衆議院

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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)

委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      稲見 哲男君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    若泉 征三君

      金田 勝年君    富田 茂之君

二月二十四日 

 若泉征三君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席分科員

   主査 若泉 征三君

      稲見 哲男君    生方 幸夫君

      小川 淳也君    大西 孝典君

      岡田 康裕君    高井 崇志君

      長島 一由君    三宅 雪子君

      金田 勝年君    長島 忠美君

      赤松 正雄君    富田 茂之君

   兼務 あべ 俊子君 兼務 福井  照君

   兼務 高橋千鶴子君

    …………………………………

   総務大臣         片山 善博君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   総務副大臣        平岡 秀夫君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   厚生労働副大臣      大塚 耕平君

   防衛大臣政務官      広田  一君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    金高 雅仁君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 須永 和男君

   政府参考人

   (文化庁次長)      吉田 大輔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 日向 英実君

   総務委員会専門員     白井  誠君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  生方 幸夫君     長島 一由君

  小川 淳也君     仁木 博文君

  金田 勝年君     長島 忠美君

  富田 茂之君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 一由君     岡田 康裕君

  仁木 博文君     高井 崇志君

  長島 忠美君     竹本 直一君

  赤松 正雄君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     三宅 雪子君

  高井 崇志君     大西 孝典君

  竹本 直一君     金田 勝年君

  古屋 範子君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     小川 淳也君

  三宅 雪子君     生方 幸夫君

同日

 第三分科員あべ俊子君、第八分科員福井照君及び高橋千鶴子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

若泉主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました若泉征三でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。片山総務大臣。

片山国務大臣 平成二十三年度におきます総務省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 一般会計の予算額は、十七兆七千二百十六億円であります。

 新成長戦略を着実に実現するとともに、国民生活の安定、安全を実現するため、地域主権改革の推進、ICTによる新成長戦略の実現、消防防災行政の推進、行政改革の推進など重点的に進めるとの考え方に基づき、取りまとめたものであります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

若泉主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若泉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若泉主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島一由君。

長島(一)分科員 皆様、おはようございます。

 この衆議院予算委員会の分科会、総務省所管ということですけれども、特にきょうは小宮山洋子厚生労働副大臣そして広田防衛大臣政務官に出席いただきまして、早朝より申しわけございません、よろしくお願いします。

 それでは早速、きょうは、税金の無駄全廃、特に、税金の投資対効果、それから生産性を上げるという観点を中心に、何点か御質問させていただきたいと思います。

 年末年始にかけて、片山大臣を含む政務三役に、私は個人的に提言書を十本ほど提出させていただきました。まず、端的にお尋ねしますけれども、大臣、これを読んでいただいたでしょうか。

片山国務大臣 はい、拝見をいたしましたし、別途、たしか私に、部分的にではありますけれどもお手紙をいただきまして、拝読をいたしました。

長島(一)分科員 片山大臣、お読みいただいたということなんですけれども、所見を、例えばその中でも、既に検討していただいたとか対処していただいたとか、そんなことがあったらうれしいんですが。

片山国務大臣 実は私も、自分で実際に選挙をかつてやったこともありましたし、それから自治体の首長もやっておりまして、いろいろ考えるところがありました。実は、議員からいただいた提案書の中で符合するものもあるのであります。例えば、公営ポスター掲示場への選挙運動用ポスターの掲示は選管が行ったらいい、私も実際そう思いました。あと、インターネットによる選挙運動の解禁とか、こういうものは本当に私自身も考えておりましたので、すっと腑に落ちるものでありました。

 率直に申し上げますと、例えば地方自治体の首長や議会のあり方についての御提言もありまして、その中に別途いただいたもので阿久根市の話なんかもありましたけれども、そこについては若干違和感がありまして、自治体の自由にさせればいいという意見もちろんあるんですけれども、それによって住民の権利が侵害されないかという懸念もありまして、私は、住民の権利を最低限はやはり擁護するというところが必要だと思いますので、その辺についてはもっと御議論をさせていただく必要があるのかな、こんな印象を持っております。

長島(一)分科員 御答弁ありがとうございます。本当はこの提言書だけで三時間ぐらいやりとりさせていただきたいんですけれども、時間が限られておりますので、別の機会に譲りたいと思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 総務省の行政評価局では、平成十四年にスタートした政策評価法の十九条に基づいて、毎年、政策評価への取り組みについて報告書を作成して、国会に提出しております。また一方、会計検査院も、決算報告書を作成して、内閣経由で国会に報告書を提出しています。今手元にありますけれども、それぞれこれだけ厚いものなんですけれども、どちらも税金の使い方に関する国会への法律に基づく報告だということです。今回、この二つの報告書を比較検証しながら幾つか質問と御提言をさせていただきたいと思います。

 まず、総務省の行政評価局と会計検査院の役割分担と連携について、片山大臣にその見解をお尋ねいたします。

片山国務大臣 両者はそれぞれ、政策でありますとか予算の執行でありますとか、そういうものをチェックするという面では共通の点があると思いますが、やはりそれなりの役割の分担があると思います。

 行政評価局は、政府全体の自己評価といいますか、自己的な観点からの評価を行う、それを調整したり取りまとめをする、そういう役割があると思います。それから、会計検査院の方は、主として、お金の使い方といいますか、会計経理の適正さをチェックするということで、これは憲法にもありますように、政府からは少し離れた立場として客観的な立場で検査をする、こういう役割の違い、立場の違いがあるのではないかと思います。

長島(一)分科員 御答弁ありがとうございます。

 二月の十八日の決算部門会議で、今の全く同じ質問を会計検査院の官房総務課長にお尋ねさせていただきました。片山大臣の見解と符合しているところがあるので割愛しますけれども、やはり、政権が交代して、税金の無駄遣いをなくすということを国民は期待していると思います。そういった意味で、これまで以上に総務省の行政評価局と会計検査院の連携ということがますます大事になってくると思います。

 特に、会計検査院に効率性の追求という観点から政策評価をもっと活用してもらいたいと思っているんです。連絡会は年二回やっているということなんですが、今のところ議事録がないので、私どももどのような議論をしているか外部からわからないんですけれども、議事録を作成する。あるいは、これ全部公開というのは無理だと思うんですよ、ブレストができませんから。そういった意味で、クローズドミーティングとオープンミーティングと分けて、外部からもどのような議論をしているかわかるようにしていただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは会計検査院ともよく相談してみたいと思います。何らかの形で、外部に対しても何をやっているかということがわかるように、わかりやすいようにするということは重要だと思います。

 会計検査院に限らず、この種のチェックなどを行う組織とか機関、機能というのは幾つかありまして、総務省もそうですし会計検査院もそうですが、それ以外に、新政権になってからは行政刷新会議があります。もとより、予算査定というのも実はチェックを本来している、すべきことなんですけれども、ここが果たしてどうかという問題もあります。それから、国会における予算の審議、今まさにそうなんですけれども、それから決算審査、そういうものもありまして、それぞれが連携をしながら、役割を分担しながらチェックを進めていくということが重要だろうと思っています。

長島(一)分科員 ありがとうございます。

 特に、これから行政評価本体の方の質問に移りたいと思うんですけれども、例えて言うなら、私、今後の報告書とか、それから担当所管から話を聞いて、あるいはこれまで各所管に、まあ、まだ国会議員になってから一年半ぐらいでしょうか、それぐらいの短い期間ですけれども、思うことは、政策評価をやっているんですが、自転車でいったら、一生懸命こいでいるんですけれどもチェーンが外れている、あるいは、チェーンがはまっていても、五段階のギアでいったらローギアかセカンドぐらいにしかなっていない。ただ、一部の省庁でトップギアに入りつつある省庁もあるので、それは褒めたいと思うんですけれども。

 そういった意味で、ちょっと何点かお伺いしますけれども、例えば、この報告書の四ページにも書いてあります、また法律にも定めてありますけれども、研究開発、公共事業、政府開発援助、規制の四分野は、社会的に影響も大きいということと、多額な費用が見込まれる、それから評価の方法が開発されているという特に三つの理由で、事前評価が法律によって公表が義務づけられているんです。

 例えば政府開発援助について、政権交代して民主党は、アフガン支援について、岡田外務大臣が向こう五年間で最大五十億ドル支援するということで、かなり膨大な金額を拠出する。これは湾岸戦争に次ぐ規模なんですね。ですから、きっとアフガン支援についても外務省の政策評価のページに事前評価をちゃんとやったということが載っているんだろうなと思っていたんですけれども、アフガンのアの字もないんですね。

 これは、事前評価を法律に基づいてやらない場合、政策評価法違反になるのかどうか。違反かどうかというのは、裁判所じゃありませんから、大臣の立場では判断できないかもしれませんけれども、あるいは抵触するおそれがあるかどうか。その点について、一般論でも構いませんので、お尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 今、議員がお触れになられましたように、法律でもって一定の事業については事前評価を義務づけられているわけでありまして、細かい要件はともかくとして、その要件に該当する案件でありますと、事前評価をしなければ、それは法に抵触することになると思います。

長島(一)分科員 重ねてお尋ねしますけれども、アフガンの話はまた後でお尋ねしますが、一般論で構わないんですけれども、この政策評価法については、短く答弁していただきたいんですけれども、端的に言えば、どこまでやったら適法で、何をしていないと違法になるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 それは、ちょっと細かいことは今御答弁申し上げかねますけれども、法律に要件がそれぞれ書いてあるわけでありますから、それにのっとってやるということが基本的なルールだろうと思います。それをやっているかどうかということをチェックする、整合性をとるのが総務省の役割だと思います。

長島(一)分科員 特にこのアフガン支援については、今回、政策評価を中心に質問しようということでまたいろいろ調べさせていただいたんですけれども、もっとその前から、金額が大きいので、ちゃんと数値目標を掲げて、その成果が、後になって湾岸戦争みたいに無駄金を使ったんじゃないかという批判を浴びないように、数値目標を立ててちゃんとPDCAで回してほしいということで言っていたんですけれども、当時、私が議員になりたてのときだったんですけれども、担当部局の方は、数字がひとり歩きしたら困るとか、そういうことはやったことがないと。それからもう一つは、一定の大義があると思うんですけれども、治安情勢が悪化しているのでなかなか現地調査ができない。これはわかるんですけれども、やったこともないし、数字がひとり歩きをしたら困るということはちょっと大義にならないなと思っていました。

 そういった中で、ずっとこの間、ちゃんとつくってくれと言ったら、インプットして幾ら予算を投資しました、例えば、学校を何校つくりました、教員が一万人ふえるように目指していますとか、警察官の給料を補正予算で二百三十億円使ってふやしています、特にこの三、四年ぐらいで八万人から十二万人にふやしましたという、インプットに対してのアウトプットは説明するようになったんですよ。ところが、アウトカムについてはまだ指標も立てていないし、外務省全体に、成果指標、特にアウトカムの部分の意識が希薄だと思うんですね。

 そういった意味で、例えばこの警察官の話、お答えしにくいでしょうからアフガンと限定しませんけれども、警察官をふやす場合の、アウトプットが人数だとしたら、アウトカムとは、大臣、何だと思いますか。

片山国務大臣 これは、例えば、治安が良好な状態になる、犯罪が発生したときの検挙率が上がるとか、それから交通事故の件数が減るとか、これは警察官だけに限りませんけれども、国民にとってどういう便益が増してくるかという、そこが一番重要なポイントだろうと思います。

長島(一)分科員 片山大臣は、知事だけじゃなくて、今は大臣ですけれども、慶応大学の教授もされていたので、理論も実践もわかった本当に見識のある方だと私も尊敬しておるんです。そういった意味で、せっかく片山大臣が総務大臣をやっているんですから、成果指標というか、成果目標をしっかり立てさせるということは総務省を挙げてやっていただきたいと思います。

 ただ、この報告書を見ると、特に会計検査院と比べると、会計検査院の方は具体的な事例があって、幾ら節約するように改善を提言した、意見したということが具体的なケース事例として書いてあるんですけれども、こっちの報告書は残念ながらインデックスなんですよ。具体的に、どんな事業に対して政策評価をやっているのか。でも、インデックスなんですが、さっきのアフガンじゃないですけれども、全部載っているわけじゃないんですね。アフガンも、外務省は別冊をつくって、細かく調べると、実はやっているんですよ。ただ、さっき言ったように、数値目標を掲げていないとか成果目標をつくっていないということはあるんですけれども。

 そういった意味で、この報告書のあり方、国会議員はこれをもってどういうことを総務省が政策評価をやっているんだろうというのを見るんですが、インデックスにすらなっていない部分もあるので、もうちょっと選択と集中を図って、各省庁がどういうところに優先順位をつけて政策評価をやって、進行を管理しているのかということをわかるようにつくっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 おっしゃるような、御指摘のような課題はあると思います。

 恐らく、これは推測ですけれども、政策評価という手法を導入したときに、まずちゃんとやらせる、やらせると言うと失礼ですけれども、やるということが一番大きな課題だったと思うんです。自己評価というのはそれまでやっていなかったことでありますから。ですから、ちゃんとやっているかどうかということで、実施状況というのはそういう意味だろうと思うんですね。もうそれでは本来は済まない、中身が問われる、質が問われると思います。

 ですから、おっしゃったようなことは、これからのレポートの作成、それ以前の評価のあり方自体に改善、工夫を導入しなければいけないと私は思いますが、実は、もともと今の日本の政府の組織の中で現在やっております政策評価というのは、おのずから限界があるだろうと私は思っています。といいますのは、実際に仕事をやっている人たちが自分のことを評価するわけで、これは人情からいっても客観的な評価はなかなか難しいわけです。おっしゃるように、目標を掲げたくないというのは、目標をなまじ掲げると後でやいやい言われるというのはマニフェストの議論を見てもおわかりのとおりなので、やはり、できるだけ掲げたくないとか、ハードルは低くしておきたいというのは人情であります。

 本来の政策評価がうまく機能する政府組織というのは、いわばスタッフ組織とライン組織とが分かれていて、スタッフのような、参謀みたいなところで政策をつくって、目標をつくって、指示をして評価をする、こういうところではうまくいくんです。ところが、日本はライン系統ばかりですから、ライン系統のところで自分で目標をつくって自分で管理するというのは、おのずから限界があるんです。

 したがって、私は鳥取県知事のときに、鳥取県ではこの政策評価は導入しませんでした。むしろそれよりも、日本のような組織だったら第三者によるチェックの方がいいだろうということで、議会のチェック機能を強化してもらう、それから、監査員の機能を客観性、中立性を保ちながら強化するという、こっちの方を選びました。あとは、自己評価は、予算査定をシーリングなどで形骸化させないで、ちゃんと一つ一つを見ていく。私はこっちの方を選んだんです。

 今はこの立場で、政策評価に関する法律を実施する責任者ですから、そんな個人的なことも言っておられませんから、これをちゃんと適切に機能するように、限界はありますけれども、改善、工夫をしたいと思います。

長島(一)分科員 もう本当に大臣おっしゃるとおりで、大臣が知事時代に行政評価をやらなかったということも私も承知しておりました。ただ、現実の中で政策評価法があって、ここまでレールが敷かれて、システムはつくったけれども回していないというところに、今、機能の問題があるので。

 大臣がもう本当にどんぴしゃ、そうだなと思うところは、やはり第三者機関のチェックなんですよ。私も規模は違いますけれども市長をやっていまして、議長も首長をやっていましたのでわかると思うんですけれども、やはり本当に、行政というのは変えていくのに外圧が必要だと思うんですね。そういった意味で、この政策評価法、特に政策評価のシステムを機能させるのに一番のポイントは、第三者のチェックをいかに機能させるかというところで、法律にも義務づけられているんですね。

 今回、改めて調べてわかったことは、さっき、進んでいる省庁があると言いました。それは国土交通省です。ここは議事録も発言者の名前も全部公開しているんですよ。

 外務省にばかりちょっと文句を言って申しわけないんですけれども、やはり、進んでいるところと進んでいないところと、公開、非公開の度合いに比例しているんですね。外務省は残念ながら要点筆記しかしていないんですよ。それで、政策評価に関するガイドラインで、議事要旨、議事録、会議録を公表となっているんですね。そういった意味で、今のままだとガイドライン違反になってしまうということで、大臣、意見なり勧告なりということを外務省にしていただくことはできるんでしょうか。

片山国務大臣 それは検討してみたいと思います。勧告というよりは助言とか、指導という言葉はよくないかもしれませんけれども、アドバイスなんかはする余地はあると思いますので、検討したいと思います。

 先ほど国交省について非常に進んでいるとおっしゃったのは、私もそう思います。

 なぜかといいますと、それは国交省の皆さんの意識が高かったということかもしれませんけれども、大規模な公共事業に対して非常に強い、厳しい批判が出ました。したがって、公共事業を実施する国交省としては世間に対してきちんと説明責任を果たさなければいけないという境遇に陥ったわけでありまして、これもいわば第三者の目が最初にあって、外圧によってできたというと国交省には失礼かもしれませんけれども、そういう経緯はあったと思うんですね。

 やはり、評価に対しては、第三者のチェックとか意見とか、これが私は一番重要だろうと思います。

長島(一)分科員 今、総務大臣から、意見なり物申すことを検討するという御発言をいただきましたけれども、これは外務省の方で公開してもらえますか。

須永政府参考人 外務省の方では、平成十五年より、政策評価アドバイザリー・グループ会合、外部評価でございますけれども、これを実施しておりまして……(長島(一)分科員「公開するかしないかを」と呼ぶ)

 公開する方は、ガイドラインを踏まえまして、次回会合は三月、来月でございますけれども、より詳細な議事録を作成し、公開することとしております。

長島(一)分科員 では、その点はひとつよろしくお願いします。

 ちょっと時間がなくなってきてしまったので端的にお答えいただきたいと思うんですけれども、今、総務省の行政評価局がやっていて、同じ省庁のフラットな立場で各省庁のところに踏み込んで意見を言っていない現状があるんです。

 さっきも言いましたけれども、アウトプットから成果目標をちゃんと立てて、落とし込んでいるかということと、PDCAをしっかり回しているかということ、ここをもっと行政評価局がグリップをきかしてやるために、さっきの国土交通省じゃないんですが、そういった事例とか、やはり民間と違って時間軸がどうしても行政というのは長いので、例えばアウトカム指標を短期、中期、最終目標と分けて、これはカナダがやっているんですけれども、そういったことを、ベストプラクティスを参考に、フォーマット化するとかチェックリスト化をして、行政評価局がもっとグリップをきかせて、各省庁で連携してやっていただきたいと思います。

 このことについては、総務省自体が持っている第三者機関にきょう指摘があったことを伝えて、検討したり、もんでもらうことはできませんでしょうか。

片山国務大臣 それは可能だと思いますので、検討して、相談をしてみたいと思います。

 今おっしゃった問題は実は非常に重要なポイントでありまして、総務省がどこまでできるかといいますと、基本的に、政策評価は各省がそれぞれ自己評価をやるわけです。そうしますと、各省がちゃんとやっているかどうかということで、統一したやり方とか、それを各省にやってもらうということになるんですけれども、あくまでも各省に、エンジンといいますか、評価に関して内燃機関をつくらなきゃいけないわけです。そこに実は先ほど私が申し上げました限界があるわけです。そもそも、そういうことをやりたくないというのが本能的にありますから。

 内燃機関をそこに植え込んでいくという作業をやらなきゃいけない。これが非常に難しいし、膨大になるんですね。その結果、内燃機関が不十分な、不完全なエンジンだった場合には不完全な評価結果になって、それをまた一つ一つきちっと直していくというのは膨大な事業量で、それはなかなか難しい。そうすると、やはり内燃機関をちゃんと良質なものにしていかなきゃいけない。そこに先ほど申しました今の政府機構の内在された限界があるということは御理解いただきたいと思うんですが、そういうことはありますけれども、工夫をして、内燃機関の良質化を図っていきたいと思います。

長島(一)分科員 時間が制約されてきましたので指摘にとどめますが、評価を次の予算に反映させることをこの報告書では目指しているとなっているんですけれども、評価ができていないので、実際は、多分なかなかつながっていないんだろうなと思います。そういった意味で、所管の方でも、行政刷新会議ですね、内閣府と財務省の主計局、それから総務省の行政評価局、連携していく動きがあるということなので、ぜひこれはしっかりとやっていただきたいということは指摘させていただきたいと思います。

 それから、さっきのアフガン支援のことについて、この政策評価のテーブルにのせて、きちんとちゃんと報告書にもこういうことをやっているんだと、額も大きいですから、それは盛り込んでいただきたいということは指摘させていただきたいと思います。

 それから、防衛政務官、かねて油の調達の方法について私も委員会でも指摘をして、個別には部会でも取り組んできたんですけれども、やはり入札業者の氏名公表とかはしていなかったんですが、大臣が指示して公表してくれたり、それから、特に海外で補給する場合に、直接艦船に補給すればいいのにバージ船を使っていた、これをやめたということで多分もっと油の値段が落ちていくと思うんですよ。

 それをぜひ、金額も大きいので、別に油を入れちゃいけない、お金を使っちゃいけないということじゃなくて、戦艦を守ってもらいたいと多くの国民は思っていますし、防衛に金をけちるなということじゃなくて、同じお金でもっと有効活用してもらいたいということで、この油の調達については政策評価のテーブルにのせてもらえませんか。

広田大臣政務官 防衛省の油の調達につきましては、平成二十一年度の実績でも九百十八億円という大変大きな額でございます。

 また、防衛省も、新大綱において、動的防衛力ということで、運用に焦点を当てると。運用に焦点を当てるということは、まさしくこの油が占める役割というものが本当に大きくなるわけでございますので、そういった意味でも、議員御提言の政策評価にのせるということを前向きに積極的に進めていきたいというふうに今考えております。

長島(一)分科員 それから、小宮山厚生労働副大臣にお尋ねしますけれども、児童虐待防止ということは本当にこの国の課題で、私は、その一つに、里親の委託率の改善というのは非常に大事だと思うんですよ。現在、一〇・八%なんですけれども、小宮山副大臣がリーダーシップをとって、一六%の目標値も立てて、提言書も出して、特に新生児里親のことについて早速会議にかけて、今度は里親ガイドラインに案として盛り込んでいただいていることは本当に感謝しております。実行力があると思っています。

 これも国民的な関心も高いことですし、それこそ成果が出るまで長くかかりますから、これはやはり政策評価にのせて、報告書でもこんな成果を上げているんだよということを将来的にもPRするためにも、ぜひ政策評価のテーブルにのせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山副大臣 長島委員には、いつも、虐待された子供のことに関心を持っていただいてありがとうございます。

 おっしゃるように、子ども・子育てビジョンでは平成二十六年度に一六%を目標にしておりまして、そのために、里親の委託率につきましても、厚生労働省の政策評価のアウトプット指標に設定することは検討させていただきたいと思います。ほかの地域小規模のグループケアなどについては今入れておりますので、里親も入れることは検討したいと思います。

 しかし、アウトカム指標というのは、家庭的に養育されることによってそれがどのように健やかな成長に貢献したかということは、なかなかこれははかり方が難しいのかなというふうに思っております。

 いずれにしましても、里親制度というのは、家庭的に虐待を受けた子供などを育てる上でとても大事な制度ですので、また、御意見もいただきながらしっかり推進をしていきたいと思っています。

長島(一)分科員 きょう、限られた時間で全部言い切れなかったこともあるんですけれども、とにかく私が今まで議論してきたことをちょっと整理させていただくと、現状の霞が関が取り組んでいる政策評価への取り組み課題は五つあるんです。

 一つ目は、政策評価法が平成十四年にスタートしてから九年目になるけれども、各省庁の取り組みレベルに差があること。二つ目は、政策評価を機能させるポイントの一つとして、政策評価法に義務づけられた第三者チェックがあるけれども、議事録を公開していない省庁があって、公開、非公開の度合いと政策評価への取り組みレベルが比例しつつあること。三点目として、成果をはかるための指標を数値化しておらず、評価を適切にできない。四点目として、目標値を数値化していても、インプットに対してアウトプットにとどまって、アウトカム指標まで落とし込まれていないこと。五点目として、総務省の行政評価局と会計検査院の連携度合いが不明であることです。

 こうした改善課題に対して五つの提言ということで、一つは、海外や取り組みが進化している省庁のベストプラクティスを参考に、チェックリストやフォーマットを作成して活用して、総務省の行政評価局がもっとグリップをきかせること。二つ目は、第三者による意見具申を全面公開するなど、本件にかかわる情報公開を進める。三点目は、指標の設定については数値化を義務づけ、数値化できない場合は理由を明記させる。四点目、民間と違って、行政の場合、成果が出るまでの時間軸が長いので、アウトカムを短期、中期、最終目標に分けさせる。五点目として、総務省行政評価局と会計検査院の連携を深め、アメリカの会計検査院のように、日本の会計検査院が政策評価の視点からもダブルチェックをかける、予算作成においては、内閣府行政刷新会議を中心に、財務省主計局と総務省行政評価局が部局横断的に新年度予算策定に生かすという提言であります。

 ぜひ、片山大臣、リーダーシップをとっていただいて、片山大臣の見識をフル活用して、お願いをしたいと思います。

 そのことをお願いしまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

若泉主査 これにて長島一由君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、稲見主査代理着席〕

稲見主査代理 次に、あべ俊子さん。

あべ分科員 おはようございます。自由民主党あべ俊子でございます。

 本日、片山総務大臣に質問ができるということで、大変うれしく思っております。

 特に、片山総務大臣に質問するんだと岡山県の皆様に申し上げましたら、ぜひ言いたいことがあると。特に、鳥取県知事でいらして、岡山県の隣で知事をしていらっしゃいましたが、もともとは岡山県出身である大臣にとても期待が高いところもありまして、意見が幾つか出ておりますので、ちょっと最初に読ませていただけたらと思います。

 地方分権が問われ、国も呼応してきた。しかしながら、自由民主党の小泉政権の三位一体の改革では、実際に所得税を減税して、地方税へ移しかえの財源移譲を具体的に行った。自分たちの市のような田舎の小さなところでは、市民税を納める人も少なく、実際にはその計算どおりの財源移譲になっていないところもある。こういうことで地方がだんだん疲弊し、ひいては国民が政権交代を選択した。

 しかしながら、今の政権、子ども手当なるものを創設し、その財源の一部を地方の自治体へ負担を求めている。マニフェストでは全額国の費用で行うと言っている。なぜ、各種の控除を廃止したからといって、だから地方も増税になるからといって、また、児童手当では地方財源も負担していたのではないかとかということが本音らしいけれども、地方負担を求められるのか。政権交代の原点は何だったのか。今度も地方は本気で怒っています。ここでも地方いじめを行っているにすぎないのではないか。

 一体、一括交付金などはどうなったのか。権限のみが移譲され、中身は業務の地方への押しつけではないか。地方と国の役割分担を明確にする必要がある。財源が移譲されない今、地方は、中間の県が地方自治振興の邪魔以外の何物でもなくなっている。地方は、権限があり、独自の財源を持つことで、直接国とやりとりを行うことで、独自の展開も可能である。

 今後、日本の人口は激減してくる。一番に影響が出るのは地方なんです。いまだ都市へ人口が集中し、企業は海外へ流出する。地方の中山間地域には、電車もなければ、公共交通もだんだんなくなっているのが現状です。医療も十分ではありません。生活しにくい環境がふえつつあるのが地方です。総務大臣も鳥取県を運営され、このことは十分過ぎるくらいおわかりのことと思います。

 また、県が何のためにあるのか。国のあめとむち政策で平成の大合併を行った。なぜ次に進まないのか。国土を、また食料をしっかり守っているのは地方であり、田舎であるのです。人口が激減して、自治体が確実に存続できるのか。地方はこれからどのようにやっていくのか。私どもは、本当に真剣に取り組んでいるのです。なのに、今の政権は、自分たちの勢力争いに血道を上げているのは国民に申しわけないとは思わないのか。

 日本がいつの間にか世界から取り残されつつある。日本の産業が空洞化した今、地方は企業誘致もできない。失業者は都市と同じようにふえている。片山大臣のこれからに期待をいたします。

