衆議院

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第1号 平成20年2月27日(水曜日)

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本分科会は平成二十年二月二十五日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十六日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      河村 建夫君    中山 成彬君

      西銘恒三郎君    三原 朝彦君

二月二十六日

 西銘恒三郎君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十年二月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 西銘恒三郎君

      井脇ノブ子君    伊藤 忠彦君

      河村 建夫君    丹羽 秀樹君

      三原 朝彦君

   兼務 赤池 誠章君 兼務 亀岡 偉民君

   兼務 田端 正広君

    …………………………………

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   文部科学副大臣      松浪健四郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 井上 美昭君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        樋口 修資君

   政府参考人

   (文部科学省国際統括官) 木曽  功君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十七日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     伊藤 忠彦君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     丹羽 秀樹君   

同日

 辞任         補欠選任

  丹羽 秀樹君     井脇ノブ子君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     河村 建夫君

同日

 第一分科員赤池誠章君、第二分科員田端正広君及び第三分科員亀岡偉民君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十年度一般会計予算

 平成二十年度特別会計予算

 平成二十年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

西銘主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十年度一般会計予算、平成二十年度特別会計予算及び平成二十年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。渡海文部科学大臣。

渡海国務大臣 おはようございます。

 平成二十年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十年度予算の編成に当たっては、教育再生や科学技術・学術の振興、さらに、スポーツ、文化芸術の振興などの施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆二千七百三十九億円、エネルギー対策特別会計は一千四百七十四億円となっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 以上でございます。

西銘主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西銘主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西銘主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西銘主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)分科員 おはようございます。自由民主党の伊藤忠彦でございます。

 私からは、海外の日本人学校における外国人児童生徒の受け入れについてと、特に中東への教育協力につきまして、順次お伺いをさせていただきたいと存じます。

 現在、世界八十五カ所に日本人学校が設置をされております。これらの日本人学校は、現地に滞在する邦人の子弟のための教育機関として昭和三十一年にタイのバンコクに最初の学校が設置されて以来、平成十九年四月十五日現在では、世界五十カ国・地域に八十五校が設置をされており、約一万九千人の子供たちが学んでおると伺っております。

 現地の日本人会に設置され、運営されている学校でございます。この設立の趣旨からいっても、日本人学校の児童生徒は現地邦人の子弟が大半であることは当然のことと考えておりますけれども、その一方で、現在では、日本人学校で行われる教育内容の水準の高さや、日本人学校において日本語や日本文化、日本人の児童生徒と交流する機会を得ることが魅力となって、いろいろな地域において現地の子供を中心とした外国人子弟の受け入れの期待が徐々に高まっておる状況でございます。こうした今日的な現地の期待にこたえることも日本人学校の役割ではないかと私は考えておるところでございます。

 そこで、まず、日本人学校における外国人児童生徒の受け入れ状況がどのようになっているのか、お伺いをしたいと存じます。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本人学校は、国内の小学校または中学校における教育と同等の教育を行うことを目的として、現地の日本人会等が主体となって設立されたものでございまして、平成十九年四月十五日現在、世界五十カ国・地域に八十五校が設置をされております。これらの日本人学校において、外国籍のみを有する児童生徒は、二十二校に九十八名在籍をいたしております。また、これらの日本人学校の中には、現地のカリキュラムに沿って教育を行う国際学級などを併設している学校が四校ございまして、計五百五十八名の外国人児童生徒が在籍しているところでございます。

伊藤(忠)分科員 お話しのとおり、実は日本人学校の中には、現地のニーズにこたえて、国際学級を設置することによって外国人の受け入れをしているところがあるということは伺っておりましたけれども、五百五十八名もの生徒を受け入れているということについては、大変驚きました。

 これは、日本人学校の設立の趣旨あるいは運営母体、こうした人たちは現地邦人でございますので、この人たちの負担の中で外国人の子弟を受け入れるということは大変なことでございます。しかし、こうして現邦の人たちが骨を折っておられることに、まず深く敬意を申し上げたいというふうに思っております。また、その方向に導いていただいている我が国文部行政についても、このことについては極めて敬意を申し上げておきたいというふうに思っております。

 さてそこで、実は、外国人の子弟を受け入れるということになりますと、成功事例として特に日墨学院の話を常々耳にするわけでございまして、この日墨学院のことにつきましてお話を伺いたいと思いますけれども、この日墨学院においては、どのぐらい前から、どのような方式によって外国人の子弟を入れて子供たちの教育が行われているか、そしてまた、それによってどんな成果を上げておられるのか、少し詳しくお話をいただきたいと存じます。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 日墨学院、日本メキシコ学院は、昭和五十二年九月に設置された在外教育施設でございます。この学院には、日本人学校である日本コースと、メキシコの教育課程に準拠したメキシココースの二つのコースが設置されておりまして、日本コースには九十九名、メキシココースには四百三十二名の児童生徒が在籍いたしております。また、この二つのコースのかけ橋的な役割といたしまして文化センターを設置し、両国の文化交流の促進を図っているところでございます。

 具体的な交流内容といたしましては、日本コースではスペイン語、またメキシココースでは日本語の学習を行いますとともに、交流事業では、スポーツや文化紹介、七夕や折り紙、習字などの文化紹介を行うなど、さまざまな交流活動が行われておりまして、こうした活動を通じて日本とメキシコの児童生徒の相互理解が進んでいるものと考えているところでございます。

伊藤(忠)分科員 ただいま御説明がございましたけれども、そのほかにも私が伺っている限りでは、この日墨学院にはメキシコ政府高官の御子弟もお入りになっておられる。ややもすると、メキシコの大変高い地位の方の御子息と同級生として学びやにいて時間を過ごすということもあるわけでございまして、そういう意味では、メキシコにおけるこの学校の役割、大変重要なものがあるんだなということを改めて痛感させていただいているところでございます。

 さてそこで、日墨学院の成果にあるとおり、外国人の児童生徒を受け入れることによって、同じ学校で学ぶ私たち邦人の子供たちにとっても、国際性を豊かにすることはもとより、両国の児童生徒の相互理解が進んで、ひいては両国のかけ橋となる児童生徒を育てることになると思います。極めて重要な活動が既になされ始めているということだろうと思います。このため、さらに今後、日本人学校において、外国人児童生徒をあちこちの外国でも積極的に受け入れていくべきだと思いますけれども、このことにつきまして、文部科学大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

松浪副大臣 伊藤委員の御質問をお聞きしておりまして、大変ありがたい、こういう思いをさせていただきました。

 日本人学校への外国人の子供の受け入れにつきましては、日本人学校がより現地に開かれたものとなるという観点から、日本人学校自身に意義があると考えるほか、日本人の子供の現地理解や異文化理解を進めるなど、国際性の涵養を図る観点から意義があるものと認識しております。

 文部科学省といたしましては、所在国の実情等にも配慮しつつ、この配慮というのは、宗教的な面、また文化的な面、歴史的な面、こういうことでございますけれども、引き続きまして、日本人学校の設置者に対し、学校自身の意義を理解いただき、可能な限り外国人の子供の受け入れへの配慮を求めてまいりたい、このように考えておりますし、それらのことにつきましては、文部科学大臣の所信表明演説の中にもちゃんと述べておられますので、御理解賜りたいと思います。

伊藤(忠)分科員 ただいまは、つまり、これまで邦人教育として開設されてまいりました日本人学校も、現地においての子供たちの国際交流、こうした大事な役割を改めて担っていこう、こういう新しい方針を加えていただいたというふうに理解をさせていただきたいと思っております。

 ただし、先ほど来お話ありましたように、これは邦人会、日本人会によって開設されて運営をされているという側面がございます。そこで、外国の子供たちを入れるということになりますと、やはりどうしても金銭的な面でちゅうちょするところもあろうかと思います。実はここのところが、余りちゅうちょをしないでできるようにしていただく仕組みみたいなものも、将来にわたってはぜひお考えをいただければありがたいなというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げておきたいと存じます。

 さてそこで、次に今度は学校で教える先生のことについて一点お伺いをしておきたいと存じます。

 実は、私のおります愛知県は、二〇〇五年に万博を開催させていただきました。そのときに、万博の開催地でございました愛知県は、一市町村一国フレンドシップ制度と申しまして、出展国と各市町がそれぞれ仲よくすることによって、それぞれの地域で国際交流をもっと進めていきなさいという制度を行いました。そうして、今に至ってあちこちの市町が、本来的に言うと余り名前が知られていない国でも、その地域においてはさまざまな深い交流をしておられるわけでございます。

 ちょっと違う話ですけれども、JICAの青年海外協力隊という仕組みがございます。これを中部ではどんな手法でやらせていただいているかというと、特に学校教員出身で、しかもそれぞれの地域出身者に、フレンドシップの相手国で求めているところがあった場合はそれに当てはめて行っていただけるようにという配慮を今させていただいているところでございます。これでうまくして向こうに行きますと、やはりその人を拠点にして地域との国際交流もさらに進めやすくなる、こういうことなんでございます。

 そこで、日本人学校の外国人子弟の教育なんかも含めて、向こうにはやはり教員が必要になります。これは各都道府県から推薦を受けてお国で割り振っていくという仕組みになるわけなんですけれども、例えば、その国と姉妹都市関係の深い地方自治体から教員を派遣していただくような御配慮というものをこれからまた加味していただきながら、二重、三重にプラスアルファになるような仕組みもお考えをいただいてはどうかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に申しまして、派遣教員が、赴任先と日本人学校との交流活動などを通じて所属の都道府県、市町村の歴史や文化などを広めていくことや、帰国後にこうした交流の経験を教育の現場で活用することは意義のあることであると考えております。

 日本人学校への派遣教員は、文部科学省からの推薦依頼を受け、都道府県教育委員会などが教員の資質や定数などを勘案の上、候補者を選考、推薦し、この候補者の中から文部科学省がさらに選考を行い、決定をいたしておりますが、このような派遣制度のもとで、派遣教員などを通じた交流活動がより効果的なものとなるよう配慮してまいりたいと考えております。

松浪副大臣 私の方から答弁することであるかどうかわかりませんけれども、青年海外協力隊、JICAの派遣につきまして、派遣する、要請する国とうまくマッチングすれば、きちんとそういうことが可能であるかもしれませんけれども、姉妹都市の関係にあるそういう国だから派遣するということは、これは公平上なかなか難しいということを御理解いただきたいんです。しかし、要請する国側の職種、これがぴたっと一致すれば派遣も可能であろうか、こういうふうに思います。

 それと、今、金森局長からお話がありましたけれども、日本人学校での教員は、文部科学省が全体予算のおおむね八割を負担するということになっておりますから、その考え方からいけば、教員の二割も現地でもって採用しなければならないというようなことも起こり得ます。往々にして日本人学校では現地で教員を、これは非常勤という形が多いわけですけれども、採用しております。

 そういうふうな面で、例えばその姉妹都市、日本側が給料を出そうというようなことであれば、簡単にその日本人学校に、例えば伊藤委員の地元から教員を派遣するということは一〇〇%可能でございまして、問題はその給料をどうするかということにかかっているということをつけ加えておきたいと思います。

伊藤(忠)分科員 大変力強い、ありがたい方向性をお示しいただきましたので、文部科学省の皆さん、そして愛知県の教育委員会、さらには現地日本人会の構成のメンバー、そうした人たちともよく御相談を申し上げながら、できる限りそうしたことも含めて学校が開設されていくようにしていただければ、そんなふうに思っております。それは、私の地元だけではなくて、全国の皆さんにとっても同じことだというふうに思っております。

 さて、先ほどお話を申し上げましたとおり、ここからはちょっと中東への教育協力につきまして伺ってまいりたいと存じます。

 日本の教育協力に関連して、ついこの近年というのは、中東諸国が日本に対して、経済のパートナーとしてだけではなくて、文化や教育の交流について大変強い関心と期待を持っておられるということを伺います。

 実は、卑近な例でございますけれども、本日の夜、私の地元知多市からカタールという国に、カタール国が主催をいたします文化祭というものに出展をさせていただくべく、十二名の国際交流訪問団が出発をすることになっております。これも、カタール国の中で文化評議会の皆さんと御相談をしながら進めさせていただきまして、喜び勇んで向こうへ向かおうとしている、きょうこうして質問させていただくことになったわけですけれども。

 実際、昨年の四月から五月にかけまして安倍元総理が中東五カ国を訪問されましたけれども、その際に、カタール、UAE、エジプト等の国々において日本の教育に高い評価がなされ、日本人学校への現地子弟の受け入れや大学設置構想等々、教育協力が求められているところでございます。

 中東諸国からの協力のニーズにこたえることは、二国間の友好親善関係の構築からいっても、さらにまた中東の和平に対して私たちの国が果たすべき役割等々から申し上げましても、大変重要なことだというふうに私は思っております。中東への教育協力について、今後力を入れて進めていくべき課題だと思いますけれども、この件につきましての文科省としての御見解を伺いたいと存じます。

木曽政府参考人 現在、カタールやアラブ首長国連邦といった中東諸国から、日本語や規律、しつけ等を教えるなどの日本方式による教育への関心が高まってまいっております。

 例えばアブダビでは、もう四年ぐらい前から、ムハンマド皇太子からアブダビ子弟の日本人学校での受け入れ要請がございます。昨年度から、アブダビ日本人学校幼稚部において現地子弟の受け入れを始め、現在三名が在籍しておるところでございます。

 また、エジプトにおきましては、平成十七年にエジプト政府から、エジプト及び中東・アフリカ全域における科学技術分野の人材養成拠点となるエジプト・日本科学技術大学の設立構想への協力要請がございました。現在、両国政府で実施に向けた協議を行っているところでございますが、来月にも、大学関係者を含む日本政府調査団を派遣する予定でございます。

伊藤(忠)分科員 特にカタールについてお伺いしたいと思いますけれども、従来よりハマド首長から、日本式学校の設立に対する要望が大変強くございました。

 平成十五年の五月に当時の与党三幹事長が中東を歴訪された際にも、ハマド首長から日本式学校の設立について強く要請を受けたと伺っております。昨年、安倍元総理がハマド首長と会談をされた際にも、日本式学校の設立に向けて日本にさらなる協力への期待が表明をされたところでございます。本年二月には、本構想の実現のために松浪文科副大臣自身がカタールを御訪問されたとも伺っております。

 現在、ハマド首長が希望されているカタールにおける日本式学校の設立につきまして、どのようなプランがどこまで進行しているのか。そしてまた、松浪副大臣自身にもぜひお伺いをしたいのですけれども、御訪問の際、タミーム皇太子を初めとするそれぞれの皆様方にも直接お話をされたと仄聞をいたしておりますけれども、どのような成果となっておられるのか、お伺いをさせていただきたいと存じます。

松浪副大臣 ハマド首長の希望を何としても実現しなきゃならない、我々はそう考えておりますし、日本人のための学校、これもまた日本人会の中で強い要望がございます。それとカタール人のための学校を併設して、学校行事を合同で行おう。また、可能なものにつきましては、共同の授業、学習を行う学校を両国の共同事業として設立する、この検討を我々は本格的に行っておるところでございます。

 委員仰せのとおり、二月の初めに私はカタールを訪問させていただきまして、カタールのタミーム皇太子殿下ほか要人に、本構想と、共同事業にかかわる応分の負担が必要であるということを御提示させていただいて、賛同をいただきました。

 今後、この構想を推進するために、外務省並びに経済産業省ともに、本件の検討作業部会におきまして具体的検討を引き続き行うとともに、カタール側とも十分協議していくところでございます。カタール側の責任者を決めてほしいという強い要望を出しておりましたけれども、昨日、カタール側から、責任者、代表者が決まったという連絡を文部科学省にいただいたところであります。

