衆議院

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第1号 平成15年2月27日(木曜日)

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本分科会は平成十五年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      池田 行彦君    斉藤斗志二君
      萩野 浩基君    長妻  昭君
      達増 拓也君    中西 績介君
二月二十六日
 斉藤斗志二君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十五年二月二十七日(木曜日)
    午前九時二分開議
 出席分科員
   主査 斉藤斗志二君
      伊藤信太郎君    池田 行彦君
      谷田 武彦君    萩野 浩基君
      木下  厚君    城島 正光君
      中山 義活君    長妻  昭君
      三井 辨雄君    武山百合子君
      達増 拓也君    中川 智子君
      中西 績介君    山内 惠子君
   兼務 小西  理君 兼務 渡辺  周君
   兼務 赤羽 一嘉君 兼務 赤松 正雄君
   兼務 太田 昭宏君 兼務 児玉 健次君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 永松 荘一君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  増田 暢也君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 結城 章夫君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策
   局長)          近藤 信司君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私
   学部長)         加茂川幸夫君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            白川 哲久君
   政府参考人
   (文部科学省スポーツ・青
   少年局長)        田中壮一郎君
   政府参考人
   (文化庁次長)      銭谷 眞美君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院審議官)   薦田 康久君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  池田 行彦君     伊藤信太郎君
  長妻  昭君     木下  厚君
  達増 拓也君     高橋 嘉信君
  中西 績介君     中川 智子君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     谷田 武彦君
  木下  厚君     三井 辨雄君
  高橋 嘉信君     武山百合子君
  中川 智子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  谷田 武彦君     池田 行彦君
  三井 辨雄君     城島 正光君
  武山百合子君     都築  譲君
  保坂 展人君     金子 哲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  城島 正光君     中山 義活君
  都築  譲君     達増 拓也君
  金子 哲夫君     重野 安正君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 義活君     木下  厚君
  重野 安正君     山内 惠子君
同日
 辞任         補欠選任
  木下  厚君     長妻  昭君
  山内 惠子君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  保坂 展人君     中西 績介君
同日
 第一分科員赤羽一嘉君、太田昭宏君、第五分科員小西理君、第六分科員児玉健次君、第七分科員渡辺周君及び第八分科員赤松正雄君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――
斉藤主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることとなりました。どうぞよろしくお願いをいたします。
 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うこととなっております。
 なお、所管事項の説明は、審査の冒頭に聴取いたします。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。
 政府から説明を聴取いたします。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 平成十五年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成十五年度予算の編成に当たっては、厳しい財政状況のもとではありますが、我が国が真に豊かで成熟した国として発展し、国際的にも貢献していくためには、教育・文化立国と科学技術創造立国の実現を目指した改革を進めることが極めて重要であるとの観点から、教育改革、科学技術・学術の振興、スポーツ、文化芸術の振興にわたる総合的な施策の展開を図ることのできる文部科学予算の確保に努めたところであります。
 文部科学省所管の一般会計予算額は六兆三千二百二十億一千二百万円、国立学校特別会計予算額は二兆八千四十五億二千九百万円、電源開発促進対策特別会計予算額は一千四百九十一億一千四百万円となっております。
 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれまして、会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。
斉藤主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま文部科学大臣から申し出がありました文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
斉藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
斉藤主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
斉藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。
伊藤(信)分科員 自由民主党の伊藤信太郎でございます。
 それぞれの行政官庁には政策があるわけですけれども、その政策を施行する場合は、その目的といいますか、どのような政策目的で行われるかということがやはり明確でなくてはいけないと思うわけでございます。文部省もいろいろすぐれた政策を進めているわけですけれども、そのすぐれたといいますか、センター・オブ・エクセレンス、COEの構想がございますね。当然、そのCOEのプロジェクトに対しては、複数の大学及び研究機関からいろいろな申し込みがあると思うんですね。その際に選択しなければならないということで、まず、そのCOEというのはどういう政策目的で行っているものか、文部大臣の所見をお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 これからの知の世紀を乗り切っていきますためには、知の集積体でございます大学が本当に活性化をしてもらって、よい研究、よい教育、そして社会貢献をしてもらうことが大変大事でございます。特に、大学は国際的な存在でもございますので、日本の大学の中で研究の拠点をしっかりつくりまして、世界水準の研究を展開してもらいたい、そういう趣旨で、二十一世紀COEプログラムという政策を今年度から実施に移そうとしているところでございます。
伊藤(信)分科員 そうすると、そのCOEの選択基準というのは、具体的にどういうクライテリアといいますか基準で行われるのか、その辺をお聞かせください。
遠山国務大臣 二十一世紀COEプログラムは、先ほど申しましたような目的のもとに、自然、人文社会の各分野にわたりまして、国公私を通じて、大学からの申請を受けて、学問分野別に第三者評価を行って、そして、主として研究面でポテンシャルの高い研究教育拠点、大学院博士課程に重点投資をするということでございます。
 このための審査は、文部科学省内ではなくて、第三者機関にお願いをしてやったわけでございますが、その審査基準としましては、研究論文の発表状況、それから競争的研究資金の獲得状況、教員の流動性、大学院学生の教育の状況などの具体的なデータを参考とした上で、これまでの実績や将来性、それから拠点形成のための計画や大学全体としての戦略、それから若手研究者の育成や、独創的、画期的成果が期待できるかどうかなどの視点を中心にいたしまして審査をしてもらったところでございます。
 審査に当たりましては、分野別の審査部会を設けて、専門的な観点から審査を行う体制をとっております。
伊藤(信)分科員 そういたしますと、今大臣、総花的にいろいろな審査のパラメーターをお述べになったと思うんですけれども、何らかの優先順位が必要だと思うんですね。そのセンター・オブ・エクセレンスということを聞きますと、どうも世界水準で通用する学術研究というようなニュアンスが強いと思うんですけれども、学問の世界というのは、私も多少かじって思うんですけれども、なかなか世界標準で価値を決めるのが決めがたいような分野というのも非常にあるし、それから、ポテンシャルをどう見るかというのは極めて、学界にもいろいろな考え方がありますから、主観的な価値判断にやはり多少影響を受けるということが非常にあると思うんですね。
 その辺を文部省としては、公平性の観点からまあ第三者ということですけれども、その第三者も、どういう方を選考委員に人選するかによってまたその価値判断も変わってくると思うんですけれども、その第三者委員会の委員の選定に当たってもどんなことを御留意なさっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
遠山国務大臣 委員につきましては、これも、余り文部科学省がということではなくて、まず、委員会をマネージしていただく会長といいますか、ちょっとその名称はあれでございますが、江崎玲於奈先生にお願いいたしました。ノーベル賞の受賞者でもございますし、現に大学の学長もなさいまして、日本の研究の状況というのは大変よくおわかりになっています。その方を中心に、本当にトップの、すぐれた研究者を分野別にお願いいたしまして、そして審査をしていただいたところでございます。
 伊藤委員のおっしゃいますように、センター・オブ・エクセレンスという観点で、どういう研究が本当に世界で水準を抜いているかというのを見抜くというのは大変難しいことだと思います。
 しかしながら、学問分野につきましてはかなり、本当にすぐれて、光り輝こうとしている、あるいは光っているというものはわかるようでございまして、それぞれの分野で、もちろん、その状況とか、あるいはその拠点となる研究者ないし研究組織のあり方というのは違うと思いますけれども、しかし、今ねらっているのは、ふわっとした包括的な分野ではなくて、本当に学問の最先端を行くような拠点を選ぼうということでございますので、かえって、それまでのその分野での研究業績あるいは国際的な賞のとり方、さまざまなデータを使えば、これは自然に浮き上がってきたのではないかと私は思います。それと、何より大事なのは、各大学が申請してくるわけでございますが、そのときにどれだけしっかりと構想を練ってきたかということは、専門家が見ればかなりはっきりしたんだと思います。
 そういうことで、激戦であったようでございますけれども、今年度の実績は、申請百六十三大学、四百六十四件でございましたが、採択したのは五十大学、百十三件でございまして、大学にしては三分の一、件数にしては四分の一ぐらいということでございます。
 そういう意味で、これを読み上げますと、その数だけございますから省略はいたしますけれども、それぞれの研究拠点となるものが、ここにございます生命科学ないし材料科学、これをごらんになりますと、うん、なるほどと思うようなものばかりのように私には思えるところでございます。
伊藤(信)分科員 次に、文化行政についてお伺いしたいと思うんですけれども、知財立国の中に、文化というものは非常に重要だと私は思いますし、日本は、芸術文化というものは極めてすぐれた国でありますけれども、行政面においては若干まだその施策の積極性に欠けていたというのが私の認識でございます。
 そういった中において、文化庁において映画振興に関する懇談会というものが開かれて、大変結構なことだと思いますけれども、その中間のまとめが出ていると漏れ承っておりますけれども、その状況について御報告を賜りたいと思います。
銭谷政府参考人 一昨年の十二月に制定されました文化芸術振興基本法におきまして映画の振興への支援ということが規定をされておりますことを踏まえまして、昨年の五月に、文化庁に、文化庁長官裁定によりまして映画振興に関する懇談会を設置いたしました。
 検討に当たりましては、映画が文化活動であるとともに産業活動であるという両面を持つということを踏まえまして、関係各省からの参加も得まして、横断的な視点から議論を進めてまいったところでございます。
 去る一月の三十一日に、本懇談会でのこれまで出されましたさまざまな御意見を整理いたしまして、映画の製作、配給・興行、保存・普及、人材養成の四つのテーマにわたりまして、特に望まれる十二の構想を中心といたしました中間まとめを公表したところでございます。
 この中間まとめでは、映画の製作と上映の自律的な創造サイクルを確立するということを基本といたしまして、具体的には、映画フィルムの納入の義務づけとフィルムセンターの機能強化やその独立、新たな製作支援形態の導入や、野外ロケーションの誘致支援などの製作環境の向上、総合的な人材養成システムの構築、名画や若手独立プロの作品の流通から上映までの支援、そして子供の映画鑑賞機会の提供推進や海外展開といったようなことなどについて示されているところでございます。
 この懇談会では、三月末を目途とする提言の取りまとめに向けまして、この中間まとめのもとに映画関係者及び有識者の方々からヒアリングを行うとともに、広く意見募集を行っているところでありまして、さらに議論を深めてまいりたいと考えております。
伊藤(信)分科員 その中で、フィルムセンターの問題というのが比較的喫緊の問題だと私は思うんですね。日本映画のすぐれたネガ及びプリントが、保存状態がよくないために大変散逸したり、修復不可能な状態に置かれているということでございますので、フィルムセンターがその保存の役目をなすわけですけれども、現在、フィルムセンターというのは、国立の近代美術館の傘下というか一ウイングになっておりますので、これが今の時代的な背景の中でいかがなものか。
 それから、国立国会図書館は、本は、ある費用弁済をして市価の半額ということで納本義務があるわけですけれども、フィルムの場合は、必ずしもそのような算定基準が、納入義務を課した場合に適当でないというような事態もあると思うんですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
銭谷政府参考人 まず、フィルムセンターでございますけれども、昭和二十七年に、東京国立近代美術館の設置と同時に、同美術館のフィルムライブラリー部門として発足をいたしまして、昭和四十五年に、同美術館の一組織として、フィルムセンターとして開館をしたものでございます。これは、映画を広い意味での美術の一分野としてとらえまして、映画フィルムや映画に関する資料の収集、保存、復元、調査研究、上映等の事業を行う機関として位置づけられたことによるものでございます。
 平成十三年の四月に、東京国立近代美術館が独立行政法人へ移行する際にも、同様の考えで、独立行政法人国立美術館の中の一組織としているところでございます。
 フィルムセンターは、これまで映画フィルムの収集、保存、復元を中核として、映画文化の振興に重要な役割を果たしたわけでございますけれども、今後とも、その機能の充実等を図る必要があると思っております。
 先ほど申し上げました懇談会の中でも、フィルムセンターにつきましては、東京国立近代美術館から独立させることも視野に入れるべきであるということも提言をされておりますので、このフィルムセンターの組織、機能の強化等につきましては、この懇談会での検討状況を勘案しながらさらに検討してまいりたいと思っております。
 なお、フィルムの納入の問題でございますけれども、現在、国立国会図書館では、図書などの納入を義務づけているわけでございますけれども、フィルムについては、当分の間それを免除しているということでございまして、フィルムセンターにおきまして、自主的にこれまでフィルムの収集を行ってきたということでございます。
伊藤(信)分科員 次に、国公立大学の教育に関することで質問したいと思います。
 日本の伝統文化をやはり教育の中に入れておこうということで、今、邦楽であるとか和楽器の教育というものが公立校でも進んでおりますけれども、これは、現場の多くの教員から幾つか苦情といいますか御要請があるわけですけれども、和楽器というのは、本来畳の上で演奏するようにつくられているものなんですね。また、音楽環境というのは、楽器だけでなくて、演奏される空間そのものも一つの文化であり、一つの芸術なわけです。
 そういう意味において、現在の学校で、和室のないところがほとんどなんですね。ですから、ぜひ伝統文化を見直すという教育の方針が具体的にできるように畳の部屋をつくる、またその予算がとれない場合はせめて、今畳は移動できるものもありますので、ある空間に畳を敷けると思いますので、畳の予算というものを文部科学の中でお考えいただきたいんですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
矢野政府参考人 御指摘のように、昨年の四月から実施されました新しい学習指導要領におきまして、小中学校の器楽指導における和楽器の体験、指導の充実が図られたところでございます。
 公立学校施設の整備におきましては、従来から、小中学校施設の新築、増改築あるいは大規模改造の際に、和室の整備を国庫補助の対象といたしているところでございますので、各自治体におかれましては、この補助制度を活用していただきまして、和室の整備に努めていただければと思っております。
伊藤(信)分科員 それと、今度、地震がここ二十年間の間に来る蓋然性が非常に高いという文部省の研究所の結果も出ていることで、小中学校をこれから耐震構造に変えていくということを順次進められていると思うんですけれども、この際に、やはり時代に合った、また今後の教育方針に合った形で、単に耐震にするということじゃなくて、していくことが大事だと思うんですね。
 やはり感性とか情操とかあるいは伝統文化を大事にするという意味においても、やはりこれからの学校というのは、余りむき出しのコンクリートやあるいはホルムアルデヒドの出るような壁紙を使わないで、郡部においては、それほど高層にする必要もないわけですから、ぜひ地域材を使った木造に、地域材を使うということは環境教育にもなりますし、また自然を愛する、あるいは情緒の安定にも大変いいと思います。それから、都市部においては、必ずしも木造というわけにもいかないでしょうから、内装の一定面積を木質にするということが私は非常に大事ではないかなと思うんですね。
 医学的な研究でも、ラットといいますかネズミを一定空間のコンクリの中に数匹入れておきますと、お互いに共食いをするんですね。ところが、同じ一定空間、同じ空間であっても、それが木質の場合はお互いに相哀れむ、そういう治験も出ているわけでございまして、また、やはり小中学校でいろいろキレる生徒とか校内暴力がふえてきた時期と、それから逆に、戦後、木造であった校舎がコンクリートに変わってきた時期とは、統計上も比較的一致しているという治験も出ていますので、確かに木質にするとお金がかかるということもありますけれども、その辺の予算措置も含めてぜひお考えいただきたいと思うわけですけれども、文部省の所見をお伺いしたいと思います。
河村副大臣 御指摘の木材をできるだけたくさん使ってということ、私も基本的には大賛成でございまして、確かに、教室全体が木造の木の香りがする教室であれば、これは教育環境としても非常にいいものだと思いますし、この部屋もかなりあれを使ってあるわけでありますが、そういう意味で、学校施設にできるだけ地域材を使ってということは、文部科学省としても推奨しておるわけでございまして、木造校舎に内装等利用されて整備されるという場合に、改築の場合には二分の一、それから全体の大規模改築といいますか、新たにおやりになる場合には二分の一ということでやっておりますが、特にこれは林野庁の方の御協力もいただかなきゃなりません。ぜひ、そのための地域材が供給されるような形もとらなきゃなりませんので、そういうこともお願いをし、協力体制をとりながら、さらに学校施設、また学校施設のみならず公共施設についてはできるだけ地域材、木材を使うようにという方向でぜひ進めて、政府としても私はやるべきだと思っておりますが、特に文部科学省としては学校施設を中心に大いに奨励をしてまいりたい、このように考えております。
伊藤(信)分科員 今の人口の動態というのを見ると、これは私が言うまでもなく、少子高齢化ということが進むことは自明の理だと思うわけですね。現に、郡部の奥の小学校というのが存続不可能になって、廃校になったりしている。その廃校された学校が、今度は地域のコミュニティーセンターに使われたり、あるいは老人福祉に使われたりしているわけです。ですから、私は、今の時代というのは、そういう新しい発想で教育施設もつくるべきではないかなと思っておるんです。
 具体的には、やはりこれからつくる小中学校というのは、初めから福祉施設を一緒につくっていく。しかも木質、木造にすれば、中のリノベーションというのも比較的やりやすいわけで、福祉施設はどうも厚生労働省が所管ということで、役所の縦割りも問題にはなりますけれども、文部科学省と厚生労働省が共同で教育福祉施設というものをつくっていく。それで、人口動態の変化に応じて、かつての小学校、中学校の教室が、特養であるとか、あるいは老健であるとかデイサービスであるとか、あるいはショートステイに使えるようにつくっていく。そして、そのことは、単に予算の柔軟な利用ということだけでなくて、相当なシナジーがあるんですね。
 やはり年をとった方にとっては、今三世代住宅というのは余りありませんから、若い世代と触れ合うということが最大のレゾンデートルというか、自己の存在理由の確認になりますし、そのことが本当の意味の福祉だと思います。それからまた、若い世代にとっては、それこそ教科書に書かれていない本当の歴史、伝統文化というものを肌で感じたり、学ぶこともできるわけです。
 ですから、新しい時代の政策発想として、今までの役所にとらわれない形の、そういう教育福祉施設というものを建てるべきだというふうに考えておりますけれども、文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
河村副大臣 私は、そういう視点がこれから必要だろうと思いますね。
 これは、やはり設置者といいますか、特に地方において市町村長さん方のひとつの感覚の問題でもあるわけでございますが、今後、文部科学省としても、そういう施設者なんかが集まっていろいろ施設の問題についてお話し合いになる機会もありますから、そういうときにそういう視点を持って、今後、新しい校舎をつくるとか、それから教室の利用の仕方とか、そういうことも含めて委員の御指摘の方向で進むように督励をしてまいりたい、このように思います。
伊藤(信)分科員 戦後、大分月日がたったわけですけれども、今日、行政のいろいろな問題も出てくると同時に、日本人の精神的な脆弱性であるとか、あるいは国家としての凝集力の弱さであるとか、いろいろなことが指摘されているわけですけれども、種々の問題の根源にやはり教育というものが私はあるのではないかと思います。教育の中でも、とりわけ人間の心の問題といいますか、あるいは精神的支柱の問題と申しますか、そのことがあると思うのです。
 私どもは長いこと現在の教育基本法というものでやってきたわけですけれども、私は、今の時代、また日本の置かれている現状に、今の教育基本法は必ずしもそぐわないものになってきているのではないかと思います。
 そういう時代の趨勢を受けて、今、審議会の方でいろいろな取りまとめがなされているようでございますけれども、その進捗状況あるいは文部科学省の考えについてお伺いしたいと思います。
河村副大臣 委員御指摘のように、教育基本法が制定からもう半世紀以上、今日まで来ておるわけでございますが、教育の現状を見たときに、当時の制定のときの状況と今日は大きく変わっておりますから、これは当然、教育の現状に、今の時代に合ったものはどうあったらいいかということは、もう考えるときに来ておるというふうに考えておるわけでございまして、教育の根本である理念とかあるいは目的までさかのぼって今の時代にふさわしい教育のあり方を見直す必要があるという観点から、平成十三年の十一月に文部科学大臣の方から中央教育審議会に対して諮問をいたしておるところでございまして、昨年の十一月に、中央教育審議会、これまで諮問以来活発な議論を経て、中間報告をいただいたところでございます。
 さらに、現在、その中間報告をもとにして、ヒアリング、あるいは一日中教審であるとか公聴会的なものを開きながら、広く国民の皆さんの御意見もいただきながら取りまとめを行っておるところでございまして、この取りまとめを得て私は答申がいただけるものだ、こう思っておりまして、この中央教育審議会の最終的な答申が参りますと、本格的ないわゆる教育基本法の見直し、これは法律でありますから法律改正という手順になっていくわけでございます。これは、今年度中といいますか、三月いっぱいまでに答申がいただけるものだということで、今まさに最後の詰めを中央教育審議会でやっていただいている状況下にあるわけでございます。
伊藤(信)分科員 この問題は非常に国民的な議論のある問題だと思いますけれども、今、日本がこれから立ち直るかどうか、もちろん短期的には経済不況というものを乗り越えるということも戦術的な目標でありますけれども、戦略的な目標としては、やはり日本という国の価値というものを、独自にといいますか、日本人の発想で再構築していくということが必要だと思いますので、ぜひ、この国民の議論を踏まえて、しっかりした新教育基本法の制定に向けて御尽力賜りたいと思います。
 これで質問を終わります。
斉藤主査 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、木下厚君。
木下分科員 おはようございます。
 実は、昨年十一月二十七日の衆議院の決算行政監視委員会で質問させていただきましたが、検定用の申請本、通称白表紙本の組織的な大量流出、この疑惑について、改めて質問させていただきます。
 まず、小中学校の教科書並びにその教科書に準拠して作成される地図やドリルなどの図書教材の出版、販売に関しては、検定制度のもと、客観的で公正な採択が行われるよう、厳しい法的な規制があります。そのため、文部科学省は、教科書検定制度の観点から、各教科書出版会社や関係機関に、白表紙本は検定の申請以外の目的で使用することのないよう通達やあるいは通知を出しているほか、献本も禁ずるなどの指導をしているはずであります。
 この点につきましては、先般の質問の際にも、遠山大臣及び矢野政府参考人から、教科書検定は静ひつな審査環境の中で適切かつ公正な審査に基づいて実施することが必要で、白表紙本を検定決定以前にそれ以外の目的で外部に出すことがないよう指導をしっかりやっている、こう答弁されています。
 それに対して、私は、教材出版社からの幾つかの内部資料をもとに、実際には文部科学省が所管し、元初等中等教育局長が会長を務めている社団法人日本図書教材協会が、教科書が改訂されるたびに検定以前に白表紙本を組織的に入手し、それを加盟各社に渡している疑惑を指摘しましたが、それについて矢野政府参考人は、最初は全面否定をされておりました。しかし、私の再度の質問に、矢野政府参考人は、事実関係について改めて可能な限り調査したいと約束されましたが、調査はされたのですか。されたとすれば、その調査結果をまず御報告していただきたいと思います。
矢野政府参考人 検定申請図書の流出に関しましては、先ほど委員が御指摘のとおり、衆議院の決算行政監視委員会の御質問を受けた後、私ども、日本図書教材協会に対しまして、昨年末より聞き取り調査を行いましたし、またそのほか、ことしになりまして、一月十五日には同法人に対して実地調査を行うなどして、事実関係を調査してまいりました。
 こうした一連の調査によりまして、以下申し上げるような調査結果を得たところでございます。
 整理いたしますと、四点でございます。
 第一点は、日本図書教材協会は、検定決定前の検定申請図書、いわゆる白表紙本でございますが、これを教科書執筆者等より入手し、教材出版社に対して配付していたこと。
 第二点は、日本図書教材協会による検定申請図書の入手及び配付に関しましては、コピー代実費以外の金銭授受は行われていないこと。
 第三点は、教学図書協会等の教科書の関係団体でございますが、教科書関連団体が組織的に検定申請図書の流通に関与してはいなかったこと。
 それから、第四点は、日本図書教材協会と教学図書協会との間で支払っております謝金でございますが、これは民事上の和解契約に基づく教科書使用の対価であり、検定申請図書の流通とは関連性が見られないこと。
 以上、整理いたしますと、一連の調査によりまして、申し上げたような形での調査結果を得たところでございます。
 なお、結果でございますけれども、十一月二十七日の決算監視委員会で、私の方から、日本図書教材協会の報告によればという留保つきでございましたが、そういう事実はないということを御報告申し上げたことにつきまして、誤った報告になったことについておわびを申し上げたく存じます。
木下分科員 あったということを認めたわけですね。しかし、今、お話だと、また言い逃れをしている。私、前回、教材出版会社から入手した資料をもとに、ちゃんと調べてくれと言っているわけです。
 前回お渡しした資料の中で、例えば、教材協会の専務理事の清水さんの名前で、こういった、前回示しましたが、この資料を配付しているんです。これは協会として配付しているんですね。もう一回読みますか。
 例えば、「教科書原本の注文を別紙によりお受けいたしますので、」これは各教材出版社にあてた文書ですが、「別紙注文書を十月六日までにご回示下さいますようお願いいたします。」という形で文書を流している。そして、その下に、一番として「教科書原本(白表紙)については、提供していただいた教科書会社の関係者の立場を考えて外部に公表したり貸し出すようなことは絶対に行わない。」二番目に「原本の内容については、教科書会社へ直接問い合わせたり、意見を聞くようなことは絶対行わない。」三番目「入手した原本は、コピーしたものから各社に送付する。」四番目「各社の編集部長は、取り扱いについて全責任を持って編集担当者並びに執筆者及びプロダクション等の関係者などに周知徹底する。」という文書を流しているわけです。
 この資料は前回お渡ししましたが、これは内部資料でしょう。協会の資料ですね。間違いございませんか。どうぞ。
矢野政府参考人 協会の内部資料でございます。
木下分科員 だから、先ほど矢野さんがおっしゃったように、要するに、例えば著作者が勝手に提供したとか、そういうことじゃなくて、協会がみずからこういう文書を配って、しかもその資料の中に注文書までつけて流しているわけです、何部注文してくれという形で。それも前回お見せしました。それでも組織的じゃないとおっしゃるわけですか。
矢野政府参考人 私が申し上げた組織的でないというのは、教科書会社、教科書関連会社がそういう申請図書を組織的に出したということではなくて、私どもの調査によれば、教科書の執筆者が個人的に出したということがわかったということで、今先生に申しましたのは、図書教材協会ではなくて、教科書会社で組織しております教科書関連会社が組織的に出したというのではないということを申し上げたわけでございます。
木下分科員 よくわからないです。では、教材会社が組織的に流したということでしょう。要するに、教科書会社じゃなくて教材協会の方が組織的に流したということでしょう。
矢野政府参考人 事柄を整理いたしますと、申請本を出す方と、それを受け取ってそれぞれの教材会社へ流す場合があるわけですが、おっしゃりますように、教科書の執筆者からそれを受け取って、そしてそれを流したのは図書教材協会でございますが、それは組織的でございます。
木下分科員 要するに、教材協会が組織的に流した、この事実はお認めになったわけですね。
 そうすると、前回の私の質問で、そうした事実はない、今おわびをしますということでしたのですが、やはり国会の委員会で質問して、それに対していわゆる協会が虚偽報告した、これについての責任はどう考えていますか。これは何のための国会ですか。やはりその時点で事実をきちんと報告する。これは文部科学省の傘下、いわゆる外郭団体として、しかも社団法人です。こうした虚偽報告について、どういう対処をしたわけでございますか。
矢野政府参考人 一点、弁解がましくて恐縮でございますが、確かに国会で、結果的に虚偽の報告になったわけでございますが、これは、先生から御質問いただいて、当日御質問にお答えする時間がなかったものでございますから、私どもとしては、私どもみずからが調査する時間がございませんでしたので、とりあえずという形で協会に状況を聞いて、そして、その協会からの報告でございますけれどもという形で報告を申し上げた。それが、その報告の中身が虚偽であったということについては、これはおわびを申し上げなきゃならないわけでございます。
 そして、この図書教材協会の虚偽の報告に対しましては、私ども、教材協会の菱村会長及び担当の理事を呼びまして、そのことの、虚偽報告について厳重に注意をいたしますとともに、検定申請図書の不適切な取り扱いの是正ということ、それから虚偽報告に見られたような法人運営上の問題の改善を速やかに行って再発防止策を講ずるように指導いたしますとともに、このことを文書でもって、公文でもって指導を行ってきたところでございます。
 我が省といたしましては、日本図書教材協会に対しまして、監督官庁である我が省への虚偽報告に見られるような不適切な運営について、その改善を速やかに行うように既に通知を発したわけでございますけれども、今後ともその指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。
木下分科員 遠山大臣、こうした虚偽報告について、大臣としてどうお考えでございますか。どのように対処いたしましたか。
遠山国務大臣 検定申請図書の流出、それから当初の報告が虚偽であったということは、極めて遺憾だと考えております。
木下分科員 随分簡単なあれですね。
 この教材協会の会長さんというのは、もちろん旧文部省のOBであります。元初等中等教育局局長まで務めた方が会長をやっておられる。そして、これまで歴代ずっと、私がわかっているだけで三代、旧文部省からの天下り。この教材協会というのは、ある面では、文部省が推し進めている検定制度のいわば推進役であり、そして教科書会社やあるいは教材会社に対して指導監督する立場にある。しかも、検定制度というのをよくわかっている会長さんですよ。その最高責任者のもとでこういうことが長年行われていた。しかも、国会に対して虚偽報告、あるいは私もそれ以前に専務理事を呼んで何回も確認しました。しかし、そのときも同じ答弁、虚偽をしていたわけです。
 したがって、私はむしろ、この旧文部省、現在の文部科学省からの天下りである菱村会長についてはきちんと責任をとってやめてもらう、そして文科省からの天下りを凍結するというぐらいのきちんとした対応をしてもらいたいと思うんですが、大臣、どう思いますか。
遠山国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本図書教材協会が、検定申請図書を検定以前に入手をして教材出版社に対して配付いたしますなど、不適切な取り扱いを行っていたにもかかわりませず、我が省に対して虚偽の報告をしていたことは、まことに遺憾だというふうに考えております。
 我が省といたしましては、日本図書教材協会の菱村会長に対しまして、そうした不適切な取り扱いの是正あるいは運営上の改善を速やかに行うことについて、指導を行ったところでございます。
 今後、菱村会長を中心に、日本図書教材協会がその運営を改善して、今後不適切な事例の再発防止を図りますように、我が省としては指導をしてまいりたいと思います。
 また、菱村会長を初めといたします役職員の責任問題につきましては、協会の内部において適切に対応されるべきものと考えているところでございます。
木下分科員 いや、実は私も昨年に質問をして、その後文部科学省から指導が行った。しかし、その後も、実は、この内部資料を提出していただいたその一部、ある教材出版社に対して、協会からさまざまな圧力や嫌がらせ、これが行われているわけです。これについて、文科省は実態を把握していますか。反省がないんです。
矢野政府参考人 今の御指摘の点については、私ども、そうしたことは把握をいたしておりません。
 いずれにしても、私どもといたしましては、日本図書教材協会につきましては、当省所管の教育法人でございますし、公益法人として適切な活動を行うように指導を行っているところであり、今後ともその指導の徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
木下分科員 やはりこれは小中学校の、学校の教育現場なんです。しかも、それを指導する文科省あるいは教材会社、協会、そういったところがうそを言ったり、やはりそれはもう絶対にあってはならないこと。教育にならないんです。
 しかも、一番悪いところは、やはりそうした虚偽報告なりミスがあれば責任を明確化する、きちっと責任をとってもらう、これが教育行政に携わる者の最大の責任だと思うんですが、その点でもう一度きちんと、こうした問題に対して会長なり責任者のきちんとした責任のとり方というものを後ほどまた報告させていただきたいなと思いますが、大臣、よろしゅうございますか。協会内部の問題じゃなくて、そこはやはり文科省として、外郭団体、しかもさまざまな補助金も出ているわけですから、その辺はきちんと対処してもらいたいと思いますが、もう一度大臣、答弁をお願いします。
遠山国務大臣 公益法人の立場、またその役割の重要性にかんがみまして、また、これまで御議論いただきましたような実態にかんがみまして、私も、この公益法人の今後の、どのようにして不適切な事例の再発防止を図るか、それからこれまでの責任問題について、協会の内部でしっかりと対応してもらいたいと思っております。またその結果については先生に御報告する場面も出てまいるのではないかと思います。
木下分科員 それから、先ほど謝金の話が出ました。これは一年に大体二億円、これが任意団体の教学図書協会へ支払われている。これについて前回も指摘しました。
 社団法人日本図書教材協会が平成三年四月に発行した創立三十周年記念誌「築く」ですね。これはコピーしたものですが、この「築く」の中には、はっきりとこう書いてあるんです。「教科書会社は、謝金を受け取る見返りとして、教科書を参考とする教材をつくるに当たって、教科書の最初の段階からのもの(白表紙本など)及び指導書を資料として提供する」
 要するに、提供する見返りに二億円を支払う、任意団体の教学図書協会に支払うとうたっているわけですが、この点はどうですか。事実と違いますか。
矢野政府参考人 先ほど御報告申し上げましたが、私ども、実地調査も含めて、そのことを含めて調査をしたわけでございますが、その結果によりますれば、第一点は、検定申請図書の流出については、教学図書協会、その二億円の謝金の支払い先である教学図書協会が介在していないということを確認しております。
 また、検定申請図書の流通につきましては、コピー代等の実費が別途教材出版社から徴収されているということがわかりました。
 それから、そういうことを踏まえて、日本図書教材協会と教学図書協会との間で支払われている謝金、これは民事上の、これまでの経緯がございまして、昭和四十年代の経緯がございまして、民事上の和解契約に基づく教科書使用の対価であるということ、そういう調査結果を私どもとしては確認をいたしているところでございます。
 したがいまして、御指摘の謝金、繰り返しで恐縮でございますけれども、契約に基づき、教材出版社から教科書出版社の著作物の使用の対価として支払われているというふうに私どもとしては理解をいたしております。
木下分科員 そうすると、何のために教学図書協会の方へ二億円を支払っているんですか。
矢野政府参考人 今申し上げましたように、教科書出版社の著作物の使用の対価として、教科書出版社の集まりである教学図書協会に対して支払っているわけでございます。そしてこの謝金は、教学図書協会を通じてそれぞれの教科書会社に配賦されるということになるわけでございます。
 いずれにしても、教材会社が教科書出版社の著作物の使用の対価として支払われているものでございます。
木下分科員 もし、その教科書の使用の対価ということであれば、いわゆる教科書協会の方へ支払えばいいんですよ。何で、任意団体の教学協会の方へ支払うんですか。これは任意団体ですよ、いわゆる教学協会、これは任意団体なんです。本来、もし教科書の対価として払うんであれば、教材協会から教科書協会の方へ払えばいいんです。なぜ、間に任意団体の教学協会へ支払うんですか。
矢野政府参考人 まず、教学図書協会でございますけれども、これは設立の経緯がございまして、先ほどちょっと申し上げました、昭和四十年代に、教科書出版社と教材出版社の著作権の係争がございまして、そして、教科書を使用する際の対価として、その係争がある中で、昭和四十三年に、先ほど申し上げましたような、対価を支払う旨の和解が成立したわけでございます。
 そういう意味で、この教学図書協会というのは、役割としては、いわば教科書協会から独立したような任意団体でございますが、その会の目的といたしましては、教科書にかかわる権利の保護の充実あるいは関係業界との連絡調整を図るということを目的としたわけでございまして、そういう団体としてこの謝金を、まさに教科書にかかわる権利の保護、そういう観点から謝金を受け取っているわけでございます。
 なお、教科書協会というのは、まさに教科書の質的向上を図るための、むしろ研究的な、そういう役割が多い組織でございます。
木下分科員 ですから、おかしいんですよ。要するに、教科書協会と日本図書教材協会、この間に、いわゆる任意団体の教学図書協会というのを介在させて、その二億円というお金を、教学図書協会に加盟している社にだけ、要するに、白表紙本を流す見返りとして教学図書協会に支払っていた、こういう図式じゃないんですか。
 要するに、直接教材協会が教科書協会に支払っちゃうとまずいから、任意団体、しかもそこは会員組織です、何社に絞って、そこから白表紙本を流しているわけですから、それに対して、要するに、加盟しない社を排除する、加盟した社だけに便宜を与える、白表紙本を流すという便宜を与えるために、わざわざ教学図書協会というのをつくって、そしてそこに二億円を振り込ませていたという図式じゃないんですか。
