衆議院

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第1号 平成28年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石田 真敏君    奥野 信亮君

      佐田玄一郎君    長坂 康正君

      階   猛君    松浪 健太君

二月二十四日

 石田真敏君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 石田 真敏君

      井林 辰憲君    今枝宗一郎君

      大西 英男君    奥野 信亮君

      小林 史明君    佐田玄一郎君

      長坂 康正君    渡辺 孝一君

      奥野総一郎君    階   猛君

      中根 康浩君    松浪 健太君

   兼務 緒方林太郎君 兼務 大西 健介君

   兼務 神山 洋介君 兼務 福田 昭夫君

   兼務 宮崎 岳志君 兼務 稲津  久君

   兼務 角田 秀穂君 兼務 樋口 尚也君

   兼務 塩川 鉄也君 兼務 畠山 和也君

   兼務 足立 康史君 兼務 重徳 和彦君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   外務副大臣        木原 誠二君

   環境副大臣        井上 信治君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          別府 充彦君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         池田 憲治君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           富永 昌彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           千野 雅人君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           山北 幸泰君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 青木 由行君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 渡邉 一浩君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     井林 辰憲君

  佐田玄一郎君     渡辺 孝一君

  階   猛君     小山 展弘君

  松浪 健太君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     小林 史明君

  渡辺 孝一君     大西 英男君

  小山 展弘君     奥野総一郎君

  丸山 穂高君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     佐田玄一郎君

  小林 史明君     今枝宗一郎君

  奥野総一郎君     中根 康浩君

  浦野 靖人君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     奥野 信亮君

  中根 康浩君     階   猛君

  丸山 穂高君     下地 幹郎君

同日

 辞任         補欠選任

  下地 幹郎君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  木下 智彦君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 英孝君     松浪 健太君

同日

 第一分科員重徳和彦君、第三分科員緒方林太郎君、福田昭夫君、塩川鉄也君、第四分科員神山洋介君、角田秀穂君、樋口尚也君、第六分科員稲津久君、足立康史君、第七分科員宮崎岳志君、畠山和也君及び第八分科員大西健介君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (総務省所管)


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     ――――◇―――――

石田主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました石田真敏でございます。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中総務省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十八年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、現下の重要課題に的確に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算であるという政府方針のもと、総務省として、国民の生命、生活を守る、地方創生のための地方税財政制度の充実、地方からの日本再生、世界最先端のICT大国へ、暮らしやすく働きやすい社会の実現、未来を開く行政基盤の確立に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 一般会計の予算額は、十五兆九千九百十四億円であります。

 以下、事項等の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。

 よろしくお願い申し上げます。

石田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま総務大臣から申し出がありました総務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

井林分科員 おはようございます。自民党の井林でございます。

 第二分科会先頭バッターということで、高市大臣を初め皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、まず郵便サービスについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 郵便サービスには、ユニバーサルサービスとして全国一律の郵政事業の提供が義務づけられております。そのサービスの最前線にあるのが郵便局でございます。郵便局には、直営の郵便局のほかに、簡易郵便局法に基づく簡易郵便局がございます。私の地元にも数多くありますけれども、そうした簡易郵便局の利用者の皆様方から、いろいろと、利用するに当たって、ATMが置かれていない、大変不便だという声が数多く寄せられております。

 そこで、まずは簡易郵便局の数と、そしてATMの設置というか整備、その状況についてお伺いいたします。

田中参考人 先生からお尋ねを頂戴いたしました簡易郵便局のATMの関係でございますけれども、御案内のとおり、改正郵政民営化法におきまして、今御指摘をいただきました郵便のユニバーサルサービスに加えまして、金融につきましてもユニバーサルサービスが義務づけられておりまして、郵便局を通じて提供すべきサービスというぐあいに位置づけられているところでございます。

 したがいまして、全国の地域に根差して展開をされております簡易郵便局は、このサービスを提供する上でのネットワーク構成の一部として非常に重要な役割を果たしているものという認識でございます。

 お尋ねのATM全般につきましては、今申し上げました状況を踏まえまして、利用の見込みや周辺状況を総合的に勘案して設置をしているという実情にございます。

 数でございますけれども、簡易郵便局のATM設置状況につきまして、二〇一五年九月末現在で申し上げますと、貯金を取り扱っていただいております簡易郵便局が全体で四千十九ございまして、そのうちの四十八局にATMを設置しているところでございます。

 なお、静岡県ということで限定をいたしますと、貯金取扱簡易郵便局が八十九ございまして、そのうちの一局にATMを設置しているところでございます。

井林分科員 ありがとうございます。

 簡易郵便局ではほとんどATMが設置されないということがよくわかりました。

 法律上、簡易郵便局は位置づけが違うということがあるかもしれません。しかし、ゆうちょの上限額について二十五年ぶりに引き上げの検討が進んでいるということも事実でございます。なおかつ、ユニバーサルサービスということを考えると、このままでいいのかなという思いがあります。

 特に、私の地元で、具体的に申し上げますと、静岡県藤枝市にあります下青島の簡易郵便局は、簡易郵便局のようなほかの店舗との同居ではなくて、単独の局舎を持ち、外観上、通常のという言い方がいいのかわかりませんけれども、直営の郵便局と見分けがつかないし、さらに、たまに前を通りますと、非常に利用者も多く見受けられております。

 こういうところにもATMが置かれていないということで、その地域の方々からATM設置に関してかなり御要望を受けていますが、この簡易郵便局への設置状況ですとか、今後の整備の見通しなどをお答えいただければお願い申し上げます。

田中参考人 先生お尋ねの簡易郵便局も含めまして、今後の新規のATMの設置につきましては、先ほど申し上げましたような簡易郵便局の位置づけ等々も十分踏まえまして、私どももいろいろ検討して、勉強してまいりたいというぐあいに考えております。

井林分科員 ありがとうございます。

 事前の話で、窓口の取扱件数などを参考にということでございますけれども、ぜひ、ゆうちょの金額も引き上げになるということなので、前向きな検討をお願いしたいというふうに申し上げます。

 さて、近年では、こうしたATMのようなネットワーク化された端末が、郵便局や金融機関の店舗だけではなくてコンビニエンスストアなんかでも数多く設置され、私もよく利用させていただいているところでございます。

 こうしたネットワーク化された端末の利用や、また、さまざまな場面でいろいろなネットワークにアクセスをすることが多くなってまいりました。その基盤となるのが光ファイバー網の整備でございます。全国津々浦々に展開をされなければなりませんし、都市部に住んでいるからとか、地方部に住んでいるからということで、そういう違いがなるべくないようにしていくのが私は基本だというふうに思います。

 全国の光ファイバーの整備状況ということはよく説明をいただきますけれども、個別の市町村ごとに数字を聞いたことがない。例えば私の地元でいくと、牧之原市などでは、整備されているところと整備されていない地域というのがまだらになっているというふうに聞いてございます。

 もちろん、整備についてはNTT西日本やその他の通信事業者が整備をするというのが原則ではあるというふうに思いますが、普及率や整備率というのは極めて重要でありまして、国としても把握をしておくべきというふうに考えますけれども、例えば牧之原市の光ファイバーの普及率は総務省としてどのように把握をしているのか、お教えください。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、光ファイバー等の超高速ブロードバンドの整備は、総務省といたしまして重要な課題だと思っております。

 お尋ねの整備率でございますが、全国的には、固定系の超高速ブロードバンドは九九%ということでございますが、個別の地域につきましても、総務省におきましては、電気通信事業者等からの情報等をもとに、毎年度その整備率を推計させていただいております。

 直近では、平成二十七年三月末現在でございますけれども、お尋ねの静岡県牧之原市における整備率は、これはざっとでございますけれども、世帯カバー率で約八割程度と把握しているところでございます。

井林分科員 ありがとうございます。

 お調べをいただいたということで、大変ありがとうございます。なかなか聞いても教えてくれないことなので、調べるのに大変御苦労されたということで、敬意を表したいというふうに思います。

 昨年になりますけれども、その世帯カバー率で八割というお話を伺っている牧之原市で、面積的には、残りの二割の世帯率で大体八割ぐらいの広さになるんじゃないかなというのが私の感覚でございますけれども、そこに光ファイバーの敷設計画が、NTT西日本さんのお力をおかりして、そういう計画があるという報道がございました。

 総務省として、その現状の認識と、また、こういうものにはやはり国の指導というのは欠かせないというふうに思います。協力状況についてお聞かせください。

高市国務大臣 静岡県牧之原市における光ファイバーの整備につきましては、現在、静岡県、牧之原市及び関係事業者において、その実現に向けた協議が進められているということでございます。

 総務省としましては、この関係者間の協議の進捗をお伺いして必要な助言を行うなど、牧之原市における光ファイバーの整備が早期に実現できるように取り組んでまいります。

井林分科員 ありがとうございます。

 今大臣からも、早期に実現をというお言葉をいただきました。

 もちろん、光ファイバーの整備は通信事業者にお願いをするものでございますけれども、なかなか通信事業者だけではうまくいかないということもございますので、総務省初め多くの皆様方のお力をおかりして、一日でも早く残りの二割の世帯の方にそうしたサービスが提供されて、引っ越しなんかをする方々は、光ファイバーがないと、そこで、ではいいですよと言ってしまう方もいらっしゃるというお話も聞いておりますので、一日も早い整備ということをぜひともお願い申し上げたいというふうに思ってございます。

 さて、ここで話題をかえさせていただきたいというふうに思います。無線のことに関してでございます。

 無線というと非常に技術的に難しいというイメージがあるんですけれども、その中で、平成九年の世界無線通信会議という場におきまして、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則の改正が行われたというふうにお伺いをしております。平成九年というと随分前のような気がいたしますが、その勧告を受けて、さまざまな所要の改正が国内でも行われているというふうに聞いているところでございます。

 無線通信規則の改正は、無線愛好家の方々への影響もございますが、業務として無線を使われている方というのも数多くいらっしゃいます。遠く沖合に出て例えば漁業を行う方々は、無線で陸地と、または船舶同士で連絡を取り合わなければなりません。今回の改正では漁業無線への影響も非常に大きく、漁業者から心配する声を伺っております。

 まずは、我が国におけるスプリアス規格変更へのスケジュールですとか対応についてお伺いをさせていただきます。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたように、無線機器のスプリアス、いわゆる無線局の目的の周波数帯以外に発射される電波でございますけれども、これにつきましては、無線通信技術が進んでいる状況を踏まえまして、不要な電波をできる限りなくしていく、そういう趣旨から、御指摘のとおり、平成九年のITUの世界無線通信会議におきまして、世界的に規格が変更されたということでございます。

 これを受けまして、我が国におきましては、平成十七年に関係の省令、無線設備規則を改正いたしました。お尋ねのスケジュールでございますが、まず要件といたしまして、平成十九年の十一月三十日以前に製造された機器、これはメーカー等の対応におきまして新しいスプリアス規格を満たしていない可能性が相当程度高いということで、今申し上げました機器につきまして、原則として、平成三十四年十一月三十日までに新しい規格の機器に交換をしていただく、そういうスケジュールで進めているところでございます。

 御指摘の漁業無線関係以外にも、この規格の変更につきましては多くの無線機器が対象になっております。したがいまして、今、総務省といたしましては、以前からでございますが、各種の無線局の免許人に対しましてこの旨の周知を行いまして、無線機器の交換を促しているところでございます。

井林分科員 ありがとうございます。

 平成十七年に関係省令を改正して、平成十九年からその対応をしていただいているということでございますけれども、今答弁がありましたように、無線機器というのは非常に数多くあるというふうに聞いておりますし、実際に、私の携帯もそうですけれども、皆さん持っているものも含めて数多く世の中に出回っているので、そうなんだろうなという思いがしております。

 こうした通信規則改正については、そうした数が多いということで、非常に丁寧な対応と時間をかけた対応というのを当局にやっていただいているというふうに思いますけれども、そうはいっても、周波数帯の変更やこうした規格の変更については相当規模の投資が必要になってまいります。

 正直、私が携帯一台買いかえるのでも、なかなか、思い切った投資と、我が家の大蔵省に言わなければいけないというような状況だと思いますけれども、デジタルテレビですとかデジタルラジオの更新のときにはそれなりに国から御支援をいただいて、助成をしていただいたというふうに聞いてございます。

 今回の規格改定については、大きな影響がありますし、また多くの関係者がいるのも事実なんですが、先ほど申し上げましたように、漁業無線についても大きな影響があります。漁業界は今、もう多くの皆様の御承知のとおりだとは思いますけれども、経営的にも大変厳しい環境でありまして、さまざまな制度を利用して、多くの皆さんにお支えをいただいている。そして、国内の動物性たんぱく質の供給の一翼を担っていただいている。また、遠洋漁業については、我が国の海洋権益を守る最前線に立ってその活動をしていただいているというのが私は現状だというふうに思っています。

 そうした方々には、船舶に載っている無線と、そしてもう一つ、当然、おか側からも発信をしますので、漁業用の海岸局というのもかなり全国で数多く配置をされているというふうに聞いてございます。技術者の養成というのもなかなか進んでいないというふうにも聞いておりますけれども、それはそれといたしまして、こうした設備への変更が、言い方はよくないですけれども、平成三十四年という話になると、そろそろ終わりが見えてくるというか、ゴールがあと数年で見えてくるということもあります。

 平成十九年からということなのでいろいろあるかとは思うんですけれども、やはりこうしてそろそろお尻が見えてくると、だんだん、多くの皆さんが、では実際に自分たちの船をどうしようか、今のままのものを使えないのかとか、かえるにしても、古い機械を積んでいるものもありますので、ちゃんと部品があるのかとか、さらには、そのときの設備投資のコストの負担なんかの心配もいただいているところでございます。

 世界的に決められたこうしたルールだというふうには聞いてございますけれども、多くの漁業者の皆さんが心配をしているところでもございますし、私のところへも懸念の声が数多く寄せられているところでございます。そうした方々への国の支援及び検討の状況について、漁業無線ということで御答弁をいただければというふうに思います。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、漁船を含みます海上の船舶につきましては、搭載をされております無線機器の種類が数多いといったようなことのため、非常に負担が大きいだろう、また、特に経営が厳しい漁業に対しましては、私どもも何らかの対策が必要だという認識を持っているところでございます。

 このために、先ほど申し上げました、平成十九年十一月三十日以前に製造された機器でありましても、まず一つは、メーカーさん、製造事業者さんの方にお願いをいたしまして、スプリアスを実際に測定していただきまして、中にはやはり新しい規格に適合した機器というものもございます。これについては引き続き使用は可能だということ。それで、今申し上げました新しい規格に適合した機器を総務省のホームページに掲載して周知をさせていただいている、これがまず一点でございます。

 それからもう一つは、型式検定を受けたという機器がございます。型式でございますので、一定の、同じ型のものについては一括して検定を受けられるわけでございますが、もともと義務的に設置しなければならないような局が対象だということもございまして、これにつきましては、例外的に引き続き三十四年以降も使用可能とするというような形で、まず交換が必要な無線機器というのを絞り込んで、これを周知させていただくということを一つやって、これまで取り組んできております。

 それからさらに、これからの取り組みでございますが、今申し上げました無線局以外の無線機につきましても、個別に、無線機を設置した状態で実際にスプリアスを測定していただきまして新規格への適合性をチェックするということによりまして、交換が必要な無線機器のさらなる絞り込みを今後行うということとしているところでございます。

 また、漁船関係は、やはり現場の状況を私どももよく把握させていただきながら対応していく必要があるということで、漁業関係団体等の間でこれまで、現時点でも七回ほど説明会を開催させていただいて意思疎通を図らせていただいているところでございますし、また、水産庁さんに対しましても予算面での支援をお願いするといったようなことなど、関係省庁あるいは漁業関係団体と、負担の軽減につながる対策について検討を進めております。今後も、関係省庁とも連携をしながら対応を行っていきたいと考えているところでございます。

 なお、先ほどちょっと説明が不十分でございまして、大半の機種は新しい規格の対応になりますが、携帯電話端末につきましては、デジタル化されているということもございまして、これは例外となっているところでございます。

井林分科員 ありがとうございます。

 携帯電話は例外ということで、私の悩みが一つ解決されたような気もいたします。

 いずれにいたしましても、やはり設備投資が非常に必要だということでございます。漁業無線に関しては水産庁ともぜひよく御相談をいただきたいということでございますけれども、総務省にも当然予算がございますので、ぜひその点は総務省の方でもしっかりした御支援というのをいただければ大変ありがたいかなというふうに思ってございます。

 大変円滑な御答弁をいただいたものですから、通告をした質問が終わったんですけれども、最後に一点だけ。

 郵便サービスのところの簡易郵便局のATMのところは、やはりいろいろルールはあるというのはよく承知をしております。法律も違うというのは十二分にわかっております。でも、外から見ると、簡易郵便局と直営の郵便局の違いというのは正直ない局もあるのが現実でございます。やはり、そこに行ってがらっとあけて、ここは簡易郵便局だからATMはないんですよというと、何か、せっかく民営化したのにお役所仕事だなみたいな感じがあるので。

 株式もせっかく上場して民営化会社という大きな一歩をさらに踏み出したところでありますので、利用者数ということも非常に重要だということはよくわかっております、経営の効率化ということも十二分にわかっておりますし、法律も違うということもありますけれども、それを乗り越えた、一歩前の取り組みということを、大臣もうなずいていただいているので心強い限りでございますけれども、ぜひ日本郵政さんにお願いを申し上げまして、ちょっと時間が余ってしまいましたけれども、円滑な議事進行ということでございますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて井林辰憲君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳分科員 改革結集の会の重徳和彦です。本日もよろしくお願いいたします。

 私はこれまで、議員になる前は総務省で十六年半働いておりまして、その間、青森県、山形県、広島県、いずれも中山間地域もあるし過疎地域もあって、本当に財政事情が厳しい自治体もたくさんあります。だからこそ、税源の偏在是正という必要性、これについてもよくよく理解しておるつもりであります。

 その上で、今回の地方税制の見直しに当たりまして、そうはいっても、少数派であろうけれども、交付税の不交付団体への影響ということについてもしっかりと思いをいたすということは、これはこれで国の責務としてあるだろう、それに沿った対応も必要だろう、こういう観点から、本日も、先週に続きまして指摘をさせていただきたいと思っております。

 まず初めに、確認なんですが、私の地元愛知県内の不交付団体である市町村それぞれに対して、今回の法人住民税の国税化によります影響額、それから、一方で地方消費税の配分はふえるということでございます、この配分額について試算をされておられるとすれば、その数字を挙げていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 重徳委員におかれましては、これまでの御経験から、偏在是正の必要性についても十分御理解の上での御質問であることも承知いたしております。

 また、今回の措置は、全国知事会などの御要望に沿ったものでございます。地方消費税率の引き上げとそれから法人事業税交付金の創設によりまして、大半の市町村では増収になります。しかしながら、法人住民税法人税割の税収の割合が非常に大きい団体においては減収が生じることもあり得ます。

 今御指摘の個別団体の影響額でございますが、各地方団体の法人住民税法人税割の税収構造がまちまちであること、それから、団体によっては個別に特殊な増減収要因もあると考えられます。特に、法人税割の比率が大きい団体におきましては、立地企業の当該年度の業績、この状況に非常に大きく影響されます。それから、引き下げ後の法人住民税法人税割の税率ですとか、法人事業税交付金の交付率ですとか交付基準は既にお示ししているところですので、各地域の実情に合った形で、一定の仮定を置いて、各団体がみずから試算されることは可能であると考えておりますので、大変申しわけないんですが、お示しをするということは差し控えさせていただきます。

 愛知県の方では、一定の仮定を置いた上で試算をされていると承知いたしております。

重徳分科員 要するに、個別の自治体への影響額ははじいていないということなんですね。

 私は、特に今回、制度上も、交付団体には地方交付税がちゃんと措置される、そのための財源を法人住民税を国税化することによってさらに確保しよう、ここまではわかるんですが、今回の制度改正によって不交付団体への影響というのは、これは少なからず、どこの団体にも何も措置されないということが明らかなわけですから、それを、単に税収構造がまちまちだとか、特定の企業の業績によって非常に増減が大きいから国として何もはじくことはできないという姿勢というのは、私はいかがなものかと思います。

 まして、その基準をちゃんと示しているから各自治体でやってくれというんだったら、国は国でちゃんと試算をして、その影響がどうなるのか、ここまできちんときめ細かく見ていかなければ、税制をいじるのは国でいじれちゃうわけですから、その影響を一方的に受けるだけの自治体の立場にもっと立って仕事をしなければ、地方自治を所管する総務省、総務大臣として、私は、これは仕事の仕方として非常に不適切なやり方だと思っております。

 そして、そう大臣もおっしゃるので、愛知県は愛知県で試算しているんです。豊田市が一番額的には大きいですね、当然パイが大きいですから。マイナス幅が百八十四億円、でも一方で地方消費税が七十二億円プラスになる。それでも、マイナス百十二億円という数字が出ております。

 同じように幾つか挙げますと、幸田町という小さな町も十億円減収、そして消費税が六億プラスになるから、約四億円のマイナス。大口町というところがあります、ここも六億円の減収、ほぼ同じぐらいの消費税がふえると見込まれておりますが、マイナス二千三百万円、こういうことになっております。

 ただ、先ほど大臣、大半の市町村においては地方税収はトータルでプラスになるんだということもおっしゃいましたが、しかしながら、私はここにも少し疑問がございます。

 地方税収、まあ税収側だけを見ればプラスになるところも多いと思いますが、しかしながら、今回、消費税の増税というのは、国の消費税収であろうと地方の消費税収であろうと、これは社会保障の財源に充てるということになっています。ですから、税収もふえるかもしれないけれども、その分、歳出としての社会保障の支出というものもちゃんとふえることになっているわけです。

 ですから、税収がふえるからといって、今までと同じように、今までの法人住民税と同じように、いわゆる一般財源、地方が本当の意味で自由に使える財源であるならばそれは説明がつくと思いますが、ふえる分の消費税収というのは、あくまで、その支出先も特定されているわけですから、その意味では、本当の意味での穴埋めとは言えないと思うんですね。

 ですから、そのような説明の仕方というのも私はこれは大いに疑問があるんですが、大臣、いかがでしょうか。地方消費税は使途が社会保障財源に特定されているんですから、今回の法人住民税の国税化による減額の穴埋め財源にならないんじゃないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 税制抜本改革法におきましては、地方消費税を含む消費税率の引き上げと、引き上げ分の地方消費税収を社会保障財源とするということが規定されておって、その第七条第五号ロにおきまして、「税制の抜本的な改革による地方消費税の充実と併せて、地方法人課税の在り方を見直すことにより税源の偏在性を是正する方策を講ずること」とされております。この規定に基づきまして、平成二十六年度税制改正に引き続き、偏在是正措置を講じることといたしました。

 地方消費税の増は、この法人住民税の穴埋めの財源というわけではなく、社会保障の安定財源の確保及び地方財政の健全化のために地方消費税率の引き上げを行うものでございますけれども、交付団体においては増収分が地方交付税の減となって相殺される一方で、不交付団体では財源超過額の増となって、地方団体間の財政力格差が拡大することから、法人住民税法人税割の交付税原資化を行うこととしているものであります。

重徳分科員 大臣、今、穴埋めではないということでありますから、いわば、これまで大臣が言われた、大半の市町村において地方税収は増加する、それは事実をおっしゃっていることではあると思うんですよ。税収は増加するんでしょう、プラスマイナスで。だけれども、それは決して本当の意味で市町村の財政に支障を来さないということを言っているのではなくて、あくまで税収はふえますよと言っているだけで、歳出もふえますよということだと思うんですよね。

 だから、結論から一言で言えば、穴埋め財源になるんですかという質問に対しては、穴埋め財源にはなりません、すなわち、法人住民税の国税化による減収に対しては、いわゆる補填というような意味での措置はなされないということだと思うんですが、それはそういう認識でよろしいですか。

青木(信)政府参考人 税制抜本改革法で引き上げ分の地方消費税、これは社会保障財源なんですね。不交付団体に社会保障財源たる消費税分がふえて、その分増収をしたときに、その部分は、社会保障の充実に使われる部分もありますが、財政の安定化に使われる部分もあるわけです。

 しかし、財源余剰団体においては、その部分については多少余剰がふえるということにもなるので、したがって、今回、この税制抜本改革法に従って地方法人課税のあり方を見直すということで税源の偏在性を是正する、そういう観点から、法人税割の一定部分を交付税原資化する、そういうことでございます。

重徳分科員 丸々社会保障、いわゆる特定財源とは違うんだよということも含みの御答弁だったのかなと思うんです。

 つまり、社会保障財源というほかに財源の安定化という言葉が今ありましたけれども、もうちょっとシンプルに言えば、穴埋めそのものではないけれども、幾つかの趣旨に基づいた偏在是正ということも含む改正であるから、そこは要は御理解賜りたい、このような趣旨でよろしいんですか。

 要するに、穴埋めになっているかどうかということにストレートにお答えいただくとすれば、どんな答弁になるんでしょうか。

青木(信)政府参考人 地方消費税率の引き上げということと法人税割の交付税原資化というのは後先の話ですが、社会保障の充実と財政の安定化という観点から、地方消費税の引き上げをするわけです。それが先です。しかし、そうすると、どうしても財政力格差は拡大をしていく、特に、不交付団体においては余剰の部分にさらに少し余剰が起きるということを念頭に置いて、法人税割の原資化をすることにより偏在を是正するということをしようとしているわけであります。

 その考え方は全て、税、社会保障の抜本改革に係るこの税制抜本改革法に、法律の中できちっと明示されているわけでありまして、それに従って必要な措置を講じることとしているということでありまして、穴埋めするとかしないとかそういう次元でなく措置を講じるものというふうに理解をしております。

重徳分科員 要するに、穴埋めではない、そういうことだと思うんですけれども、だからこそ各団体は困っているわけなんですね。

 そして、もう一つなんですが、これこそ各自治体の事情を一つ具体的に申し述べますと、法人住民税の国税化の影響を受ける不交付団体、大体の場合は企業が立地しているところが多いわけなんですが、これはすなわち昼間人口が多いんですよね。夜間人口に比べて昼間の人口が多い。

 ちょっと調べましたら、愛知県でいうと大口町なんかは、人口は約二万二千人なんですが、昼間の人口は、差し引きで一万人ふえるんですよ。人口が一・四倍から一・五倍、このぐらい、人口だけ、数字で見るとふえる。すなわち、日中、企業活動が非常に盛んである。だから、当然ながら、産業基盤の整備、道路も傷みやすいわけですから、そういったインフラへのメンテナンス費用が多額にかかるわけなんですね。

 それに対しまして、今回、穴埋め財源ではないという御説明ですから、それは別問題というお答えなのかもしれませんが、今までは、夜間人口、いわゆる人口だけじゃなくて、従業員数、つまり、いわば昼間人口でふえる分も加味されたような基準だったと思うんですが、今回の地方消費税の配分の基準というのは、少し違って、従業員数が加味されず、いわゆる夜間人口だけを基準に配分されるというふうに認識をしておりますが、これでよろしかったでしょうか。

青木(信)政府参考人 地方消費税は、清算後、各都道府県に帰属をした後、半分を市町村に交付することになっています。

 その交付基準については、消費税率引き上げ前の従来分の一%分については、従業者数と人口、これは消費に見合ってという考え方だろうと思います。そして、引き上げ分については、これは社会保障財源化されたということなので、人口で配分するということでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、消費税の引き上げというのは、穴埋めという考え方ではなく、社会保障の充実と財政の安定化という観点から地方消費税も引き上げる、こういうことなわけでございます。

 法人税割の交付税原資化をすることにより、確かに市町村の減収が大きいということにも配慮をし、その法人税割の二%に相当する額を、都道府県税である法人事業税から交付金として市町村に交付する仕組みを今回とることにしておるわけでございますが、この事業税の交付金の交付基準は従業者数としつつ、かつ、しかし影響がなだらかになるように経過措置も講じて、法人税割の割合で最初は配りながら、三年後には本則である従業者数で配るということにしておるわけでございます。

 この穴埋め措置に関しては、今委員御指摘のように、結果的に昼間人口になることが多いと思いますけれども、従業者数ということを念頭に置いて補填をするということで、そういう意味では、その事業税交付金の中に今委員御指摘の観点が盛り込まれているものというふうに御理解いただければと存じます。

重徳分科員 ちなみに、事業税から市町村に配分される交付金について、この配分基準についてはもう詳細まで決まっているんでしょうか。それとも、これから検討されるんでしょうか。

青木(信)政府参考人 この点については、今回の改正法の中で定めているところでございまして、本則は従業者数でございますが、市町村の影響というものをなだらかにするために、先ほど申し上げたような経過措置を設けているところでございます。

重徳分科員 本当の意味での細部についてはまだ検討の余地があるのかなと。つまり、従業員数を使うとかそういうことは決まっているんでしょうけれども、その配分の数字、細部について、今後私ども、隣に長坂委員もお見えになりますけれども、愛知県の選出の議員としては本当に大きな問題だと思っておりますので、そのあたりの経過措置などについてはよくよく御配慮いただきたいと思います。では、一言。

青木(信)政府参考人 今申し上げた経過措置も既に決めて、地方団体にも説明しておりますが、先ほど申し上げた、本則は従業者数ですが、二十九年度は法人税割額で配る、三十年、三十一年は従業者数をまぜながら、三十二年で全て従業者数で交付するということになります。この経過措置についても、地方側からの御要望もあったということも念頭に置いてこうした措置を設けさせていただいて、今回の改正法の中に盛り込んでおり、地方団体側にも説明をさせていただいているということでございます。

重徳分科員 何かといろいろな場面で、今回の件については非常に関心を持ち、また懸念をしている団体も多いということも念頭に置いて、今後もさまざまな措置を講じていただきたいというふうに要望いたします。

 それから、大臣、この間の質疑で一つ問題とすべき発言があったものですから、私はここで指摘をさせていただきたいと思います。

 前回の御答弁の中で、今回のこの法人住民税の国税化による影響について、不交付団体は超過財源があり、財政運営に特段の支障は生じないということをおっしゃいました。

 この認識は私は改めるべきだと思います。超過財源というのはあくまで、いわば交付税算定をする上で総務省、国において全国の基準財政需要額などなど勘案して、交付税を配分しなくてもいいと国がみなした、財政力を見るに当たっての概念でありまして、超過財源があるからこの団体は要らぬ金をもらっているんだと言わんばかりのそのような御発言というのは、私は改めるべきだと思っております。

 超過財源と国が見ていようと見ていまいと、この地域においては、先ほど申し上げましたような産業基盤の充実だとか、さまざまな支出が実際かかるわけなんです。まして、自治体は基本的には、本当の理想はどの団体だって不交付団体を目指すべきなのであって、そのためにも、あるいはその結果としてさまざまな独自の施策ができるようになる、そして一生懸命その地域を支えているわけです。それを、超過財源があるから少し金を削ったって特段支障が生じないと、国の立場から、上からそのような言い方をするというのは、私は正しくないと思います。

 この発言について、改めるべきだと思います、撤回すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 企業誘致ですとか産業振興のためにこれまで大変な御努力をしてこられて、地域の税源をつくっていくということに向けて頑張ってこられたその御努力には、深く敬意を表します。

 私の発言がその御努力を認めていないように受け取られたとしたら、表現が悪うございました。申しわけございませんでした。

重徳分科員 では、これから改めて、正しい認識を持って、私どもの問題意識を受けとめていただきたいと思います。

 さて、もう一つの話題に移りたいと思います。

 私の選挙区、地元なんですけれども、愛知県西尾市というところがございます。西尾市というところは、南海トラフ地震による被害想定、これは名古屋市に次いで二番目に深刻な地域なんです。

 西尾市、とりわけ合併前の旧西尾市というところがあるんですが、これまで消防団が存在していませんでした。ここに、さまざまな経緯はあったんですが、ことしの十月一日、機能別消防団が発足する運びとなりました。

 西尾市では、歴史をたどりますと、昭和三十七年、五十年以上前に消防団を解団したという経緯がございます。背景には、これから常備消防を充実させていくんだ、それから、消防団を支えるだけの財政力、財政が十分ではないといったようなさまざまな判断だったようなんです。その後、旧西尾市、合併して郡部が一緒になったものですから、その郡部には消防団がもともとずっと存在し続けたので、合併して、一応市内には消防団があるという形にはなりましたが、旧西尾市の部分というのは、全国唯一の消防団未設置自治体であり続けたということになるんです。

 それは各自治体の判断もあると思います。五十年間消防団を置いていなかった、だけれども常備消防がその分頑張るんだ、あるいは、水警防団というのもありますし、市民消火隊も頑張っておられた、こういうこともトータルで勘案してそういう判断だったと思いますが、それはそれとして、今回は今回で大きな英断だったというふうに思っております。

 この西尾市の機能別消防団の狙いなんですけれども、私が地元の消防長さんと情報交換した中では、主に三つ言えるのかなと思っております。

 一つは、いわゆる火災における消火活動よりも、防災の機能に特化する、南海トラフ地震に対する備えである。

 それから二つ目は、これはやはり地域性ということで、先ほど言いましたように、同じ西尾市といっても、郡部、沿岸部であり山間部でもある、そういうところにおいては、フルバージョンの消防団がちゃんとあって、消火活動だって必要でしょうし、災害が起きたときには防潮扉を開閉するというマンパワーが必要なことも行っていく、こういうことなんですが、旧西尾市は、平地であり沿岸部も少ないということでありますので、防災に特化した機能別消防団で対応できるだろう。

 それから三つ目には、消防団自身のマンパワーもそうですが、その機能別消防団の消防団員さんたちが各町内の自主防災組織を指導するリーダーとしての役割を担っていただく、こんな位置づけもあるんだということで、町内ごと、校区ごとに団を設置していきますので、町内会と一緒になって防災体制をきっちりと強化していく、こんなようなことであります。ここにおいても、火災における消火活動というよりは、火災予防とか減災といった活動を重視していこう、こんなようなことだと思います。

 今後、新しい形の組織をつくるということでありますから、地元における組織づくりの苦労、努力も本当に大変なものになっていくと思いますが、私自身も含めて、地域を挙げて充実をしていきたいと考えているところでございます。

 そこで、ちょっと一つ確認なんですが、これまで機能別の消防団とか分団というと、例えば事業所単位でとか、あるいは学生さん、女性、そういった属性単位の機能別消防団というのは少なからず登場してきたと思うんですが、旧西尾市のみとはいえ、こういった自治体丸ごとあるいは地域丸ごと機能別消防団、こういうケースというのはほかの地域であるんでしょうか。確認をさせてください。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御紹介にもありましたように、平成の合併の期間の途中で、私ども、十五年九月時点で全国三千二百市町村を調べたところ、消防団のない市町村というのが、西尾市を初め大阪市、堺市、岸和田市、泉大津市、高石市の六市がありました。このうち、西尾市、堺市を除く四市は合併を経ておりませんが、平成十七年度中に消防団を設置したところでございますが、大阪市は基本分団ではなく機能別分団だというふうに承知をいたしています。

 それから、西尾市と同様、堺市において、平成十七年二月の合併後、合併対象である町を管轄区域とする消防団があったわけでありますが、旧堺市の区域には消防団がなかったということで、昨年九月に、旧町の基本分団を残しつつ、現在の堺市全体を管轄区域とする大規模災害時に活動する機能別の消防団を設置したというふうに承知をいたしております。

重徳分科員 わかりました。

 大阪もそうですね。西尾市と大阪というのが昔から消防団がない、ないというふうに言われていたので、そういったところで機能別消防団が生まれてきているということだと思います。

 大臣に一つ御見解を伺いたいんですけれども、機能別といういろいろなバリエーションはありますが、こういった西尾市における取り組みに対してどのような見解をお持ちでしょうか。

高市国務大臣 やはり大規模災害に備えるということとともに、地域防災力の強化、これはいずれの地域においても必要です。消防団の充実強化は重要な課題だと思っております。

 西尾市の方でことしの十月に機能別の消防団が設置されると聞いておりますけれども、まさにこれは地域防災のかなめとして活動されることを期待しております。

重徳分科員 先ほど少し申し上げましたけれども、ちょっと逆説的な言い方ではありますが、西尾市の事例というのは、これまで五十年余り、消防団がなくても、一定程度、常備消防だけ、厳密に言うと水警防団があったり、あるいは市民消火隊という自主防の皆さんが一生懸命取り組んだ、もちろんそういった成果ではあるんですけれども、消防団がなくても何とかやっていけるということも実証できたのかな、それはそれでひとついいのかなとも思っております。

 だけれども、やはり今回の西尾市の決断というのは、団を新設するということによって、本当に南海トラフ地震によります影響が大きい、被害想定が大きいということを踏まえまして、さらに防災体制を強化していこう、こういう決意に基づいてやっております。

 その意味で、今回の機能別消防団は、常備消防との組み合わせにおいて、時代にふさわしい防災体制をつくっていこうと、ある意味で消防団のあり方のモデルとなるぐらいの気概でこの地域では現場で取り組んでおられるわけであります。

 その意味で、私自身、消防団の大応援団としてやってきたつもりでございますし、同じ西尾市でも、郡部の方ではフルセットの消防団があるわけであります。そして、機能別というのが旧西尾市の方でできるわけであります。

 こういった新しい取り組みに対して、しっかり国の方でも、今大臣からも、地域防災のかなめとして期待したいという旨の御発言をいただきました。エールをいただきました。そういったことも踏まえまして、消防庁を挙げて、西尾市の新しい取り組みをぜひ応援いただきたいと思うんですが、一言お願いできればと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 私ども消防庁の方でも、消防団の強化ということは、二十五年十二月に、消防団を中核とした地域防災力の充実強化法ができた以降、さらにその取り組みを強めているところでございます。

 さはさりながら、消防団というのは自治事務になりまして、一般財源で地方交付税措置をさせていただいているところでありますので、なかなか財政的な支援というのを直接私どもで手厚くというわけにはいかないわけでありますが、そうした中で、消防団員の確保に知見のある消防団長を消防団員確保アドバイザーとして委嘱いたしまして、地方公共団体からの要請に基づきまして派遣し、消防団員確保策や活性化策などについてアドバイスをする、助言をするというような取り組みをさせていただいております。

 また、平成二十七年度からの取り組みでありますが、女性や若者などの入団促進を図るために、地方公共団体において先進的な取り組みをされる、そういう事業があれば支援をさせていただくという事業を行っております。これについては、平成二十八年度予算案ではその額を倍増いたしまして、さらにその取り組みを強化していきたいというふうに考えております。

 こうしたものも活用できるのであれば、自治体の方からもよくお話をお聞きしながら検討してまいりたいというふうに思います。

重徳分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。私自身も消防団を応援してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)分科員 民主・維新・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 本日は、総務大臣及び総務省の皆様に質問をさせていただきます。

 最初から余談になるんですけれども、私は上毛新聞というところの出身なんですが、今の事務次官の桜井俊さんのお父上が上毛新聞社の編集局長をされていて、その後、取締役もされておりました。桜井次官も私の高校の先輩ということになりますが、前次官の岡崎浩巳さんも高校の先輩ということでございまして、なかなか総務省には足を向けて寝がたいというところでございますが、まず、質問へ移りたいと思います。

 さて、今、地方の大きな難題の一つというのは空き家問題だというふうに思います。

 私の地元でも、これは空き家と言うには規模が大きいんですけれども、例えば水上温泉というところでありますと、駅前の一等地なんかでホテルが長い期間あいたまま廃墟のようになっているという状態がございます。また、群馬県の首長さん方と懇談をさせていただくと、やはり多くの場合、空き家問題ということを何とか解決してほしい、こういう陳情、要望が寄せられるところでございます。

 私もこの質問をする前にいろいろ勉強したんですけれども、大臣のお地元の奈良にあります生駒市でも、空き家条例とか空き家バンクとか、全国でも本当に先進的な取り組みをされているというようなところも拝見をしたところでございます。

 その理由には、いろいろ考えられましょうが、一因として、固定資産税の住宅用地特例というのが挙げられるというふうに考えております。

 住宅の建っている土地について、もちろんいろいろ制限はありますけれども、固定資産税が六分の一に減免をされる、都市計画税は三分の一に減免をされるということであります。住宅が建っていて、そこに人が住んでいるということならもちろんそれでいいわけでありますけれども、実際に利用されていなくても、空き家でもそれが適用されるというふうになっております。

 その結果、実際にその土地に空き家が建っていれば固定資産税等が減免されるけれども、空き家を壊して更地にした瞬間に税が六倍にはね上がるというようなことがあります。そして、利用の当てもない家屋がそのためにずっと放置されるということも実際起こっているわけであります。

 私も宅建取引士の資格を一応持っているんですけれども、実務をやったことはありませんが、知り合いにはいろいろ、不動産関係の方もいます。そういう方に伺いますと、やはり住宅用地特例がこの空き家問題の大きな要因の一つになっているんじゃないか、こういう御指摘もあります。

 まず、本日は、参考人の方に、このような現状認識また指摘に対してどのようにお考えか、そのことについてお願いをできればと思います。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家が放置される要因につきましては、解体費用の負担が困難であるといったこととか、あるいは相続等の権利関係の整理がつかないといったことなど、さまざまな要因があろうかと思いますが、御指摘の固定資産税の住宅用地特例の適用が除外されるということも一つの要因になる場合もあるというふうに認識をしております。

宮崎(岳)分科員 実際、こういう特例がなければ、空き家の建っている土地、何も活用していないんだから、これを取り壊して、例えば駐車場にしようとか、そしてまた、更地にしておけば、そこに不動産業者の方が注目して、では、これを買おうかとか、あるいは、よその土地とまとめて何か開発をしようとか、そういう動きも出てくるのかなというふうに思うんですが、現在ではなかなか、そもそも取り壊すということのハードルが非常に高い。もし取り壊しても、例えば駐車場にして貸し出したとしても、下手をすれば、余り利用者が少なければ、住宅を建てたまま、家屋を維持したままの方が得だという状況になってしまうということだと思います。

 そこで、私は、一定期間人が住んでいない住居の建っている土地については、住宅用地特例の適用対象から外した方がいいのではないかというふうに考えているわけであります。

 まず、これは新たな特例をつくるわけじゃなくて、本則に戻すだけということでありますから、ハードルも相当低いと思いますし、また、地方にとっても、地方税の固定資産税が上がるということですから、増収になるわけであります。加えて、空き家の減少にもつながる。増収になれば、そういう増収分を空き家問題の解決のために投じるということもできるようになるわけであります。

 そして、先ほど申し上げましたとおり、住宅用地特例が外されれば、では、税金も高いし、その家を壊して新たに開発しようかというモチベーションも生まれてくる。そして、例えば、今ある程度家賃が高どまりしていて、それは大家さんの御意向でということだと思いますが、なかなか借り手がつかないというところも、このままだと税金が高くなるから、多少値段を下げても貸そうかというモチベーションにもなるのではないかというふうに思っております。

 私は、昨年、国土交通委員会でこの問題について質問をさせていただきました。そのときに、住宅用地特例で固定資産税がどれぐらい減額されているのかというお話を伺いましたところ、推計で四兆三千億円ぐらい減額になっているというふうに言われました。

 もちろん、これは住宅全てであります。同じ総務省の調べで空き家率が今一三・五%というふうに言われておりますので、これを単純計算は必ずしもできないところでありますが、もし単純に計算するとすると、この空き家に係る住宅用地特例の減税だけで、減収分が五千億円程度になるんじゃないかというふうにも言われます。これはもちろんはっきり数字として確立されたものではありませんけれども、恐らく数千億円単位というものが空き家に係る住宅用地特例で下がっているんじゃないか。

 こういったことで、私は、冒頭に申し上げましたけれども、この特例の適用対象から、一定期間利用されていない空き家というものを外してはどうかというふうに思いますが、総務省のお考えを伺います。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 固定資産税の住宅用地特例は、住宅政策上、住宅用地についての税負担の軽減を図るため、人の居住の用に供する家屋の敷地に対して適用されています。

 例えば、空き家につきましても、構造上住宅と認められないような状況にある場合、あるいは使用の見込みがなく取り壊しを予定している場合、さらには、居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合、こうした場合にはこの特例措置を適用しない取り扱いとしております。

 委員からは、一律に年限を区切って適用の有無を決定するといったような運用ができないかというお話をいただいたところでございます。

 その場合、減収がかなり減るという御指摘もいただきましたが、転勤、長期の出張あるいは入院等によりまして住民の方が一時的に不在にしている場合、あるいは貸し家で借家人を募集している場合といろいろな状況がございますので、こうした運用については慎重に考えるべきものと考えております。

宮崎(岳)分科員 なかなか難しいという慎重なお答えだったと思うんです。これは、昨年私が伺ったときもそのようでありました。

 ただ、今の住宅の用に供せないような状況であるということは、扉が壊れているとか、壁に穴があいているとか、雨漏りがしているとか、そういったもう崩壊寸前の家、あるいはごみ屋敷になっているとか、そういう状況のことを指しているんだと思います。

 あるいは、今後解体する予定であるといっても、解体する予定になってから解体するまでに五年たっても十年たってもオーケーだ、こういうことになります。

 また、例えば長期の出張、入院等というお話もありましたけれども、そういった場合は、住所は当然そこに置いたままになっているケースが多いと思いますし、あるいは、本当に数年という単位で転勤をされるということであれば、年限を区切って貸し出すということも可能なんだろうというふうに思います。

 今、軽減税率の関係で、税の中立性という議論が出ておりますが、いわゆる税制によって社会の制度、状況そのものが変わるというのが税が中立性に欠けるという状況であります。

 私は、どうもこの固定資産税の住宅用地特例は意図していない政策効果を生み出しているんじゃないかと。意図していればいいと思うんです。租特というのはおおむねそういうものであって、特定の政策目的というのを立てて、それに合致するように特別措置を設けるというものだと思うんですが、この場合は、別に空き家をふやそうと思って租特を入れているというわけではない。しかし、結果的に空き家をふやすという効果を生み出してしまっているという状況にあるんじゃないかというふうに懸念をしているところであります。

 こういったことも踏まえまして、空き家問題の解決、また住宅用地特例の改善ということについて、なかなか省としての見解というのは難しいと思いますが、政治家として、高市大臣の意気込みというか決意のほどをお聞かせ願えればというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 総務省は、御承知のとおり、行政、政策の評価も行っております。この空き家対策、今後、やはり進捗も、効果も課題もしっかりと洗い出さなければなりませんので、しっかりとまた調査をし、評価をした上で必要な対応をとっていくべきものだと考えております。

 先ほど委員がおっしゃった、一定期間利用されていないという基準に関しては、先ほど局長が答弁をしたとおりで、さまざまな事情がありますし、数年単位で、二、三年単位で仕事の関係でどこかに住むといっても、家にお仏壇があったり、いろいろなことでなかなか動かせないという方もいらっしゃるかと思います。

 ただ、総務省としても、平成二十七年度から、空き家の利活用、除却を行う際の国庫補助事業の地方負担を初めとします、地方自治体が実施する空き家対策のお取り組みに対する経費につきまして地方財政措置を講じることにしていますので、関係省庁とも連携しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。

宮崎(岳)分科員 なかなか難しいということも理解もしながら、一方で、やはりこれだけ課題が上がっているということも踏まえて、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいというふうにお願いを申し上げます。

 二点目でございます。

 現在、私の地元にあります前橋市、生まれ育った町でありますが、ここで、ICT街づくり推進事業というのを活用して、マイナンバーカードを使った母子健康情報サービスということに取り組んでおります。

 サーバーにアクセスをして、母子手帳の情報とかその関係の、予防接種、健康診断の情報、あるいはお薬手帳というようなものを、自宅にいながらにして、ICTを介してネットワークで見ることができるというものでありまして、その本人確認、認証のためにマイナンバーカードを使っているというところが非常に新しい。健康情報でございますから、機密性が非常に高いものかなというふうに思っておりまして、そこでマイナンバーカードを使って厳密な本人確認をするというところが特徴なんだというふうに思っております。

 こういう取り組みについて、今後、マイナンバーというのもようやく導入されて、これから使い方をいろいろ考えていくというところであろうと思いますし、マイナンバーカードについては特にそうであります。母子健康情報というものをある意味実証実験的に今やっているところでありますが、これをさらにいろいろな分野に拡大していくということを考えていらっしゃるかどうかということ。

 私が一例として考えられますのは、例えば、ある患者さんがいて、いろいろな病院にかかる、そういった検査情報などを本人が一元化して見ることができる、もし必要であれば、それをお医者さんに提出すると、何度も同じ検査をするという必要もなくなったりとか、こういった例も、マイナンバーカードを使用しない例ではいろいろ実験もこれまでされているんだというふうに思いますけれども、活用方法がいろいろあるんじゃないかというふうに考えております。

 このマイナンバーカードを使った情報サービスをさらにいろいろな分野に拡大していくという御意向があるかどうかということについて伺いたいと思います。

 あわせて、これは前橋市でもちろん実験をしているということになりますが、他の市町村等でも同様の取り組みが行えるのではないかということだろうと思います。これをいろいろな市町村に横展開していくというお気持ち、御意向もあるかどうか。

 これは高市総務大臣にお伺いできればというふうに思います。

高市国務大臣 マイナンバーカードは、番号法で定められた、法定されたことにしか使えないマイナンバーの部分、税と社会保障と災害にしか使えない番号の部分と、それからもう一つは、今御指摘の、ICチップの空き領域ですとか公的個人認証のシステムを使った、いわゆるマイキーの活用がございます。このマイキーの活用につきましては、新たに法律によるところではなく、民間事業者でも自治体でも御活用いただけます。

 宮崎委員のお地元の前橋市でございますが、非常に先進的な、よい事例だと思っています。ICT街づくり推進事業というのを総務省の方で活用しまして、前橋市の母子健康手帳のような先進事例に取り組む自治体を支援してまいりました。

 後段の御質問の中にあった点なんですが、ほかの自治体にも積極的に周知を図って横展開を図るということなんですが、もう既に前橋市の成果を活用した具体的な導入事例も出てきていると聞いております。群馬県でも渋川市など二つの自治体で、あとは富山県南砺市が前橋市の事例を活用した取り組みをされていると聞いております。

 今既に多くの事業者から、マイナンバーカードですとか公的個人認証サービス、この利活用に関する希望というものが多く総務省にも寄せられております。

 今月の十二日に、民間事業者三社を公的個人認証サービスを利用できる者として認定させていただきました。委員がおっしゃった前橋市の事例を実現したのが、この三社のうちの一社でございます。

 これからは、例えば、さまざまなサービスを活用できる情報基盤となるマイキープラットフォームというものを構築して、なかなか独自で、自分でカードを発行できないとか、コスト的に相当ICチップつきのカードというのは厳しいよという地域の商店街ですとか企業に御活用いただくような方法ですとか、行政手続の簡素化にも使えますし、また、それぞれ個人のおうちのテレビに、個人名を特定して、どこどこに避難してくださいというふうな災害情報の発信にも使えるかと思います。

