衆議院

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第2号 平成13年3月2日(金曜日)

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平成十三年三月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 谷口 隆義君

      津島 雄二君    葉梨 信行君

      家西  悟君    岩國 哲人君

      赤羽 一嘉君    北側 一雄君

      白保 台一君    一川 保夫君

      佐藤 公治君    達増 拓也君

   兼務 武正 公一君 兼務 保坂 展人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       坂口  力君

   厚生労働副大臣      増田 敏男君

   厚生労働副大臣      桝屋 敬悟君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   厚生労働大臣政務官    奥山 茂彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局食品保

   健部長)         尾嵜 新平君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  岩國 哲人君     家西  悟君

  白保 台一君     赤羽 一嘉君

  達増 拓也君     佐藤 公治君

同日

 辞任         補欠選任

  家西  悟君     岩國 哲人君

  赤羽 一嘉君     北側 一雄君

  佐藤 公治君     一川 保夫君

同日

 辞任         補欠選任

  北側 一雄君     白保 台一君

  一川 保夫君     山田 正彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 正彦君     塩田  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  塩田  晋君     達増 拓也君

同日

 第三分科員武正公一君及び第六分科員保坂展人君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (厚生労働省所管)




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     ――――◇―――――

谷口主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。家西悟君。座ったままで発言なさっても結構でございますので。

家西分科員 よろしくお願い申し上げます。

 皆さんおはようございます。一昨日の厚生労働委員会において御質問させていただいたわけですけれども、その後引き続きまして、大臣の所信表明にも触れていますC型肝炎の問題について御質問させていただきます。

 まず、一九九九年七月十三日、約一年半ほど前の私の質問主意書についてちょっとお伺いしたい点があります。

 輸入血液製剤を含む血液製剤全般によるHCV感染について、これまでに国はどのような実態調査を整えたのか、また、現在までの実態調査結果を具体的に明らかにされたいと尋ねたのに対して、政府の答弁は、医薬品による感染症報告による掌握をしていると。そして一九九七年、九八年のみの感染者数を公表しただけです。これは明らかに答弁が漏れているんではないかと今読み返してみてそのように思うわけですけれども、いかが思われますでしょうか。御答弁いただきます。

宮島政府参考人 御指摘の平成十一年の質問主意書におきましては、血液製剤によるC型肝炎ウイルスの感染に関する国の調査体制及びその調査結果についてお尋ねがございました。

 当方より、薬事法第七十七条の四の二に基づく医薬品製造業者、輸入販売業者などからの報告と、医薬品等安全性情報報告制度によりますすべての医療機関、薬局からの自発的な報告の中から、血液製剤の使用によるものと疑われますC型肝炎ウイルスの感染として報告された件数を、平成九年度及び平成十年度につきまして答弁書においてお示ししたところでございます。

 質問主意書が提出されましたのが平成十一年当時でございますので、その当時制度化されておりました国の制度は、薬事法に基づきます報告制度と医薬品等安全性情報報告制度でございまして、いずれも制度化されましたのが平成九年でございますので、平成九年度及び平成十年度についてのみお示ししたというところでございます。

家西分科員 ということになりますと、おかしいんじゃないのかなというふうに私は思います。

 これは一九八八年、昭和六十三年のミドリ十字の方が出している緊急安全性情報という書類があります。ここには、フィブリノゲンHT、加熱処理製剤によって、八百四十六症例中、非A非B、このころはまだC型肝炎と同定されていない時期ですけれども、これにより産婦が十四人C型肝炎というふうに報告されている。これも薬事法に基づいて報告をとっているんじゃないんですか。この後の数字というものも、一体どれぐらいの人が感染したであろうという追跡調査もされていないんでしょうか。この点についてはいかがでしょう。

 そういうところまで含めて私は聞いているわけで、しかも、この私の方の質問では、これまでにという言い方をしています。これまでに国はどのような実態調査を整えているのか、また、現在までの実態調査を具体的に明らかにされたいというふうに念を押して言っています。にもかかわらず、二年の間しか報告をしてこない、また文書で答弁してこないというのはおかしいんじゃないのかというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょう。

 これは本当におかしな話になりませんか。政府委員の方で結構ですので、御答弁をいただきます。

宮島政府参考人 先ほど申し上げましたように、国の報告制度といたしましては平成九年につくりましたので、それ以降の報告しか受けておりませんが、平成九年度以前のものにつきましては、そういう報告制度はございませんけれども、疫学調査等を通じまして把握しているというところでございます。

 今御指摘のミドリ十字の関係につきましては、ちょっときょう手元にございませんので、また別途調べさせていただきたいというふうに思いますが、一応、国の正式の制度としての報告を受けたのが平成九年以降ということでございます。

家西分科員 C型肝炎ということで検査ができるようになったのは、一九八八年ぐらいからだったと思うんですよね。約十年余りの間、一体、こういうものが危険だ危険だと、そして多くの感染者を出しているんだということを厚生省は認識されていなかったんですか。

 そして、血友病患者でいえば、HIVという問題では大変大きな社会問題になりましたけれども、あわせてHCV、HBVという問題で多くの罹患者を出しているということは当然周知の事実ではなかったんでしょうか。だから、そういった調査を今までしてこなかったということ自体が怠慢じゃないですか。この辺どうでしょう。

宮島政府参考人 C型肝炎の検査方法につきましては平成元年に出されたということでございますけれども、先ほどのお答えの繰り返しになるかもしれませんが、国の制度として報告制度を整備したのが平成九年ということでございますので、調査の件数として把握できるのは九年以降ということでございます。

家西分科員 いや、だから、約十年近い間実態調査も何もしてこなかった、九年からでしょう、怠慢じゃなかったんですかということを今お尋ねしているわけで、その辺について、省庁として恥ずかしい行為じゃないんでしょうか。

 国民の健康に非常に大きな問題を与える。しかも、肝がん白書などを見れば、日本人のがんで亡くなる人たちの死亡原因の第三位が肝がんである。しかも、その肝がんの死亡者の九〇、ここは四とか六とかいう数字になっていますけれども、九四%ないし九六%もの人がC型及びB型肝炎に罹患している人たちだというふうに言われているわけですから、これは国として実態を調査し、しかも、より国民の健康を守るためにそういった調査を行っていくのが筋じゃないんですか。

 約九年余りの間何ら手を打たなかったということは、怠慢としか言いようがないと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。

坂口国務大臣 委員も御承知のとおり、このC型肝炎、B型肝炎の問題は深刻な問題であるということは私も同じでございます。

 私は、御承知をいただいておりますように、献血事業にかかわってまいりまして、売血から献血へという大キャンペーンが張られたころ、血液センターの所長として一生懸命にやらせていただきました。

 しかし、売血から献血に変わりましても、その当時は約三割ぐらいの皆さん方が輸血後肝炎にかかられた、そういう大変残念な時代でございました。そうした皆さん方が今日、その後どういうふうになっているのかということのフォローというのは恐らくできていないんだろうというふうに思っております。

 しかし、今委員が御指摘になりますフィブリノゲン等は、そうした血液そのものよりも、血液製剤という、多くの血液を凝集する中で、何人もの血液を合わせて、その中から製品をつくり上げていくというものでございますから、百人とかあるいは中には千人ぐらいの血液を集めて、そしてその中から製品をつくるということでございますから、その中に一人でも二人でもそういう肝炎のキャリアと申しますか、あるいはまた肝炎の方がおみえになりましたら、それは確率としては、危険性としては高まる。これはもう御指摘のとおりでございます。

 それで、委員も御指摘になりましたように、非A非Bという表現がされておりましたように、C型肝炎ビールスというものがはっきりいたしておりませんでした。そうしたこともあって今日を迎えているわけでございますが、最近に至りましてC型肝炎ビールスとして明確になっておりますしいたしますので、この問題は放置できない問題であるということで、先日来、この問題に取り組みを開始させていただいているところでございます。

 さかのぼってやってこなかったことは怠慢ではなかったかという御指摘でございますが、血液製剤という形で国民の皆さん方にこれは提供したわけでございますから、その中で危険性があったということであれば、それはやはり今、至急に再検討をしなければならない問題だというふうに思っております。時期的によりましては、そうしたことが十分に把握できなかった時期もあったと思います。しかし、明確に把握できるようになった後の問題につきましては、やはり我々もこれから手を打っていかなければならない、そんなふうに思っております。

家西分科員 今、大臣から御答弁いただきました。輸血後肝炎という問題については当時わからなかった、C型肝炎というウイルスは同定できなかったという時代についての不幸はあったかもしれません。しかし、もともと、血液によって感染云々という話になりますと、今、献血所の所長をされたとかいうふうにお伺いしましたけれども、アメリカの大使であったライシャワー氏が暴漢に刺されて、そのときに使った血液によって肝炎になった、そしてこれではいけないということになったという歴史の経過を踏まえているはずです。そして献血運動が推進され、現在に至るわけですけれども、その間、ノンAノンBという言い方でずっと続けてこられたということは事実ですね。

 そして、私が今問うている問題というものは、先ほど政府委員から答弁がありました、平成元年以降、C型肝炎の感染がはっきりわかる検査ができるようになった以降、この実態調査というものはなぜしなかったのか、怠慢ではないのかということを聞いているわけです。

 しかも、私自身が血友病です、そしてC型肝炎にも罹患しているわけですけれども、血友病全体の約九割余りがC型肝炎だろうというふうに言われながら、その実態も具体的に調査をされたことはないでしょうし、私は聞いたことがありません。そして、B肝に対して、感染しているのかどうかの追跡調査もされたこともないでしょう。

 HIVについては調査をされました。そして、HIV、HCV、HBV、この三つを一緒に感染していると、それだけ発症が早まったりするわけです。今、多くの政府の御努力もいただいて、HIVに関しては発症抑制はかなりのところまで進みました。これは本当に感謝申し上げたいと思います。しかしながら、重複感染していることによって、C型肝炎の方々が今、肝硬変、肝がんへと移行している状況というものは政府としてつかまえておいででしょうか。

 今、HIVで亡くなる以上に、肝硬変、肝がんで亡くなっていく血友病患者が圧倒的にふえてきました。こういった状況を早く掌握し、いかに手だてをしていくかが大事ではないかということも含めて、実態調査をやらなきゃいけない。

 それとあわせて、フィブリノゲンというのは、これは私が言っているわけじゃありません、一昨日の有識者会議において政府の委員の方がその場で、推定約四十万人の人々に使ったということを、政府の方がお認めになっているわけですね。厚生労働省の方として、そういう人たちの実態調査をあわせて行うためにも、大きく呼びかけをし、検査を受けていただきたい、そして実態を掌握していかなければいけないというふうにお考えにならないんですか。もっと早い段階から手を打っていけば、多くの人々は何らかの治療を受ける機会を得ただろうし。

 今、年間約三万人、そして昨年は三万四千人が肝がんで亡くなっているわけです。平均すると、一日大体百人の方が亡くなっていく。こういった状況をどうして阻止しようとしないのか。

 この肝がん白書を見ると、インターフェロンの治療を行ったり、あるいは漢方薬的な小柴胡湯や強力ネオミノファーゲンと言われるようなものを使えば、ある程度の発症はおくらすことができるんだというようなことも書かれています。だけれども、私がそうだというふうに全然お気づきにならない方々が余りにも多い状況の中では、やはり政府が音頭をとってやらなきゃいけないんじゃないかということを考えています。その辺について、いかがですか。大臣の方からお願いします。

    〔主査退席、津島主査代理着席〕

坂口国務大臣 御指摘のとおり、C型肝炎になられた方が、そこから、全部ではありませんけれども、肝硬変あるいは肝がんへと移行する人たちが存在することは、間違いがございません。そして最近、肝がんで亡くなられる方、あるいは肝がんに罹患される方がふえております。そのことも、先ほどから申しますように、戦後の日本におきます献血、売血、やはりそうした輸血用の血液あるいは血液製剤といったものが影響していることも、これはぬぐい切れない事実だというふうに私も認識をいたしております。したがいまして、こうしたことをこれからどう防いでいくか、そして予防していくかということが今後の最大の課題でございます。

 そのためには、輸血をされた方は自分が輸血をしたということをよく認識しておみえになりますのでわかりますが、特に血液製剤、フィブリノゲン等を使用された方というのは、それは御自身では使用したかどうかということの判断がつかない方が多いわけでございます。したがいまして、国民全体に対して一遍、健康診断のときに肝炎の検査も同時に行っていただきますとか、あるいはまた職場におきます健康診断のときにもそうした問題を取り入れていただくとか、できる限り広報を行いまして、そして多くの皆さん方に一度検査をお受けいただくということにしていかなければいけないというふうに思っております。

 これは急いでやらなきゃならない問題だと思っております。

家西分科員 私もそのとおりだと思います。そして、自分が血液製剤を使われたという御認識は、多くの方々はないと思います。輸血をされれば赤い血液を点滴されるわけですから、確認ができます。しかしながら、血液製剤というものは赤くも何ともありません。ほとんど無色です。普通の栄養剤か何かを打たれたのかな、抗生物質を打たれたのかなというような認識しかないわけですから、これはぜひともPRの方法を大々的におやりいただきたい。

 そして、あわせてお聞きしたいと思いますけれども、アメリカやカナダにおいては一九九九年からC型肝炎対策が政府としてとられ出していくわけですけれども、九九年の四月には、カナダのケベック州は、連邦政府を通じてHCV感染者への補償を受け取ることができるようにするというようなことも報道されています。私は、こういうふうに政府一丸となって、補償も含めてですけれども、考えなきゃならないんじゃないか。C型肝炎の輸血後肝炎についてどうこうという話を今しているわけじゃなくて、第四ルートの方々についての救済の問題についてお伺いしたいと思います。

 それと、広報の仕方というものは、ポスターを張るとか、この時期に新生児出血や出産の経験がある人、大きな手術を受けたことがある人、交通事故で大きな外科的な処置をした人、こういった人々についてはぜひとも健康診断を受けてほしいというようなアピールをすべきではないでしょうか。その中には、ただ単に無責任なポスターとか広報をやるんではなくて、どれだけ危険かというものもあわせ、そして、自分たちが対応をし切れなかった部分については反省し取り組んでいるんだということの姿勢をぜひともその場であわせていただきたい。

 そして、病院が特定される第四ルートにおいては、広く広報を呼びかけるべきだと思います。病院名を公表し、この病院では使ったんだということをやるべきと私は考えますが、いかがでしょうか。

宮島政府参考人 今御指摘の問題点を踏まえまして、まず、対象医療機関が把握できますいわゆる第四ルート調査関係の対象者につきましては、現段階でいえば約七百医療機関というふうに想定されていますけれども、これにつきましては、対象医療機関名を公表いたしまして、検査の受診を勧奨する広報を行いたいというふうに思っております。

 それから、それと並行いたしまして、今お話ございましたように、それ以外の多様な感染経路があるわけでございますので、これは、広く国民の皆さん方に検査受診の勧奨を強く訴える形の広報をやっていきたいということで、現在、具体的なやり方等については鋭意検討しているところでございますが、早急にやってまいりたいというふうに思っております。

家西分科員 今、七百病院と言われましたけれども、製薬メーカーが納入したと言っている病院は二千三百幾つあったと思うんですよ。今、ちょっと資料がごちゃごちゃになっていてあれなんですけれども。そこまで公表すべきじゃないんですか、いま一度。

 五年たてばカルテは消えます。そして、人の記憶というものは不明確です。ですから、この病院については確かに非血友病患者には使っていませんという報告をしていても、いつ使っているかどうかなんというものははっきりわからないわけですから、納入したという、これはたしか法に基づいて報告させているんですよね。薬事法か何かに基づいて報告させているはずなんですから、その納入したという病院の病院名をすべて公表して、この時期というように時期については明らかにして、いま一度呼びかけをするということをお考えになった方がいいんじゃないですか。

 七百に限定するということの方が非常に危険じゃないのか。また漏れるんじゃないですか。第四ルートに関しては、まず、静岡の大学生が新生児出血によってC型肝炎に罹患したというところから今回の問題は大きく広がっていっているわけですから、こういうような漏れがないようにするために、いま一度そういうふうにやるべきではないんでしょうかということをお尋ねしています。どうでしょうか。

宮島政府参考人 平成八年の第四ルート調査時におきましては、先生御指摘のように、約二千近くの医療機関を対象にしまして、その医療機関名を公表いたしました。今回、C型肝炎関係の呼びかけをどういうふうにするかということで、有識者会議等でも検討いただいておるわけでありますが、先ほど約七百機関を対象とすると申しましたのは、第四ルート調査時におきまして、非血友病患者の方々を対象として、投与されたであろうという可能性の方をある程度焦点を当てて行ったわけであります。

 と申しますのは、こういう非血友病患者の方々におきましては、そういった投与されたという自覚が余りないであろうということと……(家西分科員「だからこそ、二千幾つの病院の公表をしないといけないんじゃないですかということを聞いているのですよ」と呼ぶ)それで、それ以外は、一応、血友病患者の方々が対象ということになりますので、そこは、通常いろいろな治療を受けていらっしゃると思いますので、そこで一応検査を受けていらっしゃると思いますが、非血友病患者の方々につきましては、そういうリスクが高いということで、今回、ここは七百の医療機関を公表して、早急な検査の受診を呼びかけるということにしております。