矢野政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、教学図書協会は、これは教科書にかかわる権利の保護の充実ということを目的に設立したものでございまして、そこは、教科書協会とは、趣旨、目的が違うわけでございます。
 また、この経緯を申し上げますと、日本図書教材協会が謝金を支払うとされた、そういう和解契約が締結されましたのは昭和四十三年であるわけでございますが、この団体、教学図書協会は、設立されましたのは、その三年前である昭和四十年にはもう既に設立されていたわけでございます。
 そういう意味で、御指摘のようなものではないと私どもは考えております。
木下分科員 そうすると、この二億円というのは、きちんと税務処理されているわけでございますか。それと同時に、教学協会、これについて、改めて、どういう仕事をされているのか、なぜ必要なのか、その資料を後日請求させていただきますので、提出をお願いしたいと思います。時間がありませんので、これはまた後ほどさせていただきます。
 もう一つ、いわゆる小学校用テスト教材、教師用について、全国平均点というものが記載され、各教材出版社が学校現場の教師に対し営業する場合のセールスポイントにしているわけですね。しかし、いわゆる教育指導要領が変わった平成十四年版のテスト教材にも、全国平均点が記載されている。十四年度改訂版で教科書が新しく改正されたのに、その副教材であるテスト教材にすぐ全国平均点が記載できるのかどうか。
 例えば、これがそうなんですが、これは平成十四年度で改訂された教科書に基づいて作成された副教材。ですから、教科書が出る前に、もう既に平均点数がここに八十一点と書いてあるわけです。新しい教科書で新しい教材を最初に出すのに、何で平均点が既に出るんですか、八十一点なんという。
 要するに、過去に二年も三年も同じ教科書を使って同じテストでやっていたのならわかります。しかし、初めて出た教材ですよ。こんな、何で八十一点とか、中には、良心的なのは、期待値という、これは同じのです。これも平成十四年版のテスト教材です。ここには、期待値として八十から九十とあります。これはまだ良心的かもしらぬ。
 こういった、平均点を勝手に、これは、私が聞いたところによると、担当編集者が適当に、要するに売らんがためのセールスのポイントとして、八十一点というのを記入している、こういうものが流されているんですが、これについてどう思いますか。
矢野政府参考人 まことに申しわけございませんけれども、私どもとしては、個別のテスト教材の内容については承知をしていないわけでございますが、ただ、先生から事前に御連絡があったものでございますから、御指摘の教材について確認をいたしましたところ、指導要領は確かに変わっているわけでございますが、これは、教科書の教材としては、昭和五十二年から同じ作品が使われておりまして、そうしたこれまでの実績に基づく平均点が掲載されている、そういう報告を受けているところでございます。
木下分科員 それはおかしいね。だって、これを全部答案をして、そしてこれの全国平均です。これは、出版差しとめの訴訟記録を読みますと、その中に、四千人の回答を集めて、そこから平均点を出すというふうに訴訟では言っているんです、担当者が。ですから、当然、この新しいテストブック、これは最初に出たものですよ。教科書が変わって、最初にこれがつくられたわけですから、平均点なんかそもそも出ないんです。要するに、平均点というのは、このページに基づいてやったテストなんですよ、それに対して平均点が既に出ている、こんなおかしなことはないでしょう。わかりますか、言っていることが。
 ですから、これは不当競争防止法に抵触するんではないか。担当編集者がこんないいかげんな点数を、平均点を書いてセールスしている。親御さんたちは、これを見て、一生懸命買う。こういうことを教科書でやめてほしい、やめるべきだと私は指摘しているわけです。どう思いますか。
矢野政府参考人 大変恐縮でございますが、昨日、御指摘の教材については、これは昭和五十二年から同じ問題でございますから、その同じ問題であるならば、指導要領は変わっても、これまでの蓄積をもとにした平均点というのは可能ではなかろうかと思うわけでございます。
 確かに、問題が違えば、それを平均点と言うのはそれはおかしくて、おっしゃるように、例えば期待値といったような形で表記するのが筋だと思いますけれども、同じ問題であれば、平均点というのは、指導要領は変わっても、そういうことは可能であるというふうに思っております。
木下分科員 このテストブックはもう何年も同じ問題が使われているということですか。全く同じ内容で使われているということですか。
矢野政府参考人 全体ではなくて、その一部の問題については同じ問題がある、それについては平均点ということも可能ではなかろうかと思っているわけでございます。
 実は、私もそれを全部、物を見たわけではございませんからきちっと申し上げられませんが、担当者がチェックしたところでは、一部の問題については同じ問題であって、繰り返しでございますが、平均点は可能だということでございます。
木下分科員 全部ついているんですよ。最初から、八十点、次の問題、八十点、七十九点、八十点、全部こうやってつけてあるんですよ。だから、今おっしゃったように、一部が問題が同じならつけられると言うけれども、全部点数つけてある。どうなんですか。
矢野政府参考人 大変申しわけない、今この場で拝見しましたら、全く新しい問題は期待得点というふうになっております。ですから、これまでと同じ問題については平均値、それから、このように全く新しい問題については期待得点というふうになってございますから、その辺は取り扱いをきちんとしているんではなかろうかと思います。
木下分科員 時間ですので終わりにさせていただきますが、この問題は、いわゆる学校現場でやる大変大きな問題ですので、また改めて質問させていただきますが、先ほどの資料についてはぜひ御提出をお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
斉藤主査 これにて木下君の質疑は終了いたしました。
 次に、中川智子君。
中川(智)分科員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
 きょうは、遠山大臣じきじきにいろいろな御見識を伺いたい、御意見を賜りたいと思って、質問は多岐にわたりますけれども、ぜひともどうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、私は以前からちょっと質問したいしたいと思って、やっときょう実現したのですが、この心のノート、この国会でもいろいろな形で取り上げられたかと思いますけれども、私も、現場の先生たち、小学校や中学校の先生たちに友人がたくさんおりまして、そして、よく現場の先生たちから、なぜいきなり昨年、二〇〇二年新学期、これが配られたのか、そして作者は一体だれなのか、こういう予算というのはどこから出ているんだろうか、そして、いきなり手渡されたんだけれども、やはり戸惑うし、顔が見えない教科書、教科書ではないと思うんですが、本当に顔が見えないものだということで、非常にある意味では批判、そしてこのようなものを配る意図に対して疑問なり苦情というのが私のもとに寄せられてまいりました。
 まず、これは作者はどなたになるんでしょうか。
矢野政府参考人 便宜上は、これは文部科学省が制作したものでございます。
 その間におきまして、外部の有識者あるいは小学校、中学校等の教員の協力も得ながら、専門家会議におきまして内容等については検討を重ね、実は、その協力者会議のキャップは現在文化庁長官である河合隼雄先生でございましたけれども、河合先生をキャップにして、当時は文化庁長官ではございませんでしたが、キャップにして専門家の方々の協力者会議を開き、そこで十分検討して、そして最終的には文部科学省の責任において著作をいたしたものでございます。
中川(智)分科員 それでは、心のノートの中身で大きな疑義が生じたときに、裁判なんかになったら、当然文部科学大臣、その大臣が責任者ということで承ってよろしいんでしょうか。
矢野政府参考人 この心のノートは、文部科学省の責任において制作したものでございます。
中川(智)分科員 そうしたら、現在は遠山大臣、遠山大臣のときにこれをお出しになって、大臣がおかわりになったらば、これの責任者というのはまた引き続いてその担当の大臣になるわけでしょうかね。
矢野政府参考人 そのとおりでございます。
中川(智)分科員 でも、やはり大臣は一人一人きっちりした御見解を持って大臣に就任されて、前のをそのまま引き継ぐというのは非常におかしな話だと思いますし、それでは、これが出された法的な根拠を教えてください。
矢野政府参考人 これは、申し上げますと、そもそもということでございますけれども、児童生徒が身につける道徳の内容を児童生徒にとってわかりやすくあらわし、そして、道徳的価値についてみずから考えるきっかけとなるよう文部科学省において作成した道徳教育のための教材であるわけでございまして、そして、まさにこれは私どもの責任において、文部科学省の権限と責任において制作したものでございます。
 これを全国の学校に配付いたしたところでございますが、この法的な根拠を申し上げますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのがございます。地教行法がございます。その中で、文部科学大臣は地方公共団体に対して、教育行政にかかわって、必要な指導、助言、援助を行うことができることとされているわけでございます。そういう意味で、今回の心のノートというのは、道徳教育用の教材として、文部科学省が、ぎりぎり申しますと、そういう地教行法の文部科学大臣の権限によって、権限に基づいて、各地方公共団体に対する指導及びその援助の一環として出されたものでございます。
中川(智)分科員 それでは遠山大臣に伺いますが、指導や援助ということでしたら、これは教科書ではないわけですね。副教材でもない。心のノートの位置づけというのを明確に答えてください。――大臣に聞いています。
遠山国務大臣 これは、学校で使っていただくために我が方でつくりました、道徳の教育のときに用いてもらいたい教材でございます。
中川(智)分科員 ですから、教科書ではないんですねと。あくまでも現場の責任において、使う、使わないというのは現場の先生たちの判断にゆだねると。
 でないと、検定制度もちゃんとあって、教科書をつくるにはちゃんと、文部科学省の責任であっても、ちゃんとした検定制度があり、いきなりそのような、委員会がどこでどうやって開かれていたか、どなたがその委員かということもはっきり見えないうちに配られてきた、そのことに対しまして、強制力はないという理解でよろしいんですね。大臣、強制力はないんですね。
矢野政府参考人 少し制度的な話でございますので、私の方からお答えさせていただければと思います。
 これは、先ほど申しましたように、副読本と同様に、道徳教育の充実に資する教材でございます。したがって、法令上は、教科書のように学校に使用義務を課するものではございません。
 ただ、今私が申し上げたように、国として、国の指導助言の一環として、その使用について、都道府県を通じて各市町村に対して使用を指導し、お願いを申し上げたところでございまして、それを受けて、各学校の設置者である市町村、あるいは学校が、これを道徳用の教材として使用するということを決定いたしますれば、それぞれの学校においては、この心のノートを道徳用等の教材として使用をしなければならない義務が教職員には課せられるところでございます。
中川(智)分科員 私は非常にこそくな形でやられたと思います。
 道徳の時間にとおっしゃいますけれども、それぞれ現場では工夫していらっしゃるわけですし、ほかのちゃんとしたカリキュラムの中で、先生たちが、やはり子供たちに生きる力、考える力、そしてどう本当に社会の一員として生きていくかというのは、それぞれ本当にその現場の先生たちの苦労というのがあるわけですから、上から、校長先生や教育委員会なんかがこれを使えと言われたら、強制力をある意味では持たされてしまう。
 そして、文部科学省というだけで、そのプロセスやいろいろなものに対しては、親もまた見えない。これは、親の方からも、いろいろな形で意見が寄せられています。
 それでは、局長、今の答弁に関連するんですが、使用義務を課すものではないという今のお話がございました。そうしたらば、この配付状況がどうなっているか、活用状況がどうなっているのかということを報告させるということは、これは越権というか、そのようなことはできないはずですが、明確にここは答えてください。
矢野政府参考人 そもそも、教育行政の執行、運用について、必要であれば、私どもは、都道府県あるいは市町村教育委員会に対して必要な資料を求めたり、あるいは調査を行うことができるというふうに法律上されているところでございます。
 そして、今回の心のノートにつきましては、大変な国民の税金を使って制作したものでございまして、私どもとしてはその有効かつ適切な活用を期待いたしたいわけでございますので、そういう意味で、私どもといたしましては、きちんと配付されているかどうかということにつきましては既に調査をいたしたところでございまして、調査ができないということは全くございません。それはぜひ御理解をいただきたく存じます。
中川(智)分科員 じゃ、どのような形で調査をしたのか、そして、その報告の中身に対して、ぜひとも資料の公開を要求いたします。
矢野政府参考人 後ほど資料を提出いたします。
中川(智)分科員 配付状況、活用状況、それは両方とも調べたということですか。
矢野政府参考人 既に調べましたのは配付状況でございます。
中川(智)分科員 大臣に伺いますが、文部科学省はこの心のノートというのは非常に有効だ、大事なところだということで、それは文部科学省の方の考え方であって、今国民の大事な税金をとおっしゃいました。その大事な税金を生かす道というのは、私自身は、この心のノートではなくて、もっと具体的にきめ細かな、子供たちに消費者教育をする、環境教育をする、そしてまた性教育をする、三十人学級はいまだに現実のものとなっていない、副担任制もばらばら、学校崩壊、学級崩壊があちこちで深刻な状況になっている、不登校児童はふえるばかり、そのときに、本当にこんなことに税金を使われるということは、もうゆゆしきことだと思っておりますよ。
 勝手に税金をそうやって使って、そして、道徳教育にはいいことだという思い込みの中で、大事な税金を使っているんだから配付状況も活用状況もどんどん調べて、税金をむだに使うなと言うのなんて一方的な押しつけにすぎません。遠山大臣、一言お願いします。
遠山国務大臣 さっきおっしゃいました中で、子供たちがいろいろな問題を起こしているその根本原因は、私は、子供たちの心の中にしっかりした規範意識、あるいは公共のためにどう尽くすか、そういった人間として非常に大事な精神というものが育っていないというところにあると考えます。
 心のノートは、すべての子供たちが今後生きていく際に必要な心の豊かさというものを身につけるために大変必要な資料であると思いますし、先生のところには、そういうこの心のノートについて疑問と思われるような方のお声があるかもしれませんが、私どものところには、大変有効であるという声もたくさん寄せられているところでございます。
 それはさておき、この予算につきましては、国会において承認されました予算を使い、そして必要な文部科学省の施策の展開の一つの施策として使っているわけでございまして、先生のお考えには私どもとしては、そのお考え、先生がお持ちになるということでございまして、私どもとしてはきちんと制度上の許容された範囲内のことをやっているというふうに考えております。
中川(智)分科員 それでは、遠山大臣、予算の使い方においては国会承認でしょう。でも、心のノートという、このような中身のもので教科書まがいのものを、教材をつくるということは、国会承認を経ましたか。
遠山国務大臣 それは、私どもの文部科学行政の所掌範囲の中に当然許されていることでございます。
中川(智)分科員 私は、親御さんとか、そして本当に、友人と申しましても私の子供たちの担任の先生たちと、いまだに、二十年近くたっても仲よくしているわけですね。ですから、今の遠山大臣のお話では、一部のそういう教師というふうな感じがありましたが、じゃ、現場の先生方に、アトランダムにアンケートをとってください。心のノートが現場でどのように生かされているのか、本当に有効なものになっているかどうか。一年近くたつわけですから、アンケートをとってください、そして教えてください。
矢野政府参考人 私どもとしては、先ほど申しましたように、この心のノートが全国の学校現場において有効かつ適切に活用されることを期待いたしたいと思ってございますし、また、そうされるような形での指導もいたしたいと思ってございます。
 その一環として、私ども、活用状況についても今後調査をいたすつもりでございますので、その中で、今先生の御指摘の点も含めて検討をいたしたいと思っております。
中川(智)分科員 私は、活用状況は別に調べなくていいと思いますし、むしろそういうことを調べること自体が、これを押しつける一つの行動になるわけです。
 本当に、教科書として検定も受けていない、そして、全くある日突然に、このように考えなさい。今、先ほど遠山大臣がなぜ心のノートが必要かということをおっしゃいましたが、こう考えなさいという意図が見える部分もございます。私自身は、子供たちが自由で伸び伸びと考える力を身につけるというのは押しつけのこのような教材ではないと信じておりますし、さまざまな、もっと根っこの部分の、本当に、大人のいろいろな姿とか、四十人で先生一人に押しつけてしまっている現状、子供たちの多様化の中でそれに対応できない教育現場のさまざまな苦悩というのもありますし、また家庭の問題もあるでしょう。こういうもので、教科書ではなくて心のノートなどが、そのような精神のさまざまなものというのをかえってゆがめるおそれもあるかもしれないという危惧を私は持っております。
 心のノートに関しましては、アンケートなどというのは、活用とかは別に、本当に今すぐにでも、先生たちがこれに対してどのように思っているか、そして子供たちにもやはり聞いてもらいたいと思います。
 次に、エレベーターの設置、いわゆる学校の中でのバリアフリー化なんですが、まだまだ、障害を持っている子供たちが学校の中で学ぶには、階段を先生たちが抱えてしなきゃいけないということで、私は、公共事業というのはこうやってバリアフリー化のために、まずは公立学校などで優先的にしていくべきものだと思っておりますが、現実、そのような学校の中のバリアフリー化に関しましての御見解を、河村副大臣にお願いします。
河村副大臣 学校施設には、障害のある児童生徒もおりますし、そういう方々も支障なく学校生活が送れるようにというのが基本理念でございます。そういう意味で、バリアフリー化を大いに進めていかなければならぬと考えておりますが、特に昨年の七月にハートビル法も一部改正をされまして、学校施設も、これは努力義務ということではございますが、その対象になっておるわけでございます。
 現状はまだまだ十分でない面もございまして、スロープ、障害者用トイレとかエレベーター等、バリアフリー化に係る施設整備について何らかの整備をされている学校はまだ全体で六五%という数字でございますので、これを早く、全学校に行けるようにということで、国庫補助もこれからまたやっていくわけでございますが、先ほど申し上げたハートビル法の改正にもありますので、さらに各自治体、設置者の皆さんがこのことを十分御理解をいただいて進めていただく必要がございますので、文部科学省としてもそのことについての徹底をこれからも図っていきたい、このように思っております。
中川(智)分科員 じゃ、河村副大臣、エレベーターの設置など、目標というのがございますか、文部科学省として、大体何年ぐらいまでには一〇〇%に近い達成を。
河村副大臣 何年までにどうという目標をまだ打ち立てておりませんが、これまでの補助率からして、このままでいきますとまだ相当かかりますので、いよいよ本格的に学校施設も努力しなさいという義務をかけられましたので、これは今のスピードを上げて、さらに進めるようにと思っております。
 それから、最近は、空き教室を利用してお年寄りなんかも集まられるということもございましたので、特にエレベーターあたりが非常におくれておるわけでありますが、今の古い建物でそのまま建てるというのはなかなか大変ですが、新しい建物にはそういうものをできるだけ活用するようにとか、また、今、地域も学校との連帯が深まっておりまして、地域からの要請もそういうのが参っておるようでございます。だから、できるだけそういうものを進めていきまして、大いに今のバリアフリー化のスピードを速めたいというふうに思っております。
中川(智)分科員 ぜひともよろしくお願いいたします。この地域では障害を持っている子が、学校にエレベーターもないし、行けないとかということにはならないような形で、早急にお願いしたいと思います。
 続きまして、遠山大臣に伺いますけれども、民族学校の大学受験の受験資格の問題なんですけれども、我が国で各種学校扱いになっている外国人学校というのは、百二十校のうち、インターナショナルスクールが約二十校、朝鮮学校が九十校、韓国学校や中華学校などで約十校あるというふうに認識しておりますけれども、今回、アメリカンスクールなど、いわゆるインターナショナルスクールだけに大学入学資格を与えるという報道を目にしまして、これは本当に不公平だな、やはり排除主義というのがまだまだこれから先も続くのかということで、とてもがっかりいたしました。
 そこで、明るいニュースは、お隣にお座りの河村副大臣が陳情を受けられて、私はインターナショナルスクールには朝鮮学校も含まれると思うという御発言をその場でなさったやに聞いております。ぜひともインターナショナルスクールには、歴史、さまざまなもので、日本で、本当に日本人と一緒に暮らしている、その方たちも含んでいただきたい、朝鮮人学校、民族学校も含んでいただきたいと思いますが、遠山大臣の御見解を。大臣から、大臣に通告してございますので。
斉藤主査 では、後で大臣に。先に遠藤局長。
遠藤政府参考人 現在課題になっております大学入学資格の問題について御説明させていただきます。
 規制改革推進三カ年計画、これは昨年の三月に閣議決定をされたわけでございますけれども、その中で、「インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、我が国の大学や高等学校に入学する機会を拡大する。」こと、こういうことが盛り込まれておるわけでございます。
 私どもといたしましては、そういうことでございますから、平成十四年度中にこの閣議決定の宿題につきまして措置をしたいということで、現在、省内でその内容につきまして検討をしているというところでございます。
遠山国務大臣 今御説明しましたように、今検討中ということでございまして、報道されたということでございますが、それは事実に基づかない報道でございます。
中川(智)分科員 それは大臣自身、では検討の最終的な責任、また決定というのは大臣のイニシアチブが大きいと思いますが、一部を排除して、一部だけをこのような資格を認めるという方向は、この国にあってはならないと思いますが、そこの御認識を伺います。
遠山国務大臣 今、この問題について、十分さまざまな角度から検討しているという段階でございます。
中川(智)分科員 私は、自分の子供を育てるときも、余りほかの子と比較はしないように努力してきたつもりですけれども、やはり教育行政というのは、本当に大臣がどのように考えるか、この日本の未来というのをどのような形に持っていこうか、大事な大事な所管大臣です。そして、この朝鮮人学校、韓国学校を、あの報道では、世論の風というのを勘案してというふうに書かれておりましたが、入れていくべきだと思います。
 検討されるその先に大臣のリーダーシップ、そして、排除しないという形での前向きな検討なのかどうか。しつこいようですが、リーダーシップが全然見えません。遠山大臣の御答弁をもう一度お願いします。
遠山国務大臣 私は、あらゆる自分の所管分野について真剣に考え、そしていい施策ができるようにということで日夜やっているわけでございます。
 この問題につきましては、お答えしましたように検討中でございまして、十分さまざまな角度から検討するという段階でございます。
中川(智)分科員 私は、やはり官僚とは違う答弁というのが大臣に求められるものだと思います。官僚の皆さんが答弁されることと全く同じで、一歩踏み出した遠山大臣の、本当に人間性なり、そのようなものが答弁の中から感じられないというのは残念です。私は、これは大臣のやはり大臣たるところをしっかり示していく大事な局面だと思いますので、ぜひとも、河村副大臣が陳情のときにお話しになられたように、インターナショナルスクールには民族学校も含まれるという形で御結論を、早急にしっかり出していただきたいと思います。
 続きまして、私は、子供たちの学校給食という問題、市民運動でしてまいりました。今深刻なのは、アレルギー体質の児童がとてもふえています。そばアレルギー、鳥アレルギー、牛乳、本当にたくさんのアレルギーを持っていまして、そのようなアレルギー食というのを食べてしまいますと、ぜんそくがすごく出て呼吸困難に陥るとかということが、深刻な事態も予想されるんですが、なかなかこのアレルギーを持っている児童への学校給食でのきめ細かな対応というのが、文部科学省の方も、努力しなさいよということは学校現場の方に通達としてお出しになっているようですが、通達というのは、出せばその後どうなっているのか、努力に向けてきっちりやっているのかというのを調べて、やっていなければもっと強く指導する、それが子供の命を守り、健康な体をつくっていく基本的な省の役割だと思いますが、通達だけなんでしょうか。具体的なきめ細かな指導、それをやっていらっしゃるかどうか、お伺いします。
田中政府参考人 学校給食におけるアレルギー児童生徒についての対応でございますけれども、食物アレルギーを持つ児童生徒に対しまして、学校給食において適切な対応を行っていくことは大変重要なことでございます。
 このため、各学校において、児童生徒の食物アレルギー状況につきまして、保護者や主治医と十分な連携をとりながら、学校給食から原因物質を除去するとか、あるいは別の食物で調理した代替食を提供する、あるいは家庭から弁当を持参していただく、そういった個々の児童生徒の状況に応じまして弾力的な対応をとることが重要であると考えておるわけでございます。
 私どもといたしましては、学校給食指導の手引、これを作成、配布いたしますと同時に、通知あるいは学校栄養職員等を対象といたしました研修会等の場におきまして、このような趣旨を十分指導しておるところでございます。
中川(智)分科員 ですから、私の質問は、指導している結果がどうなっているかということを伺ったわけで、そのようなきめ細かな調査はしていらっしゃらないと思います。全国の公立小学校、中学校だけで結構ですので、その実態調査をしてください。全国の何%の学校で、そのように主治医とか保護者から子供の健康状態を聞いて、学校給食のいわゆる除去食対応をやっているところはどれぐらいあるのか、そしてなぜできないのか、それを、少し時間がかかっても結構ですから、一カ月以内くらいに調べて報告を下さい。その御答弁を最後に求めて、質問は終わりたいと思います。
田中政府参考人 我が省で全国的な実態調査は行っておりませんけれども、我が省の所管団体でございます学校栄養士協議会の調査におきましては、学校給食単独実施校におきましては学校栄養職員の七一%、共同調理場における学校栄養職員につきましては六七%が食物アレルギーの児童生徒への対応を行っているというふうに報告されておるところでございます。それから、では残りの、食物アレルギーに対応していない主な理由といたしましては、当該児童生徒がいない、あるいは要望、依頼がないというような報告がなされておるところでございます。
 私どもといたしましては、このような報告を十分勘案いたしまして、各学校におきまして児童生徒の状況に応じた適切な配慮ができるよう、指導してまいりたいと考えております。
中川(智)分科員 ですから、私は、文部科学省としてしっかり実態把握をして、そして、ないということはないんですね、これだけもう、すごいんですよ、アレルギーの子供たち。そして、そのお母さんやお父さんたちの本当に困ったという、それで転校したとか、いろいろなことを聞きます。
 実態と全く合致していませんので、そのような実態調査をして、そしてなぜできないのかということとか、そのようなことを報告いただきたいというお願いに対して一切答えていません。
田中政府参考人 文部科学省において実態調査をすることを現時点においては考えておりませんけれども、いろいろな、栄養士さん方の協議会等を通じまして、全国における、各学校における食物アレルギーの児童生徒に対する対応状況につきましての把握はこれからも努めてまいりたいと考えております。
中川(智)分科員 河村副大臣、今の話を聞いてどうですか。一言ちょうだい。
斉藤主査 持ち時間が経過されていらっしゃるので。
中川(智)分科員 一言。だって、担当大臣、全然答えていないじゃないですか、局ばかりで。実態調査も何もしないと言っていますが。
河村副大臣 現実にそういうお子さんがありますし、私もそういう子供を持っておりますので、この問題の重要性は十分感じておりますので、どういう形で調査をするか、それから、各市町村教育委員会からの報告を求める方法もあろうと思いますので、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
中川(智)分科員 ありがとうございました。
斉藤主査 これにて中川君の質疑は終了いたしました。
 次に、三井辨雄君。
三井分科員 おはようございます。民主党の三井辨雄でございます。
 本日は、特に薬学教育の改革について質問させていただきたいと思います。
 昨年の七月でございますが、文部科学委員会におきまして、当時、今副大臣でいらっしゃいます河村副大臣が委員長のときでございますが、遠山文部科学大臣に薬剤師をめぐる問題について質問した経過がございます。その際に、遠山大臣から、薬剤師が医薬品に関する専門家として、患者の視点に立った服薬指導あるいは医師の処方に関する監査、リスクマネジメントへの関与、治療への参画など、これまで以上にその役割の重要性が増しているということを認識している、また、薬剤師に対する期待は大変大きいんだという御答弁がございました。薬剤師について十分な御認識をいただいていると私は感じているところでございます。
 その後、厚生労働委員会におきまして、薬学教育の改善充実について、当時の岸田副大臣にお尋ねをいたしました。薬学教育の議論自体がどうも時代のスピードについていっていない、そういうぐあいに感じているところだ、このことを重く受けとめて、これからの議論のスピードに反映させていかなきゃならないという御答弁をいただきました。また、国立大学を初め、産学連携あるいは大学の再編等、高等教育自身が今問われているときであり、薬学教育についてしっかりとした議論を行い、早急に結論を出すべく関係者は努力していかなければならないと考えているという大変前向きな御答弁をいただいたわけでございます。
 そして、昨年の十月二日には、文部科学省内に薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が設置されました。現在、熱心な議論をされていると聞いておりますが、遠山大臣御自身は具体的にどのような薬学教育を考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
遠山国務大臣 三井委員がこの問題に大変熱心に取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。
 前回も答えましたけれども、私は、薬学といいますものは、元来人間の命にかかわる事柄を対象とする大変重要な分野であると思っておりますが、近年はなおその重要性が増していると思っております。
 それは、医療技術がどんどん発達しますし、医薬品の創製あるいはその適用においても相当な専門的知識を必要としているわけでございますし、また、最近では医薬分業ということが進んでまいっておりまして、薬学をめぐる状況というのは大変変化もしているわけでございまして、前回同様、私としては、その重要性の認識について改めて申し上げたいと思っております。
 こんな中で、薬剤師に問われる資質といいますものはさまざまにあるわけでございますが、先ほど申したようなしっかりした知識、技術を持つということを前提とした上で、チーム医療を行う際に医療現場で積極的な関与をすることが求められる、あるいは患者の視点に立ったきめ細かな服薬指導、それからリスクマネジメント等、さまざまな高度の資質を求められるようになってまいっております。
 そのようなことから、薬剤師の養成につきましても、時代のニーズに合わせた養成のあり方というものを考えていきたいということで、今御指摘がありましたように、鋭意私どもとしても検討しているわけでございますが、その中身につきましては副大臣の方からお答えしたいと思います。
    〔主査退席、萩野主査代理着席〕
三井分科員 大臣には何度かこういうことで議論をさせていただいてまいりましたけれども、大臣もこの薬学教育については、当時局長をなさっている時代から、この問題は特に六者懇、あるいはもう三十年来の六年制問題は、薬剤師会でも日薬さんでも取り上げてきた問題でございます。
 そこで、河村副大臣にお伺いしたいんですが、薬学教育に関する調査研究協力者会議の進捗状況についてお伺いしたいと思います。現在、具体的にどのように検討が行われているのか、また、新しい教育制度をいつぐらいからスタートさせるのか、おわかりになれば御答弁願いたいと思います。
河村副大臣 三井委員御指摘のように、薬学教育の協力者会議は、昨年十月に高等教育局長のもとに置かせていただきまして、これまで既に五回開催をしておるところでございます。特に、これからの薬学教育はどうあったらいいか、それから、文部科学省としては、やはりカリキュラムがきちっとしているかどうかということも非常に気になるところでございますが、そういうこと。それからもう一点は、まさに実務研修といいますか、この受け入れがきちっとできるかどうか、この点について特に議論をしてきたわけでございます。
 これからさらに、その制度の設計、いわゆる薬剤師の部門あるいは創薬の部門がございますから、そういうことも含めながら、教育制度のあり方はどうあったらいいかということをもう少し議論を深めていただきまして、昨年十月から約一年程度で最終的なお取りまとめをいただきたい、こういうことになっております。文部科学省としては、それを受けまして、中央教育審議会に付してさらにいわゆる教育面からのいろいろな御協議を賜るということで、その後法案化という形で持っていかなきゃいかぬだろう、こう思っております。
 私は、これはまだ省内で決定したわけじゃありませんが、今の見込みでいけば、この状況で進めば来年の国会には法案が出せるのではないか、このような期待値を持って今これからの成り行きを見守っておるような状況でございます。
三井分科員 ありがとうございます。
 今、副大臣から、五回の協力者会議が行われてきたと。具体的な問題点として、どのような点が挙げられているのか。また、教育内容では、昨年、日本薬学会がモデル・コアカリキュラムを策定しておりますが、どの程度生かされているのか、お伺いしたいと思います。
遠藤政府参考人 先ほど副大臣から御答弁申し上げましたように、協力者会議はこれまで五回開催されまして、主な論点といたしまして、薬学教育の考え方、カリキュラムのあり方、実務実習のあり方、こういったような問題について議論をされているわけでございます。特に、カリキュラムのあり方につきましては、御指摘ございましたように、昨年、日本薬学会におきまして作成されました薬学教育のモデル・コアカリキュラム、これを参考に議論をしているような状況でございます。
 カリキュラムのあり方につきましては、一つは、薬剤師の養成、あるいは薬学研究者、技術者の養成といったようなことにつきまして、その進路の多様性を保ちながら、カリキュラム内容の精選が必要ではないか、こういったようなこと。
 それから、二つ目には、コアカリキュラムを中心としながら、大学による多様な特色あるいは工夫といったようなものを生かしたカリキュラムが許されていいのではないか、そういったようなこと。
 それから、三番目には、薬剤師養成、これが中心ではありますけれども、創薬、基礎薬学といったような研究者の養成への目配りということも必要でございますから、その双方につきまして、国際通用性を持った養成が行われる必要があるのではないかといったようなことなどが課題として挙げられておるわけでございます。
 もう一つの実務実習の問題につきましては、やはり、実務実習は充実をしなければいけないわけでございますけれども、そのためには、それを受け入れてくれるところがきちんとしていなければならない、体制が確保されていなければならない、どうするかといったような問題。
 それから、実務実習は、病院あるいは薬局で行われるわけではございますが、これは、一方で言いますと、大学の教育課程の中に組み込まれた教育の一環として行われるということでございますので、そういった実習先におきます指導といったようなものをどう組み立てていくかといったようなこと等々、課題として挙げられておりまして、そういったような問題について議論をしている、こういうことでございます。
三井分科員 今御答弁いただきましたように、実務実習というのは非常に、副大臣からも御答弁いただきましたけれども、このあり方について、やはり一番の問題は私は実務実習だと思うんですね。そういう受け入れ体制について、やはり大学病院が主として、教育機関でありますから、これはしっかり受け入れをしていただく。
 また、この実務実習ですけれども、私も薬剤師出身でございますので、いきなり病院に勤務しても、製薬メーカーにいたこともございますけれども、自分のところの薬はわかっていても、全何千種類という薬は覚えることはなかなかできないんですね。そういう苦労をしたことも実はございました。
 その中で、私は、実習期間というのはやはり六カ月ぐらいは最低でも必要だなと。これだけの新薬がいろいろ出てくる、あるいは、生物由来品とかいろいろなものが出てくる中で、やはり薬剤師の現場での、最先端を行く大学病院の附属病院の中で実習をきちっとしていただきたいな、こういうことを願うわけでございます。また、実習生自身の、受け入れる側の大学病院あるいは薬局等の指導運営体制というんでしょうか、それにやはり支障を来さないように、文部科学省は目配りをしていただきたいと思います。
 さて、我が党の、民主党においても、実は、文部科学部門会議に薬学教育制度問題ワーキングチームを設置いたしました。そして、私も事務局長ということで、今、もう四回ほど勉強会をしたわけでございますけれども、さまざまな角度から、薬学教育の充実、年限の延長を含めた課題について検討をしてきたわけですけれども、その中の多くの意見は、医療事故、冷やり、はっととか、そういう薬害をプレアボイドして未然に防ぐには、やはり薬学教育の六年制への改革を急ぐべきだと。また、諸外国では薬学教育六年制がもう当たり前になっているということがあるわけですね。そういう国際基準からなぜ日本がこんなにおくれているんだろうと、実は私も感じているところでございます。
 ヨーロッパ、アメリカは、これはもう大臣も副大臣も御存じだと思いますけれども、当然、いろいろな国、諸外国の事例が出ておりますけれども、今、韓国も六年制になりました。フランスあるいはドイツ、当然これはもう六年制でございますけれども、その中で、特にインドネシアの例を挙げて申し上げますと、修業年限が五年プラス実習一年となっております。そして、例えば日本に留学して取得した薬剤師免許が、これは日本で取っても使えないんですね、インドネシアでは。そういう、失礼ですけれども、発展途上国でありますインドネシアでさえも、そういうシステムになっている。あるいは、タイなんか、もう昔から五年制なんですね。そういうことを考えますと、やはり日本においてはもっと修業年限を、六年制というのはもうむしろ遅過ぎたぐらいだということで、たびたび質問をさせていただきましたので。
 この検討会は、三月に一定の結論が出るのかと聞いておりますけれども、文部科学省の協力者会議の中間報告がいつごろになるのか、おわかりになればお尋ねしたいと思います。
河村副大臣 薬学教育の六年制への問題は、三井委員御指摘のように、この今の時代でございます、急ぐ必要があると私も思っておりますので、先ほど御答弁申し上げましたように、協力者会議の議論を待たなきゃなりませんが、三月ということについてはちょっとあれでしょうが、できるだけ早くと、こう思っておりまして、夏までにはこの報告がいただける、中間報告がいただけるんじゃないかと思っております。
 この会議は、現在審議も公開で、オープンでやっておりますので、今後もその過程は明らかになっていくだろうと思いますが、この六年制への問題の意識というのは非常に高まっておるときでございますから、協力者会議の皆さん方もそのことを踏まえて、中間報告を早くお出しいただけるのではないか、このように感じております。
三井分科員 どうもありがとうございます。
 もう一つ副大臣にお伺いしたいんですが、厚生労働省との連携についてでございます。
 薬学教育の改善充実を進めていく中で、厚生労働省とやはり連携を密にしていかなければ、当然、厚生労働省においても、薬剤師問題検討会の中で、薬剤師の国家試験の受験資格の見直し等について検討が行われているというふうに聞いておりますけれども、そうなると、新しい薬剤師国家試験の枠組みと教育制度との関係はどうするのか、あるいは、両省が連携して調整をしていかなければならない課題だと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
河村副大臣 委員御指摘のとおり、これは、厚生労働省と文部科学省との連携のもとで進めていかなきゃなりません。厚生労働省側がいわゆる国家試験をお持ちでございますから、当然、それに合わせということでお進めになっておるわけでございますが、私の聞いたところでは、ちょっとその辺のそごがありまして、全く文部科学省に御相談ないままにその先に行ってしまったりして、我々としては今ちょうど検討しております。厚生省側がもっと早くからお始めになったというお気持ちはこっちもわかるのでございますが、こっちが本格的に始めたのは昨年からでございますから、厚生労働省側にもそのことを御理解いただきながら、こちらもできるだけ急ぐので、余り早く行ってもらっても大変でございますので、その辺も共通の認識を持てるようにということで、今協力体制を特にしっかりとるようにということで、文部科学省側も連携をしっかりとらせていただきますので、厚生労働省側もそのことを御理解いただいて、両方相まって、薬剤師の姿というものが今の新しい時代に合ったものになるようにということで、しっかり頑張ってまいりたい、こういうふうに思います。
三井分科員 副大臣から心強い御答弁をいただきました。本当にここは連携を深めていただいて、まさに患者本位のやはり医療をしていかなきゃならない。河村副大臣も常々おっしゃっていますように、この薬剤師の、やはり今医師が六プラス二、歯科医師が六プラス一、それから獣医師さんも今六年制になりました、そういう中で、やはりこれだけ医療が進む中、あるいは新薬ができる中で、ぜひともその連携というのは深めていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
