衆議院

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第1号 平成14年3月1日(金曜日)

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本分科会は平成十四年二月二十六日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十八日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      津島 雄二君    丹羽 雄哉君
      宮本 一三君    河村たかし君
      筒井 信隆君    井上 義久君
      達増 拓也君
二月二十八日
 井上義久君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十四年三月一日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席分科員
   主査 井上 義久君
      津島 雄二君    丹羽 雄哉君
      宮本 一三君    吉野 正芳君
   兼務 松島みどり君 兼務 田端 正広君
   兼務 福島  豊君 兼務 井上 喜一君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      宮路 和明君
   厚生労働副大臣      狩野  安君
   厚生労働大臣政務官    田村 憲久君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           加茂川幸夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  宮島  彰君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局食品保
   健部長)         尾嵜 新平君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局高
   齢・障害者雇用対策部長) 上村 隆史君
   政府参考人
   (厚生労働省職業能力開発
   局長)          酒井 英幸君
   政府参考人
   (厚生労働省雇用均等・児
   童家庭局長)       岩田喜美枝君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   障害保健福祉部長)    高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省老健局長)  堤  修三君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局医療課
   長)           松谷有希雄君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           山本 晶三君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房審議
   官)           坂野 雅敏君
   政府参考人
   (農林水産省生産局畜産部
   長)           梅津 準士君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月一日
 辞任         補欠選任
  丹羽 雄哉君     吉野 正芳君
同日
 辞任         補欠選任
  吉野 正芳君     丹羽 雄哉君
同日
 第一分科員田端正広君、第六分科員福島豊君、第七分科員松島みどり君及び第八分科員井上喜一君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計予算
 平成十四年度特別会計予算
 平成十四年度政府関係機関予算
 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――
井上主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。
 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ及び自由党所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。
 再度事務局をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
井上主査 速記を起こしてください。
 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、厚生労働省所管について審査を行うことになっております。
 平成十四年度一般会計予算、平成十四年度特別会計予算及び平成十四年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣。
坂口国務大臣 おはようございます。
 平成十四年度厚生労働省所管一般会計及び特別会計予算の概要につきまして御説明を申し上げます。
 平成十四年度厚生労働省所管一般会計予算の総額は十八兆六千六百八十四億円であり、平成十三年度当初予算額と比較をいたしますと五千八百二億円、三・二%の増加となっております。これは国の一般歳出の三九%を占めております。
 以下、その主要施策につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、医療制度を将来にわたって持続可能で安定的なものにするため、高齢者医療制度の見直しなど医療保険制度の改革を行うとともに、賃金、物価の動向等を踏まえまして、薬価、診療報酬等を引き下げることとしております。また、ITを活用した医療の推進を初め、患者の視点に立った安心かつ質の高い医療を効率的に提供する体制を整備してまいります。
 さらに、超微細技術(ナノテクノロジー)やゲノム科学等の先端的科学技術を活用した新しい医療技術や新薬の研究開発を推進するとともに、医薬品、医療用具等の安全性の確保対策を充実してまいります。
 第二に、厳しさを増す雇用情勢に対応し、再就職支援のための助成措置の機動的発動、失業なき労働移動の支援のための各種施策の積極的展開等、雇用面のセーフティーネットを整備するとともに、サービス分野等における雇用創出のための取り組み、民間活力の活用等によるマッチング機能の強化等、総合的な雇用対策を進めてまいります。
 第三に、人材大国の確立を目指した総合的な人材育成システムを構築することとし、特に、IT化への対応や中高年ホワイトカラー離職者等のための多様かつ総合的な職業能力開発を、大学、大学院、民間機関等も活用しつつ推進するとともに、キャリア形成支援を行ってまいります。
 第四に、安心して子供を産み育て、意欲を持って働ける社会環境を整備するため、保育所の待機児童ゼロ作戦の推進、放課後児童の受け入れ体制の整備等により、子育て家庭を支援してまいります。また、母子家庭等の自立支援対策を充実し、あわせて、児童扶養手当制度の見直しを行うとともに、児童虐待防止対策、配偶者からの暴力への対策、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策を進めてまいります。
 第五に、国民のだれもが心身ともに健やかな生活を送ることができる社会の実現を目指し、C型肝炎等緊急総合対策、健康日本21等を推進するとともに、牛海綿状脳症(BSE)対策などの食品の安全対策を強化してまいります。
 第六に、障害者の自立と社会参加や雇用を促進するため、障害者プランを着実に推進するとともに、障害者雇用対策を見直すなど、障害者の保健福祉施策、雇用就業施策の充実、融合を進めてまいります。また、第三者評価の推進など良質な福祉サービスを提供するための体制を整備するとともに、低所得者に対する生活福祉資金貸付制度の充実やホームレス自立支援事業の拡充など社会的支援が必要な方々の自立に向けた取り組みを進めてまいります。
 第七に、急速に高齢化が進展する中、豊かで活力のある社会を実現するため、高齢者の知識経験を生かした雇用就業機会を確保するとともに、高齢者の社会参加を支援してまいります。また、介護保険制度を着実に実施するとともに、ゴールドプラン21の推進など介護サービス基盤の整備、介護サービスの質の向上のための諸施策を推進してまいります。国民年金等につきましては、現下の社会経済情勢を考慮し、物価スライドの特例措置を講じ、年金額を前年度と同額にすることとしております。
 第八に、多様な働き方を可能とする労働環境の整備、健康で安心して働ける職場づくりなど労働条件の確保、改善対策を推進してまいります。
 以上のほか、世界保健機関や国際労働機関等の国際活動の支援や、ハンセン病対策の推進、生活衛生関係営業の振興、戦傷病者、戦没者遺族や中国残留邦人などの援護対策、原爆被爆者対策など諸施策を推進してまいります。
 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、一般会計及び特別会計予算の主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきます。
 今後とも、国民生活の保障、向上と雇用の安定を図るため、厚生労働行政の推進に一層努力してまいりますので、皆様の一層の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。
井上主査 この際、お諮りいたします。
 厚生労働省所管予算の主要経費別概要につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
井上主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
井上主査 以上をもちまして説明は終わりました。
    ―――――――――――――
井上主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げます。
 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
吉野分科員 自由民主党の吉野正芳でございます。分科会で質問をさせていただく機会を得まして、本当にうれしく思います。ありがとうございます。
 きょうは障害者の福祉政策についてお尋ねをしていきたいと思います。
 昔の考え方は、障害者本人ではなくて本人以外のところ、そういう視点から障害者という福祉政策をとってきたと思います。本人以外、例えば家族、家族に迷惑がかかる、だから施設に入れてしまう、その地域でも迷惑がかかる、だから施設に入れる、そんな形で、コロニーという言葉にもあるように、いわゆる施設に入れてしまうというところが昔の障害者の政策だったと私は思っております。
 しかしながら、今日の障害者に対する考え方は、ノーマライゼーション、ともに生きるでありますから、まさに施設から出て、本人中心の考え方に移ってきているというふうに私は思います。ですから、障害者本人が施設から出て、地域で暮らすということなんです。生活するということであります。
 地域に出るわけですから、まず一番最初に必要なのが住まい。住まいの確保。そして、ある意味で自立をしていくわけですから仕事をしなければなりません。仕事の問題。そして住まいと仕事だけでは人間として暮らすことができません。余暇の活用の問題、そして医療の問題、介護の問題。ひとり立ちをして地域で暮らしている障害者に対しては、いろいろな場面があろうかと思います。そういうもの全体を今度サポートしていくサポートシステム。こういうものがきちんと整備されることによって、障害者がひとり立ちできるノーマライゼーションを達成できる。これからの障害者福祉というものはそういうところに移ってきている、移らねばならない、私はこのように考えております。
 そういう中で、ちょっと私もある施設のところを見学してきたのです。お話をしてみました。今施設に入っているのですけれども、まず外に出たい、グループホームなりで生活してみたい、結婚したいという声が結構あるのです。
 結婚したい、当然仕事もしたい、そんなところをサポート、支援をしていく、そういうシステムを国としてきちんと整備していくべきだと私は思います。それのプランとして障害者プランがございますけれども、平成七年から始まって、平成十四年には一応一つのめどとして、障害者プランが完了するかと思います。障害者プランの今までの進捗状況、そして十四年度以降、終わった後以降の障害者プランについての考え方をまずお聞かせ願いたいと思います。
高原政府参考人 現在の障害者プランは、障害者対策に関する新長期計画の重点施策実施計画として策定されておりまして、平成十四年度を最終年度としているところでございます。
 このうち、保健福祉施策関係におきまして、数値目標を掲げて整備を進めているところでありますが、これは内閣府が達成状況を平成十三年三月末で取りまとめ、公表したところでありまして、グループホーム、福祉ホームにつきましては七六・九%、ホームヘルパーにつきましては八三・八%、デイサービスにつきましては九〇・九%などとなっておりますが、これは十三年三月という目標年度まで二年を残した段階での数値であることから、おおむね順調に推移していると考えられますが、今後ともその達成に努力してまいりたいと考えております。
 十五年以降につきましては、十四年までの達成状況を踏まえて、前向きに検討されるのではないかというふうに考えております。
吉野分科員 順調な障害者プランの進捗状況を伺って安心しました。これからもノーマライゼーション達成のためにきちんと整備をしていってほしいと思います。
 その中でも、先ほど言いました、施設から出て、そして町の中に暮らす、地域で暮らすということでありますから、まず住居の確保、これが一番最初の課題になろうかと思います。
 その前に、でも最初からグループホームの住居が確保できたからといって、移ることもなかなか問題があろうかと思いますので、自活訓練センター、自活訓練事業というものがございます。施設の中で自活訓練をして、訓練を積んでから、ひとりで暮らすことになれてから新たな住宅を求めていくわけです。
 住居の確保といってもいろいろな形態があると思います。一戸建てを借りるのか、アパートを借りるのか、グループホームで四、五人、五、六人で集団生活するのか、また、同居の形態も、結婚しているのか、ひとり暮らしなのか、数人で暮らすのか、住むといっても、住宅の確保といっても、いろいろな形態があろうかと思いますけれども、国として今どんな取り組みをしているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
高原政府参考人 例えばグループホームでございますが、できるだけ障害者の負担を軽減していただく、そういうことが極めて重要であると考えております。このための手段といたしましては、平成八年に公営住宅法が改正されました。家賃負担の低い公営住宅のグループホームへの活用ないしは障害者への利用、そういったことにつきまして、関係省庁と連携を図りながら積極的に進めてまいる所存でございます。
吉野分科員 その場合の、いわゆる家賃補助制度みたいなものは考えておられるのかどうか。