家西分科員 もし、七百のその指定された病院以外から、二千三百の病院のうちの一カ所からでも患者が出たら、そのときはどうするんですか。そういうことのないようにするために、二千幾つに納入したというふうに製薬メーカーが言っているんだから、そこをもう一度、その病院に通ったという人たちについて、自分に心当たりがなくても検査を受けてくださいというのが丁寧であり、親切なんじゃないですか。

 もう時間がありませんから、あわせて、治療についてももう一点お伺いしたいと思います。

 今後は、インターフェロンの投与というのが非常に問題になると思います。そして、期待されるのはペグインターフェロンという薬です。これの認可について、いつぐらいになるのか。

 それとあわせて、インターフェロンの自己注射を認めていくべきではないでしょうか。あわせて、インターフェロンとリバビリンと言われる薬の併用投与をぜひともお考えください。

 そして、そういった人たちについていかに救済していくのか、助けていくのか。政府としてこういった人たちの命を助けるために最大限の努力をしているということの姿を、姿勢を見せていただきたいと思いますが、その辺もあわせて御答弁をいただければと思います。

津島主査代理 宮島医薬局長。できるだけ親切な答弁を願います。

宮島政府参考人 おっしゃいますように、C型肝炎の感染ルートは非常に多様にわたっておりますし、医療機関も非常に多くの数にわたっております。

 したがいまして、基本的には、全国的に国民に呼びかける形の受診勧奨を行うということは早急にやらなければなりませんが、そういったものをやると同時に、先ほど申しましたように、第四ルート調査時のいわゆる非血友病患者の方々につきましては、そういうリスクが特に高い方々でございますので、かつ、そういった自覚もございませんし、また、そういった受ける機会というのもこれまで余りなかったわけでありますので、そこについては特に医療機関名を公表して早急な呼びかけをするということで、基本としましては全国的な検査勧奨の呼びかけを早急にやるということでございます。

 それから、次に御質問にございましたペグインターフェロンの認可の関係でございますけれども、これにつきましては、現段階におきましてはまだ承認申請等が上がってきておりませんけれども、承認申請が上がれば、薬事法上にも医療上特に必要性が高いと認められるものは優先審査というものがありますので、できる限り早い時期に承認を行っていきたいというふうに思っております。通常は約十二カ月の標準的な事務処理期間でありますけれども、できるだけこれも短縮する形での審査を進めていきたいというふうに思っております。

大塚政府参考人 御質問の中にインターフェロンの自己注射のお話がございましたので、簡単に申し上げますと、今、自己注射は、いろいろな条件のもとに、限定的にといいましょうか、特定の場合に認められておるわけでございます。

 このC型肝炎患者に対するインターフェロンの在宅自己注射につきましては、これは御案内のことかと存じますけれども、投与期間は他の例に比べますと比較的短期でございますし、その一方で重篤な副作用の報告もあるわけでございまして、関係者の間でも決して軽視できない副作用というのも一方でございます。

 そういたしますと、現時点では慎重に考えざるを得ないかなというふうな感じを持っておりますけれども、いずれにいたしましても、専門家の意見などをよくお聞きしてまいりたいと考えております。

家西分科員 時間が来ましたので、質問は終わりたいと思いますけれども、それとあわせて、私は、さきの厚生労働委員会でも申し上げました。HCVやHIV、そういった病気を理由に、進学、就労、そして結婚や、そういったいかなる差別も受けないようにするための施策をぜひともとっていくべきだ。

 私の多くの知り合いも、そういったことで困っておられます。そして、静岡の大学生の方のお話を聞きました。不安だと。これを理由に就職できないとか云々とならないようにぜひともしていただきたいし、どうして自分が、こういったものによって感染しているのに治療を受けるたびに医療費を、自己負担というか、保険を使ってですけれども、払わなきゃならないのか、検査費用を自分が出さなきゃならないのか、非常に不満だということを言われていました。

 こういうことの対応を、誠意ある対応をぜひとも政府にはお願いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。

津島主査代理 これにて家西君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)分科員 自由党の佐藤公治でございます。きょうは、三点のことを大臣にお聞きしたいと思って来させていただきました。

 まず一点目でございますけれども、先般、二月二十七日に社会保障審議会が、厚生年金保険及び国民年金の積立金の運用に関する基本方針についての答申を出されましたが、大臣は、これを受けられまして、これをどのように使い、そしてやっていこうとしているのか。また、この答申の中身についてのお考え、御感想等を聞かせていただきたいと思います。

坂口国務大臣 国民の皆さん方の、貴重なと申しますか、お預かりをいたしました年金の積立金でございますから、これはやはり、それを運用するという場合には、安全と確実ということが基本になるのだろうというふうに思います。安全、確実。では、安全で確実だけでいいのかということでございますが、できればもう少し効率的に、よりその財源が豊かになるようにも考慮をしなければならないのだろうというふうに思いますが、しかし、基本は、安全と確実ということが基本だろうというふうに思っております。

 この問題につきまして、どういうふうにやっていくかということを、今、いろいろと審議会におきまして御議論をしていただいているところでございますし、先般一つの結論も出していただいたところでございますが、いずれにいたしましても、これをやっていきますのには、かなり専門性を必要とすることでございますしいたしますから、今までの、厚生省や労働省の職員がそれに当たるというのでは、これはやっていけないというふうに思います。だから、どういう人を招き、どういう人たちの意見を聞いてこれを運用していくかという、その辺のところをきちっとしないといけないのだろうというふうに思っております。

 もう一つは、ディスクロージャーということが言われておりますが、やはりどういうふうにそれを運用したかということを、国民の皆さん方にそれをお示ししながらやっていくことが大事かというふうに思います。その辺のところを踏まえて、これから年金の財源というものをどう運用していくか、そこを固めていかなければならないというふうに思っております。

佐藤(公)分科員 大臣がおっしゃられるように、確かに安全と確実、そしてどのように運用をしていくかということが大事、またディスクロージャーが大事だということはおっしゃられるとおりだと思いますが、では、これを受けてやっていくに際して、こういうことを検討していくに際して、やはりこの結果、この責任というものをどのように大臣はお考えになられ、また、これにおける責任はどこにあるのか。

 うまくいくとは限らないと思います。こういう部分で、今はここの答申の中のこのままで、いろいろと御検討をしながら、その状況に応じながら、またいろいろと見直しながらやっていくとはいうものの、すべてがうまくいくとは限らない。私たちの将来にとって大変不安を残すようなことを進めようとしている部分というのが多々ございますが、この責任の問題に関して大臣はどうお考えになられ、どこにあって、今後何かあったときにどこで責任をとるつもりなのか、お聞かせくださいませ。

坂口国務大臣 全体としましては厚生労働大臣がその責任を負うことになるのだろうというふうに思いますが、厚生労働大臣は次から次へとかわっていくわけでございますから、これも、責任をとるといいましても、なかなか責任のとり方は難しいわけでございます。

 それで、それじゃ実際にこれを運用していただいている皆さん方に、これを責任を持っていただくという以外になくなってくる。実際の責任は、その運用をしていただく皆さん方にお願いをする以外にないわけでございます。運用管理業務上の適切な執行をしていただく、その運用を確実にできるようにするということを管理監督していくのは、これは厚生労働大臣の仕事だろうというふうに思っておりますが、実際におやりをいただく皆さん方に、これは責任を持ってお願いをする以外にないのだろうというふうに思っております。

 年金資金の運用基金というのは、基本方針を決めまして、それに沿った管理運用方針というものを定めまして、それに従って適正に業務を行うという一つのルールをつくるわけでございますが、このプロセスにおきまして重大な瑕疵があった場合には、その瑕疵にかかわる担当者が結果責任を負うということにならざるを得ない。大変な仕事をお願いするわけでございますけれども、しかし、そこは結果責任を負うということにせざるを得ない。それで、それは国家賠償あるいは個人への求償とかなんとか、いろいろあるだろうと思いますけれども、しかし、莫大な、目のくらむような額の話でございますから、賠償しろといったって、そう簡単にできる話でもないと私は思うのです。しかし、一応この結果責任は、その担当していただく方に負っていただかざるを得ない。

 このような執行を適正に行いまして、重要な瑕疵はなかったけれども、しかし結果は予想と大きく異なるというようなこともその中にはあらわれるだろうというふうに思います。そうした場合の責任を一体どうするのかというようなことも、これは検討しておかなければならない。そうしたことは、保険者たる国が年金保険事業の制度運営責任を負うことになるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、担当をしていただく方にしっかりとやっていただくということ以外に方法はない、そう思っております。

佐藤(公)分科員 大臣のおっしゃられる、一生懸命整理をしながら責任の所在をあらわそうとされている中、最終的には担当者の責任だということで終わってしまったように思いますが、今の御答弁を聞いていますと、とても無責任きわまりないような気が私はいたします。やはりこれだけの大きなことをするに際して、今まで政府がやってきたことが余りにも、この厚生行政を含めて無責任さが新たに出てきている、そんな気がいたします。再度また大臣とは、これに関しての御議論をさせていただきます。

 二番目でございます。

 二月二日もしくは二月十九日等で、内視鏡手術用使い捨て器具に関しての記事が出ておりました。「九割が「何度も使用」」ということで、病院で手術の際、本来は一回だけ使って捨てる医療器材、SUD、シングル・ユース・デバイスが、実際は九割以上の医療現場で滅菌して何度も使われているということの調査データが新聞の記事として出ておりましたが、大臣は御存じでしょうか。

桝屋副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘の、二月二日の新聞の記事でありますが、私も読ませていただきました。大変驚いたわけであります。御指摘のように、ディスポーザブルな医療器具、使い捨ての医療器具につきましては、薬事法に基づく承認審査に当たりまして、再使用を想定した審査は行っていないということであります。したがいまして、こうした使い捨て医療用具を滅菌して今御指摘のように再利用するということは、感染症の心配もありますし、あるいは性能劣化等のリスクを伴うわけでありますから、安全な医療の提供という観点から問題があるというふうに考えております。

 したがいまして、都道府県等におきまして従来から、医療監視等を通じまして、医療用具等の清潔保持について医療機関に対する指導を行ってきているところでありますが、今後とも、医療の安全性向上に向けて、機会をとらえて指導が行われるよう努めてまいりたい、このように思います。

佐藤(公)分科員 副大臣今おっしゃられましたように、これをごらんになられたときに、その後厚生省として、気持ちはわかります、努めてまいります。まずどういう指示をして、どういうようなことを把握され、どういうデータをそろえられたのでしょうか。

桝屋副大臣 恐らく、委員お尋ねの趣旨は、実際に使い捨てであるべき器具が再利用されている、その根本的な原因は一体どこにあるのかというお尋ねかなと思います。

 やはり医療の現場で、効率性あるいは医業経営という観点からそうしてしまわざるを得ないという背景があるのかな、こう思いまして、私どもも、実際に診療報酬の評価でどういう扱いになっているのかということも確認をさせていただいて、順次診療報酬の改定等で、こうした内視鏡を使った手術等の評価については考慮しているということも伺いまして、取り組みは進められているんだなというふうには理解をしたところでありますが、なお現場でこういう実態があるということは、これは大きな問題でありますから、こうした実態が新聞の報道のとおりであるかどうかということも含めて再度私なりに調査をし、勉強し、どう対策を立てていくのか検討していきたいと思っております。

佐藤(公)分科員 これはSUD再使用問題を考える会というところが調査をされて、調査は二〇〇〇年九月から全国二千カ所の、ベッド数が二百以上の医療機関の手術部婦長を対象にアンケートを行い、七百四十四の施設から回答をもらっているということでございますけれども、このうちのかなりの数のところが再利用、再使用しているということでございます。

 こういう新聞記事が出たわけでございますけれども、SUD再使用問題を考える会にこういうデータを、副大臣、取り寄せられたり、ごらんになりましたでしょうか。

桝屋副大臣 残念ながら、まだ私、それをつまびらかに見ておりません。ぜひ見させていただこうと思っております。

佐藤(公)分科員 つまるところ、これが本当に、私が思うことは今はまだないかもしれない、もしくは表にあらわれていないかもしれませんが、大変な問題になる可能性があるというふうに、まずこういう記事を見たときにやはり大臣及び副大臣、皆さん方は即座に感じて、すぐさまこういう資料を取り寄せて、実態はどうなっているんだということを行政の方に指揮し、指示し、そしてその現場を把握し、早く手を打っていく、これが本来の姿だと思います。

 副大臣がごらんになったということで私はここまで言わせていただきますけれども、もしも見た瞬間に、人ごとじゃない、自分のところが管轄のところだと思ったならば、それはやはり資料をすぐさま取り寄せて、それにおける実態調査をすぐ指揮すべきだと私は思います。そういう意味で、こういうことが今後いろいろと出てくると思いますが、こういうことに関しては即座に対応していただく、それがやはり皆さん方の責任だと思います。

 この記事に関して大臣、どう思われますでしょうか。

    〔津島主査代理退席、主査着席〕

坂口国務大臣 医療器具につきましては、小さなものでは注射針を初めといたしまして、使い捨てにするか、それとももう一度再利用をするかという問題があるわけです。加熱をして滅菌をいたしましても、熱に強いビールス等もあるわけで、そういたしますと、一遍使ったものをもう一遍再利用するということになると、それは完全にそのビールスを除去することはできないわけでありますから、非常に問題が残るわけであります。

 内視鏡の場合に、これは内視鏡を一人の人間の体の中に入れるわけですから、血液がつくということもあるでしょうし、あるいは粘液がつくということもありますから、それはやはり、一人一人かえるのが順当、そうするようにできているのだろうというふうに思っておりますが、非常に高価なものでありますだけに、再利用をしたいという気持ちに医療機関は駆られているのではないかという気がいたします。

 私は、こうした医療器具の問題を考えます場合に、外国から輸入をされます医療器具が、ペースメーカーを初めといたしまして非常に高いわけなんです。アメリカで売買されておりますものの数倍の値段で日本の中に入ってきている、こうしたことも今後検討をしていかなければならない。大変高額の手術料がかかりますけれども、その中のほとんどの部分はそうした代金になってしまうというようなものも中にはあるわけでございまして、この問題には、そういうことはしないようにしなさいよと言うだけではなくて、その根底にあります問題、その辺のところをやはり同じに解決をしていかなければならない問題だという認識を持っております。

佐藤(公)分科員 まさに大臣がおっしゃられましたように、現実、これがどうしてこういうふうになっているのかというのをきちんと副大臣、大臣、皆さん方で解明していただいて、一回こっきりで使えるものはもうそれでいいのだ、それは病院側なり医師側、看護婦側の問題であって、厚生の方は、行政の方はこれは病院側の問題だというふうにとらえずに、やはり抜本的にある問題点をもう一回解決していただきたい、見ていただきたい。そして医療全体の根本的な、抜本的な改革ということを含めて、よく検討を願えればありがたいと思いますので、それは重々心してお願いしたいと思います。

 続きまして三点目でございます。

 今、児童手当等に関する三党合意等がされて、児童手当に関して枠の拡大ということで行われていくことになりますけれども、これに関して、三党合意の中で二番目にございます、この児童手当が少子化の対策の柱として位置づけた考え方ということ、ここまでおっしゃられるということは、間違いなくこの児童手当が少子化対策に非常に重要な役割を果たすというふうに大臣はお思いになられておりますでしょうか。

坂口国務大臣 私は推進をしてまいりました一人でございますから、お答えを申し上げなければならないというふうに思います。

 やはり、欧米先進国におきましても、児童手当というものが非常に大きな役割を果たしていることだけは間違いがありません。欧米先進国、欧米と申しましてもヨーロッパでございますが、ヨーロッパを中心にします先進国におきましては、児童手当が少子化対策としてどれだけの影響を与えるかという学術論文がたくさん出ております。それを拝見いたしましても、この児童手当というものが非常に役立っているということはよく理解できるところでございます。

 私は、日本におきましてもいろいろの問題があるというふうに思っております。少子化対策としていろいろの問題がある。それを解決していかなければならない。その解決をしていく一つの、これだけでなるとは決して私も思っておりません、その中の一つの柱として重要な役割を果たすというふうに私は思っているところでございます。

 そして、例えば小児の医療費をどうするかといったような問題も中にはあるわけでございます。いろいろの意見があるのですが、そうしたことがなかなか合意が得にくい日本の中におきまして、多様に用途があります児童手当という形で利用をしていただくということにすることが非常にプラスになるのではないか、そんなふうにも私は思っております。

佐藤(公)分科員 私、普通でしたならば、これから言う話というのは余り取り上げることはしないのですけれども、ただ、今お話しの中で、少子化対策ということを考えた場合に、もう大臣重々御承知だと思います、ほかの各政党の方も毎回定番のように聞かれていること、乳幼児の医療費の公費負担ということがございます。

 例えば、私が思うに際しては、児童手当等に関する財源の問題その他いろいろと考えた場合に、今すべきかと言ったならば、私はこれに関しては、ここまで拡大するということは余り賛成できないと思っております。もしも拡大してお金を使うのであれば、乳幼児の医療費の公費負担、各市町村長、県、地方自治体が大変苦労しながら少子化対策ということで一生懸命進めている。国の諸施策としては少子化対策ということを非常に柱を強く持っているにもかかわらず、そういう部分に関してよりも児童手当の方を優先させてやっていく。こういう部分で、私はどうも納得いかない部分があると思います。こういう部分では、大臣、いかがお考えになりますでしょうか。

坂口国務大臣 小児の医療費につきましては、各先生方からいろいろと御意見をいただいております。小児の医療費が各家庭にとりまして大変だということも私はよくわかります。中には、私の同僚なども、月給日の前になりますと外来が閑散としてしまう、そして月給日が終わりますと外来が山のような人になる、そういうふうに言う人がたくさんいるぐらいでありますから、小児の医療費というものが家計に与えている影響も私は大きいというふうに認識はしております。

