衆議院

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第2号 平成15年2月28日(金曜日)

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平成十五年二月二十八日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 石井 啓一君
      衛藤征士郎君    津島 雄二君
      松岡 利勝君    石毛えい子君
      上田 清司君    肥田美代子君
      古川 元久君    細野 豪志君
      大森  猛君    佐々木憲昭君
      瀬古由起子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      木村 義雄君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局国立病
   院部長)         冨岡  悟君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            松崎  朗君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  上田 清司君     石毛えい子君
  細野 豪志君     肥田美代子君
  佐々木憲昭君     春名 直章君
同日
 辞任         補欠選任
  石毛えい子君     上田 清司君
  肥田美代子君     古川 元久君
  春名 直章君     瀬古由起子君
同日
 辞任         補欠選任
  古川 元久君     細野 豪志君
  瀬古由起子君     大森  猛君
同日
 辞任         補欠選任
  大森  猛君     佐々木憲昭君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (厚生労働省所管)


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     ――――◇―――――
石井主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中厚生労働省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。肥田美代子君。
肥田分科員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 市販の風邪薬を飲んだ後に皮膚疾患で死亡した横浜の女性の遺族が、薬の製造元を相手取って損害賠償を求め提訴したことが、つい最近、報道されております。
 この女性の場合は、風邪薬服用開始から約一週間後にのどに水疱ができまして、医師の診察でスティーブンス・ジョンソン症候群と診断されました。その後、この症候群の中では最も重いとされます中毒性表皮壊死症になり、合併症の気管支炎で死亡しております。
 市販薬は安全という見方が広く流布されておりますけれども、この事例から見ましても、市販薬は決して安全ではない、そういうことが証明されたと思います。
 政府は、市販薬による副作用被害をなくすためにどのような対策をとっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
小島政府参考人 お答えを申し上げます。
 市販薬につきましては、比較的軽度の傷病に対しまして、薬剤師等の管理、指導のもとで消費者みずからが購入できるものであり、医療用医薬品に比べまして作用が緩和であると考えられております。
 しかしながら、今先生御指摘のように、医薬品としての副作用が起こるリスクを医療用医薬品と同様有するものでございまして、解熱鎮痛剤や鼻炎用内服薬によりましても、アナフィラキシーショックやスティーブンス・ジョンソン症候群などの重篤な副作用が起こり得るものと認識しております。
 したがいまして、薬事法第七十七条の四の二におきまして、一般用医薬品も含めまして、医薬品の製造業者等に対しまして、知り得た副作用等につきまして厚生労働大臣に報告することを義務づけているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、これら報告された副作用情報等に基づきまして、医薬品の使用上の注意の改訂等を行い、医薬品の適正使用を推進するために必要な情報提供及び注意喚起に努めているところでございます。
肥田分科員 今お答えいただきましたように、改正薬事法によりまして、製造業者、輸入販売業者に対して、医薬品や医薬部外品の副作用によると思われる疾病、障害、死亡の発生などについて報告の義務を課している、そういうことでございますか。
 それで、その報告義務は十分に今機能しておりますか。
小島政府参考人 現在のところは、まだ法律の規定がございませんので、私どもといたしましては、市販薬の副作用情報を含めまして、薬局及び医療機関の医師、薬剤師等からの副作用情報を収集するため、すべての医療機関及び薬局を対象として、医薬品等の副作用報告への協力を求める医薬品等安全性情報報告制度を運用しているところでございます。
 任意の協力ではございますが、現在のところ、医薬品等の安全性情報、一般薬だけではございませんが、薬局及び医療機関から年間約四千件の副作用情報が寄せられているところでございます。
肥田分科員 こういうものに関しましては、情報公開ということが大変大事だと思いますけれども、四千件が集まってきて、その後の情報の公開についてはどうされていらっしゃいますか。
小島政府参考人 この情報を集積いたしまして、私ども、すぐ見まして、必要な場合には注意上の喚起を促すとともに、情報公開といたしましては、今のところは、平成十三年までは、すべての報告されました医薬品名それから被害の疾患名というものをインターネットで公開をしております。
肥田分科員 昨年の夏、中国製ダイエット用健康食品の摂取によりまして、肝機能障害、また甲状腺障害など健康被害が多発いたしましたが、全国で被害者総数はどのぐらいございましたか。
小島政府参考人 中国製のダイエット用食品等によります健康被害につきましては、平成十四年十二月二十八日時点で八百六十五人の健康被害が発生、うち死亡四人が報告されております。そのうち未承認医薬品によるものが六百七十人、うち死亡三人、その他食品によるものが百九十五人、うち死亡一人となっております。
 被害内容でございますが、肝機能障害事例が四百七十五人で、そのうち未承認医薬品によるものが四百十一人、その他食品によるものが六十四人でございます。
 また、甲状腺障害事例は百一人おられまして、そのうち未承認医薬品によるものが九十五人、その他食品によるものが六人ということでございます。
 その他の事例は二百八十九人で、未承認医薬品によるものが百六十四人、その他食品によるものが百二十五人というふうになっております。
肥田分科員 肝機能障害が大変多いようでございますけれども、その原因物質は特定されましたでしょうか。
小島政府参考人 昨年七月にこの健康被害が生じまして、原因物質が疑われたわけでございますが、それは、Nニトロソフェンフルラミンという物質でございました。その後、私どもといたしましては、国立の衛生試験所にその分析をお願いしておりましたけれども、先般、やはりこの物質が原因物質であるということで、特定をしたということでございます。
肥田分科員 その原因物質が特定された後、では、今後の対策ということですが、いかがでしょうか。
小島政府参考人 私どもといたしましては、健康食品による被害というものを防止するために、昨年の八月に対策要綱なるものを発表してございます。
 一つには、研究調査の推進、それから消費者の方に対する啓発、その他いろいろなことをやっておりますが、基本的には、今回の中国製ダイエット食品の被害というのは中国産のものでございまして、しかも、外国に行って購入されてくる、あるいはインターネットで個人輸入されるというふうなケースが非常に多うございました。
 そういったことに対する対策としては、一つは啓発、それから一つは、個人輸入の場合にも、個人輸入の許可というのが薬事法上ございますが、そのときに危険であるということを十分わかってもらって、どうしても個人輸入したいときには個人輸入ということで指導をしているところでございます。
肥田分科員 私は、ダイエット用健康食品の被害が広がったその背景に、平成九年まで医薬品にしか許されていなかった錠剤だとかカプセルの剤形が、規制緩和で食品にも使用されるようになった、そういうことが随分影響しているように思うんですね。ですから、医薬品と食品の区別が一般人としてはつきにくくなったということが私は大いにあると思うんです。
 こうしたダイエット用食品による被害発生を未然に防止するためには、やはり、錠剤とかカプセル剤の健康食品への使用の規制が必要ではないかと思いますけれども、どうお考えでしょうか。
小島政府参考人 お尋ねの錠剤、カプセルというものが食品に認められているわけでございますが、これにつきましては、医薬品の形状規制緩和ということで、平成八年度から十一年度にかけて検討が行われました。その結果、平成九年三月からはビタミンのA、B、Cなど、それから、平成十年の三月にはハーブ類、平成十一年三月にはミネラル類、こういった種類のものが、形状が、カプセル等が認められたということ等ございました。
 こういった経緯を踏まえまして、平成十年四月になりますと、ビタミン等を含むすべての成分について、食品なる旨が明示されている場合には、原則として、形状のみによって医薬品に該当するか否かの判断は行わないということにされているわけでございます。
 こういった方向に対しましては、その議論の過程の中で、こういったカプセル等の形状をとりますと、消費者に誤認をさせるために医薬品的形状をとるものがあるのではないか、ですから規制を残すべきだという御意見もございました。しかし一方で、きちっとした表示さえすれば、医薬品と食品の両方を混同しないように明確に食品としての適切な表示があれば、形状のみをもって医薬品であるとの判断を行うまでのことはないんじゃないかという御意見もございました。
 結果といたしまして、表示をきちっとしておくことによりまして、消費者に対しまして食品の選択の範囲を広げるという決定がなされたわけでございまして、私どもとしては、きちっと表示をして、やはり食品の選択の範囲というものを今までどおり広げていくべきじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。
肥田分科員 私は、このカプセルと錠剤の剤形の問題も、随分規制緩和による大きな犠牲が今回も払われたと思うわけですね。ですから、この問題について今後も議論をしていきたいと思いますけれども、これは率直に言って、サプリメント会社のある意味では強い希望によったということもあったと考えていいんですね。
小島政府参考人 供給者側の思惑は思惑としてあろうかと思いますが、私どもは、やはり消費者といいますか、その観点と、国民の健康と生命の保持という観点からこういう判断をしたということでございます。
肥田分科員 昨年末、総合規制改革会議の第二次答申が出されまして、医薬品販売に関する規制緩和が再び提言されております。この問題につきましては、平成十一年三月に行った十五製品群の医薬部外品への移行措置によって終わったと私は認識しておりましたが、どうやらそうではなかったということでしょうか。
 この際、平成十一年の措置までの経過と措置の概要を伺っておきたいと思います。
小島政府参考人 御指摘の十五製品群の医薬部外品への移行措置でございますが、経緯について申し上げますと、平成九年三月に、「医薬品のうち人体に対する作用が比較的緩和で、販売業者による情報提供の努力義務を課すまでもないものについて、一般小売店においても販売できるよう、医薬品のカテゴリーを見直す。」という内容を含みます規制緩和推進計画が閣議決定をされました。
 私どもといたしましては、この規制緩和推進計画の決定を受けまして、中央薬事審議会に医薬品販売規制特別部会を設置いたしまして議論を進めました。その結果、ビタミン含有保健剤、健胃清涼剤、外皮消毒剤等の十五製品群につきまして、現行の医薬品のカテゴリーから医薬部外品のカテゴリーに移行可能であるとする報告書がまとめられたところでございます。
 上記報告書を受けまして、各製品群ごとに、保健衛生上医薬部外品として適当であると認められる成分、分量、効能、効果等につきまして、新たな承認基準の設定を行った上で、所要の政省令、告示改正が平成十一年三月十二日に公布され、同年三月三十一日より施行されているところでございます。
肥田分科員 ところで、本年二月十七日、総合規制改革会議が経済諮問会議に提出した規制改革推進のためのアクションプランの中では、相も変わらず医薬品の一般小売店における販売を重点検討事項に掲げて、人体に対する作用が比較的穏やかなものについては一般小売店における販売を解禁としております。今さら十五製品群のほかに医薬部外品に移行してもいいというような医薬品があると思いませんけれども、厚生省の見解はいかがですか。
小島政府参考人 今御指摘ございましたように、医薬品につきましては、健康の維持あるいは増進をさせるために必要不可欠なものであると同時に、使用法を誤ると健康を害する副作用等の発現もあるということでございまして、一般用医薬品から医薬部外品への移行措置というものは十分慎重な検討を行う必要があるというふうに考えております。
 今回新たに、医薬品につきましては、平成十一年三月三十一日に行いました十五製品群の医薬部外品への移行に伴い、コンビニエンスストアなどの一般小売店において栄養ドリンク剤などの販売が可能となった。今後とも、一定の基準に合致し、かつ保健衛生上危険が少ない等の専門家の評価を受けた医薬品につきましては、一般小売店において販売できるよう、平成十四年度中に専門家による検討を開始し、平成十五年度を目途に結論を得るようにすべきであるというふうな規制改革推進三カ年計画の改定が決められたわけでございます。これを受けて、私どもといたしましては、三月中旬に、専門家等により構成される第一回の新医薬部外品検討会というものを今準備しております。
 その検討会におきましては、まず、平成十一年三月三十一日に行いました十五製品群の医薬部外品への移行後の状況についての検証、それから、前回、一般用医薬品から医薬部外品に移行する際に用いた判定基準があるわけでございますが、それの見直しの必要性につきまして改めて検討を行い、その上で、保健衛生上明らかに問題がないと専門家等の評価が得られた製品群があった場合には、医薬部外品への移行についての検討を行う等、そうした適切かつ慎重に対応していくことにしております。