 平成十五年の五月に、当時の自公保、与党三幹事長、自民党の山崎拓幹事長、公明党の冬柴鐵三幹事長、そして保守党の二階俊博幹事長、三人が訪れた際、ハマド首長から、カタール人向けに日本式教育を行う学校の設立を強く要望されまして以来、懸案となっておりました日本式教育を実現するため、私はこの前訪れて、先ほど申し上げましたように、タミーム皇太子、マフムード教育大臣、アティーヤ副首相、そしてブアイナイ外務次官らと会談をさせていただきました。

 皇太子殿下との会談におきましては、日本人のための学校とカタール人のための学校が併設されて、可能なものについては共同の学習を行う、先ほども申しましたけれども、これを両国の共同事業の学校として設立する構想、そして応分の負担、このことについてきちんとお話をさせていただいて、御賛同をいただきました。ですから、両国は相互の理解をきちんとした、こういうふうに認識しております。

 長年の間、具体的な進展を見なかったわけでございますけれども、今般、渡海大臣の御理解をいただきましてカタール訪問をさせていただいて、大きく前進した、このように思っておりますし、大変有意義であった、このように思っております。本構想の早期実現のために、これからも精いっぱい努力してまいりたい、このように思います。

伊藤(忠)分科員 ちょっと一点、私の仄聞している話が正確かどうかということもあるんです。松浪副大臣がカタールを御訪問いただいたことによってこの件が極めて大きく前進をしたことに敬意を申し上げる次第でございますけれども、さて、具体的に開校の予定が、どうも来年の四月の一日を目指しておるやに聞いておりますけれども、この点、いかがでございましょうか。

松浪副大臣 とにかくできるだけ早く、スピードを上げて、そして前向きに取り組んでまいるということでございます。

伊藤(忠)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 私は、今どき日本式教育というものに対するこうした評価をいただいていること自体については、大変ある種不思議な気持ちもしております。というのは、日本の国内では、私たちの教育の方針、やり方等々についてこれほど大きな議論が起こっている中において、海外からあなたたちの国の教育の仕方はすばらしいと言われることについて、私は非常にこそばゆく、どこがいいところなのかもう一回僕たちに教えてほしいという会話をさせていただきたいなと思いますし、例えば、こうして開設されることになるカタールにおける日本人学校の四、五年の評価をまとめてまた未来においては聞いてみたい、そのことをまた自分たちの糧にしていくことができればいいなと。

 そういう意味でも、今度の確認の作業、そしてこつこつと進めてこられた関係者の行動に本当に感謝を申し上げ、評価を申し上げたいと思うんです。

 これから設立をされる日本人学校、日本式学校、併設されるこの学校につきまして、より多くの現地の児童生徒が日本式教育を享受できるように、そしてまた現地邦人の社会としても、すばらしい学校ができて、定着する日本人、活躍する日本人の拠点たるこの学校につきまして、ぜひしっかりと、着実に成果を上げるスタートに立てるところまで持っていっていただきたいと思うわけでございますけれども、本構想につきまして、文科大臣の御決意をちょうだいし、私の締めくくりとしたいと思います。よろしくお願いします。

渡海国務大臣 実は私も、昨年、ケープタウンの地球観測サミットに行く機会がございまして、トランジットでドバイに五時間ぐらいおりました。

 そのときに、現地の波多野大使、UAEの大使でございますが、来られまして、実はこの幼稚園における教育の話を熱心にされまして、初めは、何のことかなと聞いておったわけでありますが、帰ってきていろいろ調べてみますと、この中東地域が今日本の教育に対して非常に興味を持っているということがよくわかりまして、このことは、やはりしっかりとスピード感を持って進めなきゃいけない。

 制度上いろいろあります。時間が限られておりますから多くは申しませんけれども、例えばこのアブダビのプロジェクトというのは、先生は実は経済産業省の予算で送っていただいている。我が方は、先生を選ぶといいますか、いい先生を探すということをお手伝いしている。

 最近、行政改革で縦割りとよく言われていますが、こういうことが起こっていることが非常にまずいわけでございまして、我々は、やはり省庁を超えてこれは協力すべきだということで、官邸もこの教育のODAということは非常に熱心でございますから、早速、経済産業省、それから文部科学省、外務省、この三つの事務方の連絡会議というものをつくっていただいて、より促進をした、こんな経緯がございます。

 やはりここは政治がリーダーシップを発揮して、そういったことをスピード感を持っていくということだと思うんですね。ここがネックがあるからというんじゃなくて、それをどう外すか、そういうことであろうと思いますから、しっかりとやっていきたい。

 それから、冒頭、伊藤委員が言われました、今なぜ日本の教育がというのは、私も最初感じたんです、実は。ただ、いろいろ聞いておりますと、例えば、やはり文化が違いますね。それからいろいろな意味での習慣が違っている。やはり向こうではないものを日本人の学校が持っている。単純な話なんです。朝、先生に会う、おはようとあいさつをする。そしてちゃんと自分で靴をそろえて、そして例えば体操の授業になれば洋服をちゃんと自分で着がえる。これは向こうはみんな、どういうんですか、メードさんというんですかに子供のころからやってもらっているわけですから、そういったことがやはり子供として必要なしつけであるというふうなことが非常に評価されているようでございます。

 現地の日本人の子供と入ってきている生徒もすぐ溶け込んで、そういった意味では本当にいい交流ができていると思いますし、このたびアブダビの皇太子が年末に来られまして、向こうは今度は基金を積んでいただくということで、その基金の中から向こう側の運営費もちゃんと出すというふうなこともおっしゃっていただいておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、国際的にも、たしかフランスは大学まで出すと言っていますから、こういうことも含めて、我々は日本の役割というものをしっかり果たしながら、しかも日本にとっても有意義な協力というものを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

西銘主査 これにて伊藤忠彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、田端正広君。

田端分科員 公明党の田端正広でございます。大臣には、大変に御苦労さまでございます。

 私は、きょうは文化財の保護についてお尋ね申し上げたいと思います。

 昨年の、ちょうど一年ほど前の衆議院の決算委員会の分科会で、実は私の地元、大阪大東市の平野屋新田会所、この文化財を保存すべきだということをここで申し上げたわけでありまして、当時の伊吹大臣、そして当時の文化庁の次長からも、これは非常に歴史的に価値のある文化財だから保存すべきだという大変力強いお言葉をいただきました。

 これは、実は大阪の場合、大和川というのがありますが、もともと大和川は、本当は淀川に流れていたものを、堺市を通って大阪湾にそのまま直接行くということで、三百年前、一七〇四年につけかえ工事をされた。つまり、大和川のはんらんがずっと続いていて、それで河内平野というのが本当にいつも水浸しになっているという状況であった。それを、大和川のつけかえによって、河内平野が米どころに変わるわけですね。新田開発がこれで一気に進んで、今日の大阪発展の土台になったという大変歴史的な意味のある新田開発。

 ここにはたくさんの新田ができまして、隣の東大阪市には鴻池新田会所がありまして、これは指定も受けて、文化財として今日きれいに、見事に保存され、私も先般視察をさせていただきました。この鴻池新田と平野屋新田がわずか二キロ足らずのところにあるんですが、この二つが相まって河内平野の新田開発の大きな原点になったと言われているわけで、学問的にも大変大事な文化財であった。

 昨年来、これが競売にかかりまして、開発業者がそれを落として、そして開発業者と大東市の間で折衝を一年間やってきたんですが、ついに折り合いがつかなくなって、一月中ごろから二十日ごろにかけて取り壊し作業が行われました。我々も驚いて、何とかと思っていろいろやってみたんですが、しかし、これは交渉事でうまくいかなかったということで、開発業者がこの平野屋新田会所、会所というのは事務所、建物ですけれども、その建物の長屋から母屋から全部壊し作業が始まりまして、全部ぶっ壊してしまった。本当に残念なことで、もう二度と、この文化財が消えてしまったわけであります。

 しかし、市の方が一生懸命折衝して、何とかそこにある資料とかそれらのものは全部いただいて、そしていつでも保管できる状況にはなっているようであります。しかし、建物そのものは、もうなくなってしまった。

 これは大変広大な敷地ですが、その周りに堀跡がありまして、一方には銭屋川という川が側面に流れていまして、そこに船着き場の跡地があります。こういうものは今でも歴史的にきちっと保存ができるわけで、お堀跡あるいは船着き場の跡というものは、仮に建物がなくなったとしても、文化財としての平野屋新田会所がここにあったんだということでは、これは大変今でもまだ重みはあるということであります。

 そういうことで、先般、文化庁の方々にも来ていただいて、大東市、大阪府、そして地元の町会の方々、あるいはこの守る会の方々、大学の先生等々、我々も入らせていただいて、市会議員団等々、いろいろな場で協議を行い、現地視察もし、やりました。そこで、何とかここにあったんだというそのものを残せないかという最終的な結論になったわけでありますが、そういう意味では、建物そのものはなくなったわけでありますけれども、何としても私は、これはぜひお願い申し上げたいと思います。

 昨年、伊吹大臣は、大東市が史跡として申請されれば、文科省としては、文化財保護法の規定に従って文化審議会にお願いして、重要なものであるという認定をいただければ指定する、こういうふうにもおっしゃっておりますし、文化庁次長は、この遺跡は、江戸時代の新田開発、新田経営の歴史を知る上で歴史的価値があるというふうに考えている、こういう答弁もいただき、そんなことで、何としてもという思いであったのですが、ここに至ってしまったという意味では非常に残念でございます。現地を私も見てまいり、もう見る影もなく何もなくなって、すごく木がいっぱいあったんですが、それも伐採されまして、本当に残念なことでございます。

 そういう意味で、なかなか大変なことになっているわけでありますが、まず、この問題について今後どういうふうにされていくのか。特に、こういう文化財が全国ほかにもたくさんあるんじゃないか。開発業者に渡ってしまったら、もう打つ手がないわけでありますから、未然にそういったことの、これを教訓にしてまずひとつ考えるべきじゃないかと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

高塩政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話ございましたように、平野屋新田会所跡につきましては、私ども文化庁におきましても、大阪府の教育委員会とともに、大東市における保存のための努力に対しまして協力を行ってきたわけでございますけれども、建物の解体に至ったことはまことに残念なことと考えております。

 その一方で、現在でも平野屋新田会所跡の敷地やその周辺に堀跡などが残っておりまして、大東市教育委員会並びに大阪府教育委員会におきましては、現地調査や所有者との協議などを通じまして、残された平野屋新田会所跡の保全を図っていくための努力を続けられているというふうに伺っているところでございます。

 先生御質問ございました、こうした事案に対しまして文化庁としてどうするかということでございますけれども、この事案を踏まえまして、文化庁といたしましては、早い段階から国と都道府県、さらには市町村が連携をとりまして、例えば、開発業者の手に渡る前に公有化を図るなどの対応をすることが重要であると考えております。

 先般、二月の八日になりますけれども、文化庁から全国の各都道府県教育委員会に対しまして、現在は未指定でございますけれども、将来的に国の史跡名勝天然記念物の候補と考えられる記念物でありまして、周辺の開発状況や所有者の意向などによりましてその保存に危惧があると考えられるものにつきましては調査を行っているところでございまして、今回の件を踏まえまして、文化財の保全に一層努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

田端分科員 ぜひ、全国にそういう累が及ばないようによろしくお願いしたいと思います。

 まず、この平野屋新田会所については、これは先般、一月の十七日と伺っておりますが、大阪府の教育委員会が周知の埋蔵文化財包蔵地ということで登録をされたということでありますから、その登録に従ってきちっと発掘調査をしていただいて、そして今後どうすべきかということについての協議のきっかけにしていただきたい、こう思うわけです。

 だから、これは、業者の手には渡っているものの、埋蔵文化財の包蔵地ということで登録をされたわけですから、きちっと調査をしていただいて、そして、その調査にどのぐらいお金がかかるかわかりませんが、文科省からもちゃんと支援していただいて、大東市が史跡調査をきちっとされる、そして、した上でこれをどう残すかということをぜひお考えいただきたい。

 私は、その一角、例えば、十坪でも二十坪でもいいんですが、それを買い取っていただいて、その一角に記念館とか資料館とかそういったものをつくって、ここにそういう大変な史跡があったんだということがわかるような、全体のものはなくなった、しかし、そこには写真等も掲載できると思いますから、そういったものもぜひつくっていただいて、何としても、ここにあった新田会所というものをぜひ市民にわかるような、国民にわかるような、そういう文化財保護のぎりぎりの努力をなおお願いしたい、こう思っておりますので、大臣、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

渡海国務大臣 これまでの委員会におけるやりとりの経緯等につきましては、私も読ませていただきました。今も次長の方からお答えをいたしましたが、買い取るべく努力を大東市がされていた、それがうまくいかなかったということは大変残念なことだというふうに思っておりますが、なお埋蔵文化財ということで今努力をされているということに対して、高く敬意を表したいというふうに思っております。

 その上で、文部科学省として、この埋蔵文化財についての調査、また広報なり普及活動というものについて、可能な限り支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

田端分科員 話はかわりますが、二月の十八日だったかと思います、先日、政府の中央防災会議で、国宝が大変だという発表がございました。大臣も関西ですから関係が深いと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 東南海・南海地震が発生する前後には直下型が起こるであろうと。近畿圏における活断層、直下型の起こるところが五カ所ほどあるんですが、その中でも花折断層帯というのが一番大変だ。これは、京都を中心に、滋賀県の一部もひっかかっておりますが、そういう形になっています。ここがもしマグニチュード七・四クラスの被害が起こればどういうことになるかと申し上げますと、下鴨神社を北にして、二条城、それから銀閣、清水等々、ずっといきまして、大変な被害になるということがここで発表されています。これでいきますと、もう本当に、平等院、宇治までずっといくわけでありまして、大変な状況になろうかと思います。

 この地帯に関係する国宝、重文の建造物、合計二百五十五件が被害に遭うであろう、こういうふうに言われておる。滋賀県の方でも、石山寺等五十四件、これらが倒壊あるいは延焼等々、こういったことになるのではないか、こういうことが言われています。

 それからもう一つ、大阪の上町断層ですが、これがまた大変な状況でありまして、上町断層というのは、私は今そこに住んでいるわけでありますが、大阪城等を中心に上町断層があります。この上町断層は人的被害がまためちゃくちゃすさまじいことになるんですが、建物倒壊九十七万棟、死者四万二千人という状況の中で、マグニチュード七・六の上町断層で、ここにはまた重要文化財、国宝等がいっぱいありまして、私の地元に住吉大社とか四天王寺とか、大阪城もそうですが、そういった文化財がたくさんございます。そういう意味では、ここも七十八件の重文、国宝が被害に遭う、こういうことが言われております。

 私は、こういう重要文化財とか国宝クラスのものというのは、これは何百年もたっている建物であったり国宝であったりしますと、非常にこういう地震には、ちょっとしたことでも傷ついたり、あるいはひびが入ったりとか、あるいは、建物の場合、倒壊、半倒壊等、そういう影響が大変大きいんではないか、こう思います。

 そういう意味で、これらの古い建物に対しての耐震補強、新たな技術を用いて、これは何か考えてやっていかないと、今はそれなりにといいますか、そういう大きな地震が来ることを想定した対応をそれぞれの文化財の所有者の方がやっているとは思われませんので、ここのところをどうかひとつ御検討をお願いしたい、こう思っているわけでございます。

高塩政府参考人 耐震補強の件でございますけれども、重要文化財は、先生御承知のとおり、一般の建築物と異なりまして、歴史的な意匠や工法、さらには建築技法など、文化的な価値を保ちながら耐震の補強を行うという困難が伴うものでございます。このため、私どもで、国庫補助事業で文化財の根本修理、いわゆる解体修理などの機会をとらえまして、慎重に耐震補強工事を行うことというふうにしておるところでございます。