 ただ、医療保険という保険制度の中で考えました場合に、健康な人と病気になったお子さんと、その公平性を考えましたときに、やはり一部御負担をいただく、利用いただく方がその保険の一部を御負担いただくということはやむを得ないのではないかという気もいたします。

 そこで、話はもとへ戻るわけですが、そうしたこともあって、医療費なら医療費ということに限定をするということになると、なかなか話が進まない。その辺のところを全体でカバーする方法はないかというのも児童手当の中の一つの考え方になっているというふうに私は思っております。そうしたことから、その足らざるところを補っているといったふうにも私は理解をしているわけでございます。

 とりわけ、小学校に行くまでのお子さんというのはよく病気もいたしますから、その小学校に行くまでのお子さんをお持ちの皆さん方のところにだけはせめて何らかの形で応援ができないかというのが、その考え方の基本でございます。

佐藤(公)分科員 いろいろと若い奥さん方、家庭の方に、私も随分聞いて回りました。その中で、児童手当に関するよりも、やはり本当に幼い子どもをお持ちのお母さん、経済的にも裕福ではない、そういう中で、一歳、二歳、三歳の子供を持つ中、一番心配になるのは、やはりその子供たちが病気になったときに、特に、夜遅くもしくは突然のように何か起こったときに、医者に連れていきたい、でも、非常に夜遅く、もしも医療負担、大変なお金がかかるということがふと頭に浮かぶこともある。そういうときに安心して連れていかれるような状況の方がありがたい、こういう話を幾つも聞いております。

 そういうことからしたならば、こういう部分で児童手当、これも一つの考え方として、そういう御家庭やお母さん方に、安心してある程度そういうものを受けてもらうための助けということの一つの方法論だと思いますけれども、ここにお金をこれだけ使うのであれば、こちらの方の、地方において一生懸命少子化対策においてやっているこの施策に関して、国がもう少し理解を示し、そのうちの一部でも負担をしてあげる、そういう中で、より幅の広い形で、子供さんたちが、乳幼児さんたちが、医療に関してお母さんたちが安心して受けられる、そんな環境をつくった方がまだいいのではないかというふうに私は思いますので、その辺はよくよくまた考えていただけたらありがたいと思います。

 この乳幼児の医療公費負担のことなんですけれども、実際問題、地方団体が医療費の負担をこういう部分でしていくと、交付金の方がなぜか抑制されるというか、減らされていく状況がございます。これは、根拠としては、国民健康保険法第四十三条とか、政令に関します第二条の一、二ということでの根拠というふうに聞いておりますけれども、一生懸命地方自治体が少子化のことでやろうとしていることに対して、おまえ、医療費がふえることに関しては余りよくないから、交付金を減らす、そういうふうに各地方自治体はとらえていると思います。

 こういう部分に関して、大臣、お知りになる部分、まだまだこの辺が把握できていない部分があるかと思いますけれども、この辺に関して、大臣、副大臣でも結構でございます、お考えをお聞かせ願えればありがたいと思います。

桝屋副大臣 今、各地方自治体でお取り組みになっております医療費の助成制度、これは委員も御案内のとおり、乳幼児のみならず、重度障害者でありますとか、さまざまに、単独の制度として医療費の助成制度が行われている。これに対して、恐らく国保の交付金の問題、いわゆるペナルティーと現場では言われておりまして、私も地方の職員をやっておりまして、とんでもない制度だとずっと思ってきたわけであります。

 しかし、こういう立場に立ちまして、全国三千二百の市町村の中でさまざまに取り組まれているこういう単独制度、これは今の介護保険もそうでありますけれども、やはり保険という制度の基本を安易に壊すことは許されないのだろう、こう思いつつも、現在取り組まれている、そういう単独の制度は、既にここまで来ますと、そんなペナルティーの制度も含めて、各市町村が相当腹をお決めになってお取り組みになっているわけでありますから、できれば、ない方がいいわけでありますけれども。

 しかし、保険としての、全国一律に運営をしていかなければいかぬ保険制度があるということも事実でありまして、極めて悩ましい話でありますが、差がある以上、その差をやはり腹を決めなければいかぬところもあるのではないか。逆に、それをなくした場合、ではどういうことが起きるのかということも含めて、総合的に考えなければならぬ、極めて悩ましい問題だと思っております。

佐藤(公)分科員 副大臣、私も本当にそう思います。副大臣が悩ましい問題だというふうに今おっしゃられて、私の気持ちと同じようなものをお持ちなのかなと思います。

 この件に関して、事前通告しておりませんけれども、増田副大臣。地方首長、そして地方自治体にお詳しい増田副大臣としてはどうお考えになるのか、よろしくお願い申し上げます。

増田副大臣 御指名でございますので、桝屋副大臣とほとんど同じですけれども、お答え申し上げます。

 市長を実は二期ほどやりました。そして、こう言うと変ですが、国から出された医療の全施策、それから地方独特のあり方、対応、これらを考えるとどうしてもギャップがあります。

 そこで、政策によっては、県単もありますが、市単でもやったことがあります。ペナルティーの話もあります。でも、やはりやるべきときはやって、大きな法改正なり流れなり、できるまでは地方は地方の役割を果たさなければということで来ました。

 同じように今の立場から考えたときに、でき得れば全国が平準化できる、同時にその裏づけになる財政、財源なり、法律がきちんとできるような時代が、これこそ全国会議員議論の場で、時間がかかると思いますが、新しい社会保障制度の中で検討していかなければならぬかな、こんな思いを実は持ちながら先ほど来のお尋ねを聞いておりました。これが所感であります。

 ありがとうございました。

佐藤(公)分科員 両副大臣とも、私の考え、意見と一致していると思います。ですので、どうかお二方副大臣でいらっしゃるとき、そして坂口大臣のときに、先ほど大変時間がかかるとおっしゃいましたけれども、僕もそんな先は長くないのじゃないかと思いますので、そんな時間をかけずに、もう本当に何年か以内で、一年、二年の間に抜本的改革をやると決断してやってくださいよ。大臣、副大臣が本当に決めたらできるのですから。それを、いつもいつも時間がかかるだの、周りのしがらみにとらえられていつも先送り、これが今までの政府であり行政であり、特に厚生ではないですか。

 それはもう副大臣、大臣、よく一緒に、こんなことを言ったらあれですけれども、政党をともにしたときもございます。よくよくわかっていらっしゃるのに、なぜかまた与党に入っていろいろな役人の方々とこうやっているうちに、だんだん時間がかかってしまう。僕らの将来なんですよ。僕らの将来が本当にどうなるかなんです。それを真剣に考えて、時間がかかるとか検討しているとか議論しているとか努めるではなくて、やります、こういう決断をして実行していただくことを切にお願い申し上げたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷口主査 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、一川保夫君。

一川分科員 どうもおはようございます。

 自由党の一川保夫でございます。

 大臣におかれては、連日、KSD問題等でいろいろと、余り愉快な話題でないところで大変御苦労されていらっしゃいますけれども、私、この前大臣の本会議の代表質問のやりとりですか、ちょっと聞いておりまして、さすが坂口大臣の御答弁は立派だなと思った一つの中に、過去いろいろなことがあろうとも、やはり現職の大臣がすべて責任を持って対応するのだというような趣旨の発言があったと思いますけれども、私はまさしくそのとおりだと思いまして、本当にそういった点では大臣のお考えに心から賛同したいというふうに思いますので、ひとつよろしく、また御活躍をお願い申し上げたいと思います。

 さて、私は、高齢化社会というものを迎えた中で、労働行政なり厚生行政を取り巻くこれからの大きな課題が、いろいろたくさんあるような気がするわけでして、その問題について、大臣もしくは副大臣でも結構ですけれども、その基本的なところをこの時間帯でお聞きしたいというふうに思っております。

 今ほど少子化社会におけるいろいろな問題もちょっと話題に出ましたけれども、私ども、日本の経済が今日こういった閉塞状態の中でいろいろとたくさんの問題を抱える中で、やはり基本的には、構造的なものを改革していかないことにはしっかりとした展望は開けないだろうというふうに思うわけです。

 そういう構造的な問題の一つの課題の中に、やはり高齢化社会というものもその背景にあるというふうに思います。日本の経済が本当に活力を持ってこれから発展していくということになれば、高齢化社会に向けてどういう政策を力強く展開していくかということも重要な問題であろうというふうに思っております。

 それで、高齢化社会が進んでくれば、これからの需要のいろいろな構造も当然変わってくるわけですから、個人消費もですね。そういうことも当然見通す必要もあるでしょうし、また各企業の製造する製品も高齢化社会に向けてのいろいろな対応というのは当然出てくるというふうにも思いますね。

 また一方では、働く労働者の人たちがだんだん減ってくるというふうに言われております。俗に言う生産労働人口というものが非常にこれから減ってくる。そういう中にあって、どうやって世の中に活力を保っていくか、またそれを向上させていくかということはこれまた大変大事な課題でございます。

 また一方では、高齢者がふえてくればいろいろな面で社会保障面の手当てが大事になってまいりますし、またそれに必要な財源も当然必要になってくるわけです。今日、財政が逼迫しているとか、そういう重要な課題もありますし、また一方では税制問題とかそういうものにも皆波及すると思いますけれども。

 こういうふうに、高齢化社会がこれから、もう既に到来しておるわけですけれども、だんだんそれが進展していった場合に、我が国の経済にも大きな影響があるわけですけれども、特に雇用面から、大臣は、高齢化社会が到来し、これからだんだん進んでいくという中で、どういうふうにその見通しを持っていらっしゃいますか。また、その課題というものをどういうふうに認識をしていらっしゃいますか。そのあたりをお聞かせ願いたいと思いますけれども。

坂口国務大臣 これからの雇用問題を考えましたときに、非常に厳しいものを感じるわけでございます。

 近々の雇用情勢も、失業率が四・九%ということになりましたし、大変厳しい状況でございますが、将来、日本の労働力がどうなっていくかということにつきましても強い関心を持っていなければならない。先生が、将来の労働力の問題に強い関心をお持ちいただいておりますことに敬意を表したいと思います。

 このままで参りますと、二〇〇五年を一つの境にしてだんだんと労働力は減っていくわけでございます。二〇〇五年と言っておりますけれども、人によりますともう二〇〇五年を待たずに三年ぐらいから減り始めるのではないかと言う人もいるぐらいでございますが、そういう状況になってまいりましたときに、そんなに先ではない、二〇一〇年ぐらいなところでもかなりな減少が予測されるわけでございます。百万を超えるような減少が予測されるわけでございまして、そうした減少をどう補っていくか、これはやはり補っていかないといけないと思うのですね。

 補うところはどこかといえば、女性の労働とそして中高年の労働といったところでこれは補う以外にない。外国の皆さんのお話もございますが、それはプラスアルファとしての話であって、まず国内においては女性と中高年、そうした皆さん方の雇用の場をどう確保していくかということが最大の課題ではないかというふうに思っております。そして、労働力を確保することによって日本の活力というものが失われないようにしていかなければなりません。

 今まで労働政策といいますと、何となく経済の後片づけみたいな形になっておりますが、雇用政策は、決して後片づけの雇用政策であってはならない。仕事を生み出す、つくり出す雇用政策でなければならないというのが私の考え方でございます。ただし、それを具体的にどうするかという詰めたお話をされますと、私もなかなかまとまっていないところもございますが、そういう考え方のもとにやっていきたいと思っているところでございます。

一川分科員 基本的なところは理解できましたけれども、若干、また後でやりとりさせていただきますけれども。

 もう一つは、今、森内閣はIT革命ということをしきりに内閣の大きな方針として取り組んでいらっしゃいますけれども、このIT革命というものがそれなりに進んでいった場合に、何か世の中すべてがうまくいくんじゃないかという、ちょっとバラ色的なイメージで語られるケースが非常に多いわけですけれども、一方では、割と冷静に見ている方の意見を聞きますと、いや、このIT革命というのはそんなバラ色じゃありませんよ、特にいろいろな雇用面で非常に不安があるというようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。

 私も、確かにIT革命というものがこれから当然ある程度進展していく必要があると思いますけれども、社会全体においては、やはりこういうIT社会というものをつくり上げるに当たってそれなりの対策をしっかりととっておかないと、特に働く労働者の皆さん方にとっては、逆に非常に不安感が募るのではないかなという感じもいたします。

 そういう面で、大臣は、このIT革命、IT社会を創造するという一つの大きな政策目標の中で、これからの雇用といいますかそういうものについて、どういう基本的なお考えを持っていらっしゃいますか。

増田副大臣 お答えを申し上げますが、心配の向きは私も同じでございます。

 そこで、けさほど資料を取り寄せてみたんですが、一九九〇年から一九九七年までの、IT化の進み方によって雇用の増減がどうなったか。この関係を見ますると、まず、日本の場合、マイナスに働いたのが百九十四万人、プラスに働いたのが百七十二万人、差し引きまだ二十二万人分がマイナスであります。そして、アメリカの場合には、マイナスに働いた部分が二百四十八万人、それからプラスに働いた部分が五百八十八万人、したがって、差し引き三百四十万人アメリカではプラスになっている、実はこういう試算の結果が出ております。そこで、雇用創出効果が大きくなるのにはどうしても時間がかかるというのが、今までのアメリカの歩んできた道のようであります。

 それらを踏まえながら、こう言うとなんなんですが、IT化に対応した総合的な職業能力の開発施策を推進するとともに、IT関連分野を含めた良好な雇用機会の創出をどうしても図っていかなければならない。そして、雇用増が見込まれる分野への円滑な労働移動が図られることが重要だという、労働移動の関係。

 このために、厚生労働省としては、今後成長が見込まれる新たな産業に必要な人材を早期に育成し着実な就職促進を図るとともに、先般策定されました日本新生のための新発展政策に基づくIT普及国民運動の一環として、働く人がIT化に対応するため必要な職業能力をしっかりと身につけてもらう、そういうような多様な職業能力習得機会の確保、同時にまた提供などの施策の効果的な実施に全力を挙げて取り組んでいきたい、こういう考えであります。

 また、IT化など経済社会の構造変化が進展する中で、事業規模の縮小等に伴いまして相当数の、先生御心配の離職者を生じさせる場合には、事業主に対して再就職援助のための措置に関する計画作成を義務づけまして、この計画に基づく再就職の援助措置を国が支援すること等を内容とする雇用対策法の改正法案を今国会に提出したところであります。ぜひ雇用対策法、提案してありますので、御支援をお願いしたいと思います。

 以上です。

一川分科員 私、IT社会、ITの進展に対する対応というのは、日本の経済が今日こういった閉塞状態にあるという一つの原因といいますか、アジア諸国のいろいろな工業化の進展の中で、日本が情報ネットワークに対する対応とかいろいろなITのそういった技術開発に対する対応が十分でなかったということをも含めて、一つその原因があるのではないかということを指摘する人もいますけれども。

 これから本当にIT社会を目指すということであれば、そこで働く方々は当然いろいろなことを認識しなきゃなりませんけれども、そこで、そういう社会の中でいろいろな企業を経営する経営者の認識もいろいろな面で改めていただくというのは、今おっしゃったことにもなると思うんです。

 ですから、できるだけこういう新しい社会をつくっていく中で、新しい雇用を創出するような経営というか経営者といいますか、企業を育てていく、そういう政策はもちろん大事だと思いますし、また、当然これまでは内部で抱えていた労働者をできるだけ外部に依存するような、端的に言えば人材派遣業とか、そういった業務の外部委託みたいなものはもう既に始まっておりますけれども、そういうものがだんだんふえてくるというふうに思うわけですね。

 そういう動きに対してどう対応するか、どうやって皆さんが安心して働けるような環境づくりをしていくかという面では、厚生労働省だけの施策じゃなくて、あらゆる官庁の施策がそれに向いていかないといけないというふうに私は思いますので、従来のように終身雇用だとか年功序列とか、そういう日本型のいろいろな経営システムというのはありましたけれども、そういったところは大きな転換期に来ているということを当然御認識していただいていると思いますけれども、そういう方向でぜひ取り組んでいただきたいということをまず要望しておきます。

 それから、次に移らせていただきますけれども、これからの労働力不足という状況の中で、先ほど大臣は、高齢者とか女性の労働者を大いにこれから活用していきたいという趣旨の御発言がございました。私も同感でございます。これから労働力不足の経済という社会が到来するということを考えてみた場合に、要するに、労働力を確保するという観点から見れば、今おっしゃったように、従来でいう生産労働人口みたいな年齢層が足らなくなってくれば、それを補うために、従来余りまだ一線に出ていなかった女性の皆さん方にもっと出てもらうとか、それからリタイアされたような高齢者の方々に活躍してもらうということは、それからもう一つ外国人ですか、労働力を確保する観点から、あります。

 もっと大きな流れの中には、ではこの際、日本国内の生産活動をしっかりと外国へ移したらどうかというようなことも出てくる可能性だってあるわけですよ。物すごく労働力が不足すれば、その方がコストが安いということも含めて。それは非常に日本にとっては危険のある選択でございますけれども、そういうことも当然言えます。

 それからまた、労働生産性といいますかそういうものをもっともっと上げるようなものに投資していく。だから、今まで十人かかった仕事を五人でできるように、いろいろな面で訓練をし直すとかいろいろな技術開発もあるでしょうし、あるいはまた、いろいろな企業の機械をそういうふうな機械に切りかえていくということも含めた、労働生産性をアップしていくということもあると思うんです。

