしかないということを我々としては連立三党で断行していくしかないというふうに思っています。

 いずれにしても、臨財債に頼るというやり方は正直健全なやり方ではないということは、認識は一緒なところだと思っております。

吉泉分科員 もう本当に時間がなくなりました。

 今の一括交付金、補助金、ひもつきなしということで、財政が厳しい中でも本当に大臣の方からの物すごい努力があった。しかし、今回の一括交付金のいわゆる背景なり中身、こういうふうなものを見ると、大臣の求める、さらには私たち地方が自由に使えるものとは少し違った、一つの限定のある形で少し受けとめる、そういう部分が私はあるんです。ここのところをやはり本当に、それぞれ、今の社会資本整備だとか農村整備だとか、そういうふうな部分ではなくて、地域、地方がある程度自由に、フリーに使える、そういう意味での一括交付金、こういう制度を私は求めたいなというふうに思うんです。

 ことしはやはりそこは道をつけた。そのことは私は非常に高く評価をしながらも、今後の、来年以降のこの辺のもの、そういった部分について、やはり一定の財源というものは地方がフリーハンドでできるような、そういった部分をぜひ努力していただきたいというふうに思いますし、もしその点、あと一分か二分でございますが、よろしくお願いいたします。

原口国務大臣 まさにおっしゃるとおりですね。

 今回の臨財債についても、マクロではもう確保できたわけです。そして、個々に保障するという仕組みをつくりました。それで、第二次補正がもう四月から届いていきます。きめ細かな交付金についても、これは地方が考えていただければそれに使えるというような形になっていますし、先ほど申し上げた二・二兆円についても、ひもつきというものがなくなってくるわけです。再来年度は、これを全体に、ひもつき補助金を全廃して、今委員がおっしゃるような、地域が自由に使えるお金にしていこう、こう考えておるところでございます。

 私も県会議員をしているときに、目の前に五億の水路が来ました。国から来るのが五億、県が五億。だけれども、どう考えたって、その水路に五億お金を払うよりかは、学校の教育費に使いたかったんです。だけれども、中央政府がひもでくれるというから、五億来るんだったら、やはり五億足して、そのお金が地域に回るわけです。でも、本当は、自由に使えるお金だったら、子供たちに使いたい、あるいは福祉に使いたい、そして医療に使いたいというものなんですね。そういう地域の声をしっかりと支えられるように頑張ってまいりたいと思いますので、今後とも連立三党でよろしく御指導をお願い申し上げます。

吉泉分科員 どうもありがとうございました。

 本当に今地方が疲弊をしている、そういった状況の中でも本当に、今、山荒れながら、田んぼ荒れながらも、自分がこの村を出ていくわけにはいかない、こういうことで歯を食いしばって頑張っているお年寄り、そういう人たちが多い。やはり、そのところを私方が一緒に手を携えて頑張っていかなきゃならない、こういうふうに思います。

 大臣のますますの御活躍、御奮闘、そしてまた私たちに対する御指導をよろしくお願い申し上げながら、質問を終わらせてもらいます。ありがとうございました。

三谷主査代理 これにて吉泉秀男君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅川洋君。

菅川分科員 民主党の菅川洋です。

 本日は、本当に遅い時間まで、皆さん御苦労さまであります。また、原口大臣におかれましては、常日ごろより政務に大変御精を出されておりまして、我々若手にとりましても、物すごく励みになるところであります。

 私は税理士でありまして、税理士の仲間からいろいろな提案を受けることがあります。もちろん税法についても提案を受けることはあるんですけれども、一番言われることが、手続の簡素化といいましょうか、例えば、納税申告をする際に、申告をする場所がいろいろな行政窓口にまたがっておりまして、これを何とか一本化できないものだろうかといったことを言われることが多々あります。

 例えば、会社を設立しますと、まず、公証人役場に行って、定款を作成します。その作成した定款を持って、今度は法務局で手続をするわけでありますけれども、法務局で手続をした後、今度はいろいろな役所にまた手続をすることが必要になります。例えば、税務の面でいいますと、税務署に届け出をする、都道府県の税務課に届け出をする、市町村の税務課にも届け出をする。その際には、法務局で謄本をとって、それを添付して出さなければいけないというようなことがあります。それ以外にも、人を雇った場合には、雇用保険の手続、社会保険の手続、いろいろな手続をそれぞれの役所でやらなければいけないのが現状であります。

 こういった現状の中で、税務申告についても同じことが言えます。法人税の申告をするのと同時に、法人の県民税、事業税また法人市民税と、一つの会社において複数の申告書、これも、中身が同じような数字を入れるにもかかわらず、複数の申告書をそれぞれの窓口に出さなければいけません。例えば、全国に十カ所支店がある、営業所があるような会社ですと、二十以上の市町村の窓口もしくは都道府県また税務署といったところに申告をしていくということになります。

 こういったものをやはり利用者の観点から変えていくことが必要ではないかと思っております。それだけ同業者からの声が多いということは、やはり何とかしてほしいという思いではないかと思います。

 ただ、この解決策として、私は、一つは、電子申告というものをもっともっと活用することが意義のあることではないかと思っております。国税におきましてはe―Taxというもの、また、地方税におきましてはeLTAXという地方税のポータルシステムがあります。

 このポータルシステムについてなんですけれども、残念ながら、現在、地方税の方はまだすべての自治体が対応しているわけではありません。この自治体へのeLTAXの普及状況と、また納税者の利用割合につきまして、現状について教えていただければと思います。

原口国務大臣 本当に大事な御指摘ですよね。

 菅川委員は広島から平和を発信したいということで、私も、広島の平和研究所の高橋博子さん、あの方と一緒に、隠された被爆者の問題に光を当てていこうということでやっていますので、またそちらの方でも御指導をよろしくお願いいたします。