 そこで、私もしばらくぶりに病院の薬剤部を見てきたわけでございます。先日、私どもの教育制度問題ワーキングチームで、一月二十九日でございますけれども、天皇陛下がちょうど御入院されていたようでございましたのですが、私たちは十五階で説明を受けまして、天皇陛下は十四階にいらっしゃる、大変失礼なことをしちゃったんですが、その上で実は御説明を承りました。
 そこで、東京大学、東大の附属病院でございますけれども、病院における薬剤業務全般の実態調査ということで、薬剤部長であります伊賀教授のところにお伺いして、外来の調剤、あるいは注射薬の病棟における調剤とか、あるいは高カロリー輸液、IVHの調製業務を見てきたわけです。
 特に、病棟における薬剤業務を見たときに、患者さんに、ICU、CCUはバーコードがついているんですね。バーコードがついていまして、そのバーコードで薬の間違いがないように、投薬の間違いがないようにと。
 非常に私も見て勉強になったのは、こんなにも変わったのかなと思うのは、やはり昔は点滴に名前を書いて、三井なら三井辨雄と書いた点滴がぶら下がっていたわけですね。私も入院をしたことがありますけれども、そのときに、きょうは黄色だったのにいつの間にか白に変わってみたりとか、非常に単純なミスが多いんですね。そういう中で、非常に僕が感じたことは、やはりバーコードをつける、あるいは詰所において無菌室をつくって調剤をしている、非常に、こんなにも変わったのかなということ。実は三十数年ぶりで現場を見させていただいたわけですけれども、ICU、CCUにおいてはこれはやはり理想なんですね。
 そういうことを、やはり三者、お医者さん、そして薬剤師さん、そして看護婦さん、三者一体になってチーム医療をしていくという、さっき遠山大臣からも御答弁いただきましたように、非常にこれは私は重要だなと実は感じたわけでございます。
 その中で、やはりお医者さんにも聞きました、あるいは看護婦さん、婦長さんにも聞きました。薬剤師さんが入ることによって何か違和感がございませんかということをお聞きしたんですが、いや、それは違います、むしろ、薬剤師さんがいることによって、看護婦は看護婦の本来の仕事ができる、そしてお医者さんも治療にかかれる、薬の専門家は薬剤師なんだということでは、非常にチーム医療がしやすくなったと言うんですね。
 また、薬剤師さんにもお聞きしました。詰所に入ることによって、服薬指導あるいは調剤をすることについて抵抗ございませんかとお聞きしましたら、非常にうまくいっているということもお聞きしました。まさしくこれが、チーム医療の重要さと薬剤師の重要さを目の当たりにしたわけでございます。
 ぜひとも、そういう意味で、病棟に入るというのはそれなりの経験と知識がやはり必要でございますから、そういう点を強調していきたいなと思う次第でございます。
 また今回、国立大学法人の提出を予定していると聞いておりますけれども、国立大学また大学共同利用機関を独立行政法人化した新たな法人の長となる理事長あるいは学長に組織運営の権限がゆだねているわけでございますけれども、そうなれば、現在の学校設置法と施行規則の存在はどうなるのかということもお尋ねしたいと思います。
 昨年、遠山大臣に、医学教育課の皆さんと随分やりとりをさせていただきましたけれども、例の十八条でございましたか、省令の薬剤部長制の問題でございますけれども、診療支援部に組み込むというそのお考えをこれは独立行政法人に引き継ぐことのないように、やはり独立した形の薬剤部長、今私がお話し申し上げましたように、やはり薬剤師が将来目指す、あるいは希望を持たせるという意味で、ぜひとも私はここをはっきりと確認させていただきたいと思うのであります。
 特に、独立行政法人、昨年の臨時国会で約四十五の独立行政法人ができたわけですけれども、ぜひとも、国立大学附属病院に働く薬剤師、今病院薬剤師は約三万五千人ぐらいでしょうか、その方々が、やはり自分たちの使命感、そして意欲と自信を持って患者本位の医療を続けられるように、薬剤師をしっかりと位置づけてほしいと思うんです。先ほどもございましたように、薬剤師は医療のリスクマネジメントを確立するということも重要だと思いますし、最後に遠山大臣にそのお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
遠藤政府参考人 現在、今国会に国立大学法人法案を提出したいということで準備を進めておるわけでございます。
 これは、いわゆる独立行政法人制度の特例というような形で国立大学をそういうことに持っていくわけでございますけれども、そうしますと、国立学校から法人格を与える法人の方に移行しますので、国立学校設置法を廃止するというのもあわせて出そうと。したがいまして、国立学校設置法が廃止をされますと、その中を決めております国立学校施行規則も廃止になっていくということでございまして、大学の内部組織については基本的にはもう大学の中で、したがいまして、附属病院自体、そういう省令というような形でもう出てこないという形にはなるわけでございます。
 法律関係の事実関係としては、そういうことでございます。
遠山国務大臣 法律上の扱いにつきましては、今お答えしたとおりでございます。これは、法人化に伴ういろいろなやり方を、かなり大学に自立性を持ってもらうということで、規定自体も簡素化していくということでございます。
 今のお話の国立大学病院の薬剤部、これはこれまでにも病院内の基本的な組織の一つとして位置づけられてきております。したがいまして、今後も、薬剤師の果たす役割が一層重要になってきている段階で、私としては、薬剤部の位置づけはますます重要になりこそすれ、これの役割がそれぞれの大学病院の中でよりしっかりと位置づけられることはあっても、後退するようなことはないというふうに考えておりますし、また、そういうことも確認しながら新しい制度に移っていくべきではないかなと思っております。
三井分科員 時間があるようでございますので、もう少し質問させていただきたいんですが、ちょっとしつこいようですけれども、今遠山大臣から御答弁いただきましたように、この問題については、先ほどから申し上げていますように、薬剤師が本当に、大学病院によって、国立病院あるいは民間の大型病院も薬剤部長制度というのは変わってくるんですね。そういう意味では非常に重要だということも再三私は質問させていただきましたけれども、設置法が変われば当然病院によって、これはそこの理事長なり学長なりが決めるんだということでなくて、決してその省令がすべて悪いということでなくて、やはりどこかでそこをきちっと決めていただかないと、そこに働く薬剤師の将来ということを、夢と希望を持たせて、患者さんのために一生懸命やるんだという、やはりそれが私は大事だと思うんですね。そういう意味で、ぜひさらにまた御検討していただいて、それはどこで、薬剤部長制度についてはこうしてくださいというような指示というんでしょうか、そういうことを出せるのか、そこをぜひとも文部科学省である程度イニシアチブをとっていただいて、そして現場を指導していくというんでしょうか、目配りしていくということをぜひお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
萩野主査代理 これにて三井君の質疑は終了いたしました。
 次に、城島正光君。
城島分科員 おはようございます。民主党の城島でございます。
 今、三井先生の方から、薬学や薬剤師の極めて重要な問題点を含めて要望されているわけですが、私は同じような観点から、獣医学教育あるいは獣医師、この点の特に教育の体制について御要望と、それから大臣等の御見解、さらにはこれからのこの問題についての積極的な対応をお願いしたいという趣旨で質問をさせていただきます。
 どだい、私は動物が実は大好きだったもので、小さいときというんでしょうか、小学生のころ、ありとあらゆるというと言い過ぎになりますが、ほとんどの動物を飼育して、しかもそれを観察するのが大好きでありまして、犬、猫はもとより、ヤギとかウサギも含めて、あるいは鳥もそうでありますし、蚕とか、それから魚類、爬虫類、何でも飼っていたんですが、したがって、行く行くは獣医学を学ぼうと小学生のときから実は思っていました。そのとおり順調に来たんですが、どこかで間違えて政治家になってしまって、半分後悔しているような、だからやらないかぬ分もあるな、こういうふうに思っているんですが。
 単純な質問ですが、大臣はいかがですか、動物を飼育されたり、あるいはお好きなんでしょうけれども、そういう体験はございますか。
遠山国務大臣 私も田舎で育ちましたものでございますから、周辺にいろいろな動物がおりまして、小さいときからそういう各種の動物に親しんできた方の人間でございます。飼っていたのは、せいぜいウサギとか鳥、鶏とか、そんなものでございますけれども、それからもう少し都会に移りましてからは小さな鳥を飼っておりましたけれども。今は本当に犬を飼いたいのでございますが、ややこういう仕事でございまして、飼えないような状況でございます。
城島分科員 お飼いになるときはぜひ御相談いただければ、いい人を御紹介したいと思いますが。
 ただ、獣医学は今やそういう領域だけではなくて、まさに今、ある面では最大の国民の皆さんの心配事でもあり、関心事でもある。例えば食品の安全、今度食品の安全基本法もできますし、あるいはこれから安全委員会もできるわけでありますが、BSEを一つの問題の発火点として、そこまで大きく対応をとろうと政府はされているわけであります。よく言われるように、食品の安全一つとっても、農場から食卓まで、この問題とってもあらゆる場面で重要な仕事をしているのが獣医ですよね。獣医さんを抜きにして食品の安全というのは語れない。
 さらに、最近は、これもエイズからスタートしたわけでありますが、いわゆる人獣共通感染症ということで、最近の重度な人の感染症のもともとのスタートは動物というのが圧倒的に多いですね。エイズも猿でありますし、最近のエボラ出血熱等々、非常に人獣共通感染症問題というのがまた一つ大きな関心事になってきている。これはサミットの話題にも、テーマとしてもなるぐらいでありますし。
 また同時に、ペットという観点からいうと、これは大臣もお好きだということであればそうであると思いますが、最近は、ペットロスという表現をお聞きになったかもしれませんが、まさに核家族化ですとか、あるいは少子化ですとか、それから特に高齢者の皆さん方の中で、いわゆるアニマルセラピーはもとよりでありますが、そういう観点で動物、愛玩動物を家族同様に飼育する、家族の一員であるということが非常に広がってきて、まさに、いやしではありませんが、そういう状況で飼育をされるということが非常にふえている。
 したがって、家族の一員であるペットとの別れというのがまさに人間の家族と同様の非常な悲しみであるということからくるペットロスの問題というのも、これまた非常に重要な問題になってくるなどなど、実は獣医学領域が抱えている問題というのが非常に幅広く、かつ今の現代の状況からいうと重要な領域であるというのは実は非常に問題なんですけれども、なかなか、そうした社会的な状況に対して、では今の獣医学がマッチしているかどうかということからいうと、甚だお寒い状況ではないか。
 社会的な状況もそういうことでもありますし、ちょっと調べてみますと、もう一つ獣医学の領域で最近の特に遺伝子関係の生命工学、これも例えばクローンの問題等含めて非常に領域が広がってきているということもあって、そして、昭和五十九年からですか、獣医学が一応六年制になったということもあって非常に志望者が多い。ちょっと調べてみましたら、国立大学では大体、入学の倍率が十倍ですね、この十数年間。一番低いときでも平成六年の九・八倍ですが、あとはほとんど十倍を超していますし、私立大学に至っては約三十倍という大変な人気の学科、学部あるいは学校になってきている。
 しかし、さっきの背景と、こうした若い人たちの希望と、希望に燃えて入ったはいいんだけれども、この獣医学教育そのものが率直に言うと戦後五十年の状況の中ではほとんど変わっていないというのが、私は大変大きな今問題ではないかというふうに思っているわけです。
 そういう段階で、今この獣医学教育の施設や教員も含めて、一体、大臣、どういう御認識をされているのか、それを承りたいというふうに思います。
遠山国務大臣 獣医学教育につきましては、今城島委員お話ございましたように、学部の四年制の教育から現在の六年制教育へと充実をしたり、さらには連合獣医学研究科の導入をしたりということで改善に努めてまいったわけでございますが、今お話しのように、近年、国際化の進展などに伴う家畜感染症の予防が重要になってきていること、また、一般の市民の中での動物愛好者が非常にふえてきていて、そういうことから獣医学の専門家に頼るというようなことも起きてまいっておりまして、したがって、今後とも充実した獣医学の教育の展開が課題となっていると考えております。
 こうした中で、先生御指摘のように、国立大学の獣医学科といいますものは、諸外国に比べて教員数それから施設が不十分であるとの指摘もございますし、今、大学の内部それから大学の相互間で獣医学教育の充実に向けて検討が行われているとは承知いたしております。
 私どもといたしましても、こういう状況を踏まえまして、獣医学教育に関する幅広い関係者を集めまして、その充実のあり方について協議をする必要があるというふうに考えた次第でございます。たまたま今月の初めに、その専門家による協議会の第一回を開いたところでございます。これも余りだらだらやっていないで、結論を一年をめどにいただきまして、我が省として必要な獣医学教育の充実に努めていきたい、そのように考えているところでございます。
城島分科員 問題意識をお持ちいただいているということで大変心強いわけでありますが、これだけ、ある面でいうと国際化した状況の中で、特に食品も含めて、先ほど言いましたように動物も含めて、随分国境がなくなってきているということからしても、この問題、非常に大事だというのは、例えば、調べてみましたら、EU、ヨーロッパのEUの場合は、まさに食料が自由に国境を越えて流通するように一層EU統合でなったということもあって、獣医師の質的な均一化というのが非常に喫緊の課題だ、不可欠だという認識で、ヨーロッパの場合は日本と違って、獣医師はどうも国家試験ではなくて、認定した大学を卒業すれば獣医師の国家資格というか、日本で言うそれを与えるようでありますが、したがって、三年ほどかけてEU域内の全獣医学科の点検を行った。そして、教員の数、それから施設設備、カリキュラム等々、かなり広範囲にわたっての評価をして、その評価に合致した大学の卒業生だけをいわゆるEU域内の獣医師として認定をするということを合意して決めた。そのチェックをしたということですね。
 それで、ほとんどの大学は合格したようでありますが、スイスの二つの大学だけはちょっと不合格になったということでありまして、それもちょっと調べてみますと、その不合格になった大学でも日本と比較するとかなりレベルが高いなと、あえて内容は申し上げませんが。
 ということであるわけで、こういうことでいくと、一つ心配するのは、アメリカ、カナダも同じようなことをやっていますよね。EUもそうだと。これだけ、今度のBSEの問題でもそうでありますし、あるいは最近の中国等の農薬の問題なんかもそうであります。例えば水際の検疫なんかも含めての問題として、国際的に、では日本の国家資格を取った獣医というのは本当に獣医師として同じように認めるのかどうかという論議になりかねないかなと、今の動きは。EUがあり、アメリカ、カナダがあり。そうした点からも、これは喫緊の課題ではないかというふうに思うんですよ。
 特に、そういう点でいうと、教員の数ですね。例えば、調べてみましたら、ヨーロッパでは一学年の学生数と教員の数は大体一対一が普通の常識ということからしても、日本のこのお寒い状況ですね。それから、施設の不十分さというようなことがあると思うんです。
 しかし、その前に、これはぜひやっていただきたいんですが、同時に象徴的なのは、教員の数と施設の問題で象徴的なのは、私は、講座数と獣医師の国家資格の試験科目の差だと思うんですよ。ここに象徴的にあらわれていると思うんですね。
 獣医師の国家資格の試験の科目数が今十八ぐらいだと思うのですけれども、ところが、今調べてみますと、国立大学で講座数が、平均ですけれども、八、九、十とか、その講座しかない。それで、国家資格の試験は十七とか十八科目ある。それで、合格率は九割とか、場合によって、大学によっては一〇〇%だ。これは、よほど大学の先生が必死で頑張っているか、あるいは、どうなのかな。だから、国家資格の科目数ぐらいの講座数があるぐらいまでは少なくとも早急に是正しないと、これは話にならないな。
 まずはそういうふうに思うんですが、少なくとも、国家資格と講座数あるいは教員の数との問題、これは文科省だけではどうしようもないと思うのですけれども、この是正はどうですか。早急に、まずは最大の検討課題だと思うのですが。
遠藤政府参考人 先生の御指摘の問題状況は全くそのとおりでございまして、我が国では、国立大学の獣医学科の規模が欧米に比べまして非常に小さい。例えば欧米でございますと、州立大学ということもあるし、酪農国家だったということもございまして、それぞれの大学が非常に規模が大きい。例えばミュンヘン大学というところでいきますと、学生数も千四百といったような、全然けたが違うぐらい、もちろん、そういう意味で、先生の数も、教職員の数も非常に大きい、こういう状況であるのは十分承知しておりまして、そこが日本の最大の問題点だということも承知しておるわけでございます。
 御指摘の、そういうことで教職員の数が少ないということもございまして、御指摘のように、獣医師国家試験科目が十八科目でございますが、学生の入学定員が大体三、四十名ということでございますから、教授でいえば、その講座の数程度ということでございますから、十八にまだまだいっていないということで、それぞれの大学では、隣接の講座といいますか、そういう中での範囲をカバーしているようなところの助教授あるいは非常勤講師を雇うといったようなことで、国家試験科目に対応した教育が行われている、こういう状況であるわけでございます。
 これをどうしていくかというのはまさに最大の問題でございまして、ちょっと足りないといってもけたが違うというような感じでございますものですから、そこをどうしていくか、本当に抜本的にどうしていくのかということが大きな問題でございますので、先ほど申しましたように、一大学、一大学の問題を超えた全体の問題じゃないかということもございまして、二月に、獣医学教育に関する協力者会議を、そういう問題を考えていこうじゃないかということも含めて、立ち上げをして、いろいろな関係者の御意見を聞きながら、それをもとに、また次の展開を図っていこう、こういうことで考えておる次第でございます。
城島分科員 もうちょっと何かスピードアップしていただかないと、これには、教育ですから、私が言うまでもなく時間がかかるわけですよね。ところが、世の中の変化だとか、獣医学あるいは獣医師に対する要請するレベル、高いレベルを求めるものは急速に来ているわけなんで、これにやはり対応し切れない。今の対応している先生たちの努力は一生懸命なんですけれども、必然的に対応できないような状況になっているんじゃないですか。
 したがって、これは、まして今度、国立大学から独立行政法人になっていくということもあるわけで、しかも、御指摘のように、自主的に今幾つかの大学で、それではというので統合しようかとか、これは長年こうやってきているわけですけれども、これは、大学当事者の皆さんは大変問題意識をお持ちなんですけれども、それはいろいろやはり地域事情もある。しかもこれは、人気もある学科ですから、統合すればここはなくすなんということについては、総論は賛成だけれども具体論になると反対というのは当然ですよね、ある面でいうと。
 ですから、そこをぐっと引っ張っていったり、拍車をかけるのはどこかがやらないかぬとすれば、こういうことこそ、まさに文科省がぐっと後押しをしてやらないとこれは進まないというふうに私は思うんですよ。これは本当に時間がないテーマだというふうに思うんですね。ですから、そこはもうちょっと、やはりいついつまでぐらいにはどうこうしたいという方針を持って当たっていただけないものですか。いかがですか。
遠藤政府参考人 御指摘のように、今いろいろな話し合いが行われて、しかもいろいろな難しい問題がある、これはもう重々承知しておりまして、それではどうするかということで、そういういろいろな御意見の後押しをする、まとめる、そういうことも念頭に置きながら、今回二月に協力者会議というのを立ち上げまして、その中でそういったような問題もいい方向に行くようにということで、私ども考えておるわけでございます。
城島分科員 気持ちはわかるんです。だから、ある程度いつまでにめどを立てるとか、例えば時限性というのはどうですか、目標。
遠藤政府参考人 協力者会議を立ち上げた段階におきまして、一年以内にはとにかくそういうことで何らかのまとめをいただく、そういうことも含めて、という努力目標を掲げております。
城島分科員 それはもう、努力目標じゃなくて、ぜひそうしていただかないと、先ほど言ったように、せっかくいい若い人たちが入ってきている、しかし設備も不十分だ、先生の数も足りないということで、そういう若い人たちの希望もなくなり、ましてや、先ほど言ったように、国際的な認知度がどうかというようなことについて私は大変危機感を持つので、これはもう余裕がある話ではないというふうに思います。
 「世界獣医師連盟による獣医教育の必要最低条件」というのを私もこの際調べてみましたが、これは、基礎科目というだけで実は二十科目もあったんです。必要最低限の条件という、基礎科目ですよ。それで二十科目。そして、最低条件で二十科目がずうっとありまして、それにプラス、適正な視聴覚設備、図書、十分な臨床、実験及び実地訓練が行われなければならないとか。これを読んでいったら、ますます、今局長がおっしゃったようなことはもう早く終わって実際の中身に移らないと、とてもじゃないが世界から相手にされなくなるという状況だなと。
 この世界獣医師連盟の獣医教育の必要最低条件という中にも書いてあるんですけれども、しかしこれで、これに足りていないところが必要最低条件を満たすのには場合によっては十年から十五年かかるかもしれない、こういうふうに言っているんですよ。これがどこを指しているのかというのはあるんですけれども。
 ですから、それぐらいの時間がかかることなので、今おっしゃったことについては、少なくとも努力目標じゃなくて、ことしじゅうに方針を出して、その具体化を早急に来年ぐらいからしていくということにして、何とか十年とか十五年後ぐらいですよ、今のEUとかアメリカのレベルに追いつくかもしれない。あっちも、もっとどんどん進んでいくわけですからね。ということがありますから、これについてはとにかく早急に、最重点の項目としてやっていただきたいと思います。
 同じような観点でなんですけれども、今のは国公立について申し上げましたけれども、実は私大、私立の方なんですけれども、これは私学助成を調べてみましたら、これではやはり、設備だとか、人を雇っていくのにもちょっと大変だなと思うほどの金額しかないんですけれども、これはどうですか。私学助成の状況についてはどういう御認識なんですか。
加茂川政府参考人 私学助成についてのお尋ねでございます。
 私立大学等に対します経常費助成を行っておりますけれども、この算出の仕方の基本でございますが、内容といたしましては、教職員の人件費でございますとか、基盤的な教育研究費等に対して補助をするという性格を有しております。
 そして、その配分につきましては、教職員給与費でございますとか教育研究経費などの事項ごとに定めました単価に、教員数でございますとか学生数を乗じて基準額を算出いたします。そしてさらに、一定の調整を、例えば教育研究条件の整備状況等に応じた調整を行って額を決定するというものでございまして、獣医学部につきましてもこの原則のもとに算出をいたしておるわけでございます。
城島分科員 医学関係と全く同じですか。
加茂川政府参考人 基本的には全く同じでございまして、学部によって単価の差を設けておりません。
城島分科員 その費目ですね、要するに私学助成についての費目についても同じようなものですか。
加茂川政府参考人 基本的には、先ほど学部によって積算単価の差が設けられていないということを申し上げましたけれども、積算の項目にあります費目につきましても同じ扱いでございます。(城島分科員「同じ扱いというのは、大体同じ」と呼ぶ)はい。
 委員がおっしゃいました他の学部、例えば医学部との比較で申し上げますと大変な額の差が出てくるわけでございますが、この差と申しますのは、先ほど申しました単価に乗じます教員数が、委員のお話にございました講座の数が違うといったこともございまして、教員数に大きな差がございますので、計算の結果、具体的な金額にも、他の学部、医学部と比較した場合には大きな差が出てきておるわけでございます。
城島分科員 ただ、私が調べると、医学系教育には計上されているいわゆる費目というんでしょうかね、そういうのが獣医学教育にはないのがあるんじゃないかと思うんですよ。それは文科省だけの範疇かどうか、ちょっとあれですけれども。ちょっと調べてみると、例えば医療従事者の確保対策とかいうようなことで医学系に出ていたり、僻地医療対策とか、そういうことで、医学系教育のための支給されている費用があるんですよ。
 というようなこともありまして、どうも幾つかの項目で、先ほど申し上げたように、今や守備範囲からすると、医学系と獣医系というのは甲乙つけがたいというか、広がりからいうと場合によっては獣医学の方が広いかもしれないというぐらいの中で、この差というのはほとんど納得できないなと。
 そうすると、今おっしゃったように、仮に今のそういったことでいくとすれば、先ほどから問題を指摘しているように、土台がおかしいわけですから、人数が足りていないわけだし。そうすると、それに応じてだったらいつまでも改善しないのは当たり前なので、そこはそういう画一的なことじゃなくて、今問題意識を述べたようなことからすると、であるがゆえに広がっていかないわけなので、やはりそこはちゃんとそういうことを配慮したようなことにしないと。
 私は、調べてびっくしりましたよ。こんな金額なのか、ゼロが一つ違うんじゃないかと思いましたよ、正直言って。これでは私立の獣医学の方は設備も充実できないなと。医学部と比べてゼロが一つ違う、ゼロが。これはちょっと幾ら何でも、ゼロを一つつけろとは言いませんが、最低倍ぐらいにはいいんじゃないですか、本当の話。そう思いますよ。いかがですか。
加茂川政府参考人 委員御指摘のような補助金額の差が、医学部と獣医学部間には確かにございます。
 先ほど申し上げましたように、経常費の積算の内訳と申しますのは、一番大きなウエートを占めますのは人件費でございまして、教員数を根拠にしながら積み上げた金額が前提になるわけでございますが、先ほど来議論になっております教員数の差がこの額にも反映しておるわけでございまして、私学助成の考え方が実際使われている人件費に対して補助をするというものでございますから、仕組みは御了解いただきたいと思うのでございます。
城島分科員 では、仕組みはわかりましたよ。
 そうすると、大臣、今のようなことですから、現状を何とか維持していくのにきゅうきゅうとしているわけですね、私学の方の獣医学をやっている大学というのは。今大体、獣医学の卒業生千人ぐらいのうちの六百人ぐらいが私学だと思いますよ。そうするとこの問題は、国立大学の方は先ほどあったようなことで、何とかことしじゅうに例えば統合も含めて充実の方向、私学はそうはいきませんから。そうすると、これは積算基準あたりというのを、今のやつは今のやつでわかりましたけれども、同様な観点で見直さない限り、これはこのままじり貧のままということになりますから、ここは何らかの、私学の方はそういうことでの御検討をいただけませんか。
遠山国務大臣 今お話を伺っておりまして、医学部とかなり差があるということも明らかになったわけでございますが、私学助成は総額自体が私自身はまだまだ十分でないと思っておりまして、今の財政状況のもとでどんなふうに充実したらいいかなと本当に頭を悩ませておりますが、我が省としては、毎年最重点として取り組んでいるんですね、私学助成と科学研究費補助金。今のようなこともよく考えまして、たしか、私学助成については、施設設備については別途あるんですよね。ですから、その部分をどうやって先生がおっしゃる分野に充実していくかというようなことは、検討の余地があると思っております。
 そんなことも含めまして、とにかく今の現状をしっかり洗ってもらって、そして充実策を立てていく必要があると思っております。
城島分科員 ぜひ大臣おっしゃったような方向で検討していただいて、これは、最初申し上げたように、国民の皆さんの期待にもこたえられる獣医学にぜひしていただきたいと思います。ありがとうございました。
萩野主査代理 これにて城島君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤羽一嘉君。
赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 まず本日は、限られた時間ではございますが、最初に、日本国内のいわゆる外国人学校の卒業生に対する大学入学資格につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 実は先日、二月二十一日に、兵庫県の外国人学校協議会、この会長は神戸華僑総会の名誉会長を務めております林同春さんという、神戸では大変有名な、著名な人が会長をやられている兵庫県外国人学校協議会の役員の皆様とともに、文部科学省にこの件でお訪ねをさせていただきました。そのときには実は、一月十六日の河村副大臣の大変前向きなコメントをいただいたというお礼も兼ねて文科省に行こう、そういう日取りだったのですが、たまさかその当日の朝日新聞の朝刊に出た記事に大変な衝撃を受けた、そういった状況がございました。その点について、きょうの本委員会の場をおかりいたしまして、一つ一つ確認をしていきたいと思います。
 まず最初に、いわゆる学校教育法第一条に定められた学校ではない外国人の卒業生は、現在、大学入学資格検定試験を合格しないと大学の入試を受けることができない、そういうふうにされておりますが、私聞くところによると、現実には、受験機会を公平に与えようという判断をされて大学入学試験を受けさせている私立大学とか公立大学があるように聞いておりますが、まず、その実態について。
    〔萩野主査代理退席、主査着席〕
遠藤政府参考人 公私立大学の一部で外国人学校の卒業者に入学を認めているというところがあるというふうにも聞いてございますが、私ども、具体的にどの大学がそういう受験を認めているかどうかということにつきましては、承知をしていないという状況でございます。
赤羽分科員 この朝日新聞の記事ですと、半数以上のというふうに書いてあるんですけれども、その点はどうなんですか。
遠藤政府参考人 私ども、繰り返しで恐縮でございますけれども、どの大学で認め、どの大学で認めていないというような点については、承知をしていないという状況でございます。
赤羽分科員 ちょっと確認しますけれども、それは、そういった事実があるということを確認できていないということなんですか。改めてちょっと答弁してください。
遠藤政府参考人 そういう事実があるというふうには承知しておりますが、どの大学で認め、どの大学で認めていないかといったような点についての事実確認といいますか、そういう点については承知をしていないということでございます。
赤羽分科員 大学入学資格について一生懸命要請をしている人たちにとってみれば、担当の局長がそのような事実をまず掌握していないというのは、私は大変心もとないんじゃないかというふうに今思いました。
 次は、そうしますと、この報道にもよりますし、いろいろな人からも聞いておりますが、本年三月末に向けて今文科省が検討されている中で、外国人学校のうちインターナショナルスクールの卒業生に限っては資格を与えよう、いわゆる民族学校の卒業生についてはこれまでどおり認めない方向で検討されている、こういうふうに聞いておるわけでございますが、まず一つ、インターナショナルスクールの定義というのは何なんですか。
河村副大臣 私も、赤羽先生の方からそういう質問がございまして、インターナショナルスクールという定義がちゃんとあるのかと担当者にも聞いたのでありますが、一般的にきちっとした、インターナショナルスクールはこういうものでというのはないんですね。民族学校とか、そういう表現はしていますけれども、そういうのはなくて、いわゆる外国人の児童生徒を対象にして、そこの国の外国語で特色ある教育プログラムを提供している、これがいわゆる外国人学校という意味に認識をしておるわけでありまして、確たる定義はないという、私も、これはそうとしかお答えしようがないんですが。
赤羽分科員 多分、河村副大臣の答弁、答弁というか御発言の記事を見ていると、私は、インターナショナルスクールと言われるものに朝鮮学校も含まれると思う、こういう御発言をされたのも、恐らくそういう明確な定義がないからではないのかなと思うんですが、だとすると、この報道について、いわゆるインターナショナルスクール、これは何を指しているかよくわからないんだけれども、インターナショナルスクールが資格を与えられ、いわゆる民族学校、これも同様に定義はないんだと、ちょっと待ってください、民族学校の定義というのはあるんですか。
河村副大臣 これも、確たる定義はありません。ただ、それぞれの国においてその国の教科書を用いてその国独特の教育をやっているということしかないわけであります。それを称して、これもやはり外国人学校ですね。
赤羽分科員 この記事、余り正しくないのかもしれませんが、いわゆるインターナショナルのスクールだけ資格を与えるという根拠として、経済界から、現状は帰国子女や海外企業の駐在員の家族の教育の妨げになっているという指摘がある、そういった経済界の要請が大きな要因なんだというふうな説明もあるようですけれども、この真意というのはどのようになっているんでしょうか。
池坊大臣政務官 今、赤羽委員がおっしゃいましたように、平成十三年十二月に出されました内閣の総合規制改革会議の第一次答申において、インターナショナルスクール卒業者の進学機会の拡大について触れておりまして、その中にはこういう文言がございます。
 「近年、外国からの対日投資の増加等に伴い、我が国に中・長期的に滞在する外国人が増えてきており、これら外国人の子女の多くが我が国のインターナショナルスクールに通っている。」とした上で、「今後、教育の国際化の観点からも、我が国の学校制度との整合性を勘案しつつ、インターナショナルスクールにおいて一定水準の教育を受けて卒業した生徒が希望する場合には、大学や高等学校に入学する機会を拡大すべきである。 これらの措置等を取ることにより、我が国においてインターナショナルスクールの設置が促進されることが期待される。」とございまして、これを受けましたことは否めない事実でございます。
赤羽分科員 今のいわゆるインターナショナルスクール、社会の国際化に対応する措置をとられたということは大変いいことだというふうに私は思っておりますが、例えば中華同文学校というのが神戸にございまして、ここは、実は半数以上の生徒が日本国籍なんですね。華僑の人で日本国籍を取った人も多いわけですけれども、実は純粋な日本の人が、中華同文学校というのは大変伝統校でもありまして、神戸の経済を支えていたり、神戸の社会を支えているような人たちを輩出している。
 また、英語だけがインターナショナルなんて言っている時代はもう実は終わっているんですよ。英語だけなんて言っている話じゃなくて、私も中国語をしゃべる人間ですけれども、世界に行ったら、英語と中国語とスペイン語なんというのはほとんど同じぐらいの人数がいて、どっちがインターナショナルなのかというのは結構大変な議論だと思うんですね。企業の中でも、私も中国に駐在をしていまして、子供はまだその当時はいなかったのであれですけれども、向こうで中国語を勉強してきたら、やはり中華同文に通わせたいなという気持ちだって起こってくることだって十分あり得るわけですよ。現実にそういう日本人もいるわけですよ。
 しかし、そういう学校に行くと、大学入学試験というのはそもそもは能力が足りなかったら落とされるんだから、大学に入れてくれという話をしているんじゃなくて、試験というのは非常にフェアな制度じゃないですか。日本で、非常に機会平等というか、その機会平等の土俵に上がるのにまた二階建ての試験をさせるというのは少し考え方がおかしいのじゃないかな、私はこう思っておりまして、そういった中で、今池坊政務官からの答弁にあるような、国際社会化に対応する動きというのは非常に歓迎すべきものだというふうに私は思っております。
 しかし、この報道でもあるように、また私は、相当こういう方向で決まるんじゃないかという話も聞いているから言っているんですが、インターナショナルスクールという定義がないのに、いわゆる外国人学校の中で英語圏の学校を認める、そして非英語圏の学校は認めないというのは、明確な根拠を示さない限り、余りにも暴挙だと私は思いますよ。余りにも時代錯誤。時代に合わせた措置をとるのに、同時に極めて時代錯誤な決定をするというのはよくない行為だと私は思います。
 この林同春さんからの手紙に、日本国憲法第十四条の法のもとの平等、第二十六条の教育を受ける権利、そして教育基本法の教育の機会均等、こういった大局的な観点から、外国人学校の中で、日本の行政府のさじかげんによって、あなたの学校はいい、あなたの学校はだめよというのは到底受け入れられない。この林同春さんの手紙をいただいたんですけれども、この趣旨は、全くこちらの方がまともだと思いますよ。彼らはなぜこういうことを書いているかというと、日本人だという意識で育っているわけですよ。ただ親が中国、華僑だった、自分も華僑だ、そういった意味でその学校に進学しているのに、日本人として今生活しているのに日本国憲法によって保障されている権利を受けられない、また差別を受けるというのは、私は、二十一世紀の日本のあるべき姿としてよくないというふうに思っておるんです。
 これは、恐らく河村副大臣も池坊政務官もそのように思われているというふうに私はすごく確信もしているんですが、どうか、この三月末の検討の結論につきましては、本当に日本が世界から笑い物にならないような、変な線引きだけは絶対やめていただきたいな、こういうふうに思うんですが、お答えはどなたでも結構です。
河村副大臣 私も、陳情をお受けしたときに、それはそれぞれ民族が違うといえども、子供の教育の問題ですから、できるだけ共通の基盤に立って考える必要があろう。したがって、インターナショナルスクールといえば日本人でないというふうに考えるのが普通でしょうから、これは、できるだけ土俵は同じで考えていく。
 ただ、これは今までの日本の教育制度の中で考えてきたことでありますから、大学入学資格というのは、高校から大学への接続のこともありましょうし、それから、日本の教育体系の中に組み込まれるかどうかという問題なんですね。だから、それで差し支えないということであれば広く認めていかなければなりませんし、外国から見ても、日本へ行くと教育がちゃんとうまく接続できないというようなことが問題になって日本の経済が開かれないということは問題だという指摘が既に出ておるわけですから、これは閣議でもそういう決定をいたしておりますから、特にこれは国と国との問題が背景にあるということであれば、政府の考え方をどうするかという問題にもなってくるだろうと思うんです。赤羽先生は与党内に今おられるわけでありますから、与党といいますか、政府としてもその辺のことを考えていく。
 御指摘のとおり、これはやはり日本のこれからの国のあり方にも及ぶ問題だな、私もそう思いますので、文部科学省としては、今の文部科学行政の中での基準をかんがみながら考えておりますから、そういう意味では、やや限られたといいますか、そういう認識になっておるわけです。
 ただ、私は、インターナショナルスクールといえば、朝鮮人学校であろうと中華学校であろうと、一遍俎上にのせて、そして今の日本の学校制度、先ほど、「我が国の学校制度との整合性を勘案しつつ、」ということが規制改革の中にもございますし、そういうことも踏まえながらこの判断をしていかなければいかぬということで思っておりますので、私も、今先生の御指摘の点については、日本のこれからを考えたときに、これは特に真正面から考えていかなければいけない問題だ、このように感じております。
赤羽分科員 どうもありがとうございます。
 ぜひ確認をしていただきたいのは、そういった今までのいわゆる外国人学校を卒業した卒業生は大検を受けて大学に進学しているんですね。そういう人たちがどういうような問題を起こしたのか、日本の大学教育に不整合だった事例があるのか、こういったものを出さないとそこを排除するという理由づけにはならないと私は思いますし、そのような事例というのは、極めて極端な事例があったのかどうかよく知りませんけれども、我々の知っている神戸においての、私の知っている人たちとか、また海外の帰国子女として、私の以前勤めていた三井物産の同僚とかの子弟で、そういう極めて変なケース、大検をなぜ受けなければいけないのかというのを私はちょっと疑問に思っておりますので、ぜひこの決断は、本当に国際社会にふさわしいという決断をしていただけるように強くお願いをしたいというふうに思いますし、与党の立場で公明党も頑張っていきたいというふうに思います。
 次は、構造改革特区内においての学校、これは経営と言っていいのかどうかわかりませんが、株式会社による学校経営への参入について今回認めるという方針になったと聞いておりますが、まず、今までの学校というのは県知事の認可が必要なんですね。その県知事の認可の下には、私学審議会でしたか、そういった段取りを踏まなければいけなくなった。だから、ある意味では、構造改革特区の指定をされて、株式会社で学校経営というか運営の参入ができる、総理からオーケーが出ていながら県知事から認可されないというケースというのが理論上出てくるんじゃないかというふうに思うんですが、この点についての整合性はどうされようとしているのか、教えていただきたいと思います。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 今回、構造改革特区におきまして、地方自治体あるいは民間団体から、地域産業との連携を図って人材育成でありますとか研究促進を目指すといった観点、あるいは不登校児童生徒などを対象にした既存の実績ある取り組みを生かすといったことを踏まえて、そういった地域の特別の教育ニーズを満たすために、委員御指摘の株式会社による学校の設置を求める提案がございました。
 私ども、個別に要望内容を精査させていただいたわけでございますが、その結果、今申し上げました一定のニーズに対応していく、そのことによって学校教育全体の活性化を図ることができるといった一定の効果を期待できますことから、構造改革特区において株式会社が学校を設置することを認めようとするものでございます。
 しかしながら、私どもとしましては、本来非営利を前提に運営されてきました私立学校に営利団体が参加するということでございますから、これに伴います課題も少なくないわけでございます。したがいまして、例えば情報公開でございますとか第三者評価の十分な実施、あるいは、万一、万々一、経営が行き詰まった場合の就学機会の確保のためのセーフティーネットの構築といった事柄に十分留意をする必要があると考えてございまして、今、具体的な制度設計を行っておる最中でございます。
 そういった対応の具体的な仕方としましては、いわゆる私立学校の認可につきましては、委員御指摘のように、都道府県の知事が認可をするというのが大前提でございますけれども、今申しました特区制度の趣旨等にかんがみますと、株式会社立学校につきましては、県が申請を行う場合には従来どおり県が認可を行いますけれども、市区町村が申請を行う場合にはその市区町村限りで認可を行うということで、その具体的な方法等について現在検討を行っておるところでございます。
