衆議院

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第1号 平成28年2月25日(木曜日)

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本分科会は平成二十八年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      小倉 將信君    小池百合子君

      鈴木 馨祐君    鈴木 俊一君

      玉木雄一郎君    吉田 宣弘君

      足立 康史君

二月二十四日

 鈴木馨祐君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十八年二月二十五日(木曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 鈴木 馨祐君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      小倉 將信君    小池百合子君

      笹川 博義君    鈴木 俊一君

      福山  守君    藤井比早之君

      古川  康君    宮澤 博行君

      金子 恵美君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    水戸 将史君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      足立 康史君    河野 正美君

   兼務 大西 健介君 兼務 高井 崇志君

   兼務 中根 康浩君 兼務 鷲尾英一郎君

   兼務 濱村  進君 兼務 田村 貴昭君

   兼務 堀内 照文君 兼務 鈴木 義弘君

    …………………………………

   農林水産大臣       森山  裕君

   環境大臣         丸川 珠代君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   環境副大臣        井上 信治君

   農林水産大臣政務官    加藤 寛治君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   環境大臣政務官      白石  徹君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 矢野 康治君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 柴崎 澄哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小風  茂君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            末松 広行君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (水産庁次長)      長谷 成人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     和田 浩一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       北島 智子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥主 喜美君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

   環境委員会専門員     関  武志君

   予算委員会専門員     柏  尚志君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  小池百合子君     福山  守君

  鈴木 俊一君     岩田 和親君

  玉木雄一郎君     後藤 祐一君

  吉田 宣弘君     國重  徹君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     石崎  徹君

  福山  守君     藤井比早之君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  國重  徹君     稲津  久君

  河野 正美君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     鈴木 俊一君

  藤井比早之君     古川  康君

  玉木雄一郎君     水戸 将史君

  稲津  久君     吉田 宣弘君

  椎木  保君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     笹川 博義君

  水戸 将史君     金子 恵美君

  吉田 宣弘君     中野 洋昌君

  伊東 信久君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     宮澤 博行君

  金子 恵美君     玉木雄一郎君

  中野 洋昌君     大口 善徳君

  足立 康史君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     小池百合子君

  大口 善徳君     吉田 宣弘君

  河野 正美君     足立 康史君

同日

 第一分科員鈴木義弘君、第二分科員中根康浩君、第三分科員濱村進君、第五分科員高井崇志君、第七分科員鷲尾英一郎君、田村貴昭君、堀内照文君及び第八分科員大西健介君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十八年度一般会計予算

 平成二十八年度特別会計予算

 平成二十八年度政府関係機関予算

 (農林水産省及び環境省所管)


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     ――――◇―――――

鈴木主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。

 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。

 平成二十八年度一般会計予算、平成二十八年度特別会計予算及び平成二十八年度政府関係機関予算中農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。森山農林水産大臣。

森山国務大臣 おはようございます。

 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明します。

 私は、昨年十月、TPP大筋合意直後に農林水産大臣に就任しました。

 総理からは、地方の農林漁業者の不安に寄り添って、万全の対策を検討し、TPPを攻めの農林水産業に切りかえるチャンスにしていくよう御指示をいただきました。

 これを受け、十五都道県を訪問するなど、機会あるごとに現場に足を運んだほか、農林水産省を挙げて、ブロック別、品目別の地方説明会も開催しました。全ては現場で御努力をいただいている方々の気持ちを大切にしながら、新たな国際環境のもとで、強くて豊かな農林水産業と美しく活力ある農山漁村をつくり上げていくためであります。

 私の孫にも農業をやらせたい、僕も農業をやるんだ、愛媛県の興居島で出会った、三代続くミカン農家とそのお孫さんの言葉です。次世代を担う生産者が、あすの農業に夢と希望を持って、経営の発展に積極果敢に取り組める。農政新時代が目指す姿です。

 昨年十一月に取りまとめられた総合的なTPP関連政策大綱を着実に実行するとともに、これまで進めてきた攻めの農林水産業に向けた施策を加速させ、生産者の熱い思いを今こそ形にできるようにしてまいりたいと思います。

 次に、平成二十八年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。

 平成二十八年度農林水産予算の総額は、関係府省計上分を含めて二兆三千九十一億円、その内訳は、公共事業費が六千七百六十一億円、非公共事業費が一兆六千三百三十億円となっております。

 農林水産予算の編成に当たっては、農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、農林水産業の成長産業化を促進し、美しく伝統ある農山漁村を継承していくための施策の展開に必要な予算を重点的に措置したところであります。

 以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しをいただきまして、御説明を省略させていただきたいと存じます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

鈴木主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま森山農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。

 また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福山守君。

福山分科員 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 きょう、私は、食の安心、安全という観点からまず御質問していきたいと思っております。

 今、国民が、また世界の全ての人々が願うもの、それは安心、安全な食を食べるということに当てはまるのではないでしょうか。私は、我が国の農林水産物は世界に誇れる商品であると確信を持って言い切れると思っております。

 思い返せば、約二年ほど前に、中華料理のシバエビでいろいろ問題がございました。バナメイエビも、あるいはそういうほかのいろいろな種類がある輸入物のエビも全てシバエビと総称して言いますというふうなことを、某有名ホテルの、あるいは中華料理の専務理事が言って、私は消費者の特別部会の方でかなり声を大きくして激しく反論したことがございます。また、牛肉においての形成肉の問題。いろいろ一世を風靡した産地偽装あるいは食品偽装という問題がございました。

 さて、今、本県は、地方創生の流れの中で、消費者庁を徳島へ移転ということを飯泉知事以下我々も積極的に要望活動を行っております。そういう中で、まことに恥ずかしい話なんですけれども、本県のブランド商品である鳴門わかめの産地偽装というのが実は問題になりました。この会社は、二〇〇八年にも県より行政指導を受けておるという会社でございます。

 また、先日来、産地偽装、食品偽装という問題では、京都におけるブロイラーが地鶏として販売をされておった、あるいは、これは論外の話ですけれども、ココイチの廃棄物転売問題、まさに食の安心、安全という点ではいろいろ問題が多くございます。

 そこで、基本的なことをまず御質問させていただきたいと思っております。

 まず、食品表示の不適正事案に対する国と地方自治体が連携した監視、取り締まりの状況はどうでしょうか。それと、食品表示の不適正表示として食品表示法の規定に基づく指示、命令件数の推移はいかがでしょうか。そして、指示や命令に従わない場合の罰則はどうなっておるのでしょうか。まず、この三点をお伺いいたしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、食品表示に関連する規定でございますが、これは、従来、食品衛生法、JAS法と健康増進法の三つの法律で規定されておりましたけれども、これが食品表示法に統合されまして、この食品表示法が平成二十七年四月から施行されております。

 この食品表示法に基づく監視体制につきましては、消費者庁が横断的に取り締まりを行いつつ、地方出先機関を有し、かつ監視業務についてのノウハウを有します農林水産省と財務省、さらに都道府県、そして保健所設置市などとも連携した執行を行っているところでございます。

 また、指示、命令等の推移でございますが、今年度の食品表示法の執行実績につきましては、平成二十八年一月末現在で、指示が十三件、命令が二件となっております。

 また、食品表示法施行以前のJAS法に基づきます食品偽装の取り締まりの執行実績については、平成二十六年度で、指示三十四件、命令一件、平成二十五年度では、指示五十一件、命令一件という状況でございます。

 また、こうした指示、命令または罰則の規定でございますけれども、食品表示基準に違反する表示を行った事業者に対しましては、食品表示法六条一項の規定に基づきまして、表示事項をきちんと表示し、または遵守事項を守るよう指示をするということになりますけれども、この指示に係る措置をとらなかった場合には、食品表示法六条五項の規定に基づきまして、この指示に係る措置をとるよう命令をするということになります。

 この命令に違反した者に対しましては、二十条の規定によりまして、一年以下の懲役または百万円以下の罰金、法人については一億円以下の罰金という規定がございます。

 また、このほか、食品表示法の十九条では、原産地の虚偽に関する表示違反につきまして直罰規定が置かれておりまして、二年以下の懲役または二百万円以下の罰金、法人につきましては一億円以下の罰金が規定されているところでございます。

福山分科員 今教えていただいた中で、不適正表示として食品表示法に変わってから十三件と二件ということで、JAS法のころよりも減ったことは減ったんですかね。

 ただ、先ほど言いましたように、徳島の事案ですけれども、これは県の方から一度指導を受けているんですね。指導を受けている中で、今度またそういうことをした。これがどういう業者であるかといえば、ちょっと余りにも恥ずかしい話なので私はあえてここでは言いませんけれども。

 そういうふうな問題が起きるということは、今、法的な問題の中で、例えばCoCo壱番、あれは全然違う話にもなろうかと思いますけれども、廃棄物処分するものを転売する、あるいは、そういうふうな監視ができない。これはもちろん、警察から環境省の方とか厚労の方、いろいろな形で動きますので、そのあたりの一体性が難しいと思うんですけれども、私は、どちらになっても、そういうふうな再犯、いわゆる看板をかえればできるんだとか、あるいは、かわりにそういうふうな指導をしたらできるんだというような形だったら、やはりこれから世界に誇れるこの日本の食という中で大きな問題になっていくのではないかなと。

 そういうことを含めれば、現行の法律の刑罰をもう少し厳しくする必要もあるのではないか。先ほど言いましたように、中身はそのままで看板だけかえて継続して営業できる、こういうざる法ではいけない、私はそのように思っております。正直者がばかを見る、こういうふうな形ではいけない。だから、そういうふうなことをやらないような法整備をしっかりと考えていってほしいと思います。

 これは通告には入れていないんですけれども、先ほど大臣の方からTPPのお話や、国益を守る会の会長もされて、大臣が先進的にいろいろやっておられていること、私は本当に尊敬しております。

 今後、ますます国際化し、そういうふうな農林水産品の輸入というのが入ると思うんですね。そうなってくると、この原産地表示の問題、これは大臣もよく言われておりますけれども、やはりこういう問題というのが数多く問われてくる、こういう形になろうかと思います。

 今国内がまだ十分できていない中ですけれども、このままでいって、TPPが締結された後、批准された後の問題点として、どのように今後考えられているんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 原産地表示につきましては、先ほど申しました食品表示法または景品表示法の不当表示、そうしたもので、虚偽の表示があれば取り締まりということを行っているところでございます。

 また、さらに、加工食品の原料原産地表示ということについての要望もございまして、これにつきましては、現在、検討会を開催して、議論を進めているところでございます。本年の秋を目途に取りまとめを行うという方向で、現在、加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会というものを進めているところでございます。

福山分科員 これから国際社会をにらんだ中で、しっかりと頑張って、本当に国民の食の安心、安全をしっかりと守っていってほしいと思います。

 次の質問は、水産庁の方にちょっとお伺いをしたいんです。

 御存じのように、我がふるさと徳島というのは、紀伊水道、瀬戸内海、あるいは太平洋、そういうとにかく海に囲まれた四国でございます。そういう中で、今いろいろ水域の問題点がございます。

 この問題は後で今の状況を述べるといたしまして、先にちょっとお聞きしたいのが、都道府県間の海域の境界が画定しないことによって関係者間で漁業の操業についての調整が必要となっている海域は全国でどれぐらいあるのか、また、その海域はどこなのか。

 それと、都道府県間の境界が画定していない海域における漁業調整問題に関し、利害が絡む漁業者間での解決は難しい場合が多いが、解決に向けた国や都道府県の役割をどのように考えているのか、具体的な対策と今後の明確な取り組みをお教え願いたい。

佐藤(一)政府参考人 福山先生の御質問にお答えいたします。

 まず第一点の、都道府県間の海域の境界が画定していないことによって関係者間で漁業の操業についての調整が必要となっている海域はどのくらいかという御質問でございますが、この問題によりまして、都道府県間の海域の境界が画定していないことによって生じている漁業調整問題で、水産庁が立会人となりまして操業協定を締結しているものが二十件ございます。また、現在協議中のものは二件ございまして、その海域につきましては、鹿児島県沖合海域と伊勢湾というふうになっておるところでございます。

 実は、このほかに、私ども水産庁が関与せず都道府県間あるいは関係漁業者間で調整が行われているというものが少なからずあるもの、このように考えているところでございます。

 それと、二つ目の御質問でございますが、解決に向けた国や都道府県の役割をどのように考えているか、あるいは具体的な対策と今後の明確な取り組みということでございますが、やはり海につきましては、一定の水面を多種多様な漁業が立体的かつ重層的に利用している、こういった漁業の特殊性からして、あらゆる漁業につきまして、都道府県間の境界を画一的に決めるのではなくして、関係する都道府県が相互に協議して、それぞれの漁業実態に照らして円滑な操業が確保できるようにすることが重要、このように考えているところでございます。

 そうした場合に、まずは関係都道府県知事さんが協議していただきまして、いわゆる連合海区漁業調整委員会といったものを設置していただきまして、ここで協議を行うといったことが考えられるところでございます。

 さらに、関係する都道府県間や、あるいは連合海区漁業調整委員会で調整がつかない場合には、我々水産庁が間に入りまして、関係者の意見や漁業の実態を踏まえまして解決を図るといったようなことで、都道府県あるいは海区漁業調整委員会、そして国がそれぞれの段階で調整の役割を担っていくことが必要と考えておるところでございます。

 水産庁といたしましても、今後とも、都道府県などの求めに応じまして、現場に赴くなどしまして円滑な調整が図られるようしっかり役割を果たしていきたい、このように考えているところでございます。

福山分科員 全国でもかなりの数が漁業調整の形で入っておるということがわかりました。

 我がふるさとの徳島と和歌山、この水域の問題というのは佐藤長官が一番よく御存じだと思います。私は、もう古い話ですけれども、県議に当選してから、ちょうど谷津先生が農林水産大臣のときに、大挙して二十名ぐらいの県会議員が押しかけまして、そのときにいろいろお話をして、方法を探って、水産庁からいろいろ間に入っていただいて話をしたことがあるんですけれども、もちろん、それ以前からこの問題というのはずっと戦後続いてきておるわけなんですね。それが、いまだにそういう形でやってもけりがつかない。あげくの果ては、今裁判をしております。裁判を徳島県が出します、差し戻されます、そういうことをやっておるんですね。

 今言われたような水域の調整、いわゆる陸地みたいな完全な形というのは、なかなかそれは海だけにやれないと言われればそうなんですけれども、例えば先週木曜日に、徳島県が我が海域と認める水域があったわけなんです。そこに徳島県が持っている保安艇が走っていったわけなんです。夜にまき網の操業をやっていて、そこに行った。それで、接触すれば当然そこに入れるんですけれども、ニアミス状態で、にらみ合いをしているところですから、それはどうにもできない状況なんです。それで、その人は某役職の方なんですけれども、たまたま私が、おとつい、今度これをやりたいんだけれどもねという話をしたら、先生、私はその船にちょうど乗っておったんです、それで、そのときに私はいらいらしまして、どうしても、言いたくても手が出せないと、本当に悔し涙で私に語っていました。

 だから、そういうことが現実的にあって、そして、御存じのように、徳島県と和歌山県で比較すれば、いわゆるまき網船にしても十対一の割合ですから、比較にならないんですね。

 私ども、そういう海域の地図をこういうふうに今決めている、双方の、今佐藤長官が言われたようなこういう海域、それぞれ、私どももわかっております。ただ、今言いましたように、向こうは、いや、こっちで流した網がこっちに流れたとか、そういうふうな形で、常に圧迫されている現状が我が徳島の方にはあるという事実は知ってほしいと思うんです。

 それで、先ほど言いましたように、そういう調整という形で今まで何十年も来ておるんですけれども、しかし、本当に漁民の方々は、今、資源がだんだん枯渇している中で、目の前でそういうふうに操業されてやっている、それを目撃するわけですから、夜にとりに来たら光でわかりますから、あっ、また五百トンの船が来て持っていかれよる、そういうのはわかるわけですから、だから、本当に切実なものがあるんです。

 今後、紀伊水道でのこの問題に水産庁としてどのようにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ありました紀伊水道における徳島県と和歌山県の漁業調整問題でございますが、これについては、平成十年に合意書が作成されまして、それを基本として調整が図られてきたところでございますが、経緯から申しますと、平成二十四年の合意書の見直しの後、平成二十五年三月以降、和歌山県の中型まき網漁船の操業範囲の解釈について、両県で残念ながら認識の違いが明らかになって、問題が再燃するといったような状態になっているところでございます。

 これに対しまして、私どもでは、瀬戸内海を管轄いたします水産庁瀬戸内海漁業調整事務所というのがございますが、ここにおきまして、平成二十五年の七月から十二月に両県行政間の会議を六回開催したほか、両県漁業者の操業実態等の相互理解を通じた調整が図られるように、平成二十六年二月以降、両県庁そして漁業者に対して、再三にわたりまして話し合いの実施を呼びかけてきたところでございます。

 しかしながら、残念ながら、両県及び両県関係者ともにそれぞれの主張を繰り返して歩み寄りが見られておらず、同じテーブルに着いて話し合うことはできておりません。

 しかしながら、今先生おっしゃったように、非常に現場では切実な問題というふうに私ども考えておりまして、やはり粘り強く、円滑な話し合いが行われるよう私どもとしては働きかけを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

福山分科員 佐藤長官が力強く言っていただきましたけれども、地元の漁業生活者にとって、先ほど言いましたように資源が枯渇化している中で、本当にいろいろな思いで見ているわけなんです。

 先ほど言いましたように、私どもも、一度仲介をしていただいた話を知っております。ただ、先ほど言いましたように、双方の認識の違いがある中で、私は徳島でございますから、徳島の言っているその線、それは当然そういうふうに思っています。ただ、和歌山は和歌山の言い方があるでしょう。

 ただ、大体の歴史の流れの中でそういうものを見てきているわけですから、そういうのは本当は漁民の人が一番わかる。私はやはり地元ですから、地元の人たちが本当に苦しい今の状況の中で、裁判してでもという形で訴えました。そういうこともやっております。そういう現実を私ども知っているだけに、何とかして、大変厳しい状況でしょうけれども、佐藤長官、ひとつお骨折りをよろしくお願いいたしたいと思います。

 きょうは、ちょうど一問いけそうなので、ちょっとまた佐藤長官に一つだけお伺いしたいんです。

 許可漁業の許可証の操業の区域の表記については、地図上にその場所を特定できる表記を推奨しているのでしょうか。また、地図上に操業場所を特定できる表記をしている法定知事許可漁業の許可隻数の割合はどの程度ございますか。あわせて、大臣許可漁業における操業の区域の表記の状況はどうなっておるのでしょうか。

 今後、許可の更新の機会を捉え、操業の区域の表記方法を徹底すべきと考えますが、これが一つの方法になるかもわかりませんので、このあたりの水産庁の御見解をお聞きしたいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 まず、知事許可漁業の操業の区域につきましては、これは、可能な限り明確になるよう各県にお願いしているところでございます。

 先ほど、ではその割合はどのぐらいかという先生の御質問でございますが、大変恐縮でございますが、各都道府県知事による漁業許可の数、法定の漁業の許可数だけでも四万件を超えるといったようなことになっておりまして、お尋ねの許可隻数の割合については、まだ把握できていないという状況になっておるところでございます。

 また、大臣許可漁業におきます操業の区域につきましては、これは、漁業法第五十八条に基づきまして公示されまして、明確にされている、こういうことになっておるところでございます。

 それと、先生の方から御提案ございました操業の区域の表記方法を徹底すべきという御指摘でございますが、これにつきましては、まさに先生おっしゃるとおり、知事許可漁業における操業の区域の表記を明確にするということは非常に大事なことというふうに考えております。

 ただ、こうしたことを進める上で留意しなければいけないという点がやはりあるかと思っておりまして、これが都道府県間の境界が定まっていない海域において関係者間の妥当な連絡調整というものを経ることなく、一方的に漁業の許可の適用範囲というものを地理的に明示して運用するとすれば混乱を招くこともあるということが考えられますので、やはり、こうしたことをやるにしても関係者間で十分に協議するということが必要じゃないかというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、これらのことにつきましては、各都道府県の漁業調整担当の方を集めました担当者会議、こういったものを毎年やっておりますものですから、こういう中でしっかりこういった趣旨について周知徹底を図っていきたい、このように考えているところでございます。

福山分科員 いろいろ御答弁ありがとうございました。

 食の安心、安全、これは本当に我が国の一番誇るべきものだと思っておりますし、国民の食生活をしっかりと守っていってほしいと思います。また、我がふるさとの漁業問題について、これから本当にまだまだ山あり谷ありでしょうけれども、佐藤長官におかれましては、また一生懸命汗をかいていただきたいなと思っております。

 これからこの日本の農林水産業がますます栄えていくことを心より御祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日は、早朝からありがとうございました。

鈴木主査 これにて福山守君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩田和親君。

岩田分科員 おはようございます。自民党の岩田和親でございます。

 本日は、予算委員会分科会におきます質問の機会をいただきまして、大変光栄に感じております。

 早速ではございますが、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、TPPの大筋合意以降、努めて私は地元の農業の現場の方々との意見交換を重ねているところでございます。もちろん、厳しい御意見をいただくことも多々あるわけですが、私たちが農家の皆さんの気持ちに寄り添って、農業を次の時代に引き継いでいけるように全力を尽くしていく決意であるということを訴え、信頼してもらうために苦心をしておるところでございます。

 そういうやりとりの中で、農業の未来に対して不安を感じておられるということを異口同音に言われます。農業の輸出拡大を初めとして、前向きな施策を私たちは進めていかなければなりませんが、そのスタートラインはあくまでも、農業の未来に対しての不安を払拭することにあるのではないでしょうか。そのためには、農業の将来像、ビジョンを示していかなければならないと考えております。

 そういった視点から質問を進めていきたいと思います。

 まず、米の生産調整の廃止について質問をさせていただきます。

 三年後に迫りました生産調整の廃止に対する不安の声というものは根強いものがあります。産地間競争といえば聞こえはいいわけですが、競争条件が不公平になるようではいけません。佐賀県のように、引き続き、米、麦、大豆のローテーションなど地域挙げての計画的な生産を行うことができる産地がある一方で、大消費地に近い産地などは主食用米を今まで以上につくる産地が出てくる、結果としてさらに不公平感が強まるという意見があります。

 また、米の価格低迷によって不安感が高まり、需給バランスが崩れてさらなる価格下落につながるのではないかという心配の声が改めて聞こえてくるところであります。

 生産調整の廃止に向けたこれまでの取り組み状況と、また現場の心配の声を踏まえて今後どのように取り組んでいかれる考えなのか、お示しください。

柄澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 米政策の見直しにつきましては、三十年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも生産者みずからの経営判断によりまして需要に応じた生産が行われるよう、全国の需要見通しに加え、各産地の販売、在庫をめぐる状況等についてのきめ細かな情報提供や、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する助成金の交付の支援などの環境整備を進めているところでございます。

 このような状況の中で、昨年、二十七年産につきましては、各産地の自主的な判断によりまして、主食用米から飼料用米などへの転換が非常に進みました。需要に応じた生産に取り組まれたところでございます。これは、私どもの申し上げております三十年産に向けた予行演習が行われているというふうに考えておりまして、二十八年産以降、ことしの年産以降も、産地の自主的な取り組みによりまして需要に応じた生産を定着させることが重要だと考えております。

 一方で、委員御指摘のように、三十年産以降の姿について、生産現場の皆様が不安な気持ちを抱いていることは承知しているところでございます。

 農林水産省としまして、生産者みずからがマーケットの動向を見ながら需要に応じた生産を的確に行えるように、引き続ききめ細かな情報提供や戦略作物の生産に対する支援などを行っていく考えであることを生産現場の皆様に丁寧に御説明しまして、生産現場の不安を払拭してまいりたいと考えているところでございます。

岩田分科員 需要にしっかり即した形で自由につくっていける、確かにそのことは理念としては正しいというふうには考えますけれども、申し上げましたように、近くで直接売ることができる大消費地がある、そういうふうな生産地とそうではない産地、この差というのはやはり大きいものであるのかなというふうに思っておるところでございます。

 本当は主食用米をつくりたいけれども、それがかなわない、公平な形でそのような生産ができないというふうな形になるということは、やはりあってはならないことだと思いますので、くれぐれもまた今後の取り組み、しっかりと状況を踏まえながらこの三年間進めていただきたいというように思っております。

 次に、米を主体とした土地利用型農業の将来像についてということで質問をしてまいります。

 飼料用米への取り組み、これは先ほども少し触れていただきましたけれども、評価をしておるところでございます。将来の財源について心配する声というのをよく聞きますので、水田フル活用に係る制度の将来的な担保と予算確保をまずは要望しておきます。

 ただ、この飼料用米に関しましては、助成金の金額があるからよいというだけではなくて、着実に利活用がなされるなど、制度全体がしっかりと機能していくということが重要であると考えております。飼料用米の利用拡大がきちんとなされていくこと、ひいては飼料等コストの低下や肉質の改善、または食料全体の自給率向上などにつながっていくことが、飼料用米の生産拡大の意欲、まさに農家のやりがいにつながっていくものだと感じているところです。

 飼料用米の利用拡大や流通管理など制度運用の徹底、また利用による効果について、どのように考えて実施されているのか、伺います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 飼料用米の推進ということのお尋ねでございます。

 やはり、耕種農家と畜産農家がきっちり連携をいたしまして、それを、配合飼料メーカーを通じて、あるいは直接、安定的に供給していくということが大切なことだと思います。また、当然、コスト削減等を図りながら、制度は基本計画にしっかりと位置づけられておるところでございますので、安定的に運用していくという方針でございます。

 その上で、飼料用米を活用した畜産物のブランド化ということを推進するというようなことで、先進事例をPRするなど、特に豚等でやっておりますけれども、畜産物の品質向上に向けた取り組みの実証、これはやはり、うまみ成分のオレイン酸がふえるというようなことがございます。それから、飼料用米の利用に必要な機械のリース導入あるいは施設の整備、こういったものも支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 このような支援を総合的に実施いたしまして、畜産米の着実な利用、それから畜産物の付加価値の向上ということを図ることによって、生産それから利用、両面で安定的な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

岩田分科員 着実な形で進んでいるものだというふうに受けとめておるわけでございますけれども、これも、やはりしっかりと、こういうふうにしてつくった飼料用米が生かされているな、そしてまた、それが畜産農家にとってもプラスになっているなというふうな実感というものが重要であるということも、重ねて申し上げておきたいと思います。ぜひ、そういう姿がしっかりとビジョンとして見えてくるということ、また、浸透されることを望んでおきたいと思います。

 また、全ての主食用の米をほかの作物に切りかえるわけでもないということでございまして、米の価格が低迷をし、三年後には十アール七千五百円の助成金もなくなるという環境の中、これまで米を主体とした土地利用型農業を行ってきた農家はどのように所得を確保すべきなのか、不安に感じておられます。

 所得向上のためにも、施設園芸などへの取り組み強化が言われているわけでありますが、これまで米を中心に農業を進めてきた地域としては、地域の土地利用型農業の将来像が見えてきて初めて園芸などを計画的に強化することができるというような声が聞こえてまいりました。

 米を主体としてきた農業における将来の経営モデルやビジョンをより明確に示す必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

柄澤政府参考人 今後、水田作において所得向上を図っていくためには、日本再興戦略でも掲げられていますように、米の生産コストの低減を図りながら、主食用米だけではなく、需要のある非主食用米、麦、大豆、野菜などにも取り組むことにより、水田作全体として経営の発展を図っていくことが重要だと考えております。

 具体的な水田作の将来の経営発展の姿につきましては、先般閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画とあわせて公表した、いわゆる農業経営等の展望におきまして、例えば、農地の集約、省力化技術の導入などによる規模拡大を図るようなモデル、また、新規作物の導入などにより経営の複合化を図るモデル、さらに、加工や販売などによる六次産業化を進めるモデル、こういったいろいろな経営のモデルを例示的にお示ししているところでございます。

 また、県や市町村段階におきましても、地域の作物振興の設計図となります水田フル活用ビジョンを策定されまして、特色のある魅力的な産品の産地づくりの推進を図られているところでございます。

 こうした取り組みの中で、生産者が主体的な経営判断に基づいて作物ごとの需要に応じた生産に取り組めるよう、引き続き御支援申し上げてまいりたいと思います。

岩田分科員 ありがとうございます。

 ビジョンというのは、もうしっかりしたものがあるというふうに私も認識をしておるわけでございますけれども、お話を申し上げましたように、米の価格自体が低迷している、そしてまた先々は直接支払いの助成金がなくなっていく、そういうふうな中で、やはり不安感があるということは事実であります。こういうふうなビジョンをしっかりと、また具体的に示していくということが重要なわけだと思います。

 今お話しいただいた中で、やはりこれからより力を入れていくべき部分は、コストの低減の部分というのがあるのではないかなというふうに思っております。

 どうしても売り上げの方ばかりを意識される農家の方が多いだろうと私も感じておるところでございますが、やはり、すぐできること、今からできること、そういうふうな形のコスト低減というものが具体的に示されていくと、ああ、これだったらできるな、これだったらしっかりと手元に所得が残っていくなというふうな形に、生産意欲というものにつながっていくのではないかなと考えております。ぜひ頑張っていただきたいというように思います。

 それでは次に、畜産について触れていきたいと思います。

 私も、地元は佐賀県ということで、佐賀牛を育てている生産者とも意見交換をしてまいりました。輸出拡大に興味を示された一方で、現在の子牛の価格高騰や飼料などのコスト高によって、将来が見通せないという不安の声が聞かれたところであります。

 輸出を推進されるのは大変結構でありますけれども、例えば黒毛和牛の子牛価格の高騰に象徴されるように、繁殖用雌牛の確保、また繁殖、肥育という和牛の生産構造自体が弱体化している厳しい状況があるわけでありまして、これを立て直さなければ攻めの農業も成り立ち得ないというように思います。

 生産構造をどうしていくのかというところまで含めた畜産の将来ビジョンをお示しいただきたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 酪農及び肉用牛生産における農家戸数あるいは飼養頭数が減少しておりまして、生乳生産も減少し、委員御指摘のとおり子牛価格が高騰しているという状況がございます。

 このような中で、昨年三月に策定いたしました酪肉近、正式には酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、これにおきまして、まさに生産基盤の強化を最優先するということで、課題として明記させていただいているというところでございます。

 この酪肉近におきましては、人、牛、それから飼料、それぞれの視点で対応、取り組みの方策、ビジョンを示しているところでございます。

 特に、飼養頭数の増加に向けて、規模拡大に向けたキャトルステーションなどの整備による地域的な飼養体制の構築、あるいは受精卵技術などを活用いたしました計画的な乳用後継牛の確保、それから和子牛生産の拡大、適正な飼養管理の徹底によります乳用牛の供用期間の延長などの取り組みを提示させていただいております。

 さらに、農林水産省といたしまして、畜産クラスター事業による省力化機械の導入や増頭に向けた畜舎整備への支援を初めとする各般の施策を総合的に実施することによりまして、酪農及び肉用牛の生産基盤の強化に向けた関係者の努力を支援していくということでビジョンとさせていただいております。

岩田分科員 佐賀牛に関しては、御案内かと思いますが、銀座に佐賀牛のお店、JAが経営されているところですが、ございます。オープンされてもう十年ということで、まさに佐賀牛のブランド化の大事なフラッグシップのお店ということで、その効果というのは大変確かなものがあったというふうには思っております。

 しかし、実は、このお店ができて十年を振り返ってみて、佐賀牛の生産頭数は半分になったというような話を聞いたことがあります。ブランド化はできたけれども、実は産業自体としては先細ってきたという悲しい現実があるわけでございまして、まさに、全体としていいサイクルをしっかりと回しながらこれが拡大をしていく、やはりそういうふうな形をぜひつくっていかなければならないということで、今お示しいただいたビジョンに基づいてしっかりした取り組みを望むところでございます。

 次に、果樹について触れていきたいと思います。

 佐賀県は梨の産地でもあるわけですが、先日視察をしましたのは、半分はげ山のようになった梨園の姿でありました。老齢化した木を切ったものの、新たに植えるまでには至らなかったという話でございました。

 果樹の場合、苗木を植栽してから収穫まで複数年かかり、また、長期的な収穫を前提とした投資となることから、現状維持するにしても生産拡大するにしても、将来の見通しというものがより必要となるわけでございます。どのように各種果樹の将来像を示して生産者の意欲へつなげていくのか、お聞かせください。

今城政府参考人 お答えいたします。

 果樹についてでございます。果樹については、産地における果樹農家の高齢化の進展など、やはり生産基盤の脆弱化が進んでおるということで、昨年四月に果樹農業振興基本方針というものを策定いたしております。その中で、果樹の品目ごとの将来像として、例えば、新品種、新技術を導入していくこと、規模拡大により収益増を図ること、そういったような経営モデルというものをお示ししつつ、一方で、優良品目、品種への転換の加速、あるいはジャパン・ブランド果実の輸出拡大などの基本施策の方向性というものをお示ししているところでございます。

 また、昨年十一月にはTPP関連政策大綱を策定いたしております。これに基づきまして、二十七年度の補正予算により措置いたしました産地パワーアップ事業では、果樹産地の収益力向上に向けまして、従来の改植、それから、それに伴う、育つまでの未収益期間に対する支援、こういうものを従来やってきましたが、それに加えて、樹園地の若返りのための植えかえ、これは同一品種の改植もオーケー、さらに、高品質果実の安定生産につながる資材の導入、果樹棚等の資材でございますけれども、こういうものを支援するというようなことを打ち出しております。

 農林水産省といたしましては、こういうことで果樹農家の不安を払拭し、今後とも意欲を持って将来の果樹農業に取り組めるよう、これらの施策を通じてしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

岩田分科員 ありがとうございます。

 次に、中山間地の農業について質問を進めていきたいと思います。

 まず、先般の大雪によりますハウス倒壊などの被害への支援に対するお礼を申し上げたいと思います。国が産地活性化総合対策事業や産地パワーアップ事業などを活用して支援していただき、この機会にやめようかというような弱気な声もあったわけでございますので、再建につながったことは大変よかったというように思っております。本当にありがとうございました。

 言うまでもなく、中山間地農業は、さらに厳しい経営環境の中で頑張っているということでございます。いわゆる農業の多面的機能を考えたとき、きょうはこれに多く触れる時間はないと思いますが、また、農業がだめになった場合は山里の集落の存亡にもかかわると言っても過言ではないことなどから、持続可能な中山間地農業を確かなものにしていかなければならないというように強く感じております。

 この中山間地の農業、非常に環境が厳しいということで難しいわけでございますけれども、その持続可能な経営モデルというものをどのように考えておられるのでしょうか。

末松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、中山間地域において、食料の安定供給や多面的機能の発揮など重要な役割を果たしている農業を振興していくことは大変重要なことだと考えております。

 その際、地域の実情を踏まえ、さまざまな農業者を初めとして、また農業者以外の地域住民の方々の参画も得て、地域全体でコミュニティー機能を維持しながら中山間地域の特性を生かした農業の展開を支えていくことが必要であるというふうに考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、付加価値の高い農産物の生産や六次産業化などの推進により、収益力の高い農業経営を目指す担い手への支援を行うとともに、これに加えまして、先生御指摘の、水田を含む農業生産条件の不利を補正する中山間地域等直接支払いですとか、農地、水路などの維持管理を行う共同活動を支援する多面的機能支払いなどの施策を推進することとしております。

 また、この産業政策と地域政策を車の両輪として進めていく上で土台となる生産基盤の整備も積極的に推進することにより、中山間地域の特性を生かした農業と地域の活性化を表裏一体で推進していきたいというふうに考えております。

 今後とも、地域の主体的な取り組みを後押しすることによって中山間地域の農業の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。

岩田分科員 ありがとうございました。

 高冷地野菜など付加価値の高いものに取り組んでいくというのは当然でありますけれども、山の方においても、水田が廃れていくということを非常に忍びなく思っております。ぜひまた、しっかりとお支えいただきたいと思います。

 ちょっと時間の関係もありますので駆け足で参りますが、イノシシの対策ですね、鹿、イノシシ等の鳥獣被害。これは本当に中山間地のハンディの象徴的なものでございます。予算確保を初めとして取り組みを強化する必要があると思いますが、端的にお答えいただきたいと思います。

末松政府参考人 お答えいたします。

 野生鳥獣による農作物被害は、中山間地域を初めとして、年間二百億円にも及んでおります。また、被害によって営農意欲の減退や耕作放棄地の発生につながるなど、被害額として数字にあらわれる以上に深刻な状況であると認識しております。

 被害を防ぐためには、捕獲に加えて、侵入防止柵の設置や追い払い活動などにもあわせて取り組むことが効果的であります。このため、地域ぐるみで行うこれらの取り組みについて、鳥獣被害防止対策交付金により、総合的に支援しております。

 今年度は、現場からの要望の大きい捕獲対策を強化するため、この交付金について補正予算十二億円を措置したところであり、二十八年度においても引き続き捕獲対策に重点化を図ることとしております。

 今後とも、鳥獣保護管理法を所管しております環境省など関係省庁とも連携しつつ、生産現場の声に耳を傾けながら、農業者が安心して農業に取り組めるようしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

岩田分科員 ありがとうございます。

 お答えをいただきましたように、農業被害という統計だけを見ると、ややもすると減ってきたりというふうな統計も見られるようでありますが、実態というのはそういうものではない。まさに民家のすぐ近くまで来ていたり、そういうふうなものも含めた被害ということを踏まえて、やはり捕獲を力強く進めていただくということに尽きるんだというように思っております。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、有明海の再生について質問してまいります。

 今期の有明海のノリ漁は、温暖な気候によります秋芽ノリの不作を、後半の冷凍網ノリで何とか少しは挽回しつつあるという状況でございます。

 裁判というものがもちろん一つありますので、これにはしっかり対応していただくという一方で、やはり有明海の再生について具体的に結果を出すということが重要であります。地元との協力による国の取り組みを私もしっかり支えていきたいと考えております。

 そういうふうな中で、諫早湾問題に係る訴訟についての今後の取り組み方針、また、根本的な目標であります有明海再生に向けた問題の原因究明と取り組みについて伺います。

末松政府参考人 お答えいたします。

 諫早湾干拓の開門問題については、複数の訴訟が提起されている中で、本年一月から、長崎地裁において、関係する三者での和解協議が始められたところであります。国といたしましては、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、問題の解決につながるよう真摯に努力してまいりたいというふうに考えております。

 また、先生の御指摘がございました有明海の再生については、国としても最重要な政策課題と認識しておりまして、これまでも、増養殖技術の開発ですとか、赤潮、貧酸素水塊の発生機構の解明、覆砂、海底耕うんによる漁場環境の改善などに取り組んできたところであります。さらに、平成二十七年度からは、これまでの調査や現地実証の結果などを踏まえ、国と有明海沿岸四県が協調して水産資源の回復や海域環境の改善に取り組んでおります。

 こうした取り組みにより、本年度は、有明海におけるアサリの技術の開発や、アゲマキの放流効果の確認等の成果が得られております。また、ことしは有明海沿岸においてアサリの稚貝が多く発生しているという明るい兆しが見られ、この稚貝の移植に対しても支援を行っております。

 引き続き、関係県と連携しつつ、漁業者等の御意見も聞きながら、有明海の再生に向けた取り組みを推進してまいりたいというふうに考えております。

岩田分科員 ありがとうございます。

 特に二枚貝などでは、さまざまな実験や検証というものが結果に結びついてきている、そういう明るい兆しがあるのかなというふうに感じておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そしてまた、何よりも、海の変化というもの、メカニズム、赤潮や貧酸素水塊というふうなものに代表されるような、そのような問題というものがなぜ起こってきたのか、やはりここがはっきりと見えてくるということを、漁業者を初めとして地元の皆さんも望んでおられるんだろうというように思っております。また、これからの取り組みというものが、地元の皆さんの御理解と、また後押しがいただけるような形で頑張っていただきたいというように思っております。

 それでは、大臣に最後、質問をさせていただきたいと思っております。

 きょうは、るる質問させていただきまして、さまざまな農業の中の分野にまたがるような質問でありましたけれども、最初に申し上げましたように、やはり不安というものを払拭していく、また、そのためにビジョンを示して、何よりも、私たち政治家が農業にかかわる皆様にしっかりと寄り添っていく、また、その決意というものを示していかなければならない。信なくば立たずという言葉がありますが、まさに農業にかかわる問題について、私たちは改めてそのことを肝に銘じなければならない、そのように思っておるところでございます。

 森山大臣は、長く農家の皆さんの御努力や御苦労に寄り添って農政に御尽力されてきた国会議員として、農家の方々や現場の方々の信頼は大きいものがあるというように感じております。心から敬意をあらわす次第です。

 まだまだ、TPPに関する説明や不安払拭を行って、希望が持てる農業のビジョンを示していく必要がある中で、大臣が先頭に立って、農業関係者によりわかりやすく、より具体的に将来像を示されることを期待しておるところでございます。その決意を伺いたいと思います。

森山国務大臣 岩田委員にお答えをいたします。

 今般のTPP大筋合意を受けまして、まずは生産現場の懸念と不安をきっぱりと断ち切って、次世代を担う生産者が、あすの農業に夢と希望を持って経営の発展に積極果敢に取り組んでいけるようにするということが重要なことであると基本的に考えております。

 このため、これまで進めてまいりました農政改革に加え、昨年取りまとめた農政大綱に基づきまして、攻めの農林水産業への転換として、競争力強化、体質強化対策を集中的に講ずるということが大事なことであります。また、経営安定、安定供給のための備えとして、協定発効に合わせて経営安定対策の充実等を講ずることとしております。あわせて、農林水産の成長産業化を一層進めるために、検討の継続項目として掲げた十二項目について、本年秋を目途に具体的な内容を詰めていくというふうにしているところでございます。

 これらの内容につきまして、まずは現場の皆さんに御理解を深めていただくということが極めて大事なことだというふうに考えておりまして、今までも、ブロック別あるいは都道府県別、品目別に御説明を申し上げてきたところでございます。二月十日で一応一巡はいたしましたけれども、おかげさまで全体としては一定の理解は進んだと感じておりますが、引き続き、市町村別あるいは集落別など、より細かに説明をしていく必要があると思っておりますし、また、地方参事官もおりますので、組織を通じてしっかりとした説明をさせていただきたいというふうに考えております。

 現場で御努力をいただいている方々の気持ちを大切にしながら、政策大綱に掲げられた施策を着実に実行していくということが大事なことであろうというふうに思います。

 きょう、委員の御質問の中にもありましたように、TPPに対する一部不安な気持ちと、米対策に対して今後どうなっていくのかというお気持ちと、また、中山間地における、今後どういうことになっていくのかという、三つの不安が現場には交差しているように思いますので、そのところをしっかり御説明申し上げて、希望を持って再生産に取り組んでいただけるように努力をさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

岩田分科員 大臣のリーダーシップを御期待申し上げ、そして、私もまた農業の未来が明るくなるように努力していくことをお誓いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて岩田和親君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)分科員 民主・維新・無所属クラブの後藤祐一でございます。

 きょうは、TPP、有害鳥獣対策、都市農業、そして担い手育成、こういった問題を中心に、ちょっと数が多いですが、どれも中身の濃い質疑をしていきたいと思いますので、簡潔な答弁をぜひお願いいたします。

 まず、TPPでございますけれども、アメリカの大統領選では、サンダース候補に続いて、ヒラリー・クリントン候補もTPP反対という意思を明確に示されました。また、先日は、日本のTPP対策、特に豚のマルキンについて、超党派の六十七名のアメリカ下院議員の方々が署名した書簡というものが駐米大使宛てに届けられたりしております。