 文化財所有者が国庫補助事業によりまして保存修理事業を行っておりますけれども、そのうち根本修理につきましては、建造物の構造的な劣化部分を含めて修理するものでございまして、それによりまして、結果的に一定の耐震性能の向上が図られているというふうに認識いたしております。

 今全国に建造物の重要文化財は二千三百二十八件ございますけれども、これまで約半数の物件につきまして根本的な修理を実施いたしまして、一定の補強がなされているというふうに考えております。

 文化庁といたしましては、引き続きまして、これまでの施策を通じまして、国宝、重要文化財の耐震性の向上に努めまして、貴重な国民の文化財でございます文化財の保護に努めてまいる考えでございます。

田端分科員 文化庁自身でも御努力されると同時に、それぞれの都道府県、市町村とぜひ協議をしていただいて、この建物はこういうふうにした方がいいとか、そうすべきだとか、またこの耐震補強に対する財政的支援等も積極的にやっていただいて、私は、この中央防災会議の発表というのは、これは相当のおどしになっていると思うんですよね。

 私の住んでいる西成区なんというのはもう倒壊戸数がめちゃくちゃ多いんですけれども、そんなおどすだけで対策を立てないというのは、これは国としてなってないんじゃないか、こう思うわけです。だから、発表して、こういうことが起こる可能性があるというんだったら、それに対して、財政的支援も含めて、国はここまで頑張って支援しますよ、また、こういう対策をとった方がいいですよという実際の対策に充てていただきたい、こう思うわけですが、もう一度、そういった意味でも答弁をお願いします。

渡海国務大臣 実は、私もその防災会議に出席をしておりまして、もともと私は専門は建築でございますから、木造は余り強くないんですが、ある意味ショックを受けまして、いろいろわかる範囲で調べてみました。

 あの日の最大の問題は、極論すれば、耐震というよりやはり火事の方が大変だねということだったと思います。倒れた建物というのは、木造は柔構造でございますから、倒れても割と復元が容易であると。ただし、火がついたらどうしようもない。ちょうど南大門の火事もありましたし、そんなことも含めていろいろと議論があったわけでありますが、やはり歴史的建造物の耐震というのは非常に難しいようでございます。

 ただ、難しいと言っていてもこれは物は先に進まないわけでありますから、今後、いろいろな専門家等の話ももっと私自身も聞かせていただいて、そしてやはり文化行政を預かっているわけでありますから、どういうことをやらなければいけないのかということについて、少しだけ時間をいただいて検討させていただきたい、そんなふうに思っております。

田端分科員 ぜひ、新しい技術開発等も含めて御検討いただきたい、こう思います。

 次に、私の地元の小学校のことでお尋ねしたいと思います。

 大阪市西成区に萩之茶屋小学校というのがあります。大正時代に設立されたもので、歴史的には創立八十九年という大変伝統のある小学校でございます。

 難波の駅から二つ目ですから、大阪市のど真ん中と言っていいんですが、ただ、残念なことに、この地域はあいりん地域であります。あいりん地域で、しかも、あいりんセンターの隣にあるのがこの萩之茶屋小学校であります。

 それで、今全校生徒が七十二名、六学年で七十二名ですから、一学年十数名ということになります。この間も校長先生が言っておりましたが、新年度二十一名とか二名、ことし入学の予定であった。それで、その入学する子供さんの健康診断が先日行われた。そして、健康診断で父兄を伴って子供さんが来て、そして環境を見て、これではうちの子をやるのは嫌だといって、五、六人減って、十五名とかなんかに今度の四月入学が減ってしまった。こういう状況が続いていったら、この町から子供がいなくなってしまう。無理してほかに住所を移して転校していく、こういうことになっているということであります。

 これはどういう状況かといいますと、まずホームレスがたくさんいます。それで、学校の塀のところに屋台がばあっとあります。真っ昼間から酒を飲む人たち。そしてまたカラオケ。だから、カラオケの声が学校の中に聞こえてくる。そして、なぜかわからないんですが、ホームレスが飼っていた野犬がいっぱいいるんです。要するに、ホームレスが寂しいから犬を飼っていた。しかし、生活保護とかなんとかで場所を移られたときに、犬はそのままほっておいた。それがふえていって、うろうろたくさんいます。それで、学校の先生も子供さんも、かばんをかまれたとかそういったことも頻繁に起こっているわけでありますが、こういう状況です。

 もっとひどいのは、屋台で覚せい剤の密売をやる。だから、変な兄ちゃんがこの辺の周辺にうろうろいるという状況であります。正直言って、私が通っても、ちょっとちょっとと声をかけてくる、こういうふうな状況でありますから、相当に深刻な環境であります。

 そういう中で、子供さんが通学することについては、もう校長先生初め教職員、あるいはPTAの方々、大変な苦労をされ、見張り番で一生懸命やっていただいている。しかし、親御さんにすれば、やはりもうちょっと環境のいいところにということで、だから今六学年合わせて七十二名という状況でありますから、これは大阪市の町の真ん中で七十二名の市立小学校なんというのは、もう考えられないことになっています。

 そこまでなっているということに対して、これはひとつ文科省としても、義務教育の小学校、公立の小学校でそういう状況になっているということについて、深刻に私はお考えいただきたいな、こう思います。

 それで、先般、西成警察の方々ともお話をさせていただいて、ぜひ地域と警察との間でも連絡会議等も持っていただきたいということを申し上げましたが、まず学校警察連絡会議みたいなものを定期的に開いていただいて、事件、事故が起こらないように、子供の安全が担保されるような、そういうことをしっかりとやっていただきたい、こう思います。

 まず、その点について、これは警察庁になりますか、お願いしたいと思います。

井上政府参考人 通学路を含めまして、子供の安全を確保するためには、警察、学校、地域社会が一体となって取り組みを強化することは極めて重要であると認識をしております。

 御指摘の大阪・あいりん地区について、大阪府警察におきましては、周辺地域のパトロールを行うほか、登校児童への声かけ、見守り等の活動を行うボランティア等とも連携をして、通学路における子供の安全確保に努めているところでございます。

 警察におきましては、引き続き、地域住民の不安感を払拭するため、通学路周辺のパトロールを強化するとともに、警察、学校、PTAから成る意見交換会の場も活用しながら学校等の関係機関と連携をして、通学路を含めました子供の安全確保に努めてまいりたい、かように考えております。

田端分科員 それは当然そういうようにやっていただきたいと思います。

 もう一つは、ちょっと提案しておきますが、例えば、学校の正門近くあるいは屋台の近くのところにパトカーをとめて、何人かそこにいてもらいたいんです、ずっと。それは二十四時間おれということじゃないんですが、やはり、例えば二時間でも、登下校の一時間ずつでもいるということ自体がこれはもう大変大きな抑止力になると思いますから、一回検討をお願いしたいな、こう思います。

 それで、大臣、こういう環境、これは文科省だけの問題じゃありません。この地域の問題、あるいは大阪市にもいろいろやっていただかなきゃいけないし、私は、とりあえず今、町をきれいにすること、町をきれいにして、きれいな町になれば犯罪が減ってくるという意味です。

 そして、今簡易宿舎がいっぱい、簡宿と言われているのがたくさんありますが、今ここが、外国人がたくさん来るようになりました。一泊三千円ぐらいで、個室になっていて、シャワーがついているということで、非常に外国人客が来るようになった。これはもう大変いいことだという意味で、推進していきたいと思います。

 それからもう一つは、ここの周辺にも、かつて暴動が起こった地域でありますが、今二十四時間スーパーといいますか、コンビニが三つも四つもできておりまして、今はそういったことの起こらないような、治安的には非常によくなってはきているんです。きているんですが、しかし、今申し上げたような社会環境であるということについて、これはもういろいろな角度からやらなければこの対策はできない。まして、子供さんがそこに毎日行き来するということになれば、親御さんにすれば、それはやはり、本当にきょうも大丈夫だったかなという思いをずっとされる、こう思います。

 今、子供の犯罪等もたくさん起こっておりますが、そういった意味で総合的にやらなきゃならない問題ではありますが、しかしここまで小学校が追い詰められているということに対して、ぜひ意識を持って見ていただいて、そして今後どうするか、また大きな立場から御検討のほどお願い申し上げたいと思いますが、最後に大臣の御決意をお願いしたいと思います。

渡海国務大臣 これは特に義務教育でございますが、子供にしっかりと教育の機会を与える、また親が受けさせるというのは、憲法二十六条に決められた国民の義務と権利でございますから、しっかりその環境を整えるのは我々にとって重要な問題だというふうに思っております。

 学校でできること、また警察にお願いしなきゃいけないこと、そして設置者である自治体にお願いしなきゃいけないこと、こういったことをいろいろと協力をしてやらなきゃいけないというふうに考えますが、私どもの方からも、設置者に対して、都道府県教育委員会も通じて、今度はまた教育に熱心な新しい府知事さんが誕生されたわけでありますから、しっかりと地元の環境を整えるように我々の方からも指導してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

田端分科員 ぜひよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

西銘主査 これにて田端正広君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

西銘主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。丹羽秀樹君。

丹羽(秀)分科員 自由民主党の丹羽秀樹であります。

 きょうは、大臣もお忙しいところ、質問の時間をお与えいただきまして本当にありがとうございます。

 一昨年、教育基本法の改正が約六十年ぶりになされました。これは、新たな時代に求められる公共の精神、また豊かな人間性と創造性、さらには伝統の継承という未来を切り開く教育理念が非常に明確になり、さらに、昨年には教育三法も成立いたしました。小生は、これにより、教育の再生は順調に進んでいくのではないかと考えております。

 そこで、今回は、この教育というものを食育の観点からとらえて質問をさせていただきたいと思っております。

 最近、昨日もたしか新聞に載っていたかと思うんですけれども、おはしやお茶わんを正しく持てない子供たちがふえている、教育の現場ではそういったことが問題になっていると話を聞いております。私も一歳半の子供がおるわけでございますが、小さいときからハンバーガーとかお菓子ばかりを食べておりまして、はしとか、そういうのをもう使わなくなってきている。もちろん、ハンバーガーやお菓子を私は否定するつもりはございません、私もたまに食べますので。そういった中で、お茶わんとかおはしの持ち方というのは、人として、人間として生まれて自然に身につくわけではなくて、やはりこれは教えてもらって、家庭内で教育されて身につくものである、私はそのように考えております。

 ただ、ましてや、現在の家庭環境とか家族形成というのが昔とは違ってきている、そういう世の中でもあります。親も子供たちと食事をする機会も、大臣を初め我々もなかなかそういった機会に恵まれないと思いますけれども、家族全員で食事をする機会というのも最近の核家族化の中では非常に減ってきている、そのように考えております。

 それだけではなくて、地産地消という分野におきましても、子供たちが今自分たちが毎日食しているものがどのようにできているか知らない。これは笑い話じゃないですけれども、魚の切り身がそのまま泳いでいると思っている子供たちとか、食べ物に対するありがたみを理解できないというような、そういった状況でもあると思っております。

 私は今、農業問題の方の重要性に一生懸命取り組んでまいりましたけれども、これはもはや農業問題だけではなくて、教育や環境といったさまざまな分野が密に連携し合って、協力し合っていかなければならない問題であると考えております。

 少し言葉の話をさせていただきますが、日本語でおはようございますというのは、英語ではグッドモーニングといいますよね。同じく、こんにちはというのはハローになりますよね。御飯を食べるときに必ず言ういただきますというのは、さながらこれを英語で直訳するとレッツイートになるわけでございますが、しかし、このいただきますとレッツイートでは、全然ニュアンスが違うんですよね。いただきますという言葉の中には感謝の気持ちが入っていると私は思うんです。これは、物に対する、食事をつくってくれた人、また食材の生産者、さらには食材自体への感謝の気持ちが、言葉によっても芽生えてきたり、生まれてくるのではないかと考えております。

 このようなことは、本来であれば家庭で教育されなきゃいけないことだと思っておりますが、最近は、家庭教育も一部欠如している部分があるというのが今の状況であると考えております。今の政府の、現在の食育における取り組みを教えていただけたらありがたいと思います。

渡海国務大臣 委員おっしゃるとおり、家庭で家族一緒に食事をする機会というのは、私も子供のころからほとんど父親は家におりませんし、当時は東京は遠かったですから、そんな思い出は余りないなと思いながら、今聞かせていただいておりました。

 そういった中で、学校における食育という意味では、ここ数年、食育という言葉も割と新しいと私は思っておりますが、大変熱心に学校現場で取り組んでおられるというふうに思っております。もちろん、栄養教諭という制度もございまして、正しい栄養を、正しく食事をするといったようなことも含めて総合的に取り組んでおるわけでございますが、先ほどの委員のお言葉でもございましたように、物をつくっていただいているというか、感謝の気持ち、こういったものも非常に大事でございます。

 予算委員会でもよくこれは質問が出るんですが、米飯給食というのがございますね。今、週三回を目標にして、全国平均で二・九回ぐらいまでいっていると思います、都市部では若干低いところもあるようでございますけれども。こういったことを通じて、日本の食事というのは基本的にはやはり米飯が根幹でございますから、地域で、今みたいに品物がわあっと流通するわけじゃないですから、やはり地域の食文化もできる。また、例えば、ああ、これはあそこでとれたものだよということを教えることによって、子供たちに、つくってもらっているという感謝の気持ちが生まれる、こういった教育的義務、義務というより教育的効果、意義があるというふうにも考えておりまして、大いにそういった面は、学校教育、特に給食の面で進めていきたいと思っております。

丹羽(秀)分科員 実は、私も議員になってから体重が約五、六キロふえまして、これはやはり食事規制をしなきゃいけないと。ただ、我々が教育を受けたときというのは、今のように栄養教諭制度というのがありませんでした。だから、私のように単細胞の頭では、飯を食わなきゃやせるだろうということがその単細胞の発想で、昨年の夏から夕飯を半分以下、約四分の一にするようにしまして、そうしたら何とか十キロやせることができたんですけれども、そういった面で、最近メタボリック症候群というのが、非常に健康問題でもふえてきていると思います。

 教育の中においても、そういった健康の重要性も考える上で、食育というのが非常に役に立つと思っております。どの食材を使ってどれだけのカロリーで抑えればどれぐらい体重がふえるとか減るというのは、これはちょっと難しいかもしれませんが、工夫すれば簡単にわかるようになると思っております。

 そういった面で、家庭や地域と連携しつつ、学校における食育をさらに推進されていると考えておりますが、もちろん、行政としてもやはりその辺を後押ししていただいて、今大臣がおっしゃられたように、米飯、まさにこれは地域の食文化という面では非常にすごいことだと私は思っております。

 先日も、愛媛県の方の農協の方に聞きましたら、あの愛媛でとれるミカンを、ミカンのエキスでお米を炊いて、オレンジ色のお米を子供たちは食べているんですなんて言って、これは、ミカン御飯というのはまた甘くておいしいなんという話も聞いておりますので、そういった面で、地域の人の食文化という文化性も大事にしていただけるとありがたいと思っております。

 そういった食文化の中では、デパ地下ですか、デパートの地下街に、最近これは、買い物に来るのが日本人だけじゃないんですよね。中国から観光に来る人たちもいるんです、あのデパ地下を見に。何がすごいかというと、あれだけ、中華の食材からフランス料理からイタリア料理から、また日本のお浸しとか、そういったさまざまなものが融合し合って一つのマーケットをつくっている。しかもそれが、自分の手でとるんじゃなくて、対面販売という面では非常に注目されております。

