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第1号 平成16年3月1日(月曜日)

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本分科会は平成十六年二月二十五日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十七日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      大島 理森君    北村 直人君

      西川 京子君    達増 拓也君

      中津川博郷君    高木 陽介君

二月二十七日

 北村直人君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十六年三月一日(月曜日)

    午前十時開議

 出席分科員

   主査 北村 直人君

      江藤  拓君    大島 理森君

      西川 京子君    岸本  健君

      楠田 大蔵君    達増 拓也君

      中津川博郷君    計屋 圭宏君

      橋本 清仁君    松野 信夫君

      赤羽 一嘉君    高木 陽介君

      長沢 広明君

   兼務 近藤 洋介君 兼務 津村 啓介君

    …………………………………

   農林水産大臣       亀井 善之君

   環境大臣         小池百合子君

   総務副大臣        山口 俊一君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   農林水産副大臣      金田 英行君

   環境副大臣        加藤 修一君

   農林水産大臣政務官    木村 太郎君

   環境大臣政務官      砂田 圭佑君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         梅津 準士君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長)  南  俊作君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         村上 秀徳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           田中 孝文君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           染  英昭君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            須賀田菊仁君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  川村秀三郎君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            太田 信介君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次長)           日尾野興一君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           石原 一郎君

   政府参考人

   (水産庁長官)      田原 文夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            松本 省藏君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  小野寺 浩君

   農林水産委員会専門員   和田 一郎君

   環境委員会専門員     遠山 政久君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  大島 理森君     谷  公一君

  達増 拓也君     計屋 圭宏君

  中津川博郷君     橋本 清仁君

  高木 陽介君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     江藤  拓君

  計屋 圭宏君     楠田 大蔵君

  橋本 清仁君     松野 信夫君

  長沢 広明君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     井上 信治君

  楠田 大蔵君     岸本  健君

  松野 信夫君     中津川博郷君

  赤羽 一嘉君     長沢 広明君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     大島 理森君

  岸本  健君     増子 輝彦君

  長沢 広明君     高木 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  増子 輝彦君     達増 拓也君

同日

 第七分科員近藤洋介君及び第八分科員津村啓介君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十六年度一般会計予算

 平成十六年度特別会計予算

 平成十六年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

北村主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成十六年度一般会計予算、平成十六年度特別会計予算及び平成十六年度政府関係機関予算中環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。小池環境大臣。

小池国務大臣 平成十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。

 私は、環境大臣就任以来、気候変動枠組み条約第九回締約国会議、COP9の閣僚会合や世界遺産の新規登録に推薦した知床の視察など、国内外において、環境政策に関するさまざまな現場に足を運び、また環境問題に取り組まれている事業者、有識者、NGO関係者など各方面の方々との意見交換を続けてまいりました。

 こうした中で、私は、環境問題の持つ難しさ、さらには奥深さを日々感じているところであります。環境問題は、人類全体の問題であり、国家の問題でもあり、地域の問題であり、国民一人一人の問題でもあります。したがって、環境問題を解決するためには、国内外のあらゆる立場の方々と協力しながら取り組みを進めていかなければなりません。その際には、取り組みを進める上での指針となる考え方を明確に示すことが重要と考えます。

 私は、環境の世紀と言われる二十一世紀は、これまで人類が経験してきた産業革命やIT革命に続く、いわば環境革命の時代であるととらえております。環境を基軸として、私たちのライフスタイルや事業活動のあり方を根本から見直し、社会や経済を大転換させていこうとする動きは、既に世界の新しい流れになっているものと考えます。そして、我が国は、環境を礎とした国づくりによって、この新しい流れの先導者として世界をリードすべきであり、またそれができる国であると強く信じております。

 このような基本姿勢を踏まえた上で、環境と経済の統合と、地域からの環境問題への取り組みの促進という二つの分野横断的な視点を持って、持続可能な社会の構築を目指した取り組みを推進してまいります。

 また、この二つの視点を基本として、地球温暖化対策、廃棄物リサイクル対策、安全、安心な生活の確保、生物多様性の保全と自然との共生など、個別の施策分野についても着実に取り組みを進めてまいります。

 山積する環境問題に対し、私は、環境行政の責任者として、これからも、一つ一つの取り組みを確実に積み重ね、全力で取り組んでまいります。

 平成十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算につきましては、以上のような基本的な考え方に立って取りまとめております。

 まず、一般会計予算では、総額二千八百三十七億一千四百万円を計上しております。次に、特別会計予算につきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に一般会計から百二十五億円の繰り入れを行い、歳入歳出予算を計上しております。

 なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださるようお願いを申し上げます。

北村主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま小池環境大臣から申し出がありました環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要経費別概要の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本清仁君。

橋本(清)分科員 おはようございます。

 宮城三区選出、橋本清仁でございます。きょうは、持ち時間二十五分でございますので、不法投棄問題について質問させていただきたく思います。

 現在、環境省が公開していらっしゃいます平成十四年度の不法投棄件数及び投棄量によりますと、投棄件数が九百三十四件、投棄量が三十一・八万トンと、平成五年から平成十四年までの十年間、毎年二十万トンから五十万トンの間を推移しています。過去十年間に投棄された量は三百六十一・四万トンにもなります。これは、八百万人の人間が住むこの東京二十三区の一般廃棄物の年間総排出量に相当する膨大な量でございます。

 一方、不法投棄された件数で申しますと、平成十四年度は九百三十四件、平成十三年度は千百五十件と、平成十年度からは毎年全国で千件前後の不法投棄が行われているのが実態でございます。

 このような膨大な産業廃棄物が山林や農地に投棄されていて、毎年投棄量の五割から七割程度、投棄者に原状回復をさせているものの、残りはまだ投棄されたままであるのが実態でございます。

 これらの産業廃棄物を山林や農地に放置したままにすると、地下水、土壌への環境影響が出て、地域住民に健康被害が出ることや農作物に影響が出ることは容易に予想されると思います。

 ここまでの現状認識について、いかがでしょうか。

小池国務大臣 今、数字を挙げてまとめておられましたように、不法投棄、残念ながら大変な量があるわけでございます。

 また、産業廃棄物が不法投棄された場合には、廃棄物の性状、中身、そして、投棄されたそこの場所がどういった環境にあるのかといったようなことによりまして、生活環境保全上の支障の程度、その内容もいろいろと異なってくるわけでありますけれども、そういった環境の悪いところに不法投棄が重なるということが行われますと、地下水そして土壌の汚染で、結局、住民に健康被害を与えたり、農作物への悪影響が懸念されるということもございます。

 だからこそ、私どもは、このようなさまざまな問題を引き起こすおそれのある不法投棄は、これからもしっかりと取り締まってまいりたい、また未然防止に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。

橋本(清)分科員 それで、今まで不法投棄されたものに対する対応として、どのような対応をなさっていらっしゃいますでしょうか。

南川政府参考人 御説明申し上げます。

 これまでの原状回復でございますが、平成九年に法改正が行われまして、それが施行されました平成十年六月以降のものと、それ以前のものと分けております。

 それ以降のものにつきましては、産業界の支援も得まして、四分の三を原状回復される地方公共団体に国が支援を行う。それから、それ以前のものにつきましては、昨年に特別措置法ができまして、有害廃棄物であれば二分の一、その他については三分の一ということで支援スキームができております。これも、残りの自治体負担につきましても、地方交付税等の措置がされることになっております。

橋本(清)分科員 おっしゃるように、政府におきまして原状回復のためのさまざまな法を制定いたしまして取り組んでいらっしゃることは、大きく評価できると思います。

 ただ、先ほど述べましたように、毎年千件を超える不法投棄がある中で、実施されているのは青森や岩手や豊島といったマスコミに騒がれた不法投棄のみで、そのほかの数千件に及ぶ不法投棄については、対応を一体どのようにお考えになるんでしょうか。マスコミに騒がれた二件の不法投棄以外の、毎年千件を超える不法投棄、この対応についてお答えいただきたいと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年六月以前の不法投棄につきまして、これまで特別措置法で措置しましたのは、御指摘のとおり、青森、岩手の県境の不法投棄問題、それから四国の香川県豊島の不法投棄問題でございます。現在、それ以外に、十年以前のものについては四件、実際に各地方公共団体で、審議会などで具体的な準備がなされているというふうに聞いております。

 また、それにつきまして正確な数字を今持っていませんけれども、相当数のものは、実際に原因者に負担させた上で原状回復させておるということでございます。ただ、依然としまして、一千万トンを超える不法投棄が現に残されておるということは、深刻な問題として認識をしております。

橋本(清)分科員 おっしゃるとおり、政府において原状回復のための特別措置法を制定なさって取り組んでいらっしゃることは、本当に大きく評価できると思います。

 ただ、これまでの仕組みも、産廃特措法による仕組みも、地域住民が問題を指摘してから県や国が動いて、原状回復がされるまでの時間が余りにもかかり過ぎ、豊島のシュレッダーダストの不法投棄についても、また、青森、岩手の不法投棄の問題につきましても、問題が行政に指摘されてから行政が動くまでに、いずれも五年以上かかっております。

 不法投棄された廃棄物は、硫酸ピッチや汚泥のような液状のものはもちろんのこと、医療廃棄物や廃プラ、建設廃材に至っても、雨などにより土壌や地下水の汚染につながり、地域住民の健康被害や農作物への影響が容易に想像できます。また、住民が指摘してから原状回復される期間が長くなれば長くなるほど汚染は拡散し、原状回復のための社会コストも増大することが予想されます。

 現状の手続では、まず、住民の指摘を行政が認め、それから専門家から成る検討委員会を設けて議論し、実施計画を策定し、大臣による計画の合意、そして、そこで初めて詳細調査による汚染範囲の確定、適正措置といった長い手続を踏む必要があります。

 専門家の意見や対応策に係る検討、そして時間は必要だと思いますが、その時間が余りにもかかり過ぎる。この検討時間を短縮する方策や制度を検討し、汚染の拡散期間を短縮し、原状回復コストを低減する方が効率的だと考えられますが、いかがお考えか。

加藤副大臣 不法投棄における生活環境保全上の支障が生じる、あるいはまた、生じるおそれがある場合には、やはり速やかに支障の除去等を行うべきである、このように思います。不法投棄による生活環境保全上の支障のありなしの判断、あるいは、その支障の除去等の具体的な方法でございますけれども、その決定につきましては、専門的な調査や検討を要する場合もあるということで、そういった意味では、非常に時間を要することがあるということで、やむを得ないというふうに考えざるを得ないわけでございます。

 環境省といたしましては、都道府県等におけるこうした調査検討が速やかに行われますように、必要に応じて技術的な助言を行っているところでございます。

 また、廃棄物処理法に基づき設定されました産業廃棄物適正処理推進センター、ここにおきましても、効果的なあるいは効率的な、いわゆる支障の除去等の技術的な方法について調査研究を行っておりまして、その成果に基づきまして、都道府県等に対し専門家の派遣を行う、そういった技術的な支援を行っているところでございます。

 また、これらの措置を通じまして、速やかに、かつ低廉なコストによる原状回復が行われますように、環境省といたしましても引き続き最大限の努力をしていきたい、このように思っておりますので、御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

橋本(清)分科員 不法投棄問題、この実態につきましてあえて具体例を申し上げさせていただきますと、私の選挙区にございます宮城三区の村田町におきましても、産廃処分場に廃棄物を搬入して、致死量の三十倍の硫化水素が現場では発生しておりまして、周辺に悪臭をまき散らし、廃棄物がそのままになっているところがあります。

 悪臭は一九九四年ごろから出始めまして、周辺住民が県に対して一九九八年ごろから指摘していたにもかかわらず、具体的な対応がなされていませんでした。そして、その後、二〇〇〇年十二月に県がボーリング調査を行い、許可容量を上回る廃棄物が埋設されていることが確認されております。この時点で初めて保健所から業者に対し指導をしましたが、業者は、是正をすると言いながらも、二〇〇一年二月まで埋め立てられ続け、三月に不法な埋め立ては終わりました。

 このように、不法投棄の廃棄物の除去はコストがかかるため、本来原状回復すべき者や予算がない地方自治体は、どうしても前向きにならない実態がございます。このような状況の中で、現在の産特法のように、自治体からの実施計画に基づき認定するような仕組みであれば、全国各地で不法投棄問題に苦しんでいる地域住民の健康と安全を守るために、先ほどおっしゃいましたように地方自治体の裁量に任せるのではなく、不法投棄の原状回復をする必要のある場所を判断する判断基準を政省令などで明確にする必要があると思うのです。

 また、先ほど大臣がおっしゃっていましたように、環境の問題は、人類全体、国家の問題、そして地域の問題であります。指針となる考え方を明確にすることが必要であると先ほど大臣おっしゃいました。

 その点につきまして、この判断基準を政省令などで明確にする必要があるということについて、いかがお考えでしょうか。

小池国務大臣 まず、今お尋ねの案件、宮城県村田町の件でございますけれども、おっしゃいましたように、廃棄物が処分場許可区域外に搬入されたことや、また、過去に硫化水素が発生した、ただし、現在はそれはとまっているなどということ、宮城県の方から伺っております。また、その後、宮城県の方が処分業者に措置命令を発出して、覆土などの代執行も行っておられるということも、環境省として把握をいたしております。

 また、こうした措置に加えて、水質や発生ガス等を把握するために、県の方で平成十五年度に新たにボーリング調査を実施されたこと、それから、住民代表を入れた検討委員会におきまして、調査結果を評価されて、平成十六年度中に今後の対応を取りまとめをしておられるということで、県はしっかりとした対応をされているというふうに考えております。

 また、環境省といたしましても、こうした過程の中で、県に対して、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと考えております。また、県の方から御相談がありましたら、しっかりこたえてまいりたいということが一点。

 それから、今、判断基準を国において示す必要があるのかという御質問でございますけれども、これはなかなか、どういった土地に何を捨てられていくかといったこと、それから水質、それぞれ土地の利用形態とか周辺環境に大きく左右されますので、国で一律にこうだということを決める、一律の基準設定をすることが、本当にそれでいいのかどうかというと、本来、今申し上げましたような意味でなじまないものではないかというのが環境省の考え方でございます。

 しかしながら、平成十三年に都道府県などに対しまして環境省から、いわゆる考え方、ガイドラインをお示ししておりまして、「生活環境の保全上の支障又はおそれ」という、この読み方についての考え方を明らかにさせていただいて、それをガイドラインとした上で個々の事案に応じて適切な判断が知事によってなされるという線引きをさせていただいているところでございますが、いずれにせよ、各都道府県の状況などをしっかり把握した上で、必要な助言については適切に行わせていただくつもりでございます。

橋本(清)分科員 大臣、ありがとうございます。県からの要望があった場合、しっかりこたえるとおっしゃられたこと、本当にありがとうございます。

 そして、先ほどおっしゃいました生活環境上の支障、おそれという言葉でございますけれども、この言葉自体が非常にあいまいではないかと私は思います。このことが、県が自由に解釈できる部分になっております。

 生活環境上の支障とは、土壌環境基準や地下水の環境基準、崩落のおそれ、廃棄物の飛散状況など、さまざまな側面がございます。これらの側面についてもより具体的な基準を明確にしない限り、県の裁量によって、いつまでたっても放置されている不法投棄現場が我が国からなくならないのではないか、そして住民の健康被害を出し続けることにつながるのではないかと私は思うのですが、いかがお考えでしょうか。

小池国務大臣 今のは、読み方がかえって裁量を呼ぶのではないかということだと思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、いろんなケースがございまして、そこでやはりその地域に合った、また問題の業者がどういう人物でと言ったらあれですけれども、結局代執行の形になって、そしてまた県の予算にどれぐらい響いてきてというようなことなどを考えますと、環境を保全するのにも一番ベストな方向、そしてまた経済的にもどの方向というベストミックスが出せるというのは、むしろ現場におられる都道府県の方ではないかというようなことでございます。

 先ほどの「行政処分の指針について」の中身でございますが、「生活環境の保全上の支障又はおそれ」といいますのは、「人の生活に密接な関係がある環境に何らかの支障が現実に生じ、又は通常人をしてそのおそれがあると思わせるに相当な状態が生じること」ということで、それをガイドラインとさせていただいているところでございます。

橋本(清)分科員 今、県の予算に響いてきてというようなことをおっしゃったと思うんですけれども、地域住民にそういったことで負担を押しつけて、予算に合う分だけ原状回復をしている、そういった状況があるということ、そして、現在及び過去に不法投棄された廃棄物、そういうものを応急処置したり、きちんと解決するための予算が現状では余りにも足りな過ぎるのではないかと思います。

 今後、こういった予算を国で増加しない限り、先ほど大臣がおっしゃいましたように、予算が限られた中で住民に負担を押しつける、そういったことが行われ続けるのではないか、そして、今までの環境問題のように、よりさらに大きな被害が出て、長い苦しみを国民に与え続けるのではないかと私は考えるのですが、どうお考えになられるんでしょうか。

加藤副大臣 お答えいたします。

 都道府県等が行政代執行により産業廃棄物の支障の除去等を行う場合、国は不法投棄の実行時期に応じた二つのスキーム、先ほどからも参考人の方から御説明を若干申し上げておりますけれども、二つのスキームによりまして、廃棄物処理法に基づき設けられた基金を通じまして、これを支援しているところでございます。

 現状では、この基金によりまして都道府県等からの支障の除去等事業の要望にこたえているところでありまして、今後とも、地方公共団体のニーズに対応いたしまして、支障の除去等事業の効率的、計画的な執行が行えるように十分な予算の確保に最大限努めてまいりたい、このように考えております。

橋本(清)分科員 どうもありがとうございます。

 また、汚染原因者の費用負担についてなんですけれども、現在は、汚染原因者が判明した場合、汚染した部分のみ排出責任として原状回復費用を負担する仕組みになっておると思いますけれども、汚染原因者が不明な場合や履行ができない場合は、県が代執行することになっています。

 予算が少ないことを考えますと、排出者に自社の廃棄物を撤去する原状回復費用のほかに、さらなる何かの方策を打ち出して原状回復費用に充てることも考えられますけれども、環境省はいかにお考えか、お教え願いたいと思います。

加藤副大臣 非常に重要な問題でございます。不法投棄された廃棄物の支障の除去等につきましては、投棄者及びいわゆる不適正な委託を行った排出事業者等により行われることが原則でございます。しかしながら、今委員がお話しになりましたように、投棄者等による支障の除去等が困難である、あるいは都道府県等が代執行を行う場合については、都道府県等の負担を軽減するため、国が補助を行っているところでございます。

 この場合につきましては、平成十年六月以降に不法投棄された産業廃棄物、これにつきましては平成九年の廃棄物処理法の改正に基づきまして支障の除去等を行う都道府県等に対しまして、産業界からの自主的な出捐によるものと国の補助によりましてつくりました基金、補助率四分の三の補助及び交付税の措置により支援を行っているところでございます。これが第一のスキームでございます。

 二番目のスキームといたしましては、先ほど来から話が出ておりますけれども、青森、岩手県境の不法投棄事案を初めといたしまして、平成十年六月以前に発生した不法投棄につきましては、昨年成立いたしました、委員も御承知のとおりの産廃特措法に基づきまして補助率三分の一から二分の一の間で国庫補助を行う、あるいは起債特例及び交付税措置によって支援を行っているところでございます。これが二番目のスキームでございます。

 以上二つのスキームをもとにいたしまして、国としても最大限努力しているところでございますので、御承知おきいただきたいと思います。

橋本(清)分科員 その二つのスキームで最大限努力なさっているとおっしゃっているんですけれども、やはり、最後に申し上げさせていただきたいんですけれども、その二つのスキームではいまだカバーし切れない問題が数多くあり過ぎるので、さらなる方策をつくっていただきまして、そして山林や農地に投棄されていて、そして住民の健康に被害を及ぼしている、こういった現状を一刻も早く解決していただくことが急務ではないか、そして我が選挙区にある村田の町民も救っていただきたい、そういった思いできょうは質問させていただきました。

 どうもありがとうございました。

北村主査 答弁ありますか、追加答弁。南川廃棄物・リサイクル対策部長。

南川政府参考人 当然ながら、原因者に負担を求めるということが絶対に必要だと思っております。そのため、私どもとしましては、代執行を行いました後であっても徹底的に求償するということを決めておりまして、その道を過去に行ったものについても探っていきたいと考えております。

 なお、当然ながら、こういった不法投棄に至る前にそれをとめることが大事でございます。自治体とも連絡をとりながら、まず不法投棄の撲滅に全力を尽くしたいと考えております。

北村主査 これにて橋本清仁君の質疑は終了いたしました。

 次に、計屋圭宏君。

計屋分科員 民主党の計屋圭宏でございますけれども、それでは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、廃棄物処理施設整備事業についてでございます。

 私は川崎選出でございますけれども、今、川崎の場合ですと、廃棄物の処理についての資源循環型システムを目指しているわけでございます。ごみをつくらない社会、やむを得ず出たごみは資源物として、資源物とならないごみは適正に処理する、減量化、資源化の施策推進に取り組んでいるところでございます。

 廃棄物埋立処分地については、市民生活の快適環境、公共水域の保全を図るため、浸出液処理施設等の安定的かつ衛生的運転及び維持管理に取り組んでいるわけでございますけれども、川崎の場合ですと、御承知のとおり、大変東西に長くした地形でございますので、今現在、南部の方に南部リサイクルセンターというのがございます。そして、そこで資源化処理施設を持っているわけでございますけれども、北部の方にはこういったような施設がない。ごみ焼却施設で王禅寺処理センターというところがございまして、つまりそこの場合ですと焼却だけやっている、資源物については、そこからすべて南部の方に運んできてそこで処理しているわけでございます。そういったふうな立地条件の不便性ということから、施設が複数で必要になってくるわけでございます。そういうことを考えてまいりますと、どうしても整備していかなきゃいけないということがあるわけです。

 その中で、まず、環境省として、川崎のストックヤード構想として、建設に係る諸問題を承知しているかどうか、また全国的に同様の構想があるのかどうかを、同時に、必要な財政的支援の拠出は前向きなのかどうかということについてお聞きしたいと思います。

小池国務大臣 今お尋ねの案件でございますけれども、そもそも、廃棄物の再利用、再生利用を推進するという循環型社会の形成に今努めているわけで、その意味で、ごみを分別収集して再資源化するために必要なストックヤードの整備については、従来より国庫補助事業の対象といたしておりまして、市町村によります円滑な整備が可能となるように努めてまいりました。

 ということで、今のお尋ねの川崎市が整備を計画しておられる資源物ストックヤードについても、川崎市の方の御要望をよくお聞きした上で、適切に対処をしてまいりたいと考えております。

計屋分科員 環境省の十六年度の予算案のうち、廃棄物問題に係る部分は、前年度比で九一%、千三百四十億円となっているわけでございます。そうした中で、本件に係る予算として、環境省では、循環型社会形成推進費として前年度比二割増の約十一億三千万円を要求しておりますが、この循環型社会形成推進費なる項目に、川崎市のストックヤード事業への配分あるいは助成が可能なのであろうかどうか、御説明いただきたいと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 ストックヤード関係、毎年十二件ほどございます。これにつきまして、川崎市も上がってくれば当然検討の素材になるわけでございますが、これにつきましては、公共事業費の中の内数として見ることにいたしておりますので、お尋ねの循環型社会形成の十一億円とは別でございます。千三百数十億の中で内数として考えたい、こう思っております。

計屋分科員 ところで、川崎の担当者から次のようなことを伺ったんですけれども、環境省の補助金は資源化という名目であれば手厚い保護が得られる、しかし旧来の補助としていたごみ処理施設の保全管理費については打ち切られてしまっているという実情であると聞いております。

 応分にして予算の適正配分がなされるんだろうか、こうした現地の声に環境省としては真摯に対応していただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。

南川政府参考人 私ども、原則として、老朽化した施設の維持管理費については補助をいたしておりません。新規の施設整備についてできるだけ補助をするということで臨んでおります。

計屋分科員 従来の施設を、新規につくったものに助成している、その維持管理には助成しないということでございますけれども、この川崎の場合ですと、今後維持管理していかなきゃいけない、そこから出る、例えば、市民生活の快適性を守り、公共水域の保全を図るため、廃棄物処理地の浸出液処理施設等の維持管理にやはり必要な事業費というのが、これは莫大にかかっていくわけですね。

 そういう意味で、こういったふうな、つまり保全していく、例えば断水工とか、遮断していくという意味ですね、そういうものだとか、あるいは浸出液というもの、これが生活に大変、人類に影響していくということでございますから、こういったものについてはやはりきちっと対応していただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、いかがですか。

南川政府参考人 私どもが伺っている範囲でございますと、川崎市の方では、埋立処分を行ってまいりましたけれども、諸法令の改正によりまして基準強化されたということで、現在の体制では維持管理ができないということから、その新たな浸出液の処理設備を整備したいということで聞いておりまして、これ自身が相当、十七億とかそういう大きな金額になると聞いております。むしろ、それについて支援をするということで十分我が方としての役目を果たせるということで、可能であれば支援をしたいと考えておるところでございます。