 このように、アメリカがそもそも批准できるのかどうかということも疑わしい、少なくともアメリカの批准はこれから随分おくれていくのではないかという見通しが強い中で、日本の国内においては、TPP特別委員会を早くも設置しようというような動きが出てきております。

 私が懸念するのは、アメリカの議会の批准がどうなるかわからない中で、日本が仮に先に批准をしてしまった後、アメリカが、議会において、日本はこういうことをやれ、ああいうことをやれと事後的に再交渉を求めてくる、あるいは、豚のマルキンはだめだとかいろいろな条件を突きつけてくる、こういったことが事後的に発生するというのは国益を害する行為になりかねないと思うんですね。

 なので、何も早く国会の批准なんということを議論する必要はなくて、アメリカの議会での議論の決着、日本に対して求めることがない、あるいは求めることがあるのなら何であるのかということがわかったところで日本で議論を始めればいいと思うのですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。もし、そうでないというのであれば、新たな義務を課されることはない、アメリカの議会からは何ら要求されることは追加的にはないというふうに断言できるんでしょうか。断言できないのであれば、日本における議論はそれを待ってから行うべきだと考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

森山国務大臣 後藤議員にお答えをいたします。

 TPPにつきましては、二月四日の協定署名式の際の閣僚会合におきまして、今後、各国の国内手続の完了に焦点を向けるということが確認をされたところでございます。

 今後、これを受けて、御質問の米国を含め各国が国内の手続を進めていくものと認識しております。我が国としても、協定とともに関連法案を速やかに国会に提出をして、承認、成立を求めてお願いをしていきたいと考えているところでございます。

 なお、米国でいろいろな報道があることは私も承知をしておりますが、米国の要求内容が明らかになってから批准の是非を国会で議論すべきではないかというお尋ねもあったのではないかと思いますが、そもそも、委員が一番御承知のとおり、TPPは、複雑な利害が錯綜する中で十二カ国の合意をつくり上げたものであります。一部の要求に応じて再交渉することは全体の合意を崩壊させることにもつながりかねないことでありますので、我が国としては再交渉に応じる考えはありません。

 また、豚マルキンについてもお触れいただきましたが、政策大綱に盛り込んでおります豚マルキンの制度の改正については、何らTPP合意に反するものではなく、変更はあり得ないというふうに考えております。

 そもそも、国内補助金はTPP交渉の対象ではありませんし、万一、米国政府が国内対策の変更を求めるのであれば、それは、交渉の対象にさえなっていない国内対策の問題を改めて交渉対象としようということであり、交渉そのものをやり直すことを意味するわけでありますから、そのようなことは、我が国のみならず他の参加国も到底受け入れることにはならないのではないかというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)分科員 再交渉に応じないという部分は少し前向きな姿勢を感じるところでございますが、それでも、これは後出しでいろいろなことが起きる可能性はあると思いますので、私は、国会における審議というのは、その進め方においても相当慎重にしなきゃいけないというふうに思いますし、そもそも衆参の農水委員会での決議に反するような内容のTPPには応じるべきでない、認めるべきでないということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

 有害鳥獣対策でございますけれども、これについては、鳥獣被害防止総合対策交付金、これは民主党政権の平成二十二年度、二十三億円だったものを二十三年度に百十三億円まで大幅拡充するといった形で、進んできておるのは事実でございますが、地域によって取り組みはまばらな状況だというふうに考えます。

 私のいる神奈川県においては鳥獣被害金額というのは二億円近くありまして、ただ、先ほども局長から答弁ありましたが、実際には報告しない方がたくさんおられます。こういったものを加えますと、実は神奈川県でも、私の選挙区なんかでも相当な被害が、猿、鹿等、発生しております。

 ただ、神奈川県というのは、鳥獣被害金額は二億円近く、全国三十五位なのに対して、この防止総合対策交付金の配分額は平成二十七年度で二千四百万弱、全国で下から五番目であります。被害状況に比べますと、神奈川県の交付金の額は割合で見てもちょっと少ないのではないかというふうに思いますが、これはもちろん、農水省が何か不公平だと言うつもりは全くないのですが、神奈川県内の市町村からの要望がやや少ないということなのかなという感じもしております。

 捕獲対策等、これからさらに充実をしていかなきゃいけないんですが、この神奈川県の状況について農水省の御見解をいただきたいと思います。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 農林水産省では、侵入防止柵の設置や捕獲等の地域ぐるみで行う被害防止の取り組みについて、鳥獣被害防止総合対策交付金により支援をしてきたところでございます。

 配分に当たりましては、都道府県からの要望に対して、各地域の被害状況や事業計画の評価ポイント等の基準に基づいて各都道府県に配賦をしてきたところでございます。

 農林水産省では、これまでも全国の都道府県等に対して、被害防止の取り組みがしっかりと講じられるように指導助言を行ってきたところでございます。神奈川県や県内市町村に対しましても、より一層被害防止活動が活発に行われるように働きかけて強化をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

後藤(祐)分科員 ぜひ、神奈川県での対策への協力もよろしくお願いしたいと思います。

 次に、都市農業に行きたいと思いますが、昨年四月、私は野党側の議員の中心となって、都市農業振興基本法案、与党と交渉の上、地産地消という言葉を入れていただくですとか、必要な条文修正も踏まえて、議員立法で成立をいただきました。

 今、都市農業基本計画の策定に向けてパブリックコメント中というふうに伺っております。

 この中で、都市農地の位置づけを大きく転換して、計画的に農地を保全しようという方向に転換したことは、これは一定の評価をさせていただきたいと思っておりますが、都市農地の位置づけを、宅地化すべきものから、都市にあるべきものへ転換するというふうにこの都市農業基本計画案の中で触れられておりますけれども、むしろ、このあるべきものからもう一歩踏み込んで、都市農地はなくてはならないものだというところまで言っていただいた方がいいのではないのかな、都市住民への食料供給という面ですとか、あるいは都市における緑地の維持ですとかいう面でも、まさになくてはならないものだと考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

森山国務大臣 後藤委員にお答えをいたします。

 まず、都市農業振興基本法の成立に向けて大変御努力をいただきましたことに感謝を申し上げております。

 現在パブリックコメントを実施中でありますが、都市農業振興基本計画案においては、都市農地の位置づけを、宅地化すべきものから、都市にあるべきものへと、ここは大きく転換をしてきているわけであります。他方、都市農業振興基本法において、都市農業の振興策については、幅広い国民の理解のもとに、地域の実情に即して推進をすることとされております。

 農林水産省といたしましては、関係省庁、地方公共団体、都市農業の関係者とともに、都市農地がなくてはならないものとして各地域で策定される地方計画等においても位置づけられるように努めてまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 なくてはならないというお言葉を含めていただいたこと、大臣の強い意思を感じました。今、各都道府県、市町村での基本計画をつくろうという動きが出てきておりますので、ぜひ農水省の方でもその御支援を賜りたいと思います。

 きょう、国土交通省からも宮内政務官にお越しいただいております。ありがとうございます。

 これは国土交通省と農水省とタッグを組んでやっているというふうに聞いておりますが、集約型都市構造化と、都市と緑、農の共生を目指す上で、都市農地を貴重な緑地として明確に位置づけるというふうにこの都市農業基本計画の中でされておりますけれども、都市計画制度上も、今、生産緑地という制度があるわけでございますが、これにかわるのか、新しい概念なのかわかりませんが、都市計画制度上、都市農地という概念を新たに明確に位置づけるべきではないでしょうか。

 この基本計画が固まった後、国交省も含めて、審議会等で具体的な議論を行って結論を得るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 都市農地は、食料生産の場としてだけではなく、都市内の貴重な緑地でありまして、農業体験の場や災害時の避難地など、多様な役割を果たしておるものと認識をいたしております。このため、これまでも生産緑地制度などによりましてその保全に努めてきたところでございます。

 現在パブリックコメント中の都市農業振興基本計画の案におきましては、これまで宅地等の予定地としてみなされてきました都市農地の位置づけを、あるべきものへと大きく転換する必要があるとしております。また、都市計画上の意義が認められる農地のより確実な保全を図る観点から、都市計画制度の充実を検討するとしております。

 このような方向性のもと、農林水産省と連携をいたしまして、都市農地の保全を図るための施策を多面的に検討してまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 充実という言葉が今出ましたけれども、二十世紀の人口増の日本から、人口がむしろ減少していく日本に二十一世紀は入っております。これを踏まえた都市農地をぜひ積極的に都市計画の制度の体系の中に織り込んでいただくようお願いしたいと思います。

 続きまして、この基本計画の中で、施策の対象区域という言葉がございます。この中に、市街化区域のほか、縁辺の市街化調整区域を含むとされておりますけれども、市街化区域内の生産緑地と、市街化区域内の生産緑地以外の農地と、縁辺の市街化調整区域内の農地と、あと、概念上はそのどっちにも入らない白地区域の農地、これも含まれると思うんですが、こういった都市農地版の農業振興地域、農振といったようなものを新たに制度としてつくるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

 この都市農地版の農振地域内で、従来対象とならなかったようなさまざまな支援策、これが新たに適用対象になるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

伊東副大臣 現在策定中の都市農業振興基本計画案におきましては、市町村が都市農業の振興あるいはまた都市農地の保全の方針と施策を推進すべき区域を定めることが必要とされておりまして、この区域は、農業振興と都市計画の双方の視点をあわせ持つ区域とする方向で検討をすることとしております。

 このような区域に適用される新たな農業振興施策につきましては、今後の具体的な制度のあり方とも密接に関連するものでありまして、どのような支援策をいつから講ずるかにつきましては、制度とあわせて検討をしてまいりたいと考えております。

後藤(祐)分科員 先ほどの都市計画制度上の新たな都市農地制度の話と、あとはこの都市版農振地域的な話と、多分二つあると思うんですけれども、ともにぜひ早い段階で、特に平成二十九年度予算、税制要求の中に、この都市版農業振興地域の中でも適用できるような支援策が織り込まれるよう、具体的なニーズの調査等もこれから八月の概算要求に向けて進めていく必要があると思いますので、ぜひ積極的な、具体的な検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、都市農業最大の課題であります相続税の納税猶予でございます。

 これについても、この都市農業基本計画の中で、生産緑地等を賃貸する場合における相続税の納税猶予を適用除外されないようにする方向と伺っておりますけれども、生産緑地に限らず、先ほどの都市農地版農振地域内においては相続税の納税猶予、これが適用されるようになるというふうに考えてよろしいでしょうか。これは大臣に伺いたいと思います。

森山国務大臣 委員御承知のとおり、相続税の納税猶予制度におきましては、三大都市圏の特定市にあっては、市街化区域内の農地のうち、生産緑地に限って納税猶予の適用が認められているところであります。一方、三大都市圏の特定市以外にあっては、市街化区域内農地全てに相続税の納税猶予の制度の適用が認められております。

 これを踏まえまして、納税猶予の適用が現在認められている農地について、課税の公平性等に配慮しつつ、政策的意義や土地利用規制等の措置の検討とあわせて、貸借する場合の相続税の納税猶予の取り扱いについては検討してまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)分科員 農地を賃貸する場合の話ですね。失礼しました。質問でちょっと明確でなかった部分があるかもしれません。

 この相続税納税猶予の話は、体がちょっと悪くなっちゃって自分で耕作できないというような方がほかの方に貸して、でも、ちゃんと農地として耕作していただけるんだという場合に、納税猶予が途切れてしまうという問題が最大の課題でございますので、これについて、先ほどの都市農地の農振みたいな範囲に入るものについては、ほかの方であってもちゃんと耕作意思があるような場合にはぜひ適用されるような方向でやっていただきたいと思います。

 きょう、財務省にも来ていただいております。平成二十九年度税制改正にこの内容が盛り込まれる方向だというふうに考えてよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 都市農業につきましては、今後策定されます都市農業振興基本計画に基づきまして、農地としての保全が図られるために必要な土地利用規制等の措置が検討されるものと承知しております。

 都市農業に係る納税猶予制度につきましては、平成二十八年度税制改正大綱におきまして、都市農地に関し、市街化区域外の農地とのバランスに配慮しつつ土地利用規制等の措置が検討されることを踏まえ、必要な税制上の措置を検討することとされておりますので、来年度以降の税制改正プロセスにおいて適切に議論されるものと考えております。

後藤(祐)分科員 ぜひ、これは政治の意思もございますので、認められる方向で決めていただきたいと思います。

 続きまして、この相続税納税猶予、山林への適用という制度が実はございます。

 これは、二年前のこの分科会でも私は申し上げたんですが、民主党政権で制度を導入したんですね。当時、二年前、江藤農水副大臣から「これは民主党政権の一つの大きな成果だと思います」という御答弁もいただいているんですが、ただ、これは適用要件が厳しくて、今まで一件しか事例がないという大変残念な状況でございます。二年前は、百ヘクタール以上という面積要件がちょっと厳しいんじゃないかという議論をいたしましたけれども、聞いていますと、山林経営の規模の拡大に関する目標として、認定後十年間で経営規模を三〇%以上拡大しなければならないという要件が大変厳しいというふうに伺っております。

 これに限らず、山林に関する相続税納税猶予の適用がきちんと活用されるように、農地においてはこんな厳しい要件はありませんから、いわば農地並みに相続税納税猶予が使われるように緩和すべきではないかと考えますが、これも、農水省、よろしくお願いいたします。

伊東副大臣 山林相続納税猶予制度は、ただいまお話がございましたように、林業経営に取り組む森林所有者の経営継続を支援する観点から、百ヘクタール以上の山林を所有する者が経営規模の拡大等に取り組んだ場合に山林の相続税の納税を猶予する制度であります。

 お話しのように、平成二十四年四月に本制度の導入以降、一件しか実績がないというふうに承知しております。創設から四年目を迎える中で、森林所有者等からも、山林の所有規模や経営規模拡大のスピードに関する要件など、制度の改善に関する要望も寄せられているところであります。

 現在、森林・林業基本計画の変更に向けた作業を行っているところでありますので、その検討の中で、本制度が円滑に御活用いただけるように運用改善について検討してまいりたい、このように考えております。

    〔主査退席、小倉主査代理着席〕

後藤(祐)分科員 前向きな答弁をありがとうございます。伊東副大臣も北海道で、山林が多いところだと思いますので、ぜひ具体的な適用拡大につながるよう御検討をお願いします。

 続きまして、都市農業に戻りまして、生産緑地、これが五百平米ないといけないということが、これは法律で数字が書いてあって、大変困っています。先ほどの抜本的な改革がなされればいいのですが、それまでの間ということかもしれませんが、この生産緑地の適用の五百平米という制限をもう少し緩めていただきたいと思いますが、これについての宮内国土交通政務官からの答弁をいただきたいと思います。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 生産緑地地区の面積要件につきましては、都市計画において、農地の持つ緑地機能を評価して、これに権利制限を加えて保全を行う以上一定の規模の必要はあるのではないかということで、五百平米と定められているところでございます。

 現在パブリックコメント中の都市農業振興基本計画の案におきましては、生産緑地の指定の対象とされていない小規模な農地について、都市農業振興の観点も踏まえまして、農地保全を図る意義について検討した上で必要な対応を行うとしております。

 このような方向性のもとで、生産緑地制度につきましても、都市農地の保全を図るために必要な検討をしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)分科員 ぜひここは、具体的な数字の話だと思いますので、答えを出していただけるようお願いしたいと思います。

 続きまして、相続税の関係でもう一つ。

 平成二十四年の税制抜本改革法においては、相続税について、「課税方式を始めとした様々な角度から引き続きその在り方を検討する。」とされていて、大変一般的な規定が置かれているんですが、相続税の総額の決定方式において、今は、実際に、例えば二人の相続の方がいらっしゃって額が違った場合には、両方とも同じ額を相続すると仮定した場合に払わなきゃいけない相続税の総額が相続税の総額になるというのが現行の制度なんです。

 平成二十年ごろに、この相続税の総額の計算方式を改めて、実際に相続する割合が、例えば六五%と三五%というような形で違うわけですよね、長男と次男で違ったという場合には、実際にそれで適用された場合の合計額、遺産取得課税方式というそうなんですが、これに相続税の総額の計算方法を変えるべきではないかという議論がありました。

 これにすると、今のケースのように、長男と次男で相当差があるような場合には、結果としての相続税の支払い額がふえるケースというのが多々出てくる可能性があるわけでございますが、もしこのように制度改正されてしまった場合、これは無理に、例えば長男と次男の間で無理して同じ分だけ相続しましょうというようなことを決める、これはいわば田分けですよね、昔ながらの言い方をすれば。田分けはやっちゃいかぬというのが日本の先祖代々のルールでありまして、農地減少につながるおそれが、まさにこれは直結しかねない話であります。

 今そういった議論があるとは伺っておりませんが、今後においても、相続税の改革という話が出てきたときに、相続税の総額を決める方式において、今申し上げた遺産取得課税方式に変更しないということをお約束いただけないでしょうか。財務省、お願いします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の遺産取得課税方式への変更につきましては、御指摘のとおり、平成十九年から二十年にかけて政府税制調査会で検討されました。その結果、現行の法定相続分課税方式を肯定的に評価する意見もあったことから見送られたものと承知しております。

 現行の課税方式につきましては、半世紀以上の長きにわたって定着してきた制度であり、その見直しは、課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題でありますことから、幅広い国民の合意を得る必要があるものと考えております。

後藤(祐)分科員 ぜひ、これは先祖代々日本では田分けということになっておりますので、絶対にやめていただきたい。ここは政治の指導力を、もしそういう話が出てきた場合にはきちっととめていただくようお願いしたいと思います。

 最後に就農対策についていきたいと思いますが、今週月曜日、私は、地元の、若くして新たに就農された方々、あるいは親から後継でやっていらっしゃる、頑張っている方々にお話を伺いました。

 今、青年就農給付金をいただいている方も結構いらっしゃって、これは非常に有効だというお声をいただいております。今こういった形で認定新規就農者の方々が次の目標として認定農業者を目指すということになっておるんですが、認定農業者は所得五百万円とか、次、なかなかハザードが高くて、ちょっとはざまができかねないんじゃないか。つまり、青年就農給付金をいただいている認定新規就農者と認定農業者のはざまに落ちてしまわないような、さまざまな対応が必要なのではないかというふうに考えます。

 特に、お金を借りる場合に、青年就農給付金が給付されている間は青年等就農資金という無利子のお金を借りることができます。また、認定農業者まで行くとスーパーL資金というものを借りることができますが、そのはざまに落ちてしまった場合、なかなかこういったものが使えない。

 この資金を借りるということも含めて、認定新規就農者と認定農業者のはざま対策、これについて積極的にお考えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。農水省、お願いします。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 認定新規就農者は、将来の地域営農の中核となる担い手として育成すべき対象であります。青年等就農計画の計画期間の後も継続的に経営改善に取り組んでもらうことが重要であると考えております。

 このために、計画期間の満了を迎える認定新規就農者が円滑に認定農業者に移行できるようにするために、あらかじめ時間的余裕を持って認定農業者となるための準備を促すよう、市町村を指導いたしておるところでございます。

 さらに、認定農業者の認定に際しましても、所得水準などで機械的に認定の可否を判断するのではなくして、経営改善の意欲や見通しを勘案して、柔軟な判断を行うことを市町村に求めているところでございます。

 これらにより、認定新規就農者が認定農業者に円滑に移行できるよう、引き続き制度の的確な運用に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

後藤(祐)分科員 ぜひお願いします。

 最後に、新しく農業を始めた若い方々が、一つ大きな悩みとして、農地を探すという面では農地中間管理機構ですとかさまざまな支援策があるんですけれども、作業場ですとかあるいは農機具の保管場所ですとか、場合によっては、アパートに住んでいるとか遠くに自宅があって大変だとか、もともと農業をやっているおうちでは考えにくいようなさまざまな問題に直面しています。もちろん、もともとの農家で畑をやることがなくなっちゃったようなお宅を貸していただいたりするとすごく望ましいんですけれども、そういうことがうまくいかない方もいらっしゃいます。

 ぜひ、こういう新規就農者を応援する意味で、空き家の活用も含めた、作業場、保管場所、あるいは場合によっては自宅、こういったものの融通について、これは当然、市町村ですとか農協ですとか、さまざまな主体、人的ネットワークが大事になってくると思いますが、こういった多様な対応が必要だと考えますが、農水省としての御見解をいただきたいと思います。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 新規就農をする者にとって、農地や資金の確保、営農技術の習得に次いで、住宅の確保が経営開始時における課題となっていることは認識をいたしておるところでございます。

 そこで、平成二十四年度から、研修中または経営開始直後の青年就農者を対象に、青年就農給付金による支援を行っております。これを契機として、新規就農者に対する独自の支援を講じる自治体が増加をしておる状況にございます。具体的には、住宅のあっせんや家賃補助など住宅取得支援を講じる市町村数は、平成二十三年度の六十三市町村から、平成二十六年度にはほぼ二倍の百二十三市町村まで増加をしておるところでございます。

 今後とも、こうした自治体独自の新規就農支援施策と連携をしながら、新規就農者の確保、定着に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

後藤(祐)分科員 ぜひ新規就農者の応援をお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

小倉主査代理 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井比早之君。

藤井分科員 藤井比早之でございます。

 毎年、三年連続で農林水産省所管部分を質問させていただきますことを心から感謝申し上げたいと思います。

 まず、昨年、平成二十七年十二月二十二日に、全国のトップを切って、神戸肉流通推進協議会が申請されました神戸ビーフ、但馬牛が、地理的表示、GI産品として登録されました。

 地理的表示は、地域と結びついた特色ある農林水産物の名称であり、この名称を知的財産として保護する制度であると認識しておりますけれども、地域団体商標など商標権と異なって、具体的にどのような違い、メリットがあるのか、その意義と目的をお伺いいたしたいと思います。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地理的表示は、地域で長年生産され、高い品質と評価を獲得するに至った地域ブランド産品の名称を登録し、知的財産として保護するものであります。

 地理的表示につきましては、名称とともに品質の基準や品質を確保するための生産方法の基準を登録することによりまして国がその品質を担保すること、また、地理的表示の不正使用があった場合には国がこれを取り締まることといった点で地域団体商標と異なるものでございまして、国が主体的に関与し、ブランド価値を守ることによって生産者の利益を確保することを目指しているものでございます。

 今後とも、全国各地の伝統的な産品が地理的表示として登録されるよう大いに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 国が担保する、取り締まりを行う、ブランド価値を守る、非常に大切なことだと思います。生産者にとっても、また消費者にとっても、これはほんまに何の肉なんやとかいう問題がありますので、本当にありがたいことだなというふうに感謝申し上げたいと思います。

 まさに神戸ビーフ、黒田庄和牛は海外でも高く評価されております。もっと神戸ビーフ、黒田庄和牛を身近に、多くの方に楽しんでいただきたいと思うところでございますけれども、増産しようにも、本当に子牛の価格が高くなってきておる。兵庫県産但馬牛(たじまうし)の子牛価格は、平成二十三年は一頭四十一万五千円だったのが、昨年十一月には一頭九十四万九千円と、もう百万近くまで高騰してしまっておるという状況でございます。

 兵庫県では、現在、繁殖雌牛一万六千頭を二万頭にしようと目標を掲げて乳用牛への但馬牛(たじまうし)受精卵移植など、いろいろと行っておられるんですけれども、繁殖農家自身がやはり高齢化が進んでおる。また、事業を継承しようと思っても、相続するときに、牛が流動資産で相続税の問題がある。また、新規就農しようと思ったら、周辺の皆さんの同意も必要ですし、子牛価格が高過ぎて、やはり、資金繰りといいますか、資金調達でちょっと二の足を踏んでしまうというところがあって、なかなか繁殖農家を育成するというのが困難であるという状況です。

 国として、子牛の増頭対策を具体的にお伺いいたします。

今城政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、今委員がおっしゃられたとおりの状況を踏まえまして、やはり、繁殖雌牛の増頭による肉用牛生産基盤の安定化、これが重要であると考えております。

 このため、繁殖雌牛の増頭対策における奨励金、これはALIC事業でお支払いしておりますが、平成二十六年度から、この単価の引き上げ等の大幅な拡充をしております。また、翌年度、平成二十八年度からは、生産者集団を形成していただくということにより、いわゆる一農家十頭未満の農家でも参加できる、対象になるというように拡大することとしております。

 また、先般成立しました二十七年度補正予算におきましては、乳用牛に和牛受精卵を移植しまして、和子牛の生産を拡大する取り組み、発情発見装置と情報通信技術を組み合わせて授精適期を検知し、繁殖性の向上を図る取り組み、さらには、畜産クラスターによる収益性の向上に必要な機械リースや施設の整備、あるいは新規参入による繁殖雌牛の導入等に対する支援を基金化するということによりまして、切れ目なく支援できるような措置としたところでございます。

 このような対策を総合的に実施し、今後とも、肉用牛の繁殖基盤の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

藤井分科員 構造的に大変難しい問題ということでございますけれども、先ほど小規模の話もございました。肥育農家と違って、繁殖は小規模でもできますので、そうした奨励金を含めまして、ぜひ、事業継続、新規就農ということで、何とか後押しを要望いたしたいと思います。

 神戸ビーフは、今現在、マカオ、タイ、ベトナム、ロシアへは、県内の神戸市立食肉センター、加古川食肉センターから輸出ができるんですけれども、大どころの香港、シンガポール、アメリカ、カナダ、EU諸国、こういったところでは、大臣の地元である鹿児島県に牛を運搬して食肉処理をしていただかないと輸出ができないという状況になっております。

 鹿児島まで行くと、牛は疲れて体重が減る、ストレスでちょっと肉質も心配、運搬費もかかるというところでございまして、ぜひ、神戸ビーフ、黒田庄和牛の輸出拡大には、県内で輸出できる食肉加工施設をつくっていただくことが必要ではないかと思うんですけれども、具体的な取り組みをお伺いいたします。

今城政府参考人 お答えいたします。

 牛肉の輸出については、オール・ジャパン体制で促進に取り組んでおりまして、輸出金額は、平成二十六年に八十二億円、平成二十七年には百十億円と拡大してきております。

 他方、委員御指摘のとおり、牛肉を輸出するためには、食品衛生の観点から、輸出先国の求める基準を満たしていると厚生労働省が認定した食肉処理施設で処理する必要がございます。この関係で、神戸ビーフは、現在、兵庫県内に米国、EU等への輸出が可能な食肉処理施設がないという状況でございますので、これらの国、地域向けについては、鹿児島県内にお運びいただいて、屠畜、加工を行っているという現状でございます。

 したがいまして、このために、兵庫県姫路市におきまして、国の強い農業づくり交付金を活用していただき、米国、EU等への輸出に対応した食肉処理施設の準備が現在進められておりまして、この施設は平成二十九年三月までに完成予定ということと相なっております。

 今後とも、このような輸出を志向する生産者等による取り組みを促進いたしますため、食肉処理施設の整備等を支援していきたいというふうに考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 二十九年三月には県内から輸出ができるようになるという答弁をいただきまして、ありがとうございます。強い農業づくり交付金ということで、輸出拡大ということでやっていただいていると理解しておるんですけれども、当初は農水省さんも、やはり改築とかそういうのをするためには統合してもらわぬと困るという話をしておられたと理解しておるんですが、何分、食肉加工施設というのはそれぞれの地域の歴史を背負っておりますので、そう簡単に統合できるものじゃない。そういうことではなくて、上から目線でそういうことを言うんじゃなくて、今回、輸出対応ということで特別に、弾力的に御支援をいただいたことに心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、これはもう三年連続ということでございますけれども、酒米、酒造好適米について質問させていただきたいと思います。

 酒造好適米については、価格を下げないように制度を仕組みつつ、生産数量目標、減反の枠外での増反、増産を可能にするという制度改正を行っていただきまして、私の選挙区、JA兵庫みらい、JAみのり、そしてJA兵庫六甲、この管内においては、平成二十五年産は十九万四千俵、それが平成二十六年は二十四万四千俵、平成二十七年産は二十八万四千俵と、九万俵近く増加しておりまして、JA兵庫みらい稲葉組合長の試算では、平成二十五年産は四十七億五千万だったところが平成二十七年産は七十億八千万ということで、二十三億三千万円、生産者、農家の皆さんの収入が増加したというふうに試算をされておられます。

 今回の制度改正は、特に生産者の皆さんにとっては、価格が下がらないで高水準で維持して増産ができる、蔵元さん、酒造メーカーさんにとっては、必要とする酒米を確保できて、高級な吟醸酒をつくって販売増につなげることができる、消費者の皆さんは、海外の皆さんも含めて最高の山田錦のお酒を楽しむことができるという、まさに三方よしの制度改正だというふうに感謝しておるところです。

 昨年、二十七年十二月二十五日に、酒類の地理的表示に関する表示基準によりまして日本酒が地理的表示として国税庁より指定されました。これを機会に、この酒米自体を、いわば山田錦を何とか地理的表示、GIとして認めていただくことはできないだろうか、この点についてお伺いさせていただきます。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 酒米は、地理的表示の対象産品であることから、登録の申請を受け付けることは可能でございます。

 しかしながら、一般論として申し上げますと、地理的表示法に基づく登録を認めるかどうかにつきましては、その特性が特定の地域と結びついているかどうか、そして、産品の名称が単純な植物品種名などの普通名称でないかどうかといった点につきまして、申請書類の内容を個別に審査した上で、第三者から提出された意見書や学識経験者の意見も踏まえまして判断することとなります。

 今後、酒米も含めまして、全国各地には多くのすばらしい農林水産物やその加工品があると認識しておりまして、国としても、これらの産品の登録を進めるため、制度の紹介や、産地での地理的表示の申請を支援するGIサポートデスクの活用などの働きかけを広く行ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。

藤井分科員 ありがとうございます。

 既に地域団体商標として山田錦を登録しているという場所もあるんですけれども、まさに、先ほども答弁がありましたように、国のお墨つき、また取り締まりも国の方でという点で非常に重要だと思います。地域との結びつきや普通名称ではなく特定のということで、兵庫県においては、グレードアップ兵庫県産山田錦というような形で取り組みを進めておるというところもございますので、これからぜひ、地理的表示として認めていただくような、そのような取り組みをお願い申し上げたいと思います。

 価格を維持できているのは、制度をつくるときに、最初に蔵元さんに聞いて、その範囲だったら枠外でも大丈夫ですよということで価格を維持するという制度を仕組んでいただいております。蔵元さんと村とのつながりというのは本当に長い歴史と伝統を持っておりまして、一九四二年に食管法ができて国が米を管理するようになってもこの村米制度は生き残った、自主流通米制度、食糧法と流通制度は変わっても、村米制度、村と蔵元とのつながりというのはずっと続いてきたわけでございます。そういった観点も含めまして、この村米制度、本当に世界農業遺産として申請してもいいんじゃないかという話を地元でもしていたりするんですけれども、ぜひそういう点で、地理的表示としての酒米の登録、どうかよろしくお願いしたいと要請申し上げたいと思います。

 高価格で酒米が維持されようと思ったら、やはり大もとの日本酒の需要がないといけないんですけれども、実際のところは、国内は人口も減っておる、若い人もお酒離れが進んでいるということで、清酒としては余り需要が、伸びるというか、むしろ低下しているというのが現状だと思います。

 ただ、高級な吟醸酒、これは国内でも伸びておりまして、また輸出が非常に伸びてきておるというふうに考えております。これからのことを考えると、需要増、販売増が必要であり、特に輸出拡大への取り組みが必要だと思われますけれども、こちらについてお伺いさせていただきます。

柴崎政府参考人 お答えいたします。

 日本酒の需要増、輸出拡大に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。

 日本酒の製成数量の推移を見ますと、少子高齢化に伴う人口の減少や国民の健康に対する意識の高まり、生活様式の多様化等によりまして、昭和四十八年をピークに減少傾向にあるところでございます。

 一方で、委員御指摘のとおり、国内外におきまして吟醸酒、純米酒等の特定名称酒の人気が高まっており、製成数量におけるその割合は高まっているところでございます。

 また、日本酒の輸出額は年々増加しておりまして、平成二十七年は対前年比一二一・八%の約百四十億円となりまして、六年連続で過去最高を記録しております。

 こうした中、国税庁といたしましては、当庁の使命である酒類業の健全な発達を図る観点から、例えばミラノ万博や伊勢志摩サミットなど、国内外で開催されますさまざまな機会を活用した日本酒の特性、魅力の発信や、日本産米のみを用い、日本国内で製造した清酒のみが名乗ることのできます地理的表示「日本酒」を活用した日本酒のブランド価値向上、また、国税庁と独立行政法人酒類総合研究所が連携いたしまして実施しております醸造講習などを通じた製造技術力の向上や人材育成、こうしたさまざまな取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを含めまして、日本酒を初め酒類業の振興に向けて、関係省庁とも連携しながら、一層努めてまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 ぜひ事業官庁として頑張っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 ノーベル賞でも、銘柄名は言わないですけれども、日本酒を取り上げられて有名になりましたし、伊勢志摩サミットもありますし、東京オリンピックもあります。ことし五月には、IWC二〇一六「SAKE部門」、この審査会が兵庫県で開催されることになりました。こういった機会を捉えまして、ぜひ、日本酒のさらなる輸出拡大に向けて、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、農水省さんから肝いり事業でやっていただいております、特に林前大臣の肝いりで進めていただいておりました次世代施設園芸導入加速化支援事業、これは、平成二十五年度補正予算、二十六年予算で、全体は農林水産省としては五十億円、そのうち十二億円を支援していただいて、加西市の鶉野、野条で四ヘクタールのトマトハウス団地を建設していただきました。広さ四ヘクタール、高さ六メートルもあって、コンピューター制御で、本当に巨大なトマト工場みたいなところなんですけれども、改めまして、こちらの次世代施設園芸導入加速化支援事業の創設の趣旨と目的をお伺いさせていただきます。

今城政府参考人 お答えいたします。

 この次世代施設園芸導入加速化支援事業の趣旨でございますけれども、やはり需要に即した収益性の高い農業経営の実現が重要ということでございまして、そういうような農業を支援していくということから、地域資源エネルギーを活用するということとともに、ICTを用いた高度な環境制御を行い、大規模な全く新しいタイプの高収益の施設園芸産地の育成を図る、こういうことを目的、趣旨にしております。

 今委員おっしゃったとおり、兵庫県の拠点は完成しておりまして、既にトマトの生産がされているということでございます。現在、兵庫県を含め三拠点が完成し、稼働しているという状況にございます。

 今後でございますけれども、二十八年度中には全国十拠点全てが完成する予定でございまして、このような次世代施設園芸を全国に展開していくということが重要でございます。したがいまして、二十八年度予算におきましては、拠点の成果に関するセミナー等による情報発信、拠点における実践的な研修等による人材の育成、あるいは強い農業づくり交付金の活用による先進的な大規模園芸施設の整備への支援というのを盛り込んで、これを横展開していくということにしております。

 こうした総合的な施策を通じまして、収益性の高い農業の実現ということに向けて支援してまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 全国で十拠点ということで、本当に新しい農業の姿を見せていただいている、オランダ式農業を体感させていただけるすばらしい施設だと思います。テレビ番組にも加西市で鶉野、野条は取り上げていただきましたし、運営主体である兵庫ネクストファームさんでは、社員十名、パートさん百名ということで、地元雇用の創出にも随分成果を上げていただいておるところでございます。これを見て、兵庫県内でもほかに最新のトマト栽培ノウハウを共有していただくとともに、園芸施設団地を整備しようかというような話も持ち上がってきておりまして、ありがたいことだと思っております。

 ただ、目の前でこれだけ大量生産されますと、地元の小さな農家さんが、自分のところのトマトの価格が下がらないかどうかと心配されます。そのためには、やはり新たな販売ルートを開拓していくことは欠かせないと思いますし、また、輸出を拡大するとか、そういう需要の増加自体を図っていかないといけないと考えております。

 輸出を通じて高価格化がいけるんじゃないかなと思うのは、やはり生食用の日本のすばらしい果物や野菜だと。イチゴやイチジク、柿、梨、桃と、生食用の果物は非常にアジアで高く評価されております。ただ一方では、輸出をする場合には、すぐ傷んでしまいますのでそれをどうするのか、輸送コストもかかるという高いハードルがございます。

 実際、私の地元の神戸市西区でも取り組み始めておられるところがあるんですけれども、そのような高いハードルにぶち当たっておるところでございますが、このハードルを乗り越えて輸出拡大を行うための取り組みについてお伺いさせていただきます。

今城政府参考人 ただいま御指摘のとおり、やはり非常に人気が高いものですから青果物全体としての輸出拡大というものを図ってまいりたいわけでございますが、輸出に際しての鮮度保持等々の課題というものがあるというふうに認識しております。

 そういう中で、私ども、イチゴ等のデリケートな青果物の輸出に際しまして、それらを取り扱う商社から、鮮度保持が難しい、輸送中の衝撃で傷みやすいという指摘がございましたので、イチゴの例えば個別包装容器等の開発ですとか、輸出を行っている産地における予冷施設等の整備、こういうことに支援をできる仕組みというものを用意させていただいてきたところでございます。

 今後とも、技術開発を含め、関係者一体となって、ジャパン・ブランドとしての青果物の輸出拡大に努めてまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 まさに包装容器、もう何か、ふわふわの本当に傷まぬようにというのに取り組んでいただいておるんですけれども、さらに輸送コスト、あと小規模な農家さんにとったら輸出のルートといいますか取引関係、販路をつくっていくのが大切でございますので、そういった点での支援をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 こうしたすばらしい農産物、やはり日本の農家の皆さんが本当に手塩にかけて、愛情を込めてつくられるということが大きいと思うんですけれども、それとやはり環境、水ですね。水の確保というのが大切だなと。

 水のいいところは本当にすばらしい農産物ができるというふうに理解しておりますけれども、その水の確保について、これも毎年質問させていただいておりますけれども、国営かんがい排水事業、ため池の防災・減災、いわゆる農業農村整備事業の推進につきまして、民主党のときは物すごい切られたんですけれども、安倍自民党は違う、自民党政権は違うということで取り組んでいただいておりますけれども、これについてお伺いいたします。農業農村整備事業の推進についてお願いいたします。

伊東副大臣 御質問のありました農業農村整備事業関係の平成二十八年度の予算につきましては、補正予算と合わせまして、前年度から約一千億円以上の増額となる四千八百十億円を計上いたしました。大分回復してきている、このように思うところであります。これによりまして、現場から強い御要望をいただいております農地の大区画化、汎用化や農業水利施設の長寿命化、耐震化等々を推進する考えでございます。

 先生の御地元の兵庫県には、先ほどからお話ございました酒米山田錦、あるいは枝豆の丹波黒など、全国的に有名な農作物がございまして、これらの生産には農業用水は必要不可欠である、このように思っております。

 このため、平成二十五年度から国営かんがい排水事業東播用水二期地区を実施し、東条川二期地区につきましても、本年度より事業実施に向けた地区調査を開始いたしております。

 また、全国の都道府県で最も数が多い兵庫県のため池につきましても、改修やハザードマップの作成など、防災・減災対策を引き続き支援してまいる考えでおります。

 今後とも、必要な予算の確保に努め、農業農村整備を推進してまいりたいと考えております。

藤井分科員 ありがとうございます。

 もう大分復活してきたということで、また、伊東副大臣にはわざわざ固有名詞を使って答弁していただきまして本当にありがとうございます。東播用水二期も東条川二期も、いずれも、私が当選させていただいてから新規事業が決定、それから調査着手ということで、本当に配慮していただいておりますことを心から感謝申し上げたいと思います。

 また、伊東副大臣おっしゃったとおり、兵庫県は全国第一のため池王国でございますので、ため池の防災・減災も含めまして、予算確保をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、土地改良ですね。現場を見ていますと、土地持ちの非農家、不在地主の方が随分ふえてきておりまして、そういう農村の現況を踏まえて、土地改良区の安定的な運営、これをいよいよ考えていかないといけない時期に入ったかなと思っておりまして、そうした制度改正、検討も含めて、これは要望、お願い申し上げたいと思います。

 以上、最後になりますけれども、農業、農村、今整備の話もさせていただきましたけれども、地元を回っておりまして、特に酒米をやっておるところ、いいところなんですけれども、あぜといいのり面といい、本当にゴルフ場のグリーンみたいにきれいに整備しておられるんです。本当に手塩にかけてやっておられる。

 また、神戸ビーフ、黒田庄和牛も、この前、銀座で話を聞きましたが、百グラムで二万五千円とか、部位によっては三万円とか、それを、香港の大富豪さんがそのためだけに来られるんやとかいう話で、じゃ、これはどこのお肉ですかと聞いたら、いや、これは黒田庄なんです、うわあ、地元やなということで、本当にありがたい思いをしておるんです。

 それもこれも、本当に愛情を持ってやってきて、この日本の農産物がいよいよ海外で評価されてきておるということだと思います。森山大臣、輸出拡大に向けた農産物の振興、この決意を、ぜひよろしくお願い申し上げます。

森山国務大臣 藤井委員にお答えをいたします。

 おかげさまで、二十七年の農林水産物、食品の輸出は、中間目標でありました二十八年、七千億というところをオーバーいたしまして、一年前倒しで七千四百五十二億円ということになりました。

 今後、一層輸出拡大を図っていくためには、御指摘のように、付加価値の高い産品の輸出を伸ばしていくことが極めて重要であると考えております。

 このため、日本産品のブランド価値を高めるための地理的表示の活用や六次産業化をさらに促進することによって、付加価値のある産品の輸出をさらに進めていかなければいけないのではないかと思います。

 私は、就任以来、国内各地に出張した際、国内の生産現場でさまざまな付加価値の取り組みが行われているというふうに思っておりまして、大変力強く、うれしく思うことが多々ございます。例えば、愛媛県の紅まどんなというおミカンがありますけれども、大変高品質なものでございまして、生産に大変な御努力をしていただいているなというふうに思います。また、優秀な牛の肥育農家を訪ねますと、牛の昼寝の時間に人が来るのを一番嫌われるようであります。

 それぐらい、いろいろなことに配慮しながら、いいものをつくっていくという努力をしておられるというふうに評価ができると思います。そのことが、海外での、日本の高品質な産品が高く評価をされているということにつながっているのだろうと思います。

 日本の農林水産物、食品の輸出が大きく伸びる可能性は非常に高いと考えておりますので、あらゆる政策を動員して、関係省庁、関係団体、民間企業と連携をしながら、さらに輸出の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

藤井分科員 森山大臣、ありがとうございます。

 七千億オーバー、さらに目標よりも高目を行っておるということでございますので、何といいましても、農村を振興するためには、農家の皆さん、生産者の皆さんの収入をアップさせることが何よりも必要でございます。そのための輸出拡大、これからもよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

小倉主査代理 これにて藤井比早之君の質疑は終了いたしました。

 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾分科員 民主党の鷲尾でございます。

 早速でございますが、質問させていただきたいというふうに思います。

 予算委員会の質疑等を拝見していますし、また、これまでの農水委員会の質疑を拝見させていただきますと、TPPに関する質問も随分あるんですけれども、私の地元新潟、米どころといたしましては、もちろんTPPについても、ぜひ農家の皆さんのやる気をそがないように対策を打っていただきたいというのは当然でありまして、現場のニーズに合った対策をこれからもお願いしたいところでございますけれども、より構造的な問題としては、やはり総理が一昨年のダボス会議でも明言されていますが、あるいは予算委員会でも累次にわたって答弁されていますけれども、減反の廃止ということをおっしゃっておられます。

 よくよく農水省から話を聞きますと、これについては、生産調整の配分方法を変更していくんだということでありまして、総理の、通常の日本語の減反の廃止という語感と、一般の農家さんがその語感から受ける印象と、実際に農水省が現場で考える、これから実行していくということについて、かなりの著しい乖離があるのではないかというふうに思っております。