 そういった中で、食育を中心にこれから我が国の教育の向上を図っていただいて、そして私は、これは私の夢でありますけれども、毎年、子供たちの将来つきたい職業ランキングというのが発表されますが、こういったものに将来、農業、農家というのがランク上位の方で挙がってくると、我が日本の国の教育と食が、農業が連携しているんだな、そのように考えますので、また何とぞその辺もお取り組みいただきますように、よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、今の学校校舎の耐震化のことについて、これは大臣にお尋ねしたいと思っております。

 これは総理も大変気にされていることでもありますが、安心、安全な国づくりという観点から喫緊の課題であります学校の耐震化について、最近の学校施設というのは、子供たちが一日の大半を過ごす活動場所であるのと同時に、防災の観点からは、これは地域の避難場所にもなります防災拠点でもある、私はそのように思っております。

 もし万が一災害が発生した場合、その避難場所でもあります建物が倒壊するおそれがあるのではと避難生活をびくびくして過ごすということは、これはとても耐えられないことでもあります。

 その安全性の確保は極めて重要でありますが、平成十九年、去年の四月一日現在の公立小中学校の耐震化率というのはまだまだ約六割弱という話を伺っております。もちろん、それ以降、予算面で文部科学省の方にも随分頑張っていただいて、負担金の配分変更や、さらには、平成十九年度の補正予算におきましては一千百三十八億円、二十年度の予算では千百五十億円を計上いただいておりますことは、これはもう十分に承知いたしておりますが、大臣は建築関係も非常に精通されておられるとお伺いいたしておりますので、改修時期等の、学校があいている時期に改修できるかというところは、またなかなかできない問題もあると思います、その辺をできるだけ迅速に適正に対処していただきたいと思っております。

 こういった学校の耐震化というのは、一日でも早く改善しなければならない問題であります。どうぞその辺、大臣含め政府の御見解をお聞きしたいと思います。

渡海国務大臣 委員おっしゃいましたように、これは大変重要な喫緊の課題だというふうに認識をいたしております。

 今の計画として、まず決まっておりますことは、昨年末に生活安心プロジェクトというのを政府が幾つかつくりまして、その中で、学校耐震化につきましては、非常に危険度の高いものについて、棟数でいいますと約一万棟ございますが、それにつきまして五年間でとにかく耐震化を完了する。ただ、私は、もっと早くできないかということを今考えておりまして、まだ断定することはできませんけれども、少しでも早くこれをやりたいというふうに考えておるところでございます。

 ただ、確かに、御指摘がございました工事をする時期とか、それから、これは国だけでやれる仕事ではありません、地方の問題がございます。この辺も総務省ともしっかりと連携を図りながら、地財措置もしっかりやってもらう。そのことと、どういうやり方ができるか、こういうことを言うと失礼かもしれませんが、やはり小さい設置者である市町村では知恵を出してそれをやるということがなかなか難しい部分もあろうかと思いますので、今、いろいろなやり方を担当部局に、私なりの元専門家としての考えも含めて検討させております。なるべく早く完了したい。これはやはり国家の責任としてこのことをやっていきたいというふうに思っております。

舌津政府参考人 制度論について若干説明させていただきます。

 委員が御指摘のように、学校の耐震化というのは緊急課題だということであります。ただ、若干地域的に差がある、若干ではありません、かなりの差があるわけでございますけれども、従来から耐震補強事業につきましては補助率のかさ上げというのを行っております。平成十八年度からは体育館についても補助率のかさ上げを行っているところでございます。

 また、地域によって地方財政措置に従前は差があったわけでございますけれども、これについても全国的に同様、全く同じではありませんけれども、すべての地域で地財措置も用意されているということで、そういう意味で、いわゆる地方の負担も軽減するように私どもとしても最大限の努力をしているところでございます。

丹羽(秀)分科員 ありがとうございます。

 スペシャリストの大臣から非常に心強いお言葉をいただきましたので、私は、これは必ず五年以内で、遅くとも五年以内にはやっていただけると思って安心いたしておりますが、先ほど舌津部長の方からもお話があったとおり、もちろん、地域の最小単位の首長クラスが予算を持ってそこの中でやるというのも非常に大変な問題でありますので、その辺としては、文科省を初め総務省と連携して、どういったふうに工夫すれば工事が進捗するのか、進めていっていただきたいと思っております。

 ただ、やはり市町村自身からも、耐震化の各地域の具体的な事業計画等を多分今出されていると思っておりますが、それを徹底して、そのチェックもしていくことが、今後の学校の校舎を含め、体育館の耐震化の推進につながると私は考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、これは私の政治家になってからの課題、ライフワークになっておるのですけれども、毎年この予算委員会の分科会で質問させていただいておりますが、全国学力テストのことについてお尋ねしたいと思っております。

 昨年、全国学力テストが、これは実施というよりは再開された、私はそのように踏んでおりますが、この結果が十月二十四日に公表されました。

 今回の学力テストの目的は、もう皆様御存じですが、まず第一に、国が全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上を図る、そして第二に、各教育委員会、学校等が、全国的な状況との関係において、みずから教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図る、さらには第三に、各学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善を図るということが主の目的であると考えております。

 我が選挙区、地元の愛知県犬山市は、全国で唯一、ここの教育長の方針で、学力テストに参加しないという方針をいまだにことしも貫いております。小生は、この地元の犬山市の皆さん方、保護者の皆さん方初め大勢の方とお会いさせていただく中で、やはり犬山市に住んでいらっしゃる方で、保護者の方も、参加したいという方が結構いらっしゃるんですよね。そういったことに対して、犬山市の教育委員会がなかなか説明をしなかったり、国との違いをあらわすために参加しないんだという、まさに教育長の考えが飛躍し過ぎちゃって、受けたいという市民の声には耳を傾けないというような状況が続いて、犬山市の市長も今回の学力テスト不参加という事態には非常に憂慮しておる状態で、もうこれは愚痴になってしまいますけれども、教育長が独裁的でございまして、教育委員会を開いても本人欠席で勝手に議事録だけ後でつくって、それを市に提出するような、そういったことがあるわけなんです、現場としては。

 そういった話を聞きますと、私はこれは非常に問題であると思っておりますが、冒頭に言いました教育三法が改正されたことによって、そういった問題を国として解決できる方向、解決できるというか、何とか催促したり指示したりできる方向に向かっておると考えております。

 今、教育行政の地方分権、現場教育の重要性が進む中で、これはまた政府としての対応をぜひお聞かせいただきたいと思っております。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 全国学力・学習状況調査につきましては、私どもでは、昨年十一月、都道府県教育委員会等を通じて、すべての市町村教育委員会等に平成二十年度調査への参加の意向について問い合わせを行っているところでございますが、御指摘ございましたように、犬山市につきましては現在までに参加の意向の有無やその理由などに関する正式な回答はいただいていないところでございます。

 文部科学省といたしましては、犬山市に対して愛知県教育委員会を通じて参加の呼びかけを行いますとともに、愛知県主催の説明会に文部科学省の担当官を派遣いたしまして説明をいたすなど、この調査の目的や内容等への理解が得られるように努めてきたところでございます。

 いずれにいたしましても、この調査の参加につきましては、四月の調査実施の直前まで門戸を開くこととしておりまして、調査への参加、不参加につきましては、最終的には、学校の設置管理者であります市町村教育委員会の判断でございますが、市民の方々や保護者の意向を見きわめながら、十分検討を尽くしていただくことが重要だと考えているところでございます。

丹羽(秀)分科員 ありがとうございます。

 学力テストの結果については、これはもちろん全国、地域の学力にフィードバックしていただいて、体制の強化に努めていただきたいと考えております。

 ただ、教育の地方分権が進む中で、国は教育の成果や履行状況をきちんと検証できるような体制をつくっていかなければならない、私はそのように考えております。現場現場で勝手に教育というものを利用されますと、それは本当に我が日本の国自体が将来破滅の方向に向かっていくんじゃないかというふうな懸念も抱いております。

 さらにまた、犬山市では、局長も御存じかと思いますが、独自の副読本なんかもつくって、教材、特に理科や社会科の面ではそういったものを利用して授業もしております。これにはもちろん国からの補助金もたしかいただいておるはずでございますので、その副読本、教材がどれぐらい成果があるのかという面でも、私は、学力テストへは必ず参加して、その結果を検証する必要がある、そのように思っております。

 教育委員長の職務放棄じゃありませんけれども、怠慢さを、ぜひとも文科省のお力で何とか、これは住民の皆さんも御理解いただけるように、もちろん私も地元の市長とこの辺は連携して、今、教育委員会の方は約五人おられるわけですが、そのうち二人は賛成派の人になっておりますので、また来年からは必ず変わると思いますが、ただ、先ほど局長おっしゃられたように、四月まで門戸をあけていていただけるというのは非常にありがたいことでありますので、この辺は、急に飛び込みで入るかもしれませんので、何とぞよろしくお願いしたいと思っております。

 続きまして、私も中学校の社会科教員免許を持っておりますが、最近の高校の選択科目である日本史についてお聞かせいただきたいと思っております。

 小生は、人間は歴史を大切にするから万物の霊長になれたと考えております。人間がここまで賢くなれた理由は、歴史を大切にして、また、歴史から得られた教訓やノウハウを後世に伝えたことに重要性を感じます。歴史を大切にするというのは、人間の存在意義、アイデンティティーにかかわってくることだ、それぐらい重要な問題であると思っております。

 日本史を学ぶことは、我々日本人の存在意義を学ぶことに等しいのではないか。時代の流れは一貫して続いております。急に日本史ができるわけじゃありません。急に昭和という時代が生まれるわけでもありません。日本は、世界の一部として、また世界との密接な関係を持って、日本史を論ずる場合には常に世界の動向を視野の片隅に置きますし、古代史を論ずる場合でも常に通史を念頭に置いて、日本史の重要性をもっと理解するべきであると思っております。

 その中で、最近、高校で日本史の授業が選択方式になったという話を聞きまして、私は、このままでいいのかどうかというのを心配しておりますが、いつごろから選択方式になったか、その経緯をお聞かせいただけたらありがたいと思います。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒が日本の歴史や文化を大切にし、日本人としての自覚と誇りを持って国際社会の中で生きていくことができるようにすることは大変重要なことであると考えております。このため、小学校では、我が国の歴史を人物を中心に学習し、中学校では、世界の歴史を背景に我が国の歴史の大きな流れを学習するなど、義務教育終了段階までに日本の歴史をしっかり教えることといたしております。

 その上で、高等学校におきましては、高校生に必要な幅広い知識と教養を身につけさせるとともに、世界の歴史の大きな流れを学び、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるという観点から、世界史を必修とした上で、日本史、地理から一科目を選択させることといたしております。

 このような考え方は、平成六年度から実施をした高等学校学習指導要領からとっているところでございまして、この学習指導要領の見直しにつきましては、中央教育審議会で御議論をいただきましたが、ことし一月の中央教育審議会の答申におきましても、高等学校における現行の必履修科目の定めは一定の合理性があり、現実的な選択肢であるということ、ただし、世界史の内容について、日本史や地理との関連を一層重視するという観点から見直す必要があるという答申をいただいたところでございます。

 この答申を踏まえ、今後、高等学校学習指導要領の改訂に当たってまいりたいと考えているところでございます。

丹羽(秀)分科員 先ほども話しましたが、歴史というものには流れがあります。きのう、きょう歴史が急にできるわけでもありません。まさにこれは日本史においても同様であると思っております。

 例えば、最近の子供に、日本史の年号を覚えるのに、いい国つくろう鎌倉幕府と覚えますと、我々のときは一一九二年とぱっと出たんですけれども、最近の子はすべて数字にしまして、百十九万二千二百九十六年後に鎌倉幕府ができるんじゃないかという、つくろうまですべて数字に置きかえちゃって、そのように勘違いする子供たち、そんなネタ、ギャグがあったんです。これは、日本史の重要性を子供たちにももっともっと理解してもらわないと、私は、将来、さっきの笑い話じゃないですけれども、そういった、いい国つくろう鎌倉幕府がまだ将来に起こることなんじゃないかというようなふうになってしまったら問題だと思っておりますので、またその辺、御配慮をいただいて、日本史の重要性を、これはきょう、あすできるわけではございませんが、将来においてまた見直していただければ大変ありがたいと思っております。

 最後になりますが、ちょっとこれは大臣に御質問させていただきます。質問通告はございませんが、わかる範囲で結構でございますので。

 政府の教育再生会議が、先日、ある一定の答申を出されて解散という運びとなりましたが、このたび、規模を縮小して教育再生懇談会というのが新たに発足されました。この懇談会は、教育会議が打ち出した大学改革や小中学校の学力向上策などの提言を具体化し実行していくほか、検証を行うという面でも、そういった非常にすばらしい目的も入っていると私は考えております。

 その検証課題の中には、今、少子高齢化によって、将来、大学にすべての子供たちが入学するであろうという考え方、大学教育のあり方、幼児教育の無償化、さらには教育の国際化などもありますが、私が一番期待いたしておりますのは、文部科学省と厚生労働省の一部を再編した子供庁、まだどういったことがあるかわかりませんが、そちらにも非常に楽しみに期待をいたしております。

 もしその辺の大臣の所見を伺えたら、大変ありがたいと思います。

渡海国務大臣 教育再生懇談会は、教育再生会議が一応の成果を上げて、第三次答申、最終答申を出されましたことを受けて、これは、答申だけ出しても仕方がないのできっちりとフォローアップをさせていただきたいというような御意見がございまして、それをしていただくということを第一に考えております。

 それだけではなくて、やはり幾つかのテーマについて、今まではテーマは特に絞っていなかったんですね。教育再生で、自由闊達に何でもやってくれ、でも、それだと広がり過ぎて、また同じ話の繰り返しになってはいけない、そういうこともあったと聞いておりますが、テーマはある程度絞ってある。ただし、そのテーマについては、新しい委員の先生方の議論も踏まえてこれから決めていくということでございますが、幼児教育というのは、我々の方から少し、こういうこともあるのではないですかといったような投げかけはいたしました。

 そういう中で、実は同時に、経済財政諮問会議の中で、これから少子高齢化を迎えて労働力が非常に不足する、そうなってくると、現役世代が少なくなってくる中で、やはり子供を預かるという、むしろ保育の機能を上げていかないとということで、待機児童ゼロ作戦、きょう少しニュースに出ておりましたが、そういう話が出ました。そのときに、今までの幼稚園と保育園の話になりまして、これをどうやってやっていくか、こういう議論が今進んでおります。

 この無償化の問題につきましては、これは我が党は、委員も御案内かもしれませんが、公約に掲げているんですね。ただし、経済財政諮問会議の骨太の方針、これは二〇〇六ですか、要するに財政状況を見きわめて、踏まえてということですね。恐らく、これは私の予想でございますが、消費税アップの議論も踏まえて、そういうことも見ながら無償化というものを進めていくという整理だと聞いております。

 いずれにしましても、就学前教育という意味で、幼稚園、要するに幼児教育ですね。これは今回、学習指導要領も出させていただいたわけでありますけれども、大変重要になっておりますし、また、これは世界的な傾向でありますから、我々も、これから幼児教育の問題については、二〇〇七ですね、申しわけありません。幼児教育の将来の無償化について、歳入改革にあわせて財源、制度等、問題を総合的に検討しつつ、当面は、就学前教育の保護者負担の軽減、こうなっております。

 そして、無償化という意味においては、これは公約に書いたわけでありますから、我々は、これからその方向に向けて、これは大臣であるとか議員であるとかいうことではなくて、ともに努力していきたいというふうに思っております。

