衆議院

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第1号 平成22年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十二年二月二十三日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      田中 康夫君    豊田潤多郎君

      森本 和義君    山口  壯君

      笠井  亮君

二月二十四日

 山口壯君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十二年二月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 山口  壯君

      大西 孝典君    小山 展弘君

      斉木 武志君    田中 康夫君

      玉置 公良君    豊田潤多郎君

      森本 和義君    山尾志桜里君

      笠井  亮君

   兼務 赤松 正雄君 兼務 稲津  久君

   兼務 中島 隆利君

    …………………………………

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   農林水産副大臣      郡司  彰君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    藤本 祐司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         針原 寿朗君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局長)            高橋  博君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   予算委員会専門員     杉若 吉彦君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  田中 康夫君     斉木 武志君

  森本 和義君     玉置 公良君

  笠井  亮君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  斉木 武志君     山尾志桜里君

  玉置 公良君     小山 展弘君

  吉井 英勝君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  小山 展弘君     森本 和義君

  山尾志桜里君     大西 孝典君

  赤嶺 政賢君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     田中 康夫君

  笠井  亮君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木憲昭君     笠井  亮君

同日

 第三分科員中島隆利君、第八分科員赤松正雄君及び稲津久君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十二年度一般会計予算

 平成二十二年度特別会計予算

 平成二十二年度政府関係機関予算

 (農林水産省所管)


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     ――――◇―――――

山口主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十二年度一般会計予算、平成二十二年度特別会計予算及び平成二十二年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。赤松農林水産大臣。

赤松国務大臣 主査の御了解をいただきまして、お許しをいただき、私から、平成二十二年度農林水産予算の概要を御説明申し上げたいと存じます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明いたします。

 鳩山総理は、さきの施政方針演説において命を守る政治を提唱しましたが、生命の源である食を生み出す農林水産業、その舞台となる農山漁村は、まさに命を支える基礎となるものです。また、地域経済の心臓として地域を支えているのも、まさしく農林水産業です。

 しかし、我が国の農林水産業の現状を見ると、生産額の減少、就業者の高齢者割合の増加、農地や森林の荒廃、水産資源の減少など、深刻な状況に陥っています。国際情勢に目を転じても、中国、インドを初めとする新興国の経済成長などを要因として、世界の食料需給は逼迫基調にあり、先進国の一員としてその安定化に寄与することが求められています。

 このような内外を取り巻く危機的な状況を克服し、国民の命を支える農林水産業と農山漁村を再生すること、すなわち、食と地域を再生することが、今、我々がなすべきことです。

 このため、意欲のあるすべての生産者に政策の恩恵が行き渡り、国民が将来にわたって安全な食の恩恵と豊かな水や緑を享受できることを目指します。その際、農林水産業が営まれる農山漁村は、水、緑、環境の保全などの多面的な機能を支える基盤でもあり、国民全体の安全、安心な生活に重要な役割を果たしていることについて、国民各位のより一層の理解を求めつつ、必要な支援を行っていきます。さらに、世界の食の安定に向け、国際的な議論をリードしつつ、積極的な貢献を図ってまいります。

 次に、平成二十二年度農林水産予算について、その枠組みから御説明いたします。

 平成二十二年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係府省計上分を含めて、二兆四千五百十七億円となっております。その内訳は、公共事業費が六千五百六十三億円、非公共事業費が一兆七千九百五十四億円となっております。

 農林水産予算の編成に当たっては、コンクリートから人への理念に立って、農業者を直接支援する事業に予算を重点的に配分することにより、農林水産業を立て直し、食と地域の再生を図ることといたしました。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

山口主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま赤松農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山口主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉木武志君。

斉木分科員 斉木武志でございます。

 まず、質問の機会をお与えいただきましたこと、ありがとうございます。

 私は、静岡七区という浜松を中心とする地域の選出でして、特に林業が盛んでございます。ですので、林業政策に関してお伺いいたします。

 今般、国の森林・林業再生プランの中で、特に今回力を入れている分野として、国産材を公共の建築物、国が管理する公共の建築物などに使うことを努力義務として法案に明記していく、義務づけるという非常に意欲的な取り組みがあります。

 これは、これまでにない需要を喚起していこうということを法案に明記するという非常に意欲的な取り組みだと評価するんですけれども、今回、国が率先して国産材を公共建築物に使っていこうじゃないかということを法案に明記する一番のねらいというのはどこにあるんでしょうか。

郡司副大臣 今、御質問をいただきましたけれども、まさに私ども、今回の国会におきまして、公共建築物をターゲットといたしまする木材利用の拡大を効果的に実施するための枠組みを法案として提出をする予定でございます。

 このねらいでございますけれども、これまでも多くの公共建築物についての支援等を行ってまいりました。特に、展示効果が高いものやシンボル性の高いものについて行ってきたわけでありますけれども、しかしながら、現在、公共建築物等の木造の比率といいますのは七%程度にとどまっているというのが現実でございます。

 そのようなことから、公共建築物等を推進することによりまして、民間への波及等もねらったものとして今回の法案を提出予定しているところでございます。

斉木分科員 これは、需要サイドまで国が踏み込んで需要をつくろうじゃないかという、これまでとは、前政権までとは違う林業政策だと思うんです。

 今、副大臣がおっしゃった公共の建築物、地方においては、国が管理している例えば省庁の出先機関、国が管理している公共建築物というのはまだまだ非常に少ない。例えば、市が管理している小中学校であるとか、社会福祉法人が持っている特別養護老人ホームであるとか、あと医療法人が持っている病院とか、そういった公共性が高い、でも私の企業が持っていたり、地方の公共団体が持っていたりする建物が大半だと思います。

 やはり、こういった公共性の高い建物も、低層建築物は今木造化できる技術というのが三階までは非常に確立されておりますので、そういったところにまで広げていかないとインパクトがいまいち林業産地にとっては弱いかなと思うんですけれども、ほかの部分に広げていくというお考えはどうでしょうか。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、今副大臣もおっしゃいましたように、もともとの発想は、今まで民間の住宅に対してはぜひ木造でということをやってきました。しかし、この景気状況もありますので、なかなか効果が上がりませんでした。

 それに加えて、今、森林・林業再生プランの中で、これから路網整備をやっていこう、作業道等を整備して、どんどん山を活性化していこう。しかし、川上ばかり幾らそうやって整備しても、それを受け入れる川下を整備しなければ、では切り出した木材はどこへ売るのだということになるわけですし、ちょうど戦後植林をして五十年、六十年、今が一番効果的な活用の時期、これ以降はCO2の吸収もどんどん減っていきますから、そういう意味で、ぜひこれは、関係する国土交通省や文部科学省、厚生労働省、こういう省庁の皆さん方にもお願いしながら、少なくともまず隗より始めよで、国のこうした出先の建物については極力国産木材を使ってやっていこうじゃないか。

 そして、やはり公がどんどんと木造化を進めれば、それは先ほど申し上げたように民間の皆さん方にも非常に大きな影響を与えていくということで、今回こういう法案を提出させていただきたいということを考えておるところでございます。

斉木分科員 そうすると、将来的には恐らく国が、法案をちょっと見させていただいたんですけれども、地方公共団体に対しても働きかけを進めていくということでよろしいんでしょうか。

赤松国務大臣 もちろん、そういう強制はできませんけれども、公の建物については、その地域の木材を使うわけですから、地場産業の振興という点からも、ぜひ地方自治体の皆さん方にもそういうことをお願いしたいし、委員が御指摘をされましたように、例えば小中学校なんかも、子供のころから、木造建築の温かさ、やわらかさ、そういうものを子供たちが体験する中で、木のすばらしさ、木の温かみ、そんなことを感じていただけるように、学校等についてもそういう働きかけを強めていきたいと思っております。

斉木分科員 ありがとうございます。

 そうした形で、地方公共団体であるとか医療法人、社会福祉法人に働きかけをしていくときに、インセンティブがやはり必要だと思うんですね。

 おっしゃるとおりで、木はぬくもりがあるし、実際、体温が下がりにくいので風邪の流行率が下がるんじゃないかといったような説もあるぐらいでございます。ですので、特に海外では、老人ホームであるとか小中学校というのは木造化が進んでいる。これを推進していくのは健康の面からも非常にいいことだと思うんです。

 では、実際に導入するに当たって、今、上限が二分の一、半分国が、国産材を使って公共性のある建物を建てたときに、医療法人であるとか地方自治体であるとかに補助が行われている。これが来年度以降、これから地方公共団体に働きかけをしていくときに、国産材を使った、だからこれぐらいのインセンティブがあるぞという部分というのはどうなんでしょうか。

郡司副大臣 今御指摘がございましたように、大変に木造の建物というものがいろいろな意味での効果をもたらすものだろうということは、今御指摘をいただいたとおりだというふうに思っております。

 したがいまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、二十二年度の予算におきましても、展示効果やあるいはシンボル性の高い木造公共建築物の整備への支援といたしまして、平成二十二年度でいいますと約七十億八千万円の額でございますけれども、支援をしていこう、そのように思っているところでございます。

 特に、品質、性能の確かな木材製品を供給するための木材加工施設の整備への支援というようなこと、あるいはまた、木造設計の担い手の育成ということにも意を用いていきたいというふうに思っておりますし、耐火性能の高い木材製品の技術開発、実用化についても予算を計上しているところでございます。

斉木分科員 ありがとうございます。

 公共建築物に関して、非常に意欲的なところとして評価は高いと思うんですけれども、木材需要全体として見ると、現状では、木材というと、やはり在来工法の住宅需要というのが国内でも圧倒的に多いというふうに思います。

 ですので、公共建築物を起爆剤にして国産材をどんどん住宅供給にも広げていこうという意図がおありだと思うんですけれども、実際、国内のハウスメーカーを中心として聞いてみると、確かに今、国産材の価格は下がってきています。平成十八年ぐらいから、外材が随分、中国などが利用して需要が高まりまして、国産材の方が、杉丸太の方が安い。だけれども、なかなか日本の国産材というのは、供給にばらつきがある、ばっと出てくるときもあれば全く出てこないときもある。なので、頼りに、要するに計算が立たないので国産材というふうにシフトできない、だからどうしても外材依存を続けざるを得ないというハウスメーカー、また大手の住宅メーカーの声があります。

 こういった安定供給というものも、住宅市場というところで大きく国産材需要を伸ばす上では非常に必要だと思うんですが、安定供給を今後どういうふうに図ろうというお考えでしょうか。

郡司副大臣 まさにその点が、私どもの国でおくれてきた分野ではないかなというふうに思っております。

 需要があるのかという話がよくございましたけれども、需要は一定程度あるんだろう、そしてそれに対する供給の体制がこれまで整ってこなかったというふうに私どもも思っておりまして、そこのところをことしから再生プランというものの中でしっかりとつくり上げていきたいというふうに思っております。

 例えば、路網の整備あるいは作業の集約化というようなことももちろんでございますけれども、それを出したときの製材所も、これまで二万軒ほどありましたものが八千軒ほどにも落ち込んでおります。そして、住宅メーカーが、これまでの、旧来のグリーン材というものではなくて乾燥材というものを使うような形になってきた。あるいはまた、ツーバイフォーというような工法に適合するような基準の見直し等も含めまして、私どもも、いろいろな形で供給をしっかり行っていくようにしたいというふうに思っておりますし、先ほど大臣からありましたように、ちょうど伐期を迎えている、ちょうど宝の山になりつつある、そのことを十分に生かしていくような支援策をとっていきたいというふうに思っております。

斉木分科員 ありがとうございます。

 路網の整備が重要だというのは、全く同じ意見でございます。

 ただ、日本の場合は、例えばヨーロッパですとドイツなどが非常に木材供給国でございますけれども、地形が違います。ドイツの場合、比較的なだらかな丘陵状で、非常に機械が入りやすくて路網も発達しているんですけれども、私の例えば天竜地区、天竜杉の産地でございますが、中央構造線の南側にあるので非常に急峻な地形でして、ですのでなかなか路網の整備が進まないという現状がございます。

 こういった急峻な日本の林業地帯でどうやって路網の整備を進めていくお考えでしょうか。

郡司副大臣 地形のお話がございました。ドイツもかなり急峻なところもございまして、そこに対しても必要な路網の整備を行ってきたということを、私どもも実際に団を派遣して検証してきたところでございます。

 それよりも、私どもがこれまでそのことにきちんと予算を振り向けてこなかった、例えばスーパー林道とかあるいは一般の林道というものに対しての予算に対しまして、実際の作業道、路網をつくる際の、どういう基準で、どのような工法で、どのような人たちがということについての国としての施策が若干弱かったんだろうというふうに思っておりまして、そのことを、先ほど言いましたように、国の意思として変えていこうということでございますから、私どもは、おっしゃられましたような地形の問題というよりも、国の意思としてこれからはきちんと行っていくということで、私どもの政策を、供給体制をきちんと整えることができる、そのように思っております。

斉木分科員 ありがとうございます。

 本当に路網の整備は不可欠なインフラだと思いますので、ぜひ力を入れて進めていっていただければというふうに思います。

 森林・林業再生プランに関しては以上でございます。

 もう一つ、その森林を水源とする水に関してお伺いしたいというふうに思います。

 用水路なんですけれども、日本の場合、昭和三十年代、昭和四十年代の高度成長期、その高度成長期の前ぐらいから全国各地で農業用、工業用の整備が進んでまいりました。今、寿命がおよそ四十年から五十年経過いたしまして、どこもその延命であるとか維持改修というのが非常な課題になってきているというふうに思います。

 その一つが、私の地元にあります三方原用水路という用水路がございます。これは昭和三十年代に整備が始まって、今は浜松市の八十万人以上の上水道、農業用水、そして製造業、自動車メーカーの工業用水にも使われている、まさにこの遠州地域の生命線とも言えるインフラなんですけれども、その寿命が大分たちまして、例えば農業用水も、鋳鉄製の管が張りめぐらされているんですけれども、各地で漏水であるとか断水であるとかの経年劣化が起きておりまして、例えば農閑期に二カ月間断水をして、部分部分で補修をしているような状況でございます。それによって農業などにも多少支障が出始めているという現状がございます。

 この老朽化が進んでいるという現状に対して、その維持補修計画というのは今どういうふうにお考えでしょうか。

郡司副大臣 御指摘がございました浜松市三方原用水地区でございますけれども、約五千九百ヘクタールの農地に農業用水を供給するほか、工業用水あるいは水道用水を導水するために、昭和三十五年から四十五年に国営かんがい排水事業として実施をされたというふうに聞いております。既に四十年が経過をしているということでございまして、これらの施設の多くが耐用年数を超過しているという状況にあることも存じ上げているところでございます。

 機能低下が進んでいるということでございますから、改修に向けた検討が必要という認識は持っているところでございまして、省といたしまして、平成二十年度から地域整備方向検討調査を開始いたしております。現在、施設の改修、整備に向けた整備構想の取りまとめを行っているというふうにも聞いております。

 また、昨年五月に、静岡県の知事から、先ほど言いました検討調査の結果を踏まえまして、事業計画を作成するための地区調査の申請が出されたところでございまして、二十二年度から必要な調査を国としても行うというような準備を進めております。

斉木分科員 本当に生命線でございますので、ぜひしっかりと維持をしていっていただきたいなというふうに思っております。

 もう一点、浜松地域というのは、御存じのように、東海地震そして東南海地震の危険地域に指定されております。震度六もしくは七クラスの大陸棚型の地震が想定をされている。

 そういった中で、耐震補強というのも課題になってくるのではないかなというふうに思います。具体的には、地中に埋められましたサイホンのコンクリート部分であるとか、架橋の部分、上に橋として導水管が出ているものもございます。そういったものも非常に寿命がたっておりまして、地元の農業者そして製造業者からは、地震が起きたらもうこの一帯の送水が長期にわたって停止するのではないかといった懸念も出されております。

 こういった耐震補強といったものに関しては、どのようにお考えでしょうか。

郡司副大臣 今御指摘がございましたように、浜松市、静岡県全体ということにもなるのでありましょうけれども、大規模な地震が発生をするおそれが特に大きい地域に指定をされているというふうに思っております。

 このため、先ほどの用水路につきましても、特に施設の劣化が著しいトンネル部等でございますけれども、耐震化の対策が必要というような認識を省としても持っているということでございます。

 したがいまして、先ほどの県からの調査結果に基づきまして、県やあるいは当該の土地改良区はもとよりでございますけれども、共同事業者でございます浜松市あるいはまた静岡県の企業局とも連携をする中で、今後の耐震化の問題について対応する方針でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

斉木分科員 ありがとうございます。

 これで私の質問はほぼ終わりでございますけれども、一点、先ほどの林業にかかわりました補足の質問をさせていただければというふうに思います。

 公共財ということで、先ほど私も、例えば老人ホーム、大臣からも小中学校のお話がございました。地元の林業者とこのプランについての意見交換会を行いましたところ、イギリスなどのケースだと、高速道路の防音壁にアルミのかわりに木材を全部使っている。例えば、静岡県など第二東名高速道路が平成二十四年の開通に向けて今整備が進んでおります。そういったものに対して、防音壁を木造化できないか、木材を使えないかという声も出ておりまして、この点に関しては、大臣、副大臣、どのようにお考えでしょうか。

郡司副大臣 例えば、それ以外にもいろいろなところでの利用というものも検討されているというふうに思いますし、たまたま、きょう本委員会に田中委員もいらっしゃいますけれども、長野の方では既にガードレールのようなところにも使った工事というものも行ってきております。

 ただ、所管そのものも、道路に関するようなところでございますと、国交省とかいろいろなものがございますが、技術的なものを含めて、今後とも、いろいろな角度での用途というものを検討していく、そのような中の一つとして検討させていただきたいというふうに思っております。

斉木分科員 どうもありがとうございます。

 以上で質問を終わらせていただきます。

山口主査 これにて斉木武志君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉置公良君。

玉置分科員 おはようございます。

 この二十一日には赤松大臣が私の和歌山の第三区のところへ来ていただきまして、本当にありがとうございました。特に農業関係者、漁業、林業を含めて大変喜んでおります。そのことをまずお礼を申し上げて、質問に入りたいと思います。

 私は、まず一つは、私どもの和歌山県は実は果樹王国と言われまして、ミカン、梅、そしてカキ、ハッサク、これが全国で一番だということで言われております。そして、そのとおり果樹農家が全体の農家の約七割を占めるというところでございます。平地が大変少ないということもございますけれども、そんな中で特にきょうは、ミカン、梅の消費拡大、このことについて御質問をしたいと思います。

 そこで、実は努力はしておるんですけれども、梅やミカンの消費がなかなか行かず、また、値段も安くて、大変厳しくなってきています。例えばことしのミカンでいえば、大体キロ六十円か七十円、去年から比べて半額なんです。梅は、いいときは十キロたる大体一万二千円ぐらいしておったんです。大体七千円から八千円があれば暮らしていけるけれども、しかし、ことしはその半値近い四千円から五千円、こんな値段も下がり、さらには在庫も大分抱えておる、こんな状態が続いております。

 そうした中で私は、一つは、果実、特に生活習慣病等に必要な果物、さらには学校給食などの食育等、こういった問題を掲げて、ぜひとも国の大きな応援をいただいてこの取り組みをお願いしたいということがきょうの質問の本旨です。

 そこで、私は実際調査をいたしました。食育の点について一つ申し上げますと、全国の学校給食、公立の小学校、中学校です、調べましたら、これが約二万八千七百十二校、完全給食と補食給食とやっておる。人数が大体一千万人近い九百四十五万九千八百三十九人と聞いております。ここで、一回の学校給食での果物の摂取量、これが、小学生は大体十八・七グラム、中学生は二十・八グラムらしいです。

 そこで、実は文部省等の調査をしましたら、「学校給食における食事摂取基準等について」ということで、学校給食で小学生はこのぐらいとりなさいよ、中学生はこのぐらいとりなさいよ、こういう基準があるんですけれども、実は、一回について小学生は三十グラムから四十グラム、中学生が大体四十グラム。これからいきますと、実態は果物の摂取量が約半分しかとれていない。言いかえれば、二倍に消費拡大をできていく大変なチャンスだと私は思っておるんですけれども、こんな実態の調査が一つはわかりました。

 今現在、果物の学校給食に入っておるトン数ですけれども、約三万五千トンです。これを二倍にふやしていけば約七万トン、こういう形になるわけです。私どもの温州ミカンでいえば、学校給食に今入っているのが、そのうちの約四割を占めております。それが約二万八千トンになっていくだろうという想定をするんですけれども、この二万八千トンというのは、和歌山のミカンの販売量からいえば一八%を占めるんです。

 こういった数字をまず申し上げまして、ぜひとも、食育としての学校給食、国を挙げてのやはり支援体制をしていただきたい。

 このことについて一点お聞きをしたいことと、そしてもう一つ、和歌山で、生産地でミカンを消費拡大していくために努力はしておるんですけれども、やはりもっと国を挙げて、都市圏の、例えば東京の学校給食に、二千校ありますから七十八万人ぐらい生徒がございますけれども、こういったところと都市圏をつないでいくとか、これはなかなか一つの県では努力をしてもかなり進まぬわけなので、こういった問題についても支援をお願いしたいと思いますので、お聞きをしたいと思います。

郡司副大臣 今委員が御指摘になりましたように、文科省の方では小学生、中学生それぞれ果実の摂取目標数量というものを決めているということを初めて知りました。それに対する実績というものが、今御指摘がございましたように、小学校では十八・七、中学校で二十・八ということで目標に達していない、こういう現状だということでございます。

 このような中で、私どもといたしまして、今御指摘がございましたけれども、学校給食におきまする地場産物の利用割合を一定以上増加させる計画というものを立てておりまして、二十一年度、これは補正等で私どもの見直しをした中で残した基金事業でございますけれども、地場産物の利用を拡大した献立導入に際して原材料費の助成等を実施する、また、果実の消費拡大を推進する等の支援を行ってきたところでございます。これについては、引き続き行わせていただきたいというふうに思っております。

 それから二つ目に、例えば和歌山のミカンを東京というようなことの御指摘もございました。これについては新しい提案でございます。ただ、それぞれの地域でやはり同様に、量の多寡は若干あろうともつくっている産物等がございますから、そのようなものをどのようにすればうまく今お話しをいただいたような形で消費の拡大、あるいは、結果としては文科省が目標として定めている摂取量に届くのか、検討をさせていただきたいなというふうに思っております。

玉置分科員 ありがとうございます。ぜひとも前向きな御検討をお願いしておきます。

 そこでもう一つ、この資料がございますけれども、「主な施設の人員」と書いています。実はきょうは御提案ですけれども、この保育所から刑務所まで国関係の施設の人員を調べてみたんです。そうすれば、私の調査では、国関係でいえば約三百二十万人ぐらいございます。こういったところへも果実等の消費拡大をしてはどうかということの提案です。