 そういう重要ないろいろな柱があると思いますけれども、やはりその中でも基本的には、先ほど大臣もおっしゃったように、労働力を確保していくということは、日本の国内の社会にいろいろな面で活力を持たせていくためにも大事だと私は思うんですね。

 そういう観点で、私は、さっき大臣がプラスアルファというような位置づけをされましたけれども、外国人労働者というものが恐らくだんだんふえてくる可能性があると思うんですね。そのときに、我が国のいろいろな制度がそういうことに対して完備されているのかどうかということも含めて、これから外国人労働者というその労働力をどういうふうに位置づけをされていくのか、そのあたりをちょっとお聞きしたいんですけれども。

増田副大臣 先ほどの大臣の御答弁もありますので、それにちょっと重複をいたすと思いますが、二〇〇五年が労働力人口のピークであります、それから我が国は減っていく、こういう御答弁がありましたが、そのとおりだと思います。

 そこで、当面、国の基本方針があります。それは、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れをより積極的に推進していきます、これがまず一つあります。他方、いわゆる単純労働者の受け入れについては、国内で雇用機会が不足している高齢者等への圧迫等、我が国経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすことが予想されることなどから、国民のコンセンサスを踏まえつつ十分に対応する必要がある。

 要するに、専門的、技術的分野の方と単純労働者、そして我が国の雇用労働人口の推移、それから現況経済社会、これは世界的な問題ですが、それらにあわせて、先ほど先生が御発言なさいました省力化、もちろんロボット化も進むんでしょうが、そういう意味を込めた生産性等の中から、日本の中では、御婦人なり、あるいは六十までを六十五までとかという高齢者なりに出てきていただいて、働いてもらえる方は働いていただこうというようなもろもろの政策の上に立ってこれから取り組んでいく。したがって、その歩みを間違わぬように頑張っていくというのが先ほど大臣の骨子だったと思います。

 したがって、私の方としては、外国人労働者の方はそういう方針で今のところ進んでいく、こういうふうに考えております。

 それから、その後の大きな変化に対しては、数年、十年先に当然来るだろうというので、議論を尽くしていかなければならぬ、同時に、世界に目配りもしていかなきゃならぬ、このように考えております。

 以上です。

一川分科員 そこで、もう一回確認させていただきますけれども、外国人労働者がこれからある程度ふえてくるという一つの流れの中で、今現在のいろいろな法制度がある程度完備されているのか、いや、まだまだこのあたりはちょっと整備しないとまずいなという、そのあたりの御認識はいかがなんですか。

増田副大臣 私見も入りますから省の統一の見解ではないと思いますが、私は、今の制度のまま続けていって外国人受け入れをやっていったら問題が残るだろう、こういうふうに見ております。

 それは、お帰りをいただく時期とか、あるいは疾病にかかったときの問題とか、来るときの約束事とか、そういうものが、担保と言ってはきつうございますが、きちんと守られるようなことをなお引き続いて、外交も絡むでしょうけれども、話し合って詰めていかなければならないな、将来はもっと詰めていかなきゃならぬな、したがって先ほど先生の法整備というところに戻っていきますが、そう考えております。

一川分科員 それで、先ほど来ちょっと話題が出ていますように、これから高齢者の皆さん方に、日本のこれからの経済社会の発展のためにしっかりとした役割を担っていただいて頑張っていただきたいという立場から、私は質問をさせていただくわけです。

 今、地方においても、各市町村長さんたちといろいろな話をさせていただいても、やはりこれから地方に行けば行くほど高齢化の比率が高いわけですから、そういう方々に対する健康維持も当然そうですし、それから福祉問題も重要な問題ですけれども、それと同等に、やはり、いろいろな経験とか知恵を持っていらっしゃって、しかもいろいろな技術を持っている方もたくさんいらっしゃいます。しかも、まだ元気な人もたくさんいらっしゃいます。そういう人たちにどうやって働いてもらおうかということも一方では非常に大事な問題だというふうによく聞かされます。

 私もいろいろな分野のことに携わってみて、今こういった六十歳で定年とかという時代ですから、六十過ぎたような方々というのはまだまだ本当に元気な人がたくさんいらっしゃいます。そういう方々を日本のあらゆる産業の中でしっかりとした労働力として位置づけをして、そういう政策をそれぞれの分野で力強くこれから推進してもらうような、そういう考え方が当然あっていいと思うし、今、内閣府の方にも何か高齢化社会に対するいろいろな対応の窓口があるようにも聞いておりますけれども、そのあたりの基本的なお考えを大臣からお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣 六十五歳までの定年延長の問題でございますとか、そうした今までの雇用の継続の上での話というのは一つあるだろうというふうに思いますが、その六十五歳を過ぎられた皆さん方の中にも、今御指摘のように、大変お元気で、そして能力を持った皆さんもおみえいただくわけでございます。その皆さん方をどう社会の中に位置づけていくかということがこれからの高齢化社会にとりましては大変大事な問題だというふうに思っております。

 中には、その皆さん方を達人だと、達人社会という言葉を使われる方がございます。私もその言葉は非常にいい、言葉だけがいいのではなくて、それをやはり社会の中に位置づけていかなければならないなというふうに今思っているわけでございますが、その位置づけ方をどうするか。

 いわゆる賃金だとかいったような面では、その皆さん方は現役のときのような賃金を要求しておみえになるわけではありません。しかし、私たちはこういう若い者にはないものを持っているぞという自負心そのものを評価してもらえるようにしてほしいという思いではないかというふうに思っているわけでございます。そうしたいわゆる多くの達人を日本の社会の中にどう位置づけていくかということが、日本の高齢化社会を生かすか生かさないかの瀬戸際になるのではないかというふうに思っておりまして、そうしたことを今どうすればいいかということを小さな頭の中で一生懸命考えているところでございます。

一川分科員 大臣のその御認識、私も同感でございます。

 私も今、私自身は本当の片田舎に生活している人間でございますけれども、やはり最近、介護制度がスタートしてのいろいろな状況を見るにつけ、また、高齢者の医療費の問題が議論されている状況を見たときに、要するに、年寄りの中には、おれはもう高齢者医療とか介護制度の世話にならないようなそういう老後生活を送りたいんだということで頑張っていこうとしている年寄りもたくさんいらっしゃるわけです。

 私は、そういう方々が健康を維持し、さらに健康を増進するような政策にもっと前向きにいろいろなものを展開すれば、逆に社会保障費とかそういうもののコストをもっと下げられるんじゃないか。今、安易に、例えば介護の世話になるということになれば、大変なお金がかかるわけですよね。個人負担も含めて、国の、あるいは公的なコスト、また、いろいろなコストがたくさんかかるわけです。では、その人が本当に元気で頑張っていただければ、そのコストも節減できるわけですし、また逆に、その人が働くことによって社会にプラスの還元が期待されるわけです。

 私はやはり、お年寄りが健康を維持し、増進していただくための政策、これは、先ほども触れましたように、厚生労働省だけでの問題じゃ当然ございませんし、関係するいろいろな省庁の政策がそういうふうに向かっていかないとまずいなというふうに思っておりますので、そういう面では、大臣から責任ある答弁をいただくというのは非常に難しいと思いますけれども、私は、高齢者向けの福祉政策というものと高齢者の健康を維持し、また、社会にいろいろな面でしっかりとした役割を果たしてもらう政策というのは、うまく連携をすれば、非常に我が国の経済またはいろいろな面にプラスになるというふうに思っておりますけれども、大臣の基本的なお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣 先ほどお話を申し上げたことの延長になるわけでございますが、やはり安全ネットを張って、そして障害なりあるいは病気なり、そうした落ちこぼれてくる皆さん方をどうするかという問題も大切でございますが、もう少しその人の人生を評価をして、そして生きがいを感じていただく社会をつくり上げていくということが大事なんだろうというふうに思います。

 厚生労働省というのは、赤ちゃんからお年寄りまでもう生活に密着をした、皆さん方の問題を取り扱わせていただくところでございますから、その辺のところを一番大事に、そして考えていかなければならないのだろうというふうに思います。

 ぜひひとつ、その辺をただ考えるというだけではなくて、現実にその皆さん方がそうしていただけるような社会の仕組み、そうしたものに一歩踏み込んでいく時期ではないか、そう先の話ではなくて、ことしとか来年とかというようなところで、一歩一歩そこを踏み出していくときではないかというふうに思っているところでございます。

一川分科員 もう最後にいたしますけれども、私は、高齢者というのは社会的弱者ではないというふうに思っております。むしろ、若い層の皆さん方に比べれば俗に言う根性があるし、いろいろな経験をしているわけですし、また、大臣もちょっと触れましたけれども、そんなに大きな所得を期待して働こうとしているわけではないのです。やはり社会に尽くしたいといいますか、自分が社会の中で役に立っているというその生きがいが年寄りを元気づけるわけですから、そういう観点でこれからの厚生労働行政をやっていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思っております。

 それで、大臣、最後にちょっと感想だけ聞かせていただきますけれども、先日、蟹江ぎんさんという方がお亡くなりになりまして、百八歳だそうですけれども、その前の年にきんさんという方もお亡くなりになって、双子のきょうだいと言われていましたけれども、非常にあのお二方というのは、私は、日本の割と暗い世相の中で明るい話題を提供し、お年寄りはもちろんのこと、国民全体をいろいろな面で元気づけてきたといいますか、すごく大きな功績があったというふうに思うわけです。

 ああいう方のいろいろなこれまでの人生の経歴をちょっと見ている限りでは、やはり相当いろいろな面で体を動かして御苦労されている、そんな楽な生活はほとんどなかったと思うのですね。私もやはり田舎に、先ほど言いましたように、生活しておりまして、やはり、畑に出ていろいろなことをやっているお年寄りは、介護の世話になる人はほとんどないわけです。

 そういうことも含めて、百歳を超えるなんというのはちょっとなかなかあれでしょうけれども、この前、何か統計によると、二〇五〇年ぐらいには、日本も人口の一%ぐらいは百歳を超えるんだというようなちょっとデータもありましたけれども、大臣はきんさんぎんさんに、亡くなりましたけれども、どういう感想をお持ちですか。

坂口国務大臣 私も三重県なものでございますから、お隣の県でございます。ぎんさんがお亡くなりになりまして、本当に心から哀悼の意を表したいというふうに思いますが、やはり元気で長生きということが人間にとっていかに大事かということを教えた人たちということを思います。きんさんぎんさん、ごきょうだいで、あれだけ朗らかに、いろいろの冗談も言いながら、みんなを沸かせながら、決して高齢者だという感じを与えなかった百歳以上の人であったという気がいたします。

 百歳を超える皆さん方が今一万三千人ほどお見えになるそうでございますが、だんだんとふえてくるだろうというふうに思いますし、しかし、寝たきりではいけませんので、長生きをするんだったらきんさんぎんさんに見習って長生きをしたいというのが私の実感でございます。

一川分科員 どうもありがとうございました。

谷口主査 これにて一川君の質疑は終了いたしました。

 次に、保坂展人君。

保坂分科員 社会民主党の保坂展人です。

 坂口大臣にはKSDの問題などでいろいろ御答弁いただきましたが、きょうは、大変重大な薬害の問題についてお考えいただきたいと思って、それに絞って、大臣のお話、率直にしていただきたいと思います。

 十七歳の少年からこんな手紙を受け取りました。ちょっと御紹介したいと思います。

 今から十七年前、庭のヒマワリが軒先に届くまでになった日、私は標準体重を上回る四千九十八グラムで誕生しました。目立つこともなく普通に成長していた私に、中学一年生の夏休み、予想もしない出来事が起こりました。風邪のために近所の開業医で処方された薬を朝、昼、夜と服用後の深夜、体に発疹があらわれました。早朝、公立病院で診断を受け、入院となりました。小豆くらいの発疹は瞬く間に水疱となり、その幾つかがつながってミカン大の水疱となりました。脱皮したヒグラシのように、全身の表皮はすべてはがれ落ちました。毎日繰り返された包帯交換の、針を刺すような痛みは、忘れることができません。すべての粘膜が侵されたために、ずっと閉じたままだった両眼は、血漿交換により、何とか開眼するまでに回復しました。結膜に癒着、瘢痕が残り、目の乾燥のために、今でも目に痛みがあります。

 この少年は、教師を目指して勉強してきたんですけれども、やはり目に障害が残って、だんだん視力にも不安もあるということで、今、理学療法士を目指して努力をしているという少年なんですね。

 大臣は、最近になって、スティーブンス・ジョンソン症候群という、どこにでもある頭痛薬や風邪薬、あるいは病院の点滴、ありとあらゆる薬、千種類以上の薬で、確率は低いんだけれどもどの方にも起こるかもしれない、このスティーブンス・ジョンソン症候群を御存じでしたか。

坂口国務大臣 この病気が存在することはよく存じておりました。

保坂分科員 昨年の十一月三十日に、森内閣に、スティーブンス・ジョンソン症候群に関する質問主意書というのを出させていただいたんです。そして、二月十三日に答弁が返ってきました。かなり細かい専門的なやりとりをここでしておりますので、非常に大まかなことについて、しかも大事なことについてこれから伺っていきたいと思うんです。

 まず、私自身これを知ったのは去年の八月だったんですね。そんなことがあったのかと。そして、間もなくして患者さんが私の議員会館の部屋にいらっしゃいました、ゴーグルをつけて。どうしてつけているんですかと言うと、目が乾燥してしまうんですね。目が乾燥するとどんどん、涙が出ないものですから、涙を補給するためにゴーグルをとって目薬を十五分に一回ぐらい差しながらという形で、そしてまた、かいなく失明された方もいらっしゃる。

 大変深刻だと思ったのは、その中で、救済をされていない方が、医薬品機構等救済制度もあるんですけれども、救済されていない方もいらっしゃる。極めて数が少ないものですから、特異体質だと言われてあきらめてきた、自分はもう死ぬしかないと思った。非常に絶望しておられる。そういう方たちが友の会をつくって、いや自分だけじゃないんだというのがわかって、ようやく情報交換をし始めたということで、仲介をいたしまして、厚生省の担当官にも会っていただいたりしました。

 そこで、まず、これは知られていないという現状があります。例えば教科書にも載っていないんです。先日質問主意書で照会したところ、養護教員、保健室の先生の指導書にもまだないんですね。厚生省として、やはり幅広く、こういうことがあるんだということを周知させるようにお願いできないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 専門的な話はまた局長からしていただくとしまして、このスティーブンス・ジョンソン症候群、多分人の名前をつけたんだろうというふうに思いますが、こういう病気になられる方というのは非常に数が少ないものですから、一般に知られていないだけではなくて、医学の世界の中でもそんなに知られているわけではございません。医学書なんかにも小さな字では出ておりますけれども、そう大きな字で出ているわけではございません。一生懸命探さないと出てこないというような病気でございまして、だから一般的になかなか知られておりませんが、しかし、これは人間がつくり出しました薬がもとで、その副作用として起こるということでは甚だ重大でございます。

 ですから、薬を飲んだときにはこういう副作用が起こることがある、起こったときにはこういう症状なんだ、早く手当てをしなければならない、早く手当てをすればあるいはもっと悪くならずに済むかもしれない。そんなことを国民の皆さん方に知っていただくということは、大変大事なことだというふうに思います。それをどんな形で国民の皆さん方により多く知っていただくかということだと思います。

 この難しい病気の名前よりも、薬を飲んだときの副作用として起こることということになれば、もう毎日、日常茶飯事、国民の皆さん方はお薬に接しておみえになるわけですから、自分がこの今飲んでいる薬でこういうことが起こった、これは大丈夫なんだろうか、そういう疑問をお持ちいただくというのが第一歩ではないだろうか。やはり、薬と副作用、そのことを、薬は効くけれども、しかし副作用もあるということをやはり徹底して御理解をいただく、そういう体制をとることが大事ではないかというふうに思います。

保坂分科員 大変私も同感でございます。

 そして、厚生省は実は、薬害問題で多々これまでいろいろ国民からの批判もあったということを踏まえて、私から見ればもう少し早くという気はするんですけれども、しかし厚生省としては相当力を入れて、医薬品・医療用具等安全性情報に、これは昨年の十一月でしょうか、重篤な皮膚障害についてという告知をされているんですね。

 そして、いろいろな努力をされていると思うんですが、今大臣おっしゃったように、国民の多くがそういうことを知らない。例えば、坂口大臣の見解を伺いたいんですけれども、薬のパッケージがございますよね、市販の薬のパッケージ。それに、この医薬品機構、万が一の副作用のときにこういう機構があるよということぐらい書いてあれば、自分たちも補償の道をたどれたのになと。こういう機構の存在すら知らなかったという患者さんの声があるんですね。そういう努力もされたらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 大変貴重な御提言でございますから、一遍検討させていただきます。

保坂分科員 それで、厚生省がされたことは、つまりこのスティーブンス・ジョンソン症候群を、本当に医者の方すら、実は長年医者をやっている方でも、ベテランの方でも、認知されていったのが比較的遅いものですから、よく知らずに、皮膚科の方は皆さんもうだれでも知っているそうですけれども、知らずに、これは何だろうということで、適切な治療が行われなかった例もあります。ですから、そういう場合には厚生省のこういう情報が、専門家ですから医者や医療関係者には届くと思うので、そこは非常にいいと思うんですね、これからの問題ですから。