赤羽分科員 そうしますと、繰り返しになりますが、県知事とか、そのもとでの私立学校審議会ではねられるというようなことはない、基本的には、市町村が提案をしたら、その市町村で同じようなシステムで認可をされていくということですね、今の答弁。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 私どもで検討してございます、市区町村で認可をする、市区町村で設置を認めるという方向で具体的な仕組みを考えました場合にも、やはり学校の設置認可は適正に行われる必要がある、教育の質を確保する必要がある、子供の立場からも十分な配慮が求められると思っておりますので、市区町村においても、例えば審議会といったような機関が関与することで適正な判断をしていただければありがたいと今のところは思っておるわけでございます。
赤羽分科員 まあ、構造改革特区というのはトライアルでありますから、トライしてみるということがすごく大事なことであって、最低限の担保というのは払わなければいけないと思いますけれども、構造改革特区としてゴーサインが出ながら、現場の審議会でノーのサインが出るようなことのないように、ぜひ指導をお願いしたいと思います。
 一つ、今お話にもありました、株式会社ですから、倒産する場合もあり得るんですよね。そのときに、そのセーフティーネットも張らなければいけないと検討されているということですが、倒産した場合、入学した学生は高校一年でやめるというわけにはいかないわけで、その場合、どのようなスキームを考えられているんですか。
加茂川政府参考人 先ほど申しましたように、細部については、今制度設計を行っておる最中でございますが、委員御指摘のように、株式会社が倒産という事態に至ります前に、その経営が悪化して学校経営から撤退をするという場合も考えられるわけでございまして、課題はございますけれども、何よりも子供たちの就学機会をどう確保していくのか、学校段階によっては違いもあるかもしれませんが、それが最大の課題だろうと思っております。
 特区の場合には、申請をしてきます都道府県あるいは市区町村が、株式会社が学校経営をすることについて十分な調査をし、ある程度責任を負ってもらう必要があるのだろうと思っておりまして、当該地方公共団体も、今申し上げました就学機会を確保するためのセーフティーネットの構築について、事前に何がしかの責任を持っていただくような、責任を明らかにしていただくような制度設計が必要ではないかと思っておるのでございます。
赤羽分科員 わかりました。
 続いて、NPOによる学校運営への参入について、報道では、これは認められないという報道が先行しておりました。今の御答弁にもありましたが、本来、学校法人というのは非営利性を求めているから株式会社の参入については非常に慎重だった、これは非常によくわかりやすいのですよ。だからこそ特区でトライアルをしてみようという話なので、例外的な試みなんだと思うのですが、その理屈からいくと、非営利グループのNPOがやる学校に対して参入を固辞するというのは、私はちょっとよく理解ができなかったんですね。
 ここについて、まず、なぜ非営利性のNPO法人について参入を認めないのか。認めないのかという質問を通告したんですけれども、けさの報道では認めるということにもなるというような報道もありますが、その点について、どうなんでしょうか。
河村副大臣 結論から申し上げますと、これも条件を付して認めるという方向でございます。
 これは、確かに御指摘のように、営利性の高い株式会社じゃなくて非営利性のNPOをなぜということもあろうと思いますが、ただ、NPOの場合には認証でありまして、どのような形のNPOが出てくるかわからないというようなこともあって、これは教育を預かる側としては、やはり生徒に対する影響も考え、さっきのセーフティーネットのことも考えると、そういう基盤が弱いという問題もあって、その学校が永続するかとか、そういうような懸念が非常にあったわけです。
 しかし、現実に今、不登校児であるとかLD児であるとか、今の公教育が十分行き届いていない部分に対して、不登校児を受け入れてやっている、実績のあるNPOもあるということでありますから、そういうものに限って学校としてトライアルしてもらうということの方向で認める方向を今打ち出して、きょう、実は五時の特区の本部会議で最終決定を方向づけされるわけでありますが、省内の検討では、そういう方向で臨むというふうになっておるわけでございます。
赤羽分科員 五時の本部会議の前にはっきりした御答弁をいただいたことに、大変感謝をしたいというふうに思っております。
 やはり私も、NPOで現実に不登校児とか学習障害のお子さんとかを面倒を見ている、ある意味では今の学校教育から受け入れられなかった人たちをサポートしている、補完的にやっている、これをやはりせっかくこういうことができるのですから、ぜひ、これもまた構造改革の特区の中の話ですし、一歩踏み込んで、そういった教育のあり方というものを本来の教育の中でも考えていくことが大事なんじゃないかというふうに思うのですね。今の学校がすべていいという前提ではないはずなんで、全国で不登校児が二十万人ぐらいいるというのは、十三万ですか。私の子供も中学校一年生と小学校五年生なんですけれども、いつ不登校児になるかという不安感というのは結構大きいし、親としてやるべきことをやってないという後ろめたさもあって、本当にすごく心配の種でもあるし、万が一そういった状況になったときに、ドロップアウトをして、学校にも行かない、本当に引きこもりみたいなことというのを何とか避けて、そういったNPOといえども、やっていくという実績を認めながら、学校として認知していくという方向というのは、やはりこれからの時代に正しい方向だと思いますので、教育のあり方は大きな議論もされていくのだと思いますが、時代に合った、現状に合った改革をしていく先鞭として、まずこの特区の中でトライアルをしていただきたいというふうに強く思うわけでございます。
 せっかくですから、大臣、一言、そういった学校に対する改革ですね、外国人学校も含めて、構造特区内の学校も新たな形態の学校が出てくるわけですので、それについての大臣としての御発言をいただいて、私は終了したいと思います。
遠山国務大臣 我が省は、さまざまな年齢段階の方々に教育の機会をしっかり提供していくという責務を持っているわけでございます。
 これまで日本の学校教育制度というものはしっかり機能してまいったわけでございますけれども、時代とともに人々の価値観も異なり、いろいろな問題も出てきているという中で、どのように本来あるべき教育の質を担保しながら、そしていろいろな要求にこたえていくかということを柔軟に考えていくというのは、大変大事だと思っております。
 そのようなことで、さまざまな制度改革をしているわけでございますが、姿勢としては、子供の教育、特に子供の教育の場合は一回限りのあれでございますから、実験的にやるということは大変難しいわけですし、失敗したらやめたらいいというたぐいではないと私は思っております。そういうことでありますので、十分担保した上で、できるものについては対応していく、そういう姿勢でこれからも対応してまいりたいというふうに考えております。
赤羽分科員 どうもありがとうございました。終わります。
斉藤主査 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
斉藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部科学省所管について質疑を続行いたします。太田昭宏君。
太田(昭)分科員 公明党の太田昭宏です。
 私ども推進をしたわけですが、公明党の子ども読書運動がきっかけとなって、昨年、子ども読書推進法が制定をされ、子供の朝の読書運動が学校で始まっている。できるだけこれは拡大をしていくということが非常に大事で、自己自身の生涯にわたる人間形成ということからいって、さまざまな点から読書ということが必要だという観点からでありますが、現状が一体どこまでいっているのか、また、今文部省としてこうあるべきだということがありましたら、御答弁をお願いしたいと思います。
田中政府参考人 子ども読書活動推進法成立後の現状につきましてのお尋ねでございますけれども、この法律の規定に基づきまして、平成十四年八月に、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画が閣議決定されたところでございます。
 文部科学省におきましては、この基本計画に基づきまして、家庭におきます読み聞かせや読書の推進を図りますために、その重要性などを盛り込みました新家庭教育手帳といったものを作成、配付したいと考えております。また、子供たちが進んで学校図書館を訪れまして読書活動を楽しむことができますよう、学校図書館の充実や、地域、家庭と連携協力した読書活動の推進、司書教諭の養成等を図るとともに、公立図書館の充実や民間団体が実施する読書活動に対しまして子どもゆめ基金による助成等も行っておるところでございます。さらに、全国的な普及啓発のための全国子ども読書活動推進キャンペーンというものも実施したいと考えておりまして、この基本計画に基づきまして、各種施策を推進することといたしておるところでございます。
 また、地方公共団体に対しましても、基本計画の周知を図りますとともに、できるだけ早期に、各地方公共団体の子ども読書活動推進計画を作成していただくよう促しているところでございます。
 以上でございます。
太田(昭)分科員 今、何校ぐらいになっていますか。
田中政府参考人 読書活動の状況でございますけれども、全校一斉の読書活動の実施状況を御報告申し上げますと、これはまだ平成十三年度の調査でございますけれども、小学校におきまして、七七・八%の学校で全校一斉の読書活動を実施しておる。また、朝の始業前に全校一斉の読書活動を実施しているところが六五・七%でございます。中学校におきましては、六〇・五%が全校一斉の読書活動をやっておりまして、朝の始業前に実施しているところが四九・七%、高等学校では、全校一斉の読書活動が二四・六%、朝の始業前の読書活動は一六・三%というような状況になっておるところでございます。
太田(昭)分科員 できるだけ推進方の模索をお願いしたいと思います。
 新聞の夕刊のトップに出たことがあるんですが、学校図書の整備のために、五カ年計画が平成十四年度から始まって、毎年約百三十億円、総額六百五十億円の交付税措置が講じられることになったわけでございます。しかし、これが使われているかどうかというところの指摘もあったわけでありまして、ほかに使われてしまっているというような声があったりということで、私どもも、全国いろいろなところの地方議会の議員に言いまして、現場でしっかりこれが学校図書という形で推進できるように、各地元においても推進するようにという指示を促したということもございます。
 実際の現場では、十分に予算化をされていないとか、あるいは、蔵書の規模も文部省の基準に達していないという学校も多いと聞いております。交付税措置でふやしたにもかかわらず、前年度比でいいますと約一億円しか予算が伸びておらないという現状があるようではございまして、交付税措置という予算の配り方にも問題があるのかなと思っているわけでありますが、この予算の措置のあり方も含めて、拡充策を検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
河村副大臣 太田委員御指摘のように、この法律ができまして、読書に関する関心も高まったし、学校現場でも積極的に取り入れられるようになったということで、ありがたく思っておるところでございます。
 特に、その一番もとになる学校図書館をいかに整備するかということがこれからの課題でございまして、委員おっしゃったとおり、新しい十四年度の五カ年計画では、毎年百三十億掛ける五年の六百五十億というものが、学校図書館の整備に使えることになったわけでございます。
 御党も、そういうことで、呼びかけをいろいろいただいたり、我々の方も調査をしたりした結果、大体百三十億を超える金額が図書館の整備に使われているということはつかんでおるわけでございます。
 学校図書館協議会あたりは、アンケートの仕方にもよるでしょうが、まだそれより低い数字が出ておりまして、その格差はどうなんだという議論も実はあるわけでございますが、現実には、これは御指摘のように交付税でありますから、そこの自治体の首長さんのさじかげんによってどうでもなるという交付税の性格がございます。しかし、政策官庁としては、これを掲げて獲得した、こう思っておりますから、ぜひこれが全額有意義に使われるようにということで、促進を今促しておるようなわけでございます。
 現実に、御指摘のように、百八億が百三十億に、二十二億伸びたわけでありますから、それがそのまま伸びていかなきゃいかぬ、こう思っておるわけでございますが、現実には、調査の段階では、その差は一億ぐらいだという調査結果も出ております。
 そこで、この交付税の使い道のあり方というものを理解いただいて、首長さんにもぜひお願いをしっかりしてもらうということもありましょう。それで、各都道府県の教育委員会にも、この交付税の性格も周知をしていただきながら、この学校図書館費が整備されるように、これをぜひ督励をいたしたい、こう思っております。教育委員会の関係者の会議あるいは校長会等々におきましても、まずは校長側から、自分のところの整備がきちっとできているかどうかということを確認して、自分のところの首長さんに強く要請していただく、そういう運動を今起こしておるようなわけでございます。これをさらに徹底いたしたい、こう思っておるわけでございまして、ぜひ、公明党側からもさらに呼びかけを強めていただくようにお願いをいたしたい、こう思っております。
 文部科学省としても、今申し上げたようなことを考えて、ことし一月、改めて、この問題について、各教育委員会が積極的に取り組むようにという通達を出しておるところでございます。
太田(昭)分科員 我が党も、さらにその辺については、きょうの御答弁も踏まえて、推進をしていきたいと思っておりますし、文部省としても、さらに一層推進をお願いしたい、このように思います。
 蔵書をふやすことについても、空き教室を利用して図書館を拡充することやネットワーク化の一層の推進などで、学校教育に必要な図書の充実を図るべきだというふうに思います。また、地域の公立図書館とのネットワーク、これを構築するということも必要ではないかというふうに思いますが、いかがでありましょうか。
矢野政府参考人 まず、蔵書のスペースの確保に関連して、余裕教室についての御指摘がございましたが、この余裕教室をどのように活用するかということは自治体の判断にゆだねられているところでございますけれども、学校図書館の蔵書の充実などのために活用することは、私どもとしては、当該学校の教育活動の充実に資するものであるというふうに考えているところでございます。
 このため、文部科学省では、余裕教室を、図書室も含めまして、特別教室でございますとか多目的教室と兼用するために必要となる経費につきまして、国の補助を行っているところでございます。
 各地方公共団体におきましては、こうした制度を活用するなどして、蔵書の拡充に向け、積極的に対応していただきたいと考えているところでございます。
 また、公立学校図書館と地域の公立図書館のネットワークを図るべき、そういう御指摘がございました。これは、まさに御指摘のとおり、学校図書館と公共図書館が連携を図っていくことは、大変有意義かつ必要なことであるというふうに考えておるところでございます。そういう意味におきまして、学校図書館と公共図書館のネットワーク化を進めていくことによりまして、自校の学校図書館のみならず、地域全体での蔵書の共同利用でございますとか、各種資料の検索、あるいは多様な興味、関心にこたえる蔵書の整備等が可能となるものと考えているところでございます。
 このため、我が省におきましては、学校図書館の蔵書のデータベース化あるいはネットワーク化を図りまして、学校図書館、公共図書館の蔵書の共同利用を推進するモデル事業などを行っているところでございまして、今後とも、学校図書館と公共図書館が連携して、児童生徒の多様な学習活動あるいは読書活動が充実されるように努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
太田(昭)分科員 学校図書館法の改正によりまして、一定規模の学校には司書教諭の配置が義務づけられておりますが、司書教諭、地域の図書館との連携等を図るなどで司書の配置を早急に進めるべきではないかというふうに考えるわけですが、この点はいかがでありましょうか。
矢野政府参考人 学校図書館に置かれる司書教諭、これは、地域の公共図書館に配置されます司書との連携を図ることによりまして、さまざまな教育活動を展開していくことが可能となるものでございます。この趣旨から、公共図書館におきましても、平成十三年に告示されました公共図書館の設置及び運営上の望ましい基準におきまして、児童、青少年に対するサービスの充実に資するために、学校図書館との連携に努めるもの、そういうふうにされたところでございます。
 実際に、学校では公共図書館司書との連携が行われておりまして、教師と公立図書館の司書とが分担して読み聞かせを行う授業でございますとか、あるいは、司書と相談をしてブックリストをつくったりするなどの取り組みも、既に見られているところでございます。
 そういう意味で、今後とも、学校図書館と公共図書館との連携、そしてまた司書教諭と公共図書館司書との連携を推進いたしまして、児童生徒の多様な学習活動、さらには読書活動が充実されるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
太田(昭)分科員 遠山大臣、読み聞かせ運動であるとか、あるいはブックスタート運動であるとか、今の図書館の充実であるとか、あるいは朝の十分間読書推進であるとかということは本当に大事で、世界的に見ても、子供の読書量が日本の場合は急激に減り過ぎているという声も聞いておりまして、ぜひともこの辺は総合的に、どういうふうに本を読み、物を考える力というか、そういうものをもっと増強するということが私はぜひとも必要だと思いますので、一段と大臣の方からもこの点についての推進方をお願いしたいというふうに思っておりますが。
遠山国務大臣 読書は、人間のいろいろな思考の基をつくったり、あるいはその国の文化を学んだり、言葉をしっかり話せることで自己表現ができるようになったり、本当に、何といいますか、学校の教育の中でも一番の基盤ではないかなと思われるところでございます。
 確かに、教科書をもとにして、それで授業を受けてということも大事でございますけれども、自分で本を選んで読む、特に朝の読書運動でありますとか、あるいは学校図書館に備えられた本を手にとって読む、そのようなことが、どの本でなくてはならないということはなくて、なるべく多くの本に触れていくということは非常に大事なことだと思っております。
 そういうことを促すために、太田委員その他の方の御尽力であの法律ができたということは大変すばらしいことでございまして、それの実施に当たるというのは、私どもの大変な責務だと思っております。
 学校図書館の充実、それからカリキュラムの中での読書をきちっと位置づけていくこと、あるいはそれの専門の人をきちっと置いていくようなこと、そういった総合的なことを展開いたしまして、このせっかくの運動をしっかりと位置づけていきたいというふうに考えております。
太田(昭)分科員 二〇〇〇年の三月、教育改革国民会議が小渕総理のもとでスタートしまして、私もその一員として論議に加わらせていただいた。小渕総理は、百人は百人の教育論を持っているから、二十六人のそうした委員の声を、むしろ政治家が口を挟むよりも、これはいいアイデアだな、考えだな、大事なことだなと思ったら直ちに実行に移すということが政治家の役割であるから、ぜひとも耳を澄ましてよく聞いてくださいね、こういうふうに、それが始まる直前に呼ばれまして、お話を聞いたことがあります。それから十日後に倒れられるというようなことがありまして、私にとっては遺言のような、大事な温かい小渕総理の心を今でも思い起こすわけでありますけれども。
 その国民会議が発足をして、答申がされまして、私は、この二十六名、年齢別に見ますと、三十代がたしか一人、四十代が二人、残るはみんな五十歳以上、これではちょっとバランスが悪過ぎるなと思いまして、大変充実した論議をしてくださったことは間違いないんですが、そこで、我が党として直ちに、高校生の意見を聞こう、また子供たちの意見を聞こう、あるいはお母さん方の声を聞こう、大学生の声を聞こうということで、全国縦断でシンポジウムを開催しました。その中で、高校生の、一番最初の東京の会合で、非常に印象的だったのは、ひどい先生が多いということを言うわけですね。それで、黒板に字を書いていて、字が書けない、間違った字を書く、おい、この字はどうやって書くんだなんということを生徒に平気で聞く、それを注意して気合いを入れたら、翌日から先生が不登校になったとか、いろいろな話があったり、白い手のままでやたらと女生徒に触ったりして非常に困るというような話が非常に多かったわけです。
 私は、人格を磨くということは非常に大事で、また教師が暗くてはしようがないんで、政治家と教師は明るくなくちゃならないと思うんですが、人格を磨くというこの教育改革の柱ということで、学校の先生の資質の向上ということからいきますと、研修制度というものが必要であるわけなんですが、現在も一定期間ごとの研修制度が導入されていて、それはそれで結構なんですが、必ずしも教員のためになっているかどうかという検証を常にすることが必要だろうというふうに思います。もう少し違った研修制度とか、もっと急所を打った研修制度があったらなということを、私も最近教員の方から聞いたりいたします。
 せっかくあるそういうような制度でありますし、また、教員の質の向上のためには、現在の仮採用制度とか教育実習のあり方などとの関連も含めて、例えばインターン制度を導入することを考えるなどのさまざまな措置が私は必要ではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
河村副大臣 太田委員御指摘のとおり、教育の成果の多くは教員の資質にかかっている、このように考えておりますので、できるだけ優秀なといいますか、質の高い先生が多くあることが望ましいし、当然必要なことでございます。
 したがいまして、資質面、いわゆる知識面だけの先生では困るわけでありまして、本当に教育に対する熱情といいますか、あるいは、平たく言えば、本当に子供が好きな先生とか、子供にとって魅力ある先生というのはやはり人格的にもにじみ出たものがあるはず、そういう教員をどうやってつくるかというのがこれからの大きな課題だと私は思いまして、今御指摘のように、養成の段階、採用の段階、さらに研修、それぞれにおいてそういう視点が必要であろう、こう思っておるわけでございます。
 教員の養成についても、各方面からそういう御指摘もありまして、平成十二年度の入学生から、専門分野の学問的知識というよりも、むしろ、教え方とか、子供の触れ合いを非常に重視するカリキュラムをつくるとか、それから、平成十年度からは、小中学校の免許証には介護体験を義務づけるという法律も、教員免許法特例法案でつくりました。これによって、免許を取る前にそういうところで体験をしてくるということも必須になってきたわけでございます。
 そういうところで、痛みのわかる先生、あるいは、個人の尊厳とかそういうこともきちっと学んでくる、あるいは、社会との連帯を学んでくる、そういうことが必要であろう、こう思っております。
 私は文部省にも指摘をしているんですが、採用試験にまだ学力テストというのがあるんですね。これはもう、免許を与える時点で学力はおしまいにして、あとは人間性を見るテストに変えるべきだということを今主張しておりまして、この改革も進めていかなきゃいかぬと思っております。
 ただ、研修はいろいろな研修があるのでありますが、このたび法律で、十年たったら必ず研修を受けるという制度もつくりました。そういうことで、もっと人間性を磨くことに力を入れていかなきゃならぬ、こうも思っておるわけでございまして、そういう意味で、もっと社会に触れさすということも必要でしょう。二十二歳で即先生というのもどうだという意見も最近非常に高まってきておりますから、もっと社会体験をどんどんさせるということも必要になってまいりました。
 そういう意味で、各都道府県の教育委員会がこのことにも責任を持っておるわけでございますが、文部科学省としても、その根幹をきちっと位置づけて、お互いに連携をとりながら教員の資質の向上にこれからも全力を挙げてまいりたい、このように思っております。
太田(昭)分科員 親でも先生でも同じだと思うんですが、私の高校時代や中学時代を振り返っても、ひたむきな先生、汗をいっぱい出して一生懸命やっている、そういうことには子供たち、生徒は感動して、やる気になるということだというふうに思います。
 今、河村副大臣からお話のありましたように、生徒による教師の授業評価の導入であるとか、あるいは免許制そのもの、もう少し人格的なそういうこと、まあ、これは免許の後かもしれませんが、その辺の免許制度のあり方も含めて、何か工夫することが必要ではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
河村副大臣 この点についてもっと我々研究しなきゃなりませんし、そういう方向で私は導入すべきではないかと思いますが、授業の評価という問題は、これはまたやり方もいろいろあろうと思いますね。どういう形が一番望ましいか、これはもうちょっと我々は研究する必要があろうと思います。しかし、やはりあらゆる角度からこの問題は考えていかなきゃなりませんし、免許制度については、私もさらに申し上げましたが、免許の更新制の話も一部取り上げられたりして、恐らく例の教育改革国民会議等でもこういうことが議題になって、いろいろな御意見があったことも聞いております。
 これも、全体を取り上げるということになりますと、あのときの議論では、相当膨大な費用も要るだろうというようなこともあって、あの時点では一応見送りになった経緯もございます。また、教員というのは、小中学校については、任期制ではないわけでありますから、更新制はどうであろうかというような意見もございました。
 しかし今回、こういう今の教育の現場を見ているときに、いろいろな課題にやはり文部科学省もチャレンジするということが必要でありましょうから、そういう意味で、教員の免許のあり方等についても、私はこれはどういうやり方をさらに求めたらいいか研究をしなきゃいかぬ、このように考えます。
太田(昭)分科員 私の住んでおります東京北区の都立桐ケ丘高等学校は、研究開発学校に指定されて、我が党でも視察をしたりというようなことがございました。不登校児への取り組みが行われているわけです。また、足立区立の五反野小学校は、いわゆるコミュニティースクールの実験校という形になっておりまして、新しいタイプの学校運営がスタートを切っております。
 これらの学校の成果といいますか、コミュニティースクールが一体どういうふうになっているかということについて、現状と、それから方向性をお示しいただきたいと思います。
矢野政府参考人 ただいま御指摘がございました足立区立五反野小学校は、地域が学校運営に参画する新しいタイプの公立学校の可能性あるいはその課題等について検討するために、平成十四年度、本年度より、文部科学省の実践研究校として研究を行っているところでございます。
 五反野小学校におきましては、保護者、地域等の参画による開かれた学校づくりを進める、そういう観点に立ちまして、これまで、例えば学校理事会を設置して、地域住民等の学校運営への参画についての研究を行うとか、あるいは、地域住民や保護者等から成る協議会による学校評価の実施でございますとか、さらには、具体的な事柄として、非常勤講師の公募、あるいは予算面での学校裁量権の拡大等々、斬新かつ積極的な実践的な研究が進められておりまして、今後、二年目の取り組みに向け、より大きな成果が上がることを期待をいたしているところでございます。
 また、もう一校御指摘ございました東京都立桐ケ丘高等学校でございますが、この高等学校は、平成十二年四月に開校されました単位制の総合学科の高等学校でございまして、平成十三年度から、文部科学省指定の研究開発学校として、不登校傾向を持つ生徒等への指導に関する実践的な調査研究を行っているものでございます。
 同校では、不登校を経験した生徒を含め、これまでの教育の中で自己の能力や適性を十分に生かし切れなかった生徒等に対しまして、例えば、一人一人異なる時間割りを作成することとか、あるいは学校独自の科目としてボランティア科目といったようなものを設置して体験学習を重視するといったようなこと、さらには生徒の希望に応じた相談体制をとるといったようなことについて充実を図ってきているところでございます。
 こうした指導の結果、同校にありましては、不登校傾向にあった生徒に積極性が見られるようになるといったようなこととか、あるいは、将来の目標に対する明確な意識が生まれる生徒がふえるといったような成果が見られたという報告を受けているところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも、それぞれの自治体とも連携をしながら、学校教育におけるさまざまな工夫、改善に向けた取り組みが一層推進されるように、私どもなりに協力、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
太田(昭)分科員 非常に現場は努力してやっておりますので、バックアップ体制をお願いしたいと思います。
 最後になりますが、社会が多様化する中で、画一化ではない、多種多様な形態の教育というのが必要だというふうに思うのです。今般、教育特区に関連して、当初、文部科学省は、事業法人はいいがNPO法人はだめという方針を出されて、その後、一部NPOの参入を認めたようでございます。本来、学校の趣旨、理念、ボランタリズムということからいきますとNPOの方がより近いようにも思われるわけでありますが、積極的に門戸を開放すべきだ、こう思いますが、この点、いかがでありましょうか。
遠山国務大臣 構造改革特区のさまざまな提言がございまして、教育関係が百八十を超えるという大きな数になったわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ柔軟に対応しようという姿勢で最初から臨んでおりました。株式会社につきましても、いろいろ条件を考えた上で学校設置について認めていく方向で、今お話のNPOのことにつきましては、これは幾つかの段階をとりまして、三つの方法をとりまして、できるだけNPOの人たちにも、学校という大変大事な作用を受け持っていただけるようにしようということで臨んでまいっているわけでございます。
 一つは、学校法人の設立要件に関しまして、学校法人に、垣根を低くするといいますか、条件を低くして、できるだけ入りやすいようにしていくということで、これは学校法人となるわけでございますけれども、そういう形でなりやすくする、これは私学助成も受けることができるわけでございます。
 それから、もう一つ考えましたのが、不登校児童などに対する指導を行うための適応指導教室を運営するようなNPO法人への委託をしようということでございまして、NPO法人の力を活用いたしまして、むしろ、それぞれの市町村、設置者であるところが、ある部分の、特に不登校児童あるいはLD児、そういった子供たちの教育について委託をしていくという道も開こうとしております。
 それからもう一つ、しかし、さらに、NPOのままで学校の設置者となりたいという話もございまして、これはいろいろ検討いたしまして、特区におきまして、不登校児童生徒など特別の配慮を必要とする児童生徒を対象とした教育を行って、しかも一定の実績のあるところ、そういうところについては学校の設置を認めていこうということで今検討が進んでおるといいますか、ある程度、我が省としてはそういう方向でいくということを決定いたしました。これは、きょうの夕方、特区の本部の会議がございまして、そこで認められれば、正式に政府として、そういうことについて前向きに取り組んでいくということで決定がなされるものと思っているところでございます。
太田(昭)分科員 ありがとうございました。
斉藤主査 これにて太田君の質疑は終了いたしました。
 次に、児玉健次君。
児玉分科員 日本共産党の児玉健次です。
 私は、おととしの九月でした、北海道教育委員会のお世話になって、北海道の一番北部に位置する宗谷管内の僻地の学校に行ってきました。十数人の子供たちで、皆さん、私が行った限りでいえば、全部複式の学校になっていた。そして、そこで子供たちと一緒に、町や村の皆さんの中にしっかり溶け込んで、教職員の皆さんと協力して生き生き仕事をしている養護の先生たちの姿を見まして、非常に多くのことを感じました。
 最初に遠山大臣に伺いたいんだけれども、今まで私はあなたと、大都会の大規模校の養護教諭の問題は何回か議論をしてきましたが、こういった山間僻地、離島、非常に小さな学校で一生懸命やっている養護教諭の人たちの活動の役割についてどのように受けとめていらっしゃるか、最初にお聞きしたいと思います。
遠山国務大臣 養護教諭の役割は学校教育の中で大変重要だと思っております。それは、児童生徒の心身の健康に関する悩みを聞いたり、あるいは指導をしたりという役割を持っているわけでございます。
 特に僻地などの小規模校におきましては、地域の医療体制の整備が都市部に比べて十分でないわけでございます。そんな中におきまして、養護教諭が児童生徒の健康管理のために、恐らく大変な努力をしてもらっているのではないかと思います。その意味で、子供たちの健康保持といいますか、増進に大変寄与をしていただいている、そういう役割を持つ存在だというふうに考えております。
児玉分科員 全国の小学校、中学校の中で、今、本務の養護教員が配置されていない学校がどのくらいあるか、小学校、中学校、それぞれについて学校数を端的に文部科学省答えてください。
矢野政府参考人 平成十四年度に養護教諭が配置されていない公立小学校は全国で三百八十七校、全学校の一・七%、公立中学校は三百九十五校、全学校の三・八%でございます。
児玉分科員 いろいろなことを感じることがありますけれども、文部省からいただいた資料だと、一九七五年の段階で本務の養護教員が配置されていなかった小学校は一万六十校ですね。学校数全体の四〇・八%を占めている。そして、中学校でいえば四千五百二校で四一・九%でした。それが今は、矢野局長のお話のように、これは一年一年調べてみると確実に少なくなっていって、今お示しになったところまで来ている。これは、父母や子供たちや教職員の強い願い、その願いを受けた文部科学省の皆さんの御努力があってのことだ、私はそう受けとめています。
 そこで、そこまで来ているということを前提にしてきょうは御質問をしたいわけですが、僻地の学校、全国的な配置基準でいえば、三学級以上は全校配置。前に遠山大臣と議論したときは、当時は四学級以上だったのが、今は三学級以上で全校配置。しかし、一、二学級については、いまだ配置されていない。
 これは何も北海道に限定されたことではないので、一、二学級の小学校、中学校の存在している場所というのは、大体お医者さんのいるところまで二十キロ、三十キロありますね。そして、そういう中で、皆さんはこれまで、医師のいない市町村、医師のいない離島地域については若干の措置をなさっているけれども、さっき言った一番不便なところでいまだ配置されていない学校が残っている。ここに対して速やかな改善措置が必要ではないか。もうあとわずかですから、その点で文部省のお考えを聞きたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。
河村副大臣 養護教諭の配置については、年次定数改善の中で整備をいたしておるところでございまして、あとわずかでございますから、一遍に三百人ほど、ばっとふやせれば一番いいわけでありますが、なかなか現状の予算措置等では、そうはいきません。
 しかし、ここまで来たことでありますから、養護教諭を何とか全校へ配置できるように、我々としては定数を確保したいという努力はさらに続けたい、こう思っておるわけでございます。
児玉分科員 私自身が二日ばかり行ったことと、そして何年も前に幾つかの僻地の学校に行きまして、そこで訴えられたわけですが、北海道の養護教諭の配置基準というのは全国とはちょっと違って、十一人以上の学校については配置される。そして、十人になると配置されなくなるわけです、これは北海道のやり方だと思いますけれども。
 新しく僻地校に養護の先生が来たらどんなことが起きるか。まずみんなが驚くのは、歯磨きの指導について、歯の磨き方について、実際に子供たちに、手をとってきちんと教える。その結果、何年かで齲歯が激減しているというのが一つ、一般的な傾向ですね。
 それから、成長期の子供の性の問題、心の問題、こういったことで養護教諭が非常に大きな役割を果たしていて、以前、根室でお話を聞いたときに、養護の先生が来たら、部落の方たちが、どんな仕事をしているのかといって大挙して学校までやってきて、そして仕事ぶりを見て感心をする。
 ところが、さっきの北海道でいえば、十一人いた子供が一人いなくなって十人になった途端に、期待されていた養護の教師は心ならずも他の学校に移らざるを得なくなってしまう。全国でいえば、先ほどの三学級ですから。しかし、三学級というけれども、小学校と中学校が併設されている場合、これはどうも今のままでいいのかという意見が非常に強く出ていますね。
 どういうことかというと、例えば小学校二クラス、中学校一クラス、確かにそれぞれ切り分ければ三学級以下だけれども、同じ校舎の屋根の下に、小二、中一で三クラスある。もっと言えば、小学校二クラス、中学校二クラス、この場合も、三学級以下は未配置ということで、配置されないんですね。何ともここのところは納得できない。
 私は、先ほど副大臣の御答弁のように、確実にここのところは前進していただきたいと強く思っているけれども、こういったあたりから着手をしてほしいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。
河村副大臣 これからも養護教諭の確保に努めてまいるわけでございますが、今児玉委員御指摘のようなケースについては、やはり優先順位を高めていくべきであろう、こういうふうに私は思います。これから過疎化も進みますので、また小中連携のこともございますが、そういう学校がふえていくだろう、このように考えますので、今の御指摘の点は十分配慮しなきゃいかぬ、このように思っています。
児玉分科員 遠山大臣には、そのうち僻地の学校にも行って実際ごらんになっていただきたい、私はそう希望するんだけれども、校長さん、教頭さんを含めて、さっきの、学校が小さければ小さいほどというのはちょっと言い過ぎがあるかもしれないけれども、養護の方たちに対する期待は強いんですね。
 そして、養護の先生が実際にいらした。ところが、さっきの、学級減、児童減でいらっしゃらなくなる。そうなった場合の保健室はどういう状況かといいますと、決して施錠されたりしません。そして、離れていった養護の先生が、まさかのときというので、さまざまな幾つかの器具や薬品は棚に入れて、いつでも使えるようになっているんです。クラスの子供が例えば発熱をする。以前だったら、養護の先生がいる保健室のベッドで休むんだけれども、子供というのは大人のいない部屋で休むのを嫌がるというか、余り喜ばないんですね。それで職員室に行ったり、熱が高くなると、担任の教師が御自身の車で、二十キロ、三十キロの町のお医者さんに子供さんを連れていく。そのとき、校長や教頭がかわりに授業をする、こういう状態ですね。
 教育の機会均等という見地からすれば、こういう小さな学校で養護の教師の果たす役割、児童生徒の養護をつかさどると学校教育法で明記されている養護の方たちがしっかり仕事ができる、そのためには、今文部科学省は都道府県と相談をされて、一定の定員の枠は示されて、それをどのように配置するかというのは都道府県の判断にかなり任せていらっしゃる。それはそれで一つの見識だと思いますけれども、やはり全体的に配置の土台を上げなきゃだめだ、そう思うので、ここのところは大臣のお考えを聞きたいと思うんです。
遠山国務大臣 学校における教員の配置につきましては、私は、実地に即した配置がなされるというのが非常に望ましいと思っておりまして、私どもは、最近ではそういうことについて規制を緩和といいますか、できるだけ現地の実情に応じて配置できるようにいたしております。
 全国的にすべての学校に、どんなに小さいところにでもとなりますと、本当にこれは財政状況との相談がございますから、そう直ちにはとは思いますけれども、各地の取り組みをも促しながら、現在は第七次の教職員定数改善計画の実施中でございますけれども、将来に向けて、そういったことも考慮しながら、何を優先的に取り上げていくか。とにかく教員がもっと欲しいというのはいろいろな場面で出ておりまして、養護教員のみならず、さまざまな御要求がございます中で、よく考えて、実際に要求されるものについてできるだけこたえるという形で条件整備をしていくというのが我々の役目かと思います。
児玉分科員 関連して、保健室の充実、改善の問題に触れたいと思います。
 済みませんが、委員長、事前にお願いしていますけれども、資料を配らせていただきたいと思います。
斉藤主査 はい、どうぞ。配付してください。
児玉分科員 皆さんからいただいた小学校施設整備指針、平成十三年三月、それを見ておりますと、保健室について(1)、(2)、(3)と書いてあって、三十二ページですね、(3)にこう書いてある。「必要に応じ養護教諭がカウンセリングを行うことのできる空間を保健室に隣接した位置又は保健室内に間仕切り等を設置して確保することも有効である。」
 この整備指針は平成十三年のものですけれども、その前のものを拝見してみると、平成四年三月、一九九二年、「間仕切り等を設置して」という言葉はないんですね。この「間仕切り等を設置して」という言葉がここに付加された経過でどんな議論があったか、副大臣にお示しいただきたい。
河村副大臣 今の新しい指針の改定がされたということでございますが、これにつきましては、学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議というのがございまして、そこでいろいろ議論をいただいた中で、こうした学識経験者の皆様方から、保健室のカウンセリング機能を高めるためには、やはり子供たち、児童生徒のプライバシー等にも十分配慮する必要があろうという御指摘もありまして、このことはこれから大事なことであるという観点で、こういうことがひとつできるようにということで、指針を改定の形で示したものでありまして、その結果、保健室に隣接した位置あるいは保健室内に間仕切りができる、こういうことでございます。
児玉分科員 今の、副大臣も引用されたその場所が、現場の教職員や特に養護教員にとっては重要な点なんですね。保健室に隣接した位置または保健室内に相談の場所を置く。
 それで、今から三年前、二〇〇〇年の二月二十八日、この問題を皆さんと議論したことがあるんです。そのとき、きょうもおいでの矢野局長が、私が、保健室の中に、または隣接する場所に相談室を設置する、どこまで進んでいるかとお聞きしたら、文部科学省としては調査していないというお話でした。現在、どうですか。調査はなさったか。なさったとすれば、どんな状況かお示しください。