 これは、政府は政府として、総理の答弁は答弁として考えなきゃいけない話であろうし、しかし、現場は現場としてこれから動いていくわけですから、それにつきましては日本語の語感の著しい乖離があるわけですから、そこは懇切丁寧に説明をしていかなきゃいけないと思うんですが、このやりとりが余り国会でもなされていないなということなんですね。

 そこで、きょうは、生産数量目標の配分の見直しについて、少し突っ込んだ議論をさせていただきたいというふうに思うんです。

 これまででいえば、国、それから県、市、そして地域協議会、認定方針作成者、それと個々の農家という形で生産調整の配分目標がおりていく、そういう格好をとっておるわけですけれども、現場としたら、では、我々はこれからどういうふうに動けばいいのか、これがわからない、こういうことが起こっております。

 昨年から自主的取り組み参考値ということも提示をされているようでありますが、個々の主体がこれから、先ほど言いましたけれども、国なり県、市、地域協議会、そして認定方針作成者、こういった人たち、これまで生産調整にかかわっている人たちが、平成三十年に国の関与がなくなります、これが肝のようでありますから、その関与という意味合いもいろいろあると思うんですけれども、これらの主体が、生産調整の配分方法が変わった後、どういう役割を担うのかということについて、詳しく御説明をいただきたいと思います。

柄澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたように、現在進めております米政策の見直しにおきましては、三十年産を目途に、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも生産者みずからの経営判断により需要に応じた生産が行われるようにする、こういった基本方向に基づいて政策を進めているところであります。

 その中におきまして、国としましては、一つは、全国の需要見通しに加えまして、各産地の販売、在庫をめぐる状況などにつきましてきめ細かな情報提供を行う、そして次に、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する助成金の交付等の支援を行う、こういうようなことをやりまして、こういったことで環境整備を進めているところであります。

 一方、県や市町村の段階におきましては、現時点におきまして、県段階におきましては、都道府県や県段階の農業団体などを構成員といたします都道府県農業再生協議会というものが存在いたします。また、地域段階、市町村段階におきましては、市町村やJAなどの農業団体などを構成員といたします地域農業再生協議会が設置されているということでございます。

 こういった協議会におきましては、それぞれ県レベル、地域レベルでございますけれども、それぞれの段階におきまして、現在でも生産数量目標の配分は行われておりまして、この配分ですとか、あるいは、地域の作物振興の設計図となります水田フル活用ビジョンを策定するというようなことをやっていただくとともに、産地交付金の活用を通じて、特色ある魅力的な地域の産品づくりの推進を図っているというようなことをやっていただいております。

 三十年産以降のお話でございますけれども、こういった地域レベルの協議会というものは、引き続き、三十年産以降も基本的に存続するということを考えております。

 こういった農業再生協議会におきましては、国としては三十年産以降もいろいろな情報提供は発信してまいりますので、国が発信いたします米に関する情報提供などを踏まえまして、各段階におきます協議会として、当該地域の、例えば米の生産量、あるいは米でないものの戦略的な生産ビジョンというようなものを主体的に判断していただくということを考えているところでございます。

    〔小倉主査代理退席、主査着席〕

鷲尾分科員 今の答弁ですと、県、市レベルでの地域再生協議会ではこれまでどおりだというお話でございましたし、ということは、そこから、認定方針作成者の皆さんが協議の上で生産数量目標が配分されてくる、こういう認識だと思うんです。

 そうすると、今のお話を聞くと、本当に国が関与しなくなっただけで、国が関与しないという、その関与も、情報提供プラス水田活用助成はしっかりとやって、米の話、水田の話、田んぼの話でいくと、水田活用助成を含めてしっかりと関与していくということですから、何か総理がおっしゃっているような、需給の人為的コントロール抜きなんですよというのとは、大臣、やはりちょっと違う気がしますね。何かそんな気がしませんか、今の普通のこのやりとりでいきますと。一言どうでしょう。ちょっと違う気がしますよね。

森山国務大臣 一昨年のダボス会議の場で総理の御発言があったことは承知をしておりますが、米政策の見直しにつきましては、平成二十五年の十二月に農林水産業・地域の活力創造プランにおいて決定をされたとおり、米の生産調整を見直して、生産者がマーケットを見ながら、みずからの経営判断で作物をつくれるようにするということと、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産振興を図ることによって水田のフル活用を図る、これが決められたことでございまして、恐らく、総理のダボス会議での発言は、こうした改革の方向について述べられたものであると私は受けとめております。

 委員御指摘の総理の御発言でありますが、行政が生産数量目標を配分して、生産者が数量目標に従って主食用米の作付面積を判断する現行の仕組みのことを指していると理解をしておりまして、三十年産以降は、行政による生産数量目標の配分によらずとも、生産者みずからの経営判断により需要に応じた生産が行われるよう、国として引き続き、きめ細かな情報提供や戦略作物の生産に対する支援等は行うということでありますので、米の需要と価格の安定を図っていく、こういうことが目的でございますから、我々もここはしっかり説明をしていかなければ、今、鷲尾委員おっしゃるとおり、現場を歩きますと、もうほったらかされるんじゃないかという気持ちを農家の皆さんが持っておられて、不安な気持ちにつながっているように思いますので、決してそうではないということをよく説明を申し上げていくということが大変大事なことだなというふうに思っておりますので、引き続き努力をさせていただきたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。

鷲尾分科員 混乱の原因は、やはり減反の廃止という言葉だと思うんですよね。

 実際、今お話を聞いていても、行政の関与がなくなるんだ、大臣はそうおっしゃいますけれども、先ほど、政策統括官の答弁ですと、県、市レベルでの再生協議会はこれからも維持するということなんですから、その地域再生協議会において、では、そういう場を誰がつくっているのだ、あるいは国だって、情報提供プラス戦略作物については補助金をつけて、それで需給の安定を図っていくと今大臣おっしゃったわけですから、これは関与は続くわけですから、やはり言葉の使い方だと思いますよ。

 本当にこれは、大臣おっしゃるとおり、相当混乱が予想されますので、それは個々の農家さんが不安になっておるという意味で、ぜひ不安解消に取り組んでいただきたいなというふうに思うんですけれども、その説明ですよね。県、市の地域協議会は残るんだとか、認定方針作成者の皆さんが今どういうふうに関与していくんだろうという、そこをやはり具体的にこれからも説明をしていかなきゃいけないと思うんですね。これはもう説明しているものなんですか。どうなんですか。

柄澤政府参考人 御指摘の点につきましては、二十七年産のときも、二十七年産の作付に向けて、大分私ども、各地にお伺いしまして、キャラバンと称していろいろな推進活動をしてまいりましたが、現時点におきましても、今度の二十八年産、次の作付に向けまして、実は暮れの段階から各県に手分けしましていろいろ出向きまして、今委員御指摘の点も含めて、三十年産の方向も含めましていろいろと御説明し、御意見を伺い、納得していただけるような努力を進めているところであります。

鷲尾分科員 やってみなきゃわからないというところが率直に、多分恐らくお耳に入っておられると思うんですが、その間、混乱がないように、できるだけ丁寧な説明を求めたいと思います。

 その中で、特に今年度は県別のシェアの話でありますとか、あるいは、昨年からですけれども、自主的取り組み参考値を提示しているわけでありますが、県別のシェアを固定するというのは、需要量を固定する、一方で需要に応じた生産をしていただくということですから、シェアを固定するというのは、ある意味、需要量の情報として固定したものを情報提供する、一方で需要に応じた生産をしてもらう。生産数量目標自体が以前の農政とは異なる形で、需要を配分するということを言っておきながら県別のシェアを固定するというのは、やはり現場からすると、一体これはどういう意味なんだという話が必ず出てまいりますし、あるいは、自主的取り組み参考値が果たしてうまく機能するのか。どうやら現場では、何のためかよくわからない、こういう感想が随分と寄せられてきておるわけで、ここの農水省の認識もただしたいと思います。

柄澤政府参考人 今御指摘ございましたように、私ども、二十七年産から、いわゆる自主的取り組み参考値という数値を生産数量目標に付記してお示ししているところであります。この考え方をまず申し上げたいと思います。

 これまでのやり方は、生産数量目標だけを一つの、単一の数字としてお示ししてまいりましたが、こういったやり方ですと、ともすれば国が示した数量目標を守りさえすればよいというような考えに陥りがちになりますので、みずから需要の動向を把握して、戦略的に主食用米や非主食用米の生産を考えようとする機運がなかなか生まれにくい状況にあったというふうに判断しております。そういったことから、生産者や出荷業者などがみずから生産量を主体的に判断できる参考としていただくために、二十七年産米の生産数量目標の設定にあわせて自主的取り組み参考値を付記いたしたわけであります。

 この結果、二十七年産の結果を見てみますと、主食用米の作付面積が生産数量目標を下回った県が非常に多うございまして三十六都道府県、それから、自主的取り組み参考値よりさらに下回っている県が二十八都道府県ということでございます。全体として見ますと、生産数量目標の現行制度の配分のやり方が始まって以来、初めて全体のマクロの中で超過作付が解消されておりまして、超過作付面積がマイナス一・三万ヘクタールというふうに初めてなったところであります。

 一方、御指摘がございました県別の生産数量目標の問題でございますが、これにつきましては、平成二十八年産以降、平成二十七年産の県別のシェアを固定するという取り扱いをしているところであります。これは、残された配分のタイミング、二十八、二十九とあと二回だけということを踏まえまして、二つの問題関心でこういうふうにしております。

 一つは、従来の配分方式でいきますと、生産数量を努力して下回った都道府県ほど、翌年それがはね返ってきまして、翌年の生産数量目標が減少してしまう、深掘りすればするほど損をするというような要素がございまして、これが不公平感につながっているというような問題がございましたので、このシェアを固定することによりまして、各県が安心して飼料用米などへの転換に取り組めるようにするというのが一つの問題意識。

 それから、もう一つの問題意識としましては、シェアを固定するということで国が何か裁量的に各県の目標をお示しするということではなく、全国の数量目標はもちろん需給の動向を踏まえまして示しているわけでございますので、全国の目標水準を踏まえまして、各県の県ごとの生産数量目標は、言ってみれば誰でも計算できる、シェアが固定されていますので、誰でも計算できるようにすることによりまして、三十年産以降、各県、各生産者がみずから生産量を判断するというような環境整備を行っていく。

 そういうような意図も含めまして、このような取り扱いをしているところであります。

鷲尾分科員 今二つありまして、一つは、自主的取り組み参考値がそういう結果を生んだという分析をされているのか。それこそ、戦略作物に対する補助金、飼料用米は、政府当局の説明によって随分広がったと思います。これが功を奏したということなのか、そこら辺の詳細な分析をされているのかどうか。本当に自主的取り組み参考値は活用されているのというところが、私は大丈夫なのかというふうに思っているんですね。

 もう一つは、県別のシェアというのは、平成三十年以降も情報として提供するという形になるんですか。

柄澤政府参考人 私どもの見方によりますと、先ほど申し上げました自主的取り組み参考値ということで、従来のように単一の数字の目標だけではない数字が示されたということで、幅を持ったということが、各県みずから、では自分の県の需要量がどうで、生産量がどうあるべきか、そういう考えるきっかけになったのではないかというふうに承知をしているところであります。そういった中で、先ほど申し上げましたような二十七年産の結果が生まれてきたというふうに理解をしているところであります。(鷲尾分科員「もう一つ、県別のシェアの話」と呼ぶ)

 済みません、失礼いたしました。県別のシェアにつきましては、配分は、もう二十八年産の配分はしておりますので、あと二十九年産一回限りということでございます。二十九年産も、昨年秋の二十八年産の配分の際に、このまま固定するということをもうアナウンスしております。三十年産以降は、あくまで国の全体のマクロの需給の情報を提供するということで、もう配分自体は行いませんので、そういう概念はないということでございます。

鷲尾分科員 それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。

 経営判断の環境を整えるという話で政府当局は言っているんですけれども、農家さんはいろいろな情報に接して経営判断しているんですよね。何か、これまでしていないような言い方も、ちょっと私はどうかなというふうに思うんです。いろいろな補助金体系の中で、何とか自分たちがうまく利益が出るようにこれまでも経営判断をしていますし、これからも経営判断するのかなと。今の政府の説明ですと、何か余り経営判断していないような印象を持つものですから、そこら辺もこれからは注意して、皆さんの意識をしっかりと持ち上げていくのも政府当局の皆さんの仕事なんですから、しっかりと言葉遣いにも御注意、御留意いただきたいなというふうに思います。

 それから、米の直払いについてちょっと質問したいなと思うんです。

 米の直払いは、ことしも約七百三十億ついていますけれども、農家の現場の皆さんからすると、七百三十億、主食用米の生産数量目標を守れば、米の直払い、主食用米でお金が入るんだというのがこれまでの政策体系でして、だからこそ、生産数量目標をしっかりと守っていこう、こういうインセンティブになったわけですが、このインセンティブがこれからはなくなるわけですね。七百三十億、なくなっちゃう。

 とすると、この七百三十億がなくなった分、私の立場からすると、果たしてどうなるのかなと。あるいは農家さんの立場からすると、七百三十億、少なくともこの直払いがなくなった後、何らかの措置というのがあるのかないのか。これに対して物すごく関心を寄せているわけですよね、平成三十年産はもうすぐですから。

 ですから、これについて、今どういうおつもりなのか。私の立場からいえば、当然、七百三十億、米で直払いでという形になっているわけですから、やはり米農家さんに対して何らかの対策を打つ、その財源にしていただきたいというふうに思うんですが、今どういうおつもりでしょうか。

伊東副大臣 米政策の見直しにつきましては、三十年産をめどに、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者みずからの経営判断により需要に応じた生産が行われるようということでございまして、今お話しのとおり、答弁させていただきましたとおり、全国の需要見通しに加え、各産地の販売、在庫をめぐる状況等について、国がきめ細やかな情報の提供を行うということでございます。また、従来の麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する助成金の交付等の支援等を進めてまいる予定であります。

 また、今お話ございましたが、直接支払交付金の財源、これは二百七十三億円でありますけれども、これがどのような用途に使われるかというお話でありますが、これにつきましては二十九年産までの時限措置として支払うということでございまして、それ以降のこの予算の使い方につきましては、農林水産省として、総合的な判断の中に、その後の米ということを特定しない形の中で予算編成する予定であります。

鷲尾分科員 副大臣、米の直払いの予算は七百三十億じゃないですかね。今、二百七十億程度、そういう答弁をされていましたけれども、七百三十億ぐらいじゃないかな。(伊東副大臣「七百二十三億円」と呼ぶ)そうですよね。今、二百七十三億と御答弁されたんですよ。約七百三十億円だと思いますので。

 できれば、米農家さんを支援していただきたいですよね。そこは総合的判断とおっしゃるけれども、米の直払いで今そういう形でやってきているわけですから、そこのところはお考えいただきたいと思いますね。

 大臣、いかがですか。

森山国務大臣 三十七年度を目標年度とする食料・農業・農村基本計画において、飼料米等の戦略作物の生産拡大が明確に位置づけられていることを踏まえれば、三十年産以降についても、現行の水田活用の直接支払交付金のような枠組みは基本的に必要になると考えております。

鷲尾分科員 米の直払い分、七百三十億、これをどういうふうに使っていくかという話なんですけれども、大臣に何か御存念はありますか。できれば米農家さんに、米農家さんは不安になっているわけですから、米の直払いで主食用米の補助金がなくなるという話なんですから、そこを勘定してくれ、こういう話です。大臣、お願いしますよ。

柄澤政府参考人 失礼いたします。

 今、副大臣、大臣から御答弁があったとおりでございますが、補足させていただきますと、毎年度の農林水産予算におきましては、その時点における農林水産をめぐる行政ニーズに応じて、農林水産予算全体の編成を行うこととなっておるところであります。ある施策を廃止する際、その財源を他の特定の施策の財源に充当するような一対一の関係で編成を行っているものではないというふうに承知しておりますので、米の直接支払交付金につきましても、その財源を何か特定の施策に充当するということを想定しているわけではございません。

鷲尾分科員 私は、こういうところでやはり政務の皆さんの決意を聞きたかったなというふうに思いますが、余り世知辛いことのないようにしてくださいね。見ていますから。よろしくお願いします。

 それで、ちょっと時間もなくなってきたので。

 今、政府の方で非常に熱心に取り組まれているのは、コスト削減だと思います。米の生産コストの低減ということで、日本再興戦略にもありますけれども、今後十年間で全国平均から四割削減ということでございます。

 それで、今さまざまな取り組みが行われていると承知しておりますし、特に中間管理機構等を用いました農地の集積、集約化というのを進めておられる、もちろん農業農村整備事業もしっかりとおやりになっている。これは承知しておりますし、現場の皆さんも、今の政府の政策を説明いたしますと非常に好感を持って受けとめておられるところもありますので、そういう部分では、皆さんのやる気を引き出す。現場の状況でいきますと高齢化が進んでいますから、最後のタイミングなのかなというぐらい、皆さん、かなりやる気を出している地域もございます。

 中間管理機構を用いて集積を進めるということですけれども、この利用実態についてはいろいろ委員会で議論されていますけれども、その効果としては、利用実態云々ということももちろん大事なんですけれども、中間管理機構をかませたことによってどれだけコスト削減効果が見出せているかという視点も大事でありまして、この点、いかがでしょうか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 農地中間管理機構は、今後十年間で担い手の農地利用割合を現状の五割から八割に引き上げるために、全都道府県に整備をしたものでございます。

 機構は、所有者から農地を借り受け、これを担い手にまとまった形で転貸することとしておるわけであります。このため、機構が機能することにより、担い手への農地集積、集約化が加速し、生産コストの低減に大きな効果があるものと考えております。

 事業開始二年目となる本年度は、初年度二十六年度の実績の問題点を踏まえて、一つには機構の意識改革と役員体制の改善、二つには現場でコーディネートを行う担当者の増員、三つには地域の担い手との話し合いの推進、四つには農地整備事業との連携強化等を進めておるところでございます。その結果、本年度は、県によって濃淡はあるものの、多くの県で、初年度の手探り状態を脱して、自信を持って取り組むようになってきたところでございます。

 この結果、本年度の機構の借入面積、転貸面積の実績は、昨年度の実績約三万ヘクタールに比べて八万ヘクタールと大幅に増加する見込みでございます。

 今後とも、各都道府県の取り組み状況を注視しながら、全都道府県で機構を早期に軌道に乗せるべく全力を挙げていく考えでございます。

鷲尾分科員 何にも答えていただいていないんですけれども。

 その利用実態を踏まえてコストの削減効果がどれぐらいかという話をさせていただいていたんですけれども、これはちゃんと質問通告をしたんですけれども、もうちょっとまともにかみ合う議論をさせていただきたいなと思います。利用実態について問うということよりは、利用した方々がどれだけ生産コストを引き下げたんですか、こういうことをお聞きしたかったわけでございます。

 時間がありませんので、これはまた次の機会に、私は農林水産委員会に出張ってまた質問したいと思います。

 農水省から資料を取り寄せたら、「米をめぐる状況について」ということで、平成二十八年二月版農林水産省という形で資料をいただきました。そこの三十一ページ目のスライドに、「米政策改革二」と書いてあるんですよ。「米政策改革二」、三十一ページ目のスライド。

 もう質疑時間が終了しちゃったので、これを最後にしちゃうんですけれども、全部一気に言いますから。一気に言いますので、最後、大臣のコメントだけ求めます。

 その左下に、「平成二十六年度補正予算「稲作農業の体質強化緊急対策事業」により、全国の主食用水稲作付面積の四分の一で生産コスト低減の取組。」と書いてあるんですよ。

 これは、私もこれまでの委員会でも質問してきましたけれども、そもそも、約二百億の予算を費やしたんですけれども、四割ぐらいしか予算の消化がなかった。せっかく補正で、米価下落対策だといって銘打って、皆さん期待したんだけれども、現場で全く活用されなかったんです。その旨の答弁もいただいていて、もっと制度のつくり方を考えなきゃいけないねと言っていたのに、こういう記載をしているわけですよ。なぜ現場でそれが浸透しなかったかがわかっていないということを、農水省はここで言明しているんです。

 この稲作農業の体質強化緊急対策事業は、これはもう取り組んでいらっしゃる農家さんがたくさんいて、新たに取り組めと言われたって、それは新たに取り組むにしたって、もう取り組んでいるよ、だからこれは申請できないという農家さんが多かったわけでしょう。それなのに、こんな書き方というのは私はないんじゃないかと思いますよ。ちゃんと考えてくださいねということを一言言わせていただきたいのと……

鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をよろしくお願いします。

鷲尾分科員 ちょっと答弁が冗長だったので、質問時間がなくなっちゃいましたけれども。

 大臣、ここは、そういうことだったわけですから、そのことをちょっと考えないと、これは農家さんは浮かばれないですね。ぜひよろしくお願いします。最後に一言いただいて。

森山国務大臣 確かに、平成二十六年度の補正予算の消化が思うようにいかなかったことは私もよく承知をいたしておりますので、その点もしっかり反省をさせていただきながら、さらに生産原価をどう下げていくかという努力は引き続きさせていただきたいと思います。

鷲尾分科員 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて鷲尾英一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、石崎徹君。

石崎分科員 自民党の石崎徹でございます。

 本日は、貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 前の質疑者の鷲尾先生は、同じ新潟ということもございますけれども、新潟高校の先輩ということもございまして、後輩として、また引き続き新潟の農業につきましてしっかりと質問してまいりたいというふうに思っております。

 私の地元新潟市は、二年前に政府の目玉の政策でございます国家戦略特区の農業特区という分野で指定をいただきまして、二年がたつところでございます。特区といいますと、他の地域に先んじて規制緩和や新規事業を行って、まさに農業政策のトップランナーを行く地域として成長していこうというような制度でございました。この間、TPPの締結ですとか、あるいは全中の廃止等、農業を取り巻く環境も大きく変わってきたわけでございます。

 新潟市というと、つい先週末も森山大臣に新潟にお越しいただきました。といいますのも、ことし四月には、G7農業大臣会合が新潟市で開催されるということがございます。これも一つの特区効果ということで、新潟市は全力を挙げて盛り上げていく機運が高まっているところでございます。

 新潟市は、全国トップクラスの農業都市ということで、耕地面積、米の産出額、認定農業者数、あるいは食料自給率の全国一位でございます。あるいは、食品製造力も全国トップクラスでさまざまな食品産業が集積している地域ということで、こういった点につきまして、きょういろいろと御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、この特区制度についてお話をさせていただく前に、TPP。

 新潟県は、JAの前会長でございました万歳会長の御地元ということもございますし、米王国ということでございます。正直、民主党政権時のTPPの議論と、自民党になってからのTPPの交渉過程での議論あるいは成果等を踏まえると、新潟県内での米への影響試算というものが大きく変わってきたわけでございます。交渉結果も、国家貿易以外につきましてはほとんど影響がないというようなことが出てきているわけでございます。

 まだまだ地元新潟でも、米農家さんの非常に不安な声が多いわけでございますので、改めてこの場で森山大臣から、米農家さんへのTPPの影響について、民主党政権時とのまた違いも踏まえながら御答弁をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

森山国務大臣 石崎委員にお答えをいたします。

 今般のTPP大筋合意に伴いまして、米国、豪州向けに設定をされることとなりました国別枠につきましては、国内の米の流通量がその分増加することによって国産米全体の価格水準の下落が生じるのではないかという懸念が現場にあることは私もよく承知をしております。

 ただ、御理解をいただいておきたいと思いますのは、ミニマムアクセス米で輸入が義務づけられている米と、今回TPP枠で決めました国別の枠というのは基本的な違いがございます。ミニマムアクセス米の場合は、SBSで成立をしなくても、残った分はどうしても入れなきゃいけないという輸入義務が課せられておりますけれども、TPP枠の場合には輸入義務を負うておりませんので、そこはやはり大きく違うということが一つあると思います。

 しかし、そうは言っても、やはり現場には懸念がございますので、政策大綱に基づきまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れさせていただきまして、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するということにしております。確実に、遮断をさせていただくことによって再生産が可能になるというふうに見込んでいるところでございます。

石崎分科員 大臣、ありがとうございました。

 今の大臣からの御答弁で、少しでも新潟県内の米農家さんの不安が払拭できるというふうに思っております。

 今の質問はどちらかというと守りの質問ということです。次は、攻めの農業を目指していくに当たっての質問をいろいろとさせていただきたいと思います。

 一つには、輸出の促進というところでございます。農産物の輸出あるいは食品関係の輸出というものをもっともっと、このTPPを契機に海外に売り出していくべきだというふうに思っております。

 新潟の特区ということももちろんございますけれども、現時点で、新潟というのは中国の総領事館も位置しておりますし、対岸には、中国のみならずロシアあるいは朝鮮半島、その先にはユーラシア大陸のさまざまな国々が位置しているということで、新潟からもっともっと新潟のコシヒカリ等を輸出していける十分な環境は整っていると思います。港もありますし空港もございます。これも、いろいろなインフラ面でも優位性があるかというふうに思っております。

 ただ、残念ながら、中国向けの米の輸出につきましては、御存じのとおり、放射性物質に係る十都県の規制というものがございまして、輸出停止あるいは産地証明が必要となっているところでございます。

 私は、議員に当選させていただきまして、この点につきまして、農水省様の関係者の方とずっといろいろと、これを早く何とかしてくれないかと議論させていただきましたし、またあるいは、去年、野田毅先生を団長に、中国の方に行ってまいりまして、トウカセン日中友好協会会長様にも、どうか米の輸出を解禁してほしいと直談判しましたところ、新潟産のコシヒカリで食べるおかゆが一番の大好物だ、すぐに関係部署に私の方から言っておくというようなこともおっしゃっていただいたわけでございますけれども、あれから特段進展がないわけでございます。

 こういった点で、先ほど申し上げましたように、新潟のそれぞれの市町村あるいは県として、自治体外交で、こうした米の撤廃に向けた働きかけというのは総領事館を通じてやっていくことも可能ではあるかと思いますが、やはり、これは国としてもっともっとこの解禁に向けて取り組みを本格的にやっていただきたい。これは、新潟のみならず国全体の攻めの農業の大事な布石になるというふうに思っております。

 この点につきまして、大臣からぜひ、中国向け米輸出の解禁について、どうか前向きな御答弁をいただければというふうに思っております。

    〔主査退席、小倉主査代理着席〕

森山国務大臣 これまでも、中国に対しましては、農林水産省や在中国日本国大使館から、中国の規制当局である質検総局等に対しまして、輸入規制を緩和していただくように働きかけを行ってきております。また、WTOのSPS委員会においても、中国側に働きかけてきたところであります。

 これに加えまして、昨年九月の日中韓農業大臣会合の際のバイ会談におきまして、林前農林水産大臣より陳農業部副部長に対しまして輸入規制の撤廃等を働きかけてきたところでありまして、先方からは、日本の懸念は理解をしており質検総局に伝えたい、農業部としても積極的に対応していきたいという御発言があったところでございます。

 さらに、御承知のように、今年一月にはEUが、一定の期間基準値超過がなかった産品を規制対象から除外したところでありまして、このようなことも中国側にもお伝えをしながら、できるだけ早く規制緩和が行われるように今後も努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 大事なことは、科学的な根拠に基づく規制の撤廃をしていただく、緩和をしていただくということでございますので、このことを基本として働きかけを続けてまいりたいと考えております。

石崎分科員 大臣、ありがとうございました。

 その点に追加いたしまして、今度は、日本側の受け入れ体制というところに関係するわけでございますが、動物検疫条件等によりまして、中国側が承認した精米工場で精米された米のみが輸出できることとなっている、現状においては横浜に一カ所だけ日本国内で限定されている、自由に輸出促進を進める上での障害となっているというところでございますが、今後、日本国内での精米工場や薫蒸倉庫等の追加に対しましての中国当局との協議状況につきまして、政務二役の方から御答弁いただければというふうに思っております。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 中国への米の輸出に当たっては、二国間で合意した検疫条件により、指定精米工場での精米及び登録薫蒸倉庫での薫蒸を行うこととなっております。

 現在、中国側から認定されているのは、神奈川県下の指定精米工場一カ所と登録薫蒸倉庫二カ所となっておる現状でございます。また、新たな精米工場及び薫蒸倉庫の追加には、中国側から検疫条件に即していることの確認を受ける必要がございます。中国政府の当局に対しまして、検査官の派遣を強く要請しておるところでございます。

 今後もさまざまな機会を捉えて、精米工場及び薫蒸倉庫の追加に向けて、中国政府当局に対して粘り強く働きかけてまいりたい、このように考えております。

石崎分科員 ありがとうございます。これからの取り組みについての前向きな御答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。

 これはもちろん新潟のみならず全国的に、十三億の市場が待っているわけでございますので、引き続き農水省様と各自治体が連携しながら進めていければというふうに思っております。

 輸出支援の取り組みといたしまして、今、政府全体として、ブランドを、個々の、それぞれの産地でのブランドというよりもオール・ジャパンのブランドということで、品目ごとに輸出団体を設立して推進することを基本としていると認識しているわけでございます。

 とりわけ米あるいは米の加工食品輸出団体なるものを調べさせていただきましたけれども、なかなかまだこれは全国的に十分な周知がなされていないんじゃないか。新潟のとある企業さんもこちらに入っているわけでございますが、まだまだ、一部の中のまたさらに一部というような状況でもございます。

 米に限らずいろいろな品目の輸出団体をこれからどんどん拡充なり充実していくべきだというふうに思っておりますが、せっかく各産地ごとの輸出の取り組みをオール・ジャパンでというふうにしていくのであるとすれば、もっともっとこのあたり、関係団体、関係者、各自治体に十分周知した上で、それぞれの自治体や個別事業者の取り組みをしっかりと取り込みながら推進していくべきと考えますが、このあたり、いかがお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 農林水産物、食品の輸出を拡大するためには、地方自治体や関係団体、個別事業者等が連携をして取り組むことが重要である、このように考えておるところでございます。

 その際重要なのは、海外の小売店において常に日本の産品がそろえられていることであります。南北に長い我が国の地形や四季を生かしてリレー出荷等、オール・ジャパンの取り組みが必要であろうかと考えておるところでございます。

 農水省においては、品目別輸出団体を平成二十六年度から立ち上げて、地方自治体や個別事業者等の参画を積極的に働きかけつつ、これらの活動をオール・ジャパンの視点で支援しているところでございます。

 例えば、議員のお地元の新潟県や県下の企業には、木材、花卉及び米・米加工品の輸出団体に参加していただいております。そのほかの品目別輸出団体にも積極的に参加をいただくことを期待いたしておるところでございます。

 農水省といたしましても、今後とも、多様な支援メニューを含めて、地方自治体や個別事業者へ情報提供やPRを積極的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

石崎分科員 加藤政務官、まことにありがとうございます。今、花卉のところも新潟の名産物として取り上げていただきまして、ありがとうございます。

 これは、米に限らず、先ほど申し上げましたとおり、花卉も含めてそれぞれの品目ごとの輸出団体が設立されているということでございますので、今御答弁いただきましたように、オール・ジャパンの体制で引き続き取り組んでいただければというふうに思っております。

 新潟市の特区においては、この二年間、農業に参入したいという大手企業が続々手を挙げてきました。ローソンさん、セブンイレブンさん、JR東日本さん等々、多数に上るわけでございます。

 ことしの四月から国全体で、特区で先んじてやっておりました農業生産法人の役員要件緩和というのが、新潟では二年かけてやってきたわけでございますが、そうした農業法人を設立して農業に取り組む方がふえてきているわけでございます。

 ただ、いろいろなお話を総合してお伺いしますと、共通して、土地が確保できないというところが見えてまいりました。この点、ローソンファームさん等、こうした農地の集積、集約化が進められているものの、その希望に、いわゆる政府肝いりで立ち上げました農地中間管理機構がまだまだ十分に対応し切れていないよというお声を伺うわけでございます。

 今、事務方等にお聞きいたしますと、これから担い手等との意見交換や現場コーディネーターの増員などが重要だというふうにお答えいただきましたけれども、今後どのように、これからの攻めの農業の鍵になります農地集積、集約化というものを農水省全体として推進していくのか、こちらにつきましては大臣の御見解を伺えればというふうに思います。

森山国務大臣 お答えをいたします。

 委員御承知のとおり、農地中間管理機構は、担い手への農地集積、集約化を進める究極の手段として、平成二十六年に全都道府県に整備をしたところでございます。

 事業開始二年目となります本年度は、初年度の実績の問題点を踏まえまして、機構の意識改革と役員体制を改善していく、また、現場でコーディネートを行う担当者の増員、地域の担い手との話し合いの推進、農地整備事業との連携の強化等を今進めているところでございます。

 コーディネートを行う担当職員は、五千五百九十人から七千四百十人に、随分ふえてきておりますので、多くの県で改善が見られるところでありますが、機構がさらに成果を上げるためには、今御指摘をいただきましたとおり、受け手となる担い手の農地集積そして集約化の要望に機構が応えていくということが極めて重要であるなというふうに考えております。

 先週末、私自身も新潟県の担い手の方々との意見交換を行いまして、規模拡大を含めた農業への熱い思いをお聞きいたしました。

 国としては、御地元の新潟県を含めまして、各県の機構が担い手の農地の集積、集約化に対する要望に十分に応えられるように、引き続き協議をさせていただきたいと考えております。

石崎分科員 大臣、ありがとうございます。

 その他、例えば機構集積協力金の制度の運用につきまして、これから都道府県の判断で金額等を変更できるような柔軟な制度に変えるというふうなことが年末、報道があったわけでございます。こうした制度変更の各関係者への周知ですとか、あるいは、名前を出しますと、新潟には大越農園さんという、4Hクラブという若手の農業者団体の会長さんがやられているわけでございますが、お話を伺いますと、土地改良事業にも、大区画化していくとその分お金がかかるんだよねと。都道府県によっては負担金というのはいろいろ変わってくるかとは思うんですけれども。

 伺いましたところ、今年度予算等でも、土地改良につきましては予算も拡充するなり、あるいは、そうしたやる気のある方をサポートするような制度を設けているということをお聞きいたしましたので、この点も踏まえて、一番のみそでございます土地の集積、集約につきまして、引き続き大きな後押しをいただければというふうに思っております。

 それと、時間の関係で、どうしてもお伺いしたい点がございます。

 新潟の特区、六次産業化を超えて十二次産業化というようなことで、いろいろな取り組みを行っております。福祉の分野、教育の分野など含めて十二次産業ということでございます。

 その点で、障害者の方々の就農、雇用を進めている企業がございます。これも、もともとは人材サービスの企業がこの特区要件の緩和を使って農業に参入をして、障害者の方々を担い手として採用されている。

 こうした、異業種企業、食品関連企業等が引き続き農業に障害者就農あるいは直接雇用を行っていって、農福連携という形で障害者の方々の力をさらに一層引き出すということは非常にいいことだというふうに思いますし、あるいは、引きこもりの方に農業の作業に従事していただいて、そうした方々が引きこもりから正常な生活に戻られるというようなケースもお聞きしているわけでございます。

 こうした点につきまして、きょうは厚生労働省の担当者の方もお越しいただいているわけでございますが、この福祉分野と農業分野の連携につきまして、これからどのような後押しをしてもらえるのかにつきましてお伺いできればと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 農業分野での障害者の就労を支援することは、障害者の働く場や収入の拡大につながるとともに、農業分野が抱える担い手不足の課題解消にもつながるものであり、福祉分野と農業分野が連携する農福連携は双方にメリットがあるものと考えております。

 このため、厚生労働省では、障害者就労施設における農業の取り組みを支援するため、平成二十八年度予算案におきまして、農業に関するノウハウがない障害者就労施設に対し農業の専門家を派遣することにより、農業技術に係る助言指導や、農産物の生産、加工、販売までを行ういわゆる六次産業化に向けた支援、また、農業に取り組む障害者就労施設によるマルシェの開催などを行う都道府県を支援する事業を盛り込んでいるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、農林水産省とも連携しつつ、このような取り組みを通じて農福連携を一層推進していきたいと考えております。

石崎分科員 どうもありがとうございます。

 こちらも、厚労省さんとしてもかなり新しい事業になるかと思いますので、このあたり、農水省さんとぜひ連携して、障害者就農、雇用等を拡大していっていただければというふうに思っております。

 次に、特区の中では、スマート農業、ICT農業というところにも今力を入れているところでございます。スマホで水田の管理データを入手して非常に効率的に農業をやれるようにするとか、これは、NTTさんとかソフトバンクさんとかが今新潟の特区に入っていただきまして、そういったことを先進的にやっていただいているわけでございます。

 この点につきまして、時間の関係で細かいところまではちょっと申し上げられないんですけれども、引き続き、政府といたしまして、こうしたICT農業につきまして、研究開発、導入実証など取り組みを行っております新潟の取り組みに対してどういった後押しをしていただけるのか、御答弁いただければと思います。

伊東副大臣 農業分野へのICTの導入につきましては、センサー等により得られる情報に基づく水管理や適期防除等生産管理の効率化、あるいは収量の向上など、さまざまな可能性が期待をされているところであります。

 もう既に実験的に実践されている農場も全国各地にたくさんあるところでございまして、農水省としても、農業分野へのICTの利活用を進めるために、経済界あるいは学識経験者等々の協力を得まして立ち上げましたスマート農業の実現に向けた研究会、これにおきまして、この導入による効果、取り組むべき課題及びその実現に向けたロードマップ等を明らかにするとともに、技術開発あるいは生産現場での導入実証等を進めているところであります。

 引き続き、こうした取り組みを含め、生産現場の課題解決あるいは農業の成長産業化につながるICT導入を、これはもちろん新潟県も大規模な米作がなされているところでございますので、含めて推進をしてまいりたい、このように思うところでございます。

石崎分科員 ありがとうございます。

 本当に、人手不足等いろいろな問題を抱えている農業分野でのICTの導入というのは非常に可能性がある分野だと思いますので、引き続き、農水省さんとしても、関係省庁と連携して応援いただければというふうに思っております。

 大臣にあと一問ということで、やはり四月のG7農業大臣会合、これは七年に一回どころか、めったに開催されない大事な会合でございます。今申し上げたいろいろな、特区が実証していることですとか、あるいは日本の食、農産物をPRしていく絶好のチャンスだというふうに思っております。どのような形で世界にアピールをされるのか、大臣としての意気込み等をお伺いできればと思います。

森山国務大臣 お答えをいたします。

 本年四月の二十三日と二十四日、G7新潟農業大臣会合が開催をされることになっております。

 私も先日新潟をお訪ねさせていただき、知事とも新潟市長ともお目にかかりまして、関係者の連携をお互いに確認したところであります。

 新潟市は国際会議の経験を豊富に持っておられまして、準備万端整えていただいているなというふうに思いましたし、また、道々にフラッグ、旗を立てていただいて、市全体で盛り上げていただいている雰囲気があるなと思いましたし、また、ボランティアの方々の応募も御努力をいただいているということで、大変力強く思ったところでございます。

 会合では、まず、G7のそれぞれの国が直面をいたしております、農業者の高齢化の問題、あるいは新興国の食の構造変化、あるいは地球環境問題など、共通しております課題をしっかり議論させていただきたいなというふうに思っております。

 そしてまた、せっかくの機会でございますので、新潟の食材などもしっかり利用させていただいておもてなしをしっかりできればなというふうに思いますし、また、日本の農業技術の御紹介もさせていただければ大変ありがたいというふうに思っております。

 特に、今回新潟に参りまして、新之助という新品種のお米で炊いた御飯を食べさせていただきましたけれども、非常にまたこれはおいしいお米ができたなと思っておりまして、こういうものとか、あるいは海産物ではノドグロとか、あるいはお酒とか、いいものがございますので、日本の食の文化をしっかり伝えることのできる農業大臣会議にしていければなというふうに思っております。

 先生のお地元でもございますから、よろしく御協力を賜りますように、この機会をかりてお願い申し上げます。

石崎分科員 大臣、ありがとうございます。新之助等にも言及していただきまして、まことにありがとうございます。

 きょう少し質問できなかった点でございますけれども、冒頭申し上げましたように、食品産業の集積地ということで、サトウのごはんの佐藤食品さんですとか、あるいは亀田製菓さんとか、こうした米を加工したもの、例えば中国の方も、お米をちょこっと持って帰っても、お水が余りおいしくないということで、高いジャーでもおいしい米が炊けない、でもレンジでチンするだけでおいしい日本の米が食べられるということで、お土産等にもこうした加工したサトウのごはんですとかあるいはお菓子とか、こういったものもPRしていけるようなチャンスであるというふうに思っております。

 新潟にはいろいろと、外食産業と連携しながら……

小倉主査代理 申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

石崎分科員 了解しました。

 連携している取り組み等もいろいろございますので、どうか引き続き、新潟県、新潟市に、農水省さんとしてもいろいろな後押しをお願いできればというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

小倉主査代理 これにて石崎徹君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。

 森山大臣、よろしくお願いします。

 最初に、諫早の開門問題について伺います。

 まず最初に、農水省に数字の確認をさせてください。二〇一六年度、平成二十八年度予算について、国営諫早湾干拓事業の開門調査を実施するための対策経費については六十一億八千九百万円を計上していると伺っていますけれども、間違いございませんか。

末松政府参考人 お答えいたします。

 諫早湾干拓の開門問題をめぐる関連訴訟や関係者による話し合いの帰趨について予断することはできませんが、開門することになった場合にも対応できるよう、国として所要の予算を措置しておく必要がございます。

 このため、平成二十八年度予算案におきましては、先生御指摘の、開門への対応に係る経費として約六十一億九千万円を計上しており、具体的には、対策工事費として五十四億円、環境調査費として五億四千万円、施設管理費として二億五千万円を措置することとしております。

 以上です。

田村(貴)分科員 開門調査を実施する予算が組まれています。

 福岡高裁の確定判決に即して、国は開門の義務を負っている、このことには変わりがないと思いますけれども、いかがですか。イエスかノーかでいいですよ。

末松政府参考人 国は、平成二十二年十二月の福岡高裁確定判決による開門義務を負っていることに変わりはございません。一方で、平成二十五年十一月の長崎地裁仮処分決定による開門禁止義務の、相反する二つの法的義務を負っておりまして、いずれか一方の立場に立つことができない状況にあることにも変わりはないという状況でございます。

田村(貴)分科員 それでは、国が開門を命じた福岡高裁の確定判決に従わずに漁業者に支払い続けている間接強制の制裁金について、新年度は幾らを見込んでいますか。また、これまで支払ってきた額は、平成二十七年度、二〇一五年度で切っていただいて、幾らになりますか。

末松政府参考人 開門に係る間接強制金については、現在、四十五名の債権者に対して、平成二十六年六月十二日から平成二十八年一月三十一日までの五百九十九日分として、四億一千四十万円を支払い済みでございます。それから、平成二十七年度末ということでございますれば、平成二十八年三月三十一日までの六百五十九日分として、四億六千四百四十万円となる見込みでございます。

 予算について言及がございましたが、平成二十八年度予算案においては、四十五名の債権者に対し、一日当たり九十万円、一年間で一人七百三十万円ということになりますが、それの四十五名分として、三億二千八百五十万円を計上しているところでございます。

田村(貴)分科員 この潮受け堤防の開門をめぐっては、開門を主張する漁民側と開門反対派との間で複数の裁判が続いているところであります。この間、長崎地方裁判所と福岡高等裁判所の方から和解勧告があって、既に協議が始まっているというふうに聞いています。

 この和解勧告に対して、森山大臣、どのように受けとめておられるんでしょうか。また、この和解勧告で、農水省としては何を目指していかれるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 田村委員にお答えをいたします。

