衆議院

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第1号 平成25年4月12日(金曜日)

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本分科会は平成二十五年四月九日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

四月十一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      秋元  司君   うえの賢一郎君

      奥野 信亮君    山本 有二君

      原口 一博君    佐藤 正夫君

四月十一日

 奥野信亮君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十五年四月十二日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席分科員

   主査 奥野 信亮君

      秋元  司君   うえの賢一郎君

      鬼木  誠君    武井 俊輔君

      山本 有二君    武正 公一君

      原口 一博君    佐藤 正夫君

   兼務 瀬戸 隆一君 兼務 篠原  孝君

   兼務 坂元 大輔君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  望月 達史君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     安藤 友裕君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   阪本 泰男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石田 研一君

   総務委員会専門員     阿部  進君

   予算委員会専門員     石崎 貴俊君

    ―――――――――――――

分科員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     鬼木  誠君

  原口 一博君     武正 公一君

  佐藤 正夫君     林  宙紀君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     武井 俊輔君

  武正 公一君     山井 和則君

  林  宙紀君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     秋元  司君

  山井 和則君     原口 一博君

同日

 第三分科員瀬戸隆一君、第五分科員坂元大輔君及び第八分科員篠原孝君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十五年度一般会計予算

 平成二十五年度特別会計予算

 平成二十五年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

奥野主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました奥野信亮でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算及び平成二十五年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 平成二十五年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、いわゆる十五カ月予算の考え方のもと、平成二十四年度補正予算と合わせ、切れ目ない経済対策を実行することにより、日本経済の再生につなげる予算として編成したものであります。

 また、政府の方針のもと、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化の三分野に財源を重点化するとともに、総務省の共通認識として取りまとめました、「元気をつくる」「命をまもる」「便利なくらしをつくる」「みんなの安心をまもる」「国の仕組みをつくる」という総務省の五つのミッションの実現に向け、活力ある地域づくりや、ICT成長戦略の推進、国民の命を守る消防防災行政の推進、さらにはコンテンツの海外展開など、重要課題に積極的に対応するとの考え方に基づき、取りまとめたものであります。

 一般会計の予算額は、十七兆二千三百二十九億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

奥野主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

奥野主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

奥野主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

奥野主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木分科員 おはようございます。このたび初当選いたしました福岡二区の鬼木誠でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、本日は公共放送のあり方について質問いたします。

 まず、NHKについて、NHKの収入、どういう収入によって成り立ち、そしてどういう位置づけの放送機関なのか、お尋ねします。

石田参考人 お答えいたします。

 まず、NHKの収入ですけれども、NHKは放送法六十四条に基づき、公共放送を維持するための財源として受信料をいただいております。この受信料は、NHKが公共放送としての業務を行うために必要な経費を受信機の設置者に公平に負担していただくという考え方に基づくものです。

 平成二十五年度予算における事業収入は六千四百七十九億円で、このうち受信料収入は全体の九六%に当たる六千二百二十一億円です。受信料収入以外の事業収入としては二百五十八億円を計上しています。内訳は、テキスト出版などの番組活用や特許などの技術協力による副次収入などです。

 それから、どういう位置づけの放送機関かということですが、NHKの設立の目的は放送法十五条に規定されています。具体的には、協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、よい放送番組による国内基幹放送、国内放送を行うこと、それから放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行うこと、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送、国際放送を行うということが目的と記されておりまして、放送法十六条では、協会は、前条の目的を達するためにこの法律の規定に基づき設立される法人とする、このように記されております。

鬼木分科員 NHKは主に受信料によって賄われている公共放送であるということを確認しておきたいと思います。

 そして、公共放送として、社是であるとか原則、基本方針というようなものはございますでしょうか。

石田参考人 お答えします。

 NHKの基本姿勢、企業でいえば社是、経営理念に当たるものは、いずれも放送法の中に明示されていると考えております。

 放送法の目的、第一条に掲げられた、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」といった原則を踏まえながら、先ほどお答えしましたNHKの設立の目的にある、公共の福祉のために、あまねく豊かでよい放送番組を放送するということがNHKの基本的使命だと考えております。

 この使命を果たすために誠心誠意取り組んでいきたい、このように考えております。

鬼木分科員 それでは、そうした原理原則、方針というものが本当に真実及び自律に向かっているのかということも含めて、ちょっと議論をさせていただきたいと思うんです。

 最近のNHKはおかしいということを多くの国民が言っています。その認識に私の側とNHKさんの側と隔たりがあるかもしれませんが、多くの国民が疑問を感じているというのが私の認識でございます。国民から半強制的に受信料を徴収する一方で、国民の自尊心を傷つける自虐的、反日的番組を多数放送している。

 公共放送の特性として、国民がその情報を国のお墨つきとしてそのまま事実、真実としてうのみにしがちである。この信用度の高さが、公共放送というのは民放と比べて大きな違いだと私は考えております。純情な日本国民は、NHKがこう言っていたということは、事実だ、真実だと思い込んでいるんですね。

 そして、よくNHKを国営放送だと言う人がいます。公共放送なのか国営放送なのか、そのことも国民はわからない。NHKが言っていることは正しいと思って見ている。そういう自覚を私はNHKに持っていただきたいと思っているんですね。したがって、NHKで自虐的な報道、反日的な番組というのを連発されますと、日本国民の歴史認識までもゆがんでくる。

 その番組をつくっているもとになるのは、国民から半強制的に徴収したお金でありまして、それによって国民の自尊心を傷つける番組を連発して、そして歴史認識にも新たなスタンダードをつくってしまうような番組構成は、公共放送としていかがなものかと私は疑問を禁じ得ないのであります。

 思想、信条、言論、表現の自由ではありますが、公共放送がこういうことでいいのかというのが私の問題提起でありますが、NHKさんはどうお考えになりますでしょうか。

石田参考人 お答えいたします。

 NHKは、放送番組をつくるに当たって、公表している放送ガイドラインに沿って番組をつくることにしています。

 放送ガイドラインの中では、「NHKのニュースや番組は正確でなければならない。」とか「視聴者にできるかぎり幅広い視点から情報を提供することを目指す。」それから、「報道番組やドキュメンタリー、情報番組などでは、正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。」ということが定められております。

 NHKの国際番組基準においても、「ニュースは、事実を客観的に取り扱い、真実を伝える。」と定めております。

 NHKとしては、ニュースや番組はいずれもこうした基準にのっとって制作し、取材によって把握した事実に基づいて放送しているものと考えております。

 NHKでは、年に二回、三千六百人の視聴者を対象に公共放送の使命と役割について十四の指標を設けて世論調査を行っています。調査では、公平公正が実現できているかとか、迅速、正確な情報提供は実現しているのかという観点から採点をしていただいているんですが、去年七月の調査では、公平公正については約八割、迅速、正確な情報提供については約七割を超える方から実現しているという評価をいただいております。

鬼木分科員 公平公正であり、事実に基づいた、きちんとした調査に基づいたというふうな、いかにも中立公正というふうな答弁ですので、ちょっと私もお言葉を返すようではありますが、例えば、麻生政権がもう最終盤のころ、NHKのニュースか報道番組か忘れましたが、やはり国民がこれはNHKの報道だと思って見るような番組の中で、末期症状を迎えた麻生政権と言ったわけですね。

 末期症状かどうかと言う人は、事実を見た人が末期症状だなと感じる主観でありまして、末期症状を迎えたということを公共放送が言うというのは本当に公正なのか、中立なのか、事実を客観的に伝えるのが役割なんじゃないかということで、公共放送がこれでいいのかと憤りを覚えたことを私は思い出しております。

 去年、二〇一二年八月、ロンドン・オリンピックがありました。そのときに私はたまたま数日間中国を訪れておりまして、手持ち無沙汰にテレビをつけて、日本語で、オリンピックはどうなっているだろう、ニュースはどうなっているだろう、やはりNHKをつけるわけです。すると、そこでは、オリンピックは一切報道されない中で、八月ですから、やはり反戦番組、自虐番組、そして反日的な放送のダイジェスト版がずっと流れていたわけですね。

 これを見た中国の方、外国の方はどう思うだろうか。日本の公共放送が、もしかしたら国営放送と思うかもしれません、日本の公共放送が過去の日本の非道を認めたということになり、こうした反日的な思想が国際社会に固定化するんじゃないかということを私は心配したわけであります。しかも、それが日本国民の受信料によってつくられ、放映されている。アジア諸国との歴史認識の溝を埋めていくことが日本の解決すべき課題であるというのに、日本の公共放送の姿勢がこういうことでいいのかと思ったわけです。

 自尊心を傷つけると言いましたが、やはりこうした中で私たちの先人の営みが否定されるわけです、頑張ってこの国をつくってきた方々の営みが。新藤総務大臣のおじい様も大変に立派な方であったと私は思っております。自分のことを否定されるよりも立派な先人が足蹴にされることが許されない。そして、日本人の自尊感情を傷つけていると思うんですね。

 済みません、話がそれておりますが、その中国での出来事。海外にも放映されるわけですよ。そして、これは日本の公共放送がこれをオーソライズしたこととして国際社会に捉えられかねないわけですね。このことについてNHKさんはどうお考えになりますでしょうか。

石田参考人 まず一つは、オリンピックの時期にオリンピックの放送をしていないのは、IOCとの契約の関係で、オリンピックの放送は国際放送では流せないという規定になっていますので、NHKはオリンピックについては国内放送しか流す権利を持っていないということで、NHKワールドプレミアムでは流せないということです。

 それから、NHKは毎年、終戦の日を中心に、戦争と平和について考える番組を放送しています。これは、八月十五日の全国戦没者追悼式などが行われる時期でありまして、改めて歴史を振り返るとともに、戦争の悲惨さや平和のとうとさを伝える機会とする必要があると考えているからです。

 国内番組基準におきましても、「世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する」ということを定めております。

 番組はいずれも事実に基づいて放送していると考えておりまして、いずれの番組も、戦争の悲惨さを伝えるだけでなく、事実の追求を通して浮かび上がった現代に通じる教訓を伝えるという観点から、客観的な立場から制作していると思っております。

 去年八月十五日に放送したNHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか」という番組については、平成二十四年度の文化庁芸術祭テレビ・ドキュメンタリー部門の優秀賞を受賞しておりまして、番組に対して一定の評価をいただいているものもある、かように考えております。

鬼木分科員 先ほどの質問について、新藤総務大臣の御見解も伺いたいと思います。お願いします。

新藤国務大臣 委員がみずから感じ、そしてまたいろいろなそういった御批判、御意見があるということは私も承知をしております。そうした中で、我々としてもしっかりと法律にのっとって、また、NHKが、自主的にでございますが、法律をきちんと適用しているということを期待しているわけであります。

 その意味において、NHKだけでなくて放送事業者は、みずからの定める番組基準に基づいて編集を行うということが放送法で決められております。

 その中で、政治的に公平である、また、意見が対立する問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こういった中立性についても番組基準の中で規定をされております。

 私も、今年度のNHK予算に付した総務大臣意見といたしまして、NHKの放送番組について、「我が国の公共放送としての位置付けを踏まえ、我が国の文化の向上に寄与するとともに、国民各層の中で意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにするなど、正確かつ公平な報道に努めること。」といったことに言及させていただきました。公共放送として自律的にしっかりと取り組んでいただきたい、このように考えております。

 さらに、今御指摘がありました邦人向けの国際放送、これはNHKワールドプレミアムということでありますが、これにつきましても、さまざまなものを放送するようにということが放送法の中で決められておりまして、それに基づいて、報道番組であったりとか娯楽番組ですとか、いろいろなものを取りまぜて放送しているわけであります。

 我々総務省といたしましては、NHKが放送法の規律を遵守し、そして自主自律のもとでワールドプレミアムを適切に放送することによって、例えば、このNHKワールドプレミアムは、海外の日本人への日本の最新情報の提供、海外に住む日本人に対する子育てのサポートですとか、国民意識の連帯感の醸成、さらには海外の安全情報、こういったものも報道してくれています。ですから、そういったものを通じて、しっかりとした在外邦人にとっての重要なライフライン、この役割を期待しているところでございます。

鬼木分科員 日本の最新の情報やライフラインとしてのワールドプレミアムという御答弁でしたが、私が見たその日のNHKは少なくともそうではなかったということで、本当に反日、反戦番組が連続するという状況で、そこしか実態を知らないものですから大変に心配をしたわけなんですね。

 そこで、NHKだけではなく、放送法に基づいてということですので、それはNHKだけでなく民放にも本当にひどい番組、民放の方が本当にひどい番組は多いと思うんですね。コメンテーターはずらっと同じような主張の方を並べて、一方的な報道をしている。しかし、民放は百歩譲って表現の自由というものがありますけれども、NHKさんは、やはり公共放送だというところで日本人の信用が高いというところを考えていただきたいと思うんですね。

 世論調査もしていますということで、その数字と私の認識とに大きな隔たりがあるように感じられます。私の身の回りには、老若男女問わず、もうこんな放送局には受信料を払いたくないという人がいっぱいいるんですね。しかし、現在、消費者の側には選択の自由がないんですね。見ない、嫌い、だから払いたくない、私は見ませんから、見なくていいですからという人も選択の自由がない。テレビを持っていたら必ず徴収される。嫌いでも、見たくなくても支払い拒否ができないという、これは本当に今の日本の中で異例の課金システムなんじゃないかというふうに思うんですね。

 私は、何でも民営化すればいいとは思っていません。むしろ逆の考え方を持っている人間でございます。やはり、明治の時代から日本人が先進国に追いつけ追い越せとつくってきた、つくり込んできたシステムというのは物すごくよくできていて、公共のために役に立っているものはいっぱいあるんですね。ですから、NHKさんにもそうした歴史と役割というものがあると思うんですよ。

 ですから、民営化ということは簡単に私は口にしたくありませんが、しかし、先ほどから申し上げているとおり、今のNHKさんは、公共の名のもとに、また公共をうたっているがゆえに大きな問題を今の日本につくっているんじゃないかというのが私の考えでございます。

 そして、その公共ということでNHKさんの今の問題点は、まず第一点が、いや応なく国民から徴収された受信料をもとに、そして第二点、日本をおとしめる番組がつくられ、そして第三点、その内容が公共にオーソライズされ、そして第四点、国内外に放送されるというこの四点が、公共放送として問題があるんじゃないかと考えるところでございます。

 公共放送の役割とは何なのか、公共放送のあるべき姿についてNHKさんの見解を伺いたいと思います。

石田参考人 今御指摘の第一点、受信料制度に基づくということにつきましては、先ほど申しましたように、NHKは放送法に基づいてつくられている会社ですので、それに基づいて国民から受信料をいただいて経営を行っているということです。

 それから、その後、二点、三点、四点につきましては、先ほども御答弁しましたように、NHKとしては、放送法とそれから番組基準、ガイドラインに沿って公平公正に番組をつくるべく努力している、そのように実現するように努めていると思っております。

 ただ、国民の間から、先生のような立場からの御批判もあるし、また別の立場からの御批判というか御意見もあるのは事実でございまして、NHKには大体年間に四百万件ぐらいいろいろお問い合わせもあります。

 そういう声も真摯に受けとめながら、先ほど大臣からお話があったように、予算審議の際の総務大臣意見とか、それから、衆参の委員会で附帯決議も出されておりますので、それを実現すべく、しっかりと国民の声に応える公共放送としての役割を果たしたい、そのように考えております。

鬼木分科員 同様に、新藤大臣にも、公共放送の役割とは何か、あるべき姿について御見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 NHKにつきましては、放送法において、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、よい放送番組による国内放送を行うとともに、国際放送を行うことが目的として規定されているわけであります。まさにこれをしっかりと達成してもらいたいと私は大いに期待をしているところであります。

 そして、あわせて、国民・視聴者が負担する受信料により運営される我が国の公共放送としての位置づけを踏まえ、正確かつ公平な報道に努めること。特に、法律に定めることとはいえ、国民からの負担によって成り立っているということでありますから、その存立をぜひ意識していただきたい、このように思っております。

