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第1号 平成18年2月28日(火曜日)

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本分科会は平成十八年二月二十三日(木曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十八日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      尾身 幸次君    奥野 信亮君

      実川 幸夫君    中山 成彬君

      原口 一博君    馬淵 澄夫君

      佐々木憲昭君

二月二十八日

 実川幸夫君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十八年二月二十八日(火曜日)

    午後二時三十五分開議

 出席分科員

   主査 実川 幸夫君

      阿部 俊子君    赤池 誠章君

      尾身 幸次君    奥野 信亮君

      中山 成彬君    藤野真紀子君

      渡部  篤君    佐々木隆博君

      原口 一博君    馬淵 澄夫君

      柚木 道義君    佐々木憲昭君

   兼務 太田 昭宏君 兼務 斉藤 鉄夫君

   兼務 糸川 正晃君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      河本 三郎君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   最高裁判所事務総局総務局長            園尾 隆司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房技術総括審議官)         松本 正夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大谷 泰夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      大島  寛君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       小田 公彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     赤池 誠章君

  中山 成彬君     藤野真紀子君

  原口 一博君     佐々木隆博君

  馬淵 澄夫君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     渡部  篤君

  藤野真紀子君     西銘恒三郎君

  佐々木隆博君     原口 一博君

  柚木 道義君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     安井潤一郎君

  渡部  篤君     尾身 幸次君

同日

 辞任         補欠選任

  安井潤一郎君     阿部 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     中山 成彬君

同日

 第五分科員太田昭宏君、第七分科員糸川正晃君及び第八分科員斉藤鉄夫君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十八年度一般会計予算

 平成十八年度特別会計予算

 平成十八年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

実川主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うこととなっております。

 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算及び平成十八年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。小坂文部科学大臣。

小坂国務大臣 平成十八年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成十八年度予算の編成に当たっては、教育・文化立国と科学技術創造立国の実現を目指し、教育改革、科学技術・学術の振興、さらに、スポーツ、文化芸術の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆一千三百二十四億円、電源開発促進対策特別会計予算額は一千四百九十二億円となっております。

 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

実川主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありました文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

実川主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤野真紀子君。

藤野分科員 自由民主党新人の藤野真紀子でございます。何分にも初めてのこと、いろいろ不手際もございますと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 第一番目のことでございますけれども、幼稚園からの御要望等がございましてお尋ねを申し上げたいと思います。

 愛知県小牧市の幼稚園では手づくりの給食をやっているということでございますけれども、子供たちがきちんと食べられるだけの量を食べさせるということを徹底している幼稚園だというふうに伺っております。ところが、小学校に上がりますと一定の給食を食べることになるということなんでございますが、そうしますと、食べられる子供と食べられない子供とが出てくる。かなり残すものが、残飯が出てくるというお話でございます。そのときに、その残った食べ物をどういう形で処理するかという、そういった問題が御提起されました。

 と申しますのは、子供ですから、食べかけた、もうこれは捨てなければいけないものと、全く手をつけていない食べ物と、それぞれが一つのトレーに置かれるということになります。それを全部一緒に、一つの残飯という形で同じところに捨ててしまうということを幼稚園の園長先生の方から、これは少し考えていただきたいということで、市の教育委員会の方にこの件に関しまして御質問をなさったということでございます。

 そういうことを御質問なさった際に、返事が市の方から参りまして、これは、予算の関係で給食センターの方にそれだけの、バケツ状の、別に残り物だけ、食べられないものを捨ててしまうだけの器を置いておくような場所もないということのお答えでございました。

 これは、今まさに日本が抱えている大変大きな問題だと思います。と申しますのは、自給率が四〇%、しかも、食べ物を捨てるのは世界で一番多いという非常に恥ずかしい状態にあります。子供たちに、ぜひとも一つ一つのものが大切であるということを教えていかなければいけないときに、すべてのものを捨ててしまうというのはいかにも残念なことだと思います。

 このことに関しまして、ぜひともお伺いをしたく思っておりますので、よろしくお願いいたします。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、食べ物を大切にする、非常に重要なことだと考えております。

 文部科学省におきましては、学校給食指導の手引というものを出しておりますけれども、その中で、給食の時間におきます給食指導として、給食ができるまでには多くの人が働いているということを知り、食べ物を大切にするようにということでございますとか、食材につきまして、感謝の気持ちを持って食事をするというようなことにつきまして記述しており、指導するようになっております。

 そういうことを踏まえまして、まずは食べ残しを少なくするということが大切でございますが、その後の残った食べ物につきましても、できるだけ、食べ物もしくはその食材をどうやって活用していくか、場合によってはリサイクルということがあるかもしれません、そういったことも含めまして、効果的な対応をするように指導してまいりたいと思っております。

藤野分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、子供たちに、物を大切にする、食べ物を大切にするという心を教えていくということに御尽力をいただきたいとともに、その予算割りの面でもお願い申し上げたいと思っております。

 第二番目でございますけれども、これは、耐震家屋の、今まさに本会議の方で御議論があったことでございますけれども、小学校とそれから幼稚園、保育園の建物の差でございますが、幼稚園、保育園の建物は二階までというのが規定になっているというふうに伺っております。

 そして、小中高校になりますと、これは三階建て、四階建てがあるということですが、耐震家屋の危険度ということで申しますと、三階、四階の方が危険であるということで、これに対する国の補助金というもののつき方がある。これはレベルが、私もちょっと不勉強であれでございますけれども、CとかBとかランクづけがあるということですが、幼稚園の場合は、危険度がBというふうに認識をしております。

 危険度がBといいますと、建物が高くないので、地震が来ても大して危ないことはない。ですから、強度のための補強工事に関しては優先的に小中高校ということになっているというふうに伺っておりますが、ここで、子供たちの年齢のことを考慮していただきたいというふうに思っております。と申しますのは、保育園に関しましては、保育士さんがだっこをして逃げなければいけない、そして幼稚園児に関しましても、幼い子供たちでもありますので、自分の力では逃げ切れないということもあります。

 そのことも踏まえまして、同じ危険度というような形で見ていただけるようにはならないだろうかという、これも幼稚園の方からのお話を承っております。ぜひとも、そこの御見解をお伺いしたく思っております。よろしくお願いします。

銭谷政府参考人 幼稚園施設の耐震化の問題につきましてお尋ねがございました。

 園児が一日の大半を過ごす幼稚園の施設につきまして、耐震性を確保するということは、私ども大変重要な課題だと思っております。

 現状でございますけれども、幼稚園と小中学校を比べてみますと、公立の場合でございますが、公立の幼稚園では耐震化率が四五・五%でございます。これに対して、公立の小中学校では五一・八%の耐震化率でございます。それから、幼稚園は私立の幼稚園が多いわけでございますが、私立の幼稚園の場合は五四・六%、私立の小中学校全体では七〇・六%と、公私いずれも、幼稚園の耐震化というのが小中学校に比べて進んでいないという状況がございます。

 施設の整備でございますけれども、国としては、公立の幼稚園につきましては公立学校等施設整備費補助、私立の幼稚園に対しましては私立学校等施設整備費補助で耐震化経費を補助しているわけでございます。補助の執行に当たりましては、耐震化のための事業を優先的に補助しているという状況でございます。

 引き続き、幼稚園の耐震化が進みますように、私ども努力していきたいと思っております。

藤野分科員 ありがとうございました。

 幼い子供たちをぜひとも最優先で、今後とも考えていただきたいと思っております。

 次に、社会の安心、安全が最近は大変危ぶまれているということでございますけれども、スクールバスの導入化ということに関しまして、ぜひともお伺いをしたいと思っております。

 今、スクールガードということでの小坂大臣からのお話もございましたけれども、同様に、スクールバスの導入に関しまして、今後どういう取り組みがされるのか。アメリカでは、これはすべて、自宅の前までスクールバスで送り迎えをされているということで、今、これだけ世の中が危なくなっているときに、ぜひともこのスクールバスのことに関しましてお考えいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

素川政府参考人 スクールバスについての御質問でございますが、スクールバスにつきましては、小学校と幼稚園とでは、現状、大分違う面があろうかと思います。幼稚園の場合には、特に私立の場合はもう大半の幼稚園でスクールバスを導入しておりますし、公立の場合も一定の割合でスクールバスを導入していると思いますが、小学校につきましては、どちらかといいますと僻地だとか、そういった場合に限って導入しているのが普通であろうかと思います。

 先生の御指摘のように、スクールバスの導入、これは子供の安全確保策の一つの有効な方法であろうと思いますけれども、やはりそこは、自治体におきまして地域の実情を踏まえて御判断いただくべき事柄でございます。私どもといたしましては、路線バスと現在自治体や地域で保有されております車両をいかに活用していくかという方法も一つの方法であろうかということで、そのための合意形成のあり方につきまして検討し、自治体に対しまして、先ほど御通知を申し上げたところでございます。

藤野分科員 ありがとうございました。

 ぜひとも、小学校の低学年の、一年生から三年生ぐらいまでの学童に関しましてはスクールバス導入ということの御検討を今後もいただきたく、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、今、子育て支援ということで民間団体がかなりボランティア活動をしておりますけれども、そのことに関しまして、ぜひとも御支援をいただきたいということを申し上げたいと思います。

 今、保育園の方で、あいている部屋を使いまして親子子育て支援のようなことをやっているということも聞いておりますけれども、保育士さんが、保育の傍らでお母様たちからの悩みを聞いたりということで、なかなかそれが徹底しないということでございます。そして、民間団体、特にお母様たちの連携でそういった母親支援ということがされておりますけれども、これに関しまして、なかなか援助が受けにくいということを伺っております。

 私は、官と民が一体になって初めて、安心、安全の社会ができるものと確信をしておりますが、この件に関しましてお答えをいただきたいと思います。

田中政府参考人 子供たちを育てる上におきまして、お母さん方あるいはお父さん方がいろいろな悩みを抱かれるわけでございまして、これらに関しましては、私どもといたしまして、各市町村単位で実行委員会というようなものをつくっていただきます。これは、行政とそれから各地域の、そういう子育てのいろいろな団体が実行委員会を組んでいただきまして、そこで、子育ての講座でございますとか相談事業等をやっていただいておるところでございます。

 今後とも、そういう支援に努めていきたいと考えております。

藤野分科員 ありがとうございました。

 私も、仕組み自体がまだよくつかめてはおりませんので、突っ込んだところがちょっとわかりかねるんですけれども、自治体、市の方から、既に保育園には二百万ほどの援助がされているというふうに伺っております。民間というレベルで非常にボランティアの方たちが、それこそ毎日、ウイークデー、お母様たちが交代交代で八時間ぐらい、二人ぐらい常駐していらっしゃるということに関しては、どういう形で援助を申請するということにすればよろしいんですか。

小坂国務大臣 具体的な手続等の仕組みについては、後ほど担当の方からお答え申し上げますが、藤野真紀子議員におかれましては、日ごろから子育てに大変関心を寄せていただきまして、また、食育活動についても率先的に御活動いただいておりますことに心から感謝を申し上げております。

 今御質問のございました、子育ての親の不安や悩みを、地域でボランティアの力を使ったり、また幼稚園あるいは保育園の、幼稚園教諭あるいは保育士の皆さんの力をかりながら相談に応じることは大変有効ではないかという御指摘だと思います。

 そういったボランティア活動で既に行っているところもございまして、文部科学省では、市町村等における行政と、子育てサークルなどの民間の子育て支援団体が連携して実施する子育て講座や子育て相談などの取り組みを、家庭教育支援総合推進事業といたしまして、平成十八年度予算額で九億八千七百万円計上してこの支援を行うようにしているところでございます。

 また、NPOの皆様には、母親相談のための言ってみれば、チャイルドラインに対応すれば、お母さんのラインとでも言うのでしょうか、そういったものもあるようでございますので、そういった活動もしっかり注目しながら支援体制を考えてまいりたいと存じます。

田中政府参考人 補足の御答弁をさせていただきます。

 直接、NPO団体に対して国から助成する制度はないのでございますけれども、今、大臣がおっしゃられましたように、行政と地域の子育て団体が実行委員会というものを組んでいただきまして、そこで、いろいろ子育て相談の事業をやっていただく者に対して、国として委嘱事業という形で助成をさせていただいておるということでございます。

藤野分科員 ありがとうございました。大臣の大変力強いお言葉を伺いまして、安心をいたしておる次第でございます。

 時間もそろそろ迫っております。申し上げたいことはたくさんございましたけれども、最後に一つ、これはぜひとも、大臣の方から後ほど感想をちょうだいしたいと思っておりますが、名古屋市港区に南陽町というところがございまして、まだこれは下水が完全に通っていない、非常に自然の残っている場所でございます。ここでまだ水田地帯がかなりあるということ、そして、そこの地域に二つの学校がございます。既に体験学習をしているところでございますが、ここに、グリーンエデュケーション構想ということで御提案を一つ申し上げたいと思っております。

 最近、はやっておりますのに野菜ソムリエという言葉がありまして、みんな国民は健康のために野菜を食べようと。厚労省の方でも、一日三百五十グラムでしたか三百六十グラムの野菜を食べなさいということを生活指針の中でうたっておりますけれども、これにひっかけまして、子供野菜学級というのをつくったらどうかという、これは一つの設立企画提案書というものでございます。

 今、観光行政の中で、グリーンツーリズムということで盛んに、農業を復興させると同時に観光も復興させようという方策がとられておりますけれども、これを教育と一緒にさせて、グリーンエデュケーションということをうたったらどうかというふうに考えております。

 グリーンエデュケーションということ、これは、一つずつ野菜を、作物の中の野菜を中心にいたしまして、子供たちが最も食べにくいものなんですけれども、それを自分たちの手で育て、収穫し、そしてさらに調理をしていく。それと同時に、そこの土地の野菜を学ぶ、そして栄養も学ぶ、そして廃棄のところまでしっかりと自分たちでやっていくことによって、子供たちは、自分の地域、自分の生まれ育った土地に何が育ち、そしてそれがどのように体にいいのかということをしっかりと学んでいくのではないだろうかというふうに思っております。

 このような取り組みはいろいろな地域でされてはおりますけれども、なかなかそれが定着していかない、栄えていかないという現実があるかと思いますが、そこで、最近言われているような、野菜ソムリエというような称号を子供たちにも与えたらどうかというふうに考えております。

 例えば、五つの野菜。野菜といいますとお米も含まれてまいります。日本人の歯は、これは穀物をすりつぶすのに非常に適した歯ということで、我々日本人は農耕民族として栄えてまいりました。この穀物が、今だんだん食べられなくなってきている。そういうことも含めまして、まず第一にお米ということを考え、そして、名古屋でありましたらキャベツの生産が一位ということで、その土地土地、例えば静岡でしたらお茶、山梨でしたらブドウ、そういった地元の産物を五つぐらいピックアップをいたしまして、一年一品ずつ学んでいく。

 そして、一年学んだ子供には博士号、子供野菜博士なりなんなりの称号を与え、そして五年間しっかり勉強した子供には、ここでマイスターという称号を与える。それを、もし可能であれば国民祝日をつくっていただき、食育の日というものができるのであれば、その日に表彰してあげる。そういうことをいたしますと子供は励みになり、盛んに体験学習に参加をしようという、そういった気持ちになるのではないかというふうに思っております。

 このことに関しまして、ぜひとも大臣の御感想をお伺いしたいと思っておりますが、この意義ということだけをちょっと申し上げたいと思っております。

 食育ということが言われておりますけれども、私が選挙に立ちましたときに、料理と政治が同じということで大変なバッシングを受けたことがございます。まず、そのところで、なぜ調理をしていくことが非常に意義があるのか、子供たちが食というものを学んでいくことにどう意義があるのかということを申し上げたいと思います。

 まず、先ほど申し上げたとおり、自分が生まれて育った土地の生産物を肌を通して知り、みずから料理し、おいしく味わうことにより、ふるさとの味を愛し、誇りに思う心が生まれてくると思います。第二番目、体験的な知識から得た知恵とか料理に関する段取り力というのは、これは料理ばかりではなく、生きていくための力強い生命力となる、人間力の基礎となっていくものと確信をしております。

 また、体験学習をした子供たちがそれで大変知識を得ることは、子供は大変な喜びでございます。大変な喜びを持った子供たちは、それを周りに広げようといたします。おうちに帰って親に、実は、野菜はこんなに体にいいんだよということを子供たちから大人へ波及していくという、これは子供が中心になった、主役になった、大人が子供に手本を示すのではなく、子供が大人に手本を示していくような、子供の潜在的な能力を引き出していこう、そういった一つのプロジェクトにならないかと考えております。

 そして、子供たちとの交流によりまして、今まで低迷しておりました農家の方たちでございます、あきらめている、もう担い手がいない、このまま家はつぶれてしまう、農業はつぶれてしまうという方たちが、異世代の子供たちとの交流によって、おばあさん、お母さんの知恵袋を次世代に受け継がせるということによって、自分たちが今までやってきた仕事、農業というものにさらなる誇りを持つということが考えられるかと思います。そして、我々団塊の世代がこれから年をとっていくときに、この力を子供たちとともに使っていくことによって、地域の開発、農業の復興につなげていけるのではないかと思っております。

 そして、ちょうど南陽町は、土地の開発ということを十年来やっているというふうに聞いております。農薬を使わないでも十分に安全な土地というのは一年や二年ではできない、十年間かかってそれをやってきている土地だというふうに伺っております。そういったところで子供たちに野菜をしっかりと栽培させ、そして命の意味というものを体験させていくということを、ぜひとも、この土地で現実化させていきたいと思っております。

 このことに関しまして大臣の御意見をお伺いしたく存じます。

小坂国務大臣 ありがとうございます。

 やはり、いろいろなことを体験するということ、それから民間の皆さんの力を引っ張り出してきて、一緒になってやってもらうということは大変重要なことだと思っておりますが、先ほどの子育ての部分でも、以前に先生からお伺いした、愛知県の親子支援センターCRAYONLANDなんていう話もございました。そういった活動の盛んな地域というのは民間の活力がある地域だと思います。

 ただいま御指名をいただきましたグリーンエデュケーション構想ですが、先生から資料をいただきまして私も読んでみました。

 その中で、今藤野委員がおっしゃったように、子供たちが野菜を実際につくってみる、そうすると、これは幾つものメリットがあります。今おっしゃったように、地域の食文化というものは伝統文化の根っこでございますから、地域の食文化を知ることは、すなわち伝統文化を継承することにもつながっていきます。その地域でどのような野菜が育てられていたのか、また、そういう土づくりのためにお百姓さんたちがどんな苦労をしているのか、それを実体験して、子供たちは、そこの野菜とほかの野菜を比較してみて、ああ、僕たちのつくった野菜の方が甘いや、おいしいやということから、みんなお互いに競って食べる、そしてみんなが残さないようにちゃんと食べる。それから、残飯があったとしても、それをまた肥料として活用する方法等を考えたり、いろいろなことにつながっていく、まさに食育の中核的な事業になり得ると思います。

 そういう意味で、子供たちにやはりインセンティブとして、何かを達成したら、達成した賞状みたいに何かを上げる、そしてそれを積み重ねたらマイスターだ、ソムリエだというような名前をつけるというのは、一つのアイデアとしておもしろいことだと思いまして、それは積極的に推進していただいて、どんどんそういう運動を広げていただけたら、こう思います。

 藤野委員は調理の方についても子供たちを指導できる立場にいらっしゃいますから、そういったアイデアを提供して、地域の学校あるいは教育委員会を通じて、ぜひとも子供たちにいい影響を与えて、この食育活動を推進していただけたらと考えるところでございます。

 今後とも、私どもも努力して、今いただきましたようなアイデアをこの食育の基本計画、国の計画の中で議論をし、また地域の食育基本計画に反映をするように努めたいと思いますが、委員におかれましても、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

藤野分科員 ありがとうございました。大臣の、次世代の子供たちに対する大変温かいお気持ちをしっかりと受けとめた思いがいたしました。

 今後とも、私も、次世代の子供たちを我が孫と同じように考えて献身的に取り組んでいきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうはありがとうございました。

実川主査 これにて藤野真紀子君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤池誠章君。

赤池分科員 ただいま御紹介にあずかりました自由民主党の赤池でございます。

 きょうは本会議の後ということで、大臣、お疲れのところ、ありがとうございます。きょうは三十分ほどお時間をいただいておりますので、質問をさせていただきたいと思います。

 既に、先ほど本会議で大臣が教育の考え方をお述べになっておりまして、議場で、下で聞きながら、そのとおりだなというふうに感じたところでございます。やはり、日本は資源が少ないということで、教育こそが国づくりの本当に根幹であるということは、揺るぎない、政治の基本中の基本ではないかなと思っております。

 そんな中で、私はきょう、みずからが教育現場、また、まだ私も子供が中学校、小学校ということで現役でもございますので、そんな体験の中で御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私が昨年選挙で当選するまで、実はあした卒業式でもあるんですが、まだ籍がありまして、専門学校長という立場でございます。まずは、専修学校の振興策についてお伺いをしたいと思います。

 御案内のとおり、昨年、専修学校制度が法制化をされてちょうど三十周年ということに当たります。現在、大学、短大、専門学校の比率ということで、短大が四百八十八校、二十一万人、大学が七百二十六校、二百五十万人、そして専門学校が、三千四百三十九校、生徒数が七十八万人を超えております。進学率でいえば、高校三年生の毎年四割近くが大学へ、短大が七・五%なんですが、専門学校が一九%ということなんです。

 そして、何といっても専門学校の特徴というのは、御案内のとおり就職率の高さということです。就職率が、データによりますと、大学が六五%、短大が五九・七%、不況の影響もあって非常に厳しい中で、専門学校は平均をして七八・三%という非常に高い就職率を誇っております。ちなみに、私が学校長をしておりました日本航空学園の日本航空総合専門学校というのは、開設以来三十年以上就職率一〇〇%ということを特色としてやってきております。

 そういう面で、私が大学へ入ったころというのは、やはり専門学校というのはなかなか社会の認知が低い部分がありましたが、現在は、実質は逆転をしているということではないのかなと思います。資格取得そして職業教育の拠点ということで、大学に通いながらまたさらに専門学校に行く、また、大学、短大を卒業してから専門学校に行くという学生もふえているということで、そういう面では本当に、法制化三十年の中で、社会の動きの中で専門学校の地位というのは非常に向上してきておりますし、そんな中で、文部科学省においても本当に専修学校を応援していただきました。既に昨年も、四年制専門学校においては、高度専門士という称号の付与と同時に、大学と同じように大学院に入学できる、そういった制度を入れていただきました。

 そういう面では、本当に大きな社会の動きの中で、そして、それに対応して文部科学省も相当応援をしてきていただいておりまして、その辺に関しましては、本当に高く評価をしたいというふうに考えております。

 そして、新しくことし三月から、四年制の専門学校生が高度専門士という新しい称号をいただくということの中で、いわゆるその卒業生が大学の卒業生と同等に、四年制の卒業生と同等に、会社の中でもきちっと、専門学校だから短大卒と同じ待遇でいいんではなくて、高度専門士という、きちっと四年間勉強したんだという、卒業生に関しては大学と同じような待遇をきちっと得られるようぜひ支援をお願いしたいと思っておりますので、その御見解をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 四年制の専門課程修了者の資格等についてのお尋ねでございますけれども、御指摘いただきましたように、昨年、修業年限四年以上の専門学校の修了者に対しまして、大学院入学資格と高度専門士の称号を付与する制度を創設いたしまして、昨年の十二月には、百十九校、百九十二課程を認定したところでございます。