 今の御質問ですけれども、まさに、納税環境の整備、それから電子政府、そして新たな国民ID、こういう形で私たちは積極的に進めていこう、クラウドコンピューティングをやっていこうと。しかも、それを、今菅川委員がおっしゃったような、国民、納税者の側から、納税者の権利憲章というものを私たちは野党時代に出しました。まさに、あっち行けこっち行けというのではなくて、それは行政の論理であって、国民の論理ではありません。

 その上で、お尋ねにお答えすると、eLTAXの接続は、平成二十二年一月現在で全都道府県及び千五百九十市区町村であって、接続だけで見ると、平成二十二年には全地方団体が接続するということが見込まれています。しかし、では電子申告受付サービスを行っている地方団体は幾らかというと、平成二十二年一月現在で全都道府県及び六百五十九市町村なんですね。ですから、まだ道半ばであると言わざるを得ない、そう思っています。

渡辺副大臣 今大臣の答弁のとおりでございますが、少し補足をしますと、平成二十年度、一番直近のeLTAXの申請件数、電子申告件数で、約百一万、百万九千五百八十五件でございます。まさに今大臣が答弁されたとおりでございまして、電子申告サービスの対応団体というのは実はまだ六百五十九市区町村しかありません。ちなみに、千七百八十三の市区町村がある中で、四割ほどということでございます。

 まさに先ほども、実は、先生からの御質問だということで、事務方に資料を要請したところ、この整備に交付税で措置をして、市町村の端末の整備もやっている、しかも、技術的指導という形で、ぜひ導入するようにということも総務省としては言っているんだけれども、いまだこの数字と。

 ちなみに、ちょっと申し上げますと、平成二十年の実績が、市区町村だけでたったの三団体なんですよ。平成二十一年の一月に二百四十一件、平成二十二年の一月で六百四十一件。まだこの程度の状況、対応できる団体はまだこの程度ということでございます。

菅川分科員 やはりまだまだ対応ができていない部分がありますので、ぜひとも自治体への普及を広げていっていただきたいと思っております。

 これは、納税者にとりましてももちろんメリットがあることですが、自治体にとってもメリットがあることであると私は思っております。

 紙で申告書を出しますと、その出した申告書の中身をいずれ電子化しますので、各市町村におきまして、コンピューターに入力する方が必要になります。これも、ただ単に入力するだけではなく、万一間違いがあっては困りますから、入力した中身というものを、またチェックする作業というものも生じてまいります。ですから、そういった事務作業を考えただけでも、例えば、申告書を受け付けする受付事務が軽減される、また、そういった入力作業、入力ミスの排除、こういった面からも、電子申告というのは非常に価値のあるものであると思っております。

 また、それ以外にも、紙で申告書をもらった場合、各市町村におきまして紙の申告書を多分保管されていることだと思います。いろいろな紙の保管をする、これは場所をとることでもありますし、また、保管したものを探すという作業というものは非常に煩雑な作業でありますので、事務効率も非常に悪くなるものであると思っております。

 ですから、できる限り、このような状態は早く変えていただきたいところでありますが、ただ、そうはいいましても、先ほど副大臣の方から、交付税を出しているという話もありましたけれども、ただ、それでもなかなか導入が進んでいない市町村もあります。運用に不安があるのかもしれません。

 しかし、愛知県で導入のコストがどれぐらいあるかということを試算したデータがあります。愛知県の市町村でeLTAXを導入した場合を検討した報告書が愛知県でありまして、利用率が五〇%の場合、名古屋市を除く県下三十四市二十四町二村で大体、約三億四千万のコストが削減される効果がある、これだけの効果があれば、導入、運用にかかる経費を差し引いても、ほとんどの団体で、費用対効果でプラスになるというような試算がされております。利用率が五〇%というのは、非常に高いところなのかもしれませんけれども、こういった試算があるということは、やはりメリットも非常に高いものがあるのではないかと思います。

 これからやはり、自治体のコストを下げていくことが必要であると思っておりますので、このような試算もやはりいろいろな形で、まだ導入されていない自治体にどんどんと説明をしていくことも必要なことではないかと思っております。

渡辺副大臣 今まさにおっしゃったとおりでして、納税者のメリットとしては、個々の企業、事業所の事務コストがやはり大幅に削減するということで、先生も税理士でいらっしゃいますけれども、税理士会からもこれはずっと要望のある話でございます。やはり企業にとっては、今のままでいきますと、結局、こういう書類、紙の書類で提出をする、片っ方で、つながっている団体は電子提出をする、今これが併存している状態で、非常に非効率だ。

 地方団体のメリットからすると、今愛知県の例を出されましたけれども、今のデメリットというのは、やはりコストの例でございまして、川崎市の例をちょっと事務方に調べさせました。川崎市で、やはりこのパンチャー、今おっしゃったパンチの入力作業だとか、あるいは複写等の作業費用、アルバイト三十人ぐらい雇用して、大体どれぐらいかかるかというと、大体年間一億円ぐらいかかるんじゃないかという試算がございます。まさに、事務を効率化することによって、当然人件費のコストを下げることができますけれども、あわせて、職員を滞納整理、税金を払っていない人たちにも、税務当局として、税務課としてやはりそこで滞納整理等に振り向けることができるわけでございます。

 もちろん、総務省の方からも、とにかく電子化を進めろということは、私どもも政治主導で進めてまいりますけれども、ぜひ、税理士会や先生方の専門家の方からもまた、各自治体においてそれを進めるような、御尽力をいただければ。原口大臣は、常々、電子政府化、地方電子政府、やはりこれを訴えておりますので、まずこういうことはとにかく進めていかなきゃいけない、そのように思っております。

