衆議院

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第1号 平成22年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十二年二月二十三日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      海江田万里君    津島 恭一君

      長島 一由君    山田 良司君

二月二十四日

 海江田万里君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十五日(木曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 海江田万里君

      江端 貴子君    津島 恭一君

      長島 一由君    山田 良司君

   兼務 萩原  仁君 兼務 高橋千鶴子君

   兼務 重野 安正君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   総務大臣政務官      小川 淳也君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  長島 一由君     江端 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     福嶋健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  福嶋健一郎君     長島 一由君

同日

 第三分科員重野安正君、第五分科員萩原仁君及び第六分科員高橋千鶴子君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (文部科学省所管)


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     ――――◇―――――

海江田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中文部科学省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。川端文部科学大臣。

川端国務大臣 主査、委員の皆さん、よろしくお願いいたします。

 平成二十二年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 平成二十二年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。

 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆五千九百二十六億円、エネルギー対策特別会計は一千四百十二億円となっております。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

 なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。

 よろしくお願いします。

海江田主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま文部科学大臣から申し出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

海江田主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

海江田主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

海江田主査 この際、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。

 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江端貴子君。

江端分科員 民主党の江端貴子でございます。

 国会においての初めての質問ということで、今回この質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。私は、中学三年生の息子を持つ親として、きょうは主に教育のことに集中いたしまして御質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは川端文部科学大臣にもお越しいただいておりますので、まずは大臣への御質問から先にさせていただきたいと思います。

 大臣は、今国会の所信表明で、学校の教育力を高めるために最も重要なのは教員の質と数の充実であると述べられました。大臣は、教員の資質向上方策の抜本的な見直しについては、学校関係者や保護者などの意見を把握しながら、あらゆる課題について幅広く検討していくとされております。そういった中で、今、教員免許更新制度の見直しあるいは教員養成課程六年制の問題などあると思います。

 実は、私も教員養成学部を卒業いたしておりまして、小学校、そして中学、高校理科の免許を持っておりますけれども、二十八年前に取得いたしましてそれを使っておりませんので、もう事実上は失効しているということになるかと思います。さらには、六年制ということでは薬学部が六年制に踏み切りまして、そういった中で、初年度の大学、薬学部を志望する学生が国公立大学において七%、私立大学においては三一%減ったというようなこともございます。

 職種が違いますので簡単に比較することはできないかもしれませんが、こういった教員免許更新制度の見直し、そしてまた教員養成課程六年制との関連を含めて、その構想内容や方向性について大臣の御見解をお聞かせください。

川端国務大臣 委員の初質問の機会に初答弁をさせていただきまして、光栄に思います。ありがとうございます。

 教育の重要性はもう申すまでもないというふうに思います。そういう中で、今もお触れいただきましたが、鳩山内閣としては、教育の充実のために、何といっても教員の数をふやしてきめ細かい教育を実現することと同時に、質を上げたい。

 今、学習指導要領の改正にも伴いまして、どんどんと時代が変わる中で、教科の幅も広がり、そして深みも増しているという中で、先生にとって教える中身も非常にふえてきた。日々の研さんをしていただかなくてはいけないということと同時に、社会の変化によって、俗に言われる子供のコミュニケーション能力の低下、要するに、子供にどういうふうに理解をしてもらい、学力を身につけさせるかという、いわゆる学習の指導力というか、教育力というものにも大変能力を求められてくる。

 そして同時に、社会の環境の変化によっても影響があるんでしょうが、保護者との関係、あるいは地域との関係、それから特別にきめ細かく応援をしてあげなければいけない児童生徒もふえているというふうなことで、先生に求められる質というのは非常に多岐にわたって要求が大きくなってきているということを踏まえると、先生の質を上げるためには、恐らく、一つは教員の養成課程でどういうことを学んで身につけてもらうのか、それから採用のときにどういう判断基準で先生を採用していくのか、それから、なっていただいた先生にどういう現場の教育をしながらスキルアップしていただくのか、この三つのフェーズでそれぞれに重要なんだろう。

 目的はいかに質の高い教員をふやしていくのかということに尽きるという中で、一番初めの養成課程における免許を持ってもらうときによりスキルを上げるということでいうと、六年制というのは一つのアイデアとして想定をしております。

 ただ、ずっと六年間という医学部みたいなものなのか、四年にプラス大学院があるのか、それは二年じゃなくて一年なのか、連続性なのか、教職についてから後なのかというのは幅広く議論をしていきたい。さまざまな御意見があります。今御指摘のように、六年にすると学費の負担はかかる、六年たったからといってどれぐらいの処遇が保障されているのか、あるいは教員になるには採用試験がありますから、採用されなかったら終わりですから、終わりと言ったら語弊がありますが、ということで、せっかくのということになります。

 ということをも含めて、あるいは、いわゆる教員養成課程をしっかり持っている養成を主とする大学、横浜国立大学のような学部もあれば、一般大学で教員免許を取れるということもありますから、そういう部分で幅広く、まさに教育関係者、保護者も、それから学生も含めて、幅広い中で議論をしてまとめてまいりたいというふうに思っております。その調査するときの一定の予算も、調査費も計上させていただいて、六年制というものの一気に連続してということだけにこだわってということではなく、幅広に、目的はいかに良質ないい先生をつくって現場に出せるかということを最大の目的として取り組んでまいりたいと思っております。

江端分科員 ありがとうございます。

 教員の数につきましては、また後ほど御質問させていただきたいと思います。

 次に、新しい公共の観点から、学校支援地域本部事業の今後についてお伺いしたいと思います。

 鳩山総理が、施政方針演説の中でも新しい公共ということを話されました。これは、官だけではなく地域の住民、あるいはNPO、企業などが連携して主体的に公の役割を担っていくというものですけれども、教育の面においては杉並区立和田中学が成功事例として有名になりましたが、学校支援地域本部はまさにその先駆けの事業に当たるのではないかというふうに思います。しかし、各地で同じような活動をしているにもかかわらず、費用の面などで悩んでおり、まだこの学校支援地域本部事業の存在を知らないケースも多いように見受けられます。

 そこで、この事業の対象はどういう基準で選考し、そして今どれぐらいの規模と予算で実施されているのか、この点についてお伺いしたいと思います。

鈴木副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 まず、今現在、千六の市町村で二千四百二の本部が活動をいたしております。平成二十二年度予算でございますけれども、委託事業分といたしまして二十七億円、それから補助事業といたしまして百三十一億円の内数という予算になっているところでございます。まず、箇所数については二千二百二十五カ所にふやしてまいりたい、補助数についても千六百二十カ所にふやしてまいりたいというふうに考えてございます。

 基準でございますけれども、まず必要な組織体制を整えているのかどうか、それから地域の課題、学校の課題を踏まえた事業内容となっているかどうか、自立的に事業を継続できるかどうかということでございますが、これは外部委員から成る事業選定委員会において審査をしていただいておりますけれども、これまで審査のあった地域は、審査の結果、こうした基準を満たしているという判断ですべて採択をされております。

 イメージで申し上げますと、体制ということでいいますと、地域コーディネーターが今認定をされているところの平均で申し上げますと二・三人ぐらい、それから、学校支援ボランティアが単純に一地域平均で申し上げますと百九十一人程度ということになっておりますので、このような人員が確保されて先ほど申し上げたようなことが満たされれば、学校支援地域本部事業として開始をしていただけるというふうに御理解をいただければと思います。

江端分科員 ありがとうございます。

 実は、私の地元に城西大学附属中学校・高等学校というのがございまして、箱根駅伝で有名になりました城西大学の系列学校なんですけれども、通常、私立の学校といいますと、どちらかというと地域からは切り離されて、というのは、通ってくる生徒さんも保護者も地域の方ではないという場合が非常に多いものですから、どちらかというと地域住民と学校とのかかわりというのは非常に薄いというのが一般的だというふうに思うんですが、この城西中学・高校の場合は、実に地域の方々に非常に開けた形で学校を運営しておりまして、例えば、地元で獅子舞という伝統があるんですけれども、なかなかそれを担う方たちがいなくて、お祭りのときも大変困っているというような状況がございました。

 そんな中で、この学校で、クラブ活動の一環としてそういった地域の伝統を受け継ぐというようなことをしたり、あと、生徒、それから教職員、保護者、そして地域の方々も加わって混声の合唱団を形成して、そういった地域の中で非常に溶け込んだ形で活動しているんですけれども、この学校支援地域本部事業という中で、私立の学校も対象となる、あるいは拠点となるというような可能性があるのかどうかについてもお聞かせいただきたいと思います。

鈴木副大臣 今もいい事例を御紹介いただきましたが、基本的には、広くその地域と学校が一緒になって地域全体で子供をはぐくんでいく、こういうことでございますので、ぜひ研究、検討をさせていただきたいというふうに思います。

江端分科員 ありがとうございます。

 地域が教育を支えるという新たなスキームは、まさに新しい公共の先駆けということで高く評価していきたいと思います。

 今度はちょっと一たん子供の側の立場から、小学生、中学生、高校生の放課後の過ごし方について、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 私も働く母親として子育てを実際に行ってきて、小学校に上がる前は保育園、小学校に上がってからは学童保育、そういった形で、放課後、子供をどういうふうにして過ごさせるのかということを考えてきたわけですけれども、今、いろいろな制度が複雑に地域あるいは学校に入ってきて、子供側あるいはその保護者からすると非常にわかりにくい状況になっているのかなという感じがいたします。

 例えば、子供の放課後事業ということで文部科学省はおやりになられているわけですけれども、学校の中で今度は学童保育が併設されてしまうと、同じ学校の中で物理的に、放課後になったらある意味、厚生労働省の管轄になる子供たちと、それから文部科学省の管轄になっている子供たちが入り乱れているという状況で、私の息子が通っていた学校は実際そういう状況に途中からなったんですけれども、学童保育の方は、親が月々何がしかの、お菓子代とかを払っている。そうなると、同じ部屋の中をカーテンで仕切って、こっちが、学童保育の子は今からおやつの時間とか、そういったことをやっている。