 自衛隊のあの市谷の駐屯地を一遍調べてみたんです。約七百人の自衛隊員がございます。年間どのぐらい梅干しを食べておるかと聞いたら、年間八百五十二キログラム、かなり消費はしてきてくれておるんですけれども、国を挙げてそういったところに国産の果実をぜひとも消費拡大をしていく、こんなことについても御提案の御答弁をいただければと思います。

郡司副大臣 先ほど申し上げましたように、なかなか難しい側面もあろうかというふうに思っております。

 特に、具体的に御指摘をいただきました自衛隊の食料ということに関しましては、平常時の摂取量と、それから二泊三日寝ないときの摂取量とかというものは、通常の人の二倍から三倍ぐらいのカロリー摂取というものを目標に献立等をつくっているということがございまして、その中で果実というものが、例えば携帯の用にどのような形を用いるのかとか、いろいろなことの課題というものが出てくるんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、今御指摘をいただきましたことも、まさに、全体の栄養のバランスがとれての立派な精神、体格ということの問題の基礎になるということにも思っておりますから、どのようなことができるのか、これについても改めて検討させていただければというふうに思っております。

玉置分科員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。

 それでは、二つ目の項目に移ります。

 これも赤松大臣が来られて御要望を申し上げたんですけれども、先ほども申しましたように、和歌山県は果樹農家が約七割を占めておる。今回は米のモデル事業から始まるわけですけれども、なじむかなじまないか、そこらもございますが、果樹農家への戸別所得補償をぜひとも実現をしていただきたい。このことについて御答弁をお願いしたいと思います。

郡司副大臣 御指摘をいただきましたように、ことし、米そして水田を使った利活用についての所得補償のモデル事業を予算計上させていただいております。

 その基本的な考え方といいますのは、もう委員御存じのことだというふうに思いますけれども、恒常的に、構造的に生産費を販売価格が下回るというようなことを考えておったところでございまして、としますと、この果樹というのは、なかなかそのようなところにすぽっとはまるという形にはならないということも御存じのことだろうというふうに思っております。

 しかしながら、いっぱいできた、ことしは少なかった、あるいはもちろん、先ほど言いました需要と供給という関係も含めて、大変に価格の乱高下というものもあろうかというふうに思っております。したがいまして、経営安定のための何らかの対策というものは考えていかなければいけないというふうに思っておりますし、それがどのような形になるか、戸別所得補償という概念だけではなくて、支援策というものは検討しなければいけない、そのように思っているところでございます。

玉置分科員 そこで、私の私案を提案したいと思います。

 まず戸別所得補償、このことを一つは基本に考えてほしいのですけれども、なじまないとすれば、例えばちょうどこの資料、ここに書かせてもらっておりますけれども、果樹共済制度がございます。この共済制度の今の実態を見ますと、ここに図を書いています、「「災害」補償から「農家所得」補償へ」。今は災害補償だけですね、災害が出たら。ただ、ここは加入率がやはり調べてみますとかなり悪い、こういう状況があります。これを、加入率も上げていく。さらには、所得補償という新しい視点をこの果樹共済の中へ入れてもらえれば、あとの詳しいことは私もまだまだ勉強不足ですけれども、こういう方法もあるのではないかと思いますので、御意見をいただきたいと思います。

郡司副大臣 果樹共済というものがございまして、加入率が大変低い、約四分の一ぐらいの加入率にとどまっております。

 これがどのような原因によるかというのはなかなか一概には言えないわけでありますけれども、現在のこの共済制度というものは、生産金額の減少を保険の仕組みにより補てんをするというような方法でございまして、御指摘のように、所得そのものを考えていこうというものとは若干異なっているというふうに思っております。

 先ほど言いましたように、所得補償という概念だけではなくて、果樹農家に対しても経営の安定というものをどのように図っていくかということは、これは、私どもの国全体の問題としてやはり考えていかなければいけない要素だというふうに思っておりまして、本格実施までの間の検討過程の中で、果樹の農家につきましてもどのような支援策が必要か、あるいはまたできるのかということについて、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、検討させていただきたいというふうに思っております。

玉置分科員 よろしくお願いしておきます。

 それでは三点目、質問いたします。

 これも大臣が来られて大変要望の強かったことなんですけれども、農地、農業用施設の災害復旧事業の傾斜二十度以上の適用除外という、災害が起これば畑等が崩れまして、そこの傾斜地が二十度以上あったら当てはまらぬ、こういうことがあるんです。

 実は、先ほど言いましたように、和歌山県の農業の形態というのは、傾斜地が十五度以上が園地、樹園地の半分以上を占めておる。全国を調べてみますと、傾斜地が少ないんですね。全国の平均は五度未満の園地が半分以上、和歌山県は反対に十五度以上が半分を占めておる、こういう形態なんです。そこでやりくりしながら苦労して、おじいちゃん、おばあちゃんも頑張っておられる。

 そういった中で、去年の七夕災害、大雨が降りまして、私の地元の田辺の方で大災害が起こりました。そこで梅畑が崩れ落ちまして、上秋津地区と言うんですけれども、そこで三十軒六ヘクタールが崩れまして、それがいわゆる二十度以上ということの中で適用除外ということで、いまだに直せない。こういったことが続いております。

 確かに、法律は法律でわかりますけれども、ここらについて、特にそういう実情ですので、これはやはり政治判断、全国一律の基準ではなくて、やはり何か助ける手だてを考えてほしいなということで思いまして、きょうは質問した次第です。御答弁をお願いいたします。

郡司副大臣 大臣も二十一日に現地入りしたときにお話を伺ったというふうにも聞いております。

 大変に難しい問題だろうというふうに思っておりまして、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律第五条及び同法施行令第九条第一号ということの長い言い回しなんでありますけれども、そこにありますように、二十度以上のものについてはということで、なぜそうなんだということになりますと、これは大変恐縮な言い方になるわけでありますけれども、経済効果の少ないものとして災害復旧事業を適用しないというふうに定められているところでございます。

 今のお話をお聞きしますと、和歌山というものはそういう条件の中でみんなが大変に頑張っているんだ、何とかならぬのかということでございますけれども、今現在の法の体系からいきますと、なかなか私どもとして直ちにこの場で返答することができないというようなことがございます。

 そこで、個々の災害のケースにつきまして、県を初め関係機関と連携を図りつつ、これは、報告がまず上がってきてからどのような形を考えるかということになるわけでございまして、できる限り早期に傾斜の状況を確実に把握するなど、状況把握に努めるようなことにはしておるところでございます。

 なお、市町村単独で水路などの農業用施設について災害復旧事業を行うということの場合があり得るわけでございまして、傾斜が二十度を超える場合であっても、市町村の負担軽減を図るため、起債に関しての交付税措置というものが講じられるような形にはなっております。

 現在のところ、今のような状況でございますので、大変申しわけないのでありますけれども、現行の中では、市町村の取り組みに対して国が側面から支援をする、そのような形になっているということでございます。

玉置分科員 わかりました。そういう状況はよくわかりますけれども、なるべくもう一ついい方法で政治的な判断があれば、大臣、お願いします。

赤松国務大臣 私も現地も見させていただきまして、和歌山県へ行くと、ずっと本当に斜面にミカン畑あるいは梅の畑が続いている。土地柄から、急斜地でのこうした果実栽培が行われているという実態がございます。

 副大臣も申し上げましたように、一応規定上は何度以上は無理だと。これは無理だというのは、その中に重機等が入らないんですね、いろいろな工事をしようと思っても。そういうこともありますし、とりあえず復旧事業をやっても、またちょっと雨が降ったり、ちょっとあれがあればまた土砂崩れしてしてしまう。そういう費用対効果の問題もあって一応の基準ができているということですけれども、しかし、せっかくの御質問ですし要望でございますので、まだ県の方からは国に何らかのことをしてくれということが来ておりませんので、担当部署から和歌山県の方にお話もして、ほかの制度でもって、いわゆる一般的な災害復旧、そういうようなこともできないのかというようなことを一度前向きに相談をさせていただきたい、このように思っております。

玉置分科員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いいたします。これが崩落をした写真です、先ほど言うのを忘れましたけれども。

 それで、私は最後の四点目の質問に入りたいと思います。

 特にこの四点目は、ずっと私も県会議員時代から土の問題について取り組んできた者でして、その中の一つとして、土壌保全調査事業というのがございます。これは国策としてずっとやってこられた制度でありますけれども、残念ながら四年前に、小泉三位一体改革の中で、各県ではこういう調査事業は、交付税はおろすけれども自由にしていい、そういったことになりました。

 実は、私、先ほどずっとやってきたということで言いましたのは、土というのは、調べれば調べるほど大変大事なものである。特に、土は地球の肝臓だと言われておりますけれども、一説によりましたら、大気中のCO2、あの悪玉を土の中に、表層一メーターの中に地球上で言えば約二倍ため込んでおる。これが、例えば砂漠化して放出をしたり、今、ロシアの方に私も行ってきましたけれども、凍土が解けてきたり、こういった中で土壌管理をきちっとしていかなくては、地球がなくなってしまう。いろいろな小手先のことを言い合っても、この土というのが一番大事ではないかという私の考え方なんですけれども。

 そういった中で実はずっと調べていきますと、農地管理も含めまして、日本というのは、世界一と言ってもいいほどそういう土壌技術、管理技術がすばらしいということがわかってきました。そういった中で突き詰めていきますと、その一番中心になっておったのが、明治以来百三十七年続いていたこの土壌保全調査事業だったんです。これは実は、私の親友から聞きますと、アメリカもEUも、もちろん中国や韓国も、この日本の土壌技術、ここについては見習いたいし、それに負けぬとお金も入れて取り組んでいこうというのが世界の動きなんです。

 ところが、今、地球環境の温暖化防止の問題で、農地管理を今度はCO2を吸収するというところで入れていこうやないかということで去年私も質問を環境委員会でしたんですけれども、片方ではそういう地球温暖化防止の問題、土壌の必要性が大変重要視をされてきておりますし、世界からも注目をされておる。そういった中で、一番大事なこの土壌保全調査事業というのがなくなってきておる。

 そこの実態について、できれば、今、全国で何県がその保全調査事業をやめていっておるのか、教えてください。

郡司副大臣 今御指摘があったとおりの経過で、各県が行うというような形に現在は変わってきております。

 昭和五十四年度から開始をし、平成十八年度から一般財源化をされて地方がということでございますが、何県が今現在行っているかということについては、三十五都道府県が行っているというような現状でございます。

玉置分科員 そうすれば、四十七から三十五を引いたらいいですね。十二県ですか。ちょうど今から三年前に私が和歌山県の県議会でやらせてもらったときに、ほとんどまだやめていなかったんですよ。近畿では一県ぐらいだった。それがかなり急速にやめていっておりますので、これは大変大きな問題だと思っています。

 したがって、ぜひともこの土壌の保全調査事業をもう一遍精査してもらって、新しい政権になりましたから、これは国の宝になります。私の友人から聞きますと、外国からもいろいろと教えてくれるんですけれども、この土壌保全調査事業の復活をするとか、これに見合うような、国策としてこういう国の宝についてはやはりやっていくべきだと私は思いますけれども、それはどうでしょうか。

郡司副大臣 先ほど御指摘をいただきましたように、温暖化対策の関係につきましても、これまでは吸収源というものは森林のみでございました。これからは、それがカウントされるかされないかということとは別問題かもしれませんけれども、この土壌の中に温室効果ガスを吸収していこうということは、これは世界の大きな流れの一つであろうというふうに思っております。

 ニュージーランド政府は、発生をする大半が第一次産業からのもの、それを日本の技術を何とか生かしたいというような申し出がありまして、総理もそれにこたえて、取り組みをしていこう、このようなことを行っているところでもございます。

 またあわせて、土壌そのものを調べることによりまして作物がきちんとそれに合ったような形で育つというのは、これはもう常識のことでございますので、この土壌の検査というものは大事なものだというふうに考えております。

 これはこれからやるのかという質問でございますけれども、現在の体系上は、間違いなくその分の費用について各都道府県にお渡しをしております。したがって、やることが当たり前の事業を行っていないところの県が十二県あるということの認識を持っておりますので、今御指摘いただきましたように、適正に対策をとっていただくようにしたいなというふうに思っております。

玉置分科員 大変いい答弁をいただきました。今までは、これはやってもやらぬでもと言ったら語弊ですけれども、そういう、積極的に国がぜひともしなさいということはせなんだんですよ。だから十二県にもなってきたんです。

 だから、そこらについてぜひとも国として主導権を握って、そして指導を強めていただきたいと思いますので、大臣、一言、この土の問題についてはひとつ大臣の方からもお願いします。

赤松国務大臣 鳩山総理が意欲的な二五%削減ということを出しておりますし、既に、先日のCOP15を初めとして、それぞれの国際交渉の中でも、環境省を中心にして、旧来の森林吸収源、京都議定書のときは三・八でしたけれども、それに加えて、土壌、農地が持つこうした環境に対する負荷を減らしていく、これはバクテリアを入れてやる場合もありますけれども、そういうこともぜひカウントすべきだというのが実は日本の主張でもございます。

 そういう意味で、こうした土壌の持つ、農地が持つ重要さというのは、委員御指摘のとおりでございますので、ぜひ各都道府県、十二県に対しても厳しく指導していきたいと思いますし、また、制度としても、この全国農地土壌炭素調査を国の補助事業として二十年度から開始をしたところでございますので、ぜひそれを意味のある事業として推進をしてまいりたいというふうに思っております。

玉置分科員 ありがとうございました。本当に前向きな答弁をいただきました。

 ぜひとも土の問題については、この地球環境は本当に基本でありますので、よろしくお願いを申し上げまして、ちょうど時間が来ましたので、終わります。

山口主査 これにて玉置公良君の質疑は終了いたしました。

 次に、山尾志桜里さん。

山尾分科員 衆議院の山尾でございます。

 初質問の機会に、地元愛知でもお世話になっております赤松大臣に地元の声を届ける機会をちょうだいしたことを非常にうれしく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうの質問を通しまして私がお伝えしたいこと、一言で申し上げれば、地元でこれまで住民が守り、育て、愛してきた里山が今危機にさらされております。これをぜひ危機から救ってほしいというこの一言に尽きるわけでございます。

 この里山といいますのが、愛知県の日進市にございます東部丘陵というところでございます。大臣の方がずっと現状おわかりかとも思いますけれども、地元の声の代弁者として、しっかりと現状をお伝え申し上げたいと思っております。

 これまでの経緯でございますけれども、一九九九年、開発業者が鉱業権を出願いたしまして、これが約三十四ヘクタールにわたって許可をされております。さらに施業案の認可、これも既におりております。現状でございますが、保安林指定の解除申請を県が受理しております。そしてまた来月にも、三月にも県の森林審議会の方で検討がなされる、県としての意見を検討される見通し、こういうふうに伺っております。

 ただ、この東部丘陵、保安林指定されておりますけれども、この解除が最終的になされてしまうのかどうか、この最終的な判断権、これは農林水産大臣にゆだねられております。

 地元の日進市民の方、市民団体の方あるいは日進市議会も含めまして、ここ十年以上、ずっとこの里山を守っていこうということで、必死に活動を続けてこられております。また、活動されておりますのが日進市の方だけではございませんで、これは東部丘陵が天白川の水源にもなっております。その下流域に住む名古屋市内の方々も、この東部丘陵の開発によって深刻な災害がもたらされることになってしまうんじゃないか、保安林解除によって保安林としての機能が失われて、災害が随分もたらされるんじゃないかということを随分危惧されて、名古屋市の方々も反対運動に御尽力をされております。こういった地域の方々が十年余りにわたって活動を続けてきた。今、これが本当に瀬戸際にございます。

 そういう中で、私のもとにもたくさん声が届いておりますし、何と申しましても、大臣に伝えてほしい、保安林指定を解除しないでほしい、愛知県、地元の里山を守ってほしい、こういう本当に切なる声でございます。私も、何とかその声に今こたえていきたいと思っております。

 そこで、最初の御質問になりますけれども、この指定解除の森林法における条文、二十六条二項でございますが、このように規定されております。「農林水産大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。」こういうふうに規定されております。「公益上の理由により必要が生じたとき」、この解釈の問題なのでございますが、私も解説書などで勉強させていただきまして、このような理解で間違いないのかどうか、確認をさせていただきたいと思っております。

 これらの二つの公益上の必要性を比較考量するんだ、一方が、その森林を保安林として存続させて、その機能、保安林としての機能を発揮させる、この必要性がはかりの片方にあって、もう一方には、その森林を保安林として利用することをやめて、ほかに転用することの必要性、これをてんびんにかけて、後ろの方、つまり転用の必要性の方が公益性がより大きい場合に、そのために解除をすることができるんだ、こういう解釈で正しいでしょうか。まずはちょっと御確認をさせていただきたいと思います。

赤松国務大臣 私の知る限りでは、公益上の理由による保安林解除をするときの要件というのがございまして、その要件としては、山尾さんも法律家ですから、元検事さんですから、よく法律的なことを御存じだと思いますが、あえてこういう場ですから言わせていただきますと、一つとしては、その土地以外に適地を求めることができないか、あるいは著しくそれが困難であるということが必要な要件でございます。それから二つ目は、解除面積が必要最小限であるかどうかということ。それから、幾つかありますけれども、保安林の機能を代替する施設、防災施設の設置等が行われているかどうかというようなことが、その解除の要件となっておるわけでございます。

 現在はまだ地元で、今お話ありましたように、愛知県において国が審査するために必要な調査の実施等の準備段階ということでございまして、まだ書類は上がってきておりませんから、こうした個々の事例について、いいとか悪いとか、認めるとか認めないとか今の段階で言うことはできませんけれども、今申し上げたような、そういう要件に合致しているかどうかということをきちっと見ながら里山を守っていく。

 あるいは、ことしは特にCOP10も名古屋で開かれるという中で、まさに名古屋地域、愛知県地域そして日本が、世界に、やはり環境を守るためのこれだけの努力をしている、こんなすばらしい国土保全のための取り組みをしているということを見ていただくことも含めて、きちっと対応をしていきたい。適切かつ厳正に審査していくつもりでございます。

山尾分科員 ありがとうございます。

 そのまさに地元の努力、取り組み、これも本当にこの機会にお伝えをしたいと思います。当然、その適切な判断の前提といたしまして、保安林として、里山として保全することの必要性ということも十分に御考慮いただけるものと思っておりますので、二つの観点から御紹介をさせていただきたいと思います。

 まず、防災という観点なんでございますけれども、この東部丘陵、これは森林法の二十五条一項二号でございますが、土砂流出防備、これを目的として保安林指定を受けております。その森林としての保水力が土砂を流出させない、こういう機能を持っているということで、地域住民の方あるいは天白川流域にお住まいの方に大きな安心の柱にもなっているわけです。

 そしてまた、政権交代がありまして、何といってもコンクリートに頼らない治水、防災というのを考えていくんだと。今こういう本当に大きな政治判断、岐路に立っている中で、この東部丘陵は、まさに地域の住民の皆さんから、以前から緑のダム、緑の防災施設、こういうものとして本当に大きな安心の柱になっているわけです。しかも、その土砂流出を防ぐために、今のところ、ほかに特に実効的な手段がその後講じられた、こういうことも見当たりません。

 もう本当に、愛知県は約十年前にこの天白川流域でも東海大豪雨というのがございまして、これを経験されている地元の方がおるわけです。もし本当にこの東部丘陵が広く深く掘削されるようなことがあって、またあの豪雨が起きたときには、どれだけの災害に至るのか、広がるのか、こういう思い、御不安を本当にたくさん聞いております。

 また、まだ起きていない地震に名前がついているという珍しい例でございますけれども、東南海地震というのが本当にいつ起きるのか、こういう不安も非常に危機感が強いわけです。

 こういう中で、ぜひ御判断の際には、緑のダム、緑の防災施設としての東部丘陵の機能、これを十分に重く受けとめて考慮していただきたいと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

郡司副大臣 専門の委員でございますから、御指摘をいただいたように、保安林制度というものは、水源の涵養あるいは土砂の流出の防備等の目的のために森林を保安林として指定しているということでございます。今後とも、私どもとしては、保安林制度の適切な運用を行っていく、つまり土砂流出の防止等の森林の有する公益的機能の高度発揮に向けて取り組んでいくという考え方に変わりはございません。

 そして、コンクリートから人へ、あるいは緑のダムというようなことも今披瀝をされましたけれども、私どもも、政権として同じようなことをもちろん申しているわけであります。

 ただ、緑のダムという機能につきまして、現実的に一定の期間に一定の量が、どこまでどれだけ以上がということになりますと、その辺のところの科学的な見解というものもまたそれぞれ出されているところでございまして、ここの場合には、現実的なお話として、限られた地域でございますから、より具体的にそのようなことも、どのような影響があるかということは調べていかなければいけないというふうには思っております。

 したがいまして、私どもとして、先ほど大臣が申し述べたとおり、これまでの考え方に基づく森林、保安林の高度発揮というものをやっていくつもりでございます。

 さらに加えて申し上げれば、まだ知事からの進達がない状態でございますので、まさに一般的な話としてそのようなお答えをさせていただきたいというふうに思っております。

山尾分科員 ぜひ、コンクリートから人へという大きな視点、そしてまた森林の公益性というものを重く見ていただくということなので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、もう一つの、先ほど既に大臣から生物多様性のお話、COP10のお話が出ました。環境保全という観点からも、もう一つ申し上げたいと思います。

 この東部丘陵ですけれども、東海丘陵要素植物という本当に世界でも貴重な植物が生息、群生している地域でもございます。モンゴリナラですとか、トウカイという名がつきますトウカイモウセンゴケ、あるいはシラタマホシクサというような本当に珍しい植物が生きている、まさにそういう場所でございます。

 また、ギフチョウというチョウが飛び回り、あるいはオオタカが空を舞い、そして去年ですけれどもキツネが見つかった。名古屋市という本当に都市のすぐそばにある丘陵ですけれども、生態系上位でございますキツネが見つかったという、まさに本当に豊かでまとまった自然がある里山だということをあらわすものであるとも思っております。

 また、この東部丘陵、場所的なことでございますけれども、環境共生をテーマにした愛知万博、今、跡地が海上の森ということで本当に自然を保護されておりますけれども、ここにつながっております。猿投山ろくにもつながっております。緑の回廊として、本当にいろいろな植物が生き、あるいは動物が移動する、こういう場所にもなっております。

 そしてまた、ことしはまさに生物多様性の年、名古屋市でCOP10も開催される、そういう場所でもございます。本当に、環境万博が行われたそういう場所の足元で、しかも、これから生物多様性、多様な種を守っていこう、こういう国際会議がまさに開催されようとしているその足元で、里山が掘削されて、生き物がすむ場所を失って、CO2を吸収する森林が伐採されていく、こういう事態がぜひ生じないようにしてほしい。

 生物の種の確保のため、あるいは本当に、チャレンジ25でございますけれどもCO2削減の吸収源となっている森林の保全、こういう面も重く受けとめて、検討の際にはしっかりと要素として入れ込んでほしい、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 ただ、先ほども申し上げましたように、まだ県からは正式に進達が来ておりませんので、それが来た段階で、今の御指摘の点も踏まえて、慎重に、厳正に、厳格に審査をしてまいりたいと思います。