 多様な使い方について、民間のお知恵を集めて進めてまいりたいと思っております。

宮崎(岳)分科員 マイナンバーカードというのは、ある意味で非常に便利なツールにもなり得るんだというふうに思っております。

 今は、個人の認証というと、大体運転免許証とか保険証とかいうことになると思うんですが、こういったものは必ずしもICチップで認証できるというふうにはなっておりません。一部の用途でそういうこともあるということなんでしょうが、広く一般に使えるということにはなっていないわけでありますから、ある意味で非常に便利なツールになり得るのかなというふうに思います。

 一方で、個人情報の塊というような状況もありまして、悪用や情報流出が懸念されるというところだと思います。

 ただいま大臣がおっしゃいましたとおり、マイキーという部分に関しては、もちろん流出はいけないことでありますが、世の中には、マイナンバーそのものに関する情報も全て流出してしまうんじゃないかというような危惧もあったりするのかなというふうに思うんですね。このようなシステムを運営する事業者の認定等に当たっては、ある意味厳しい審査やチェックというものが大切になってくるというふうに考えております。

 私も、先ほど大臣が御指摘いただきました一般社団法人の方についてちょっと調べさせていただきましたが、ここは、理事なんかのメンバーを見ますと、前橋市の医師会等が中心になって、ある意味非常に公的な団体としてつくられたということであります。ほかの二社については存じ上げませんが、恐らくほかの二社も大変そういう意味ではしっかりしたところなんだろうというふうに思っております。

 ただ、スタート時点は常にそういうことだろうと思いますが、参入者がどんどんどんどんふえてくれば、中には質の悪いところも紛れ込んでくる。あるいは、別に悪意があるわけじゃなくても、例えば、すぐ倒産をしてしまった、倒産をして会社の持っている資料やそういったものが散逸をしてしまうというようなことも考えられることでありますから、ある意味でしっかりした審査、チェックのもとで運用していただきたいというふうに思っております。

 これについて、総務省の方から、こういったチェックや審査体制についての御見解を伺いたいと思います。

稲山政府参考人 お答えを申し上げます。

 マイナンバーカードに格納されました電子証明書等を活用いたします公的個人認証サービスにつきましては、大臣の認定を受けることを前提といたしまして、本年の一月一日より民間事業者においても利用ができる、開放されているところでございます。

 こうしたサービスを利用する民間事業者につきましては、利用者の皆様から受け取る電子証明書あるいはそうした記載情報を適切に取り扱うことができる者でなければなりません。こうしたことから、主にセキュリティー確保の観点から、サービスを利用することができる民間事業者の認定基準というものを政令等で定めておるところでございます。

 御指摘のございましたように、セキュリティー確保が重要でございますので、その場合、システムにおける対策のみならず、適切に組織体制あるいは業務の運営方法が定められておるか、かつ、その定めどおりシステム構築あるいは運用されているかといったようなことが重要でございます。こうしたことを網羅的に盛り込んだ認定の基準としているところでございます。

 また、審査に当たりましては、そうした基準に適合するための民間事業者の皆様の対策内容について申告を受け、その申告内容を裏づける資料の提出を受けるなど、そうした内容をもとに厳正に審査を行っているところでございまして、今後とも、厳正、適正にやってまいりたいと思っております。

宮崎(岳)分科員 ぜひ、そこら辺は国民の信頼に応えるようにしっかりとやっていただきたいというふうに考えております。

 さて、最後の質問でございます。

 訪日外国人が、今、観光立国ということで政府も取り組んでおりますので、大変増加をしているところであります。

 外国人が日本国内で診療を受ける場合というのは、言葉の壁が課題となるわけであります。

 もちろん、英語ぐらいであればできるお医者さんも多い、対応できる医療機関も多いのだというふうに思いますが、中には、日本国内で通訳、病院が意思を把握することがなかなか難しいような言葉もあります。物を売ったり買ったりする日常会話の程度であれば、身ぶり手ぶりも交えて、ある意味漠然と意思が伝わればいいということになるんですが、これが医師の場合ですと問診ということが含まれてきます。その中には結構難しい言葉もありますし、あるいは、あなた、どういう薬を今飲んでいますかとかという専門的なことも、つまり、間違ってはいけないこともいろいろ多いのかなというふうに思います。

 それからもう一点は、聴覚障害者の場合というのも、これも課題になると思うんです。

 聴覚障害者が手話を使います。手話というのは、日本語の手話と英語の手話というのは、違うある意味の文法によって運用をされている。我々は、余り手話に詳しくないので、手話というのは身ぶり手ぶりのことだから、これは世界統一なのかなというふうに思いがちなんですけれども、実は全く違う。私も調べていてちょっと驚いたんですが、アメリカとイギリスでも違う場合もある。ある意味、口でしゃべる言語に比べても、さらに国際間の意思の確認が難しいような場合もあるというふうに思っています。

 そうすると、例えば手話通訳を間に入れるということになりますと、もちろん通常の電話では通訳ができない、こういうことになります。外国人の聴覚障害者の日本での受診には高いハードルがある、こういうふうに考えております。

 東京オリンピック・パラリンピックが二〇二〇年に開かれます。そのときもそうですけれども、その前またその後を含めて訪日外国人は増加をするということが見込まれるわけであります。とりわけパラリンピックに関連しては、障害者の方々の来日というのが非常にふえることだろうというふうに思います。

 私もちょっと聞いた話ですが、何か日本に訪れる方の大体四%ぐらいが何らかの形で医療機関を利用するというデータがあるというふうに聞いております。

 実は、恥ずかしながら、私も、新婚旅行の際にイタリアに行ったんですけれども、ローマでうちの妻が高熱を発しまして、いわゆるパックツアーではなかったものですから、非常に往生しました。そして、もちろん海外旅行保険に入っていたので、その保険会社を通じて、現地のドクターをホテルの部屋まで呼んで診察をしていただいたわけなんですけれども、先方は英語でございます。私は英語も余り得意じゃないものですから、意思の疎通には苦労しました。特に、薬の名前とかこういったものになると、後で考えてみれば、ああ、これのことだったのか、イブプロフェンかみたいなことですけれども、発音もなかなか、片仮名で書いてあるのと違うものですから、わかりません。

 こういった状況の中で、群馬大学等がNPOなどと共同して、ICTを活用した遠隔医療通訳システムの開発に取り組んできたというふうに聞いております。いわゆるタブレット型のパソコン等を使いまして、間にドクターを挟んで、そのタブレットの向こうで通訳をしてもらう。音声ももちろんですし、また、画面がありますので、手話通訳等も通すことができるというようなものだと聞いております。

 このような取り組み、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、このようなICTを利用した遠隔医療通訳の活用というのが期待されるのではないかなと推察するところでありますが、これについて、ICTを所管する総務省の御見解を伺いたいというふうに思います。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人観光客、昨年一千九百万人を超えておりまして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます二〇二〇年におきましては、さらに多くの観光客の訪日が見込まれると考えております。

 現在、医療機関におきましては、外国人への対応のために電話通訳等のサービスを活用している例がございますけれども、今後、訪日外国人観光客の増大に伴いまして、外国人との意思疎通をこれまで以上に支援するシステムの実現が期待されていると認識しております。

 このため、総務省では、二〇二〇年までに、医療機関を含めまして多言語の音声翻訳システムを活用していただけるよう、国立研究開発法人でございます情報通信研究機構が開発したシステムの高度化に関する研究開発を進めるとともに、病院等において実証実験を実施しているところでございます。

 このような取り組みを着実に進めることによりまして、外国から訪れられる方々が日本滞在中に心から安心して過ごしていただけるような環境の構築に寄与してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

宮崎(岳)分科員 ぜひ、外国の方が日本に来た場合に困難がないように、そして、こういうシステムが確立できれば、日本国内で利用できるだけではなく、海外に同じ形で展開をできる。日本も今、医療のアウトバウンド、インバウンド、こういったことを促進して、ある意味成長戦略の一つとして位置づけて、海外に日本のすぐれた医療を発信していくということも取り組んでいると聞いておりますので、その一助になるようにお祈りを申し上げ、また総務行政のますますの発展をお祈り申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 次に、緒方林太郎君。

緒方分科員 本日、第二分科会で質問をさせていただきます。よろしくお願いします。と思ったら、参考人の方がまだ来ておりませんが、質問は進めさせていただきたいと思います。

 まず、第四次地方分権一括法におけます県費負担職員の給与の政令指定都市への移譲という問題について取り上げさせていただきます。

 これは、昨年の地方創生特別委員会で私は一度取り上げさせていただきまして、何かと申し上げますと、これまで市町村の教員の給与についても県で負担していたものを、政令指定都市については県から政令指定都市へ移管をするということが第四次一括法で決まり、法律も通っております。これから施行になってまいります。

 画期的なのは、具体的な税源移譲がなされたということでありまして、個人住民税の所得割の二%が具体的に政令指定都市へ移管される。こういう地方分権を進めるときに、具体的な税源移譲が進むということはなかなかございません。これは、正直に申し上げます、画期的なことだと思います。これは高く評価をしたいと思います。

 しかしながら、それでお金が足らないところが出てきます。所得割で二%移譲してもお金が足らないところは、地方交付税で負担をするということになっております。

 地方交付税が、ではそのまま、今教員に支払われている分だけの地方交付税がそのまま政令指定都市に移管してくるのであれば、これは何も問題がないわけでありますが、実際問題としては、その分だけおりてこない。加配されている分とかもあるんだと思いますけれども、加配されている分が直接おりてこないとかいうこともあるんだと思います。

 この移譲に伴って、例えば人事給与システムを変えなきゃいけないとか、あと、退職金を今度市で負担しなきゃいけないとか、そういった追加的な問題も生じてきております。

 先般、私が地方創生特別委員会で質問したときは、総務省の参考人の方が、地方交付税については、留保財源のない形で、算定根拠そのままにおろすだけだという答弁をされています。これですと、例えば我が北九州市ですと、具体的に試算をしたわけではありませんが、十億円以上の一般会計からの追加的な繰り入れが出るということで、非常に危惧をいたしております。

 私が先般、地方創生特別委員会で質問した後に、とある政令指定都市の教育委員会の方、全く面識のない方でありますが、私のところにメールを送ってきまして、まさに自分たちは今これに悩んでいるんです、苦しんでいます、小さい政令指定都市でも数億、厳しいところになると十億、二十億と一般会計からの繰り入れが出てくるということでございました。

 先ほど申し上げましたとおり、税源移譲が行われたことについては高く評価をいたします。しかしながら、その結果として、地方交付税での手当てが不十分なことによって一般会計からの繰り入れが出るということになると、結果として地方分権に対する意欲が著しく下がるのではないかということを危惧いたします。

 この件につきまして、自後、聞きましたところ、総務省の方で少し見直しをしているということでお話を伺った記憶がございます。この件、現在の検討状況はどうでしょうか、総務省。

安田政府参考人 お答えいたします。

 県費負担教職員の給与負担等の指定都市への事務移譲につきましては、平成二十五年六月の三十次地方制度調査会答申で、事務の移譲により指定都市に新たに生ずる財政負担については、適切な財政措置を講ずる必要があるとされておりまして、指定都市において国が義務づける教育制度の運営に支障が生じないよう、地方財政措置を講ずる必要があるというふうに認識しているところでございます。

 また、平成二十五年十一月の道府県と指定都市の合意では「道府県・指定都市の双方にとって財政運営への影響を最小限とすること、すなわち財政中立を基本として、国が地方財政措置を検討し、適切に講じることを前提として、道府県から指定都市に個人住民税所得割二%の税源移譲が行われることに合意する。」とされているところでございます。

 地方財政措置につきましては、この合意を踏まえ、財政中立を基本といたしまして検討しているところでございますけれども、委員が御指摘ございましたように、具体的には、地方交付税の算定上、権限移譲される事務に関する標準的な財政負担額を指定都市の基準財政需要額に全額反映させるということにするとともに、基準財政収入額につきましては、税源移譲額を一〇〇%算入するということが適当ではないかと考えているところでございます。

 具体的な措置内容は、実際に事務の移譲が行われるまでに決定することになりますけれども、いずれにいたしましても、指定都市において、移譲された事務が円滑に執行できるように、現場の声をお伺いいたしまして、また文部科学省からの意見も聞いた上で、適切に対応してまいりたいと考えております。

緒方分科員 それですと、留保財源が出る形での移譲は行わないということを今言われたということですか、総務省。

安田政府参考人 基準財政収入額につきましては、税源移譲額を一〇〇%算入するということでございます。

緒方分科員 留保財源は出ないということでよろしいですね。もう一度。

安田政府参考人 その点については、御指摘のとおりでございます。

緒方分科員 そういたしますと、留保財源が出ない状態で移譲してしまいますと、恐らく、現在県は何をやっているかというと、普通、地方交付税を渡すときに、留保財源が出る形でお配りしておりますので、その留保財源の分をも使って例えば加配をしているとか、そういうことがある、しかし、この留保財源なしで、そこをばしっと切った上で、それだけを移譲してしまうと、想定として、留保財源で雇っている教員の分というのは今回面倒を見られないということであります。結果として、この留保財源の分は、政令指定都市の一般会計からの繰り入れになるわけです。

 これは、豊かな都市、例えば、具体的に名前を出すのははばかられますけれども名前を出しましょう、川崎市とか、こういった豊かな町であれば、実は、税源移譲する段階で十分に賄えるんですね。けれども、財政状況が余りよくない地方自治体になると、この話は、一般会計で、本当に億単位で金が出ていくことになるんです。

 今、前回の地方創生特でお話ししたときと総務省の見解は変わっていないわけでありますけれども、この件、本当に考えていただきたい。目の前に教員がいるんです。変わらないんです。これは今県から出ている、そして、これが政令指定都市に移譲されてくる、そうすると、その分の給与が実は県から満額おりてこないというふうに政令指定都市から見えるわけです。その結果として、地方自治体の教育の状況が悪くなるということがあり得るわけですよね。

 十数億円穴があくといったら、どこかで、例えば非常勤の方を雇おうとか、そういった、これまでよりも教育のいろいろな、労働条件であるとか教育の水準とかを下げなきゃいけないということになるわけでありまして、もう一度申し上げます、検討していただけませんか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の基準財政収入額の算入率を仮に一〇〇%未満ということにしますと、道府県から指定都市に移転する需要以上に財源を指定都市に移転することになるというふうに私どもは考えておりまして、やはり、財政中立の観点からは、先ほどの方向で検討したいというふうに考えてございます。

 その上で、地域の実情によりまして実施されている施策、御指摘の県単加配などがこれに当たるというふうに思いますけれども、これに係る財源措置につきましては、関係道府県と指定都市の間で協議会等が設置されているというふうに思いますけれども、その中でよく議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。

緒方分科員 県と政令指定都市がよく議論すればいいということですが、それは県だって、決まった額だけをおろせば、あとそれ以上に、加配の分のお金を渡そうなんてしないですよ。しないです。県と政令指定都市だけで議論するときに、県が自発的に、ああ、そうでしたねということで、では色をつけてもう五億円、もう十億円出しましょうなんてことは絶対ないわけであります。

 高市大臣、また別の機会に質問させていただきますが、これはかなり重要な問題です。政令指定都市の教育の水準に大きくかかわる問題ですので、ぜひ念頭に置いていただければと思います。

 そして、きょうは質問しませんけれども、文部科学省、この件について私がレクをしたときに文部科学省の方は何を言ったかというと、いや、それは総務省の地方交付税の話ですから、うちには関係ないですと。けれども、これは教育の問題なんです。確かに、お金の、財源の出どころは総務省です。しかしながら、これは教育にかかわる話なので、文部科学省の方にも正しくきちっと問題意識を持って、地方の教育の水準を下げないという観点から、このことには関与をしていただきたいということを一言述べさせていただきます。

 質問を移したいと思います。

 日本版のCCRCというものがございます。これは、移住をしていただいて、できるだけ介護とかが充実しているところに移住をしてもらうということも含めて検討されているのかなと思いますが、この件について、どういう認識があるかというと、東京で介護の供給が足らないから、だから介護が充実している地方に移ってもらおう、東京が対応できないから地方に移ってもらおうというような、そういう受けとめ方も実はあるわけです。

 そして、この日本版CCRCをやった結果として、では、地方にどういう町ができるのかということを考えてみると、実は、例えば豊かな人だけが戻ってきて、その人たちだけが特定の地域にゲーテッドコミュニティーみたいなものをつくって、そしてそこに住むというような、そういう世界観をイメージしているんじゃないかというような御指摘もあるわけでございますが、内閣官房、いかがですか。

伊藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 生涯活躍のまちは、現状、五十代以上の方に移住の動きあるいは御意向があるということを踏まえまして、地方や町中に移り住むための受け皿となるコミュニティーづくりを目指すということでございます。

 具体的には、従来の高齢者住宅や施設に比べてみますと、要介護になってから移住していただくというのではなくて、健康なときから御希望に応じて移住していただく。それから、サービスを受ける存在ということではなくて、むしろ御地元の方でお仕事や、あるいは社会的活動、生涯学習なんかに積極的にかかわっていただく。

 それから、先ほどゲーテッドコミュニティーというお話がありましたが、その方たちだけで固まるのではなくて、地元の方、子供たち等々と交流していただく、そういうような形にしたいというふうに思っております。

 また、お金持ちの人というよりは、むしろ一般のサラリーマンの第二の人生ということに対応できるようにしたい、このように思っております。

 その際、先ほどゲーテッドコミュニティーの話がありましたけれども、固まって新規に開発するというだけではなくて、空き家など地域の中の資源を使ってまちづくりをしていくという観点で進めたい、このように思っています。

 いずれにしろ、希望に応じて豊かな第二の人生が送られるような魅力的なまちづくりを支援していきたい、このように思っております。

緒方分科員 そこはCCRCの一番きれいなところでありまして、そういうアクティブな方が戻ってきて、地域のまちづくりに絡んで、そして町がいろいろな意味で豊かになっていく、その可能性を私は否定しません、とても大事なことだと思います。

 しかし、そうでないケースも大いにあるわけですよね。介護を受けようと思ったら、実は東京ではなかなか難しい。そして、一部民間の報告書によると、例えば、大分の別府市はそういうのが充実しているぞとか、我が北九州市もその中に名前が挙がったりしている。

 そうすると、実は地方自治体が何を心配しているかというと、これによって、地方自治体の医療費の負担、介護の負担。

 今、アクティブな方が戻ってくると言われたけれども、アクティブな方であっても、引退された方ですので、少なくとももう六十代後半ぐらいになってくるわけですね。そうすると、加齢に伴って介護の需要、医療の需要がふえてくるわけでありまして、そこに至るまでの年限が短いわけですよね。そうすると、アクティブで帰ってこられても、いずれ、結果としてそこに介護が必要になる、医療の負担が上がっていくということに対して、当然地方自治体としては懸念をするわけです、額が上がっていくんじゃないかと。

 結局、CCRC、アクティブな方が戻ってきて、町を豊かにしてという姿はいいかもしれないけれども、それを進めて、十年たってみたら、むちゃくちゃ医療費の負担がふえた、介護の負担がふえた、こういうことになる可能性があるのではないかと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 移住先の自治体における介護費用の負担につきましては、給付費全体の五割を公費で負担いたしておりまして、また、地方負担分については地方交付税で措置をいたしております。

 また、地域住民の保険料の負担につきましては、保険者間の格差、これは後期高齢者の加入割合とか被保険者の所得水準でございますけれども、これを是正するため、財政調整を行っております。

 さらに、有料老人ホームに該当するサービスつき高齢者向け住宅などに健康なときから入居した場合でも、移住元の自治体が将来発生する介護費用を負担する仕組みを設けております。

 加えまして、今後でございますけれども、この介護保険における財政調整につきましては、特に年齢が高い高齢者が多い自治体により重点的に配分するよう、見直しを検討することといたしております。

 また、医療費についてでございますけれども、これも介護保険と同様に、給付費の約五割を公費で負担し、公費のうちの地方負担分については交付税で措置するほか、高齢者につきましては、国民健康保険、被用者保険の各保険者が加入者数に応じて費用負担するよう調整を行っております。

 このような仕組みによりまして、移住先自治体に過大な医療費や介護の負担が増加しないよう配慮をしているものでございます。

緒方分科員 ありがとうございました。この件は、また別の委員会でも質問していきたいと思います。

 次に、連携中枢都市圏構想について一言お伺いをいたします。

 これはまだ始まったばかりの制度でありますけれども、私、北九州市でありまして、まさに連携中枢都市圏の多分中核になるような町ではないかというふうに思っております。ただ、いろいろなメニューが並んでいるんですけれども、そもそもこれは何を目的としていて、どういうことに対して政府としてサポートしようとしているのかというのがよくわからないということがございます。

 この目的と、そしてこれからどういう絵姿をこの連携中枢都市圏構想について描いておられるのか、総務省。

高市国務大臣 まず、目的、どういう絵姿ということでございますけれども、かなり急激な人口減少そして少子高齢化といった厳しい状況にある地方圏において、単独の市町村でフルセットのサービスを展開するというよりも、複数の自治体で役割分担をしていただき、連携を図っていただく、この方がいいんじゃないかということでございます。

 そういう考えの中で、連携中枢都市圏構想は、地域において、相当の規模と中核性を備える圏域において市町村が連携して、コンパクト化とネットワーク化によって経済成長の牽引、高次都市機能の集積、強化、それから生活関連機能サービスの向上を行うということによって、今の人口減少社会でも一定の圏域人口を有して活力のある社会経済を維持するための拠点を形成するということが目的でございます。

 現在、十四市が中心都市として圏域を形成する意思を宣言しておられて、五つの圏域が形成されるということで、着実に取り組みも進んでおります。委員のお地元の北九州市も、もう既に宣言済みでございます。

 今後、やはり連携中枢都市に対しては、経済成長の牽引、特に高次都市機能の集積、強化、ここの機能に着目しながら、圏域人口に応じた普通交付税措置を講じておりますので、また、連携する近隣市町村にも特交措置を講じておりますので、これからしっかりとそういう圏域がふえていくように努力をしてまいりたいと思います。

緒方分科員 このメニューを見ておりますと、普通交付税で見るものというのと、もう一つ、特別交付税で見るというのがあるんですが、一般的に、大臣も議員をやっていたころ、わかると思いますれども、特別交付税というのは完全にブラックボックスなんですよね。どう決まっているかも全くわからない。いろいろ要望するんだけれども、結果として出てくると、ああ、そうですかと。これはどういう基準でどう決まったのかというのが、もう全く地方からするとわからないということがあって、ここは透明性を確保した上でやっていただければというふうに、これはお願いだけさせていただきます。

 続きまして、放送法についてお伺いをいたしたいと思います。

 放送法については、予算委員会でも何度も何度も取り上げられてきたテーマでありますが、ちょっと、私はある方からも指摘を受けまして、思ったんですが、政府広報というのは、政府の立場を繰り返して、そして、国論を二分するテーマについても、政府の立場、まさに特定の立場を繰り返し放送している。政府広報というのは、全てが全てそうだとは言いませんけれども、一部、高市大臣が出され、そして政府統一見解になった見解に照らしてみても、あの政府広報というのは放送法違反の疑いがあるのではないかというふうに思いますが、では、これは最初に内閣府。

別府政府参考人 お答えいたします。

 政府広報といたしましては、今おっしゃったような議論が分かれるような問題、そういったものについても、当然やったことはございます。

 では、そういったものはどういう意味でやっているかと申しますと、いろいろな政府としての考え方をお示しする、あるいはその背景をお示しする、そしてその上で国民の方々の中で議論が深まるように、そういう趣旨で行うという意味でやっております。そういう意味では、一方的に政府の内容をお伝えするというよりも、決まった政策については、当然、こういう決まった政策ですので、こういう中身だということはきちんとお知らせいたしますけれども、そういったまだ決まっていない問題について、こういうものしかないとか、そういったことをやるという性格のものではございません。

緒方分科員 しかしながら、郵政民営化のとき、今大臣にこうやってお見せしますが、「郵政民営化に、あなたのYESを。」これは文書でありますので、必ずしもこれが全てではないかもしれませんが、「郵政民営化に、あなたのYESを。」というふうに書いている資料も、これは政府広報でやっておられます。恐らく、資料でやっているということは、放送事業者でも似たような内容のものをやっているはずです。

 まさにこれは、法律が通る前に、「郵政民営化に、あなたのYESを。」と。これはどう考えても、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊さらに他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合、まさにこれに当てはまるんじゃないですか。これは、では高市大臣。

高市国務大臣 政府広報の性格というのは、今、別府さんがお答えになったとおりだと思います。既に国会の御審議を経て政策になったものなどが多いんだろうと思うんです。

 それで、私もちょっと、マイナンバーの広報など、特に詐欺対策などをしなきゃいけなかったので、随分苦労したんですが、結局、こちらでテレビスポット用の原稿ですとかそういうものを用意しても、やはり放送法の趣旨にのっとって、放送事業者の方で大変厳しい審査がございました。詐欺対策なんかは、ちょっとでも早くテレビCMを打ちたかったんですけれども、それぞれ、流す放送事業者の審査を経なければ流していただけないということで、それの待ち時間が非常に長かったことを思い出しております。

 ですから、今の郵政のお話、個別具体的なことについて、私、テレビでどういう流され方だったかということは承知していませんのでお答えしにくいんですけれども、ただ、放送番組は、放送法にのっとって、放送事業者がまずは自律的に放送法を遵守していただくということであるかと思います。政府広報に関しましても、放送事業者が自律的に審査をしておられると承知をいたしております。

緒方分科員 しかし、この郵政民営化は、今マイナンバーの話をされましたけれども、マイナンバーは法律が通った後、マイナンバーはこういうものですよと、そういう広報をされるものであって、けれども、郵政民営化のときは違うんです。法律が通る前に、いろいろな広報媒体に対して、「郵政民営化に、あなたのYESを。」「郵政民営化担当大臣 竹中平蔵」と書いてあるものまでを、こちらは広報物ですけれども、これが出ているということは、映像を見たわけではないので現在検証できないですけれども、ただ、映像でも放送でも同じようなことを恐らくやっているだろうと思います。

 内閣府にお伺いいたします。こういうふうに、法律が通る前であっても政府の見解だけを流すことも政府広報ではやり得るということでよろしいですね。内閣府。

別府政府参考人 お答えいたします。

 まず、ちょっと事実関係だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、先ほどの政府広報で、郵政民営化の広報でございますけれども、それにつきましては、郵政民営化の基本方針という閣議決定がなされました。その閣議決定に基づきまして、閣議決定の内容、あるいはその閣議決定が制定された背景、そういったものも一応御説明した上で、実はその上で国民の皆様から御意見を求めるという趣旨でございます。

 今、委員お示しになられた広報につきましても、要は、御意見くださいというのはあると思いますけれども、そういう形で、御意見を求めるというところに中心があったとまず思っています。

 もう一点だけ、済みません。テレビのことでございますけれども、その当時のテレビにつきまして私ども内容を持っておりませんけれども……(緒方分科員「持っていない」と呼ぶ)内容は持っておりません。番組とかそういったものは、テレビ局が持っておりますので、我々が持っているわけではございませんので持っておりませんが、当時の資料を見ますと、要は、郵政民営化テレビキャラバンという題名で、全国各地を訪問して、各地方の方々の討論会を開催した、その模様を各地方のテレビ局で放送する、そういった内容のものをやったというぐあいに承知しております。

緒方分科員 閣議決定が決まった段階でやっていいのであれば、まさに国論を二分するようなテーマについて、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、閣議決定で決まったものと違う見解について取り上げなくて、そして、閣議決定で決まった見解だけを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送する場合は問題ないということになるわけですよ、今の説明だと。

 おかしいじゃないですか。それは国会での審議に物すごく影響しますよ。それがいいのであれば、それはもう、この放送法の規定なんて、政治的に公平であることなんて、換骨奪胎されてしまいますよ。おかしいじゃないですか。

別府政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げたことにつきましては、要は閣議決定という中身について、これはもう閣議決定をして政府としての方針が決まっているので、政府としての方針はこうですが、ただ、今おっしゃったような法案の、例えば法案を出しているときに、法案の内容について一方的に広報するとか、そういったことはしたことはございません。

緒方分科員 いやいや、これは紙の媒体ですけれども、「郵政民営化に、あなたのYESを。」ですよ。単なる説明じゃないですよ。これは説明じゃないですよ。むしろ、国民に対して、あなた、イエスと言ってくださいと働きかけまで行っているもので、今の答弁は成り立たないですよ。

 こういう国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方だけの政治見解を取り上げず、殊さらに他の政治的見解のみを取り上げてというのに、これを厳格に解してしまうと、今の郵政民営化のようなときの政府広報は、実はど真ん中ストライクで、放送法の個別の番組の違反に当たると思うんです。

 だから、むしろこれまで総務省は何と言ってきたかというと、こういう個別の番組について発言をせずに、全体として、放送事業者の全体として判断するということを言っていたんじゃないですか。一つの番組にやってしまうと、むしろ、天に唾をするように、自分自身がやっていたことに対してはね返ってきますよ。

 総務大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 一つの番組の集合体が全体、番組全体を見てということになりますから、やはり一つ一つを見ていくということなんだろうと思います。

 今の郵政民営化の政府広報ですか、テレビで放送された例は、当時、済みません、私が落選中だったんですけれども、ちょっと記憶にはないんですが、仮に、何か御説明があったように、テレビキャラバンというようなことでいろいろな議論を聞くというようなことであれば、とりわけ片方の意見だけを強調するようなものではないと思います。

 ただ、今その活字でお持ちのものに関して、活字に関しては放送法のような縛りがございませんので、これは一概に判断はできません。

 やはり、放送事業者がまずは放送法の理念として法の適合性を判断される、その上で、そういった取り組み、放送法の五条、六条に規定されているような自主的な、自律的な取り組みによってもどうしようもないような場合に、総務省が、放送事業者からもしっかりと御意見、事情も伺いながら、必要に応じて対応を判断するということになるんだろうと思います。

緒方分科員 先ほど地方討論キャラバンの話をされましたが、これは、当時、郵政民営化のときの広報タスクフォースがスケジュールをつくっていて、ここにあるうちのほんの一部です。

 テレビでは、例えば「そこが聞きたい!構造改革」、竹中大臣とか、そのほかにも、テレビで、ラジオで、いろいろな、むしろ周知広報型の番組というのをやっているわけです。恐らくやったんだろうと思います、これはスケジュールですけれども。

 問題提起型とかいうのであればまた別ですけれども、周知広報型で竹中大臣が出てくるときに、お互いの意見を平等に言っているなんて、恐らく想定されないですよ。恐らく一方の意見だけをずうっと言い続けているはずです。これはまさに放送法違反だというふうに大臣は思われませんか。

高市国務大臣 ちょっとそのもの自体がわかりませんので、現段階で、今初めてお聞きした話ですので、総務大臣の判断をここで求められても、お答えすることはできません。

緒方分科員 この政府広報の話がなぜ放送法違反にはまらないかというと、それは、とりもなおさず、これまでは、放送事業者全体で見ているから、例えば、政府の一方の立場の話をやったとしても、それを希釈するような別のところできちっとフォローするから、だから放送事業者全体としてこれは問題がないということで、そう解釈していたんだと思います。

 でないと、郵政民営化で竹中さんが出てきて「郵政民営化に、あなたのYESを。」みたいなことを言うだけであれば、これは明らかに放送法違反でありまして、それを、全体で見てみれば放送事業者として問題がないだろうということでやっていたものを、今回のように一つの番組だけを取り上げて判断するようになると、よりこういう政府広報に対する放送法違反の問題が惹起されやすくなるということ。

 この件は、もう時間も終わりましたので、引き続きいろいろな場で取り上げさせていただくことを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて緒方林太郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺孝一君。

渡辺(孝)分科員 今回は、この分科会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の渡辺孝一と申します。

 本来、私は農林水産委員会に所属している者でございますので、この分科会で質問をしようかどうか、正直言って手を挙げるのを迷っておりました。ただ、地域を歩いて回っておりますと、確かにTPPの問題は大きな問題ではございますけれども、その一方で、地方創生の問題もかなりの自治体の中では興味を持っていらっしゃる。あるいは、昨年の地方版の総合戦略策定の際にかなり皆さんが地域住民の方々と汗をかいたという経過もございまして、今回はこの分科会で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、質問に入る前に、大臣にお礼を申し上げなきゃいけないんですけれども、大変忙しいタイトなスケジュールの中で夕張に訪問に来ていただき、本当に夕張市民を勇気づけていただいたこと、心から、私の立場からもお礼を言いたいと思っております。

 ただ、大臣はメロンが嫌いだといううわさが流れていたものですから。そんなことはないんですか。まあ、これは全然関係ない話でございますけれども、それで、夕張市長もちょっとそのうわさを気にして、夕張メロンを持っていっていいんだろうかなんていう話をしたこともありました。まあ、大して気にしなくてもいい話でございます。

 今、全国の千七百を超える自治体の中で、どこの自治体も大変苦しい状況ではございますけれども、夕張はつとに厳しい状況であるということを、大臣が足を運んでいただいて、市民の皆さんに声をかけていただいたということは、市民の皆さんにとって大変勇気づけられたのではないかと思います。

 さて、私がなぜこの分科会で質問したかといいますと、私の選挙区は三十四の市町村がございます。それも本当に小さな町ばかりでございまして、その三十四の管内の中で一番大きい町が、私が市長を十年間やっていた岩見沢市という町でございまして、それすら今八万五千人ぐらいの町でございます。

 そういう意味では、本当に国に財政的な支援、特に交付税等々で助けていただかないと地方財政がままならないというふうな状況であることは、総務省の方もつかんでいるのではないかと思います。

 その三十四の市と町を回りながら、先ほど申したように、TPPの問題や地方創生の問題、いろいろとお話をしましたけれども、地方創生の話の中で特に話題になったのが、いわゆる合併というキーワードが出てくるケースが多うございました。

 そこで、あの平成の大合併と称された合併が終わってから、私も平成十八年の三月に合併をいたしましたが、その後、もう十年がたっております。なかなか合併という言葉が地域に赴いても出てこない中で、いわゆる先般行われた平成の大合併について、まず総務省の評価なりを聞かせていただきたいなと思います。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 平成の合併は、地方分権の担い手となる基礎自治体の行財政基盤の確立を目的としたものでございます。

 平成の合併によりまして、市町村の規模は総じて一定の拡大を見るとともに、一定の行財政基盤の強化が図られたものと認識しております。

 平成の合併、平成十一年四月以降でございますけれども、平成二十三年十月までに合併いたしました五百九十の市町村を対象にいたしまして実施した市町村合併に関する調査結果によりますと、市町村合併による効果といたしまして、専門職員の配置や充実、専門部署の新設などの組織や機構の充実が図られたことや、職員配置の適正化などの行財政の効率化に資したということが挙げられております。

 この結果、市町村合併によって、市町村の行政能力の向上が図られているものと認識をいたしております。

 他方、住民の声がなかなか市町村に届きにくくなるのではないかといった課題も指摘されているのも事実でございます。

 総務省といたしましては、これから合併市町村がより一体感を醸成できるような工夫をし、時の経過とともに市町村規模の拡大の経済効果があらわれてくることによって、住民の方々が合併のメリットをさらに実感できるようになるのではないかと考えているところでございます。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

渡辺(孝)分科員 私も報告書を見せていただきましたので、なおかつ、合併については私も苦労した経験がございますので、重々、総務省の報告書等々につきましては評価に値するものだというふうに認識を持っております。

 しかしながら、二十二年度までのいわゆる合併の議論の中で、その後は、今、現行法に変わって合併の議論も行われているかと思いますけれども、なかなか全国的に市町村の合併というのは見えない状況というか、あの当時の状況とはちょっと一変しているのではないかと思います。

 そんな中で、二十二年以降から今現在までに、合併につきまして、総務省としてはどういうふうに捉まえているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 平成十一年以降、平成二十一年度末までのいわゆる平成の合併におきましては、国が市町村合併に関する基本指針を策定し、県におきましては構想を策定するとともに、合併協議会の設置の勧告をできるなど、合併の推進を国を挙げて進めてきたところでございますが、平成二十一年度末でこの合併の推進は一区切りしたというふうに認識をしております。

 平成二十二年度以降におきましては、国、都道府県による、先ほど申し上げましたような積極的な関与等の合併推進のための措置は廃止をいたしますが、今後、自主的な市町村の合併については、円滑化する措置を図っているところでございます。

 ちなみに、平成二十二年四月一日以降、新法に基づきます市町村合併の数でございますけれども、七件ございまして、その結果、現在の市町村数は千七百十八となっているところでございます。

渡辺(孝)分科員 合併につきましては、総務省としてはまずは一区切りというお話がございました。それはそれでよろしいんですが、当時、小泉首相が、自治体の数を、当時三千二百ぐらいあったと思いますけれども、千ぐらいにしたいというような発言があったかと思います。それに関しては、我々、市長という立場で非常に重く受けとめておりました。

 この千という数字は、あくまでもその当時の総理の期待値や希望であったのか。総務省として、やはり千ぐらいの自治体におさめなければ、いわゆる地方財政がなかなか厳しい、そういう数字であったのか。もし、その辺のところ、お話しできる範囲で教えていただければ。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 当時、与党行財政改革推進協議会が、市町村合併後の自治体数を千を目標とすることを定めておりまして、これを受けまして、平成十二年十二月一日の閣議決定におきまして行政改革大綱を定めたわけでございますけれども、この中におきまして、「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」という閣議決定がなされたところでございます。そういった方針を踏まえまして、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するということとされたところでございます。

 市町村合併は地域のあり方にかかわることでありまして、地域の将来やそのアイデンティティー、住民生活に大きな影響を及ぼすことから、目標としては千でございますけれども、基本的に、自主的な市町村合併を推進するということになった次第でございます。

渡辺(孝)分科員 今の言葉を聞きますと、千はあくまでも期待値だったというふうに受け取り、なおかつ、合併につきましては、その地域地域がしっかりと主体となって、住民の方々と議論して決めていったいきさつは、私も経験しておりますので重々わかりますけれども、やはりこの千の目標あるいは期待、それが千七百十八だったという結果においては、その後、果たして地方が生き残っていけるのかというような、合併が終わった後でも、自治体間の中ではそんな話に花が咲いたようなことをまだ記憶しております。

 ですから、政府が中心となって、何が何でも千にしなければいけないという目標ではなかったんだなというふうに改めて思いますが、今の地方の現状を見ますと、爪に火をともしまして、行財政改革に力を入れながらも、本当に厳しい状況の中で行政運営を強いられている自治体がたくさんありますので、私としては、総務省なりにしっかりと、自治体の数については、どの方向性、なぜそうしなければいけないのかということをうたっていただき、活発な議論につながっていければ、もうちょっと違う形になったのではないかというふうに思います。決して局長を責めているわけではございません、これは、最終的には各自治体が決めることでございますから。

 そして、そろそろ本題に入らせていただきたいと思いますけれども、昨年、各地で地方版の総合戦略等々の計画を策定するのに、どこの自治体も知恵を絞って総合戦略を上げたかというふうに思います。

 ただ、確かに、地域の経済の活性化や人口定着や人口増、少子化に対して何の手を打っていくかということは、これはもうしっかりとそれぞれの自治体が自分たちの状況を捉まえながらいろいろ工夫しているなというふうには思っておりますが、なかなか一つの自治体では財源的にも厳しく、さらには、この少子高齢化の波に太刀打ちできないという自治体もたくさんございます。

 なおかつ、財源の厳しい状況の中で、今までのように、地元でよく使っている言葉なんですけれども、それぞれの自治体が金太郎あめみたいなまちづくりをする時代ではないだろう、これからは、お互い補完をし合う、あるいはそれぞれの特徴を生かした中で、いわゆる三つ、四つの自治体で、一つのエリアという形の中で広域行政を推進し、そして地方創生には取り組まなければだめだということも私は言っております。

 そういうことを言ったせいかどうかは別にして、今、その三十四の自治体の長からぽつぽつと出てくるのが、そういう考えであるんだったら、やはり先生、将来合併しなきゃだめだよねというような話が、今回、合併の焦点、視点で話し合えということは一切言ってはいないんですけれども、もう五人の市長、町長から、将来は合併しなければいけないんじゃないかというようなお声が出て、私もちょっと意外でございました。

 その後、新法、今の現行法につきましては、広域行政の延長に合併があってもいいのではないかと思います。今のところ、総務省が地方創生を担当しているとは思いませんけれども、地方行政という視点で見たら、必ず総務省も私は関係があるのではないかと思います。ぜひ、合併について、今後何か目標なり考え方があるのか、局長の意見でいいですから、聞かせていただきたいなと思います。

渕上政府参考人 我が国は人口減少社会に入りましたし、これから少子高齢化の進展が見込まれております中で、厳しい財政状況でありますとか、さまざまな行政課題に対応するために、それぞれの市町村は非常に苦労されているというふうに思っております。

 私どもといたしましては、そういった諸課題に適切に対応できるための措置といいますか、多様な選択肢を用意して、地域の実情ですとか地域住民の方々の考え方に合う方法を選択していただきたいというふうに考えております。

 そういった多様な選択肢の一つとしては、例えば広域的な連携でございますとか、あるいは個別の市町村間の有機的な連携もあるでしょうし、また、委員御指摘の自主的な市町村合併というものも選択肢の一つだと思っております。

 これから、それぞれの地域の置かれた状況に応じて、市町村あるいは地域住民の方々の合意形成が一番大切だと思いますので、もしそういう自主的な合併の機運が醸成された段階におきましては、例えば現行法の財政支援措置もありますし、あるいは合併の特例の制度、合併特例区とかいったものもございますので、そういった制度を活用していただいて、地域の総意の実現に資していただきたいと思っておりますし、私どももそういった円滑化のための支援措置については今後十分検討していきたいというふうに思っております。

渡辺(孝)分科員 今ほど、確かに多様な選択肢があってもいいかと思います。それぞれの地域にはそれぞれの事情がございますので、押しなべて一つのルールで議論が進められる、片をつけられるという状況でないということは、局長も私も同じ認識をしております。

 しかし、私は思うんですが、いわゆる平成の大合併と言われるあのときには、やはり総務省がある意味背中を押してくれた、それが全国で四五%の合併の成果になったのではないかと思います。

 北海道は、残念なことに、一五%の合併の結果しか出せませんでした。北海道こそ、やはり財政状況の厳しい自治体が多い中で、二百十二の市町村が百七十九でおさまってしまったということは、あの当時はあの当時で自主的に皆さんが議論したんでしょうけれども、ここに来て、地方創生の話も絡みながら、広域行政の必要性、大切さ、そしてその先にあるのは合併だよねという首長がぽつぽつ出てきているということに関しましては、やはり、私は、確かに多様な手法の一つではありますけれども、いま一度、合併に対しまして、国がしっかりと、もちろん選択肢の一つですよという前置きをしながら、合併については何か、火をつける、背中を押すような、要するにアナウンスというのは今後考えているんでしょうか。

渕上政府参考人 先ほどの報告書にありましたように、市町村合併には光と影もございますので、全国一律の推進ということは、今後、一区切りとして、行わないということでございますけれども、地域の実情に応じまして、その機運の醸成が図られるような地域におきまして、私どもとして何らかの技術的な指導助言ができるかどうか、個別の事情に応じて考えていきたいというふうに思っております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 局長、ここですぐ簡単に後押しするよなんという話にはならないということは、私も重々理解しております。

 ただ、そういう声が上がったときには、総務省として、しっかりと人的な支援、いわゆる協議におけるアドバイザー的な方々の派遣等々、そして、今合併した場合には、従来の平成の大合併のときの財政支援とは違いますけれども、その辺のところのアナウンスはしっかりやっていただけるということはお約束していただけるでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 現行法の合併特例法は平成三十二年の三月末まで有効でございますので、そこで示されておりますような財政支援措置については、引き続き総務省としても力を入れて措置していきたいというふうに思っております。

渡辺(孝)分科員 局長からいい答弁をいただきましたけれども、地元に帰って、合併を口にする自治体の首長さんとお話をしたときに、正直言ってその制度すら知りません。市長、町長と、あんたの勉強不足だよと私もちょっと語気を荒げて言うときもありますけれども、やはりなかなかそういう制度の姿が見えない中で、ぼわっとした形で、これからは、自治体の生き残りは最終的には合併もあり得るよねというような次元でいる首長さんたちは、恐らく全国津々浦々にいらっしゃるのではないかと思います。

 私は、冒頭で質問したように、千の数の自治体がいいのかどうか、これは、総務省なりいろいろ協議会の皆さんから意見を聞いた目標値であって、総務省がごり押しして千にしたいなんということを言っていないんだなということを確認しましたけれども、ここは、今後、国の財政が厳しくなる、当然、それに伴い地方の財政も厳しくなる、そして、少子高齢化が、都会以上にもっと地方に対してとんでもない影響を及ぼしてくるのではないかということを想定できる時代になった以上、ある意味、広域行政のみならず、少し総務省が旗を振っていただいて、いわゆる究極の行財政改革だと思っているんです、合併というのは。それをしっかりと全国の各自治体にやはりアナウンスしていく姿勢がないと、私は、自然消滅する自治体が出てくるのではないかと思います。

 ですから、局長にはもう一回お聞きしたいんですけれども、確かに、自主的な合併が基本的にありきだというふうに私も思いますけれども、いま一度ここで、本当に地方自治体が将来どうなっていくんだということを国じゅうの市町村長さん、皆さんにしっかり示しながら、この合併を、いわゆる多様な選択肢の一つだということで、要するに声を上げていただきたいと思っているんですけれども、それは可能でしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、厳しい地域に置かれた環境の中で、これからフルセットでそれぞれの市町村が全ての行政を万全にやっていくということはなかなか難しいという状況にありますので、現在、第三十一次の地方制度調査会でもそういったことを議論しております。

 そういう環境にあるということを全国の全市町村に対しまして十分認識していただくとともに、地域にとって最もよい選択は何なのかということを住民とよく議論していただいて、その中の選択肢の一つとして市町村合併もあるということを今後周知してまいりたいというふうに思っております。

渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。

 地方六団体には、知事会もさることながら、全国市長会、町村会、いろいろございます。ぜひ、そういう場で、公式な平場の席の中で総務省がやはりその見解を示していきながら、もし合併というものを考えていらっしゃるのなら、どんどんと議論してください、国も応援しますよということを随所で、いろいろなところでアナウンスしていただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。

 そろそろ時間も来ましたので、最後、一言だけ申し上げたいんです。

 確かに、今地方創生の中で、私も石破大臣と話したことがございますけれども、総合戦略について、各地から上げているのを渡辺君はどう思うというようなことを聞かれたことがございました。

 私も、自分の三十四の市町村の総合戦略については、全てを見ているわけではございませんけれども、いろいろなところからお話を聞いて、正直申し上げまして、今までの、いわゆる各省で行われている制度、政策においての交付金事業と何ら変わらないような形も見えますし、本当にこれが地域のためによかったのか、あるいは少子化対策はこれで本当に歯どめがつけられるのかというような、非常に首をかしげるような計画もございました。しかしながら、初めてのことでございますので、やはり自治体には、当然地域住民の方々と話して決めた総合戦略でございますので、何とか結果を出してほしいということを言っております。

 その会話の中で合併の話が出てきたものですから、私は、今、合併したいけれどもどういうふうにしたらいいのかなという、正直言ってボタンを押せない自治体がいるんじゃないかなと。特に、七、八年前、十年前の合併の議論の中では、正直言って、けんか別れして、いわゆる合併の任意協議会の段階でもめたことを覚えております。

 ですから、そういう状況を踏まえたときに、もうちょっと政府として、あるいは総務省としてしっかり国の方針なりを示し、地方自治体のあるべき姿の中で合併というものをしっかりと正面に選択肢の一つとして出していかないと、私は、全国の今残っている千七百十八の市町村で声を上げて合併をということを言う首長さんというのは、ほとんどいらっしゃらないのかというふうに思います。

 そういう意味では、総務省がしっかりと全国の地方自治体を引っ張っていただき、地方創生も一億総活躍社会云々も、今、地域ではいろいろな盛り上がりを見せてはいますけれども、やはり最終的には財源が不足、あるいは人が足りない、そういうことで頭打ちになったり限界が来たときに、合併というものも地域のみんなで考えよう、そんな空気や俎上にのせれるようなリーダーシップをぜひとっていただきたいということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

石田主査 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、次世代路面電車システム、いわゆるLRTの問題、宇都宮のLRT問題について質問をいたします。

 LRTの役割や効果は理解するところであります。ただ、それは住民の合意があってこそ発揮をされるものであります。

 地域公共交通活性化法に基づき、宇都宮市と芳賀町が策定した芳賀・宇都宮東部地域公共交通網形成計画によるLRT整備計画がございます。軌道運送高度化実施計画案を見ると、宇都宮駅東口と芳賀・高根沢工業団地にあります本田技術研究所の北門を結ぶ路線です。整備延長十四・六キロ、停留場十九カ所、概算工事費は四百五十八億円。軌道整備事業者は宇都宮市と芳賀町で、軌道運送事業者は宇都宮ライトレール株式会社、これは、市、町が過半数を出資する第三セクターであります。

 宇都宮市、芳賀町は、国交省に軌道運送高度化実施計画案を提出しました。二〇一六年度早期の認定、同年度中の着工、二〇一九年十二月の開業を目指すとしております。

 国からの支援としては、地域公共交通網形成計画策定経費への予算等による支援や、LRT導入に対する社会資本整備総合交付金、地域公共交通確保維持改善事業などが用意されています。総務省としても、事業の地方負担分について、地方債の起債や元利償還金への交付税措置などがかかわってまいります。

 この宇都宮LRT計画については、幾つもの疑問点が指摘をされてきました。きょうは、そのうち三点について質問したいと思っています。

 第一は、需要予測において、減少する工業団地の従業者数を織り込んでいないという問題であります。

 LRT計画案では、三十年間の収支の推移が示されています。その際には需要予測が重要です。国交省は、国立社会保障・人口問題研究所の需要予測を参考にするようアドバイスをしております。しかし、通勤列車の性格が強いこの路線の特徴を踏まえれば、ルート上にある三つの工業団地の従業者数の増減数などは当然考慮する必要があるはずです。

 運輸審議会などにおける需要予測の検討に当たって、この工業団地の従業者数の増減予測も対象にする必要があるのではないか、このように考えますが、国交省からの回答をいただきたいと思います。