 今後は、これらの修了生が大学院に進学したり、あるいはそれぞれの職場において適切にその能力が評価されることが重要であろうと考えておるところでございまして、私どもといたしましても、これまでも専修学校の卒業生に対しましては、二年制の専修学校の場合でありますと二年制の短大の子供たちと同じような、また、三年制の専修学校に関しましては三年制の短大と同じような待遇が受けられるようにということで、それぞれいろいろなところに働きかけてきたわけでございまして、人事院の取り扱いに関しましてもそのようなことができておるわけでございますけれども、今後は、御指摘いただきましたように、四年制の専修学校を出た方々の待遇が大学の卒業者と同じようになりますように、関係省庁はもとより、全国の地方公共団体あるいは経済団体等に働きかけを行ってまいりたいと考えておるところでございます。

赤池分科員 企業であったりそれぞれの場所では相当専門学校卒業生も高く評価されているんですが、なかなかやはり社会全般のイメージからいうと、やはり大学、短大、ほにゃららみたいな部分がどうしてもまだまだついて回りますので、ぜひ、引き続き支援をお願いしたいと思っています。

 そして、今回の来年度予算に関しましても、専修学校教育振興室を中心にして、専修学校関係の振興費に関しては、この厳しい財政の中でも前年を上回るような形で御支援をいただいておりまして、これも本当にありがたいという形で高く評価をさせていただくところですが、ただ、それでもまだ大学、短大に比較すれば比較にならないというのが実情ですし、いわゆる研究開発部分においては支援をいただいていますが、経常費は当然都道府県単位の認可ということで形態が違うので、その額たるや全くもうけた違いという部分がございます。ぜひ、引き続き財政的な支援に関しましてもお願いをしたいと思いますので、その辺、決意の部分をお願いしたいと思います。

田中政府参考人 御指摘のとおり、特に専門学校に関して申し上げますと、現在、約七十万人の生徒が在学されておるわけでございまして、我が国の高等教育機関の重要な一翼を担っていただいておるところでございます。

 このことに関しましては、昨年の一月に取りまとめられました中央教育審議会答申の「我が国の高等教育の将来像」におきましても、高等教育機関の一つとして専門学校を取り上げまして、実践的な職業教育、専門技術教育機関として専門学校の機能を充実することが提言されておるところでございます。

 私どもといたしましても、今御指摘いただきましたけれども、専修学校の特色をさらに生かして、また、その高度化を図るためにいろいろ実践研究を委託するなどの助成を行っておるところでございますけれども、今後ともこれらの充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 それとあわせて、先ほども申し上げましたけれども、そういう専修学校、専門学校の卒業生が大学や短大の卒業生と同じように待遇されるよう、我々としても努力してまいりたいと考えておるところでございます。

赤池分科員 ありがとうございます。

 今回、発表に当たって文科省のホームページもチェックをさせていただいたんですが、残念ながら専修学校の部分のデータが非常に古いということもございまして、ぜひその辺は、ホームページですので、できるだけ最新のものを掲載していただきたいというふうに思っておりますし、それから、文科省は認識がしっかりしていても、ほかの省庁が、例えば先日も、具体的に言いますと自民党観光特別委員会に出ておりましたときに、観光の人材育成は大事だ、その中に大学、短大等と、やはり等に含まれていて、観光関係の専門学校の貢献というのは物すごい大きいにもかかわらず、まだまだやはり等扱いなんですね。

 ですから、大臣、副大臣、政務官、またぜひその辺で、大学、短大等はないだろうと。逆に言えば、もうこんなことを言いますと短大の関係者に怒られてしまいますが、実績からいえば、大学、専門学校、短大ではないかというぐらいの自負をやはり専門学校関係者は持っております。それだけの実績があると思いますので、細かい話のようですが、やはりそういったところの施策展開で、大学、短大は人づくりの拠点であり、専門学校は等扱いで施策の中では位置づけが低いんじゃないかということをやはり感じざるを得ない部分がありますので、ぜひその辺、答弁というよりも、今後の働きかけをきっちりやっていただきたいなというふうに思っています。

 次の質問として、職業訓練校と専門学校との競合問題というのがございます。

 私は、山梨で専門学校の中で自動車整備士の養成もかかわっていたんですが、当然、山梨県の中にも、公設の自動車職業訓練校の中で自動車整備士の養成を行っているんですね。子供の数が多かったり、また、自動車関連業界の就職先が多いときには当然競合問題は発生しないんですが、パイがふえていきますから。ところが、御案内のとおり、十八歳人口が少なくなり、なかなか自動車関連も整備士のニーズが少なくなる中で、競合をしてきて、専門学校はもう一校は閉校してしまった状況の中で、やはり今後、私の山梨のみならず、また分野を超えて、いわゆる職業訓練校と専門学校の競合が相当各地でますます激しくなると思ったときに、小泉総理、小泉改革、小泉内閣の方針であります官から民へ、民間にできることは民間にという方針の中で、やはりきちっと民業を、専門学校が圧迫をされて経営が成り立たないような形での部分ではなく、すみ分けもありますし、役割分担もあるし、その辺十分指導の方をお願いしたいと思いますが、その辺の方針をお聞かせください。

田中政府参考人 職業訓練施設と専修学校との競合の問題でございますけれども、御指摘のように、その両者の機能が重複することなく、同時に密接な連携のもとにその適切な役割分担を行っていくことが大事だろうとは考えておるところでございます。

 私どもといたしましても、従来の文部省の時代から労働省と協議をしてまいったわけでございまして、平成十年におきましては、一つには、公共職業能力開発施設は在職者の積極的な受け入れに努めるべきだ、新卒者ばかりに焦点を絞るべきではないというようなこと、それから二つ目には、都道府県で公共職業能力開発施設を整備するに当たっては、地元の専修学校関係者も含めた協議の場を設けて進めていただきたいということを両省連名で出させていただいておるところでございまして、私どもといたしましては、今後とも、この方針に従いまして、それぞれ競合することのないよう、十分協議の上でこれらの施策を進めることが大事だと考えておるところでございます。

赤池分科員 ただ、方針、指導があっても、実態が、残念ながら今の話を聞いていても、職業訓練校は新卒者が、例えば先ほど言った私の自動車整備士に関しては新卒者が入っているんですね。ですから、その辺は、両省で協議して通達は出しても、実態がそれに乖離している部分がやはり全国各地相当あると思うんですね。ですから、その場合のきちっとした指導であったり、また地元での協議であったりということを、きちっとさらにきめ細かく御指導のところをよろしくお願いをいたします。

 続きまして次の質問をさせていただきたいのですが、先ほど冒頭で申し述べましたとおり、私は中学校一年生と小学校五年生の親でもございまして、現役のPTAの役員をしております。

 そんな中で、実は先日、各都道府県PTAには親子安全会互助制度という制度がございます。これは、言ってみれば、時代の流れの中で、いわゆる交通事故が多発をした時代の中で、お互いに親同士で助け合いましょうということで掛金を大分積み立てたり、また、市町村も相当公費助成ということでいただいておりまして、そんな中で、事故やけががあったときにそれぞれ見舞金を支給しようという制度なんですが、それが、残念ながら今回、保険業法等の一部改正に伴う政令案において、今までは保険業の定義から除かれるということだったのが、今回適用除外ができないというような話にどうもなりつつあるという形で、現在、金融庁と文科省の間で調整をしていただいているということを聞いております。

 もともとのPTAの性格、そしてその趣旨、それとやはり民間の保険業を一緒にした形で取り扱われるというのは、やはりこれはどう考えてもおかしいのではないかというのが我々掛金を出している親の気持ちでもあったり、だからこそ市町村がそれぞれ親子安全会に公費を出しているということもございますので、ぜひ、最後の最後までその立場で文科省の方では金融庁と調整をしてほしいというふうに思っています。

 そんな中でやはり感じたのは、PTAとは何なのかなということを改めて思ったんですね。御案内のようにPTAは、昭和二十一年から二十二年、GHQの占領下の中で、先生と保護者が対等の立場で教育環境を整備しようということで、文科省の方でも力を入れて、全国各地にあっという間にできたということを聞いております。

 ただし、私が山梨県のPTAをやったときに、公益法人化しようとしてここ二、三年取り組んだら、中間法人だと言われたんですね。中間法人というのは、営利と非営利の間だ、公益法人としてはなじまないと。なぜですかと言ったら、PTAは会員組織で、公益事業じゃなくて会員のための共益事業だと言われたんですが、でも、小中学校は義務教育、組織率が一〇〇%近いわけです。でも、その事業は共益事業で中間法人だと言われたときに、PTAとは果たしてどういう位置づけかなということを物すごく疑問に思ったんですね。

 そういう面では、日本は、社団法人格を全国各地では取っているところもあるんですが、それ以外は基本的に任意、ただし、運営は本当に公益法人並みにきっちりやっていますし、でも財産関係は個人という非常にこういうアンバランスな中で、それが市、郡、さらに小中高それぞれ細かい学校にすべてあって、今後、例えばバザーが課税されるんじゃないかというような話まで来る中で、本当にPTAというのは教育の政策の中で欠くことのできないものでありながら、その辺の法的な位置づけであったり、政策的な位置づけが何かあいまいだったのかなというような気が今回の保険業法のことを聞いていて思ったわけでありまして、その辺の、ぜひ文科省のお考えをお聞かせいただければと思います。

田中政府参考人 PTAについてのお尋ねでございますけれども、PTAは、まさに親と教師が協力いたしまして、児童生徒の健全な成長を図りますために、家庭及び学校における教育の理解と振興、そして児童生徒の校外における生活の指導、また、地域における教育環境の改善などの活動に取り組んでおる大変公益性の高い社会教育団体であるというふうに認識しておるところでございまして、お尋ねのような、都道府県あるいは市町村のPTAの連合会につきましても、単位PTAや関係団体との連携、調整あるいは情報交換、さらには、子供の健全育成を目指して当該県内でどういう問題があるのかというような実態把握や、それに対する対応などに取り組んでいただいておるところでございまして、大変公益性が強いものだというふうに考えておるところでございます。

 文部科学省におきましても、現在、日本PTA全国協議会につきましては社団法人として認可をさせていただいておるところでございまして、各都道府県のPTAの連合会につきましても、そういう御要望がございます場合には、私どもといたしましても、そういうものにつきまして、大変公益性が高いということを各都道府県の教育委員会等に御助言してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

赤池分科員 灯台もと暗しみたいな感じがあって、PTAというのは当たり前すぎて、その辺では、逆に政策展開の中で位置づけが不明確になった部分があるのかなと思います。ぜひ引き続き、御指導そして御支援をお願いしたいと思います。

 昨年度から、子どもの居場所づくり事業ということで、子供たちを、放課後または週末または長い休みの中で、安全、安心で体験教室ができるようにという形の中で進められていて、来年度も予算が計上されているんですが、そんな中でPTAもその中心に位置づけられているということを聞いているんですが、ところが実際、私もかかわってはいるんですが、結構NPOの方々は積極的なんですが、PTAにとっては、事務的な手続の問題であったり、なかなか使いにくい部分があるということで、そういう面では、来年度また予算が決まりましたら、もっとPTAに積極的に活用してもらう、そこで活動をさらに伸ばしていただくようなその辺の細かい御指導もぜひお願いをしたいというふうに思っておりますし、これが三年度事業で終わるということにはやはりならないように、どんな形にしても継続できるような仕組みをぜひ考えていただきたいと思いますが、その辺の御見解をお聞かせください。

田中政府参考人 各地域で、子供たちが安全にまた安心して活動できる子供の居場所づくりに平成十六年度から取り組んできておるところでございます。これは緊急三カ年計画ということで取り組んでおるところでございますけれども、今先生おっしゃられましたように、やはりPTAのお父さん、お母さん、働き盛りのところもありまして、やはり、各地域で具体的にそういう居場所づくりをしていただいているのは、若干、リタイアされた方あるいは当該商店街の方々等が中心になっていただいている方が多いように見受けておりますけれども、今後、PTAの方々にもぜひ呼びかけさせていただきまして、中心となって御活躍いただきたいと思っております。

 また、平成十九年度以降の支援のあり方につきましては、今後、現在各地域で取り組んでいただいております方々の御意見あるいは市町村の行政関係者の御意見等も踏まえながら、鋭意検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

赤池分科員 今、図らずも、働き盛りで参加率が悪いということもありまして、大臣、これは実はPTAの参加、特にお父さんの参加が非常に少ないということで、ぜひこの辺は、例えば公務員の方は、全部休まなくても、一時間、二時間、時間をやりくりして出てもらうとか、経済団体の方にも、ぜひ、子供のためにお父さんをPTA活動に参加させるようなその辺の働きかけもお願いをしたいと思います。

 続きまして、時間もなくなってきているんですが、教育内容について一点というか、これは質問ではなくて、既に大勢の方が質問をなさっていることとは思うんですが、いわゆる知育の部分、それから徳育の部分、それから体育の部分、そして、先ほど藤野先生もお話があった食育の部分ということで、そういった中で、それぞれ教育改革ということで文科省も力を入れているということは感じております。

 やはり、私の教育の体験でも、いい習慣をどうつけていくかということが一番教育にとって大事だなということで、一週間のカリキュラムよりも、毎日一体何をするかということが大事だと思うんですね。読書活動も今進められておりますけれども、やはり体力低下のために体を動かすこと、それから、視力が低下をするのなら目の体操もいいでしょうし、そういった面で、毎日必ず習慣化するような、知育、徳育、体育、食育、それが一体となった形でぜひ引き続き進めていただければ幸いでございます。

 その中で、最後、スポーツ振興に関しましても御質問をさせていただきたいと思います。

 実は、私の子供はサッカーをやっておりまして、私は野球派だったんですが、最近はやはりサッカーの方が人気がありまして、サッカーをやっているんですが、そのサッカーのクラブの監督、代表の方、実はこの方、あの有名な中田英寿を中学時代教えていた先生でもあったんですが、その方が、子供たちのため、そして大人がもっとスポーツのできる環境をつくろうということで、御自身が、人工芝のサッカーグラウンドをつくりたいということで寄附を募ったりして今進めているんですね。これはいいことだなということで、ぜひ何か公的な支援ができませんかということで文科省に相談をさせていただいたんですが、残念ながらなかったんですね。

 やはり、二〇一〇年初頭、週に一回大人がスポーツに参加する率を五〇%以上に上げていこうという目標で、総合型地域スポーツクラブを全市町村につくろうというような目標を掲げる中で、やはり民間活力を生かさないとそれはなかなか難しいと思うんですね。せっかくそれだけの熱意を持ってやっていらっしゃる方を応援できる、ハードでもいいソフトでもいい、何かしらの仕掛けがないとやはり計画倒れに終わるんじゃないかなというような気がしているんですが、その辺の政策展開、お考えをお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

素川政府参考人 スポーツ施設に対してのお答えでございますけれども、文部科学省におきましては、地方公共団体に対する、先生御案内だと思いますけれども、公立社会体育施設につきましては補助を行ってまいってきておりますが、残念ながら、個人立のスポーツ施設に対する助成を行ってきておらないところでございます。確かに、日常的に身近にスポーツに親しむ環境を整備する上での、企業とか個人の設置するスポーツ施設の果たす役割というのは大きいわけでございますけれども、やはり、現在のお国の制度といたしましてはなかなか難しい面があるということでございます。

 先ほど、スポーツ振興のための総合型スポーツクラブということがございましたけれども、現在あるスポーツ施設をいかに活用して対応していくかということにつきまして、トータルな面でいろいろ振興策は今後考えさせていただきたいと考えております。

赤池分科員 子どもの居場所づくり事業なんかは、当初は市町村教育委員会を通じてということで、なかなかそれがうまくいかないと言ったら怒られますが、本当に多様な形で、経費もなかなか、ソフトですからそれでいいのかもしれませんが、やはりスポーツは、どうしてもハードの部分、これが相当かかるわけですね。それを例えば企業支援と置きかえて、もっと柔軟に、地方自治体のみならず、だったらNPOだったらいいのか、そういった公益法人だったらいいのか、もう少しそういった要件はきちっとするにしても、もっと多様な形で柔軟に支援ができる仕組みをつくらないと、本当に市町村頼りであれば、市町村のやる気のいわゆる温度差によって、全国あまねくというわけにはいかないと思うんですね。そういう意味では、ぜひその辺、制度的な検討もお願いをしたいと思います。

 最後に、トリノのオリンピックがちょうど終わりました。大臣は長野県が選挙区ということで、長野オリンピックを間近で御経験もなされました。そんな中で、私も非常に期待を持って見ていて、メダルが多い少ないというのはあくまでこれは結果と思うんですが、どれだけ全力を尽くしてくれたか、そして、そのチャンピオンスポーツを見ることによってさらにすそ野が広がっていく、例えばカーリングなんというのは本当にいい例ではないのかなと。映画もつくられて、本当に、ああ、こういうスポーツもあるのかということで、そういう面でぜひ大臣に、感想と、その辺の今後のスポーツ振興策への抱負を最後にお伺いさせていただきたいと思います。

小坂国務大臣 赤池委員には、専門学校の学校長としても、また、スポーツクラブに対する地域においての御貢献もあって大変関心が高いということで、私も大変ありがたいことだと思っております。

 特に、今までいろいろ御質問いただきましたけれども、それぞれの学力の向上のための取り組みやら、そういったことについてもまた御支援をお願いしたいと思いますが、とりわけ今御指摘のスポーツ振興は、おっしゃるとおり、地域のグラウンドを芝生化するというようなことは、私ども、目標として、スポーツ振興くじの導入等も支援してきたところでございます。

 まだまだ充実を図らなきゃいけない部分がたくさんあるわけでございまして、しかしながら、目標は、そういったグラウンドを芝生化したり、それから、地域のスポーツクラブの振興に国の光も当てていかなければ、それぞれ市町村の自治体の力によって差別ができるということでは困りますので、格差のないスポーツ環境整備に向けてなお一層取り組んでまいりたいと存じます。

 また、ただいま御指摘をいただきましたトリノ冬季オリンピックは、私もはらはらしておりました。このままいくと、もしかするとだれもメダルを持って帰ってきてくれないのかと。荒川選手が、本当に逆境の中から努力をしてはい上がって、そして本当に自分の実力を出し切る、その一点に努力をして、パーフェクトな演技をしてあの金メダルを獲得した。このストーリーそのものもみんなに勇気を与えてくれたと思いますし、これをもとに、やはり選手の育成環境というものについて多くの人が思いをめぐらせていただいたと思っております。

 私ども、スポーツ振興に、基盤整備のための、競技力育成のための施設整備に国として何ができるか、これから十分に検討して、積極的に対応できるような方策を考えたいと思っておりますし、御指摘をいただきました、選手たちみんなが努力して今回多くの感動のドラマができました。本当にカーリングというのは、今まで余り見る方が少なかった。でも、あのカナダの一戦を通じて、みんながおもしろいものだな、そして、大変に映画でも興味を持たれた方も多いと思いますが、進むに従って、本当に選手の活躍ぶりにみんなが拍手をしたと思っております。

 こういう興味が上がったところで、その施設整備、基盤の支援団体の育成とか競技環境の整備というものに取り組むべきだと思いますので、激励をいただきましたことも踏まえて、これからしっかりと取り組んで、私も頑張ってまいりたいと存じますので、引き続き御支援のほど、よろしくお願いを申し上げます。

赤池分科員 最後に大臣に力強い御決意をいただきまして、本当に心強い限りでございます。私どもは微力ではございますが、今後も文科省の支援に一生懸命尽力したいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

実川主査 これにて赤池誠章君の質疑は終了いたしました。

 次に、糸川正晃君。

糸川分科員 国民新党の糸川正晃でございます。

 大臣には一般質疑でもいろいろとお答えいただいておるんですが、また分科会でお世話になります。

 まず、ニート対策についてお尋ねしたいと思います。

 ニートと言われる若年無業者が現在六十四万人に上っているということでございます。これが大変問題となっておるわけでございますが、文部科学省としましても、教育面から対応が必要だというふうに考えております。

 そこで、大臣の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

小坂国務大臣 このニートという言葉、ノット・イン・エデュケーション・エンプロイメント・オア・トレーニングというこの言葉は、イギリスから入ってきた言葉ですよね。それで、まだ二、三年ぐらいしか実績がありませんから、具体的にどの国も、どういうふうにしたらこのニートというものがなくなっていくのか、この原因は何かということについて、特定がまだ十分にはされておりませんけれども、この問題は、本来、国を支える労働力として頑張ってもらって、そして、みずからの生きがいもその中に持って活力ある市民というものになっていただくには、この問題に早期に対応していかないと大変なことになると思っておりますので、ニート対策にしっかり取り組みたいと思っております。

 それでは、この原因は何にあるのか、そしてまた、現在どういう対策が可能かということにつきましては、一昨日、実は大阪の枚方市でニート対策のタウンミーティングというのをやってまいりました。厚生労働大臣と参りまして、また、民間の教授の方の御意見も聞きながら、パネルディスカッションをいたしました。

 多くの方からいろいろな質問が出ましたが、その中で、私どもとしてなるほどと思った一つは、実際に学生の皆さんから、我々というのはいろいろなことを準備されて与えられてくる世代であって、自分からそれをつくり出すとか、そういうことが少ない世代だったと。そういうことから、どうも受け身になっている中で、このニート問題というのも、自分が待っていれば何かいろいろなこともやってくれるんじゃないか、こういう人もいるように思うと。教育の中で、やはりそういったことをしっかり教えていくことも必要だという御意見もありました。

 私ども、中学校で五日間以上のキャリア教育というものを導入したり、職業観、勤労観をしっかり身につける教育というものをしていかなきゃいかぬ、こういう認識で、各段階における教育の中で勤労観、職業観を身につけられるような、そしてまた、明確な目的意識を持って職につくことができるような環境整備、そういうことを導入して、これからもそれを推進したいと思っているわけでございます。

 また、既に現在ニートである皆さんに対しては、働きたいと思ってもどうも十分に自分は自信がない、こういう方が多いものですから、学び直しの機会、いろいろな職業の意識を持つとともに、その知識についても学び直しができるような機会を提供してこのニート対策を進めていくことが必要だ、このように今考えているところでございます。

糸川分科員 ニートというのは、本当にこれは大変な問題になってしまっているわけですから、しっかりとそこは取り組んでいただきたいなと。

 先ほど大臣が、勤労観、職業観ということをおっしゃられましたけれども、これは、義務教育段階から児童生徒に対しまして勤労観や職業観というものを育成していかなきゃいけない。そういうキャリア教育を充実することは極めて重要であるというふうにはわかるんですけれども、具体的にどういうふうに取り組まれるのか、お答えいただけますでしょうか。

銭谷政府参考人 今先生の方からお話ございましたように、義務教育でございます小中学校段階から、学ぶこと、働くこと、生きることのたっとさを実感させて将来の自分の人生を考えさせるキャリア教育は、大変重要だと思っております。