 当然のことながら、書類上の審査をするだけではなくて、今農水省の役割分担で郡司さんが森林・林業関係を主にやってもらっていますが、郡司副大臣が行くのがいいのか、あるいは大臣という立場で私が行くのがいいのか、どちらにしても現地も、お許しがいただければ見させていただきたいと思っておりますし、また地元の日進市長さんなんかも反対をしておられると聞いていますので、そういう地元の首長さんたちの意見、地域住民の人たちの声ということもしっかり判断の中に考慮させていただくことに、当然のことながら、なると思いますので、直接そういう声もお伺いをする機会をつくりたい、このように思っております。

山尾分科員 ありがとうございます。

 大臣あるいは副大臣が現地に入って声も聞いていただけるということで、本当に地元の方も心強く思うと思います。

 今、保全することの必要性、こちらの方をずっと申し述べてまいりましたけれども、当然、そのはかりのもう一方には、鉱物を掘削する、こういうことによる公益性ということ、これも当然御判断されなければならないということも承知をいたしております。

 これは一般論としてお伺いをするんですけれども、確認をしておきたいのは、掘削する利益というのは、開発業者さんの私的な利益ではなくて、あくまでもそのことを通じて公の利益、公益がどういうものであるか、これを厳密に検討すべきだ、こういうふうに思うわけでございます。条文上も明確に「公益上の理由」というふうに書いてございます。

 これまで申し述べてきたもう一方のはかり、森林を守るという方のはかりには、個人的な利益というのは何一つないわけです。土砂災害を防ぐ、生物の種を守る、CO2を削減していく。皆さんも、自分の個人の利益ではなくて、本当に、地域のため、社会のため、環境のため、地球のため、こういうまさに公益の観点から、私人の一人一人の皆さんが御努力をされているということでございます。

 この点、確認なんですけれども、もう一方のはかり、保安林を転用することの公益、これを判断する際には、業者さんの私的な利益ということではなくて、あくまでも公益、公の利益を考慮するんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。御確認をさせてください。

赤松国務大臣 そのとおりだと思います。

 お伺いしますところ、Oという会社は、要は粘土をとって売りたいということなんだろうというふうに思いますけれども、それが公益の利益に合致するかどうかという点も含めて、判断の一つの材料とさせていただきたいというふうに思っております。

山尾分科員 ありがとうございます。

 本当に、業者さんの企業体としての利益保護ということを言い出せば、業者さんだって手間をかけ、あるいは場合によっては費用をかけて権利を得てきたということもあるかもしれません。それをどう保護するかという話になってきてしまう。

 今、大臣にも御確認いただいたとおり、あくまでも公益だということ、公益だからこそ、業者さんがとった鉱業権という権利ですけれども、これは私も驚きましたが、まさに所有権から独立して、そして所有権の制約を受けずにその権利の行使が認められるという本当に強力な権利になっています。

 とすると、今回の場合、保安林として利用することを仮にやめる、三十数ヘクタールにわたって粘土、おっしゃったとおり、粘土などと聞いていますけれども、掘るために木が伐採される、穴が掘られる、そのために粘土など鉱物が手に入る。ただ、手に入るのは、これはもちろん業者さんの手に入るわけであって、国あるいは国民の手に入るわけではございません。そうしたときに、このこと、今現在における公の利益というのは何なんだろうか、こういう疑問が出てくるわけです。

 この森林法が定められたのが昭和二十六年、鉱業法が定められたのが昭和二十五年、私が生まれる二十五年前の法律でございます。その時期、私はまだまだ生まれていませんので、聞いたり読んだりした話になりますけれども、戦後、まさに日本が一丸となって高度経済成長を目指そうとする中で、鉱物資源は国の宝だと。環境というのはもしかしたら後回し、あるいは、環境、エコ、こういう言葉はほとんど聞かれなかった時代にできた法律、これが鉱業法であり森林法、こういうことなんじゃないかなというふうに思うんです。

 この時代であれば、当時であれば、鉱物を掘削する、粘土を手に入れる、こういうもののために保安林を転用していくということがまさに国のため、日本の成長のためということに、相当密接に関連をしてくるという時代だったのかもしれません。

 ただ、ここから六十年がたったわけでございます。今この現状で、森林を伐採して、穴を掘って、業者さんが鉱物をとってくる、このことと、公の利益という距離というのは、一般論として、もう随分遠くなっているのではないかということを私は思うわけです。

 今、保安林を解除して森林を伐採するということで、公の利益、なるほどねと納得できる事例というのを私も考えてみましたけれども、例えば、山がありまして、ふもとに集落がある。その近くに病院がなくて、まさにその山を越えた先に病院がある。迂回をしていたのでは救急に間に合わない、こういうときに、例えば、その山の保安林指定を解除して、道路を通して、まさに命の道路、このために必要だということなら、これはなるほど公の利益というふうに納得できるんだろうけれども、こういう場合と、業者さんが粘土をとる、鉱物をとる、これは本当に全くレベルの違う話だというふうに思うんですね。ただ、本当にまだ県から直接お話が来ていない段階ということも存じ上げております。

 ただ、一般論として、今、時代の変化があります。環境というものが本当に強く要請される時代でございます。こういう中で、随分と、鉱物を掘削する、こういうものについての公益性が、相対的には、時代の変化とともに低下をしているという面があるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

郡司副大臣 今御指摘をいただきましたように、つくられました当時、鉱業法でございますけれども、採取権者が他人の土地の収用を行うことができるということになっておりまして、まさに土地収用法に係る事業と同様に公益性を有するものというふうに解されているということだろうというふうに思います。こうした性格というのは現在でも変わっていない。

 ただ、公益性というもの、あるいはそれに対する世間の見方というものは、当然六十年の間に変わってきているということは今御指摘のとおりだろうというふうに思っております。

 公益というものがどれほどのものとして、国民の間に認知をされる度合いが変わってきているのか。それに対する一方の、私益ということではなくて、別な意味での、先ほどから御指摘の生物多様性でありますとか、そのような利益というものが、人類あるいは私たち地球にとっても有意義なものだという感覚というものは、ますます時代とともに大きくなってきているというふうに思っておりますので、そこのところの判断というものは今後とも、当たり前のことでございますけれども、慎重に行わなければいけない、そのように思っておるところでございます。

山尾分科員 ありがとうございます。

 そこで、御質問なんですけれども、この森林法が定められた昭和二十六年以降、これまで、鉱業権を有する事業者から保安林解除の申請があった場合に大臣が不許可とした、こういう事例は今までありますでしょうか。

郡司副大臣 過去五年間でございますけれども、保安林の解除申請は約五千件行われたということでございます。この間におきまして、鉱業法に基づく事業を含め、保安林解除申請が不許可となったものはないというのが現状だそうであります。

 なお、保安林解除に当たりまして、通常は、解除申請に先立ちまして、事前相談により保安林解除の要件等に適合をした内容のものが申請をされておりまして、解除が困難なものについてはそもそも解除申請に至らないというような事前の相談等があったということも、この五千件の内容についてお含みをいただきたいというふうに思います。

山尾分科員 過去五年間では不許可という事例はない、事前相談の段階で、ある程度、不適なものは申請に至らない状況になっている、こういう御答弁だったかと思いますが、過去五年間とおっしゃったのは、それ以前のものは記録に残っていないということでしょうか。

郡司副大臣 五年以前のものが、まとめて記録として保管といいますか、精査する状況にないというふうに私ども聞いておりまして、もう一度確かめますけれども、今の現在の段階では、五年間まで調べることができるというようなことで聞いております。

山尾分科員 五年間だけというのは少し、これまでの経緯を把握するのに短過ぎるかなというふうに思いますので、その点、さかのぼってぜひお調べをいただきたいというふうに思います。

 そして今、事前相談というお話がありました。またその事前相談というのが、いかなる根拠に基づいてなされているのか、どういう当事者のもとでなされているのか、そして、そこで不適なものは申請をされないということについて、私は今非常にいろいろと疑問を持つところでございますが、これはちょっと、改めて別の機会に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、今御答弁にありましたが、不許可事例が見当たらないということ、これをやはり地元の方も物すごく御心配をされているわけです。

 要は、鉱業権の許可がされる、施業案の認可がされる、保安林解除の申請がなされる、不許可ということは見当たらない。そうすると、申請すれば大体これは通っていく、こういうまさにベルトコンベヤーに乗っかっていくような、こういう道筋に今乗っているんじゃないか、こういう御不安を地元の方々が抱えていらっしゃるわけです。

 なので、ぜひ、今、政権交代をして地域主権ということを掲げた。そしてまた環境立国ということも掲げた。政治主導ということを掲げた。地域のことは地域で決める、本当に環境を大事にしていく、そして、今までとは違う政治のリーダーシップで地域の声にこたえていく、こういう新たな政権の中で、活動してきた方々も、本当に大臣を初め民主党政権に新しい判断を期待しております。ベルトコンベヤーからとにかく外してほしい、そういう御期待が本当に強くございます。

 ぜひ最後に、今手を挙げていただきましたが、赤松大臣、御所見を、御決意をお答えいただければと思います。

赤松国務大臣 委員御承知のとおり、この地域は、先ほど年齢の話が出ましたが、もちろんまだ生まれておられない時代ですが、大変問題になったことに、亜炭の採掘をしてそのままにしておいたために地盤沈下が、瀬戸を初め、そのうち、春日井もそうですけれども、矢継ぎ早に起こって、大変問題になったことがかつてございます。瀬戸というのはまた瀬戸物の街で、粘土等の採掘をして、その跡地の整備等もきちっとしていなかった。川は汚れ、そういう反省の中で、今、市長さん初め地域の人たちも、いかにして環境を守っていくかということで、地域を挙げてお取り組みをいろいろいただいております。

 そういう過去の苦い経験あるいは失敗、そういうことをきっちりとこれからの参考にしながら、私どもはこれからのあるべき地域の環境保全ということを考えていかなければならない、このように思っております。

 過去、例があったとかなかったとか、政権交代もあったんですから、いいことであれば自公政権のもとでのいろいろな仕組みややり方、方法ということは踏襲をしていきますけれども、これはやはりまずいだろうということは大胆に変えていく。それでなければ政権交代をやった意味がないんですから。

 ですから、過去に不許可にした例があろうがなかろうが、そんなことは関係ありません。私どもの新しい体制のもとでの政権の判断でもって、あるいは農林水産省、農林水産大臣としての判断でもって、これはきちっとやらせていただきたいと思います。

山尾分科員 ありがとうございます。

 必要あらば大胆に変えていく、過去のデータは関係ない、本当に力強いお言葉をいただきました。これは地元の皆様にもお伝えをして、また今後とも、地元の方にぜひ一度、大臣あるいは副大臣においでいただきたいとお願いを改めていたしまして、御質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて山尾志桜里さんの質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津分科員 おはようございます。

 私の方から、赤松大臣初め御質問をさせていただきながら、御答弁いただきたいと思っています。

 最初に、ちょっと紹介をさせていただきたいと思うんですが、私は北海道の空知という地域に生まれ育っておりまして、もう大臣は十分御承知おきだと思うんですけれども、北海道は今、食料自給率が二〇〇%といういわゆる食料基地、こう言われる地域になりました。明治の時代からの開拓、それから特に、さきの大戦の後に、いわゆる復興を目的にして、北海道をやはり食料基地として位置づけていこうという当時の方々のさまざまな御判断があったというふうに思います。

 そういう中で、冷涼で本来はなかなか向かない、適作地とは言えないような米についても、現在は約六十万トンぐらいですか、生産を誇っておりまして、米の品種も、今や売れるお米としても六つ、七つぐらいあるということで、私は高い評価を各地からいただいていると思っております。

 そういう中で、ちょっと御紹介をさせていただきますと、例えば、後ほど質問をさせていただきますが、生乳については、ちょっと古いデータですけれども、全国のシェアの四割の生産量を超えている。それからタマネギ、これも六割近く。それから小麦、これも六割を超えている。先ほどの水稲については七%をちょっと切るぐらいですけれども、てん菜に至ってはほとんど一〇〇%という状況でございます。

 これは、何よりも農業者の方々の不断の御努力があった、それが一番大きいと思うんですが、あわせて、やはりさまざまな農業政策が、ここに相当いろいろ手を入れていただいて、その結果、いわば総合的な農業政策のもとで北海道のこうした農業の発展がここまで来たんだろうというふうに私は思っております。

 そういう中で、新政権になってから新年度予算の中で、随分やはり農業予算で、めり張りをつけているのか、残念ながら大幅な予算縮減もございまして、加えて、さきの事業仕分けで残念ながら廃止になった、そういう事業もございました。

 私はきょうは、そうした予算の縮減、それから廃止になった事業、こういったことを幾つか挙げさせていただきながら議論を進めさせていただきたいというふうに思っております。

 まず初めに、事業仕分け、これで廃止になったことを一つだけ例に挙げてお話をさせていただきたいと思いますけれども、有機農業モデルタウン事業というのがありまして、これが事業仕分けで廃止になったというふうに承知をしております。これは、自治体で地域協議会をつくって、そこにJA、消費者、また学校給食にかかわる方々、そうした方々が、いわゆる地域における有機農業の振興というかこういうことで、補正も含めて五十九カ所ですか、でされてきたということで、携わった方々からは大変高い評価がある、こう承知をしております。

 残念ながら、これは事業仕分けで廃止になったわけですけれども、そこで伺いますが、この有機農業モデルタウン事業をどのように評価されておられるか、それから、廃止になった理由についてもお聞かせいただければなと思っておりますので、お願い申し上げます。

郡司副大臣 御指摘をいただきましたように、行政刷新会議によります事業仕分けの関係で、平成二十二年度予算におきまして、有機農業モデルタウン事業というものが廃止になりました。

 最後のところでございましたけれども、どのような理由で廃止になったんだということで、これは私どもの意見ではなくて、事業廃止をなさった行政刷新会議のところでございますので、そのまま読ませていただきますれば、このモデル事業でございますけれども、それ以外に類似のモデル事業というものがあったということで、予算要求の縮減のうち、三分の一程度の縮減が二名、半額が二名、予算計上見送りが一名、自治体の判断をまつべきだというもの等がございまして、廃止が六名との結果になったというふうに聞いております。ただ、もちろんでございますけれども、有効性が認められるというような項目もあったことも事実でございまして、ただ、トータルとしてはそのような結果だということを私どもは聞いておるところでございます。

 この事業が、そもそも、御指摘のありましたように有効だったのかどうかということになりますれば、地元の方々、現地の方々には大変に評価をいただいていたということもお聞きをしているところでございます。したがいまして、私どもでは、その指摘された内容を受けとめながら、やるべき事業の内容についてはしっかりと行っていくべきだろうというふうに思っておりまして、そうした観点から、生産環境総合対策事業ということの中で、有機農業への参入促進、消費者への普及啓発対策というもので一億八百万円、さらに、有機農業によって産地の収益力を向上させようとする地域の支援等を行っております。さらに、有機農業技術支援センターなどの整備についても予算化をしておりまして、有機農業そのものを総合的に支援するということについてはしっかりとやらせていただきたい。

 御指摘をいただいたところの、モデル事業が幾つか重なっている、その部分については整理をしろというような御意見だったと思いますから、そこのところを踏まえまして、実質的に、有機農業そのものに対しては対策を立てているというふうに思っております。

稲津分科員 平成二十二年度にも、今御答弁いただいたように、モデル事業は廃止になったけれども、やはり有機農業については、これは非常に意味のあることだということで、新たな事業でこれをやるんだというお話でございまして、考えてみたら、何もそれでは事業仕分けで廃止にする必要があったのか、このようにも私は思うわけでございます。

 このことにつきましてはこれ以上御質問いたしませんけれども、しかし、ここはやはり私は評価ができるんじゃないだろうかなと。評価というのは、そのモデル事業は廃止となったけれども、しかし新たな事業取り組みをされる。ぜひ、この新しい事業についても積極的に進めていただきたい、このように申し上げたいと思います。

 さて、次の質問ですけれども、今度は予算の縮減のお話でございます。

 一つ目は農業農村整備事業、とりわけ生産基盤整備の事業ですけれども、予算が大幅に縮減になっております。この縮減の理由。

 それから、事業を望む関係者からはかなりいろいろな声が寄せられておりまして、これは縮減されたら非常に困る、こういう声もたくさんいただいております。今後どう対応されようとしているのか。

 それから、大臣は、参議院の本会議だったと思いますけれども、その答弁の中で、今お話し申し上げました生産基盤整備事業等については、いわゆる重点化をしていくんだという御答弁をされました。それは聞いておりますけれども、改めてそこのところもお話しいただきたいと思います。

赤松国務大臣 確かに、額的に言えば御指摘のとおりでございまして、前年度比で三六・九%、二千百二十九億円ということで決定をしたわけでございます。

 大きな考え方でいえば、コンクリートから人へというような考えのもとに、できるだけ、農業を応援するやり方としては、その生産に携わる人、個別の生産者に直接お金が行くような形での支援に変えていこうということでやってまいりました。

 一つ大きかったのは、例えば今、農水省で管理、建設中のものも含めて百九十のダムがありますけれども、もうほぼ、つくるべきところにはつくってしまった。しかし、つくった中でも、今度は水がたまらないとか、あるいはこれ以上水をためたら崩れてしまうとか、そういう欠陥のあるところが四十ぐらいもあるということで、これについては、国交省のダムは別ですけれども、いわゆる農業用ダムについてはほぼ役割を果たした。今後は、県営のダムなり、あるいはもう少し小規模の用水路でいいんじゃないかというような形で、こういうものもトータルでいえば、公共事業としてはもうやらない、見直していくということもあって額が非常に減ったということでございます。

 しかし、先ほど申し上げたように、まだ明らかにしておりませんけれども、例えば委員の地元の北海道あたりは、国の直轄事業にしてもあるいは補助事業にしても、必要な公共事業というのはまだまだいっぱいあるんですね。ですから、国の直轄は今言ったようにまだ明らかにしていませんが、これが明らかになったときに見てもらえばわかりますが、かなり必要なところにはきちっと対応をさせていただいております。

 それからまた、今度はちょっと仕組みを変えて、例の農山漁村地域整備交付金という形で一千五百億円。これはむしろ地方で、これが必要だ、こういうものをやりたいというのを挙げていただいて、そしてこれは農水省予算の枠でしか、ほかの省庁が別に使う金ではありませんので、この一千五百億円を使ってこうした公共事業的なものに、必要なところに、地方が選んだ事業をどんどんとやってもらおうということで別枠で、新規でこの一千五百億円もございますので、ぜひそういうところも使いながらやっていただけばいいんじゃないか。

 私どもの基本的な考え方としては、いろいろな事業が、今やっている最中ですから、倍ぐらい多分出てくると思いますけれども、重点化をするという意味は、できるだけ、これから三年も四年も続けてやる事業じゃなくて、あと一年、あとこれだけやれば事業が完成するというようなところだとか、あるいは農業水利施設の更新だとか農地の排水対策だとかいうようなところに重点化をして、即効果があらわれてくるようなそういうところに重点配分をしていきたいという考え方でおります。

稲津分科員 今大臣から御答弁いただいて、予算の重点化を図っていくんだ、地方にとって使い勝手のいいものにしていくんだと。私、考え方はいいと思うんです。ただ、問題は、一千五百億のことはちょっと別にしますけれども、しかし、今お話があったように、農業農村整備事業については前年度比三六・九%という大幅削減ですね。僕も現場を歩いておりますと、不安の声は相当たくさん寄せられております。

 少なくとも、これだけ大幅縮減になってしまったから、では事業はもうことしはできないね、今後本当に厳しいねという声の中でも、やはり地方はそれを本当に率直に受けとめて、何とかしようじゃないか、こういう動きがあります。

 例えば北海道の方でも、今ちょうど北海道の議会が開会中でございますが、北海道の知事からも議会に対して道政執行方針が発表されまして、その中でも具体的に、農業基盤や水産基盤、森林などの整備については、国費予算の活用はもとより、道単独事業、北海道の単独事業を積極的に講じていきますという方針の説明がありまして、具体的には、農政部関係の施策については、農地の整備を推進するため、喫緊の課題である排水不良対策を迅速に行う、そのために緊急農地排水対策事業費十二億一千七百万円を計上しましたということで、大変に厳しい財政状況の中で実は北海道も、私が承知している中では、相当いろいろな予算を縮減せざるを得ないという状況の中でも、この排水対策事業については、近年にないぐらいの北海道単独予算をつけて事業を推進しようとしている。

 私は、確かに大臣のお話しされたことも、それは一理も二理も三理もあると思いますけれども、しかし、目の前にある対策を講じるためには、やはり予算の縮減というのは、現場には相当大きなダメージが与えられているということを強く申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 例えば、昨年は北海道は長雨、日照不足、そういう中で、米も作況指数が九〇ちょっとしかなかった。例えば牧草なんかも、一番草はほとんどとれなかったという地域もあります。二番草もそうだった地域もあります。畑作も大変厳しい状況だった。だから、私が言いたいのは、そうした総合的な農業政策の手を打っていかなければ、やはり農業のあすはないということを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 それで、次ですけれども、これも予算の大幅縮減、強い農業づくり交付金、前年度比百億落ちている。

 私、現場を歩いておりますと、特に十勝地方に行きますと、あそこは小麦等の一大産地でございますけれども、やはり自給率を上げていこうという考えのもとに、新しい品種に小麦をかえました。きたほなみという品種ですけれども、これがこれまでの麦に比べると実は二割ぐらい収量アップするということで、それに踏み切ったわけなんですけれども、しかし、もう一方では、小麦の乾燥施設の整備というのも喫緊の課題になっている。

 残念ながら、この強い農業づくり交付金の大幅予算縮減によってこれらの施設整備についても相当な影響が出てくる。現場では頭を抱えていますね。こういった声にどうこたえていくのか。私は、ある意味では予算の拡充も必要だと思っていますけれども、そのあたりのお考えをお伺いしたいと思います。

郡司副大臣 強い農業づくり交付金でございますけれども、御案内のとおり、国内農畜産物の安定供給のため、強い農業づくりに必要な共同利用施設等の整備を支援するというような目的の交付金でございます。

 ことしの予算につきましては、農業予算を転換しなければいけない、そのような思いの中から、概算決定におきましては約百四十四億円となったところでございまして、確かに昨年度から比べますと大きく減額というふうな形になっております。

 この交付金でございますけれども、先ほどのような内容でございますから、都道府県への配分に当たりましては、事業実施主体が設定をした成果目標などをポイント化し、ポイントの高い事業から都道府県に対する配分額の決定を行うことにしております。

 現在、都道府県に対しまして事業要望調査を行っているところでございまして、その結果を踏まえまして、適正な執行に努めてまいりたいというふうに思っております。

 なお、施設整備関連予算といたしまして、経営体育成交付金、これは新規でございますけれども八十一億円、それから産地収益力向上支援事業、これも新規でございますが二十一億円、これは直ちに同様のことを行えるというものだけではございませんけれども、等を措置しているところでございまして、これらの施策も十分に活用をしていただきながら、引き続き共同利用施設整備について、必要なところについては行っていくというような所存でございます。