 諫早湾干拓の開門問題につきましては、福岡高裁及び長崎地裁から和解が勧告をされ、本年一月より長崎地裁において、関係する三者での和解協議が始められたところでございます。

 長崎地裁による和解勧告においては、開門によることなく有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図る和解の協議を勧告する旨示されたところであります。

 本件においては、裁判所から和解に関する方向性が示されたのは初めてのことであり、重く受けとめております。

 国といたしましては、和解勧告及びそれを踏まえた訴訟指揮に従いつつ、問題の解決に向けて真摯に努力をしていく考えでございます。

田村(貴)分科員 大臣、長崎地裁の和解案については、やはり問題があるわけなんですよ。

 なぜならば、一つに、開門はしない、そして二つ目に、国は開門にかわる漁業改善のための措置を検討し実行しなさい、三番目に、国は支払い済みの制裁金に加えて解決金を支払う、こういう中身であります。これはもう漁業者にとっては到底受け入れられない問題であります。なぜならば、漁民が開門にこだわり続けてきたのは、開門が有明海の再生と漁業被害の救済の唯一にして最後の方策として、これまで裁判も通じて訴えてきたからなんですね。

 開門を認めない話し合いならば、これは漁民側としてはテーブルに着くことはできないんです。テーブルに着かないということは、和解が成立いたしません。

 大臣は、和解に全力を挙げると今表明がありました。これを決裂、不調させて農水省はいいんですか。農水省がまさにここでイニシアチブを発揮すべきときだというふうに私は思います。

 そこで伺います。国が行った環境アセスメントがあります。この開門方法について、制限的開門の三―二のケースであれば、農業被害を起こさせない、農漁共存は可能であるというふうに思いますけれども、なぜこの三―二方式を長崎地裁の方に説明をされないんでしょうか。それが不思議であります。教えてください。

末松政府参考人 現在、長崎地裁の和解勧告をいただきまして、さまざまな検討をしております。和解協議における具体的な対応については、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

田村(貴)分科員 それでは、やはりフェアじゃないというふうに思いますよ。開門がこれまでの一番の議論なんですよ。ここが一番の中心なんですよね。これを前提にしないと、この問題は解決いたしません。

 長崎地方裁判所は和解案で、開門にかわる漁業改善のための措置を検討、実行せよというふうに言うわけです。しかし、農水省、それはもう既にやってきましたよね。二〇〇四年五月の農水大臣の発表以来十二年、足かけ十二年にわたってやってきましたけれども、有明海の漁場の環境は一向に改善されない、むしろ悪化しています。

 農水省関連だけでも四百三十億円もの巨費を投じたにもかかわらず、農業用水の調整池の水質保全策も含めて改善されていない、潮受け堤防の締め切り以降、十八年たっても調整池の水質改善の展望が見出せない、こういう状況にあるわけです。

 長崎地方裁判所に、国として言うべきことがあるんじゃないですか。この和解勧告ではまとまりません。営農地に被害が出ない三―二の開門方式というのがあります、そして、漁場改善は既にもうやってきました、環境改善は手を尽くしました、こういうことをまず最初に裁判所に対して農水省の方から説明すべきではありませんか。お答えいただきたいと思います。

末松政府参考人 本件については、さまざまな立場の方からさまざまな御意見があることを承知しております。

 国は、問題解決に向けた話し合いの進展につながるということであれば、長崎地裁が示した解決の方向性も一つの考え方だと思いますし、また、ほかの考え方もあるというふうに思います。そういう全般的なことを考慮しながら、検討を進めていくということだと考えております。

田村(貴)分科員 どうも和解協議に対する農林水産省の本気度が感じられません。みずから招いたこの責任を棚に上げて、和解勧告を絶好の機会にして、開門しない方向でまさか取り組むんじゃないでしょうね。そんなことだったら、もうゆゆしき問題ですよ。

 きょうは時間がないから言い尽くせないんですけれども、協議が決裂した場合、それでも、福岡高裁の開門しなさいという確定判決、これは国は免れることはできません。したがって、和解が不調であっても問題解決しないんです。

 だから、これはやはり最後の手段ですよ。頑張って、三者がテーブルに着いて、そして開門も議論の中の一つに入れて、ちゃんと議論をしていかなければなりません。その長崎地裁の和解勧告案にしても、国は高裁確定判決に基づく開門義務がある、履行しない異常な事態に責任があると言われているじゃないですか。こうしたことをしっかり堅持して臨んでいただきたいというふうに思います。

 お配りしている資料があります。

 これは、資料の一でありますけれども、長崎県の島原半島のノリの漁師さんが写された写真であります。この間見せていただきました。網を引き上げたら、全くノリがついていないんですよ。大臣、よくごらんになってください。昨年は、根づけはうまくいったんです。しかし、十一月に赤潮が発生して、芽流れが起こった。一昨年と同じ状況になっている。秋芽がこんな状態ならば、冷凍網ももう期待ができない。夏を越せそうもないというのが島原半島の状況であって、有明、島原、国見、そして瑞穂、みんな同じ状況にあるわけなんですよ。機械の修理代も出ない。各漁協、皆さん嘆かれているということであります。

 農水省、このことを聞かれていますよね。

 それから、大浦のタイラギ漁師の方が言われました。短期開門のときに一時的に貝が立って回復したんだけれども、門を閉めたら再び立ち枯れてしまった。現在、四期連続で休漁となっている。そして、稚貝も立っていないので、来期も休漁とならざるを得ない。イイダコやシバエビなどで何とかしのいできたけれども、これも一昨年からとれなくなって、そのためにカニ網に移った。しかし、それもとれない。非常に厳しい状況だ。クラゲをとって何とか食いつないでいるというんです。

 ノリはことし、熊本の長洲から南の熊本にかけて非常に悪いという状況も報告されています。南部排水門からの大量排水で島原半島沿いがだめになっているという状況報告も上がっています。

 農水省の皆さん、大臣、いつまで漁民にこの塗炭の苦しみを味わわせていくつもりなんですか。大臣、ノリの不作、そしてタイラギ休漁、クラゲをとるしかない、細々と食いつないでいる漁民の実態、この漁業環境の悪化をいかに受けとめておられますか。お答えいただきたいと思います。

森山国務大臣 お答えをいたします。

 有明海につきましては、赤潮や貧酸素水塊の発生等により、漁業が大きな影響を受けていると認識をいたしております。

 具体的には、ノリについては毎年色落ちが発生をしておりますし、タイラギについては佐賀、福岡両県でタイラギ潜水器漁業が平成二十四年度から四年連続休漁しております。厳しい状況であるということは十分認識をしております。

 有明海の再生は、国としても大変重要な政策課題でありますので、これまでも増養殖技術の開発、赤潮、貧酸素水塊発生機構の解明、覆砂、耕うん等による漁場環境の改善などに取り組んできたところであります。

 さらに、平成二十七年からは、これまでの調査や現地実証の結果を踏まえ、国と有明沿岸四県が協調して、二枚貝類の水産資源の回復や海域環境の改善に取り組んでおります。

 また、ことしは、有明海沿岸においてアサリの稚貝が多く発生しているという明るい兆しも一部見られておりますけれども、この稚貝の移殖に対しても支援を行っております。

 引き続き、関係県と連携しつつ、漁業者等の御意見も聞きながら、有明海の再生に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。

田村(貴)分科員 大臣には自分のお言葉で語っていただきたいと思いました。

 最後に、長崎地裁に対しては、三―二の開門方式であれば農業者に被害は出ないことを伝えていただきたいと思います。それから、開門を前提にしない和解協議はあり得ないこと、そして、国がそうしたことをちゃんと伝えて、和解協議でイニシアチブを発揮していただきたい、このことを強く要望したいと思います。

 次の質問に入ります。

 次に、奄美大島のミカンコミバエの発生問題について質問します。

 昨年、鹿児島県奄美大島に果実や果菜類の害虫ミカンコミバエが侵入し、蔓延防止のために、農林水産省は昨年十二月、果物類、果菜類の移動規制を決めました。当時収穫期を迎えたポンカン、今収穫期のタンカンは、二月までに島全体で八百トンから一千トン廃棄される見込みであります。

 お手元に資料を配付しております。順番が変わりますけれども、三です。

 私は、去年の十二月に現地に行ってまいりました。この写真は、土の中に廃棄処分されるタンカンであります。ショッキングですね。この果実、ミカンの中に虫が入っているわけじゃないんですよ。しかし、混入する可能性が否定できないから廃棄処分となるわけなんですね。ミカンコミバエが広がらなければ、全国の店頭に、今、東京でもこのタンカンが店頭に並んだんです。これを一つもらって食べてみたんです。物すごくおいしい。年間の生産額が四億円、まさに島の主力であります。手塩にかけて育ててきたこの生産者の無念は、想像を超えます。

 それから、資料二として、奄美群島におけるミカンコミバエの誘殺状況を示した農水省の資料を配付しています。

 ここでお伺いをしたいと思います。

 果物、果菜類の移動規制を判断した、そのきっかけとなったのはいつの時点ですか。

小風政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月以降でございますけれども、奄美大島南部を中心に、ミカンコミバエ種群が継続的にトラップに誘殺されました。誘引物質及び殺虫剤を塗布したテックス板を散布するなど、防除対策を講じてきておりました。

 しかしながら、十月になりましてもミカンコミバエ種群の誘殺が多数確認されておりました。また、九月中旬以降には果実から幼虫が確認されたということもございます。奄美大島の特産品であるポンカン、タンカンなどが収穫時期を迎える中で、こうした果実を介して島外に蔓延する可能性がある、こういうことも踏まえまして、本虫の蔓延防止及び根絶に万全を期すため、専門家の意見も聴取いたしまして、奄美大島全島を対象として……(田村(貴)分科員「それはいいです」と呼ぶ)はい。

 そういうことで判断した次第でございます。

田村(貴)分科員 この農水省の誘殺状況の表から読み取れるものは何かというと、奄美市で六月三十日から七月六日に二匹、七月七日から十三日に九匹、七月十四日から二十日にかけて四匹、二十一日から二十七日に四匹が確認されている。二十八日以降は一カ月にわたってゼロでありました。

 瀬戸内町においては、七月二十一日から二十七日に六匹、七月二十八日から八月三日にかけては二匹、その後、二匹、二匹、三匹、〇匹、一匹と続いていくわけであります。

 この発生が六月時期に確認されたこと、そして、その数値については、島全体、どこまで共有されていますか。

小風政府参考人 誘殺があった場合には、速やかに国、県、市町村が連携して対応することとしております。

 本件につきましては、六月の奄美市における誘殺の当初から、鹿児島県、市町村と情報共有を行い、防除対策を講じてきたところでございます。

 また、今次の奄美大島の本虫の誘殺に関しましては、島の中でのテックス板の設置に当たりまして、周辺の住民に対して、誘殺があったことを説明した上で、防除の協力を求めてきたところでございます。

田村(貴)分科員 お話を聞いてきたんですけれども、結局、ミカンコミバエが発生した、誘殺状況で確認できたというんだけれども、しかし、これは行政内部での情報にとどまっておったわけですよ。生産者は知らなかったんですよ。生産者は知らないままにずっと過ごしてきたんです、長い期間。行政側からはチラシの回覧があったというだけなんですね。ミカンコミバエに注意、発生したんじゃない、注意と呼びかけられている。それは注意しろと言われたら、そうですねで終わっちゃうんですよね。手だてが打たれてきていなかったんですよ。

 奄美市においては七月二十七日以降、瀬戸内町においては八月二十四日以降、ゼロとなっていたことに安心したんじゃないんですか。その後、九月から十一月にかけて急増期を迎えているんですけれども、生産者と住民に対する説明は、実に十一月に入ってから。説明会は十一月の九日でありました。

 資料ですね、ここにおられるんですけれども、このポンカンの廃棄場で、生産者の方がトラックいっぱいに自分がつくったポンカンを持ってきて、全部捨てるわけですよ。そのときに、こう語っていただきました。見方が甘かったんじゃないか、行政も、そして自分たちも。発生していることがわかっているんだったら、誘殺剤、テックス板の散布など幾らでも手は打てた、何でもしたのにと本当に悔しがって言われたんですよ。

 発生確認後から、危機意識を持って、そして情報を全島で共有し必要な対策を打つべきではなかったのか。私は、島の皆さんからそう聞いて思うんですけれども、いかがでしょうか。

小風政府参考人 七月以降でございますけれども、県、市町村、防疫所で現地対策会議を奄美市におきまして随時、十回にわたり開催しております。

 また、チラシの回付もいたしまして、情報の提供をしております。(田村(貴)分科員「回覧ね」と呼ぶ)はい。

 それから、七月下旬の瀬戸内町の誘殺時におきましても、トラップの増設など調査体制を強化いたしました。また、テックス板の設置、ベイト剤の散布など防除対策も講じまして、本ミカンコミバエの発生の終息を図ってきたというところでございます。

 しかしながら、十月になりましても、ミカンコミバエ種群の誘殺が多数確認されます。また、九月中旬以降に果実から幼虫が確認されたということで、奄美大島の特産であるポンカン、タンカンの収穫期を迎えるということもございまして、専門家の意見を聞きまして、十二月十三日から植物防疫法に基づく緊急防除ということに取り組んでおります。

田村(貴)分科員 時間がないんだから、聞いたことに答えてくださいよ。

 情報をやはり全島で早目に共有すべきでなかったのか、見通しが甘かったんじゃないかと聞いているんですよ。いかがですか。

小風政府参考人 六月末に奄美市で誘殺されましたミカンコミバエの一群は、七月に講じました初動の防除後、約一カ月間はゼロの期間が続いて、一旦終息したのではないかというふうに考えております。

 また、七月下旬以降に瀬戸内町で誘殺されました一群につきましては、その誘殺の状況から判断いたしますと、初動防除によって終息に向かった。しかしながら、風の状況を勘案いたしますと、九月になって新たな飛来があった可能性が高い、また、その後も断続的な飛来があったということが考えられると思います。

 このような状況のもとで、十月の誘殺状況、それから果実の幼虫の確認状況、こういうことも専門家の意見を聞きながら防除対策を講じたということでございます。

    〔小倉主査代理退席、主査着席〕

田村(貴)分科員 真夏の時期に確認されて、その後ゼロが続いたから、やはりこれは安心した。私は、対策を本当に甘く見ていたんじゃないかなと思います。

 今をもってしたら、誘殺トラップだって、あのときから今は三倍にふやしているわけでしょう。そして、テックス板にしたって、今は二十万枚ぐらい空中から散布して対策しているわけじゃないですか。それは、専門家の意見も聞き、今、危機意識を持ってやっているわけじゃないですか。

 だから、当時の判断としては、本当に、生産者にも伝えていない。回覧板を回すだけ。注意を呼びかける。それじゃだめなんですよ。対策していると言えないんですよ。だから、見通しが甘い、判断ミスがあったんじゃないかと聞いているんです。

 判断ミスはなかったんですか。もう一度聞きます、局長。

小風政府参考人 お答えいたします。

 誘殺があった地点周辺でございますけれども、半径二キロにおきましては、テックス板の設置を強化しております。また、周辺の五キロ以内におきましては、トラップの設置も強化しております。誘殺があった地点ではそのような防除は緩めていない、協力を説明しながら、防除にしっかり取り組んできたというふうに考えてきております。

田村(貴)分科員 なかなかお認めになられませんけれども、私はこの状況をずっとこの間聞いてきたんですけれども、担当者の口からは、ミスという言葉がありましたよ。だから、しっかりお認めになったらいかがですか。教訓を生かさないと、また同じことが起こるんですよ。そうであってはいけない。この全量廃棄を見て農水省が痛痒を感じなかったらだめですよ。

 テックス板を、この冬、十二万枚、十五万枚、二十七万枚を空中で散布してやってきた。誘殺トラップにしたって、当時から三倍以上ふやしてきた。これだけの対策を何で六月の時点でやっておかなかったのか。そして、同じ鹿児島県内でも、ミカンコミバエの発生を確認しなくても、テックス板を散布して予防策を張っているところだってあるわけなんですよ。だから、私は、この奄美大島の一件というのは、やはり状況の見通しが甘かったと言わざるを得ないというふうに思います。

 大臣にお伺いしたいと思います。

 手元に持ってきたのは、奄美大島の地元紙、奄美新聞であります。一月一日のお正月の特集で、こんなに大きく報道されています。生命線の島外出荷絶たれる、継続できる支援、防除策訴え、奄美果樹農業、危機乗り越え再生を、早期根絶へ、防除対策の強化急務と。強化急務が図られてきています。はなからやっておけばよかったんですよ。私は本当にそう思います。

 今から気温も上がってくる、そして、一番最初の収穫はスモモ、その後、マンゴーとかいろいろ続いていくわけです。状況は心配されます。駆除がしっかりと、今対策がとられているか、そんなところを大変危惧するところなのでありますけれども、やはり、島の主力の果実類がしっかり栽培できて、安心して島外に出荷できて全国の消費者の方に喜んで食べていただける、これが島の思いであります。私も九州ブロックです。大臣も九州です。生産者の気持ちはよくわかると思うんです。

 ですから、やはり今回の教訓を生かして、島の主力、果実の栽培、それから農業に安心して取り組めるよう取り組みを強化していただきたいし、特段の力を発揮していただきたいと思います。

 繰り返しますけれども、今回の移動制限は、行政の判断次第では回避できたというふうに私は思っています。そう思っておられる生産者、島民の方も大勢おられることを申し上げて、大臣の今のお考えをお聞きしたいと思います。

森山国務大臣 私も、参議院の時代から、奄美の皆さんが大変な努力をされてタンカンやポンカン等を主要作物に育て上げてこられたのはよく理解をしております。今回のミカンコミバエの問題というのは、本当に胸の痛い話でございました。

 いずれにいたしましても、今回のことを契機にして、トラップの配置というのが適正であったのかどうか、一番現場がわかっておられるのは農家の皆さんですから、農家の皆さんも今回いい教訓であったと思いますし、できるだけ今後こういうことが起きないように、いろいろな見直しは積極的にさせていただきたいなというふうに思っております。

 一年、精魂込めてつくってきた作物を廃棄しなきゃならないことほど農家にとってつらいことはありません。いずれにいたしましても、今後も、専門家の方々の意見も聴取させていただきまして、二度と再びこういうことが起きないように農水省としても努力をさせていただきたいと思っております。

 今回は、本当に農家の皆さんはよく頑張っていただいて、短期間に終息できるのではないかというところまで頑張っていただいていることは本当にありがたいことだと思いますし、何としても短期間に終息をさせて、再生産に意欲を持って取り組んでいただけるように農林水産省としても努力をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

田村(貴)分科員 大臣の思いはわかりました。

 一番教訓としなければいけないのは、生産者ではありません、これは行政であります。そのことは重ねて申し上げておきたいと思います。

 植物防疫官……

鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので、よろしくお願いします。

田村(貴)分科員 わかりました。

 大変重要です。この人員確保もしっかりと進めていただきたい、そのこともお願いして、質問を終わります。

鈴木主査 これにて田村貴昭君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川康君。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 佐賀二区選出、自由民主党、古川康でございます。

 私は、中山間地域対策と有害鳥獣対策、この二点に絞ってお尋ねをさせていただきます。

 本日は、末松農村振興局長がお越しでございますので、末松局長はさまざまな、いろいろな経験を積んでもおられますし、ぜひとも現場のことに目の届く御答弁をお願いできればと思っているところでございます。

 さて、農業を成長産業にということで、今政府がさまざまな取り組みをしております。私自身も、約一年になります議員生活の中で、農協改革、そしてTPPと、かなり大きな、農業の根本的な変化というものに直面をするということを経験してまいりました。方向として、農業を成長産業にしていかなければならないという方向性は、私も共感をするところでございます。

 そしてまた、今、自由民主党の中では、農林水産業の骨太方針の策定というものに向けてさまざまな作業が行われておりまして、そこの中では、各地で、農業分野でいろいろな成功事例というものが紹介されておりまして、こういったものが横展開していくことによって、間違いなく農業が発展していく、成長産業になるということも感じているところでございます。

 しかしながら、一方で、こうした成長産業と呼ばれるところあるいは成功事例と呼ばれるようなものとはちょっと違う側面があります。それが中山間地域だと私は思っております。

 さまざまなヒアリングの中でも、中山間地域の成功事例が語られることはほとんどありません。そしてまた、私の理解するところ、今般まとめられたTPPの対策におきましても、中山間地域対策と銘打っていろいろなものが取りまとめられたというのは、ほかの作物や平たん部の対策に比べると少ないのではないかという気もしております。

 本日のこのやりとり、インターネットを通じて地域の方々もごらんになっておられます。中山間地域の方々にも、私がきょうこのことを聞くからと申し上げております。この場だけでなく、現場でどういうやりとりなのかということを一生懸命聞いておられる方のためにも、ぜひとも気持ちのこもった答弁をお願いしたいと思います。

 そこで、まず最初でございますが、中山間地域対策のさまざまな事業の予算がある中で、中山間地域直接支払いという中核をなす制度がございます。この予算の推移についてお尋ねをさせていただきます。二十七年度、これは当初で幾ら、補正で幾らだったんでしょうか。そして、近年、どのような推移になっているのか、この辺も教えていただければと思います。

末松政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域の最近の状況、先生が御指摘されたとおりであると考えております。

 中山間地域等直接支払制度は、農業の生産条件が不利な地域における農業生産活動を継続するため、国及び地方自治体による支援を行う制度として、平成十二年度から実施してきております。そして、平成二十七年度からは第四期対策がスタートしたところでございます。

 予算でございますが、平成二十七年度予算については二百九十億円を措置しておりまして、平成二十八年度予算案においては、第四期対策の二年目ということになりますが、二百六十三億円を措置しているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 中山間地域対策、充実をしていただいているものと思っておりますが、一方で、予算の金額を見ますと、二十七年度が二百九十億であるのに対して、二十八年度予算では二百六十三億と減っております。これはどういう理由によるものでしょうか。

末松政府参考人 予算の額については、今御指摘のとおりでございます。

 平成二十七年度においては、今集計中でございますが、取り組み面積の減少が見込まれております。減少の理由といたしましては、農業者の高齢化や病気など、協定参加者数が減少したこと、また、第四期対策ということでございまして、新たな協定締結に必要な話し合いに時間を要したことなどがあるというふうに考えております。

 平成二十八年度の予算案につきましては、このような平成二十七年度の取り組みの減少と、あと、今、各道府県から、新たな取り組み、どれだけやりたいかという要望を伺っておりまして、この要望を踏まえて十分な所要額を計上しているということでございます。

古川(康)分科員 確かに、まずこの制度がスタートしたときには、比較的話し合いもしやすく、まとめやすかった、だからいろいろなところがまとまって、面積も広かったものが、だんだんそれが減ってきているということだろうと思います。私の地元でも、そのような話を確かにお伺いするところでございます。

 となると、それがどんどん、高齢化に伴って話し合いに応じる人が少なくなっていく、面積が小さくなっていくということは、すなわち、中山間地域における耕作放棄地が出てきたり、要するに、中山間地域として農業や暮らしのために役に立つという面積そのものが小さくなっていくということにつながっていってしまうのではないかということを危惧いたします。

 状況は状況として、こういう四期目を迎えた今、その充実をさせていくためには、中山間地域が本当に守られていくためには、どういったことをすることが必要だとお考えになっておられますか。

末松政府参考人 今の先生の御指摘のとおりだと思っております。

 中山間地域における高齢化や人口減少が著しい中、農業生産活動が継続できるよう、複数集落が連携して相互に協力する体制づくり、こういうことを進めることが重要だというふうに考えております。

 このため、平成二十七年度からの第四期対策におきましては、複数の集落が連携した活動体制づくり、それから、近隣集落による小規模・高齢化集落の農業生産活動への支援、特に条件の厳しい超急傾斜地への支援、こういうことに対する加算措置を講じることといたしました。

 こういう加算措置などを講じたわけですが、こうした取り組みが進められるよう、きめ細かな普及活動をすることが必要だと思っておりまして、推進してまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 一つには、超急傾斜地のような、棚田のイメージだと思いますけれども、棚田の中で非常に急傾斜地になっているところに対する加算をしていくということ、それともう一つが、一つの集落だけではどんどん面積が小さくなっていく、そういったところに対して、では隣の集落と一緒になっていくということで加算をつけていこう、そういうお話だったと思います。

 まさに今、どんどん集落そのものの人口や面積が少なくなっている中でありますから、こうした新しい動きや流れについて、まだまだ現場では御存じない方がほとんどだというふうに私は思っています。ぜひとも、こうしたことをやっているんだよという、あしたが見える、先が見えるように、ぜひPR活動もしっかり力を入れていただきたいと思っております。

 その中山間地域の中で、先ほど私、棚田のことを申し上げましたけれども、実際に現場に行って見てみると、特に、のり面の管理で非常に苦労をしておられる姿というのを目にします。今局長がおっしゃった超急傾斜地、そういったところで、のり面の雑草などを刈ろうとされているお姿を見ていると、本当に、落ちる、命を失うのではないかと思うような大変な状況の中でもされています。のり面の管理がもっと楽にならぬだろうかという話が、現場で一番よく聞く意見の一つでもあります。

 現在、こののり面の管理について、農水省として何か工夫をされていること、進められていることはあるでしょうか。

末松政府参考人 先生御指摘のとおり、中山間地域におきましては、畦畔等ののり面が長大であったり、傾斜が急であるということで、草刈り作業が大変であるという実態があると承知しております。

 そういう中で、草刈り作業を効率的に行うために、長大なのり面の中段に足場や作業道を設けて草刈り作業を円滑にしている事例ですとか、雑草が繁茂しないよう、カバープランツや防草シートにより、草刈り作業を省力化している事例がございます。

 また、こういう取り組みに対しては、中山間地域等直接支払い、多面的機能支払いなどによって支援してございます。

 こういうことができるということ、事例も含めて、きちんとこれから広報していくことが大切というふうに思っておりますので、周知を進めていきたいというふうに感じてございます。

 それから、農林水産省では、畦畔除草ロボットなどの新たな技術開発への支援策を措置しているところでございまして、このような取り組みの普及啓発にも努めてまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 足場をつくるということから始まって、あと、カバープランツというのは雑草が生えないようにするために植える草のことだと思いますけれども、そうしたこと、また、最近では人のかわりに除草してくれるロボットの開発をされている。

 そうしたこともありまして、実際にすぐ使えることから将来に向けて活用できる手段まで、さまざまなことに取り組んでおられるようでございますけれども、こうしたこともぜひとも皆さんに知っていただければと思っておりますし、そのためにも、この集落をまとめる人、この人の力というのが非常に大きいと思っております。

 さまざまな省庁が今、地方創生をめぐっていろいろな事業を行っておりますけれども、こういう中山間地域で地域をまとめるような役割の人たち、そういった人たちが新しく出てきていただくことで、先ほどお話のあったような、もっと広くやっていこうよとか、新しいことに取り組んでみようよとか、そういったことも出てくるのではないかということを期待しているところでございまして、省を挙げた取り組みをこれからは期待したいと思います。

 中山間地域のお尋ね、最後なのでありますけれども、TPPが出てきてから特になんですけれども、いろいろな農業をやっている方々、いろいろな地域の方々とお話をさせていただく中で、平たん部でやっておられる若い方、あるいは大規模な圃場の取り組みをされているような方々というのは、いろいろな厳しい面はあるけれども、何とかやっていかなくちゃいかぬなというふうなお言葉をいただくこともふえてきました。

 しかしながら、中山間地域にお住まいの方というのは、何だか自分たちはもう要らないんじゃないかという気がするとか、政府が言ういろいろなところで、何か中山間地域というのはもう置いていかれるような気がする、残念ながら、こんなことを言われることがよくあります。

 局長もよく現場に出かけられると思います。もともとは、先ほどちょっと話題になっていましたけれども、諫早にもおられたこともありますし、ずっといろいろな経験をされている中で、現場の人とやりとりをされることも随分多かったと思います。

 局長御自身が小さな集落に出かけられて、現地の人から、おじいちゃん、おばあちゃんから、私たちはどがんなっとねと聞かれたときに、どうお答えになるでしょうか。この中山間地域に対する農水省としての取り組む方向、姿勢、ぜひ肉声でお聞かせいただければと思います。

末松政府参考人 お答えします。

 中山間地農業の振興の方向については、先生がお話しになっていることにもう尽きると思っております。

 中山間地域の農業は、食料の安定供給の機能や多面的機能の発揮の面で重要な位置づけを有しておりまして、今、高齢化ですとか人口減少ですとか厳しい状況の中で、地域ごと、地域地域の特色を生かした農業の展開を国としても支えていくことが重要だというふうに思っております。

 具体的に、農業は、集落共同で行う水路、農道等の地域資源の保全管理、そういう基礎の上で営まれるものでございまして、農村コミュニティーの維持、活性化を図るということが、農業生産する、その農業の振興にとって重要だというふうに思っております。

 いろいろな地域でいろいろな農業の形があると思います。高齢農家や小規模農家などさまざまな農業者が、地域の実情に応じて、担い手への農地集積もきちんと行いつつ、地域の共同活動や六次産業化などの取り組みに参画することや、担い手の規模拡大が当面困難な地域では、農業生産の継続や農地の保全に一定の役割を果たすこと、こういう機能もきちんとある、そういうこともきちんと期待しておきたいというふうに思います。

 大臣が各地に出張されて、中山間地域で元気のある農業の実例を見ていただき、そのよさをどうやったらほかの地域にも広めていけるのかということをよく我々にお話をされます。私たちも、いろいろないい事例を展開することが、どうやったらいいかというのをこれからもきちんと考えて、一個一個対策を打っていきたいというふうに思いますが、農業の生産条件の不利を補正しながら、やはりいろいろな対策が必要だと思っています。

 現在行っております、水路、農道などの地域資源を地域全体で維持管理し、農業、農村の多面的機能の発揮を図る活動ですとか、地域の高齢者などの豊富な経験を生かした特産品づくりや農業体験活動の受け入れとか、そういう取り組みを進めるとか、また、生産基盤整備、いわゆる土地改良についても地域の特性に応じて進める、そういうことが重要だと思っております。

 このようなさまざまな取り組み、いろいろなことを、新しい取り組みを考えつつ、引き続き、農村のコミュニティーにも配慮して、農業の振興に努めていくことが重要だというふうに思っております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 今取り組まれようとしている方向性が、少しでも現場に伝わっていければと思っております。

 現場にいて感じますのは、もちろんお金の問題もありますけれども、それ以上に希望というものを一番求めておられるような気がいたしております。今局長がお話しになりましたような、そういういい事例であるとか方向性がしっかりと現場に伝わっていくような取り組みを、ぜひ農水省を挙げてお願いしたいと思うところでございます。

 次に、二番目の有害鳥獣対策でございます。

 中山間地域に伺いましたときに、有害鳥獣の話をあちこちで伺う状況が非常に多くございます。

 私自身は、本来は山に問題があるんだろうと思っています。局長は前、林政部長もやっておられましたから、よく御存じだと思いますけれども、山が元気になれば、山に針葉樹だけじゃなくて広葉樹もまじったようなものが、きちんと生きたものになっていけば、イノシシもわざわざ危険を冒して人里まで出てくる必要はないのかもしれません。

 その意味で、日本の山を再び生きたものにしていくことによって、私はそれが有害鳥獣対策に大きく寄与することになるとも思っているところでございますが、そればかりを言っても短期的な対策にはなりません。

 本日は、目下どういう対策が行われているのか、そういったことについてお尋ねができればと思っております。

 まず一点目であります。

 平成十九年だと思いますが、鳥獣被害の防止特措法というものが全会一致で成立をいたしました。これによりまして、市町村が主体となって被害防止計画をつくる、それに基づいて事業を行う市町村においては鳥獣被害対策実施隊という隊をつくる、チームとも呼ばれているようですけれども、そういう、やるぞという隊を編成するという仕掛けになっています。

 そして、しかも、これは非常に珍しいと思うんですけれども、その実施隊を構成する、公務員もいれば民間の方もいらっしゃるわけですけれども、その民間の方は、実施隊として有害鳥獣駆除に従事されるときには非常勤の公務員としての身分が与えられるということになっています。これは非常に珍しいと思うんですね。

 消防団と似ているなと思いました。まさに消防団も、日ごろお仕事がありながら、消防団の活動に従事するときだけ公務員の資格というか身分が与えられています。まさに、火事や災害から地域を守る消防団と、有害鳥獣から地域や農家を守るこの実施隊員、パラレルで考えられるのではないかなと思っています。

 こういう制度があるなということはわかったのでありますけれども、この有害鳥獣の対策を実施していくのにさまざまな支援策というのが講じられていると思いますけれども、どのような支援策が講じられているのか、まずお願いします。

    〔主査退席、小倉主査代理着席〕

末松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のありました、市町村の鳥獣被害対策実施隊については、その設置促進、体制強化のためにさまざまな支援措置を講じております。

 市町村が負担する活動経費の八割については特別交付税の対象とされております。また、今お話がありました、民間から任命された隊員に対しては公務災害が適用されるということがございます。また、捕獲に従事する隊員に対しては狩猟税が減免されるというような措置が講じられているところでございます。

 農林水産省としましては、鳥獣被害防止総合対策交付金がございますので、これとあわせて、これらの支援内容を正確に市町村に伝えて、さらに実施隊の設置促進、体制強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございます。

 そういう実施隊の活動に対する支援というものについてはよくわかりました。

 そこの中で、交付金の話が出ましたけれども、現場でよく聞くのは、平成二十七年度、その頼りにしていた交付金がなくなったというようなことを聞きます。足りないんでしょうか。どうなっているんでしょうか。

末松政府参考人 お答えいたします。

 地域ぐるみの鳥獣被害対策を総合的に支援する鳥獣被害防止対策交付金のことでございますが、捕獲一頭当たり八千円を支援するなど、捕獲活動への支援を強化しているところでございます。

 今御指摘ありましたように、今年度、地域からの要望が増加し、多くの道府県において当初予算が不足するという事態が確かにございました。年度末にかけての捕獲活動に支障を来すおそれも生じたところでございます。

 年度末にかけては、野生鳥獣の繁殖期でもあり、こうした時期に捕獲活動が低下することにより、生息数の増加とか、それに伴う農作物被害の拡大を招くおそれがございまして、このため、平成二十七年度補正予算において、捕獲活動を支援する予算として十二億円、追加措置をして、年度末にかけての捕獲の強化を図ることができたということでございます。

古川(康)分科員 ということであれば、今年度については、そのような足りないという声に応じて追加で補正予算を組んでいただいたということですから、そのこともしっかり私どもの方としても地元の方にも伝えていきたいと考えているところでございます。

 そして、ちょっと違った観点からの質問なんですけれども、この有害鳥獣対策、もともとの担当局は生産局だったのが、このたび、農村振興局に変わりました。おやっと思ったんですけれども、これの狙いは何だったんでしょうか。

末松政府参考人 御指摘のとおり、平成二十七年十月一日より、それまで生産局で所掌していた鳥獣被害対策業務が、私ども農村振興局に移管されてございます。これは、鳥獣被害が中山間地域を初めとして農村地域で大きな問題となっていることに着目して、業務を農村振興局に移管したというふうに承知しております。

 今、鳥獣被害については、農作物被害という農業生産への悪影響のみならず、先生おっしゃったような生産意欲とか地域の活力の減退まで影響を及ぼしておりまして、生産面のみならず、地域活力全体にも影響を及ぼす課題であるというふうに考えております。

 他方で、ジビエの活用とか、地域にとって新たな資源として活用する芽も出始めておりまして、地域対策として包括的に取り組むということ、これから必要なんじゃないかというふうに思っております。

 私どもとしましては、農村振興を担当する立場で、関連施策との連携をさらに深めつつ、地域の所得を確保する観点ですとか地域経済の再生という観点なども踏まえて、現場の実情に応える政策を推進してまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。まさにそういう取り組みを期待したいと思います。

 さて、きょう、環境省からも来ていただいていると思うんですけれども、有害鳥獣の捕獲のことについて、鳥獣保護管理法所管の環境省からの御答弁をお願いしたいと思います。

 有害鳥獣を捕獲しようと思っても、狩猟期間外はできないといった話を聞くことがよくあります。これは正しいんでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 農林水産業等に被害を与える鳥獣の捕獲については、狩猟期間外、狩猟期間内にかかわらず、鳥獣保護管理法に基づく許可を得て実施することが可能です。

 このような捕獲に係る許可につきましては、許可主体である都道府県または市町村によって、被害の実態や地域の実情に応じて、適切な時期、期間について許可されておるものと認識しております。

 また、ニホンジカ、イノシシなど、その個体数を減らすことを目標にしている鳥獣については、環境省からも、積極的な捕獲が行えるよう指導しているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。本当によく聞かれるんですよ。

 さっきの交付金が足りないという話も、きちんと補正で措置しました、期間外だからできないというのも、いや、それは違いますよと。こうした、当たり前のことなのかもしれませんけれども、正しくはこうなんだということをきちっとお知らせしていかなくちゃいけないなということを、改めて今感じているところでございます。

 それと、この鳥獣保護管理法の制度の中に、昨年度から、都道府県が認定をした機関がイノシシや鹿を捕獲することができるという新しい制度が発足をいたしました。非常に期待したいと思っているところでございますけれども、この新しい認定制度の普及の状況、課題などについて教えていただければと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 ニホンジカ、イノシシの生息数増加と分布拡大により被害が深刻化しているため、環境省では、農林水産省とともに、抜本的な鳥獣捕獲強化対策を平成二十五年十二月に策定いたしまして、ニホンジカ、イノシシの生息数を十年後までに半減する目標を定めたところでございます。

 これを踏まえまして、平成二十六年に鳥獣法を改正いたしました。その一つといたしまして、捕獲強化に向けた必要な従事者の育成・確保を図ることを目的といたしまして、鳥獣の捕獲等に専門性を有し、安全を確保して適切かつ効果的な鳥獣の捕獲等を実施できる事業者を都道府県が認定する認定鳥獣捕獲等事業者制度を導入したところでございます。

 この認定制度につきましては、現在、三十八団体、二十五都道府県で認定されておりまして、狩猟者団体のほか、警備業等のさまざまな業種の認定が見られ、今後さらに認定がふえるものと考えております。

 環境省といたしましても、このような取り組みを通じまして、捕獲従事者等の確保に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 各地の猟友会がお取り組みをいただいているというのは、なるほど、そうかと思ったんですが、警備業が取り組んでいるというのは非常におもしろいなと思いまして、確かに、なるほど、もともと何か捕まえるのが仕事と言うと変ですけれども、そういう御職業をされていた方は、警察のOBとかが入っておられるケースもありますし、今は銃刀法の扱いはないのかもしれませんけれども、いずれにしても、猟友会の方々も高齢化していくような状況もございます。そういう中で、猟友会と警備会社がうまく協力をして、新しい形で有害鳥獣の対策ができていけばということを改めて期待したいと思います。

 最後の質問でございます。

 先ほどの中山間地域対策とも関連いたしますけれども、有害鳥獣を何とかしてくれというお話が本当に、もうせっぱ詰まった話として聞くんですね。来年作付しようかすまいかみたいな話になっていっているんです。この有害鳥獣対策にどう取り組んでいくのかというその気持ちの部分を、農水省としてどうお考えになっておられるのか。今、何か局長が何度か大臣の方を見られているようですけれども、そこのところは局長のお気持ちで結構ですので、ぜひお答えいただければと思います。

末松政府参考人 お答え申し上げます。

 野生鳥獣による農作物被害は、中山間地域を初めとして年間二百億円にも及んでおります。また、先ほどから議論にありましたように、営農意欲の減退とか耕作放棄地の発生につながるなど、被害額として数字にあらわれる以上に深刻な状況であると認識しております。

 被害を防ぐためには、捕獲に加えて、侵入防止柵の設置や追い払い活動などにもあわせて取り組むことが効果的であると思っておりまして、先ほどから言及のありました鳥獣被害防止総合対策交付金を用いまして、総合的に支援をしていきたいというふうに思っております。

 また、平成二十八年度からは、新たに、捕獲した鳥獣のジビエとしての活用、食べるという方の利活用を推進する取り組みについても支援することとしております。

 今後とも、きょう来ていらっしゃっています環境省などの関係省庁とも連携しつつ、生産現場の声に耳を傾けながら、農業者が安心して農業に取り組めるよう、しっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

古川(康)分科員 ありがとうございました。

 農水省の有害鳥獣対策室の御担当の中には、自分で狩猟免許を持って、そして野山を走り回っておられる方もいらっしゃるというふうに伺っております。有害鳥獣をどうしたらいいのかというその処方箋は地域地域によっても違いますので、これまでもそうされていると認識していますけれども、ぜひとも現地に足を運んでいただいて、さまざまなやりとりを現場の方々としていただければと思います。

 私も、及ばずながら、ぜひことし、狩猟免許に挑戦したいと思っておりまして、少しでも有害鳥獣の駆除にお役に立てればと思っていると申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小倉主査代理 これにて古川康君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。丸川環境大臣。

丸川国務大臣 平成二十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その概要を御説明いたします。

 まず、予算の基礎となっている環境政策の基本的な考え方について御説明いたします。

 東日本大震災の発生から、この三月で五年がたとうとしています。除染については着実に進捗しており、平成二十八年度末を目標とする完了に向け、全力で取り組んでまいります。除染と復興を進めるために必要不可欠な中間貯蔵施設の整備や、放射性物質に汚染された廃棄物の処理については、政府全体で全力を尽くします。また、原発事故による放射線に係る住民の健康管理についても適切に対応してまいります。さらに、三陸復興国立公園やみちのく潮風トレイルなどの豊かな自然を活用したグリーン復興を進めます。

 我が国は、昨年七月に、温室効果ガスを二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減することを柱とする約束草案を決定しました。また、昨年末のCOP21で、全ての国が参加する公平で実効的な新たな国際枠組みであるパリ協定が採択されました。これらを踏まえ、本年の春までに、地球温暖化対策計画を策定し、着実に実施します。国内では、特に、業務、家庭の分野で大幅な削減を行う必要があり、省エネ、再エネに関する技術革新と実証、実用化、自然環境や地元への配慮を前提とした地域における再エネ、省エネの推進、環境金融や国民運動等により社会システムやライフスタイルの変革を含めて取り組んでいきます。また、すぐれた低炭素技術の普及で世界の排出削減に貢献するとともに、気候変動の影響に適切に対処してまいります。

 循環型社会を実現するための取り組みとしては、PCB廃棄物の安全かつ確実な処理、廃棄物処理施設の広域化、集約化及び災害対応拠点機能の強化、産業廃棄物処理業の一層の適正化、高度化、低炭素化に資する高度なリサイクルなどを進めます。

 人と自然が共生する社会の実現に向けては、鹿やイノシシなどの野生鳥獣の捕獲等による管理の強化、絶滅危惧種の保全や侵略的な外来種の防除などに取り組みます。さらに、美しい景観や温泉地といった地域の自然資源を積極的に活用し、地域の活力を高めてまいります。

 また、国民の健康と良好な環境の確保のため、PM二・五による大気汚染や海洋ごみ対策、水銀に関する水俣条約締結を踏まえた対応、公害健康被害対策などを進めます。

 本年は、日本がG7サミット議長国となっており、関係閣僚会合としてG7富山環境大臣会合を五月に開催します。本会合で主要国のリーダーたちと未来を論じ、二十一世紀にふさわしい環境政策を世界へ広げる好機といたします。

 原子力規制委員会については、原子力規制の継続的改善及び放射線モニタリング体制の強化を図るとともに、原子力規制人材育成の強化などに取り組みます。

 次に、これらの施策を実行するための平成二十八年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明いたします。

