衆議院

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第3号 平成22年3月1日(月曜日)

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平成二十二年三月一日(月曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 吉田 公一君

      緒方林太郎君    鹿野 道彦君

      城井  崇君    菅  義偉君

      馳   浩君

   兼務 小池百合子君 兼務 山本 幸三君

    …………………………………

   財務大臣         菅  直人君

   法務大臣         千葉 景子君

   外務大臣         岡田 克也君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     中井  洽君

   法務副大臣        加藤 公一君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   総務大臣政務官      階   猛君

   法務大臣政務官      中村 哲治君

   外務大臣政務官      西村智奈美君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   最高裁判所事務総局刑事局長            植村  稔君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  外山 秀行君

   法務委員会専門員     生駒  守君

   外務委員会専門員     清野 裕三君

   財務金融委員会専門員   首藤 忠則君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  菅  義偉君     馳   浩君

  野田  毅君     徳田  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  徳田  毅君     野田  毅君

  馳   浩君     菅  義偉君

同日

 第一分科員山本幸三君及び第六分科員小池百合子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (法務省、外務省及び財務省所管)


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     ――――◇―――――

吉田主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中財務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。山本幸三君。

山本(幸)分科員 自由民主党の山本幸三です。おはようございます。早朝から御苦労さまでございます。

 きょう、私は暫定税率の話をしようかなと思っていたんですが、十時から財務金融委員会の方の質疑もありますので、朝早くから余り細かい話をする気もしませんので、きょうはちょっとその前の基本的な話をまずお伺いしたいなと思います。

 それは納税者番号制度の話でありますけれども、これについて大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

菅国務大臣 もう御承知のように、納税者番号あるいは社会保障番号等を先進国の多くは決めておりまして、それを税あるいは社会保障、場合によっては自治体のいろいろな行政にも共通の番号として使っているわけです。私は、やはり日本においてもそうしたものが何らかの形で必要ではないか、このように考えていまして、ただ、その場合に、プライバシーの保護とか情報漏えいをしないようにとか、相当それには気を配らなければいけない、こう思っております。

 今回、社会保障と税の共通番号の検討会というものを、私が会長という形で関係各省を含めてつくりまして、今から精力的に議論を進めていきたい、このように思っております。

山本(幸)分科員 納税者番号制度は私も必要だと思うんですけれども、ただ、これは社会保障と税で共通して使うということもあるでしょう。しかし、その納税者番号制度を入れたからといって万能かというと、そうではないんじゃないかという疑問を私はずっと持っています。

 では、納税者番号制度ができたら、税の執行上、どういうところがうまくいくようになるんでしょうか。

菅国務大臣 一般的に言われていますのは、いろいろな意味の所得把握等がより透明化されるということ。逆に言うと、それによって、幾つかの政策課題でこの国会でも議論されていますように、例えば所得制限を設けて、ある一定以下の人に給付するといったような場合に、そういったことが技術的には比較的迅速にというか簡便にやられるとか、基本的には、透明性、公平性、こういうものがより担保される、こう理解しております。

山本(幸)分科員 ある程度は恐らくそういうことが言えるんだろうと思いますが、では、所得の把握が番号制度が入ったからといって本当にきちっとできるのか。例えば商店業主あるいは農業者、そういう人の所得というのは、本当に番号ができたからといって把握できるんでしょうか。

菅国務大臣 これももちろん御承知のことだと思いますが、かつてグリーンカードという議論があって、逆に言うと、当時は、率直に言えば、そういうものが入ると所得把握がより進んで、そういった自営業的な人たちにとっては、ある種のより厳しい徴税ということになるのではないかということでかなり抵抗があって、結局は執行されなかったわけですが、逆説かもしれませんが、少なくとも活用の仕方によっては、ないのに比べればかなりの透明性の確保が期待はできるんじゃないか、こう思っています。

山本(幸)分科員 所得がきちっと何らかの形で発生してそれが振り込まれるとか、そういうときには恐らく簡潔に把握できるでしょうね。だけれども、発生するところをつかみようがない自営業者、これを本当につかめるのか。

 では、例えば預金とかいうような話にすれば、つかめるということになるんですかね。でも、預金とかに行かなきゃわからないですね。結局、そんなに変わるのかというところが非常にありまして、余りに納税者番号で幻想を抱いていると、執行上はほとんどうまくいかないということが起こってくるんじゃないかという心配をしております。

 それから、所得については、ある程度追いかけていけばいけるかもしれない。しかし、所得じゃないストックだけしかない、そういう人はつかみようがないんですね。その辺についてはどうですか。

菅国務大臣 いろいろな諸外国の例などもこれから本格的に調査するなり、あるいは既にそういう知見を持っている人たちにいろいろ話を聞くなりということで進めていきたいと思っておりますが、確かにおっしゃるように、流れているお金ではないストックというものの把握は、どちらかというと難しいのかなと思っております。ただ、それも、ストックもどこかで動くわけですから、そういう段階では把握はできるのかなと。

 それと、一つだけつけ加えますと、まだ税単独になるか、税と社会保障になるか、さらに広げるか、これからの議論ではありますが、例えば社会保障との関係でいうと、例えば、介護と医療で合わせた負担がこれ以上の分は公費で負担するといったようなことも可能になりますので、そういった社会保障まで考えれば、さらに広い意味での公平性とか透明性がより進めることができるのではないかと思っています。

山本(幸)分科員 むしろ逆で、医療とか介護を含めてそういう負担の公平を保ちたいという考えはいいですよ。だけれども、おっしゃったように、番号があるからといって、資産のところ、ストックだけのところというのはなかなかつかめないんですね。それは動くと言ったけれども、動いたときはわかりますよ。だけれども、動かないで、ストックしかない、だけれども所得はありません、所得がないんだから何でもちょうだいというような話が起こり得るんですね。

 そのときに、きちっと把握された給与所得者を初め、自営業でも何らかの資金の動きがあって、ある程度の把握ができるというのならいいけれども、そうじゃない、ストックだけで生きている人、あるいは自営業者でも、いろいろな業種によっては、番号があるからといってそう簡単に捕捉されるわけじゃない。では、そういう人たちにとっては、これは医療、介護も含めて考えてもらえれば、いよいよ得をするということになりかねないんですね。

 ここのところは、税務の執行上の問題点というのをよく踏まえていないと、私は、納税者番号制度で何でもできますという幻想を抱かせることのデメリットの方が大きいんじゃないかという心配をしていまして、そこは、大臣、ぜひよく考えてもらいたいなと思うんです。

 納税者番号制度があって所得が把握できるからうまくいくなということで言われているのが給付つきの税額控除制度ですね。まず、これについて大臣はどういうふうにお考えですか。

菅国務大臣 一つの考え方だと思います。

 特に、課税最低限以下で税を払わない人たちを含めた、例えば何らかの減税的な形をとろうとしたときには、そうした給付つきの課税というものが考え得るんではないかと思っています。

山本(幸)分科員 先ほど申し上げた幻想があると、これはうまくいくんじゃないかということから始まるんですが、ところが、番号ができたからといって革命的に全部把握できるようにならないんですね。