 なお、先ほど事業仕分けの関係で、モデル事業を連ねて、モデル事業そのものは廃止をし、必要な有機に対する支援は行っていくということでございました。ちょっと言葉足らずかもしれませんので補足をさせていただきます。

稲津分科員 ちょっと今最後の御答弁のところでひっかかったところがありまして、これは別に質問しませんけれども、事業仕分けというのは、モデル事業についてはこれを認めないというか、モデル事業そのものを執行停止したのかなというふうに今お話を聞いて思いました。

 考えてみたら、米の所得補償制度もモデル事業という名前がついているわけですね。私は、これは答弁求めませんけれども、ちょっと違うんじゃないだろうかな、このように思っておりまして、それはいいんですけれども。

 そこでちょっと話がかわりますが、酪農経営に欠かせない草地整備の予算、これも縮減と聞いていますけれども、どの程度縮減されたんですか。

郡司副大臣 草地整備推進事業でございますけれども、農業関係予算、転換をする中で縮減を図らせていただいております。対前年度比で申し上げれば、四四・八%の五十四億円で概算決定をさせていただいております。

 大変限られた予算ということでございますので、事業効果の早期発現が見込まれる箇所に予算を重点化して対処をしたいというふうに思っているところでございます。

 なお、非公共の予算につきましては、草地整備関連予算といたしまして、地方の裁量によりまして実施可能な小規模な基盤整備に対する支援という形で強い農業づくり交付金の中から使うことができますし、また、生産性の低い草地を生産性の高い草地に転換をするための取り組み支援でありますとか、あるいは、面積拡大、法人化を行う飼料生産組織への機械、施設の導入支援等の措置をしております。

 いずれにしましても、これらの施策を十分に活用いたしまして、整備改良を推進していただきたいというふうに思っております。

 加えまして、今までのは一般の会計予算でございますけれども、関連対策として、昨日大臣の方でお決めをいただきましたが、ソフト事業、コントラクターの運営経費としての五億円についても予算を立てさせていただきたい、そのように願っているところでございます。

稲津分科員 随分御答弁を丁寧にしていただきましたけれども、中身としては、今三つの事業予算の縮減のことを私聞きましたけれども、しかし、全体としてはやはり縮減ですよ。これで本当に現場の声にこたえていけるのか、私は甚だ疑問ですね。

 これは、けさの北海道の地方紙に私の地元の空知のことが出てまいりましたけれども、空知の長沼、美唄、妹背牛という地域で、二〇一〇年度予算案で農業農村整備事業大幅縮減、全道一の米どころ、この地域が非常に危機的な状況を迎えていると。特に、これらの地域は水はけの悪い泥炭地というところが多くて、まさに排水などの土地改良は不可欠という地域でございます。長沼町は転作率が地域によっては八〇%を超えているというところでございまして、この中で、受益農家百六十六戸の期成会の会長からこんなことが言われています。二年先を見越してつくる営農計画に影響が出る、ことしの秋からの工事に備えて、七月に収穫が終わる麦に転作した農家もいるのに、こういうことで頭を抱えているという。これが現場の実態だと思います。

 私は、今御答弁いただきましたけれども、ぜひ現場の声を聞いていただきたい、そして実態を見ていただきたい。本当にこの予算でやっていけるのかどうか、そのことを強く申し上げたいというふうに思います。

 時間が大分進んでまいりましたので、もう一つ、これはどうしても聞いておきたいんですけれども、予算の縮減という観点からいえばこれもそうだろう。

 いわゆる加工原料乳の生産者補給金、これは先般、審議会に大臣が諮問されて、そしてこの諮問どおりに部会として答申ということで、全体としては畜産等も含めると本当に頑張っていただいたのかなと思うんですが、残念ながら酪農のところについては、いわゆる補給金の単価は据え置いたけれども、しかし限度数量は十万トンも前年度比減る、この状況について実はたくさん声をいただいております。時間がありませんので紹介は差し控えさせていただきますけれども、この限度数量の削減が現場に与える影響をどう見ているのか。

 それからもう一点、別施策で、チーズ等の方に生クリームを振りかえる、そういう事業予算も組んでいますけれども、これで果たして本当にやっていけるのか、ぜひこの二点について御答弁いただきたいと思います。

郡司副大臣 御指摘をいただきましたように、限度数量につきまして、十万トン減というようなことで発表をさせていただきました。

 大変厳しい需給ギャップが生じていることは御案内のとおりだろうというふうに思っております。したがいまして、生産者団体に対しましても、いろいろと御努力をいただいたところでありまして、自主的に四万トンほどの生産の調整といいますか、趨勢として自然体で行えるような数についても御努力をいただいたところでございます。

 これまでの流れを見ますと、やはり需給ギャップが生ずることによって乳価そのものの価格が下がり、全体として加工の方に回りというような循環を引き起こしてきたことは事実であります。何とか、全体としてこれからの生産が生き行くようにというような中で、それぞれの分野で御努力をお願いしたところでもございます。

 そのうち十万トンにつきましては、御指摘がございましたように、チーズ、生クリームというところに需要を移していくような形をとろう、特に、チーズに関しまして三万トン、生クリームが七万トンというような予定でございまして、それぞれに対する支援策も新たに検討させていただいたところでございます。

 これが十分かというような御指摘でございますけれども、全体の流れから見れば、やはり需給のギャップを緩めるわけにはいかない。そして、結果としては、今生産にいそしんでおられます農家の方々を、二年先、五年先、十年先に安定的なものとするためには、この機にチーズ、生クリーム等の生産を行う、そのことによって新たな付加価値を生み出していく、新たに、日本の国内における消費の構造を変えていく、外国産に頼らないチーズの消費等を国として支援していくということが長い目で見ればやはり必要ではないか。そのようなことの判断でございました。よろしくお願いを申し上げます。

稲津分科員 問題は、要するに生産者の手取りが本当に確保できるのかという問題だと思うんです。

 チーズの方は、もう御存じだと思うんですけれども、飲用乳に比べると本当に価格が低いですね、乳価についてはチーズ向けは一キロ四十六円と言われている。要するに、もともと手取りが少ないんですよ。そういうことを考えていったときに、果たしてこれで本当に十分なんでしょうか。これもきょうの北海道の地方紙ですけれども、ここにもたくさんの声が出ています、本当にこれで手取りは確保できるのかと。

 もう一点、ここが非常に大事だと思うんですけれども、では、この三十万トンなり、需給調整が必要な牛乳を何とかしなきゃいけない、チーズ等の方に振りかえていくと。しかし問題は、チーズとか生クリームというのは嗜好品という性格もある。だから、例えば景気の低迷によって相当影響を受けてくる可能性がある。だから、そこのところの対策、施策もくみ上げないといけないと私は思うんです。この点、どうですか。

郡司副大臣 チーズ等に対する対策でございますけれども、今具体的な数字で申し上げれば、一般の予算としまして二十九億円、国産チーズ供給拡大・高付加価値化対策事業というものを新規で措置したところでございます。

 そのほかに、生乳需要構造改革事業の事業終期である二十一年度の予算額八十六億円を約一億円上回る八十七億円を措置しておりまして、これは昨年度八十六億円でございますけれども、実績から見ると六十二億円ということでございましたので、全体的に、実質的には二十五億円上回る水準の予算をつけたということはまず一つ押さえておいていただきたいというふうに思います。

 それから、チーズの方の関係でございますけれども、確かに、おっしゃったように、需要というものが経済の動きによって相当動くではないかということでございます。

 先ほど少し申し上げましたけれども、一般的にワインを飲む方がふえた、それに伴ってチーズそのものを食する方が相当おります。それで、全体で二百八十万トンぐらいはチーズというものが消費をされておりますけれども、残念ながら、今のところ、その消費の八割は外国から輸入をされたチーズというものになっているのも、これは御存じのことだろうというふうに思っております。

 近年、国が後押しをしまして職人を養成しようということもこれから始めますけれども、大変に味のよくなっているナチュラルチーズが国産でも出回っております。私どもも、二年に一遍のコンクール等も開きまして、いろいろとその普及拡大、推進に努めているつもりでございますけれども、この分野は、これから若い人たちを中心として需要が大変に見込まれるところだろうというふうに思っております。

 今のこの時期にそのような対策を打つ中で、これからのチーズの需要というものを、ただ単に外国のものから置きかえるということではなくて、全体の需要も伸ばすことが将来的には生産者のためになる事業だというようなことで取り組んでまいりますので、御理解をいただければというふうに思っております。

稲津分科員 時間が参りましたので、本当はまだ質問させていただきたいんですけれどもこの辺にさせていただきますが、今、最後に大変大事な御答弁をいただいて、ただ、まだちょっと抽象的です。要するに、チーズの需要拡大とか、本当にそれができるのかどうか。私は、そこのところの施策を具体的にくみ上げていただきたい。

 いずれにしても、この限度数量については、私は、こういう状況の方は、本当に現場は苦しむと思います。したがって、今後この推移の中で、例えば北海道等の酪農家の方々の経営が本当に厳しいことがもし仮にわかってくれば、追加策を即とっていただきたい、私はこのように強く申し上げたいと思います。

 農業ダムについてもお話を伺いたいと思ったんですけれども、時間がありませんのでやめますが、夕張シューパロダム、それから三笠の幾春別等の総合開発のダム、これは極めて大事なダムでございまして、治水等もありますけれども、農業用水ということで現場の期待の声も大きいですから、ぜひ赤松大臣初め皆さんにはその辺のことも念頭に置いていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口主査 これにて稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、小山展弘君。

小山分科員 静岡三区選出の民主党の小山展弘でございます。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、赤松農水大臣そして郡司副大臣を初め政務三役の皆様、また農水省の皆様におかれましては、日ごろの政務、まことにお疲れさまでございます。心より敬意を表させていただきたいと思います。

 それでは、質問の方を始めさせていただきたいと思います。お時間の関係がございましたら、郡司副大臣、御退席いただいても構いません。

 まず、政権交代に伴う農業政策転換の象徴的な存在である農業者戸別所得補償制度に関連する事柄について、お尋ねさせていただきたいと思います。

 この農業者戸別所得補償制度は、平成二十二年度におきましては、米のみを対象としたモデル事業として開始されることとなっております。この農業者戸別所得補償制度遂行に関する事務、例えば生産調整等を行うわけですけれども、その主要な事務については引き続き地域の水田協議会が行うことになろうかと思います。

 この地域水田協議会については、例えば静岡県のように、米の生産県というよりも消費県である、こういったような、それほどの大きな稲作地帯でなければ、そもそも水田協議会が存在しなかったり、あるいは、従来それほどの事務が発生していないこともあって、市町村やあるいはJAが事実上全部事務を受託するような形で担っているところも多く存在しております。

 この農業者戸別所得補償制度創設に当たっては、新たな事務負担というものも相当に発生するものと推察いたしますけれども、これらの新たな事務負担について、従来のコストの中で、水田協議会、賄い切れるだろうか。あるいは、今申し上げたような、水田協議会としてもそれほど強い機能を持っていない、そういうところについては水田協議会の特定の会員に負担が集中するんじゃないかといったような不安の声が上がっているわけでございますけれども、この農業者戸別所得補償制度に関する事務を円滑に行っていただくための指導やあるいは措置についてお伺いさせていただきたいと思います。

郡司副大臣 小山委員よく御存じのことだろうというふうに思っておりまして、やはり水田協議会そのものがいろいろな機能を担っていただかなければいけない、そのように思っているところでございます。

 ただ、水田協議会を構成するそれぞれの会員といいましょうか、そのどの部分が実質的に担っているかというのは、地域によってさまざまでございます。御指摘がございましたように、自治体が実質的に担っているところ、あるいはJAが担っているところ、さまざまでございますけれども、そこのところによく御理解をいただいて執行をしていかなければいけないというふうに思っております。

 そのための推進事務費として七十六億円を予算計上させていただいております。この額は昨年までの水田協議会に対する措置を大幅に上回るものでございまして、まさに御指摘があった今年度に伴う事務量の膨大さ、そして新たな事務の取り組みでございますから、私どもとしては七十六億円という予算を計上した、それは十分な額であろうというふうに思っております。

 ただ、額だけではなくて、それぞれのところの皆さん方が理解をして取り組んでいただく、そのこと自体が大変重要であろうと思っておりますので、そのことについて鋭意私どもからも説明をしていくつもりでございます。

小山分科員 今、水田協議会の会員さんの中でも、どちらが主体的にやるんだということでお互いに腰が引けてしまって、それが結果として農業者戸別補償制度の実施に支障がないように、ぜひ農水省の方からも御指導を賜れればと思っております。

 さて次に、茶業についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 現在、お茶については、大変価格下落が著しく、廃業に追い込まれる農家もふえてきております。茶農家の中では、ことし、お茶を再生産、今後も経営を続けていけるかどうかということに対する不安や、あるいは茶工場も随分閉鎖に追い込まれるなど、非常に今経営が危機的な状況にございます。

 こういった近年の茶価の低下について、あるいはまた、お茶の、とりわけリーフ茶の消費拡大について、積極的にこれから取り組んでいかなければいけないと考えておりますが、農水省といたしまして、現在の茶価対策あるいは消費拡大、振興策についてどのようにお考えになられているか、あるいは今後どのような対策を立てていくべきか、ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。

郡司副大臣 御指摘のお茶の関係でございますけれども、中山間地等を中心に大変貴重な作物であろうというふうに認識をしております。そして、御存じのように、大変に産地あるいは県ごとにも価格にばらつきがある製品でもあるというふうにも思っております。

 そのような中で、近年はリーフ茶と言われます、要するに急須を使ったような飲み方の部分が、若干衰退傾向といいますか、需要が少なくなってきている。一方で、飲用のものが相当伸びてきたわけでありますけれども、それも一定程度の数のところで落ちつきを示している。これから大幅な伸びというものが余り見込まれないのではないか、そのような懸念が出されているところだというふうに思っております。

 このような中で、農林水産省といたしましては、需要拡大という観点から、ニーズに合った魅力あるお茶の商品開発など、農家や加工流通業者による取り組みを支援するために、国産原材料サプライチェーン構築事業として二十九億円を今お願いしているところでございますし、あるいはまた、茶園の改良、荒茶加工施設等の整備への支援ということでの予算を百四十四億円行うなど、生産コストの低減でありますとか品質の向上を通じて、茶農家の経営を支援してきたところでございます。

 今後とも、先ほど言いましたように、需給の状況、需要の動向というものが大変に目まぐるしい中でございますので、注視をしながら取り組みに努めていきたいというふうに思っております。

 なお、一部、やはり過剰ぎみなのかなというような意見が現場の方では出されてきているようなところもございまして、だとすれば、余り芳しいことではございませんけれども、生産調整ということが行われるとすれば、どのようなことが私どもで側面から支援ができるのか、そのことについても検討していきたい、そのように思っております。

小山分科員 ぜひ、今後も、さらなる飲茶の風習が海外に広がっていくとか、そういった消費拡大等も含めて、また積極的にお取り組みをいただければと考えております。

 また、前問に関連もいたしますけれども、現在、モデル事業として、米が品目となった戸別所得補償制度がスタートをしようとしているわけですけれども、今後、これがモデルではなくて本事業として実施されていく際に、米以外の品目については、麦あるいは大豆といったものも昨年の民主党のマニフェストにも明記をされておりますし、また現在、畜産物や水産物についても検討がなされているところかと考えております。

 そもそも、この農業者戸別所得補償制度につきましては、大規模な農家さんに補助金を集中させて中小規模の農家さんを農政の対象から外してきた従来の農業政策というものを転換して、食料安全保障の観点を重視するとともに、農業の持つ多面的な機能を評価して、そして大規模な農家さんだけじゃなくて、中小規模の農家、兼業農家も日本農業の担い手となっていただく、こういったことを趣旨とした部分も政策としてあったのではないかと理解しているところでございます。

 また、農業者戸別所得補償制度は、都市から農村地域への所得の移動、地域間格差の是正にも一定の貢献を果たすこと、あるいは中山間地域の活性化にも寄与することが期待された制度ではなかったかと考えております。

 こういった制度創設の際の趣旨を勘案すれば、今後、今品目に挙がっていないイチゴとかレタス、あるいは先ほど申し上げたお茶、こういったものについても将来的に対象にしていくべきではないか。彼らにしてみますと、畜産物やあるいは水産物、こういったものについては制度の対象になる、あるいは検討に加えられていて、同じように農業をやっているのに何で自分たちは対象にならないのかといったような、そういう考えを持つ、あるいは感想を持つのが非常に自然なことだと思います。

 そういったことから、ぜひこれからも他の品目についても検討を進めていただきたいと考えているわけなんですが、これについて御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

郡司副大臣 戸別所得補償モデル事業が始まりまして、いろいろな御意見を今いただいているところでございます。

 その中で、今御指摘がございましたようなイチゴ、レタスというような野菜に関するものはどうなんだ、それからまた、今回はお茶ということについてもどうなんだというような御指摘をいただいたところでございますけれども、御案内のように、所得補償制度というものが、生産費あるいは販売価格、そこのところの差が恒常的にあるいは構造的に出ているものについて、それを補っていくようなシステムとして今モデル事業を行っているところでございます。

 そのような観点からすると、一概に、野菜総体として、常に生産費と販売価格の差が生じているというような形だけにとらえることができないというものがございますので、今のところ、野菜の関係については、野菜価格安定対策事業などについて措置を行っている。また、お茶については、先ほど申し上げましたような茶園の改良や荒茶加工施設等の整備への支援というような形で行ってきたところでございます。

 いずれにしましても、農家個々に対する支援、経営安定というものは行っていかなければいけない項目であろうというふうに思っておりますので、今後どのような形の支援策ができるか検討をすると同時に、場合によりまして、いろいろなことが想定をされますものですから、基礎的なデータそのものがまだ現在はそろっておりません。

 したがいまして、野菜全般ということのデータだけではなくて、先ほど御指摘をいただいたような作物ごとのデータ等の収集も行っていかなければいけないというふうに思っておりますが、なかなかに、一朝にして数字ができ上がるということではないだろうと思っております。

 時間をいただきまして、それぞれの御意見をいただきながら、さらに検討を重ねていきたいというふうに思っております。

小山分科員 今の副大臣の御説明のとおり、あくまでもデータの不足の部分と、あと生産費と平均的な販売価格の差額でということで、今挙がっていない品目については、未来永劫一切やらないということではなくて、あくまでも計算上あるいはデータがそろっていないということで今行われていないということ、検討等にも加わっていないということかということで理解をさせていただければと思っております。

 それで次に、ちょっと視点が変わりますけれども、現在、総務省や総務委員会におきまして郵政民営化見直しの議論がなされております。とりわけ、ゆうちょ銀行の見直し、郵便貯金の限度額の引き上げやあるいは撤廃といったことも議論をされておりますが、これは我が国金融システム全体にも大きな影響を及ぼしてくることかと考えております。

 とりわけ、農水省所管の金融機関であります、具体的に申し上げますと、農協系統JAバンクやあるいは漁協系統のJFマリンバンク等の協同組合金融にも甚大な影響を及ぼしかねないことかと思っております。それは、とりもなおさず、協同組合本体の経営にも影響を与える可能性もあるものかと推察しております。

 ちなみに、系統金融につきましては、農水省の指導のもと、系統版金融検査マニュアルというものがありまして、これは市中銀行レベルの検査とほぼ同等の検査が行われてまいりました。山村、漁村の店舗におきましても体制整備を進めてきまして、ある県の漁協系統、JFマリンバンクにつきましては、五十以上もあった店舗を十店舗まで減らして、五分の一以下にまで減らして、融資管理体制やあるいはコンプライアンス体制の体制整備に努めてまいりました。

 また、五十年間一度も大口の焦げつき案件とかあるいは不正融資も行ってこなかったにもかかわらず、体制整備ができないということで、断腸の思いで信用事業をやめた漁協もございます。

 系統金融のみならず、地域の民間金融システム、金融ネットワークは、こういった融資管理体制やあるいはコンプライアンス体制の整備とか強化ということができずに店舗を統廃合したり、管理コストを吸収できなくて店舗閉鎖に追い込まれているところも多々ございます。しかしながら、そうまでして体制整備に努めてきたわけであります。

 この郵政民営化の見直しに当たりましては、こういった店舗体制に係る規制の検討も行われているようでございますけれども、今申し上げてまいりましたような取り組みをこれまで行ってきた金融機関との公平性も十分に配慮していただいて、とりわけきょうは農水の分科会でございますから、農協系統金融あるいは漁協系統金融への影響も考慮した見直しを検討していくべきであると考えております。

 この点について、所管大臣として、ぜひ赤松大臣のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

赤松国務大臣 この問題につきましては、現在、郵政改革関係政策会議で議論の真っただ中というふうに聞いております。大枠の仕組みについては先日発表がありましたけれども、あと限度額の問題と持ち株の比率ですね、そこだけが主なところで残っているということで、亀井大臣、原口大臣のもとで、そう日を置かずに一定の答えが出てくるということで、私ども、直接の所管じゃありませんのであれですが、注目をしております。

 というのは、委員が今御指摘のように、この限度額やあり方について、農協を初めとして、これは一般の信用金庫や信用組合についても非常にいろいろな影響があるというのも事実だと思いますし、私自身がこの二、三週間の間に青森へ行きました、島根へ行きました、和歌山へ行きました、そういうところで必ず農協の組合長さんから要望がありますと出てくるのは、実はこの話でございます。

 そのときに私が申し上げておるのは、限度額を一千万円、現在のところにするのか、あるいはそれをもっと引き上げるのか、枠をとるのか、この権限はないけれども、しかし、どちらにしても、地域の主な金融機関ということになれば郵便局か農協かということになるわけで、その意味でいえば、別にけんかするという意味じゃなくて、いい意味でやはり組合員の皆さん方の信頼をしっかりかち得て、お金を預けるんだったら、あるいは借りるんだったらやはり農協だというような、そういう不断の努力はぜひしてください、これは限度額が一千万だろうが三千万だろうが同じことですよということは申し上げております。

 私個人のいろいろな考えはございますけれどもこういう立場でございますので、そういう意味で、どちらにしても、今後とも農協なりあるいは漁協関連の金融機関が、組合員の皆さん方から、あるいは地域の皆さんから愛され、選択される組織となるように改革を進めていただきますように、またそのお手伝いを私どもとしてできれば、精いっぱいやっていきたいということを申し上げて、答弁にしたいと思います。

小山分科員 先日、財務金融委員会におきまして、私、亀井大臣に地域金融機関についてどうかというような話を申し上げましたら、亀井大臣が、郵便局が栄えて信金、信組あるいは保険の代理店が廃れるような、そういう改革はやってはならないということを財務金融委員会で御発言もなされておりますので、赤松大臣からも、今申し上げたような観点でぜひ今後ともお取り組みいただければというふうに思います。