 一般会計予算では総額三千二百三十二億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計に総額二千三十一億円余、東日本大震災復興特別会計に復興庁所管予算として総額九千百九十億円余を計上しております。

 なお、委員のお手元に配付されております環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の主要施策については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。

 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

鈴木主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま丸川環境大臣から申し出がありました環境省関係予算の主要施策の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。

 質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川分科員 自由民主党の笹川博義です。

 限られた時間でありますので、早速質問の方に入らせていただきます。

 まず、鳥獣害対策についてであります。

 我が県群馬県も、私が県議会に所属をしているときには、保護の概念それから駆除の概念、これがまことに衝突をして、なかなか歯車が合わなかったことがあります。しかし、環境省さんがいよいよもってかじを大きく切っていただきまして、改正鳥獣法も昨年施行ということになりました。これによって、それぞれ鳥獣害で悩まされている都道府県は、大きくまた対策に向けて前進することができると思います。

 それで、お伺いをしたいのは、まず、鳥獣保護管理事業計画については各都道府県ともにしっかりと策定をしておりますが、続いて、第二種の特定鳥獣管理計画、この策定についての状況についてお伺いをいたします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年に成立しました鳥獣保護管理法によりまして、それまでの特定鳥獣保護管理計画が、著しく減少した鳥獣の保護に関する第一種特定鳥獣保護計画と、著しく増加した鳥獣の管理に関する第二種特定鳥獣管理計画に再整理され、保護と管理の二つが明確に区分されたところでございます。

 昨年五月二十九日に改正法が施行された時点におきましては、都道府県が策定した、旧法に基づきます特定鳥獣保護管理計画百三十計画のうち、第一種特定鳥獣保護計画は九の計画、第二種特定鳥獣管理計画は百二十一の計画となりました。さらに、第二種特定鳥獣管理計画については、改正法の施行日からこれまでに、新たに、ニホンザルで三計画、ニホンジカで二計画、イノシシで一計画の六計画が策定されたところでございます。

 これを踏まえまして、現在、第二種特定鳥獣管理計画は、鳥獣の種類別で見ますと、ニホンジカで四十、イノシシで三十九、ニホンザルで二十四、熊類で十二、ニホンカモシカで七、カワウで四、ゴマフアザラシについて一計画となり、四十六都道府県において合計百二十七の計画が策定されているところでございます。

笹川分科員 ありがとうございました。

 それでは、引き続いてですが、指定管理鳥獣捕獲等事業の実施計画、この策定についてはいかがでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 鳥獣保護管理法に定めます指定管理鳥獣捕獲等事業に関する実施計画は、都道府県がニホンジカやイノシシの捕獲等を行う際に、その実施期間、実施場所、目標、方法などを定めるものです。

 現在、当該実施計画は十九県で策定されており、ニホンジカについては十六県、イノシシについては八県で策定され、このうち五県が両方を策定しています。

 なお、二十八年度におきましては、新たに十五道府県で策定される見込みです。二十七年度と二十八年度を合わせまして三十四道府県において策定される見込みでございます。

笹川分科員 大分進捗状況がよろしいようで、なお一層また環境省さんも御指導いただければというふうに思います。

 さて、捕獲ということが各都道府県で進むということになりますと、これは後段でも触れなきゃなりませんが、ある推定値では、今後、年間で百万頭、トン数でいったら四万から十万トンぐらいの廃棄物が出るだろうというふうな指摘も実はございます。まして、鹿とイノシシ、これがまたでかいですから、百キロ単位で、ただし、これがまた全てが活用されるわけではありませんので、これは現実問題として廃棄物であります。

 ただ、循環型、共生型社会を環境省さんが目指すに当たりまして、これをただ廃棄物という形で処理するのがよろしいのかどうか、これはいろいろ考えていかなきゃなりません。したがって、これから捕獲頭数が全国的にふえていくということになれば、その処理と言われるものを、有効活用するためのシステムの構築、これは欠かせないものだというふうに考えるのが妥当だと思うんですね。

 ですので、環境省として、計画は計画として、捕獲頭数が右肩上がりになったときに、これをどのようにして活用していくのかということをしっかりと検討しなければならないというふうに思いますが、今後の捕獲個体の活用についてどのような御所見をお持ちなのか、お知らせください。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 まず、捕獲しましたイノシシ、鹿について、食品利活用など、環境省としてどのように捕獲個体の処理に取り組んでいくかということについてでございます。

 先ほど先生からも御指摘がありましたように、環境省といたしましては、農林水産省とも連携をしながら、ニホンジカ、イノシシの捕獲対策を進めていく方針でございます。

 一方、捕獲個体を有効利用するということも重要な課題でございます。

 その上で課題となりますのが、捕獲後迅速に食肉処理加工施設に持ち込むこと等が必要になってくるというふうに承知しております。

 このため、環境省といたしましては、食肉処理加工施設までの運搬経費を指定管理鳥獣捕獲等事業の交付金事業の対象とすることや、あるいはまた、環境省としても狩猟フォーラム等を全国で開催していますが、そこでジビエの紹介をするなどして、利活用に向けての普及啓発を進めているところでございます。

 このような取り組みをしているところではございますけれども、農林水産省など関係省庁と連携して、ジビエの利活用に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

笹川分科員 確かに、ジビエの活用というのも大事な視点だというふうに思いますが、いずれにしても、それで全てが賄えるわけではありませんので、今後はやはり、農水と、同時にまた各都道府県と、地理的なものが、要件がありますから、そういうものを含めて、食品としての活用、さらには堆肥も含めて、さまざまな用途の選択の幅を広げて、活用についてぜひこれからも真剣に省内で検討をしていただきたい。そのことは強く要望させていただかないと、それは都道府県が大変なことになりますから、よろしくお願いします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 人とペットが共生する社会の実現ということで、環境省さん、動物適正飼養推進・基盤強化事業、さらには動物収容・譲渡対策施設整備費補助、それぞれ約一億円近い金額を計上なさっております。

 正しいペットの飼育、動物愛護、これは人間社会にとって非常に大切なことでありますので、そのことについて環境省さんが取り組むという姿勢については敬意を表したいというふうに思いますが、ただ、残念ながら、今の日本の社会の現況を見たときに、果たして人とペットが正しい関係で、適正な関係で共生をしているかということになったときには、疑義を感じる事案が多く見受けられるのもこれまた事実であります。

 例えば、二月十九日には、ハリネズミだのムササビだの、ペットを九十匹、アパートにお住まいの方で、飼うことがもうどうにもならなくなって捨ててしまったと。何でこんな事態になるのか。さらにはまた、多摩川では、これは別称でタマゾンというぐらい、わけのわからない熱帯魚をおっ放した者がいる。これも結局、飼い切れない。

 さらには、外来種も、冒頭で大臣の方も予算の説明で外来種についての言及もございましたし、これはさまざまな形で日本に入ってきている。

 さらにはまた、朝日新聞、去年の十一月十七日に、ウルフドッグというんですって、犬とオオカミのかけ合わせなんですって、これはとてもじゃないけれども野性味が強くてペットに不向きというんですよ、これが女性を襲って大きな事件となったんですね。

 やはり、いわゆるペットと呼ばれる、飼育の知識が著しく偏っているところがあるんじゃないのかなというふうに私は思うんですね。

 もう一つの事例とすると、ペットとは、まあ言えるかな、メダカさん。これについて、川に放してメダカをふやそうと。これは大変いい取り組みであることは事実だけれども、実はそれだと日本の固有の種に対して危険が及ぶわけですよね。そもそも固有の種じゃない種もありますから。

 そういうことを考えたときには、環境省の取り組みというのがいかに大事かということもあるんですよ、それぞれのボランティア、自治体の取り組みに対しても。

 そして、今言ったように、さまざまな外来種がおっ放されたときに、それが居ついて、結局それが鳥獣害というふうに発達をしたわけですから、これはもう日本固有種に対する大きな影響を与えているわけですよね。もう取り返しのつかない事態になっていることも事実なんですよ。それについて、正しくペットと呼ばれるものと共生するためには、今のような体制で本当によろしいんですかといったときに、やはりきちっとした規制なりなんなりは必要だと思うんですよ。

 その辺について、大臣のお答えを聞く前にちょっと事務方に聞こう。いわゆるペットについて、この事態を考えたときに今のままでよろしいと思うのか、それとも、制度そのものについてやはり考えるべきだという時期に来たと思うのか、いかがでしょう。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生からもいろいろ動物の御指摘がありました。動物愛護管理法上は、人の生命、身体等に害を加えるおそれのある動物、例えば虎でありますとかタカでありますとかワニ等につきましては、その飼養につきましては、動物愛護管理法において、事前に都道府県知事等の許可を得る必要があるというふうな仕組みになっております。

 それ以外の動物でございますけれども、それぞれ個々の動物ごとに、どれがペットにふさわしいか否かについて判断することはいろいろ難しい問題があると考えておりますけれども、ただ、いずれの動物におきましても、動物を飼う前に、その動物の最期まで飼うことができるかどうか等、しっかりと買い主が考えてもらう必要があるというふうに考えています。そして、一旦動物を飼い始めた場合には、その動物の飼育を放棄し捨てることがないよう、また、逃げ出すことがないように、しっかり飼養していくことが必要というふうに考えております。

 こういったことにつきまして、前回、平成二十四年の動物愛護管理法の改正におきまして、終生飼養、死ぬまで飼う、あるいは逸走防止、逃げ出さないようにしっかり管理する等、飼い主はそういうふうな責務を負っているということを法律上明文化するとともに、動物の販売時の現物確認、対面説明、つまり、売るときに、この動物はこういうような問題点があります、こういうところに配慮してくださいというふうな説明を業者に義務化する、あるいは、飼養している動物を遺棄する、捨てることについての罰則を、五十万円から百万円以下に、倍にするというふうな罰則強化をされたところであります。

 そういった事態に対しまして改めてこういう対策をとった、法改正をしているところでありますので、徹底してまいりたいというふうに考えているところでございます。

笹川分科員 今の答弁は答弁として、大臣、今の現実から目をそらしちゃだめだと思うんだよね。現実は悪化しているんですよ。それが今の説明で歯どめがかけられるかどうかですよ。でも、それは現実としては非常に難しい。ならば根本から考えなきゃいけない。でも、それはやはり政治家とかが何か決断しなきゃならない。これはまたいろいろな議論を深めていかなきゃなりませんが、現時点で、大臣、どう思いますか。

丸川国務大臣 事特定動物について、報道等でも、ただいま先生が御指摘いただきましたとおり、中には、特定動物の範囲に実は入っていなかったけれども、大変注目を浴びてニュースになるような事例も出てきておりますし、こうした点を御指摘いただいているものだと思います。

 ペットに対する飼い主の責任について、今御紹介あったように、平成二十四年の改正のときに重点的に書かれたわけでございますけれども、よりこれを徹底させるための方策については、今後、法の見直しに向けて必要な検討をしてまいりたいと考えております。

笹川分科員 ありがとうございました。

 それでは続いて、再生可能エネルギーの普及についてでありますが、今回、地熱開発について規制緩和を行うということであります。特に、予算においても、国立公園等における再生可能エネルギーの効率的導入促進事業ということにも七億円を計上しております。

 今回の規制緩和、そしてまた予算の計上ということでありますので、どのような効果が生まれるというふうにお考えでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 国立・国定公園内の地熱開発につきましては、昨年十月に、新たな通知を各地方環境事務所及び都道府県知事に発出いたしまして、地元の合意形成が図られることを前提として、第一種特別地域については、地表への影響がないこと等を条件に地下部への傾斜掘削を認めるとともに、地熱発電に係る建築物の高さ規制について、風致景観との調和が図られる場合には十三メートルにとらわれず運用できることを明示し、規制緩和したところでございます。本通知の内容につきましては、日本地熱協会が昨年十月に開催した情報連絡会の場において環境省から事業者に対して説明を行うなど、周知徹底を図っているところでございます。

 加えて、地元の合意形成に資するよう、都道府県が行う温泉法の掘削許可の参考となる温泉資源の保護に関するガイドラインを策定いたしまして、温泉法の適切な運用を図れるよう都道府県に通知しているところでございます。

 また、先ほど先生から御紹介がありました国立公園等におきます再生可能エネルギーの効率的導入促進事業でございます。これは、国立公園での再生可能エネルギーの円滑な導入を図るために、事業者による立地選定の早期の段階から自然環境や地元に配慮していくことが必要ということを踏まえ、国立公園等の動植物や景観などの自然環境情報を収集し、事業者に提供することで、再生可能エネルギー施設の立地選定段階におきまして環境配慮や地元との合意形成の円滑化に寄与することを目的としたものでございます。

 こうした取り組みを通じまして、環境省としても、自然環境や地元に十分配慮した地熱開発が進められるよう取り組むとともに、そういうふうな取り組みを期待しているところでございます。

笹川分科員 ちょっと一点だけ確認ですけれども、これは温泉法、地元の合意の中で、規制緩和の中では地表に影響を与えなければとあるけれども、それは今言ったように温泉法の尊重、それも含めて地元合意だよね。だから、いわゆる温泉についての配慮をしなさいということですか。

奥主政府参考人 地元合意の中には当然、温泉に配慮した上で地元がそれをちゃんと了解するというふうなことも含めたものでございます。

鈴木主査 政府参考人、挙手の上、答えてください。これからお願いします。

笹川分科員 ありがとうございました。

 続いて木質バイオについてでありますが、これはもちろん、経産省、農水省さんとの連携事業ということで、私は、中山間地等々の振興にもつながる、林業の振興にも、また農業の振興にもつながるというふうに考えておりますが、いずれにしても、この事業は、両省の連携を受けながら、やはり、自治体の区域、いわゆる市町村のエリアにこだわらずに、多くの、複数市町村の連携をしながらやった方が木質バイオというものはうまくいくというふうに思っているんですけれども、その辺について環境省さんはどのような御所見をお持ちですか。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 木質バイオマスの活用につきまして、先生御指摘のとおりでございまして、木質バイオマス資源は比較的農村部に豊富に存在するわけでございまして、一方、熱、電気の需要につきましては都市部に多く存在するということでございますので、市町村の区域を越えた取り組みを進めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

 環境省といたしましては、そうした取り組みを行う市町村に対しまして、これまでもモデル地域づくりの実証事業等の支援を行ってきたところでございますけれども、さらに促進をしていくために、平成二十八年度の予算案におきましては、広域的な木質バイオマスの活用を含む再生可能エネルギー、電気、熱の技術的な普及を促進する計画の策定や、費用対効果の高い設備導入事業に関する支援などを計上させていただいているところでございます。

 今後とも、このような取り組みを進めまして、広域的な木質バイオマスのエネルギーの利活用の促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

笹川分科員 よろしくお願いします。

 それで、いずれにしても、これから少子高齢化ということの中で、中山間地の自治体の財政が大変厳しくなると予想されております。やはり、こういう事業がそれぞれの自治体の財政に資するような、そういう事業展開もぜひ考慮に入れて、今後とも頑張っていただきたいというふうに思います。

 では、続いて次の質問に移りますが、浄化槽事業についてであります。

 地方分権ということで、浄化槽市町村整備推進事業における要件緩和を実施するということでありますが、この点についての効果についてはどのような御所見をお持ちですか。

鎌形政府参考人 浄化槽についてのお尋ねでございます。

 御指摘の浄化槽市町村整備推進事業につきましては、現在は原則として各戸ごとに一基の浄化槽を設置するということにしてございまして、地形など特殊な状況で個別に浄化槽を設置できない場合には複数戸に一基の浄化槽ということを認めているところでございますが、今御指摘があったような、地方分権に伴う地方からの提案で、緩和するようにという要望がございましたので、二十八年度から、この要望も踏まえてそれを緩和しようということでございます。

 具体的には、個別の浄化槽を設置するよりも経済的かつ効率的な維持管理が見込まれる場合には、市町村が用地を適切に確保することを前提に、複数戸に一基の浄化槽の設置を認める予定でございます。このような意味で、経済的かつ効率的な維持管理が見込まれる場合に柔軟な運用が図られるということでございます。

 ただ、複数戸に一基の浄化槽を設置するに当たりましては、例えば、将来使用戸数が減少するのではないかとか、あるいは、使用する住民の間で、特定の使用住民に不利益が生ずるのではないか、こういった課題もございますので、こういったことにも十分配慮した上で、浄化槽の規模や設置場所を選定して、適切な運営が図られるよう、市町村に対してQアンドAなどの形でしっかりと周知してまいりたい、このように考えてございます。

笹川分科員 今回の緩和については市町村からの要望でありますので、環境省さんとしての御対応に敬意を表します。

 ただし、これからそれぞれの市町村でも財政的な格差がつきますから、思った以上に、市町村がやるかやらないかというのはちょっと差が出ると思うんですよ。その中で、個人設置型というのがもう六〇%近いわけですよね。では、その個人設置型についてどうしていくかということになったときには、やはり国の補助率というものが今後大きな課題になってまいります。それはもう御承知のとおりだと思います。

 その辺のところは、もう一段後押しをするということになるならば、個人設置型に対してどのようにするかということをもう一度省内でもきちんと議論して対応していただきたい。

 最後、もう時間でありますので。

 実は、食品廃棄については大臣も大変御苦労なさっておりまして、それぞれの環境省の対応にもエールを送ります。

 実は、この間、二月二十四日の朝日新聞に、フランスで今月上旬、二月の上旬に、大型スーパーに、まだ食べられる食品の廃棄を禁じ、所得の低い人に食品を配る慈善団体への寄附を義務づけた、捨ててはならぬ、慈善団体に出しなさいという法律ができたそうですよ。

 これはぜひまた参考にしていただいて、食品の廃棄物というものは廃棄物なんですか。学校給食もそうですね。そういうことも含めて、どうなるべく利用していくか、焼却、埋却じゃなくて、どう利用していくかというところをぜひもう一度環境省さんとしてもお考えいただかないと、これは循環型社会にはならぬということでありますので、この件について一言だけ、大臣、御所見を。

丸川国務大臣 年間二千八百万トンの食品残渣が生まれているわけですけれども、まずそこに行かせないというために、我々環境省だけではなくて、関係省庁と、また自治体とも連携をしながら、今取り組んでいるフードチェーン全体での食品ロス削減の取り組みをさらに強化してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

笹川分科員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木主査 これにて笹川博義君の質疑は終了いたしました。

 次に、堀内照文君。

堀内(照)分科員 日本共産党の堀内照文です。

 環境省が実施する石綿暴露者の健康管理に係る試行調査についてお聞きしたいと思います。

 環境省は、幾つかの自治体において、このアスベスト被害について、二〇一四年度まではリスク調査、その後は今のこの試行調査を行っております。伺いたいのは、この試行調査に係る費用負担の問題であります。

 リスク調査のときには、CT検査とその後のレントゲン検査の費用を全て環境省から出しておりました。しかし、この試行調査では、全額出るのはCT検査のみで、レントゲン検査は、市町村の肺がん検診に乗っかる形で、自己負担分は環境省から出ますけれども、残りは自治体負担となっております。なぜこの負担のあり方が変わったのか。これは大臣にお伺いしたいんですけれども、調査の性格からも、全額環境省が負担すべきではないでしょうか。

丸川国務大臣 試行調査につきましては、平成二十七年度は九自治体において、将来的に、仮称でございますけれども、石綿検診を実施する場合における実施主体、対象者、対象地域、検査頻度、また事業に要する費用、肺がん検診等の既存の検診とどういう連携をしていくかということの課題について調査検討を行うことを目的としておりまして、肺がん検診費用の負担については、現行制度を基礎としつつ、自己負担分を国が負担しているものでございます。

 なお、将来的にこの石綿検診を実施する場合における肺がん検診に伴う費用負担のあり方については、この試行調査を通じて検討を行うこととしておるものです。

堀内(照)分科員 やはり試行調査全体が環境省の事業だと思います。負担のあり方については、関係の自治体からも意見が上がっているかと思います。

 この試行調査の目指すべきところは、今大臣もおっしゃいましたとおり、将来の石綿検診、まさに、住民の不安を解消したり、早期発見、治療に結びつける、そして救済、支援につなげていくというのが最終的な目標だと思います。それに資するためにも、自治体の費用負担の心配なくしっかりと実施ができる、その費用負担のこともぜひ検討すべきだということを重ねてお願いしたいと思うんです。

 もう一点は、兵庫県尼崎市で、被害者支援団体から、クボタの周辺にある中学校の当時の在校生に中皮腫患者が六、七人集中してあらわれたと報告をされております。住んでいる地域は少し遠方であっても、当時、その周辺、クボタ周辺の学校に通っていたことによって暴露したものと思われます。

 アスベストの大きな特徴は、暴露してから三十年、四十年とたってから病気が発症するということです。まさか自分がと誰しもが思うだけに、この試行調査の広報のあり方として、一般的な広報にとどめることなく、リスクの高いと思われる集団、これも対象も明確ですから、そこへの周知を具体的に行うということが大事だと思うわけであります。

 このリスクが高いと思われる対象者に個別に情報が届く、そういう広報を行うということが、今言いましたこの早期の発見や治療、支援につなげていくという上で非常に大事だと考えるわけですけれども、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 石綿の暴露者の健康管理に係る試行調査の広報については、調査実施自治体がそれぞれの地域の実情を踏まえて実施することとしておりまして、具体的には、ホームページへの掲載、自治体の広報誌などの広報活動を行っているところでございます。

 今後とも、実施状況を踏まえつつ、関係自治体とよく連携をしながら、さらに試行調査の効果的な周知が図られるように努めてまいりたいと存じます。

堀内(照)分科員 効果的な周知ということでしたので、ぜひお願いしたいと思っています。

 昨年七月三十一日の厚生労働委員会で、私は労災と救済法の両面からこのアスベスト問題を取り上げまして、塩崎厚労大臣からは、救済法でカバーし切れないという方が残っておられるということ、その現実も今よくわかったところでありますので、厚生労働行政と環境省の行政としっかり連携して考えていかなきゃいけないという答弁もいただきました。

 労災の問題では、この間、建設アスベスト訴訟で、国の責任とともにメーカーの責任を認めた画期的な判決も出されました。被害者の救済ということで、まだまだ課題も大きいというふうに思うわけであります。

 そういう点で、ぜひ全ての被害者の救済に向け、少なくともまずは現行法の枠でできることはやはり精いっぱいやる、積極的な取り組みを行うということを重ねてお願いしたいと思います。

 続きまして、太陽光発電の問題についてお尋ねしたいと思います。

 ここ数年、太陽光発電設備の建設が急増しています。同時に、ソーラーパネルの設置に伴って、各地で事故が相次いでおります。事故やそれに伴う被害については、きちんと把握するということが当然重要なことは言うまでもありません。

 全国でこの間起こっている事故について、これは経産省にお伺いしたいんですけれども、この把握はどうなっているでしょうか。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 電気事業法におきまして、一定規模以上の発電設備について、感電死傷や電気火災、主要設備の損壊などの電気工作物の重大な事故の報告を求めております。

 これによりますと、太陽光発電設備につきましては、平成二十六年度が新しいデータでございますけれども、計十一件の事故報告がございます。このうち、五百キロワット以上の設備損壊が生じているものが六件ございます。

堀内(照)分科員 今ありましたように、五百キロワット以上の設備損壊は十一件中六件ということで、あと、残りの五件というのは、いわゆるパネルが飛散したこと等によって住家等に被害があったということで報告があったと思うんです。

 やはりこの報告の基準となっているのが、そのように、五百キロワット以上の設備損壊か、パネル飛散に伴って住家等の被害があるということに限られていますので、残るものは、報道されたものを集めるしか全容を知るすべというのがないわけであります。

 九州産業保安監督部が、昨年夏の台風十五号の被害状況について、設置者あるいは電気主任技術者へアンケートを行っております。五十キロワット以上の三千百六十二件中三千四十六件、九六%から回答を得たと聞いております。その中で、百三十八件で何らかの被害が発生したというわけです。しかし、これは全てが、今申し上げたように、報告義務のあるものだけではありません。拾ってみると、やはりこれだけあったということであります。

 設備被害の規模や被害の状況にかかわらず、やはり事故があるものは全て報告を義務づけるべきではないかと思うんですが、これは星野政務官にお伺いしたいと思うんです。

星野大臣政務官 堀内委員にお答えさせていただきます。

 太陽光発電設備につきましては、現在、感電死傷や電気火災に加え、五百キロワット以上の設備損壊が生じたものや、発電所構外の家屋等に損害を与えたものが事故報告の対象となっております。

 太陽光発電設備の事故実態をより的確に把握するために、家屋等の損傷の有無にかかわらず、発電所構外にパネルが飛散した場合についても報告義務を課すことを検討しております。

 こうした見直しを通じ、事故実態を適切に把握することで、今後の対策につなげてまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 やはり実態をしっかりつかむということが大事だと思っております。

 この九州地方での台風被害調査の結果を見まして、私、さらに問題だと感じましたのは、電気事業法で定められている工事計画届、それから、使用前安全管理審査等が必要のない二千キロワット未満の設備で重大な事故、問題が起こっているということであります。

 発電設備に被害があったもの八十一件について追加調査を行っているわけですが、二千キロワット以上とそれ未満のそれぞれの特徴について、これは経産省の方から簡潔に内容をお答えいただきたいと思います。

三木政府参考人 先ほど委員御指摘のとおり、昨年の八月の台風十五号の被害につきまして、経産省で調査を行っております。

 五十キロワット以上の設備三千百六十二件について調査を行いまして、発電設備の被害があったものが七十九件でございました。このうち、発電所構外へのパネルの飛散が四件、それから発電所構内でのパネルの飛散、脱落が三十一件発生してございます。このように、構造面での問題のある可能性が高いものが五十四件発生しております。

 御質問の、発電規模に応じた内容でございますけれども、具体的には、工事計画の届け出ですとか運転開始前の設備検査の対象となっております二千キロワット以上のものについては、重大な損壊事案は生じておりません。

 一方で、二千キロワット未満の中小規模の設備におきまして、大量のパネル脱落、飛散、百枚以上のパネルが飛散したり脱落したという損壊事案が発生してございます。このようなパネル脱落、飛散事案は、電気事業法の技術基準を満たしていないとか施工が適切でなかったという事案でございました。

堀内(照)分科員 やはり、使用前のチェックがあるなしで、こうも違ってきているんだと思うんです。

 かつては五百キロワット以上からこの届け等が必要でしたが、普及を図るためということで規制緩和がされました。しかし、こういった重大な事故が起こったのでは、今後の普及についてはかえってマイナスになるわけです。

 以前には届けが必要だった五百キロワット以上はもちろんですが、この九州の調査を見ましても、五十キロワット以上から事故が大変多いわけですから、そこから工事計画の届けをしっかりやるということがやはり必要だと思うんですが、これも政務官、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 電気事業法の技術基準を満たしていない事案や施工方法が不適切な事案が散見されることを踏まえれば、設備の強度等につきまして、事業者の責任において、運転開始前の段階でしっかりと確認をさせることが重要と認識をしております。

 このため、一定程度の出力を有する太陽光発電設備についても、運転開始前に設備を検査し、その結果を国に届け出る制度を導入することを検討しているところでございます。

 また、複雑な強度計算を行わずとも、誰でも安全な設備が設置できますよう、標準的な設備仕様を示すこともあわせて検討しているところでございます。

 こうした対策につきまして、審議会において検討をしておりまして、年度内にも取りまとめる方針であります。

 当省としては、太陽光発電設備の安全性確保に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 検討されているということですので、事故は五十キロワット以上から深刻なものがありますので、ぜひそうしたものまで国がきちんとチェックできるという仕組みを求めたいと思います。

 そこで大事になってくるのが、そういった審査や事故対応に従事する担当者の配置の問題であります。

 これは経産省にお伺いしたいんですけれども、この担当者は、今、全国でどのような配置になっているでしょうか。

三木政府参考人 現在、太陽光発電設備の工事審査は、経産省の出先機関でございます産業保安監督部で担当しております。

 全国の産業保安監督部の職員数は、平成二十七年度時点で三百十一名でございます。そのうち、専任で太陽光発電設備の工事計画の審査を行っている職員数は二十一名でございます。

 なお、全国の産業保安監督部におきまして、電気設備の安全を担当する課の職員は合計七十九名おりまして、業務の内容や量に応じまして柔軟に職員の担当業務を変更する等で対応しているところでございます。

堀内(照)分科員 専任は二十一人で、その他安全に係る職員が七十九人で、柔軟に対応しているということですが、今、二千キロワット以上、大体毎年何件出ているかということで、私、単純に二十一人で割ってみたら、大体一人当たり七十件担当なんです。これが五百キロワット以上になると数千という規模になるし、五十キロワットになったらもう万という単位になります。

 人員は、これではやはり少ないと私は思うわけであります。きちんと安全を管理するという上でも抜本的な増員が必要だと思うんですが、この点、政務官、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 現在、発電量が二千キロワット未満の太陽光発電設備につきましても、新たにリスクに応じて効果的かつ効率的に安全確保を行うため、事業者自身による運転開始前の設備検査を義務づけ、その結果を国に届け出る仕組みを検討しております。

 なお、国家公務員の定員管理、合理化などの制約がある中、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まった平成二十四年度から平成二十七年度にかけて、電気設備の安全を担当する課の職員数を七十五名から七十九名に増員させていただいております。また、検査官の質の確保をするために、電気設備の安全確保に関する研修を毎年行っているところでございます。

 今後とも、太陽光発電設備の安全性確保に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

堀内(照)分科員 七十五人から七十九人に増員をされたということですが、太陽光発電の普及の規模に比べるとやはりまだまだ追いついていないと思いますので、ぜひこの体制をもっと求めたいと思います。

 さらに重大なのは、先ほどの九州の調査では、設備の被害については追加調査をしているわけですが、それ以外のところ、設備に被害がなくとも、例えば土砂流出などによって発電設備の強度が不十分になっていたり、周辺に被害をもたらすということも起こっているわけです。しかし、そうした土砂流出の危険性については、相変わらず規制がかかろうとしていません。

 兵庫県赤穂市御崎地区で、住宅地に隣接する山を削って、およそ二ヘクタールにわたって七千枚を超える太陽光パネルの設置が行われようとしております。

 きょう、資料で写真をつけておきましたが、一枚目は伐採前です。この山、急傾斜地区や土砂災害警戒区域、山腹崩壊危険地区もある山です。この山の裾野には住家が密集しています。ですから、本当に大きな不安、懸念が広がっているわけであります。事業者は、この規制の強い急傾斜指定区域を避け、また、土地の造成も届けの要らない範囲にとどめ、発電量も、今二千キロという話がありましたが、千九百九十キロワットということで、もろもろの規制をくぐり抜けてやっている。

 私も直接、現地を見てまいりましたが、一枚目と同じ場所を撮ったのが二枚目です。既に伐採が進んでおります。この真ん中の道をずっと進んだ右手の方が三枚目の写真で、もう本当にきれいに伐採されてしまっているわけです。伐採、伐根が進んでおります。

 資料の四枚目は、これは先日、NHKの番組でも取り上げられました兵庫県姫路市林田地区の国道沿いにある太陽光パネルで、これは横にパネルがあって、この写真を撮った地域は、これからパネルを設置しようというところです。国道のすぐ横の山の斜面を伐採して、地盤を造成することもなく、そのまま設置されているわけです。テレビでは、以前、五百枚以上のパネルが飛ぶ事故があったとか、基礎部分の土砂が流出していたと放映がされておりました。写真にもありますように、地盤は見るからにもろく、土のうが積まれているのも確認がされます。交通量の多い国道沿いで、本当に危険だなと肌身で感じました。

 一定の面積の土地を造成すると規制がかかるので、それを嫌って、伐採しただけで、そのままパネルを野立てする、そういう事例も多く散見されております。ちょっとした雨でも土砂が流出するなど、本当に危険きわまりないと思うわけであります。

 これも政務官にお伺いしたいんですが、もうこれで本当に適切な事業と言えるんだろうかと思うんです。太陽光パネルの設置に当たっては、地盤についても安全を担保する基準を設け、それを事業者に守らせる仕組みが必要ではないでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 太陽光発電の設備は、電気事業法で、技術基準に適合するように維持することを求めております。具体的には、地域ごとに定めている風や雪などの荷重に耐えられることを要求しておりました。このため、建設地の地盤を考慮した設計が不可欠であると考えております。

 他方で、この点が必ずしも認識をされていない事案が散見されることから、地盤に応じた設計が必要になることを技術基準に明記するとともに、複雑な強度計算を行わずとも地盤を考慮した安全な設備が設置できるよう、標準的な設備仕様を示すことを今検討しているところでございます。

 このような取り組みを通じ、安全な設備が適切に設計されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 これも検討をこれからされるということでありますが、現状では、結局、自治体の条例等で動向を見ていくということしかないわけですが、その自治体の条例に基づく指導等も、事業者がなかなか聞かないという現実があります。

 和歌山県紀美野町では、土砂災害警戒区域に指定されている山林で許可なく斜面を削るなどして県から文書指導や是正指導を繰り返されても対策がとられないとか、兵庫県淡路市では、急斜面の耕作放棄地を切り開いて設置された発電施設で大量の雨水が近隣の田畑に流れ込み、田畑の損壊や土砂流出が起こっております。これは資料の五枚目、六枚目がそうなんですが、パネルの架台の土台が一部崩れ、木材とジャッキで支えているんです、ちょっと信じられないんですけれども。六枚目が、そのズームアップした写真なんです。

 五枚目を見ていただいたらよくわかるように、多分、根元はコンクリートで固めてあったんです。ただ、そのコンクリートごと崩れています。ですから、多分、コンクリートで固めているという時点では、架台はきちんと強度が保たれているということになったんだと思うんですが、しかし、その下の地盤が弱ければ意味がないんだということだと思います。ここも住民が行政に訴えているんですが、県も市も、規制法がないんだ、権限がないんだということで、打つ手がないということだそうであります。

 現行の法や条例ではなかなか規制し切れない、だからいろいろな問題が起こっているんだと思うんです。これを放置していいのかということが問われていると思います。

 今、技術基準というお話もございましたが、風、雪ということがあったように、基本的には、そういう、風にあおられないかとか、雪の荷重に耐えられるかということだと思うんですが、淡路の例で見ても、コンクリート等で一定土台を固めたとしても、やはりもともとの地盤が弱ければ意味がないわけですから、土砂流出から架台の強度を保つという点では、さらにもう一歩踏み込んで、地盤の強度というのをどう評価するのかという基準がやはり必要じゃないかと思うわけであります。

 検討されているということですから、ぜひその検討の材料として、九州で行ったような調査を全国的に行う必要があるんじゃないか。事業者はもちろんですし、九州の調査に加えて、やはり地盤ということでは、設備だけではなくて、もう一歩踏み込んだ調査ですね。

 さらに、自治体から聞き取る。住民とのトラブルは自治体がよく抱えていると思いますので、自治体からもよくヒアリングもして、そういった事例があれば、トラブルがあれば、現場にも出かけて確認するということも必要なんだと思います。

 そういう全国調査、これは検討の上ではぜひ必要じゃないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 経済産業省では、全国の太陽光発電設備の運転状況を把握し、設備の健全性に疑義があるものに対して必要な改善を求めて行うべく、推進、規制の両部局で連携をいたしまして、取り組みを進めているところでございます。具体的には、再エネ特措法、FIT法の認定施設のうち、長期間売電を停止しているものを対象に、報告徴収によって実態調査を行っているところでございます。

 この結果を踏まえて、技術基準に適合していない疑いのある事業者に対し、電気事業法に基づく立入検査等を行い、保安確保に向けた改善指導を行っていく方針でございます。

 なお、個別に太陽光発電設備の破損や損壊事案が生じている場合には、経済産業省にぜひ情報を提供いただければ、適切に対処させていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、対策、検討していることも含め、しっかりと実行に移して取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

堀内(照)分科員 情報提供を求めるにとどまらず、やはり、経産省の方からヒアリングするなど、ぜひ積極的につかんでいただきたいと思っております。そういった地盤の問題も含めて、安全を確保するということを求めたいと思います。

 最後に、環境省にもこの点でぜひ責任を果たしていただきたいと思いますのは、アセスの問題です。

 風力発電はアセスの対象ですが、太陽光発電は今対象ではありません。風力発電が対象になぜこの間追加されてきたのか、太陽光も私は対象とすべきじゃないかと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 風力発電所につきましては、騒音またバードストライク等の被害が報告されていたことから、平成二十四年から一定規模以上のものについて環境影響評価法の対象としております。環境影響評価法は、規模が大きくて、また環境に対する影響の程度に著しいおそれがある事業を対象としております。

 御指摘の太陽光発電所については、例えばほかの法対象事業の環境影響と比較しても、現時点では環境影響が著しいとまでは考えておらず、法の対象としていないものです。

 ただ、法の対象ではない事業についても、地域の実情に応じて、自治体が条例に基づく環境影響評価制度を設けている場合がございます。環境省としては、こうした自治体の取り組みについて、自治体間の情報交換の場を設けるなどの支援を今後も行ってまいりたいと考えております。

堀内(照)分科員 騒音とバードストライク等ということで、騒音や低周波被害ということでは人体、生活環境という面だと思います。それから、バードストライク等は自然環境の影響だと思うんですが、人体や生活環境への影響ということでは、これは雑誌で報道されたんですが、太陽光発電による高温被害ということが言われております。

 兵庫県姫路市なんですが、太陽光パネルの反射光で自宅が照らされて、夏には室温が五十二度にまでなった、夫婦ともに熱中症で倒れるという深刻な事態であります。自宅から一番近い距離で十メートルのところにまで届くところに、およそ二ヘクタールにわたって五千枚近いパネルがある、そのうち千二百九十六枚のパネルからの反射光が自宅を照らしているんだ、冬場の今はまぶしさに悩まされているということであります。事業者は、反射光を遮るために、パネルの敷地とこの方のお宅の間に植栽をしたそうですけれども、それから遮光ネットを設置したということですけれども、まだ樹木は二階の窓より低いということで効果がないということであります。

 環境への影響ということでは、環境万博をうたった愛知万博の海上の森に隣接する林、二・三ヘクタールを造成し、ソーラーパネルが設置されていることが問題になっております。瀬戸市は二〇一三年に愛知万博の理念を継承するエリアにふさわしくないとして中止を勧告したにもかかわらず、建設されています。この件は明確な森林法違反だそうですが、県と市との連携不足の中でこういう事例を招いてしまったということでありますけれども、アセスの手続があれば、一歩ここで立ちどまる、防げたような事例ではないかと思うわけであります。

 規模ということもありますけれども、しかし、現実にこういった生活環境や自然への環境の影響ということがやはり各地で起こっているわけでありますので、風力同様に検討すべきではないかと思うんですが、もう一度、いかがでしょう。

丸川国務大臣 自治体間の情報交換の場で、一体どのような実例を各地域で抱えているのかということをまずよく把握させていただいて、必要に応じて検討を進めてまいりたいと思います。

堀内(照)分科員 地域の方々も、太陽光パネル発電そのものに反対しているわけじゃありません。代替エネルギーとして普及も必要だと。本来は、そういうエネルギーの地産地消という点でも地域の資源になり得るものであります。それを、外から来た事業者が地域の環境や住民の安全もお構いなしに乱開発をして、利益だけを吸い上げるということでいいのかということだと思います。

 今後の自然エネルギーの普及のためにも、環境や安全を確保するという仕組み、しっかりその担保をとるということを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて堀内照文君の質疑は終了いたしました。

 次に、中根康浩君。

中根(康)分科員 民主党の中根康浩でございます。

 本日、第六分科会でお時間をいただいて、環境省さんあるいは農水省さんに幾つか質問をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は愛知県の選出、出身でありまして、私の地元の愛知県西尾市一色町は、御案内のとおりといいますか、有名だと思うんですけれども、大変養鰻業が盛んな地域であります。

 ただ、この数年、シラスウナギが不漁で、池入れがとても少なくなっております。放流事業なども祈るような思いで展開をされているわけでありますが、なかなかそう簡単にはうまくいかないということになっております。このシラスが不漁だということが一時的なものであるのか、もしくは、根本的にニホンウナギが何かの理由で減少をしてしまっているのかということでございますが、もし後者ということであるならば大変深刻に受けとめざるを得ないという状況になるわけであります。

 既に、ニホンウナギにつきましては、国際自然保護連合というところが二〇一四年にレッドリストに加えた。つまりは、近い将来、絶滅のおそれがあるという位置づけにされたわけであります。これ自体には法的な拘束力はないということでありますけれども、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約での扱いを決める際に、この国際自然保護連合における位置づけというのが大変重要な参考資料になるということでございます。

 そこで、まず初めの質問でありますけれども、絶滅のおそれがあるとされるニホンウナギですけれども、例えばシラスウナギの漁獲量が、最盛期では二百三十トンあったものが最近では大体五トン程度だということで、激減をしているわけでありますけれども、水産庁として、資源の状況をどのように認識しているか、お答えをいただければと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 資源の状況をある程度反映する情報として、我が国のシラスウナギ、ウナギの子供になりますけれども、この採捕量の情報がございます。

 一九六〇年代後半、百トンを超える時期もございましたけれども、長期的に減少基調にありまして、近年では、二〇一〇年から一三年までの四年間、続けて十トンを下回るということになりました。

 その後、二〇一四年漁期の採捕量ですけれども、十七・四トン、二〇一五年漁期は十五・三トンでございましたけれども、シラスウナギの採捕量は年ごとの海流の変化などによっても増減するものと考えられておりまして、このちょっとふえたということをもって直ちに資源が回復したと判断すべきではないと考えております。資源は依然として低水準にあるというふうに認識しております。

中根(康)分科員 百トンという数字もあって、そして最近では十数トン、こういう数字で、この比較だけでも十分の一ということでありますので、これは、低水準どころか、やはり国際自然保護連合が絶滅のおそれありと位置づけたのも無理からぬ、極めて深刻な状況にあることをうかがわせる数字であるということになるわけであります。

 それで、今の国際自然保護連合というところがレッドリストに載せたということは、何らかの対策を我が国に対してとれということを示唆しているということでありますけれども、日本政府として、水産庁として、ニホンウナギの資源保護のために、特にレッドリスト掲載以降を含めてということになりますけれども、どのような対策を打っておられるか、お示しをいただきたいと思います。

長谷政府参考人 平成二十四年漁期のシラスウナギの池入れ量、これは輸入されたものも含む数字なんですが、これが前年の二十二トンから十五・九トンに大きく減少いたしました。これを受けた形で、水産庁におきましては、平成二十四年六月に、ウナギ養殖業者向けの支援やウナギ資源の管理保護対策などを内容とするウナギ緊急対策を定めました。

 そして、これを契機といたしまして、一つ目としては、国際的な資源管理の第一歩として、中国や台湾等とともに、ウナギ種苗の養殖場への池入れ量の制限に取り組むとともに、二つ目として、国内においては、シラスウナギの採捕、そして親ウナギ漁業、そしてウナギ養殖業に係る資源管理を三位一体として進めることによって資源管理を推進しているところでございます。

 また、平成二十八年度予算案におきましては、東アジア各国・地域の養鰻管理団体との資源管理に係る民間協議の推進、それから、ウナギの生息環境改善の取り組み、三つ目として、河川及び海域におけるウナギの生息状況や生態等の調査、四つ目として、現在全面的に天然に依存しておりますシラスウナギの人工的な大量生産システムの実証化、これらの予算について、計四億六千万円を計上しているところでございます。

 今後とも、ニホンウナギの資源管理の取り組みを進め、資源の回復に努めてまいります。

中根(康)分科員 確認なんですけれども、今るる御説明いただいた内容が緊急対策のそれぞれの項目だということですか。それとも、緊急対策は、また今のものとは別に、何かさらに緊急のものがあるということでしょうか。いかがでしょうか。