 具体的には、例えば小学校段階では、職業調べという形で、どんな仕事があるのかなとか、その仕事についている人はどんな工夫をしてその仕事をなし遂げているのかといったような学習でございますとか、中学校では、実際に職場を体験して、そして自分の将来の進路について思いをめぐらせる、高等学校になりますと、さらに人間としてのあり方、生き方という視点から職業について考察を深めていくし、就業体験も経験をするといったような形で、やはり系統的、組織的な指導というものをキャリア教育について行う必要があると思っております。

 文部科学省としては、こういった小中高等学校を通じた組織的、系統的なキャリア教育に関する指導方法、内容の開発等を研究内容といたしますキャリア教育推進地域指定事業というものを全国で展開して、各小中高等学校に御参加をいただいて、内容の改善、充実を図っているところでございます。

 また、特に中学生につきましては、大臣からもお話がございましたが、五日間以上の職場体験を行うキャリア・スタート・ウイークを推進しているところでございます。

糸川分科員 今お答えいただいたキャリア・スタート・ウイークというものが中学校において五日以上の職業訓練を行うものだということで、これは非常によい取り組みだと思います。

 その職業体験の受け入れ先の確保という面からも、関係省庁と経済界、これは連携協力する必要があるのかなというふうに思いますが、文部科学省の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

小坂国務大臣 タウンミーティングをやってきたところですので、私の方からお答えを申し上げたいと思いますが、平成十七年度に、全国で百三十八地域においてこのキャリア・スタート・ウイークというのが実施をされております。さらにこれを日にちをふやして、そして一日のところは五日間を目標に、なるべく五日間の職場体験をしていただきたい。

 これはすなわち、緊張の一日、二日目は悩んで、三日目になれてきて、四日目にまた考えさせられる、そして五日目には感動を覚えるという反応が報告をされております。

 子供たちの父兄からも、子供がこんなに緊張すること、眠れないほど緊張というのは、今の世の中、なかなかないんじゃないでしょうか、こういうことはいいことだと思います、私の時代にもしこのことがあったら、私の人生変わっていたかもしれない、そういうコメントもいただいておりますし、また、受け入れの皆さんからは、中学生の皆さんの真剣な面持ちに感動をした、そして、教えるからには自分の仕事をもう一回見直す必要があって、いい機会だった、そして中学生の皆さんの真剣さに啓発されて、これからもう一度自分の仕事を一生懸命やってみようという意欲がわいてきた、こういう話もある。先生は、生徒たちの違う面が見られたような気がした、受け入れの皆さんとの交流の中で、一回り生徒たちが大きくなって帰ってきたような気がする、こういう声もあります。

 こういったことを推進するためには、今御指摘のように、学校、PTA、教育委員会、地方労働局、ハローワーク、経済産業省、地方公共団体、そして地域の経営者協会、あるいは商工会議所等による地域レベルの協議の場を設置するなど、そういう連携をしていただいて、受け入れ先の開発、そして協力依頼というものを進めていく必要があります。

 このようなことに今取り組んでおるところでございまして、御指摘のように、いいプログラムだと褒めていただきましたので、なお一層推進に努めたいと思っております。

糸川分科員 これは一般質疑でもお話ししたんですが、よく今、国会を見学にいらっしゃる子供たちが大勢いらっしゃるわけです。

 ただ、そこで、例えば第一委員室からトイレなんかの前をずっと小学生が通っていらっしゃるわけですけれども、そのときに、もし案内に国会議員の先生がだれかついて回っているとか、何かちょっとでも話をする機会があったら、子供たちのひとときの国会見学という中で、すごく楽しいものになるんじゃないかな。そういう触れ合うところというのも、これもまた一つの勉強になるんじゃないかなと思いますので、そういうところも、ぜひ大臣、取り組んでいただきたいなと思います。

 では、答弁。

小坂国務大臣 お時間をいただいて恐縮に存じますが、この問題、実は私は物すごく積極的に取り組んでいるんです。

 私が一年生議員になりまして、地元から小学生がいらっしゃった、そしてその方たちと交流をする中で、これはやはり議員としてできる限り時間を割いて出るべきだと思いまして、以来、小学校の国会見学であっても、私はできる限り出るようにしております。周りの皆さんからは、小学生では有権者になるまでに時間があり過ぎてだめでしょう、こう言いますが、そんなことはなくて、小学校の段階に民主主義の原則とかそういうことを見知っていただくことが日本をよくすることになると信念を持って、そして、最初のころは待つ場所も、今のように石ではなくて土でございました。

 そして、地下もありませんので、雨に打たれて、学生たちが傘を差せば隣の人の肩に滴が落ちる、そういう環境で梅雨どきは待っておりまして、非常に劣悪な環境だった。今は、地下をつくっていただくように私も提案して、議院運営委員会でこれを実践してきたんですね。そして、今は子供さんたちが出てくれば、民主主義というのは何だということを話して、民主主義についての話をさせていただいています。

 ぜひとも、糸川委員におかれましても、子供さんたちが来たらお時間をお割きいただきまして、今おっしゃったところを、私どもと一緒になって、みんなでやるような運動を展開して、議員が必ず出るという議員としての運動をお互いに盛んにしたい、このように思いますので、御協力をよろしくお願いします。

糸川分科員 大臣の取り組みはよくわかりました。ぜひ小坂大臣に積極的に取り組んでいただいて、議員が持ち回りででも何かできるようにしていただければと思います。

 予防対策として先ほどキャリア教育ということをおっしゃられましたが、今現在ニートである人に対しての取り組みというのが重要だというふうに思っているわけです。

 そこで、文部科学省として具体的にどのように取り組んでいらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

田中政府参考人 現在ニートである人やその親への取り組みにつきましては、来年度から、新たに専修学校や公民館等を活用して、ニート等を対象とした学び直しの機会の提供に向けて取り組むことといたしておるところでございます。

 まず、専修学校を活用いたしまして、ニートを支援していただいておりますNPO等と連携をいたしまして、NPOにおいてニートになっている子供たちを引き出して、では何か活動をしてみようという段階になりましたら、そういう子供たちに対して、専修学校にもアドバイザー等を置きまして、どういう活動をしたいのか、そういうことを把握しながら、希望、適性に合わせた講座の開設等に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 また、公民館等におきましても、なかなか本人は出てこられないかもわかりませんけれども、その保護者の方々を対象として、ニートの状況から抜け出すための講座、あるいは、ニートを防止するために、ニート経験者や家族等による講演会の実施等についてもモデル事業をやってみたいと考えておるところでございます。

糸川分科員 本当に、先ほど御答弁いただいたようにニートというのは、私はニートの経験がありませんから、多分、恐らく皆さんもないと思うんですよね。わからない人たちがニート対策をするんですから、これは大変なことだと思うんです。ですから、ニートを一度でも経験されて、今抜け出せた人たちから声を集めていただきたいなというふうに思うわけです。

 そこで、今後のニート対策を検討するに際して、ニート本人の意識を把握して参考にしていくということも、これは重要だと思うんですけれども、そこで文部科学省としての対応というものをお聞かせいただけますでしょうか。

田中政府参考人 現在、ニートの問題に関しましては、中央教育審議会に対しまして、この問題も含めて、国民一人一人の学習活動を促進するための方策といったことで諮問をさせていただいておるところでございますけれども、この審議に資そうということで、私どもにおきましても、約三十人ではございますけれども、ニートの人たちからヒアリング調査をさせていただいたところでございます。

 ニートの状態になるまでの学校や家庭での状況などについてヒアリングをしたわけでございますけれども、その対象となった若者たちの特徴といたしましては、職場等の人間関係や体調からつまずいて自信や意欲を失うパターン、あるいは、学業をおろそかにして、早くからアルバイトを繰り返すというようなパターンが見られました。それから、不登校経験のある者、これは五分の一程度でございますけれどもございました。それから、家族との関係については、なかなか特徴は見出せなかったわけでございますけれども、親が子供の進学や就職について本人任せにしているケースが非常に多いというような状況はございました。

 また、インタビュー対象者の多くが、ニートの支援団体、これに関しましては大変高く評価しておったというような状況にございます。

 まだこの調査は分析中でございますけれども、今回のこの調査の結果も踏まえまして、今後、中央教育審議会の生涯学習分科会におきまして、この対策等についての御審議を願いたいと思っておるところでございます。

糸川分科員 ニート対策につきましては、今後も継続してしっかりと取り組んでいただければと思います。

 次に、科学技術の振興についてお尋ねをいたします。

 我が国は資源に乏しく、人材、技術など、そういう知をめぐる世界的な大競争の中で勝っていかなきゃいけない。そこで現在、第三期科学技術基本計画というものの策定作業が進められているということでございますが、大臣、今この基本計画の初年度となる平成十八年度は大変重要な年でございますが、科学技術のさらなる振興に向けた文部科学省の重点施策について何かあるのか、文部科学大臣にお尋ねいたします。

小坂国務大臣 今御指摘のように、我が国が直面しております社会経済のいろいろな課題を克服して、二十一世紀が明るい未来になるようにするためには、科学技術の振興、それに基づく科学技術創造立国というのは大変重要な課題であって、その振興のために力を尽くしたいと思っているところでございますが、第三期の科学技術基本計画、すなわち十八年度から二十二年度までのこの計画におきましては、昨年の十二月二十七日に総合科学技術会議が行った基本政策に関する答申をいただきまして、三月下旬までに閣議決定を行う予定でございます。

 平成十八年度におきまして、文部科学省といたしましては、若手研究者や女性研究者の活躍促進などのすぐれた人材の育成、養成確保ということが一つ。それから、基礎研究の充実と産学官連携を通じたイノベーションの創出、産業のイノベーションにつながっていく科学技術の推進ということをやはり重点にしていきたい、こういうことでございます。

 また、次世代の高性能の汎用スーパーコンピューター、この予算もとりまして、これから設計に入っていくわけでございます。またエックス線自由電子レーザーという新しい装置を導入し、また宇宙輸送システム等の我が国の基幹的な技術開発に重点を置いて取り組んでいくことが必要と考え、これらの予算を確保しているところでございます。

糸川分科員 我が国の場合は本当に資源に乏しいわけで、どんなに財政が苦しくてもこういうところの国際競争力を持っていかなきゃいけないということでございますので、この辺はしっかりと振興に取り組んでいただければなと思います。

 先ほど大臣が、人材の育成確保に向けて取り組んでいるということでございますが、どのように取り組んでいらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

小田政府参考人 お答えいたします。

 知をめぐる世界的な大競争時代を迎える中、一方、我が国におきましては、少子高齢化の進展、人口減少を迎えております。先ほど大臣が申しました科学技術創造立国を支える多様な科学技術関係人材の質と量を確保するということは、我が国の国際競争力を確保する上で最重要の課題であると思っております。

 このため、文部科学省では、科学技術関係人材の総合プラン二〇〇六ということで、小中学生から第一線の研究者、技術者まで四つの切り口で連続性と相互性をもって施策を推進しているところでございます。

 具体的には、一点目は、すぐれた研究者の確保についてです。若手研究者向けの研究費の充実や若手研究者が自立して研究できる環境の整備、さらには女性研究者の能力発揮支援、外国人研究者の活躍促進に重点を置いていきたいと思っております。

 二点目は、社会のニーズに対応した人材養成についてでございます。これは、大学院の教育機能強化と産学官連携によります人材養成でございまして、特に博士号取得者などのキャリアパスの多様化に向けた取り組みについて促進していきたいと思っています。

 三点目は、次代を担う人材のすそ野の拡大でございます。これは、子供が科学技術を学び親しめる環境、将来の科学技術をリードし得る人材層を育てるために、スーパーサイエンスハイスクール支援や理数大好きモデル地域事業を実施してまいりたいと思っています。

 また、四点目は、国民の科学技術への理解の促進についてでございます。これは、国立科学博物館や日本科学未来館事業などを通じまして、わかりやすく親しみやすい形で国民に科学技術を伝え、対話を深めて国民の要望を科学技術に反映させるなどの取り組みを推進していきたいと思っています。

 今後とも、すぐれた科学技術関係人材の養成確保について、関連施策の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。

糸川分科員 今、人口減少時代ということになっております。そこで、基盤となる人材の質と量の確保ということをしっかりと取り組んでいただければなというふうに思います。

 今、第三期科学技術基本計画の中で宇宙輸送システムというのが挙げられているわけですが、今回、一カ月の間に三機のロケットの打ち上げが成功しているわけでございまして、我が国の宇宙開発の水準の高さを示してきているのかなというところでございます。

 ロケットは、災害状況とか気象観測、国民生活に重要な人工衛星を宇宙空間に輸送するために不可欠な手段であるとともに、子供たちに科学技術のすばらしさを伝える意味においても極めて重要であるというふうに考えております。今後、H2Aロケットを積極的に打ち上げていくべきだろうというところも考えております。

 また、人工衛星は実利用への貢献が期待されているわけでございまして、一月二十四日に「だいち」が打ち上げられまして災害分野などでの利用が予定されているということでございますが、今後の観測開発をどのように進められようとしているのか。この二点、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

森口政府参考人 先生今御指摘ございましたように、ロケット等の宇宙輸送システム、必要なときに独自に宇宙空間に必要な人工衛星等を打ち上げる手段ということでございまして、これは必要不可欠なものでございます。我が国の総合的な安全保障に密接にかかわる重要な国家基幹技術ということで考えてございます。また、ロケットの打ち上げに対する青少年を初めとする国民の関心、これも非常に高いものと考えてございます。

 文部科学省といたしましては、こうしたロケットへの大きな期待にこたえられますように、世界最高水準の信頼性の確立、これを目指して着実な取り組みが必要と考えてございます。

 それで、ロケットの信頼性確立には、打ち上げ機会の確保とそれを成功させる成功実績の蓄積が不可欠でございまして、文部科学省といたしましては、毎年三機程度のH2Aロケットの打ち上げの機会を確保し、第三期の科学技術基本計画が終了します平成二十二年度末までに通算で二十機程度打ち上げるということで、その段階で世界水準を上回る成功率を達成する、こういうことを目指して頑張っていきたいと思っております。

 それから、人工衛星でございますけれども、今先生から御紹介のございました一月二十四日に打ち上げられました陸域観測技術衛星「だいち」でございますが、これは地図の作成あるいは災害状況把握、こういったさまざまな実際の実利用の面での活用が期待されてございます。最近では、二月二十五日に、フィリピン共和国でレイテ島の地すべりということがあったわけでございますが、これの画像をこの衛星で取得いたしまして、海外の防災担当機構に提供してございます。こういうことを初めとして、今後、衛星の活躍が非常に期待されてございます。

 文部科学省といたしましては、「だいち」に続く衛星といたしまして、温室効果ガスを測定するもの、あるいは気候変動の観測、それから通信等を用いた衛星開発、こういったものを進めておりまして、今後ともさまざまな実用分野のニーズ、こういったものを踏まえた衛星開発を積極的に進めてまいりたいと思っております。

糸川分科員 それは積極的に推進していっていただいて、今後も世界に誇れるような技術を持っていただければなというふうに思います。

 次に、海洋科学技術についてお尋ねします。

 我が国は四方を海に囲まれておるわけでございます。そこで、我が国の国益にとって重要な技術の一つとして、海洋探査技術というものがあると思います。そこに力を入れていくべきではないかなというふうに考えておりますが、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

森口政府参考人 海洋につきましては、いわゆる未利用、未発見の資源の宝庫である、こう言われております。

 我が国は世界第六位の排他的経済水域を有する海洋国家でございます。こういう日本にとりまして、エネルギー資源、鉱物資源、生物資源、こういったものを探索して我が国の海洋権益を確保するということは、やはり国家基幹技術として非常に重要でございます。海洋探査技術を開発、保持していくことは極めて重要である、このように思ってございます。

 我が国におきましては、海洋研究開発機構、独立行政法人でございますが、これを中心といたしましていろいろな船を持ってございます。具体的には、有人で世界最高水深六千五百メーターの探索能力を持ちます「しんかい六五〇〇」、それから世界最長の航続距離を持つ自律型の無人の潜水機「うらしま」、三百十七キロメートルを航続できる記録がございます。また科学掘削、海の底をさらに掘るわけでございますが、海底下七千メートルを掘ることができる地球深部探査船「ちきゅう」、こういった世界トップクラスの深海探査技術を持ってございます。

 文部科学省といたしましては、我が国が今後激化する深海探査技術の開発競争におきましても現在の技術的優位を維持しながら世界をリードしていく、こういうことが非常に重要であると考えてございまして、引き続きこの分野にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

糸川分科員 本当に海洋技術というのは、今中国や韓国、アジア諸国の中で大変熾烈な技術合戦というのでしょうか、海洋資源はどこにあるのかというのを探すという技術がどんどん他国も進んできておりますので、しっかりとそこは取り組んでいただいて、競争力を確保するために、今、付加価値の高いイノベーションを生み続ける科学技術に取り組むことが重要だというふうに考えておるわけでございます。優秀な研究者がいても、研究のためのツールがなければ他国に勝てない、そういうすぐれた研究成果を創出することができないというふうに考えております。

 そこで、先ほど大臣もスーパーコンピューターについて触れられていたと思いますが、今の開発利用状況というのはどのような状況にあるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

清水政府参考人 お尋ねのスーパーコンピューターの開発あるいは利用状況についてでございますが、まず、開発状況に関しましては、海洋研究開発機構の地球シミュレーターが、平成十四年六月から十六年六月まで、スーパーコンピューターの世界ランキングにおいて世界第一位の性能を誇っておりましたが、現在七位と、その地位は相対的に低くなっております。

 利用面につきましては、従来のスーパーコンピューターは主に地球環境や基礎物理の分野で利用されてきましたが、最近、ナノテクノロジー、ライフサイエンスなど新たな分野での利活用が急速に進展しており、単なる研究目的ではなく産業活用での利用も広がる、そういう意味で、委員御指摘のように、まさに我が国の研究開発基盤を支える重要なツールである、こういうふうな認識に立っております。

糸川分科員 スーパーコンピューターというのは、他国もいいものをどんどんつくってきている。ただ、日本ではなかなか予算がつかなかったりなんかしていたわけでございますので、せっかく今開発に取り組んでいるというところでございますので、今後もしっかりと取り組んでいっていただければなというふうに思います。

 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、イノベーションの創出、国際競争力の強化というところでは、産官学の連携が重要であるというふうに考えておりますが、文部科学省としての取り組みについてお伺いしたいと思います。

小坂国務大臣 先ほども申し上げたように、資源に乏しい我が国にとって、研究開発こそが産業のエネルギー、国家発展の基盤でございます。そういう意味で、御指摘いただきましたが、この厳しい国際競争の中で、独自の研究成果から絶えざるイノベーションを創出していけるような、そういう産学官連携の研究開発を進めてまいりたいと存じます。

 このために、文部科学省といたしましては、大学等のすぐれた研究シーズ、すなわち種を生かして共同研究や技術移転を行う。また、産学官連携のもとで、世界的な研究や人材育成を行う研究教育拠点の形成をする。また、地域産業の技術課題等に大学等が取り組む地域貢献型の共同研究、こういったものに対する支援を強化していきたい。

 今後とも、産学官連携のための取り組みを進めることによりまして、大学等の研究成果の社会への還元、これを促進し、また経済社会や科学技術の発展を図るように努力してまいりたいと考えております。御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。

糸川分科員 本当に大臣のその思いをしっかりと聞きました。人口が減少をしているという中で、優秀な人材を育てるというのが、本当にこれは国の責務だというふうに思っておりますので、今後もしっかりと取り組んでいただければと思います。

 ありがとうございました。

実川主査 これにて糸川正晃君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)分科員 私は、学校における勤労観、職業観の育成について議論をさせていただきたいというふうに思います。

 今日、高度成長の時代はもう終わりまして、同時に、労働面でいうと終身雇用という日本独特の制度もやや崩れてきておりまして、高学歴イコール高収入という時代ではなくなってきているわけであります。さらに、若年者を中心とした物づくり離れ、あるいは、熟練技能者の高齢化等により技能者の担い手が少なくなり、我が国の物づくり基盤産業の発展を担うすぐれた技能の維持、継承が困難になっていることなども課題となってきているわけであります。

 文科省としても、近年、勤労観、職業観を育成するためのさまざまな取り組みを実践しておりますが、より実効性を上げるという観点で、何点か論議させていただきたいというふうに思います。

 先ほどの本会議で、小坂大臣も、資源の少ない日本は人材こそが資源であるというようなことをおっしゃっておられたわけでありますが、私は、学校教育の基本的な役割は何かというふうに考えると、人として、人間としての基盤あるいは基本を子供と一緒につくる場所だというふうに思います。教育は、知識、俗に知育とも言われますが、知育のみでなくて、徳育、体育との調和が大切というふうに言われますけれども、私は、知育、徳育、体育は人間形成の手段であって、こうしたことを通じて人間性や社会性などを育成するということが本来の目的ではないかというふうに思っています。つまり、学校は社会人になるための教育訓練機関だ。一つは集団生活の訓練の場、もう一つは職業人になるための訓練の場だというふうに考えます。

 平成十六年の労働経済白書によると、現在、フリーターは二百十三万人、ニートと言われる人は六十四万人いると、他の調査では、両者合わせて四百万人というデータもありますが、言われております。

 日本労働研究所の調査によると、これはアンケートですが、フリーターが正社員になるときの障害は何かというと、その第一は経験や資格のないことであり、フリーターの経験は就業経験としては評価されないということにあるというふうにされております。

 事例を申し上げますが、フリーターの今後の職業生活についての希望はという問いには、定職につきたいという人が六四・七%、そして、正社員になろうとしたとき感じた障害は何かという問いには、経験や資格という人が四八・八%いるという調査結果があります。彼らの多くが、専門知識や資格取得への意欲を持っているということがこれでわかるというふうに思うわけであります。

 これらの時代背景のもとで、学校における職業意識の醸成が求められているというふうに思うわけであります。就職や進学にかかわらず、いずれすべての子供たちが学校生活から職業生活へ円滑に移行するためには、勤労観、職業観、決してこれは職業教育という意味ではありません、勤労観、職業観をはぐくむことが大切だというふうに思うわけでありますが、勤労観、職業観の育成についてどのように位置づけているのか、大臣の認識をお伺いいたします。

小坂国務大臣 佐々木委員の御質問、今の時代の重要な関心事であると思っておりますニートの問題でございますが、ニート対策は、一つはニートにならない環境づくり、それからもう一つは、ニートになっている人をニートからできるだけ早く脱出させることであろうと思っております。

 ニートの原因はいろいろありますけれども、今日のパート労働の需要が多いということ、逆に言えば正規雇用の需要が少ないということ、あるいは、学校を卒業して就職するための意欲というものが十分に醸成されていない、勤労観、職業観というものが欠如した子供たちがふえてきた、こういったこともその中にあると思います。

 また、図らずも、希望せずに、環境からやむを得ずニートを続けているという人もいますし、また、積極的ニートという人もいるわけですね。すなわち、海外旅行をするためにとりあえず働いて稼いで、そしてやりたい。あるいは、自分の音楽や芸術の才能を磨くために、生活の糧としてニート、ニートといいますかパート労働、フリーター的な、むしろこれはフリーターの方に多いわけですが、フリーターとして稼いでそれを投入するというような。

 そういう中で、今委員の御指摘にありました、小学校、中学校、こういった段階から子供たちにしっかりとした勤労観、職業観を育成するにはどのようにしてやったらいいかということでございます。

