衆議院

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第2号 平成22年2月26日(金曜日)

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二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      町村 信孝君

平成二十二年二月二十六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 池田 元久君

      奥野総一郎君    三谷 光男君

      渡部 恒三君    山内 康一君

   兼務 穀田 恵二君

    …………………………………

   総務大臣         原口 一博君

   総務副大臣        渡辺  周君

   総務副大臣        内藤 正光君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   総務大臣政務官      長谷川憲正君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君

   総務委員会専門員     大和田幸一君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  江田 憲司君     山内 康一君

同日

 第六分科員穀田恵二君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

池田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中総務省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野分科員 民主党の奥野総一郎でございます。おはようございます。連日、皆さんお疲れさまでございます。質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、総務省は縦割りの行政に横ぐしを通す役所だと思っています。国と地方の行政を預かり、そして郵政行政、ICT、これらは、特定の行政分野を超えまして国民生活を支えている重要な制度、インフラである。これらを相互に補完しながらこの国の改革を進めていけば、この国の形を大きく変えることができるんじゃないか、こういうふうに考えております。

 私は総務省におりましたけれども、残念ながら、これまでの自公政権では、こうした改革は遅々として進まなかった。私自身も郵政行政に携わっておったんですけれども、郵政事業の形ですら何度も変える、がらがら変わる、まともに決められない、そういう政治をもどかしく思いまして、この世界に飛び込んだということでございます。

 振り返って、明治維新の際には、一八五三年にペリーが浦賀にやってきて、それからわずか十八年で、江戸開城からわずか四年で廃藩置県とか地租改正、今でいえば地方制度の大改革、それから税制の大改革が行われてきた。このようなスピード感を持って今当たっていかなきゃいけない。原口大臣には、まさに平成の坂本竜馬として、ぜひ日本丸洗いを進めていただきたいというふうに思います。

 まず、鳩山内閣の一丁目一番地であります地域主権改革について伺ってまいります。

 小泉内閣のときには、大きな政府から小さな政府、こういうふうに言われておりましたけれども、よく言われることですけれども、日本は決して大きな政府ではない。国際的に見ても小さな政府と言うことができる。問題なのは、はしの上げおろしまで中央政府が口を出す、財源にしても仕事にしても口を出していくという、そのあり方が大きな政府と言われるゆえんではないかと思います。

 こうした現状を、仕事もなるべく地域に任せていく、あるいはお金も、自由に使えるお金を地域に持たせていく、地域に住んでおられる方が自分の地域のことを自分で決められるようにしていくのが私は地域主権改革だというふうに理解しておりますけれども、大臣のお考えと、それから地域主権改革への御決意をまず伺いたいと思います。

原口国務大臣 おはようございます。

 まさにおっしゃるとおりでございまして、大きな政府、小さな政府という前に、不自由な政府、どこに責任があるかわからない、こういう政府であったわけです。一回中央にお金を集めてそれを分配する、その間でたくさんの無理や無駄が起こりました。ですから、私たちは、依存と分配の政治ではなくて、自立と創造、そして自立と協働、この政治を行っていきたい。

 まさに委員がおっしゃるように、明治維新とは何だったかというと、それまでの農耕文化、太陽光を固定化できるのは植物だけです。ですから、その植物というものを治めた人たちが、いわゆる大名というのは石高と言われますけれども、水利をきっちりできる人が権力があった。そこに、今おっしゃるペリーというのは、化石エネルギーを背景とした人たちがやってきた。つまり、エネルギーの転換なんです。

 転換期において、では何をやったか。私たちの先輩は、三つのことをやりました。今おっしゃる郵政、歩いて行けるところに郵便局をつくった。派出所で治安を確保した。そして学校を歩いて行けるところにつくった。まさに私たちがやろうとしているこの地域主権改革は、国の新たなエネルギーのパラダイムのチェンジ、あるいは、今までの中央に一回お金を集めて分配するという政治統治そのものの変革なんですね。

 ですから、緑の分権改革ということを言っているのは、これは何かというと、一回中央で大きなエネルギーを集めてそれを分配するシステム自体もここで変えるんだ、そういうことでございまして、ICT、まさに委員がおっしゃったように、総務省というのは横ぐしの、コンピューターでいうとOSをつくる役所なんです。委員のお力をさらにかしていただいて、尽くしていただいて、本当の意味での平成の維新を起こしていきたい、それが地域主権改革だというふうに思っています。

奥野分科員 力強い御決意、本当にありがとうございます。

 郵政については後ほど少しお伺いいたします。

 まず、不自由な政府とおっしゃいましたけれども、できるだけ地域に仕事を任せていくということは私も重要だと思いますけれども、それについて少し伺いたいと思います。

 前政権下での決定でありますけれども、地方分権改革推進委員会の第一次勧告の中に、国と地方の役割分担の原則ということが示されています。ある意味当たり前で、「住民に身近な行政は、できる限り地方自治体が担う。」こうなっていまして、国の役割としては、「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」とか「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、全国的規模で行わなければならない事務。統一的にやらなければならないことは国にやらせるけれども、できるだけ地方に仕事を任せなさい、こういうふうに理解できると思っております。こうした考え方を参考にしながら、地域の住民がみずから意思決定できる仕組みをつくっていかなきゃならないということだと思います。

 国と地方の仕事の問題に関しましては、原口大臣が御苦労されまして、規制についての義務づけ、枠づけについてきちんと整理がなされ、今国会で法制化されるというふうに伺っております。さらに、原口プランを見ますと、国の出先機関改革をことしじゅうに法制化するというふうに出ております。

 これはまた、実は大変な大仕事であるというふうに私は感じておりまして、出先機関に人がまずいっぱい張りついている、この人たちをどうしていくのか。それから、仕事が張りついている、この仕事を基礎的自治体にどう割り振っていくのかということでありまして、大変な抵抗もあろうかと思いますけれども、地方の出先機関改革、そして国と地方の仕事の見直し等について、大臣の御決意を伺いたいと思います。