坂口国務大臣 今お取り上げをいただいております医薬品の問題につきまして、かなり広範囲に一般的な店舗におきましても販売をさせるようにすべきである、こういう意見があることもよく承知をいたしております。しかし、ここは国民の健康にかかわることでございますから、私は限界があるというふうに思っております。
 そもそも、規制改革というのは、労働生産性を上げて、そして日本の産業を活性化させるというところに基本があるわけでありますから、余り医療の分野だとか教育の分野だとか、そうしたところばかりをねらい撃ちしてああしろこうしろと言うのは、少し道が間違っているんではないかと、率直に私はそう思っております。そう言いますと、抵抗勢力に私はなるわけでございますが、抵抗勢力であろうと頑固勢力であろうと、いけないものはいけないというふうに言わざるを得ない。
 そういう意味で、この医薬品の問題につきましても、国民の皆さんの健康に害を与える、そういうものにつきましては、これはやはり専門家にゆだねていくということが私は大事ではないかと思っております。
肥田分科員 今、厚生大臣の本音と怒りをお伺いしたような気がいたしております。ぜひそのお立場で、しっかりと国民の健康を守るお立場を進めていただきたいと思っております。
 そこで、今の新医薬部外品検討会ですけれども、この検討会はどんな役割を担っているのか、もう少し詳しくお願いします。
小島政府参考人 この検討会は、先ほど申し上げましたように、政府の規制改革推進三カ年計画の改定を受けまして、私どもの方で設置をするということで、この三月中旬から動き出すものでございます。
 基本的には、十一年の医薬部外品への移行から五年が、十五年度で経過をいたします。私どもとしましては、今までは、十一年直後であれば、こういった医薬部外品への移行はしたばかりなので、今のところ念頭のものはありませんというふうなことを申し上げておりました。今も念頭に、これがあるというふうなものは持っておりません。
 しかしながら、いろいろ、必要な場合には見直しをという要望も強いわけでございまして、この五年を機に、どういったふうにやっていくのかということを幅広い観点からの検討をお願いする場というものを持ってもいいんじゃないかということで、これを立ち上げようということでございます。
肥田分科員 この検討会で、十五製品群以外にも医薬部外品に移行できるものがあるというような結論はよもや出ないと私は信じております。そんなことがもしあれば、中央薬事審議会における医学的、薬学的観点からの十分な審議はなさったわけでございますから、五年たったとしても、十五製品群を選んだことの信憑性が疑われますけれども、どうお考えですか。
小島政府参考人 先ほど申し上げましたように、今のところ、どれを医薬部外品にというものはないわけでございまして、私どもとしましては、行政として、この検討会の検討経緯あるいは結果をよく伺ってまいりたいというふうに考えているということでございます。
肥田分科員 規制改革会議の関係者の中には、葛根湯をコンビニで売ってもいいんじゃないか、そうおっしゃっている方もいらっしゃるやに伺っております。
 ところで、葛根湯は、申し上げるまでもございませんけれども、肝機能障害または偽アルドステロン症など重大な副作用があることはもう周知でございます。高血圧の人とか心臓病、腎臓病それから甲状腺機能障害などの診断を受けた方々には、実に厳しい注意事項が列挙されております。また、一般医薬品におきましても、風邪薬や解熱鎮痛剤、さまざまな副作用が認められております。
 こうした副作用被害の発生可能性がある医薬品を、服薬指導する人も、それから副作用情報の提供者もいない一般小売店で販売するなどということは、国民の安全をないがしろにするということで、私はとんでもない話だと思うわけでございますけれども、葛根湯も含めて、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
小島政府参考人 葛根湯につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、使用上の注意事項の中に、まれに下記の重篤な症状が起こることがあります、その場合には直ちに医師の診療を受けることということで、肝機能障害それから偽アルドステロン症というものが挙げられております。現にそういった事例も散見されるわけでございまして、医薬品につきましては、非常な副作用障害が発生する可能性があるということが常にあるわけでございますので、薬局あるいは販売店におきまして専門的な薬剤師の方が相談に乗り、あるいは必要な情報提供をするというのは必須のことではないかというふうに考えております。
 ですから、医薬品ということである以上、これはやはり専門家の手によるOTCの販売がなされるべきだというふうに私ども考えているところでございます。
肥田分科員 恐らくこの議論の中で、国民の利便性とか経済性とかいうことが念頭にある方々がそういう発言をされると思いますけれども、私は、もし規制改革会議が利便性をとおっしゃるならば、むしろ要処方せん薬を薬剤師の管理のもとで薬局で販売できるようにした方がよほど国民のニーズに合っていると思うんですよ。最近の薬に関する一連の規制改革の流れというのはどうも変だと思うんですけれども、率直に、いかがですか。
小島政府参考人 薬を販売しているジャンルというのはたくさんありまして、医療機関で出しているところもあります。それから、医療機関の指示薬で、薬局が出すところもあります。それから、薬局で売られております一般薬、それから一般のドラッグストアというところで売られているものもありますし、あるいはまたコンビニで現在医薬部外品として売られているものということでございまして、それぞれその関係者の方はいろいろな供給者側としての利害というものはあるんだと思いますけれども、私どもとしては、国民の利便性も含め、先ほど申し上げましたような国民の健康と生命の保持、保健衛生上の観点から、どういうふうにして医薬行政を進めていったらいいのかということを常に考えながら、医薬品の提供体制というものを考えていくべきだというふうに考えているわけでございます。
肥田分科員 最後に、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 先ほども力強い御答弁をいただきましたが、現在、経済効果の視点から規制緩和の大合唱が行われております。その流れに逆らうということになれば、それこそ抵抗勢力だと言われるわけでございますけれども、なおしかし、薬事法には、その目的を、有効性、安全性の確保のためには必要な規制を行うとはっきり書かれております。このたがが外れましたら、私は、恐らく人の命を守るそのすべがなくなると思うわけです。
 ですから、国民の健康を守る厚生労働省は、医薬品の規制緩和の主張につきましては、消費者保護の立場から毅然たる態度をとっていただきたいと思います。これは、業界の既得権云々という小さな話じゃないと思うんです。ですから、ぜひ大臣に、今こそ怒りを込めて厚生労働省のしっかりしたお考えをお述べいただき、そして決意をお伺いしたいと思います。お願いします。
坂口国務大臣 先生にそう言われますと、またむらむらと燃え上がってくるわけでございますが、余り燃え上がってもいけませんので、冷静にお答えをさせていただきたいと思います。
 先ほども申しましたとおり、規制改革というのは、経済の生産性を上げるということが中心であって、それ以外のことをやったからといって、日本の経済はよくなるわけではないと私は思っております。
 そして、いわゆる規制改革の名のもとに、国民の健康にかかわるところを大変多く挙げてくるということは、これはやはり方向が間違っていると私は思っております。医療の分野であれ薬の分野であれ、守るべきところは守っていかなければいけないというふうに思いますし、我々国民の健康というものを担当させていただいております省として、断固として守るべきところは守っていく、その決意でございます。
肥田分科員 ありがとうございます。
 頼りがいのある本当にはっきりした御決意をいただきました。ありがとうございます。終わります。
石井主査 これにて肥田美代子君の質疑は終了いたしました。
 次に、瀬古由起子君。
瀬古分科員 おはようございます。日本共産党の瀬古由起子でございます。
 きょうは、ハンセン病問題についてお聞きしたいと思います。
 まず、入所歴なき患者・元患者さんの問題です。
 らい予防法下で、ハンセン病にかかった人の中には、療養所に隔離収容されなかった人々がいます。入所歴なき者あるいは非入所者と言われている人たちでございます。この人たちも、国のハンセン病隔離政策によって厳しい生活を強いられてまいりました。どのような被害を受けたのか、その一部を御紹介したいと思います。
 Bさん、七十歳代で女性ですけれども、この方は、南西諸島の小さな島の出身です。この島では、戦前、患者の大収容が行われました。Bさんが発病したのは昭和四十年のころでした。Bさんのうわさは瞬く間に島じゅうに知れ渡り、夫はBさんに、療養所に行くか離婚するかと迫った結果、夫は幼い子供を連れてBさんのもとを離れました。厳しい偏見に絶望したBさんは、一時、青酸カリを飲んで自殺することまで考えました。
 結局、Bさんは、周囲の目から逃れるために、外から見えないように、茂みの中に六畳一間の小さな小屋を建て、そこで蟄居生活を送ることを決意しました。ふろもトイレも電気もありませんでした。人目を避けるために、昼間は外に出ることもなく、小屋の中に閉じこもった生活を三十年間、平成六年まで続けなければなりませんでした。Bさんにとって、偏見、差別から逃れるためには、他人と接することを避け続け、みずからを小屋の中に隔離するしかなかったのです。
 しかも、Bさんは、傷が原因で手の指の肉が腐り、骨が突き出すような状態になっても、差別を受け、治療を拒否されるとのおそれから、決して島の病院に行こうとはしませんでした。Bさんは、そこまで追い詰められた生活を強いられていたのです。
 Bさんは、現在、島を離れた今でも、周囲に病気のことが知れたら最後、これまでと同じような差別扱いを受け、家を追われるのではないかという不安におびえながら、細々と暮らしています。
 Cさん、この方は六十歳代男性ですが、この方が発病したのは三十七歳のころ、昭和四十七年でした。当初、一般病院で誤診され、不必要な胸腺切除手術を受けました。昭和五十年の夏、京大病院を受診して初めてハンセン病との診断を受けます。ハンセン病との診断を受けた以降、Cさんの明るく社交的だった性格は一変してしまいました。
 Cさんは熊本地裁の法廷で涙ながらにこう語りました。
 それはもう、ちっちゃいときに田舎で近所の方が連れていかれたときのことが胸に焼きついていますので、恐らくそんなことになるんじゃないかと思って、それだったら死んでおわびをした方がいいんじゃないかと思って、死のうと思いました。妻に話をしたら、私は大丈夫だからという温かい返事をもらいました。その後は妻が外で働いて、自分が家事をする生活です。妻が出かけると、内かぎをかけてじっと家の中に閉じこもったままでした。人が来てもじっとそれを耐えて、じっと返事もせずに閉じこもったままの生活でした。もし出て、後遺症の麻痺がありますので、それを見られるのが怖くて怖くて、それを見られたら、すぐわかってから保健所が来るかと思って、今でも思っています。京大病院に診療してもらうほかは、家の外に出ることはありませんでした。それから二十六年間、私の人生はまさに裏街道を歩いてきた人生でした。
 このような生活の一例でございます。
 大臣に伺いたいんですけれども、この入所歴のない人たち、まともな仕事にもつけず、年金や医療の保障もない、今なお苦しんでいる非入所者の被害について、熊本地裁では、
 社会の中で生活を送っただけに、より一層ハンセン病に対する誤った社会認識(偏見)により様々な差別的取り扱いを受けたこと、抗ハンセン病薬が保険診療で正規に使用できる医薬品に含まれていなかったことなどの制度的欠陥により、ハンセン病の治療が受けられる医療機関が極めて限られていたため、入所者とは異なり、医療を受けることすらままならなかったこと、及び、ハンセン病に罹患していることを隠して社会生活を送らざるを得なかったこと等により極めて深刻な被害を共通して受けた
これは平成十三年十二月七日付の「和解に関する所見」です。このように述べて、国の加害責任を認めております。
 入所歴なきハンセン病患者・元患者が隔離政策の被害者であるということは間違いないでしょうか。その点、もう一回確認いたします。
坂口国務大臣 入所なすった皆さん方につきましては、それはそれで大変な御苦労をかけたというふうに思っておりますが、入所されなかった皆さんは、また別な意味で御苦労をかけたというふうに思っております。
 私も、沖縄の入所されなかった皆さん方とお会いさせていただきまして、約五十名ぐらいお集まりいただいたでしょうか、皆さん方の御意見をお伺いしたところでございます。その皆さん方は、多くの方は入所されずにおみえになった方々だというふうにお聞きをいたしました。今、一部体験談をお読みいただきましたが、それぞれ大変な御苦労をされていることも十分に承知をしているつもりでございます。
 それで、平成十四年の一月二十八日に基本合意書に合意をいたしまして、そして、それに従いまして今日までさまざまな問題を手がけてきたところでございます。したがいまして、既に一時金として五百万ないし七百万の和解金もお支払いをしたところでございます。
 その他の問題につきまして、いろいろの御意見のあることも承っております。十分にお話し合いをしていきたいというふうに思っている次第でございます。
瀬古分科員 その話し合いが、この間いろいろされてきたんですけれども、実際には一年間、ゼロ回答が続けられてまいりました。そういう点では、本年一月二十日に開催された平成十四年度のハンセン病協議会が決裂したということでも、実際には厚労省が入所歴なき者に対する医療支援や経済支援等の恒久対策について不誠実な態度をとってきた。こういう点で、元患者さんや弁護団の皆さんたちは、いまだに結論を出さないというのはどんなものかと、このような怒りで、私も協議会に参加しておりましたけれども、本当にこれではだめだと思いましたね。