 次に、就農準備校等の農業教育機関に対する本年度の予算に関連したことでお尋ねさせていただきたいと思います。

 税収が非常に大幅に伸び悩む中、さまざまな予算が削減をされております。その中で、就農準備等の農業教育予算についても本年度予算については漸減となっておりますけれども、しかしながら、新規就農者に対する教育とかあるいは児童への農業体験学習というものは、農業の担い手あるいは人材の育成を行い、農業振興を図る上でも、後継者対策としても、これは非常に重要な、必須な政策課題ではないかなと考えております。

 また加えて、国家予算であるとかあるいは農水予算全体から見れば、決して金額的には、絶対額としては大きなものではないと思っております。

 こういった農業教育予算についてはむしろ強化していくべきではないかなと考えておりますけれども、これについての御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

郡司副大臣 御指摘があったとおりだろうというふうに思っております。

 厳しい予算の中でありますけれども、やはり小中学校におきまする農業体験学習などは、これからきちんと行うべき内容ではないかなというふうに思っております。

 あわせて、国自身が観光立国としてほかの国からいろいろな受け入れをしていこうというようなやさきでもございますから、それに先立つ、一学年でいえば平均をして百二十万の子供さんたちがいらっしゃるわけでありますから、そういうものの受け入れというものが観光立国にもつながるような形でも行っていきたいというふうに思っております。

 残念ながら、予算の中では今厳しい状況でございますけれども、農業高校での職業教育の実施でありますとか、あるいは道府県農業大学校がございますけれども、そこでの実習を主体とした実践的な教育の実施でありますとか、また、他産業で働きながら、夜間あるいは休日を活用して農業の基礎知識や技術を習得できるような就農準備校というものも考えていかなければいけないというふうに思っております。

 今後とも、それぞれの段階に応じた教育の内容というものを充実させていきたいというふうに思っておりまして、今申し上げましたそれぞれの事業について、予算措置をお願いしているところでもございます。

小山分科員 ありがとうございます。

 次に、漁業、水産業に関連することで御質問させていただきたいと思います。

 現在、漁業で大きな課題として資源管理ということを徹底していこうということがあるかと思いますけれども、各県においてこの資源管理については条例が定められております。また、沖合漁業については、大臣の認可によって船の数等が規制されることによって資源管理を行っておりますけれども、毎年、これは江戸時代からと言われてはおりますが、漁業者同士の紛争が絶えないわけでございます。

 こういった漁場利用あるいは資源管理について、限られた資源でございますので、できる限りこれを調整しながら、国としてどのように対策を進めて、また、これらの頻発する紛争を減らしていくためにこれからどんな対策を考えているか、ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。

郡司副大臣 今御指摘がありましたように、この問題は歴史が相当深い問題でございます。特に、漁協同士が統合等をいたす際にもこれまでの漁業権というものはそのままになっていることがほとんどでございまして、漁協が一つになってもその問題は常に残る、このようなことが繰り返されてきたかと思っております。

 特に、内容としましては、沿岸漁業と沖合漁業の、ともにその存続を図るシステムというものが大事だろうというふうに思いまして、そのための漁業調整協議というものがこれまでも行われてまいりました。

 どのようなことがということになれば、要は、お互いがテーブルに着いて、お互いのことだけではなくて、相手のことを考えながら意見を出し合ってルールをつくっていく。そのために、私どももその間に入って、調整というものが円滑にいくようにしなければいけないということに尽きるんだろうというふうに思っておりまして、調整が問題になっている地域というものは全体でこれも把握をしておりますから、これからまたそのような形でもって調整に努めていきたいというふうに思っております。

小山分科員 もう一つ、漁業、水産業について御質問させていただきたいと思います。

 中西部の太平洋につきましては、最近、海外のまき網漁船が増加傾向にございます。これら海外のまき網漁船は、カツオ漁をメーンとして操業しているわけでございますけれども、まき網漁法で行うものですから、カツオのみならず、例えばまだサイズの小さい子供のマグロまで水揚げしてしまうなど、他の魚種あるいは他の資源に対しても影響を与えているかと思います。

 このような資源に対するダメージも考慮した有効な規制策について、どのようにお考えでございますでしょうか。

郡司副大臣 今マグロの問題で、佐々木政務官がきょう帰国をするようなこともございました。

 世界全体でマグロというものが多くの人に食されるようになりまして、私どもの国にもいろいろなところで影響が出ております。特に近年、私どもの近海で操業する中国、台湾系の大型のまき網漁船というものの影響が取りざたをされております。

 御指摘ありましたように、メバチマグロの集魚装置を用いたまき網漁船による操業がメバチの幼魚の大量の漁獲にもつながっているというようなところから、先ほど申し上げました集魚装置を用いた操業を、二〇〇九年は二カ月間、二〇一〇年は三カ月間禁止をするというような規制を導入しているところでもございます。

 我が国としては、今後とも、マグロ資源の持続的な利用を図るために、WCPFCの場で積極的な資源管理の推進に努めていくつもりでございます。

小山分科員 それでは、最後の分野として、林業並びに森林整備についてお伺いさせていただきたいと思います。

 現在、民有林については、森林・林業再生プランを作成し、国内林業の再生と森林整備について取り組まれているところかと考えております。民有林の森林整備を促進する一環といたしまして、搬出コストを下げるべく、森林や林地における施業の集約化やあるいは路網の整備も今うたわれているところであります。また、林地の中には、相続等によって所有者が不明確になってしまったり、あるいは境界が不明であるとか、そういった問題も多数発生しているかと思います。

 特に非常に基本的な問題かと思っているんですが、これらの問題については、例えば再開発をする際の都市計画法であるとか、あるいは農業の土地改良を行うような、そういったものに比すべき林業の基本法のようなものを制定したらどうかというような声もあるわけですけれども、こういった所有者の問題やあるいは境界の問題について、どのような対策をお考えでございますでしょうか。

郡司副大臣 昨年の十二月でございますけれども、森林・林業再生プランを赤松大臣を本部長として策定させていただきました。その際に、赤松大臣から、今御指摘のあったようなところも踏まえて、基本法を見直すような検討をしていただきたいというような指示を受けとったところでもございます。

 これから供給をきちんとしていくためには、まず路網、作業道の整備をしなければいけませんし、その前段のところで地籍調査をきちんと行う、あるいは不在村地主のところの集約化をどのようにしていくか。これは単に農水省だけの問題ではなくて、国土交通省でありますとか他省庁にまたがり、あるいはまた、集約を行う際の森林の場合には特に憲法の規定とも触れるような所有権の問題も出てくるわけであります。

 しかし、そこのところはやはり解決をしていかなければ、この国の森林というものを守る、そして業としても成り立たせる、ついては地域の雇用活性化につながるということがかなわないわけでございますので、今、全体として、新成長戦略の中でもどのような形をとればそのような規制改革につながることができるのか検討しているところでございまして、時間をかけずに方針を仕上げ、具体的な作業に取りかかるように準備をしていきたいというふうに思っております。

小山分科員 ぜひ、今後とも積極的なお取り組みをどうぞよろしくお願いいたします。

 それと、現在行われている住宅エコ減税についてお尋ねしたいと思います。

 ソーラーハウスや断熱材ばかりに注目が集まっていると思いますが、二酸化炭素を貯蔵しているような観点であるとか、あるいは環境への貢献度が高いといったところから、例えば国産材、木材の住宅に対する助成金や減税措置というものも今後積極的に検討していくべきであると考えておりますけれども、どのような御見解でございますでしょうか。

郡司副大臣 御指摘の観点は、大変大事な指摘だろうというふうに思っております。

 現在のところ、住宅等への国産材使用、利活用の低炭素社会づくりへの貢献を評価することが必要だというふうに思っております。現在のところ、それに伴うような具体的な支援策というものは、トレーサビリティーシステムの確立等に対する支援に七億円、新規でございますけれども、今回の予算の中で概算を要求させていただいております。

 ただ、まだまだ不十分なところがあるというふうに思っておりまして、今国会でお願いをすることになると思います、国産材の利用等を公共建築物に目指していこう、そのような法律の成立とあわせて、民間への住宅の利用、そして、その中での今御指摘があったような支援策というものを今後とも考えさせていただきたいというふうに思っております。

小山分科員 それでは最後に、民有林については今もお話のありました森林・林業再生プランというものが存在しておりますけれども、業として成り立ちにくい森林を整備している国有林野事業について、この国有林も、言うまでもなく水源涵養や温暖化防止等の多面的な機能を果たしており、また、生物多様性の維持にも貢献をしているところかと思います。

 近年まで国有林野の職員というものは削減される一方で来たんですけれども、今後、この国有林の整備について一層力を入れていくべきであると考えておりますが、これにつきまして御見解をお伺いしたいと思います。

郡司副大臣 国有林は森林の三割を占めているわけであります。特に、経営とかという観点からすると難しいような奥地でありますとか脊梁山脈あるいは水源地域というところに位置しているところが多いわけでありまして、国土にとりまして大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。

 私どもとしましては、平成十年の抜本改革以降、国有林野事業の管理経営の方針をそれまでの林産物の供給に重点を置いたものから転換いたしております。公益的機能の維持増進を旨とした管理経営を行ってきているところでございますが、今御指摘をいただきましたように、人員的にも本当にこれで十分かということをもう一度検討しなければいけないというふうに思っております。また、そこの能力を生かして、逆に民有林の活性化のためにも使える人材ということになれば、そこのところの流用ということも含めて、ますます大事な人材として検討させていただきたいというふうに思っております。

小山分科員 質問時間も終わりましたものですから、これで質問を終了させていただきたいと思います。

 赤松農水大臣を初め郡司副大臣そして政務三役、農水省の皆様におかれましては、引き続き政務に精励され、頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

山口主査 これにて小山展弘君の質疑は終了いたしました。

 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後八時一分開議

豊田主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 なお、主査の指名によりまして、私が主査の職務を行います。

 質疑を続行いたします。赤松正雄君。

赤松(正)分科員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、赤松大臣に初めて質問をさせていただきます。

 昨年八月、台風九号は、日本各地に豪雨による被害をもたらしたわけです。私の地元、兵庫県佐用郡佐用町、あるいは宍粟市、また朝来市、こういった各市各町で多大な被害があったわけですけれども、特に佐用町では、死者十八名、行方不明二名、いまだに遺体が見つからないという大変悲惨な被害が起こりました。

 私も、八月の九日、衆議院総選挙の直前というか最中だったわけですけれども、私の親しくしておった方が亡くなられたということもありまして、幾度か今日まで地元を訪れました。

 ついせんだっても現地へ行ってまいりまして、大臣に写真を見てもらえばいいのですが、ちょっと小さいので見えないと思いますが、現地はもう大変な状況がそのままになっておりまして、山合いに木が散乱しているという事態が今もなお続いております。

 このように、被害は林野関係にも大きな影響を及ぼしたわけですけれども、まず一番最初に確認をしたいんですが、激甚災害指定を受けて、いつから現地におけるこうした事態を復旧させるための行動がとられるというか、実際に手を施すのは県なんでしょうけれども、どの時点から現地の復旧作業がスタートするのかということについて、まず冒頭、確認をしておきたいと思います。

佐々木大臣政務官 赤松委員の質問にお答えをいたします。

 平成二十一年八月九日、台風九号、大変大きな被害であり、心からお見舞いを申し上げます。

 この九号の被害により発生した山地災害については、兵庫県佐用町において、四十六カ所、約二十億円に及ぶ甚大な被害が発生したと承知をいたしております。

 この山地災害に対処するため、林野庁においては、被害直後から、県と連携して状況把握に努めるとともに、特に緊急的な対応を要する九カ所について、災害関連緊急治山事業等を九月三十日に採択して、県において入札等の手続を経て、十一月十三日以降に復旧対策に着手しているところでございます。

赤松(正)分科員 十一月十三日から復旧事業に着手した。私が行ったところはまだ全くそういう雰囲気さえなかったんですが、今おっしゃったときから一カ月、二カ月、三カ月とたっているわけですが、農水省、林野庁としては、もう既に事態は復旧に向かって動いているという認識でおられるんですか。現実に、農水省、林野庁から現地に足を運ばれたんでしょうか。

佐々木大臣政務官 今先生の御指摘でありますが、四十六カ所の被害があったわけでありますが、復旧工事に着手をしたのはそのうちの緊急な手当てを要する九カ所のみでありますので、先生御指摘のように、まだまだすべてに手がついたというような状況ではないと認識をしております。

赤松(正)分科員 ということであるならば、私が行ったところは佐用町の水根という一番奥のところなんですが、私が心配するのは、自然災害ですから、いつ何どき大雨がまた降るか知れない。この冬の時期というのは余り大雨がないということがあるんでしょうけれども、極めて、事態がいつ何どき変化するかわからないということで、早急に手を打ってもらいたいなということを実感するわけであります。

 おっつけ次々と手が差し伸べられることになるということを認識した上で、私が指摘したいのは、県においても台風九号による災害に対して懸命な検証に取り組んでいるわけですけれども、政府としては、内閣府は大雨災害における避難のあり方等検討会、あるいは、消防庁では災害時要援護者の避難対策に関する検討会、そして、国交省近畿整備局では局地的豪雨による被害軽減方策検討会、それぞれそういった検討委員会を設置して、台風九号を踏まえた検討を行っていますけれども、農林水産省、特に林野庁ではこういった検討を行っているかどうか、お聞きしたいと思います。

佐々木大臣政務官 今御指摘がございました内閣府、消防庁、国交省、それぞれ検証作業なども含めて行っておりますが、林野庁独自に調査をやってはございませんけれども、防災情報を行政と住民が共有するための情報共有体制の整備ですとか、あるいはまた山地災害危険地域等の山地防災情報の周知などのソフト事業、これは森林・林業・木材産業づくり交付金での内数として措置をさせていただいておりますが、こうした対策には取り組んでいるところでございます。

赤松(正)分科員 大臣、今私がこうやって質問しているのは、先ほど申し上げた内閣府、消防庁、国交省は、いずれも災害に対する避難という観点の検討委員会なんですね。だから、農水省、林野庁は、そういう角度の検討は必要ないと私も思います。ただ、農水省、林野庁という角度から独自にぜひ検討しなければならないことがあるから聞いているんです。

 というのは、特に佐用町における今回の水害については、この佐用町というのは、実は六年前にも同じような水害があったんですね。その後、間伐する必要性があるという観点から間伐が進められたということもあって、当初、地元のメディアでは、間伐して山合いに置いてあった木が大雨によって川に流れ込んだ、そういう指摘があった。

 ところが、実は、その後兵庫県がしっかりと、社団法人兵庫県治山林道協会「やまなみ」という小冊子に出ているんですが、その小冊子だけではなくて、兵庫県が認知したところによりますと、流木、川に流れた木の中身を検査したところ、立ち木が七六%、風倒木、風によって倒された木が一九%、そして間伐材はわずかに五%だった。そういう調査結果が出まして、流木のほとんどが、谷筋まで植えられていた杉、ヒノキ、そういうところから出てくる異常出水や河川の増水によって発生した、こういう報告がなされている。

 これは非常に重要なことで、要するに、今回の佐用だけではなくて、日本の各地で今までも起こっているし、これからも起こるであろう、そういう豪雨に対する、木が川に流れ出る、そういうときの木というのは、いわゆる立ち木、既に立っていた木が豪雨によって押し流されている、根こそぎ持っていかれていくというケースが実はあるんだ、今回のことは特にそうだった、こういう結果が出ているわけで、これをどう評価するか、これをどうとらえていくかということが極めて大事であるから言っているわけです。そういうことを調査しようとしない農水省というのはおかしいんじゃないか、こういう思いがあるわけです。いかがでしょうか。

赤松国務大臣 きょう、赤松正雄委員からこういう御質問があるということで、私どもも少し勉強させていただきました。

 今御指摘のように、今回の台風九号による被害がこれだけ人命の多大な被害ということも、原因を見てみますと、今御指摘のような、立ち木が土砂ごと流れ去って、それがいわゆる流木になって、非常に大きな被害をもたらす結果になった、これがより大きな被害につながったということなんだろうと思います。

 ちょっと種類は違いますが、昔、伊勢湾台風というのがありましたけれども、あれは、切ったという木じゃなくて、貯木場の木材がだっと外に流れ出て、それで家が倒れたり、あるいは人に当たって被害を及ぼしたりですね。結構、大きな木が流れるというと、それが大変な被害に結びつくことが多いものですから。

 そういう意味で、では、どうするのかという話になるんですが、これについては、少し大きな立場からいえば、やはりそういう風水害に弱い森林ということに今なっていますので、それこそ、きちっとした森の整備をする。少しの雨が降ったぐらいでは、土砂崩れみたいなことで立ち木が一緒に流れてしまうようなことにならない森林整備が基本的には大切だというふうに思いますけれども、当面は、こうした倒れて流れ出ようとする流木をとめるような治山施設の整備だとか、あるいは渓流内の危険木があればそれを除去するだとか、そういうことをまず当面、直ちにやらなければならないことだというふうに理解をしております。

 しかし、根本的には、多分先生もそういう御意見だろうと思いますが、やはり、日本の国土の七割、八割が森林ですから、そういうところがきちっと整備をされて、こうした風水害にも強いというような森林に変えていかなければならない、整備を急がなければいけない、こういうことだと思っております。

赤松(正)分科員 今農水大臣がおっしゃったこと、近未来における対策と中長期的な対策、二つの大きな側面があるんだと思うんです。

 私は一貫して、この予算委員会の分科会でこの手の問題を質問するのは今回で三回目なんですが、要するに、戦後の日本のいわゆる杉、ヒノキを中心とした針葉樹林をどんどん植えていったという政策の間違いというか、そのやり方のいわばツケが今やってきているという側面があるということで、私は前政権の後半にかかわったわけですけれども、ぜひとも、ここは新しい政権が根本的に日本の森づくりというものに取り組まなくちゃいけない大きなチャンスで、今回のこうした佐用町は一つのケース、例ですけれども、この佐用町における立ち木が根こそぎ持っていかれちゃうということは、全国にもこういう方向性というものがあるわけで、しっかりとここは森づくり、災害に強い森づくりというものに対して真剣に取り組まなくちゃいけないときに来ているということを指摘したいわけなんです。

 ですから、山崩れの発生源は杉、ヒノキの立ち木であって、針広混交林に木の種類を転換していく、全部広葉樹というわけにはいかないでしょうから、広葉樹を積極的に取り入れていく、そういう施策というものが極めて大事な段階に来ているという指摘をしたいわけなんです。

 今回、私、佐用だけではなくて、朝来にも、あるいはまた宍粟にも、市当局、いろいろなところに取材をしましたけれども、朝来市の方からも、山には多くの荒れた杉林がある、広葉樹林のいわゆる施業というものが必要だということで、この地域の特別の名前になりますが、神子畑川あるいは田路川の周辺の山々に広葉樹の植林が必要だ、そういう要望も強く受けました。

 そういう点で、新しい政権におかれましては、森林の持つ保水機能、そして土砂流出防止機能というものを高めていく施策をぜひとも展開していただきたい、こんなふうに思うんですね。

 そこで、一昨年、筑波大学の恩田裕一准教授などの研究者が実証実験を行って、荒廃した人工針葉樹林の保水力を回復させるために、本数にして約六割、六〇%の間伐が必要だ、そういう緑のダムの条件を具体的に示した、こういうことが言われているわけですね。

 私、実は日本熊森協会という、日本最大の自然保護団体を目指している、既にもうそういう位置づけにあるわけですけれども、その自然保護団体の顧問を務めているんです。その日本熊森協会からも、そういう同様の実験を行って、同じ六割の、本数にして六割近い間伐というものをやることによって、既に今ある人工針葉樹林というものの保水力を回復させる。つまり、広葉樹をふやしていくというのは中長期的な課題なわけですが、現在の人工針葉樹林というものをどう保水力の強いものに生かしていくかということについては、六割の間伐が必要だ。こういう実験結果、学者のそういう結果、あるいはさっき言いましたNGO団体のそういう報告もある。

 こういうことについて農水省はどういう認識をしているのか、お答えいただきたいと思います。

郡司副大臣 赤松委員が御指摘のように、大学の研究チームが調査をし、そのことを実証し、発表した、このような記事を私も目にしたところでございます。

 そして、今御指摘がございましたように、過密林で六割の間伐、強度間伐を行った事例では、いわゆる下の層に植生が増加をしたという報告も伺っているところでございますけれども、このような強度の間伐というものが森林の生育環境を急激に変化させることもあり得るのではないか。

 いずれにしましても、これまでの結果だけではなくて、もう少しいろいろな研究成果も検討しながら行っていきたいというふうに考えているところであります。

 今現在は、六割というような強度の間伐を行ったときに、傾斜が急な場所あるいは下層植生が少ない場所において、地表の侵食あるいは風倒被害ということが発生をするという別な報告もあるものでございますから、そのようなところから、一応今のところは三〇%程度の間伐を、しかし、きちんと定期的に行う、そのような形をとらせていただいているところであります。

 ただし、今いろいろな研究がされ、それぞれの研究成果が出ているところでございますので、今後、注視をしながら検討していきたいというふうに思っております。

赤松(正)分科員 今のお話では、そういうこともわかっているけれども、いろいろな指摘もあるので、研究を進めながら取り組んでいきたい、こういうことなんだろうと思うんですが、事態はかなり風雲急を告げておりますので、しっかりとこの取り組み姿勢を強めていっていただきたいと思うんですね。

 例えば、私の住んでいる兵庫では、今、先ほど申し上げた日本熊森協会の本部も兵庫にあるということもあって、災害に強い森づくりの推進策として、環境自然保護団体の要請を受けて、県が野生動物育成林の整備、これはもう時間がないので余り詳しく申し上げませんが、野生動物が生息するというのは、もうほとんど間隔なくだあっと植えられた人工針葉樹林の森ではなくて、やはり、一定の間隔を持った、広い、広葉樹を中心とした森の中に動物がすむ、こういう側面があるわけで、そういった部分を生かす。つまり、人と野生動物のすみ分けゾーンというものを設ける。そして、人家に隣接した森林のすそ野に、人間が住む地域と動物がすむ地域と、しっかりそこを分けて、人と野生動物のすみ分けゾーンというものを設けて、奥地に野生動物の生育の場になる広葉樹林を整備する、こういう方向性を持った、災害に強い森づくりというものを積極的にやっていこうということで、兵庫はそれに取り組んで、県の独自課税である県民緑税というものを設けて、今やっているわけです。

 ぜひとも赤松農水大臣の時代に、林野庁が今進めようとしている美しい森林づくりにも合致する施策、そして防災にも役立つ、そういう国独自の取り組みというものをやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 委員御指摘のように、クマとかシカが野生動物として森林に共存できる、共生し得るというのは理想だと思いますが、一方でまた、今、御存じのように、クマ、シカあるいは猿等の鳥獣被害等もあるものですから、この辺のところをうまくはかりながら、今、人がいるところ、動物のいるところ、それを分けてというようなお話がありましたが、そこは、さくをつくったり、いろいろなやり方があると思うので、委員のそうした貴重な御指摘もいただきながら、森林の再生、そして野生動物がそこに快適に生息できるような、そんな環境をつくっていけるようにぜひ進めていきたいと思います。