 あるいは、子供を預けている親としては、多少学童保育の場合ですと、例えば、何時になったら実はちょっとピアノのおけいこがあるので、うちの子だけ少し先に帰させてほしいとかあるんですが、学童保育と子供放課後事業が一体になってしまうと、なかなかそういったきめ細かなところまで、指導員の方が子供たち一人一人を見るというようなことが難しいというようなこともあって、ある意味、これは自治体で解決しなければならない問題なのかもしれませんが、子供たちの放課後を包括的に見守っていけるような具体的なプランというのはあるのでしょうか。文部科学省としての考えを教えていただきたいと思います。

鈴木副大臣 学童クラブは非常に歴史と伝統と積み重ねのある制度でございますけれども、放課後子ども教室というのを文部科学省がやっております。これは、実は私の発案というか、第一号のプランニングなどをさせていただいたわけでありますが、御指摘のように、学童クラブは、まさにお勤めをしておられる御家庭のお子さんということにこれは限定をしていたわけでありますけれども、かつ学童が学校の中にあるというケースも最近ふえております。そういう中で峻別するということはいかがかというようなこともありまして、平成十九年度からは、私も野党時代いろいろな御提案も申し上げて、一体的にやっていただいて、放課後子どもプランということでやってはいただいております。

 ただ、先ほどお話のあった、放課後子ども教室も別に授業をやっているわけではございませんで、子供たちに居場所を提供していまして、スポーツをやっている子供もいれば、読書をやっている子供もいれば、あるいは宿題をやっている子供もいれば、そうした子供たちをボランティアの皆さんが見守っていただいている、こういうことでありますので、出入りは別に不自由はないというふうに思いますが、これは経緯的にはそういういろいろ二つの流れをつなぎ合わせておりますけれども、やはり新しい政権にもなりましたし、そこの接続をよりよくしていく。その方策としては、やはり、もっと学校現場にいろいろな権限といいますか決定権をおろしていくということがより大事だというふうに思っています。

 例えば、学校支援地域本部とかあるいはコミュニティースクールになっているようなところは、もう現場で、そうした学童クラブの関係者と、それから運営協議会の理事者、PTA、あるいは運営協議会の人たちが相談をして大体うまくいっているわけでありますが、必ずしもそういう現場で調整する受け皿といいますか枠組みがないところは、御指摘のようなやや所管によるふぐあいというものが残っているところはあるのかもしれませんけれども、これはもちろん両省の調整ということも必要ですけれども、むしろ、地域主権あるいは現場主権を進めていくということで解決すべき課題ではないかなというふうに理解をいたしているところでございます。

江端分科員 ありがとうございます。

 子供の教育、福祉を一元的にとらえる上でも文部科学省と厚生労働省との連携というのは非常に必須だというふうに私も考えますし、ある意味、今の幼保一体化というのはその一歩というふうに言えるんだと思います。

 先日、一月二十七日の参議院の予算委員会で、鳩山総理が、幼保一体化の関連法案を二〇一一年度に提出するというようなお話、意向を示されたということがございました。そこで、幼保一体化を実現するに当たり、どのような構想なのか、今の段階での御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

鈴木副大臣 私どもの高井政務官と山井政務官で、本当に連日いろいろと御相談をさせていただいているところでございますが、まずは既に制度化されております認定こども園というものを着々と進めていくということと、昨年の十二月に閣議決定されました緊急経済対策におきましても、幼保一体化を含めた新たな次世代育成支援のための包括的、一元的な制度について、平成二十二年前半を目途に基本的な方向を固め、平成二十三年通常国会までに所要の法案を提出するというかなり具体的な方向について、これは私もそのプロセスを見守らせていただきましたが、高井、山井両政務官のイニシアチブでこのような結果になっているということになっております。

 さらに、それを受けまして、ことしの一月の二十九日に設置をされました子ども・子育て新システム検討会議におきましても、次世代育成支援改革の検討とあわせて、認定こども園制度のあり方、それから幼児教育、保育の総合的な提供、いわゆる幼保一体化について精力的に検討をするということになっておりますので、総理の御意向を受けて着々とやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

江端分科員 ありがとうございます。

 今まで、幼児教育、また小学生、中学生、高校生の放課後の過ごし方についてお聞きしてまいりましたけれども、ちょっと視点を変えまして、私の地元の豊島区では、障害のあるお子さんの放課後の居場所というのが極めて少ない状況でございます。厚生労働省の児童デイサービスの中で、障害のある方もお預かりするということもありますけれども、ちょっと不便なところにあってなかなか送り迎えが行き届かないというようなこともありまして、実質一人ぐらいしか御利用されていない。

 一方で、やはり、知的障害を抱えるお子さんをお持ちのお母さん方が別に今組織をつくりまして、二〇〇一年からアフタースクールということをやっているんですけれども、今度はこちらの方は予算がつかないということで、自治体から五十万、都から五十万、民間からの助成金で二十五万ということで、年間百二十五万で、区から場所だけはお借りしているんですけれども、運営をしているというような状態が起きております。

 そうなると、結局、利用料を取らざるを得ないということになるんですが、この利用料が月々大体四万から五万、それから夏休みになると八万円ぐらいかかってしまう。そうなると、ほとんどパートで働いているようなお母さんではとても賄い切れない、こういった状況も生まれております。

 当然、これも自治体含めて考えていかなくてはならないあれだと思うんですけれども、やはりどうも、地方と都会というだけでなくて、都の中でも、自治体によってこういった予算がつけられる、つけられないということで、かなり格差が出てきているというのが実態ではないかなというふうに思います。

 こういったことも含めまして厚生労働政務官にお尋ねしたいんですが、この児童デイサービス事業、今後どういうふうな見通しと、課題についても教えていただきたいというふうに思います。

山井大臣政務官 江端委員御指摘のように、障害のあるお子さんの放課後の居場所というのは非常に切実な問題だというふうに思っております。

 そして、委員御指摘のこの児童デイサービスは、障害のある児童について、日常生活における体の動作の訓練や集団生活を営むための訓練を行うという目的で行われておりますが、平成二十一年十月現在で、全国で千四百九十一カ所、四万五千百六十五人が利用しているわけですが、今御指摘のように、まだまだ現場では使い勝手が悪いとか、自治体間で格差があるということですので、その現場の声を聞きながら改善に努めていきたいと思いますし、そのほかに、家族が休息できるよう障害のある方や児童を一時的に預かって見守る日中一時支援事業や、また、共働き家庭の児童の放課後等の居場所として、放課後児童クラブとして障害のある児童を受け入れるということに関しても、全国で一万八千四百七十九カ所、そのうち障害児の受け入れは八千三百三十カ所ということになっておりますので、とにかくこれらを総合的に強化してまいりたいと思っております。

江端分科員 ぜひ、新しい公共という概念からこの話に入らせていただきましたけれども、今、円卓会議も進んでいると思いますけれども、使い勝手のいいといいますか、利用される方々が本当に効果があると思われるような、また、その中で縦割り行政だったものを横に見ていくというようなこともやっていただければと思います。

 最後に、先ほどありました教員の数のお話について、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 学級編制の基準というのは、昭和五十五年の第五次定数改善計画で四十人学級になって以降、改善されていないということで、自治体によっていろいろとありますけれども、東京都の場合はまだ四十人ということになっております。

 平成十七年の小泉政権では教員の数が減らされ、その後、改善策がなされたものの依然として教員数は減ってきたという中で、今回、平成二十二年度予算案で教員定数について四千二百人の改善をしたということは非常に画期的なことだと思われます。この内訳と、この数を設定した根拠について教えていただければというふうに思います。

鈴木副大臣 今御紹介いただきましたように、昨年の五倍を超える四千二百人の大幅定数改善を行わせていただきました。七年ぶりの純増ということにもなります。

 内訳でございますが、学習指導要領が改訂をされます。特に、理数の教科が授業の時間がふえるということがございます。そうしたこともありますし、それから、学力の定着ということにも配慮いたしまして、まず少人数指導のための教員定数改善を二千五十二人、これは概算要求満額回答を財務省からいただいたわけであります。

 それから、特別な指導を必要とする児童生徒への対応、これも非常に重要な課題でございますので、これも満額の、通級指導のための教員定数要望千四百十八人をそのまま認めていただいたところでございます。

 それから、一定規模以上の特別支援学校に専任の特別支援教育コーディネーターを配置できるように教員定数を三百十三名改善をいたすということなど、あるいは、外国人児童生徒への日本語指導の充実とか、食育とか、教員の事務負担軽減とか、今の学校現場が抱えている諸課題をきめ細かく着目いたしまして、それに対する手当てを行わせていただいたということでございます。

江端分科員 ありがとうございます。

 ただいま平成二十二年度のお話がございましたけれども、では、二十三年度以降、こういった学級編制及び教職員の数をどう改善していくかということを本格的にこれから検討されるというふうに思うんですけれども、検討に当たりどのような方法で現場の意見を反映させるのか、また、中央教育審議会における教員の質と数の充実の検討に関する役割について教えていただければと思います。

鈴木副大臣 まず、マニフェストにおきましても、OECD加盟国の先進国平均水準並みの教員配置を目指すということを盛り込ませていただきましたし、政権発足時の総理指示でも、教員数をふやすということについての明言がございました。

 こうした方向を踏まえまして、まず平成二十二年度は先ほどのような取り組みをさせていただいたわけでありますが、平成二十三年以降は計画的に定数改善を進めていきたいということで、第七次の定数改善計画ができて以降、この間、定数改善に関する計画すら定められていなかったということで、今、先週から始めましたけれども、教育関係団体、有識者、国民の皆様からのヒアリングを始めさせていただいたところでございます。