計屋分科員 従来のものが古くなって、なおかつ、そこから浸出液というものが出る、そういう意味では、また新たにきちっと対応していこうということでございますので、今、当局の場合ですと、検討を図っているということでございますので、何分、人に対して影響してくる、こういうことで、きちっとした予算配分というものを要望して、この件については終わりたいと思います。

 もう一つ、ストックヤードというのを整備する事業費をいただきたいということでございますけれども、これについてもひとつ御答弁いただきたいと思います。

小池国務大臣 先ほどお答えをしたつもりだったのでございますけれども、川崎市が整備計画中の資源物ストックヤード、川崎市の御要望をしっかりお聞きした上で適切に対処してまいるということでございます。

計屋分科員 きちっと対応していただけるということでございますので、よろしくお願い申し上げまして、では、質問を移らせていただきます。

 次は、世界の遺産ということで、屋久島がユネスコに世界の遺産として平成五年の十二月に登録されたわけでございます。その登録された後には世界各地から観光客が押し寄せてきているわけでございまして、入山者だとか、あるいはまたそれによっていろいろと環境を破壊していくという問題があるわけでございますけれども、こういったような観点からいろいろと何点かお聞きして、要望していきたいと思うんです。

 まず、環境大臣は屋久島に行ったことございますか。そしてまた、もう一つ、屋久島の世界の自然遺産に対して、どういったふうな考えで、どういうふうに取り組んでいこうとしているのか、お聞きしたいと思います。

小池国務大臣 世界遺産に登録されております屋久島、残念ながら私自身はいまだ伺ったことはございませんが、今後、環境大臣として、チャンスを得て、ぜひとも伺いたいところの一つでございます。

 また、このたび一月の末に、新たな世界遺産の登録をしようということで、北海道の知床の登録の手続を始めたところでございまして、また知床のすばらしさも屋久島とともに世界にPRをしていきたい、また国内におきましては、当然のことながら、自然を愛する方々に、日本はこんなにすばらしいんだということをぜひともPRしてまいりたいと思います。

 と同時に、今御懸念の、また先生がお生まれになった屋久島の自然が、世界遺産となって日本国内外の観光の方々が押し寄せることによって、結果として自然が破壊されるようなことがあっては、何のための世界遺産登録なのかわからなくなってしまう。

 そういうことから、また一方で、島の経済も活性化させていくということを考えますと、ルールをしっかりと、それから、はやりのエコツーリズムという、その定義は何ぞやということを、昨年私大臣になりまして、真っ先に専門家の方々にお集まりいただいての研究会を開いていただいておりまして、今御審議の真っ最中でございます。よって、屋久島のこれまでも経験されてきた問題点なども、このエコツーリズムという考え方の、また計画の推進に当たりましては十分参考にさせていただき、かつ屋久島の自然を今後とも守ってまいりたい、このように考えております。

計屋分科員 環境大臣は世界の自然遺産に登録された屋久島に行っていないということでございますけれども、やはり、世界の中で大自然というのは、ヨーロッパから、それからアジアからということで、アマゾンを残してもうほとんど残っていない、こう言われているわけです。ですから、そういったふうな貴重な自然を子々孫々まで残していく、こういった考え方、また、今現在青森の白神山地と屋久島が二カ所登録されているわけでございまして、そういったふうなことから考えてまいりますと、世界の遺産というこの意味合いというもの、そして将来に残していく、これは大変貴重なことで、やっぱり環境省としても特に力を入れていかなきゃいけない、こういうふうに思っているわけです。

 そこで、登山者が大変増加している、急増と言った方がいいかもわかりません。そういったような中で、やっぱりごみの問題、それからトイレの問題、さらには希少な動植物、こういったような植物あたりは、それを持って帰るという人が大変多くて、いろいろと自然を破壊しているという現状があるわけです。

 ですから、そういったような中で、やはり現地としても、霧島屋久国立公園にも指定されておりまして、町として手をつけられないという部分もあるわけでございまして、そういう中から考えてまいりますと、国の方できっちりとした取り組みをしていかない限り、現地の声を聞いて、これが破壊されてすぐにだめになっていくということがもう目に見えているわけです。

 そこで、現地の方としては、登山道にゲートを設けて、そしてそこにレンジャーを置く。つまり、登山のマナーからあるいは自然の保護、それから遭難者。遭難者が年々ふえてきているわけです。細かい数字もいろいろと出てきているわけですけれども、遭難者が出れば、それに対して人的あるいは財政的にかかるわけです。ですから、そういったものを防いでいこう、そういう意味から考えても、やっぱりゲートというものが大変大切になってきて、それでそこに、レンジャーと申しますかレンジャーパトロール、こういう人が必要になってくるわけです。

 こういった取り組みというものに対して、これはほかに日本のどこかでそういうことをやっているのか、あるいは世界の入山者が多い地域でそういうことをやっているのか、またそれに対する取り組みというものについて、ひとつお伺いしたいと思います。

小池国務大臣 幅広く屋久島の環境保全のための御質問であったかと思います。

 まず、御指摘のように登山者は年々増加をしておられるということから、登山道を中心に、私ども環境省として、山岳部の公園施設の整備を進めております。また、今後ともその充実は必要であるという認識を持っております。

 特に利用者の多い縄文杉ルートにつきましては、鹿児島県が環境省の補助事業によって登山道を集中的に整備しておられる。また、平成十四年度には環境配慮型のトイレも整備をしているところでございます。

 また、各ルート、いろんなルートがあるようでございますけれども、それぞれの避難小屋、登山道、そしてトイレの整備につきましては、関係の機関とも協力をしながら積極的に進めてまいりたいと思います。

 また、今御指摘のありましたパトロールの方でございますけれども、遭難対策、それと希少植物が盗まれる、その防止などについて利用者を指導する必要があるという認識から、地元の方では、環境省の自然保護官、私どものレンジャーも加わって、関係機関で構成されます協議会が設置されていると伺っております。その協議会におきまして、標識の設置、そしてマナーガイドの作成、配布などの対策をお進めいただいております。

 環境省とすれば、地元の方々を雇用するということで、地元での雇用の創出、そしてさらには、それによって公園管理の充実を図るグリーンワーカー事業なども含めて、登山道のパトロール、そして維持管理の充実を図っているところでございます。

 幾つか具体的な御指摘をいただきました。これはまた、エコツーリズムなどにも共通する問題ではないかと思うので、十分参考にさせていただきたいと思っておりますし、また白神山地を含む世界遺産をしっかりと守ってまいるように心を新たにしているところでございます。

計屋分科員 今御答弁いただいたわけですけれども、具体的なものが見えてきていないということが言えると思うんですけれども。もちろん、世界の自然遺産ですから、いろいろな取り組みはやっていこうというその気持ちはわかるわけですけれども、具体的にこれを早急に推し進めないと自然が破壊されるという問題があるわけです。ですから、先ほどお話を申し上げ、そして要望しました登山ルートに対するゲートという問題、ゲートを置いてそこで登山者をチェックしていくということ、そしてマナーを指導していくということ、さらにはパトロールしてそして遭難者が出ないようにしていく、そういったようなことが大切だと思うんです。

 そして、データがあるんですけれども、遭難者ですね。世界遺産に登録後の屋久島への観光客が増加し、六十三年は六万三千五百十六人だったのが、平成十二年では十五万五千二百六十一人まで増加した、こういうことでございますし、また昨年のNHKの朝の連続テレビ小説ですか、「まんてん」というのが半年間放映されたわけですけれども、こういったような影響もあって昨年から観光客が大変急増しているわけでございます。それに地元が対応できないというのが現状でありまして、そういったような中から、やはりゲートを設けてそこを通過していって、そこでいろいろと指導したり、あるいはパトロールすることが大切だということなんです。

 今までの場合ですと、これは警察に入山するよというのを届ける、そういったようなことで、これも強制じゃないわけです。ですから、任意制で届ける人は届ける、あるいは届けない人もいる。そういう中で、登山者が急増しているということと、それから、遭難者ですね。遭難者の数も、平成十二年は発生件数二十一件に対して、発見、救出、下山者が二十八人、これは複数で行ったと思うんですけれども、そして死亡者が二名ということが出ているわけです。それから十三年度は十四件でございますけれども、下山したり発見したのが十二名、それから死亡者が一名、不明者が一名ということで、これは把握しているだけでそうでございますので、把握していない人というのもこのほかにいるわけでございます。

 大変風光明媚なこの屋久島、世界の遺産、そういうすばらしいところはやはり危険性が大変高いということが言えまして、こういったような不明者が出る、あるいは亡くなっているということが言えるわけでございますから、ぜひゲートを設けてパトロールあるいはレンジャー部隊というものを張りつけていただきたい。登山ルートも、縄文杉ルートとそれから幾つか、四カ所ばかりあるわけですけれども、こういったようなところにぜひ設置していただきたい、こういうふうに思うんですけれども、もう一回、その辺をもう少し踏み込んだ御答弁をいただきたいと思うんです。

小野寺政府参考人 屋久島のいわゆる奥岳地域の利用につきましては、我々もかなり前から問題意識を持って取り組んできております。大臣から答弁申し上げたとおり、ハードにつきましては、各種歩道の整備、トイレの整備をやってきておりますし、またグリーンワーカーと申し上げましたけれども、地元の人の雇用によるパトロール、歩道の維持管理、また夏の最盛期は縄文杉周辺でサブレンジャーというのを複数名雇いまして、さらに管理の徹底を図っているところでございます。

 しかしながら、委員が御質問ありましたように、奥岳地域をまとめてもっと効率的に保全の徹底、利用指導の向上を図る対策というのも地元から伺っているところでありますし、また土地所有者であります国有林それから地元両町、先ほど大臣から答弁申し上げましたが、登山の事故の協議会等の意見を十分踏まえまして対応してまいりたいと考えております。

計屋分科員 御答弁がありまして、前向きに取り組むということでございますけれども、詰めていけばいろいろともっとやっていただかなきゃいけない。あるいは人命に関すること、自然が破壊される、快適に皆さんが世界の遺産に触れる、そういったような問題から考えていくと、いろいろな問題があるわけでございまして、この登山ルートにゲートを設けるということ、これをしっかりとやっていくことにおいて、人命の問題、それから環境を保全する問題というものが守られていくと思います。

 そんなことで、もう一つトイレの問題もございますけれども、こういったふうなトイレの数が足りないとか、あるいはまた文化的な循環型のトイレというものを早急に整備していただきたい、こういうふうに考える次第でございます。

 それから次に、低公害車維持管理に対する支援ということで、環境省の方で、屋久島の方で電気自動車というのを十二台導入した、これが一台約五百万円ということで、その半分の助成をいただいたということでございますけれども、この助成について、屋久島の場合ですと、維持していくのに、これは五年でバッテリーが切れて、これを交換するのに三百万円かかるということでございます。買うときに、五百万ですから、町の方の負担が二百五十万円だった。ところが、今度これを交換するのに、バッテリー交換で三百万かかる。ですから、これに対する助成というものをしていただきたいという要望もございます。

 それからもう一点でございますけれども、屋久島に、屋久島の環境を学ぶという意味で環境センターというものを設けようということで、こういったようなことについても積極的に、外国から、日本の国内から来た人たちに対する学習というか、あるいは研究者あるいは観光の皆様に対しても、世界の自然遺産という観点からこの自然というものをやはり学習していただく、そういうやかたあるいはセンターというものをつくりたいという要望でございますので、こういったことも特段の御配慮を図って御検討賜りますようにお願い申し上げまして、時間が参りましたので、これにて質問を終わりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

北村主査 これにて計屋圭宏君の質疑は終了いたしました。

 次に、長沢広明君。

長沢分科員 公明党の長沢広明でございます。

 きょうは、環境省それから農林水産省両省にまたがって、幾つか確認をさせていただきたいというふうに思います。

 私、比例区の北関東ブロックの選出でございまして、地元は埼玉県でございます。埼玉県は大変豊かな自然が今も非常に多く残されておりまして、ただ、同時に非常に都市化が早く進むということで、環境問題にも大変関心の高い市民がたくさんいらっしゃる地域でございます。特に、県の南部におきましては、いまだに人口の流入が非常に激しい地域で、大きな雑木林がマンションの建設で切られているというようなことがかなり続いておりまして、開発との問題が非常に、特に市民の間でも大きな関心を呼んでおります。

 この武蔵野の雑木林を守ってほしいという声も上がっておりますし、まず初めに、都市近郊での雑木林、あるいは里地里山、こういうふうにも言われておりますが、この里地里山の自然環境、都市近郊においてどういうふうに大事なものか、都市環境における自然の、里地里山の重要性について、認識をまずお伺いしたいと思います。

加藤副大臣 お答えしたいと思います。

 里地里山は、いわゆる二次林を中心にいたしまして、水田とかため池あるいは草地等を構成要素としておりますが、農林業等の、さまざまな人間の働きかけを通じまして環境が形成されている、そういった地域であるというふうに考えてございます。

 メダカとかカエルとかあるいはカタクリ等の身近な野生生物の宝庫であるわけでございますし、あるいは生物多様性の保全上極めて重要なものでございまして、また身近な自然との触れ合いの場としても大変重要なものであるというふうに環境省としても認識しているところでございます。

 しかし、今委員がお話しされましたように、近年の過疎化あるいは逆に過密化の関係で、管理地の管理を放棄する、土地を放棄してしまったり、あるいは都市近郊での土地利用転換などによりまして、いわゆる里地里山が失われてしまう、あるいは質の低下が極めて顕在化しているところになっているわけであります。平成十四年三月に策定いたしました新生物多様性国家戦略におきましては、里地里山が放置されることによる影響、それは、生物多様性の三つの危機の一つに位置づけてございまして、里地里山の保全を生物多様性保全の主要なテーマに掲げているところでございます。

 環境省といたしましては、こういった重要な里地里山の保全について、農林水産省を初めとする関係各省とも連携いたしまして、これは本当に都市再生にかかわる重要なテーマもございますので、積極的に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。

長沢分科員 積極的に、本当に、農水省あるいは国土交通省ともよく連携をとりながら、ひとつお願いしたいというふうに思っております。

 今、いわゆる管理放棄あるいは土地利用の転換という中で、自然環境が、都市化とどうバランスをとるかということが非常に大事な課題になっていると思うんですけれども、特にこの雑木林の保全というのは地域で非常に関心が高くなっております。ただ雑木林を守っていこうと言うのは簡単なんですけれども、その土地を持っている管理者の側からしますと、守れと言うのは簡単ですが、持っている方も大変ですよと。地元の自治体あるいは地権者にある意味ではゆだねられているということが現状ではないかというふうに思います。

 開発圧力が特に高い地域が特に埼玉県の県南部には非常に多くて、特に朝霞とか志木、新座、和光それからさいたま市も、まだそういう圧力、非常に強くなっておりますし、見沼田んぼの保全とか、非常に大事な問題が残っておりますし、所沢市、川越市、春日部市、熊谷市、こういう都市近郊のまだ開発圧力が依然として高い地域については、雑木林を守るという意味で、さまざまな角度から対応が必要であるというふうに思っています。

 国土交通省などでは、緑地保全地区の指定というような形で、相続税対策も含めた対応が検討され、またとられ始めているということですが、環境省としても、雑木林をどう保全するかという角度で積極的に取り組む必要があるというふうに私は思いますし、また積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っておりますが、お考えいただきたいと思います。

小野寺政府参考人 委員御指摘の雑木林につきましては、我々の調査では、全国に二割ほど、国土面積の二割ほどあって、先ほど副大臣から申し上げたように、生物多様性保全上極めて重要な地域であるという認識をまず持っております。

 その上で、我々としては、昨年成立いたしました自然再生推進法、環境省も予算を一部とってやっておりますが、既に埼玉県でも一部事業実施をしておりますし、今後拡大してまいりたいというふうに思っております。

 加えて、十六年度の予算で、里地里山に対するモデル事業、これは計画策定、一部事業実施を含んでいるわけでありますけれども、委員の御質問の、まさにそのとおりの中身でありまして、各省、地元市町村、NPO等と協力して、保全のモデル的な事業を実施して、全国的な展開につなげていく、こういう目的であります。そういう事業を通じて、里山の保全対策を充実させていきたいと考えております。

長沢分科員 里地里山保全の再生のモデル事業、これは大変に大事だと思います。開発というのはとにかく今非常に大きく進んで、常にプレッシャーがかかっておりますので、短期間のうちにできるだけスピーディーに、調査も含めて対応をお願いしたいというふうに思っています。

 同時に、例えば、埼玉県内でも再生モデルにふさわしいという地域がたくさんあります。私が地元で住んでいる、三富新田という、いわゆる柳沢吉保の時代から開発を進めた三富の開発というのがありまして、くぬぎ山も含めて、今、くぬぎ山はいろいろ対応していただいておりますけれども、やはり同じような、再生モデルにふさわしいと思われる地域がたくさんありますので、ぜひさまざまに検討していただきたいというふうに思います。これは、要望だけで結構です。

 それから、自然再生と都市緑化の事業につきましては、我が党も、都市に緑を、グリーン倍増計画、こういうふうに言っておりまして、自然と街の共生、推進プログラムの策定により、緑を倍増する計画ということを提唱しております。この緑倍増、グリーン倍増という計画について、環境省としてはどのような取り組みをしておられるか、お伺いしたいと思います。

西尾政府参考人 今お尋ねは、都市の緑化ということを中心にして、環境省はどういう取り組みをしているかということでございます。

 都市の緑化そのものの中心的な部分は主として国土交通省に属することかと思いますが、私どもは、ヒートアイランド対策という観点から大変に関心を持っておるわけでございまして、近年の大都市におきます温度の上昇、ここ百年間で二度から三度という非常に大きなものでございます。早急に対策を打たなきゃいけないということでございまして、そのために、環境省と国土交通省が中心になりまして、関係省庁会議も開きまして、ヒートアイランド対策の大綱を、今まさに、今年度中、三月末までに取りまとめようという努力をしております。

 その中には、人工のエネルギーを、人工排熱を減らしていくこととともに、地表面被覆の改善ということがございます。これは、緑をふやしていく、水面をふやしていくということでございます。そういうことでございまして、全体にそういう枠組みをつくり、関係省庁に対策に努力していただくというのが一点。

 それから、例えば、都市緑化につきましては、国土交通省とともに税制要望などもいたしまして、固定資産税の課税標準の特例措置をやっていただくということが二点。

 そのほか、私ども、ささやかではございますが、自然共生型地域整備推進事業といったようなもので、ビオトープづくりなども推進していく。できるところからは、私どもとしても事業もやっていくということで取り組んでいる次第でございます。

長沢分科員 自然の再生と、それから都市の緑化という二つの角度なんですけれども、都市に、近郊におきまして、さまざまいろいろな取り組みもされておりますし、環境省としても、本当に力を入れていただいております。グリーンを倍増する、緑を倍増するという、具体的な目標をやはり掲げて、これからもお願いしたいというふうに思います。

 先ほどちょっと、里地里山の保全のモデル事業について、三富新田とかくぬぎ山というようなところ、そういう地域もありますのでそういうところも検討していただきたいというふうに要望させていただきましたが、これは、お答えはしていただけますか。

小野寺政府参考人 モデル事業箇所につきましては、今現在、四カ所程度というふうに考えております。

 現在選考中でありますが、埼玉県につきましては、見沼田んぼなどの水郷地域、それから平地林が非常に特徴的なところであることを十分承知しております。いろいろな要件のほかに、地元が熱心に取り組んでくれるということもかなり重要な要素になると思いますので、委員の御指摘を踏まえて、今後検討してまいりたいと思います。

長沢分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、農水省関連で幾つか質問させていただきます。

 自然環境保全という部分で今環境省の方にお伺いさせていただきましたが、環境については、環境を守るということと同時に環境を生かしていくということも大事になってまいります。環境省も、そういう面では、環境教育という分野に随分力を入れてくださっておりますが、一方、農水省としても、北関東一円に広がる田んぼという資源をどう活用するか、田んぼの活用という観点で、特に環境教育に資する観点で、例えば田んぼ学校とかされていると思います。

 この田んぼの学校の取り組み等は、これは強力に推進すべきだというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。

日尾野政府参考人 長沢委員から御指摘のございました田んぼの学校に対します取り組みでございますけれども、委員からも御指摘のとおり、農村というのは、古くから農業の営みの中でつくられてきました田んぼですとか水路ですとかため池、こういったものが子供たちの遊びとか学びの教材になってきているという状況になっているわけでございます。

 こういった遊びとか学びというのは、子供たちが環境や農業、農村に対する豊かな感性とか見識を持つ、こういった人間を育てていくために最適なものだというふうに私どもも考えているわけでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、環境省、文部科学省と連携をいたしまして、魅力ある農村環境づくりを行うために、例えば、観察施設の整備ですとか環境教育活動の支援等々に対しましていろいろな助成を行いまして、各地で田んぼの学校の取り組みを推進しているところでございます。

 その結果、現時点で、全国で二百六十三、埼玉県では十五の地区のいろいろな登録団体ができている、かような状況になっている次第でございます。

 今後とも、このような活動をしっかりとやっていきたい、かように考えている次第でございます。

長沢分科員 この田んぼの学校、例えば小学校とかそういう公共のところが活用していくということもありますが、最近は、これは農水省、環境省に申し上げてもしようがないんですが、民間の、例えば保育所とか、そういう、お子さんを預かっているところで、ただそこで、部屋で保育するだけではなくて、どんどん表に出て、田んぼに連れていったり川に連れていったり、非常に注意をされながらなんですが、一生懸命考えてされているところも随分ありまして、そういう民間の小さなグループの取り組みにもこの田んぼ学校が生かされるように、ぜひこの結びつきを検討していただきたいというふうに、これも要望だけさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、農業の振興について触れておきたいと思いますが、埼玉県も、米、麦ばかりじゃなく、果物あるいは酪農も行われておりまして、非常に豊かな、農業の盛んな地域でございます。

 農業については、特に最近は、消費者の側から見て、安心、安全ということが大変大事な角度でもあります。農業の振興という中に、安心、安全な農産物の供給という角度での農業振興という角度をこれから非常に強めなければいけないと思いますし、この安心、安全な農産物の供給源としての農業振興という観点から、どういうふうに考えて政策を進められていくおつもりかということが一つ。

 もう一つ、安心という意味では、顔の見える農業、いわゆる地産地消、地域でとったものを地域で消費していくという、安心、安全という意味では、顔の見える、地産地消という考え方を推し進めていくことも非常に大事な角度だというふうに思っておりますので、この二点についての国の取り組みを確認させてください。

染政府参考人 我が国の農業と農産物に対する消費者の信頼を高め、そのニーズに即した農業生産を行うためには、消費者と生産者が互いに顔の見える関係を構築いたします、地産地消を推進することが極めて重要であるというふうに考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、昨年の六月に食の安全・安心のための政策大綱を策定いたしまして、それに従いまして、生産者と消費者がじかに対話することを通じて、地元消費者のニーズを把握するための交流活動の実施、あるいは、地場農作物を応援する消費者サポーターの組織化、この辺の取り組みを推進することによりまして、地産地消の活動を推進しているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを通じまして、安全、安心な食品を消費者に供給する観点からも、地産地消を推進しながら農業の振興を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

長沢分科員 この安心、安全という、さまざまに今問題も起きておりますし、これから非常に大事なんですが、特に関東という地域でいいますと、東京という非常に大きな消費地域に対して、関東という地域が広い意味で農産物の供給源になっていく、安心、安全な農産物を供給する供給源としての関東地域の農業振興という角度で、何か絞って政策を打っていくことも必要ではないか。最近は、農機具、あるいはさまざまな関連の開発にも力を入れているところはたくさんありますし、つくる側も、とにかく自分たちの顔を見せていこうといろいろな形で工夫をされていると思います。この地産地消という観点でのこれからの国のこういった取り組み、非常に期待をされておりますし、大事な角度だと思いますので、全力でひとつお願いしたいと思います。

 次に、花卉市場の問題についてちょっと御質問したいと思います。

 埼玉県の鴻巣市に一昨年オープンしました鴻巣フラワーセンターという花卉市場がございまして、これは東日本でいうと東日本最大級の規模というフラワーセンターでございます。一昨年オープンして、市場の関係者の方は非常に一生懸命頑張っているんですけれども、オープン後、非常に価格が低迷するというようなことがありまして、東日本最大級の規模の花卉市場として周囲は非常に期待をしたんですが、それに比べて市場の関係者の方、生産者の方、大変苦戦しているというのが実態でございます。

 花卉市場全体について、今どういう状況にあるか、またどういう状況に見ておられるかという、市場に対する認識をまずお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 花卉市場の経営の現状についてのお尋ねでございます。

 お花の市場である花卉卸売市場、長引きますデフレのもとでの個人消費の低迷を受けまして、全体の需要自体が伸びないということで、厳しい状況にあります。特に卸売市場におきましては、近年、その取扱金額が減少傾向にあります。具体的に申しますれば、平成九年度には五千五百三十一億円ありました取扱金額が、十三年度には四千八百七十五億円と一二%の減少になってございます。そうした取扱金額の減少を受けまして、卸売業者の経営は非常に厳しいものというふうに認識してございます。