 特に、きょういらっしゃっていますけれども、木村副大臣がいらっしゃって、まず事務方で詰めてからというお話を何度もなさいました。しかし、はっきり言って、今までずっと事務方で詰めてきて、それで解決がなかなかできない、こういう場合にはやはり政治的な判断というのが必要だと思うんですね。これは、総理も早期解決という答弁をしていらっしゃいますし、また坂口厚生大臣も、今までこれについての一定の前向きの回答もしていただいていると思います。
 改めて、早急に厚労省自身が提案して解決のための努力をすべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
木村副大臣 おはようございます。
 今、瀬古先生から、先般の協議会、何か全体が決裂したというようなお言葉でございましたけれども、全体を決裂させていたわけでございますか。先生、あのときおられたから、全体決裂ということでよろしいんですか。いや、あれは全体決裂じゃありませんよ。(瀬古分科員「私は、この問題で言っているので、そんなことは言ってないです。今は非入所者の問題で言っているんです」と呼ぶ)
 さっきの先生のお話では、何か協議会全体が決裂するようなお話でしたから、とんでもありませんで、非入所者のところは、これは、入所された方々と非入所者の方々ではやはりそれなりの違いが当然ある、私はこういうふうに思うわけでございまして、その点は、確かに両者のそれぞれの意見が合わなかったことは事実かもしれませんけれども、それ以外のところでは、ちゃんと協議会ではお互いに合意に至ったところもあるわけでありまして、先生のように言われると、私もちょっと甚だ残念な気がいたしてならないわけであります。
 今の非入所者の点でございますけれども、入所によってある意味でいろいろな行動を制限された方々と、それ以外の方々との違いというのは当然あってしかるべきでございまして、同じというわけにはいかないのではないかな、私はこのように思えてならない次第でございます。
瀬古分科員 副大臣がそういう態度でいらっしゃるから、協議会に参加していた人たちが、本当に誠意が見られないということを言われたんですね。今、決裂ではないと言われたけれども、この協議会の中心内容は、例えば平成八年度以前の退所者に対する一時金の問題が一つありました。この問題だって、十四年度中に解決するというようになっていたのを、実際にはそれを放置してきたということで、実際、謝罪もされたんですよ、申しわけない、そういうふうにならなかったということで。
 そして、非入所者の問題。重要な問題は、実際にはほとんど詰まらなかったんです。そういう点で私は、もっと厚労省がそれなりの誠意を示してほしいというのがこの前の協議会でしたし、この協議会も延々と、本来もっと早くやる予定が厚労省の都合で延びてきたという経過もあります。だから、何が決裂したんだなんていう言い方は、そういう姿勢が物すごく多くの人たちを怒らせたんですよ。
 私は、ぜひ厚労大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、検討するというのは当然あり得るわけです、お互いに意見が違う。それから、入所者と非入所者が全く同じだと私も言っていないです。ある意味では、非入所者の場合の方が被害の度合いが大きいということだってあり得るんですね。
 ですから、それはそれぞれの状況に応じて検討しなきゃならないと思うけれども、しかし、いつまでも、一年間もずるずると協議をして、これからも協議をして、結論を出さないというわけにいかないので、そういう意味では、総理も早期の解決をと言っていらっしゃるので、ぜひこの点はもう一度、坂口大臣の御見解を伺いたいと思います。
坂口国務大臣 今副大臣が申しましたとおり、隔離をされていた皆さん方に対しまして、隔離をしていたがゆえに受けました皆さん方の苦労と申しますか、それによって与えた影響というものは、これは隔離をされた人とそうでない人との間でやはり違うんだろうというふうに思っております。
 ですから、今まで隔離をされていた皆さん方が社会に出られて、そして新しい事業をおやりになる、あるいは何かを始められるといったことに対しまして、今まで社会と断絶されていたわけでありますから、そこを何とか御支援するというふうな意味で考えようということになったんだろうというふうに思っております。それは隔離をされた皆さん方の問題でございますから、それと同じ論理でもって、隔離をされていない皆さん方にも同じようにというわけにはいかないんだろうというふうに思います。
 しかし、先ほどから申し上げておりますように、隔離をされていなかった人は、それでは隔離生活の外にあったから何も影響を受けなかったかといえば、それはそうではなかった、そこは私も思っているところでございます。したがいまして、そこのところをどういうお話し合いをしていくかということをこれからひとつお話し合いをしていかなければならない、こういうふうに言っているわけでございます。
瀬古分科員 先ほど私は、熊本地裁の「和解に関する所見」で述べましたように、実際には、社会の中で生活を送っただけに、より一層いろいろな偏見を受けて、差別的な扱いを受けていた、こういうケースもあるということをきちっと指摘していますので、その点は私は、一つ一つの実態をきちっと見て、ぜひ具体的に厚労省の側が積極的な提案をしていただきたいと思います。
 時間がありませんので、次に参ります。
 昨年、全療協が実施いたしました平成十五年度要求統一行動の中で、厚生労働省は、在園保障問題を中心に、生活全般について、皆さんの意見を謙虚に聞いて、十五年度の取り組みを考えたい、熊本判決後、作業部会及び協議会を通し、意識改革ができた、今後の課題も整理されてきた、基本合意書にうたわれた法的責任を踏まえ、確認事項に沿ってやっていきたい、不自由者棟配置の職員三交代勤務の問題など、入所者の看護、介護をしっかりやっていきたい、今後、試行して、不足する人員は十五年度に配置したいといった内容を約束されたと書かれていますけれども、間違いありませんでしょうか。
坂口国務大臣 昨年五月に行われました、全国ハンセン病療養所入所者協議会の平成十五年度予算要求統一行動の中で、国立病院部の担当者から、一つは、在園保障の予算に関しましては、平成十三年十二月のハンセン病問題対策協議会における確認事項を踏まえて要求をする、それから二番目として、熊本地裁判決以降、ハンセン病問題対策協議会や作業部会を通じて厚生労働省の意識改革ができ、今後の課題も確認事項という形で整理されてきたこと、三番目として、基本合意書及び確認事項を踏まえて最大限努力すること、四番目として、三交代制に関する増員については、試行結果を踏まえて検討していくという趣旨の発言を行ったところでございます。
 十五年度予算案におきまして、各園における人的体制の補完的観点から、夜間看護体制強化のための十三名の人員、それから社会復帰のための支援体制強化のためのケースワーカー等につきましても計上しているところでございます。
瀬古分科員 この十五年度予算案で、不足する人員はきちっと配置するということだったので、入所者の皆さんは大変期待していらっしゃいました。しかし、実際には、三交代の勤務の増員というのはわずか十人だったわけですね。
 そういう意味では、今厚労省の調査でも、不自由者棟への入居者というのは千七百六十五人にも達していて、そのうち重度の方は千七十三人、六割を占めているという状態ですね。
 本来、不自由者棟にいる方々は、強制隔離がなければ、家族のお世話を受けるとか、それから在宅介護サービスだとか施設サービスだとか、いろいろなことで介護されている方も多いだろうと思うんです。しかし、強制隔離の結果、今不自由者棟にいらっしゃる。こういうところで、今夜間の体制がないために、実際には、夜間にトイレで倒れても発見されないままということで、亡くなっていたというケースも見られる。
 何とかして急いで介護体制を強めてほしい、三交代がやれるようにやってほしいというふうになったんですけれども、基本合意書にうたわれた、文字どおり、法的な責任を踏まえた確認事項に沿った内容、そしてその確認事項には「社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保する」、こういう点で、この十名では到底体制はとれない、全国で十名ですからね。
 そういう意味では、これで約束された十五年度に配置してしまうんだ、三交代で足りない人数は、厚生省はこの十名で十分だと考えていらっしゃるんでしょうか。
木村副大臣 まず、ちょっと総論から申し上げますと、四千人ぐらいの入所者がおられるんですが、毎年二百人ずつ減ってこられているんですね、いろいろな理由がありますけれども。現在は三千八百人台です。職員の数は、二月一日現在の段階で四千百二十六人でございます。一対一以上の配置でございます。
 それで、十五年度予算につきまして、入所者数が減少しているわけですね。入所者数が減少しているんですが、入所者の医療、福祉の充実を図るための費用については、新規事項も含めまして、ほぼ前年同額ということで予算を確保しております。
 定員につきましても、全体が減っているわけです。入所者の方々が減っているんですが、当然定員削減はされているんですけれども、削減をされても、さらになお十名の純増を図っていることや、それは四十三名増員を確保しているからなんですね。
 ですから、実質上は、これは相当、分子と分母をはかりますと、ふえている。これはそのとおりだと、私はそのように思います。
瀬古分科員 副大臣のそういう認識だから、入所者の皆さんは怒っていらっしゃるんです。ああいう人たちがなぜ体が不自由になったのか、なぜ不自由になっても家族がそばにいないのか。これ、強制隔離の責任があるでしょう。体が不自由になっても、本来なら医療が施されるのを、ある意味では、園の中で強制労働だって行われたわけです。それで体を壊した人たちがいっぱいいるわけですよ。看護者と入所者の皆さんが同じ人数だから、それが何が多いんですか。私は、本来なら、そういう人たちが人間らしい生活をやろうと思えば、ある意味で必要なら二倍だって三倍になることだってあり得ると思うんですね。人数じゃそんなこと言えないですよ。少なくともこの施設は、一般の施設と違いますから、在園保障の施設として位置づけられているわけです。
 先ほど言われましたけれども、今年度、厚労省としては四十三人の人員増員要求をされたんですよ。しかし、国家公務員の削減計画、総定員法の中で三十三名が減らされて、結果として十人になった。私は、少なくともこういう施設については国家公務員の削減計画の中に入れるべきでない。本当に人間らしい生活を保障する、そういう医療保障体制としてきちんと人を配置すべきだというふうに思うんです。私は、財務省ともこの問題をやりました。定数削減から外せと、この施設は。こう言ったら、まあそこはなかなか難しいだったんですが、厚労省も人員を要求するのに腰が据わっていない、こう財務省は言っていらっしゃるんですね。私も聞いてびっくりしました。それを十名でよかったよかった、ふえているなんて、こんな程度の発想では、私は、本当の入所者の皆さんの今の思いとは一致していないと思うんですが、この点、大臣いかがでしょうか。
坂口国務大臣 各寮を私も回らせていただきまして、不自由棟に入っておみえになる皆さん方、そして、そこででき上がっております自治会の皆さん方の御意見をずっと私も聞きました。全部回ったわけじゃありませんけれども、五つか六つ回らせていただきましたので。
 その中で、やはり園によりまして随分状況が違うなというふうに思いました。皆さん方の御意見も、看護婦さんをふやしてほしいというところもございますし、介護人さんをふやしてほしいというところもございますし、あるいは人的な配置よりも、体制そのものをちゃんとしてほしいというふうにおっしゃったところもございます。そういうふうに、それぞれの地域によりまして、かなり皆さん方の御要望というものも違うと思います。建物そのものも、一軒一軒が別々に建っているのもございますし、それから、廊下続きで一つの病院のような形で続いていて、そして少ない人数でもちゃんと管理のできるところもございました。
 地域によってかなり差がございますし、それぞれの地域に合った要望におこたえをしていかなければいけないというので、先ほど申しましたように増員もしたところでございます。こうしたことを行いまして、そして体制を見ながら今後また検討してまいりたいと思います。
瀬古分科員 本来、ちゃんと医療保障、そして生活保障にふさわしい人員はどのぐらい必要なのかということを算定して、それで人を確保して三交代の試行などをやらなきゃならないのに、やってみてから、そして足りなければ後からと。こういうやり方そのものも、やはり、今の療養所の位置づけというのが、厚労省としては腰が据わっていない。ハンセン病の裁判があった。そして、判決を受けた後の対応としては大変まずい。そういう点では、ぜひ副大臣もよく今までの経過も勉強していただかないと、同じような対応をやったら本当に交渉の代表としてはふさわしくないというふうになってしまいますので、よくそこはかみしめていただきたい。
 時間がございませんので最後の質問に入りますが、お配りいたしました資料に療養所別のC型肝炎陽性者率が載っております。松丘保養園では二九%、三人に一人、栗生では二三・二%、四人に一人が陽性ですね。かなり高い陽性率になっています。これは、消毒もまともにされないまま注射の回し打ちなど、隔離政策がもたらした被害であることを私は示していると思うんです。この肝炎のウイルスで肝硬変や肝臓がん、これもしっかり調査をしていただいて、私が聞いただけでも現在肝疾患は三百三十三人と報告されていますが、これも大変多いんですね。
 そこで質問いたしますけれども、このC型肝炎の場合は、本人も知らないうちに悪化する、こういう状況もございますので、やはり検診体制の充実、そして治療の強化、こういうものが求められています。在園者に対しては、肝疾患政策医療ネットワーク施設の医師など専門家による治療と検診を療養所内で、希望する場合には、私は、最新の肝炎医療専門施設で診断、そして治療を受ける機会を保障すべきだと思います。その点はどうでしょうか。そのために医師の確保、最新鋭の医療機器の整備、委託医療費など人的、財政的措置を最大限確保すべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
木村副大臣 肝炎ウイルスの件でございますけれども、肝炎ウイルスの感染者に対しましては、従来から定期的な検査、健康指導及び治療を行っているところであり、さらに平成十五年度予算案におきまして、国立病院・療養所の肝疾患政策医療ネットワーク施設からの医師の招聘経費を新たに計上いたしておるところでございます。また、検査機器も必要な更新を行っているところでございます。