丹羽(秀)分科員 ありがとうございました。

 無償化にするというのは、これは非常に、本当に財政の面でも難しいことだ、そのように考えておりますが、これは必ず将来やっていくことによって、幼児教育の重要性が非常に高まってくると私は思っております。どうぞ、我々も一生懸命頑張ってまいりますので、また、渡海大臣の人柄を私は非常に尊敬いたしておりますので、何とぞその人柄を存分に発揮していただいて、無償化の方にも頑張っていただきたいと思っております。

 きょうは、どうもありがとうございました。

西銘主査 これにて丹羽秀樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤池誠章君。

赤池分科員 自由民主党の赤池誠章でございます。

 きょうは、予算委員会分科会、文部科学省の政策につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今日の日本のさまざまな問題は、突き詰めるとどこに原因があるのか。私なりに考えてみますと、二つのキーワードに集約をされるのではないかと思っております。一つは利己主義、もう一つはせつな主義。つまり、自分さえよければいい、今さえよければいいという、この二つの思想と行動に集約をされてくるのではないかなと思っております。その是正、克服というのは、まさに文部科学省、教育の力にまつわけであります。

 教育は、抽象的で無国籍な人間をつくるということではなく、まさに、私たちが住むこの日本という世界の中でも最長最古の統一国家としての伝統、文化、自然風土にはぐくまれた、日本語を話す日本人というものを育成するということが大事だと思っております。それが国際的な力につながってくるというふうに思っております。体を鍛えること、道徳心があること、知識、知恵があること、感性豊かで意欲がある、そんな日本人をつくるために、教育の充実は、文部科学省はもちろんでありますが、国家国民総がかりで取り組む必要があると思っております。

 日本は資源小国でありますし、国家の発展は教育、人材育成にかかっております。教育こそが日本の基盤であります。私は地元で、国づくり、地域づくりは人づくりからということをスローガンに掲げて政治活動に取り組んでおります。きょうは、教育立国に資するよう、以下、質問をさせていただきたいと思います。

 第一番目といたしまして、昨年の四月に、小学校六年生、中学校三年生、約二百三十万人全員を対象にした全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストが約三万三千校の小中学校で一斉に行われました。

 今回のテストは、小学生が対象では初めて、中学校では四十三年ぶりと聞いております。参加率が九九%以上ということであります。一部参加をしていただけなかった公立学校、それから私学は六割余りと聞いておりますが、私は、このことを高く評価したいというふうに思っております。そのテストの成果を文部科学省としてはどのように考えていらっしゃるか、見解をお聞かせください。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年実施いたしました全国学力・学習状況調査の結果、課題といたしまして、児童生徒に知識や技能を活用する力がまだ十分身についていないことや、一部の都道府県や学校の正答率に差があるということなどが明らかになるなど、国や教育委員会、学校などが教育活動や教育施策等の改善を図る上で有益なデータが得られたと考えております。

 このため、文部科学省といたしましては、この結果を学習指導要領の改訂の参考といたしますとともに、教育委員会や学校において、この調査結果を分析、検証し、教育や教育施策の改善に取り組むよう促しているところでございます。

 また、昨年の十二月には、全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議を設置したところでございまして、今後、専門家の御意見もお伺いしながら、さらなるデータの分析や、効果的な指導方法に関する事例の収集などを行ってまいりたいと考えているところでございます。

赤池分科員 今回は非常にすばらしいテストということではあるんですが、ただテストをすればいいという問題では当然ないわけであります。よく、教育に限らず、すべての仕組みに関しては、PDCAサイクル、プラン・ドゥー・チェック・アクションという、計画をして実施をして評価をして改善という一連の流れをどうつくっていくかということが、行政なりさまざまな取り組みの生産性を上げていくというふうに言われております。

 今回は、テストを受けて、文部科学省として予算をつけて、各都道府県、政令指定都市の教育委員会で全国学力テスト検証改善委員会をつくっていただいて、学校改善支援プランを各教育委員会に提言していただく。その提言を受けて、教育委員会は改善支援計画を検討、作成するということになっているというふうに聞いているんですが、その策定状況、年度末までということですので若干月日はあるにしても、現状どうなっているのか。また、その内容を文部科学省としては、単にお任せするのではなくて、どのような形で取りまとめているのか、そして、それを今後の教育問題の中でどう公開していくのかという、状況と見解をお聞かせ願いたいと思います。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたように、文部科学省におきましては、すべての都道府県や指定都市において、調査結果の検証、分析を行う検証改善委員会を設け、学校改善支援プランを策定する実践研究を進めているところでございます。

 この学校改善支援プランにつきましては、今年度末までに作成し、各検証改善委員会から文部科学省へ提出することといたしております。これらの学校改善支援プランにつきましては、各検証改善委員会において積極的に公開し、その普及啓発を図ることといたしておりますほか、私ども文部科学省におきましても、各検証改善委員会のプランの概要などを取りまとめ、公表し、周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。

赤池分科員 局長、現在、すべての四十七都道府県プラス政令指定都市が取り組んでいるということは、文科省としては確認をとっているということでよろしいんでしょうか。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 すべての都道府県、指定都市におきまして、この全国学力・学習状況調査の結果の検証、分析を行う検証改善委員会を設けているところでございます。

赤池分科員 問題は、この後だと思うんですね。

 つまり、どういうことかというと、今回、全数調査をしているわけですから、各都道府県、政令指定都市がやったら、当然、各市区町村教育委員会がそれを受けてどう取り組んでいるのか。さらに、各学校にそれぞれデータが送られて、保護者に対しては説明してもいいということにはなっているにしても、一体どういう形でこの調査結果が活用されているかということ。

 どんどん下に行くとプライバシーの問題があるとはいえ、やはりやっているかやっていないかだけはぜひ都道府県、政令指定都市の教育委員会を通じて、せめて各市区町村の教育委員会としてこれを取り組んでいる、または各小中学校、学校はこれに関して取り組んでいると。内容は、そこまではいいとは思うんですが、ぜひ、やっているかやっていないかだけは文科省の方で調査をして取りまとめていただきたいと思うんですが、局長、いかがですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省におきましては、この学力調査の結果に基づく検証改善サイクルの確立に向けた実践研究というのを行っておりまして、そこで得られた市町村教育委員会や学校などの取り組みにつきましては、事例集を作成することといたしております。

 また、二十年度予算案におきまして、全都道府県、指定都市教育委員会を対象に、学校改善支援プラン等を踏まえ、全国学力・学習状況調査などの結果から、学力や学習状況などに課題の見られる学校の改善に向けた具体的な取り組みについて実践研究を行い、その成果の普及を図るための予算を計上いたしているところでございます。

 私どもといたしましては、このように市町村教育委員会や、また学校などにおける積極的な取り組みを収集いたしまして、その周知を図ることによって、教育委員会や学校における意欲的な取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。

赤池分科員 内容的にはそれで結構だと思うんですが、各地域での差があったり、また学校の差が出るということがあってはいけないと思っておりますので、文科省として、内容的な問題になるといろいろ差しさわりがあっても、内容は事例集で、今御指摘のとおりでいいと思うんですが、ただ、ぜひやっているかやっていないかだけは調査をしていただきたいと思うんですが、改めて、局長、いかがでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の全国学力・学習状況調査で重要なことは、そこで明らかになった課題をいかに改善していくかということであろうと存じます。各学校で児童生徒一人一人に対する教育指導の改善に、また、教育委員会などでも、各学校での意欲的な改善への取り組みの支援にぜひともつなげてほしいと考えているところでございまして、そういった取り組みがどの程度現実に行われているのか、こういったところについても十分把握をしてまいりたいと考えているところでございます。

赤池分科員 今までの歴史を見ると、せっかくこういう形でデータはそろっても、やるところ、やらないところという、そうやって全体がわからないということでやらないところも出てきてしまったら、何のためにやっているかわからないということですので、内容的には当然いろいろなやり方があると思うんですけれども、ただ、やっているかやっていないかだけは、全数でやっているわけですから、やはり全校、全市区町村教育委員会、やっているかやっていないかだけはぜひ把握をしていただきたいと思います。

 続きまして、それに関連して、愛知県犬山市が来年度、平成二十年度、四月も取り組まないということを早々と表明しておりますので、私学の参加も含めて、これは文科省としても、通知するだけではなくて、やはりこのよさをはっきりさせるような形で、直接、局長がいいのかどなたがいいのかわかりませんが、出向いていって話し合いを持つなり、具体的な対応をぜひとっていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。

 続きまして、きょうは大臣がいらっしゃっておりますので、御案内のとおり、一昨年の六十一年ぶりの教育基本法の改正、それに昨年、学校教育法など教育三法の改正、さらに、先ほど質問しました全国学力テスト、既に学習指導要領の改訂ということで、これはまさに日本の教育にとって大きな節目を迎えているし、そういう面では教育の再生、改革に向けて、国民の期待も本当に大きいんだというふうに思っております。

 そういう面で、大臣の方から、国民にわかりやすく、教育はこう変わるぞというメッセージをこの場をかりてちょうだいできればなと思います。

渡海国務大臣 今、学習指導要領の改訂のお話がございました。現在パブリックコメント中でございまして、いろいろな意見をいただいているところでございますが、今回の改訂の一番大きなところというのは、新しい教育基本法のもとでの初めての学習指導要領の改訂であろうということを考えております。教育三法も変えております。

 そういった中で、新たな教育の目標や義務教育の目標、公共の精神とか生命や自然を尊重する態度であるとか、伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う、こういった教育の基本理念というものがしっかりと基本法、それから法改正の中で行われた。

 それを受けて、新たな学習指導要領の中には、例えばこれは改正教育基本法の第二条で、道徳心を培う、このことが明記されておりますから、指導内容、これは発達段階に応じて、例えば小学校の低学年では、よいとか悪いとか、こういうことを教えるとかということをかなり細かく指導要領の中に今回は示しております。それから、教材につきましても、今後すぐれた教材を採用しやすい環境をつくるといった新たな制度を、これは二十一年度概算要求で要求をしようと思っておりますが、つくろうと思っております。

 それから、指導体制。要は、先ほど先生が言われました、試験をやってこうなっているといっても、ちゃんとそれをチェックしないと何にもならない。ですから、やはりちゃんと計画が立てられる、そして責任を持って教育が行われる、一週間一こまちゃんとあるわけですから、そのことを担保するために、新たな指導体制を、道徳教育の充実を図るということで、学習要領の中にしっかりと書かせていただきました。

 もう一点だけ申し上げますけれども、新たに規定された概念を踏まえて、これはどの教科ということじゃなくて各教科において、やはり伝統や文化に関する教育、こういったことをあらゆる教科において尊重した書き方になっておりますし、自然体験活動や職場体験活動などの体験活動、こういうものを充実すること、また、これは喫緊の課題、今一番大きな話題でもあります環境も、各教科に、環境の視点から配慮した教科の指導を行うこと、こういうことを書かせていただいたところでございます。

 時間が限られておりますからこれぐらいにいたしますけれども、時間数もふやします。

 そういったことで、学力・学習全国悉皆調査の結果、PISAの結果等も踏まえ、学力向上、それから規範意識の向上、こういったことがしっかりと身につくといったような内容にさせていただきました。

 なお、これで最後にいたしますが、来年度一年かかって、しっかりと現場にこの指導要領の趣旨が伝わるように指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

赤池分科員 大臣の力強いお言葉をいただきました。

 そのような形でぜひ進んでいっていただきたいと思うんですが、ただ、学習指導要領改訂版が公開をされて、今パブリックコメントにかかっているんですが、私も読ませていただきました。十年前の改訂本と見て、大臣の決意とは若干裏腹に、確かに新教育基本法、学校教育法の改正の文言がところどころ挿入はされているんですが、全体の構成とか書きぶりが、十年ぶりの改訂、そして新しい教育基本法なり国全体として教育再生に取り組んでいるという割には、前文を踏襲しているところが相当多いんじゃないかという印象を持っております。

 当然、今大臣が言ったポイントはしっかり入っているとはいえ、やはり新たに基本法を改正したんだ、新たな学習指導要領をつくるんだということであれば、内容を一部ちりばめた形ではなくて、書きぶりから変えていく必要もあるのではないかなというふうな気がしております。

 そういう面で、今パブリックコメントにかかっておりますが、大臣が御指摘になった部分に関して、幾つか続けて局長の方にもお伺いをしたいと思っているんです。

 公共の精神、我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重という規定がありましたけれども、これが具体的に、どう教育で変わっていくのかが第一番目。

 二番目としては、国語の重視というのも挙げられておりますが、これはよく見ますと、小学校五、六年生の国語は、五年生だけでいうと五時間逆に減ってしまっている。六年生は同じである。総体としては一割アップといいながら、高学年になって、難しい文章が読める年代になってきて逆に時間が減らされて、その分英語が入ってしまったということがあって、果たしてそれは肝心の国語の重視となっているのかということもちょっと懸念はしております。

 三つ目としては、国旗・国歌、建国、祝日など、日本の伝統的な意義については書いてあっても、そのいわれ、由来、歴史というものが抜け落ちているというところもございます。

 そして、四つ目としては、先ほど大臣に説明をいただきました道徳教育の充実ということなんですけれども、その辺の支援策も含めて、四つの項目について、済みません、早口で言ってしまいましたが、局長の方から説明をいただければなというふうに思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、改正教育基本法との関係でございますけれども、先般公表いたしました学習指導要領の改訂案におきましては、教育基本法の改正を踏まえ、例えば、御指摘のございました公共の精神につきましては、道徳や特別活動などにおいて、規範意識や人間関係を築く力、社会参加への意欲や態度の育成を重視いたしますとともに、社会科において、物事の決定の仕方や決まりの意義などに関する指導を充実したところでございます。

 また、我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重するということにつきましては、道徳において、先人の生き方や伝統と文化などの教材の活用を推進いたしますとともに、国語科や社会科におきまして、古典の指導や我が国の歴史、世界の地理や文化の多様性に関する学習を充実する、また、その他の教科におきまして、例えば、そろばんや唱歌、和楽器、和装、武道などに関する指導内容を充実するなどの改善を図ったところでございます。

 次に、国語の充実についての御指摘でございます。

 今回の学習指導要領の改訂案におきましては、子供たちの思考力や判断力、表現力などをはぐくむためには言語能力を高める必要があるという観点から、国語科はもとよりでございますが、各教科において、言語活動の充実を図っているところでございます。

 国語科はその中核となるものでございますことから、早い段階から、漢字の読み書きや、短歌や俳句の音読や暗唱、記録、報告などの基礎的、基本的な国語の力の定着を図ることができるよう、小学校の低中学年の授業時数を合計で八十九単位時間増加をいたしているところでございます。

 高学年では、御指摘がございましたように、五年生で年間百八十単位時間から百七十五単位時間に若干減がございますものの、六年生では現行と同じ時間数とするなど、現行の授業時数とほぼ同等の授業時数を確保いたしまして、漢字の読み書きや、親しみやすい古文や漢文の音読、説明、解説などの基礎的、基本的な国語の力の定着を図りますほか、国語科以外の各教科において、レポートの作成や論述といった言語活動を積極的に取り入れ、学校教育全体で言語活動を重視することといたしているところでございます。

 次に、国旗・国歌、また建国、祝日などについての御指摘がございました。

 児童生徒が、日本の歴史や文化を大切にし、日本人としての自覚と誇りを持って国際社会の中で生きていくことができるようにすることは重要でございます。我が国の国旗・国歌や、成り立ち、祝日などについて学習することは大切なことであると考えております。

 このため、現行学習指導要領では、例えば、小学校の社会科におきまして、我が国の国旗と国歌の意義を理解させることや、国の形成に関する考え方などに関心を持つようにすること、また、国民の祝日の意義を考えさせるようにするなどの記述がなされておりまして、これを踏まえ、教科書においては、これらの由来について触れられているところでございます。