高原政府参考人 これは生活の家賃ということでございますので、一般的な、例えば所得の少ない人の場合は生活保護とか、それの住居の加算であるとか、障害者に着目した部分のものであるとか、そういうふうなことというふうになろうかと思いまして、例えばグループホームに対します家賃補助制度というふうなものは、なかなか理屈の上からは難しいところがあるのかなというふうに考えております。
吉野分科員 その難しさを超えて、いろいろ御検討していただきたいと思います。
 次に、住まいが決まれば、仕事、就労の問題です。
 就労を得るためにも、障害者の雇用の促進等に関する法律が改正されるやに聞いております。いわゆる障害者の法定雇用率、各企業、会社がまだまだ未達成なところがたくさんあろうかと思います。これを達成させるためにも、今度の改正案はかなりすばらしいところを持っております。
 国として、障害者の就労確保、またいわゆる雇用確保のためにどんな施策を打っているのか、そして、法定雇用率を上げる考えはあるのかどうか、その辺までお尋ねをしたいと思います。
上村政府参考人 ただいまお話のありました法定雇用率達成の関係でございますが、まず、法定雇用率未達成企業につきましては、雇い入れ計画の作成命令、それから雇い入れ計画の適正実施勧告などの法律に定める手順に従った達成指導を行ってきておりまして、これらにつきましては、今後とも引き続き厳正な達成指導を行っていきたいと思っております。
 また一方、このように企業に雇っていただくように指導を行うというだけでなく、雇っていただけるような支援施策も重要だというふうに思っておりまして、現在も各般の施策を実施しているところではございますが、今ほど先生からお話のありましたように、今般、さらに障害者の職場の拡大と職業的自立を図るというために、障害者雇用促進法の一部改正法案をこの国会に提出させていただいているところでございます。この法案に基づきます措置の実施も含めまして、各般の施策を展開することによりまして、障害者の雇用の促進のため一層努力していきたいというふうに思っております。
 なお、法定雇用率、現在一・八%でございますが、この法定雇用率につきましては、法律におきまして、労働者数に占める身体障害者それから知的障害者の割合を勘案して五年ごとに見直すということになっております。前回、平成九年に見直しが行われまして、その際、知的障害者が対象となりましたので、一・六%から一・八%に引き上がっております。五年たちましてことしが見直しの年でございまして、現在、今年中に審議会等で審議をいただく方向で内部で検討しているところでございます。
吉野分科員 ちょっとこれは通告していなかったんですけれども、精神障害者の雇用の場合なんですけれども、精神障害者の場合は、きちんと自分が精神障害者だという証明をもって法定雇用率を達成しているというところが、なかなか難しいんです。どうしても世間に公表できない、だけれども自分は精神障害者だということで、各企業ともそこのところはかなり苦労しているところがあるんですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
坂口国務大臣 今御指摘いただきました、精神障害者をこの障害者の中にどう加えていくかということは今後の大きな問題だというふうに思っています。
 今までは知的障害者と身体障害者の二つしかなかったわけですが、今後精神障害者も入れていくという方向性を今確認をしたという段階でございまして、さらにそこを突っ込んで具体的にどうするかというところまで正直言っていっていない。それはいろいろ私は問題があるんだろうと思います。
 一つは、プライバシーの問題もございます。それから、精神障害者の場合にはほかの障害者の場合のように病状が固定しにくいということもある。あるときは非常にいい、それでこれならというのでしますと、今度はそれが悪化することがあったりというぶれが生じる。
 そういう方がありますので、そこを、すべての精神障害者についてどうするか、それとも非常に安定をした人にだけまずするか、その辺のところは御議論をいただいておりまして、結論が出次第、できるだけ精神障害者の皆さん方にも雇用の場が確保できるような方向に一日も早くしていきたい、そういうふうに思っている次第でございます。
吉野分科員 ありがとうございます。
 実は私も、若いころ仕事をしていて、精神障害者の方と一緒に仕事をした経験がございます。きちんと薬を飲んで管理していれば大丈夫でありますので、本当にそこのところも検討のほどよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、分場方式というのがあります。法定施設があって、そこの支店、ブランチという言葉も使いますけれども、この分場方式、いわゆる本店があって各支店を各地に出していくときに、町中、施設は大体町の郊外にありますので、自宅にも近い、そして駅前にも近いというところに分場という形で出しているんですけれども、実は更生施設の分場は更生施設の分場しかつくれない。授産施設の分場は授産。更生施設が授産施設の分場をつくれないか、そういう意見が現場から出ております。
 やはり更生をすれば次は仕事ですから、就労ですから、よくなれば授産という形に移っていくのは当然の結果だと思うんですけれども、その辺の縦割り行政といいますか、その辺は検討はできないものなんでしょうか。
高原政府参考人 そういうふうな御意見ないしは必要な地域、そういうふうなものがあるということは十分承知しております。しかし、現在、委員御案内のように、障害の種別であるとか施設の種別であるとかそういうふうな形でできておりまして、合築とか合同運営というふうなことは不可能ではございませんが、なかなか法的にマルチパーパスといいますか、そういうふうなことは現在の段階では難しい。しかしながら、やはり市町村もしくは身近なところでやるという観点に立ちますと、そういうことも将来的な課題にはなってくるのではないか、そういうふうに思っております。
吉野分科員 そういう意味で、なかなかいわゆる分場というのが、私は福島県なんですけれども、広まっていないんですね。結局、分場をつくるのなら小規模作業所、小規模授産施設、そういう形の方が手っ取り早いし、すぐ小回りがきいて対応できるという意味で、法定施設の分場化というのがなかなかできなかったんですけれども、ある意味で、今なかなか難しい答弁なんですけれども、その辺もこれから考えていってほしいと思います。
 次に、障害者を支えていく、住まいができて仕事ができていれば、次は所得ですから、お金がなければ暮らしていけませんので、これの大きな裏づけとして障害基礎年金がございます。
 この障害基礎年金の管理なんですけれども、施設に入っている障害者は基本的にその家族が管理するという指導を、今、監査なんか入るとそういう指導をされているんです。私の福島県はそうなんですけれども、障害者年金の管理は施設で持ってはいけませんよ、家族ですよという形でなっていますので、これから施設から出るわけですから、本人に帰属させたいと私は思っているんですけれども。
 そういう、障害者は施設に入り、お金は家族が使っちゃうという、その子供のために貯金をしている家族もいるでしょうけれども、そんな障害者のために出している年金が、今現在そういう監査等の指導でなされておりますので、その辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
高原政府参考人 障害者に対する年金でございますが、国民年金法などに基づきまして、個人に給付される個人の財産であるというふうに考えております。したがいまして、その管理は給付される本人が管理することが原則である、また本人のために使われるべきものである。障害者施設の入所者についても、その考え方は同様であるというふうに考えております。
 知的障害などで本人が管理できない場合は、あくまでも本人からの依頼に基づき、障害者施設を経営します法人等が預かり金として管理をせざるを得ない場合もあると考えておりますが、本人の意思に基づき適正な管理が図られるよう、都道府県等に指導監督の徹底につきお願いしてまいりたいと考えております。
吉野分科員 ありがとうございます。その辺、少し徹底をしていただきたいと思います。
 次に、生活保護法で定めている救護施設がございます。生活保護法ですから、国家として、国民が本当に困ったときに、もう最後の最後の最後の駆け込み寺という意味合いで救護施設というのは国家としてはやはり備えておかなければならない施設だと私は思っています。
 でも、現在、救護施設に入所している九割が、九割です、障害者なんです。そうしますと、福祉関連法に基づいて整備されている福祉施設に入っている方と救護施設に入っている方とでは、かなり格差があるんです。例えば、貯金はこれ以上持っていけない。福祉施設に入っている方は授産施設で働いて貯金すれば幾らでも貯金をためられるのに、救護施設に入ると、もうこれ以上の貯金は持っていけない、持つともう出されちゃう。そういう形で、現実の問題として格差がございます。
 ですから、もう今ある救護施設の九割も入っているところは、現実に即して、いわゆる障害者施設に切りかえてはいかがなものなのかと私は思うんです。国家として持たねばならないもう最後の最後の駆け込み寺としての救護施設、これは整備していくのは当然でありますけれども、今救護施設に入所している九割の方が、救護施設の九割が障害者なものですから、そこは障害者施設に切りかえていくべきだと思うんですけれども、その辺について御見解をお伺いしたいと思います。
真野政府参考人 救護施設の役割に先生御理解いただきまして、大変ありがとうございます。
 現状で九割の方が障害を持っておられる、これは救護施設の実態調査によりまして、何らかの障害をお持ちになっておられる方が入所者の八八・四%いるというのも、私ども承知をいたしております。
 ただこれは、救護施設に入所をしていただきます際に必ずどういう程度の障害の状態にあるのかというのをケースワーカーが相談をしまして、既存の障害者の施設が利用できるということであれば、私ども、生活保護の運用の原則からいたしまして、そちらを利用していただくのが大原則でございます。
 生活保護というのは最後の最後に出ていくわけでございますので、したがいまして、確かに何らかの障害をお持ちの方が九割近くおられるというのはそのとおりでございますが、入所のときの状況その他で、障害者の施設で受け入れができない、またはなかなか難しいという方々をいわば生活保護の現物給付として今の救護施設でお引き受けをしているという状況ではないかというふうに思っておりまして、なかなか今の状態をそのまま障害者の関係の施設に切りかえるというのは実際難しいのではないか。
 ただこれは、切りかえは可能でございまして、同じような障害を持っておられる方々がかなりの数おられるということで、施設を運営されておられる方が救護よりは障害の関係の福祉施設に切りかえたいということであれば、これはもう可能でございますので、それはもう状況を見てやっていただく。または、救護施設とその障害者の施設を同じ敷地で両方やっておられる施設もございます。
 そういうところからしますと、切りかえも現在の法律上は可能でございますが、今申し上げましたように、実態として九割近い障害をお持ちの方が入っておられることは事実ですが、そういう既存の障害の関係法令ではなかなか一つの施設になりにくい方々を私どもの救護施設で今のところお引き受けしているという状況ではないかというふうに思っております。
吉野分科員 答弁、よくわかりました。わかりましたけれども、現実にいわゆる同じ障害者で格差があるというところの現実の認識もしていただきたいと思います。
 以上で私、質問を終わらせてもらいますけれども、障害者の福祉政策に、本当に、大臣初め、これからも汗を流して力を入れて努力をしていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
井上主査 これにて吉野君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上喜一君。
井上(喜)分科員 私はきょう、厚生労働省あるいは関係各省に対しまして、食の安全という視点から質問をいたしたいと思います。
 狂牛病が発覚をいたしまして、とかくの議論を生んでいるのでありますけれども、しかし、これがこれだけ大きな問題になるといいますのも、特徴はありますが、私、背景といたしまして、消費者の食に対する物の考え方が変わってきていると思うんです。かつては、必要な量を確保するとかあるいは必要な栄養のものを摂取するとか、そういうところに視点があったと思うんでありますが、最近は、安全な食を求める、あるいは品質のよりいいものを求める、こういうようなことに変わってきていると思いますし、生産者側もそのような対応をしてきているわけです。
 私は、そういう意味で、食の安全というのは、極めて地味な、基本の問題でありますけれども、こういうことを軸にいたしまして農産物の生産とか流通が大きく変わりつつあるんじゃないか、こんな認識をいたしているものでございます。
 そこできょうは、生産の方あるいは流通、流通では特に表示の問題ですね、それから安全については安全の検査の体制、こういったことについて質問をしてみたい、こういうぐあいに思います。
 そこで、まずこれは農林水産省でありますけれども、今、有機農業による農産物が非常に高く売れるようになってきている、あるいはその流通体制というのも徐々に整備をされてきていると思うんでありますが、この有機農産物の生産量、あるいは経営面積なり農家数、どういうような状況になっていっているのか、それをお伺いいたしたいと思います。
坂野政府参考人 お答え申し上げます。
 有機農業を含みます環境に配慮した農産物をつくるという動向でございますけれども、現在、環境に配慮した環境保全型農業を推進している農家というのは、大体五十万二千戸ほどございます。これは二〇〇〇年のセンサスの結果でございます。
 それからもう一つは、昨年四月から、JAS法におきまして有機農産物の認定が始まりました。この件数は、一月二十五日現在で四千百九件ございます。そういう動向でございます。
 それから、最近の動きを見ますと、持続農業法、いわゆる環境保全型農業を推進する法律がございます。そこできちっと環境に配慮した農業をしますという計画認定がございまして、その計画認定者、いわゆるエコファーマーと称しているんですけれども、彼らの申請動向を見ますと、これは十一年から始まりまして、十一年は初年度ですから十三件でございますけれども、十二年度は千百十三件、それから十三年度は六千三百四十一件でございます。そういった動向を見ますと、有機農業を含めます環境保全型農業というものの意識とか、かなり高まっているというふうに承知しています。
 それから、先ほどの生産量でございますけれども、生産量は、先ほども申しました二〇〇〇年のセンサスで、五十万戸の方が環境保全型農業を推進するというふうになっていますので、それらを踏まえて、現在、生産量について調査をしているところでございます。
井上(喜)分科員 これはそういう需要があるから、当然のこととして生産者がそういう対応をしていくということだと思うんでありますけれども、農林水産省の方で特別の対策を立てているとすれば、どういうものがあるんですか。
坂野政府参考人 まず二つあるかと思います。
 一つは、先ほど申しました持続農業法において、環境に配慮した農業を行う人の、これは俗にエコファーマーと、こういう方をできるだけ輪を広げていく。ですからそういう点で、その認定者になった方を地域ぐるみでやるとか、非常に広げていく。その際に、それらの活動を推進するに必要な情報交換の場とか、それからまた土づくりが不可欠でございますので、堆肥施設の整備とかいうのが一点ございます。