長沢分科員 今、非常に厳しい状況にあるというふうに認識が示されました。

 確かに、需要が伸びない、取扱量が伸びない、逆に、生産地が拡大すると供給過剰になるという問題がありまして価格が上がらないということになってまいります。非常に厳しい状況にあるという中で、花卉市場をどう守り、どう育成していくかということも大事な観点だと思いますので、花卉市場育成という観点から支援する方策をどのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 ただいま大変厳しいというふうに申しましたが、その一つの原因が、先ほど申しましたように、市場の集荷力が落ちている、市場に物が集まってこないという点でございます。したがって、市場の魅力を回復していくということが非常に重要な点だと考えております。

 こうした観点に立ちまして、農林水産省といたしましては、市場を取り巻く状況の変化に即応しました卸売業者に対する規制の緩和、あるいは卸売市場の再編等を通じた市場機能の強化ということを主内容にいたしました卸売市場法の改正法案を今次通常国会に提出させていただきました。この改正法の施行によりまして、花卉卸売市場の市場機能の強化を通じた卸売業者の経営体質の強化が図れることを期待しているところでございます。

 ちなみに、先生御指摘の鴻巣フラワーセンターでございますが、まさにこうした統合といった、二つの市場、鴻巣花市場、鴻巣園芸センターの統合を図って大型化し、あるいは設備を近代化して市場の魅力を高めようという先駆的な取り組みだととらえておりまして、こうしたところがぜひ頑張っていただきたい、景況の回復の中で今後伸長していただくことを見守ってまいりたいと思っております。

長沢分科員 まさにおっしゃられたとおりで、東日本最大級で、しかも先駆的な取り組みをしているこのフラワーセンターが事実上今非常に厳しいという問題に直面をしているので、ぜひしっかりよく見ていただいて、花卉市場がこの後しっかり育成される、守られていくという意味では、東日本の中で中心になるこの鴻巣フラワーセンターがどれだけ頑張れるかということが一つの非常に大きな目安に、基準になっていくと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいというふうに思います。

 その市場の問題とはまた別に、今度は生産者の側という問題がございます。市場で値が下がれば、生産者の方もマインドが低くなるというか、簡単に言えば、やる気が失われていく。売れる商品を目指すということが市場の活性化にもつながるという関係がございますし、したがいまして、市場との依存関係にある生産者への支援というのも重要だというふうに思っております。

 市場が厳しくなっているということは、同時に生産している側も非常に厳しい場面に置かれているわけで、先ほど、需要をどう拡大するか、そして市場機能をどう強化していくかということが大事な観点だというふうにおっしゃられましたけれども、同時に、生産者の側が、できるだけ売れる商品がつくられていくように価値を高めていくというか、そのために生産者が努力する、その努力をどう後押ししていくかという意味の支援も大事だというふうに思っておりますので、この点についての考えを伺いたいと思います。

染政府参考人 花卉につきましては、先生御指摘のとおり、景気後退の影響などによりまして需要が横ばいとなっている中で、価格も低迷するなど、花卉の生産者あるいは花卉産地に大変大きな影響が出るようなことが懸念されておるところでございます。

 このため、やはり消費者ニーズに沿った生産をやっていくというのが極めて重要であろうというふうに考えておりますので、そのような観点から国内花卉産地の育成強化ということを図っておるところでございます。

 具体的には、農林水産省といたしましては、作業の自動化あるいは共同化、さらには低コスト耐候性ハウスの導入等によります低コスト生産の推進を支援いたしますとともに、産地オリジナル品種の開発あるいは花束加工機械の導入等によります高付加価値化などによりまして、多様な消費者ニーズに対応した生産の推進を支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、このような取り組みを通じまして、足腰の強い花卉産地の育成あるいは生産者の力強い発展を支援してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

長沢分科員 生産者の方も、市場の状況を見て非常に困惑をし、また戸惑っているということもありまして、やはり、非常に期待をされた鴻巣フラワーセンターでありながらなかなか伸び悩むという状況があって、生産者の方も大変苦しんでおりますので、生産者への支援というのをしっかりお願いしたいというふうに思います。

 最後に、農業全体の話なんですけれども、農業の国際競争力をどう発揮するかという問題なんです。

 一つは、今お隣の中国が大変な高度成長、日本の高度成長に匹敵するか、戦後の高度成長に匹敵、さらにそれを超えるかという、GDPの九%を超えるという大変な高度成長を続けております。中国が高度成長していく中で、逆に中国向けの輸出、日本からの輸出というのも、日本の景気の中でも、景気を上向かせていくという上でも非常に大事なんですが、この中国向けの輸出を農林水産業という角度から切ってみると、逆に非常におもしろい現象が見えてくると思うんですね。

 特に、何が売れているか、中国で日本の農水産物の何が売れているのか。最近聞く話は、ナシとかそれから四国の木材とかが非常に中国で売れる。大量に売るというよりは、高品質、高価格で売れる。中国で家を建てるときには、中国の木を使うよりも日本の木を使って建てる方が非常にイメージがいい、日本の木材が大変なブランドになって受け入れられているという流れがあります。これは今、木材を引きましたが、例えばナシでいえば、日本のナシをお客さんに出すというのは非常にブランドになっているということがあります。

 高品質、高価格のものが日本から中国に売れるということは非常に大事な角度でありまして、日本の農林水産物をジャパン・ブランドとして出していくという戦略的な角度というのは持っていいんじゃないか。

 これは、逆に言うと、中国に非常に大きな資本と流通機構がありまして、今まで私たち日本は、どうしても、中国に工場を建てて、中国の安い労働力を使おうというふうに考えますが、農業という観点では、労働力ではなくて、逆に、中国の資本と、中国の中に実は大変に細やかにつくられている流通機構、大きい国ですけれども、流通の網が非常に細やかにつくられている、この流通の流れを使って、日本は攻めの姿勢で、ジャパン・ブランドをつくって攻めの姿勢で日本の農林水産物を出していくという戦略的な角度が必要ではないかと思いますし、ぜひそういう姿勢で臨んでもらいたいというふうに思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

村上政府参考人 お答えいたします。

 輸出促進の関係でございます。

 先生御指摘のとおり、中国を初めといたしまして、近年、アジア諸国の経済発展に伴いまして所得が向上するということで、高品質な国産農林水産物の輸出機会を拡大する好機が生じてきているというふうに考えております。

 農林水産省としましても、地方やジェトロ、それから民間団体と連携しながら、国産農林水産物の輸出機会の拡大をするということが非常に重要というふうに思っております。

 そのために、輸出促進事業といたしまして、諸外国の貿易制度などの調査、それから輸出先国の市場開拓ミッションの派遣、あるいは海外セミナーなどを活用しました国産農林水産物のPRなどを強化いたしますとともに、国内外のニーズに対応した生産体制の構築に向けまして、高品質化などの取り組みを一層推進していくことといたしております。また、国産農林水産物の輸出を阻害する外国の制度やその運用状況などを把握いたしまして、これを是正するというような取り組みをも強化しているところでございます。それから、これらのような取り組みを調整し、総合的に推進するための組織といたしまして、農林水産省に平成十六年度から輸出促進室を設置することといたしております。

 このような事業あるいは組織を十分活用いたしまして、先生御指摘のような点につきまして十分勉強いたしまして、国産農水産物の輸出拡大に向けまして、今後とも最大限努力していきたいというふうに考えているところでございます。

長沢分科員 本当に、今、チャンスととらえられているというふうに思っています。チャンスなだけに、スピードを持って取り組む必要があると思いますし、今、西日本側にちょっと偏っておりますので、東日本も、中国、アジアへ向けての農水産物の輸出が拡大できるというふうに、できるだけ偏らないように、全国にきちんと均等に行くように配慮をお願いしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

北村主査 これにて長沢広明君の質疑は終了いたしました。

 次に、楠田大蔵君。

楠田分科員 どうも初めまして。民主党・無所属クラブの楠田大蔵でございます。本日は、皆様、まことにありがとうございます。

 私、昭和五十年生まれの二十八歳でございまして、実は世界的に見ればベッカムと同級生になりまして、まだまだ若造でございますけれども、バックも知名度もなかった自分がこうして福岡五区という地から選出されてこのようなチャンスをいただきましたのも、やはり今の日本の政治に対して相当な不信、それが高まっているからだと私、強く認識いたしております。そのような責任感を持って本日の初の質問に臨ませていただきたいと思っております。

 まず、地元の事情から説明をさせていただきたいと思います。

 私、福岡県の筑紫野市というところで生まれ育ちましたけれども、この地の山の中ではございますけれども、佐賀県との境に位置します平等寺という地区に産廃処分場がございまして、この産廃処分場が平成十五年、昨年の九月二十四日に再び許可されました。中間処理業、焼却と選別において許可されました。

 この許可に対して、地元の住民を中心に行政不服審査法第五条に基づいて不服が申し出されました。これが昨年の十二月十八日になりますけれども、この件に関して大臣、認識をまずお持ちでしょうか。また、このような同様な不服が今の時点で、また過去においてどれぐらいの数なされておりましたか。その点に関してお答えいただければと思います。

小池国務大臣 大臣として認識があるかと言われれば、あります。

 御指摘の福岡県の筑紫野市、この審査請求は昨年の十二月十八日の時点で受理をいたしまして、そして、その中身については、今、委員自身が御紹介されたとおりでございます。中間処理業についての許可を福岡県は更新したけれども、その許可を取り消すべきであるという、地元住民から環境大臣に対する審査請求が提出をされたわけでございます。

 この会社でございますが、最終処分業も行っていたけれども、これまで許可容量を超えた埋め立てを行ってきた、またその撤去が完了していないということから、県はこの会社に対しての最終処分業の認可については更新を認めなかったということで認識をいたしております。七地元住民の方は、中間処理業についても許可をすべきではない、更新を認めるべきではないというお立場であるということで承知をいたしております。

 それから、何件ほどあるのかということでございますけれども、最終処分場に関する行政不服審査請求についての環境大臣への提出件数は、この件を含めまして十件程度でございます。それぞれ各地の御事情を抱えておられるようなところもございますけれども、できる限り早期に裁決できるように対処してまいりたいと考えております。

楠田分科員 ありがとうございます。

 できるだけ早急にということでございましたけれども、あえて確認させていただければ、個別の事情は確かにあると思いますけれども、この審査請求が出されてから二カ月余りもう既にたっております。まず、県からの弁明書の提出というのが最初になると思いますけれども、これは具体的にお答えしにくいというか、わからないということでもあると思いますけれども、大体どのような時期になってくるのか、また、一般的にどのぐらいの長さになってくるのか、ちょっと教えていただければと思います。

南川政府参考人 御説明申し上げます。

 行政不服審査法におきまして、審査庁、私どもでございますけれども、私どもから弁明書の提出を求めております。およそ一カ月を目途として求めておりまして、ちょうど先週金曜日の、ちょっと時間は忘れましたが、金曜日の遅い時間に到着をいたしました。したがいまして、現在私ども、きょう急ぎ決裁をいたしまして、反論書の提出を申請人の方に求めるという手続に入りたいと考えております。

楠田分科員 ありがとうございます。

 初めて金曜日に到着したと知りましたけれども、その後、流れを少しおっしゃっていただきましたけれども、その次の反論なり裁決の時期というのはまだまだわからないと思いますけれども、大体どれぐらいの時期になるかというのを教えていただければと思います。

南川政府参考人 失礼いたしました。私、一点間違えまして、県からの弁明書が着いたところでございます。これから申立人に対してその写しを送りまして、反論書の提出を求めることにいたしております。後は、申立人の方から反論書が参りまして、その後、通例でございますと口頭の意見陳述などを行います。そして、できるだけ早くと思っております。

 ただ、案件によりまして、途中で申立人とその関係者の間で話し合いが行われたりしますので、一概に言えませんけれども、私どもとしては、できるだけ早く裁決ができるように処理を進めたいと考えております。

楠田分科員 こうしておる間にも住民の不安というものはやはり長く続いておりますので、できるだけ迅速に、また適切に裁決がされることをお願いしたいと思っております。

 そもそもこのような不服が出ましたのは、やはりこの処分場に対して、施設の今までの業に対して、県からの指導や厳重注意というものが今まで数度にわたって出てきた。また、何よりもこの地域、産廃処分場が位置する場所がダム、私どもが住んでおります筑紫野市を含みます、筑紫野市、小郡市、太宰府市という二十万市民の水がめであります山神ダムというダムがございまして、そこの上方一・五キロと、大変近い位置に位置しているということが一つのこのような不服が出ている理由になっている、私も住民の一人としてそのような強い認識をいたしております。

 やはり最初の時点で、平成五年にこの許可が県から出たというふうに認識しておりますけれども、まず、この許可をそもそも出したこと自体が、私は県の認識というのを疑わざるを得ない、そのように考えております。この点、まずちょっと大臣に、できればこのダムの上方一・五キロの位置に産廃処分場が認可されるということ、この認識に関して、県の考え方に関して、率直にお答えいただければと思います。

小池国務大臣 今もう御自身、お答えおっしゃられておられましたように、幾つかの市がもうこの水源から、その利用をする方、それから提供する方で複数の市町村にまたがっているという事実から考えましても、こういった複数にまたがるという観点、それからそのほか計画の整合性など、そういったことを総合的に判断するのは、むしろ都道府県知事のレベルではないかということで考えているところでございます。

 しかしながら、この関係市町村の意見も十分配慮する必要があるということでございまして、この許可を、つまり県知事が許可を行うに当たっては、生活環境保全上関係がある市町村長の意見を聞かなければならない、そのようなフローチャートに既になっているところでございます。

楠田分科員 この後聞きたいこともお答え、同時にしていただいたことになったわけですけれども、確かに、フローチャートとして調査されておるかもしれませんけれども、実際に有機物が密着不可分で処分をされるとか、やはり指導が行き届かずに業者頼み、業者報告に頼むことになってしまう、それを信頼せざるを得ないという面もあると思っております。

 そうしたときに、そもそも、やはり先ほどちょっとお答えもいただきましたけれども、市町村長が認可するべきではないか、県知事が許可をするという形では、やはり私は、判断として、実際に影響を受ける住民のニーズにこたえることはできない、やはりダムの上につくられるということがこれからも起こってしまうんじゃないか、私はそのように認識いたしております。再びでございますけれども、この点に関して、もう一度御見解を伺えればと思います。

南川政府参考人 事務的に若干コメントさせていただきます。

 廃棄物、特に産業廃棄物でございますけれども、やはり処理自体が一市町村内では困難な場合が多い、広域的な処理が前提となります。当然ながら環境アセスメントを行うにつきましても、周辺地域の生活環境の保全ということを見る必要があるわけでございます。

 また、実際の許可につきましても、技術基準に適合し得るか、あるいはその申請者の技能、知識、能力はどうか、それから経理的基礎はどうかといったこともあわせて判断いたしますので、相当な事務処理体制が要るわけでございます。そういったことが私ども産廃施設の設置の許可につきましては、都道府県知事が適切であろうということでお願いいたしております。

 ただ、当然ながら地元の市町村が影響を受けるわけでございますので、大臣から御答弁申し上げましたとおり、生活環境保全上関係がある市町村長の意見は聞くことになっております。

 それからまた、今回につきましては、地元の方、私の方にも実はいろいろ来ていただきました。話は十分に伺っておりますし、県にもお話は伝えておるところでございます。

楠田分科員 もちろんおっしゃることは想定もしておりますし、そのようなお答えというか、納得する部分もあるんですけれども。

 実は、個人的になりますけれども、やはりこの産廃処分場が許可をされたときに、私の父がその地の市長をさせていただいておりまして、相当な反対の活動をさせていただいたわけでございますけれども、やはりその願いはむなしく届かなかった。県知事の許可がされてしまった。また、こうした許可に対しては、先ほどフローチャートとして市町村長の意見を伺うということになっているとおっしゃいましたけれども、これは平成九年の改正で行われたと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

南川政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

 それから、当初は、これは昭和六十三年にたしかできておりますが、当時はその届け出ということでまだ許可に至っていなかったということもございます。

楠田分科員 ちょっと不勉強な部分、確かにありましたけれども、この点において、改正前に届け出もしくはその後の許可の手順が、平成九年の改正後と違っていたということになると思いますけれども、もちろん住民への影響という点で考えましたら、改正前と改正後でその対応が変わってくること、また、その危険性は変わらない上から、どのような改正前に許可された案件に対して安全性の対応が、法改正の趣旨がどれだけしんしゃくをされてくるのかという点に関してちょっとお答えいただければと思います。

南川政府参考人 平成九年の法改正前の最終処分場につきましては、特段の施設の変更許可申請があった場合を除きましては、環境アセスメントも行われませんし、地元の市町村長等の意見聴取などもございません。

 ただ、私ども平成九年の法改正に関連いたしまして、環境アセスメントとは別に最終処分場の構造・維持管理基準というものをつくっておりまして、その中で最終処分場からの浸透水あるいは最終処分場周辺地下水への基準をつくりまして、これらをきちっと検査するということで、その排水によりまして周辺の環境が悪化することがないようなそういった基準をつくり、その維持管理の適切な実施に努めているところでございます。

楠田分科員 もちろんそうした趣旨を酌んで検査というか対応を行っているということは承知いたしますけれども、やはり私は、それでもなおダムの上流につくられることによって、その検査をかいくぐって、また安定型の処分場でございますからシート等もかぶされてはおりませんし、過去に埋められたものに対して、当然、法改正の前にあったものに対してやはり基準が甘かった部分も十分あり得るのではないか、そのように認識をいたしております。長い時間をかけて地下からこのダムにしみ出すということも十分考え得るんじゃないか、私はそのような考えをしておるわけでございます。

 やはりこのような位置につくるということは今後は少なくとも避けなければならない、いささか感情的ではありますけれども、このように思うわけでございます。

 まあ仮定の話になりますけれども、もし今のこの改正後にこのような場所につくるというような案件があった場合、また最近の裁判例でも、ごく最近、たしか二月十八日だったと思いますけれども、福岡地裁の飯塚支部の福岡県川崎町の産廃処分場の裁判の事例におきまして、将来的にこれはしみ出す危険性が安定型でも十分あり得る、過去の事例をとってもそれはあり得るんだというような裁判例が出たところでございます、あくまで地裁の判決でございますけれども。このような事例にも基づいて、今の時点でダムの上方に産廃処分場が許可されることは、最近の事例ではなくなってきたと言えますでしょうか。

南川政府参考人 今全くないかどうか、そこまでは確認できません。ただ、全体としまして、産廃処分場の設置許可は激減をしております。たしか私の記憶では、平成八年には全国で百三十件ほどございましたけれども、現在では全国で二十件から三十件というふうに、産業廃棄物の埋立処分場の許可が減ってきております。

 それから、現在であれば当然ながら環境アセスメントを行っていただくわけでございますが、利水地点、水道水源であれば、当然ながらそこに対する影響というのは環境アセスメントの中できちんとやっていただくということになるわけでございます。

楠田分科員 またちょっといささか細かくなりますけれども、環境アセスメントの上でと言われましたが、環境影響評価法ですか、それの産廃処分場の、この程度の規模では範囲外になるとも聞いておりますけれども、これが範囲外になるのかどうかという点と、範囲外になるとして、先ほどおっしゃった環境アセスに基づいてというところは全く同等の検査がされるのかどうか、その点のちょっと確認をさせていただきたい。

南川政府参考人 環境影響評価法上は、面積が三十ヘクタール以上の最終処分場ということでございます。廃棄物処理法に基づきますアセスメントは、すべての最終処分場を現在対象にしております。

 その中身でございますけれども、まず環境影響評価法の方でございますが、大気環境、水環境、それから土壌環境、あるいは植物、動物、生態系、景観、触れ合い活動の場、温室効果ガスなどを含めております。ただ、廃掃法に基づきますアセスメントにつきましては、大気環境はほぼ同様でございますが、水質汚濁につきましては、底質など、一部が環境影響評価法に比べて欠けております。また、いわゆる土壌環境、あるいは植物、動物、生態系、そういった影響については、特に廃掃法上のアセスメントでは評価する対象要素にはなっておりません。手続的には比較的類似しております。

楠田分科員 このような規模、小さい規模であれば、周りへの影響が比較的小さいということで、対象外になっておるということが言えると思いますけれども、やはり私は、これもまた感情的になりますけれども、平成九年でしたか、せっかく環境影響評価法というものができまして、その趣旨がすべてにおいて反映されるべきだと考えておりますので、欠けている部分も、ぜひとも私は、法の趣旨、ほとんど同じような影響調査がなされるような体制にしていきたい、これは要望になりますけれども、そのようにお伝えさせていただきたいと思っております。

 ちょっといろいろ細かいことになりまして、最初の質問なので御容赦いただきたいんですけれども、そうはいっても、先ほど少し説明もありましたけれども、この平成九年の改正で新しい産廃処分場の設置が認められにくくなったというのは事実であると思います。今の時点で、この産廃処分場の設置そして排出量の関係におきましてどれだけの逼迫状況があるのか、それをお教えいただければと思います。

南川政府参考人 お答え申し上げます。

 産業廃棄物は、現在、毎年、全国で約四億トン排出をされております。これは今も変わっておりません。ただ、減量化、つまり焼却するなり、あるいは破砕するなり乾燥するなりといった減量化による努力、またリサイクルが行われることによりまして、埋立最終処分量というのはここ数年着実に減少しております。平成八年度が六千万トン、十三年度で四千二百万トンということで、この五年間で約三割埋立処分量が減っております。私ども、当座の目標としまして、平成十七年度にはこの埋立処分量を三千六百万トンにしたいということで、リサイクルあるいは中間処理を進めたいと考えております。

 ただ、全体的に見ますと、その最終処分場自身は非常に逼迫をいたしておりまして、残余容量にして四年程度しかないということでございます。現在、埋め立てします民間の産廃処分場、約二千七百程度ございますが、ほとんどふえていないというのが現状でございまして、かなり逼迫した状況が今後とも続くだろうと考えております。

楠田分科員 このような状況があると、先ほど細々と質問させていただいて、許可を厳しくしてほしいと要望はいたしましたけれども、やはりこれからこの逼迫状況が続く限り、苦しい選択が続いていくというのも事実だと思います。

 そうした中で、これから産廃処理行政に関してどのように取り組んでいかれるのか、ちょっと大ざっぱな質問になりますけれども、大臣、ぜひ具体的にお答えしていただければと思います。

小池国務大臣 今数字で御説明をいたしましたけれども、我々、人間活動、また経済活動が続く限り、大量の廃棄物を排出するということは否めないわけでございます。そしてまた、最終処分場が逼迫している、さらにはどこかで不法投棄が行われてしまうといったような問題。今これらの事項に対してどのような方向でやっていくのか、またどのように解決していくのか、その一つの大きなコンセプトが、これまでの社会から循環型社会へ変えていこうというパラダイムシフトをどのように図るか、そのための法律などどういったものを用意すべきなのかといったことを進めている最中でございます。

 産廃に関しましては、これまで排出事業者の責任を徹底すること、それから安全で安心できる処理施設を確保すること、そして不法投棄を未然に防止する策、そして原状回復など、こういった点を基本的な施策の柱として、それぞれの柱を強化していこうという考え方であります。

 特に不法投棄の問題なんですけれども、最終処分場がなかなか厳しいとなりますと不法投棄がふえるというような追いかけっこのような状況がありますので、そこで、大規模な不法投棄は五年以内に撲滅しようということで、不法投棄防止対策の強化と優良業者の育成、そして安全な受け皿の確保を早急に進めたい。つまり、しっかりやっている業者についてはあめ、あめまでいくかどうかは別にしても。それから、まさに犯罪である不法投棄をするような業者に対してはむちということで、このあたりをめり張りをきかせて、先ほどから申し上げておりますようなパラダイムシフトを進めていきたいと思っております。

 その一環として、広域的な不適正処理事業に対する国の役割を強化すること、それから不法投棄の厳罰化、これはむちですね、の措置を盛り込みました廃棄物処理法の改正案を今国会に提出することを予定いたしておりますので、どうぞ委員の御理解と御協力もよろしくお願いしたい次第でございます。

楠田分科員 先ほど循環型社会というふうにお答えをいただきましたけれども、そもそもごみが多く出る体質、減ってきているという話はありましたけれども、ごみを出すということにコストがかかるということをいかに徹底させるかということも大変重要ではないか、パラダイムシフトという話もありましたけれども、概念を変えていくということは大変重要じゃないかな、私も一人の人間としてもそのように思うわけでございます。

 今、民主党は、埋立税であるとか焼却税であるとか、そのような具体的な税金をかけることを提案いたしておりますけれども、この産廃行政において税金の面でどのような提案というか考慮がこれからされていくのか、そこを最後にお教えいただければと思います。