 学習指導要領の改訂案におきましても、現行の学習指導要領と同様の記述がなされているところでございまして、今後とも、各学校におけるこれらの指導の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 最後に、道徳教育の充実についてでございますが、先般公表いたしました学習指導要領の改訂案におきましては、道徳教育につきまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、児童生徒の発達の段階を踏まえた指導の重点の明確化や、先人の生き方、伝統と文化、スポーツなど、児童生徒が感動を覚える教材の活用、また、各学校において、校長の方針のもとに道徳教育の推進を主に担当する道徳教育推進教師を中心とした指導体制の充実などの内容の充実を図ることといたしております。

 教材につきましては、平成二十年度予算案におきまして、心のノートの全面改訂に取り組むための経費を盛り込んでおりまして、改訂に際しましては、児童生徒が感動を覚える教材を加えるよう検討していくことといたしております。

 また、ことし一月の中央教育審議会の答申におきまして、この道徳の授業が確実に実施されるよう、例えば、適切な教材が教科書に準じたものとして十分に活用されるための新たな支援策が必要である旨の提言がなされたところでございます。中央教育審議会の教育振興基本計画特別部会では、道徳の教材の充実方策の一つとして、国庫補助制度の創設を検討していると承知をいたしておりまして、文部科学省といたしましては、このような中央教育審議会の審議も踏まえつつ、今後とも道徳教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

赤池分科員 ありがとうございました。

 学習指導要領というのは、やはり十年に一度、学習内容を決める大切なものであります。パブリックコメントを生かす中で、また私どもも積極的な提言をさせていただきたいというふうに思っております。ぜひ、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それでは、ちょっと最後に、時間がありませんので、職業教育の充実についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 人間が生きるということは、家庭を持つこと、そして職業を持つこと、私はこの二つが大きく分けて重要ではないかなと思っております。教育基本法の改正の中には、家庭教育という項目が新設をされましたし、職業教育の充実というのも盛り込まれたところであります。

 文部科学省では、現在、職業教育の充実ということで、専修学校の振興に関する検討会議というものが設置されているというふうに聞いております。その検討の進捗状況及び今後の日程がどうなっているのかをぜひ教えていただきたい。

 同時に、検討会議を設置するということは、当然、職業教育を充実させたいという目標があってのことだと思っております。既に、専修学校の団体からは、学校教育法第一条における新たなる学校種の創設ということを提言されていると聞いております。そういう面では、制度改正まで踏み込む中での検討会議の設置であるのかないのか、その辺の方針、それから状況、さらにスケジュールを聞かせていただきたいと思います。

加茂川政府参考人 専修学校の振興に関する検討会議についてのお尋ねでございます。

 この検討会議は、昨年九月に、専修学校の教育制度の改善あるいは今後の振興方策などについて研究、検討を行うために生涯学習政策局に設置をしたものでございます。他の学校種の関係者あるいは学識経験者等の意見も広く伺う場として昨年九月から検討を進めてまいりまして、これまで五回開催したところでございます。

 専修学校の振興方策全般について議論をする中で、専修学校関係委員の意見発表のみならず、学識経験者、あるいは他の学校種の委員からの意見聴取、ヒアリングを行っております。具体には、高等学校、高等専門学校、大学、短大といった関係委員からの意見聴取も行っておるわけでございまして、この中で、学校制度全体のバランス、あるいは学校間の連携、協力のあり方についても視野に置きつつ、広範な議論を今熱心に行っていただいておるところでございます。

 今後の日程につきましては、まさに今検討が進んでおるところでございまして、さらに各委員からのヒアリング、意見交換を進めていただく中で、必要な振興方策についての論点の整理、あるいは意見の集約に向けての検討が行われるものと私どもは承知をいたしておるわけでございます。

 また、委員御指摘ございましたように、この検討会議におきまして、専修学校関係委員から御提案がございました。具体には、現行の専修学校制度はそのまま残しつつ、別途職業教育を目的とする新たな学校種を創設しまして、これを学校教育法一条に位置づける等の提案が主な内容でございました。

 これにつきましては、これまでのところ、各委員からこの提言の趣旨に肯定的な意見が表明されることもございましたが、一方で、さまざまな課題を指摘する意見も見られたところでございまして、正直申しますと、多岐にわたる意見を現在ちょうだいしておるところでございます。

 私どもとしましては、これらの御意見を踏まえまして、さらに論点の整理を行う必要があると考えておるところでございます。特に、この場でも各学校種の関係者の意見を伺う機会がございますけれども、各方面の意見集約あるいは合意形成がなされることがまずは重要であると考えてございます。

 学校制度改正の見通しについてのお尋ねもあったわけでございますが、意見が多岐にわたっておりますので、まずは関係者間の合意形成までに相当の努力を私ども、これから、しかし速やかに重ねていきたいと思っておるところでございます。

赤池分科員 大臣、聞いていただいたとおりという状況の中で、学校教育法の一条をふやすということ、その中に新しい学校種をつくるというのは、学習指導要領改訂とともに、まさにこれは歴史的な一つの大きな部分だと思っておりまして、それだけに、各団体、大学、短大、高校を含めて、関係者だけの意見調整ですと、少子化の中で利害が違う部分があったり、思いが違う部分があると思うんですが、やはりそこには、それぞれの論点を出し集約をしても埋まらない溝も当然あるわけですね。

 その中で、本当に国として、文部科学省として、職業教育の充実にどこまで踏み込むのかという一つの政治的な決断という場が必要になってくるのかなというふうに感じております。

 当然意見は尽くすんですけれども、最終的な決断は、この方針をどう打ち立てるのか、これは文部科学大臣のみならず、国の一つの大きな柱になり得る非常に重要なポイントではないかなというふうに考えておりまして、検討会議の状況を、局長づけの部分に任せるだけではなく、ぜひ大臣の指導力も発揮をしていただければなというふうに感じております。

 きょうは、全国テストそして学習指導要領、さらに職業教育の充実ということで質問をさせていただきました。短い時間ではありましたが、真摯な意見交換ができたことを感謝いたします。

 本当にありがとうございました。

西銘主査 これにて赤池誠章君の質疑は終了いたしました。

 次に、井脇ノブ子君。

井脇分科員 こんにちは。自由民主党の井脇ノブ子です。よろしくお願いいたします。

 本日は、改正教育基本法における道徳教育の充実について、体験学習の必要性について、また、全国学力・学習状況調査結果を踏まえた文部科学省の施策について、以上の三点についてお伺いしたいと思います。

 それでは、まず初めに道徳教育についてお尋ねいたしたいと思います。

 二月十五日に新しい学習指導要領の改訂案が公表されました。今回の基本的な考え方として、改正教育基本法で明確になった道徳の精神、公共の精神、自律の精神、伝統や文化の尊重などを踏まえ、道徳教育についても充実する方針が示されているところでございます。

 実際、児童生徒の規範意識、社会性、他人を思いやる心のなさやモラルの低下があると感じています。教育再生会議の最終報告においても、直ちに実施に取りかかるべき事項として、徳育の充実、新たな枠組みによる教科化、多様な教科書、教材の使用などが提言されています。今回の学習指導要領改訂案においては、道徳教育については充実はなされるようですが、教科化とはなっていないところでございます。

 そこで、第一にお尋ねいたします。

 道徳教育については、教科化による数値での評価や、検定教科書にはなじまないなどの理由で、現在行われている道徳の時間の延長線での充実策となっています。道徳教育を教科化した場合の問題点について、特に具体的にどのようなことがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

渡海国務大臣 局長からというより私からお話を井脇先生にさせていただきますが、教科化ということは随分いろいろなところで議論をされたんですよ。それで、私も、では教科化すると何がまずいんですかということと、ではなぜ教科化しないといけないんですかということをいろいろな方から実は意見を聞きました。

 教科化ということは、通常、三点セットあるんですね。その一つは、教科書があること、もう一つは、教員に道徳という免許が与えられている、もう一点は、点数で評価をするということですね。だけれども、これはある意味、心の問題でもある。ある意味、人間性の問題を点数で採点をするというのは、例えばどういう基準でどうやるというのは学術的にも確立はできていないし、これはなかなか難しいでしょう。これは、教科化しろとおっしゃっている再生会議もそうおっしゃるんです。それからまた、専門の免許というのは今はありません。

 そして同時に、教科書ということになりますと、私は年末まで沖縄、教科書の問題で随分苦労いたしましたが、これは教科書検定、要するに国家が検定をするという行為が入るわけですね。それがいわゆる国家の介入にならないように教科書用図書検定審議会という制度があって、そこで専門家に審議をしていただいて検定をしていただくという、こういうシステムですね。しかし、これはあくまで学術的、専門的な見地からやっていただく。要するに、その方のある意味での極端な歴史観とかそういうものは排除していただいて、学術的、専門的にやっていただくということに今なっておるわけです。そのことによって、時の政権がかわろうと教科書の内容が簡単には変わらないということで、中立性が保たれている。

 こういう前提に立ちますと、では、道徳教科書の検定というのは果たしてできるのか。では道徳教科書で学術的に、道徳はどれが正しいかということはないわけでありますから、これも無理だねというのも、これも再生会議もそうおっしゃるんですね。

 だけれども教科化なんだと。では一体、教科化したら何が変わるんだということをお話し申し上げたら、いや、やはり充実した教材で、いい教材を選んでやらないといい道徳教育はできない、それはそうですねと、これは中教審の意見とも一致するんです。

 そしてまた、もう一点ありますけれども、確実に今、一時間の時間をとってやっていないじゃないか。では、それをやれるようにするためにどうしたらいいかということで、今回、いろいろな方々とも議論をし、党でも御議論をいただいて、我々としては、新たに道徳推進教諭というのを決めることにしたんです。各学校に一人置いてください、計画をちゃんとつくってくださいと。

 もう一遍、やはり充実した教材を使ってもらうために、今用意しています心のノートも、できは悪くないと思うんですが、余り有効に使われていないので、もっと有効に使われるように変えましょうと。

 また、別の制度で充実した教科書に対して国庫補助ができるように、これは中教審の答申もありますから、そういった制度も二十一年度以降はつくっていこう。これは、予算を今要求していませんから、概算要求では要求しようと思っています。そういうことでやらせていただいている。

 ちょっと時間をとって申しわけないんですが、ここは、教科化したら何が変わるのか、何が教科化しなければできないのかということがもう一つ実はよくわからないといいますか、ですから我々は、そういうことではなくて、現実に道徳の教育というものがいい教材でしっかりと現場で行われるということを念頭に、今回は教科化という表現は指導要領の中ではとらなかったということで御理解をいただきたいというふうに思います。

井脇分科員 大変よくわかりましたけれども、今、時代はモラルの低下が大変叫ばれている中で、六十年ぶりに教育基本法が変わって、道徳教育を教科化ぐらいしなければ、これはもう間に合わない。教育は、教科書が変わっても、何が改訂で変わっても、この教育基本法がみんなに徹底して教育がなされていくには五十年かかるわけであります。今ここで文部大臣から、教科化のことについては三つの問題があって、みんなで審議をすごくやったんだ、だけれども、最終的にはどこもみんな意見が一致してできなかったと。

 しからば、私たちはどのようにして子供たちの道徳教育を充実させるか。私、きょう、心のノートをこうして全部持ってきましたのですが、読ませていただいたり、もうずっと前からこれの研究をさせていただいておるんです。本当に心のノートが、中学校課程のところで国を愛する態度、この中で一言、一番最後にも書いて、大変立派な、これを全部分析しますと、一年、二年、三年、四年、五年、六年、そして中学生用になっておりますけれども、もっともっと心のノートを充実させなければ、心のノートが、現在は九〇%の小中学校に配付されておりますけれども、学校における使用義務がなされておりませんので、使っていないところもあります。

 そういうような状況の中で、文部科学省といたしましては、心のノート以外にどのような教材でこれを二段構えで充実していくのか。この中身を、どのように道徳教育を、徹底した教育の中でこれを二段構えでいくのか。どういう材料をもって今後心のノートをもっとより以上に充実させていくのか。私は、道徳教育に対する補助教材としての充実とあわせて、補助教材であるから点数とかそういうのではないですけれども、ぜひともこのことについて、もう少し心のノートの充実、学習指導要領の実施に向けて文部科学省として心のノート以外にどのような教材を使用してこれから展開していくのかをお聞きしたいと思っております。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 道徳教育に関する教材につきましては、現在、文部科学省が作成いたしました心のノートのほか、民間の教材会社や教育委員会などが作成した多様な読み物資料などが使用されているところでございます。

 今般の学習指導要領の改訂案におきましては、道徳教育におきまして、先人の生き方や伝統と文化、スポーツなど、児童生徒が感動を覚えるような教材を活用することといたしております。このため、平成二十年度予算案におきましては、学習指導要領の改訂を踏まえた心のノートの全面改訂に取り組むための経費を盛り込んでいるところでございまして、改訂に際しましては、児童生徒が感動を覚えるような題材を加えるよう検討していくことといたしております。

 また、ことし一月の中央教育審議会の答申におきましては、道徳の授業が確実に実施されるよう、例えば、適切な教材が教科書に準じたものとして十分に活用されるための新たな支援策が必要である旨の提言がなされたところでございまして、これを受け、中央教育審議会の教育振興基本計画特別部会では、道徳の教材充実の方策の一つとして、国庫補助制度の創設を検討していると承知をいたしております。

 文部科学省といたしましては、このような中央教育審議会の審議も踏まえつつ、今後とも道徳教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

井脇分科員 そのことがいろいろ活用されてこれからやっていけるということで、文化や伝統や感動するようなそういうものを全面改訂で今後つくるために予算をとっておるということでございますので、ぜひともこの機会に道徳教育の充実をしてほしいと思っております。

 また、指導する内容のほかに、指導する人材の育成も重要だと思っております。

 最近、道徳教育推進教師を中心として、全教師が協力して道徳教育を展開することを明確にするとの報道もありました。道徳教育推進教師にはどのような人材を活用する方針なのか、その具体的な方針も含めて、今回の学習指導要領の改訂案の内容により学校における道徳の時間が現在とどのように変わるか、その具体的な変更内容についてお聞きしたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 学習指導要領の改訂案におきましては、道徳教育につきまして、児童生徒の発達の段階を踏まえた指導の重点の明確化や、児童生徒が感動を覚える教材の活用、また、各学校において校長の方針のもとに道徳教育の推進を主に担当する道徳教育推進教師を中心とした指導体制の充実など、内容の充実を図ることといたしております。

 このうち、道徳教育推進教師につきましては、具体的には、現在、各学校に校務分掌の一つとして置かれております道徳主任などを想定しておりまして、これらの教師の位置づけを学習指導要領上明確にすることによって、学校教育全体を通じた道徳教育の一層の推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、道徳教育の充実強化を図るため、平成二十年度予算案におきましては、道徳教育の指導方法や指導体制等に関する調査研究でございますとか、先ほど御答弁申し上げましたような心のノートの全面改訂等に取り組むための経費も計上しているところでございます。

 こういった取り組みを通じて、各学校における道徳教育が実効あるものとして行われるよう努めてまいりたいと存じます。

井脇分科員 ぜひとも、すばらしい、感動ある、そして実行あるのみの心のノートが全面改訂になって、内容もある道徳教育の実行がなされますようにお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、体験学習の必要性についてお伺いしたいと思います。

 現行学習指導要領は、変化の激しい次の時代を担う子供たちに必要な力は生きる力であるとした上で、その生きる力をはぐくむために、教育内容の厳選と授業時間の削減、総合的な学習の時間の創設などを行っています。

 私は、この生きる力とは、いかに社会が変化しようとも、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動できること、そして豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などを持ち、生涯にわたって学び続けることのできる力だと考えております。その力をきちんと子供たちに定着させてあげることが使命だと思っています。