長谷政府参考人 二十四年に取りまとめました緊急対策におきましては、先ほど申し上げましたように、不漁に伴う種苗価格の高騰といったようなことがあったものですから、養鰻業者への経営対策といったものも含まれておりました。

 ただ、そこで、資源管理をしなきゃいけない、国際的にやっていかなきゃいけないということを受けまして、その後、累次協議を重ねて、先ほど御説明したようなことになっております。

中根(康)分科員 ありがとうございます。

 そこで、今も話があったわけでありますけれども、国民から期待が寄せられているのは、ニホンウナギの完全養殖ということであります。

 私自身も、昨年の十月でしたが、三重県の南伊勢町にある国立研究開発法人水産総合研究センターの増殖研究所というところを視察させていただきました。

 ここにおいて完全養殖の技術が研究されているわけなんですが、一定の条件のもとでは完全養殖は既に成功しているというか、実現していると言えるということでありますけれども、まだまだ養鰻業に資するような、日本人が思う存分楽しめる、ウナギを食べられる、こういうようなところまでは至っていない、大量生産というところまでは至っていないということの説明を受けてきたということでございます。

 この中には、何を餌とするかということ、あるいは、なかなかシラスというものが餌を積極的に食べてくれない、どうぞ食べてくださいというか、一生懸命食べさせると、嫌々というわけじゃないんですけれども何とか食べるけれども、進んで食べてくれないらしいですね、シラスウナギというのは。この餌を何にするかということとか、餌をどのように与えるかというようなところが一番難しいところであるというようなことも聞いてきたわけであります。

 絶滅はせずとも、大幅に減少しているということは今までの御答弁でも確かな状況でございますので、これからも私たち日本人がウナギを賞味したり、あるいは養鰻業を支えていくためにも、完全養殖の技術確立というのが待ち望まれるということでございます。

 完全養殖に対する水産庁からの支援というものはどのようなものになっているか、お示しをいただきたいと思います。

長谷政府参考人 今委員から御指摘いただいたように、水産総合研究センターにおきまして、平成二十二年に、世界で初めて完全養殖、実験室で生まれた親から、両親から二世代目の子供もつくるということで、完全養殖に成功いたしまして、引き続いて平成二十五年には、同センターで新たに開発した、従来は五リットルから十リットルぐらいの水槽でやっていたんですけれども、一トン型の大型水槽でシラスウナギの生産に成功するといったように、段階を踏んで研究が進んでおります。

 現在は、ふ化した仔魚の、子供の生残率がやはり低いんです。生残率の向上ですとか、それから省コスト化を図るために餌を与える給餌システムの改良ですとか飼育水の効率的な交換、あるいは新たな餌料、餌の開発などの課題、これが非常に重要ですので、これを解決するために、水産総合研究センターを中心にして、センターだけでなく産学官の連携によって取り組んでいるところでございます。

 二十八年度予算案におきましても、ウナギ種苗の大量生産システムの実証事業ということで三億一千万円を計上しているところでございます。

 今後とも、人工種苗の量産化の早期実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

中根(康)分科員 これもまた一つ確認なんですが、先ほどのウナギ資源保護のための四億六千万円という予算と別に、この完全養殖のための予算が今三億数千万円だという、これは別物だということでよろしいですか。

長谷政府参考人 先ほど申し上げました四億六千万円の中にこの種苗の予算も入っております。

中根(康)分科員 そうすると、かなりの部分が完全養殖に向けての予算、それほど力を入れてくださっているということは認めるところでありますけれども、これで十分かどうかということにもなろうかと思います。

 私、視察に行ってまいりまして、現場の職員というか研究者の方々は本当にウナギを愛していると言ったらおかしいんですけれども、真剣に、日夜を分かたず、二十四時間体制で餌やりをしたりウナギのシラスの様子を観察したりということで、我々国民の期待に応えようと頑張ってくださっている様子がうかがえました。

 ぜひ、時折、農水省の政務三役もあそこに出かけていっていただいて、かなり交通の便の悪いところでありますのでなかなか行けないかもしれませんが、だからこそ、励まし、激励にお出かけをいただければいいんじゃないかなというふうに思うところであります。

 絶滅のおそれのある野生生物の国際取引を規制して保護することが目的のワシントン条約の締約国会議が、いよいよことしの九月二十四日から南アフリカのヨハネスブルクで開催をされると聞いておりますが、ここでワシントン条約の附属書に掲載をされるとニホンウナギはどのような扱いになるのか、また、附属書掲載が日本の養鰻業や国民の食生活、食文化にどのような影響があるか、ここについてお考えをお示しいただければと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 ワシントン条約締約国会議では、絶滅のおそれのある種を掲載する附属書1、それから厳重に規制をしなければ絶滅のおそれのある種を掲載する附属書2の改正について議論されます。

 まず、附属書1ですけれども、この附属書1に掲載された場合、国際間の商業取引が原則禁止となります。国内への影響につきましては、これはあくまでも仮定のお話としてお答えするわけでございますが、現在、年により変動はあるものの、ウナギ製品の六割程度、それから養殖用種苗の五割程度を輸入により賄っている中で、附属書1に掲載されますと、養殖種苗としてのシラスウナギ並びに養殖されたウナギ及びその加工品の輸入ができなくなることから、養鰻業だけでなく、国民の食生活、食文化に大きな影響を与えるということが予想されます。

 一方、附属書2に掲載された場合なんですけれども、国際間の取引には、輸出国による輸出許可書の発給が必要となります。そのためには、当該輸出が種の存続を脅かさないこと、及び輸出物が違法に入手されていないことに関する輸出国当局の証明が必要になります。ただ、これらの証明について、輸出国側が実際にどのように判断するかというのは現段階で予断できませんので、我が国の輸入量がそのことによってどのように変化するのか、どこまで影響があるのかということについては、現段階では申し上げることができないというところでございます。

中根(康)分科員 今御説明がありましたように、附属書1、2とあって、1だと原則商業取引禁止、これは大変なことになってしまうわけでありますので、せめて附属書2にとどめてもらいたいということ、附属書2ならば国際取引の可能性は残るということでありますので、ぜひ、最悪1にならないように、2に踏みとどまるように政府として御努力をいただきたいということであります。

 このようなことも含めて、九月のワシントン条約会議に向けての政府の取り組みということを改めて伺いたいんですけれども、特に、会議は九月ということでありますけれども、附属書掲載の提出期限は四月の二十七日だというふうに聞いております。そうすると、もう目の前にそのことが迫ってきているということでございます。

 どこかの国が提案をすると、危機に瀕するというか、附属書に掲載されるおそれが出てきてしまうということでありますので、どの国が提案しそうなのか、あるいは、そこが想定されているならば、その国に対してどのような働きかけを今まであるいはこれからしていこうとしているのかということも含めた、ワシントン条約会議に向けての政府の取り組みを教えていただければと思います。

長谷政府参考人 我が国といたしましては、ニホンウナギの保存管理は、ワシントン条約附属書、これは1であろうと2であろうとということなんですけれども、附属書掲載によるのではなく、先ほど御説明したような関係国・地域による協力、それから資源管理の取り組みによって行われるべきものと考えておりまして、これまでも関係国・地域と協議を行ってきているところでございます。また、ウナギ資源の保存管理にこれまでも関心を示してきた米国そしてEUに対しまして、日本の資源管理についての取り組みについて説明をしているところでございます。

 本年九月のワシントン条約締約国会議に向けまして、御指摘のとおり、四月二十七日に附属書掲載提案の締め切りを迎えるわけでございますが、ウナギ資源の持続可能な利用に支障を及ぼさないためにもニホンウナギの附属書掲載提案がなされないよう、先ほど御説明したような我が国の取り組みなどにつきまして、引き続き関係国・地域に対して理解を求めていくとともに、その他の国々についても、各国の動きを注視してまいりたいというふうに思っております。

中根(康)分科員 ワシントン条約会議に向けては、我が国を含めた関係国がニホンウナギの資源保護に積極的に取り組んでいるという姿勢をアピールしなければならないわけなんですけれども、そうすることによって附属書掲載提案の回避ということにもつながるわけなんです。

 東アジアでの国際的な資源保護の取り組みが重要だということの中で、日本、中国、韓国、台湾といった国や地域によるウナギの国際的資源保護に関する枠組み作成交渉が、中国が難色を示していることによって会議が中断していると伺っておるところでありまして、このことによって、東アジアが一体となってニホンウナギの資源保護に取り組んでいるという姿勢を示すことができないということになってしまうと、これは大変なことでございます。

 中国が交渉に参加してくれないというようなことなどについて、水産庁としてはどのような取り組みをされておられるか、伺いたいと思います。

長谷政府参考人 ウナギの国際的資源管理に関する枠組み作成交渉につきましては、御指摘のとおり、昨年六月の会議の後、開かれておりません。会議の後、各国が国内における調整等を行っている状況ということでございます。

 引き続き、できるだけ速やかに会議が開催されるよう調整を図ってまいりたいというふうに思っております。

中根(康)分科員 ぜひ水産庁としての力強いお取り組みを心から期待させていただくところでございます。

 ウナギに関しては、質問はここまでとさせていただきます。

 引き続き、EMについてお尋ねをしていきたいと思います。

 森林、川、海と健全な水環境を守っていくということは大変重要なことは言うまでもないことで、水がきれいでさまざまな生き物が生息し、人々が親しめる水環境をつくるということ、このために一つの有効な手段、方法がEM菌を活用することであると私は考えさせていただいているところでございます。

 改めて、EM菌とは何かということでいえば、物の本によれば、こう書いてあるわけですね。有用微生物群、エフェクティブマイクロオーガニズムズ、主体は光合成細菌、乳酸菌、酵母菌などで、パン、みそ、チーズ、ヨーグルト、ワインなど発酵食品の加工に昔から使われてきた、自然界のどこにでもいる微生物群のことである。つまりは、決して特殊なものではない、自然界の力をかりて、生かして環境の浄化に資する、こういうものがEMだということであります。

 このEM活用のさまざまな成功事例が全国の至るところにあるわけであります。例えば、私の地元の愛知県では、かつて最も汚れた湾と言われていた三河湾が、その最大の汚染源であるとも言われた矢作川の浄化によってきれいになった。矢作川自体が大変汚染されていたのですが、今では大量の天然アユが遡上するようなきれいな川になった。これは矢作川流域の住民の大きな努力の結果だというふうに思うわけでありますが、その中には、例えば、流域自治体の一つである、今は豊田市になりますが、その当時は足助町というところでは、住民の三分の一がEMを使い、EMによる水質浄化に取り組んだ。

 EMを使うということは、つまりは、川にEMだんごやEM液を投入する、EMを使った洗濯あるいは食器洗い、風呂やトイレの掃除にEMを使う、学校でのプールの清掃にEMを使う、生ごみの堆肥化にEMを使う、EMによる家庭菜園や自然農法に取り組む、こういうようなことでありますけれども、これらのことにより、川の大腸菌が減り、BODが減少し、川や海がきれいになって、結果的に、三河湾では、絶滅が心配されていたスナメリが今では群れをなして泳ぐようになる、アサリやトリガイの漁獲量がふえた、里山では蛍が乱舞するようになったということであります。

 これらのことを、行政が補助金を出したり、子供会が取り組んだり、ライオンズやロータリーが取り組んだり、主婦の方々が取り組んだり、あるいはゴルフ場なんかでもEMを使ったりと、いろいろな取り組みが行われているわけであります。

 こういった同じようなことは、例えば、この東京でも日本橋川、あるいは十和田湖、あるいは長野県の諏訪湖なんかでは長野の阿部知事が大変力を入れているというようなことであります。

 二〇一〇年七月十九日の海の日には、全国一斉EMだんご・EM活性液投入イベントがCOP10のパートナーシップ事業として行われたということでもございます。主催は、EMを活用した環境浄化を推進している全国組織のNPO法人地球環境・共生ネットワークで、全国三十七都道府県、三百六十二団体、一万三千二百五十八人の市民が環境浄化と生物多様性を願って参加し、四十八万五千六百六十個のEMだんごと三十万百六十六リットルのEM活性液を各地の海や河川や湖や沼に投入した。

 こういうさまざまな取り組みが行われているというのは、EMは大変ローコストで、市民が自分たちの力で継続的に環境浄化活動を行っていくことができる、活動の輪が広がりやすい、こういうような特徴があるからであるということも言われているところでございます。

 こういうようなEMを使った環境浄化の取り組みがさまざまな地域である意味積極的に行われているというようなことを、環境省としてはどのように把握しておられるのか。あるいは、こうしたEMを使った環境浄化活動を環境省としてどのように評価をしておられるのか。

 残念ながら、実は、EM関係でいうと農水省とか環境省とかということになるんですが、昨年も農水省にこのEMについてはお尋ねをしたということもありますけれども、まだまだ正当な評価がなされていないし、ある意味、その評価をするための科学的な検証なども行われていないというようなこともあるわけでありますけれども、環境省として、EMを使った環境浄化活動についてどのように捉えておられるか、お考えをお聞かせいただければと思います。

丸川国務大臣 一般論として、微生物の働きを利用して汚染物質を分解することにより、土壌や地下水等の環境汚染の浄化を図る技術があるということは承知をしております。

 御指摘のEMが環境保全に役に立つかどうかということについては、科学的な検証によって判断されるべきものであると考えております。

中根(康)分科員 例えば、宮崎県で口蹄疫が流行したときにEMが役立ったとか、あるいは福島第一原発事故の除染活動にEMが役に立ったとか、あるいは海外でも、タイのあの大洪水の際の衛生状態の改善においてEMが役立ったとか、こういう事例も伺っているわけでありますけれども、ここまでいろいろな事例が出てくると、環境省としても、きちんと科学的な検証をして正当な裏づけのもとに、有用であるならば、それを積極的に活用していくというような姿勢も必要になるかもしれないというふうに思っておりますけれども、改めてこの点について大臣にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 これまでのところ、環境省としては、EMが水質浄化に効果があるとの科学的な検証データを承知しておりません。

 また、今、東日本大震災後の土壌の除染について御指摘をいただきましたけれども、平成二十六年度に、四種類の科学文献情報データベースに収録されている文献を対象に、除去土壌及び焼却灰の処理に関する技術について検索を行いましたが、EMの除染効果を示す文献は確認できませんでした。この調査を含めて、これまでのところ、環境省としては、EMが放射性物質に汚染された土壌の除染に効果があるとの科学的な検証データを承知しておりません。

 なお、環境省としては、有識者により環境改善効果があると判断された技術について、第三者による効果の実証試験を行っております。

中根(康)分科員 その第三者による実験事業ですか、今、大臣が最後におっしゃられたところについて、ここにEMの活用ということが含まれているということで理解していいのかどうかということを最後に確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 この事業で対象としておりますのが、既に実用化され有用と思われる先進的環境技術について、開発者でも利用者でもない、信頼できる第三者機関が実証を行うという事業でございますので、その対象ということでございますれば、環境保全に資する事業としてこの実証試験の対象となります。

中根(康)分科員 実証事業の対象となると御答弁いただいたわけであります。

 多くの、子供会からロータリーからライオンズから、あるいは行政も含めて、全国各地でいろいろな取り組みがなされているわけでありまして、それが全く意味のないものであるというわけではないはずでありますので、ぜひ、これからも研究を進めて、有効なものについては環境省としても御支援をいただければという思いをお伝え申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて中根康浩君の質疑は終了いたしました。

 次に、水戸将史君。

水戸分科員 民主・維新・無所属クラブの水戸将史でございます。

 大変お疲れのところ恐縮でありますけれども、きょうはアスベスト対策一本に絞って、環境大臣初め当局の皆さんの御見識を問いただしていきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 お手元にも一枚ぺらの紙をお配りしていますけれども、それは時系列に環境省が作成しているものをただ単にコピーしたものでありますが、アスベスト対策に関する大きなものとして、救済法というのが平成十八年の二月に制定されて、そして二度の改正を経て現在に至っているわけですね。

 特に、直近というか、五年ほど前の平成二十三年八月に改正されて以来、いろいろな意味で、現場目線でこの救済というのがかなり功を奏してきているのかなということも思うわけでありますが、大臣は、この五年間の過去の経過を振り返った場合、どのような実績、またはそれを評価されているのか、簡潔にお述べいただきたいと思います。

丸川国務大臣 石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済制度については、平成十八年の制度の実施以降、適時適切に制度の見直しを行いながら着実に運用してきております。

 その結果、平成二十七年三月末の時点で、中皮腫や肺がんなどの指定疾病であると認定を受けた方が一万件を超えたところであります。

 今後とも、救済制度を着実に運用して、石綿による健康被害の救済に全力を尽くしてまいります。

水戸分科員 改善というか、現場目線でよくなってきている部分もあるんですが、しかし、いかんせん、この救済法というのは、労災の補償とどうしても比較されるということがあるんですね。

 やはり労災補償に比べていろいろな面で見劣りがするんじゃないかということが指摘をされているんです。例えば指定疾病が限られているということもあります。また、アスベストのそうした健康被害を受けた場合にそれが認定されて補償される額が、通院費が支給されていないとか、また、療養手当、葬祭料等々、弔慰金も含めてでありますが、その支給額が非常に少ない。また、この救済給付では、遺族年金は受けることができない。また、就学援護費等は支給されない。

 いずれにいたしましても、同じ原因でこういう被害に遭ったにもかかわらず、労災は非常に手厚い。しかし、それに見比べて、このような救済法の補償は非常に見劣りがするんではないかという御指摘をいただいているわけでありますけれども、こうした現状について大臣はどう受けとめていらっしゃいますか。

北島政府参考人 石綿健康救済制度の救済給付でございますけれども、被害者が指定疾病にかかった旨の認定を受けた場合には、医療費の自己負担分、療養手当、葬祭料、救済給付調整金、そして、遺族が支給を受ける権利の認定を受けた場合には、特別遺族弔慰金、特別葬祭料を独立行政法人環境再生保全機構から給付をしているところでございます。

 労災補償制度は、労働基準法上の事業主の災害補償責任を保険の方式で担保することにより、療養・休業遺族補償給付等を行う制度ですが、一方で、石綿健康被害救済制度は、原因と被害の因果関係を明らかにすることが困難という石綿による健康被害の特殊性に鑑み、民事上の賠償責任から離れて社会全体の費用負担により広く救済する仕組みであり、労災補償制度の給付内容との単純な比較にはなじまないものと考えているところでございます。

水戸分科員 いろいろな、やらない理屈はよくわかります。

 しかし、そうはいうものの、いわゆるアスベストというものを吸い込んだために健康被害に遭ったという、これは働いている場合もですが、周辺の方々も、当然、直接的か間接的か別といたしましても、原因は明らかでありますから、余り差があり過ぎると、せっかく国民のためにつくっていただいたものが、非常に逆な意味であだになってしまうんじゃないか。

 ですから、僕は、こうした救済制度を、認定もそうでありますけれども、やはりこの救済の額も、水準ももっともっと引き上げていくことに尽力をしていただきたいということを強く要望したいと思っているんです。

 また別な面から、例えば、認定率の話も先ほど若干ありましたけれども、アスベストによる肺がんの患者ですね、労災認定では、二〇〇六年から二〇一四年度の平均で八二%ぐらい。高いんですね。しかし、救済法を適用した場合の認定は、いわゆる新法施行後に未申請で亡くなった場合は五四%、生存中に申請された場合は五三・三%、労災時効救済の場合は五三・一%、新法施行前に亡くなっている場合は二二%となっておりまして、やはり労災認定と比べて明らかに認定率が低いんですね。

 先ほど言ったように、せっかくこういうもので救済をしていこうという、非常にありがたい、環境省が主導してやっていただいているものでありますから、この認定、判定基準も大幅に見直していく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

北島政府参考人 肺がんにつきましては、喫煙を初めとしてさまざまな原因がございまして、石綿を吸引したことによるものであるか否かについての判定は必ずしも容易ではないことから、国際的なコンセンサスに基づきまして、肺がんの発症リスクを二倍以上に高める量の石綿暴露があったとみなされる場合に石綿によるものであると判定することとしております。

 こうした中で、議員も御指摘のとおり、判定を適切に行っていくということは大変重要なことでございますので、平成二十五年には肺がん等の判定基準を見直し、広範囲胸膜プラーク等も追加してまいったところでございます。

 今後とも、さらなる知見の収集に努めまして、適切にこの制度を運営してまいりたいと考えております。

水戸分科員 強く要望したいんですね。

 もちろん、環境省は、これを救済するためにつくったんですから、救済しないような、いわゆる認定のハードルを高くするということは本末転倒になりますから、そういうおつもりはないとは思いますけれども、やみくもに何でもかんでも救済しろという話じゃありませんけれども、労災という認定基準がある、そういうことのレベルもありますから、そういうものにのっとった形でその枠は広げていっていただくことを強く私は要望したいと思っているんです。よかれと思ってやっていらっしゃることなので、ぜひ促進する方で頑張ってと環境大臣に強く要望したいと思っています。

 このお配りした資料の下の図なんですけれども、こういう形で救済というのが行われる。環境大臣は真ん中にありますよね、このチャート図を見ると。これを見ていただければわかるんですけれども、いわゆる救済法を適用すべきか否かということにつきましては、やはりこれは一定の手続が必要となってまいります。

 この手続なんですけれども、現行におきましては、ある程度手続が煩雑である、非常に迅速性を欠いている、こうした御批判もあるんですね。救済すべきかどうかということを検討している最中に実際に患者さんが亡くなってしまうという事例もあるものですから。現行では、この図のとおり、いわゆる認定の申請事案が出た場合は、この右側の中央環境審議会に、まず環境大臣から意見を聴取して、そして、この左側ですね、環境再生保全機構内で迅速に審査が進むようにやっているような感じなんですけれども、結局、この行ったり来たりするのが非常に手間取って、今言ったように、迅速性を欠く、迅速な救済ができないということにつながっていくんじゃないか。

 もっともっと、手続を簡略化、また認定を迅速化する必要があるんじゃないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

北島政府参考人 申請から認定不認定の決定までの手続につきましては、できるだけ迅速かつ適切に実施するよう努めているところでございますが、平均処理日数は、療養中の方からの申請の場合、直近の平成二十六年度は百十六日でございます。平成十八年度の百七十三日と比べて、大幅に短縮を図ってきたところでございます。

 なお、日数を要しているケースでございますけれども、主として、申請者からの提出書類が十分でない場合でございまして、石綿健康被害救済制度はもともと申請主義をとっているものの、被害者を広く救済するという観点から、審査側から申請者に追加資料の提出を求めたり、審査側で追加の検査を実施するために日数を要しているところでございます。

 引き続き、環境再生保全機構と協力いたしまして、平均処理日数の短縮に努めてまいる所存でございます。

水戸分科員 今までの努力も多としたいと思うんです。しかし、もっともっと工夫をすれば、努力をすれば、さらに一層認定の迅速化を図ることができると思いますし、今いみじくもおっしゃっていただいたとおり、環境再生保全機構内で審査をするということで、一々中央環境審議会の医学判定というところに委ねる体制を改めて、もっともっと簡略化というか、迅速化を図っていただくということを強く私は要望していきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 それで、アスベスト、国民に対して不安感を増幅させる必要はありませんけれども、しかし、今後、何十年にまたがってこれが社会問題化することは、もう目に見えているわけです。潜伏期間が長いという話でありますから、これからどんどんどんどんと、そういうがんを患ってしまうような人が出てくる危険性がある、それを救済しなきゃいけない、そういう環境省のお立場でありますよね。ですから、ある程度これは国民の方々に、余り不安感を増幅させない程度で周知をしていく必要があると思うんです。

 今年度は、この制度発足から丸十年という十年目の節目を迎えようとしている中において、昨今、環境再生保全機構において、テレビコマーシャル等によって集中的に広報をしたということは私も知っています。

 ですから、こういう問題を風化させないためにも、継続的な形でのそうした国民に対する呼びかけ、周知徹底を図る必要があるんですけれども、今後、具体的にこういうことを継続的にやっていくおつもりなのかどうかということについてお聞かせいただきたいと思います。大臣で大丈夫です。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

丸川国務大臣 委員御指摘のとおり、発症までに長い時間がかかるということでございまして、長期的に国民の皆様にも広報をしていくことは重要であると考えております。

 石綿健康被害救済制度については、環境省において、医療機関向けの講習会、また講習会事業等を通じて、医療機関への知識の普及や、治療等に関する情報の提供に努めているところでございます。

 また、環境再生保全機構においては、医療機関などさまざまな場所でポスターやチラシを掲示また配布しておりますほか、新聞、雑誌、交通広告、ラジオやインターネット等の媒体を通じて、国民に対してその周知に努めてきたところでございます。

 平成二十七年度は、制度の発足から十年を迎える節目の年であることから、委員御指摘いただきましたとおり、従来の広報媒体に加えて、一月に、テレビCM等を活用した広報を集中的に実施させていただきました。

 この石綿健康被害救済法によって救済されるべき方が適切に申請等を行っていただき、また迅速に救済されるように、引き続き制度の周知に努めてまいります。

水戸分科員 先ほど若干触れましたけれども、法改正されたのが五年ほど前ですよね。平成二十三年八月三十日、これは施行されておりますが、附則として、この施行後五年以内に必要な見直しをするんだということをうたっているんです。すなわち、あれから数えれば、ことしの八月の末までに必要な見直しをしなきゃいけないという話になります。

 それを受けて、本年一月に入りまして、小委員会を設置するということも決定されていますけれども、この小委員会ではどのようなことを具体的に話し合って、改正に向けてこれは進められるおつもりなのか、具体的にお答えください。

丸川国務大臣 本年八月に、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部改正が施行後五年を迎えることを踏まえて、一月十四日に開催した中央環境審議会の環境保健部会において設置が承認されました石綿健康被害救済小委員会で、石綿健康被害救済制度の施行状況について評価、検討を行うこととしております。

 具体的な議論のテーマについては、今後、委員等から御意見をいただきながら、幅広く検討してまいります。

 なお、前回、平成二十一年十一月から二十三年の六月に行った本制度の評価、検討の際には、指定疾病に関する考え方、制度の基本的な考え方、救済給付の考え方、健康管理、制度の運用強化等について御議論をいただいております。

水戸分科員 具体的に、計画的に進めていただきたいと思うんです。

 ただ一点、これは私も強く要望したいんですけれども、この委員会を設置して順次やっていくということでありますが、この委員会の構成メンバーなんですね、その中に、前回もそうでありましたけれども、被害者という立場の当事者が加わっていない。そういう形で、会全体、委員会の全体に深刻さや真相というのがいま一つ伝わっていかないんじゃないかということを懸念しております。

 ですから、やはり当事者の議論の場への参画というのは、もうこれは世界の趨勢です。

 例えば、これにありますとおり、社会保障審議会の障害者部会とか、ハンセン病問題対策協議会とか、がん対策推進協議会、いろいろな協議会が設置されていますが、そういうところにも、当事者であるそういう者たちが加わって、またそれを応援する者たちが加わって、そして、議論の場を幅広くやっているということがこれから求められていくのではないか。それを法に反映していくということが救済の実態を把握した上での実効性の伴うような救済になるのではないかと私は思っているんです。

 ぜひ大臣、こういう救済をするということを前向きに進めるならば、当事者もこういう委員会に加わらせていくことが私は妥当だと思うんですけれども、大臣の御見解をよろしくお願いします。

丸川国務大臣 先日、環境保健部会において設置が承認されたこの小委員会については、現在、委員の人選を行っているところでございます。人選については、広く御意見を伺って議論を進めてまいりたいと存じます。

水戸分科員 では、もう一回聞きますが、私が言ったように、世界の趨勢として、当事者の方々を加えた方が実態とか真相というのははっきりわかるし、各委員会の委員の中の意識の共有化も図ることができるので、ヒアリングで呼ぶとかそういうのではなくて、やはり実際にメンバーとして加えていった方がより実効性の高いような救済法ができるんじゃないかということなんですけれども、もう一度大臣、これに関してよろしくお願いしたいと思います。

丸川国務大臣 重要な視点という思いを持ちながら、幅広く検討させていただいて、今後人選を進めてまいりたいと思います。

水戸分科員 そういうことも世界の趨勢というのがありますものですから、ぜひ前向きにこれを進めていっていただきたいという形でよろしくお願いしたいと思っております。

 それでは、若干まだ時間がありますものですから、救済法以外に、今度は大気汚染防止法について、これも環境省マターの話でありますから、この点につきましても何点かお尋ねしていきたいと思っております。

 この大気汚染防止法、これも改正されて、平成二十六年六月から新しい形で施行されておりますよね。改正につきましては、詳しい改正の内容は省きますけれども、かなり実践的な形の改正になっているのかなという気がするわけでもあります。しかし、さはさりながら、やはり解体現場、特に建物を解体する現場においては、まだまだ飛散対策に不十分さが見られるのではないかということも危惧するものであります。

 この間、二十六年ですから、まだまだ二年もたっておりませんけれども、改正されてから今に至る間、解体現場等々を含めて、この新法を、この法改正をどのような形で周知徹底を図ってきたのか、それが十分と言えるかどうかについてはどう検証されるおつもりですか。

丸川国務大臣 大変重要な御指摘と受けとめております。

 アスベストの飛散防止対策強化を図るため、平成二十五年に大気汚染防止法が改正されまして、平成二十六年の六月一日からこれが施行されております。

 解体等工事の受注者に対する事前調査の義務づけ、また、特定粉じん排出等作業の実施の届け出義務者を受注者から発注者に変更する等の措置を講じたもので、現状、年間一万件が届け出をされているというふうに理解をしております。

 環境省では、改正大気汚染防止法の改正事項を周知するために、解体等工事の発注者、元請業者、またアスベスト関連業者等を対象に、全国においてこれまで計十四回の説明会を実施しております。

 また、地方公共団体の職員の皆様の技術力の一層の向上を図るために、地方公共団体の担当職員を対象にした技術講習会を平成二十六年度から開催しております。

 引き続き、アスベストの飛散防止対策の周知徹底に努めてまいります。

水戸分科員 本当に、仏をつくって魂入れずということにならないように、いわゆる法の改正の趣旨に照らして、しっかりとした周知徹底を図っていただかなければ、またそうした被害が広がってしまうという形でありますから、ぜひそれを徹底化していくことを心がけていっていただきたいと思っております。

 もちろん、その周知徹底を図った上で、法令を無視したような解体が行われないように監視体制も強化する必要があるかと思います。

 例えば、私は神奈川県ですけれども、神奈川県の川崎市は、この間でかなり自治体として取り組みを強化していまして、例えば、レベル3と言われているものに関しましても、除去面積五百平方メートル以上の場合には、施工方法などを記載した作業実施の届け出を提出させるとともに、レベル1からレベル3について、全件立入調査を行うこととしている等、より厳しい対応を行っているんですね。

 また、諸外国に目を向ければ、イギリスなどでは、監視Gメン等々、そういうものがありまして、結局、違法な解体を防ぐためには、自治体が事前通告なしの抜き打ち検査をすることが必要であるというふうにも言われているんです。

 実際、今までの中においても、なかなか周知徹底を図るということが果たせない部分も、確かに限界はあると思うんです、限界はあると思いますけれども、もちろん自治体にも検査権限はありますが、それをやるという権限を持っているけれども、それは義務化はされていませんから、自治体によっても対応はまちまちになってしまう。環境省が笛吹けどなかなか自治体は踊ってくれないということも多々ある、そういうことが散見されるんですね。

 もちろん、自治体の方の数にも、また能力にも限界がありますから、この監視体制強化のために、いろいろな形で、環境省、国が各自治体に対してさらに一層の支援というものを、また指導というものをしていく必要があると思っているんですけれども、この必要性については、どのような御認識でしょうか。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

鬼木大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 私も県議会におりましたものですから、地方自治の現場に思いをいたす委員のお気持ちはよくわかるつもりです。

 平成二十五年の大気汚染防止法の改正により、都道府県知事等が行う立入検査の対象範囲が拡大いたしました。そうしたことから、地方自治体が効率的に立入検査を実施できるよう、立入検査マニュアル作成の手引を作成し、周知をいたしております。

 また、平成二十六年度から開催しております技術講習会において、この手引の内容について説明を行っております。

 引き続き、実務を担当する地方自治体の職員の能力向上を図り、適切に制度を運用していただけるよう、支援していきたいと考えております。

水戸分科員 私も地方議員を経験した同じ立場として、もっと一生懸命頑張っていただけることを期待して、また応援をさせていただけたらと思っています。

 そういう中で、先ほど若干触れた技術的な話になりますけれども、レベル3というものです。これは、現状におきましては、アスベストの飛散性が非常に低いと言われていますので、大気汚染防止法上におきましては、特定建築材料とはなっていないというようなんです。

 特定建築材料となっていないということは、もちろん、届け出も必要とされていないというふうになるわけでございます。しかし、そういう中においても、このレベル3は安全じゃないかと言われておりますが、しかし、一たび破砕したりする場合、また、例えば災害で、あのような、建物が倒壊するとかそういう形で破砕してしまうと、飛び散ってしまうという危険性は絶対に出てくるんですね。だから、レベル3というものに関しましても、やはり届け出制を導入したり、飛散や暴露防止対策を強化する必要があると思うんです。

 このレベル3に対する御認識はどうなんでしょうか。

鬼木大臣政務官 委員の御指摘のとおり、現状では、アスベストを含んだ成形板などのいわゆるレベル3建材については、アスベストを吹きつけた建築材料などに比べて、アスベストの飛散が少ないと考えられるため、現在は、大気汚染防止法に基づく届け出義務の対象とはしておりません。

 このレベル3建材については、手作業による取り外しや湿潤化等により、アスベストの飛散を防止することが可能と考えられます。環境省が示している飛散防止対策マニュアルでも、これを推奨しているところです。

 ただし、レベル3建材の解体作業時のアスベスト飛散状況については調査事例が限られているため、現在、情報収集を行うとともに、実態調査を実施しているところでございます。

 これらの調査結果などを踏まえて、レベル3建材の届け出の規制の必要性について検討していきたいと考えております。

水戸分科員 非常に幅広い範囲にまたがっていますので、時間がかかると思いますけれども、着実に、こういうものに対しての一定の、ある意味、規制の対象にしていっていただきたい。これがおくれてしまうと、やはり健康被害ということになってしまいますので、ぜひその点を十二分に御留意していただいて、前向きに進めていただくことを強く要望したいと思っております。

 そして、これは環境省のみならず、国土交通省も当然、こういう建材につきましては一義的に扱っている部署でありますものですから、いろいろな形で調査もしていますよね。

 今、実際、国土交通省が把握をしているのは、大体、大型の建物の二十四万棟ぐらいなんですね。しかし、それ以外も含めて考えて、民間の建物がその約十倍以上ありまして、二百八十万棟以上あると言われているんです。こういうものに対しての全体的な全国的な把握というものは、時間を若干要しますけれども、していく必要があるんじゃないかと思います。

 こういうような健康被害を防ぐためにも、アスベストを使用した建物の実態把握、これを全国的に広げていく必要がある。そのために、このリストですよね、リストアップをする。リストアップをするための、いわゆるアスベストマップというものですか、どういうところにどういう建物があって、それが、レベル1からレベル3の建材を使っているか、使っていないかという分布を、やはり正確に環境省は把握をしていく必要があると思うんです。

 この必要性について、どうですか。

丸川国務大臣 自治体におけるアスベスト調査の対象建築物の抽出に使用するために、建築物の築年、構造、用途等を記録する台帳の整備を国土交通省が進めていると承知をしております。この台帳の整備が、御指摘のマップ作成の趣旨と重なるものと考えております。

 また、建設リサイクル法において、建築物の解体現場に関する情報を地方公共団体の建築部局に届け出ることとなっておりますので、環境省では、地方公共団体の環境部局において、この情報を共有するなど情報共有を促進するよう地方公共団体に対して求めております。

 引き続き、アスベスト含有建材が使用されている建築物の情報を的確に把握できるよう取り組んでまいります。

水戸分科員 最後の質問になってしまいますけれども、私も参議院の予算委員会において、これはもう五年以上前、平成二十二年の十一月ですから五年もたっているんですが、そのときも同じ目線でお話をしたんです。

 というのは何かというと、一般大気中のアスベストの濃度基準なんですね。非常に日本は、ヨーロッパ諸国に比べて、かなりゆるゆるじゃないかということを危惧しているんです。そのときもそういう指摘をさせていただきました。

 今、環境関係の基準として、いわゆる工場の敷地境界の基準値一リットル当たり十本、こういう、いろいろなはかり方があるので、私も技術的なことはよく存じませんけれども、一リットル当たり十本というのが一つの基準値なんですね。

 しかし、オランダなんて行くと、この許容範囲を一リットル当たり〇・〇〇三本と、日本に比べて相当低い数値を採用しているわけです。そこまで危険視をしているわけでありますものですから、やはり早急に、もう五年前も私も指摘をしておりますもので、少しは改善をしているのかなという気もしますけれども、この濃度基準、こういうものをしっかりしたものとしてやって、そして、高いか少ないかの数値は別としても、そういうものの設定の必要性は十二分にあるということを指摘したんです。

 あれから五年以上たっていますが、これに関しての御認識はどうでしょうか。最後、大臣の御答弁を求めたいと思います。

丸川国務大臣 平成二十五年二月に、中央環境審議会において、「石綿の飛散防止対策の更なる強化について」を答申いただきました。この答申では、解体現場などにおけるアスベストの排出は、アスベストの除去等作業を行う一定期間に限られるものが大部分であることなどから、大気中におけるアスベスト濃度の基準を設定するには、さらに検討が必要とされております。

 このため、一般環境の基準値の設定については、引き続き、必要な科学的、技術的知見の集積等を行い、検討をしてまいります。

 なお、環境省としては、従来から、アスベストを含む建築物の解体について、大気汚染防止法に基づく作業基準の徹底を図ること等で、アスベストによる大気汚染の防止に努めているところです。

水戸分科員 積極的、前向きにやっていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

鈴木主査 これにて水戸将史君の質疑は終了いたしました。

 次に、高井崇志君。

高井分科員 維新の党の高井崇志と申します。

 丸川大臣におかれては、大変長時間、きょうは本当に、朝から夜遅くまで、お疲れさまでございます。

 日ごろは、我々野党、ちょっと厳しい、追及型の質問が多いわけでありますけれども、きょうは提案型の質問で、特に、きょうのテーマといたします動物福祉、非常に重要な問題で、多くの国民の皆様の関心事なんですけれども、政治の世界でまだまだ広がりが少なくて、環境省も非常に多岐にわたった仕事をされておられますので、丸川大臣にも強く認識していただきたいなということで、きょうはいろいろと提案型で御質問させていただきます。

 ちょっと余談ですけれども、私、実は丸川大臣とは大学の同級生で、同じ経済学部、一九九三年に卒業して、大臣はもう大学時代から有名人で、私は知っていたんですけれども、大臣は私のことは知らないと思いますが、そんな御縁もありますので、ぜひ、きょうのテーマの動物福祉、私は環境省の幅広い所掌の中でも非常に重要だと思っていますので、少しお話を聞いていただきたいと思います。

 まず、先日、私、動物福祉について考える勉強会というのを国会議員の先生方に案内をして、議員連盟は、犬猫殺処分ゼロ議員連盟という、尾辻先生が会長をされている議員連盟があって、もちろん私も入っているんですけれども、私も役員とかではないものですから。ただ、この動物福祉を一生懸命やっている市民グループの方が、ぜひ国会議員の皆さんにもこの話を聞いてもらいたいということで、山崎恵子先生という、この世界の第一人者の先生に来ていただいて、全議員に御案内を、今週の火曜日だったんですけれども、いたしました。

 正直、私のような個人が呼びかけて、どのくらい来てくださるか不安だったんですけれども、二十名の国会議員の皆さんが、御本人が出席の返事を出していただいて、ちょっと全員来れなかったかもしれませんけれども、特に御党、自民党の先生もたくさん来ていただいて、あと、尾辻会長も来ていただいて、非常に有意義な勉強会で、私、日増しにこの動物愛護の問題は国会議員の中でも関心が高まって、認識が高まっていると思います。

 実は、私、去年も、この環境委員会でも前任の望月大臣にも質問しましたし、あと、内閣委員会や総務委員会で取り上げて、一人でも多くの国会議員の皆さんにこの問題の重要さ、深刻さを知ってもらおうと思って、出張していって質問しているんです。

 実は、そのとき必ず申し上げているのが、犬や猫の殺処分というのを動物愛護センターで行っています。私も地元が岡山なんですが、岡山の動物愛護センターにその現場を見に行って、非常に親切な所長さんに丁寧に説明していただいて、犬、猫は、預かっている愛護センターで一定期間が過ぎると殺処分する。そのときの殺処分というのが、おりにふだんは入れられているわけですけれども、その犬、猫をベルトコンベヤーに移して、ベルトコンベヤーでぐうっと流して、殺処分機という大きなコンクリートの箱の中に入れて、そしてガスで窒息死させるというやり方なんです。

 ところが、それだけでも残酷ですけれども、実は、動物というのはなかなか簡単に死に切れない、窒息し切らないので、実はまだ生きている犬、猫がいるかもしれないけれども、その後火葬してしまうという現実が、実は、この話をすると、岡山の所長は、いや、岡山はもうそんなことはしていませんから言わないでくださいと言われる。岡山はしっかり、今は一匹一匹生死を確かめて火葬をしているそうですが、昔はこういうことが常態的に行われていたという現実があって、これは幾ら何でも残酷じゃないかというところから、その話を私はフェイスブックでアップしました。

 そうしたところ、私は、フェイスブック、当時は二千数百人の友達だったんですけれども、何とシェアだけで九百という、いいねじゃなくてですよ、いいねでも私は最高でも三百とか四百しかもらったことがないのに、シェアだけで九百になって、そこから私は友達がどんどんふえて、今は四千人以上のフェイスブックの友達になる。やはり、それだけ多くの国民の皆様の関心事であるということのあかしではないかなと思っておりまして、この動物愛護の問題を、きょうはちょっと集中して質問したいと思います。

 まず、今申し上げた動物の殺処分についてお伺いしますが、殺処分の数というのは、実はピークは昭和四十九年でした。百二十二万頭以上が殺処分されていたんですが、現在、平成二十六年が最新の数字ですが、実はもう十万一千頭まで、ですから十二分の一に減っている。そういう意味では、さっきの殺処分も、昔はそういう機械作業的に殺してしまっていたというのが、大分まともになってきているんです。

 この間、これだけ減ったということは、やはり各自治体の担当者、動物愛護センターの職員の皆さんの努力であったり、あるいは各地に動物愛護推進員という方がいらっしゃる、あるいは民間でボランティアで活動している保護団体、こういった皆さんの絶え間ない啓蒙活動の成果であったと思います。しかし、大幅に減ったとはいえ、それでもなお十万頭以上の犬、猫が命を失っている、処分せざるを得ない、このことはやはり重く受けとめなければいけないと思っています。

 では、殺処分を減らすにはどういう方法があるか、大きく二つあると思います。

 一つは、行政に保護される動物の数を減らす、動物愛護センターに預けられる数をまず減らすということ。それからもう一つは、保護された動物が少しでも多く、またほかの家庭に行って家族として迎えられる。そういう、入りと出というんでしょうか、結局、動物愛護センターにたくさん預からなきゃいけないから殺処分せざるを得ないということですから、その二つの方法があると思います。

 保護される動物の数を減らすためには、避妊、去勢をして繁殖を制限する、これが一つ大事です。それから、飼育放棄をする方が、飼ったけれどもやはり飼うのをやめたという方が多いので、そういう正しい飼い方の啓蒙が必要だと思います。また、飼育放棄する方に高齢者の方が多いということもあるので、高齢者の方に特に、どうしても御自身が生活できなくなる、あるいは亡くなってしまったら、やはりそれは飼育できないわけですから、そのための支援というのも必要だと思います。