原口国務大臣 後で詳細については渡辺副大臣から。

 その義務づけ、枠づけ、まさに地方にとっても不自由な政府なんですね。みずから借金をする権限もない。あるいは、一万にも及ぶ義務づけ、枠づけを受けている。今回、地方の要望の強いものについて四十九項目のうち四十二項目、義務づけ、枠づけを一部見直しも含めて撤廃したわけです。

 そして、今委員がおっしゃるように、地方の出先改革、これは二重行政という批判も非常に強かった。そして、ガバナンス自体がどこまできいているのかということでございます。これは、中央政府だけやっていたんじゃできません。ですから、国、地方協議の場を法制化し、また三月三日に地域主権戦略会議をやりますけれども、鳩山総理の強いリーダーシップのもとで、これらの地域主権改革を工程表という形でまとめました。あとは、今、ビジョンを数値化しなさい、そしていつまでに何をやるのかということを、しっかりとパートナーシップの中でやっていくんだということでお話をさせていただいているところです。

 正直言って抵抗もあります。しかし、今のような分配型の政治をやっていたら、中央で働く人たちだって、給与がどうなるかわからぬという御不安をお持ちの方もいらっしゃいます。そういうものにこたえるためにも、しっかりとした公共サービスを保障するためにも地域主権改革を前進させていきたい、そう考えています。

渡辺副大臣 少し補足をいたしますと、やはり地方の出先改革というのは、国に何を残すかということだと思うんですね。何を地方に移管するかではなくて、何が国でやらなければいけないかということだと思うんです。

 先般、全国知事会、国の出先機関の原則廃止プロジェクトチームというものが、一月の二十一日に中間報告のようなものをまとめております。これを私たちも少し参考にしながら、地方の立場として、国の出先機関に対してどういうふうに考えているんだろうかとその資料を取り寄せました。

 もちろん、こうした意見を聞きながら、大臣のリーダーシップのもとで、具体的に実務者から、これは地方でできる、国でやるべきだということの仕分けがされているようでございまして、その報告を受けていますが、仕分け対象となるのが多分四百九十八事務。これは全国知事会が洗い出したものです。

 その中で、今これは中間報告ですけれども、地方に移管すべき事務というのが三百四十四ある。その中には、国で、地方でちょっとグレーゾーンというものもあるようですけれども、例えば地方航空局とか国籍に関する法務局の仕事、こういうものは国に残すべき事務だ、これは六十二。廃止もしくは民間委託するべき事務というのは九十二あると。地方に移管すべき事務は三百四十四あるんですよというような、プロジェクトチームが中間報告を出しています。

 詳しくは申し上げる時間がございませんけれども、ぜひ、国と地方の密接な協議の中で地方も覚悟を示して、国の出先機関の廃止というのを望むということは、当然、地方がそれを受け入れるということは、いろいろな形で覚悟を示してそこまでおっしゃっているようでございますので、その地方の覚悟も重く受けとめながら、大臣のリーダーシップのもとでこうしたまさに改革を推進していきたいな、そのように考えております。

 以上です。

奥野分科員 国と地方の協議の場も新たに設けられるようでありますから、しっかりと連携しながらやっていただければと思います。ぜひともよろしくお願いいたします。

 それからもう一つ、お金の問題。今のは仕事の話ですけれども、財源の問題がございます。

 仕事の見直しと裏表、仕事をたくさんおろせば、その財源もきちんと手当てしていかなければならないというふうに思いますけれども、大臣は常々、交付税の法定税率の引き上げの問題に触れております。今年度は一兆一千億円の増額ということで、リーダーシップをお示しいただいて、地域のためにしっかりやっていただきましたけれども、引き続きその法定税率の引き上げについて御尽力いただきたい。

 それから、原口プランによりますと、一括交付金化がことしじゅうに法制化されるというふうに伺っております。

 ちょっとこれは通告していなかったんですが、きょう、電車の中で携帯のニュースを見ておりましたら、きのうの予算委員会の分科会で、菅大臣が、一括交付金化すれば、交付金を二割ぐらい減らしても市民のニーズにこたえることができる、こう言っている人がいるというふうに答弁なさったようなんですけれども、私は、必ずしも減らすため、国が財源を浮かすための一括交付金化であってはならない、地方が自由に使えるお金、ひもつきでない自由に使えるお金、国が口出しせず自由に使えるお金を確保するための一括交付金化であるべきだと思っていますので、減らしてはならないと思うのですが、大臣、その辺いかがですか。

原口国務大臣 これは幾つかの知事さんからのお話で、減らしてでもいいから自由にしてくれと。一括交付金化するから減ってもいいんだという話じゃないんですよ。とにかく自由をくれと。自分たちは工夫をして仕事のやり方も行政改革もやるんだ、だから、ひもつきの補助金でがんじがらめにされて幾つも重なった部分もあるし、無駄や、また維持費でお金がかかるわけだから、そういったものはもう要らぬ、減ってもいいから一括交付金にしてくださいという意味であって、そこは全く委員がおっしゃっているのと同じ意味で私申し上げました。

 つまり、減らすのが目的じゃないんです。行政改革も必要ですけれども、まずは地域が独自でみずからやれるような財源をしっかりと確保する、このことを第一にやっていきたい、そう考えています。

奥野分科員 大臣の言葉を聞いて安心しました。ぜひともよろしくお願いいたします。

 それから、そういった交付税とか一括交付金で地域の財源調整を図りながら、最終的には、やはり地域の自主財源というのを少しずつふやしていかなければならない。四対六とか五対五とか言われていますけれども、少しずつふやしていかなければならない。なかなかこれも難しい大制度改革になろうかと思いますけれども、そのあたりの取り組み、スケジュールについてお伺いできればと思います。

    〔主査退席、三谷主査代理着席〕

原口国務大臣 これは、幾つかの税の項目があると思います。一つは、今おっしゃるように、自由になる一括交付金であるとか交付金、これは財政調整の機能。それからもう一つは、地方の自主財源として、私たちは、今年度は間に合いませんけれども、地方環境税といったものについても税調で議論をしています。