 こういうお手紙をいただきました。

 大臣、今のを聞かれて、何か御感想をお持ちになりましたか。

片山国務大臣 幾つか重要な論点もあったと思います。幾つかは、いささか誤解ではないかなと思ったこともありますし、幾つかは、予算委員会の分科会で私に言われてもちょっと八つ当たりにしか聞こえない面もあります。

 今伺って、それは多分市町村の方だと思うんです。まさに言われたように、市町村の自由度を増す、市町村の県からのくびきを外すということを実はやりたいと思っているんです。

 恐らく後で御質問もいただくんだろうと思いますけれども、一括交付金などは、来年度、二十三年度は都道府県分の自由度を増すというのを予算に盛り込んでおりまして、市町村分は今回対象になっていないんですけれども、二十四年度からは市町村分も、例えば一括交付金化しようということにしております。これがもし認められますと、市町村は、今までのように、県を通じて、一つ一つの事業ごとに国にお伺いを立てるというようなことをやらなくて済むようになるんです。配分額、枠をぱっと決められれば、あとは自由に選択できるようになるんですね。実はそんなことをやろうとしているんです。

 ですから、今の政権で私が担当してやろうとしていることがなかなかまだ浸透していないな、そういう感想を一つは持ちました。

 あと、小泉改革に対してどういう評価なのか、ちょっといま一つ判然としませんでしたけれども、そこで言われているようなことは、私も田舎で、県で知事をやっておりましたから、なるほど、同感だという面もございました。ちょっと雑駁な感想でありますけれども。

あべ分科員 ありがとうございます。

 市町村合併が行われた中、結局、合併して、三位一体改革とは何だったんだろう、そこが、次の一歩が全く見えてこない。合併したことの評価は十年たたないとわからないと言われている中、今、そのマイナス面がかなり出ている部分もあると私は思っておりまして、このマイナスの面が出ていることに対して、片山総務大臣としては、これから何をしなければいけないと思っていらっしゃいますか。

片山国務大臣 合併は自民党政権時代に推し進められたわけです。そのときに、総務省も合併の旗を随分振っていました。そのときの大臣は……(あべ分科員「同じ名字の」と呼ぶ)であります。

 実は、私はそのころ知事をやっておりまして、その合併政策には反対をいたしました。

 合併は、もちろん、するしないは自由でありますから、その自治体の住民の皆さんの意向を受けて、自治体がどうするかを判断されたらいい。ところが、その住民の皆さんとか自治体の判断の中立性を損なうような施策を盛り込んだわけです。それが例えば合併特例債という仕組みで、今合併しないと損だよ、今合併すると得だよという損得勘定でもって合併に追い込むようなことが、やはり政策として如実にあったんですね。それはいけないだろうということで、私は批判をしていました。

 そのときも、合併は、何か当時はバラ色みたいなことを言われていましたけれども、私は、イバラの道が多いだろうということで、随分、自分でも声を張り上げて、県内にも県外にも訴えました。ですけれども、その合併特例債の魅力には勝てなくて、どどどっとなだれ込んだのが実態であります。

 そのときに、本当に後でほぞをかむことありますよということも言っていましたけれども、合併を選択されたところが多かった。今、そのほぞをかんでいるところが結構出ているんですね。自業自得といえば、それはそうなんですけれども、そうも言っておられませんので、やはり、そういうところをどういうふうにするかということ、これは重要だろうと思います。

 そこで、合併は、これからもやってもいいんですけれども、もう無理やり進める、強引に進めるのはやめようということ。そうではなくて、自分たちが自主的に地域のあり方を考えて、例えば広域的に連携をするとかというようなことで、これから合併の負の部分などをできるだけなくして、それから広域連携をすることによって得られるメリットをふやしていこう、そんなことを総務省としては応援していこうというのが今の基本的なスタンスであります。

あべ分科員 その広域連携に関して、大臣の発言に対してちょっと聞かせていただきたいんですが、インセンティブを国として広域連携にかけていくということの理解でよろしいですか。

片山国務大臣 これはまた、余り、得だよということをやりますと、また不必要な、損得勘定だけで広域連携をするような愚を犯しかねませんので、合併特例債のような、何かハード事業をやったら後でお得ですよみたいなことは避けるべきだと私は思うんですね。むしろ、そうじゃなくて、もっとソフト面での例えば支援、情報提供とか、個別の相談にあずかって、できる限りの助言をするとか、そういうことは必要だろうと思います。

 あと、今広域連携でやろうとしていますのは、例の出先機関改革で、広域的にブロック単位でまとまったところには優先的に、相談の上で出先機関の権限とか財源を移譲しましょうというようなことを進めておりまして、そういうことは大きなインセンティブになるのではないかと思います。

あべ分科員 特に、大臣、知事をされていたときに、三位一体の合併に関しては反対されていたと。その当時、同じ名字の片山総務大臣、岡山県でございますが、今ちょっと違うところに行かれましたが、進めたときに、反対はしていらした。しかしながら、今総務大臣というお立場になって、この次何をしなければいけないのか、本当にお考えになっていると思います。

 それは私ども国会議員も一緒でございますが、私も自由民主党の中にいて、本当に、前にやった政策で、こんなことをやってよかったんだろうか、ここは重要なことだったんだろうか、また、ここはやってはならないことではなかったのだろうか、さまざま思いもございますが、しかしながら、自分の立場が今自由民主党という党にある中、歴史も踏まえた形で、自分が今現に国会議員であるということは、すべて責任を負っていかなければいけないと私は思っております。

 ですから、三位一体改革、反対されました片山大臣、ぜひともその次を考えてあげないと、合併したけれども次がない、合併して損だったということが、もっともっとその先、見えるような形を今の片山現大臣にぜひともお願いしたいというふうに思います。

 そうした中にありまして、今回のお便りをいただいた中で、中にはちょっと勘違いの部分もあるんじゃないかとおっしゃっておりましたが、子ども手当、ここの部分の地方負担分はやはり皆さん怒っていらっしゃる。このことに対して、大臣、今までもいろいろいろいろ議論されてまいりましたが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 私はそこが勘違いの一つだろうと思うんですね。これは本当に、今私、総務大臣をやっていますので、だからといって、政府の一員だから申し上げるわけではありません。私が仮に鳥取県知事を続けていたとした、あるいはどこかの市の市長をやっていたとしたときに、今の仕組み、二十二年度の仕組みと、これから、今提案しております二十三年度の基本的には同じ仕組みについて、何か私が非常に憤慨するとか、違和感を感じるということはさほどありません。特に憤慨するようなことはありません。もっとよくなるのではないかというのは、それはいろいろあると思いますけれども、何か、自治体の首長としてこんなことはけしからぬと思うことはありません。

 といいますのは、行き違いはいろいろあったんだと思いますけれども、民主党政権、特に鳩山前総理が全額国費だとおっしゃっている、これは確かなんですけれども、その真意をそんたくしましたときに、子供世帯には一万三千円なり二万六千円なりを給付します、これはお約束ですよね。あわせて、この際自治体に対しても何らかの、当時でいうと四千億なり四千数百億円のプレゼントをしましょうということは恐らくなかったと思うんです、幾ら何でも。

 野党の皆さんから、児童手当の地方負担分を織り込んでいるのはおかしいじゃないか、こう言われるんですけれども、それを仮に実現しようとすると、さっき私が言ったように、子供のいる世帯には二万六千円は差し上げましょう、この際自治体には、今まで支払っていた児童手当の地方分の四千数百億円をもう払わなくていいから、あなた方のポケットに入れて自由にお使いくださいということになるんです。鳩山前総理でもそんなことまではおっしゃっていなかったと思いますし、それから、現下の国と地方の財政状況を考えたときに、それは全く現実的でないと私は思うんですね。

 ただ、見てくれとして、子ども手当全額国費と言ったのに、何やらちょっと離れのようなところに地方負担が残っているんじゃないかという、見てくれの問題は確かにあるんです。ですけれども、基本は、私が申し上げたように、決して自治体にこの際プレゼントしようという思想はなかった、そこの共通認識から出発してこの議論を始めるべきではないかと私は思います。

あべ分科員 最初、鳩山前総理が言われた全額ということの意味が、地方にとってどういう解釈だったかということの説明が多分足りなかったということでもあるのかもしれませんが、説明、話をするときは、相手は物すごく自分に有利なように解釈するということをやはり前提として話をしていかないと、後でうそつきになるということは事実なので、これからいろいろ約束されるときも、やはり、それはこういう意味のことなんだということはもっともっと言っていかないと。

 特に、マニフェストがどういう意味を持つのか、今ちょっと意味が変わってきちゃっておりますが、やはりそのところが明確になるようなものになっていかないと、どの党が政権をとっていってもかなり無責任なものになるし、では、イギリス、イギリスといって、現政権が大好きな国がございますが、その国がどういうマニフェストをつくっているかというと、今の現政権のマニフェストとはかなりかけ離れたものでございますし、さらには、マニフェストには財源の根拠がないと出してはいけないという国も幾つかあります。

 そういう意味でいったら、片山大臣、マニフェストとはこれからどういうものであるべきだとお思いですか。

片山国務大臣 私は、マニフェストというのは、選挙の前に、かなりの前に、かなりの期間を置いて作成をして、二大政党であるとすれば、その双方のマニフェストについて選挙の前に検証し合う。今、国会で、予算委員会の中でかなり激しくやっていますよね。あれを、本来ならば選挙の前にやって、相手のマニフェストの実現性とか、あやふやさとか、それをチェックし合う、それを有権者に見てもらって、その上で投票する、この方が賢明ではないかと思います。

 選挙の前に言いっ放しで、後であれこれと言う、事後チェックをするというのも、それも一つはあるんですけれども、本来、有権者の立場に立ちますと、事前チェックをお互いに相当の時間をかけてやり合うということの方が生産的ではないかと思います。

あべ分科員 本当に大臣がおっしゃるとおりでございまして、今のままのことを続けていくと、どの党が政権をとっても、この国本当に大丈夫かという思いがすると私は思っておりまして、耳ざわりのいいことばかり言えば選挙に勝つという図式は、私は本当によろしくないと思っています。

 そうした中で、鳩山前総理の、国が全額負担というのが間違いであったいうふうにすれば、勘違いしちゃったのね、言うのが、説明が悪かったのねという、どちらが悪いかという話はまた別にしておいて、この子ども手当の法案が通らなかったとき、三月末で失効して、要するに旧の児童手当に復活する。そうすると、地方自治体は、県知事の経験からおわかりだと思いますが、六月に二月、三月分の子ども手当は出さなきゃいけない、さらに同じ六月に四月、五月分の児童手当は出さなきゃいけないという両方のことが発生するのではないかと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 これは、細かいことは申しませんけれども、大混乱になります。私がもし自治体の首長、特に市長をやっているとすると、先ほど、子ども手当の財政スキームについては怒ることはないと申しましたけれども、もし法律が通らなかったら憤慨すると思います。

 巷間、子ども手当法案が廃案になってしまうと児童手当法が復活をして、それをやればいいんだ、多少時間がかかってもということなんですけれども、それはそうなんですけれども、それは自治体からすると、システム設計をまたやり直さなきゃいけなくなるわけです。それから、子ども手当になったときに、所得制限がありませんから、所得の捕捉というのは不要になりましたので、やっておりません。そうすると、今度復活すると、児童手当は所得制限つきでありますから、またそれをやらなきゃいけないとか、一からやらなきゃいけない、システムのつくり直しをしなきゃいけない。膨大な作業と費用がかかるわけですね。一体どうしてくれるんだということになりかねない。

 ですから、いろいろ御異論とかおありでしょうけれども、ぜひまげて、予算関連法案である子ども手当法案には御賛同いただきたいとお願い申し上げます。

あべ分科員 大臣、お願いされたのはわかりましたが、それは無理です。反対でございますから。

 ただ、所得制限のシステム改修、非常にいろいろなものが出てくるときに、結局、国がやったことに対して、説明責任が国にある中で、矢面に立たされているのは地方自治体であるということは本当にお気の毒ですし、さらにはシステム改修、ここの部分を修正していかなきゃいけないということに関しては、この費用負担は、大臣、どうしなきゃいけないとお思いですか。

片山国務大臣 これは、一般的なこういう場合を律する法律は多分ないと思いますから、個別のケースで考えなきゃいけないと思いますが、私が市長をしておりましたら、その設計を改修する費用は、国に対してその支払いを請求すると私は思います。

あべ分科員 もう一つ、地方自治体におけるさまざまなシステムの問題でありますが、一つは、各自治体がばらばらに持っているという問題があると私は思っています。特に地方自治体、さらには国の問題もそうですが、データをベンチマークする、それは、経年的にどうであるか、さらにはほかの市町村と比べてどうであるかということをやっていくためには、私は、この地方自治体のシステムをある種クラウドにし、みんなで使っていくということは必要ではないかと思っています。

 実は、社会保障番号を今入れる入れないの中で、このクラウドがどうもセキュリティー上の問題ということで却下されておりますが、私は、クラウドの情報の、データの一括管理をしない限り、社会保障番号の意味は全くない、さらに言えば、地方自治体の仕組みがどんどん国のやり方によって変わっていく中、この方法が一番いいのではないかと思いますが、大臣、これに関してはいかがでしょうか。

片山国務大臣 今議員がおっしゃったクラウドの活用は、私も大賛成であります。

 従来、ばらばらに、それぞれの業者といいますか、事業者との間で契約をしてシステム設計をしてきましたけれども、クラウドという手法が活用できる時代になりましたので、実は地域性にとらわれずできるわけですね。従来は、共同でやろうというときに、まとまった地域が、地域的にまとまりのある地域が共同でやりましょうということでやっていたんです。今度、クラウドになりますと、地域がばらばらでもできるようになりましたから、活用の可能性はぐんと広がったと思います。もちろんセキュリティーは重要でありますけれども、そういうセキュリティーの安全なところをちゃんと選択して、クラウドを積極的に活用していただきたいと思います。

あべ分科員 ぜひこれは、大臣としても進めていただけたらと思います。

 それで、今回地方がもう一つ怒っているのが一括交付金でございます。特に、大臣の後に鳥取県知事を受けられた方が、定例の記者会見の中でもかなりお怒りでございまして、不透明であるとか、情報開示をもっとすべきじゃないかとか、一括交付金の計上留保を結局行わざるを得ないとか、さまざま出ているわけでございますが、自由度編成をしようと思えば思うほど留保にしなければいけないというふうに発言をされている中、二十三日の読売新聞の中で、一括交付金、民主党が目玉に挙げたものが、都道府県の二〇一一年度当初予算案で計上されているのが九道県の計一千十一億円にとどまっているという報道がされています。これに対して、大臣、どうお考えですか。

片山国務大臣 予算の計上というのは、実は、一括交付金を導入する前の現行制度、その制度下においてもある意味で予測で計上するんです、公共事業の場合は。といいますのは、国の方で予算審議をしている、そのする前にもう都道府県の予算というのはつくりますので、そうすると、来年度、道路事業は幾ら来るのか、まして箇所づけがどことどこになるのかなんというのは全くわからない状態で予算査定をするわけです。予算審査もするわけですね。

 一括交付金が自分のところに今幾ら来るかわからないというのは、それはそうだと思うんです。まだ予算すらついていませんから。そういう意味で不透明だというのはそうなんですけれども、現行だって不透明なんです。一括交付金になったから急に何か、途端に不透明になったみたいな物の言い方を、引用された方がしているとしたら、それはとんでもない勘違いであります。全く箇所づけも事業規模も決まらないまま予算計上しているんですね。

 それで、そういうことではなくて、これからは一括交付金にして、都道府県の、その種のハード事業の事業量がかなり客観的にわかるようにしたい。しかもその中で、各省にお伺いを立てて、あそこの箇所のこの事業、いいですか、ああですかと言うまでもなく、自分たちで事業の選択も箇所づけも決められるようにしましょうということなんです。その趣旨が、どうも先ほどの引用の人はわかっていない。しかも初年度ですから、初年度から完璧にできるはずがないです。というのが感想であります。

あべ分科員 大臣、わかっていないんじゃなくて、多分説明が足りないのと、客観指標が全然出ていないところに問題があるのではないですか。

 大臣、客観指標はどれぐらい先に出てくるんですか。もう出ているんですか。

片山国務大臣 これはまだ完成品はできておりません。議員も御承知のとおり、予算委員会でいろいろ御議論がありまして、それで鋭意、客観指標の作成を進めておりまして、ほぼ、大体こんな感じになるというのは予算委員会の理事会でお出しをしたものでありますが、お手元にあると思います。初めてのことですから、さらに自治体の意見を伺いながら、それをより改良して、それで完成品にしたいと思います。

 いずれにしても、まだ予算も審議中で通っておりませんので、今の段階で各都道府県にこうだよと示すのは、かえって国会軽視になりますから、その国会の審議、予算の取り扱われ方、それをにらみながら自治体の方にも情報提供していきたいと思っています。

あべ分科員 そうすると、予算が可決したあたりには出てくるということでしょうか。

片山国務大臣 今確定的にいつということを申し上げられないんですけれども、自治体の方の予算の見込みがつきますように、できるだけ早く出したいと思います。

 ただ、自治体の方は、いずれにしても、従前、現行の仕組みの中での予算編成もそうなんですし、一括交付金になってもそうなんですけれども、例えば四月に資料が出た、今の現行制度だと箇所づけが決まったとされても、これを実際に予算に盛り込んで予算を修正するのは早くて六月県会になるわけですね。ですから、そういう意味でいいますと、多少の余裕があってもいいのかなとは思いますけれども、でも、できるだけ早くお示しできるように努力をしたいと思います。

あべ分科員 やはり国が政策を決めると地方の影響が非常に大きいので、可及的速やかに決めた内容と目的と方法がわかるようにしていかないと、特に小さなところは小さな財源で一生懸命やっているわけでありますから、それは片山大臣、日本の中でも小さな県の知事をされていたということから、ぜひ地方に配慮した、また地方が使い勝手がいい、特に愛知県の知事選、また名古屋の市長選なんかを見たときに、不交付団体が国の枠組みを変えようとしていけば、それのいわゆるツケを負うのはすべて地方だということを考えたときに、ぜひ、小さな鳥取県、まあ力はあるのかもしれませんが、その鳥取県知事をされた総務大臣には、日本は都会だけで成り立っているわけではない、地方があってこそ成り立っている日本だ、そういう総務大臣としてのお務めをお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

稲見主査代理 これにてあべ俊子さんの質疑は終了いたしました。

    〔稲見主査代理退席、主査着席〕

若泉主査 次に、赤松正雄君。

赤松(正)分科員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 まず、今、ニュージーランド・クライストチャーチを襲った大地震が、大変に痛ましい状態が続いておりまして、私は阪神・淡路の大震災を経験した地域の人間でございますので、そういうこともあって、強い関心と、一人でもいっときも早く救っていただきたい、こういう非常に強い意識を持っております。

 それに関連する話を冒頭にさせていただきたいと思います。

 インターネットが大変に今、日本社会のあらゆる分野に進出をしている、こういうことで、インターネットでラジオが聞けるいわゆるラジコ、ラジオではなくてラジコ、このラジコの登場によって、AMラジオがパソコンやスマートフォンで雑音を感じずに聞ける、こういったふうなことがあったり、さまざまの利点をもたらしているわけです。

 私のように、そういう携帯電話を持ってラジオを聞くラジコになじまない人間、旧来的な意味のいわゆる携帯ラジオを持って朝歩いたり走ったりしている人間にとっては、別段、そういうインターネットの持つさまざまなプラスマイナスということ、さまざまなというとあれですが、若干のマイナスというのは余り感じないんですが、実は、このラジコが持つ一つの最大の欠点といいますのが、要するにタイムラグを生じさせるということなんですね。ネットから流れてくるものとラジオ本体から流れているものに、うちの事務所で実際に聞いてみましたら、十六秒ほどの差がある。

 そういう十六秒の差は、通常の放送を聞いている分には大したことはないといえば言えるんですけれども、いわゆる緊急の際に出される緊急地震速報、これは、私が先ほど言ったNHKの普通のラジオを聞きながら動いていますと、極めてしばしば緊急地震速報ですという案内があります。この緊急地震速報というものがラジコを通じて流れてくるということは、今言ったように十六秒ほどのおくれをもって聞こえてくる、これはやはり大変な問題を生じさせる。十六秒というのは、今はかってもいいんですけれども、結構長いんです。

 ですから、地震が起こった。普通のラジオでは直ちに緊急速報が流れる。しかし、ラジコ、ネットを通じて流れてくるものは十六秒おくれてくる。これでは極めて人の命というものについての、救うという作業が大変におくれるというか、緊急に事態に対応しなくちゃいけないということについてさまざまな問題を引き起こす、こういうことでありますけれども、そういうことから、緊急地震速報を外すべきだという声も今あったりするわけです。

 大臣は、知事時代に鳥取県西部地震の経験もおありということでありますけれども、今申し上げた、こういう緊急地震速報がラジコを通じてタイムラグを生じさせる、この問題についてどうお考えでしょうか。

片山国務大臣 これは、利点と、それから、議員が若干、多少のとおっしゃいましたけれども、副作用といいますか、そういうものをどう考えるかということでありますけれども、私は、両方あった方が、恐らく、多少の限界はあるにしても、トータルとしてはいいのではないかと思います。既存のラジオと、それから、もしこれが認可されれば、多少タイムラグがあってもインターネットを通じたラジオ放送が聞けるということだろうと思います。

 できれば、できるだけインターネットの方の技術改良が行われて、タイムラグが、なくなることは無理だとは思いますけれども、できるだけ縮小する、そういう技術開発が期待されるところだと思います。

赤松(正)分科員 今大臣は、認可されればというお話を先におっしゃいましたが、要するに、いわゆるNHKのラジコの世界への参入ということを言われたわけですね。

 その点を言われたので、私自身もそのことを次に聞こうと思っておりますが、今、NHKとしましては、一一年度中にラジオ番組のインターネットへの同時配信を実現したいということで、その意向を明らかにされた。これは既に私も存じ上げておりますけれども、緊急地震速報だけではなくて、要するに、NHKの持つさまざまな機能、能力というものがこのラジコの中に入っていくということは非常に大事なことだろうと思います。

 ということで、今の問題についてNHKに対して聞きたいと思うんですが、この認可申請を総務大臣に出されたNHKとして、NHKラジオのネット配信をどのようなメリットがあるというふうに考えておられるのか、その点についてお聞きしたいと思います。

日向参考人 インターネットの同時配信ということになりますと、今、実はマンション等鉄筋コンクリートの住宅がふえております。その中では非常にラジオが聞きにくい。それから、日本海側は外国電波の混信という問題があります。それからさらに、近年、家電製品にコンピューターがどんどん入ってまいりまして、いわゆる家庭内での混信という問題も起きております。そういう意味では、インターネットを通して配信をするということは、ラジオが聞こえにくいという状況に対する補完対策の一つとして非常に有効ではないかというふうに思っております。

 それからもう一つ、若い世代の方々は、今、ラジオを持っていない方がたくさんいらっしゃいますので、そういう方々にまたラジオに接していただく機会をふやすという意味でも非常に有効ではないかというふうに考えております。

赤松(正)分科員 今、一般論として、聞こえにくいのが聞こえやすくなる、そして若者に対してそういうラジオを、NHKを通じての放送を聞かせる、こういうことを言われましたが、もとへ戻しまして、要するに、肝心かなめの十六秒のタイムラグというのは、技術的な力によってそれを例えば十秒とか五秒とか、あとう限り縮小できるということの見通しはあるんでしょうか。

日向参考人 現状では、やはり十五秒前後のおくれというのはいたし方ないかなというふうに思っていますけれども、当然、いわゆるコンピューター、CPUの性能が上がってくるとか、圧縮その他の技術が進むとか、そういうことがあれば、遅延の間隔といいますか、その時間は短縮できると思います。

 ただ、それがいつというのは、非常に、今すぐにはちょっとなかなか申し上げにくいところです。

赤松(正)分科員 これは総力を挙げて短縮させるという方向で努力をしていただきたいと思います。

 あと、副大臣が担当されているということですが、いわゆるNHKのラジコ参入の認可申請が出された。これは放送法の改正を伴う問題なのか、それとも、放送法を改正しなくても、今の現行法でもってそうしたNHKの認可申請に対応できて、申請を認可する、許可するという方向にあるのかどうか、あるいはそうじゃないと言われるのか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。

平岡副大臣 お答えいたします。

 御案内のとおり、NHKからは、先日の二十三日に総務大臣の認可を求める申請があったということでございます。

 事情としては、先ほどNHKの方からも答弁があったような事情を踏まえての申請だというふうに理解しておりますけれども、これについては現行法でも対応できるということでございまして、先ほどの御説明にあったように、我々もこの問題については、今の社会においては、あるいは社会情勢においては、大変重要な意味のある話だというふうに思っておりまして、前向きに考えていきたいというふうに思っておりますけれども、現在、申請内容を審査中ということでございますので、できるだけ早く結論が出るようにこれから取り組んでまいりたいというふうに思っております。

赤松(正)分科員 ぜひ早い結論を望みたいと思います。では、今の放送・通信に関する話は、以上で終わりたいと思います。

 大臣、大臣御自身の「日本を診る」という御著作、総合雑誌で連載をされていたときも散見をいたしておりましたが、改めて、大臣になられて以降、それなりに、全部、すべて読んだわけではありませんが、ポイントになるところを読ませていただきました。

 御自身、前書きで書いておられるように、診る段階から治療する段階に、ドクター片山としては、満身創痍と言ってもいい患者日本を、診るお立場から治療する医師団の一人になって具体的に取り組まれようとしているということです。

 そういう中で、大臣が、その治療する治療の優先度、どこに力を入れて、この患者日本をより健康な体にしていくのかという観点に立って、総務大臣というお立場で既にいろいろなことをおっしゃっています。

 ここで改めて聞くというよりも、少しその大臣の御姿勢を確認したいんですけれども、要するに大臣がおっしゃっているのは、いわゆる団体自治と住民自治、地方自治といった場合に大きく分けて団体自治と住民自治があるんだというこの部分で、日本として、従来は団体自治に少し力が入っていたけれども、自分としては住民自治に力を入れていきたいんだ、このようにおっしゃっているわけです。

 そのことの確認と、そして住民自治といった場合に、さて、具体にはどういうことを、今こうある状態をどういうふうにしていくということが自分としては治療ということに値するんだと思っておられるかを聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 もう今議員の方から御指摘いただいたように、私は、地方自治というのは団体自治と住民自治が車の両輪であって、特に、一番、どっちが大事かといえば住民自治だと思います。なぜならば、地方自治というのは、できるだけ住民の皆さんの意向に従った行政が行われるようにする、地域のことは地域で決めるということでありますから、住民の皆さんが一番中心になるということです。

 なぜそれを言いますかというと、今の日本は、民主主義の政体、政治体制をとっておりますが、直接民主主義はこれは不可能でありまして、これだけの大衆社会においては直接民主主義は不可能で、勢い間接民主主義、代表民主主義になるわけですが、その代表民主主義を支えるものは何かというと、それは治者と被治者との間の信頼関係。治者という言葉はよくないかもしれませんけれども、代表された者と代表する者との間の信頼関係だと思います。

 これが地方自治の領域において、果たして、完全とは言えないまでも十分備わっているかというところについては、私はある種の疑義とか懸念を持っております。もっと地方自治のレベルで、住民とそれから為政者との間の信頼関係が必要だと思います。

 特に、間接民主制でありますから、その一番の中心は議会であります。そうしますと、その信頼関係を回復するには、議会のあり方が問題になってくると私は思います。議会が住民の皆さんから本当に全幅の信頼、ほぼ全幅の信頼を得られるようにする、そういう議会にするには今の現行制度をどこを改めなければいけないのか、制度外に、運用の問題も非常に大きいものがありますから、どういう点を運用面で改めていただきたいのか、この辺が私の一番の今の関心事であります。

赤松(正)分科員 今のおっしゃったこと、大枠としてわかりますが、ただ、言ってみれば、議会自身の、要するに自制といいますか、あるいは改革というか、そういうことに期する側面が強いと思うんですね。