 さらに、専門的な対応が必要な入所者に対しては近隣の専門病院への入院治療を行っているところでございますが、平成十五年度予算案におきましては、この経費の増額も計上しているところであります。
 今後とも、各療養所における肝炎ウイルス対策が的確に行われるように積極的に対応してまいりたいと思っております。
 それから、先ほど先生のお話の中で、私が何かハンセンの対策に関してまだまだ取り組みが足りないとおっしゃった御批判がありましたけれども、私の選挙区に大島の青松園があるんです。私は、小さいときからそういう青松園の方々の姿を見てきております。そして、十分にそういう方々の御苦労なり、目で見、話も聞き、また、私も父の秘書をしておりますときからずっといろいろな方々の御陳情を受けたり、それに対して対応してきたこともございました。先生からそのようなことを言われることは、私はありません。
瀬古分科員 大島の皆さんも含めて大変怒っていらっしゃいますので、その点もよく踏まえて今後対応していただきたいと思います。
 以上、終わります。
石井主査 これにて瀬古由起子君の質疑は終了いたしました。
 次に、古川元久君。
古川分科員 民主党の古川元久でございます。
 きょうは、大臣もいらっしゃるんで、年金の話を聞きたいと思ったりもするんですが、それはまた別の機会に譲りまして、ちょっと薬の話を中心にお伺いをさせていただきたいと思います。
 最近、大型のドラッグストアが全国各地にできてきて、小さい薬局から薬を買うというのからドラッグストアでというのがどんどんふえてきているわけなんですけれども、今の薬事法ですと、大型であろうとなかろうと薬局というところについては薬剤師を置かなきゃいけない、しかもその薬剤師が対面販売しなきゃいけない、そういうことになっているというふうに聞いております。
 これだけ大型のドラッグストアがふえてきている中で、私らも行きますと、日用雑貨品なんかと同じように薬なんかも並んでいたりして、余りほかのスーパーなんかと変わらない雰囲気になっているわけですね。たくさんのお客さんもいる。
 ああいう中で、今の薬事法が規定している、薬剤師を置いて対面販売をするということがきちんと守られているのかどうか、その辺についてどのように把握しておられるのか、ちょっとお教えいただけますでしょうか。
小島政府参考人 医薬品につきましては、一般の医薬品においてもやはり重篤な副作用が生じることがある、相談や情報提供が必要だということで、薬剤師を常時必置ということで指導をしております。
 私どもは、都道府県にお願いして、薬局あるいはドラッグストアにどのくらい薬剤師さんがおられるかどうか調査をしているんですが、やはりドラッグストアの方では一七%ぐらいは薬剤師がいない場合があるということでございまして、これにつきましては、さらに都道府県に対しまして指導あるいは指導のための私どもの助言をしているという状況でございます。
古川分科員 これは、いないのはよくないんですよね。そのいない一七%というところを指導するというのは、それで指導に従わなかったらどうなるんですか。
小島政府参考人 最終的には薬事法違反になるわけでございますが、いろいろな事情がありまして、行ったときに、そのときたまたまいなかったというところもあるので、常にいないかどうかというのは確認できないわけなんです。そのために、常時対面相談ができるようにしてほしいということで、ドラッグストアとか薬局を指導しているということでございます。
古川分科員 少し質問の角度を変えてみたいと思うんです。
 そもそも、今の制度、薬剤師を置いて対面販売という、こういう制度ができたときに、今のような大規模なドラッグストアというものは予想していたんでしょうか。
小島政府参考人 昭和五十年に対面販売の通知を出しておりますので、そのときにもうドラッグストアはあったと思いますが、しかし、今ほどとは予想はしていなかったんじゃないかというふうに私は考えております。
古川分科員 昭和五十年ということですと、普通に私たちが小さいころにあれした薬局、カウンターがあって、そこに白衣を着た人がいて、お客さんがそんな百人も詰めかけるんじゃなくて、一人ずつ来るような、そういう小さいところの薬局を多分前提にした規定だと思うんですよね。今のお話で、ドラッグストアがふえて、薬剤師がいないところが一七%もあるというような結果が出てくると、この現状においてもこういう規定のあり方で、そのままでいいというふうにお考えですか。
小島政府参考人 先ほども申し上げましたように、医薬品につきましては非常に気をつけて使っていただかなきゃいかぬということもありますし、消費者のサイドに立ちましても、医薬品を購入するときに専門家にいろいろ相談をしたい、あるいは情報提供をしてもらいたいというふうな方も非常に多くいらっしゃると私は思います。
 それから、患者の求めがない場合であっても、やはり一般用医薬品につきましては、過剰使用による有害事象あるいは他の医薬品との併用による相互作用による健康被害等々があるわけでございまして、そういったものについては、むしろ消費者に対しても積極的な情報提供を対面販売ということで行っていく必要があると考えておりまして、やはりこの線は、医薬品を販売する限りはなかなか崩せない線じゃないかというふうに私は考えております。
古川分科員 そうであれば、今みたいに現実に機能していないような状況がそんなにあるというのは、やはり放置できないんじゃないですか。それを、なぜ指導というその程度の状況でとどめていらっしゃるのか、そこの理由をお教えいただけますか。
小島政府参考人 ドラッグストアの方、供給側ともいろいろ相談しておりますし、供給サイドとしますと、薬剤師さんを雇いたくてもなかなか雇えない等々、それから、もっと効率的な消費者に対する情報提供とか相談とかいうやり方ができないかとか、いろいろなことを考えておられるし、私どもももちろん対面販売という原則を崩すことはできないんですが、むしろ重要なのは消費者の利便というか安全性、健康の保持、保健衛生上の問題だというふうに考えておりまして、それに対してどうやって対応していくかということで、都道府県に指導をさらにやってもらうことはもちろんでありますけれども、薬剤師さんの確保の方法あるいは他の代替手段がどのくらい可能なのかというようなことも検討していかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えているところでございます。
古川分科員 そうすると、この今の制度というのは、目的はあくまでも薬を買う消費者の立場に立って、その人の安全や健康に被害を及ぼさないように、そのためですよね。ですから、その法目的といいますか、もともとの目的が達成されるんであれば、逆に言えば対面販売は、今も言われたように、薬剤師の確保がなかなか難しいというところを、そこのところが担保されるほかの方法があれば、今後そんなにしゃくし定規に解釈しないでもいいというふうに理解していいわけですか。
小島政府参考人 今の段階では、やはり、先ほど申し上げましたように、消費者の立場に立った供給体制の確保ということになりますと、専門家の薬剤師による常時対面販売ということ以外に今のところはちょっと考えつかないというのが状況だということでございます。
古川分科員 では、例えばそこの対面のところなんですが、対面というのは、直接顔を見て、まさに触れ合うようなそういうところにいなきゃいけないのか、あるいは、例えばテレビ電話みたいなもので、遠隔にいてもちゃんと相手の表情がわかる、そういうような形でもいいのか、そこはどうなんですか。
小島政府参考人 先ほど申し上げましたように、消費者からの相談の依頼というのもありますし、消費者が相談しなくても、やはりこちらから積極的に情報提供というものをしなければならない場合もあるということで、テレビ電話等の情報通信機器がどのように用いられるかというのもまたあると思いますが、基本的にはそれがどういうふうな効果を果たすかということの検討になるんじゃないかというふうに思います。
古川分科員 今の答弁だといいのか悪いのかもよくわからないんですけれども。
 それでは、状況によってはいい場合もあるということですか。
小島政府参考人 今のところは、テレビ電話というのは考えておらないということでございます。ですから、現時点では、テレビ電話がどういうものかよくわかりませんが、片方通行なのか、それとも双方通行なのか、いろいろありますけれども、今のところは、十分な情報提供、相談という観点からは、テレビ電話の導入というのは今のところは考えていないということでございます。
古川分科員 今のところはということは、今後は考えるということですか。
小島政府参考人 少なくとも、どういうふうなものがどういうふうに出てくるかというのは見守っていかなければいかぬと思います。
古川分科員 先ほど来の議論の中で、薬剤師を確保するのは大変だと。それで、実際に大型のドラッグストアなんかには存在していないところがあるということを考えれば、これは何らかの対策を考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれどもね。
 対面販売というのも、そこの患者に対してきちんとした情報提供ができるような、そういう環境が提供されるんであれば、極端な話、その場にいるということにこだわることにどこまで意味があるのかなという気もするわけなんですが、その辺で検討をしているんであれば、今後こういう問題について、消費者の利益と安全と健康を守るためにどういうふうにしていこうと考えていらっしゃるのか。
 今のお話を聞いていると、問題があると。かといって、いろいろな新しい試みに対しては、いやそれは今の制度ではという話では、何も今の状況はよくならない。消費者にとっても、便利でもなければ、また、本当に聞きたいときにいないかもしれない。いなかったら買えないわけですよね、そうしたら。
 ドラッグストアに駆け込んで、子供が熱を出した、薬を買いたいんだけれども、ああ、今薬剤師さんいませんから買えませんと、それでいいんですか。よくないですよね。
 今の状況があるんだったら、そして健康を守るということが最大の目的であったら、そのための環境整備をちゃんとすることは、そしてまた、時代に合った形にすることは必要なんじゃないですか。これ、大臣、どう思います、今のを聞いていて。
坂口国務大臣 私もドラッグストアをやっている皆さん方と時々話をすることがあるわけですが、その皆さん方のお話でございますと、いつも対面販売をできる体制をとろうと思うと、ドラッグストアの大きさにもよりますけれども、やはり薬剤師さん三人は要る、こう言うんですね。三人雇っておくということは現実問題として大変だ、だから、一人とにかく確保するということはあっても、二十四時間その人にやらすわけにはいかないという問題がある、そこをどうするかという話が常に出るわけでございます。
 いわゆる薬種商というのがございますね、もう少し薬のレベルを下げました、町の例えば歯ブラシや歯磨き粉と一緒に売っているというような。そういうふうな、売れるものだけに下げるか、それとも、いわゆる薬剤師さんがいなければだめなものを置くというんだったらそれ相応にちゃんとしてもらわないけないか、やはりそこを整理をしないといけないなというふうに、現実問題としてやっていけないという状況をそのままにしておくというのはちょっとなかなか難しいなというふうに思っているところでございまして、今先生のお話を聞いていて、そして議論を聞いていて、さらにそういう思いを強くしたわけでございますが、少し整理させていただきます。
古川分科員 今大臣からお話しいただきましたけれども、やはり昭和五十年とはもう明らかに状況が変わっているわけですよね。想定したような薬の売り方がもう今はされていなくて、多くの人たちがドラッグストアで、ほとんどの薬についてはよほどのことがない限りは聞かないで買っているわけです。私なんかも買うときはそうですけれども。それで、これをくださいと言ったときに、向こうが一々、あなたどうなんですかと言って、いや、あなたにはこれは合わないからこっちにした方がいいですよと言われた覚えは私はありません。多分、ほとんどがそうじゃないかと思うんですね。
 ですから、それは大臣が言われたように、そういう薬であれば、逆に言ったら、もう消費者が自分で選べるようなレベルにしてもいいんでしょうし。また、本当に必要なものについては、やはり今みたいに、いざ相談しようとしたらいないなんということで買えないということがあっても困るわけですし。で、また現実に、薬剤師さんをそろえるということも、これはやはり非常に困難も生じるわけですね。
 しかも、先ほど二十四時間と言われましたけれども、最近二十四時間営業みたいなところもだんだんふえてきて、そうなると、二十四時間確保しないと薬は売れないとなりますと、そうすると、夜中に何かで必要になって行ったら、いや、今薬剤師さんいませんから売れませんと。むしろ、急にそういう薬が欲しいような場合というのは、昼間だったら医者でもどこかでも駆け込めるんですけれども、夜中だとなかなか駆け込めないから、ちょっとした熱とか何かだったらそういう二十四時間あいているところへ行って買おうとすることはあるわけですから、そこのところに、いや、夜は薬剤師さんがいませんから薬は売れませんというのでは、これは一体何のためにこれを規制しているのか。
 今の規制の話は、そもそも消費者の立場、安全を守ったりとか、やはり消費者の立場での薬事法の規定だと思いますから、そう考えますと、ここについては、これまでのあり方をそのまま放置するんじゃなくて、やはり時代に合った形で見直しをぜひしていただきたい。それを、大臣からもぜひ、今のままの状況を放置しないように事務方にも督励をしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
坂口国務大臣 あいまいなままで置いておくということは、これは問題を残すことになりますから、御指摘いただきましたことを十分参考にさせていただきまして対応したいと思います。
古川分科員 ぜひよろしくお願いします。
 次に、よくアメリカなどでメルクマニュアルと言われるような、一般的に標準治療とか標準薬が大きな分厚い本になっていて、このメルクマニュアルは日本でもあるお医者さんがボランティアで訳されているようでありますけれども、一つの医療を行うに当たっては、大体こういう標準的な治療方法が幾つかあって、この病気であればこういう治療方法、で、こういう薬を使うんだというのが一つの形としてでき上がっている。一種の世界標準の治療、世界標準の薬という形で考えてもいいかと思うんですけれども。