 と申しますのも、これから環境政策が大変大きなウエートを占めてきますが、これは、ほとんど施策をやっているのは地方なんですね。安定的な財源でもって地方の行政サービスを賄う、こういう考え方。それからもう一つは、遍在性が少なく、そして景気によって変動しない、まさにみずからの地域が公共サービス、これは介護であるとかあるいは福祉、いろいろなことをやっているわけです。その財源が不安定に動くというのはよくありません。地方消費税というようなものについてもしっかりと議論をしていかなきゃいけない。今の消費税の中の一%が地方消費税ですけれども、その割合についても、税調の中でもしっかりと議論をし詰めてまいりたい、そう考えております。

奥野分科員 地方環境税、私は環境税大賛成で、ぜひとも推進していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それから、先ほどから不自由な政府、不自由なという言い方をされていましたけれども、その不自由さを改めるために、地方自治法の抜本改正をお考えというふうに伺っておりますけれども、どういった内容になるのか。その辺をお聞かせいただければと思います。

原口国務大臣 地方自治法の抜本改正、幾つかの項目があります。

 一つは、地方政府基本法という形にしようかということを考えているわけです。つまり、いろいろな基本法がありますけれども、憲法に基づくさまざまな地方の基本理念があります。その理念をもっと強化して、そして地方政府が自由にやれる、そのためには、条例を、上書き制定権をどう考えるのか、あるいは地方議会との関係をどう考えるのか。

 そして、みずから借金をする。今、実質的に起債の権限というのも制約をされています。委員も御存じのように、みずからが使うお金について、だれかにお伺いを立てなきゃいけない、こういう状態が本当にいいのか。

 あるいは、増減税の権限。増減税の権限というのは議会の一番大きな権能でありますけれども、しかし、それが実質的に制約されているとすると、何が起きるかというと、中央からたくさん引っ張ってきてそれをうまく分配すればいいんだという、昔型の政治がはびこった理由はそこにあるわけであります。

 こういった、地方独自の自主性を高める観点からの改正を今議論しているところでございます。

奥野分科員 ぜひとも、早急に実現していただければと思います。

 江戸時代は、また幕末から一気に江戸時代に戻るんですが、地域ごとに特産品があったり、町並みも景色も地域ごとに、これは浮世絵なんか見るとそうなんですけれども、特色がありました。それがやはり、この国にとっては必要だったと思うんですが、行き過ぎた中央集権、ある時期必要だったと思いますが、行き過ぎた中央集権で壊れてしまいまして、町並みも日本全国どこへ行っても同じ、ファミレスに入ったら同じメニューで、コンビニ行ったら同じおにぎりが並んでいるということで、非常に寂しい思いをしております。

 私の選挙区は、佐倉あるいは八街というところを含んでいまして、佐倉は、「篤姫」とかに出てきた老中堀田正睦の堀田家の城下町であります。そうした歴史的な環境もありますし、また八街というところはピーナツが全国一ということで、そういった特産品もあります。こうした地場の特産とか歴史をうまく生かしながら地域を元気にしていただきたい、それが私の思いでありますけれども、そういう意味で、大臣の緑の分権改革、非常に共感するところでありまして、この問題の最後のところで、もう一度、緑の分権改革に対する意義、決意をお願いしたいと思います。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

原口国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、地域というものは、参加なくして地域はありません。あるいは、みずからの地域の歴史や文化や伝統に対する思い、これが地域をはぐくんでいきます。

 今おっしゃるように、歴史的な文化遺産あるいは継承されているもの、そこも、数値化できないものも確かにありますけれども、例えば文化の継承。この間、私たちは遠野市というところへ行きました。遠野物語というものを中心に、九十九の文化遺産をつくって、それを地域の皆さんが守っておられました。

 まさにこういう動きを加速させていきたいし、それから、地域をはぐくむためのお金、これは地域通貨も含めてですけれども、先ほどエネルギーのパラダイムシフトということを言いました。みずからの地域をはぐくむエネルギーをみずからで生産することができたら、これはお金の流れが変わります。ある試算では、宮崎県だけで五千億、外にエネルギー代を払っているそうです。もし、その五千億のうち三千億でもみずからの地域を回れば、地域の豊かさは圧倒的に変わっていくわけです。

 そういったモデルをこの一年でつくって、そして全国に広げていきたいと思いますので、ぜひ、千葉県の中でも、委員が先頭になって緑の分権改革のモデル地区をつくっていただければ、こう考えております。

奥野分科員 千葉は、そういう意味で緑の分権がまさにぴったりの地域だと思いますので、先頭に立って頑張っていきたいと思います。

 それから次に、郵政事業について所管大臣として伺いたいのですが、郵政事業、先ほどお話がありましたように、明治四年、ちょうど廃藩置県の年でもありますけれども、創業されまして、それ以来、全国あまねく郵便局を通じまして、郵便、物流サービス、それから貯金、保険はちょっとおくれて大正か何かになってできるんですが、金融サービスを提供してまいりました。また、近年では行政機関の代行サービスということで、ワンストップ行政のようなこともやっております。

 まさに地域を支えてきた郵便局、郵政事業だと思いますけれども、地域主権改革における郵便局の意義について大臣から伺いたいと思います。地域主権改革における郵政事業、郵便局の位置づけ、あるいは果たせる役割。

原口国務大臣 先ほど申し上げました明治五年の改革、歩いて行ける距離に何を先達が置いたか、三つでした。派出所と郵便局と学校。まさに郵政の役割は、簡保法、郵貯法一条にあったあの崇高な理念、広くあまねく、多くの人たちを、富める人も貧しき人もしっかりと金融の決済機能あるいは貯蓄機能を保障し、あるいは簡易な形で保険を保障して、国民全体の安心をかち取ろう、これが郵貯法一条、簡保法一条の理念だったわけです。それが、この十年間にまさに五回も変えられるというような形の中で、本当にずたずたにされてしまいました。

 きょう、先ほどJPエクスプレスを含めた郵便事業会社の事業計画の認可、これを許可しましたけれども、何が起きてきたか。それは、地域の安心を壊し、そして分社化ありきの民営化を押しつけてきた。これを逆の方向に、地域の安心のために、あるいは国民の金融社会権を保障するために、私たちは郵政事業における国民の権利を保障するための改革案というのを今まとめているところでございまして、この改革案は、まさに地域主権改革、先ほどお話をしました、お金の流れを変え、価値の流れを変え、そしてパラダイム自体を変えていくための一つの大きな変革だ、このように考えております。