 また、保護された動物の新しい譲渡先を見つけるためには、動物愛護センター、保健所で、そういった引き受けてくださる方に譲渡活動を進める。あるいは、民間の保護団体の方にもっともっとマッチングをしていただく。安易にペットショップで買うんじゃなくて、そういう譲渡会というのをやっていますので、そういうことをPRしていくということが大事で、またほかにも、例えば公営住宅とか公務員住宅とか、ペット禁止というところが多いけれども、そういったところでも許可していくとか、あるいは高齢者施設で、もっともっとペットを飼うみたいなことがいろいろ考えられると思うんです。

 ここで質問ですけれども、環境大臣として、動物の殺処分の減少に向けてどのように取り組んでいくお考えか。どういった目標を掲げて、どのような施策を展開していくのか、ぜひ大臣の御見解をお伺いいたします。

丸川国務大臣 御質問ありがとうございます。

 高井委員におかれましては、動物愛護に熱心にお取り組みいただいていることに敬意を表したいと存じます。

 そして、殺処分ゼロというのは非常に重要なテーマであると認識しておりまして、ぜひとも、今後とも我々もしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 まず、犬、猫の殺処分数を減少させるためには、御指摘のとおり、自治体に引き取られる犬、猫の数を減らすこと、また、引き取られた犬、猫を新たな飼い主に譲渡していく取り組みをきちんと進めていくこと、この二つが大変重要であると認識をしております。

 平成二十五年に改正した動物愛護管理基本指針において、殺処分数については、引き取り数を削減するとともに、引き取った犬、猫の譲渡等を推進することにより殺処分数の減少を図ることということを書いておりまして、平成二十六年度に環境省では、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランというのを発表いたしましたが、ここには、普及啓発活動による飼い主や国民の意識の向上、飼い主責任の徹底や飼い主のいない犬、猫対策等による引き取り数の削減、引き取った犬、猫の所有者への返還と適切な譲渡の三本柱を掲げているところでございます。

 環境省としては、このような取り組みを引き続き自治体等と連携しつつ、不必要な殺処分をできる限りなくし、人と動物が共生する社会の実現に努めてまいります。

高井分科員 ありがとうございます。

 本当に環境大臣の決意で、この分野、そんなに予算がかかるとか、関係団体、業界の反対が強いという分野ではないと私は思います。ただ、自治体がかなり運営をしていますので、担当者と話をすると、いや、それはちょっと自治体の仕事なのでという面があるんですけれども、自治体も、確かに忙しいのでなかなか手が回らないというところもありますが、そこはぜひ環境省から自治体に対していろいろなサポートをしたり、あるいは、自治体も気づいていないということも多いと思いますから、大臣の方からメッセージを出していただくことで自治体も動いていただけるんじゃないかなと思っております。

 それでは次の、繁殖の制限。

 先ほど、どうしてもやはり、犬や猫がどんどん生まれてしまうと、結局殺さなきゃいけない犬、猫もふえるということで、我が国では、ペットを飼う場合、いわゆるペットショップで生体販売をしている購入というのが非常に多い。ただ、その生体販売について、構造的な問題があると考えています。

 これは、ペットショップでは、生後間もない子犬、子猫の方が高い値段で売られる傾向がある。それは、売れ残った場合に値段が下がって、費用もかかってしまうわけですし、それを補うために、また小さい犬や猫を販売するということが起こってしまいます。そうすると、どうしてもブリーダー、生産する方は、普通の動物の生態に適した以上の出産をさせていくという仕組みになってしまいます。

 そうすると、無理な繁殖の結果、販売し切れない数の子犬、子猫が生まれてしまって、先天的に異常を持つ子犬、子猫が生まれる確率も高くなる。経済の市場原理に従えば、適正な商品の量というのは市場の需要と供給で決まるんでしょうけれども、ペット、犬、猫、動物というのは普通の商品とは違うわけで、そういう市場原理に任せるだけではいけないと考えております。

 これも大臣、動物の繁殖について、どのようにお考えになり、規制を含めてどのような政策を打っていくのか、お考えをお聞かせください。

丸川国務大臣 動物の取扱業者において適正に繁殖が行われるということは大変重要なことであります。

 環境省では、繁殖回数を適切なものにすること、また、必要に応じて繁殖制限措置を講ずること等の基準を告示において定めています。これに基づいて、自治体において適切な監視、指導を行っていただくということでございます。

 環境省としては、動物の適切な取り扱いが徹底されるように、自治体に対する技術的助言を行うとともに、動物関係業界への告示の趣旨の説明を行う等の周知徹底の取り組みを実施しております。

 その上で、より適切に繁殖が行われますように、必要な繁殖制限のあり方について、自治体の監視、また指導の実態調査、海外の制度の調査及び専門的な知見を持つ有識者の意見を踏まえながら検討をしてまいります。

高井分科員 ありがとうございます。

 それでは、もう一つ別なテーマですけれども、地域猫というのがございます。

 実は、先ほどの殺処分、今、十万頭ですか、その大半が猫なんです。しかも、生まれたばかりの子猫が多いです。これは、いわゆる野良猫が民家の軒先や農家の納屋などに産み落とした子猫を住民が見つけて保健所に持ち込むというケースが多いんです。このような子猫を少しでも減らそうという活動が全国各地で行われて、これを地域猫活動と称しております。

 私も、実際、地元の岡山でこの地域猫活動をやっている方のを見に行ったことがありますが、全国をバスで回って、獣医さん二人とボランティアの方で、一日、朝から晩まで不妊、去勢手術をやってくださるというボランティアがあって、その全国を回っているボランティアのところに地元岡山からはまたボランティアが集まって、夜通し、実は、猫を捕獲するのは明け方、夜中がいいんですね。それで、もう徹夜で集めてきて、そして、その猫を不妊、去勢手術をする。その不妊、去勢手術をした猫が、不妊、去勢されたかどうかの目印とするために、桜猫といって、耳を桜形にちょっとカットする、こういうことをやっております。

 こういった地域猫活動は、実は、今申し上げましたとおり、多くのボランティアの方がやっておられます。

 これは殺処分の減少につながるだけじゃなくて、実は、私がこの話をすると、結構、野良猫が迷惑なんだ、いろいろ食べ散らかしたり、餌やりおばさんが上げると鳴いて迷惑なんだ、そういう問題も一方で聞いておりまして、ただ、この地域猫活動は、そういった地域の住民の皆さんの苦情の改善につながる、地域の衛生環境の改善にもつながると思って、非常に重要な活動だと思っているんです。

 こういった地域猫の活動について、環境省として何か支援をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 地域猫活動においては、現在、環境省において、アクションプランに基づく自治体と連携したモデル事業を実施して、その効果や課題の検討を行っているところです。

 環境省では、自治体がNPO等と連携した効果的な取り組み事例の紹介なども含めて、今後、地域猫活動に関するモデル事業の結果を取りまとめたガイドラインを作成し、猫の適正な管理に係る手法の情報提供などにより、地域猫活動に取り組む自治体を支援してまいります。

高井分科員 これは、動物福祉の活動の中でも非常に重要な活動だと思いますし、そういう認識で皆さんやっておられますので、ぜひ大臣にも気にかけていただいて、力を尽くしていただけたらと思います。

 きょうは狂犬病の話も聞こうと思ったんですが、だんだん時間がなくなってきて、厚労省にも来ていただいているんですが、ちょっとこれは後に回させていただいて、せっかく政務官にきょう来ていただいていますので、政務官の前任になるんですかね、牧原政務官、牧原プランと呼ばれている、正式名称は人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト、これが環境省のホームページでも公開されていますけれども、この通称牧原プランと呼ばれているこのプロジェクトについて、目標とする指標、数値などがあったら、ぜひ教えていただけたらと思います。

鬼木大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトにおいては、具体的な数値目標等は実は設けられておりませんが、殺処分数をできる限り減らし、そして、最終的にはゼロにすることを目指すということが目的として明確に位置づけられたところでございます。

 また、平成二十五年に改正した動物愛護管理基本指針において、平成三十五年度の犬、猫の引き取り数を、平成十六年度比の七五%減となる約十万頭とする目標が設定されているところでございます。

 環境省としては、このプロジェクトのアクションプランに基づく普及啓発活動や、引き取った犬、猫の適正な譲渡の推進等を着実に実施することにより、動物愛護管理基本指針に設定している犬、猫の引き取り数削減目標を可能な限り早期に達成したいと考えております。

高井分科員 ありがとうございます。

 最終的にはゼロを目指すという非常に重要なプランで、できれば年限を決めて、前任の望月大臣に、私、犬猫殺処分ゼロ議員連盟で要請に行ったときに、二〇二〇年の東京オリンピックに諸外国から多くの方がいらっしゃる。やはり動物先進国が多いんですね、ヨーロッパ、ドイツとかは非常に進んでいる。そういった国の方が来られたときに、日本は、何だ、随分おくれているなと言われないように頑張りたいというお話もありましたので、やはり二〇二〇年というのは一つの目標として進めていただきたいなというふうに思います。

 また、殺処分ゼロを宣言している自治体というのが結構あるんですね。神奈川県とか熊本市とか、そういった自治体を環境省としても応援するなり推奨するなりPRする。やはり、自治体の首長さんの意識次第で大きく変わってくるところがありますので、そういったことを応援するというのも一つだろうと思っています。

 それでは、続いて動物愛護管理法の話に移りたいと思いますが、これは二〇一三年の九月に施行されております。非常にいろいろな議論を経て、いい改正だった面もあるんですけれども、一部、やはり骨抜きになってしまった部分というのもございまして、これは、附則の第十五条でこう書いています。「施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」と。

 我々、動物福祉を一生懸命やっているメンバーは、やはり、施行後五年で、これまでもずっと五年で見直してきたという経緯もあるので、そうすると今度は二〇一八年、再来年が見直しの機会ということになるわけですけれども、これは、この見直しについては、どのようなスケジュールで、どのようなやり方で実施されようとしているのか、お伺いいたします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 動物愛護管理法の見直しにつきましては、先ほど先生から御指摘ありましたように、附則第十五条におきまして、「この法律の施行後五年」。これは、この法律は平成二十五年九月一日に施行されておりますので、「五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」というふうにされているところでございます。

 環境省といたしましては、このため、現在、販売される犬、猫のマイクロチップの装着義務化に向けた調査や動物取扱業に関します調査を行っているところであります。そうした調査を踏まえまして、その後、検討の場を設けるなど、見直しに向けて必要な取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

高井分科員 これは、法律だけ読むと、必要があると認めるときは見直すのようなことなので、見直さなくてもいいのかに読めるんですが、先ほどからずっと、るる言っているように、非常にやはり国民の関心が年々高まって、国会議員の中の関心も高まっていますから、私は見直さないという選択肢はないと思っていますので、ぜひ、二年後ですから、もうあと二年数カ月でありますので、ことしから見直しの検討を、せめて省内では開始していただいて、翌年には、前回は審議会で議論をしていますし、いろいろな形で、検討会でもいいですけれども、しっかりいろいろな方の声を聞いて必要な見直しをするということが大事だと思います。

 これはちょっと、では、大臣に今度お聞きしたいんですが、こういったさまざまなボランティア活動、先ほど言いましたように地域猫活動とかをやっている、そういったボランティアの方の思いというのが一番私は動物にとっても大事な声じゃないかなと思っているんですけれども、こういった方々の声を法改正に反映させるというお考えはありますか。

丸川国務大臣 施行後五年を目途とした改正法の施行状況についての検討に当たっては、今委員から御指摘いただきましたボランティア活動を行っている方々を初め、自治体の職員の方、また動物の販売や展示などを行っている動物取扱業者、さらには科学的知見を有する専門家など、多様な方々の意見を伺う機会を設けたいと思っております。

高井分科員 それは言葉だけではなく、実際、大臣が指示をしないとなかなか、環境省の皆さんに任せておくとそうならないかもしれませんので、ぜひ大臣のリーダーシップでやっていただきたいと思います。

 そろそろ時間がなくなってきたので少し飛ばして、八週齢規制というのがあります。これはもう説明しなくてもおわかりいただけているかと思いますけれども、これも大臣に通告させていただいておりますのでお聞きしますが、動物愛護管理法の附則第七条で、この八週齢規制、実は八週齢と法律に書いてありながら、八週間ですから五十六日なんですが、四十五日と読みかえられていて、ことしの九月でそれが今度は四十九日になるんですが、そこから先は施行後五年以内に検討というふうになっているんですね。

 私は、これもあわせて同じように検討していただかなければいけないと思いますが、この八週齢規制についてどのように検討を進めていくお考えか、お聞かせください。

丸川国務大臣 日齢規制につきましては、本則で五十六日となっているところ、附則の第七条で、施行後三年間は四十五日、その後は、別に法律で定める日までの間は四十九日というふうにされています。この「別に法律で定める日」については、親等から引き離す理想的な時期について、科学的な知見の充実、その知見の社会一般への定着の度合い等を勘案して、法施行後五年以内に検討して、その結果に基づいて速やかに定めるものとされています。

 このため、環境省では平成二十五年度から、科学的知見の充実を図るため、犬、猫の親等から引き離す時期と、かみ癖やほえ癖などの問題行動の関係について、犬、猫の飼い主の協力を得て、多数のサンプルの解析を行う調査を行っております。

 このしっかりとした科学的知見を得るということは非常に重要でございますので、十分なサンプルを集めて解析を行い、鋭意検討を進めてまいります。

高井分科員 ありがとうございます。ほとんどを大臣に答えていただきまして、ありがとうございます。

 ほかの質問も用意していたんですけれども、やはり大臣に直接お答えいただきたいなと思って、また、きょう、これは全国でインターネットでも中継されていますから、多くの動物福祉をやっている皆さんが、やはり大臣から前向きな答弁をいただけたということが非常に喜びだと思いますし、実は、よく私もこの活動をやっていると、いや、動物、動物と言うけれども人間の方が大事だろうと言われることもあるんですけれども、私は、その人たちにはこの言葉で返しています。私、マハトマ・ガンジーを尊敬していますが、マハトマ・ガンジーの言葉に、国の偉大さと道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかると。まさに、小さな命、動物の命を守れずして人間の命も守れないと私は思っています。

 この動物福祉の分野は、いろいろ法改正をしようと動物福祉を一生懸命やっている方からすると、何でこの法律はこうなっているのとか、何で改正できないのという思いが結構たくさんあります。

 私も、この世界にいると、例えば、医療の分野だったら医師会とか、農業の分野だったらJAとか、そういう業界団体があって、我々政治家がこう思っても、あるいは大臣がこうやろうと思っても、反対があったりしてなかなかうまくいかない、進まないことというのは多いわけでありますけれども、この動物愛護の分野、動物福祉の分野は、そういう業界団体とかというのはほとんどないんですね。ないんですけれども、ごく一部の方が、声の大きい方で、そういった方々が、やはりこの八週齢の規制にしても、なかなかうんと言わない。

 具体的に言えば、ペットショップとか、あるいは獣医さんなんかも一部そうだったりするんですけれども、そういう現実があって、しかし、それに比べたら、その一部の方の声とで比べたら、圧倒的国民の多数、さっき私がフェイスブックの例を挙げたのはわかりやすい事例じゃないかなと思っているんですけれども、これは本当に国民の皆さんが大きく共感をしていただける、そして、これができるのはやはり私は大臣だと思います。

 政務官の牧原政務官がやったことも、あれは物すごい評価をされて、もうみんな牧原プランはすばらしいと言って、この動物福祉の世界では称賛される。これは、ましてや大臣が取り組んだら、私は本当に、この動物福祉界で丸川大臣はもう永遠に名を残すぐらいの役割を果たし得るんだと。

 その労力の割にはそんなにコストもかからないというか、予算もそんなに大量に必要なものではありませんし、また、そういった大反対する業界団体というのもありません。一部の方を説得すればできることですから、ぜひこれは、ちょうど法改正が二年後に控えていますから、ことしがその検討を進めるチャンスだと思いますので、大臣、ぜひやっていただきたいと思います。

 最後に、ちょっと感想というか決意を、通告はありませんけれども、お願いします。

丸川国務大臣 今まさに調査を行っているところでありますので、この結果はしっかり、きちんと精査をして、そして、皆様のお声を広く伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

高井分科員 では、まだ時間、ちょっと前ですかね、ずっとお疲れだと思いますので、少し早目に終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木主査 これにて高井崇志君の質疑は終了いたしました。

 次に、金子恵美君。

金子(恵)分科員 民主党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 こうして丸川環境大臣に直接さまざまな点についてお伺いできる機会をいただいたこと、本当にありがたいことだというふうに思っております。

 御存じのとおり、私のふるさと福島県は、震災から五年がたっても、今もなお多くの方々が放射性物質との闘いをしているところであります。丸川大臣におかれましては、福島県に八回ほど足を運んでいただいたというふうに伺っておりますけれども、その中で、福島県の本当に厳しい状況というものを一部ごらんになっていただけたのではないかと思っております。

 平成二十七年度で集中復興期間は終わります。そして、平成二十八年度からは復興・創生期間となりますが、福島県の状況を見ますと、なかなか、自立ということであるとか、そして本当の意味での復興というところまでには行かない、まだまだ本当に多くの課題を抱えているところでありまして、御存じのとおり、やはり原発事故の収束まで、長い道のり、私たちは闘いを続けなくてはいけないという状況であります。

 この中で、当然のことながら、環境省には、除染、そして中間貯蔵施設の建設事業、また指定廃棄物処理などの課題にしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思っておりますが、丸川大臣、環境大臣としてどのようにこの福島の復興に取り組んでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 金子委員のふるさとであります福島には、私も就任以来、御指摘のとおり、延べ八日、お邪魔をさせていただいて、地元の皆様と顔を合わせて、また現場の状況も見せていただきました。

 震災の前から、しばしば機会があってお邪魔をさせていただいてまいりましたけれども、もう間もなく震災から五年がたちます。しっかりと自立、復興につながっていくように、これまでも取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでまいりたいと思います。

 国直轄除染はおよそ七割が完了したところでございまして、平成二十八年度末の除染の完了を目指して、さらに加速化されるように実施または支援をしてまいります。

 また、中間貯蔵施設については、平成二十八年度を中心とした中間貯蔵施設事業の方針というものを発表させていただきましたけれども、引き続き、地権者の方々への丁寧な説明を尽くしながら、用地の確保にまず全力で取り組んでまいります。

 また、福島県内の指定廃棄物については、既存の管理型処分場の活用を御地元に容認いただいたところでありまして、安全それから安心に万全を期して事業を進めてまいります。

 さらに、旧警戒区域の津波瓦れきにつきましては国直轄で処理を進めさせていただいており、帰還困難区域を除いて、今年度中に仮置き場への撤去を完了する予定でございます。

 平成二十八年度からの復興・創生期間におきましても、引き続き、福島県の皆様の思いに寄り添いながら、環境省の総力を挙げて誠心誠意取り組んでまいります。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 福島県民に寄り添いながらという言葉をおっしゃっていただいたんですけれども、さきの二月七日の御講演で、追加被曝線量の長期目標として示した一ミリシーベルト以下というこの数字を、何の科学的根拠もないと発言をされたということでありました。その発言というのは、福島県民、我々を大変深く傷つけたものでもありました。

 その後、何度か予算委員会で取り上げられまして、恐らく八名の委員の方々からも御質問がありまして、その都度、答弁をいただいておりました。その答弁についても、残念ながら二転三転していらっしゃって、最初の段階では、こういう言い回しをした記憶はない、そして十二日の朝の段階で、言ったと思うと認めて、最終的には、十二日の夕方、この発言を撤回されているということでありますけれども。

 残念ながら、その内容については、繰り返しになってしまって恐縮なんですが、反放射能派と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる、そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めたなどと発言をしていらっしゃるということです。福島県民にとっては、こういう発言というのは大変精神的な苦痛にもなっていると思います。

 私は、実は、やはり丸川大臣には大変期待もしていました。小さいお子さんをお持ちでいらっしゃって、そして、実際にふるさとについて不安に思っている若いお母さんたちの気持ちに寄り添うことができるのではないかなと。一番近い目線で私たちの福島の復興に関係したさまざまの事業に取り組んでいただけるというふうに思っていたところでありました。ですので、この発言を聞いたときに、私は、はっきり申し上げまして、裏切られたというような思いをいたしました。残念でなりません。

 ちょうど、福島県民を傷つけたと明確に言ってくださった方が予算委員会の地方公聴会においででありましたが、私もその予算委員会の福島県で行われました地方公聴会に出席をしておりました。私の目の前で、丸川珠代環境大臣、私たちは長期目標一ミリシーベルトを目指してきたのに、何の根拠もないというその発言をしたということで、この発言は県民を傷つけました、その後、撤回をするまでに一週間かかりました、女性閣僚がふえるのはいいんです、こういうものはどうなのかなと思います、私は男女共同参画社会づくりを一生懸命やっているけれども、女性を応援している私自身が本当に残念です、このような御発言をされました。本当に悔しさというのをにじませた、そういう御発言だったというふうに感じましたし、私も、山崎さんがおっしゃっている、もう本当にこのとおりだというふうに福島県民としても思いました。

 そこで、この発言、当初、覚えていないというふうにおっしゃったんですが、今、しっかりと取り組んでいく、そういうお言葉をいただきながらも、また別のときに覚えていないと言われてしまえば、私たちはまた、福島県民は傷つきます。なぜこのような御発言をなされ、そしてまた、なぜ覚えていないというふうにおっしゃったのか、御答弁いただけますでしょうか。

丸川国務大臣 まず、福島県の皆様方に大変な御心配をおかけしたことについては申しわけなく思っております。

 また、この発言については、私は正直に自分の記憶に基づいて御答弁をさせていただいたところでございまして、事実関係を確認できた暁には撤回をさせていただいたということでございます。

 今後とも、被災された皆様のお気持ちをしっかり受けとめまして、追加被曝線量、長期的には年間一ミリシーベルトという目標でございます、これを堅持いたしまして、引き続き、その達成に向けて政府一丸となって、除染、モニタリング、食品の安全管理、リスクコミュニケーション等の対策を実施し、福島を初めとする被災地の復興のために全力を尽くす覚悟でございます。

金子(恵)分科員 この発言を撤回されてからも、まだ福島県入りはされていませんか。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

丸川国務大臣 はい、まだ福島県にはお邪魔をさせていただいておりません。

金子(恵)分科員 丸川大臣は川俣町を御存じでいらっしゃいますか。

丸川国務大臣 はい、存じ上げております。

金子(恵)分科員 川俣町にはまだおいでになったことはないというふうに思うんですが、川俣町の山木屋地区の皆さんは、もちろん避難を余儀なくされた状況で、今もなお仮設住宅でお暮らしでいらっしゃるということは御存じのとおりであります。

 この川俣町の議会が全会一致で採択いたしました意見書が、内閣総理大臣安倍晋三様そして環境大臣丸川珠代様ということで提出されています。これはお読みになったことはありますか。

丸川国務大臣 はい、見せていただきました。

金子(恵)分科員 それでは、余り時間もありませんので全てを読むということはいたしませんが、タイトルは、丸川珠代環境大臣の発言に抗議し辞任を求める意見書であります。内容といたしましては、講演での発言を認め、撤回はしたけれども、それは撤回をしたからといって許されるものではない、川俣町議会は同大臣の辞任を強く求めるものであるとされています。

 残念ながら川俣町の皆さんも本当に苦しんでいて疲弊をしているという状況であるにもかかわらず、こうやって、議会が全会一致という中でこの意見書を採択せざるを得ないと言ったらいいんでしょうか、このようなことをしなくてはいけなかったという状況なんです。これについてはどのようにお感じになられますか。

丸川国務大臣 大変御心配をおかけし、また、皆様がこのようなお気持ちを持たれたことについては申しわけなく思っております。

 今後とも、福島の復興のための土台でございます除染の作業について、また中間貯蔵施設事業、あるいは既存の管理型処分場を活用した事業についてもしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

金子(恵)分科員 ここでは辞任を求めるということでありますけれども、せめて福島県にお運びになられて、そして福島県民に対して直接陳謝をするというそのお気持ちはありませんか。

丸川国務大臣 福島県にはさまざまな機会を捉えて今後ともお邪魔をし、お話をお伺いし、また私の思いをお伝えし、これからもしっかり復興に取り組んでまいりたいと存じます。

金子(恵)分科員 さまざまな機会とおっしゃるんですけれども、丸川大臣がやはりしっかりと福島県民に向けて信頼を取り戻すという姿勢をお示しにならない限りは、先ほど来おっしゃっていただいております例えば中間貯蔵施設の問題、本当にこれは大変おくれている状況でありますけれども、こういうことにも前向きに取り組むことが私はできない、理解を得ることはできないというふうに思っています。

 私は、復興は当然のことながら党派を超えて進めていかなくてはいけないというふうに思っていますし、最も重要なのは、やはり被災された皆さんとの信頼関係だというふうに思っております。今それが本当に壊されてしまっている状況の中にあって、それでもなお、先ほど御説明をいただいています、さまざまな事業はしっかりと取り組むというふうに言葉ではおっしゃっているけれども、私はそれでも、残念ながら、残念ながらその言葉をまだ信じることができない状況にあります。いかがですか。

丸川国務大臣 大変、福島の皆様には申しわけなく思っております。また、信頼回復のためにも、これからも着実に事業が進捗いたしますよう取り組んでまいりたいと存じます。

金子(恵)分科員 その言葉を私も伝えることはできますが、福島県民の一人でありますので、福島県民の皆さんに、丸川大臣が申しわけないとおっしゃっていたということは伝えることはできます。でも、私は、今福島県民が求めているのは、丸川大臣に福島県に足を運んでいただき、そして直接その言葉をおっしゃっていただきたいということだというふうに思うんです。ぜひ早い時期にそうしていただければと思います。

 それで、私は、実は丸川大臣との信頼関係をこれから持つことができるのかというところが大変厳しい状況にありますので、続けて丸川大臣に対して質問させていただくということもちゅうちょをいたしましたが、ただ、現段階で、今申し上げましたように、とにかく党派を超えて復興のために福島を守っていかなくてはいけないという思いから、続けて、除染関係、そして中間貯蔵施設について質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、森林除染方針について大臣にお伺いしたいと思います。

 昨年の十二月二十一日に環境省の環境回復検討会で示されました、森林における放射性物質対策の方向性というものがあります。これに対して、ことしに入りまして、一月四日でしょうか、福島県からですが、要望書が提出されています。内容は、一つ目には「森林全体の除染方針と県民への理解促進について」、二つ目には「森林からの放射性物質流出防止対策について」、三つ目は「森林の再生対策について」となっております。

 これを受けて、二月の五日に、環境省、農水省、復興庁の三省庁によって、福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチームが設置され、そして、福島県等の要望を踏まえた今後の方向性を議論するというふうにおっしゃっていただいています。

 PTでの議論というのは今後どのように進められるのでしょうか。特に里山という言葉、里山がキーワードであるというふうにも伺っておりますが、今後の検討、対策を進める方針はどういうものなのか、そしてまた、どのような成果を上げていくということをお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

丸川国務大臣 森林の放射性物質対策について、昨年十二月の環境回復検討会において今後の方向性について取りまとめた後、福島県や県内の市町村、関係団体の皆様から、森林また林業の再生についてさまざまな御要望をいただいているところでございます。森とともに暮らしてこられた福島の皆様の思いをしっかりと受けとめて取り組んでまいります。

 まず、住居等の近隣の森林の除染にしっかりと取り組むとともに、日常的に人が立ち入る森林の除染についても、地元の皆様の声をよく聞きながら、除染をする範囲を検討し、実施をしてまいります。

 また、二月五日に第一回の会合を開催いたしました福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチームにおきまして、福島の森林・林業の再生という大きな観点から、除染だけではなく、林野庁を初めとした関係省庁の取り組みを含めた総合的な取り組みを今検討させていただいているところでございます。

 地元の皆様の思いを踏まえまして、関係省庁と連携して、三月には皆様に、その考え方を取りまとめてお示しをしたいと考えております。

金子(恵)分科員 そうしますと、そもそもが、環境省は除染と言います、そして農水省は放射性物質対策と言いますが、今回は、このプロジェクトチームの中での役割分担というのは、環境省は除染であって、そしてまた林野庁は森林の再生、森林・林業再生、そういうことでよろしいですか。

丸川国務大臣 総合的な取り組みでありますので、林野庁が作業をより進められるように我々がやるべきことをやるという面もございますし、全体として取り組んでまいりたいと思っております。

金子(恵)分科員 ありがとうございます。

 実は、いつもいろいろと、除染と、そしてまた放射性物質対策という言い方でお伺いしますと、どうしても縦割り行政というのが明確にされてしまって、そこで線引きがあります。今回特に、今大臣がおっしゃっていただいたように、全体というふうにおっしゃっていただいたんですが、連携というものがきちんとあるというふうに私は御答弁いただいたと理解をしております。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、実は、中山間地域の住民の皆さんにとっては、先ほどちょっと申し上げました、恐らく里山というものがキーワードになってこれから森林そしてまた林業の再生のためのプロジェクトチームの中でのいろいろな議論が進められるというふうには理解はしていたんですが、その里山というものは、地域全体が里山であるというふうに住民の皆さんは理解をしているということもありまして、ここからここまでは除染で、そこからはあるいは林野庁でということにはならないだろうというふうに思っています。

 その辺のところを明確にしながら方針をやはりつくり上げていただきたいというふうに私は思いますし、森林・林業の再生、これはなりわいの部分と重なっていくわけなんですが、それと、地域の住民の皆さんの生活の安全、安心というものは、このような中山間地域では一体なんだということも、もう御存じではいらっしゃると思うんですが、認識をしながら、ぜひここでの成果をしっかりと上げていただきたいというふうに思っているのです。

 まずは、環境大臣におただししたいと思います。今の、私が申し上げた内容についていかがでしょうか。

丸川国務大臣 山へ入るといったときに、まさに林業ということをなりわいにしていらっしゃる方が入るということもあれば、自分の日常的な生活のエリアとして山を捉えて、生活の一部として入る、里山とおっしゃいましたけれども、そういうイメージだと思いますけれども、いろいろな山への入り方というのがあるというふうに、お話を伺って理解をしておりますので、こうした地元の皆様の思いあるいは生活を踏まえた形で、総合的な取り組みを示したいと考えております。

金子(恵)分科員 きょうは、伊東農林水産副大臣にもおいでいただいておりまして、同じ御質問になってしまうのですが、連携でしっかりと全体の取り組みをしていくということでありますので、プロジェクトチームのメンバーとしての御発言をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

伊東副大臣 金子委員の御質問にお答えをいたしてまいります。

 今、里山のお話が出まして、丸川大臣から御説明がありましたけれども、住居等近隣の森林、たくさんの家の付近の森林、エリアAと私どもは言っておりますけれども、また、利用者や作業者が日常的に入る森林、その地域区分でありますが、これがエリアB、そしてそれ以外のエリアCというところがあるわけでありまして、三つの除染方法ということに相なっております。

 福島県におけるモニタリング結果によりますと、森林内の空間線量率は徐々に低下してきているというふうに聞いております。

 こうした中、農林水産省におきましては、林業再生を図るため、比較的線量が低い地域において、福島県や市町村等の公的主体による間伐等の森林整備そして土砂流出抑制等の放射性物質対策を一体的に推進する取り組みや、比較的線量が高い避難指示解除準備区域等におきまして、林業再生を進めるための国直轄による実証事業を進めているところであります。

 また、福島県全域におきまして原発事故前と同様の林業を行うにはなお時間を要すると考えられますが、農水省といたしましては、風評被害の防止や、関係業界、住民の理解促進を行いながら、引き続き、林業の再生に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

金子(恵)分科員 ありがとうございました。

 ぜひ、なりわいとしての林業をしっかりと支えていただきたいという思いと、それからまた、先ほども申し上げました、そこで生活をする人たちの安全、安心の確保、しっかりと取り組んでいただきたいという思いです。

 特に、一月の四日に出された福島県からの要望書、これを受けてPTでの議論もしっかりと進められるということでありましたので、この要望書に沿った形で、来月でしょうか、その方針が出されるということでありますので、それに期待をしたいというふうに思っています。

 森林除染については、やらないと言ったり、全体はやらない、でも一部はやる。でも、それでも福島県民としては、やはり安全、安心の確保のために森林除染を全体としてしっかりと取り組んでほしい、そういう思いもあったわけですので、そこも含めて、福島県民に寄り添った形でぜひ検討をしっかり進めていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、中間貯蔵施設事業についておただしをしたいというふうに思います。

 これも、先ほどもちょっと申し上げました、丸川大臣の住民の皆さんとの信頼というものを本当にしっかりと回復しなければやはり進められない事業だというふうに私は思っておりますが、特に、平成二十七年、昨年の十一月には、地権者説明の加速化プランを取りまとめていらっしゃいます。そこで地権者の皆様への補償内容等の説明の加速化を図っていると理解をしています。

 しかし、大熊、双葉両町にまたがる建設予定地の地権者の皆様は二千三百六十五人いますが、契約までこぎつけたのは一月末現在で四十四件、全体の二%にとどまるというふうにも伺っています。また、建設が決まった施設の面積について言えば、全体計画の一%にすぎないということであります。

 このような中で、二月の十九日には、「平成二十八年度を中心とした中間貯蔵施設事業の方針について」が示されました。大熊町議会、双葉町議会の全員協議会で御説明がされたというふうに聞いております。

 しかし、一方で、これが示されたということではありますけれども、大熊、双葉両議会からさまざまな指摘があったというふうにも伺っています。その指摘の中では、例えば、今回示されたのはあくまでも方針であって、中間貯蔵施設の建設の工程表というのはまだ出されていないということで、早く出してほしい、しっかり中身について盛り込まれた、例えば数値目標も含めてですけれども、そういうものも盛り込まれた工程表を示すべきだ、そういう御指摘もあったようですが、今後どのようにこの中間貯蔵施設の建設事業を進めていくのか、お伺いしたいと思います。

丸川国務大臣 今後の中間貯蔵施設事業の全体的な見通しをお示しするということは大変重要であると認識しておりまして、現在その詳細について検討を進めているところでございます。

 パイロット輸送や用地取得の状況を踏まえつつ、関係機関とよく相談しながら、年度内にも整理をしてお示ししたいと考えておるところでございまして、さまざまな想定が考えられるものをどのような形で盛り込んでいくかという議論をしている最中でございます。

金子(恵)分科員 そこには、いつまでにどれぐらいの用地取得ができて、契約ができてということなども含めて、しっかりと数値目標を入れ込むということ、盛り込むということでよろしいですか。

丸川国務大臣 現在検討中でございますけれども、用地の取得がどのくらいになるかによりましてどのくらいの施設整備が進められるかということは当然決まってまいりますので、よく検討させていただきたいと存じます。

金子(恵)分科員 反対に、先ほど申し上げましたように、用地取得もなかなか進まない原因というのは幾つかあるというふうにも思うんですけれども、その一つとしては、やはり用地交渉にかかわる人手不足というものもあるというふうに思うんです。

 当然、用地交渉にかかわる人手不足については、来年度は、環境省も七十五名から百名体制になるというふうに伺っておりますし、それから福島県からも十名の方々が入るというふうに言っています。でも、私は、これでもまだ足りないと思うんです。そしてまた、以前は国交省からこの用地担当職員として出向された方々がいたということですが、それも六名にとどまっているということであります。

 私は、本当に政府を挙げてしっかりとこの用地交渉を前に進めるということをしていかなくてはいけない時期に来ているというふうに思いますし、それこそ工程表をつくるかつくらないかという話も申し上げましたけれども、将来的な計画ということをやはりしっかりと明らかにしていかないと、先行きが全く見えない状況でかかわる皆様方というのは、本当に住民の皆様方は大変不安でいらっしゃるというふうに思います。

 いかがでしょうか。

丸川国務大臣 用地の取得を進める上で体制を強化するということは我々もまさに取り組んでおるところでございまして、関係省庁等に改めて働きかけるとともに公募による選考を行いまして、用地業務の経験者など、地権者の皆様ときちんとコミュニケーションがとれる職員の方を確保して、来年度からは百人体制になるように、体制の拡充を図っているところでございます。

 引き続き、地権者の皆様に寄り添って、御理解をいただけるように一層丁寧な説明を尽くしてまいります。

金子(恵)分科員 その御説明というのは、これまでは井上副大臣、きょうおいでいただいておりますけれども、本当に詳細について丁寧に御説明もしていただいていたんだというふうに思います。それはありがたいことだというふうに思いますが、今後、丸川大臣が直接福島にお入りになり、そしてまたさらに住民の皆さんとのやりとりをするという可能性はありますか。

丸川国務大臣 用地取得をこれから進める上において、お地元の皆様の声を聞くということは非常に重要だと考えております。機会を捉えてまた検討させていただきたいと存じます。

金子(恵)分科員 時間が参りましたので終わりますけれども、福島県にお入りになり、そして中間貯蔵施設について丁寧な御説明をする、そういう機会があるとしたらば、あるいは、それをぜひ設けていただきたいというふうに思いますが、それであれば、さきの発言撤回ということがありましたので、ぜひ福島県民に対しまして真摯な態度をお示しいただき、そして誠心誠意尽くしていただき、そしてまた陳謝をぜひしていただきたいと思います。

 以上であります。ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて金子恵美君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、地元の選挙区が兵庫県尼崎市というところでございます。

 実は、私の地元の尼崎というところは奄美群島の出身者の方が大変に多い地域でございまして、出身者の方が多いだけではなくて、非常に地域のつながりも大事にされるということで、それぞれの出身の昔の校区であるとか、そういう大変小さな単位でも、郷友会というか、そうした地元の出身の方の集いみたいなものも非常に頻繁に開催をされております。また、奄美の伝統文化を継承していこう、こういう活動も盛んでございまして、ちょっとその関係で、きょうはまず奄美・琉球の世界自然遺産登録の関係の御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 平成二十六年に、奄美群島振興開発特別措置法というものが改正をされまして、非常に自由度の高い交付金ができた、こういうこともございます。

 私もこの交付金については強く要望させていただいてきたところでございまして、関西の奄美出身者の方も大変に、こういうものが実現をしてよかったと喜んでおられました。特に、奄美との交流人口をふやしていこう、こういうことが求められておりまして、そのためには、航空運賃が高いというのが一つの大きなハードルになるんだろう、こういうことで、航空運賃の引き下げの関連の予算、こういうものもつけさせていただくことができまして、実施もできた。これを機に奄美群島のさらなる発展を目指していきたい、このようなことを考えておる次第でございます。

 次の大きな取り組みとしては、やはり今動いております奄美・琉球の世界自然遺産の登録というものをしっかりと進めていくことだろうと思っております。

 世界自然遺産は、日本でもほかにも登録をされているところもございますけれども、やはりそうすることによって非常に注目も集まる、あるいは観光、こういう意味でも大きなプラスのインパクトがある、このように思います。

 奄美・琉球が世界自然遺産に登録されれば、日本だけではなくていろいろな世界じゅうの方が、奄美群島というのは世界自然遺産なんだ、こういうことで奄美群島に憧れて世界じゅうからやってくる、こういう時代をぜひつくりたい、このように思っております。

 そうすることでインバウンドがふえて、奄美に非常に大きな雇用が生まれるのではないか、そうすると、若い世代も仕事がないとなかなか残れないですから、若い世代も島に残って育っていく、こういういろいろないい流れができるのではないかな、それをぜひつくっていきたい、このように思っております。

 そうした意味で、大変さまざまな方が期待をされている、この世界自然遺産の登録でございます。国としても、これを全力でサポートしていただきたいと思いますし、できる限り早期に登録がなされるように、必要な予算措置もしっかりと講じていっていただきたい、このように考えますけれども、現状とこれからの取り組み、これについて環境省にお伺いをしたいというふうに思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、世界自然遺産登録に向けた取り組みといたしまして、自然環境の保護を担保するための国立公園の指定あるいは拡張、アマミノクロウサギ等の希少種の保全、マングース等の外来種対策、世界遺産推薦書や管理計画の作成など、今現在、積極的に推進しているところでございます。

 環境省としては、引き続き、必要な予算を確保しつつ、関係自治体や地元住民等、多くの方々の理解と協力を得ながら、できる限り早期の世界自然遺産登録を目指して、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

中野分科員 ありがとうございます。

 できる限り早期という大変強いお言葉もいただきましたので、しっかりとお願いをしたいというふうに思います。

 きょうは農水省も来ていただいていると思いますけれども、この奄美群島、昨年、ミカンコミバエというハエが発生をしてしまいまして、そうするとどうなるかといいますと、タンカンですとかあるいはポンカンといった、こうした奄美でつくられているかんきつ類を初め、さまざまなものが移動ができなくなる、要は出荷ができなくなる、こういう大変困った事態になっております。

 そうして、私の地元の関西の奄美出身の皆様もこれは大変に御心配をされている。あるいは、御親戚の方とか、実際に農業を経営されている方、いろいろな関係者の方がいらっしゃいますので、やはりこれは一刻も早く対応していかないといけない。こういうことで、公明党といたしましても、私は奄美ティダ委員会という公明党の奄美の関係の議論をする会議に所属をしておりますけれども、この委員会で、農水大臣に対して、昨年、申し入れも行ったところでございます。

 ぜひ迅速な対応をしていただきたい、また、実際にミカンコミバエの被害に遭った農家の方に対する十分な支援というのもしっかりやっていただきたい。引き続き、この対策というのに万全を期していただきたい、このようにお願いをさせていただきたいと思います。

 このミカンコミバエの発生の現状とそして今後の対策、これについて農水省にお伺いをしたいというふうに思います。

小風政府参考人 お答えいたします。

 昨年秋以降、奄美大島におきましてミカンコミバエの誘殺が続きましたことから、有人ヘリコプターによる誘殺板の散布など、全島的な防除活動を実施しております。

 また、十二月十三日から、植物防疫法に基づく緊急防除を実施いたしまして、本虫が寄生するおそれのあるポンカン、タンカンなどの島外への出荷を規制するとともに、廃棄を実施しているところであります。

 廃棄の対象となった果実につきましては、全額国の負担で買い上げを行い、生産者の農業経営への影響に十分配慮しておるところでございます。

 また、徳之島におきましても、十一月に、本虫の誘殺が確認されましたことから、有人ヘリコプターによる誘殺板の散布などによる防除を実施しているところでございます。

 こうした取り組みもありまして、奄美群島におきましては、少なくとも昨年の十二月二十二日以降は、雄の成虫の誘殺は確認されておりません。

 しかしながら、気温が上昇いたします三月ごろからは、越冬した成虫や幼虫が再び活動し始める、こういうことが懸念されます。このため、引き続き、トラップの配置の見直しを行うとともに、地元自治体や生産者の皆様と連携して寄主果実の除去を進める、あるいは、誘殺板の設置、散布などの防除対策を講じていくということにしております。

 こうした防除活動の徹底によりまして、一日も早い本虫の根絶を図ってまいりたいというふうに考えております。

中野分科員 ぜひよろしくお願いをします。

 三月以降ちょっとまた発生をするかどうかというところが、大変大事な時期に来ていると思いますので、万全の取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。

 きょうは国交省にも来ていただいておりまして、奄美群島の航空運賃の割引の関係について御質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどお話をしましたように、奄美振興開発の交付金を使いまして航空運賃の引き下げというものを行っていただいておりまして、これは交流人口をふやすという意味でも大変いい影響、プラスの影響が出ている、このように思います。

