衆議院

メインへスキップ



第1号 平成13年3月1日(木曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成十三年二月二十六日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

三月一日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      石川 要三君    塩川正十郎君

      宮本 一三君    海江田万里君

      平岡 秀夫君    若松 謙維君

      中井  洽君

三月一日

 宮本一三君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十三年三月一日(木曜日)

    午後一時一分開議

 出席分科員

   主査 宮本 一三君

      石川 要三君    高木  毅君

      大石 尚子君    大出  彰君

      海江田万里君    平岡 秀夫君

      前田 雄吉君    前原 誠司君

      若松 謙維君    中井  洽君

   兼務 今野  東君 兼務 首藤 信彦君

   兼務 三井 辨雄君 兼務 白保 台一君

   兼務 達増 拓也君 兼務 大森  猛君

   兼務 中林よし子君 兼務 井上 喜一君

   兼務 松浪健四郎君

    …………………………………

   外務大臣         河野 洋平君

   外務副大臣        衛藤征士郎君

   外務副大臣        荒木 清寛君

   外務大臣政務官      桜田 義孝君

   外務大臣政務官      丸谷 佳織君

   会計検査院事務総局第一局

   長            石野 秀世君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     高須 幸雄君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長

   )            槙田 邦彦君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長

   )            重家 俊範君

   外務委員会専門員     黒川 祐次君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  塩川正十郎君     高木  毅君

  海江田万里君     前田 雄吉君

  平岡 秀夫君     大出  彰君

  若松 謙維君     斉藤 鉄夫君

  中井  洽君     樋高  剛君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     塩川正十郎君

  大出  彰君     前原 誠司君

  前田 雄吉君     鈴木 康友君

  斉藤 鉄夫君     若松 謙維君

  樋高  剛君     藤島 正之君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 康友君     海江田万里君

  前原 誠司君     石井 紘基君

  若松 謙維君     上田  勇君

  藤島 正之君     中井  洽君

同日

 辞任         補欠選任

  石井 紘基君     大石 尚子君

  上田  勇君     若松 謙維君

同日

 辞任         補欠選任

  大石 尚子君     平岡 秀夫君

  若松 謙維君     石井 啓一君

同日

  石井 啓一君     若松 謙維君

同日

 第一分科員三井辨雄君、第四分科員中林よし子君、第五分科員今野東君、首藤信彦君、白保台一君、達増拓也君、第六分科員大森猛君、第七分科員井上喜一君及び松浪健四郎君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (外務省所管)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

宮本主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中外務省所管について、政府から説明を聴取いたします。河野外務大臣。

河野国務大臣 平成十三年度外務省所管一般会計予算の概要について御説明申し上げます。

 外務省予算の総額は七千六百三十三億九千万円であり、これを平成十二年度予算と比較いたしますと百七億五千五百万円の減額であり、一・四%の減となっておりますが、九州・沖縄サミット関係経費などの特殊要因を除くと、実質的には増となっております。

 新世紀を迎えた今日、国際社会は依然として、社会的公正の確保、紛争、環境、貧困、社会的弱者への対応といった諸問題を解決するに至っておらず、引き続き国際社会が一致協力して対応することが必要であります。こうした課題を前に、二十一世紀において、我が国が国際社会において名誉ある地位を占めるとともに、また、国際社会の期待にこたえるためにも、その国際的地位、影響力にふさわしい積極的で創造性豊かな役割を果たしていく責任があります。このような観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重大であります。その使命を果たすために、平成十三年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、外交施策の充実強化と外交実施体制の強化の二点を重点事項として、予算の効率的配分を図っております。

 まず、外交施策の充実強化に関する予算について申し上げます。

 外交施策の充実強化の四つの柱は、国際社会全体の二十一世紀の課題、アジア太平洋外交のさらなる推進、ODAにおける一層の改革推進、そして国際文化交流の推進であります。

 国際社会全体の二十一世紀の課題につきましては、IT革命への対応、人間個人に着目した人間の安全保障の推進、紛争予防や軍縮・不拡散への取り組みを通じた世界の安定に向けての貢献等、総額七百八十六億円を計上いたしております。

 次に、アジア太平洋外交のさらなる推進でありますが、大きな動きを見せている朝鮮半島情勢を受け、KEDOへの拠出金、日韓文化交流や朝鮮半島信頼醸成対話のための経費、及び、対ロシア政策の推進として、北方四島住民との交流、北方領土復帰対策を推進し、平和条約締結に向けた日ロ両国民の相互理解を促進するための経費等に総額四十三億円を計上いたしました。

 また、ODAにおける一層の改革推進でありますが、平成十三年度政府開発援助(ODA)につきましては、一般会計予算において、政府全体で対前年度比三%減の一兆百五十二億円を計上いたしております。外務省のODA予算について見ますと、対前年度比〇・七%減の五千五百六十五億円となっております。このうち無償資金協力予算は対前年度比一・五%減の二千三百七十億円を計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千五十四億円、食糧増産等援助費が三百十六億円であります。また、我が国の技術協力の中核たる国際協力事業団につきましては、対前年度比〇・一%減の千七百九十億円を計上しております。このようなODA予算のもとに、十三年度においては、NGO等との連携強化を通じた国民参加型ODAの推進、評価、人材育成等を通じた実施体制の強化に努めてまいる所存であります。

 さらに、国際文化交流の推進でありますが、留学生の受け入れにかかわる諸施策の充実、海外における日本語教育に対する支援の継続、拡大などの留学生・日本語教育の支援強化に七十三億円を計上いたしております。

 次に、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。

 まず、定員の増強につきましては、危機管理・安全体制の強化を中心として、本省及び在外公館合計で七十三名の増員を図り、平成十三年度末の外務省予算定員を合計五千三百二十九名といたしております。また、機構面では、アフリカ審議官の振りかえ設置、在スロバキア大使館の新設などを予定しております。

 さらに、在外公館の機能強化につきましては、在外公館の危機管理体制の強化、海外邦人の安全と福利の向上のために八十四億円を計上いたしております。

 最後に、外交政策策定の基盤となる情勢判断に不可欠な情報通信及び連絡網の整備に要する経費として百二十七億円を計上いたしております。

 以上が外務省所管一般会計予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

 なお、時間の関係もございますので、詳細につきましてはお手元に「国会に対する予算説明」を配付させていただきましたので、主査におかれましては、これが会議録に掲載されますようお取り計らいをお願い申し上げます。

宮本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま河野外務大臣から申し出がありましたとおり、外務省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮本主査 以上をもちまして外務省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

宮本主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出彰君。

大出分科員 民主党・無所属クラブの大出彰でございます。本日は、大臣、そして副大臣、政務官、さらに参考人の方、御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。

 私の住んでいるところは神奈川県でございまして、神奈川県には基地がございますので、どうしても基地問題という、神奈川県の中に住んでおられる市民の皆さんの生活の安全の、非常に地味なところもございますが、そういった不安になる問題をできる限り解決するか前進させるか、そういった意味合いのことがありますので、冒頭、実は、きょうの予算委員会等で、ワシントンの地震があったようでお見舞い申し上げますが、ワシントン・ポストのリチャード・コーエンさんの、いわゆる我々は日本に十分謝ったんだというような発言がありまして、その問題もと思いましたが、皆さんおやりになりますので、時間があったら議論をしたいと思います。

 早速ですが、一番最初の御質問は、神奈川県に相模原市というところがありまして、そこの米軍の、アメリカの陸軍の相模総合補給廠というところのPCBの廃棄物問題をお尋ねしたいと思います。

 もともとこの相模総合補給廠のPCBの廃棄物の問題というのは、昨年の春ぐらいに、米軍が製造したといいますか、アメリカが製造したPCBでございまして、これを同補給廠から搬出するということが起こって、アメリカ、カナダで陸揚げを拒否されて、そして横浜港に戻ってきて一時保管を強いられるというような、行ったり来たりの騒動が実はあったわけですね。

 そして、そのことがあって今回のことが起こっているわけなんですが、事前通告といたしまして、在日米軍の陸軍の広報室長から、横浜ノースドックから海上輸送するとの事前通告が実はあったのですが、結果的にはその事前通告を裏切った形で、何の予告もなく東京・横田基地から空輸でアメリカにPCBが行った。こういう経過なんですね。

 この辺の時系列のところをちょっと、流れをお話ししておきますが、まず、在日アメリカ陸軍広報室長らが相模原市と横浜市に搬出を事前通告したというのが一月の十二日なんです。その内容は、一月二十二日に補給廠から横浜ノースドックへ搬出し、二月一日ごろ軍の輸送船でアメリカへ輸送する、こういう事前通告だったわけです。そうしたところ、一月の二十六日になったときに、アメリカ陸軍がこれについて延期を申し入れてきた。何と言っていたかというと、搬出は一月の二十九日以降にする、正確な搬出時刻は改めて連絡するという連絡が来たのが一月二十六日だったわけです。要するに、一月十二日に事前通告をし、二十六日に延期をした。

 そうしたところ、その後連絡がなく、一月の三十日になって、PCBの廃棄物を積まないで輸送船は横浜ノースドックを出港してしまった。相模原市も横浜市もわからないわけでございますから、時間がたつにつれて、二月の十三日になって、相模原市はアメリカ陸軍司令官に対して延期の理由などを市長名で文書照会している。

 そうしたところ、どうも二月の十五日になったら、補給廠で何かPCBの廃棄物のようなもののこん包作業が行われていた。そして、十七日になったら、早朝、トレーラー六台が補給廠を出発して、米軍の横田基地に到着をしていた。二月十八日に、横田基地からアメリカに向けて空輸をしてしまった。

 二月二十二日に、アメリカの陸軍広報室長が相模原市に対して、要するに一月二十六日に延期をしたのですが、その後何も言ってこなかったその沈黙の理由について説明をした。その内容が、簡単に言うと、国防総省から今後一切日本に話さないように指示されたのだと。

 これが、今私がお尋ねをしたい今度の相模の総合補給廠のPCB廃棄物問題の一応の流れなわけでございます。

 ここで、このPCBの量なんですが、実は十八・六トンの量でございまして、あちこちに行っているわけで、この問題自体が、米国、カナダへ陸揚げとか、こういうのがあったものですが、中身には沖縄なんかのPCBも入っていまして、十八・六トンであるということなんですね。

 それで、日本の中には、在日米軍施設には約四百四十トンのPCB廃棄物がまだ残っている。いずれどこかで搬出をしなければならなくなるという状況なわけなんです。

 そこで、最初は、アメリカ陸軍の広報の方が、もともとPCBを処理するということ自体は米軍の仕事ではないわけなんですが、いわゆるグッドネイバー、よき隣人であろうということで、広報の方から相模原市と横浜市に事前通告が来たということなんですね。

 ところが、裏切られた方からしますと、一応謝罪の言葉はあったようでございますが、相模原市あるいはそこに住んでいる市民からしますと、なぜ教えてくれないのかということが一つあると同時に、どうも二月二十二日に広報室長が言っている沈黙の理由の説明というのは、もっと詳しく言いますと、軍の上層部から在日アメリカ陸軍に対して、PCB廃棄物の搬出について箝口令がしかれ、情報提供する権限をなくしてしまったんだ、こう言っているわけなんです。

 そうしますと、心配なのは、今後もしPCB廃棄物を処理しようとするときに、一切地域住民には知らせないで持っていってしまうということが起こるわけですね。

 この問題自体は、環境問題の中でPCBの毒性というのが言われてきておりますから、それでいいのだろうかということが一つあると同時に、では、この状況でもし事が進んでくると、今後のPCBの保管状況などはどうなるんだろうかとか、移動の情報などはどういうふうに把握をしたらいいのだろうかという問題が起こってしまうわけなんです。

 この辺についての外務大臣の御見解あるいは外務省のお考えをいただきたいと思っておるわけでございます。

河野国務大臣 大出議員が、まず御質問の前に、アメリカにおきます地震について御心配をされました。

 ワシントン州にございますシアトル市の周辺の地震というふうに承知しておりますが、現在シアトルの総領事館で調査中でございますが、これまでのところ、在留邦人、日本人関係者の被害の報告は来ておりません。これだけ一応御報告をまずさせていただきます。

 そして、相模原のPCBの問題については、大変恐縮ですが、北米局長から御答弁をさせていただきます。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 相模補給廠からのPCB廃棄物搬出問題については、今大出議員御指摘のとおり、当初一月十二日に、米軍から搬出予定であるという通報がございまして、これは二月の初めごろであると。その後、一月二十六日に延期の通報がございまして、その後正確な日にちの通報がないままに搬出が行われたということでございます。

 米軍施設・区域のPCB廃棄物については、これは国民及び地方公共団体の非常に大きな関心事項である、当然のことでございますけれども、私どもといたしましても、引き続き米国に対しまして鋭意情報提供を求めてきたところでございまして、今後ともそうしてまいりたいというふうに思っております。

 ちなみに、議員御指摘の、総量で四百四十トンという数字につきましても、私どもいろいろ米側に照会いたしまして、昨年六月に照会した結果を公表したということでございます。

大出分科員 神奈川の相模原市の問題でございまして、地域の住民といたしますと、今後も情報公開をしてくれるんだろうなということが一番関心事なわけでございます。その辺は今、今後もということなんでございますが、これはできる限りという意味なんでしょうか、それともアメリカの、要するに現場サイドがだめになっているわけですから、申し入れをしっかりする、そういう意味でございますか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申しました、できる限りあるいは鋭意情報提供を求めるというのは、これは率直に申しまして米側が行う作業でございますけれども、私どもとしては、これは地方公共団体あるいは国民の御関心事項であるので、運用上可能な限り、こういう環境にかかわる問題につきましては広く私どもとしても承知し、それをお知らせするという方針で考えていきたいということでございます。

 ただ、今申し上げましたように、これは私どもが搬出しているわけではございませんので、引き続き米側とよく連絡をとりながら協議してまいりたい、こういうふうに思っております。

大出分科員 今までは、在日米軍の陸軍の広報室長さんがグッドネイバーということで好意的に教えていただいたということなんですね。そうしますと、この手法はもう使えないということですか。その部分をアメリカに言っていただきたいのですが。

藤崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 今議員御指摘の米陸軍司令部の広報担当官の発言というものは、私も報道では拝見いたしましたが、この点につき確認はしておりません。

大出分科員 地域住民の皆さんが安心をするというのは、今までのような情報公開があったのが急に今までと違う方法で遮断をされてしまうと不安になるわけですね。それで、日本が声をかけて、アメリカの側がこういう方法で情報公開をしますというものがなければ、不安は解消しないし、私が質問する意味も余りないわけでございます。そういう意味では、日本の外務省でございますので、しっかりと情報公開をさせていただきたいと思います。

 そうでないと、もう時代が大分変わってまいりまして、昔ならば、日本の場合にはいろいろなやり方の中に謙虚に物をやっておればよかったという、日本では出るくいは打たれるという格言があったりしますが、アメリカ流というのはそうではなくて、うるさいギアは油を差してもらえるというのがアメリカ流でございまして、言わなければ油を差してもらえないということでございますので、その辺の認識を大きく変えていただいて、そうでないと、住んでいる者はたまらないわけですから、ひとつ頭の方も入れかえてもらって、情報公開のためにお願いをしたいと思います。一言お願いします。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 このPCB廃棄物問題につきましては、河野大臣からも、これは非常に重要な問題であるのでしっかり取り組むようにという指示を受けておりまして、私どもも、こういう環境問題についての国民の、今先生御指摘のような一層の関心も踏まえまして、引き続き鋭意取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

大出分科員 今の一層のということを受けとめまして、よろしくお願いをいたします。

 では、次に質問を変えます。二つ目の質問でございますが、いわゆるアメリカの軍艦、艦船が民間の港に寄港する数が多くなったということが実はあるのです。

 調べた方がおられまして、今からさかのぼりまして過去五年間に実に九十三回というふうにも言われておりまして、これが多くなった理由は、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しが始まった一九九六年を境にふえているという、調べた方がいるわけなんですね。

 どういうふうになっているかといいますと、米艦船が、多いところでは、一番多いのは呉ですね、呉では二十一回民間の港に立ち寄っているわけです。鹿児島は十回、博多七回、下田七回、小樽九回というようなことになっているのです。函館は一回かな。そういうふうになっておりまして、さまざまな物を考える方々がおられますので、これについては、一つでは、有事に備えた実績づくりではないかというような考え方をとる方もいるわけです。それだけではなくて、寄港反対の姿勢の強そうな市ばかりに原潜が寄っているんではないかというようなうがった見方まで出ているのです。

 私自身は、周辺事態でもないですし、日米安保条約はあるにしても、商業港に米軍が寄港するということは、日本の対外的独立性という意味の主権が疑われるのではないかと実は思っておりまして、許してはいけないのではないかと思っているところがあります。それと同時に、もう一つは、核の持ち込みとの関係がございますので、その点で問題があるだろうと思っているのです。

 それで、二つのことを考えたものですから、ちょっと取材をしてみたのです。要するに、アメリカの艦船が民間の港に立ち寄るのを反対姿勢が強そうな市だとかいうのがあるのかということで、それで電話をしてみたりしたんですね。そうしたら、そうではないなということがわかりました。なぜかといいますと、あるところに聞きましたら、こう言うんですね。

 まず、安保地位協定に基づいて、米艦船の寄港許可は国の専権でございますと。それで、しかしながらと入るんですね。岸壁の管理者は自分たちでございますから、ただ、商業港ですから、ほかの商船がいっぱいなら、それはお断りする。いっぱいでなければ、やはり国の専権だと言われて出ていけともいかないので、許可をします、こう言うのです。その際にとつくんですね。その際に核を搭載されて入港されたのでは困るので、それで外務省とアメリカの大使館や領事館に照会をする、こう言うんですよ。

 それで、照会をするというだけでなくて、私が聞いた中には、今までは照会だけにしていたんだけれども、文書もいただくことにしました、こう言っているところもあるのです。そうすると、どこから文書が来るかというと、外務省とそれからアメリカの大使館なり領事館から来る、こう言うのです。どんな内容なんですかと聞いたところ、外務省については、事前協議がないから核の搭載はないでしょう、こう言うというんですね。

 だとしますと、またぞろ事前協議制の問題になってしまうわけなんですが、有名無実化しておりまして、それでは市民生活に対する生活の安全というのは、あるいは不安というものはなくならないなという気がするんですよ。事前協議がありませんからという紋切り型な、これ、ずっと今までやってきたわけですが、それでは全然このチェック機能がないわけで、こういうことだとすると、自治体の中に非核証明書の提出などを求める自治体もございますね。そういう動きを、国と違うからといって妨害をしてほしくないと思うんですね。

 そうでないと、住民は、核兵器が搭載されているかどうか、核の、原子力潜水艦などもあるでしょうけれども、そういうのがわからないわけですから、その辺のところを、一つは、事前協議制を実質化すればいいわけなんですね、本当は。実質化していただくか、あるいは非核証明書の提出などをやる自治体については大目に見るか、あるいは、そこの部分をもう一度アメリカと協議をするとか、そういったことをお考えいただきたいと思うわけなんです。

 そして、もう一つは、こういうときにアメリカの大使館なり領事館に照会をしたとき、アメリカ大使館側はどうお答えしているのか、それも含めて、一点は事前協議制の話と、二点目は、こういうときにどういう対応をアメリカの側はとるのかということをお尋ねしたいのです。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員御指摘のとおりでございますけれども、核兵器の持ち込みにつきましては、安保条約上すべてこれは事前協議の対象となるわけでございます。米国は、事前協議に係るものも含めまして、安保条約関連取り決めに基づきます我が国に対する義務を誠実に遵守する、事前協議について、日本政府の意思に反して行動することはないということを述べている次第でございまして、私どもは、事前協議がない以上、核の持ち込みはないというふうに考えているわけでございます。

 また、軍艦の民間港湾への寄港でございますが、これにつきましては、先生が今言われましたとおり、これは外交関係の処理であるということにかんがみまして、これは国が決定すべきことということでございます。

 第二点で御質問いただきました、こういう問題についてアメリカ側がどういうふうに対応するかということについて、私どもは、ちょっと今ここにアメリカ側の対応ぶりについては有しておりませんので、控えさせていただきます。

大出分科員 対応がわからないというならしようがないですからいいです。

 時間もありませんので、それでは、次の問題に移ります。

 実は、沖縄の米兵の放火した事件についてと地位協定との絡みでお尋ねをしたいのです。

 本当は長いのですが、時間がなくなるので余り多くのことは質問はできませんので、まず初めに、これは河野大臣にお答えをいただきたいのです。

 二月十四日に河野大臣が、日米地位協定の見直しについて御発言をなさっているんですね。それを簡単に言いますと、正確かどうかはわかりませんけれども、「「運用の改善ができないのであれば、改定ということも検討しなければいけない」と述べ、起訴前の身柄引き渡しが可能になるような協定の改定も視野に入れ、抜本的な問題解決に取り組んでいく考えを示した。」というわけですね。そして、「アメリカ側、県警や法務などの関係当局と協力しながら、早急な引き渡しに向けて最大限努力していきたいと述べた。」というようなことを書いてあるんですね。

 そして、その後に、「現状でも運用の改善ではないかと思っているが、(起訴前の身柄引き渡しに関する)「特定の場合」」、合意の話だと思いますが、「「特定の場合」というのが、具体的にきちんと例示できないかということを考えていた。できないということであれば、改定も場合によっては検討しなくてはいけないという感触を持っている」と述べ、身柄引き渡し条件の明示が必要との認識を示した、十四日の日の発言の中でこう出ているわけです。

 ところが、今度は二十一日になりますとこうなっているんですね。政府は、アメリカ海兵隊員の起訴前の身柄引き渡しを米軍が拒否した問題を踏まえ、日米地位協定の実施細則を見直し、一層の運用改善を図るようアメリカ政府に提案する方針を固めた。それで、「現段階での改定は困難。運用改善を求める方が現実的(外務省幹部)」と判断したというような記事が出ているのです。

 そうしますと、俗な言葉で言えば腰が引けたといいますか、発言が変わってきたのではないかということも言えるわけですね。その辺について、大臣の方からお答えください。

河野国務大臣 私は、今大出議員が述べられましたように、二月の十四日に、運用の改善の中で身柄の引き渡しがスムーズにできないような状況であるならば、地位協定の改定も視野に入れて考えなければならぬということを申しました。この考え方は今でも変わっておりません。

 一部、私以外の人間の発言でしょうか、引用して、少し腰が引けたんじゃないか、トーンダウンしたんじゃないかというようなことを書いている新聞もあるやに私も承知しておりますけれども、私は、重ねて申し上げますが、運用の改善ということが問題解決の助けに全然ならぬというならば、地位協定の改定も視野に入れて考えなきゃならぬ、今でもそう思っております。

大出分科員 大変頼もしい発言をしていただきまして、同じ神奈川県の基地を持っているわけですから、そのように言っていただけるかなと思いながら実はこの質問を考えていたのですが、いろいろ調べていくと、あれ、違うのではないか、変わってきているのではないかと思ったものですから、今大臣の口からそのようにお答えいただけたので、このことは、いわゆる神奈川の基地にも当然当てはまることでございますので、非常に、神奈川の中でも過去にいろいろなことがありましたので、問題があるところなのでございます。

 それで、実は、沖縄ではいろいろな事件が起きておりまして、時間がありませんから簡単にいたしますが、九八年十月七日に、実は交通三悪でのひき逃げ事件というのがありまして、要するに、女の人を米兵の方がひき殺してしまって逃げちゃったという事件なんです。このときに、当時の外務省幹部は、身柄引き渡しとなる犯罪は、殺人、婦女暴行のほか、誘拐、放火、強盗などが対象となると言明していたのです。放火が入っているのです。ところが、今回、放火なんですよね。

 それで、起訴を十六日にしましたね。身柄は向こうが持っていましたね。この部分をどのように解釈なさっているのか、お聞きしたいのです。

河野国務大臣 ちょっと事実関係が正確でないかもしれませんけれども、外務省の人間が、運用の改善の中の特定の場合が何を指すかということだと思いますが、その特定の場合が何を指すかということについて、放火など、二つ三つの事例を挙げて言ったというふうに今おっしゃいましたけれども、恐らく、それは特別の事例を引いて公式の場で言ったことは余りないんじゃないかという気がしています。

 確かに、私の記憶では、それらしいことをかつて外務省の局長クラスの人が言ったことが一度あるやに聞いておりますけれども、それについては、それは日本側で、特定の場合というものはこういうものが入ればいいなという希望的なものを述べたということであって、それが、特定の場合の内容がこれだということで、例えば日米間で合意しているとか、あるいはそういう問題が確定した認識だというふうに言ったことはないと思うのです。

 ただしかし、私は、運用の改善の、冒頭に今議員がおっしゃったように、殺人と強姦そして特定の場合、こう書いてあるわけで、その特定の場合の中身がやはり問題で、そこができれば例示が明示的に書いてあれば今度の場合でもかなり有効だったんじゃないかと思うのですが、残念ながらそこの合意がまだできていないわけです。

 そういうことも頭にあって、運用の改善というものが、その問題解決に即効性が当初考えていたほど仮にないとするならば、地位協定の改定も視野に入れて考えなければならないなということをその文脈の中で言っているわけで、今おっしゃるように、三つのことを具体的に言ったということは、私は寡聞にして記憶しておりません。

大出分科員 時間が尽きましたので、終わりにします。ありがとうございました。

宮本主査 これにて大出彰君の質疑は終了いたしました。

 次に、前田雄吉君。

前田分科員 民主党の前田雄吉でございます。

 本日は、主として三つの外交課題について御質問をいたしたいと思います。第一に、いわゆる機密費の問題でございます。第二に、環境外交に関する問題でございます。第三に、中東欧に対する投資の支援策、この三点について伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、第一の機密費に関する問題でございますけれども、少し長いスパンで考えますと、内閣官房機密費の方は縮小していく、外交機密費の方が拡大していくということでございますので、まず確認でございますけれども、上納はありませんでしたでしょうか。よろしくお願いします。

河野国務大臣 これは、予算委員会で繰り返し私からも御答弁を申し上げておりますし、官房長官からも御答弁がございましたけれども、外務省報償費が官邸へ上納されているという事実はございません。

前田分科員 もし、この外交機密費の官房への流用ということの事実があれば、これは財政法違反であり、非常に大変な問題であると思いますので、明言しておきたいと思います。

 さて、一九八九年以来の平成不況という厳しい状況下で、国民の皆さんは血税を徴収されまして、その一部はもちろん機密費として使われるが、本来の機密費の趣旨から逸脱した形で流用されているということでございますけれども、こうなった場合、確かに、この多極化する外交、国際情勢の中でかんがみますれば、機密費の必要というのは明らかに本当に大切なものであるとは思いますけれども、しかし、政府は、横領された部分、あるいはそれ以外の、機密費の本来から逸脱して流用された部分、それがあっても今まで外交がなされてきたわけでありますから、論理的に言えば、この部分がなくても十分に成り立っていくのではないでしょうか。つまり、何を私は申し上げるかというと、この機密費の削減ということはお考えにならないのでしょうか。

 我が民主党は、この外交機密費約五十六億円を、外交儀礼等の経費を除いて半分以下の二十億円に大幅削減する案を持っておりますけれども、こうした削減策についてどのように大臣はお考えになるのか。これは、やはりこれだけの批判を浴びているわけでございますので、この辺のことについてはっきりとお答えいただきたいと思います。お願いします。

河野国務大臣 官房報償費さらに外務省報償費、いずれの報償費に対しましても、今国民の皆様方から大変厳しい御意見を寄せられているということは、十分承知をいたしております。そのもとが、その引き金を引いたのは外務省の一職員であったということも、私どもにとりましてはまことに申しわけないことだ。この点は、深くおわびをいたします。それが、松尾という元室長の行った行為であったとしても、外務省の組織がそうしたことをチェックできなかった、しかも長年に渡ってそれが続いていたということは、人事の体制、あるいはそうしたものをチェックする組織の体制ができていなかったということは明らかであって、私は、その点については国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。

 しかし一方で、こうした外交報償費、いわゆる機密費でございますけれども、外交報償費の重要性は、今議員も一部お認めをいただきましたが、私といたしましては、今日の日本の置かれている国際的な情勢から考えて、やはり情報収集というものは極めて重要だというふうに思います。

 例えばある一部を申し上げましても、国際的なテロリストがどこにどういうふうに分布をして、何を考えているかというようなことが情報として入手できるかできないかは、日本から派遣をいたしますさまざまな協力事業に対する人的援助の安全ということを考えましても、やはりそれは重要なことであって、全くそうした情報もなしに行くというのとでは大変な違いがあるわけでございます。

 さらにまた、大きな国際的な流れの中で一体どういう背景があるかということを承知して外交政策というものはつくっていく必要がある、あるいは国策というものを考えていく必要がある。それは、国際社会が複雑になればなるほど、こうした情報というものの価値は高くなるわけでございまして、もうここ五年、十年とこの報償費は額も据え置かれておりますし、この与えられた額でできる限りの成果を上げようと努力をしているわけでございますから、もちろんこうした不祥事についての御批判は謙虚に受けるということは当然でございますけれども、一方で、情報収集のために使うべき金額がそう減らされるということになると国益にもかかわることになる。むしろチェック体制を強化するということによって、報償費の額は減ずるということでないことでお願いをしたい、こんなふうに思っているわけでございます。

前田分科員 それでは、そのチェックの体制ということで、昨日、二月二十八日の外務委員会で荒木副大臣が御答弁になられました。いわゆる元室長からの供応接待に関するアンケートでございますけれども、荒木副大臣はこの調査委員会の委員長であるということで御答弁なさったわけですけれども、荒木副大臣はこの中で、記名式であったが、おのずとやはり記名式であるということで限界を内包しているのだ、引き続いて調査する、こうお約束なされましたけれども、先ほどの厳しく機密費をチェックしていくという流れをつくる意味でも、これからどのようにこの調査を実施されて、また、その結果はいつ明確にされるのか、荒木副大臣にお答えいただきたいと思います。

荒木副大臣 私が委員長を務めております調査委員会におきまして、松尾元室長からの供応接待の有無につきまして、六百人以上に対して文書等によりまして照会を行いましたが、委員からも話がありましたように、まだそうした中からは問題となる事実は見つかっておりません。

 きのうも申し上げましたように、文書での記名での自己申告、そういう限界もあるわけでありまして、この点につきましては、関係者への聞き取り等も含めて、引き続きいろいろな角度から調査を進めたいと思っております。また、今回の公金横領疑惑以外にも、この松尾元室長についてはいろいろ取りざたがされておりますので、そうした疑惑についても幅広く、引き続き内部調査を進めてまいります。きのうの外務省機能改革会議、第二回の会合におきましても、私どもに対して、もっと厳しい調査を行うべきである、そういう意見もいただいておりまして、そうした意見も十分に念頭に置きまして、調査を継続してまいります。

 それで、期限については、期限を切った私どもの調査委員会でないわけでありますが、ある程度まとまるごとに適宜御報告をしてまいりたいと思っております。

前田分科員 では、荒木副大臣がこの調査委員会の委員長ということであるならば、松尾元室長から直接荒木副大臣がお聞きになって、どのようなものかというふうに調査されたことはありますか。

荒木副大臣 もちろん、私自身も当の本人から聞きたいということは当然思いました。そこで、実は外務省の事務方におきまして、そうした協力を求めるべく連絡をしたわけでありますが、既に捜査も始まっているということから正式に断られました。私自身も彼の側の弁護士に対して直接話をいたしましたが、同じような意味で協力はいたしかねるということでしたので、実現をしておりません。

前田分科員 では、報償費のことにつきましてはこれぐらいにさせていただきます。

 次に、環境外交の問題についてお尋ねいたします。

 私は、二十世紀は戦争や貧困からの自由を求めた時代であると思います。二十一世紀は、個の時代、一人一人を大切にしていく、人間としての人を大切にしていく環境の時代に入ってくると思うのです。既にイギリスのブレア首相が指摘なさったように、外交の柱は人権外交と環境外交であるということでございます。私も、人間の安全保障という観点から、外交の一つとしてこの環境外交を取り上げるべきかと存じます。

 環境外交は五つの要素から成ると考えます。第一は、条約、議定書といった国際的なルール、枠組みづくりですね。第二は、脱硫装置、水質改善技術といった環境技術の支援。第三は、環境ODAなどによる環境資金の充実。第四は国際的な調整機関の設立。第五は、環境外交を推進する人材の育成であると私は考えます。どれもがもちろん環境外交の実現には大切な柱ばかりでありますけれども、きょうは、特に我が国にとりまして重要な隣人であります、そして環太平洋においても我が国の重要なパートナーであります中華人民共和国を取り上げたいと思います。

 日中両国は以前に、アジアと世界の大国としての責任を果たすべきだ、自覚すべきだということで確認しておりますけれども、しかし、実際のODAを見ますと、さまざまな批判がこの対中ODAには加えられているわけでございます。私は、この供与対象を産業のインフラから環境保全のプロジェクトへ大きくシフトすべきではないかと考えておりますが、対中ODAの基本方針についてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

河野国務大臣 対中ODA問題は、昨今さまざまな議論がございます。今議員がお話しのように、御批判もかなり強いものでございます。中国は既にある意味で相当な大国になっているではないか、こういう国にODAを供与することが果たして適当かどうかという問題などもございます。

 ただ、基本的に対中ODAについて申し上げますと、二十一世紀において、我々が好むと好まざるとにかかわらず、やはり一番注目しなければならない国は中国であるということは疑いのないところだと私は思っているわけです。その中国と日本との関係をやはり友好的な関係、そしてお互いに平和を維持する、協力して平和を維持することができる関係、そしてまた、中国の繁栄によって日本の経済もまた相当な、お互いに成長をすることができる、そういうことを考えると、中国にはやはり政府開発援助というものをまだ実施するという必要がある。

 しかし、その対中ODAは、これまでのように、今お話しのように、沿岸のインフラとか非常に成長の目覚ましい地域ではなくて、むしろ内陸部にシフトすべきだ、あるいはまたインフラではなくて、今お話しのように、環境にシフトする必要があるというふうに私も考えているわけでございます。とりわけ今議員が取り上げられました中国の環境問題はそのまま日本にも直接的に影響を及ぼす。つまり、黄砂が日本まで来るとかいうことを考えれば、中国の環境問題というのは日本にとって全く遠い世界のものではないということを考えれば、中国の環境問題に我々は大いに関心を持つ必要があるというふうに思っているわけでございます。