菅川分科員 どうもありがとうございます。

 電子化を進めていくということは本当に必要なことで、例えば、地方税の申告なんかで、一カ所でも電子化していないところがあれば、その一カ所のためにやはり紙を出さなきゃいけない、もしくは、その手続をしなきゃいけない。会社の方で、電子的なデータで保存するのと、紙で保存するのと、二元的に保存しなければいけなくなるということもありまして、こういった不便な状態というものをやはり変えていくことが必要であると思っております。

 また、税理士会におきましても、いろいろな形で電子申告を進めるということはやっております。今、私は議員ですけれども、税理士の立場からいいますと、電子申告をすることによって、税理士というのは特にこれといったメリットがあるわけではありませんけれども、やはり、国の行政コスト、地域の行政コスト、こういったものを考えたときに、納税者がこういったことに参加をしていく、協力をしていくということは必要なことであると思っておりますし、その意義をよく理解して活動していただいている税理士の先生方もたくさんいるということをどうか御理解いただきまして、また推進をしていただければと思っております。

 税務申告だけでなくて、その他の申請や申告なども、窓口の一本化というものをぜひとも進めていっていただきたいと思っております。

 また、国税と地方税の電子データのやりとりというもの、今年度中には何か進むというような話は伺っておりますけれども、今の段階ですと、どうやら、国税の方で電子申告をしたものを一度紙で打ち出して、各地方に渡しているというような話も聞いております。それだと、結局、地方の方では入力をする手間がかかるということ、やはりミスが生じやすくなるということ。特に今、所得税の確定申告のシーズンですけれども、確定申告というのは一度に書類が来ますので、どうしてもミスがふえる部分があります。ですから、人の手が余り介入しないような形へと、国と地方が協力をして、とにかくデータを変換すれば済むような形へと、一日も早く変えていただきたいところだと思っております。

 それ以外に、地域主権の方向とはちょっと逆の方向になるのかもしれませんけれども、民主党のマニフェストで、歳入庁というものを記載しております。この歳入庁というもの、国税と旧社会保険庁、社会保険事務を一緒にして、歳入庁をつくろうという話でもあります。

 この中で、私が思っているのは、地方税についても、例えば、課税権は各地方自治団体にありますので、税額を確定する、金額を決める、こういった作業は、やはり地域ごと、市町村ごとでやるべきことだと思っておりますけれども、ただ、事徴収部分、お金を回収する部分に関しては、逆に言いますと、もう少しコストを下げる方法を考えてもいいのかなと思っております。ですから、国の方で歳入庁というものをつくって、そしてそれで一本化するのであれば、地方の方も歳入庁に積極的に加わることによって、回収作業というもの、徴税作業というものを一元化していくような方法というのはどうかということを常々思っているわけであります。

 会社におきましても、売掛金を回収するということは非常に難しいことです。お金を回収するというのは本当につらいところですし、それこそ、各地方団体でも、国税のOBの方を雇ったりして、とにかく徴収を一生懸命おやりになられている、工夫されているということはよく知っているところでありますけれども、やはり全体で、徴収する部分ということをもう一つ大きな目で考えていくことが必要ではないかと思っております。

 ただ、これは、歳入庁についてのことがまだ進んでおりませんので、具体的な話というわけではありませんけれども、こういった考えについて大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

原口国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。クラウド化して、電子化する、そして一本化する。

 今回の税制改正大綱においても、今の歳入庁、マニフェストに書きましたとおり、日本年金機構を廃止し、その機能を国税庁に統合する、そして歳入庁を設置する方向で検討を進めると。また、歳入庁は、今菅川委員がお話しになったように、国税と国が所掌する社会保険料の徴収を行うことになりますけれども、国税と徴収対象や賦課基準が類似の税について自治体が希望する場合については、地方税等の徴収事務を受託することも検討する、こういうふうに税制改正大綱に書き込んだんですね。

 地方税の徴収については、あくまで、行政サービスの提供主体、都道府県や市町村が、まさに受益と負担の関係等についてよく住民の理解をいただきながら徴収するというのが基本でございますが、しかし、その上でも、共通化できる部分というのはいっぱいあるわけです。また、電子化できる。

 私たち政務三役会議は、今月中に、もう会議そのものをペーパーレスにしようと思っています。それから、電子教科書を配って、光の道をつくって、そして小さいころから電子化、ICT化ができる、ICT化が当たり前だと。ここを見てもPCはどこにもない。紙自体、これは大変な環境負荷ですよね。行政からまずやれるようにという指示を今しているところでございます。一年後、楽しみにしていてください。

菅川分科員 非常に心強いお言葉をありがとうございます。本当に一年後を楽しみにしてまいりたいと思っております。

 税の徴収の関係というか、窓口の一本化の話はこのあたりにいたしまして、次は、地域主権のことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この分科会でも、もうかなり地域主権の話をされているかとは思いますけれども、やはり、中央集権的行政のあり方を問い直し、二十一世紀にふさわしい地方自治を確立することが現下の急務である、こういうふうに分権推進に向けて国会で決議してから、はや十七年がたとうとしております。この十七年たっている間にも、地方分権というか、地域主権という方向にはほとんど進んでいないのではないかという気が私はしております。

 私の広島でも、やはり、経済状況が非常に厳しいところがありますし、特色を持ったまちづくりというものにも非常に苦慮しているところでもあると思っておりますし、広島市の場合はまだまだいい状況にありますけれども、広島県下、それこそ限界集落がたくさんふえている状態にもあります。そういった中で、元気を失っている地域、この状況を打開するために、地域主権というものは絶対に必要なことであると私は思っております。