 また、我が国が正しく理解されるようにという意味におきまして、国際放送の番組内容の充実、国内外での認知度の向上、受信環境整備、こういったものを推進してもらいたいというふうに思いますし、私は、国際放送についてもそのような要請を行わせていただいております。

 また、NHKが4K、8Kといった新しい技術の開発も行っております。これは日本の経済成長にも資するものであります。ですから、そういったスーパーハイビジョンの早期実現など、そういう部分についても役割をぜひ果たしていただきたい、このように思うわけでありまして、まさに公共放送として国民・視聴者の期待に応えていただきたいと思います。

 委員が先ほどお話をされているような、私はこれを確認しているわけではありませんが、日本をおとしめるような目的で番組をつくっている、こういった発言が出ないように、これはわかりませんが、いろいろな意見が出ているわけでありますが、ぜひそういったことのないようにしっかりと運営をしていただきたい、このように期待をしております。

鬼木分科員 今大臣の御答弁にありましたとおり、国内にも国外にも日本を正しく理解される放送、報道をお願いしたいと思います。

 事実を客観的に伝えていただきたい、私がそう言わなければならないほど、事実が客観的に伝えられているということに私が疑いを持つ、国民が疑いを持つほどそういう内容が続いているというのが私の認識でございます。

 さっきも言いましたけれども、民放とは違うんですね。民放が大げさに誇張することはあります。ただ、それは自分の資本において行っているものでありまして、あくまで民放のやっていること。ただ、公共放送がそれに乗っかって同じことをやっていいのか。さっきの末期症状という主観的な表現しかりです。

 他の民放に、そして消費者に迎合する必要がないのがNHKなんですよ。受信料というのは必ず安定的に入ってくる仕組みになっているんだから、視聴率だとか消費者だとか、迎合する必要がないんですよ。だから、過度な脚色なんか要らないと思うんですね。事実を客観的に伝えていただきたい。NHKがこう言っていた、みんなそう言うんですから、そのNHKが言っていることがあくまで正しいことを言っていただきたいなというふうに思います。

 あと、例えば、歴史ドラマなんかに過度な脚色が入りますと、それが史実だと思っちゃうんですね。何か戦っている最中に恋愛しちゃうみたいな、ハリウッドじゃないんだからというふうな、ちょっとしたことかもしれないですけれども、その脚色が史実を曲げることにもなりかねない。ですから、そうしたことも一つの注意が必要なのではないかというふうに思っております。

 どうか本当に、公共放送の役割というもの、本当にいろいろな意見があると思います、そういう中で、公平公正、そして事実を客観的に伝えるという役割を果たしていただきたい。そして、先ほども言った、日本の放送や科学技術といったものに資する放送局であってほしいということをお願いしまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

奥野主査 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。

 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸分科員 本日はよろしくお願いします。

 今、高齢化社会がこれから進んでいくというふうに言われていますし、現在かなりの高齢化社会になっておりますけれども、老健施設が全国的にも今ふえている。私の地元の香川県においても老健施設がふえているという状況であります。

 しかし、これから高齢者がふえていくに従って、施設中心の医療や介護では限界があるのではないか、そのようになるというふうに思います。また、厚労省の資料によりますと、国民の六〇%以上が自宅での療養を望んでいる状況ということです。

 まず、今後、在宅看護のニーズがふえてくるというふうに考えられます。どのくらいの利用者ニーズが生じると考えられているのか。また、それに対応するために、どれくらいの看護職員が必要と考えていらっしゃるのか。厚労省にお聞きしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 在宅医療を推進する上で、訪問看護の役割は極めて大きなものがあると考えております。

 在宅看護において大部分を占めます介護分野の訪問看護サービスの利用者数につきましては、社会保障・税一体改革における推計によりますと、二〇一二年に一日当たり約三十万人のところ、二〇二五年には約五十万人としているところでございます。

 また、それに対応する看護職員でございますが、社会保障・税一体改革における推計におきましては、訪問看護サービスに携わる看護職員のみの推計というのは出しておりませんが、病棟も含めた看護職員全体の推計としては、二〇一二年に約百五十万人が、二〇二五年には約二百万人という推計をいたしております。

瀬戸分科員 ちょうど先日、私も知り合いの看護師の方とお話しすることがありました。年配の方だったんですけれども、同僚の看護師にも、ほとんど今は子育てや介護で仕事をやめて、医療現場を離れてしまっているということであります。しかし、ただ、フルタイムでなければ今でも働きたいという方は結構いらっしゃるということでありまして、何とかならないかという話でありました。

 そこで、お聞きします。

 現在、全国に資格を有している看護職員は何人ぐらいいらっしゃって、その中で、実際に医療現場等で働いている看護職員は何人いらっしゃいますでしょうか。厚労省にお聞きします。

高島政府参考人 これは厚生労働省としての推計でございますけれども、平成二十三年において、約二百五万人の看護職員がおりまして、そのうち、医療現場等で実際働いている看護職員は約百五十万人と推定しております。

瀬戸分科員 といいますと、差し引き五十万人の看護師の方が、今実際資格を持っているんだけれども、働いていないということかと思います。

 この五十万人の方、多分、ある程度高齢の方はもう働く意思も持っていないのかもしれませんけれども、大体、半分として二十五万人、そういった方々が資格があるのに働いていない、そういった状況ですけれども、多くの看護職員が資格があるにもかかわらず看護職員として働いていないことの理由をどのように認識されておりますでしょうか。厚労省にお聞きします。

高島政府参考人 看護職員の就業状況等につきましては、厚労省として実態調査を行っております。

 この中で、平成二十二年度の調査結果によりますと、退職した方々、この方々に退職理由を伺いましたところ、約四割の方は結婚と出産によりまして退職したということでございました。そしてまた、退職した方々の就職希望というのを伺ったところ、一八%の方々については就職希望というのはございませんでしたけれども、三六%という方が看護職員として再就職を希望しているという状況でした。

 こうした中、就職していない方々が再就職に関して抱く不安というものについて伺ったところ、最新の看護の知識、技術に対応できるかどうかが不安であるというのが最も多い答えでございました。次いで、家事、子育てと両立できるかどうかということでございました。また、再就職に当たって希望する勤務形態につきましては、パート、アルバイトという形態が最も多かったところであります。

 これらを踏まえまして、厚労省として、看護職員としての再就職時の研修など再就職に向けた不安解消のための取り組みとか、それから、短期間正職員などの多様な勤務形態の導入というものが課題になっていると思っております。こういった課題解消に向けて取り組んでまいりたい、こういうように考えております。

瀬戸分科員 三六%の方が再就職を希望しているということでありました。

 確かに最新の知識をつけるということも、新しくなっていくところは大きいですから、そこのところも、また厚労省として最新の知識をつけられるような研修、そういったものはやっていっていただきたいというふうに思っております。

 またもう一つ、先ほど、多様な働くスタイルという話がありましたけれども、フルタイムでなければ働けるという方がいらっしゃるんだと思います。

 そういったことを考えますと、フルタイムでなく働ける職場、そういったものをつくることが必要だというふうに思っているところであります。私は、ちょうど在宅看護というところが、そこをICT化することによって、非常にそれが有効ではないかというふうに考えているところであります。

 つまり、在宅看護でありますと、例えば患者さんの健康状態とか、そういったものもいろいろ記入しなければならない。そういった事務作業がシート五枚ぐらいあると思うんですね、幾つか記入しなければならない。それから、そういったものを事務所に持ち帰りまして、それをレセプトに入れる必要がある。つまり、わざわざ事務所に帰る必要があるということですね。そういったことの事務作業がたくさんあるということでございます。そういった事務作業を短縮して、本来看護のために必要なもの、看護だけをやってもらうということによって、事務作業の簡略化ができるのではないかというふうに考えています。

 最近は、特にiPadとか、そういったタッチパネルを使うような情報機器も新しく出てきているところで、そういったものを使えば、今まで情報機器に接していなかった方々も非常に簡易に使えるようになります。

 そうしますと、例えば、今まで、わざわざレセプトの記入を事務所に帰ってやっていたところが、看護師の方も現場で、タッチパネルで打つことによって、レセプトの記入は事務所に帰らずに済む、かなりそれによって軽減されるというふうに思われます。つまり、本人は看護の仕事だけをやっていればいい、フルタイムで働かなくていい、そういう状況になるんだというふうに思います。

 そこで、総務大臣にお聞きしますけれども、在宅医療や在宅看護の現場におきましてICTを利用することで、看護職員の業務負担を軽減し、看護職員と医師との連携が密接になるというふうに思われます。今後、在宅医療や在宅看護においてICT利活用を積極的に推進することが重要と考えますが、総務大臣の見解をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 今の委員の御指摘は極めて重要かつ有意義だ、このように思います。

 そしてまた、ICTという新しい技術を使って生活に革新を起こす、また職業形態や就業形態に革新を起こす、これこそがイノベーションだ、このように思うんです。ですから、私もこれは積極的に取り上げていきたいと思いますし、私たち総務省の今主要な政策の一つでもあります。

 在宅医療、介護だけでなくて、地域医療そのものをICT化することによって、そして、それは治療を受けるだけではなくて、リハビリやその後の生活、そういったものにまでいろいろないい影響を与えることができるのではないかと思っています。

 既に、例えば宮城県の石巻ではそういった実証実験が始まっております。これによって、モバイル端末を活用し、それを無線で飛ばすということ、かつ、それらをクラウド技術を使って集中管理また効率管理するというようなことも実験が始まっております。

 それから、今御審議いただいております二十五年度の予算案におきましても、医療情報連携基盤高度活用事業、こういったものを盛り込んで、まさに御指摘のクラウドそれからモバイル端末、そしてセンサーなどを活用したICTの利用システム、これを開発、実証しようではないか、こういうことを進めております。

 ぜひ、これは厚労省とも連携をし、そして自治体や地域と連携をして、さらにはここに入ってくる医療機関、加えてこれを支援するための民間団体、市民団体、こういったもろもろもこのいわば共通基盤の中に入ってきていただいて、国民の最大関心事であります、安心の医療そして社会保障体制を構築するためにICTを大いに役立てていきたい、このように考えます。

瀬戸分科員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 特に、看護職員の不足については待ったなしの状況でございますので、またそれがいろいろな、看護不足を、やめる人がふえることによって、看護師が逆に仕事が大変になってしまう、そういったことが起きて悪循環が生まれるということも起きますので、ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、先ほどお話にありましたように、これから自治体で、いろいろなところで、クラウドまたはそういったことで医療のICT化が進むというふうに考えられますが、その際、在宅医療や在宅介護の現場でICTの利活用を積極的に推進するためには、どうしてもシステムの標準化が重要だというふうに考えます。多分、これからいろいろなところでいろいろシステムがつくられていく、実証実験されていくのかと思われますが、それがつながらないと、それは逆に、ほとんど意味をなさない。

 例えば、ある病院に行った人が違う病院に行ったときに、レセプトが見えないと、自分の情報が連携されていないと、全く意味をなしません。また、災害においても、もし災害に遭った場合に、違う病院に行ったとき、そこでまた新たに診察をしなきゃならないということになれば意味をなさないというふうに思います。

 そういった標準化について、例えばモバイル端末の医療機器についてはコンティニュアという標準規格がございますが、医療ICTにおける標準化について、総務省の見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 技術的には言ってもらいますけれども、これは極めて重要なんです。国民がまた利用者が、そして企業が、そういう共通認識を持つことが重要だと思います。

 では、それはどこまでつなげるのかということになって、町の中でどの端末を使ってでもいけますよ、隣町に行ったらつながりません、自治体は自治体、それぞれで運用しています、これでは意味がありませんね。

 ですから、今実験として、まず東北でメディカル・メガバンク構想、こういうものをやろうとしています。それは、東北が本当に苦しい大変な状態にあって、皆さんが頑張ってくれているから、まずそこで新しい取り組みをしてみようじゃないかという私たちの思いがあります。しかし、それは日本全国に対してそういう仕組みを、どこで暮らしていても安心して医療が受けられる、また治療が継続できる、こういう形をつくらなければいけないんです。

 それは、一つのものにしろというのではなくて、いろいろな技術があってもいいが、インターオペラビリティーというか、それが要するにきちんと接続できて活用できる、そういう仕組みにしていかなければいけない。官民あわせてのそういうオープン化そして標準化、こういったものをやらなければいけない。これはこの分野だけじゃありません。日本じゅうが電子化を進めるとするならば、今委員の指摘の重要性をいかに認識してもらって、それぞれがやろうとするときにその意識を持ってもらうかということが重要だと思います。

 我々も発信していきますが、やはり政治がしっかりと発信していただくことが極めて重要じゃないか、このように思います。

阪本政府参考人 大臣の御答弁を少し補足させていただきたいと思います。

 委員御指摘のとおり、医療のICT化を進めるために、その基盤となるシステムの標準化というのは極めて重要だというふうに私ども認識しております。最近、いろいろなモバイル端末とかいろいろな機器が出てきておりますので、それをやはりきちっと円滑につなげていくということが重要だと思いまして、そういった取り組みが現に進んでおります。

 御指摘ございましたコンティニュア・ヘルス・アライアンスにおかれましても、各国の企業が参画して医療機器等の通信規格を統一するためのガイドラインを策定されておりますし、またITUにおきましても、モバイルヘルスといったような議論が行われているという状況でございます。

 やはり一番重要なことは、実際にそれぞれの機器をつなげてみて、つながるかどうか、そのときに具体的にどういう標準化をしていったらどうかということを実証フィールドで検証していくということがすごく重要だというふうに思っております。非常にいろいろな機器が出てきていますので、あるエリアだとその機器しか使っていないんですけれども、別の地域では別の機器を使っていたり、あるいは、それもやはり世界的に標準化していく必要があるということで、先ほど大臣の御答弁にございましたけれども、二十五年度予算におきましてそれにかかわる経費を計上させていただいておりますので、そこでは、できる限り広い範囲で機器をつなげる、あるいはインターフェースがもっと使いやすくなるというようなことをぜひ検証してみたいと思っておりますので、その成果を、通信規格という形で、先ほどのITUの場であるとか、あるいはコンティニュアの場でぜひ提言をさせていただきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、やはり、在宅医療とか在宅介護で情報の共有がいかに円滑にできるかということが大変重要でございますので、その促進のためにも、我々、通信規格のところを中心にぜひとも汗をかいていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

    〔主査退席、うえの主査代理着席〕

瀬戸分科員 この東北のメディカル・メガバンク、これは、なかなか難しいところを進める一里塚というか第一歩で、本当にすばらしいことだと思いますので、ぜひとも進めていただきたいと思います。

 私も、震災直後、医療関係について何か支援ができないかということでいろいろやってみたところですが、やはり、医療関係というのは、今までの経緯もあり、また学閥の問題もあり、またベンダー間の問題もあり、非常に難しいところがあります。ただ、そういったところをぜひとも大臣の指導力で進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

 続きまして、南海トラフ地震に対する対処につきまして質問させていただきたいと思います。

 私、ちょうど東日本大震災の際には、震災直後から、そのときはまだ総務省の方におりましたけれども、内閣府の方に出向しまして、被災者支援チームの方で被災地の支援をしてきたところでございます。

 その際にありましたのが、携帯電話やパソコンが使えないということから、家族同士の安否を確認するのに相当時間がかかったということがありました。例えば、三日間、家族で連絡がとれなかったとか、それとか、親戚になりますと、ちょっと遠くなると一週間はわからなかったとか、そういったことが起きていたところでございます。

 震災に遭ったときには、食べることというのはもちろん必要ですし、電気があるということも非常に重要なんですけれども、もう一つ重要なところで、人間といいますか、人はまず家族とか友人の安否を確認したいというのが一番に来るんだと思います。そういった意味で、通信を確保するということが非常に重要だということを感じたところであります。