南川政府参考人 民主党におかれましては、昨年の三月に政策大綱を出されまして、その中で焼却税あるいは埋立税というのを提案されたというふうに承知はいたしております。私ども、一生懸命勉強したいと思っております。

 それとは別にしまして、法定外目的税ということで、三重県を初めとした幾つかの地方公共団体で既に産廃税が導入をされております。これにつきまして、私ども、全国的な産業廃棄物の円滑な処理を進めていくという立場から、しっかりした見解を持つ必要があるというふうに考えております。

 昨年の初めでございますけれども、産業廃棄物行政と政策手段としての税のあり方についての検討会というものをつくりまして、十数名の識者に御意見を伺っているというところでございます。なかなか実は結論が出にくうございます。当然ながら、それによってごみの排出が減るという意見の方もございますし、逆に不法投棄がふえるだけだというふうに意見も分かれます。また、その額につきましても、現状程度なら何の影響もないと言う方もおられますし、結局、現状程度であれば逆に、転換もできないで中間処理業者あるいは最終処分業者がかぶるだけになってしまうという御指摘もございます。そういった中でございますが、私ども、税というのは一つの大きな検討課題だと承知をいたしておりまして、今後鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

楠田分科員 最初の質問でございまして、いささか手ぬるい感じもあったかもしれませんけれども。この産廃行政、環境の問題というのは大変重要な問題であることは、これは与野党を問わず皆さん関心を持たれておられることだと思いますし、環境省の皆さんも、環境庁から環境省に格上げといいますか、組織が変わりまして、相当日夜励まれているということは私も認めておるところでございます。

 私も一人の若い政治家として、こうした問題をこれからも注視して勉強させていただきたいと思っておりますので、御指導のほどよろしくお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

北村主査 これにて楠田大蔵君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

北村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。亀井農林水産大臣。

亀井国務大臣 平成十六年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 昨年四月に農林水産大臣に就任して以来、農林水産分野における構造改革を進め、消費者、生活者の視点に立って、国民への安全で安心な食料の安定供給や食料自給率の向上を実現すべく取り組んでまいりました。

 今後とも、生命をはぐくみ、自然環境を保全し、文化を形づくる食料、農林水産業、農山漁村を力強く支える農林水産行政の展開に向け、食料・農業・農村基本法、森林・林業基本法、水産基本法に基づき、各般の課題に着実に対応してまいります。

 次に、十六年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。

 平成十六年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて三兆五百二十二億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆三千七百十二億円、非公共事業費が一兆六千八百十億円となっております。

 平成十六年度の農林水産予算は、米政策改革の着実な実施を初めとする農業構造改革の促進、食の安全、安心の確保と食品産業の活性化、都市と農山漁村の共生、対流の促進を図るとともに、多様で健全な森林の整備、保全等の森林・林業政策や海の恵みの持続的な利用の推進等の水産政策を展開するとの観点から、重点施策に思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成いたしました。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

北村主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま亀井農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。

江藤分科員 宮崎県の江藤拓でございます。

 委員会も農林水産を希望いたしましたけれども、思いかなわず参加いたしておりませんので、このような機会に発言の機会を与えていただいて、非常に感謝をいたしております。

 非常に時間が限られておりますので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、畜産の問題からお伺いしたいと思います。

 日本の農政、その中でも畜政におきましては、自由民主党が常に指導的な立場にあって、現場と十分な協議をし、現場と一体となってこの農政を、畜政全体をリードしてまいりました。

 そんな中で、私の父である江藤隆美も引退をいたしまして、そしてこのたびは山中貞則先生も御逝去されてしまいました。地元に帰りますと、今後の畜産はどうなるんだ、これからだれが畜産を引っ張ってくれるんだという不安の声が聞かれることも一つ事実であります。(発言する者あり)先生、よろしくお願いします。

 大臣にお伺いをいたしますが、これから我々は、先人が残していただいた数々の制度や遺産、そういうものをきちっと守るものは守り、そしてさらに発展をさせる努力をしていかなければなりませんが、そこら辺に当たる大臣の御所見、御覚悟のほどをお聞かせいただければありがたいと思います。

亀井国務大臣 お答えをいたします。

 その前に、今委員御指摘がございましたが、御尊父様には、大変、農林水産行政の発展のためにいろいろ私も御指導をいただきました。また、ぜひ先生にも、今後ともよろしくお願いをしたいと存じます。

 また、先生お触れになりましたが、山中先生があのように御逝去されたわけであります。肉用牛の振興を初めとする我が国畜産の発展に大変大きな功績をお残しいただいたわけであります。その御功績に感謝を申し上げると同時に、衷心より御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。

 そういう中で、お父さんやあるいはまた山中先生はいろいろ畜産の問題に大変御尽力をいただき、我が国畜産は、農業総産出額の約四分の一を占めるようなわけでありまして、地域の雇用の問題や経済を支える大きな分野を占めておるわけでありまして、また、自給飼料生産を通じた自然環境の保全、こういう面でも重要な役割を担っておるわけでありまして、今後とも安定的な発展のためには、経営安定対策や生産性向上対策等各般の施策を重点的に総合的に実施し、畜産の振興を図ってまいりたい、このように考えております。

 食料・農業・農村基本計画と時期を同じくする今後の我が国の畜産の基本方針、こういう面でも、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、この見直しに着手するなど、今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。

江藤分科員 大臣、大変な御覚悟をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、畜産問題にかかわりまして、アメリカで起こりましたBSE問題について幾つか御質問をさせていただきます。

 私は、最近のアメリカの大変不遜な態度に非常に憤りを感じ、そして大変怒っております。

 我々宮崎県も、国内でBSEが起こるまでには、まあ、国内全体で十五トンという少ない数ではありましたけれども、Aの5等級、いい牛肉を外国に知ってもらおうということで、攻めの農政ということもありまして、輸出をいたしておりました。ところが、アメリカからは、国内に三カ所、特定の処理工場が指定されて、大変なお金もかかりました。そしてさらには、アメリカの検査官が抜き打ちにいつでも検査に来て調べをするぞという条件まで受け入れて、我々は十五トンという少ない牛肉を外国に出しておったわけであります。

 そんな状況の中にありまして、アメリカは、全頭検査をすることは絶対に受け入れない、二万頭から四万頭にふやすと。たかだかこれも全体の〇・一%にしかならないわけですから、我々が大変な苦労をして獲得してきた食の安全、安心、消費者の日本の牛肉、そういうものに対する信頼獲得のために積み上げてきた先人の努力もすべて無に帰するものであります。

 もし、アメリカが相手だということを一つの理由として日本が安易な妥協に走るということがあったとするならば、これは一つに日本の農政にかかわる問題だけではなくて、日本の外交全体に悪い先例を残してしまう。相手がアメリカであったら何でも受け入れる国なんだということになってしまうと私は思っております。

 幸い、亀井大臣におかれましては、交渉の場において決然たる態度で交渉を進めていただいておりまして、我々は大臣を大変頼りにしております。今後の交渉の見通しと、それから今後の御覚悟のほどをお聞かせいただければありがたいと思います。

亀井国務大臣 かねがね申し上げておりますとおり、二〇〇一年九月、我が国でBSEが発生をし、本当に国内すべての皆さんが大変御心配をし、また生産者の皆さん方も大変心配をされたことを私たちは決して忘れることができないわけでありまして、今回、アメリカのBSEの発生、こういう事態に至りまして、先般ベネマン農務長官とも私いろいろお話をし、私は、基本的にその日本でのことを中心に考えていかなければならぬ、このことは決して忘れることのできないことであると。

 そういう面で、消費者の皆さん方も安全、安心、このことを十分御認識いただき、あの当時三割にまで減少した消費が今九割を超える、また今日もその状況が変わっていないわけでありますから、そういう面で、国民の健康保護を第一に、食の安全、安心、このことを貫き通して、米国におきます屠畜場におきますBSEの全頭検査、そして特定危険部位の除去、この我が国と同じ基本的なことをやるということが基本でありますので、このことをこれからもさらに向こうに主張し、その対応に努力をしてまいりたい、こう思っております。

江藤分科員 大臣、大変ありがとうございます。大変心強い御発言をいただきまして、今の発言を全国の畜産家、農政にかかわる人間が聞けばさぞ喜ぶだろうと思います。本当にありがとうございます。

 さらには、畜産の問題では、酪農の問題では、これは政治の関与する問題ではないという意見もありますけれども、脱粉の問題もありますし、鳥の問題でいえば、インフルエンザの問題で、ああいう不正な出荷が行われますと、さらに風評被害が広がることも心配されます。そして、卵の問題でいいますと、今まで経験したことのないような卵価の動きになっておりまして、日本じゅうの卵生産農家は非常に苦しい状況にある。もう時間がありませんので、御答弁は求めませんけれども、その他のこと、たくさんのことに含めまして、格段の御配慮を賜りますようにお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、林業のことについてお伺いをいたします。

 宮崎県は、御存じのとおり、日本一の杉の産地であります。そして、我々宮崎県におきましても、さまざまな県産材消費拡大のための努力をしてまいりました。宮崎から昨年はたくさんの材木が中国に向けて輸出もされました。そして、県産材を使って建てた家に対しては、宮崎県が〇・五%の金利について五年間にわたっては面倒を見ようということで、できる限りの努力をしているわけであります。

 そしてさらに、京都議定書の中で、日本は一一・二%の温暖化効果ガスですか、それを削減する義務を負いました。その中で、日本国政府は三・九%を、その吸収を森林に期待しておるわけでありますけれども、それでは山の状況は果たしてどうかということを見渡してみますと、悲惨な状況だと言わざるを得ません。後継者はいない、そして、今の林業家は非常に高齢化が進んでいます。そのような中で、では、治山関係の予算はどうなったんだということに目を向けてみますと、前年度比七・四%のダウンということでありまして、非常に私はこの点について危惧しているものであります。

 一九九八年に長江で大洪水が起こって以来、中国では自然林の伐採も禁止になりました。そして、大規模な経済開発、経済成長のもとで、中国は大量に外材を買う国になりました。今こそ日本の林業を守り、そして将来につなげるときが来ているんだというふうに思います。

 その意味で、大臣、副大臣、どちら様でも結構でございますが、林政全般にわたる御所見をお聞かせいただけたらありがたいと思います。

亀井国務大臣 林業をめぐる環境、木材価格の低迷で、あるいは大変厳しい状況下にあるわけでありまして、そういう中で、森林は、国土の保全や水源の涵養、こういう問題、あるいはまた、委員御指摘の地球温暖化の防止、このような面におきまして重要な役割を果たしておるわけでもございます。今後とも、林業の活性化のために努力をしてまいらなければならない、こう思っております。

 本年、特にこの四月には、宮崎県におきまして全国植樹祭を催していただくなど、宮崎の知事さん初め県民の皆さん方の森林に対する御理解をちょうだいしておるわけでありまして、また先生もいろいろとお力添えをちょうだいするわけでもございますが、何としても、十三年度に森林・林業基本法を持っておるわけでありまして、これに基づきまして、森林の有する多面的な機能の持続的発揮、あるいはまた林業の持続的かつ健全な発展と林産物の供給及び利用の確保、こういう面でいろいろ努力をしてまいりたい、このように考えております。

 そういう中で、地球温暖化防止森林吸収源十カ年対策、これを着実に実施するわけでありまして、森林の有する公益的機能を重視した多様な森林整備を促進することと、あるいは緑の雇用等を通じまして、担い手の育成、施業の集約化あるいは地域材利用の推進等、宮崎県におきましても輸出の問題等につきましても大変御努力をいただいておるわけでありますが、この林業、木材産業の構造改革、これを推進してまいりたい。あわせて、国民参加の森づくり、都市、山村の共生、対流等による活力ある山村づくり、これらの施策を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。

江藤分科員 大変ありがとうございました。

 とにかく、三十年余りも手塩にかけて育てた木を売って大根一本分しか利益が出ない、そういう林家の悲痛な叫びに耳を傾けていただきたいと思います。

 そして、大臣におかれましては、さきの予算折衝におきまして、今お話に出ました緑の雇用担い手育成対策事業におきまして、大変な御努力をいただいて七十億という予算をつけていただいたことは、林家にとっては非常な励みになっております。そのことを、林家にかわりまして厚くお礼を申し上げたいと思います。

 時間がありませんので、また次の質問に移らせていただきたいと思います。

 FTAとWTOのことについてお伺いをしたいと思っております。

 最近、どうも世論を見ておりまして、先日の自民党の部会の中でもそうでしたけれども、どうしてもFTAは結ぶんだ、FTAは締結するんだということが先行しているような気がしてなりません。先日の部会の中では、とにかく締結するということを決議しようじゃないかという提案までなされて、部会がちょっと紛糾いたしました。

 私は、これは明らかに間違いだと思っております。世界を見渡してみますと、韓国とチリとのFTAはどうだったのか。例えば米であるとか小麦であるとかナシとかリンゴとか、そういう部門についてはみんなこれは除外されました。EUとメキシコとのFTAを見ましても、豚や牛肉の問題についてはすべて再協議事項として、これまた棚上げになりました。せんだってのアメリカとオーストラリアのFTAを見ても、農業部門ではたくさんの例外事項が設けられております。

 せんだって、せんだってといっても昨年の六月になりますけれども、メキシコの大統領も、非常にセンシティブな部分については除外することも可能だという言質もとっているわけでありますから、あくまでも締結するということを前提に置くということではなくて、お互いの利益になるように、決して国益を損なわないように、お互いに出せるところは出して、引けるところは引いて、持ち寄ってFTAを結ぶということが日本の国益に資するものだと私は信じております。

 その意味で、メキシコとの交渉が現実に今東京で行われておるわけでありますけれども、現在どういう状況にありますのか、そして、今後の見通しについて、大臣、副大臣、どちら様でも結構ですが、御所見等お聞かせいただければと思います。

亀井国務大臣 FTAの交渉につきましては、あくまでもWTOを補完する、こういうものであるわけでありまして、メキシコとの問題、今交渉のさなかでございますから、現状につきましてはこの場で申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、やはり、何といっても、我が国の利益と我が国の状況というものを十分考えて対応しなければならないわけでありまして、私は、やはり両国にとりまして、できる限りいろいろ協議をして、そして、最初は小さなものでも、お互いにそれを育て上げていくというような努力がお互いに必要なことではなかろうか。また、それぞれセンシティブな品目があるわけでありますから、その点も十分互いに理解をする必要があるんではなかろうかと。

 昨年十月、二晩徹夜で交渉もいたしましたが、なかなか厳しいお話も出てくるわけでありますし、精いっぱい我が国の国益を考え努力をしてきておるわけでありますが、今日まだ、いろいろの交渉とパッケージで、日本の国益全体を考えたパッケージでいろいろ考えていかなければならない状況下にあるわけでありまして、先生の御趣旨のようなことも十分わきまえて努力をしてまいりたい、このように考えております。

江藤分科員 皆様方よく御存じのとおり、アメリカは、昨年、非常に保護主義的とも言えるような新農業法を制定いたしました。五年間で何と六兆円という巨費を投じて品目別に価格支持政策を実行するというような状況の中にあって、WTO、FTAは日本の農業の未来を決める大きな議論になってくるものだと思っております。

 その中で、大臣は、非常に強く上限関税率の問題と低関税率輸入枠の問題を主張されていただいております。この問題は、まさに日本の農業の未来を、国際的な舞台の場で勝負する上でもとても大切なことでありますので、決して大臣の主張が正しいということはみんなが認めるところでありますので、我々も、一兵卒でありますけれども、応援団として一生懸命努力をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、時間がありませんので、また次に。ちょっと欲張っていろいろ聞きたいなと思っておりますので、申しわけありません。

 それでは次に、食料・農業・農村基本計画の中で、また今度は、いわゆるプロ集団に日本の農業は任せようじゃないか、大規模化をしていこうじゃないかということが今言われております。日本じゅうで四百七十四万ヘクタールある農地の中で、現在もう既に二十一万ヘクタールが耕作放棄になっているわけでありますけれども、こういう状況の中にあって、やはり農地を集約するということは一つの施策として私は正しいというふうに思っております。

 ただ、一つ申し上げたいことは、地域の集落、地域の農村は、決して大規模農家だけで守られるものではありません。兼業農家が果たす役割というものが極めて大きいということも、我々農政にかかわる人間は自覚する必要があるだろうと思っております。

 そして、私の友人で大平君というのが高鍋というところにおりますのですけれども、親子三人で米を十町歩、そしてカライモを十町歩やっている青年がおります。まだ嫁さんをもらっていません、三十歳ですけれども。もう本当に朝から晩まで真っ黒になって働いています、あっちの畑やらこっちの畑に走り回って。

 しかし、今農業の中で何が一番農家を苦しめているかということをよく考えてみますと、やはり農機具の値段が高い、それにかかわるローンが非常に農家の経営を圧迫しているということがあると思います。

 平成十四年度から、農林水産省は、低コスト耐候性ハウスを導入していただきまして、非常に画期的な政策を今実行していただいております。これによりまして、今宮崎県でも大変速いスピードで古いハウスが建てかわっております。

 しかし、その中で私が申し上げたいことは、そのハウスのことでは決してなくて、そのハウスにかかわる加温機であるとか加湿機であるとか自動開閉装置であるとか、本来的には機材にかかわる部分、そういう部分についても今は補助の対象となっております。これは決して個人に帰するものじゃない、三軒、四軒の農家が集団で使うものだからこれはいいんだという、ある意味非常に拡大解釈的な、非常にいい意味での拡大解釈的な施策だということで、私はすばらしい施策だと思うんですけれども、これから本当に規模拡大をしようとしたら、家族労働費に支えられている今の農業を見ますと、どうしても機械化しなきゃならない。

 例えば、転作奨励なんかをいたしますけれども、ソルゴなんかをつくって、コーンハーベスターあたりの機械を入れますと、一台で安いものでも五百万、でかいものになると三千万。転作奨励金はいただけるけれども、それを刈り取る機械がなかなか手に入れられない、そういう現状を見渡したときに、これからはある意味、国の施策に従って大規模に農業経営を拡大する農家においては、個人所有であっても、農耕機械、トラクター等に対する補助を拡大することが必要になってくるのではないかというふうに私は強く思うわけでありますが、政府なり大臣なり、どちら様でも結構ですけれども、御所見をお聞かせいただければと思います。

白須政府参考人 ただいまの江藤委員の御指摘でございます。いわゆる機械施設に対する補助というのは、御案内かと思いますが、可能な限り個人の自立なり自助にゆだねるというふうな観点でございまして、補助から融資への切りかえというのを行っているわけでございます。したがいまして、ただいまお話にございましたが、個別経営になじむ機械施設というものにつきましては補助対象から外すというふうなことで、共同利用の機械施設に限って補助対象とする、それで、個別農家に対しましては低利融資ということを中心といたしまして支援をしているわけでございます。

 ただ、今委員のまさに御指摘のとおり、やはり全体として生産振興を図っていくというのは、これは当然必要なことでございます。したがいまして、ただいまのような低コスト耐候性モデルハウスといったような、そういうモデル的あるいはパイロット的な機械施設につきましては、これは共同利用施設という前提はございますが、そういったところをしっかりと私どもとしても支援するということで、総合的な、委員御指摘のような生産振興対策につなげているところでございます。

金田副大臣 江藤先生の御指摘のとおり、今構造改革を農政全般について進めさせていただいております。プロ農家の育成というのも重要な柱でございますけれども、プロ農家だけでは農村が維持できないわけでございます。それに続く中小規模の農家の皆さん方も農村にしっかりと張りついていただいて、風格ある農村をつくらなければならない、水管理等々で。そういった方々の生産性向上のためにも、できるだけのことはさせていかなきゃならないというふうに考えているところでございます。

江藤分科員 副大臣、大変ありがとうございます。自助自立ということは、農政だけにかかわらず、あらゆる場面で日本国民ひとしく必要なことだろうと私も思っております。

 しかし、大規模化していきますと、どうしても機械の力しかないんです。先ほども申し上げましたように、どうしても家族労働費を基本として日本の農業は成り立っている、なかなか人を雇い入れてまで利益を出すというのは難しい、そういう構造的な問題があります。これから国の財政も厳しく、農林水産省全体の予算も厳しいわけでありますけれども、全体の予算を大胆に見直すということも含めまして、ぜひ意欲ある農業後継者が意欲を持ってはつらつと日本の農政を背負っていけるようにお助けいただけますようにお願いをしたいと重ねてお願いを申し上げておきます。

 それでは、もう五分になりましたので、最後になろうとは思いますけれども、水産業のことについて若干お尋ねします。

 お聞きしたいことはたくさんありますのですけれども、もう各般にわたります。ちょっと目先を変えまして、捕鯨問題についてお尋ねをしたいと思っております。

 今、世界じゅうで九千万トンの魚を人類はとっているわけでありますけれども、国際的な調査機関の報告によりますと、鯨はその三倍から五倍の魚を食っている。しかも、その時々のしゅんの魚を食っている。

 私が子供のときは、イワシなんというのはトロ箱一杯で何ぼだったんですよ、正直言うて。それが、今になりますと、丹精込めて育てたいわゆる養殖物のタイよりもキロ当たりの値段が高い。これは人類の責任もあると思います。漁場を荒らしてしまった、乱獲をしてしまった。それは人間自身がまず反省しなきゃいけないことだろうと思いますが、しかし、もし本当に鯨がそれほどの量をとってしまうということであれば、これから世界的には人口が大爆発をするんじゃないかというようなことも言われております。そういう意味で、水産資源を自然と人間がお互いに理解できる範囲内で、節度ある範囲内で理解し合って、保護し守っていくということが大切だと思います。

 少し話が横へそれますけれども、先日も群馬県の処理場に行ってまいりました。牛が屠殺をされて、そして片足でつるされて、そして皮をはがれて、それでまだ筋肉あたりがぴくぴく、目玉あたりもきょろきょろ動いているわけですけれども、そういう姿を見ると、本当に人間というのは罪深い生き物だなということを思います。確かに私も、鯨はかわいいし、それは殺さずに済むものなら殺したくないです。しかし、山を見れば、実際、イノシシとかシカとか猿とか、そういうものは農産物に被害を与えるということでは駆除対象に現実になっているわけですから。

 これからIWCのいろいろな国際会議がメジロ押し、予定されておりますけれども、そういうような場面で農林水産省として、日本国として、食文化として鯨を食ってきた日本人として、世界の食料を守るために、この問題はもう一度原点から、十分に鯨は頭数が回復したということを論点の原点に置いて議論していただきたいと思いますが、副大臣、よろしくお願いします。

金田副大臣 江藤先生の御指摘のとおりでございます。IWCそれからFAO等につきまして、日本は従来から鯨は貴重な食料資源だということを主張し続けてまいりました。そしてまた、鯨の数が調査結果によると大分ふえておるというようなことでもございますし、また、先ほど申されましたように、水産資源を相当捕食しておるのが鯨だというようなことで、何とかして持続可能な状態にしていかなきゃならないということで、IWC等々でも日本は強く主張しているところでございます。

 しかし、残念ながら、保護委員会が新設されたり、調査捕鯨はだめだ、そういう対応があります。そういった鯨を、これからも調査捕鯨をやってはいけない、そういう厳しい状況にあるわけでございますけれども、このIWCに対する日本の対応ということも、メリット、デメリットも含めながら慎重に検討してまいりながら、鯨の食料資源としての見直しを強く主張させていただきたいというふうに思っているところでございます。

江藤分科員 まだ一、二分あるようでございますから、最終的に一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 今小泉総理は、ビジット・ジャパンということで、観光立国を目指そうということで、非常にそれはすばらしいことだろうと思っております。しかし、日本の観光資源は一体何なんだということを私は原点に立ち戻ってよく考えます。決して六本木ヒルズであったり、ああいうものではない。やはり日本が世界に自慢できる一番の観光資源は、美しい農山村の風景だというふうに私は思います。私の故郷、宮崎県高千穂、たくさんの棚田がある。朝早く起きますと、棚田に朝日が映えて、そして雲海がそれを覆う。まさに日本の文化だというふうに私は思います。

 そんな意味で、観光立国、ビジット・ジャパンということを小泉総理が強くおっしゃっていただくのであれば、ぜひとも、地域、そして中山間地域がこれからも日本の中で営々としてその文化と集落としての機能を維持管理していける、そういう農政であっていただきたいということを強く最後に大臣にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

北村主査 これにて江藤拓君の質疑は終了いたしました。

 次に、岸本健君。

岸本分科員 民主党の岸本健でございます。和歌山の出身でございます。

 今、農水関係は大変な課題を抱えて、本当に岐路に立たされていると思います。

 そこで、これは質問ではないのですが、先日、京都府の丹波町で発生した鳥インフルエンザの問題です。自治体間と国の連携の悪さが指摘されています。一たん出回っていないと発表しながら、一転して流通を認めたりと、いろいろと事情はあると思うんですが、消費者の不安と行政に対する不信感は今回の問題でかなり拡大してきている。農水省衛生管理課、限られた人数で、国の体制を弱めず、最大限できることはしている、混乱ぎみだが現地の自治体も同じだろうと新聞の取材に対して答えております。