 国からの押しつけではなくて、その地域の人たちが、自分たちの意思で自分たちの地域のことを決めていける形、このことは原口大臣もよくおっしゃられていることだと思いますが、実現するにはまだまだ道のりがあるのかなという気もいたしております。ただ、この道のり、まずは方向をしっかり示すことが大切なことではないかと思っているわけであります。

 そんな中で、原口大臣がお出しになられました、原口プランと言われております地域主権戦略の工程表というものがあると思いますが、この中で、地域主権戦略大綱というものをことしの夏にもおつくりになられるということが書いてあります。ぜひ、この大綱、今原口大臣が作成に当たって考えている思い、そして構想しているこれから先の方向性について、少し教えていただければと思っております。

原口国務大臣 本当に高い、そして深い御理解をいただいて、ありがとうございます。

 まさに地域主権改革というのは、単なる行政間の権限の受け渡しではないんです。地域の創富力、あるいは地域がみずから地域をつくる力、国民がみずからの地域をつくる力、もっと言うと民主主義そのものの力、それを引き出すことだというふうに考えておりまして、本当にこの十七年間、いろいろな言葉は飛び交いましたけれども、進みませんでした。一方で、ぼったくりバーとやゆされるような直轄事業負担金ということも、私たちの政権になってからなくすこともできました。

 地域主権戦略大綱では、具体的なビジョンを数値化したいと思っています。形容詞だけのビジョンは、結果、また同じことになってしまう、やったふりもされてしまう。ですから、いつまでに何をどうやるのかということをしっかりとビジョン化し、数値化し、そして、そこに向かう戦略を、鳩山総理の強いリーダーシップのもとで、政府全体で共有していく。

 あるいは、政府全体ではなくて、今回の地域主権改革の大きな違いは、国、地方協議の場ができたということであります。これの法制化についても固まってまいりましたけれども、協議の場の中で、パートナーとしてやっていく。国が、これをやりなさい、あれをやりなさいと、委員がおっしゃるような上からの押しつけではなくて、まさにファウンテンといいますか、泉のようにわき起こる。そうすると何が起きるかというと、こうやればみずからの地域が復興するんだ、みずからの地域の豊かさはみんなが分かち合うことができるんだということを、幾つかモデルをつくりたいと思っています。

 そういう意味でも、広島という地域は最適な地域だと私は思っていますので、ぜひ、委員の御地元でもお考えをいただければというふうに考えております。

菅川分科員 まさに大臣の、泉のようにわき起こる、この言葉は私も非常に感銘を受けました。地域が活力を取り戻して、自分たちで元気になる。それこそ、国から幾らお金を取ってくるというような今までの政治のあり方ではなくて、自分たちでどうやって立ち上がって、そして自分たちの地域をどうやって活性化していくか、そのことが大切なことであると思っております。

 そんな中で、地域分権改革推進委員会、これは前の政権の中でできたものでありますけれども、第一次勧告、第二次勧告というものがされました。これに対して、前政権下ではほとんど実現する気配というものがなかったような気がいたしております。前政権が積み残したものでありますけれども、こういった勧告に対しまして、今後どのように取り組まれるのか。また、政権交代してからも、第三次、第四次という勧告が出されましたけれども、こういったものに対しても、これからどういった形で取り組まれるのかを教えていただきたいと思います。

原口国務大臣 一次から四次までの勧告、これはほとんど原口プランという中に、地域主権改革の工程表の中に織り込んだところでございます。

 また、義務づけ、枠づけの見直し、これは第三次勧告のうち地方要望分を中心に。これは、特に一番積極的だったのは前原さんのところですね、原口・前原合意というのをやって、ほとんどを地方に移管するということができました。長妻さんはもうちょっと頑張っていただく部分があります。補助金を持っているので、それはしようがないんですね。だけれども、その補助金を持っているところで頑張っていただく。

 また、国と地方協議の場、これはもう法制化ができるというお話を先ほどしましたし、地方分権改革推進計画、これも十二月十五日に閣議決定をしているところでございます。

 やはり、一番これから焦点になるのは出先です、出先機関の改革をどうするか。私たちは、マニフェストの中で、総人件費の二割を削りますという話をしているわけです。そのためには、きょう前段で委員がおっしゃったように、仕事のあり方そのものを変えていく、ICTによって高度化していく、国民の立場による、納税者の立場に沿って変えていく、ここが不可欠なんです。今ある仕事をこういう仕事の仕方でもって変えようと思ったら、人の首を切るしかないんです。そんなことは絶対にやってはならない。働く人たちの権利を守りながら仕事そのものを仕分けしていく作業、ぜひ委員にお手伝いをいただければと思います。

菅川分科員 ありがとうございます。

 ぜひ私もそういった仕事に加わっていきたいと思っておりますので、何かありましたらぜひともお声をかけていただきたいと思っております。

 また、地域主権、これを考える中で、私、一つだけ、今後どうなるのかと思っておりますのは、道州制という考え、議論があると思います。

 この道州制というのは、それこそ市町村合併のように、どちらかというと半分国から強制的に押しつけるような形でどんどん引きつけていくようなことはやるべきではないとは思っているんですけれども、ただ、そうはいいましても、今後、方向的に、国と地方のあり方の中で、国と市町村という二層的な形にしていくのがいいのか、もしくは、国と都道府県もしくは道州といったものと市町村という三層的な形にしていくのがいいのかという形の話なんですけれども、この形というのは非常に大事じゃないかなという気がしております。

 というのは、やはり、住民に対するサービスというのは、市町村というのが一番フットワークがきいてよくできると思うんですけれども、ただ、例えば、経済を地域でどうやって考えていくか、これを考えたときに、小さい市町村がたくさんあって、うまくまとまればいいですけれども、それがまとまらないとなると、やはり地域力をつけるためには中間的な発想というのも必要なのかなと思っております。