 それは名寄せだって難しいんですよ。一つの銀行だけのものだったらある程度できるかもしれないけれども、では、ほかのいろいろな複数の金融機関を含めて、どこでコントロールするんだと。国税庁のそんなコンピューターのシステムで、一人一人について、いろいろな複数の金融機関もといったって、統合しようがないでしょう。あるいは、先ほど申し上げたように、資産だけで生きている人、むしろそっちの方がお金持ちなんだね。そういう人については、番号ができたからといって所得の捕捉のしようがない。自営業者、農業者、そういうところも、これまた難しい。

 そうすると、逆に、給付つき税額控除制度なんというのは、入れた途端に不正が起こる可能性が極めて大きくなるおそれがあるんですね。実際に欧米では、アメリカなんかは社会保障番号があってやっているんですが、給付つき税額控除については三割が不正還付だと言われているぐらいなんですね。そういうおそれがあるということをぜひ頭に入れておいてもらわないと、これはうまくいかない、私は個人的にそう思っています。

 そういう点から考えると、民主党さんの政策でちょっと心配なのは、納税者番号制度を入れれば万能で、こういう給付つき税額控除制度なんかでできるんだと言っているんだけれども、税務の執行上は恐らく無理だと私は思う。いよいよ不正還付を初め、不公平が逆に膨らんでくる可能性がある。しかも、その番号を使って医療、介護も含めた福祉のものも一緒にやりますといえば、税金の不公平だけではなくて福祉の不公平まで広がってくるおそれがある。こういう方向に行くのが本当にいいんだろうかという根本的な疑問を持っているんですね。ぜひそれを頭に入れておいてもらいたい。

 完璧にとらえることなんて無理なんですよ。だから、そこはある程度フレキシブルに考えていかないと実際の税務執行は動かない。逆に、むしろ私は、控除の部分を上げて、一定以上の所得、一定以上の資産、そういう人のところに注目した、そしてそこに集中した課税の執行をやるということの方がいいんじゃないかというふうに個人的には思っているんですね。そっちの方がより公正公平になる。では、下のところはどうなのかといったら、そこは消費税の世界でいくという形で考えればいいんじゃないかというふうに思っているんですが、その辺について大臣はいかがでしょうか。

菅国務大臣 徴税の現場を御存じの立場でいろいろ、ある意味での心配というか、問題点の指摘だと受けとめております。

 率直に言って、徴税について一般的な知識以上には私も経験がありませんので、このところはこれから議論をする、スタートをした段階ですので、そういうところも、これまではどちらかというとプライバシーとかそういうところを注意して調べるようにということは言ってきましたが、徴税についてもしっかりと他の国の例も含めて、それを含めて検討するように、今のお話も伺わせていただきましたので、そこにも注意を払っていきたい、こう思っております。

山本(幸)分科員 これから検討されるときにそういう観点をぜひ置いていただきたいなと思います。

 これは、我が自民党内にも対立があるんですね。給付つきの税額控除制度を入れた方がいいんじゃないか、そして納番制度を入れたらいいじゃないか、できるというグループと、むしろ執行の方の問題点を重視するグループは、決してうまくいかないと。したがって、控除をなくしていくんじゃなくて、むしろ控除はある程度上げて、課税ベースを広げるというのじゃなくて、課税ベースをむしろ少し上げて、そこから下の分は消費税の世界でいって、上の方は、所得税等の世界はより金持ちに対して執行していくんだというふうにやった方がいいという考え方がありまして、私はどちらかというと後者の方なものですから、ぜひこれから検討されるときに念頭に置いていただかないと、いいよといって走っちゃったら全く動かないというスキームになりかねませんので、その点をぜひよろしくお願いしたいなというふうに思っております。

 あとちょっと時間がありますので、それでは少し暫定税率の話についてお伺いいたしますけれども、特に私はまた執行上の問題を念頭に置くものですから、暫定税率でいわゆるトリガー条項、こんなものがうまくいくのかいなという根本的な疑問があるんですね。

 ちょっと最初にお伺いしたいんですけれども、百六十円とか百三十円とかいうのは何か根拠があるんですか。

菅国務大臣 一昨年、非常にガソリンが高くなって、当時は漁に出る漁船も赤字だから出漁をやめるといったようなところまで社会問題化しました。やはりそういうころのことをある意味で念頭に置いて、ある水準を超えたところでは、どちらにしても何らかの措置が必要だろう、それが支援という形なのか、何らかの形で必要だろう、そういうことも念頭に置いて、その場合には上乗せの部分を一時停止する、そういうことを念頭に置いてのリッター百六十円という水準だと認識しています。

山本(幸)分科員 それは、一昨年上がったときが百六十円だった、そういうことですか。

菅国務大臣 それを超えて上がったことがあったと思いますが、国民生活にとってやはり何らかの措置が必要になる水準はこのあたりではないか、そういう認識です。

山本(幸)分科員 百六十円がどうして国民生活に問題があるのだと。何か根拠がないと、それは法律に書けないはずですからね。何かありますか。

菅国務大臣 同じような答弁で恐縮ですが、先ほど申し上げたように、百八十円といったような水準になったときに、本来なら正常に、それこそ一つの例として出漁ということを言いましたけれども、漁に行ったりあるいはいろいろな配送業などでそういう負担が何とか吸収できることを、それを超えたレベル、もちろんそれは長い時間がたてばまたそれが価格に転嫁するとかいろいろな考え方はあると思いますけれども、そういったレベルを考えたわけです。

 若干の数字を見てみますと、最高価格が平成二十年の八月にリッター百八十四円ほどになり、また、平成二十年の上半期の平均がリッター百六十七円ぐらいまで上がった。その後ずっと下がってきて、また最近若干の上昇をしておりますが、そういう過去の例から見て、このあたりを超えた場合には、少なくとも何らかの政策的な措置が必要な水準、当時も、当時の政権の方でもいろいろと価格が上がったところで対応されたと思っておりますが、その対応の措置をあらかじめビルトインしておこう、制度に盛り込んでおこうということの趣旨で、そういう過去の例を参考にして百六十円という水準を定めた、このように理解しています。

山本(幸)分科員 今の答弁を類推すると、要するに、一番上がったときの上半期で見た平均が百六十七円だったから、百六十円を超えるというのは一番大変なときに当たる、私が類推するのもおかしいんだけれども、そういう話なんですか。これはまたいずれ確認しますから、ちょっとその辺をあれしておいてください。

 おっしゃったように、その当時、これは大変だというので、我々は財政支出でやったわけですね。そのとき、私は言われて計算したんですよ。タクシーにやったら幾らかかるか、漁船にやったら幾らかかるかといって、大体そのとおりに財政支出をしたんです。財政支出でやればいいじゃないか、何で税制で、しかも税の執行現場、動けませんよ、これは。大混乱を起こさせるようなことを、どうして税法でそんなものをやるのかなということなんですね。

 これはいろいろ問題があって、百六十円のことがまず一つですね。それから、平均百六十円というのだけれども、では、平均というのはどうして出すんだと。これは地方によって違いますね。私のところの九州なんかも競争が厳しくて結構安いらしいんですね。関東に来ると結構高い。そういうことについて、それは統計局の何とかで書いているんだけれども、本当に平均なんて出せるのと。これは財金でも聞きますから、ちょっとそれまでに勉強しておいてくださいね。