 これは本当に要望なんですが、今後、感染ルートの解明はもちろんのこと、関係機関との連携を密にして感染の拡大を防いでいただきたい。これは要望でございます。

 それで、まず最初に、私は、平成十六年度の農水予算に関連して幾つかお尋ねを申し上げます。

 まず最初に、私は、和歌山県の北部、いわゆる紀ノ川平野、そのあたりに住んでおります。果樹栽培、ミカンやカキや桃という果樹が盛んな産地でございます。特にカキについてでございますが、カキの刀根早生、これは品種でございます、出荷時期が早くて糖度も高いということで、最も多く生産されております。ところが、消費の落ち込み、それから価格の低迷ということもありまして、生産農家の方は非常に不安を持って物をつくっておる。このままいくと、本当に農家はもうからないし、どうなっていくのかなということを私もよく聞かれます。

 そこで、お尋ねをいたしますが、ミカンやリンゴというのは価格補償制度などがあると思うのですが、カキを需給調整、経営安定対策の対象にできないものなのかどうか、お聞かせ願いたい。

白須政府参考人 ただいまの委員の御指摘でございます。

 お話しのとおり、昨年十五年産のカキの卸売価格、全体としてやはり日照不足とか低温というふうなこともございまして、委員御指摘の刀根早生の出荷がおくれたということでございまして、十月上中旬に出荷が集中したというふうなことで、十五年産価格、刀根早生は対前年比八割ぐらいの水準になったと承知をしておるわけでございます。

 そこで、委員の御指摘の果樹の、果実の需給調整あるいは経営安定対策、どうしてこれの対象にならないのかというふうなことでございます。

 温州ミカンそれからリンゴにつきましては、要するに、全国的に生産量あるいは出荷量の調整が行えるというふうなことを理由として十三年から実施しておるわけでございますが、ただいまお話しのカキにつきましては、実はこれは平成十五年度に、入れるかどうかにつきましての見直しを行ったわけでございます。

 しかしながら、委員も御承知かと思いますが、要すれば、実はカキは産地形態、甘ガキから渋ガキまでいろいろある。あるいはまた産地ごとに出荷形態が、あるいはまた時期が、それぞればらばらでございまして、異なるわけです。あるいはまた、基幹品種につきましても県ごとにいろいろな品種がございます。したがいまして、地方ごとに、いわゆる売りの品種といいますか、そういう品種がばらばらでございます。したがって、そういう観点から見ますと、現時点におきまして全国的な需給調整が困難であるというふうなことで、追加には至らなかったと承知しているわけでございます。

岸本分科員 いろいろと産地の問題等々あると思うんですけれども、やはり果樹というものも、米やまた牛、お肉と同じように大切に扱っていただきたい。この生産農家もあるんですから、その辺も考慮していただいて、今後、果樹全般であるとか、そういう対象を拡大する方向でぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、農水省は、十六年度予算において、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業の拡充としてということで、三十億円が組み込まれています。高度化事業とは具体的にどのような内容なのか、教えていただきたいというのがまず一点。

 そして、私の地元和歌山では、和歌山産のカキの加工食品としての製品化に向けた検討とその生活習慣病予防機能の解明と題しまして、大学関係者、それから農産物加工研究所、県の果樹園芸試験場などの研究組織を立ち上げまして、カキピューレ、果肉の加工研究、それから、カキ投与が紫外線照射ヘアレスマウス皮膚の抗酸化力に及ぼす影響、さらに、培養細胞によるカキの個々のカロテノイド抗酸化機能等々について研究を行っております。このような取り組みに対して、研究高度化事業の対象となるものかどうなのか、あわせてお教えください。

石原政府参考人 農林水産研究高度化事業についてのお尋ねでございます。お答えいたします。

 まず本事業の内容でございますけれども、農林水産研究高度化事業は、農林水産業の振興を図り、地域経済の活性化を図る上で、現場を支える試験研究が非常に重要だということで、産学官の連携によりまして、地域の発想を生かして、先端技術を活用して試験研究を推進するということで平成十四年度に発足しております。十六年度につきましては、拡充を図ったところでございます。

 事業の仕組みとしましては、まず、産学官連携によります共同研究グループから研究課題を公募いたしまして、その課題につきまして、大学の研究者等によります、外部有識者による評価会におきまして、事業の趣旨との整合性、あるいは研究内容の独創性、新規性、それから当該地域におけます研究の重要性、緊急性等を審査しました上で採択するという仕組みになっております。

 お話がありました、カキの機能性成分の研究等を大学の関係者あるいは産官学ということで連携して研究され、地域の特産物を活用して活性化につながる研究を行うという御趣旨のように承りました。趣旨としましては本事業の対象にはなり得ると考えますので、関係者の間で事業の活用等について御検討いただければというふうに考えます。

岸本分科員 私もちょっと聞いた話ですけれども、調べたところによりますと、ミカンもがんにいい、そんな話を聞いたことがあるんですが、カキは抗がん作用がミカンの五倍ぐらいあるという話も聞きます。農産物はもちろんですけれども、こういうふうな研究を進めていただきますと、もちろん地域の活性化にもつながると思いますし、医療の分野にも役立つのではないかと思いますので、ぜひ進めていただきたい、そのように思います。

 次に、これも十六年度予算につきまして、農林水産物の輸出の促進に向けた総合的支援体制の確立の一環として、日本産ブランド輸出促進事業に一億円、さらにブランド・ニッポン農産物販路拡大支援事業を立ち上げ、新規に四億円を計上しております。四月には輸出促進室ができるとも伺っております。

 国内消費が非常に落ち込んでおります。果樹生産農家にとっては本当にありがたいお話、一筋の光が差してくるような政策だなと感じておりますが、ぜひとも農水省にはこの分野で確固たる実績を確立していただいて、日本の安全な農林水産物が海外で高い評価を得られるように頑張っていただきたい、年々これを拡大していく方向に持っていっていただきたい、そのように願っております。

 そこで、お尋ねいたしますが、どのような事業をイメージしているのか、また輸出促進室の果たす役割や将来の見通しなどについて、農水省の意気込みを聞かせていただきたいと思います。

村上政府参考人 輸出促進に関するお尋ねでございますが、近年、アジア諸国の経済発展に伴う所得の向上というようなことで、高品質な国産農林水産物の輸出機会を拡大する好機が生じているというふうに考えておりまして、農林水産省としましても、地方やジェトロ、それから民間団体と連携しながら、国産農林水産物の輸出機会を拡大するということが重要だと考えております。

 輸出促進事業といたしまして、全体といたしまして、十六年度、八億ほどの予算を確保いたしております。例えば、諸外国の貿易制度等を調査したり、あるいは海外市場の開拓ミッションを派遣する、PR活動を行う、展示会を行う等々、さらにはブランド・ニッポンという形で高品質化、高付加価値化をするための集出荷施設、鮮度保持施設等の共同利用施設の導入とか、そういうことを念頭に置きまして事業を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。

 それから、輸出促進室ということで組織的にも一応整備をさせていただきまして、この組織におきましては、このような地域の取り組みあるいは団体の取り組み、それから各省との連携をいたし、調整をするという機能とあわせまして、諸外国の、輸出を阻害する制度やその運用状況などを把握して、それを是正する取り組みをするというようなこともこの組織の機能として考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような事業や組織を十分活用いたしまして、国産農林水産物の輸出拡大に向けて今後とも最大限努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

岸本分科員 ぜひよろしくお願いいたします。

 私も、先週、これはミカン農家の方ですけれども、お会いしまして話を聞いていましたら、その方はよく中国とかアジアの方へ出かけていくらしいんです。そうしたら、ちょっと誤解を招いたらあれなんですが、日本ではもう捨てるような商品価値のないミカン、そういう農産物を向こうでは非常に喜んで食べてくれると。日本ではもう本当にほうっているんですね、捨てているんですね、畑に。だから、やはり一生懸命農家の方々はつくっておられます、そういうものを、少しでも、安くてもいいから海外に届けられるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、経営構造対策等の推進という観点からお尋ねをいたします。

 私の地元には、ファーマーズマーケットめっけもん広場という直売所があります。私、以前、大臣も来られたことがあるというふうに新聞で見たような記憶があります。

 ここは早朝から、朝とりたての野菜と花とかそういうものを持ち寄りまして、新鮮、安全、安い、こういう一つ一つのものに、生産物に対してつくり手の顔が見えるという楽しいお店でありまして、登録農家が千六百戸、それから土曜、日曜日には一日四千人が訪れるというようなところでございます。おかげをもちまして、平成十二年にオープンして以来、順調に成長をなし遂げまして、売り場面積は三百坪で五百六十品目をそろえておる。本当に他府県ナンバーの車が非常に多くて、その近辺は交通渋滞が巻き起こるというようなところでございます。

 十四年度の販売実績は二十億円を超えました。地域の生産者はもちろんのこと、消費者にも大変喜ばれております。こうした実績が認められまして、今年度の第三十三回日本農業賞では特別賞を受賞させていただくことができました。こうした直売所の魅力は大変大きい存在であると考えております。販路拡大の手段として今後も大変な効果を上げていくと思います。

 そこで、十六年度予算にはアグリ・チャレンジャー支援事業という項目があるようですが、こうした分野にどのような支援が考えられるのか、具体的な方策などがあれば教えていただきたいと思います。

川村政府参考人 直販所の関係でのお尋ねでございます。

 私どもも、今後の農政の一つの方向として、消費者のニーズ、そういうものをよりつかみまして、米もいわゆる売れる米づくりでございますけれども、農産物全般にわたって売れる物づくりを進める必要があると思っています。

 直販所の効果は、今委員が御指摘ありましたように非常に効果的でございまして、地域の活性化、特にお年寄りも女性も、生産物のみならず加工したものも売る、また消費者のいろいろな要望なり希望が直接聞けるといったようなことで、非常に効果を上げているところでございます。そのため、私どもも、いろいろな事業の中でこれを支援しております。

 一つは、担い手の育成を目的といたします経営構造対策事業というものがございますし、また、今委員が挙げられました、農業所得の向上あるいは雇用の確保を目的としますアグリ・チャレンジャー事業、こういうものの中のメニューで直販所の整備を取り上げておりますので、こういうものの活用を図っていただきまして、担い手の育成、また農業所得の向上、こういうものにつなげていただきたいなと強く期待をしているところでございます。

岸本分科員 地産地消の面におきましても、本当にこういうのが地域の活性剤、起爆剤にもなっていくと思いますので、今後御支援いただけますようによろしくお願いしたいと思います。

 最後に、大臣にお尋ねというよりも、御所見をお伺いしたいと思います。

 国産の果樹全般の消費量が年々落ちてきています。たしか一九六〇年代は七〇か八〇%あったのが、もう本当に下がってきている。これを何とか、食生活に占める果物の効能などについて今さら大臣にお考えを聞くなどという失礼なことは申しませんが、果物の消費拡大に大臣はどのように取り組まれるおつもりなのか、ここで、果樹農家の生産意欲がわくような大臣の御所見をいただきたいと思います。

亀井国務大臣 お答えいたします。

 なお、冒頭、鳥インフルエンザのことにつきまして、京都の件につきまして御心配いただき、私ども、地方と緊密な連携をとっていろいろな対応をしておるわけでありますが、なかなか思うようにいっていないところ、反省をしなければならない、このように思っております。

 また、業界、業者の方につきましても、ぜひいろいろの面で、防疫マニュアル、このようなものの徹底化を私ども努力しておるわけでありますが、なかなかその辺の徹底がされていない。

 また、今般、京都の件につきましては、業界の大手の養鶏場でありまして、その対応にいささか私ども、残念なところがあるわけであります。さらに努力をしなければならない、このように思っております。

 また、先ほど生産者と消費者の関係、顔の見える関係、私もめっけもん広場に参りまして、大変地域の皆さん方が、農家の皆さん方が本当に、またJAもいろいろ指導され、農家の皆さん方もきめ細かくその対応をして成果を上げておられることに、地元の皆さん方の御努力に敬意を表したい、こう思います。

 御質問の果実、果物の件でございますけれども、もう御承知のとおりビタミン、ミネラルあるいは食物繊維、こういうものを含んだ、大変すばらしい、貴重な食品であるわけでもございます。我が国の国民一人当たりの消費量は百四十グラム、こういうことで、世界的に見て少ないわけでありまして、国産果実の生産量は近年減少傾向に推移をしている、こういうことで、この消費拡大を図ってまいらなければならないわけであります。

 そういう面で、我が省といたしましても、十三年度から果物の健康機能性等の情報を提供する、あるいは、国産果実の消費拡大に結びつく、医学あるいはまた栄養学等の各界専門家の皆さんの御協力をちょうだいいたしまして、果物の食生活推進全国協議会を中心といたしまして、「毎日くだもの200g運動」を展開しておるところでもございます。十五年度からは、それぞれの県の段階におきましても、県版「毎日くだもの200g運動」を進めて、地場産の果物の学校給食への利用促進等を推進してまいりたい、このように考えておるわけであります。

 なお、先生御地元の和歌山県におきましても、総合的な学習における教材として果物に関する副読本の配付をしていただくなど、あるいはミカン、カキ、梅等の消費拡大のための新聞広告等を実施していただいている、このように承知をいたしております。

 また、今後とも、食育という観点に立ちまして、果物の食生活上の重要性を理解していただくことが必要なことでありまして、果物を毎日の食生活に定着させる取り組みにつきまして努力をしてまいりたい、このように考えております。

岸本分科員 ぜひお願いいたします。

 こういう果樹というのは、やはり栄養の面から考えましても非常に大切だと思っております。一般的な考えかもわかりませんけれども、食卓にフルーツがあるというのは、やはり非常に明るいというか、いい光景だなと感じます。

 私どもの和歌山でも、やはり食べていただけなければ、つくってもしようがない。生産者、後継者、それから農地を手放す、いろいろな課題があります。皆さん、頭の中ではわかっているんですけれども、どうしてもやはり国で指導していただきたいという強い願いがありますので、ぜひ大臣を中心として、もちろん米も大切です、肉も魚も大切です、果樹というものを忘れないで御指導いただきたいと、これはお願いをいたしまして、私の質問はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村主査 これにて岸本健君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)分科員 民主党の近藤洋介でございます。

 きょうの分科会では、我が党の同僚議員も初め、先ほどは自民党の江藤議員も含めて、多くの新人議員が初質問のような形で挑戦をしているわけでございますけれども、私も、昨年の十一月に新しく議席を預かりました新人でございます。

 まず、食料、農業の分野というのは、国にとって根っこの部分、根幹の部分でもありますし、特に食料は命の源でもあります。私自身、国政を志すに当たって、農業分野というのを自分の政治家としてのライフワークに掲げていきたい、そんな思いを持って国政の議席を預かっているわけでありますが、きょうが初質問になるわけですけれども、農業分野で質問に立てることを大変光栄に思っております。

 最初に、まず米政策についてお伺いしたいと思っております。

 ある意味で、戦後の農業政策の光の部分と影の部分が米政策に集約されているような気がしておるわけであります。つくる自由と売る自由という言葉があったわけですけれども、長らく、戦後、農家はこの二つをどうしても制限されてきた。売る自由については、新食糧法の施行以来、かなりの部分、売る自由を得てきたわけですが、つくる自由につきましては、生産調整という形で昭和四十七年以来、これは特別措置という形で最初始まったような気がするんですが、ずっと三十年来続いてきたわけであります。

 これが、まさに、平成十六年産米から米政策改革ということで、大変大きな方向転換を政府が示された。売れる米づくりという目的のために、農水省が今まで上から、ある意味押しつけた、押しつけてきたというのは語弊がありますが、やや上からの生産調整から、下からの、生産者の方々による生産調整に踏み切るということ、これ自体は、私、政府のある意味で大英断だったと思って、評価したいと思います。

 しかし、問題はその実効性だと思うわけであります。

 売れる米づくりというのは、すなわち、言葉がいいかどうか、ある意味適地適作をきちんとしてもらおうということだと思うわけでありますが、私の選挙区の我が山形県というのも全国有数の米どころでありますけれども、平成十六年産米の目標数量を、販売数量と言うんでしょうか、見させていただきますと、初年度は余り各都道府県、そんな大きな差が十五年産米と比べますと出ていないということであります。これは、過去いろいろな蓄積の中での数字でありますから、初年度からいきなり大きな変化を求めてもいけないのかもしれませんが、余り大きな変化が出ていない。

 ちょっと、これはやや数字のマジックなのかもしれませんが、東京とか、また大臣の御地元の神奈川なんかが若干、数量ベースで、比率で見ますとふえたりしておりまして、新潟なんかもふえているわけでありますが、我が山形県は、生産量全体で見ますと上位五位の産地なんですが、〇・一六%増と、全国で二十七番目の増加率ということで、その辺のきちっとした評価というのがどういう形で行われているのか。模索中とはいえ、適地適作の、踏み切った政策の趣旨は大変すばらしいと思うんです、実際面でどこまで実効性が上がるのか、ややまだ不透明なのかなという気がしております。

 そこで、今回の改革の目的が、まさにこれからでありますが、本当に実現できるのかどうか、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。

亀井国務大臣 今回の米政策の改革、委員も御指摘のとおり、また委員の御地元山形県はそういう面では米の主産県でありまして、関係の皆さん方も大変関心をお持ちいただいておるように承知をいたしています。

 今後の米づくりにつきましては、消費者のニーズに合うことをする、消費者重視また市場重視の売れる米づくりに取り組む姿の実現を目指しておるわけでありまして、本当に委員御指摘の点、私も十分承知をしておるわけであります。

 しかし、平成十六年度の問題につきましては、やはり当面の需給調整、なかなか難しいところがあるわけでありまして、やはり客観的に設定された生産目標の数字というものが、配分と申しますか、そういうものが一つ示されて、そしていろいろ協議がなされている面があろうかと思いますが、ぜひこれからは、いわゆる産地におきます消費者ニーズに合う生産ができるような努力をしていかなければなりませんし、やはりこれはいろいろ試行錯誤と申しますか、なかなか難しいところもあろうかと思いますが、やはり積み重ねをして、そしてそれをしっかりしたものにしていく必要があるんではなかろうか。

 全国的に、今御指摘の東京、神奈川は消費地でありますし、もう本当に私ども神奈川県におきますれば、まさに八百七十万からの人口のところでございますから、神奈川県産の米というのは、もう数日分しかないようなわけでありますから、その辺の消費と数量との問題を、主産地との、総合的にいろいろ加味して、生産目標の数量を考えていく必要があると思います。

 ぜひ、いろいろ都道府県におきましてその産地づくりの問題とビジョンづくりにつきまして、今いろいろ努力をしていただいておるわけでありますが、私ども行政といたしましても、いろいろの努力をし、米政策の改革、この実現に、そして消費者のニーズに合う生産体制という方向に向かうような努力を積み重ねてまいりたい、このように考えております。

近藤(洋)分科員 ありがとうございます。

 これまでの農林水産行政、よきにつけあしきにつけやはり農林水産省を頼ってきた体制が、どうしても地域によってもあるわけであります。それは、こんな私にだれがしたではないですけれども、一概にこれをまた切り離して、生産者及び生産者団体を切り離してしまうと、やはりかなりの戸惑いは現実問題出てくるのかなという気がするものですから、ぜひ農林水産省におかれましても、新しい米政策が、まさに売れる米、おいしい米、そして安全なお米が、きちんと的確な地域で、そしてこれまで地域として蓄積のある地域で米づくりができるように、やはり切り離すのではなくて、いい意味での指導をお願いしたいと思うところ、全国的な調整をお願いしたいと思うところでございます。

 つきまして、また、農政にとって米づくり、とりわけ米づくりにとって担い手の問題をお伺いしたいと思います。

 生産者の多くが六十五歳以上の高齢者であるということ、この農家の方々の高齢化というのが我が国の農業の抱える深刻な問題なわけでありますけれども、足腰の強い農業を再生するためには担い手をどうしても育てる必要がある。

 そのために、ある意味で政府は、これまでの価格を維持するという政策から撤収をしつつ、しかしながらその一方で市場のゆがみというか、それを補正するための経営支援ということが重要になっている。政府の今まで進めている政策もその一環の中だろうと理解しているわけでありますけれども、これはまさにウルグアイ・ラウンドでも、いわゆる緑の政策という要件をきっちり満たしているわけでありますから、ぜひ政府においても進めていただきたい、私も新しい農政の柱になると思っているわけであります。

 そこで、今回の米政策に盛り込まれました担い手経営安定対策についてお伺いしたいと思います。

 この要件を見ますと、認定農業者で四ヘクタール以上の水田ということであります。しかし実際、私の地元を見ても、なかなか、四町歩以上の水田を持つ農家の方というのはそうそういないわけであります。都道府県においてもそれなりに配慮ができるということを読めるようでありますけれども、私、山形県内でも、約四万八千戸の農家がいらっしゃるわけですけれども、三ヘクタール以上というふうにしても五千八百戸といって、一割強、二割弱という状況なわけでして、柱となるべき経営安定化策が、この本当のわずかの層しかねらっていないとすると、果たして大丈夫なのかなという気がしないでもないんですけれども、その辺について当局のお考えをお伺いしたいと思います。

川村政府参考人 担い手経営安定対策の関係でお答え申し上げます。

 この担い手経営安定対策の趣旨でございますけれども、米価が下落した場合に、稲作収入の減少の影響が大きい水田営農の担い手を対象としております。そのため、すべての生産調整実施者が対象となります稲作所得基盤確保対策の上乗せ対策として実施をしております。

 そういう意味で、この担い手につきましては、委員が申されたように、一定の規模という規模の要件を付加しております。そして、都府県におきましては、個別経営で四ヘクタールということで設定しておりますが、この考え方というのは、基本計画に附属します経営展望の中の面積を基準にいたしまして、おおむねその二分の一ということで設定をしております。

 この面積につきましては、ただ、西日本あるいは中山間、そういうところで、なかなか規模が零細な地域というものがあります。それからまた、経営によりましては、複合経営とか有機栽培とか、いろいろな工夫をされながら経営として立派にやっておられるというところもあるわけでございまして、そういう意味で、知事の特認という道も開いておりますし、また、稲作の場合は、地域が一体となりまして、集落営農といったようなものも実施されております。そういう意味で、小規模の方もそういう集落営農の中で活動していただくという、大きくはその二つの道があると思っておりまして、そういうところを十分活用していただきまして、また制度の趣旨、そういうものを十分踏まえて対応していただきたいと思っているところでございます。

近藤(洋)分科員 私、何もばらまき農政をやろうと言っているわけじゃ決してないわけであります。ただ、現実問題、ほとんど多くの農家の方々が四町歩、多少の裁量はあるにせよ、これだと入らないんではないかということと、また、法人経営をしていただきたいというその政策意図はよくわかるのであります。基本的には、ある意味で、足腰の強い農業をつくるためには、法人化という道は避けて通れないというか、むしろ進めていい方向だと私も理解しております。

 ただやはり、実際問題として見ると、なかなかいきなり法人に進むというのは、今ちょっときちんとしたデータは私の手元にはないですが、法人化を進めるという基本的な農業、農政の考え方は、随分前からある程度農水省は打ち出されていたわけで、なかなかそんなに次から次へと法人があちこちでできている状況では今ないわけで、そういう状況も考えますと、もう少し、中堅層の生産者を引き上げる、こちらのプロ農家に来なさいよ、ここまで来ないと所得補償はしないよというのではなくて、もうちょっと中間層を引き上げる施策があってもいいのではないかなということなのであります。

 それは何も今回の米政策に打ち出されなくても、例えば、今現在、農政の基本計画を農水省において検討されているということでありますけれども、平成二十二年までですか、プロ農家、主たる農家の方々を四十万戸にふやそうという大目標を掲げられているわけで、その中の一環としての基本計画の見直しだと思うわけでありますけれども、その中の政策にぜひ盛り込んでいただきたいと思うわけであります。

 これは米でなくても何も構わないわけでありますが、耕作地という観点からでも構わないわけでありますけれども、ぜひその中間層の生産者を引き上げる呼び水となるような政策が必要ではないかと思うのですが、重ねて済みません、いかがでしょうか。

川村政府参考人 担い手の育成につきましては、委員おっしゃるとおり、究極的な目標としては四十万ということを目標にしております。

 ただ、その水準に達成しておられる方はまだ少ないのが現状でございますので、まさにそういう効率的、かつ安定的な経営を目指して努力をされる意欲と能力のある方を育てていく、またそういう者を対象にしていく、基本的なところはそういう考え方でございます。

 ただ、その規模をどの程度にしていくかということは、それなりの経営をにらんでの検討が必要だと思っております。

近藤(洋)分科員 ひとつぜひ御検討のほど、よろしくお願いします。また、それにつきましては、私たちも野党の立場でありますが、積極的に提言をしていきたいと思っているところであります。