 もちろん、そういう議会の動きというものを促進する、それは刺激を与えてそういう方向に持っていくということはもちろん多かろうと思いますが、ちょっと私の受けている印象としては、この治療に当たる大臣の真っ先に取り上げる姿勢としては、何か人任せというか、要するに、その一番問題の課題を治すその作業をするのは議会たちでありますから、大臣という立場から、それをそういうふうにしていくという方向に持っていくというのはわかりますが、何だかやはり、もっと第一義的に問われるというか、やってもらいたいことはほかにあるんじゃないのかなという気がするんですね。

 そういう点で、例えば公明党の場合は、もう御承知いただいているかと思いますが、要するに地方議会の改革の先頭に立とうということで、各議会に改革委員会を設置するとか、あるいは原則通年議会で機能強化するとか、あるいは情報公開で見える化を推進するとか、住民参加へ出前議会をやろうとか、あるいは議員定数、報酬等の適正化を図るとか、つまり地方議会に約三千人の議員を持っている政党でございますので、言ってみれば、大臣に言われるまでもなく、こういうことは既にやっている、やっていても余り実際の効果としてはもう一歩出ていないということがあって、しっかりこういうことをやっていこうよ、こういうふうに申し合わせて今取り組んでいるわけですね。

 そういう点でいうと、今大臣がまさに、これははやりの言葉で一丁目一番地ということをよく民主党の皆さんおっしゃいますけれども、その対象としてこの住民自治を挙げられて、その中身が議会のあり方、そういう現行制度あるいは運用、こう言われるんだけれども、何かちょっと物足りなさというものを感じるんです。

 そのことについてもし補足することがあれば言っていただきたいのと、あと同時に、私は思うのは、総務省の改革ということをどう考えておられるのか。御自身、御著作の中で、まず隗より始めよ、総務省、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、団体自治か住民自治かという観点、それを取り仕切る主体である総務省そのものの改革というものをどう考えておられるのか、どう進めておられるのかということが大変大事だと思うんですね。

 恐らくそれは、大臣よく習熟しておられる省のことですから、着々とやっておられるわけだから、そのことをあえて今言われていないかもしれませんが、私の観点からすれば、御自身がおっしゃったように、それこそ、まずは隗より始めよで、総務省はこのように身を削ってやっているんだ、だから各議会もこうするべしと、こういうふうになっていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 最初に、その議会の問題ですけれども、公明党の方で地方議会の改革に関する提言をいただきまして、私も拝読をいたしまして、ちょっと失礼な表現になるかもしれませんが、違和感のない改革プランでありまして、その中で、例えばさっき言及になられました通年議会とか、そういうものは、今回の提出をいたします地方自治法の改正案の中に盛り込むつもりであります、そのほかにもありますけれども。

 あと、例えば見える化というんでしょうか、議会自体の透明化という面で幾つかの御提言もありますし、それから住民参画ということで、本会議でも公聴会ができるようにしたらどうかとか、非常に傾聴に値する御意見があったと思いますので、それらは、これから地方自治法の見直しをやっていきますので、そういう中で、一応専門家と称される学者の皆さん方の意見も聞きながら、順次、反映していきたいと思っております。

 それで、私、先ほど、必要な制度見直しと、それから運用に係る面が多いということを申し上げました。この意味は、例えば会派拘束などは、国政のように議院内閣制の場合にはこれは多分必須のものだろうと思うのでありますけれども、二元代表制の場合にはそもそも会派拘束というのは想定されていないのが本来の姿です。アメリカの連邦議会なんか、会派拘束はありません。クロスボートといって、共和党と民主党がお互いに交錯した投票をするわけであります。議会対首長、そういう構図の中で政治が行われるわけです。

 ところが、日本の地方議会のほとんどは、会派拘束をして、議院内閣制の国政と同じようなことをやっていて、非常に硬直的で自由な議論ができない。そういうのは、実は運用なんです。何にも制度はないんですね。そういうのを改めていただきたいというのは、これは制度外のことなんです。

 それでは物足らないじゃないかとおっしゃられるんですが、実は、私は年来何を考えているかというと、そういう運用の問題も含めて改善しようと思ったら、ちょっとこれはいろいろ御異論も反論も多分おありでしょうし、反発も出てくると思うんですけれども、今の地方議会の議員の皆さんの選び方、選ばれ方で本当にいいのだろうかという問題意識を持っています。

 何が問題かというと、基礎的自治体の議員の選び方も、国会議員の皆さんと同じ要件なんです。本来はおのずから、基礎的自治体の議員の選び方、選ばれ方と、国会議員の皆さんの選び方、選ばれ方は、差があってしかるべきだと思うんですけれども、一様になっているんですね。そういう問題も、実はこれは制度面の問題として検討を加えていく必要があるのではないかというような問題意識を持っておりまして、順次、検討の作業を進めていきたいと今考えているところです。

 二つ目の、まず隗より始めよ、総務省の改革。

 これは私の年来の持論でありまして、これは声を大にして、わあわあメガホンを持って言うことではありませんし、総務省の中のルサンチマンを高めてもいけませんので余り申し上げておりませんが、せっかくの機会でありますから申し上げますと、例えば、税制などについて全部国が決めてしまう、これは本来おかしいんです。税制の企画立案というのは、課税団体の地方自治体が本来やるべき分野がもっとあってしかるべきなんです。こういう我々の用語でいいますと地域主権改革型の地方税制制度を確立しようということで、今、政府税調の中でその検討を開始するような枠組みを設けることにしました。

 それから、地方債で自治体の資金手当てをかなりがんじがらめにしている。一つ一つの事業ごとに総務省と財務省が全部チェックを入れているわけです。これを、部分的に必要なものは解除していきたい。差し当たっては、縁故資金、銀行資金ですね。これについては、一定の枠を決めて、その枠内であったら借りる、借りないは自由、届け出だけでいい、その枠を超えるときにはチェックをさせていただきます、こういう仕組みに変えたいと思いまして、これは第二次の義務づけ、枠づけの見直しの中に、今回、法案の中に盛り込むようにしております。

 それから、交付税について、政策誘導的な交付税はいっぱいあります。ハード事業をやりなさい、後で起債の元利償還を見てあげましょう、これも補助金と変わりませんので、順次廃止をしていくということで、かなりこの間も純化するように、今、手はずを整えております。

 あと、公務員制度といいますか、公務員の運用についても、国家公務員法と同じようにきちっとがんじがらめにしている面がないわけではない。この辺も、もう少し地域の実態、実情に応じて、ある程度自由な公務員制度の運用ができるようにすべきではないかというようなこともありまして、今、それぞれの部局で検討したり、順次、具体的な政策として表明していったりしているところであります。

赤松(正)分科員 時間との競争という側面がありますから、余りゆっくりしておられると、大臣、風雲急を告げておられますから、大臣のお立場がなくなったりすると困りますね。

 今言われたようなそういうことを、やはりもう既にさまざまプレゼンテーションされて、いろいろな部分でおっしゃっているんだろうと思いますが、私の立場からすると、余りそういうことが、そういう意欲、総務省の中をどのように、さまざまなことを発言して、今までこの日本という国についておっしゃってきて、なかなか存在感がおありだった片山大臣が、大臣になってから少し存在感が弱いんじゃないのかというふうな印象を私は受けておりますし、また、それ以外の方も受けておられる部分があるんじゃないかと思いますので、ぜひともしっかりとその辺は強調していっていただきたいと思います。

 引き続き、団体自治についての問題でいいますと、私、兵庫県、神戸を抱えているわけですけれども、神戸市が、矢田市長が全国の政令指定都市のリーダーということで、いわゆる指定都市群の皆さんが特別自治市構想というものを掲げておられます。

 いろいろ、少しさかのぼってみますと、戦後に特別市という構想があって、それが憲法九十五条との絡みでさたやみになっているという時期が長く続いて、今、この特別自治市構想というものが出たり、一方で、先ほども少し前質問者の議論の中にもありましたように、名古屋とか、あるいは大阪府だとか、あるいは愛知県とか神奈川県とか、さまざまなところがいろいろな意見を大都市のあり方ということで出しています。

 まさに、オーバーに言えば百花繚乱という感じがするわけで、一般国民レベルから見ると、何だかもうわけがわからないという状況にあるんですが、時間が余りないので残念なんですけれども、大臣のお立場からそういう状況を整理していただいて、こうした状況の中でどのようにこれから立ち向かおうとしておられるのか。とりわけ、神戸を中心とする政令指定都市が出した構想について、どういうお考えを持っておられるのかを手短に聞かせていただきたいと思います。

片山国務大臣 大都市における行政体制のあり方というのは検討を加えなければいけないと私は思っております。

 言及されましたように、かつて五大市構想というのが出まして、それが今の政令指定都市になっているわけでありますけれども、そのときにはかなり議論をしました。それから、昭和五十年代の初めに、東京都の二十三区のあり方についてかなり議論がありまして、今のように首長公選、議会を置くということになったわけですけれども、それ以後は余り大都市をめぐる議論というのはなされていないように思います。

 その間、政令指定都市は、人口がふえる地域がどんどん多くなりまして、昔の五大市を想定した政令指定都市が、今、全くそのとき想定していなかった市も指定都市になっているわけで、いろいろな課題とか問題が出てきております。

 それが、一つは例えば府県との間の二重行政があるのではないかとか、それから、大都市というのは人口が多くなって、住民自治が必ずしも全うされにくいのではないか、こんな問題が出ております。ですから、そういう背景のもとに、大都市の行政体制のあり方は早急に検討したいと思っておりますのが一つです。

 指定都市の方から出ております特別市構想というのは、恐らく戦後出されました特別市が原型だと思います。これは、府県から独立をさせるという考え方でありますけれども、結果的には、府県の方の反対によりまして府県に包含される今の指定都市になっておりますが、一つの見識だろうと思います。

 私がもう一つ問題意識を持ちますのは、住民自治のことでありまして、先ほども触れましたように、数百万、二百万、三百万の大きな市が、一人の首長と一つの議会だけで住民自治、民主主義が果たして全うされるや否や、こういう問題についてはよく検討しなければいけないと思っております。

赤松(正)分科員 政令指定都市が構想を出したのを一つの見識と片づけられまして、その後で大臣の御構想の一端を述べられましたけれども、ぜひともこれはきちっとした形でまとめる方向で、大向こうをうならせるような、そういうものに仕上げていっていただきたいと思うんです。

 さらに、ちょっと例の関西広域連合の話でございますけれども、奈良が入っていない。奈良にはそれなりの思いがあるんでしょうけれども、そういう形でとりあえずスタートした。私は、先ほどの神戸云々の話とはまた別に、この動きを見ていると、現実の中で対応する仕方としてはこれもなかなか一つの知恵だな、こう思っているんですが、大臣は、奈良の入らない関西広域連合のありようというものについて、どのように見ておられますか。

片山国務大臣 現行の区域で構成される関西広域連合で処理できる事務、これは、国の事務が該当するものがあって、先方が希望すれば、これを移管する作業をぜひ進めたいと思っております。

 その上で、例えばブロック単位の機関、整備局でありますとか農政局でありますとか、奈良を含む国の包括的ブロック機関を、奈良を含まない現行の関西広域連合の方に丸っぽ全部移すということについては、なかなかこれは、地域感情とかいろいろな問題があるんだろうと私は思います。

 ですから、関係者の皆さんに申し上げているんですけれども、そのブロック単位を移すということを希望されていますので、ぜひ、奈良県も参入されるような、参加されるような、そういう御努力を払っていただきたい。私の方も、必要があればいろいろ助言とかいたしますけれどもと申し上げております。

赤松(正)分科員 わかりました。

 大臣、大臣は、先ほどの著作の中で、民主党という政党はシマウマ政党だ、権力を正すということと権力をむさぼるということが二つしまになった政党だ、近づけばわかる、こうおっしゃっていますが、私はそれは非常に優しい御表現だなと思います。

 あれから大分時間がたっているので、大臣はまた見方は変わっておられると思いますが、私は、言ってみれば、これは、双頭のワシというと格好いいんですが、双頭のシマウマじゃないのかなと思うんです。一頭のシマウマだったら、それはいろいろな意味で迷惑を外にかけないんですが、二つ頭がある、そういうシマウマ政党ではないかと思うんです。

 最後に、大臣はたった一人の民間大臣であります。民主党という政党の中でたった一人の、民間からさまざまな知見を持たれて入っておられるわけですから、ぜひともいろいろな場面で、この国をどうするのかということ、政党を超えて、しっかりと民主党のリーダーたちにいろいろと助言をし、アドバイスをし、叱咤激励をして、いい方向に引っ張っていっていただきたいと思います。

 以上です。

若泉主査 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、長島忠美君。

長島(忠)分科員 自由民主党の長島忠美でございます。

 大臣は、けさ早くから分科会、大変御苦労さまでございます。

 私はある意味大臣と、大臣も在職時代に地震を経験され、私も村長のときに地震を経験し、このところのニュージーランドの地震には実は大変心を痛めております。一刻も早い救出を祈りたい気持ちでいっぱいであります。ぜひ大臣には、消防庁を所管する立場として、一日も早い救出に御尽力をいただきたいというふうに冒頭申し上げさせていただきたいなと思います。

 私は、新潟県でございまして、ある意味中山間地に今も住まいをしておりますから、合併、あるいはいわゆる中山間地についてのことを少し大臣にお聞きかせいただき、議論をさせていただければありがたいな、そんなふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 細かなことから少し聞かせていただくことになりますけれども、本年七月二十四日に地デジ放送へ完全移行するわけであります。資料で、数値として普及率等をいただきましたけれども、七月二十四日、最終的に地デジの対象地域はどれぐらいになる見込みなのか、その辺について少しお聞かせいただければありがたいなと思います。

片山国務大臣 これはいろいろなとり方があると思います。

 中山間地なんかのことでいいますと、受信環境の悪いところがどうかということが一番関心だろうと思いますけれども、総務省の調査によりますと、アンテナ設置などの受信環境の整備が必要なところは、昨年十二月末現在で、九五%以上の世帯で七月までには、期限までには対応が完了するという計画になっております。残る世帯についても鋭意取り組みを進めている、そういう状況です。

 あと、一般的に、一般の地上デジタル放送対応の受信機の普及率は、昨年の九月時点で九〇・三%。これが今一番利用できる最新のデータなんですけれども、昨年の年末にテレビなんかがよく売れましたので、もちろんそれよりもさらに進んでいると思いますけれども、最新のデータとしてはそういう状況であります。

長島(忠)分科員 多分、私がこういう言い方をすると総務省として一番お困りになるんだと思うんですけれども、数が少ない一番困難な地域がある意味残らざるを得ないところがあって、衛星対応とかいろいろな形で考えておられるんだと思うんです。二〇一五年一〇〇%対応というふうにはされているようですけれども、末端に行けば行くほど、例えばケーブルテレビなりに移管をするときに、サービス業者が費用に見返る効果がないというか運用収益が得られないということで、そこの辺のところは住民に対する負担もかなり生じてくる可能性があるんですね。特に、中山間地に暮らす人たちは高齢者が多いものですから、その負担に対する対応力ということになるとかなり弱いのではないかなと思うんです。

 だから、多分、公平の分配ということをある意味考えなきゃいけないんでしょうけれども、私は、生活するための権利の公平を考えたときに、その辺に対する配慮をどうお考えいただいているのか、少しお聞かせをいただきたいなと思うんです。

片山国務大臣 いろいろございますけれども、例えば低所得の方々には、それに対応した支援措置もあります。それから、中山間地などについては、先ほどお触れになった衛星放送というのももちろんありますけれども、あと、できるだけ期限までには設備が整いますように、きめの細かい相談に応じたり、それから助言を申し上げたりしているところであります。

長島(忠)分科員 地デジと同じような状況がブロードバンド基盤の整備状況の中にもあるんだと思うんです。超高速ブロードバンド、二〇一〇年三月末で九一・六%という普及率と資料でいただきましたけれども、多分、残っている地域が中山間地であったり、地理的に非常に不利な地域がやはり残っているんだと思うんですね。

 私の住んでいるところも、御多分に漏れず、超高速のブロードバンドは、旧役場であった支所のところまでは来ておりますが、その後がなかなか普及をしないで、この国会の放送は多分インターネットで配信をされているはずなんですが、私のところはインターネットでこの委員会の放送を見ることができないんです。見ようとすると、ある一定の映像が映って音声だけが流れている。だから、そういう状況の地域が中山間地にはかなりあるんだと思うんです。

 実は、そういうところの人というのは情報に疎いものだから、意外と情報を知りたがっていて、おじいちゃん、おばあちゃんを最後にきちんと、双方向の情報をやるときには私はこの超高速のブロードバンドしかないんだろうというふうに思っているんですが、その辺、総務大臣として、末端と言うと非常に悪い言い方かもわかりませんけれども、一番最終的な端末までどうやって普及をされていかれるおつもりか、少しお聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 私も今議員がおっしゃった問題意識を、かつて知事をしておりましたときに痛感をいたしました。高速道路の整備状況が非常に悪い県でありました。県庁所在都市に高速道路が来ていない唯一の県でありまして、それを必死で努力をしながら追いつきということを、追い越せませんけれども追いつきということをやっていたんです。

 そこにもってきてITの時代、ICTの時代になってきて、またここで差が出ると、もう二重苦三重苦になるものですから、高速道路は整備率を上げようと思ったら非常にお金がかかりますけれども、このITの問題、ICTの問題は頑張れば到達可能なこともありますので、率先して県が県内に光ファイバー網を敷くということを公費でやりました。もちろんそれは、さっきちょっとおっしゃいましたけれども、役場まで県がやります、あとのところは自治体が主体になって県も協力してやりまして、こういうことをやったんですね。その中で、例えば、ある地域によってはCATVを三セクなりでやるとか、そういうことをやって、鳥取県の場合にはかなり、末端といいますか家庭まで光ファイバーなり高速の機能が到達するということをやったんですね。

 ですから、中山間地とか過疎地ほど、この問題について行政機関がある程度の役割を果たす、それは民間の方で採算がとれませんから、そういう意識が必要だろうと私は思います。そこで、総務省としても、ブロードバンドを利用するという目標の実現に向けまして、そのインフラを整備、促進させるための予算を確保しまして、今、そういう自治体の取り組みなどを支援したいとしているところであります。

長島(忠)分科員 大臣からお聞かせをいただいたとおり、かなり自治体が積極的に取り組んでいただかないと、多分普及できないんだと思うんです。

 多分全国の市町村で、今一番問題になっているのは、役場までは国の施策で引いていただける、その後をどうするかと考えたときに、やはり民間業者が参入をするときに、その費用分に見合う加入者の数が確保できないとか、まばらなところに多くあるものですから、その延長に見合うだけの加入者がいないとかというところで、どうしても費用という問題で、市町村が負担をし切れる費用なのか、それとも個人の負担がどれぐらい生ずるかというところで、かなり深刻な悩みを抱えているんだと思うんですね。総務省が一〇〇%そのことを負担することはできないのかもわかりませんけれども、ケーブルテレビでそのことをクリアするのか、NTTの配線によってクリアするのか、基本的な方向を示した上で、そのことに対して集中的に総務省が自治体に支援をしてあげることが普及を進めることになるのかなという気がするんです。

 うちも小さな工場ですけれども、最近の工場は、日本国内だけではなくて、中国の工場とやりとりしたりインドの工場とやりとりするときに、超高速ブロードバンドじゃないと量とスピードが全く間に合わなくて、わざわざ光ケーブルが通っているところに事務所を用意して、そこまで持ち込んでいって、そこから情報のやりとりをするというような事態もあるものですから、中山間地とはいえ、可能性を示して、これから、政府が言っているように、農村でも自分が考えてやっていける可能性を示すというんだったら、情報からも孤立しないような施策というのが必要なんだと私は思うんです。

 ぜひそこのところを、もう数はそんなにないわけですし、費用はそんなに大きなものがかかるとは私は想定をしていないんですけれども、ぜひ一歩積極的に進んでいただきたいな、そんなふうに思うんです。大臣、いかがですか。

片山国務大臣 全く同感であります。いろいろな手法でもって進めていくということだろうと思います。

 さっき、ちょっと御紹介しましたけれども、鳥取県なんかの場合には、国の、これは総務省の補助金を使ったところもあると思いますし、よしあしは別にして、農水省の補助金を使ってCATVを整備したとか、それから、これも本当によしあしは別にしまして、合併特例債を使って、鳥取市などは農村部にCATV網を普及させたんですけれども、いろいろな組み合わせによって、できる限り全国津々浦々まで高速ブロードバンドが利用できるような環境を整えたいと思います。そのために、総務省としても、先ほど御紹介したような予算なども活用しながら、促進していきたいと思います。

長島(忠)分科員 ありがとうございます。

 私は、田舎だけではなくて、東京でもそのことが高齢者にとってやはり必要だと思うんです。孤独死なんか随分あって、何でああいうことが起きるかというと、情報が双方向でないために起きてくるんだと思うんですね。そのことに、高速とは言いませんけれども、情報ネットワーク網というのは大変大切なことです。私は村長をやっていたときに、テレビの前を一日一回通ったら、それで元気でいるという確認ができるようにしたい。そういったものにも使える可能性のあるということで、総務省は積極的にお進めをいただきたい、一〇〇%を目指していただきたいということを申し上げさせていただきたいと私は思います。

 次に、少し大臣にお聞かせいただきたい。これは、私もみずから村長として取り組んだことでありますので、責任もあります。そして、これからの行く末も見届けなければいけないということはあります。

 平成の大合併が、去年で積極的な推進はもうおやめになるという方向で、今、市町村は千七百二十五ですか、三千二百三十二から多分それぐらいになっていると思うんですけれども、県によってあるいは地方によって、合併を推進したところと推進しないところと、ある意味アンバランスな中で全国の市町村が今いる状況だと思うんですが、いわゆる地方の自治体を所管する大臣として、そのアンバランスさをクリアしていくためにどういう方策をお考えか、少しお聞かせをいただきたいと思います。

片山国務大臣 おっしゃったように、自治体が合併をかなり積極的に進めたところと、それから必ずしもそうでなかったところの間には、かなり差があります。例えば、北海道などは余りやっていないとか、本州の方が多いとか。それから、私がおりました中国地方でも、広島県などはかなり進んだんです。広島県の方が鳥取県よりも圧倒的に面積が広いんですけれども、市町村の数はそんなに変わらなくなるとか、同じブロックの中でもかなり地域差があります。

 これはいろいろな要因があるだろうと思います。県を挙げて、総務省と一体となって合併を促進したという県もありますし、必ずしもそうではなくて、一歩も二歩も距離を置いていたという県もあります。今日どう言っても、もうそれはしようがないことで、では、これをどうするのかということですけれども、二十九次の地方制度調査会では、今おっしゃったようなアンバランスはあっても、残ったところをさらに合併を進めようということはもうやめよう、国としてかなり強引な荒っぽいやり方をやってきましたけれども、そういうやり方はやめよう、そうではなくて、自主的に合併をされるところがあれば、それは支援しましょう、こういう基本的な方針転換をしたんですね。

 その上で、これをどうしますかということですけれども、幾つかありますけれども、本来、地方自治というのは、小さな自治体、大きな自治体というのは存在を許されているわけです。では、小さな自治体で今日必要な高度な事務なんかできないところはどうしますかといいますと、それは都道府県が補完をするというのは原則でありますから、そういう合併が進んでいないところというのは、それは必要に応じて都道府県が補完をしてさしあげる、こういう自治制度の基本に戻るのがいいのではないか。事務権限の移譲というのは全部国から県、県から基礎的自治体という矢印ですけれども、逆もあってもいいのではないか。もう本当に人口が少なくなって過疎化して、市町村がやるべき基本的な事務もなかなか難しくなった。それだったら、県がそれを補完的に逆委任を受けてやるということがあってもいいのではないかというようなことなどを考えています。

長島(忠)分科員 私は、比較的推進県であった新潟県です。百十二、私が就任をしたときに市町村がありました。今三十になっていると思うんです。だから、積極的に推進をした県なんです。

 総務省が取りまとめられた「「平成の合併」について」という資料を少し拝見させていただいて、住民アンケートの結果が少し公表をされていました。

 私は合併が失敗だったとか、合併しないのが成功であったとか言うつもりはないんです。ただ、合併をしたところの住民アンケートの中に、心配であるとか、どう言ったらいいんですか、サービスの点で悪くなったみたいなものが少し私の想定より多かったものですから、逆に言ったら、合併することによって、合併しないことによるよりも逆差別的な感情を受けている。特に、周辺の編入合併みたいな形でやったところがあるんだとすると、そこのところは国民の感情としてクリアできるような形を、私は、当初合併するときに、きちんと十年間は検証をしていただきたい、検証することによって、新しい市の中で検討を加えながらやっていくべきだろうということを申し上げていたものですから、やはり今検証する時期だと思うんですね。

 合併をして、嫌な言葉で言ったら、損をしたと思うような人が三十数%もいたようなところもあるみたいなものですから、それでは、私も合併を推進した者として、本来の目的から趣旨を少し理解していただいていないのではないかと思うところがあるので、その辺について、大臣として特にお考えがあったら。

片山国務大臣 私は、当事、その合併政策が推し進められましたときに鳥取県で知事をやっておりまして、結論からいいますと、そのころの合併推進策にはかなり批判的でありました。したがって、県内の市町村長さんでありますとか、それから議員の皆さんとか住民の皆さんに対しては、拙速は避けた方がいいですというメッセージを送り続けていました。

 それはなぜかといいますと、いみじくも今議員がおっしゃったように、当時の雰囲気で、何年何月までに合併で駆け込まなければ損だ、合併特例債の恩恵が受けられない、そういう損得議論が非常に横行していたんです。

 本来、合併というのは、自分たちの地域のことをどの程度の規模で実行するのが一番住民にとってふさわしいか、すなわち、規模が大きくなれば民主主義から遠ざかる、空間が広くなれば民主主義が遠ざかるという問題があります。だけれども、小さければいいかというと、小さいと専門性が低くなる、高度な事務ができにくいという面があります。

 では、それをどこでバランスするのかということを真剣にみんなで考えて結論を出すというのが本来の合併のプロセスだと思うんですけれども、そういう地道な検証を抜きにして、何年何月までで損だ得だという損得議論になってしまって、合併したらあれができる、これができる、こういうことになってしまうような風潮がありましたので、警鐘を発していたんです。

 そういう私からしますと、今議員がおっしゃったようなアンケート結果が出ているということはある程度わかっていたのではないかということを言いたいのはやまやまなんですけれども、言いませんけれども、それが具現化したなということなんですね。

 これをどうするかということなんですけれども、合併のときに、例えば地域自治区とか、そういう被合併町村の区域をある程度、自治権と言えるかどうかわかりませんけれども、自立性を担保するための装置、仕掛けなんか用意していましたから、本来ならばああいうものを活用していただいたらよかったと思うんですけれども、そうでなくても、これからも独自に条例でもって、特定の区域、合併されたところでちょっとケアが必要だという区域については何らかの仕掛けを、住民の皆さんの意思が反映するような仕掛けをつくるとか、それは幾らでもできますので、ぜひそんなことをしていただければいいと思いますし、そういうことを情報としてお伝えをすることはやぶさかではないと私は思います。

長島(忠)分科員 私は、当時、自治、議員がいて長がいるわけですから、それが急激になくなることに対する不安、それをどうしてクリアしたらいいかという問題も、私もその中におりましたからよくわかるつもりです。ただ、最終的に決断をしたのは、将来の構想の中で、我々の小さな村、当時二千二百人でしたから、やはり財政的だけではなくて、人的にもどうしても成り立たないところへやってくるだろう。だとしたら、一体感を醸成できる合併ということも踏まえた上でやっていくべきだろう。

 私が当時村民に申し上げたのは、百倍のところに合併するわけですから、飲み込まれるという心配はある、ただし、我々が行って乗っ取るぐらいの気持ちにならなかったら、このままおいておいたら必ず村はなくなってしまう、それぐらいの危機感を持っていたことも実は事実です。ただ、一番住民にとってあれなのは、直接代表、代弁をしてくれる議員さんが急にいなくなってしまったということに戸惑っているんだと思うんですね。