 中教審との関係というお尋ねでございましたが、これまでも、従来の定数改善計画のときもそうだったわけでありますが、中教審に専門の組織を設けるということではなくて、従来は調査研究協力者の皆様方の御協力をいただいたわけでありますけれども、もちろん、中教審に先月も定数改善の必要性についてはもう既に御意見もちょうだいしておりますので、あとは現場の声を伺いながら具体的な内容は詰めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

江端分科員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

海江田主査 これにて江端貴子君の質疑は終了いたしました。

 次に、萩原仁君。

萩原分科員 おはようございます。民主党の萩原仁でございます。

 予算委員会の分科会におきまして当選後初めてこのような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 私は、選挙戦におきましても、子供たちの未来のためにということでずっと戦ってきたわけであります。それは、我が国が資源がない国でございまして、やはり子供たちの教育、人材の育成というのが国の将来につながっていくのではないかというふうに考えたのと同時に、自分も子供ができまして、自分の子供だけではなくて、近所の子供も、ひいては世界じゅうの子供たちにきちんとした教育、人材の育成ということをしていけば、世界も安定して平和につながっていくのではないか、このように考えて、そこに尽きるということで、私も国会議員としてそのような活動を頑張ってまいりたい、こう思っておる次第なんです。

 そこで、質問に入らせていただきますが、文部科学省の平成二十一年度のODAの関連予算なんですけれども、三百八十一億六千九百万円、そして二十二年度が予算案として三百三十一億三千二百万円と伺っておりますが、これは間違いがございませんでしょうか。

    〔主査退席、津島主査代理着席〕

中川副大臣 お答えをいたしたいと思います。

 御指摘のように、二十一年度予算は約三百八十二億円、平成二十二年度予算案は三百三十一億円、五十億円の減となっています。

 これは、授業料減免学校法人援助、ODAの留学生を対象にした減免をやっている学校に対しての支援であったわけですが、これを今回は、私立大学等経常費補助金、丸い形で、私立大学へ向いて補助をしていこうということで、統合させていただくというような枠組みの中でこの五十億円の減額があるというふうに考えておりまして、その調整を今やっておるというところであります。

萩原分科員 ありがとうございます。

 そのODAの予算なんですけれども、日本の国は、御承知のように大変不景気でございます。私の地元なんかでも、お話をしましても、外国にお金を使っている場合ではないのではないかというような一般的な意見も聞かれるわけでございまして、関心といいますか、国際協力の必要性がわかっておりましてもなかなか理解をしにくいという現状があるかと思うんです。

 これは中身がわかりにくいというところだと思うんですけれども、例えば教育、文化、スポーツ、国際機関などへの協力という点に具体的にどういった使われ方をしているかというのをお聞かせいただけますでしょうか。

中川副大臣 文部科学省のODA予算というのは、実は九八%が留学生の関係経費になっておりまして、留学生の受け入れ支援ということになってまいります。

 具体的には、奨学金それから授業料、あるいはまた私費外国人留学生等についての奨励費等々ということでありまして、これがほとんどということですね。あとは、ユネスコや民間ユネスコ活動の支援、それからアジア太平洋地域の世界遺産等文化財の保護、そして海外の青少年スポーツ活動の振興ということでありますけれども、これが全体の二%ということですから、ほとんど留学生ということになっております。

萩原分科員 今までお聞きいたしましたが、日本国内において留学生を受け入れるというようなお話でございます。

 一方、海外に目を転じた場合に、これは御担当は外務省になるかと思うんですが、途上国の一般的な教育等々におきます支援の過去の実績として、代表的なもので結構なんですけれども、どのようなものがあるか教えていただきたいんですが。

吉良大臣政務官 開発援助委員会統計ベースによりますと、対中国への支援が第一位でございます。ちなみに、実績といたしまして、二〇〇八年度ベースでありますけれども、対中国が一位、そして二番目がインドネシア、続いてフィジー、アフガン、ベトナム、ネパール、ボリビア、スーダン、タイ、ニカラグア、このようなことになっております。

萩原分科員 教育支援をしておられて、その前後で、お金をかけてその後どう変化したかとか、いわゆる費用対効果が各国に対して本当にあったのかどうかというのをちょっと教えていただきたいんですが。

吉良大臣政務官 今申し上げた、例えば第一位の対支援国である中国の場合は、御指摘は恐らく、未就学児童等の支援による改善効果やいかにということであろうかと思いますけれども、中国あたりも、実は、九一年段階で九八・三%、現時点ではもう既に一〇〇%近い就学率になっております。

 またもう一つは、先ほど中川文科副大臣の方からございましたけれども、我が国の支援がどちらかというと現時点では留学生支援ということになっていることもあって、未就学児童の就学率向上という意味では、残念ながら大きな貢献はないかと思います。

 ただ、もう一点つけ加えさせていただくと、御承知のとおり、日本として、また外交政策として、TICADということで、TICAD4で代表されるアフリカ支援ということをやっておりまして、そのアフリカ支援の中で、今力を入れ始めたところでありますけれども、これから就学率の向上等、日本の支援による教育効果が出てくるものと思っております。

 以上です。

萩原分科員 今、アフリカというお話が出ましたが、実は先日、ある専門学校の経営者の方とちょっとお話をしておりまして、いわゆるアフリカとかいうような国にも、自分たちも教育者としての志で何とか手をかせないものかというようなお話がある一方、長引く不景気と少子化ということで、今、日本でやっているその学校の経営不振に陥ってきている。これは、お話をされたその理事長さんだけではなくて、どこにいても、これは専門学校ですが、私立の高等学校なんかも生徒が少ないという状況にはなってきていると思うんです。

 そんな中で、その先生がおっしゃっていたのが、いわゆる人材もいてる、ノウハウもあるというような形で、片や、アフリカなんというのは、教える人も少ない、ノウハウもない、こっちは生徒がいてないという話で。先ほど申しましたけれども、例えば、現地の子供たちの教育にODAの予算なんかを、何に使っているか国民には見えないという点が大いにあると思いますので、例えばそういう専門学校なんかに、高い志をお持ちの方のところに援助をして、向こうの教育に協力をするというようなことについてはどう思われますでしょうか。

吉良大臣政務官 まずは、そうやって、国内の学校を経営されている方々の思いを体して提案というか質問をしてくださることに敬意を表したいというふうに思います。

 今御指摘の点でございますけれども、まず、現時点での我が国のODAの中で、対教育支援の基本は、先ほど言った留学支援に加えて、相手国の教育機会の確保だとか、それから質の向上、また学校運営を含むいわゆるマネジメント、教育システム自体を支援するということにございまして、今おっしゃられた、国内の学校機関を支援して、その学校機関が当該国を支援するというスキームは現時点ではございません。

 釈迦に説法で恐縮でございますが、やはり基本的にODAはガバメント・ツー・ガバメントということで、しかも、相手からの要請主義、要請に基づいてやっていきますものですから、まずは、国内のそういう機関に支援をするというよりも、相手国のニーズに対して支援をしていくことになろうかと思います。

 どう思いますかということでございましたので、少し所見も含めて述べさせていただくならば、実は先日、イラクのある保健担当の政府高官が来られまして、実は日本はイラクに対して保健分野でいろいろな支援をODAでやっておりました。その際に活躍をした、高い実績を上げた日本のコンサルタントを、イラク政府として、今度、援助じゃない、自分の財政支出による保健施設の建設及びシステムの構築に日本のコンサルタントを起用したい、する、こういうような話がございました。

 そういう意味では、おっしゃられているその日本の学校機関が、まずはその相手国の、先ほど言いました学校システムづくりのノウハウを蓄える、また、今言いましたように、それも含めて、相手国の全体のシステムづくり及び個別の学校の指導をする。そこに、ある意味ではアドバイザー、コンサルタント的に入っていけるようなノウハウを培っていただいたならば、道が開けるのではないかというふうに思っておることが一点。

 あと一点、実は、外務省傘下にJICAがございますけれども、JICAの方で草の根技術協力事業というのがございまして、これはNGOを含めて、草の根で、相手国、相手の社会のニーズに応じた協力をするところに対して、ある一定の実績があるところに対しては三年間で五千万円、実績がないところは三年間、一千万円というような支援をするというスキームがございます。こういうのも一つ参考になる支援スキームではないかと思っております。

 以上です。

萩原分科員 ありがとうございます。

 日本の方の経営難ということもあるわけでございますし、何とか今後そういう形を、いろいろな縛りや決まり事もあるかと思いますけれども、進めていっていただけたらなというふうに思っております。

 質問を文部科学省の方に戻させていただきまして、ちょっと違う分野での質問を行いたいんです。

 登録博物館についてお伺いをしたいんです。

 今の登録博物館というものの現状なんですけれども、その定義と実数というものをちょっとお教えいただきたいんですが。

川端国務大臣 お答えいたします。

 登録博物館とは、博物館法第十二条というのがありまして、都道府県の教育委員会が認める主体でございます。条件としては、必要な博物館資料があること、必要な学芸員その他の職員を有すること、必要な建物及び土地があること、一年を通じて百五十日以上開館すること等々の要件がございます。これに基づきまして、都道府県教育委員会が、その要件を備えていることを前提として認められている博物館を登録博物館と定義をしております。

 平成二十年度の社会教育調査中間報告におきましては、登録博物館数は全国で九百五館、そのうち、公立の博物館が五百五十六館、私立の博物館が三百四十九館になっております。これが現状でございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 そこで、実は、私の地元の支援者の方で、生まれ育った実家がお城でございまして、第何代当主という方がいらっしゃいます。御本人が希望されておったかどうかは別としまして、文化財になった。奥さんが慌てて学芸員の資格を取って、いわゆる博物館にはなっておるんですけれども、その入館料で運営をしていけるような状態では実はないわけでして、ええか悪いか、名前だけの博物館のようになっておるんです。