 今後日本が対中援助を、対中ODAを行いますにつきましては、ちなみに、例えば九九年度の対中円借款は、十九案件中十四件が環境関連の案件になっているということから見ましても、対中ODAにつきましては、環境さらに内陸部ということを視野に入れて考えていくべきものだというふうに思っております。

前田分科員 今大臣に御説明いただきましたように、ODA全体に占める環境ODAの割合も、中国において非常に高まってきているわけでございます。

 私は、いいものはいいと申し上げますので、その中で大変評価すべきものが日中の環境協力の中にはあると思います。具体例として、日中環境開発モデル都市構想、そして東アジア酸性雨モニタリングネットワーク事業、この二つが私は挙げられると思うのです。特にこのモデル都市構想、これは、大気汚染対策を優先して、しかも集中的に実施することで、広大な国土を有する中国の中西部の大気汚染対策を効果的に実施し、しかも短期的に効果を出す、そして評価しやすくしているもので、私はそういう点で大変評価しております。

 ただ、もう一つここで、せっかくいいプロジェクトでありますので、都市だけではなくて周辺にこの効果を波及させる方策を具体的に伺いたいと思います。地名で言いますならば、大連、重慶、貴陽の三都市からいかに周辺部に波及させていくのか。これは具体的な事例でございますので、担当の方からお願いしたいと思います。

飯村政府参考人 ただいま委員御指摘の日中環境開発モデル都市構想、それから東アジア酸性雨モニタリングネットワーク事業についてでございますけれども、御承知のとおり、中国における大気汚染あるいは酸性雨といった環境問題は、その影響が国境を越えて広範囲に及ぶということから、我が国としても非常に重視しているところでございます。

 その観点からこの二つの事業を実施しているわけでございますけれども、中国の国内のみならず、東アジア全体、国境を越えて環境問題への対策を普及するという観点から、御指摘のとおり、その事業の成果を、中国国内で同様の問題を抱える他の都市やあるいは周辺の国々に波及させるということを念頭に進めたいと考えておりまして、まだ具体的な成案は得つつある段階でございますし、端緒についたところでございますけれども、積極的に前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。

前田分科員 次に、こうした環境外交を推進する人材育成について伺いたいと思います。

 中国においては、一九九六年五月に日中友好環境保全センターが設立されて、公害の防止技術の研究に当たる人材育成に努められているということでございますけれども、今度はこの日本の中で、例えばアメリカのMBAに見るように、私は、マスター・オブ・エンバイロンメント・アドミニストレーション、MEAという日本独自の学位を与えるような機関を創設したらどうかというふうに考えます。もう既に発展途上国の留学生を一万人以上も受け入れてこられたJICAの実績がございますので、こうした人材育成の機関をつくられてはどうかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。

飯村政府参考人 今委員御指摘のとおり、日中友好環境保全センターにおいては人材育成をしておりますし、さらには、JICAの事業で多数の海外途上国の研修生を国内に招いているわけでございます。ただ、今招聘しております研修生は、こういった環境問題で学位を特に取って帰るという方々は非常に少のうございます。

 そういったことで、場合によっては、国内の既存の関係各機関を有機的に連携させるとか、いろいろな方法をとることによって人材育成を図っていくということは非常に重要と考えております。ここら辺も、私どもの今後の大きな課題の一つではないかと考えているわけでございまして、関係省庁とも協力しながら、積極的に、その可能性も含めて、あり方を考えていきたいというふうに考えております。

前田分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、これは最後の質問ですけれども、中東欧に対する投資の支援策について伺います。

 米国経済に急ブレーキがかかって、日本経済ももたついている中で、欧州経済の健闘が目立ってきております。その中で、EU加盟を直前に控えられていますポーランド、私は前国会でも外務委員会で大臣に御質問しましたけれども、今、私の地元の東海地方からどんどんとこのポーランドに対して進出する企業がふえてきた。東海ゴム、そしてトヨタさんも進出しつつあるということでございます。

 その中で、この二月にポーランドにおいて発生している問題が非常にございまして、二十年間非課税の経済特区でありながら、地方税として固定資産税がこうした企業の利潤にかけられてしまうという問題が発生しております。この問題だけではなくて、いろいろと事情がわからない、ポーランド人も日本のことを知らない、日本人もポーランドのことを知らない、投資意欲を持っている企業がどこに相談をしたらいいのか。

 ハンガリー、チェコは、JICAさんの資金で、日本人の専門家が向こうの現地の投資誘致機関に行きまして、日本の企業はこういう資料を欲しているのだというような御説明をして、資料等をそろえられているということでございますけれども、ポーランドについては、まだまだこうしたことがございません。ローカルスタッフ二名を大使館で抱え、そして九月から、月七百ドルで現地スタッフを雇いながら、ジェトロさんと相談しながら、投資の御相談に乗っているというのが現状であります。

 私は、これからヨーロッパの方のパートナーとしてこうしたポーランドに期待したいと思いますし、ぜひ何らかの形で、民間企業の経済活動の円滑化を図るような、例えば現地の支援事務所等の開設の予算をおとりいただけないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

丸谷大臣政務官 今議員が御指摘になりました、ポーランドをECの日本に対するパートナーとして位置づけてという発想は、私も同感でございます。

 ここ十数年において、ポーランドが市場経済に移行するに当たりまして、日本との経済協力もだんだん深まってきておりますし、その中で、今後、投資というのは非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。

 そこで、先生御指摘の投資関係の専門家につきましては、ポーランド政府の要請がありましたら検討をさせていただきたいというふうに存じます。

 また、二点目なんですけれども、現在、ポーランドの方には、青年海外協力隊調整員事務所が設置されておりまして、また、新規のJICA事務所を設置するに当たりましては、現在の厳しい財政難を考えていただくと、現在は困難であるというふうに申し上げさせていただきます。

前田分科員 最後の質問でございますけれども、今挙がっておりますJICAがポーランドにおきましてなされましたポーランド日本情報工科大学、この支援プロジェクトがございます。

 このプロジェクトは、残念ながらこの三月で終了だということでございますけれども、せっかく、ポーランド現地も、私も十一月に訪れましたけれども、非常に喜んでおられる、そして、これからのポーランドと日本との外交関係、友好関係も大きく推進できるようなこうしたプロジェクトをこれからどうなさるのか、伺いたいと思います。

 よろしくお願いします。

丸谷大臣政務官 先生御指摘のポーランドの情報工科大学なんですけれども、八九年より始まりまして、この二〇〇一年三月七日に成功裏のうちに終了する予定となっております。

 なぜ成功裏と申し上げたいかというと、先生が実際に行かれて見てこられたように、非常に高い評価を受けている大学でございまして、また、ポーランドの市場経済への移行を推進する、日本が支援するという所期の目的は達成させられたということで、成功裏に今回終了させていただきたいと思っております。

 ただ、今まで築いてきたものがある、それが高い評価を受けているということを受けて、現在行っておりますのは、第三国研修というのを行っております。ポーランドが、近隣の東欧諸国に対して、この大学において今まで蓄えてきたものを提供していく、そういったことを現在進めておりますし、それに対する支援も日本は今後行ってまいりたいというふうに考えております。

前田分科員 本日は、どうもありがとうございました。

 やはり、削るものは削らなきゃいけない、大切な予算は大切な予算で伸ばさなければいけないということでございます。ひとつよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

宮本主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。

 次に、大森猛君。

大森分科員 日本共産党の大森猛でございます。

 きょう、愛媛県立宇和島水産高校の卒業式が行われました。今ハワイ沖で行方不明になっている四人の生徒は、もちろん欠席のままであります。私も、本当にこれは無念の思いがいたします。

 ハワイ沖で米原潜に撃沈させられた実習船のえひめ丸は、私の住む神奈川県とも大変密接な関係がございます。全国各地の水産高校の実習船が三浦市の三崎港を母港としている。特にえひめ丸は、マグロの水揚げ量でトップクラス、二年連続、三浦市から水揚げ優秀船として表彰されている。さらには、行方不明になっている通信長の瀬川弘孝さんの実家も三浦市にあります。そして、三浦市の三崎水産高校の実習地も事故のあった海域であります。

 事故の直後、我が党の畑野参議院議員が三浦市の瀬川さんの御家族を訪問いたしました。長男の和輝さんは、父は責任感の強い人だから、最後まで船に残って生徒を初め乗組員の人たちを助けようとしたと思う、今も多分船と一緒にいると思うが、一刻も早く船を引き揚げてほしい、アメリカがだめと言うなら、日本独自で引き揚げ、後で費用を請求すればいい、政府はそういう姿勢で取り組んでほしいと切実に訴えておられるわけであります。

 今アメリカでは、謝罪は十分にしたなどの議論が行われておりますけれども、私は、問題はこれからだと思います。政府として、えひめ丸の早期引き揚げを初めとする被害者の方々からの要望、これを全面的に受け入れること、さらには、事故の真相究明、真相解明、補償の問題などについて真っ正面からこたえるべきだと思いますが、大臣の真剣な御決意をまずお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 えひめ丸の事故は、まことにお気の毒な事故でございました。実習船として学生諸君を乗せて実習の途上にこうした事故に遭われて、しかも九名の方が依然として行方不明、何と申し上げていいか言葉がないというのが正直な心境でございます。

 こうした事故に対しまして、日本政府といたしましては、森総理を初めとしてさまざまなチャネルを使ってアメリカ側に抗議を申し込み、遺憾の意を伝えてまいりましたが、これに対してアメリカ側も、少なくとも今我々は、アメリカとしては極めて真摯にこうした我々の抗議に対応をしておわびの意を伝えてきておられると思います。問題は言葉のおわびではなくて、それが実行に移されるかどうかということが大事だというふうに私は思っているわけでございまして、この点についても十分我々はアメリカとの間で話し合いを持ち、交渉をしていかなければならぬと思います。

 一部のアメリカのメディアに出た記事はあくまでも一ライターの原稿であって、アメリカ政府はああした記事よりもはるかに正面からこの問題の重要性というものを感じて対応しているというふうに私は感じております。しかし、これはまだまだ、繰り返して申し上げますが、私の感じでございまして、それが実際の行動に移されるということが何より重要と思っています。

 先般、御家族の方々と森総理がお会いになった際に、御家族の方々からこもごも御要望が総理に寄せられました。総理は直ちに、その要望を受けて、私どもにも指示もございましたし、御自身もその要望を実現させるべくやっておられます。

 最大の御要望は、何といってもえひめ丸の引き揚げでございます。この引き揚げについて、一昨日アメリカから参りました特使は、我々に対しまして、この要請にこたえるべく最大限の努力をするということを述べているわけでございます。私どもとしても、ぜひこのことは実現をしなければならぬ、あらゆる手段を使ってでも実現をしてもらわなければ困るというふうに言うと同時に、我々日本が持っている知見を必要とあらば十分に活用してもらって、日本も最大の協力をしながら御家族の御要望にこたえていくべきだというふうに考えているところでございます。

大森分科員 あらゆる手段を使って、ぜひ早期に実現をしていただきたいと思います。

 今回の米原潜事故で重要なことは、体験ツアーなどと称してたくさんの民間人が乗り込んでいたことであります。しかも、操舵席に着いたり操舵桿まで握っておる。それが安全な運航に支障を来したということが明らかになってきているわけであります。

 そこで、この民間人の米原潜の体験ツアー、これが日本近海で行われている可能性があるという問題であります。

 まず、外務省にお聞きしますが、一九九八年八月八日、出港、寄港した米原潜があったか、あったとすればどういう原潜であったか、時刻を含めてお答えいただきたい。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 九八年八月の米国原子力潜水艦の出港、入港でございますけれども、私ども承知しておりますのは、八月七日に米国原子力潜水艦アッシュビルが横須賀に入港いたしまして、八月八日に再入港いたしまして八月十日に出港いたしました。以上の出港、入港をしております。

大森分科員 時刻はおっしゃいませんでしたが、私どもが横須賀市から取り寄せた資料では、八月八日午前九時に出港し、午後四時三十六分に横須賀港に入っている、こういう形になっているわけです。

 そこで、二月十八日放映のTBSテレビの報道特集番組、ここにビデオを持ってきておりますけれども、米原潜の民間人の体験ツアー、これを詳しく報道しております。その内容は、驚くべきことに、原潜アッシュビルが日本の民間人を乗せて横須賀港を出港し、相模湾を数回にわたって往復する。その間、民間人を操舵席に座らせる、十分間にわたって仰角二十度で上下運動したというわけですね。日本近海でこんなデモンストレーション航行までやられているわけであります。

 私もあのビデオを見ましたけれども、艦内に二人の日本人らしい女性がいる。あるいは、写真も映され、艦内に日本語で立入禁止、こういう張り紙が映し出されている。日常不断に日本人の民間人が同乗しているということがこれによってもうかがえるわけであります。

 外務省、こうした事実についてつかんでいるでしょうか。

藤崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御質問のございました民間人の乗船ということでございますけれども、在日米軍は従来からその活動に対する国民の理解を深めてもらうということを目的といたしまして、民間人の艦船への乗艦というのを行ってきているということは承知しております。ただ、潜水艦にどのような乗船を行ったのかという具体的な点については把握しておりませんで、実態把握に現在努めているところでございます。

 なお、民間人の潜水艦あるいは水上艦艇あるいは航空機等への搭乗の対応につきましては、ブッシュ大統領の指示に基づきまして、現在、米国防総省におきまして見直しが行われているところであるというふうに承知しております。

大森分科員 日本近海での日本人の乗り込み、これについて承知しないというのはとんでもないことだと思うんですね。

 今も局長の答弁にもありましたけれども、この番組の中でも、元艦長のジョン・ピータース氏は、海軍をよく理解してもらうためのサービスだ、日常不断に行っている、こう語っているわけですね。

 証言はしかも、日本近海での日本の民間人の乗り込み、これだけじゃない。これはさきの予算委員会でも紹介をしましたけれども、元アメリカ外交官のケネス・キノネス氏、この彼の著書である「北朝鮮 米国務省担当官の交渉秘録」、この中でも、一九九二年の六月、横須賀から米原潜インディアナポリスに同乗して、しかも操舵桿を握る、こういう経験が詳しく紹介されているわけであります。このインディアナポリスについての記録も、これは外務省の記録とも、あるいは横須賀市の記録とも一致しているわけですね。九二年六月です。

 日本近海での民間人同乗の訓練が頻繁に行われているということであれば、事は重大だと思うんですね。しかも、これは公共の電波を使って一時間にわたって放送されたわけであります。多くの日本の国民がこれを見ているわけでありますから、承知していない、実態を把握すると言われましたけれども、こういう民間人体験ツアーについてきちんと調査して、国会にこれはぜひ報告をしていただきたいと思うんです。いかがでしょう。

河野国務大臣 私は、今回のグリーンビルの事故というものは極めて重大な事故だと思っております。先ほど北米局長からも御答弁を申し上げましたように、この事故を重く見て、アメリカの大統領は、民間人を搭乗させてのクルージングとでも言っていいかと思いますけれども、こうしたことについてはもう一度見直さなきゃいかぬということを言っておられるわけで、このことは我々十分承知をしているわけです。

 さらに、一昨日日本に参られましたファロン特使、これは海軍大将でございますけれども、ファロン特使が森総理と会談をされたときに私も同席をいたしましたが、特に私からファロン海軍大将に対して、こうした事故にかんがみて、日本の海軍基地に入港する、あるいは日本の港に入港する米艦船については特段の安全についての指示をしてもらいたい、もうこういうことがあってはならぬということで、特段の安全に対する配慮を海軍大将からも指示してもらいたいということを特別発言いたしまして、ファロン氏からは、まことにそうだ、承知したという返事をもらっているところでございます。

大森分科員 確かに、ブッシュ大統領の見直しの指示とか、あるいは国防長官の全軍に対する指令もありますけれども、それは民間人の機器の操作に限っての指令だ、こういう報道だと聞いております。

 そこで、しかもこれはアメリカの軍隊の中のことであり、日本の国民の生命と財産を守る、そういう立場から、こういう操舵桿を握るということはもとより、民間人の同乗など、やってはならないと、具体的にこれは米側に対して求めるべきではないかと思いますけれども、重ねてその点、大臣にお聞きしておきたいと思います。

河野国務大臣 今私が申し上げました米国政府特使ファロン大将に対します私の発言は、日本の港に原潜を含め米軍艦船が入港しているが、これらの艦船について改めて安全確認を徹底するよう指導してほしいということを申し上げたのであって、別に民間人が乗っている場合とかなんとかということではなくて、米国の艦船それ自体の入港時、出港時、航行の安全、特に民間の船に対する危険というものがないように徹底してもらいたいということを申し上げたわけであります。

 この発言に対しましてファロン特使は、今回の事故の対応として、米側は、クラーク海軍作戦部長から下のレベルに至るまで、細心の注意を払って適切な手順を構築するよう新たな指示を出している、こういうふうに返事をしておられます。

大森分科員 今回のハワイ沖の事故が、民間人の同乗、ここからきたことによる要因が大きいということから、あえて申し上げているわけであります。

 問題は、なぜ日本近海で米原潜の訓練が行われているか、この問題であります。

 これは、日米地位協定第二条で、横須賀の近く、相模湾が米原潜の訓練区域、行動区域に指定され、提供されていることだ。相模湾全域、これは具体的に言いますと、神奈川県三浦市城ケ島灯台と静岡県伊東市の川奈崎を結ぶ相模湾の北方全域になりますけれども、一九五二年七月以来訓練区域に指定され、今では日本で唯一の米原潜の訓練区域になっているわけですね。

 そこで、まず防衛施設庁にお聞きしたいんですが、何のためにこれを行動区域として指定したのか、これをお答えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 ただいま御指摘の相模湾潜水艦行動区域でございますが、御指摘のとおり、昭和二十七年に最初に外務省告示ということで提供しております。それ以後、告示そのものはいろいろな変遷をしておりますが、基本的にはただいま御指摘のように、北緯三十四度五十七分、東経百三十九度〇九分の点と城ケ島灯台を結びます線の北方区域、相模湾ということだと思いますが、その区域でございます。そして、そこでは、潜水艦は射撃演習を除くすべての演習が行えることとなっておりますが、模擬魚雷射撃演習については除外されておりません。この模擬魚雷発射に当たりましては、あらかじめ視覚探査を行うというような規定になっております。

 なお、この区域につきましては、いわゆる漁業制限というものは行われていないところでございます。

大森分科員 何のために区域を指定したのか。目的については、今、模擬魚雷の発射を含むあらゆる演習ということで、これは相当な演習になるわけなんですが、官報での告示の中では、この区域を行動区域として指定した理由として、他の船舶の安全航行のために必要であると思われた、こうなっているわけでありますけれども、あれから五十年たっているわけです。この間に、潜水艦は普通の潜水艦から原子力潜水艦になる、寄港回数は飛躍的に伸びる、民間の船舶も飛躍的に伸びる、こういうことになっているわけです。ところが、政府としては、こういう官報の告示を数回行っただけで、船舶の航行の安全のために何一つやっていない、こう申し上げてもこれは過言でないと思うんです。

 それでは、あらゆる演習というお話がありましたけれども、一体どういう訓練をしたのか、最近の訓練の状況を把握しているのか、例えばこの五年間で何回、何日、どういう演習をやったのか、これを御報告いただきたいと思います。

伊藤政府参考人 ただいまも御説明申し上げたところでございますが、この区域におきましてはいわゆる漁業制限というものは行われておりません。また、米軍は、施設・区域におきまして活動するに当たりましては、公共の安全に妥当な考慮を払うこととされております。

 したがいまして、当該海域において行動する場合には、海上における船舶の航行等に十分な注意を払っているものと承知はしているところでございますが、具体的な使用実態ということにつきましては、米軍の運用にかかわる問題でもございますし、先ほど申し上げましたように、漁業制限というようなことはかかっておりませんので、いわゆる演習通報というものも出されていないわけでございまして、私どもとしては承知しておりません。

大森分科員 一片の通達で航行の安全を図るなどと言っても、今日の時代、これはもう本当にへの突っ張りにもならないんじゃないですか。しかも、どういう訓練をしているかわからないということでは、ここを航行する船舶の安全は一体だれが守るのか、こういうことになると思うんです。

 しかも、今回のハワイ沖の事故の直後のファーゴ米太平洋艦隊司令官の記者会見では、緊急浮上訓練は、訓練や演習、浮上システム適正作動の点検のために日常的に実施している、こういう説明もあるわけであります。さらに、太平洋軍広報部長のシングレイ氏は我が党の調査団との面談の中でも、訓練、演習そしてデモンストレーションは世界の訓練区域あらゆるところでやっている、こういう趣旨の発言までここで行われているわけであります。

 相模湾、これは河野外務大臣、改めて言うまでもなく、カツオ、キハダマグロ、ブリ、こういう回遊魚の豊かな漁場であります。漁業者に加えて遊漁船が非常に多い。調べてみますと、相模湾沿岸、三浦半島の漁港を利用する漁船、遊漁船は、神奈川、静岡両県で約四千四百隻であります。さらに、プレジャーボート、ヨットも日本で最も集まるところであります。ヨットというのは潜水艦のソナーも全くきかない、こういうことで大変なわけなんですが、このプレジャーボート、ヨット類は同地域のハーバーに係留しているだけでも約四千七百隻だ。しかも、それ以外の地域からもたくさん来るわけであります。合わせて一万隻近い、これはまさに船舶の一大集中、そういう地域であるわけであります。

 ですから、海上自衛隊も、説明を受けましたけれども、この海域では船舶の航行が多いので通常の演習は行わない、あらかじめ通告した緊急浮上訓練、潜水艦が海底に沈んだことを想定した、そういうあらかじめ周囲に通告した訓練しかやらないということになっている。その地域で、今、模擬魚雷の発射を含むあらゆる演習を行う区域が五十年間設定をされている、そういう性格の問題で、これは歩行者天国にダンプカーが突っ込むようなものだという、まさにそんな感じであります。

 だれが一体漁業関係者を含む船舶の安全を守るのか、この点、大臣、ぜひお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 議員も神奈川県のことに精通しておられるわけですが、私はこの相模湾で育った人間でございまして、この相模湾に一体どういうことがあるかということはかなりよく知っているつもりでございます。そういう私でも、ここで潜水艦が演習をやった、あるいはやることがあるということについては、余り多くの知識を実は持っておりません。

 私は、今議員がお話しになりましたように、この地域は湘南海岸といって、海水浴場としても非常に名の通った地域でもございますし、現在では、海水浴場というよりは遊漁船、プレジャーボートの集まる場所として、毎日毎日相当多数の船があの辺一体には見えるところでございまして、果たして訓練をするとすればああいう場所が適当な場所であるかどうかということを、私自身は少し首をかしげたくなる場所であることは事実でございます。

 しかし、海軍の立場に立てば、あの近くにはちょうど修理、点検を行う場所があって、そうした修理、点検の後のテストといいますか、そういうものに使う場所というふうにも考えているかもしれません。あるいは、首都圏に極めて近い場所ということもあって、あの辺は米海軍にとってみればかなり重要な場所という意識もあるかもしれません。

 いずれにしても、私は、この問題については施設庁ともよくお話をして、今回の事故にかんがみて、あの場所の安全性というものを確認できるような努力をしてみたいと思っております。

大森分科員 演習といっても修理した部分の調整ということかもしれないというのは、これはやはり大臣の希望的観測にすぎないと思うんですね。演習というのは厳然と海軍のマニュアルに従って行われていると思わなくてはならないと思うのです。

 我々の聞き取り調査の限られた範囲でも、漁民の皆さんからいろいろな不安の声が出されております。

 例えば、これは三浦市の釣り漁船近藤丸の御主人。相模湾で浮上している潜水艦は何度も見かけている、出漁するときは必ず見かけるほどだ、十数年前にはアコウダイの釣り糸をひっかけられたことがある、二千メートルもの長さのワイヤーが物すごいスピードでどんどん繰り出され、最後はもとのところでぷつんと切れた、恐ろしかった。また、横須賀市長井の漁民の方。潜水艦にカニ網を切られた、危なくてしようがない。さらに、三浦半島に釣り船を出す松輪のあまざけや丸の御主人ですが、剣崎沖は原潜が頻繁に通るので危ないと思ったことがある、潜望鏡をちょこんと出して走っていくし、ハッチを上げているときもある。

 さらに、これは神奈川新聞でありますけれども、二月十一日付で、元海上自衛隊の艦長の話として、漁船やボートなどの船舶が多く、浮上には気を使う、年に一、二回異常接近がある、こういうことも語っておられるわけであります。

 今、防衛施設庁とも協議をして安全確保のために考えてみたい、あるいは検討してみたいというお答えがあって、ぜひそれを進めていただきたいのですが、一番大事なことは、この区域が指定をされている、こういうことで、これをやはり解除すべきだ、こういう立場でこの問題に臨むべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 今申し上げましたように、私は、あの地域の遊漁船は立派な御職業で、なりわいを立てておられる方々でございますから、そうした方々の安全というものは極めて重要だと思います。もちろん、遊漁船以外にも専門の漁業者もたくさんおられます。そうした方々の日常の業務が安全に行えるということを考えて、この問題にまずは取り組んでみたいというふうに思います。

大森分科員 指定されて約半世紀にわたって全く放置されてきたという点での政府の責任というのは非常に大きいと思うのですね。

 今回の米原潜の事故で、横須賀市も、米原潜の横須賀寄港に当たっての安全航行の徹底をアメリカ政府に求める要望書を外務省に出されました。神奈川県議会も、全会一致でえひめ丸沈没事故に関する意見書を採択して、再発防止の抜本策をとるよう要望する、こういうことになっているわけであります。

 この訓練区域についていえば、土佐湾は、かつて同じ時期に指定をされましたけれども、三十年前に既にこれは解除されております。解除できるということでありますから、ぜひそういう立場で臨んでいただきたいと思います。

 そこで、最後に、横須賀基地についてもう一点重要な点を質問したいのです。

 横須賀基地について新たに土壌汚染が発見されました。横須賀市民あるいは市役所の関係者の皆さんは、またか、やっぱりか、こういう強い不安をお持ちになる。そういう不安が広がっております。

 これまで、同基地の十二号バースで、地下水においては鉛が最高で環境基準値の五百二十倍、土壌では総水銀が環境基準値の四百四十倍、こういうものが発見されたり、泊浦湾に米軍が投棄した提供水域内の海底の土砂からPCBが検出される。さらに、米艦船の油流出事故も一年に数回起こっている。本当に次々とこういう問題が起こっているわけであります。

 ですから、今、こうした環境にかかわるさまざまな問題が起こる中で、横須賀市民としては、当然のこととして、海軍施設全体について、環境は大丈夫だろうかと強い疑念が起こってくるのは当然だと思うのですね。ですから、横須賀市は、今回、防衛施設庁、外務省に対して、海軍施設全体について日米間の協議、環境調査、対策を講じるよう要望しております。

 私どもは、いずれ二十一世紀の早い時期にこの横須賀基地が日本の国民、横須賀市民に返されるということも展望して、その返還された基地が汚染だらけだ、フィリピンのクラーク元米軍基地とかスービック基地ですか、これが大変な汚染で大問題になりましたけれども、そんなことを繰り返してはならないということで、この点、外務省それから防衛施設庁、それぞれ回答をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

伊藤政府参考人 十二号バースについて御指摘がございましたが、ここにつきましては、もう委員御承知のとおり、現在、いわばその汚染を封じ込めると申しますか、そういう措置をとっておるところでございます。

 いずれにいたしましても、ここにつきましては、大変岩盤のかたいところと申しますか、丈夫なところと申しますか、そういうところでございますので、ただいま申しましたような封じ込めということで対処できると思っております。

 そのほかに、平成十二年の六月でございますか、家族住宅の基礎工事中に油まじりの土壌が確認されたわけでございます。そこにつきましては、横須賀市長から、本年の一月九日でございますが、環境保全についての徹底と今回汚染が確認された場所の徹底調査、適切な対策ということで私どもの方に御要望がございます。

 現在、それにつきましては、調査という点では、私ども、環境省の指針に基づきます調査を行いまして、その結果によりまして必要な措置をとってまいりたいと思いますが、この地域につきまして、現在までのところ、施設の外部に汚染が及んでいるというような状況にはないと承知しております。

 なお、そういうことでございますので、ここにつきまして、十分原因等の調査、対策をとってまいりたいというふうに考えております。

藤崎政府参考人 土壌汚染を含めまして、この環境の問題につきましては、住民の方々にとりましても極めて重要な問題であるということは私どもよく認識しておりまして、防衛施設庁ともよく連絡をとりつつ、今後、適切に対処してまいりたいというふうに思います。

大森分科員 調査については、ぜひ御報告いただきたいことと、全域について調査するという点について、大臣、なお検討いただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

宮本主査 これにて大森猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原分科員 民主党の前原でございます。

 河野外務大臣とは自社さ政権のときの外務大臣として議論をさせていただいたことがありますが、それ以来ということで、内閣の支持率の低さ、それから機密費、またグリーンビルの問題等々、大変な時期に外務大臣をやって、そのことについては御苦労さまという言葉を申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、外交というものは、私が申し上げるまでもなく、世界じゅうが動いていることでありますし、国内の問題で忙殺をされていてはいけない、一刻の猶予、停滞も許されないということで、あえて大きな観点の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日米同盟関係についてでございますけれども、長い間大統領が決まらないという状況からようやく結論が出て、アメリカもブッシュ新政権の体制が動き始めました。そしてまた、枢要なポストに当たられる方がだれになっていくかということがどんどん当てはまり始めているわけでございまして、いよいよ本格的な大統領の組織としての動きというものが出始めているのではないかと思いますし、外交関係あるいは防衛関係においても、その考え方がある程度明らかになりつつあるのではないかと思います。

 その中で、八年間続きました民主党政権から共和党政権にかわったということで、よく言われているのは、日米同盟をより重視、別にクリントン政権のときに日米関係が軽視されていたとは思いませんが、比重の問題としてより重要視されるということでありましょうし、また、そういう言葉が政府の要人あるいはいろいろな研究者からも伝わってくるわけであります。

 特に、中国に対しては、戦略的パートナーという言葉を削除しまして、競争相手という位置づけをしていくということでございまして、対中国外交をにらんでも、日本の果たしてほしい役割、そして、その一つのかなめとしての日米同盟関係というものについては、相当向こうは期待をしている部分があるのではないかと私は思っております。

 それがゆえに、今のような国内問題に忙殺をされていることも踏まえて、非常に危機意識を持っている部分がございますので、それについて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

 まず、私もいろいろな方々とお話をさせていただく中で、相当兵力といいますか戦力に対する考え方が変わってくるのではないか。よく言われますのは、十万人体制という言葉がアメリカの公式文書から削除をされました、東アジアの。そして、ドラスチックなRMA、つまりは軍事におけるいわゆる技術革命といいますか技術革新の結果として、配置転換あるいはポンカスのような事前集積、そして移動時間の短縮といったものもあるのでしょうけれども、前線基地に対する見方を変えるという話も出てきている。

 特に、ミサイルが拡散をする中で、前方基地に兵力を集中させておく方がより危険であるかもしれない、こういう考え方もアメリカの中では出てきているわけでございまして、兵力構成、戦力構成に対する考え方の違いというものが言われるようになってきている。あるいは、二正面作戦と言われる、世界で同時に二つの大きな戦争が起きたときに対処できるようなものから、それについての転換ということも今議論をされ始めているわけであります。

 その中で質問させていただきたいわけでありますけれども、いろいろ変化がある中で、日米安保体制というものをどのように位置づけていくのか、あるいは、アメリカに対して何を求め、そしてまた我々としては何をしていかなくてはいけないのか。概括的なことで結構でございますので、今の私の問題意識を含めて、大臣の新政権と向き合う中でのこれからの日米安保関係というものについてお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 久しぶりで前原先生と外交の話ができるのは大変うれしいことでございます。

 今議員お話しのように、日米関係、これは何といっても、これが我が国外交の基軸でございますから、この日米関係がどういうふうに変化するのかしないのか。いずれにせよ、アメリカが新政権がスタートをするというこの時点で、我々も大いに関心を持つべきだと思います。

 私は、一月にワシントンに参りまして、パウエル国務長官ともお目にかかって、実は私は初めてお目にかかったのですけれども、かなり長時間二人で話をすることができまして、いろいろと教えてもらうこともありましたし、私のあらかじめ持っていたパウエル観というものが正しかったなと思う部分もあり、あれそうかなと思う部分も実はあったわけです。

 それは、ブッシュ大統領が選挙期間中にいろいろと、選挙中ですからいろいろなことを言われる、それほど多く言われたわけではないのですけれども、しかし、外交問題、特にアジアの問題についてブッシュ大統領が言われたときには、同盟関係の強化とか、こういったことを言われてきたわけでございます。

 そうしたことを私も頭に入れてパウエル長官に会ってみたのですが、今議員がおっしゃるように、主要なポストに人がどう配置されていくかというのがまだ一月の段階では十分ではなくて、パウエル氏が長官になり、アーミテージ氏がその後に、その下に行くだろうということはおおむね皆さんの話ではわかっておりましたけれども、アーミテージさんの場合にはいまだに承認をされたわけではない、しかし、指名はされている。

 私がパウエルさんに会ったときにはまだそこまでもいっていない場面でございましたが、パウエルさんにお目にかかりましたときには、パウエルさんは、やはり思っていたように、日米関係を非常に重要視していくのだ、つまり、同盟国というものは非常に重要視する、だからこそ同盟国には期待するところも大きいということも彼は言っていたわけです。

 しかし、そのとき、私はパウエル氏にも幾つかのことを申し上げ、その後パウエル氏の発言、行動を見ていると、なかなかブッシュ外交というものは難しい局面にあるなと。

 例えば、今中東を回ってきているわけですけれども、中東においてもなかなか思っているようなわけにはいっていないのじゃないかというふうにも思います。それから、中国に対しても、あらかじめ言ったようなことで中米関係というものがああいう状況のままいくだろうか、それはいくかもしれないけれども、案外そうではないかもしれないなと。