 先ほどもいろいろな委員の御質問にお答えを申し上げたところでございますけれども、小中学校の段階から、学ぶこと、働くことのとうとさというものを実感する、そして将来の自分の人生を考える上に目標を持てるということで、キャリア教育というのは大変重要だと思っております。

 キャリア教育は、教育、雇用、経済政策の一層の連携強化による総合的な人材育成対策として取りまとめられました若者自立・挑戦プランにおいてこれを重要な柱として位置づけておるわけでございまして、この自立プランの中にキャリア教育をもっと推進しろということで私も取り組んでいるところでございます。

 具体的には、義務教育段階から、組織的、系統的なキャリア教育の推進やインターンシップなど職業体験を促進することとされておるわけであります。

 文部科学省では、この若者自立・挑戦プランを踏まえて、各省庁や経済団体等の連携協力のもとに、今後ともキャリア教育の推進に努めてまいりたいと思っております。

佐々木(隆)分科員 認識について今大臣からお聞かせをいただきました。

 そうした大臣あるいは文科省の認識のもとで、実際に文科省としては、今大臣が言われたような教育を、小学校、中学校、高校それぞれの段階においてどのようなカリキュラムといいますか、時間とか内容とか含めてどのように取り組まれているのか、お伺いをいたします。

銭谷政府参考人 ただいま大臣からお話ございましたように、義務教育段階からキャリア教育を実践していくということは、私ども、大変重要な課題だと思っております。具体的に、勤労観、職業観を身につけさせるために小中学校で行われている事柄につきまして、若干御説明させていただきます。

 まず小学校の段階でございますけれども、主として社会科でいろいろな職業について学びます。職業調べといいましょうか、身近な地域の職業、ガスですとか水道ですとかそういう公共的な仕事に携わっている人のこととか、広く日本の産業の学習の中で、いろいろな職業がある、その人たちがどういう工夫をしてその仕事をなし遂げているか、そういったことについて学んでいくわけでございます。

 それから、中学校になりますと、実際に社会科でさらにその学習を深めるという部分もございますけれども、今私どもは、職場体験ということを進めております。一つの目標としては、中学生が五日間以上の職場体験を行えるように推進していこうということでございます。また、中学生になりますと、自分の進路について特別活動の時間の中でいろいろと考えるような授業も行っております。

 それから、高等学校になりますと、大分成長してまいりますから、人間として今後自分はどういうふうに生きていくのか、人間としてのあり方、生き方の学習ということを、ホームルームを中心に、あるいは公民の時間を中心に学習するわけでございますけれども、それに加えまして、いわゆる就業体験、インターンシップなどを実施して、職業というものを身近に感じたり実地に経験したりするといったようなことを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、小中高等学校を通じまして、組織的、系統的な指導内容の開発等を文部科学省として進めていきたいというふうに思っているところでございます。

佐々木(隆)分科員 今お答えをいただきましたが、少し具体的な取り組みについてお伺いしたいというふうに思います。

 今お話ありました、キャリア教育あるいはまたインターンシップなどの事業に取り組んでおられるということでありますが、そのカリキュラムの内容といいますか、どのぐらいの時間やっているのかとか、そんなことの具体的な部分、まずそのことについてお答えください。

銭谷政府参考人 時間をどのようにキャリア教育に費やしているかということのとらえ方はなかなか微妙なところがございますけれども、先ほど申し上げました職業調べなどは、小学校三年生、四年生の社会科ではかなりの時間を、週に社会科自体は二、三時間あるわけでございますけれども、その中のかなりの部分をそういう内容に割いてやっております。それから、小学校の場合は三年生以上に総合的な学習の時間というのがございまして、これは大体週三時間あるわけでございますけれども、この時間で、職業調べの一環として、いろいろ地域に出かけて活動したりするといったようなことも行っております。学校によって差がございますけれども、まとまった時間、そういうことを行っている。

 それから、中学校になりますと、先ほど申し上げましたように五日間の職場体験を私どもは今推進しておりますので、そういう時間は、実際にいわゆるキャリア教育の一環として実施をされているということでございます。

佐々木(隆)分科員 今の高校というところはインターンの話だったんでしょうか。

銭谷政府参考人 高等学校になりますと、先ほど申し上げましたように、ホームルームで自分の生き方を考えたり、それからインターンシップを実施したりしております。インターンシップにつきましては、実施の割合とか実施の日数等については学校によって、率直に申し上げまして差がございます。

佐々木(隆)分科員 インターンシップについて実績のデータをいただきました。十六年度ですから最新のデータなんだというふうに思いますが、かなり評価できるのではないかというふうに思っております。

 職業校では十六年度の実績で八一・二%、ただ、普通科の方が四五・一%ということでありますので、私は、職業科の人たちだけが将来職業につくわけではなく、社会人になるわけではなくて、普通科の人は将来やはり社会人になるわけですから、そういった意味では、私があえて職業観、勤労観と言っているのは、すべての人がいずれ社会人になるんだからという意味で申し上げているわけでありまして、やはり普通科の分も含めて、ぜひ一層努力をいただきたいというふうに思ってございます。

 もう一つ、デュアルシステムというのがありますね。日本版デュアルシステムというふうに言っているわけでありますが、これは日本版と言うわけですから、どこかにひな形があるんだというふうに思います。それは、要するにドイツの若年労働者の実践的能力開発システム、つまりマイスターを日本版にしたものだというふうに承知いたしております。

 ドイツのマイスターについての資料を多分皆さん方のところにお届けしたというふうに思うんです。

 ドイツのマイスターでは、一番下に基礎学校というところがあるわけですが、ここは小学校ですから全員が入るわけです。まず、全員が小学校、基礎学校に入るわけですが、その次、いわゆる日本の中学校に当たるようなところでは、これはギムナジウムというところ、これが二五%ぐらい、職業専門のところですが、基幹学校と言われるところに七五%ぐらいの人たちが進む。

 そして、これはビズと読めばいいんでしょうか、BIZ、職業情報センターで、例えば、職業のファイルあるいはビデオ、そして専門家による相談、そういう教育があって企業というものを学ぶ。

 そして、卒業後、今度は高校、大学みたいなところで、就職しながら学ぶことも選択できるし、多様な選択の方法が用意をされているというのがドイツのマイスター制度だというふうに思うんです。

 それをいきなり日本にそのまま持ち込むことは不可能なわけでありますけれども、専門高校における日本版デュアルシステムに関する調査研究協力者会議というところからの報告によりますと、これは専門高校で今やられているようですが、専門高校においても一ないし二カ月継続して企業実習を実施するようにというふうに言われていると承知しているんですが、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

銭谷政府参考人 今先生からお話ございましたように、日本版デュアルシステムは、ドイツのデュアルシステムを参照しながら考えられているものでございます。ただ、もちろん、日本版ということでございますので、日本なりのやり方で今やっているわけでございます。

 基本的には、工業高校や農業高校などの専門高校等におきまして、学校における教育と企業での実習を組み合わせることによりまして、実践的な技術、技能の習得等を目指す新たな人材育成システムというふうに位置づけております。

 具体的な取り組みといたしましては、平成十六年度から文部科学省としてモデル事業を実施いたしておりまして、現在は、二十地域二十五校を指定して実施しているところでございます。

 このモデル事業における企業実習の実施方法につきましては、今お話のございました、一カ月ないし二カ月程度まとまった期間、企業で実習を行う集中型というものと、年間を通して、週四日学校で学んで週一日企業で実習を行うような通年型という両方のタイプがございまして、各学校でさまざまな方法を工夫して実施していただいているところでございます。

 集中型で申しますと、例えば北海道のある工業高校では、地域産業でございますパルプ、紙・紙加工品製造業、木材・木製品製造業におきまして一カ月程度の企業実習を実施して、地域産業が求める、地域に根差した人材育成のための取り組みを行っております。

 今後とも、この日本版デュアルシステムによる実践的な職業教育の充実ということを図っていきたいと思っております。

佐々木(隆)分科員 きょう論議したいのは職業教育ではないので、余りここを、深く論議はこれでやめますけれども、職業教育であるデュアルシステムにおいてもなぜ協力者会議がそういう提言をしたかというと、結局、企業の側にしてみると、知識を持っている程度でなくて、やはり、せっかくそこまで教育したのならすぐ使えるぐらいしっかり覚えてきてほしいということから、きちっと一、二カ月継続してやってきてほしいという提言があったんだというふうに思うんですね。

 いずれにしても、学校というのは、知識だけではない、実際にどうしていくのかというところにつながっていかなければ意味がないんだというふうに思いますので、そういった意味でこのシステムについても一層取り組んでいただきたいというふうに思うところであります。

 「学ぶ」という言葉は「まねぶ」だとよく言われますが、まねることから始まる、つまり体験をするということが学習の極めて大きな分野だというふうに言われているわけであります。

 先ほどの例はドイツの例ですから、ドイツと日本を一概に比較することはできないわけでありますが、私は、このドイツのマイスターをぜひ勉強したくてドイツへ行ってきたんですけれども、その中でいろいろ、ドイツ語がわかるわけではありませんが、話を聞いていて一番違いがあるなと思ったのは、日本はどうしても学校が総合評価なわけですね、いわゆる主要五科目を中心にした総合評価。マイスターというのは職人さんとしての国家資格ですから、称号を与えられるわけですね。そこの、職業人に対する評価の違いだと思うんですね。日本の総合評価というのは、そういう意味で、一人一人の適性や能力を発揮しづらいシステムだというふうにも言えるわけであります。

 そういったことから、こういったいわゆる就業体験の事業というものをさらに拡大していくべきではないかというふうに思うんですが、一つは総合評価のあり方、そしてこの事業の拡大、そのことについて大臣の見解をお伺いいたします。

小坂国務大臣 御指摘のように、国語などの主要五教科の総合評価という制度はあるわけでございますけれども、小中学生に、社会にはどのような職業があるのか、職業に従事する意義などについて、学び、考えさせることは大変に重要だと思うわけでございます。

 今日、親の背中を見て学ぶとか、自分の家業について学ぶとかといっても、サラリーマンの方が多くなってきて、また中小企業も職場と住環境が離れるような形になってきて、なかなか親の背中が見にくくなってきております。そういう意味で、職業を体験させる体験教育というのは非常に重要で、御指摘のような意義があることだと思っております。

 小学校では、身近な地域の生産や販売の仕事、人々の生活に必要な飲料水、電気、ガス、廃棄物の処理の仕事、災害や事故から人々の安全を守る仕事、消防や警察などについて学ぶこととされております。またさらに、各種産業と国民生活とのかかわり合いや従事者の工夫や努力などを考えるようにしておるわけでございまして、その一環として、先ほど局長答弁もありました職業調べというような活動があって、身近なものについての勉強を進めている。

 また、中学校では、社会生活における職業の意義と役割について取り上げるとともに、自分の進路選択と将来設計というかかわりにおいてこれらの指導を行っているところでございます。

 そういう意味で、職業観をしっかり身につけるということで、私は、先ほど申し上げたように、今の環境がどうも子供たちの職業意識をなくしていると思いますし、同時に、子供が、最近では、会社の体験とか模擬会社設立とか、中には株券まで発行して、模擬株券をやりとりして社会の仕組みを勉強したりしている。そういう中からいろいろな興味を持つと同時に、先ほどマイスターの話がございましたが、すぐれた技術者、例えば伝統工芸作品をつくっているような人たちの話を聞かせるとか、一つのことに秀でるということはどういう下積みからいろいろな苦労が必要なのか、そこまで一生懸命やる人間が一方にいるということを知ってもらうこと。これは、職業というもの、自分の進路を考える上で大きな影響を与えることにもなると思いますので、そういった機会を持ってもらうようなこともそれぞれの取り組みの中で考えていただきたいと思っていることでございます。

 いずれにしても、御指摘のような勤労観を養成するような教育の意識、そういったことにもしっかりと取り組んでまいりたいと思いますし、そういう意味では、単なる総合評価という学生生活ではなくて、体験教育をもっと取り入れた学校教育のあり方というものについて、また、御指摘のような点についても我々もしっかり考えて努力をいたしたいと思っております。

佐々木(隆)分科員 今大臣からもお答えいただきました。確かに今の子供たちが、兄弟が少ないというようなこともあったり、そういった意味も含めて社会との接点も少ないというようなことからしても、体験学習の意味というのは私は非常に大きいのではないかというふうに思っています。

 インターンシップとかキャリアとか、やたらと片仮名が多いものですから、インターンシップという言葉はこのごろつくられたというか、このごろといっても相当たちますが、一九〇六年に、アメリカのシンシナティ大学のハーマン・シュナイダー学長によってつくられた、意味がきちっと確立をされたらしいんです。この意味は、どの職業にも、講義ではなくて、実際の仕事でしか学べないものがある。実務を経験することによって培われた判断が理論を補うというふうに書かれてありました。要するに体験が理論を補うんだということで、すばらしい解釈ではないかというふうに思っています。

 実は大臣もお読みいただいているというふうに思いますが、これは重たい本ですのでコピーして持ってきました。村上龍さんの「十三歳のハローワーク」という本、これは出たときはベストセラーになったというふうに聞いておりますが、ここには、「いい学校を出て、いい会社に入れば安心という時代は終わりました。 好きで好きでしょうがないことを職業として考えてみませんか?」というふうに問いかけて、好きということを入り口にして五百十四種類の職業が紹介されております。非常に僕は、おもしろいと言ってはしかられるのかもしれないんですが、一番最後に付録的なところがあって、ずっと五百十四種類書いた後に、「何も好きなことがないとがっかりした子のための特別編」というのまでありまして、そういう子でも何かあるぞということを書いてあったり、「PS」というところがあって、これからの働き方の選択の仕方だとかインフォメーションですとか、これからの二十一世紀のビジネスの環境とかバイオを特出ししたり、非常にこれは、絵本仕立てになっていますけれども、すばらしい本だなというふうに思っております。

 なぜこの本を紹介したかというと、先ほどのドイツのマイスターも、二段階目のところ、これは大体十二歳、いわゆる中学生ぐらいの十二歳から十三歳ぐらいのところを基準にしています。この村上龍さんも、「十三歳のハローワーク」といって、要するに十三歳あたりを一つのキーワードにして、そのあたりからやはり職業意識というもの、あるいは勤労観というものをちゃんと身につけていかなければならないということがテーマだと思うんですね。

 そういったことを念頭に置いてできるだけ早くからそういうことをやることが私は必要だというふうに思うんですが、大臣の決意と見解をお伺いいたします。

小坂国務大臣 鉄は熱いうちに打てといいますから、やはり適齢期というのがあるんだと思いますし、いわゆる学問的にいえば臨界期というものがあって、それを超えると幾らやってもだめだという時期があるのが、いろいろ学問的にも言われております。

 職業においては、今御指摘のように、中学に入って、中学生として将来を考える時期にそういったヒントを与えたり刺激することが一番役に立つんだと思います。中学生の五日間を超えるキャリア教育、キャリア・スタート・ウイーク、この企画は皆さんから大変関心を持っていただいておりますので、さらにこういったことを中心にして職業観そして勤労観の育成に努める、そういった教育体制の充実に努力いたしたいと思います。よろしく御協力のほど、お願い申し上げます。

佐々木(隆)分科員 何か社会や学校で問題が起きると、教師の資質なんということがよく問われるわけでありますけれども、私は人一人の能力には限界があると思うんです。それをすべて先生のせいにしたり親のせいにしたりするというのではなくて、人一人の能力に限界があるということは、ちょうど発達過程の中で子供たちがいろいろな人たちに触れることが大切なんだと思うんですね。

 そういうことからして、いろいろな人たちと触れる機会、そして体験する機会、それが、ひいて言えば人間形成につながっていくんだというふうに思いますので、これからも勤労観の育成ということを積極的に推進していただくように申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

実川主査 これにて佐々木隆博君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡部篤君。

渡部(篤)分科員 自由民主党の渡部篤であります。尊敬する小坂大臣に質問できるということで、感無量であります。

 大学問題といいますと、国立大学が独立行政法人になること、あるいは、私立大学が十八歳人口が減っている中で生き残るために一生懸命努力をされていること、いろいろ話題になっていますが、県立大学というか公立大学についてはなかなか国政で論じられていないと思いますので、ぜひお聞きしたいと思います。

 私は会津若松出身ですが、戊辰戦争が終わって百三十八年、例えば東大の初代総長山川健次郎先生初め多くの教育熱心な方がいらっしゃいましたが、四年生大学は百二十五年後にやっとできました。できたときに、文部省の御指導も受けて、いわゆるコンピューター理工学部、日本で唯一の理工学部として会津大学が誕生したわけです。四割以上の先生が外国の先生でありますし、そして、昨年、経団連が日本の弱みはソフトウエア人材の不足であるということを言っていますが、会津大学は、二千人以上の卒業生を出して、この日本の国のそういうコンピューターの発展、あるいはソフト産業の発展のために努力をしていると思っています。だから私は、公立大学で本当に成功した大学だと思っています。

 ただ、これから悩みがあることは事実であります。

 一つは、やはりソフトウエアのような国際競争が厳しい分野に、すぐれた教員を海外から日本に呼ぶためのいろいろな施策が必要でないかと思います。

 会津大学に来ている外国の先生方は、給与の幅が狭いとか裁量の幅が狭いとか、終身雇用を前提とした日本の年金制度の不満であるとか、あるいは、自分の子供たちが初等中等教育を受けるときに国際共通語である英語がどういうふうにして勉強できるのかであるとか、そんな不満があります。つまり、ソフトウエアの、必要な、本当に優秀な先生を海外から持ってくるときに、そういう改善を文科省はどう考えているのか、お伺いいたします。

小坂国務大臣 渡部委員には、日ごろから、幅広い問題意識を持っていただいて、予算委員会、いろいろな場を使って御質問、努力していただいていることに敬意を表し、また、この文部科学行政に対して強い関心をお持ちのことに期待も申し上げているところでございます。

 今御指摘をいただきました、確かに会津大学は、海外の人材を招き入れるためのいろいろな努力をしていらっしゃる模範的な部分がたくさんございます。

 御指摘のように、海外から、すぐれた技術並びにソフトウエアのアイデア、能力を持っていらっしゃる方に教育の場に来ていただくということは、大学の質の向上、そして国際化の推進においても大変重要なことだと思いますが、私も聞いたことがあります、海外から研究者が来る、あるいは教授として来る、呼ぼうとすると、住環境、それから自分の子供たちの通う学校の仕組み、確かに年金というのも御指摘のようにあるんだと思いますね、そういったことが大きな阻害要因になるということを聞いたことがありますので、そういった面での充実をさらに、これは自治体の努力だけでなく国としてもやはり考えなきゃいかぬことだろうというふうに問題意識は持つわけであります。

 現在、大学において特色ある教育研究を行う上で、外国のすぐれた教員を活用するというこの重要性は認識されているわけでございますが、公立大学においてどうだと言われますと、大学を設置する地方公共団体の判断によって、すぐれた教員を外国から招致しているというのが実情でございます。雇用に当たりましては、年俸制の活用や外国人の受け入れ相談員の配置、これはもう会津大学は三人ぐらいいるんですね、そういうすぐれた取り組みがあるわけですが、などの特別な配慮を行っているところもありますが、こういったものの充実が必要だ、このように認識をいたしております。

 平成十六年度より公立大学法人制度が導入をされました。公立大学においても、法人の判断によってより柔軟な雇用条件を設定することが可能となったところでございますので、公立大学法人制度の活用などを通じて、公立大学における優秀な外国人教員の確保の環境整備に一層、私どもも指導し、また、その取り組みが進むことを期待いたしているところでございます。

 なお、年金制度につきましては、保険料の二重負担という問題がありますので、あるいは掛け捨てという問題もございますが、諸外国との社会保障協定の締結、これを最近進めておるわけでございまして、これをさらに拡充して、いらっしゃる国がその範囲に入るように努力をしていく必要があると思っております。

 中等教育機関における英語の指導につきましては、グローバル化が急速に進展しておりますので、子供たちが英語によるコミュニケーション能力を身につけられるような、そういう取り組みを推進する必要があると認識を持っております。このため、英語が使える日本人のための行動計画というものを平成十五年三月に策定いたしましたが、平成二十年度までに英語教育の抜本的な改善を図るとしておりますので、私もこれに従って努力を重ねたいと思っております。

渡部(篤)分科員 公立大学、県立大学は全国で八十弱ありますが、いずれの県庁にも高等教育の専門行政官が不在であるのが現実であります。文部科学省は、大学が法人化した旧国立大学と私学について関心を持つのは当然ですが、やはり総務省の地方交付税の中に財源が入っているということもあると思いますが、なかなか県立大学については、関心は持っていると思いますが、大きな力が発揮されていないと思います。

 地方振興の流れの中で、人材が最も重要であるというのが、この公立大学、県立大学が重要であると思いますが、文部科学省としての覚悟というか、公立大学に対する姿勢、それをお伺いしたいと思います。

石川政府参考人 公立大学に関係する人材育成についてのお尋ねがございました。

 公立大学を設置する地方公共団体におきまして、十八歳人口の減少ですとかあるいは大学改革の進展など、高等教育を取り巻く環境変化、こういったものに適切に対応しながら、当該公立大学をみずからの責任において設置管理していくためには、高等教育に関しまして専門的な知識を持っている職員の育成が大変重要になってまいります。おっしゃるような点、ごもっともと存じます。

 例えば、全公立大学が会員となっております公立大学協会、こういうものがございますけれども、この協会を中心といたしまして、各種の研修の機会を設けるというようなことをしておりまして、人材育成には積極的に取り組んでいるところでございます。

 そしてまた、文部科学省といたしましても、我が国の高等教育の重要な一翼を担っている公立大学の振興を図る、こういった観点から、平成十七年度から、公立大学専門官、きょう、私と一緒にここにも来ておりますけれども、こういった専門の職を配置いたしまして、公立大学におきます教育の振興に関する企画ですとか立案あるいは助言等の仕事を行っております。

 今後、学長さん等を交えた連絡会議あるいは各種研修会への講師派遣など、大学を支える人材の育成を含めまして、私どもとしても公立大学の取り組みを一層支援してまいりたい、このように考えております。

渡部(篤)分科員 都道府県の財政が逼迫しているというのは皆さん御存じだと思います。会津大学でも、県の一般予算の大体〇・四%を投入していますが、毎年のシーリングは、大学法人の一%減をはるかに超えているのが現状です。

 都道府県では公立大学に、例えば地方独立行政法人になれば交付金としてお金をやれると思うんですが、そういうふうに県として厳しい情勢の中にある、そういう中で文部科学省はどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。

石川政府参考人 公立大学に対する支援についてのお尋ねと存じます。

 公立大学の運営につきましては、委員既に御案内のとおりと思いますが、地方交付税の交付金が措置をされておりまして、設置者であります各地方公共団体の責任において必要な財政措置がなされている、このように私どもとしても認識をしておるわけでございます。文部科学省といたしましても、公立大学の存在は大変重要なものだと先ほども申し上げましたけれども、そのように認識しております。

 そんな観点から、私どもとしましては、我が国の高等教育の一翼を担う公立大学が、国公私立大学を通じた競争的な環境の中で、大学教育改革への取り組みを一層推進していけますように、例えば、特色ある大学教育支援プログラム、特色GPと呼んでおりますが、あるいは現代的教育ニーズ取り組み支援プログラム、こういった各種のプログラムを用意いたしまして、国公私立大学を通じた各種の競争的資金による支援を行っているところでございます。これら全部を合わせました金額といたしましては、平成十八年度で総額五百六十億円程度を予定しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後とも、このような施策を通じまして、公立大学の振興に力を注いでいきたい、このように考えております。