 ところが、そういう治療法であったり、薬であったりというものが日本ではきちんと確立をされていない。例えば、治療方法なんかでも、日本だと、どこの病院のどの先生になるか。それこそ、大学の教授の系列によって、この先生だとこの治療法しかやってくれない、この薬は使ってくれないとか、こういう治療をやらないとか。日本の場合にはそういう意味での治療方法とか薬について標準的なものというものがきちんと整備されていないんじゃないのかなと。まだまだ私も今勉強中でありますけれども、そんな気がいたします。
 これは、日本が医療の分野で世界に誇れるというためにも、とりわけ患者さんの立場にしてみたら、最近よく海外に治療を受けに行かれる方もいらっしゃるわけですね。日本ではその治療が受けられないからということで海外に行く。しかし、日本の国として一番ベストな治療を日本国民に対して日本国内で提供するというのは、やはりこれは国としての役割じゃないかというふうに思うわけなんですけれども。
 この標準治療、標準薬と言われるようなものが、世界的に認められているものと日本とでは、薬なんかだと、ある一つのデータなんかだと三割ぐらい使えないものがあるとか、そんなようなことがあったりするみたいですけれども、このギャップの大きさ、こうした状況について大臣はどのように認識しておられますでしょうか。
坂口国務大臣 最近、厚生労働省におきましても、EBMと申しますか、根拠に基づいた医療というのをやっていかなきゃならないというので、さまざまな病気、さまざまな病気といいましても、代表的な病気につきまして、現在の世界的な病気に対する治験、治療方法、主たる治療方法、そうしたものを整理をいたしまして、そして医療関係者にもそれを見てもらう、医療関係者だけではなくて、国民の皆さん方にもわかるような形にして、国民の皆さん方にも見ていただくという形で今進めているわけでございます。星の数ほどある病気の中でまだ二十疾病ぐらいに限られているわけでありまして、しかし、最近、各病気といいますか、各医療従事者の団体、それが学識団体のことが多いわけでございますが、例えば循環器系なら循環器系の学会、そうしたところが中心になりまして、自分たちの関係しているところのをつくろうという動きが出てきておりまして、そしてつくり始めていただいておることも事実でございます。
 そういうふうにして、少なくとも主な病気につきましてはそうしたことが国民の側からも見られる。そして、もちろん医療従事者はそれを見て、その中にどういう論文が存在をして、その論文を引けばその論文も出てくるということにすれば、これは大きな進歩になるというふうに思っておりますし、急ぎたいというふうに思っているところでございます。
 今お話しございましたメルクマニュアルというのも、多分、私は余りはっきり知らないんですけれども、それに近い、それをより具体的にしたものだというふうに思っております。そうしたものをこれから整理をしていくということが、よい医療を国民に提供するという意味で基本的なことだというふうに思っておりまして、我々としましても急ぎたいというふうに思っているところでございます。
古川分科員 これは、私は本当に、その急ぎたいというのが、思いだけじゃなくて、具体的な形として日々見えてこないと、やはりそういう治療とかあるいは新薬の使えるのを待ち望んでいる患者さんたち、たくさんいるわけですよね。
 実はきのう、リューマチの患者団体の方からちょっとお話を、党として何人かの議員でお伺いしたんですが、こんな話を聞きました。今リューマチについては、アメリカあたりで非常に普及している生物製剤が、非常によく効くというものがもう何年も前から使われていて、私も去年ちょっとアメリカに、暮れに出張しましたときに、向こうの新しい薬を使っている方とお目にかかりまして、向こうのリューマチ患者さんの実態というものをちょっと知ったわけなんでありますけれども。日本のリューマチの患者さんといいますと、関節が破壊されてしまったりして人工関節を入れたり、あるいは手が曲がったりしちゃって動かないというような、外形的にも非常に不便だろうなと感じるようなことがあるわけなんですが、アメリカの私がお目にかかった患者さんは、その生物製剤を使われて、それは週二回、自分で自己注射するというものだったんですけれども、外から見るとリューマチだということが全然見えない。非常に元気で、その方なんかは、私はこの薬を使うようになってから劇的に生活が変わった、それまでは一人で起き上がることもできなかったのが、もう今では起き上がれて、ついこの間も自転車の二十キロのロードレースに出てきたところだと言うぐらいに、健常者以上に元気なぐらいになっていた。
 そういう目覚ましい成果も出るような薬が、もう何年も前にアメリカでは承認をされて使われている。それを日本では、今現実に自分で輸入をして、物すごい負担をして使っている人たちもいるようなんですけれども、ほとんどの人はそれが日本国内で認可をされて使えるようになることを待ち望んでいる。
 ところが、そういう中で、多分大臣も、去年の年末にリウマチ友の会の方から、リューマチ薬の早急な認可のための要望書というのをもらわれたと思うんですが、そういう中で、もうそろそろ新薬が、今申請しているものもあるようですから、承認されるかなと思っていたら、承認がいろいろな意味でおくれている。それによって、新薬が使えると思ってずっと我慢して頑張ってきた人が、まだまだ当分使えそうにないなというのがわかって、二十五歳のある女性の患者さんが、それで、張り詰めていた糸がぷつんと切れて、二月の上旬だったらしいんですけれども、御自分で命を絶たれてしまった、そんなことがあったそうなんですね。
 やはり皆さん、すごく期待をして、まだかまだかというふうに思っている、待っていらっしゃる。これはリューマチの例でありますけれども、ほかのいろいろな薬も、やはりそういう患者さんたちが多いと思うんですね。ですから、早く早くと、早くなるように検討していきます、それは役所としての立場はそうなのかもしれませんが、そういう中で、本当にもうあと一日、もう一日早ければと思う人たちが世の中にはたくさんいらっしゃるわけでありまして、やはりそういうことを考えますと、ただ早急にやっていきますと言うだけではなくて、もう少しそういったところは具体的に、ああ、これだけ世界との差が詰まってきたんだなというものが日々見えてくるぐらいの、それくらいのスピードで急いでいただかなきゃいけない状況じゃないかなというふうに思いますけれども、その点については、これは大臣としてぜひ、ただ今のペースをというんじゃなくて、もっともっとこれは急ぐように、いろいろな意味で事務方に指導をしていただきたいというふうに思います。
 時間が限られてきていますので、それとの絡みでもあるわけなんですけれども、先日、要するに新薬の承認なんかをスピードアップするためにもということで、大規模治験ネットワークを施行しようということが予定されているということを聞きましたけれども、これは私は非常にいいことだというふうに思います。ただ、現実に、そういう治験をする医者や医療機関の側で、こういうものをちゃんと受け入れてやっていけるような、運用面での問題というものは解決できているのかどうか。私の同僚議員で大臣と同じようにお医者さんの議員なんかに聞きますと、今の医療環境の中では、医者にとって治験をやることは何のメリットもない、忙しい中でますます忙しくさせられるだけで、何のメリットもないと。これで、役所の方から、やります、こういうネットワークをつくりますからと言って、じゃ、それで本当に医者がやるのか。また今度は、医者主導の治験も認めるようになりますと。制度はできても、本当にこれが動くのかどうか。
 やはりこの点がきちんと確認をされて、そこについてもちゃんとこういうふうに出すから大丈夫ですというものが示されないと、一応枠はできました、で、やれるようにはなっています、でもだれもやらない。実際には、じゃ、その治験をするときの費用負担はだれがするのかという問題もあいまいなままでは、これは仏つくって魂入れずじゃないですけれども、治験の体制はできましたといっても、これは何も進まないんじゃないかなというふうに、この運用面とか費用負担の面で非常に私は危惧を感じるわけなんでありますけれども、その点は大臣、どうですか、御認識は。
篠崎政府参考人 御指摘でございますので、私の方から少々具体的なお話を申し上げさせていただきますと、全国治験活性化三カ年計画というのを、文部科学省と連携しながら今進めようということでございます。
 それで、御指摘のように、なかなか医者の方から見てインセンティブが働かないんではないかということでございまして、それを幾つか分析しまして、私どもとしては次のようなことを考えているわけでございます。
 一つは、治験にかかわるお医者さんの負担を軽減するため、お医者さんが全部が全部いろいろな事務的なことをするのも大変でございますので、そういう負担を軽減するため、治験業務に協力する治験コーディネーターというのを今養成しておりますが、現在までのところ五千人ほど養成をしております。看護師さんですとか薬剤師さんなんか多いんでございますが、そういう治験コーディネーターの養成。
 それから、治験にかかわった場合に、その治験の事業そのものがそのお医者さんの業績の評価になるように、あるいは研究費が効果的に配分されるですとか、そういう具体的な医者に対しての対策も考えております。
 それから、患者さんの方が治験になかなか参加してくれないということがございますので、治験に参加しやすい患者の環境づくりをするという意味で、いろいろシンポジウムを開いたり、あるいはインターネットで具体的なことを説明したり、これはやはりボランティア的な精神が一番大事でございまして、また、本人にとっては一番先に受けられるというメリットもございますので、そういうことも含めた患者側の対応も考えております。
 それから、薬事法の改正によりまして、医師主導のことができるようになりましたので、先ほどの先生の前半の御質問でございますけれども、製薬企業の論理ではなくて、そういう医学の成書に書いてあるようなものを医者主導で治験に持っていけるように、そういう制度を活用するべくやりたいということでございます。
 失礼しました、先ほどのは、現在は二千人でございまして、五千人の養成を目指すということでございました。
 そういうような対応を考えながら、きめ細かに医者に対してそのインセンティブが働くように努力をしておるところでございまして、先生御指摘のように、これからも緊密なあるいは緻密な、そういう対策を進めていきたいと考えております。
坂口国務大臣 最初の方の、認可の方の話でございますが、リューマチというのは、どういうわけか女性に多いわけでございます。リウマチ友の会というのがございまして、私もその会の皆さん方とずっと前から懇意にして、いろいろお話をしているわけでございます。
 リューマチというのは、これはそのままほうっておきますと、いわゆる関節が固まってしまいまして、寝たきりになる一つの要因になっているということでございます。また、本人にとりましては、ただ関節が動かなくなるというだけではなくて、痛みを伴うわけですね。これがまた耐えがたいわけであります。何とか早くしたい。友人にもリューマチ専門にやっておる医者がたくさんおりまして、これらからもいつもまたしかられるわけでございます。大変私も、ここを危惧している。
 局長にもいろいろ話をいたしておりますが、どういう薬を早く日本として承認しなきゃいけないか、どういう薬はじっくりやっていかなきゃならないかということを、もう少しオープンに議論をしてもらう場をつくろう。そして、専門家も入れて、これはやはり早くやろう、半年なら半年でこれはもう認可をしようというふうに、何かよく皆に見える形で決定をしていくというふうに、ちょっと機構を変えていかなければいけないと実は思っております。もちろん、薬剤師さんの専門家の皆さん方もそこではやっていただかにゃなりませんが、そのほかの専門家の人たちもそこに少し入りまして、そして、急ぐもの、急がなくてもいいもの、急ぐものだったら、その諸外国の、先進国で使われておりますものについては、どこまで日本の国の中でもう一度チェックをすればいいのかといったようなことにつきましても、少し見直しをしたいと実は考えているところでございます。
 きょうは御指摘をいただきましたので、参考にしながらやっていきます。
古川分科員 ぜひ、今の大臣のお言葉、具体化していただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
石井主査 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。
 次に、大森猛君。
大森分科員 日本共産党の大森猛でございます。
 私は、この間、リストラ問題と長時間労働、あるいはサービス残業の問題など、いろいろな角度から取り上げてまいりましたけれども、きょうは、重大労働災害について質問をしたいと思います。
 とりわけ、今、九〇年代半ば以降、重大労働災害が、減少どころか、増大の傾向すら持ってきていることを私は重視すべきではないかと思います。
 鉄鋼大手六社、ここでは、一九九四年に労働者が十一万人体制から、二〇〇一年で五万九千人と、半分近くに激減して、一方で、粗鋼生産量の方は、六千七百八十七万トンから七千二百五十五万トンと、四百六十八万トンもふやす。一人当たりの生産量でいいますと、約二倍にも伸びているわけですね。
 その鉄鋼で今どうなっているかということなんですが、鉄鋼連盟自身が昨年の十月に、「金属精錬業の労働災害撲滅活動の現状と対応について」、こういう文書を出しました。その中で、重大労働災害発生状況について、重大死亡事故は毎月発生し、「八月二十三日〜十月三日までの一ケ月強の間に八件と急増」「安全に関する非常事態といえる状況」「百万労働時間当たりの死亡災害の発生件数を示す死亡度数率では、過去最悪となっている。」としているわけですね。ですから、こういう状況で、経済産業省も、極めて異例の、鉄鋼連盟に対する要請書まで出しているような状況であります。
 産業全体でも、死亡者数は確かに減少はしておりますけれども、製造業でも、労働者激減の中で、度数率や強度率、こういう面でいえば、横ばいあるいは増加傾向にあるわけであります。
 こうした重大死亡事故、こういう労働災害の真剣な分析を行って、その再発を防ぐということは、厚生労働省を初めとして、これは政府の重要な責任であると考えるものであります。
 そういう立場で、まず大臣にお聞きしたいわけなんですが、企業における安全問題、これは、何にも優先して、安全確保のために必要な人材と経費をきちんと確保するということが極めて重要であると思いますけれども、大臣の御見解をお示しいただきたいと思います。