 そこで、今回、公益法人の税制改革の一環の中で、公益財団法人と一般財団法人を選ばなくてはならないというようなお話でございます。家族で運営をしておられるわけでして、いわゆる公益財団法人のいろいろな取り決め事のハードルを越えるのがちょっと今回の判断では難しいなということで、そうしたら一般財団法人の申請をしようか、こういうふうになっておるようなのでございますが、申し上げましたように、もともとここの場合はお城でございまして、広大な敷地の中にぽつんと自分の住んでいる家もあって、それが博物館だと。これが、税制優遇がなくなって、二十六年度以降ですか、それをちゃんと払っていくということになったら、とてもじゃないけれども生活がやっていけないというような現状がございます。

 この辺が、今後、総務省さんやら財務省さんとの交渉というふうには聞かせていただいておりますけれども、一つの例だけじゃなしに、いろいろなところでそういう問題があるのではないかな。これは死活問題でございますので、今後どのように経過が発展していくのか、ちょっとお聞かせをいただきたいんです。

川端国務大臣 御指摘のとおり、平成二十五年度までの時限措置として、こういう登録博物館を設置する特例民法法人に関しては、当該博物館にかかる固定資産税、都市計画税等の非課税措置が認められております。これが、いわゆる公益法人制度の改革を今進めようという中で、一般社団・財団法人か公益社団・財団法人か、どちらかを選択しなさいということでありまして、一般社団・財団法人に移行する法人に対しては、この平成二十五年度以降も当該措置を継続するかどうかが、御指摘のように議論になっております。

 そして、私たちとしては、一般社団・財団法人へ移行する、今御指摘のような特例民法法人が設置する私立博物館の中でも、公立博物館でも例のない貴重な資料を所蔵していることもたくさんあります。そういう意味で、役割が大きくあると認識をしております。

 したがいまして、要するに、一般社団・財団法人で税の優遇措置を明らかに受けられないという今整理になりつつあるんですが、この中で何らかの支援が必要だというふうにも思っております。実際は、登録博物館を設置する特例民法法人の中、三百十五法人あるんですが、今の予定で、公益社団法人に移行する予定の法人が二百五十、一般社団・財団法人に移行する予定の法人が十七法人ということで、いわゆる十七法人の取り扱いが議論になっております。

 文部科学省としては、平成二十五年度以降も必要な税制優遇措置がとられるように総務省に対して要望しておりまして、先般の平成二十二年度の税制改正大綱の中では、「検討事項」という項目の中の「地方税」の中で、「特例民法法人から一般社団法人又は一般財団法人に移行する法人が設置する図書館、博物館及び幼稚園に係る固定資産税、都市計画税及び不動産取得税について、移行状況や施設の使用・経営実態等を調査したうえで、平成二十二年度に結論が得られるよう必要な検討を行います。」ということで、今のところ、我々は、残すようにという要望をしておりまして、税調としては、それを受けとめて検討課題として正式にテーブルにはのせてあります。

 現状はそういう位置づけでありますので、引き続き、そこの中で残されるように、文部科学省としては実現するように努力をしてまいりたいというふうに思います。文部科学省の中での税調メンバーは中川副大臣でございます。もし補足があればでございますが、概略的には今そういう位置づけでございます。

萩原分科員 ありがとうございます。

 今お伺いした、議論をしていただいているということですけれども、そうしたら、期待をして、私も帰って伝えていこうと思っております。小さい町の博物館でして、もし税制優遇が行われないとしたら、もうやめざるを得ない、生まれ育った先祖代々の土地も売却しないと仕方がないというような深刻な問題に発展をしていくような話でございましたので、引き続き、その十七件だけかもわかりませんけれども、それは大臣がおっしゃられるように大変貴重な資料もあるかと思いますので、何とか頑張っていただきたいと思います。

    〔津島主査代理退席、主査着席〕

中川副大臣 方々から今そうした問題点の御指摘をいただいています。

 十七法人がそういうことなんですが、それ以外にも、解散しなきゃいけないんじゃないかとか、これ以上存続できないという意思表示をしておっていただくところが四十八法人ありまして、具体的にそれを受けとめさせていただいて、税調で私ども頑張っていきたいと思っております。

 特に、新しい公という考え方の中で、この五月までにこうした問題についても、いわゆる寄附税制も含めてです、寄附税制が中心になっているんですけれども、こうした問題も含めて整理をしていくということになっておりますので、頑張っていきたいというふうに思っています。

萩原分科員 ありがとうございます。

 何度も申し上げますけれども、先ほどの専門学校の話もそうでありますが、現場は大変厳しい状況であるということを御理解いただきまして、何とか頑張っていただきたいと思います。

 本日は大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。これにて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

海江田主査 これにて萩原仁君の質疑は終了いたしました。

 午後四時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後九時三十分開議

海江田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。重野安正君。

重野分科員 まず、質問に入る前に、もう時間が九時半でありまして、こんなに遅くまで皆さんにはおつき合いいただいて大変心苦しく思いますが、国会の状況がこういう状況でありますので、お許しをいただきたいと思います。また、各委員の方々にもおつき合いいただいて、大変感謝しております。

 社会民主党の重野安正でございます。

 それでは、早速質問に入りますけれども、まず、学校の統廃合問題についてお伺いいたします。

 少子化そして過疎、我々の大分の片田舎でありますが、例外なくそういう状況が進んでおります。全国的にも、公立の小学校、中学校、高等学校の統廃合が進んでいる。地元大分の状況をちょっと述べさせていただきますけれども、二〇〇二年から二〇〇八年までの間に、小学校で五十六校、中学校で十九校が合併、廃校になった。高等学校に目を転じますと、二〇〇五年から二〇〇九年までで七つの高等学校が姿を消している、こういう状況が大分の状況であります。

 我々が小学校に行くころは、うちの小学校も全学年二クラスあった。この前、小学校の運動会に久しぶりに出てみましたら、子供の数が三十一名、幼稚園の園児が二名、これが私の母校の姿であって、本当に寂しい気がいたしました。

 そういう現実に照らして、全国的にどういう状況になっているのか、まずその点について。

    〔主査退席、津島主査代理着席〕

川端国務大臣 重野先生と本当に、時によっては毎日のようにお願いしていましたが、こういう形で議論できる状況ができたことを大変うれしく思います。よろしくお願いします。

 少子化の波の中あるいは過疎の進展に伴って、統廃合というのが随分進んでおります。そういう中で、データ的に統合といいますと、一つと一つをあわせて一つになったり、三つをあわせて、あるいは二つやめて新しく一つつくるとか、いろいろな定義がありますので、統合という数字が、実は正確にとっておりませんで、この学校はなくなった、廃校にしたというデータしかございません。

 平成四年度から平成二十年度までに廃校になったという小学校数が三千四百八十五校、中学校数は千四十八校、高等学校等は七百二十六校であります。平成二十年度という一年で見ますと、五月一日で小学校は二百七十二、中学校が八十七、高等学校等が九十ということで、全校数に対しては約一%から二%の範囲内ぐらいの数字で推移をしております。実情はそういう状況であります。

重野分科員 その場合、地域の密度によって一校になるとか、二つが一つになるとか、四つが一つになるとか、そのことが何をもたらすかというと、登校距離が非常に長い、私の里なんというのは今、その昔、小学校があったところから、本校の田野小学校に二人の子供が通っているんですね。昔、そこには西神野小学校という学校があったんですよ。今はその学校が廃校になって、タクシーで毎日送り迎えですよ。

 やはり子供というのは、登校の途中も子供が切磋琢磨するんですね。助け合う、そういうものが涵養するんですが、子供がタクシーで通学するというのは、そういう意味で僕は非常に与える影響が大きいと思うんですね。

 では、どうするかと言われると、それは、いい手はなかなか考えつかない。だから、そういうケース、ケースで、いろいろなケースがあると思うんですが、私が文科省にお願いしたいのは、数字は数字として、それが地域によってどういう形でやっているのかというところまでしっかり把握して、それに対するよりよい対応策を地方とともに考える、こういうことが大事じゃないかと思うんですが、そこ辺についてはいかがでしょうか。

川端国務大臣 おっしゃるように、非常に遠くなるということはあります。それと、一方で、少人数だと、小学校へ入ってから卒業するまで同じ少しの人数だけでずっと暮らすということで、非常に仲よくなることもありますが、仲が悪くなるとなかなか難しいというふうな、少人数による長所も短所もあります。切磋琢磨、そういう刺激が少ないという面もあります。一方で、大きければ大きいほどいいのかというと必ずしもそうでもないという、またいろいろな要素があります。

 そういう中で、過去の経緯を調べてみますと、昭和三十年代の初頭では、比較的小規模の学校が多かったので、先生の適正配置とか設備を充実するときにできるだけ効率よくした方がよかろうということで、中教審の答申を受けて、三十一年に統合の推進を図る通知を出したということで、できるだけ統合しましょうというのを方針としてやったのは昭和三十一年です。

 ところが、その後、一部の地域で、無理な学校統合で地域住民との間にかなりいろいろなあつれきが生じたり、通学が著しく困難になるというふうなことがありましたので、昭和四十八年に改めて通知を出して、各自治体が統合を行う際には、子供たちの通学に与える影響や教育的効果等について総合的に判断するようにというのを出しました。

 それ以降は、この通知を踏まえて、それぞれの地域の実情を踏まえて、子供への影響を総合的に勘案して、各自治体が適切に判断するようにということでやっていただいていると思っておりますので、先生が御指摘の部分を配慮して今対応しているというふうに認識をしております。