潮崎政府参考人 ただいま御質問のございました宇都宮LRT整備計画でございますが、本年の一月二十二日に、宇都宮市それから芳賀町及び宇都宮ライトレール株式会社から、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく軌道運送高度化実施計画が国土交通大臣宛てに認定申請されておるところでございます。

 申請者が策定をいたします計画の中で、路線の収支計画ですが、これの基礎となる需要予測につきましては、一般的に、申請者において、その沿線の地域の将来人口推計を初めとして、把握可能な中で、極力合理的な根拠のある数値を用いて算出されているものであるというふうに認識をしております。

 そうした前提を踏まえまして、私ども国土交通省といたしましても、その需要予測の内容の妥当性も含めまして、認定計画に対する所要の審査を適切に行ってまいりたいと考えております。

 なお、御質問にもございました運輸審議会におきましても、需要予測を含めた審理が行われるものであろうと考えております。

塩川分科員 三つの工業団地が東の端にあって、西の端に宇都宮駅ですけれども、この三つの工業団地の従業者数というのが三万人を超えるわけですが、この間減少しているわけですよね。そういったことについて、工業団地の従業者数のそういう増減予測もしっかりと対象にして検討する必要があるんじゃないのかと聞いたんですが、その点、どうですか。

潮崎政府参考人 今申し上げました、申請者において策定をする収支計画の中でどのような合理的な根拠、数字を使うか、そこは、まずは申請者の判断で、可能な、こうした計画をつくった、収支予測をつくったというものが当然なされていると考えております。

 個別の工業団地における個別の企業の増減、そうしたものをこの計画の予想に反映させることが適切かどうかということも含めて、申請の出されております現計画においては申請者の意図が反映されていると思っております。

 いずれにしましても、国交省としては、所要の審査の基準にのっとりまして、需要予測に関することも含めまして、適切に審査を行ってまいりたいと考えております。

塩川分科員 ですから、工業団地の従業者数の増減予測というのが出ていないわけですよね。

潮崎政府参考人 今後、私どもも、認定計画の中身の詳細を見て審査をしてまいりたいと考えておりますが、現段階では、そういうものが入っているということまでは承知しておりません。

塩川分科員 ですから、事業者からの計画には入っていない。

 でも、これは三十年間の収支について出しているんですよ。三十年間撤退しない企業があるのかという話なんです。

 特に、東端にあります芳賀工業団地と芳賀・高根沢工業団地、この二つというのは、数百社ありますけれども、しかしそのほとんどはホンダ自動車のグループなんですよね。この二つの工業団地、二万人を超える従業者がいるんですけれども、ホンダ自動車グループと関連企業が八割以上を占めるという、ホンダの拠点基地なんです。

 一昨年、F1の開発グループが、ここ芳賀町からさくら市の方に拠点を移しました。ですから、従業者数は減っているんです。そうなりますと、今後どうなるかもわからない。一企業の工場立地動向にLRTの収支が大きく左右されることになるんじゃないのか、こういう懸念があるわけで、減少する工業団地の従業者数を織り込んでいない需要予測をもとにした計画の妥当性そのものが問われるということを指摘しておくものです。

 第二に、通勤列車としての速達性を確保するための運行最高速度の問題点です。

 このような立地企業の従業者の利用を促すために、自動車利用よりも便利だということを強調しており、所要時間短縮というのは最優先課題となっています。車で行くよりもLRTを使ってもらった方が速いですよ、こういうふうにしたい。速達性を重視するといって、時間短縮のために、鬼怒川を渡る前後区間では、自動車道路との並走を行わず、新たに軌道を設けることにしております。

 また、運行最高速度について、この事業のスタート時は時速四十キロとしておりますが、将来は、自動車交通との並走区間、つまり道路に軌道を敷設する、その部分では時速五十キロ、LRTのみが走行する区間、高架専用区間の一部としておりますけれども、この区間においては時速七十キロを可能とするため、地元自治体は、軌道法における特認を目指すものとし、軌道線形の設計を行うと計画に記載をしています。

 そこでお聞きしますが、このLRTに関する軌道法の軌道運転規則では、運転最高速度について時速四十キロ以下と規定をしております。その理由は何ですか。

潮崎政府参考人 今御質問のございました路面電車の最高速度でございますが、これにつきましては、現在、軌道運転規則の五十三条におきまして、車両の運転速度は、動力制動機を備えたものにあっては、最高速度は毎時四十キロメートル以下とするというふうに規定をしてございます。

 路面電車の場合、一般的に、並走する自動車などに比べましてブレーキ距離が非常に長くなるということ、一般の乗用車に比べて電車の車両が重いということがございますので、そういう特性がございます。また、一般の鉄道と異なりまして、運転士の目視によりまして車両間の間隔を確保するということになります。こうした事情を勘案いたしまして、道路交通上の安全を確保する観点から、四十キロという最高速度を設定しておるというものでございます。

塩川分科員 自動車に比べて、路面電車のブレーキ、制動距離がどうしても長くなってしまう、前の車両との距離の確保というのは目視で行う、こういう点でも、運転最高速度について制限を設けているということです。道路を走る路面電車の特性を踏まえた安全対策として、時速四十キロ以下と規定をしているわけです。

 そこで、この宇都宮のLRTの計画では、先ほど申したように、自動車交通との並走区間は時速五十キロ、LRTのみが走行する区間においては時速七十キロを目指すとしていますが、こんな速度は出せないはずなんですけれども、どうですか。

潮崎政府参考人 今お話し申し上げましたように、現在の規則では、四十キロという最高速度が定められてございます。

 ただ、例外取り扱いの規定という条項もございまして、周辺環境あるいは設備の状況等によりましては、例外的な取り扱いとして、四十キロを超える速度というものが全く不可能というわけではございません。

塩川分科員 その取り扱いの規定というのは、どこに書いてあるんですか。

潮崎政府参考人 軌道運転規則、私どもの省令でございますが、これの第二条に、道路の路面に敷設する併用軌道の運転はこの規則の定めるところによってしなければならない、ただし、特別な事由のある場合には、大臣の許可を受けて、この規則の定めるところによらないことができる、こういう規定が、ただいま申し上げました軌道運転規則の第二条にございます。

塩川分科員 道路を走る場合については、そういう例外の話というのは二条にあると。

 では、道路でないところ、新しく敷設する部分というのはどこに規定があるんですか。

潮崎政府参考人 道路でない、いわゆる専用敷のような形態になる区間でございますが、軌道でもこうした区間のある事例というのはこれまでもございまして、これにつきましては、こういう専用敷の区間を軌道法の専用の用語で新設軌道と称しておりますけれども、同じく軌道運転規則の第三条におきまして、新設軌道の運転及び道路の路面以外に敷設する併用軌道の運転につきましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令、これは一般的ないわゆる鉄道ですけれども、その省令の必要な条項の規定を準用する、そのような規定がございます。

塩川分科員 専用の区間を走るような場合については鉄道技術基準省令によるということで、軌道法じゃないわけですよね。

 そういう意味でもお聞きしますけれども、そもそも、時速四十キロ以下という規制の例外は設けているという話なんですけれども、そういう例外として実際に運用されている事例というのは阪堺電気軌道ということで承知しているんです。時速五十キロが可能だということですけれども、それでよろしいかということと、こういう例外を認める要件というのは何なんでしょうか。

潮崎政府参考人 例外としての実例でございます阪堺電気軌道の例でございますが、時速五十キロということはそのとおりでございます。

 阪堺電気軌道の阪堺線及び上町線、この二路線の例外でございますが、この線は、やはり専用敷の新設軌道区間での扱いでございまして、この区間において、まさに車両の間隔を確保する方法として、鉄道に導入されておりますような信号機を設置しているということで、そもそも専用敷であるということから、安全が確保されているということを確認して、当時、例外の取り扱いを認めたものであると考えております。

塩川分科員 鉄道と同等の設備ということですけれども、専用敷というお話をされましたから、これも鉄道技術基準省令に沿っているということでいいですか。

潮崎政府参考人 この阪堺自体が例外取り扱いの許可を受けたのはかなり古い話でございますが、その後、鉄道の基準ができて、現在のルールができまして、現在のルールにのっとりますれば、鉄道に準ずる施設になっておると考えております。

塩川分科員 ですから、鉄道の技術基準省令にのっとってやっていると。もともとスタートが早いものですから、後からそれに合わせてということなんでしょうけれども。

 お聞きしたところでは、そもそも自動車や歩行者が軌道敷に入らないような措置をとる、柵を設けるですとか、あるいは、自動車が横断するような道路の踏切には遮断機がついていると承知しているんですけれども、阪堺電気軌道はそれでよろしいですか。

潮崎政府参考人 そのような認識で間違いないと思います。

塩川分科員 時速五十キロという阪堺電気軌道においても、基本は鉄道と同等の安全確保の設備を設置するということで対応しているわけです。

 しかし、この宇都宮のLRTの場合については、時速五十キロという自動車交通との並走区間、道路を走る場合には、LRTの軌道敷に自動車や歩行者が入らないような柵をつくる計画というのは聞いておりませんし、目視によらない追突防止のための安全対策をとるのであればATSなどの保安設備が必要となるが、そういう設備を設置するという話も聞いたことがないんですが、その点はどうですか。

潮崎政府参考人 私どもも、認定の計画が運輸局に出された状態でございまして、細かな設備の審査はまだこれからの手続の中でございます。

 したがいまして、事業者が想定しているとされております、併用区間での五十キロ化、あるいは、専用敷になります等の形態をとります区間での七十キロ化について、どのような設備を事業者が考えているかは、今後の手続の中でしっかり確認をして判断していくものになろうかと考えております。

塩川分科員 今後確認をするということです。

 スピードを出すというのであれば、安全の確保が当然必要であるわけで、鉄道のようにATSなどの保安設備を設けるとか柵を設けるなど、人が容易に立ち入れない、そういう設備を設ける必要がある、これにかなうようなものになっているのかどうかということは、当然のことながら審査するべき中身だということを強調しておくものであります。この点でも、現状で、運行最高速度についてこんな対応でいいのかということが問われている問題があります。

 三つ目に、道路と鉄道の平面交差を解消するという国の方針に反する計画ではないのかという問題であります。

 この宇都宮のLRTでは、一部区間で新たにLRT専用の走行空間を整備することで、該当する地域に平石中央小学校というのがありまして、この平石中央小学校脇の県道百五十八号線、辰街道というそうですけれども、ここと平面交差することになります。つまり、踏切となるわけですけれども、信号操作を行うという話で、遮断機を設置する予定はないと聞いております。

 そこで、鉄道に関する基準を確認します。

 鉄道技術基準省令では、道路との交差についてどのように規定しているでしょうか。ただし書きの部分の解釈も含めて説明してください。

潮崎政府参考人 鉄道に関する技術上の基準を定める省令において、鉄道と道路の交差については、「鉄道は、道路と平面交差してはならない。」という原則の規定がございます。しかしながら、今お話にもございましたただし書きにおいて、「鉄道及びこれと交差する道路の交通量が少ない場合又は地形上等の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。」と規定をされております。

 このただし書きの規定の解釈につきましては、現実的には、私ども、踏切というのはやはり鉄道にとっては非常に安全上のネックになる区間でございまして、新たに設置する鉄道に踏切を設けるということは極力しないように指導をしておるところでございます。

 既存の鉄道におきまして、やはり立体交差化のようなことを考えようといたしますと、鉄道側、道路側、その交差部分、当該部分だけではなくて、前後に非常に広い、長い範囲において施設の整備等、場合によっては周辺の土地や状況の改変を要するということもございます。そうしたことが本当にどんな場合でも一〇〇%可能かと申しますと、なかなか困難な場合もゼロではないだろうということで、こういう規定を置いているものでございます。

 踏切については、できるだけ既存の踏切も減らしつつ、全体を抑制するという国の方針もございますので、厳格な運用をしておるところでございます。

塩川分科員 踏切は安全上のネックだ、危険だ、重大事故も発生するということであります。新たに設置する鉄道には踏切を設けないよう厳格に指導しているというふうにおっしゃっておられました。

 こういう技術基準省令が書き込まれたのは一九八七年というふうに承知しているんですけれども、それからもう三十年であります。この三十年間、全く新規に敷設された鉄道路線において、道路との平面交差による踏切というのを建設した事例というのはあるんでしょうか。

潮崎政府参考人 一九八七年以降新たに建設された路線、私どもとして四十六路線と認識しておりますが、この中で、踏切が設置されたという例は把握しておりません。

塩川分科員 この三十年間、新しくつくった鉄道で、踏切をつくった例というのはないわけですよね。

 今回の宇都宮LRTでは、先ほども言いましたように、本来、鉄道技術基準省令に対応するような新規の専用の路線のところに走らせる、そういう部分が、先ほど紹介した平石中央小学校の裏手になります。そこのところにつくるわけです。その小学校の脇が県道なものですから、県道を横切る形で、小学校の裏を通り抜けるようにLRTが走るということです。

 この場所においては、LRTの本数は、ピーク時は六分間隔で行く。つまり、往復となると三分間隔になるんですね。一方で、県道の方は非常に交通量が多いところで、一日当たり一万台近く通過すると言われております。

 そうなりますと、ピーク時三分間隔でLRTが走り、一日当たり一万台近い交通量の県道、こういうのは、先ほど省令あるいはその解釈基準で言っているような、鉄道の運転本数及び道路の交通量の少ない場合に当たるんでしょうか。

潮崎政府参考人 本計画のような頻度であれば、仮に鉄道の場合であれば、踏切を設置してもいいということにはならない、当たらないと考えております。

塩川分科員 踏切を設置していいというふうにはならないということであります。

 ですから、本来、本気でやるというふうに考えるのであれば、少なくとも立体化を図るですとか、つまり、この三十年間措置してきたのはそういう話ですよね。そういうこともやらない、平面交差で、遮断機も使わない、踏切においては信号操作だということになると、非常に危険性が高いということであります。

 改めて、こういったLRTの軌道を、道路に敷設するだけではなく、道路以外の場所に新しくレールを敷設し、しかも高速で走行しようとするならば、当然、鉄道技術基準省令などにのっとった、安全サイドに立った措置を行うのが基本であります。

 こういった場所にLRT軌道と道路の平面交差をつくるなど、安全対策上認められないと思いますが、どのようにお考えになりますか。

潮崎政府参考人 本計画につきましては、認定の申請を受けております軌道運送高度化実施計画、この計画、あるいは、今後さらにそれに続く工事の施工の認可等の手続が続いていくことになると思いますが、軌道の場合、道路との関係におきましては、一般的に、道路上を走る併用軌道の部分については、道路との交差部は道路上の交差点ということになりますので、そういう形態であれば、そこは交差点としてのルールのもとで安全を確保するということになります。

 ただ、鉄道と事実上同じ形態の専用敷を走るような区間で踏切になってしまうということは、それはやはり避けなければならないと考えております。

 今後、当該計画において、御指摘のこの県道との交差部が具体的にどのような形態であるかにつきましては、今後の詳細な手続の中で私どもも確認をいたしまして、適切な、安全を確保するような方法をとるべきであると考えております。

塩川分科員 この三十年間対応してきたように、新たに設置をする鉄道には踏切を設けないように指導している、今回のLRTの専用敷というのはまさに鉄道に相当する扱いをするというお話でしたから、平面交差の踏切などは決して認められないということで、この計画そのものの妥当性が問われているということを改めて強調します。

 こういったLRT軌道整備に当たっては、平石中央小学校の敷地を削ってレールを敷くですとか、こんな例はほかにないわけです。小学校の裏手は数百メートルにわたってフェンスで遮断されます。生活道路が寸断され、災害等の避難所となっている平石中央小学校に行くことが困難になります。小学校の入り口脇に線路が敷設をされ、小学校の脇を走る県道百五十八号線とLRT線路が平面交差する。このように、住環境の悪化、教育環境の悪化、道路交通環境の悪化の懸念が払拭されない。

 計画が出された現段階で、国交省として、地域住民の声に耳を傾けるために、これは現場を見る必要があるんじゃないですか。国交省として、この計画が出た段階で現場を確認するということを約束してもらえますか。

潮崎政府参考人 今後の審査をどのような形でやっていくかにつきましては、私どもも、今後認定された計画をしっかりと見させていただいて、その上でどういう審査が必要かを考えさせていただきたいと思っております。

塩川分科員 書面だけでわかるのかと聞いているんですよ。私が言ったような話を承知されていないわけですから、現場へ行って確認する、国交省としてやるべきじゃないですか。

潮崎政府参考人 まず書面をしっかりと見させていただきまして、その上で、どのような確認の方法が必要なのか、御指摘も含めて、私どもとして適切な審査を行ってまいる所存でございます。

塩川分科員 現場に行けという指摘をしたわけですから、それを受けとめて、現地調査を行っていただきたい。

 最後に大臣にお尋ねします。

 今お話ししましたように、やはり、LRTの計画そのものを本当にいいものにしようというのであれば、住民合意というのは大前提であります。このことは、地域公共交通活性化法におきましても、住民、利用者を初めとして地域の関係者が知恵を出し合い、その合意のもとで地域公共交通の活性化を図ることが重要だと言っております。

 総務省としても、地方債の起債、元利償還金への交付税措置などもかかわってまいります。こういった地域の声を踏まえていないような計画というのは認定に当たるようなものではない、そういう立場で総務省としても臨むことが必要ではないか、このように思いますが、お考えをお聞かせください。

高市国務大臣 このLRT整備事業につきましては、宇都宮市と芳賀町が負担する事業費も相当大きいものですから、やはり、市町がみずからの責任と判断に基づいて、この事業の採算性もしっかりと見きわめた上で推進していかれることが重要だと思いますので、総務省としてもしっかりと必要に応じて助言をしてまいります。

塩川分科員 市、町の判断というのはあくまでも住民の合意が前提ですから、そういうことで臨んでいくということが必要だ。市民合意を欠いたままのLRT導入というのは禍根を残す。提出された計画を認定することのないように強く求めて、質問を終わります。

石田主査 これにて塩川鉄也君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)分科員 民主党の奥野総一郎でございます。

 連日、お疲れさまでございます。

 それでは、早速入りたいんですが、きのう総務委員会の場で、維新の党の高井委員、総務委員会の理事でもありますけれども、高井理事の方から質問がありまして、要は、小林委員会とは別のところに委託をして調べさせていたんじゃないか、こういう質問をしたところ、板野専務理事が記憶にないというのを連発されて、審議がとまるという一幕がありました。

 一つ会長によくお願いしておきたいのは、もう少し丁寧に答えていただきたい。確かに通告はなかったかもしれないけれども、記憶にないというのは非常に失礼な答弁だと思うんですね。知らないか知っているかという話ですから、知らないなら知らない、知っているなら知っているということをしっかり言っていただきたいと思うんですね。

 きのう、記憶にないということで、若干、高井さんも言っていましたけれども、おかしい答弁だなと思っていたら、きょう早速毎日新聞に記事が出ました。読み上げていきますと、NHKの関連団体の不正を調べるために要するに小林委員会をつくった二〇一四年の同時期に、別の監査法人にも約五千万円で、これは報酬ということだと思いますが、約五千万円で関連団体の不正を調べさせていたことが二十四日わかったということですね。

 小林委員会は、去年さんざんもめて、予算委員会でもめて、報酬の額が、やっと出てきたのが五千六百万円だった。そして、調査報告書の開示も、なかなか出てこなくて、それを私が予算委員会で取り上げて、開示をしてもらったということなんですね。

 同時期に新たに五千万円というのが出てきました。問題なのは、小林委員会でもそうだったんですが、あのとき会長は、もうこれでないんだ、大丈夫だ、調査は万全だったから大丈夫だとおっしゃった。あのときはたしか、この記事にもありますけれども、子会社の売り上げ八百万円の水増しだけが出てきて、その後、二億円の着服とか、さらなる不祥事については全然当時は出てこなかったわけですね。あれだけお金がかかったにもかかわらず、効果がなかった。まず、そこの問題があるんですが、それだけならいざ知らず、さらに五千万円払っていた、これが新たに出てきた。

 一つは、それを当時なぜ言わなかったのかというのもあります。そして、一億も使って一切成果が出てこなかった、その時点ではですよ、出てこなかったということも問題があります。

 そこで、この問題を聞きたいんですが、事実関係はどうなんですか。本当に五千万円を払って同じ時期に監査法人に委託をしていたんですか。これはやはりきちんと、後から後から出てくるわけですよ、ここはしっかり事実関係を確認していただきたいと思います。

籾井参考人 おはようございます。

 昨日、私は、記憶にないと申しましたが、いわゆるとぼけて記憶にないと言ったわけではございませんで、本当に記憶になかったのでございます。

 したがいまして、帰って調べてみましたら、あの調査はNHKの内部監査が行う調査でありまして、ガバナンス調査委員会というのは要するに我々の調査が非常に客観的になされているかどうかということをやる調査委員会なんですが、これは内部調査、うちの内部監査部が行った調査でございます。

 そういう意味におきまして、では、何でこんなにお金がかかるんだということにつきましては、やはり大変な数の、ボリュームの監査を行わなきゃいけませんものですから、そういう意味で、手助けをお願いした、俗っぽく言えば、助っ人をお願いしたということで、監査会社に委託をしてという、第三者に委託をしたわけではございませんので、この点は御理解いただきたいと思います。

 ただ、きのう記憶にないと言ったのは、最初に言いましたように、私は本当に記憶になかったのでございますが、帰って調べましたら、事実としてありました。本当に、まことに申しわけございませんでした。

 またあした、高井委員も出られると聞いていますので、その際には改めてそういうふうに御説明したいと思います。

奥野(総)分科員 もう一回確認をいたしますが、今の話は、五千六百万円をかけて会長が委託をした小林委員会ですね、これとは別に、監査のための内部調査を行った、それを外部の監査法人に委託をしたと。その額が五千万円だったというところまで事実なんですか。

籾井参考人 約五千万円は事実でございます。

 先ほど言いましたように、作業を委託したわけですが、平成二十六年の四月から七月までに四千九百五十万円をお支払い申しました。

 作業時間は、これは聞かれておりませんけれども、延べ三千二百三十時間、平均時間単価は一万五千三百円でございます。

奥野(総)分科員 今のを後で紙で出してもらえますか。議事録にも残りますけれども、小林委員会のときはこういう紙で出していただいているので。

 時間が延べ三千二百三十時間ですか。単価が一万五千円。これは通常の単価と照らしてどうなんですか。

籾井参考人 お願いした作業をしてくれる人は一般の事務員ではございませんで、やはりこういう監査のスキルのある人たちでございますので、一万五千三百円というのは適正な単価だというふうに思います。

奥野(総)分科員 これは当然、受信料で支払われているわけですよね。

籾井参考人 我々の大半は受信料でございますから、そういう意味では、受信料の中から払った、こういうことでございます。

奥野(総)分科員 選定はどうやって行われたんですか。

 小林委員会のときも、選定の過程が不透明だといって問題になりましたが、これは随意契約なんですか。どういう選定をしたんですか。

籾井参考人 先ほどから言っておりますように、これはNHKの内部監査室の調査でございますので、内部監査室でこういう選定を行ったということでございます。

奥野(総)分科員 当然、内規か何かで、競争入札とかあるいはコンペとかいろいろな形式があるんですが、それは具体的にどうやったんですか。

籾井参考人 随意契約でございまして、先ほども言いましたように、専門的な知識を持った人たちに来ていただいた、こういうことでございます。

奥野(総)分科員 監査法人ということになると思うんですが、具体的な名前を出すことはできますか。

籾井参考人 支払った相手は監査法人だと思います。

奥野(総)分科員 思いますということは、相手方は会長は御存じない、どの監査法人かということはおわかりにならないということですね。

籾井参考人 あらた監査法人と聞いております。

奥野(総)分科員 そこの公認会計士の方だと思うんですが、会長は面識があるんですか。

籾井参考人 先ほども申しましたように、これは内部監査の仕事でございますので、私自身は個人的には存じ上げません。

奥野(総)分科員 そうすると、会長の指示で監査部門から随意契約で委託をしたということですね。それを一点確認と、その具体的な選定手続をもう一度。さっきから聞いているんですが、お答えがないんですが、どうなんでしょうか。

籾井参考人 会長が指示したとはいえ、これは職務上、調査を指示したわけでございまして、その内容についての指示は、私は現場に任せておりました。

奥野(総)分科員 会長の指示で、さっき随意契約とおっしゃいましたかね、随意契約で、会長の指示で四千九百五十万円もの支払いをしたということですね。これできちんと、費用対効果の問題ですから、成果が今度は問われるわけですよね。

 小林委員会の最大の問題は、あの成果物があれでよかったか、それがきちんと活用されたか、そしてさらに、不祥事の防止につながったか、ここが問われたわけです。

 成果物を活用したかという意味では、子会社の統合なんかを提言していた割には、そこは手が今のところついていないですね。今になってようやくそういうことを言い出していますが、あの時点ではついていなかった。それから、ガバナンスについても特段手を打つことなく、新たに問題が出てきたわけです。だからこそ、小林委員会は受信料の無駄遣いじゃないか、あるいは選定、会長のお知り合いの弁護士だったということもあって、問題になったんです。

 では、具体的な成果としてはどういう成果が、成果物はどういうものが出てきて、どう活用されたんですか。

籾井参考人 まず、内部監査の調査につきましては、平成二十六年の三月に設置されましたガバナンス調査委員会にも提供して活用してもらっておりますし、実際には、調査結果は取りまとめてもらって、二十六年七月に報告がなされております。

 成果物はそういう紙になって出てきているわけですが、実際にその結果、その後新たに発生した事態というのはないと思います、今のところは。

 言うと、またあったじゃないかと言われるかもしれませんが、今回のアイテックの問題は、御承知のとおり、六年前に始まったものでございまして、それがずっと続いていて、今回発覚したということでございますので。

 そういう意味においては、やはりガバナンスをまとめて、これは、我々は今いろいろなことをやっている最中でございますが、それには非常に役に立っておりますし、今後の関連企業のマネジメントにつきましても随分役に立つものと思っております。

奥野(総)分科員 これは二十六年ですよね。今いつですか。二十八年。二年前の話ですよね。二年前の四月から夏にかけての調査、それがもし役に立っているんだとすれば、今この段階で二億円の処分、きょうアイテックのそれも伺おうと思っていますが、処分が出てきていますけれども、こんなことになっていないんじゃないんですか。役に立ったとはおよそ言えないんじゃないかと思います。

 そこをやはりそうおっしゃるのなら、物を出していただきたい。成果物を国会の場に出していただきたいんです。

籾井参考人 何度も申し上げておりますけれども、アイテックの問題というのは、本当に、六年前から始まって、ずっと発見できなかった。これは我々としましても非常に申しわけなく思っているんですが、弁解をするつもりは毛頭ありませんけれども、こういう架空発注の問題というのは本当に発見するのが難しいと聞いております。

 だからいいと言っているわけではないんですが、実は、アイテックの不正は昨年の十月まで続いておったわけでございます。そういう意味において、これがもうやまったということは、ある意味では成果があったということは言えなくもないんですが、我々としましては、こういうお金を使っていろいろな調査をやった結果を無駄にしないように、関連企業のガバナンスというものを徹底してやる、引き続きやっていく。そう簡単に、一朝一夕ではなかなかできないんですが、調査で指摘されたこと、これは委員の手元にもあると思いますけれども、そういうことを我々としては参考にしながら、関連企業のマネジメントといいますか、我々としての、NHKとしての義務を果たしていきたいというふうに思っております。

奥野(総)分科員 今お答えがなかったのは、成果物を出していただけますかという話にお答えいただきたいのが一つ。

 それから、難しい、手口が巧妙だから難しいと。素人には見抜けないという答えかもしれませんが、だからこそ監査法人の調査を入れたわけですよね。ということは、全く役に立っていないということじゃないんですか。都合一億ですよ。一億もの受信料、これをどぶに捨てたということじゃないんですか。

 まず、出してもらえるかどうかというのが一つ、それから、今の受信料の無駄遣いじゃないかという点についてはどうですか。

籾井参考人 最初、申しましたように、内部監査でございますので、内部資料は提出するわけにはまいりません。これは御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。

 無駄遣い、それにつきましては、例えば、二年前というのはちょうど着任してすぐでございましたけれども、そのときに立て続けに、NBCであるとか出版であるとか、こういうことの不正を私は認識したわけでございます。

 そこにおいて、私の物の考え方は、何はさておき、これの実態をきっちりと把握しなければならないと。こういうことで、私のマインドが、そういうふうな原因の究明と、それから今後の再発防止というために何をすべきかということを、本当に頭の中はそれが第一義でございました。

 そして、我々のガバナンスのチェック、我々がNHKとして、あるいはNHKの関連企業としてやっていることが本当に妥当なのかどうかということを第三者のガバナンス調査会に依頼したわけです。我々がやっていることを我々でチェックしても、なかなかこれは、判断が甘くなるかもしれないしということで、第三者に依頼した。と同時に、我々は、内部監査を通じまして、本当に一つ一つの会社の不正をチェックするということをやったわけでございます。

 ですから、一億円が決して、確かに一億円というと物すごく高いように聞こえますが、私は無駄とは思っておりません。

奥野(総)分科員 会長が無駄と思うかどうかはともかく、これは受信料ですから、払っている側の身になると、百歩譲って、成果が上がっていれば聞く耳を持ってもいいですが、現にこうやって次から次へ不祥事が起きているわけですよね。成果が上がっているとは言えないんじゃないですか。

 となると、この監査報告書ですか、監査法人の上げてきた報告書というのをやはり国会に出していただきたいと思うんですね。どうですか。

籾井参考人 内部監査の資料、結果については、私は、これは内部の資料でございますので、控えさせていただきたいというふうに思っております。

 何度も申し上げておりますけれども、内部監査室が行った調査というのは、NHK出版とかそういう不正発覚があったわけでございまして、二十六年の三月、それを受けまして、ほかの十二の子会社についても同様の不正がないかという調査を行ったものでございます。

奥野(総)分科員 だから、結局、次々と不正が出てきたわけですよね。去年の夏、おととしか、あるいは去年の予算委員会の段階で、会長は、もう小林委員会があるから大丈夫だと。当時はこの監査の話は出てきていないんだけれども、大丈夫だと言ったのに、次から次に出てきているわけですよね。効果が上がっていないわけですよ。となると、では、どんな委託をしていたのか。

 小林委員会も最終的に出していただきましたよね、伏せていた部分も含めて。国会の求め、予算委員会の場で求めたからですよ。やはりNHK予算の審議もこれからあるわけですから、どういうふうに受信料が使われているかというのは国民に知る権利があると思うんですね。だからこそ、出していただきたい。もし個人情報だというのなら、墨塗りでもいいですよ、個人情報のところは。だから、とにかく、どういう報告だったかというのは我々は知る権利があると思うんです。ぜひ出していただきたいんです。

籾井参考人 まず申し上げたいのは、この内容については小林委員会の報告書にも反映されております。それから、小林弁護士の四月における報告の中でも、これを活用させてもらうというふうに言及されております。

 そういう意味におきまして、私は、小林委員会のレポートの中でこういうことは反映されていると思っていますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 今の話は、そうすると今度は、小林委員会は何だったんですか、ちゃんと調査をしたんですか、こういう問題になってくるわけです。

 前のレポートをそのまま引き写している。ただでさえ、あれは中身が薄いとみんな思っているわけですよね。そんな薄っぺらな報告書で五千六百万かとみんな思ったからこそ、いろいろ取り上げられたわけです。さらに、その薄っぺらい中身について、ほかの監査法人がやった報告をそのまま使っていますなんという話になると、そもそも小林報告書とは一体何ですか。そもそも小林委員会というのは何でつくったんですか。

籾井参考人 先ほども私は申し上げたと思うんですが、外部の弁護士で構成しましたNHK関連団体ガバナンス調査委員会、いわゆる小林委員会でございますが、これはNHKビジネスクリエイトとNHK出版で起きました不正事案への対処やNHKの指導監督が適切に行われたかどうかを調べていただいたわけでございます。

 そして、その他の関連団体にも共通する内部統制上の課題、各団体固有の内部統制上の不備など、構造的な問題についても具体的に御指摘をいただいた、こういうふうに思っております。

 内部調査室の調査結果については、先ほども申しましたけれども、NHK関連団体ガバナンス調査委員会にも提供し、活用してもらったと思っております。

 私は、先ほども言いましたが、二十六年三月、いろいろなこういうふうな、いわゆる過去事象ではありましたけれども起こったことについて、こういうふうに、ガバナンスをきっちりするとか、不正がもうないかとか、こういうことを調べることはやはり会長として当然の義務だったと思っております。

 一億円というものは、確かに、一億円ととれば、受信料の中から払われたことですから、受信料を我々は無駄遣いしていいとは決して思っておりません。そういう意味において、ガバナンス委員会の結果も、今から我々が実施していくことに十分に反映させていくと思っております。

奥野(総)分科員 三月、就任時点の問題意識というのは経営者としては正しいと思いますが、ただし、経営者というのは結果を問われるわけですよね、成果を上げなきゃいけないんですよね。成果を上げるべく、三井物産から来ていただいたということなんですよ。ただお金を使って、成果が出ませんでしたといったら、それは経営者として能力がないか、あるいは、こう言ってはいけないですが、委託先の監査法人が悪かったか、こういう話になるんですよね。どう思いますか。

 ぜひ、こればっかりやってもあれなんですが、委員長、監査報告書の提出を予算委員会に求めたいと思います。いかがですか。

石田主査 ただいまの件については、委員長に報告をいたします。私は主査ですから。

奥野(総)分科員 あくまで適切だったと。

 もう一回言いますけれども、一億もかけてですよ、小林さんは確かに子会社の整理とか、あれも出てこなかったんですよね、ちゃんと全文を出してもらって提言の内容はわかったんだけれども、子会社の整理とかそういうのを提言していますよ、付加部分は確かにあるんだけれども、監査法人が大体のところを調べて、彼は作文だけしたというふうに今の話はとれるわけですよ。

 では、そんなものに全部で一億払うんですか。一億かけて、成果が出なかった。出なかったんですね、結果が問われるわけですから。その責任をどうとられますか。改めて。

籾井参考人 成果が出ていないとは私は思っておりません。

 現実に、今起こっているアイテックも六年前に起こったこと、これが発見できなかったことは非常に問題であるということは認識しておりますが、これは、委員会の報告が役に立たなかったとか、職責を全うしていないとか、そういうことではないわけでございます。これは必ず生きてくるわけで、現実に、その後新たに出てきたことというと何だということになりますと、そういうふうな不正というのは出てきていないというふうに私は思うわけでございます。

 したがって、やはり、こういうことをやっているということが全体に対する牽制であり、みんなの意識を変えてきているというふうに思いますので、その点はよく御理解いただきたいと思います。

奥野(総)分科員 成果が上がっているというのであれば、その調査の結果、新たにこういった不正が出てきたというのなら、成果が上がったと言えますね。あるいは、この報告書を踏まえてガバナンス体制が構築をされて、それによって新たに不正が発見できたというのならば、成果が上がっていると言えますね。これはたしか税務当局が入って最初にわかったんじゃないですか、今回の件というのは。全然ガバナンスが機能していないんじゃないですか。

 会長も、たしか会長声明文か何かを出していて、体制はよかったんだ、体制はよかったんだけれども人が悪かったみたいな、そういう声明を出していますよね。この間の処分のときの、給与返納のときに会長の声明文を出していますよね、コメントを。あれを僕は持ってくるのを忘れたんですが、読むと、仕組みはつくったんだけれども人が悪かったというようなことがたしか書いてあって、要するに、成果が全然上がっていないことを認めているわけですよ。

 これ以上、こればっかり言ってもしようがないので、あと五分になってしまいましたね、もう一つ、NHK本体の責任について。

 給与返納ということで、自主的に返納されましたよね、アイテックの問題について、この間。その処分について、NHK本体の責任について外部の有識者に調査を受けている、こういうコメントが二月九日の朝日新聞、これは経営委員長のコメントかな、経営委員長のぶら下がりか何かで、経営委員会直後の経営委員長会見のコメントで、アイテック問題について、NHK本体の責任について外部の有識者による調査を受けている、こういう記事が出ていますが、これはまた何かこういう大金をかけて調査をしているんですか。

籾井参考人 調査をしているという表現は適切ではないと思うんですが、これはアドバイスをいただいたということでございます。その結果に基づいて、我々は、自主返納するのが適当である、こういう判断をして、ああいう自主返納という形で我々の責任をとったわけでございます。

奥野(総)分科員 今度は経営委員長に伺います。

 これは経営委員長の経営委員会直後のぶら下がりコメントだと思うんですが、どういう説明を受けていたのか。新たに調査委員会のようなものを設けたという報告を受けて、具体的にどういう報告を受けたのかということを一点伺いたい。

 それから、今回の処分ですね。本体についての給与の返納等の処分ですが、これは果たして適切だったかどうかということを伺いたいと思います。

浜田参考人 私どもが聞いておりますのは、処分を決定するに当たって、外部の弁護士さんを含む有識者の方に相談をしながらこの処分を決定したというふうに聞いております。

 それから、私どもの評価だったですか。

 私としては、このたびのNHKの全役員が報酬を自主的に返納したということは、公共放送であるNHKの社会的責任を考えて、執行部が自主的に判断したことだというふうに思います。執行部の判断を尊重したいというふうに思っています。

奥野(総)分科員 それから、引き続き経営委員長、今の一億円を使った話です。

 会長にもう一回。

 去年、予算委員会の場で、小林委員会、五千六百万と大騒ぎになったときに、どうしてこの話をされなかったんですか。この監査法人に五千万円払っているという話をどうしてされなかったんですか。あれだけ問題になっているからには、当然、こういうことをやっていれば、つまびらかにしておく必要があったんじゃないですか。

籾井参考人 これは内部監査ということでございましたので、特別の、どこかに頼んでやるというふうには私は認識しておりませんでした。

奥野(総)分科員 では、もう一回聞きますが、全く認識はなかったんですね。きのうは覚えていなかったということで、きょう初めて知らされて知ったということですか。

籾井参考人 これは内部監査でございまして、内部監査をしろという指示は私がしておりますが、その後、どういうやり方をしたかについては私は承知していなかったと申しておるわけで、決して逃げているわけではなくて、これは実務的に内部監査の方でやっておったというふうに承知しております。

奥野(総)分科員 当然、では、報告も読んでいるんですね。読んでいるという前提で今話していますから、当然知っていたわけですよ。それに幾らかかったか全然知らなかったというのは、ちょっとにわかには信じがたい。まして、あれだけたたかれてというか、あれだけ我々が一生懸命明らかにしてやっている中で、こういう話があったときに一切触れないというのは、私は、極めて悪意があるとしか思えないんですね。

 時間がなくなってきたので、経営委員長、今回の件について、一億円使って防止できなかった、新たな二億円の案件が発見できなかったということについて、経営委員会としてどう思われますか。

浜田参考人 私は、正確という表現が適当かどうかわかりませんけれども、外部委託の件は、きのうの国会で出て、それからきょうの報道で知ったわけでございまして、そういう意味では、これからきちっと評価をしていきたいというふうに思います。

奥野(総)分科員 済みません、時間が過ぎていますが、せっかく大臣にお越しいただいたので、最後に一言、このやりとりを見て、御感想とかあれば。

石田主査 終了していますので、短くお願いします。

高市国務大臣 NHKには、放送法の規定上、子会社の業務運営について指導監督を行う、そういう立場にあると存じます。

 やはり国民・視聴者の受信料によって運営されている公共放送でございますので、まず、放送法上もNHKの業務を総理される籾井会長を筆頭に、しっかりと子会社も含めたグループ全体のガバナンス強化を早急にやっていただきたいと存じますし、また、やれることから着手をしていただきたいと思います。

奥野(総)分科員 以上で終わりたいと思います。

石田主査 これにて奥野総一郎君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 次に、小林史明君。

小林(史)分科員 自由民主党の小林史明です。

 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣はもうゆっくりお休みになられてください。きょうは皆さんに御質問をするという形にさせていただきたいと思います。

 きょうは、自治体の情報システムについてお伺いをしたいと思っております。

 私もNTTドコモ出身でありますが、営業時代に、地方自治体にも営業をしてまいりました。ある町にはうちのシステムを入れる、別の町では別のベンダーのシステムが入っていく。同じ緊急連絡網なのに何でこんな無駄なことをするんだろうなというふうに常々思っていたわけでありまして、それを国会議員になって調べてみると、大変な無駄があるということがよくわかりました。これは何とか解消していきたいというふうに思っています。

 その上で、まず、平成二十六年度における全国の都道府県及び市区町村の情報システムのイニシャルコスト及びランニングコストはそれぞれ幾らでしょうか。

原田政府参考人 平成二十六年度におけます地方公共団体の情報システムのイニシャルコスト及びランニングコストの総額を調査したところによりますと、都道府県につきましては、イニシャルコスト六百四十億、ランニングコストは千二百七十億、市区町村につきましては、イニシャルコスト千九百九億、ランニングコストは三千三百三十八億円となっているところでございます。

小林(史)分科員 約五千億のお金が毎年使われているということであります。

 そして、イニシャルコストも結局毎年かかるということなんだと思いますが、なぜ毎年こんなにイニシャルコストがかかるのか、これもお答えいただきたいと思います。

原田政府参考人 地方自治体の情報システムにつきましては、例えば、五年、六年ごとにシステムの更改があること、また制度の改正に伴う対応、そういうものによるシステムの改修が生じていることなどによりまして、毎年イニシャルコストが発生しているものと承知しております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 これだと思うんですね。やはり五年リースで毎回買いかえるということで、こんなに高いイニシャルコストがかかっている。普通は、自分たちでつくって、それを持ち続けて更新をしていけば、そんなにイニシャルコストはかからないはずなんです。

 これはなぜ発生しているかというと、やはり自治体にそういうシステムの設計を書ける人がいないという人材の問題。そしてもう一つは、何度もシステム改修が発生する。これは何かというと、やはり特に税ですよね、こういった法定事務の中で、税制改正が行われるとシステム改修をしなきゃいけないということで発生するわけですから、本当に、毎年発生するような改修をそれぞれの自治体でやるべきなのか。本来は、国で一括して御用意をして、どうぞお使いくださいというのがいいのではないかというふうに思います。

 そういった中で、このシステム統合は、本来、できるといいよねというのは皆さんとも共通している認識だと思うんですが、その前提として、やはり業務が同じものであればできるでしょうし、余りにも違うと難しいんだよね、こういうことになると思いますが、地方税に関する事務について、地方団体ごとに差があるのかどうかお教えいただきたいと思います。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税の賦課徴収は地方団体が地方税法に基づいて実施する事務でございます。法定外税あるいは減免、税率について差異はあり得るわけでございますけれども、基本的には各地方団体が同じ事務を行っているものと理解しております。

 ただし、徴収の実務につきましては、例えば、指定都市と町村では、徴収のための組織体制、それから各職員が担当する事務の内容、幅といったものが異なるように、地方団体の規模によって実務処理の進め方は異なるだろうというふうに想定されます。

 このほか、各地方団体においては、徴収率の向上あるいは納税者の利便性向上のために、今いろいろな工夫をしておりますが、そうした実務処理の進め方には若干の差異があるものというふうに考えております。

小林(史)分科員 そういう意味では、大まかに言うと、多分自治体の規模によって業務が異なってくるというのがあると思いますので、例えば五万人程度以下とか、こういう形で切って、先に進められるところは進めた方がいいのではないかと思います。

 というのは、やはり数が少なくなればなるほど、要はシステムにかけられる人材というのが少なくなってきますし、その業務の負担というのは大きいと思うんですね。ですから、手放したいと思っているところから手放していただく、そういうモデルケースをつくっていく。そこに、やはり総務省がリーダーシップをとって、プラットホームを提供する、こういうモデルもつくっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 税務システムの統合を進めるべきという観点から御質問をいただきましたが、平成十七年の一月から地方税の電子申告等を受け付ける地方税ポータルシステム、eLTAXと呼んでいますけれども、これが稼働しておりまして、平成二十二年四月には全ての地方団体がeLTAXに接続しております。したがって、電子申告の受け付けに関しては、全地方団体がeLTAXという共通のシステム、今、ある意味、統合されているという状況ではあります。

 その上で、それ以外のシステムについてでございますが、お話しのように、小規模な自治体における取り組みというのが我々も重要だと思っておりますし、やりやすいだろうと思っていますが、実際にもう、例えば、秋田県や神奈川県では県内の町村が共同のシステムを利用する、そういう対応をしておりますし、埼玉県では近隣の町村が共同してシステムを導入する、そういう事例も見られるところでございます。

 総務省といたしましては、地方団体がシステムの入れかえをするような機会、そういうときを捉えて、税務システムの統合、集約と共同利用を進めるように促してまいりたいと考えております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。

 総務省のイニシアチブで連携拠点都市、こういうものもやっていらっしゃいますよね。あれは、せっかく連携しようという話ですから、こういう情報システムの統合もぜひ積極的に提案をいただいて、そこから連携感を強めていくということもできるかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思いますし、もう一つは、やはり、そこで浮いたお金を召し上げるのではなくて、ぜひ、その自治体で使っていいよという形のインセンティブも制度設計として御用意いただけたらいいのではないかというふうに思っています。

 大臣、一個だけ見ていただきたいものがあって、きょうの配付資料なんですが、お手元にあれば。

 先ほどは税の話だったんですが、これは自治体ごとの保育の申請の書類なんです。企業さんが様式を整えてあげて、被雇用者がこれを提出するというような形でやっているわけなんですけれども、めくっていただくと、一枚目が福岡市、裏面が北九州市、そして次が佐賀市、長崎市、熊本市となるんですが、ざっとめくるだけでもぱっとわかっていただけるのは、様式がばらばらなんです。これを全国規模で営業している企業が対応しようとすると、実は大変な負担になっているんですね。

 でも、同じサービスを申請するのに何でこんなに違うんですかと普通だったら思うはずなんですよ。これも、自治体ごとにお任せするのではなくて、やはり総務省、もしくは厚労省の管轄ですけれども、そこは御相談をいただいて、ひとつ統合していく、そして、どうぞこの様式を使ってくださいというのが、間違いなく行政にとっても効率化されますし、企業にとっても効率化をされるんだと思うんですね。ぜひ、そこは御検討いただきたいと思っています。

 実は、これも規模感によって差があるので、政令指定都市なんかの人口が多い地域だと、やはり待機児童の方がいらっしゃいますから、より詳細に年収の条件だったり家族の条件をとらなきゃいけないので、確かに項目が多くなるんですね。ですから、大中小なのか大小なのか、プランを分けていただいて、少しつくっていただいて、地域で統合していく、こういう形をとっていただけると。

 最終的に、自治体クラウドを進めていく上で、やはり事務処理が統一されているかということが一番のネックになっていくんです。これはすごく細かい話なんですけれども、結局これを言いわけにされてしまうので、こういうものを洗い出していただいて、それを整理していく、メニューを用意していくという形をぜひやっていただきたいというのを、この場をかりてお願いさせていただきたいと思いますが、何か、あれされますか。では、せっかくなので、ぜひ。

高市国務大臣 ちょうどマイナンバーカードの活用の一つとして、また、少し先になりますが、マイナポータルが動き出しますと、本格稼働しますと、保育所を探す、申し込みをする、こういったことも電子化されてまいります。そうすると、ちょうどそのタイミングを見計らって、より多くの方に、どこに住んでいても使いやすい、そういった書式、仕様ということを関係省とも連携しながらしっかりと検討して対応してまいります。

小林(史)分科員 高市大臣、ありがとうございます。

 まさにこれは、費用削減よりも、ユーザー側、市民や国民にとっての利便性に間違いなくつながるところですし、やはり、マイナンバーを入れてよかったね、情報システムを変えてよかったねと思っていただける、こういう施策になってきますので、ぜひお取り組みをいただきたいと思います。

 一方で、情報システムの関係でいくと、費用の部分と、もう一つはセキュリティーの部分というのが今注目をされています。

 先般の年金機構の件もあって、自治体のセキュリティー対策抜本強化をということで総務省も取り組んでいただいていますが、その具体的な内容をお伺いしたいと思います。

原田政府参考人 自治体におけます情報セキュリティー対策につきましては、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン、これを私どもの方で逐次改定をしまして、人的セキュリティーを含むセキュリティー対策の強化を図っているところでございます。

 また、昨年の年金機構の事案、そんなようなものも踏まえまして、インシデント連絡ルートの再構築、多重化など即応体制の強化、攻撃リスク等の低減のための抜本的な強化、及び人的セキュリティーの強化と職員の訓練の徹底などの情報セキュリティー確保体制の強化を行っているところでございます。

 特に、攻撃リスク等の低減のための抜本的な強化につきましては、昨年十一月二十四日に取りまとめられました自治体情報セキュリティ対策検討チームの報告を踏まえまして、マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図り、住民情報流出を徹底して防止する。マイナンバーによる情報連携に活用されるLGWAN環境のセキュリティー確保に資するため、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割する。また、都道府県と市区町村が協力をして自治体情報セキュリティークラウドを構築し、高度な情報セキュリティー対策を講じること。この三層から成る対策を全国の自治体にお願いしているところでございます。

 これらの対策に必要な経費につきましては、二十七年度補正予算に必要な財政支援措置を計上するなど、総務省としても、自治体における情報セキュリティー対策の抜本的強化に、都道府県、市町村と連携をしまして、全力を尽くしてまいる所存でございます。

小林(史)分科員 ありがとうございます。ぜひお力を注いでいただきたいと思います。

 これは、党の情報通信戦略調査会からも御提言をさせていただいて、それを受けとめていただいて、しっかりやっていただいていると思っているんですが、改めて申し上げると、セキュリティーの本質は二つだと思っています。

 一つはやはり人の問題です。セキュリティーに関する知識があるかどうか、そして、ある種のマナーというか倫理観のところがあるので、ここは人的な研修をしっかりやっていただくということでお願いをしたいと思います。

 もう一つ、年金機構でも問題になった件というのは、結局、情報システムは使えるものがあるのに、それをローカルのパソコンに落としてエクセルで作業するということをやらざるを得ない状況になっているから発生したんだと思うんですね。その根本の問題は何かというと、そもそもつくったシステムが使いづらいということなんですよ。

 わざわざローカルに落とさなくてもできるシステムというのは世の中にいっぱいあって、やはりそれをきっちりつくり込んで、どうぞ皆さん、これだったら絶対使いやすいからということで使っていただけると、そのリスクというのは減らせるんだと思うんですね。

 やはり、ローカルに落とした瞬間に、USBどうするんだ、最後、パソコンのハードディスク引っこ抜かれたらどうするんだという問題が必ず残りますから、このあたりの根本解決にぜひ力を注いでいただいて、情報分野をつかさどる総務省としてリーダーシップを発揮いただきたいというふうに思っています。