 幸いにして、少し前と違って、今は、単に木材が高く売れないからだめなんだみたいな、そういう論理から、もっと水、緑、環境、そして今のCO2の問題もありますけれども、やはりそういう地域の環境を守っていくためには、あるいは地域を活性化させるためには森林・林業が発展をしなければだめなんだ、そのためには、スーパー林道は要らないけれども、しかし、路網の整備や、作業道はしっかりと整備をして、もちろん間伐もやり、それをバイオマスにまた生かしていくとか、いろいろな御意見もいただいております。

 昨年の末、森林・林業再生プランというのも農水省で出しまして、プランだけでは何も意味がありませんので、ぜひそれを実施に向けていけるように、いろいろまた財政的な御支援も多少いただけるようになってまいりましたので、ぜひまた御指導いただきながらこうしたことを進めていきたい、このように思っております。

赤松(正)分科員 大臣、野生動物と人間、そして森、これはなかなか大事な関係でありまして、私も随分前からこの場面で歴代の農水大臣に質問してまいりましたけれども、皆さん一様にやはり認識の度合いが低くて、何、クマ、そんなものは森と余り関係ないんじゃないというふうな感じの受けとめ方をされる大臣が過去には多かったわけですけれども、今、世界の中における日本の位置づけというものを考えた場合に、やはり、森林がかくまでに多い国日本、そして絶滅品種に今やなりかけているクマ、こういうものの相関関係というものは非常に大事なところに来ていると思うので、ぜひともしっかり腰を落としての森林・林業再生プランであってほしい、そう思います。

 最後の質問になります。

 鳩山さんが、せんだって参議院の本会議で、「昨年の暮れに公表いたしました森林・林業再生プランに基づいて、例えば国産材によって住宅を整備、推進をしていくというようなこととか、あるいはバイオマス利用の促進など、新たな需要の開拓を進めていくこととしているところ」だ、こういうことを答弁されているわけですね。今も赤松大臣の方からそういう意味合いの話がありましたけれども、これは、言うのは簡単ですが、実際に進めていくのはなかなか難しいという感じがするわけです。

 きょう、この質問をするに当たっていろいろ資料を当たっていましたときに、たまたま二十四日の朝日新聞に、林野庁長官と菅副総理とのぶつかり合いみたいな、そういう記事が紹介されていたんです。それは、御存じかと思いますけれども、林野庁長官が、木材の需要がないというふうな観点で、自給率五〇%の目標に難色を示したという指摘があって、それに対して菅さんが、需要の問題ではないと言ったやりとりが紹介されていたんですけれども、今の時点でいうと、林野庁長官の発言の方が現実的な感じがするわけで、なかなか、木材の需要に対して、今、日本全体がそういう空気がないという指摘があるわけですね。

 舟山農水大臣政務官も、再生プランの説明のために高知県南国市へ行ったときの模様を紹介した記事の中に、製材の需要が停滞している、担い手の高齢化も進んで、若者が定着しないと将来林業が成り立たなくなるといった現場の声を紹介している、そういう記事も見ました。私の住んでいる兵庫でも、いろいろ関係者に聞いたら、林業をめぐる状況というのは全く同じというわけですね。

 そういう点で、再生プランにおけるところの、経営意欲のある者への集中化の促進策を導入する、こうあるわけですけれども、仮にその集中化された企業が需要がなくてつぶれると、そういう地域の林業は今よりもかえって悪くなる、こういうことも予測できるわけです。

 そういった観点で、総理が言うところの、また今農水大臣が言われた、新たな需要というものをこれからどう生み出していくのか、このことについて、ぜひ、こういう角度でやりたいというのを聞かせていただきたいと思います。

赤松国務大臣 少し誤解がないように言っておきますが、島田林野庁長官も別に後ろ向きになっているわけじゃなくて、菅さんが、何としても直ちに五〇%実現のための具体策を出せみたいなことで言ったときに、非常に慎重な性格なので、そういう言い回しになったんだろうと思います。

 林野庁も含めて今農水省の中で相談しておりますのは、とにかく今まで川上の整備も余りやってこなかった、委員御指摘のとおりですね。それは、今度は路網の整備やあるいは作業道、間伐してもそれを切り出してこない、山にほったらかしというような状況をきちっと整備してやっていこうと。

 もう一つは、これは午前中の議論でも出たんですけれども、プレハブ業者やハウス業者は、いやいや、国内産材があれば使うんだ、ただ、それはちゃんと安定的に来ないからおれらは使わないんだと。これは少し言いわけになっているところも実はあるんですけれども、そうだとすれば、やはり川下の方の、木材を買ってくれるところ、木材を使っていただけるところ、そこをしっかり応援していけるような、あるいは受け入れ先をきちっと広げていけるような、そういう方策が必要だろうということで、今回、この通常国会でも、公共施設における木材利用促進というような法律を出します。

 これは、ボリュームでいったら、民間住宅が使っていただくのがもちろん一番いいんですけれども、ただ、こういう景気状況ですから、民間住宅建てましょう、使ってくださいといっても、なかなか進まない。今まではそういう状態だったんですが、では、今度はまず隗から始めよで、少なくとも役所の、地方の出先の建物なんというのは、そんな七階、八階の鉄筋のビルじゃありませんから、せいぜいみんな三階以下ですから、少なくともまず役所の建物から、でき得れば学校や、そして国や地方自治体がかかわるような社会福祉施設だとか、そういうところからまずやっていこうじゃないかということで、その促進法を今通常国会でも出させていただいて、それがまた民間に対する刺激にもなり、民間住宅でもどんどんと国内産の木材を使っていただけるようにしていこうということで、今回、法律も出させていただく予定でございます。

赤松(正)分科員 最後に、ともかく今回の水害で亡くなられた人たちの命を無駄にしないためにも、ぜひとも、冒頭で申し上げました、立ち木が流木になってしまったということの調査、これを林野庁としてもしっかり取り組んで、先ほど私が言ったところはまだ全く工事の手がつけられていなかったということもありますので、早急にしっかりと現地に幹部は足を運んでいただいて、そういう現状の調査をしっかり進めていただいて、そして二度と再びこういうことが起こらないような対策をとっていただきたいということを強調いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

豊田主査代理 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)分科員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、赤松農林水産大臣に質問させていただきます。

 昨年十二月二十二日、大臣は、今後国営事業としては水源確保のための新たなダム建設は行わないと談話を発表いたしました。なぜそのような結論に至ったのか、最初にお伺いをしたいと思います。

赤松国務大臣 私どもは、戦後、多くの農業者の方たちからの、あるいは地域からの強い要請によって農業用ダムを建設してまいりました。今、まだ完成しておらない部分も含めて約百九十ありますけれども、郡司副大臣を中心にしながら、一回、この百九十の利用実態はどうなのか、あるいは、中には、水がたまらないとか、水を満杯にしたら崩れちゃうから満杯にできないとか、そういうところも幾つか新聞紙上をにぎわすようなダムもあるものですから、全体の調査をしてもらいました。

 四十四のダムが問題ありというふうになったのと、それから、コンクリートから人へというこの三党連立内閣の一つの方向、それを実現するためには、できるだけこうした大規模なダムに頼らない、そしてまた、水需要については否定をするわけじゃありませんけれども、もう少し小規模な用水等でそれができないのか、あるいは、農業用だけでももう百九十もつくってきたわけですから、つくるべきところは正直言ってほぼつくっちゃったということですので、今後は、水の需要予測をするといってもなかなか難しいですし、そういう意味でいえば、新規のダムは、農林水産省に限っては、一部島嶼部は除きますけれども、つくらないということを私の決断で決めさせていただきました。

 ただ、今後、県営でつくるとか、先ほど言ったように、小規模な用水でもってそれにかえるとかいうことについてまで否定しているわけではございませんので、その辺は誤解のないようにお願い申し上げたいと思っております。

中島(隆)分科員 大臣が新たなダム建設を行わないと発表したその日でございますが、農林省所管のただいまお話がありましたように百九十のダム、総点検した結果が公表されております。

 それによりますと、建設中の十五ダムのうち九ダム、率にすると六〇%、完成している百七十五ダムのうち三十六ダム、こちらは率にして二一%でございます。問題を抱えていることが明らかになりました。

 この点検の結果をどのように評価されているのか。今回の点検を中心に担ってこられました郡司副大臣にお尋ねいたします。

郡司副大臣 百九十のダムについて点検をさせていただいて、今御指摘のように、四十四のダムが何かしらの問題があるということになりました。

 建設中のものについて比率が高いというのは、逆に申し上げれば、完成という形がとれずにいるということが含まれるということにもなろうかというふうに思っておりまして、この中で、技術的な課題に先ほど大臣からありましたような問題があるものが二つ、それから、地元の調整というものが問題だということが一つございますし、それ以外、国交省の共管でつくっているところのダムが二つなど、いろいろな問題があります。

 さらに、ダムそのものの機能は完成をしたけれども、当初の計画どおりに使われていない、一定の比率以下の利用についてというところについても問題がある、これが三十六というような形のダムになりましたけれども、一部重複をしておりますので、ダムの数としては三十五というようなことを四十四の中で分類をさせていただいたところであります。

 今後、特にその三十六の部分につきましては、関連の事業等がまだ未完のものがございますのでそれらを行う、あるいはまた、他用途の目的に供することができるものについてはそのような形にも有効に使っていこう、そして、問題の、技術的になかなか解決がされていない、あるいはまた地元住民との調整が終わっていない、ここのところについては、現地に出向くなどして地元の意向を十分にお聞きをしながら、一つ一つ確実にそのダムの進行というものを私どもの方で責任を持ちながらやっていきたい。そのように思っているところでもございます。

中島(隆)分科員 私は、今お話しありました総点検の結果は大変深刻なものだと受けとめております。もちろん、結果はこれまでの農業土木事業の政策の誤りであって、私たちにとっては負の遺産だと言わなければならないと思います。

 特に、この一覧表を見させていただきましたが、北海道の東郷ダム、これは完成して十七年たつわけでありますが、水が全くたまっていないという状況であります。それから、私の地元であります熊本県の大蘇ダム、これも、完成から六年が経過しようとしていますが、水漏れでほとんど使えない、こういう状況にございます。

 これらは欠陥ダム、欠陥事業の典型ですけれども、さらに驚くべきなのは、完成済みの百七十五ダムのうち、水の利用が低いと判断されたダムが三十に上っているわけです。事業費が六百一億円をかけた北海道の美生ダム、これは、利用率は今言いましたゼロ。そして、同じく総事業費五百三億円、これは青森県の世増ダムというダムですが、利用率が〇・三%。巨額の税金を投入しながら利用率が一〇%に満たないダムが四つも存在をしています。

 本来、農家から需要があってつくられた農業ダムでありますし、かんがい事業のはずが、農家に必要とされていない。なぜ多くのダムがこのように取水率が低いままになっているのか。その原因についてお答えいただきたいと思います。

郡司副大臣 大変に御指摘をいただいたような結果を生んでおります。私ども、新しい政権になりまして、本当にいろいろな問題があるんだということを痛感いたしまして、先ほど申し上げたような総点検を行ってまいりました。

 つまり、当初の段階の完成後の利用の計画というものが本当にどれほどの正確さをもって行われていたのかということもありましょうし、先ほど大臣から言われましたように、おおむね完了をしたという発言がございましたけれども、だとすると、今現在のものについては、なかなか難しい条件がそもそもありながら建設に着工をしたのではないか。

 そのようなところも含めて、これは私どもは、前政権のことだからということではなくて、まさに国の行ってきた事業として反省すべきは反省をし、結論として、先ほど大臣が申し上げたように、今後国としてはもうダムはつくらない、そのような結論に立ち至ったわけであります。

 特に、機能としては十分に備えていながら水の利用がほとんどされていないというところもあるものでございますから、これを、今からなぜつくったんだということももちろん大事なことかもしれませんけれども、では、それ以外の目的のために何か有効に使えることはないのか。そのような形でもって他用途の利用というものを考える中で、これまで投入をした税金の無駄というものをできるだけ少なくするようなことの努力をするように、私どもの方ではその方向で今検討をさせていただきたいなと思っております。

中島(隆)分科員 今お話がありましたように、前政権の問題点、あるいは利用率の見通し、これは非常に不十分であったというふうに私も思うんですが、それ以上に、今のは使用率を言いましたけれども、末端の施設率、県営事業あるいは土地改良が行うこの事業、五〇%以下のところがほとんどですね。そして、施設率がほとんど二〇―三〇%です。しかもその中に、末端の施設は当然県営事業ですから、土地改良、農家が一緒になってやる施設、それを、国営事業では末端施設を行っているところが十カ所もあるんです。ここでも利用率が五〇%以下。

 ということは、もう先ほど言いましたように、農家が実際水利用を本当にこの事業で賛同していたのかどうかと非常に疑われるわけですね。こういう結果があります。

 それともう一つは、これは大変驚くことです。ある報道でされておりましたが、青森県の世増ダムというところです。県営事業で末端パイプラインが、給水栓、給水するための栓をつけるんですが、この同意を得られずに、結果的には、その給水スタンドを、末端ができないから、要所にガソリンスタンドのように六十八カ所のスタンドをつくって、そしてそこから水をくんで利用する、こういう施設になっているようです。ということは、全くダムだけでやって、国営事業だけが進んで、末端がほとんどできていない。しかも、その給水スタンドからはほとんど農家が使っていない。こんな無駄なダムがあるわけです。

 ですから、本当にこれをもっと検証していただいて、受益者が本当に求めたダムであるのかどうか、やはりそういう点が非常に問題であるというふうに私は思っております。

 そこで、具体的に事例を挙げてもう一つ御質問したいと思うんです。宮崎県に尾鈴地区の国営かんがい排水事業があります。これは切原ダムということですけれども、この事業は、国営事業分については、一九九六年に必要な農家の同意を取得してダム建設が進められています。県営の末端事業については、十地区あるんですが、そのうちの一地区しか必要な農家の同意がとれていない。ある地域では、対象農家が百九十二戸あるのが、百三十七戸が反対、七一%ですね。こういう状況でございます。

 そこで、その切原ダムを、農水省総点検で、県、関係町村の意向を再確認し、国営事業について所要のコストダウンを図った上で早期に完了するという今後の対策を立てておられるんです。こういう方針を出されているんですが、必要な農家の同意が十地区のうち一地区しかとれていない、こういう状況の中で、所要のコストダウンでどのような形で今後また進められるのか。その点をちょっと伺いたい。

郡司副大臣 委員も当然御承知のことでございまして、国交省のダム、例えば農水省のダム、これは最初のつくり方が違うということは御存じのとおりでございまして、農水省のダムに関しましては、地元住民の合意があって初めて計画され、工事を行う、このような形になっているところでございます。

 この切原ダムの関係でございます。尾鈴地区の畑地かんがい事業でございますけれども、国営事業の関係につきましては、私どもさかのぼって調べましたところ、平成五年の九月に、同意をとりつけるというようなことが行われました。ただし、その際に、これも御案内のように、一部誤解を与えるような説明があったのではないかということでございましたけれども、平成八年の六月に、改めてその部分について県営の事業については同意をとりつけ、そして、今回のことに関して申し上げれば、本事業に関連をする県営事業について、一部農家から反対の声が上がっているということは承知をしております。

 一方で、畑地かんがいの推進を求めているというような声も多く寄せられておりまして、宮崎の県あるいはその知事も含めまして、昨年の九月議会において、県営事業の推進を表明しているところでございます。

 したがいまして、私どもの農業用の土地改良等の進め方からすれば、地元の合意が七割以上の今回の場合には、検討してそのような形をとっているという報告でございますので、だとすれば、これまでのところからすれば、その事業を進めるということについて、進める上での瑕疵というものは今のところ表面上見当たらないことになります。

 そして、コストの問題というのは、これは当たり前のこととして、これからこうした事業を行うことについては当然のようにコスト減を図っていくということでございまして、私どもで進める際には、そのようなことを前提として進めるということでこのような表現にさせていただいたということでございます。

中島(隆)分科員 この尾鈴地区のかんがい事業ですけれども、特に、先ほどおっしゃいました、農家の三分の二の同意がある、こういうことですけれども、国営については仮同意という形でとられているわけです。そのときに、今おっしゃったように、今回の国営事業の同意が県営事業の同意を強制するものではありません、こういうことを町の方が農家の方々に周知をした。ビラを配りながら同意をとられている。ということは、県営事業についてはまだ先のことだ、だから、国営事業についてはそういう強制をしないから同意をという形で三分の二をとられているわけですね。

 ですから、こういう取得のやり方がどうなのか。今そういう手法を使ってとられたということ、これについてはどういうお考えでしょうか。

郡司副大臣 先ほど申し上げましたように、平成五年の九月に国営事業の同意をとりつけるという際に、御指摘がありましたように、国営事業の同意が県営事業の同意を強制するものではないという、農家に誤解を与えるような説明が行われたということを私どもも承知をしております。

 そのことについて、その後の展開として、先ほど申し上げましたけれども、平成八年の六月の段階で、ちょっと長いですけれども読ませていただきますれば、その部分に関して、「なお、末端の配水施設については、後日国営関連の県営事業等において施行することとしており、給水栓以降の散水施設(スプリンクラー等)については、その時点で設置時機を選択していただくことになります。」という形で一応その誤解を解くような努力をしたんだ、このような報告も受けているところでございます。

 委員から御指摘がありましたように、当初、誤解を招くような表現というものがどのような思いで出されたかということについて、今は推しはかることしかできないわけでありますけれども、そのような経過があったということは、事実として私どもも承知をしておるところでございます。

中島(隆)分科員 特に、このような国営と県営事業一体となった事業をされるときに、国営事業と県営事業、別々にこの同意をとられる、前段では国営事業の同意をとるわけですけれども、かんがい事業というのは、ダムをつくり、末端の施設をつくって初めて利用できるというシステムですから、当然、同時にとって、水利用を見通しをしながらつくるというのがやはりこういう事業でなければならぬと思うんですが、別々にとっておられる今のシステム、これについての問題点をどうお考えでしょうか。

郡司副大臣 両方からとらえることができる、非常に微妙な問題ではないかなというふうに思っておりまして、国営事業とそれから県営の関連事業というものがおおよそどのぐらいの年月の差が生ずるかということになりますと、平均的な数字を出しているわけではありませんけれども、五年、十年、あるいは十余年を超えるような期間がかかるという工事のものがございまして、逆に、一度で両方のものをとってしまったということについての批判というものもある意味では出てくる可能性があるのではないかというふうに思っておりまして、これまでのところは、地区を分割して順次事業の実施をする場合が多い。

 その場合には、同意について同時に行うということかどうか、それぞれの地域で判断をしておりまして、一概にこのような形で行うと決めているわけではないということでございます。

 したがいまして、今後、今御指摘がございましたような工事について、国としての想定をする工事は今後はございませんので、今回のことについて正しかったのかどうか、もう一度それぞれの意見をお聞きしながら点検はしたいというふうに思っておりますが、流れとしてそのような事実が各地にあることも事実だということでございます。

中島(隆)分科員 それともう一つ、この尾鈴地区で問題があるのは、先ほども少しありましたけれども、国営事業は三分の二以上同意をとって着工したわけですが、この県営事業を行うときに、同意をとるときに選択方式というのを使われて、水を利用する人は同意いただきたいし、利用いただかない方は、負担金は要らぬけれども同意してくれ、こういう選択方式をとられて同意をされた。

 ところが、それで同意が進まぬものですから、今度は選択方式じゃなくて開閉栓方式、要するに、使うときにはとれるけれども、あとは使わぬなら閉めておけばいい、これでどうかという形の、また再度県と町の職員が全農家を回って、やっと三分の二をとれた。こういう同意のとり方をされているわけですね。ですから、本当にここの地区の事業が、余りにも農家の水利用の同意、これが全く不徹底でダムをつくりに向かっている、こういうような状況ではないかというふうに思うんですね。

 そういう中で、先ほど言いました。改良コストを下げてこれはまだ進む方向だ、地元からは推進ということで出ているということでありますけれども、本当に、こういう同意のとり方で進められている、これについてどういうふうにお考えでしょうか。

郡司副大臣 事実でございますので申し上げますと、十九日でございましたけれども、宮崎の知事が私のところを訪ねてくださいました。そして、この地域はもともと、先ほどのダムそのものも、利用率が低いところは畑地かんがいというところが多い。この地域もそのような地域でございまして、全体を見ると、やはり、新しく水を使うことによってこれまでと違った農業をすることができる、そのことによって付加価値をつけて所得を上げてというような思いを持っている方々もたくさんいるので、何とか全体として進めてほしいというような県からの要請を受けたところでございます。

 したがいまして、私どもとすると、先ほど申し上げましたように、私どものこの事業というものは、地元の方の合意があって初めて行うという形をとっており、その地元の合意を責任を持って行う知事からの要請というものはそれなりに重く受けとめざるを得ないのではないか、そのようにも思っているところでございまして、先ほどお聞きをいたしました開閉栓方式というものがどうなのだということになりますれば、これもまた地域によっていろいろな方法でやっているところもございます。水の使いが始まるまでというような形でとどまっている例もございますし、いろいろな形があるものでございますから、一概にそのことをもって、よくない、あるいは、その一つの地区とそれから全体のバランスということとどのように判断するかということは、私どもとしては、今のところ、県の判断を尊重するという形をとらさせていただいているところでございます。

中島(隆)分科員 地元の知事、それから三町が陳情に来られて要望をされているということでありますが、先ほど、前段に言いましたように、末端施設、県営事業に対して十地区のうち一地区しかまだとれていない。そして反対している住民もおられるわけですから、ぜひ、そういう地域の農家の人の同意を十分見きわめた上で、今後ひとつ慎重にこの問題は進めていただきたいと思います。

 この問題で最後に大臣にお尋ねしたいと思うんですが、今回、大臣が新たな農業ダムの建設中止を打ち出されたことについては画期的だというふうに私は思います。前政権までのこの政策の誤りの責任を今後新政権が負わなきゃならないわけでありますが、新たなダム建設の中止にとどまらず、建設中あるいは既存の農業ダムについても、大胆にやはり見直していく必要があると思います。

 特に、建設中のダムについては、国土交通省がダムによらない治水の見直しを指針も出して取り組んでいるわけですから、ぜひひとつ農業ダムについても、既設のものについて、あるいは建設中のもの、これについてもひとつ十分見直しを取り組んでいただきたいと思いますが、大臣、決意をお願いいたします。

赤松国務大臣 私ども農水省が、明確に、新規のダムはつくらない、緑のダム構想をまさに実践的にやっていこうということでございまして、国交省の場合はずっと規模が大きいものですから、一概に全部ダムをつくらないとはなかなか大臣も言いにくいと思いますが、農業ダムの場合は比較的小規模のものが多いですし、それからまた、私どもは、今後の水需要を考えるときに、先ほども申し上げましたが、かんがい用水等で十分それは対応できるという考えのもとにこういう方向を出させていただきました。