 続きまして、食料の安全保障についてお伺いしたいと思います。

 食料政策にとりまして、おいしい米、売れる米をつくるということと並んで、またそれ以上に大切なのが食料の安全保障であろうかと思います。有事の際のライフラインをいかに確保するか、水、電力、そして食料を確保するということはまさに国の責務であろうかと思います。

 そこで、我が国の備蓄についてお伺いしたいのですが、まずは、我が国の米の備蓄の現状について当局から御説明を受けたいと思います。

須賀田政府参考人 委員御指摘のように、備蓄というのは、短期的な不測の事態に対応するための政策でございます。

 昨年の十月にお米百三十一万トンの備蓄がございました。昨年冷害だということでございまして、来年の十月には八十五万トンになるという予定でございます。

近藤(洋)分科員 政府は適正水準というのをたしか百万トンに据えられているということでありますけれども、たしかこれは数年前までは百五十万トンだったと記憶しておるんですね。この百五十万トンの備蓄水準がなぜ百万トンなのか。これは決めの問題でありますから、どの備蓄が適正なのかというのはそれぞれ考え方だと思うんですが、少なくとも、百五十万がなぜ百万トンになってしまったのか、ぜひそのきちっとした理由を改めて教えていただきたいんです。

須賀田政府参考人 米の備蓄は国民負担を伴うということでございまして、その水準でございますとか仕組みでございますとか、国民のコンセンサスを得る必要があるということでございます。

 数年前まで百五十万トンという水準でございました。これは、今も考え方は同じなわけでございますけれども、十年に一度の不作、これは作況にして九二でございます、それから通常起こるであろう不作、作況にして九四が二年連続起こった場合に備えるという考え方でございます。

 数年前まで米の消費量全体が多かったわけでございます。いろいろなものを入れまして約一千万トン近く消費量があったわけでございますけれども、その後の消費量がどんどん減っておりまして、九百万トンを割るというような水準でございまして、そういうところから、かつては百五十万トンという数字がございましたけれども、現在では百万トンというのを適正水準ということにしているわけでございます。

近藤(洋)分科員 皆さん御案内のとおり、米の世界貿易というのは実は余り多くないわけでありまして、ウルグアイ・ラウンドの後の平成の米不作のときにはあれだけ世の中大騒ぎをしたわけであります。

 やはり私は、一〇〇%自給率のある品目は米だけであるわけですし、まさにここについては、百五十万トンをふやすこそすれ減らす理由はないのではないか、国家として減らす理由はないのではないか。無論、その予算として一トン当たりそれなりにかかる、現状でも百億円を超えるという話は聞いておりますが、しかし、それは人の安全の問題でありますから、政府全体の予算配分の中で米の備蓄量はふやすべきであろうかと思うわけであります。

 現在、基本計画を見直されている最中でありますけれども、ここの部分、米の備蓄というもの、議論の中には、米の備蓄量をふやすと、市場に逆に在庫があるということで引き下げ要因になるという話もわかってはおりますが、そうだとすれば、これはある意味、市場から切り離して保管するということを検討する時期でもあるのではないか。食料の安全保障という議論の中でぜひ御検討していただきたいと思うんですが、これは要望ですので御答弁は求めませんが、大臣、また農水省の方々、ぜひ議論などをしていただきたいと思うわけであります。

 続きまして、時間がありませんので、コイヘルペスの問題についてお伺いしたいと思います。

 食料の安全、食べ物の安全というものの中で、今BSE、また鳥インフルエンザ等々いろいろな問題が出ているわけでありますが、私の地元、山形県米沢市は、上杉鷹山公の伝統以来、コイを食する文化がございます。鷹山公が冬期間のたんぱく源としてコイを養殖したということに始まり、私の地元では、何かのお祝い事には必ずコイを食べるという文化が定着しております。

 ところが、今これが昨年以来、大変な今危機に瀕しておるということであります。御案内のとおり、霞ケ浦で発生しましたコイヘルペスで、農水省の方は、焼却処分といいますか、埋立処分というんでしょうか、処理処分ということで霞ケ浦のコイの処分をされた。法律に基づいて県の方が指導されたわけです。しかし、このことにより、加工業者といいますか、我が地元米沢にも霞ケ浦のコイを仕入れている方がたくさんおって、大変仕入れができない状況が予想されてまいりました。

 これは、暖かくなるとこの病気が発生するということのようでありますから、東北地方は、農水省の資料によりますとまだ病気は多く発生しておりませんが、場合によっては春先、また夏にかけて病気が出てこないと一〇〇%保証できないわけでありまして、そういう意味も含めて、加工業者の方々または生産者の方々は大変危惧しているところでございます。

 とにもかくにも、国内市場のかなりの部分を占める霞ケ浦がああいう形になっています。霞ケ浦の生産者の方には法律に基づいて一定の補償ということが行われたわけであります。そこで、ぜひお伺いしたいんですが、加工業者の方々の仕入れ、調達、一部にかなりの部分を依存してしまったということは、これはこれで加工業者も今必死の努力をしているところでありますけれども、当局として何か御支援できるものはないのか、また再発防止に向けての指導強化等についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生から御指摘がございましたように、昨年秋、霞ケ浦あるいは北浦で我が国初のコイヘルペスが発症したということで、特に茨城県地方におきましては、大量の殺処分をせざるを得ない、かような状況になっております。

 他方、ただいま先生から、加工業者の方々への影響ということでございますけれども、私ども、その発生以降、各都道府県からいろいろな情報を収集しておりますけれども、加工業者の方々は、一般的に申し上げますと、被害が発生していない地域のコイを手配されましたり、あるいは一部の加工業者の方でございますけれども、コイから他のフナですとかそういったものへの魚種転換を図っておられるというふうなことですとか、さらには年末年始のいわゆる最需要期を過ぎたということでございまして、現段階におきましては、そうした加工原料魚の問題が大きな問題になっているという話は、各都道府県からの報告では私ども聞いていないところでございます。

 ただ、ただいま先生が御指摘になりましたように、これから暖かくなってまいりますと、またコイヘルペス菌の活発化といいますか、そういったことが行われるということで、私どもも、決してそういったことで安心ができるとか油断をしているわけではございませんで、中長期的には、こうした原料供給の動向、こういったものは注視していかなければいけない、かように考えておる次第でございます。

 対策の点でございますけれども、ただいまお願いしております平成十六年度の予算、この中におきまして、一つは、原料の安定供給を図るということで、増養殖施設の清浄化と申しますか、そういった整備を行います内水面環境活用総合対策事業というもの、それからもう一つは、加工サイドの対応でございますけれども、地域の加工業者の事業基盤の強化を図るための、原料調達方法の改善等を検討いたします水産物産地流通・加工機能強化事業、こういった予算要求をさせてもらっておりまして、予算が成立しましたならば、各県と早速御要望等々聴取いたしまして相談しながら、こうした対策を有効に活用しながら、加工業者の方々のそうした御懸念に対応できるようにしたい、かように考えている次第でございますので、よろしくお願いいたします。

近藤(洋)分科員 時間が参りましたので、BSEにつきましては、先ほど大臣も何度もお答えになりましたので、割愛させていただきます。私としましても、ぜひ毅然たる態度でアメリカとの交渉に臨んでいただきたいということを御要望しておきたいと思っております。

 日曜日付の読売新聞に、ポール・サミュエルソンというアメリカの経済学者がこういった文を寄稿しておるんですね。「より良い生活を、より少ない不平等の中で楽しむという価値ある目標の達成には、そのコストとして、いわゆる不効率なものが伴う。」ということをアメリカの経済学者、これはケネディ大統領の経済顧問もやったノーベル学賞のあれですけれども、彼はこういうことを言っている。

 すなわち、よき生活を少ない不平等の中で楽しむというためには、ある程度政府としてコストを払わなければいけないんだということであります。自由放任ですべて物事が済むのであれば政府は要らないということであるわけで、しかも、それもアメリカの政権の中枢にいる人間が、一定の政府の関与なり規制なりというのは当然であるということを言っている。

 この辺はもう大臣は十分御承知だと思いますが、まさにこういった政府の役割を担うのが農林水産行政だと思っておりますし、重ねて申し上げますが、私は何もばらまきをやれと言っているわけではありません。しかしながら、きちんとした政策を、市場のゆがみを是正するためには、やはり農業政策、まだまだやらなければいけないことがたくさんある。ぜひ大臣、そういった見地から、このたびの農業政策の見直しに取り組んでいただきたいという御要望を申し上げて、私の質問を終えます。

北村主査 これにて近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村分科員 民主党の津村啓介と申します。本日は、地域コミュニティーにおける人材育成を基調テーマとして質問をいたします。よろしくお願いいたします。

 冒頭、私の問題意識を簡単に御紹介いたしまして、その後の御答弁の参考にしていただきたいと思いますが、私は、日本の未来像、将来ビジョンを描くに当たりまして、地域における人と人とのつながり、いわゆる地域コミュニティーの役割が必ずしも現在十分な評価を受けていない、むしろ過小評価されているのではないか、そう考えております。

 間もなく、二年後、二〇〇六年をピークといたしまして日本の人口の減少が始まるという推計もございます。そうした現代にありまして、日本経済の活力を維持し、地域の暮らしの安心、安全を守っていくためには、地域コミュニティーの役割が従来にも増して重要になっていくものと考えます。青少年犯罪の増加を思えば、治安の問題も避けて通ることはできません。

 私は、八年余り日本銀行でマクロの経済政策に携わってきました。市場、すなわちマーケットが完全に合理的であれば、国と個人との間に介在する各種の中間的な団体、組織は市場の効率性を阻害する要因になると考えています。しかし、地域を歩き、地方経済の実態をつぶさに見れば、マーケット原理が無条件に当てはまる例はむしろまれであり、地域コミュニティーが行政や市場の役割を補完している実例を数多く目の当たりにしているところでございます。

 本日はこうした観点から、私がとりわけ重要視いたします農家や農協、JAを中心とした農村コミュニティー、消防団等の地域の自主防災組織、あるいは学区単位の教育コミュニティーに焦点を当てまして、地域コミュニティーにおける次世代の人材育成を底流的なテーマとしながら、農林水産省、総務省、そして文部科学省の各担当大臣、副大臣に以下の質問をいたします。

 一つ目の質問でございますが、農村政策の将来ビジョンと来年度予算における具体的な取り組みについてでございます。

 私の主張を端的に申し上げれば、農村の疲弊による日本の国力の低下を懸念する立場から、現在の場当たり的な農業振興のあり方を見直すべきであるというものです。農村の活性化、次世代への継承というときに、村における生活環境や新たなライフスタイルの提案は決定的に重要なポイントになります。箱の整備ではなく人間にスポットを当てた政策、これが今何より求められているのではないでしょうか。

 現在の農村は、農業のみを生業とする農家だけではなく、兼業農家や元農家、さらには非農家住民などから成り立っている混成のコミュニティーであります。将来にわたる持続可能な発展を考えれば、健全な農村コミュニティーを維持していくために、専業的な農家のみならず、兼業農家や非農家の知恵やアイデアを必要とすることを肝に銘じなければなりません。

 多くの農村では、ほとんどすべての農家が用水路や農道の維持管理などの仕事にボランティアで参加をしています。都会では失われつつある共助、共存の精神が息づいております。こうした日本の農村のよき伝統が、農家の戸数減少や高齢化に伴って困難になってきている現状を克服していかなければなりません。次世代の育成、若い力の発掘が求められています。

 こうした主張は、実は私が身近に指導を受ける岡山の農業関係者からも広く強く聞かれています。また、アカデミズムの観点からも、食料・農業・農村審議会委員を務めていらっしゃいます東大農学部の生源寺教授らが、最近の日本経済新聞への寄稿などで繰り返し唱えている主張でもあります。

 来年度の農業農村整備関連の政府予算は、八千三百四十五億四千二百万円となっており、前年度比五・〇%のマイナスと報道されておりますが、もちろん問題は中身でありますけれども、地域コミュニティーにおける社会的役割の大きさに十分配慮した上で、農家、農協を含む農村政策のビジョンと来年度予算における具体的な施策について、それぞれ整合的にお答えください。お願いいたします。

亀井国務大臣 今委員御指摘のお話、農村地域のコミュニティーの問題、全く私も同感であります。また、私自身、神奈川県の人間でございますけれども、かつては農村地帯で、また今も農村の地域でありますから、都市の混住化、こういう一面と同時に、農業生産者と一体になった地域づくりをしておるわけでありまして、まさに御指摘の問題、全くそのとおりに感じておるわけであります。

 農村は、やはり農業生産に当たりましての共同作業、こういうことを通じて地域コミュニティーが形成されておるわけでありまして、そういう中で農業者や農協や市町村、この果たす役割というのは大変大きいものがあるわけでありまして、また健全な地域コミュニティーを形成する面では欠かすことのできない重要なもの、こう思っております。

 そういう面で、私ども農水省だけでなしに、関係省庁とも連携しつつ、地域活動への支援あるいは生活環境の整備等の施策を総合的に展開をする必要がある、このように思っております。

 そういう面で、いろいろ本年度の予算につきましても、厳しい予算の中で農村振興の関連につきましては、いろいろ知恵を出し、ソフト事業あるいはまたハードの事業等々、それぞれミックスをして効率の上がる農村振興計画の作業の実施であるとか、あるいは美しい村づくりであるとか、あるいは支援事業とか、村づくり交付金とか、農村を振興する総合整備であるとか各般の地域づくりの問題につきまして努力をしてまいりたい、こう思っております。

津村分科員 御丁寧な答弁をありがとうございました。

 続きまして、米凶作時の食料自給の確保及び生産者に対する災害補償に対しまして、備蓄米制度、そして農業共済制度の両面からお伺いいたします。

 昨年、平成十五年は、大変な凶作の年でございました。特に米の収穫につきましては、作況指数が九〇まで落ち込んだこともありまして、生産農家の打撃は大きく、農業共済再保険の利用も必要となりました。

 実は、その経緯につきましては、先般、一月三十日の財務金融委員会におきまして、私自身、特例措置に賛成する立場から、水稲はもちろん、大豆等を含む被災農家全体への早期措置を求める立場から質問させていただいたばかりであります。

 この結果といたしまして、現在日本の備蓄米残高は大幅に減少しております。通年の日本の米消費量は、多少の変動はございますけれども、八百万トンを上回る水準で推移しております。言うまでもなく農作物の作柄は天候に大きく左右されるわけですが、実は、私が日本銀行の新人行員として調査統計局の景気分析部署で備蓄米を中心とする政府在庫の分析につきまして、平成六年ですが、前年の平成五年の大凶作を受けて米の緊急輸入が必要になった当時、この備蓄米の買い増しがどれだけ日本のGDPにプラスに寄与する計算になるか、そういった仕事をしていたことがあるんです。

 当時の記憶をたどりますと、ほかの国の備蓄米や経済力の弱い発展途上国から米を買いあさるようなことも結果として必要となった。そういった経緯があったと思います。それはそれで仕方がない面も、もちろん日本の国益を考えればあるわけですが、しかし、国際社会に責任を負うアジアのリーダーとしては、こうした事態は二度と繰り返すことはできない、そういう思いもあるわけです。食糧自給の確保は、こう考えてくると、国際的な課題だと思います。

 また、危機管理の観点からは、消費者に対するリスクヘッジ機能としての備蓄米制度はもちろんでありますけれども、一方で、生産農家に対する災害補償、リスクヘッジとしての農業共済の充実もまた大変重要な課題です。昨年の不作を受けての来年度予算の策定でありますから、平年とは違うまた特段の配慮や工夫が必要となってしかるべきだと思いますが、具体的にそうした取り組みがあればお聞かせください。

亀井国務大臣 昨年の冷害、そういう面で米の備蓄の御指摘でございますが、十五年十月末の百三十一万トン、こういう数字でありまして、平成十六年十月末には八十五万トン、この程度、こういうことで、それだけ減少しておるわけであります。

 備蓄の問題につきましては、国の財政の問題等々、また専門家の方々の研究会もいろいろしていただき、御提言もちょうだいいたしまして、いわゆる百万トンの備蓄を維持する、こういうことで、これは、仮に平成十六年産米が十年に一度の不作である作況の九二やあるいは通常の不作である作況九四程度の不作となった場合でも、八十五万トンの備蓄はそれを補うことができる水準であるんではなかろうか。今後、先ほど申し上げましたとおり、百万トンの水準を目指すことを基本として備蓄運営を行うことによりまして安定供給を図ってまいりたい、こう考えておるわけであります。

 天候に多分に影響される米政策であります。昨年の経験の中でも、やはり早植え、五月の早期の田植え、あるいは、実は昨日、私は岩手県の方に行っておりまして、岩手県の同じ地域でも、五月末に田植えをされた方はこの不作というかこれに影響が少なかった、こういうようなことでありますし、あるいは土地整備事業の深水管理等々の問題、いろいろなことをして、十分生産が順調にいくように、天候の面がありますけれども、技術の面でもいろいろ努力をしていく必要があるんではなかろうか、このように思っています。

 また、農業共済につきましては、昨年度の冷害、このことにつきましては、いわゆる保険の仕組みを利用して運営されている農業共済、長期的には収支が均衡する、こういう予定で設計されておるわけであります。過去の災害時においても、農業共済再保険特別会計の再保険の支払い財源不足時には、積立金の取り崩し、そして一般会計からの繰り入れ、このことによって対処してきておるわけでありまして、長期的に収支が均衡する形で制度運営がされているところでありまして、今後とも、大きな災害が起きた場合にも、過去の例を踏まえつつ適切に対応してまいりたい、このように考えております。

津村分科員 今の御答弁、定量的な部分とそれから定性的な部分と両方あったと思うんですが、私が今回、地域コミュニティーにおける次世代人材の育成という観点から、農林水産省、総務省、文部科学省の各省から来ていただいた背景といいますか、冒頭に申し上げた問題意識でもありますけれども、将来に対して予見可能性というか一定の安心感、将来不安を解消するビジョンがないことが、地域から人が離れていく、過疎化というか人材不足の一つの背景になっていると思います。こうした備蓄米の問題にしてもあるいは農業共済の問題にしても、目の前にある課題ですね。しかし、目の前にある危機に取り組むというだけではなくて、やはりその先の中長期的なビジョン、あるいは定量的に数が合うという話だけじゃなくて、定性的に、今ちょっと具体的なお話少しあったんですけれども、どうやって、例えば早くつくるとか遅くつくるとか、技術的なことはいろいろあると思うんですが、そういった幅のある取り組みをしていただければということで、また来年度以降のお話も来年度以降伺っていきたいと思います。

 関連しましてもう一つだけですが、これはむしろ提案に近い質問なんですけれども、生産者サイドのリスクヘッジとして、量ではなくてむしろ価格の問題なんですが、商品先物市場についてどういうお考えを持っているか。余り時間もありませんので簡単で結構なんですが、方向づけについて伺いたいと思います。

 少しだけ私の問題意識を申し上げますと、そもそも日本の金融が昨今のモデルとしておりますのは欧米アングロサクソンの金融システムなわけですが、アメリカの金融市場というのがシカゴでの穀物の先物取引やそれに派生するデリバティブ商品の発達を背景にこうした発展を遂げてきたという歴史がございます。こうしたことを考えますと、商品先物取引というのは潜在的なニーズが大きいわけです。

 残念ながら、現在日本では、商品先物取引といいますと、極めて投機性が高い商品だということで過度に忌避されている嫌いがあるかなと実は私は思っておるんですけれども、この市場の育成も含めて、経済産業省ともまたがる課題とは聞いておりますが、ただ、天候に左右されやすい農産物の特性を考えて定性的な取り組みをするという点では先ほどの質問と一貫したものでありますので、方向だけでも結構です、将来の可能性でも結構ですので、お聞かせください。

亀井国務大臣 農産物の価格変動リスク回避等の重要な役割をこの商品先物市場は持つ、こう思います。しかし、いろいろなかなか難しい課題もございまして、いろいろ先物取引をめぐります紛争の問題ですとか、先物取引のリスクを適正に管理し、信頼性の高い商品先物市場の基盤を確固たるものにする必要がある、私はこう思っております。特に、一番日本の農産物の中でも米の問題があるわけでありまして、このことにつきましても、関係の方々でいろいろ勉強をされていることも私も承知をし、私自身、米の卸売の仕事をしてきた経験がありますので、そういう認識は十分持っておるわけです。

 ただ、いろいろ難しい問題もまだありますし、今回、経済産業省、商品取引所制度の改正、こういうことに取り組まれる、このようにも承知をしておるわけでありまして、将来の問題として十分私どもも検討してまいりたい、このように考えております。

津村分科員 亀井大臣、ありがとうございました。

 地域における農村コミュニティーの持つ役割につきましては、単に農業という一つの産業の枠内にとどまらず、治安の確保、あるいは先ほどボランティアの話も少しいたしましたけれども、人材育成といった幅広い社会的なニーズに支えられたものであるということを重ねて強調いたしまして、農林水産省に関連する質問はこれで終わらせていただきます。

 続きまして、御多忙の中、総務省、文部科学省から来ていただいているわけですけれども、少し時間も限られておりますので、総務省に通告させていただきました二つの質問を一つにまとめて、両方の点を含みながら御質問させていただこうと思います。

 同じく地域コミュニティーにおける人材育成の視点からのお尋ねでございます。

 くどいようですけれども、地域コミュニティーにおける自主防災組織、例えば消防団などが果たしている役割も、また先ほどの農村コミュニティーと同じように大変大きく、治安安定機能はもとより、各種公共サービスを代替している側面がある、こう考えるわけです。地域の事情もありますし、また基本的には市町村が管轄している場合が多いわけですから、自主防災組織への総務省としての支援策についてどのような、全般的な方向づけでも結構ですし、また具体的な今年度予算での取り組みでも結構です。これを一つの質問とさせてください。

 それからもう一点ですけれども、私の所属する民主党は、効果を重視する一方で、コストについても厳しいチェックの目を向けておりまして、責任ある国民政党として、現在の財政危機は次の世代に対する私たち現役世代の責任を果たせない、そう考えているわけでありますけれども、そうした中で、コストのかからない地域コミュニティー活性化策として、ITやその他ソフト面での工夫を施した試みが全国で行われているのではないかと考えております。

 先日、実は、総務省自治行政局地域振興課さんのつくられた、地域でのさまざまな活性化策の取り組みについての冊子を入手いたしまして、中でぱらぱら見ておったんですけれども、神奈川県や長野県、三重県といった地域では、自治体レベルでの取り組みが数多く例示されておりまして、また、私が身近に知る岡山市でも、電子町内会という全国に先駆けた取り組み、珍しい取り組みもございます。

 もちろん、市町村レベルの取り組みが多いとは思うんですが、総務省としてどのように把握をされて、またどういう方向性を持って取り組んでいかれるのか、先ほどの消防団の話とあわせてお聞かせください。

山口副大臣 津村先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 今、二点ございましたが、まず一点目、消防団と自主防災組織というふうなお話がございました。先生御存じと思うんですが、消防団というのは、いわゆる非常勤の公務員としての位置づけで、かなり明確な形で消防防災を担っていただくというふうなことになっておりますが、これも御存じと思うんですが、今、約九十三万人が活動しております。なかなか、若干組織率が落ちる等々の問題はありますけれども、懸命にそこら辺の活動を活性化したいというふうなことで努力をさせていただいておりますし、同時に、本体の消防防災業務以外、いわゆる地域コミュニティーでのさまざまな活動に対しても、今後やはり若干期待をさせていただきたいというふうなことで、実は、平成十三年度から、そういった活動に対しても消防長官表彰というのをやらせていただいたりしております。

 それと、自主防災組織の方でありますが、これもやはり地域コミュニティーの中における役割、あるいは防災における役割は大変重要だというふうなことで、力を入れて取り組みをさせていただいておりまして、平成十五年四月一日現在で、全国で十万九千十六組織、世帯数に換算をしますと、組織率が六一・三%というふうなところまで来ております。

 同時に、そういった中で、消防組織法にも教育訓練の機会の提供を位置づけをしたり、実は、来年度、消防大学校で指導者講習会等を実施させていただきたい。さらには、Eラーニングを活用して教育機会の提供とか、そういったこともやらせていただいておりますし、先生お話しの地域での連携というふうな中で、都道府県及び市町村単位のさまざまな協議会の設置というふうなことにも取り組みをさせていただいております。

 そして、第二点のITを活用した地域コミュニティーの活性化というふうなことでありますが、まさに先生お話しのとおりで、連帯感という意味合いからも、あるいはその地域の発展、さらには相互の情報交換から情報発信、大変大事な役割を果たしていただいておると思っております。

 そういった中で、地域通貨を導入する、これも地域の活性化に役立つんじゃないかというふうなことで、実は、平成十六年度の新規事業として、ICカードとか携帯電話を活用した地域通貨モデルシステム、これを開発、実証をさせていただいて、それを希望する地方公共団体に、いわゆるプログラムというか、そういったことになると思うんですが、それを無償で配付をさせていただきたいと思っております。

 そのほか、先生御存じと思うんですが、今お話があった岡山もそうなんですが、eまちづくり交付金というふうなことで、さまざまなそうした活動に交付金を措置もさせていただいております。