 そしてもう一つ、この情報システムをつくるに当たって、やはり調達のところというのはすごく重要だと思っています。

 この調達のところで、これは日本特有のところがあるんですけれども、一つのシステムをつくるのに、基本的に人月で計算をするというのが通常になっています。一方で、お隣の国やアメリカなどでは、ファンクションポイントといって、要は、一ページつくるときの難易度であったりシステムの難易度で金額を見積もるように業者に指示をしています。

 これはなぜかというと、優秀なSEさんであれば、一つのページをつくるのに一時間でつくれるかもしれない、でも、優秀じゃない方だったらそれは一日もしくは三日かかるかもしれない。やはり優秀な方にきっちり仕事をしていただくためには、こういうファンクションポイント制度というのを導入すべきだと思いますが、現状、政府の調達の中ではどうなっているか、お答えください。

上村政府参考人 お答えをいたします。

 政府におきましては、ITガバナンス等の強化のために、政府情報システムの標準的な整備及び管理の手法につきまして、共通のルールを定めております。これを政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドラインと称しておりまして、平成二十七年四月から施行しているところでございます。

 委員御指摘のファンクションポイントでございますけれども、こうした見積もりといいますのは、まさに情報システムの機能規模という客観的な情報に基づきまして経費を算出するという手法として有効であると思っておりまして、政府の情報システムに対しても積極的にこれは導入するべきであると私どもは考えております。

 この認識のもとに、今申し上げましたガイドラインにおきましては、経費の積算に当たりましては、設計または開発に関する工数の算出をする際、原則としてファンクションポイントの見積もりを取得する、こういうこととされているところでございます。

小林(史)分科員 導入をいただいたということで、本当にありがとうございます。

 一方で、地方自治体はどうなっているか、お答えいただいていいですか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 自治体の情報システムにつきましては、しかも見積もりに関しましては、それぞれの自治体が個別に、かつ手続にのっとって行っているということでございますので、その詳細につきましては、申しわけございません、私ども承知しておりません。

小林(史)分科員 せっかく政府が一番最適であろうというものを取り入れて、そして、かなり詳細にガイドラインをつくられていますよね。私も拝見をしました。これはぜひ自治体に周知すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

原田政府参考人 先ほどお話のありましたファンクションポイント、これにつきましては、申しわけございませんけれども、私も今回初めて承知させていただいたような状況でございます。

 中身は、見積もりに関すること、またそれ以外にも、自治体の情報システムの整備とか管理に資するような内容も盛り込まれておりますので、私ども、そのガイドラインも含めまして、さまざまな機会に自治体の方にもこういうものを周知してまいりたいというふうに考えております。

小林(史)分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、総務省の中でも、やはり自治部局とテレコムの部局でうまく連携をとっていただいて、どちらかというとテレコムの方がそういうのは進んでいるけれども、実際の権限とか、コミュニケーションは自治部局がとっていらっしゃるというところがあると思うんですね。これは決して地方自治体への押しつけではなくて、どうぞ一緒に楽になりませんか、その仕事はもうこちら側に任せていただいて、より地方創生の、ある種頭を使う分野に力を使いませんか、こういうことになるんだと思っているんです。

 ですから、ぜひ、前向きな御提案として、今も、地方を回っていただいていろいろな首長さんに御提案いただいているというのも伺っていますので、市長会とかそういったところでもぜひ御紹介をいただいて、広げていただきたいというふうに思っています。

 もう質問はありませんので、最後、一言申し上げて終わりたいというふうに思っています。

 情報システムの分野というのは、確かに効率化の部分が大きいんですが、何よりやはり市民サービス、国民サービスの向上があるというふうに思っています。

 インターネット、そしてデジタル化が進むことによって、今まで捕捉できなかった本当に困っている人を一人一人捕捉できるようになる。そして、今までは申請主義だったけれども、これからはインターネットを使って、まさに大臣おっしゃったような、マイナポータルでお勧めをすることができるようになる、こういうことができるようになるはずなんですね。ですから、それをやはり徹底してやっていただきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、御答弁は必要ないですけれども、最後に御提案をしたいのは、今、党でも検討を進めていますが、個人には番号が振られました、そして企業にも番号が振られました、今度は行政サービスの施策にも番号を振っていただきたいと思うんですね。

 要は、A番の小林君はBという施策を使えるはずなのに使っていない、これを提案できるようになるんですよ。

 これは実はすごく合理的なんだと思っているんです。要は、物流でいくと、普通にコンビニに並んでいる商品は全部商品番号がついていて、その商品がいつどこから仕入れられてきて誰に売られたかというのがわかっているから、それがマーケティングに使われるんです。

 自治体の場合、そういう番号がつくとどうなるかというと、国の、厚労省のどんな予算を使ってどんな施策ができた、そしてその施策を誰が使ったかというのを全部追えるようになるんですね。そうすると、つくった予算がどれぐらい消化をされていて、どれぐらい効いているかというのも明確になっていきますし、これをさらに追っかけていって、使っていない人にお勧めをすることもできるようになっていきます。

 これは実はそんな難しい話ではないけれども、マイナンバー、マイナポータルが入るときにぜひやるべきことだというふうに思っています。また党から御提言をお持ちしたいと思いますので、大臣には御検討をいただきたいというふうに思います。

 日々、NHKも関連で、大変お忙しいと思いますが、頑張ってお進めをいただけますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて小林史明君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。稲津久君。

稲津分科員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、高市大臣におかれましては、午前中から、また午後に至っての質疑ということで、大変に御苦労さまでございます。

 きょう、私は、通告に従って大要三点、夕張市について、それから豪雪地帯の特別交付税の措置について、それからもう一点は公共施設の老朽化対策についてということで、時間の範囲で通告どおり質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、北海道の夕張市ですけれども、私の選挙区は北海道、三十四市町村ありまして、その中でも一番南にあり、なおかつ全国的にも名前が広まっているというか、国民の皆さんにも、夕張市と言うだけでいろいろなことで御承知おきいただいていると思いますが、まず、その夕張市のことについて、財政再生団体移行、ちょうど十年を迎えるわけでございまして、その十年目を迎えるこの夕張市についてということで、何点かお伺いしていきたいと思います。

 まず、これはもう何回も繰り返されていることですけれども、改めて、夕張市が財政再生団体になって今日に至るまでのことについて、私なりに触れておきたいと思います。

 平成十九年に財政再建団体入りを表明して、移行になりました。ちょうどことしの三月で十年目を迎えるということになるわけですけれども、御存じのとおり、夕張市は、戦後の日本の復興を産業面で支えてきた、いわゆる石炭がとれる産炭地として発展してまいりました。その後、エネルギーの事情の変化によりまして、大体昭和三十年代の後半ぐらいから平成二年ぐらいまでかけて炭鉱の閉山が相次いで、人口が、夕張市においても、ピーク時は十万八千人というふうにございますが、平成十七年には一万三千人まで激減している、こういう状況です。

 ちょうど私もそのときに北海道で議会議員を務めておりまして、この夕張の財政破綻になった経緯、あるいはその後の再建団体、再生団体という中で、私なりに地域の方々としっかり意見交換をさせていただいたり、そのときの首長さんや道知事ともさまざま連携して夕張支援に奔走したことを、ついきのうのように覚えております。

 こういう状況の中で、何とかして雇用の場を確保していこう、それから人口の流出に歯どめをかけていこうということで、いわゆる閉山時に何があったかというと、炭鉱から観光へというキャッチフレーズで、観光産業ですとか、あるいは一方で、福祉や教育にも多額の財政支出をしてきたということがありました。

 人口減少による歳入の減少に対応したサービス水準の見直しですとか行政組織のスリム化、これが残念ながら立ちおくれていくということで、人件費の抑制もなかなか進まない状況だった。第三セクターでいろいろな事業を起こしましたけれども、これが経営破綻にどんどん陥る中で、赤字の補填もしていく、こういうことで、公営事業会計における資金不足がさらに市の財政状況を逼迫していったということが言えると思います。

 そのような状況の中で、非常に残念なことでしたけれども、不適切あるいは不透明な会計処理を当時の夕張市が行ったということで、赤字決算を先送りして、実質、その赤字というのは膨大な金額になっていった。財政再建団体入りする平成十八年度の実質収支赤字というのは約三百五十三億円ということになったわけなんですね。

 平成十九年の三月六日、夕張市は、この巨額の赤字を解消するために財政再建団体となって、歳入の確保と行政のスリム化をそこから始めてきたわけなんですね。以来、本当に早いもので、三月で十年目を迎えるということです。

 この十年間の間に、では、その赤字の返済額はどこまで進んでいったかというと、大体九十二億円ぐらいまで進んできたということで、これは、私は、ある一定程度の評価をしていいんだろう。また、国やあるいは道、関係各団体からもたくさんの支援をいただいて今日に来たということも、これはまた夕張市としても忘れてはいけないことだと思っております。

 このように、夕張市は、財政再建団体移行後、厳しい緊縮財政のもとでも、財政再建とそれから地域の再生に取り組んできたということもはっきりと言えると思いますが、ここで確認しておかなきゃいけないのは、たとえ財政再生団体であっても、住民に必要なサービスの提供については、これは財政再生計画の中でも何回か変更をかけていく中で柔軟に対応してきて、それなりに地域住民の皆さんのサービスが減退しないように取り組んできたということも言えると思います。

 ただ、非常に残念なのは、そこまでいろいろな努力をしてきても、人口あるいは経済の状況はどうなっているかということを見てみると、例えば夕張市の人口は、平成十八年、先ほど申しましたが、一万三千人だったものが、平成二十七年には九千四百人ということで、一万人を切りました。九年間で約三〇%人口減少、これは自然減ではなくて、明らかに、ある意味、社会減だと思いますけれども、全国あるいは北海道の中の近隣自治体と比べても、この減少度合いというのは大変顕著になっています。特に、非常に困ったことに、二十代とか三十代の若い方々の人口流出に歯どめがきかないという状況になっています。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、これまで夕張の十年間を振り返って、夕張市の取り組みに対して大臣としてどのような評価をされているのか。それから、この十年間の取り組みの中で当然新たに見えてきた課題もあると思うんです。そうしたことをあわせて、大臣に、この十年間の評価とそれから今後の課題について、お答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 今、稲津委員がおっしゃっていただいたとおり、お地元のこれまでのお取り組みも、そして課題もお触れになったと思います。

 実際に、この十年間の財政再生計画に基づいて、市の税金を引き上げられたり、それからまた職員、給与の削減、こういったことに取り組んでこられました。また、施設の統廃合も進めてこられました。ですから、着実に財政再生に取り組んでこられたと思っております。

 当時、先ほど御紹介がありましたが、約三百五十三億円あった赤字ですが、もう既に約七十億円が返済されているということですから、着実に再生に向けて頑張っておられると思います。

 一昨年の秋に私が総務大臣になりました後、東京でも市長にお目にかかりましたし、昨年六月には夕張市にお邪魔をして、いろいろ現場でも拝見をし、お話も伺いました。

 そんな中で感じた課題なんですけれども、一つは、やはり今委員がおっしゃったとおり、若い方々の人口流出に歯どめがかからない、イコール高齢化が進んでいっているということ。それからもう一つは、やはり、かなり行政コストをカットされようとした結果、職員の方々の待遇が非常に低いものになってしまって、よい人材をつなぎとめることができない。この悩みも、一昨年来、市長から伺ってきたところでございます。

 やはり若い方々を呼び込んでいくということになると、働く場所がしっかりあるということ、そして子育て環境が整っていなきゃいけない、市の職員の処遇も改善してほしい、こんなお声に一つずつ今お応えしつつあるところであります。

稲津分科員 ありがとうございました。

 そこで、今度は、この夕張のことに関して、地方創生の取り組みと財政再建を同時に進めていかなきゃならないということについて伺っていきたいと思います。

 今話がありましたように、十年間で財政再建を着実に進めてきているというのが一つある。ただ、もう一方で、財政再建を最優先すると、どうしても必要な、例えば施設整備とか施策の実施というものも当然制限がかかってくるわけでございまして、それがある意味、地域住民の中では、なかなか自分の生活や市の将来が見えてこないという中で、人口の流出を加速させる原因にもなってきているのかなというふうに私なりに感じています。

 十年目を節目に、これまでと同様の考え方で財政再建を進めるということ、当然これは大事なことなんですけれども、一方で地域社会の崩壊を招いてしまってはいけないことでありまして、この難しいかじ取りがこれから要求されるのだと思っています。

 地方財政再建促進特別措置法の財政再建団体では再建期間が長くても十年程度だったということを踏まえると、私は、夕張においても、この十年を一つのめどにして、地域の再生、それから人口減少を食いとめる、そういう取り組みがこれから必要になってくるんだろう、このように思っております。

 その意味で、時を同じくして、今は地方創生ということが大きな全国的なテーマになっておりまして、当然、夕張市もこの地方創生の取り組みに真っ正面から向き合っていかなきゃならないということです。

 今、この安倍政権の掲げる地方創生、その取り組みに照らせば、たとえ財政再生団体であっても、この夕張であっても、ほかの自治体に比べて、当然、同じようにやるべきことは数多くあるわけでございまして、その意味で、この地方創生ということをテーマにして、夕張市も、さらに今度は前向きな発想に立って、地域住民と一緒になって、地方創生のスタートラインに立っていかなければいけないんだろう、このように思っております。

 この地方創生の取り組みと財政再建、これを同時に進めていくというのは大変難しいことだと思いますが、その必要性と、その方策は例えばこういうことも考えられるかなといったことも含めて、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 財政再生中でありましても、やはり、未来に希望をつなげる地方創生の取り組みに係る施策を進めていくというのは必要だと思います。

 実際、これまでも、コンパクトシティーの推進をなさるための市営住宅の再編事業、それから、昨年私も現場を拝見したんですが、地域資源であるズリを利用した夕張の再生エネルギー創造事業、こういった地域再生に資する事業については、市の要望に基づきまして、財政再生計画の変更に同意をしております。

 それから、とりわけ、昨年六月に私が訪問しました際に、市長から直接、子育て環境の充実のために、保育料の引き下げの御要望をいただきました。この点についても、平成二十八年度から実現することにいたしました。

 それで、夕張市におかれましては、ちょうど夕張市の再生方策に関する検討委員会を設置しておられて、これまでの取り組みの成果と課題の検証、それから今後の方策について御議論なされていると伺っております。

 間もなく報告書を取りまとめられると承知しておりますので、市からもよく御意見を伺いまして、夕張市の財政再生と、それから地方創生の取り組み、両方ともしっかりと進んでいくように、三者協議の場を通じまして、しっかりと貢献をしてまいりたいと思っております。

稲津分科員 大臣、どうもありがとうございました。

 思えば、昨年六月、大臣が夕張にお越しいただいたこと、私もその前段で、ぜひ夕張に足を運んでいただいて、現状をごらんになっていただいた上で要請に応えていただきたい、そのようなことを申し上げた上で、早速大臣が現地に行かれて、そういった対応をとっていただいたこと、本当にありがたく思っております。夕張市民の皆さんも、市長を初め、そのことについては大変な感謝をしていらっしゃる、このように認識しております。

 その上で、さらに大臣にどうしてもこれはお伺いしていかなきゃいけないことなんですけれども、これは、私、昨年の三月の総務委員会でも触れた内容なんですが、市の職員の待遇改善と新たな人材の確保の必要性について伺っておきたいというふうに思います。

 これは、今大臣が触れていただきました第三者委員会である夕張市の再生方策に関する検討委員会がずっと開催をされておりまして、間もなくその報告書が、北海道、それから総務大臣、また官房長官まで提出を予定されている、このように聞いております。私も、どういう報告書が出されるのかということについては大変関心も持っていますし、楽しみにしている一人でありますが、夕張市民からは、ほかの自治体に比べて過重となっている財政負担の軽減を求める声が実際にあります。

 ただ、その一方で、やはり将来を見据えて夕張市の今後を考えていくと、例えば先ほど来話も申し上げている人口減対策、それから地方創生の取り組み、それから子育て支援、定住、移住促進、新エネルギー、コンパクトシティー、文化芸術のための施策、まさに今大臣が触れていただいたこと、こうした新たな政策展開を期待する声も非常に大きいものがあると思っております。

 ただ、そうした取り組み、政策を実施する行政の執行体制はどうなのかというと、私、これは非常に厳しいものがあるというふうにずっと見ております。

 例えば市の職員の数だけ見ると、平成十七年二百六十三人、これは当時の自治体規模からいったら非常に多くて、当然、ここはいろいろな手だてを打っていく、まだその前の段階でしたので。ただ、早期退職を促したら、平成十八年の末には何と百二十七人まで落ちてしまった。

 その後、やはりこれでは大変だということで、国、東京都、北海道、それから全国の自治体からも応援をいただいている中で、大体、今ほかの自治体からも二十二人ぐらい職員が派遣されているというふうに伺っておりますけれども、一方では、やはり新規採用を抑制せざるを得なかったということで、計算していくと、平成二十六年の末には大体百人になっているんですね。だから、この百人で自治体行政の執行を行っていく形としては非常に難しいところに来ているだろうというふうに思っているわけでございます。

 一方で、これも非常に残念なことですけれども、割と若い市職員がやめていったという経過もこの数年ありました。そのことをいろいろ分析していく必要があると思うんですが、やはり一つ言えることは、職員の給与、これが今、現状の財政再生計画のもとで基本給一五%カット。これも、大臣初め多くの方々に御配意いただいて、最初は三〇%カットだったのが二〇%カット、そして一五%まで来ました。

 ただ、いずれにしても、そのような厳しい状況であるということ。期末・勤勉手当も〇・八カ月カット。特別職、ここを私はあえて触れておきたいと思うんですけれども、例えば市長の給与は七〇%カット、教育長六〇%カット、議員報酬四〇%カット、こういう状況なんですね。これがいつまで続くかということなんです。

 私は、当然、行財政改革で再生団体ですから、それぐらいのことは必要だろうという意見にも耳を傾けます。しかし、現場にいる者として、この十年間見てきて、やはりここはいよいよ一定程度見直しをかけていかなければいけない段階に来ているのではないかと思っておりまして、市の職員等の待遇改善、新たな人材の確保、特に市長さんの給与も含めて、早急な待遇改善が必要でないかと思いますが、ぜひ大臣の御見解をいただきたいと思います。

高市国務大臣 財政再生計画におきましては、職員給与及び職員数について全国最低水準を基本とするとされております。

 しかし、私が初めて市長にお目にかかったときに伺った話が、まさに今委員が御指摘いただいた話でした。給与水準の低さも一つの原因で、職員の方々の士気が下がってしまっている、それから、将来に向けての見通しが立たないということで本当にいい人材が退職してしまっているというお声でございました。

 そのような状況を伺いまして、職員給与につきましては御承知のとおりでございますけれども、今年度より、人事評価の結果をボーナスに反映することを含めて、独自削減、これも五%程度改善するといったようなことで、従来からの市からの御要望を踏まえながら、その改善に同意をしてきております。

 また、職員数につきましても、昨年度で二名増員、今年度で一名増員ということで、この改善にも同意をしております。

 間もなく取りまとまる報告書の内容も把握しながら、市からもよく御意見を伺って、適切な行政執行体制というのはどういう状態かということで、そのあり方を含めまして、三者協議の場を通じて、市、北海道とも協議をしてまいりたいと存じます。

稲津分科員 ありがとうございました。

 この検討委員会の報告が間もなく上がってくるというふうに先ほども申し上げましたけれども、これは新聞報道ですけれども、座長の小西関西学院大学教授の記者会見の発表の中では、夕張については、十年になったのを機に、地方創生について今後は重点的に取り組むべきだ、こういうことを発表されました。ということは、やはり夕張の地方創生のあり方というのは、これから力を入れていかなきゃいけない大事なことになってくると思っています。

 今、大臣から非常に前向きな御答弁をいただいたというふうに私は認識しておりますけれども、この給与等の待遇改善については、これは国、道、市の協議の中である一定程度見直しを図っていくこともできるというふうに承知もしておりまして、ぜひ、今大臣に御答弁いただいたそうした方向で御検討いただくことを切にお願い申し上げる次第でございます。

 次に移ります。

 今度は、除排雪対策に要する経費等を確保するための特別交付税の措置についてということでお伺いしていきたいと思います。

 これは一応、大臣に答弁を求めておりますが、もしあれでしたら、局長でもどなたでも結構でございます。

 毎年この時期になると、北海道の多くから雪の除排雪経費に関する要望をたくさんいただきます。先般も、北海道だけではありません、全国の豪雪地帯の議会の議長さんからも御要請を超党派でいただいております。

 私の地元の地域の岩見沢市からも先般直接要望をいただきましたが、特に今年度は、十二月の二十五日から五日間で九十三センチ、一月五日から十日間で百十センチと連続した降雪を記録していまして、例年の状況から見ると今後もさらに大雪が予想される、こういう状況です。

 特に岩見沢市については、これは地形的にそういうことになるのかよくわかりませんけれども、短時間で集中的に大量の雪が降るという特殊な豪雪地帯でもあるんですけれども、特に近年は、道路の除雪、排雪の経費が大きくなっているような状況です。

 この多量の積雪というのは、市民生活あるいは経済活動にも影響を与える。道路の除排雪は、これは何といっても、冬場のその時期は緊急の優先課題ですから、岩見沢市では、大規模災害時の災害対策本部に匹敵するような除排雪対策本部を設置するなどして、行政と民間が密接な連携を図りながら、積極的な対策を講じているところです。

 この実情に鑑みて、除排雪対策に対する経費を確保するために、特別交付税による十分な措置をお願いしたい、このように申し上げておきたいと思いますが、この件について総務省の見解をお伺いします。

高市国務大臣 地方団体の除排雪経費でございますけれども、これは、普通交付税の基準財政需要額の算定におきまして標準的な所要額は措置するんですけれども、実際の見込み額が普通交付税の措置額を超える場合、三月分の特別交付税で措置をするということにいたしております。

 全国的には、今年度は降雪量がまだ少ない状況なんですが、委員のお地元を初め、局所的に、ちょっと半端ではない、平年を上回る降雪がございまして、できるだけそれぞれの地方団体に生じる除排雪経費の実態をしっかりと把握しながら、所要見込み額を確保して対処してまいりたいと思っております。

 また、ついでに申し上げて恐縮ですが、雪おろしによる事故、特に御高齢の方の事故も相次ぎましたので、昨年の三月から、特交で、特に雪おろしの支援、それからもう一つは、啓発活動が余りできていなかったということで、そういったことにも使えるように措置をしておりますので、またお広めくださいませ。

稲津分科員 ありがとうございました。

 時間も大分参ってまいりましたので、もう一問お伺いして終わりたいと思いますけれども、公共施設の老朽化対策についてということで、公共施設等総合管理計画の目的と意義、それから策定状況ということを踏まえたお話を伺いたいと思うんです。

 これも御存じのとおりですが、我が国のインフラは、一九六〇年代、七〇年代、いわゆる東京オリンピックあるいは高度経済成長時代に建設整備をされている。ちょうど四十年、五十年という経過を経る中で、まさに今更新期を迎えている。

 しかし、自治体の財政状況というのは依然と厳しくて、これを新たに整備する財政的な余裕がない、あるいはまた老朽化によって年々維持管理費もかさんできている、こういう問題を抱えています。

 それから、人口減少、こういうことによって、公共施設の利用需要が変化してきている。そうすると、当然、市町村合併なども踏まえた上で、施設全体の最適化を図る必要が出てくる。

 こういう中で、各自治体が公共施設等の全体を把握して、長期的な視点を持って、更新、統廃合、それから長寿命化、これを計画的に行うことによって、財政負担を軽減、標準化する、それから最適な公共施設の配置も実現をしていく、こういうことが必要ではないかと思っています。

 こうした課題に対して、公共施設等総合管理計画の策定を各自治体には求めているわけなんですけれども、この計画の目的と意義、そして現在の策定状況についてお伺いしておきます。

安田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたように、過去に建設されました公共施設等が一斉に更新時期を迎えるということに備えまして、施設配置の最適化や更新コストの平準化等を図ることが地方公共団体にとりまして大きな課題になっていると認識しております。

 各地方公共団体が公共施設等の全体を把握し、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うため、総務省では、各地方公共団体に対しまして、公共施設等総合管理計画を平成二十八年度までに策定するよう要請しているところでございます。

 昨年の十月一日時点で調査した数字でございますが、現段階での策定状況といたしましては、全団体のうち六・三%は既に策定済みでございます。今年度末時点では、三一・一%の団体で策定予定でございます。また、平成二十八年度末までには九九・二%の団体で策定予定ということになってございまして、その先まで含めれば、全団体において策定予定となっているところでございます。

 総務省では、同計画の策定のための指針を示すほか、策定に要する経費に係る特別交付税措置や、同計画に基づいた集約化、複合化等の事業に対する支援措置も講ずることとしており、引き続き、全団体において計画が策定されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

稲津分科員 時間だから終わりますけれども、ぜひ各自治体への支援をお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 民主党の大西健介でございます。

 実は、私は高市大臣の地元の大和郡山の奈良学園という学校の卒業生でありまして、馬淵澄夫の秘書をやっていたこともあって、勝手ながら高市大臣には御縁を感じているんですけれども、きょう、こうやって御質問させていただく機会をいただきまして、光栄に思っております。よろしくお願いします。

 さて、平成二十八年度の税制改正におきまして、政府・与党は、消費税一〇%引き上げ時に自動車取得税を廃止する一方で、自動車税に環境性能割を上乗せするということを決めました。

 私は、新たな環境性能課税の導入というのは、消費税一〇%引き上げ時に簡素化それからユーザーの負担軽減を図るというこれまでの方針に反していて、強く反対をしてまいりました。自動車業界からも強い反対があって、与党が自動車取得税廃止に伴う負担のつけかえを強行したということに、私は、改めて強く抗議をしておきたいというふうに思います。

 また、自動車業界からは、消費増税に合わせて車体課税の見直しを全体としてするはずだったのに、なぜ環境性能課税だけ先行して結論を出すのか、平成二十九年度の税制改正で一緒に議論すればいいじゃないかという声がありました。

 そこで、実施時期が二十九年度であるにもかかわらず、どうして一年早く環境性能課税の導入だけを決めたのか、改めて納得のいく御説明をいただきたいと思います。

高市国務大臣 環境性能割でございますけれども、これは自動車税及び軽自動車税において導入されるもので、都道府県に加えまして市町村にとって新たな課税の仕組みでありますことから、議会における条例審議ですとか納税者への周知広報などの準備がまず必要でございます。

 それから、特に税システムの改修に時間がかかると考えております。昨年の秋に都道府県にヒアリングをしましたところ、平成二十七年度改正におけるエコカー減税に係るシステム改修でも多くの団体が約三カ月を要して、その改修内容に加えて、新しい税割の追加や税額を求める計算式の変更などのためにさらに数カ月の改修期間が必要であるといった意見がございまして、仮に平成二十九年度の改正で結論を得た場合には、税システムの改修が平成二十九年の四月には間に合わないだろうという事情がございます。

 それから、自動車の運行に必要な行政手続がインターネット上でできるOSSを導入している団体においては、ディーラーがこれを活用できなくなり、車検証などの交付に支障を来すということとともに、地方団体の事務が手作業にならざるを得ないといったことで、ディーラーや納税者に混乱を生じさせるという問題があるということです。本当に、新しい課税の仕組みであるだけに、地方団体におけるさまざまな準備のために一定の期間が必要であるということで、具体的な制度設計を行い、法制化をした上で、御審議をお願いすることとなりました。

大西(健)分科員 条例の制定だとかいろいろな手続に時間がかかると。一定程度理解はできるんですけれども、それゆえに、ぜひ、来年度の税制改正のときに、消費税が一〇%に上がるのに合わせて車体課税というのは抜本見直しするという約束だったわけですから、それをぜひしっかりやっていただきたいなというふうに思っています。

 私は予算委員会にずっと出席をさせていただいていて、先日、二月十五日に昨年の十月―十二月期のGDP速報値が発表になりましたけれども、年換算で一・四%減ということで、この主な要因として、民間最終消費支出の落ち込みだということで、予算委員会の中でも、石原大臣からは暖冬の影響というお話がありましたけれども、一方で柿沢委員からは、最も影響が大きいのは耐久消費財なんだ、十三カ月連続で前年度を下回っている、暖冬は関係ないんだということを言われていました。

 つまり、耐久消費財、車が売れていないんです。消費税引き上げの影響というのは、一時的なものと言われていましたけれども、残念ながら、一時的なものにとどまらず、今も続いているということだというふうに思います。

 大臣のお地元の奈良もそうだと思いますけれども、やはり車は生活必需品、車がないと生活できないわけですから、車体課税の減税というのは、これは私は生活減税になるというふうに思っていますので、ぜひ、そのところも考慮して、引き続き、来年度税制改正に向けて、またしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。これは要望にとどめておきたいと思います。

 続けて、税制改正のことでお聞きをしたいと思うんですけれども、地方法人課税の見直しについてお聞きをしたいと思います。

 お手元に資料を一枚配らせていただいているんですけれども、平成二十八年度の税制改正によって法人住民税の法人税割の国税化が拡大をされたということで、不交付団体を中心に、国税化による影響額が、法人事業税交付金及び消費税率の引き上げによる増収分を上回っている、差し引きで減収になる自治体が出てくる可能性があります。

 お配りをしているのは愛知県が試算をしたものですけれども、この話というのは、全体の中でいうと該当するところは本当にわずかなので、なかなか皆さんに御理解いただけないんですけれども、私はこれは大問題だというふうに思っています。

 実は、東京都内でも差し引きで減収になる市町村はないんですけれども、今お配りしたこの愛知県の試算だと、愛知県内では、四市二町一村で差し引き後に減収になるということなんです。

 私の選挙区、刈谷市それから碧南市というのがこの一覧の中に含まれています。金持ちだからいいじゃないかという話かもしれないんですけれども、それぞれの自治体というのは、別に何の努力もしていないわけではなくて、企業立地のために努力もしてきていますし、また、企業立地のために地権者が用地も提供している。それから、行政がインフラ整備もやっているし、また、渋滞等のいろいろな負担も、地域の方々も負担をしているわけです。

 私たちも、一定の税収の偏在を是正するということを理解しないわけではありません。これは一定程度は必要だと思います。しかし、度を超えて、おまえのところはもうかっているんだからいいだろう、よこせと、一方的に懐に手を突っ込んでお金をむしり取るようなやり方、これは私は、著しく正義に反しているし、また、地方分権の流れにも逆行するのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今回の偏在是正措置でございますけれども、これも、民主党政権時代であった平成二十四年の八月に成立した税制抜本改革法の規定を踏まえて、平成二十六年度の税制改正大綱に沿って実施するものでございます。

 具体的には、消費税率一〇%段階において、地方法人特別税・譲与税を廃止して、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進めるということとともに、法人事業税の一部を都道府県から市町村に交付する、そういう制度を創設するというものでございます。

 この法人住民税の交付税原資化は、地方消費税の税率の引き上げによって地方の税財源が拡大する中で行うものでございます。そしてまた、交付税の原資化によって地方の固有財源であるという性格が失われるようなものでもないので、地方分権に逆行するものではないと思っております。

 ただ、大半の市町村では増収になるんですけれども、今委員が試算をお示しいただきましたように、これまで企業誘致の努力をし、一生懸命、税源涵養の努力を前向きにしてこられたところについて減収になるところがあるということも事実でございます。

 今回の措置に関しましては、法人事業税の交付金について、変動が急激に生じないように経過措置を講ずるとともに、これもなかなか、また地方債なのかという御批判も承知していますが、税制改正に伴う減収額を対象に地方債を起こすことができるように特例規定を設けることといたしまして、不交付団体も含めて、できるだけ財政運営に支障のないように配慮措置を講じることとしております。

 偏在是正というのは、しっかりやっていくことによって他の地方も元気になり、そしてまた、地元の愛知で生産されるさまざまな財をほかの都道府県の方々がまた購入できるような、日本じゅうが元気な地方経済をつくっていかなきゃいけない、そういう問題意識もありますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。

大西(健)分科員 長坂先生のお地元の飛島村もそうなんですけれども、我々も、先ほど来言っているように、偏在是正そのものに反対しているわけではないのですが、さすがにマイナスになるというのは、ちょっとこれはいかがなものかというふうに思っています。

 もう一度この資料をごらんいただきたいんですけれども、一番大きな影響を受けるのは豊田市ですね。トヨタ自動車のお膝元の豊田市なんですけれども、影響額が何と約マイナス百十二億円です。

 もちろん、豊田市はトヨタ自動車のおかげで非常に豊かなんです。豊かなんですけれども、しかしリーマン・ショック時には大変な厳しい状況に見舞われて、それを乗り越えて今があるというわけであります。豊田市の減収額が一般会計予算に占める割合は六・三%です。ここまで来ると、さすがに市政運営にも支障が出てくるレベルになっているというふうに思います。

 私は、当初、総務省は、制度設計段階でこういう差し引き減収になる市町村が出てくることを本当に想定していたのかな、想定していなかったんじゃないかなと実は疑っているんです。

 総務省は、減収により財政の安定が損なわれることがないように、先ほど大臣も御答弁で、地方債の起債というのは御批判もあるでしょうがというお話がありましたけれども、地方債の起債措置を講ずるということを言っていますけれども、失礼ながら、まさにこれは、私は的外れだと思うんです。だって、豊田市は日本一豊かだからこんなことになってしまっているんです。どうして、国の都合で、税制改正のとばっちりで、本来なら必要のない借金をしなきゃいけないのか。それは、議会にも市民にも私は説明がつかないと思うんです。

 ですから、私は、先ほども言いましたけれども、これは制度設計のミスだというふうに思います。差し引きで減収になる自治体については、せめてマイナスにならないように個別の財政措置を行う、これは単純明快でわかりやすい解決策だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました豊田市も含めまして、減収が生じる団体がございます。法人住民税法人税割の比重が極めて高い団体においては、今回の法人税割の交付税原資化によりまして減収になる団体もあり得るだろうという想定はしておったところでございます。

 ただし、愛知県がお示ししている豊田市等に係る数値については、二十六年度改正分も含まれているとか、二十六年度の、足元、非常に税収が伸びているところの数値でございますから、これをどう見るかというのが一つの課題だろうというふうに思います。

 私ども、地方法人課税の偏在の是正の問題というのは、税制抜本改革法に基づいて取り組んできているものでもございますし、長い間の懸案でもございます。その中で、先ほど大臣から答弁がありましたけれども、法人事業税交付金による手当てをする等の対応もしているところでございます。偏在是正の措置の意義、あるいは、今回講じている配慮措置等についても何とか御理解いただけるように、今後とも地方団体の声に耳を傾けてまいりたいと思います。

 私も、せんだって、関係の市長さんにも知事会にも話をお伺いしました。今後とも、お話を伺いながら対応してまいりたいというふうに考えております。

大西(健)分科員 今、関係の市長とお話をされたということですけれども、我々が聞いているのは、事前には知事会とか市町村会とは話をしているけれども、こうやってマイナスになるところとは直接話をしていないというふうに聞いていますので、まさに当事者の、該当の市とお話をしっかりしていただきたいと思います。

 差し引き減収になる刈谷市に、何か言いたいことがないかということで私が聞いたら、次のような御意見をいただきましたので、お伝えしておきたいというふうに思います。

 刈谷市は人口増加傾向にあって、出生率も一・七後半で推移している。刈谷市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定して、国が掲げる出生率の向上、子育て世代の転出の抑制という目標に向かって進んでいます。また、国が推進する定住自立圏構想にもいち早く取り組んで、近隣市町村の中心の役割を担っています。刈谷市のように国の方針に沿って積極的に取り組んでいる自治体に対しては、まち・ひと・しごと創生に関する取り組みへの支援とか、あるいは交付金を中心とした財源の配分に格段の配慮をしてほしいということでありました。

 つまり、働き者がばかを見る仕組みではなくて、頑張っているところが報われるようにしてくれということだと思いますが、この点、内閣府に御答弁をいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今、地方公共団体におきまして総合戦略をつくっていただいているところでございまして、政府としても、人的支援、情報支援、財政支援の三本の柱で支援をしていくこととしております。

 御質問の地方創生の交付金についてでございますけれども、これについては、具体的な成果指標を設定してPDCAサイクルを回していただくことが前提なんですが、地方の自主的、主体的な取り組みを支援することとしておりまして、内容も、仕事づくり、移住、定住、働き方、あるいはまちづくり、幅広いものとなっております。対象分野の中でも、官民が共同して取り組む、あるいは、今御指摘がございましたように、自治体間が連携して取り組む定住自立圏も含まれてまいりますけれども、そういったものを重視しているところでございます。

 今、地方公共団体におきまして、地方版総合戦略に基づいて積極的な取り組みを開始しているところでございますので、私どもも、そうした熱心な取り組みを支援していきたいと考えております。

大西(健)分科員 まさに、先ほども申し上げましたけれども、地方法人課税の方で納得がいかなくても、ほかのところで頑張っていればちゃんと国が支援してくれるんだというところをお示ししていただきたいなというふうに思います。

 話は全く変わりますけれども、東日本の大震災から間もなく五年がたとうとしています。あの震災で、命を賭して水門を閉めに行ったりして犠牲になられた消防団員、全国で二百五十四名に上るということであります。消防団の重要性に対する市民意識が高まる中で、議員立法で、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律も成立をしました。

 私の地元は、先ほど来申し上げていますけれども、自動車産業が盛んな地域ですので、まだまだ若い人たちがたくさんいます。それでも、ここ数年、年末の夜警に激励に回ったりすると耳にするのは、やはり消防団員の確保が難しくなってきているという話であります。

 そういう中で、私の地元の碧南市におきまして、来年度から入団促進のための優遇措置を大幅に拡充するということを決めました。まず、団員に市営の遊園地や水族館で使える入園券、遊具券を配付する。また、学生団員には就職活動に使えるように活動認証状を発行します。さらに、消防団活動で従業員の就業が制約されることを嫌う企業があることから、従業員が新たに団員になった市内の事業所には、企業防災力向上研修支援補助金として一人当たり年間二十五万円を二年間支給するということであります。また、勧誘活動の主体になる町内会に今まで出していた事務手数料二万円に加えて、地元消防団にも二万円、予備隊にも一万円を支給して、勧誘活動も強化するということです。

 かなり思い切った支援だというふうに思いますけれども、私は、団員の確保についても全て自治体任せというのではなくて、消防団員確保のために見本となるような活動をしている、こうした頑張っている地方自治体に対しては国が何らかの支援をする、そういうことが必要ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 来年度の予算案で、女性や若者などの入団促進を図るために、地方公共団体による先進的な取り組みを支援する事業について予算額を倍増して実施して、また、その成果を全国に波及させることとしております。

 私自身ももう何度も経済団体にもお願いをしておりますけれども、主要経済団体に対しまして、サラリーマン、お勤め人の団員さんがふえておられることから、やはり従業員の方々の入団促進とともに、消防団活動がプラスに評価されるような対応をということでお願いをしました。また、学生消防団として頑張ってこられた方々が就職活動に行かれたときに、そういう社会活動もぜひ評価に加えてほしいというお願いもしてまいりました。

 それから、消防庁では、御承知のとおり、入団促進キャンペーンの実施ですとか、あと消防団協力事業所表示制度の導入促進にも取り組んでおります。また、地方公共団体の長宛てに、地方公務員の皆様の入団促進ですとか、それから学生消防団の活動認証制度、お地元ではもう既に実施されているものですが、導入されていないところが大変多うございますので、ぜひとも導入をお願いしたい、こういった働きかけを続けております。

大西(健)分科員 ぜひ、今大臣が御答弁をいただいたようなことを積極的に進めていただければなというふうに思います。

 またちょっと話題がかわりますけれども、先日、地元のある高校の卒業式に行きましたところ、校長先生の挨拶、それから生徒代表の答辞の中でも、ことしから十八歳に選挙権が与えられるということが挨拶の中に入っていました。それだけ関心が高いんだろうなということだと思います。

 昨年末、NPO法人ドットジェイピー東海で議員インターンシップを経験した愛知県内の大学生の有志が、選挙の投票率アップに向けた有効策の一つとして、立候補者の政策や経歴を紹介する選挙公報を愛知県議会議員選挙でも発行するように求める提言書を県選管と県議会議長宛てに提出しました。

 先ほど地方法人課税で賛同の声を上げていただいた長坂先生は県議会御出身でありますが、私は恥ずかしながら意識したことがなかったんですけれども、全国の都道府県議会議員選挙で選挙公報が発行されていないのは、愛知を初め岐阜、福井、新潟、山梨、岡山、広島、山口の八県だけになっているんです。

 公職選挙法では、国政選挙と知事選挙での選挙公報の発行が義務づけられていますが、それ以外の選挙については条例で決めるということになっています。

 このうち、岡山県ではもう既に次回選挙からの選挙公報の発行が決まりました。愛知県では、前回の選挙のときに発行が検討されたんですけれども、費用がかかることと、それからインターネット等の普及が進んでいるので紙媒体で発行する意義が薄らいでいるんじゃないか、こういう理由から、結局、発行は見送られました。

 ただ、他方で、統一地方選挙後に名古屋市選管が市民千二百人を対象に行った意識調査では、候補者を選択する際に参考にした情報は、選挙公報が三七・五%と最も高いんです。新聞報道は二三・二%。一方、政党や候補者のホームページやブログを参考にしたと答えたのはわずか四・四%なんです。

 ですから、インターネットが普及したから紙媒体ではもうやらなくていいんだという話じゃないと私は思うんですね。もちろんこれは条例で定めればいいんですけれども、岡山がやったら、残った県というのはもう七県しかないわけですよ。

 私は、住んでいるところによって、県議会議員選挙で選挙公報が発行されるところと発行されないところがあるなんというのはやはりおかしいと思いますし、大学生の有志がこうやって行動を起こしているわけですから、この十八歳選挙権実施を機に、公職選挙法についても、ほかの改正事項もありますので、ぜひ都道府県議会議員選挙については選挙公報の発行を義務づけるという、公選法の方を改正してしまった方が早いんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

高市国務大臣 公職選挙法で、御指摘のとおり、都道府県の選挙管理委員会が、条例で定めることにより、都道府県議会議員選挙における選挙公報は発行できることになっています。現在、四十の都道府県で条例を制定しているということです。

 未制定の県に確認しましたところ、やはり議会において議論はされたけれども、反対の御意見もあったりして、条例制定に至らなかったということでございます。

 これをさらに進めて、法律上義務づけるか否かについて、なかなか悩ましいんですね。選挙運動のあり方にかかわる問題で、あと、地方議会の動向、御意見もありましょうし、各党各会派の御意見もあるかと存じます。

 そもそも、何でそうなっていたかということなんですが、割と選挙期間の短い選挙においては、印刷ですとか配布なんかに相当程度の時間がかかるといった事情から、そうなっていたということでございます。

 今後、ぜひ、地方議会の意見も集約していただき、また、各党各会派でそれぞれの地方議会で御議論を深めていただくということが大事だと思っております。

大西(健)分科員 先ほども言いましたけれども、本来はそうなんだと思うんです。ただ、市町村になると規模もいろいろあると思いますけれども、都道府県は、やっていないところはあと七つしかないというわけですし、公選法上、知事選は義務づけられているわけですから、公選法改正のときに、私、そこに都道府県議会議員選挙も入れてしまえば、これは話は早いんじゃないかと思います。お隣の県は選挙公報があるのに愛知県がないというのはやはりいかがなものかと私は思いますので、ぜひ、公選法改正のときにもまた問題提起をさせていただきたいと思います。

 時間がなくなってしまったので、本当は、予算委員会でも議論になった、大臣の放送法四条違反を理由とした電波法七十六条の停波を命じる話についてもちょっと聞いてみたかったんです。

 私、個人的には、大臣のこの将来にわたって罰則規定を一切適用しないとは言い切れないという答弁は、理屈では正しいと思います。

 ただ、普通、放送法違反で停波することはないかという質問をされると、役人答弁で答えるなら、仮定の質問にはお答えできませんと答えればいいんですよ。これをあえて大臣がああいうふうに答弁されたというのは、私は、そこに大臣の思いがあるんじゃないかなというふうに思っています。

 それからもう一つは、大臣は、民主党政権の平岡副大臣も同じような答弁をしているじゃないかとおっしゃっているんですけれども、平岡さんは、総務省見解を述べた上で、罰則については極めて慎重な配慮のもとに運用すべきものと強調している。また、当時の片山総務大臣も、表現の自由、基本的人権にかかわることだから、極めて限定的に、厳格な要件のもとで、謙抑的でなければならないというふうに答弁しているんですね。これはちょっと高市大臣の答弁とはニュアンスが違うと思うんです。

 このニュアンスの違いをメディアや国民が敏感に感じ取っているから、理屈では別に間違ったことを言っておられないと私は思うんですけれども、これだけ、こういう波紋を呼んでいるんじゃないかなというふうに思いますが、きょうは、もうこれは十分予算委員会の方でも審議されましたので、時間の関係でお聞きしません。

 ただ、これに関連して、きょうはちょっと外務省にもお越しをいただいておりますので、最後に外務省にお聞きをしたいと思うんです。

 表現の自由を担当する国連のデビッド・ケイ特別報告者が昨年の十二月一日から八日に予定をしていた日本での現地調査が、日本政府による突然の要請で延期をされたということであります。

 これは、報道では異例なことというふうに報じられていますけれども、普通のことなのか、異例なことなのか。それから、改めて、突然キャンセルになった理由というのは何なのか。また、加えて、デビッド・ケイ氏は、国会の時期は避けてほしいとして、来年秋の調査を提案されたと言っていますけれども、新たな調査日程は決まっているのか。

 この三点についてお聞きをしたいと思います。

木原副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、我が国は、国連人権理事会の特別報告者制度につきましては、これまでも全面的に協力をしてきたということを申し上げたいと思います。

 その上で、今回の表現の自由特別報告者につきましても、同様の方針のもとで、先方が当初希望していた、今まさに委員から御指摘をいただきました昨年十二月初めの訪日を受け入れる方向で調整をしてきたということの経緯がございます。

 しかしながら、この調整の過程で、特別報告者の関心事項が極めて範囲が広範であるということが判明をし、また、これまでの特別報告者訪日時の先例も踏まえますと、ある程度高い政治レベルとの対話も必要ではないかといったようなこともありまして、他方、予算編成作業等他の業務との関係も踏まえますと、先方の希望する日程では、我々の側の受け入れ体制を十分整えることが困難であったということがございました。

 このため、先方の関心事項に十分応じるための準備が整い、そしてそのような対話が可能な時期に改めて訪日を受けるべく、日程を再調整させていただくということにしたものでございまして、私どもとして、キャンセルをしたということではなく、あくまでも日程の再調整をさせていただいたということであります。

 そして、ではどうなっているのかということでございましたが、その結果、今般、先方から四月十二日―十九日の日程での訪日希望表明が改めてあり、政府として準備も整ったという状況でございますので、これを受け入れることとして、既に二月三日に発表をさせていただいたところでございます。

 四月の訪日が有意義で建設的なものになりますようにしっかりと対応していきたいと考えてございます。

大西(健)分科員 時間が来たので終わりますけれども、やはり突然キャンセルしたとか、そういうふうに報じられてしまうので、ぜひ、今御答弁いただいたように、しっかりと対応していただいて、疑いを持たれないようにしていただければなというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

石田主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 高市大臣、もうお元気になられたみたいで、もともとお元気かもしれませんが。

 ちょっとしんどいですか。まあ、やめておきましょう、済みません。大事なお体ですので、くれぐれも御無理のないようにされてください。分科会ですので、本当に、事務方で済むところは事務方で済ませていただいて全然構いません。

 きょうは、今まで通告を何度も繰り返しながら結局時間切れでできなかった地方自治法の特に重要な公の施設、これの廃止等に係る特別多数議決を求めている地方自治法の規定について議論をさせていただきたいと思うんです。

 その前に、ちょっと一言だけ。

 今、大西委員の方から放送法の話が出ました。これは、また機会があれば予算委員会の本体の方でも議論をせなあかんのかもしれませんが、非常に偏ったというか恣意的な論調を展開されておられるので、バランスをとって、しっかりと、別の意見もあるということをまた別の機会に申し上げていきたいと思っています。

 なぜ我々がこういう言論のあり方について繰り返し言及するかといえば、これは大臣、ほかの話なので気楽に聞いていただいたらいいんですが、実は、きのう予算委員会の中央公聴会がありました。その場で、実は、郷原さんというやめ検の弁護士が民主党さんの推薦で公述人として立たれたんですね。私は、そこで若干いろいろ、公述人としてどうかということをちょっと申し上げて、いろいろちょっとまた物議を醸しまして、予算委員長にも、公述人を初めとして皆さんに失礼があったならそれは申しわけないということで、先ほども予算委員長のところに伺って、謝ってきたわけであります。

 ただ、やはりこれは大事なことなので、一言この場で申し上げておくと、言論ということで、放送、多少総務大臣とも関係がありますので一言だけ申し上げておくと、衆議院規則に、ある事柄についての賛否が分かれるテーマについて公述人を呼ぶときは、両方バランスよく呼ばないとだめよということが衆議院規則に書いてあります。そうあらねばならないと、これはもう規則なんですね、衆議院の。

 ところが、きのうの予算委員会の中央公聴会というのは、予算については議論をしているんだけれども、なぜか郷原公述人があって、郷原公述人がある特定の立場のことだけを言ったわけです。それについては、山下委員からも、いやいや、あなたは元検察の弁護士として何かそういう主張、ある主張をしているけれども、自分が知っている別の元検察の弁護士は、全く別の、全く真反対の意見をお持ちの人もいるんですよということを山下委員は指摘をされました。

 至極ごもっともで、したがって、きのうの中央公聴会は、ここで私がまた言うと怒られるんですが、要すれば、両方の意見の公述人をちゃんと並べて説明をさせないといけないという、そういう根本的な違和感があったものですから、ちょっとそういう発言、質疑になったということで、せっかくの総務大臣がおられるこの分科会ですから、一言補足説明をさせていただきました。

 これは、実は昨年の通常国会の安保法制のときも同じなんです。安保法制じゃないや、安保法制だけれども、平和安全特委なんだけれども、憲法審査会で違憲だ何だという議論がありましたね。あれも私は同じだと思うんですね。

 憲法審査会に憲法学者を三人呼んだ。三人呼んだのは、三人の憲法学者がそれぞれ違う意見を持っているから三人呼んでいるんですね。だから、三つの意見を三人の憲法学者が申し述べるわけです。それを聞いて、みんなで、それで審議に資するわけですね。

 ところが、本来そのテーマじゃない、何か派生した質問に対して、派生した質問、それは何かといったら、この安保法制は違憲じゃないかと、特定の部分、ちょっと詳細は忘れましたが、すると、その三人ともの公述人が違憲だとおっしゃったというわけです。