 恐らく、近々中国からセンキシン副総理がアメリカへ行かれるというような話もありますが、ここで米中のハイレベルの人が出会っていろいろ話をされると、アメリカの対中観というものも思っていたのと少し違うかもしれないという感じもして、必ずしもブッシュ外交あるいはパウエル外交というものがスタートの時点で思っていたような格好にいくかどうかということについては、まだもう少し見ないとわからないというのが正直なところです。

 特に、日米関係については、パウエル氏が非常に期待を持って、同盟国との関係を強化していきたい、よりよくしていきたいということを非常に強く言われましたけれども、その日米関係が、沖縄におけるさまざまな事件とか、今度の潜水艦の事故とかによって、少し思っていたようなことで、出ようと思ったはなに水かけられたという感じもあって、少し、何といいますか、もう一度基礎からつくり直さなければいけないというようなこともあるのだろうと思うのです。

 しかし、いろいろなことを申しましたけれども、一番基礎は日米の同盟関係の強化、これはもう間違いなくアメリカの考え方の中には非常に強くあるということは、私もパウエル氏との会談で確認をしてきたところでございます。

前原分科員 ぜひ、新政権とも密接なつながりをさらに持っていただきまして、私の要望としましては、いろいろなことをアメリカが決める前に、また日本が決める前に、その前段階から、まあ今までもやっておられると思いますけれども、よりそういうものを強めていただきたい。

 私が思っておりますのは、先ほど申し上げました兵力構成の問題。一部専門家の中では、在韓米軍の撤退あるいは一部縮小なんかも含めた動きがこれから出てくるかもしれないという話がありました。当然、そうなれば日本の基地というものも連鎖的にそれにかかわってくるわけでございますし、普天間の問題あるいは沖縄の基地の問題にもかかわってくる話でございますので、アメリカの動きというものを、かなり初めから加わるような形で、ぜひ日米関係というもののマネジメントをしていただきたいということを要望したいと思います。

 その中で、ちょっと一問一答形式で簡単にお答えをいただきたいわけでありますが、期待が大きい分、我々がやらなきゃいけないものについてしっかりこたえていかなくてはいけないけれども、例えば那覇軍港の問題にしても、かなり長い間たなざらしになっている。あるいは普天間の問題にしても、これも私は日本の基本的な問題だと思っています。つまりは、向こうが努力をしてくれておぜん立てをしたことを日本の問題としてできていないということがあって、これはやらなきゃいけない。

 それから、ガイドラインの見直しがさも終わったような議論になっていますが、実は終わっていないんですね。

 ガイドラインというのは三つのカテゴリーから成っていました。つまりは、平素からの協力、それから、いわゆる周辺事態での協力、それから日本有事の協力ということで、このガイドライン法案が通って周辺事態法になりましたのは、いわゆる周辺事態有事だけなんですね。つまり、平素からの協力と日本有事の協力についてはまだ一項も具体化されていない。これをどのように進めていくかというタイムスケジュールについて簡単にお答えしていただきたいのが一つ。

 そして、日本有事というものを防衛協力で具体的に議論していくとなると、有事法制、まあ有事法制というのは今前向きにやられようとしておりますけれども、米軍の行動にかかわる有事法制というものは、これは外務省が窓口にならないと進んでいかない話だと思います。

 したがいまして、その残り二つのガイドラインをアメリカとどう議論していくのかという大臣のお考えと、そして、外務省が窓口にならなくてはいけない米軍の行動にかかわる有事法制、これをどういうふうにとらえていくのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 議員がお話しになりました那覇軍港あるいは普天間の基地の移転、移設の問題については、もう随分長い間の懸案といいますか計画でございますが、今回、浦添の市長選挙などが終わりまして、那覇軍港の移設については浦添市民の皆さんの御理解がだんだんと進んでいくのではないか、そういったようなことなども我々は期待をしておりまして、従来とは少し違った取り組み方になっていくだろうと考えております。

 普天間の移転につきましては、まだ、環境のアセスメントもございますし、それから場所の決定も進んで、さらにそのプロセスには地元の御意見、例えば十五年とか、いろいろな地元からの御要請などもございますから、これらの問題を取り上げていかなければならぬというようなこともあって、まだ少しやるべき作業があるように思いますけれども、しかし、その方向性としてはだんだんに見えてくるのではないかと思っているわけでございます。

 ちょっと有事法制の前にもう一言申し上げなければならないのは、こうした基地の移転、移設を考えますときに、兵力構成の問題がどうしても考えなければならない問題としてございます。

 さっき議員がおっしゃったように、十万人体制というものが、今度、公式文書からなくなったということをさすがに議員はよく見ておられると思いますけれども、我々も、こうした十万人体制という文言がなくなったことについて米側にも問い合わせをしておりますが、米側は、明確に、この文言がなくなったことは、十万人体制について、これを変えようという意図があってこの文言を入れなかったのではない、十万人体制は引き続き考えていくんだということを言っておりますから、少なくとも、現時点においては十万人体制ということを念頭に置いて考えなければいけません。

 ただし、それは、いつもそうですけれども、国際情勢がどう変化するかによって兵力構成というものはまた変わってくる可能性があるわけでございますが、まず、ベースとしては、十万人体制をベースにして考えていかなければならないということだろうと思います。

 そこで、有事法制でございますが、有事法制の検討を行うに際しましては、これはもう議員が今お話しのように、米軍の行動にかかわる法制でございますから、外務省として、非常に我々が対応しなければならない問題だというふうに考えております。これが、日米安保体制の円滑な運用あるいは効果的な運用と申しますか、そういうものを図るという観点から極めて重要であることは、これはもう申し上げるまでもないと思います。

 総理大臣の所信表明でも述べられておりますように、この有事法制の検討にいよいよ着手するわけでございまして、その具体的な検討内容、スケジュールにつきましては、これは内閣官房を中心にして関係省庁が集まってやらなければならないというふうに思っております。

 同時に、日米両国政府が、施設の問題あるいはSACOの最終報告など沖縄をめぐるいろいろな問題についてもこれを動かしていく、進めていくということが沖縄の方々の理解を得る上で極めて重要でございまして、こうしたことも考えていかなければならぬ。それらこれらをひっくるめて日本の対応というものを進めるということが重要だろうと思っています。

前原分科員 残りのガイドラインをどのように日米間で議論するかという御答弁を再度いただきたいのと、時間がありませんのでもう一つだけお伺いしますけれども、日本有事の際に、尖閣諸島が、安保条約の第五条に基づいてアメリカが防衛の義務を負うのかどうか。私も交流のあるマイケル・グリーン氏の論文なんか読んでいると、国務省はそれについて明確に答えをしていない、国防総省についてはそれは守るんだと言っていて、一体どちらがアメリカ政府としての公式見解なのかわからないということでありまして、残り二つの防衛協力の話、どのようにアメリカとこれから進めていくのか、それと、尖閣のアメリカの防衛義務について御答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 失礼しました。

 包括的メカニズムの作業のもとで実施している平時における計画についての検討作業については、関係省庁間及び米側と調整しながら進めてきておるわけでありますが、その内容については、緊急事態における日米の対応ぶりにかかわるものであって、事柄の性質上、内容を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 昨年のいわゆる2プラス2の会合において構築されました調整メカニズムでございますが、局長級の調整の場、それから課長級の調整の場及び自衛隊・在日米軍の調整の場から構成されまして、局長級の調整の場である日米合同委員会及び日米政策委員会が調整を確実にする第一義的責任を負うということになっておることだけ申し上げておきます。

 それから、尖閣列島の話でございますが、日米安保条約第五条は、各締約国は、日本国の施政のもとにある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するよう行動することを宣言する旨規定をいたしております。

 尖閣諸島をめぐる現在の情勢は、日米安保条約と尖閣諸島との関係を云々するようなものではなくて、また、日米安保条約に基づく米軍の対応など個別具体的なケースについての仮定の質問にお答えすることは適切でないと考えますが、日米安保条約の法的枠組みについて、全くの一般論として申し上げれば、日本国の施政のもとにある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合には、当然日米安保条約第五条が適用されます。

 また、アメリカは、本件に関する我が国の立場を承知し、かつ理解しているというふうに認識をいたしております。

前原分科員 そのマイケル・グリーン氏の論文では、国務省がそれについては明確には認めていない、国防総省については認めているということでありまして、アメリカの見解はどうであるかということについては、これは後でお知らせをいただきたいと思います。この場では結構でございます。

 時間も差し迫ってまいりまして、日米関係で一つだけ、ちょっと私申し上げたいといいますか、大臣の口からぜひ聞きたいことがあるのですけれども、グリーンビルの問題というのは、極めて残念な、そしてまた潜水艦の行動、あるいは民間人を乗せていた、またああいう海域でやっていたということについては、極めて私も憤りを持っているところでありますが、それはそれとして、私は、アメリカ全体の対応としては、かなり日本に対して率直で、そしてまた真剣なものではないかという感じがしてなりません。

 もちろん、この問題の徹底究明、補償あるいは引き揚げの可能性というものを、日本政府としては被害に遭われた方々の立場として一生懸命にこれから要求をされていくとは思いますけれども、さはさりながら、アメリカの今までの対応に対しては、やはり私は評価をする言葉があってもいいのではないか。特に、フォーリー大使なんか見ていて、私は、大使というものはそういうものだとは思いますけれども、本当に日本式に頭も深々と下げて、愛媛まで行かれ、そして対応されているというふうに思います。

 私は、やはりそういう評価もアメリカに伝わらなければ、この問題で日米関係が損なわれることがあってはいけないというふうに思いますので、大臣の口から、それに対する評価、アメリカ政府の対応に対する評価をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 議員の御意見に、私は同じような評価をアメリカに対して持っているということを申し上げたいと思います。

 確かに、今回の事件はまことに遺憾な事件、アメリカ海軍の起こした事故としては、言ってみれば最低の事故だというふうに思います。したがってといいますか、それゆえにと申しますか、事故に遭われた方々の怒りというものは、それはもう大変厳しい、強いものであることは当然だと思います。

 この事故に対して、我が国としても、森総理を初め各レベルでそれぞれアメリカのカウンターパートに対して強い抗議の意を伝え、アメリカ側の対応についていろいろと言ってまいりました。それに対して、アメリカ側は非常に率直におわびの気持ちをあらわしておりまして、今お話がありましたフォーリー大使もそうでございますし、私、自分で直接電話をかけましたから、パウエル国務長官の言葉も極めて丁寧で、アメリカ国民を代表し、あるいはまたブッシュ大統領の意を体して、本当に日本の国民におわびをするということでもありましたし、さらに、大統領からも森総理におわびの電話もございました。

 そうしたことを考えてみますと、アメリカがこの問題に対して、本当に大変なことをしてしまったということを率直に認めて、本当に真摯な態度でおわびをしているということは、我々は認識をしなければならぬというふうに思っています。

 一方で、事故に遭われた方々の御家族の気持ちは、これは我々としてアメリカに対してきちんと伝えるということが一方で大事だと思います。

 こうしたやりとりの中で、日米関係は、また信頼関係というものが構築されていかなければならぬというふうに思っています。

 ただ、残念なことは、この事故は沖縄におきますさまざまな事件、事故と重なったということもあって、日本の国内におけるアメリカに対する厳しい意見というものが出てきていると思います。

 アメリカは、いずれにせよ、沖縄では沖縄で問題解決のために努力をされるし、えひめ丸の問題についても非常に真摯な態度でおわびの意思をあらわし、また、御家族の強い御希望でありますえひめ丸の船体引き揚げについて、とにかく技術的な問題だけで判断をする、ほかのことは余り考えない、技術的には引き揚げられるものなら自分たちは引き揚げるというようなはっきりとした意思も伝えられて、これもアメリカの日本人御関係者に対するお気持ちだと思っております。

 私は、議員が、こうしたことはこうしたこととして日米関係の重要性に思いをいたして、日米関係がやはりきちんと発展していくべきだという御意見に賛成でございますし、アメリカが、このことで日米の同盟関係というものがどんなに強いものかを示すことにもしなければならぬというようなことを言っておりましたが、私もそういうふうに思っています。

前原分科員 最後に二点、日ロ問題をやりたかったのですけれども、時間がありませんので、またぜひこれは外務委員会でやらせていただきたいと思いますが、二つ個別の事案についてお伺いしたいと思います。

 これは外務大臣のお立場としてお答えをいただきたいわけでありますが、一つはセーフガードの問題です。

 中国から野菜や繊維製品、ユニクロの問題は大臣も御存じだと思いますけれども、業界の方々が、セーフガードを発令せよというような要望がありますけれども、全体の外交というものをつかさどられる大臣の立場から、このセーフガードについての考え方をお聞かせいただきたい。

 それから二つ目は、教科書の検定問題でありまして、韓国、中国からかなり国内で批判が出ている話であります。

 私が聞きたいのは二つでございまして、外交ルートを通じての働きかけがあったのかということが一点。

 それから、問題は、外交ルートを通じてもしあったとすれば、その内容なんですね。つまりは、変えろということであれば、それは私は内政干渉なんだろうと思います。ただ、外交ルートを通じてこういう意見があるよというような話であれば、それはセーフなのかなというような思いを持っておりまして、外交ルートを通じて中国、韓国などから働きかけがあったのか。あるいは、働きかけがあるとすれば、どういう内容だったのか。それについて、二点簡単にお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 まず最初に、セーフガードの話でございますが、中国から最近野菜でありますとか繊維が、特にタオルでございますが、安価で量的に大変多くの量が日本に輸入される、しかも近年それが急増しているということで、日本側の生産者の方々が大変な状況になっているということがございます。昨年の十二月に、生シイタケ、ネギなどについて財務大臣、経済産業大臣及び農水大臣の協議の結果、セーフガード発動の前提となる調査を開始することが決定をされまして、現在、調査が進められております。

 外務省としては、中国のWTO加盟も大詰めにあることを踏まえまして、セーフガード措置をとることの可否を含め、WTO関連協定との整合性が確保されることが重要であって、こうした視点に立って関係省庁と協議をしていかなければならないと考えております。

 繊維製品については、本年二月、日本タオル工業組合連合会が経済産業省に対して、タオルの輸入について繊維セーフガードの発動を行うよう要請を行いまして、現在、同省において、国内手続に従い、繊維セーフガードの調査を正式に開始するか否かを含めて、対応ぶりについて検討中だと承知をしております。

 外務省としては、WTO繊維協定など関連の国際ルールとの整合性確保の観点から経済産業省と協議をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

 それから、教科書の話でございますが、韓国と中国でございますが、平成十四年度に使用するために現在検定を受けている中学校歴史教科書について、外交ルートを含めて関心や懸念が表明されております。

 今お尋ねの中国、韓国におきますそうした関心事がどういう形で伝えられているかということでございますが、中国外交部スポークスマンあるいは韓国外交通商部長官などがこの点について関心、懸念を表明しております。二月の二十七日には、江沢民中国国家主席が、中曽根元総理と会われたときに、この問題について大変関心を持っている旨述べておられます。また、二月の二十八日には、李廷彬韓国外交通商部長官から寺田在韓国大使に対しまして、我が国の歴史教科書検定に関し、大きな関心と懸念の表明もあったというふうに聞いております。

前原分科員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、最後の検定の問題は、外交ルートからそういう懸念の表明があるということでございますが、歴史を客観的にできるだけ記述し、後世に伝えるというのは我々の役目でありますし、それがゆがめられたものであってはいけない。しかしながら、これは教科書という日本の国内の問題でありますので、外交ルートからの懸念表明については、参考にしながらも、突っ込んだ話があれば、それは毅然とした対応を日本政府としてとっていただくことが、これから韓国や中国との健全な関係につながるというふうに思いますので、私が申し上げるまでもないと思いますけれども、そういう対応をとっていただきますことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

河野国務大臣 御説明が足らなかったと思いますので、つけ足して申し上げたいと思います。

 今のこうした中国、韓国からの話に対しまして、私どもは現在、文部科学省において検定作業中でございまして、教科書検定基準などに基づきまして、教科用図書検定調査審議会の審査を経て適切に検定が実施されるものと考えているということを向こうに伝えております。

前原分科員 終わります。

宮本主査 これにて前原誠司君の質疑は終了いたしました。

 次に、首藤信彦君。

首藤分科員 民主党の首藤信彦です。

 平成十三年度外務省所管の一般会計歳出予算について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 私は、この一般歳出の予算明細を見させていただきまして、外務省の日々の努力に本当に痛み入っているところであります。しかし、現在の世界の情勢の変化を見ますと、いろいろ構造的に変わってきている。そういうような情勢の中で、やはり外交自体も大きく変わらなければいけないんだ、そういうふうに考えております。そうした冷戦後世界における外交の骨組みというものを変えていくには、同時に、そこに込められた、今までごく当たり前だと思っていた細かい費目もまた大きく変えていかなければいけないのではないか、こういう時期に差しかかっているのではないかとも思います。

 今、外交機密費が問題となりまして、これがある意味で政権を揺るがすような状況にもなっておりますけれども、そうした冷戦後世界において状況は変わってくるということにおいて、費目も、そしてそこに込められた内容もまた大きく変化していかなければいけないのではないか、そのように考えております。そうした視点において、まず、一般会計予算から、財務省提出の資料をもとに御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、平成十三年度の一般予算ですが、最初に予算要求として出てくるところは、当然のことながら外務省本省の項でございまして、そこにおいて、諸外国に関する外交政策の樹立等に必要な経費、あるいは国際経済情勢の調査及び通商交渉の準備等に必要な経費、このような費目が挙げられております。私は、こういうような状況でありますから、この費目こそまさにふえていかなければいけない費目であろう、そういうふうに素人ながら考えた、推察したわけでありますが、現実には、その前年度比が大きく割り込んでおりまして、ことしの要求には三角印がついているというところでございます。なるほど、外務省も厳しい状況に追い込まれているんだな、経費削減のために御尽力いただいているんだな、こういうふうに思うわけであります。

 しかるに、その次のページを見ますと、項目の九五〇一五―二九五九―〇七、報償費というものがございます。当然のことながら、これも大きく前年を割り込んでマイナスの三角印がついているのだ、そういうふうに考えたわけですが、何とここはプラスとなっているということであります。(河野国務大臣「プラマイ・ゼロです」と呼ぶ)プラマイ・ゼロではなくて、七千九百五十万の増額となっております。ですから、例えば国際経済の調査あるいは外国に関する外交政策の樹立に対する必要経費が大きく割り込んでいるような状況の中で、報償費が増額になっているという状況はいかなる状況であるか。これこそまさに神も恐れぬ予算申請ではないか、私はそのように考えるのですが、これは外務大臣の御意見をお伺いしたい。

河野国務大臣 後ほど事実関係を官房長から申し上げたいと思います。

 確かに、議員がおっしゃるように、予算というものは本来、ふやすべきものはふやし、減らすべきものは減らすということであるべきだというのは、私も当然そのとおりだと思います。したがって、今回のようにサミット関連経費などは大きく下回っております。これは、昨年日本でサミットを開催するということで、特別にサミット経費が前々年よりも大幅にふえていたということで、これは議長国たる日本の仕事が終わったということもございますから、サミット関連経費は大幅に削減をされておるわけでございます。

 旅費につきましては、これはごらんいただきますと、本当の微増でございます。これは、旅費自体が全体的に本来はふえていなければならないということでございますが、ここは微増に抑えられておるわけでございます。

 報償費、交際費が増額、もしくはここ数年来ほぼ同じ額で推移をいたしておりますのは、これは、私どもにとりまして、その都度情報収集のための費用として非常に重要視しておりますけれども、これはここ十年近くは増額されずにこういうことになってまいりました。

 それ以外の数字の増減につきましては、事実関係で官房長に御説明をさせたいと思います。

飯村政府参考人 二点ございますが、先ほど委員御指摘の、項九五、諸外国に関する外交政策の樹立等に必要な経費、これはサミット関連の経費でございまして、サミット議長国が終わったということで減額になっております。

 それからもう一点、報償費の関係でございますが、これは非常に技術的な話にわたって恐縮でございますけれども、実は補正要因がございまして、当初予算ベースでは、報償費は、今大臣からお答え申し上げましたように、総額五十五億六千六百万円というのは平成四年度から変わっておりませんで、前年度同額ということになっております。

首藤分科員 それでは次に、同じ外務省が所轄している大きな項目としての海外援助についてお聞きしたいと思います。

 政府開発援助、同じように財務省から提出されたこの資料を見ますと、協力に関しても多くの部分で外務省の業務上の庁費などが大幅に減額されているということは、やはり厳しい経済状態を反映されている、あるいはODAそのものに対する批判を反映しているものだ、そういうふうに考えるわけであります。

 それに対して、当然のことながら、ODA関連として全体的に減っていかなければならないというふうに考えるのですが、国際協力事業団事業費がございます。項目としては〇〇五でございますが、この項目を見ますと、政府開発援助国際協力事業団交付金というものがございまして、減額どころか、これもまた増額になっている。

 このように考えると、このような厳しい財政状態の中で、また、従来国際協力事業団がやっていったようなダムをつくったり大がかりなものから、なるべく草の根的なものに移していこうという大きな転換点の中で、ほかのところが割を食って減少しているのに、なぜ国際協力事業団に対する交付金は増額となっているのか、ここを官房長にお聞きしたいと思います。

飯村政府参考人 委員御指摘のとおり、政府のODA予算全体として三%減額になりまして、外務省のODA予算も〇・七%の減額になっていることは御承知のとおりでございます。

 国際協力事業団に対する予算につきましては、これも先ほどと同じでございまして、補正の要因がございまして、当初予算ベースでは、平成十三年度につきましては一千七百九十億円強の交付金ということになっておりまして、前年度比〇・一%の減になっている次第でございます。

首藤分科員 そういう御説明は、数字上は当然出てくると思うのですが、私は、そうした問題点と同時に、やはり援助そのものを大きく変えていく、見直す必要があるのではないかと思っています。

 私自身も、東ティモールやパレスチナやカンボジア、この半年の間にもそういうところを訪問しまして、そして援助の実態をつぶさに拝見することができた。その内容はかなり千差万別でございまして、例えば、最近行ったパレスチナでは、外務省の大使館の方も、そして現地でそれを担当している国連のUNDP、あるいは日本のさまざまな援助機関の方が、中東の非常に難しい情勢の中で、イスラエル側、パレスチナ側、両方に気配りをしながら、大変苦しい経済状態の中、乏しくなっていく資源を本当に活用して、その両方に非常に高く評価を受けているという現実を見まして、私は、日本の援助に対し認識を新たにした、そういう思いを持っています。

 一方、私が行ったところでは、東ティモールの援助というものは必ずしも予定された効果を生んでいないのではないか、そういうふうに考えています。東ティモールに関してなぜそういうことを言うかというと、私の言うのが厳しいと思われるかもしれませんが、東ティモールに関しては、この八月にいよいよ選挙をやりまして、そして独立を目指すということになっております。これは、大変難しい状況にあるので、選挙はやったが国はまためちゃくちゃになったというのではなく、選挙に持っていくまでに、さまざまな啓蒙活動をし、そして多くの行政機関をきちっとつくっていかなければいけない。その意味において、東ティモールへの援助というものは、私たちの税金から巨額の援助をされているというだけではなく、その効果においても厳しく見なければいけない、そういうふうに思っております。

 その意味で、現地視察し、また河野外務大臣みずからが足を運ばれてそこを視察したと聞いております。この忙しい状況の中で、東ティモールへ行くということはどうしても二日間使ってしまう、そのような二日間を使って行かれたということに敬意を払うと同時に、だからこそ東ティモールへの支援というのは、もっと我々が精査し、その援助の効率を高めなければいけない、そういうふうに強く思う次第であります。そういう視点でこの予算書を拝見していったのですが、どこにもそれはもちろん出てこないわけですね。

 そこで、何を言わんとしているかと申しますと、結局、国民の代表である国会議員が、日本の外交のかなめとなるようなものに関してその内容をきちんと精査できない、予算上それをチェックできないということがあると思うのですが、そうした状況に関しては、どのような形で我々一般議員はそれをチェックすることができるのか、それをお聞きしたいと思います。

飯村政府参考人 委員御指摘のとおり、東ティモールに対する支援というのは大変重要なODAの一環でございまして、御記憶のとおり、平成十一年十二月に、東ティモールの復興開発のために三年間約一億ドルの支援を行うということを表明しているわけでございます。もちろん、援助というのはなかなか難しいものでございまして、これはもう委員本当に御承知のとおりでございますけれども、私どもまだまだ大いに努力していかなくてはならない点があるということは十分私どもも認識しているつもりでございまして、そこら辺はできる限りの努力をしていきたいと思っております。

 予算書の関連でございますが、三年間で約一億ドルというのは、国際機関あるいは二国間援助を通じて実施していくわけでございまして、予算書上は、国際機関への拠出金だとか、あるいは二国間の場合は無償資金協力だとか技術協力、そういったところに入ってくるわけでございます。

 そこで、それではどうやって東ティモールに対する援助をチェックするのだという御指摘でございますけれども、私どもとしては、こういった国会の場で御報告をし、御質問を受けて、できる限りの状況を御説明する、こういう形で、国会のコントロールというのですか、私ちょっと正確な言葉はわかりませんけれども、国会の精査を受けていただけたらというふうに考えております。

首藤分科員 正直な御答弁でありますけれども、私は、この点もやはりこれからの外交において改善すべき点ではないか、そういうふうに思っております。この点においても一般議員が、国民の代表である議員がそれに対してチェックを行い、そしてそれに対してコメントを言える、その場では変えることができないとしても、将来のためにコメントをきちっと言うことができるということが必要だと思います。

 その意味で、これからはこういった資料に関しても、外交に関しては附則として、アペンディックスとしてそういう資料もぜひつけ加えていただきたいと思います。外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 御意見はよくわかります。

 ただ、議員が先ほど見ていただいた、例えばイスラエルとパレスチナの問題などは、支援をするのは非常に機動性が必要なんですね。これを半年、一年前に予算にのせて、パレスチナに幾ら出します、イスラエルの支援はどのくらいやりますかというようなことは、なかなかこれは決めにくい問題があるということは御理解をいただきたいと思います。

 同じように、東ティモールも、おっしゃっていただきましたように、私も現地に参りましてよく見てまいりました。私も大変厳しい状況だというふうに認識をしました。つまり、東ティモールは経済の自立ということはほとんど今考えられないような状況でございます。したがって、恐らくそういうふうに聞かれたと思いますけれども、東ティモールには、今国連関係の経済と、国連とかかわりのない、もう本当に自作、自分で食べ物をつくって自分で食べているという人たちと、こう二つに分かれてしまっているような状況ですね。そういう中で八月の選挙を目指しているわけですけれども、これで議員を選んで果たしてうまくいくだろうかということを、私ども非常にある意味では心配もしているわけです。

 それでは、日本が何ができるかということを考えてみても、そう大きな国ではありませんけれども、なかなか日本一国ではできないだろう。むしろ、あの周辺の国、例えばシンガポールとかそういう国が幾つか集まってみんなで協力をする。一番大事なことは、どうやって人材をまずつくるか。つまり、外に出ている人にも帰ってきてもらわなきゃいけないし、あそこにいる優秀な人材を育てて、まず自分の国を自分たちでつくっていこう、そういう人材が集まってくるということが大事だと思うのですね。そういう教育をするにしても、日本がただお金を出しただけでは、とてもそれではできないのだろうと思うのです。

 ですから、これは二国間協力でやるのか、あるいは幾つかの国が協力して東ティモールに対する援助をするとか、そういうことのイニシアチブを日本がとっていくということなども考えなければならぬと思いますけれども、これらについても、情勢がどういうふうに変化するかということが前もって、もちろん我々は前もって想定をして、そちらの方向へインセンティブをかけていくわけですけれども、なかなかそれはそうならない場合もあって、この問題については、したがって、ODAについてはもう少し中身を示してという御議論はいつもいただいて、私どももそれは何とかそういう知恵があるかと考えますけれども、なかなかそういかない。むしろ、やはり総枠をいただいて機動的に発動する、そしてその後報告をするというようなことにさせていただくしか今のところ知恵がないといったような状況だということをぜひ御理解をいただきたい。

首藤分科員 外務大臣のおっしゃるとおりで、よくわかります。外交の基本というものはそういうものであるということは十分に理解しているつもりです。

 しかし同時に、その中でも、今までとは違って、よりアカウンタブルな援助方式というものがやはり必要となってくるのではないか、そういうふうに考えております。

 例えばどういうものがあるかといいますと、故小渕前首相が提唱されていた地雷の除去の問題などもそういうものがあります。これは、ある意味で日本の目玉と言ってもおかしくないぐらい、日本はカンボジアの地雷除去公社のCMACに対して多大な援助を行っているということもあります。そしてまた、新聞などにおいて、今度外務省が地雷除去のための技術の開発に五億円を計上しているというようなのも事前に載っているわけですね。

 そういうものに関しては、私は大変疑義を持っておりまして、現実に地雷原を調査し、地雷原の上を歩いた者としては、地雷原はそんな簡単な技術開発によって解除できるようなものでは絶対ない。まさに、ロボット開発で予算がつかない部分を、地雷除去技術を開発するという名目でロボット開発の費用がこちらの費用へ流れてくる可能性がある、そういう危惧を私は正直持っております。

 ですから、そういったものはチェックできるように、機密費、報償費の流用ではありませんが、各省ごとにきちっと当てはめられている予算がおかしな形で使われないように、私たちも国民の代表として目を光らせる必要がある。ですから、そういう意味において、ぜひ多少なりとも専門知識を持った市民の代表が意見を反映できるような形で予算を組んでいただきたい、そういうふうに思っております。

 さて、そうした状況は、これは前から外相とも何度か外務委員会などでお話しさせていただきましたが、ODAも、今までのような大きなインフラの整備というよりは、むしろ小口で直接市民社会に還元できるような、そして、先ほど外相がおっしゃったように、状況を見て機敏にインパクトローン的につけていく。そういうことに関しては、現在そういう方向で進めておられるという御意見ございましたが、現実には、例えばそういうものはどのように予算の中に反映されているのか、そこをお聞かせ願いたいと思います。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、かつてはインフラ中心型のODAという御批判も受けていた時期がございましたけれども、次第に、例えばソーシャルセクターと言われますけれども、保健医療だとか教育だとか、市民に直接裨益するような援助を重視しようではないかということで、日本のODAの姿も変わりつつありまして、具体的には、先般発表いたしました政府の中期政策の中で、社会セクターを重視していく、あるいは民間NGOとのパートナーシップを重視していく、そういったことが中心的にうたわれているわけでございます。

 予算書でどういう形で反映しているかという御指摘でございますが、これはなかなか難しゅうございますけれども、例えば、ODAが三%削減される中で、技術協力はJICAへの交付金が〇・一%の減であるとか、あるいはNGOに対する支援ですね、このNGOに対する支援は相当の増額になっておりまして、草の根無償資金協力を初め緊急的なNGOに対する財政支援とか、そういったものが相当、今回提出させていただいている予算に反映されているわけでございます。

 ほかにもいろいろございますけれども、お時間の関係で二つだけ例を述べさせていただきました。

首藤分科員 まさに今官房長がおっしゃられたとおりですけれども、私は、まさに今外務省が変えようとしているその緊急支援の部分あるいは草の根の支援の部分こそが、外務省がもっと真剣に自己批判してやっていかないといけない部分ではないかと思うんですね。

 確かに、草の根無償も額的にはふえているかもしれない。しかし、例えば草の根無償というと、もう小さい案件がたくさんあるわけですね。そして、その内容を理解してやらなければいけない。そういうときには、例えば、もっと草の根無償をわかって、しかも現場でそれをある程度評価ができるような人を大使館に配置していかなきゃいけない。

 要するに、今までの外務省の体質を変えていかなきゃいけない。それが反映されていなければ、草の根無償は決して本当の効果のあるものになっていかない、そういうふうに私は危惧しております。この点に関しては、また今後の外務委員会などでいろいろ質問をさせていただきたいと思います。

 次に、多少専門的な一般会計歳出の予算明細について御質問申し上げたいと思います。

 これは外務省からきょういただいた明細書なんですが、その中で、やはりこれからは、世の中がどういうふうになっていくか、世界がどういうふうに変わっていくかということで、調査研究が本当に重要だと私も考えております。

 そして、例えば九五〇一五―二一二九―〇六、諸謝金というのがございます。これは、諸外国に関する外交政策の樹立に必要な経費の中の一部なんですが、ここで外交問題調査研究等謝金というのがございます。これは非常に巨額なものですが、この内容はいかがなものでしょうか。

飯村政府参考人 今の外交問題調査研究謝金でございますけれども、申しわけございません、私の了解している限りのことを申し上げさせていただきますけれども、外務公務員採用試験の委員への謝金だとかあるいは外交文書編さん調査に当たっての謝金だとか、そういったものが入っているものだと理解をしております。

首藤分科員 しかし、これは三億六千七百万あるんですよね。ですから、それはもう巨額なもので、そんなものだけで三億もかかりますか。

飯村政府参考人 失礼いたしました。ちょっとお時間をいただいて、今お答えするようにいたします。申しわけございません。

首藤分科員 時間がないというのは、こちらの方が時間がないので、そんなこと言われては困ってしまうんですけれども。

宮本主査 ただいまの首藤君の資料要求につきましては、外務省におきましてしかるべく措置をお願いします。

首藤分科員 これは予算を討議しているんだから、外交の一般政策を聞いているんじゃないんですよね。予算を聞いているんですから、細目やってくれないと。

飯村政府参考人 失礼いたしました。手間取っておりまして、大変に申しわけございません。

 今の番号は、外務省の研修所の講師謝金というところと了解いたしますけれども……。

首藤分科員 これは、外務本省〇〇一―九五、諸外国に関する外交政策の樹立等に必要な経費というふうになっております。その中の細目として、九五〇一五―二一二九―〇六なんです。

河野国務大臣 議員からの御質問に事務的に御答弁ができないこと、まことに申しわけございません。この分科会終了までに調査をいたしまして御説明を申し上げますので、その点、お許しをいただきたいと思います。

首藤分科員 私は、別にこんなところで細かいことを聞きたいのではないんですよ。何を聞きたいかというと、もう時代は変わって、外務省も変わらなきゃいけない。

 例えば、こういう調査なんかは、私も外務省で呼ばれて行って話したことがあります。委員をざっと見ると、多くの方は外務省のOBの方なんですよ。もう本当に古い古い昔の外交の話をしているんですよ。ですから、そんな人を専門委員として、研究員として、幾つも幾つも審議会を設けたりして、全然効果がないんですよ。だから、ここのこういう費用は、どんな人に、どんなことで、どんな審議会にお金をつけているのかということを知りたいんですよ。