 昨今、これはお答えは要りませんが、議員は無駄であるとか、議員はという風潮があって、地方自治体も非常に議員の数を削減し始めちゃっているんです。これは、総務省として、決して地方自治にとっていいことではない、私はそう思っているんですが、そのメッセージだけはきちんと伝えていただきたいなと思うんです。何か削減と、人員削減が今の美徳であるようなことは地方自治を最終的に弱らせることの一因になるのではないかな、私はそんなふうに思っていますが、大臣、もしお考えがあってお答えができたらお願いしたいと思います。

片山国務大臣 私は、議員数について幾つか思うところがあります。

 一つは、日本の地方自治体の議会というのは、基本的には定数は人口によって比例的に幾つかの段階を設けているわけです。そうすると、例えば、都道府県でいいますと東京都とか、市町村でいいますと横浜市のようなところは、百人を超えたり百人近いということになるんですね。個人的な考え方ですけれども、これはいささか多過ぎるなというのが私の考え方です。そういうところが定数を独自に減らすということは大いにあってしかるべきだと思うんです。

 ところが、逆に今度は、人口比例ですから、小さいところは本当に十人とかそういうことになってしまって、それすら減らそうという話になりますと、今おっしゃったような、本当に必要なところの代表として出てこれるのかという話があるものですから、減らせばいいというものではないと思います。ほどほどというのが必要だろうと私は思います。

長島(忠)分科員 それと、合併について、この質問を最後にします。

 私は議会とか首長の意識醸成もさることながら、合併をした市町村の職員の意識醸成、一体化もやはり必要だと思うんですね。合併をして一番最後についてくるのは職員の意識醸成の一体化だと思うんです。さっき申し上げたように、それぞれの市町村を守らなければいけないという責務感がそれぞれ合併した市町村の職員には非常にあるものですから、そこのところを一体化するということのために、例えば、どこかの課長職を総務省がまとめて一週間研修させるとかいう方法も、もう合併を進めてかなりの年数になりますけれども、ここでそのところを見直すときに、もう一回やられてもいいのかなというような気がしているんです。

 職員の一体感というのが一番最後についてくるような気がしますので、それに感想があったらお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 私も、それは非常に重要だと思います。合併をしても、以前所属してしていた組織のことを最優先に考える、せっかく合併したのに合併の実が上がらないということ、これは随所に見られまして、率直に申しますと、総務省などは合併して十年たっているんですけれども、いまだに三つを束ねている感じでありまして、昔の意識がなかなか変わらない。みんながみんなじゃありませんけれども、そういうことに私も今悩まされております。ぜひそれは進めなければ、一体化は。

 何が重要かというと、やはり人事だと思います。人事でバランスよくいろいろな仕事ができるような、そして視野ももっと広がるような、そういう人事配置を心がけるということが私は一番大事だろうと思います。

長島(忠)分科員 総務大臣に一括交付金のことをちょっと聞きたかったんですけれども、もう時間がないので、最後に、今冬のいわゆる豪雪に対する特別交付税の配分について。

 やはり特別交付税で措置をされるという必然的な約束のもとに地方は除雪対策に当たっているんだと思うんですね。それを少し経費節減をするとかというメッセージが誤って伝わってしまうと、せっかく大切な安全対策である雪庇落としだとか、少し降りやんだときに出入り口の除雪だとかいうところを倹約してしまって、それがために事故につながったり命の危険につながることがあるんだと思うんです。

 特別交付税を所管する大臣として、そのことについてきちんとメッセージとして、命や財産を守ることに対してはきちんと配分するんだよというメッセージを全国の市町村あるいは国民に対して発信をしていただきたいと思うんですけれども、その辺のことを伺います。

片山国務大臣 何か、特別交付税で制約するとか縛るというメッセージが伝わっておりますでしょうか。

長島(忠)分科員 これは、大臣だけではなくて、維持管理費を倹約するんだというところから、除雪費も含めて、すべて倹約しなきゃいけないんじゃないかというメッセージが地方には伝わっておりまして、そこを。

片山国務大臣 わかりました。

 一般論として、自治体がいろいろな施策を仕事しておりますけれども、できるだけ効率的に無駄のないようにというのは、これは助言をしております。しかし、だからといって必要な除雪費までけちれというようなメッセージは、それは毛頭含んでおりません。

 かねがね申し上げておりますとおり、除排雪、除雪、排雪というのは非常に大切ですから、本来は普通交付税の中で措置していいものなんですが、これは年々変動が大きいものですから、変動が大きいものは普通交付税になじまないということで、普通交付税では、過去の降雪量などを前提にしまして、一定の線で当初算入します。それで足らない分は特別交付税でその分を交付する、そういう仕組みになっておりまして、この仕組みは何ら変わっておりません。

 ですから、今回も、いろいろなところから、豪雪地帯の皆さんから除排雪についての御依頼がありますけれども、それに対してはきちっと出しますから必要なことはやってください、そういうメッセージをお伝えしております。

長島(忠)分科員 時間がなくなりましたが、ぜひそのことだけは、知事経験者の大臣としても、地方にきちんと伝えていただきたいと思います。

 それで、最後に一点だけ。

 一括交付金の中に除排雪費がもし入るんだとすると、それを全国一律の基準で算入してしまわれるのではないかと地方の議会によっては心配をしているところもありますので、除排雪、雪国の特性とか、あるいは南の方でも特性があるかもわかりませんけれども、その辺はきちんと配慮をしていただけるということをお考えいただきたい、そんなふうに思うところでございます。

 時間がなくなりましたので私の質問は終わりますが、国民の安心、安全のために御尽力をいただけることを心からお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

若泉主査 これにて長島忠美君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井(崇)分科員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうは、貴重な質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 長時間で、大臣、副大臣、大変お疲れだろうと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私、地元が岡山でございまして、大臣の出身地でございます。先日も岡山市内を歩いておりましたら、御津町というところ、山の中の方だったんですけれども、歩いてまいりましたら、偶然、大臣の御親戚がいらっしゃるところに行き当たりまして、大変うれしかったんです。また、私は岡山県庁にも勤務をいたしておりましたので、隣の鳥取県知事時代の知事の御活躍は大変よく存じ上げております。また、大学や総務省としても先輩、私は旧郵政省ですけれども、勤めておりましたので、きょうは大臣に御質問できることを大変光栄に思ってまいりました。

 私は総務委員なものですから、大臣とは総務委員会で御一緒させていただきますけれども、本当にいつもすばらしい答弁をされて、同僚議員の中でもいつもよくそう言っているんですけれども、きょうは、ぜひ前向きな御答弁を御期待させていただきたいと思います。

 それでは、きょう、私はずっと総務省時代から情報通信分野の仕事をしておりましたので、情報通信に絞って御質問させていただきたいと思います。

 私は、情報通信の仕事に携わってきた関係で、今も情報通信関係の皆さんといろいろお話をする機会がありますけれども、残念ながら、民主党政権になって情報通信政策は後退しているんじゃないか、民主党になったら進むんじゃないかという期待感がかなりあったと思うんですね、イメージ的に。しかしながら、現実的には、後ほどちょっと御質問しますけれども、事業仕分けで予算がカットされたりとか、あるいはマニフェストを見ても余り情報通信のことが出てこない。マニフェスト本体にはたったの一行しか出てきませんし、それから、インデックスと言われる五十数ページの冊子の中でも一ページあるだけということで、ちまたでは情報通信政策が後退しているんじゃないかという懸念があります。そんなことはないと私は申し上げているんですけれども。

 片山大臣にかわられまして、大臣は自治省出身で、鳥取県知事でもいらっしゃったということで、地域主権改革には大変すばらしいエネルギーを注いで邁進されておりますけれども、情報通信の分野の御関心は低いのではないかという、これまた懸念があります。

 私は決してそんなことはないと思っていまして、鳥取県時代、私は岡山県で情報政策課長をしていまして、当時、鳥取県の岡村さんという名物課長がいらっしゃって、岡村さんから、片山知事というのは非常に情報通信にも理解があって、岡山が情報ハイウエーというのを引いたんですけれども、鳥取も情報ハイウエーをやろうと。そういったことで、私はよくわかっているんですけれども、しかし、一般の皆さんになかなかそういうメッセージが伝わっていないので、改めて大臣の、情報通信分野の重要性と、今後の取り組みに対する意気込みのようなものをまず最初にお聞かせいただけますでしょうか。

片山国務大臣 私は、この情報通信の分野は、委員もお触れになられましたように、若いころから専門的にこれに取り組んできたわけではありませんので、相対的に、地方自治の分野に比べますと専門的知見が少ないと言われれば、そのとおりであります。

 私は、実は鳥取県で知事をやっておりましたときに、この情報通信の分野にかなり力を入れたつもりなんです。

 それは、先ほどもちょっとお話をしたんですけれども、既存の交通体系の中では非常に取り残された地域でありました。岡山県に比べますと、新幹線はない、高速道路は県庁所在地に通っていない、そういうハンディキャップの多い地域でありました。また、冬はかなり雪が降る。そういう交通面でのハンディキャップを背負ったところで、新しいITの時代、ICTの時代に、またぞろインフラの整備のおくれから差をつけられるということでは、非常に鳥取県の将来にとっては困ったことになるものですから、それならば、競争原理の中で働く民間の皆さんの力が活用されないときにあっても、行政が少し踏ん張って頑張ろうじゃないかというところから実は始めたわけです。

 その心は、やはりハンディキャップのある地域ほどIT、ICTというのは重要だ、そういう認識でありました。そこからスタートをしたわけであります。

 今、我が国でこれをどうとらえるかということでありますけれども、私は、このIT、ICTを使うことによっていろいろな、産業面でもそうですし生活面でもそうですけれども、産業面でいいますと、ビジネスモデルが変わる、そういうことがある。現に今進んでおります。それから生活面でも、医療や教育などの面を中心にして大いに、よりサービスの質の高度化、享受できるサービスの多様化が図られると思います。

 ですから、さっき申しましたようなハンディキャップを背負った地域だけではなくて、我が国全体の将来にとっても非常に重要な政策分野だと認識をしているところであります。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 実は、私はそういった情報通信をずっとやってきたということもあって、民主党の情報通信議員連盟というものの事務局長をさせていただいております。また、今般政策調査会にできました情報通信ワーキングチーム、これは総務部門会議のもとなんですが、そこでも事務局長をさせていただいております。

 去年、参議院選挙の前に、民主党のマニフェストを見直そう、新たなものを加えようということで動きがありまして、実は当時、政調はなかったものですから議員連盟の中で、情報通信八策という、情報通信版のマニフェストをつくらせていただきました。もう大臣に目を通していただいているかと思うんですけれども、その中で、八策あるんですけれども、今後、総務大臣として取り組んでいこうとお考えになっているものがあれば、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。

片山国務大臣 拝見いたしまして、私も、これはそれぞれが非常に重要なことだと思います。

 例えば、医療の情報化によって医療サービスを実現するとか、それから、子供たちの学力、創造力を向上させるために活用するとか、非常に重要なことだと思います。

 これ以外にも、先ほど申しましたけれども、産業面での活用というのは本当に無限大だろうと思います。先般も、日本の例の開国問題に絡んで、農業をどう体質強化するかということが議論される中でも、ともすれば、農業の体質強化は担い手の問題とか大規模化という話になるんですけれども、ICTを利用した農業の構造改善といいますか、そういうことも考えられるのではないかということも議論したんですけれども、農業も含めたそういう産業面での活用というのも考えられると思います。

 ぜひ、こういうものの中で具体的に取り組めるものを、政府としても政策として実現させたいと思います。議員連盟をつくっておられますので、これが政調の中でどういう位置づけになるのかということもあるかとは思いますけれども、総務省との間でよく連携をとりながら、議員の皆さん方から出てくるアイデアとか政策課題というものを連携をとりながら実現させていくということがいいのではないかと思います。

高井(崇)分科員 どうもありがとうございます。

 今、大臣の方からいみじくもお話がありましたように、ICTというのは手段であって目的ではないので、医療の分野は情報化によって医療が進歩する、あるいは教育は子供たちがICTを活用することによってよりよくなる、あるいは農業の分野というふうに、非常にいろいろな省庁にまたがる横ぐし的なものだと我々は思っているんです。

 そうしますと、我が国は、やはり何といっても官僚の皆さんが非常に優秀だし力もある。けれども、その最大の弊害は縦割り行政だ。これは私も役所にいましたから、総務省の中だって、先ほどおっしゃいましたけれども、いまだに三つの省庁の中に、あるいは同じ省だって局、課によって縦割りがあるというような、最大の我が国の弊害は縦割り。その縦割り行政をいかに打破するかということが民主党政権の最大のかぎ、課題だと思っていますが、そういう意味では、縦割りの弊害を最も受けるのがこの情報通信分野じゃないかというふうに思っています。

 そういう意味で、政治主導が一つ必要なわけですが、その縦割りを何とかしようということで、もう十年になりますか、IT戦略本部というのができて、総理が本部長で、大臣も副本部長を務めていただいていますが、正直言って、このIT戦略本部が十年やって、果たして機能してきただろうかという反省があります。

 特に、民主党政権になって今の状況を申し上げると、実は、担当大臣は玄葉国家戦略担当大臣、副大臣が平野副大臣、政務官が阿久津政務官ということなんですが、この三人の方はそれぞれ十ぐらいの同じいろいろな本部を持っていて、IT戦略本部が説明する時間もほとんどない。大臣ならいざ知らず、担当政務官にすらほとんど時間がとれないという大変困った状況になっています。これをどうにかするというのは大臣の権限、ただ副本部長なので、ぜひ本部長である総理に伝えてほしいんです。

 このIT戦略本部がなかなか機能していない、そういった中で、ぜひ大臣には、まず、IT戦略本部の中も十分な人員がおりませんで、総務省から八人くらいが併任の形なんですか、あと経産省から二名か三名、ほかの省庁からはほとんど行っていない。民間からは十数人来ていただいているようなんですが、やはり組織の人員としても非常に少ない。

 先ほど、例えば医療の情報化とか教育の情報化とか、総務省でやっておられますけれども、本来、一役所である総務省がやるよりは、IT戦略本部のようなところに人を送り込んで、そこでやった方が私はより進むんだろうと。

 私も総務省にいて、幾ら厚生労働省に遠隔医療をやってくれ、医師法の二十条というのが、対面診療が原則になっているからこれが進まないので、医師法を変えてくれと幾ら言っても、総務省から言われて厚生労働省はなかなか変えないわけですけれども、やはりIT戦略本部のようなところがしっかりと言っていくことだろうと思いますし、また、そのときには、やはり政治主導ですから、IT戦略本部の中に専任の政治家、政務官を専任にするとか、もし政務官が難しければ総理補佐官を充てるとか、何かそういう手だてをしないと、これは大変厳しい状況にあるだろうと思っています。

 さらには、ちょっと長くて済みませんけれども、将来的には、私は、情報通信の重要性にかんがみて、情報通信文化省のような一つのものをしっかり打ち立てるということも必要じゃないかと思います。

 幾つか聞きましたけれども、お答えをお願いします。

片山国務大臣 今、議員のお話を伺っていて、全くと言っていいほど違和感がありません。私も同感であります。

 何が同感かといいますと、一つは、本部をつくってありますけれども、またそれなりに、実務的プラスアルファぐらいのところではいろいろな活動をしているんですけれども、いかんせん、本部会議というものが余り目に見えた形で動いていない。副本部長としましても、言われれば、本当に内心じくじたるものがないわけではありません。

 担当大臣と担当副大臣、今の組み合わせはもうほかにいっぱい仕事を抱えておられますので、ですから、なかなかここまで手が届かなかったんだと思います。改めて、私も副本部長としまして、本部のこれからの動かし方などにつきましては少し閣内でも相談をしてみたいと思います。

 もちろん何もやっていないわけではなくて、これは、他の推進本部などでITなりICTの問題は扱われてはいるんです。例えば、新成長戦略の中でICTの問題が大きく取り上げられているとか、それから最近のことでは、例のパッケージインフラの問題で、その中にICTの話とか地デジの日本方式の話とか、そういうものが出てきておりまして、それなりに閣内でもこの問題は議論はしているんですけれども、しかし、おっしゃったように、正面から、ICTの本部をつくっているのにさてどうかと言われますと、おっしゃるとおりだと思います。その辺は少し皆さんと相談をしてみたいと思います。

 あわせて、そういう中にあって、総務省もよかれと思って、いろいろ農業分野とか教育分野とかの方に、ICTを活用してこういうことをしたらどうかということで、各省がちゃんと率先してやっていただけばそれでも構いませんけれども、そうでない現状があるとすればということで、見るに見かねてということもないでしょうけれども、総務省が直接やると、それは総務省の仕事じゃないでしょうといって仕分けられかかったり、いろいろ問題もあります。

 そんなこともあるので、いい御指摘をいただきましたので、政府全体として、よくこの問題は相談してみたいと思います。

高井(崇)分科員 情報通信文化省はどうでしょうか。

片山国務大臣 私も総務大臣をやっておりまして、さっき三つの省を束ねたと言いましたけれども、小さければいいという問題ではないんですけれども、一つの見識として、情報通信というものに専念できる、そういう役所があってしかるべきだと私は思います。

 先般もASEANの会合に出席をいたしまして、その前に十一月には、沖縄にAPECの関係で同じようなメンバーの方が集まられたんですけれども、やはり情報通信というものを専管しているといいますか、そこに専任している担当大臣というのがおられるところが多いです。そこに情報通信とあわせて、文化というものを入れている役所も東南アジアなどには散見されます。ですから、やはり一つの考え方だろうと私も思います。

 これは、国家行政組織を所管しておりますので、その面からいっても、あの橋本内閣のときの十二省庁再編というのは、多少無理があったとは申しませんけれども、改めて改善、工夫の余地は、他の省にも見られると私は考えております。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 ICTの分野はいろいろな世界ランキングなどがあります。総合だと第二位とか、あるいはインフラだと第一位とかいうのがあるんですが、やはりおくれているのが利活用の分野。特にひどいのが電子政府、行政の利活用でして、国連の電子政府ランキングというのがあるんですけれども、これは日本が十七位ということです。

 一位はどこかというと韓国でございまして、では、韓国がなぜ一位になったかというと、いろいろ要因はあるんでしょうけれども、二〇〇一年に電子政府法という法律をつくって、そこから一気に電子政府が普及した。

 この電子政府法、どういうことが書いてあるかというと、例えばこういう条文があります。行政機関の間で電子的に確認できる事実は、申請者に確認を求めてはならない。これはつまり、国民、申請者の皆さんに、わかりやすく言うと、住民票を普通、紙でもらいに行って、その市役所でもらったものを法務局とかに届けに行く、これは法務局と市役所が電子的に確認し合えば、わざわざそんなものをとりに行く必要はないわけです。そのことを法律できちんと、電子的に確認できる事実は、申請者に確認を求めてはならないということを書いている。

 あるいは、行政機関の業務は、特段の事情がない限り、電子化されなければならない。そのために、すべての業務を電子化に適合するように改善しなければならない。そういうふうに義務づけている。

 法律をこういうふうに定めることによって、やはり行政機関もやらざるを得なくなるということで、この電子政府法というのは非常に重要だったということがあります。実は、閣内でも検討を、先ほどのIT戦略本部で出そうと試みたこともあったそうなんですが、内閣法制局から、それはなかなか法律事項にならないんじゃないか、法律を一本つくるほどのものではないんじゃないかというふうに言われたそうです。

 そんなことはない法律もたくさんあるわけですし、だったら、むしろ議員立法でそういったものはやろうかということを、有志の、先ほどの情報通信議員連盟なんかでは考えたりもしているんです。

 電子政府法をつくるべきかとかいう質問になると総務大臣の所掌を超えるそうなので、電子政府というものを今後、総務大臣としてどのように進めていくお考えか、できれば電子政府法なども視野に入れてと言いたいところなんですが、ぜひお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 ぜひ、電子政府の実現に向かって努力をしたいと私は思っております。

 先ほど韓国の事例を紹介されましたけれども、韓国は私の印象でも、確かに電子化といいますか電子政府化が進んでおります。

 韓国はもう随分以前から、国民一人一人に住民登録カードを配付といいますか、結局、番号がついた住民登録カードをみんな持っているわけでありまして、そういう意味では、さっきおっしゃった役所から役所を、住民を介さないでダイレクトに情報が流通できるというのは、そういう番号という一種のインフラストラクチャーが整備されていることの結果だろうと思うんですね。我が国はそれがありませんで、今それを、社会保障と税についてこの番号制度を導入することの適否が論じられているところでありまして、そういう差があるんだろうと思います。

 あと、法律面でいいますと、韓国は法律があって、日本は法律になじまないという法制局の見解の御紹介もありましたが、私はなじまないことはないと思います。法律というものは、国民の権利義務を制約するという面もありますけれども、政府を制約するという機能もあるわけでありまして、そういう意味では、議員立法なら一番典型的ですけれども、政府がみずからを縛るという法案を国民の代表である国会の皆さんが提示して、そこで義務づけてもらうということも、それは大いにあり得ることだろうと私は思います。

 ただ、そうはしなくても、私の経験からいうと、進めるための手段は幾つかあると私は思っておりまして、私は、鳥取県であえて電子化を進めるということ、もちろんやったんですけれども、大上段にやるよりは、実は予算編成プロセスを全部電子化したんです。ペーパーレス予算編成というのをやったんですね。最初はある程度抵抗がありましたけれども、これが二年ぐらいたちますと平準化して、庁内に浸透します。そうしましたら一気呵成に、職員の意識も変わりますし、いろいろなところで、電子決裁に進むとか、住民の皆さんとのやりとりもアイデアが出てくるとか、そんな経験があります。

 政府全体として、やらざるを得ない仕組みをつくる。これは法律の仕掛けもそうですけれども、必ずやらなきゃいけないのが予算と国会対応であります。国会対応はともかくとして、予算編成なんかは、電子化をすることによって随分霞が関の体制が変わるのではないかと私は思っておりますので、先ほどの推進本部などでそういうこともこれから随時提案をしたり、働きかけていったりしたいなと今考えているところです。

高井(崇)分科員 ありがとうございます。

 私も鳥取県庁時代の話はお聞きしていて、岡山でもぜひやりたいと思いながら、やれずに県庁を去ることになってしまったんですけれども、おっしゃるとおりだと思いますので、ぜひ電子政府、電子行政、まず行政の分野がみずからやることが、ほかの分野、医療とか教育にやってもらうよりも、まず行政みずからが電子化しないと、隗より始めよということだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 きょうは、お忙しい中、平岡副大臣にもお越しいただいたので、ぜひこれは平岡副大臣にお聞きをしたいんですが、今回の事業仕分け、平岡副大臣も随分頑張っていただいたんですが、結果はちょっと残念な結果でした。

 私は、事業仕分けは、私も仕分け人の一人でありまして、そのものを否定するものではないんですが、実は、この事業仕分けで情報通信の予算が削られたときに、実際に仕分け人の人と話をしました。話をしたら、みんな異口同音に言っていたのが、だれも情報通信が要らないとか必要ないと言っているわけじゃないんですね。この予算の中身、使い方に問題が、効果がないんじゃないかとか、そこをみんな指摘をしているわけですけれども、しかし、だったらやり方を変えればいい話なんですけれども、結局、廃止という結論になってしまった。そのプロセスは、やはり事業仕分け側に問題があるとは思います。これはもうこれで決まってしまったことなので、しようがないんですが。

 ただ、この中で、地域ICT利活用広域連携事業というのがあって、これは地域のICTをやっている方々には大変好評な、大人気の予算でありまして、実は、これがなくなったということは今全国的に物すごい大きな波紋を呼んでいて、やはり民主党は情報化、情報通信は後退しているじゃないかという機運がそのことによって随分高まってしまっている。これは本当に問題だと思います。

 来年度限りで、予算減額した上で、来年度で廃止。これは事業仕分けの結果に沿って、そうなんですけれども、ぜひここは、さっきの事業仕分けの趣旨からすればやり方を変えればいいわけですから、ぜひそのやり方を変えて、今後、再来年度以降、地域情報化に取り組む自治体とかNPOとか、そういった方々に支援するということを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。平岡副大臣にお願いします。

平岡副大臣 高井委員が御指摘ありましたように、昨年の事業仕分けで、大変厳しい判定をいただいたわけであります。

 私自身は、事業仕分けについても、やり方をもう少し考えなきゃいけないんじゃないか。つまり、双方向の議論がなかなかいい結果を生み出すわけじゃない。つまり、事業仕分けをされておられる方々が、代替案として、こういうものならどうかというような議論ができるようなやり方というのもやはり考えていかないと、本当にオール・オア・ナッシングみたいな結論が出てしまって、それにかなり拘束されてしまう、そういう問題があるんじゃないかというふうにも感じました。

 それはさておいて、昨年の事業再仕分けの指摘を踏まえまして、御指摘のあった地域ICT利活用広域連携事業については、二十三年度限りで廃止をされるということになったわけであります。しかし、いろいろ弊害もありますので、我々としては経過措置的なことについては認めていただきたいということで、二十三年度に新規案件は採択をしない、そして二十二年度に着手した案件については、二十三年度限りではあるけれども認めてもらうということで、予算規模を大幅に圧縮して、約二十六億円でありますけれども、予算案の中に盛り込ませていただいているということであります。

 御指摘のあったように、ICTの利活用そのものについて否定されたわけではなくて、やり方とかあるいはその役割といったようなものについての御指摘があったということでございますので、我々としてもそれを真剣に受けとめていきたいということで、今いろいろなことを考えております。

 その一つが、今月から、片山大臣主宰のICT地域活性化懇談会というのを開催いたしまして、ICTの世界で、あるいはそれぞれの地域で頑張っておられる方々の意見もしっかりとお聞きして、これからどういうことをしていくべきなのかということを考えていきたい。その中で、御指摘にもありましたけれども、特に国の役割は何なのか、総務省の役割は何なのかというようなことも踏まえて検討していきたいというふうに思っております。

 委員からもいろいろと御指摘があろうかと思いますけれども、そういう御指摘もあわせて検討させていただきたいというふうに思っております。

高井(崇)分科員 もう時間も迫っているんですが、あと一問だけ。全然話がかわるんですが、NHKの問題。

 私はこれが持論なので、何度も、去年もお聞きしたんですが、私は、実はNHKの集金のアルバイトを学生時代、四年間やっていました。受信料を一軒一軒集めて歩くわけですが、実は今、受信料契約は七十数%です。払っていない人がいるというのはやはり問題だ。

 どういう人が払っていないかというと、一軒家のでかい家の、テレビが五台も六台も絶対あるような家でも、どう見てもその家庭の主婦の人が出てきて、私は留守番の者ですと言い張って、何十遍行っても言い張って払わない。こういうことを許して、払っている人に申しわけないじゃないかと思っています。

 ですから、私は、受信料はもっと義務化すべきで、イギリスBBCは義務化して、罰則も設けていて、そして町の電気屋さんからテレビを買った情報をもらったり、市役所から住民登録の、まさにそういった形で、とにかく収納率を上げるために国全体が努力をする。私は、これは受信料を払っている人に対する国としての、そしてNHKとしてのやはり責務だと思っていますので、ぜひ義務化すべきだと思っているんですが、最後に大臣のお考えをお聞かせください。

片山国務大臣 釈迦に説法ですけれども、現行は納付義務というのはなくて、契約締結義務ということで、それなりの限界があるということだろうと思います。

 それで、以前と比べますと社会のあり方が随分変わってきまして、こういう場合、きちっと払うべきという人が圧倒的に多かった時代から、必ずしもそうでない時代に今なっております。これは受信料だけでなくて、例えば学校の給食費であるとか、いろいろなこと。それから病院の入院費だとか、公立病院では、実はそれで困ったりしているんです。

 そういう本来払わなきゃいけないものまで払わなくていいという風潮が出てきた時代には、やはりそれなりの対応は必要だろうと私は思います。それが一足飛びにBBCのような義務化までいくかどうか、罰則までいくかどうかというのは、それはまた議論があると思いますけれども、何らかの対応は必要だろうと思います。