 でも、それはそこで本来議論すべきじゃないんです。もし、その当該事項が違憲かどうかということを議論したいのであれば、それについて違憲だという憲法学者と合憲だという憲法学者もいるんだから、合憲だという憲法学者もそこに並べて憲法審査会を開くのが衆議院の規則なんです。

 そういうふうに、やはり一定の規範がある中で、その規範を逸脱した事柄を殊さらに引っ張り出して、要は、本旨であるところについては、一番中心テーマについてはバランスよく三人並んでいるんです。でも、メーンじゃない、サブのテーマで三人とも意見が一致したからといって、それが何か特段の意味を持つかというと、それは持たないんです。もし意味を持つとすれば、安保法制は合憲だという憲法学者を呼んでいなかったということがわかるだけのことであって、何の意味もないんです。ところが、民主党さんを初めとする野党五党は、殊さらにそのサブのところを取り上げて、ほら、三人挙げたら全員が違憲じゃないか、だから違憲だという。

 これは、国会のあり方、国権の最高機関としての国会のあり方として極めてゆゆしき事態であるということで、私たちおおさか維新の会は徹底してこの点を、我々は別に、だから合憲だと言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、国権の最高機関たる衆議院、国会は、そして、国会は衆議院規則があるんだから、衆議院規則の公述人に関する規定をしっかりと執行しなければならないし、そのルールの上にある言論なんですね。そのルールの上にある言論であるのに、その一部だけを切り出して、プラカードを掲げてデモに参加をするというのは、国会議員にあるまじき行為であり、公党にあるまじき行為であるということを私はもうずっと訴え続けているわけであります。

 関係ないですね。話をかえます。

 それで、なぜこういう話をするかというと、別にこういうことをここで喧伝したいからしているのではなくて、放送法についても、それはまさにるるここで大臣から御答弁いただいているとおりだと私は思います。

 ただ、これは質問じゃないですよ、私が何度もというか、これからぜひ議論していきたいと思っているのは、では、番組というのは何なんだ、放送局というのは何なんだという事柄自体が実は大きく今変わってきていると思うんですね。

 ラジオの時代があり、ブラウン管テレビの時代があり、デジタル放送にかわり、そして、いずれそれが高精細になって、4K、8Kになっていく。その過程で、並行してIPTVとかさまざまなメディアが乱立をしてきて、放送と通信の融合という形でメディア環境自体が大きく変わってきている中で、放送法の当該条文はどのように読むのが適切かということについては、政府も常にみずからを省みながら、環境変化を踏まえながら、その運用について適切にやっていくべきだというふうに私は思っているわけであります。

 そういうことからいうと、例えば、一つの番組なのか、いろいろある番組の全体なのかとか、それは議論したらいいんです、議論したらいいんだけれども、それを何か、拡大しているじゃないかとか答弁が変わっているじゃないかとかいうのは、まさに安保国会で野党五党が、本来の議論ではない、さっき申し上げたような、揚げ足取りとかレッテル張りと私がよく言うのはそういうことで、要すれば、ベースがあって、議論があるんですね。衆議院規則があって、公述人が呼ばれているわけです。ところが、本来の趣旨から離れて、その一部分を取り出して、国会であるいは国会の外で喧伝をするというのは、それは国会議員にあるまじき行為であり、公党にあるまじき行為だ、こう言っているわけであります。

 放送法についても同じですね。

 何か大臣の御発言が過去の答弁と比較して変わったとか変わらないとかいう議論自体が浅い。そういう議論が大事なのではなくて、放送法ができたころと、そして今と、また将来とに向けて、無料放送を取り巻く環境も変わってきているわけですから、そのときに私が重要だと思うのは、やはり無料放送のあり方をめぐる、例えばコピー制御の問題とか受信料の問題、広告料の問題。

 要は、ビジネスモデル全体が変わりつつあるわけですから、そのビジネスモデル全体が変わりつつある中で、無料放送というのはどうなっていく。そのときに、NHKと民放とはまた違います。ビジネスモデルが違うんだから、違うに決まっているわけです。

 そういう中で、本当に、どういうふうにコピー制御を加えるのが、放送政策の観点、競争政策の観点、あるいは国民の知る権利の観点、そういういろいろな観点から総合的に議論が進められなければならないにもかかわらず、先ほどの大西委員を初めとする野党五党は、その一部だけを取り出して、違憲だとか言うわけです。

 だから、私たちは、おおさか維新の会は、そういう議論を国会でするのはもう五五年体制の時代で終わりにしようと。なぜ五五年体制が終わる中でそういう言論を国会から排除しなければならないかといえば、それは小選挙区だからです。二大政党を追求していかなあかんからです。

 小選挙区制というのは、五五年体制が終わったというのはどういうことを意味するかといえば、要すれば、野党もいつ与党になるかわからない制度なんです、小選挙区制というのは。いつでも政権交代が起こり得る、そういう潜在的可能性が高いんです、中選挙区よりも。そして、五五年体制が終わった、五五年体制が終わる中で、いつ与党になっても政権を担うことができるような対案、政策のパッケージを常に発信し続けることだけが、最大の野党、責任野党、野党第一党の責任なんです。それは時代が変わったんです。

 ところが、野党五党は、昔の五五年体制に普通だと思われていた野党のあり方、とりあえず政権、政府・与党のスキャンダルの追及をして、マスコミと一緒に、そして国会の外のデモと一緒に政府・与党を追及して、とにかく倒閣をする。

 でも、そんなことばっかりしていると何が起こるかといえば、尖閣の問題でもそうだし、何の問題でもそうだ、全てにおいて国益を損なうわけであります。何で、日本という国が世界の中で競争に打ちかっていく、そういう闘いをしているときに内紛をしている場合があるんだ。もし国内で争う必要があるとすれば、唯一、政権構想で争うことしか争うことの合理性というかな、正当性は認められない時代に、もうこの十年、二十年、なっているんです。

 失われた二十年というのは、何が失われたか。国会で本来求められる議論が二十年間なされてきていないから生まれたのが提案型、政策パッケージをしっかり、我々が政権をとったらどういう政策パッケージを出すのかという、政策を提案する、政府が出している提案については対案を出す、そういう形で、いかに我々おおさか維新の会が自公政権とは異なる政権構想を持っているのかということを常に発信し続けることが、今の時代にある唯一の野党の形、唯一の責任野党の形だということをずっと言い続けているわけであります。

 申しわけありません、長くなりました。

 そういうことで、今、大阪ではもう既に民主党のような、そういう古い、五五年体制の時代にまかり通っていたようなビジネスモデルをいまだに展開をしている野党五党のような政党は大阪からもう消えました。ほぼ消えました、ちょっとだけ残っていますけれども。例えば、衆議院でいえば、小選挙区で残っているのは、ちょっと松浪先生の御前であれですが、辻元清美先生とか。

 やはり大阪からしっかりとそういうものを追い出して、大阪については、そういった意味では、自公と大阪維新の会の二大政党がもう既に今できているわけです。自公と大阪維新の会の二大政党が大阪ではできています。

 ただ、これはまた総務大臣のもとで大変適切な論点なわけですが、地方議会というのは難しいんですね、中選挙区というか大選挙区ですから。大選挙区において過半数をとることがいかに大変か、大選挙区において特別多数の三分の二をとることがいかに大変かということは、恐らく政治家であればおわかりいただけると思います。

 国は、小選挙区制を入れてもなお、憲法改正に向けて、果たして三分の一の抵抗というものを排除というか、要は三分の一の抵抗というものを抑えて何とか住民投票を行う国民の権利というものに到達をできるかということで、今、安倍総理初め、志のある、将来に責任のある、そういう政治家の方々はそこにいろいろ思案を深めていただいているわけであります。

 私が申し上げたいことは、地方政治においてもこの話は同じ話でありまして、何か我々は大阪のためにこういうことを言っているのではなくて、日本の政治のあり方として、古い政治は駆逐をして、そして自公とおおさか維新の会という真っ当な責任与党と真っ当な責任野党が相対峙しながら、向き合いながら政策論争、政権構想を争うことができるような政治をつくっていきたい、こう申し上げているわけであります。

 したがって、おおさか維新の会は、おおさかとつきますが、大臣、ぜひこれからまた総務委員会、私は総務委員でもありますので、またいろいろ御指導いただきたいと思いますが、おおさか維新の会のおおさかというのは、大阪のための政党じゃないんですよ。例えば、サッポロビールというビールがありますね。サッポロビールは札幌市民だけが飲むんじゃないんです。全国の人が、世界じゅうの人がサッポロビールを飲むんです。札幌という地名は、今や札幌市民のものじゃないんです。世界の人がサッポロビールを享受しているわけであります。

 我々おおさか維新の会が綱領で地方分権ということを定めて、あるいはさまざまな理念を綱領に定めているのは、そういう理念がこれからの日本の政治に不可欠だと思うからであります。ぜひ、矮小な議論、矮小な議論というのは、ひとり大阪のためとかそういうことではなくて、大阪から始まったこの新しい政治を関西に、日本に広げていくことが日本の国民のためになると信じているから、我々は、元自民党の方も多い中で、大阪で新しい政治を展開しているということをぜひ、特に、関西でいらっしゃいますので、高市大臣には個人的にも深い御理解を賜りたいということを申し上げて、もう二十分たちましたが、きょうはせっかくの機会をいただいていますので、地下鉄の話です。

 地下鉄、もう何度も事務的には御説明をしています。

 要すれば、これまでも申し上げたように、東京にある地下鉄、大きく言うと、メトロと東京都営地下鉄があります。

 メトロは、昔、営団と言われていました。完全民営化が既に法律で決まっていますが、これを決めたのは国会における過半数です。法律ですからね。国会における過半数で、東京都民だけじゃない、関東の住民の方々に極めて大きな意味を持つこの営団地下鉄の完全民営化については、国会の過半数で議決をしました。

 もう一つ、先ほど申し上げた東京都営地下鉄、これをどうやったら民営化できるかといえば、東京都は、公の施設に含まれているところの地下鉄について、鉄道事業について、それを重要なものとも特に重要なものとも条例で定めていません。東京にとって都営地下鉄は、重要でも、ましてや特に重要でもないんですね。したがって、普通の過半数、二分の一の多数で完全民営化を図ることができるのが今の制度なんです。

 ところが、今、吉村市長が、今の制度のもとで何とか実現をしたいということで走り回って、真っ当な政権の一角を占めている公明党さんとか、長年日本を支えてこられた歴史ある自民党とか、自民党とはうまいこと話ができていないみたいですが、そういうさまざまな政党の方と丁寧に対話と協調ということで話をしています。

 なぜ吉村市長がそういうふうに丁寧に話をするかといえば、三分の二が必要なんです。なぜ大阪市営地下鉄を完全民営化するのに三分の二が必要かといえば、かつて大阪市議会が、大阪市営地下鉄は、単なる公の施設ではなくて、重要な施設でもなくて、特に重要な施設であると条例に書いたからなんです。

 それに対して、それはやはり均衡を失っている、例えば、国の法律との関係、あるいは東京都との関係、いろいろな意味で、この制度は、大阪市議会の少数、すなわち三分の一の少数派に過度に強い権限を与えてしまっているので、法律の不備ではないか、こういう御質問をしてきているわけであります。

 大臣でも事務方でも結構ですが、今申し上げていること、何度かもう答えをいただいているんですが、ちょっと一言、復習ということでお願いできればと思います。

高市国務大臣 足立委員のミニ集会を聞きに来た聴衆のようなつもりで聞いておりましたが、多分、きのうの夕方から私が大風邪を引いてしまってせきが出るので配慮をしていただいたんだと思って、感謝をしております。

 これまでも何度かやりとりをさせていただいたんですけれども、まず、日本国憲法の改正と地下鉄の話は別だと思います。

 憲法改正の手続というのは、国会で発議された後、国民の審判を仰がなきゃいけませんので、国民の投票を得るわけでございます。

 地下鉄の話の方は、どの施設を特別に重要な公の施設とするかというのは各地方議会が条例でもともと定められたもので、残念ながらかどうかはわかりませんが、足立委員にとっては残念ながら、大阪の地下鉄は過去に特に重要な公の施設と条例で決めてしまったので、それを民営化しようとか廃止しようという場合には、今度は特別多数議決ということで三分の二も賛成をとらなきゃいけないので大変だというお話かと存じます。

 ただ、条例改正は過半数でできますので、条例を改正されて、特に重要な公の施設じゃないことにする分には過半数で条例改正できますので、まずそこから頑張られたらいいかなと思います。やはり、住民にとって大切なものでありますので、せめて過半数の住民の代表の方々が賛同できるような形が望ましいんじゃないかなと思います。

足立分科員 ありがとうございます。

 予算委員会の本体でも御議論をさせていただいてきましたので、丁寧に今御答弁をいただいたと思います。

 ただ、二つ、ちょっと問題というか課題が残ると思っています。

 一つは、やはり大阪市の方々、役所の方々とも意見、お話を伺うと、さすがに、何年も三分の二、特に重要だと言ってきたものを、何か民営化をする必要性があるからといって、では、これはもう特に重要ではなくなったんだという、特にというのを取ること自体が、特には実態としては取るべきだとしても、これを大阪市民の皆様に、民営化したいけれども、今の法令だと、このままだと三分の二が要るので、二分の一の多数で特にを外しますというようなオペレーションというか運営をすること自体が、説明責任を果たしていくという意味で、大変高度なというか難しい取り組みになるのは御理解いただけると思うんですね。

 だから、今、大阪市はそういうアプローチはとらない。これは自分たちで判断して、そういうアプローチはとらない。むしろ、ずっと三分の二で来たんだから、何とか三分の二の特別多数の賛成を得られるように丁寧に議論をしていこうじゃないかということで、今御努力を吉村市長を初めとしてやっていただいているわけであります。それが一つですね。

 ただ、もう一つの問題は、仮に、今大臣がおっしゃったように、過半数でそこから外せる、例えば、三分の二の特別多数を必要とする特に重要な公の施設を廃止する、完全民営化をするというときに、それをしたいと思っている過半数の勢力が、過半数でよし、これを三分の二からまず外してから、そして過半数で廃止を決めようという道が地方自治法の枠組みにはあるわけです。

 それはまた、三分の二の特別多数を求めているそのエリアから出ることが二分の一でできるという法律の体系自体が、余り体系として、合理性の低い、少しそごのある規定になっているのではないかという考えを私は感じていますが、どうでしょう。

高市国務大臣 真っさらなところから、いろいろある公の施設で、重要なものとするか、特別に重要なものとするか、それを決めるのは過半数でいいかと思うんですけれども、ただ、一旦特別に重要な施設となったものをまた戻すということになると、委員がおっしゃったとおり、確かに、住民の皆様の納得も得なきゃいけないということです。

 ただ、時代の流れとともに、これはやはりもう今の時代だったら特別にということじゃないよねという形が住民の代表である議会の中で過半数になれば、私は、条例を過半数で改正できる道が開かれているというのは、選択肢を提供しているものだと思っております。

足立分科員 もう時間も来ると思いますが、私は、それは選択肢ではなくて、ある種脱法的なルートをつくっているだけで、合理的じゃないと思います。

 もう終わりますが、もし何かあれば言っていただいて。主査、もう少しだけ。

 例えば、会社法。会社法には同じように、例えば会社を分割するときには特別多数を求めることができるようになっています。でも、そのことをできるようにするための定款の見直しについても、三分の二を求めることができるようになっているんです。

 すなわち、三分の二から二分の一で出られるというような規定は、あるいは三分の二から出ることを三分の二で縛ることがそもそもできないような規定は、恐らく地方自治法の当該規定だけです。私が探したら、日本じゅうの法令の中で地方自治法しかないんです。

 これは不合理だと思いますので、その点を申し上げて、もし御異論があればおっしゃっていただくことをお願いして、私の時間は終わりたいと思います。何かあれば。とりあえず終わりましょうか。

 お願いします。

石田主査 それでは、高市総務大臣、時間が来ていますので簡潔に。

高市国務大臣 もう時間が来ていますので、では、総務委員会で今度ばっちりやりましょう。

 ありがとうございました。

足立分科員 また改めて。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

長坂主査代理 次に、樋口尚也君。

樋口分科員 公明党の樋口尚也でございます。

 大臣、大風邪の中、朝から晩まで本当にお疲れさまでございます。また、先生方も、総務省の皆様も大変お疲れさまでございます。

 きょうは、公共放送のインターネット配信を進めるべきだ、こういう点から質問をさせていただきたいと思います。

 インターネットの急速な普及を背景に、世界各国で放送事業者は、インターネットを新しいメディア、こう位置づけて、ネット展開を活発化しているわけであります。

 公共放送も例外ではありません。世界の主要な公共放送は、インターネットを通じた番組提供に着手をしています。

 例えば、英国のBBCでは、公共放送事業者によるインターネットサービスの先駆者、こう言われているわけですが、インターネットでのリアルタイムの視聴のほか、インターネットを通じた見逃しサービスも提供しています。原則は三十日以内、番組によっては半永久的に見られるようになっていて、大変便利だということでございます。

 英国のほかにも、フランス、ドイツ、そしてお隣の韓国でも、公共放送では既にテレビ番組のインターネット同時配信を実施しています。

 我が国では、放送法二十条の規定により、NHKは国内テレビ放送番組のインターネットによる同時配信ができません。

 今、世界は、まさに、テレビと言われる放送と、インターネットという通信、この放送と通信の融合の時代になっているわけでありまして、それに対応すべく、公共放送の業務範囲、そして、それに伴って受信料のあり方、こういうものの検証が行われて、そして関連法の整備が進んでいるわけであります。

 ありていに言えば、テレビが勝つか、インターネットが勝つか、こういう時代になっている。テレビ、放送と通信との熾烈な競争が行われていて、インターネットにテレビがのみ込まれてしまうのではないか、こういう競争のある社会、時代になっていると言っても過言ではないというふうに思います。我が国にとっても、もはや一刻の猶予もないことだと思います。迅速な対応を求める立場から本日は質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 総務省に聞いて、その後に、最後には大臣にも見解を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず一つ目、最初に、昨今、放送番組のインターネットでの配信が世界的な潮流となっておりますが、NHKにおいては放送番組のインターネットによる配信について制度上の位置づけが今どうなっているのか、お答えをお願いします。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘のとおり、我が国におきましても世界的にも、近年ブロードバンドの普及が進んでおりまして、また、国民・視聴者の皆様のニーズもそれに伴って多様化、高度化が進んできております。放送事業者におきましても、もちろん、先生御指摘のとおり、放送から通信へ、通信から放送へ、こういう流れがございます。

 お尋ねのNHKのインターネット活用業務でございますが、もともとは平成十二年に、任意業務、附帯業務と呼んでおりましたけれども、ニュースクリップなどを提供するNHKオンラインというものがスタートいたしました。

 それから、平成二十年には、任意業務といたしまして、放送済みの番組を有料で配信する、NHKオンデマンドと呼んでおりますが、これが総務大臣の認可を経てサービスが開始されております。

 さらに最近で申しますと、平成二十六年六月に放送法を改正していただきましたが、その際に、インターネットの活用業務について、従来より迅速、柔軟な実施を可能としたところでございます。

 具体的に申しますと、先生から先ほど御指摘ございました放送法二十条の中に、第二項でございますが、放送後の放送番組だけでなく、放送前あるいは放送中の放送番組も提供を可能とすること、それから、一々個別の認可をするのではなくて、みずから定めて総務大臣の認可を受けた実施基準に基づき行うことができるとしたところでございます。

 これに基づきまして、NHKではみずから作成した基準に基づいて、これまで実施してきた、NHKオンデマンド、国際放送の同時配信、あるいは、「らじる・らじる」、ラジオでございますが、などのほかに、国内テレビ放送の一部について同時配信の試験的な提供を今実施しているところでございます。

 なお、実施に当たりましては、実施基準に基づきまして、各事業年度開始前に当該事業年度の実施計画を策定し、公表してございます。

 制度上の位置づけと申しますと、現在のところは、以上申し述べたとおりでございます。

樋口分科員 今お話のあった、平成二十七年度からNHKがインターネット同時配信の検証実験を行い、先般、この検証実験の一部について結果が公表されたというふうに伺っております。総務省としてはそれをどのように受けとめているのか、御答弁をお願いします。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 今申しましたように、昨年の二月に、NHKの方から認可申請がございました、それを総務大臣が昨年の二月十六日に認可してございます。これによりましてNHKインターネット活用業務の実施基準というものが定まったわけでございますが、これに基づいて今回のインターネット同時配信の試験提供が行われたものでございます。

 結果でございますけれども、例えばNHKさんからは、既に放送された番組を見られる、先ほど先生も言及されました見逃しサービスでございますとか、動画配信用アプリの機能ですとか、あるいはインターネット配信のための著作権、スポーツ配信権などの権利処理、こんなことについていろいろ課題があったというふうに聞いております。

 検証実験につきましては、当初の予定どおり実施をされましたし、その結果については、いろいろ課題はございますが、必要な課題の洗い出しなどを行うことはできたのではないかということで、おおむね評価をしてございます。

 NHKにおきましては、私ども、平成二十八年度予算案を国会に御提出申し上げておりますが、NHK予算案に大臣意見を付しております。このとおりに、引き続き、情報セキュリティー、コスト、視聴者ニーズ、あるいは市場競争への影響、こんなことについて十分検討を行っていただきたいというふうに考えてございます。

樋口分科員 私は、NHKが国内のテレビ放送番組のインターネットによる二十四時間同時配信を積極的に進めていくべきではないか、このように思っているわけでございますが、輿水大臣政務官に御所見をいただきたいと思います。

輿水大臣政務官 お答え申し上げます。

 ブロードバンド化、モバイル化、また放送のデジタル化といった放送をめぐる環境変化を背景として、通信と放送の連携、また放送コンテンツのネット配信は、世界的な動向であると考えております。

 民放の事業者のみならず、先進国の公共放送事業者においても取り組みが進んでおりまして、先ほどイギリスの紹介もありましたが、フランスやドイツでも、公共放送では既にネット同時配信が進められていると伺っております。

 したがって、NHKにおきましてもインターネット活用業務について積極的に推進していくことは当然と考えております。

 ただし、NHKは、広く国民全体に御負担をいただく受信料を財源としていることから、インターネット同時配信の試験的な提供が盛り込まれた実施基準の認可を行った際、提供は段階的に行うものとし、新たな提供はそれまでの成果を検証しつつ効率的に実施すること、また現行の受信料制度を踏まえて行うこと、さらに、この実施財源は受信料であることを踏まえ、試験としての目的に必要な期間及び費用の範囲内で行うことといった条件を付したところでございます。

 NHKの国内テレビ放送番組のインターネット同時配信につきましては、まずは、NHKにおいて、国民・視聴者の視聴環境の変化、具体的には、今までテレビだけだった、そういった環境が、スマートフォンというふうなものが普及している、そういった変化に対応したサービスが可能となるよう、引き続き十分な検証を行っていただきたいと考えているところでございます。

樋口分科員 ありがとうございます。

 具体的な検討、そして検証の後にそういうことになっていくんだろうなというふうに思います。

 一方で、民放について伺いたいと思いますが、民放は、放送番組のインターネット配信については放送法上の制約はないというふうに思いますけれども、インターネット配信が進んでいるのかどうか、進んでいないとすれば何が問題なのか、御答弁をお願いします。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネットによる動画配信サービスといいますものには何種類かございまして、例えば、送信者が同時かつ一斉に受信者へ番組を送信するような、IPマルチキャストサービスと私どもは呼んでおりますが、こういうものもございます。他方で、今先生が御指摘になりました、民放各社が既に行っているような、受信者の要求に応じてその都度送信するいわゆるオンデマンドでございますが、こういった放送番組のインターネット配信については、放送法上特段の制限は設けられておりませんので、民放各社の経営判断によって行われるものでございます。

 政務官の方から御答弁申し上げましたように、さまざま視聴環境が大きく変化する中で、民放各社においても、番組を、放送波だけでなくて、インターネット配信での対応というものは当然進めているものと承知をしております。

 例えば、二〇〇五年から有料のオンデマンドサービスが開始をしております。あるいは、二〇一四年からは、番組を放送終了後一週間程度、無料でオンデマンド配信を行うということで、見逃し配信サービスが提供されてございます。あるいは、昨年十月でございますが、在京民放キー局五局が、これまで各社が個別に実施しておりました見逃し配信サービスを共通のポータルから利用できるようにするということで、TVerというふうに呼んでおりますが、そういうサービスを開始したということでございます。

 放送とインターネットの連携につきましては、総務省の方でも、二〇一二年度から一四年度にかけましていわゆるスマートテレビの高度化に向けた実証実験というものをやってまいりましたけれども、これを踏まえたハイブリッドキャストの技術仕様というものも策定されておりまして、NHKにおいては二〇一三年の九月から、あるいは民放各局では二〇一四年から、その実用サービスを提供しているところでございます。

 こういった放送番組のインターネット配信、これは、新たな収入の確保、あるいはネットワークを構築したり、著作権の権利を処理するというようなことで、いろいろな課題もございます。しかしながら、こういうことにつきましても、総務省では、こういう環境変化を踏まえた今後の放送のあり方ということで、広い意味での放送のあり方について、昨年十一月以来、政務官にも入って主導していただいておりますが、放送を巡る諸課題に関する検討会というものを開催して、議論を行っていただいているところでございます。

樋口分科員 ありがとうございました。

 今、民放においては経営判断でやります、そして、進んでいるという御報告だったと思いますが、私は、放送番組のインターネット配信をより積極的に民放も進めていくべきだというふうに考えておりますけれども、この点についても見解をお願いします。

今林政府参考人 先ほど一部申し述べましたが、視聴者の需要に応えるというのが最大のメリットでございますし、また、いろいろな意味での新たな収益の確保ということにつながるものというふうに考えられます。

 したがって、先ほど申し述べましたような検討会を開催して、そこにもいろいろな方においでいただいて議論を行っていただいておりますが、一例を御紹介申し上げますと、視聴者のリアルタイム視聴から録画再生へのシフトというものがこれまでございました。そういうような御指摘もございますが、例えば、それを補う意味での見逃し配信などのインターネット配信を放送事業者がみずから行うことで、録画再生とかネットの違法動画に向かったような需要にも応えられるのではないかという分析もございました。

 収入の確保や配信のためのネットワーク構築などの課題を今後解決していくということで、国民・視聴者の利便性を向上させるような取り組みを促してまいりたいと存じます。

樋口分科員 次に、先ほど輿水政務官からもお話がありました、NHKの受信料、また費用に関するところについて質問をさせていただきたいと思います。

 NHKの放送番組のインターネット配信を進めていくに当たりましては、当然、この受信料制度のあり方についても何らかの検討が必要だというふうに考えております。現在の我が国の受信料の制度的な位置づけはどのようになっているのか、御説明をお願いしたいと思います。

今林政府参考人 先刻御承知と存じますが、改めて申し述べますと、受信料は、NHKが、公共の福祉のために、豊かで、かつ、よい放送番組を放送する、こういう公共放送の社会的使命を果たすための必要な財源ということで、広く国民・視聴者の皆様に公平に御負担いただくための特殊な負担金というふうに位置づけられてございます。

 受信料制度につきましては、放送法の第六十四条第一項におきまして、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」というふうに規定されております。これは、受信設備、いわゆるテレビでございますが、この設置をされた方は、この契約義務に基づくNHKとの受信契約を結んでいただいて、NHKに受信料を支払うこととされております。

 したがいまして、まどろっこしいことを申し上げましたが、受信料を支払っていただくのは、放送を受信することのできるテレビの設置をされた方ということで、いわゆるインターネット配信を受信することのできるパソコンとかスマホの設置者というのは、今その対象となっておりません。

 他方で、NHKによる放送番組のインターネット同時配信については、先ほど御紹介申し上げましたとおり、検証の実験も行われているところでございますけれども、これを全面的、本格的に実施するということになりますと、テレビはお持ちでない、他方でパソコンとスマホだけは持っておられる、こういう御視聴をされている方々は、受信料を支払わずに放送番組を視聴することができるのかということで、今受信料を御負担いただいている方々から理解が得られるかというような課題がございます。

 また、他方で、NHKによる放送番組のインターネット同時配信が本格化すると、先ほど申し上げました、あるいは先生からも御指摘のあった民間放送事業者との競争関係も課題になってまいります。

 また、NHKの番組については、視聴者ニーズもございますので、ネット活用は不可欠だと思われます。いつでもどこでも番組が見られるということでございますが、委員御指摘のとおり、動画配信サービスの世界的な潮流にはおくれるわけにはいかないのではないかという面もございます。

 こういったことを考えますと、NHKによる放送番組のインターネット同時配信については、こんなことを総合的に検討しながら、国民・視聴者の理解が得られる形を模索していくことが必要と考えてございます。

 先ほど御紹介しました開催中の検討会においても、こういった受信料のあり方などを含む公共放送を取り巻く課題について検討をしていくこととなっておりますので、こういった検討会における検討状況も踏まえながら、必要に応じて、また適時適切に検討を深めてまいりたいというふうに存じます。

樋口分科員 ありがとうございます。

 要するに、テレビが設置されてあるところから受信料を取るという日本の制度でありますが、諸外国、先ほどからお話が出ている、例えばイギリス、英国やドイツにおける日本の受信料制度に相当する仕組みがどうなっているのかについて、お答えをいただきたいと思います。

今林政府参考人 受信料制度のような仕組みという御質問でございますが、さまざま、内容が国によって異なっております。

 イギリスにおきましては、契約義務ではございませんが、受信機を設置する方々に受信許可料ということでの支払い義務を課す制度がございまして、不払いの方々への罰則も制度化されております。他方、パソコンや携帯電話の設置をされた方についても、公共放送の番組のインターネットによる同時配信を受信する場合にはこの受信許可料を支払う義務があるとされているところでございます。

 また、フランスでも、日本のような契約義務ではございませんで、受信機を設置する方に公共視聴覚負担金ということの支払い義務を課す制度がございまして、不払いの方々への強制徴収あるいは罰則も制度化されております。他方、パソコン、携帯電話の設置者の扱いについては、現在検討中ということでございます。

 また、ドイツについて御質問がございましたが、平成二十五年に、従来の受信機を設置する方々に放送負担金というものの支払い義務を課しておりました制度から、全ての住居の占有者あるいは事業主の方々に放送負担金の支払い義務を課す制度という方向に移行しております。不払いの方々への強制徴収などについても、従来から制度化されているところでございます。

 以上でございます。

樋口分科員 ありがとうございます。

 海外における状況も踏まえまして、今伺いましたとおりでありますが、受信料の公平負担を図る観点から、NHK受信料のあり方についての検証が必要ではないかというふうに考えております。

 海外の事例を参考に、例えば、今お話があった英国とかドイツでは支払いの義務化ということがなされているわけでありますが、この支払いの義務化なども一案となってくるというふうにも思っておりますけれども、総務省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

今林政府参考人 受信料の位置づけにつきましては先ほど申し述べましたが、現在の支払い率は約七六%ということでございまして、まずは広く国民・視聴者に公平に負担をいただくということで、NHKさんにおいて一層の御努力を行っていただくことが肝心かなというふうに考えてございます。

 総務省におきましては、先ほど申し述べましたような検討会を開催して、その中で、受信料を含む公共放送を取り巻く課題への対応についても、その課題の一つとなってございます。

 受信料は、広く国民・視聴者皆様に御負担をいただくというものでございますから、そのあり方については、まず時代の変化に応じた公共放送の役割というものを検討する中で、視聴者の皆様の御理解が得られる形で考えていくことが必要ではないかと思っているところでございます。

樋口分科員 ありがとうございます。

 放送を巡る諸課題に関する検討会については、先ほどから答弁がありますように、平成二十八年の夏をめどに第一次の取りまとめが予定されているということで、それにぜひ期待をしたいというふうに思っております。

 大臣、きょうは、インターネットによる配信サービスについて伺っています。

 先ほどから御答弁がありましたが、国民の皆様の視点や生活者の目線に立てば、いつでもどこでも何度でも、見たいときに見たいものが見られる、こういうサービスは極めて重要なサービスであります。日本においても、ぜひインターネットによる二十四時間の配信サービスというのを進めていくべきだというふうに私は思っています。

 最近、テレビ離れが言われて久しいわけでありまして、ある調査によれば、子供の視聴行動については大人と違うと。大人は一日三時間、リアルタイムでテレビを見ますけれども、十一歳から十五歳までを調べると一時間三十二分です。そして、そのほかに何を見ているかというと、やはりユーチューブなどの短いオンライン動画を見ている、こういう傾向もある。

 私も、子供が小学生と中学生ですが、いつも何を見ているのかなと見ると、ユーチューブを見ているわけですね。テレビも見ますが、ユーチューブも一緒にこうやって見ていたりするわけです。大人の感覚と随分違っているなというふうに思います。

 活字離れがあって、テレビ離れがあって、そしてインターネットがまさに生活の一部になっている皆様が、若い方を初め多くの皆様がそういう流れになってきている中で、まさに自分の人生にインターネットがなじんでいる、そういう方が非常に多くなっていっている。この潮流は変わることがないし、これからますます広がっていくんだ、このように思うわけであります。まさに、テレビが今変わらなければいけない、テレビ大転換期と言ってもいいときを迎えているんじゃないかというふうに思っています。

 これまでのやりとりの中で、二つの課題が見えてまいります。

 一つは、インターネットの二十四時間配信。英国、フランス、ドイツ、お隣の韓国でも既にやっておりますが、日本では、御案内のとおり、放送法二十条の規定で、NHKは、国内テレビ放送番組のインターネットによる同時配信はできません。

 そして、もう一つの課題は、やはり費用の問題であります。公平負担を前提とした、現実に適応した受信料制度の確立がなければ、これは進んでいかないんだろうと思っております。

 ドイツでは、インターネットサービスの提供を契機として、二〇〇六年から公共放送の財源のあり方について議論がなされ、二〇一三年から、住居、事業所を単位とし、受像機を根拠としない、テレビを根拠としない放送負担金制度に移行をしました。

 大臣にお尋ねをしますけれども、公共放送であるNHKは、我が国の放送界の先導的な役割を積極的に担っていくべきであり、そのためには、インターネット配信のさらなる推進、そして公平負担を前提としつつ、現実に適応した受信料制度の確立をしていくことが必要だ、このように思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 樋口委員おっしゃいましたとおり、今、情報通信をめぐる環境が非常に大きく変化しております。そんな中で、NHKについては、やはり先導的な役割を果たしていただかなきゃいけないと思っております。

 他方、NHKは、広く国民に受信料を御負担いただいておりまして、それを財源としております。NHKによるインターネットの活用業務の実施に当たりましては、昨年二月の実施基準の認可に当たって条件を付させていただいたんですが、公共放送として先導的役割を踏まえ、国民・視聴者の放送番組の視聴に有効なものとなるように取り組み、放送サービスの向上の観点から、民間放送事業者などの関連事業者との成果の共有それから積極的な連携に努め、市場競争への影響や受信料の公平負担としての関係及び透明性の確保をも十分考慮して、適切に実施していただくことが重要と考えております。

 このような状況も踏まえて、インターネット配信のさらなる推進につきましては、まずは、今NHKが行っておりますインターネット同時配信の検証実験において、NHKが十分な検証をしていただくことが必要です。

 総務省としましては、もう先ほど来、検討会を設置したことについては御紹介をさせていただいておりますけれども、今後の公共放送のあり方もテーマの一つですので、NHKにおける検証結果も踏まえ、公共放送におけるインターネット配信の位置づけと受信料制度との関係、これについてもしっかりと考えてまいりたいと思います。非常に大きな、重要なテーマであると思います。

樋口分科員 用意した質問はここまででございますが、少し時間がありますので、もう一つの通信という意味では非常に大事な携帯電話のことを。

 私たち公明党の青年委員会でも、昨年の十二月に大臣のところにお邪魔して、なお一層の携帯電話の、やはり、今、家計に占める携帯電話の割合が非常に高くなっている、十年前から比べると一・五倍になっている、こういうことであります。

 去年の秋に全国七千二百七十二名の若者の皆さんに青年政治意識調査アンケートというのをやってみたんです。全国四十七都道府県で聞いて、やはり、携帯電話の料金を下げてほしいというお声は、非常に切実な声でありました。

 私たちは今、公明党でボイスアクションという運動をやっていまして、日本じゅうの一千万人の皆さんからやりたい、やってほしい政策は何ですかと五項目聞いて回っているんですが、その中にも、携帯電話の通信料を下げるために、公衆無線LANを全国に配置してパケット料を下げてほしい、こういう声もあるわけでありまして、こういう声を今拾い集めています。

 大臣、今いろいろなところで発表されて答弁もされておりますが、ライトユーザーが五千円以下になるというのは非常にいいことで、ありがたいことでありますが、ここから先の四点ですね、おっしゃっていらっしゃるヘビーユーザーの問題、もっと安くならないかということ、そして型落ち携帯はなお安くなるという二つ目の話、そして三つ目に、SIMフリー端末、これをもっと拡充していこうという話、最後に二年縛りの見直し、こういう四つぐらいの大きな課題があって、それさえクリアできれば、もっと携帯電話が安く、利用が盛んになっていく。

 世界じゅうで、携帯電話またスマホがあるから世の中が変わったという多くの国があります。日本においても、ぜひ携帯電話の値下げ、なお一層、大臣のリーダーシップをもってお願いをしたいというふうに思いますが、一言、御感想があればお願いします。

高市国務大臣 御党からは、本当に、若い先生方を中心にすばらしい御提言をいただきまして、感謝を申し上げております。

 WiFi環境の整備につきましては、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピック東京大会もありますし、そこを一つの目標としながらしっかりと進めてまいります。

 また、若い方々が、必ずしも最新の一番高い端末じゃなくて、それほど古くない、でも型落ちの端末で御辛抱いただけるのであれば、その型落ち端末については、実質ゼロ円とまではいかなくても、非常に安い価格で販売していただく分には、これは全然いいと思います。

 やはり問題は、実質ゼロ円といって最新型の十万円近いものをゼロ円にして、その分の通信料がライトユーザーですとかそれから長期ユーザーにかかっちゃっているんじゃないかというわかりにくさがありましたので、まずはここを明確に、端末は端末、通信料金はできるだけ安くと。たくさんギガを使いたいという人には、今、特に若者向けに、二十五歳以下の方々にギガプラスのサービスであったり、そういったことを初めとする学割サービスも出てきておりますので、まだまだ第一歩だと思いますけれども、携帯事業者の皆さんが、さらに多様なユーザーに対してメリットがあるサービスを第二弾、第三弾と打ち出していただくことを期待いたしております。

 ありがとうございました。

樋口分科員 ありがとうございました。終わります。

長坂主査代理 これにて樋口尚也君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根康浩君。

中根(康)分科員 民主党の中根康浩でございます。

 第二分科会で三十分の枠をいただきました。質問をしてまいりたいと思います。

 これは、本会議でも質疑がありましたし、あるいはきょうも、特に愛知県の選出の議員から再三にわたって議論が行われているんじゃないかと思うことでありますけれども、平成二十八年度の税制改正における地方法人課税の見直しにかかわる問題です。

 法人住民税法人税割について国税化の割合が拡大をされるということで、都道府県分で一・八%から四・〇%へ、市町村分については二・六%から六・三%へと引き上がるといったようなぐあいであります。それと、市町村への減収補填措置として、県の法人事業税の一部を市町村への交付金にするということ。

 これは、特定の自治体が増収になるとか減収になるとかということにかかわらず、地方税の国有化を進めるものであって、地方分権に逆行するものではないかということを私どもは考えるわけなんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 交付税化ということになります。交付税は、御承知のとおり、地方の独自の財源でございますので、地方分権に逆行するような形にはならないと存じます。

中根(康)分科員 先ほども申し上げましたように、きょう、委員長も愛知県選出の長坂先生なんですけれども、この分科会で、関係する地域の議員が次々と取り上げていると思います。例えば愛知県においては碧南市、刈谷市、豊田市、みよし市、大口町、飛島村、幸田町、こういったところが地方法人課税の見直しによって大きく税収が減るということになるわけでありますので、愛知県問題という言われ方もささやかれているわけでありますけれども、必ずしも愛知だけの問題ではなくて、まさに今お尋ねをしたように、地方分権にかかわる問題であって、頑張っている自治体に対する裏切り行為であるというような声も聞こえてくるわけであります。

 今回の見直しによって、一部の不交付団体においては、法人住民税の国税化による減収の方が法人事業税交付金及び地方消費税率の引き上げによる増収を上回り、大きく減収となる自治体が生じるということであります。

 例えば、今申し上げましたように、私の選挙区でいうと、愛知県の幸田町においては、地方税収に占める法人税割のシェアが全国平均の約八%と比べて二一%と、とても高いということもあって、差し引き四億七千四百万円の減収になる。これは愛知県における試算でありますけれども、こういう数字が出ているわけであります。

 幸田町の影響額を、総務省としては、愛知県と同じような四億七千四百万円という数字を出しておられるのか、あるいはほかの数字として把握しておられるのか、ここを確認したいと思います。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど議員御指摘の、不交付団体における減収の状況については、先ほどの大西健介議員の質疑の中でも資料が配付をされております。愛知県から公表されているわけでございます。

 愛知県から公表されたものについては、私ども、それについて検証をするという観点から勉強させていただいておりますが、一つは、愛知県さんが行われた、幸田町のことも含めた試算でございますけれども、平成二十六年度の税制改正分が含まれているわけです。平成二十六年度の税制改正において、法人税割の税率が一二・三から九・七に引き下げられていますが、そのことも含めて減収する方に入れておりますので、それはもう既に施行されている話でございますから、今回の二十八改正との関係で考えるべきものというふうに思っております。

 その上で、この愛知県の試算は、二十六年度の幸田町の法人税割の税収をベースに試算をされているとお見受けしております。

 ただ、二十六年度の税収というのは、二十四年度、二十五年度と比べて随分伸びていくときでございまして、二十五年度と比べると一・五倍、二十四年度と比べると三・五倍と伸びているわけでございます。

 どの時点を捉まえて減収額を算定するか、これはなかなか難しいところではありますが、そうした点についても目配りしなければいけないなというふうには思いました。

 それとともに、先ほど議員御指摘のとおり、法人税割の税率引き下げ二%相当分については、県税であります法人事業税の一部を交付金として市町村に交付することとしております。その交付に当たっては、三十一年度までは、交付基準に法人税割のシェアを経過的に用いるということにもしておりまして、そうしたことも含めて、経年的に数字はいろいろ変わってくるということも頭に置いて考えていく必要があるものというふうに、愛知県の試算についてはお見受けしたところでございます。

中根(康)分科員 どの時点を捉まえるかによって額は変わってくるということでありますが、愛知県の試算によると四億七千四百万円という数字が出ているわけであります。

 いずれにいたしましても、決して小さな額ではなく、平成二十七年度の幸田町の当初予算は約百三十七億円余りでありまして、この三%弱に当たるということ、これが四億七千四百万円という数字になるわけであります。これは決して小さな額ではなく、むしろ大きな額であると言わざるを得ないと思っております。

 このことによって、これだけ大きな額の減収を余儀なくされることによって、幸田町の住民サービスの削減が余儀なくされる、住民生活や企業活動に悪影響を及ぼすのではないかと心配をされております。

 このことは、地方を大事にする、まち・ひと・しごととおっしゃっておられる政府の姿勢にも反するものではないかとも考えられるわけであります。

 今回の税制見直しで幸田町の住民サービスが低下するということになってしまったら、総務省として責任をとってもらえるのかという声もあるわけでありますけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今回の偏在是正措置においては、大半の市町村においては地方税収が増加するんですけれども、残念ながら、委員のお地元の幸田町のように、個別の団体では地方税として税収が減収となり得る、そういう可能性があるところもございます。

 市町村の法人住民税法人税割の税率引き下げ分のうち二%分については、法人事業税の一部を従業者数に応じて市町村に交付する事業税交付金によって補填することにいたしております。その後数年間は、その交付基準に法人税割税収のシェアを用いる、先ほど説明をさせていただいたとおり、激変の緩和措置を講じております。

 とにかく、幸田町の場合は、法人税割の比率が高うございますし、不交付団体でもございますから、愛知県の試算では大きな減収が見込まれているということも承知をしております。

 本当に、これまで税源涵養に取り組まれてこられたその御努力に敬意を表しながら、今回の措置は、やはり安定的で偏在性の小さい地方の税体系を構築する、そのことに資するものであるということを何とぞ御理解いただきとうございます。

 全国の地方が経済的に元気になることで、また愛知県で生産されているさまざまな財やサービスを皆が購入できる、そういう環境になっていくこと、そのために今ローカルアベノミクスを展開するべく頑張っておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。

中根(康)分科員 確かに、全国のことを考えれば、税収の偏在を解消するためということであれば、理屈の上では納得しないわけでもないんですけれども、しかし、やはり地元の声を聞けば、これまで懸命に企業立地、企業誘致してきた、産業の振興に努めてきた、こうした自治体の長年の努力の結果生み出される財源をあたかも召し上げるようなやり方は、頑張った自治体に対する背信行為ではないかという声があるのも、これは大臣、事実としてというか、現実として受けとめていただきたいというふうに思うわけであります。

 今までの本会議なんかでも、総務省としては、資金手当てのための地方債を自治体が起こすことができると説明しておられることもあるんですが、税制が変わって、しなくてもいい借金を抱え込むようなことは自治体にとっても不本意なことでありますし、今回の税制見直しを強行するというようなことであるならば、先ほど二%の交付金化ということもありましたが、それを上回る減収があって困っているということでありますので、さらなる財政的な支援、激変緩和策というものを御検討いただけないかという声があるということについては、いかがお答えいただけるでしょうか。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から答弁がありましたように、今回の措置につきましては、地方消費税が一・四兆、それから法人税割が〇・九兆減る、大きく地方税収というのはふえる。そうした中において、市町村の減収については法人事業税交付金で補填するとともに、その交付金についても経過措置を設け、また特例的な地方債の措置も講ずるということにしたところでございます。

 地方法人課税の偏在是正の問題というのは、長い間議論がされてきたテーマでもございますし、税制抜本改革法に基づいて取り組んでいくことでもございます。偏在是正の意義なり、今回の措置の内容について、何とか御理解いただけるように努めてまいりたいと思っております。

 先日も、議員からお話のありました幸田町長さん、そのほか三人の市長さんと地元のお話を伺わせていただきました。特に、いかに税源の涵養努力をされてきたか、それは先人の努力も含めての話をいろいろお伺いさせていただきましたけれども、今後とも地方団体の声に耳を傾けつつ、しかし、私どもとしますと、何とか今回の措置について、地方法人課税全体のあり方という観点から御理解いただけないかということについてお話を申し上げていきたい、理解をいただけるように努めてまいりたいというふうに考えております。

中根(康)分科員 幸田町のように百三十億円程度の総予算の自治体の中で四億七千万円余りの減収ということになると、これは予算組みに、やりくりに相当御苦労をされるということになる、この実情ですね。いろいろ理屈はあっても、お金が、収入が減ってしまう、五億円近くも減ってしまう、これは現実の問題としてあるわけでありますので、御理解をいただけるよう努力しますということだけではなくて、何らかの支援をやはり考えてもらわないと。

 幸田町はそういう規模で五億円ですが、例えば、もう御案内のとおり、豊田市なんかは百億円ぐらい減っちゃうんですよ。百億円も減ったら、もう教育も医療も何もできないというような雰囲気になりかねないわけであります。豊田の市長さんも、制度の仕組みについては理解をしようと努めておられるような御発言もされておられますけれども、実際に予算を組むということになるとこれはまた別問題でありまして、大変な御苦労があるということだけは、これは総務省として、制度だから仕方がないということで放置せずに、支援策、激変緩和策というものを何か具体的にさらに打ち出していただく必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 今回の法人住民税の召し上げというふうに申し上げますが、問題については、愛知県知事からも緊急声明が出ておりますし、愛知県議会からも全会一致で意見書が出されているわけであります。この知事の緊急声明や議会からの意見書というものを、総務大臣、お目通しいただけたでしょうか。

高市国務大臣 実際知事にも直接お会いしておりますし、声明文も読ませていただいております。

中根(康)分科員 恐らく大変厳しい御意見が知事から大臣にお伝えになられたということだろうと思いますが、やはり県民挙げての声をぜひ受けとめていただきたいし、愛知県民だけという問題じゃないと思うんですね。これから企業誘致、企業立地をしていく自治体もこれに該当するということにもなるわけでありますので、これはやはり制度設計にどこかミスがあるんじゃないかということも言われておりますので、もう一度よく検証していただきたいということをきょうは申し上げて、この問題はおさめさせていただきます。

 次に、自動車に関する税金について質問をしたいと思います。

 私自身も、あるいは民主党もかねてから、自動車関係税制をユーザー目線で簡素化、軽減すべきだと主張してまいりました。現行の車に関する税金ができた当時と違って、車は今やぜいたく品では当然なくて、暮らしや産業に不可欠な必需品であり、生活の足そのものであるわけでございます。特に公共交通機関の整備されていない地方においては、その意味合いはさらに強まるということになります。まさに、地方を大切にしようと思えば思うほど、車に関する税金は簡素化、軽減化することが必然ということになってくるのだと思います。

 今回問題にしたいのは、自動車税や軽自動車税への三%までの環境性能割の導入ということでございます。

 消費税が一〇%と高くなれば、なおさら車を買うときの税金は消費税だけでもう十分重いわけで、それだけでも国民にとっては購買意欲をそがれる要因になりかねないということであります。

 せっかく消費税一〇%引き上げ時に自動車取得税を廃止するということになったにもかかわらず、自動車税に環境性能割を導入するということは、自動車取得税の廃止を全く無意味なものにしてしまいかねない。税収を確保したいばかりの総務省の思惑による自動車取得税の廃止、つまりは税金のつけかえということでございますが、このつけかえということについては、国民が求めるユーザー負担の軽減に全く逆行した、簡素化にも逆行したものであると言わざるを得ないと思いますが、このことについて御感想をお聞かせいただければと思います。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年八月に成立をした税制抜本改革法第七条に、この車体税制の見直しの方向性が示されているわけでございます。安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、簡素化、負担の軽減、またグリーン化の観点から見直しを行う、こうされているわけでございます。

 そうした観点から検討を進めた、今回導入する環境性能割につきましては、自動車による環境負荷の低減を図るため、環境性能にすぐれた自動車の普及等を促進する税制上の仕組みとする一方で、自動車販売への影響も考慮いたしまして制度設計をさせていただき、本年度の自動車取得税に比べまして約二百億円の負担減となる、そういう設計になっているところでございます。