 この三億もあれば、今の若手の研究者を、例えば紛争研究をやっている研究者とか、それから現場のNGOに入っている研究者とか、そういう研究者を育てることに使えるじゃないですか。それを外務省のOBの方に払っていたら、これは第二の退職金でしょう。私は、経験のある大使の方が知識が古いとか、そういうことだけ言っているんじゃないんですよ。だけれども、もっとやりようがあるじゃないですか。

 ですから、その内容を知りたい。私が知っている限りでそれは違うだろうということを指摘したいときょうは意気込んで来たんですが、残念ながら、それが出ないのではしようがないですよね。

宮本主査 先ほどの首藤君の資料要求につきましては、外務省におきまして、今外務大臣も言われましたように、本日の分科会が終了するまでに御提出を願います。

首藤分科員 もう時間がないので、二つだけ。これは簡単に言いますから、答えてください。

 一つは、この外務省からきょういただいた資料の二十七ページにありますが、国際機関分担金の中で軍縮関係条約等分担金というのがあります。これは二十八億円。これの内訳は一体何ですか。その下に、国連平和維持活動分担金として十億円が計上されています。私はPKO活動というのは本当に重要なことだと思いますけれども、それの三倍かけている軍縮関係条約分担金というのは一体どのような内容であるか、ちょっと教えていただきたいと思います。

飯村政府参考人 申しわけございません。これは所管の局長が来ておりませんので、今ちょっと至急調べます。

首藤分科員 それはおかしいよ。私は何のためにここへ来ているのか。私は別に、河野大臣と日本の外交政策について基本政策を論じようとして来ているんじゃないんです。この日本の外交に関する予算に関して、しかも分科会の中で細目を討議しようとして来ているんです。しかも、その金額が三百万円とかいうんじゃなくて、二十八億のものに関してどうして明細を言っていただけないか。それは私は理解に苦しむところですね。金額は三十万や三百万じゃないんですよ。どうしてこんな二十八億の内容が話せないのか。

 しかも、軍縮関係分担金ということは、平和国家日本の外交の基本じゃないですか。それに二十八億使っているのにそれの内容がわからないというのは、私は、外務省は大いに反省していただきたい、そういうふうに思います。私は決して足を引っ張ろうとしているんではない、本当に単純なことを聞いているんですよ。

 同じようにその資料の二十一ページ、これは政府開発援助海外技術協力推進民間団体補助金となっています。費目番号が五〇〇一五―二七一五―一六です。これにおいて、世の中に名の通ったさまざまな、要するに財団法人が載っています。私は、こういう財団法人の援助に関するものに対してはかなり疑問を感じています、はっきり言うと。しかし、ここで質問させていただきたい。

 この中に、いろいろ漢字の財団がありますが、オイスカが入っています。オイスカがなぜここに入っているのかというのがまず第一点。次に、定額となっています。なぜ民間援助にこんな定額を出さなければいけないのか。第三に、これに一億九千七百万お支払いですが、なぜこれだけの金額をここに払わなければいけないのか。ここに並べられている多くの有名な財団法人、この中でオイスカが一番じゃないですか。私はオイスカを非難しているんじゃないですよ。やっていることも知っていますよ、立派なことも知っていますよ。だけれども、この中では著しくバランスを欠いているとしか言いようがない。この状況を説明していただきたいと思います。

宮本主査 申し上げます。

 申し合わせの時間も過ぎております。今御指摘のことはよくわかります。それで、今の問題点につきましては、早急に調べさせて、これは調べればわかることですから、この分科会の終わる前に回答させますので、質問はこの辺で終えてください。

 官房長、十八時までに今の問題点を調べて出してください。

首藤分科員 それでは、十八時にやらせていただきます。

 しつこく言いますが、私は別に足を引っ張ろうとしているんじゃなくて、基本的なことを聞きたい。基本的なものに答えてもらわなきゃ困るし、また、外交自体が変わっていくときにこの費目もまた変えていかなきゃいけない、そういうふうに思いますので、よろしくお願いします。

 終わります。

宮本主査 これにて首藤信彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、中林よし子君。

中林分科員 日本共産党の中林よし子でございます。

 えひめ丸の事件は、米軍の想像を絶する無法かつ横暴な実態を明らかにしたというふうに思います。米軍は日本国内においても、安保条約と地位協定を盾にして無法な横暴を繰り返し、国民生活の安全と平和を脅かしています。私は、米軍岩国基地を拠点として中国地方に起きている幾つかの問題を取り上げて政府の見解をただしたいというふうに思います。

 まず最初に、米軍による危険な低空飛行、戦闘訓練についてでございます。

 広島県は昨年の十二月一日に、外務大臣と防衛庁長官にあてて要望書を提出しております。

 この要望書、ここにあるんですけれども、そこでは、

 本県をはじめとする中国山地で米軍機と思われるジェット機の低空飛行訓練の目撃情報が増加の一途にあり、平成十二年上半期、

これは四月から九月ですけれども、

 目撃実日数百二十五日、目撃回数五百三十回と過去最高の目撃情報が寄せられたほか、週末や休日における目撃情報もさらに増加しているところです。

  平成十一年一月十四日に日米合同委員会において低空飛行訓練に関する合意がなされておりますが、近年の週末や休日における目撃状況や、学校上空等での目撃情報が寄せられている実態をみると、この合意の意義や実効性に疑問を抱かざるを得ません。

  本年七月には、中国山地の訓練空域で訓練飛行を終えた米軍岩国基地所属の米軍機について部品遺失事故が発生したほか、さる十一月十三日には、北海道沖で米軍機二機による接触墜落事故が発生するなど、全国各地で訓練飛行に関わる事故が続いており、その危険性は明らかです。

  申すまでもなく、県民が生活している地域での訓練は、爆音による生活への支障や墜落による大惨事のおそれもあり、地域住民が抱く不安は計り知れないものがあります。

こういうことを言って、そして三点について要望しております。「米軍機の低空飛行訓練等の実態を明らかにすること。」それから二番目に「低空飛行訓練等を行わないよう措置すること。」三番目に「米軍機の飛行(低空飛行訓練を含む)については、航空法第八十一条が適用されるよう措置すること。」これを広島県として求めているわけです。

 外務大臣あての要請文でございますので、私は、最低、これは県民の本当に切実な要望だというふうに思いますので、政府はこの実現のために誠意を持って対応すべきだと思いますけれども、基本的なお考えをお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 米軍の低空飛行は住民の日常生活にも大変に影響を及ぼしているという意味の御意見が寄せられております。

 私どもは、米軍による低空飛行訓練が日米安保条約の目的達成のための訓練の重要な一環だということをまず考えなければならないということがございます。

 しかし他方で、米軍は訓練に際し、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということは言うまでもないわけで、日米両政府は、米軍の低空飛行訓練に関し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地元住民の方々に与える影響を最小限にとどめる観点から、平成十一年一月十四日に日米合同委員会におきまして、在日米軍が国際民間航空機関や日本の航空法に規定される最低安全高度と同一の飛行高度規制を用いることを含む六項目の具体的措置を取りまとめたわけであります。

 政府としては、個々の飛行訓練の内容等について、米軍の運用にかかわる問題でありますが、具体的な被害が生じる場合には、その実態を調査して対応をしてまいります。いずれにせよ、政府としては、訓練に際して安全面に最大限の配慮を払うよう、引き続き米側に申し入れていく所存であります。

中林分科員 引き続いて米側に申し入れていくということなんですけれども、最近はいつ申し入れられましたでしょうか。

藤崎政府参考人 私ども、アメリカとは随時連絡をとっておりまして、合同委員会というのも月二回ございますけれども、その他の場におきましても随時連絡をとっているわけでございます。具体的に今、どの時点でどういう申し入れをしたかということをちょっとお答えできる状況にございませんけれども、アメリカ側とは頻繁にこういう問題につきましては連絡をとっているということは申し上げられるわけでございます。

中林分科員 広島県が具体的に昨年の十二月一日に要請されているんですから、その件についていつ申し入れたかというのをお答えいただきたいというふうに思うこと。

 それから、私は、さっき大臣がお答えになった平成十一年一月の六項目の合意事項、この中で、特に週末と日本の祝日には極力飛ばないようにする、こういうことなんですけれども、これを合意した以降の方が、土日それから祭日、そういうときに飛んでいる回数が加速度的に多くなっている、この現実を見ていただきたい。広島県が申し入れたときに、その資料がついていたというふうに思うんですね。二〇〇〇年、昨年ですけれども、上半期だけでも、土日祝日の目撃実日数は二十九日、それから目撃回数が八十二回。これは、その前の年丸一年間とほぼ同回数になっているわけです。さらに一年前に比べると、比べ物にならないほど多くなっております。

 だから、私は、少なくともこの六項目の合意事項、これが守られるよう、特に昨年十二月に広島県が申し入れた最低の要求、それをいつ米側に伝えたのかということと、それからこの六項目の項目の、特に週末など、今極めてたくさん飛んでいるということについて、どのようにこれから対処されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

藤崎政府参考人 今御指摘の一昨年の一月十四日の日米合同委員会合意でございますが、これは、「在日米軍は、日本国民の騒音に対する懸念に敏感であり、週末及び日本の祭日における低空飛行訓練を、米軍の運用即応態勢上の必要性から不可欠と認められるものに限定する。」こういう合意でございます。また、この合意におきましては、「安全性が最重要であることから、在日米軍は低空飛行訓練を実施する際に安全性を最大限確保する。同時に、在日米軍は、低空飛行訓練が日本の地元住民に与える影響を最小限にする。」ということを合意したわけでございます。

 本件につきましては、私どもとして、日米間の極めて重要な合意であるという認識のもとに、昨年でございますが、当時のハムレー国防副長官が河野大臣を来訪しました際に、会談におきまして、河野外務大臣から、本件合意の遵守をぜひお願いしたいということを申し入れましたのに対して、ハムレー副長官から、その点は極めて自分も重要と考えるので自分自身の問題として見たいということを申しまして、その後、日米合同委員会の席上におきまして、アメリカ軍といたしましても状況の把握を再度行ったけれども、この合意につきましてはきちんと遵守しているという報告があった次第でございます。

中林分科員 今のは昨年の二月の話で、広島県から要望書が出たのは十二月ですから、まだこれで具体的な話はされていないように思われます。

 そこで、私、大臣にぜひ、この合意事項がいかに守られていないかということで、このカラーの写真をちょっと差し上げてよろしいでしょうか。

宮本主査 はい。

中林分科員 今お見せしている写真は、これは広島県の芸北町の八幡小学校の金田校長が撮影されたものです。この小学校のすぐ上、それを計算した人がいまして、大体、地上二百二十五メートルのところを飛んでいるんじゃないかと。超低空飛行訓練をやっているということなんですね。それは昨年七月六日午前十一時半から十二時の間で、校長が、授業にならないということで、写真機を取り出して撮ったというものです。

 私、昨日、この金田校長にお電話をいたしました。最近いかがでしょうかという話をしたんですね。そうしたら校長は、毎日戦闘機が飛んでくる、地面すれすれで、授業の中断になってとても大変だ、こういう話をされました。それで、どうも考えるのに、学校が標的なのか、それとも、学校の真南になっているダムがあります、樽床ダムというんだそうですけれども、そして聖湖という人工湖があるそうですが、それを目がけて飛んでいるように思われてならない。あるときは二機、あるときは三機、戦闘機が来て、本当に恐怖におののいている。生まれたときからこういう爆音の中で子供たちが育つことを考えると、それになれること自体が子供たちの成長にとっていいこととはとても思えない、こういう教育者としての心の苦しみを吐露されておりました。一たん爆音で授業が途切れたのを立て直していくということは並大抵の努力ではない、このようにおっしゃいました。

 そこで、この六項目の合意事項を遵守すると決意をお話しになりましたけれども、一項目めに、学校だとか病院だとか、そういうところの上は避けて通るんだということをおっしゃっているし、それから日本の国内法、航空法ですね、これの高度を守る。人家のあるところは三百メートル以下は飛んではいけない、山だったら百五十メートルという規定はありますけれども、しかし、写真を見ていただければ、二百二十五メートルということで、見ていると地面すれすれだ、こういうことをおっしゃっているんですから、私は、こういう飛び方は完全に禁止されるよう日本の大臣として米側に毅然と申し入れるべきだ。少なくとも、この六項目の合意事項が守られていない、ここにかんがみては、守られていない事実、これを確認したならばぜひ中止を要求すべきだというふうに思います。

 だから、これまでは広島県あるいは各自治体が実態把握をして政府に申し入れています。先ほど大臣の御答弁で、実態把握にも努めるとおっしゃったので、まずこの実態把握をきちっとすること、そして、この六項目の合意が守られていないということが確認されれば、アメリカ、米軍に対して低空飛行の戦闘訓練をやめるべきだということを申し入れていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。大臣です。

河野国務大臣 実態が今おっしゃるようなことであるとすれば、これはやはり極めて問題だと思います。先ほども申し上げましたように、実態を、どういうことになっているかをしっかり調査して、もしそういうことであれば、私は別に今のお話を疑っているわけじゃありませんよ。疑っているわけではないけれども、もしそういうことであるとするならば、これはしっかり申し入れをしなければならぬと思います。

 できますならば、私どもが実態を調査する上で、今のお話の方から少し記録を協力していただければ大変ありがたいと思うんです。高度が二百二十五メートルとおっしゃったけれども、それは一体どの程度の精度のあるものかということについても、最低三百メートルと言っているのが、いや、二百二十五だということで議論をするわけですから、ここはやはりかなりしっかりとした数字も必要だと思います。それははかろうと思ってもそう簡単にはかれるわけではありませんが、少なくとも、見たところどのレベルで、例えばこの一カ月間に何時ごろどのぐらい飛んできたかということについても、もしお差し支えなければそうした資料をいただいて、御協力をいただければ、そうしたものも一つの資料として私もよく拝見をしてみたいと思うので、よろしくお願いをしたいと思います。

中林分科員 米軍機が飛んでくる広島県の県北の自治体は、町長さんや村長さん集めてこの米軍の低空飛行から住民を守るための組織もつくっていらっしゃって、アンケート活動もやっている。それから、実際、芸北町の町長は毎日記録をとっておられます。それからこの校長も、いつでも、外務省の方から聞きたいとおっしゃるならば幾らでも協力はやぶさかでないというふうに思いますので、今の大臣のお言葉を私は信じて、ぜひ外務省としての実態把握をお願いしたいというふうに思います。

 そして、イタリアでケーブルカーの事故がありました。あの後、イタリアでもアメリカとの合意を結んで、毎日毎日、米軍の訓練はイタリアの航空法とマッチしなければ許可しない、そういう厳しい合意をしているわけですから、ぜひ日本でも住民の安全を守る立場から御努力をお願いしたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 そこで、私は、夜間離着陸訓練、NLPの問題について次に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 基本的な考えを大臣にお聞きしようと思いましたけれども、少し時間が押しましたので、ちょっと具体的な問題で夜間離着陸訓練の問題についてお聞きしたいんです。

 昨年九月に、岩国米軍基地と岩国市の間で、夜間離着陸訓練をやるときには一週間前に連絡するんだ、こういう合意があるんですけれども、それが守られなくて当日の通告でNLPが実施された、こういうことになっているわけです。

 日本共産党は、基本的には安保条約をなくしてほしい、そういうことを求めているわけですけれども、安保条約がある段階でも、NLPの元凶である横須賀の米空母母港化の返上とNLPの中止を要求しているわけです。それとは異なる政府の立場であったとしても、地元市とそれから米軍との約束事、これはやはりきちっと守るべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤崎政府参考人 今の議員の御指摘は、昨年九月のNLPに際しまして、訓練の通知が地元の岩国市等に対しまして直前になされたということについての御質問でございます。

 私ども、まずNLPにつきましては、可能な限り多くのNLPを硫黄島で実施するということをこれまでも米側に申し入れてまいりましたし、引き続き申し入れていく考えでございます。

 昨年の九月、御指摘のNLPにつきましては、天候上の理由で直前にスケジュールが変更になりまして、訓練の通知が、本来あるべき事前の通知が行われずに非常に直前の通知になったということは、極めて遺憾であるというふうに思っておりますし、この点につきましては、昨年九月に河野大臣が来日しましたコーエン国防長官に対しまして、NLP等につきましては地元住民の理解を得ることが必要であること、そしてできるだけ多くのものを硫黄島で実施するということについての申し入れを行ったところでございます。

中林分科員 ぜひ約束を守るよう、要請を強めていただきたいというふうに思います。

 そこで、実は、このNLPの実施をやっているところで五つの市がございます。その市長が一堂に会して、ことし、このNLPの実施に対する声明文を発表されました。これは福生市、それから大和市、綾瀬市、岩国市、三沢市の市長、それぞれでございますけれども、そこでこういう声明になり、要望書も出ております。

 これは、外務省、防衛庁長官、それから施設庁長官、ここに申し入れをされております。昨年九月には、地元住民や自治体の先ほど言った意向を無視して夜間連続離着陸訓練が実施されたことに厳重に抗議するとともに、二度とこのような訓練を実施しないよう強く要請したところでありますということを言っており、今後、こういう住宅密集地でのNLPの訓練を行わないでいただきたい。特に、硫黄島でほとんどやるというようなことがあったんですけれども、最近は頻繁に本土の方でやられるようになったということに対して、私もじきじきに岩国市長に会ってお話をいたしましたけれども、自分自身がその訓練をやっているところに行って、これはとても耐えられない、だから市民から苦情が出るのは当然のことで、こういう住宅密集地の上でNLPの訓練はやはり中止していただきたい、こういう強い要請があったわけです。

 だから、この五つの市長の声明、それから山口県からも国に対して要請が出ておりますけれども、これについて大臣に、これは基本的に自治体とそれから五つの市長から出ている問題ですので、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

河野国務大臣 実は、私が初めて選挙に立候補させていただいたときの選挙区が厚木であり大和であり綾瀬であったわけで、この地域のことは私なりに関心を持っております。

 もう大分昔のことでございますけれども、当時はこの基地周辺には私の仲間がたくさんおりまして、爆音を聞きに来いと随分言われて、爆音を聞きに、あるいは飛行機のおなかが見えるぞ、来てちゃんと見てみろと言われて、そうした経験も実は持っております。しかし、その当時は昼間でございましたが、今度のNLPはもっと遅い。そういう意味では日常生活に大きな影響もあるだろうということは十分想像もできますし、それなりに関心を持っております。

 今御質問のとおり、NLPは本来、日米間のいろいろな話し合いで、日本は硫黄島に施設をつくり、でき得る限りアメリカは硫黄島でそのNLPの訓練をやってもらうということで、一昨年でございましたか、かなりのパーセンテージ硫黄島が利用されたということがございますが、昨年の数字が全くどうも我々にとっては納得のできないような数字でございまして、硫黄島の利用回数は極めて少なくて、これでは地元の方々のこの問題に対する強い御要請があるのはよく理解できるというふうに思っております。

 このNLPにつきましても、先ほど北米局長から御答弁を申し上げましたように、私どもとしては、アメリカ側に累次にわたって申し入れをいたしておりますし、さらに、NLPについての立場というものは、地元の方々のお考えというものはアメリカ側に伝えなければならぬというふうに思っているわけでございます。

 繰り返しこういうところで申し上げるのはどうかと思いますけれども、空母艦載機の夜間離着陸訓練というものは、パイロットの練度維持及び向上のために重要だというアメリカ側の説明というものは、我々として十分これも理解できることではありますが、そのことと周辺住民の生活への影響というもの、双方をよく考えて、双方がそれぞれ成り立つような方法を考えなければいかぬ。

 その一つが硫黄島におきます訓練場の建設であったわけでございますけれども、この硫黄島におきます利用について、これはもう議員も十分御承知のとおり、その距離が遠いとか天候上の理由があるとかということで、必ずしも当初の我々が思っていたようなことにはなかなかなっていないのが極めて遺憾でございまして、私としても、またこうしたことについては関心を持って申し入れをしたいと思っております。

中林分科員 米軍に対する訓練は必要だという大臣の基本的な態度というのは、考えは違いますけれども、私どももそうだろうと思うのです。

 ただ、NLPはアメリカ本土では人口密集地でやっていない。この間お聞きしたら、アメリカのサンディエゴというところでやっているのだとおっしゃるけれども、サンディエゴはその基地自体がもう膨大な、広大な土地でやっているわけですよ。そういうのと比較して、だから日本でもやってもいいのだみたいな話はいただけないなというふうに思いました。

 最後に、この岩国基地に非常に毒性の強いクロゴケグモというのが千匹以上も発見されて、駆除されております。このクモは、世界一毒性の強い毒グモなのです。かまれると、発汗、吐き気、目まい、動悸、麻痺、体の弱い子供や老人は死に至る、こういうふうに言われている非常に危険なクモなのですけれども、日本にはいないものが発見されたということで、これも山口県が政府に対して要望を出しておられます。

 私は、その中で、非常に重要だと政府に対して三項目要望されているのですけれども、それについてはぜひ受けとめてほしいということなのですが、具体的に言いますと、基地内の発見駆除地点、それぞれの駆除数、あるいは駆除の方法、踏んで殺したり、あるいは薬品をまいたりという話を聞いているのですが、それぞれどういう方法でどこの地点で、あるいは薬品をまいたらどういう薬品で、まいた範囲、こういうものを全部公表する必要があるというふうに思います。アバウトな公表はされておりますけれども、きめ細かい公表がされていないので、これをぜひ約束していただきたいというふうに思います。

 それから、政府が中に立ち入ってはいないのですね。米軍が調べたものを聞いているということになっておりますので、政府として基地の中に立入調査をして独自の対策をとっていただきたい。基地外にクロゴケグモが出ていないかどうかというのは、今のところ発見されていないだけであって、千匹以上も基地の中であるわけです。動物というのは動くわけで、幾らフェンスがある、何とかがあるといったって、出ている可能性も非常に強いということを考えた場合、国が責任を持って、県、市を援助しながら基地外の問題も対応していただきたい。

 そして、ほかの米軍基地での実態調査、これもぜひやって、再発防止も、日米合同委員会で協議するということを要請した。特に私は大切だと思うのは、日本政府として関係自治体との連絡窓口、これが防衛施設庁だ、いや、外務省だということでたらい回しにされる、そういうことがないように、この窓口はどこなのか、はっきりさせていただきたいというふうに思います。

伊藤政府参考人 クロゴケグモでございますが、ただいま御質問にもございましたように、昨年の八月一日から本年二月十四日までの間に一千百七十五匹ですか、見つかっているということでございまして、岩国基地内の北西部、十三カ所のエリアで駆除されているということでございます。

 特に多いのは、そのうちの約千百匹というのは、駐機場付近の側溝とかマンホール等というふうに聞いております。個々のエリアでは具体的な駆除等をやっておるわけでございますが、米側に問い合わせたところでは、例えば側溝につきましては煙霧消毒、あるいは卵を発見した場合にはピレトリンという薬剤があるそうでございますが、それから先ほどの煙霧の場合はペルメトリンという薬剤でございます。それから、建物周辺とか側溝周辺の草あるいは茎葉、茎とか葉でございますが、そういったところにはクモの拡散を防止するための薬品でございますカルバリルという薬品をそれぞれ使用しているということでございます。もちろん、見つけた場合には、踏んづけて殺しているというふうなことも聞いておる次第でございます。

 現段階では、米軍の方でかなり専門家等も交えまして、引き続きなお対策を講じているということでございまして、御指摘のように、基地外に出ないように、私どもも米側の対応についてたびたび申し入れをし、またそれについて報告を受けているところでございます。

 それから、現地におきましては、この件はもともと米側から私どもの出先であります岩国防衛施設事務所を通じまして広島防衛施設局に通知があったところでございまして、地元県、市にも御通知を申し上げているところでございます。

 引き続き、そのような態勢で被害が拡大しないように米側にも十分申し入れをし、私どももできる限りの協力をしてまいりたいと存じております。

中林分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、空も陸も、本当は港の問題も実は質問したかったのですけれども、岩国港だとか徳山下松港は今軍港みたいな感じになっているので、港の岩国基地を拠点とするところでは、本当にこれで日本の国なのかと思うような事態が進行しておりますので、主権国家として外務大臣に、米側に対して、日本の国民の命と安全を守るために頑張っていただきたいと、当然のことですけれども要望いたしまして、質問を終わります。

宮本主査 これにて中林よし子君の質疑は終了いたしました。

 次に、三井辨雄君。

三井分科員 民主党・無所属クラブの三井辨雄でございます。

 私の地元であります札幌におきまして、二〇〇二年のDPIの世界会議の札幌大会が開催されるわけでございます。これは御存じのとおり、特にアジアにおいての障害者の対策が大変おくれているということで、一九九三年にアジア太平洋障害者の十年をスタートさせたわけでございますが、これの最終年度がいよいよ来年、二〇〇二年、この大会の締めくくりが日本で行われるわけでございます。それとあわせまして、RI、リハビリテーションインターナショナル、そしてDPIの世界会議が札幌で開催されるわけでございます。このアジア太平洋障害者の十年、またRIについては大阪で開催されるということでございます。

 これらの三つの国際会議を同時にやるということは、まず、いまだかつて珍しいことでございまして、DPI会議もこれで六回目でございますが、一回目はシンガポールで行われまして、前回はメキシコシティーで行われたわけでございます。この準備に大変一生懸命、それぞれ事務局をつくり、今キャンペーンを展開しているところでございます。また、私の地元札幌におきましても、道と札幌市とともにお金を出し合いながら、何とか成功させようということで頑張っているところでございます。

 そして今、きょうは特に質問を申し上げたいことは、この三つの国際会議の開催に当たりまして、外務省としては、この会議について、性格ですとか構想、あるいは開催規模、見込みなどについてどのように把握されているのか、またどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

衛藤副大臣 三井辨雄委員にお答え申し上げます。

 議員御指摘の三つの国際会議は、いずれも明年十月、すべて日本で開催されるものでありまして、アジア太平洋障害者の十年、最終年を締めくくるにふさわしい重要な会議と認識をいたしております。外務省といたしましても、これら三つの国際会議が成功しますように、関係省庁、団体とも協力をしながら、可能な限りの協力を行ってまいります。

 また、三国際会議の性格、構想、開催規模等については、次のように承知をしております。

 まず、アジア太平洋障害者の十年推進のNGO会議は、NGO、障害者の意識向上、ネットワーク強化を目的とし、一九九三年から毎年開催されておりまして、アジア太平洋地域の障害者関係NGOを中心に二百名程度の参加者が見込まれていると承知しております。

 なお、我が国政府は、一九九八年より本件会議の共催者の一つである国連アジア・太平洋経済社会委員会、ESCAP等を通じまして、本会議開催のため資金援助を行ってきております。

 RI、リハビリテーションインターナショナル・アジア太平洋地域会議は、リハビリテーションの専門家を中心とする参加者を得まして、アジア太平洋地域各国で二年に一回開催される会議でありまして、RI加盟の八十カ国・地域より約千人が参加し、リハビリテーションに関連する諸問題につき意見交換を行う予定であると承知しております。

 また、DPI、障害者インターナショナル世界会議は、世界の障害者が四年に一回集まりまして、障害者が共通して直面している諸問題につきまして議論をするためのものでありまして、約百五十カ国より約二千人の参加が見込まれている、このように承知をしております。

 以上であります。

三井分科員 ありがとうございました。

 まさに衛藤副大臣のおっしゃったとおりでございまして、札幌大会においては、付添者を含めまして約二千名から二千五百名という、メキシコの大会では約千五百名ぐらいだったんですが、今まで過去最大規模の方がいらっしゃるということで、特に、車いすそれからストレッチャーで来られる、かなり重症の方が今回来られるわけでございます。

 そういう中で、いろいろお聞きしてみますと、出入国に関してのビザの発給ですとか、あるいは手続とか、大変混雑をする。もちろん、障害者の方でありますから、またパラリンピックにお出になる方と違いまして、大変そういう意味では重度の方が多うございまして、こういう方に対して、スムーズなビザの発給ですとかあるいは出入国に関する手続を、ぜひとも、簡単というのですか、やりやすい、流れのいい形でしていただきたいなと。この辺についてどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。

衛藤副大臣 御案内かと思いますが、長野のパラリンピックのときは、平成七年一月十三日、閣議了解を行っております。

 また、今回の札幌の本大会につきましても、平成十一年の六月三十日に、DPIの事務局長から時の鈴木官房副長官に協力要請が行われております。外務省は、この要請を受けまして、官邸とも話をいたしまして、外務省としてできることは何かということをお答え申し上げておりますが、このDPI事務局長の協力要請以降、今日まで具体的な要請というものはまだいただいておりません。

 今、三井辨雄委員の御指摘がございまして、本大会の開催要項等、詳細な日程が決まった後に主催者側から詳細な説明を受けまして、我が方としていかなる協力ができるか、どういう対応をすればいいか、具体的に検討してまいりたい、このように考えております。

三井分科員 どうもありがとうございます。

 この大会も、今、衛藤副大臣からもお話がございましたように、パラリンピックでは約百八十三名の方がいらっしゃっているんですね。今回は、特にアジアから、約二千ないし二千五百名の三分の二がアジアの方なのでございます。

 そういう方々が来られるわけでございまして、この時期はちょうど札幌は寒い時期になりまして、昨年は十月の十七日にもう既に雪が降っていたんですね。特に、暖かい、温暖なところからお見えになるわけでございまして、車の問題、移動の問題あるいはバリアフリーの問題と、たくさん難題を抱えているわけでございます。

 特に質問をさせていただきたいのは、この車いすのマラソンだとか、こういうものに出られた方は、大分で開かれたときは約五百名か六百名だったんですが、ビザの一括代理申請とかあるいはその申請手数料の免除とかについて協力していただけないかとか、あるいは、この五百名ないし六百名のマラソンの人ですとか、パラリンピックにお出になった方ですとか、その対応を同じようにできないものかということをぜひ考えていただけないものか。

 特に予算の問題ですとか、そういう補助の問題とか、先ほど衛藤副大臣がそれなりの予算づけということもおっしゃっていました。これについても、聾唖者の大会が過去に行われたときに約三千万ぐらいの予算がついたというぐあいにお聞きしておりますけれども、この大会も、ぜひともそういう意味では成功させたいということにおいて、この予算づけには特にお願いしたいと思うんですが、もう一度これについてお伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 三井辨雄委員にお答え申し上げます。

 第六回のDPI世界会議札幌大会の開催要項をちょっと拝見しました。予算書等の概算も目を通してみました。しっかりした予算の用意もあるんだなと思いますが、しかし、今委員御指摘のとおり、長野パラリンピックの際には、外務省といたしましては、空港対策会議を開きまして連絡調整を行っておりまして、御指摘のビザ、査証の一括代理申請をお手伝いしたり、また申請手数料の免除等について協力いたしました。

 今委員から御指摘のありました件につきましても、これから主催者側からの詳細な説明をいただきまして、いかなる対応が可能か、具体的に積極的に検討してまいりたい、このように考えております。できる限りの対応をしてまいりたいと思っております。

三井分科員 ちなみに、この大会には、私がお聞きしているのは、約三億円の予算ということで今計画しているようでございます。

 また、今副大臣おっしゃったように、来年でございますから、私ども、DPIの方には早く計画をお出しになるようにということを申し上げているのですが。

 メキシコにおいては大統領が特に参加してごあいさつされたとかいうこともお聞きしております。こういう大会には、特にアジアですとか中東においては、皇室の方とかVIPの方が突如お見えになることがあるようにもお聞きしておるわけでございますけれども、特に、メキシコ大会においてはモロッコの皇室関係者が急遽参加するというハプニングもございましたし、また日本でも、APECのときにはブルネイの皇室関係者が突然来日したとかいうこともございます。

 札幌大会もそうしたことが想定されると思うのですが、もしそういうケースがあった場合には、どのように外務省としては対処されるのか、お聞かせ願いたいと思います。

衛藤副大臣 三井辨雄委員にお答えします。

 メキシコ大会が約三億というふうに承っておりまして、第六回のDPIの方は、概要によりますと、約五億というぐあいになっておるようでございます。

 今御指摘のございました、外国の皇室関係者等の急遽の参加に対してどのような対応をしていくかということでありますが、外務省といたしましては、各国々より皇室関係者や首脳あるいは閣僚などのハイレベルの皆様の出席が予定される際には、我が方の在外公館あるいは先方の政府方あるいは先方の在京の大使館等とともに緊密に連絡をとりまして、接遇に対しましては遺漏なきように対応してまいりたい、このように考えております。

 今回の世界会議にはハイレベルの出席者が想定されると思いますが、従来と同様、適切に対応してまいります。

三井分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 メキシコ大会は、日本からは前回八十名が参加されているんですね。聞いてみますと、一人当たり大体三十万から四十万ぐらいかかったということです。先ほど申し上げましたように、三分の二がアジアからお見えになるわけでございますから、特に日本は物価が高うございますし、ましてや登録料が四万から五万円ということを聞いているのですが、大変高額な登録料だと思うのです。

 そういう中で、やはり開催地である、今回三つの大会もございますし、日本政府としても、ODAの資金の中から参加者に支援することが必要ではないか。特に、草の根無償支援等の活用はできないのか。

 実は、資料を、「草の根無償の概要と実績」ということでいただいたのですが、この中に、セミナーの開催経費等ということで、何か負担をしていただけるようなことも触れているのでありますが、この辺についてお聞かせ願いたいと思います。

衛藤副大臣 三井辨雄委員にお答え申し上げます。

 御指摘の草の根無償支援資金、これを今回の大会、DPIの世界会議札幌大会の旅費の支援等に使えないか、こういうことでありますが、草の根の無償資金協力については、途上国におきまして実施されております、草の根レベルの住民に直接裨益する案件を支援しておるわけでありまして、今回日本で開催される会議に関連する経費として支援することは困難だ、このように思っております。

 確かに、この予算書を見ましても、招聘旅費等、ここに書かれてございますが、委員御指摘のとおり大変な御苦労があることはわかるわけでありますが、この草の根無償支援、これを今回の大会の関連費用として使うということは困難、できない、大変申しわけありませんが。