奥野分科員 郵便局、郵政事業は地域主権改革に重要な役割を果たすということだと思います。地域の主権、金融社会権ということを郵便局を通じて守っていくということではないかと思いますけれども、そのためには経営を安定させなきゃいけない。

 明治以来、ずっと独立採算で、直接税金を投入したことはありません。もちろん、免税とかの特権を受けていたことはありますけれども、経営が破綻して税を直接入れたことは一回もありません。そうやって、独立採算としてやってきました。それどころか、近年では、公社化、民営化の中できちんと税金も払うようになりました。預金保険料も払うようになりました。税金について言えば、ビジネスモデルの問題なんですが、無理やり分社化された関係もあって、局会社に払う消費税なんという問題も出てきて、一般の金融機関よりもコストがむしろ重いというような面も出てきています。かつて、イコールフッティングだと民間金融機関は言っていたんですけれども、そういう意味での義務はちゃんと果たすようになった。納税義務あるいは預金保険料等の義務はちゃんと負担するようになりました。

 反対に、今、業務がむしろ縛られていて、限度額の問題とかあるいはかんぽの新商品の問題が話題になっていますけれども、民間よりも業務範囲が狭い、自由にできない、魅力ある商品が提供できない、これでは、競争しろといっても逆に不利になってしまう。このままでは事業が立ち行かなくなると私は思っております。

 過去の経緯からいって、税金を直接投入するとかいうのもなかなか難しいでしょうし、今、租税特別措置をなくしていっているときに、やはり郵便局だけ特別扱いというのもなかなかなりにくいと思います。ですから、できるだけ事業の自由化をやっていくべきだと私は思うのです。

 所管大臣といたしまして、事業として成り立つための民間と対等な経営の自由度が私は必要だと思うのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。

原口国務大臣 全く同じ認識です。民間とのイコールフッティングを図りながらも、手足を縛って飛べなんというのはできないことなんです。

 これは、よく官業モデルだと間違ったことを言う人がいますが、もともと公益性、つまり、明治政府がまさに坂の上の雲を追いかける中で、多くの地域の人たちがみずからの私財をそこに入れて、そして新たな公益という形で日本を盛り上げてきたわけです。それを一部の人たちが逆に私物化をする。コーポラタイゼーションをやらなきゃいけなかったものをプライバタイゼーションにやってきた。これを変えるというのが私たちの使命だ。

 私たちは今、鳩山内閣は新しい公益ということを言っていますが、郵政こそがまさに公益モデルなんです。みんながみずからの私財を投げて、そして支えてきた、そういう温かいきずなの社会をつくる。そのためにも、今委員がおっしゃるように、できるだけ経営の自由度を高めて、そしてさまざまな地域に回るお金をふやしていく、あるいは地域の安心をふやしていく、国民の安心を高めていく、こういう改革案を今まとめておるところでございます。

奥野分科員 間もなく改革案がまとまるというふうに思います。私は、郵政事業のかぎというのはやはり持続可能な企業体にしていくことだと思います。楽しみにしていますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 それから次に、地上デジタル化について伺います。

 私の自宅はちょうどビル陰になっておりまして、再送信のケーブルテレビでずっと見ていたんです。いわゆる受信障害対策共聴施設ということですけれども、先日、工事料無料キャンペーンか何かで回ってきたので都市型のケーブルテレビに入りまして、私のところは映るようにはなったんです。町内会なんかで一応説明会とかあるようなんですが、なかなか地元の人の関心が高まっていない。これは千葉市の中の話なんですけれども、私も一軒一軒聞いて回っているわけじゃないんですけれども、ちょっと心配な面もあります。

 そこで伺いたいのですが、全国にこうした受信障害対策共聴施設は何カ所ぐらいあって、具体的に今どういうふうに対応していて、どのくらい対応が済んでいるのかというところを伺いたいと思います。

内藤副大臣 私からお答えをさせていただきます。

 委員御質問の共聴施設は、全国に五万六千施設ございまして、世帯数に換算をいたしますとおよそ六百万世帯でございます。

 今どこまで対策が済んでいるかといいますと、先日発表させていただきましたが、完全にデジタル化が済んだものは二五・八%です。これに加えて、計画がもう済んだもの、まだ実施には至っていないけれども計画はでき上がったものを含めると四八%でございます。

 これに対する対応なんですが、御案内のように、デジタル化が進めばかなりの部分が解消されるとはいうものの、問題に立ちはだかる困難さは、原因者と言われる施設管理者と受信者との間の協議がなかなか進まないということでございます。

 こういった問題を解決するためにも、デジサポを中心に、当事者間の協議を進めるだとか、あるいはさまざまな助成制度等を提供させていただく中で、しっかりとこの問題の解決を進めていきたいと考えております。

奥野分科員 ありがとうございます。

 時間がなくなってきたんですが、電波の特性の問題で、これまで見えなかったところも逆に受信できるようになったり、あるいは逆に飛ばなくなって田舎の方に行くと中継施設を建てなきゃいけない、こういうことのようなんですが、私の地元は千葉テレビなんですが、これは独立系のテレビ局でして、キー局の傘下に入っていないんですね。もともと経営も苦しいんですけれども、なかなか、中継施設を建てるような設備投資が大変だと。

 ローカルメディアというのは、私はやはり地域にとってなくてはならない。地域主権、地域のことは地域で決めるんだといったとき、やはりローカルメディアがしっかりしていないと正しい選択ができないというふうに思います。ですから、ローカルメディアをきっちり守りながら地デジ化を進めていかなければならないと思うんですけれども、もちろん、中継施設の補助四十三億円というのがあるのは存じ上げていますが、できればもう少し補助率を上げていただくとか、御配慮をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるとおり、民放、特に地域の放送局は文化の拠点であり、あるいは地域のきずなの拠点です。ですから、そういう観点から今おっしゃるようなデジタル化投資については補助金はつくっていますが、さらに下支えできるように考えてまいりたいと思いますし、デジタル中継局に対する税制優遇措置、これももっと拡大をさせたい。