 また、今回の見直しによりまして、登録車については自動車税に、軽自動車については軽自動車税に税目が一本化されます。また、自動車取得税のエコカー減税では軽減割合によって税率が六段階に分かれておりましたが、環境性能割では、登録車については〇、一、二、三の四段階、それから軽自動車につきましては、先ほど三パーというお話もありましたけれども、〇、一、二の三段階という税率になるわけでございます。また、新車と中古車についても同じ扱いにする。

 そういう意味で、一定程度、簡素化という目標、目的についても実現することができたのではないかというふうに考えているところでございます。

中根(康)分科員 私たちが求めているのは簡素化、そして軽減化ということでありまして、そのことに対して今回の改正は一定程度応えたものになっているのではないかという御答弁でありましたけれども、環境性能割、自動車取得税が自動車税の中に紛れ込んでいって、それで税目が一本化される、もうこれは詭弁にほかならないというふうに思いますし、新たな看板のというか、名前のつけかえによる増税にほかならないというふうに思います。

 二百億円の負担減だというような説明もありましたけれども、先ほどから申し上げておりますように、本来、自動車取得税が廃止をされるだけで十分で、車を買うときの税金は、消費税が一〇%に上がった場合に、消費税を一〇%払うだけで、国民にとってはそれだけでも大変重い負担感があるわけで、それに加えて、どんな名目であっても、新たな税金を上乗せするということはあってはならないことであると私は考えさせていただいております。

 自動車取得税と環境性能割の税収規模を比較して、いかにも二百億円の減税措置だというようなことも今御答弁があったわけでありますけれども、繰り返しになりますけれども、自動車取得税はもともと課税根拠が失われていたものでありまして、廃止すべきものであって、新たな環境性能割の導入というのは、やはりユーザーにとっては新たな負担を強いられるだけの増税にほかならないというようなことを繰り返し申し上げておきたいと思います。

 八百億円ですか、環境性能割が。現行の自動車取得税が一千億円強ということで、その差し引きで二百億円の減税だという言い方は全く国民をごまかす言い方であって、これはもう増税だ、新たな税目を新設する増税だということで、正直に国民に理解を求めるべきだ。これを減税だと言うと、全く議論がかみ合わない、国民の気持ちに寄り添わない議論になっていってしまうのだというふうに思いますが、もう一度ここは確認をしたいと思いますけれども、これは本当に減税だと言えるのでしょうか。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税率、地方消費税率も含めてでございますけれども、この引き上げは、自動車ユーザーのみならず、全国民に負担をいただいて、その増収分を社会保障財源として、そして国民に全て還元していく、そういうわけでございます。

 そうした中で、自動車取得税を廃止することになるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、抜本改革法の考え方に即して、そして累次の与党の大綱も踏まえながら検討して、今回、この環境性能割を導入するということになったわけでございます。

 実際に、現状よりも負担の軽減になるというわけでございますし、また、非課税の車の割合も高まりますし、先ほど申し上げました中古車についても新車と同じ扱いにする、そうした対応もさせていただいているところであるわけでございます。

 そうした点も含めて考える必要があるとともに、もともと地方の安定財源ということも含めて考えなければいけない、これが抜本改革法の趣旨であることも念頭に置く必要があるものというふうに考えております。

中根(康)分科員 地方の安定財源というものを車の枠の中だけで考えると、こうしたつけかえとか実質増税というものが行われてしまうということを申し上げておきたいと思います。

 総務省が税収の確保さえできればそれでいいということではなくて、国内の産業や雇用へ及ぼす影響を十分念頭に置いた税制のあり方を検討してほしいということでございます。いわゆる損して得とれというような言葉がありますけれども、車が購入しやすく、あるいは売りやすくなれば、さらに産業が活性化して、そこで賃金が引き上がり、消費が旺盛になって、いわゆる好循環が実現をするということになるわけであります。せっかくそれを期待できるチャンスが自動車取得税の廃止だということであるにもかかわらず、そこで新たな環境性能割の導入で、地方財源の確保だといって増税をして、車が売れない、買えない状況をつくってしまえば、産業の萎縮と消費の減退と雇用の喪失ということにもつながりかねないわけでありますので、このあたりのところを十分考慮した税制にしてほしいということを、訴えを申し上げたいと思います。

 最後になりますけれども、平成二十八年度の税制改正大綱においては、平成二十九年税制改正において、「自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」と明記をされているわけであります。

 総務省としては、この二十八年度の税制改正大綱を踏まえて、実際に、自動車関係税制においてどのような措置を講じていくお考えをお持ちなのか、お示しをいただければと思います。

青木(信)政府参考人 先ほど、自動車産業の我が国経済、雇用における位置づけについてのお話もありました。

 産業政策としても、より環境性能にすぐれた自動車を普及していくための技術開発を促進していく、これが重要だと思っておりまして、その意味でも、環境性能割というのは意味がある税制だというふうに考えております。

 その上で、お話にございました二十八年度税制大綱を踏まえた今後の検討でございますけれども、二十九年度以後の自動車税及び軽自動車税におけるグリーン化特例、これについて結論を得る必要がございます。また、地方の安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる、こう大綱に書かれているわけでございます。

 この大綱を踏まえて、関係者の御意見を伺いながら議論をしていく必要があろうかと思いますが、今回の税制改正を受けて、全国知事会からは、環境性能割の導入に伴う負担軽減に加えて、今後のさらなる減税は容認できないといったような意見も早々に出されているところでございます。

 さまざまな意見を踏まえつつ、簡素化、グリーン化等の視点というのも重視しながら、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

中根(康)分科員 総務省の財源確保を優先するか、あるいは知事会の皆さんの、知事さんたちの御意見を優先するか、もしくは車を買う人、使う人のお気持ちを優先するか、どちらを優先するかの問題であるわけであります。

 私は、車のユーザーの目線を大切にしたいと思っています。総務省の財源確保ということよりも、車を買う人、使う人の目線に立った税制のあり方であってほしいと思っています。そういう意味で、地方財源確保を優先した議論をぜひ総務省としても乗り越えていただいて、ユーザー目線に立った確実な簡素化、負担の軽減、こういう観点からの税制のあり方を御検討いただきたい。

 環境性能割、導入は来年の四月、まだ一年以上あるわけであります。それを去年のうちに早々に決めてしまったこと自体も拙速な感じがいたすわけであります。早目に増税だけは確保しておこうという思惑がそこに透けて見えるわけであります。

 繰り返しになりますけれども、もはや車はぜいたく品ではない。産業や暮らしに必要不可欠な、特に地方においては生活の足である。消費税が一〇%に引き上がるということだけでも大変重い負担であるわけで、そこに加えての環境性能割の上乗せということは、やはりこれは自動車産業にとっても日本の産業全体にとってもマイナスの影響を与えかねない。事実、軽自動車税が上がって軽自動車の売れ行きが大幅に減ったということも直近で経験しているわけであります。

 税制と産業、税制と車の売れ行き、税制と雇用というのは極めて密接にかかわっている問題であると思いますので、その点も踏まえて、地方財源の確保という観点だけではないところで御検討いただけますようにお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田主査 これにて中根康浩君の質疑は終了いたしました。

 次に、神山洋介君。

神山(洋)分科員 神山洋介でございます。

 きょうは大臣、朝からの御答弁、大変お疲れさまでございます。

 昨年、実はこの分科会で消防団についての議論をさせていただきまして、ことしは、消防団ではなくて、消防署及び消防体制であるとか、あとは消防の職員さんという観点から幾つか議論させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 実は、私の地元に秦野市という市がありまして、そこの市の消防本部に伺って、消防長さん等々幹部の皆さんといろいろなお話をしていたときに出てきたお話が事の発端でございます。質問する前に幾つか御説明を要すると思いますので、そこも触れさせていただきます。

 実は、秦野市というところは、東名高速道路が既に走っているところではあるんですが、今、新東名の建設が進んでおりまして、平成三十二年から秦野市にもインターチェンジがまた新設をされて供用が開始されるという地域でございます。

 当然、新たに高速道路が供用開始となれば、その高速道路の区間についてのレスキューであるとか災害対応であるとか救急であるとか消防の任務がそこに付加をされるという形になります。秦野市においても、秦野にできるインターから、下りは御殿場まで、上りは伊勢原というところまでなんですが、そこの上り下り両区間についての新たな管轄がふえるというところにあります。

 具体的に申し上げますと、キロ数でいうと、秦野インターチェンジから、下りの御殿場インターチェンジまでは二十五キロ、上りの伊勢原インターチェンジまでは十三キロありまして、合計三十八キロ区間についての管轄がふえるということです。

 本論とは関係ないのですが、下りは御殿場まで二十五キロと大分長い区間なんですが、しかし、秦野市のエリアは実は二十五キロのうち一キロしかないというところではあるものの、事の経緯上、そこも秦野市の消防本部が担当になるということです。

 問題はここからでして、新たにそこに対しての消防業務の付加という形になるわけですけれども、インターのすぐ近くには西分署という分署がありまして、そこが実際には管轄をする形になるだろう。ただし、問題は、今の西分署には救急隊が一隊しかないという状況です。そうすると、一隊しかないとなると、今までは市民の方というところが中心なので何とかそれで回っていたけれども、仮に高速道路に出動しなければいけない時間帯に、市民の方で当然これは出動しなければいけないというときに、とてもとても回りませんという話です。御殿場までの下りの二十五キロ区間の中で任務が発生して、そこに出動して、一定の救出等々の活動を行い、戻ってくるときは、一度御殿場まで行ってまた戻ってこないといけなくなります。とても一隊では回らないので、増隊をしなければ、一隊ふやさなければいけないということになるわけです。

 一隊をふやすということは、つまりは人員もふやさなきゃいけない、機材もふやさなければいけない。もう一つ重たいのは、人員をふやして、車両をふやして、機材をふやしてということをやるためには、当然ですが、その入れ物、箱、庁舎が必要なわけでして、今の西分署というところの箱の大きさではとてももう一隊分入りませんよという話なので、箱も、庁舎も大きくしなければいけませんねというところが実態、現状でございます。

 御相談があったのは、そうしようと思っているんだけれども、なかなかそのお金が出てこないんだよという話です。では、誰がその費用負担をするべきなのかということを考えた場合に、高速道路のインターが新設をされることによって市民にも一定のインタレストがあるという意味においては市も一定の負担はすべきであろう、そこは確かにそのとおりだと思うんです。ただ一方で、市民の税金で、特に下りなんかでいうと二十五キロ区間あるうちの一キロしか市の部分がないのに、何でそこまで、市で本当に全部持たなきゃいけないのかというところもあるがゆえに、やはりいろいろな形で、援助、御支援をいただきたいなというのが現場の思いです。

 具体的に、では、そこでどうしようかということで、いろいろな、補助金であるとかさまざまな制度を当たったそうです。ただ、当たった結果として明らかになってきたのが、新設の支弁金というのがあるということなんですが、その新設支弁金の活用をして増隊しようと思ったら、人口要件という条件を満たさなくて使えなさそうだと。要は、それについて財政支援を得られなさそうだ、何とかならないかというようなお話をいただいて、今なお現場ではそのことについて頭を悩ませているという状況なんです。

 まず、これは事実関係としてなんですが、人口要件というところを考えると、この新設支弁金の活用が現時点の条件では難しそうだというお話も伺っておりますが、そういう認識でよろしいでしょうか。

青木(由)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、市町村が、高速道路ができまして、それに伴って救急業務を実施する場合、自分の市町村の区域を越えて業務を実施しなきゃいけない、こういうことが想定されるものであります。

 したがって、その財政負担が重くなるケースが想定されるものでございますので、国交省、消防庁、それから高速道路会社の間で覚書を締結いたしまして、高速道路会社が沿線市町村に対しまして救急支弁金を支給というような制度を実施しているところでございます。

 新たに救急隊を設置する場合の支弁金ということになるわけなんですが、その際、隊をふやすことが高速道路の供用に伴うものであるということを念頭に置きまして、御指摘のように、供用開始年度内に救急隊を設置するということが一つ目の要件、それから、二つ目の要件といたしまして、一隊当たりの人口が全国平均より少ないということ、それから、三つ目の要件として、新設する救急隊がインターチェンジから三キロ以内に置かれる、こういう三つの要件を設けて運用してきているところでございます。

 秦野市さんにつきましては、今申し上げた二番目と三番目の、人口とインターチェンジからの距離の要件、これを満たさないということを伺っているところでございます。

神山(洋)分科員 その二番目と三番目の条件に満たないがゆえに、結論としては自治体で単独でやってくださいという形になっちゃうんじゃないかという、そこが問題だと思うんですね。

 これはまた後ほど同じような形で伺おうとは思っているわけですけれども、新たに高速道路が供用開始になることによって、そこに消防のニーズが、必要であり、そのためのリソースを自治体が一定の基準に基づいて整備しなければならないというのは、これはある意味、政策的な判断であるとか政策的な取捨選択の余地のないものだと私は思うわけです。

 だとすれば、そういう状況の中で、もちろんいろいろな条件があることはわかりますけれども、今の条件の中でそれに基づいて新たに増隊をしようというときに、既存の制度の条件では、そこに対しての財政措置、バックアップができないのであるとすれば、やはりそれは制度に問題があるんじゃないかなと言わなければならないなというふうにも思うわけです。

 事前に事務方といろいろな話をさせていただいているときに、この新設の支弁金では対応できない、現時点では対応が難しそうだというお話がある中で、例えば、別途、緊急消防援助隊に係る車両等に対する財政措置というのもあって、そういうもので対応することも場合によってはあり得るんじゃないかというようなお話もいただきました。要は、緊急時に消防援助隊として各所に出向くという登録をすることに対して一定の助成があるというようなお話もあったわけです。

 それもあるのかなというふうに思いますが、そういうようなことも活用しながら、今の高速道路の新設によって生ずるニーズを満たしていくという形で、今、消防庁の方では各消防本部の体制整備の後押しをされている、そういう理解でよろしいんでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 消防組織法第八条の規定に基づきまして、市町村の消防に要する費用につきましては当該市町村が負担することとされている中で、化学消防車あるいは救急車を含めまして、常備の消防車両や資機材の整備に要する費用については、標準的な費用を地方交付税の普通交付税の中に算定いたしまして、それで措置しているというのが基本的な考え方でございます。

 そうした中で、例えば緊急消防援助隊ということでありますれば、みずからの管轄エリアだけの業務ではなくて全国的に応援に行くということもございますので、これに対しては国の方から二分の一の補助をするということでさせていただきます。それが緊急消防援助隊でございますので、そういった隊に登録をいただければ二分の一の補助要件の対象になるということでありますし、あるいは、さらに、消防の広域化というのを私どもは進めておりますので、これの広域化のために資するということであれば、そういったもののための地方財政措置については、緊急防災・減災事業債の対象とするようなこともございます。

 そのほかに、これは実は、昔、補助金制度があったわけでありますが、三位一体改革で一般財源化いたしました。そのときに、化学消防車とかあるいは救急車というものも含めて、それに対する補助金も一般財源化したということでございますが、その際に、一部、元利償還金に対して交付税措置のある起債を充てることもできることになってございますので、例えば車両についてはそういうことも対象とすることが可能ではないかというふうに考えております。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 いずれにしても、秦野市という具体名を挙げれば、自治体の側では、何がどうあろうと、消防隊はふやさない限りどうにもならないわけですよ。なので、それは、いろいろな意味でこれからまたいろいろな現場からの御相談もあろうかと思いますので、ぜひそこはきちんとお答えをいただければなということをこの場で要請させていただきます。

 今申し上げたのは、隊の増隊の話であり、車両の整備ということですが、先ほど申し上げたように、庁舎そのものもつくらなきゃいけないわけです。大きくしない限りもう一隊ふやせませんという話です。

 では、大きくするためにはどういう制度があり得るんだろうかというときに、きょうは国交省にもお越しをいただいていると思うんですが、高速自動車国道等通過市町村関連公共施設等整備助成制度という制度があるというお話を伺っています。今のお話の中で言う今回の庁舎の建てかえということには、そもそもこれを活用することは可能でしょうか。

青木(由)政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりました高速道路の関連公共施設等整備助成金、これは通称メニュー助成というふうに呼んでおります。こういった制度がございまして、これは、高速自動車国道が通過をいたします市町村に対しまして、いわば、高速自動車国道が通過するに伴って関連公共施設の整備費用が必要になるということで、これに充てるために高速道路会社が一定の額の、一定の算式があるんですが、助成金を交付する制度ということで、昭和五十五年から実施されてきているものでございます。

 申し上げました助成の対象となるメニューでございますけれども、これにつきましては、例えば、交通安全施設、道路、それから児童公園、集会所、こういった通過に関連して必要となる施設、これから通過をする市町村に選択をしていただく、この施設が対象になるという仕組みでございます。

 今御指摘のありました消防庁舎の建てかえにつきましては、実は、調べましたところ、これまで助成した事例はございません。

 では、これを消防庁舎の建てかえに適用できるかという問題でございますけれども、これにつきましては、例えば、先ほど申し上げた業務支弁金という仕組みがございます。こういった仕組みとの関係を含めまして、消防庁さんあるいは高速道路会社、関係機関と十分議論をすることが必要ではなかろうかな、このように考えております。

神山(洋)分科員 十分議論をしていただいた上で結論を出していただき、実態に反映をさせていただきたいなというふうに思うわけです。

 現在ある制度が、現在の状況なりこれから起こり得る環境に対して具体的に対応できるという見込みがあるのであれば、それは、現状ある制度をこれからも適用し続けるということでいいんだと思うんです。

 ただ、今お話し申し上げたように、一つの事例ではありますけれども、平成三十二年にはこういう事例が起きるだろうということを踏まえながら今あらかじめやっているということに対して、少なくとも現状の制度はニーズを満たすことができていないのではないかという気がしてなりません。

 だとすれば、それは、現行制度の修正でいいのか、もしくは別な新しい制度を設けるべきなのか、そこは現場でいろいろな御判断があろうかと思うわけですが、少なくとも、現実にもう生起し得る、することが明らかである状況にきちんと対応する制度に修正をするということは、私は不可欠ではないかなというふうに思います。

 大臣、ここまでいろいろお話を聞いていただいた上で、一言お伺いをできればなというふうに思うわけですが、具体的な各論の部分は、事務方を含めていろいろ御検討いただければと思いますし、当局同士でやりとりをするということも大事だと思います。ただ、やはり、消防ニーズが拡大をするということに対して、今の制度が少なからず、きちっと全て包含をする形でマッチし切れないという点がもしあるのであれば、そこは、穴なのか、漏れている部分なのかというところは塞いでいただくような対応はあってもいいかなというふうに思うわけですが、大臣、どうお考えでしょうか。

高市国務大臣 個別具体の話は、いろいろ条件もあるかと思います。さっき庁舎のお話もありましたけれども、広域化に伴う庁舎でしたら、これはまた整備事業がございますし、防災拠点となる場合であったら、耐震化などの事業もございます。こういったものには地方財政措置を講じてきておりますけれども、また、個別の事例に関しましては当局同士で御相談いただいて、少しでも私たちも知恵を出せればと思っております。

 とにかく、これだけ災害も多うございますし、救急の出動もふえております。高齢化に伴うふえ方でもございますけれども、非常にニーズの高いものです。国民の命を守るというのは、私にとっても大変大切な政治の柱です。

 総務省、消防庁も一生懸命これに取り組んでおりますので、また今後、消防救急体制をしっかりと充実強化してまいりたいと思います。時代の流れに合わせての新たなニーズも出てくるかと思いますので、しっかりとお声を聞かせてください。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 今まさに大臣からも、救急のニーズが高まってというか多忙化についての言及もございましたので、前段の話は一旦以上とさせていただきまして、もう一つの消防職員さんの労働時間と休憩時間というところについて、少し議論をさせていただきたいなと思っております。

 消防職員の方とお話をしていて非常に強く感じるのは、本当はもっといい言葉があればいいんですけれども、使命感、責任感というものが非常に強いなという思いです。それは当たり前だと現場の方はおっしゃいますけれども、しかし、昼夜を問わず、危険を顧みずという中で、使命感を持って仕事に真摯に臨んでいらっしゃる態度というのは、私は非常に心を打たれるものがあるなというふうに考えているところです。

 ただ、さはさりながら、それこそ御飯を食べながらとかちょっと一杯やりながらみたいな、フランクな話をするような場で消防の職員さんとお話をしていると、崇高な使命はもちろん持っているんだけれども、やはり現場にはいろいろ悩みもあるんだというお話がよくあります。

 その中で一つ出てきたのが、これはそもそも、一番最初、私は知らなかったんですけれども、知っているか、二十四時間俺たちは働くんだぜ、十六時間は労働時間で八時間は休憩時間なんだということでした。でも、この休憩時間は労働時間じゃないから給料は出ないんだ、そんなお話を聞いて、当初、細かいことを私は知らなかったし、ああ、そうなんですかというふうに伺っていたわけです。

 まず、この基本的なところを消防庁に確認させていただきたいわけですが、二十四時間拘束をされていますが、賃金が支払われるのは十六時間に対してということです。この点を消防庁としてはどう認識しているのかという点です。拘束をしているのが二十四時間だとすれば、拘束時間が労働時間であってしかるべきなのかなという素朴な疑問もあるわけですが、この点はどう認識をされていますでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員が御指摘ございましたが、消防職員の大半は、勤務体制は消防本部ごとに若干違うこともございますが、基本は二十四時間を一単位とする交代制勤務に服しているということでございます。そして、その勤務時間については、一般的には労働基準法に定める一カ月単位の変形労働制を採用しております。

 そしてまた、各市町村等の条例、規則などによりまして、始業及び終業の時刻を定めまして、一回の勤務中に付与する休憩時間について、その時間帯を明記するなど、勤務時間と休憩時間を明確に区分しているところでございます。

 そうした中で、災害等への即応体制を確保するため、消防職員の勤務形態は、多くの場合、仮眠に当てられるべき時間を含めた休憩時間が設定されているということでございますが、労働基準法上の休憩時間の自由利用原則の適用が除外されているほか、指定された休憩時間中にあっても、業務命令を発して勤務時間に繰り込むことが認められているということでございます。

 このことから、ちょっと長くなりますが、例えば、深夜など休憩時間として割り当てられた時間に火災出動等を行った場合は、休憩時間の全部あるいは一部を取得できない状況もある、これは勤務時間に変わるということになります。

 このような場合については、その後の正規の勤務時間を調整して休憩時間を繰り下げて、当初の指定時間とは別の時間帯に振りかえることによって、可能な限り取得できなかった休憩時間を付与するということをいたします。そして、振りかえを行ってもなお取得できなかった時間分については、時間外勤務として取り扱われる必要があるということでございます。

 ということで、先ほど十六時間とおっしゃられましたが、今、公務員の一般的な勤務時間は七時間四十五分というところが多うございますので、二十四時間のうち十五時間半が勤務時間、そして八時間半が休憩時間としているところが多いのではないかと思います。

 以上です。

神山(洋)分科員 八時間であろうが八時間半であろうが、そこは本質的には同じかなと思うんです。

 平成十四年の二月の二十八日に、関連をするような最高裁判所の判決が出ております。大星ビル管理事件に関しての最高裁判決ということで、内容としては、仮眠時間中も会社の指揮命令下にあって、労働から解放されていなければ、それは労働時間とするという判決が確定をしたということです。

 厚生労働省にお伺いをしたいわけですけれども、一般論としてまず伺いますが、労働時間と休憩時間、この点も踏まえながら、どう解釈をされていますでしょうか。

    〔主査退席、長坂主査代理着席〕

大西政府参考人 労働基準法についてお答え申し上げます。

 労働基準法における労働時間とは、労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間をいいます。また、休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいうものでありまして、この休憩時間につきましては、原則として一斉に付与しなければならない、あるいは、労働者に自由に利用させなければならないという規定がございますが、消防吏員や常勤の消防団員につきましては、その勤務の性質上、これらの規定は適用されないというぐあいに法律で定められております。

神山(洋)分科員 これは消防庁にお伺いをしたいんですけれども、確かに、消防職員の場合は、八時間の休憩時間内であったとしても、警報であるとか電話で出動命令が出るということであれば、当然、そこから出動ということになるわけです。この休憩時間、先ほどの話では八時間半ですか、八時間半は、この最高裁判決によれば労働時間とみなし得ることもできるんじゃないか、そんな考え方もあるわけですが、今、どういうお考えでこれはそうじゃないという理解をされているんでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、民間の事案としての、平成十四年二月二十八日の最高裁の判例のお話をされましたが、これは、労働基準法の適用を受けるビル管理会社の従業員に関して、いわゆる泊まり勤務時間に設定される仮眠時間が労働基準法上の労働時間に当たる旨の判決があったということだと理解しております。

 しかしながら、消防職員の交代制勤務時における仮眠に充てられるべき時間につきましては、この判決の事案とは異なり、労働基準法第三十四条の休憩時間に当たるものであり、勤務時間には相当しないものということでございます。

 当該判決の事案は、従業員が仮眠時間中も警報や電話等に対し直ちに相当の対応をとることなど役務の提供が義務づけられていると評価されましたが、消防職員の休憩時間は、待機場所の指定はありますものの、睡眠を含め、基本的には自由な時間として使用することができ、何らかの役務提供を義務づけられているわけではございません。

 具体的に申し上げますと、一一九番通報の受信事務は、正規の勤務時間が割り振られている指令係員等が担当し、休憩時間中の消防職員は、当該係員等の指令を受けて初めて災害出動等の勤務を開始する、そういう扱いになるということでございます。

神山(洋)分科員 今のお話も、もう少し平たく言ってしまえば、ビルの管理を宿直というか寝ながらやっている人が、それは労働時間とみなすべきだという最高裁判決が出たのは、どこかから電話がかかってくると、直接その管理している人が受けて、それで、そこから出ていって何らかの対応をしなきゃいけないという、その直接電話を受けるということがあるからだと。

 一方で、消防のところでそれは労働時間じゃないとみなされるのは、電話を受けるのは指令センターとかそういったところで、実際に出動する際には、その指令センターから、電話なのか人が来るのかはわかりませんけれども、そこから間接的に、行ってくださいと言って出動するからだという、この直接性の有無というところが大きなポイントなんだろうと思うわけですが、そんなにそれは大きなポイントなんですか。

 いずれにしても現場へ行くわけですよ。要は、知らない人から電話を受けるか、直接知っている中央指令センターの人から受けるか、大した違いはないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

西藤政府参考人 先ほども申し上げましたが、労働基準法上は、この休憩時間は勤務時間には相当しないということでございまして、例えば、指令があって、それを受けて出動した時点で勤務時間に変更になるわけでありますが、それに見合う休憩時間を別途、二十四時間の中で別の時間に休憩時間をとるということでございますので、その時間が休憩時間になる、そういう整理をさせていただいているところでございます。

神山(洋)分科員 とても三十分で済むような議論ではないので、どうしても少し生煮え感が出てきてしまうんですが。

 少し時間的には前になります。これは、一九九〇年、お配りはしていないんですけれども、ILOから一つリポートが出ております。ジョイント・ミーティング・オン・コンディションズ・オブ・エンプロイメント・アンド・ワーク・オブ・ファイアファイティング・パーソネル、消防士の雇用及び労働条件に関する合同会議というところでリポートが出ております。

 その中の一節を見ると、消防士は、非社会的な、非社会的なというのは人間の日常的なものではないという意味ですが、非社会的な時間に勤務することが要求をされているわけですが、これに対してのしかるべき補償を受け取るべきである、消防士が勤務のために待機をする拘束時間についても全て賃金が支払われるべきであるというリポートがILOの方から出ていたりします。

 これに対してはどういう御見解をお持ちでしょうか。

西藤政府参考人 私どもの今の整理といたしましては、先ほど申し上げているとおり、あくまでも休憩時間として仮眠をとっている時間、それに当たっては勤務時間には該当しないという整理をさせていただいているところでございます。

神山(洋)分科員 押し問答をするつもりはありませんが、大臣、きょうこの問題を取り上げさせていただいたのは、まさに大臣が先ほど、前段でおっしゃっていただいたように、救急に非常にオーダーが多くなっていて現場が非常に大変だという話は、もうこれだけ認知をされているわけです。一方で、現場の方々は、使命感なり責任感を非常に強く持ってその仕事を全うしようというふうに努力をされているんだなと私は強く感じます。だとすれば、やはりそういった方の思いなり活動に報いるべきだという思いは、恐らく大臣も同じだと思うわけです。

 この労働時間なのか休憩時間なのかという話は、私は、いろいろな意味で改善をしなきゃいけないことのワン・オブ・ゼムの一つかなとは思うわけです。しかし、やはりこういった一つ一つをもう一度、今改めて、これから先々も含めて考えて、救急に対しての重要性が高まることはありこそすれ、下がることはないわけでありますから、環境を少しでもよくしていくということは、私は誠実に進めていくべきなんじゃないかなと思って、実はきょう、この話題を一つ取り上げさせていただいたわけです。

 各論で、これをピンポイントで今すぐこうしてくださいということまで申し上げませんし、ここで結論をいただくのは無理だと思いますが、大臣、その点、今の議論も聞きながら、どんな印象をお持ちでしょうか。

高市国務大臣 日本では、災害などへの即応体制をとにかく維持するという観点から、消防吏員につきましては、労働基準法の休憩時間の自由利用原則、この適用が除外されているということになります。ですから、業務命令を発して、それで出るということになると、これは勤務時間に繰り込むということになります。

 しかしながら、やはり今、出動回数がふえていますので、心身の疲労を回復していただくということ、これは事故防止にもつながりますし、本当に、国民、住民の命を確実に守ろうと思うと、消防、救急の業務に携わる方々自身が健康で安全でいていただかなきゃいけない、これも重要なことでございます。

 消防庁から各消防本部に対しましては、とにかく消防職員の勤務時間の管理、労務管理を適正に行うようにということで既に通知もしておりますし、特に、かなりきつい勤務になっている救急隊員につきましては、これも労務管理の取り組み状況の調査、分析を踏まえた労務管理の対応の方策を既に示しておりますので、まずはしっかりとした労務管理に取り組んでいただくということだと思います。

神山(洋)分科員 ありがとうございます。

 現場はきついんだという認識は大臣も共有をしていただいているかと思いますので、ぜひこれからもさまざまな形での改善をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて神山洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西英男君。

大西(英)分科員 東京十六選挙区、自由民主党の大西英男でございます。

 大臣には早朝から本当にお疲れさまでございますし、職員の人たちは昨晩は寝ていなかったんじゃないでしょうか。徹夜で御努力をいただいて、私どもの質問がどのような形で展開ができるのか、今、皆様のその徹夜の御努力にお報いできるような提言をさせていただければありがたいと思っております。

 きょうは、まず最初に、偏在是正措置について御質問をさせていただきたいと思います。

 私も、三年前に国会へ出させていただいてから、この問題を幾たびか委員会やこの分科会等で質問させていただきました。高市総務大臣に質問するのもたしか二回目になるのではないかと思いますし、先ほどは、愛知県選出の国会議員の皆様が、この問題について、もうやっていられない、愛知県そして基礎的自治体も大変な財政的な危機に陥っているというような悲鳴を聞かせていただいたわけでございます。

 そして、それは東京も同じくしております。私は基本的に、後で伺っていかなきゃいけないと思うんですけれども、平成二十年に偏在是正措置ということで、九年たちましたね、これは東京都がだまされたんですね。

 時の福田内閣のときに、リーマン・ショックで国も地方も大変な状況にありました。臨時的に地方法人特別税で国をちょっと助けてくれよ、そのかわり東京都が抱えているさまざまなプロジェクトについては国も全面的な支援をするよというような話があって、ころっとだまされて、ずっと今日まで続いて、ようやく消費税一〇%導入時にこの特別税は廃止されることになりましたけれども、これはさすがですよ、今度は法人住民税の一部国税化をこれからさらに強化していこう、そういう方向性が示されたわけでございます。

 これは、十年近くたって、偏在是正にどういう効果があったんですか、どういうふうな前進をかち得ることができたんですか、全くないじゃないですか。

 地方財政は、アベノミクス効果で税収増の結果、基準財政収入額が上がってきました。そうすると、血も涙もなく、基準財政需要額との差額で地方交付税をばっさり切っているじゃないですか。そうしたら、東京都から召し上げた偏在是正のお金は一体どこへ行ったんですか。それこそ、お札には顔は描いていないですよ、わからないけれども、これは全く、当初の地方振興、そして地方の疲弊した財政との偏在是正、そういう目的のために使われていないというのが数字によって明らかじゃないですか。そして、それをまだ継続していこうとしているわけであります。

 さらに、この措置によって、これまで東京都の減収額、累積は一兆三千億円を超えています。東京都だって多くの財政課題あるいは事業を抱えていますけれども、そうしたものに対する一兆三千億円に上る税額が減額をしてしまった。東京都の税収というのは今大体五兆円ぐらいで推移していますから、その五分の一近くが召し上げられたということになるわけでございます。私は、この制度について、思い切って見直しをそろそろしていく時期にあるんじゃないかという観点から質問をしてまいりたいと思います。

 そして、きょうは、我が東京の地方自治の神様とも言える土屋副大臣がお見えでございます。私の思いと通ずるところもおありになるのではないかとは思いますけれども、政府の立場でできるだけ御答弁をいただいて、高市総務大臣には御負担をかけないようにやってまいりたいと思いまして、私、質問の順番を変えまして、一、二、三を逆転させます。三から進めさせていただいて、最後に高市総務大臣の基本的なお考え方を伺って、私の質問を終わりたいと思っております。

 そこで、土屋副大臣、これは、税の偏在というが、何をもって税の偏在というのかというのが明確になっていないんじゃないかと思うんですよ。

 東京都が納めた国税、そのうち東京都民に還元されるのは、わずか九%ですよ。あとの九一%は、島根県を初め多くの厳しい財政状況の自治体に東京都の国税は持っていかれているわけです。

 さらに、総務省の出した数字というのは、これは本当にためにする数字でございまして、こういう数字を出してきているんですね。

 それこそ、地方交付税を入れないで、法人税だとか住民税の額からいくと大幅に東京都は多いではないかというような指摘をしているんですね。都道府県の人口一人当たりの税収額は、法人二税で約六・三倍、地方税全体で約二・六倍という主張を総務省はなさっているんですよね。とんでもないですよ。

 都民一人当たりの、地方交付税も含めてですよ、本来は地方交付税を含めるのが当たり前じゃないですか、地方に行っているんですから。それを含めて試算をすると、全国平均が二十三万一千円、それに対して東京都は二十一万三千円、全国平均よりも都民一人当たりの財政というのは低いんですよ。さらに、多いところでは東京の二倍、四十一万八千円、一人当たりの一般財源額が高いわけですよね。

 何が税の偏在ですか。東京こそ、税を最も多く持っていかれているじゃないですか。これが偏在でなくして何なんですかと、私は都民の立場に立ってお尋ねをさせていただきたいと思います。

青木(信)政府参考人 お答えを申し上げます。

 議員御指摘の、東京都が全国から見て中位ではないかというのは、多分、一般財源ベースで見ての御比較なんだと思います。人口一人当たりの一般財源ベースですね。

 二十五年の決算ベースで、人口一人当たりの地方税収、全国平均を一〇〇としますと東京都は一六六・六、もちろん一番でございまして、一〇〇を超えるのは五団体のみなんですね。

 ただ、今議員御指摘のとおり、一般財源ベース全体で見れば、確かに東京都は、全国平均を一〇〇とすると、一〇三・二と中位ではあります。それは、一般財源の大宗は地方税とそれから地方交付税でございます。この地方交付税につきましては、標準的な行政サービスの提供に係る財政需要のうち税収で賄えない分を措置する、こういうことでございますから、人口密度が低くて面積が大きい、あるいは小規模な団体、あるいは条件不利地域については、人口一人当たりの財政需要が相対的に高くなることを前提として措置されるわけですので、交付税と地方税を合わせて一般財源全体で偏在度の議論というのはなじみにくいのではないかなという気がします。どちらかというと、私どもも資料を提供させていただいておりますが、人口一人当たりの税収というのが、その偏在を議論する、考えるに当たっては自然なのではないかと思っております。

 一方で、いろいろな議論がございまして、財政の自由度ということを考えてみると、超過財源がどの程度あるかということも考慮すべきじゃないかというようなことを言われる、そういう御提言もございますけれども、人口一人当たりの税収で考えていくというのが自然なのではないかと思っております。

大西(英)分科員 それは常識的に考えてみてくださいよ。地方交付税ということこそ偏在是正措置じゃないですか。それによって是正されたのが一般財源でしょうよ、お互いの。そして、それによって一人頭の税源が判断されるというのは、一つの考え方じゃなくて、常識的な考え方でしょう。

 そして、地方交付税の財源の全てとは言いませんよ、東京都の納めた税金の九%しか東京に還元がないというのは先ほども御指摘をしたとおりですけれども、あとの九一%、地方交付税の大部分は東京に入った国税なんですよ。それが、偏在是正で、地方交付税によって全国に配られているんじゃないんですか。私は、総務省がそういったためにする詭弁を弄してはいけないと思うんですよ。

 東京のことだけを私は言っているんじゃないんですよ。もっと日本の自治全体を考えながら、どうしたら自立的に、そして地方分権で地方が強くなっていくか。東京から税源を地方に振り向けたって、これは回っていないんですよ、実態としては。地方交付税の原資にするといっているけれども、地方交付税は毎年減額されているんですから、原資にもなっていない。そういう中でこの制度を続けていくというのは、私は、民主主義、地方分権に反するのではないかということを御指摘申し上げたいと思います。

 そして、今、地方創生、これは日本の命運を制する大事な課題ですよ。この一番の基本は何かといったら、地方がやる気を出すことですよ。元気を出すことですよ。地方の自助努力によってみずからの税源を増大させていくことですよ。

 その一番の税目というのは何ですか。地方法人住民税じゃないですか。先ほども愛知県の皆さんがお話しになっていたけれども、それを上げることのために企業を誘致していく、あるいはイノベーションによって企業が活性化していく、あるいは商店街の振興だとか地域の振興を行っていく、それによって税収を上げていく、それが自立自助への道じゃないですか。地方創生への道じゃないですか。そういう努力をしてきた自治体からお金を巻き上げて、どこへ行っちゃうかわからないような、そんな施策というのが本当に地方創生になるんですか。

 私は、二番目に、法人住民税を交付税の原資化するというような地方自治に反することは見直していくべきだと基本的に考えているんですけれども、これは土屋副大臣、答えにくいですよね。(土屋副大臣「いや、答えられる」と呼ぶ)答えますか。主観を含めて、日ごろからの持論を含めてお答えをいただけるとありがたいと思います。

土屋副大臣 せっかくの御指名でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。

 まず、この日本国の税制のあり方といったものの根本はどういうことになっているかというと、議院内閣制の中においては、政権与党の中で、自民党税調とか公明党税調とかあるいはまた共同の税調とか、こういうことによって最終的にまず決まってくる。最終的にといいますか、最終的な形は法律という形ですが、方針が決まってくる、こういう仕組みをとっております。

 これはやはり、役所が決めるのではなくて、今、総務省の自治税務局長に御指摘がありましたが、与党の税調が決めた方針に従って法律化をしているわけであります。これは、一二一五年のマグナカルタ以来、代表なきところに課税なし、こういう原則が貫かれているわけであります。

 したがいまして、総務大臣も私も役所の人間も、基本方針は大西先生の所属する自民党の税調で相当きちっと決めていただいて、それをもって我々は作業をしているということをまず第一に申し上げておかなければならないと思います。

 次に、第二は、これは長い間、いわゆる垂直調整という言い方で、国と地方団体というやり方で、交付税のあり方をめぐって垂直調整ということが行われてきました。しかし、今から十数年前から、垂直調整をしてもし切れないほど地方団体間でばらつきがありますね。そうすると、国と地方団体との垂直調整も大事だけれども水平調整も必要になってくるんじゃないかということが、これは地方税制を所管している地方財政審議会、こういうことでも議論されてきたわけであります。かてて加えて、知事会とか市長会とか町村会とか、地方六団体からもそのような御指摘をたびたびいただいているところであります。

 それらを受けて、自民党税調そして公明党税調でこういう方向が出てきたということを申し上げたいと存じます。

 水平調整も、やり方とかいろいろなことがあります。率直に言って、地方法人特別税のような、法人事業税のような、いわゆる一旦課税したものを国庫に入れてそれを配分するというやり方は課税権との問題でどうかという議論は、自民党の税調の中でもたくさんあったところでありますし、大西先生もたびたび御指摘をいただいたところであります。

 今回はそれをやめて、いわゆる水平調整にしても、地方交付税の中にきちっと入れるというやり方をとっておりますので、これはきちっとした課税権のルールに従ってやっているのかなということを評価していただければと思います。

 最後に、自助努力によって法人住民税が上がったにもかかわらず、それを召し上げるとおっしゃいましたが、この法人住民税というのは自助努力だけじゃないんですよね。

 例えば、私も長い間課税権者でありましたが、武蔵野市にはNTTホールディングスという会社があります。余り個別の税制について言うとまずいんですが、これは相当世界的な会社で、頑張っております。そうすると、武蔵野市の市政の努力と関係なく税収は上がったり下がったりするんです。

 ということを申し上げて、こういう要素もある、必ずしもこれは自治体の自己努力だけでイコールになったのではない、世界的な動き、日本的な経済活動の中から決まってくるものと考え、何とぞ、この方向については御寛容のほどお願いいたしたいと存じます。

大西(英)分科員 副大臣のお話ではございますけれども、今最後に御指摘になったことももちろんありますけれども、やはり自治体の努力というのも大きく寄与してくるわけでございますから、全てとは申しませんけれども、こういった努力をする自治体が報われる、そして、みずからの財政を健全化させるために、国からの地方交付税におんぶにだっこでなくて、みずからかち取っていく、こういう強い自治体をこれから育てていくのが総務省の役割であり、我々国会議員としてもそのために努力をしていかなければならないと思っております。

 私も、党税調の中では、地方の先輩たちの厳しい、刺すような視線をあえて乗り越えながら、言うべきことを言わせていただいても、多勢に無勢。しかし、私は諦めません。ネバーギブアップで、これからもこの問題は党税調でも真剣に努力をしてまいりたいと思います。

 そして、最後になりますけれども、やはり私は、基本的な地方税財源のあり方、そして安定的な地方税体系がどうあるべきかを今まさに論議するところに来ているんじゃないかと思うんですね。ですから、これから、そういった中で基本的にお互いが論議を進めていく、それこそ、地方対都市との対決が増すような、そういうことでない、お互いが知恵を出し合って、日本としてどうやって地方も潤していくかということを考えていくべきではないかと思っている次第でございます。

 時間が厳しくなってきました。そこで、今後のこうした我が日本の地方自治、そして地方創生のために、税体系の改革に向ける大臣の御意見を賜れればと思います。

高市国務大臣 大西議員には、冒頭、徹夜をした職員をねぎらっていただき、ありがとうございました。といって、優しい質問が来るのかと思いましたら、私ども、朝から、民主党の愛知県の先生方からさんざんに責め立てられ、副主査からもそうだと相づちを打たれ、つらい思いを続けてまいりました。

 今まさに御指摘がありました税の哲学の問題だと思います。やはりさまざまな税があります。そんな中で、稼ぐ人ともらう人の二分化が起きてしまってはいけない。みんなが広く薄く負担をしながら、がんがん稼いでいく人はまたどんどん頑張っていただいて、しかしながら、しっかりとその稼いだ果実を少し、みんなが幸せになるようにという広いお心を持って配分をしていく、格差の是正も一定程度していくというのが日本の税だろうと思っております。

 さっき土屋副大臣が、私が朝から言いたくてたまらなかったけれども言えなかった与党税調の話もしてくださいました。総務省単独で決めているのではなく、主に、やはり与党の税調の中で御議論いただき、そして決定したことが多くの国民の代表の皆様の御意見でもあろうと思いながら、私どもも作業をしているわけでございます。

 今後、やはり地方がもっともっと元気になって、それこそ東京二十三区の皆さんや愛知県の皆様に過分にお世話にならずとも自立をしていける、そんな雇用の場の創出にも努めてまいりとうございます。

 他方で、昔から、花の大東京に憧れて地方からたくさんの人が出てきて、また観光、そしてまた東京や愛知からもたくさん物を買わせていただいているという一面もございます。

 税の哲学の問題ですから、これは終わりなき議論だと思います。常にベストな税の姿というものを考えながら、私どもも真摯に勉強を続けてまいります。

 ありがとうございます。

大西(英)分科員 ありがとうございます。

 何か高市大臣に優しく言われますとついうなずきたくなるのは、男として戒めなければいけないなというところでございまして、政治家として、これからも、もちろん大臣を初め総務省の幹部の皆さんと、本来あるべき税体系はどうあるべきか、それを求めて努力をしてまいりたいと思います。

 次の質問に移ります。

 子ども農山漁村交流プロジェクトの問題でございます。御心配なく、あと五分ありますから、簡単にやりますので。

 これは、土屋総務副大臣が野におりましたときに、我が自民党のプロジェクトチームのリーダーとしてこの問題に取り組んで具体化してきた問題でございまして、私も早速昨年、この制度に乗りまして、江戸川の子供たち四十人ばかりを十勝に送らせていただきました。その後、十勝の人たちとの人的な交流が深まっているようですし、物産や何かも十勝に直接注文をしているようでございまして、この制度、ある意味では地方創生にもつながっていく。都市の子供たちが、地方がどれだけ努力をして、どんな困難を乗り越えて、私たち都市の住民のために食料を生産してくれているか、それが理解できることが、感謝の気持ちを生み出し、高市総務大臣がおっしゃった、お互いがともに支え合う、そういう日本になっていくんじゃないかと思うんですね。

 余りしゃべるといけません。これについて、もう土屋副大臣、よく御存じなので、これは窓口が、総務省があり、文科省があり、それぞれ意義は違うんですけれども、最近は内閣府も始めたようでございまして、自治体や何かはわかりにくいんです。これを、何らかの形で、どこへどう相談すれば自治体が、それが、流れができるのか、そういうことをぜひ総務省を中心にしてやっていただきたいというのが一つ。

 もう一つは、総務省のこのプロジェクトもそうなんです。パイロット事業ということで、一回で終わりなんです。あとは自分でやりなさいということなんですが、継続的にこういったことが、自治体として予算を組み、そして十年、二十年とこの行事が続けられるようなシステムをぜひ構築していただきたい。その点につきまして、御意見を承れればと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。私の方から回答させていただきます。

 先生御指摘のように、子ども農山漁村交流プロジェクトに関する施策、これは文科省、農水省、環境省、そして総務省といったようなところがそれぞれの分野で協力しながら支援を行っております。この子ども農山漁村交流プロジェクトの持ち味、都市と地方の子供の次代での交流ということで、それがお互いの理解を深めるとともに先の交流につながっていくという、非常に大きな地方創生にもつながる施策だという思いを、各省庁、皆持っているところでございます。

 我々、自治体の相談内容に応じるように、関係省庁に適切に取り次ぐような体制も整えているところでございますので、どこに御相談いただいても、ほかの役所のこういう方がよりいいというときにはつなぐような仕組みをとりつつ、連携して支援を行ってまいりたいと考えております。

 また、継続のお話がございました。私ども、総務省の政策がたまたまそういうモデル事業ということで、どうしても単年度というような事業の性格上の課題はあるわけでございますけれども、今の先生の御指摘、御意見というものも十分踏まえながら、関係省庁と引き続き十分連携を図り、取り組みが継続して行われるように進めてまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、御指導のほどよろしくお願いします。

大西(英)分科員 時間が参りました。また今後ともこれらの問題については議論を深めさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて大西英男君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田分科員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、第二分科会で質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。

 それでは、質問を進めさせていただきたいと思いますが、初めに、議会制民主主義の根幹であります選挙、この選挙の投票環境の改善ということについてお伺いをしたいと思います。

 公職選挙法が改正をされまして、ことしの夏の参議院選挙から日本でも十八歳選挙権というものが導入をされる、これをにらんで、若い人の声を政治に反映させるために、投票率、特に、十八歳になって初めての選挙の投票率をいかにして上げるかについて、今さまざま議論がされているところでございます。

 過去の参議院選挙の投票率を見てみますと、ここでは、その選挙のときに初めて投票に行った、そうした集団がその後どのように投票率が動いていくかということをちょっと追いかけてみたんですけれども、どの集団においても、三十歳、四十歳と年齢を重ねるに従って投票率は上がっていっております。少なくとも、政治から離れていくわけではない。しかも、投票率の増加の割合、グラフにした場合のそうした傾き、伸び率というものについては、全ての集団においてほぼ同じとなっております。

 こうしたことからも、最初の選挙の投票率向上は大変重要なことではありますが、ここでは、投票率向上のために考えなければいけない課題として、初めての選挙のいわゆる反対側、高齢者にとっての優しい投票環境の整備、これも大きな問題だと思いますので、この点について質問をさせていただきたいと思っております。

 六十五歳以上の人口は、現在三千万人を超えており、二〇四二年には三千九百万人で、ピークを迎える。その後も、七十五歳以上の人口は増加をし続けることが予想されております。

 団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年を目途に、重度な要介護状態となっても住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後までできれば続けることができるよう、現在、住まい、医療、介護、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が目指されております。病院や高齢者のための施設から地域へという流れの中で、増加する高齢者の投票する権利をこれからいかに保障していくのか、こういう点も、地域包括ケアシステムづくりの中で考えていかなければいけない大きな課題であるというふうに思っております。

 総務省の方で出しております国政選挙における年代別の投票率を見ても、三十代よりも四十代、四十代よりも五十代、さらには六十代と投票率が高くなっておりますが、七十代以上を見ますと、六十代と比べて大きく下がっている。もう少し細かく見ますと、大体七十歳からそれをちょっと超えたあたりをピークに、投票率は減少に転じているようであります。

 この理由はさまざまあるでしょうけれども、やはり加齢によって投票所まで出向くのが困難になる、そうした方の割合が大きくなっているというのが主な要因であろうかというふうに考えます。

 投票所まで出向くのが困難な方のために、例えば、現在は、入院している場合や高齢者施設等に入所している場合には、不在者投票施設の指定を受けた上で不在者投票ができるほか、身体に重い障害があって投票に行けない人が自宅などから郵送で投票する郵便投票制度というものがありますが、郵便投票制度については、対象者は重度の障害手帳所持者あるいは要介護度五の方と極めて限られており、単に歩行が困難というだけでは利用ができない現状になっております。

 年をとって足腰が弱くなってきて、暑いさなかに選挙のときに投票所まで歩いていくのもやっとの思い。やっとの思いで投票所に着いても、座って休む場所もない。投票を済ませて、またやっとの思いで歩いて帰ってこなければならない。こうした声を聞いて、私自身も地元の選管に改善を申し入れたことがありますが、それに対して、パイプ椅子を三つか五つ並べました、そういう対応の返答が返っておりました。