三井分科員 当然、このDPI世界会議になりますと、宿泊施設等のバリアフリーの問題、あるいは、バスあるいはリフトつきのワゴン車ですとか、この手配が今どういう形になっているのか私はちょっと聞いてみたのですが、リフトつきのワゴン車で約百台を用意するということなんですが、これはもう北海道内だけでは間に合わない。

 それで、本州、北海道から本州ということになるわけですが、全国各地からこういうリフトつきのワゴン車をお借りするということなんですけれども、私の経験から申し上げますと、これをお借りするといっても、実際に、例えばこれは恐らく特養老人ホームですとか老健施設ですとか、あるいは療養型病床群ですとか、そういうところからお借りすることになると思うのです。しかし、これは常時お使いになっているわけですから、この間にお借りするということはまず不可能だと思っているわけでございます。

 こういう問題も考えていかなきゃなりませんし、また、通訳の問題ですね。特に、NGOでありますから、言語も本当に多様でございます。そういう中で、フランス語、スペイン語が公式通訳となっていると多数の通訳が大変必要になってくるわけでございますが、北海道だけでは間に合いませんし、当然こういう通訳の方々になりますと日本全国ということになると思いますが、外務省からもぜひ御紹介していただけないものかということで、お伺いしたいと思います。

衛藤副大臣 三井委員にお答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、メキシコ大会では七十六カ国から参加があった。そして、千四百名が参加して、英語、フランス語、スペイン語が公式言語であった。今回の札幌大会におきましても、恐らく百五十七カ国から千名以上の方が参加されるであろう。

 当然、この大会におきまして多数の通訳者が必要になりますし、また通訳者につきましてはボランティアの方々の御参加等々ございますが、私ども外務省といたしましては、今後主催者の皆様方から具体的な協力要請をいただきまして、通訳者の紹介を含めましてどのような支援が可能なのか検討して、積極的に対応してまいりたい、このように考えております。

 また、当然、二〇〇二年の大会、来年のことでありますが、既に、恐らく札幌市を中心にいたしまして、地元としても通訳者に向けてのボランティアの御協力あるいはその体制に取り組んでおられることと思いますから、委員におかれましても積極的な地域、地元でのイニシアチブをとられるようにお願いを申し上げたいと思います。

三井分科員 ありがとうございます。

 札幌の地下鉄は、残念ながらエスカレーターですとかエレベーターがついているというのは少ないのです。非常に勾配がきつくて、これで実際に移動できるのか。場所、会場は、札幌市内ではあるのですが、札幌から約二十分ないし三十分ぐらいのところに会場があるわけでございます。ホテルはちょっとそれぞれ場所が違いますけれども。

 そういう中で、今副大臣がおっしゃいましたように、ボランティアの皆さんのお力なくしては到底この大会は成功させることはできないと思っておりますし、また、先ほども申し上げましたように、こういう時期になりますと、大変寒い時期でもございますので、通訳はもちろんのこと、またこれはほかの省庁にもお願いしなくちゃならないと私は思うんですが、できればリフトつきのバスですとかワゴン車ですとか、こういうものは省庁は違うかもしれませんが、こういうことも含めて、ぜひとも国を挙げて御協力をお願いしたいなと思っているところでございます。

 また、障害者国際会議推進議員連盟が二〇〇〇年の十月十七日に超党派で発足しておるわけでございますが、会長には橋本行政改革・沖縄北方対策担当大臣を初め、坂口厚生労働大臣、現職の閣僚の方々、また我が民主党の横路副代表も会長代行として顔をそろえております。

 こうした国政での御支援も進んでいるわけでございますが、アジア太平洋障害者の十年を提唱して、国際的にもまさしく先頭に立って推進していかなければならないのが日本の立場だと思います。最終年の記念フォーラム並びにDPIの障害者インターナショナル世界会議がぜひとも大成功裏に終わりますように、官民の枠を超えて取り組みをお願いしたい、こういうぐあいに思っております。

 ひとつ、再度副大臣から御所見をお願いします。

衛藤副大臣 三井辨雄委員にお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国は、一九九二年の第四十八回の国連アジア・太平洋経済社会委員会、ESCAP総会におきまして、アジア太平洋障害者の十年、これは一九九三年から二〇〇二年でございますが、この決議を提案しております。そして採択を見たわけでありますが、その後、累次の総会で、我が国首席代表演説等を通じまして、アジア太平洋地域における障害者を含む社会的弱者救済重視の立場をこれまでも明確にしてきておるわけであります。

 二〇〇二年に本邦での開催が予定されておりますアジア太平洋障害者の十年推進NGO大阪会議につきましても、外務省としましては、関係省庁、団体とも協力しながら、積極的に協力してまいりたい、かように考えておりますし、また、御指摘の第六回DPI障害者世界会議札幌大会におきましても、本件会議の詳細が固まった時点で主催者側から具体的に協力要請があると思いますので、その協力要請に積極的に対応、そして可能な限りの御支援をしてまいりたい、このように考えております。

三井分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 これは質問事項の中にはないのでございますが、私は、今から七年前でしょうか、バングラデシュに行ってまいりました。そのときに、実は、ODA資金でつくられた病院を見学してきたわけでございますが、外から見ますと、れんがづくりの大変立派な病院なんでございますが、しかし、中へ入ってみますと、もう患者さんはほとんどいない。そしてまた器具類は、医療機器等はほとんど機能していないというような状況を見させていただきました。なぜこんな立派な病院があって患者さんがいないんだと。そしてまた、首都のダッカのダッカ大学の附属病院を見学させていただいたんですが、ここはまた本当に、昔の野戦病院のように、床にまで患者さんがたくさんいらっしゃるわけですね。

 このODA資金でつくられた病院は、たまたまレントゲンの管球が切れて、この管球を取りかえるのに三百万かかるんだそうです。この維持するお金がないんだと。これはお答えにならなくて結構ですから。このお金がなくて、もう半年間もこの病院が機能していないんだということをお聞きしました。

 やはり、これからODA資金の見直しというのも私は十分御検討願いたい、つくるだけでいいものじゃない。たまたまその近くに海部元総理がいらしたときには、私が泊まったホテルのドライバーさんが、この橋は日本につくってもらったんだ、それはちょうどあそこは水害のときでございましたから、非常に厳しいときでもございましたけれども。私も当時議員でも何でもございませんので、当時水道二本を寄附してきたんですが、非常にそういうところを見ますと、ああ、こういうものだけでODA資金を使われてしまっているのかということになりますと、それならば、ああいうところに必要なものは何だということをよく見きわめて、ぜひそういう支援をすべきだ。

 今回のこのDPIについても、できればそういうような、せっかく障害者の方が日本に来られる、そして、ちょうど北海道は食べ物がおいしい時期でございますから、ぜひそういう方々に北海道のものを食べていただきたい。そして、そういう感動をまたお国に帰って皆さんに宣伝をしていただく、こういうようなことを、最後に河野大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 大変大事な大会のお世話をしていただくことをお礼申し上げたいと思います。

 今御指摘のように、ODA資金でいろいろ品物を、上屋をつくりましても、仏つくって魂入らずでは、これはもうどうにもならないわけでございまして、今回の世界会議にいたしましても、立派に会議の形が整っても、そこで成果が上がらなければ意味がないわけで、ぜひひとつ成果の上がる、意味のある大会にしていただきたい。

 大会運営に至りますまで、外務省としてお手伝いをすることがあれば、できるだけお手伝いをいたします。これは当然札幌市が主体になっておやりになることだとは思いますけれども、外務省として、入国の関係でございますとか、いろいろお手伝いをすべき部分があると思いますので、その点についてはできるだけのお手伝いをさせていただきたいと思います。

 ぜひ、大会の御成功をお祈りしております。どうぞよろしくお願いいたします。

三井分科員 どうもありがとうございました。心強い大臣並びに副大臣のお言葉を承りましたので、早速地元の方には御報告をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

宮本主査 これにて三井辨雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石尚子君。

大石(尚)分科員 私、民主党・無所属クラブの大石尚子でございます。

 河野外務大臣におかれましては、多事多難の折、大変お疲れだと存じますが、きょうは、愛媛県立宇和島水産高校海洋実習船えひめ丸が米海軍の原潜グリーンビルと衝突、沈没いたしました事件について、多くの議員からいろいろと御質問があったことと存じますが、私の立場から二、三伺わせていただきたいと存じます。

 これは、私も当日の朝のテレビの報道を一瞬耳を疑った思いでございました。多くの被害をこうむられた方、それからまた、大切な御家族が帰ってこられない、その皆様方のお心を思うと、本当に何とお慰めしていいかわからない気持ちでございます。

 その中で、私ども民主党はいち早く、伊藤英成NC大臣を団長といたしまして、アメリカに調査団を派遣いたしました。そして、まずびっくりいたしましたことは、原潜に衝突して沈没したのがフィッシングボートだと報道されていたそうでございます。私どもの調査団は、フィッシングボートじゃない、これはトレーニングボートなんだ、実習船、練習船なんだということで訂正をお願いしたと聞いております。

 いろいろな行き違いの中ではございましたが、米国のテレビ局その他報道機関のいろいろな調査から、米海軍に先立っていろいろな事実が判明されたことは、もう繰り返し報道されていることでございますのでここでは改めて触れたいとは思わないのですけれども、ちょうど二十七日、米の特使といたして、ブッシュ大統領の親書を持参されて、ファロン米海軍作戦副部長が日本に見えました。そして謝罪の意を表されて、これもまた私どもの民主党の仲間が、ぜひ現地へ行って家族に会ってほしいとお願いして、きょうの午後、宇和島へ行かれたそうでございます。

 それから、けさの報道で、昨日でしょうか、前艦長のスコット・ワドル氏が謝罪の意を表されて、そして家族への手紙を望月政務官に託されたそうでございます。

 いろいろな経緯の中から、日本とアメリカの文化の相違、これがだんだんと現地の方々にも理解されて、そして、関係者の気持ちを受け入れられる現地の方々、特にハワイの方々は関係者に対して募金活動も始めてくださっていると聞いております。

 私どもは、今後この犠牲を犠牲のままに終わらせたくない。今の私ども日本にとりましても、将来にとりましても、水産業並びに海洋技術あるいは海洋研究に関する人材を育成するということは大事なことでございますし、また、今の普通高校では得られない体験学習を通しての人間形成に大変重要な教育課程を有している水産高校でもございます。それだけに、多くの方々の犠牲を土台として、そしてこういった関連の事柄に関して多くの発展が今後期待されるようにしなければ犠牲者の方々に申しわけない、そういう気持ちから、どうすればいいかということを私自身も考え続けてまいりました。

 ところが、これは二月二十七日のワシントン・ポスト、このワシントン・ポストのオピニオンコラムニストを務めておられるリチャード・コーエン氏が、我々は日本に十分に謝罪したと、何でこんなに謝らせるのかというようなお気持ちからでしょう、私どもには受け入れがたい記事を掲載されておりました。これにつきましては、私どもの金子善次郎議員がさきの予算委員会の席上で河野外務大臣に御質問申し上げ、その対策をお願いしてあったと存じます。

 この文章については、私ここに持っておりますが、これを一々読み上げることは時間の関係上差し控えさせていただきたいと存じますが、このコーエン氏の文の中身の問題に関して、駐米大使の柳井俊二さんは同日記者会見をなさったと聞いております。その内容が、日本の各紙からちょっと拾ってみたのですが余りはっきりわかりません。NHKの報道にも一部ございましたが、もしわかれば、柳井駐米大使がこのコーエンさんの記事に対してどのような会見をなさっておられるのか。

 そして、このコーエン氏の文章の中にいろいろなことが書かれております。慰安婦の問題、南京大虐殺の問題、それから、沖縄に駐留する米海軍の一部の態度と今度の問題が重ね合わせられているのではないかというような記述、これらは私自身には受け入れがたい、事実認識が違っているのではないかと思う箇所がございます。河野外務大臣は、このコーエン氏の事実認識について、今私が挙げましたこと等をどのように受け取っておられるのか。

 さらに、これはワシントン・ポストで、いわゆる日本の新聞に置きかえれば大きな新聞社と同じような作用をする。要するに、このコーエンさんがどのような方であろうとも、こういう記事が載って、やっと日本の文化、アメリカの文化の違いが認識されつつあり、そしてお互いにぎくしゃくが、少しずつわかり合えてきたのではないかと思えるときにこういう記事が載った。これは氷山の一角だと思うのでございます。何か日本の国民に対して決していい感情を持っておられない米国民も次第にふえてきているのではないかと思うと、これは一新聞の記事として見逃せない。政府としてどうするか、駐在大使としてどうされるかという問題以外にも、何か手の打ちようがあるのではないか。特に、この問題に対してどう対処されようとしているのか。

 この三点について、まず外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

河野国務大臣 大石議員は、私も大変長くおつき合いをさせていただいて、先般亡くなられた河村勝議員の大変強い御支持があって国会に出てこられたと承知をいたしております。大石議員の国会議員としての御活躍を河村先生はどんなにか期待しておられたかと思いますし、これからの議員の御活躍を河村先生にぜひ見ていただきたかったと思っているのは、私だけではなくて、大石先生が一番強くそう思っておられるだろうと思いますが、先般の御葬儀でも御関係の多くの方々からそうしたお気持ちが述べられていたことを、私は大変印象深く記憶にとどめております。

 それはそれといたしまして、今幾つか大石先生から、今回のえひめ丸の事故について御認識が述べられました。

 アメリカは、今回の原子力潜水艦の起こした大変な事故、これに大変正面から大きなショックを受けているように思います。大統領を初めとしてアメリカのさまざまなレベル、さまざまなチャネルから、我々の抗議に対しましても本当に誠心誠意おわびの意思が伝えられてきておりまして、私どもとすれば、どんなにわびられても、こうした事故が起きたということは我々にとって納得のできることではございませんけれども、しかし、起きてしまった事故に対して大統領以下があれだけ正面から率直におわびをなさったということについては、一定の評価を我々はしていいというふうに思った次第でございます。

 しかし、私どもは、そうはいっても、御関係の御家族のお気持ちというものを体して、引き続きアメリカに対しては、おわびの気持ちがあるならばその気持ちを形にあらわしてほしいというような思いで、例えばえひめ丸の引き揚げの問題を初めとして、御家族が思っておられることを実現してほしいということをしっかりとこれからも言っていかなければならぬというふうに思っております。

 今お話がございましたワシントン・ポストの記事につきましては、もちろんコラムニストの話、しかもワシントン・ポストという、それは大変なクオリティーペーパーではありますけれども、一新聞社のコラムニストの記事について、政府としての見解を一々これについて述べるということはどうかという御意見もございますが、いずれにしても、そのコラムの中にあります、今議員がお話しになりました幾つかの歴史的事実に対します誤認については、これはきちっと訂正をしておかなければならないことだというふうに思っております。

 ちなみに、柳井大使は、ワシントン・ポスト紙の記事に触れまして、その中の幾つかのコラムの指摘に対しまして、例えば、日本の態度についてワシントン・ポストの指摘が妥当な批判だと思うかというような問いに対しまして、そういうことを言っている人はそういうことを言う立場にないのではないか、つまり、一定のそういうことを日本に対して言える立場ではないだろうと。そして、過去の問題というのは、加害者と被害者という観点から先ほど自分は触れたんだが、他方、背景が全く違うということも言っておかなければならない、一方は戦争の問題であり、一方は平時における事故の問題ではないかということを言われて、さらに、歴史的な事実についても、過去の問題について言えば、日本が謝罪していないということは間違いだ、我々は我々としていろいろな場面で謝罪をしている、戦後五十年のときに村山総理の総理大臣談話を発表したけれども、この談話でも明確に謝罪をしているということを指摘しているわけでございます。

 こうしたことを記者会見で質問などに答えて述べておりますと同時に、ワシントン・ポストのコラムに対しても、歴史的事実の認識の違いについてはきちんと指摘をしているというふうに聞いております。

 それから、最後にもう一つ申し上げれば、私は、今回の事故は、事故の御関係の方々にとってみれば本当に不幸な事故であったというふうに思いますが、それと同時に、日米の同盟関係についてもこの問題はやはり相当重要に考えなければならないことだというふうに思っています。

 私は、先ほど申し上げましたように、事故後のアメリカがとった誠実な態度というものは、事故を起こしたという問題とは別に、アメリカが日米関係を大事にしていかなければならないということのあらわれでもあると思うんです。

 今回の事故についての我々の気持ちの高ぶりの中には、やはり沖縄におけるさまざまな事件、事故などが重なって、非常に強いアメリカに対するある種の不信感といいますか、憤りみたいなものがあることは事実でありますけれども、しかし、日米の同盟関係、五十年間にわたってはぐくんできたこの日米関係というものは、やはりお互いに冷静になって大事にしていかなければならぬということも重要だというふうに考えております。事故の問題を解決するために言うべきことはきちっと言うと同時に、日米関係の重要性というものもまた我々は大事にしていくという気持ちも持っていかなければならぬというふうに思っているところでございます。

大石(尚)分科員 私の政治活動に対しまして、河野外務大臣の温かい御理解のお言葉をいただきまして、感謝申し上げます。

 コーエンさんのこの件に関しましては、柳井駐米大使の記者会見でひとまず打ち切り、そういうふうにとってよろしゅうございましょうか。それからまた、外務大臣のコーエンさんの事実認識についてのお考えを伺ったのでございますが、特に御答弁がなかったので、もし再度伺えればいただきたいと思います。

 それと、今後こういう事故が再発しては絶対にいけないことでございますので、米軍側の努力ももちろん要求していかなければいけないことと存じますが、私どもがこれを教訓として、水産高校の実習船等々の問題に関連して発展的に、前向きに努力する面があるのかどうか。今までいろいろな経緯にタッチされてまいられました外務大臣として、日本側の努力がもし考えられるのであるなら、ぜひ前向きに私も取り組んでまいりたいと思いますので、お気づきの点がございましたらお聞かせいただきたいと思います。

 そして、ついでに、最近、海の物騒な、いわゆる治安が乱れている話をよく聞きます。この水産高校の実習船も、もっと以前は東南アジア等々を海域として訓練をしたこともあったようでございますが、今は海賊船の出没等によって安全な地域ではなくなってしまったことから、ハワイ沖が大変ラッシュになるにもかかわらず、ほかを選ぶことができないというような実態もあるやに聞いておりますので、いわゆる海を渡ります船舶航行の安全対策について今後どのようにお取り組みになろうとしていらっしゃるのか、あわせてお尋ねいたしたいと存じます。

河野国務大臣 まず、ワシントン・ポストの中に書かれております従軍慰安婦の問題について一言だけ申し上げておきたいと思います。

 このいわゆる従軍慰安婦問題というのは、平成五年に、私、官房長官当時に談話で述べましたとおりに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題だということを申しまして、これが政府の基本的認識だということを談話で述べたわけでございますが、私はこの認識について現在も何ら変更を考えておりません。その当時と同じ気持ちで私はこの問題に対しております。

 政府としても、こうした認識に立って、おわびと反省の気持ちをさまざまな機会に表明をいたしておりまして、この点については、私は、我が国の道義的な問題だとしても、重要な問題だというふうに今でも考えております。

 それから、米側に対する再発の防止の申し入れでございますが、もちろんアメリカ側も今回の事故につきまして大変大きなショックを受けておりまして、大統領以下、現在事故の原因調査をいたしておりますけれども、その間にも大統領は、例えば民間人のこうした船に搭乗することについて見直すべきだという指示をしておられますし、原因の究明ができれば、恐らく新たな再発防止策というものがアメリカ側でもとられると思いますが、私は、二十七日に訪日をされましたファロン特使に対しまして、特に日本の港には原潜を含めアメリカの軍艦が相当数入港をしている、これらの艦船について改めて安全確認を徹底するように指導してほしいと。このファロンという人は、御承知のとおり、海軍大将で、ペンタゴンのナンバーツーの地位におられる方でございますから、私は、ファロン海軍大将にこういうことを申しました。

 これに対してファロン特使は、今回の事故の対応として、米側は、クラーク海軍作戦部長から下のレベルに至るまで細心の注意を払って適切な手順を構築するよう新たな指示を出しているということを言っておられます。私は、こうしたファロン海軍大将の言われますような指示が徹底して、米海軍が安全に対して十分な配慮をされることを強く望んでいるところでございます。

 水産高校の実習船は、あのハワイの海域に随分たくさんの実習船が現在出ておりまして、先般来、こうした事故もあって、注目が集まっている中で、例えばあの海域で事故に遭ったアメリカ人の救助をやったとか、今度は逆に、実習船の中で病人が出たのを、アメリカの海軍でしたかコーストガードでしたかがヘリで救出をして病院に運んでくれたとか、そういう、従来もあったに違いありませんけれども、双方でいたわり合うという気持ちが相当出ているようにも私には思えるわけでございまして、そうしたことはそれなりにいい経験をしておられると思いますが、まさに今議員がおっしゃったように、これはもっと近い海域で実習もかつてはできていたんだと思いますけれども、海賊船の出没を初めとして、アジアの海域の中にかなり危険な様子が出てきたということで、最も安全だと思われるハワイの海域に実習船が行くようになったという状況だと承知しております。

 ただ、海賊の防止につきましては、亡くなられた小渕総理は大変大きな関心を払っておられまして、ARFの席上で、日本がイニシアチブをとりまして、海賊対策をどうしてもアジアの国でやろうという提案をされまして、いよいよその海賊対策というものの会議が始まって、沿岸国がみんな集まって、どうやって海賊を完全に封じ込めるかという議論を今いたしているところでございます。

 まだ議論の途上でございまして、実効が簡単に上がっているかどうかということについては私まだ自信はございませんけれども、こうした会議が成果を生んで、秩序のある海、安心のできる海を取り戻すことが我々の目標でございまして、そうした目標に向かって動いているということを御報告させていただきます。

大石(尚)分科員 時間がなくなってしまいました。

 子供たちがこれから、現地ハワイの方々との交流等々、外国での体験を得ながらいい人間関係をつくり上げて、日米の親善に役立ってくれると思うのでございます。

 日米関係の悪化については、いろいろな国々から危惧の念が寄せられておりますし、ぜひそういうことにつながらないように、それには事実に対して正確な情報、いろいろな情報をみんなが知り合うということも大変大事なことかと思いますので、ぜひそういうことにも御配慮いただきたい。また、関係者の声明書なり、あるいはここに外務大臣への要請文も持っております。全国水産高等学校長協会理事長ほかお二方の連名で、河野洋平大臣の方へ本年二月二十一日付で提出された「人命・船舶航行の安全確保について」という要請書もございます。ぜひお取り組みくださいまして、これからのこういった水産、海洋関係者の発展へ御尽力いただきますようにお願いいたしたいと存じます。

 ありがとうございました。

宮本主査 これにて大石尚子君の質疑は終了いたしました。

 次に、達増拓也君。

達増分科員 きのうの読売新聞の朝刊でありますが、「しぼむ機密費減額論 森降ろし余波 予算成立優先 議論置き去り ほくそ笑む外務省」という見出しが躍っておりまして、これではいかぬということで、こちら分科会でも、機密費問題を三十分フルに取り上げさせていただく決意をいたしました。

 この報償費問題、重要なのは、まず一つ、国民の目線になって考えるということ、そしてもう一つ、国家の指導者の視点も忘れずに考えるという、この二つだと思います。

 国会議員、特に与党の議員の皆さんは、まさにこの国民の目線と国家の指導者の視点の両方を持ち合わせているわけでありまして、それで、きょうは特に予算委員会の本体の方で質問する機会がなかった副大臣、政務官の皆さんに質問をさせていただきたいと思います。

 そこで、まず外務省の調査委員会委員長の荒木副大臣に伺います。

 六百人以上に照会をした結果、問題となる事実なしというとりあえずの結果発表をされたわけであります。やはりこれは、正直にしゃべった方が何か自分自身も不利に加えて仲間にも迷惑をかける、そういう発想になる中で、正面から聞いて答えてもらうというのは非常に難しいとは思うんですけれども、まだ警察が中に入っていないからいいんですが、かつての大蔵省の不祥事など、メモ一つ一つ、一冊一冊のメモ帳までとられちゃうと、本当にそこで発覚してしまう。今、外務省はまだそこまで行っていないわけでありますけれども、さすがに、六百人以上に照会した、問題となる事実なし、これで終わらせるつもりはないということですね。

荒木副大臣 松尾元室長にかかわる供応接待の有無につきまして、六百三十人を対象として主に文書で回答を求め、六百二十人から回答を得たということでございます。その回答の範囲内では問題となる事実は見当たらなかったということでありまして、委員がおっしゃるように、これは自己申告ということでありますから、おのずと限界があるわけでして、あらゆる形で今後情報収集を続けて、そうした指摘をされているようなことがあったのかなかったのか、究明をしていきたいと考えております。

達増分科員 先ほど、同僚議員の質問に対して、荒木副大臣、公金横領以外の問題でも、松尾氏について取りざたされていることについては調査したいとたしかおっしゃいました。また、報償費問題ということでは、新聞、雑誌などで、本省や在外公館の松尾氏の事件と関係ないところでも、外務報償費が非常にむだに、いいかげんに使われているのではないかということが取りざたされております。

 外務省の報償費のむだ遣い、特に在外公館におけるむだ遣いは、時々新聞、雑誌等に間欠泉のように出てくる話ではありますが、最近特にそれが多く出て、広く国民も不信を持ってきていると思いますけれども、松尾氏の公金横領事件ということを超えて、広く外務省の報償費の使い方について調査をしていくつもりなのかどうか、そこを確認したいと思います。

荒木副大臣 あくまでも、私が委員長を引き継ぎました内部調査委員会といいますのは、この松尾元室長の公金横領疑惑に関して、外務省の体制がどういうことであったのか、あるいは他の省員のかかわりはどうであったのかということを今調査しているわけでございます。したがいまして、恐縮ながら、そうした松尾元室長の事件を離れて一般的に外務報償費の使い方について調査をするということはしておりません。

達増分科員 今回の松尾事件でありますけれども、国民の目線から見れば、これだけ景気も悪く、まじめな一般庶民は必死のやりくりで必死に稼いで暮らしているところを、どんと競馬馬を買うとかマンションを買うとか、そういうとんでもないことが行われていた、そういう怒りと真相を究明したい、そういう気持ちがあるというのがまず一つあると思いますが、国家の指導者の視点から考えた場合、国家の最高機密の取り扱いを担保するような予算がいとも簡単に数億円単位で抜き取られてしまった。これはもうテロみたいなものだと思うんですね。

 ある国家のそういう機密費を何億円も奪う、盗むなんというのは、これは、そんなことを仮にどこかの国のスパイがやったら大手柄になるような、そういうとんでもないことが行われた。ですから、やった松尾氏もとんでもないことをしでかしたわけですけれども、それをみすみすやられた政府の側というのも、これはみすみすテロをやられたようなものであって、そういうことが起きてしまう背景をかなりきちっと突き詰めないと、再発防止ということにつながっていかないと思うんです。

 そういう意味で、外務省の報償費の使われ方、これは予算委員会でも盛んに質問が出ています。使途を明確にできないので答えられない、そういうやりとりが続いていて、怒って席を立って出ちゃう議員も出るくらいなんでありますけれども、河野大臣以下、御出張中の望月政務官も含めてここにいらっしゃる皆さんは、ほかの国会議員はのぞくことができないそういう外務省の報償費の使われ方を、かなり突っ込んで細かく調査できる立場にあるんですね。ですから、そこを見た上で、その中身を公開しろとは言いませんが、そこをつぶさにつまびらかにすれば、どういうことをしなきゃならないかというのがおのずと明らかになると思うんです。

 そういう意味で、この機会、荒木副大臣に伺いますが、外務省の報償費の使われ方について、全貌についてそれを把握するようなことは、作業はやっていらっしゃるんでしょうか。

荒木副大臣 本件の公金横領事件という場合の公金というのは内閣の報償費でありまして、それを松尾が、預かる立場を乱用といいますか、権限を越えて私腹を肥やしたということであります。ですから、どうしてそうした大それたことが行われ、チェックがなされなかったのかという、その真相究明というのが私たち調査委員会の目的であります。

 報道によれば、外務省報償費についてもいろいろ論じられておりますけれども、しかし、それはまた私たちの調査委員会の目的とは別の問題だというふうに考えております。

達増分科員 では、機能改革会議に参加されている衛藤副大臣に同じ質問をしたいと思います。

 ある意味では、今回の事件の調査委員会よりも機能改革会議の方がむしろ、現在の報償費制度のあり方、現状の使われ方についても、全貌を把握した上で議論をしないといい結論が出てこないところだと思うんですけれども、衛藤副大臣は、外務省の報償費の使われ方について、そのおおよそを把握していらっしゃるんでしょうか。

衛藤副大臣 達増拓也委員にお答えを申し上げます。

 私は、外務省機能改革会議に常に出席するように大臣から指示をいただいておりまして、そのようにさせていただいております。私の場合は、荒木委員会の調査を見守りながら、なおかつこの外務省機能改革会議での委員の先生方の御意見を拝聴しておるところであります。

 この外務省機能改革会議におきましては、今御指摘のように、機密費の全貌についてまず明らかにしようという立場から会議が進んでおるわけでございまして、全貌についての御理解もかなり進んだのではないかな。そして、大臣の御指示では、自由濶達に意見を御開陳いただきまして、これが五月の連休前ぐらいまでにまとめられて提案されて、大臣としてはその御提案についてできる限り外務省の機能改革のために実施してまいる、こういうふうに承っております。

達増分科員 現在の機能改革会議で大分報償費の使われ方についても理解が深まっているという御答弁でしたけれども、今の会議は、民間有識者の参加ということで、平岩外四さんは私も尊敬していますし、曽野綾子さんは好きなんですけれども、ただ、機密費、報償費の使い方ということであれば、もっとインテリジェンス、情報関係のプロの人に参加してもらう必要があるのじゃないかと思うんです。

 例えば岡崎久彦大使、外務省に情報調査局をつくった方ですし、あるいは警察出身の佐々淳行さんとか自衛隊出身の志方俊之さんとか、インテリジェンスについていろいろ発言している皆さんもいる。そうじゃない分野の方が入っている中でそういう国家最高機密の取り扱いを担保する予算の改革がきちんとできるのかどうかということについては、非常に懸念するのです。この点、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 達増委員にお答えいたします。

 この改革会議におきましても、来週あたりから、今達増委員御指摘の外部の知見、それをぜひお願いを申し上げよう、こういうことになっておりまして、当然、我が国の外交の推進体制の万全を期するためには、有益なことは可能な限り取り入れる。そして、今御指摘をいただきました情報機能強化のためには、今御示唆をいただきましたような御芳名の方々も含めまして、外部の有識者の方々の知見を生かしてまいるのが妥当である、このように考えております。

達増分科員 私は、本当は、衛藤副大臣が座長になって、ここにいらっしゃる、あと望月政務官を加えた副大臣、政務官のチームで検討するのが一番いいと思うんです。今、政府の内部の人間になっていらっしゃるわけですから、そうすればかなりレベルの高い秘密事項も知った上で議論することができる。やはり、民間有識者を交えた会議というのは、基本的には対外的に公表できる情報だけに基づいて議論するわけですから。

 けさの報道によりますと、例えば報償費の支出について、民間人を入れたチェック体制をつくるべきであるとか、できるだけ公開するようにしようとかいう意見が出ているそうですけれども、使途を明らかにできないことに使うから使途を明らかにしなくていい予算になっているというところに本質があると思うんです。ですから、非常に論理矛盾な方向へ議論が行っていると恐れております。

 自由党の中で議論しているのは、情報関係の支出、一度予算委員会で私は情報工作費と言いましたけれども、もうちょっと、情報関係費とでも呼ぼうかと今議論があるのですけれども、そこに使途を完全に限定して、そして国際情報局長が事前に決裁に加わるか、あるいは事後的に使った結果について報告を受けるか、そういうふうに持っていくべきであるという議論をしております。

 それについてのコメントはまた後ほど伺いたいと思いますが、話をもとに戻すと、今の機能改革会議、そういう民間にも公表していいような情報をベースに改革の議論をしていたのではきちっとした改革にならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 外務大臣からは、この改革会議に対して、以下の四点につきまして御指示がありました。

 まずは、国民の信頼の回復と理解の増進、それから組織体制上の課題、人的体制の問題点及び人事運営のあり方、そして報償費を含む外務省予算の執行体制を初めとする外交実施体制に対するチェック、監査体制について議論していただきたい。非常に広範な四つの課題がありますが、この会議におきましては、自由濶達に意見を述べられる、それをほぼ全部、今のような御意見も外に出ていくわけでありますが、たくさんの御意見の中からだんだん絞り込まれまして相当レベルの高い提案がなされると思います。

 私としては、この改革会議に大変期待するところが大でありまして、必ずやその提案が外務省の機能改革全般に生かされる、このように確信をしています。

達増分科員 ここで、報償費問題のいろいろな背景にあるような問題をめぐる質問を政務官のお二人にしていきたいと思うんですけれども、まず桜田政務官に伺いたいと思います。

 今回のえひめ丸事件でハワイの方にも出張されて、いろいろアメリカの軍ですとかアメリカの外交当局ですとか、そういった生の現場にも触れられたこともあって伺いたいのです。諸外国の情報関係予算、アメリカですとかイギリスですとか、そういうところのインテリジェンスの体制に比べて、我が国はまだまだ貧弱、努力の余地があると思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。

桜田大臣政務官 外務省としては、情報関連予算の強化は必要だと考えておるところであります。厳しい財政状況の中でも、これまで情報収集、分析活動や通信施設等の機能強化を図っておるところであります。

 十三年度予算では、情報通信及び連絡網の整備にかかわる予算を百二十七億、前年度に対しまして二四・二%増ということで要求してきているところであります。

 また、CIA予算及びMI6の予算については、いずれも公表されていないというふうに承知しているところであります。

 他方、一概には比較できないものでありますが、アメリカについては、情報コミュニティー、いわゆるCIA、国防総省情報関連八部門などの十三組織により構成されているところでありますが、その情報関連活動費として、安全保障上問題がないと判断された場合については総額のみを公表するということになっておりまして、情報組織ごとまたは情報政策の額は安全保障に影響するためCIA予算を含め公表しないことになっております。なお、右総額は、最近では、一九九八年度におきましては二・八兆円の予算が公表されているところであります。