 こういったことに対して、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

原口国務大臣 全く同じ考え方です。

 ですから、菅川委員がお話しのような観点から、私たちは経団連と道州制のタスクフォースをつくっているわけです。それはまさに経済の観点。私の九州あるいは菅川委員の中国、ばらばらに、ここに空港をつくってください、あそこに港をつくってくださいと言われたって、経済界は困るわけです。九州だけでオランダと同じぐらいのGDPがありますから、そこを一体的にやれば、それは物すごく発展するわけです。

 そういう意味で、中間自治体と申しますか、広域自治体でまとまったところから、国の出先機関や権限、財源をお渡ししていく、こういう過程で、一気に八つのピラミッドを上からぼんとかぶせるみたいなことは絶対すまい、そう思っております。

菅川分科員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わりにいたします。

三谷主査代理 これにて菅川洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、永江孝子君。

永江分科員 本日のラストバッター、民主党の永江孝子でございます。

 大臣、それから副大臣、大臣政務官、長い一日、どうもお疲れさまでございました。遅くまで頑張っていただいて、貴重な質問の時間をいただけましたことを大変うれしく思っております。なるべく早くお休みいただけるように、てきぱきと質問を進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、おととしの九月まで、愛媛県にあります民間放送で仕事をしておりました。そのころから、デジタルに変わりますよ、テレビをかえてくださいねということを視聴者の皆さんにお知らせをしておりましたが、そのころには二〇一一年の七月二十四日、これはデジタルが完了いたしましてアナログの電波が停波する日でありますが、それはまだまだ遠い先のことだと思っておりましたが、その後、退職しまして、総選挙を経て、気がつきますと、あと一年五カ月後と目前に迫ってきております。もう秒読みに入ったんだと言ってもいいかというふうに思っております。

 デジタル化は補助制度などが功を奏しまして着実に進んでおりまして、デジタル受信機の普及率は今七割と聞いております。私がおりましたころから比べますと、わあ、七割まで進んだんだというような気がしておりますが、残り三割が大変だという問題があります。

 二〇〇七年までにデジタル開局をいたしました六千世帯を調査しますと、三千二百地区、世帯数に直しましておよそ八万二千世帯で、電波が届いているはずのエリアの外側の部分あるいはデジタル波同士の混信によりまして、想定外であった新たな難視というのが見つかっております。これから調査が進みますと、この数というのはさらにふえてくるものと思われるんですが、原口大臣は、国が責任を持ってすべての方にデジタル電波をお届けするんだ、これまで当たり前にテレビが見られた方には、これからも当たり前にテレビが見られるという環境を保障するんだととても心強い発言をなさっておられますが、この新たな難視への対応策というのはどういったことをお考えでしょうか。

原口国務大臣 永江委員は松山の御出身ですよね。松山は私の親友が市長をして、新しい政治、坂の上の雲を目指して頑張っている。ところが、中央政府自体が依存と分配だったので、松山のポテンシャルというのはなかなか厳しかった。しかし、それが政権交代しました。ぜひ新しい松山の先頭に立って頑張っていただければと思います。

 その上で、この難視地区については、正直、例えて言うと、夏休みの宿題をいっぱいもらって、八月二十日ぐらいにほとんどまだ宿題ができていないで引き継いだというのが実感なんですよ。ですから、難視地区については、地元自治体とか住民と調整し、地区ごとの難視聴対策の策定を進めていますけれども、これにより難視世帯を最小化するということが必要だと思っています。

 国は、中継局や辺地共聴施設の整備を支援中でございますが、来年度からは、高性能アンテナの対策支援を追加する等、支援の充実を予定しています。

 アナログ停波までに対策が完了していない地区については、最低限、テレビの視聴可能となるように、これは暫定的に衛星を使ってでも対策を実施する予定でございます。

 もう少し詳しくは内藤副大臣から。

内藤副大臣 すべておっしゃっていただいたので結構です。

永江分科員 大変心強い発言をちょうだいしました。

 それから、こういった難視を克服する方策としまして、デジ・アナ変換方式があると聞いております。私は、これは最後の切り札だろうというふうに思っております。

 デジタルの波を一遍受けて、それをアナログに変換をして、アナログのテレビが見られたような共聴施設ですとか、ケーブルを使って、本当のデジタルではないけれども、デジタルで送られた番組だけは見られるようにしようというもので、これはとにかく電波難民を出さないための緊急対策として必要なことだろうとは理解しているんですが、本来のデジタル化を進めていく、目指すところの理念からしますと、日本全体にデジタルの網を張ろう、便利で快適で情報の伝達能力の高いデジタルのネットをかぶせていこうという理念からしますと、ちょっと違った対応策なのかなとは思っております。

 しようがないことだとは思っていますが、一つ心配なのは、デジ・アナ変換の機械を一度据えてしまいますと、例えば、デジタルのものにかえなくても、投資をしなくても見えてしまうわけですよね。なので、一度これを据えてしまいますと、この後どうなるのかなというのがちょっと心配されるところではあるんですが、このデジ・アナ変換対応の今後というのはどのようにお考えでしょうか。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 実は先週の十九日なんですが、総務省からケーブルテレビ事業者に対して、臨時措置として平成二十七年三月までにいわゆるデジタル・アナログ変換を行ってほしいという要請を出しました。あくまで臨時の措置としてでございます。これによって、二〇一一年七月までに何らかの理由でデジタルテレビを買いかえることができなかった方々も引き続きそのままアナログテレビを使い続けられるということでございます。

 ただ、その後なんですが、あくまでこれは臨時の措置であるということを周知徹底を図りながら、平成二十七年までに、できるだけ早期にデジタルテレビを買いかえていただきたい、そのことを周知徹底、理解を求めていくよう、あらゆる手だてを講じていく所存でございます。