矢野政府参考人 御指摘の点につきましては、私どもいたしました調査は、カウンセリング等を行うための教育相談室を設置している、そういう状況についての調査をいたしまして、その結果、その調査結果によりますれば、平成十四年五月現在で、小学校の三〇%、校数にいたしますと七千七十五校に、また中学校の八五%、校数では八千八百十八校に教育相談室は設置されているという確認をいたしたところでございますが、さらなる、場所、詳細な位置等については私ども把握はいたしておりません。
児玉分科員 そこが肝心なところです。
 というのは、これはある関西の中都市で、その中都市の努力として、新設または改築の場合に、保健室を普通教室の一・五倍のスペースを確保する、これが一つなんですね。
 もう一つは、ここに私はオレンジをしていますけれども、保健室のこちらに、健康相談室というのを通路を確保してつくっているんです。今、矢野局長がおっしゃった教育相談室というのは、それとは別につくっているんです。だから、教育相談室、保健室、そして健康相談室が三つ並んでいるんです。この状態で、もうその後の全部の新築校舎と改築校舎は工事が終わっているんですね。
 それで、先ほどの整備指針でも明確に言われているように、保健室に隣接した位置、または保健室内にということの重要性、そこは皆さんおわかりだろうと思うんです。その点で、私が入手した範囲で、一定の調査としては、財団法人日本学校保健会のこれがありますね。これを見てみますと、やはり現場で苦労なさっているだけあって、保健室に隣接した相談室と保健室内のコーナーというのを区分けして調査しています。ただ、対象数が少ない。小学校百三、中学校、高校がそれぞれ九十六校で、一〇〇%回答、調査時期は九九年九月ですね。それを見ますと、小学校の相談コーナーの設置は三一%になっています。中学校は四四・八%、高校は五三・一%。付随した相談室というのが、小学校が七・八%、中学校が二六%、高校が三〇・二%。サンプリングが少ないから、これが全体をとは思わないけれども。
 それで、皆さんにお配りしたこの資料を、ちょっと皆さん、手にとってください。この問題というのが、今、保健室の果たすべき役割の重要性とも関連して、全国で大きな声にもなり、自治体が大変な努力を開始なさっている。
 そこにまずお示ししている資料一、都立A高校、全日制、二十七学級。これは、新築時にこのようになさった。広さは百三十二平米ですね、相当な広さです。そして、先ほどの整備指針で書かれているように、間仕切りが固定的につくられていて、そこに開閉のドアがあるんですね。なかなか見事なものです。休養室の三つのベッド、そして診察台その他、会議用長いす、そして、右のところに相談室。これは、いわゆるカウンセリングの相談室ではなく、健康、保健の相談室です。
 資料二を見てください。ちなみに言えば、今の都立A高校は南向きの部屋ですね。皆さんの整備指針にある採光のよいというところをこうやって取り入れていますね。
 都立B高校、これは、二十六学級で、広さは、先ほどのに比べてさらに広くて、百八十平米です。ここでも間仕切りがあって、そして個別に、子供たちが他人に聞いてほしくないということを含めて、養護の先生がゆっくり話が聞ける、そういう状況になっていますね。
 遠山大臣、この図をごらんになってどうお感じだろうか、ちょっと率直な感想を聞かせてほしい。
遠山国務大臣 私も、幾つかの学校を、ずっと以前、養護の先生のいらっしゃるお部屋を見たことがございますけれども、これだけ広ければいいなと思いますね。なかなか充実していますが、しかし、それは相当、設置者としても大変な努力を必要とすることだなと思いますね。
児玉分科員 それぞれの経過を聞いてみますと、新築、改築のときに、教職員の意見、とりわけ学校保健担当の先生や養護の先生たちの意見を非常に丁寧に詳細に聞いているんですね。そして、それを設計の段階から取り入れていって、こういうところにこぎつけています。
 新築、改築などの機会を生かして、整備指針というのは言ってみればガイドラインですから、このような方向ですることが必要であるということでしょうけれども、文部科学省自身が、保健室に隣接する相談室や間仕切りを設けた相談コーナーの設置、そして広さを普通教室の一・五倍以上、そして救急車やレントゲン車が直接保健室に接近できる、そういう配置、かつ、電話が外部に直接つながる、こういうことを重点にして、さらに全国を励まし、支援を強めていただきたいと思うんですが、いかがですか。
矢野政府参考人 まさに御指摘のとおりでございます。
 ただ、少し御説明申し上げますと、今、最初、先生が御紹介になりました、相談室が保健室から離れているというケースがございました。これは、近年、私ども、学校における相談体制の整備ということで、ハード面も含めた整備を求めておりまして、そういう中で、体制整備が進められているわけでございます。
 そうなりますと、例えば、そういう新築、改築でない場合につきましては、余裕教室を改造して、残念ながら保健室の近くにはなかなか難しくて、離れたところに相談室を大規模改造で整備するといったような、そういう事情で、結果として、保健室から離れたところで相談室が整備されるというふうなケースがかなりあるのではなかろうかと思います。
 ただ、そういう事情がございますから、そういう施設全体の状況の中でのやむを得ざる対応といった面もあるわけでございますが、御指摘のように、この整備指針を踏まえまして、特に新築や改築の際にはそれに沿った形での整備が進められることが必要でございますし、その方向で指導いたしてまいりたいと思っております。
児玉分科員 この問題は、学校をお邪魔する都度、随分言われまして、広さはできれば二教室分、先ほどの資料Bはまさにそれを十分満たしていますね。少なくとも一・五倍以上。
 こういう着想というのは最近のものかと思って、若干資料を当たってみたら、一九四一年、昭和十六年、学校衛生室の設備準則というのにぶつかったことがあります。戦前のものです。当時の文部大臣の諮問機関、学校衛生調査会の論議を踏まえて、全国の小学校に設備準則として示したものです。何項目かありますけれども、その中で、こう書いていますね。衛生室はこれを分けて、医務室、休憩室とし、それぞれ別室とすることとわざわざ言っています、それぞれ別室とすること。休養室はなるべく専用の便所を付設すること、ここまで今いっていませんね。そして、医務室の広さはおおむね普通教室の広さとし、休憩室の広さはおおむね普通教室の二分の一の広さとすること。なかなか見事な、先見的な見識だと思いますね。
 それからもう半世紀以上経た今、それをどうやって全体のものにしていくか。先ほどからのお話、私は、ぜひその方向で進めていただきたいと思うんです。
 そこで、最後に申したいんですが、保健室があって、間仕切りのある、先ほどのような固定的な別室に近い相談コーナー、または、隣接する相談室、それがうまく機能するためには、養護教諭の先生が一人ではなかなかうまくいかないんですね。相談に応じているとき、もう一人の方が多くの子供たちの応接をする。その面で、この七次の定数改善計画で一定の前進があったということは、私はよく承知しております。そこのところをさらに進めていく。
 何しろ、現在、日本の教育が抱えているさまざまな困難や課題、そして日本の教育がはらんでいる将来に対する大きな可能性のかなりの部分を現在の保健室が象徴的に示している。そこで頑張っている養護の教諭の人たちの努力に本当に報いてほしい。その面で、もう一回、遠山大臣にこの後の御努力についての抱負を聞かせていただきたい。
遠山国務大臣 きょうは先生のいろいろお調べいただいた内容をお伺いいたしました。そういったことも十分に勘案して、今後の学校についてのいろいろな条件整備について、人的、物的な、どうあったらいいかということは真剣に考えていく必要があると思います。
 本当にこれから少子化していきますし、子供たちの存在というのは我が国の未来にとって大変重要でございますので、心身ともに健康な子供たちが学校教育で健やかに育てられるように、また皆さんと一緒に知恵を絞っていかなくてはならないと思います。
児玉分科員 終わります。
斉藤主査 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。
 次に、中山義活君。
中山(義)分科員 今も心身ともに健康だというお話がありましたが、子供たちが心身ともに健康で学校教育を受ける、これは子供たちの権利でもあるし、親の権利でもあるし、国民の願うところでございますが、ただし、いろいろ子供たちも悩みを持つこともこれは当然だと思うんですね。
 そこでなんですが、教育カウンセラーという仕事があります。大臣はこれを、病気になった、心の病を持った人を治そうとするのか、それともそういう病気をつくらないように予防するのか、これはどっちでございましょうか。まず、その辺ちょっと聞かせてください。
遠山国務大臣 スクールカウンセラーといいますものは、子供たちの悩みや不安を受けとめて相談に当たるという役割だと思います。その意味では、今子供たちが抱えている子供たちの悩みを十分聞きながら、それ以上に不安が増したりしないように、適切な専門的なアドバイスをしたり指導をしたりという、そういう役割を持っているものだと思います。
中山(義)分科員 いわゆる問題行動を起こす子供、それから不登校などを起こす子供、これはもう問題というよりも、ある意味じゃ病理学的に見れば何かあるわけですね。しかし、教育の現場というところは、教育の現場を一番毎日見ているのは学校の先生なわけですね。そういう意味では、学校の現場というのは、やはり教師の意見というのが非常に大切だし、教師が一番よく見ている、こう思うんです。
 そこで、子供たちがどういう傾向で、またはどういう兆候で不登校になっていくとか、またはいじめに遭うとかいじめをするとか、これをやはり一番見ているのは学校の先生だ、こう思うわけです。その教育現場にできるだけ近い人がカウンセラーになるのが普通は筋だというふうに思うんですけれども、どうも文部省の通達から見ますと、これを、病気になった子供をいろいろ個別にカウンセラーをするというような傾向が強いわけですが、私はむしろその前に、学校に入って、元校長先生であるとか学校教育を三十年やっているとか、そういう人たちが子供の全体像を見て、学校の中の、例えばクラスの中でどういういじめが起きているとか、その子個人の問題だけじゃなくて、この教育の中で何が行われているか、そういうところが私はカウンセラーの一番大事なところだと思うんですね。
 今、臨床心理士という人たちが一番カウンセラーになっている確率が高いわけですが、そういう人たちは、やはりある意味では、どこか不登校になったそういう状況を見て、それを個別に呼んで診断をしていって、それにカウンセリングする、こういうことなんでしょうが、私はその前の方がむしろ大事だと思うんですね。どうしてこうなるんだろう、やはり学校教育を経験した人は、この子は危ないぞ、そういう兆候があるぞと見ればわかると思うんですよ。私は、カウンセラーというのは、学校教育を何年もやった人、そういう人がやはり大事なんです。
 私は、実は学校の教師を二年ばかりやりました。自分の自宅を改造して体操教室を三十年近くやったんです。子供たちを教えてまいりました。いじめがあればすぐわかります。トイレから全然出てこなかったり、トイレに閉じ込められちゃったり、やられる子は大体傾向はわかります。だから、その子を注意して、その子をいじめる側にも、人間とはこうあるべきだ、弱い者は助けるべきだとか、いろいろな話をしているうちにそういうことが予防ができるわけですよ。
 私は、カウンセリングというのは予防する事業だ、こう思うんですね。しかも、今回は文部省でも百億近い予算をつけて、そういうカウンセリング事業をやろうとしているわけでしょう。だったら、予防の点に力を入れるのか、なっちゃった、そういう時点でそこに力点を置いているのか、ちょっとその辺をもう一度御答弁いただきたいと思います。
遠山国務大臣 確かに私も、学校の中に、教員だけではなくて外の人のいろいろな英知が活用されたり、それからそういう体験に基づいて子供たちの状況を見てアドバイスするというのは大変大事だと思っていまして、正式のスクールカウンセラーの配置も大事でございますし、また、昨年来学校いきいきプランのようなことで、社会人が来て、そして子供たちの状況を見ながらアドバイス、それはつまり、先生のおっしゃるように、学校の状況を見ながら問題をできるだけ察知をして、そしてアドバイスをしていく、そういうことは学校運営にとっても非常に大事だと思っております。
 スクールカウンセラーといいますのは、私どもの考え方としては、そういう予防のことももちろんやりますし、それから、本当に心を病んだあるいは傷ついてしまったような子供たちをどう立ち直らせるか、あるいは周辺の環境を整えるかということにおいて専門的な知識、技術を発揮していただく、そういう大変大事な存在だと思っております。
中山(義)分科員 私はちょっと心配しているんですが、不登校が起きますね。不登校を起こした子は、それなりに何か特徴があって、不登校だけ集めてそういう学校をつくるとか、そんなことも何かやるやに聞いていたり、やはり私たちは、正常でいえば、普通の教室の中で子供たちが正常に教育を行われているその方が正しいと思うんですね。ですから、不登校の子たちはそれなりの理由がある、だからその中に一緒に集めて何かやるというよりも、そうならないようにするということが私は教育のカウンセリングだと思うんですよ。
 やはり、社会に出ればいろいろな人と交わって、いろいろな人と一緒に生活をしていくわけですから、学校教育の場というのは、まさに団体の中に入って、社会に入って、そして社会で順応していくということがすごく大切なわけです。やはり学校教育の基本というのは、家庭教育があって、社会教育があって、学校教育があって、これが三位一体となることが大事なわけですね。
 ですから、カウンセリングというのは、単なるその子の置かれた病理的な状況だけじゃなくて、家庭の状況はどうか、社会で、地域社会の中でいろいろな人がどういう、一緒に遊んだりなんかしているのか、または青年部でどんなふうにやっているとか幼年部でどうやっているとか、または地域でどんな活動をしている、または学校の中ではどうだとかという、いろいろな広い見地が必要だと思うんですよ。
 私は、さっきから言っているのは、どうも臨床心理士という方たちが業務独占をしているんじゃないかと、はっきり申し上げると。もっと幅広く子供たちの教育を見なきゃいけないと私は思うんですよ。私は昔、子供のころ、社会でも悪いことをすれば、がんと地域のおばさんやおじさんにやられましたよ。いいことをすれば、あめ玉をくれたりなんかする。それが教育環境なんですね、社会の。
 それからもう一つは、学校教育の中でも、つらくても頑張るという、みんなで、しかも協力して頑張っていくということを教えるのがやはり学校教育だと思うんですが、最近そういう学校教育の中で、特に戦前とか昔からの教育的な、日本の古来の団結の仕方、もともと日本は農耕民族ですから、そういういろいろなことを知っている人たちが、年齢的にも非常に人生経験のある人が本来はカウンセラーとしてもっと学校に入るべきではないか、こう思うんですが、いわゆる臨床心理士がどうも業務独占をしている。特に東京なんかそうなんですよね。
 この事実は恐らく知っていると思うんですが、その辺はどうですか。もうちょっと教育カウンセラーというのは、教育経験の多い人とか人生経験の多い人とか、やはりそういう一つの理念を持っている人を入れたらどうですかね。
河村副大臣 中山委員御指摘の、お話しの点というのは、私も理解をするもので、これがよく言われる、昔はもっと地域の教育力が高かった、これもやはり崩れたということがそういうことを事前に防げなかったような原因の一つであろうというふうに私も感じているわけでございますが、今おっしゃるスクールカウンセラーというのは、まさにその専門的教育を受けた、いわゆる心の専門家という言い方をしておりますけれども、これが教員と協力体制の中で生徒の相談に当たるということになっておるわけですね。だから、やはり問題が発生したという時点で要るわけでありまして、おっしゃるように、常時予防的な役割を果たしているかというとそういうものではないという点から、もっともっと事前のそうしたものの対応が必要だ、こうおっしゃるわけでございまして、これも、しかし、一つ出たらまた次出る可能性があるわけですから、早い時期で、そういうのが出ますと、これからの対策も実はスクールカウンセラーはその役割を担っているはずです。
 だから、そういう意味ではスクールカウンセラーは必要なのでありまして、今これが不足しておりまして、各学校等々からも、教育委員会等々からも要請が来ているわけでありまして、今この養成をもっと図らなきゃいけませんし、これはまた精神科医との兼ね合いもあって、医療の分野からもいろいろな要請がありまして、これはもっと、国家資格にするべきだというような声も今一方では出ておるわけです。
 しかし、おっしゃるように、教育経験の豊かな人たちで、いわゆる人生経験豊かな、子供の心を見抜く名人がたくさんいらっしゃるとこれは一番いいと思うのでありますが、各市町村が単独でそういう方々に協力する。それから、校長は、学校評議員制度というのをつくって今学校を開放するようにしておりますから、そういう方々に相談をして、そういう立派な方を雇う、校長のOBを非常勤で雇うということは現実にあると思いますね。現実にもうやっているし、それはむしろ奨励すべきことだというふうな方向になっておりますから、私は、先生が今御指摘のような方向というのは、これからもっともっと進めていくべき方向であろう、このように思います。
中山(義)分科員 今スクールカウンセラーが少ないというような、そしてまたそういう地域もあることも現実ですね。だけれども、学校のそういう人たちが少ない、スクールカウンセラーが少ない、だから、では準カウンセラーで補っていく。ところが、この準カウンセラーの資格を持った人たちというのは、意外に、学校の教師をやっていたとか、長年やって、教頭または校長をやってからおやめになってやっているとか、結構能力のある人が多いんですね。
 それが、経過的な措置として準カウンセラーを雇うというようなことになっているんですが、実際は、臨床心理士とそれから今言った準カウンセラーとどっちが優秀かという判定は、文部省では恐らくしているからこういう位置づけをしているんでしょうけれども、私らから言うと、予防的な措置ができるのはむしろ準カウンセラーの方だと私は思います。不登校になっちゃって、悩みを持っちゃってからそういう相談をするのはいわゆる臨床心理士ということだと思うんですが、この辺もうちょっと文部省で少し論議した方がいいんじゃないですか。私、聞けば聞くほど矛盾を感じるんですよ。
 カウンセラーという仕事は、例えば私が大臣に悩みを打ち明けますね、一生懸命悩みを打ち明けただけで、結構それで相談になるんです。要するに、聞いてあげるという姿勢が大事なんですね。その人が何も心理学者であるとか何であるかというよりも、本当に子供の立場に立って、あ、そう、どういうことで悩んでいるのとか、何で学校行くの嫌なのと聞いてあげる姿勢が必要なんですよ。それは長く子供を扱った学校の先生の方がたけているんではないですかというのが私の言っていることでございまして、どうも臨床心理士と決めちゃうからカウンセラーが少ない。少なくないんですよ。自分たちはこういう教育をしてうまくいった、または経験が豊富だ、こういう教育で失敗したけれどもこういうふうにやった、そういう経験豊富な人はたくさんいるということなので、少ない地域については、経過的な措置なんて言わないで、実際うんといるんです。私も人数見せてもらったら準スクールカウンセラーという方は随分いるんですよ。もっとうまく活用できませんかね。
 皆さん、せっかく一生懸命やったって、その仕事で生活ができれば全力を尽くしてやりますが、それがアルバイトだったり、それで食えなかったら、やはり一生懸命やりますか。今こういう時代です。なかなか求人ないでしょう。やはり仕事をする側としてみれば、ちゃんとした定職で、子供のために一生懸命働く、そういうすばらしい職場じゃありませんか。また、準スクールカウンセラーの方だってすごい充実感を持っていますよ。子供の教育で、子供が落ちこぼれないようにするというのは大変な仕事ですよ。そういう面では、すごく重要な仕事についている方たちが、この東京都においては、何か、来年、準カウンセラーの人たちが仕事がなくなるとも聞いているんですね。それはなぜかといえば、第一義にあるのは、臨床心理士の人がまず優先されるということで、それ以外の人は経過的な措置だから全部やめなきゃいけない、こういうのでは、ちょっとおかしなことをやっているというふうに私は考えているんですが、この辺は、ちょっとごく当たり前の普通の判断をしていただければそれで結構なんで、どうですか、この辺。
河村副大臣 中山先生のおっしゃるような体制を、いわゆるきちっとした制度化的な形では今スクールカウンセラーというのがあります。それから、準スクールカウンセラー。この準スクールカウンセラーも、今いわゆる準という名前をつけておりますが、現実にはそういう心理学を学んだ人とか、お医者さんといいますか、そういう経験のある人たちとか、そういう方々が、スクールカウンセラーに準ずる者という格好で、一定の経験を持っているという形で入っておるわけであります。
 このスクールカウンセラーの資格要件というのが、さっき申し上げたように、臨床心理士と精神科医と、それから心理学系の大学教授あるいは助教授、講師、こういう方々、ほかに、今御指摘の準スクールカウンセラー、準ずる者、こうなっておりまして、現実に、私は、各教育委員会、自治体でそういう方々が、準スクールカウンセラー的な役割を果たす人たちが必要だということであれば、校長先生の経験者等を、これはまだ常勤体制にはなっていないと思うんですけれども、それに応じて、その学校は必要と感じられれば、それが採用されて全体の学校の中に入っておられる、相当数私はあると思いますよ。
 だから、これは、さっき申し上げましたように、今後都道府県と市町村レベルでも独自の相談体制をおつくりになるということは必要でありましょうし、最近不登校児が非常にふえてきたということもあって、この対策をどうする、不登校になった子供たちをどうやって呼び戻そうかということで、スクーリング・サポート・ネットワークというのですか、この整備事業も予算をつけて今開始をいたしておりまして、これは学校全体でやはり取り組む問題でありますから、先生のような御提言も私は取り入れてやっていったらいいと思います。
 スクールカウンセラー、いわゆるそういう資格を持ったスクールカウンセラー、そういう専門家、これもまた必要ですし、その方々にも当然予防的な相談にも乗ってもらわなきゃいけませんから、これは全体を活用するということが必要だろうと思いますね。
中山(義)分科員 質問通告に、資格要件の弾力化を図ることを検討してもらいたいということがまず一つなんですが、もう一つは、私、提言としては、やはり教育の場というのは、一番教育に携わってきたのは、先生が教室の中でやってきて、そういう長い経験のある人に対してもっと要件の弾力化を図って、しっかり活用してもらいたいと思うんですね。
 これ、教員研修事業費等補助金、いわゆるスクールカウンセラー活用事業補助の中に、これは取扱要綱です。この中の第四条のただし書きにかなり厳しいことが書いてありまして、制限されるような項目が書いてあるんですね。私はこのただし書きを取ってもらいたいと思うんですね。そうすれば、もっと柔軟にカウンセラーを使えると思うんですよ。
 それともう一つは、やはり都道府県に、または市町村にこんなの任せるべきじゃないですかね、本当は。もう国がこうしろああしろというものをやって、やはり地域によって事情も違うし、子供たちの状況も違うだろうし、やはり地域で、または市町村で、どうしてもカウンセラーは必要だ、もっと子供たちの教育にとって相談相手が必要だ、また先生にとっても相談相手が必要だ、こういうことからいえば、やはり都道府県に任せるべきでありまして、そういう面では、もっと柔軟に対応してもらいたいし、このただし書きをできる限り取ってやっていただきたい、こう思うんですが、最後に大臣に答弁をいただいて、ちょっとこの質問は終わりたいと思うんです。
遠山国務大臣 どういう人を採用するかというのは、本当にその都道府県なり市町村に任されているわけでございまして、私は、その実態に合った最も適切な人を選んでもらうというのが一番すばらしいと思います。
 もちろん、知識、技術の高さというのも要るかと思いますけれども、先生がおっしゃいましたような角度も大変重要だと思っておりまして、ぜひともそういう角度で、柔軟な、しかも現実に合った採用をしてもらいたいと思っています。
中山(義)分科員 大臣、どうぞ、大臣に対する質問はもうありませんから。あとは渡海副大臣にちょっと質問することがありまして。とにかく柔軟にやってくださいね、大臣。お願いします。
 渡海副大臣、ちょっと私ども、私は長い間スポーツをやっていまして、特に社会人体操連盟の会長もやっているんですが、スポーツを繁栄させていくには二つの方法があるんです。一つは底辺を拡大すること、もう一つはやはりスター選手をつくることだと思うんですね。
 恐らく副大臣も、野球は一生懸命子供のころやったと思うんですよ。そのころあこがれたのは川上の赤バットとか大下の青バットとか、古い話ですが、我々の時代になってくると長嶋、王になるわけですけれども、やはりスターにあこがれてそういうスポーツをやっていくわけですね。だから、スポーツの底辺を拡大するためにもスターというのは大事なんです。
 ところが、日本はやはりスターがどんどん流出していますね、外国に。これは、一つはスポーツがグローバル化されたこともあるんですが、やはり諸条件が外国の方がいいということもあるんですね。これはプロスポーツだけじゃないんです。徐々にそういうことが起こっているような気がするんですね。実は、私のやっている器械体操なんかでも、やはり金メダルをとっても、プロがないスポーツというのは、ただ金メダルをとったというだけなんですよ。やはり韓国なんか見ていますと、それに報奨金が出たり、金メダルをとると国民的な英雄にもなるし、生活の糧にもなる。これは、やはり努力したらそれに報いられるというのは、スポーツの世界でも当たり前だと思うんですね。
 そういう面では、どうか日本のオリンピックの金メダルがもっとふえるような作戦を考えて、あの日の丸が上がって、君が代が演奏されることが、私みたいにスポーツをやった人間にとっては一番うれしいことですね。まさに愛国心がふつふつとわき上がってきて、日本の国のためにおれも何かやってやろう、こういう気持ちになるんですよ。それにはやはりスポーツというのはすごく大きいですよ、我が国のために金メダルをとって、日の丸を上げているんですから。
 そういう面では、ひとつもうちょっとスポーツ振興にお金をかけてもらいたいんですが、予算はほとんど文部省はある程度しかつけないで、あとはtoto、いわゆるサッカーくじか何かでやろうなんというんだけれども、サッカーくじ、ちっとも売れていないと、結局はサッカーくじが売れなかったら何もできませんになっちゃうんですよ。ちゃんとした予算で、金メダルがとれるような一つの政策、これも国威を上げる大事なものだと思いますが、いかがですか。
    〔主査退席、萩野主査代理着席〕
渡海副大臣 先生の基本的なお考え、認識、冒頭の世代が違うようなお話をされましたが、私もどちらかというと長嶋の世代でございまして、それ以外は大体同じでございます。
 ただ、実はサッカーくじ、スポーツ振興投票券、これは議員立法でございますが、出てきた背景の中で、同じような議論が実はありました。そのときに実は、やはり国としては、制限をされた予算の中でやれることに限界があるという議論だったんですね。だから、宝くじ的な要素をやって、不正が起こらないような、非常に宝くじに近いような形のサッカーを選び、ああいう形ができた。多分先生も経緯は御存じだと思います。
 そういうことを考えたときに、やはりどこから財源を求めるかという話は、これはいろいろとあるわけでございますが、私はやはりインセンティブが強く働く、目標を持ってもらう、これはスポーツだけではありませんが、それが非常に人間にとって大事であろう。そして、我が省もいろいろと政策を実行しておるわけでございますが、そのためには、一つは、底辺を広く持つことによって、子供が自分の可能性をみずから見出していく、また、周囲で見ている人が見つけ出す、これも大事でありますし、同時に、やはり高いところにその目標があって、それに非常に強いインセンティブが働く。国威発揚とかそういう観点は、これは物の見方だと思いますが、そういうインセンティブが強く働く、こういう政策をとっていかなければいけないと私は認識をしているところでございます。
中山(義)分科員 ちょうどオリンピックの目前に、前、町村文部大臣に質問したときに、あのときは、サッカーくじができればそれですっと選手をなんて言ったんですが、ちっとももうかっていないようで余り芳しくないわけですが、やはり国がスポーツというものを、文化、それから国の広い、経済だけじゃなくて、もっといわゆる人間がどうやったら尊敬されるかとか、またはそのチームで一生懸命戦った団結心とか、いろいろな部分がスポーツにはあるわけですよ。
 スポーツをやるということは、人間が一つ一つ体を鍛えることによって、いろいろなことを覚えていくんですね。だから、スポーツをやらせるということは、国の力にもなるわけです。そういう面では、何をやったらみんながスポーツをやるかといったら、やはりさっき言ったように、スターをつくることだと思うんですね。マラソンなんか見ていても、ジョギングをやっている人は、やはり気持ちの上では、ああいうふうになりたいとか、そういうさっそうと走っているところを思い浮かべながらやっているわけですよ。先ほどの野球の話ではありませんが、やはり我々は長嶋、王のバッティングにあこがれて、朝早く起きておはよう野球に行ってやっていたわけですね。そういうことがスポーツの底辺の拡大につながっていく。
 どちらかというと、スポーツ振興といいますと体育館をつくる、野球のグラウンドをつくる、それから陸上競技場をつくる、こういう問題なんですが、本当は違うんですね。やはりソフトこそ大事なんですよ。人間を育てなきゃだめなんですね。幾ら競技場をつくったって、やはり大した選手がいなければ、その競技団体は大きくなれない。
 私たちはたまたま器械体操をやっていて、小野だ、竹本だなんていまして、塚原さんだとかいろいろいましたよ。塚原選手の月面宙返りだとかああいうのも、日本人のやはり知的財産権というか、わざだって自分で発明してやったんですよ。回転レシーブだってそうですよ、時間差攻撃だってそうですよ。スポーツの世界にもそういう、人にできないことをやろうというすばらしい発想が出てくるんですね。しかもそれは命がけですよ、はっきり言って。鉄棒からおりてくるときに、二回宙返りをやって一回ひねるんですよ。わかります、二回宙返りをやって一回ひねる、どうやるか自分じゃわからないでしょう。そのくらいのわざを編み出すんです。こういう世界なんですね。
 だから、そういう人たちに、すばらしいわざをやって金メダルをとったんだから、国からも少し御褒美をやろうじゃないか、こういうインセンティブが結局は強い選手をつくっていくのではないかというのが私の言っていることでございまして、やはりスポーツの世界にもちゃんとした生活の糧、またはそれをとることによって何か資格があるとか、さっきの臨床心理士じゃないけれども、とれば何か資格が与えられていくとか、やはりそういうのを考えないと、プロのないスポーツというのはインセンティブが引けないんですよ。
 やっていれば必ずプロ野球になって、そして将来アメリカの方へ行って大リーグでやれるなんというんだったら、高校野球、一生懸命やりますよ。しかし、プロのスポーツがない、そういうスポーツはやはり何か考えてあげる必要があると思うんですが、何かもうちょっと、よその国ではやっていますよね、何かスポーツ選手を優遇して。もう日本は経済だけじゃないぞ、もっとこういうこともやっているというような、そういう発想を持てませんかね、副大臣。
渡海副大臣 私も先生の意見には全く同感でございます。
 特に、少し余分なお話になりますが、長いことやるつもりはありませんが、今までの日本のアマチュアスポーツというのは、やはり企業が支えてきたんですね。ところが、こういう経済状況になりますと、すばらしいチームなりすばらしい活動をしていたその企業のスポーツというものがどんどんと後退をしております。そういうことを考えますと、これは逆の意味でむしろ後退をしていると言わざるを得ない。そういうときに、やはり国としてさまざまな助成をしていくということをやらなければいけない。
 当面、十分とは言えませんけれども、いろいろなオリンピックに関するさまざまな助成なり、そしてやはり能力のある選手に対する助成なり、そういったプログラムを今つくって、実施をこれからしようとしておるところでございます。今年度で約十億円ぐらいの予算をそれに充てていくということにさせていただいておるわけでありますが、ただ、要は顕彰を出す出さない云々等は、もう少しこれはやはり国民の議論も含めて検討をさせていただきたいというふうに考えております。
中山(義)分科員 私たちもやはり、オリンピックを見ていて本当に、金メダルをとって、日の丸、君が代、うれしいですよね。そういうごく素直な気持ちでスポーツを応援したいというふうに思うんですね。別にそんなこと、思想的なことも何にもありませんよ。ごく素直に、テレビを見ていて、画面に、日本人が優勝して、ああ、大したものだ、一日、きょうは気分いいから、一杯やっちゃおうという、そういう気分になるでしょう、やはりオリンピックを見ていて。あれ、金メダル全然とれないと、悲しいですよね。ああ、日本民族ってこんなに体力も度胸も団結力もないのかと思っちゃいますよ。
 そういう面では、日本人としてやはり、オリンピックになったら、世界の国が参加するんですから、そこで金メダルがとれるような国になりたい、こういうことで、文部科学省においても、ぜひ英雄をつくっていただいて、日本人ってすばらしいぞ、こういうところでお願いしたい。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
萩野主査代理 これにて中山君の質疑は終了いたしました。
 次に、小西理君。
小西分科員 自由民主党の小西理でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょう、私は、今、構造改革初め日本の産業再生、これは喫緊の課題ということでありますけれども、口で言うはやすく、行うはかたしということで、やはり企業、産業を支える人材というのが育ってこなければこれは絵にかいたもちになるなということで、実は午前中、厚生労働省の方にも質問をさせていただいたわけなんですけれども、とはさりあれ、一番現場であります文部科学省の所管されておる部分で幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
 まず一点目に、今、特に大学その他、いわゆる高等教育という部分でさまざまな、私も大学は一応行かせていただいたわけなんですけれども、日本の産業を支える人材というのが本当に育っているんだろうか、こういう疑問を持っております。例えば、私も会社に入ったとき、よく言われます、大学で得たことは忘れろと。一からここで教えてやるというような形で、企業で今、オン・ザ・ジョブ・トレーニングという形でやるようなことも多いんですけれども、一体、こういう現実を目の当たりにして、今どういう点が不足しているのか、これからどういうことを中心に強化していけばいいのか。
 例えば、産業構造の変革の中で、午前中質問させていただいた中で、これからは医療、福祉、健康、情報サービス、こういう分野に大勢の人材を輩出していかなきゃいけないというようなことも伺ったんですけれども、ひとつ、ちょっと全体的な話でございますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 小西委員御指摘のように、日本の大学が本当に産業界で実際に役立つ人材を養成しているかということについては、さまざまな方々から懸念が述べられております。
 これまでといいますか、何年か前までだと思いますけれども、日本の大学というのは、どの大学を出たかということの区分をしてもらえば、あとは企業でやるよという色彩が非常に強かったんですね。そういう企業の姿勢もありますし、また、学ぶ学生たちもそこを出たということに満足をしていた面もあると思いますし、また、大学の教員自体がそういう本当に役立つ実際的な知識を持った学生を育てるということに力点を置いていたかというと、必ずしもそうでなかったと思います。
 そういうふうな前提でありましたけれども、近時、いろいろ変化が見られております。一つは、産業界を初めとする社会のニーズというものは極めてはっきりしてまいっておりまして、名目的な学歴というものよりも、本当に何ができるか、実際的な力をつけてくれというニーズがわき起こってきておりますし、それからまた、大学自身も、本当に力をつけて、卒業生たちが社会に出て力を十分発揮できるようにというようなことで、カリキュラムの改革でありますとかさまざまな大学改革に取り組んできてくれていると思います。したがいまして、大学をめぐる環境、それから大学の中、こうしたところの関係者の意識が大きく変わってきていると思います。
 そういうことも前提にいたしまして、今、制度としてどういうことをやっているかということでございますが、一つは、高度な専門的知識、技術が習得できるカリキュラムを充実していくということにおいて、各大学は相当しっかりと取り組み始めていると思います。
 それから、インターンシップを実施いたしまして、学生のときに企業などへ行って実際に職業の場において経験を積むというようなことも、実際的な力を養うのに非常にいいわけでございまして、単に知識、技術がふえるというだけではなくて、職業に対する姿勢も変わるわけでございます。
 それから三つ目には、大学院におきまして、企業などと連携して教育を行うというふうなことも進めているところでございます。
 さらに、大きな改革が最近なされているわけでございますが、昨年、学校教育法を改正いたしまして、大学院レベルで、高度専門職業人養成に特化した教育を行いますための専門職大学院制度の整備を行いました。これは、法科大学院というのが世上着目をされておりますけれども、それ以外にも専門職大学院制度というものを活用して、社会に出たときに即戦力となるような人材を育てるという角度から、新たな取り組みが始まろうとしているところでございます。
 我が省としましては、どのような学生をつくろうとし、またどういうふうなカリキュラムを組んだり、努力をしていくかというのは大学自身ではございますけれども、制度の面あるいはさまざまな面においてそういう取り組みが促進されるように、できるだけそれを支援してまいりたいと考えております。
小西分科員 どうもありがとうございます。
 ちょっと、私も幾つか、今包括的な施策についてお話しいただいたんですけれども、二十年ばかりサラリーマンをやってきましたし、感じるところでちょっと二つ、三つ、御質問をさせていただきたいというように思います。
 一点目は、御所見をお伺いしたいんですけれども、今例えば大学などで欠けていると思うものに、私が思うに、一つにケーススタディーというのがあろうかと思うんです。私も法学部に行かせていただきましたけれども、当時、会社法だとか勉強する中で、昔の大審院の判例を教わるのではなくて、ここで例えば今のMアンドAであるとか、そういう現代の、本当にリアルな社会の問題というものがしっかりと取り上げられるような環境があれば、大分自分の興味も違ったのではないかなというように思うわけであります。
 例えば、この間、私もちょっとショックを受けたんですけれども、実は私が雇ったコンピューターのエンジニア、あるエンジニアがおりまして、この人間がちょっと雲隠れをしちゃったんですね。なぜ雲隠れをしたかというと、アメリカのMBAの試験に受かっちゃったんです。さんざん彼は悩みまして、実は奥さんは中国の方で、家族に相談したところ、会社をやめてMBAに行かぬかったら、おまえとは離婚すると言われたんです。要は、それだけの重みというのが、アメリカのそういう大学というものを彼らは感じているんだなというのを僕はふつふつと感じさせていただいたわけであります。
 そういう中で、今このあたりのものを実際にどういう形で織り込んでいくか。口で言うのは簡単ですけれども、実際にそれをどういうふうに現場でやっていくのかということになると、これはいろいろなことを考えていかなきゃいけないというように思うわけであります。そのあたりの具体的な方針等、将来にわたってでも結構ですので、所感をあわせてお聞かせいただければというように思います。
遠藤政府参考人 御指摘のように、実践的な、高度の専門性を持った人材をそういったような形でいかに養成していくか、そういった事例研究といいますか、そんなようなものを取り入れてということでございますが、実は平成十一年から日本にもMBAができておりまして、例えば一橋大学の国際企業戦略研究科の中にあるとか、青山学院大学の国際マネジメントといったようなところでそういうものができておりまして、そこでは授業の方法として、まさにアメリカのMBAで取り入れておりますケースメソッドといいますか、そんなようなものを取り入れて授業を展開する。修士レベルでございますけれども、通常、日本の修士といいますと、昔でいいますと博士課程の前段階、研究者養成の第一歩ということで、そういうような形でマンツーマンの教育、少人数のという形でございましたけれども、そうではなくて、やはり今言ったようなMBAのような形でどんどん人材を育成していこう、もうそうしないと国際的に日本も耐えられないということで、そういうような制度。そして現実に、今一橋、青山学院と言いましたけれども、そんなような形でできているということでございまして、恐らく、今度専門職大学院制度というのができましたので、これらも多分その中に組み込まれていくと思いますので、どんどんそういったような形で展開していくだろう、こう思っております。
小西分科員 ありがとうございます。
 ちょっと二点ばかり今の点に関して指摘をさせていただきたいと思います。
 一点は、確かに、今緒についたということだと思いますけれども、実際にそれが機能するのかどうか、本当にしていくのかどうか、しっかりと見ていっていただきたいというのが一点ございます。それから、その点に関して、だから、そこを出た後、学生がどのように社会の中でこれからビジネスにかかわっていくのかというところもしっかり見ていっていただきたいと思います。
 もう一点は、先ほどから専門性という言葉が出ておりますけれども、この言葉、非常にだまされやすいといいますか、難しい定義だなというように思います。非常に微に入り細に入りテクニカルなことをやるのが専門性なのか、実践的なことを、いろいろなものに対応できるのが専門性なのか、その辺の議論をまたきっちりと、この場ではこれ以上申し上げませんけれども、やっていっていただければというように思います。
 それともう一点、非常に気になることに、私の経験で言わせていただくと、これも大変恐縮なんですけれども、例えば学部をわたるとか、理系と文系の両方にわたるというようなことが実際社会に出ると大変多い。このところを補うような大学教育、その他のカリキュラムというのは今どういうふうになっているのか。
 例えば、エンジニアにしても、今はもうほとんど契約書なり自分で商売をしていかなきゃいけない、そうしないといい成果が例えばあらわれない、そのような事態もありますし、私どもが選挙区で聞かせていただいたある社長さんがおっしゃるには、銀行員が来てもお金を借りてくれという話はするけれども、ファイナンスの話はできないというようなことが実際に起こっているというのが現状だと思います。例えば今、経済学部を出ても、この辺のファイナンスということにどこまで学校でそれが組まれているのか、この辺、甚だ疑問なところでありますけれども、このあたりのところを、今どのようになっておられるか、お聞かせいただければと思います。