 それからもう一つの方向としては、堆肥の効果とか、それから化学農薬の代替技術とか、そういった面での研究開発をきちっとして、それを現場に普及するというのが重要な点だと思っております。
井上(喜)分科員 これからもぜひぜひそういったことを推進していただきたいと思うんです。
 私も、この間皆さん方にお話をあるいはしたかもわかりませんけれども、私の地元というのは酒米の大生産地といいますか、日本の中心地でありまして、特に代表的な山田錦という銘柄、恐らく九五、六%ぐらいを生産しているところだと思うんであります。そこへ酒屋さんが来て話をしておりましたけれども、その山田錦、有機栽培でやったものは通常の酒米、通常の酒米というのは、普通のコシヒカリ等の大方二倍の価格でこれは買っているんですが、それのさらに二〇%増しの価格で買うというんですね。それほど評価をされてきていますので、経済的な条件というのはそろってきていると思いますけれども、できるだけそういったことがさらに促進されますように希望をしておきます。
 そこで、そういう農産物の安全の検査体制、これは農林省の方でやっていると思うんでありますが、主として食品衛生面からいいますと、厚生労働省の守備範囲に入るとも思うんでありまして、どれぐらいの検査体制、主としてやはり都道府県だと思いますが、何人ぐらいで担当しているのか。
 私が特にお聞きしたいのは、輸入に関係する検査ですね。日本の場合は大体どういう生産をしているかというのはよくわかるんでありますが、外国の場合は生産状況がよくわからないし、しかも生産地からずっと港まで運ばれてきて、それから船で来るんですね。船で来る間は冷蔵にしてきますから、これは余り問題ないと思うんでありますが、船に積み込むまでというのは、これは常温のままでその多くが輸送されてきますから、農薬を使うわけですね。生産段階で農薬を使う、流通段階で農薬を使う、薬を使う。こういうことでありますので、私は輸入検査というのは絶対必要だと思うんでありますが、主としてそこの検査体制、人員がどの程度になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
尾嵜政府参考人 検査関係の職員配置でございますけれども、一つは、御指摘ございました輸入食品の関係は、国が直接検疫所の方で検査をやっております。これにつきましては、全国三十一カ所の検疫所に二百六十四名の食品衛生監視員を配置しておるという状況でございます。
 それと、そういった輸入食品も国内に入ってまいりますので、そういった中では、自治体の方の、都道府県なり保健所を設置している市の職員が収去して検査するということもやっておりまして、それに関係します都道府県等の食品衛生監視員の数は、私どもが十二年の末に報告を受けておりますのは七千四百三十六名という数字で報告を受けているという状況でございます。
井上(喜)分科員 輸入食品の検査をする二百六十数名ですか、大体それで十分なんですか。
尾嵜政府参考人 輸入食品の検査のやり方につきましては、モニタリングという制度で検査をやっておりまして、普通の通常時でございますと、例えば入ってきますお米にしましても野菜にしましても、そういったものの件数のうちのある一定の率で、今平均的には五%をちょっと超えるぐらいだと思いますが、そういったものを対象にまず検査をしておるという状況でございます。
 そういった中で違反が見つかりました際には、そのモニタリングの率を五〇%に上げる、それで二度同じように違反件数が出た場合には、今度は命令検査をかける。これはもう一〇〇%業者の責任として検査をしていただき、その成績を出していただく。
 そういうことで、違反が出た場合には国内には入れない、廃棄なり積み戻しというような措置をとる、そういうふうな体制でやっておるという状況でございます。
井上(喜)分科員 違反というんですか、問題の物質が検査をされた農産物、大体どれぐらいあるんですか。農産物ごとに、特定年でもいいし、過去何年間かでこれぐらいというようなことでもいいと思うんですが、挙げていただきたいと思います。
尾嵜政府参考人 昨年一年間、これは速報値でございますが、農産物の関係で申し上げますと、一つは、お米につきましては、検査の件数が九百六件検査をいたしまして、そのうちの二十四件に違反が認められたということでございます。二つ目は麦でございますが、これも、検査の件数が八十二件ありまして、そのうちの二件に違反が見られた。トウモロコシでは、検査件数が二百十四件で違反が一件。野菜では、これは非常に数が多うございまして、検査件数が一万三千百四十二件、そのうち百六十二件の違反が見つかっておる。果物では、千百七十七件ありまして違反が一件。
 その内容でございますけれども、違反のものにつきましては、例えば米とか麦で申し上げますと、腐敗をしている、あるいはカビが生えておるとか、そういったいわゆる目で見たりしている、官能試験と申しておりますが、そういったもので違反が認められるもの、そういったものが二十四件ありまして、それ以外には、残留農薬基準を超えておるものが二件あるとか、それと野菜では、先ほど百六十二件と申し上げましたが、そういったものの多くは残留農薬が基準を超えておる、こういったような状況が主な違反の例でございます。
井上(喜)分科員 調査も、悉皆で調査をする場合とモニタリングで調査をする場合があると思いますけれども、モニタリングをやりまして余り問題のない場合はそういう調査方法を継続していくということもいいと思うんでありますが、やはり問題は、フレッシュなもの、野菜だとか果物ですよ、これが一番問題だ。
 こういうことで、これについては、よほどのことのない限り、私はやはり悉皆ですね、悉皆調査をする。もちろん悉皆といったって全部調査するというわけにいかない、その中でやはりサンプリングをやって調査するということでありますけれども、これをやるべきだと思うんですね。
 特に、中国とか韓国から野菜等が入ってまいりまして、大量に入る、それが価格だとかあるいは生産に影響を与えるようになってきておりまして、それはそれとしてまた問題なんだけれども、それとは別の意味で、これは農薬を使って保存するという可能性が非常に高いと思うし、しかも、生産段階で、ああいう非常に温湿の地域で生産をするというのは、やはり農薬を多く使っている可能性というのは非常に大きいわけでありまして、こういった農産物について、私は悉皆できっちりと調査をやるべきだと思うんですが、どうですか、見解は。
尾嵜政府参考人 御指摘のとおり、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、野菜では残留農薬が高いものが発見されておると申し上げました。御指摘の中国の方では、昨年の末から中国国内で非常に残留農薬の高い野菜がたくさん見つかっておるというような報道がございました。あるいは中毒を受けているような人もいると。そういったことは、外務省を通じまして私ども調べましたところ、そういった残留農薬が高い比率というのは非常に高いということで、それは事実だということが出てまいりました。
 日本の方に輸出をしている野菜については、中国政府では、そこは管理をして検査しているから大丈夫だということがあわせて来たわけでございますが、そういうことがございましたものですから、私ども、この一月から、中国野菜については御指摘のようにすべての件数、一〇〇%検査をするということで、強化月間で一月じゅう、それと二月も十八日まで、そういった体制でやりました。その中からも九件ほど残留農薬の高いケースが発見されております。
 現在、引き続き、その高いものにつきまして、異常を発見されたものにつきましては検査命令をかけたり、一〇〇%検査命令、あるいはモニタリングで一〇〇%、あるいはそれ以外の、基準以内であっても残留農薬が検出されたものは五〇%のモニタリングをするとか、通常よりも高い形で現在も引き続き継続的にやっておるということで、そういう、ケースによりまして監視を強化するという体制もやっておるところでございます。
井上(喜)分科員 ぜひ、この野菜、果物等につきましてはきちっと悉皆でもって検査をする、大体そういうようなことをやっておられるような印象を受けたのでありますけれども、これからもやっていただきたいと思いますし、そういった結果をきちっと公表していただきたいと思うんですね。そのように希望をいたしておきます。
 それから、一つ、私はやはり表示の問題というのは非常に大きな問題だと思うんですね。これは厚生労働省、農林水産省、両省にあると思うんですが、現状の表示の制度についてどうお考えですか。もう大体これでいいんだ、こういうようなお考えなのか、問題があるとすれば、こういうところをちょっと検討しないといけないとか、あるいは直さないといけないという、それぞれ両省、そんなに細かい議論じゃなくてもいいですから、大体その方向といいますか、大まかな考え方をお聞かせいただきたいと思います。
山本政府参考人 御説明申し上げます。
 ただいま表示の問題がございました。表示の問題につきましては、最近、例えば雪印食品におきますいろいろな問題等もございますので、消費者の信頼が大きく揺らいだ面もございます。また、輸入の問題につきましてもいろいろございます。この中で、いわゆる表示につきましては、原産地の表示もやることにしております。
 いずれにしましても、消費者の問題につきましても大変重要な問題だと思っておりますので、消費者の信頼にこたえるよう努力してまいりたいと考えております。
尾嵜政府参考人 JAS法とは別に、厚生労働省は、食品衛生法の関係で、表示の基準を厚生労働大臣が決めたりしておりまして、そういった法律上の制度がございます。例えば品質の保持期限でございますとか、あるいは添加物が入っている場合にはそれを含む旨を表示しなさいとか、そういった基準を定めております。
 こういったことにつきましては、主として自治体の方の、先ほど最初に御説明申し上げました食品衛生監視員が、そういった表示についても、食品衛生監視の中でチェックをしていただいているということでございます。一年間の中で、特に夏でございますとか、あるいは冬でございますとか、そういう強化的なところに、集中的に表示について監視をやっていただくということをやっておりまして、そういった中で、やはり違反が見られているのは事実でございます。
 そういったことで、なかなか食品衛生法上の表示の基準あるいは違反というのは、法律の性格上、健康に危害を及ぼすかどうかという観点が、厚生労働省の場合にはその処分に該当するかどうかという判断にかかわってまいりますもので、食品の表示の違反ということで、即営業停止とか禁止とかそういうことにつながるケースは非常に少ないわけでございますが、例えば、今回先生の御地元でございますが、例の雪印食品のミートセンターの件がございました。あれも食品衛生法の表示に違反するということで、兵庫県の方が、非常に悪質であるということで営業禁止措置をとったということがございます。
 そういったことで、私ども、今回のケースなり、非常に表示の信頼性というものが、御指摘のように国民から損なわれているような状況にあるということで、監視について、こういったものを重点的にやってほしいというお願いを課長会議でもしたところでございます。
井上(喜)分科員 厚生労働省、農林水産省、それぞれ若干検査の対象が違うし、物の考え方も違うのでありますけれども、やはり生産から消費者の手に渡るまで、これは通常、卸売段階があり、小売の段階があり、消費者が買ってくるわけですね。消費者が買う段階まできちっと表示がはっきりしている、こういうことをしないと私いかぬと思うのですよ。卸売段階では大体産地がはっきりしているとか、それはわかるんだけれども、それから先になっていったらどうなるかわからない、これが実態だと思うのです。
 これはそれぞれの両省の所管によって違うと思うのでありますが、特に一般の野菜とか果物等については、私なんかは、東京では今独身生活をやっておりますので、時たま、スーパーなんか行くんでありますけれども、非常に大きなスーパーでも産地の表示がありませんよ。まして、原産地国がどこなんていう表示もないんですね。だから、私は消費者の手に届くまできちっとした表示、品質の表示だとかそういったこと、あるいは原産地国とか産地だとか農産物については、そういう表示はもう絶対やるべきなんで、私は、そのことをさらに一段と強化をしていただきたいし、制度的に不備があれば種々の制度改正もしていただきたいと思うのです。
 私は、きょう取り上げたいと思いますのは、遺伝子組み換えによる農産物、この表示なんですね。この問題なんです。
 そこで、遺伝子組み換えによる農産物、日本の国ではどの程度のものが生産されているのか、種類ごとに、あるいは輸入されているものとしてはどんなものがあるのか、どれぐらい数量が入っているのか。それをちょっとお聞かせいただきたい。
山本政府参考人 御説明申し上げます。
 ただいま遺伝子組み換えの農産物につきましての状況についてのお尋ねがございましたけれども、私ども、国内で生産をされているものはないと承知しております。
 したがいまして、輸入をされているものになるというふうに思っておりますが、私ども承知しておりますのは、我が国が輸入しております食品の中で、大豆、トウモロコシが数字的には多くなっていると思いますが、大体大豆につきましては食品用で約百万トン、それから搾油用で四百万トン。それからトウモロコシの食品用は三百万トン輸入されているわけでございますが、大豆の食品用、それからトウモロコシの食品用につきましては、遺伝子組み換えでない、非遺伝子組み換えの農産物。それから搾油用の大豆につきましては、現状では分別生産管理が行われておりませんことから、アメリカでの作付状況とほぼ同様の割合、大体五割から六割でございますが、そのものにつきまして遺伝子組み換えの原料が含まれているものと承知しております。
井上(喜)分科員 遺伝子組み換えの農産物は輸入農産物に限っている、こういうお話でありますけれども、遺伝子組み換えをしている農産物の取引については、取引両当事者ではそれははっきりわかっていることなんでしょうね、じゃないかと思うんですが。それからもう一つは、それについての表示はどうなっているんですか。
山本政府参考人 ただいまの表示でございますが、遺伝子組み換えのものにつきましては、農産物につきましては、大豆、トウモロコシ、バレイショ、菜種、綿実につきまして表示することを義務づけております。
 また、これらを原料といたします加工食品、例えば豆腐でございますとか、みそでございますとか、これにつきましても表示することにしておりますが、その場合に、遺伝子組み換え食品を原材料とする場合は遺伝子組み換えとの義務表示をすることもございますし、遺伝子組み換え農産物とそうでないものが分別されていない、不分別の場合につきましては不分別ということの義務表示、また、分別生産管理が行われた結果、遺伝子組み換えでない非遺伝子組み換えを原材料とする場合は任意表示ということになっております。
井上(喜)分科員 要は、これは生産者のための表示じゃないですよね。消費者のための表示でありまして、取引業者はもちろんそういうことを前提として取引するんですから、これはわかっていると思うんですよね。ですから、要するに、消費者にわかるような表示がなされているかどうかというのがやはり基準だと思うんですね。