重野分科員 この問題は、本当に目配りをきかせて、目を凝らして、実情について文科省としてもひとつしっかり把握をしてもらいたいと思います。

 次に、統廃合というのは、物理的に見ればそうならざるを得ないのかなというふうな感じがするんですけれども、やはり学校というのは、その地域においてはランドマーク的な役割というか象徴なんですね。それが姿を消すということは、地域にとっては活力を失うんですね。何だか、自分たちのシンボルみたいなものがなくなっていく。だから、そこに子供を置くということと同時に、私は、そういうランドマーク的な役割を学校が果たしていたという点において、また違った意味でランドマーク的な役割を果たせるような方策というのを、学校の統廃合を推進というか、統廃合を進めていく上では、同時並行的にそのことも考えていく、そういうことが求められているんじゃないかと私は思うんですが、そういう視点についてはいかがでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、学校、特に今、廃校の問題からお触れいただきましたが、そういう地域は、学校というのは町の真ん中といいますか非常にいい場所にあって、みんなの心のよりどころみたいなもので、歴史をはぐくんできた拠点でもありました。そういう意味で、残念ながら学校の機能がなくなったときに、残った建物をできるだけ地域で有効に活用するべきだと私たちも思っています。

 そういう意味で、平成十四年から平成二十年度に、先ほど申し上げた数の廃校になった建物で、廃校になったのは三千百三十四校で、壊してしまってなくなった建物がありますので、残っている建物が二千八百七十四校、そのうち、何らかの形でほかの目的で使われている学校が千八百七十五校、六五・二%に上っております。何も活用をしていないというのが九百九十九校、三四・八%です。

 そういう意味で、先生御指摘のように、やはりある種もったいないというか、有効活用すべきだろうということで、こんな形で活用していますよというふうな事例集のパンフレットはつくらせていただきました。皆さんも、ぜひとも御参考いただきたいということであります。

 もう一つは、学校の建物ですから国庫補助を受けて建てていますので、処分するときに、その国庫補助分をどうするのかというのは必ず財政上問題になります。それで、できるだけ活用しやすいようにするために、財産処分手続の弾力化というのを図っております。

 例えば、国庫補助事業の完了から十年以上たったものを無償でだれかに処分をするということはやってよろしい、要するに国庫補助を返せとかいうことはありません。それから、十年以上経過して有償で財産処分をするというときには、国庫納付相当額を学校施設整備のために基金に積み立てますということにすれば、有償で処分してもよろしい。国庫補助事業で十年たっていないけれども、この十年たっていない国庫補助事業が、実は、地震の補強であるとかアスベスト対策であるとかいう、その建物の安全性を増す、あるいは健康被害をなくすということで国庫補助をされたものに関しては、十年たっていなくても、無償で財産処分したら国庫補助のお金を返す必要はありませんというふうに、大幅に所有者が、地方自治体が処分しやすく有効活用できるようにという弾力化条項を適用しております。

 そういう意味で、御指摘のように廃校施設ができるだけ適切に活用されるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

重野分科員 そういう努力も文科省としてはしているんだなということをうかがい知ることができました。

 私は、やはり社会状況変化によって廃校を余儀なくされるということは避けられないと思うんですが、今大臣言ったように、それをまた、ある意味では地域の違った面でプラスの役割を果たすような活用です。廃校をプラス思考で考えて、我が大分においても、そういう社会教育の面での活用とか、いろいろな工夫がされている、そういう実績もございますので、そこ辺は、今言うように、文科省が具体的に誘導する。その策を見て、地域が積極的にそこ辺を新たな価値あるものとしていく、そういう努力ができるように誘導していただきたいな、このように思います。

 次に、複式学級の問題について聞いておきたいんですが、だれも、複式学級はできる限り解消する方がいいというふうに言いますし、私もそのように思います。

 大分でも、他の県でもそうやっているんじゃないかと思うんですが、複式学級の編制基準を大幅に緩和をして、その分は県単で、単費で先生を採用する、こういうふうな努力をしているのが、地方の県の、過疎地域の自治体の努力なんですね。

 ここ辺について、文科省としても、やはりそういう努力をしている、それは努力じゃなくて、ごくごく当たり前、全国どこに行ってもそういうふうなことはなされている。地方が非常に財政的に厳しい中で、そうしなければ子供たちがかわいそうだ、子供さんを持つ親の思いというものを体現するためにはという首長さんの判断が働くわけですね。

 そういうふうなことはそれとして、やはり国としても、そこ辺については、積極的な解消策、あるいはそういう教員配置等々について施策をより充実させていくべきだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

川端国務大臣 複式学級の編制の標準、例えば小学校の場合は、昭和三十四年度は三十五人という基準でありました。それから数次にわたって改善されて、平成五年以降は現在まで十六人が複式学級編制の標準になっております。

 文部科学省としては、二十三年度以降の全体的な学級編制と教職員定数の改善のあり方について、いわゆる標準の学級で四十人学級というのが長らく続いております。これを今回、教職員定数の増員も含めて図ってきた中で、二十三年度以降からは、学級編制のあり方の基準をどうするべきか、あわせて複式学級もどうするべきかということを検討に着手したところでございます。

 そういう意味で、先週二月十八日に、第一回目として、教育関係団体十団体のヒアリングでは、全国へき地教育研究連盟という団体さんからは、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する意見という中に、複式学級編制の基準の改善をしてほしいという要望も出ております。

 こういう幅広い意見を、この前も伺ったわけですが、さらに関係団体、有識者の方々や国民の皆さんからの御意見を伺いながら、八月の概算要求までに、学級編制のあり方について一定の結論を取りまとめていきたいというふうに思っております。そういう部分で、実情の中でこんな思いがあるとか、実態だというのがありましたら、またお知らせいただければありがたいと思っております。

重野分科員 ぜひ、八月の結論を出すまでに、本当に大所高所、いろいろな地形をイメージしながら、大東京のこういう町だけのイメージじゃなくて、家が点々とある、そういう日本もある、そこから子供たちが学校に行っているというふうな姿もイメージして、そこ辺についてはひとついい方向が出るように、八月に結論を出すということですから、私も大いに期待しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、学校図書館の問題について、司書教諭の問題ですが、学校図書館の充実あるいは図書館教育の振興を図る上で、司書教諭が果たす役割というのは非常に大きいと認識しています。図書館があるだけではだめなんですね。図書館の利用の仕方を子供たちがどう体得するか、そのときに司書教諭というのが大きな役割を果たすのですね。

 大分県でも、十二学級以上の小中学校において司書教諭が配置されている。配置されているんですが、専任として配置されているんじゃないんですね。ですから、確かに司書教諭はいるんです、資格を持った先生は。だけれども、それが日常、ふだんに図書館におって、図書館に利用に来た子供たちに、図書館をより活用する方法等を教えるとか相談相手になるとか、そういうゆとりある図書館にしなきゃならぬという意味において、この司書教諭の配置というのは極めて不十分と言わなければなりません。

 大分県でも、別府市という市があるんですが、ここは僕らの仲間が市長をやっているんですが、この市では独自に非常勤職員として図書館で司書の役割を果たしてもらう、そういう単費で配置をし、子供たちの利便性に寄与するという努力をしているところもあるんですね。

 聞いてみると、そこに専任の司書教諭がいるところといないところというのは、利用状況とか、子供たちが本を読む姿勢とか、全然違うというんですね。それはそうだろうと思うんです。そういう意味では、今この国における司書教諭の位置づけの問題も弱いと私は思うんです。だから、これは、教室で子供たちに授業を教えるのと同じように、本を読むということについて指導する、教授する、やはりそういう位置づけをしないといけないと思います。

 私は、専任の司書教諭を定数配置していく、そういうことが絶対必要だというふうに思うんです。私は、今、日本の現状を見るとその部分がおくれている、ここのところはひとつ文科省としても力を入れてもらいたい、このように思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、図書館、図書にかかわる専門の人材がおられるということは、子供の読書力、それから子供の読書への関心を含めて、大変大きな教育的効果があることは、そのとおりだと私たちも認識しています。

 そういう中で、御指摘のように、十二学級以上のところが法律で義務づけされて、ほぼ配置されているんですが、専任しているかどうかというとなかなか難しい状況にあることも事実です。

 そういう意味で、一つは、十二学級以下のところには、配置されていないところもまだまだたくさんあります。そういう意味では、いわゆる資格を取れるように講習とかいう機会を与えるという部分で、そういう資格を持つ人をたくさん先生でふやすというのは、一つの努力としてやっております。もう一つは、教員以外のいわゆる事務職員としての専門家という人たち、学校図書担当職員についても、これは高校を中心に比較的多いんですけれども、そういう人も非常に頑張ってもらっているということでの促進もお願いしているところであります。

 やはり、先生御指摘のように、せっかくその資格を持っておられる人がより専念できるようにというのが一番の問題であります。そういう意味で、来年度予算では、久しぶりに教職員定数の改善で四千二百人の定数増をさせていただいたということで、トータルとしては先生の数をふやすことができるという意味でのバックアップと同時に、今年度予算の対応としては、四千二百人の定数改善と同時に、退職教員とか外部人材の活用を七千人。それから、学校支援地域本部で、いわゆる学校ボランティアで応援していただく人を推進しようということで、委託事業として千二百二十五カ所、補助事業として千六百二十カ所、これは補助率三分の一ということで、いろいろな形でそういう学校図書に専念できる環境やそういう人材が手厚くできるようにという施策を今講じております。

 そういう意味で、引き続きこういう専門的な職員の配置がさらに充実できるように、学校図書館の利用の活性化と、ことしはちょうど読書年でもありますし、国会決議も衆参両院いただいている課題でもありますので、引き続き重点的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