 また、英国につきましては、三つの情報機関の予算につきまして統合情報費として一括して議会の承認を得ることになっておりまして、その予算書には概括的な項目のみ記載されているところでありまして、それ以上の詳細は、MI6の予算を含め非公開とされているところであります。その総額は、二〇〇〇年度におきましては約千三百八十七億円となっているところであります。

達増分科員 答弁の中で公表されている以外の数字は出せないのでしょうけれども、部内では、議論の中では公表されていない数字をベースに議論できると思うので、ぜひぜひその辺も勉強してやっていただきたいと思うんです。

 日本が軍事力というものに他国に比べると抑制的になって、それでも国際社会の中で生き残り、かつ大きな役割を果たしていこうと思えば、やはり情報、インテリジェンスにかなり力を入れなければならないと思うわけです。そういう意味でも、内閣官房そして外務省のそういう報償費というものがむだなところに使われていくというのは、そういうインテリジェンス戦略の観点からいってもこれはもう許せない、ゆゆしき問題なわけであります。

 自由党は、官邸と外務省の報償費、平成十三年度はもう半額、半減させなければならないと考えています。これは、国民の信頼を回復するための思い切った措置ということと同時に、実は今半分も本来のインテリジェンスに使われていないのじゃないかという懸念があって、むしろ半額、しかしインテリジェンスにきちっと使うとすることでかえってインテリジェンスに現実に使われるお金がふえるであろう、そういうことを踏まえて半額ということを今議論しております。

 次、丸谷政務官に伺いますけれども、そういうむだなところに報償費のお金がぽろぽろ漏れていってしまっているんじゃないかという疑惑のそのむだの内容としては、首相や外相の出張に伴う同行者の旅費や飲食費等々、そういうところに漏れているんじゃないか、また、国会議員のせんべつだとか、あるいは過剰な便宜供与に使われているんじゃないかというようなことが言われております。

 まず、質問いたしますのは、そういう意味で、そもそもそういうサミットのデリゲーション、代表団を簡素化していくことがまず必要なのではないか、総理大臣や外務大臣の同行体制も、そういうところが過剰に膨れ上がるところに予算がむだに使われる背景もあるんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょう。

丸谷大臣政務官 達増議員、政務官名指しの御質問、本当にありがとうございます。

 お答えさせていただきます。

 今議員が御指摘なさいました、海外で行われるサミット等余りにもお金がかかり過ぎるのではないかという趣旨の御質問ですけれども、今までのサミット、人数あるいは経費等比べましたところ、特に日本代表団だけが人数が多い、こういった事実もございませんし、議員が御指摘になりますように、海外に行くサミットの場合、必要最小限に代表団をとどめるのは当然のことだというふうに思っております。そういった意味からしましても、日本が海外に行く場合の人数、経費は必要最小限で努力をしているというふうに言えると存じております。

達増分科員 この問題はかなり政治家側の心構え、努力というところもあると思うんですね。

 今週出たある雑誌で紹介されていた話は、ある元総理大臣、仮にK総理大臣としますが、外国出張の際、朝御飯で黄身のやわらかいゆで卵しか食べないということで、現地大使館が特別に黄身のやわらかい卵を随行者分も入れて二十個用意したら、秘書が割って、これじゃ黄身がかた過ぎるということで、もう一回ゆで直し、これでもだめだ、それで百個ゆでて最後に持っていったらもう食事が終わってだれも食べなかった、そういうむだが行われている。一事が万事ではありませんけれども、いかに国会議員サイドの努力が重要かという話だと思います。

 私が聞いて印象に残っている話は、クリントン政権の最初のUSTRをやっていたカンターさんは、出張のときにエコノミーにしか乗らなかった。非常に横柄で剛腕なやり方が物議を醸した人でありますけれども、そういうところは気をつけていたわけですね。

 うちの小沢一郎党首に、小沢党首がサミットに行くときにどのくらいの人を連れていきますかと聞いたら、大蔵省の審議官が一人いればいいなというふうに言っておりまして、これは今の同行者、随行団に比べるとけたが二けたぐらい違う話だと思います。

 これは政治家として丸谷政務官に答弁していただきたいんですが、なるべく同行団、デリゲーションが過大にならない、行った先でむだなお金を使わない努力はやはりしていっていただけるでしょうか。

丸谷大臣政務官 今議員がおっしゃいましたように、例えば総理が海外に行く際にお供が一人であれば、本当に二けたどころではない、三けたぐらいの経費の削減になるのかな、実現できたらすばらしいなというふうには思ってお伺いしておりましたけれども、当然のことながら、現実の中でやっていくべきことは、議員みずからが海外に行くことは非常に重要ですし、海外で人脈をつくってくる、あるいはミーティングをしてくるというのは重要なことだということのほかに、本来の職務以外の過剰な便宜供与は議員みずからが求めていかないという常識の範囲内での判断と行動が、議員一人一人にとって、これは与野党問わずですけれども、必要だというふうに承知しております。

達増分科員 ヨーロッパの国々の大臣さんなんかは非常に簡単に飛行機にぽっと乗ってぱっと出張したりしますので、今回の副大臣、政務官制度導入で政治家が政府に入って政府・与党一体となって行政を執行していく、そういう政治主導の新しい改革をせっかくやったわけですから、外務省の機能強化を目指す改革の中にもそういうのをぜひ生かしていってほしいと思います。

 衛藤副大臣に伺いますけれども、何度か申し上げましたが、そういうわけで、今自由党で議論しているのは、報償費の使途を情報関係費ということに厳に決めて、それを担保するためにも事前ないし事後に情報部局の関与を強める。具体的には、国際情報局長が決裁をするか、あるいは事後に報告を受ける。

 今でも、報償費がまともに使われていろいろ情報が入ってきた場合は、基本的に国際情報局長に上がるようにはなっていると思うんです。それは情報が出たらそうなるわけですけれども、ちゃんとそうなるように報償費を使うという意味で、国際情報局長に上がらないようなことには報償費は使わない、そういう制度改革をきちっとやった上で平成十三年度は報償費を本省、在外分半減。

 そして、そういう新しい体制のもとで国民の信頼が回復し、これは実際中にいる政治家しかわからないと思います。本当にいい情報が上がってくるな、生き生きして外務省のみんながきちんとやっているな、そういう感覚が出てきたら堂々と十四年、十五年の予算は上げていけばいいのでありまして、それができるのは、やはり中に入った政治家しかその決断も判断もできないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

衛藤副大臣 達増委員御指摘のとおり、外交にとっては、まず信頼性の回復、そして内外の官民の幅広い信頼性の上に立つ、あわせて、御指摘の情報機能強化というのは非常に大事だと思います。その中で、外務省の報償費、機密費というのは極めて重要な部分を占めております。国連加盟国は百八十九カ国ありますし、また、冷戦構造崩壊後、安定に向かう反面、むしろ不安定、不透明さが増大している。これは二〇〇〇年の中国の国防省にもそのような指摘もありますし、また我が国も、米国を初め先進主要国も同じような考えに立っておる。そういう中におきまして外務省の報償費というのは極めて大事である。

 それからもう一点は、言うまでもありませんが、外交というものは、連綿としてどこも分断できない、永続性と継続性の連続性の中にあるわけでありまして、機密費というもの、報償費というものをここでどんと半分にいたしますとそれはもう大変なことになるわけであります。私どもとしては、機密費はあくまでも機密費でありまして、また、機密費の周辺を含めましても、それは機密費には間違いないと思うんですね。

 問題は、達増委員は八年か九年外務省におられまして第一線で大活躍された名外交官ですから、よくそれは御承知と思いますが、この点につきましては、機密費は機密費、そしてその範疇に類しないものは類しないんですが、しかし、機密費のコア、その周辺も含めてこれは機密費であるということはよく御承知のとおりだと思います。そういうことからいたしますると、来年度、引き続きまして外務省の報償費はぜひとも増額する方向でお願いをしたいというのが率直な私の意見であります。

達増分科員 以上で終わります。

宮本主査 これにて達増拓也君の質疑は終了いたしました。

 この際、先ほどの首藤君の質疑内容につき、外務省から調査の結果を報告させます。飯村官房長。

飯村政府参考人 先ほど首藤委員からの御質問に御返事申し上げるのに大変手間取りまして、心からおわびを申し上げます。

 三点御質問がございましたけれども、一つは、外交問題調査研究等謝金でございます。

 三億六千万円強ございますけれども、二十二項目の関係経費がございまして、重立ったものは、例えば予防外交NGOネットワーク構築等関係経費、これは、日本におきましてやはり予防外交が重要であるとの観点から、予防外交センターに対して活動の助成、シンポジウムの開催等をお願いしているものでございますけれども、こういった経費、あるいはシンクタンク等に特定のテーマを決めまして研究助成を行っておる経費、あるいは、これは新しいものでございますけれども、海賊対策に関するASEAN・日中韓国際会議の開催経費等々、今は例示でございますけれども、そういった活動を助成するための謝金でございます。

 それから、第二点でございますけれども、軍縮関係条約等分担金二十八億強、これの内容、内訳は何かという御質問でございました。

 これにつきましては、分担金ということで義務的な拠出でございますけれども、例示をさせていただきますと、化学兵器禁止機関、OPCWと言っておりますけれども、これの分担金、あるいは包括的核実験禁止条約機関、CTBTOと言っておりますが、この準備委員会の分担金、さらには、核兵器不拡散条約、通称NPTでございますけれども、その再検討会議の分担金等でございまして、全部で七つの項目がございます。

 それから第三点でございますけれども、海外技術協力推進団体補助金ということで、オイスカについて、定額の補助についてお尋ねがございました。

 これは来年度予算では約二億弱計上させていただいておりますけれども、オイスカに対しましては、昭和四十七年度より補助金を支出しております。オイスカは開発途上国におきます農業とかそういった開発関係の事業を行っておりますNGOでございますけれども、このNGOの研修訓練経費とか海外技術協力の経費あるいは国際会議の経費、こういったものを補助しております。ちなみに、事業補助金の削減という流れの中でオイスカに対する補助金は近年減額をしてきております。

 以上でございます。

宮本主査 ありがとうございました。

 次に、今野東君。

今野分科員 民主党の今野東でございます。

 外交機密費といいますともう外務省の方々はじんま疹が出るほど、聞きたくもないとお思いでしょうが、私もやはりこのことについて伺わざるを得ません。

 松尾元室長による機密費流用疑惑を受けて、外交機密費なんてなくしてしまえという声をちまたでよく聞きます。私は、なくしてしまえとまでは乱暴には思いませんが、減額の方向で見直すということは必要なのではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。

河野国務大臣 外交機密費についてだんだん御理解をいただけているのではないかと思っておりますが、今国会を通しまして、まず御説明を申し上げておりますことは、今回のまことに申しわけない報償費の横領事件というものは、繰り返し申し上げておりますように、これは官房報償費の横領事件でございます。横領したと思われる人物は外務省職員でございますけれども、その外務省職員が横領をしたという金額は官房報償費であって外務省報償費ではないことをまず最初に御理解いただきたいと思います。

 それは、恐らく議員は十分御承知の上で、さはさりながら、報償費について国民の皆様方の厳しい御意見というものを背景に御質問だと思います。私自身も、国民の多くの方々から昨今いわゆる報償費、とりわけ最近ではそれが外務省にかかわる報償費についてのおしかりが多くなってきたということを承知いたしております。

 そこで、ぜひ御理解をいただきたいと思いますことは、我々もそうした御批判、おしかりを十分受けとめながら、我々がやるべきことは、こうした報償費が本来の目的に使われていないのではないかという御批判に対して、しっかりとこの報償費は本来の目的に使われているのだということをはっきり説明をしなければならないというふうに思います。

 ただし、報償費はその性格上公開ができないということでございますので、きちんと制度的にチェックができるかどうか、民主党の御議論の中にも二重三重のチェックが必要ではないかということを指摘しておられるように聞いておりますが、私どももこの報償費の支出に当たっては二重三重のチェックが当然必要であると考えておりまして、従来のチェックにさらにどういうチェックができるかについて目下考えているところでございます。

 この外務省の報償費、いわゆる外務省機密費でございますが、これを減額すべきではないかという御趣旨の御発言でございますが、これは、先ほど衛藤外務副大臣からも御報告を申し上げましたように、外務省にとりまして、今情報を集めるということは極めて重要な問題でございます。

 そして、この情報は一体どこから集めるか。世界の隅々から集めなければなりませんし、もちろん我が国の国内にもそうした情報はあるだろうと思っております。そうした平面的な広がり、それから昨年からことし、ことしから来年にかけての継続性、こうしたものがなければ情報というものは収集できないものもあるわけでございまして、そうした点も御理解をいただいて、おしかりはおしかりとして、本来の目的に使われないのではないかという御批判にはきちんと答えながらも、外務省の報償費については今回の予算要求をぜひお認めをいただきたい、こう考えております。

今野分科員 その外交機密費が不透明であるということがわかったから、一般の国民の感情としては、機密費はなくしてしまえ、あるいは減らすべきだという意見が出てくるのでありまして、そこのところをよくくみ取っていただきたいと思います。

 きのう二十八日、自民党本部で開かれた自民党の外交関係合同会議で一部の心ある代議士が、私はそう思うのですが、予算の組み替えをしてでも見直すべきだという発言があったようですね。そして、それについて中山太郎外交調査室長が予算案を上げようとしているときに誤解を与える発言はいけないといって、この発言した代議士も予算を見直すべきだという発言を取り消したという報道があったんですが、この中山太郎外交調査室長の、予算案を上げようとしているときに誤解を与えるという発言はどんな正義に依拠しているのか、私にはどうもわからないんですが、大臣はどうお考えなんでしょうか。

河野国務大臣 今回提出をしております予算案は、政府・与党が十分に議論をし、練り上げた予算案でございます。この予算案を提出するに当たって与党の意見は十二分に加味されているわけでございまして、これは政府だけがひとりでこの予算をつくったものではございません。与党の方々の意見も十分伺った上でつくり上げられた予算でございます。

 その予算の審議の途中で与党内からそういう声が出てくるということについて、中山外交調査会長がたしなめられたというか取りまとめられたということは、それなりに、つまり、この予算の内容については、与党にはいつでも我々は説明をするチャンスがあるわけです。

 野党の皆さんは国会での御質問の時間がたくさんとれるように、与党の議員には、例えば党の部会を初めとしてさまざまな政府・与党の関係で質問に対して説明をする時間も我々は持っているわけでございまして、政府として、与党の議員あるいは与党のそうした部会に出向いて説明をするということによって了解をもらうということは可能であるわけで、そうしたことまで踏まえて中山調査会長が取りまとめられたのであろう。

 私は現場におりませんので、少し私なりの推測も交えて申し上げましたが、そういうふうに私は理解をいたしております。

今野分科員 これはどこに発言の依拠があるのかわからないということを申し上げたんですが、予算を上げようとしているときに誤解を与えるというのは、どうもわからない。国民の感情としては、予算は少々おくれてもいいからこういうものはもっとすっきりした方がいいということを言っているのではないかと思いますけれども、それについて、そういう国民の声を代弁するかのような党内の発言について、誤解を与えるというのは、どうも私にはわからない。もう一度説明をしてください。

河野国務大臣 今の御指摘は二つの意味がございます。

 予算の成立が少しおくれてもいいからと議員はおっしゃいましたけれども、私どもは、現下の経済状況その他を見れば、予算の成立をおくらすということはやはりこの経済状況の中で決していい選択ではないということを考えておりまして、これは政府・与党一体となってできるだけ早く予算を成立させて、四月一日からきちっと予算は執行できる、そういうことが何よりも今大事だということがまず私どもの考え方に一つございます。

 それはそれとしておきましても、もう一つ、自民党の党内の外交関係の会合におきます議論につきましては、今、何に依拠してそういう双方の議論、つまり変えろという議論、変えなくていいという議論、いずれがどういうことに依拠しているかということについては、先ほど私が申し上げましたように、今回の外務省予算については、外交関係の部会その他の御議論もいただいて、そして提出に当たっては、外交部会その他外交関係三部会の御了承をいただいて提出をしているわけでございまして、その部会、三部会に所属をしている人間は、提出をしたときに既に提出した数字について責任を共有しているということでなければなりません。

 もしこの問題がよくないと言うならば、自分のそのときの審議がおよそ間違っていた、自分の目が間違いだったということを言わなければならないのであって、提案はした、しかし、そのときに、出したときには賛成したけれども、今は反対だ、あるいは変えろということを簡単に言うべきものではない。

 一度議論をして提案した数字については責任を共有するというのが与党の責任というものであって、野党にはその都度反対をしてみたり修正を求めてみたりすることはあったとしても、与党の議員というものはそういうものではないと私は思っているのです。一度提案をした問題については、若いから、年配だから、そのときにいなかったからということとは別に、やはり責任は共有すべきものだ。よほどの、よほどの問題が提起されない限りは、私は責任は共有されるべきものだというふうに思います。

今野分科員 それではお尋ねしますが、国民はこの一連のさまざまな外務省の出来事について、今の時点で大きく外務省について不信を抱いていると思いますが、これはお認めになりますか。

河野国務大臣 私は、冒頭に申し上げましたように、国民の皆様が現在外務省に対して大変厳しい意見を持っておられる、厳しい御批判を向けておられるということは十分承知をいたしております。

今野分科員 それでは、そのように受けとめていらっしゃる外務大臣、国民のそれにどうこたえるのでしょうか。これは予算を見直すとかそういうことが国民にとっては最もわかりやすいことではないかと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 私は、意見を異にいたします。

 私は、日本の外交をお預かりする人間として、確かに国民のそうした御批判、お怒りには、先ほど申し上げたように、きちっとその分についてはチェックをする、システムをきちっと直すということがまず第一。

 それからもう一つは、やはり国際的に信頼をされる日本の外交というものをつくり上げるということによって、国民のそうした御批判にこたえなければいけない。

 さらにもう一つ言えば、今私どもが外務省の中で進めておりますように、今回の事件の全容を解明することと同時に、再発の防止のために、外務省の、場合によっては人事、機構に至るまで変更をして、そして再びこういうことが起きないようにしっかりと立て直すということが私の責任であり、国民の御批判にこたえるゆえんのものだというふうに思っています。

今野分科員 もちろん予算は大事です。私もそう思います。この経済を考えれば、もちろん早く上げるべきだと思います。しかし、国民がこれだけ不信感を持っているのだから、それにこたえる姿勢というのが私は必要なのではないかと思います。

 この中山太郎さんの発言の裏には、もう時間がない、間に合わないということがあるような気がするんですが、見直す期間、時間があったら見直すということはありますか。

河野国務大臣 私は時間の問題ではないと思います。時間は十分にある。これは何も衆議院の成立だけが予算の審議ではございません。参議院の成立までの間にはまだ十分な時間があるわけでございますから、中山先生のおっしゃっているのは、時間がもうないよ、ベルが鳴って電車が出ちゃうんだからそれはだめだよという、そんな簡単な御議論だというふうには、私は、これも先ほど申し上げたように現場におりませんから推測でございますけれども、私はそう思っております。

今野分科員 つまり、これは、外務省としてはこういう外交機密費を見直すつもりは今後もずっとないということなんでしょうか。

河野国務大臣 機密費のどれを見直せとおっしゃっているのかが私にはよくわかりませんが、私は先ほどから、機密費が本来の目的にしっかりと使われているかどうかということをもっと確認ができる、つまり厳正な決裁というものがさらに、これまでもやっておりますけれども、さらにしっかりとした決裁が行われるということが大事だということを申し上げているわけです。

今野分科員 機密費というものがあって、それがきちんと使われているのならばそれでいいんです。でも、そうじゃない、何だかもやもやしたものでわからないから、こういうふうに国民の多くは不信を抱いているわけであります。

 きのう、外務省の機能改革会議がありましたね。民間の有識者から強い外務省批判や機密費の使途の一部公開を求める声が相次いで出されたようですが、きちんと使っているのならば使途の公開というのはしてもいいのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

河野国務大臣 それはぜひ御理解をいただきたいと思いますけれども、私どもが情報を収集するときには相手がおります。我々が公開することによって相手に迷惑をかけるということも十分あり得るわけです。物によっては相手は命がけで情報を提供することだってあるわけです。そうしたときに、我々がただ単に情報を公開すればいいというほど簡単なものではないということをぜひ御理解いただきたいと思うのです。

 現在、外務省が七人の外部の有識者にお集まりをいただいて御議論いただいております。私は自由に御発言をくださいということを申し上げて、今議員がお話しのように、大変厳しい御意見も次々と出ているということも承知しております。

 我々は、外務省が七人の有識者をお願いしたときに、議員の中からは、何か外務省が話がつく、外務省に親しい者だけを集めたのじゃないか、外務省の応援団で、ここにちょっと議論をさせて、結論が出ればそれで事足れりとするのではないかというような御批判もございましたけれども、一回目、二回目、三回目とこれから会議が続くにつれて、いかに我々が自由に御議論をお願いしているか、そしてそのメンバーの方々が、外務省の今日の状況について、さまざまな視点に立っていろいろな御意見をいただくことができるかということをわかっていただけるだろうと私は思うのです。

 さらにもう一言申し上げれば、どうも先ほど来、議員はこれだけ外交機密費に批判があるよとおっしゃる。私は大変厳しい批判があるということを肌で感じています。感じていますけれども、新聞がお書きになったり、週刊誌がお書きになったり、テレビがいろいろおっしゃることで、具体性のある批判が一体幾つあるか、どこにあるかと私は繰り返し申し上げているのです。ここが問題だというなら具体的におっしゃっていただきたい。そうすれば、私はそれをきちっと荒木調査会で調査をして、それが事実であれば厳正に処分すると私は申し上げているのです。

 ただ、雲をつかむようなうわさ話、こんなこともあったらしいな、あるいは人の話を聞くとこういうことらしいな、例えば外務省の役人が三年とか四年外国へ出るとうちが一軒建つらしいとか何百万円も貯金ができるらしいなんという話は、それはまことに残念ながら、外務省の人間でそんなことをしている人間なんて見たことはない。ここにいる者に聞いてみたって、自分のうちを持っている人間なんかほとんどいないでしょう。みんな外務省の職員住宅に住んでいますよ。

 そういうことを、どうも根拠も示さずに書かれる御批判について、それをもとに外務省はもっと反省しろ、反省しろと言われても、もちろん私は、外務省の体質については、今の体質は変えなければいかぬということは繰り返し言って、職員を集めてきちっとそれは言っているわけです。言っておりますけれども、したがって御批判については、できれば具体性のある御批判をいただきたい。具体的な御批判があれば私はそれをきちっと調べますということを繰り返し申し上げているということをぜひ御理解をいただきたいのです。

今野分科員 お尋ねしますが、外務省機能改革会議というのはどういう位置づけなんでしょうか。

河野国務大臣 私は、七人の有識者にお願いをいたしましたのは、今回の事件を踏まえて、我々の調査の結果もそうでございますけれども、現在の外務省の中にあるチェック機能とかあるいは組織の状況とかいうものが、これは私に言わせれば信じがたいようなぽかもある。あんなことがどうして五年、六年にわたってチェックできなかったかということは私自身も本当に信じられないような思いなんです。

 そういう組織的な大きな穴、そういったものは外部の目でもう少し見ていただきたいということをお願いして私は七人の方々にお集まりをいただいているわけでございまして、この七人の方々には自由に御議論をいただいて、ゴールデンウイーク前ぐらいまでにはぜひ御提言をお取りまとめいただきたいということをお願いいたしております。これは外務省でのお願いでございます。

今野分科員 この外務省の機能改革会議の中で外務省の批判、機密費の使途の一部公開を求める声というのが出ているわけでして、今おっしゃった四月中に出る改革案の中に、この機密費の使途の一部公開、私は一〇〇%公開しろとは思いません、もちろんどうしても公開できないものもあるだろうと思います。

 それでは、この機能改革会議の報告によって、それが盛り込まれていれば一部公開を認めるというつもりはおありでしょうか。

河野国務大臣 私は、この会議には外務省側からは出席をして一切口を差し挟むな、七人のメンバーの方から御下問があれば御説明を申し上げろ、それから会の運営その他についても、どなたを座長になさるか、どなたがお取りまとめをどういう形でなさるかはどうぞ七人の方でやってくださいということを申し上げているので、どういう御意見がこれから出てきて、どういうお取りまとめになるかということは私は実は予見できないでおります。

 しかし、これだけ立派な方々ですから、十分な経験と見識を持たれた方々が最終的にはちゃんとした取りまとめをしてくださるに違いないという期待を持って、私は、この再発防止を中心として、外務省の機構にかかわる問題、あるいは人的な人事運営にかかわる問題等について議論をお願いしているわけでございます。この方々がどういう議論をなさって、どういうお取りまとめをなさるかということは、私どもとして今全く予見をいたしておりません。

 そして、それが外務省だけでできることであるならば、私はこの結論というものはできるだけ尊重しなければならない。つまり、この御議論の結果が、例えば官邸を拘束するとか他の役所を拘束するということになると、これはなかなか外務省だけで結構ですというわけにはまいりませんけれども、外務省についての御注文あるいは御提言であるとするならば、私はでき得る限りその御提言を取り上げたいと思っています。

今野分科員 先ほど大臣がおっしゃった雲をつかむような話ではこの機能改革会議はないわけでありますから、ぜひここでそういう機密費の一部公開が盛り込まれたというような場合には尊重していただきたいと思います。都合のいい意見は取り上げ、みずからに厳しい意見には知らぬふりというのでは自浄という点から好ましくないと思いますので、その点をしっかりとお願いいたします。

河野国務大臣 もしそういう気持ちが私どもにあるならば、メンバーをお願いするときからそうしたメンバーを我々は選んでいると思うのです。私どもは、お願いをしたメンバーが、今議員がおっしゃったように、既にこれだけ辛らつな、痛烈な御批判があり、厳しい御意見があるということをぜひお考えいただいて、こういうメンバーを我々はお願いをして、御議論を自由にしてくださいと申し上げているという我々の気持ちをぜひ真っすぐに受けとめていただきたいと思うのです。

今野分科員 さて、余り時間がありませんので、それではちょっと質問が変わりますが、私は、今回の報償費に関して、会計検査院にもっと覇気を持って大胆にメスを振るってもらいたいと思いました。どれほどの意欲があるのか、疑問に思われることもあったわけですが、以前、会計検査院の審議官が検査対象の官庁の官僚とゴルフ三昧だとか、あるいは検査院の別の審議官が年度末の予算消化のためにヨーロッパに慰安旅行に行ったという投書が新聞社などに相次ぐなど、会計検査院自体に検査が必要なのかと考えさせられてしまう報道もありました。

 会計検査院が今回の報償費の疑惑解明調査でどれほどの成果を上げるか、会計検査院の信頼性に大きく影響を与えると思いますが、お考えを伺いたいと思います。

石野会計検査院当局者 報償費の検査についてのお尋ねでございます。

 今回の事態につきましては、事実関係がまず十分に解明され、さらに問題点がどこにあるかということを明らかにすることが大事だと考えております。そして、それを踏まえまして、報償費の執行方法あるいはそのチェック体制というものが検討され、再発防止に向けて万全を期すことが必要であると考えております。

 会計検査院としましても、会計検査の観点から、そういった報償費の管理体制がどうなっているかという事実関係を十分調査し、問題の発生原因を究明するなど、十分な検査を行っていきたいと考えております。

今野分科員 またちょっと外務省の話に戻りますが、もともと、外務省の派手なお金の使い方というのは、今回の松尾氏の事件が発覚するずっと以前から、しばしばメディアに取り上げられていたことです。これは松尾氏の事件とはちょっと性質を異にする話ですが、一部の在外公館の施設や大使、公使の生活の華やかさというのはよく知られております。

 これは、ちょっとさかのぼりますが、一九八〇年、レマン湖のほとりに豪華な屋敷を買いました。これは大使の公邸であります。その敷地面積は、かつての後楽園球場の四倍、およそ四万七千平方メートル、購入価格も当時で十四億円にも上るという報道が当時なされました。十四億円もかけて海外の屋敷を買い取って、これは改修もされていたようなんですが、そういう必要というのはどれぐらいあるものなんでしょうか。お答えください。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 ジュネーブの代表部の大使公邸の件でございますけれども、私ども、在外公館の代表あるいは大使の公邸を購入いたしますときには、幾つかの観点から判断をさせていただいております。

 一つは、当然公館長の居住施設であるということでございますけれども、二番目に、さらに重要なことは、日本の外交活動の拠点として、任国の政府関係者あるいは各界の有識者、外交団、そういった関係者との会合やあるいは日本の広報事業を行う、こういった各種行事にも活用されるべき公的な機能を持つべきであろうと考えているわけでございます。それから三番目には、こういう不安定な時代でございますので、緊急時における邦人を収容できるような保護機能とか、あるいは警備面での配慮とか、そういうこともございます。もう一つ申し上げますれば、さらに、日本を代表するにふさわしい施設。

 こういったさまざまの観点から判断をさせていただいて、予算に計上をさせていただいているわけでございます。

今野分科員 日本を代表するにふさわしい建物あるいは敷地、日本の各種行事あるいは公的な機能を持たせるためということなんですが、それに、かつての後楽園球場の四倍の敷地というのは必要なんですか。

河野国務大臣 こういうことを申し上げて御理解いただけるかどうかわかりませんが、一つの例として申し上げますが、例えば、東西ドイツの壁が壊れるか壊れないかと言っていたあの時代のことでございますけれども、東ドイツから出てきた人たちが、ハンガリーあるいはその周辺国の大使館に押しかけて集まって、うちの中に泊まった人もいるでしょうけれども、庭にテントを張って、そこに何万人の人が順番を待ったというケースもあるわけです。私は、このジュネーブのことを申し上げているのではありませんけれども、一般論として申し上げれば、そういうこともあった。

 それからまた、今官房長はそこまで申し上げませんでしたけれども、これから考えるときには、例えばテロ対策とか、つまりペルーの問題を考えれば、やはり相当な安全対策ということも考えていかなければなりません。

 さらには、例えばドイツのベルリンの大使館のように、やはり、この地域に大使館を集めるという向こうには向こうのポリシーがあって、ここにつくってくれと言われることもあるわけです。

 さらには、例えばサウジアラビアを初めとするああした国々の中には、一画を囲ってその中に大使館がみんなで入るというケースもあって、必ずしも一般の住宅事情と同じには考えられない部分もあるということは、御理解をいただきたいと思います。

今野分科員 もちろん、一般の住宅事情とは違うということは私も理解できるのです。もう時間がありませんからこれで質問を終わりますが、このときに、たしか大使公邸の国有化計画は中断しているということを外務省はコメントしているんですけれども、その後どうも、予算上はそうではないようなんですが、何か問題が起きたときにだけそれに懸命に対処し、それが、時間が過ぎていくと忘れてしまってまたもとに戻るというようなことではなく、ぜひ問題をきちんと理解していただいて、凛とした姿勢を外務省としてお示しいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮本主査 これにて今野東君の質疑は終了いたしました。

 次に、白保台一君。

白保分科員 初めに、外務大臣に沖縄訪問についてお伺いしたいと思います。

 連日、予算委員会、またその他の委員会で、今もお話があったようなさまざまな問題で大変な中ではございましたが、日曜日を利用されて沖縄を訪問されました。大変敬意を表したいと思います。

 一つは、沖縄大使の交代ということであった、こう思いますし、沖縄大使の交代にわざわざおいでになったというのは異例なことじゃないかな、大変な配慮だ、こういうふうに思っております。もう一つは、続発する米兵の不祥事に対する対策だとか対応だとか、こういったこともあったのかな、こう思っております。

 沖縄大使について申し上げれば、実は、二十年ぐらい前に、たしか伊東正義外務大臣だったでしょうか、そのころ、私の先輩の議員が、沖縄に大使を置いていただきたい、こういう提案をいたしました。そうしましたら、伊東外相は非常に前向きな答弁をなさいまして、それが翌日地元のマスコミに出ましたら、一方のグループから、基地の固定化につながるとかいろいろなことを言われて大変しかられたんですが、歴代の大使、原島さんは、三線を覚えて沖縄の中でも大変溶け込んでいかれたという大使でございましたし、また、今度の野村さんも、サミットの成功や、そしてまたワーキングチームの立ち上げやそういったことで、大使に対する理解というのが随分とこの二、三年の間で変わってきたんじゃないかな。そういう中で、今回、大臣がまた改めて引き合わせに行かれるということは非常に大きな意味があった、こういうふうに私自身は思っています。

 もう一つの米兵の不祥事の問題については、私どもも特効薬はないのかなと思うぐらい非常に困難な問題でございますが、これはまた、きっちりとしたルールを確立して、県民生活を守るために頑張っていただかなきゃならない、こういうことなんだろうと思います。

 そこで、お伺いしたいと思いますが、沖縄訪問で、大臣、どのような目的、どのようなことをなされたのかをまずお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 先般、日曜日に沖縄にお邪魔をいたしました。

 これは、まず第一は、昨年七月にサミットを沖縄で開かせていただいて、本当に知事さん初め県民の皆さんの温かい御協力、御理解をいただいて、サミット出席者、各国の首脳がみんないいサミットだったと言って気持ちよく引き揚げられたということがございます。私は、それにもかかわりませず、七月以来一度もお礼にも伺わずに大変気がかりでございまして、一度は伺ってサミットのお礼を申し上げたいと思ったことが一つでございます。

 しかし、それはそれとして、やはり何よりも私にとって気がかりなのは、ここ一、二カ月の間の基地周辺のさまざまな事故、事件でございます。こうしたことが次々と起こってくるという状況で、県民の皆さんのその感情はもう沸騰しておられるだろう。中には、今行くのはなかなか難しいぞということを私に御注意をいただいた方もございますけれども、むしろこの時期にお伺いをして、知事初め各首長の方々の御意見も伺う、そして同時に、米側に対してもきちんと言うべきことは言ってくることが大事だというふうに思ったことが第二でございます。

 そして三つ目は、今お話をいただきましたように大使の交代ということもございまして、新しく沖縄に赴任をいたします橋本大使が前日から沖縄へ入っておりましたので伺って、つまり、外務省を取り巻くこうした時期でございますから、にぎにぎしいレセプションみたいなのはもう控えて、むしろこうしたときに市町村長さんお集まりのところで御紹介をして御理解をいただくということがよかろうという気持ちもございまして、お伺いをした次第でございます。