 例えば大豆でありますと、お豆腐をつくるような場合もありましょうし、あるいは納豆なんかつくる場合もありましょうし、それから油は、製油の場合もあるんだけれども、その辺のところ、どうも表示で、要するに遺伝子組み換えでないというならそこは任意でもいいと思うんだけれども、おおよそ遺伝子組み換えに係るものの農産物については、それは完全に表示されていると見ていいんですか。それは、原材料はもちろんでありますし、加工品、お豆腐だとか納豆とか油ですね。そういう考えでよろしいんですか。そういう理解でよろしいんですか。
山本政府参考人 JAS法に基づきます品質表示につきましては、我が国で流通する可能性のある遺伝子組み換え農産物につきましてはすべて義務表示としておりますし、また、遺伝子組み換えを原材料といたしました加工品につきましても、組みかえられたDNAやたんぱく質が残っているものにつきましては義務表示の対象としております。
 また、このようなものにつきましては、毎年その表示対象品目については見直しを行っておりまして、例えば新しい遺伝子組み換え作物が開発されたような場合につきましてはさらに追加しておりますので、今後とも消費者の信頼を得るような意味での努力をする必要があると思っておりまして、努力してまいりたいと考えております。
井上(喜)分科員 遺伝子組み換えの農産物というのは、大変消費者は、安全だ、安全だと言ったところでナーバスなんですから、その辺はしっかりとやっていただきたいと思います。
 そこで、今ちょっと話が出ましたけれども、検査の対象物、あるいはそこに従事する職員、これは、厚生労働省関係、農林水産省関係というのはそれぞれ違っておりまして、割かし大勢の人間を張りつけているところもあるし、そうでないところもありまして、全体としては、強い、きちっとやれている分野もあるけれども、そうでない分野もあるというような感じを私は持っているんですね。
 それで、食品検査といいましても非常に幅が広いんでありますが、私は、少なくとも、原材料、食材ですね、米だとか野菜とかありますね、その食材、あるいは簡単な一次加工品。これまでは、私はやはり、今両省にまたがっている体制、これは一元化した方がいいと思うんですよね。あとのレストランとか何かの、これは食品検査上ではあると思います、食品衛生としてはあると思うんだけれども、消費者が購入いたします食材の分野、範囲としては、今申し上げましたように農産物と簡単な加工品、これについての生産とか流通、これは検査、表示等を含めまして、私はやはり一元化した方がよろしいんじゃないか。あるいは人員の活用というような点から見ましても、あるいは消費者に対する安心感を与えるという点から見ましても必要じゃないかと思うんですが、これは大臣に御所感をお伺いいたしたいと思います。
坂口国務大臣 食料につきましてのさまざまな角度からいろいろと御発言をいただきまして、ありがとうございました。
 今まで消費者の側からのいろいろの提案が行われて、それがだんだんと生産者の方にも受け入れられつつあるというふうには思っておりますけれども、現在、まだそこが完全な状況ではない。そして、御指摘をいただきましたように、諸外国から入ってきますものにつきましてはそれがなかなか不十分な状況にある、そういうことをよく認識をいたしております。
 それで、もう一つ、今度、肉で起こりましたように、その中間の、流通のところにおける問題点というのもあるわけで、ここはまだこれからではないかという気がいたします。これは公の場所で言っていいのかどうかわかりませんけれども、その他の、肉以外の一般の生産物等につきまして、どこかで優秀な銘柄がありますと、その他のところの優秀な品物は、そうするとそこの銘柄で出てしまうというようなことはしばしば聞くわけでございます。例えばお茶ならお茶が、有名なところのお茶の名前がありますと、他のところでできましたお茶でも、優秀な、いいのはそこの名前になってしまう、こういうことになってしまったりすることもございますので、先ほど御指摘になりました生産地の問題もございますしいたしますから、その辺、あわせて、やはり生産地、生産者というものがこれからだんだんと重視をされていく時代になってまいりましたから、その点を踏まえて、法の整備ということもこれは見直していかなければならないというふうに思っている次第でございます。
 そして、体制の問題でございますが、この体制の問題につきましても、確かに省庁で両方にまたがっている部分もございますしいたしますから、それらをどうするか。今専門家の間で御議論もいただいているところでございますので、その結果も拝聴しながら、これは私たちもそれに従っていきたいというふうに思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
井上(喜)分科員 どうもありがとうございました。終わります。
井上主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、田端正広君。
田端分科員 坂口大臣には、大変御苦労さまでございます。
 きょうは、私は、カネミ油症患者の問題についてお尋ねしたいと思います。
 この事件は、昭和四十三年という古い、三十三年も前に起こった事件でありまして、しかも、既にもう裁判等もすべて決着がついているわけでありますが、昨年の十二月十一日だったと思いますが、実は参議院の決算委員会で、同僚の山下栄一、現在環境省副大臣でございますが、この問題を取り上げて質問をしたわけであります。
 つまり、PCBによる人体の被害だと言われていたこのカネミ油症事件は、PCDFという実はダイオキシンであったということがこの質疑の中で確認され、また、坂口大臣からも、そういう新しい認識に立って今後対応したい、こういう回答をいただいたことから、今この問題がにわかに大きく話題になっておりまして、先般来、週刊誌でも現地のルポが取り上げられたり、あるいはテレビでも特集が組まれたり、こういうことになっているわけであります。
 それで、事実関係の確認を含めて、この問題について少し振り返ってみたいと思います。
 一九六八年に、カネミ倉庫におけるライスオイルの製造副産物であるダーク油によって、二百万羽の鶏が犠牲になるという事件がありました。それから半年もたたないうちに、一九六八年の十月に、西日本一体でライスオイル、つまり米ぬか油による食中毒事件が発生したわけでありまして、全身に吹き出物が出たり、目やにが出たり、皮膚が黒くしみのようになったりいろいろなことがあり、目まいがしたり頭痛がしたり、下痢と便秘を繰り返すとか、いろいろな症状が起こりました。
 そして、約一万三千人ぐらいの人が当時被害届を出したわけでありますが、しかし、実際にはもっと多いと言われております。平成七年における患者数は千八百七十六名ということになっておりますが、その後亡くなった方等がおりまして、今、認定患者と言われているのは千四百三十三名だったと思いますが、そういう状況になった大きな事件でありました。
 それで、このときは、ライスオイルの中にあったPCBが主な原因と言われていたわけでありますが、一九七五年、実はこのライスオイルの中にPCDFというダイオキシンがあったのだということが研究班の調査で確認されました。そして一九七七年に、患者の体内からもPCDFがあるということも確認されたわけであります。という意味で、厚生労働省においてもその後、PCDFが大きな原因であるということを、そのころから認識をされたようであります。
 それで、一九七〇年に、この被害者が、国、カネミ倉庫、鐘淵化学等を相手取って損害賠償請求を起こしているわけでありますが、一九八四年あるいは一九八五年に福岡高裁あるいは福岡地裁において、これはダーク油の処理にかかわって農林水産省において過失があったということが認められて、国の敗訴ということがこの時点で決定をし、そして、農林水産省からこれらの被害者の方に、八百二十九人に対して約二十七億円の仮払金が支払われているわけであります。
 ところがその後、第二陣の訴訟において、国及び鐘淵化学の責任が高裁において否定されるというふうなことになりまして、原告と鐘淵化学との間で和解が成立し、原告から国に対する訴えを取り下げるということになり、訴訟が終結するということになりました。
 つまり、一たん和解金、仮払金ということで国からお金が出たのですが、それを返さなきゃならないという事態が生じたわけでありまして、一九九七年、農水省が支払った二十七億円に対して、債権管理法に基づいて原告に対して仮払金の返還を請求する、こういうことになって今日に至っているわけであります。
 そういう意味で、患者の救済の問題ということと、仮払金が今患者の生活の負担の中にあるという、この二つの要素が起こっているわけでありまして、昨年十二月十一日の参議院の決算委員会の議論の中で、このカネミ油症とPCDFの因果関係というものが確認されて、診断あるいは診断基準の見直しとか、そういった方向に前向きに行こう、こういうことになったわけであります。
 今申し上げたことで、事実関係は大体これでいいかどうか、厚生労働省の方からちょっと確認の御答弁をいただきたいと思います。
尾嵜政府参考人 経緯等につきまして、先生からお話があった内容についてはそのとおりでございます。
田端分科員 それで、実は私たち、大変大事なことだということで、公明党の中にダイオキシン対策本部というのがございますが、私が責任者になっておりますが、先月の初めに福岡、北九州、それから福江市、玉之浦町へ、五島列島に出かけてまいりまして、初めて患者とじかに会って、約四十名近い患者と個々面談をして、いろいろなことを聞いてまいりました。
 この事件、いまだにこの患者の人たちはずっと症状が続いているわけでありまして、苦しんでいるわけであります。
 ちなみに、血液中におけるダイオキシン類の濃度が、福岡県の一般の人とカネミ油症患者の人との差が、最大値においてカネミ油症患者は七百九十六ピコグラムTEQ・パー・グラム脂肪、こういうことで、七百九十六。一般の人は七十九ということでありまして、約十倍の差があります。平均値においても五倍、差があります。
 というふうに明確に、患者の方の体内に、血液中にはダイオキシンがあるということが医学的にも確認されているわけでありますが、そういう意味で、再検査あるいは診断の基準の見直し、こういうことが当然大事な問題に今後なってくるだろう、こういうふうに思います。
 そしてつまり、PCB、これも毒素が強いのですが、しかしダイオキシン類となりますと五千倍毒素が強いわけですから、そういう意味では、PCBによる症状を検査してきた、治療してきたことと、ダイオキシン類による被害というものに対する治療、検査というものとは、おのずとこれから変わってくるのではないか。例えば、がんとか脳神経障害とかホルモン異常とか生殖器異常とか、こういったことがダイオキシン類においては被害が著しく出てくるわけですから、そういった意味で、見直しということが大事になるだろう。
 現地においては非常に、特に五島列島の場合は地理的にも不便なところでありまして、こちらから出向いていく、あるいは女性の医師等が行かなければ、なかなか患者本人が口を開いて本当のことを言えないような状況もあるように思いました。
 そんなことで、こういう意味で、ぜひもう一度、診断基準あるいは治療方法、そして救済に対するあり方、こういったことを再度検討すべきではないかと思いますが、坂口大臣の、今までのところでの私が申し上げたことについての御感想あるいは御意見をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 今ずっと経過をお聞きしまして、私も全く知らなかったことが幾つか含まれておりますが、長い歴史の中で今日を迎えているんだなということがよくわかったわけでございます。
 問題は、今までその原因がPCBが主流である、主役であるというふうに思っておりましたが、PCBではなくて、PCBから変化をしたPCDFが中心になっている。PCDFは、量は少ないけれども毒性はPCBに比べて比べ物にならないほど厳しい、強い、こういうことだろうというふうに思っています。
 PCDFの検査方法というのがなかなか難しいといったようなことも言われておりますので、正確にその検査ができるのかどうかということも私は一つ問題点としてはあるのだろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、PCBが中心だというふうにしてそれの対策を講じてきたけれども、PCDFが中心だということになってきたときに、どこが一体違うのかということが問題なのだろうと思うのです。
 それは、何が違うのかというのは、一つは、PCDFがこの中毒の中心になっているということになれば、その対処の仕方、いわゆる治療の仕方、そうしたことが違うのかどうか。私もそこはつまびらかにわからないわけですが、そこを少し明確にしなければいけないのだろうというふうに思っております。
 そこを明確にして、そして今まで行っていた対策でいいのか、それとも新しい対策が必要なのかということをはっきりさせる必要があるのではないか、まず問題はそこからではないかというふうに思っておりますので、検査体制等につきましてもかなり今回予算でもとってもらってあるようでございますから、そうしたところを中心によく調べて、専門の先生方の御意見も十分に聞きながら、対策、今までのままでいいか、それともそこに変更しなければならない部分があるのかということを決めなければならない、こう思っております。
田端分科員 大臣はお医者さんでもあり、そういった意味で大変この問題に理解をしていただいてありがたく思っておりますが、PCBというものが加熱されたときに、変質して、PCDFあるいはコプラナPCBというダイオキシン類に変質する、こういうことが当時はわからなかった。しかし、今は科学的にも明確に、厚生労働省もそういうことが起こったのだという認識もお持ちのようでございますので、そういった意味でぜひ見直しということを申し上げているわけであります。
 そして、この患者が、千四百三十三人のうち六百四十人が福岡、長崎に三百九十五人、こういう形で、この両県に集中しています。それで、カネミ倉庫は北九州市ですから、福岡が多いというのはわかるのですが、なぜ五島列島なのかということが私もよくわかりませんでして、行ってきてよくわかったことは、ここは日本の最西端、玉之浦町というのがありますが、ここが集中的に多いのです。ここにNという商店がありまして、この年、なぜかツバキ油が不作の年であった。当時地元ではツバキ油でオイルをつくっていた。ところが、不作になったために、米ぬか油がいいということで、大量に仕入れて安売りをやった。これが地域の人に圧倒的に広がってしまって、不幸が重なったということがよくわかりました。
 ここは、本当にすばらしい入り江がずっと続いている、水のきれいな町でありましたが、そういう意味では、一転して、この地域の人たちは非常にまだ苦しまれていて、現職の町会議員二人も認定患者、こういうことでありまして。
 例えば典型的な話は、黒い赤ちゃん、コーラベビーとも言われていますけれども、由香理さんという三十四歳の方は、まさに胎内にいるときにお母さんが汚染されて、そのまま黒い赤ちゃん第一号という意味で、胎児性カネミ油症患者となったわけであります。しかし、この由香理さんが今三十四歳になって、十年ほど前に結婚して、この人が産んだ二人目の赤ちゃんがまた黒い赤ちゃんということでありまして。もう今この事件が過去のものにはなっているのですが、しかし、病気は二世、三世にまで続いている、こういう深刻な状況でありまして、私も、そういう意味では非常にショックを受けたわけであります。そのことは、この前の週刊誌に本人が登場して訴えておりますけれども。