 今回、改訂される新しい学習指導要領においても、この理念が継承され、具体的な改善内容の中に、この理念を実現するために必要となる、子供たちの社会性や豊かな人間性をはぐくむため、その発達段階に応じ団体宿泊活動や自然体験活動、環境体験活動を重点的に推進することが盛り込まれたことは高く評価しています。

 近年、核家族化が進み、昔と比べてライフスタイルが大きく変わってきています。この豊かな時代において家庭や地域の教育力の低下が指摘されています。このような時代だからこそ、子供たちが地域社会の大人や社会を形成しているさまざまな職業につく大人と触れ合い、学校では学ぶことのできない体験を通じて、規範意識や社会のモラル、マナーなどを子供たちにできるだけ早い時期に教えてあげることが大切だと考えております。そのための基盤整備を国が積極的に行っていくために、お尋ねしていきたいと思います。

 学習指導要領の改訂に当たり、学校における自然体験活動などの体験活動の充実について、文部科学省は平成二十年度予算案において具体的にどのような施策を展開するのか、お教え願いたいと思います。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくむためには、発達段階に応じて、自然体験活動や社会奉仕体験活動を初め、さまざまな体験活動を行うことが極めて有意義でございます。先日公表いたしました新しい学習指導要領におきましても、体験活動の重要性を一層明確にしているところでございます。

 文部科学省におきましては、これまでも、豊かな体験活動推進事業におきまして、他校のモデルとなる体験活動を実施する学校を指定し、その成果を全国に普及させることによって、小中高等学校などにおける豊かな体験活動の推進を図ってきたところでございます。

 平成二十年度予算案におきましては、この豊かな体験活動推進事業の中で、文部科学省や農林水産省、総務省が連携して、小学校における農山漁村での長期宿泊体験活動を推進する農山漁村におけるふるさと生活体験推進校や、高等学校における社会奉仕活動のプログラムについて実践的な調査研究を行う高校生の社会奉仕活動推進校などの実施に必要な経費を計上いたしておりまして、これらによって、今後とも学校における体験活動が推進されるよう努めてまいりたいと考えております。

井脇分科員 ありがとうございます。

 大変力強い、モデルの学校をつくって、そしてそれを全国展開しているということで、これからもぜひとも体験学習を活発にしていただきたいと思います。

 次に、体験活動を支える基礎となる施設はもちろんですが、実際に指導に当たる専門家の確保が必要であります。現在、教育現場における体験活動は、教員が中心となって指導しているのか、それとも、知識、技能を持った専門家が指導しているのか、現状をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 体験活動を効果的に展開していきますためには、もちろん学校の教職員が中心になるわけでございますが、学校外の専門家や関係者の協力を得ることも大変必要なことであると考えております。

 こうしたことから、実際の体験活動の実施に当たりましては、例えば農林業体験では、地元の農家の方や林業従事者の方から指導してもらったり、また自然観察では、野外活動を行っている地域のNPO団体の方から指導を受けながら実施しているところでございます。また、専門家を確保するために、地域においては体験活動に協力してもらえる人材を養成したり、また、関係者や関係団体の情報を集め、それらのリストを作成するなど情報のデータベース化を図り、活用しているところもございます。

 今後とも、体験活動の充実のために、各地域において専門家と連携協力を図るための環境が整備されるように取り組みを促してまいりたいと存じます。

井脇分科員 ありがとうございます。

 今後、体験活動を充実させるための具体的な施策について、今聞きましたが、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 二十年度、今考えている予算につきましては御説明したとおりでございますが、学習指導要領の中で、体験活動が大事なんだということはかなりしっかりと書いてございます。これは、伝統、文化を大事にしようとか公共の精神を大事にしようとか、そういった全般的に貫かれた一つの考え方でございます。我々は、しっかりそのことも踏まえて、どの教科と言わずに、さまざまなケース、いろいろな教科の中でそういったことを取り上げるというふうなことをやっていきたいと考えております。

 実は私は兵庫県でございますが、兵庫県は、中学二年だと思いますが、トライやる・ウイークというのを、平成十年ぐらいだと思いますが、やっていまして、随分効果を上げております。中学生が必ず一週間どこかの企業、物を売っているのもいますし、建設現場でブロックを積んでいるのもいます。やはり初めのうちは、けがしたら困るとか随分いろいろあったんですけれども、商工会議所とか商工会とかにいろいろ御協力をいただいて、今やすっかり定着をいたしております。県独自で五億円使ってやっておりますけれども、これなんかは先駆的な試みだと思いますね。

 そういうことも含めて、できるだけそういったいろいろなメニューを用意したいというふうにも思いますし、また指導もしたいし、新しいいろいろな試みを支援していきたいというふうに考えております。

井脇分科員 ありがとうございました。

 大臣のところはすばらしい体験教育を県でなさっているようであります。私も三十八年間、少年の船、日中友好少年の船といって、中国やグアム、サイパン、沖縄、北海道に五万人ほど、小中学生を連れて、夏休み、冬休み、春休みに全国の子供たちに体験教育をさせております。この体験教育は、大変子供に力がつき、人間の生きる力、大変な体験になります。知恵を与えることができる、生きる力をつけることができる大変すばらしいことであると思っております。ぜひ文部大臣のような、各県にそういうところがどんどんふえていくとすばらしいなと思っております。

 あと一分、二分ありますので、もう一つ、全国学力調査のことにつきまして、時間のあるしこ聞かせていただきます。

 昨年四月に実に四十三年ぶりに実施されましたこの全国学力調査、犬山市を除いてすべての市町村、私立学校の約六割が参加した。おおむね大きな問題もなく、とてもよくできたと思います。この調査結果については昨年十月に公表されましたが、教育現場にどのように生かしていくのかが非常に重要になると思います。

 そこで、お尋ねいたしたいと思います。

 昨年行われた全国の学力調査の結果について文部科学省はどのように評価し、具体的にどのようなことが明らかになったのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年実施をいたしました全国学力・学習状況調査の結果におきましては、知識の問題につきましては、相当数の児童生徒が今回出題した学習内容をおおむね理解いたしておりますが、活用の問題につきましては、知識や技能を活用する力に課題が見られたところでございます。

 また、質問紙調査の結果からは、学習に対する関心や意欲、態度、また基本的生活習慣において肯定的な回答をした児童生徒の割合や、学習時間、読書時間などに増加傾向がうかがえたところでございます。さらに、これらについて肯定的な回答をした児童生徒ほど、国語や算数、数学の正答率が高いという傾向も見られました。

 また、地域の規模ごとの状況につきましては大きな差は見られなかったこと、また、都道府県の状況につきましては、平均正答率を見るとばらつきが少ないけれども、一部にこれを超える差が見られたということが明らかになりました。

 私どもといたしましては、今回の調査によりまして、国や教育委員会、学校などにおいて教育活動や教育施策等の改善を図る上で有益なデータが得られたものと考えております。

井脇分科員 これは毎年これから継続的にやっていくと思います。一、二年、三年、四年、五年ぐらい続けないと、分析がわからないのではないかと思います。一回だけで、四十三年ぶりに行われましたので。

 私も選挙区が、上からぽんとおりたところでございまして、全然知らないところに行ったわけでありますけれども、大阪でございまして、大変成績が悪いので、各学校を回ってみました。四十七都道府県中四十五位でございましたので行ってきまして、分析をさせていただいております。

 教育長と市長と話し合いをずっとさせていただいているわけでございますけれども、大変難しい問題もたくさんありますので、今後とも、この出た分析を踏まえて、大変すばらしい分析でありますのでその分析を踏まえて、私たちは、豊かな情操教育また知識、そういうものが子供たちの人生の生きる力になるような、そういうことに力をこれから少しでも注いで、文部省が行いましたこれを、来年また予定していると思いますので、円滑にいけると思いますが、去年はちょっと発表が遅かったのでもう少し早く子供の手に届けるようにしていただければ、またもっともっといけるんじゃないかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 時間となりました。ありがとうございました。

西銘主査 これにて井脇ノブ子君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀岡偉民君。

亀岡分科員 自由民主党の亀岡偉民です。

 渡海文部大臣には、長時間答弁をされてお疲れのところだと思いますが、まだもうしばらくおつき合いのほど、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず最初に、実は最近、私は非常に感じることがありまして、それは何かといいますと、昨年、ちょうど教職員の免許更新法の改正をするときに、各市町村とか私も大分歩かせていただいたんですが、どうも教育委員会に行くとなかなか閉鎖的な環境がありまして、我々が行っても情報をなかなか聞かせてもらえない。そして、県で各市町村の教育委員会の話を聞いても、上がってきた報告に対してはわかります、こういう言い方をされるんですね。

 本来であれば、教育委員会というのは、県も市町村も一体となって情報の共有がしっかりできていて初めていろいろな体制がとれるんだろうと思うんですが、歩けば歩くほど、何か県と市町村の隔たりがあるような気がしてならなかったんですね。

 学校の先生方は基本的にはしっかりと、その年その年に新しい生徒たちが入ってくるわけですから、その新しい生徒たちに対処すべく、その希望や目標があって、問題が起こったときには、初めてそのときに教育委員会に相談をするという形式になっているとは思うんですが、実際に、県の教育委員会と市町村の教育委員会、私が回ってみたところでは、実際に会議を一緒に持ったようなことがないんじゃないんだろうか。ですから、情報の共有が全くできていないような感じに私は見受けられたんですね。だから、事件が起こってもなかなか対処ができないし、その事件に対して、今度は二度と起きないような対策の充実したものがつくれないんじゃないかと私は思わざるを得ないんです。

 まず最初に、市町村と県の教育委員会の連携はしっかりとれているのかどうか、文科省、その辺の実態を知っておられるかどうか、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 市町村の教育委員会は、小中学校を設置し、その管理運営に当たるなど、義務教育の直接の実施主体としての役割と責任を負っております。また一方、都道府県教育委員会は、義務教育段階の学校の教職員の人事や給与負担など、広域的な水準確保の役割と責任を負っておりますとともに、市町村への必要な指導や助言、援助を行う役割を担っております。

 このような役割分担のもと、例えば、都道府県教育委員会は市町村教育委員会の内申をまって県費負担教職員の人事を行っており、また、協力して教員の研修を行うなど、相互に連絡調整を行いながら、連携して当該地域における教育行政の充実を図っているものと認識をしているところでございます。

亀岡分科員 今、役割分担が非常に分かれているのはわかるんですが、先ほど申し上げたように、一緒の情報の共有という会議とか、どうもそういうのが持たれていないような気がして、役割分担ははっきり分かれているけれども、その役割分担が、例えば全く上下別であって、監督する側が県であったりして、問題が起こったら報告だけすればいいというような、どうもそういう環境が私には見受けられたんですね。

 本来であれば、やはり教育委員会は、確かに県と市町村の隔たりはあったとしても、問題点は、同じ共有をした情報の中で具体的な取り組みをしなきゃいけないと私は考えておるんですが、そこに国もきちんと同じ情報が共有できるような環境をつくっておかないと、それぞれの教育委員会が独自でやってしまう。その情報が、本当に問題点があるものだけ、本当に大きな問題点だけが県に上がり、それがまた取捨選択されて文科省に上がってくるとなると、状況が本当に全部把握できているかということは、これは言えないと思うんですね。

 ですから、私はぜひ、教育委員会のあり方というのは縦割り社会ではなくて、まさに市町村の教育委員会や県の教育委員会そして文科省が一体となれるような環境をこれからつくるべきじゃないかと思うんです。そして、その問題に対応できるべく、対処の仕方は、逆に言えば、スムーズに今度は文科省からできるはずだと私は考えておるんです。

 ぜひ渡海大臣、教育委員会というのは特殊なものかもしれませんが、その情報の共有化ができたらかなり教育現場に生かされるんじゃないかと思うので、ぜひその辺のお考えを聞かせていただければということで、よろしくお願いします。

渡海国務大臣 教育委員会の問題というのは大変議論のあるところでございまして、ちょっと余計な話をしますが、私は就任早々ある先生と随分話をいたしました。これは、教育委員会は廃止しろとおっしゃっている先生で、二時間話しました。要するに、教育委員会がむしろ邪魔になっている、これがなければもっとちゃんとダイレクトにいろいろな、例えば首長の意見が生きると。ところが、逆に、例えば首長がある特定政党に支配されているということになったら、これは教育が特定政党、特定イデオロギーに支配されるという問題もあるわけなんですね。教育委員会というのはやはりあくまで中立性を保つというのは一つの知恵であろうというふうに私は考えております。

 ただ、先生がおっしゃっているように、風通しが悪くて情報が全然行かない、私の近くにもそんなことはしょっちゅう起こっていますから、ここをどうやって変えていくかということについて、去年法律は一回変えていますけれども、我々はもっともっと、この運用状況も含めてこれから議論もし、変えられるところは変えていかなきゃいけないという気がします。

 例えば、市町村教育委員会からうまく情報が上がるかどうか、この辺のところになりますと、我々は、上げるようにという指導をしているんですね。これは確かに県と市町村の関係になってまいりますから、ある意味、県がもっとしっかりしてもらわないと困る。県は、今の仕組みでいきますと、少なくとも義務教育は、要は教員の任命権を持っているわけですから、そういう意味では市町村に対してある種の力は発揮できると思うんです。何も押しつけるだけじゃなくて、指導というものはもっとちゃんとできるはずだという考えは私も持っております。

 そういう意味で、都道府県教育委員会と文部科学省、やはりこの関係をまずきっちりとつくること、そして、各都道府県において、しっかりと各市町村教育委員会に対して指導力を発揮してもらう。また、情報を伝達する、都道府県に上がったものはすぐ我々が情報として持てる、そういう仕組みをどうやったらつくれるのかなということを、これからも、より考えていきたいというふうに思っています。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 まさに今大臣の言われたように、もう少し風通しがよく、しかも同じ共有した情報の中で例えば会議を一緒に持つことができたら、人事に対してももっと細やかな人事配置ができると思いますし、逆に言えば、子供たちが抱えている問題点のみならず、先生の抱えている問題点がもっと早く県に上がってくると思います。

 ここでもう一つ、私はちょっと今回気がついたことがありまして、私が国会議員として、国政調査権を持っていますから、いろいろ教えてもらいたいと行くと、これが、いや、国は口を出さないでよ、こういうような感じなんですね。教員免許更新制度というのを、しっかりと我々考えながら、十年間の更新制度をつくらせていただいたわけですが、そのときに、情報をもらおうと思ってあちこち歩いても、いや、国は関係ないんだ、国は黙っていてくれみたいな雰囲気が物すごくありました。

 こういう情報というのは、まさか文科省が国会議員に口を出させないということはないと思いますが、どちらかというと煙たがられてしまう。制度をつくるのは国会の場であっても、ではその情報はどこから得るんだというときに非常に難しいところに出くわしたんですね。

 ですから、これはぜひ文科省の皆さんには、教育委員会の皆さん、ぜひ、縦割り社会ではなくて、まさに国会議員も含めて情報の共有化、これはオープンにして、もう少し、個人情報の保護ではなくて、実際に自分たちは守秘義務を持っている。国会議員でも同じですが、その中で同じ情報をしっかり共有し合って、問題の解決のために、制度改革のために大いに国会議員も利用してもらうということが大事だと思うんですが、その辺、文科省はどう考えているか、ちょっとお聞かせ願えれば、お願いします。

    〔主査退席、三原主査代理着席〕

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 教育委員会が効果的な教育行政を推進していきますためには、地域住民の方を含め、関係の方々に説明責任を果たし、情報を共有していくことが大変重要であると存じます。

 昨年の通常国会におきまして地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、教育委員会は、毎年、その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならないという規定が設けられました。