 そういうときに、NHKの方が、最近では訴訟を起こして自力救済を図るということもやられておりますので、それは大いに評価すべきだろうと思います。

 御提案の件は、国民の合意が得られるかどうかという、その一点だろうと思いますけれども、いろいろ、大いにこれから議論がなされるべきだと私も思います。

高井(崇)分科員 どうもありがとうございました。

 本当に、情報通信政策、これからも頑張ってください。

若泉主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

 次に、福井照君。

福井分科員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。大臣には、どうぞよろしくお願いします。

 まず、歴史を総括、振り返って、大臣の高邁な地方自治論というのをぜひ御紹介いただきたいなと思いますのは、実は理由がありまして、私は建設省のまちづくりをずっとやってきたんですけれども、歴史の刷り込みが今でも我々を制約しているというのはあるんですね。

 例えば、タウン・アンド・カントリー・プランニングで、イギリスから日本のまちづくり制度というのは輸入したんです。日本はリースホールドですね。だけれども、憲法、民法は、プロシアから輸入したので、絶対土地所有制度。そこで、今でもその相克に悩んでいるわけですね。砂防はオーストリアから、道路はアメリカから、河川はオランダからということで、それぞれ、輸入する文化で、施設とか全体の考え方が規定されているということもあります。

 それから、これは明治二十二年の帝国議会の議事録にも載っているんですけれども、これから日本の国づくりというのは、道路、橋梁、河川は本なり、根幹である、しかし、下水道、公園、住宅は末なり、枝葉末節であると、そのポリシーを議事録に残しているんですね。

 だから住宅問題に今でも日本人は悩んでいるんだということで、百三十年前、百年前、あるいは戦後すぐの刷り込みで私たちは今どうしようもない窮屈な状態にあるんではないかということなので、明治以来の地方自治、国と県と市のあり方、官選知事時代から今の時代、そして、もう機関委任事務をすべて取り去って、もっと地方で独立して地域主権でやってくださいというこれからの時代への刷り込み方をぜひ大臣に教えていただいて、後また質問しますけれども、議会のあり方についても言及をいただきたいなということであります。

 ついでに申しますと、同じ派閥なものですから、柳沢伯夫厚生労働大臣が、年金記録問題の直後、大臣をやめてからうちの派閥の事務所で告白をされていまして、これは内務省の呪縛であると。わしがおった大蔵省はちゃんと税務署という直接国民と接するインターフェイスのところを持って、そして国民の声を聞きながら税金を徴収するという現場があって、それは何段階かレイヤーはもちろんありますけれども、意思決定機関、ヘッドクオーターと国民との間が直列に結ばれているのが大蔵省であると。しかし一方、内務省というのは、これは県に任せている、県に行ったら市町村に任せているということで、すぐ後ろを振り向く、振り向くところを持っているという組織。内務省というのはもともとそういうふうに生まれて、なおかつそういうふうにパフォーマンスをしてきた、だから年金記録問題が発生し、そして解決できなかったんだと。これは一理あると思うんですね。

 そういう内務省という地方自治の親分がいて、県があって市があって、そしてこの百三十年間という歴史があって今の世界の流動状況があるということを踏まえて、今までどのようにこの地方自治を総括され、そして今どこにいて、今何が問題で、そしてこれからどう展望していくのか、大臣の個人的な、しかし一番重要なこれからの時代に刷り込むべきメッセージをぜひ御教示いただきたいと思います。

片山国務大臣 私、非常に重要な論点指摘だろうと思います。伺っていて、刷り込みといいますか思い込み、固定観念として認識しないまま刷り込まれているというのは確かにあると思います。

 例えば、私の専門の地方自治の分野でいいますと、明治が始まってから、明治の二十年代の前半に我が国の地方制度というのはできたんですけれども、そのときの基本原理というのは、国家統治のツールとしての今風に言うと地方自治、地方制度なわけです。国家があって、その国家を守りながら効率よく運営するにはどうすればいいかというので、国内を小分けにして、地方というのは、そのときの意味はパーツという意味であります。だから、東京都も実は地方で、パーツに分けたところでどういう行政をさせるかという上から目線の制度設計をしたわけです。これが府県制であり、市制町村制ということです。

 今の日本国憲法の原理は、そうではなくて、国民主権でありまして、地方自治は民主主義の学校と言われますけれども、草の根自治を実践するところでありまして、本来、憲法の改正とともに原理は実は転換しております。住民が主体で、住民が自分たちの地域の身の回りのことをやるために自治体を形成する、自分たちの意思で代表を選んで自分たちの意思で運営をする、そういうことに原理はまるっきり転換したんです。したんですけれども、それこそ刷り込みがありまして、やはりいまだに当事者の国民の皆さんも、恐らく国会議員の皆さんの多くもそうじゃないかと思うんですけれども、やはり国が一番上にあって、県があって、市があって、市町村があって、末端に住民がいる、こういう固定観念というのはぬぐえないんだろうと思うんです。これを変えなきゃいけないというのが、実は私の一番の問題意識であるんです。

 皮肉なことに、先般、実は自民党の議員の方から、総務委員会で地方自治をめぐってやりとりがありまして、そのときに、菅総理の地方自治論といいますか民主主義論の師ともいう人で松下圭一さんという方がおられて、こんな過激なのはだめだというのが質問の趣旨だったんですね、ちょっと表現は違うかもしれませんけれども。その松下さんの書かれた本の中から資料を引用されていて、図も出ているんですね。これからは官治じゃなくて自治だと。ところが、やはり国が上にあって、住民が一番下にあるんですね。従前と同じなんです。だから、松下圭一さんにしてしかりと私は思いまして、できれば、本当は国民が一番上ですから、そこからいろいろ市町村とか府県とか国とかを書くような、そんなスタイルもこれから必要なのかなとも思ったりしたんです。

 いずれにしても、おっしゃるとおり、やはりこの分野にも牢固とした刷り込みはあると私は思います。これを変えていかなきゃいけないというのが課題であろうと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

 一つ芽がありまして、今回、財務省主計局の独白といいましょうか、役人と元役人同士の話の範囲内ですけれども、先ほど事業仕分けの話もありました。事業仕分けというのは情報公開をする。予算査定、主計局でずっとやってきた、毎晩、朝までやってきたあの仕事を表に出すというのは役人の矜持に反することだけれども、しかし、情報公開もして、ある程度、コントロールはもちろんされていましたけれども、今まで知られざるところ、足らざるところをカバーしようとみずから主計局がしたというのは、長い歴史からいうと、事業仕分けの大きな意味があったと思います。だから、これからそうやって予算査定も国民に、広く一般に広報し、そして情報公開をするというのは、これから変わることはないことだと思います。

 それからもう一つは、各省の会計課長に任せたんですね。ここからが論点で、要するに、縦割りをどう克服するかという問題で、建設省の会計課長も、自分では道路局の予算、河川局の予算なんてよう査定しなかったんですよ、これはずっと現在・過去完了形で。それは膨大というのもありますが、それぞれが独立の省みたいなものだったんです。それは厚生省も一緒です。旧内務省も一緒です。だったんですが、今回は横ぐしの判断を各会計課長にしろということで、それで枠が埋められたんです。今までの自民党政権時代の生活関連枠だとか何とか枠だとかいう埋め方は縦割りのままでしたから、実際私も作業していましたけれども、最後に予算をよいしょと乗せる今回の枠の埋め方は、横ぐしの考え方を少なくとも各省の会計課長がしたということなんですね。

 そこで、そこからまたちょっと歴史を振り返って、これはいろいろ違う意見の方もいらっしゃると思いますけれども、歴史は繰り返すで、一九二九年が世界同時大恐慌、そして二〇〇九年がリーマン・ショック、八十年ぶりの大恐慌をスタートに、後に全く同じことが日本で起こっていまして、大恐慌の経済の混乱もありますが、政治が選挙至上主義になったんですね。戦前そうなって、民主党だから、自民党だからと言うつもりはありませんが、当時は官選知事を勝手に政治の都合でかえたり、警察の権限の人を勝手にかえたりして、とにかく政治が選挙至上主義、政治が堕落した。今回も、堕落したとは言いませんが、選挙至上主義という意味では同じになってきた。

 一方、官僚の方は、対応するように、岸信介を初めとする改革官僚というのが出てきて、政治がだめだから、では官僚が立ち上がって、通産省の岸信介じゃなくて、国家の、国士としての官僚だということで何人か集まって、それで昭和十五年体制ができて、戦後の高度経済成長が横ぐしという形で、そして国家全体で一生懸命頑張りましょうと。それがたまたま戦争に行っちゃったので不幸な歴史でもありますが、それを捨象して、国家全体で一丸となっていくんだという体制はできたわけですね。昭和十五年体制ができた。

 そこで、我々がつくろうとして、そして民主党政権も今呻吟をしているのが国家戦略局ですね。国家戦略局で横ぐしで判断し、そして予算も法律もここでやるんだということで、野党ですけれども、期待しておりますから。国家戦略局のファンクションをもっと拡大して、まさに昭和十五年体制をつくったような改革の志のある人が、元官僚でも元政治家でも、そこに梁山泊として固まって、そこで意思決定をし、総理大臣にいわば答申をする、そういう組織というのが要るわけだと思うんです。歴史は繰り返すだとしたら、それがまだできていないというのはおかしいわけで、とにかくそういう横ぐしの組織というのは必要。

 先ほどおっしゃった、百三十年間の国と県と市のあり方で、だから国ももちろんそうやって縦割りを克服しなければならない。しかし、県庁の方は、ここは県庁だけにハイライトさせていただいて、今まではもちろん霞が関の縦割りのままの組織であり考え方であり日ごろの業務であったわけですけれども、それを、同じように国家戦略局的な組織をつくり、横ぐしの意思決定ができ、そして知事がまさに、大日本帝国憲法第一条みたいに、県政を総攬することができる、知事の意思決定を助ける、そんな組織がぜひ必要なんじゃないかなと私は思っているんですね。今こそ必要なんじゃないかなと思っているわけです。

 先ほど、今からのパースペクティブについて言及がなかったので、これからの県の組織、行政の事務のあり方について、簡単で結構ですから、コメントをいただきたいと思います。

片山国務大臣 その前に、大恐慌、リーマン・ショックの話で、時代状況が似ているというお話をされましたけれども、私も全く同感なんです。

 一九三〇年代、二九年に世界恐慌ですけれども、大恐慌のころ何が起こったかというと、そのころまで衆議院で多数派を占めていた政友会が、一九三〇年の選挙で、合体した民政党に多数を譲るわけですね。いわば政権交代が起こるわけですね。そこで緊縮財政とか軍縮とかいろいろなことが起こって、その中で、選挙至上主義とおっしゃいましたけれども、言うなればお互いのけなし合いが起こるわけです。ひどいけなし合いが議会で起こるわけですね。そのことによって、両方の政党とも信頼を失っていってしまう。政党政治の崩壊が起こるわけです。そこで何が起こるかというと、例えば一つは近衛文麿の新体制ということで、何やら非常に英雄のような幻想が当時起こるわけです。一種のポピュリズムでありまして、それが大政翼賛会になって、幻想に終わった。

 今、そのことを踏まえて、国家戦略局というのはそのころの発想で、今も必要なのではないかとおっしゃいました。当時の状況を是認すれば私は必要だろうと思うんですけれども、実は私は逆のことを考えておりまして、そうではなくて、むしろ政党政治が、息を吹き返すと言うと失礼ですけれども、本来の機能を取り戻すということが必要なのではないか。

 大変失礼ながら、私も政党に属さない者として、今、政府の一員として予算委員会なりいろいろなところに出ておりますけれども、よく似ています。政治史を研究した者から見ますと、一九三〇年代の、政党政治がだんだんだんだん国民の信を失っていく過程に酷似しております。これはぜひ与党も野党も考えていただきたい。

 ぜひここは、熟議の国会という表現がいいかどうかわかりませんけれども、国家や国民のために、どういう政策がよりよくなるのかということをやはり第一義に考えるべきだと思うんです。その上で政党間で競争が行われる、競合が行われる。その面では、お互いの足の引っ張り合いは多少はあってもしかるべきだと思いますけれども、どうも主客が転倒してしまっているのではないかという危惧を私は持っております。本来の政党政治、政党が政権を担って、そして政治主導で政策の優先劣後を決めていくという、これがあれば国家戦略局なんかは本来は要らないかもしれないと私は思います。

 それで、具体の質問で、県庁組織でありますけれども、実は現実の県庁の多くは、私もつぶさに全部知っているわけではありませんけれども、やはり多かれ少なかれ国と同じような縦割りになっているのが現状であります。なぜかというのは、いろいろありますけれども、各省からの天下りがそれぞれ縦割りを貫徹しているというのもありますし、もう一つは、国と同じようにシーリングをずっとやってきたんです。シーリングをやると、やはり各部局の縦割りは温存されます。

 私が知事になって、すぐシーリングをやめました。国家戦略局のような参謀スタッフは設けませんでしたけれども、人事をうまく回して、それでシーリングをやめて、そうしますと、知事を先頭にして幹部で政策の優先劣後を、自由に要求された政策の選択肢の中から選んでいかなきゃいけないことになりまして、おのずから政治主導ができてくるわけですね。

 ですから、シーリングをやめるということが今の自治体では必要なことではないかと私は思います。

福井分科員 まさに我が意を得たりのコメントをいただきまして、本当にありがとうございました。政党は政党で、今の議事録をコピーして、また次の議論をさせていただきたいと思います。

 それで、県庁の話は終わらせていただいて、県議会ですね。

 だからこそ、今県庁はここにいるから、県議会についての役割が、まさに県議会レベルの政党政治というのが、政党であるかどうかは別として、会派でもいいんですけれども、政治家としての県議会議員の皆さん方がまさに知事と対等の議論をするというあり方が必要だと思います。

 たまたま、今度、四月二十四日の選挙、ぜひ大臣に褒めていただきたいんですけれども、高知市の市議会議員の定数四十四を三十四にしたんです。そこで、我が自由民主党の四月十日の県議会議員選挙にあっては、みずから県議会の定数を減らすんだと。減らせばいいというものじゃないんでしょうけれども、まさに今大臣がおっしゃっていただいた、国政レベルは国政レベル、しかし県政レベルは県政レベルで、政治家同士の戦い、そしていわば政策の練り方、それと知事への具申の仕方について、県議会だけで結構ですから、市町村議会を除いて、県議会の今からのあり方について、ぜひコメントをいただきたいと思います。

片山国務大臣 地方自治は二元代表制をとっておりまして、国政の議院内閣制とは違ったスタイルであります。これはアメリカに始まったことでありますから、そこでの議会の役割というのは、いささか国政とは違いまして、一つは立法であります。

 国政の場合には、与党が政府をつくりますから、政府・与党一体として、むしろ政府が立法案をつくりますけれども、本来の二元代表制は、イニシアチブからして、立法権は議会に本来はあるわけです。現実は、それがほとんどなくて、ほとんど中央政治と同じようなスタイルになってしまっております。

 これを全部すぐ変えろとは申しませんけれども、やはり行政庁である、執行機関である県庁を政策的に規定づけるという意味では、議会の立法機能というのは必要になるだろうと私は思います。ということは、首長と仲よしこよしの議会、多数会派になってはいけない。政策的には似ていても、またイデオロギー的に似ていても、やはりきちっとその二元の間に距離感がある、こういう関係を形づくらなければいけないと思います。そういう中から、二つ目の機能であるチェック機能というのが求められます。

 実は、現状の多くの地方議会では、この立法機能とチェック機能が必ずしも作動していない、これが私は一番の問題だろうと思っております。

福井分科員 本当に、我が意を得たりの答弁ばかりで、ありがとうございました。

 ちょっと話題をかえますけれども、二年前の選挙の感想は、やっと勝ったんですけれども、スイングとリテラシー、その二言に尽きるかと思ったんです。

 知事をやめられてから、テレビにずっと出られてコメントされてきた。テレビのコメンテーターとか司会者のコメントに一〇〇%左右される。あのときは、明らかに政権交代をリードするようなテレビ報道ばかりでした。今だって、きょう選挙をしたら、民主党は百行きませんよ。それも、今のテレビに国民が左右されている。情けないといえば情けない状況ですね。

 国民のテレビを読み解く力、国民の、テレビ、新聞、特にテレビなんですけれども、その画像から出てくるイメージに左右されない、みずからの意見を持つ力がなければ、いつまでたったって、衆議院で参議院で、つまり衆議院でこうなったら次は参議院でこうなるという、だから、ねじれというのはそのスイングで生まれているわけですね。

 なので、ねじれが絶対に悪いかというと、必ずしもそうじゃないかもしれませんけれども、一番の本質は、それは政治家も悪いでしょう、お互いのコミュニケーションをとらなかったということもありますけれども、国民のメディアリテラシー、メディアから出てくる情報、メディアから出てくる方向性を読み解く力、善悪を判断する力を高めなければ、いつまでたったって、今大臣がおっしゃっていただいた一九三〇年代の、まさに国民が政党をつくり、国民と政治家というのは全くエクイバレントだというふうに言われてきたし、これからも言われ続けるだろうというふうに思うんですね。

 テレビの力を軽視するわけにはいかないし、これからももっと大きくなるでしょう。だからこそ、そのメディアリテラシーというのをどうやって高めていったらいいのか。総務大臣としてのコメントというのはもちろんあり得ませんけれども、むしろ、まさに選挙を今は経ておられない立場で大臣をされているわけですから、ぜひこの機会にコメントしていただければと思います。

片山国務大臣 私も、メディアリテラシーは非常に重要だと思います。そのことによって民主主義の基盤、権力形成が決まってくるわけです。これが、付和雷同的とは言いませんけれども、軽い気持ちでメディアによって形づくられるというのは、健全な民主主義ではないと私は思います。現状がどうかという論評はちょっと避けたいと思いますけれども、一般論として申し上げればそういうことであります。

 では、国民の皆さんの間のメディアリテラシーをどうやって高めるかということでありますけれども、いろいろな要素があると思います。一つは、やはり教育だと思います。

 政治教育というと、何やら特定のイデオロギーを押しつけるためか、こう言われそうなんですが、そうじゃなくて、本当に国民の一人一人が素養として持っておくべき政治に対する評価の力とか判断力とか、これはやはり非常に必要なことだと思います。

 日本の教育を見ていまして、政治の分野でいいますと、組織であるとか機構論は一生懸命教えるんです、我が国は三権分立になっていて、最高裁があってとか国会があってとか。ところが、一人の市民として自分が主体的に政治に参画するときのやり方とか、そういうことはほとんど教えない。

 もっと言えば、最近、子供たちが国会に見学によく来ていますけれども、国会というのは、子供たちにとっては多分、建物ではないかと私は思います。国会は議論する場で、本当は議論が本質なんですけれども、建物を見て、わあ、大きいなとか、ここに天皇陛下が来られるのかといって、みんな感心して帰るんですね。国会というのは議論の場じゃなくて建物だというふうに観念してしまう、これも私は日本の政治教育の一つのまずさだろうと思うんですね。そんなことをやはり変えていかなきゃいけない。

 ただ、これは、政治教育というと、北朝鮮なんかはまさに政治教育をやっていまして、あんなことになってはいけないわけでありますから、その辺のあんばいが非常に難しい課題はありますけれども、それが一つあると思います。

 あとは、マスコミの皆さんの見識の高さというものがやはり求められると思いますし、それから、現に今政治を営んでいる、私も今現在その一人でありますけれども、為政者と言うと語弊があるかもしれませんけれども、政治を営んでいる者の自主的なルールづくりというか常識というか、それが結果的には伝えられるわけですから、そこが一つの大きなポイントだろうと思います。

福井分科員 本当にありがとうございました。我が意を得たりばかりという感じでございます。

 政治の方も、僕はまだ、二〇〇〇年からですから、十一年ですけれども、加藤政局前後とかはぶら下がりばかりでしたね。政治部の記者というのは、ぶら下がりをしていて、それで夜中までの独白を書けばいいという状況でずっと来た。最近やっと、御自分の意見を署名で書いていただくような記事がふえましたし、各新聞社ごとに年金の考え方というのも出てきました。まさに今始まろうとしている状況だと思うんですね。だからこそ、マスコミの皆さんのこれからの努力と政治教育、まさに大臣を中心にこれから我々も頑張っていかなければならないというふうに思います。

 最後に、これは大臣と意見が違うのはわかっているんです。わかっているんですが、まさに絶対に陳情しておかなければならないことがありまして、それは地方支分部局なんです。

 私もいたからという部分もありますけれども、しかし、例えばこの前、正月、直轄国道でとまりました。橋下知事なんかは、あれは県庁に任せないから、地元に任せないからとまったんだ、雪で立ち往生したんだと言うんですけれども、しかし、ずっと直轄国道を管理してきた者から見ますと、それは、一般競争入札にしてしまって、随意契約はいかぬということ、それだけで業者をかえてしまったのが、まさに雪に埋もれた直轄国道の除雪なり管理というのは職人芸なんですよ。どこそこにガードレールが埋まっているとか、どこそこに何があって、どこそこに溝があると全部頭にたたき込んだ上で管理し除雪するという、まさに契約に載らない、表に出ない、本当にインプリシットなところで、そして職人の矜持のところでやっと管理ができているわけですね。

 直轄国道の目的というのは、とめることじゃないんですよ。あのバスの転落事故があって、裁判に負けたから、すぐとめるという状況で今来ていますけれども、実は、直轄国道の私たちの目的というのは、どんな大雨でも、どんな雪が降っても、どんな地震が来ても絶対に通すぞ、救急車を通すぞ、これが直轄国道の目的なんですよね。だから、それを安易に、では地元に管理させろとかいうのはちょっと勘弁してもらいたいな。だから、地方支分部局が必要だというのが一つ。

 それから、これは各委員会でずっと私自身が紹介してきたんですけれども、大臣は初めてなので、ちょうど中越地震で皆川優太ちゃんというお子様が救出されました。あのときに助けたのは、確かに東京消防庁のハイパーレスキュー隊。だけれども、そのハイパーレスキュー隊の隣にいて、では避難しろとか、今は大丈夫、余震が起こったけれども、この岩のところは大丈夫だから助けていいよとそのハイパーレスキュー隊を指示したのは、実は建設省の砂防屋であり道路斜面屋なんですよ。その砂防屋であり道路斜面屋というのは、各地方建設局でずっと現場を歩いてきたやつなんですよ。その二人のうちの一人がたまたま同級生だから言うわけじゃないんですけれどもね。

 ですから、何を言っているかというと、では、これは地方の本来業務であるということで全部地方に任せてしまうと、その子供の命を助けた技能、技術、現場の経験というのが醸成されなくなるわけですよね。子供の命を亡くすのか、地方支分部局をなくすということは子供の命を助けられなくなる状況が生まれる、これもぜひ頭に入れていただいて、その地方支分部局の議論をこれからぜひしていただきたいなと思います。

 今までの組織があるからとかいう意味じゃなくて、確かにやり過ぎたところがあるので、それは是正しなければなりません。東京でいえば、一号とか十五号とか、ほかに三けたの国道なんかも直轄でしたというのは多分やり過ぎのところ。それから、地方支分部局で随意契約しているところはやり過ぎのところがもちろんありますけれども、しかし、組織全体をこれはもう全く要らないものだというふうに決めつけられると、その矜持も失うし、実際の国民生活に支障が来る可能性があるということをぜひここで陳情させていただいて、時間もなくなりましたので、簡単なコメントで結構です。よろしくお願いします。

若泉主査 時間が参りましたので、答弁は簡潔にお願いします。

片山国務大臣 意見が真っ向から対立すると予断を持って言われましたけれども、伺っていて、余り違和感はありません。

 出先機関の改革は、今は国が直轄でやっていますけれども、これを地域に移して、例えば道路だったら、国道、県道、できれば市町村道なんかも面的に管理をすればより効率的にできるんではないかというような発想もあって、これは今の仕組みでは、地域としてやりたいというところにできるだけやっていって、私は比較してみたらいいと思うんですね、どっちがいいかというのは。

 その際に、例えば砂防なんかで、大規模な地すべりなんかで、めったに起こるわけじゃありませんから、そうすると、全国で素人だらけになってしまう。そういうときに、国交省、昔の建設省に砂防部があって、そこに専門家がいて、その専門集団は重要なんではないかというのは、私も全くそのとおりです。中越であったときに、本来新潟県がやるべきことを、国交省が行かれたんですね。あれなんかはそれでいいと思うんです。私も実は砂防の専門家を、県のとき、土木部長で使ったことがあるんです。牧野君というんですけれども、非常にモラールも高いし、技術も高かったんです。そういう専門集団の必要性は私も痛感しているところです。

 あと、入札がいいのか、それとも随契がいいのかというのは、これも一長一短あります。機会均等という面でいえば入札です。だけれども、それで専門性が失われる可能性がある。専門性、経験を重視すれば特定のところ、そこから副作用として癒着が起こる。ここが今批判されているわけで、これも、試行錯誤とは言いませんけれども、やってみて、どの辺に落ちつければ一番具合がいいかということをこれから確かめていくような、そういった時期ではないかなと思います。

福井分科員 ありがとうございました。

若泉主査 これにて福井照君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、稲見主査代理着席〕

稲見主査代理 次に、岡田康裕さん。

岡田(康)分科員 岡田康裕でございます。

 本日は、このような機会をお与えいただきまして本当にありがとうございます。初当選させていただいてから財金の方の委員会にいつもおりますものですから、きょうはちょっと総務の関係のところに出張して来させていただきまして、本当にありがとうございます。きょうは特に午前八時半からスタートされていると伺っております。お昼前の一番お疲れのタイミングではないかと思うんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 なぜきょう総務の関係のところに手を挙げさせていただいたかなんですが、実は、昨年の秋に事業仕分けの第三弾がございまして、そのときに、特別会計仕分けで総務関係のところにもかかわらせていただくことができました。その御縁で来させていただいたということでございます。

 きょうはお手元に数枚資料を準備させていただいたんですが、届いておりますでしょうか。どのページも、大臣も副大臣も日ごろからよく何度もごらんになっておられる資料だと思うんですが。

 一ページ目なんですけれども、これは今回の予算案の全体観でございます。この数字、増減、パーセンテージなどを見まして、だれもが素朴に受ける印象は、やはり社会保障関係費がぐっと大きくふえて、それを丸々しっかりと受けとめようとすることによって、また同時に、財政規律をこれまで以上にしっかりと守っていこうじゃないか、そういう姿勢をはっきりさせることによって、その社会保障関係費の増加分がいわばほかのほぼすべての領域にマイナス圧力となってあらわれてきている、そういう状況ではないかと思うんです。

 この表からすれば、地方交付税交付金等という項目ももちろん例外ではなく見えるわけでありまして、七千億減、四%減と見えます。しかし、これが一たび一般会計を出て、まず交付税及び譲与税配付金特別会計に一たん移りまして、そこにこの三月末に繰り越されてくる、残っていくであろう約一兆円のお金があるからこそ、それがドッキングをして、出口ベースでは五千億増として地方自治体の皆さんにもお届けすることができる、こういうことかと思うんです。

 そこで、最初にまず御質問させていただきたいのは、この一兆円残るであろうとされているお金自体の財源といいますか、どういう性格のお金であるかということを鈴木副大臣にお願いできますでしょうか。

鈴木(克)副大臣 御指摘の繰越金一兆円についてでありますが、平成二十二年度の補正予算で、二十一年度の国税五税の決算剰余金一・八兆円、平成二十二年度の国税五税の増収見込み額二・二兆円が計上されたということに伴って、交付税の法定率分が一・三兆円増額になったことから、従来からの取り扱い、慣例によりまして、基本的に翌年度に繰り越すこととさせていただいたということであります。補正予算に係る地方負担を踏まえて三千億の交付税を追加交付した残額の一兆円を繰り越した、こういうことでございます。

岡田(康)分科員 ありがとうございます。

 私、このことは総務省内のずっとかかわってこられているプロの皆さんからされると当たり前のようになっておられるところだとは思うんですけれども、しかし、仕分けをさせていただいて、これはもう少ししっかりと説明していくべき大事なポイントだとも思いました。