 そして、今回、放送と通信の融合法制、これの中でもマス排の原則、ここだけは一時緩めようというふうに考えておるところでございます。

奥野分科員 千葉テレビは独立系ですから、傘下に入っていないところは若干厳しいところがあるので、そこも御配慮いただければと思います。

 最後にもう一点だけ。この前、石川県の珠洲市で一時的に停波して反応を見たということがあったようですけれども、例えば、これは全くの今思いつきなんですけれども、通告していないんですが、全部とめてみる、アナログを全国一斉に五分間とめてみる、夜の八時に一斉にとめる、そうすると、みんなあっと思うわけです。五分たったらそこにテロップを流して、映らなかった方はここに連絡してくださいとかというふうにやれば、結構みんな気づくと思うんですが、そのぐらい思い切った対応がこれから必要ではないかと私は感じております。

 来年七月二十四日までにしっかりとデジタル化移行を間に合わせるとの御決意を大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

原口国務大臣 まさにこれは、今サイマルをやっているわけですけれども、しっかりと停波のために、完全デジタル化移行のために、ありとあらゆる手段を通してやっていきたい。そのためには、やはり国民運動というような形にしないといかぬなと思っております。

 今委員がお話しになった、一斉に実験をやってみるということも含めて検討していきたいと思いますので、またお知恵をいただきますように、よろしくお願いいたします。

奥野分科員 ありがとうございます。終わります。

池田主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田分科員 きょう私は、地デジの問題に限って質問します。

 政府は、現在のアナログテレビ放送を二〇一一年七月までに終了し、デジタルテレビ放送へ移行する方針であります。アナログ停波まであと五百十三日と迫ってまいりました。

 ただ、このままでは、地デジ移行、アナログ停波によってテレビが視聴できない、いわゆる地デジ難民が多数生じるのではないかと心配されています。今まで視聴できたテレビなどが見ることができなくなるというようなことがないように努力することが求められているのは当然であります。

 そこで、地デジ難民をつくらぬために、現在政府が何を重点的に行っておって、どうしようとしているのか、現状と対策を簡潔に明らかにされたいと思います。

原口国務大臣 穀田委員におかれましては、まさに京都、着物の文化あるいは地域の文化ということで大変私たちの誇り、多くの皆さんに共有していただいておりますことをまずお礼を申し上げたいと思います。

 地デジ難民、委員、この地デジ対策は正直、特にビル陰の問題とか見てみると、ちょうど、夏休みの宿題をたくさんもらっているんだけれども、八月の二十日ぐらいに交代しろと言われて、そしてあと十日ぐらいというような状況だと思っています。

 ですから、こういう認識の中で、デジタル受信機については、エコポイントを引き続きやる、テレビ購入支援などを実施しております。また、ビル陰の共聴については、これまでの成功事例を整理しつつ、共聴施設デジタル化加速プログラムを早急にまとめて対策を強化していきたい。

 そして、これは電波ですから、停波したときにどこが、今まで通じていたんだけれども通じない、あるいは通じなかったところが通じる、そういったことになることを考え、この間実験をしたわけでございますが、さらに、今おっしゃるような地デジ難民というものが生じないように国として万全を尽くしていきたい。もちろん、低所得者に対するチューナーの配布とかそういったこともございますが、さらには、この間アメリカに行って実態を調べてきました。あちらは延期をしたわけですけれども、延期をした中で何をやってきたかといったことも勉強しながら、手段を尽くしてまいりたい、こう考えております。

穀田分科員 国が万全の責任を果たすということだと。ただ、宿題とあれは違うので、国民は学校に行くのを喜んでいる人もいるんだけれども、見られないというのは、やはりそれこそ、最初におっしゃった文化にしても何にしても享受できないという問題が迫っているのであって、ちょっとその比喩は余り正しくないと思うんですよね。ちょっとこのごろ、そういうのが軽いんだよな、原口さん。本当に深刻だという実態を、迫っているというのはわかるんだけれども、そこが私としては少し残念に思っています。

 そこで、アナログ放送を終了するというんですけれども、地デジ対応がおくれている地域、進んでいる地域の差が大きいわけですよね。地デジ対応受信機の世帯普及率は、二〇〇九年九月の時点で、全国平均六九・五%。都道府県ごとに見ると、最低の五五・二%から最高の七八・四%まで二三・二ポイントの開きがあります。私が住んでいる京都府は六五・三%で、下から十一番目です。特に集合住宅共聴アンテナのデジタル化対応について言うならば、全国平均が六六・四%、南関東と京都が特におくれていて、京都は二〇%台であります。

 地デジ対応がおくれている県の特徴、特に京都についてはなぜこんなふうにおくれていると認識しているのか、見解をお示しいただきたい。

山川政府参考人 御指摘のように、京都府では六五・三%ということで非常におくれております。

 この受信機の普及がおくれている理由でございますが、一概には申し上げられないのではございますが、デジタル放送局の開局時期がおくれたということとともに、アンテナの受信環境が整っていないことが大きな要因として挙げられるのではないかと考えております。すなわち、京都市につきましては、地デジ受信用に新たにUHFアンテナの設置、調整を必要とする場合が多く、アンテナによるテレビの受信に課題があるというふうに考えております。これは南関東と同じ問題を抱えております。

 具体的には、アナログ放送では、大阪局、すなわち生駒山からの電波でございます、これをVHFアンテナで、それから京都局、比叡山に設置されました放送局からの電波をUHFアンテナで、それぞれの方向に向けて京都では受信をしている場合が多いというふうに承知しております。デジタル放送の場合、当初は大阪局からの受信を想定しておりましたが、この場合には新たに大阪局向けのUHFアンテナというのを設置する必要がございました。

 また、この普及率に加えまして、集合住宅の共聴施設のデジタル化対応も委員御指摘のとおりおくれているわけでございますが、これも同様に、UHFアンテナを必要とするという要因が大きなものというふうに思っております。また、集合住宅の利用するケーブルテレビの一部でデジタル化対応がされていない場合もあったかと思います。