渡部(篤)分科員 今の答弁にあったとおりだと私も思うんですよ。例えば、総務省が交付税でやりますが、あと科研費、あるいは、特色のある教育、競争、あるいはギガビット等を含めたプロジェクト、いろいろなそういう事業を公立大学が一生懸命努力をすれば、それに対して対応していただきたいな。交付税で来ているのは事実ですから、あと、やはり公立大学が努力をして事業費を何とか獲得できるようなシステムをつくっていただきたいと思います。

 そしてまた、情報通信環境についてお聞きしたいんですが、会津大学の外国出身の先生方の不安の一部は、急速に発展したインターネットのおかげで和らいでいます。例えば、ロシア籍の教員は、モスクワの最新の新聞情報を毎日読むことができます。他方、会津は首都圏から離れているため、ハンディキャップをネットワークでかなり解決できると期待しています。

 二年前に、当時の総務相の片山大臣が会津大学を御視察された際、ネットワークを使って四百キロメートル以上離れた山梨大学へ会津大学の教員が講義していることをごらんになりました。この視察がきっかけとなって、片山大臣の指示により、総務省は、平成十六年度に終了予定であったジャパン・ギガビットネットワークの延長を決定したと伺っています。

 地方の大学の生き残りにとって、ユビキタス社会は必須であります。低廉かつ使いやすいネットワークづくりに一層の配慮を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本政府参考人 委員御指摘のユビキタスネット社会、いつでもどこでも低廉で使いやすいネットワークを活用いたしまして、映像を初めさまざまな情報を容易に発信することができるという社会でございますが、この社会が実現いたしますと、地方大学においても他の大学と連携した遠隔教育などを容易に実施できるようになり、地方大学の教育環境あるいは研究環境の向上に大変寄与するものと期待されております。

 総務省と独立行政法人情報通信研究機構におきましては、このようなユビキタスネット社会の実現に必要な超高速大容量通信技術の開発、あるいはその利用方法の実証を促進するため、会津大学を初め全国の大学あるいは研究機関を接続したテストベッドネットワーク、ギガビットネットワークを運用中でございまして、現在、地方大学も含め四百を超える関係機関がこのネットワークを利用し、研究開発あるいは実証実験を実施しているところでございます。

 総務省といたしましては、このギガビットネットワークの成果がユビキタスネット社会の構築に大変貢献するものと認識しており、引き続きこのプロジェクトを推進してまいりたいと思っている次第でございます。

小坂国務大臣 今、大学の高速通信ネットワークについての話がありましたけれども、そのためには、小中学校の段階から、しっかりとした通信環境を整備して、IT教育に利用していくことが必要でございます。

 その意味で、この三月にICT利用促進キャンペーンの月間というものをつくりまして、総務省と連携しながら、学校におけるローカルエリアネットワーク、すなわちLANの導入促進とか光ファイバーの導入について具体的なアドバイスをしたり、あるいは、授業でのICT、インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジーの利用実態、その模擬授業等をやって、この推進に文部科学省としても全力で取り組んでいく所存でございますので、また応援よろしくお願いします。

渡部(篤)分科員 ぜひ大臣にも会津大学を見ていただきまして、そして、やはり公立大学で努力をしているその姿というか、その現場を見ていただきたいと思います。

 それから、私たち会津大学を知る者にとってうれしかったのは、公立大学でたった一つ、大学国際戦略本部強化事業というのを受けたわけですが、この事業はどういう事業なのか、お伺いいたします。

小田政府参考人 お答えいたします。

 科学技術創造立国を目指す我が国といたしましては、グローバル化が進展していく中で、科学技術、学術分野における国際活動を戦略的に推進していくことが喫緊の課題でございまして、特に大学におきましては、科学技術システムの中で中心的な役割を果たすということが期待されております。そういったことを背景にいたしまして、文部科学省といたしまして、今年度から、大学国際戦略本部強化事業を開始したところでございます。

 これは、国際活動への取り組みに関して先進的な大学等における国際活動を重点的に強化していくということと、特に、学長の直轄のもとで、国際戦略本部といった全学横断的な組織体制を整備いたしまして、大学としての特色のある国際戦略を打ち立てながら、全学的に国際活動を推進することを目的としたものでございます。

 これは今年度でございますが、六十八の大学が応募いたしまして、その中からモデル大学として二十大学が選定されておりますが、委員からの御指摘のとおり、この中で会津大学は、公立大学として、二十大学の中の一つとして選定されております。これは、さっき委員の御指摘でございますが、会津大学は全教員数に占める外国人比率が約四〇%を占めるなど、国際化の観点の中で先進的な大学として高く評価されておりまして、本事業のモデル大学の一つとして選定されたものでございます。

 会津大学は、国際戦略本部を設置いたしまして、スタッフの充実を初めといたしまして、外国人研究者の研究生活環境の向上とか支援相談の強化、あるいは留学生などとのネットワークの構築を行うほか、今後の国際共同研究の芽を育てているなど、今後さらに国際活動が促進されることが期待されております。

 今後とも引き続き、大学が、国内外の優秀な研究者を引きつける国際的競争力のある研究環境を実現できるよう、文部科学省としても支援をしてまいりたいと思っております。

渡部(篤)分科員 福島県には、公立の県立大学は会津大学と県立医大があります。本当は一県一国立医科大だったんですが、県立医大としてあります。財政的に県はすごく厳しい状況にありますが、それは別にして、福島県立医大がホームステイ型医学教育研修プログラムに採択されたとお伺いしています。この事業は、地域医療と地域生活によりよい理解を促進し、さらに地域への医師の定着まで結びつける目的があると聞いていますが、その事業をお伺いします。

石川政府参考人 ホームステイ型の医学教育研修プログラムについてのお尋ねでございます。

 文部科学省では、平成十七年度から、いみじくも先ほどお尋ねがございました、そして私が触れさせていただきました国公私立大学を通じたプログラムでございますが、その一つであります地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム、これを実施しておりまして、大学病院における教育の活性化、そして地域医療等を担う医療人の養成を推進しておるわけでございます。平成十七年度の本プログラムにおきまして、福島県立医科大学から申請のありましたホームステイ型医学教育研修プログラム、これがすぐれたプログラムとして採択をされております。

 このプログラムにつきましては、医学部の六年生あるいは卒後臨床研修医、そしてまた専門医の研修医の方、こういった方々が地域の家庭でホームステイをいたしまして、地域生活を理解しながら地域医療を学ぶ、こういうこととしておりまして、現地に派遣されました指導教官による質の高い臨床研修、そしてまた大学病院とのテレビカンファランス、こういったものを通じてこれを支援するという教育プログラムでございます。

 平成十七年度につきましては、昨年十一月から取り組みが開始されておりまして、本年一月から、地域医療機関、南会津郡の只見町朝日診療所と聞いておりますけれども、ここでの研修を実施しております。現在二人目の卒後臨床研修医が研修を行っているところでございまして、平成十八年度からは医学部の六年生も派遣される、このように私ども聞いておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、このようなすぐれた取り組みとその成果を幅広く紹介することによりまして、国公私立大学において地域医療等を担う医療人の養成がこれまで以上に推進されることを期待しているところでございます。

渡部(篤)分科員 よくお医者さんがいっぱいになっていると言われますが、都市部に偏って、今、南会津郡の只見町、ある時期は無医村、お医者さんがいなかった、もう大変な状況だと思いますが、私は、この原因というのは、一県一医科大学制度における入学定員の地域偏在があると思います。福島県立医大の定数を何とかふえるようにできないのか。つまり、地域に偏在しているのではないかという私の考えに対して、どうですか。

石川政府参考人 医師数あるいは医学部の入学定員の地域偏在についてのお尋ねでございます。

 一県一医科大学制度、すなわち、これはいわゆる無医大県解消計画と同じような趣旨のものかと思いますけれども、当時におきます医療需要の急増ですとか、あるいは各都道府県ごとの医師数の偏在解消に対応するということで、昭和四十八年の経済社会基本計画の閣議決定によりまして策定をされておるわけでございます。以来、着実に整備がなされまして、国立大学では、昭和五十四年の琉球大学医学部の新設まで、計十六校の整備が進められたわけでございまして、これにより、無医大県の解消計画といったようなものは達成をされたわけでございます。そして、このことは、各都道府県ごとの医師数の偏在あるいは入学定員の偏在の是正には、私はそれとして相応の大きな貢献をしてきたもの、このように考えておるところでございます。

 ただ、委員が御指摘になりましたように、大学医学部の入学定員につきましては、各都道府県ごとに見ますと、人口当たりの入学定員の割合に差が生じていることは事実でございますし、私どもも承知しておりますけれども、無医大県解消後の医学部の入学定員につきましては、昭和五十七年の臨調答申ですとか閣議決定を受けまして、当時の厚生省による医師需給見直しを踏まえた医師数削減の考え方をもとに、現在まで総数が抑制をされてきているということでございます。

 また、各都道府県の医師につきましては、これも、大学で養成される、あるいは大学という性格からもおわかりいただけると存じますが、当該都道府県に所在する大学の卒業生から確保しなければならないといった性格ではないものでございますから、こうした点も踏まえまして、入学定員のあり方といったものを今後検討していくべきものではないか、このように考えているところでございます。

渡部(篤)分科員 私は、医師不足をしている県の大学の医学部については、地域の実情を踏まえ、入学定員の増員を図るべきと思っています。

 ただ、同じ質問になるので別な質問に変えますが、そうだったら、僻地医療を担う医師の養成を目的とする自治医科大学の入学定員を、医師不足している地域への配分枠を拡大するとか増員するべきとか、そういうふうにする考えはないですか。

石川政府参考人 自治医科大学は、例えば卒業生について、卒業後一定の年数、地域で勤務をしたり、あるいはそのうち僻地勤務を含む、そういった地元で活躍する医師を養成するといった、非常にユニークかつ有意義な機能も有しております。

 ただ、一定期間を過ぎればその方々はまた医師として御活躍になるわけでございますし、医師としてというか、それまでも医師でございますけれども、そういった制約を離れて御活躍をできる立場になるわけでございます。また、国立大学につきましても、先ほど申し上げましたような経緯を踏まえて、全体の定員の抑制の中に置かれておるということでございます。

 現在、医師の、医師といいますか医学部の入学定員等の関係につきましては、厚生労働省の方で、医師の需給に関する検討会、これは平成十七年の二月から開始をされておりますけれども、ここにおきまして、医師需給見通しの見直しについて検討を行っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、この見直しの結果ですとか、あるいは、平成十七年の五月に設置いたしました医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議、これの調査研究を踏まえながら、国立大学、あるいは自治医科大学を含めまして、医学部の入学定員のあり方について今後検討を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

渡部(篤)分科員 公立大学についていろいろ質問してきましたが、私は、三十歳で会津若松の市議会議員になりました。そのとき、国立大学は無理だから県立大学にするという運動の先頭に立ちました。それから、三十八歳で県会議員になったとき、ちょうど前の松平知事、そして佐藤知事が会津にコンピューターの大学をつくるというとき、県会議員として質問しました。きょう、小坂大臣に、県立大学から地方独立行政法人に変わる会津大学の大きな変革期に質問できたことを、すごく私、政治をやってきた者として感激しています。

 ただ、公立大学の運営に関する国の財政的支援については、地方交付税の基準財政需要額の教育費に係る単位費用が定められ、財政的な支援が行われているところであります。法人化を初め大学改革を進めていくところですが、法人化後においては運営交付金が大学の運営費となるわけですが、これもやはり県から交付金として、例えば五十億だったら五十億来るわけです。

 だから、私は、やはり知の拠点としての公立大学に交付税措置の支援をもっと大きくしていただきたい、それを本当に心からお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 今後、交付税による支援措置の拡大につきましては、総務省とも連携をとりながら検討させていただきたいと思います。

 医学部の入学定員問題につきましては、今、現状は定員減を達成していない状況でありますけれども、医師不足というのは、医療科目ごとに偏在しているわけですね。今必要とされている小児科、産婦人科あるいは放射線治療等、科目によっては大変に不足をしておりますけれども、そういった科目の充実を図ること。それから、地域における医療に従事していただくための地域枠の拡大ということ、そういった細かい配慮、それから、卒後研修の、医師研修の学び直しのような形で科目間の移動を、移動というよりは科目をふやしていただく、同じ医師免許の中での担当科目をふやしていただく努力もあわせてやっていただく。

 それから、入学枠につきましては、十七年度において国公私立の七大学が実施しておりましたが、十八年度では国立の九大学が導入をしまして、合わせて十六大学が現在実施しております。

 こういったものを拡大するような動きを加速させることが、渡部委員の御指摘の問題解決にもつながると思いまして、御示唆を踏まえながら、そういったことにしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

大谷政府参考人 ただいま大臣からもお答えがあったところでございますが、若干補足させていただきますと、地方独立行政法人法に規定いたします公立大学法人の設置する大学への交付税措置につきましては、現在のところ、地方団体の設置する大学と同様の算定を行っておるところでございます。これは、公立大学法人の数が平成十七年度算定時で七法人ということでありまして、地方団体が設置する公立大学の数百二十一に比べますと少ないこと、また、行政改革の観点から導入が進められている公立大学法人でございますけれども、その創設期には初期費用がかかる、こういったことを勘案いたしまして、従来と変わらない措置を続けているところでございます。

 今後とも、公立大学法人の導入状況、あるいはその財政需要の実態を踏まえまして、地方団体ほか関係方面の御意見も十分伺いながら、適切な交付税措置に努めてまいりたいと考えております。

渡部(篤)分科員 高等教育について、さっきも言いましたが、公立大学というのは総務省が交付税でやる、そして文部省が高等教育の全体を政策的にやる。ただ、お願いしたいのは、地方でみんなが努力して四年制大学をつくったんですよ。日本一の、世界に名立たる、情報の、コンピューターの大学をつくったので、やはり文部大臣にぜひ御支援をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

実川主査 これにて渡部篤君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部俊子君。

阿部(俊)分科員 自由民主党の阿部俊子でございます。

 連日の予算委員会での長時間にわたる御審議の中、このような貴重なお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず初めに、今国会に提出されます学校教育法改正案に関しまして、特別支援学校と障害児教育について質問させていただきたいと思います。

 今国会に提出される学校教育法改正案では、現在約千校ほどございます盲・聾・養護学校、これは平成十五年五月段階で九百九十五校ございますが、その障害種別にとらわれず、複数の障害に対応し得る特別支援学校に転換するとともに、小中高等学校に関しましては、現在の特殊学級に加えて、通級による指導を弾力化して、LD、いわゆる学習障害ですが、ADHD、いわゆる注意の多動性障害などのある、軽度発達障害を持つ児童生徒への教育を行って、特殊学級の弾力化を図ることが盛り込まれています。

 このような方向性については、いわゆる障害を理由に分け隔てられることなく、ともに育ち学ぶための教育制度を確立していくものとして、今回の障害種別の撤廃、対象疾患の拡大も含めて、一定の評価がされているものだというふうに考えます。

 先日、私、自分の地元でございます岡山県で、岡山市立福島小学校の通級教室を見学させていただきました。

 例えば、自閉症の子供たちは、音楽が苦手だったり、相手の気持ちを理解すること、察することができないなどのコミュニケーションの問題が多くあり、国語の時間とかグループ作業の時間が非常に苦手だということです。この学校では、二十三名の通級の子供たち、それはその小学校に通っている子供たちだけではなく、通級を持たない学校からも通っているわけですが、そういう方がいらした中で、専任の教員の方がマンツーマン体制で受け入れているために、二週間に一回ずつの通級が限界であるというふうに言われていました。

 一方で、国や県の財政難の中で、障害当事者やその御家族の方は、特別支援学校でいわゆる障害に配慮した専門性が維持できるのか、予算が削減されていて教員の数が減らされるのではないかという御心配の声が聞かれております。教員定数に関しましては、子供対教員の適正配置という観点から確保することが必要であるというふうに思いますが、この教員水準などに対する、国としての水準をどのようにお考えかということをお聞かせいただきたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいまお話がございましたように、現在、文部科学省におきましては、児童生徒の障害の重複化等に対応して適切な教育を行うことができますように、障害種別の盲学校、聾学校及び養護学校の制度を弾力化いたしまして、複数の障害種を扱うことができる特別支援学校とすることを柱とした法律案を検討中でございます。

 この特別支援学校制度では、すべての特別支援学校がすべての障害種に対応するということを求めるのではなくて、それぞれの学校が対象とする障害を明確にしながら、得意分野を持って教育活動を行い、そして、設置者の判断により、地域の実情に応じた多様な学校の設置を可能にしたいというふうに考えております。

 そこで、教員の問題でございますけれども、まず、教員の免許についても、特別支援学校の免許制度といたしまして、ただ、実際の指導に当たっては、大学での単位取得の状況に応じて、一つまたは複数の障害について専門性を持って教育する教員養成制度としたいと思っております。

 それから、教職員の配置でございますけれども、厳しい財政状況のもとではございますが、現行の教育水準を維持するという方針のもと、特別支援学校における円滑な教育活動が可能となるよう、現行と同様に、義務標準法や高校標準法に基づいて算定をされました教職員定数をもとに、各都道府県において、各学校の実情に応じた教職員配置が行えるようにする方向で検討をいたしております。

 ちょっと具体的に申しますと、例えば重複障害を持つ児童生徒の学級に、今、手厚く教職員配置を行っているわけでございますけれども、こういう現行の算定方式などは維持しつつ、教職員配置を行うこととしたいと考えております。

阿部(俊)分科員 ありがとうございました。

 また、小中学校の普通学級に在籍する児童生徒のうち、いわゆる学習障害、LDのある子供たちが、全体のうちで六%ほどがあるという研究が出されておりまして、これは医師の診断というものではなくて観察法で行われておりますので、余り正確なものであるとは言えませんけれども、今後、このような児童がますます観察し診断していくと増加するのではないかというふうに考えます。

 通級指導を含むこのような適切な指導を受けられる仕組みの整備が急がれるというふうに私は考えますが、現在、通級指導教室というのは全国の小学校で千四百十五校、通級教室は二千二百七十七教室ございまして、中学校では百九校、百三十七教室でございます。日本全国に小学校は二万三千百六十校ございますので、いわゆる割合といたしまして、小学校では六・一%の学校にしか通級がない、中学校に至っては一%しか整備されていない状況でございまして、数的にいいますと、小学校では十六校に一校の割合でしか通級がない。すなわち、そのような学校がないところにいる方はそこまで通うということが想定されるわけですが、私が行きました岡山県も、かなり通級が進んでいるとはいえ、一番遠いところの親御さんは十キロ先から毎回通っていらっしゃるので、その通う分は親御さんがすべてしないといけないということにもなっているそうです。

 軽度発達障害に関しましては、早期発見と早期対応を行うことで、将来、社会人として就職することも可能だということが言われております。現在、少子高齢化が進む中で、少ない子供たちの能力をいかに引き伸ばしていくかということは非常に重要であるというふうに考えます。平成十五年三月の文部科学省特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議の今後の特別支援教育のあり方という報告書の中では、量的な面においておおむねナショナルミニマムが達成されたというふうに書いてございますが、その課題は、私はまだまだ山積みであるというふうに考えております。

 このような点から、どのように教育の質を担保しつつ特別支援学校を進めていくのか、また、特殊学級や通級指導教室の拡大に向けて、具体的な数値目標を含めてどのようにお考えなのか、そういうことをお聞かせいただきたいというふうに思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生の方から大変重要な御指摘を幾つかいただいたと思っております。

 最近の状況を申し上げますと、特別支援教育を受けている児童生徒の割合は、ここ十年ほど年々ふえてきております。かつて、十五年ほど前、平成二年度は、盲・聾・養護学校、いわゆる特殊学級等を含めまして、全児童生徒の〇・八九%程度でございましたけれども、特別支援教育を受けている子供が。十五年後の平成十六年度では、通級が始まったこともございますけれども、全児童に占める割合が一・六四ということで、非常に特別支援教育を受けている子供の割合はふえてきております。

 これは、盲・聾・養護学校の整備、特殊学級の整備、あるいは通級制度の整備といったようなことが順次なされてきたということだと思いますけれども、本当に特別支援教育を必要とする子供たちに一人一人のニーズに応じた教育を十分に展開するという点については、引き続き私ども努力が必要だというふうに思っております。

 なお、LD、ADHDの障害を持つ子供さんについて今まで特別支援教育の対象に法令上はなっていなかったわけでございますが、今回、こういうお子さんについても特別支援教育の対象として、通級指導ということを可能にしていきたいと思っているわけでございます。

 それに先駆けまして、こういうLDやADHD等の障害を持つ子供の教育について、文部科学省では、平成十五年度から支援体制整備事業というものを推進して、学校内で特別支援教育コーディネーターを指名して、校内委員会を設置して校内の支援体制をつくる。加えて、学校をサポートするために、医療や労働、福祉の関係部局や大学、NPO等の関係者から成る特別支援連携協議会というものを地域に設置をいたしまして、各学校に対して関係機関や専門家の助言を得ながら適切に支援を行うという事業を展開してまいりました。

 今回、また、通級による指導について、今その方向で検討しているわけでございますが、平成十八年度におきましても、こういう通級の指導に必要な教員につきましては、総人件費改革をめぐる議論もあって、大変厳しい中ではございますけれども、担当教員を新たに措置するといったようなことを行っているところでございます。

 なお、通級を担当する教員につきましても、国立特殊教育総合研究所における研究や研修、あるいは広く学校現場で活用しやすいガイドブックの作成などを行いまして、その資質の向上に努めているところでございます。

阿部(俊)分科員 ありがとうございます。

 通級のクラスは、やはり障害児の問題が出たときに一番苦しまれるのはお母様でございまして、自分が責められるということがあって、通級の子供たちは、できないわけではなく、ほかの子供と同じぐらいの速さではできないけれども、時間をかけるとできることがたくさんあります。そのゆっくりやってできることというのは、実はお母様方の心のリハビリにもなっていくということもございますので、非常に重要な部分ではないかと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 続きまして、医療ニーズのある児童の支援についてということで質問させていただきます。

 今、日常的に医療的ケアを必要として、盲・聾・養護学校、特別支援学校というふうになっていくものでございますが、いわゆる通学している子供たちが平成十五年五月の段階で全体の五・七%、五千二百七十九名いるというふうに言われています。医療的ケアというのは、例えばたんの吸引がいつも必要だったり、カテーテルでお小水を出さないといけない導尿と言われるもの、さらには、お食事が口からできないので管を使ってお食事を、経管栄養というふうに使っている子供たちのことです。

 こういう子供たちに関しては、医療行為が可能なのは医療者、医師や看護師のほか、患者本人と家族に限られているというのが現状でございまして、医療ニーズのある子供たちが通学することを円滑にするために、平成十六年十月から、看護師を学校に適正に配置することなどを要件に、全国に千校ある盲・聾・養護学校の教員と看護師が連携して児童の教育の保障をする取り組みが始められたところでございますが、いわゆる医療ニーズのある子供を普通の学校に通わせるというのはまだまだハードルが非常に高く、一日じゅう保護者が付き添っていないといけないことがあります。