 といいますのが、特会自体も、後も少し触れたいんですけれども、過去、歴史を振り返れば、そこで借り入れをしてどんどん積み上げて地方にお金を回していったというふうな歴史があったようにお見受けいたしておりましたので、決してそういうことをしているわけではなくて、今回も一般会計では財政規律もあって捻出できなかった財源ですけれども、しかし、非常に良質な財源といいますか、税収入を手がたく見積もっていて、それが幸いにも上振れて、そして、ふえたその増収分を組み込んでこういう出口ベースの金額が実現できているんだということはしっかりと、少なくとも地方の行政の皆さんや議会関係者の皆さんにはもっと知っていただけるようにお伝えしていきませんと、特に今、マニフェスト施策が赤字に裏づけられているんじゃないかというような広報宣伝がよくされがちでございます。しかし、その部分も捻出した財源でやっているわけでありますから、こういうところはしっかりとPRをしていきたいところだとも思っております。

 また同時に、釈迦に説法ですが、地方交付税の原資は国税五税の一定割合でありまして、五税の内訳を見ていきますと、法人税とか所得税も入っているわけですよね。法人税の三四%、所得税の三二%が入っています。こういうところはリーマン・ショック後の国税収入がどおんと十兆以上落ち込んだまさに二大税目でもございますから、本来であればこの時期は地方交付税の総額も減っても仕方がないような時期だったはずなんですが、そこをあえて、初年度もたしか一・一兆円、次年度も〇・五兆円ですか、段階的にふやしていこうとされているわけですから、このことはマニフェストの中に数字まで書かれていたような目玉施策ではなかったかもしれませんけれども、地域主権という方針に基づいて堂々とPRできる実績だと思っていますので、そこらあたりは引き続き発信を繰り返していただければと思っております。

 そして、次の質問に少し行かせていただきたいと思うんですが、この二十三年度予算案につきましては、地方交付税の増額というのを良質な財源でもって実現することができそうだと、可決されれば、なるわけです。しかし、気の早い話ですけれども、正直、その次の年は一体どうなるんだろうかということが個人的にはすごく不安になりました。

 といいますのが、もちろん税収入は手がたく見積もっておられると思うんですけれども、二十三年度中にそれがまた同じように、例えば五千億、一兆という単位で上振れるかどうかということはだれも保証できないわけですね。そうなったときに、今、政府が閣議決定をされておられます昨年六月の二十二日の財政運営戦略をいま一度見てみたいと思うんですが、お手元の資料の二ページ目になります。

 これは十ページだけを抜粋して持ってこさせていただいているんですけれども、全体として、もちろんこれは非常に厳しい、自分たちを律する内容があるわけですね。公債の発行額は四十四・三兆で抑える、二十三年、二十四年、二十五年度としっかり守っていくんだということが書かれていますし、歳出の大枠を七十一兆円でとどめるんだということも書いてあります。

 しかし一方で、この一番下のところには、交付団体初め、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源の総額については二十二年度の水準を下回らないようにしていこうと書かれてありますので、ここはいわば少し逆のことが書いてあるところでもありまして、まだ今、二十三年度予算案の審議中でございますけれども、やはり政治主導でしっかりと次の年も財政規律の観点からも守っていく、そういう決意を、もしよろしければ大臣からお聞かせいただければと思います。

片山国務大臣 御指摘のありました地域主権戦略会議でまとめた大綱には、交付税といいますか一般財源ですね、地方の一般財源については、二十二年度の水準を基本にしまして、向こう三年間それでやっていこうということです。

 これはいろいろな意味があるんですけれども、一つの意味は、地方からいろいろな意見、声が出てきても、制度が変わらないのに、他の条件が等しいのに、一般財源総額をふやそうということは今はしませんよというある種の抑制なんですね。もう一つは、これは、国の方の財政上の都合で地方の方に切り込みを無理強いはしませんよというメッセージでもあるんです。両方の要素の妥協と言うと変かもしれませんけれども、折り合わせたところだろうと思うんです。

 これで、先ほど来議員がおっしゃったようなことをちょっと敷衍しますと、例えば二十三年度、どういう税収になるかわかりません。もちろん、客観的な見込みで計上していますからおおむねそうなるだろうとは思いますが、二十二年度と同じように上振れがあるかもしれません。下振れがあるかもしれませんけれども。仮に上振れがあったらどうするかということになりますと、そのとき、この大綱を基本にしますと、必要な一般財源総額は他の条件が等しければもう手当てをしていますから、国税五税がふえて、それが交付税にはね返った分を地方の一般財源に当該年度には多分しないということが入っているんだろうと思うんです。

 それは、過去の借金を返済するのか、また、今回やったように翌年度に繰り越すのか、いろいろな手法はありますけれども、いずれにしても財政規律を守るという面はここで担保されている、地方の側からはちょっと不満かもしれませんけれども、そういう面での担保はあるのではないかと私は思います。

岡田(康)分科員 ありがとうございます。

 それでは、交付税特会のことに少し触れさせていただきたいと思うんです。

 秋の仕分けのときを思い返しますと、当日、仕分けの会場で交付税特会に臨ませていただくときに、前日から、隠れ借金、隠れ借金という報道がなされておりました。しかし、それを目にし、耳にしまして、それはちょっと表現として適切じゃないなと正直思いました。といいますのも、総務省さんが堂々と開示されてこられた表なりグラフなりにもちゃんとあらわれていた数字でございましたから、決して、知らなかったものが土を掘ったら出てきたという種のものではなかったはずなんですね。

 しかし、仕分けの場でそれが少し取り上げられた理由は、隠れ借金だったという意味よりは、お手元の三ページ目の表をごらんいただきますと、この特会の債務の推移がずっと書かれているわけですけれども、平成十九年度ごろから、約三十三・六兆ですか、その金額がばちっと固まったようにずっとずるずるきてしまっているわけですね。この数字について一体どうしようとしているんだろうかということが一つ話題になったわけです。

 そこで、ヒアリングなども事前にあったんですけれども、国の側に聞きますと、いやいや、これは地方の分ですとおっしゃるわけです。それは確かに、過去の経緯を振り返れば、例えば、国と地方で半分に割って、国の分は国債整理基金などにとっていっていると思うんですね。しかし、残りの部分は地方の分ですといって、ここの特会に残ってきていたわけです。しかしながら、知事会の関係の方にヒアリングをいたしましても、位置づけは認知されておられますけれども、必ずしも、それを返さなければいけないとか、返せそうだとか、そういうふうに受けとめておられるようにどうしても感じられなかったんです。

 つまり、あえて踏み込んで言いますと、国も地方も最終的な責任を感じていないような、そういうちょっと宙に浮いたような三十三・六兆のような気がしたものですから、仕分けで土台に上がったんだろうと思うんです。

 片山大臣も、昔、知事をなさっておられたと思うんですけれども、そのときのこの三十三・六兆の数字に対する印象というか、地方の側から見たときの認識をどんなふうに感じていらっしゃったか、教えていただければと思います。

片山国務大臣 これは、先ほどもう議員がおっしゃったことに尽きるのかもしれませんけれども、結局あいまいなんです。

 特別会計の借金ですから、これは国の借金です。国の財政上の借金です。しかし、なぜその借金が生じたかというと、交付税の足らないところを借金で埋めていたわけです。交付税として配ったわけですね。交付税の足らない分は本来法律上どうすべきかというと、例えば地方税法を改正して税収がもっとふえるようにするとか、それから、交付税法を改正して、交付税率を、先ほどの国税五税に掛ける、乗ずべき率を改正することによって財源不足をなくする、これが実は本来のルールなんですね。

 では、それができますかというと、今の国の財政事情で十分な交付税を国税五税から賄おうとすると、実は七割ぐらいになるんです、国税五税の七割。これは全く非現実的なんですね。そうすると、税体系自体を見直さないとそのルールの方に戻れない、こんな現状があって、実は、やむにやまれぬ策として借金をしているわけです。

 そうすると、地方の側からは、本来現ナマで交付税をくれるべきところを、足らないから国の都合で借金したんでしょうという理屈があるわけです。国の方は、地方の方がお金が足らないんだから、地方のために借金してあげたんだよという理屈があるわけです。そうやって、なすり合うわけではありませんけれども、お互いに何となくあいまいにしてきたということがあるんですね。

 それで、何年前だったでしょうか、平成十何年かのときにこの制度をやめて、地方の方が交付税の足らないものは、ちょっとよしあしは別にして、悪いんですけれども、臨時財政対策債ということで、地方の方が借金しておいて、後で交付税で補てんしますというふうにつけかえをしたんですね。これですっきりしたかというと、実は地方の方も、自分の借金だけれども、これは名目上の借金で、後で全部国が補てんしてくれるんですよという意識がまだあって、この期に及んでもまだあいまいなんですね。

 いずれにしても、原点に返って、できるだけ早く、ルールどおりにその年その年に全部決済できるような、そういう交付税制度に戻していかなければいけない。ちょっと道は遠いんですけれども、それが本来のやるべき改革だろうと私は思っております。

岡田(康)分科員 ありがとうございます。

 今、大分踏み込んで御答弁いただいたのであえて追加して言うこともないんですが、仕分けのときにこの三十三・六兆で話題になりましたこととして、結局、国か地方かというふうな位置づけのことがあいまいだったゆえに話題になった。

 そういう中で、償還計画をずっと先延ばしにせざるを得なくてしてきていたわけですけれども、では、それを実際に強引に償還しようとしたら何が起こるんだろうか。実際、利払いだけでも数千億出ていて、それが一体どこでどう負担されているんだろうかということを考えていくと、これも釈迦に説法ですけれども、交付税特会で例えば利払い費であったり償還の一部をやったとしても、それが結局、後の不足額を大きくするということになって、不足額が大きくなると、臨時財政対策債だ、一般会計負担だということになる。臨時財政対策債だということに仮にいたしますと、今大臣がおっしゃってくださいましたとおり、結局また、基準財政需要額にカウントができる、いわば地方は国の負担だと思っておられるところになっていっているわけですよね。

 そういうところまで行き着くと、ますますこれは不毛な話だなというところに行き着きました。結局、国民から見れば、国の借金であれ、全地方自治体が共同で負うべき借金であれ、面積的にも同じ話ですからね。それがたまたま特会にあるのか、地方債という形で散らばっているのか、国の債務としてどおんと追加されているのか、それだけの話でもありましたから、不毛なところ、悩ましいところまで行き着いたというのが正直なところでございました。

 しかし、特会の仕分けの観点からしますと、まさに隠れ借金と表現されたことは一つ言えることなんですが、要は、わかりにくいというか複雑になってしまっていて、ああ、こんなところにもあったのかと言われてしまうような管理の実態になってしまっているということは一つ課題だったと思いますし、今回、仕分けの結果の判定も受けて、政務三役の皆さんの政治主導もあって、この債務の償還も、長い道のりとおっしゃられましたけれども、少しずつ前に進められることにもなったと伺っておりますから、こういう債務の管理の仕方という意味でも、ひとつ一歩大きな前進にはなったのかなというふうに個人的には受けとめている次第でもございます。

 続きまして、臨時財政対策債のことから少し派生してなんですけれども、私も、地方財政の裁量の余地が少ないという話は方々からお聞かせいただくものですから、国の財政が限られている中でそういうところをどうやって改善していくことができるんだろうかと、自分なりにいろいろ調べたり読んだりさせていただいたつもりです。

 そういう中で、過去の地方債がずっと急激に累増してきたときに、よく、臨財債は特殊ですけれども、後に交付税措置しますといって、地方の側で発行できる地方債がややモラルハザードを引き起こしてしまったんじゃないかということがかつてあったと思うんですね。現段階でいいますと、そういうことは起こり得る状況にあるのかどうかというあたりを御答弁いただけますでしょうか。

片山国務大臣 地方債を発行して、後で交付税で面倒を見てあげますという、これがモラルハザードを起こしたことはないのか、これからはないのかということですが、過去はそれは多分にありました。

 例えば景気対策。これは、一九九〇年代になって我が国は景気対策を随分やりましたけれども、その中で自治体が動員された面が非常に強いわけです。その際に、とりあえず借金で公共事業なり箱物建設をやっておきなさい、後でその相当部分を、交付税の上乗せで償還財源を工面してあげます、こういうことが何年も行われたわけです。そのときに、自治体からすれば、それはやらなければ損だ、やった方が得だと、やらなければ自分のところに来る交付税は相対的に減りますから、我も我もとどんどんやったわけですね。その結果、何が起こったかというと、償還財源がふえますから、それで交付税の上乗せすべき金額がふえるわけです。ところが、そのときに国税収入はぼんと減っているわけですからもう賄えないわけです。結局、小泉改革のときに、過去、どんどん上乗せしますよと約束していたのに、交付税がふえてしかるべきなのに、どおんと削ったんです。

 そこで何が起こるかというと、もう小さな自治体はやっていけない、では合併でもしなきゃいけないのかなというときに、合併したらお得ですよ、合併特例債で借金ができますよ、交付税でまた面倒を見てあげますよと、同じことをやったんです。だます方もだます方ですけれども、ひっかかる方もひっかかる方だと私は思うんですけれども、そういうことをやってきたのが明らかにモラルハザードを生んだと私は思います。

 総務大臣がこんなことを言うのは変ですけれども、私は当時知事でやっていましたので、そんな愚かなことはもうやめるべしということを何度も知事会でやっていました。それで、そのときから、交付税の補助金化といいますか、モラルハザードを生むような、そういう地方債と交付税との絡み合いは整理縮小すべきということを言いまして、ある程度、当時の総務省も聞いてくれました。

 今、私も大臣になりましたので、そこを改めて整理するように指示をしておりまして、全廃はできません、できませんけれども、かなり縮小をしつつあります。なぜ全廃できないかというと、約束しているものがあるわけです。合併特例債なんかは一つの典型です。合併したらこういうのが発行できますよというのを今全廃するのは、やはりはしごを外すようなものでしょうから、私でさえなかなかできないという面があります。

 整備新幹線をつくったときには地元負担金が必要です。その地元負担金には地方債を充てて、それに対しては一定の割合で交付税を充てますなんということも過去既に約束しているわけです。本当は外したいですけれども、外すといろいろ大問題が起こるでしょうから、私もちょっと言いづらい状況なんです。

 そんなことで、今、にわかに全廃できない事情はあるんですけれども、やめられるものはどんどんやめていくというスタンスで臨んでいます。

岡田(康)分科員 踏み込んだ御答弁、本当にありがとうございます。

 私がなぜこれをあえて聞かせていただいたかといいますと、今本当に財政が大変な中で、やはり規律をちゃんと守っていく、そのためにやむを得ず、例えば負担の議論も踏み込んでせざるを得ない、そういうことを政治がちゃんと責任を感じてやっていかなきゃいけないと思うからなんです。

 というのが、さっきの臨財債の議論にも絡むところがあるんですけれども、例えば抜け穴にならないかなと思ったんです。

 財政規律は、もう御存じのとおり、プライマリーバランスでよく言われますよね。プライマリーバランスというのは、国債費をのけた額について話をするわけですね。ですけれども、例えば、財政規律があるがゆえに予算としてはこれだけしか数字が措置できない、しかし、足りないところを地方債で、一部交付税措置をするから賄えるということがもし少しでもできてしまったら、結局それは先々どうせ不足額となって臨財債となって、上乗せ加算なのか一般会計負担なのか、全部国の方に返ってきて、それはまた今の財政構造からすれば国債に化けるわけなんですね。そうすると、その年その年で予算措置できなかったものが交付税措置するような地方債に一部もし化けてしまうと、それは財政規律にかからないところの債務としてずっとふえていき得るわけなんです。

 そういうことからすると、債権債務の種類を一個一個見ていって慎重にやらなければいけないし、もちろん過去にお約束した分をはしごを外すようなことがあってはならないと当然思いますけれども、今特に、総理も並々ならぬ決意で財政規律を前面に掲げて、ある意味苦労されていると思いますので、そういうピンホールというか抜け穴ができてしまって後で問題になるようなことだけには絶対ならないように、この政権でそこもしっかりと手当てをしていただいて、そういうところも大事なポイントですから、やはりしっかりと世間にPRもしていただきたいなと思うところでもございます。

 時間がもうあと五分ほどになってしまいましたので次のところに行きたいんですが、地方債で少し時間をかけてしまったんですが、あと、地方税、やはりここが、地方自治体の皆さんからされても、地財上、本当に大きな、大事なところだと思っております。

 よく課税自主権という言葉があるわけですけれども、私なりに、二十二年度の税制改正大綱、これはお手元の資料の四ページ目です。五ページ目が二十三年度の税制改正大綱になりますけれども、きょう質問の時間をいただくことになってから読み返しておりますと、それぞれに、「課税自主権の拡大を図ります。」「拡大・発揮についても検討されるべきである。」というふうな書き方がされているわけですね。

 まず確認したいのは、今、地方自治体に課税自主権は法律上どの程度あるのかということと、もしあるんだということであれば、それが実際問題、法定外税目等々となって、地方で独自に税収として、どれくらいの金額規模で実際に生かされ、活用されているのか、なぜそれが小さい金額にとどまってしまっているのかというあたりを、時間が迫ってまいりまして、まとめてになりましたが、鈴木副大臣、お願いできますでしょうか。

鈴木(克)副大臣 現実の数値だけ私の方から申し上げて、あとまた、理念的な問題は大臣から御答弁をいただけたらというふうに思っておりますけれども、地方の課税自主権の拡大というのは確かに我々はうたっておりますし、本来そういう形をもっと強化していかなきゃいけないという流れはそのとおりであります。

 現実は、平成二十二年の四月現在で、法定外税というのは三十三都道府県、十三市町村が実施しておりまして、税収額は平成二十一年度決算ベースで約四百六十億円、地方税収の約〇・一三%である。

 それからまた、超過課税の税収額は、平成二十一年度決算ベースで四千二百億円、地方税収の約一・一九%となっており、例えば住民税法人税割では、四十六都道府県で一千三市町村が実施しておるということでございます。

 なお、これは余談でありますけれども、標準税率を下回る税率により課税している団体というのは二団体、名古屋市ともう一箇所、こんな状況でございます。

片山国務大臣 課税自主権というのは特に定義はないものですから漠たるところはあるんですけれども、一般には、一つは、税率について自治体が自由に選択できるという問題。それからもう一つは、今副大臣から話がありましたけれども、新たな税目を起こすという法定外税の話。この二つが多分典型的だろうと思います。

 その実施状況は今副大臣から御答弁申し上げたとおりでありますけれども、私の考えでは、課税自主権というのは、人によってとらえ方はあるとは思いますが、未活用だと私は思います。例えて言えば、未活用資源にとどまっている。もっと例えれば、ある程度の土管は敷設したけれども、水がちょろちょろとしか流れていない。

 自治体の方から課税自主権の拡大というスローガンは出てくるんですけれども、では、今ある課税自主権の範囲内でどこまでそれを適用していますかというと、ほとんどしていない。しているのは、これはおのずからしようがないんですけれども、税収の少ない法定外税を幾つかやっているということ。

 一番のメーンは、実は、住民税とか固定資産税の税率の変動なんです。それはどういうことかといいますと、たくさん仕事をすれば主要税目の税率は上がる。行革をやって財政を締めれば、税率が下がって納税者に還元が起こる。これが実は課税自主権の一番のポイントなんです。そこのところはほとんど発揮されていないんです。実はできるんです。たくさん仕事をするから固定資産税を上げますねと、これはアメリカでは当たり前なんですけれども、日本は固定資産税はいつも固定されているんです、税率は一・四%と。その辺を変えなきゃ、変えなきゃと言いますが、意識が変わらなければいけない。

 だから、私は、課税自主権はどんどん拡大するということよりは、今ある課税自主権の中を、いかに住民自治、民主主義との兼ね合いで議会の方が税率を変動させる形で具現化するかということが一番の課題だと思っています。

岡田(康)分科員 もう時間も参りましたので終わりたいと思うんですが、本当に最後の部分は私も痛切に感じるところがありまして、今の政治の状況を見ていて、この間、本会議の代表質問でも主張させていただいたんですが、負担増というのは、だれもやりたくてやっているわけじゃないわけですね。しかし、それを国の一部の方が旗振り役になって、地方からそこを援護射撃していただけているような気がなかなかしないわけですね。最近また、減税という言葉も出てくるわけでもありまして。

 そういうことからしますと、こういう課税自主権が実際問題あるわけですから、そういうことを積極的に活用して、地方自治体の皆さん、地方議会の皆さんも一緒になって住民の皆さんと向き合って、今の財政構造をどう立て直していくかということに一緒に取り組んでいけるようになればいいなと思っておりますので、引き続き、こういった点につきましてもどんどんとPRないし推進していただきますことをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

稲見主査代理 これにて岡田康裕君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時八分開議

若泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑予定者の出席が得られません。

 御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

若泉主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られませんので、この際、暫時休憩いたします。

    午後一時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

若泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は、鳥取県知事時代の片山さん、そして知事をおやめになってからの片山さんが連載していたエッセーなど、いつも注目していた一人であります。特に印象に残っているのは、二〇〇五年の予算委員会、私が小泉元総理に被災者生活再建支援法について質問をした際、片山知事が鳥取県西部地震で全国に先駆けて県独自の住宅再建支援策をつくった経験を紹介して、住宅再建へ国の直接支援を迫ったことがございました。

 今も、ニュージーランドの地震の報道が刻々と伝えられておりますが、災害対策は、人生が一瞬にして変わるため、ある意味、政治と社会の凝縮だと感じてきました。地域のコミュニティー、高齢者や弱者対策、地域経済と人々のなりわい、あらゆる課題と直面します。

 私は、政治がやるべきことは、今すぐ被災者にとって必要なことを、一番身近な市町村がやるべきだ。財政や制度の枠を考えるよりも。国は後から、財源的にも、あるいはインフラ整備の技術面の支援でもしっかり支えていけばいいと思っています。そして、観測体制の強化や、防災、災害に強い町づくりのための知見を集約すること、各県の声を生かして、命の格差、地域の格差にならないためのルールづくりは国の責任だと思います。地域主権だけではやはり足りない、両方が大事ではないかと常々思ってまいりました。そうした点で、きょうは貴重な機会をいただいたと思っております。よろしくお願いいたします。

 実は、きょうのテーマは、地域医療、公立病院の問題であります。

 東北出身の私にとって、地域医療と医師不足は本当に重大な課題であります。高齢化と公共交通、冷え込む地域経済と一体で深刻さは増しています。

 政府は、二〇〇七年の十二月に公立病院改革ガイドラインを発表し、公立病院を設置する地方公共団体に、例えば、三年間で経営を黒字化することや、再編、ネットワーク、地方独立行政法人など経営形態の見直しを図るなど具体化をすること、改革プランの策定を求めました。既に今年度には全地方公共団体のプランが出そろい、一年目の実施状況なども紹介をされております。

 大臣は、公立病院について、また公立病院改革ガイドラインについて、どのような評価をされているのかをまず伺いたいと思います。

片山国務大臣 今お触れになられましたように、今、全国の公立病院は非常に経営に苦しんでおります。一方では、しかし、地域の医療の中核をなしているのも公立病院、もちろんそれだけではありませんけれども、公立病院がかなり重要な役割を果たしております。したがって、しっかりした経営で、経営に持続可能性を持っていただくということが非常に重要だろうと思います。そのためには、必要な経営の改革でありますとか、業務の効率化でありますとか、いろいろなことをしていただく必要があると思っております。

 そこで、総務省として、先ほどお触れになられましたように、経営についてのガイドラインを示して、そして、それの一環で公立病院改革プランの策定を促したという経緯が今日まであります。それに基づいて、該当のほとんどの団体がそのプランを策定してきている、こういうことが事実であります。

 それを前提としてでありますけれども、私は、そもそも、国が自治体の経営者に対してああしろこうしろと言うことよりは、本来は、自治体の経営の任に当たっている方々、それは市町村長であったり、もっと言えば議会であるわけでありますけれども、そういう経営に責任のある皆さん方が自主的に、自律的に経営の改革というものを進められるべきだと思います。国はそういうことを促したりしてきておりますけれども、あくまでもそれは助言でありまして、その助言をいかに生かすかというのは、あとは経営陣の努力と自主的な判断によるものと考えております。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 この公立病院改革ガイドラインは二〇〇七年の骨太方針に盛り込まれたものでありますけれども、議論の過程では、公立病院も民間病院も同じ病院だから民営化でよいじゃないかという考え方が底流にあったのではないか、このように思っています。民主党政権になってからも、前厚労大臣も同様の発言を委員会でしたことがございました。

 もちろん、公立病院でありながら、豪華な箱物、漫然とした経営、あるいは民間と競い合うもうけ主義は排除されるべきだと私は思っておりますが、同時に、不採算医療や僻地医療、地域医療を担っているという点では、なくてはならないものだと思っております。この点で同じ認識でよろしいか、大臣にもう一言伺います。

片山国務大臣 公的病院は、病院ということでいいますと、民間の病院と基本的には同じであります。同じでありますが、先ほど議員もお触れになられましたように、民間病院では賄えないような、僻地での医療でありますとか、場合によっては高度な医療などを担っておりますから、不採算などの部門も当然担うことが期待されているわけであります。そこに公的病院の意味合いもあると思います。

 ですから、基本的には性格は同じゅうするとはいいましても、やはり、それぞれの公的病院の置かれた地域の実情とか担わされた責務によって、差異はおのずからあるだろうと思っております。

高橋(千)分科員 ありがとうございました。

 人口約四万人の北秋田市の市民病院が、昨年四月にオープンをされました。指定管理者制度により、もとの北秋中央病院を経営していた厚生連が委託経営をしているのであります。同じ医療圏である公立米内沢病院は、再編統合をするわけですが、必要な病床は維持されていくということが計画では明記をされておりました。ところが、昨年一月、新市長のもとで、ベッドなしの診療所化ということが提案をされ、ことし一月に議決をされました。

 実は、ちょうど私が現地視察に行った日が議決の日でありまして、昼過ぎまで議会の討論が続く中、病院がなければ困るという住民の皆さんが本当に大勢、しかも朝八時ごろから出かけてきて、ずっと待っていらっしゃいました。本当に必死の皆さんの思いを肌で感じたところであります。

 そこで、まず厚労省に伺いますけれども、秋田県は、北秋田市の医療圏にかかわって、地域医療再生基金を二十一年度に申請しています。もちろん交付をされているはずですが、なぜ、米内沢病院をベッドなしの無床診療所にするためにその解体費用までも基金から出すのか、再生といっているのにという率直な疑問を住民の皆さんからぶつけられたんです。地域医療再生計画の目的に照らしてどうお考えになるか、伺いたいと思います。

唐澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生から御指摘のございましたように、平成二十一年度の補正予算によります地域医療再生基金でございますけれども、地域の医師の確保、救急医療の確保など、こうした地域における医療課題を解決するために、都道府県が作成する地域医療再生計画に基づく取り組みを支援するものでございます。

 お尋ねのございました秋田県北秋田市の地域医療再生計画でございますけれども、公立米内沢総合病院や北秋中央病院等の機能を再編成するということで、今御指摘のあったとおり、北秋田市民病院を新設し、北秋中央病院の機能も吸収して二次救急医療等の機能を持たせる、あわせて、米内沢病院につきましては、現時点では病床を有しない診療所とすることになったものというふうに私どもも報道等で承知をしております。

 この件でございますけれども、地域医療の再生のためには、限られた人的、物的資源を効率的、効果的に活用できるようにしていく、あわせて、医療機関の機能分化、連携ということも視点としては重要でございます。秋田県におかれまして、その計画の中で、そのような広い観点に立って策定された計画と理解をしておりますので、私どもとしては、この計画が不適切なものであるというふうにはちょっと申し上げられないわけでございます。