 以上でございます。

穀田分科員 要するに、UHFとVHFの二方向の受信が必要だ、簡単に言えばそういうことがあったということですよね。

 対策の問題でいえば、京都ではことしの夏に、先ほど山川局長が述べたように、二つあったところから、比叡山に新たな中継所をつくることによって改善を進めよう、こういうことなんでしょう。これもあるんでしょう。それは確認する。それで、新たな中継所をつくると決めたのはいつなのか、そして、それまでは生駒からの電波が届くという前提で対策を進めてきたんじゃないのか、なぜそれを変更したのかということについて少し述べてください。

山川政府参考人 まず時期でございますが、関係の放送事業者、NHK及び近畿の広域民放四社が比叡山に新たな中継局をつくることを決めましたのは、昨年の十一月でございます。

 なぜそれまでの計画を変更したのかという点でございますが、先ほど申し上げましたとおり、当初、生駒山の大阪局からの電波でカバーされる設計となっていたわけですが、京都市内の一部地域で高層ビルに電波が阻まれて受信しにくくなっているということが、実態調査等により、昨年夏ごろから判明をしてまいりました。このため、受信環境を改善するということで、ことしの夏を目指して新たに比叡山側から電波を出すことになったものでございます。

穀田分科員 そこで、資料を見ていただきたいんです。「京都市等でテレビ放送を視聴する場合に必要なアンテナ設備」というのをお渡ししています。

 これまで、民放のデジタル放送を見る場合には、生駒からの電波を受信するために、VHFアンテナをUHFアンテナにかえる工事が必要だったわけです。しかし、今答弁があったように、ことしの夏、比叡山に中継局ができれば、もともとあるUHFアンテナでデジタル放送が視聴できる、新たなアンテナは要らないということなんですね。ここに線を囲んだように、新たにUHFアンテナが必要だった時期があるわけですよね。

 こういうことになっていて、これは実は、京都市内中心部、昨年の夏、今大規模な調査を行ったと言っていますが、実はこれなんですね。(地図を示す)ちょっと見えないかもしれないけれども、大体わかると思うんですが、緑の線が見えるところの道路なんです。ところが、黄色と赤があって、ここが見えへんわけです。これほど大規模にある。京都市内の京都駅を中心に、生駒から電波が来ますから、北の方は見えへんわけです。

 これがわかって、これはえらいこっちゃというので、こっちから電波を飛ばすということになったわけなんですが、もともと、もっと早く比叡山の中継局設置を決めていれば、今お示ししたアンテナ工事をする必要はなかったわけですよね。全く無駄なことをさせる期間があったということなわけです。したがって、なぜもっとしっかり調査し、対策を事前にとらなかったのかということが、これは責任問題なんですよね。私は、住民の声を聞き、いかにして負担を少なくするかという立場が明らかに欠如していて、後手後手に回ったということが否めないと思うんです。

 そこで、今局長の答弁ではことしの夏に向けてとあるんだけれども、昨年の夏に調査し、冬に決定をし、ことしの夏だと。そうすると、夏になれば今のアンテナ工事をしなくてもよいというのだったら、デジタル放送を見るのは夏まで待とうという人がいても当然なんですよね。そうすると、こうした情報というのはどのように周知されているのかもあわせて聞きたい。

山川政府参考人 現在、デジサポが中心となりまして、各地で説明会を開催しております。また、自治体等とも連携をいたしまして、周知広報には全力で取り組んでおります。

 こうした中で、この中継局が夏に開局することにつきまして、一般向けの周知広報につきまして強化してまいりたいと思っております。

穀田分科員 一般論はわかっているんです、そんなことだれも知らへんと言っているんです。私も知らぬのだから。私も早く買ったという問題はあるんだけれども。関係者に聞きますと、電器店は知っていますとくるわけですよ。大体わかりますやろ。つまり、電器店が一番、物を買いに来るわけだから、買うときに、いや、ありまっせと。今後夏になればできますので、ちょっと待ったらどないですというふうに言ってくれるということを期待していたらだめなんですよ。

 つまり、今だったら費用がかかる、無駄な費用がかかります。こんな無駄な費用をだれが負担するのか。それ自身が問題だということを私は言っているわけですよ。だから、そういう対策はとらなあかんということを言っておきたいと思うんです。

 次に、視聴形態別のデジタル対応の現状と問題点について質問します。

 まずは集合住宅共聴です。一棟当たりの戸数が少ないところ、さらには老朽施設等で、一戸当たりの負担が大きくなると聞いています。また賃貸住宅などは、大家さんが対応してくれないと、賃借人は受像機を買っても地デジが見られないというような問題も生じています。さらに、先ほどもありましたように、VHFで対応していたマンションの改修問題もあります。

 ですから、集合住宅での改修促進をどのように進めていくのか。これは簡潔にお願いしたいと思います。

内藤副大臣 では、簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。

 まずは、この問題、管理組合ですとかオーナーの理解がなくてはなかなか進まない問題でございます。そこに、自治体とか、あるいはさまざまな協力を得ながら働きかけを行ってまいります。

 そしてまた、オーナーのデジタル化改修に対するインセンティブを高める意味でも、きのうも申し上げたんですが、不動産情報の検索サイトがございますが、実は、そこに地デジが完了したかどうかという項目もつけ加えていただくよう、既に実施していただいたところもありますが、今後もそれを普及していきたいと思っております。

穀田分科員 補助金だとか、そういうインセンティブと言うんだけれども、やはり現場のところにどうなっているかということです。各自が自宅にアンテナを立てれば済む個別受信と違って、共同住宅などの関係者が多い施設の場合、特別の体制が必要だということなんですよね。まだ二割弱の県もありますから、しっかりそれは対策をとらなければならないということをあえて言っておきたいと思うんです。

 次に、受信障害対策共聴施設、いわゆるビル陰の問題について聞きます。特におくれているのがこの問題です。

 二月二十五日付毎日新聞が「地デジ難民 対策の現場から」という特集も行っています。その中でマンションがどれほど苦労しているかということが書かれていて、そこの例では、百八十数軒のマンションがあって、その障害が起こっているところは、かつてアナログの場合は三十三軒だった、それを解消するためにいろいろな話し合いをして、二年も合意にかかったと書かれています。