重野分科員 今の図書館の説明はそれとして理解できますけれども、私が指摘をしました、本当にこの国の子供たちはもう本を読まなくなった。電車に乗っても、携帯電話を持ってやっておる子供らはおりますけれども、本を読んでいる子供らは見たことがない。多分、もう本を読まないと思うんですね。だから、本を読まない子供たちには、なぜ本を読まなきゃならぬのかという科学的な教育をやはりしていかなきゃならぬ。

 図書館というのは、私は教育の場だと思うんですね。そういう意味では、今大臣の説明を私は否定するわけじゃないんですが、やはり肉声で人間が人間と語る、こういうものを私は重視すべきだという意味で、ぜひ強化してもらいたい。

 子供の命の問題にかかわってなんですが、学校の耐震化の問題です。

 これは大分の例をちょっと調べてみたんですが、耐震の診断は公立小中、県立学校ともに九五、六%、診断はやっている。ところが、耐震化率になると六三%ぐらいなんですね。私はこの前、中国の四川省の地震のテレビを見ていまして、そこで、校舎の倒壊による教師と生徒の被害が犠牲者全体の一割以上ということをテレビが言っていました。悲惨な話ですね。やはり子供たちの命がそういう天災、事故によってあたら落とすというようなことはあってはならぬことだ。だから、私は、耐震化率問題というのは、やはり校舎の耐震化率を最優先、何はさておいてもやらなきゃいかぬ。

 地震防災対策特別措置法という法律がありますけれども、私は、学校の耐震化率をより強力に推進するという意味において、やはり法律が要るんだと思うんですね。大枠の地震防災対策というのじゃなくて、学校の校舎を、何としてもそこにおる子供たちを守るために耐震化率を上げる、地震に強い校舎をつくるんだ、そういう法律を、計画ではなくてきちっと法律でそのことを書いて、そして常にそれに向かって国、都道府県が努力を傾注する、こういう形をぜひつくってもらいたい、このように私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 御趣旨というか思いは非常によくわかります。

 その大前提として、やはり法律できちっとするということと同時にといいますか、全体的にどれぐらいのスケジュールでどうしていくのかということが、その結果としてか前提としても、計画というのがどうしても要るのではないかという議論と要望を強くいただいております。

 どうしても、過去の例から申しますと、当初予算では大体毎年同じぐらいの手当てをする中で、補正で上乗せを大幅にしたり、普通にしたりというふうなことでありました。

 そういう部分では、今年度予算は耐震化に重点を置くということで、当初予算としての部分でいえば前年度よりは来年度の方が増額をしておりますけれども、地元地域でいえば、自分たちの要望が通るのかどうかと非常に心配を持っておられて、果たしてどう計画したらいいのかというふうにおっしゃる部分があります。同時に、地方の財政力にもまた影響するんですね。いよいよというときに、地方の負担力がないからむしろもうちょっと待ってほしいという部分もあります。

 そういう部分では、総合的に、中長期というよりも、こんなものは長期にやるものではなくて、もう短期にやってしまわなければいけないんだと思いますが、法律でやるのがいいのか、計画を立ててやるのがいいのか、いろいろな御要望と御意見を今いただいておりますので、トータルとして、耐震化の事業を学校として早急に、国の方針としては一定の枠は必要だというふうに私は思っています。

 ただ、当面は、予算を早く通していただいて、今待っておられるところにできるだけ早くにする中で、最大限、財政のいろいろな手当ても考えていきたいと思っておりますので、その部分はまた審議は御協力をいただきたいんですが、御趣旨を踏まえて、幅広に検討はしてまいりたいと思っております。

重野分科員 私は、きちっと法定化してみずからも縛っていく、そういうふうなことをしないとなかなか、東海地震なんというのがもうそんなに何十年も先の話じゃないというふうに語られておる。地震大国日本ですからね。そこで、少子高齢化、小さな少ない子供たちの命はより大事にしなきゃならぬ、そういう視点に立ってこの問題を、私は今後ともこの法定化の要求は出し続けていきたいと思いますので、受けとめていただきたい。

 最後に、教職員の健康管理について、中でも特に、これは本県、恥な話になるかもしれませんが、教育委員会に調査してもらったら、過去十年間で現職死亡者が九十三名、十年間で九十三名ですから多いか少ないかという議論はありますがね、現職死亡ですよ。そのうちの一位ががんで二位が自殺なんですね。これはちょっと私も驚いたんです。

 全国的に見て、教職員の死亡者のうち自殺はどの程度の比率を占めているんだろうかということ、そして、自殺に追い込まれるその背景というものをしっかり科学的に分析をしなきゃならぬ、私はそういうふうな思いがあるんですけれども、そしてそれの対処方針をきちっとやはり位置づけるというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

川端国務大臣 データ的には、先生をおやめになった理由の中の死亡というのは、先生がおっしゃったように現職死亡者というのは、平成十九年度の学校教員統計調査報告によると、十八年度の一年間で国公私立の幼稚園から高校段階までの学校教員を離職した者のうち、その理由が死亡である者の人数が六百二十八名。その死亡の理由は、これは教員の統計調査報告ですので、何で亡くなりましたかということを調べる数字ではありません。

 したがいまして、文科省として直接的にその自殺者の数字を持っていないんですが、警察庁の調査によりますと、大学等まで含めた教員の自殺者数は百二十八名というふうに警察の数字では上がっております。ですから、学校の先生に在職のまま自殺をされた人の数は、おおむね百二十八名という数字が警察発表でございます。

 これを教員十万人当たりの比率で見ますと九・七、十万人当たり九・七名、日本じゅうでいいますと、人口十万人当たりの自殺者数は二十五・三ということで、この数字だけ見るとそんなに高い数字ではないんですが、これは現職死亡者ですから、例えば心の病なんかになられたりして、やめられた後にという部分が入っていませんので、正確な数字は把握できていないのが現状です。

 ただ、大変忙しいとか、非常に難しい教育現場とかいうことで、心に非常にダメージを受ける方がふえていることは事実でありまして、病気で休まれる方でそういう精神的なトラブルというのは非常にふえておりますので、この部分は、何が背景にあるのかをしっかり見きわめて、忙しいのだったら忙しくないようにということは非常にわかりやすい話であるのと、そういうふうに発症した方をどうケアするかということもできるんですけれども、なぜそうなるのかということの根っこの部分をどう見ていくかが一番大きな課題だと思って、取り組んでまいりたいと思っております。

重野分科員 時間が来ましたから終わりますけれども、今の問題については、いろいろな角度から調査をして、そして結果としてそういうふうな事態が起こらないように、方策をぜひ検討してもらいたい。

 以上で終わります。

津島主査代理 これにて重野安正君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 初めて川端文部科学大臣に質問させていただきます。

 今、新政権は、子ども手当法案や高校無償化法案などを提出し、子供を社会全体で育てる方向へ大きくかじを切ろうとしております。その精神は当然共有できるものであります。

 子供の豊かな育ちを応援する上で、学校現場はどうなのか。一人の教師との出会いは、子供の人生を決めるほどの大きな意味を持っております。しかし、今、教職員の心の病、病気休職がふえ続け、みずから命を絶つほど追い詰められていることは、一刻も放置できないと思います。

 まず、資料の一枚目。これは文部科学省の調査でありますが、二十年度の教職員の病気休職者が八千五百七十八人、十年間で倍近くにふえております。そのうち、精神疾患による休職者数も急増し、千九百二十四人から五千四百人と二・八倍、病気休職者の三人に二人が精神疾患という状態になっております。

 このような現状をどのように認識し、どう取り組んでいこうとするのか、まず、大臣の御所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のような数字で、平成二十年度では、公立学校の教職員の病休職が八千五百七十八人、精神疾患による休職者は前年度から四百五人増加して五千四百人、このことは深刻な問題であると認識をしておりますし、精神疾患による休職者数は十六年連続増加ということでありますので、当然ながら、過去最高の数字を示しているということであります。

 原因として、いろいろなことが考えられるんですが、一つは、非常に多忙であるという多忙感のストレス。それから、これは複雑に、全部関連するんですけれども、教員同士のコミュニケーション減少、適当な相談相手の人が周りにおられなかった。あるいは、生徒指導や教育内容の変化に、物すごく多岐にわたり複雑化しているので、なかなかついていけない。あるいは、保護者や地域住民の期待などに十分こたえ切れないというストレスなど。それから、そういう人の要望も実に多岐、多様化しているというふうな状況に置かれているということが複雑に関係しているのではないかなと。

 さらに、年代別に見ますと、中堅以上の教員については、職務上の悩みとかライフサイクル上のいろいろな問題とが複雑に重なっている状況がありまして、若手の教員は、職務上求められている要求と実際の指導力とのギャップ、任用前に描いていた教職員のイメージと現実のギャップで自信を失ってしまった等々の報告もいただいております。

 そういうことを踏まえて、メンタルヘルスの保持という観点からは、教育委員会に対して、会議や行事の見直し等々で公務を効率化したり、それから、各学校へいろいろ調査とか照会をするというふうな、事務的に非常に手間がかかるような仕事をできるだけ効率化してやってくださいということとか、職場環境としては、みんながコミュニケーションをとりやすい環境をつくるとか、それから、カウンセリング体制の整備ということで、早期発見、早期治療というものを指導しております。

 先ほども重野先生にお答えしていましたけれども、いろいろな原因があるんですが、その背景にあるものを、いろいろなケースをクリアにしていく中で、そういうことが起こらないようにという対策をきめ細かくする、原因分析をして対応するということで、いろいろな教育委員会とも連携をとりながら、指導も進めてまいりたいと思っております。