 文部科学省といたしましても、市町村教育委員会などに対しまして、この改正地教行法の趣旨の周知や、また必要な指導助言を行うことを通じ、市町村の教育委員会が、国会議員の方々を含め地域にかかわるさまざまな方々とその地域の教育について説明し、情報を共有し、連携協力していくことを促してまいりたいと存じます。

亀岡分科員 ぜひ、それは積極的に文科省からも働きかけをしていただきたいと僕は思うんですね。どうも地方の方では、教育委員会というのは特殊なものであるというイメージを持たれている。ですから、教育委員会には逆らえないんだとか物が言えないんだみたいなところがあって、その教育委員会になられた皆さん方も、なったたびに、特別であるみたいな認識を持っておられて、我々と話をしたくないみたいな環境ができてしまう。これは僕は、情報の共有に関しては非常に問題があるような気がするんですね。

 ですから、地方で何か問題があったときにはすぐそれが県で、そして国に、共通の問題意識としてすぐに認識されるべきであり、その対応がスムーズにできるように、ぜひもう一度地域の市町村の教育委員会の方にも話し合いをしていただければと、よろしくお願いします。

 次に変えますが、実は、スポーツの指導者のことについて、私、ちょっとお尋ねをしたいんです。

 実は、去年から私ども、高野連の特待生問題をいろいろ勉強させていただいておるわけですが、そういう中で、いろいろな社会スポーツ、各地域の中で受け入れてもらうというのはいいんですが、その中で、本当に指導者がいい場合と悪い場合がある。悪いという表現はおかしいんですが、お金を取るだけではなくて、就職に絡んでみたり進学に絡んでみたり、本当に一般社会通念上ちょっと問題だなというようなことが起こってしまう。それで、調べていくと、結構そういう事実が出てきてしまいました。

 一度、文科省は指導者の認定制度を昔つくられたと聞いておりますが、それをやめてしまったというのはどういう背景があるのか、ちょっと教えていただければと思うので、よろしくお願いします。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、財団法人の日本体育協会等スポーツ団体が実施をいたしますスポーツ指導者養成事業のうち、一定の水準に達し奨励すべき者に対しまして、従来、文部科学大臣認定を行ってきたところでございますが、平成十二年の閣議決定を受けまして行政改革大綱が定められまして、公益法人が実施いたします事務事業に推薦等のお墨つきを与えることにつきましては、民間において行われている各種技能審査との差別化を必要以上に助長するおそれがあるという指摘を受けまして、見直しを行い、平成十七年度末をもって、スポーツ指導者養成事業に対します文部科学大臣認定を廃止したところであります。

 この文部科学大臣認定が廃止された後におきましても、財団法人日本体育協会や加盟団体等が連携をいたしましてスポーツ指導者の認定事業を行っておりまして、平成十九年十月現在、日本体育協会の公認スポーツ指導者には、水泳、サッカー等を含め、十二万人の方々が指導者として登録をされているわけでございます。体協以外にも、日本レクリエーション協会やスポーツ団体において独自の指導者の認定事業が行われているというふうに理解をしているところでございます。

亀岡分科員 確かに、行革の一環として特定の公益法人が認定するものがというお話がありましたが、実際には、私ども調べてびっくりしたんですが、指導者という資格が全くない中で、スポーツが少しできるという環境の中で子供たちを集めてしまっていろいろなことをやっているケースがある。これは私は非常に大事だと思うんです。夢を見る子供たちがスポーツに邁進するのはいいんですが、その後の進学や職業に関して変な環境に置かれてしまうというのは、非常に僕は残念な気がするんですね。

 ですから、やはりこれは、我々ことしになって法案を出していますけれども、国家試験というものを入れる、しっかりと周りが認めてくれるし、やる方の意識も高まるということがあるんです。

 ぜひ大臣、これは、各地域で社会スポーツとして受け入れてくれるという環境をつくっている以上は、もう少し指導者に対して質の向上を求める。そして、質の向上を求めながら、本当に子供たちの育成指導者として適格であるという、何かこれを考えないと、地方の中で行われているのが、いいもの悪いもの、そして、野球の例をとって大変申しわけないんですが、どこかの野球場でお金が全部出ていったとか飛び交ったとか、そういうような環境が生まれてしまいかねないということもあります。

 これは文科省として、もう一度、子供たちの、社会スポーツで受け入れるような環境をつくるというのと同時に、やはりその中で、地域の指導者として、最低限スポーツの指導者はこれぐらいのことは知っておかなきゃいけないよというものはぜひ少し考えるべきであると私は思っているんですが、ぜひ大臣としてのお考えを述べていただければと思うんです。

渡海国務大臣 委員は甲子園で江川投手の球を受けられたという、びっくりいたしました。私は、何かことしはひょっとして甲子園に行かなきゃいけないので、勉強になっておりました。これは冗談でございますが。

 先ほど局長からお話がございました。私が以前やっておりました仕事でも、同じようなことが起こっております。よく何々認定という、一番わかりやすいのは大臣認定ですね、そういう認定のもとでいろいろなことが行われている。ところが、それは、例えばその大臣認定という肩書そのものが変な意味で商業化してしまって、特定の人がある研修を行ったり、そういった経緯があったと思うんですね。まずそういうものを避けるということが大前提で、きっちりとした指導者というものをどういうふうにやはり考えていくのか。

 今、文部科学省でやっていることとしては、住民のニーズに対応できる指導者の育成ということで、都道府県にお願いをして研修プログラムというものの開発のモデル事業を、これは十二県でやっております。

 また、財団法人日本体育協会がスポーツ指導者認定等に関する、これは体協が行う認定ですが、ガイドライン、指針というものを策定して、体協が認定は出すんだけれども、しかしそれは、例えば文部科学省のちゃんとしたこういう指針のもとでやっているよというふうな形にして、ある意味でのレベルをきっちりと維持するというようなことができるかなと。

 そういったことをやっておりますが、今の委員の御指摘も踏まえ、そういったきっちりとした指導者にどうすれば生涯スポーツの中で活躍してもらえるかということについては、さらに検討を進めたいと思います。

 また、元スポーツマンでございますから、こういったことができたらといったような御提案もございましたらいただければ、御指導いただければ幸いであるというふうに思っております。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 今お話があったように、できましたら、お金を取って何か教えるという教室をやる場合においては、少なくとも最低限、体協の認定でもいいですし、県の認定でもいい、それぐらいは必要であるというようなものは、何とか考えられたら考えていただければというふうに思いますので、ぜひお願いいたします。

 それから、先ほどから話がたくさん出ている改正教育基本法の話なんですが、実は、この改正教育基本法、私、現場でかなり、何年かかけて前からいろいろな話を聞いてきた中で、どうも現場の先生が、ああ、こういうのが来たよ、変わったよ、だから変えればいいんだ、これを見てやればいいんだみたいな話が多くて、そこまでいっていればまだいいけれども、知らないケースもまた多くて、変わったんだってね、ああそうぐらいで、うやむやにしてしまうような先生もいるという話を聞いているんですね。一生懸命、これで現場を何とかよくするために改正しようじゃないか、子供たちのために改正しようと思っても、それが実際の現場に伝わっていかない。

 これは部会の中でも出たんですが、いや、努力していますよというのはわかるのですが、その努力が受け入れ側に対して本当に受け入れられているかというのに僕は物すごい疑問を感じているんですね。

 だから、どれぐらいやったか、努力したか、そして受け入れ体制がどれぐらいできていたか、それがしっかりできていれば、瞬時にして徹底した、基本法の改正で理解されるべきその趣旨が本当に理解していただけると思うわけですが、どうもその辺が、伝達がスムーズにいっていないんじゃないだろうか。その辺は今どのようにやられていて、どういう状況なのか、教えていただければと思うので、よろしく。

加茂川政府参考人 これまでの取り組みについてお答えをいたしたいと思います。

 文部科学省といたしましては、平成十八年十二月に改正教育基本法が公布、施行されて以来、各学校などの教育現場等に対しまして、この改正教育基本法の概要、趣旨等の周知徹底に努めてきたところでございます。

 幾つか具体例で申し上げますと、各学校、いわゆる教育現場に対しましては、まず改正教育基本法の施行通知が届くようにすることが第一でございますけれども、これに加えまして、改正教育基本法の概要、趣旨等を記載しましたリーフレット、パンフレットでございますとか、あるいは文部科学広報、広報紙を全国の学校に配付し、周知を図るということをまず第一に行ったところでございます。

 同時に、都道府県あるいは指定都市の教育委員会教育長会議などの各種の会議を通じまして、教育委員会の管理職あるいは担当者等に対しましても、この改正教育基本法の概要、趣旨等につきまして説明を十分行っているところでございます。

 また、一般向けではございますけれども、一般の国民に対します広報についても努力をいたしてございます。

 特に、昨年の八月から十一月にかけましては、教育改革セミナーという形で、全国七ブロックでこういったセミナーを開催いたしまして、改正教育基本法あるいは教育改革の進捗状況に関する広報活動を展開したところでございまして、私どもの担当者から直に説明を行わせていただいておるところでございます。

 また、さらに一般的な広報について申し上げますと、文部科学白書あるいは文部科学時報等の出版物、さらには我が省のホームページ等におきましてもいろいろな積極的な広報に努めておるところでございまして、これまではこういった取り組みに努力してまいったところでございます。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 確かに一般の方への周知徹底というのは新しい試みで、私はそれはすばらしいと思うんですが、その前に、その周知徹底の中で、どうしてこういう改正になったのか、その改正の趣旨、その理解度が、非常に僕は、現場に落ちていないというような気がするんですね。

 ですから、大臣、今確かに説明があったとおり、私もわかるんです。物すごい文書とか通達はきちんと行っているんですが、なぜそうなったか、こういうことがあって、こういう思いでこういうふうに改正したんだよという心が全く末端に伝わっていないんですね。先生方の意識が、ああ、また来たか、やらされているんだよみたいな、これはどうも、せっかくいい改正をしても、先生方にその思い、心が伝わっていかないというのは、僕は物すごい問題があると思うんですね。

 だから、一般の人にPRするのも大事なんですが、その時間をもう少し直に現場に、なぜこういう改正をしてこういうことになったのか、それをどうして今実行してもらいたいかという思いを、その心が伝わっていくような方法論は何とか考えられないかと思うんですが、ぜひ大臣から一言コメントがあればお願いします。

渡海国務大臣 今局長が申し上げましたように、さまざまな機会を通じて通達というか伝達はしているわけでありますが、先生おっしゃるように、心ということですから、これから指導要領の改訂も、告示をいたしましたら一年間かかってやるわけですね。

 この指導要領の改訂の一番最初は、改正教育基本法に基づいてつくられた新しい指導要領ということでやりますから、その辺のところも工夫しながら、何よりもやはり心を伝えようと思うと、伝えに行く人の迫力なんですよね、はっきり言いまして。何を言ったからということじゃなくて、やはり、こうやってほしいんだ、今これをやるんだという、これがないとなかなか伝わらないと思いますので、一層気合いを入れて、しっかりと一年間、この学習指導要領の指導をする際に、今先生がおっしゃったような趣旨を込めてやるようにということを担当者によく徹底するように、私の方から申し上げたいというふうに思います。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、体型も体格のいい人を選んでいただいて、迫力ある、現場の先生方に周知徹底できるような派遣をしていただいて、できればその思いを伝えていただいて、現場の先生方がその気持ちを理解した上で生徒に向かえるような通達の仕方をぜひやっていただければと思うので、よろしくお願いします。

 それから、最後になりますが、きょうの朝日新聞にも出ていたと思うのですが、政府が、待機児童ゼロ十年計画というのをつくられました。

 私は、これが非常にいいか悪いかと思って困っているところなんですが、現在、犯罪がふえて低年齢化している原因の中には、特にことしになってから尊属殺人が多くなっていますが、親子の関係が希薄になっている。まさにその親子の関係が希薄になっているものをもう一度見直して、しっかりと教育の現場に生かしていかないと、また殺人がふえ続けてしまう。しかも、尊属殺人。世界で一番多いかもしれないと言われている現状のこの日本を考えた場合において、預けることばかりを考えていいのかどうか、これは私、非常に問題だと思うんですね。三つ子の魂百まで、そして、本当に今、子供たちの教育は幼児期からといって大事に見直されてきた時期ですから、今こそ幼児教育をもう一度考え直すべきだと私は思うんですね。

 もう先ほどから出ていると思うんですが、やはり今度は、小学校に入るまではいいんです、小学校に入るときが僕は一番大事だと思いますので、同じ環境のもとで小学校に入れるには、やはり幼児教育は無償化して義務教育化して、できれば僕は、今の公立が悪いというわけじゃないんですが、建学の精神のしっかりしている私学に任せて、もう少し子供たちの、預かり保育ではなくて幼児教育としての、日本人としての価値観や思いやりや、そういうものをきちんと学ばせた上で、同じ条件で小学校に入っていける。

 特に、今は児童手当をやっていますが、一番年収の少ない世代が親なわけですから、親の負担を軽くするには、やはりどうしても、預かり保育よりも、きちんと義務教育化、無償化した上で、そして幼児教育というものを充実させることがニート対策にもなりますし、少子高齢化対策にもなると思うんですね。家族の大切さを教えていく。ニート対策や少子高齢化対策に何千億と今使っているわけですが、それをトータルすると幼児教育を無償化しても十分やっていけるような気がするんですが、ぜひこの辺、大臣の考え方を聞かせていただければと、よろしくお願いします。

渡海国務大臣 基本的に全く賛成でございます。

 二つの意味があると思うんですね。

 一つは、就学前でレベルのそろった子供が入ってくるということが、小一プロブレムとかいろいろ言われていますが、やはり小学校をスムーズにスタートさせる上で非常に大事であろう。

 もう一点は、最近は海外でも、就学前教育、要するに幼児教育というものは大変大事だというのが言われておりまして、日本も同じでございます。そういった点で、やはりしっかりとした幼児教育をする必要があるだろう。

 無償化という問題は、これはもう無償化に向けてというふうに、ちゃんと我が党のマニフェストに書いてあります。ただ、ちょっとただし書きがありまして、財源問題を片づけてという話になっていますから、いずれそうなるんだろうというふうに思っております。消費税が上がったときには社会保障、二番目はこの少子化対策、幼児教育の無料化というふうに大体言われておりますから。

 ただ、もう一点だけ、これで最後にしますが、先生が言われた点で、保育という機能も、実はこれは経済財政諮問会議が非常に強く言っておるんですが、少子化が進む中で労働人口が非常に減るんですね。そのためには、やはり働けるお母さんたち、お母さんだけだったら恐縮かもしれませんが、要は、子供を預けて仕事ができるという環境をつくるということは同時にこれからの少子高齢化の社会の社会的ニーズだということが言われておりまして、こういったことをどうやって組み合わせていくか。

 幼稚園は大体四時間ぐらいでございますから、それから後帰ってくるということになると、これはやはり保育というかどこかで預かってもらうという機能も必要なわけでございますから、そういった点を総合的に判断しながらこれから頑張っていきたいというふうに思います。

 基本的な考えは、先生のお考えと全く同じでございます。

亀岡分科員 ありがとうございます。

 私も生まれたときから幼稚園で育ってきましたので、ぜひお願いしたいんです。

 今、幼稚園も預かり保育といって延長保育をやっておりますし、職場をつくるために預かるのじゃなくて、やはり幼児教育の中でさらに延長保育をしながら職場を確保していく。主客転倒されると、子供たちの教育が二番目になってしまう。働く職場の前に子供たちがいるんだよ、そして、その中でなおかつ働く場を確保するということであれば、イメージが全く変わると思いますので、ぜひ大臣、その辺はまた、今のお気持ちが変わらずに実行していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

三原主査代理 これにて亀岡偉民君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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