 それでは、ちょっと資料をよろしいですか、大臣に差し上げたいと思いますが。

谷口主査 どうぞ。

保坂分科員 今、大臣にお見せしているんですが、大変にひどいですよね。恐ろしいケロイド状態になるぐらいの、亡くなる方もいるんです。

 それで大臣、患者さんに会うと、その皮膚のひどい炎症は引いていく方が多くて、しかし最後に残るのが目なんですね。涙が出なくなってしまう。涙が出ないと目が皮膚化していくわけです。そうすると失明します。そのときに角膜移植だと。これもまた大金がかかるんですね。そして、二回三回移植をしても、自分の店も持っているし、いろいろな生活設計もあって、子供も小さいんだけれども、こういう薬のことでもう奈落の底に突き落とされている方がいる。医薬品機構等もありますけれども、中には、一九八〇年以前に飲んだ薬でだんだんこういう症状が出てきて目がという方もいらっしゃるんですね。

 特定疾患というのは、なかなかこれは例が希少で、そしてまた治療が困難で、そして厚生省の中で特定疾患の選定の道を開いていくシステムがあると思うんですけれども、ぜひこの特定疾患の道を、この質問主意書の答弁書では、慎重に検討していきたい、このように書いていただいているんですが、一歩踏み込んで、私はその患者さんと触れ合ってお話をしているうちに本当に、同じ薬を飲んで、あるときにそういう症状になるわけですから、この特定疾患について道を開いていただきたいと思うんですね。坂口大臣、いかがでしょうか。特定疾患の制度、これをきっちり生かすことができる事例じゃないか。

 そうじゃないと、我々も頭痛薬とか風邪薬を飲みますよ、この人たちは日本という社会に生まれて不運にも全身がそんなになっちゃって、そして国家、政府も、つまり全部、自分は本当に運が悪いということだけで涙をのむような状態です。やはり彼らが、恐らく原状は回復しません、しかし少しでも生活に希望を持って、ああ社会は公平な部分もあるんだなというふうに思えるような社会にしていただきたい。ぜひ大臣にお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

坂口国務大臣 先生から質問主意書を出していただいて、そのときに私も改めてこの病気の整理をさせていただいたわけでございますが、いわゆる特定疾患、この難病の中にそれでは入っているかなと思って聞きましたら、それはこれから検討をするものの中で正直申し上げて順位はそんなに高くないわけでございます。

 ただ私は、一般的に起こってくる非常に数少ない病気というのもありますね。しかし、これはいわゆる近代的な医学が引き起こしたところの病気、医原病と言われる部分の中の一つと思うんです。だから、ほかの非常に数少ない難病とは若干ここは意味合いが違うのではないかという認識を持っております。そうした意味で、いわゆる人間の方が引き起こした病気であれば、そのことに対する何らかの償いをしていくということを考えるのは、それは順当な考え方ではないかというふうに私個人は認識をいたしております。

 ただ、まだそれで合意されているというわけじゃありませんので、私がそう思っているだけの話でございまして。そうしたことを思っておりますので、この主意書にも、検討させてくださいということを書かせていただいたわけでございます。

保坂分科員 では、ぜひ大臣にお願いしたいのは、私も正直、二度三度患者さんに会って、この苦痛は大変だなと。そして、その苦痛を、なるべくそういう方の声を聞いて反映していきたいと思いますから、受けとめようにも、また厚生省の方も担当官だということで初めて言える、こういう、今までぐっとためてきて、十年、十五年蓄積した思いが爆発するわけですよね。ついつい、何もしてくれなかったじゃないかということになるんです。

 しかし、そういうすれ違いを何回かやりまして、何とか患者さんに、いろいろ今制度のすき間でどうしても救われない人が出てきているんですね。八〇年以前に飲んだ人はだめ。それから、ちょっとおかしいなと思うのは、例えば〇・〇八以下の視力が基準になっている、医薬品機構で。ところが、このスティーブンス・ジョンソンの人たちというのは、要するに涙が出ないという特別な障害なものですから、猛烈な目に対する痛み、そして、例えば朝見えていても、夜はもうほとんど曇ったような白濁したような状態になるとかさまざまなんですね。したがって、一般的な〇・〇八という基準の中でやると、目は一・幾つじゃないかというのではねられちゃう方もいるんですね。だから、そういうところの問題も具体的にあります。

 それからまた、医薬品機構に関しては、大分柔軟化されて、例えば買った薬品のパッケージを持っていけば、そんな厳密な認定じゃなくてそれでいいんだそうです。ところが、パッケージでよくて、自分が医者にかかりますよね、全身にこうできてきて、かかる。そうするとお医者さんがカルテを書きますよね、例えば、風邪薬が原因でこういう状態になってSJSだ、スティーブンス・ジョンソン症候群ではないかというそのカルテが、なぜかカルテでは認定されないんですね。やはり投薬証明書というのがなければだめだ。この辺はちょっとやはり四角四面の仕切りだと思います。

 そういうところも少しずつ改善をしていただきたいんですが、何より坂口大臣にお願いをしたいのは、ぜひ早期に、その患者さんたち何名かに会って耳を傾けていただけないかというお願いなんです。いかがでしょうか。

坂口国務大臣 多くの皆さん方にお会いをして御意見を聞くというのが私の立場でございますから、それは機会を見てお会いをさせていただくようにしたいというふうに思います。

 涙が出ないということの大変さを今初めて聞かせていただきました。そういうことになるということは私も存じませんでした。花粉症で涙が出て困ると私は苦情を申しておりますけれども、涙の出ることがいかにありがたいことかということを感じながら先生のお話を聞かせていただきました。

保坂分科員 それでは、今の御答弁は、お会いしていただけると思います。そして、できたらその前に、一時間ぐらいのすぐれたドキュメンタリーがつくられています、これはやはり新しい社会問題じゃないかということで。ぜひそれもごらんになった上で会っていただけると、なお深まった議論ができるのかなと思います。

 きょうは私自身も大変、一人の人間として、自分にも涙が出る、そして風邪を引いたときには風邪薬を飲んで、あ、この薬が効いたんだなと治ることもある、しかし、それがいかに危険と隣り合わせなのかということをその患者さんに会うたびにやはり痛感をします。

 そしてまた、もう一つ思うのは、人間として生まれてきてこの日本という豊かな社会に生きて、あるとき突然、何万人かに一人、何十万人かに一人という確率で少ないんだということで、運悪く矢が当たってしまう、全部失うわけですよね。そのときに、自己努力で、自分はお金があって角膜移殖やいろいろな治療を受けられるという方もいらっしゃいます。しかし、少ないですよね。ほとんどの方が死を考える。生きていてもしようがないんじゃないか、みんなに迷惑をかけるだけだと。

 ぜひ、私たちは政治の場で、坂口大臣はまさに今厚生労働省のトップとして、そういう患者さんたちに一抹でいいから、全部は無理だと思います、しかし、この社会は声が届く社会だということを、ぜひ光明が一点ともるような厚生労働省の中での政策の指揮をお願いしたいと思います。一言いただいて、終わります。

坂口国務大臣 貴重な御意見でございましたから、私たちも十分に検討をさせていただいて、対応したいと思います。

保坂分科員 時間は余りましたけれども、大変十分なお答えをいただいたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

谷口主査 これにて保坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、武正公一君。

武正分科員 予算委員会の分科会で質問をさせていただく機会をいただきましたことを、委員長を初め皆様に感謝を申し上げる次第です。また、大臣、副大臣、政務官ということで、御答弁をいただくことを感謝を申し上げる次第です。

 まず、昨年十一月に、私も厚生委員会の方で救急医療について質問をさせていただきました。その後の経過も含めてお伺いをしたいと思っております。

 まず第一点に、最近、ヘリコプターを使った救急搬送、これはたしか厚生労働省さんの平成十三年度ドクターヘリということで、新しく事業もお始めになるというふうに伺っておりまして、大変画期的なすばらしい事業であるということで高く評価をするとともに、ぜひ、救急医療の抱える問題点をこのドクターヘリを初めとするさまざまな取り組みで御解決いただくことをお願いする次第でございます。

 まず、ヘリコプターの活用でございますが、消防庁によると、消防防災ヘリは平成十二年度末現在、四十四都道府県にて六十八機、搬送件数は九百七十五件、ほぼ一件一人ということですので大体千人弱というふうに考えていいのかなと思っておりますが、諸外国の例をお聞かせいただければありがたいと思っております。

伊藤政府参考人 諸外国におきます救急専用ヘリの状況につきまして、御説明をさせていただきます。

 諸外国におきます救急専用ヘリの取り組み状況につきましては、ドイツが一九七〇年から開始しておりまして、そのほかフランス、イギリス、スイス、アメリカ等の欧米諸国で導入されていると承知をしております。

 世界の救急専用ヘリコプターは、一九九八年のデータによりますと約六百六十機、兼用機や予備機を合わせると約一千機に近いと言われているわけでございまして、特にドイツの場合は、全国を半径五十キロメートルの円で埋め尽くしまして、それぞれの中心部に拠点病院にヘリコプターの基地を設け、世界で最も早く体系的、組織的なヘリコプター救急体制を構築いたしておりまして、アウトバーンの高速自動車事故による犠牲者を劇的に減少させたというふうに聞いているわけでございます。

 そのほかスイスにおきましては、非常に山岳地帯が多いにもかかわらず、全国十七カ所にヘリコプターを配置するなどいたしまして、国内のほとんど全域に医師が十五分以内に到着できる体制を整えているというふうに聞いているわけでございます。

武正分科員 私の資料では、ドイツの機数は専用が四十三機、兼用が十七機、六十機としてそれによって一年間に五万三千七百七十六回出動しているということでありますので、一機当たり九百回の出動回数ということで、先ほど、日本が同じく六十八機なんですが千件弱、千件対五万件ということで彼我の差を感じるわけでございます。

 それで、昨年の質問のときに、私の方から、救急医療圏というのは都道府県を一つの一番大きな圏域としておりますので、県境を越えて救急車が行き来をするということは余り承知をしていないという御答弁でしたので、いわゆる患者票、患者調査、これをもってちょっと調べていただけないかということで、福島総括政務次官が、では調べましょうということで御快諾をいただきました。その結果についてお答えをいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 昨年の委員会におきまして先生から御指摘のございました調査でございますが、患者調査については通常はそういう集計を行っていないわけでございますが、今回、先生の御指摘を踏まえまして特別に集計をさせていただきました。

 その結果、平成八年の調査、これは三年置きにやっておりますので平成八年のデータが一番新しいわけでございますが、平成八年の当該調査の結果に基づきまして、救急車利用推計患者のうち、患者の居住地とは異なる県へ搬送された推計患者は、入院で四・六%、外来で三・二%、合計いたしますと四・四%という結果が得られております。

武正分科員 では、救急車で運ばれる人数はということになりますと、総務省消防庁の所管になりますので、問い合わせましたら、平成八年の搬送人員は三百二十四万人、これに今の比率を住所不詳を除きまして掛けますと、約十四万五千人の方が救急車で県を越えて移動しているということがわかるわけであります。

 ということで、先ほどのヘリをこれから厚生労働省さんも平成十三年度で導入、そしてまた、先ほどのドイツとの、それこそ彼我の差を比べたときに、いわゆる災害のときの救急医療のことも出てまいります。こういった広域での救急医療という必要性が大変大事になってくると思われるんですが、そのときに、これまでは県を越えた救急医療の実態、これについては余り把握をされていないということが昨年の委員会での御答弁でございましたが、先ほどの十四万五千人が移動しているのではないかということも踏まえて、広域での救急医療体制、ドクターヘリも含めまして、御答弁をお願いいたします。

桝屋副大臣 前回からずっと今の救急医療について熱心に御議論をいただいて、感謝申し上げたいと思います。特に、今、県域を越えるというような御指摘もあったわけであります。こうした状況の中でどうして広域の体制で救急医療の体系を組み上げていくか、こういうお尋ねかと思うのです。

 一つは、やはり、各都道府県の作成する医療計画においては、救急医療の確保に関する事項を定めて、救急医療体制の計画的な整備を図るということが一つあると思います。各都道府県に対しては、搬送機関を含む関係機関で構成する救急医療に関する協議会を設置するようにお願いをしているところであります。基本的には、それぞれの地域において、こうした取り組みを通じて、県域を越えて行われている救急搬送の実態も反映した体制整備が行われるものというふうに考えているわけであります。

 今、ドクターヘリのお話がありましたけれども、今までの事業を踏まえて、これから県事業ということでドクターヘリも体制を組んでいくわけでありますから、今委員御指摘のドクターヘリも含めて、こうした県境を越えた搬送も含めた医療計画というものもこれから現場では議論されていくのではないかというふうに私は思っております。

 いずれにしましても、各都道府県における救急医療体制の計画的な整備が図られるように厚生労働省としても努めてまいりたい、このように思っております。

武正分科員 前向きにお取り組みをいただくということで、敬意を表する次第でございます。

 ただ、都道府県での医療計画ということでございまして、どうしても県を越えての連携というものが、やはり何か仕組みをつくっていかないと、どうしても都道府県は自分たちのところを一生懸命やりますよ。ただ、患者さんは救急車で県を越えて移動するといったときには、やはり相互の連携が必要になってくる。そのときに、やはり厚生労働省さんとして何か別な形でのお取り組みをしていただかないと、なかなか、それぞれの都道府県、自分たちのところで手いっぱいといったところもございます。それについて再度お答えをいただきたいと思います。

桝屋副大臣 今、都道府県の医療計画の中でと申し上げましたが、救急医療体制については、今御説明をいたしましたように、搬送機関も含めて関係機関で構成する救急医療に関する協議会というものを設けて、協議をしていただくようにお願いをしているわけであります。私も、特に県域を越える難しいケースが、救急車の動きでありますとか消防体制の動きでありますとか、さまざまな問題を現場で抱えて悩んだことがありますけれども、やはりこうした協議会というものをしっかり現場でやっていただいて、その上で医療計画の中で救急医療体制を整備していくということが今現場でも行われておりますし、そうした流れだろうというふうに私は理解をしております。

武正分科員 県の協議会ですと、どうしてもやはり関係者は県内の方になってしまいますので、県境を越えてのことというのはやはり別な観点から取り組みが必要ではないかなと思うんです。昨年の委員会でも、県を越えての救急医療の実態は把握していないという御答弁でございましたので、今までの延長線上の都道府県医療計画ではやはり限界があるんじゃないか。別な観点で、しかもドクターヘリを導入ということは、当然これまで以上に搬送が逆に一つの県をまたいで移動するようなことも出てくるやに感じますので、かなり広域、ブロックでの救急医療あるいは災害医療を含めましての取り組みになってくるんではないか。再度御答弁をお願いします。

桝屋副大臣 せっかくの委員の御指摘でありますので、県域を越えた取り扱いということをぜひ念頭に置いて、今申し上げました救急医療体制の計画をつくるその運営協議会の中で重点的にそうした部分を取り扱っていただきますように各都道府県にもしっかりお願いをしていきたい、このように思っております。

武正分科員 やはり、今までの医療計画とはまた視点を変えてやっていただきたい。特に救急医療の実態については、去年の委員会でも取り上げましたが、五年間で三分間、到着時間が延びていること。また、平成十年、十一年と毎年大体二十万人、救急車での搬送人員が伸びている。しかも、その到着時間もおくれていること。こういった実態から、ぜひ今までの延長線とは違った観点でのお取り組みを強く求めて、次に移りたいと思います。

 昨年も質問の中で、いわゆる自治省、厚生省のちょうど接点になる救急搬送とそれから救急医療、やはりここの問題点を痛感した次第でございます。厚生労働省さんで、病院に患者さんが運ばれた後、その後の患者さんの容体について把握をしておられますかということは、二十四時間の患者さんの容体がどうなったか把握はしていない、研究課題だというふうにお答えをいただきましたが、これについてその後どういう研究をされているか、お答えをいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 昨年、衆議院の厚生委員会で先生からその点御指摘がございました。

 それで、現状を申し上げますと、病院に到着するまでの時間が若干延びているというのも事実でございますし、それから搬送の目的は、病院到着前に死亡するケースをいかに少なくするか。そして、病院に入ってからの治療成績がどうであったか。

 残念ながら、現時点におきましては、いわゆる研究費による事例的な研究がございますし、また、消防庁の方でも統計をとっておられますが、いわゆる最近の言葉で言いますと、根拠に基づいた、比較できる正確なその辺のデータというのがまだ体系的にとられていないことは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、今後の救急医療の体制の検討の材料とするためにも、きちっと計画的な、成績が検証できるデータをとるように検討していきたいと考えております。

武正分科員 今度は検討ということで、一歩前進したかなと思いますが、これは、平成十年は三百五十万人の搬送のうち、残念ながら到着時に亡くなられていた方は五万七千人、重症の方が四十四万人というのが、自治省さん、消防庁の実態把握なんですね。この四十四万人の方が到着後どうなったかというのは非常に気にかかるところでありますので、今、検討ということですので、ぜひまた次の機会には実態をお答えいただくことを切に望む次第でございます。

 救急医療で、最後になりますが、やはり、搬送時間が延びている中で、救急救命士法が施行されてもう十年、消防本部からの要望として、特定医療三行為、これを救急車の中で今できるわけですが、やはり特定医療三行為をもうちょっとふやしてほしい、拡大を消防庁でも当時の厚生省に要望として出しているわけでございますが、これについて、大臣の御所見はいかがでございましょうか。