 ここはなかなか、そういう意味では、因習の強い町といいますか、本当の純朴な田舎ですから、こういったことをなかなか口を割ってくれなかった。しかし、今回初めて、私たちに対して、父親が自殺した息子がその苦労を切々と語ってくれたし、また、息子に死なれた、自殺されたお父さんの話も聞いてきました。あるいは、奇形児、指が六本だったとか、こういったお話も聞いてきました。
 とにかく、ここの皆さん、いろいろな症状を持っておられますが、本当に切々とそういう話を初めて口を開いていろいろな形で言っていただいたわけでありますけれども、そういった意味では、ぜひ現場に行って相談に乗ってあげて、治療、医療の活動をするということは、これはもうぜひお考えいただきたい、こう思っております。
 それで、私は、そういうことで、今まではPCBだったという考え方できましたが、しかし、ダイオキシン類による被害、PCBの五千倍にも当たるのだ、こういうことになってくれば、決着済みとはいえ、もう一度、被害状況の確認から救済に至るまで、新しい視点でぜひ厚生労働省はお取り組みいただきたい。そうして、例えば今、カネミ油症研究班というのがありますけれども、この研究班のあり方も含めて体制を見直していただきたいという思いがいたします。
 そして、先ほど予算も組んでいるというお話がございました。厚生科学研究費の補助金としてダイオキシン関係研究費の一覧をいただいておりますが、二十二グループに八億円の予算が出ております。この中には、福岡県の保健環境研究所も入っておりますし、九州大学大学院の研究院にもこの補助金が出ているようでありますが、こういうダイオキシン研究のお金を出していることが油症患者の救済のための研究に生きているのか、連動しているのかどうか、ここがちょっと私疑問に思いますので、ぜひこれを連動させていただいて、生かしていただいて、患者救済に新しい一歩を開いていただきたい。
 それから、三十三年もたちますと、例えば、当時三十歳でこの被害に遭った人も六十三、四歳になっているわけで、定年を迎えてもう年金生活というふうなことになっております。したがって、皆さん高齢化しています。もう七十歳、八十歳の人もたくさんいます。そういう中で、まだいまだに苦しんで、毎日便秘と下痢を繰り返しているとかいろいろな症状がございますけれども、そういったことがずっと続いているわけですから、そういう意味では、治療、医療の費用に対しての何らかの救済措置というのはないのだろうか。
 こんなさまざまな思いを現地へ行ってしてまいりましたが、大臣、もし何かありましたら、御所見をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 裁判は和解で終わってはおりますけれども、現実は終わっていない、こういうお話だろうというふうに思います。
 今いろいろお話がありましたが、その中で、いわゆる油症研究班というのも、どちらかといえば今までPCBを中心にして組まれてきた研究班であったというふうに思いますので、PCDFということも十分念頭に置いて、こちらの方が主流であるということを念頭に置いた班の編成というものがやはり大事であって、そういうふうな方向に今変えてもらっている、変えつつあるというふうに思っています。
 そうしたことで、研究をされる皆さん方の方からは、どういうふうにそこでしたらいいのかという臨床的な結論を、基礎科学的なことはもう大体おやりをいただけたというふうに思っておりますから、臨床的な面で何がこの次には必要なのか、どういう治療をしたらいいのかといったようなことについての結論を急いでいただきたいというふうに思います。その中で一体何が必要かといったことが浮かび上がってくるんだろうというふうに思いますし、今なおそうした症状が続いているということであればなおさらのことでありますから、この研究は続けて、そして新しい角度からおやりをいただきたいというふうに思っているところでございます。
 したがって、離島等に対しますことにつきましても、検診の体制と申しますか、どういうふうにその皆さん方の声をお聞きしてそれを吸い上げるかということにつきましてもこれは考えなければなりませんので、平成十四年度におきましては、検診体制につきましては、産婦人科の専門医による検診の追加というものも入れたいというふうに思っておりますし、それから、患者の健康にかかわるさまざまな相談に応じるために、看護婦の資格を有する油症相談員の設置に向けて検討を今進めているところでございます。そうした人々を通じて、女性の立場は女性でなければということもあろうかと思いますので、そうしたことも含めてやっていきたいというふうに思っているところでございます。
 そうしたことをやりながら、新しい立場でひとつこの問題を見直していくということにしなければならないというふうに思います。
田端分科員 ぜひそういう人間味ある対応をお願いしたいな、こう思います。
 もう一点大事なことは、先ほど申し上げましたが、この裁判における、原告に一たん仮払金として農林水産省から支払われた二十七億円が、返還請求が出て、これで今苦しんでいるというのが実情でございます。
 つまり、一九八七年で原告が国への訴えを取り下げているんですが、そのときにそういう手続なりをしておけばよかったのに、よかったのにというか、そのときそうなっていればよかったんですが、その十年後、一九九七年の時効消滅の寸前に原告と国の方との間で調停手続ということが行われて、六百九十八人が仮払金の返還を請求される、こういうことになったわけです。
 患者の症状によって、三百万もらった人とか四百万とかさまざまあるようですけれども、平均三百万から四百万。今申し上げたように、もう高齢化している、生活も大変だ、体もおかしい、そういう人に、それを十年たってから返せといってもまことに酷な話で、そういう人たちの、今月々千円とか二千円払っていますとかという話を聞いて、私は本当に驚きました。
 それから、例えば、子供さんが認定患者であることを親は隠していた。嫁いだ。嫁ぎ先にいきなり請求書が行った。それで相手にばれてしまって、離婚騒動まで起こってしまった。こういう実例もあるようであります。
 そういった意味では、とりわけ、払わなければならないお金かもわかりませんが、しかし何かいい知恵はないものか。被害の救済ということと同時に、仮払金という重い、背中にのしかかっているものを何とかしなければならないんじゃないか。この人たちは、私が逃げれば子供に行く、子供が逃げたら孫の代まで国は追っかけてくるだろう、こういうことも言っておりましたが、そういった意味で、ぜひ減免の措置といいますか道を開くことはできないだろうか。
 先般、被害者の会の矢野忠義会長がお見えになりまして、公明党の神崎代表にこの陳情書を持ってこられましたが、今返還を迫られていることは死を意味するにも等しい、何とぞ救済解決の道をお願いしたいということを言っておられました。これについて、農水省の方で何か御意見があればよろしくお願いしたいと思います。
梅津政府参考人 お答え申し上げます。
 議員御指摘のカネミ油症患者の仮払いの返還の問題でございますけれども、国の債権につきましては、御承知のように、国の債権の管理等に関する法律、いわゆる債権管理法によりまして厳正に管理することが義務づけられておりまして、仮払金の返還についてもこの債権管理法に基づいて請求させていただいているところでございます。
 仮払金につきましては、平成八年から十一年にかけて、民事調停によりまして、債務者の事情を十分考慮しながら、それぞれの債務者と国との間で分割払いあるいは履行延期等の返還方法の合意がなされておりまして、この合意に基づいて返還を求めていくところとしております。
 なお、調停以後において、生活諸条件の変化などのやむを得ない事情により調停合意内容どおり履行できない特別な債務者につきましては、例えば再調停を早目に行うなど適切に対応してまいりたいと思っております。
 また、債権管理法上、履行延期後十年を経過した後において、無資力かつ弁済することができる見込みがないというような場合には、債権を免除できる旨の規定があります。その時点において、個々の方の状況に応じ、関係省庁とも協議の上、適切に対応してまいりたいと思っております。
田端分科員 何か少しお話ございましたが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それで、もう時間がありませんので、大臣、一九七七年に患者の中にダイオキシンがあるということがわかって、もう二十五年たちます。そして、当時はまだダイオキシン類ということがなかなか行政の中でも理解されていませんでした。しかし、ダイオキシン類が非常に猛毒であるということが国際的に確認されてからでも十五年たちます。しかし、患者の人たちの苦しみは今日までまだなおかつ続いているということでありますから、ぜひ、医師でもある大臣が、さきにはハンセン病では大きな決断をされました、本日また薬害ヤコブ病の患者に対しての全面的な和解ということもニュースとして承っておりますが、どうぞ今回のカネミ油症の患者に対しても、ぜひそういう意味で新しい道を何とか開いていくような政治的な決断なり判断というものを最後にお願いしたいと思いますが、ぜひ大臣の御所見をお願いしたいと思います。
坂口国務大臣 一度出ましたお金を返さなきゃならないという点につきましては、何かいい方法がないのかなという議員のお言葉と同じように私も思うだけでありまして、厚生労働省の中で決着のつく問題でもございませんし、いろいろ、法的な面からいきますとなかなか難しい面も含まれているなというふうに実は思いながら聞かせていただいたわけであります。
 私も十分に存じませんけれども、中には、御自身が使われたのではなくて、それで裁判費用を全部払われた、御本人には何ら渡っていないということも何かあるやに聞いておりまして、そういう方は大変お気の毒だなという気もするわけでございます。そうすると、その人たちは、個人にとりましては、借金だけが残ったということになるわけでございますので、今も農林水産省の方から御答弁ございましたが、いろいろの手だてもあるようでございますし、そうしたことをもう一度、整理を一遍させていただきたいというふうに思っています。
 いずれにいたしましても、PCBではなくてPCDFという物質によって起こったことが明らかになりました以上、そのことを中心にしてもう一度すべてのことを整理し直すということが出発点であり、そして、そこがまたゴールにもなるんだろうというふうに思っておりますから、今しばらくお時間をいただいて、少しその整理をさせていただきたいと思います。
田端分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
井上主査 これにて田端君の質疑は終了いたしました。
 次に、松島みどり君。
松島分科員 自由民主党の松島みどりでございます。
 質問に先立ちまして、坂口厚生労働大臣及び厚生労働省、特に保険局の皆様に一言御礼を申し上げたいと思っております。
 実は私、この予算委員会の分科会というのは、一年前初めて質問させていただきまして、非常に思い出がございます。私自身が持っている国民健康保険証もそうなんですけれども、夫の名前で、疑似世帯主といいまして、その名前で請求書、領収書が来る。保険証の一ページ目がそうである。私は、これはおかしい、支払うのは私なのにおかしい、多くの女性がそういうことを思っているということを初めてこの場で質問させていただきまして、そして、昨年暮れに保険局の方から全国の自治体に対して通達を出していただきました。本人からの申し出があった場合、世帯主でない、妻が単独で国民健康保険証を持っていて、御主人が会社の保険証なんかの場合に、独自の保険証を発行、本人の名前が記載された保険証が発行され、そして領収書も請求書もそこへ行くということが実現いたしまして、私は、一年近くに及びました国民健康保険の不払いに終止符を打つことができるようになりました。本当にありがとうございました。
 それで、質問を始めさせていただきます。
 一つ目、社会福祉事業団に関しまして、昭和四十六年に、当時の厚生省社会局長並びに児童家庭局長から都道府県の知事あてに通達が一つ出ております。この通達の中身についての現在の疑問を申し上げさせていただきたいと思います。
 この社会福祉事業団等、これは自治体が設立する場合に、その職員について「事業団の職員の処遇(給与、退職金等)は、事業団を設立した地方公共団体の職員に準ずるものとする」、そういうのが通達の中でございます。
 今、地方自治体におきまして行政改革ということ、そしてまたその関連、国におきましても特殊法人改革というのは随分進められているわけですが、地方自治体もいろいろな、ぶら下がっていると申しますとなんですが、その事業団のこと、これが問題になっております。
 そして、この給与、確かに昭和四十六年当時というのは、社会福祉事業についての世間一般の、人材が集まらないとかいろいろな問題があったと思うんですけれども、今これが、自治体において、その地域においては高水準とも言える公務員と同じ水準で決められるということは問題があると思います。地方分権の観点からでも、こういう縛りはなくすべきではないか。
 と申しますのは、一つには、公務員の給与も今引き下げ方向には向かっておりますけれども、自治体におきましても、公務員というのはしっかりとした形で採用がなされている。それに比べると、ややもすれば、社会福祉事業団、外郭団体というのは、採用が不定期、かついろいろな、場合によったら、情実と言ってはなんですが、いろいろな形で採用されることもあると思います。それが、地域におきましては比較的高水準と言える公務員と同じ水準で縛りをかけられるということは、これは問題ではないか。各自治体によって決められる、あるいは局長通達のこのくだりを廃止する、こういうふうにお考えいただけないか、かように存じております。
真野政府参考人 御指摘いただきました社会福祉事業団でございますが、先生御案内のとおり、また御質問の中でもお話しいただきましたように、昭和四十六年当時の状況下で、福祉施設の運営を通じて地域の福祉水準を向上させよう、そういう意図でこの通知が出されているわけですが、今お話のございましたように、大きく社会的な状況も変わってきております。
 また、地方分権、規制緩和、いろいろな議論が行われておりまして、その中で、この社会福祉事業団が地域福祉の担い手として一層地域に貢献できるようにどうするか、こういう社会福祉事業団のあり方そのもの、全体そのものを現在見直しをいたしております。
 その中で、今先生御指摘のこの四十六年の局長通知も含めまして、検討をさせていただきたいというふうに思っております。
松島分科員 今、御検討ということでございますが、ぜひこれを、この場合は、前向きにといいますのは、つまりこのくだりを削除するという方向で、関係労働団体その他へのいろいろなこともあるかとは思いますけれども、きちっと早い時期に、間もなく始まります平成十四年度、早い時期にこれを対応していただきたい。またその結果状況を厚生労働委員会などでも質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 次に、介護保険でございます。
 介護保険、だんだんと定着してきたわけでございますけれども、介護保険のいわゆるケアマネジャー、これの資格を得るための試験を受ける資格といいますか、介護支援専門員実務研修受講試験とかいうのですね、それをどういう人が受けられるかという問題でございます。