松崎政府参考人 その前に、ちょっと現状の御説明をさせていただきたいと思いますけれども……(大森分科員「いや、大臣でいいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。
石井主査 指名しましたから、どうぞ。
松崎政府参考人 本当に、今先生がおっしゃるように、死亡災害そのものは、おかげさまで減ってきておりますけれども、御指摘のように、三人以上の重大災害というものは減っておりません。これは、御指摘のように、人員削減とかそういったものが進む中、さらに、仕事の進め方でありますとか組織の再編、そういったものが進む中で、今まで本当に企業の中で安全衛生のプロとして活動された方を中心としてきた安全管理体制といったものが、少しおろそかになっているんじゃないかということは、御指摘のとおり、私どもも非常に懸念しております。
 そういったことで、来年度、四月から始まります第十次の労働災害防止計画におきましても、この点を最重点といたしまして、組織が変わったりしましても、こういった安全衛生のノウハウ、そういったものがきちんと伝承されていくようなシステム、労働安全衛生マネジメントシステムといったものの定着普及、そういったものに努めようということで、事務的には進めておるところでございます。
坂口国務大臣 企業の方が、労働生産性を上げなければ諸外国と対抗できないと思うのは、それは私は当然だというふうに思っております。
 しかし、その労働生産性を上げます場合に、労働人口を、働く人たちを減らして、そして今までの設備のままでやっていこうということになれば、残った人たちに過重な状況が起こることは当然でございます。それは、私は、本当の労働生産性を上げることではないと思っています。設備投資等を行って、そして、より効率的にしていくということを行わなければ、いわゆる、人を減らして、そのかわりにその人たちに長時間労働をさせるということでは、決着のつかない話だというふうに思っております。現在の状況を見ておりますと、若干、その傾向なきにしもあらずというふうに、率直に私もそう思っている次第でございます。
 したがいまして、そこは直していかないといけない。我々も、そこをどう改善していくかということを、厚生労働省の中だけで話をしているだけでは済まないことでございますので、経済産業省ともよく連携をしながらやっていきたいというふうに思っております。
大森分科員 御答弁にありましたように、労働者の安全と健康を守ることを企業における最優先事項の一つにすると。これは防止計画の中にも既に盛り込まれていることでありますけれども、単に厚生労働省だけではなくて、政府全体の姿勢として、これは本当に貫徹をしていただきたいと思うわけであります。
 そこで、特に最近、事故が連発しております千葉県の川崎製鉄の問題について、具体的にお聞きをしたいと思います。
 千葉県の川崎製鉄では、昨年ですが、六月、七月、九月、十月、十一月と重大労働災害が続いて、昨年だけでも五名の労働者が亡くなっております。これが、リストラによる熟練労働者の早期退職の増大、現場での極端な人員不足から、どういう人員配置と労働状況のもとで引き起こされているかということを明らかにして、質問をしたいと思うわけなんですが、まず最初に、厚生労働省の方に、休憩を定めた労働基準法三十四条についてお聞きをしたいと思います。
 三十四条は、「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。」としておりますが、例えば、六時半から十四時半までの労働時間、実労働時間は六時間超でありますけれども、就業規則上は四十五分の休憩時間が定められているにもかかわらず、これが全部とれない。食事も、十四時三十分以降の終業時以降に、いわば残業をしてとらなくちゃならないという状況は、これは明らかに労基法三十四条違反と考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
松崎政府参考人 今の御質問のように、労働基準法三十四条には、おっしゃるとおり書いてございます。したがいまして、労働時間が六時間を超える場合に十五分しかとれないということであれば、これは三十四条違反ということになります。
大森分科員 私も、千葉製鉄所で、いろいろ現場の労働者から訴えを聞いてまいりましたけれども、実際、そういう状況があるわけですね。とにかく、最悪の場合には、先ほど言いましたように、もう十四時半までにとれないということで、残業時間としてその場でとるとか、あるいは、十五分しかとれないとか、食べながら仕事をしなくちゃいけない、そういう状況が常態化しているわけですね。
 ですから、ある職場では、だれかが指定休あるいは年休、病休をとると、トピード操作と予備処理を交互に行いながら、タイミングを見て食事をするという大変な状況が今あるわけですね。十五分ぐらいしか休めないという状況は違反だということであれば、これはもう直ちに是正するよう指導などを行うべきだと思いますが、いかがですか。
松崎政府参考人 ただいま申し上げましたのはまさに法律上の規定でございまして、六時間以上の労働時間がある場合には四十五分ということになっているということを申し上げたわけでございまして、実際に臨検監督を行うに当たりましては、労働基準法の中には申告制度というものがございますので、具体的には働いている方等からきちんとその実態がわかるようなものをお示しいただきたいということをお願い申し上げます。
大森分科員 私が調査をして、今、国会という場で、その事実を明らかにして、調査をしなさいと言ったわけでありますから、それはぜひ調査をしていただきたいと思います。監督指導を行っていただきたい。再度、この点は答弁を求めていきたいと思います。
松崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、臨検監督、こういったものはいわゆる監督官の権限として行うわけでございますので、これは慎重に行われなければならないというふうに考えております。
 したがいまして、こういうところできちんとした実態というものが明らかになるようにしていただきたいということを、特に働いている方等から具体的にわかるものをお示しいただきたいということをお願い申し上げます。
大森分科員 局長がそういう答弁をするんだったら、私はあえて聞きますけれども、あなた方は、今回事故がどのぐらい起こったと思っているんですか。死亡事故自体が大変重大な事故でしょう。それが六月に起きて、その後何件起きたんですか。連続して発生しているわけでしょう。その都度皆さん入ったわけでしょう。そういう事実もつかんでいないんですか、私がここで言うまで。労働者が申告しないとわからないわけですか。何言っているんですか。あなた方、そういうことを調べなかったんですか。勧告もしていないんですか。何のために調査に入ったんですか。絶対認めがたい、そういう答弁は。何言っているんですか。何回監督指導に入ったんですか。
松崎政府参考人 御指摘のように、川崎製鉄の千葉製鉄所におきましては、今手元に詳しいあれを持っておりませんけれども、死亡災害を含めまして重大な災害というものが多発したことは事実でございます。
 したがいまして、こういった事態を踏まえまして、当該事業場に対しましては、所轄、これは千葉労働局でございます、また所轄の監督署、これが合同になりまして、例外的なことでございますけれども、重点的な監督指導を逐次行っております。
 したがいまして、その中で、中身についての詳細は申し上げられませんが、安全管理体制の確立でございますとか、機械設備の改善、必要な労働災害防止対策の徹底、そういったことについて指導を行っているというところでございます。
大森分科員 確かに、事故が起こった現場では一名労働者がふえました。しかし、もともと、例えば三チーム四交代で、数年前までは二十四人の一つのクルーが、現在はそれが九人になっている。大変な状況なわけですね。それを一人ふやしたからといって、こういう三十四条違反の状況が解消されない、そういう状態が引き続き続いているわけですよ。
 ですから、これは、今までの監督指導に入った、そういう調査をもとにきちんとした厳正な対処をすべきだと思いますけれども、これは大臣には申し上げていなかったんですが、あえて私は大臣にこの点をお聞きしたいと思います。
坂口国務大臣 川崎製鉄におきましては、重大な事故が続いているということは聞いておりまして、そして、特別にこの川崎製鉄に対しまして調査を行うということも聞いておりまして、現在、既にそれは行っているというふうに思います。しかし、具体的に、休憩時間が十五分だとかなんとかというような話をお聞きしたのはきょう初めてでございます。
 先ほど申しましたように、人を働かすためにはそれなりのルールが必要でありますし、それを守って初めて会社も会社としての責任を果たすことができるわけでございますから、そこのところは十分に、私たちも会社に対しまして言うべきことは言っていきたいというふうに思っております。
大森分科員 今、大臣が答弁なさいましたように、ルールがある。これは、ルールの基準というのは、労働基準法の最初にありますように、これはあくまでも人間としての働き方をきちんと保障するということだと思うんですね。食事も与えないような労働形態というのは、これはもう労働基準法にそういう面からも真っ向から反するものだと思います。
 この点が、どうしてこういうことになっているかというと、それはもう言うまでもなく、極限を超えた人減らしがどんどん行われているからであります。川崎製鉄の場合、一九九〇年、五千二百人、これが十年間で二千八百人と、同じく半減しているわけですね。
 ですから、食事交代要員、例えば、同じ鉄鋼でもNKKやら新日鉄などは、要員協定で二〇%、五人に一人の率でこれは盛り込んでいるわけですね。あるいは新日鉄では、欠補要員、欠員補充要員も一定の算定基準を示しております。NKKでも、調整人員ということで全所基準人員の二%、こういうものをきちんと協定しておるわけですね。
 ところが、この川崎製鉄ではそういう協定がない。ですから、歯どめなき人減らしがどんどん進められるということになっておるわけであります。しかも、川鉄は今後、NKKとの経営統合、持ち株会社JFEホールディングスの設立に当たって、新たに七千人の大リストラが予定されております。
 数土文夫社長というのは、グローバル化への対応ということで、いろいろなところでいろいろなことを述べておられますけれども、例えば、これはあるところの講演なんですが、「グローバル化の本質とは弱肉強食、つまり資本主義の競争原理そのものです。」「ヨソから「弱い者に何をするんだ」と言われようが、問答無用です。弱肉は食べられてしまい、強者のみが利益を得る権利を持つ。これがグローバル化の原理原則、真髄だという認識を持たなければなりません。」こういう趣旨をあちこちでしゃべり、新入社員の社長講話の中でもこういう趣旨のことを述べておられるわけですよ。
 これは、大臣が冒頭に答弁された中身とも明らかに反する。こういうもとで、安全を無視した、経営効率一辺倒の人減らしが行われ、その結果、もうここでは六年間で十一人亡くなっているんですね。本当に大変な状況があると思うんです。そういう意味でも、きちんと安全確保のための人員を配置するというのを具体的に示す必要がある。
 小泉首相は、この国会での本会議で、我が党の質問に対して、年休完全取得前提の業務計画作成も重要だと答弁されているんですね。そういう意味で、この小泉首相の答弁をも具体的に各面で生かしていくという立場から、安全確保のためにも、この川崎製鉄所に対して、要員の確保等あるいは要員協定などを結んでいくということを、何らかの形で企業に対して勧奨など行っていくべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
松崎政府参考人 川崎製鉄に対しましては、先ほど御説明申し上げましたように、特に今要員の関係のところで申し上げますと、安全管理体制の確立ということで、またこれは具体的にどういう要員体制になるのかといったことまで私どもは指導できる範疇ではないと考えております。
 そういった中で、企業の中で、働き方、仕事の進め方、一番よく知っておられる労使がよく相談して、また安全管理体制を確立していただきたいということをお願いしたところでございます。
大森分科員 経済産業省でも、先ほど言ったような文書で、非常に簡単な中身ではありますけれども出しているわけですよ。労働者の健康、命、暮らしを守るべき厚生労働省が、ぜひそういう面でもきちんとした対応を個別にもやっていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。
 次に、私は、リストラの大規模な拡大の中で起こっている問題として、サービス残業の問題、この問題の質問に移りたいと思います。
 この間、我が党議員団もサービス残業の問題は本当に懸命に取り上げてまいりました。私も、一九九六年に初めて当選して以来、労働委員会に所属する。当時から、一方ではリストラが荒れ狂う、一方ではサービス残業が蔓延をするという中で、このサービス残業問題については特に心血を注いで取り組んできたところであります。
 国会でも何度となく取り上げてまいりましたけれども、使用者の労働時間の把握と管理、これが今の労基法上、明文規定がないんじゃないかという点で大分論争をしたわけなんですが、当初は、当時は労働省ですが、労働省の方は、それは労基法上の当然の前提になっているということでなかなかこの点が認めていただけなかったんですけれども。
 しかし、その後、それと立法の面でもサービス残業根絶法案、こういうものも私ども準備をいたしました。この点でも、当初、立法化の検討の段階で法制局などから、立法化になじまないんじゃないかというようなお話もありましたけれども、いろいろ議論をする中で、サービス残業根絶法案、こういうものを衆議院に提出してきました。そういう中で、一昨年四月に、私どもが提出した法案の内容が相当数盛り込まれたいわゆる三三九号通達、これが出されて、さらにその後一年半、一昨年の四月から昨年の九月までの間、厚生労働省の監督指導によって、大企業を中心に六百十三社、八十一億円もの不払い割り増し賃金が是正支払いされる、こういう改善も行われたわけであります。
 そういう意味で私も大変感ずるものは多いわけでありますけれども、しかし、今なおサービス残業は、監督指導され大変な御努力をされたとは思いますけれども、まだまだ氷山の一角しか明らかにされていないということで、一層の努力が必要なことは言うまでもないことであります。