 ただ、今後とも、地域医療のあり方につきましては、地域の住民の皆様に密接に関連した問題でございますので、都道府県、市町村を中心に引き続き御検討いただきまして、厚生労働省といたしましても、外部有識者による地域医療再生計画に係る有識者会議というものを設けてございますので、ここにその計画の達成状況等を御報告いただいて確認をしながら、必要な技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 この地域医療再生基金については、自民党政権の最後といいましょうか、に補正が組まれて、民主党が一たんは一部凍結、そしてまた新たな基金をつくる、そういう経過をたどったものであります。だからこそ、チェックというのも非常に大事だし、本当の意味で地域医療再生なのかということは問われると思うんですね。

 市民病院は、全国で赤字路線で大変有名になってしまったんですが、大館能代空港、この近くに建設をした、三百二十床の総合病院であります。当時の管理者は、立派な病院と立派な医療機器をそろえれば医師は集まってくると、楽観的に考えていたと思います。オープン当初から、最初から医師は半分しか集まりませんでした。

 私が視察に行った日も、既に退職の意向を示している人がおりました。立派な検査機器、ICUなど立派な設備もありますが、病棟の半分はがらあきであります。医師がいないから、医師がいないから使えないんだと繰り返し訴えられたのです。私は、このままでは市民病院自体がもたないと率直に市長にも懸念を伝えました。

 療養病床は米内沢病院にしかないため、四月以降は四十床を市民病院が引き受けることとしていますが、入院患者を順次受け入れる、一遍には無理だということで、その間があくんですね。三月で米内沢病院がなくなって、病床がなくなって、四月に一遍には受け入れられない。その間に、何と特別養護老人ホームに一時的に預かっていただいて、順次入れていくと。だから、もう嫌でしようがないと言わんばかりだったんです、病院としては。頼まれたから引き受けるけれども、本当はやりたくないんだ。だって、四十人来たって、その分、一人も医師はふえないんですよ。ただ忙しさが増すだけなんです。だから、三カ月か半年くらいで回転して、どんどん出てもらうしかないな、そういうことをおっしゃっていました。これで地域医療再生の名に値するのかと思います。

 先ほど、有識者会議でチェックをしていくというお話がありましたけれども、こういうことをしっかり踏まえて、また住民の声もとらえてチェックをしていくのかどうか、改めて伺います。

唐澤政府参考人 地域の公立病院は地域医療の中核を担っているわけでございまして、住民の皆さんも大変関心のある事項でございます。

 先生からきょう、御質問の中で何点か御指摘をいただきましたので、こうした点も有識者会議の方には御報告をさせていただきまして、また、秋田県の方からも、新聞その他の情報等もさらに詳しくいただきながら、有識者会議の方に御報告をして、御検討いただきたいと考えております。

 以上でございます。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 私は、新しい病院をつぶせという立場で言っているわけではありませんからね。逆に言うと、病院の皆さんも苦労して、こんなはずじゃなかったといろいろな思いを抱えていらっしゃる、そこにどういう手だてがとられるのか、できるのかということを議論していかなければならないと思っている。そういう意味で、実は米内沢病院の役割というのは大事だなと思っているんです。

 そこで、大臣に伺うんですけれども、今お話をしたように、立派な病院を建てて豪華な機械をそろえれば医師も集まる、そういう考え方というのは、実はここだけではないと思います。ガイドラインでも再編、ネットワークを推奨してきましたけれども、結局、それだけでは医師はふえない。周辺の病院がベッドがなくなっても、そこから医師が来るわけではないので、中核病院は忙しくなるだけなんです。本当に矛盾が集中している。こういう実態をどのようにごらんになりますか。

片山国務大臣 これはもうおっしゃるとおりでありまして、私も、鳥取県で知事をやっておりましたときに、医師不足には本当に悩まされました。

 それはいろいろな意味があるんですけれども、県は県立病院を経営しておりますが、他の公立病院に比べますと、県立病院というのは医師の不足の度合いはそんなに深刻ではない、やはり恵まれた環境にあると思います。思いますが、それでも、私なども、医師の供給面において、派遣といいますか、供給源である鳥取大学の医学部とかなり綿密な協議などをしなければいけなかった、そういう実態にありました。

 ましていわんや、町村などが経営しております公立病院では、本当に町長さんが医師の確保に努力をされておられまして、県の場合は努力をすれば確保できるという状況でありましたが、町村の場合は努力してもなかなか確保できないので、県にも依頼があって、県からも口添えをしたりいろいろなところに働きかけをして、それでやっと確保できたりできなかったりということでありまして、本当に鳥取県などでも同じような、似たような状況がありました。

 そこで、一つは、国の方に対して、もっと医師の養成数を多くする、これは文科省などに働きかけをしたり、要するに医学部の定数をもっとふやしてくれということをやったり、それから県独自としては、自治医科大学に派遣する人数をもっとふやしたいということ、これもなかなか限度がありますけれども、そういう働きかけをしたり、あとは独自に、地元の大学に入る地元の医学部の学生について、一定の条件のもとに奨学金を支給する、そのかわり、自治医科大学ほどではないにせよ、卒業後、地域での公的な病院、医療機関において勤務することをいわば義務づける、こういうこともやったりしました。

 ただ、それは即効性がありませんで、いずれもある程度の年月、最低でも六年はかかるわけでありますので、そういう年月を経なければいけませんけれども、そんなことを苦労してやってきましたので、議員のおっしゃる秋田県の北部の状況というのも、私もかつて住んでいたこともありまして、非常によく理解できるところであります。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 理解していただいてありがたいんですが、再編、ネットワークの矛盾ということを少しお話をしたかったわけであります。

 ちょっと時間がないので先に進ませていただきたいんですけれども、実は、新しい市長ですので、大きな箱物を引き継いでしまった、自分のせいじゃないという思いがやはりあるんだと思うんですね。その無念さはよく理解できるわけです。しかし、だからといって、前の市長が決めたことは関係ないと言い放って、ベッドなしの診療所にするので、ことし三月、たった今の話です、分限免職だと。現在の職員は八十三名いるわけですけれども、そういうことになりまして、とにかく家計がありますのでほかで仕事を見つけている人もいますけれども、提訴に踏み切った職員もいるわけです。一部事務組合の解散に伴う解雇、これに対する提訴というのは全国で初めてと聞きました。

 一部事務組合の解散だから、地方公務員法に照らして合法だと向こうは言っているわけですね。でも、市は存在しており、病院もあり、一般職員を募集している。分限免職の根拠である、仕事がなくなったという状態ではありません。米内沢病院の職員に対しては、ハローワークに行けと紹介状を出すだけなんですね。

 何よりも、住民が病院を残してと思う気持ちと、職員の皆さんにお世話になっているという気持ちは一緒なんですね。要するに、職員がよくなければ病院に対する不信感が募るわけですから。さっき言ったように、新病院で大変だと言っている。その病院で今の患者さんをスムーズに受け入れるという点でも、私は本当に大事な方たちだと思っているんです。

 実は、ちょうどこの病院に関係して、平成二十年の二月の予算委員会で増田元大臣に質問したことがあります。もちろん一般論でありますけれども、公立病院の再編統合や民営化などに伴ってこうした問題はいろいろ出てくる、職員の処遇について聞いたときに、やはり任命権者として、配置転換ですとか、雇用を確保するための適切な努力をしていただくのが大前提だとおっしゃっていただきました。片山大臣にも同じ質問をしたいのですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 一般論で申しますと、一部事務組合も地方公共団体でありますので、特別地方公共団体ではありますけれども公共団体でありますので、地方公務員法の一般法の規定の適用があります。それによりますと、職制もしくは定数の改廃という、一部事務組合という組織自体が縮小するとかなくなるということの場合には、職員を分限免職することができるという規定があります。

 これが原則でありますが、私自身も知事をやっておりまして、こういう組織の改廃などに遭遇したことはありますけれども、だからといって、しゃくし定規に首切りをしたということはありません。制度はできますけれども、やはりそこは、最大限の努力をして、どこか組織内で吸収できないかということを努力する。それでも、職種によってはそれが可能でない場合もありますので、そういう場合は類似のところにあっせんをするとか、いろいろな手だてを講じた経験があります。

 ですから、法律は、もちろん制度的にはそういう分限免職が可能でありますけれども、任命権者とされては最大限の努力をされるというのが必要ではないかと私も思います。

高橋(千)分科員 まず、その最大限の努力ということを、本来、これまでだってそうしてやってきたと思うんですね。同じ北秋田市でも、高校の統廃合などに伴って、市として吸収をして解雇しなかったという経験を持っているわけですので、やはりそれが大事なのかなと思っています。

 それで、実は一月の初めに、青森県の南部町というところ、国保名川病院に行ってまいりました。これは規模が米内沢病院にとてもよく似ているんですけれども、この病院は、公立病院改革ガイドラインをまつまでもなく、地方交付税分の繰り入れのみで黒字化をしております。総務大臣表彰まで受けております。建物が非常に老朽化して、小学校の隣に病院と町の健康福祉部門を合体させた総合保健センター計画を進めているところです。

 私は、キーワードは、身の丈に合った病院という言葉かなと思っているんです。平成十五年から、一般病床六十六床を二十六床の一般病床と四十床の療養型に変更しております。そこから黒字化になったんですけれども、常勤医師五名を確保して、定着率もよく、利用率もほぼ一〇〇%です。予防や初期医療、慢性期の医療に徹して、それは地域のニーズなわけですね、そこに徹して、専門的、高度な医療は中核病院と連携する、そういう形でやっていることと、地域医療の研修に力を入れているということも非常に注目できることでありました。

 とはいえ、院長先生の御苦労は大変大きくて、卒業したての医師なら多分来るとは言わないだろう、女性医師は定着できない、中小の病院でもやっていけるようにちゃんと評価してほしいと、大変厳しい指摘をいただきました。

 せっかく身の丈に合った運営で表彰されるほど頑張ってきた町立病院も、療養病床ですから、やはり今の低過ぎる診療報酬などでは、国の施策のもとで立ち行かなくなるのではという状態にあるわけです。地域医療に対する評価がやはり少ないのではないかと思います。

 きょうは大塚厚労副大臣に来ていただいていますので、いかがでしょうか。

大塚副大臣 御質問ありがとうございます。

 今、委員の御質問の中で、身の丈に合った病院という御表現を、大変感銘を受けて聞かせていただきました。全くそういうことの追求が大切なことだと思います。

 医療だけじゃなくて介護も含めて、できれば在宅で、できれば地域で医療や介護をしっかり受けられるということを私どもは目指しておりますので、そういう方向で、来るべき診療報酬改定でもしっかり臨ませていただきたいというふうに思っております。

 そういう中で、前回の診療報酬改定でも大きくはそういう方向で進んでおりましたので、中小病院の再診料の引き上げや、地域医療に貢献した診療所の加算を創設しております。また、在宅で医療を受けている方の入院の受け皿等を担う有床診療所に対する評価も新設をいたしております。

 いずれにいたしましても、先生がきょう御主張いただいている大きな方向は全く同感でありますし、先ほど地域医療再生計画の話とか基金の話をしていただきましたけれども、私も着任以来約一カ月がたちましたけれども、厚生労働省の皆さんに申し上げているのは、目的は同じことを言っていても、手段を駆使した結果、目的が達成できていないのであるならば、その手段は必ずしも適切でないかもしれないので、それをしっかり見直すように頑張ろうと皆さんに申し上げております。

 できれば在宅で、できれば地域で。一次医療圏が大変大切で、その一次医療圏を担っている中小病院であるとか診療所をしっかり育てていくということは、今後もしっかり配意をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)分科員 今の御答弁は、受けとめていただいてありがたいと思う反面、ちょっと反論したいこともあるわけですが、時間の都合がありますので、今度、厚労委員会で続きをやりたいかと思います。

 残された時間でぜひ、副大臣と大臣にそれぞれ同じことで伺いたいと思うんです。それは、社会保険病院、厚生年金病院の問題であります。

 私もこれは幾度となく質問をしてきたわけですけれども、社会保険庁が解体され、病院がその根拠を失うところとなり、昨年、地域医療推進機構法案を国会に提出したわけですが、時間切れ、廃案となりました。秋の臨時国会で、現在、整理売却のための組織であるRFO、年金・健康保険福祉施設整理機構の存続を二年延長するというつなぎ法案に私どもも賛成をいたしました。まさに苦渋の選択であります。整理売却のための組織だから、病院の経営という点では、受け皿という点ではふさわしくない。でも、今ある病院の根拠を失うわけにはいかないと思ったからであります。

 これらの病院は、例えばリハビリで本当に先進的な成果を上げていたり、遠隔地でも中小企業に出かけていって健康診断を行う、全国ネットワークを生かした特色、また、地域の医療の担い手としても、各自治体の首長さんを先頭に、守ってほしいという存続運動が起こっていたわけです。

 しかし、それでもこの延長法案は来年の九月で切れます。時間があるわけではありません。決まらないままでは退職職員の補充もできない、看護師を募集しても集まらない。本当に現場は深刻であります。公的病院の役割が損なわれないように、法案を出して何としても維持するべきだと思いますが、この点を副大臣に伺います。

 同時に、片山さんに伺いたいのは、実は、これほど世論が大きいのにもかかわらず時間切れになったのは、私は単純に国会の混乱のせいだけだとは思わないんです。なぜかというと、国会論戦の中で、独立行政法人を全廃も含めて見直すという民主党の方針があるんだから、新しい独法をつくるのはおかしいという厳しい指摘があって、なかなかそれに明確な答えがなかったからなんです。今ある病院を存続させるために何らかの根拠は必要であり、私は方針とは矛盾しないと思います。ぜひ大臣のお考えを伺いたい。お二人に。

大塚副大臣 社会保険病院及びRFOをめぐる動きについては、今委員から御説明のあったとおりでございます。

 その社会保険病院を維持することを含めた何らかの法案をという、今、御下問でございましたけれども、現状、そういうことを考えているわけではございません。RFOの存続期間の範囲内で、できる限りの地域医療の再生に資するような社会保険病院の今後のあり方を追求していく、まずはそういうミッションを果たしたいと思います。足元でも、一部の社会保険病院が、いわば受け皿が見つかって新しい出発をしようとしているところもあります。

 そういうことも含めて、現状は今申し上げたとおりでありますが、最後に一言つけ加えさせていただきますと、四月に社会保障制度改革の原案を示すようにというふうに総理からも御指示を受けておりますので、医療のところにおいて、今御指摘のような公的病院のあり方も、どのように考えるかということも改めてしっかり検討してお示しをしたいと思っております。

片山国務大臣 今、大塚副大臣から御答弁がありましたけれども、そこで述べられましたような厚生労働省における検討の結果を踏まえて、総務省としては必要な対応をしてまいりたいと思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございました。

 方向性がまだはっきりとは示されてはいないんですけれども、先ほど来議論をしてきたように、公的病院の存続と大事さということは共通認識とされたと思いますので、何としてもこれを存続できるように、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

若泉主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 次の質疑予定者の出席が得られません。

 吉泉秀男君に御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

若泉主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたしましたが、御出席が残念ながら得られません。

 この際、暫時休憩をいたします。

    午後二時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

若泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次の質疑予定者の出席が得られません。

 御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

若泉主査 速記を起こしてください。

 ただいま橘君に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めたいと思います。

 質疑を続行いたします。大西孝典君。

大西(孝)分科員 民主党の大西孝典でございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 まず、ニュージーランドで起こりました大地震で、日本の邦人を含め数多くの方々が犠牲になられたり、あるいは行方不明になっておられます。

 ことしは、ニュージーランドではラグビーのワールドカップが行われまして、二〇一九年には、日本においてもワールドカップがございます。そんな形で、ことしの秋には、国会議員団としてもニュージーランドを訪問するという予定になっておるんですけれども、一刻も早い救助と、そして復興を心からお祈りするわけでございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 昨年四月の、通常国会でありましたけれども、総務委員会での質問の中で既に触れさせていただいたんですが、宝くじ事業につきまして、いわゆるその財源の使い方について質問をさせていただきたいと思います。

 私の質問の後、去年のいわゆる事業仕分けで宝くじ事業がその対象になったんですけれども、相当厳しい指摘がされたというふうにお聞きしておりまして、その指摘を受けてどのような改善をされたか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 これは昨年の五月だったでしょうか、事業仕分けでもって、宝くじをその対象として仕分けが行われました。その中で特に問題となりましたのが、宝くじというのは、胴元といいますか発売団体が得る収益、それから当たった方に還元する部分、それから残余の部分で、発売のための経費とか、それから広告宣伝、宣伝普及費がありまして、特に問題になりましたのは、最後の広告宣伝、宣伝普及費でありまして、ここについて、その趣旨、目的から見てどうだろうかとか、それから、それが一部の天下り団体に随分流れているのではないかという指摘がありまして、もっともな点もございました。

 私が去年の九月に大臣に就任したときに、もう既に検討はなされておりましたけれども、よりその透明化を図って、そして無駄な経費を削減して、宝くじというものが本当に国民の皆さんから理解されるようにしなければいけないということで、さらに手を加えまして、改善策を施しました。

 それによりまして、ちょっと正確な数字は今持っておりませんけれども、広告宣伝の部分を減らして、それを本来の収益金の充当されるべきところにシフトさせる、こういうことをやりましたし、それから、そのお金でもって扶養されているといいますか養われている幾つかの天下り団体については、それはもう撤収していただくというようなこともしたところであります。

大西(孝)分科員 いろいろと改善はされておるようでございますけれども、ちょっと私の方からもう少し詳しくお尋ねをしたいと思います。

 宝くじの関係の団体というのは、日本宝くじ協会を初め六団体あるそうですけれども、今回は、その中の一つで、自治総合センターというところのコミュニティー助成事業についてお尋ねをいたします。

 まず、この自治総合センターが設立された経緯と、そしてまたこのコミュニティー助成事業がどういうことを目的として実施されるようになったか、その経緯等についてお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 自治総合センターは、これは地方自治体が中心になって設立をした財団法人でありますけれども、地方自治に関する研究でありますとか、普及宣伝でありますとか、そういうことを目的にしているものと思います。

 その中で、宝くじに関連しては、コミュニティー助成事業というものを年来やっておりまして、その趣旨は、一つは地方自治というものの理念とかを普及するという一環で、地方自治というと、ともすれば自治体が最小単位で中心になるということでありますけれども、本来はやはり住民に一番身近なところでありまして、それは、法律上は自治体でありますけれども、それよりももっと住民に身近なのは地域でありまして、そこにコミュニティーというものがあるわけで、そのコミュニティーにおける自主的な活動というものが非常に重要だということで、そのコミュニティーの支援をすることが有益だろうということが一つあったと思います。

 もう一方では、先ほど言いました宝くじの普及宣伝、広報宣伝の活動の一環として、どういうところに助成をすれば宝くじに対する理解が進むかということで、文化芸術だとかいろいろなことをやっておりますけれども、自治の一番の根幹のところでありますコミュニティーに対して助成をすることによって、宝くじに対する理解も深まるのではないか、そういう両方の考え方、発想が結実をして、自治総合センターで、今おっしゃったようなコミュニティー助成をやっているものと考えております。

大西(孝)分科員 このコミュニティー助成事業には四つの事業があるそうでございまして、一つは一般コミュニティー助成事業、そしてコミュニティーセンター助成事業、自主防災組織育成助成事業、青少年健全育成助成事業という四つの事業がありますけれども、私の場合は、特に問題があると思われる一般コミュニティー助成事業について詳しくお尋ねをしたいと思います。

 過去五年間にさかのぼって、全国のこの事業の実施数を都道府県ごとに調べてみました。そして、これは私の事務所で少し計算をしたんですけれども、いわゆる各都道府県の過去五年間の事業実施数のトータルを、人口割りしてもいいんですけれども、衆議院の小選挙区の数で割りまして、一選挙区当たり一年ごとの平均実施数というのを比較してみたんです。これは人口割りにするともっと大きな開きが出るのかもしれませんけれども、各県の平均値として、多いところと少ないところの差というのは二十倍ぐらいあるんですね。

 ちなみに、一位は島根県で、選挙区当たり二十四・七カ所、毎年やっている。二位は鳥取県でございまして、十九カ所でございます。最下位は、当然というか大都市になってきまして、神奈川とか、次が大阪で、東京都、こんなような順番になるんですけれども、こんな偏りが、不公平とも言えるような偏りだと思うんですけれども、なぜこういうふうな姿になるのか。

 また、都道府県ごとの基準となるような割り当て額というのは、ほぼ毎年同じような額で決まっているというふうにお聞きしましたけれども、これらはどういう根拠で決められておるのか、お尋ねを申し上げたいと思います。

鈴木(克)副大臣 私の方から御答弁をさせていただきますが、今議員おっしゃったように、コミュニティー助成というのは、ある意味では使い勝手のいいことだということで、非常に多くの皆さんから御要望があるわけでありますが、いずれにしましても、それぞれの地域組織から各市町村長が受けて、それを知事に要請して、そして今言われた自治総合センターに出される。そこで宝くじ資金審議委員会という外部機関で審査をされて、決定をするということでありますが、確かにおっしゃるように、差が出ております。

 平均というか、そのセンターから聞いた話ですと、都道府県ごとに約二十件ぐらい要望があるわけですけれども、それがやはり地域の事情によって、多いところ少ないところがあるものですから、それはどうしても、ある程度偏りが出てしまうということが事実であります。私どもの方も調べてみたんですが、おおむね、金額で六倍ぐらいの差があるということです。

 これを人口当たりの差にすると、さらにまた偏りが出てしまうということでありますが、やはり一つには、地域の団体の皆さんの熱度というか、それではこれもお願いしようというような、要求がなければこういうものは出ていかないものですから、そういうようなところでの差異が出ておることは事実でございます。

大西(孝)分科員 そういう格差はあるということがわかりましたけれども、私の地元、奈良県でも調べてみたんです。これも四つの選挙区があるんですけれども、ある選挙区は、毎年毎年、県の総数の半分以上を実施しておるというふうなところもあって、これをどう見るのか。今副大臣おっしゃったように、地域の熱意とかいろいろなこともあるとは思うんですけれども、ほかにもいろいろな事情があるのではないかと私は推察をしております。

 宝くじ財源というのは、税金ではないわけですけれども、やはり多くの方々に買っていただいた公のお金であると私は考えておりまして、一般コミュニティー助成事業の内容についてお尋ねをしたいんですけれども、この実施要綱では、「住民が自主的に行うコミュニティ活動の促進を図り、地域の連帯感に基づく自治意識を盛り上げることを目指すもので、コミュニティ活動に直接必要な施設又は設備の整備に関する事業。」こう書いてございます。

 全国の資料にすべて目を通す時間がなかったものですから、地元の、県内の事業内容を見ていますと、もちろんその目的に合致をするようなこともたくさんあるんですけれども、例えば、子供みこしであったり太鼓の整備であったりとか、あるいは自治会の祭りの関係備品とか、地域の活動をするための屋外テントであったり防犯灯の設置であったりとか、公園遊具やグラウンドゴルフなんかのスポーツ用具、こういったものもあるんですけれども、結構、私が見ている中で多かったのが、自治会の集会所の備品ということで、いろいろなものが買われているんですね。エアコン、テレビ、冷蔵庫、カラオケセット、DVDデッキ、マッサージチェア、パソコン、健康管理器具、電子レンジとか、そういう高額な商品が多くありまして、ほとんど二百五十万円という限度まで使っているところが多いという事実がございます。

 この趣旨からして、目的趣旨に合っている内容も多いと思うんですけれども、本来、その地域の方々がそれぞれお金を出し合って、徐々にそろえていく、そういった内容のことも多いと思うんですね。こういうことの中で、いわゆるモラルハザードを起こしかねないような使い方をしていることについて、適当と思われるかどうか、御意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

鈴木(克)副大臣 これも私の方から御答弁をさせていただきます。

 まさに、議員、十分御案内だと思いますけれども、宝くじの社会貢献広報事業と申しましょうか、ということでありまして、コミュニティー活動に必要な設備の整備をする、こういう目的でこれが設置されておるということでございます。

 先ほども申し上げたんですけれども、やはりそのコミュニティーに最も必要だというふうに思われるものを各市町村長がとりあえず判断をしてくるわけですね。したがって、一言で言うと、これは非常に使い勝手のいい助成金でありまして、逆に言えば、これはいけない、あれはいけないという部分が非常に少ないものですから、何遍も繰り返して恐縮ですが、地域にとっては本当に使い勝手がいいお金だということでありまして、確かに調べてみますると、今おっしゃったようなマッサージチェアからカラオケから、いろいろと使われております。

 ただ、それが本当に、果たして一概に、だからいけないと言い切れるかどうかというのは、ちょっと今後の検討する課題の一つかなというふうには思っておりますが、やはり、繰り返しになりますけれども、地域の要望で市町村長が認めて出してくるわけですから、なかなかその部分は、これはだめだということは言いにくいということがあります。

 それからあわせて、今度、要するに社会貢献広報事業の検証ということで、本当にそれが社会貢献としての事業にふさわしいかどうかという新たな検証制度も設けて、その辺のところもやっていこう、こういう動きになっているということを御報告したいと思います。

 以上です。

大西(孝)分科員 いろいろ検証もされていくということをお聞きいたしました。

 私が特に問題にしているのは、せっかくいろいろな設備とか施設とか備品を買っていただくんですから、それを十分そのコミュニティー活動に生かしていただけたらそれでいいと思っているんです。

 ただ、全国あまねく同じようにそういう効果を得ることができれば問題がないと思うんですけれども、私も政治の世界に入るまでそういうものがあるとは全く知りませんでしたし、ほとんど、全国各地でも、こういう事業があるということを御存じな方というのは少ないと思うんですね。市町村長さんも、すべての自治会に全部一斉に要望を上げなさいと言ったら、それこそ収拾がつかなくなりますから、そこはいわゆる絞ってやっておられると思うんです。

 結局、この事業というのは、趣旨の拡大解釈で、かなりその用途を広げられてきた経緯もあるんですね。ですから、国とか地方の政治家のいわゆる人気取りのためには非常に使い勝手がいい事業と言わざるを得ないと私は思っているんです。すべてがそうではないですけれども、そういうふうな使い方をされてきたというのも、間違いなしにこれはあると私は確信をしております。

 そこで、やはり政権交代をして、我が政権は、公正公平を旨とする、そういう社会づくりをしていこうとしておる中で、いかにその公平性を確保すべきかということをこれからも十分考えていただきたいというふうに思っております。

 私は、当選後一年半、こういう思いのもとで、いわゆる宝くじの普及広報活動には協力はしてこなかったんですけれども、きょうの御答弁をお聞きした上で今後の活動を考えていきたいというふうに思っておりますので、ぜひ総務省として、今後この財源の公正公平な還元方法についてどういうふうな御指導をしていくのか、最後にお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 今議員がおっしゃいました公平性といいますか、これは非常に重要なことだと思います。

 確かに、一つの財団法人が配分を決めているわけでありますので、私ども政府がああしなさい、こうしなさいと具体的に指図をすることは控えねばならないと思いますが、もともとその財源の出どころというのは、宝くじという国民の皆さんの協力してくださった浄財でありますし、その宝くじの発売については総務省も深く関与していて、総務大臣の発売の認可のもとに行われているわけでありますから、そういう淵源をたどりますと、やはり普及宣伝費の配分の仕方というのも、公正性、フェアということがより強く要求されると思います。その点は、宝くじの関連団体、自治総合センターを含めた関連団体に総務省の方からもぜひお伝えをしたいと思います。

 同時に、先ほど副大臣の方からも御答弁申し上げましたけれども、もともとが申請主義でありますので、地元のコミュニティー、地元の皆さんからの発意といいますか、意思表明というものがあることが基本でありますし、それをいかに地元の市町村が酌み取ったり、もしくは掘り起こしをしたりという、そこも必要だと思います。

 もう一つは、私もこの分野に若いころからちょっと携わったことがあるんですけれども、たしか県が取りまとめをしたと思うんです、総合センターに持っていくときに。そのときに、それぞれの県の中の地域バランスであるとか市町村の間のバランスだとか、そんなものをちゃんと考えてやっているかどうかということも非常に重要な観点だと思いますので、そんなことも含めて、きょうのやりとりも含めた必要な情報を関係の皆さんに役所の方からお伝えをするということにしたいと思います。