 そこで、東日本大震災の経験を踏まえまして、災害時直後、七十二時間内に通信ができることは、被災者が安否を確認し合ったり、避難所の場所を知らせたりするために非常に重要だと考えておりますが、携帯電話網の耐災害性強化に向けて総務省がどのように取り組んでいるか、お聞きしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の携帯電話網を初めといたしました情報通信ネットワークは、今日、国民生活や経済活動を支える重要な社会基盤であるとともに、災害時における安否確認等を実現していく上でも非常に重要な役割を担っているものであるところでございます。このため、耐災害性強化にしっかりと取り組んでいくということは大変重要なことであるというふうに認識しているところでございます。

 このため、総務省では、東日本大震災の経験を踏まえた通信設備の安全、信頼性に係る技術基準の強化でございますとか、電気通信事業者が行う、これは携帯電話事業者も含めてでございますけれども、ネットワークの強靱化に対する補助事業を行うなど、通信ネットワーク全体の耐災害性を強化するための取り組みを今進めているところでございます。

 また、電話局などが被災し、使用できなくなった場合に備え、その速やかな通信の復旧を図るため、輸送、搬入すればすぐに使用できる小型の通信処理設備の研究開発などにも取り組んでいるところでございます。

 携帯電話事業者におきましても、災害時に基地局が被災した場合でも、それらを広域にカバーし通信を確保する大ゾーン基地局の設置などにも取り組んでいるところでございます。総務省といたしましては、引き続き、こうした電気通信事業者等と連携いたしまして、通信サービスの総合的な耐災害性強化に向けた取り組みをしっかり進めてまいりたいと考えておるところでございます。

瀬戸分科員 震災直後の七十二時間、この際に通信ができるということが非常に重要なことというふうに思われますので、ぜひとも、しっかりよろしくお願いしたいということでございます。

 そして、次に、東日本大震災の際には、例えば民間のいろいろな家電メーカーまたは携帯電話事業者なんかが集まりまして、ICT支援隊という組織が立ち上がったりしました。その中で、その支援隊の方がパソコンや携帯電話、またiPad等を避難所に届けるということがあったところでありまして、それが避難所ではいろいろな情報通信の機器として有用に使われて、非常に大きな役割を果たしたということがありました。

 このような通信機器が避難所に配付されますと、例えば皆さんが、もちろん携帯電話で人の安否をとることができるんですけれども、もう一つ、グーグルがパーソンファインダーというので、知り合い、また家族を捜すというのをやっておりました。そういったパーソンファインダーも使えるようになったということでございまして、先ほど申しましたように、家族の安否、また友人の安否をとるのに非常に有用であったということでありました。

 そこでお尋ねいたします。

 災害時において、民間企業の役割について検討していくことは非常に重要だというふうに思っております。そこで、今、防災訓練というのは官が中心になってやられているということでございますが、その防災訓練を官と民で連携してやるべき、それが本当に、真に役立つ防災訓練になるのではないかというふうに思いますが、内閣府の方に見解をお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 御指摘のように、東日本大震災でも、民間企業の果たした役割というのは非常に大きかったと思っております。

 私どもといたしましても、実際の災害対応におきまして、例えばチェーンストアが食料を供給していただく、あるいは、道路開削でも、実際やっていただくのは建設業者でございます。また、情報関係でも、民間からの情報もさまざま提供いただきました。

 こういったことも踏まえまして、災害時に民間企業にどういうことをやっていただけるのかということを、協定等でどんどんその締結を推進していくということがまず最初に必要かと思っております。

 こういったことを踏まえて、今まさに御指摘ありました訓練の中で、実際にどういうふうにワークするのか、どういう問題があるのか。東日本大震災でも協定は結ばれていましたけれども、いろいろな物資のとり合いになったりとか、必ずしも円滑に進まなかった点もございます。

 こうした点も踏まえまして、訓練、図上訓練、あるいは実動訓練も含めまして、一層の推進を図ってまいりたいというふうに思っております。

瀬戸分科員 実際に、現場におきましては、例えば自衛隊も非常に重要な役割を果たしていただきましたけれども、やはりそこに、民間企業が物資を運んで、それをさらに自衛隊が現地に運ぶというようなことも行われていました。なかなか官だけでは完結しないところが大変大きいと思いますので、ぜひそこのところはよろしくお願いしたいというふうに思います。

 そして、続きまして、もう一つ、東日本大震災の際ですけれども、被災地、沿岸が被災しましたけれども、近くの県や市町村がバックアップ基地になったということがありました。

 これは、例えば岩手県においては、遠野市というところがちょうど沿岸に近いところで内陸にありましたので、そこがバックアップ基地として存在して、非常に大きな力を発揮したということがありました。

 ふだんから遠野市は、震災が起きた際に自分の市はバックアップ基地になる必要があるんだということで、そういった訓練もしていたということでございました。そういったことがやはりいろいろ、釜石とか大槌とかを助けるのに非常に役立ったというふうに思っております。

 そういったことを勘案しまして、今後、南海トラフ地震に備えて国土強靱化をしていかなきゃならないというふうに思っておりますけれども、災害対応の準備としてどのようなことが検討されているか、内閣府にお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 先般、南海トラフ地震の被害想定等を出させていただきましたけれども、今後、こういった被害想定を踏まえまして、実際の大綱をつくっていく、あるいは地震防災戦略、さらには応急活動要領をつくっていくということを考えております。

 そうした中におきまして、今御指摘ありましたけれども、遠野市の例とかそういったことにつきましては、一昨年、総務省の消防庁の方で報告書をまとめられまして、その中でも非常に優良事例であるという紹介もされ、自治体の方にも、こういったことを参考に取り組みを進めるようにという助言がされているというふうに承知しております。

 こういった自治体自体の広域的な取り組みの拠点をつくるですとか、そういったことをより一層総務省とも連携しながら進めていくとともに、内閣府全体としても、国としての広域的な拠点も整備しながら、位置づけをしながら、より効果的な応急活動ができるような体制づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。

瀬戸分科員 南海トラフ大地震について、ちょうど私の地元は四国でございますけれども、高知、徳島が震災によって甚大な被害を受けるというふうに言われております。そういった意味で、香川県、愛媛県がバックアップ基地になることもあるかもしませんし、ほかの地域においても、そういったバックアップ基地をしっかりと強靱化、そういった準備をするために強靱化していくことが非常に有用かというふうに考えております。ぜひともそういったところについても取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 南海トラフ地震がこの三十年以内に七〇パーから八〇パーの確率で起きるとも言われておりますが、岩手県の震災においても、高い確率で来ると言われますと、本当に来たということがありました。ぜひともしっかりと、準備を怠らずにやっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 これで私の質問を終わらせていただきます。

うえの主査代理 これにて瀬戸隆一君の質疑は終了いたしました。

 次に、篠原孝君。

篠原分科員 民主党の篠原孝でございます。

 三十分間質問をさせていただきます。

 冒頭、少々抗議をさせていただきたいと思います。

 私も今、弱小民主党になりましたので、いろいろなことをやっていまして、ぎりぎりにここに駆けつけたんですが、大臣、おくれられたそうで、それはやはりよくないので、我が政権のときもそういう問題があって、こんなに大きく取り上げられたというのを覚えておられると思いますけれども、そういうことは絶対にないようにしていただきたいと思います。まず冒頭、これを申し上げておきます。これは答弁は要らないと思いますけれども、きちんとしていただかないと困りますので、ぜひそうしていただきたいと思います。

 それでは、きょうは選挙制度について、選挙制度というか、後で申し上げますが、選挙の仕組みですね。これについてちょっといろいろお聞きしたいと思います。

 インターネット選挙というのが解禁されるということで、僕は、本当は余りこういうのは得意じゃないもので、よくわからないんですけれども、世の中の進歩についていかなければいけないということでは、いいことではないかと思っております。

 ただ、そっちの方は進んでいるんですけれども、投票自体が全く前近代的なやり方で、名前を書いて、そして開票に物すごく時間がかかるということで全然改善が見られないんです。どこかで、何かこういうことを工夫して、もっと効率的にやっていこうかなという動きがほとんど見られない。

 そんな中で、前向きな市町村が一生懸命電子投票に取り組んでいるんですよね。外国はやっているはずなんです。インターネットの選挙の解禁も、外国の選挙はこんなのはもう完璧に解禁されているはずなので、だから日本もやらなくちゃとなったわけですね。そういう感じで、ほかの国のを学んでやっていくという姿勢が我が国にあるので、そこそこうまくいっているんだろうと思いますけれども、電子投票については、各国はどんなぐあいなんでしょうか。

新藤国務大臣 まず冒頭に、御指摘いただきました点につきましては、私も大いに反省をして、また、あってはならないことでありますから、これはおわびを申し上げたいと思いますし、以後もさらに注意をしてまいりたい、このように思います。

 また、各国の電子投票の状況でありますが、これは平成二十一年に国会図書館で電子投票の各国状況調査を行っております。それによりますと、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ベルギーにおいては導入されています。

 一方で、韓国では、導入の準備が進められていたものの、導入の予算が認められずに実現に至っていない、こういった例もあるということであります。

 また、ドイツとオランダにおきましては、電子投票の導入が行われていたものの、ドイツでは、一般住民が投票結果の検証を容易に行えない電子投票機を使用していたこと、それからオランダにおいては、投票データを盗み読みされる危険性を排除できない、そういった電子投票機を使用していたことを理由に電子投票が中止された、このようにも聞いております。

篠原分科員 各国いろいろ試行錯誤しているんだろうと思います。これは非常にいいことじゃないかと。我が国は、試行錯誤すらしていない。何にもしないでほったらかしでいて、何か相当時間がたってからやっとやり出す。これはやはりよくないんじゃないかと私は思っております。

 今大臣から、取り入れたけれどもドイツとオランダは、ちょっと住民の方からいろいろ問題があって、取りやめになっているのかどうかちょっとわからないんですが、完璧じゃないから取り入れていないんだろうと思います。ほかの国で導入している、今大臣が言われたのではアメリカやベルギーは問題なく続いているような気がするんですが、どういったことが問題だから電子投票が進まないのか、この点について総務省は把握しておるんでしょうか。

米田政府参考人 先ほど大臣の方からお答えをいたしました、国会図書館が平成二十一年に行いました各国の電子投票の状況の調査によるわけでございますけれども、電子投票を導入した国においての問題事例が報告されております。

 一つは、投票数を上回る得票が確認された事例が、これはアメリカであるということであります。

 それからドイツにおきましては、一般住民が投票結果の検証を容易に行えない電子投票機を使用していたということが言われております。

 それからフランスにおきましても、投票確認カードを出すような仕組みにしていたわけですけれども、これが現場で連続で発行されなかった。

 それから、これはオランダでございますけれども、投票のデータを盗み読みされる危険性を排除できない電子投票機を使用していたというような問題が生じているというふうに聞いております。

 先ほども話に出ておりました、ドイツ、オランダにおきましては、今のような問題点が裁判等々でも問題になりまして、最近電子投票を中止したというような報告がされているところでございます。

 以上です。

篠原分科員 今選挙制度も、制度というか選挙の仕組みというのはどの国もいろいろやっているはずなんですね。私は、これは〇増五減とかああいうのと比べれば、投票のやり方というのは技術的なことで、何で日本で進まないかなというのをつらつら考えると、どうも公職選挙法の改正というのは国会議員が中心になってやっている。その都度の思いつきで、思いつきなんと言っちゃったらいけないですけれども、いろいろ各党の対立があってなかなか進まない。だからほったらかしになっていて、それでついついおくれていってしまうというふうになっている。僕は、これはある程度仕方がないと思うんですね、政治家から見ると自分の生死をかけるようなものですからね。

 ですけれども、技術的なこと、こんなことはどんどんやったっていいんじゃないかと思うんです。しかし、総務省の姿勢を見ていますと、大臣、びしばしやっていただきたいんですけれども、どうも選挙のことについては、まあ国会議員にやらせておけばいいんだという感じになって、腰が引けているような気がするんです。

 ですけれども、この投票制度というのは、今言いましたけれども、電子投票導入については、国立国会図書館が四年前に調査したのがあるだけだと。全然各国の事例調査とかいうのも、僕は、議員団でやってもいいんだろうと思いますし、総務省自体がもっと責任を持って、総務省がちゃんと調べたと、いろいろ聞いている云々じゃなくて、やっておいてもらわないといけないんじゃないかと思います。効率、効率といろいろなところで、行革だ何だかんだというので効率的に何かをしようというような動きがある中で、選挙については、選挙というか我々国会議員の身の回りのこと、国会の周りのことについてはどうもおくれがちになっている。

 この選挙制度については、さっき言いましたように、我々国会議員がみずからいろいろ考えてやらなくちゃいけない。しかし、こういう機械的なことについては役所が責任を持ってどんどん提案していいと思うんですが、そういう体制になっていないんですね。大臣、ぜひきちんとリーダーシップをとられて、私は、少なくとも電子投票については相当役所がやったっていいんだろうと思います。国会議員もあれこれ言わないと思います。

 なぜかというと、インターネット選挙でちょっとそちらの方のIT化が進んだわけですね。投票制度、投票のやり方、これは極めて機械的なものであって、どの党がどうこうなんていうものじゃないはずなんです。ですから、役所が相当入れ込んでやってもいいはずなんです。今まで行われてきていないんですけれども、この点については、大臣からしかと命じてやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 その問題意識、また常にあらゆることに改善努力を続けていく、これは重要だと思います。

 一方で、私は、このような職をいただいて、大臣として進めるに当たり、やはり原理原則というか、何のためにそういったものがあるのかということもチェックした上でやろうと思っています。

 今回のことは、いわゆる選挙手続の中で最も中核をなすことであります。公職選挙法においては、選挙人が自己の自由なる手跡によって、独力をもって被選挙人の氏名を投票用紙に記載する自書投票主義、これを原則としているというのが我が国のこれまで取り入れてきた立場であります。この投票方法を変更するということは、これはもう民主主義の根幹をなすことであって、幅広い議論が必要だと思うんです。

 御指摘いただきましたように、電子投票制度の国政選挙への導入、これは、かつて平成十九年の六月に、自民党、公明党両党の議員提案で電子投票法改正案が提出されたんです。そして、同年の十二月には衆議院において可決をされ、参議院に送付されましたが継続審議となって、翌二十年六月の国会会期末の終了に伴って廃案となった、こういうことなんですね。

 ですから、民主主義の根幹をなす、こういったものにつきましては、これまでも議員提案というのがなされてまいりました。私たちは、別に自分たちの都合でとかそういうことではなくて、やはりこれは根本をなすものでありますから、国民の代表たる国会が議論をしていただくべきものだと思いますし、かつてそのような御努力もあったということであります。

 そして、国政選挙に至る前の地方選挙においては試行的に行われておりまして、その中でのいろいろな問題点や改善点というのが出てきております。ですから、そういったものも踏まえながら、また引き続き研究をしていくものではないか、このように思います。

篠原分科員 大臣の答弁を聞いていますと、慎重姿勢なんです。私もそれは同じなんです。大事なことですから、本格的な導入については徹底的に議論をしなければいけないと私は思っております。

 しかし、現実にどうなっているかというと、前向きな市町村がいろいろありまして、そういった、十団体が二十二回ほどやっているんですね。市長あるいは町議、市議、補欠選挙で、簡単に、三、四人しか立候補していないときにやっている。これは大事なんで、別に総務省がお願いしているわけじゃないし、市町村が苦労しているわけです。いつも夜中までかかって開票作業している。これをもうちょっと効率化できないかということで試行錯誤している。

 問題は、試行錯誤してやっているのが市町村レベル。そこのところの選挙までしか、あるいは、多分、どうなんですか、後から事務方から聞いてみたいんですけれども、県のものまでもやっていいのかどうか知りません、少なくとも県全体でやったのはない。市町村レベルで一生懸命やっている。