 まず、平均百六十円に上がったという判断はだれがするんですか、財務大臣がするんですか。

菅国務大臣 総務省の統計局小売物価統計調査というものがありまして、これによって、月次の公表対象となる調査拠点が全国八十一主要市、四百四十四スタンドというものを決め、これを平均してその価格ということで考えておりまして、最終的には告示という手続がありますので、財務大臣告示という形で、百六十円を超えたか超えないかを判断する、認定する、そういう仕組みになっております。

山本(幸)分科員 これは今聞いただけでも相当いろいろ問題がありますので、また詳しいことは財務金融委員会でやりたいと思います。きょうは、分科会ではこの辺にしておきます。

 終わります。

吉田主査 これにて山本幸三君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして財務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

吉田主査 次に、外務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。小池百合子君。

小池分科員 おはようございます。

 バンクーバーのオリンピックがあり、そしてハイチの地震に加えまして今度はチリの大地震ということで、まさに海外における波高しといったような状況でございます。

 けさの日経朝刊を読んでおりまして、現在の日米関係に対してどう思うかということで、不安と答えた方が六七%に上っております。一方で、うまくいっているというのがわずか二%という状況でありまして、この世論調査を見る限り、日本国民の不安ということについては日米関係に対して大きな不安を抱いている、その証左だ、このように思っております。

 その中身はさまざまだと思いますが、最大のものは、やはり普天間の飛行場の移設問題が非常に錯綜している、迷走しているということが国民にも伝わっているのではないだろうか、このようにも思います。また一方で、トヨタのリコール問題で議会においての公聴会が始まっているということも、これも日米間の問題ではないかというふうにとらえている国民も多かろう、このように推察をするわけであります。

 その中で、きょうは時間が短いですので早速伺いたいんですけれども、普天間の移設問題については、国外、県外、そして最近では、県内でも辺野古の陸上案なども出てきて、まさに錯綜が続いているわけでございます。

 そして、五月末には結果を出すということでありますけれども、もう一度確認をさせていただきたいんですけれども、五月末までに、だれが、何を決めるのか、だれと決めるのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。外務大臣、お願いします。

岡田国務大臣 普天間基地の移設の問題につきましては、鳩山総理が国会で何度も答弁しておりますが、五月末までに、日米両国政府の合意を得て、日本国政府として移設先を決定するということを申し上げております。

小池分科員 その移設先ということでありますけれども、五月末までに複数案を提示するという話が漏れ聞こえるわけなんですが、その際は、日米合意、一カ所でというふうにとらえてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 今委員のおっしゃったことは私は初めて聞く話でありますが、私たちが主張しておりますのは、先ほども申し上げましたように、普天間基地の移設先を決定するということであります。

小池分科員 ということは、あっちこっちと、まあばらばら案もあるかもしれませんけれども、しかしながら、一カ所というのが、抑止力を効果的に確保するということについては、普通に考えますとそういった案が一番妥当ではないかと私は思うわけでございます。

 ちなみに、これまでの政府で検討してきた辺野古案でありますけれども、これは、現在の案から、今俎上に上っているところから既に選択肢として消えているんでしょうか、消えていないんでしょうか。

岡田国務大臣 まず、委員のおっしゃった話ですが、基本的に、今、官房長官のもとに検討委員会をつくって議論しているところで、その内容について、途中の段階のことでお話しすることはございません。

 ただ、今の委員の御質問に関して申し上げると、まず、現在の日米合意案というものも、空中給油機は岩国に、そして八千名の部分はグアムにということで、一カ所に移しているわけではなくて分散しているということは申し上げておきたいというふうに思います。私がそういうふうに申し上げたから今の検討委員会で議論しているものが分散だとか、そういうことは全く私は申し上げるつもりはありませんけれども、現在の日米合意案もある意味では分散案であるということは事実として申し上げておきたいというふうに思っております。

小池分科員 しかしながら、普天間の今の空港、基地が有している、その機能を分散させるという意味ではこれまでも検討はしていないはずであります。そっくりそれを辺野古に持ってくるということであったと思うんですけれども、違いますか。

岡田国務大臣 繰り返しになりますけれども、日米合意案でも、空中給油機については岩国に持っていくというふうに決めているわけでございます。

小池分科員 そして、今さまざま喧伝されておりますが、そもそも、あっちの案だ、こっちの案だと今の時点で出るというのは、本当はそのこと自体がよくないと思うんですね。むしろ、政府内でしっかりと協議をする、それも、A案だ、B案だ、C案だと、外に出れば出たその段階でつぶれるものなんですね。ですから、そもそものこの議論、政府内の決め方そのものに問題があるんじゃないかと私は思うんですが、その辺について外務大臣はどう思われますでしょうか。

岡田国務大臣 御存じのように、検討委員会では連立三党の、特に国民新党、社民党の代表も入っていただいて議論をしております。ですから、それぞれの政党がそれぞれの案について言われること、主張されること、そういったところまで、それを規制するということはできないというふうに思います。

 メディアはいろいろ報じますけれども、政府として今何か具体的な案について申し上げていることは一切ございません。

小池分科員 これは政府・与党としてお決めになるわけでございますけれども、自由な議論というのはさまざまな分野で展開していいものだと思うんですが、しかし一方で、事こういった基地問題であったり安全保障に関しての問題については、こちらでベターと言ったかと思うと、こちらがベストだと言っている、この状況自体がワーストだと私は思っているんですね。そういったことが結局、国民の皆様方の間の日米に対しての不安につながっているということであります。

 私は、こういったことから、今、協議会が開かれているということが報道されますけれども、一方で、自由な議論とはこの分野は違うということを改めて肝に銘じていただかなければ、日米同盟の不安、これは国民が六七%不安に思うというけれども、もっと不安に思っているのはアメリカの方の関係者ではないだろうか、このように思うわけであります。

 そして、これはお諮りしていませんので提示はいたしませんけれども、ついせんだってアメリカのQDRが公表されたわけでありますけれども、ことしのQDR、今回の、二〇一〇年のQDRについて、日米同盟について触れた箇所もございます。しかしながら、そこで、まず写真が、ことしは米韓の関係者が打ち合わせをしている写真が載り、そして、四年前の二〇〇六年のQDRは、日米のF15のパイロット同士が議論をしている、そういう写真が出ております。

 私は、これは今の日米間の関係、距離間といいましょうか信頼度といいましょうか、それを如実に示している一つのポイントではないだろうかと思っているんですね。

 四年に一回ですから、アメリカ側もあちこちいろいろな配慮もしたわけでありましょうけれども、少なくとも、日米よりも米韓の方がここでは重視をされているような印象を与えているということではないだろうか、このようにも思うわけですが、御感想いかがでしょうか。

岡田国務大臣 委員の解釈は、それはそれで一つの考え方だと思いますけれども、アメリカにとっての太平洋地域における同盟国というのは日本だけではございません、韓国もあれば豪州もあります。毎回毎回日本のことが写真に載らなければ、何か日本はアメリカからよく思われていないんじゃないかとか、そういう発想自身、余り、私はそういう考え方に立っておりません。