白保分科員 先ほど申し上げるのを忘れましたが、歴代大使が頑張ってこられましたから、次の大使にも大きな期待を今寄せておりますので、ぜひひとつ頑張っていただきたい、こう思っております。

 今るる外務大臣からお述べになりましたが、沖縄を訪問されまして、短いお時間の中でしたから、気持ちとして、感想として成果はあった、このようにお思いでしょうか。

河野国務大臣 大変申しわけないことに極めて限られた時間でございまして、本来ならあるいはもっと多くの方にお目にかかるべきであったかもしれません。しかも数日前に参りますということを申し上げて、非常にショートノーティスで伺った御無礼な沖縄訪問でございましたにもかかわりませず、知事、県会議長さん、お二人にはまずお目にかかって、今先ほど申し上げたような事柄について、これはやや公式な感じで少し形を整えてお話をさせていただきました。しかし、それにもかかわらず、知事、県会議長からは非常に率直なお話をいただけたことはよかったと私は思っております。

 さらに、引き続き、三十名近かったと思いますけれども、沖縄県内の市長さん、町長さん、村長さんにお集まりをいただいて、これも非常に率直にかなりの方から御発言をいただいたわけでございます。皆さんそれぞれ地元が抱えている基地にかかわる問題について非常に率直にお話がございました。そして、何とかして事故、事件というものを減らしていきたいと。

 一刀両断全部なくなるなんということは、これは長い御経験をお持ちの皆さんでございますから、そんなことを言えばすぐ、おまえ、それはうそだと言われてしまうような御経験の方でございます。しかし、そうした御経験をお持ちの皆さんが、何とか知恵を出して事件、事故というものを減らしていかなければいかぬという非常に強いお気持ちがあったというふうに私は受けとめました。一つ一つが、大変おもしろい御意見もありましたし、なるほどという御意見もございました。そして、その御意見の中では、引き続きワーキングチームの作業の中で、随分遠回りなようだけれども一つずつやっていくことによって状況を改善するということ、それが一番いいのかなという感じを私は受けたわけでございます。

 そうしたお話を伺った後、私はアメリカの四軍の代表者と会いました。ちょうどヘイルストン氏がおられませんで、ヘイルストン氏のかわりにウィリアムズ准将以下四軍の代表者に会いまして、私は市町村長さんのお話を持ち出して、こういうことを考えたらどうだ、こういうことを考えたらどうだということをかなり詳細に申しました。先方は、なるほど、それは面白い考えですね、あるいはいい考えですね、やってみましょうというようなことでございました。

 私にとって大事なことは、野村大使が立ち上げてここまで六回の会議を重ねてきたワーキングチームが、新大使になって形が変わってしまったり、あるいはもうやめだというようなことになってはいかぬというふうに思っておりましたから、ウィリアムズ准将にも、これはヘイルストン氏にも言ってください、これまでのワーキングチームはヘイルストンさんの理解もあってできたものだというふうに聞いております、このワーキングチームは橋本新大使になってもぜひ続けていただきたい、これをうまく生かしていくことがやはり問題を少しずつであっても改善することに非常に役に立つというふうに思っておりますから、この点はよろしくということを言いまして、向こうも、よくわかりましたという返事は、そこはかなりはっきりとした御返事をいただけたように思いました。

白保分科員 そういうことで、いろいろなことが短い時間でしたけれどもあって、外務大臣もまた新たな成果が得られただろう、こう思います。

 そこで、今後の問題としまして、沖縄訪問を受けて、やはり大臣としても今後こういったことをきちっとやっていかなければいけないなということをお感じになったと思いますが、今後、沖縄が抱えるさまざまな問題、これについて短くお話しください。

河野国務大臣 やはり沖縄では、米軍との間にいろいろな問題があります、あるいは問題が起こります。その問題をどうやって解決するか、あるいはまた日米関係をどういうふうに新しい時代にふさわしくしていくかということに真剣に取り組まなければならないと思います。

 私は、地位協定といえばもう一言で非常に象徴的でございますけれども、それはそれとして、まず一つ一つの具体的な問題を解決するためにはどうすることがいいのかということをやはりもう少ししっかり取り組んでみたい。

 私は、この一、二年の間に、環境問題を初め、幾つかの前進はあったと思うのですね。しかし、前進しないものもありました。ですから、そうしたことをもう一度丁寧にチェックをして、どうしてもやらなければいけないのに前進しない、それは地位協定があるから前進しないのだというのであれば、地位協定の改定を視野に入れて考えなければならぬと思います。あるいは、運用の改善で、この議論を突っ込んでいけば問題は一つ解決するんだというなら、それも一生懸命やらなければならないと思います。

 ただ、沖縄が抱えていらっしゃる問題は一つや二つでない、大変いろいろな問題を抱えておられるということも私はよく理解をしているつもりでございますから、さまざまな角度から一つ一つ具体的な問題の解決に当たりたいと思っています。

白保分科員 先般の沖縄北方特別委員会で質問に答えられて、沖縄に対するイメージの問題ですが、大臣は、自由貿易地域だとかあるいは国際会議、こういった御答弁をされたわけです。国際会議を何回も何回も続けていって、沖縄を国際会議の拠点にするというお話でございましたが、私どもは、その延長線上に国連機関の問題ということを念頭に置いております。

 特に、野村大使が赴任された直後でしたが、サミット後をどうしますかという話を沖縄事務所でいろいろと語り合ったことがあるわけですが、野村大使もそのとき、ポストサミットは国際会議の場にした方がいいよ、マレーシアからお帰りになったばかりでしたから、アジアの閣僚級の皆さんの会議を続けることがいいんじゃないかというお話でございました。

 私は、今国際会議の話をお聞きしたいと思いましたが、余り時間もありませんので、国連の問題についてお聞きしたいと思いますが、国連機関の調査費というのがあります。これは毎年ついていて、それがまたどういうような目的でもってこの調査費をつけてやっておるのか、まず、基本的な問題ですが、これをお聞きしたいと思っております。

高須政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、国連諸機関調査経費と申しますけれども、毎年約五千万円計上させていただいております。この経費を使いまして、我が国がいろいろ協力しております国連関係の機関の運営活動が適正かつ有効になされているかどうかということを調査しあるいは評価するということで、そういう結果を踏まえて日本の対国連政策を考えるというふうに使わせていただいております。

 今年度の予算につきましては、例えば、国連工業開発機関というのがございますけれども、ここのいろいろなプロジェクトについての評価をするとか、あるいは国連ボランティア計画の拠出金によるプロジェクトがどうかということで、十分有効に使わせていただいております。

白保分科員 我々が念頭に置いてやっているのは、国連アジア本部ということを念頭に置いていろいろとみんなと話をしながらやっているわけでございますが、そこで、国連欧州本部というのがございますよね。この内容について簡単にお述べいただけますか。

高須政府参考人 国連の欧州本部といいますのはスイスのジュネーブにございますけれども、ここは、国連の軍縮会議、あるいは国連難民高等弁務官事務所、あるいは国連人権センター、あるいは国連貿易開発会議等非常に多くの国連の機関とか会議があるわけですけれども、そこで、国連欧州本部といいますのは、ジュネーブにあります国連機関が取り扱う軍縮、開発、人権、人道と多面にわたる国連外交の事務局として国連本部の一翼を担っているということでございます。

白保分科員 そこではどれぐらいの職員がいて、どのような活動をなさっているのか。

高須政府参考人 ジュネーブの国連欧州本部だけをとりますと三百六十五名ぐらいの定員でございますけれども、それ以外に、今申しました軍縮、それから人道援助ということになりますと、これは数千人という単位の事務所でございます。

白保分科員 沖縄は米軍基地の占有施設が七五%、これはもう御存じのとおりです。そういった中で、私たちは、かつては即時撤去だとかそういった話がございましたが、先ほども外務大臣もお話があったように、直ちに今一刀両断に何とかせいという話にはなりにくい、こういう状況、そしてまた日本の政策、そういった面からいって、基地というのは非常に過重な負担であるから整理縮小を進めていくべきである、こういうふうに言いつつも、基地の存在というのはまだしばらくは続くであろう。しかし、基地というのは、周辺諸国から見れば大変な脅威であり、また抑止力になっているだろうと思います。

 そういう基地を、ただ基地があるからどうこうという話だけではなくして、現実は現実として踏まえて、私自身の考え方でいうならば、平和的な状況というものを周辺でつくって基地を包囲する、経済を繁栄させて基地を包囲する、そういう積極的な形というものをつくり上げていくことが極めて重要であろう、こういうような発想のもとからこの話をしております。

 同時に、私どもは、昨年のサミットでも主会場になりました万国津梁館、いわゆる万国津梁という考え方で周辺諸国と平和でしかも友好的に、そしてまた沖縄の言葉でいえばイチャリバチョーデーといって、行き会う者はすべて兄弟、こういう友好的な形でもって交易をなし繁栄をしていった歴史がある。地理的な条件もアジアに一番近い、そして友好的な交易を行ってきた。こういう地理的、歴史的、そしてまた県民の持つ精神性、そういったバックボーンからいって、同時に、基地が存在するという状況からいうならば、アジアの平和と安定ということを考えたときに国連アジア本部という発想が出てきました。

 今回、沖縄に国連機関の誘致の可能性を探すための調査に国連諸機関調査費用の一部を活用するというお話がございました。これでどのような調査を、いつからやってどれぐらいの期間をかけてやっていかれるのか、このことについてお伺いしたいと思います。

高須政府参考人 お尋ねの調査費用を活用いたしまして、来年度、沖縄への国連機関の誘致の可能性について調査を行うということでございます。

 来年度の計画でございますのでまだ具体的な内容までは詰めておりませんけれども、我が国が国連を重視してきたこと、国連側がどういう事情にあるのか、財政とかいろいろな状況がございます。それから沖縄の今おっしゃられた歴史的、地理的な特性ということを踏まえて、国連機関の誘致のニーズがあるのかどうかということをまず確認しなければいけない。活動実績としてどういう蓄積を上げていくのかということもしなければいけない。それから、日本側の国内にいろいろな国際機関が実はございます。国連大学それから地域開発センター等々ございますので、そういうところの実情がどうなっているのかということを踏まえていろいろな案をつくっていきたいというふうに考えております。

白保分科員 ぜひ前向きに調査を行っていただいて、そして大臣が言われた、国際会議を積み重ねていく、その延長線上に私どもは考えております。ぜひ積極的な調査を行っていただきたいと思いますし、ぜひその実現方を私は要望したいと思います。大臣のコメントをお願いいたします。

河野国務大臣 ことしの一月のことだったと思いますが、国連のアナン事務総長が東京へお見えになりまして、私は荒木副大臣と一緒にお目にかかりまして、そして沖縄の今議員御提案の問題等についてアナン事務総長には申し上げました。アナン事務総長は十分理解をされたと思いますけれども、そのときにはまだ、今国連がそうしたニーズを持っていないということでございました。しかし、それは、それならニーズが出てくればいいのかなという感じを持って私はお別れをしたところでございます。今白保議員のお話は荒木副大臣を通してかなりしっかりとアナン事務総長にはお伝えができているということだけお伝えしておきます。

白保分科員 もう時間も迫ってまいりましたので、最後の質問になりますが、実は、昨年の七月十八日に河野外務大臣と当時のアメリカの国防次官のスローコム氏が外務省で会談をされました。その際に、親権と養育費の問題について、基地内に相談窓口を設けて対応していこう、そういう協議を始められたということでございました。

 これまでのいわゆるアメラジアンの問題はある意味では養育費の問題というふうにも言えると思います。別れて夫がアメリカの本国へ帰っていく。そうすると、それまで基地内のアメリカンスクールで自由に勉強していた者が今度は外へ出てきて、それから今度はアメリカンスクールに入ろうとした場合には、年間百五十万ぐらいかかるというふうに言われています。したがって、そういうことはできませんので、結局は子供たちが、英語で勉強していた者が外へ出てきたら学校へ行かなくなってくるとか、さまざまな問題。言ってみれば、アメラジアンの問題の中では養育費の問題というものは非常に大きなウエートを占めています。

 ドイツはアメリカの各州と、これは一九九六年からは連邦とやるようになったそうですが、この養育費の問題で協定を結んでいるという話なんですが、我が国は、民事上の問題ということもあってなかなか法務省も前向きに踏み込んでこないということがあって、この問題はかなり長く引っ張ってきています。そういう中で、この外務大臣とスローコム次官との話し合いというものは大きな一歩前進であったと私は評価をいたします。

 したがって、この問題が今どのような形になっているのか、そして今後どういうふうな見通しになっていくのか、この件についてお伺いしたいと思います。

藤崎政府参考人 今、白保議員御指摘のアメラジアンの親権、養育費の問題でございますけれども、在沖米軍の相談窓口につきまして、これは早期実現を図るということで事務的にも積極的に取り組んでおりますし、総理、外務大臣からも指示を受けているわけでございます。

 現在、沖縄におきまして、在沖米軍の相談窓口が設立された場合に使用することになるガイドブック、いわばマニュアルの作成につきまして、日米間で協力して作業を行っているところでございます。これは法的な作業でございますので、なお若干の期間が必要でございますけれども、鋭意取り組んでまいりたいということで考えております。

 私どもとしては、在京の米国大使館及び在日米軍とも密接に協議しておりまして、もしこれが立ち上げられた場合には、在沖米軍と外務省の沖縄事務所との間で適切に協力をしていきたいというふうに思っております。

白保分科員 この問題は、先ほども申し上げましたように、アメラジアン問題の本質的な問題でありますし、これは精力的に前へ進めていただきたい。毎日毎日困っている人が出てくるのです。中にはしっかりとした人がいて、アメラジアン・スクール・イン・オキナワということで、自分たちで学校をつくって、それでも沖縄での教育権といいますか、そういったものがなかなか獲得できないということで、去年には、アメリカに渡ってアメリカの高校や大学へ行くという子供たちも出てくる、こういう状況です。

 しかし、これがやれる親はいいのです。やれない子供たちというのは裏では何千人といるのじゃないかと言われているぐらい非常に深刻な問題でありますので、相談窓口を精力的に早めていただいて、そして親権、養育費、こういったものがきっちりと解決ができるように要望いたしまして、質問を終わります。

宮本主査 これにて白保台一君の質疑は終了いたしました。

 次に、松浪健四郎君。

松浪分科員 大臣並びに副大臣におかれましては、長時間本当に御苦労さまでございます。

 いい機会をいただきましたので、私は、ずっと興味のありますアフガニスタンの問題そしてイラクの問題について御質問をさせていただきたい、このように思います。

 我々はよくグローバルスタンダードという言葉を使いますけれども、これが全く通用しない世界があるということを忘れるわけにはまいりません。もっとも、私たちの国にもそういう面があるかもしれませんけれども、とりわけお尋ねをさせていただきたいアフガニスタンという国はその最たる国ではないか、こういうふうに私は思うわけであります。

 私自身は、七五年から七八年、山田淳治大使、前田利一大使時代に、アフガニスタンの唯一の国立大学でありますカブール大学の教壇に立った者であります。私自身、そこで多くのことを学んだ者として、またこの国で生活をして、そして多くのアフガニスタンの人々と友達になって愛する第二の母国になった、このように申し上げても過言ではございません。そして、帰国後三週間して革命が起こった、そしてずっと悲惨な状況が続いておるわけであります。

 しかし、幸いにいたしまして、我が国は、このアフガニスタンの国が大変な状況になっても、二つのことを忘れることなく、ずっと歴代の外務大臣また総理は政策として進めてきてくれた、こういうふうに私は理解するものであります。一つは、何としてもこの国を平和な国にしなければならない、その和平のためにいろいろな視点からお骨折りをいただき、御尽力を賜りました。もう一つは、アフガニスタンの国民の人道的立場から、どのようにして難民を初めとするアフガン国民を救うか、そこに思いをはせていろいろな形で大変な支援をしていただいてまいりました。その二つの方向は今も変わりなく続いておるわけであります。

 この数日来、報道を見ておりますと、アフガニスタンのことがかまびすしく報道されるようになってまいりました。さきの予算委員会で、私は、アフガニスタンの北部で大変な寒波が襲来して、たくさんの難民が亡くなるということがあって、そして大きく敵対するアメリカ政府が物資支援をし、アフガニスタンの現在の政権を担当するタリバーンのムタワキール外務大臣はこれを快く受け入れるということを表明いたしました。それで、大変な状況でありますから、国連も動きました。そして、国連の大島賢三人道問題担当事務次長が早速アフガニスタンに飛んでいき、実態を調査された。

 そこまでは私も報道で存じ上げておるわけでありますけれども、その後、ジュネーブに行かれて記者会見をされた様子でございますけれども、大島次長はアフガニスタンを見てどのように報告、発表されたのか、外務省が知り得るところを私に教えていただければありがたい、こういうふうに思います。

河野国務大臣 議員は、本当にかねてからアフガニスタンを第二の故郷と言ってはばからない、最も愛すべきところだとおっしゃって、終始一貫、アフガンの問題については関心を持ち続けていてくださる。私にとりましては本当にありがたい、外務省にとりましてもありがたい方だというふうに思っています。

 ああした国にここまで関心を持ち続けられる、自分の知り合いがいるからというようなことはあっても、その知り合いがいなくなるとまた次の国に関心がいくというようなことはよくあるのですけれども、議員は一貫してそのアフガンという国に大きな関心を持ち続けていらっしゃる。心からお礼を申し上げます。

 さて、アフガンにおきましては、議員ただいまお話しのとおり、最近、武力紛争の激化に加えまして、干ばつそれから寒波の影響もあって、大勢の人が極めて深刻な状況に直面しているというふうに、これは情報で私どもも知っております。そこで、大島賢三国連人道問題担当事務次長は、事務次長になられると、いち早く、国連における人道問題担当の最高責任者として、国際社会に効果的な支援を呼びかけるためには自分がまず現地を見ることが大事だといって、みずから現地調査を行ったというふうに承知をいたしております。

 今お話しのとおり、大島事務次長は、アフガンでの調査の後、既に昨年十一月に発出されていたアフガニスタン支援のための国連統一アピールを上方修正するということを公表されました。その中で最も緊急を要する支援として、食糧、シェルター、毛布など約九千三百万ドルの支援が必要だというふうに国際社会に呼びかけておられると承知をいたしております。我が国としてもできるだけ早く、この呼びかけを受けまして緊急援助を行うよう検討中でございます。

松浪分科員 できるだけ早く援助の方をお願いしたい、こういうふうに思うものであります。

 このアフガニスタンの問題は、単なる中央アジアの一国の問題だ、こういうふうにとらえるのは問題がある、私はこう思っております。

 それは、まず第一に、この国が特異な、異端な国であるから西側諸国が封じ込めればいいという問題ではございません。もしこの国を孤立化させればどういうふうになるか。既に、オサマ・ビン・ラディンをかくまっておるということで国連制裁を受けておるわけでありますけれども、この国は、御案内のように、パキスタン、イラン、アフガニスタンという黄金の三角地帯を形成し、ケシの栽培に最も適した風土を持つ国である。これは、野生のケシが群生しておるというような状況からでもわかりますように、また、かつて、あんパンの上に乗っかっておるケシの実をこのアフガニスタンからずっと買っておったわけでありますけれども、ヨーロッパで押収される、流通しているヘロインの八〇%強がこのアフガニスタンで生産されておる。どういうふうな形で栽培するのか、また、大麻の生産等をも現実に見た経験のある者として、この国を封じ込めるということは得策ではない、そういう一面があるということをまず御理解いただきたい。

 第二点は、アフガニスタンの左上の方にカスピ海がございます。申すまでもなく、ここには原油、天然ガスがかなりな量ございますが、既にパイプラインはトルコ経由、もう一つはイラン経由。しかし、これらのパイプラインが引かれたとしても、もし我が国がこの地域からエネルギーを買うということになりますと、地理的には決してすぐれたものとは言えません。

 私自身は、一日も早くアフガニスタンの和平が達成されて、そしてアフガニスタンからパキスタンへ、そしてアラビア海にパイプラインを引いてくるということが日本を初め多くの国々にも利益につながる、こういうふうに考えるものであります。としたならば、アフガニスタンの和平というものは、単にあの地域の平和、安定化のためだけではなくて、我が国にとっても大きな問題であります。

 ところが、タリバーンの特異な政策、なかなか我々からでは理解のしがたい政策であると言ってもいいかもしれません。しかし、タリバーン勢力からいろいろ話を聞いてみますと、そして、タリバーン勢力が実権を掌握する前のアフガニスタンを理解したときには、決して特異な政策、こういうふうには思わないのですが、我々から見れば恐らく特異な形、信じがたいような政策だ、こういうふうにして映るかもしれません。とにかく、封じ込めてしまったときにはタリバーン勢力は失うものがない、そこで想像のつかないような政策をとるのではないのか、このことはイラクにも同じような形で当てはまるのではないのか、私はそう思うわけであります。

 アフガニスタンというのは二十近い民族が共存をする、そういう国であります。そして言葉も、パシュトゥー語それからアフガンダリー語という二つの国語がある。同じ民族であってもなかなか言葉がわからない。こういう一面があると同時に、パシュトゥー語とアフガンダリー語だけではなくて、イスラム教もスンニー派とシーア派にきちんと分かれている。民族がたくさんいる。言葉が違う。そして、同じイスラム教でありながら宗教的対立、これもある。そして、シーア派の応援団はイランでありますし、スンニー派の応援団はパキスタンである、こういうふうな複雑な状況にありまして、なかなか和平を達成することができないわけであります。

 最初にこの国で革命が起こりましたときに、西側の人たちは、これは共産主義革命だ、こういうふうに言われ、そのように映ったかもしれませんが、私は当初から、これは民族的紛争であり、宗教的対立である、こういうふうにずっと理解をしてまいりました。昨今の勢力、そしてアフガンのあり方を眺めておったときに、私がウオッチングしておって判断しておったことに間違いはない、こういうふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましてもアフガンは孤立化の度を深めております。

 その結果何をやったのか。世界に名立たる五十四メートルと三十八メートルの世界一の磨崖仏が、アフガニスタンのちょうど真ん中あたりにありますバーミヤンの谷にあるわけであります。これはすばらしいものでありますし、歴史的遺産、人類の極めて貴重なものである、こういうふうに言わなければなりませんけれども、これを壊すということを九七年に予告いたしました。まさかそんなことをすることはないだろうと我々は思っておりましたし、世界の国々から、また国連も、そんなばかなことをしないようにということを伝えましたけれども、残念なことに、三十八メートルの仏像のおなかのちょっと下に大きな爆弾が撃ち込まれて穴があくという悲惨な状況になりました。

 これは、タリバーン勢力と対立する勢力が、絶対にこの世界的遺産を爆撃することはないということで盾にしてそこに逃げ込む、そしてまあまあうまいぐあいにこの地域を制圧する。ことしも報道がありましたけれども、とったりとられたり、今ちょうどタリバーン勢力が取り戻したようでありますけれども、それを許さない。だからそこに、それを盾にしても攻撃するぞ。

 それともう一つは、孤立化されている状況から、世界の国々に理解をしてもらうためにもこのバーミヤンの大仏を盾にしよう、そういうもくろみであろう、こういうふうに思っておるわけでありますけれども、かつて三十八メートルの仏像をねらって撃ったということがございます。

 そして、指導者であるモハマド・オマール師がこのほど彫像破壊令を出しました。ユネスコも抗議をし、アナン事務総長も抗議の声明を出されているところでありますけれども、私は、もしかしたならばやるのではないのか、こういう思いで見ております。そして、イスラム教徒からすれば、異教徒の信仰仏を最も必要としないそういう教えがある限り、私は大きな不安を持つものであります。

 そこでお尋ねしたいのは、このオマール師の彫像破壊令について政府はどのような見解をお持ちか、お尋ねしたいと思います。

衛藤副大臣 松浪健四郎委員にお答えをいたします。

 御指摘のタリバーン最高指導者オマール師が出した彫像破壊令につきましての政府の対応でございますが、本日の午後、「タリバーンによる彫像破壊令について」として外務報道官の談話を発出いたしました。

 第一点は、タリバーンの最高指導者オマール師が、アフガニスタン国内にあるすべての彫像を破壊すべきとの布告を出したとの情報に接し、我が国は深い憂慮の念を表明する。第二点は、御指摘のバーミヤン市にある巨大石仏に代表される貴重な彫像であるという指摘等々しまして、第三点は、我が国としては、タリバーンが今回の布告を見直して文化財の保護に向けた適切な措置をとることを強く希望する。また、タリバーンを初めとするアフガニスタンの紛争各派が早急に戦闘を停止し、和平実現に向けた直接対話を再開することを強く希望する。このような外務報道官談話を出したところであります。

 政府としては、今後関係諸国また機関とも連携をいたしまして、タリバーンに対し、彫像保存の重要性を強調し、彫像が破壊されることのないよう強く働きかけてまいりたい、このように考えておる次第であります。

松浪分科員 ありがとうございます。

 ずっと我が国政府は和平のために多大なる御尽力をいただいてきたところでありますし、今も定期的にいろいろな形で努力をされておりますことに重ねて敬意を表するものでありますけれども、これは粘り強くやっていかなければなりません。

 彼らは、早くといいましても、私たちの速いというスピード、時間的長さ、これにかなりの開きがございます。そして、民族の名誉を重んじる人々でありまして、ここで下手な取引、交渉、話し合いをしてはならないという考えも根強く横たわっております。それゆえに、私たちも和平のためには根強く取り組んでいかなければならない、こういうふうに思うわけであります。

 かつて、といってもそれほど昔ではございませんけれども、インド航空機がハイジャックをされました。そしてアフガニスタンのカンダハルというところにその飛行機がおりた。その中に日本人女性一人が乗っておったわけでありますけれども、タリバーン勢力はいち早く日本人の救出に力をかしてくれたということに、私はタリバーン勢力も日本の存在というものに重きを置いているんだな、こういうふうに理解をいたしました。

 いずれにいたしましても、まだまだ大変な難民がイランとパキスタンにおります。そして、国内にも三十万人を超す難民がおるわけであります。これはタリバーンとプロフェッサー・ラバニの勢力との対立でありますけれども、どのような形で和平を進めていけばいいのか、なかなか難しい問題であります。いろいろなアイデアが出され、それに取り組もうというふうにされましたけれども、難しい。

 そして、国連制裁を受けたタリバーン勢力はカブールに駐在しておりました国連職員を引き揚げさせるというような、これまた信じがたいことまでするわけでありますけれども、だからといって、私たちはこの和平のために手を引くということがあってはならない。お願いを込めて、日本政府としてアフガン和平のために今後どのような形で取り組んでいくのか、そのお考えについてお示しいただきたいと思います。

衛藤副大臣 松浪委員にお答えをいたします。

 我が国は、同じアジアの一員として中立的な立場から国連等による和平努力に対し支援、協力を行ってまいりました。

 御案内のとおり、アフガン紛争各派の間で和平に向けた真剣な対話の機運が生まれてくれば、関係国・機関とも協力して我が国として和平対話を東京で開催する用意がありますし、また御案内のとおり、一九九六年国連総会の場におきましても、既に我が政府は和平の対話の場を提供する用意のあることも発表したところでございます。

 また、アフガニスタンの窮状にかんがみまして、九八年以降だけでも、国際機関を経由するなどいたしまして、難民帰還、地雷除去等の分野を中心に三千五百万ドル以上の支援を行っておりますし、また、和平への具体的な取り組みでは、御案内のとおり、昨年三月にアフガン各派等を個別に東京に招聘して局長レベルで和平に関する協議を行ったわけでありますが、その際、松浪委員は両派の皆さんと個別に意見を交換した、このようにも伺っております。また現在、四月上旬をめどにアフガン両派のハイレベル責任者を招聘して、国連と協力しつつ、可能であれば両派間の直接の和平会合を実施する方向で今検討中であります。

 以上であります。

松浪分科員 非常にありがたいことでございまして、とにかくこのアフガニスタンに手をやいておる国々がたくさんある、これが現実であります。しかし、アフガニスタンの人々は大変親日家が多くて、日本人に敬意を表する国民であるということを御理解いただきたい、こういうふうに思います。

 ただ、この国の人々の思想がどのような形で形成されてきたか。あの荒涼とした、広漠とした砂漠の国で、また山岳の国で我々と考えが異なるということは、あの国に住んでみればよくわかることであります。

 そして、かつては古代ペルシャ文化圏でありました。ここにはペルシャン騎士道という、パフレバーンと呼びますけれども、特異な思想ができ上がり、もっともその前にはゾロアスター教の国でありまして、聖典アベスターによって支配をされておった国である。これらは勉強すればするほど私たちの民族性と大きく異なる。そして、これらを伝統的に受け持って今日のアフガニスタンの国民性、民族性ができておるということがよくわかるわけであります。そして、今もパシュトゥーン民族のおきてと言われるパシュトゥヌワレイという考え方がすべてを支配しておる。法律がなくても、民族的な教えとイスラム教があるだけですべてを律することができるというふうな国であります。

 そこへ持ってきて、タリバーンはイスラム原理主義を徹底的に守る、異常なほど強固なイスラム原理主義であります。これについて、周辺のイスラム諸国も警戒をしておるところは御案内のとおりでありますけれども、このタリバーン勢力のイスラム原理主義について政府はどのような見解をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。

衛藤副大臣 松浪委員にお答えをいたします。

 時間もないようでありますから、いわゆるイスラム原理主義という言葉については定まった解釈はないものと理解しておりますが、いずれにしろ、我が国としましては、タリバーンが、国際的に普遍的な価値である人権尊重、あるいはテロリズムに反対を求めるという、そうした国際社会の要請に前向きに対応するように強く働きかけてまいりたい、このように思っております。

松浪分科員 イラク問題を続けてやらせていただきたい、こういうふうに思っておりましたけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきたい、こう思います。どうもありがとうございました。

宮本主査 これにて松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上喜一君。

井上(喜)分科員 井上喜一でございます。

 分科会ということで、委員会でありますときとは多少リラックスした雰囲気の中で質問させていただくということでありますので、ざっくばらんな御質問をさせていただいて、また率直な外務大臣のお考えをお伺いしたいと思うのです。

 日米関係につきましては、日本外交の基軸でありまして、これは安全保障の面から見ましても、あるいは経済の面からも政治の面からも、大変重要な二国関係だ、そういうぐあいに思うのであります。しかし、私は、こういった二国関係を健全に保っていくためには、やはり言うべきことはきちっと言うということが必要だと思うのです。別にこれは敵対するということではなしに、正当な理由がありますことにつきましてはきちんと言う、責任のある人が責任のある立場の人に、しかもタイムリーに物を言っていく、そういうことをやって初めて健全な日米関係というのがつくられていくし、また、日米の同盟関係というのはさらに強化をされてくるんじゃないか、私はそう思うのです。

 ただ、私は、日米関係を見ておりますと、いろいろな面でどうも日本が及び腰になっているんじゃないか、言うべきことを言わないんじゃないか、あるいは、言い方につきましても、もう少し率直に言った方がいいと思われることもいささか控え目に物を言っているんじゃないか、そういう感じがぬぐい切れないのであります。

 通商の問題にいたしましても、高率関税をかけてくる、しばしばそういうことがありますし、このたびは、しかもその高率関税を関係業界が山分けするというようなことでありまして、こんなことにつきましては、もう少しやはりはっきりと日本の考え方を言った方がいいと思うのです。

 この間、私は、電気通信関係で、アメリカの要求はどういうぐあいになっているのか、また日本はどんなことを要求しているのか聞きましたけれども、何と英文では、アメリカは、ジャパン・シュド何とかと、日本がそうすべきだというようなそういう立場、日本はリクエストなんですね。だから、少なくとも主権国家同士でそういうような言葉遣いの違いがあるということなんかも、ある意味でこれは日米関係を象徴しているんじゃないかと思うんですね。そういう通商関係でもそんな感じです。

 あるいは、沖縄の問題につきましても、しばしば事件が起こるんですが、本当に責任のある人に責任のある人が、沖縄の現状なり沖縄でどういう問題が起こっているのか、沖縄の人たちの感情はどうなのかというようなことを、あるいはそれについて日本政府としてはどうしているのかというようなことをきっちりと伝えられているのかどうか。私は、余りにもしばしば事件が起こりますので、そういう疑問を抱かざるを得ないのです。

 あるいは、最近起こりました愛媛県の実習船とアメリカの原潜との衝突事故、これも大勢の人が大変努力をされたんだけれども、どうもちぐはぐな感じを私は受けるんですね。例えば生存者の捜索につきまして、当然のこととして日本政府からのそういう要請をされたと思うんですが、ある期間がたちますと、向こう側はもう捜索は打ち切りだなんというようなことを言いかけましたね。やはりきっちりと伝わっておれば、恐らくそういう場合にも、日本政府の方と協議があると思うのです。もうこの辺でひとつ規模を縮小したい、あるいは打ち切りたいんだけれどもどうだろうかというようなことがあってしかるべきじゃないかと私は思うのです。

 あるいは、次に引き揚げの問題につきましても、私は引き揚げをぜひともという希望でありますから、そういうことを伝えてあるとは思うんだけれども、どうもアメリカの政府あるいはアメリカの海軍の態度というのは、ちょっと腰が引けているんですね。私はそんな感じを受けるんです。

 私は、これは文化の違いとかなんとか言うけれども、引き揚げ可能な地域においては、どこだってやはり引き揚げる努力はすると思うのです。それはあの真珠湾のときとか戦艦大和とか、あるいは戦争中に多くの軍艦が沈みましたけれども、これはもう引き揚げ不可能だからそういうことを言わないのでありまして、可能なところについては、文化の違いを超えて、どこの国だって引き揚げをしてほしいということを要請すると思うのです。日本は明らかに被害を受けた立場なんですから。だけれども、どうも積極的な対応が見られない。それは難しいかもわかりませんけれども努力しましょう、そう言うのが私は普通だと思うんだけれども、どうもそんな感じでもない。

 あとは、原因究明につきましても、どのようなことが向こうの方に伝えられているかわかりませんけれども、私が申し上げたいのは、タイムリーに、本当にきちっと責任者に責任ある人が言えば、できること、できないことはありますが、そこはそれなりに一応納得のいくような対応が見られるんじゃないかと思うのです。だから、そこが必ずしも十分言っていないものだから、外務省の人も、衛藤副大臣を初めとして大勢の人が努力をするんだけれども、その努力がかみ合っていないような感じを私は受けるのです。