 だけれども、一番頻繁に選挙が行われるのが衆議院選挙なんですね。それについてやってみる、試行的に試してみるということができないでいるんですよね。僕は、本格的な導入については、大臣の答弁の中にありましたとおり、いろいろ議論する必要があると思いますよ。しかし、一生懸命、こうやってみる、ああやってみるとやっているときに、一番頻繁にある衆議院の選挙を試しにやれないというのは、これはやはりよくないんじゃないかと思っているんです。

 この点、今の制度のところでどうなっているのかなと思うんです。市町村が、例えば岡山県の新見市とか三重県の四日市市とか、ここはずっと何回もやっているんですよ。こういうところが、何の問題もないから衆議院選挙の分までやらせてくれと言っているはずなんです。何でこれができないのか。法律がないからできないんですが、その前に、県議選や県知事選のことについてはできるようになっているんでしょうか、なっていないんでしょうか。

米田政府参考人 現在は、条例で、策定をいたしましたときに、できるということになっておりまして、それぞれ自分のところの市議、市長ということになっておりますので、その上の県議のところはできないことになっております。

篠原分科員 それでは、市町村が条例で、例えば、一番真面目に一生懸命やっている岡山県新見市が、県議選、知事選も自分のところのだけはやりたいと言ったら、条例を改正したらできるんですか。

米田政府参考人 現在の法律上はできないということです。

篠原分科員 できない。だけれども、ほかのところじゃなくて、自分のところのは自分のところで責任を持ってやる、自分のエリアですね。それで何回もやっているんだからそんなへまはしないと言ったら、できていいような気がするんですけれども、それは、条例をつくってやったらできるんじゃないんですか。何でできないんですか。

米田政府参考人 現在の法律におきましては、条例で定めるところにより、当該地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に導入することができるということになっておりますので、そこの市がつくりましても、そこのところはできないということになっているかと存じます。

篠原分科員 それは、地方分権とか言ったりしていますけれども、どうもおかしいんですね。

 大臣、今議論を聞いて、どう思われますか。

 これは何で聞いているかというと、全体にやろうとしているわけじゃなくて、もう何回もやって自信があるわけです。それを、自分のところの市長の選挙、自分のところの市議会議員の選挙しかできなくて、県議選が、よくわかりませんけれども、これはちょっと調べてありまして、新見市の中だけでやる県議の選挙が、新見市とほかのところでの、まあ四人区、五人区になっているかどうかは知りませんけれども、例えばこういう仮定です。新見市から県議三名選んで、新見市だけの県議選だと。そこを何でやれないのか、そこだけで。ほかのところに波及することはないわけです。

 知事選になると、新見市だけ投票がおくれて変なふうになって、全体の投票結果に悪影響を及ぼすというのでは、できないような気がするんですけれども、どうしてそういうところまで規制するのかなと。

 では、市町村のは、そこが独自にやっているのはある程度いいかげんでいい。ちょっと上の方になると、ちょっとでもおかしなところがあるというのは、やっちゃいけない。どうもそういうところがよくないような気がするんですけれども、もう一回、今やっておりましたから、確認したいんですけれども、できないんですか。

米田政府参考人 先ほど申し上げましたように、当該地方公共団体の議会の議員及び長でございますので、市がつくっただけではできません。

 ただ、ちょっと補足いたしますと、自分のところの県議会それから県知事の選挙について、県で条例をつくりますと、導入は可能でございます。

篠原分科員 では、聞くつもりはなかったですけれども、今のでいって、県でやると言ったら、県全体のも県で決めたら、県知事選挙と県議会議員選挙は一気に、例えば岡山県で一気に試験的に導入できるんですか。

米田政府参考人 県の場合は、どちらにしましても、実際にやりますのが市町村でございますので、県の条例にプラスをいたしまして、その当該の市町村の条例でも自分のところでやるという両方がないと、できない仕組みになっております。

篠原分科員 ちょっとよくわからないんです。

 僕は何を申し上げたいかというと、一生懸命やっている市町村がある、それで、もっときちんとやって、もっと精度を高めていきたいと言っているときに、自分のところのしかやらせない、ほかのところはやらせない、こういう姿勢じゃ、絶対よくないと思っているんですよ。ここのところがどうもおかしいんですね。

 今大臣が、一度、議員提案で出ていたと言う。僕はそれにかかわっているんです。実は、倫選特には結構委員になっておりまして、衆議院では、採決して、修正はちょっとあったんですが、それを参議院に送ったんですが、参議院で大もめにもめまして、余りないことなんですが、自民党提案の議員立法で民主党も賛成して、参議院に行ったら、自民党の一部の参議院議員がわあわあ、騒いでなんて言っちゃいけないですけれども、いろいろ御意見を申されて、それで通らなくて、だめになったんですよ。こういう変則的なものになっちゃったんです。

 これも、聞いてみるとわからないではないんです、理屈は。いや、いいけれども、参議院の比例区はどうするんだ、どうやってやるんだと。もうぶわっと候補者がいるのに、それをどういうふうにボタンを押してやるのかというのがよくわからないし、ちょっといろいろ問題が多いんじゃないかと。わかるんです。ですけれども、それだったら、もう一歩前進して、では、参議院の比例区は、ちょっとよくわからないからやめてほしい、だけれども、衆議院と参議院の地方区はやったっていい、試しにやってもいいというのがあってもいいと思うんですが、何でそういうふうにならないのかなと。

 そして、これは、試しにやっているわけですから、試しにやろうとしているところの芽を摘んじゃいけない。だから、みんな誤解しているんです。電子投票法というと、一気に電子投票になるのかと。機械音痴のそういうのが苦手な議員がいっぱいいますよね。拒否反応があるんだと思います。違うんですね。試しにやっているところの、国の選挙も試しにやらせたい、それだけの法律なんですけれども、なかなか通らないんです。

 だから、これはやはり技術的なことだし、大したことないんで、そのぐらいは本当は閣法で提出していただきたいんです。

 埼玉県で一生懸命やっている市町村があるかと思って探したんですけれども、埼玉県の市町村は余り意欲的じゃないんですね、様子を見ている市町村ばかりで。ですけれども、青森県の田舎の町とか福島県の村とか、いろいろ試行錯誤してやっているんです。手間がかかるから、これを何とかして効率化したいというのは絶対あるはずなんです。その芽を摘んでは絶対いけないと私は思っているんです。

 だから、我々国会議員も責任を持たなくちゃいけないですし、選挙制度についていろいろ考えている総務省選挙部でちゃんと考えて、きちんとした法案をぜひ提出していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 まず、委員も触れられましたが、電子投票を国政選挙に導入する法案、この際の審議のポイントになりましたのは、参議院の比例代表選出議員の選挙における名簿登載者をいかに電子投票機に公平に置くかと。順番で、多分ですけれども、先の方が目に入っちゃうとか、そういうような一つの論点があったというのは聞いております。

 委員のように、衆議院選挙で先行すべきだ、こういうことを望む方がいる一方で、やはり投票方法は衆参共通にすべきだ、こういう意見もある。また、電子投票システム上の問題点の議論を尽くした上での国政導入を図るべきだ、こういう意見があったということも承知をしております。

 いずれにしても、これは研究は絶やさずにしていくべきだ。将来、いろいろなことというのは、どんどん世の中は変わってきますから、私が踏み込むことではありませんが、投票所に行かなくたってよくなっちゃうわけです、本人確認さえできれば。そうすると、選挙制度そのものが大変質してしまいます。区域の選挙が成り立つかということもあります。ですから、これから時代が、いつ、どうなるかわかりませんが、変わっていく中で、こういった効率化という観点、それから省力化という観点からの研究は進めていくべきだというふうに思います。

 また一方で、しかし、こういう改革は、まさに根幹をなすものでありますから、これについてはより慎重な検討が私は必要だと。

 また、そういった選挙の意義というものがございます。ただ便利なだけで済むとも思いません。やはり自分の思いを票に託すわけでありまして、選挙制度については、今般、別の観点からの御議論もいただいております。そういった本当に深い、大きな問題であります。

 現行においては、いまだに、地方自治体においても、十団体で二十二回行われておりますが、千七百を超える団体の中で十団体で今試行的に行われている、こういう状況で、しかもまたそれらの課題が出ている、こういう状況もございます。ですから、それらも踏まえまして、私とすれば、これは慎重に、しかし不断の研究を続けていきたい、このように考えます。

篠原分科員 その点は、何度も繰り返して済みませんが、大臣と全く同じなんです。本格的に全部に導入するかどうかというのは絶対に慎重であるべきだと思います。しかし、やってみなかったらわからないわけですよ。

 それで、ドイツとかオランダは、やってみたけれども、住民からいろいろ、盗み見だとか検証できないとかいうのでストップがかかったりしている。そういう国さえある、やってみて、問題があって、直してという。我が方は、試行的にやっている市町村をバックアップする姿勢が見られない。総務省がちゃんと研究してやっているのだったらいいんですけれども、むしろ、総務省の選挙部が頼んでやってもらって、どこが問題があるかというのをおたくの市町村でやってみてくれないかといって、それを何回もずっとやって、どこが問題だ、こういうやり方にしてくれ、こういうやり方でやってみてくれというふうにやっていかなければいけないことだと私は思っているんです。

 それを、そんなのじゃなくて、自分たちが苦労してやっている。市長選挙、市議会議員選挙は、不祥事がなかったら四年に一回しかないですね。衆議院選挙の方が相当頻繁に行われているわけです。余り頻繁にやってもらいたくはないんですけれども、やっているわけです。その機会も摘んではいけない、そのぐらいのことはやったっていいんじゃないですかということで、これを言っている。同じなんです。一生懸命やっている市町村の芽を摘むようなことは絶対してはいけない。これが一つです。

 効率的なことでいうと、もう一つ。

 私の地元の長野県中野市の市長選挙があったんですね。これで、へえと思ったんですが、私はほとんど選挙を欠かしたことはないんです、国会議員になったりする前からです。

 そこに行ったら、鉛筆が置いていないんです。何か棒が置いてある。あれっと思ったら、判こなんです。丸印があるんです。二人の争いだったんです、三百票差で決したんですが。片方の上のところに判こを押すんです。へえ、こんなことができるのと言ったら、条例でできるんだと。そうすると開票が楽なんですね。名前の確認をしなくて、判こが押してある。はみ出したところに押したのは無効票にすればいいので。多分、そこまで聞いてきませんでしたけれども、機械でばあっと見てそれはできるんです。そういう工夫もしているんですね。だから、こういうことをやっている。

 これは多分できるんでしょうけれども、これ自体、国政でもできるのかなという気がするんですが、どうなんでしょうか。

米田政府参考人 お尋ねの、記号式の投票でございます。

 この記号式投票につきましては、一般論といたしまして、投票の効力の判定が容易になって疑問票、無効票が減少する、それから選挙争訟が減少する、選挙人が短時間で投票できるようになる、投票の秘密が確保しやすいといった利点が挙げられております。

 一方で、立候補届け出の締め切り前には投票用紙を作成することができない、したがいまして、期日前投票や不在者投票については、自書式投票にならざるを得ないといったような課題も指摘をされてまいりました。

 現行の公職選挙法におきましては、地方公共団体の議会の議員または長の選挙について、条例で定めるところにより記号式投票制度を導入することとされております。

 一方で、国政選挙でございますけれども、これは平成六年の公職選挙法の改正によりまして、衆議院議員の選挙について記号式投票制度が一旦導入されましたけれども、一度もこれは実施されないまま、翌年、平成七年の改正、これは議員立法でございますけれども、これによりまして、自書式にまた戻ったというような経緯があるものというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、国政選挙における記号式投票の導入などの投票制度の見直しにつきましては、まさに選挙制度の根幹にかかわる事柄でございますので、各党各会派で十分御議論をいただきたいというふうに存じております。

篠原分科員 インターネット選挙もそうなんですが、さっき大臣が答えられた、インターネット投票のことをおっしゃったんだろうと思います。抽象的に言ってもわかると思いますけれども、参議院のこういうところの得意な人に何で反対するのかと言ったら、いや、篠原さん、電子投票を飛び越してインターネット投票にしちゃった方が簡単だから、あんなものは要らないんだとか言っておられた。だけれども、ステップ・バイ・ステップ、徐々にというのがあるので、私は、電子投票もやってみるし、記号式もやるというのも絶対必要だと思うんです。ぜひそれは工夫していただきたいと思います。

 そして、投票率を高める、みんな、政治に参加してくださいと。先週行われた市町村長選挙はみんな低投票率だったと報じられています。問題だと思うんです。政治がごちゃごちゃして何をやっているんだかわからないというのもあるのかもしれませんけれども。

 我々の選挙のとき、私の長野県中野市が長野県下で一番びりの投票率だったんです。某先輩から、篠原孝も地元でもとうとう飽きられたとかいって冗談を言われましたけれども、実はそうじゃない、それもあるかもしれませんけれども。違うんです。うちの市はぼけたことをしまして、投票所の統合をしたんです。何と一番長いのは、四キロ歩いていかなければならない。年寄りは、年寄り夫婦、車もない。投票に行けないんです。長野の十二月十六日、雪道です。寝たきり老人になる確率はどうかというと、骨折で寝込んで、そしてそのまま立ち上がれなくなる人が多いわけです。

 私は、本当に時代に逆行することをしていると思うんです。選挙制度について、選挙なんかでは手間暇、金を惜しんではいけない。公民館、公会堂がすぐ近くにあるわけです。そこで知っている人がいて、区長さんがいたりして、委託してやっているわけですよ。お茶も出て、ばあちゃん、よく来たね、しばらくだね、お茶を飲んでいってといって、投票が終わってからお茶を飲んで帰れると楽しみに行かれる。そういうのがあって、四キロ先、どうやって歩いていくのか。絶対やっちゃいけない。

 これは、総務省の方で、法律で云々じゃなくて、絶対きちっと指導して、投票所の統合は、高齢化していくんです、もっと近所で投票できるようにしていっていただかなければならないと思うんです。

 この点、大臣の地元は都会でそういうところはないかと思いますけれども、私のところなんかは、山の中で、そんなところばかりなんです。そういうところは、限界集落、六十五歳以上の皆さんが半分以上になっている。この人たちが投票に行けなくなっちゃっているんですね。これは絶対改めていただかなくちゃならない。改めるじゃなくて、むしろ逆で、投票所はなるべく近くにしろ、そうしておかなくちゃいけないというふうにやっていっていただきたいんですが、この点について前向きの答弁をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

新藤国務大臣 投票は国民に与えられた権利であります。最も大事な権利の一つであります。ですから、それを行使できるように、総務省としては、各選挙を運営する選挙管理委員会に対して適切な指導助言は行っていきたい、このように思います。

 そして、そういういろいろな事情があると思います。投票所の統廃合や、それから時間の変更、こういったものは法律の範囲でできるわけでありますが、例えばですけれども、投票所の増設、これはシンプルに投票所を増設したらどうだということ、それから移動困難者に対する巡回バスの運行、こういったものも要請をしています。

 さらには、外出時のヘルパー利用に係る経費負担の免除、こういう規定もあります。それから、投票所から帰宅手段のない選挙人の送達、さらには、身体障害者や高齢者限定でありますが、民生委員による自宅から投票所までの送迎をやっている。また、無料乗車券を発行している、送迎の船を運航している。それぞれ数は多くありませんが、いろいろな工夫をしているところもございまして、そういったものを我々も事例紹介しながら、各選管に対して助言を行ってまいりたい、このように思っております。

篠原分科員 いいことを聞きました。

 私が見ている限りでは、介護施設なんかは、ちゃんと行って、そこで投票できる……

うえの主査代理 質疑時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

篠原分科員 だけれども、自宅にいて一生懸命仕事をしている人がかえって行けなくて差別を受けている。これはやはりよくないと思うので、ぜひこの点を改めていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 超過いたしまして、失礼いたしました。

うえの主査代理 これにて篠原孝君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 民主党の武正公一でございます。