 実は、私、地元でございます荒川区の医師会から疑問と要望が出ておりまして、そのとおりだと思ったんですが、ここがもともと訪問看護ステーションを運営しておりまして、そして介護保険の導入に伴いまして居宅介護支援事業所の指定を受け、これをやって、それから、いわゆる訪問介護ステーションですね、ヘルパーの派遣をやったり、それから入浴の派遣、つまり折り畳み式のおふろを車に載せていって、そのおうちの浴室、あるいは、お年寄りの単独の家庭でおふろのないところもありますから、じゅうたんとか畳の上にそういうのを置いておふろに入れてあげる、そういうことまでやっているんです。
 そして、そこに専門的に従事しているスタッフ、身分はそれは確かに荒川区医師会職員という形になるんでしょうけれども、現実にやっていることは、もう五年前ぐらいから、朝から晩まで苦情を受けつけたり、では、おたくはおばあちゃんはおふろの方にしましょうとか、あるいはこういうサービスを提供しましょうとか、そういう相談にも乗っている。いろいろな実務に近いこともやっている。
 そういう人が受験できないという事態が起こっておりまして、これは都道府県が決めることとは思うんですけれども、この受験資格の中に出ている例えば医師とか看護婦とかいろいろございます、それには該当しない。あと、自治体の職員の場合はそういう専門的な分野でやっていればいいんでしょうけれども、それでとにかく何か排除されているようでございまして、この辺、ひょっとしたら地元の方に誤解があるのかもしれないんですけれども、どういう仕組みになっているのか。そこを確認させていただきたいと思います。
堤政府参考人 ケアマネジャーでございますけれども、要介護者から相談を受けまして、心身の状況を把握してケアプランをつくるというふうなことでございますので、専門的な知識、技術を有することが必要だということで、今私どもは、今先生御指摘の介護支援専門員養成研修受講試験というものの受験対象は、お医者さんとか看護婦さんとかそういう保健、医療、福祉の資格のある業務をやっておられる方、それから、老人福祉の施設や、あるいは市町村福祉事務所とか、あるいは在宅サービスの事業所で相談援助の業務をやっておられる方、あるいは特養なんかで介護そのものの業務をやっておられる方、こういう方々で一定の経験がある方というふうなことでしております。
 今先生御指摘の荒川区の医師会では、まさに御指摘のように、区の医師会として訪問看護事業所をやっておられる、あるいはホームヘルパーステーションをやっておられるということのようでございますので、そこでそういう相談援助業務とか、あるいは介護の業務に従事をされているのであれば、当然受験資格はあるわけでございます。
 ただ、単に医師会の職員とか医師会の事務職員、こう書かれると、東京都で少し勘違いをしたのかもしれませんので、その辺の書き方がちょっと正確じゃなかったのかなという気もいたしますが、恐らく、先生の御指摘のような意味で、実際の介護の事業所でそういう相談援助業務等をやっておられるのであれば、医師会の事業所だろうが区の事業所だろうが全く問題なく受けられるわけでございます。
松島分科員 局長の御答弁を伺いまして、非常に納得できた次第でございます。まあ私の方も、ひょっとしたらその書きぶりなり申請の仕方がまずかったのかもしれませんので、それはきちっと現実をアピールできるような形にするように、今の局長の御答弁を受けて、私も、指導というとおこがましいですけれども、アドバイスをさせていただきたいと思っております。
 このように、ケアマネジャーという仕事も非常に重要な仕事であり、それは、単に国家試験を受けた人という意味じゃなくて、その実務をわかっている方にその資格を付与する、そういう形で進めていっていただきたいと思っています。どうもありがとうございました。
 次に、これ、ちょっと細かい話になって恐縮なんですけれども、病院の管理栄養士の問題なんです。
 病院の給食、これについては外部発注というのが随分、院外で大小いろいろな業者の方がつくってということが進められております。今、およそ四割が外に出されているかに聞いております。それで、ちょっと質問させていただきたいのは、これは、このことは認められていて、もちろんそういうふうにいろいろな民間の方が、病院、医療機関以外の人が競争の中で切磋琢磨をして、温かくておいしいものをいろいろ提供されているわけでございます。
 そして、管理栄養士というのが病院で設置、雇わなきゃいけないと義務づけがされているのは、たしか三百床以上ですか、一定以上の病院について義務づけがなされている。それで、管理栄養士の方は一般の栄養士と違って、管理栄養士というのは国家試験の資格でございますが、管理栄養士の方が患者の人にいろいろな指導、例えば、これは糖尿病のための食事だ、皆さんも家へ帰ってもこういうこと、こういうことを気をつけてつくりなさいよというような指導をなさっているかと思います。
 実は、先ほど申しました院外で受けて食事を納入している普通の会社、こういったところも、実際には、そういうものをつくらなきゃいけないから、プロであります管理栄養士を会社の中に置いておられる。しかし、さっき申しましたように、管理栄養士を病院に置くことが義務づけられているのはある程度の規模以上でございますから、それより小さな病院の場合には、わざわざ管理栄養士を雇うのは負担が重いということで、雇っていないところもある。
 そういうところに対して、例えば、さっき申しました普通の民間会社で給食を提供しているような会社が持っている管理栄養士を派遣して、ついでに、その病院の社員というかスタッフとして勤めているわけじゃないけれども、資格を持っているんだし、食事を運ばれるんだから、管理栄養士もそこへ派遣して指導に当たるということを、今はたしか難しいようなんですけれども、指導に当たり、そして保険診療と給付、保険診療じゃない、何点とつくものですね、それも保険の対象として支払われるというような制度を設けることはできないんでしょうか。
篠崎政府参考人 診療報酬上の話は、医療課長が参っておりますので、またそこでお答えいただくことにいたしまして、私の方からは、病院において療養上必要な指導に当たる管理栄養士の業務につきましては、患者に対する適切な医療を提供する観点から、つまり、今先生おっしゃいましたように、病院に勤務し、入院中、継続的に患者の状態を的確に把握している管理栄養士により行われる必要がある、そういうように考えておりまして、こうした業務を院外の管理栄養士に委託するというのは、現行制度上は困難であるというふうに考えております。
松島分科員 病院に勤務し、そして患者の状況を正確に把握しているということが必要だという、一見もっともらしい気はするんですけれども、はっきり言いまして、病院の場合でも、患者さん、入院患者さんに対して、看護婦さんだったら担当の方がいて一日に何回も顔を合わせる。状況を把握している。どこが痛いだの、何か顔がむくんできただのなんとか把握していらっしゃる。しかし、管理栄養士の方というのが三百床以上の病院にもしお一人いらっしゃるとしたら、その方々が、朝から晩まで毎日その患者さんの顔色まで見ているわけではないと思うんです。
 それで、派遣されても、責任を持って、例えば一日何回接するとか、あるいは何時間どうこうという規定を設けましたら、それはできるんじゃないか。少なくとも、中小、規模の小さい病院でそういう指導をする人が、管理栄養士の立場で、いないよりは派遣される形で、少しは顔を合わせて、ある程度会話を交わして、プロが指導することの方がいいのではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
篠崎政府参考人 医療上の理念と申しますか、そういうもので考えますと、チーム医療という考え方がございまして、入院中の患者さんに対して、医師そして看護婦、薬剤師、この場合は管理栄養士等の方が、その一人の患者さんに対して継続的に指導あるいは治療をするという観点から、食事も一応医療の、治療の一環という考えもありますので、特に治療食のような場合はそうでございますから、先ほど申し上げたような考えなんでございます。
松島分科員 この問題、もともと論争する気持ちなどさらさらなかったんですけれども、チーム医療とおっしゃられましたので、一言申し上げたいと思います。
 例えば医師、入院患者でも、入院じゃなくて通院でもそうですけれども、今研修医の問題も言われておりますけれども、毎日必ず同じ医師がいて接しているでしょうか。何曜日はだれ先生、何曜日はだれ先生、何曜日の夜中はだれ先生というのが現実じゃないでしょうか。これも全部取り締まるというならわかりますけれども、ちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
篠崎政府参考人 今申し上げましたように、医療の理念で、入院患者についてはこういう理念でやっておるということでございますので、先ほど、当初御答弁申し上げましたように、現行の制度上では今先生の御指摘のような形は困難ではないかと考えております。
坂口国務大臣 これから病院の中の体制もどういう形で進んでいくかわかりませんが、いろいろの働き方ができてまいりまして、病院なんかも、専門職であっても例えば業務委託みたいな感じの、そこにかかわり方というのが将来できてくるのかもしれないという気がするわけです。例えば、管理栄養士さんが正式のそこの職員でなければならないのか、それとも業務委託のような形で二つなり三つの病院なり、診療所の場合もあると思いますけれども、かけ持ちをしながらでもいいという形ができてくるのかどうか。私は、勤め方ということの多様化の中で、病院の中もそうしたことも起こってくるのではないかと。今私がこうするということではなくて、そんな感じを実は持っております。
 したがいまして、今御質問をいただきましたことにつきましても、そうした中で、現在の法律のあり方からすれば、今局長が申しましたとおり、それはかなわないことではございますけれども、そうした物の考え方の中で、もしこれからの病院の勤務のあり方のことを起こりましたときに、そうしたことも含めてひとつ検討していけばどうかというふうな感じを持ちましたので、立たせていただきました。
松島分科員 いつもながら、坂口大臣から非常にいろいろなことを考えた御答弁をいただき、ありがとうございました。おっしゃるとおり、労働のあり方ということも含めて、やはり、もちろん、大臣は厚生と労働とどちらもプロでいらっしゃるわけですけれども、この役所が一体化したことというのはこういうところにもよさが出てくるんだな、そういうふうに思っております。ありがとうございました。ぜひ、役所の御当局としても、現行の制度はそうだけれども、いろいろな形ということで考えていただきたいと思います。ありがとうございます。
 次に、保育所の給食のことで質問させていただきたいと思っております。
 実は、保育所のありようというのは、これもまた、日本でいろいろな分野でそうですけれども、地方分権というのが非常に進んで、一見いいことのように言われますけれども、私は、自治体によっていろいろなことがてんでばらばらでいいんだろうか、一つは、ある大事な姿勢とか指針というのは、国の役所がやはり出さなきゃいけないんじゃないか、全国どこにいてもそうじゃないかという思いがすることがございます。
 一つ、実は、私のところに、お若い、若いというかお母さん、保育所に子供を通わせるお母さんから、これはたまたまうちの地元の墨田区の女性だったんですけれども、メールが参りました。その中身は、公立の保育園に子供を通わせていて、保育園で、給食のとき子供たちは給食を食べる、保母さん、普通には先生と言っていますよね、保育士の方、保育士の先生は、同じものを食べないで、家から持ってきたお弁当だか、それからパンだか何かそういうのを食べている、先生一同でお互いに言い合っているのは、一緒のものを食べたいね、一緒に食べることによって、もちろん、確かにゼロ歳児や一歳児と一緒のものは食べられないかもしれない、三つとか四つになって、そうやって語り合いながら一緒に食べる。
 つまり、保育所というのは、保育園というのは、お父さんもお母さんも働きに出ているときに、その温かみというのを、ただ単に時間を過ごすだけでなしに、そういう場だと思うんですね。親がわりの保育士の方が一緒に、おいしいねだとか、何とかだねとか、これも食べるのよと言いながら、先生の方も食べて見せて子供も偏食がなくなるとか、そういうことが小学校一年生からの給食だったらなされるのに、なぜ四歳児、五歳児がだめなのかと思っており、そういう質問に対して、ああ、なるほどと思っておりました。もちろん、区の行政かもしれないけれども、これは公立保育園の方です。
 それから、同じように、公立保育園に関しまして、これは女性の議員が参加しております「ヴィーナスはぁと」というメールマガジンがございまして、そこに投書、メールで来ました。
 それによりますと、ちょっと、残念ながら何県の方かわからないんですけれども、公立の保育園で給食が出されない、財政上の関係かもしれないけれども出されなくて、家からお弁当を持っていって、冷たいお弁当、これは二つの意味がありまして、冷たいお弁当がかわいそうだし、そしてまた、はっきり言いまして、それは働いている親の怠慢だと言われればそうですけれども、朝お弁当をつくってというのは本当にどんなに大変だろうか、なおかつ、場合によったら、大変でやるのか手抜きになるのかわかりませんけれども、給食ぐらい出してくれてもと思うんですが、こういう財政支援、自治体は、今、本当にどんどん財政が厳しくなって、いろいろなところが切り捨てられています。こういう中で、国としての姿勢というものを、公立保育園、もちろん私立も含めて、給食を出す、先生も一緒のものを食べる、少なくとも三歳児以上は一緒のものを食べる、こういうことを、これは国の方針として決めることはできないでしょうかと。
 給食がない地域の方は、中国で仕事をしていて帰ってこられて、中国では、子供は全部もちろん朝、昼、晩、あそこは大変なことですけれども三回ぐらい給食が全部出たそうなんですけれども、そういうメールがございまして、なかなか、政治家に対して若い人、二十代、三十代前半あたりの女性からなんかめったにレスポンスというのは来ないんですけれども、やはりこういう切実な問題があるというのを感じまして、いかがでございましょうか。
岩田政府参考人 保育所の保育のあり方は、国といたしましては、保育指針という文書で定めております。その中で、やはり毎日の食事、おやつの与え方というのは大変重要な項目でございますので、それぞれ、年齢に応じてどういうことに配慮すべきかということを書いてございます。その考え方は、一つは、食習慣をしっかり身につけるということ、そして、もう一つ強調しておりますのは、楽しい食事をさせるということ、これは強調いたしております。その中で、先生が同じ給食を食べるべきかどうかということについては触れておりませんで、それぞれの保育所の保育方針に任せております。
 実態を聞いてみますと、やはり、保育士さんの数が余り十分じゃないようなところは、四、五歳以上ですと三十人の子供を一人の保育士さんが見ますので、そういうようなこともあるのかもしれません。そしてまた、子供たちが、三十人が走り回ったりしているような中でどうやって食事をさせるかということですから、多くの場合には、子供たちに食事をさせて、その後、子供は昼寝をいたしますので、その昼寝をしている間に保育士さんたちは食事をとるというのが現状のようでございます。
 ただ、保育所の中では、子供たちと同じ給食を、少し量を多くして、大人向きにつくり直して、保育士さんが費用を払って、一緒に食べているという保育所もあるようでございます。