 先日も、東京都内の保育園で、五歳の女の子が、のどの病気でたんの吸引が必要だということを理由に市立の保育園の入園を拒否されましたが、東京地裁の入園許可を義務づける決定を受けまして、保育園に登園することになりました。東京地裁の裁判長は、幼児期の集団生活は子供の心身の成長に重要で、入園が認められないと回復不可能な損害を受けるというふうに述べています。

 国民の差別や偏見が障害者の社会参加を阻んでいると指摘されますが、生まれながらに障害者に差別を持っている人はいません。やはり、こういう偏見を持っていくのは、国が隔離政策を行ってしまった、国民の差別意識や偏見が助長されてきたということが言われると思います。

 特別支援教育のあり方は、障害児だけの問題じゃなくて、障害を持たない子供にとっても、障害者に対する正しい知識を持って、同じ社会の構成員として、健全なノーマライゼーションの教育機会であると考えますが、これに関しまして、大臣、いかがお考えでしょうか。

小坂国務大臣 実は、昨日、少しお時間をいただきまして、特別支援を行っている小学校、盲学校、それから養護学校、いろいろ見せていただきまして勉強してまいりました。また、医療ニーズのあるお子さんについてのケアというのも現場で実際に拝見をして、それに取り組まれている皆さんの御努力、また周囲の方々の御意見等も若干伺ってまいりました。

 やはり、できる限り集団の中で、そして幼児期に適切な刺激、環境を与えるということが、大きくなって取り返しのつかない障害を避ける上で非常に重要な部分であるということで、そういったノーマライゼーションの考え方に基づく各取り組みの推進ということに対しては、私も積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますけれども、それぞれの学校の現場の実情というものもあるわけでございます。そういった点について十分に現状を把握して、そしてできる限り、ただいま阿部さんの御指摘なさいましたそれぞれの現場の取り組みの実情等も踏まえながら、十七年度において医療的ケアの実施体制の整備を図るための事業を推進しておるわけでございますけれども、こういったものの知見を広めて、さらに体制の整備に努めるように指導をしてまいりたいと思っております。

 また、厚生労働省と連携を図りながら、盲・聾・養護学校における看護師の適正配置などの体制整備の状況を継続的に把握し、それらの水準の維持向上にさらに努めてまいりたいと存じます。

阿部(俊)分科員 やはり、いわゆる医療ニーズのある子供たちを普通の学校で受け入れるかどうかというのは、かなり市町村の方の采配にゆだねられているというふうに考えます。

 先週の二月二十四日の新聞報道でも、大阪府の教育委員会が医療ニーズのある子供たちの通学を普通学校にしていくということで、小中学校に看護師の配置を行うことを決めたというふうに言われています。

 現在、学校教育法施行令の二十二条の三で、盲・聾・養護学校に就学させるべき心身の故障の程度という規定がございまして、逆にこの欠格条項があるがために普通の学校に通うことができなくて、それを切望されている方がいらっしゃることは、皆さんももうお聞き及びだというふうに思います。やはり、医療ニーズのある子供たちの普通学級の受け入れに関しては、これは日本における教育のミニマムスタンダードとしていくということも一つの考え方ではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。

銭谷政府参考人 まず、障害のある児童生徒の就学の問題でございますけれども、盲・聾・養護学校の就学基準に該当する児童生徒についても、市町村の教育委員会が保護者や専門家の意見を聞きつつ、児童生徒の障害の状態や安全性等を考慮して、適切な教育を受けることができると認める場合には、小学校、中学校に就学をするということが今可能になっているわけでございます。

 もちろん、盲・聾・養護学校が受け入れる障害の程度というのはあるわけでございますけれども、そこは就学指導委員会と保護者の方がよくお話し合いをされて、最終的な就学先をいろいろな条件を考えながら判断していくというのが今の就学のシステムになってございます。

 先ほど来お話の出ております日常的に医療ニーズのある児童生徒の場合でございますけれども、先生からもお話ございましたように、たんの吸引等の医療ニーズがある子供について、平成十六年の十月に、看護師の適正な配置など医療安全が確実になるような一定の条件が満たされれば、看護師との連携のもとに教員がたんの吸引等を行うことを盲・聾・養護学校全体に許容するという整理が厚生労働省において示されておりまして、それに基づいて、先ほど大臣からお話がございましたように、平成十七年度、医療的ケアの実施体制の整備を盲・聾・養護学校について今図っているところでございます。

 ただ、通常の小中学校に在籍をしている場合につきましては、やはり医療に従事をする看護師さんがそういう医療的ケアを行うということになりますので、市町村教育委員会の判断によって小中学校に就学をした場合には、やはり看護師さんを配置して、看護師さんが医療的なケアを行うということになるわけでございます。

阿部(俊)分科員 看護師の配置はもちろんでございますが、全体の体制が整わないと、それは看護師がいるだけではできないということでございますので、ぜひ全般的な体制をお願いしたいと思います。

 最後になると思いますが、続きまして、大学病院に勤めます看護職員の離職防止対策としての基礎教育のあり方についてお伺いいたします。

 一つは、看護基礎教育におきましては、看護基礎教育の在り方検討会というところが、文部科学省、平成十六年の報告書において、卒業時に到達すべき目標というのが示されたところでございますが、現在の大学における看護基礎教育カリキュラムのあり方を含めて検討が必要ではないかというふうに私どもは考えております。

 日本看護協会の調査によりますと、新人看護職員が就職後一年以内に離職する割合は、今九・三%です。一年間で九・三%がやめていく中で、特に看護職員の離職率は、大学附属病院も含めた平均在院日数の短いところほど早くやめるということも明らかにされておりまして、いわゆる看護の基礎教育終了時点の能力と、看護現場、医療の現場が非常に高度化、複雑化する中で、カリキュラムの内容が臨床の実態とずれているのではないかということも調査の中からわかっています。新人の看護職員が言っていることは、配属部署の専門的な知識、技術が不足している、医療事故を起こすのではないか不安であるということが言われています。

 そのように看護大学の教育での臨床の実態に合ったカリキュラム内容の検討を、今どのようにされているのかを教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 大学病院等における看護師の方々の離職、それから学部レベルにおける教育の問題についてのお尋ねでございます。

 国立大学病院におきまして勤続一年未満で退職をされた看護師の方々、私どもの方の調べでは、平成十六年で百七十二人いらっしゃるという数字になってございます。さまざまな理由があるようでございますけれども、やはり、学部段階で受けた教育と現実とのギャップ、あるいは、非常に仕事が、思っていたよりきつかったとか、夜の勤務がなかなか大変だとか、さまざまな理由があるようでございます。

 もちろん、近年の医療の高度化とかあるいは人口の高齢化等の進展に伴いまして、そういった専門的な知識あるいは技術とともに、豊かな人間性ですとかあるいは的確な判断力を有する資質の高い看護師の養成といったようなものが、社会的に今強く要請されているものと私どもは考えております。

 そういった観点から、文部科学省におきましても、看護系大学の整備拡充といったようなものをこれまで積極的に進めてきたわけでございます。さらに、ただいま先生御指摘がございましたように、文部科学省では大学における看護教育の質の充実を図るために、看護学教育の在り方に関する検討会といったものを設置いたしまして、この検討会報告、これは十四年と先ほど先生お触れになりました十六年のものがございますけれども、特に十四年の三月におきましては、看護実践能力の育成に向けて臨地実習指導体制の充実と新卒者への支援の必要性といったものが提言をされております。

 私ども、本報告を契機といたしまして、現在、各看護系大学におきましては、大学病院を含む実習施設との連携、協働等、それから、臨地実習指導体制の充実を通して卒業時の看護実践能力の確保に努めているところでございます。そしてまた、文部科学省といたしましては、各大学の臨地実習の責任者等を対象といたしました研修ですとか、あるいはワークショップを主催いたしまして、このような各大学の取り組みを積極的に支援をしております。

 私どもとしては、こうした教育の浸透によりまして、大学卒業時におきまして臨床で求められる看護実践能力といったものが十分習得できるようになるものと期待し、また信じているところでございまして、今後とも、大学におきます看護教育の充実を通しまして、資質の高い看護師等の養成に努力をしてまいりたい、このように考えております。

阿部(俊)分科員 基礎教育に付随しまして、医師に関しましては平成十五年より二年間の卒後臨床研修制度というのが始まりました。歯科医師に関しましては一年間、薬剤師に関しましては教育年限が現行の四年から六年への延長がされました。このように、医療職の教育年限が延長する中、看護師の基礎教育は実は三年以上ということが規定されておりまして、五十年以上も据え置かれている段階でございます。

 看護大学は基礎教育が四年間というふうにいっておりますが、実は四年間の中で、保健師、助産師が選択して資格取得できる場合が多くあります。すなわち、四年間で三つの国家資格が同時に取得できるということでございまして、一方で、厚生労働省管轄の看護学校を卒業して保健師養成所、助産師養成所に進学する場合には、三年間の看護学校を出た後に六カ月以上、通常一年でございますが、その教育が行われています。看護大学の場合には、一般教養が一年間ございますので、実質、看護だけの基礎の教育が二年間ということがこの中で言われるわけであります。

 すなわち、専門学校の看護学校よりも大学教育の方が看護基礎教育に関しては充てる時間が少なくなりかねないという問題もございまして、看護の基礎教育は看護だけで四年間であるべきではないか。すなわち、四年間で三つの国家資格を取ろうとするのは、これも医療事故の原因になっている教育の薄さではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

石川政府参考人 おっしゃるとおり、四年制の看護系の大学学部におきましてはそういった他の資格もあわせて取れる、また、そのための教育も行われているという状況があるわけでございます。そうした中で、もちろん現在の看護教育あるいは看護師さんが担っておる職務の重要性といったものを考えますときには、その教育の中身をますます充実していく必要があろうかと思っております。

 ただ、私どもといたしましても、先ほど触れさせていただきましたけれども、これまで二十三の国立大学の医療技術短期大学部を四年制に転換してきた、こういったような努力といいますか試みもしてきておるわけでございます。こうした中で、看護教育の年限、そしてまた看護師さんの養成のあり方、充実を図る中で、今後とも、そういったより高い資質を持った看護師さんの養成について検討させていただきたい、このように思っております。

阿部(俊)分科員 ありがとうございます。

 今、看護師が足りないと言われる中で、少子高齢化の中で高齢者はどんどんふえてまいりまして、養成所を幾らつくっても人は足りなくなるばかりでございますので、離職をしないカリキュラムの組み方ということが私は一番生産的であると思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうは大変ありがとうございました。

実川主査 これにて阿部俊子君の質疑は終了いたしました。

 次に、柚木道義君。

柚木分科員 民主党衆議院議員の柚木道義でございます。

 本日は、先ほどは阿部先生の方が質問に立たれておったのですが、同じ岡山から選出でございまして、委員会の方は厚生労働ではございますが、きょうは文部科学関係を中心に質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 冒頭、きょうは大臣もいらっしゃいますが、本会議の方での趣旨説明あるいは御答弁をお伺いしておりますと、大変前向きな御答弁をいただけるのではないかというふうに期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、私、議員の仕事をさせていただく前に出版関係の仕事をさせていただいておった関係もあるんですが、まず前半、読書の関係について幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、学校図書館に関して幾つか質問をさせていただきたいと思います。現在、学校教育の中では、子どもの読書活動の推進に関する法律に基づきまして、子供の読書活動の推進に関する基本的な計画が既に国において定められ、各都道府県も計画を策定し、既に実施されております。特に、朝の読書活動が広がっているということは大変喜ばしいことではございます。しかしながら、その朝の読書活動を進めている現場の教師の方から、学校図書館の書籍の充実というものをもっともっと進めてほしいんだ、そういう強い声がございます。

 そこでお伺いをさせていただきたいんですが、文部科学省の予算措置の中で、本年度、当然予算がついていると思いますが、小泉総理も再三これは取り上げられることですが、二〇〇二年通常国会の施政方針演説の中で、米百俵の精神についてもお触れでございます。将来のための人材育成を本当に徹底しようということであれば、さらなる予算拡充によって学校図書の充実を図るべきかと存じ上げますが、いかがお考えでしょうか。

    〔主査退席、奥野主査代理着席〕

銭谷政府参考人 公立の義務教育諸学校の学校図書館の図書につきましては、図書整備を図る際の目標として学校図書館図書標準というものを設定いたしております。この図書標準に足りない分を整備するために、学校図書館図書整備五カ年計画というものを立てまして、平成十四年度から十八年度までの五年間で、毎年約百三十億円、総額約六百五十億円の地方財政措置を講じているところでございます。

 問題は、これに基づいてきちんと学校図書館の図書の整備を進めていただくということでございますが、現実を申し上げますと、各地方自治体の判断によりまして図書の購入額については随分差がございます、率直に申し上げまして。私どもといたしましては、学校図書館の図書の充実につきまして、各地方公共団体の一層の充実を促していきたいというふうに思っております。

柚木分科員 ただいまの御答弁にもございましたが、この問題は、学校図書館標準を達成しているその学校の割合に先ほど格差があるということだと思いますが、実際に数値で見ると、小学校においてはわずかに三六%、さらに中学校においては三〇%、私そういう数値をいただいておりまして、毎年百三十億円の予算をつけているという中でも、実は自治体においては、他の分野に、こういう言い方は悪いですが、使い回しているのではないかというふうな見方もできるわけです。そうでなければ、幾ら何でも達成率が三〇%というのはこれはちょっとひど過ぎるのではないのかなと思うんですが、その数値に対してどういった御認識でいらっしゃるでしょうか。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小学校で三六%、中学校で三〇・八%でございます。

 今回の学校図書館図書整備五カ年計画は、学校図書館の図書標準に達するまでに全国で義務教育諸学校で必要な冊数が四千万冊だということを計算いたしまして、その四千万冊を整備するために五年間で六百五十億円の地方財政措置を講じたというものでございます。

 ただ、では実際にどのぐらい蔵書がふえているのかということになりますと、五年間で四千万冊ですから、年間八百万冊ぐらいふえれば達成できるわけでございますが、現状を申し上げますと、その半分程度というのが実情でございます。

 これは、各地方公共団体も予算は措置していただいているわけでございますが、一方で、古くなった本とか、廃棄というのがございますので、それの補充、交換分の図書費が必ずしも十分じゃないということも一因としてございます。

 いずれにいたしましても、私ども、学校図書館の図書の整備につきましては、引き続き所要の地方財政措置を講じつつ、各地方公共団体の御努力をさらに促していきたいというふうに思っております。

柚木分科員 確かに廃棄分とのプラスマイナスがあるわけですが、さらなる御努力をされるというふうな御答弁ですが、やはりここは、ぜひ具体的な年次目標等を掲げていただくことによって、実際に達成率等、次年度においてしっかりとフィードバックをしていくというふうな形が必要かと思われるんですが、その点についてはいかがでしょうか。

銭谷政府参考人 現在の図書整備計画が十八年度まででございますので、来年度が最終年度ということになりますので、その時点の状況等も見ながら、十九年度以降の整備計画について検討してまいりたいと思っております。

柚木分科員 ぜひ、一〇〇%を目指して御尽力いただきたいと思います。

 そして、関連して次の質問に入らせていただきますが、読書というと、本の読み聞かせということもよくこれはさまざまな場面で取り組みが行われているわけですが、地域で、これは学校だけでなくて、学童保育、今大変ニーズが高い分野だと思いますが、子供の居場所づくりの一環でもあろうかと思いますが、その中で本の読み聞かせというのを、例えば地域のボランティアの方々なんかがそういうところを訪問してされていらっしゃるとか、いろいろな取り組みを聞くわけです。

 その中でやはり問題になってくるのは予算の問題で、本を購入するのに、これは当然、学童保育、放課後児童クラブと言うとも思いますが、その運営費の中から、あるいは親御さんからの負担金の中からそういったものをやりくりしているということですが、しかし、なかなか思うように、本来ならばもっと子供たちにいろいろな本をということを現場の方はおっしゃられるわけで、親御さんもおっしゃられるわけですが、しかしながら財源に問題があるという中で、この学童保育におけるそういった読み聞かせ等の書籍を購入する、そういった費用等について、これは、文科省の方で支援をされるようなそういった取り組みというのがあれば大変現場としてもありがたいんではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省としては、学童保育での図書購入そのものに対する助成は残念ながら行っていないわけでございますけれども、関連する策はないかということで考えました場合には、私どもの方で独立行政法人の国立オリンピック記念青少年総合センターに設けられております子どもゆめ基金、これは先生御案内と思いますけれども、子供の読書活動に対する支援を行っているところであるわけでございます。その中で、地域の団体が実施する絵本の読み聞かせ活動、こういったことに対する助成を行う、その活動の中で、放課後児童クラブにおける読み聞かせ活動もその一部に入っているということがあると思います。

 そういう意味で、図書そのものではございませんけれども、その読み聞かせ活動に使う中でそういったことがあるというふうに、関連ではございますけれども、認識しているところでございます。

    〔奥野主査代理退席、主査着席〕

柚木分科員 ありがとうございます。

 そういった読み聞かせそのものに対する助成活動、助成があるというその制度自体をもっと広く普及していただけるような取り組みをさらにお願い申し上げまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 今、学童保育の読み聞かせについてというお話であったんですが、学童保育そのものの支援につきましては、このたびも予算で増額になっていると思いまして、その点については大変私も評価をさせていただきたいわけですが、しかし、私、実際地元で回らせていただいている中で、まだまだ現状においては厳しい状況が続いているという声も少なくないわけでございます。

 例えば、私の地元は岡山県でございますが、七十一名以上の児童の登録のある施設が複数あり、大規模化がどんどん進んでいくと、一方で保育の質が落ちる、当然こういう指摘もございます。指導員のアンケートによりますと、本当にだんだんとストレスもたまり、ささいなことでけんかになったり、子供たちにちょっとそういう形でなってしまったり、あるいは逆に、自己主張しない子供たちはなかなか目が行きにくいというようなそういう状況をお伺いする場面もあります。あるいは、障害を持たれている子供たちがなかなかそういった面でも目が行き届かないようなそういうマイナス面もあるということも指摘をされております。

 そこで、学童保育が一施設で四十人を超えるような大規模化をした場合には、二つの施設化をそれぞれ別々に図って、そのいずれにも補助がつくようなそういう施策が実際に行われれば、今起こっているようなさまざまな問題が随分解消されるんではないかと思いますが、この点について厚労省の御見解をいただきたいと思います。

白石政府参考人 放課後児童クラブにつきましてお尋ねをいただきました。

 御案内のように、私どもとしましては、一昨年の暮れにまとめました子ども・子育て応援プランにおきまして一万七千五百カ所まで設置していきたいということを考えておりまして、昨年の段階におきまして一万五千百八十四カ所でございます。この箇所数に対応いたしまして、来年度は、できるだけ早期に一万七千五百に届きますように、九百プラスということで予算を計上しております。

 また、今御指摘いただきました大規模ということでございますけれども、私どもは、例えば一学校区に一つという縛りは特に設けておりませんので、四十人ぐらいになれば、あるいは七十人というふうなことを今御指摘いただきましたけれども、二つに分けていただいて要望していただければ、それに対応する予算はその九百の中にも入っておりますので、その点、よろしくお願いいたします。

柚木分科員 大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。

 今の補助がつくようにというお願いの中には、当然、実際に現場で働かれている指導員の皆さんの要は職場の環境というものが、より子供たちにとっても望ましい、そういう形で働いていただけるようなという思いもこもっているわけですが、先ほど私、岡山県の例を申し上げましたが、実際に岡山市においてでも、これは七十一人以上に加えて、九十一人以上になった場合に新しい指導員の増員をするというふうなことが設けられていると聞いておりまして、多少マンパワーの面ではそういう施策が講じられているわけですが、しかし、これはあくまで人員に限った話でございまして、例えば給与面あるいはさまざまな社会保障面などの待遇面では依然として厳しい状況にあるというふうに、データもいただきながら伺っております。

 実際にそれぞれの自治体において随分進んでいるところとそうでないところ、まさにそういう格差というものが見られるという話も伺っておりますが、そういった現状についてどう改善していくおつもりがあるのか、お尋ねいたしたいと思います。

白石政府参考人 おっしゃられますように、私ども、まずは箇所数をふやす方に重点を置いておりますので、どうしても、限りある予算の中で優先順位ということであれば、今々現在ではそちらの方に重点を置かざるを得ないということは御理解をいただきたいと思います。

 また、職員の方の給与の計算方法も、恐らく御指摘の背景には非常勤を単価にして計算をしているということがあろうかと思いますが、これもやはり勤務実態を考えますれば、確かに、事前の準備、事後のいろいろな清掃等があったとしても、やはりフルタイムの時間にはなかなか届かないのが現状でございますので、ほかのいろいろな類似制度と比べてみれば、やはりここは非常勤を積算の根拠としてやらざるを得ないということには御理解賜りたいと存じます。

柚木分科員 ぜひ将来的には、ハードの整備からより具体的な中身の、勤務条件等の取り組みも具体的に進めていただきたいと思います。

 そして、実際にその学童保育というのが子供の居場所づくりの活動の一環というふうにも私承知しておりますが、その子どもの居場所づくり事業について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 この事業は十六年度から実施され、十八年度は最後の年度になるんだと思いますが、これまでこの三年間取り組まれてきた中で、この居場所づくり事業についてどう評価をされ、また、十八年以降もこの取り組みをどういった形で生かして、何らかの形で継続していかれるお考えがおありなのかどうなのか、その点について教えていただきたいと思います。

田中政府参考人 子供の居場所づくりについてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、平成十六年度から緊急三カ年計画といたしまして、全国の学校等を活用し、地域の人々の連携協力によりまして地域子ども教室推進事業というものを実施しておるわけでございます。平成十六年度におきましては全国で約五千四百カ所、本年度、平成十七年度は全国で約八千カ所で地域子ども教室が開催されておるわけでございますけれども、来年度はこれをぜひ一万カ所に充実していきたいというふうに考えておるところでございます。

 また、御指摘のように、この事業は三カ年の事業でございますので、平成十九年度以降どのようにしていくのかということは大きな課題になっておるところでございます。

 私どもといたしましては、平成十九年度以降も、当然のことながら、各地域で子供たちが安心して安全な活動を送れるような居場所づくりをすることは非常に重要なことだと考えておるわけでございまして、これらを今後支援していくためにどのような措置が必要なのか、これは、現に今子供の居場所づくりをやっていただいております運営委員会の方々やあるいはその行政関係者の方々の意見を聞きながら、鋭意検討してまいりたいと考えておるところでございます。

柚木分科員 そういう取り組みの中で、これはちょっと一つ伺いたいんですが、この十八年度の新規事業として子ども待機スペース交流推進事業、これが行われると思うんですが、この事業が、実は私、さまざまな地域での居場所づくり事業について調べている中で、実際似たような形態のものがあるのではないかと思いまして、その点をちょっと整理させていただきたいな、どういうふうな形でそういった類似事業について御認識であるかということをお伺いしたいんですが、名古屋市においてトワイライトスクールという取り組みがあるのを御存じでいらっしゃるでしょうか。