小池分科員 しかし、やはり、こういったことについても、我々は日米間の信頼について深化させるとおっしゃっているわけでありますから、これは深化にはなっていないという証左であろうか、このように私は思うわけであります。

 それから、今、トヨタの問題そのもので、我が国政府全体ががっと動くというのは、これはまた別の問題を惹起させてしまうということで配慮も必要だと思いますけれども、今、上海万博に合わせて鳩山総理は訪中をされるとおしゃっておられますけれども、私は、方向は、アメリカにいらっしゃるべきではないだろうかと思います。さまざまな懸案事項もございます。そういった意味で、目指すべきは訪中ではなくて訪米だ、このように考えるのが一点。

 それから、なぜ訪米をしないかという点で、アメリカ政府側がオバマ大統領との会談をそもそも考えていないのではないだろうかという疑念がございます。それについての問題が二点目。

 それから、外務大臣自身のワシントンへの訪問ということは予定に入っているのか入っていないのか。三点目。

 伺わせてください。

岡田国務大臣 まず、総理が上海万博の開会に合わせて訪中するという報道がありましたが、これは別に何か決まったわけではございません。事実関係は、そういったことは現時点においてございません。

 それから、総理の訪米あるいは私の訪米でありますが、総理も、例えば核セキュリティーサミットがございます、そういう折には訪米ということも選択肢として考えておられるのではないかというふうに思いますが、いずれにしても、私の訪米も含めまして、国会開会中でありますので、国会の御理解がないとなかなか出られないという状況にもございます。その点について、ぜひ、大臣経験者である委員の方からも御配慮いただければ大変ありがたいことだと思っております。

小池分科員 私は、この日米間の問題は極めて、同盟国であり、そして日米の経済、さらにはトヨタという、現在リコール問題を抱えている、これは一社ということではございましょうけれども、しかし、国内の雇用の状況であったり、その影響などなどを考えますと、これは政府としては何らかの対応も必要かとは思うんですが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。

岡田国務大臣 委員おっしゃるように、基本的にはこれはトヨタという一つの企業の問題でありますが、しかし、それにとどまらず、日本全体の商品の信用、あるいは日本という国の信用にかかわる問題であります。そして、私も記者会見で何度か申し上げておりますけれども、日本政府としてもできる限りのバックアップをする、しかしそれは静かにやりたいということで、現在そういう方針に基づいて行っているところでございます。

小池分科員 クリントン国務長官との会談の際も、エコカー減税の話でも、車についてはアメリカが注視をしているということは明確になっているわけですね。

 余りうがった考え方はしたくないのでございますけれども、先ほどのQDRの話にしろ、それからトヨタのリコールの問題にせよ、それから、後でちょっと伺いますけれども、拉致問題というのは、そもそも余り、アメリカ自身が熱心に取り組んでいるというよりは、同盟国の日本が拉致問題という人権問題を取り上げるというから、だからアメリカはサポートをするという間合いのとり方だったんですね。であるならば、そういったところにも日米間の信頼の問題というのが波及をしていくということでありまして、それだけに、普天間の移設問題が迷走を続けるということは日米同盟にとってはよくない。

 それから、もう一つ言わせていただくと、気候変動の問題で、COP15の際に中国が表に裏に、大変な活躍をしたと言っていいのかもしれませんけれども、そしてまた、気候変動問題、COP15における、アメリカをどのように引き込むかというのは一番大きな課題であったわけですね。そこに対して、日本のこれまでの、マイナス二五%もしかりでありますけれども、ここの連携がうまくいっていないと、国際会議全体での日米というカードが十分に使えていなかったのではないだろうか。逆に、中国あたりは、G77などとうまく連携しながら、時にはスーダンを使い、まさにうまく立ち回ってつぶしたわけでございますね。そういう見方もあるわけですね。

 ですから、私は、先ほど普天間の話から進めさせていただきました。その前に日経新聞の世論調査の数字も御紹介をさせていただきました。日米間が、信頼なくして同盟なしだと私は思っているんですが、そこに大変な大きな揺らぎがあるということをまず指摘させていただきたいと思っております。

 時間がございませんので、ハイチの問題、その前にチリの大地震について、これもJICAの職員を送られるということでございます。それから、チリは、一昨年でしたか、バチェレ大統領が日本に来られまして、EPAの締結であるとか、地上デジタル放送の日本方式であるとか、レアメタルの貿易であるとか、非常に重要な国でございますので、そこは、まず救援の部分で、それからまた復興の部分で日本も多々手を差し伸べることができると思うんですが、今の外務省の体制もしくは日本政府の体制としてどういう段階なのか、手短にお答えください。

岡田国務大臣 まず、先ほどの、日米関係ですが、もちろん普天間の問題は私は重要な問題だというふうに認識をしております。したがって、五月末までに必ず決着をつけるという決意で総理ともども挑んでいるところでございます。

 一月十三日にもハワイでクリントン長官と三回目の会談を行いましたが、基本的に、日米関係、信頼関係に基づいて、委員御指摘の気候変動の問題や核の不拡散、軍縮の問題など、グローバルな問題についてしっかりと共同歩調をとりながらやっていこうという流れにありますし、個別の問題についても、多くの問題については日米同盟のもとでしっかりと対応している、そのことをまず申し上げておきたいと思います。

 さて、チリの大地震ですけれども、かなり大きな地震で、被害も、もう既に死傷者が七百名を超えるということが判明するなど、深刻な事態だというふうに考えております。

 我が国政府としては、例えば緊急支援隊を送ることなど提案をさせていただいております。ただ、チリ政府の方からは、状況の把握が終わるまでは、各国に対して、入ることを待ってもらいたいということがずっと言われてまいりました。そして、二十八日に至りまして、バチェレ大統領が外国に対する支援要請について、資金援助とか、あるいは病院の建設か橋梁の建設といった、いわば中長期的なものを中心に各国に支援をしてもらいたいということを初めて明らかにされたわけでございます。

 政府としては、しかしなお緊急支援隊、医療やあるいはレスキューの部隊を送る余地がないかどうかということを、今相手方政府と意見交換をしておりまして、できるだけそういうふうにしたいという思いはあります。しかし、相手国政府が望まないにもかかわらず送るというわけにもまいりませんので、しっかりと調整をした上で、必要に応じて送りたいというふうに考えております。

小池分科員 チリに対しては、先方のニーズに合った形で、また日本らしい復興支援などを進めていっていただきたいと思っております。

 一方で、ハイチでございますけれども、せんだって我が党の中谷元議員らが現地を視察いたしました。

 そこで、これは建設的に私はお願いをしたいんですけれども、現実に向こうで問題点があった。それは、日本が、麻酔薬が輸出できないように法改正してしまっているんですね。法改正の際にそれらのことが念頭にあったかどうかというのが、ちょっと今からは、そのときのいろいろな議論をもう一度見てみないとわかりませんけれども、これは至急法改正した方がいいんじゃないか。

 つまり、麻薬取締法を改正したということで、麻酔薬、ケタミンという麻酔薬が携行できない、輸出できないという状況に現在なっていまして、その結果として、大体災害の直後というのは外科的な手術が多いわけで、そうすると麻酔薬が必要になるんだけれども、日本はそれができないというので、ほかの国から借りたりドミニカから持ってきたりとかいろいろな工夫もせざるを得なかったということなんです。