 そして、もう一つお尋ねの、給食を与えていないという保育所のことですが、給食自体はすべての保育所で与えられております。補助金の対象といたしまして、三歳以上の子供については、御飯だけはお弁当を持ってくるというようなところも、数は非常に少ないと思いますがあるようでございます。理想的には、私は、個人としては、御飯もおかずも一緒に準備していただけないかというふうに思いますが、保育基準が三歳以上の子供は御飯の部分だけは補助対象になっていないようで、うちからお弁当を持ってくるようなところが一部にはあるようでございます。
 いずれにいたしましても、保育所の中での食事というのは大変大事でございますので、給食をうまく提供できている事例、いかに楽しくしっかり食生活をさせているかという好事例などは集めまして、保育士の研修会の機会ですとか、今、i―子育てネットというネットで全国の保育士さんたちに情報提供もいたしておりますので、そういうところで好事例を提供するなど、食生活がまたさらに楽しいものに改善いたしますよう努力したいと思います。
松島分科員 確かに子供が走り回っているところで食べるのは大変で、お昼寝中にというのはよくわかる気がいたしました。
 でも、よくわからないんですけれども、お昼寝中であっても、やはり同じものを食べていただくことによって、給食のあり方はこれでいいんだろうかとか、この中身についても、やはり、保母さんが、保育士さんが考えるという機会をぜひ持ってほしい。できることならば、食材に問題があった場合に早く大人が気づくという意味で、つまり、もし腐敗していたら云々ということも含めて、午前中にお昼寝の時間があるんだったら、その間に食べてもらった方がいいなという気がするぐらいでございます。
 それから、御飯だけお金の関係でというのは、これはぜひ、ここの場で言うのもなんですけれども、厚生労働省から、あるいは同僚議員の、先輩方の意見もかりて、農林水産省に言って、お米が余っているからお米どうしようなんて言っているんですからね、これはもう、ただでも。
 子供のときに温かい御飯、御飯好きになるかどうか、それは温かい御飯を食べた方が好きになるんですから、冷たい御飯なんてかわいそうなことを言わないで、それはぜひと思っております。お答えもう結構でございますので、よろしくお願いします。
 最後に一つだけ、ちょっと、これは時間の都合で、要望と別の件で申し上げさせていただきたいと思っております。
 レセプトの電算化を進めることになっております。この中で、盲人が多く従事していらっしゃる鍼灸マッサージ師の方々、これも実際に東京都の鍼灸マッサージ師会の方から私も要請を受けたのですが、目の見えない方にとっては、ある意味では手書きで書くよりも、うまくソフトが開発されれば、電算機を使って、電算機というのは古い言い方ですね、コンピューターを使った方が楽だ、うまくいくというケースが結構あるようなんですね。
 ただ、それに対しての、つまり、コンピューターの、私も専門分野でなくてよく知らないんですが、点字になるのか何か、目の見えない方でも使いやすいコンピューターの開発及びそのソフト、プログラミングの開発、これについてぜひ力を入れていただきたいと思いまして、質問と要望をさせていただきます。
松谷政府参考人 お答え申し上げます。
 レセプトの関係でございますが、現在、保険医療機関において行われました保険診療につきましては、療養の給付として、療養そのものが現物給付されるという仕組みになっておりまして、患者の方から窓口で一部負担をいただく以外の費用につきましては、医療機関、その保険医療機関が診療報酬明細書、いわゆるレセプトを審査支払い機関に提出することによりまして、診療報酬を受け取る仕組みとなっておるところでございます。
 一方、御指摘の鍼灸マッサージ、目の見えない方が多く従事されている施術でございますが、これらの施術につきましては、医師の同意を受けた上で医療保険の被保険者が鍼灸マッサージの施術を受けた場合に、その費用につきましては、患者の方に直接療養費として支給をする、いわゆる償還払いの取り扱いとなっております。
 実際の給付の手続といたしましては、患者さんの方が、鍼灸マッサージの施術者にその場で一たん費用をお支払いいただいた上で、患者の方が、その支払った費用について施術者から領収書を受け取りまして、その領収書をみずからの保険者、健康保険組合の方でありましたら健保組合に、市町村国保の被保険者の方でしたら市町村に提出をいたしまして、保険者からその患者さんが療養費として現金の支給を受ける、そういう仕組みとなってございます。したがいまして、医療機関における診療報酬の請求の方法と異なりまして、鍼灸マッサージの施術者が診療報酬請求書のようなものを提出して施術費用を保険請求するというような仕組みとはなっておりませんで、レセプトに相当するような書類の提出を必要とはしておらないところでございます。
 いずれにいたしましても、ITが進行しているわけでございまして、障害者のためにもさまざまな工夫あるいは手だての検討が進められていると存じますけれども、視覚障害者の方が情報化に取り残されるというようなことのないように努めてまいりたいと考えております。
松島分科員 私も、その関係者から受けた要請がちょっと違っていたのかもしれませんが、最後におっしゃいました、視覚障害者の方にも優しいIT化ということで、ぜひよろしくお願いいたします。
井上主査 これにて松島君の質疑は終了いたしました。
 次に、福島豊君。
福島分科員 御苦労さまでございます。午前中、私が最後でございます。時間がありませんので、直ちに質問に入りたいと思います。
 まず初めに、緑内障の早期発見対策ということについて取り上げさせていただきたいと思います。
 これは二月二十四日付の毎日新聞でございますが、このような記事が報道されておりました。緑内障の患者団体として、緑内障フレンド・ネットワークというところがございます。このネットワークが、緑内障の健康診断がどのくらい取り組まれているのか、聞き取り調査をした。東京都内の四十九自治体を対象に調べたところ、健康診断で緑内障の検査を実施していたのは武蔵野市と八自治体だけであった。残りの約八割は行っていなかった。
 緑内障は、全国で二百万人の患者がいると言われております。そしてまた、中途失明の二番目の原因になっているわけでございます。早期に発見をして、そして治療を開始するということが必要であろうと思っております。そしてまた、眼圧の検査自体も、最近は医療機器の発展によりまして、極めて簡単に、また短時間にできるわけでございまして、ぜひともこの緑内障の早期発見のための健康診断の取り組みというものを充実させていただきたい、そのように思う次第でございます。御所見をお聞きしたいと思います。
堤政府参考人 全国の自治体で緑内障検診がどの程度取り組まれているかということの詳細について、私ども把握を十分しておりませんけれども、例えば、岐阜県の多治見市では、学会と市が一緒になって、非常にきちんとした、研究も兼ねた検診が行われているというふうなことを聞いております。
 緑内障検診にはいろいろな手法があるそうでございますけれども、現状で、集団検診として必要な、効率的であるかとか、あるいは検診精度を確保できるかとか、あるいは有効性等々の評価がまだ十分確立をしていないということでございますので、今直ちに、老人保健事業の健康診査として位置づけるということはなかなか難しいと思いますけれども、先ほどの研究の成果でございますとか、今後のいろいろな知見を踏まえて検討していきたいと思っております。
福島分科員 ぜひ積極的なお取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、高齢者の配食サービスについてお尋ねをしたいと思います。
 先般の公明新聞でございますが、二月二十六日付「高齢者配食サービス見直しへ」という記事が出されておりました。これは、二〇〇二年度から利用者の心身の状況などを見て、真に必要な人にだけ提供する仕組みに改めるという厚生労働省の方向性が示されておる。そしてまた、サービス提供の適否を判断するためのマニュアルをこの春に作成をするというふうに書かれているわけでございます。
 現行の制度におきましては、希望者には全員提供するという形になっておりますけれども、財政的に厳しい。この取り組みというのが専ら財政的な要請で行われるのであってはならないというふうに思っております。
 高齢者の方が自立して生活をしていく、そのためには毎日毎日きちっとした食事を食べるということが極めて大切だというふうに言われております。食こそが生活の基盤である、そうした生活の基盤というものを財政的な都合で切り崩す、突き崩す、そういうことがあってはならないというふうに思っているわけでございます。
 そこで、このマニュアルを作成するに当たりまして、どのような考え方で策定をするのかということについて、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。
堤政府参考人 今先生御指摘のように、従来の配食サービスというのは希望する方々全員に対して一律に同じ頻度で配るというふうなやり方が一般的でございました。
 しかし、そうはいいましても、例えば、要介護の高齢者で外出もできないひとり暮らしの方と、調理はできるけれども外出はちょっと困難とか、あるいは閉じこもり、動けるんだけれども閉じこもりがちなお年寄りとか、いろいろなお年寄りの状態に応じて、食事のとり方あるいは援助の仕方も違ってくるだろう。
 例えば、調理はできるけれども買い物が困難な高齢者ということであれば、むしろ半加工品を宅配して自宅で調理をしてもらうという方がお年寄りのためにもいいかもしれませんし、閉じこもりがちの高齢者であれば少し外に出るといったようなことも必要かもしれませんので、いろいろなお年寄りの状態に応じた食事というのはやはり必要だろう。これがやはり自立につながるだろうということで、十四年度予算では、これを食の自立支援事業というふうに名前を変えまして、メニュー化をしたわけでございます。
 そこで、御指摘のマニュアルにつきましては、これからつくってまいりますけれども、対象者のニーズ、今どういう世帯あるいは状態か、あるいは身体的、精神的、環境的な状況把握をして分析のために必要となる項目はどういうことか、あるいはそれに基づいて具体的なアセスメントの手法はどうしたらいいか、対象者の状況に応じたサービス計画はどういうふうなものであったらいいのか、そういうふうな項目について各自治体の参考となるような資料をまとめまして、自治体に配付をしたいと考えております。
福島分科員 今局長の御発言で若干気になったのは、要するに、あなたは調理ができるんだから材料を宅配してもらったらいいんじゃないですかというようなことで、その対象を制限していくというような形にはならないように気をつけてつくっていただきたいなというふうに思います。
 次に、次々と論点が変わりまして恐縮でございますが、大変おもしろい取り組みがありましたので、御紹介をしたいと思います。
 これは静岡市の医師会の取り組みでございますが「最期の希望表示カード」、これは二月二十三日付の新聞に報道されておりましたけれども、これは重い病気で寝たきりのお年寄りの方を中心とした取り組みなんですが、カードをかかりつけのお医者さんが家族とも相談の上でつくると。グリーンのカードとそれからイエローのカードとあると。
 グリーンのカードというのは、家で死にたい人はグリーンのカード。そしてまた、救急車で総合病院に運んでほしい人はイエローのカード。もちろん、これは大変重要な選択でございますから、よく相談をしてつくらなきゃいかぬことは当然でございますが、九八年に始めたところ、現在グリーンのカードは百三十二人の人が持っている。そしてイエローカードは二〇〇〇年からで百九十三人の人が持っているそうでございます。
 そして、容体が悪化した場合に家族の方は、まずかかりつけのお医者さんに電話しますが、連絡がとれないときには消防本部の方に通報する。そして消防本部はどうするかというと、救急車ではなく医師会が決めた当番医に連絡し、医師はタクシーで駆けつける。そして、この意思表示カードに従って対応を定めるというようなことになっているようでございます。
 重い病気で寝たきりのお年寄りの方、どういう治療を選択するのかということは、今後ますます私は大切になってくるんではないかと思います。一律に救命措置を講ずればいい、それは必ずしも御本人の意思ではないかもしれない。これはなかなか微妙な問題なんでございますけれども、こういった取り組みについても積極的に検討を進めまして、ターミナルケアという観点として、在宅におけるお年寄り、そしてまた寝たきりの重度の方、こういった方のターミナルケアをどういうふうにしていくのかということでは、救急のあり方というものについても一定の方向性というものが示されるべきである。これは、直ちにこうせい、ああせいという話ではございませんけれども、ぜひとも御検討いただいて、そのあり方というものを深めていただきたい、そのように思っておりますが、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。
篠崎政府参考人 先生御指摘の例でございますが、救急時における搬送先あるいは治療方法について、事前に本人の希望が確認されるということは、救急医療のあり方あるいは在宅医療の推進を考える上で大変ユニークな一つの試みではないかと考えております。
 私どもといたしましては、今後とも、救急医療あるいは終末期医療など、できる限り本人の意思が尊重されることが重要であるというふうに考えております。
 委員御指摘の事例についても研究をさせていただきまして、病診連携の推進に努めてまいりたいと考えております。
福島分科員 続きまして、次は保育の問題でございますが、さきの臨時国会におきまして、児童福祉法の改正、これは津島予算委員長を筆頭に議員立法として提案をさせていただきました。その中で、既存施設の活用というものをもっと進めるべきであるという話をしたわけでございます。
 先般の日経新聞、二月二十七日付でございますが、保育園の待機児童解消策として空き教室の活用ということを唱えたんだけれども、なかなか転用が進んでいないと。この記事の最後にはどんなことが書いてあるかといいますと、表向き、多くの学校は相互交流に前向きと言うが、それは特定の時間を設定して行き交う程度である。住民や学校は、本音のところでは迷惑施設と見ているようだとか話す関係者もおり、前途は多難なようだというようなことが書かれているわけでございます。私の地元でも、そういった御相談をいただいたことがございます。
 そこで、きょうは文部省、来ておられます。実際に学校教室の保育施設としての活用というものがどのくらい進んでいるのか、具体的な数字をお示しいただきたいと思います。
加茂川政府参考人 学校の空き教室を利用して保育施設設置を促進すべきであるという前提でのお尋ねかと思います。
 現在、公立小中学校の空き教室につきましては、私どももその有効活用を図ることが大変重要だと認識をしておりまして、各学校では、その学校、地域の実情に応じまして、多くは特別教室または多目的教室、さらには地域の連携のためのスペースに活用してございますけれども、近年では、これに加えまして、生涯学習施設、児童福祉施設等への転用も取り組まれてきておるところでございます。ただ、まだ数は限られておりまして、全体の割合からいいますと、やはり学校は学校施設に多く、九割または九割五分以上を学校の施設に優先的に、必要度が高いものですから転用しておるという実態がございます。
 具体に、保育所への財産処分の手続がとられたという関係で件数を見てみますと、私どもが把握しておりますのは、八件でございます。