遠藤政府参考人 最初に、先ほどのMBA等の評価、卒業生、しっかりと、こういう話でございますけれども、これは私どもよりもむしろ社会がしっかりと評価をしてくれるだろう、こう思っています。あそこのあのコースを出たやつは使い物になるよ、使い物にならないよ、あれはだめだよ、いやあれはもう大変いいということで、いろいろな面での評価でそれがチェックをされていくんだろう、こう考えておる次第でございます。
 それから、理系、文系またがった、そういう教養をきっちり身につけた人も必要だ、こういう御指摘でございます。確かに、最近の社会状況を考えますと、やはり、大学において専門化した内容、狭い内容だけの教育ということもある分野では必要かもしれませんけれども、広く人文科学あるいは自然科学にまたがる分野も取り入れた学際的、総合的な教育を充実させていくということも重要になってきておるわけでございます。
 すべてではありませんが、そういう取り組みも徐々になされてきておりまして、例えば理工学部の経営工学科といったようなところ、結構数は多いのでございますが、そういうようなところでは、理系科目とともに経営学あるいは社会学といったような文系の科目も授業科目として位置づけて、トータルで学ばせるというようなこともございます。
 あるいは、これも一例でございますが、立命館大学の琵琶湖のびわこ・くさつキャンパスというところ、御地元だと思いますが、そこで理工学部、経済学部、経営学部と三学部があるわけなんですけれども、それぞれその学部・学科単位の教育ということ以外に、その三学部をまたがった文理総合インスティテュートといったような教育課程といいますか、教育用語で言えば教育課程、授業群といいますか、そういうものを設けまして、ファイナンスあるいは環境デザイン、サービスマネジメントといったようなコースを設けまして、理工学部からも経済学部からも、そこへ行きたいという人にはそういった理系、文系入りまじったコースでの教育を行っている、こういう事例も出てきているということがございます。
小西分科員 ありがとうございます。
 今いろいろ事例をちょっと並べていただいたんですけれども、逆にそういう話を聞くと私ちょっと不安になるところがございまして。大変恐縮なんですけれども、やはり中身がどこまで行くのかというところが大事だと思うんですね。確かにカリキュラムをつくってやるというのは簡単なことだと思いますけれども、まあ簡単ではないかもしれないですけれども、それがどういう形で本当にあらわれてくるのかというところを。先ほど言われました、それは学校任せ、それはやる人間はやる方で、これは一生懸命自分たちが受け入れられるように頑張ろうと思うんですけれども、それはあくまで一つの主体なんですよ。
 文部科学省というのはいろいろなものを見ておられる、いろいろなところを上の方から見られるわけですね。ああ、ここで成功したとか、ここはこうや、ここは足りない、ああなっている、これはどうなっているというのはわかる立場におられると思うので、ぜひそういうものをフィードバックできるような形でしっかりと追跡調査といいますか、フォローをしていっていただきたいというのが私の御要望でございます。
 それと、今の問題をちょっと今度角度を変えてお伺いしたいと思うんです。
 例えば、私、会社におりましたときに、ある大学の教授のところに出入りしておりまして、大学の教授がおっしゃるには、我々にとって企業が今現場で何を考えているのか、それが一番知りたいことだということで、よく水ようかんを持ってお伺いをしていたんですけれども、そういうことを考えるのと、もう一方に、今、大変リストラとか行われていまして、人材のミスマッチとかいうことで、失業、大分中高年もふえておるわけなんです。こういう中で、今、日本は五十年、このグローバルなビジネス社会で、いろいろなところを含めて一生懸命頑張ってきた中高年の方というのがいっぱいおられると思うんですね。「プロジェクトX」じゃないですけれども、ミニXとかYとかZという人たちというのは、至るところにおられると思うのです。私もはっきり自分でどうしたらいいのかというのはアイデアはないんですけれども、こういう企業に今たくさん詰まっているのが失われるんじゃないか、ほうっておくと。いわばアーカイブといいますか、こういう知識をどうやってこれからの世代につなげていくのかというのは、非常に私は一つのテーマだと思っております。この辺について御所見をお伺いできればと思います。
遠藤政府参考人 いろいろなやり方があるとは思います。例えば、一つの例として、先ほどケースメソッドと言いましたけれども、あれも事例一つつくるのに大変ないろいろな現実のケースを拾い上げ、それを整理し、そして学生の教材として提供する。そういう中で、やはり今おっしゃったような会社でのそれまでの失敗例、成功例、いろいろな事例があると思いますけれども、そういったようなものを教材として入れていくというようなことが広く行われるということも一つだろうと思います。あるいは、大学で授業科目を開設し、授業を展開する際に、いや、この部分はやはり、学者だけじゃなくて、実践家にビビッドな講義を学生にしてもらった方がいいだろう、こういうことで、非常勤講師というような形でお願いをする。これはかなり多くの大学でやられておると思いますけれども、そんなようなこともあるでしょうし、いろいろな形でこれから大学は競争でございますから、そういう形で取り入れていくだろう、私はそう思っております。
小西分科員 ありがとうございます。
 ぜひこのあたりのところは力を入れてお願いしたいと思います。逆に言うたら、企業に、こういうことをやれ、こういうものをおまえのところはやっておるはずだからちょっとまとめてみいとか、次にちょっと質問をしますけれども、学校をつくってみいとか、そんなことのイニシアチブをとっていっていただければ大変ありがたいといいますか、一つの方針になるのではないかなということを意見として申し添えさせていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 現在、構造改革特区ということで、株式会社の学校法人への参入ということが大変話題になっていますし、読むところによると、一応これはマルということで伺っておりますけれども、これは、私は非常にやるべきだと思うし、重要なことだと思うんですけれども、実際のところ、どういう効果を想定されているのか、どのあたりを目途にしておられるのか、ちょっとざっくばらんにお伺いをしたいと思います。
遠山国務大臣 構造改革特区という、特別の申請があったところについてはいろいろな条件を緩和してやってもらおうという思想でございまして、我が方の関連では、学校教育に関する申請がたくさんございました。
 そういうものを受けまして、学校教育の活性化を図るために、特別なニーズがある場合には、株式会社でも学校設置主体となるように特例措置を講ずるということにしようと思っております。もちろん、それは株式会社でございますので、どちらかといえば営利追求でございますから、学校自体がどのように存続していくかというようなこともきちんと見なくてはいけないということで、情報公開でありますとか第三者評価の実施、あるいは学生等の就学機会の確保のためのセーフティーネットというものにきっちり留意するということで、設置主体となることを認めていこうかというふうに思っているわけでございます。
 メリットは何かということでございますけれども、恐らく、経営のあり方において効率的な運営がなされるのではないか、そういった特長を生かしながら、教育の質をより向上させる可能性があるのではないかと思われるのが一点ございます。それから、公私立学校も含めまして、特区におきます学校教育、特区をやることによりまして学校教育全体の活性化にもつながる可能性があるというふうに考えております。さらに、経営面におきましては、学校法人に比べて資金調達が容易となるとも思えますし、安定的で質の高い教育サービスを提供できることの可能性もあるというふうに考えているところでございます。
小西分科員 ありがとうございます。
 今の話、実は次の質問とちょっと関連を持っているなというように私は思っておりまして、実は、これからの高等教育を考えていく上で私が重要だと思っているのは、一つは専門学校。今、いろいろな形の専門学校があるわけなんですけれども、高等教育、高等学校は、職業校を除いて、大体、大学受験のための一般教養に近いような形でやられているように私は印象を受けるんですけれども、このレベルからいろいろな専門知識を入れて、例えば職業校から大学への進学の道、また専門学校から大学進学への道、かなりフレキシブルにいろいろな専門性を中学を出たぐらいから身につけていくということが、人材を育成する上で必要なことではないかなというように私は思ったりもしております。
 そういう中で、今のいわゆる括弧でくくられる専門学校というものの質について、今私はかなり疑問を持っておるところであります。例えば、今学生の中で、私が正確に状況をつかんでいるかどうかはちょっとわからないんですけれども、調理師学校であるとか美容師関係であるとか、やはりこういうところは非常に人気が高いというとおかしいんですけれども、それなりに目的を持って若者たちが通える学校だと思うんです。それ以外の専門学校、いわゆるビジネス専門学校であるとか簿記の学校であるとか、かなり腰かけ的なもの、モラトリアム的なものになっているか、資格取得的なものになっているか、そういうような、ちょっと本来のあり方とは、マーケットがそうだから仕方がないと言ってしまえばそれまでなんですけれども、社会的な役割としては余り効率的ではない方向に向かっているのではないかなというように思ったりするわけであります。このあたりについて御所見を伺えればと思います。
近藤政府参考人 お答えいたします。
 専門学校につきましては、社会の変化に対応した実践的な職業教育でありますとか専門的な技術教育を行う教育機関として、大きな役割を果たしているところでございます。
 平成十四年の五月現在で専門学校におきます生徒の割合を若干見てみまするならば、今先生御指摘になりましたような美容関係につきましては六・七%、あるいは調理、料理関係につきましては二・五%でございまして、一番多い分野が看護でございます。二番目が情報処理、美容関係はそれに次ぐような割合でございます。
 なお、五年前の平成九年と比較をしてみますと、確かにこれはいろいろな、需要の関係もあるんだろうと思いますが、美容関係の生徒の割合は四・二%ふえておる。ただ、調理とか料理の関係につきますと、逆に今は〇・五%減っている、このような状況にあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、専門学校は、学科の設置について認可を要しない、そういう自由で弾力的な制度をとっておりまして、社会のニーズ等に応じて多様な学科が設置されてきている、こういうことでございます。
 今後とも、私どもといたしましては、この専門学校が、その柔軟な制度の特色は生かしながらも、いろいろな経済社会の産業の変化等を機敏にとらえて発展をしていく、これが期待をされているわけでありまして、先生がおっしゃいましたように、やはり専門学校が高等教育機関として質の高い専門的あるいは実践的な教育を学生に提供していく、これが大変大事なことでございます。また一方、社会人の再教育あるいはキャリアアップの場としての機能を発揮していく、これもまた大事でございますので、そういった観点から、私ども、施策の充実に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
小西分科員 ありがとうございます。
 専門学校について、これは非常に難しい問題だと私も思っています。いわゆるビジネスとして専門学校をやっておられるところも多いわけで、とりあえず生徒を集めなきゃいかぬという大命題はあろうかと思って、これは実際は非常に難しい問題だと思うんですが、実際役に立つ人材を養成していくには大変重要なことだと思うんですね。これは難しいと思いますけれども、ぜひ取り組んでいただきたい課題だと思います。
 今、情報処理関係のお話が出ましたけれども、例えば、会社に入って、ワープロソフトが打てるとか表計算ソフトが打てるとか使える、そういうことで入ってこられるかと思うんですが、そういう中でもう少し高度な、例えば編集ができるとかマクロがつくれるとかマクロでできるとか、一応こうやって文書を渡したら、それでもうパワーポイントでプレゼンテーションにできるとか、そこの微妙なところというのが本当に実際社会へ出ると、使える、使えないという大きな段差を実は分けちゃうわけなんです。
 これを文部科学省の方でどう考えるかというのは非常に難しい問題ではあるんですけれども、一つの課題として取り組んでいっていただければいいかなというように思っております。これは、実際会社で派遣社員とかいろいろ採用したりするときに非常に大きな、後から見て、ああ使えた、使えないというような、そういう話になってくるわけでございまして、みんな使えれば日本というのは非常に強い国になっていくんだろうなというように思っております。
 最後に一問、きょうはちょっと質問の中にはないんですけれども、午前中のお話を聞いていて質問したい件が一個ありましたので、ちょっと質問させていただきたいと思います。
 やはり高卒等、余り高度な知識を要しない、そういう労働力が必要とされるときに、これは小学校、中学校というレベル、今回は高等教育は外れちゃって、質問がないのでちょっと申しわけないんですが、所見だけ伺えればと思うんです。きょう、ここに、前に出た、新しい時代にふさわしい云々かんぬんの中教審の中間報告もあるんですが、いろいろ伺っていて、ざっくばらんに申し上げて、今、義務教育レベルで一番大事なことというのが、この間話していたときに幾つか出てきまして、難しいことはなくて、例えば、あいさつができる、時間どおりにちゃんと来る、読み書きそろばんができる、それなりに敬語が使える、失礼なことを人に言わない、これくらいのものができれば、大体社会で役に立つ人間になれるのではないか。逆に言うと、これのできない人間が今非常に多いということで、そういうところに集中的に教育を行ってはどうかというような、我々しゃべっている中でそういう意見が出たんですけれども、この点についてちょっと御所見を、どなたでも結構ですので、お伺いできればと思います。
萩野主査代理 時間が来ておりますので、コンパクトに、だれか。――近藤局長。
近藤政府参考人 私の所管かどうかはわかりませんが、先生おっしゃるように、本当に基礎、基本と申しましょうか、これはよく大臣がおっしゃることでありますけれども、例えば、基本的なモラル、うそをついてはいけない、人を殺してはいけないとか、人として守るべきそういうしつけをぴっしりと教えていく。
 また、先生おっしゃるように、例えば、本当の学力を身につけさせるためには、基礎、基本をしっかりと小学校、中学校の段階で身につけさせる、そしてまた高等学校、大学と進学していく。そして、その一人一人の子供の個性、能力、例えば職業にふさわしい子供につきましては、高等学校の職業課程もございますし、専修学校につきましても高等専修課程、こういうものもございますので、そういったそれぞれの個性、能力に応じた多様な教育の場を提供していく、こういうことも必要なことであろうと。
 お答えになったかどうかわかりませんが。
小西分科員 ありがとうございます。多分、地元の中小企業の社長の切なる声だと思います。よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
萩野主査代理 これにて小西君の質疑は終了いたしました。
 次に、武山百合子さん。
武山分科員 自由党の武山百合子です。
 きょうは分科会ということで、地元からの声をちょっとここで、いろいろとお困りの点のことで、私も実際いろいろこれはお話を聞いてみたりしてびっくりしたんですけれども、教育の規制緩和ということで、地元のことを中心にきょうはちょっとお聞きしたいと思います。
 まず、日本語学校設立の規制緩和ということで、きょうはお話を聞きたいと思います。
 今、日本には、外国から来て日本に住みたい、それから外国から来て日本でずっと定住したい、結婚したい、それから一時的に経済活動の人、本当にいろいろな国から、外国人と言われる方々が実際に滞在しておるわけですけれども、また、その中で、特に東南アジアの、アジアの方が大変多いわけです。
 たまたまこの質問は、日本語学校設立の申請手続をしてから認可まで非常に時間がかかる、大体半年から一年ぐらいかかるのが普通のようなんですね。それがまず一つですね。非常に時間がかかる。
 それから、私も実際にびっくりしたんですけれども、これは一年前から主任教員というものを一人、申請してから認可を受けるまでの間給与をきちっと払って、そして社会保険料も負担するということで、学生がまだ入学していないのにこの主任教員というものを一人雇って、そしてその給与と社会保険料を負担するというので、このお話を聞いた方は、ぜひこういう事業をやりたいということであるけれども、一年というのは長過ぎる、またコストがかかるということで、きょうは、このお話を中心に聞きたいと思います。
 まず、日本語学校設立の申請から認可までの時間を半年から一年じゃなくてもっと短くできないのかどうかという質問なんですね。これはどうなんでしょうか。
遠山国務大臣 きょうは、日本語教育機関の設立にかかわる御質問と伺いましたので、時間の問題に入ります前に、基本的なことだけちょっと御説明させていただきたいと思います。
 新たに日本語教育機関を開設いたしますためには、留学生の出入国の公正な管理を図りますために、出入国及び難民認定法施行規則に基づく法務省告示によって、財団法人の日本語教育振興協会による審査、認定を受ける必要がございます。この法人は、文科省それから法務省そして外務省の共管の公益法人でございます。委員も御存じと思いますが、昭和六十年代に日本語学校が急増して、劣悪な教育条件が起きる、あるいはさまざまな社会的な問題を起こしてしまうというようなことがあったことを踏まえまして、日本語学校関係者によって設立されたものでございます。
 この財団法人の日本語教育振興協会では、日本において真に日本語を学ぼうとする外国人が安心して質の高い日本語教育を受けられますようにきちんと審査をする、そのために、修学期間、あるいは授業時数、教員数、教員の資格などを定めた日本語教育施設の運営に関する基準というものに基づいて審査を行っているわけでございまして、この基準につきましては、さきに述べた法務省告示に基づきまして、法務大臣が文部科学大臣と協議の上、承認を与えているというものでございます。
 期間等のことにつきましては、担当の方からお答えしたいと思います。
増田政府参考人 ただいま委員の御質問の中で、学校の設立申請から認可までを早くできないかというようなお尋ねだと思うのですが、学校の設立申請から認可は、実は法務省の所管する事項ではございません。
 この日本語学校で法務省が関与しているのは、先ほどの文部大臣からの御答弁がありましたとおり、その学校に就学生として入ってくることを希望する外国人について、その外国人を我が国に受け入れていい学校であるのかどうか、その学校を法務省令によって法務大臣が告示で決めております。
 したがいまして、外国にいる人が、例えば日本のこれこれの学校で勉強したいということで就学生として入ってきたいという場合に、入国管理局では、その人の希望する学校が法務大臣告示によって定められているかどうか、それによって我が国に入国を認めてよいかどうかの判断を下しているということでございます。
    〔萩野主査代理退席、主査着席〕
武山分科員 何だか今のお話を聞いていても、国民の一人として非常に難しくて細かくて、ほとんどよくわかりませんでした、私は正直言って。
 まず、日本語学校の設立を、学校をつくりたい、そして認可までに、認定手続として、まず日本語教育振興協会に受け付けから始まって、書類審査、実地審査、審査委員会を終えて認定を受けるまで、そこでもう半年かかる。次に、法務省へ告示して、入国管理局を最後に終えて、この時点で一年かかる。この一年という期間をもう少し短期間でできないのかということなんですよね。一年かかるわけですよね。まず、認定の手続を始めて、受け付けして、今言いましたように審査を受けて、認定を受けるまでまず半年。次に、法務省へ告示をして、入国管理局を最後に終えて、これでもう一年ということのようなんですね。この一年という期間をまずもう少し短くできないのかというのが一つの質問なんですね。前置きの部分は非常に何だかよくわかりません、正直言って。それで、これが半年ぐらいにできないのか。
 それから、申請してから認可を受けるまでの間、主任教員というものを一人必ず雇って、この人に給与と社会保険料を負担しなければいけない。この一年間は長いんじゃないかというわけですよ。生徒を受け入れていないにもかかわらず、早目に雇って、それで、授業料もまだいただいていないのに、主任教員というものに給与と社会保険料を負担。そうすると、まず一般の国民からしますと、やはりまず経済的にお金のある人じゃないと学校設立はできないんじゃないか。だれでも自由に参入できないという大きな壁がありますね。
 それから、例えば欧米などでは、ヨーロッパはちょっとわかりませんから、アメリカなどでは、日本語を教えるために公立の高等学校、公立の小中学校を利用して、移民の国なものですから、毎日毎日かばん一つで移民が来るわけですから、そういう人たちは、またアメリカの国民として正式に受け入れているものですから、まず言葉を早く覚えていただきたいということで、公立の学校が社会貢献で、公立の小学校や中学校の教員が無料で教えてくれるんですね、本当に。そういうシステムにアメリカではなっているわけなんですね。それから、少ない金額でどこでもいつでも、そういうふうにして、学校を開こうとするんじゃなくて、もう現にある公立学校を利用しているんですね。
 ところが、今、日本は大きな変革の時代で、もう数がどんどんどんどん外国人が多くなって、日本語を学びたい、そういう希望者もすごくふえているわけですよね。文部科学大臣がお話ししたのは、六十年代にばっとそういう方々がふえて、そのときの過去の否定的発想というか悪い状況、そういうものを反省してつくったのが今のような状態だというお話を先ほど聞きましたけれども、否定的発想ですと、皆さんに、いる方に日本語を早く覚えて社会に順応して、また日本のいろいろな分野で活躍してもらいたいというよりも、なるべく門戸を少なくして、そして規制で抑えて、本当に数少ない人だけを、何か純粋培養みたいに少ない数だけの人に日本語を覚えていただく、そういう発想にどうしても私たちはとるんですよね。
 ですから、こういうふうにして規制で抑えて、一年もかけなきゃ認可がとれない。そして、ましてや、主任教員というものを雇って、そこにまだ生徒さんもいない、授業料もまだもらっていない状態で給料と社会保険料も払わなきゃいけない。それで、これでは時間もかかるし、コストもかかるし、やりたい人が本当に自由に参入できないんじゃないか。
 確かに、悪用して、文部科学大臣がお話しされましたように、そういうことを考える人もいますけれども、やはりこの時代に、前向きに考えないと、悪用した部分を支点に考えるのじゃなくて、前向きに、本当に日本語学校で勉強したい。それでまた授業料が物すごく高いんですね、これを見ましたら。
 授業料の負担のことも次に質問いたしますけれども、その前の段階の、いわゆる一年は長いんじゃないかということに対してお答えいただきたいと思います。
増田政府参考人 先ほど申し上げたことをもう一度繰り返すのですが、今お尋ねの中で法務省が関与しておりますのは、日本語教育振興協会が承認した後、法務省に話が上がってきてからのことでございまして、法務省では、日本語教育振興協会が認定を終えたものにつきましては、速やかに法務大臣が告示を行っております。
 したがいまして、法務省が関知している限りの範囲では、期間が著しく長くなっているということはないと考えております。
武山分科員 そうしますと、これは半年ぐらいかかって、この半年も本当に短くしていただきたいというこの問題を寄せた方の希望なんですけれども、確実に、入国管理局を終えたらきちっと、それにはそんなに半年もかかっていないというお答えなわけですね。日本語教育振興協会で大体いろいろな審査を受けるのに半年かかるということのようなんです。これは文科省のいわゆる財団だと思うんですね。そして、その後、法務省へ告示をして、入国管理局を最後に終えて、この時点で大体一年かかるということなんですよ。
 そうすると、半年、半年で合計一年だということなんですけれども、それはもう半年後に、例えば、日本語教育振興協会で書類審査、実地審査、審査委員会を終えて認定を受けるのにまず半年かかったとしますね。それで、では、それがきちっとしていれば一カ月でもとれるというふうに私は解釈してもよろしいのですか、今の御答弁ですと。
増田政府参考人 書類が入管局に上がってきてから法務大臣告示するまでに半年かかっているという事実はないと思います。
 少なくとも、入管局では二カ月に一回、この日本語教育学校などの告示を行っておりますから、入管局で処理が半年とまるということは事実でないと思います。
武山分科員 では、私、この人から聞いた話を今質問しているのですけれども、百歩譲ったとしても、あなたのおっしゃることに百歩譲ったとしても、では、あなたは、この半年後に法務省に上がってきて、いつ、どのくらいの期間でとれるということをお話ししているのですか。一年かかることないと言っているのは、半年間かかることないと言っているのと一緒でしょう。半年かかるわけですから、その前の日本語教育振興協会に日本語学校設立の申請して。――いや、お答えがよく理解できないのですよ。
増田政府参考人 入管局が告示するまでに時間がかかるのは、二、三カ月以内でございます。
武山分科員 では、二、三カ月かかったとしたら、あとどのくらいでとれるのですか。もう六カ月のうち半分近くはかかるということですよ。
増田政府参考人 先ほどから申し上げているとおり、法務省に来る前の日振協でどれぐらい時間がかかるか、法務大臣告示を終えた後にどうなるのか、それは法務省は全く関知しておりませんのでわかりません。
武山分科員 私の方で調べた実態は、日本語教育振興協会で受け付けから、もう何回も話しているのですけれども、六カ月、大体認定を受けるまでかかるというのですね。それで、六カ月後にそちらに行くわけですよ。それで、あなたは、二、三カ月で法務省の入国管理局に来るというわけでしょう。
 それで、私は、では、法務省はどのくらいで最後に終えるんですかと聞いているんです。だから、半年かかるのか、二カ月、単純な質問なんですよ。単純な質問を持って回ったように答えないで、単純に答えて。余り難しいこと聞いていないんですよ。期間がどのくらいかかるのかということを聞いているだけなんですよ。
増田政府参考人 二、三カ月でございます。
武山分科員 もうそれだけ聞けばいいことなんですよ。何回も説明しましたけれども、二、三カ月。
 そうしますと、今度は、文科省の方に行きますけれども、日本語学校の設立のための申請から、審査委員会を終えて認定を受けるまでに半年かかるというのですけれども、これは実際どのくらいかかるのでしょうか。文科省、お答えいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 私どもの理解しておりますことは、入管局長とダブるかもしれません、先生の御指摘とダブるかもしれませんけれども、新しくつくろうとしたときに申請をいたしますね。そうすると、先ほどから五、六カ月というお話がありましたけれども、これは、申請をして、それが確実にちゃんと日本語を教えられる機関かどうかというのを厳重にチェックしなくちゃ、やはり学生が変なところへ入ったら困りますから、そういう意味できちんとした審査をしなくちゃならない。そのために、書類だけではなくて、それを実地に行って、きちんと見て、教育するのにふさわしい施設なのかどうかというのを見るために五、六カ月かかって、そして、法務省の方に行って、入管局長がお話しになりましたように、法務省が告示をする。
 その後、これでいいということになりますと、初めてそこから新しい機関が学生を募集するというふうに聞いておりまして、そこで、学生を募集する。ところが、学生は普通の日本人ではございませんから、在留資格といったようなものが必要になってくるということで、在留資格の申請をし、それを認定してもらうというようなことに何カ月かかかって、結局、申請をして最終的に学生が新しく入ってくるまでに一年かかるというようなタイムスケジュールというのが、どうも標準パターンとしてあるというふうに理解しております。
武山分科員 それでよくわかりました、期間というものは。ぜひ最初からぱっとお答えいただけたら、私は、二、三分で済んだのに、何回も、単純なことを聞いているわけですから、やはり単純に。国民は複雑なことを聞いていないんですよね。単純にお答えいただきたいと思います。
 そうしますと、やはり一年前後かかるということになると思います。そうしますと、その間主任教員を雇わなきゃいけない、これは事実なんでしょうか。
遠藤政府参考人 私がお答えするのかどうか、適切かどうかわかりませんけれども、知っている限りで答えさせていただきますと、日本語の教育施設の運営に関する基準というのがあって、そこでは、主任教員をきちんと確保してくださいと書いてある。しかし、いつからとは書いていないようではございますが、ただし、学校を実際に開設して学生を受け入れるまでには、やはりカリキュラムを編成して、そして先生を雇い、そしてその先生にどの科目を教えてもらうかといったような準備が必要になってくるわけでございます。
 そのためには、やはり指導できるような教員の目できちっとそういうカリキュラムを編成したりするということが必要になってまいりますから、通常、開校の一年前からそういう準備に当たる責任者という意味で、主任教員の採用ということで、日本語教育振興協会の方では、そういうことで一年前からきちっとそういうことの準備ができる主任教員の方を確保してください、こういう指導をしているというふうに私は理解しております。
武山分科員 実は、これ、申し出た人は小学校の校長先生している人が、あと一、二年で定年退職するということで、自分がやろうかと思っているわけなんですよ。たまたま私の住んでいる地域が、たまたまなんですよ、中国からお嫁に来ている方々が十何人もいるんですよ、十二、三人。びっくりしたんです。その方々が日本語を学びたいということのようなんですね。その人だけを対象にしていませんけれども、たまたまそういう方も対象の人。
 ですから、法務局で一人一人面接して、どうのこうのというのは、外から来るばかりじゃないんですよ。今、本当にいろいろな環境にいらっしゃる方々も対象になる、今まで我々が既存の概念で持っていたのとは、現実の社会は猛スピードで動いているわけなんですね。ですから、多種多様な考え方で、多様な環境の中にいる人たちの中で、本当に日本語を学びたいという人を受け入れたいということなんですね。
 ですから、学生で受け入れる人もいれば、主婦で、三十代、四十代で受け入れる人もいる。もっと日本語を知りたいという人も、四十代、五十代の人もいる。それは年齢は本当に幅広いわけですね。そういう日本語学校を思っているわけなんですよ。ですから、今皆さんが考えているような、今までの過去の留学生を受け入れている学校とはまた違ったものも日本の人々は考えているという現状もやはり知っておくべきだと思うんですね。
 それで、やはりそういう意味では、私は、お金がかかるということを指摘しておきたいと思います。それで負担が非常に重い。ですから、やはりこういうふうにして、一年も早くから、校長先生、自分が経営するのならいいですけれども、主任を雇わなきゃいけないとなったら、やはり経費がかかる。それで多くの者が、新規参入ができないじゃないかということを指摘しておきたいと思います。
 それから、びっくりしたんですけれども、学校が負担した費用、学生の授業料にも影響すると思うんですよね。一年コースで入学金、選考料で六十八万円、それから一年半コースで八十三万円、二年半コースで百七万円というのが、何か認可制度の中にそういうのがあるらしいんですね、授業料の。すごい高コストで、私、びっくりいたしました。
 それで、日本に喜んで来る体制というものをこれからは、否定的な発想で本当に商売優先でそういう学生を受け入れて、酒田短期大学ですね、あの問題も、私も文科省の委員会に所属していたものですから、そういう問題もあるかと思いますけれども、これからの日本は、やはりよい意味で前向きに、喜んで日本に学びたい、日本の文化を吸収したい、そういう体制をつくっていく必要があると思います。
 その中で、そういう、今までの過去のような否定的発想をした人は、きちっとやはり法で罰するということは大事だと思うんですよね。それはせざるを得ないと思うんですよ。ですから、否定的な発想を支点にするのではなく、やはりよい発想、喜んで日本に来る、そういう人たちを数多く受け入れて、また日本の文化を知っていただき、日本語を学んでいただく。そういう、欧米で行われている留学生に対する温かい支援の、そういうものというのは私たち学ぶべきだと思いますけれども、それに対する所見はいかがでしょうか。
遠藤政府参考人 この日本語学校に限らず、学校というのは学生がやはり第一だと思います。したがいまして、学生がきちんとしたレベルの高い教育を受けられるかどうか、その一点が最大だと思いますので、そういうような人的、物的条件をきちんとそろえるといいますか、それがまず第一の条件だと思いますので、そういうことで、規制ということではなくて、充実した施設設備がいい教育につながるという観点からこういう制度ができている、私はそう思っております。
武山分科員 それからもう一つ、日本語教師ですね、そこで教える先生に対する資格ですね。教員の資格というものがまず定められておりますけれども、国語の教師や、非営利組織で日本語を指導した教師や、小学校で長年国語を教えていた、そういう指導をした教師を認めてもよいのではないかというわけですね。そこが認められていないというんですね。日本の児童生徒を指導した経験が全然生かされない。より質の高い教育が、そういう方々が、結局、よい先生がそういう中にもいると思うんですよ、今までの経験の中で。
 ですから、そういう経験をした方々にやはりきちっと資格を認めてするというのも、よい意味の、今まで日本が教育にお金をかけてきた、国民の税金で教師を育て、そしてまた子供たちを育ててきた、そういうものが生きるという意味でも、新しい資格制度というものとプラスアルファでそこの部分を認めていく、そういう発想もやはり認めていくべきだと思いますけれども、それに対してのお答えをいただきたいと思います。
遠藤政府参考人 先生の資格でございますが、その振興協会の方で決めております基準に、高等学校において教諭の経験がある、こういう人は資格ありということでございまして、今先生が御指摘になったのは、校長先生が資格がない……(武山分科員「小学校の校長先生です」と呼ぶ)小学校の先生ですか。それは恐らく日本語学校という、専門の日本語を教えるということでございますので、高等学校でそういう面で教えたことの経験を評価している。したがって、小学校の先生につきましては、日本語教育という専門的な面で小学校教諭の免許というのはできておりませんので、そういうことでこういった基準ができているのだろう、推測でございますけれども、そう思っております。
武山分科員 そうしますと、恐らく留学生、ある程度高等教育を受けた、大学教育を受けて、日本語になじんでいない人を対象としたお話だと思うんですね。それならそれで、また一理あると思うんです。
 でも、現実は、来て五年ぐらいたっても日本語がうまくいかない、本当にそれは年月に関係なく、日本語って難しいですから、言葉って一生かかりますから、そういう方々が高等教育を受けたり留学生として学校を終わった後、すぐ入るのではなく、日本語を学びたいという人の、いわゆる多種多様なニーズにこたえるという意味で、今のものは、この日本語学校は全然違うと思うんですよね。恐らく、私が聞きたい校長先生とかそれから国語の教師をやった人とか、非営利で日本語指導した人とかというのは、そういういわゆる酒田短大のようなところで日本語を教えるというのとは全然違うと思うんですよね。一般的な人、社会人学校みたいなものだと思うんですよね。
 ですから、そういうところでも長年にわたり経験があるわけですから、高い教育をかえって期待できるんじゃないかということを私は質問したわけなんです。
 ですから、そこに日本語学校という一つの枠があって、規制の枠の中での日本語学校は、今局長が答えたようなことなんではなかろうかと思うんです。でも、現実は、そういうところで、一般の本当に日本語学校のような、そういうものをつくりたいというニーズも片方ではあるということですね。留学生だけを集めてやるというのは、やはりそれだけのニーズがないとできませんし、現実はそういうものじゃないということなんだと思います。
 それに対する所見はいかがでしょう。
遠藤政府参考人 大変恐縮でございます。私、いろいろ聞いておりますと、先生のおっしゃっているのは、確かに自由であっていいだろうというお話なんですけれども、それは、外国から来る留学生、就学生に対する日本語教育、一定レベルの日本語教育機関としての話とはちょっと違って、もっと自由な形、自由な雰囲気で、いろいろな人たちに日本語を教えると。それは恐らく、今私が言った一定レベルのというのとはちょっと違って、それはある意味で塾のようなものとして自由におできになる範疇のお話かなと、間違ったら大変恐縮なんですけれども、そういうお話かなというふうには聞こえたわけでございます。
武山分科員 私、両方のことを言っているんだと思います。両方を受け入れてやりたいということなんだと思うんですね。地方はそういうふうにしないと、やはりニーズにこたえられないわけですよ。首都圏の場合は、そこに本当に留学生として入ってくる人だけを対象にできても、地方はそういうニーズが多いわけですよね。恐らく、留学生としての対象は首都圏に集まると思うんですよ。少し郊外に離れれば、その下の、年齢的にも、すぐ、学校を卒業したばかりの人ではなくて、少し余裕を持った、結婚した人とか、何年かたった人とか、そういう人たちのニーズにこたえようということだと思うんですよね。
 ですから、そういう多種多様なニーズがあるということに対して、規制緩和をしていくべきだと思います。
 それから、きょうは、ちょっと通告しておいたんですけれども、もう終了時間になってしまいました。もう一つ、学力評価については、私、直接お話をしたいと思いますので、私の事務所に来ていただきたいと思います。
 終わります。
斉藤主査 これにて武山君の質疑は終了いたしました。
 次に、山内惠子君。
山内(惠)分科員 大臣、山内惠子です。昨日に引き続き、御苦労さまでございます。
 きょうは、私は、原子力・エネルギー教育支援事業交付金につきまして、質問取りの中でも申し上げてありますけれども、この交付金は教育基本法に反する法律だと私は考えています。その意味で、この予算の削除、そして交付金制度の廃止ということを求めて、きょうは質問させていただきたいと思います。
 昨年から、国策として制度化されてきました原子力・エネルギー教育支援事業交付金は、原発の買収予算をするべく、電源特会と私たち短い言葉で言っていますが、電源特別会計立地勘定を原資とする予算、その予算を使って、時の政権の政策を教育に持ち込むというようなものだと私は理解しています。その意味で、真理と正義をうたい、個人の尊厳を原則とする教育基本法に違反するのだということで、私は申し上げたいと思います。
 特に、原発ということは、小泉政権のたまたまとっている政策、またはその前からも、政権が今現状であるからそのようなことをとっているのであって、それは真理でも何でもない。特に、私は学校現場におりましたから、教育は中立的であらねばならないというのが絶えず私の頭の中にある問題でした。
 その意味で、今回のこの、昨年も同じことを申し上げましたけれども、原発に関しましては、本当に国民の賛否が、反している論がある状況で、本当に原子力エネルギーでいくんだというふうにはなっていないものだと思います。
 その意味でも、原発推進をする電源特別会計勘定から教育にこの資金を入れるということは、問題であると考えられたのでしょうか。その意味で、昨年の五月二十二日には、電源特別会計法施行令、これは政令第百七十四号に明文化されました。これは、小泉総理も、それから平沼経済産業大臣も、塩川財務大臣も名を連ねているんですけれども、日本の教育に最高の責任を持つ大臣、遠山大臣もここに名を連ねたということが、私は教育の中立という精神から反すると思います。これは法を犯していると私は思います。そのことにつきまして、大臣、一言お考えをお聞かせください。
白川政府参考人 お答えいたします。
 今、先生御指摘ございました交付金でございますけれども、これは昨年も御議論あったところでございますが、私どもは、この交付金は、国民一人一人がエネルギーや原子力について理解を深め、みずから考え、判断する力を身につけさせるための環境整備をするため、各都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施するエネルギーや原子力に関する教育に係る取り組みを国として支援するものでございます。
 この交付金を活用して行われる取り組みの具体の内容につきましては、各地域、各学校において、学習指導要領の趣旨に沿って、地域や学校の実態に応じ、創意工夫して決定するものでございますので、私どもは、この予算が教育基本法の理念に反するというふうには考えていない次第でございます。
山内(惠)分科員 大臣が名を連ねたんですから、大臣のお言葉をいただきたいと思います。
遠山国務大臣 今まさに白川局長からお話ししましたとおりでございまして、私どもとしましては、日本の置かれた状況、特に、エネルギー資源を持たない国にとりまして、国民の生活を支えるのにエネルギーが要るわけでございまして、現段階では、原子力の力をかりるということは国策の中に織り込まれているわけでございます。
 そうした意味で、私は、その重要性につきまして一人一人がしっかりと身につけること、それから、節電などももちろん大事でございますし、いろいろエネルギー問題について考えていくのに大変大事だと思っておりまして、この交付金が有効に使われるということが大変大事だというふうに考えております。
山内(惠)分科員 私は、これは、そのようにおっしゃられるけれども、本当に一人一人が自由に考えられる財源となっていない。出どころが電源特会ですから、目的があるわけです。原子力推進の会計から使うという意味では、財政上も問題があるんじゃないかというふうに思っています。大臣がそのことをしっかりと考えた上で、ここのところは名を連ねるべきではなかったと私は思っています。
 ことしの、二〇〇三年度の予算におきまして、文科省としては、この原子力・エネルギー教育支援事業交付金に四億九千五百万円を計上されているんですけれども、実は、二〇〇二年度、このときには公募をして、ことしもきっと公募ということを予定されているんだと思いますけれども、福井県、それから茨城県、山形県、和歌山県、栃木県、香川県の六県から申請があった。それで、これも計算がどのような基準でなされたのかわかりませんけれども、九千万円でお釣りが来るぐらいの状況ですから、昨年、四億八千三百万円ですか、大変大幅に予算が余っているわけです。それにもかかわらず、ことしはそれに一千二百万円増の計算をして、四億九千五百万円の計上をしている。
 一般的に、あらゆるところを削減と言われているときに、なぜこのようなことをなさったのか、お聞かせください。