 ということで、この麻薬取締法の改正と、それから、JICAであるとかNGOなどでも、明確な目的がある場合にはこれを許すというようなことをした方がいいと思うんですけれども、外務大臣としてどうお考えでしょうか。

岡田国務大臣 今議員御指摘の麻酔薬の問題は、確かに今回の医療支援の中で課題として浮かび上がってきた問題であります。

 他方で、これは日本だけで決め得ることではなくて、国際的な麻薬取り締まりという中で求められていることであります。しかし、周りを見てみると、そういったルールがあるにもかかわらず、結構入れている、こういう現実もあるわけで、もう少しこういった緊急事態の場合に弾力的に対応できないか、その余地がないか、政府の中でよく議論をすべき課題であるというふうに考えております。

小池分科員 私は、日本の支援、特にこういった緊急災害支援というのは、特に地震国日本のさまざまな経験、これは、救命から、それからその後の復興も含めて、パッケージです。

 日本という地震国、そしてまた、ツナミというのが日本語でなっているということも考えれば、前回の津波のときも、モルディブであるとか、それからスリランカなど、日本の支援は私は大変役立ったと思いますし、また、私自身、阪神大震災のど真ん中にいたということを含めれば、何が問題かというと、救命の次の段階でありますけれども、瓦れきの処理なんですね。

 といったことを考えれば、パッケージで、日本の災害救援は特に地震とそれから津波に強い、そういうコンセプトでもって、どういう法律の改正が必要なのか、そしてまた人員はどのようにしておくのか、それから、いつも予備的には何を在庫として持っておくべきなのか。ある部分、進んできたところもございます、これまでの経験に即して。こういった形で、パッケージとしてつくっていく。

 結局、今、一つの外交舞台になっているわけですね、こういった災害支援というのが。そこに対して、あれもやります、これもやりますではなくて、日本の得意範囲を生かす。例えば、神戸大学などは救命ロボットというのを開発しているんですね。そういった部分なども、日本ならではだねということを、ぜひ、これは与野党を超えて、災害対策という観点で、日本は信頼できる、頼りになる国であるということをつくり上げていかなければならないんだ、このように思っております。

 しかし、何よりも、今後の我が国の国際貢献策として、自衛隊をさらに積極的に活用するということでもありましょうし、また、国際緊急援助隊法の枠組みを再検討すべきである。

 それから、今回、はっきり言って出おくれましたね、ハイチについても。それは、治安がどうかということ、その情報収集の仕方であるとか、それから、やはり武器の携行をどうするのか。特にこの点なんですね、ここがいつもひっかかってくるということで、自民党内では、これはやはり一般法にすべきであるということで、プロジェクトチームも動き出してきております。今後この見直しについてどのように考えておられるのか。

岡田国務大臣 一般法にするかどうかというのは、それは一つの議論でありますが、今、政府としてはそういうことを考えているわけではございません。

 ただ、今回のハイチの経験、私は合格点だと思いますが、しかし、もっと早く出すことができなかったのかということを、今いろいろ検討を行っているところであります。

 今委員おっしゃいました、一つは安全の問題。これは国会決議にも、緊急支援隊法を改正したときに、まず隊員の安全を第一に確保した上でというふうになっておりまして、今回のハイチのような、PKO部隊が展開している、そういう治安状況のところに出すということについて一定の慎重さを求められたことは事実であります。ここのところをどのように考えていくのかというのも一つの論点であります。

 それから、武器の携帯については、当時の政府の閣議決定で、自衛隊を出す場合でも武器は持っていかないということになっておりますが、しかし、それがどうなのかということも一つの議論ではないかというふうにも思われます。

 そういうこと一つ一つについて、今政府の中で、より迅速に出していくためにはどうすべきかということについて議論を行っているところでございます。

 緊急支援隊法という法律も、外務大臣が主管大臣でありますが、しかし、各省庁の縦割りの中で、必ずしも、迅速に意思決定といいますか、政府全体が一つになって動くような、そういう形にもなっていないという気もしております。

 そういうことも含めて幅広く、現在検討を行っているところでございます。

小池分科員 先ほど申し上げましたように、この緊急支援という、特に災害支援でございますけれども、これについては、何よりも時間が重要、スピード感が重要ということでございます。そのためにも、この法律を、全体、縦横斜めを見た上で、より確実に、より迅速に、そして効果が出る、そういった支援をすべきだと考えておりますし、また、現在のこのハイチの部分ですけれども、司令部に自衛官を配属して情報収集をさらに活発に行うようにするべきであるということを申し上げさせていただきます。

 それから、拉致問題と北朝鮮なんですけれども、デノミに失敗して、六カ国協議に戻るという話が出ておりますが、さて、北朝鮮が六カ国協議に戻ったからといって何か大きな展開があるとは私は全然見えておりません。

 一方で、拉致問題が陰に隠れて、どういう展開になっているのか、これが見えてきておりません。再調査、合同調査を言い出す可能性がありますけれども、逆に、この合同調査にひょいひょいと乗ってしまうと、結局、拉致被害者はこれ以上ないと言って、幕引きのきっかけになってしまうかもしれないということについて懸念をしているのが一点。今のは中井大臣。

 それから、外務大臣には、これは、私昨年テロ特で質問させていただいたんですが、中国を迂回しての北朝鮮との間の輸出入ですね。輸入のときは、中国を迂回して、ミサイルや核関連物資の流入が例えば吉林省を通じて急増しているということを前回テロ特において指摘させていただいたんです。そうすると、おもしろいことに、最近になって、統計資料からそのデータが削除されております。

 それから、中国貿易の主な貿易拠点というのは、大連とか、三つの港湾、それから図們、丹東を初めとする四つの国境地点の七カ所なんですけれども、そこを中国はやはりしっかりと見ておかなければ、管理してもらわなければ、そこが非常にルーズになっている。

 それから、一方で、十八日に南アフリカが、北朝鮮が密輸を試みた武器の押収事例について安保理に報告書を出しているんです。これは、昨年ですか、グルジアの飛行機だったかカザフの飛行機ですかが、何カ所も迂回して武器を輸出していたという案件も含まれているわけですけれども、中国に、中朝貿易の透明化を進めるということを日本政府としてはっきり言うべきだ、このように思います。

 拉致問題について中井大臣、そして、先ほどの、中朝貿易についてくぎを刺してほしいということ、外務大臣、よろしくお願いします。

中井国務大臣 最初に、防災も担当いたしておりまして、また警察担当であることは御承知のとおりでございます。ハイチの地震、また今回のチリの大地震でも、警察におきます国際緊急援助隊はすぐさま待機をいたしております。昨日は本部におきまして八時間ほど詰めておりましたが、この間も、岡田外務大臣が来られて、総理とチリ支援についてのお打ち合わせをなさったと承知をいたしております。ハイチを含めて、私は、岡田外務大臣は的確に判断をされていると評価をいたしております。