 まず、新藤大臣、総務大臣御就任おめでとうございます。お隣の選挙区でございますし、埼玉県から総務大臣ということで、特に、地方の所管、また、この後触れる電波、あるいは消防、そしてまた、新政府にあっては地方分権、我々は地域主権と言いましたが、そのほかさまざまな案件を所管する総務大臣、その手腕、埼玉県選出の国会議員としても大変御期待を申し上げたいというふうに思っております。

 きょうは、電波のオークション、あるいはまた一括交付金、国の出先機関の見直しと、前政権時代取り組んできたところについて、大臣の御所見、また方向性を伺えればというふうに思っております。

 時間も限られておりますので、そういう大きなお話ができればと。ただ、大事なところが細部に宿るということもありますので、ちょっとその点はまたお聞きすることもあろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、私は、二〇〇〇年、平成十二年初当選。そのときは、まず逓信委員会、今の総務委員会の前身に所属しまして、初質問は電波の、当時、ADSLというんでしょうか、光ファイバーを政府は進めようという方針でしたが、具体的には、そうした新しい電波、電線を高速で使える方式が普及をしておりましたので、こういった方式を取り入れるべきではないのかというようなことを初質問で取り上げたことがございます。結果、そうした形が進み、追いかけるように光ファイバーというようなことも同時並行で、相互に競い合うような形で、一挙にこの十年間でIT化が進んだという背景がございます。

 当初から電波のオークションということを逓信委員会そして総務委員会で取り上げてまいりまして、民主党のマニフェストに入れ、そして法案提出、これが昨年三月九日閣議決定、衆議院に付託されたのは九月六日ということでありますが、そういう形になりました。

 その背景というのは、やはり電波は国民共有の資源である。あわせて、電波には経済的価値があるんだ。こういった認識から、国民共有資源を有効利用しよう、電波の有効利用。そしてまた、そのためにも、経済的価値が電波にはあるので、やはり市場にそれを問うて、経済的価値が高い電波については、落札された方にそれなりの対価を払ってもらおう。それが電波の、あるいはITの、さまざまな施策に活用される財源となったり、あるいは、結果的には国庫収入ということで国の財政にも寄与する、こういったことで臨んでまいりました。

 もちろん法案も、野党時代も二度提出しております。政府は昨年提出をしておりますが、そのときには、野党時代の案も、全てを電波のオークションにかけるということではなくて、何をかけるか何をかけないか、それは、今は電波監理審議会がありますが、第三者委員会、民主党の案はそれをもうちょっとグレードアップして通信・放送委員会、三条委員会にということで、そこで決めようというようなたてつけにもなっておりました。特に放送の方々からいろいろ懸念の声もあることは聞いておりますが、私の答弁でも明確に、放送などは除外をするというようなことも言っておりまして、そういうような中で今日を迎えたわけです。

 総務大臣就任のときに、記者会見でこの電波のオークションについて御発言をされておりますので、改めてその御発言を伺いたいということと、その発言の真意、そしてまた、今大臣として、この電波のオークションについての考え方、これをお聞きかせいただきたいと思います。

    〔うえの主査代理退席、主査着席〕

新藤国務大臣 まず、冒頭、エールをいただきましたが、私も、武正委員から質問を受けることは光栄でありますし、やはり顔を見ると大変うれしくなるわけです。隣の町の、お互いに隣同士として、これまでもいろいろな場所で顔を合わせてきました。所属政党は違っても志は同じだと思いますし、国会で委員が活躍されていることは私も喜んでおります。ですから、ぜひ建設的ないろいろな御意見をいただき、私もそれは真摯に受けとめていきたい、このように考えています。

 さらに、この電波行政の分野に大変熱心に取り組まれてきているということは、総務省の中でもそういった声がございまして、それも敬意を表したいというふうに私は思います。ですから、全て委員はもう御承知のことでありますので、多くは語りません。

 しかし、オークションの透明性、迅速性の確保などのメリットがある一方で、やはりデメリットがございます。そういったものも含めて、この周波数オークションも含めた周波数の割り当てのあり方について見直しが必要だと。

 なぜならば、出された法案は廃案になりました。ですから、私はそれをそのまま受け継いで、無条件に出すことはしない、こういうことを記者会見で申し上げたんです。デメリットもあり、メリットもある、そして、分野に絞ってのいろいろな工夫も必要だ、今委員もおっしゃいました。ですから、あらゆることを含めて我々は見直しをしたい、私もこの分野でいろいろな研究を進めていきたいと思ったんです。

 ですから、就任早々に電波オークション法案は出しますかと言われれば、私が着任をして、まだその分析も済んでいないうちにそのまま出すことはいたしません、しかし、それはやめるということではなくて、これまでの経緯も踏まえて検討をするつもりでありますと。議事録というか会見録をお読みいただいたと思いますが、そういう趣旨であります。

 いずれにしても、電波は有用かつ貴重な資源でありますから、これをどのように有効活用していったらいいか、また、事業者や、最終的には利用者に対する安定的な利用が図られるためにはどうしたらいいのか、これは引き続き研究をしていきたい、このように考えています。

武正分科員 引き続き研究ということを伺いました。

 もう既に政府におかれましては、研究会ですか、これが一回目、二回目ということで開催もされているということを伺っております。ただ、これは、電波のオークションに関する研究会ということではなくて、電波利用料の見直しに関する検討会という名称でございまして、この中で電波のオークションも含めての検討も行っていくということだというふうに思います。

 そこで、ちょっと先ほど触れたんですが、電波に経済的価値がある。これは総務委員会でも、時の総務大臣であった片山虎之助大臣とやりとりをして、何度かやりとりをする中で、経済的価値があるんだ、そのことは認めるというような御発言もあり、そしてまた、電波のオークションについても、たしか三年かけて検討するというような御発言もありというような経緯で、総務省さんも前向きに取り組みをいただいて法案提出に至っております。

 そこで、電波に経済的価値があるといったことについては、大臣としてはどういう認識をお持ちでしょうか。

新藤国務大臣 まさに、電波を使い、新しい事業が生まれ、そして新しい暮らしが実現できるというふうに思います。そして、我々には見えませんが、我々が得ている貴重な資源でもあるわけでありまして、こういったものを活用する、これは経済性は極めて高い、このように思います。

武正分科員 電波の経済的価値をしっかり御認識いただいているということを確認させていただきました。

 そこで、今お手元に資料をお配りしましたが、これは総務省さんが配付をされている資料であります。

 復習するために今議事録を全部見ていたら、私がさきに委員会で質問に立っていたころは、たしか携帯電話の利用者が一千万台というようなやりとりがありました。それがもう、今は一億台を超えていると思います。人口というか、お子さんは別として、大体このぐらいで頭打ちだろうと言われたのが多分八千万台、九千万台ぐらいだったと思うんですが、それからさらに一億台、あるいは一億二千万台とかいうような形で飛躍的に伸びているのは御承知のとおりでございます。一人で二台、三台といったこともありますし、また、そうした電波通信に関する技術革新を経て、特に今は、携帯電話についてはスマートフォンということでもさらにまた需要が伸びているということは、もう大臣御承知のとおりであります。

 あわせて、移動通信トラフィックの推移ということで、電波が大変逼迫をしている、こういう状況が続いております。これは、台数が人口よりもまたさらにどんどんふえていく、しかも利用が、非常に高速あるいはまた大容量、こうしたものが可能になるような技術開発も進んでおりますので、当然ニーズがあるところにまた需要が生まれ、そして供給がされることによって需要が生まれというような作用もあるのかなというふうに思っております。

 こうした電波の逼迫状況についての大臣の御認識、そしてまた、それにどういうような形で対応ができるのか、あるいは対応を考えておられるのか、伺いたいと思います。

新藤国務大臣 御指摘のように、スマートフォンの普及が主な理由になるのかもしれませんが、移動通信のトラフィックは年間約二倍のペースで増加しているということであります。

 そして、その増加するトラフィックに対応するために、周波数を効率的に利用する技術、これはデジタルで圧縮するということですね、そういった技術であるとか、それから高い周波数への移行を促進する技術、こういった電波を効率的に利用するための研究開発を総務省で推進していきたい、このように思います。

 そして、周波数の追加割り当ても行っているわけであります。移動通信用の周波数としては現在約六百メガヘルツ幅を確保しておりますけれども、二〇二〇年までに千四百メガヘルツ以上を新たに確保して、結局、今倍々でふえているわけですから、少なくとも二〇二〇年までに合計で二千メガヘルツのそういったものを確保したい。ですから、現状の三倍を確保するような、そういった取り組みを今やらせていただいております。ぜひ積極的にこの問題には取り組んでいきたいと思います。

 さらに、後ほどの質問にあるかもしれませんが、この通信は、例えば今度はビッグデータが本格的に導入されるとなるとまた全然違う次元でふえるし、使い方が変わってくるのではないかと思います。そういったことの研究も今始めているところでございます。

武正分科員 二〇二〇年までに電波帯をさらに確保する、また、それをビッグデータも含めて活用というお話でございました。

 では、どうやって活用するのか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。どうやってその電波帯を確保するのか、どういうふうにお考えになっておられるのか。

新藤国務大臣 これは、まさにそこが研究開発なんですが、周波数の再編ですとか、それから今言いましたような圧縮技術だとか、いろいろなものを使って、いかに効率をよくするか、また、今まで使われていないところをどのように使っていくか、こういったことだと思います。

武正分科員 そのときに、電波のオークションというのが必要じゃないかということで、私はやってきたんです。

 総務省が考えられて、また八条委員会の電波監理審議会に諮問されて、それで進める、あるいは検討会とか第三者の機関を使うのもいいんですが、やはり市場に、この帯域、電波を有効に使いたいという参加者があれば当然お金が出てきますので、そのお金をもって今までの、既存の利用者が移動するとか退出をするとか、そういうようなメカニズムができる、そのためにオークションというのがいいんじゃないかと言っているわけです。

 この間も、さっきの十三年を振り返りますと、最初は、誰がどの帯域を実際に使っているのかが、総務省さんに聞いてもよくわからない、総務省さんも余り明確に公表しないということがまずありました。ですから、片山大臣、麻生大臣も初めとして、そういうのはやはり調査をしっかりやって、それをオープンにしてください、透明性を確保しましょうというやりとりもしてきて今日に至っています。

 また、特に公的セクターが、役所でいえば国土交通省とか防衛省とかあるいは消防とか、随分いろいろ電波帯を保有していますので、それが本当に活用されているのか。役所も、使っていないところはやはり出してもらおう、そういうやりとりもして、今そういう形にもなってきているということなんです。

 そこで、次の質問に移りますが、資料の二枚目です。

 これは、前政権時代も、この七百、九百をどいてもらって、それでそこに、下に書いてありますが、九百メガヘルツ帯はソフトバンクモバイル、七百メガヘルツ帯はイー・アクセス、NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラーを認定した。このときに、どいてもらうときに、我々は、電波のオークションをここでやろうよという話をしたんですが、そこはなかなか総務省さんと折り合いがつかずに、まず疑似オークションということで、引っ越し、出ていく人たちと、それから入りたい人たちがお互いに話をしてもらって、希望者にも入札というか、価格を提示してもらって、上限だけ決めましょうと。たしか上限は二千百億ということでお互いに話をしてもらって、価格が決まって、それで退出をする、そこにこれら四社が入るという仕組みがとられました。

 ただ、私がそのときに言ったのは、やはり国庫に一度入れて、それで退出者にお金を払うというような仕組みをとった方が、もともとこの電波帯は国民共有の資源であって、国の持っていたものを、まあ、以前はそんなに国民共有資源だという話とか、電波に経済的な価値があるからちゃんと対価を払ってねとか、ましてやオークションなんという話もなかったですから、先に手を挙げた人たちがいろいろな形で電波を使っていった。わかりやすく言えばそういう歴史だったと思うんですね。ですから、占有者ということで占有権はもちろんありますが、そういう中での電波帯ですから、これだけ政府もあるいは国民も電波を有効活用しようということなので、やはり透明性が必要だろう、だから、やはり政府を通じて、国庫を通じてのやりとりにすべきでないかと言ったんですが、我々、政府・与党の一員でもありましたが、そこまでは行かなかったんです。

 だから、実際に幾らで価格が折り合ったのか、公表されていないと思うんですが、これはそういったことでよろしいでしょうか。その七百、九百メガヘルツ帯で、引っ越し費用、参入者に、幾らで結局折り合ったのか、こういったことは公表されているんでしょうか。

新藤国務大臣 それは周波数の移行に係る費用負担ということで理解してよろしいんでしょうか。

武正分科員 まあ、費用負担もそうですね。この仕組みは、まず、出ていってもらう人たちは、出ていくためには機械の設備とか周波数変更とかいろいろなことをやらなければなりませんので、引っ越し費用というようなことになりますが、そういうことでお互いに価格を折り合ってくださいということで価格が決まったはず。高騰しないように上限は決めましょうと、二千百億円というのが決められたというところまでは承知をしているんですが、時の与党でもありましたが、それは公表できない、民民の話だということだったんです。

 そのようなことで、改めて確認をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今私の方で把握しております数字を申し上げますと、おっしゃるように、九百メガヘルツ帯についてはソフトバンクモバイルが、二十五年度の末までに移行することを目標にして、既存システムの移行に要する費用負担、これは二千百二十二億円を支出する計画となっておりました。そして、平成二十四年の十二月末時点で約十四・三億円が支出されているという状態であります。

 それから、七百メガヘルツ帯につきましては、イー・アクセス、NTTドコモ及びKDDIが費用負担として千五百億円を支出する計画であります。現時点では支出はなされていない、こういう状況でございます。

武正分科員 巨額でありまして、また、実際に、その支出についても、政府が間に介在するわけではなくて民民の間ということなので、私は、正確な額についてなかなか承知できなかったわけです。

 今御説明をいただきましたが、この額についても、先ほど触れましたように、国民共有の資源の電波帯を、どいてもらって新たな人たちに参入をしてもらうという仕組みでありますので、やはりそれが国民にわかりやすい形で示されるべきだというふうに思っております。

 今、七百、九百の話をしましたが、昨日発表になった世界経済フォーラム、大臣が新聞を見られたかどうかわかりませんが、夕刊に出ておりました。

 IT競争力で、日本が、昨年は十八位だったのが二十一位に後退した。携帯電話料金の安さについては、百三十八位から百三十六位と、ちょっと上がった。御承知のように、日本は携帯電話の通信料が高いとされているわけですが、ちょっと改善した。ただ、固定ブロードバンドサービス料金は十四位から二十一位に後退をして、この分野で十八位が二十一位に後退をした。IT活用度については、企業は三位から二位に上がったけれども、政府は二十一位から二十七位に後退。

 政府もまだまだITに取り組まなきゃいけないんですが、やはりIT競争力ということからいっても、今の例でいうと、固定ブロードバンドサービス料金が十四位から二十一位に後退といったことも含めて、ある程度競争を促していくことによって価格が下がって利用者の利便性に供するといった仕組みも、先ほど言ったオークションには、制度設計がされているわけです。

 さっきの話ですけれども、この七百、九百のときも、結局、この四社以外に手を挙げたところはあったんでしょうか。このときに四社名前が出ていますよね。ソフトバンク、イー・アクセス、NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー、まあ、五社、これ以外に手を挙げたところはあったんでしょうか。

新藤国務大臣 それは、手を挙げたところはなかったというふうに聞いております。

武正分科員 今後、四ギガ、四Gとか、あるいは新たな、先ほど触れましたような電波帯を供給するんだというお話もあります。ただ、そのときに事業者が、今、携帯電話事業者は、イー・アクセスは、この後触れるように、ソフトバンクの完全子会社化したことによって、大手三社というような形にも絞られています。

 電波帯が供給される中で、ある面、事業者がふえることによっての価格の低下、競争といったことを促すという意味からいうと、オークションということは大事ではないかというふうに思うんですが、この点、先ほどもオークションについては御認識いただいていますので、これは私の指摘にとどめさせていただきます。