大西(孝)分科員 どうもありがとうございました。ぜひ、公正公平に事業が実施されていく方向を向くように、御尽力いただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 私の選挙区は、我が国の歴史上初めて統一国家というふうなものが誕生した地域でありまして、明日香村でありますとか藤原京でありますとか、そういう歴史豊かな選挙区で仕事をさせていただいているということに非常に誇りを感じておるんですけれども、橿原の隣に桜井市というのがございまして、こちらもいろいろな遺跡のあるところなんですが、その中でも、一昨年、纏向遺跡というところで、ひょっとすると卑弥呼が活動していた建物じゃないかという建造物の跡が見つかったんですね。

 これは邪馬台国畿内説を決定づけるかもわからないというふうな、歴史的な、考古学的な価値があるようなところかもしれないということで、桜井市の皆さん方、市長さんも含めて、その発掘調査に熱心に取り組んでおられるんです。

 やはり先ほど申したように、全国の古代史ファンはもとより、地元の方々の期待も大きい、そういうふうな地域でございますので、ぜひ国としてもできる限りの支援をしていただきたいという思いでありまして、これまでも補助事業という形でやっていただいてはおると思うんですが、これまで国としてどういう関与をされてきたか、そしてまた、今後、この事業についてこれまで以上の御支援もいただきたいと思うんですけれども、その辺のところを文化庁さんの方からちょっとお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 それでは、文化庁の方で行っております支援につきまして御説明申し上げたいと思います。

 纏向遺跡は、弥生時代終末から古墳時代前期に営まれました集落遺跡でございまして、我が国における古代国家の形成過程及びその時期における社会の状況を知る上で、極めて重要な遺跡であるというふうに認識をしております。

 そのため、文化庁では、平成十八年度から、地元桜井市が行っております纏向遺跡の範囲や性格などを把握するための埋蔵文化財発掘調査事業に対しまして国庫補助を行ってまいりました。これは、事業総額の五〇%を補助させていただくというものでございます。それとあわせまして、専門的な見地から必要な指導助言を行ってきたところでございます。

 この纏向遺跡につきましては、これまでのところ、まだ調査面積としては五%程度しか判明をしていないというふうなこともございまして、今後ともその発掘調査の必要性が高いというふうに言われております。

 私ども文化庁としては、今後も引き続き、埋蔵文化財発掘調査事業に対しまして国庫補助を行いますとともに、専門的な見地から、遺跡の適切な保存と活用が図られるよう指導助言を行ってまいりたいと考えております。

大西(孝)分科員 ありがとうございます。ぜひ今後とも、桜井市、地元の方々の御相談に乗っていただいて、これまで以上の支援体制をとっていただきますことを心からお願い申し上げます。

 そして、奈良県は財政の悪い自治体が多いんですけれども、この桜井市も、平成十九年度でしたか、単年度赤字に陥った団体でございまして、政権がかわってから地方への交付税等もふえた結果、多少は改善はしてきておるんですけれども、そういうことでございまして、文化庁の支援だけでもスピーディーな発掘調査というのはなかなか難しいんではないかと考えております。

 そういった観点から、総務省としても、地方自治体をサポートするというふうな意味において、何らかの形でぜひ支援をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございますか。

片山国務大臣 私も、文化財の発掘といいますか、文化財の保護、活用というのは非常に重要な自治体の行政分野だと思います。もちろん、法律によって文化財の保存の責務というのはあるわけでありますけれども、その際に、財政が非常に逼迫しているのでその事務が、業務が滞るということは、できるだけ避けなければいけないと私は思っております。

 今、先ほど文化庁からもお話のあったような国からの支援制度も、文科省からの支援制度もありますけれども、別途、この分野の事業の重要性にかんがみまして、特別交付税で財源措置をすることにしておりまして、市町村の場合でありますと、当該市町村が文化財の保護事業に充てた、この種の事業に充てた一般財源の額の八割を措置することにしております。ぜひ、そういう財政制度も活用しながら、この分野に積極的に臨んでいただきたいと思います。

 ちょっと私の経験を申しますと、私も、これが非常に重要だということで、鳥取県では文化財主事をきちっとした形で相当数採用いたしました。土の関係だけじゃなくて、古代の建築なんかに関する文化財に造詣の深い職員も採用したりしたんですけれども、そういうことをやりますと、非常に文化財の保存と活用の分野が進んだという自負もありまして、ぜひこれは自治体の皆さんの取り組みを応援したいと思っております。

大西(孝)分科員 大臣、どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、地デジの対応についてちょっとお尋ねなんですけれども、奈良県も一生懸命いろいろな分野で取り組んでいただいておるんですが、奈良県というのは、御承知のとおり山間地域が県土の七割とか八割とかという面積で、本来はこの辺が一番難視聴対策が難しかったところなんですけれども、いわゆる県も自治体も参画する第三セクターのケーブルテレビができまして、それをつなぎまして、そういう一番厳しいところが終わっているんですね、おかげさまで、私の家もそうなんですけれども。

 ところが、これも、ケーブルテレビの使用料という形で本来は負担すべき必要がないお金も使いながら、住民に負担をかけながらですけれども、そういう対応をして、何とか住民の方々にも納得をしていただいておるところがあるんです。

 奈良県に民間で唯一のUHFのテレビ放送で奈良テレビ放送というのがあるんです。ここも今その難視聴地域の解消にしっかり取り組んでおるんですが、奈良県の場合は、近隣、大阪が圏になりますので、いわゆる広域の広域局というのもありますし、それから地方局というのもあるんですが、生駒山に広域局のアンテナが一番頂上に立っているんですね。地方局は、テレビ大阪は大阪側のちょっと下の方に、奈良テレビは奈良県側のちょっと下の方にという形で、それぞれ出力も下げてやっております。

 特に奈良放送の場合は、百ワットという出力でやっている関係で、届く範囲が若干限られるというふうなことがあって、デジタル移行に関しての調査を進めていくと、奈良テレビ放送だけが見えない場所というのが、本来、平野のはずである奈良盆地の中にも出現をしてくるということで、苦慮しておるところであります。

 私も技術的なことは余りよくわかりませんけれども、いろいろ、出力を上げたら多少、当然その届く範囲というのはふえるし強力になってくるので、そのことによっても、相当量、難視聴の地域というのはカバーできるということのようなんですが、ほかの、県外の局とか、いろいろな手続等があるみたいです。

 そういった意味において、完全実施が速やかに行われるような観点で県民の利益を図るということでの方策、出力を最低限ぐらい上げるとか、そういったようなことができないかどうか、お尋ねをして、質問の最後にしたいと思います。

片山国務大臣 デジタル化に伴います難視聴の解消ということについてはいろいろな取り組みをしておりまして、議員がおっしゃったようなケーブルテレビの利用ということも有力な手法だろうと思います。

 これに対しては、ケーブルテレビに対して必要な支援を行ってきたり、そのこともあって、ケーブルテレビの末端料金といいますか利用料をできるだけ低く抑えるようにという要請などもしております。

 その他難視聴として残りそうな地域というのは、それは別途、これは一般的な、全国的な施策でありますけれども、共聴施設などをつくっていただくように慫慂して、それに対して必要な支援をしている、こういうことであります。それで、ぜひその課題を解決したいと思っております。

 別途、既存のテレビ放送の電波の出力の問題の御提起もありましたけれども、これはまた地デジ化とはちょっと別の観点から、電波のすみ分けとかそういう課題もありますので、今、一概には論じられない問題だと思います。

大西(孝)分科員 どうもありがとうございました。

若泉主査 これにて大西孝典君の質疑は終了いたしました。

 次に、三宅雪子君。

三宅分科員 民主党、三宅雪子でございます。

 所属委員会は厚生労働委員会でございますけれども、一けたのテレビ局の出身でございます、今回は、ぜひ片山大臣に総務委員会で質問させていただきたいと総務委員会での質問を希望いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、地域主権についてでございます。平成二十三年度は一括交付金五千百二十億円が都道府県に計上されました。これは片山大臣の強力なリーダーシップのたまものだと思っております。そして、平成二十四年度はこの枠をさらに一兆円まで広げる方針だと思いますけれども、そうなりますと、市町村への割り振りの問題が出てきますが、この件につきましてどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 まず、地域主権改革の一環といたしまして、いわゆる一括交付金化というのを今進めるべく、今回の予算にもおおよそ五千億円強の予算を計上しております。これは、当面、初年度は都道府県分のハード事業に係る国庫補助金の自由度を増す、そういう観点でやっております。

 これについては、私の労をねぎらっていただきましたけれども、正直言いますと、これは菅総理が本当に真剣に各担当大臣の皆さん方にハッパをかけていただいたということのおかげであります。当初二十八億円ということで各省から事務的には協力が得られることになったんですけれども、たったの二十八億円だったんですけれども、それが最後五千億円を超えることになりましたのは、ひとえに総理のリーダーシップだろうと私は思って、感謝を申し上げているところであります。

 先ほど言いましたように、とりあえず五千億円は都道府県分のハード、これを翌年度から、二十四年度からは市町村分にも拡大をしたいということで、これから検討を始めます。

 なぜ市町村分をおくらせたかというのは、今議員が問題提起された問題意識があるからでありまして、都道府県分の場合では四十七のユニットでありまして、経験上もそんなに大きな事業量の変動はないんです。個々の事業をとってみますと多少の変動はありますけれども、道路とか河川とか農業土木関係とかいろいろな事業があって、大体、都道府県の場合にはそんなに大きな変動はありません。ですから一括化になじみやすいんですけれども、市町村の場合には、一つの事業、例えば下水道事業をやっているときは非常に事業量がかさみますけれども、それが終息すると事業量は小さくなる、こういう大きな変動要因があります。

 それから、財政力にも大変大きな差があります。そうしますと、一括交付金化をするときに、都道府県分とは同列にはなかなか論じられない面がありまして、もっときめ細かく既存の補助金の種類なんかも選定をする必要があるのではないかということもありまして、これは、拙速を避ける意味で時間をかけて検討したいということで、一年おくらせることにした次第です。

三宅分科員 ありがとうございました。

 その一方、地域間格差が決して出てきてはいけない分野があると私は思っております。その最たるものが福祉の分野だというふうに思っておりますけれども、私は、生まれた場所、住んでいる場所で、地域サービス、福祉サービスに大きな違いが出てきてしまってはいけないというふうに思っております。

 そういう意味では、一括交付金といいながらも、国はある程度は関与していくことが必要なのではないか、そのように思っておりますが、大臣のお考えを教えてください。

片山国務大臣 それはおっしゃるとおりであります。

 自由に任せてと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、自治体の自由な財政運営に任せていい分野も当然多くありますけれども、やはり国として、最低限これだけは確保していただきたいというのもあります。例えば義務教育でありますとか、それから福祉にもその分野は多いと思います。

 これについては、その担保する手法というのは幾つかあるわけですけれども、一つは、法律によって義務づけをする、例えば義務教育ですと六・三制をちゃんと守ってくださいとか、そういう基本的なことを法律でもって義務づけるということがあります。もちろん、それに対しては財源が必要でありますので、その法律を守ってもらうための財源というものをきちっと自治体が工面できるような仕掛けをつくらなきゃいけない。その仕掛けをつくるのは、これは幾つか種類がありまして、補助金という形で、それにしか使えない形で配分するという手もありますし、別途、地方税とか地方交付税などの地方自治体の一般財源が、その事業を賄えるだけの余裕を持って自治体が調達できる、そういう枠組みとか環境をつくってあげるというのも国の責務だろうと思うんですね。

 ですから、今申し上げたような法律的な手法と財源の確保ができるような仕組みをつくるということが国の責務ですけれども、そういう形で、どうしても国として守ってもらわなきゃいけないものはちゃんと自治体が実施しなければいけない、かつ実施できる、そういうことに今までもなっておりますし、これからも、地域主権改革の時代であっても、それは確保して担保しなければいけないと思います。

三宅分科員 大変安心いたしました。ありがとうございます。

 では、ICTに関して質問をさせていただきたいと思います。

 厚生労働委員であります私は医療クラウドの問題に大変関心がございます。現在の医療費は三十四兆円を超えておりますけれども、医療費のこれ以上の上昇を防ぐためには、日本じゅうの病院が全部共通の電子カルテ、そして医療データベースにつながることがいずれは必要になってくるというふうに思っております。そのことが医療の費用の構造を変えて、また遠隔地の患者さん、島に住んでいる患者さんもいらっしゃると思います、そういった方々の来院の必要性が緩和されて、大変利便性が高くなってくるのではないかというふうに思っておりますが、この医療クラウドについて、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

平岡副大臣 今委員が御指摘になりましたように、ICTの分野については、さまざまな分野で利活用を進めていくということが国民の利便も高まり、また、あるいは経済成長につながりというようなことで、いろいろ取り組んでいるわけであります。

 医療分野におきましても、ICTの果たす役割というのはますます重要になってきているというふうに認識しておりまして、御指摘の医療クラウドにつきましては、各個人とかあるいは各医療機関が保有している医療健康情報が一つの情報基盤の上で電子的に活用、共用されることによって、医療サービス水準の向上、医療費の適正化とともに、遠隔医療の実施拡大にも寄与するというふうに認識をしております。

 その一方で、また医療情報について言えば、非常にプライバシー性の高い情報でもありますので、情報の漏えいとか改ざんなどに対応した安全な情報管理が不可欠であるというふうにも思っております。

 そういう認識に立ちまして、総務省でも、関係する省庁と一緒になっていろいろなことに取り組んでおりまして、例えば、平成二十一年七月に、厚生労働省の協力を得まして、ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う場合に求められる責任、要求事項などを規定したガイドラインを策定させていただいたということでございます。

 また、平成二十年度から三年度間、二十二年度、今年度までにわたりまして、厚生労働省、経済産業省と連携いたしまして、医療健康情報の電子的管理、活用について実証実験を行って、必要なセキュリティー要件などを検証してきたということでございます。これは沖縄県の浦添市でやらせていただいたということでございます。

 総務省としては、これまでの取り組みの成果を踏まえまして、来年度以降も引き続き関係省庁と連携して、安心、安全かつ広域的な医療健康情報流通基盤、いわゆる医療クラウドの普及、推進に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

三宅分科員 平岡副大臣の大変すばらしい危機予知能力で次の質問のお答えも既にしていただいたもので、一つ質問を飛ばしたいというふうに思っております。

 今の質問にも関係することでございますけれども、世界的内部告発サイト、ウィキリークスの問題が現在世間を騒がせております。私もこの本を購入いたしました。この本の帯には、これは正義のジャーナリズムか、史上最悪の情報テロかというふうに書いてありました。国民の知る権利はもちろん保障されなければいけないものですけれども、一方、絶対に守らなければいけないこともあるというふうに私は国会議員として思っております。

 ウィキリークスが一部の人々には大変な称賛を受けているわけでございますけれども、そういった状況について、大臣はどういうふうに思われますでしょうか。

片山国務大臣 これは幾つかの論点があると思います。

 一つは、ウィキリークスというのは情報を載っける媒体でありますけれども、もともとの情報のもと、源から流出をさせるといいますか、漏えいをさせる、そういう主体がいるはずであります、ウィキリークスが情報をつくるわけではありませんし、保管しておりませんから。

 そうしますと、専ら、政府機関とか公的機関で、そもそも守秘義務がかかっている、漏えいさせてはいけない情報をウィキリークスに載っける、そういう主体がいるわけで、そこは恐らく、守秘義務のかかっている情報を流出させたのであれば、例えば、日本の法体系でいいますと、秘密漏えい罪、公務員の守秘義務違反という問題が起こってくると思います。これは、どんなに正義感があったとしても独善に陥る可能性は十分あるわけでありますから、やはり法律はきちっと守るということ。独善主義でもって、これは守らなくていいんだなんということは、手勝手、身勝手はいけない問題だと私は思います。これが一つです。

 もう一つは、ウィキリークス自体ですけれども、通信の技術でありますとか、それから活動の範囲が非常に拡大した今日において、通信の自由を行使することによって、思わぬ副作用とかデメリットを社会やあるいは個人、企業に対して及ぼす可能性があるわけであります。これも、法治主義の中で、厳密に言いますと、法律で規制されていなければいいんだという考え方もあるかもしれませんが、私は、通信の自由を共有する主体としては、規制がある場合はもちろんでありますけれども、規制がなくても、社会に対して多大の混乱を生じさせるとか、それから国際的な関係を非常に悪くするとか、あるいは企業や個人のプライバシーなり経営を阻害するようなことになる場合は、おのずから自粛があってしかるべきだろうと思います。

 この種の分野というのは、何でもかんでも規制でがんじがらめにするというのは必ずしも本来の姿ではないと私も思いますので、できれば規制がない状態であってもちゃんとおのずから常識的な運営がなされるべき、それをとりあえずは期待したいと思っております。

三宅分科員 私も全く大臣がおっしゃるとおりだというふうに思います。

 この件は、従業員の企業に対する、そして自分が所属する会社などに対する忠誠心に関連することだというふうにも思っております。幸い日本からは今は直接的な漏えいは起きていないというふうに承知しておりまして、今後もそのようなことがないことを祈っております。

 次の質問でございます。

 一年にわたりまして、総務省ICTフォーラムがせんだって終了したというふうに聞いております。今後のICT分野における権利保障のあり方を考える大変重要なフォーラムだったというふうに聞いております。この場でまとめられました報告書は今後どのように生かされていくのか、具体的に教えていただけますでしょうか。

片山国務大臣 ICT権利保障フォーラムは、政権交代がなされました後に、私の前任の原口総務大臣のときにつくられたものでありまして、私は、就任したとき、もう既に終盤に差しかかっていたものですから、ほぼ最終回などに参加をさせていただいて、自分自身も議論に加わったのでありますけれども、ほぼ終わりの段階で加わりました。

 もともとは、これもトレースしてみますと、放送の自由とか情報通信の自由を守るために、例えばアメリカにありますような独立行政委員会でこの種の分野を行政機関としては取り扱うということも考えられるのではないかということでどうも始まったようでありますが、議論を重ねていく過程で、そういう独立した規制官庁をつくるのではなくて、むしろ、放送事業者とかそういう関係者の自主的な努力によって、放送、表現の自由、それから言論の自由を守っていくべきだという方向になりました。したがって、その分野で、差し当たって何か具体的に今機関をつくろうとかということにはなっておりません。

 あと、例えば、これはウィキリークスの御質問とも関連するんですけれども、通信の自由があって、通信の媒体といいますか、技術が非常に進んできますと、おのずからそこで、例えば他人の権利を侵害するという可能性も出てくるけれども、それをどうするのか。では、それを規制ということできちっと網をかけるのかといった議論もなされたんですけれども、ここも、とりあえず、差し当たっては、関係者の自主的な努力によってそういう他者の権利侵害との間の調整は図っていくべきだ。そのために、放送事業者とか通信事業者とか関係者、国民に至るまで、リテラシーを高めるというか、この種の分野に対する自覚と認識を高めて自律性を持ってもらう、こういうことになっております。

 したがって、具体的に何をするのかという御質問なんですけれども、今差し当たって、そういう意味での何か法制度をつくるとか機関をつくるという具体的な取り組みは当面ありません。ありませんが、さっき言いましたように、国民の間のリテラシーを高めていただくとか、それから関係者とか関係団体とか関係業界の皆さんの自主的な取り組みを促していく、こういう作業があります。

 いわば、政治学の用語で言いますと、ガバニングという、そういう上からガバンしていくんじゃなくて、最近の用語でいいますと、ガバナンスというのがあるんですけれども、自主的な取り組みによって秩序を守ったり、守るべき法的価値を擁護していったりしよう、そういう取り組みの方を重視しよう、そのための環境づくりとか意識啓発なんかをやっていこうというのが当面の総務省の仕事ではないかというふうに、このフォーラムの結論からは得ているところであります。

三宅分科員 この会議におきましては、十一回にわたり、二十数人の委員によりまして会議が持たれたというふうに聞いております。

 こうした省庁の主催する会議は数々あるわけですけれども、それだけ国民の税金と多大なる時間を使っているわけですから、その成果をすぐに役立てていただくことをお願いしつつ、次の質問に移らせていただきます。

 次は、消防団、救急車のあり方についてでございます。

 実は、この質問は昨年も原口大臣にさせていただいたんですが、私自身は議員になる直前まで企業消防団の一員でございました。

 近年、犯罪の多様化、そして自然災害の発生によりまして、地域に密着をして活動している消防団員の存在は本当にますます重要になってくるというふうに思っております。

 しかし、消防庁が目標としていた百万人はおろか、八十九万人を切るというような状態で、昭和二十七年ぐらいがピークなんですけれども、ピークの二百九万人に比べて大変激減しているというのが現状でございます。

 また、それを防ぐためにだったのかどうかわかりませんけれども、私のように、私はたまたま住んでいる場所と会社の場所が同じでしたのでよかったんですけれども、地域の企業から消防団員を出してもらうという制度が徐々に各都道府県で始まりました。しかし、こういった政策を打っても、それでもまだ減少は歯どめがかかっておりません。

 また、先ほど申し上げたとおり、企業消防団員の場合は、住んでいる場所と会社の場所が違うということで、例えば、会社の場所が永田町で、住んでいる場所が例えば調布であったときに、永田町で火事があったといって呼び出しを夜中に受けても、駆けつけることができないわけなんですね。私の場合は駆けつけられましたので、問題はなかったんですけれども。

 こういった消防団員の減少を食いとめるためにはどのようなことをしたらいいと大臣はお思いでしょうか。

片山国務大臣 幾つかの論点が考えられると思います。

 おっしゃったように、消防団員が、昔は仕事の場所と生活の拠点とがほぼ一致しておりましたので、地域で消防団を得やすいといいますか、消防団になりやすいということはあったと思います。ところが、今は職場が非常に遠くなって、生活の場所との間に距離がありますので、いざというときに自分の住んでいる生活の拠点まで戻れないということがあるものですから、消防団の存在というものも昔とは非常に変わってまいりました。

 そこで、何が必要かといいますと、一つは、地域では、昼間おられる方、例えば、地域によって事情は違いますけれども、私が知事をやっておりました鳥取県などでは、やはりそうはいっても女性がおられる確率が高いものですから、女性の方に地域の消防団員になっていただくということで、その取り組みもやりました。

 それから、職場では、職住近接ならばまあいいですけれども、そうでない方が多いですから、職場単位の、事業所単位の消防団組織というものをつくってくれないかということを働きかけまして、これはなかなか進みませんでしたけれども、それでもある程度の反応はありました。

 それから、自分の実際の取り組みで、県庁でも自衛消防隊のようなものを組織しまして、実際に県庁の近くで起こった民家の火災を消しとめたことも実はあったんですけれども、同時に、私は、県庁の職員の皆さんに、ぜひ自分たちの地域で役割を果たしてもらいたいと、できる範囲内で。消防団をできる人は消防団をやってください、それから町内会の活動ができる人は町内会の活動をやってくださいということで、地域における一人一役運動というのをやりまして、その一環として消防団にもぜひ入ってもらいたい、こういうことをやりました。

 あと、私が最近気になっていますのは、消防団の処遇というものが必ずしも適正でないのではないか。

 調べてみますと、消防団員の報酬というものが非常に低位に置かれている。そのことがやはり、だからというわけではありませんけれども、少し消防団になろうかというモチベーションを下げているのではないかということも気になっておりまして、これから自治体に対して、市町村長さんなどに対して、消防団の団員の皆さんの処遇というものをもう少し改めて考え直すことが必要ではないですかということも啓発をしていきたいと考えているところであります。

三宅分科員 ありがとうございます。

 そして、原因の一つに、定年制がない地域が大変多く、団員の高齢化が大変進んでいて、その一方、若い人の入団がふえていないというようなことがあると言われております。

 ちなみに、最高齢の消防団員が何歳なのか、御存じでしょうか。

鈴木(克)副大臣 それでは、それは私の方からお答えさせていただきます。

 私も勉強不足で実は知らなかったんですけれども、現在八十三歳だそうであります。

 ちなみに、関連で、今六十歳以上の消防団員が三万二千人みえるということでございます。

三宅分科員 ありがとうございました。

 熱心に地域の安全を守ってくださっている御高齢の方には深い感謝の気持ちを持つ一方、やはり若い人にも、ぜひ地域コミュニティーの活性化にもつながる消防団への参加を望みたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 次に、救急車の出動回数の問題について話題を移したいと思いますけれども、つい最近、私も出動回数を一台ふやしてしまいましたので、これをまずおわび申し上げたいというふうに思います。

 救急車を呼んだ方がいいのかどうか悩んでいる人のための相談窓口、そういったものの設立によりまして、一昨年は救急車の出動台数が大幅に減少したように、私は数字上は見受けられました。

 その一方、また、ことしは若干上昇に転じております。なかなか出動件数が思うように減らないというのも問題があると思うんですけれども、やはりモラル低下の問題もあり、また現場の方も、もしここで救急車を出さずに何かあったときには困る、そういったような気持ちもあるように私は感じます。

 消防庁のデータによりますと、実際に病院に運んでみると、救急車での搬送の必要はなかった方というのが五〇%ほどに上るというふうに聞いております。この数を減らしていかないと、本当の重症の患者の方、そして大規模災害が起きた際に影響が出てきて困ってしまうことになるというふうに思います。

 そのためにも、トリアージの重要性がますます高まっていくわけでございますけれども、今後どのように改善していこうというふうにお思いでしょうか。

鈴木(克)副大臣 この件も私の方から御答弁させていただきますが、今委員おっしゃったように、平成二十二年で五百四十六万件ということでありまして、このような状況がずっと続くと、二〇三〇年には六百九万件という途方もない救急出動というのが考えられてまいります。

 したがって、御指摘のように、トリアージと申しますか、このことをきちっとやっていかなきゃならないということで、要するに、一一九番の段階でどんな状況ですかというようなことを少し詳しくお伺いして、だったら別の方法をというようなこともやられておるやに伺っておりますし、それから、現場で、救急車で搬送せずに、では、別の車で行かれたらどうですかというようなこともやっておるということも聞いております。

 いずれにいたしましても、救える命を確実に救うということのためにも、本当に必要な方のために救急作業をやっていただかなきゃいけないということはこれからの大きな課題である、このように考えております。

三宅分科員 それでは、お時間ですので、最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。

 光の道構想についてでございます。

 二〇一五年までに日本じゅうの家庭で超高速ブロードバンドを利用できるようにする光の道構想の三つの柱があるというふうに思うんですけれども、まず第一が基盤整備、二番目が事業者間の適切な競争、そして三つ目が規制緩和、この三つだというふうに思っておりますけれども、このうち、規制緩和の進捗状況が私は大変気になります。

 登記の手続、そしてデジタル教科書、医療品の販売など、政府と一体となって議論を進めるべきものが多いということは承知をしておりますが、総務省内での今後のスケジュールについて、教えていただけますでしょうか。

平岡副大臣 総務省としては、光の道構想においては、利活用の拡大というものが今求められているというふうに考えており、その障害となっているものの中に、委員御指摘のような利活用を阻む規制制度というようなものがあるということで、これを徹底的に見直しをしていこうという姿勢でおりますけれども、実はこれは、御案内のように、政府の成長戦略とか、あるいは新たな情報通信技術戦略の中で、IT戦略本部の中で、総合的に政府全体として取り組んでいこうという姿勢でやっております。

 それに総務省としても協力をしてきているわけでありますけれども、いかんせん、大変たくさんの項目もあり、いろいろ調整しなければならないということがあるので、IT戦略本部での作業というのは、ちょっと我々から見ると、進捗率としては、必ずしも十分ではないのかなというふうにも思っております。

 しかし、いずれにしても、総務省としても、IT戦略本部と協力しながら、できるだけ早く、そうした利活用を阻むような規制とか制度等を見直していくことをやっていきたいというふうに考えております。

三宅分科員 ありがとうございました。大変御丁寧な御答弁、感謝しております。

 ありがとうございました。

若泉主査 これにて三宅雪子君の質疑は終了いたしました。

 次に、質疑予定者の出席が得られません。

 御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

若泉主査 速記を起こしてください。

 御出席を何度か要請いたしておりますが、残念ながら、御出席が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時開議

若泉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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