 先生から御指摘いただきました件につきましては、また防災担当として鋭意判断をし、対応していきたいと考えています。

 拉致の問題につきましては、超党派の拉致議連におきましても常々御活躍をいただいて、敬意を表するところでございます。

 お話のございました合同調査云々の件につきましては、私自身は、とにかく日本政府みずからが、どこにだれが生存しておるのか、これをきちっと情報として確認する、このことが大事だ、そしてその確認をもとに交渉に入るということができなければならない、こう考えておりまして、この五年間どういう調査が行われてきたかの検証と同時に、新しい情報収集、追跡、これらに全力を挙げているところでございます。

 いずれにいたしましても、鳩山首相のおっしゃるように、自分で動かなければ他の国は助けてくれない、何としても突破口を開く、この思いで頑張ってまいりたいと考えております。

岡田国務大臣 北朝鮮の問題は、基本的な考え方としては、六カ国協議に無条件で北朝鮮を戻し、そして、その場で、核、ミサイルそして拉致の問題も含めてしっかりと解決をしていくというものであります。

 中国の役割が非常に重要であることは論をまたないことだと思います。先日も、アメリカのボスワース特使が先週末に日本に来られましたが、その前に中国に行かれて、中国政府と意見交換をしてこられたわけであります。この問題について、現時点においては、日本とアメリカと韓国、三カ国の方向性はきちんと合っておりますし、そして、同時に、中国に対して、この北朝鮮の問題にきちんと対応するように、もちろん現在も対応してもらっていますが、さらにきちんと対応していただくようにさまざま要請を行っているところであります。

小池分科員 ありがとうございます。

 日米、同盟国でありますので、そこのきずなをしっかりとしていかなければ、あらゆる部分に波及をする。

 そしてまた、最後、辺野古の陸上案はあり得ないということだけを一つ申し上げて、終わらせていただきます。

吉田主査 これにて小池百合子君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

吉田主査 次に、法務省所管について、前回に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。馳浩君。

馳分科員 委員長、最初におわびをし、お願いをしたいんですが、私はぎっくり腰をやりまして、椎間板ヘルニアでありまして、大変申しわけないんですが、着席のまま質疑をさせていただくことをお願い申し上げます。

吉田主査 はい、どうぞ。

馳分科員 当然、大臣、副大臣等にも、着席のままで結構でありますから、御答弁をいただければと思います。

 きょうは、親権の問題について中心に質問させていただきます。

 一月二十二日に法務省から児童虐待防止のための親権制度研究会報告書が公表されまして、今後法制審に諮問をされていく。どんなタイムスケジュールで法改正が行われていく予定なのか。関係して、民法の親権規定の改正を念頭に置いたものなのかどうか、まずお伺いをいたします。

千葉国務大臣 ありがとうございます。

 平成二十年四月に施行されました児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律の附則で、政府が、この改正法が施行された平成二十年四月一日から三年以内に、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて検討を行うように、こういうことがうたわれております。法務省においては、この附則の趣旨を踏まえまして検討を行ってまいりまして、その検討の一環としてこの研究会を開催してきたところでございます。

 御指摘のとおりに、一月に研究会としての報告書が取りまとめられました。これに基づきまして、先般、法制審議会に規定の見直しを諮問させていただいたところでございます。この諮問におきまして、親権のあり方等々含めてこれから御議論がいただけるものだというふうに思っております。

 見直しをせいという時期がございますので、それを念頭に置きながら、しかるべき時期に答申をいただき、そして所要の法案を御提出できればと考えているところでございます。

馳分科員 お礼申し上げます。

 私も二〇〇〇年から児童虐待防止法の立法に携わって以来ずっと、この問題はどうしても、親権の一時・一部制限というのは必要だなというふうに現場のお話も伺っておりましたし、法務省の方において真摯に検討され、この報告書が出され、法制審で今後民法の改正に向けて議論がなされていくという方向性について、お礼を申し上げたいと思います。

 そこで、今般の報告書において、民法の親権規定の一時制限、一部制限、これを念頭に置いて報告がなされていると思いますが、その概要を教えていただきたいと思います。

 関連して、民法にはそもそも親権の全部喪失規定があるにもかかわらず、今回どうして民法の親権制限規定を設けるべき、こういう結論になったのか、このこともお伝えいただきたいと思います。

千葉国務大臣 馳委員には、従来から大変子供の問題、児童虐待などについていろいろな御提言をされておられること、本当に心から私もうれしく、そして敬意を表させていただく次第でございます。

 研究会の報告書におきましては、親権制度に係る制度について、民法、児童福祉法そして児童虐待防止法の全体を通じ、検討課題の洗い出しや論点整理が行われております。親権の一時的制限ということにつきましては、親権の一時的制限制度を設けることが考えられるとした上で、制度設計について論点整理がされているところでございます。また、親権の一部制限については、親権の一部制限制度を設けることについての積極また消極意見がそれぞれ掲げられた上で、仮に設けるとした場合のあり得べき具体的制度設計について論点整理が行われている、こういうことでございます。

 御指摘のように、親権喪失制度については、期限を設けずに親権全部を喪失させるという制度があることから、利用しにくいとの指摘がなされておりまして、児童虐待の防止をより適切に図るためには、親権の一時的制限あるいは親権の一部制限の制度を設けるべきという御意見が大変多いということも承知をいたしております。

 今、親権の全部を剥奪するという制度がございますけれども、これはもう委員御承知のとおり、それを全部剥奪するということにはちゅうちょもありますし、そして、親子関係ということから、全部喪失させるということはなかなか難しいというこれまでの状況がございます。なかなかこれを使うということがしにくいということがございますので、そういうことを踏まえながら、今回は一時制限あるいは一部制限ということを検討したらどうかということであろうというふうに思っております。

馳分科員 それで、あえてちょっと詳しく突っ込みますが、どういう場合が親権の全部喪失すべき事例で、どういう場合が一時・一部制限すべき事例であるのか。そのメルクマールが必要となってくると思いますが、いかがでしょうか。

千葉国務大臣 これはまだまだ難しい問題だというふうに思います。親権の一時的な制限あるいは一部制限、こういうことを設けたときに、今の丸ごと親権を喪失させるという制度と、どういう基準で、あるいはどういう区分けの仕方をするのかということを整理することが必要だというふうに思っております。私もその点についてまだ整理をさせていただいているということではありませんし、これまでも、まだまだその点についてのメルクマール、基準、これが明確に示されておりませんでした。そういう意味で、今回、法制審議会で審議をいただく、そういう際に、御指摘の点についても十分に御議論がいただけるものではないかというふうに思っております。

 現時点で、なかなかその基準をお示しさせていただくという段階にまだまだないことは大変申しわけなく思っておりますが、むしろ、委員からもいろいろな御提起をいただき、そして、法制審の中で、そういう多様な御意見も踏まえながら、真剣な御議論をいただければというふうに今考えているところでございます。

馳分科員 大臣のおっしゃるとおりなんですよ。

 そこで、せっかくの議論なので、ここからちょっと本格的な議論を実はさせていただきたいんですが、親権を全部喪失させるというのはなかなかやはり難しいんですよ。そうなってくると、当事者、親と、一時的に子供を預からざるを得ない児童相談所や民間の児童養護施設、そして、当事者間というのは、これはどう考えたって、一時的に子供と親を離しているわけでありますから、介入していくのは大変難しいわけですね。