 これはいい方で、私は、こういう問題が起こっているという事実をまず認識した上で、現状の到達点はどうかという問題について問いたいと思います。

 私どもの塩川議員が二月十九日に質問を行って、その際に、受信障害対策共聴施設の改修実施率が全国で一八・七%となっている実態を質疑で明らかにしました。この改修状況について、特におくれていると言われている近畿各県の最新の状況を述べていただきたいと思います。

山川政府参考人 最新の調査、すなわち、これは平成二十一年の末時点の受信障害対策共聴のデジタル化率でございますが、全国平均二五・八%となっておりまして、うち近畿二府四県で見ますと、滋賀県が一八・六%、京都府が七・三%、大阪府が二〇・二%、兵庫県が二六・八%、奈良県が七・四%、和歌山県が二五・五%となっております。近畿二府四県で見ますと、全体では一八・五%となっております。

穀田分科員 京都の場合もありましたが、近畿がどれほどおくれているかというのがよくわかると思うんですね。

 では、こういう問題について、おくれの原因は何なのか、どうこれを克服していくのかということが求められていると思うんです。そこを簡潔に。

山川政府参考人 この受信障害対策共聴施設の進捗のおくれでございますが、やはり関東圏、それから近畿圏が大きくおくれております。

 この問題につきましては、ビル陰等の多い都市部に特に施設数が多いということが挙げられるかと思います。加えて、委員御指摘のとおり、当事者間の話し合いが必要な場合に、この協議に時間を要すること、あるいは全体として、まだ大丈夫だろうという待ちの姿勢もおくれの要因の一つと思います。

 これに関しましては、私ども、近畿におきましては、関係事業者を網羅いたしました近畿スクラムという体制を特別にとりまして、関係の放送事業者、ケーブルテレビ事業者、不動産業界や工事業者を挙げての取り組みを平成二十一年の十月から推進しているところでございます。

穀田分科員 それでは間に合わへんということを言いたいわけですよ。そんな二〇%台、京都の場合七・三%などという現状を、宿題はそれこそ残っていると言わなくちゃならぬわけで、しかもこれは、今、山川局長からありましたけれども、調整に時間がかかるなどというのは前からわかっていることなんですよ。それで今日のこの事態だということに対して私は警告を発しているわけですよ。

 そこで、アナログの受信障害共聴施設をデジタル対応させようと思ったならば、デジタル放送で受信障害がなくなったかどうか、受信障害が残る場合、どの家に受信障害が残るのか、そういう意味で受信状況の調査が当然必要なわけですよね。では、受信状況の調査はやられているかというと、全国マンション管理組合連合会の調査によりますと、〇八年十二月現在、調査する計画すらない管理組合が五五%。なかなか進んでいない。受信施設の管理者であるマンション管理組合としては、そう簡単には足を踏み出せない課題なんですね。なぜなら、費用負担の問題もあります。管理組合の側からすれば、そもそも調査費用を負担させられる根拠があいまいという思いもあります。しかし、受信状況調査が行われないとスタート地点にも立てない。

 どうやって進めていくのか。今、その事態を打開する上で何がポイントかということについて、どうお考えか。

山川政府参考人 委員おっしゃるとおり、この共聴施設のデジタル化対応の検討をいたしますには、まず電波の受信状況を把握することが重要でございます。

 この受信状況の把握でございますが、基本的には受信障害の原因者により行われることが基本ではございますが、このデジタル化対応を促進するということは非常に重要でございますので、私ども総務省といたしましても、デジサポが個別施設の受信状況の調査を支援しております。

 また、簡易な受信調査と申しまして、これはワンボックスカーの屋根に受信アンテナを取りつけまして、受信障害対策共聴施設が集中する地域の道路を車が走りまして、そういたしますと、その走ったところにおけるデジタル放送の受信状況が、簡易にではございますが、ある程度わかりますので、こういった調査をしております。この結果につきましてはインターネットで公表しておりますので、それをごらんいただければ概要につきましてはわかる体制をとっております。

穀田分科員 そこだけではだめなんですよ。簡易な調査によるという問題は、先ほどお見せしました地図をもう一度見ていただくと、京都は碁盤の目になっているのは御承知のとおりです。この上は見られるのですよ。ところが、京都というのは、御承知のとおり路地が入って、一たん入ると見えないという問題があるわけなんですね。それで、マンションが今までこういう事態があった。

 だから、問題は、簡易のそういう受信状況の地図を作成するというだけじゃなくて、受信状況調査を管理組合が希望すればデジサポが実施するというところまで踏み込んで援助しなくちゃならぬ、当事者任せじゃだめだというところが今ポイントなんですね。そこはどうですか。

原口国務大臣 今お話を伺っていて、実態をまず把握し、そして国がリーダーシップをとって受信対策を行う、その責任が問われているんだというふうに思います。今の委員の御指摘を踏まえて政務三役で議論をして、委員の御指摘に沿った形で何ができるか、早急に検討したいと思っております。

穀田分科員 現実の問題は、もはや検討というよりも、デジサポが今仕事をしている、簡易のところまで調査している、道路までやっている。そういうものを一歩進めて、つまり、管理組合の側は言い出せば自分の責任になるのと違うかと、今まで受信障害を受けていたところはまた立てなならんのやろかと、こういういろいろ思惑が交差している。こういうものも含めて、いわば、調査に踏み込むと同時にコンサルティングということもしなければ進まないということだと思うのですね。そこはどうですか、山川さん。

山川政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、デジサポが単に簡易な調査を公表するだけではなくて、例えば、この地域におきまして受信状況の調査をしたいんだけれどもということでデジサポにお問い合わせいただければ、相談に乗る体制を組んでおります。

穀田分科員 その場合、無償ですか。

山川政府参考人 今年度予算で、約一万一千カ所につきましては無償で御相談に乗れるような体制を組んでおります。

穀田分科員 一万というんじゃ、マンションの数からいうととても少ないわけですよ。ですから、そこは検討していただいて、ただ、今お話ししたように、マンションが困っている、それはお調べしますよ、同時にコンサルティングしますよということはやっていただくということで確認しておきたいと思うんです。