永江分科員 大変な問題ではありますが、ぜひ、情報格差を起こさないように、きめ細やかな対応をお願いしたいと思っております。

 もし、うまく進まない場合、二〇一一年七月二十四日アナログ停波のスケジュール変更というのはお考えでしょうか。

原口国務大臣 これは結論から言うと、考えていません。

 というのは、アメリカもやって、私は大臣に就任させていただいて、FCCとかアメリカの人たちと直接話をしましたけれども、アメリカの場合は、二〇〇八年一月にデジタルチューナー購入用のクーポン、これは四十ドルクーポンを二枚各世帯に配っているんですね。そういったことを経て、二度の延期を経てやっているわけです。

 では、日本は、それに耐える放送局の体力があるか、あるいはコスト面で見てもさらに増大をしていきます。それを考えると、この二〇一一年の七月に向けて完全に実施をしていくということが大事だと思っておりまして、NHK受信料全額免除世帯へのチューナー等の配布、それから、やはりエコポイントがきいているんですね。

 そういったものをやって、最後に残るのは、恐らくビル陰の共聴施設、それから先ほどおっしゃった難視聴のところだと思いますので、そういったところをしっかりとやれるように、これは国だけ音頭をとっても無理です、運動体にしなきゃいけないと思っているので。

 また、難視聴については先ほど八月二十日にバトンタッチしたというようなことを言いましたけれども、地デジの普及については本当にたくさんの皆さんに協力をいただいているので、さらに輪を広げて、停波延期ということをしないでいいように頑張っていきたいと思っています。

永江分科員 大臣には放送局の現状というのも御理解をいただいておりまして、大変安心をいたしました。

 といいますのも、そもそも経営基盤の弱い、体力のないローカル局が、アナログ停波のスケジュールを延ばせば延ばすほど負担が重なって、健全なメディアとしての力を発揮できなくなるのではないかということを心配しておりました。

 これまで、デジタル化を進めるため、在京のテレビ局を初めとしまして各テレビ局、ローカル局も、設備投資として、民間それからNHK合わせて二〇〇七年までに総額二兆円近い投資を行っております。東京、名古屋、大阪のキー、準キー十五局以外のローカル局の一社平均の投資額というのは五十四億円にもなっております。

 現在も、アナログの停波の日まで、デジタルとアナログと二つの電波を出し続けております。波を二つ出し続けるということはそれだけ負担も大きいということで、実際、私の地元のある局は、このままでは体力がもたないとの経営判断をいたしまして、デジタル完了のときまで何とか経費削減しようということで、自社番組の制作を五年間見送るという厳しい判断をしております。仕方のない経営判断とはいえ、とても残念なことだと思っております。

 といいますのも、私は、原口大臣がずっと提唱していらっしゃいます緑の分権改革、これは非常に地方の者として鼓舞されるところが大きいんですが、地方が自分のところの持っているもともとの資源とか資産とか力を使って富を生み出していこうという明るい未来を描いていることだと思っているんです。

 この緑の分権改革を進める上で、やはり放送に限らず、地方のメディアの果たす役割というのはすごい大きなものがあると信じております。地方のメディアは、みずからの力で、みずからの目で地域を見詰めて、地域の情報を取り上げて、地域の問題を提起して、地域の皆さんに知らしめて議論を起こしていくわけですから。

 つまり、情報も中央集権ではなくて地方分権が必要なんだというふうに思っております。ですから、地方からローカルメディアが消えるようなことがあってはならないというふうに思っておりますので、非常に心強いお声だというふうに聞かせていただきました。

 健全な民主主義のためにも大事なことだと考えているんですが、大臣は、放送にかかわらず、メディアの分権、地方における役割というのをどのようにお考えでしょうか。

原口国務大臣 まさに永江委員がおっしゃったように、地方の放送局、これは文化の拠点であり、あるいは伝統やさまざまな教育の拠点でもあるわけですね。それから、情報を発信し、そして共有することによって人々の参加を促す、そういう新しい公共の中心でもあるわけです。

 ですから、私たちはこれが経済的な理由によって壊れることがあってはならない、芸術や文化を創造する、そういう拠点でもあるわけですから、今回、放送法、放送と通信の融合法制ということを考える中でも、マス排の原則を一時そこだけは緩めて、そして資本規制を緩めて、支えることができるようにということを考えておりまして、また緑の分権改革という観点からも地域のよすががなければいけない。

 そういう意味でも、私たちは地方の放送局や情報発信というものをこれまで以上に大事にしていきたいし、これを数値化したいと思っています。文化の継承力あるいは発信力、芸術やさまざまな伝統の創造力、こういったものを数値化して、そしてビジョン化して、そこに向けてどのような資源が投下できるかということもあわせて考えておりますので、ぜひ御指導、御協力をお願い申し上げたいと思います。

永江分科員 数字化をされる、見える化をするというのは非常に地域の皆さんにもわかりやすくて、楽しみにしていたいと思っております。

 緑の分権改革で、自然ですとかエネルギーですとか、それから人材、食料、特産品、あるいは歴史、文化といった、地域の持っているみずからの資源をみずからで使ってみずから富を生み出す、これはみずからというところがキーワードだろうと思うんです。

 ですが、私が地方局で二十五年間取材をしてきて身にしみて思ったことは、皆さんはみずからの地域の持っている資源とか資産とか、みずからのいいところというのを意外に御存じないんですよね。知らないことは利用のしようがないので、ここのところが非常にこれから大事になってくるんだと思っています。その上で、大臣のおっしゃった見える化というのは非常に有効ではないかとも思っております。