高橋(千)分科員 全教が昨年十一月に取り組んだ教職員要求・意識アンケートでは、働き方の不安について、体がもたないかもしれないと感じる、七六・八%、心の病になるかもしれないと感じる、六七・三%にもなっており、やはり働き過ぎの改善が待ったなしだと読み取れるのではないかと思います。

 文部科学省が、平成十九年の調査で、四十年ぶりに教員の実態調査を行いました。そのデータの中でも、例えば、持ち帰り残業を除いたとしても、全体の三三%が一月に四十五時間を超える残業、いわゆる労基法で言うところの限度基準を超えているということでありますし、一日に五分から八分しか休みをとれていない、そうしたことが明らかになったと思います。四十年ぶりの調査でもあったということで、そのころの衆参の委員会でも、後で議事録を拝見しましたけれども、教員の働き過ぎということが熱心に議論されたのではなかったかと思うんですね。

 問題は、その後の取り組みなんです。その実態調査をどう生かしていくかということなんですね。学校という残業代がない世界で、私も七年間おりましたけれども、労働時間をどう把握するかということ。少なくとも、私たちがサービス残業根絶通達と呼んでいる、平成十三年の四月六日、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置についてという厚労省の通達がありますけれども、タイムカードなどの時間管理をきちっとやりなさいということを言っているわけですね。文科省も、この趣旨を通達して職場に徹底しましょうということを言ってきました。

 では、実際に、学校現場で、そうしたタイムカードやそれにかわる時間管理の仕組み、各都道府県でどのように取り組まれているでしょうか。

鈴木副大臣 今おっしゃいましたとおり、労働基準法上も、使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があり、教員についても適切に把握されることは必要だというふうに考えております。

 それから、労働安全衛生法につきましても、週四十時間を超える労働が一月当たり百時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるときなどは、労働者の申し出を受けて面接指導を受けさせなければならない、こういう観点からも、労働時間の管理というのは極めて重要だというふうに思っております。

 文部科学省といたしましては、各学校において教職員の労働時間の適正な把握に努めるように通知を発出しております。とともに、各種会議を通じまして、各教育委員会に対して周知を図っているところでございまして、今後とも周知、指導を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

高橋(千)分科員 今のお答えは、周知を図っていくということでしたので、どのような取り組みが始まっているかということはまだ把握をされていないという意味で受けとめてよろしいのかなと思います。

 今、やはり少しずつ始まっていて、高校で十八、義務制では埼玉、大阪、兵庫、広島などで、記録簿とか、エクセル形式で記録をつけ始めたというところを聞いております。あと、例えば、持ち帰り時間をどう記録するかですとか、今話したように、とれない休憩時間をどう把握するか、そういうような工夫もよくされているようですので、やはり、紙を出した後の状況把握と現場に合った取り組みの奨励ということをぜひお願いしたいと思います。

 そこで、昨年の春、公務災害で裁判を行って、頑張っている家族の方々と懇談をしました。私は、厚労委員会でも労基法改正案などでこの問題を取り上げてきたわけですけれども、やはり公務災害の認定が、とりわけ精神疾患や脳・心臓疾患、いわゆる過労死、自死などになると、なかなか認定してもらえない、この訴えが非常に多いわけであります。

 その中で、尾崎善子さんという先生の話を聞きました。静岡県の養護学級の担任なんですけれども、二〇〇〇年四月に休職をし、八月にみずから命を絶ちました。この事件は、昨年十月、最高裁で勝訴をし、公務災害が確定をいたしました。しかし、遺族が基金支部に公務災害認定を申請し公務外と判断をされてから十年近い歳月がかかっているわけです。この判決を本当に生かして、同じようなことを繰り返したくないと思います。

 そこで、大臣に伺いますが、尾崎さんのような学校現場の公務災害、過労死、自殺などの案件について、どの程度あるのか。また、裁判も、どの程度行われているのかを把握されているのか。あるいは、把握されていないとすれば、総務省とも連携し、つかんでいく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 済みません、今手元に、情報として、正確に把握、お答えできる数字を私は持ち合わせておりません。ただ、先生御質問のときに御指摘いただいた静岡県の事例は、見させていただきました。

 それぞれの案件に関しては、それぞれの地方の、都道府県を含めた教育委員会等から情報提供を求めてはおりますが、一律に全部に調査をしたことはございません。

高橋(千)分科員 今私がお話しした趣旨は、調査というよりは、まさに、情報をつかんでいただきたいと。先ほども、自殺、現職で亡くなった先生が多いという議論がされておりましたけれども、そこに至る背景をぜひつかみたいということを大臣もおっしゃったわけで、公務災害全体というデータはあるんですけれども、そのうち教員がどうなのかというデータが今詳細にないですので、我々がつかんでいるのもその一部でしかないと思うんですね。そういうことで、ぜひ要望したいと思います。それを一言、いいですか。

川端国務大臣 非常に大事な視点だというふうに思いましたので、御提携も含めて、また検討してまいりたいと思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。

 そこで、厚労省に伺いますけれども、平成十三年の十二月十二日、脳血管及び虚血性心疾患等の認定基準を厚労省が発表し、また、十八年の三月には、過重労働による健康障害防止のための総合対策などを発表してきたと思います。過労死で非常に多いのがクモ膜下出血なわけですけれども、こうした疾患と過重労働の関係を明確にしたことで、その後の認定数や率がやはり伸びたのではないかと私も認識をしているんですね。

 ですから、これらの基準の意義、これはなるべく短くお話をいただくとともに、その基本の考え方というのはやはり公務においても同じだと思うんですけれども、その点、厚労省にぜひお願いします。

山井大臣政務官 高橋委員にお答え申し上げます。

 平成十三年以前の認定基準では、発症直前の異常な出来事を、短期間、つまり発症前一週間の過重業務というものに限定しておりましたが、平成十三年の改正により、長期間、つまり発症前の一カ月から六カ月間の過重業務に関しても労災として認定することとし、その目安となる時間外労働の時間数も示しました。

 また、それ以外にも、労働時間以外の負荷要因も評価することとして、具体的には、不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交代制勤務、深夜勤務等の認定基準に例示をしておりまして、労働時間とともに、これらの負荷要因を総合的に評価して、業務の過重性を判断することとしました。

高橋(千)分科員 基本の考え方は公務においても同じだという、後段がなかったと思うんですが。厚労省に答えていただきたい。

山井大臣政務官 とにかく、この十三年以降の改正のポイントということに関しては、今答弁させていただいたとおりであります。

高橋(千)分科員 基本的に、公務災害においても同様の趣旨の通知を出していらっしゃると思うんですね。ただ、逆の現象が起きている。これが一つの目安となって、百時間を超えていなければあれですよとか、何か目安がむしろ厳しい方向に向かっているのが公務災害ではないのかという問題意識を持っているんですね。

 それで、具体の話に入る前に、フローの図をつけておきました。資料の2です。左側が労災ですが、これは至ってシンプルであります。

 まず、厚労省に伺いますが、労災においては、請求書に、事業主の証明を出す、そして、被災労働者が労働基準監督署に請求書を出すということで決定通知をもらうというフローになっております。しかし、実際には、事業主というのは要するに過労死の原因となる労働をつくった本人なわけですから、なかなか証明を得られるというのは考えにくい。そういう場合に、証明が得られなくても本人や遺族あるいは代理人などの申し立てで申請できると思うけれども、確認させてください。

山井大臣政務官 これは、事業主等の証明がなくとも給付申請は可能というふうになっております。

高橋(千)分科員 そこで、なぜ公務の場合はそうならないのかということなんですね。

 見ていただくとわかるように、所属長から証明をもらい、任命権者の意見書までもらわないと支部まで申請できない仕組みになっております。教師でいえば、校長先生が所属長になり、任命権者というのは市町村などになるわけですね。そうすると、今お話ししたように、過重な労働をさせた原因は、自分が働かせ過ぎたんだ、あるいは仕事を与え過ぎたんだということを証明するというのはなかなか考えにくい。つまり、自分の非を認めることになるわけですから。

 ですから、労災のように直接申請もできるようにするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

小川大臣政務官 地方公務員の災害補償を担当いたします総務省でございますが、御指摘のとおり、法律の大原則から申し上げますと、所属長の証明を受けた上で申請をいただくという手続になっております。

 ただ、ごくまれなケースというふうには把握をしておりますが、そういった証明を得ることが困難な場合にも、やはり人道的な観点から、証明書を受理するケースはあるというふうに承知をいたしております。

高橋(千)分科員 人道的な観点からとおっしゃいましたけれども、手続をきちんとすればいいんじゃないでしょうか。

 例えば、文京区の先生の話では、一九八七年に申請をするんですけれども、校長先生が出してくれない、ずっと放置されている、こういうことがあるわけですね。仙台で、十年かかって勝訴した方の場合ですと、任命権者である市教委が、あなたのだんなさんだけが苦労したわけではない、家庭の不和があったのではないか、公務災害という確証がない限り申請書は出さないとまで言われたわけです。本来、任命権者というのは公務災害の申請書を出すに当たって指導しなさいと書いてあるわけですよ。指導する立場の人が、指導というのは要するに出すなということである、こういう実態は絶対許されないと思うんですね。

 今、人道的にとおっしゃるんだったら、ケースとして、労災と同じように直接請求できるようにすべきではありませんか。もう一度。

小川大臣政務官 御指摘の趣旨はやはり共有すべきだなというふうに感じます。

 ただ、一方で、やはり所属長にとっても大きな関心事だと思います。所属の人間がいかなる形であれ公務あるいはそれに関連して障害を負うというのは大変大きな関心事だと思いますので、そうした面からも十分に事態を把握していただく必要もございますし、災害補償に当たっては、正確さなり、公正さも期さねばなりません。そこのバランスを考えるに当たって、御指摘の点は十分共有をさせていただきたいと思います。