 そこで、昨年九月までの監督指導の状況を発表されたわけでありますけれども、昨年九月以降の監督指導の状況などについてお聞きをしたいと思います。
松崎政府参考人 昨年十月以降、現在まででございますけれども、昨年十一月にサービス残業の解消を重点としました監督指導を三千ちょっとの事業場に対しまして実施いたしました。その結果でございますけれども、やはりいわゆるサービス残業があった事業場の割合が一八・六%、五百六十四事業場という状況でございます。
 こういった状況でございますので、私ども厚生労働省といたしましては、引き続き的確な監督指導等を実施していくということにしておるつもりでございます。
大森分科員 ああいう通達が出されて一年半経過した後でもまだそういう状況だということで、本当にこれは雇用を一層拡大する面でもまだまだ努力が必要だということだと思うわけでありますけれども。
 私が住んでおります横浜市の鶴見労基署が東芝京浜事業所に臨検監督、是正勧告を行ったと聞いておりますが、どういうような是正勧告をされたんでしょうか。
松崎政府参考人 御質問は、東芝の事業所でございますか。これにつきましては確かに聞いたようなあれはございますけれども、ただ、具体的な臨検監督につきましてすべては本省に報告するわけでもございません。それから、労働局、監督署というのは一体の体制の中でそれぞれが必要に応じて柔軟に対応しているということで、その一つ一つの事件につきましてすべて本省に報告しなければいけないという義務はございません。
大森分科員 私たちの調査では、確かにサービス残業不払い分、それが支払われましたけれども、それと同時にとんでもないことがやられているわけですね。しかも、こういう法違反、あるいはサービス残業を生み出している仕組みそのものが全然変わっていない。
 東芝京浜事業所では、ACEワークという勤務形態があります。これは、半期ごとに従事するコースの確認を行って、その一つがACEワークであります。通称Bコース。これを選択した人は、毎月基本給の二割に相当する業務加算と、半期ごとの一時金には半期の成果に応じて最高百万円の期末業務加算が支給されております。毎月の業務加算は、残業代に換算して約二十三時間分、一時金の期末業務加算は、残業代に換算して約七十時間から二百八十時間分と言われております。しかし、この期末業務加算は、残業代とは全く関係のない、成果に対する手当、業務手当であるわけですね。ACEワークという業務に対する手当である。
 ところが、このBコース、ACEワークを選択すると、業務加算の二十三時間分を超える残業をしても請求できない、こういう仕組みになっているわけですね。東芝の賃金関係規程集では、業務加算分を超えて一カ月間の残業代の請求をした場合、Aコースに変更されるということなんで、残業の自己申告は業務加算の二十三時間以内に抑えなくちゃならないということになっている労働者が大多数なわけです。大臣、これは理解できますね。これがサービス残業を生む。是正勧告を行ったのも、ここに発生したサービス残業について勧告を行ったと思うんですね。しかし、その後、この制度そのものは全然変わっていないわけです。
 Bコース、ACEワークを選択した人は何十時間残業しても残業代を請求できないという、それが合法ということであれば、今回の勧告は一体何であったかということになるわけですね。これではACEワークコースじゃなくて、サービス残業容認コースになってしまうんじゃないか。労基法や三三九号通達など一連の通達、電機関係への通達も出されました。こういうものから見て、これはぜひ調査をして検討する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
松崎政府参考人 ただいまのACEワークにつきましては、内容はただいま聞いたところでございますけれども、ただ、この制度といいますより、まさに超勤であれば、法定労働時間を超える労働であれば、前提として三六協定が必要ですし、その超える分についてはきちんと割り増し賃金を払っていただくというのは原則でございます。
 ただ、いわゆる裁量労働制でございますとか、フレックスタイム制でございますとか、いろいろな制度がございますので、そういったところでクリアといいますか、要件に合っておって、裁量労働制を採用しているということもあるのかもしれません。それはお話だけではわかりませんけれども。
 ただいまの御質問の中では、所轄の監督署がちゃんと関与しているようでございますので、私は、そこの対応に任せていきたいというふうに考えております。
大森分科員 これに関連する資料等は事前に厚生労働省等にもお渡ししてあります。これはぜひ、所管の署任せにしないで、このように何十時間残業しても残業代を請求できない、これはだれが考えてもおかしいと思うんですね。フレックスでもない、裁量労働制でもない、みなし労働制でもないという中でこういうことが存在し、それが実際に、三三九号通達の中でも正規の申告をするのを阻害するような要因になっているわけです。ですから、これはぜひ調査をしていただきたいと思います。
 さらに、この東芝京浜事業所では本社の指示で罪をさらに重ねるようなことまでやっているわけですね。
 東芝京浜事業所では、昨年末に鶴見労基署からのサービス残業の是正勧告を受けて、昨年の四月にさかのぼってサービス残業代の精算を行って、先月の給料日に支払いました。しかしながら、今月になって、〇二年度上期に従事したコースを、残業代を精算したからといってBコースからAコースに変更し、Aコースでは期末業務加算は支給されないので返還しろ、こう言ってきて、現にもう既に差っ引かれた人も出てきております。
 これは、半期ごとにA、Bコースの確認を行っている。〇二上期は既に完結している。したがって、その分の期末業務加算、これは申し上げたように業務手当、労働時間とは何ら関係のない、成果に対する、業務に対する手当、これを残業時間未払いのものと相殺するというようなことは全く理不尽なことだと思うんですね。契約上、返却する義務はない、そのような不利益変更など成立しないと思うわけであります。したがって、今回の東芝京浜の措置は、労働時間に係る不払い賃金で労基署から勧告を受けて是正したにもかかわらず、それとは全く関係のない業務手当と相殺するということで、これは極めて重大な問題が残されている、検討の余地があると思いますけれども、この点はいかがですか。
松崎政府参考人 ただいまの相殺の件でございますけれども、まず一般的に申し上げますと、過払いとなった賃金を精算して適正な賃金の額を支払うための手段としてこの相殺というものを使うといった場合、その相殺が、その行使の時期でありますとか、方法でありますとか、金額でありますとか、そういったところから見て労働者の生活の安定との関係上、不当と認められない範囲内であれば、これは基準法二十四条に違反するものではないと従来から解しております。これは一般論でございます。
 しかしながら、今申し上げました相殺というのは、払ったものが過払いであるということが前提でございます。
 したがいまして、払ったというのが、今のお話ですと多分超勤だと思うんですけれども、超勤が過払いであったということが前提になりますので、そこがどうなのか。さらに、今度は相殺する場合に、それでは、期末手当、これがどういう性格のもので、どういう支給方法で、例えば、支給の起算点がどこなのかといったこと、それから労使の取り決め、そういったことによって、いろいろ性格なり権利といったものが異動してくると思います。そういったことによって、過払いかどうかということが決まってくるんじゃないかというふうに考えております。
大森分科員 いずれにしろ、局長もまだ知ったばかりという状況でありますので、ぜひ詳細にこれは精査、調査をしていただきたいと思うわけであります。
 昨年、冒頭に御報告があったように、あの通達が出され、一定の改善もなされてきた。しかし、今なお、昨年の十一月で、あのような一割を超えるサービス残業が生じているということで、まだまだこれは努力しなくてはならないと思うわけであります。
 しかも、企業の側も、従来よりも一層巧妙に、何とか網の目をくぐってそれをやろう、これは当然企業の論理でもあるわけでありますから、ぜひ、こういう違法状態を放置してはならないということで、特に、これは、ここの東芝だけじゃないですね。他の電機産業の多くの職場でも、こういう疑似的な、にせのいわば裁量労働のようなことが行われているということで、二〇〇〇年に電機産業に出した通達も徹底されていない面があると見えます。
 そういう意味で、改めて、電機産業等に対して厳しい指導をされるよう強く要求して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
石井主査 これにて大森猛君の質疑は終了いたしました。
 次に、石毛えい子君。
石毛分科員 民主党の石毛えい子でございます。
 本日は、ことし四月一日から実施されます障害を持つ方に対する支援費制度、その中で、ホームヘルパー派遣の上限問題と申しますか、その件に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。
 一月十日に、突然のようにホームヘルパーの派遣に上限設定というようなことが報道されまして、関係される障害者団体の方は本当に驚かれたといいますか、驚きを超えて怒りになったんだと思いますけれども、大臣御存じのように、一月十四日に厚生労働省の所管課と交渉がされ、なかなか方向性が明らかにならなくて、解決と申しましょうか、一応の合意に至りましたのが二十七日。これは、二十八日に厚生労働省が主管課長会議で説明をされるその前日だったというふうに思います。
 そこで、まず最初に大臣にお尋ねさせていただきたいと思いますが、このことに関しましては、私ども民主党も大臣にお目にかからせていただきましたけれども、こういう過程を通じまして、大臣がどのようなお思いでいらっしゃったかということをぜひお伺いさせていただきたいということと、それから、私も手元にございますけれども、障害者団体の方との間で確認をなさいましたことを大臣のお言葉としてここでもお聞かせいただければと存じますので、よろしくお願いいたします。
坂口国務大臣 ことしになりましてからの一連の障害者の皆さん方との間の経過を振り返ってみまして、やはり一番思いますのは、平素からよく意思疎通をしていないといけないということだと思います。こちらが思っておりますことと、そして障害者の皆さん方のお思いになっていることと、現実問題としてはそれほど違っていないことでありましても、それが大きな隔たりのように受け取られているというような面もございますし、こちらも考えなければならないこともございました。
 今回の反省といたしましては、平素から関係団体とよく連携を密にしていくということが何よりも一番大事というのが、反省点の一番大きいものであるというふうに思っております。
 中身につきましては、いろいろのところで私も述べているところでございます。
 今回、支援費制度になりまして、各市町村に予算配分をするということになりました。この支援費制度になって、予算配分をしますときに、配分をする以上は何らかの基準を示して、そして配分をしなければならないということでございまして、その基準をお示ししたということでございました。それが個々人の支給量の上限を定める性格のものではないかという御指摘を受けたということだというふうに思います。
 これは言うまでもなく、これからは市町村におきまして自主的にこの計画を立て、そして障害者の皆さん方に対してどのようにそれを配分していくかをお決めいただくわけでございまして、国が一律にこういうふうにすべきだといったようなことを言うつもりはございません。したがいまして、これは予算を配分する一つの基準であって、決して上限を定める性格のものではないということをここでも改めて申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、現在提供されておりますサービス水準が確保されますように、今までの状況と、この新しい制度を実行することによって、そこに大きな落ち込みがあってはいけない。特に、今まで熱心に取り組んでいただいた市町村あるいは都道府県と申しますか、そうした地方自治体のところにおきまして格差の生ずる可能性があるものでございますから、そこは、スムーズにそこが移行できるように、原則として従前額を確保するということをお約束したところでございます。
 これからも、ひとつ連携を密にいたしまして、新しい支援費制度というのが円滑に運用されるようにしたいというふうに考えております。
石毛分科員 ありがとうございました。
 私も、このことに関しましては障害者団体の方といろいろとお話をさせていただいてもおりますけれども、検討会の設置につきましても大臣は同意をされたというふうにお聞きしておりますけれども、その点はいかがでございますか、支援費の基準を設定していく検討会について。
河村政府参考人 障害者の団体の方々とホームヘルプの問題をめぐりまして議論を重ねていく過程で、今回のこの国庫補助基準の設定というのは認めるけれども、やはり支援費制度に移行した後の利用実態というものをきちっと見きわめた上で、見直すべきものがあれば見直すということが必要なのではないかという観点が一点でございます。
 それからもう一つは、今後のホームヘルプサービスのあり方として望ましい地域ケアモデル、あるいはサービスの質の向上のための取り組み、そういった障害者の支援のあり方について検討するということで、新しい検討会を新年度に入ってから設定するということで団体とは合意をしたところでございます。
石毛分科員 大臣の方には、この件に関しましては御答弁の中には入っていなかったというふうに今推察させていただきましたから、次の質問に移りたいと思います。
 それで、一月の二十八日に都道府県主管課長会議で「障害者ホームヘルプサービスに関する国庫補助金の取扱いについて」という文書が出されております。この文書をめぐりまして、幾つかここで確認をさせていただきたい、あるいは具体的に御説明をいただきたいと思います。
 まず、二ページ目の三というところに「国庫補助基準の内容」というふうに書かれてあります。二つ目の丸印ですけれども、先ほど大臣も御答弁の中でおっしゃってくださいましたけれども、基準の設定に当たって、現在提供されているサービス水準が確保されるよう、現状からの円滑な移行を図ることとして、従前の国庫補助基準を下回る市町村について、移行時において原則として従前額を確保するものとする、こうした文面でございます。