 参考までに、私の地元の池田町という町でも、実は、ある町内会が全部この交付金を使って無線LANをやりまして、さまざまな活動にも取り組んでおるところでございますので、今後とも、地域コミュニティーの活性化というふうな観点から積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

津村分科員 山口副大臣、ありがとうございました。大変具体的なお話でよくわかりました。

 人材育成といえば文部科学省になるわけですけれども、最後に、御多忙の中来ていただきました原田副大臣に、同じく地域コミュニティーにおける人材支援の観点から御質問をさせていただきます。

 中曽根内閣を一つのターニングポイントといたしまして、義務教育における競争と淘汰の流れが強まっている現状にあると私は考えております。こうした流れにはさまざまな背景もございまして、教育論として一概に結論を導くことは本日の質問の範囲を超えるもの、そう考えておりますけれども、現在、多くの地方に存在する小中学校区単位での地域コミュニティーの社会的な役割につきまして、文部科学省が十分な認識と理解を持ってどのような施策に取り組んでいるのかという点に絞ってお伺いをしたいと思います。

 既に東京都など一部で実施されている公立校における学区の自由化を例にとれば、例えば、都市部では鉄道網等も発達をしておりますし、また学校自体も多いわけですから、さまざまな学区での選択肢が広がるというメリットがついつい強調されるわけですけれども、しかし、地方での導入に関しては全く事情を異にしておりまして、そもそも学校間の距離が離れているケースもありますので、学力によっては相当程度距離の離れた学校に通ったり通わなかったりという児童や生徒が出てくることも考えられます。

 そしてまた、私がここで強調したいのは、地理的な親近感を伴う学区という制度、これはさまざまな目に見えないつながりというか、心理的なつながり、言うなれば地元意識のようなものの背景にもなっている。そういうことを選挙活動等も含めて実感することが多いわけですけれども、そうした中で、地理的な親近感を伴う学区という制度が希薄化することによって、PTA等を介した親同士のつながりや、あるいは連合町内会などの地域コミュニティーの核となるグループが壊れていってしまうのではないか。

 また、子供たちが、先ほども申し上げましたけれども、地元を思う心や地域に同居する多様なタイプの友人、知人、これは、例えば学力その他で割って特定の学校に集まるということではなくて、ある地域に同居するというその点でつながっている、いろいろなタイプの人がもちろん地域にいるわけですけれども、そういった多様なタイプの友人、知人をひとしく大切にする心がはぐくまれる環境というものが今後失われていくのではないかという懸念でございます。

 教諭陣も含めて、義務教育に数値目標と効率化の観念が過度に持ち込まれることで、教育の内容そのものにも偏りが生じるおそれがありますし、また、先ほど申し上げた情操教育や地域コミュニティーとの連携、連帯という観点からも深刻な亀裂が生じるのではないかと心配をしております。

 文部科学省として、また私も同じでありますけれども、職業政治家として地域での活動基盤をお持ちの原田副大臣に、地域コミュニティーのこうしたあり方に関するテーマにどのような取り組みスタンスを持っていらっしゃるか、お伺いできればと思います。

 競争と淘汰と地域コミュニティーの保護育成を両立させていくための展望を示しながら、来年度予算における具体的取り組み等についても解説をしていただければと思っております。よろしくお願いします。

原田副大臣 教育の中心であります学校が地域社会、地域コミュニティーの中心的な活動を果たしておるのも重要なところであります。

 御指摘のように、学校区の自由化につきましては、文科省も数年前から一つのメニューとして、それぞれの地域の自主的な選択の対象にしておりまして、また、このところの規制緩和の流れの中で、改めて学区の見直しということも注目を浴びておるところであります。

 これは両面ございまして、一方では、個性ある子供を育てる、ないしは特色ある学校をつくり上げるというような意味で、自由化といいますか、選択の幅を広げるということも非常に大きなメリットがありますし、あわせて、議員が御指摘いただきましたように、そのことでせっかく地域の学校を中心にいろいろ高まっておったコミュニティーのきずながばらばらになってくるのではないか、そういう心配もあるわけであります。

 私どもからすれば、最終的には自治体の、また教育委員会の判断において行われるもの、どちらも積極的に強くやれというふうにも求めておりませんが、あくまでも、このところの地方分権、地方自治、地方の自主性、そういうものに任せて制度を運用しておるところであります。

 千葉県習志野市に秋津小学校というのがございまして、これは、ほかにも幾つもそういう先進的な地区があるようでありますけれども、ここは地域コミュニティーと学校との結びつきが非常に強い。さらっと資料を見せていただきましても、学校と父兄、そして地域の皆さんと本当に大変な活動をともにされておる。

 こういうコミュニティーには恐らく非行も不登校もいないんじゃないか、こう思うような感じがいたしますけれども、例えば、動物の飼育小屋とか肝試しのツアーをやるとか、ベイサイドスポーツクラブをやるとか、さらには、こいのぼりを一緒に立てる、お化け屋敷をするとか、多少教育そのものじゃない部分もありますけれども、いずれにしても、そういうような地域一体となっての学校運営も非常に大事になっておるところであります。

 要は、それぞれの地域が自主的に判断して、どうすればいいか、そういう意味では、学校の選択制もその中でしっかり地元で判断されるというようなことになろうかと思っております。

津村分科員 具体的な例も示しながらの御答弁、ありがとうございました。

 本日、お忙しい中を金田副大臣も合わせれば四人の大臣、副大臣に御同席いただきまして、三十分にわたって御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 私がこの地域コミュニティーというテーマにつきまして、三つの省庁に三十分という短い中で御質問させていただいたのは、実はこのテーマは、特定の省庁で考えていただくものではなくて、やはりそれぞれに幅を持ってお考えいただくテーマだなということも意識しながら、あえてそうさせていただいたということもございます。

 私、新米の議員でありますので、これからまたこのテーマについては自分なりに勉強しながらフォローさせていただければと思います。来年度以降、またこういった観点からも御質問させていただければと思っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

北村主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。

 次に、松野信夫君。

松野(信)分科員 民主党の松野信夫でございます。

 私の方からは、有明海、諫早干拓問題及び有明海域におきます漁業被害、こうした問題について質問をさせていただきたいと存じます。

 本年度の有明海におきますノリの養殖業、当初、秋芽という網を入れるわけですが、これは過去最大の被害を受けた。その後、冷凍網、これを入れておりますが、これも、一月、二月から色落ちの被害が発生して、既に網を撤去せざるを得ない、こういうような深刻な被害が発生をしております。

 これは、ことしの二月二十一日の西日本新聞でございますが、この新聞にも「養殖ノリ今季も「不作」」というような表題でございました。内容的に見ましても、「今季は秋芽ノリが「赤腐れ病」の被害で生産量、生産額とも過去最低の水準。その後、主力の冷凍ノリは好調な出足だったが、二月に入ると海中の栄養分が減少してノリが黒くならない「色落ち」の被害が大牟田市の沖合を中心に広がり、すでに今季の漁をあきらめて支柱を撤去する漁業者も少なくない。」こういうような報道もありますように、大変な被害が発生をしているわけでございます。

 農水省の方としても、こういうような被害、有明海で被害が発生している、こういうような認識はお持ちだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

亀井国務大臣 今漁期のノリ、秋芽網の生産、私も赤腐れ等も現地で見ましたけれども、有明で不作だったわけでありますが、全国的にも同様の傾向があったと思います。

 一方、冷凍網の生産につきましては、有明海全体ではおおむね好調だった、しかし地域によっては色落ちが発生している、このように承知をしております。

 まだ漁期中でありますが、過去十年間の漁期終了時点の平均と比較して、生産量で八五%、生産額で九一%に達しておる、今後の生産状況を注視しているところでもございます。

 十二年度以降、十三年度は豊作、十四年度は不作であり、年によりまして変動が大きい中で、漁業者、県、試験研究機関が協力して、ノリ養殖の適正管理を通じて生産安定に努めておるところでもございます。

松野(信)分科員 今大臣がお話しいただきましたように、平成十二年度、これが大変壊滅的な大凶作でございました。翌年の十三年度は持ち直しておるわけですが、その後、十四年、十五年と不作が続いているというようなことでございます。

 特に、地域的な差も発生しているのではないか、このように、私も実際現地にお伺いさせていただきまして、例えば川の河口付近は割合栄養塩が補給されたりしてそうひどくはないけれども、沖合、例えば大牟田の沖合、大和、高田の沖合あたりに行きますと、大変壊滅的な被害が発生しているというような状況で、深刻だな、こういうふうに認識しております。

 農水省の方としても、こういう地域別、割合いいところもあれば非常に悪いところもあるということで、こういう地域別のノリの生産高というのは、これは調査されていらっしゃるんでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣からもお答えいたしましたように、全体的に申し上げますと、生産金額的にはでございますけれども、今漁期は今までの共販の実績で申しますと三百九十億円を超えているということでございまして、過去の平均と比べますと、最終的な姿からいきますとまだ若干九割ちょっとという水準ではございますけれども、平均の姿としてはまあまあの水準に今後の最後の共販事業等々によって至るのではないかというふうに思います。

 実は、これは県別の数字ということでとっておりますと、佐賀はかなり平年から比べますといいような数字でございまして、熊本が平年並みみたいな水準かということでございますけれども、一方、福岡県は、若干、金額的にはまだ過去十年平均の七割程度、七割をちょっと超えるぐらいというふうなことでございます。

 おっしゃられますように、まだまだ河口水域は冷凍網を張っているところもあるようでございますけれども、そのほかの地域では撤去しているところもあるということでございまして、御指摘のように地域差というものはあるのかなというのも私どもも感じているところでございます。

松野(信)分科員 念のためちょっとお伺いしておきますが、地域別で、今、県別の数字は言われたんですが、実は、県の中でも地域地域によって違いが発生しているのが実情でございます。それで、例えば漁協ごとにとか、こういう形での数字の把握はしていらっしゃるんでしょうか。

田原政府参考人 大変申しわけございませんけれども、共販実績、県別のものしか手元にございませんで、もしそれ以上の詳しいものをということでしたら、後刻改めまして先生にお届けさせていただけたらというふうに思っております。

松野(信)分科員 では、ぜひその点はよろしくお願いをしたいと思います。

 ノリ以外、二枚貝の関係で言いますと、タイラギ、これも有明海特有のものでございまして、私、これも現地で確認をしてまいりましたが、三年ぶりにタイラギが立っているということで、期待をしている漁師の方もおられましたが、実際には非常に死貝が多いというような状況で、ほとんど商品にならない、漁獲が上がらないというような状況でございます。また、アサリも、ことしはわずかにはいいというような話も地域によってはございますが、ただ、しかし、全体としてはやはり減少傾向は否めない、こういうふうに考えておりますが、この点の御認識はいかがでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 タイラギ漁でございますけれども、有明海全体でのタイラギ漁、これはちょっと過去の数字でいきますと、昭和四十年代後半から約三十年近くということでとりますと、昭和五十一年が二万トン近くということでございまして、これがタイラギ漁のピークということではなかろうかと思います。その後、変動はございますけれども、押しなべて申し上げますと減少傾向で推移しておりまして、特に近年は数十トンと極めて低位水準での漁獲、こういうふうになっております。

 一部地域で資源の回復が見られているということでございまして、昨年は、福岡県では三年ぶりに、また佐賀県では五年ぶりにタイラギの潜水器漁業が再開されているわけでございまして、佐賀県からの聞き取りによりますと、二百トン前後の漁獲が上がったというふうなことのようでございますけれども、現在のところ、身が小さくてへい死も発生している、かように聞いている次第でございます。

 また、アサリの状況は、先ほど先生がおっしゃいましたように、熊本県等でかなり大量にふえたというような話がございますけれども、全体としてはおっしゃるような水準で推移しているというふうに聞いております。

松野(信)分科員 ノリとかタイラギ以外のいわゆる漁船漁業、これは現地の方では、タイとかタコとかヒラメとかあるいはワカメとか、こういうものがとれるわけですけれども、これもやはり全体としては漁獲高が回復しないままに減少傾向にある、こういうふうに考えておりますが、この点もそういう御認識でよろしいでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 有明海におきます重立った漁船漁業ということになりますと、刺し網漁業でございますとか小型底びき網漁業、こういったものではないかというふうに思いますけれども、こうした漁業で漁獲されますカレイ類あるいはニベとかグチ、こういったものの漁獲量でございますが、昭和五十八年、約二十年前でございますけれども、全体での漁獲量は一万トンをちょっと超えるというような水準でございました。これが十年前の平成四年ということになりますと、一万三百トン、一万トンかすかすと。平成十四年が四千七百トンぐらいということですので、これも総じて申しますと減少傾向で来ているということが言えるんではないかというふうに認識いたしております。

松野(信)分科員 そうして見ますと、ノリ関係についても、年度によって変わりがありますけれども、なかなか厳しい状況が続いている。また、タイラギあるいは二枚貝についても非常に不作が続いているし、漁船漁業についても同様な状況ということで、かつてこの有明海というものは宝の海だというぐらい大変豊富な漁を誇っていたわけですけれども、残念ながら非常にそれが失われつつあるというのが現在の状況ではなかろうか、こういうふうに認識をしております。

 そうした中で、これは議連ですけれども、公共事業チェック議員の会というのがございまして、私もその一員でありますが、会としては初めてこの現地視察をしようということで、ことしの二月十五、十六日、現地視察を実施いたしました。国会議員が私も含めて全部で七名参加をして、漁業被害の実態も見てまいったわけでございます。直接漁民の人たちからの被害の訴えというものも聞いてまいりました。大変せっぱ詰まった厳しい状況に置かれている、これは一刻も早く対策をとらなければならないな、こういう思いを持って帰ってきたわけでございます。

 大牟田の沖合にも参りましたけれども、もう既にノリ網はほとんど撤去されている、支柱もかなり撤去されておった状況で、そういう厳しい状況も見てまいりました。そういう非常に厳しい状況に現地は置かれているということは、やはりぜひ大臣みずから確認をしていただきたいなというふうに思うんですが、大臣みずからそういう被害のお話を聞かれたことはございますか。

亀井国務大臣 私、就任以来、いろいろの問題につきまして、まず現場を見る、現地を見る、このことをできる限り努力しておるわけでありまして、実は昨年十一月、有明海の佐賀県沿岸から諫早湾にかけましてノリの養殖の現場や海域の環境状況等々を見せていただきまして、そのときにもいろいろ関係の皆さんとお話を伺い、現場で、先ほど御指摘のノリにつきましての赤腐れ、現実に網を上げて、自分の手で見て、これをまた口にして帰ってきたようなわけでありまして、いろいろの関係につきましても十分意見を伺い、また関係の皆さん方から有明海の問題につきましても機会あるごとにお話を伺うことの努力をいたしております。

松野(信)分科員 今大臣の方からそういう御努力をいただいているということで、大変ありがたいお話でございました。

 できるだけ直接に漁をしていらっしゃる漁民の人たちからのお話を聞いていただきたいな。ともすると、例えば漁連の会長とか何々漁協の組合長とか、ともかくそういう何とか長とつく方々からの事情を聞かれて、現実に漁をしている人からのお話が必ずしも聞かれないということではやはり困ると思いますので、やはり実際に漁をして実際に困っておられる人たちからのお話を引き続いてぜひ聞いていただく方向でお願いしたい。この点についてはそう思っております。

 その点で申し上げますと、二月の十六日に私どもの方で九州農政局長との懇談というようなことをお願いしたわけですけれども、残念ながら、どうも、議員とはお会いいただけるけれども漁民とは会わない、こういうようなことがございまして、かねて漁民と九州農政局側で少しいさかいといいますか対立したようなこともあったように私も聞いておりまして、この辺は非常に不幸なことだなと。やはり農政局としても、漁民と対立するのではなくて、お互いにやはり信頼関係を構築しながら、漁民の被害の話も聞いていただいて、その上でどうするかというような形で進めていただければ、こういうふうに思っております。

 できるだけ、対立あるいは不信感を持つというのではなくて、お互いに話し合いをしながら、漁業被害を前提に一体これをどうするのか、こういう形で進めていただきたいと思っておりますが、この点、大臣いかがでしょうか。

亀井国務大臣 できるだけ現場の方にお話を伺うように私は努力をしております。先般、十一月に参りましたときにも、佐賀有明の会の川崎さん初め関係の皆さんとお目にかかったり、いろいろお話を伺ってきておるわけでありますし、また、本省にもお越しいただいたりして、漁業関係者の、生産者の皆さんと直接お目にかかり、お話も伺っておりますし、またこれからも十分お話を伺うことは必要なこと、こう思っております。

松野(信)分科員 ありがとうございます。

 ところで、水産庁の方は、昨年、平成十五年の八月十五日付で、有明海の漁業生産及び漁場環境に関する調査というものを実施しておられると思います。その実施の結果がどうなっているのか、どうもいまだにまだ明らかにはされておりませんので、現時点でわかっている範囲だけでもどういうふうになっているのか、明らかにしていただければと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘になりました有明海の漁業生産及び漁場環境に関する調査でございますけれども、私どもといたしましては、有明海の漁業生産ですとか漁場環境につきまして、今後の科学的な検討につなげていくということを目的といたしまして、関係県であります福岡、佐賀、長崎、熊本、この四県の協力を得ながら、漁業者の方々の聞き取り調査を行うということで実施しているところでございます。

 この調査でございますけれども、現在、整理及び集計作業を行っておりますけれども、実は一部の県でまだ調査結果が未到着の部分がございまして、まだ現時点では発表できるような段階にはなっていないわけでございますが、三月中に例の環境省に設置されております有明海・八代海総合調査評価委員会、これが開催されるという話でもございますので、私ども、できる限りこの総合調査評価委員会には報告できるような格好で調査集計をやりたいということで、今鋭意作業を取り進めているところでございます。

松野(信)分科員 まだ一部の県から報告が出ていないというお話でございますが、ただ、これは調査の実施というのは昨年の八月以降の話でありますので、もうかなりの時間が経過しているわけで、一体それはどうなっているのだろうかなというふうに考えざるを得ないわけでございます。少し被害調査に時間がかかり過ぎるのではないか。やはりこの被害調査をきちんと行って、これをもとに原因究明とかあるいは被害の対策とかいうのをしっかり立てなくてはならないと思いますので、ぜひ、一部の県からまだ出ていないというのであれば、督促をするなり進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 未提出の県につきましては、できるだけ早くそのヒアリングの結果等々を出していただけるようにということで督促をさせていただきたい、かように考えている次第でございます。

松野(信)分科員 ぜひその点はお願いしたいと思います。

 現地の漁民の人たちは大変苦しんで、生活の窮状の方も大変訴えているわけでございます。今のところ正式な被害調査の報告というのがまだできないということのようではありますが、やはり現実の被害を目にして、この原因は何なのか、この原因究明作業もぜひお願いをしたいというふうに思っております。

 例えば一つ、赤潮の問題もございます。ここにあります有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会、いわゆるノリ第三者委員会と呼ばれるものの報告書を見ましても、これは平成十五年三月二十七日の報告書ですけれども、近年赤潮の発生件数あるいは延べ日数が増加をしている、また、秋から冬の珪藻赤潮の発生も増加をして、これがノリにかなり影響していると思われる、こういうような指摘も現になされているわけでございます。赤潮対策あるいは赤腐れ病とか色落ちとか、こういうようなものに対する対策、原因究明を含めた対策というものは一体どういうふうになっているでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 有明海におきましては、近年におきまして、赤潮でございますとか貧酸素水塊の発生、さらにはタイラギを食害しておりますトビエイの発生など、いろいろな漁場環境がいろいろな意味で大きく変化しているということではないかというふうに考えております。

 まず、このうちノリ関係でございますけれども、ノリ養殖の被害につきましては、珪藻赤潮の発生、気象条件に伴います栄養塩の減少、こういったものと考えられておりますけれども、こうした珪藻赤潮の発生機構については解明を要する点も多いため、水産庁といたしましても、関係県が実施します赤潮の発生監視に対して支援を継続いたしますとともに、これまで取り組んできました珪藻赤潮の生態的特性でございますとか発生状況の調査に加えまして、珪藻赤潮の発生予察技術の研究、こういったことも進めていきたい、かように考えている次第でございます。

 また、ノリの品質に関与いたします遺伝子の機能解析、こういったことを行いながら、ノリの品種改良技術の開発、こういったことも実施してまいりたい、かように考えております。

 それから、タイラギ等のへい死原因と見られます貧酸素水塊の問題でございますけれども、これにつきましても、発生状況の調査、これを継続して行いますとともに、これまで得られました資料をもとにいたしまして、発生機構の解明ですとか発生の予察、あるいは防除技術の開発、こういったことを行ってまいりたいと考えております。

 さらには、トビエイの問題、先ほどタイラギの関係で申し上げましたけれども、この駆除事業を行います関係県、これに対しましても継続して支援を行ってまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、有明海の漁業被害につきましては、関係県ともよく連携をとりながら、必要に応じまして対策を総合的に実施していきたい、かように考えている次第でございます。

松野(信)分科員 関係各県ともぜひ協力をして、原因究明、そしてその対策をとっていただきたいというふうに思いますが、現時点で、赤潮の発生の原因、あるいは貧酸素水塊の発生の原因、これは、これが原因ではないかというふうな原因究明についてわかっているところがあれば、その点について教えていただきたいと思います。

田原政府参考人 お答えいたします。

 大変申しわけございませんけれども、まだまだこれはいろいろな説があるようでございまして、今の時点におきまして、こうしたものにつきましての主たる原因ということで決め手となるものというものはまだ確立していないのではないかというふうに承知いたしております。

松野(信)分科員 ぜひその原因を追求して、それに対する対策というものをしっかりとっていただきますよう要望しておきたいというふうに思います。

 それから、現実に、何度も申し上げますように、漁業被害が発生して漁民の人たちがまさに生活面でも非常に困窮をしておられる。御承知かと思いますけれども、ノリというものはかなりの投資型の産業といいますか、借金をしてノリ網を購入、支柱を購入、漁船を購入、そして数千万もするような乾燥機械、乾燥部屋もつくるということで、かなりのお金を必要としているわけです。大変な借金を抱えて苦しんでおられる人が多いわけでございます。

 平成十二年度のノリ大凶作では、一応貸し付けという形で救済が行われたようでございますが、現在ではお互いに保証人を立て合って融資を得るというようなことがもう不可能だ、もうだれも保証人には立ちようもない、こういうような状況でありまして、貸し付けということになれば返さなきゃいけない、貸し付けによる救済というのはほぼ限界に達しているというのが現地の漁民の人たちのお話でございます。

 この点、漁民の生活対策という観点ではどういうような対応を考えておられるでしょうか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 まず、平成十二年の際の有明海のノリの大不作に際しましては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金、これにつきまして、例えば貸付利率の無利子化でございますとか、貸付限度額をそれまでの二百万円から五百万円に引き上げるということですとか、対象者の方々に所得制限をかけまして八百万円以下でなければいけないみたいなことをしておりましたけれども、こういったものを撤廃する、こういう金融措置等々講じておりました。

 しかし、ことしの漁につきましては、まだまだちょっと漁が続いておりますので、どういう状況になるのかわかりませんけれども、こうした金融措置、単に公庫資金だけではなくて、系統のいろいろな経営関係の資金がございますので、こうした資金、こうしたものにつきまして、漁業者の方々の要望を踏まえまして、県ともよく相談しながらこうした対応はとっていきたい、かように考えております。

 また、金融措置だけではなくて、ちょうど十二年の不作に伴いまして、漁業共済にかなりの加入率が上がったという経過がございます。若干、最近のあれでは少しこの加入組合の率が、平成十三年は九九%に達しておりましたのが、今は九一%ということであれでございますけれども、共済事業にもできるだけ加入していただくことによりましてこうした不作に対応できるということになってまいりますので、こういった点にも努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。

松野(信)分科員 先ほどから申しておりますように、貸し付けとなると返さなきゃいけないということで、大変厳しい状況であります。私は、いずれ政策的には所得補償とかあるいはノリの価格補償とか、そういうところまで踏み込んで検討していかなければならないのではないか、そして基本的にはやはり有明海を再生、浄化させるということで、漁民の人たちが安心して漁に打ち込める、そして水揚げをしっかり確保するというような環境を取り戻すことが何よりも大事だというふうに考えておるところでございますが、この点は、こういうふうにぜひ進めていただきたいなと思っております。

 そして、もう時間でございますのでまとめさせていただきますが、こういう漁業被害の原因としては、やはり最も指摘されておりますのが諫早の干拓事業でございます。潮受け堤防の中長期開門を実施してほしいという、福岡、佐賀、熊本三県の県議会が既に決議を、しかも全員一致の決議を上げておりまして、また、三県の漁連も農水大臣あてにこの中長期開門の要望書を提出する、こういうような事態に至っているわけでございまして、ぜひとも農水省の側としても、こうした三県の訴え、真摯に耳を傾けていただいて、潮受け堤防の中長期開門を含む原因究明をされますよう最後に強く要望させていただきまして、私からの質問といたします。