坂口国務大臣 この問題、もう十年経過をいたしまして、そして、消防庁の方から問題点として出てきていることを存じております。

 それで、この問題には大変複雑な面がありますのは、医師との連携の問題でございまして、ここを連携を密にしてうまくいっているところと、それから、そういう連携がまだできていないところと両方あるわけでございます。

 救急救命士の特定三行為の枠なり、あるいはまた、これを包括的にやることを認めるなりということのもう一つ前段階の問題として、地域、地域における救急救命士と医師との間の連携がうまくいくということの方、ここをひとつ整理をしないといけないのではないかというふうに思っております。うまくいっている県もあるわけでございますので、その辺のところを参考にさせていただきながら、おくれております都道府県に対しまして、何かその辺のところをスムーズにいくようにしていただくようにひとつこれから話し合いを進めていくのがまずその第一歩ではないか。そこを、第一歩、整理をしたその上において、この救急救命士の皆さん方の行為、そこをどうするかという話がもう一つ出てくるのではないかというふうに私は整理をいたしております。

武正分科員 今大臣の方から、都道府県によってやはり差があるんだということがございました。あるいは政令市などで大変先進的な市もございます。そういった意味では、今のお話では、うまくいっていないところを指導してというお話があったのですが、逆に、やはり先進地域、うまくいっている事例をぜひモデルケースとしてやっていただく、それによって、ほかの都市あるいは都道府県も、よし、ではおれたちもということになると思うのですが、それについてはいかがでございましょうか。再度お願いいたします。

坂口国務大臣 それは御指摘のとおり、そのとおりだと思います。

武正分科員 ありがとうございました。

 続いて、私は埼玉県の選出でございまして、きょうは副大臣もお見えでございますが、十二月の二十五日でございますが、民主党の朝倉問題調査チームの一員として、埼玉県庁でのヒアリング、そして朝倉病院の方にも行ってまいりました。このときの経過も踏まえて御質問させていただきますが、私はやはり、医療監視というものが年に一回朝倉病院について行われていたにもかかわらず、今回のこうしたIVHあるいはベッドへのくくりつけ、予見ができなかったということに一つ問題点を感じるわけでございます。

 そういった意味で、きょうは医療監視必携マニュアルも持ってまいりまして、きのうも民主党の山井議員も取り上げたと思うのですが、こういった医療監視について、公開するべきでないというようなことがマニュアルに載っているといった点も含めて、やはり医療監視の改善が朝倉問題の再発防止につながるのではないかなというふうに考えております。

 実は、医療監視は去年の四月一日から自治事務になっているわけでございますが、厚生労働省の方では、医療監視を行った全国の医療監視の結果を集めてプログラムに入力をしているというふうに聞いております。そうしますと、そのプログラムの項目というものが一つ枠としてありまして、各都道府県はやはりその枠に縛られながら医療監視をやらざるを得ないといったところも聞くところでありまして、また、当然、こういった必携マニュアルをみんな見ていますから、自治事務といってもまだまだ制限があるというふうに感じるわけでございます。

 実は、保健婦さんをこの医療監視に参加させているところもあるということで、佐賀県さんの例がある雑誌に載っておりました。その佐賀県の保健婦さんの言葉として、他の都道府県でどういう医療監視をやっているかわからなかったから、今回寄稿してくれということで、保健婦さんが医療監視に参加している事例として本には書いているわけですね。要は、だから、ほかでどういうふうに医療監視が行われているかもわからないといったことをこの保健婦さんはいみじくも語っているわけでありまして、この医療監視の実態の公開という点は、もちろん病院側のいろいろと出したくないところもあるでしょうし、プライバシーもあるでしょう。いろいろと制限もあるとは思うのですが、例えば、前向きに考えて、今のような、他の都道府県で医療監視に当たっている方々が他の都道府県のいろいろな事例を参考にしていくといったことにも役立つわけでございますので、この医療監視の情報の公開といった点について、まずお伺いしたいと思います。

桝屋副大臣 山井先生からもきのうはお話をいただきまして、今のその必携もお示しをいただいてお話をいただいたわけであります。特に、医療監視のその情報というものを公開してもらいたいというようなお話もいただきました。これは、基本的には都道府県の段階で御判断をいただくものだと。ただ、国においては情報公開法が動き出す、そうした流れにありますということも、きのうは議論をさせていただいたところであります。

 それで、その必携なんでありますが、まず、きのうからの話で、必携の件をまず御報告させていただきたいのですが、その必携は、医療法の立入検査に係る平成五年当時の法令、通知等、いわゆる法令通知集のような形でお示しをしているものでありまして、いわば手引書だというふうに思っております。

 既にその内容については、その本はもう絶版になっておりまして、その後状況も変わっておりまして、今後、情報公開法の施行に伴いまして、必要な記載内容、この見直しもぜひ行いたいというふうに思っているところであります。

 いずれにしましても、きのう申し上げましたように、全体としては情報公開の流れにあるわけでありまして、あるいはまた、今委員御指摘の立入検査の場合の、それぞれの各都道府県の情報交換といいますか、その手法についての情報交換ということは、まことに私は有意な御提言だと思いまして、そうしたことがしっかり情報交換できるように考えていきたいと思っております。

 そういう意味では、自治事務でありながらなぜ報告をという話にもつながるわけでありますけれども、確かに、御指摘のように自治事務にはなったわけでありますが、しかし、あわせて御報告も我が厚生労働省としてはお願いをしている。それは、今委員からもお話がありましたように、国として適切な医療施策を推進する上で、医療監視の方法なども含めて必要不可欠であるというふうに思っておりますし、あるいは、各都道府県での医療施策を進める上で、基礎データとして極めて重要なものだというふうに思っておりますので、今お願いをして出していただいている、こういう状況でございます。御理解いただきたいと思います。

武正分科員 ちょっと時間も押していますので急ぎますが、精神保健福祉法の実地指導との連携がとれていなかったというのも今回の反省点でございまして、連携がぜひ必要だ。できれば、医療監視と実地指導、一緒に行ったらどうかなというふうに思います。これについて一点。

 それから、日経ヘルスケア九七年四月号によると、医療監視といって県の職員の方が行って、本当に医療のことがよくわかっている方ならいいのですけれども、やはり法外なことを言うという事例も数多くあるようです。そういった意味では、医療監視というものが、都道府県が、しかも医療の専門家でない方がたまたまその職にあって行くというような形も考えられますので、これから、ある面これを厳しくやっていこうという方向に行くのか、ある面アメリカのJCAHO、全米医療機関合同認定委員会のような第三者機関にゆだねていくということも一考かと思うのですが、先ほどの実地指導と同時にということとあわせて、この医療監視をあくまでも都道府県がやるべきなのか、そういった第三者機関ということも一考に値するのか、御所見を大臣にお伺いしたいと思います。

坂口国務大臣 監査をしました後の情報公開のことも大事でございますが、その前にやはり医療監視というものが、正確にと申しますか、充実をして行われるということがまず大事だろうというふうに思います。都道府県でどういう状況で今行われているかということを、私も十分に把握をいたしておりませんが、やはり医療の中身をよくわかった人が行って、そして医療監視というものを行わなければならないことは当然でございます。

 それで、この内容も、やはりどうしてもチェックをしなければならない点というのは、これはもうわかっているはずでありますから、チェックポイントというものを幾つか挙げて、そうした点で一体どうであったかということを、簡潔明瞭に、わかるような形で情報公開するときにも行うことが大事ではないかというふうに思っております。

 外部に発注、発注と申しますか、外部の皆さんにお願いをした方がいいかどうかということは、これは人がいなければということでございますけれども、都道府県にはそれなりの人材がいることは間違いないと思いますので、そういう人たちが本当にこのポジションに配置されているかどうかの問題だと思います。それよりも、都道府県という単位でいいますならば、その都道府県で、やはりそれが、この医療監視というものができ得る能力を身につけた人を何人かつくるということの方が大事ではないかという気がします。それでも、なおかつそれが不可能だといったようなことになりましたときにはその次のことを考えるというのが、手順としては大事ではないかという気がいたします。

武正分科員 もう時間がありませんので、次に移らせていただきますが、今の点に関しては、都道府県の職員の方と都道府県の医師会との関係では、やはりいろいろ、いつも医師会の皆さんにお願いしている関係上、ある面厳しくできないといったところもあるやに聞いておりますので、つけ加えさせていただきます。

 最後に雇用施策についてお伺いしますが、私も県議会にいた当時、ちょうど地方事務官の方が労働省の方に引き揚げるというような形に遭遇いたしました。いわゆる地方分権一括法の改正でございます。そういった意味では、雇用対策法改正、職業安定法改正の中で、特に雇用対策法改正の中で、地方自治体の雇用施策の充実が求められたわけでございますが、しかし、実際のところ、今地方自治体には、求人求職の具体的な情報がハローワークからは届いていない。個々の事例でございます。特に、どんな職業を求めている人が、どういう人がどれだけいるのだという個々の事例、こういったものがやはり都道府県としては欲しい。これがないと、やはりそれぞれの地域、地域に合った個別具体的な雇用施策を打ち立てられないのではないかと思っておりますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

増田副大臣 お答えをいたします。

 地方分権の国会決議を、実は取りまとめに駆けて歩いたのが私でして、今その関係のことが触れられて、地方事務官制度というお言葉を聞いたのですが、こういうことを踏まえて、厚生労働省としては、真剣な切りかえに対応すべく、現在動いております。

 時間が押しているようですから、要領よく読みますけれども、雇用施策の推進に当たっては、国と地方公共団体とが密接な連携を保持しつつ、地域の実情に応じた施策を展開していくことが重要であると、先生のおっしゃるとおり認識しております。このため、都道府県労働局の設置に伴い、都道府県との間で雇用対策連絡調整会議を開催するとともに、公共職業安定所の有する労働市場情報や求人情報などの雇用情報の提供にも努めているところであります。

 さらに、国と地方公共団体とが連携しつつ、地域の実情に応じた雇用開発を促進するための新たな枠組みの整備、具体的には、従来の国から地域を指定する方式をやめ、都道府県が地域を提案し、国が同意する方式に変更するとともに、当該地域において国と都道府県とが連携して行う事業の新設を内容とする所要の法律案を今国会に提出しているところであります。今申し上げたところは今国会へ出してありますから、それが通ると、そういうふうに実はなっていきます。

 それから、お話がございましたが、国の機関と都道府県で十分意思の連携が図れるようにというので、雇用対策連絡調整会議を各都道府県ごとに一つずつつくろうというので、一生懸命精力的に取り組んでまいりまして、今二つになりました。群馬と栃木、どうも関東が残っているのでまずいのですけれども、群馬と栃木なんですが、早々に群馬の方は話し合いが進むと思います。そうすると、あと栃木が、栃木だと思いましたが、埋まりますと、日本じゅうにこの組織ができます。したがって、都道府県レベルとは意思の疎通が十分に図れる、御期待に沿う方向に具体的に一歩が踏み出せるというので、積極的に今、ハッパをかけるという表現はよくありませんが、真剣に取り組んでいる。こういうことであります。

武正分科員 もう時間も来ましたので、最後に述べさせていただいて終わりにしたいと思いますが、都道府県に聞きますと、ハローワークさんの方が、あるいは労働局さんの方が個別具体的な求人求職情報を持っていますので、今までの国と地方、そういう上下の関係をどうしても意識するということでありますので、やはり情報は共有できるように、情報というのは、全体の漠とした情報じゃなくて、個別具体的な求人求職情報、これをぜひ都道府県も共有できるように格段のお取り組みをお願いして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

谷口主査 これにて武正君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。坂口大臣は今退席されておりますが、予算初日より大変お疲れのところ恐縮でございますが、あと一息でございますので、どうか大臣、副大臣、政務官の皆さん、よろしくお願いをいたします。

 きょうはまず、限られた時間でございますが、最初に、食の安全確保ということについて御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 これは、桝屋副大臣も当事者として今までお互いにやってきたことでありますが、私たち公明党は、食は、国民が健康で生き生きと暮らしていくための礎である、食の安全は国民の切実な願いであるという立場に立脚をしていろいろな活動を展開してきたわけであります。

 一方、近年、食品添加物また残留農薬、O157等の食中毒やダイオキシン、内分泌攪乱化学物質や遺伝子組み換え食品、また昨年の雪印の食中毒の事故、数々の食品への異物混入事例など、食の安全をめぐる国民の不安や関心が大変大きくなっている状況があるわけであります。

 そのために、まず一つとして、食品衛生行政の総点検を行い、食の安全、安心に向けた行動計画を緊急に策定すること、もう一つは、食品衛生法の運用を充実強化して、対策を強力に推進するとともに、国民にわかりやすく情報提供をしていくこと、こういったことを主眼とした具体的な十項目の、食の安全確保についての要望書を昨年の十一月、当時の津島厚生大臣に提出をしたわけでございます。これは桝屋副大臣も作成当事者の方だったと思いますので、よく御承知だと思いますが。

 我々のこういった行動を受け、また世の中の状況を受けて、当時の厚生省として、その十二月に食の安全推進アクションプランというものが策定されたというふうに理解をしております。

 この動きとはまた別に、昨年の春から、全国の日本生活協同組合連合会がそれぞれの地域で、同じ目的、同じ思いだと思いますが、形は、食品衛生法の改正と充実強化を求めるという題名の請願署名に取り組まれ、全国で現在千二百八十一万筆という、大変な数の賛同の署名が寄せられているというふうに伺っております。

 私の地元は神戸市でございまして、コープこうべという組織でありまして、コープこうべさんとは大変長い間、私自身もいろいろな面で交流をさせていただいております。実は、私の家内もコープこうべの組合員で参画をしておる関係で、いろいろな人を知っております。主婦業をやられている方が大変多いわけでありますが、活動そのものは大変まじめに、国民生活に密着した問題については大変御熱心に学習会を持たれて、これは何とか世の中を啓蒙していかなければいけないということにつきましては、今回のような署名活動を大変な馬力でやられている。コープこうべも、たった三カ月間で二百十万人、県民五百五十万人ですから三分の一の署名をされておる。これまでにも例えばPL法といったような、まさに国民生活に密着した、消費者の側に立った国の政策実現に対しても大変な原動力として闘われている。私は、政治的にも一党派に偏ることのない、大変中立的な、すばらしい組織の構成員の皆さんだというふうに理解をしておるわけでございます。

 コープこうべの皆さんとも日ごろから、この問題についていろいろな意見を交わしております。いろいろなボタンのかけ違いはあるかもしれませんが、結局私の理解するところは、彼らの主張というのは、まず、欧米諸国特にヨーロッパでは、食品安全行政にはすべての利害関係者の参画が必要であるとされているのだ、消費者もその利害関係者の当事者として欧米では位置づけられている。だから日本でも、食品安全行政の信頼を確立するために、その政策決定過程を透明にすること、情報公開ということだと思いますが、透明にすること。そして消費者を含む社会の各層の代表が参画をして、双方向というか、行政の側だけではなくて、これまでに組み込まれていなかった消費者の側の意見も、主張するのではなくて相互に情報を交換する仕組みをつくって、新たな政策決定をしていくべきなのではないか。こういった主張だというふうに私は理解をしておって、そのこと自体は余り間違いではないのではないかというふうに思っております。

 その前提で、彼らは今、六項目の要請項目を出されておりますが、ちょっときょうは時間の関係があるので、その中から幾つか抽出して私はお伺いをしたいと思います。

 まず一つには、食品の安全行政に関する施策について。

 欧米諸国では、積極的に情報公開と消費者の意見の反映ということがされているんだと。これは日本ではどのようになっているのかということを聞きたい。例示では、国際的な食品規格を策定しているコーデックスという機関では、消費者参画とか情報公開が明文化されているわけでありますけれども、我が国の現状と比較してどう考え、認識しているのか、まず伺いたいというふうに思っております。

桝屋副大臣 食品の安全行政に係ります熱心な御議論をいただいて、本当に感謝をしたいと思います。あるいはまた、昨年の十二月、厚生労働省が食の安全に関しますアクションプランを発表した経緯も十分御理解をいただいてお尋ねをいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 今お尋ねの食品の安全行政に係る積極的な情報公開と消費者の意見の反映という点でございますが、消費者の関心もますます高くなっているということもあります。極めて重要な御意見だと思っております。

 このような考え方に立ちまして、一つは、薬事・食品衛生審議会につきまして審議を原則公開にいたしております。とともに、同審議会の食品衛生分科会にはお二人の消費者代表の方にも委員として入っていただいております。委員も御承知だろうと思いますが、日本生協の方にもお入りいただいておりますし、あるいは主婦連合会の方にもお入りいただいているわけでございます。

 あるいは、十一年の三月からでありますが、パブリックコメントの制度も閣議決定されましたので、食品衛生に係る規制の設定あるいは改廃に当たりましては、広く国民の御意見をお聞きしているという状況でございます。

 今御指摘のありましたコーデックス委員会におきましては、審議を原則として公開する、そしてNGOの代表が審議に参画することとされておりますが、これと比較いたしましても、我が国のただいまの情報公開あるいは消費者参加の現状というのは、それほど遜色はないのではないかというふうに考えております。

 委員の御指摘もいただきましたので、今後とも消費者の視点に立って、食品衛生行政を着実に進めてまいりたい、このように考えております。

赤羽分科員 今、コーデックスと比較しても遜色がない、こういった御答弁がありましたが、一方では、ヨーロッパではそういったものが、例えば消費者の参画が明文化されておる、日本では明文化されていない状況の中で遜色がないとされることに対して、そういったものに対して、率直に言ってなかなか不信がぬぐい去れない。そう生協の人が思っているかどうかわかりませんが、そうであろうというふうに私は思うわけなんですね。