 そういう意味ではないんだけれどもなと思いつつも、ある意味、地元の選管にできる投票環境の改善にはやはり限界があると思います。本格的な高齢化社会をにらんだ投票環境の改善、住みなれた地域で暮らし続けている方々の投票環境の改善ということは、これから国も真剣に考えていかなければならないことだと思います。

 期日前投票が定着をして、新年度予算案においても、投票率向上を図るための期日前投票所の効果的な配置など環境整備の予算が盛られておりますが、これらは、期日前投票時間の拡大や投票日に地元の投票所以外でも投票できるようになるということは、歩行に困難を伴わない人にとっては環境整備と言えるでしょうけれども、そうではない、在宅、これからさらにふえ続けるであろう在宅の歩行に困難を伴う高齢者等の環境整備の視点からはやはり不十分であろうというふうにも考えます。

 こうしたことから、高齢者等が投票しやすい環境整備のために考えていかなければいけないことの一つとして、在宅での郵便投票、現状行われている郵便投票の制度について、対象者の拡大ということも考えなければいけないと思いますが、まず、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙の投票につきましては、できるだけ多くの方に機会を確保するということが求められると同時に、選挙の公正を確保するということも重要でございます。

 郵便等による不在者投票につきましては、昭和二十五年に、疾病等により歩行が著しく困難な方につき認められました。ただ、翌年、昭和二十六年の統一地方選挙におきまして不正がたくさん出まして、昭和二十七年、一旦廃止されたところでございました。その後、昭和四十九年に至りまして、身体障害者手帳における一定程度の重度障害者等に限定しまして郵便投票が再創設され、平成十五年には、各党各会派における議論、協議を経まして、介護保険の制度にも取り入れられまして、現在、要介護五の者を対象に加えるということとなっております。

 現行制度で投票することが困難な方々の投票機会の確保につきましては、総務省としてもその重要性を非常に認識しております。一方で、過去の経緯から、選挙の公正確保という、調和の観点も含めて検討されるべき課題でもあります。また、前回改正時の経緯などもありますので、各党各会派において御議論をいただき、それを踏まえまして、総務省としては適切に対処してまいりたいと考えております。

角田分科員 郵便投票制度というものについては、過去の経緯もあって、対象の拡大というのがやはりなかなか難しくなっているということで、これについては、しっかりと私どもの中でも議論をして、少しでも投票環境が充実するよう考えていきたいというふうには思っております。

 そうしたことから考えて、では、ほかに投票機会を確保、またそういう環境を充実する手法としてどういうことが考えられるかということを考えた際に、投票所までの移動が困難な方の投票機会確保のために、投票所まで巡回バスを運行するなど移動支援を行う市町村に対する支援にも国としてもこれから力を入れていこうとされておりますけれども、これについては、主に、中山間地域など、かなり投票所から距離のある地域において有権者の投票機会を確保していこうということが念頭に置かれているのではないかというふうに思います。

 投票所までのこうした移動支援というものは、さまざまな地域で拡充をこれから進めていくことは大事であると思いますけれども、その一方で、投票所まで歩いていくのが困難な人のために、その投票機会を確保するためにはどうすればいいかと考えた場合に、投票所まで歩いていけないんだったら、投票所の方から歩いてくるしかないんじゃないかというふうにも思います。こうした考え方に立って、これができるのは期日前投票においてであると思いますけれども、移動の投票所といったものも真剣に考えていかなければいけないのではないかというふうに私自身は思っております。

 例えば、今、千葉県では、移動交番というものがありまして、この配備というものに非常に力を入れております。ワンボックスタイプの車であるとかマイクロバスを使って、それに交番の機能を持たせて、事件であるとか事故が多発している地域や、交番を新たに設置してほしいといった地域の要望に対して、そこに移動交番を開設して、各種の届け出であるとかパトロールなどを行っております。

 こうしたイメージで、マイクロバスなどの車両に投票所の機能を持たせた移動投票所というものを、町会、自治会など、そうした地域の要望なども踏まえて、日時を定めて開設をする、こうしたことも考えられるんじゃないかと思います。

 まず、ただいま申し上げた移動する投票所というものは現行の法律上可能なのかどうかを確認したいと思います。

 あわせて、期日前投票所の開設、運用を柔軟にできるよう、予算措置も含めて改善をしていくべきではないかと思いますけれども、この件について御所見をお伺いしたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 まず、期日前投票所の設置につきまして、そのような移動投票所などが可能かという御質問でございました。

 期日前投票所につきましては、朝八時半から夜八時まで一カ所は必ず必須であけておかなければなりませんが、それ以上に開設する場合につきましては、地域の最寄りの公民館あるいは集会所などの施設においても期日前投票所を設置することができるとなっております。そこに車が来たり、あるいは車で荷物を持ってきてそこに開設するということは、法的には二カ所目以上につきましては可能でございます。

 また、そのような今後の選挙への準備として、大型の乗用車などに投票箱の設備を整備して、期日前投票所として巡回させるなどの検討を行っているという団体も私どもは聞いているところでございます。

 総務省といたしましては、そのような期日前投票所の移動に加えまして、中山間地域等において、移動困難な方への投票所あるいは期日前投票所への巡回バスの運行などについても、選挙の都度要請してまいったところでございます。

 また、今回国会に提出しております執行経費基準法の改正案におきましては、投票所への移動支援に対して加算するという規定を新たに設けるというようなこととともに、関連予算を確保しているところでございます。

 今後とも、総務省といたしまして、選挙の公正を確保しつつも、移動支援を初めとする有権者の投票機会の確保につながる取り組みにつきまして、各選挙管理委員会に対しまして、市町村の参考となるような取り組み事例を示しながら、引き続き要請をしてまいりたいと考えております。

角田分科員 ただいま申し上げました移動投票所というものは、現行の法制下で、必須の一カ所、八時半から二十時まであいているところが確保されておれば、それ以外で実施することが可能ということでありますので、やはりこうしたことも積極的に、あとはそれぞれの地元の選挙管理委員会などがどう考えていくかという問題もあるかと思いますけれども、実際にそうしたことをやっていきたいというところに対して、必要な経費等、予算の措置などもしっかりと考えていただいて、少しでも投票環境が充実するようこれからも進めていっていただきたいというふうに要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 地方財政について、少し細かいんですけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 ここでは、普通交付税の財源不足に対応するために発行をしている臨時財政対策債について少しお伺いをしたいと思います。

 来年度の地方財政対策では、地方税、地方譲与税などが大きく伸びてリーマン・ショック以前の水準にまで回復したことに伴って、折半対象の財源不足額が大幅に減少をした、臨時財政対策債の発行も大幅に抑制をされ、リーマン・ショック後の危機的状況下でとられた臨時異例の対応措置でありました別枠加算もようやく廃止されるなど、地方財政の健全化が前進をしております。

 私自身も、この臨時財政対策債の期間を通じて長らく地方議会で働かせていただいた中で、この臨時という日本語が果たして何年間まで許されるのかなと思いつつ毎年の予算編成を眺めていたということもありますけれども、そうしたことからも、来年度以降もこの基調が続いて地方の財源不足が早期に解消され、正常化されることを願うものであります。

 ここでは、臨時財政対策債の発行可能額、これについては、財政力の弱い地方公共団体に配慮して、財源調整機能を強化する観点から、平成二十二年度から段階的に人口基礎方式というものを廃止して、二十五年度から全額、財政力の高い地方自治体ほど発行割合が高くなる財源不足額基礎方式によって算出をされております。

 これに加えて、さらに平成二十七年度からは、区分の見直しというものも行われて、それまで政令指定都市と一般市の区分であったものに加えて、中核市及び特例市が追加をされ、この結果として、発行割合は政令指定都市、中核市及び特例市、そして一般市の順に低くなっていくという形になっております。これによって、中核市及び特例市はこれまでの計算式に比べて発行可能額がふえた、実際には財源不足の折半になっていないのではないかというふうにも思われます。

 まず、この区分に新たに中核市及び特例市というものを設けた理由についてお伺いをしたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 臨時財政対策債の発行可能額につきましては、今御指摘ございましたように、各地方団体の財源不足額を基礎としつつ、財政力に応じた補正を講じて算定しているところでございます。

 その際、従前から、指定都市につきましては、行政権能がその他の市町村より大きく、財政規模が大きいこと等を踏まえまして、臨時財政対策債の発行可能額が多くなるよう区分して算定してきたところでございますけれども、中核市及び施行時特例市につきましても、同様に行政権能の違いがあること等から、平成二十七年度より一般市町村と区分して算定することとしたものでございます。

 なお、中核市等の区分の中で、財政力指数が高い団体ほど発行可能額が大きくなるよう算定しておりまして、財政力の弱い中核市等に配慮しているところでございます。

角田分科員 この考え方なんですけれども、財政力に応じて発行割合が高くなるということは、比較的財政力の弱い地方自治体に配慮をしたものであるということは理解はできますけれども、政令指定都市であるとか中核市といった地方公共団体の権能の差によって算定方式を差別化するということは、臨時財政対策債の発行の目的、制度の趣旨に照らしても、そもそもが余り関係のないことではないかと思います。

 算定方式については、そうした区分に関係なく、やはり財政力で見ていくのがある意味では趣旨にかなった考え方ではないかと思いますので、この点についてはぜひとも改めることを検討していただきたいと思いますけれども、これについての御見解をお伺いします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたとおり、指定都市、あるいは中核市、施行時特例市につきましては、行政権能がその他の市町村より大きいということでございますとか財政規模が大きいということを踏まえまして、今のような形での算定とさせていただいているところでございます。

 平成二十八年度以降の臨時財政対策債の発行可能額をどのようにするかということにつきましては、各地方公共団体の意見等も踏まえまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。

角田分科員 この辺については、地方公共団体の要望等も踏まえながら、しっかりと対応を図っていただきたいというふうに要望をさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきますけれども、地方における、特に専門職であるとか、そうした必要な人材の確保ということについて質問をさせていただきたいと思います。

 私は中核市におりまして、中核市になると何が違うかというと、まずは、保健所を設置しなければなりません。そのためには、医師であるとか、専門職を確保しなければならないということになります。

 ただ、県等と違いまして、中核市等においてはそう何カ所もあるわけではなくて、採用しなければいけない人も限られておりますし、その人の活用方策というものも限られてくる。そうしたところに募集をかけて、応募してくる人材を確保するということが非常に今困難なところが多いというふうに聞いております。

 これは必置でありませんけれども、中核市においては児童相談所も設置できることになっております。現状は金沢市と横須賀市だけですけれども、近年の児童虐待件数の急増に伴って、児童相談所の設置を検討する中核市が出てきておりますし、また、これからふえるかもしれないと言われております。

 やはりその際も大きなハードルとなってくるのが、まずは財政面でありますけれども、それと並んで人材確保の問題です。

 このうち、財政の問題は、それはそれで何とかしなければいけない問題ではありますが、仮にそれがクリアされたとして、大きなハードルとして残るのが人材確保の問題。ただいまは保健所や児童相談所について申し上げましたが、これ以外にも、ITであるとか広報など、高い専門的な知識や経験を有する人材の確保を後押しするということは、これは何も中核市に限ったことではなくて、地方の市町村にとって大きな課題であることから、こうした対応策も考えていかなければならないというふうに考えております。

 地方が必要な人材を確保しやすいようにする仕組みとして任期つき職員制度というものも整備をされて、これまで活用が図られているようですけれども、これについても、募集、採用は個々の市町村ごとに行われているということから、必要な人材を確保するために、こういう人はどこに当たればいいのかわからずに、苦労しているところもあるようであります。

 自分の専門性を生かして地方で働きたいという方と、また、その専門性を求める地方公共団体の橋渡しをする仕組みづくりというものもこれから一層求められてくるというふうにも考えます。

 そのために、例えば、市町村が専門職を確保しやすいように、国による人材バンクの設置など、地方の人材確保への支援が必要になってくるのではないかと思いますけれども、こうした考え方も含めて、御所見を伺えればと思います。

土屋副大臣 極めて今日的な、重要な、地方自治を推進するための人材確保についての御質問かと存じます。

 今御指摘がございましたように、実際に、地方自治の現場では専門職が不足をしているという実態がございます。

 地方自治法で想定している十万人規模の場合には、一般職の割合が、大体七、八百名から、多いところで九百名ぐらい。中核市になると、もちろんその割合で掛け算はできませんが、そういったスケールになるんだろうと思います。

 とはいえ、そういうスケールの市で専門的な知識を持った方を確保するというのは極めて大変であります。

 とりわけ、一人とか二人しか必要ない職種みたいなものを採用するとなると、これは相当難しいことに当たるだろうと思います。例えば、人材が集まっていると思われる東京都なんかも、千代田区の保健所は東京都の職員が医師として行っているわけであります。こういった事例がたくさんあります。

 また、御承知のとおり、最近では、看護師の場合にはもうとり合いになっていますから、中にブローカーが介在しているといったような、そういう深刻な、それで、二年たったらまたこっちへ行きなさい、支度金が出ますよみたいな、こういう話になっていて、今御指摘の点は極めて重要だけれども、現実には労働市場の需給関係によって相当左右されるだろうと思います。

 また同時に、医師などの場合には、地方公共団体の医師は、保健所も含めて、いわゆる最先端の医療技術を駆使して難病に立ち向かうといったような、そういうことも少のうございますので、そういった要素もなかなか医師の確保などを難しくしているんだろうと思います。

 現在、専門的知識経験等を有する任期つき職員は、平成二十六年四月一日現在で千四百七十人が任用され、基礎的な自治体である市区町村では千人が任用されております。

 ところが、内訳を見てみますと、教育研究関係が二百六十九人。これは、臨床士だとか、さまざまなそういう専門的なことなんだろうと思います。一般教諭じゃない部分だろうと思います。それから、土木・建築関係が二百四十一人。これは、ずっと土木・建築の専門家を減らしてまいりましたから、アウトソーシングしてまいりましたので、相当こういったことも不足ぎみだと思います。引き続き、福祉関係が二百四十一人、保健医療関係が百三十五人。この上位四つで何と六割、七割以上を占める、千人のうちの。こういうことになっているわけであります。

 今御提案のあった人材バンクのようなものを国でやって、地域から離れていますから、果たしてどのような効果があるかについては今後検討したいと思いますが、問題意識は同じくいたしておりますので、引き続き市区町村や現場を見ながら対策をとっていきたい、このように考えております。

角田分科員 ありがとうございます。

 地方分権ということに伴って、市町村が創意を凝らしての事業展開というものがこれからますますふえてくることが想定をされます。そうしたことを支援していく意味からも、ぜひまた積極的な検討をお願いしたいと思います。

 時間もなくなりましたので、一点、国勢調査についてお伺いをいたします。

 二十七年の国勢調査は、初めて全世帯を対象とした、インターネットを利用したオンライン調査が導入をされました。インターネットでの回答というものが当初の想定よりもかなり多かったというふうに伺っております。

 これは、国勢調査のための調査員がやはり近年高齢化をしている、また、今は、訪問しても不在でなかなか会えないであるとか、遅い時間の訪問を要望されたり、時には暴言を浴びせられたり、かなり調査員の皆様は御苦労をされている状況がございます。ちなみに、私の地域を担当した調査員さんは八十歳を超えておりました。

 今後は、この調査員の負担の軽減を図る上でも、こうしたオンライン調査というものも非常に重要なことになってくると思いますけれども、一点。

 今回、調査期間が十日間と非常に短かったということが指摘をされておりまして、気づいたときにはもう終わっていたというような声も伺います。

 調査員の負担軽減の観点からも、インターネットによるオンライン調査、こうしたものは、期間を延ばすなりして回答いただく方をもっともっとふやしていくことも必要ではないかと思いますけれども、この十日間という理由、また、今後こうした期間をふやしていくお考えがあるかどうか、お尋ねをいたします。

千野政府参考人 お答えいたします。

 国勢調査の実施に当たりましては、数回の試験調査を事前に実施しております。この試験調査におきまして、週末にインターネットの回答がふえるという傾向がございました。このようなことから、今回の調査では、週末を二回含むような形で回答期間を十日間に設定したものでございます。

 調査の回答期間につきましては、回答者の利便性、それから調査員の事務負担、結果精度への影響などを考慮して検討すべきものと考えております。

 本件につきましては、今回の調査の実施状況を踏まえまして、地方自治体の意見もよく聞きまして、次回調査に向けて検討してまいりたいと思っております。

角田分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

長坂主査代理 これにて角田秀穂君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)分科員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、普天間飛行場移設問題をめぐる国と沖縄県の訴訟について、高市総務大臣などにお伺いをしたいと思いますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 今まで、この問題、昨年の国会で二回ほど取り上げましたけれども、役人の答弁ではどうも解決しないということで、今回はそれぞれ政務の方々から答弁をしていただきたいというふうに思っております。

 まず一つ目、国と県の三件の訴訟について、総務大臣の所感というよりは感想をお伺いしたいと思っています。

 現在、国が県を、翁長知事による移設先の埋立承認取り消しを撤回する代執行のために、昨年の十一月十七日に提訴をいたしております。そして、県が国を、翁長知事による埋立承認取り消しの効力を一時停止する国交大臣の決定取り消しを求めて、昨年の十二月二十五日に提訴しております。そしてさらに、県は国を、総務省の第三者機関、国地方係争処理委員会が県の審査申し立てを却下したことを不服として、国交大臣の決定取り消しを求めて、ことしの二月一日に提訴をいたしております。

 こうした大変不幸な訴訟が三件同時に行われております。地方自治を所管する総務大臣として、こうした不幸な事態に対してどんな感想をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

高市国務大臣 地方自治法第一条の二の規定によりまして、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務の実施など、国が本来果たすべき役割を重点的に担うということにされています。

 一般論として申し上げましたら、国の施策を進めるに当たりましては、やはり関係する地方公共団体の御理解を得るということが大変重要だと認識をしています。

 しかしながら、不幸にして国と地方公共団体の意見が対立する場合にありましては、国と地方公共団体の関係において、地方自治法を初め各種の法令が存在しておりまして、その規定に従って手続が今進められていると思います。

 個別の案件につきましては、総務省としての見解を述べるということは大変難しゅうございます。

福田(昭)分科員 そこで、所感というよりは感想を求めたわけであります。非常に不幸なことが起きております。

 そして、憲法九十五条では、ある一定の地域、特定の地域だけに適用するような法律をつくる場合には住民投票にかけろ、こういう憲法の条文もあるわけであります。しかし、残念ながら、そうしたことも行われないまま、沖縄にのみ米軍基地を実は設置させてきた、許してきた、そういう不幸な歴史があるわけであります。そういう歴史的な経過を経ての、今回の国と沖縄県の三件の訴訟ということになっているんだと私は理解をいたしております。

 次に、この訴訟合戦の原因となった国の行政不服審査法破りについて、総務大臣に、この法律を所管する大臣として、見解をこれからお伺いしていきたい、こう思っています。

 一つ目は、法の支配についてであります。

 総務大臣は安倍総理がよく使う法の支配についてどう考えているかなんですけれども、安倍総理は、法で支配されている国と親しく交流するんだということで諸外国を回っておりますけれども、本人が憲法九条は破るわ、五十三条は破るわ、行政不服審査法も破るわということで、もはや我が国は法治国家とは言えない、そのような状況になっていると私は思っているんですが、法の支配というのを高市大臣はどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。

高市国務大臣 我が国は法治国家でございます。日本国憲法に基づき、それに整合するように各種法令がつくられております。法の支配というのは大変重要なことだと存じます。

福田(昭)分科員 法の支配は非常に重要なことだと思いますけれども、憲法の話はおいておくとして、次に、二つ目、行政不服審査法に規定する固有の資格の概念についてであります。

 総務省がつくった行政不服審査法の逐条解説によりますと、固有の資格の概念は、新法ができましたけれども、旧法第五十七条第四項と同じ内容であり、一般私人が立ち得ないような立場にある状態を指すのだとされるとありますけれども、解釈として、大臣もそれでよろしいと思いますか。いいと思いますか。

高市国務大臣 一般私人が立ち得ないような立場にある状態を指すものだと思います。

福田(昭)分科員 そうすると、三つ目の方に移りますけれども、まさに行政不服審査法に基づく審査請求人としての資格についてということになるんですが、行政不服審査法の目的は、御案内のとおり、国民の権利利益を保護するためのものであり、国の機関または地方自治体は除外をすると、こちらは旧法では行政手続法に書いてあります。しかし、今回新法をつくるに当たっては、あえて行政不服審査法に持ってきました。今まで旧法では、行政手続法に国や地方自治体は除くと書いてあります。しかし、それではやはり法律として余り効果が出にくいということも多分あったんだと思います。それで、新法では、あえてわざわざ行政不服審査法に国の機関や地方自治体を除くと実は規定をしたんですね。

 これは、昨年、五十年ぶりの大改定の中でなされました。私は、これはすばらしい改定だと思っているんです。しかし、そうしたことが、今回、残念ながら、どうもしっかりと認められない中で行われております。

 そこでお聞きするんですが、国または地方自治体が審査請求人としての資格があるのは具体的にどういう場合なのか、大臣からお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 例えば固有の資格に当たる例ということでよろしゅうございますか。都市計画法における都市計画事業の認可でございます。

福田(昭)分科員 都市計画法における認可の場合ですね。その場合に国が具体的に当たるということですね。

 そうすると、それでは四つ目でありますけれども、飛行場の問題に入るわけです。今回のような、沖縄防衛局長に審査請求人としての資格があるのかということであります。

 普天間飛行場の代替施設を建設することは、防衛省、具体的には沖縄防衛局の仕事、まさに事務であって、一般私人が行える仕事ではありません。したがって、辺野古の埋立承認を取り消されたとしても、行政不服審査法に基づく審査請求人としての資格はないと思うんですけれども、いかがですか。

高市国務大臣 行政不服審査法第四条第一項では、「行政庁の処分に不服がある者は、」として、審査請求または異議申し立てをすることができるとしておりまして、不服申し立てができる対象を、処分に不服がある者と広く認めております。

 したがって、国の機関でありましても、固有の資格に該当しない場合、すなわち一般の事業者等と同様の立場において処分の相手方となる場合には、行政不服審査法に基づく不服申し立てをすることができると解されております。

福田(昭)分科員 それは間違った解釈だと思いますね。

 基本的に、要するに、今回、国土交通省にしても、また前回の農水省にしても、どこに焦点を当てているかというと、岩礁破砕それから埋め立てに焦点を当てて、一般の私人がやる行為だからできるんだということで沖縄防衛局の審査請求を認めているわけでありますが、しかし、何のためにやるんだというのが抜けているんですよね。何のために岩礁を破砕するのか、何のために埋め立てをするのか、大目的が抜けています。

 これは飛行場、代替飛行場をつくるために埋め立てをするわけですよ。これが抜けていて、どうして審査請求人としての資格が出てくるんですか。

 埋め立ては何のためにやるんですか、大臣。辺野古の埋め立ては何のためにやるんですか。

上村政府参考人 ちょうど今の御質問にぴったりのお答えになるかどうかわかりませんけれども、固有の資格であるかどうか、それから一般私人が立ち得ない立場であるかどうかといいますのは、それぞれの法令の該当条項がどのような名宛て人、どのような対象を予定しているかということを根拠に判断されるべきものだと私どもは解釈をしておりまして、事業の中身がどうであるか、この場合であれば埋め立てということなんですが、その先の事業がどうであるか、それによって判断をするものではない、あくまで誰が処分の相手であるか、要するに、国だけに限られているか、一般の民間の事業者も許可を受ける立場にあるのか、そこをもって判断をする、こういう解釈をしております。

福田(昭)分科員 だから、言ったように、それは曲解をしているのであって、何の目的で埋め立てをするのかというのがはっきりしていなければ、審査請求人としての資格があるかないかというのはわからないんじゃないですか。

 局長に聞くけれども、では、審査請求人が不服を申し立てた理由は何ですか。

上村政府参考人 まさしく公有水面埋立法の場合は埋め立ての許可を得られなかったということでございまして、それに対する不服というふうに理解をしております。

福田(昭)分科員 それは違いますよ。あなたは読んでいないね。

 これは、要するに、辺野古に飛行場ができなかったら国が大きな損害を受けるからというのが理由なんです。アメリカとの関係がおかしくなっちゃう。外交関係もおかしくなる。それから、それこそ、もしかすると普天間の周辺の住民の危険が除去できないということを理由にして、行政不服審査法に基づく審査請求をしているんですよ。こんなことを一私人が言えますか。どうですか。

上村政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、あくまでも、私どもの法律の条文の解釈といたしましては、それぞれの省庁が所管をされている法律の特定の条項の名宛て人、処分の相手が誰か、そこが限定があるかどうか、そういうことで判断をするということでございます。

 今回の場合でございましたら、所管の省庁がこの解釈に照らして適切に判断をされた結果であると考えております。

福田(昭)分科員 そうしたら、では、今度もう新法に移ったけれども、行政不服審査法を該当させない、国や地方自治体を除く場合には、どういうのを除くんですか。

上村政府参考人 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、都市計画法、これは、あくまでも申請をできる相手方が地方公共団体に限定されております。こういう場合ですとか、また、地方債許可、これも当然地方公共団体でございますので、こういう場合は、当然のことながら、固有の資格に立っている、こういうふうな解釈ができようかと思います。

福田(昭)分科員 そういう解釈では、とてもこの問題は通用しないと思うんだよね、基本的に。

 だって、どんなことがあっても、普天間の代替施設は防衛省の仕事でしょうが。固有の事務でしょうが。どこがやれるんですか、ほかに。

上村政府参考人 何度も同じ答弁で大変恐縮でございますが、この行政不服審査法の不服の申し立てでございますが、それぞれの法律の許認可ないし申請に対する処分について争うものでございますので、その法律がどういう趣旨で、この場合でありますと埋め立てを許可するのかしないのか、あるいはどういう者がこの対象になっているか、それに照らして判断すべきものだと考えております。

福田(昭)分科員 大臣じゃなくて局長になっちゃったので、また同じことになっちゃったのですけれども。

 これはちょっと私も調査不足なんだけれども、平成八年の八月二十八日、最高裁で判決が出ています。代執行に関する訴訟においては、主務大臣が発した、各大臣の指示がその適法要件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべきものと解するのが相当であるという最高裁の判決が出ています。後で私も調べたいと思いますが、まさに今回の代執行にかかわる話だと思います。

 こういうのを調べていますか。

上村政府参考人 大変申しわけございませんが、その代執行につきましては、私どもの局の方では所管をしていないといいますか、事実としては調べておりません。

福田(昭)分科員 これは、私も調べますけれども、ぜひ調べてください。もしかすると、この問題の解決の糸口になるかもしれない。

 話をもとに戻しますけれども、それでは五番目、国交大臣は沖縄防衛局長の審査請求を受理して裁決できるのか。

 今まで議論してきたように、沖縄防衛局長は、公有水面埋立法による埋め立てを取り消されても、行政不服審査法に基づく審査請求人としての資格がないのだから審査請求はできないと私は考えているわけであります。国交大臣はできないものを受理して裁決をしたということになっているわけですが、そのことに対してどう思いますか。

宮内大臣政務官 沖縄県知事による辺野古沖の公有水面埋立承認の取り消しにつきましては、昨年十月十四日に、沖縄防衛局長から国土交通大臣に対し、審査請求及び執行停止の申し立てがございました。

 行政不服審査法上、不服申し立ての資格については、一般に、国や地方公共団体の機関が一般私人と同様の立場で処分を受ける場合は不服申し立ての資格を有すると解されております。

 公有水面埋立法上、一般私人、国ともに、知事の免許または承認を得なければ適法に埋め立てをすることができないことや、知事が免許または承認の審査を行うに当たって基準が同一であるということなどから、沖縄防衛局長は一般私人と同様の立場におきまして処分を受けているものと解されます。

福田(昭)分科員 国交省も農水省もそうでしたけれども、防衛省もそうなんですけれども、総務省ができると言っているからできると言っているんです。だから、本当にそういう意味では総務省に責任があるんです、この法律破りについては、基本的に。

 ですから、そういう意味で、国交省を余り責めてもしようがないんだけれども、総務省がきちっとした解釈をしないからおかしくなっているので、そこは六つ目でまた総務大臣にお伺いしたいと思いますが、行政不服審査法を所管する総務省の法解釈の曖昧さについてであります。

 国と沖縄県が三件の訴訟を同時に行うようになったのは長い歴史があるものと先ほども申し上げましたが、行政不服審査法を所管する総務省の法解釈が防衛省や国土交通省で徹底されていないこともその一因ではないかと思います。防衛省も国土交通省も、総務省ができると言っているんだからできるんだというふうに言っているに等しいんですけれども、総務大臣はいかが思いますか。

    〔長坂主査代理退席、主査着席〕

高市国務大臣 行政不服審査法上、審査請求を受けた行政庁は、その審査請求が適法であるか否かを含めて判断し、裁決をすることとされています。したがって、沖縄防衛局長の審査請求を受けて国土交通大臣が裁決をするということは、行政不服審査法上、何ら問題になることではないと考えております。

福田(昭)分科員 そういう解釈しかできないから、残念ながらこういう混乱が起きているんですね。これはやはりしっかり、できないと総務省が言わなくちゃだめですよ。資格はないと。

 だって、何と書いてあるかというと、結局、国と地方との関係を規定するものについては別途法律で定めると書いてあるんです。しかし、別途法律で定めていないから、行政不服審査法に基づいてやるほかないというのが実態だと思います。

 ですから、こういう問題が実はいろいろあるんです。地方分権が進む中でもありました。例えばですけれども、国が一括交付金を出すようになって、そのお金の使い方について補助金の適正化に関する法律というのがありますけれども、これが実は、都道府県には通用しても、それが都道府県から市町村に、それぞれの県の補助金等交付規則に基づいてもし交付された場合には、残念ながら、簡単に規則の影響力が市町村やあるいは民間の事業者に及ばないという判決が今出ておりまして、大変なことになっているんです。そういう事例もあって、今回、法律の抜け穴を通してやろうということで、とんでもない法律破りだと思います。

 そこで、時間がなくなってきましたので、次に、福岡高裁那覇支部が示した和解案について、防衛政務官の方からお伺いをしたいと思っております。

 一つ目は根本的な解決案、それから二つ目は暫定的な解決案と出てきましたけれども、これについて、沖縄の知事はどうもこの和解案に乗ろうというような報道もありますけれども、防衛省としてはどう考えているんですか。

藤丸大臣政務官 これに対しましては、先日、福岡高裁那覇支部から和解案が提示されております。その内容については、申しわけありません、国は裁判所から対外的には明らかにしないよう要請をされておりまして、そしてまた、政府といたしまして、対応が可能か、今検討中でございます。申しわけございませんが、具体的なコメントは差し控えさせていただきます。

福田(昭)分科員 裁判所から、国として明らかにするな、こう言われているんですが、では、今回、和解案が二つ、根本的な解決案と暫定的な解決案と新聞報道があるんですけれども、これはどこから漏れたんですか。

渡邉政府参考人 福岡高裁から和解案が提示されておりますが、これについては、裁判所から対外的に明らかにするなと私どもは言われておるところでございます。

福田(昭)分科員 明らかにするなという話が新聞に出ているわけでありますが、根本的な解決案について、知事は埋立承認取り消しを撤回、政府は三十年以内に返還か軍民共用化できるよう米国と交渉。暫定的な解決案については、国が代執行訴訟の訴えを取り下げ、埋立承認取り消しの執行停止を撤回、国が改めて不作為の違法確認訴訟を起こす。こういう二つの案が報道されております。

 こんなことを考えると、私はやはり辺野古の埋め立ては取りやめた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 なぜかと申し上げますと、根本的な解決案について、もし三十年以内に返還するというんだったらは、これは必要ないんじゃないかなというふうに考えられます。そういったことから考えれば、暫定的な解決案も要らないね。根本的な解決案として三十年以内に返還するということであれば、これは取りやめるという選択が一番いいんじゃないかなと思います。

 そこで、三つ目でありますが、辺野古は唯一の解決策かということであります。

 安倍総理も菅官房長官も、辺野古は唯一の解決策だと言っているわけでありますが、その辺は防衛省としてはどう考えているんですか。

藤丸大臣政務官 普天間飛行場につきましては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しております。在沖海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスや抑止力を低下させることはできません。そして、沖縄の地理的優位性、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去する必要性など、総合的に勘案し、辺野古への移設が唯一の解決策であるとの結論に至っております。

福田(昭)分科員 それはおかしい話なんですね。どういうふうにおかしいかというと、元駐日米国大使のアマコスト氏はこう言っているんです。沖縄の人が辺野古はだめだと言うなら代替地は幾らでもある、例えばグアム、テニアン初め、ハワイから、たくさんあると言っているんですね。

 また先日、二月二十三日、アメリカの太平洋軍のハリス司令官が米国の上院軍事委員会の公聴会で、辺野古の基地は日本の政府がつくるのが義務だと言っていますけれども、しかし、その中で、二〇二〇年代には八千人から一万人の在沖縄海兵隊員をハワイとグアムに移していくという見通しを示したと報道されています。

 それから、元防衛官僚で第一次安倍内閣の首相補佐官であった柳沢協二氏も、辺野古に二千人ぐらいの海兵隊員が残っても抑止力にはならないと指摘しております。

 加えて、昨年の四月に結んだ新防衛ガイドライン、安倍総理がオバマ大統領と結んできた新防衛ガイドラインで、離島防衛は自衛隊が主体、米軍は支援、補完と書いてあります。沖縄の海兵隊は一体何をするんでしょうか、二千人ぐらい残って。

 しかも、米軍の戦略は、それこそ海兵隊の司令部はどんなことがあってもグアムへ持っていく。問題は、実動部隊をどうするかという話ですが、実動部隊は、今申し上げたように八千人から一万人、グアムへ持っていっちゃうんですね。残り二千人なのか何人なのかということですけれども。それは、米軍にとっては、もし、中国とアメリカ、あるいは中国と日本が戦争するということになったら、一番最初に攻めてくるのは沖縄だ。そこで司令部がやられたのでは戦いにならないということで、まずグアムに引っ越すわけですよ。

 グアムに引っ越せば、いいこともあるんですね。沖縄にいるんじゃなくてグアムへ行けば、実はインド洋も眺められる。イラクやアフガニスタンも見られる。そして、オーストラリアやニュージーランドも眺められる。今問題となっている南沙諸島も実は見られる。

 だから、米軍にとっては、海兵隊の司令部や兵隊がグアムに行く方が実はいいんですよ。それを何で日本が引きとめなくちゃならないんですか。防衛省が、行かないでくれ、行かないでくれと何で引きとめなくちゃならない。全然役立たない海兵隊を、わざわざ大金かけて辺野古に飛行場をつくって、しかも沖縄の人たちが反対しているのに、何で置かなくちゃならないんですか。いかがですか。

石田主査 質問時間が終了したので、簡単にお願いします。

藤丸大臣政務官 今、二千人と言われましたが、二〇一二年の2プラス2の共同発表で、在沖海兵隊、約一万九千人の定員でございますが、グアムに一万九千人中九千人を移転しますので、したがって、沖縄には約一万人の海兵隊が残ることになっております。

 沖縄には三一海兵機動展開隊という初動対応部隊が維持されておりますので、引き続き、抑止力という点では重要な要素として機能すると認識しておるところでございます。

福田(昭)分科員 終わりますけれども、これはしっかり沖縄の意見を聞くべきだと思います。

石田主査 これにて福田昭夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、松浪健太君。

松浪分科員 おおさか維新の松浪健太です。

 大臣、お風邪がきょうはひどいようで、私も、質問するのもちょっとはばかられるようですが、隣に副大臣がいらっしゃるので、かわりに副大臣にもお答えをいただいてもいいかなというふうに思います。

 分科会は本当に大変だと思いますよ。私もこの間、予算委員会で、総理を七時間も張りつけてどないするのやという話をして、これは予算委員会の理事会で随分と話が進んでおりますけれども、分科会も二日ぐらいにしていただかないと、せっかく総理の待遇改善を言った私の顔も立たないなというふうに思いますけれども、あと少しですので、頑張ってください。

 最初に、質問なんですが、通告していないんですけれども、二時から同僚の足立議員が、大臣をおもんぱかって二十分演説をした後に、例の特別多数議決の話をさせていただいたところであります。

 あれはもともと、最初、予算委員会で私が取り上げたものでありまして、ちょっと調べてみると、実に、平成二十五年の四月九日の衆議院予算委員会、多分テレビも入っていて、まだ新藤大臣の時代に指摘をさせていただいたところであります。三分の二の蓋然性というのが本当にないじゃないかと。

 総務省に調べていただくと、これが八つあって、六つは、六項目は、これは全部皆さんの、政治家の身分とか、議会の秘密会の開会とか、副知事、副市町村長の解職請求とか、政治家の身分にかかわるものだから、四分の三とかそういうふうなのがかかっている。

 それで、政策的にかかっているのは、まさに事務所の位置、そして重要な公の施設の廃止、政策はこの二つしかないということをまず根本的に申し上げて、二分の一、多数決で決まるこの政治の世界で、これだけが三分の二をかけていること自体の不自然性ということ、非常に恣意的な立法でないとここまでのことはなかなかできませんよということを、まず指摘を申し上げたところであります。

 新藤大臣も、そのときにはかなり誠実にお答えをいただいて、昭和二十二年にまずこの法律ができて、三十八年のときには、それまで住民投票をかけていたものを規制緩和したんですよ、規制というか要件を緩和したんですよというような話をされていたわけであります。それで、昭和三十八年ですけれども、それからもう五十年もたって、さらなる緩和のときが来ているんじゃないか。

 午前中からの議論を聞いていて、当時の廃止ということなんですけれども、この廃止の理由というのは、住民生活に重要にかかわるという、当時と前提が一緒だとわかるんですけれども、前提が僕は違ってきていると思うんですね。

 新藤大臣も、あのときにたしかお答えいただいているのは、私が指摘したのは、それは確かに公の重要な施設は大事ですよ、でも、昭和三十八年の時代に、今のように民営化とか経営譲渡とか、廃止というのも、完全にやめちゃうということは確かに当時から想定していて、完全にやめたらそれは困るよというので、三分の二というのはある種蓋然性があるんですけれども、今の状態ですね。新藤大臣も認めているのは、民営化とかそういう、今我々がやろうとしている、自治体がやろうとしている、当時、恐らく自治省の方に想像がつかなかった改革の仕方をやろうと言っているんですから、当時つくったときと前提が違うということをまず大臣はお認めになりますか。

高市国務大臣 当時、時代はどんどん移り変わっておりますし、むしろ、さまざまな公の施設につきまして、また、公的なサービスとしてなされていたものに対しまして、可能である限り民営化をしていただいたり、また民間委託をしていただいたりというようなことを総務省の方でも地方公共団体に対してお勧めをしている、そういったことも変わってきていると思います。

松浪分科員 本当に端的でいいんですけれども、この公の施設の廃止という、廃止しかオプションがなかった昭和三十八年の当時と、それから今、民営化等が随分、当時は三セクというような言葉もなかった時代ですよね。いろいろオプションができてきて、昭和三十八年にその法律を改正した当時と今と、随分とオプションの数は法律をつくるにおいて変わってきているということは、大臣も認識があるということですね。

高市国務大臣 オプションというのはいろいろあると思いますが、ただ、これが特に重要な公の施設であるということについて定めるのは地方自治体でございます。全く何もない状態から、幾つか公の施設がある中で、これを特別に重要な公の施設であるということは、議会の過半数で条例で定める、これはもう地方自治体の意思に委ねられているわけでございます。

 反対に、その住民の代表である過半数の方々について全く賛同が得られないということになってしまいますと、これはまた少数意見だけを尊重してしまうということになりますので、これは法的にそう無理のない話だと思います。

松浪分科員 もう何度も議論、やりとりをいただいているので、本当に変えるべきところは僕は変えたらいいと思うんですよね。今まで私も、与党のとき野党のときにかかわらず、国交委員会でマフラーの問題をやったときには、その場で、次にはもう局長さん、あれで省令を変えましたし、厚労委員会でも、これは民主党が与党時代でしたけれども、政令も、ワクチンなんかでも、こんな古い、今でも昭和二十年代のものを使っているんだよというのは、これはおかしいということになれば、もうその場で、民主党政権ですら改めたわけでありますから、こういうことは、おかしいと認められるのであれば認めていただきたいと思うんですね。

 土屋副大臣に伺おうと思うんですけれども、土屋副大臣は市長さんをされておったと思います。高市大臣は、半数で、特別多数議決で特に重要だということを外せばいいというふうにおっしゃる。民営化したいんだったら、特に重要だというそこの指定から外せばいいじゃないかとおっしゃいますよね。それは地方でできるとおっしゃる。

 しかし、僕は、ロジックがそれだと立たないと思うんです。一旦特に重要だということで条例に定めたわけですね。もしそれを外せば、市長さんに、私がその市会議員さんだったら質問します。市長、特に重要だからこれは定めたんでしょう、民営化のために外すということは、つまり、これは特に重要でなくなったということじゃないですか、そういうふうに私が市会議員で反対派だったら市長に聞くんですけれども、例えば、そのときにちゃんと市長としてロジックを立てた、これは副大臣に聞こうが、それとも市長に聞こうが、同じ答え、反論が戻ってくると思うんですけれども、土屋副大臣、いかがですか。どう答えればいいですか、市長さんは。

土屋副大臣 おっしゃっている趣旨が、例えば、いわゆる地下鉄を民営化するといったようなことを念頭に置いておっしゃっているんだと割かしリアリティーがあって答えやすいんですが、そういうお答えでよろしゅうございましょうか。(松浪分科員「はい、結構です」と呼ぶ)

 私は、仮に地下鉄を民営化するということは、相当、財産の処分にも関する重大な事項が起こってくるだろうと思います。それから、職員の身分に関することも起こってくるだろうと思います。それだけの重大性を持つものというのは一般市ではめったにありませんから、公営企業、一般市であるとすれば水道事業をどうするかぐらいの話なんですが、そういう意味では、そういうことを想定した上でこの三分の二という議決が法の中で想定されているもの、このように考えます。

松浪分科員 一般市の話をされましたけれども、大阪は政令指定都市で、バスも市営、それから、私の地元も市営バスがあります、中核市になっておりますけれどもね。

 ですから、一般市を想定で、それを政令市とか中核市にまで適用するんだったら、それはそこを外してもらわないといけませんし、そういった観点で、二分の一で決まる蓋然性が基本ですから、それをわざわざ三分の二にまで上げる論拠としてはそれは非常に弱いということを指摘しないと、一般市の話だけされても私困るんですけれども、政令指定都市とか中核市についてはどうですか。

土屋副大臣 私が一般市と申し上げたのは、一般市ではそれほど地下鉄事業などやっているところはありませんから、そういう意味で、市長の経験からどうですかとお尋ねになったので、私は一般市の市長をやっていたのでそういう場面には出っくわしませんでしたがという趣旨で言っているわけであります。

 なお、今前段で御質問のあった、いわゆる政令市や何かではどうなんだと。

 これは、一般市の中でもバス事業なんかをやっているのがありますから、それはいろいろなことがあるだろうと思いますが、いわゆる公営企業法の適用を受けている事業だろうと思います。

 公営企業法の適用を受けている事業はさまざまな形であって、一般市では水道なんかがそうなんですが、その場合に、もし経営形態を変えたり、仮に純粋に民間にするといったような場合には、財産の処分だとか、それから多数の職員の身分がえだとか、こういう相当いろいろな問題が出てくるんだろうと思います。

 ですから、多数決という場合には、極端なことを言えば、可否同数で議長が決めるというケースだってあるわけですから、こういうことを想定するとそれなりの蓋然性があるのかなという趣旨で答弁をした次第でございます。

松浪分科員 では、今まで郵政も民営化しましたし、JRも民営化した。国は二分の一ですけれども、地方は三分の二、そこの蓋然性ですね。国は、国会議員は偉いから二分の一で、地方の場合は信頼できないから三分の二ということで、それだったら国も三分の二にしないと理屈が立たないんじゃないですか。いかがですか。

土屋副大臣 国は、よくも悪くも立法府としての権限を持っているわけであります。地方公共団体は立法権は持っていないわけであります。

 したがって、立法府がお決めになることは、憲法に直接のっとって、いわゆる国権の最高機関として行動した結果、そのような決定をするわけでございますから、高度に政治的な判断だろうと思います。

 地方自治体の場合には、一つは二元的な自治ということと同時に、立法権を持っているわけではありませんので、これは与えられた条件の中で物事を決めていくということになるだろうと思います。

松浪分科員 今の立法権の話は全く筋が通っていないと思うんですね。自民党で今座られている方も、あれ、今のはちょっとわからへんよという顔をされていますよ、正直言って。それは三分の二にする理屈が全く立たないですよ。

 だって、数ある政策の中で二つだけなんですよ。だから、むしろこれは不自然に残ってきた。

 そして、今、地方に物事を決めろと皆さんがおっしゃる。皆さんは今、地方自治のヘッドクオーターにいらっしゃる方ですから、地方がもっとしっかりと改革できるように、そして首長と議会がもっとリーダーシップを持てるようにするのが皆さんの仕事であって、こんな昭和三十八年の古い規定で、前提も、民営化とかもなかった時代のものを皆さんが後生守るそれこそ蓋然性というのは、僕はないと思うんですよね。ですから、これを行政としても今守らないといけない理由なんて何もないですよ、本当に。

 ですから、役人みたいと言うと申しわけないですけれども、これを二分の一にしたからといって皆さんを非難する声というのは全くないわけですから、地方の要望を聞くというなら聞いていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 それが大阪市全体の要望であり、そしてまた大阪の市議会が決定されたことであれば、つまり、私がさっきから、午前中の答弁でも申し上げたのは、まず、何にもないところから特別に重要な公的な施設だと決める場合には過半数でいい、一旦特に重要だと決めたものを外す場合には三分の二だ、それがアンバランスだというお話をいただきました。

 でも、住民にとって、一回三分の二で特に重要な施設だとされたものを普通の公的な施設だとすると、さっき委員がおっしゃったように、何でという話になりますよね。

 それと、やはり特に重要な施設だと思ってこれまでそれが運用されてきたわけですから、そこのところは、ちょっとハードルが高いけれども、時代の流れも変わってほかに代替的な手段もあるから、これは昔は特に重要な施設だと決めたけれども、今は普通の公的な施設でいいんじゃないのということに変える場合には、過半数の条例改正でできるわけですよ。今特に重要な施設であっても、それを普通の、特にではない施設にする分には、過半数で条例改正ができるんですよ。

 だから、やはり住民に直接投票をして問うという話ではなくて、住民の身近な代表である議会の議員の皆様が半分以上、過半数賛成されたら、その施設の位置づけを変えることができるんですよ。だから、それはやはり、住民から、市長、何でだと問われても、時代が変わったから、ニーズが変わったから、そう御説明になれると思うんですね。ちょっと、おっしゃっていること、議論がなかなか午前からかみ合わないなと思っていたんです。

 だから、何で国会だったら過半数で地方だったらとおっしゃるんですけれども、条例を変えて、普通の公的な施設にするということは過半数でできる、そこは一緒だと思います。

 反対に、過半数の賛成が得られないことを無理やりに少数で変えてしまうというと、これは今度、住民の意思が反映されないということになるんじゃないでしょうか。

松浪分科員 短く答えていただきたいんですけれども、特に重要な公の施設に指定している場合、それを外すと、もし僕が市会議員だったら、市長に対して、重要でないから外す、外すということは、もう特に重要じゃないんですねと。

 特に重要なんだけれども民営化したいということに対して、答弁の整合性はとれないんじゃないかと言っているんですけれどもいかがですかと言っているんです。特に重要な施設から外すわけですよ。外すと、それは重要じゃないということになりませんかということを言っているんです。

土屋副大臣 私は、市長もやりましたし、市会議員もやっております。したがって、市会議員、市長、通算三十年やっておりますので、市議会の現場の感覚とか市長の感覚とかがわかっているつもりでございます。誰よりもとは言いませんが、相当わかっているつもりでございます。

 いずれにせよ、地方議会の構成というものは、例えば、多い場合でも、東京都議会でも百二十七人であります。例えば十万サイズの市だと、これは二十五、六人から三十人であります。一期生もいればベテランもいる、こういう構成であります。こういうことから、意思決定の安定性を求めるために三分の二という議決が出てきたんだろうと思います、特に重要な場合には。

 仮に、一般市の場合に水道事業を考えてみましょうか。水道事業を民営化すると決めました、ところが、次の選挙で民営化をやめると言いました。こういう決議もできます、二分の一なら。

 こういう安定性を求めるために三分の二ということが出てきたんだろうと思いますし、先ほどお話が出ました、国会の場合はどうなんだということですが、国会は、過半数をもって議決をする、憲法九十六条でいわゆる憲法改正の手続などは除いて、それ以外は過半数をもってという、これは憲法上の要請でございますので、どうぞよろしくお願いします。

松浪分科員 恐らく、地制調とかでこういう議論が出てこないと総務省は動かないのかなと、私もちょっと半分諦めの気持ちでありますけれども。

 先般、私は、予算委員会でも、国の中央機関の移転という話で石破大臣に随分と提案させていただきました。国の機関を、地方の手挙げ方式ではなくて、やはりイギリスなんかでは中央の省庁もはっきり言って賃貸が多い。だから、賃料が上がるから、その賃料を下げる分で地方に移転して、賃料も下がるし、そこで雇用もつくってくるというのが、これからの日本の東京一極集中の是正には幾つも幾つもメリットを重ね合わせるということが必要ですよということを申し上げた次第です。

 この事務所の件も多分同じような古臭い議論をされると思いますけれども、この事務所についても、当時は市役所でさまざまな、住民票とかも発行していた。今はコンビニとかいろいろなところでも発行できるし、随分そのニーズというのは変わっているわけで、これについても重要だからということをまたおっしゃると思うんですけれども、本当に時代の変化に早く対応すべきだというふうに思います。何かこれだけでほとんどとってしまったんですが。

 東京一極集中の是正ということをよく言われるんですけれども、大臣、一言で、東京一極集中の今の問題点というのはどういうふうに認識されていますか。本当に手短でお願いします。

高市国務大臣 東京一極集中の問題点、それは、地方から一旦若者が出られるとき、就職時また進学時が多いんですけれども、やはりどうしても、経済性、それから働く場所、いろいろなことを考えると、なかなか地方に戻ってこないということですね。

 東京に何もかもが集まってしまうということによって、リスクの分散ができないことであったり、人口の過密によりさまざまな行政サービスが将来的に受けられないとか、さまざまな問題点というのは出てくると思います。