 ありがとうございました。

北村主査 これにて松野信夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽分科員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、USビーフのBSE問題に関しまして質疑をさせていただきます。

 大臣におかれましては、昨年十二月二十四日、この事件が発生以来、まさに年末年始を返上されまして、本件の解決に本当に大変な御尽力をいただいておりますこと、まず心から敬意を表する次第でございます。

 しかしながら、こういった大臣の御奮闘にもかかわりませず、現在、この問題はなかなかその解決が見えてこないというのが今の状況じゃないかなというふうに、私はそう思っております。

 私、実は、今回の問題について、我が党の農水部会また一連の報道、先々週ですか、亀井大臣が出られましたNHKの政治討論会も、BSE特集もずっと見ておりました。ずっと見ていて、若干、正直申し上げまして違和感があると。どういうことかというと、ちょっと言葉は悪いですけれども、やや、少しヒステリックに過ぎるのではないかなということ、別に大臣の発言がという意味じゃなくて、今のああいった報道ぶりとかを含めて、もう少し、何かこの前のNHKの番組を見ますと、何も知らないやつが見ると、何かアメリカの牛肉というのは大変危険なんだな、いつかあれを食べたらヤコブ病になるような、すごいそういう雰囲気が醸成されて、その直後のうちの部会では全くわからない人がいっぱい出てきて、アメリカというのはけしからぬみたいな発言が続くわけですね。ちょっと待てよ、それは違うんじゃないの、こういうような発言をするわけです。

 もちろん、食品の安全というのは大前提です。大前提ですけれども、その安全が揺らぐような危険とか不安とか、それがどのぐらいの確率なのかということを抜きにして、さも今でもその危険性があるかのようなことが、何というか右や左や飛んで話が始まると、全くちょっと違う議論になっているんじゃないかなと。私は、食品の安全というのは大前提であるけれども、安心と安全というのは、やはりそこには少しの差がある。

 ですから、ここについてもう少し冷静な議論をして、日米交渉になると思うんですが、何とか今回の決着を図っていただきたいなというふうに思いまして、大変限られた三十分という時間でありますが、本件の解決に一歩前進になるような質疑をしたいと思いますので、どうかまずよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 安全と安心ということで、牛どんの吉野家の社長、安部社長なんかはよく二つに使い分けております。私は、やはり安全というのはセーフティー・サイエンティフィカリーで、安心というのはセーフティー・ウイズ・フィーリングだと。やはりここは違う。例えて言うと、牛肉とは全然違うんですけれども、我々友達同士で五人ぐらいで飯を食いに行くとき、生ガキを食べるかどうかという話になるわけですよ。生ガキというと、安全だからお店で出ているわけでしょう。だけれども、やはり一人二人は、いや、ちょっとやめておくわ、体調悪いからと。この生ガキという食品は安全なのか、安全じゃないのかって、それは安全なんですよ。しかし、消費者にとって、安心を感じるやつらもいれば、安心を感じないやつもいる。ここは、安全と安心というのはやはりイコールじゃないはずなんですね。行政側とか、提供者も含めてだと思いますが、安全を守るというのは当たり前の責務だと思いますが、それを消費者に一〇〇%、一二〇%の安心を提供するというのは、企業努力としては必要かもしれませんが、おのずと私は限界があるんではないかというふうに、そう考えておるんです。それは私のまず意見です。

 それで、よく今の状況で、ちょっと済みません、通告と順番が少し逆になるんですが、余り知られていないことがありまして、何かBSEというと日本とアメリカしか発生していないように言われるんですが、世界中でいっぱい発生しているんですよね。この発生状況というのをぜひ議事録に残しておきたいと思うので、どのぐらい大体、大ざっぱでいいですから、主要国でどんな状況なのかというのを、ちょっとまず御答弁いただけますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 一九八六年に英国で最初のBSE感染牛が確認されまして、その後、EU諸国を中心に感染が拡大しております。現在、世界で二十五カ国でBSEの感染牛が確認されております。これはOIEのデータに基づくものでございます。

赤羽分科員 肝心なことを答えてくれなきゃ。去年とかおととしの、何頭ぐらい出ているんですかということ、その二十五カ国で。

中川政府参考人 主要な発生国におきます状況を申し上げますと、二〇〇三年の数字でありますが、イギリスで四百二十五頭、それからアイルランドでは百八十三頭、あと多いところでは、スペインで百六十七頭、フランスで百三十七頭、主要な国では以上のような発生状況になってございます。

赤羽分科員 今のお答えにあったように、二〇〇三年は千二百頭ぐらい、その前は二千頭ぐらい、こう出ているんですね。では、そういった国でどうなっているのか。よく心配されているように、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病にこれは感染した人というのはどれくらいいるんですか。厚生省。これは過去の話じゃなくて、去年とかおととしの。

南政府参考人 お答えいたします。

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生については、英国保健省報告や公表されている症例報告等によりますと、本年二月二日現在におきまして、英国で百四十六例、フランスで六例、イタリア一例、アイルランド一例、カナダ一例、米国一例の計百五十六例が報告をされております。このうちアイルランド、カナダ、米国の症例は、長期の英国滞在歴があることが判明をしております。

 なお、これらの症例につきましては、個別に感染源が確認されていないものと承知をしております。

赤羽分科員 BSEを原因として、今言ったヤコブ病に感染している、かつ、それも大昔の話じゃなくて、さっき言った二〇〇三年というデータが出たので、二〇〇三年とか二〇〇二年に感染したという例の報告はあるんですか。今、その原因が特定できないという話なんだけれども、その辺も踏まえて、もう一度答弁していただけますか。

南政府参考人 お答えします。

 感染源につきましては、特定をされておりません。(赤羽分科員「去年、おととしはどれぐらい出ているの」と呼ぶ)

 ただいまデータを持ち合わせておりませんので、また調べましてお答え申し上げます。

赤羽分科員 この件でいうと、いつも英国で百何十人という話が出るんだけれども、それは多分随分前の、恐らく脳みそを食べていた時代に感染しているような話なんじゃないかと私は想像するんですよ。

 ですから、私が言いたいことは、去年、おととしでも、世界で実は二千頭とか千数百頭出ているんだ。しかし、ほかの国は、今、日本の主張というのは全頭検査しない限り食品の、牛肉の安全性というのは担保されないかのような主張をしているけれども、では、日本以外で全頭検査している国はないわけですよ。そういった国で、皆さんどうしているんですか、相当リスクを覚悟して牛肉を食べているんですか、そうじゃないでしょう。特定危険部位というものを除去することが食品、牛肉の安全性の担保というふうなのが日本以外の今の各国の状況なんじゃないですか。現実に千頭も百何十頭も出ている国があるわけだから、脳みそは食べるのやめましょうよ、どうも脳みそは相当危ないらしいよ、そういうことなんじゃないですかということを私は確認をしたいんだけれども、これはどこが答えてくれるんですか。金田副大臣でお願いします。

金田副大臣 赤羽先生の御指摘でございます、日本のBSE対策ということで、二〇〇一年に発生したときに、やはり国民感情ということを考えていかなきゃならないと思うんですけれども、大変なパニックが起きたわけでございます。しかし、全頭検査とそして危険部位の除去ということで、国民が安心して、消費が回復したという経緯がございます。

 ところが、今回、アメリカで発生したBSE、一頭出たわけでございますけれども、全然アメリカ国内の消費が落ち込まない。そういった国民性というものを考えながら、どういう政策で、どういう方向でこのBSE対策をやっていかなきゃならないか。特に、安全、安心という面で、安全と安心は違うと言いますけれども、行政的に、その政策を受けとめる国民がどういう感情を持っておって、どういう知見を持っておるかということも十分考えながら、今の農政を展開していく必要があるんだろうというふうに思っております。

赤羽分科員 それはまさにそうなんですけれども、ただ、私は今、安心の部分はちょっと後回しにして、安全性の、まさにサイエンティフィカリーな部分の話をしているわけですよ。

 ですから、世界で、日本だけじゃなくて、現にヨーロッパでも、世界じゅう二十五カ国で出ているじゃないですか。日本以外では全頭検査やっていないじゃないですか。しかし、みんな心配しながら食べていますか、皆さん安心して食べているわけですよ。我々だってそういう国に行って食べるわけですよ。金田先生だって、ヨーロッパに行ったって必ずイギリスの牛肉を食べているわけですよ。心配しながら食べていないわけですよ。なぜ心配しないか。全頭検査していないから不安を持っているわけじゃないんですよ。危険部位が除去されて、特定危険部位が入っていないという前提で食べるから安全だと思われるわけじゃないですか。私なんかは、どうも気が弱いからそれでもちょっと不安で食べない、これは安心の問題なんですよ。だから、提供の側の安全かどうかという問題なんです。

 もちろん、行政として安心ということがかかわっていくというのは、それは別の問題として後で議論したいと思うんだけれども、まず、安全性のことを国民の前にクリアにわかっていただくという努力をすることというのはすごく大事なんじゃないんですかということなんです、私が思うのは。

 消費者団体とかというと、この前大臣も御一緒されていた女性の方の話を見ていたら、率直に言って、あの人消費者の代表じゃないですよね。だって、大半の消費者は、危ないかもしれないと言われているアメリカの牛肉でつくられている牛どんの吉野家がなくなるといって行列ができるんですよ。明らかに違うんですよ、言っていることと現場でやられていることは。

 三年前というか、国内で初めて出たときは、まさに凍りつくようなショックが走ったんですよ。私、神戸ですし、長田区に焼き肉屋も牛肉屋も多いので、前年度比八割減というところが軒並みなんですよ。年末のお歳暮は、神戸ビーフなんというのはお歳暮で一番喜ばれているのに、あの年だけは一番嫌われて、当然だれも贈る人はいなくなった、こんな状況だったんですよ、当時は。だけれども、今回は、僕ら政治家ですから、年末年始、やはり心配して我々も現場で回りましたけれども、そんなにパニックというのは起こっていなかったなというのが実感なんです、私の感じは。

 でも、その前に、まずちょっと科学的な方の話をすると、ミルク、ちょっと話は肉からミルクに移るんだけれども、ミルクの場合は、検査前に全部、お乳ですから搾って流通していますよね。これはどうしてなんですか。ホルスタインで、例えば、BSEというのは殺されるときにわかるじゃないですか。検査がその段階なんだから。殺される前、生きているときにお乳を搾って出しちゃうんだから、出したホルスタインがBSEだったというとき、それはどういう知見でそこは科学的根拠があるというふうにされているんですか。

中川政府参考人 OIEのルールにもありますけれども、牛乳ですとかあるいは精液ですとか受精卵とか、一定のものについては、これは安全なものとして、科学的な見地に基づいて、ルール上、OIEにおいてもそのことが認められているという部分がございます。

赤羽分科員 私は、OIEというのはそういう権威があると思うんだけれども、今、日本の主張でOIEのあれをすべて採用しているわけじゃないですよね。まして、OIEの基準というのは、私のこれ、ちょっと正確でもないんだけれども、ミルクと筋肉とかミートというのは同じカテゴリーじゃないんですか、違いますか。ちょっとそこだけ確認してください。

中川政府参考人 今、OIEのルールを手元に持っておりませんので記憶で申し上げますけれども、肉や何かの扱いと、それから牛乳の扱いは、OIEのルールでもそこはカテゴリーが違ってございます。

赤羽分科員 逆に、ちょっと質問をかえますと、BSEに感染した牛がいますね、ここの食肉部分、特定危険部位は当然もう感染しているんだからだめだ、しかし食肉部分は食べられるんでしょう。どうですか。

中川政府参考人 世界の通例としまして、BSEに感染した牛の特定危険部位を除いたものはどうかというお尋ねというふうに受けとめました。

 一般的に、WHOでもこれは勧告をされておりますけれども、本当にBSEにかかった牛であれば、その肉は食に回さない、特定危険部位を除いたとしても、それは食のフードチェーンに回さないというのが、これは常識といいましょうか、そういう通念の扱い、それはどこの国でも、だれに聞いても、一般的に食には回すべきでないというのが肉についての扱いであります。

赤羽分科員 わかりました。ちょっと私は、少しその辺は、安全だ、安全だといってそれを喜んで食う人はいないんだし、日本では焼却しているわけだけれども、そこの部分を少しクリアに言うべきだと私は思っていたんだけれども、それは今の答弁の方が正しければ、私はまた訂正しなければいけないが。

 ちょっと角度を変えて、アメリカのビーフに対する評価というか、危険度の評価というのを、さっき番組なんかで見ていると、本当に大変危険なんだと思っている人がいるのでもう一度確認したいんですけれども、USビーフは、今、我々が、日本人がニューヨークに行ってニューヨーク・カットのビーフを食べるとか、そういった意味でのリスクというのはどのぐらいの確率であるんですか、その危険度というのは。

 ということが一つと、あと、今回、他国も輸入禁止していますよね、日本に見習って。見習って、日本で輸入禁止しているが、全頭検査というのを要求している国というのは日本以外にあるのかということと、二つの問題を答えていただけますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初のアメリカの牛肉についての危険度評価ということでございますが、農林水産省におきましても、アメリカについての、全体のリスク評価という作業は行ってきておりましたけれども、最終的な結論を得る前に、カナダで昨年の五月にBSEが発生したということがございまして、改めてアメリカとカナダの関係、特にあそこは、北米において、えさにしろ生体にしろいろいろ流通があったということ、行き来があったということでございますので、そういった新たな事実に基づいて、今新たな作業をする必要があるということですが、最終的にアメリカのリスク評価がどうかということにつきましては、私ども、その判断を持ち合わせておりません。

 ただ、先般の日本から送った調査団の報告、あるいは国際的な専門家のパネルによります報告が二月の四日に出ておりますけれども、こういったものを見ましても、カナダそれから米国、両方においてBSEがやはり浸潤をしている、さらに二頭目、三頭目の発生が十分予想されるというのが今一般的な理解でございますので、こういったことを念頭に置いて日米の話は対応していかなければいけないというふうに思っております。

 それから、二点目でございますが、アメリカ産の輸入停止をしている国がどうかということでありますが、最新の時点で、我が国を含めまして五十七カ国が米国産の輸入を停止いたしております。その多くはBSEの未発生国でございますから、具体的な再開の条件等は示しておりませんが、幾つかの国は、清浄にならない限りは再開をしないというふうなことを表明している、これはシンガポールでございます。あるいは、当面輸入をすることは考えていないというふうなことを明らかにしている台湾等、幾つかの国がございます。

赤羽分科員 いや、後者の部分は、全頭検査を要求している国は日本以外でありますかという質問なので、それが一つ。

 前半の部分の、済みません、アメリカの牛のリスク評価というのは、正しく言うと、食品としてのです。それは感染の確率とかということの今お答えなんだけれども、食品としての危険度というのがどのくらいあるのと。そういう詰めた、科学的な、科学的というか、食品安全委員会みたいなレベルの話ではなくて、どのぐらいの確率で食べたら危ないのというような話を、大変なリスクが高いように報道されているけれども、どうなんですかという話をしているわけです。

梅津政府参考人 食品安全委員会で、アメリカでBSEが発生して以降、二回にわたるプリオン専門調査会で収集された情報をもとにアメリカのBSE発生の状況について議論を深めているところでございますけれども、現段階で、まだ具体的な評価や結果の取りまとめを行うには至っておりません。

 今後とも、アメリカ側に求めている情報、例えばサーベイランスの実態とか、フィードバンの調査とか、そういった情報をもとに専門調査会における議論をさらに進めるとともに、国民に対して正確でわかりやすい情報の発信に努めてまいりたいと思っております。

赤羽分科員 それも感染牛の確率、そのリスク評価というお答えじゃないんですか。食品として、ですから、アメリカは特定危険部位が除去されたものを食べている、そういう前提じゃないんですか。

 私ちょっと、ざっとした話で、僕らがアメリカに行ってUSビーフを食べたときにどのぐらい危険があるのというようなそういう話ですよ。私は、限りなくゼロに近い話なんじゃないのかということを冒頭申し上げたような思いでいるんだけれども、その辺はどうなんですか。

北村主査 答弁者の方、アメリカは危険部位をきちっと除去しているのかどうか、それをお答えください。

 中川消費・安全局長。

中川政府参考人 昨年の十二月にアメリカでBSEが発生するまでの以前の扱いとしましては、牛から特定危険部位を除くということはアメリカでは行われておりませんでした。一頭目の発生を受けまして、追加的な措置として、三十カ月齢以上のものについて特定危険部位を除去するというのが追加的措置として今回導入されたところでございます。

北村主査 もう一つですね、全頭検査。

中川政府参考人 失礼しました。先ほど答弁で私の方で少し漏らしましたけれども、BSE発生国でアメリカからの輸入を停止している国というのは余り多くありません。したがいまして、日本のほかに米国に対して輸入の条件として全頭検査を求めている国はないというふうに承知をしております。

赤羽分科員 済みません、さっき答弁いただいたんですが、もう一回ちょっと確認しますけれども、私の聞き方も悪かったかもしれないんだが、BSEの感染牛の食肉部分というか、特定危険部位以外に異常プリオンが、何というか、滞在するというか、そこの部分の危険性はあるのか。食べるか食べないかというのは、さっき言われたように、センシティブなところの部分があるわけじゃないですか。科学的な側面で言うと、いわゆるBSEの感染牛であろうとも、そこのミート、食肉部分について、そんなに危険性というのは高いものなんですかという、済みません、質問です。

北村主査 それは、科学的にきちっと、OIEの基準を含めて、御答弁をください。

中川政府参考人 BSEの感染が確認をされた場合は、これは患畜ということになります。したがいまして、単に特定危険部位を除去するとかということではなくて、そもそも感染が確認された牛というものは、フードチェーンに回さずに、きちっと処分をするというのが一般的なルールになっております。

赤羽分科員 それでは、別の問題に移りますが、農水省は、食品の安全を求めるのももちろん大事ですけれども、食料の供給についても責任を持つ立場にありますよね。

 年間約五十万トン輸入ビーフがあって、そのうち約半数がUSビーフだということですね。例えば、焼き肉屋なんかも、全国で多分二万件ぐらいですか、年間売り上げ一兆円と言われておって、その六割がUSビーフを使っているというような話もあるし、牛どん屋も大半がUSビーフを使う。牛タン屋も、実は僕はあれは国産のビーフじゃないんだなと今回初めてわかったんだけれども、USビーフを使う。

 こういった中で、需給バランスというのは物すごく崩れるわけじゃないですか。この辺についてはどのように措置をしていこうというふうにお考えですか。

 よく豪州産で代替をするというような話も出ているけれども、現実にそういうことは可能なんですか。どうなんでしょう。

白須政府参考人 ただいまの御指摘でございます、豪州産牛肉というお話があったわけでございます。

 私ども、実は、米国産が停止措置が行われましてから、豪州の、ただいま委員の御指摘のとおりで、輸出拡大がどのぐらいあるのかということで調査に参ったわけでございます。そういたしますと、一般的に、豪州から米国に仕向けられております牛肉、これはハンバーガー用の、委員も御案内の加工用でございます。あるいは、豪州国内で消費される牛肉、これは牧草肥育が大半でございますが、それは日本が米国から輸入しておりますいわゆる穀物肥育の牛肉とは品質が異なっておるというふうに一般的には考えられておるわけでございますが、ただ、その中に、米国産の代替として我が国でも需要が見込まれるいわゆる高品質な部分肉があるということが明らかに、その調査によりまして私ども掌握したわけでございます。

 ただ、御案内のとおり、輸入停止がいつまで続くかということが今のところ不透明だということになりますので、したがいまして、豪州側にしましても、どういうふうにその生産の増加を図るというということは、これはやはり、御案内のとおり、リスクなりコストがかかるわけでございますので、なかなかそこのところを見きわめるという点が難しいということでございます。

 ただ、いずれにしても、委員の御指摘でございますが、もう御案内のとおり、やはりそこのところは最終的には商取引としてどの程度のものが仕向けられるかということは決まるわけでございますので、申し上げておりますように、我が国向けに輸出拡大の可能性はあるということはもちろんでございますが、なかなかそこの具体的な数量については、ただいま具体的な数量を申し上げるというわけにはまいらないのではないかというふうに考えておる次第でございます。

赤羽分科員 確かに、豪州産に変えるといっても、年間の長期契約もしなきゃいけないでしょうし、グレーンフィードで育てるとなると、相当それなりに自己リスクも、そして設備投資もしなきゃいけない。なかなかそんな簡単じゃないはずなんですね。ですから、もうちょっと、それは民間だ、民間だと言っているけれども、こういった措置をとっているのは、アメリカが原因かもしれないけれども、行政的な措置をとっているわけで、それによって起こることについてこのまま放置しておくと、私なんか、兵庫県というのは食肉関係の業者が多いものですから、ばたばた倒れるところが出てくるんじゃないかということをすごく心配しております。

 ですから、最初の話に戻りますと、私はすごく大ざっぱな言い方をして、これは非常に勇気を出して言っているんだけれども、極めて確率の低い、それは安心という意味ではいろいろ問題があると感じる人もいるかもしれないけれども、安全という意味では極めて確率の低い話、これは別にアメリカに厳しさを求めるということはどんどんやるべきだと思いますが、しかし、そこはどこかでうまい知恵を出さないと、このままデッドロックに乗り上げて、何かほとんど実はヤコブ病なんかにかからないような話なのに、そこでもめていて、結果として、現実に何万軒もある焼き肉屋がつぶれたり失業したり何とかということの方が、比べる話ではないかもしれないが、政治の問題としては大きな問題なんじゃないかということを私は大変心配しているんです。

 加えまして、これを言うとすごく笑われるかもしれないが、アメリカと日本の食料関係でいうと、大豆も小麦もトウモロコシも、大宗商品を輸入元としてアメリカからサプライしてもらっているわけです。アメリカだって、ぷっつんして、例えば、ああ、わかった、日本はそこまでセンシティブなんだな、確かに遺伝子組み換えの話もあったし、では、一年間全部グレーンはストップするよと。こんな話だって、今は笑い話みたいに聞こえるかもしれないが、私はそういうことまで考えて、どこに損得があるのか、どういった形で日米交渉をセトルするのかということは、やはり政治家がその知恵を発揮しなければいけないのではないかというふうに私は思うんです。

 加えまして、ちょっともう一点だけ蛇足で言いますが、消費者のというふうに、消費者の声ということを大変、農水省の職員の方と話すといつも皆さん言われるが、国内で初めて発生したときと今回は明らかに違うというのは、これは私、政治家としての責任ある報告としてぜひ受けとめていただいて、メールが来たりとか電話が来る消費者の声というのは極めて、私たち政治家に来るメールも極めておたく的な人が多いわけですから、ぜひもっと現場を見て、どれだけ消費者が不安を感じているかということを勘案した上で、食料安全保障的な観点に立って、ぜひ早期、うまい日米交渉を解決していただきたいということを大臣に要望して、大臣に最後、その御決意なりお聞きしたいと思うんです。

亀井国務大臣 いろいろ御心配いただいております。あくまでも私は、日本におきます二〇〇一年九月のBSEの発生、このことを中心に食品安全行政、消費者行政、このことも我が省、組織編成をし、いろいろなことをしておるわけでありまして、そういう中で、BSEの未解明の分野も多々あるわけでありまして、科学的な問題での、いわゆる我が国におきまして二十三カ月、二十一カ月でBSEが発生した事例もあるわけでありまして、科学的知見、まだまだ未解明な分野もあるわけでありまして、そういう点から、やはり何といっても、私は、食の安全、安心、そういう面での、今日アメリカで発生をし、食肉の問題、日本で消費者の皆さん方も冷静に受けとめていただいておりますことは、やはり全頭検査そして特定危険部位の除去、こういうことを我が国がずっと進めてきている、そういうところが多大にあると思っております。

 そういう面で、アメリカにやはり消費者のニーズに合うものを輸出していただくということが基本でありますので、アメリカに対しても全頭検査そして特定危険部位の除去、このことをいろいろ説明をしておるわけでありまして、アメリカ側からそれなりの提案、こういうものがある、このように思っておるわけでありまして、そういう中で、いろいろ考えていかなければならない。

 あくまでも食の安全、安心、このことを中心に、今、日本の国民の皆さん方が、八割九割の方が、いろいろ消費者団体、あるいはまた世論調査をいたしましても、その安全、安心、そしてBSEの問題につきましては、アメリカに対して私どもが主張しておりますことを理解していただいている、御支援をいただいている、こういう国民の声というものも十分踏まえていかなければなりません。

 ただ、私ども、貿易の再開、輸入再開につきましては、本当に長引くことはいろいろな問題を持つわけでありますので、その面、十分考慮して、しっかり対応してまいりたい、こう思っております。

赤羽分科員 ありがとうございました。

 ただ、全頭検査がこの安全の担保になっていると感じている国民ばかりだけじゃないということも、ぜひ御考慮に入れていただきたいと思います。

 以上で終わります。

北村主査 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二日火曜日午前九時より開会し、引き続き農林水産省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十五分散会


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