 かえって最近は、しつこいじゃないか、謝罪を何回もしろとは何事かというようなところまで発展して、お互いのためにこれはよくないことだと思うんですよ。ですから、問題になりましたことについてはきっちりとやはり言っていく、そういうことですね。何もそれは、過大なことを言うということを私は言っているんじゃないんです。そういうことが私は必要だと思うのです。

 ですから、たまたま今原潜の事故の問題がありましたけれども、私は、全体を通じまして、何によらずもう少し率直にアメリカと話をしていく、それを日米の関係の基礎に据えていくべきときが来ていると思うのでありますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 日米関係についていろいろ御示唆をいただいて、まことにありがとうございます。衛藤副大臣が先般ワシントンへ参りましたので、後ほど衛藤副大臣からもあのときの状況等についてはちょっと申し上げたいと思いますが、私は、今、日米関係は十分イーブンに話し合えるというふうに思っています。

 私自身のことについて言えば、私はたまたま二回外務大臣を、間を置いてやらせていただいたということもございまして、今私がお相手をしているコリン・パウエル国務長官は、私にとりましてはアメリカの外務大臣としては三人目の相手なんです。以前は前回の外務大臣のときのお相手、それから今度外務大臣になりましても、オルブライトさん、そしてパウエルさんと、三人の国務長官とお相手をするということになりまして、よく先方が、どうもおれの任期中八人も九人も日本の総理大臣がかわったとおっしゃる方がありますけれども、私はパウエルさんのところへ行って、私は三人目だということを言える立場にあるわけです。

 先般もパウエル氏と会っていろいろ話をしました。あのときにも、アメリカは非常に日本を大事にしているなという感じがいたしましたのは、別に何も、早く会ったから大事にする、なかなか後回しだから大事にしないということではないと思いますけれども、とにかく非常に、すぐに来い、会いたいからというので私は行きまして、お目にかかりまして日米関係についてもよく話をしました。

 日米関係だけについて話をしたのではなくて、アメリカに対しても、私はアメリカの外交について注文をつけました。

 例えば、アメリカの外交は、二国間関係というと力で押し込んでくる。しかし、国際会議、マルチの会議になると、どうも二国間関係のように腕力でいかないものだから、どうもぐあいが悪いことが最近多いだろう。例えば、環境会議なんというのも、COP6も、どうもアメリカはうまくはまっていないじゃないか。それから、WTOにしてもアメリカはなかなか思うようにならないじゃないか。

 それから、大体ユネスコなんというのは、アメリカは、もう籍すらないじゃないか。世界の教育問題、文化の問題を考えるユネスコの会議から飛び出しちゃって、こういうところにも参加していないのは、アメリカとしてはおかしいんじゃないか。もっと積極的にそうした国際会議にアメリカは入ってきて、しかも、みんなの意見をよく聞いて、そして世界の平和とか世界の前進のためにもっとしっかりやってくれということを私はパウエル氏にも言ったんです。彼はよく聞いてくれていました。

 私は、こういうふうに、日米関係だけではなくて、日米の外相会談が国際社会全般の問題について話し合うということが重要だと思っておりますので、そうしたことを言いました。

 そのときにも、パウエルさんは日米の同盟関係は非常に重要だと繰り返し言って、スタートはしたんですけれども、そして日本へ帰ってきてみると、沖縄では次々と事件、事故が起こる。そしてまた、例の沖縄の司令官のEメール事件があったり、そこへもってきて潜水艦と実習船の衝突事故が起こるということで、すっかり日米は、ブッシュ政権は同盟国とうまくやるんだと言った舌の根も乾かないうちから次々と問題が起きてきて、アメリカにとってみればこれは非常にぐあいの悪い状況に今なっていると思うのです。

 したがって、井上議員はどういうふうに見ておられるかわかりませんけれども、私は、今回の潜水艦の引き起こした事故について、アメリカは本当に、大統領以下、非常に真摯にという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、もう本当におわびをする、これはもう何としても自分たちが悪い、おわびをするという姿勢で一貫しているんですね。我々としては、おわびはいい、おわびをしてくれるのはありがたいけれども、おわびは言葉だけじゃだめだ、それを実際の行動でやってくれ、それはつまり、えひめ丸の引き揚げ等について、これからまた補償問題もあるでしょうから、そういう具体的な態度でやってもらいたいという気持ちを持って先方にしっかり交渉しているところでございます。

 えひめ丸の引き揚げの問題、あるいは先方から特使が来るための日本側からの示唆を、日本があれはこういう気分になっているよというようなことを、やはりアメリカに、とりわけワシントンなんか新布陣ですから、新しい布陣でまだ体制も十分にできていないところですから、やはりそれも教えてやらなきゃいかぬということもあって、衛藤副大臣には急遽ワシントンへ行っていただいたということがあるので、ちょっと一言だけ、衛藤さん、副大臣から。

衛藤副大臣 井上委員にお答えします。

 委員御指摘のとおり、日米関係、これはフルパートナーシップですから、そのもとに、言うべきことは言う、当然だと思います。私もその立場で、今般、外相並びに首相の指示を受けまして訪米いたしました。もうはっきりとアメリカ側の責任を問え、厳重に抗議しろ、それから、えひめ丸の引き揚げを必ずやるように要請しろ、それからもう一点は、行方不明者の捜索態勢についても、従前どおり、態勢を縮小することのないように厳重に要請してこい、それを全部申し上げました。

 また、今大臣御示唆されましたけれども、特使のことについても、本来であるとアメリカが自発的においでになることですね。プライドがありますから、そこは強く示唆して、それも実現した、このように思っておりますし、また、いろいろなことにつきまして、言うべきことは言い、そして今回の事故の対応につきましても、日本側が決して後手後手になったんじゃない、イニシアチブはとっている、それだけははっきり申し上げておきたいと思います。

井上(喜)分科員 次に、日ソ関係についてお伺いしたいと思います。

 日ソ間の領土問題というのは、長い経緯があり、また大変難しい問題であること、我々もよく承知をいたしているわけでございます。しかし、外交というのは、やはり基本の方針を国民に示していく、そして、具体の中身につきましては当事者同士でよく詰めていく、そういうことだと思うんですよね。だから、国民の支持がなければなかなか外交というのはうまくいかない、難しい上にさらにまた難しさが加わってくると思うのです。

 私は、この日ソの交渉につきましては、領土の返還は四島一括返還というぐあいに理解をいたしておりました。また、経済協力につきましても並行してやっていこう、こんなふうに理解をしていたのでありますけれども、最近の報道等によりますと、いや、それはそうじゃない、四島一括を前提にしてまず二島の返還であるとか、あるいは、もっと極端に言えば、二島の返還でというようなことがマスコミに出るわけですね。

 一体、今どういうような方針なのかお聞かせいただきたいし、仮に、当初の方針と変わったのであれば、例えば四島一括と言っていたのが、四島のそれを確認した上で二島だというのであれば、なぜそういうぐあいに変わってきたのか、わかりやすくひとつ御説明をいただきたいと思うのです。

河野国務大臣 議員がおっしゃるように、外交交渉というものは本当に難しいものでございます。つくづく私はその難しさを感じております。これは相手と交渉している間にも、こちら側からいろいろな情報が、正しい情報、間違った情報が次々に出ていってしまうこともあって、そして、先方からはなかなか情報が出てこない。どうも向こうには足元を見られて、こっちは向こうが何を考えているかよくわからないのではないかなんというふうに、若干これは被害者意識だと思いますけれども、そんな感じがいたします。そして、今おっしゃるように、国民の理解と支持がなければ外交交渉は進められません。

 しかし、そうかといって、全部国民に明らかにして先方と交渉するというのもなかなか難しいこともあるわけで、これは、原則はこうですということだけは国民の皆さんにしっかりとわかっていただいて、その原則に向かって、その原則を実現するためにはさまざまなアイデアがあったり、押したり引いたりがあるんだというふうにまず私は考えております。したがって、問題は、原則がどこにあるかということでございます。

 私は、現在の政府の北方四島についての原則、基本的考え方は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するというのが政府の方針でございます。

 かつて四島一括という時代がございましたけれども、これは日ソ交渉の時代にそういう主張がございましたが、日ロ、つまりソ連が崩壊をしてロシアになって、相当ロシア側も柔軟になってきた。そして、日本との経済的なやりとりももっとしたい、さまざまな日ロ関係にさまざまなやりとりをしようということをロシア側も考え、日本側もそれに応対するようになって以来、むしろ我々の考え方は、四島の帰属を決めるということがまず何よりも大事だ。四島の帰属が決まれば、それから先は若干でも柔軟な、例えばですけれども、順番についてはどういう順番かとか、あるいは、どういう対応でいつ返ってくるかとか、そういうところは多少柔軟に考えるというふうになったのが九〇年代に入ってからだと私は理解をいたしております。

 したがって、例えば川奈提案なんというのはまさにそういう、あそこで国境線を引いて、国境線さえ引ければあとはゆっくり考えるさというような提案もあったわけでございまして、しかし、私どもが変えてはならないのは、四島の帰属は決めるということがもう大方針、これだけは変えてはならない我々の方針だと考えておるところでございます。

井上(喜)分科員 マスコミの報道なんですが、そういう方針をめぐって、外務省の中にも何か幾つかの意見があるみたいなことが報道されるのでありますけれども、今の大臣の御発言、そのとおりだと思いますので、そういった方向でぜひとも交渉の方をお進めいただきたいと思うのであります。

 それから、日ロの外務大臣会議がモスクワで過日ありまして、これは日ロ両首脳の会談をセットするという会談だったと思うのでありますが、そのときに外務大臣はプーチン大統領に会われたのですか。普通、そういう会議でありますから、表敬のごあいさつでもされたのじゃないかと思ったのですが、そこのことと、それから、あれはたしか二月の二十五日、六日にクラスノヤルスクでやるというようなことだったと思うのでありますが、今度はプーチン大統領は韓国に来ているんですね。これはどういうぐあいに理解すればよろしいのですか。どうもよくわからないのです。

河野国務大臣 私は、一月半ば過ぎにモスクワへ参りまして、イワノフ外務大臣とお目にかかりました。この主たる目的は、本来は二つございました。

 一つは、一生懸命二〇〇〇年以内に合意を達成しようというクラスノヤルスク合意があったわけですから、そのクラスノヤルスク合意に従って二〇〇〇年以内に何としても実現をしようという努力をしてきたけれども、それがとうとう残念ながらできなかったわけですね。

 できなかったので、それじゃできなかったからもう終わりというわけにはいかないわけですから、できずに二〇〇一年になってしまったらば、そこで仕切り直しといいますか、まず二〇〇〇年までのさまざまな問題を総括して、それでこれからどうするかという話もそこでしなきゃいけないな。そして、それはあくまでも首脳会議でそういうことをやってもらうのがいい。外相会談はそれの地ならしだ。外相会談で地ならしをしておいて、首脳会談をセットして、その首脳会談で、二〇〇一年からは、これまではこうであった、これからはこうするよということを両国首脳できちっとしてもらおうというのが私の目的の一つです。

 もう一つは、そのためには首脳会談をどこでいつ幾日やるかということのセット。この二つが私の目的でございました。

 とりわけ首脳会談のセットは、先方からは実は二〇〇〇年の十二月中にやろうということが最初の話であったわけです。これはブルネイで森・プーチン会談がありましたときに、十二月中にやろうというお話がたしか――失礼しました。これは後で正確にいたします。その後、一月中にやろうという話があり、それがさらに二月に延びたということがありまして、私は二月中に何としてもやりたいというふうに思っておりました。ただ、そのときには既にプーチン大統領の訪韓という予定はほぼセットされていたわけです。

 そこで、日にちはちょっと正確ではありませんが、二月の末に韓国、ベトナムへ行くというのがロシアの大統領の外遊日程で決まっていまして、そこで、森・プーチン会談は、前回の首脳会談でプーチンさんの方からまた会いましょう、そのときにはひとつイルクーツクで会いましょうという提案があったわけです。御承知のとおり、森総理の父上のお墓がイルクーツクにあるという話を総理がされたものですから、それを聞いてプーチンさんは、それじゃイルクーツクでこの次は会いましょうというふうにそれを受けたわけですね。

 そうすると、モスクワを出てイルクーツクに行って韓国に行って云々と、こういうことになるんじゃないかと私どもは実はちょっと考えておりまして、そして二十五、二十六という日にちを提案しました。イワノフ氏はそれはいいでしょうということで、外務大臣会談ではほぼそれは合意したわけです。

 ただし一点、イワノフ氏はもうそれでいいですと、イワノフさんはきっとこれはプーチンさんからもそこらあたりで決めてきていいよと言われているのじゃないかと実は私は思っておりましたが、イワノフ氏は、そういう合意をした後、大統領に確認をして発表したい、こういうことでした。そこで、私はもう大体いいのだろうと言ったら、いや、大体もう間違いないのだけれども、やはりうちは何といっても大統領の承認が絶対条件なんだということで、そこは少しごたごたいたしました。

 ところが、残念なことに、私はたしかその日の四時でしたか五時の飛行機に乗らなきゃならなくなりまして、イワノフさんは、私は五時に大統領と会う約束になっている、それじゃぐあいが悪いじゃないか、ひとつ私が飛行機に乗る直前、飛行場へ行く直前にでも発表させてもらいたいという話をしたらば、まあ、いいでしょう、ただし一言だけ条件はつけてください、大統領の了承があればという条件を一つつけてくださいという話がありましたけれども、それは大丈夫なんだろうと言ったら、いや、もうそれは大丈夫なんだけれども、それだけは言ってくださいというので、ロシュコフという外務次官も横にいるところで、私は、二十五、二十六日に日ロ首脳会談が行われるはずですという発表をしたということなんです。

 飛行機に乗って、こちらへ着きましたら、いや、あれはだめだ、あの日は都合が悪いのだという話になって、それはなぜ都合が悪いのかと言ってもなかなか先方はその理由を明かしません。いろいろな話の中で、日ロの首脳会談はどこかへ旅行に行く途中でちょっと会うというのではなくて、日ロ首脳会談は日ロ首脳会談だけで、その目的でやりたいというふうに大統領も思っておられると思うのでというような話があったといういきさつがございました。

 それからもう一点、私が大統領と会わなかったかどうかというお話がありましたけれども、私は一月に参ります前の十一月に参りましたときにプーチン大統領と実は会っておりまして、本当に四十日か五十日の間でまた行きましたので、しょっちゅう行くたびに大統領、大統領と言う必要は私はないと思っておりました。

 ただ、出先の大使は、本国から外務大臣が来たのだから大統領に会わせたいという気持ちはあったかもしれませんけれども、これはイワノフ外相との間でセットができればいいのであって、私がその都度その都度行って、こんにちは、また参りましたというあいさつをすることの方が余り意味がないというふうに実は思っておりまして、先方も忙しいようでございましたので、会わずに帰ってきたということでございます。

井上(喜)分科員 もう時間がないようでありますので、私の申し上げたいことだけ申し上げておきます。

 一つは、機密費のことですね。

 私はこの読売新聞を見まして、「しぼむ機密費減額論」「ほくそ笑む外務省」、こう書いてあるのです。それで「機密費への追及が弱まり、減額論が勢いを失った(官房課長)と安どしている。」というわけですよ。

 それで、私は、これは少し外務省はどうかしているのじゃないかと思いますよ。こんな問題はそんなに甘く見る問題じゃないと思うんですね。この問題についてはきちっと解明をしていく。私は、外務省自身としてももう少し解明できたのじゃないかと思うんですが、そしてその結果を公表していく、外務省とのかかわりあるいはこれからどうしていくのかというような話ですね。今外部の有識者を入れて検討しておられますから、いずれ近く結論は出るとは思うのだけれども、これはきっちりと国民に説明すべき事柄だと私は思うんですよ。

 これは新聞が先走って書いたことだと思うのだけれども、いやしくもこんなことであれば、これは非常に問題だということだけ申し上げておきます。

 それから、きょうはもう一つ、ODAのことについて申し上げたいと思ったのであります。

 私が問題にしているのは、ODAというのは、例えば中国の関係でありますと、大体対象の事業を両国間で決めて、あとはそれぞれの事業について上限価格を決めて、その中で、対中国の場合は中国側が業者を選定してくる、中国が業者を選定したのを日本政府が承認をする、こういう建前になっているんですね。

 中国側にとっては、援助額を減すという、そういうインセンティブはないわけですよ。要するに、それは予定価格の中に入っていればいいわけでしょう。業者だって、何も応札価格を下げていく、そういうインセンティブはないんですよ。全部日本政府が面倒を見ていくことなんですよ。だから、日本政府のチェックシステムをきちっとしていないと本当に僕は国税のむだ遣いになると思うのです。そこなんですよ。

 大体これを見ましたら、応札に参加する会社というのは二社ないし三社ですよ。圧倒的に多い。それから、全く一社だけの場合もある。随契もある。四、五社なんというのは本当に数が少ないのです。これで競争の原理が働くかというんですよ。日本人というのは割かし談合体質を持っていますから、だからこんなことでは絶対にだめだと私は思う。これが一つ。

 それからもう一つは、落札しますと、その中身もチェックすべきだと私は思います。というのは、日本政府しかチェックする立場はないんですよ。向こうは、それをさらに金額を抑えていくようなインセンティブが全く働かないんですから。この二つの点については非常に問題があると思うんですね。ぜひとも検討していただきたいと思います。

 それから、不可解な応札があるということですよ。つまり、仕様書と違った形の入札が何件かありますね、私資料をもらったら。こんなことあり得ないんですよ。何かある、これは。絶対ある。問題がある。そういう案件について、ぜひもう少しよく調査をしていただきたい。これは何かありますよ。

 以上、二つ御要望を申し上げまして終わります。

河野国務大臣 御注意いただいてありがとうございました。

 入札の問題は、競争原理がきちっと働くように、やり方についてもよく検討いたします。それからまた、御指摘がございましたことにつきましても、よく私から調査をさせます。

 それから、前段の新聞は、これは新聞のことでございますから、私もそう目くじら立てて申し上げるつもりはございませんが、私は、その新聞を見たときに、極めて悪意のある記事だ、やりやがったなという感じを正直言って持ちました。こんなことで外務省がいい思いをするはずがないんです。これは明らかにためにする記事だというふうに私は感じましたので、そのことだけ一言申し上げます。

井上(喜)分科員 では、終わります。

宮本主査 これにて井上喜一君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木毅君。

高木(毅)分科員 私は、自由民主党の高木毅でございます。

 本日は、こうして質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。感謝をいたしております。

 特に、大臣には、連日の予算委員会、そしてまた毎日の多忙な御公務、あるいはまた、きょうの分科会も私でもう質問者は十四人目だということでございまして、大変お疲れかというふうに思いますが、しかし、先ほど来、大臣を拝見いたしておりますと、そのお疲れにもめげずに非常に真摯に積極的にお答えでございまして、本当に感心をさせていただいております。ぜひともまた、私に対しましても忌憚のない率直な御回答を賜ればありがたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。

 私は、本日、北朝鮮のいわゆる拉致疑惑について質問をさせていただきますけれども、その前に、大臣に二つお願いをさせていただきたいというふうに存じます。

 一つ目は、宇和島水産高校の実習船えひめ丸の事故につきまして、私もちょうど高校三年生の長男がいる身でございますけれども、そうした立場から、まだ行方不明になっていらっしゃいます子供たちの御家族の心中を察するにまさに余りあるわけでございまして、行方不明となっている方の御家族、そしてまた国民が、大変不幸なことではございましたけれども、せめてもの形で何とか納得がいけるように、今も井上議員の質問に対しまして、本当に真摯に、熱意ある、そしてまた積極的に御対応いただけるという御回答もいただいておりますけれども、引き続き、一日も早い船体の引き揚げ、あるいはまた今後の補償問題につきましても、日本政府としてでき得る限りの対応をお願いしたいというふうに存じます。

 また、もう一点、今般の外務省内におきますいわゆる公金横領疑惑についてでございますけれども、これは、二月の二十一日に第一回目の会合が行われました外務省の機能改革会議、あれが設置をされまして、その機能の抜本的改革とチェック、監査等の強化がうたわれておりますけれども、ぜひとも、これも国民の信頼回復を得られるように、しっかりとしたチェック体制の確立、あるいはまた透明性の確保を講じていただきたい。今後このような事件が二度と起こらないように、ぜひとも大臣には指導力を十分に発揮していただきますことをお願いする次第でございます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 私の選挙区は福井県の第三区であります。日本海に面しました、自然と海の幸に恵まれた大変いいところではございますけれども、同時に、海からの不法な侵入者に市民が多少なりとも恐怖を抱かざるを得ないというようなところでもございます。実際、海岸には、そうしたことに注意を促すように、あるいはまた不審な人を見た場合には当局へ通報するように、そのようなことが書いてある看板もある地域でございます。

 さてそこで、今から二十三年前の昭和五十三年、くしくも七月七日でございますけれども、私の選挙区にございます福井県小浜市の海岸近くの公園から若い二人の男女が、車を残したまま突然姿を消したわけでございます。当時この二人は婚約中ということもありまして、みずから失踪する原因というものは全くないということで、いわゆる北朝鮮によって拉致されたものというふうにされているわけでございます。

 この拉致されたと思われます方のお父さんあるいはお兄さんといった御家族の方に私は何度もお会いをいたしまして、その御家族の悲痛な思いもたびたび伺っているところでございます。二十三年間という決して短くない年月を、親は我が子を思い、そしてまたその家族は、海を隔てた隣国にいるであろうことをまさに確認するすべもなく、嘆き悲しんでいるというのが現状ではないかというふうに思っております。

 私が昨年の六月の選挙で当選をさせていただきまして約八カ月の間でございますけれども、この間、この北朝鮮の拉致疑惑の問題について国会で取り上げられたことが余りないのではないかというような思いも実は持っております。記憶にある限り、ほんの数回かなというふうにも思いますし、また、そうした取り上げられ方も、いわゆる日朝の国交正常化問題に絡んで、あるいはまた米の支援について、そしてまた、森総理の第三国発見発言というのがございましたけれども、そのときに関連して取り上げられたということでございまして、この拉致疑惑が個別の案件として取り上げられたことはなかったように実は思っているところでございます。

 そこで、まずお尋ねをさせていただきたいと思いますが、現在、この北朝鮮拉致疑惑というものに対します日本政府の公式な見解というものがどのようになっているのかをお尋ねしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

河野国務大臣 議員御指摘のように、この問題を特別に取り上げて御議論があるということは余りないことでございますだけに、議員のこの問題に対する御関心というものは非常に貴重なものでもあるというふうに感じております。

 そこで、北朝鮮拉致問題に対します政府の公式見解でございますけれども、政府といたしましては、捜査当局において、これまでの捜査の結果を総合的かつ慎重に検討した結果、北朝鮮に拉致された疑いのある事案は七件十名である、こういう判断をいたしております。

高木(毅)分科員 ただいまも大臣の方から、七件十人というものが日本政府で確認できているということでございまして、私もそのように認識をいたしているところでございます。しかし、確認されていないといいますか、人物の特定がされていない人がさらに十人ほどいるという話もございますし、また、一説には五十人近くにも上るというようなことも言われております。

 いろいろな話があるわけでございますが、ただいま日本政府として、この七件十人以外にもあると言われている状況、そうしたことを踏まえての調査あるいは確認の作業というものを行っていただいているのか、あるいはまた、行っていただいているのであれば、そうしたものの進捗状況、そういったようなものをお聞かせいただきたいというふうに思います。

槙田政府参考人 今、委員の方から、七件十名のほかに、さらにもっと多くの拉致被害者がおられるのではないかという御指摘があったわけでございますけれども、政府といたしましては、特に捜査当局でございますけれども、行方不明の事案につきまして、これがもしかすれば拉致ではないのかというようなことで、強い関心を持って関連情報の収集に努めているところでございまして、そういう努力の結果、現在までのところ、捜査当局におきまして総合的かつ慎重に判断した結果、政府として、北朝鮮による拉致の疑いのある事案というものは七件十名であるという判断を持っておるという次第でございます。

高木(毅)分科員 七件十人ということでございますが、もっとほかにもというようなことも取りざたされているわけでございますので、引き続きぜひともこういった捜査あるいはまた作業というものをやっていただきたいというふうに思います。

 実は、私が今回、いろいろ大きな事件あるいは事故がある中で、あえてこの質問を取り上げさせていただきました理由に、今現在、拉致行方不明者の御家族の方々が米国を訪れているということがございます。私は、ぜひそうした機会をとらえて、日本の国会においても問題を提起したかったということがその理由の一つにあるわけでございます。

 御案内のとおり、二月二十五日に五人の御家族そしてその支援者の方々が成田から米国に向け飛び立ち、団長は新潟県の横田めぐみさんのお父さんでございますし、先ほど話をいたしました小浜市のお二人の御家族も含まれているわけでございます。

 この訪問団は、子供たちの発見あるいは疑惑解決のための協力要請をしに米国政府へと出かけていったわけでございますが、今回のように、拉致疑惑に関係をいたします家族が訪米をし、米国政府と接触したのは初めてのことであるというふうに思っております。

 この一団の訪米に際しまして、今回外務省はどのような御対応をいただけたか、御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

槙田政府参考人 今委員から御指摘のありましたように、現在、北朝鮮に拉致された疑いのある方々の御家族七名と支援者の方々四名、合計十一名でもって訪米をしておられるわけでございます。

 米国政府の関係者などに対しまして、拉致問題の解決に向けた協力を求めるという目的のために訪米をされているわけでございますけれども、政府といたしましても、この拉致疑惑の問題につきましては、米国政府が理解をする、その理解を一層深めてくれるということが重要なことだと考えておりますので、御家族から御要請がございまして、ワシントンにおける米国政府の関係者あるいは議会の関係者、また、まだ現時点では到着しておられませんが、この後ニューヨークに行かれる班もあるようでございまして、そこでは国連の関係者への訪問ということを予定しておられるわけでございますが、こういう一連の御訪問、関係者とのアポイントメントの取りつけその他の必要な支援を政府としてやっているということでございます。

高木(毅)分科員 どうもありがとうございます。まだ訪米中でもございますし、ぜひ今後とも引き続いて政府の方からのいろいろな御協力をお願いしたいというふうに存じます。

 さて、この訪米の一団は、米国の国務省におきまして、東アジア・太平洋担当でありますハバード次官補代行に対しまして、北朝鮮をテロ支援国家指定から解除する条件に拉致疑惑解決を加えるよう要求をしてもおりますが、今回のように、日本の家族が訪米をいたしまして、そして米国政府に具体的な要望を行ったわけでございますが、そうしたことにつきまして、逆に米国政府の方から何らかの反応が我が国にあったのか、そしてまた、あったとすればそれはどういう内容であったか、お尋ねをさせていただきます。

槙田政府参考人 まさに委員の御指摘がありましたように、拉致疑惑の被害者の方々の御家族は、二月の二十六日にワシントンでアメリカの国務省を訪問されまして、ハバード国務次官補代行に面会をされ、北朝鮮をアメリカのテロ支援国家リストから削除する問題について要請をされたというふうに承知しておりますけれども、これに対しまして、ハバード国務次官補代行の方からは、北朝鮮をテロ支援国家リストから削除する計画は現時点ではない、また、これまで米国政府は北朝鮮との協議においてテロ支援国家指定問題の文脈の中で拉致問題を提起してきたし、今後も提起し続けるという発言があったというふうに聞いております。

高木(毅)分科員 そういったことがいわゆる米国政府の方から我が国の外務省にあったということですか。

槙田政府参考人 いえ、今私が御紹介しましたのは、ハバード国務次官補代行に被害者の御家族、今訪米中の御家族がお会いになったときに、そのハバード次官補代行から今申し上げたようなお話があったということを申し上げたわけでございます。

高木(毅)分科員 ということは、公式には、今のところはまだ米国政府から我が国の政府にはないということですか。違いますか。

槙田政府参考人 私ども、政府といたしまして、北朝鮮に対する政策、これを遂行するに当たりましては、従来から米国政府との間で緊密に連携をしてきておるわけでございまして、したがいまして、テロ支援国家リストから北朝鮮を削除するという問題につきましても、拉致問題についての我が国の立場を詳しく説明するというような形で意思疎通を図ってきておるわけでございます。

 今、ハバード次官補代行から御家族の皆さんにあったお話というのは、私どももそれが米国政府の現在における立場であるというふうに理解をしておるわけでございます。

高木(毅)分科員 私も、同盟国でございます日米が協力して問題解決を図るということは大変望ましいことではあるというふうにも存じますけれども、大臣、そういったことについての御見解をお聞かせいただきたいというふうに思いますし、また同時に、家族の方々が米国に協力要請に行ったというようなことを大臣はどのように感じていらっしゃるか伺いたいというふうに存じます。

河野国務大臣 アメリカの姿勢はほぼ一貫していると思います。

 ただしかし、クリントン政権の終盤、米朝の関係が進むかに見えた時期がございましたけれども、その時期には、この問題についてもアメリカは進むのではないかという予測をした人は大変多うございますけれども、しかし、結果として見てまいりますと、アメリカは一貫してこの問題に対する姿勢は変わっておりません。

 それから、そういうアメリカでございますけれども、現実に具体的に被害者の御家族の方々と会うということは、やはり非常に与えるインパクトは違うと思いますから、今回行かれていろいろお話をされたということは、双方にとってよかったのではないかというふうに私は思っております。

高木(毅)分科員 ありがとうございます。

 米国への協力要請、これはもちろん大変大事なことだというふうに思いますし、必要であるというふうに思いますけれども、私は、これはこれとして、でき得るならば日朝間で積極的に解決を図っていくことがやはり何よりも必要なことであるというふうにも思っているところでございます。

 しかし、二十数年たちましたけれども、なかなかこういった疑惑解明が遅々として進まない状況だというふうに言っていいかと思いますけれども、この点につきまして、どこに問題点があると大臣はお考えになっていらっしゃるのか、御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。

河野国務大臣 この問題の解決に最も基本的に大事なことは、両国が話し合うということだと思います。同じテーブルに着いて話し合わずにこの問題が解決するということはないだろうと私は思っております。何としても同じテーブルに着いて話し合う。話し合うチャネルはいろいろあると思います。日朝の国交正常化交渉というテーブルもあるでしょうし、日朝の赤十字会談というテーブルもあるかもしれません。

 いずれにしても、日朝の赤十字会談にせよ、あるいはさらに、例えば第三国でひそかに会談を行うとか、いろいろなケースはあるかもしれませんけれども、それは基本的には日朝国交正常化交渉のテーブルに着くという状況、少なくともそういう環境がなければ、赤十字会談もできないし、第三国での会談もできないわけで、まずはやはり国交正常化交渉というテーブルに着くということがこの問題解決のまず最初のスタートではないか、それ以後、いろいろなテクニックがあるとかいろいろな議論はあると思いますけれども、まず話し合わないことには問題は進まないというふうに私は思っております。

高木(毅)分科員 どうもありがとうございます。

 先ほど来申し上げておりますとおり、私の地元の方も含めて、多くの方が拉致されて二十数年たっているわけでございます。御本人たちにとりましても、あるいはまた御家族の方々にとりましても、これ以上の大きな問題はこの世に存在しないという状態が長い間続いているわけでございます。しかも、親御さんたちももうかなりの御高齢になられているということがございます。体力的にも精神的にも厳しくなっているということでございます。

 実は、ここに今、地元の新聞でございますけれども、ございます。その中で、福井県の地村保さん、保志さんのお父さんでございますけれども、御本人たちの写真を抱いて行っているわけでございますけれども、年齢的にもう限界を感じている、ぜひ解明に向けてというようなお話、そしてまた、新潟県の柏崎市で行方不明になりました蓮池薫さんのお母さんハツイさんは、待って待って二十三年たった、胸が張り裂ける思いだというような表現も実はしているところでございます。

 ただいまも大臣の方から、いろいろなチャンネルを使ってということ、そしてまた、精力的にこういった解決に向けての御決意をお聞かせいただいたというふうに思いますが、ぜひとも、今後とも引き続きこの問題について御対応をお願いしたいというふうに思います。

 この拉致問題が大変神経質な国家間の問題であることは私も十分承知をしておりますし、難しいということも十分わかっているわけでございますけれども、とにかく一刻も早い問題解決が望まれるわけでございます。拉致された方々やその御家族を苦痛から解放していただきたい。そしてまた、帰ってくることはなかなかすぐにはかなわないかもしれませんけれども、最低限、安否あるいはまた居どころがわかるような対策を講じてほしいとお願いをさせていただきます。

 実は私、この部屋に入らせていただきまして、余計なことを申し上げるようでございますけれども、私の郷土の大先輩でございます福田一先生の肖像画を拝見いたしました。私も昨年こういった籍を置かせていただく身になりました。もちろん、いつまでさせていただけるか、これからでございますけれども、この議員という職にある限り、地元の大きな問題でもありますし、また日本にとっても大きな問題だというふうに思いますので、私も真剣にこの問題に取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、今後ともの、大臣を初め衛藤副大臣、この問題につきましての積極的な御協力、そしてまた、私に対しましてもいろいろな形で御指導を賜ればありがたいというふうに思います。

 本日はどうもありがとうございました。

河野国務大臣 ぜひ議員、この問題をしっかりとフォローしていただきたいと思います。

 日朝関係が極めて難しい問題だというのは、もうこれまで長い間、それぞれ問題を解決しようと思って努力した先輩がたくさんおられる、しかし、それにもかかわらず、なかなか解決しないという状況を見ても、いかに難しいかというのがわかるわけですけれども、しかし、昨今の北朝鮮の国際社会への接触が非常に以前とは違ってきたというようなことから、何かの動き、何かが動かなければ新しいものは出てこないので、北朝鮮が何とか国際社会との間に窓をあけ、戸を開き、国際社会の中で一緒に話し合えるようになってほしいというふうに私は願っております。

 もちろん、御家族の方は一日千秋の思いだと思いますけれども、一方で、この問題を解決するためには、やはり粘り強くやらなければならないという覚悟も必要だと思っています。ぜひ、若い議員の皆様方がこうした問題をきちっとフォローしてくださいますようにお願いを申し上げます。

高木(毅)分科員 どうもありがとうございました。

宮本主査 これにて高木毅君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日金曜日午前九時より開会し、財務省所管及び法務省所管についての審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時二十八分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.