 私が住んでおります自治体でも非常に、この表現の理解の仕方ということでいろいろと議論がなされているところでございますので、ぜひここではっきりとお示しいただければと思いますが、まず、この表現で、従前額というのはどういうふうにして算出されるのかということをお教えください。
河村政府参考人 この国庫補助基準の設定につきましては、全国的な平均的な利用実態、こういったものをまず把握しまして、それを相当程度上回る水準として設定する。具体的には、平均的な利用実態の一・五倍の額を国庫補助基準として設定をしたわけでございますが、この基準により算定した額が従前の国庫補助基準を下回る市町村というのも一部出てまいるわけでございまして、そういった市町村につきましては、現在提供されているサービス水準が確保されるように、移行時において原則として従前額を確保するということにいたしておるわけでございます。
 この従前額の取り扱いについてでございますけれども、これは、まず一つは、平成十五年度の新単価、こういったものをベースにして算定するということでございますし、あと、原則論で言えば、既に受給を受けているサービスはもちろんそういう形で現行水準を確保するわけですが、それをさらに上回る、既受給者でサービス量の増加があるというような場合には、これは従前額という定義から外れるというふうに思っております。
 それから、新規の利用者分につきましては、新しい国庫補助基準額、平均的利用実態の一・五倍の配分基準額で算定する、そういったもので市町村に交付をいたしたいというふうに考えているところでございます。
石毛分科員 ちょっと私が理解し得なかった点もあると思いますので、もう一度確認をさせていただきたいと思いますけれども、お話の途中からのところですけれども、まず、現在提供されているサービス水準を確保という基本的な考え方のもとに、平成十五年度の新しい単価で既に受給している人のサービスを算定するという、そこまではよろしいですよね。この場合は、それでは、既に受給している人のサービスにつきましては、例えばAさんは月に百八十時間とか、Bさんは二百五十時間とか、場合によっては三百時間とかいろいろあろうかと思いますけれども、その既に受給している方のサービス時間をきちっと確保しますという、ここまでの理解はそれでよろしいですね。
河村政府参考人 単価がアップいたしましたので、新単価分というものは、新しい単価の適用というのは受ける、それによって現在受けているサービス水準は確保できるというふうに思っております。
石毛分科員 済みません、もう一度確認ですけれども、新単価と、それから平成十四年度の、現在ホームヘルプサービスを利用している時間数、この掛け算といいましょうか、それでよろしいんですね。そこはそれでいいんですね。
河村政府参考人 十四年度に、現在受けている人数がございますね。それから、現在受けている個々の人のサービスの総量というものがございますね。それが基本的な従前額になるわけですけれども、サービス単価がアップいたしておりますので、その分は見ますということでございます。したがいまして、現在のサービス水準というものは、現在受けている方についてはそのまま確保できるということでございます。
石毛分科員 わかりました。
 総量という、その総量のところが非常にとらえ方によってまちまちになってしまって、金額で総量をとらえている自治体もあるようですし、それから時間でとらえている自治体もあるようですので、そこの確認が非常に重要な点だと思いまして、その総量は、平成十四年に受給している方に関しては時間で新単価ということの御答弁だったというふうに、そこはわかりました。
 その次におっしゃられたことで、現在受けている方が平成十五年度に、これは支援費制度でも状態が変わったら申請するということが保障されているわけですから、そうしますと、ある方は例えば介護の必要量がふえるという、同じ方でも平成十四年度の必要量と平成十五年度の必要量は違ってくると思います。もちろん、減る方も場合によってはいらっしゃるでしょうけれども、ふえるということが容易に想定されますけれども、同じ方が新しい年度にふえるという分についてはどういうふうになるんでしょうか。
河村政府参考人 ふえる人も減る人もやはり現実にはいるんだと思うんですが、従前額を保障するということでございますから、確保するということでございますから、既受給者のサービス量がさらに増加する、例えば今二百時間のサービスを受けている人が二百五十時間受けたいといった場合には、そういった五十時間分まで算定するという考え方に立つものではございません。
石毛分科員 そうしますと、それは、おっしゃられたことはひとまずそういうふうに受けとめまして、それから、今度は平成十五年度に新しく申請する方が出てくると思いますけれども、その方につきましても、例えば平成十四年、お一人が、厚生労働省はこの間、配分基準としてですけれども、例えば全身性障害者の方は一月当たりおおむね百二十五時間という配分基準を出されていますけれども、個人によっては、例えば一カ月二百五十時間ということもあろうかと思いますし、もっと多い方もあると思いますし、いろいろだと思いますけれども、新しい方について、新しい方がBさん、それから現在利用されている同じような状態の方がAさんとしまして、Aさんは二百五十時間、Bさんにつきましては例えばの話二百時間、こういうことがあるということですか、三点目におっしゃいましたことは。
河村政府参考人 これはあくまで国庫補助の配分基準でございまして、その点はまず御理解いただきたい。
 それを、個々の人の態様に応じて、私ども、全身性障害者の場合は百二十五時間ということで配分いたしますが、七十時間で足りる人もいれば二百時間使う人もそれは当然いるわけでございますが、新規の利用者分については、国庫補助基準の配分の問題としては、基準に沿って百二十五時間で配分する。
 ただ、再々繰り返しになりますが、その配分を受け取った市町村が具体的に、個別具体の障害者の方々の状態に着目して支給量を幾らにするかというのは、これは市町村の自治事務の世界の話でございますから、そこは弾力的に運用して差し支えないということでございます。
石毛分科員 おっしゃることは一つの御説明だというふうに思いますけれども、従前額の解釈の仕方で、個々人に上限を設けるものではないということで、そしてまた従前額を保障する。その従前額は、配分基準におさまらないからこそ従前額を保障するという考え方が出てくるわけです。その従前額のうちには、今局長は、要するに介護ニーズの変化した方、それから新規の利用者の方は新しい配分基準のもとでという御答弁をされたわけですけれども、その新しい配分基準について一応今回時間が示されているわけです。
 従前額のとらえ方につきましても、これから検討会を設けて結論を見出していくべき、そうした方向性も示されているところでございますから、ちょうど平成十五年度に新しく出てくる方あるいは介護ニーズがふえた方、減った方は問題ないと思うんです、ふえた方につきましても、今御利用なさっていらっしゃる方と同じ視点で、従前額としてぜひ含めていただきたい、含めるべきだという、概念といいますかとらえ方の問題だと思いますけれども、そういう要望が強くございますけれども、いかがでしょうか。
河村政府参考人 そこは再々申し上げておりますが、国の配分基準で配分するということが原則でございますけれども、既に受給されている方が従前のサービスを受けられるように、そのサービス水準が受けられるようにということで、従前額というものを経過的に算定するということでございます。これはあくまで配分基準の問題でございますから、その配分を受け取った市町村が個々の障害者の実態に見合ってどのような支給量を決定するかというのは、これは市町村の判断の問題だということでございます。
坂口国務大臣 例えばAという市があって、そこが今まで障害者の問題について非常に熱心にお取り組みになっていた。そういうところは、必要に応じて重症の皆さん方には二百時間とか二百五十時間というふうにしておみえになったんだと思うんですね。そういう熱心なところは、一部の人だけを熱心にやっているというのではなくて、熱心な市は、押しなべてその市に属する障害者の皆さん方全体に対して熱心におやりになっていたんだと思うんですね。それで、その額が、いわゆる今回の一応予算の配分に比較をして、そうするとそこはたくさん使っておみえになったということになりますから、そこは今まで、従前どおりに見ていきましょうというふうに申し上げているわけで、その市の中でまた新しい人が出てくるということは、あるかもしれませんけれども、それはそんなに多くはないのだろうと思うんですね。
 ですから、今度はBという、今度初めて熱心に取り組む、今まで熱心でなかった、余りやってこなかったけれども、これからは熱心にやるというところがあって、その中で、それでは重症の人と軽い人とどういうふうに振り分けていくかという問題がBという市では起こってくるだろう。そのときに、その中で重症の皆さんに対しましてはより厚くして、そして軽い人にはそれなりに御辛抱いただくという形でいく市もあれば、その辺のところは若干ならしていきたいというところも、出てくる可能性としてはあると私は思うんです。しかし、そこはそれぞれの市にお任せをしなければならないだろうというふうに思っている次第でございます。
石毛分科員 大臣が今の御説明の初めの方でおっしゃってくださったこと、私は大変重要だと思うんです。熱心な自治体は、平成十四年度中はそれぞれの方の必要に応じて、例えば三百時間提供しましょうというふうに、それでそれは国も補助金の決裁としてお認めになってこられたかと。平成十五年になりましたから、国の制度は変わりますから、新しい、全身性だと四時間ですが、四時間の配分基準の中ではとてもこれまでの方と同じようには対応できませんということはできないんですよね、実際問題。市町村行政が、そこに住む障害を持つ方、市民に対して格差をつくっていくということになりますから。
 だから、局長が御説明くださいましたように、四時間の配分基準の中で格差が生じないように実施できればこれは問題は起こってきませんけれども、場合によっては起こってくるという、そこのところをやはり市町村の担当の方も非常に心配されておられますし、それから障害当事者の方たちも、同じ障害を持って地域で暮らすという立場からすれば、自分はこれだけ受けていて、同じような方がそれより少ないということについては、とてもやはり一人の人間としてなかなか気持ちがおさまらないということがある。
 そこがすごく心配なところで、局長の御説明は、新しい仕組みはこうですという、その御説明の限りでは理解しますし、自治事務だという点もそうでしょう。だけれども、実際、第一線の自治体それから障害を持つお立場の方それぞれからすれば、繰り返しになりますけれども、格差が出てくる、差別になるかもしれない、そこがとても心配されています。
 それで、自治体から伺いますと、見込み量は四月、五月に都道府県の方に出して、国にも伝わってくると思いますので、そこのあたりをぜひ柔軟に受けとめていただきまして御検討いただきたいという御要請をさせていただきたいと思います。
 もう時間がほとんどなくなってしまいましたけれども、先ほど局長、ちょっと御答弁いただきましたけれども、そうしたことを本当に丁寧に議論していく場として検討会が設置されるというふうに私は受けとめさせていただいております。その検討会、この文章では「できるだけ早い時期に設置する」と書かれていますけれども、この「できるだけ早い時期」というのはいつごろが想定されるかということと、それから「適切な委員構成とする。」というふうに書かれておりますけれども、その「適切な委員構成」の考え方について御説明をいただきたいと思います。
河村政府参考人 この検討会の具体的な設置時期についてでございますけれども、現在、とにかく四月一日から始まる支援費制度の施行に向けて全力を傾けておる状況でございまして、新年度以降、できる限り早い時期に立ち上げたいということを考えておるところでございます。
 それから、その検討会のメンバーについてでございますが、申すまでもなく、障害者行政の推進に当たっては、障害者の関係団体、あるいは地方自治体等の関係者の御理解を得て進めていくということが重要であると思っていまして、新たに設置する検討会のメンバーにつきましては、利用当事者が入るというのは当然でございます。それからホームヘルプの事業者、それから地方公共団体、それから学識経験者、そういった方々を中心にいたしまして、適切な委員構成というふうにいたしたいというふうに思っていまして、具体的な委員につきましては、今後、関係者の御意見をよく伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
石毛分科員 委員構成につきましては、ぜひとも、障害当事者の方が披瀝される御意見がきちっと適切に決定プロセスに生かされていくような、そうした委員構成をぜひ要望させていただきたいと思います。
 大分質問を省略することになりましたけれども、最後に、大臣にぜひ御決意のほどをお示しいただきたいと思います。
 障害者基本計画には、大臣も閣議決定で御承知のとおり、自己選択と自己決定のもとに、障害を持つ方があらゆる社会の活動に参画するということと、それから、この基本的な方針として、利用者本位の支援ということで、地域での自立した生活を支援することを基本に置くというふうに明確に記載されてございます。
 私は、今回の出来事と申しましょうか、そのことは、ともすればこの障害者基本計画にそごしかねないというような、そうした気味がなきにしもあらずだったという個人的な思いをしておりますけれども、ぜひ大臣に、この基本計画の一番の基本となっておりますところを厚生労働行政、障害福祉行政にも貫かれるということを一言お言葉をいただきたいと思います。お願いいたします。
坂口国務大臣 今お話しいただきましたように、障害者基本計画に書かれておりますことに忠実に我々実行していきたいというふうに思っております。とりわけ、その中で一番大事なのは、やはりホームヘルパーの確保でありますとか、ショートステイ、デイサービスなどの整備も必要でございますが、一番大事なのは、在宅介護、在宅サービスということが一番大事なんだろう、そのことが後退しないように全力で取り組んでいきたいと思っております。
石毛分科員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
石井主査 これにて石毛えい子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午前十一時三十三分散会


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