内藤副大臣 先生御指摘のように、この問題は、当事者間の協議が進まないという問題以前の問題として、なかなか議論そのものが進まないというのが大きな問題としてあります。国そしてデジサポも積極的な働きかけを行っていきたいと思いますし、また、過日、原口大臣の、やはりビル陰難視というのが一番大きな問題だから、これを早急に解決すべく対応するよう私の方に指示が下りましたが、先生の御指摘もしっかり踏まえながら、そのプログラムを策定していきたいと思っております。

穀田分科員 では、新たな難視問題についても少し聞きます。

 きょう地図を持ってきたのですが、これは滋賀県の甲賀市の地図なんですね。山際を切り開いた約二千世帯の住宅地域です。デジサポによるポイント受信調査では、UHFの電波が辛うじて届く、地デジ放送が映るエリアと判定されていました。ところが、再調査してみたところ、このサンプルのところですね、二十五軒中五軒がアナログでは辛うじて映っていたが、デジタルでは映らないということが判明した。

 先ほど述べたように、京都市内の中心部では、大通りについて言えば測定車を走らせましたけれども、受信可能となっているエリアでも、一たび車の入れないような路地などでは電波が届かないことが十分予想されると、私はデジサポの方々にも聞いてまいりました。

 したがって、要は、地デジの電波が届くと判定されたエリアでも、再調査すれば、こういう地デジの電波が届かないという実態が出てくるケースがあるんじゃないかと思うんですね。そういう点での調査を丁寧にすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

内藤副大臣 まず平成二十年の段階で、シミュレーションで、およそ三十五万世帯が新たな難視地域に含まれるのではないかという予測を立てました。その後、実地調査を重ねてまいりまして、現段階ではおよそ二十万ぐらいだろうという結論を得ておりますが、今後も引き続き具体的に実地の調査を進めていき、まず現状把握に努めてまいりたいと思っております。

穀田分科員 もはや実地調査というより、もうあとそんなに日がないわけだよね。だから、どういう対策を今これらの点で、基本的なベースとして何を考えておられるのか。

原口国務大臣 そういう意味でも、今委員がおっしゃるように、難視地区については、地元自治体、住民と調整し、中継局や共聴施設の新設、あるいはケーブルテレビ加入対策や高性能アンテナ対策の手法によって、地区ごとの難視解消対策の策定を進めておりまして、これにより難視世帯の最小化に取り組んでいるところでございます。

 この対策を推進するためには、国は、中継局や辺地共聴施設の整備をさらに支援しなきゃいけない。来年度からは、今申し上げたようなケーブルテレビへの加入、高性能アンテナ対策の支援を追加する等、支援を拡大していく、こういう予定でございます。

穀田分科員 今大臣から答弁がありましたが、ケーブルも確かに重要な手段だと思います。ただ、問題は、地域ケーブルテレビの月々の利用料が高いことが難点です。私は、ケーブルしか利用できない世帯ないしは希望する人々に対して、低料金でNHKと広域民放のみが視聴できる料金コースなどをつくるべきだと思うんですね。

 というのは、御承知のとおり、ケーブルテレビを利用しようと思うと、電話をつけるとか、パソコンだ、さらには多チャンネルだと、サービスをぐっと提供するわけですよね。それで金が高くなる。もちろん、安いのではやっていけないという問題はあるのかもしれない。しかし、それは電波事業をやっている上での社会的責任として、そういったものも含めた対策を打つ必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

原口国務大臣 おっしゃるように、平成二十一年九月末現在で、地上デジタル放送のみの再送信サービスを提供しているケーブルテレビ事業者は、自主放送を行う五百三十六社中二百八十六社でございまして、前年同時期の調査よりも百二社増加をしているところでございます。それで、千円以下でサービスを提供している事業者は、平成二十年九月の調査から六十七社ふえて百七十五社ということで、六一・二%ということになっています。

 さらに、ケーブルテレビ事業者に対して、総務省の方から、視聴者が利用しやすいサービスメニュー、提供条件等を検討することを要請しているところでございまして、今後もあらゆる機会をとらえて要請を行ってまいりたい、こう考えています。

穀田分科員 もちろん要請しかないというのはわかっているんですけれども、やはり現場で、視聴者の立場に立つと同時に、そのことが国の責任として、地デジに変更するということから起こっている事態なわけでして、そこは、そういう方式しかないという場合について、きちんとした手だてが私は必要だと思います。

 最後に一問だけしておきたいと思います。

 きょう質問したのは、視聴形態別デジタル化対応の問題点、さらには新たな難視問題について述べてきたところであります。

 それで、集合住宅共聴並びにビル陰問題などに深くかかわっている管理組合総会の集中時期は、大体四月から六月にあります。今年度の集中時期に理解と合意をしなければ、二〇一一年には間に合いません。

 京都の場合でいえば、先ほど述べたように、比叡山中継所がデジタル放送を開始するのは七月の予定で、四月―六月の総会には間に合わない。行われること自体だってわかりませんから。したがって、その後、受信状況の調査をして地域住民にアナウンスをする、あるいは受信障害が残った場合に施設を改修する。それをしようと思っても、管理組合の総会は終わっていて予算がない。そうこうしているうちに、二〇一一年のアナログ停波までには間に合わないということになりかねない、こうなります。

 私は、こういう今述べた現状と、今後予想される管理組合などを初めとした年間行事との関係も含めて、国や放送事業の対応が間に合わないということが予測されるし、私は明らかだと思っています。したがって、アナログ放送停止は延期すべきだと、改めて大臣に質問しておきたいと思います。

原口国務大臣 二〇一一年七月の完全デジタル化は、国会の議決を経て決定したものでございまして、現在、関係者と協力し、国策として取り組んでいるところでございまして、さらに努力を進めます。

 あと五百十三日、委員がおっしゃるとおりでございますが、アナログ停波の延期は考えておりません。

池田主査 穀田恵二君、簡潔にお願いします。

穀田分科員 議決をしたということで言うと、首都移転だって何回も議決しているんですよ。できていないんですよ。悪いものについて言えば変える、現実がこうなっているということが必要なんですよ。

 前の自公政権がやっていたことを、ともかく実行するというような話を平気で言っているようじゃあかんということだけ言っておきます。

池田主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十時四分散会


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