高橋(千)分科員 ぜひ前向きにお願いしたいと思います。意見を聞くのはいいと思うんですね。ただ、請求権が封じられると困るということだと思うんです。

 過労死の場合は特に、表にも書いたように、必ず基金本部と協議をすることになっております。資料の4は、その協議がどうなったかという表をいただきました。非常に見にくいんですけれども、支部長が公務上、つまり公務災害であると認めたものが、協議したらどうなったか。「上」「外」と書いてありますが、認めたもの、認めていないもの、こういう内訳になっております。

 見ていきますと、例えば、支部長が公務外である、公務災害ではないと認めたものを、本部との協議で、いやいや、これは公務上ですよとひっくり返したのが平成十九年にたった一件ございます。これは協議の成果かなと思うんですけれども。しかし、あとは、圧倒的にその逆であります。協議をするということは、やはりどうしても渋い結果が出るということになると思うんですね。

 そこで、先ほど政務官がお話ししてくれたように、所属長の意見も大事であるとおっしゃいました。いろいろな案件を聞いていますと、いろいろあっても校長がちゃんと証明書を出してくれた、この人は明らかに過労死なんだと言ってくれた、あるいは、いつも診ているお医者さんが、仕事をとるか命をとるか、そこまで言って証明書を書いてくれたり、そういう経過を経て支部に上がってくるわけですね。

 そうしたら、逆に、今度は、意見を聞いたんですから、現場の人が一番よくわかっているんだから、それは認めるべきだ、信頼するべきだ。幾つも幾つも、上に行って却下、却下ということをやめるべきだと思いますが、いかがですか。

小川大臣政務官 大変意味のある資料をお取り上げいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 これは、上側が脳、心臓関連の疾患でございます。下側が精神障害または自殺事案。これは合わせて百件前後でございます。実は、公務災害の認定件数が年間約三万件ということでございまして、三万件のうち、この百件が本部協議をいただいている。この脳、心臓関連の疾患あるいは精神疾患というのは、やはり事案の蓄積が非常に限られておりまして、四十七支部に任せっきりですと、支部の判断も非常に困るという面もございます。

 委員の御指摘の趣旨は十分踏まえたいと思いますが、いずれにしても、そういった事情と十分兼ね合わせた判断が今後必要になってこようかと思いますので、きょうの質疑の趣旨は、十分参考にさせていただきたいと思います。

高橋(千)分科員 過去の委員会の答弁などを見ますと、今おっしゃったように、本部の専門的な意見が必要なんだというふうなことが、るるお話があるわけですけれども、ただ、現場よりも東京の本部のメンバーが、東京に全部行かなきゃいけないわけですが、そこまで専門的なのか、あるいは、現場をそんなによく知っているのか、現場から話を聞いているのかということは本当に言えると思うんですね。

 平成十九年の三月二十日に、自民党の政務調査会司法制度調査会というところが「二十一世紀社会にふさわしい準司法手続の確立をめざして」という文書をまとめております。簡素で効率的な政府という考え方ですから全部一致するわけではありませんが、そこで大事な指摘をしているんですね。今のような準司法手続機関について、「その手続の主宰者・判断者が、行政機関の通常のローテーションの一環として任命されており、法曹有資格者の割合が極めて少ないため、判断者としての中立・公平さに欠けるとともに、法的専門性にも乏しい、」そのために、審理の大幅なおくれだとか、判断を誤り、「裁判所でその判断が覆されたりする」、そういうことが起こっているという指摘をしていて、これは、私、実は非常に言い得ていると思うんですね。

 基金も、基金本部も、代表委員の三者は、知事会、市長会、町村会の各代表で、充て職であります。理事長、常勤理事も総務省からの天下りであります。そういうことにしっかりとメスを入れて改善をするべきではないかとお話をして、時間の関係がありますので、先を急ぎたいと思います。

 実は、先ほど大臣にお話を聞いていただいた静岡の尾崎さんの場合は、最高裁で勝訴をしているわけですけれども、養護学校の教諭の資格のない方が養護学校から来た子供を養護学級の別の障害を持っているお子さんと一緒に体験入学をさせるということで、過度なストレスを生じるわけですね。ただ、本人は、自分はこの仕事を本当に前向きに、いい機会だと思って頑張りたいと言って始めるわけですけれども、予想外な事態がいろいろ起きて、例えば、刃物を振り回して、二人の別の子供さんが襲いかかられて恐怖に震えるですとか、そういう中でストレスをぐっとためていくわけですね。

 そのときに、東京高裁は、きちんと、それは仕事のストレスと今回のうつになり自殺になったことが関係しているということを認めるわけですけれども、最高裁はそれを追認して勝訴をするわけですが、上告するときに基金は、いや、一般の養護学校の先生だったらこのくらいは普通でしょうということを言うわけですね。それを裁判では、結局、一般の人というだけではなくて、尾崎さん個人にとっては、きちょうめん過ぎると言えばそれまでかもしれないけれども、それだけではなくて、その性格、尾崎さんにとってはとてもつらいんだということをきちんと評価をして認めてくれたという点では、物すごく画期的な裁判だったわけなんです。

 ですから、こういう最高裁の成果というのがやはりきちんとその後の行政に生かされるべきだと思うわけですね。その点で、残念ながら、地公災は繰り返し最高裁で争うという事件が起こっているわけです。

 厚労省にまた確認をしますけれども、労災では、現在、高裁で国が敗訴した場合、上告はしていないと思います。事実はどうかということと、また、なぜそういう判断をしているのか、伺います。

山井大臣政務官 平成十一年以降、国側からの上告は行っておりません。

高橋(千)分科員 なぜそうなったのかと聞いたんですけれども。

山井大臣政務官 それは、上告する理由に当たらないと考えたからであります。

高橋(千)分科員 平成十一年以降とおっしゃいましたよね。私、これは非常に大事だと思っているんですね。民事訴訟法の改正があった。そして、憲法違反であるとか法律に照らして違反であるとか、そういう特別な理由がない限り、いわゆる事実関係である限りはもう上告をする必要がないのだという判断だという説明をいただきましたし、後で私も条文を読んでみて、そう書いてあるなと思ったわけです。

 そうすると、地公災だって、民事という点では、裁判になってしまえば民事で同じことなわけですね。事実関係は、そこまで何度も何度も重ねてもうわかっているわけです。少なくとも、高裁で決まって、原告の訴えが認められたときに、まだそこをそれ以上争う必要があるのかということを一言伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。総務省に。

小川大臣政務官 恐れ入ります、お尋ねをもう一度いただけたらありがたく存じます。

高橋(千)分科員 最高裁まで争っているケースが非常に多いわけです。だけれども、今お話があったように、労災では平成十一年以降はもう上告をしていない、つまり、高裁で確定しているということなんですね。事実関係なのでそれ以上争うことがないという判断だと私は聞いているんですけれども、地公災だって同じことが言えるのではないか。裁判を長引かせるべきではないと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

    〔津島主査代理退席、主査着席〕

小川大臣政務官 大変恐れ入ります。

 事実関係をよく調べた上で正確にお答えすべきだと思いますが、いずれにしても、きょう通して、御質疑の趣旨は、よくよく頭に入れておきたいと思います。

高橋(千)分科員 ありがとうございます。ぜひ御検討をいただきたいと思うんですね。

 先ほど来、本部とわざわざ協議をしなければいけないんだという話をしてきました。また、現場の方がよく知っているじゃないかという話もしてきました。

 実際に、やはり本部が本当にそういう不当なことを繰り返し言っているわけですよ。学校で例えば教師への暴力事件が頻発している、そういう中でストレスで自殺をしてしまった、そういう案件があったときに、みんなも殴られているんだから大したことないだろうということを基金本部は言うわけですよ。あるいは、本人が弱いからだと言ってみる。二十六年も前の病気、ちょこっとやったものを見つけ出してきて、あなたのせいでしょうと言う。

 だから、そういうことは現場のいわゆる所属長の方がよく知っているのに、基金の本部の人が専門家ですよという顔をしてそういうことをやるのだ、ここを改善してほしいと思うんです。

 最後に一言だけ。

 私が心配しているのは、なぜ地公災の方が認定が厳しいのだろうかというときに、ことしの四月から地公災基金にメリット制が導入されると聞いております。都道府県と政令市などで始まりますけれども、収支状況に応じて最大で二〇%プラマイ、負担金をふやすか減らすかということが決まっています。今わかっているのでは、都道府県で一番ふえるのが北海道です。一八・二%、一億二千二十六万円負担金がふえます。次が京都府で一五・四%、五千百万円です。二〇%が最大ですから、振り幅がかなり大きい。

 つまり、災害認定がふえれば収支が悪化しますよね。そうすると、どうしても災害隠しにつながるおそれがある。この点、いかがですか。

小川大臣政務官 この点も、大変重要な御指摘だと受けとめております。

 まさに、平成二十二年から御指摘のような制度改正を行う予定でございますが、このことが、間違っても、認定を抑制したりとか、あるいは、要らぬ配慮が働いたりとかということにつながることは、本意ではありません。

 しかし、一方で、ある種の保険数理といいますか、財政的にも成り立たなければならないわけでありまして、各自治体から大変多額の負担金をいただいている以上、それが固定化する傾向があるとすれば、これは民間の労災にも昭和二十年代から既に導入されているというふうに把握をしておりますが、負担と給付の均衡というのは、合理的に許される範囲で必要な調整を図ってまいりたいと思っております。

高橋(千)分科員 地方の財政が厳しい中で、それが労災隠しにならないように、しっかりお願いいたします。

 時間になってしまいましたので、最後に、三省が本当に連携をとり合って、過労死をなくす、公務災害を本当に減らしていくために、きょう言いたかったんですけれども、基準の見直しも含めて、ぜひ御検討されますようにお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

海江田主査 これにて高橋千鶴子君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後十時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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