白川政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十五年度の原子力・エネルギー教育支援事業に関する交付金、これは、先生今御指摘のとおり、政府原案に四億九千五百万で計上されております。それから、平成十四年度、本年度でございますが、この交付申請が六県で約九千万であるということ、これも御指摘のとおりでございます。
 本年度の交付申請が六県であったということにつきましては、この交付金が十四年度、今年度に創設をされた新規の制度ということもございまして、申請の受け付けが年度途中からとなりまして、その制度の趣旨が各自治体へ必ずしも十分浸透していなかった嫌いがあったこと、あるいは自治体の方でも検討に時間を要したこと、そういう要因がございまして、こういう申請の結果になっておるわけでございます。
 先ほど大臣の方からも御答弁ございましたように、この交付金の制度の重要性にかんがみまして、私どもは平成十五年度におきましては、この交付金がより一層各都道府県において活用されるよう努めてまいる所存でございます。
山内(惠)分科員 今、直接白川局長がおっしゃられたように、昨年の年度途中で、しかも、第一回目は八月十五日という、場所によっては夏休み中にこの公募をなさって、十五日間の間にその公募をなさって、ですから今言われたように少なかったんだと。でも、その前に、学校の運営というのを御存じですよね、文科省ですから。四月からしっかりと計画を立てて学校経営しているんですよ。それがなぜ、こんな八月の途中で学校経営の中に入り込んできて予算を公募するんですか。学校の現状をわかってない人のやり方だと思います。そのことについてお答えください。
白川政府参考人 先ほども御答弁いたしましたように、今年度につきましては初年度ということがございまして、先ほど先生も御指摘になりましたが、電源三法に基づきまして、まず施行令の改正をする必要がございました。まず、その施行令の中で、原子力その他のエネルギーに関する教育に係る環境の整備を行う都道府県に対して行う交付金の交付ということを規定いたしまして、その上で、八月八日付で文部科学省告示といたしまして交付規則を制定したわけでございます。
 これに従いまして、先ほど先生御指摘ございましたように、八月の十五日から三十一日まで、さらに十月の十六日から三十一日まで、本年になりまして一月の六日から十五日まで、三回に分けて申請の受け付けをさせていただきました。
 平成十五年度につきましては、二年度目になりますので、予算が認められましたら、年度早々から申請の受け付けをしたいというふうに思っております。
    〔主査退席、萩野主査代理着席〕
山内(惠)分科員 学校でこういうことをするに当たって、それだけの準備期間がかかるわけですから、何も現在、二〇〇二年度にやる必要がなかったと私はまず思います。それだけの手続をして、万端整えてから新年度からやったらいかがだったんですか。
 しかも、八月八日にと今おっしゃった文言を見ましたけれども、事業の内容をほとんど具体的に書いていません。そして、文部科学大臣の審査によって交付を決定すると。しかも、本当は事業の内容をお聞きしたいところですけれども、この八月八日に出された文書の中には、どんな内容ということは全く書いてないんですね、ほとんどと言っていいですね。それで、事業の内容の報告だけは義務づけるんですね。そして、事業終了後交付すべき交付金の額を文科省の現地調査で確定するシステムになっているんですね。
 そして、文科省が内容によっては交付すべき交付金の範囲を狭め、認める額が意図的に少なく見積もられる危険性も私はあると思います。なぜかというと、六県しか申し込みがなかったのに全く一律ではなかった。しかも、その最後のところが大変厳しいことを書いているんですね。内容によっては、交付金の額が違うだけではなくて、一たん支給した交付金が認められないときには、大変高額です、一〇・九五%の高利子で返還することと。
 これはひどいんじゃないんですか。一たん認めてお金を出しておきながら、内容が悪ければ返還せいと。それこそ、先ほど申しましたように、教育の中立に全く反することを最初から決めているおかしな案だということを、どうお考えになりますか。
白川政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたとおり、この交付金の趣旨は、各都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施をするエネルギーや原子力に関する教育に係る取り組み、これを国として支援をするわけでございまして、そのための環境の整備がねらいでございます。
 したがいまして、交付規則の中には、具体的な内容を盛り込むということよりも、これも先ほども申し上げましたとおり、取り組みの具体的な内容につきましては、各地域、各学校において、学習指導要領の趣旨に沿って、地域や学校の実態に応じ、創意工夫して決定をするということでやっておりますので、この交付規則の中で具体的な内容を規定いたしますのはかえって好ましくないのではないかというふうに思っております。
 それから、交付規則の内容について幾つか触れられましたが、この辺はそのほかの交付金等と並びの規定でございまして、この交付金に特有の規定ではないわけでございます。
山内(惠)分科員 時間が本当に限られた時間ですので、短くお答えいただきたかったので、次のことを申し上げてこの部分については終わりにしたいと思います。
 具体的な取り組み内容はこういうことだと書かないで、そして六県に予算だけはつけて、そしてその後に、しかも今おっしゃられたように、創意工夫してください、しかも学習指導要領にのっとってと、そういって許可したはずのものに、それが現地に行ってふさわしくなければやめさせて、高利子で返せと、これは本当に中立に反すると私は思います。結局、推進を現場に押しつけるという法案じゃないんでしょうか。私は、教育の中立に反するということで、この予算の削除を要求しておきます。一応ここのところを終わりにしたいと思います。
 それで、本当はここのところも、土井党首がかつてエネルギー政策について、今後どのようにいくのかという質問をしたことがございますが、そのとき小泉総理は多様な政策をとるというふうにお返事なさったんです。そうおっしゃったので、では、多様な、自然エネルギーその他いろいろなことをなさるのかと思いまして、平成十五年度予算案の科学技術関係施策ですか、エネルギーに関して調べましたら、何とこの原子力については「その他」の項目に入っていて、「燃料電池・水素燃料」の中に文科省と書いてあるのが一項目あったんですけれども、よく見ますと、「次世代型燃料電池プロジェクト」括弧して経産省の経と書いてあるわけで、結局は、文科省は原子力エネルギー中心ということがわかるようなやり方になっています。
 私たちは、エネルギー政策を転換する、そして、ヨハネスブルク教育を御存じだと思いますけれども、再生可能な資源とエネルギー技術について情報を提供する教育ということで、全く日本の取り組みはそこに反しているということを申し添えて、次の質問に行きたいと思います。
 経済産業省の方とそれから内閣府の方に来ていただくことを申し上げていますが、初めに、原子力安全・保安院の薦田さんに、審査官に質問をいたします。
 一月の二十七日に名古屋高裁の金沢支部は、高速増殖炉「もんじゅ」の設置許可無効の判決を出しました。私たち社民党は、土井党首とともに、福田官房長官、それから平沼経済産業大臣、遠山文部科学大臣に上告しないように申し上げましたが、一月の三十一日に上告されました。
 この上告につきましてですけれども、これは覆る可能性はほとんどないと私は思っています。なぜかというと、この高裁の判決が判例違反であったり法律違反であるかということが問われるわけですから、そのことを覆すだけのものはないんじゃないかということを思いますので。
 実は昨日、原陽子さんが質問をなさったんですね。そのときにこのようなことをおっしゃっているんですね。あり得ない事故を想定しての判決だったから上告した、もう一回申し上げます、あり得ない事故を想定しての判決だったから上告するんだと。
 これっておかしいじゃありませんか。この判決の中身は、私は大変見事な判決だったと思っています。安全審査に重大な誤りがあったときは人間の生存そのものが脅威にさらされるとおっしゃっているんですよ。そして、この判決は、炉心崩壊事故のうち最も重大かつ深刻な事故はチェルノブイリ事故である、この事故は、原子炉の炉心が崩壊した場合の危険性と悲惨さを如実に物語っていて、「もんじゅ」はその可能性がある、その安全審査に重大な問題があるということでこの判決が出てきたんですよ。
 ところが、もう一回言いますね、あり得ない事故を想定しての判決だったということは、安全審査をするべき現在の原子力行政、このことを放棄したんじゃないんですか。そのことをお答えいただきたいと思います。これは文科大臣ではありませんので、よろしくお願いします。
薦田政府参考人 お答えいたします。
 今先生の方からお話がありましたように、この「もんじゅ」の無効確認控訴判決におきまして、二十七日の日に無効確認ということで国が敗訴となったわけではございますけれども、この後、法務省などと内容を精査した結果、国としてこれは受け入れられないということでございまして、一月三十一日の日に最高裁に上訴をしております。
 それで、ただいま先生からございましたけれども、我々といたしましては、今回、判決におきまして、原子炉におきましては、御存じのように、安全防護措置というものが幾重にも講じられているにもかかわらず、これらの対策がすべて機能しなかった場合を想定するといったような仮定を重ねる立論をした上で、安全審査に看過しがたい過誤、欠落があるということも言っておられるわけでありますが、我々としては、ここについて、まさにその危険性をいかに封じ込めるかということで安全装置を幾重にもつけているわけでございまして、この安全審査に誤りがあったというふうには考えていないというところでございます。
 そういうことで、これまでの伊方の最高裁判決等もございますので、この関係を待って今回上訴させていただいたということでございます。
山内(惠)分科員 安全審査は、今おっしゃったように幾重にもするというのであれば、その上でなお、今回高裁で出された心配なことについて今後どうしようということが先にあるべきだと思うんですね。ほとんど論議もしないうちに上告をしてしまうということは、私はもってのほかだと思います。考えられる限りの事故を想定して、こういうこととこういうことをしたのでどうだということをしっかりやるべきなのが私たちの不信を取り除くことではないかというふうに思います。
 その上で質問です。
 一九九五年のプルトニウム需給計画は完全に崩れているというふうに私は思います。二〇〇〇年から二〇一〇年のプルトニウムの需給計画というのが、六ケ所再処理工場と東海再処理工場で、国内で三十五トンから四十五トン、イギリス、フランスなど海外のところでいうと三十トン、合わせて七十トンから八十トンのプルトニウムが供給される一方、「もんじゅ」や高速増殖炉実証炉で十トンから十五トン、それから軽水炉のMOX利用のプルサーマル、五十五トンから六十トン見積もられているんですけれども、プルトニウムの需給が本当はその見積もりでうまくいくはずだったんでしょうけれども、昨年の東電のデータ隠しが明るみに出て、プルサーマルは推進がなかなかできない状況じゃありませんか。それから、今回の「もんじゅ」も無効という判決が出ているわけです。そういう状況の中で、私は、需給計画は完全に崩れているというふうに思います。
 時間がありませんので、続けて質問を言っちゃいます。
 九五年の事故以降、需給計画が出されていないんですけれども、改めてこの計画を出す予定があるかどうか、お聞かせください。
永松政府参考人 ただいま委員から御指摘の需給見通しでございますけれども、これは、我が国のプルトニウムの平和利用政策に係る国内外の理解を得るために、決して核不拡散の観点から見て問題がなく、プルトニウム利用の透明化を図るということで、一九九五年時点の当時の状況に基づきまして、我が国のプルトニウム需給見通しの展望を示して、確かにこれが平和目的利用だということを示すために作成したということを承知しております。
 プルトニウムにつきましては、海外再処理委託分それから国内再処理工場で回収されるものが、当面のところはプルサーマルと高速増殖炉等の研究開発において利用されることになっておるわけでございますけれども、その場合においても、我が国がプルトニウムの利用を平和目的に利用していることを示していくことが何よりも大事なわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、個別具体的に、それぞれのプルトニウムが利用されます際に、事業者が利用の目的を明らかにした計画を立てる等によりまして、我が国のプルトニウムの透明化を図りまして、国内外の理解を得るように努めてまいりたい、かように考えてございます。
山内(惠)分科員 今、事業者がそれを計画するとおっしゃったんですけれども、国はそのことを把握もしないでやるんですか。ということは、数字を示さないということをおっしゃったんですか。
永松政府参考人 原子力委員会といたしましては、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則のもとで、六ケ所再処理工場でございますとかあるいは事業者のプルサーマル計画等に合わせまして、事業者がプルトニウム計画を立てて柔軟かつ透明な利用を図る際には、私どもといたしましても、これらが具体的に平和利用に即したものだということを確認するために、事業者等の具体的なプルトニウムの利用計画を立てる際に基本的な考え方をお示しするように現在検討しているところでございます。
山内(惠)分科員 「もんじゅ」はこのような状況にある、プルサーマルもこのような状況にあるというときに、今のおっしゃり方というのは全く具体的なことではありません。
 それで、これまでの高速増殖炉の開発に当たって、「もんじゅ」へは約七千八百億円など含めて、一兆三千億円を超える国の経費を投じられてきています。
 それで、このような状況にあって、二〇〇〇年の長期計画の中には、そのプルトニウムの数値も出ていないんですけれども、「もんじゅ」はもう既に破綻したということが読み取れる文章が入っています。炉型、燃料製造法、それから再処理など見直しをするというふうにしているわけですから、「もんじゅ」のループ式という炉型は事故等で破綻したのです。だから、長計は明確に炉型見直しを明示しているということを読み取れます。その意味で、「もんじゅ」は、この後は実際に動かす見通しがないじゃないですか。
 そして、これが実証炉といくのに、原さんがきのう質問したときにこのように言っていますね。実証炉に当たって、その前のループ型かプール型なのか、今後の研究、それから実施主体も決まっていない、それは事実ですね、今後の計画。
白川政府参考人 お答えいたします。
 昨日も原先生の方から御質問があったわけでございますけれども、現在の「もんじゅ」は原型炉でございますので、その後は、ステップとしては実証炉が出てくるわけでございますが、実証炉につきましては、現在の原子力委員会の長期計画の中におきまして、次のように規定をされております。
 「高速増殖炉の実証炉については、実用化に向けた研究開発の過程で得られる種々の成果等を十分に評価した上で、具体的計画の決定が行われることが適切であり、実用化への開発計画については実用化時期を含め柔軟かつ着実に検討を進めていく。」こう規定をされておるわけでございまして、現在、今先生、炉型のことをお触れになりましたが、その炉型をどういう格好にするか、あるいは実施主体がどこであるかということにつきましては、まだ決定をされていないということでございます。
山内(惠)分科員 本当にあいまいな記述になっていて、今回の判決をも否定することができるのかわからないんですけれども、プルトニウムを何に使うのかも決めていない、それからいつそのことが明らかになるのかもわからない。使い道がはっきりしていない限り、国連の核査察も厳しくなることが予測できます。その意味で、今、青森六ケ所村の再処理工場を建設し、動かすことは私はおかしいと考えています。
 プルトニウムを何に使うかというのは、今一言、平和利用とおっしゃっただけですよね。それを、見通しがもうちょっと明らかになるのはいつなんですか。
永松政府参考人 原子力委員会といたしましては、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則でございまして、これは先生のおっしゃるとおりでございます。そのために、今後、六ケ所の再処理工場の進捗状況、あるいは事業者側におけるプルサーマル計画等の計画の進捗状況に際しまして、具体的なプルトニウムの利用計画を立てる段階におきまして、それに間に合うように基本的な考え方を検討してまいりたいと思っております。
山内(惠)分科員 「もんじゅ」の判決が出たときの各種の新聞の主張も、今やはり原子力政策を見直すときが来ているのではないかと言っています。日本の原子力政策は、見直すという決断をなかなかしないできた。しかし、これだけの判決が出たときに、先ほど申し上げましたように、安全性の問題は、本当に、考えられる限りの安全性を検討し、方針をも見直すんだという決断が必要なときだと思います。その意味で、この「もんじゅ」予算も削減すべきだということを申し上げて、きょうの質問を終わります。
萩野主査代理 これにて山内君の質疑は終了いたしました。
 次に、赤松正雄君。
赤松(正)分科員 公明党の赤松正雄でございます。
 大臣、朝から大変に御苦労さまでございます。
 私は、まず冒頭、いきなり本題に入る前に、ちょっと周辺のお話から聞いてみたいと思います。そんな難しいことをお聞きするわけじゃありませんが、大臣の認識度をテストしてみたいと思います。
 実は、私の秘書が、秘書になる前に、あるビデオ屋さんに勤めておりました。彼はその後警察に表彰された。これは何で表彰されたと思います。
遠山国務大臣 多分、ビデオということでございますので、著作権関係でしょうかね。何らか権利の保護のようなことをなさったということでしょうか。
赤松(正)分科員 政務官に。副大臣に聞こうと思ったら帰っちゃったから、政務官に聞きます。
池坊大臣政務官 いいことをしたから表彰されたので、そのいいことの内容は余り浮かばないので、きっと大臣のおっしゃるとおりだろうと、これは余り私らしくない答弁ですけれども、そうさせてください。
赤松(正)分科員 二人とも落第でございます。
 これは、非常に残念なことながら、いわゆる万引きをつかまえた。要するに、彼は百人ぐらいの人を、ぱっと見てわかって、ぎゅっと捕まえて警察に出したということなんですね。実は、この問題は、きょうこれからお話しすることとも微妙に関連している。
 今はビデオ屋さんのお話をしましたけれども、私の地域、余り自分の地域のことをこういうことを言うとあれですが、恐らく私の地域だけではなくて日本全体に最近見られる傾向だと思うのでお話し申し上げるんですが、私の友人がリサイクルショップをやり出したんですね。リサイクルショップですから、一つの物の値段が随分安いわけですね。これが物すごい勢いで持っていかれちゃう。だから、なかなか売り上げが進まないという話がある。
 もう一つは、これは、今申し上げたのは私の具体的な、身近に起こったビデオ屋さんとリサイクルショップの話なんですが、一方で、いわゆる新刊本が、本が書店から主に子供たちの手によって持っていかれて、それがいわゆる新古書店というところに出ちゃう、こういうことが大変に深く静かに潜行しているということがあるんですね。これは捕まえられた方も余り罪悪感がないという非常にゆゆしき問題をはらんでいる。こんなものぐらい、返せばいいんだろうという話になってしまうということが実はあるわけです。
 私は、これはまさに日本の、きょうも、朝、憲法調査会で四つの小分科会の議論をいたしました。安全保障の問題、あるいは国家の統治の問題、そして天皇制の問題、そして四つ目には教育権のお話、教育基本法改正に絡んでの話がありましたけれども、やはり日本の子供たちの現状というのは、何か奥深いところで非常に厳しいことが起こっている。これはきょうの私がこれから申し上げる本題とは直接は関係ないんですけれども、ぜひともお互いにこういった現状というものを強く、鋭く認識をしていかなくちゃいけないという意味で、あえて冒頭に申し上げさせていただきました。
 きょうの本題でございますが、今出版の世界における出版不況、これは昨今突然起こったことではなくて、このところかなり、数年前からこの出版不況ということが指摘をされています。
 去年ですか、おととしですか、大変よく売れた本、私も読みましたけれども、「だれが「本」を殺すのか」、こういうタイトルでした。私は、「誰が「本」を殺すものか」という文章を実は書きました。つまり、本を殺したくない、本というものがこの日本の今の現状の中で非常にみんなに読まれなくなってしまっている、出版の世界において非常に厳しい状況に直面している、こういうことが指摘をされて、このところ、いわゆる本の取次店、あるいは図書館、あるいは新古書店、こういったものが出版不況の元凶ではないかということが言われたりして、こういう関係の皆さんと、それから本を書く側の皆さんとの間での、さまざまな議論が進んでいるということを耳にしたり目にしたりするわけでございます。
 そこで、まず、今いわゆる公共貸与権、この問題についていろいろと議論が進められているということをお聞きするわけですけれども、そして公共貸与権というものについて日本も積極的に導入する方向というものが見え始めているというふうに認識をしているわけですが、この公共貸与権をめぐる議論の現状についてまずお伺いをいたしたいと思います。
遠山国務大臣 図書館による本の貸し出しのような非営利、無料の貸与につきまして補償金を受ける権利というものが一般に公共貸与権と呼ばれておりますけれども、日本の著作権法では、この権利はビデオなどの貸し出しについてのみ与えられているところでございます。
 この権利を書籍に拡大することにつきましては、本年一月に取りまとめられました文化審議会著作権分科会の審議経過の報告におきまして、補償金制度の対象を将来書籍等に拡大するという方向は示されているところでございます。補償金の負担者はだれか、あるいは徴収、分配の方法、さらには著作者団体、図書館団体の御意見も聞いてこういったものを検討しているところでございまして、公貸権、公共貸与権の具体的なあり方については、その検討結果を待って定めてまいりたいと思っております。
赤松(正)分科員 今、大臣から概略的な御説明があったんですが、さらにちょっと確認をいたしますが、問題意識を共有するためにちょっと確認をさせていただきますが、著作権審議会の場で平成十二年十月にワーキンググループが設置をされて、平成十三年十二月に審議会が、公貸権の拡大を主張するグループと公貸権の拡大に反対をする、つまり、今日本の場合は、ビデオなどにおいてのライブラリー価格方式というものが導入をされているわけですが、それを書籍の方にも拡大をするという格好で公貸権を拡大するという考え方と、それから、ちょっとそれは待ってほしいという側の意見とが審議会の場においていろいろ議論をされた。そうして、平成十四年、昨年の二月に当事者間協議の検討会が設置をされて、昨年の、平成十四年十二月における小委員会の結論を受けて、全体としては、本年一月に公貸権を拡大する方向性を決定した。
 そうして今、先ほど大臣がおっしゃったように、具体的なありよう、補償金システムについて、どうやって補償をしていくのかということについて当事者間で協議をしている。この場合の当事者というのは、日本文芸家協会であったり、書籍出版協会であったり、日本図書館協会であったり、全国公共図書館協議会であったり、国公私立大学図書館協力委員会であったり、専門図書館協議会であったりすると思いますけれども、こうした当事者間で協議をして結論を出そう、こういうふうになっていると認識をいたしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
遠山国務大臣 私も、そのように審議が進んでいるというふうに認識をいたしております。
赤松(正)分科員 その場合、いろいろな方法が考えられると思います。
 一つは、ビデオのように、日本がもう既に導入している公貸権のありようとしてのビデオの場合、つまりライブラリー価格方式というのは、その権利を持つ人たちが公共図書館にいわゆる売却をする、つまり公共図書館が購入をする、それに対して公共図書館が補償金は一括にして支払う、こういう形をやっているわけで、つまり、書籍購入価格に当初から上乗せする。千円のものだったら二千円払って、倍の金額で上乗せをして、権利者に最初からお金を余分に与えるというやり方。あるいは貸し出し数を、どれだけの本が出たのかということをカウントして、それに応じた形で支払うというふうなやり方。こういうふうなやり方が支払いの方式の例としては挙げられているようですけれども、この既に日本で実施しているビデオライブラリー価格方式、これについて、うまくいっているのかどうか。ちょっとこれは事前にそういうことをお聞きすると言っていないんですが、この方式はスムーズにとり行われているのかどうか、これについてお伺いをいたしたいと思います。
銭谷政府参考人 先生お話ございましたように、現在、日本でもビデオ等については既に公共貸与権の行使が採用されているわけでございます。その場合は、ライブラリー価格方式ということで、図書館がビデオ等を購入する際に補償金を上乗せして、一括して支払う方式でございます。
 これは、図書館がビデオ等を購入する際にもう上乗せをして払うわけですから、確実に出版社側といいましょうか著作権者側の方に補償金が支払われるということで、やり方としては、現在のところはきちんといっている。先ほど著作権者、出版社と言いましたけれども、ビデオ会社の方にきちんと支払っているということでございます。
赤松(正)分科員 ビデオの場合はうまくいっている。それを書籍の場合にも応用するということが考えられているんだろうと思うんですが、それは果たしてうまくいくのかどうかということについて、もしうまくいかないと思っておられるのなら、何がネックになるのかということが一つ。
 それから、書籍に関して、イギリスの場合、この導入がうまくいっているということがしばしば例として挙げられているようであります。イギリスの場合は、図書館にかわって基金が補償金を支払う、基金という仕組みをつくって、そこが図書館にかわって支払っていく、こういうふうな仕組みがイギリスの場合あるようですけれども、このやり方、つまりライブラリー価格方式と基金による肩がわり方式、この二つを比較した場合、今、現時点で審議会等で議論されている状況の中でどういうふうな、両方とも有力なのか、それともそれぞれに欠陥があると見ておられるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
池坊大臣政務官 今の質問にお答えいたします前に、先ほど冒頭にお話がありましたことですけれども、昨日の文部科学委員会でも問題になりまして、今青少年で、書店で二、三万、本をがっと持っていって、それを盗んでいってしまって、それをほかの書店で売るということがございます。換金をするというようなことで、それが問題になっておりまして、書店や出版業界が連携しながら解決しよう、また私たちも、地域や警察とも連携をとりながらそういうことを防ごうということが話題になったところでございまして、大変いい御指摘をいただいたんですが、私は著作権法のことで頭がいっぱいになっておりましたので、何かとんまな答弁をいたしました。
 それで、今のお話でございますけれども、例えばライブラリー価格方式を採用した場合には、図書購入予算というのがふえません限り、これは購入の図書が少なくなるということでございます。それからまた、補償金額が図書の貸し出しなどに比例しないなどの問題がございます。
 それからまた、基金方式については、例えば地方公共団体が設置する公共図書館の支払いについて仮に国が財政措置を行うとすれば、それは本当にそれでいいのかという問題がございます。都市と地方との関係があるかと思います。また、書籍を購入している者、書籍を借りない者など、広く国民の理解を得られるか。これはすべて国がやってしまいますと、ではうちのところも、これもこれもやってほしいということが出てまいりますので、かえって不公平感を生むのではないかということが考えられると思っております。
 今、これはさまざまと、著作権団体あるいは図書館団体が補償の負担や徴収、分配の方法について検討しているところでございます。この検討を待って私どもも考えをまとめたいというふうに思っております。
赤松(正)分科員 今政務官が言われたことは、そのとおりだろうなという予測ができました。
 それで、一つそれに関連をしてお聞きしたいんですけれども、では、イギリスの場合はうまくいっている、あるいはイギリスだけじゃなくてヨーロッパ諸国、イギリスを初めとして数カ国がやっているようですけれども、そういったところでは、今政務官が言われたような、確かに私もそうだろうと思います、図書館がある地域はいいけれども、図書館がない地域がいろいろある。そういうときに、基金という格好で税金を投入して、それでもってその恩恵を得られる地域と、図書館を持っているところとそうでないところがあるということが起きてくるというのは欠陥であろうと思いますし、さらに、ライブラリー方式になると、書籍購入費という大枠のパイを大きくしていかなくちゃいけないという問題が起きてくるだろう。
 それぞれに欠陥があるわけですけれども、イギリスなどしばしば出される、ヨーロッパがうまくいっているという原因はどこにあるんでしょうか。
銭谷政府参考人 公共貸与権につきましては、今先生の方からイギリスの例が出されておりますけれども、イギリス以外でも、ドイツやオランダなど欧州の国々を中心に導入されているわけでございます。ただ、内容は、今先生がお話ございましたように、国によって非常に異なっております。
 ちょっとイギリスの例を少し詳しく申し上げますと、まず、イギリスの公貸権の導入というのは、著作権法ではなくて、特別の公貸権法という法律を制定いたしまして、そして対象の図書館を公共図書館のみに限定しまして、その上で、著作者へ支払う補償金は国家が設立をした基金が負担をして、そして補償金の算定は貸出数を基準とする、こういうやり方でございます。
 これに対しまして、ドイツは、著作権法の中で公貸権制度というのを設けまして、そして対象となる図書館はすべての図書館ということにいたしております。それで、著作者へ支払う補償金は図書館のそれぞれの設置者が負担をする。そして、補償金の算定は貸出数を基準とする。こういうやり方でございます。
 これ以外の国でも、例えば公貸権制度の根拠法、それから制度の対象となる図書館の範囲、それから補償金を負担する者、それから補償金の分配基準、こういったのがさまざまでございます。イギリスの場合は、現在までのところ、恐らく国民的な合意が得られているんだろうと思いますけれども、公共図書館について、国の方で特別法を制定して、基金が負担をするというやり方で、現在までのところは運営をされている。
 ただ、御案内かもしれませんけれども、著作者等に支払われる補償金というのは、上限を設けたり、それから非常に少ない方については、ある一定額以下の方についてはそれは払わないとか、いろいろな工夫はされているというふうに承知をいたしております。
赤松(正)分科員 そこで、ちょっとお伺いしたいというか素朴な疑問なんですが、今、イギリスの例あるいはドイツの例、イギリスの場合は公貸権法という新たな法律をつくっている、ドイツの場合は著作権法だ、こういう話ですが、普通に考えて、これ、イギリスあるいはドイツ、欧米の場合でそういうケース、どうなっているのかということが聞きたいんですが、掌握していないかもしれませんけれども。
 例えば、いわゆる本貸し出しのデータに基づき云々という場合、例えば大臣の本はよく出る、赤松正雄の本は余り出ないとか、池坊政務官の本はそこそこだとか、それぞれあるんでしょうけれども、要するに、実際に出たデータに基づくと、結局その本が図書館にある場合、私が今言いたいのは、いわゆるベストセラー本はどんどん出る。例えば、余り出ないけれども非常に味のある赤松正雄の本を借りたいという人の場合、本がないというのはデータに反映されませんよね。そういうことは公共貸与権の中でどう処理されていくのか。
 つまり、公共貸与権というやり方をやっているということは、結局は人気作家の補助に終わるんじゃないのか。めっぽうよく借りられる本の人たちについて、確かに、私の本はいっぱい出ているのに、ただで出ちゃっている、ばからしい。それをサポートするということなのかもしれないけれども、本来的に、余り読まれない本について、貸し出される、それに対して、今さっき、非常に金額が一定に満たないものはカットされるという話がありましたけれども、そういうことなんですか。つまり、どんどん売れている人たちに対しては補助をされるけれども、そうでないのはそうでないという実態なんでしょうか。
銭谷政府参考人 今先生のお話しのとおりだと思います。
 やはり、基金方式など、貸出数のデータに基づいて行う場合には、貸出数が多い著作者、いわゆるベストセラー作家が多くの補償金を得るということに結果的にはどうしてもなるんだと思います。ですから、国によりましては、図書館の蔵書数、これを算定基準としている。ちょっと詳しいところは十分承知していないんですけれども、そういう国もあるように承知をいたしております。
赤松(正)分科員 そこで、先ほど来のお話、要するに、いろいろな課題があるということが短い時間の中でわかったわけですけれども、一つのポイントはやはり、図書館予算の枠の中でやるのかどうかということだろうと思うんですね。新たな予算をつけるということはなかなか難しかろう、図書館の予算の枠の中で地道にそういったことを考えていくということが必要なんだろうと思うんです。
 ここで、私、きょうのこの公共貸与権の問題をあれしていて驚いたのは、学校図書を充実させていくために、地方交付税という格好の中で各地域の地方自治体が公共図書館の本を購入するということについて、文部科学省が、昨年の調査の結果がことしの初めに発表されておりますが、それによりますと、二十二億円の配分増をしたにもかかわらず、購入増はたった一億だという、そういう記事が出ているんです。こういう報道に初めて接して、実は驚いたんですけれども、これは事実なんでしょうか。そして、何が原因でこうなっているというふうに掌握をされておられますでしょうか。
矢野政府参考人 学校図書館の蔵書の整備に要する経費につきましては、平成十三年十二月の子どもの読書活動の推進に関する法律が成立したこと等を受けまして、平成十四年度からの五年間で、毎年約百三十億円、総額にいたしますと六百五十億円の地方交付税措置を講じることとされたところでございます。そして、実際の、平成十四年度の学校図書整備費の予算措置の状況につきまして、御指摘がございましたように、我が省で、私どもで調査いたしましたところ、平成十四年度は学校図書館整備費として百三十億円の交付税措置に対しまして、百三十四億円が予算計上された、そういう結果となっているところでございます。
 この額は、地方交付税措置の積算額が対前年度と比べまして二十二億増であるのに対しまして、実際の予算額は二億円の増。教材費等による図書費購入予想額を含めた場合では一億円の増にとどまっておりまして、このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては、学校図書館図書標準の早期達成を目指しまして、各市町村が学校図書館図書整備を一層進めるように、各都道府県教育委員会に対して、これまでも各都道府県に対して、その整備実施についての指導を各都道府県にお願いしてまいりましたけれども、本年一月、改めて指導を依頼する通知を発したところでございます。
 そこで、御質問がございました地方交付税積算額の伸びほどに予算額が伸びていない理由でございますが、これは私ども、きちんとした分析をしているわけではございませんけれども、地方の予算措置全体の動向からかんがみまして、各地方公共団体の財政事情による理由ということが最も大きな理由ではなかろうかというふうに推測されるわけでございます。
 私どもといたしましては、今後とも地方交付税措置の趣旨を踏まえまして、各学校の図書整備費が充実され、児童生徒の主体的、積極的な学習活動の充実が図られますように、関係者の努力をより一層促してまいりたいと考えているところでございます。
赤松(正)分科員 今の御答弁ありましたように、地方財政の厳しさという中で、図書の購入がしわ寄せを受けている。本来的な目的に使われていないという現状は、非常にゆゆしい事態であろうと思います。
 そのことについて、最後に、後で大臣にお伺いをいたそうと思うんですけれども、今のことについて。その前に、私、ふっと考えるんですが、先ほど来の出版不況、そして図書館を利用する人たちが多いという状況の中で、どうそれを克服するかという中で公共貸与権の話が出てきているんですが、これは幾分かの、有料で図書館の本を借りるという考え方というのは出ているんでしょうか。つまり、わずかであってもお金を払う。それを果たして公共図書館というのかどうか、それは貸し本屋になるじゃないかという話かもしれませんが。日本の中でそういう議論があるのか、あるいはよその国で、例えば千円の本だったら一回借りるのに百円払うとか、そういうふうなことをしているところはあるんでしょうか。
池坊大臣政務官 私個人は、借りますときにお金を払ったっていいんじゃないかということがございますけれども、今私ども日本でそのような議論がなされていることはございません。やはり公共の図書館でございますので、それは無料であるということが前提になっております。
赤松(正)分科員 私は、手前の本は手前で買うべきだという主義でございまして、図書館で借りて読んでいる人というのは絶対、余りこういうことを言っちゃいけないね。本をやはり自分の手で買う方がいいな。やはり図書館についても、ある程度、先ほど来の議論、公共貸与権という流れの中で、応分の負担を借りる側もするということが検討されてもいいんじゃないか、こういうふうに思うということを申し上げさせていただきます。
 最後に、大臣に、公共貸与権の問題について、いろいろこれから議論が本格的に始まるだろう、そして幾つかの課題が出ている、こういう状況の中でどう取り組もうとされるのか。そして、図書館購入費というものが、地方財政の厳しさの中で、地方交付税交付金というものが余りその図書購入に向けられないという現実に対して、どう取り組もうとされるのか。二つについてお伺いしたいと思います。
遠山国務大臣 公共貸与権の問題は大変いろいろな要素が絡んでおりまして難しい問題であろうと思いますけれども、私は、日本が非常にいい案を編み出しまして、日本型と将来世界に誇れるようなものを考えてもらいたいと思っておりますし、私どもも努力したいと思います。
 それから、学校図書館の図書を充実するための経費については、地方公共団体は子供たちの未来のために、ぜひとも教育委員会、学校が頑張って、せっかく私どもも予算措置しているわけでございますので、ぜひともそれを有効にかち取って使ってもらいたい。私どもも、あらゆる機会を通じてこの問題についてはその考え方を普及してまいりたいと思います。
赤松(正)分科員 終わります。ありがとうございました。
萩野主査代理 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡辺周君。
渡辺(周)分科員 民主党の渡辺でございます。
 実は、文部科学省に質問するのは、私も国会に当選してから六年近くになりますが、初めてでございます。ふだんは安全保障委員会などというところにおりまして、きょう午前中もその質疑をやってきたわけでございますが、ちょうどこの時期でございますと教育の問題について、持ち時間の範囲内で質問させていただきます。
 私も小学校の四年生と二年生の子供がいる父親でございます。そんな中で、教育の問題というのは、これは国家百年の大計でももちろんありますが、一父親として見ますと、家庭におけるあるいは地域における、学校あるいは教育という問題を、間近に見てきているわけでございます。せっかくこの時期でございますので、今ちょうど、時あたかも入試あるいは入試の発表が行われているシーズンでございます。そこで、一つ最初にお尋ねしたいのは、この少子化社会の中における私学のあり方についてなんです。
 先般、もう御存じのとおり、安芸女子大学というのが広島県の坂町にございます。九月に経営破綻に追い込まれた。例えばこの学校は、短大から四年制にくらがえしてわずか一年半、初年度が新入生三十二人、入学定員百九十五人に対して、二〇〇〇年度は三十二人、二〇〇一年度は三十八人。とにかく著しく定員割れをしてきているわけであります。この大学にとどまらず、その前は、山形県の酒田短大というところが、生徒のほとんどが中国人留学生であったというところも実質的に経営破綻した。
 これから間違いなく少子社会が進む中で、全入の時代が参ります。私の子供が十八歳になるころには、もう全入の時代が来る。学校を選ばずして、志願をすればどこか大学、短大というところに入ることができるようになるわけであります。その中で、今の私学の存在、あり方について、少子社会の中でいかなるふうになっていくだろうか、これはぜひ大臣、副大臣にお尋ねをしたいんです。
 現実問題として考えて、私の地元で、例えば自動車学校を経営していらっしゃる方がいる。少子社会で、地域の動向を見て、あるいは人口動態を見ていけば、もう自動車学校はこれから大変なんだと。あるいは、学習塾をやっている人たちもそうです。つまり、子供が減っていくとなると、新しいことを考えないととてもじゃないけれどもやっていけない。当然学校もそうでございます。だとすれば、私学というのはこれからどうなるんだろうか、その点についてどういう御見解を持っているか、お尋ねをしたいと思います。
遠山国務大臣 少子化に伴いまして、私学の経営が大変難しくなっている、あるいは今後ともその傾向がふえていくだろうということは、だれしも予想しているところだと思います。私学のみならず、公立、国立においても同じような影響を受けるわけでございます。これは何年も前からわかっていたことでございます。今お話しのようなところも、何年か前に、短大から大学への衣がえということを申請がありまして認可をしているわけでございますが、恐らく四年制になれば学生たちも来るんじゃないかということでやられたと思いますけれども、現実にはそうでない状況が続いているところでございます。
 さはさりながら、私立学校でも、非常にすぐれた教育研究をやっているようなところ、あるいは場所の魅力、さまざまなことが要因になって、非常に学生を集めているところもあるわけでございます。
 私は、高等教育というのは、それぞれの設置者が一生懸命になって、どのようにその大学を魅力的にしていくか、どのように個性化を図るか、どのようにすぐれた教育内容を用意するかというようなことで、とにかく努力をしてもらいたい、それが第一だと思います。それによって学生たちを集め、そして成果を出していく。そしてまた、経営のあり方についても、将来を見越してどのようにやっていくかということは、まさに知恵の絞りどころだと思っております。
 それぞれの私学が頑張っていただきたいと思いますのと同時に、私どもも、私学経営のあり方ないしそうした状況に対するアドバイスにつきましても、さまざまに我が省内にも組織をつくり、さらには私学関係の事業団の中にも窓口を置いたり、あるいは専門家の調査委員を派遣したりというようなことでいろいろやっておりますが、そういういろいろな努力をしながら、しかし私は、それぞれの大学が、国公私を通じて魅力ある、個性ある大学としての工夫をさらに重ねていく必要があるのではないかというふうに考えます。