 これは、実際、形態としては大変児童クラブに近いものだと思いますが、しかし、中身が随分違う。むしろ区別をしてほしいというふうな向きもあるというふうに聞いておりますが、この取り組み自体は、子ども待機スペース交流事業、まさに子供たちの登下校の安全、安心を守る取り組みとこれはリンクをしてくるような気もするのですが、しかし、やはりトワイライトスクールのような形態だと、例えば子供たちのいわゆる安全管理等、どういった形でこれは守っていくのかというふうな御指摘もある中で、しかしながらこういう類似事業がある。このあたりの整理と、そして、逆に言えば財源の問題もありますから、そういった、逆にトワイライトスクールのような既存のそういう取り組みを活用した上で、例えば子ども待機スペース交流事業のような、空き教室を利用してそういった取り組みを行っていくというふうな方向がひょっとしたら考えられるのか、その辺についてちょっと教えていただけますでしょうか。

田中政府参考人 平成十八年度予算におきまして、御指摘のように待機スペース事業が認められておるわけでございまして、七億円余の予算をつけていただいておるわけでございますけれども、これは、御案内のように小学校の低学年の子供たちは帰る時間が早いわけでございます。したがいまして、各学校でお兄ちゃん、お姉ちゃんがいるような場合には、お兄ちゃん、お姉ちゃん方が授業が終わる時間までその学校の中で活動するような待機スペースを用意しようというような趣旨から予算が認められておるところでございます。

 これまで我々が取り組んでまいりました子供の居場所づくりは、どちらかといいますと、高学年の子供たちが三時ぐらいに授業が終わった、その後三時から六時ぐらいまでの間の子供たちの活動の場所を用意していくというようなところがございますから、現に、子供の居場所づくりでやっていただいておるようなところにつきましていえば、もう少し開始時間帯を早くしていただくことによりまして、その待機スペースの確保にもつながる場合もあると考えておるところでございます。

 したがいまして、今おっしゃられたようにいろいろな取り組みがなされておるわけでございまして、そういう取り組みもうまく活用しながら、子供たちが安全、安心に活動できると同時に、通学途上で危険な事故、事件に遭わないような待機スペースの確保にも努めていきたいというふうに考えておるところでございます。

柚木分科員 今の御答弁ですと、既存のそういうさまざまな居場所づくりの取り組みも生かしながら今回の新たな新規事業のようなものも行っていくという認識でよろしいんでしょうか。はい、ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 これもまさに、これまで子育て支援の中でばらばらの部分をもう少しどうにかならないのかという御要望が親御さんからずっとあったわけですが、就学前の子供に関する教育、保育などの総合的な推進策として認定こども園というものが今あると思いますが、少子化時代における機能を集約化、あるいは親御さんにしてみても、利便性を向上させるという観点から私もそういった施策は必要だと思っております。

 しかし、実は、この幼保一元化施策が今のプランのまま導入されると、既存のものもそのまま、あるいは認定こども園というものもできてということで、一元化という言われ方をしているんですが、実際には、むしろ三元化とか、あるいは組み合わせとかをいうとそれ以上のパターンも出てきて、むしろ現場の混乱を招くのではないかという御意見もあるわけです。

 子供さんをお持ちの方なんかの例で例えると、例えば三人お子さんがいらっしゃって、Aちゃんは公立で、運営の補助金はつかない、Bちゃんは私立で、国や自治体から補助金も出る、Cちゃんは認定こども園で、これは自治体ごとにその計画を定めるということで、本当に子供ごとにばらばらというケースも想定されるわけですが、こういうケースが想定されることについてどういった御認識でいらっしゃるのか、あるいはどういった対応を考えていらっしゃるのかということを教えていただけますでしょうか。

銭谷政府参考人 現在、就学前の子供に関する教育、保育の施設としては幼稚園や保育所等があるわけでございます。それぞれ、目的、役割を異にして教育、保育活動を行っているわけでございます。

 今般検討しておりますいわゆる認定こども園につきましては、こういう幼稚園、保育所のうち、教育、保育を一体的に提供する機能を持つもの、つまり、例えば幼稚園で着目していいますと、保育時間等について保育所的な機能を持つとか、あるいは保育所についていいますと、保育に欠ける子供にも欠けない子供にも対応して受け入れる、そういった機能を持つとか、いわば教育及び保育を一体的に提供する機能を持ち、かつ、地域における子育て支援というものを実施する機能を持つものについて都道府県がそれを認定こども園として認定して、いわば親御さんたちに、ここは教育、保育を一体的に提供する機能を持っている施設ですよということがわかるようにしていこう、そういう考え方に基づいて今構想しているものでございます。

 いずれにいたしましても、就学前の教育、保育について、これを一体としてとらえたそういう機能を幼稚園、保育所に持っていただいて、就学前の教育、保育の充実を図っていきたいという考え方に立つものでございます。

柚木分科員 今の御答弁ですと機能の一体化というのは理解できるんですが、具体的な親御さんの負担、それがそれぞれどういった形態に属するかによってばらばらということで、そこの部分に関してはやはりぜひ整理をしていただいて、そして実際に、各自治体そして利用者の方々にきっちりと認識をしていただけるような対応をお願いして、時間もございますから、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ちょっと話が変わるんですが、実は、私もある場所で大変悲痛なといいますか、そういう事例、お話を伺いまして、これはぜひ実際に取り組んでいく大変重要な問題というふうに認識しておりまして、知的障害児に対する性的虐待についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は先日、二月の十五日に東京高等裁判所の第五刑事部にて、千葉県浦安市にある小学校において教師が、知的障害の当事者である児童、女児といいますか、女の児童の子供さんに対して強制わいせつを行った疑いのある事案の判決が出たわけですが、これについて文部科学省としては御存じでいらっしゃいますでしょうか。

銭谷政府参考人 ちょっと今、具体の事案については承知をいたしておりません。

柚木分科員 後ほど法務省の方にも伺うんですが、実は、そういう知的ハンディのある方が被害者となった場合の証言能力と申しますか、その証言自体、実際に裁判の中でそれがなかなか正式に採用されないというような、実際裁判の中で問題があったわけです。

 それについて、ぜひそういう事例があることを知っていただきたいとともに、こういったハンディを負った子供、特に知的障害児の児童虐待、暴行というものが実際に現場の中であって、しかも、それが本人にとって暴行や児童虐待だとわからないケースも多いわけです。障害児教育、特に知的障害児教育の中で、そういった暴行、虐待をそれと認識して、それに対して、そういうことはやめてくれ、あるいは、ほかの大人の方なんかにこういったことが起こったということを、ちゃんと防ぐためのそういう抑止のための取り組みというのを、これは教育現場の中で行っていくことが重要だと思います。

 教育委員会が、例えばそういうことがあったときの早期の対応、あるいは教師の方へ、そういったことがないような研修とか、今こういう事例が本当に最近ふえてきているというふうに認識をしておりまして、実際、現場において抑止のための取り組みあるいは早期対応、そういった点についてぜひ御認識を強くお持ちいただいて、実際にそういった取り組みを行っていただきたいように思うんですが、いかがでしょうか。

馳副大臣 四月から障害者自立支援法の施行にあわせまして、障害者に対する虐待の早期発見、早期対応ということ、厚生労働省の方でも取り組んでおられるということはもう存じております。

 ただ、一昨年ですか、改正児童虐待防止法、これにおいて、各市町村においてネットワークをつくって、早期発見そして早期対応、また、保護者への対応、児童相談所との連絡をとる、折においては警察との連携をとりながらちゃんと対応していくということが進められる体制になったところでありまして、各現場の方にも通知もいたしておりますので、より一層取り組むようにしていきたいというふうに考えております。

柚木分科員 ありがとうございます。

 実際に教員の現場で教鞭もとられていた、御答弁をいただいたということですから、これをぜひ実際にそういう取り組みを普及していただきたいと思います。

 時間のようですから、最後に一つ、これは法務省にお尋ねをしたいと思います。

 今回の刑事裁判において、知的障害を持つ児童が被害者であった場合に、検察官は被害の実態について話を聞く必要がございますが、これには、実はやはり一定のスキルあるいは専門性というものが、通常の証言とはやはりなかなか難しい面もございますから、必要になってくると思うんですね。

 そこで、実際にこういった案件に対して運用上どういった御努力をされていらっしゃるか。また、例えばそういう研修、あるいはOJTという言い方もありますが、どのようにしてそういう被害者である障害児に接するかについて考慮をいただいているのかについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

三浦政府参考人 被害者が障害のある児童である場合に格別の配慮を必要とすることにつきましては、委員御指摘のとおりでございまして、検察当局におきましては、捜査における被害者からの事情聴取に当たりましても、例えば保護者に同席していただいたり、打ち解けて話をしやすい雰囲気をつくるなどの配慮をしているものと承知しております。

 また、公判段階におきましても、そのような児童を証人尋問するというような場合には、検察官の方で、裁判所に対して被害者の事情を伝えた上で必要な措置について配慮を求めたり、あるいは、被害者が裁判所に出頭するに際して職員が付き添うなどの配慮をしているものと承知しております。

 いずれにいたしましても、被害者の具体的状況に応じまして適切な配慮をするということが非常に重要でございまして、今後とも、研修等の充実について配慮していきたいと考えております。

柚木分科員 時間が参りましたのでもう質問の方は終わらせていただきますが、これは、裁判所においてもぜひ同様の取り組みをお願いしたいと思います。

 きょうは、予定した質問が若干最後までお尋ねすることができませんでしたが、子育てあるいは教育、そして最後の案件につきましても、いずれにしても、本当に安心、安全にして暮らせるそういった仕組みづくりを、政府としても、そして私たち一人一人も一体となって取り組んでまいりたいと思いますので、最後に改めてそのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

実川主査 これにて柚木道義君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田昭宏君。

太田(昭)分科員 公明党の太田でございます。

 「早寝早起き朝ごはん」、私はずっと、こうした運動を展開すべきだと主張し、また、我が党も主張してきたわけですが、いよいよ本格的に文科省全体として取り組む、そしてまた、きょうは「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が、発起人が集まり、スタートを切ったということで、私は、大変いいスタートが切れた、このように思っています。

 そこで、まず、いわゆるPTAを初めとする方々のこのスタートということについてどういう認識をされているのか、お聞きしたいと思います。

田中政府参考人 近年、子供たちの体力の低下あるいは規範意識の低下、そしてさらには学力が低下傾向にあるのではないかというようなことが心配されておるわけでございます。

 私どもといたしましては、そういう中で、やはり子供たち一人一人が基本的な生活習慣をきちんと身につけることが、そういう気力、体力、学力を上げる上でも大事なことではないかということを考えておりまして、来年度予算に、子供たちの基本的な生活習慣を身につけて、生活リズム向上プロジェクトということで新しい予算を組ませていただいたわけでございまして、それをさらに全国的に展開したいということで、この「早寝早起き朝ごはん」運動を、PTAの方々等に中心になっていただいて、民間主導による国民運動として展開したいと考えておりましたところ、本日、このような発起人会が開催されたところでございまして、大変うれしく思っておるところでございます。

太田(昭)分科員 今の子供たちが何時ごろ寝て、また、朝食というのはどのくらいの人がとっているのか。子供というのは小学生ということなんですが、その辺の実態はいかがでしょうか。

田中政府参考人 子供たちの睡眠時間につきましては、平成十七年度の民間の調査によれば、午後十時以降に就寝する幼児、六歳以下の子供が二九%いるというような状況になっております。

 また、同じく十七年度の文部科学省の調査によりますと、平均で二十四時以降に就寝する小中学生の割合、これが小学校六年生で一二%、中学校三年生で六四%となっておるところでございまして、平均的な睡眠時間を見ますと、睡眠時間が八時間未満の小学生が二〇%、中学生では六九%、特に睡眠時間が六時間未満の中学生が一八・四%もいるような状況でございます。

 また、子供の朝食の状況でございますけれども、これも平成十七年度の文部科学省の調査によりますと、朝御飯を食べないことのある小中学生の割合は、小学生で一五%、中学生で二二%となっておりまして、また同時に、朝御飯を一人で食べることの多い子供、これが小学校で二〇%、中学校で四二%となっているところでございます。

太田(昭)分科員 この早寝早起き朝御飯ということと学力、それから生活習慣、こういうものの関係性というものはどういうふうにとらえているんでしょうか。

田中政府参考人 生活習慣と学力の関係でございますけれども、昨年四月に公表されました国立教育政策研究所の調査によりますと、毎朝朝御飯を食べる子供ほどペーパーテストの得点が高い傾向にあることが、調査いたしました小学校五年生から中学校三年生まで、すべての学年、すべての教科において明らかになっておるところでございます。

 また、同調査では、毎日学校へ持っていく持ち物を事前に確かめるかどうかという調査をやっておるわけでございますけれども、毎日学校への持ち物を確かめる子供ほどペーパーテストの得点が高いという傾向となっておるところでございます。

 このほか、広島県の調査によれば、小学校五年生の場合でございますけれども、睡眠時間が八時間以上九時間未満の子供が、それ以下の子供、またそれ以上の子供よりも学力が平均して一番高いという傾向が見られたところでございます。

太田(昭)分科員 家庭の問題の中に国が入る必要はないという話が、現場に行くとそういうことを言う人もいるんですよ。質問通告しておりませんが、この辺については、どういうこの運動のかかわり合い方というものを考えていらっしゃるのでしょうか。

田中政府参考人 まさに、子供の教育は家庭においてまずスタートを切るわけでございます。また、家庭における教育は、それぞれの保護者において第一義的にお決めになってやられることが非常に大切だろうと思うわけでございますけれども、近年、少子化、核家族化あるいは都市化によりまして、地域との人間関係も希薄になってきているというような中で、親御さんたちの中には子育てに不安感を持つ方が非常におられるわけでございまして、文部科学省としても、従来より、こういう子育てに不安を持つ方々に対する何らかのヒントあるいは相談等ができないかということで、一つには、子育てヒント集でございます家庭教育手帳を交付する、またそれから、子供さんを妊娠されたとき、あるいは子供さんが小学校に上がるとき、思春期を迎えたとき、そういう節目節目で子育て講座を開くなどして、そういう家庭教育の支援に取り組んできておるところでございます。

太田(昭)分科員 学校は勉強を教える、家に帰ってきてから親を初めとして勉強を教えるというのが家庭としての教育のあり方ではない、私はそう思うんですね。家というのは、家庭というのは、宿題はちゃんとやったかとか、早寝早起き朝御飯、御飯を食べさせて、そして忘れ物ない、こういうふうに言ってあげて、洗濯をしっかりしてあげて、そういうことの生活習慣というか、そういうものをしっかり整える、私はそういうふうに位置づけているわけです。

 ここは、私が今申し上げたのは、国が早寝早起き朝御飯ということを主導的にやるというよりは、国民運動として展開する。しかし、そこの中で、何ゆえにそういうことが必要なのかという、そこの趣旨、サポート。運動主体はあくまで国民が運動としてやるんだが、そういうことを宣伝したり趣旨を説明するとか、なるほどなと多くの国民が納得していただけるというようなことが非常に大事なことだというふうに思います。

 そういう点では、家庭と地域と学校ということが常に言われるわけですが、そこの役割の中での家庭というものが何をするのかというようなことも含めて、イメージを共有しなくちゃならない。そのときに「早寝早起き朝ごはん」というのは非常に大事な運動の展開だというふうに私は思っていまして、そういう今私の申し上げましたような趣旨をしっかり訴えたり、いろいろな機会を得てやっていただきたいというふうに思います。

 文部省全体としては、これは大臣かもしれませんが、家庭というものの教育的なものの位置づけといいますか、そういうものは、私は、学力というようなことよりもうちょっと基底部にある生活の習慣であるとか、まさに早寝早起き朝御飯、こういうようなことの中に大事なことがある。御飯を食べるときにいただきますということを言うとか、行ってらっしゃいもそう、帰ってくるときにお帰りと、これは言える家庭もあるし、いらっしゃらない家庭もあって、それはそれで仕方のない、千差万別であるわけですが、極力そういうようなことをする。家庭の教育というものに文部省あるいは文部大臣としてどういうイメージを持っていらっしゃるのかということについて、意見をお聞きしたいと思います。

小坂国務大臣 太田委員にはかねてより文部科学行政についてはとりわけ御熱心にお取り組みをいただいておりますし、また規律ある生活、子供の安全ということについても大変強い関心をお持ちでお取り組みをいただいていることに敬意を表するわけでございますが、今御指摘の、家庭教育というのはどういうものだと。

 子供がおぎゃあと生まれて一番最初に接するのはお母さんでございますし、そして、家庭における保育環境というのが環境としては最高の、最良のものであるべきです。しかし、その保育環境が欠ける人たちについて保育施設というものがあり、また幼児期における教育を後押しする機関として幼稚園があるわけでございますが、それはあくまでも、その前提として、家庭における基本的なしつけ、それから心の優しさ、それからいろいろなものに対する好奇心の育成、こういったものは、やはり家庭が一義的な責任を持って、またそれが一番大きな影響を与える部分なんですね。ですから、そこの環境を国として後押しをする、支援をしていくということがやはり必要だと思っております。

 そういう中で、今日の状況を見ますと、どうもその部分がちゃんとなされていないような環境がふえてきた。また、してあげたいと思ってもできない人もいらっしゃるだろうし、またそういうことに関心を示さない親御さんも出てきてしまった。

 こういうことでございますので、こういった運動を通じて、そして、ただいま御質問をいただきましたようなそれぞれのデータというものを広く皆さんに普及させることによって、朝御飯を食べないと学力にも影響するんだよ、また栄養のバランスを欠くと健康に被害が出てくるよ、あるいは家庭教育というものを、やはり規則正しいものにしないと、子供の健康だけじゃなくて学力にも影響が出てくるということも統計上出ているんだよというようなことを知っていただいて、この運動を通じて、参加していただく団体も、ただいま御指摘のように発起人会が本日発足をしたわけでございまして、四月に、PTAを中心に、教育、スポーツ、文化関係団体とか、読書あるいは食育推進団体、経済団体などによる「早寝早起き朝ごはん」全国協議会を発足させていくわけでございます。

 この全国協議会の検討段階で、今御指摘になりましたような家庭の、PTAの皆さんとかいろいろな保護者の皆さん、地域の社会教育団体、こういった皆さんに入っていただくことで、この普及の過程でいろいろな接点がふえてくるわけですね。お母さんが動くいろいろな先でイベントをやっている、ポスターを張ってある、パンフレットを配布している、またホームページの開設がある。そして、中央イベント等があって、またそれが新聞のニュースになる。家庭教育月間というものをつくったり、あるいはそのイベントがある。そして、シンボルマークがあちこちに出てきて、そのマークが一つのいろいろな共通の合い言葉になっていく。

 こういうことで運動を盛り上げていくことが、委員が御指摘になった環境醸成に大きく役立つ、そういうことを私どもとしては国として支援していく。主体としては、やはり地域の皆さんがアイデアも出していただく、そして私どもはそれを広げる上での横の連帯をさらに支援していく、こういうことだと思っております。

太田(昭)分科員 馳副大臣がせっかくいるので、質問通告になっているかどうか知りませんが、早寝早起き朝御飯、そして読書とかスポーツというのが大事だということで、朝の十分間読書運動とかブックスタート運動というのを我々は一生懸命、私も推進をして、かなり定着をしてきている。

 スポーツ、この点は、オリンピックでも金メダルをとるとかそういうことになると、私の地元のナショナルトレーニングセンターというのを、ぜひとも選手が使いやすいナショナルトレーニングセンターというふうにしてもらいたいというのは、きょうは一つ注文しておきます。

 それからもう一つは、すそ野が広がっているということが実はオリンピックでもメダルというようなことに結実をしていく。ビューティ・ペアがあった。それからそういういろいろな女子プロレス、そういうものを見て、そのころから、福田富昭さんなんかに聞きますと、馳さん専門の、女子プロレスのすそ野が女子のプロレスリング、アマチュアレスリングというものに広がっている。水泳も、川で泳いだ時代ではなくて、四十年ごろからスイミングクラブというのができたというようなことの中からすそ野が広がる。

 こういうすそ野の広がりと、ナショナルトレーニングセンターのあり方、そしてスポーツ全体の、すそ野の広がりということに関連するわけですが、そうしたことへの普及、こういうことについて、三つ言いましたけれども、三つ簡単に答えてください。

馳副大臣 いよいよ、トリノ・オリンピックが終わりまして、その総括、反省が行われるわけで、小坂大臣もこの後は荒川静香さんをお迎えして文部科学省として表彰をしていただくところであります。

 太田先生おっしゃったように、ナショナルトレーニングセンターを整備していただくことになりました。それはもちろん大事なことでありますが、その理念として、ナショナルトレーニングセンター構想というものをJOCでおつくりになっておりまして、それは何かといいますと、やはりジュニアからの一貫指導体制、そしてタレントの発掘、あるいは、ナショナルコーチアカデミーといいまして、各競技団体のナショナルコーチを一堂に集めて情報を共有し合おう、またスポーツ医科学情報戦略、ルールを含めて、世界、今どうやったら強くなっていくのかという情報を集めていく、そういったことの運動を推進するためにナショナルトレーニングセンターが使われる、こうなることが一番いいということであります。

 また、ジュニアからというふうなことをおっしゃいましたが、例えば、我が国では柔道とか剣道とか空手というのは町道場があって、世代を超えて地域の皆さん方が、子供も頑張る、大人も、老若男女頑張る、こういったことですそ野が広がってきたという体験も持っておりますので、各競技団体が、ジュニアの発掘そして育成についてそういうシステムをずっと構築して、それを体協なりJOCなりが支えていくというシステムづくりをしっかりしていくことが、トップレベルも強くなり、すそ野も広がっていく。

 こういった運動は、各小中学校において子供たちがスポーツに親しみ、基本的な生活習慣を身につけ、まさしく国民の活力を向上させていくことにつながる、こういうふうに考えております。

太田(昭)分科員 ナショナルトレセンは、昔は、あそこにあった建物、選手が使いづらくてしようがなかったということで、私はこの予算の分科会で質問したこともあるんですね。選手が使いやすいようにということと、あわせてもう一つは、地元が有名な選手や何かと接触ができる機会を持つというような、地元から支えられているという意識と、両方兼ね備えたようなものにぜひともしてもらいたいと思いますが、大臣、副大臣、どちらでも結構ですからお答えください。

馳副大臣 まず、選手が使いやすいというのは当然のことでありますので。ただ、システム的に、国がつくって、日本スポーツ振興センターに出資されるということになりますから、そうなると、事業運営を展開するのは、選手を統括しているJOCですよね。そうすると、日本スポーツ振興センターとJOCと、いかに選手が使いやすいような形で契約を結ぶか、ここが大きなポイントになってまいります。太田先生のおっしゃることはごもっともですので、そういうふうな指導をしてまいりたいと思っております。

 また、実は北区でつくるに当たって、北区の議会を初め周辺住民の皆さん方に大変御心配もいただいておりますので、これはやはり、出資を受ける形になる日本スポーツ振興センターの方でも既にそういったプロジェクトも考えております。いかに地元住民の皆さんと協力をしながらやるかということと、ナショナルスポーツセンターではエリートスクールコースもやっておりますから、そういった選手が地元の小中学校でお世話になるということも可能になると思っておりますし、JOCの大きな強化戦略ともなっておりますので、できれば先生にも間に入っていただいて、地元の小中学校、教育委員会とも連携しながら進めていければよいのではないかと思っております。