 まず、ちょっと事務方の方で結構なんですけれども、薬事・食品衛生審議会というのは厚生労働省設置令で規定されておるはずでして、その委員の任命の仕方とか構成員というのは政令で定められていることになっておると思うのですが、消費者というのは位置づけられておるのでしょうか。位置づけられていないとしたら、どういう形で二名参加しているということになっておりますか。

尾嵜政府参考人 審議会令におきましては、「委員及び臨時委員は、学識経験のある者のうちから、厚生労働大臣が任命する。」という規定になっておりまして、先生御指摘のような、消費者というふうなことで明示しているわけではございません。

赤羽分科員 それで、学識経験者の拡大解釈の中で消費者団体代表の二名が参加させていただいている、こういうふうになっていると思いますが、よく確認してみますと、この審議会の中に実動部隊の部会がある。十五の部会があるというふうに聞いておりますが、今消費者団体が参加できる部会はたった一つ、表示特別部会のみ、こういうことになっておるのです。ほかの十四の部会についてはどういったルールで参加できるかどうかが決められているのかよくわかりませんし、それも明文化されていないと思います。厚生労働省の配置で決められているというようなことなのではないかと思いますが、たった一つずつの部会しか参加できないという現状が、本当の意味で消費者団体が十分参画を保障されている、コーデックス並みに遜色がない、こう言えるかどうかということについてはかなり疑問を感じるのでありますが、その点についてはどうでしょうか。

尾嵜政府参考人 おっしゃるとおり、部会の構成については少ないという御指摘でございます。

 その点につきましては、部会は主に非常に専門的な事柄について御議論いただくということで、そういう構成をとらせていただいているわけでございます。分科会の方に最終的には上がるという形になっておりますが、分科会の中には、先ほど副大臣の方から御答弁申し上げましたように、二名の方が入っていらっしゃるという状況でございます。

 いずれにいたしましても、部会の構成についても、今後、御指摘がございましたので、十分検討してまいりたいというふうに考えております。

赤羽分科員 消費者団体の代表といいますと、ぱっと、僕なんかも、主婦の人たちの代表みたいなイメージがあると思いますが、日生協の人たちの中でもかなり専門的な専門家もおりますし、そういった方たちが部会に参画をするということでこの問題について不利益が生ずるということは考えにくいので、ぜひ部会への参加というものを、今の御答弁どおり推進していただきたいというふうに思っておるのでございます。

 また、この審議会の構成メンバーの位置づけについてでありますが、例えば東京都の食品衛生調査会、こういうものがあるのですが、これは東京都食品衛生調査会条例第三条で、その構成員として、一として学識経験者九名以内、二として食品関係業者の代表十一名以内、三として消費者の代表五人以内、こういうふうに定められている。それで、その消費者の代表の委員は、消費者団体や消費者モニターより推薦されている。こういうことが東京都では実は明文化して行われているわけでありまして、こういった方が非常に合理的なんじゃないでしょうか。

 こういったものを明文化せずに、まあ趣旨は、二十名のうち二名担保する、これは恐らく交代しないという思いがあるから、ヨーロッパとも遜色ない、こういった御答弁なのかと思いますが、こういった東京都の条例のあり方について、相互不信というものが払拭されるのであれば、こういったことも一つの方法ではないかというふうに思うのですが、この点については。桝屋副大臣。

桝屋副大臣 今、東京都の事例もお話をいただきました。先ほど事務方の方からも、委員の御指摘を受けて十分検討していきたい、こう申し上げたところであります。

 私も、生協の皆さんとはずっと今までも議論してまいりました。生協との信頼関係ということもおっしゃっていただいたわけでありまして、今までの、既にこの食品衛生分科会にお入りいただいている生協の方の活動の動向とか、もう一回よく検討いたしまして、東京都の事例も参考に検討させていただこうと思っております。

赤羽分科員 前向きな御答弁、大変にありがとうございました。

 続きまして、食品添加物についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 平成七年の食品衛生法改正によりまして、これまでの第六条の規定による指定制度の対象が化学的合成品のみだった、それが、この法改正によって天然物を含むすべての添加物に拡大された、こう理解をしております。だけれども、これは厚生労働省の御説明によりますと、法改正当時既に流通していた天然の添加物、この添加物は、ある意味では長い期間使用実績があり、安全性上問題となる個別具体的な知見の報告がないので、一気に全部禁止、こういった措置をとると無用な混乱を引き起こす、これを避けるために、既存添加物名簿ということで、四百八十九品目として引き続き販売等を認めている、こういった実態だというふうに伺っております。

 まずちょっと初歩的なことを聞きますが、この既存添加物名簿に収載されました四百八十九品目の天然添加物の中に、有害性が指摘されているものは全くないのでしょうか。そこをまず確認したいと思います。

尾嵜政府参考人 御指摘の四百八十九品目の関係でありますが、基本的には、平成七年に食品衛生法を改正いたしましたときに整理をしたわけでございますが、その際には問題があるというものは認識はないわけでございます。ただ、いろいろなその後の研究なりで、そういった指摘が一部あるものがゼロとは申しませんが、今のところ私ども、情報を集めることを一つはやっております。そういった中で、今御指摘のような既存添加物についても逐次データを収集し、また安全性について確認する作業を行っておるという状況でございます。

赤羽分科員 今の御答弁にもありました四百八十九品目のうち、安全評価をしているわけですね。その安全評価を終了した既存添加物は三百六十四品目あるというふうに聞いております。

 私の考えですと、既存添加物名簿に載せていたのが四百八十九品目、ある意味では過渡的措置として名簿に載せていた。それの安全性を一生懸命チェックしている、それが三百六十四品目について安全性の評価が定まった。それについては、もう既存の過渡的な名簿から外して、指定制度の枠組みに入れるという方が自然なんじゃないでしょうか。

 それはされていないわけですね。それはなぜされていないのかなというふうに思うのですが、どうですか。

尾嵜政府参考人 御指摘のような既存添加物四百八十九品目については、食品衛生法改正をした際に、附則でそういうふうに定めておるわけでございます。

 今のところ、そういった附則で定めたものについて、御指摘のように、既に厚生科学研究なりで評価をしていただいている部分がございまして、国際的な評価が終了して安全であるというふうに認められている、そういったものもたくさんあるわけでございます。

 今のところ、私どもは、そういったものも含めて、基本的には、厚生労働大臣が指定したもの以外は使えないという形の法的な枠組みから見れば、先生がおっしゃるような形をとらずとも、同様の形になっておるのではないかというふうな考え方を持っているわけでございます。

赤羽分科員 しかし、一問目の私の問いに対しまして、すべてが有害性が全くない、こう断ずることはできないという御答弁だったと思うのですよね。そうなりますと、安全性が確認された三百六十四品目を移しかえて逐次安全性の評価を定めていくという方が、使用する消費者の側、またメーカーの側については大変親切なのではないかというふうに思います。

 ちょっと角度を変えますと、この平成七年の法改正によって天然の添加物が指定対象に入ることになった、こういうふうな改正がされたのですけれども、現実に指定添加物とされたものは幾つあるのですか。今の話だと一つもないのではないのですか。

尾嵜政府参考人 七年の改正以降は該当はございません。

赤羽分科員 ですから、せっかく改正をしても現実的には今のまま縛りをかけている限りでは、具体的には、文言だけ変わって現実的には何ら、法律をつくった側ではなくて法律を見て対処する側にしてみれば非常にわかりにくい話なのではないかな、私は率直にそう思いますので、法改正が伴って大変だ、こういったところが多分あるんだと思いますけれども、このことについては少し考えるべきではないかなというふうに思います。

 ここに加えまして、農薬についても似たような部分があると思うのですが、輸入された食品から、例えば国内における残留基準が決められていない農薬が検出された場合は、どのような具体的な措置がされるのでしょうか。

尾嵜政府参考人 御指摘の、輸入食品から国内におきます残留基準が決められていない農薬が発見されるケースがございます。現実に、毎年検疫の中で、検査している中で、そういうものが出てまいります。

 その際には、私ども、基本的には、入手可能な科学的データ、例えば先ほどお話がございましたコーデックスの考え方の整理、あるいは文献なりあるいは外国での規制というものを見ながら判断をしているというところでございます。

 ただし、具体的に、この二、三年、そういった国内の残留農薬基準を定めていない農薬を検出したものにつきまして法的に措置をとったというふうな対象になるようなものはなかったということでございます。

赤羽分科員 今世界で流通している農薬は約七百というふうに言われている中で、国内でも残留基準の設定を進めているわけですね。それは、報告ですと、二百十四の農薬について設定されている。かなり、まだ約五百近くが残っている、こういうふうに聞くとどうなのかなと思うわけですけれども、この残りの農薬についての残留基準の設定というのは、どのような計画で進めていくのでしょうか。

尾嵜政府参考人 現在のところ、いろいろなデータを集めた上で、専門家によって御判断をいただくという作業が必要になってまいります。それで、今御指摘がございました二百十四、きょう現在までに基準を定めておるわけでございますが、法改正後に、二〇〇〇年までに二百をめどに作業を進めてまいりました。およそ百九十九ということでそれに近い形になっておりまして、その後、年間目標を今後二十件程度ということで基準の設定という作業を進めたいというふうに考えております。

赤羽分科員 これは、二十程度ずつですと、かなり、全部でき上がるまであと二、三十年かかりそうな話なのですが。それだけ事が深刻なのかなという一方、逆に、二百十四で現在国内に流通している九割ぐらいをもう既にカバーしているのだ、こういう話もありますが、その辺はどうなのでしょうか。

尾嵜政府参考人 正確な数字を私今持っておりませんので、かなりの比率の高いところは私どもの基準が定めておるというように理解しておりますけれども。

 いずれにしても、御指摘のように、できるだけ多く、早く基準を定めるようには努力はしてまいりたいと考えております。

赤羽分科員 それで、結局、この農薬の問題と先ほどの添加物の問題と少し似たような傾向があると思うのですが、消費者側は、安全の担保がとれていないものは使わないように措置をしてほしいと。逆の、役所の側と言うと語弊がありますが、それほど具体的な問題が発覚しないものについては現状そのまま推移させていきたいと。ここにはどうしても溝がかなりある。埋めている努力は徐々にではあるけれどもお互いにしていくのでしょうけれども、しかし、その溝は残っていくということだと思うのですね。

 このことについて、九割、これは九割という数字が正しいかどうかわかりませんが、流通の大半はもう残留基準を設定されておるのであるから、残り一割の部分について、基本的にはこういったものを使えない、流通することに制限を加える、こういったことにはそれほど大きな混乱が起こるのかどうか、こういった議論は残ると思うのですが、その点については検討の余地というのはどうなのですか。

尾嵜政府参考人 残留農薬基準につきましては、我が国の国内の残留基準、それ以外に、先ほど来たびたび出てまいりますコーデックスによります基準の設定、あるいは各国、個々の国によって残留基準が定められておる、そういったさまざまな形での、均一的な形になっておらないと申しましょうか、そういう状況でございます。

 そういった際には、それでは今国内で定めておらないから、すべて一律に規制をして輸入を一切させないといった際に、輸出する国では基準を定めて通っておるというふうなものもあるわけでございます。そういった中で、今先生の御指摘のような形でやるのはなかなか難しい点があるのではないかなという認識を持っております。

赤羽分科員 言わんとすることはよくわかりますけれども、しかし、そういったことで問題が発覚したのがトウモロコシのスターリンクの問題とかということであったというふうに思いますので、その点も加味しながら、どう善処していくかということをぜひ考えていただきたいと思います。

 この点で私はやはり思うのは、食の安全推進アクションプラン、こういった立派なものがつくられたわけでありますし、こういったことの具体的な施策の推進、こういったことをもっと国民に知らしめていく努力、この予防原則というか、その確立というものをやはり打ち出すことが、今言った消費者側と生産者側というか、そういった溝を埋めることに非常に大きく貢献するのではないかというふうに思うのですが、その点について、大臣の御所見と御決意を聞かせていただければというふうに思っております。

坂口国務大臣 今るる述べられますお話を聞かせてもらいながら、食品の安全というものはやはり大事な問題であり、毎日毎日の人間の食生活にかかわる話でございますから、やはり食品はまず安全でなければならない、当然のことだろうというふうに思います。

 その問題点と申しますか、総論としてはそうなのだけれども、現実問題としては幾つかのこういう問題点があるではないかという御指摘でございまして、そのことに対しては謙虚に私たち耳を傾けなければならないというふうに思います。そして、その中で一つ一つやはり解決をしていくべき問題は、時を移さずにやっていかなければならないというふうに思っております。

 添加物それから残留農薬、食中毒対策、食品衛生行政全般、これは厚生労働省として取り組んでいかなければならない範囲でございますし、また情報提供もしなければならないものでございます。食の安全推進アクションプラン、こうしたものの中で、よりそうした点もひとつ考えていきたいというふうに思います。

 学問的にまだ明確な結論の出ていないものも中にはあるというふうに思いますが、しかし、今私言っておりますのは、学問的な結論が出てから手を打つというのでは、わかったら大変だったということもあるわけでございますので、それはいけない。学問的な結論は出ていないけれども、やはり行政は行政としてこれは手を打っておかなければならないという点につきましては、まず手を打つ。そして、結論を待って、それがもし行き過ぎであったとしてもそれは許されるのではないかという気がいたしまして、そういう方針でいってほしいということを申し上げているところでございます。

 したがいまして、今般、狂牛病の問題でございますとかそうした問題が今大きな問題になってきておりますが、それらに対しましては、そういう立場で処理をしてほしいということを言っているところでございます。

赤羽分科員 御答弁どおり、よろしく推進方お願いしたいと思います。

 大変時間が迫って恐縮でございますが、阪神・淡路大震災のことで、災害援護資金の貸し付けの返済について、大変地元が困っている問題がありますので、端的に二点だけ質問させていただきたいと思います。

 一つは、貸し付けはもう三万二千人、約七百八十億円の貸し付けが行われたのですね。大変ないい制度だったんですが。実は、このうち死亡者が九百人、破産者、行方不明者、これもまた九百人、約千名、こういった状況の中で、市の当局も、大変その返済、取り立てと言うと言葉は悪いですけれども、返済努力が大変困難な状況になっておる。

 借り受け人が死亡した場合、そして連帯保証人が経済的な能力がない場合は免責になるわけでありますが、自己破産した場合、この場合は免責条項がない。連帯保証人も大体大半が、調べてみますと同じ被災者なんですね。被災のときの特例融資に連帯保証人を求めたというのも非常に何かすっきりしないなという部分も実は私も現場にいて思ったのですが、連帯保証人についても借り受け人についても同じような厳しい状況の中で、こういった場合の、借り受け人が行方不明というのはなかなか特定しにくいと思いますが、自己破産の認定をされた場合、死亡した場合と同じような免責が受けられないかどうか、考える余地はないかどうかということが一つ。

 もう一つは、いろいろな形でこの支払いが猶予されているのです。猶予期限が実は二〇〇六年になるのですけれども、そのときには、神戸市が今一番恐れているのは、神戸市は大変震災の関係で、神戸市だけじゃありません、被災市は財政が破綻しかかっているんですが、実際、借り受け人から返済されていない部分について、被災市がすべて返済を求められるのかどうか。そこについて、返済の履行期限の延長を検討していただくことはできないかどうか。

 多分いい返事が返ってくるものと非常に期待をしたいと思いますが、ぜひ大臣の口からこの二点目は特にお聞かせいただきたいと思います。

坂口国務大臣 お気持ちは十分にわかるわけでございますが、お金のことでございますので、借りたものは返すという大原則、これは譲るわけにはいかないんだろうというふうに思います。そこは原則として押さえながら、しかし行政の中でいろいろ検討して、考慮をしなきゃならない点は、今までもやってまいりましたが、しかしこれからもあるんだろう。だから、原則は原則としながらその中でどういうふうに考えていくか、そこのところは御相談にまた乗らせていただくこともできるのではないかというふうに思います。

 短な時間でございますから、きょうは最終的ないろいろのお話までさせていただくことはできませんけれども、またいろいろと御相談をいただけばと思います。

赤羽分科員 どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

谷口主査 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、北側一雄君。

北側分科員 公明党の北側一雄でございます。

 大臣、御苦労さまでございます。私で最後でございますので、できるだけ簡潔に終わりたいと思います。

 きょう、私は、プールの水質問題についてお聞きをするわけでございます。大臣は、プールなんか最近活用されておられますか。

    〔主査退席、津島主査代理着席〕

坂口国務大臣 残念ながら、行く暇がございませんで、全然活用いたしておりません。

北側分科員 これからまたプールのシーズンがやってくるわけでございますが、プールというのは全国でどれぐらいあるかといいますと、学校プールが約三万、そして遊泳用プールが約一万、合計四万以上のプールがあるということでございます。

 プールの利用目的も最近は非常に多様化してまいりまして、我々の子供のころは学校でプールに行くということが多かったわけでございますが、今は乳幼児から高齢者まで、さらには妊産婦の方なんかもプールに行かれるというふうに、利用者層、利用目的等も非常に多様化をしております。衛生面を初めとするプールの安全確保、またこれからは利用者にとっての快適さ確保、そういうことがますます必要になってくると思うわけでございます。