松浪分科員 人口減少社会で、あした我が国が出生率が二に回復したとしても、我が国はこれから人口が減り続けるというトレンドはもうここ数十年変わらないわけであります。東京の出生率というのは一・一を切ったり切らなかったりと、ほとんど〇・五に近くなっているわけで、沖縄は一・九を超えている。これを比べると、三世代たつと、〇・五の三乗を掛けると、〇・一二五ですから、百人いた人間が十三人ぐらいになる。

 東京で、人がここへ集中したけれども、都市部では地方に比べて、子供をつくったりとかそういう傾向がない。とうとう地方からの供給が今途絶えかけているというこの構造的な問題を、やはり我々は認識しないといけない。

 石田先生も土屋先生も、かつては自民党の道州制調査会で大変私もお世話をいただいたので、釈迦に説法になるかもしれませんけれども、まさに道州制というのは国のOSを変えた。

 明治維新というのはどういう意義があったかというと、まさに明治維新のときは外圧があったわけですよね。あのときの外圧は、黒船が来て、我が国がもう存続できない可能性があった。今我が国にあるのは、人口減少という内圧にどう立ち向かうかということでありまして、今までのやり方を使っていてはもうだめだということであります。

 そうした中で、明治維新における廃藩置県というのは、私は、すさまじく大きな、我が国が復活するための意味合いがあったと思います。もうこれはやりとりしませんけれども、つまり、明治の三大改革は地租改正、徴兵制、学制であって、統治機構が変わることによって、結局、年貢米がお金になり、お侍さんが軍隊になり、そして寺子屋が学校になった。我々の教育、軍事そして税制が全て入れかわるだけの力があったということであります。

 私、今回、いろいろな道州制の質問をしようと思って愕然としたんですけれども、かつて私も、内閣府の大臣政務官を地方分権担当でさせていただいた。そのときの上司は鳩山総務大臣でしたね。しかし、今それを質問しようとすると、これがまた、副大臣を用意しましょうかとか、この時点で、今構造的に、政府の方では、これは高市大臣に言ってもしようがないんですけれども、今皆さんは、地方自治という最先端を扱いながら国の形を考える立場にあるということでありますので、私は、やはりこれは、総務大臣が地方の問題には、今までの常識を覆して、はっきり言って、さっきの特別多数議決みたいな小さい話はやりたくないんですよね、こんな小さい話は。もう本当に、もっと大きな話をさせていただきたいと思うんです。

 時間が非常になくなってきておりまして、結局、人口減少でこれから行政に関しては税収が減ります、企業にとっては顧客がいなくなります。政治には有権者が少なくなると言ってもだめなんですけれども、今の政権与党にとっては、このままでは自民党の力が強い地方の選挙区がどんどんなくなっていってしまうという、もう本当に、すさまじく政治が不安定化と今野党にいる僕が言うのもなんですけれども、これをするというのがこれからの政治のトレンドだと思います。

 ここで僕もたくさん質問したかったんですけれども、かつて都道府県合併特例法という法律があったなと思いまして、僕もこの地方自治制度の本を久しぶりに読みました。謹呈松浪健太様、何と久世公堯先生からいただいた。懐かしいですね。

 かつて昭和四十一年に出た、流産した法律ですけれども、これの中では、それこそ三分の二ですよ、議会で三分の二をとれば都道府県は合併できるし、そして二分の一以上三分の二だったら住民投票しなさいよという、本当にリーズナブルな法律だったんですね。

 市町村合併は進めてきたわけですけれども、都道府県合併は、きょうは質問通告で出していましたけれども、地制調の第九次、十次で、もうそのときから都道府県の大きさというのは問題になっているんです。これが明治二十二年でしたか、今の地方制度が入ってから都道府県の枠組みは変わっていないんですけれども、二〇〇〇年の初めごろは、私もちょうど青森で記者をしていたころは、木村知事なんかが、東北三県合併構想なんというのがあったんです。

 私は、やはり国がこういうものは先手を打って、皆さんのオプションを広げておきますよということを示すことは非常に大事だと思うんですね。本当に人口減少しているから、参議院の一人区すらもう維持できないわけですから、ある種の大合併をしやすいように、市町村で地方中枢拠点都市なんというよりも、県庁すらそういうことで四十七も維持できるわけがないわけですから、だから我々は副首都とか言っているわけで、国を、本当に中枢都市というものを分けていかないといけない中で、私は、都道府県合併特例法のように、今合併しようと思ったらわざわざ国で法律をつくらないかぬということですので、このあたり、やはり総務省の中でもう一度研究をいただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 平成十六年に地方自治法が改正されまして、都道府県の自主的な合併の手続が定められたところです。自主的な合併ということでしたら、これは今も一つの選択肢としてしっかりと存在すると思います。

石田主査 もう時間が参りましたので、よろしくお願いします。

松浪分科員 ただ、釈迦に説法ですけれども、都道府県の名称自体もわざわざ法律で定めなければならないというようなところになっておりますので、このあたりも含めて、さらなる御研究をよろしくお願いいたしたいと思います。

 大臣、お風邪のところ恐縮です。ありがとうございました。

石田主査 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。

 次に、畠山和也君。

畠山分科員 日本共産党の畠山和也です。

 きょう、私で十九人目ということで、本当に大臣、お疲れと思うんですけれども、元気そうにも見えますので、厳しく質問をさせていただきたいと思っています。

 初めに、遊休農地の課税問題について伺います。

 遊休農地については、農業委員会が年一回、農地の利用状況を調査して今後の利用意向を尋ねるとしています。意思表明から六カ月経過しても耕作されないときや、耕作の意思がない、あるいは意思表明がない等の場合は、農地中間管理機構との協議を農業委員会が勧告するという枠組みになっていますね。

 そこで、まず総務省に確認をします。

 勧告を各農業委員会に任せるとなれば、団体ごとに違いが出ることも予想されます。課税の公平性という原則から見てふさわしいやり方と言えるんでしょうか。

青木(信)政府参考人 お答え申し上げます。

 遊休農地の有効利用を図るため、今回の改正案におきまして、農地法に基づき農業委員会から農地集積バンクと協議すべきことを勧告された遊休農地について、平成二十九年度から課税の強化を行うこととしております。

 この課税の強化の対象は、農業委員会が農地法に基づく手続を適正に行った上で勧告に至った遊休農地としたところでございます。また、農地の評価において乗じられる割合を、勧告を受けた遊休農地について乗じないこととしているわけでございますけれども、この割合は農地売買の特殊性を考慮したものでございまして、農地として耕作されていない遊休農地に乗じないということについては合理性があるものと考えております。

畠山分科員 合理性は農地の特殊性においてあるんだという答弁ですけれども、しかし、同じ農地でも使用状況によって税額が変わることになるのは事実であります。しかも、今言ったように、農業委員会や課税当局の判断で変わり得ることがあるので、私は、原則から外れているというふうに考えます。

 そこで、農地中間管理機構に勧告がそれでもされて、そして、機構は裁定の申請を出して、最終的に都道府県の知事が裁定すれば、課税対象の遊休農地がふえるということになります。

 今度は農水省に伺います。

 直近の、機構で、この勧告の件数について答弁してください。

山北政府参考人 先生御指摘のとおり、二十六年四月の農地法の改正で、先ほど先生がおっしゃったような仕組みができたところでございます。

 それで、現在、機構との協議の勧告まで至っている件数でございますが、平成二十七年の実績で四百十六件となっているところでございます。

畠山分科員 四百十六件というのは、勧告まで至って、勧告をしたものですか。もう一度確認します。

山北政府参考人 四百十六件が、勧告をしたものでございます。

畠山分科員 その四百十六件なりの勧告したものが、今度は、課税も含めたものになっていくわけですから、つまり、農業委員からしてみれば、今度、勧告の行き着く先に、課税強化となる可能性がある勧告となるわけですよね。ですから、農業委員からすれば、課税の責任の一端を負わせられるというふうになるわけです。

 ですから、不在地主がいるとか、所有者不明の農地があってその特定に時間がかかるとか、自治体合併によって調査の範囲が広がって、今でさえも時間が足りないとかいう状況の中に、こういう状況がさらに加わるわけですから、現場の混乱が起きるんじゃないかと私は思うんですね。何でそこまでしてこの課税強化策をする必要があるのか、私は根本的な疑問があります。農水省、もう一度お答えください。

山北政府参考人 お答えいたします。

 農地中間管理機構を使いまして、遊休農地の解消、担い手への農地の利用集積ですとかあるいは集約化を進めていくということは、農業を成長産業化していく上で極めて重要な課題だというふうに我々は考えております。

 機構の発足によりまして、近年停滞しておりました農地の流動化、これも再び動き出したというところではございますけれども、十年間で担い手の農地利用面積のシェアを現状五割のところを八割に引き上げるという目標を達成するためには、機構を早期に軌道に乗せていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 機構の初年度の実績から見ました問題点の一つでございますが、農地の所有者が、みずから耕作できない農地につきましてもなかなか貸し付けに踏み切れないということがございまして、税の仕組みも使いまして、所有者の機構への農地貸し付けのインセンティブを強化する必要があるというふうに考えているところでございます。

 このため、今回の法案につきまして、まずは、農地法に基づきまして農業委員会が所有者に対して機構と協議すべきことを勧告した遊休農地の課税強化と、あわせまして、所有する全農地を機構に十年以上の期間で貸し付けた場合、固定資産税の課税標準を二分の一にする措置、言ってみれば軽減措置でございますが、セットで講じることとしております。

 課税強化の対象でございますが、農業振興地域内の遊休農地、十万八千ヘクタールあるわけでございますが、そのうち、言ってみれば、農業委員会による協議の勧告が行われたものということでございますので、実際に課税強化がされるものは、機構への貸し付けの意思表明もしない、あるいはみずから耕作の再開も行わないということで、遊休農地を放置している場合に限定されるということでございます。

 いずれにしても、大切なことは、この機会に地域の農業者がよく話し合っていただいて、遊休農地を発生させない、あるいは放置しないということで、機構への貸し付けを活用していただくことによりまして、人、農地の問題を解決していくことにあるというふうに思っているところでございます。

畠山分科員 限られた時間ですから、聞いたことだけお答えください。

 遊休農地の解消といって、インセンティブという言葉を使いましたけれども、それなら政策減税だけでやればいいのに、課税をするというのはディスインセンティブだということから説明はずっとしているじゃないですか。だめですよ。

 農水省が昨年十二月に出した「「日本再興戦略」改訂二〇一五 KPIの進捗、及び施策の実行状況について」の中に、「農地中間管理機構の機能強化」というページがあります。そこには、「機構を軌道に乗せるための方策」として、「遊休農地等に係る課税の強化・軽減等」とある。遊休農地の解消が目的じゃなくて、機構の実績を上げるための課税ということが農水省自身の文書の中にあるわけですよ。遊休農地の活用という理由は後づけなんじゃないですか。とんでもない。撤回を求めます。

 また農水委員会でも、私は委員でもありますので、農地問題については今さまざまな問題が出ていますので、今後取り上げたいというふうに思っていることを表明しておきます。

 きょうの本題に入ります。北海道夕張市の財政再生問題について伺います。

 きょうはほかの委員からも質問が出ていますので、さらに私から、掘り下げて質問したいと思っています。

 財政再生団体に移行して十年となりました。実質赤字三百五十三億円に対して、返済は、今年度で約九十二億円になるというふうに現地で私も伺ってきました。

 まず、この十年間の法的仕組みを確認しておきます。いわゆる自治体財政健全化法のもとで、夕張市は、財政再生計画を総務大臣に協議してその同意を求める、つまり、国の同意のもとで行財政が執行される関係になったという基本的な考え方で間違いありませんね。

安田政府参考人 お答えいたします。

 夕張市は、平成十九年三月に旧再建法に基づく財政再建団体となり、その後、新たに制定されました地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づきまして、健全化判断比率が財政再生基準以上であるため、平成二十二年三月に財政再生計画を策定し、総務大臣の同意を得たところでございます。同法に基づきまして、同計画を変更する際にも大臣の同意が必要であるとされているところでございます。

畠山分科員 それで、夕張市の今のこの状況を見回せば、今年度で財政の市税収入は八億円程度とされていて、ただ、先ほど言ったように、今年度は二十一億円ぐらいになるのかな、返済の見込みだという話です。今後も、毎年約二十六億を返済することになっています。明らかに巨額です。

 この返済の原資は何に依拠してきたと考えますか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 夕張市におきましては、財政再生団体移行当時に約三百二十二億円の解消すべき赤字額があったわけでございますが、この赤字額につきましては、再生振替特例債という赤字特例債に振りかえて償還を行っていただいているところでございます。

 この償還につきましては、歳入歳出両面ございますけれども、歳入でございますと、例えば、市税の税率の引き上げ、これは市民税の均等割でございますとか所得割、固定資産税、軽自動車税といったもの、それから使用料、手数料の見直し。あるいは、歳出でございますと、人件費の見直し、現在でございますと、基本給が平均一五%削減されております。また、職員数も大幅に削減されております。また、施設の統廃合、小学校六校が一校、中学校三校が一校。こういった取り組みによりまして生ずる財源により返済を行っているものと承知しております。

 総務省といたしましては、この再生振替特例債の償還に係る利子につきまして特別交付税措置を行っているところでございます。

畠山分科員 そのようなことで、これからも同じ金額を返済し続けるということになるならば、市民の総人口や労働力人口、そして市の職員も同数いないとできない、そういう原資になっているわけですよ。

 これは数字だけ端的にお答えいただきたいんですが、十年前、そして直近の夕張市の人口、あわせて、国立社会保障・人口問題研究所の二〇一五年予測での夕張市の人口について答弁してください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 夕張市の財政再建団体移行前でございます平成十七年、二〇〇五年の国勢調査における人口は一万三千一人、また、まだ北海道の独自の発表でございますけれども、平成二十七年、昨年二〇一五年の国勢調査速報値による人口は八千八百四十五人となっていると承知しております。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、二〇二五年には六千七百七人、二〇三五年には四千六百七十五人となる見込みが示されていると承知しております。(畠山分科員「二〇一五年、そう私は聞きました」と呼ぶ)二〇一五年でございますか……

石田主査 もう一度答えてください。

安田政府参考人 まず、二〇一五年、平成二十七年につきましては、既に北海道が独自に発表しております。これは……(畠山分科員「そうでなくて予測」と呼ぶ)予測値でございますか。済みません、今手元に人口問題研究所の二〇二〇年の数字があるのでございますが……(畠山分科員「それじゃ結構です」と呼ぶ)はい。

畠山分科員 事前に通告していますから、お願いします。

 二〇一五年予測は九千二百五十八人だったはずです。いずれにしましても、予測を超える人口減少です。

 そこで、資料をごらんください。二月六日付の北海道新聞で、鈴木直道市長がインタビューに次のように答えています。財政再建だけ取り上げれば優等生としつつ、副作用が出ています、人口の減少ですと答えております。

 めくっていただいて、二枚目ですが、全国や北海道の近隣自治体と比べても減少幅が大きいことを、私の事務所の責任でグラフとしました。このように、大幅に右肩下がりであります。

 五歳以下の人口を見ても、二〇一五年四月現在、百八十人なんですね。五年前は二百六十一人といいますから、人口も子供の数もそろって三割減少です。これほど減少している自治体は、国内でほかにないだろうと思います。

 夕張市は、大臣は昨年来られたので御存じだと思いますけれども、東京二十三区とほぼ同じぐらいの面積を持っているにもかかわらず、先ほどあったように、行政サービスの削減の中で、小中学校が一校になり、あと、市民会館、図書館、美術館が廃止、公園や体育施設も一部閉鎖、下水道使用料は六六%の値上げ。

 大臣に伺います。このような環境の中で、夕張に移住して子育てするというのはやはり厳しいと思うんですよ。同じような認識をお持ちになりませんか。

高市国務大臣 実際に六月に夕張市を訪れまして、鈴木市長初め市民の皆様の、特に子育て環境の充実に対する要望の声を伺いました。

 やはり若い方々がどんどん市の外に出ていかれる、これをどう食いとめるか、むしろふやしていくかということを考えると、働く場所、それから子育て環境だと思います。それでなくても、税金が上がったりしてなかなか暮らしにくくなっている中で、行政サービスの充実も図っていかなきゃいけないし、財政再生を図りながら働く場所をつくっていく、子育て環境を充実するということだと思います。

畠山分科員 子供の減少がとりわけ、その町に住む子育て世帯の減少にもなっているわけですよね。ですから、税収が減る要因にもなります。これが、この間、国のもとで行われた財政再生の十年の結果だと私は強調したい。

 どうするか。資料の三枚目をごらんください。これは、夕張市内の事業者に、市外から通勤、勤務している方へアンケートをとったものがあるんですね。そんなに多くないので、例えば二十歳代は三十五人とかいうふうになっていますけれども、夕張市でいえば大きな数字です。これによれば、上の方のグラフですが、夕張市への居住意向で、居住条件が満足できれば住んでもよいという方は、二十代、三十代でも二割から三割います。その条件を聞いたものが下のグラフですが、身近で買い物ができる、住宅が確保されている、除雪がしっかりされ冬の生活に困らない、あるいは医療や福祉の支援が充実しているの順で、過半数となっています。

 つまり、これまで削られてきた住民サービスを戻すことが一番の解決策なんですよ。巨額の返済額が現状のままでいいと私は思っていないけれども、少なくとも、今、十年を経て、財政再生計画を柔軟に見直す必要が示されているんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 一つずつ進めております。例えば、就学前の児童の医療費無料化についても、これは平成二十五年ですが、市からの要望を踏まえて、財政再生計画の変更に同意をしております。また、保育料などに関しても、近隣市町村よりも高い水準になっていますから、この格差というのがやはり市外に子育て世代の方々が流出する原因の一つでもあろうと思いましたので、これも、市の要望を踏まえまして、平成二十八年度より保育料の引き下げを実現して、近隣市町村と同水準とすることとしました。

 今後もさまざま、先ほど私が申し上げましたように、今度は稼ぐ力もつけていくということも含めて働く場所をふやしていく、そのための取り組みもあわせて必要でございますので、これは市のお声を伺いながら、協議会、三者の協議の場がございますので、しっかりと協議を進めてまいりたいと思います。

畠山分科員 財政再生十年の大きな副作用がもう一つあるというふうに、夕張の鈴木市長さんの新聞を読んで私は思いました。それが市の職員の減少です。

 これは、資料の最後の四ページ目をごらんください。時間がありませんので、端的に二つ指摘しておきたいと思うんです。

 一つは、大幅な職員減少によって、派遣職員なしでは成り立たなくなっている。今年度を見れば、百十九人の職員のうち派遣が二十二人で、既に二割近くになっています。十年前は予測しなかった、それこそ、今進められているマイナンバーなどの業務がふえているので、派遣しても追いつかない状況が生まれていると私は思うんです。

 それからもう一つは、若い職員の年度内退職が相次いでいることです。この五年間で見ても、二十九歳以下が六人、三十歳代が二人などに、これに年度末の退職者も加わるわけです。給与の削減とか、若い職員ですから、もちろん子育て環境とか、あるいは自治体職員としてのやりがいが得られにくいなどの要因が考えられます。これは昼に大臣からも答弁がありました。

 それで、今働いている職員の多くは、財政破綻当時の管理職ではないんですよね。既に当時の職員の七割超は退職済みであります。どこまで自分たちが責任を負うのかと悶々としながら職員が働いているだろうということは想像にかたくありません。

 そこで、大臣に伺います。このままでは、返済が完了しても行政機構の継続性が成り立たなくなる心配が私にはあります。プロパー職員が育たない。この認識を共有されますか、どうされますか。

高市国務大臣 その話も鈴木市長から伺いました。やはり給与の引き下げ等、これは再生していかなきゃいけないわけですから、本当に必死でやってこられたわけですけれども、それによって士気が下がっていること、優秀な人材の確保が難しくなっていること、それに加えて、やはり離職される方が多いということについても切実なお声を伺いまして、多少の改善をしたことにつきましては、昼の答弁、御承知のことと思います。

 夕張市の再生方策に関する検討委員会の設置がありましたので、今議論がなされていると伺っております。間もなくその報告書も出てくるかと存じますので、今後も、市からもよく御意見を伺いながら、また三者協議の場で市、北海道と協議を進めてまいります。

畠山分科員 私は、北海道比例の選出でして、当時から夕張の現状を聞いてきた者の一人という思いがあります。国として、ぜひ今の夕張の現状に危機感を持って踏み込んでほしい、踏み込まないとだめだと私は思っているんですよ。住民サービスが削られても、あるいはこんなふうに給与が削減されても、町に残る市民や市の職員は十年間、複雑な、時には理不尽な思いを持ちながら責任を果たしてきたという思いがあるんですよね。

 ここまで市民が責任を負うべきなのかという気持ちが出るのも当然だと私は思います。

 だって、夕張市民というのは、御存じのように、さまざまな国の政策によって市民生活が左右されてきた歴史があることは、大臣も御承知だと思うんですよ。

 まず、エネルギー政策の転換で炭鉱が閉山されて、炭鉱会社の土地、社宅、病院などを買い取った際の市債の発行が三百三十二億円でした。

 次に、国が旗振りをしたリゾート開発政策で、これに対する市のやってきたことについてはいろいろ意見もあるでしょうが、いずれにしても、事実としてあったのは、進出した松下興産が早々に撤退して、ここでも市が、市民の働く場を維持するために、スキー場やホテルを買い受けた。金融機関もどんどんどんどん貸して、結局、道庁に債権をつけかえて回収して、責任を金融機関がとらなかったということも、市民は目の前で見てきています。

 そして、追い打ちをかけたのは国の行財政改革だと私は思います。交付税において産炭地補正がなくなった後、三位一体の改革で地方交付税も削減されて破綻に至ったというのが、歴史を追った順序ではなかったでしょうか。こういう歴史の中に市民が生きてきたわけです。

 これまで我が党は、国の責任については何度かただしてきました。二〇〇八年五月二十一日、参議院の決算委員会で、当時の増田総務大臣は、「国に責任がないというようなことを申し上げるつもりはございません」と答弁しました。二〇一〇年三月十九日の参議院総務委員会では、政権は違いましたけれども、当時の原口総務大臣は、我が党の指摘に、「委員がおっしゃっている認識は正しい」と、認めています。

 そこで、十年たった今、夕張市は市民とともに財政再生計画をきちんと実行してきました。今度は国が応える番だと私は思います。現状のままでは、今後の返済の土台さえ崩れようとしている。現実的に考えたときにも、債務返済の圧縮とか期間の短縮とか、これは一例ですが、柔軟に考える時期ではないのかと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 私が夕張に伺ったときに一番心に残っている出来事が、役場の方に参りましたときに、たくさんの御高齢の方々が出迎えてくださいました。自分たちの世代に責任がある、一時行政が思ったような方向じゃない方に走ってしまってこうなってしまったとおっしゃったのを聞いて、本当にもう涙が出ました。

 確かに、国のエネルギー政策の転換やそういったものに翻弄されてきた。一時は、やはり行政が必ずしも正しくない方向だったのかもしれません。いろいろな事情が重なっていて、でもそれを、ごくごく普通に暮らしていらっしゃる市民の方々が、そういう行政を選んでしまったのも自分たちの責任だ、自分たちの世代の責任だ、若い、子供たちの世代に苦労をかけたくないというようなことをおっしゃった。それが一番私にとって悲しくて、つらくて、せつない出来事でございました。

 今度、もう委員は十分御承知だと思いますけれども、二回も土砂災害の原因になった、炭鉱から出たズリを積み上げた山も、ようやく調整炭として新たに売り物になる、そういった形ができてまいりました。

 これから、総務省も、ローカル一万プロジェクトもやっておりますし、また、いよいよ来年度から事業化も始まりますけれども、再生可能エネルギーのインフラプロジェクトもございます。いろいろな、これからやはり富を生み出していく、若い方々が希望を持って働く場所ができていくような、そういう支援をしたいなと考えております。

畠山分科員 市民だって、ただ我慢に我慢を重ねているわけじゃないんですよね。

 私、先日夕張に行ったときに、あるNPOの団体の方をお伺いしました。小学校の跡地で、障害児支援とかあるいは子供の放課後支援などを地域や保護者の協力で行っていました。それだけじゃなく、調理免許のある六十代の方が、小さいものですけれども、パートでレストランをそこでやっていたりとか、炭鉱から出る湧水を使った小水力発電や、堆肥熱を活用して体育館の中にハウスをつくってチコリとかホワイトアスパラなどもつくっているんです。理科室は陶芸場、そして視聴覚室は高校生などのバンド練習など、市民自身による新たなまちづくりの努力も夕張では始まっているんですよね。

 債務の見直しといったときに、重い負担の解消だという面と、このような市民の努力を後押しするという面とがあると思うんですよ。債務の見直しは、決して否定的な意味じゃなくて、積極的な意義があると私は訴えたい。

 自治体財政健全化法の第二十一条には、「国及び他の地方公共団体は、財政再生団体が財政再生計画を円滑に実施することができるよう配慮するものとする。」と書かれています。配慮というと、何か国が上から配慮してやるみたいな言葉で私は余り好きじゃないけれども、しかし、現状は、今この規定に基づく精神を国が発揮するときだと私は重ねて訴えたいんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 鈴木市長からの御要望を受けて、私のできる範囲内で、必要な変更についてはしっかりと認めさせていただきます。そしてまた、前向きな応援、とにかく働く場所を生み出す、子育て環境をよくするための応援をさせていただきたいと思っております。

畠山分科員 今、先ほどからあったように、夕張市も十年を契機にした第三者の検討委員会を立ち上げました。検証結果を持って、来月になるんでしょうか、多分市長さんが大臣にお会いに来るのではなかろうかと思うんですよ。その中身をぜひ正面から受けとめていただきまして、言葉だけの激励でなくて、今私がずっと三十分間言い続けたように、具体的な施策に踏み込んで示してほしいというふうに思います。何よりも、先ほど紹介したように、夕張が国策によって随分と苦労をし、その責任を過去の大臣もそれなりのそれぞれの表現でしてまいりました。

 最後に、私、市民から聞いてショックだった話を一つだけ訴えたい。子供たちへの影響です。

 この十年間で生まれた子供たちには何の責任もありません。しかし、近隣自治体の子供たちから、おまえの町は貧乏だとからかわれたんです。町は貧乏でも家は金持ちだと大見えを切った子供もいれば、何も言えなかった子供もいたというんです。どうしてこれで夕張に誇りを持てると言えますか。

 本当にこういう子供たちや市民を応援するために、国が今こそ力を発揮してほしい。町に誇りを持っている住民の力で地域社会は成り立っていますし、炭鉱で多くの労働者が犠牲になった中でも、夕張が好きで残っている今の市民を励ます立場に国が立つべきだということを最後に強く強調して、私の質問を終わります。

石田主査 これにて畠山和也君の質疑は終了いたしました。

 次に、今枝宗一郎君。

今枝分科員 自民党の今枝宗一郎です。

 今回も質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。大臣や全ての皆さんも本当に、夜遅く、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 私が十五歳のとき国会議員を志した原点というのは、医師不足問題を解決し、医療崩壊を食いとめて、国民の皆さんが誰でも安心をして医療を受けることができるようにすることでありました。

 そのために現場を知らなくてはならないという思いで、一旦医師になり医療現場で経験を積むことを決意し、医学部に入学をいたしました。そして、医師となってからは、医療崩壊が起こりかけていた東三河の公立の医療機関でも救急医療などを行ってきました。それゆえ、公立病院の再生には並々ならぬ思いがあります。

 公立病院は、もちろん個別に経営努力が必要な部分もあるでしょうが、採算性を重視した民間病院では果たせない重要な役割、例えば救急、産科、小児科医療において、最後のとりでとしての機能を果たしています。これら不採算部門を抱えて、経営努力だけではどうしようもなく、自治体の本予算からの繰り入れが必要な場合も多くあります。

 ところが、消費増税によって経営がますます圧迫されることが懸念をされております。

 医療材料費には課税されるものの、医療費が非課税となっていることから、その差額分を病院が持ち出さなくてはならず、五%分の増税は、三次救急を担う大病院では三億円程度、地域の二次救急を担う中規模病院でも一億円程度の負担増と言われております。

 この問題をこのまま放置すれば、自治体財政に悪い影響を与えるか、本予算から公立病院への繰り出しに批判も多い自治体では公立病院の身売り、そして、それは地域の必要な医療を危険にさらす、こういうおそれもあるわけでありまして、地域住民の命を危険にさらしては絶対にならないわけであります。それゆえ、医療は消費税率が引き上げられた場合であっても持続的に経営を行うことができるよう、特段の配慮をお願いするべきだと考えています。

 前回質問した際では、総務省としても検討していきたいとおっしゃっていましたが、平成二十八年度税制改正大綱で、「抜本的な解決」という文言も新たに入りました。抜本的な解決となったからには、消費税が一〇%になったとき、これまでのように診療報酬への反映というだけでは不十分であり、かつ患者負担の増加ということも考えられますので、好ましくないと考えています。

 総務大臣としては、所掌事務ではないので、なかなか具体的にお答えにくい部分もあるかもしれませんが、抜本的な解決への思いや、どのようなことをお感じか、心情的な、お気持ち的なことで結構ですので、ぜひお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

高市国務大臣 社会保険診療は、国民に必要な医療を提供するという非常に高度の公共性を有することでございますので、消費税も非課税ということになっています。しかしながら、仕入れに要した消費税の負担分、これがあることは承知しております。

 これまでは診療報酬の改定という形で対応してきたんですけれども、やはりそれも、特に高額な設備投資を行っておられる個々の医療機関にとっては、診療報酬による対応ではもう限界があるという指摘がありまして、全国自治体病院協議会からも改善を求める御意見が出されていると承知をしています。

 こういった御意見を踏まえて、今委員が紹介されました平成二十八年度の税制改正大綱の書きぶりになったんだと思います。それで、平成二十九年度の税制改正に際して、総合的に検討して、結論を得るとなっておりますので、抜本的な解決に向けて、より具体的に前進した方針が示されたと考えています。

 総務省も、公立病院を所管する立場にございますので、こうした動きはしっかりと注視しつつ、地域の医療提供体制、これがしっかり確保できますように、必要な地方財政措置を講じてまいりたいと考えております。

今枝分科員 地方の医療を鑑みて財政措置というお言葉も、大変温かいお言葉をいただきました。ありがとうございます。

 私自身も、党税調での議論などで、医療を守り、国民、患者さんを守るために全力を尽くしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 さて、公立病院についてもう一点お話をしたいと思います。それは、医師不足問題であります。

 公立病院経営の観点から見ても、医師がふえれば、当然、病院としての収入がふえて、大きなプラスとなります。何よりも、医療提供体制の側から見て、民間医療機関も重要でありますけれども、公立病院は、地域の基幹病院として、救急や産科医療、また小児科医療を担っている場合が多く、住民の命を守るために非常に重要であります。

 一方で、それだけに医師不足問題が大きいと感じておりますが、どのような御認識でしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 公立病院は、民間病院の立地が困難である僻地における医療でございますとか、救急、周産期、小児医療等の不採算・特殊部門等に係る医療を提供する重要な役割を担っているというふうに認識しているところでございます。

 しかしながら、公立病院の経営状況につきましては、公立病院改革ガイドラインに基づく取り組み等によりまして一定の改善は見られるものの、平成二十六年度決算におきましても、依然として半数を超える公立病院が一般会計の繰り入れを含めても赤字経営となっているという状況にございます。

 地方公共団体でございますとか全国自治体病院協議会等からは、地域における深刻な医師不足を訴える声が多く寄せられておりまして、総務省といたしましても、公立病院が厳しい経営状況に置かれているのは、医師不足により十分な診療体制が確保できないことが大きく影響しているものと認識しているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。

 民間病院全体の医師不足の割合は八%ですが、自治体病院ではその倍近い一五%も不足している、こういうデータもございます。さらに、診療科偏在、いわゆる救急ですとか産科医師が甚だ不足をしているというデータもありますので、ぜひ政府としてもまたデータもとっていただきたいというふうに思っております。

 さて、それでは、このような地方の特に産科医の不足について、政府としてどのような対策を講じるおつもりでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の産婦人科の医師数は、全国的には増加傾向にあるものの、地域間の偏在、格差が生じているというふうに認識しております。

 このため、医師の偏在対策としまして、文部科学省との連携のもと、平成二十年度から医学部入学定員を一千六百三十七人ふやしており、平成二十八年度には過去最大の九千二百六十二人とし、その中で、特定の地域での勤務を条件づけることができる地域枠を活用し、五百九十二人を増員しているところでございます。

 そして、地域の医師不足病院の医師確保等を行う地域医療支援センター、これを医療法に位置づけまして、運営に対する財政的支援も実施しております。

 また、医療介護総合確保推進法におきまして、各都道府県に地域医療介護総合確保基金を設置し、産婦人科を初めとする医療従事者の確保、養成のための事業についても活用できることとしております。

 さらには、新たな専門医の仕組みにおいて、日本専門医機構は、厚生労働省と連携して専門医養成の基礎となる指針を定め、研修は大病院だけではなく地域の病院と協力して行うなど地域医療に配慮した養成を行うこととしているほか、専門研修プログラムに明らかな偏在が生じている場合、可能な限り偏在を是正することとしております。

 また、厚生労働省におきまして、社会保障審議会医療部会のもとに専門委員会を設け、地域の医療提供体制における専門医養成のあり方について検討することとしているほか、都道府県に対して、専門医の養成について地域の関係者との協議の場を設けていただき、地域医療に配慮した研修体制について検討するよう協力をお願いするところでございます。

 今後も、新たな専門医の仕組みにより医師偏在を助長することがないよう留意してまいりたいと考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 私自身、初当選以来、さまざまな施策を自分なりにも提案もさせていただきましたし、また、それに応じて非常に御努力をいただいていることはまず感謝を申し上げたいと思うのですが、果たしてそれで十分でしょうか。特に、地方の産科医不足は非常に深刻であります。

 福島県大野病院事件以来、産科医の一人医長のような場合、二十四時間三百六十五日対応になってしまうということで、それではいけないので、最後のとりでである周産期母子医療センターなどに産科医の集約を行いました。これは、当時の対応としてはやむを得なかったと思いますが、それゆえ、地方の病院の産科医が圧倒的に足らなくなりました。

 一方で、分娩の圧倒的多数というのは正常分娩ないしは低リスクの帝王切開ということでありますので、分娩の八割は一次医療機関でも可能だということも言われております。一方で、正常分娩の対応のために、本来はハイリスクをやるべき高次医療機関が母体搬送を拒否してしまう、こういうこともございます。

 これは、正常分娩や低リスクの帝王切開を行う一次ないしは二次の産科医療が地方にあること、存在をし続けること、この重要性も示していると思います。周産期母子医療センターに医師または妊婦さんを集めるという発想だけではない、新しい一歩というのがまさに求められていると思います。

 そして、二次医療圏に、分娩施設がなく産科医がいない産科空白医療圏が全国に六医療圏ございます。これらの医療圏は、ほかの地域よりも人口減少率が甚だしいというデータがあります。

 例えば、産科空白医療圏の北海道南檜山医療圏は、同規模の医療圏であり、隣接をした北渡島檜山医療圏よりも人口減少率が一・五倍高いんです。ほかにも、産科空白医療圏である山梨県峡南医療圏とそうではない長野県大北医療圏では、人口規模また人口密度もほぼ一緒でありまして、県庁所在地や都市に対する関係性も似ている地域でありますが、人口減少率が一・五倍も違います。ほかの医療圏を幾つか見てみても、一・五倍とまではいかないにしろ、一・何倍、やはり減少率が高いという状況であります。

 なぜこのようなことが起きるのか。地方に住んでいる人間であれば、実感値としてわかります。

 例えば、地元に住んでいた人が結婚を機に新居をどこにするか、これを判断するときに、地元で子供が産めないならば、近くの都市、地方都市でもそこに出ていってしまう、こういうことはよく聞きます。また、例えば、大学とか就職で大都市に行っている女性にとって、里帰り出産は、親元、地元を感じる一番最高の機会であります。しかし、里帰り出産ができなければ、そのような機会も失われてしまう。つまり、旦那さんと一緒に戻ってくるとか、そういう議論に全くならないわけであります。

 地方創生の観点からも、人口減少対策というのは最重要課題であります。しかし、子供が安心して産めなければ、人口減少に歯どめがかかるわけはございません。

 これらの事実や、またデータを見て、人口減少と分娩施設や産科医のいない産科空白医療圏についての関係をどのようにお感じになられますでしょうか。

牧島大臣政務官 お答えいたします。

 大変重要な御指摘をいただいたものと受けとめております。感謝申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略改訂二〇一五におきましても、産科医数の地域ごとの検証や、また産科医の地域偏在の是正をするために取り組みを進めようということを盛り込んだところでございます。

 地方創生の観点からも、今、今枝議員から御指摘いただいたことを踏まえて、厚生労働省と連携をとってまいりたいと思います。

今枝分科員 ありがとうございます。新たな認識をしていただいたということで、本当にうれしく思っております。

 国家百年の計とよく申しますけれども、人口減少をして栄えた国は世界の歴史上ありません。世界史上初のことを、特に私たち若い政治家として挑戦をしなくてはならない、このような状況だと思います。そして、その問題を先取りしているのがまさに地方であります。必ず解決をしなくてはなりません。

 この観点から、二次医療圏単位で分娩施設や産科医のいない産科空白医療圏はなくしていかなくてはならないと思います。しかし、どこも産科医不足であり、医師のキャリアパスや技術向上の観点、また、憲法上、職業選択の自由や移動の自由ということもあります。どうしたら産科医が産科空白医療圏に行ってもらうようになるのか、真剣に考えなくてはなりません。

 折しも、専門医制度がまさに始まります。

 専門医制度では、先ほどもお話ございましたように、研修プログラム策定の中で地域医療に配慮したプログラムにすることで、指導される側の後期研修医のローテーションが、分娩施設、こういったものも、産科空白医療圏で研修を積むということが想定をされ得ます。

 しかし、その際には、指導医もそういった分娩施設にいなくてはならず、指導医のローテーションというものも考えなくてはなりませんし、非常に重要で、必須だと思います。専門性の高い指導医には、その分、財政支援も手厚くするべきであります。周産期母子医療センターがあるような大病院と産科空白医療圏を研修システムで結びつけることで、それを可能にできると考えます。

 また、十年もすると、地域枠の医師たちも本格的に活動をするようになってくれます。

 愛知県ですと、最近では各学年二、三十名の地域枠がありまして、全体の診療科の比率からいうと、各学年一人程度は産婦人科医希望の医師がいるということになると思います。

 彼らは、初期研修二年の後に、七年間は県内の医師不足地域で診療することになります。彼らも、医師としての専門性を高めていただくという意味で、周産期母子医療センターで勤務する時期も当然あるべきですが、一方で、やはり正常分娩や帝王切開をどんどんやってもらう、産科空白医療圏で先ほど述べたようなローテーションシステムに入ってもらう、そのことで一層強固な産科空白医療圏の医師確保システムとなります。

 そこまで地域枠が多くない都道府県では、産科の地域枠というものを創設するというのも一つの手だと思っております。

 このような政策提案についていかがお感じになられるか、ぜひお答えください。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 新たな専門医の仕組みにおきましては、産婦人科医の不足地域にある医療機関で少なくとも一カ月以上の研修を必須とする旨、日本専門医機構の基準が定められております。また、そのような地域では指導医の確保が困難であると考えられることから、同基準におきましては、基幹的な医療機関から指導医が訪問して定期的に研修状況の確認をするなどの対応を行うとされているところでございます。

 今後、より実効的な指導体制を確立するため、議員の御指摘も踏まえながら、地域枠の医師の活用なども含め、こうした仕組みを実効的なものとするための支援のあり方について、関係者に意見を伺いつつ検討してまいりたいと考えております。

今枝分科員 受け入れていただいて、本当にありがとうございます。ぜひとも真剣に、前向きに御検討いただいて、私自身も、実現に向けて全力で努力していきたいと思います。頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、少し話をかえまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて質問いたします。

 私は常々、オリパラの効果を日本全国に波及するべきだと申し上げてまいりました。地方を担当する総務省としても、オリパラ効果を地方創生、地方の活性化につなげると考えるべきだと思っております。

 その一つに、ホストタウン構想がございます。

 今年度予算に盛り込まれたことは大変すばらしく、感謝を申し上げたいと思いますが、二〇二〇年オリパラのホストタウン推進に向けて、事前合宿支援を初めとする総務省の取り組みについてはどのようなものをお考えでしょうか。

土屋副大臣 ホストタウンについて御質問いただきました。

 内閣官房のもとに各省が連携して進めているところでございますが、総務省としても、ホストタウン推進に関する施策として、世界各国参加選手と住民のコミュニケーションを支援する多言語対応、大会関係者の利便性を高めるWiFiの環境整備、また地域の国際化に資するための外国青年を招致するJETプログラム、これは従来から過去三十年間にわたってやっていることでございます、さらにこれを充実するなどの取り組みをしていきたいと思います。

 また、来年度より、ホストタウンが行う事前合宿の実施や参加選手と住民の交流等に係る経費について、地方財政措置による支援を実施することといたしております。

 今御指摘のあったことは、日本の今後の戦略的な課題につながることだと思います。私は、第三の開国を迎えた、明治、それから一九四五年の敗戦、そして今度、そういうつもりで、世界じゅうの人たちと連携しながら、その力をうまく日本の活力に生かしていく、そのための大きな一つの施策になるのではないか、総務省としても全力を尽くしていきたい、このように思っております。

今枝分科員 ありがとうございます。大変力強い土屋副大臣の決意をいただきまして、感謝申し上げます。

 それでは、さらに、二〇二〇年オリパラ以外にも、この時期にさまざまな世界大会などが行われてまいります。それらの大会における事前合宿等の支援についてはいかがでしょうか。例えば、ラグビーワールドカップに事前合宿など類似の支援を行ってはいかがでしょうか。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のございましたラグビーワールドカップ二〇一九、これは全国十二カ所を舞台に開催をされるということで、大会期間も七週間に及ぶ、非常に大きな規模の大会でございます。

 このため、事前の合宿だけではなくて、チームキャンプ地も試合ごとに会場近くへ移動したりということで、複数地域でキャンプを行う、こういったチームが多く、大会組織委員会でも、過去の実績から、日本全国四十カ所から五十カ所、こういったところでチームキャンプが行われるというふうに想定していると聞いております。

 こうしたことから、ラグビーワールドカップの開催につきまして、試合を開催する自治体のみならず、日本全国の地域の活性化、あるいは地域スポーツの振興、こういったことを通じて地域創生に貢献することが非常に見込まれる、こういう機会だととらえておりまして、各自治体にはぜひラグビーとオリンピック・パラリンピックの両大会を見据えた取り組みを検討いただきたい、このように考えております。

 政府としましては、ホストタウンとして、こうした自治体の取り組みを推進する、これはもちろんですけれども、これに加えまして、ラグビーワールドカップのチームキャンプ地の自治体等へ支援をどのようにしていくか、こういったことについても、必要な支援を関係省庁と連携して検討していきたい、このように考えているところでございます。

今枝分科員 ありがとうございます。非常に前向きな御答弁をいただいたと思っております。

 ぜひ、次年度の予算におきましても、ラグビーワールドカップを初め、例えば関西ワールドマスターズゲームズやフットサルのワールドカップとか、ヨットの世界選手権、ワールドカップ、平昌オリンピック、数多くございますので、ホストタウンのような具体的な支援策を盛り込まれることを強く要望いたします。

 それでは最後に、行政不服審査について御質問申し上げます。

 平成二十六年に行政不服審査法が改正され、この施行がことしの四月からとなります。公正さ、使いやすさの向上、救済手段の充実などが、例えば審理手続の充実や迅速性の確保、透明性を向上させることで実現されており、大変すばらしいものだと考えています。

 本法の目的は、公権力である行政判断に対して国民が不服申し立ての道を開くことによって、国民の権利救済と行政の適正な運営を確保するためとあります。

 権利救済と適正な行政運営をするのは、これは当たり前でございますが、行政には説明責任もございます。私は、本制度において、行政の説明責任を果たすことが非常に重要であると考えています。やはり、昨今、政治や行政に対する不信感が強い今の時代でございますので、不満を持っている人たち、国民の皆さんが使う制度であることを鑑みれば、説明責任を果たすという姿勢が非常に大事だと思いますが、ここでお聞きします。

 本制度、行政判断の理由などを説明するというところはなされるのでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 審査請求の場合でございますが、審査請求を受けました審査庁は、原処分をした処分庁に対しまして弁明書の提出を求めることができるということになっております。提出されました弁明書は審査請求人に送付されることとされているほか、処分庁は、審査庁に対して証拠書類を提出することができることとされております。

 処分庁は、一般に、弁明書におきまして、こうした原処分が違法、不当でないということを主張いたしまして、それを裏づけるための証拠書類を提出することになりますので、こうした審理手続を通じまして原処分についての説明がなされることになると考えております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ということは、弁明書における行政判断の説明について、やはり国民目線にできるだけ立った、そういうものにする必要があると思います。

 それでは、その不服申し立てができる人というのは実際どういうような方になるんでしょうか。審査請求人適格、不服申し立て適格の基準はどのようなものでしょうか。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 行政不服審査法四条一項では、申立人の適格につきまして、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求または異議申し立てをすることができるとしておりまして、不服申し立てをできる対象を、処分に不服がある者と広く認めているところでございます。

 この処分に不服がある者とは、当該処分によりまして、自己の権利もしくは法律上保護された利益、こうしたものを侵害され、また必然的に侵害されるおそれのある者と解されておりまして、処分の相手方に限られるというものではないとされておりますが、具体的には、個別の具体の事案に即しまして審査庁において判断されることとなります。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ということは、許可なり処分なりを受けた人以外でも、物によっては審査請求人適格があるということで、うなずいていただいて、ありがとうございます。

 なぜこのようなことをお聞きしているかと申しますと、実際にこのようなことがございます。

 愛知県の新城南部工業団地で産廃施設が建設をされました。この工業団地は、もともと製造業と物流業を誘致するという約束であったところでありますが、当初誘致した製造業の企業が倒産をいたしまして、競売によって産廃企業が土地を取得することになりました。そして、住民との対話も不十分なままに、産廃施設を建設いたしました。

 住民は、非常に大きな不安を抱えています。当たり前だと思います。この土地には、一キロ圏内に、住居はもちろん、こども園や小中学校まであります。子供たちの教育環境に悪影響を及ぼしかねません。あるお母さんはこうおっしゃられました。結婚してこの地域にやってきたけれども、環境がいいから子育てにもいいということで住んでいます、そうでなくては出ていかざるを得ません、こうおっしゃっています。

 皆さん、子供を思うお母さんやお父さんの気持ちになってみてください。どれほどつらい思いでしょうか。

 お母さんやお父さん、また地域の皆さんと同じ思いで、子供たちを、地域を守るために全力を尽くしたい、こういう思いで、私も常々、産廃反対、国としても許可権限を持つ県に対して適切に話をしてほしい、この旨を繰り返しお伝えしてきました。しかし、愛知県は、昨年十一月に許可を出しました。現在はまだ実際に操業していないとはいえ、ことし四月から操業を始めるという情報もございます。

 住民は、行政に対して不信感を持ってしまっています。このようなときこそ、行政不服審査の出番と感じています。

 しかし、行政不服審査を行うとしても、許可をもらった企業が行政不服審査をするわけはありません。審査請求人適格は、先ほどもおっしゃられたように、やはり幅広く考えるべきであり、生活環境の変化など被害を受け得る住民などにもできるだけ幅広く認めていただく必要があると思います。

 そこで、一つお聞きをいたします。

 産廃施設における審査請求人適格に対する考え方というのはどのようなものになっているのでしょうか。

井上副大臣 一般論としてお答えいたしますが、産業廃棄物処理施設の設置許可に対する周辺住民による行政不服審査請求につきましては、当該施設から排出された有害な物質に起因して大気や土壌の汚染、水質の汚濁、悪臭等が発生した場合に、健康または生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に対して不服申し立て適格を認めることとしております。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ということは、生活環境を脅かされる可能性がある、当然、におい、悪臭も、今言っていただきましたけれども、直接的ににおいを感ずるおそれがある、そういう人であれば審査請求人適格はあるということで理解してよろしいでしょうか。

井上副大臣 おっしゃるとおり、悪臭も生活環境保全上の支障となり得ます。

 なお、悪臭により生活環境保全上の支障が生じているか否かは、個別具体的な事情を勘案して判断されることとなります。

今枝分科員 ありがとうございます。

 ということであれば、ぜひとも、冒頭申し上げた、やはり説明責任が十分に果たせるような行政運営をしていただき、この件につきましてもお願いをしたいというふうに思っております。

 また、この問題は、実は、今の行政不服審査の話だけでなく、いわゆる廃掃法を初めとした国の廃棄物行政、また環境行政全体にかかわる問題だと思っています。国民や環境をいかに守っていくのか、私たち政治家は真剣に考えなくてはなりません。

 例えば、廃掃法において、国民を守るという観点が果たして十分入っているのか、こういったこともきちんと見ていかなくてはいけませんし、環境アセスメント、今は、必要あるもの、必要ないもの、ございますけれども、本当に今のままでもいいのだろうか。また、優良な環境事業者の育成をいかに、どんどん伸びていっていただいて、ある意味、アウトローと呼ばれるような企業を排していくのか。そしてまた、悪臭防止の基準にしてもそうであります。水質汚濁もそうであります。大気汚染等々もそうであります。

 また、例えば、こういった産廃の企業が堆肥をつくっていくという場合に、この管理の問題や有害物質の検出の問題、所掌する担当が、堆肥の問題であれば農水省、また環境基準であれば環境省と分かれている中で、お互いに見合いっこしてしまってなかなか踏み込めない問題もあると思います。このような問題をどのように解決していくのか、考えなくてはならないと思います。

 現在、自主憲法制定についての話も出てきておりますし、環境権の問題も大きくあると思っております。国民や環境を守るために、これからも、きょうは井上副大臣にわざわざお越しいただいて本当にありがたいわけでございますけれども、丸川大臣や、そのほか環境省の皆さん、そして政府全体として、どうかお願いをいたしたいと思いますし、私も全力を尽くしてまいりたいと思います。

 もう時間が来てしまいます。本当はこれについてもどんどんと質問をしていきたいわけでございますけれども、時間もいっぱいいっぱいでございます。

 最後に、少し話も違いますけれども、やはり企業の立地における法人税等々についても、我が愛知県はなかなかつらい思いもしております。これについても本当にお考えをいただいて、地域がこれからも発展をしていくように、どうか格段の配慮をいただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 夜遅くまで、本当にありがとうございました。

石田主査 これにて今枝宗一郎君の質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後七時四分散会


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