 先生地元の大蘇ダムを初めとして、私どもとしては本当は言い分はあります、もともとそんな火山灰でやったら水が漏れるのは当たり前のことで、よくこんなものを設計したなと言いたい気持ちはありますが、しかし、政権交代の中で、負の遺産であっても、それはやはり行政の継続性として後始末はきちっとしなきゃいけないというつもりで、多分三月には正式にこういう形で対応したいということもきちっと出して、大分県、熊本県の皆さん方にも御了解をいただければそれできちっとやるべきことはやっていくという、そういう形でスタートをさせていきたいと思っております。

 ほかのダムについても同様な形で、もう既にできてしまっているもの、あるいはほぼ完成しているもの等についても、いろいろな欠陥があるものについては、どう対応するかもきちっと示して、今後の方向を御納得をしていただける方向で示していきたい、このように思っております。

中島(隆)分科員 農業ダムは小さいと言われておりますが、この計画を見てみますと、百七十五ダムの総事業費が三兆三千億です。それから、残された十五ダムの総事業費があと八千億。もう既に三兆円は使われているんですね。やはりそういうダムがまだ残っているわけで、ぜひひとつ慎重に十分見直しをしていただきたいと思います。

 時間が経過しておりますので、最後の質問をまとめて一言で質問させていただきたいと思います。

 これは、川辺川の土地改良事業で、相良地域の柳瀬西溝と飛行場用水路地区からこの利水事業に反対という決議がされまして、相良村も当初は参加をしていましたが、離脱をしました。そしてまた参加を表明して、村がそのアンケートをしました。ところが、半数にも満たないという結果になったわけです。そこで、きのうの地元紙で出たんですが、相良の徳田村長が、この結果を踏まえて、利水事業から柳瀬西溝、飛行場用水路は除外するという表明をしたんです。

 これについて、これまで町が行った調査結果も含めて、こういう状況に至っているところ、どういうふうにお考えか。

郡司副大臣 昨日の記事が出たということについて、まだ実際読ませていただいていないというところがございまして大変恐縮でございますけれども、今御指摘がありましたように、相良村のうち柳瀬西溝及び飛行場用水路掛りの二地区におきまして、離脱をしたいということを村の方に申し出、そして村の方もそれを了解した、このようなことではないかなというふうに思っております。

 この関係につきましては、川辺川ダムが一応あのような方針が出されてまして、それ以降の水の問題について、受益六団体、六市町村が協議をしているというようなことで認識をしておりまして、このことを受けまして、今後、この六受益者団体の中で協議がされるんだろうというふうに思っております。私どもの方にも改めて報告が来るだろうというふうに思っておりまして、その報告を受けた後に、具体的には、また私どもの方の考え方というものを整理するということになろうかと思っております。

 これまでの経過を含めまして、ここに至った地域の皆様方の決断というものも大変に重いものがありますし、相良の村としても、これまでの経過を踏まえると大変に重い決断をしたのだというふうにも思っておりまして、十分に事実関係を調べた後、検討させていただきたいと思っております。

中島(隆)分科員 質問は終わりますが、最後にこの件についてお願いですが、先ほどありましたように、これは、川辺川ダムを建設するその前提として、農業利水、国営事業が計画されたものですね。しかし、二〇〇三年、御承知のとおり、利水裁判で国が敗訴しています。これは、同意が非常に適格性を欠いたということで敗訴しているんです。その地域であって新たな農業利水の計画をされた後のまた計画です。その中でまたこの地域が半数にも満たない。それはなぜかというと、旧配水路、今言いました柳瀬西溝、飛行場配水、これは非常に歴史は古いんですが、これを補修すれば使えると地元は言っているんですね。

 ですから、やはりそういう地域もあるわけですから、ぜひ地元の意向を踏まえて、そして、村が撤退をするということは新たな事業が当然また減るわけですから、当然見直さないかぬわけです。ぜひひとつ、地元の市町村、農家と十分協議を把握していただいて、水が要るところは引かないかぬわけですけれども、やはり、そういう補修でできるところは財源が安く済むわけですので、ぜひその方向で対処していただきたいと思います。

 以上で終わります。

豊田主査代理 これにて中島隆利君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西孝典君。

大西(孝)分科員 民主党の大西孝典でございます。

 深夜までお疲れさまでございます。私は、当選して初めての質問でございますので、委員長初め大臣、副大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、我が新内閣がこの日本の国土や環境を守っていく、あるいは日本の、再生可能な唯一の資源である林業、木材を守っていく、そういう新政権の政策につきまして御質問を申し上げたいと考えております。

 民主党は、以前は都市型政党ではないかというふうに言われておった時期もあったと思います。しかしながら、野党時代から、一次産業、農業、林業あるいは漁業の将来について地道に政策を積み上げてきたわけですけれども、林業につきましては、今回、森林・林業再生プランということで、今までの政権がなかなか取り上げなかった、そういう新しい発想で日本の林材業を守っていく、そういう観点から政策を進めていただいておりますことを非常に心強く思っております。

 私自身は、奈良の吉野郡の山中で生まれ育ちまして、家業も林業、木材業を専業としておりました。私自身も、二十代は家業に専念をしておりましたので、現場に参画をしたことがある数少ない国会議員の一人として、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 この森林・林業再生プランでは特に、外材と対抗して日本の林業を守っていく、そのためにコストダウンを図っていくということで、高密度な路網を着実に建設していくということを大きなテーマにされております。

 そこでお尋ねなんですけれども、一口に山林地帯、林業地帯といいましても、地形的にもいろいろな条件が違ってまいります。私どもの奈良県のように、非常に急峻な山脈が続いて、なかなか林道、作業道等の設置が難しいというふうなところもあれば、あるいは比較的なだらかな山地で、そういう道路も結構安く入れていけるようなところもあるというふうな違いが全国であると思います。

 そういった観点から、この路網の整備についても、特に作業道等につきましても、全国一律の基準というか、そういうもので路網整備をやっていくのではなしに、その地その地に適応したそういう基準をつくっていっていただいて、いわゆる同じ規格の作業道であっても、地域によってはその建設費が違うということもあると思います。そういうことで、きめの細かい路網整備の支援をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。

    〔豊田主査代理退席、主査着席〕

郡司副大臣 大西委員のふるさとにもお邪魔をさせていただきまして、いろいろな話を伺ったこともございました。したがいまして、その思いというものも十分に理解をしながら、これからの答弁もさせていただきたいというふうに思いますけれども、御存じのように、私たちの国の場合には、路網整備について幾つかの分け方をしております。

 例えば林道の場合には、その規格というものを国の方で定めて、その規格に従ってつくるというような形になっている。また一方、作業道のところにつきましては、都道府県が定めるような決まりということになっておりまして、都道府県段階での工程基準というものがつくられているところでございます。

 先ほど御指摘をいただきましたように、今般、森林・林業再生プラン推進本部というものを、一月の二十一日だと思いますけれども設置いたしまして、さらにその中で、具体的な作業を行うに当たっての五つの委員会というものをつくらせていただいた中の一つが路網・作業システム検討委員会でございます。この中で、今御指摘がございましたような、地域の条件に応じた路網作設技術の確立等を含めまして、路網整備のあり方について総合的な検討を行っているところでございまして、今御指摘のような思いのもとで、これからの委員会作業を進めていくつもりでございます。

大西(孝)分科員 その路網・作業システム検討委員会で、四月の初旬に私どものふるさとの方に視察に来ていただくということも聞いておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 作業道を整備していく上で、そこにアクセスするための既存の一般林道というのがあるわけですけれども、この一般林道が、近年の台風災害とか大規模な自然災害で大きな被害を受けている箇所が私どもの地元の吉野郡にもございます。災害によっては激甚災害指定等も受けられるんですけれども、そういったものが受けることができずに、その林道を復旧するのに何億円というふうな非常に高額な費用がかかるということで、それを復旧することについて二の足を踏んでいる自治体もございます。

 林道の場合は、山村の場合、なかなか幹線以外に迂回路がないものですから、林道が生活道の迂回路になっているというふうな事実もございます。

 こういうふうな大規模災害で、非常に復旧が、地元の自治体としても国や県に対してなかなか言い出しにくいというふうなことにつきまして、路網整備を進めていく上においても、そういう大災害に遭った林道の復旧について、ぜひ支援をしていただくようにお願いをしたいと思うんですけれども、いかがでございますか。

郡司副大臣 災害に遭われて、作業道その他が損壊をしているというようなことが多く起きているんだろうというふうには思っております。問題は、そこで、作業道については災害復旧事業の対象となっていないということから、それぞれの地域がお困りだということの御指摘だろうというふうに思っております。

 このため、平成十九年度から、開設後三年以上を経過した作業道につきましては、切り土、盛り土のほか、路盤の改良、排水の改良等について、国庫補助により実施をすることが可能というような形になっております。

 そのようなことを行いながら、一方では、これまで、先ほど申し上げました路網の作設等について、全国的な基準、地域に合った作設の方法というものを一般化することによりまして、より強固な路網、作業道の整備ができるようなこともあわせて行っていかなければいけないんだろう、そのように思っているところでもございます。

大西(孝)分科員 そのお答えは次の質問でいただくつもりだったんですけれども、今おっしゃっていただいた作業道については、今までそういう災害復旧とか維持管理の補助金が出なかったということでありましたけれども、これから森林・林業再生プランが目指す作業道というのは、ある程度長期間の使用に耐え得る道路であるというふうに私は認識しております。そういう観点から、今副大臣おっしゃっていただきましたように、それに対する災害復旧等についての支援をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 先ほどの質問に戻るんですけれども、私が申し上げましたのは、いわゆる林道そのものの災害復旧。大規模災害については、私なんかが地元で聞きますには、何億というふうな高額の災害復旧というのはなかなか言い出しにくい、林道の災害復旧という形でお願いすると、その瞬間、それはできませんよと言われてしまいかねない。

 それで、河川沿いの林道であれば河川事業とか、あるいは山の方の、地すべり等があれば国交省の砂防事業を組み合わせるとか、そういった種類でやっていくことができるのかなというふうに思っておるんですけれども、そういう際に、その調整役というのがやはり必要だと思うんです。

 そういう観点から、その辺のところを国の方でというか、農林省、林野庁さんの方でそういう調整等を果たしていただくような支援をぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

郡司副大臣 先ほどの作業道と違って林道の場合だというようなことでございまして、この林道については、林道を含む山林が大きく崩壊をした場合において林道施設災害復旧事業の対象ということになっております。ただ、条件がありますのは、一カ所四十万円以上の工事になるだろうと。一カ所四十万円というのは、大体のところについて、今の前提を申し上げれば該当するわけでございまして、おおよそ該当するだろう。

 そしてもう一つの問題は、いろいろな省庁、国交省とかにまたがるものがあるだろうというようなことがございまして、重複するおそれがある大規模な災害の場合につきましては、各所管の省庁の災害復旧事業を調整の上で行うというような仕組みができておりますので、今御心配をいただいたような形をきちんととらせていただけるというふうに思っております。

大西(孝)分科員 どうもありがとうございます。

 私どもの地元では、まだ路網がほとんど不十分であるのと、それと、なかなか人手不足で木を出す人がいないというふうなことがありまして、ヘリコプター集材というのが主力になっております。しかしながら、ヘリコプター集材の場合は、地元にその出材費が落ちずにヘリコプター会社に落ちてしまうというふうなこともありますし、それから、安易にそれをし過ぎますと、いわゆる道路整備、路網整備がおくれてくるというジレンマがあるんです。

 しかしながら、どうしてもやはり、なかなかすぐには路網整備ができない、あるいはほぼ不可能に近いといったところのそういう地区等については、いわゆる木材機械、新しい木材機械というふうな観点で、ヘリコプター出材についても補助金対象にしていただきたいというふうな地元の要望があるんですけれども、私としてもぜひ検討に値するのではないかと思いますが、いかがでございますでしょうか。

郡司副大臣 委員からも御指摘が今ございましたけれども、基本のところはできるだけ路網、作業道の整備をきちんと高密度で行っていく、しかも、これまでよりも強固で安全な路網の作設というものを、技術的にも開発といいますか広めていく、このようなことが前提になるだろうというふうに思っております。

 しかし、今の現状の中で、ヘリコプターによる集材というものが行われている地区があることも承知をしておりまして、この経費の一部を助成の対象としているところでございます。

 どのようなことについてということになりますと、チャーター料あるいは燃料費等が高く、割高になるところから、伐採の搬出経費、これが一般的には九千二百円でございますけれども、ヘリコプターを用いた例としては平均をすると二万五千四百円というようなことがございまして、できるだけ一般的な費用について負担をするというような形を今のところはとらせていただいております。

 いずれにしましても、冒頭申し上げましたけれども、これまでヘリコプター集材によりまして搬出をしていた地域におきましても、国としては、今後は路網の整備をきちんと行う中でできるだけ減らしていきたい、それまでの間については費用の平均的な額について負担をしている、このような現状でございます。

大西(孝)分科員 ありがとうございます。

 次に、もう既に行われておる、外材に対抗するために低コストで生産した木材を流通させていくという、いわゆる新生産システムについて質問をさせていただきます。

 私の地元にも製材業者さんが多数いらっしゃるんですけれども、そういう方々のお話を聞いておりますと、この新生産システムというのは、販売先というのは大手の住宅メーカーとかそういったところを対象にして、外材に対抗し得る値段で国産材を供給することだというふうに私は認識しておるんですが、その住宅メーカー等が引き取らない二級品とかあるいは余った製品が一般市場に流れてきて、それが一般の製材業者と競合しておるというふうなことがあるようなんですね。

 それで、新生産システムの製材工場には相当高額な、あるいは相当な割合の補助金が使われておるわけでございまして、工場の減価償却とか、そういう財政的に国から支援を受けた業者とそうでない業者とが同じ土俵で勝負をするというのは、普通の民間の業者からすると不公平であるという思いが非常に強いというふうに私は地元で聞いておりますけれども、やはり、国が支援したそういう一部の企業が一般の木材業者の経営を圧迫するというふうなことはあってはならないことだと考えております。

 ぜひ公正な競争ができるようにすべきだと私は考えておりますけれども、いかがでございますでしょうか。

郡司副大臣 平成十八年から全国十一カ所を選定いたしまして、新生産システム事業というものを行っているところでございます。

 この目的は、大きなロットで安定的な木材供給体制を確立することによりまして、主に輸入木材を活用してきたハウスメーカー等に国産材の利用を促し、地域材の需要拡大を図っていこう、このようなことによりまして、森林所有者に利益を還元し、林業の再生を図るということが目的でございました。

 しかし、大西委員から、現実はそうではない部分もあるのではないかというような御指摘がございましたので、これらが現実にどのような形になっているかは、また改めて実態というものもこちらの方で把握をするように努力をしたいというふうに思っております。

 しかし、これまで、従来輸入木材を活用していた大手のハウスメーカーが国産材へシフトをするというような効果もあらわれているというふうに思っておりまして、一方、小さな規模の零細な製材工場等は、元来、大手のハウスメーカーとの取引ということではなくて、地元の地域の大工さんや工務店のところとの関係というものが強かったんではないか、そのようにも思っているところでございます。

 したがいまして、これら小規模な製材工場等に対しまして、森林所有者あるいは素材の生産者、製材工場あるいは住宅生産者までの関係者が一体となって、地域での住宅づくりの仕組み構築を推進することが重要と考えております。

 これらを通じて小規模零細な製材工場への支援も行ってまいりたいというふうに思っておりまして、若干でございますけれども、話し合いの経費でありますとか、乾燥するための施設でありますとか、あるいは、できますればプレカットが行えるようなところについても中小零細について支援を行っていきたいというふうに思っているところでございます。

大西(孝)分科員 ぜひ御検証をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 少し技術的なことになるんですけれども、今も出ましたけれども、木材というのはもともと自然乾燥で、山で乾燥させてきたんですね。それが最近は強制乾燥、いわゆる搬出をしてから製材所で強制乾燥するということが主流になってきました。

 これは、住宅メーカーが木材を使用するに当たって含水率を非常に重要視している。私の経験からしても、大体二〇%以内というのが一つの基準になっていると思うんですね。しかし、国産材の場合は、杉、ヒノキでも一本一本、海外の木に比べて個性があるものですから、どれだけ自然に乾燥させても二〇%以下にならないようなそういう木もあるのは事実なんです。

 このように、いわゆる含水率を基準にして部材を入れていくということになってきますと、本当に強制乾燥というのが正しいのかということを私は多少不安に思っておりまして、いわゆる自然乾燥に比べて、強制乾燥した場合に、材質への影響、材木というのはいわゆる繊維の塊みたいなものですから、その組織が破壊されていっているんではないかというような木材業者もおられます。

 ぜひ、自然乾燥とそれから強制乾燥、それぞれの材質や強度に対する影響というのを調べていただいて、強制乾燥というので材質が、家に使って長期もつために本当に大丈夫なのか、その検証をぜひしていただきたいと思うんですが、いかがでございますでしょうか。

郡司副大臣 これまでも、材質、乾燥をしたものあるいはしなかったものについての研究等がそれぞれ研究機関、大学等でも行われているというふうには思っております。ただ、大西委員が御指摘のような観点からということになりますれば、若干不十分な面があったのかもしれません。

 これまで、日本の古来の建築の工法として、いわゆるグリーン材というような形で使うことが多かった。それが結果としては大量に画一的な規格のもとでつくろうとするハウスメーカーの需要とマッチをしないというようなことが、国産材のシェアを低下させた一つの要因だということもございます。

 したがいまして、これからは地域の中で乾燥材をきちんとつくれるような施設を整備するべきだ、こういう意見があることもまた事実でございまして、いわばこだわりの家でありますとか、あるいは古来の方法でつくった日本の家というようなところに着目をする顧客というものももちろんこれからも出てまいりましょうし、一方で、建てやすさあるいは管理のしやすさ、そういうところから乾燥材というところにというメーカーもまた多くあるんだろうというふうに思っております。

 ただ、乾燥をする際には、当たり前のことでございますけれども、何がしか環境に対する負荷がかかるということは当たり前のことになるわけでございまして、どちらが生態系あるいは自然環境、温暖化に優しいかというようなことも、これからはもう一度見直す必要があるんだろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、今後とも研究あるいはデータの整備というものを進めてまいって、これからの日本の木の木材あるいは住宅のあり方ということに供していきたいというふうに思っております。

大西(孝)分科員 よろしくお願いいたします。

 次に、いわゆる造林資金と言われた融資の件につきまして御質問をいたします。

 現在は日本政策金融公庫になっておりますけれども、こちらからいわゆる森林組合を経由した融資のお金が延滞して、あるいは焦げついてきているという事実がございます。

 この造林資金というのは、私も二十数年前にお借りをして使わせていただいたこともありまして、幸い私は繰り上げ返済で、現在はもうないんですけれども、植えた山を担保として、最初の二十年は金利だけ、二十年以降は十年かけて元利均等返済という融資でございまして、山の場合はその担保が、成長していくに従って本来は担保価値がふえていくということですから、三十年たった段階では、仮に融資を返済できなくても担保で十分返済できるという融資だったんです。

 それで、そういうほとんど貸しても心配がないというふうな融資であったのが理由かどうかわかりませんけれども、私が聞きますのに、同じ公庫融資で農業とか漁業の融資については、保証協会とかそういう公的な保証をつけるというふうな仕組みがあったようなんですけれども、林業にはなかったというふうに聞いております。それはいかがでございますか。

郡司副大臣 今御指摘をいただきましたように、森林組合を経由しました公庫資金の森林所有者等への貸し付けについて、公的な保証は行われていないというのが実態でございます。

 この理由といいますのは、例えば同じ第一次産業に類しまする農業あるいは漁業については、それぞれの漁協の県連あるいは農協の県連、そしてそれが受け持つところの都道府県の信用基金協会というものが設置をされており、それに類する森林組合の基金協会というものが都道府県に設置をされていないというようなことから、今の御指摘のようなことになっているということでございます。

 なお、独立行政法人の農林漁業信用基金が直接保証を行うことはどうなんだというようなこともございまして、ただ、その場合に、同基金及び日本政策金融公庫が国からの出資金を原資としているわけでございまして、簡単に言えば、国に対して国が保証をするというような結果をもたらすことから、行われない、使えないというような判断をされているというふうに伺っております。

大西(孝)分科員 いわゆる借り手の自己破産等で、森林組合自身に公庫返済できないという借り手が多数出てきておるというふうな実態がありまして、公庫自身は森林組合に貸している、森林組合がそれを利用者に転貸しているということでありますから、公庫は返済を森林組合に求めるだけなんですね。

 ですから、そこから先のことについては全く関心がないというか関係がないということでありますけれども、先ほど申し上げたような、そういう公的保証制度が完備されていなかったということとか、あるいは、もともとの造林資金ができた当時の時代背景なんかも考えても、いわゆる貸し手責任を森林組合だけに問うのは非常に酷なんではないかというふうに私は考えております。ひいては、本当に森林組合の破産とかあるいは解散とかというふうなことにつながっていくこともあり得るわけで、やはり公庫の貸し手としての責任も私はあるんではないかというふうに考えております。

 そういった意味で、いわゆる森林組合を経由した融資というのは今はもうないようですけれども、これまでのそういう組合を経由した融資についても、公庫からの直貸しに変更するとか、あるいは担保として差し出している山林がいわゆる担保力が少なくなっていてもその部分については免除するとか、そういう方策をぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。

郡司副大臣 現状の中で大変難しい宿題をいただいているなというふうに思っておりまして、転貸については、御存じのように、債権者と債務者双方が話し合いをすることが原則ということになりまして、なかなかその間に行政が入り込むというのは難しいものがあるということは御案内のとおりだろうというふうに思っております。

 現実のところとして、現在は転貸というものは行われておりませんで、公庫から林業者へ直接貸し付けを行っているところでございます。森林組合がリスクを負うことはなくなってきているというものの、結果としては役員等の個人のところの負担が多くなってきているというのも現状でございます。

 したがいまして、直ちに妙案が浮かぶということではないわけでありますけれども、これからの林業を再生する、森林を生かしていこうということにつきましては、まさに百年に一度の宝の山を前にしている、そういうことの時代になってきているかというふうに思いますので、そのための融資という問題が一つの問題であるということを認識して、検討させていただきたいというふうに思っております。

大西(孝)分科員 時間が来ましたので、通告をさせていただいた質問すべてできなかったんですけれども、地球温暖化対策にとってもこの林業、木材業というのは非常に大事なことでございまして、そして、バイオマス発電等、自然エネルギー以外では本当に唯一再生産可能な資源でありエネルギーであるのが森林、木材でございます。そういう産業を、あるいは自然をきっちりと守っていくということを、赤松大臣、ぜひよろしくお願いいたします。私たちも議員としてしっかり支えさせていただきます。