 そこで、今ちょっと触れましたが、イー・アクセスの完全子会社化。これは、ソフトバンクがイー・アクセスを買収したんですが、その背景をどういうふうに認識されているのか。また、そのときの完全子会社化の買収金額、ソフトバンクは一千八百億というふうに公表していると思うんですが、この点、わかりましたらお聞かせをいただきたいと思います。

新藤国務大臣 今回の経緯というのは、これは委員が御承知のところでありますから、私より詳しいんですから重ねません。

 現状で子会社化しておりますが、議決権ベースで三分の一未満であるということでありまして、結果的にソフトバンクが今回の七百と九百両方にまたがる形にはなっておりますが、仮に子会社化が行われた後に申請があったとしても、法令上は問題がない申請になる、こういうふうに私は理解をしております。

 しかし、基地局の整備計画の実施に支障が生じるようなことがあれば、そこは我々の方でよく指導監督しますし、最悪、割り当てが取り消されることもあるわけでありまして、約束はきちんとそれぞれの会社においてやっていただかなければならない、こういうことであります。

 どのような費用を要したのかということについては、私はちょっと把握をしておりません。

武正分科員 報道ベースなのか公表ベースなのかわかりませんが、一千八百億という金額には接しております。

 これだけ巨額な買収をされる背景ということを私は聞きたかったんですが、要は、多分電波の逼迫状況でイー・アクセスの買収といったことが、やはり背景、大きな原因だったというふうに私は思います。

 そういう、企業買収をして電波帯を確保するというやり方ももちろんアメリカではありますが、わかりやすいのは、先ほど触れた、国民共有の資源ですから、経済的価値があるわけですから、それはやはり市場に問うて、そしてオークションの中で電波帯を確保するという方がより透明性があるのではないのかというふうに思うわけです。これについては、私の意見ということで申し述べたいと思います。

 時間ももう限られておりますので、最後に、地域自主戦略交付金、これも廃止をされてしまいまして、残念だなというふうに思います。

 理由は述べておられますが、我々も、政権運営の時代にこういうふうに言われました。

 わかりやすく言いますと、地方議会も首長さんも、大体、どちらかというと、やはり自民党さんの推薦の首長さんや、あるいは埼玉もそうですが、議会も多数を占めておりまして、一括交付金という形である程度自由度を与えても、我々は当時与党でしたが、地方議会とか地方の首長さんではそれほど議席を持っていなかったり、推薦の首長さんも少ないわけです、結局、手柄は自民党さんの首長さんや議会に移るんだから、余り、そんなに一括交付金なんかするのはどうか、こんな声も実は述べられたこともあるんです。

 ただ、そのときに申し上げたのは、やはり地方自治体の自由度、特に権限、財源をというふうに長年分権の議論の中で述べている要望もあるので、これを試行的にやってみようということもありました。

 初年度は都道府県、二年度は政令市、そのときに中核市もどうかという話もしましたが、結果、中核市は難しいと。一方、市長会からは反対とか出たり、これは国の出先機関ですけれども、なかなかちょっと地方団体との意思疎通が難しかったんですが、ただ、そういう流れはとめるべきではないというふうに思うのです。

 この一括交付金の廃止の真意と、そうであれば、では、今、大くくりでというような話は聞いています、社会資本整備交付金のようなものをもっと大くくりにするんだと。ただ、私も財務省にいたのでわかるんですが、これはまた、大くくりにすると、今度、そのお金が何に使われたのかがなかなかわからなくなるといったこともありまして、やはり地方に任せるというのが一つ基本ではないのかな。役所にまたそれを戻して大くくりにすると、透明性という点からも問題もあります。

 この一括交付金の廃止についての真意と、では、これからどうするんだということについての大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 私は、これは一貫して、発展的改善だとずっと申し上げております。しかし、民主党の皆さんからは、そんなこと言ったって廃止したじゃないかということでお叱りを受けているわけでありますが、制度としてはそういうものがございましたから、これは一度廃止をして、新たな制度にするわけであります。

 でも、心とすれば、委員がおっしゃるように、まさに、より自由度を高める、そうした中で地域の自主性に委ねた仕事をしていただけるようにするということ。それに加えて使い勝手をよくするということが重要だと思います。

 試行錯誤と委員もおっしゃいましたが、これまでの自主戦略交付金は、結局のところ、手続が二度にわたり、内閣府に出しながら、そしてまた、予算執行は内閣府から各担当に移すんですね。ですから、それぞれとの打ち合わせや手続が出てきます。それから、それに伴う添付書類だとか、いろいろなものがやはりあったわけであります。

 ですから、私とすれば、まず、手続は一回で、話し合いも一度で済む。それから、使い勝手は、今までのくくりよりもさらに大くくりをして、かつ、社会資本整備交付金であれば、県と政令市にしかできなかったくくりの事業を、市町村まで含めて大くくりにいたしました。

 それから、金額も、民主党さんが当初考えていたのは一兆円でございましたが、それは六千億にとどまっていたわけでありまして、私とすれば、それは、いろいろな工夫をしながら、九千七百でしたか、そのぐらいまで上げました。そして市町村にも使っていただくようにしました。

 それから、農業の分野においては、実は、交付金の枠の中で、自主戦略交付金だけ特出ししているんですね。同様の交付金があと三つも四つもあったんです。ですから、そういうものは一つにくくって、その中で自由にお使いください、こういう改善をしたんです。

 最大の問題は、地方にお渡しします、しかし、それがどう使われたかがなかなかチェックしづらい、また把握できない状況になっていたのは、これはいささか問題だというふうに私は思っているんです。

 それは、血税を、国民からいただいた大切な税金を使っていただくんですから、どのように使っていただいたかというのは、当然国が把握する必要があって、そこの部分の改善というのも、手続や方法は簡単にしつつも、やはり把握すべきものは把握すべきだ、こういうようなことも工夫をさせていただきました。これも恐らく試行です。ですから、不断の改善はしていかなければならないと思います。

 いずれにしても、より地域が自主的に、自分たちで使い勝手のよい、まちづくりやいろいろなものに使っていただく、そういう制度を目指してやっていきたい、このように考えています。

武正分科員 時間が来ましたので終わりますが、試行錯誤とは言っていませんで、試行的にということ。

 さっきの大くくりのお金も、財務省にいたので言うんですが、財務省的には何に使われたかわからなくなっちゃうんですよ。ですから、それよりも、やはり住民に身近な基礎自治体に渡す意味は、住民が一番チェックしやすいというところが実は制度設計上あったんですね。

 ですから、それは確かに、役所からすると、地方自治体は何をやっているんだということはありますが、やはり主権者が一番近い自治体でのお金の使い方をチェックできる。もちろん、自治体も改革しなければなりませんが、そういう制度設計なので、それはやはり考え方を大事にしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

奥野主査 これにて武正公一君の質疑は終了いたしました。

 次に、坂元大輔君。

坂元分科員 おはようございます。日本維新の会の坂元大輔でございます。

 私は現在三十歳でございまして、私の政治テーマの一つとして、やはり自分と同じ世代の若い世代、働く世代、現役世代、子育て世代、いろいろ呼び方はありますけれども、そういった世代の政治や社会への関心を高めることをテーマとして政治に取り組んでおります。

 そこを具体的に落とし込んでいきますと、やはり投票率の向上というところが大きいかというふうに思っておりまして、その観点から、先日の倫選特のインターネット選挙活動の解禁法案の際の質疑でも、やはり、若い世代の投票率、若い世代に限ったことではないんですが、特に若い世代の投票率の向上ということを考えた際に、最終的にはインターネットを使った投票というところを将来的に見据えてやっていくべきではないかという質問をさせていただきました。

 そして、両提案者からも非常に前向きな答弁をいただきまして、そのかいあってか、今回、昨日衆議院倫選特を通過した法案でも、インターネットを利用する投票方法についてあらゆる角度から課題を検討していくという附帯決議も付されました。

 その結果を受けてなんですけれども、先日の倫選特の質疑の中でも、やはりインターネットによる投票というのはまだまだいろいろな課題があってハードルが高い、まずは機械を使った電子投票を国政選挙において導入することから課題を検討していかなければならないというやりとりがございまして、きょうはその観点から電子投票についていろいろとお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 実は、先ほどの篠原委員の質問とかなり重複するところもあるかもしれない、米田選挙部長も何度もお越しいただいて恐縮なんですけれども、また改めてちょっと私の方からも確認をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず、現在認められている地方選挙における電子投票の実施例、実施件数についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

米田政府参考人 現行の電子投票の制度でございますけれども、地方公共団体における電子投票は、電子投票法において、当該地方公共団体が条例で定めるところにより、当該地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に導入することができるということになっております。

 これまで電子投票条例を制定している団体数ですけれども、七団体ございます。ただし、このうち三団体につきましては、現在この条例を凍結中でございます。

 これまでの実績でございますけれども、平成二十四年二月までに十団体で二十二回実施されているというふうに承知しております。

坂元分科員 ありがとうございます。

 全国千七百以上自治体がある中で、実施件数はかなり低いというふうに言わざるを得ないと思うんです。私も、地方自治体の導入しない理由というアンケート結果等々も見させていただいて、幾つかあるんですけれども、やはり一番の理由として、電子機器の技術的な信頼性が低いということを挙げているところが多いと思うんですが、実際のトラブル事例等々が具体的にあったのであれば、その概要等々を教えていただければと思います。

米田政府参考人 これまで私どもで報告を受けた例を御報告させていただきますと、一つは、電子投票を行います際に、投票カードというのを持って、それを入れるというところが多いわけですけれども、この投票カードが投票の機器に入らなくなっちゃったというようなことが一つございます。

 それから、選挙人が投票を行います途中に記録のエラーが表示をされて、カードは入ったんですけれども、その投票操作を完了できなかったというような事例もございます。

 さらに、選挙人が候補者を選択した段階で記録媒体への記録が行われないというような表示がされまして、そこからさらに投票ができなくなったというようなこともございました。

 それから、投票データの記録媒体が過熱いたしましてサーバーが停止をしたことによりまして、これは幾つか投票の機械があるわけですけれども、機械ごとではなくて、全ての投票所で一時的に投票不能になったというのがございました。これは岐阜県可児市で平成十五年の投票の際の事例でございまして、この際には、結果的に、平成十七年の最高裁の判決によりまして選挙無効になったというような原因がこれでございます。

 そのほか、記録の媒体に不要なデータが入っていたため投票が開始できなかったという、どちらかといいますと人為的なミスでございますが、そのようなミスも報告を受けているところでございます。

坂元分科員 承知をいたしました。

 技術的な課題はいろいろあるとは思うんですけれども、それは、機器の信頼性を上げていくという技術の改良によって解決をしていくしかない部分なのかなというふうには考えております。

 今度は、逆に投票する側からの観点というところで、電子投票を実施した際の利用者というか投票者のアンケート結果等々があれば、使いやすかったとか投票しやすかったとか、逆にこういうところが難しかったとか、そういうアンケート結果がもしあるのであれば教えていただければと思います。

米田政府参考人 平成二十二年の十月に、全国の市区町村を対象に、電子投票の導入意向に係るアンケート調査というのを私どもで行いました。

 この調査を見ますと、電子投票を導入いたしました団体、四団体ございました。さらに、導入を検討しているという御回答があったところが二十三団体ございました。この四団体と二十三団体からの回答で、電子投票を既に導入した理由、さらに、これから導入を検討している理由というのを見ますと、開票の迅速化が図れる、疑問票や無効票が解消されるのではないかということ、さらに、開票作業の効率化による選挙事務の簡素化といった点が回答項目として多く挙がっていたところでございます。

坂元分科員 ありがとうございます。

 新藤大臣はそのころはもう現職でいらっしゃったかと思うんですけれども、以前、国政選挙における電子投票の導入について、かなり法案等も提出されたりという動きがあったというふうに聞いておりますが、そのあたりの、以前の電子投票法案の概略についてちょっと教えていただければと思います。

米田政府参考人 平成十九年以降の概略につきまして御報告いたします。

 平成十九年の六月に、自民党、公明党両党の議員提案によりまして、電子投票法の改正案が提出をされました。これは、国政の選挙においても電子投票を認めるというものでございました。この法案については、同年の十二月には衆議院において可決され、参議院に送付されたわけでありますが、参議院におきましては、一旦継続審議となって、翌年、二十年の六月の国会の会期末終了に伴いまして審議未了、廃案となったという経緯があるというふうに聞いております。

 この参議院の審議におきましては、電子投票機の信頼性を確保するための措置、それから、内部関係者による不正防止策などについて指摘があり、この点が問題となって審議が中断したというふうに承知しております。

坂元分科員 今電子投票を導入する際のデメリットを幾つか挙げられたと思うんですけれども、その際の国会での議論の中で、メリットも含めてその他どういった議論が行われたか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

米田政府参考人 メリットの方につきましては、先ほど、地方公共団体の方からありましたとおり、開票時間の短縮ですとか、そのような点が挙げられていたわけであります。

 一方で、そのほか特に問題となった事例は、まず一つは、やはり電子投票機自体の信頼性を確保するための措置をどうとればいいのかということ。

 それから二つ目に、電子投票による投票結果の検証手段をどうやって確保するのか。現行、紙による措置でございますと、その紙が残りますので、後ほどそれが真正な投票かどうかという結果の検証ができるわけですけれども、電子投票になった場合はそれが一種のブラックボックス化をする、それをどういうふうにするのかというようなところが問題になりました。

 それから、内部の関係者、これはソフトウエアの開発をやられた方とか選挙管理委員会の中の内部の人間ですけれども、そういう人間の不正の防止というのをどういうふうにするか。

 そのほか、参議院比例代表選挙の名簿登載者をどういうふうに公平に表示するか、電子投票機の調達の際に適正な調達が確保できるのかどうか、導入費用がかなり高額に上ると予想されましたので、その点をどういうふうにクリアするのかといった論点があったというふうに伺っております。

坂元分科員 ありがとうございます。

 今さまざまな課題を挙げていただきましたが、実際選挙を実施するというか管轄する総務省として、今後再び電子投票導入が国会で議論をされていくというふうになった場合に、以前に国会内で議論があった点に加えて、今さらに例えばこういうところが実はまだ課題としてありますというような点があれば挙げていただければと思います。

米田政府参考人 基本的にはせんだっての参議院等々での御議論の論点が主なものと思われますけれども、その後、諸外国におきましても、一番の問題は、投票結果の検証をどのように行うのかということにつきまして裁判になった事例等々があって、必ずしも世界的に見て電子投票が進んでいるというような形に今なっていないというような点も今後の問題となるのではないかというふうに思います。

 残念ながら、先ほど申し上げましたとおり、現在、既に導入をした地方公共団体におきましても、いろいろな問題で選挙無効になったというようなことも踏まえて条例を廃止したり、凍結したりといった団体も出てきております。そういうこれまでの結果をどういうように評価するのかといった点も今後大きな課題になってくるのではないかなというふうに考えております。

坂元分科員 ありがとうございます。

 ちょっとまた別の観点から質問をさせていただきます。

 やはりもう一つ大事な点というのはコスト面からだというふうに考えておりますが、仮に国政選挙に関して全国で電子投票を導入した場合に、まず当初の機材の導入時の予算として幾らぐらいかかるのか、教えていただけますでしょうか。

米田政府参考人 お尋ねの場合、どのような電子投票の形態にするのか、例えば記録が残るような形で紙を入れるということにしますと別の機器が必要になったり、タッチパネルでいいのであればまたそれはということで、それによって違ってまいりますので一概には申し上げられませんけれども、仮にこれまでの投票の実施の実績をもとにしてみますと、電子投票機一台当たりの導入費が大体約十九万円ぐらいというふうに推計されます。これを一投票所当たり設置台数が四台と仮定をいたしまして、現行の投票所の数、約五万カ所がございますので、これを乗じて単純に試算をいたしますと、約三百八十億円程度の導入経費が必要になってまいります。