福島分科員 このように大変少ないわけでございます。わずか〇・二%ということでございまして、学校施設に活用することが多いと。例えば児童生徒のためのスペースですとか、教職員のためのスペース、これも結構多いんですね。地域の学校開放スペース。必要なこともあるんでしょうけれども、なかなか従来の範囲を超えてやるということに対して抵抗感もやはりあるんだろうと思います。ですから、自治体はよくよくそこのところを考えていただかないといけないと私は思っておりますが、これはまとめて、なぜ進まないのか、これからどうするのかということについて、文部科学省、そしてまた厚生労働省、両省から御見解をお聞きしたいと思います。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 実態としてはまだ進んでおりませんけれども、実は既に文部科学省といたしましては、平成九年度に、地域の実情に応じて先ほど申しました余裕教室の活用が一層図られますよう、国庫補助金を得て建築されました公立学校の財産処分手続につきまして大幅な簡素化を図ったところでございます。承認手続を報告手続に改めたという、大幅な手続の簡素化を図ってございます。
 また、先ほど申しましたように、地域の実情に応じて余裕教室の活用を図るべきだと考えておりますが、例えば保育所等地域の需要の高い施設について転用すべきだという考え方を私ども持っておりまして、さまざまな支援策または関係する指導を教育委員会等に行ってまいりたいと思っております。
 これまでも社会教育施設への転用に関するパンフレットを、これは厚生労働省とも協力させていただいて作成をし、配付し、転用が促進されるように努力をしておりますし、現在も具体的な保育所設置事例の報告書を厚生労働省と協力して作成中でございまして、これを作成しました後には、都道府県、市町村の教育委員会に配付をし、この周知に努めてまいりたいと思っております。よろしくお願いをいたします。
岩田政府参考人 ただいま文部科学省から御説明がありましたことに加えまして、厚生労働省といたしましては、平成十年度から、学校の余裕教室を保育所に整備をし直す場合の施設整備費の補助というのを始めております。また、i―子育てネットという、インターネットで情報提供する仕組みですけれども、その中でも、学校の余裕教室を転用して活用している例など、積極的な情報提供に努めているところでございます。
 先生冒頭おっしゃいましたように、昨年の十一月、児童福祉法改正によりまして、特に待機児童がいる市町村などについては、待機児童解消という観点からも、公有施設を活用して保育所整備を進めるということがうたわれましたし、また、その同じ法律で、こういった市町村の取り組みに対して国と都道府県は支援すべきだということもうたわれております。
 この規定を受けまして、文部科学省ともよく連携をとりながら、なかんずくやはり現場の教育委員会と個々の学校の校長先生、これらの御理解を得ることが大変重要であるというふうに思っておりますので、引き続き協力しながら、ぜひこういった余裕教室が保育所としても活用されますよう努めてまいりたいと思います。
福島分科員 よろしくお願いをいたします。
 次に、院内感染症対策、とりわけエビデンスに基づいた感染制御ということについてお尋ねをしたいと思います。
 先日、NTTの東日本病院を訪問させていただきました。そこの院長先生は小林先生という方なんですが、感染症の専門家でございまして、この東日本病院では、院内感染の対策ということで、実にさまざまな取り組みがなされております。
 例えば、消毒薬を手に吹きつける装置。これも、今までは押して出すものですけれども、手を前に差し出すだけで自動的に出てくる。これがなかなかよくて、みんなちゃんとやってくれる。そしてまた、そのときにびっくりしたんですが、手術室がありまして、病棟のベッドがそのまま手術室の中に入っていきまして、一々ストレッチャーに乗りかえたりとかということはしないんですということを言っておりました。これでも別に、EBMに基づけば、感染がふえるというわけではないと。
 先日、小林先生を中心につくられました「エビデンスに基づいた感染制御」という本を送っていただきまして、これは厚生労働省と一体になったといいますか、厚生科学研究の中で行われているものでございまして、その成果をまとめたものである。私も医者なんですが、恥ずかしいことに、中を読ませていただきますと、いろいろなことが書いてあるんですが、エビデンスがあるものやら、ないものやら、いろいろとあるなということを実感いたしました。そしてまた、絶対やっちゃいけないというものも大分はっきりしてきている。
 これを読むと、いまだにそういうことが十分臨床現場に普及していないんではないかという思いもいたしました。今でも、例えばレジオネラですとかセラチアですとか、院内感染がいろいろと多発しているわけでございまして、こうしたエビデンスに基づいた感染制御の知識というものが医療現場にきちっと普及する必要がある、そのように強く感じた次第でございまして、この点の取り組みについて厚生労働省の御所見をお聞きしたいと思います。
宮島政府参考人 院内感染につきましては、これまでも厚生労働省としましては、MRSAやセラチア菌等の個々の感染症に対する注意喚起と各種ガイドライン等を通知してまいりました。しかしながら、先生今御指摘のように、やはりエビデンスに基づいた科学的な対応が必要ということで、最近におきましても、医療の現場におけるさまざまな微生物による院内感染に横断的に対応するため、総合的かつ科学的根拠に基づいた指針というものが求められております。
 そのような経緯を踏まえまして、平成十二年度から十四年度までの三年間にわたりまして、厚生科学研究事業の研究班の専門家によりまして、エビデンスに基づく院内感染対策の検討がなされまして、平成十三年十二月に開催されました院内感染対策委員会におきまして、総合的ガイドラインの素案が提出されたというものでございます。恐らく、こういう横断的、総合的なガイドラインをまとめたというのは初めてではないかというふうに思っております。これにつきましては、今先生がお示しになりましたように、本年の二月二十日に、「エビデンスに基づいた感染制御」という名前で、いわゆる一冊の本として公刊されているということでございます。
 私どもとしましては、この素案に基づきまして、これをいろいろな方面に普及させ、かつ各方面からいろいろなコメントをいただくということをこれから進めてまいりたいというふうに思っています。
 特に、三月八日には、各都道府県の院内感染の主管課長に集まっていただきまして会議を行い、お示しいただきました「エビデンスに基づいた感染制御」の素案の部分もこの会議で提示し、都道府県を通じての普及、かつこれについてのいろいろなコメントをこれからいただくということを進めていきたいと思います。
 そうした各方面からのコメントを踏まえまして、さらに議論を深めまして、最終的には十四年度中に総合的ガイドラインとしての策定を進めていきたいというふうに今思っているところでございます。
福島分科員 その中で、厚生労働省、かつて厚生省が発出をしました既存のさまざまな通知、通達等々で、このエビデンスに基づいた観点からはどうも合わなくなっているんではないかというようなものもあるという指摘もありました。こうした知見が集積されるに対応しまして、ぜひともそうした行政的な指導に関しましても、必要なところは再検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
宮島政府参考人 先ほど申し上げましたように、これまでも、個々のものにつきまして、やや個別に注意喚起なり各種のガイドラインをつくってきたという経過がございます。
 ただ、今申し上げましたように、現在、総合的、科学的、まさにエビデンスに基づいた総合的な院内感染への対策としてのガイドライン、これを初めて素案としてまとめましたので、これについての議論なりコメントをいただきまして、さらにその中身を深めまして、最終的な総合的なガイドラインを策定いたしたいと思っています。と同時に、これまで出しました既存のいろいろなガイドラインなり個別の通知等、これもその総合的かつ科学的なエビデンスという観点から全体を見直しまして、必要なものは手直しするということも進めていきたいというふうに思っております。
福島分科員 次に、聴覚障害者の方の能力開発ということを取り上げたいと思います。
 レッド・ベレーズという団体が、これは大阪の交野市というところがありましてそこにお住まいの方が事務局をやっておられまして、近畿、京都とか兵庫とかも含めて活動しています。これは聴覚障害者の方と健聴者の方でつくっておる団体で、さまざまな活動をやっております。
 その一つがパソコンの講習ということをやっておりまして、パソコンの講習というのは、健聴者の人でしたら、後ろにスタッフがいると、こうアドバイスして、そこを押しなさい、ここをどうしなさいと言ってできるわけですけれども、聴覚障害の方というのは、まず手話で説明してもらって、そして画面を見て、またキーボードを押してというふうになかなか難しいわけですね。そういう取り組みというのを手話通訳を介しながらやっております。
 この方から以前、こうして一生懸命やっているんだけれども、厚生労働省の教育給付制度の対象にはなかなか講座としてはならないんです、何とかなりませんかねという御相談をいただきました。これは昨年のことでございますが、直接担当の方からお聞きをしまして、この制度の対象となるためにはさまざまな規定があって、現状においてはなかなか困難ですねというお話でございました。私も、その指定のための基準というのを拝見させていただいて、確かにこれは公的な制度でもあるし、お金も出る制度なんだから、きちっとした基準というのは必要だな、そのように思いました。
 しかしながら、一方で、こうした聴覚障害者の方のパソコンといったような新しい技能の開発は、どのような形で現在行われているのだろうかというふうに思った次第でございまして、厚生労働省から、現状どうなっているのかというお話をお聞きしましたら、手話通訳をつけてコンピューターの科目の受講ができる学校はどのぐらいあるのかと言いましたら、国立障害者校、全十三校に手話通訳を配布していますというふうに御答弁をいただきました。
 しかしながら、十三校でございまして、その障害者の職業能力開発校自体が四十七都道府県のうち十七県にしか存在しないわけでございます。これは寮になっておって、そこに寄宿しながら能力開発をするからそれでいいんだという考え方もあるかもしれませんけれども、しかしながら、そこで受け入れることのできる枠だけでは、到底こうした広範な障害者の方の要望にこたえるということはできないのだと思います。そして一方で、こうしたボランタリーな取り組みというのが行われているわけでございまして、こういうものを大事にして、そして育てていく、支援していくということが必要だ。
 ちょうど制度のすき間に入ってしまって、なかなかどうしようもないというような思いがいたしますけれども、どうすればこうした活動を支援することができるのかぜひとも検討していただきたい、そのように思っているわけでございまして、厚生労働省の御見解をお聞きしたいと思います。
酒井政府参考人 今先生がおっしゃった論点につきましては、私ども大変重要な課題だと実は思っておりまして、公的な教育体制は今先生がおっしゃったとおりでございますが、それに加えまして、手話の方を張りつけているとかその体制はおっしゃったとおりなんでございますけれども、eラーニングというものも取り組んでおります。十四年度からはそれをモデル的に、総勢二万人の方、障害者の方、母子家庭の方、こういう方が自宅で勉強できるような、パソコンで教育できるシステムも導入したいと思っております。
 それで、今肝心の、先生がおっしゃった、学校は全国十九校じゃないか、こういうことでございます。私どもは、福祉のサイドと雇用のサイド、両方協力して、この方々に対する能力開発のことをやっていかなければならないと思います。普段からよく連携をとって取り組むべしということを大臣からも強く言われているところでございます。
 それで、今先生が御指摘のありました教育訓練給付につきましては、これはもともと制度が職に役に立つ、現在の雇用の場における具体の職の上での能力アップ、そのための制度ということでございますので、やはりどういう内容であるか、あるいはどういう体制でそれをやっていただく必要があるかといったようなことがございます。
 ただ、我々としては、障害者の方でございますので、初めから難しいことを言っては、確かに先生おっしゃるように、なかなか難しいと思います。ですから、この話につきましては、ぜひ関係者の御意見、あるいは、私どもで工夫できることも考えながら、一生懸命ちょっと前向きに取り組んでいけるところは取り組んでいきたいというふうに思います。
福島分科員 よろしくお願いをいたします。
 最後に、大臣に一言だけ御質問をしたいと思います。
 本日、医療制度改革の関連法、公明党におきましても審査が終了いたしました。閣議決定されるというふうに伺っております。いろいろな御感想があろうかと思います。
 しかしながら、いろいろと山、谷があったような気がいたしますが、これからが本番でございまして、委員会で、与野党を含め質疑をしていただかなければいけないという状況でございます。
 いろいろな意見が出されるだろうと思います。そうしたさまざまな御意見というものをぜひともお受けとめいただきたいというふうに私自身は思っております。大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 非常に正直言って難産でございました。大変多くの皆さん方に御意見をいただいて、ようやくにしてまとめていただいたわけでございまして、これから諸手続を終えさせていただいて、そして法案の提出をさせていただきたいというふうに思っております。
 今御指摘いただきましたように、これからが山だと思っておりますが、多くの皆さん方がこの医療の改革につきましてはいろいろの御意見をお持ちであることも十分にわかりました。委員会におきまして、さらにまたいろいろの御質問をいただくものだろうというふうに思っております。
 そうした中で、一番大事なことは、一つは、今回提出をさせていただきますこの法案を一日も早く御理解をいただいて通過をさせていただくことでございますが、あわせて、その中にありますいわゆる抜本改革なるものを、今回は何が何でもやり遂げなければならないということだろうというふうに思います。
 今まで何度も抜本改革という言葉が出てまいりましたけれども、それができずに先送りをされた。今回は、総理から、平成十五年四月一日に三割負担、それまでにやれという、退路を断たれたわけでありますので、この退路を断たれた中でございますので、この一年間、必死になって抜本改革に取り組みたいというふうに思っています。
 そして、この抜本改革がなければ三割の自己負担はないという決意のもとにやらせていただきたいというふうに思っておりますから、もう後は任されたわけでありますから、それは抜本改革をやり過ぎだとしかられましてもこれはやりますので、ひとつスカートやズボンのすそを踏まないようにどうかお願いを申し上げたいと思っております。
福島分科員 どうもありがとうございました。また、大変御苦労さまでしたと申し上げまして、質問を閉じさせていただきます。
 ありがとうございました。
井上主査 これにて福島君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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