 そうすると、期待したいのは、第三者が一定の権限を持ってこの親子関係の問題に介入をするということがあると、児童相談所の所長さんにしても、あるいは民間の児童養護施設の所長さんにしても、あるいは、子供にしてもと言うと言い過ぎかもしれませんが、子供の親権を代行する方、あるいは、当然、保護者にとってみれば、おれの子供を引き離しておいてどうしてくれるんだという感情論もあったりしますね。そういうときに、第三者の機関において、これはやはり想定されるのは家庭裁判所になると思いますよ、いかに介入していくかということの必要性が出てくるのではないかなと私は思っているんです。

 先ほど私は大臣に、メルクマールをお示しくださいと言ったって、この時点でなかなか出せないというのは当たり前なんですよ。しかし、これはどうでしょう、家庭裁判所なのか、あるいは法務省なのか、最高裁判所なのか、今まで積み重ねたいろいろな子供虐待に関する事案とか親子関係に関する判例などを用いながら、私たちはその調整役になり、全部喪失せざるを得ない事態もそれはあるでしょう、あると思います。年間数件しかないのではありますが、これはみんな抑制的になっているんですよ。でも、一時あるいは一部、一時・一部、この期間、この部分だけ制限をする必要があるな、関係者の意見を聴取した上で、その必要性がある、妥当と判断した場合には、これはむしろ積極的に家庭裁判所とか、あるいは、それをフォローする意味で、法務省にしても最高裁にしても、現場をバックアップするような体制を示していくという姿勢が必要なのではないかな。これは僕は、今後の法制審での審議の過程においても非常に大きな議論の中心的な部分になってほしいな、こう思っているんですよ。

 今、私のちょっと舌足らずな説明をしましたが、こういう現状を踏まえて、大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

千葉国務大臣 今、大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。どこが、だれが親子の関係にきちっと物を言っていくか、あるいはそれをまとめていくかということについては、さて、行政的に行うことがいいのか、あるいは裁判所が行うことがいいのか、その辺が難しいところだというふうに私も思います。

 いずれにしても、児童虐待を防止する、そのために親権の一定の制約をするということになるとしても、やはりこれはどこだけが対応するということではなくして、裁判所は一定の方向性を出す、それに基づいてまた関係のところが十分に、虐待を防止するため、そして親権を制限した際に一体そのかわりをどこがきちっと受けとめていくのかということを検討していかなければいけないというふうに思いますので、そういう御指摘も踏まえながら、これから法制審、あるいはこの国会の場での御議論をぜひ深めていくことができればというふうに私は考えております。

馳分科員 山井政務官がおいでなので、これはやはり法務省や家庭裁判所にばかりすべてお任せするというのではなくて、まさしく、基本的にはまず児童相談所がかかわっておりますし、各市町村、都道府県の福祉部局もかかわっております。したがって、親権の全部喪失というよりも、今回は集中して、親権の一時的な、一部的な制限ということ、これについて厚生労働省としても法務省と連携をとりながら議論をしていく。

 その議論をリードするために、やはり政治家である政務官としても、一時制限、一部制限の必要性、それから、いや、ちょっとその前に、私たち厚生労働省としても児童相談所や児童養護施設、乳児院などの環境整備、むしろ、虐待の被害を受けた子供たちへの支援、当然、虐待せざるを得ないと言うと言い過ぎかもしれませんが、親に対する指導、こういったことも含めて、また宗教的な問題で治療を受けさせないという事案もこういう中には入っていますね。こういったことを本当に、あらゆる事案には千差万別の理由があるんですよ。そして、当然、子供の面倒を親の代理として見ている中には里親もいますね。ところが、親が出てきて、おれのものだから子ども手当よこせなんて、これはまさしく親権に、財産管理権にかかわる問題です。こんなことが起きちゃうと、やはり現場は混乱します。

 そうすると、もう一度言いますが、法務省と厚生労働省のこういった児童福祉にかかわる部局が連携をしてこの親権制限についても議論を深めていってほしいし、その議論を深めるリードをしていただきたいというふうに私は思っているんですよ。山井政務官の所感を求めたいと思います。

山井大臣政務官 馳委員にお答え申し上げます。

 馳委員、まさに児童虐待防止のために先頭を切って今までから御尽力くださっていたわけであります。私も一部そのメンバーに加わらせていただいておりましたが、この親権の制限の問題というのは今までからの一番大きな懸案であったわけでありますが、やはりこの間の状況を見て、まさに今後早急にこの議論を詰めていかねばならないというふうに思っております。このことに関しましては、法務省と厚生労働省、しっかり議論をさせていただきたいと思います。

馳分科員 ありがとうございます。その答弁が実は欲しかったんですよ。

 これはやはり連携がないとなかなか難しいですよ、親権の制限をするに当たっても。ぜひ連携を深めていただきたいということを言い、ちょっとそもそも論が入りますが、民法の改正に当たっては、この機会に、親権の法的性格論についても、議論が錯綜しておりますから、しっかりと議論をして結論づけをすべきではないかと私は思っています。

 例えば、今から学説を言いますけれども、親権は親の自然発生的権利なのか、または、子供に養育を受ける権利が生まれながらにあり、経験則上、まずは親に養育の責任、責務が発生して、その関係で親権が認められるのかなど実は諸説ありまして、大事なところでありますので、所見を伺いたいと思っております。

 別の言い方をすると、民法八百二十条に、親権は権利であり、義務でもある、こういうふうに規定されておりますが、両者の関係についての理論的整理をしなければいけないと思っています。

 実は、一昨年の児童虐待防止法改正の際に、この親の権利、義務という関係に、間に親責任という概念を入れたんですよ。これは、イギリスの法整備をちょっと見習いまして、そもそも親には子供を養育する責任があるんだ。どうしても権利を先に言ってしまいますと、権利と義務、親が子供を養育する義務、こういうふうに権利の押しつけ合いのような印象となってしまいますが、そもそも親にはやはり子供を養育する責任があるじゃないかと。こういう議論を踏まえて、児童虐待防止法の中に、親としての責任という文言や概念を入れたんですね。

 非常に何か学者的な論理にはなりますが、そもそも親権とは何ぞや、こういうことについての見解を……

吉田主査 政府答弁ですか。

馳分科員 そうですね。私は今ちょっと諸説含めて説明しましたので、もしきょう登録してあれば、局長でもいればいいんですけれども、大臣の方から、また山井さんの方からも、親権のあり方論ということについての、所見でいいですからお述べいただきたいと思います。

千葉国務大臣 今、馳委員から御指摘がございました、親の権利か義務か。私も、それについては、御指摘があった責任という考え方というのは一つ大変重要なポイントではないかというふうに思っております。そして、今、もう既に御紹介がありましたように、学説でもそれぞれ考え方が分かれている、多岐にわたっている、こういう状況でございます。

 私もなかなか、正直、さて、親権とは何ぞやということについてまだまだ勉強不足のところがあると思っておりますけれども、今の、親の責任というような考え方も含めつつ、これも今後の法制審議会の議論、あるいはこのような国会での御議論等々深めさせていただきながら、この法的性格についても議論を重ねていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 権利か義務か、なかなかそのような形で権利義務関係だけではかれるものではないように私も感じておりまして、ぜひまた引き続いてのさまざまな御提起をいただければありがたいというふうに思っております。