太田(昭)分科員 きょうの新聞に「子供を守れ!地域の力結集」ということで、「防犯ボランティア二万団体に迫る」と。いかに子供たちの学校登下校、特に下校時、心配をしているかというようなことがありまして、私の地元でも、各区の小学校に、小学校子ども安全ボランティア事業というのを打ち出したりして、東京としてしっかり子供の登下校時に通学路や地域内を安全ボランティアがパトロールや見回りをする、そうした服装をしたり、いろいろな工夫をしています。

 私は、もう少しここは風を送るというか、また全国のいろいろなふえているこういうところに支援措置、バックアップ体制をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 子供の登下校を含みます学校安全に関しまして、地域の方々がそれぞれの地域でいろいろな取り組みをしていただいている、非常にありがたいと思っております。

 私どもの方では、先生御案内のように、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業、その中で、各学校のボランティアの方に対する指導をするという方を配置する、委嘱をする事業を進めております。また、それぞれの地域の方々に対する研修を実施するという事業もしているわけでございます。

 さらに加えまして、各地域での先進的な取り組み、これを全国に発信するといいますか、共有していただいて、よりいいものに、普及啓発の足がかりを与えていこう、そういったことも考えているわけでございますので、このようなことを含めまして、各地域での取り組みを支援してまいりたいと考えております。

太田(昭)分科員 最後になりますが、子供の安全ということでは、地域ぐるみの協力のほかに、防犯の専門家とか警察などとの連携というものが極めて必要だ。国の事業の中でも考えられてきていると思うけれども、いま一度チェックして、さらにそうした連携強化というものを図っていただきたい、このように思いますが、今やっていること、そしてこれからどうするかということについて御答弁を願います。

小坂国務大臣 御指摘のとおり、防犯の専門家や警察等の御協力をいただくことはもちろんでございます。そして、御指摘のようにさらに強化しろということでございまして、文部科学省では学校と警察が連携した実践的な防犯訓練、防犯教室の実施などについて指導もしてまいりました。

 また、今年度より、防犯の専門家や警察官OB等の協力を得まして、各学校を巡回し警備のポイント等について指導していただくスクールガードリーダーの委嘱等を行う事業を拡充いたしております。これを改修し、またそれをさらに拡充するわけでございますが、十八年度の予算案におきましては、その拡充のために、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業といたしまして、平成十四年度の約倍、十四億の計上をしているところでございます。

 このようなことを中心といたしまして、文部科学省としては、今後とも、防犯の専門家や御指摘の警察などと積極的な連携を図りつつ、学校における安全対策の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。

太田(昭)分科員 ありがとうございました。

 終わります。

実川主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。分科会、私が最後の質問者ということで、どうかよろしくお願いいたします。

 私は、きょう、いろいろな分野の質問をさせていただきたいと思っておりますが、まず最初に、がん治療の医師及び技術者の養成の質問をさせていただきます。

 高齢化が進んで、将来は日本の二分の一の人はがんになる、三分の一の人はがんで死ぬ、このように言われております。これは、いわゆる高齢化ということと、人間、生物ということから、必然的なことなんだそうでございます。そういうこともございまして、公明党の中にがん対策本部というのができました。がんに国としてどう取り組んでいくかという政策提言をしようというグループですが、私もその中に入って勉強しておりました。そうしましたところ、ここは僕が頑張らなきゃいけないなと思う分野が出てきたんです。

 といいますのは、がんの治療には、いわゆる手術で切って取り去るという外科手法、それから抗がん剤等の内科手法、そして放射線を当てるという放射線治療、この三分野があるそうでございます。しかし、日本はこれまで胃がんが主流だったということもあって、これは手術が最も効果的ということは医学的にも証明されておりました。その分野が非常に主流であった。しかしながら、先進国といいましょうか、アメリカ等では、生活の多様化からいろいろな部位のがんがふえてきておりまして、がんの特性によっては、内科的手法もしくは放射線治療が非常に有効であるということもわかってきたそうでございます。

 もう一つ、日本は、根治を目指して徹底してがんと闘えということで治療しますが、根治が無理になったと判断した途端、その患者さんは見放されてホスピスケアの方に行くということだそうでございますが、そうではなくて、いわゆる緩和ケア、痛み等にもきちんと配慮しながら患者さんのクオリティー・オブ・ライフを保ち、生活を楽しみながら治療も闘っていくという緩和ケアもこれからは非常に大事であるということも勉強してまいりました。

 緩和ケアということになりますと、放射線治療というのが非常に大きな比重を占めてくるんだそうでございます。放射線の特徴は三つ言われておりまして、一つが低侵襲性。切らないわけですから、要するに体を傷めないということでございます。それから二番目が、臓器の機能や形態を温存できる。切らないわけですから、例えば乳がんや子宮がん等も形態を維持したまま治療できる。それから三番目、安価、安いということなんだそうです。これはびっくりしたんですが、私は陽子線治療や重粒子線治療というあの巨大な加速器を使ったイメージがありましたので高いと思っておりましたが、リニアックや密封小線源の治療というのが主体で、非常に安いということも言われております。

 そのようなことで、要するに、切らないし、痛くないしということで、お年寄りや完全に体が弱った方にもこの放射線治療というのは使えて、緩和ケアという意味でも非常に重要である、こういう勉強をしてきました。

 ところが、日本は放射線治療が世界で最もおくれている国。アメリカは例えば患者の六〇%は放射線治療を受けるそうですが、日本は二〇%だそうでございます。お医者さんの数も少ない、エンジニアも少ない、そういう中で放射線治療の養成をしていかなくてはいけないのではないか。

 私、実は放射線取扱主任第一種という放射線の取り扱いの資格も持っておりまして、ぜひこの分野で私の知識を役立てたいという思いで勉強をしてみようというふうに思い立ったわけでございます。

 まず最初に河本副大臣にお伺いいたしますけれども、文部科学省は、お医者さんを育てるという医学教育も責任がございますし、また、放射線医学総合研究所、いわゆる放医研も持っておりまして、ある意味では放射線治療の責任官庁でございます。その責任官庁として、今の日本の放射線治療のおくれ、これをどのように考えていらっしゃるかということをまずお伺いいたします。

河本副大臣 かつて小渕内閣の折に科学技術の総括政務次官をお務めになった斉藤先生から御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 取り組みについて所信を申し上げたいと思いますが、文科省としては、千葉市の稲毛に放医研というのがございます、御案内のとおりでありますが、放医研を初め、京都大学、群馬大学などにおいてがんの放射線治療に関する研究開発及び臨床応用を積極的に進めております。

 このうち、炭素線の重粒子線はがん細胞に対する効果がてきめんである、大変強い攻撃力を持っておるということや、患者さんの身体的、肉体的な負担が極めて少ない、さらにはピンポイントでがんを攻撃できるという特色、利点がございます。

 そして、重粒子線がん治療については、放医研において、これまでの臨床試験の成果に基づき、平成十五年に高度先進医療の承認を受けました。つまり、薬や検査、こういうものが保険の対象になったということでありますけれども、さらにその治療実績を積み重ねているところでございます。

 また、全国でも二番目の、粒子線治療センターというのを私のところの兵庫県でも五年前にオープンいたしました。供用開始になりました。やはりここも、昨年から炭素線が加わりましたことによって随分患者さんにも喜ばれており、目覚ましい成果を上げているという報告も受けております。

 文部省としても、今後ともこの重粒子線がん治療技術の高度化について一層取り組んでいきたいと思っております。

斉藤(鉄)分科員 ぜひお願いをしたいんですが、現実は、大学が八十あって、放射線治療の講座がある大学は十二大学だけだそうでございます。十九大学については、講座はないんだけれども放射線治療医がいる。しかし、いわゆる放射線診断学、放射線を使って、レントゲンとかPETとか、患部がどこにあるかという診断に放射線を使う、この診断と放射線を使って治療するというのは根本的に違うものだそうですが、放射線という言葉が同じですから同じ講座に押し込められていて、ボスは向こうの方で、治療ということには余り力を入れていない。そのほかの四十九大学は何もないという状況でございまして、今後、本当に日本のがん対策として必要になってくる医師、放射線治療医師というのを養成するのに喫緊の課題があるわけですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

石川政府参考人 ただいま斉藤先生から御指摘がございましたように、放射線治療機器あるいは放射線の生物学やコンピューターが大変発達しておりまして、がんを治せる可能性が非常に高くなってきております。そういった副作用の少ない放射線治療といったようなものが実現する一方で、放射線治療の卒前教育ですとか、あるいは卒後の臨床教育を専門に担当する講座を設置している大学は、ただいまお話がありましたように、必ずしも多いものではございません。むしろ、率直に申し上げて少ないと言うべきかと思っております。そういった環境でございますので、放射線の腫瘍医、専門的な腫瘍医が育ちにくい状況にあるという指摘がなされているところでございます。

 大学の医学教育におきましては、放射線の治療につきましても、学習の到達目標を定めました医学教育のモデル・コア・カリキュラムを踏まえましてカリキュラム改革を進めておるところでございまして、七十九の国公私立大学中、七十一大学におきまして放射線治療に関する教育といったようなものは実施をされておるところでございます。

 また、大学病院におきましては、二年間の卒後臨床研修を修了した医師を対象にいたしまして、日本放射線腫瘍学会認定医の資格を取得できる専門医研修、こういったものも実施している大学もあるところでございまして、こういった教育をこれからも充実することによって専門的な放射線腫瘍医の養成に努めてまいりたい、このように考えております。

斉藤(鉄)分科員 放射線治療医の養成も本当に大事、ぜひお願いしたいと思いますが、お医者さん全体に放射線治療のことについての知識を持ってもらうということも大事なんだそうです。

 アメリカあたりでは、外科的方法、内科的方法、放射線的方法、この患者さんにはどれがいいかということを、その三者が、ある意味では同じ立場で議論して、これまでのエビデンスからすればこういう方法をやろうということなんだそうですが、日本は外科的な分野が主流ですから、その分野のボスがいて、ほかの方法がいいのに、例えば前立腺がん等については放射線の方がいろいろな意味でかなりすぐれているということは学術的に言われているんですが、日本ではその世界のボスは外科、手術ですから、外科的手術を選んでしまう。その三つの手法の平等な、学問的に平等に議論するということができない体質なんだそうでございます。

 そういう体質を直すためにも、放射線治療のメリットから、もちろん、内科的、抗がん剤についてのことも、専門じゃないけれども、どういうところにそれが効くかということを知っておくということが非常に大切だということですので、ぜひそちらの教育もお願いしたいと思います。

 それからもう一つは、それを支えるいわゆる理学、工学出身者が、実は、アメリカ、欧米と、日本と決定的に違うんです。放射線治療を見ますと、日本は少ないんです。アメリカの五分の一しかありません。人口は二分の一なのにお医者さんは五分の一で、技師の数は三分の一ですけれども、いわゆる物理士、アメリカの放射線治療の場合は大体お医者さんと同数の博士号ないしは修士号を持った理学出身者、工学出身者がいて、例えば、放射線を当てたときに、その放射線が体内でどういう挙動をするかという計算はそのフィジシストがやるんだそうです。彼が計算をする。それに基づいて、お医者さんの知見とあわせて綿密な治療計画を立てるんだそうですが、このいわゆる理学、工学の立場から医師を助ける人の数は、日本は百万人当たり〇・三人、アメリカが九・一人、英国が八・一人ということで、これは三十倍、四十倍の違いになっております。そこが日本と決定的に違うところで、ここの部分、ある意味では、これから理学、工学を出た人が医学部門に出ていって日本の医学と産業力を強めていくということも非常に私は重要だと思うんですが、この辺についての教育は、高等局長、どのようにお考えでしょうか。

石川政府参考人 お話のように、放射線医療等を支える理学、工学分野の御出身の専門家、こういった方々の存在、そしてまた、そういう専門家の養成というのは大変大切であろうかと思っております。

 正確なお答えになるかどうかちょっと不安がございますけれども、我が国では、基本的には、放射線を使った診療については、先生も御案内のように、放射線治療に携わる診療放射線技師といったような方々が中心にこれを支えているような状況でございます。この放射線技師の方々については、短期大学や専門学校等でも資格取得が可能でございますけれども、文部科学省といたしましては、そういった支える方々の重要性といったことを十分頭に置きまして、より資質の高い技術者の育成を図るという観点から、診療放射線技師を養成する学科を有するすべての国立大学の医療技術短期大学部につきまして、平成十五年度までに、四年制の保健学科等へ改組、転換を図ったところでございます。また、公私立大学につきましても、そういった診療放射線技師を養成する大学の整備が着実に進んでおるところでございます。

 このほか、文部科学省におきましては、国公私立大学の病院に勤務する診療放射線技術者の資質の向上を目的とする研修を毎年実施いたしております。

 私どもとしては、安全で適切な放射線治療が行われますように、今後とも、大学におきますこういった診療放射線技術者等、放射線治療を支える人材の育成、そしてその資質の向上に努力していきたい、このように思っております。

斉藤(鉄)分科員 同じ講座の中に診断と治療と押し込められているという問題についてはどうでしょうか。

石川政府参考人 御指摘のように、先生のお話は、多分、がんの放射線治療という分野と、病巣等を放射線で診断するという部分が、同じような講座、同じような先生で担当されているんじゃないかという御指摘かと思っております。

 この二つにつきましては、先生今お話がありましたように、基本的には別の領域のものであろうと思っております。治療と診断ということだけとってみても、それぞれ別の領域かと思っておりますが、これにつきましては、いずれも放射線を使用するというようなこと、あるいは、これはかなり古い時代ですが、昭和四十年ごろに、医学部に設置すべき講座名を例示したりしておったことがございまして、そういったことなどから、医学部においては、放射線医学講座という名前のもとにこれらの二つの領域の教育とかあるいは人材養成が行われてきたもの、このように考えております。ただ、大学によりましては、一つの講座の中でそれぞれの教育がしっかり行われてきたというところもございます。

 しかしながら、現在では、先生御指摘のように、これらの二つの領域それぞれにおいて活躍する人材養成といったものの重要性が指摘をされてきております。

 そういったことから、大学におきましては、放射線治療に特化した講座を設置する例も出てきております。例えば奈良県立医科大学では放射線腫瘍医学講座といったものを設けておりますし、それから、講座の中に一つの部門として設置する例、例えば近畿大学では放射線医学講座の中に放射線腫瘍学部門、こういったものを設けるような例も出てきております。

 いずれにしても、大学における講座等の教員組織の編成というのはそれぞれの大学の発想とイニシアチブでつくられるものでございます。私どもとしては、こういった分野の重要性というものを十分認識していただいて、各大学で積極的な組織編成、取り組みがなされるようなことを期待しているところでございます。

斉藤(鉄)分科員 がん治療につきましては、以上申し上げましたような問題意識を持っておりますので、副大臣、政務官、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次に、話ががらっと変わりまして、法科大学院につきまして質問させていただきます。

 法科大学院、スタートして、いよいよ第一回目の司法試験が近づいてきております。

 当初、我々が、法科大学院、司法改革の一環としてこれを設計したときには、ここを卒業して司法試験を受けたら七割、八割合格するんだということで、いろいろな分野の人、出てきてくださいと。だから、理科系の人もかなりたくさん行っているんです。ところが、実際ふたをあけたら、どうも五割に到達しないような設計を、この司法試験委員会、法務省の方がしようとしている。これでは、これからの日本の高等教育の先駆の専門職大学院、法科大学院が失敗するのではないかと非常に危惧をしております。

 どの程度の合格率になるのか、また、専門職大学院の先駆として、法科大学院、ぜひとも成功させなきゃいけません。どのようにお考えになっているのかということをお聞きいたします。

石川政府参考人 法科大学院の第一回目の司法試験、そろそろ時期が近づいておりまして、まずその見通し等について私の方から申し上げさせていただきたいと思いますが、平成十七年の二月に法務省の司法試験委員会が示しました考え方では、新しい司法試験の合格者数の一応の目安は、平成十八年は九百人から千百人程度とされているところでございます。

 第一回目の新司法試験となります平成十八年につきましては、平成十六年度に入学いたしました法学既修者の二年課程の修了者、この方々が受験をする予定になってございます。その出願者数は、私どもで把握しておるところでは二千百三十七人ということでございまして、この数字から見ますと、合格率はおよそ四割強から五割強ぐらいのところではないか、このように見込まれているところでございます。

馳副大臣 平成十五年度に法科大学院制度ができて、同時に専門職大学院制度ができた。そして、平成十六年度に法科大学院がいよいよ入学者を迎えてスタートして、その最初の修了生がことしの三月。そして五月に新司法試験を受ける。そういう意味では、新しく法科大学院を修了した者が、やはり少なくとも五割、六割。

 我々、私も自民党の司法制度改革のメンバーにおりましたが、七割から八割の者がこういった教育機関、いわゆる高度な専門職業人を大学で養成する、つまり、専門的なことばかりではなくて、非常に全人格的なものも身につけて、そして高度専門職業人を大学で育成する、この本来の趣旨に、これがうまくいくかどうかは法科大学院制度がうまくいくかどうかにかかっていると思いますので、幾つかの予算的な支援というのはありますけれども、まずはこの法科大学院をしっかり軌道に乗せることが最重要であるというふうな認識を持っております。

斉藤(鉄)分科員 専門職大学院の先駆としてぜひ成功させたいと思っておりますので、引き続き我々も頑張りたいと思います。

 第二弾と言われている教職大学院について、どのようになっているのか、時間がないので端的に短くお願いします。

石川政府参考人 教職大学院の検討状況についてのお尋ねでございますけれども、現在、中央教育審議会におきまして、学校現場で実践力の育成をより重視するという観点から、教職大学院制度の創設を含みます教員養成、免許制度改革等について御審議をいただいておりまして、昨年の十二月に中間報告を取りまとめていただいております。

 この中間報告では、教職課程改善のモデルといたしまして、標準修業年限を二年間、修了要件は四十五単位以上の単位の修得ということで、うち十単位以上は学校における実習を義務化する。そしてまた、五年以上の実務経験を有する実務家教員を必要専任教員数の四割以上配置する。そして、市中の小中学校から連携協力校を設定するなどの特色を持ちます、教員養成に目的を特化した専門職大学院として、新たに教職大学院制度の創設が提言されているところでございます。

 中央教育審議会では、現在、答申に向けた審議が行われているところでございまして、文部科学省といたしましては、その答申を受けまして、専門職大学院の設置基準改正等、所要の制度の整備を進めてまいりたい、このように考えております。

斉藤(鉄)分科員 何年から始まるというふうに考えておけばいいんですか。

石川政府参考人 この教職大学院の具体的な開設時期につきましては、今後の答申に向けた議論等も踏まえて検討、対応してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)分科員 早急に御検討いただきたいと思います。

 次に、また話が変わりまして、ウラン残土の問題。

 これは、もう時間がありませんので経過を省きますが、税金の無駄遣いここにきわまれりということになっております。

 人形峠の近くです。だから、多少は放射性物質があるかもしれません。しかし、そのレベルは全く自然界と同じ。しかし、そのものを、裁判の結果、何億円というお金をかけてアメリカにまで持っていって意味のない精錬をして、また、残っている土についても、早く持ち出さなければ一日何万円払えという、裁判結果そのものが私は非常に非科学的なものだと思っておりますが、この問題、どうされようとしているのか。

 今はサイクル機構ではありません、原子力機構と国と地元、これは鳥取県知事、岡山県知事が当事者でございますが、よく話し合って、一日も早く正しい姿に、合理的な姿にする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

森口政府参考人 先生に御心配いただいておりますけれども、ウラン残土の問題でございますけれども、鳥取県の湯梨浜町の方面地区というところで、旧動燃事業団が方面の自治会と締結した協定、これをしっかり履行するようにということで地元の住民の方が事業団を訴えて裁判となったものでございます。

 これにつきましては最終的に判決が出てございまして、それに従って、現在の原子力研究開発機構が関係者といろいろな話し合いをしているという状況でございます。

 一部につきましては、今先生御紹介いただきましたように海外に持っていきまして処理をしてございますが、残る二千七百十立米につきましては早期に撤去が必要だということで、あらゆる方策を今検討してございます。

 我々文部科学省といたしましては、この問題についてしっかりと日本原子力開発機構を支援して、できる限り早期に解決したいというふうにただいま努力をしているところでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

斉藤(鉄)分科員 これは、私、国民の皆さんもこの経緯を知ったら、何たる不合理、全く意味のないことにお金を使わなくてはいけないという不合理を理解していただけると思うんです。ですから、そういう意味で、ある意味ではマイナス事象の宣伝というのはできないのかもしれませんけれども、今いかに不合理なことが進んでいるかということを国民の皆さんに知っていただく努力もぜひしていただきたいと思います。

 残された時間があと二分でございまして、二問、端的にさっとさせていただきますので、お答えをいただきたいと思います。

 第一問目は、太陽光発電衛星、これは宇宙開発でございますが、もう多く解説する時間がありませんので、解説しません。エネルギー問題、地球環境問題を解決するために、宇宙開発の一つの柱にこの太陽光発電衛星の研究を置くべきではないかという質問が一番目でございます。

 二番目の質問は、日本原子力学会という学術団体が、初等・中等教科書および学習指導要領におけるエネルギー・原子力の扱いに関する要望書というのを出されました。その根拠になっておりますが、この日本原子力学会の「原子力教育・研究」特別専門委員会が「高等学校、中学校教科書の中の原子力に関する不適切な記述例」というものを載せております。

 私もこれを読みましたけれども、非科学的な、反原子力的な不公平な記述がいっぱいございます。もう時間がありませんので具体例を言いませんけれども、これは明らかにおかしいのではないかということで、中立公正な学術団体がこのような要望書を出しました。これに対してどのような姿勢で臨まれるのか。この二点、お伺いします。

森口政府参考人 先生御指摘のございました太陽光発電衛星でございますけれども、これは、例えば衛星から地上へのエネルギーの伝送技術でございますとか、衛星を打ち上げる輸送コスト、こういったもので、いろいろと多岐にわたる技術課題がございます。これは、そういった観点から長期の研究が必要だというふうに考えてございます。

 現在、JAXA、宇宙航空研究開発機構におきまして、要素技術の研究に取り組んでおります。また、多くの課題の克服にはやはり産学官の連携が必要だということで、これもそういう形で取り組んでございます。

 そういうことで、文部科学省といたしましても、今後も引き続きまして、関係機関と連携をした上で、太陽光発電衛星の研究開発につきまして着実に取り組んでいきたい、そういうふうに思ってございます。

銭谷政府参考人 御指摘の件は、昨年の五月に日本原子力学会から中央教育審議会教育課程部会に提出をされました、初等・中等教科書および学習指導要領におけるエネルギー・原子力の扱いに関する要望書であると承知いたしております。

 専門的なお立場から教科書や学習指導要領について御指摘をいただいているわけでございますが、教科書検定の参考とするとともに、必要に応じて、教科書協会を通じまして教科書発行者にもその考え方を伝えておりまして、御指摘の点について適切に対応したいと考えております。

斉藤(鉄)分科員 時間が参りました。

 太陽光発電衛星、日本のエネルギー、環境問題にとって非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 教科書問題については、検定制度の立場上そのような答弁になるということはいたし方ないと思いますけれども、しかしながら、明らかにこれは間違った記述と考えてもいいようなものについてはしっかり指導していただきたい。このことを最後に要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川主査 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三月一日水曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時三分散会


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