 例えば、農業の六次産業化を進めるときに、ある地域でトマトが特産品だったとします。そうしたら、おいしいトマトをなるべく一生懸命頑張ってつくって、それをトマトソースに加工して、そのトマトソースを使ったトマトパスタを農家レストランで売り出すということになりますが、その一連の流れが観光資源として価値を高く持つ、あるいは人を引きつけてくる、あるいは地域ブランドとして力を発揮するためには、よそのトマトとは違う、よその農家レストランで出しているトマトパスタとはうちは違うんだよという、その地域、その土地ならではのストーリーが必要なのではないかと考えております。

 このストーリーというのは、やはりその土地の文化ですとか風土から生み出されるものではないかと思っていますので、そういう面で情報通信、メディアの力の発揮を大いに期待するところがあるのではないかと思っております。

 緑の分権改革について少し進んでお話を伺いたいと思っているんですが、二次補正で三十九億円の予算を確保して、これで地方に新たな雇用を生むようにということは大変うれしいことに思っております。二十二年度予算の方で一・六億円を緑の分権改革の推進のために確保されておりますが、これはどのように使っていこうというお考えでしょうか。

原口国務大臣 まさに今委員がおっしゃったように、みずからの地域のさまざまな資源、例えばエネルギーだけでいいますと、私たちは固定価格の買い取り制度と言っています。松山はまさに太陽の町ですよね。自然エネルギーを一人一人が例えば二キロワット生産する権利を持ったとします。今日本は二十一兆円ぐらい外にエネルギー代を払っているんですが、その全部を、化石エネルギーを自然エネルギー化するのは一気にはできません。しかし、その半分でも地域をそのお金が回るとしたら、外に行っているお金が内を回るわけです。

 また、アジアには今大変な繁栄が来ていますが、中国の方が日本に来られるのは今百一万人です。それがもうすぐ一千万人台になります。そうすると、その人たちはどこへ行くかというと、今永江委員がおっしゃったように、ストーリーのあるところです。食べ物が安心で、安全で、そして地域が暖かいところへ行くわけです。

 そういう意味からも、今の予算、これは最初のうちはモデル予算です。こういう緑の分権改革のモデルがありますよということを各地域の皆さんにお知らせして情報を共有することによって、さらに次のステップに行くためのまずスタート台というふうに考えていただければありがたいと思います。

永江分科員 そのモデル地域というのは募集か何かされるんですか。

内藤副大臣 はい、そのとおりでございます。

永江分科員 では、愛媛にもすばらしいところはたくさんありますので、応募するようにお勧めをしたく思っております。

 ICTの持つ重要性というのは原口大臣も常々おっしゃっておられますけれども、ICT維新ビジョンも掲げておいでです。ICTの果たす役割ですが、未来予想図でも結構です、行く行くこんなふうに地域の皆さんは便利になるんだよ、快適になるんだよというところがあれば、教えていただきたいんです。

原口国務大臣 二つ、ちょっと例を挙げたいと思います。

 一つは、ICTによる共同教育です。

 実際に私も、内藤副大臣と一緒に、あれは野党時代でしたけれども、シンガポールへ行きました。シンガポールの貧しい地域に電子教科書がありました。そして、子供たちはみずからが互いの先生になっていました。この間、青山小学校というところへ参りましたけれども、タブレットPCによってみんながお互いの創造性をさらに拡大する。つまり、光の道をつくって全世帯に電子教科書を配りたいと思っています。明治五年に私たちの先祖は、まさに坂の上の雲を目指して教育を全世帯に広げました。それの現代版、ICT版をやろうとしているわけです。

 もう一つは、医療です。

 先日、副大臣お二人あるいは政務官と一緒に遠野というところへ行きました。今医療資源が非常に枯渇をしている。だけれども、遠野も御多分に漏れず、産科医もおられないという大変厳しい状況でした。しかし、東京の専門医とつないで、そして、さまざまな健康予防をなさっています。そうすると何が起きるかというと、その地区まで高齢者の方が歩いていかれるようになった。雪の中で閉じこもりがちな人たちが、そこへ歩く距離がふえたことによってさらに健康になる。

 ICTというのはあくまで道具です。この道具を使うことによってさまざまな人間が持っている可能性、あるいはつながることによってさらにきずなを深くする、これをつくっていきたい。各地にこういうモデルをつくろうということを今考えているわけです。

永江分科員 今とても便利で、ああ、こんなになったらいいなという例を二つ教えていただきました。

 日本はICTを支えるインフラ整備はすごく進んでいるけれども、その利活用の方がいま一つ技術の進歩ほどは行っていないんじゃないかということがよく言われますが、この利活用を進めるために、このパワーをより発揮させるためにどのような方策を考えているでしょうか。

原口国務大臣 そこはやはり認識自体を改めなきゃいけないかなと。ファイバー・ツー・ザ・ホームまで入れるとまだ三割なんです。先ほど地デジ対策でお話しになったような、世界最速の高速インターネット網を日本は持っています。しかし、ではそれをユニバーサルに皆さんが使えるかというと、松山でもそうですね。それから、日本で超一流のホテルといっても、一ギガの通信ができるホテルというのはあるでしょうか。それはなかなかないんですね。つまり、ファンダメンタルのところもしっかり変えなきゃいけない。

 とともに、活用のところはOSをしっかりつくっていくことによって、みんなが使えることによって、今はある意味、キンドルだ何だといって黒船が来ているという状況ですね。

 そういう状況の中で、私たちはもう一回、政務三役を中心に、ICTの日本株式会社というようなものをつくりたいと思っています。すごい技術を持っているんですけれども、南米に行けばまた違うものが使われる、ヨーロッパ、アジアも別のことを使われるということであれば、これは汎用性というところで負けてしまうわけで、今私たちがセールスマンとして世界に出ているのもそういう理由でございますので、ぜひさわやかな弁舌とその説得力で、私たちに御協力をいただければというふうに思います。