坂元分科員 わかりました。

 機械というのは最初にかかるお金が大きくなるのは仕方がないかなというふうには思うんですけれども、その分、ランニングコストというか、一度導入して以降の費用というのは、今の人による開票に比べれば抑えられるのではないかというふうに考えますが、先ほどの基準で、電子投票機を一投票所当たり四台入れて、全国で導入した場合に、逆に、そのランニングコストというか、機械を入れてから以降の費用としては幾らほどかかるか教えていただけますでしょうか。

米田政府参考人 電子投票機自体、ソフトウエアを大がかりに使いますので、これの維持ですとか、そういう点はちょっと今試算できません。それを除きまして、むしろ節約ができるのではないかといった点について幾つか申し上げますと、一つは投票所の経費で、投票用紙の交付係というのが今いるわけですけれども、これが減少できるだろうということで、例えば正規の職員が一名減できるだろうということが考えられます、投票所ごとにですね。

 それから、開票所の経費といたしましても、これも大幅に削減が可能であろう。例えば、現在の職員数の五分の一でできるのではないかというような仮定を置くことも可能でございますし、開票の時間というのも半減はできるのではないかというふうに思います。

 そのほか、事務費も、大幅に短縮する、明らかに即日、すぐに開票ができますので。

 そういった点をもろもろ入れますと、平成二十五年度の参議院議員の通常選挙、現在予算額として約四百五十億円見込んでおりますけれども、約五十億円の減少が見込まれるのではないかというふうに思われます。

坂元分科員 ありがとうございます。

 次の質問通告にしておりました、現行の選挙運営費と比較をした場合の差というのが、先ほどの五十億円減ということでよろしいでしょうか。

米田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、増加する部分のところについてはちょっと推計が不可能でございますので単純には申し上げられませんけれども、減少する部分を足し上げますと約五十億円節減が可能になるというふうに見込まれると思います。導入では三百八十億ですけれども、ランニングコストとしては五十億円の減少が見込まれるということでございます。

坂元分科員 済みません、もう一度確認をさせていただきたいと思います。

 まず、機材の導入として、どういう機械を導入するかというのは幾つかあるけれども、仮にとした場合に三百八十億円かかる。ソフトウエアの運営費とかそういうランニングコスト全てを出すことはできない。つまり、三百八十億円プラス幾らかかるのかというのはちょっと出すことが難しい。けれども、逆に削減できる部分、人員として削減できる部分としては、五十億円削減が可能だという認識でよろしいでしょうか。

米田政府参考人 失礼いたしました。

 導入経費につきましては、今おっしゃったとおり三百八十億円、機器の導入費としてかかる。それから、一回ごとのランニングのコスト、これは正確には出ませんけれども、削減できる部分を積み上げますと、約五十億円減少を見込むことができるのではないかということであります。

坂元分科員 済みません、もう一度確認をさせていただきたいんですが、つまり、全国での電子投票の導入によって、一回当たりの選挙として、人件費だったりその他の部分で削減できるものは五十億円ある。ランニングコストとして幾らかかるかはちょっとまだ見積もれないので、まあ、少なくとも五十億円より削減額は絶対に少なくなるということでよろしいんでしょうか。

米田政府参考人 少なくなるというふうに見込まれます。

新藤国務大臣 初期の、イニシャルとしては三百八十億プラスになっちゃって、だから、一回目の選挙であれば、三百八十億ふえて、運営経費で五十億削れる、だから大幅増になっちゃうじゃないですか。でも、それ以降は、その機械がどれだけ使えるかになりますよね。

 だけれども、それも、結局のところ、今どき機械を買い取るのか、それも全国的にやるとなったらそれをリースにするのか、それからソフトウエアの改修をしなくてはならない。だから、一回買っちゃったら後はもうお金がかからないというふうにはならないと思うんです。ですから、その部分は計算のしようがないわけですよね。

 ですから、経費的に見てとてつもなくカットできるかというと、現状においてはなかなかそこは予測不可能だ、こういうふうに御理解いただければいいと思うんです。

坂元分科員 新藤大臣、ありがとうございます。よく理解できました。

 正直、もう少しカットできる部分というのは多いのかなと何となく漠然と考えておりましたが、削減額としてそんなに大幅に期待、まあ、やり方にももちろんよるとは思うんです。先ほど大臣がおっしゃったみたいにリースにするのかとか、いろいろなやり方があるとは思うんですが、削減額に関してはざっくりとそういう見積もりが出ているというふうに認識をいたしました。

 とはいえ、費用面というのももちろんあるんですけれども、最初に私が申し上げさせていただいたとおり、投票率の向上というところを見据えていく中で、私としてはやはり、今本当に社会のインフラとしても認知されている、特に若い世代が毎日のように利用をしているインターネットによって最終的に、将来的に投票ができるようになれば、投票のしやすさであったり、政治、選挙というものを今までよりはるかに、まあ、今回インターネットによる選挙活動が認められたこともすごく大きな前進だとは思うんですが、投票自体ができるようになれば、政治であったり選挙というものが一般の国民、有権者にとって非常に近いものになるのではないかというふうに考えております。

 済みません、ちょっとこれは通告をしていなかったんですけれども、まずは、将来的なインターネットによる投票に関して大臣の御所見を少し伺えればというふうに思います。

新藤国務大臣 ネット選挙というのは、将来のあり得る姿なのかなという気もいたします。

 しかし、その大前提は、ネット社会になったときに、個人が自分の権利というものをきちんと自覚して、そして、ネットを使って、公平な、マナーを持ったそういう社会を確立していないとだめだ。それから、不祥事が起きて、間違えたからやり直しますということでは済みません。

 ですから、ネットで選挙をやるようなときが来るならば、もしかしたら、そのほかのこともネットでできるようになっている、そういう社会が来ていて、いろいろな意味で可能性としてはあると思いますけれども、現状においては、まず投票率、選挙権の権利すら行使しない人たちがふえている状態で、そういうそもそも持っている権利を行使しない人たちにどうやって理解してもらうか、こういうこともまず解決していかないと、ネットでどこで誰が投票しているのかわからなくなってしまうわけであります。

 また、セキュリティーの問題も、これはつくれば必ず破られる、それをまた防ぐ、この繰り返しの中でのことですよね。ですから、そういうネット社会の安定性というものが担保できないと、これは難しい。しかし可能性はある、このように思います。

坂元分科員 ありがとうございます。

 私も、課題がたくさんあること、そして大臣がおっしゃったとおり、本来は、権利、しかも国民にとって一番大事である投票する権利というもの自体が大切なものとしてなかなか認識されていない現状というのをまずは変えていく必要があるというのは、本当にそのとおりだというふうに思っておりまして、私のような若い世代がこうやって政治活動をしていくことで、若い有権者の方にもより政治を身近に感じていただけるように頑張っていきたいなというふうに、個人的にも考えております。

 そういったさまざまな課題があるということも前提とした上で、政治の側から歩み寄っていくことも非常に大事だというふうに思っておりまして、今の情報化社会の中で、本当に基幹インフラとして使われているインターネットというものをいかに政治の中に取り込んでいくかというのは、今後も、選挙ということに限らず、非常に大事な部分かなというふうに考えております。

 続いて、その一歩前の段階としてきょう取り上げさせていただいた電子投票に関して、私よりもずっと国会内での議論等々も熟知されていると思いますので、大臣の御所見を伺わせていただければと思います。

新藤国務大臣 いろいろな試行錯誤、いろいろな取り組みが行われているわけでありまして、そういったものは尊重していかなきゃならない、このように思うんです。

 しかし、結局いろいろな問題が出てきていて、それを大々的に取り入れるには、むしろ世界的にも見直しが始まっている、こういう部分もあります。ですから、国民の最大の権利であって、これを行使する際に間違いのないようにしなくてはいけないという意味からして、これは民主主義の根幹にかかわるところです。そうすると、そういったものを検討するのは、これまでも、ほかの分野でもそうですけれども、そういった国の根幹にかかわることについては、まず政治の場で国民の代表たる国会議員が議論して進めていくわけであります。ですから、そういう議論をさらに進めていただきたい、行政側からすればそういう気持ちがあるということです。

 それからもう一つは、公選法の大基本は自書投票主義なんですよ。自分で書いて自分の意思をあらわす。坂元大輔とほかの人が書く意味というのは重いわけですね。それを、利便性、不便だから投票しないのか、わからないから投票しないのか。

 実際に投票率がどんと下がったのは、中選挙区制から小選挙区制度になったときに下がって、そのまま下がり続けているんですよ。国民の政治不信を解消するために取り入れた小選挙区制度によって物すごい落差があった。一体どういうことなんだ。しかも、なぜ、投票に行かないと選択する人がふえるのか。これは政治に携わる者の大いなる責任だと思いますね。国民一人一人が考えなきゃいけない問題だし、また政治が考えなきゃいけない問題だ。

 こういったことも踏まえて総合的な検討をしないと、単に手段としての、ここの部分がいいか悪いかだけでは語れない、また判断できない問題ではないのかな、このように考えています。

坂元分科員 ありがとうございます。

 本当におっしゃるとおりでして、きょうは電子投票というものを挙げさせていただきましたが、そもそもなぜ政治に対して無関心にさせてしまったのか、なってしまったのかという根本のところをさまざまな角度からこれからも検討していかなければならないなというふうに思っております。

 まずは国会で議論という話が大臣からありましたけれども、やはりまず国会からいろいろなことを導入していくべきだと私は思っておりまして、例えば衆議院の投票方法を、まず電子投票を導入してみるとか、まず我々からそういったさまざまな取り組みをやっていければなというふうに思っておりますので、今後ともいろいろとまた提案させていただければと思います。

 ありがとうございました。

奥野主査 これにて坂元大輔君の質疑は終了いたしました。

 次に、武井俊輔君。

武井分科員 ありがとうございます。自由民主党宮崎一区、武井俊輔でございます。

 今回、このような初めての場で質問をさせていただくことになりました。大変ありがとうございます。予算委員会分科会という場でこのような機会を与えていただきまして、大変光栄に思っております。

 私は、宮崎県会議員をいたしておりまして、その前は、地元のバス会社に勤めておりました。ちょうどそのときに、日本最大の第三セクターのシーガイアの破綻ということがございまして、そういった現実を目の当たりにする中、真っ当に生きる人が多く会社をやめていったり、そういうことで多くの方の人生が大きく変わっていく。そういった現状を現場の中で見るにつけ、真っ当に生きる人が報われる社会をつくっていきたい、その思いで政治家を志して、今までまいりました。

 特に、県会をする中で、宮崎県というのは非常に経済基盤が弱いものですから、その中で生きる多くの皆様、その姿に触れるにつけ、日本の地方、なかんずく田舎と言われるところでこれから人は生きていけるのか、生き続けていくことができるのかということに大変危惧を持ちまして、そういったことをずっと選挙でもお訴えしながら取り組んでまいりました。

 総務省はまさに私たち地方を支える役所でございますから、地方の痛みを我が痛みとする、苦しみを我が苦しみとする、そういった思いでぜひ皆様にも臨んでいただきたい、心からそう思っております。

 今回は、私が県会議員のときから取り組んできたこと、感じてきたこと、当時知事に対して訴えてきたこと、ちなみに当時の知事さんは、現在、日本維新の会の東国原英夫さんが知事でございましたけれども、そのころのことも思い出しながら、質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど坂元委員からもありました件でございまして、投票率の向上について私もお伺いをしたいと思います。

 私たちが去年の総選挙で当選をさせていただいたときの投票率、五九・三二%ということでございまして、これは戦後最低ということでございました。投票率の推移をずっと見てみますと、投票時間を八時に延ばしたということがありまして、そのときに一時的にちょっと上がったことがあったんですが、それ以外ずっと一貫して低下傾向にございます。民主主義のまさに根本でございます間接民主制の基礎でございます投票率がこういうふうに下がっていることに非常に危機感を感じております。

 先ほどございました、ネットの解禁また電子投票への取り組み等、いろいろな改善はされているんですが、実際に投票率を向上させる取り組みということについて本当に取り組まれているのか、疑問に感じるところもあるんです。

 まず、総務大臣にお伺いをいたしますが、所管大臣として、投票率が一貫して低下している現状というものに対する認識またその対応について、御見解を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 これはまことにゆゆしき事態であって、残念だと思います。

 我々日本国民が普通選挙の投票権を得る、そのためにはどれだけの御苦労があったのかと。今でこそ私たちは当たり前になっておりますが、しかし、政府ができて、選挙制度というものができてから今のような投票権を得られるまでにはたくさんの大変な努力があったわけでありますから、そういったものはやはり我々はきちんと受け継がなければいけないと思いますし、何よりも、国民に与えられた、また、我々が得た権利なんですから、それを行使しなくていいというふうに思う人を一人でも減らすこと、これは我々の責務であるというふうに思います。

 総務省の役目は、選挙制度が使いづらいとか、それから投票のやり方がうまくいっていない、その結果として投票率が下がる、これは我々の責任でありまして、ここのところはきちんと、いつでもより改善を続けていかなければいけない、このように思いますし、また、そのときの地域の状況によって、それぞれの地方の選挙管理委員会が計画をつくるわけですから、それを我々も支援していく、こういうことであります。

 一方で、今、坂元委員にも申し上げましたが、我が国の投票率は、衆議院において七三・三一%、これが平成二年であります。そして、これは平成七年かになると思いますが、五九・六五%で、今までで最大落ちたのはそこなんですね。これは、小選挙区制度が導入されたら落ちたんです。そして、そのときの、それに対応する参議院選で、これまたどんと落ちたんです。ですから、これは一体何のことなんだということは、より分析しようじゃないかというふうに思っています。

 投票率自体は、当日の、争点、国民の関心、それから天候だとか季節だとか、そういったものに影響される、さまざまな影響があるというふうに思います。

 でも、基本的に、委員もお感じだと思いますが、選挙に行くと決めている人は絶対行きますよね。また、投票を棄権したことのない人は、多分一度も棄権したことがないはずです。

 ですから、やはり我々の得た権利をきちんと行使する、また、それは行使しなくてはならない、そして、行使するに足りる政治、こういうものをそれぞれ達成しなくてはいけないんじゃないか、こういうふうに思います。

武井分科員 ありがとうございます。

 確かに、選挙制度が変わったとか、いろいろなことも要因としてあろうかと思うんですが、であれば、ちょっと通告していないので、御感想ということで伺えればと思うんです。

 例えば、選挙の啓発の経費というのが平成二十一年で百五十三億、これがこの前の総選挙ですと四十七億ということで、事業仕分けの影響もあったやに聞いております。

 そういったようなことで減らされているということもあるんですが、私、実は、地元にいるとき、まだサラリーマンをしていたころに、明推協、明るい選挙推進協議会の委員をやってくれということで大分やったりしていたんですが、率直に言うと、活動としては非常に形骸化していると言わざるを得ない。高齢者の方にお花を配る、それはちょっとターゲットが違うんじゃないかなと思うようなこともありました。

 選挙管理委員会も、作文コンクールであるとか、絵画コンクールであるとか、いろいろなことをされている。それは取り組みとしてはすばらしいものかもしれないんですが、それが実際に本当に投票率向上に結びつくのか。やっている人たちも、これはルーチンワークの中であって、これで投票率向上になるのかということを本当に真剣に考えてやっていらっしゃるのかなと疑問に思うところというのが率直にありました。

 例えば、普通、会社なんかであれば、営業会社でも営業目標を持ったりするんですが、私はやはり、次は例えば何%を少なくとも目指すとか、もちろん、それは明確に数字を出していくのは難しいところはありますが、何かもうちょっと具体的な数値目標を持つとか、こういうことをするとか、その辺が何か活動自体が形骸化している感を非常に強く感じるんですけれども、実際、大臣が今の選挙啓発の一連の取り組みをどのように見ていらっしゃるのか、御感想をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、常時啓発と選挙時の広報に分かれると思うんですね。

 常時啓発が、今委員のおっしゃるように、それがどこまで功を奏しているのかというのは私も興味を持っています。これは、やらなければこれまた伝わらないことであります。しかし、どうせやるならば、こうしたらどうなんだというような工夫というのは不断に改善をしていかなければいけないのではないかと思います。