 こういう本がございます。「あぶないプール」という単行本でございますけれども、有田一彦さんという方が書かれた本でございまして、これは一九九七年に出ている本でございます。この方は、大阪府の水道部にいらっしゃって、その後、水問題の研究家、研究者でございます。

 この「あぶないプール」という本には、お時間があったらぜひ一度ごらんになっていただきたいと思いますけれども、プールでさまざまな事故が起こっております。非常に多いのは、飛び込みによって子供たちが事故を起こす、それから排水口に人が引っ張られて事故を起こす、こういう死亡事故もたくさん出ております。さらには、きょう問題にしておりますプールの水質の問題、消毒剤の問題、こうした問題について非常に詳しく書かれておりまして、一度またごらんになっていただきたいと思います。

 プールの水質の問題につきましては、我が党の大口衆議院議員がかつてこの予算委員会で質問をさせていただきまして、当時の厚生大臣、宮下厚生大臣だと思いますが、また文部大臣でございました有馬大臣から、この水質改善の必要性について非常に前向きな御答弁をちょうだいいたしました。この大口さんの質問というのは平成十一年二月十七日ですから、ちょうど二年前にこの質問をさせていただいたわけでございます。

 きょうは、その後の取り組み状況について確認をさせていただきたいと思うわけでございますが、私の方が知っております行政の対応を確認させていただきますと、大口さんの質問を契機に、平成十一年度に厚生省がプールの実態調査を実施されました。その実態調査の結果につきまして、昨年、平成十二年三月に、全国のプール水質に関する実態調査ということで公表がなされました。この実態調査の結果も踏まえまして、昨年の十一月二十四日に、プール衛生基準の改正の必要性についての検討会が設置をされ、年度内に、この平成十二年度の三月までに検討結果を報告書に取りまとめるというふうにお聞きをしております。

 今後、この報告書が出て、水質基準のあり方について見直しがなされると思うんですけれども、私は、その方向性というのは、これから質問の中で触れさせていただきますが、これまでの厚生省の水質基準また文部省の水質基準、この基準がやはり甘かった、その水質項目並びに基準値を安全面、衛生面で強化をしていこうという方向の検討がなされるんだというふうに理解しておりますが、方向性はそのような理解でよろしいのでしょうか。大臣の御答弁をお願いします。

桝屋副大臣 十一年の大口議員の御指摘から始まりました今までの厚生労働省の取り組みでありますが、今委員御報告をされたとおりでありまして、おっしゃるように、十一年度に、東京都それから大阪府内延べ百三施設の遊泳用のプール、それから学校プールを対象にいたしまして水質等についての実態調査を行った。

 その結果を見ますと、大腸菌群の数でありますとか濁度あるいは遊泳用プールの衛生基準で定められている項目については、ほぼ基準を満たしていたというふうにも思っております。既に発表されているとおりであります。一方、施設によっては、遊泳用プールの水質基準が定められていない総トリハロメタンなどの化学物質が検出をされたということも大事な点だと思っております。

 この実態調査の結果からすると、プールの衛生水準をより一層確保していくため、遊泳用プールの衛生基準について、項目の追加などを含めて見直しを図る必要があるというふうに思っておりまして、先ほど委員御指摘のとおり、今結論を出すべく議論をしておる、こういう状況でございます。

北側分科員 同様の質問でございますが、学校プールが非常に多いわけでございまして、文部科学省の方の御見解を賜りたいと思います。

池坊大臣政務官 今委員の御指摘にございましたように、四万のプールのうちの三万二千が小中高校のプールでございます。

 私ども文部科学省といたしましては、学習指導要領の中にも水泳というのが組み込まれておりまして、また、低学年の子供はお水を飲んじゃうというようなこともございますので、厚生労働省と連携をとりまして、厚生労働省の遊泳プール衛生基準をしっかりと見定めて私どもも対処しております。

北側分科員 プールには当然水泳パンツをはいて裸で入るわけでございまして、目とか肌が直接その水に触れるわけでございます。

 今、桝屋副大臣の方からお話がございましたこの実態調査の内容、結果を私も見させていただきました。この実態調査は二つの基準を用いてやっております。一つは厚生省の基準。この厚生省の基準というのは、平成四年に衛生局長の通知というふうな形で決められておるプールの水質基準、これはpH等五項目について水質基準項目を定めております。今回の調査の際は、この厚生省の基準だけではなくてドイツの基準、この二つの基準を照らし合わせて実態調査が行われました。

 確かに厚生省の基準は満たされている、要件は満たしているところが多かったわけですが、一方、ドイツ基準に当てはめますと、全然その基準内におさまっていないプールが非常に多くあるわけでございます。ドイツの方は合計で十八項目の水質基準項目を設定しておりまして、また、一個一個の項目についても非常に厳しい基準が設けられております。この調査結果を見ますと、かなりの施設が、厚生省の基準を満たしているところは多いんですが、ドイツの基準と比べると、その基準に達していないところが非常に多いわけでございます。

 この実態調査は、わざわざ日本の厚生省基準とドイツ基準と二つ並べてやっているということ自体が私は非常に意味が、それなりの意図が、目的があってそういう形でやっていただいていると思うんですけれども、この点、こういうドイツ基準との乖離の問題についてどのような認識を持っておられるのか、御答弁をお願いいたします。

桝屋副大臣 今回の実態調査は、今委員御指摘のようにドイツ基準と並べて結果を発表しているわけでありますが、ドイツにつきましては、たしかこれは、記憶が間違っていたら申しわけないんですが、大口議員の指摘もあって考慮しているんではないかと思うんです。

 ドイツにおきましては、非常に平たな地域を悠々と流れる川の水を使っているというようなこともある。我が国においては、プールというのは原則水道上水を使っているわけでありまして、その辺の違いがあるのかな。特にドイツについては、委員もごらんになったと思いますが、化学物質等について別の基準があるわけでありまして、そこをどう考えるかということが一つのポイントではないかなと思っているわけであります。

 もちろん、今委員御指摘のように、人に直接触れるものでありますから、プールの水の水質管理ということは国民の健康の確保という観点からも重要なものというふうに考えているわけであります。遊泳用プールの衛生基準を策定して各水質管理者にお願いをしているわけであります。

 プールの水質管理につきましては、この今までの衛生基準を守ってもらうことも必要でありますけれども、プールに含まれる化学物質等に関して新たな研究成果あるいは調査結果が得られれば、もちろんこれを踏まえて見直しをしなければならぬだろう、このように思っているわけでありまして、日本とドイツの国情の違い、実態の違いということも十分踏まえながら、今、鋭意検討しておるということでございます。

北側分科員 日本とドイツの違い、河川事情の違い、そういうことを余り大きな理由にできないのではないかというふうに私は聞いております。ドイツも川の水をいきなりプールに持ってくるわけじゃ決してありませんで、その途中でちゃんと処理をしてプールの水に使うわけでございまして、余りドイツと日本の河川事情、水事情の違いというのを誇張するのはいかがなものかというふうに思っております。

 そこで、私なりに現行のプールの水質管理の問題点をちょっと幾つか指摘させていただきたいと思っております。特に、日本とドイツを比べてどう違うのかということでございます。

 日本は水質検査をどこでやっているかといいますと、当たり前の話かもしれませんが、プールの中の水の水質を検査しています。プール内の水の水質検査。ドイツは三カ所でやっているんです、三カ所。

 水質を浄化するためには二つやることがありまして、一つは、水を塩素消毒するという方法。もう一つの方法は、水をろ過する。ろ過と塩素消毒、二つの手段を使ってプールの水質を浄化するわけでございます。

 ドイツは、プール内の水を検査するだけではなくて、まずろ過機から出てくる水、出口の水、そしてろ過機に入る前の水、そしてさらにプールの中の水、この三カ所で検査をすることになっています。なぜろ過機の出口、入り口でするかというと、きちんと水質がろ過によって浄化されているかどうかということをチェックするために出口と入り口でやるということでございます。それで、この三カ所でやっている。

 さらに言いますと、日本の場合は、薬品依存、化学物質ですね、薬品依存が非常に過度になっているとも言われております。ちょっと専門用語ではあるんですが、ろ過の方式で、日本ではフロッキング方式という方式が使われているんですけれども、砂やセラミックボールに凝集剤、pH調整剤、清澄剤、それから殺藻剤を投入してろ過をしていくという方式をやっております。

 この凝集剤にはアルミニウムが含まれております。さらには、砒素、六価クロム、マンガン、水銀、鉄等の重金属も含まれておるわけでございます。ですから、ろ過をするためにこういう薬品を使う、薬品を使うのはいいんだけれどもその薬品が残留する、今申し上げたような化学物質が残留するわけでございまして、このプールの水の残留薬品については厳しく規定をしないといけないというふうに思っております。

 やはり、こういうものについてはきちんと規制をしていかないと、人体に影響のある薬品が残留薬品として残ってしまって、人体に悪い影響を与えてしまうということになってしまうわけでございまして、そういう意味でも基準の強化というものを、今までのような五項目の基準、それも割と幅の広い五項目の基準だけではなくて、そういう観点からの厳しい基準でなければいけないというふうに思っております。

 さらに、三点目に申し上げますと、ろ過のスピードの問題が一つありまして、ろ過のスピードが速ければ速いほど、ろ過の精度は悪くなります。ろ過のスピードが遅いほど、ろ過の精度はよくなります。ドイツでは、一時間に五メートルから十五メートルぐらいのろ過のスピードなんです。ところが日本では、先ほどのフロッキング方式では一時間に三十五メートルから四十一メートル程度のろ過ということで、日本とドイツでは全然ろ過のスピードが違います。日本の方が物すごく速いんです。それだけに逆にろ過の精度が悪い。

 こういう、ろ過精度をやはり向上しなければいけないという問題だとか、さらには、結合塩素、先ほども出ていましたトリハロメタン等の結合塩素を処理するために、オゾン処理をしないといけない。オゾン処理をした後、今度はまた問題が出てきまして、オゾンが残留するという問題があるのです。この残留しているオゾンを処理するためには、やはり活性炭での処理が必要ということで、ろ過のやり方として、オゾン処理プラス活性炭処理というふうな、活性炭の処理をしていくことを標準化していかなきゃいけないというふうな問題。

 そして、もう一点申し上げますが、日本のプールの多くは、全部とは申しません、多くです、多くは、給排水がどうなっているかというと、横から排水されるのですね。先ほどの排水口事故というのは、横の排水口のところに子供が挟まってしまうわけです。日本のろ過は、横噴き出し・底排水というふうな方式でございます。底から排水されて横から噴き出す、プールの横から水が出てきて底から排水する、こういう方式です。日本の場合は、横から水が給水されて、プールの底から排水される。

 ドイツではどう言うかというと、底噴き出し・オーバーフロー方式といいまして、噴き出してくるのは横からではなくて、底から水が給水されます。そして、オーバーフローといって、プールの枠の端っこのところに水があふれて、そのあふれた水が循環される、こういう仕組みなんですね。底噴き出し・オーバーフロー方式というのが標準化されている。

 どう違うんだというと、日本の横噴き出し・底排水方式だと、先ほどの排水口での死亡事故というのが出てくるという問題もありますし、さらに、ドイツの底噴き出し・オーバーフロー方式ですと、清掃のための全換水といいまして、水を一度入れかえるという必要性もありません。水資源エネルギーコストも大幅に削減をしまして、水質も非常に向上するというふうなことだそうでございます。

 さらに、先ほど申し上げたように塩素消毒するわけでございますが、日本の塩素消毒はぽんと何か薬を入れたりするわけですが、こういうオーバーフロー方式ですと、この塩素の濃度の均一化に役立つんですね。ところが、日本の場合ですと、あるところは塩素濃度が非常に高いんだけれども、あるところへ行くと塩素濃度が薄いとか、そういう濃淡が出てくるというような問題もあります。

 等々あって、私は、給排水の方式についても、こういうドイツ型の底噴き出し・オーバーフロー方式というのを標準化を検討していくべきではないのかというふうに思っております。

 幾つか現行の問題点について指摘をさせていただきましたが、何か御意見ございましたら、どうぞ御答弁をお願いしたいと思います。

坂口国務大臣 幾つかの点を聞かせていただきましたが、私は、専門外のこともあって、十分に理解できたかどうかはわかりません。しかし、北側先生がプールの水のことに大変お詳しいのに感銘をいたしました。

 水質基準、私も初めて日本の水質基準を五項目ぱっと見まして、率直に感じますことは、水素イオン濃度が一番最初に書いてあるが、これが五・八から八・六までになっている。これはどうも幅が広過ぎるなと。五・八というのはかなり酸でございますし、八・六というのはかなりアルカリでございます。これはどうも、これをぱっと見ましたときに、この幅は、どうも日本の幅は広過ぎるなと、率直に直観的にそう思った次第でございます。

 ですから、見直すべきところは見直していかなきゃならないんだろうというふうに思いますが、今般、大口議員の質問等もありまして、それを発端としてこの委員会等もつくられて、そして議論が進められてまいったわけでございますし、本日の北側議員の御議論、これをまた踏まえさせていただきまして、ぜひとも安全なプールの状態になりますように、ひとつ我々も努力をしたいと思います。

北側分科員 余り時間がございませんけれども、今のpHの話ですが、五・八から八・六と非常に広いという大臣のお話、全くそのとおりで、また何が問題かといいますと、塩素消毒しますでしょう、塩素消毒で薬をプールの中へ入れるわけですね。入れるんですが、pHの五・八に限りなく近いような酸化の状態のところになりますと、塩素の威力がもっと強力になるわけなんです。だから、pHの濃度によって、入れる塩素量と機能が全然違ってくるというふうな問題もあります。これは濃ければいいというものじゃなくて、濃いと逆に目が充血するだとか肌が荒れるだとか、そういうこともなってくるわけでございます。

 厚生省の方は五項目しかございません。ドイツは、先ほど申し上げたように十八項目。トリハロメタンの基準なんかも入れて十八項目入っているんだということでございまして、ぜひドイツ並みのこうした基準を採用されるようにお願いをしたいと思っております。

 プールの水質改善に向けての今後の取り組みでございますが、このプール衛生基準検討会の報告書、これは当初、平成十二年度内に報告書をつくるというふうに聞いておりましたが、そのとおりでよろしいのでしょうか。

桝屋副大臣 先ほどから本当に、大臣じゃありませんが、委員のプールの水質に関する見識に大変驚いているわけでありますが、今お尋ねがありましたように、お約束どおりに何とか今年度じゅうに結論が出るように、今取り組みをいたしております。

 ただ、あらかじめ御報告させていただきますと、これはあくまでも衛生基準に関する検討会でありますから、委員がおっしゃったように、プールの構造から、底噴き出し・オーバーフロー方式とか、もちろんそういう構造もあるのでありますが、そういうことにも影響を与えることにも逆になるかもしれませんし、ここはプール事業者の全体のこともよくよく考えて水質基準について検討しなきゃならぬだろう、このように思っております。

 引き続き御指導いただきながら、結論を出すべく努力したいと思います。

北側分科員 この問題の大事な基準は、コストが幾らかかるかという問題も大事かもしれませんが、やはり裸で乳幼児から高齢者までが水の中に入っているわけですね、だから健康ということを、安全ということを最大の基準にしないといけない。構造の問題がまさしく水質の問題とつながっているわけでして、構造そのものにもぜひ見直しの検討をしていただきたいと思います。

 最後に一点質問をして終わりたいと思いますけれども、よく温泉に行きましたら、温泉の水質、成分、書いていますでしょう。書いていますよね、効用とか。私は、プールについても、使う国民の、利用者の安心感を持たせるために、プールごとに、我がプールの水質はこうなっていますよ、こういうふうなろ過方式でやっていますよ、薬品はこういう薬品を使っていますよ、利用者数は一年間でこれぐらいでしたとか、こういうプール施設ごとの情報公開、こういうものをやればいいと思うのです。これは利用者の安心感を生みます。

 それともう一つ。今までは、こういう厚生省の基準をつくっても、検査というのはしていないのです。全くそれぞれの施設に任されているのですね。これはやはり、検査、外部からの立入検査というのができるようなことも検討すべきじゃないか。

 もう一点だけ。プールの水質を改善するために、今おっしゃったようにコストがかかります。学校であれば、これを改善していくためにコストがかかる、これはやはり私は公共事業としてこういうものを優先してやっていくことも検討しないといけないと思いますし、民間については低利の融資を認めていくだとか、補助をしていくだとか、そういうようなことも検討すべきではないか。

 いずれにしても、ドイツの場合は五年計画でプールの水質改善をやりまして、来年ですか、その最終年になっているのです。私は、これからプールの活用というのはますます盛んになると思いますので、プールの安全面での管理をさらに徹底していくために、また利用者の安心を高めていくために、日本においてもプール水質改善五カ年計画のような計画をつくって、十カ年でもいいんですよ、策定して、プールの水質の向上に努めるべきであると考えております。

 最後に大臣の御意見を賜りまして、終わりたいと思います。

坂口国務大臣 多方面にわたります御提案でございますので、十分に拝聴させていただきましたから、ひとつ、水質管理を含めまして全体の問題として御意見を十分に拝聴させていただいた、それが生きますように議論を進めていきたいと思います。

 私などは川でしか泳いだことがないものですから、なかなかプールというのは難しいものだなと思いながら聞かせていただいたわけでございますが、プールで病気をもらった、それで何か体調を崩したといったようなことが起こらないように、そしてまた、そこでけがが多発をするというようなことのないように、ひとつ全力を挙げたいと思っております。

北側分科員 ありがとうございました。

津島主査代理 これにて北側君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして、本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会




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