永江分科員 二〇五〇年にはこんなふうに緑の分権改革はICTを利用して進むよというビジョンも拝見したんです。二〇五〇年といいますと、多分私の子供の世代をもう一つ過ぎて孫の世代になるのではないかなと思っているんですが、そのときにどんなふうな世の中になっているんだろうと私もちょっと想像してみました。

 今現在は、愛媛でも、やはり山の集落の方に行きますと、おじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命住んでいて、もちろんおじいちゃん、おばあちゃんですからパソコンは使うこともないし、いろいろな便利なものができたとしてもなかなか自分の範疇では扱えないというところなんですが、二〇五〇年になれば多少変わってきているのかなとは思うんです、電化製品ですとかパソコン、家にいろいろな便利なものがそろったところで生まれたときから育った子供たちが大人になっている世界というのは。

 ただ、人間の能力というのは、どんなに時代が流れようと、ある程度のところを超えて、何十年もたったから進化するということは考えられないんですよね。そうなったときに、子供からお年寄りまでがどういうふうなICTを使って、便利な、あるいは使いやすいものができているかというのを私も想像しているんですが、なかなか想像の範囲が行き届かないので、これは今ちょっと思いついて、質問申し上げていないので大変申しわけないんですが、大臣が描かれる未来予想図みたいなものがあれば。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

原口国務大臣 これは勝手に想像しているわけですけれども、この三十年ぐらいで、この十年で国民の生産性を三倍にしようとしているわけです。それはICTです。ただ、今のICTというのは、私は人間工学、心理学を専門にしましたけれども、心理学的に見ると、まだ機械が中心なんです。それで、二〇五〇年のICTの世界は完璧に人間が中心。ということは、こうやって何かやってくれと言われれば、あのスター・トレックのように、すべて、何もアプリケーション要らずに自由にできるという世界になっていると思います。

 そこで、働き方自体も相当変わってくる。今新しい公共ということを私たちは言っていますが、女性やチャレンジドの皆さんにとってはまだ開かれた社会とは必ずしも言えないんですね。働き方そのものも変わるでしょうし、それから、知識を何かためなきゃいけないという学びの仕方から、逆に言うと、知識はPCの中にある。だとすると、それをどのように加工していくか、創造していくか、そちらの側に大きく変わってくるんじゃないかというふうに思います。

 働き方そのものも、あるいは人間の尊厳に関する保障そのものもはるかに進歩した、そういう社会を目指して頑張っていきたいと思っています。

永江分科員 とにかく、それだけ便利になったら重要になるのは人づくりの方だということですね。わかりました。

 最後に、人材づくりといいましょうか、ICTを使った人材育成による地域活性事業に助成金という事業を総務省が募集をかけておりましたが、そのことについて、実は地元の方からお声をちょうだいしたので、ちょっと御紹介をさせていただきたいと思っております。

 私の地元の松山でNPO法人を立ち上げているある女性の方からいただいたお声なんですが、実はこの事業の募集がかかっていたのを知らなかったということなんです。この方が知ったのはインターネットのある新聞社のサイトで、こういう募集が開始していたよというのを知りまして、ああ、こういうことだったら応募したいと。

 このICTふるさと元気事業というのは、二月の四日から募集を開始いたしまして、二十五日までですから、まさにきょうが締め切りの日。だから、募集期間は三週間あったんですけれども、この方が知ったのが二月の上旬だったので、これから二週間余りの間で、どういうことをやるかをまとめて書面をつくって、それで手続をするというのはちょっと余裕がないなと思って、ぜひともこれは応募したかったんだけれども、一つの事業につき三百万円から三億円までの助成金が交付されますから、それだけあればどれだけのことができただろうということで、応募したかったけれどもあきらめたというような話を聞きました。

 ですから、できれば、こういうふうにいい仕組みとかいい制度をつくられたときは、なるべく広く知らしめるような工夫、お知恵を絞っていただいて、そして、募集期間については多分いろいろな事情がおありだったとは思うんですけれども、なるべく長い募集期間を設定していただけると、利用される方もふえてきて、もっともっと活性化されるというか、効果が広まるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

内藤副大臣 おっしゃるように、二次補正のICTふるさと事業はきょうが締め切りとなっております。大変短い募集期間ではございましたが、緊急経済対策というその趣旨を踏まえて、できるだけ早く、三月中に実施をしなければならないという条件の中でのことでございます。

 ただ、この三週間の募集期間の中に、実は申請件数が二百三十件、そして予算額が四十八億円を想定していたところ、おおむね二百億円近くの応募があったわけでございます。どうか御理解をいただきたいと思います。

 ただ、先生のお知り合いでぜひとも参画したいという方のために情報として申し上げさせていただくならば、今御審議をいただいております次年度予算案の中に、同様の趣旨の地域ICT利活用広域連携事業というものがございます。これも、ICTというものをキーワードに、NPOの活動をサポートしていこうというものでございますので、先生の御指示に基づいて、もうちょっと広く知っていただくように私たちも努めますが、どうか先生からもそういった関心のある方々に御周知をいただきますようお願いを申し上げます。

永江分科員 私も総務省はこれからもいいことをいっぱいやるから注意して見ておいてくださいと地元の皆さんにぜひお話をさせていただきたいと思っております。

 きょうはいろいろと取りとめのない質問も申し上げましたけれども、御丁寧にお答えをいただきましてどうもありがとうございます。

 ぜひこれからも、大臣それから副大臣、政務官、地域の、地方の応援団長として地域主権を実現してくださいますよう、お力を発揮してくださいますようお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

池田主査 これにて永江孝子君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後十時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.