赤松国務大臣 委員は、本当に林業、製材業界唯一のと言ってもいい立場で国会に出てこられました。そういう意味で、これからも業界発展のために、そしてまた本当に日本の森林、林業を守るために先頭で頑張っていただきますように、御期待申し上げたいと思っております。

 私ども、また一生懸命に、森林再生プランに従って、川下そして川上、この整備のために全力を尽くすことをお約束して、答弁にしたいと思っております。どうぞ頑張ってください。

大西(孝)分科員 どうもありがとうございました。終わります。

山口主査 これにて大西孝典君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井分科員 日本共産党の笠井亮です。

 もう二十一時半を過ぎましたが、きょう最後の質問ということでさせていただきます。

 まず、東京の中央卸売市場、築地市場の移転問題について伺いたいと思います。

 この築地市場は、世界最大の水産物市場ということで、もう言うまでもありません。世界の築地ということも言われますし、都民の台所として大きな役割を果たしているというところだと思います。東京都は、この築地市場を土壌汚染が深刻な江東区の豊洲へ二〇一四年度中にということで移転しようとしておりまして、都民の批判が広がっております。

 この問題は、国会でも何度も議論がされてまいりました。そして私も、二〇〇七年の十一月に、当時、自公政権時代ですが、質問主意書も出しました。そして、一昨年の五月には委員会質疑も行ってまいりました。

 そこで、まず初めに、赤松農林水産大臣に伺いますが、大臣は昨年の九月十七日、大臣就任に当たっての記者会見で、前任の大臣との引き継ぎに触れながら、ダイオキシンが何千倍、何万倍なんというところに、きちんとした土地改良をやったにしても、その結果が本人にとって、あるいは国民にとって安全なものということが自分自身が納得できなければ絶対にサインをしないというふうに言われました。九月の二十四日、築地市場を大臣が視察された折にも、安全が確認をできて、私自身が納得できなければ絶対にサインはしないというふうに述べられております。私、大事な御発言だと思うんです。

 そこで大臣、食の安全や安心に対する国民の関心や期待が高い中で、食品流通の中心にある卸売市場を預かる大臣の発言として、当然だが見識ある発言だと思うわけですけれども、この問題への基本的な姿勢に変わりはないと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

赤松国務大臣 御評価もいただいたようでございますけれども、私は当然のことを申し上げているというつもりでございます。

 今もお話ありましたように、食を扱う、しかも日本を代表する中央卸売市場でございますから、その移転先が安全上問題があるとすれば、これは法にも明記をされておりますけれども、それを認める者として、安全がきちっと確認できないということになれば、それは認めるわけにはいかない、これはもう当然のことだと思います。

 ただ、一言だけ誤解のないように申し上げておきますと、現在の市場が耐震その他のいろいろな点からいって狭隘化している、あるいは老朽化している、そういう点で、その場でやるか、あるいは豊洲へ変わるかどこへ変わるかは別として、何らかの処置をしなければならない、これはもう確かでございます。

 それからもう一つ、私はかねがね、九月段階から申し上げておりますのは、まずは開設者であります東京都がきちっと考え方を上げてきてください。今、いろいろな形での発言はありますけれども、正式な文書というのは何も来ていないわけですから、そういう意味で文書が上がってきた段階で、私どもが、安全上問題がないのか、そして合意に基づくものなのか等々、いろいろなことを判断しながら、それを認めるか認めないか決めていきたい、このように思っております。

笠井分科員 私も誤解はしていないつもりなので。現在地の再整備を含めてどうするかという議論は当然あります。しかし、おっしゃったように、安全性がきちっと確認されるかどうかというのが一番の問題で、それがなければ認可できないというのは当然のことだと思います。

 ところが、この問題で、東京都から上がってきていないというお話もあったんですが、この間の東京都のやり方に、実は都民が非常に強い不信を持っているということがあります。

 東京都は、移転反対の声が高まる中で、二〇〇七年の五月に四人の有識者から成る専門家会議を発足させまして、この会議は翌二〇〇八年の七月に最終報告を出しております。

 ところが、東京都は汚染物質や地層に関する重要なデータを専門家会議の場に報告していなかったことが、実は二〇〇九年一月になって情報公開で明らかになりまして、新聞でも大きく報道をされてきております。

 これは、極めて強い発がん性を持つ物質、ベンゾ(a)ピレンが公表値の百十五倍の濃度で検出されていたこと、さらに、汚染水を遮るとしている有楽町層という地層が、市場予定地全体に連続してあるんじゃなくて、一部でそれが確認できていないところがあるという事実などであります。この問題を問われた都は、データを公表しなかったことを陳謝しております。

 農水省は、ベンゾ(a)ピレンの汚染と有楽町層の欠落について、いつ知ったのでしょうか。その事実をいつ知ったのか。

 それから、こうした東京都のやり方について、専門家会議の平田健正元座長も、当時の座長も、東京都の落ち度とか、それから、都は不信感を持たれない情報の出し方をしてほしいというふうに言われているわけですが、農水省としてはこの問題をどういうふうに思っているか。

 いつ知ったか、それからどのように見ているかについて、これは農水省の当時の担当も含めてですから、農水省の方で結構ですが、お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の、平成二十年に東京都が行いました調査で、ベンゾ(a)ピレンの高濃度の汚染があったこと、それから、御指摘の有楽町層の一部が不連続であったという報道が昨年の一月の二十六日になされたわけでございます。

 私どもといたしましては、このマスコミ報道を受けまして、東京都に問い合わせをいたしました。同日、東京都が行いました説明、記者レク、これについての資料を入手いたしまして、また、説明を受けまして、その当日に私どもとしては状況を把握したというところでございます。

 なお、御指摘のこの二つの、ベンゾピレンの高濃度汚染の問題、それから有楽町層の不連続につきましては、東京都の説明では、いわゆる専門家会合以降に詳細データを把握したので、メンバーに対して、その後説明をすると同時に、この問題も含めて、専門家会合以降の技術会合の場におけます対応に反映をさせていくというふうに私どもとしては承知していたところでございます。

笠井分科員 しかし、こういうデータは、いろいろ東京都の説明もありますが、当然これは開示されるべき問題であるということは間違いないですね。これを出さなかったことでは陳謝しているわけですから、開示されるべき問題だったということは間違いないですね。端的に。

高橋政府参考人 東京都の話によりますと、東京都としての説明があったわけでございますけれども、先ほどから大臣が申し上げておりますように、この問題についてはやはり安全ということが一番の基本であるというふうに私どもも認識しております。

笠井分科員 それだけじゃなくて、最近では豊洲の予定地に約一万八千本ものくいが埋設されていたことが明らかになっておりまして、これが有楽町層まで至っていて、それが土壌汚染の通り道になるという可能性も指摘をされております。これも専門家会議には報告をされておりませんでした。

 私たちは、専門家会議にはさまざまな問題点があると思っているんですが、東京都のやり方というのは自分たちが設置した会議の信頼性さえ損なわせるものだと思います。農水省も、一昨年五月の私の質問に対して、専門家会議の結果を踏まえて対応したいと繰り返し答弁をされておりました。国の対応をも誤らせるものになるというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 この有楽町層については、汚染水を遮る不透水層とは仮定できないとの指摘が学者からもされております。専門家会議の平田元座長も都議会で、完全に連続というのは考えにくい、部分的にはやはり切れているところがあるかもしれません、液状化対策が不十分で汚染が上がってくる可能性は否定できないというふうに述べております。

 しかし、東京都は、この地層以下は調査もしないし、対策もとらないという態度であります。

 大臣、これでは消費者、都民や市場関係者の理解は得られない。大臣が言われるような、国民にとって安全なものだということが納得できる状況ではないというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

郡司副大臣 御指摘があった内容については、新聞等の記事を含めて承知をしているところでございます。

 不透水層の調査については、これはもちろん東京都がきちんと行い、そしてそのことがクリアをされて、国の方に上がってきた段階で私どもが判断をするということが大原則でございまして、その以前の段階において都がなすべきことをしっかりと行って、そして国の方に申請があるとすれば、大臣が申しておりますように、その上での判断を私どもは適切に行っていく、そのようなことと考えております。

笠井分科員 なすべきことをしっかりやっているかどうかという問題も含めて、きちっと見ていかなきゃいけないと私は思います。それはいいですね、当然。

郡司副大臣 ここで都のことについてとやかく言及をするという立場で私自身はございませんけれども、当然、安全ということを大前提として考えるということを大臣が発言し、都の方もそのことは十分に認識をしているわけでありますから、それに基づいた申請がなされるということが前提だろうというふうに思っております。

笠井分科員 そこは非常に大事な点だと思います。都議会でも、有楽町層の下も徹底して調査して全貌を明らかにすべきだという声が上がっております。

 二〇〇七年の私の質問主意書に対する答弁書で、自公政権の時代、福田内閣でしたけれども、このように言っております。「東京都に対し、食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づき万全の対策を講じるとともに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行い、その理解を得るよう求めているところ」と。そして「市場関係者や消費者の理解等を得ることは重要である」というふうに答弁書が出ております。

 私は、東京都の態度はおよそ市場関係者や消費者の理解を得られるものになっていないということを言わざるを得ないというふうに申し上げたいと思います。

 もう一つ、国側の問題なんですけれども、卸売市場法では、中央卸売市場の整備に当たっては、農水大臣が整備計画を定めて、そして開設の認可も行うことになっております。

 しかし、前政権のもとで、国の対応や手続に問題や疑問があったことが国会審議でも明らかになっております。築地市場の豊洲移転を定めたのは二〇〇五年の第八次中央卸売市場整備計画でありますけれども、既にこの時点で豊洲の東京ガス跡地の土壌や地下水の汚染は明らかになっておりました。

 しかし、当時、農水省の食料・農業・農村政策審議会総合食料分科会での審議でも、土壌汚染や食の安心、安全という観点からの国としての主体的な検討はなされていなかった。また、移転について慎重な上にも慎重にと答弁してきたわけでありますけれども、土壌や地下水が汚染された用地に卸売市場など食品関連施設を開設する際の安全性について、何を根拠に判断するか、国が研究や検討を行ったこともこれまでなかったということも明らかになりました。

 大臣、旧来の政治をとにかく変えてほしいというのが国民の強い願いであって意思でありました。その中でできた新政権のもとで、これまでの国側の対応の問題あるいは対応の仕方についても改めて現時点で検証すべきだと思うんですが、そういう点ではいかがでしょうか、大臣。

赤松国務大臣 過去、いろいろな考え方のもとで、笠井委員からすれば御批判の点、御不満の点も正直あったと思います。

 今回の築地市場の移転につきましては、卸売市場法第十一条第一項に基づき、開設者である東京都が業務規程の変更について農林水産大臣に認可の申請を行い、その申請が第十条の基準に適合する場合に農林水産大臣が認可を行うことになっているということが法で定められております。

 私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、食品を扱う、しかも大消費地であります東京都を中心とする、日本を代表する卸売市場の安全問題でありますから、先ほど委員はダイオキシンと言われたんですが、たしか、多分当時言い間違えたんだと思いますが、ベンゼンだとかそれからシアン化合物だとか、そういうものが四万三千倍も入っているというようなことが出ている以上、こういうことをきちっと処置してもらう。安全については一切問題はないということにならなければ、これは認めるわけにはいかないというのは当然のことだというふうに思っております。

 ちょっと余分なことでございますけれども、前政権のときに任命された猪瀬さん、現在の東京都の副知事さんを初め、そういう人たちが規制改革会議で、こうした許認可権限を国ではなくて地方自治体に落とせと。要は、東京都が許認可権限を持てば勝手にそういうことはできるんだというようなことを十二月に、いわゆるイタチの最後っぺみたいに、どうせ三月にかわる人たちが勝手にそんなことを出してやっていますけれども、そういうことは認められないわけで、ちゃんとこれは国の責任でもって、こうしたことについては私どもが判断をしてやっていく。

 今後とも、こうした市場に関することについては、最終責任は国にある、国の責任でこうしたことについては全部取り仕切ってやっていきたいというふうに思っております。

笠井分科員 最後のところは非常に大事な点だと私も思います。私だけが不満に思っている問題じゃなくて、これは国としても対応の問題をしっかり検証してもらいたいというふうに思います。

 土壌汚染が深刻な用地へ生鮮食品を扱う卸売市場を移転、開設するということは、本来、常識的には考えられないことであります。

 卸売市場法第一条は、「適正かつ健全な運営を確保することにより、生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もつて国民生活の安定に資することを目的とする。」というふうに言っております。第八次卸売市場整備基本方針でも、用地に関する事項ということで「生鮮食料品等の衛生上適切な環境にある地域であること。」というふうに述べております。

 私は、昨年七月の東京都議会議員選挙ということで民主党の当時のマニフェストをここへ持ってきましたが、「決着の夏 東京から政権交代。」ということでありまして、そこにまさに築地市場の移転という問題で、「民主党はNO! 自民党はYES」と、ここではっきりこういうふうに掲げておられますし、鳩山由紀夫代表、現首相は、菅直人東京都連会長、現副総理とともに築地で都議選の第一声を行われて、土壌が汚染されている豊洲に移転してはならないと演説をされております。赤松大臣は、当時民主党の選挙対策委員長で、こうした事情もよく承知されていらっしゃると思うんです。

 やはり食の安全、安心に関する国民、消費者の関心は極めて高いわけで、国の責務は重大だということで、毅然とした態度でこの問題に安心、安全という観点で臨んでいただきたいと思いますが、改めてその点を伺っておきたいと思います。

赤松国務大臣 委員御指摘のとおりで、そういう姿勢で厳正、的確に対応してまいりたい、このように思っております。

 それから、一つだけ、済みません、訂正させていただきます。

 先ほど猪瀬さんたちが入っているのは規制改革会議と言いましたが、地方分権会議でございまして、その中でそういうことが具体的に地方分権改革会議の要望として上がってきているということでございます。

笠井分科員 卸売市場について、最後にもう一つ伺っておきたいと思います。

 この間、市場外流通の拡大や卸売業者、仲卸業者の経営悪化が進む中で、旧政権のもとで、市場を活性化するとして、一九九九年と二〇〇四年、二度にわたって卸売市場法の大きな改正、改定が行われてきました。この結果、一体市場は活性化したのか、こうした対策はうまくいったのか、この点についての大臣の認識を伺いたいと思います。

赤松国務大臣 確かに、いい方向に持っていこうということで二度の改正が行われたと思いますけれども、結果的には、笠井委員御指摘のように、必ずしもそういう結果にはなっていないところも残念ながらある。

 私は、持論でございますけれども、中央卸売市場というのは、安心、安全、そして食の安定的な供給、たくさんとれたときには値段は下がる、そして、しけで余り魚がとれないときは値段が上がる、そういう価格形成機能というのをやはり公平、公正にやっていける機能が卸売市場なんだということでございまして、産地直送を決して否定するものではありませんけれども、あくまでもやはり、こうした食の流通の中核を担うのは、あるいは大宗を占めるのは卸売市場なんだということを大切にしていきたい、このように思っております。

笠井分科員 この間の相次ぐ規制緩和措置の中で、今、卸売市場は非常に困難な状況に置かれている、大臣も今言われたことだと思います。こうした中でも、市場関係者や労働者は朝早くから一生懸命頑張って働いていて、安全で新鮮な食料品を安定して消費者のもとにということで努力されています。この間の施策についてしっかりと検証をして、関係者の知恵を集めて、市場の進む方向を見出すべきだと思います。

 この間行われてきた競りの原則の廃止とか商物一致の原則の緩和、買い付け集荷の自由化などは、公正な価格決定機能を弱めて、弱肉強食の規制緩和の路線を卸売市場でも推し進めるものでありました。

 私たちは、経済政策の分野で国民の暮らしと権利を守るルールということを強く言っておりますけれども、食品流通分野でも大企業の横暴を民主的に規制するルールが必要だということを強く主張しておきたいと思います。

 次に、都市農業の振興と農地の保全について、若干伺っておきます。

 私、実は参議院議員時代に農水委員会にも所属をいたしまして、学生時代には農学部で学んだこともありました。昨年の五月にも都市農業問題について委員会で質問をいたしました。

 都市農業について、今その役割を改めて見直して保全を図ろうという声が非常に広がっております。昨年六月に東京都が行った都政モニターアンケートでも、東京に農業、農地を残したいと思う人は八五%、前回、二〇〇五年の調査と比べて四ポイント上昇しております。農作業の体験をしたいと思う人は五六%で、二十代では六八%、三十代では六三%と、若い世代ほど農業体験をしたいと答えております。

 そこで、都市農業や都市農地の役割について、これは改めてなんですが、大臣にお考えを伺いたいと思います。

佐々木大臣政務官 お答えいたします。

 都市農業あるいは都市農地というのは、我々も大変重要だというふうに認識をいたしております。生産面で消費地に近いということももちろんありますが、そのほかにも、子供さん方の農業体験の提供の場、災害に備えたオープンスペースの提供、潤い、安らぎといった緑地空間としての役割、あるいは農業への理解の醸成など、多様な役割があるというふうに認識をいたしております。

笠井分科員 国土交通省政務官に伺いたいと思うんです。

 国交省の社会資本整備審議会は、都市計画・歴史的風土分科会都市計画部会に、都市政策の基本的な課題と方向検討小委員会を設置して、昨年六月二十六日にはこの小委員会が報告をまとめております。その中では、農との共生ということで、「都市住民の農地に対する多様なニーズが顕在化してきている。したがって、都市と農地を対立する構図で捉える視点から脱却し、都市近郊や都市内の農地について、新鮮で安心な地産地消の農作物を提供してくれる農業生産機能を中心に、自然とのふれあい、憩いの場、防災機能等の農地の多面的機能を、都市が将来にわたり持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価し、農地を含めた都市環境のあり方をより広い視点で検討していくべきである。」というふうに述べております。

 そこで伺いたいのですが、この報告を受けて、昨年、新たに都市計画制度小委員会が設置をされて、七月、八月と二回議論が行われていると承知しておりますが、それ以降、小委員会が開かれていないんじゃないかと思うんですが、それはどういう事情によるものでしょうか。

藤本大臣政務官 笠井委員の今おっしゃったとおりでございまして、新しく都市計画制度小委員会を昨年の六月に設置いたしました。この目的は、エココンパクトシティー等、今後の都市政策の方向の実現に向けまして、都市計画制度の見直しについて総点検を行う、専門的な検討を行うということで昨年の六月に設置をされまして、その後、七月、八月と二回、小委員会が開かれたわけでございます。

 ただ、実は、政権交代を機に、国土交通省としましては、上部といいますか親の審議会、社会資本整備審議会、そのほか国土審議会とか交通政策審議会等々があるのですが、この審議会について見直しを行う、その検討を行っているということで、そのために、都市計画制度小委員会はその審議会の下にあるものですから、そういうことで今開催を見合わせているということで御理解をいただきたいと思います。

 ただ、やはり人口減少、あるいは少子化、高齢化等々、社会経済情勢が変化する中、国土交通省としては、効率の高いエココンパクトシティーを進めていこうということで、大変これは重要なことだというふうに考えておりますので、幅広く検討していかなければいけない、そういう認識でございます。

笠井分科員 そうしますと、この都市政策の基本的な課題と方向検討小委員会の報告が言っているような、この部分なんですけれども、「農地の多面的機能を、都市が将来にわたり持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価し、農地を含めた都市環境のあり方をより広い視点で検討していくべきである。」この指摘については、現在、国交省としてはどう考えているんでしょうか。

藤本大臣政務官 笠井委員がおっしゃるとおり、農地を含めた都市環境のあり方を広い視点で検討していくことは継続して考えているわけなんですが、その検討する小委員会が、審議会のメンバーを見直しするということで、今一たんとまっておりますが、この審議会のメンバーも恐らく三月に入って確定できるかというふうに思いますので、それをもとに進めていきたい。

 そして、先ほどから申し上げましたとおり、都市内の農地のあり方については、引き続き重要な課題として考えていく所存でございます。

笠井分科員 考え方は変わらない、三月からまた引き続きこれはやっていくということでありますので、しっかりお願いしたいと思います。

 最後に、大臣、都市政策の面からも位置づけて振興をという問題では、東京でいいますと、JAの東京中央会は、都市農地を都市政策の中に明確に位置づけて、関連する税制について見直しを行うことということで、固定資産税や相続税のことも要望事項として挙げております。東京都の農業会議も、都市計画制度の見直しに当たっては、都市の農地が果たす役割を検証するとともに、都市農地を不可欠なものとして明確に位置づけて、その保全に向けた必要な対策を行うことということで要望をいたしております。

 今、都市農業は、大臣も愛知で、いろいろな意味で直接、もう熟知されていると思うのですが、東京でも、農地の減少が進みながら、中心的な担い手の高齢化も進んでいる。東京都の市街化区域内の農地というのは、生産緑地制度がスタートした一九九二年の七千四百四十六ヘクタールから、二〇〇九年には四千八百六ヘクタールに大幅に減っております。

 そういう中で、東京でいいますと、自治体でもさまざまな意欲的な取り組みが始まっております。例えば世田谷区では、昨年、農業振興計画と農地保全方針が定められまして、区内の農地は世田谷区民のみならず東京都全体の宝だというふうに位置づけて、保全することを目指しております。

 今こそ、都市農業の振興と農地の保全のために、関係省庁が連携して、本腰を入れて取り組みを強めるべきだと思うのですが、大臣としての所見を伺っておきたいと思います。

佐々木大臣政務官 今御指摘をいただきました税制面での措置、納税猶予制度など、農地の維持に必要な制度というものは、もちろんこれは継続をしていかなければならないというふうに思っていますし、そのほかに、市民との交流の場としても役立てていかなければならないというふうに思います。

 一点だけ、昨年の通常国会に我々が農業再生法という法律を提出させていただきました。もちろん廃案になりましたけれども、その法律の中で、農地に関して縦割りというものを廃止して、いわゆる都市政策と農地政策というものを将来的には一本化していくべきだという提言も実はさせていただいて、長期的にはそういう考え方も我々としては提案をさせていただいた経過があるということだけ、私の方から報告をさせていただきたいというふうに思います。

赤松国務大臣 私どもが高校へ通っていたころは、私はたまたま上石神井というところへ通っていたのですが、本当に練馬大根なんというのは通学路の横にずっと植わっていて、本当にのどかで温かい、そういうまちづくりだったと思うのですけれども、残念ながらだんだんそういうものはなくなりました。

 しかし、今委員御指摘のように、もう一度やはり緑を、そして農地を、農業を見直してみようと、都市の消費者たちがそういうことを非常に強く関心をお持ちいただくように昨今なってまいりまして、私どもといたしましては、これはもう六次産業化ということもありますけれども、そうしたこと、それからまた、水と緑、環境という視点からも、都市農業をしっかりと応援していけるように、特に固定資産税や相続税の問題、こういうことがございますので、関係の財務省や国交省や、また、私どもが関係する各省庁がしっかり連携をとりながらこうした支援策を施してまいりたい、このように思っております。

笠井分科員 非常に大事な問題なので、この問題は大いに力を入れて頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

山口主査 これにて笠井亮君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後十時六分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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