河村副大臣 委員おっしゃるように、少子化時代を迎えて、今までと同じように学校をつくれば学生が集まるという時代ではなくなっていくと思います。したがって、私学は当然個性を出さないと、そして教育内容というものを魅力あるものにしなければ、生きていけない。これは、御案内のように、今度国立大学だって法人化して、やはり競争原理が入ってきます。また、評価を受ける時代でありますから、社会的にも認知をされなければいけなくなっていくと思います。
 これまで、ややもすると、地方の大学等々は、町等もいわゆる教育的なものを一つの町づくりに使おうというようなことで誘致をしたという例もありまして、地方公共団体が誘致をしたりして、そういう形でできたものもありますから、そういうところはまた相当思い切って個性を出しませんと、うまくいかない。
 もう一つ、苦労しておられる経営者に聞くと、間違ったというのは、確かに少子化はあるけれども、それと同じように進学率がどんどん上がっていくだろう、それでカバーできるんじゃないかという見通しがあったと。しかし、これが今頭打ちになったということでありますから、そこで相当これは知恵を出していっていただきませんと、生き残りをかけて相当努力をしていただかなければなりません。今大臣も答弁されましたように、文部科学省としても、やはりそのことについては一体となって協力体制をしいていく必要があろう、こういうふうに考えております。
渡辺(周)分科員 一時期、地方が大学を誘致しよう、それによって学生の流出、若者の流出を防ぎたい、あるいは若者に来ていただきたい、これは各地が非常にそういう誘致運動をやった。ところが、これから学校経営が非常に厳しくなる中で、まさにおっしゃったとおりで、個性を当然発揮できるような学校でないともうこれからやっていかれないだろう、それは私も百も承知でございます。
 実際に、これからまだ、今名前を挙げた学校以外にも、いわゆる充足率が二〇%あるいは三〇%、つまり入学者の定数を著しく定員割れしているようなワーストを見ると、この学校は多分もうやっていけないだろうなというところもあるわけです。しかし、こういうところに当然私大に対する助成がされているわけなんです。例えば、今、確かにいろいろな指導をして何とかやっていくというのは大事かもしれませんが、もう何年にもわたって著しく定員割れしているような学校に対して、果たしてこれは何らかの形で国が支援をする必要がどこにあるんだろうか。
 その点について、私学助成というあり方について考えた場合、どうなんですか、例えば、学校側に、おたくはもう三年連続で著しく定数を満たしてない、極端な言い方をすると、おたくは悪いけれども公的資金投入しないよ、悪いけれどもあなたのところは再生不能だよということがあってもいいんじゃないかと思うんですが、大臣、御見解いかがですか。そういうこともないと本気で考えないと思いますけれども。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 現在の私学助成の考え方は、教職員の人件費あるいは研究教育に要する費用を前提に、一定の計算で配分方法を積算いたしまして金額をはじき出しますけれども、先生御指摘のように、定員状況等学校経営上のマイナス面をどうそれに組み入れるかというのは、難しい問題でございます。
 すぐ私学助成の額にはね返らせます前に、私ども、先ほど大臣が申し上げましたけれども、具体に経営状況が悪化しておる法人の状況をつかまえておりますので、個別に指導をするという体制を今とってございます。学校法人運営調査委員制度というのを設けておりますけれども、経営状況が悪化しております大学につきましては、私ども、事前に、例えば経営悪化については経営の改善計画を求めるなどいたしまして、まず学校の取り組みを応援いたしまして、または指導をいたしまして、実際に私学助成の金額にどうこうする前に、主体的な取り組みを支援するということに力を注いでおるわけでございます。
渡辺(周)分科員 私、かなり極論を言ったかもしれませんけれども、はっきり言って、今初めてわかったことじゃない、少子化の影響というのはある程度前々からわかっていたんだ、最初に、冒頭大臣おっしゃいました。例えば、短大で約六割、私大の四大の場合は約三割定員割れしているという状況が全国で起きているわけであります。正直言って、まあ失礼な言い方ですけれども、短大とか大学という名前がついているけれども、実際何をしているかわからぬような学校もあるわけです、この酒田短大のような例が。
 これから考えていくと、やはり私学の例えば情報公開。例えばどれぐらいの定員があって、定員なんというのは大体受験雑誌には載っています。だから、例えば志願者数がどれぐらいで、受験者がどれぐらいいて、どれぐらいが入学して、今一体何人いるんだということで、これは公開されているんですか、私学の。そこのところはどうなっていますか。
加茂川政府参考人 委員御指摘のさまざまな学校経営の情報を公開しますこと、特に財務情報の公開につきましては、大きな課題だと私ども認識をいたしております。
 さまざまな法人ごとに自主的な取り組みがなされてございまして、大学法人の八割以上は何らかの形で財務状況の公開がなされておりますけれども、まだまだこの対応は個々、法人ごとにまちまちでございまして、必ずしも十分とは言えておりません。
 そこで、学校法人全体で、財務状況をきちんと必要な、主要なデータについては公開をすることを義務づける、もしくはよりきめの細かい情報提供についてガイドラインを示す等、対応をきちんとしていかなければ国民の信頼にこたえることができないではないかということで、現在関係者にお集まりいただきまして検討を進めておるところでございまして、早急にそういう体制を整えたい、こう思っております。
渡辺(周)分科員 検討を進めていると。これはやるんですか。検討を進めているんじゃなくて、検討の結果いつやるか。そうしないと、例えば、これは正直言って、ディスクロージャーされていない中で、では、そこに一体私学助成がどういう形で使われているのか。
 また、これは金融機関と全く一緒だと思うんですね。どういうところなのかと。もっと言えば、自分たちの子供や孫をこれは一種のやはり自分の財産として預けるわけですね、人間教育あるいは専門教育、社会教育を身につけたいと。それはある意味じゃお金を預け入れるのと、財産を預け入れるのと全く一緒のことでございます。その経営内容もわからなければ、その財務内容も何もわからない、八割はわかったけれども二割はわかってないんだ、しかし、その二割こそが私は問題だと思うんですけれども、これは具体的にどういうふうにやるんですか、そこだけ簡潔にお答えください。
加茂川政府参考人 先ほど申しました検討の場と申しますのは、大学設置・学校法人審議会にこのための検討小委員会を設けて今まさに検討中でございまして、具体には、財務諸表のどういった種類、先ほど申しましたけれども、どこの法人までどういった義務化をかけるのか、どこまで細かな情報開示を求めるのかと検討も進んできておりまして、夏ごろまでには大まかな方向が出てくると思いますので、あとは必要な法整備等についてさらに詰めることになろうかと思います。
渡辺(周)分科員 この点については、私は所管委員会が違っても、またいずれの委員会なんかでもう少し時間をいただいてやりたいと思います。
 とにかく、私学に対してやはり考えて、痛みを伴う改革というのなら、やはりその点について、経営努力もしない、あるいは個性を磨こうともしない何となく存続しているだけの学校、著しく定員割れが続いているような教育機関というふうに呼べないところに対して、我々の公的な支援が果たしてどこまで必要なんだろう、この点についても改めてただしたいと思うんです。
 時間がございませんので、次に行きます。
 昨年の四月から学校の五日制、週休二日制が導入をされまして、公立学校の完全五日制という形になったわけです。この点については、これは幾つも数字を挙げる間もなく、約一年たちまして、今ちょうど学校でいいますと三学期のそろそろ卒業式を迎えようという時期でございます。早いところではあすあさって、あさってしあさってあたりに卒業式があるわけでございます。
 こういう中でいろいろなアンケートをとる。例えば、学校五日制になってどうであったかということについてアンケートが、これは東京のある区であったり都であったり、あるいは教育団体であったり、いろいろなところが出しているわけですが、一々数字を申し上げませんけれども、正直言って学校五日制になって非常に不安になったという親御さんが多い。
 その点についてもう一つ言われていることは、学力が低下したんじゃないかということが言われるわけです。もちろん、学校五日制が段階的に導入されまして、それによってでは果たして学力が下がったのか。一年やそこらでは、もちろん、それがイコールそうである、学校五日制導入によるものだとは一概に言い切れないということはわかっておりますけれども、五日制の評価を現時点でどうしているか。
 それから、地域の受け皿が当初期待したほどできなかった。ここにいろいろなデータもありますけれども、結果的になかなか、博物館や図書館を、例えば美術館を無料にしたとか、いろいろなことをやっています、それから地域でいろいろな、親子で参加できるようなイベントを自治体でやったりしていますけれども、現実問題として、数値を見ますと、塾通いがやはりふえたというのが例えば六割、ある調査ではあるわけであります。
 現実問題として、学校五日制を、今ここへ来て、始まって約一年たってみて、どのように判断しているか、その点を簡潔にお答えいただけますでしょうか。
遠山国務大臣 五日制、これは長い経緯をもって今年度から現実に移されたところでございます。したがいまして、まだ一年未満ということで、本当にどうなのかということを全国規模で知るという段階に至っておりませんけれども、さまざまな受け取り方がございます。子供たちは、ゆっくりできてうれしいというのが七割というような調査もございますし、友達と会える、遊べる、趣味やスポーツもできるというような結果も出ているわけでございますが、他方で、保護者の方々の中には、五日制ということで学力が落ちるのではないかという懸念があるということも承知をいたしております。
 私どもといたしましては、学力が落ちるというふうなことは絶対に起こさせないということで、今いろいろな教育改革をやっているわけでございます。特に、この問題に関しましては、誤ったPR、学力懸念を起こさせるようなPRが意図的になされたというようなこともございますし、そして塾のような関係者の方々のいろいろな動きなどもございまして、低下、低下と言うことが多いわけでございます。
 この問題は、私としましては、五日制というものをきちっと位置づけていくためにさまざまな準備をして実施に移しているわけでございまして、子供たちがそれぞれの考えなり保護者の考えによって自由に過ごし方を考えていく。その中には、既存の施設を訪問するもよし、何らかのけいこごとに通うのもよし、また補充的な学習をするもよし、そういうことをみずから選んで、自由に使いながら自分の個性を伸ばしていくというところに意味があると思っております。したがいまして、余り近視眼的にこの制度についてマイナス面ばかりを言うというのはどうかなと私は思っているところでございます。
 そして、学力の点につきましても、もちろん我が省は文部科学省でございますから、日本の将来を担う子供たちが本当に力が低下するというようなことは絶対に起こさせないというつもりで今いろいろやっておりますので、またそういったことも、私どもの趣旨ないし政策が十分に浸透していくように今後ともやっていきたいというふうに考えております。
渡辺(周)分科員 私も前提で申し上げたのは、まだ一年で評価することは、これはまだ定着していないから、現実問題として、ではこれがイコール学力が落ちたと。学力というのはもう年々落ちていっているんです。学校五日制が始まる前から、いろいろな統計を見ると、もう下がっていっているんです。
 では、これは何かということなんです。それで近隣のアジア諸国に対してどんどん抜かれていっている。特に、時間がもうあと十分もございませんから詳しくは申し上げませんけれども、我が国は人材をつくる国である、資源もない、海に囲まれたこの小さな国が、人材こそがすぐれているということで教育に力を入れてきたこの国が、今は、例えばインドであるとかシンガポールであるとかあるいは韓国であるとか、確かに日本が今本当におくれをとっているという中で実際試験をやると、残念ながら日本は学力が今おくれをとっているということはもうはっきりしているわけでございます、これは五日制のせいではないと思いますが。
 ただ、その中で新たにゆとり教育ということを言い始めてきた。ところが、今度は確かな学力の向上ということを言われるようになりました。教育振興基本計画、確かな学力、それ以前の学びのすすめですか、これはある意味では、ゆとりということを言ってみたけれども、実は、これから長期的に見ていった場合に、ゆとりということでは日本の教育政策において非常にまずいのではないだろうかというふうに方向転換をしてきたのではないかなと私自身は思っているんですが、その点についてはどうですか。
河村副大臣 かなりそういうお話は新聞等にも出ましたし、御批判をいただいたんですけれども、これは、ゆとりというのが何か緩みのようにとられた、ゆとりだからそんなに勉強しなくていいんだというふうにとられたんではないかという懸念があったものですから、これは大臣の方から、そういうことではないので、やはり基礎、基本をまずしっかり学ぶことが第一ですよと。
 よく七五三というふうに言われますが、七じゃなくて十割きちっと、それなら三割減らしてでも七を一〇〇%やって次に送る、そのぐらいの気持ちで基礎をやってもらいたい。しかし、さらに学びたい人もいるだろうし学ぶ人もいる、そういう人はしっかりやってくださいよという意味で、まさにゆとりに対する誤解を解くために、それも、決して勉強しなくていいということではありません、緩みじゃありませんよということを強調して、むしろ、基礎、基本をしっかりやって、その上にどんどん勉強する人は勉強してもらいましょうということを特に強調してある、私はこういうふうに思うのであります。
渡辺(周)分科員 ゆとりということが実は緩みになってしまって、だから結果的に、よく指摘されることですけれども、では土曜日が休みになってどうしようか、結局昼ごろまでごろごろごろごろ寝ている子がいる、朝から、例えば七時からテレビをつけたらもう仮面ライダーをやっていて、九時半ごろまで、ずうっと布団の中で二時間ぶっ続けでテレビ漫画を見ている、実際、こういう例も聞くわけです。
 余裕がある家庭は、では例えば進学教室へ行かせたらどうだろうかと。これは、さっき申し上げた、小学校四年の私の子供がおります。今、進学教室からダイレクトメールが大変いっぱい来るんですね。私は静岡県の沼津市というところでございますが、あの静岡県の二十万そこそこの町でもどんどん教育関係の施設、進学塾が建ち並びまして、そこで余裕のある家庭は、つまり、教育費にお金を回す余裕のある家は例えば進学塾に行った方がいいと。それによって、例えば中学へ入ったときに、中学校一年生でAとかBとかの大文字、小文字を書いて始まる英語の教室と、小学校のときからある程度の英語の文法までも教えてくれるような英語塾があるわけです。そうしますと、入ってからの習熟度というか到達度は全く違うわけでありまして、ここが、これからの社会の中で言われるいわゆる親の年収と子供の学力が比例するようになってきているじゃないかということだと思うんです。
 つまり、このゆとり教育というのが、本来ゆとりであるはずのその時間の中で新たな競争を生んでいるのではないか、そこが実は親御さんたちの一番大きな危惧なんです。私もそうですし、同じような子供を持つ世帯のPTAの方々、父兄の方々とお話しすると、そのことを言います。その点について、やはりこれは今違う方向に行っているということはぜひ御認識をしていただきたいと思うんです。時間がありませんからこれは次の機会にしますけれども、それが一つ。
 それから、例えば学校五日制の中で、土曜日にいわゆる土曜授業というんでしょうか、土曜学習を、まあ座学式じゃなければいいよということで、地域によっては土曜日に学校で補習のような形で教えている。これも、考えてみると、実は、学校五日制に対する危機意識から、もう既に、土曜日にあえてこの授業をやるような形がなお行われているんじゃないかと思うわけであります。
 そうしますと、実質的に、学校五日制というのは始まってはみたけれども、いろいろな問題がこの一年で出てきている。その点について、先ほど申し上げたような公教育の充実という点においてはどう考えていらっしゃるのか。さっきは私学のことを言いましたけれども、実は、公教育の補完の意味で進学塾に行くことが、何かそちらの方が新しい競争を生んでいるような、逆にゆとりがなくなっているような気がするわけですけれども、この公教育の充実ということについてどうお考えですか。
遠山国務大臣 公教育の中にはもちろん私立学校における教育も含まれるわけでございますけれども、多くの子供たちが公立学校に通っておりまして、その学校における教育が今いろいろな心配を生んでいるということの御指摘だと思います。
 まず、学力の点でございますけれども、これが本当に低下しているかどうかについては、私は、毎年調査をやりましてしっかりとフォローをしていくつもりでございます。また、昨年の一月に実施いたしました調査結果について、今詳細な分析をしております。それが三月中に出てまいると思います。そういうのをベースにしながら、学力についてはしっかりフォローをして、必要なことがあればきちっと手を打っていくということを申し上げたいと思います。
 それと、新しい学習指導要領で、今カリキュラムがそれぞれの学校で新しく始まったわけでございますけれども、指導要領の考えているその方向というものが一体どうなるのかということにつきましても、これからは、十年に一遍の改訂ということではなくて、必要であればそのこともきちんと検証をし、よく見るということで、中央教育審議会の中に常設的に置かれる教育課程部会で検討を恒常的にやっていただくつもりでございます。
 私自身としましては、委員がおっしゃいましたように、子供たちは学校に行ってウイークデーの五日間しっかりと勉強すれば、それで十分基礎、基本を学び、またみずから考える力を持つようになるというのが一番の理想でございまして、新しい指導要領というのはそういうことを目指してでき上がっていると思います。
 ですから、そこのところを、その理想が現実に移るように、もしさらにそれぞれの地域で、必要であれば学びのすすめでアドバイスしているようなことを大いに使っていただいて、学力低下を招かず豊かな心を育てるということで進んでいってもらいたいと思います。
 大きな制度の改正でございます。これからの学力というのは、私は、単に試験の成績がいいというだけでは十分ではない、新しい世紀に起きてくるいろいろな問題というものは、既存の解決策を援用して解決できるものばかりではないわけでございまして、みずからよく考え、創造的に事柄に当たる必要があります。意欲も必要でございます。そういうことを可能にする教育をするというのがこれからの学校教育のあり方だと思っております。
 その意味では、試験だけで比べて低下したということも余り単純過ぎると思いますし、にもかかわらず基礎、基本は大変大事という、私どもとしては、本当の学力というのは何かというのを押さえ、かつまたそれを実施させるために、さまざまな方策を援用しながら今取り組んでいるところでございます。委員の期待にこたえて、そういうことが現実になるようにこれからも努力をしてまいりたいと思います。
渡辺(周)分科員 もうとにかく、やはりなぜそこまで親たちがしなきゃいけないか。結果的には、やはり、難しいと言われる競争率の高い高校から難しい大学へ行かないと、何をもってしてどういうかは別にして、人生の中においてつまずくんじゃないだろうか、やはりその恐怖感があるからなんだ。そこのところをこれからやはり本当に考えていただいて、つまり、日本という国は少々失敗してもやり直しがきくんだと。いわゆる有名校とか有名大学に行ったからどうであるとかという、そうじゃなくて、一体何を学んできたかということをやはりひとつ評価されないと、私どものこの国というのはいつまでたっても同じことが続くだろうなと。
 とにかく申し上げたいのは、最後に一つ、公教育、公立教育ですね、公の教育。とにかく、年収がこういう時代の中で、親の年収と学力が比例するようなことがあったらいけない。教育につぎ込む余裕がある家ほど学力が高いなんという、親の年収で最初から差がつくような、こんなことを絶対やってはいけない。特に学校五日制の中でそれが露呈しましたので、この点については再度申し上げて、また違う機会にこの問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
    〔萩野主査代理退席、主査着席〕
斉藤主査 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。
 次に、谷田武彦君。
谷田分科員 自民党の谷田武彦でございます。きょうは早朝から本当にお疲れさまでございます。順次お尋ねをさせていただきます。
 昨年のこの予算委員会分科会でも取り上げたテーマでありますが、本来教育委員会で行うべき生涯教育部門や幼稚園教育の部門が市長部局へ移されたままであるという点について、重ねてお尋ねをしたいと思います。
 愛知県の高浜市そして豊田市、さらには出雲市でその事例が見られるわけでありますが、文部科学省が御指導をしていらっしゃるにもかかわらず、違法性の根拠が示されていないということで、以上の三つの市においては、生涯教育部門や幼稚園教育部門が市長部局へ移されたままであります。
 昨年ここでお尋ねをいたしましたが、教育の中立性、安定性という観点からいたしましても、これらは不適切であると言わなければなりません。各県の教育委員会を通じて指導するというお答えをいただきました。しかし、その後一体どうなっているのか。私の承知する限りでは何ら変わっていないと思っております。今後このような動きが起こらないように、改めて文部科学省の姿勢を確認しておきたいと思います。
 なお、昨年末、鎌倉市におきましても似通った動きがあったわけでありますが、これにつきましては、文部科学省が大変迅速に対応をしていただきました。見事にそれが撤回をされた、こういった経緯もあるわけでありますが、御所見を承りたいと思います。
遠山国務大臣 谷田委員の教育行政に対する深い御理解に対して敬意を表したいと思います。
 教育行政におきます中立性あるいは安定性の確保というのは極めて重要でございまして、そのために、首長の部局からは独立した合議制の執行機関として教育委員会が設けられているところでございます。
 こうした観点からいたしますと、学校教育あるいは社会教育に関する事務を実質的にすべて首長部局にゆだねてしまうことは、教育行政の中立性や安定性を確保するという教育委員会制度の趣旨から見て適切ではないと考えております。もちろん、首長さん、市長さんたちが教育をしっかり理解されて、そしてサポートしていただくことが大変大事でございますけれども、直接に意思決定するところはやはり教育委員会に置いておくことが適切というふうに考えているところでございます。
 そういうことで、昨年御指摘をいただきました以降も、関係の県教育委員会を通じてこうした考え方を伝えているところでございます。
 我が省としましては、現在も行っている市に対して、引き続き適切に指導をしていきたいというふうに考えております。
谷田分科員 御努力は評価をするんですが、残念ながら、そうやって指導をし、文部科学省として本当に頑張っていらっしゃると思うんですが、しかし、現実には全く改善されていないわけですよね。文部科学省がそれだけの強制力を持っているのかどうか、その辺はよくわからないんですが、指導をしてもそれを受け入れようとしない、これらの三つの自治体に対して、このまま放置するというのは私はどうかと思うんですよ。もっと毅然たる態度で対応していく、そういった道はないのか、重ねてお尋ねをいたします。
矢野政府参考人 この三つの市における教育行政の扱いでございますが、先ほど先生がちょっと御指摘ございましたように、私どもも制度論としていろいろ検討したわけでございますが、形の上では、これはいずれも地方自治法による補助執行の形で行われている、そういう部分でございます。
 そういう意味で、教育委員会制度の趣旨から見て、私どもとして適切ではないというふうに考えますが、さりとてこれが法律に反する違法なものというまでは言えないというふうに私ども考えているところでございまして、そういう状況を踏まえて、しかし、私どもとしても引き続き継続して指導をしていきたいと思っております。
谷田分科員 よくわかりました。どうぞさらに御努力をいただきたいと思います。
 ところで、長野県におきましては、知事が教育委員になろうという構想が持ち上がっているそうでございます。長野県は、知事が教育委員に就任できる特例を構造改革特区の第二次提案に盛り込んだようであります。教育委員会は、政治的な中立性、独立性を守る観点から、知事部局と一線を画すよう定められておるわけでありますが、これが逆に組織の硬直化を招き、意欲的な取り組みを阻んでいるという考えからだそうであります。
 長野県の関係者によりますと、田中康夫知事は、これは田中康夫知事の肝いりで提案内容の検討を進め、当初は、教育委員会の廃止案や、教育だけでなく行政委員会を全廃する大統領特区といった大胆な構想も浮上しておったようであります。最終的には、知事みずからが教育委員として改革に取り組む特例を提案することに落ちついたそうでありますが、一体こんなことが許されるんでしょうか。大変疑問を感じております。
 文部科学省の御所見、そしてまたその対応をお聞かせいただきたいと思います。
遠山国務大臣 委員御指摘のとおり、構造改革特区にかかわります第二次提案の募集に対しまして、長野県から、首長と教育委員会の連携強化の観点から、知事が教育委員に就任することを可能とする特例について提案がございました。
 しかし、先ほど来申し上げておりますように、教育行政におきまして、その中立性の確保は極めて重要でございまして、教育委員会が首長からは独立した執行機関として設けられておりまして、個人的な価値判断あるいは特定の党派的影響力から中立性を確保する制度となっております。
 したがいまして、首長が教育委員になることは教育行政の中立性を担保できないために、長野県の提案につきましては、特区としては対応不可能であるというふうに回答をしたところでございます。
谷田分科員 大変明確な答弁、そしてまた明確に対応されました。ありがとうございました。
 次は、私の地元であります愛知県なんですが、今度、新年度予算で知事部局に教育懇談会を新設する、こういった動きが出てまいりました。学力低下やいじめ、不登校、学級崩壊などの教育の諸問題に対応するために、専門家や有識者が議論する教育懇談会を教育委員会のもとにではなくて知事部局に設置をしようという、そして既に新年度予算に計上がされておるわけであります。
 これは、先ほどからお話をしておりますように、若干疑問を感じるわけでありますが、知事部局と教育委員会とが協力を強化していくんだ、こういったことで、何の問題もないよ、容認すべきものであるとするものなのか、あるいは、いや、ちょっと疑問があるよ、どこかに一線を引くべきだ、こういったようなお考えがあるのかどうか、文部科学省の御所見を承りたいと思います。
遠山国務大臣 愛知県によりますと、現在開会中の県議会に提案されております平成十五年度予算案の中に、知事のもとに教育を考える懇談会を設け、知事の所管である大学を含めた学校教育や生涯学習など教育の課題や問題点について幅広く議論するための経費を計上しているということでございます。
 この懇談会でどのような議論が行われるのか、詳細は未定とのことでございますけれども、知事所管の教育事務もテーマに含まれておりますので、知事のもとに懇談会を設けるということにつきましては、私どもとしてはそのこと自体に特段申し上げることはないわけでございますし、また教育委員会もその運営に参画していく予定であると聞いております。
 しかしながら、懇談会が設けられ、一定の結論が得られた段階におきましては、教育委員会に関する施策は教育委員会がその権限と責任に基づいて進めていただくことが必要であるというふうに考えております。
谷田分科員 よくわかりました。次の問題に移ります。
 老朽校舎の建てかえについてであります。
 戦後建築をされたもので、建てかえ時期が来ているものの、予算不足から我慢して使っている校舎が大変多いわけであります。建築基準の緩かった時代の、建築後二十年以上を経過しているものが約七割あるそうでありますが、厳しい予算状況は承知の上でございますけれども、児童生徒の安全、耐震性のことを考えても、早急に解決すべき問題であると思います。
 内閣府の全国調査で、耐震性に疑問があるとされる校舎が五四%、そしてまた古い建物の三分の二は耐震調査もされずに放置されているとも言われております。
 公立学校施設整備費予算額、事業量は、児童生徒が急増した昭和五十年代がピークで、年々減少傾向にあるわけでありますが、その五十年代に新改築された校舎は今後三十年以内に改築時期を迎えるわけでありまして、五十年を経過したものでの改築を想定した場合、三十年間で単純に年平均をいたしますと、三百万平米を超え、七千億円の事業になるわけであります。しかし、平成十四年度の補助額は千四百億円、事業量にして約百二十万平米でございます。補正予算の五百六十億円、事業量三十万平米をプラスして考えてみましても、事業量の平準化を考慮した場合、現行予算との隔たりが大きいわけであります。
 将来の状況を考えると、年に三百万平米程度の改築事業量を確保し、事業を平準化する必要があると思われます。建てかえ時期が来ている老朽校舎の改築事業は、果たして順調に行われているのでしょうか。
 平成十五年度予算では、公立学校施設整備費として、厳しい財政状況のもとではありますが、学校施設の耐震化及び老朽化対策を中心に、前年度当初予算比五十億円増の千四百五十二億円、事業量百三十八万平米が計上をされておるわけでありますが、果たしてそれで十分でしょうか。少子化あるいは学校の統廃合ということを考慮しても、十分とは言えないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。御所見を承りたいと思います。
 もう一つ、また、国庫補助率は原則三分の一ですね。ただ、これはなかなかに地方の財政負担が大きいわけでございます。過去、昭和四十八年から平成九年にかけまして、児童生徒急増地域におきましては、新増築につきまして補助率の引き上げが行われた時期があると聞いております。今後の改築ピークを考慮し、時限立法で国庫補助率のかさ上げを行い、地方負担の軽減を図ることをお願いしたいのですが、御所見を承りたいと存じます。
矢野政府参考人 公立学校施設整備についてのお尋ねでございますが、公立学校施設の老朽化、耐震化対策につきましては、児童生徒の安全確保の観点から、文部科学省として取り組むべき最も重要な課題の一つであるというふうに私どもも考えているところでございます。
 現在、公立小中学校施設のうち、建築後二十年以上を経た建物が約七割を占めておるわけでございまして、今後さらなる老朽化の進行が懸念をされております。特に、委員からもお話がございましたが、昭和四十年代から五十年代の児童生徒急増期に大量に建築された校舎が今後改築が必要となる、そういう時期を迎えるわけでございますから、集中する整備事業への対応が大変大きな課題となっているわけでございます。
 また、公立学校施設の耐震対策でございますが、この点につきましては、現行の耐震基準が策定されました昭和五十六年以前に建築されました校舎等に対しまして耐震診断を行い、その結果に基づいて、改築や耐震補強、大規模改造を実施するものでございまして、公立学校施設の耐震化をすることによりまして、あわせて老朽施設の解消も図られるものというふうに考えているところでございます。
 このため、こうしたことに対応するために、平成十五年度政府予算案におきましては、公立学校施設整備につきましては、学校施設の耐震化及び老朽化対策を中心といたしまして、対前年度比五十億円増の一千四百五十二億円が計上されているところでございます。また、平成十四年度補正予算におきましても五百六十億円が計上されておりまして、当初予算との一体的な執行によりまして、平成十五年度における必要な予算額が確保されたものというふうに私どもは考えているところでございまして、今後とも市町村における公立学校施設の整備計画に支障が生じないよう、私どもとして必要な予算額を確保してまいりたいと考えているところでございます。
 また、補助率のかさ上げについてのお尋ねがございました。
 この補助率のかさ上げにつきましては、現在、地域振興あるいは地震防災対策など特に必要と認められるそういう事業につきまして、法令等によりまして補助率のかさ上げがなされているところでございまして、校舎の補強につきましては、一般の補助率三分の一から二分の一にかさ上げされているわけでございます。
 一般的な制度としてかさ上げをというお話でございますが、この国庫負担あるいは国庫補助率のかさ上げが行われますと、国の予算額が一定である場合、なかなか厳しい現実の予算の中で、結果的には執行可能な事業量の減少を招くといったような、そういう問題も出てまいるわけでございまして、実際問題といたしまして、公立学校施設整備費の補助率を制度全体として全般的にかさ上げすることはなかなか難しいということについて御理解をいただきたく存じます。
谷田分科員 ありがとうございました。
 私は、校舎が改築されるときに、たとえ一部分でも建築材料としての木材をもっと使用していただいて、木のぬくもりを感じられるような、少しでも子供たちにとって居心地のよい学校にしてほしい、そういった願いを持っておるわけであります。
 木材のよさを見直し、木材利用を推進する取り組みはあるのかどうか、現状と今後の方向についてお示しをいただきたいと思います。
矢野政府参考人 木材は、やわらかな感触また温かみ等のすぐれた性質から、豊かな教育環境づくりを進める上で大変大きな効果が期待できるものでございます。
 したがいまして、文部科学省では、学校施設の木材利用推進につきまして従来から積極的に取り組んでまいっているところでございまして、具体的には、昭和六十年でございますが、学校施設における木材利用の促進について教育委員会に通知をいたしましたし、また平成八年あるいは平成十年にも同趣旨の通知を発出などいたしまして、各県における木材利用の促進に努めてまいったところでございます。またあわせて、補助の制度といたしましては、木造建物の補助単価の引き上げでございますとか補助基準面積の拡充も行ってまいってきたところでございます。
 さらに、この平成十五年度予算案でございますが、平成十五年度予算案におきましては、既存建物の内装の木質化を促進するために、木の教育環境整備事業として補助時限を五年間延長をいたしますとともに、既存建物の教室あるいは廊下等を木材で改造する事業を新たに補助対象に追加することといたしているわけでございます。
 このようなことを通じまして、私どもとしては、学校施設の木材利用促進について積極的に取り組んでまいっているところでございまして、今後とも、林野庁などの関係省庁と協力しながら、学校施設における木材利用の推進をできる限り図ってまいりたいと考えているところでございます。
谷田分科員 ありがとうございました。さらに木材利用を推進していただくよう、御努力をお願いをしたいと思います。
 ところで、学校建築には、当然のことながら、一定のルールがあるようでございまして、例えば天井の高さは三メートル以上というのが規定をされておるようですね。ただ、これは非常に前に決められた基準でございますが、今日も変わることなく適用されておるそうでありますが、天井を低くすれば当然建築コストは下げられると思うわけでありますが、これを勝手に下げてしまいますと、校舎として認められないというのか、国の方の補助が受けられないという状況があるようであります。こういったことにつきましても、今日、検討委員会が設けられているようでありますが、予算状況が厳しいだけに、こうした決まりを一つ一つ改正することによって、限られた予算の中で改修し、改築できるものがどんどんふえていくと思うわけでありますが、いかがでございましょう。
 構造改革特区におきましては大学校舎の建築基準の緩和はどうも認められるようでございますが、これは小学校、中学校、あるいは高校にも広げていく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
結城政府参考人 ただいま御質問の学校の天井の高さの問題でございますけれども、三メートル以上という基準が現在ございまして、これの妥当性につきまして、その後、時代の変遷もございますので、それがそのままでいいかどうかという点につきまして、現在、建築学会に委嘱して検討していただいているところでございます。その検討結果を待って、その基準について検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
谷田分科員 ぜひとも早く検討して、新しい方向を出していただきたいと思います。
 次のテーマに移らせていただきますが、学校が果たす防災機能についてお尋ねをしたいと思います。
 学校等の文教施設に雨水貯留施設を建設したり、あるいは運動場に通水性を持たせるような改良工事を施し、都市型水害の対策に活用してはどうかと私はかねがね思っております。東海豪雨を実際に経験した一人として、それを痛感しておるわけでありますが、このことによって、当然のことながら、治水対策にもなり、あるいは、運動場の排水がよくなることで体育の中止も少なく、まさに一石二鳥だなと思っておるわけでありますが、こういった、学校に貯水浸透施設を設けることは、いま一つ環境学習の教材としても活用できるかな、こんなふうにも思うわけでありますが、現状と今後のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
結城政府参考人 文部科学省では、学校施設整備指針というものを学校種別に取りまとめて、それを地方公共団体などの設置者に対して提示いたしております。その中では、屋外運動場の構造及び仕様は、表面を平滑にし、適度に弾力性を備え、保水性と良好な排水性を確保するよう計画し、設計することが重要というふうになっておるわけでございます。このことから、各学校の屋外運動場の整備に際しましては、必要に応じまして、透水性を持たせるための表土の改良工事や地中に透水管を埋設するなど、雨水などを適切に排水するための整備が進められていると承知いたしております。
 また、屋外教育環境の整備充実を図ることを目的といたしまして、公立学校施設整備費補助金の中で屋外教育環境整備事業を実施してきております。暗渠排水、表面排水及び表面塗装等が一体で整備された公立学校の屋外運動場を国庫補助の対象としております。
 少し実績ということで申し上げますと、平成十三年度の屋外運動場の国庫補助実績は百三十件になっておりまして、文部科学省といたしましては、今後とも学校において雨水などの浸水、排水を考慮した屋外運動場の整備充実が図られるように、地方公共団体等の設置者に対して指導してまいりたいというふうに思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 それでは最後に、学校の週五日制、週休二日制についてお尋ねをします。
 この件については先ほどから論議が出ておるところでありますので、重複する点は避けたいと思っております。
 週休二日制になりまして、確かに地域との交流がふえたというような好ましい事例も見られるようでありますが、中には、本来の趣旨とは違って、土曜日に補習をする学校がふえたり、あるいは塾へ通う子供たちがどんどんふえたり、こんな傾向も一部にはあるようでございます。土曜日、日曜日はゆとりがある分、あとの五日間は授業がぎっちりあるわけでございまして、先生にも生徒にも、ある意味では余裕がないといった問題点も聞かれておるようであります。
 そこで、授業時間確保のために、一部の学校では、学校行事を減らそう、こんな動きが見られるんですね。例えば、学校祭や修学旅行をやめちゃおう、こんな学校もあるようでありまして、いっそもとに戻したらどうかというような声もあるようでございます。もし、この週休二日制を変えることができないとするならば、長期休暇を減らしたらどうか、こういった考えもありますね。実際に、この五日制施行による授業時間の減少を何とか補うために、夏休みを短縮したりしているところがあるようであります。こういったことに対しまして文部科学省はどのような見解をお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
矢野政府参考人 昨年四月からの完全学校週五日制の実施に伴いまして、委員先ほど御紹介ございましたが、学校行事の時間がとりにくくなったとのそういった声も聞かれるところでございますが、例えば、そうした修学旅行等の学校行事、これは学校生活の充実と発展に資する重要な活動でございまして、それぞれの学校におきましては、行事間の関連、あるいは統合を図ったり、事前、事後の活動を見直したり、そうしたことをするなどの工夫を行いまして、各学校行事のねらいを達成する適切な取り組みをしていただくことが必要であろうかと考えております。
 また、公立の学校の夏季休業日でございますが、これは設置者である市町村または都道府県の教育委員会が定めることとされておりまして、それぞれの教育委員会におきまして完全学校週五日制の趣旨等を踏まえ判断すべき事柄でございますけれども、御指摘の夏休みの短縮のような取り組みを私どもとしては教育課程の編成に当たっての工夫の一つではなかろうかと考えております。
 いずれにいたしましても、完全学校週五日制の実施に伴いまして、授業時数の確保が窮屈になったとか、あるいは学校行事の時間がとりにくくなった、そういう声が一部ではございますけれども聞かれるところでございますので、文部科学省といたしましては、今後、その実情、また効果的な実施や確保のためのさまざまな工夫の状況等につきまして、その状況を私どもとして把握をいたしたいと思ってございます。そして、それをもとに今後こうした状況について適切に対応をしてまいりたいと考えております。
谷田分科員 ありがとうございました。よくわかりました。
 最後に、もう一つお尋ねをいたしますが、東村山市ですべての中学校を前期、後期制、二学期制というんですか、これにしていこうという動きがあるようでありますが、この件につきましてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
矢野政府参考人 公立学校の学期につきましては、これは当該学校を設置する市町村または都道府県教育委員会が定めることとされているところでございます。
 このため、二学期制を導入するかどうかにつきましては、まさにそれぞれの教育委員会において教育的な見地から判断することとなるわけでございますが、文部科学省といたしましては、二学期制につきましては、地域や子供の実態に応じて、より充実した教育課程を編成するに当たっての工夫の一つであるというふうに考えておりまして、私どもとしては、教育委員会に今後必要な情報提供をするなどいたしまして、各教育委員会において教育的な見地からの判断が適切になされるように今後してまいりたいと考えているところでございます。
谷田分科員 若干時間が残りましたが、以上で私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
斉藤主査 これにて谷田君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十分散会


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