山井大臣政務官 お答え申し上げます。

 これについても諸説学説はあるかと思いますが、今、千葉法務大臣も御答弁なさいましたように、子供を養育する責任、監護する責任、やはりそういう責任とともに密接に関係してくるものではないかと考えております。

馳分科員 いい答弁をいただいたと思っているんですよ。

 親権の中に含まれている五つの権利を改めて考えてみましょう。

 一つ目、養育権、あるいは居所指定権、住むところを指定する権利、あるいは職業選定権というのがありますね、それから財産管理権というのがあります、もう一つ、懲戒権。五つあるんですね。この今申し上げた五つを権利と義務の関係で議論をすると難しいから、なかなか全部喪失に踏み切れない、ちょっと及び腰になるというところが実はあったわけですよ。

 したがって、私は、児童虐待防止法の改正のときに、非常に各党の代表者の皆さんと議論をし、最高裁や法務省からもいろいろ教えていただきながら検討しましたが、やはり親の責任を果たしているかどうか、親としての責任を果たしているかどうかという概念はやはり必要なんじゃないんだろうかという議論に至った、そういうことなんですよ。

 したがって、今ほど法務省、厚生労働省を代表して今後のあり方についての答弁もいただきましたから、やはり一時・一部制限する場合に親としての責任を十分に果たしているかどうかという論点から、家庭裁判所においても、あるいは児童相談所の所長さんなども、やはり一定の決断をすることができるようにしてほしいという、これは私なりの要望を申し上げておきたいと思います。

 そこで、さらに踏み込んで聞くと、懲戒権の問題なんです。

 これは福祉の現場に行くとありますよ。おれの子供だと馳浩みたいな親が出てきて児童相談所の職員にすごまれたら、それは職員さんもたまったものじゃないと思いますよ。やはり、そうはいいながらも、でも、職員さんは、法と証拠に照らし合わせて現場に介入をし、一時保護あるいは強制的な入所ということをせざるを得ないわけです。ある意味でいえば、こういう措置も親権の制限に匹敵するものではあります。でも、そうはいいながらも、福祉の現場にいるから、親子関係に配慮をし、親子として家族再統合の役割を担わなければいけないんです。そのときに一時・一部制限の判断を任されたら、これはなかなかたまったものじゃないんですよ。

 したがって、私たち政治家はどうしても、施設の基準とか職員の配置基準とか施設の広さとか、そういったことをできるだけ条件よくしてあげましょうと。あるいは、里親にお払いする養育費も三万四千円から七万二千円に引き上げたりいたしましたけれども、私たちはそういう条件整備はやってきたと思うんですよ。ただ、そうではなくて、この懲戒権をどのように判断していくのか。

 義務を果たしているから権利なのか。権利だから一切構ってくれるなという言い方を現場ではよく保護者がされます。これはなかなか大変であって、今後の一時・一部制限を民法の法改正にのせていく上でも、いや、法律は、えいやっとやろうと思えばできるんですよ、ただ、現場の家庭裁判所、児童相談所、福祉部局あるいは児童委員さんなんかも関係すると思いますけれども、私たちにそんなのすべておっかぶせられて、国会議員は法律さえつくればいいと思っているんじゃないかなと、また私たちがしかられそうな内容にもなってくるんですね。

 この懲戒権の取り扱いについて、やはり極めて議論を深めていただきたいということをまず申し上げますが、答弁お願いします。

千葉国務大臣 研究会のあの報告におきましても、懲戒権について定める民法の第八百二十二条、この規定について、これを理由に児童虐待を正当化したり、あるいは、懲戒権ということを持ち出して、子供に対するほかの皆さんの保護を大変阻害するというような事例があるというようなことは、やはりその研究会の中でも指摘をされているところでございます。

 ただ、これに対しては、子供に対する親の教育やしつけのあり方についても多様な意見が片方ではございますので、なかなか、現在あるこの懲戒権、何か懲戒権というと非常におどろおどろしい規定になっているものですから難しいんですけれども、これを直ちに削除をするということがまたどうなんだろうか、こういう御意見もございます。

 ただ、この懲戒権についても、削除を仮にしても、親によるしつけを認めない、こういうことではないんだろうと思いますけれども、やはり、これがなくなることによって親のしつけだとかそういうことはできなくなるのかと、こんなまた危惧があっても困りますので、その辺については、現在ある規定を削除する社会的な影響等々も踏まえながら、さらに検討していくことが大事だというふうに思っております。

 ただ、やはり御指摘があるように、懲戒権ということを理由にして、あるいはそれを過大に振りかざして、子供に対する虐待の防止を阻害するというようなことがあってはならないんだろうというふうに思いますので、その辺のことを整理をしながら、この懲戒権の規定についても検討が深められるというふうに私は考えております。

馳分科員 では、最後に、山井政務官に改めてお聞きしますが、あの改正児童虐待防止法の附則二条二項で、児童虐待を受けた児童の社会的養護に関し、その量的、質的拡充を求めている。ここは実は、あの議員立法の当時に山井政務官が大変強く主張されたところでもあります。あなたとは高齢者虐待防止法のときにも一緒に議論をし、非常に、虐待を受けた高齢者に対する支援のあり方を強く強く要望され、私たちもそのとおりだと納得をしたところであります。

 そこで、先ほどちらっと里親の話も、拡充策がとられてきたと申し上げましたが、現状で、この社会的養護の課題、やはり子供の育ちについて一義的には親の責任があるとしても、こういう被害を受けた児童に対する社会的な責任を果たしていくという意味で何か課題があればお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

山井大臣政務官 馳委員にお答えを申し上げます。

 近年、施設の子供のうち、虐待を受けた子供や障害等のある子供の割合が非常に増加をしておりまして、親も何らかの障害を負っている、あるいは、発達障害も含めて、虐待を受けている子供も何らかの障害を負っているというふうに、本当に複合的、多様的な障害、ハンディキャップ、また虐待というのは、ほかの人から見た場合、ある意味では身体的な障害ではなく重い重い心の傷を負っているわけでありまして、このようなお子さんたちに対応するためには、専門的な職員をふやしていくこと、さらに専門性プラス人数をふやしていくこと、さらに小規模ケアを進めていくこと、さらにもっと言えば、里親やファミリーホームとかそういう多様な施策を展開していくことが必要だと思っております。

 特に、一月二十九日に閣議決定した子ども・子育てビジョンにおいては、初めて、里親委託や児童養護施設等における小規模グループケアの推進などの目標値を盛り込みました。里親委託率は、平成二十年度末実績一〇・四%から平成二十六年度目標値一六%、小規模グループケアは、平成二十年度実績四百四十六カ所から平成二十六年度目標値八百カ所。

 本当に、高齢者の虐待、さまざまな問題がございますが、子供たちは高齢者よりもはるかに声を上げることができないわけでありまして、そういう意味では、今まで以上に社会的養護というものを強力に推し進めていく必要があると考えております。

馳分科員 終わります。

吉田主査 これにて馳浩君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会所管の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午前十時三十一分散会


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