 それから、選挙時の広報も、今さら言われなくたってわかっているよという人と、それから、やはり選挙になって、ああ、いよいよ選挙が本当に始まったんだとか、そういうのをわかっていただく人もいるので、これは一概にそれが効果があるかないかというのも難しいと思うんです、受け取る側の問題もありますから。しかし、いずれにしても、時代に即して必要な改善というのはやっていくべきだと思います。

 今回はましてや、今ネットの選挙、国会で御議論いただいております。そういったものが導入されるということになると、それらの啓発活動も広報活動もやるわけなので、私とすれば、いろいろな工夫をしようじゃないか、こういうふうに思っているところであります。

武井分科員 去年、おととしぐらいからAKBの総選挙なんというのもやっていますが、非常にいろいろな工夫をして、ああいうふうにCDを買わせることなんかはできないにせよ、ポータルサイトなんかで総選挙と入れるとAKBと最初に出てきてしまうような現状もあったりするんですが、いろいろなそういうやり方というものをいろいろなところから幅広く学んでみるというのも一つあるのではないかと思っております。

 投票率について、もう一つちょっと気になる点をお伺いしたいと思っています。

 先ほどもございましたが、若年層の投票の話で、大学生の住民票の問題についてお伺いをしたいと思っております。

 先日、地元の大学生と話をする機会がありまして、選挙の話になりましたが、ちょうど二十人ぐらいで十人ぐらい県外の学生がいまして、投票へ行ったかという話を聞くと、一人だけ僕の応援をずっとしてくれていた子が行ったと言ってくれていたんですが、少なかったことも問題なんですが、やはりそれ以上に問題だなと思ったのは、住民票を地元というか住んでいるところ、私は宮崎ですが、移している子は二人しかいなくて、一人はその子だったんですが、もう一人は、いや、免許を取るのに困るのでちょっとこの前移しましたみたいな子がいて、実質的にはほとんど移していない人がたくさんいるということなんです。

 ということは、平たく言えば、十人中八人はほぼ自動的に棄権をするといったような状況になっているわけであります。そもそも、住民票というものは、住民基本台帳法二十二条におきまして、二週間以内に移転をしなければいけないということになっております。ですから、平たく言えば、法律が守られていないといったような状況にあるわけでございます。

 その問題点はきょうはちょっとおくといたしまして、すなわち、こういったような状況であれば、若年層の投票率向上などというのはどだい無理な話で、望むべくもないと言わざるを得ないんですが、そういった意味で国も、都道府県また市町村とともに、大学に対しての指導啓発等を積極的に行って、まず住民票をきちんと移してもらって、ちゃんと投票できる最低限のインフラとして整えていくということが必要ではないかと思うんですが、これは選挙部長にお伺いをいたします。

米田政府参考人 若者に対する働きかけというのが投票率の向上には必要だというようなことは、最近私どもの間でも大変議論をされております。

 その一環といたしまして、昨年の十二月には、大学、それからNPOの団体等と連携をいたしまして、若者フォーラムというようなものを開催したことがございます。そのフォーラムの中でも、NPOの方から、これは青森大学の方でしたけれども、自分たちで住民票を移そうという運動をやっているんだというようなお話が出たこともございます。

 さらに、総務省が主催をいたします、学識経験者、それからマスコミの関係者、NPOの関係者等による常時啓発事業のあり方研究会というところが報告書をおまとめになりましたけれども、そこにおきましても、大学生になって親元を離れても住所を移さない人が多く、それが投票率が低い一因になっているといったような御指摘もいただきました。

 そういうこともございまして、親元を離れた大学生に対しまして、例えば、入学の際のオリエンテーション等において、民主主義社会の一員としての自覚を促すといったような働きかけをしてはどうかというふうに私どもも今認識をしているところでございます。

 具体的にまだどうこうというところまでいっておりません。投票に行こうといったようなNPO等を通じましてお願いをしている段階でございます。文部科学省が大学を所管されておられますので、文部科学省の方と勉強会を実施して、このような取り組みができないのか、今模索をしているところでございます。

武井分科員 これはそもそも論として、さっきもお話ししましたとおり、法律上、しなければならないことなわけですよね。ですから、そういった意味では、ぜひ研究していただいて、大学あたりからも、これは法律でも定められていることなんだということできっちりやはり取り組んでいただく、そういったところがまず第一歩ではなかろうかと思っておりますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。

 きょうは、ほかにもいろいろな委員の方からこの問題について出ているようでございますが、確かにいろいろな課題はあります。課題を試行錯誤しながら今進んでいらっしゃるというところだと思うんです。

 それこそ、今マイナンバー法案を議論されていらっしゃいます。せっかくですから、これから研究をぜひしていただきたいと思うんですけれども、例えばこういったようなものを活用して、期日前投票なんかが違う場所でできるような仕組み。これは学生のみならず、例えば、大きなショッピングセンターなんというのは、特に都市部なんかですと選挙区外にあったりするようなところとかもあるんですけれども、そういったようなところで投票ができるような仕組み、そういったようなことを構築するとか、せっかくこういう新しい制度を導入するわけですから、投票率の向上にもこのマイナンバーを活用するということについてぜひ一定のまた研究を図っていただきたいと思うんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、うえの主査代理着席〕

新藤国務大臣 この個人番号カード、これはまず、個人の申請により交付されますから、誰もが持つかどうかは、本人が申請しない限りだめだ、こういう問題、それが普及がされているかどうかということが一つありますね。

 それから、投票するには本人確認しなきゃなりません。それには公的個人認証の活用、そのためのソフトをインストールしたパソコンだとかカードリーダー、それからそれを市町村の庁舎のサーバーと接続する、要するに、マイナンバーが確かにこの人であるということを認証しつつ、それがさらに今度は行政側で確認しなきゃなりません。そういうセキュリティーレベルの高いものを確立した回線をどうやって維持するのか、さまざまな問題があります。

 それから、まず何よりも、選挙区外で投票する、そうすると、その投票所においては、候補者のいない地域で別の人を投票することになります。そうすると、その投票を当該の選挙区に渡しに行くのか、それから、よその、別の選挙区で投票されたものはどこにカウントするのかという問題等があって、なかなかいろいろな問題があるのではないか。

 いずれにしても、ただ、新しい仕組みを使って投票しやすくしようじゃないかというその方向性は、研究していけばいい、工夫すればいいと思うんですけれども、今何か導入するにはそういう問題があるのではないか、このように思います。

武井分科員 ありがとうございます。

 郵便投票、遠隔地の投票というのも今現在仕組み上あるわけですので、とにかくあらゆる手だてを、しっかり知恵を出して、本当にこれは大変深刻な問題だと思いますので、せっかく新しい仕組みでもありますから、ぜひ研究をしていただきたいと思っております。

 引き続きなんですが、IT調達についてお伺いをいたしたいと思います。

 マイナンバー、先ほどお話をいたしましたが、マイナンバーの前に、住基ネットを平成十五年に導入をいたしました。昨年の十二月で交付枚数が六百五十六万枚ということでございます。これは人口の五・一%。カードの数だけでははかれないところは確かにあるんですが、この住基ネット、初期投資額が三百九十億で、毎年のランニングが百二十億というところでございます。確かに、住基ネットの導入でこれだけのコストをかけて臨んできたわけですが、実際どれぐらいの業務効率化が図られてきたのか、大臣にお伺いをいたします。

新藤国務大臣 住基ネットは、住民基本台帳に基づいて、行政の中で本人確認情報を利用するための情報基盤としたということであります。国の行政機関に対して、これは直近の二十三年度においても年間約四億三千万件の本人確認情報が提供されて、その中で処理されています。それから、年間約四千万人分の年金の現況届、さらには約五百二十万件の住民票の写しが省略されるといったことで、国民の利便性の向上、行政効率の向上が行われていると私どもは思っています。

 そして、経費的には、これは算定の仕方が難しいんですが、手続を省略することによっての、本人が行くときの経費ですとか、そういったものもろもろ、想定でありますが、約五百億程度のそういった効果が出たのではないか、このように考えています。

武井分科員 私もそれを確認して、五百十億円程度ということなんですが。実際に内訳を見てみますと、事務の効率化の換算額が約四百二十億円、住民の交通費の削減が約二十億円というようなことで、直接的な経費削減につながった部分として挙げられていたのは切手代等六十七億円というのがあったわけなんです。

 確かに、事務効率の換算額というのは非常に難しいところがありまして、言われてしまえばその金額ということになるんですが、もうちょっと試算としてはシビアであってもいいのではないかという感想は持ちますが、効率的になっているという部分があることは理解をいたします。

 それを踏まえてでございますが、今回、法案で上がっておりますマイナンバーについて、あわせて、その導入に係るコスト並びにもくろむ費用対効果について、これは内閣府にお伺いをいたします。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、社会保障・税番号制度の導入に係る費用の中で、新規のシステム開発を要するものといたしまして、個人番号、法人番号の付番システムの構築に約百六十億円、それから情報提供ネットワークシステム、マイポータル、それから第三者委員会等におきまして約百九十億円を見込んでおります。

 それから、地方自治体とか年金機構とかという機関、個人番号や法人番号を取り扱うそれぞれの機関におきまして、既存システムの整備、これが約二千三百五十億円ぐらいではないかと見込んでおります。

 それからまた、ランニングコストにつきましては、一般的に初期費用の一〇%から一五%とされておりますけれども、既存のシステムの改修につきましては、このランニングコストにつきましては、現行との比較になりますので、しかも、毎年こういうシステムはいろいろな制度改正等で改修が行われておりますので、現時点では明確に説明できる状況にはなっておりません。

 続きまして、効果、便益でございます。これらにつきましては、大きく分けて三つあろうかと思っております。

 一つは、行政の効率化でございます。これは、当然、そういう行政部内での突合とか、そういうものが合理化されますので、行政の効率化が図れるであろうと。

 二番目は、国民の利便性の向上でございまして、住基ネットのところでもございましたけれども、いろいろな申請の際に、住民票を持ってこいとか、あるいは所得証明を持ってこいとか、納税証明を持ってこいというふうな申請は多数ございますが、これらにつきまして、ワンストップで申請書だけ持っていけば済むようになるというふうなものがございます。

 それから三つ目が、いわゆる給付と負担の適正化と申しますが、これには二つ側面があると思っております。

 一つは、国税とか地方税の世界におきまして、この番号で正確に名寄せが行われることによりまして、より所得の把握が正確になるのではないかということ。それから、例えば、社会保障の世界では併給調整と申しまして、一つの給付をもらっているとほかのものがもらえないというのがございますけれども、これらが正確に把握できるようになるということ。

 それからもう一つの面は、やはり番号制度ができることによりまして、社会保障とか税における新たな制度改正の可能性が出てくるというふうなことがあろうかと思っております。これは、例えば、住基ネットがあることによりまして新たにマイナンバー制度というのができるようになったというのと同じでございます。

武井分科員 わかりました。

 やはり一般の人たちにいろいろ話を聞くと、住基ネットがあるじゃない、あれはやめたのみたいな、住基ネットというものがあれだけ大きな話題を出しながら一方でまたこれをやるということで、整合性とか違いとか、その辺がよくわかっていらっしゃらない。

 私自身も、確かに、そうやって聞かれたときにきちんと説明できるかと言われると、逆に、呼んで、お話を聞いて初めて説明ができるといったような状況でありましたので、住基ネットというものがあってまたマイナンバーができるわけですけれども、そのあたりをできるだけ国民の皆さんにわかりやすく話ができるように、ぜひまたいろいろ説明の仕方等には工夫をしていただきたい、これはお願いしておきたいと思います。

 最後でございますが、地方自治体におけるIT調達についてお伺いをいたしたいと思います。

 地方自治体、都道府県の中には、私たち宮崎県もそうなんですが、任期つき職員を置いたり、いろいろな工夫をしているわけですが、コスト削減に課題があります。

 ちなみに、本県、宮崎県のIT調達コストは、昨年度で十五億八千五百万余りということでございます。よく、大体全国の一%みたいな言い方をしますので、それでざっくり計算しますと、都道府県全体で一千六百億円程度あるのかな、それに市町村を加えればまさに多額になるわけでございます。ですから、非常に大きな金額が毎年かかっていっているわけであります。

 しかし、現実を見ますと、独自の仕様がいろいろ付加された結果、なかなかランニングコストが下がらない。しかも、やはりここが一番問題なんですが、契約も、大体随意契約ないしは事実上随意契約に近い契約になっている。もっと言えば、IT知識では、到底地方自治体の職員はプロには及ばないわけですから、言ってしまえば、言い値に近いような契約になっているようなものも中にはあるようでございます。

 最近、一円入札の問題も間々指摘をされますが、そのようなことがなぜ起こるかというのは、逆に言えば、とってしまえば後は何とでもなるといったような体質があるのではないだろうかというふうに感じております。

 中には先ほど申し上げたような任期つき職員を雇用しているところもあるわけですが、その結果、例えばそういう職員が交渉すると、最初八千万円と言われたのが三千万円になりましたとか二千万円になりましたといったような事例もありますし、宮崎県の場合ですと、そういった職員が活躍することで当初の見積もりから大体三億円ぐらいコスト削減が図られたということでございました。ですから、逆に言えば、知識の乏しい自治体は、本当にそれによって多くの税金が無駄になっている、余分に支払っているというような現状があるのではないかということも言えるわけであります。

 そこで大臣にお伺いをいたしたいんですが、国として、そういった専門知識のある職員を地方自治体に配置していくことに対して、都道府県レベルではできると思うんですけれども小さいところではなかなかできないところもある、そういった職員の配置に対する支援でありますとか、またITクラウド、最近少しずつ進めていらっしゃいますが、こういったようなものの仕様の共通化のより一層の推進。また、このような吹っかけてくるような悪質な業者、悪質といっても、普通は悪質といったら中小業者なんですが、これが結構皆さんもどこでも知っているような大手がこういうことを平気でしてくるのがこの業界の特徴だと思うんです。こういった業者、業界への指導等についてどのように臨まれていくのか、総務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

    〔うえの主査代理退席、主査着席〕

新藤国務大臣 大切な御指摘だと思います。

 まず、いわゆるIT職員の育成と能力アップをやるために、地方自治情報センター、これらと連携いたしまして、情報システムの調達にかかわる職員向けの演習形式研修、こういうものをやってもらっています。こうしたものを通じて知識だとか技能の向上を促していくということが一つです。

 それからもう一つは、いわゆるランニングも含めて経費を削減するためには、複数の地方公共団体で共同でクラウドに移行するだとかそういう仕組み、これを行うための経費を我々で支援するだとか、こういったことをやっています。

 そもそも、今政府のIT行政本部において、行政の電子化を徹底的に進めようじゃないかと言っていてなかなか進まないのは、まず技術が追いついてこなかったのが一つ。しかし、その技術はもう今十二分にある。そして、なぜこれが進まないかというと、この電子行政を進めることでどれだけの効果が出るのかを日本じゅうが本当に認識をしているんだろうかと。これが、効率がよくなって便利がよくなるとともにコストカットが次元の違う形でできるならば、それをやろうじゃないかという機運が必ず盛り上がるに違いない。

 ですから、ここは、この国全体を、電子化という中で新しいイノベーションをやろうじゃないか、こういうことを政府としても取り組もうとしておりますし、近々にそれの大方針が出てまいります。我々総務省はその基盤をつくる役割を持っておりますし、市町村や地方に対してどんなような形で本当の電子行政化が進められるのか、こういったものを我々もプランをつくって提示していきたい、このように考えております。

 今の御指摘の話は、一つ一つを積み重ねることと、それから、やはり次元の違う中で今の時代に合わせた、そして、この技術にふさわしい国づくりというのができるのではないかと。こういう取り組みも進めていきたい、このように考えています。

武井分科員 ありがとうございました。この業界に対して非常に明るく、また思いもしっかりお持ちの大臣でございますから、御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

奥野主査 これにて武井俊輔君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十五日月曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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