 特に、島民の方の割引もあるんですけれども、世界自然遺産登録に向けたキャンペーンということで、例えば東京方面であるとか関西方面、こういうものも運賃ということで引き下げをしていただいている。こういう取り組みも大変に喜んでいただいております。

 こうした予算というのをぜひ引き続き行っていただきたいというふうに思うんですけれども、今回の航空運賃割引で実際どのくらいの効果を生んでいるのか、現状の認識について、まず国交省さんにお伺いをしたいというふうに思います。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 観光は、奄美群島の地理的、自然的特性に基づく魅力と資源を最も直接的に生かすことのできる産業であるというふうに考えておりまして、雇用創出のため、成長が期待される重点分野とされているところでございます。

 国土交通省といたしましては、奄美群島における航空運賃の割引に対しまして、平成二十六年度に創設されました奄美群島振興交付金により支援を行ってきているところでございます。

 世界自然遺産登録に向けました観光キャンペーンの効果につきましては、奄美群島への入り込み客数が六年ぶりに七十万人台を回復したということが挙げられると考えております。

 今後とも、奄美群島の観光振興を積極的に支援してまいりたい、かように考えてございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 六年ぶりに七十万人台を回復したということで、大変明るいニュースなのではないかというふうに思います。こうしたさまざまな自由度の高い交付金をつくったことで、創意工夫でいろいろな取り組みをしていただいて、交流人口というものが大きく回復をしてきている、これはすばらしいことだというふうに思いますので、ぜひこの流れをもっと強くしていっていただきたい。

 そのために、もう一点お伺いをしたいのが、LCCの就航でございます。

 奄美群島については、成田からはバニラエアというLCCが就航したところでありまして、この影響も非常に大きいのではないかなというふうに思っております。成田からの直行便というか、奄美に行く方というのも大変ふえたのではないかなというふうに思っております。

 しかし、奄美群島とのつながりという意味でいいますと、実は、関西方面から奄美に行く方というのもかなり数としては多いというふうに私は思っております。実際のデータを見ても、関西から行かれる方というのも、もともといろいろなつながりがございますので、そういう意味では大変大事なのではないかな。そして、成田は今LCCが就航したわけでございますので、関西から奄美へLCCがまた就航すれば、そういう交流人口という意味でも、もっともっとふえていくのではないかなというふうに考えております。

 このLCCを使った観光を盛り上げていく取り組みについて、そしてまた、関西から奄美へのLCCの就航への支援、こういったものについてもぜひお願いをしたいというふうに思うんですけれども、国交省から答弁を求めたいというふうに思います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 国内線のLCCですけれども、平成二十四年から運航開始三年ということになりますが、数字で申し上げますと、旅客数ベースでは七%を超える成長ということでございます。

 今までの状況を見てみますと、今先生がおっしゃった成田からの便ができた奄美も含めまして、既存航空会社と需要を奪い合うというよりも、観光といった新しい需要を取り込んでいるという意味で、地域の活性化に寄与しているというふうに見ております。

 そのため、国土交通省としては、LCCのニーズに応えるために、関西空港など、LCCが拠点とする空港において、低コストの専用ターミナルをつくるなど、LCCが運航しやすい環境の整備を進めているところです。

 こうした取り組みと相まって、地元自治体と航空会社でよく連携をしていただくことによりまして、ネットワークが充実していくことを期待しているところでございます。

中野分科員 御答弁ありがとうございます。

 まさに環境整備という意味でしっかりやっていただいて、また、具体的な動きというのは、やはり、航空会社であるとか自治体であるとかさまざまな連携がこれから必要になってくるというふうに思いますので、私もしっかりと応援をしていきたいというふうに思っておりますので、また、そういう意味では、国からの後押しというのもぜひお願いをしたいというふうに思っております。

 少し話題をかえまして、動物愛護の関係で何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私の地元でも、非常に動物愛護に熱心に取り組んでおられるさまざまな方がいらっしゃいます。地元の尼崎市では、条例で動物愛護基金というものも設置をいたしまして、こういう取り組みを行っておるところでございます。兵庫県でも取り組みを進めていこうということで、県にもさまざま要望を公明党としてもさせていただいたところでございまして、そして、例えば、アニマルポリス・ホットラインという動物虐待専用の相談先、これは全国で恐らく初めてなのではないかというふうに思いますけれども、こういうものを警察に設置していただいたということもございます。

 私自身も、環境省に、さまざま動物愛護についてもっと進めていってほしいということをお願いしに行ったこともございますし、ちょうど牧原政務官のときに、環境省としても殺処分のゼロを目指すんだと。今まで、環境省というのは殺処分を減らしていくという目標は立てていたわけでございますけれども、ゼロを目指すということを言ったのはたしかそのときが初めてではないかなというふうに思いますが、こういう目標も大きく掲げていただいた。今年度、来年度とその関連の予算というのもしっかりとっていただいているというふうに思っております。

 そういう意味では、いよいよこの動物愛護、特に殺処分をゼロにしていくというところについて、今まさに大きく前に進めていこう、こういう段階であるというふうに思うんですけれども、現状としては、国としてどのような御認識をされているのか、また、今後の取り組みの方向性についてもぜひお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 犬、猫の殺処分につきましては、環境省において、終生飼養や不妊、去勢措置などの飼い主の責務の徹底について広く普及啓発を行うとともに、自治体が整備する犬、猫の収容譲渡施設の整備、改修に対する補助を行うことにより、引き取られた犬、猫の返還、譲渡の促進を図ってきたところです。

 こうした取り組みの結果、平成二十六年度の殺処分数は、平成十六年度比で、犬がおおむね八六%減の二万二千頭、猫が六七%減の八万頭まで減少しています。

 また、犬、猫の引き取りについても近年減少傾向にあり、平成二十六年度は、犬の引き取り数約五万頭、猫の引き取り数約十万頭となっています。引き取り数の内訳としましては、犬、猫ともに、その約八割が所有者不明の迷子や野良の犬、猫となっており、特に猫については、約六割が幼齢の子猫となっています。

 このため、迷子の子猫を飼い主に確実に返還するため、マイクロチップや迷子札等の所有者明示措置の普及を推進するとともに、野良の犬、猫の引き取り数を減らす対策が重要であると考えています。

 さらに、引き取り後の返還、譲渡については、引き取った犬の約六割に当たる三万頭、引き取った猫の約二割の二万頭が返還、譲渡されていることから、さらなる返還、譲渡を推進する必要があると考えています。

 このような現状を踏まえ、環境省としては、不必要な殺処分をできる限り減らし、最終的にゼロを目指すため、平成二十六年に人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランを発表し、自治体や関係団体等と連携したモデル事業や適正飼養の普及啓発等に取り組んでいるところです。

 今後も引き続き、必要な予算の確保に努めるとともに、自治体等と連携のもと、動物愛護管理行政の一層の推進に努めてまいる所存でございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 数字もお示しをしていただきまして、殺処分のゼロを目指すということは、やはり自治体が引き取る数自体も減らないといけないですし、それを殺処分ではなくて譲渡していく、この譲渡の取り組みをふやしていかないといけない、こういう二つ側面があるというふうに思っております。

 引き取りが減っているというのは、どういう状況で減っているのかというのは少し中身は見ていかないといけないとは思っておりますけれども、しかし、現実的に譲渡がふえているというのは非常にいい傾向であるというふうに思うんです。

 しかし、譲渡がふえるといっても、なかなか現実的には簡単ではございません。例えば私の地元で伺う話というのは、このままほっておかれると殺処分をされてしまうので、活動されている方が自分で、要はマッチングをすることをかなり努力してやられている、自分でかなり引き取られて、そういうマッチングをいろいろなところにする。こういうことをボランティアでやっておられるような個人であるとか団体であるとか、そうした方の非常に御苦労の上で成り立っているのかなというふうに非常に思っておりまして、やはりこの動物愛護について予算がまだまだ少ない、これが大きな課題の一つなのではないかなというふうに私個人的には考えております。

 最初に御紹介をさせていただいた動物愛護基金というのも、自治体の側で予算を出して、例えば猫の不妊の手術の助成をするであるとか、そういったものを市の方の予算でやっていくというのがなかなか難しい、こういうこともあります。しかし、財政事情が厳しいからといって、では何もしないということであれば全く前に進まないということですので、これは、条例をつくる、条例をつくって基金を設置する、それに対して寄附をしていただく、こういう形で必要な予算、もちろん、もっと予算が大きくなればもっと大きなことができるわけでありますけれども、これを確保している、こういうことでございます。

 もっとほかにも財源確保のやり方というのはいろいろなやり方があるのではないかということで、地元でも、こういう財源の確保ができないかとか、いろいろなアイデアはいただいているところではあるんですけれども、なかなか、実現をさせようとすると、非常に難しかったり、いろいろなハードルがあったりして、簡単には進まない状況でございます。

 国として、もちろんしっかり国費で予算をとっていただくということも大事ではあると思うんですけれども、寄附なども含めて、いろいろな財源の確保のあり方というのは、私はあり得るんじゃないか。特にこういう動物愛護みたいな分野では、そうした取り組みもうまく使えば有効に機能するのではないか、このように思っております。

 こうしたいろいろな財源の確保の仕方というのを、全国的にいろいろな取り組みを進めていくことでそれぞれの地域で取り組みが進んでいくのではないか、このように考えておりますけれども、環境省の見解をお伺いしたいというふうに思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 動物の愛護や管理を進めていく上で、財源の確保は重要な課題であると認識しております。

 委員の方から御紹介のありました尼崎市の動物愛護基金を初め、各自治体において独自の取り組みが行われており、環境省においても、こうした先進事例を各自治体による取り組みの参考となるよう、ホームページにおいて紹介しているところです。

 また、環境省においても、映画会社と連携し、映画の前売り券の売り上げの一部を動物の管理に伴う消耗品等の購入に充て、それを自治体の愛護センター等に配布する取り組みを行ったところです。

 引き続き、環境省としましても、このような取り組みを通じて、自治体の活動を支援してまいりたいと考えているところでございます。

中野分科員 ありがとうございます。

 いろいろな取り組みを紹介していただければ、自分の地元でこういうことができるんじゃないかとか、こういう先進事例があればもっと自分の地元ではこういうふうに改善をしていけるのではないかとか、恐らく、さまざまな知恵であるとか、あるいは動きというのが起こってくるのではないかなというふうに思いますので、こういう取り組みをいろいろなところに、いろいろな機会を通じて、ぜひ広めていっていただきたい。そうして、先進的な取り組みというのをもっともっと多くの自治体ができるように、ぜひ環境省としても周知をしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。

 時間も少なくなってまいりましたので、最後に、大臣に来ていただきまして、済みません、大臣、ずっと聞いていただきまして。動物愛護行政への意気込みということでぜひ最後にお伺いをしたいというふうに思うんです。

 私が当選して三年少しでありますけれども、この三年少しの間でも、かなり環境省としてもさまざまなものを打ち出されたり、あるいはさまざまな動きをされたりということで、まさに前に向けて進んでいる、こういう段階なのではないかなというふうに思っております。しかし、殺処分ゼロというのは非常に大きな目標でもありますし、直ちに達成をするというのは確かに難しいのではないかというふうに思うんです。

 しかし、こうした目標を掲げていくことで、いろいろな方々をどんどん啓発していくというか、動物愛護ってやはり大事なんだな、やはり命って大事なんだなということをいろいろな方にわかっていただかないと最終的には進んでいかない取り組みだというふうに思いますので、大きな目標を掲げていただいて、しっかりとそれに向けて進んでいくんだ、こういうことを、ぜひ環境省としてリーダーシップを発揮していただくことが私は大事なのではないかなというふうに思っておりますので、最後に、ぜひ大臣から、その動物愛護にかける意気込みというか、今後の御決意というのを御答弁いただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

丸川国務大臣 まずもって中野委員の動物愛護に対する熱意に敬意を表するとともに、しっかりとその熱意を受け取って、これからも我々、環境行政に取り組んでまいりたいと思います。

 殺処分ゼロという大きな目標に向かっていくためには、買い主の方の意識も重要ですし、また国民全体の意識も大変重要であると考えております。

 人と動物の共生する社会を実現していくためには、我が国の風土や社会の実情を踏まえた動物愛護及び管理の考え方を国民の合意のもとで形成していくこと、そして、多くの主体の自主的な取り組みを促していくことが重要だと考えております。

 環境省としては、平成二十六年に、飼い主による適正な飼養をさらに推進するため、公明党の皆様方からの御提言も踏まえまして、人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトのアクションプランを今進めさせていただいているところでございます。

 このプランに沿って、マイクロチップ等の所有明示の推進を初め、それぞれのモデル事業をしっかりと進めているところでございまして、今後、その成果を取りまとめたガイドラインを作成して、国民や自治体に広く普及していくこととしております。

 こうした取り組みを通じて、自治体や関係団体等としっかりと連携をし、人と動物が共生する社会が早期に実現できますように、必要な施策に引き続き取り組んでまいります。

 ありがとうございます。

中野分科員 以上で終わります。ありがとうございました。

笹川主査代理 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。

 次に、大西健介君。

大西(健)分科員 民主党の大西健介でございます。

 本日は、私、ずっと関心を持ってきた小型家電リサイクル法について質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 二〇一三年六月の日本再興戦略の中にも、「「都市鉱山」におけるレアメタル等の資源再利用についても推進する。」と明記をされています。

 小型家電の中でも、特にレアメタル重要五鉱種、このリサイクルという点では、ネオジム、ジスプロシウムが多く含有されているパソコンの回収、これが重要になってくるというふうに思います。この点、資源有効利用促進法という法律のもとで、一般社団法人パソコン3R推進協会による回収スキーム、これが行われてきたわけです。

 まず冒頭、確認させていただきたいんですが、家庭で使われているようなパソコンで不用になったパソコン、これの販売実績に占める回収実績がどうなっているのか、また、回収が余り進んでいないんじゃないかと私は思っているんですが、その理由についてお答えをいただきたいと思います。

鎌形政府参考人 パソコンの回収についてのお尋ねでございます。

 まず、回収の量なり率についてでございますが、小電、いわゆる小型家電リサイクル法の施行前の数字で恐縮でございますけれども、資源有効利用促進法に基づく回収量は約九十万台ということで、年間の排出量の推計は、リユースを除くとおよそ九百万台ということでございまして、それを単純に計算いたしますと、この限りでは一〇%ということになります。ただ、その他のルートから回って国内でリサイクルされている量というのは、およそ四百万台ということでございます。

 それで、こうしたことでございますけれども、大ざっぱな推計でございますが、平成二十五年四月には御指摘がありました小型家電リサイクル法が施行されているということで、回収率はさらに向上しているというふうに考えてございます。

 そして、このような回収率の状態についての理由ということでございます。

 やはり、海外に流出するものとか、市町村により最終処分場に埋め立てられたものが相当数存在するというふうに認識してございます。

 その背景といたしましては、消費者のパソコンリサイクル制度についての認知度が低いといったことも一因ではないか。さらに、消費者アンケート調査などによりますと、手続が面倒でありますとか、あるいは個人情報漏えいが心配といった理由で使用済みパソコンを家庭内に退蔵しているという方々もいらっしゃる、そのように認識してございます。

大西(健)分科員 まだまだやはり回収率が上がっていないというふうに私は思います。

 それで、最初の資源有効利用促進法、これはメーカーの製造者責任のもとで回収をするというスキームなので、回収量がふえればふえるほどメーカーの負担が重くなるという意味で余り進まなかったんじゃないかということが言われておりますし、また、先ほど御答弁の中にもありましたように、パソコン等は押し入れの中とか物置に退蔵してしまっているものがあるんじゃないかというふうに思います。

 だからこそ、新たに二〇一三年に小型家電リサイクル法が施行されたんだというふうに思っていますけれども、これも御答弁にありましたけれども、ただ、それでもまだ海外に流出してしまっているのがあるんじゃないか。

 きょう、まさに質問したいのはその部分であって、本来、小型家電リサイクル法をつくったのも、先ほどの日本再興戦略の中にもあるように、都市鉱山であるレアメタルを回収するという目的でつくっているんですけれども、それが海外に流れてしまっているんだったら、これは日本にとって大きな損失だと思うんですね。

 現状、ただ、小型家電リサイクル法でパソコンの回収率も上がっているというお話でしたけれども、パソコンに限らず、小型家電全体の回収目標というのは、私の承知しているところでは、二〇一五年度国民一人当たり年間一キログラムという目標があるというふうに思うんですが、ちょっと古いですけれども、二〇一三年度実績でいうと一人当たり年間〇・一キログラム、これは全然目標から遠く及んでいないわけです。

 この先、この目標というのをどうやってクリアしていくつもりなのか、この辺の戦略についてお答えをいただきたいと思います。

丸川国務大臣 平成二十五年四月に小型家電リサイクル法が施行され、目標値として、平成二十七年度までに年間十四万トンの回収量を掲げております。この目標達成に向けて、平成二十五年度に一万三千トン、平成二十六年度に五万二千トンの回収量を事前に想定しておりましたところ、平成二十五年度の実績が二万四千トン、平成二十六年度は五万トンと伸びてきてはおります。

 国としては、市町村が小型家電回収に取り組めるように、広報や回収ボックス設置などについて、五百四十の市町村へ支援をしました。この結果、平成二十七年四月時点で、既に回収体制を構築している及び構築予定の市町村は千三百五市町村、全体のおよそ七五%、居住人口比でいいますと、およそ九〇%まで広がってきております。

 今後は、回収量が伸び悩む市町村に対して、回収量が多い市町村の優良事例を共有したり広報活動を実施するなど、さらなる回収量の拡大に向けて、効率的、効果的な回収体制の構築の支援に努めてまいります。

大西(健)分科員 だんだん伸びてきてはいるということですけれども、まだまだ、さっきの数字を足し上げても目標には達していないんだと思うんですね。

 自治体の体制がだんだん整ってきているという話ですけれども、先ほど答弁の中にあった、例えば回収ボックスという話がありましたけれども、回収ボックスというのは、私は限界があると思うんですよ。先ほど最初に言ったように、やはり退蔵してしまうわけですね、物置とか押し入れに。だから、結局、回収ボックスを設置しても、押し入れの中や物置にあるものを持っていかなきゃいけない、これが面倒なわけですよ。

 ですから、そういう意味においては、今、回収が進んでいる自治体の好事例を云々という話がありましたけれども、例えば私の地元の愛知だと、名古屋市とかあるいは大府市とかで、小型家電リサイクル法の認定事業者で、宅配で回収をする業者に委託をして、それで回収率を上げているという例があるんですけれども、私は、こういった事業者をもっともっと活用すべきだというふうに思っています。まさに実績を上げているわけですから、それをぜひもっと活用すべきだというふうに思うんですが、ただ、そうやって頑張って新しい分野に挑戦している民間業者の障害になっていることがあるんです。それは何かというと、違法回収業者の存在なんですね。

 きょうはお手元に資料をお配りしているんですけれども、大臣のお手元にも行っていますかね。こういうチラシなんですけれども、これは不用品回収業者のチラシなんです。ぜひ大臣にもごらんいただきたいと思うんですけれども、「引取日時 二月二十三日」の下のところに「使わなくなった電化製品を無料で引取します!」いろいろな品目、右下の方に引き取り可能なものを書いてありますけれども、一番下のOA機器のところには、パソコン本体、ノートパソコン、電話機なんというのが入っているんです。

 こういうチラシがまかれて回収をする業者もありますし、私の地元にもあるんですけれども、例えば、空き地にこういう電化製品を野積みにしているような業者、こういうところに持ってきてください、引き取りますとか、あるいはトラックで回って回収をしているような業者、いろいろなタイプがあるんですけれども、こういう業者というのは、これは一概には言えないかと思いますけれども、多くは、私はこれは違法業者だと思うんです。

 そういう認識でいいのかということと、こういう違法業者、このチラシの業者はまさに違法だと思うんですけれども、これをどうやって取り締まりをしているのかについて、御答弁をいただきたいと思います。

白石大臣政務官 大西委員にお答えいたします。

 今、委員おっしゃったように、一般廃棄物業の許可を得ずに家庭から廃棄物を収集するということは違法である、これは当然のことでありまして、委員おっしゃったような、チラシを配ったりトラックで回収したりする業者の中にも、そういう行為を行っている業者の存在というものは承知おきをしているところであります。

 自治体においては、無許可の廃棄物回収業者に対して、平成二十六年度に百九十六市区町村で千四十七件、二十九都道府県で八百三十五件の立入検査をそれぞれ実施しており、自治体と警察が連携して、無許可の廃家電を回収した業者を逮捕した事例もございます。

 ただ一方で、業者の取り締まりに当たっては、回収されたものの廃棄物該当性を、性状や取引価格の有無等を総合的に勘案して判断する必要がある。そこが一番難しいところでありますけれども、環境省としては、自治体がその判断を行いやすくするために、通知を行い、廃棄物該当性の考え方を明確化しているところであります。

 具体的には、使用済み家電製品でありましたら、年式が古い、もしくは通電しないなどの、リユース品として市場性が認められない場合には、廃棄物に該当すると判断して差しさわりのない旨を周知しておるところであります。

 さらには、平成二十六年度からは、自治体職員の能力強化を目的としたセミナーを全国で開催しているところであります。

 環境省として、今後、違法な廃棄物回収業者対策を積極的に実施している自治体の事例、そして、その収集などの情報を提供するなど、自治体における違法な廃棄物回収業者の指導を一層支援していくつもりでございます。

大西(健)分科員 今、政務官から御答弁いただきましたけれども、もちろん、環境省も何もしていないわけではなくて、きょう、資料には入れませんでしたけれども、こういう環境省のチラシをつくっておられます。まさにここには、「違法な不用品回収業者で処分していませんか?」「その捨て方で大丈夫?」というような形で、今さっき私が申し上げたように、トラック型回収とか空き地型回収、チラシ配布型回収、「無許可業者 利用してはダメです!!」と書いてありますし、例えば裏にも、そういった「国内外で不適正処理されています!」ということで書いてあります。「ダマされてはいけません!」こういう広報もしていただいていますし、今、政務官の御答弁にあったように、例えば、自治体での取り締まり強化のために、自治体職員向けの、取り締まりのためのセミナーを開催しているということなんです。

 ただ、さっきの資料でお配りしたチラシの裏を見ていただきたいんです。申しわけないんですけれども、これは町田市のホームページ等でもダウンロードできる、皆さんの家庭によく配付されるごみ回収カレンダーなんです。このごみ回収カレンダーの左下、ここに違法業者の広告が載っているんですよ。市が取り締まっているのに、市のカレンダーの左下に違法業者の広告を載せちゃっているんですね。「パソコン 家電品 無料引取」と書いてある。

 これはちょっと画像が不鮮明で見えないんですけれども、実は一番下のところには、古物営業法の許可とか、あるいは産業廃棄物運搬業許可とかの番号が書いてあるんです。古物営業法の許可番号とか産業廃棄物運搬業者の許可番号なんかが書いてあると、いかにも何か、ああ、正当な業者なのかなと思いますが、先ほど来御答弁いただいているように、一般廃棄物収集運搬業許可がなければできないんです、違法業者なんです。

 ところが、そういう業者があまたあって、しかも、自治体が取り締まると言っていますけれども、自治体のごみ収集カレンダーの広告に載せちゃっているというのは、ちょっと、自治体任せだけでいいのかなと私は思うんです。また、あまたありますので、これを全部シラミ潰しに取り締まっていくというのは正直言ってなかなか難しいです。

 ただ、百歩譲って、実はさっき、小型家電リサイクル法の認定業者で、インターネットで、宅配で回収している業者があると言いましたけれども、違法業者でも、インターネットと宅配を使って全国展開している業者があるんです。インターネットに、例えばパソコン回収とか不用パソコンとか入れてもらうと、そういう業者が出てきます。

 そういう業者については、地域でやっているんじゃなくて全国展開をしていますから、ですから、自治体で取り締まれといっても、私はこれは無理だと思いますので、自治体任せにするんじゃなくて、インターネット、宅配便を使って全国展開しているような違法業者については、これは政府が、環境省が主体的に対策を講じなければ、まさに貴重なレアメタルが中国を初め海外に流れていくのを防げないと思うんです。

 ですから、そういうインターネット、宅配でやっている、全国展開している違法事業者については、自治体任せじゃなくて政府が主体的に取り締まるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 家庭等から不用品を廃棄物として回収する行為は、一般廃棄物処理業の許可等を受けていなければ、廃棄物処理法違反となります。

 実際に、インターネット上で全国展開し、宅配業者を介在させて、許可なく廃棄物を回収する業者が存在しているという事例も承知をしております。

 環境省としては、このような、インターネットや宅配を用いて、無許可で廃棄物の回収行為を行う業者の事例や実態をきちんと把握をして、さらに、その情報を全国の自治体に共有、周知することなどによって、自治体における違法業者の効果的な指導を支援してまいります。

大西(健)分科員 せっかくここまで言っていても、今のお話というのは、やはり自治体に広報、お知らせして、自治体で気をつけてくださいねという話なんですね。

 私はさっきも言いましたが、ネットでパソコン回収とかPC処分というキーワードで検索すると、宅配、インターネットの無許可業者というのもいっぱい出てくるんです。でも、そのうち大手三社ぐらい、三社とか四社とかというのは、すごい数を回収しているんですよ。こういう業者を、まあ言い方は悪いですけれども、ひとつ、見せしめと言ったら言い方が悪いですね。代表になる業者、そういう大手業者を、やはりちゃんと環境省がしっかり取り締まりをするべきだと思うんです。

 それからもう一つ、私から提案をしたいんですけれども、こういう業者というのは、要はインターネットで回収を呼びかけて、宅配で回収しているわけです。では、宅配というのはどこを使っているかといったら、これも大手三社なんです。ヤマト、佐川、郵便局、この三つで回収しているんです。ですから、例えば大手宅配三社に、こういう特定の無許可業者の荷物の取り扱いは自粛してくださいということを環境省がお願いしてはどうかと思うんです。

 これは実際に例があるんです。何かというと、危険ドラッグです。危険ドラッグをインターネットで、宅配で売っているケースについて、これは大手の、そういう佐川とかヤマトとか郵便局に、こういう業者は危険ドラッグを売っている業者なので、そこの宅配物、大量にそれを使っていますから、そういうのを大量に発注があったら、それは受けるのを自粛してくださいということを呼びかけているんですよ。これはだから、危険ドラッグでできたわけですから。

 ですから、こういう大手の、大量に違法な不用品回収、パソコン回収とかやっている業者については、これは、こういう大手宅配三社に、自粛してくださいということをお願いしたらいいというふうに思うんですけれども、この提案について、いかがでしょうか。

白石大臣政務官 大西委員、まことにありがとうございます。

 すばらしい御指摘をしていただいたと私も思っておりますし、先ほどお話にありました、危険ドラッグについての対策を大手三社に要請をして、その効果があったということについても、私も承知おきをしております。

 御案内のとおり、インターネットと宅配を用いて回収を行う無許可の違法業者の対策、検討に当たっては、自治体との連携も加え、関係機関や企業、委員おっしゃったように、企業との連携も重要になると考えております。

 その際に、今御指摘のように、宅配業者への運送自粛要請の事例も参考として、これから効果的な対策等を検討してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導をお願いいたします。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

大西(健)分科員 白石政務官から非常に誠実な、前向きな御答弁をいただいたと思って、私は非常に感謝をしています。

 これはあくまで、まさに大切な日本のレアメタルを海外に流出させないで、せっかくつくった小型家電リサイクル法で回収を進めるための、そのための、そういうふうに頑張っているのに、違法業者がどんどんただで持っていっちゃったら、それはそっちに流れちゃうわけですから、これはぜひ対策を立てていただきたいと思います。

 小型家電リサイクル法に関して最後の質問にしたいと思うんですけれども、この小型家電リサイクル法という法律は、環境省の廃棄物・リサイクル対策部のリサイクル推進室と経産省の産業技術環境局のリサイクル推進課の共管ということを聞いています。また、先ほど、小型家電リサイクル法ができる前は、資源有効利用促進法という法律があるということを申し上げましたけれども、その法律に基づいてパソコン回収をやっているというのは、これは同じ経産省でも商務情報政策局の情報通信課の環境リサイクル室が担当しているそうです。さらに、レアメタルの確保という観点で小型家電のリサイクルという話になると、これは資源エネルギー庁の資源・燃料部資源課で所管をしている。見事な縦割りなんですよ。

 ですから、私は、ぜひ、縦割りではなくて、もっと経産省と緊密に連携してもらって、レアメタルの確保、リサイクルというのを進めていただきたい。これはちょっと環境省には失礼かもしれませんけれども、環境省の所管からはどうしてもそうなってしまうと思うんですけれども、環境省のアプローチというのは、やはり廃棄物、つまりごみというアプローチになってしまうので、そうじゃなくて、経産省だとまた違う観点になると思うんです。

 だから、ここは経産省と環境省が緊密に連携して、そして、先ほど来何度も申し上げていますけれども、レアメタルを海外に流出させないで、これを日本でリサイクルしてレアメタルを確保するというのが国家目標ですから、これに沿うように、経済産業省と環境省が緊密に連携して縦割りを排していただくのが重要だと思いますが、この点、いかがでしょうか。

丸川国務大臣 環境省のリサイクル推進室と、経済産業省のリサイクル推進課、情報通信機器課においては、家電リサイクル法、小型家電リサイクル法などを共管して、連携協力してリサイクルの推進を図っております。また、資源エネルギー庁とも、都市鉱山の活用といった観点から連携協力を図っております。

 循環資源の適正なリサイクルの推進は、環境負荷の低減とともに、資源の確保や我が国の静脈産業の育成に資するものであり、引き続き政府一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。

大西(健)分科員 ありがとうございました。

 ちょっと時間の関係で農水省にお聞きをしたいと思うんですけれども、私の地元の安城市は、安城が原と言われる台地になっていまして、江戸時代の後期までは水がなくて余り耕作には適していなかったということなんですけれども、江戸時代後期に都築弥厚さんという人が矢作川の水を引いてくる計画を立てて、そして後にそれが明治用水になったということで、その後、日本のデンマークと称される農業先進地域として発展をした。それが礎となって、その後、トヨタ自動車の関連会社の工場が多く立地する工業先進地域に変貌を遂げたということなんです。

 ただ、東海、東南海の地震のある確率があるということで、地震防災対策強化区域等にも指定をされているということであります。明治用水の頭首工とか基幹水利施設、これがまだまだ耐震対策が未了になっています。

 こういう基幹水利施設は、実は農業用単独ではなくて、上水道や工業用水との共同施設になっていまして、被災時には、農業被害はもちろんですけれども、約百十八万人の生活用水、約十六兆円の工業生産に影響が出るおそれがある。

 また、この安城市の地域は、近年、非常に都市化が進んでいまして、用水路は都市部を流下して、国道一号線、JR東海道線、東海道新幹線、名鉄本線を横断している。被災時には深刻な浸水被害が発生するおそれがあります。

 そのため、基幹水利施設の耐震対策を行う国営総合農地防災事業、矢作川総合第二期地区について、平成二十六年度から着工していただいています。非常に地元も感謝をしているわけですけれども、この事業を今後も着実に事業推進していただきたいというふうに思っているんですけれども、農水省から御答弁をいただけないでしょうか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 国営総合農地防災事業、矢作川総合第二期地区は、愛知県の安城市を初め八市において、農業生産の維持及び農業経営の安定を図るため、明治用水頭首工及び幹線用水路等の耐震化対策を行い、大規模地震の発生による災害を未然に防止するものでございます。

 本地区は、平成二十六年度に着工して、平成四十一年度の完了を目指しておるところでございます。今年度から明治用水頭首工の工事に着手して、今年度末の進捗率は五・四%となる予定でございます。

 本地区は、東海地震にかかわる地震防災対策強化地域等に指定されるなど、大規模地震の発生により基幹的な農業水利施設が損壊した場合、農業生産や家屋等への甚大な被害が想定されておることから、今後とも必要な予算の確保に努めて事業の確実な推進に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

大西(健)分科員 昨年だったと思いますけれども、皇太子殿下にも、この明治用水の頭首工をごらんいただいたということであります。

 ぜひ、これは本当に、さっきも言いましたけれども、東海、東南海の地震、これはいつあるかわかりません。来週あるかもしれない、来月あるかもしれない。そういう意味では、着実にこの事業を推進していただきたいというふうに思います。

 そして次に、また安城の話なんですけれども、安城は、先ほど言いましたように、日本のデンマークと。愛知県の子供たちはみんな、学校の授業で日本のデンマークと習うんですけれども、これは、明治用水ができたことによって農業先進地域として非常に全国から視察者が大正時代に来る、そういう地域だったんです。

 そういう中で、集落配分による米の需給調整や麦、大豆等の戦略作物の集団転作を、地域の担い手と一般農家が協調して実施するブロックローテーションという集団作付を地域の知恵としてやってきた。これはもう、だから、実は非常に進んでいるんです、うちの地元の地域というのは。

 ところが、このたび、米政策の見直しで、平成三十年産から、行政による生産目標数量の配分によらず、みずからの経営判断で作物を選択し、需要に応じた主食用米の生産を推進していくということになりました。このことによって、一般の農家が個々の経営判断により米の作付を始めてしまうおそれがある。そうなると、せっかく今までやってきたブロックローテーションというのが崩れてしまうんじゃないかという懸念が地元から上がっています。

 この点、戦略作物の生産と農地の集積、さらには担い手の所得確保や労力分散など、地域の知恵から生まれたこのブロックローテーションを今後も維持できるようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊東副大臣 大西委員の御質問にお答えいたします。

 ブロックローテーションへの影響が懸念されるのではないかということであります。

 麦、大豆につきましては畑作物であり、湿害や病害に弱いことから、水田における生産に当たりましては、湿害や連作障害が発生しないよう、その生産を団地化して、集落の水田全体の中で、お話しのそのブロックローテーションを行うなどにより、生産性を確保してきたところであります。

 飼料用米の生産拡大がブロックローテーションに影響を与えるのではないかというような御懸念もあろうかと思いますが、引き続き、麦、大豆との調整をしながら効率的に生産を行うことも可能でありまして、作物構成で需要に応じた生産を行うのか、地域でよく話し合っていただきたい、このように考えるところでもございます。

 経営所得安定対策ということでの、新しい担い手経営安定法の改正によりまして、今お話しのとおり、二十七年産から、認定農業者、あるいは集落営農、認定新規就農者を対象とすることとなっているところでありますけれども、新たに集落営農を設立する、あるいはまた認定農業者や認定新規就農者、多くの農業者がこれを目指しておるところでありますので、引き続き、対策の対象となっているところであります。

 ちなみに、愛知県における小麦、大豆の作付面積は、二十六年産の九千百ヘクタールに比べて、二十七年は九千五百ヘクタールに増加しておりまして、ブロックローテーションに影響があったとは考えておりません。

大西(健)分科員 小麦が実る季節というのは本当にきれいなんですよ。それから、安城産の小麦というのは、地元のうどん屋さんとかで使っているところもありますけれども、本当においしいです。ぜひ、地域の知恵としてやってきたこのブロックローテーションに悪い影響が出ないように、進んでいる地域ですから、本来は見本になるような地域なので、そういうことに悪影響が出ないように、また今後も農水省からも御配慮をいただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。

鈴木主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木主査 次に、農林水産省所管について、引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村分科員 公明党の濱村進でございます。

 本日は私自身も三度目の質疑でございますので、しっかり最後まで頑張りたいと思います。

 私は、近畿比例ブロックで単独で選出させていただいておるんですが、地元は兵庫県になります。兵庫県の皆様の声を届けつつ、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 兵庫県は広うございまして、北の方に行けば、非常に漁業も盛んな地域でございます。新温泉町あるいは香美町というところがございまして、新温泉町には浜坂漁港というところがあって、そこはホタルイカが全国で一番とれる、香美町、香住漁港とかですけれども、これはマツバガニが全国で一位になっている、そういう地域なんですが、沖合では底びき、イカ釣り、あるいは沿岸ではイカ釣りとか一本釣りとか、そういう漁業が盛んでございます。

 地元の漁協の皆様、あるいは町長みずからおっしゃっていたりもするんですけれども、漁船が一隻一年間で稼いでくれるのは二億円だというふうに言っておられるんですね。要は、漁業者がいなくなってしまったら一気に二億円飛んでしまう、そういうお話をされておられました。

 そこで、まず御確認させていただきたいんですが、漁業について、今人手不足が進んでいるかというふうに考えております。遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業について、それぞれでどのようになっている状況であるのか、確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点でございますが、沿岸あるいは沖合別の統計につきましては、残念ながら、平成二十年度以降のものをとっておりませんので、全体的な数字を申し上げさせていただきます。

 全体的には、平成十五年でありますが、二十三万八千人おられたわけでございますが、平成二十五年には十八万一千人となりまして、直近の平成二十六年では十七万三千人、このように相なっているところでございます。

濱村分科員 二十年でそれぞれでとるのはやめたということでございます。資料もいただきましたので、ありがとうございました。

 徐々に減っているという状況は明らかでございます。十年ぐらいかけて五万人ほど減っているという状況でございますが、それぞれの漁業者の皆さんの年齢構成はどうかなというふうに思っておったりはしたんです。

 そこで、実は、お出しいただいた中でいいますと、四十歳未満、十代から三十代まで、そういう方々の占める割合というのは、全体が減っているがゆえに、実はパーセントとしては上がっているんです。十年前は、平成十五年は一四・六%、平成二十六年は一七・九%。しかしながら、人口でいえば、三・五万人から三・一万人に減っているというのが現状ではございます。

 そこで、私は、今後も漁業の存続を考えたら若い方々の新規就業が非常に大事であるというふうに思うわけでございますが、新規就業についてはどのような状況であるのか、確認させてください。

佐藤(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、新規漁業就業者数でございますが、おおむね毎年二千人前後で推移しておりまして、平成二十六年では千八百七十五人、こういうようになっておるところでございます。

 新規漁業就業者につきましては、比較的若い世代が多うございまして、平成二十六年に漁業に新規就業した方のうち六割以上が四十歳未満、このようになっておるところでございます。

濱村分科員 今おっしゃったとおりで、十代、二十代、三十代が結構多くて、その年齢だけでいえば約七割を占めるという状況で、しかも四十代も含めれば八割、そういう状況である。果たして四十代が若いかと言われると、私も四十ですので、今から漁業に飛び込めと言われると非常にしんどい。体力的に非常にしんどいのがこの漁業であるということもよく理解しております。

 定着に関しては、漁業者の皆さん、非常に頭を悩まされておられますので、定着が非常に課題なのかなというふうにも私自身思っておりますので、その点も、水産庁初め、ぜひお取り組みをお願いしたいなというふうに思う次第でございます。

 そして、さらに御質問させていただきますが、漁業において、人手不足を補うわけでは決してないんですけれども、今、外国人技能実習制度で、農業においても活躍をされておられる外国人の方もおられます。日本の漁業というのは、漁業自体のレベルが高いこともさることながら、資源管理等もやっている、そういう意味では非常に評価されているものでありますけれども、今、外国人技能実習制度、漁業においての活用、どのような状況であるのか、どう評価されておられるのか、確認したいと思います。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 まず、漁業分野の外国人技能実習でございますが、これにつきましては、カツオの一本釣り、あるいははえ縄漁業、イカ釣り漁業といったものを初めといたしまして、全部で、養殖も含めまして九の作業を対象として実施されているところでございます。

 それで、技能実習生を受け入れている業界団体によりますれば、漁業分野の技能実習生の総数でございます、これは一年目から三年目の合計でございますが、約二千人、このようになっているところでございます。

 私どもといたしましては、この技能実習制度につきましては、発展途上国からの技能実習生が我が国におきましてすぐれた漁業技術の移転を図りまして、その国の経済発展を担う人材を育成するといったことを目的としておりまして、そうしたような目的が果たされているのではないかというふうに考えているところでございます。

濱村分科員 ありがとうございました。

 九つの作業に限られてしまう。これは実は、ほかの建設業とかあるいは金属加工業、そこまで区分するとあれですけれども、それがそもそも絞られていますが、そういう製造業においても特定の業種に限られるというのはそのとおりでございますので、そうした外国人の皆様にとって、技能が本国に、母国に持ち帰って役立つというものをしっかりとやらなければいけないということであると思います。

 この技能実習生ですが、しっかりと勤め上げていただくと三年で終わっちゃうんですね。現場の方々、これは製造業も一緒なんですが、ほかの業種も一緒なんですけれども、三年で帰られると、せっかくなれてきたのに帰ってしまわれる、それは残念なんだというようなお話もありますし、また、さらに技能レベルを上げるというようなことに、例えば親方さん的な形になっていくためにも、さらなる延長が望まれる方々もおられます。

 そういう意味では、技能実習制度自体で、優良な監理団体に関しては五年までの延長が認められているというふうに承知しておりますけれども、これは漁業への適用も当然妨げられるものではないというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。

佐藤(一)政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘があったわけでございますが、今国会に提出されております外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案によりますると、今先生お話がありましたように、一定の要件を満たす優良な監理団体あるいは実習実施者、漁家でございますが、この方々に受け入れられている技能等のレベルの高い実習生につきましては、従来、最大で三年間の実習期間であったわけでございますが、一旦帰国の後、さらに最大二年間の実習を認めることとされておりまして、法令の要件を満たせば当然漁業も適用される、このように私どもとしては理解しているところでございます。

濱村分科員 ありがとうございました。

 しっかりと漁業者の皆さんが事業を存続できる、そしてまた、今なかなか漁業はもうからないとかというような話もございますけれども、もうかる、農業だけではなくて漁業についてもしっかりとそうしていければなというふうに私自身も取り組んでまいりたいというふうに思うところでございます。

 続きまして、少し話が変わりますけれども、地理的表示保護制度について、GIの認定、この話をさせていただきたいと思いますけれども、昨年末にGI認定されたわけでございます。登録二号には但馬牛、但馬ビーフ、そしてまた登録三号には神戸ビーフ、神戸肉、神戸牛、KOBE BEEF、いろいろ、アルファベットでの登録もあるということでございますが、いずれにしましても、これは実は、神戸牛にしても但馬牛にしても、素牛は何なのかというと但馬牛(たじまうし)なんですね。この但馬牛(たじまうし)というものに非常に価値があるんだということがまず一点、大前提としてありますよということでございます。但馬牛(たじまうし)をしっかりと品質管理された中でおいしく提供できるというわけでございまして、それで今回申請があり、そして認定されたということでございます。

 国内においても、しっかりこれは神戸牛なんだ、但馬牛なんだということでGIマークがつくということで非常にいいなと思いつつ、国内においては大分認知が上がってきました。そしてまた、海外の富裕層の皆様にもこうしたものをたまに食べていただきたいということで、特に中国とかにいっぱい輸出していきたいと思うんですけれども、なかなか輸出が実は進んでおりません。

 何が原因かなと思ったときに、実は、これは食肉センターの基準で、HACCP対応しているかどうかということが結構大きな問題でして、神戸牛も、当然神戸あるいは但馬の方から素牛が入ってきて、神戸かいわいで生産されるわけでございます。そうやって製品化されるわけでございますが、輸出するときにどうなっているか。中国に輸出するときに、結局、鹿児島、大臣の御地元の鹿児島を経由して行っているんです。これはなぜかというと単純な話で、鹿児島にHACCP対応の食肉センターがあるからなんです。

 これはこれでうらやましいなというふうにも思う次第でございますけれども、こういった食肉センターの整備なども取り組んでいかなければいけない。流通経路の強化が必要であるというふうに考えるわけですけれども、農水省の取り組みについてお伺いさせていただきます。

今城政府参考人 お答えいたします。

 牛肉の輸出につきましては、輸出促進に取り組んでおりまして、輸出金額は、平成二十六年には八十二億円、平成二十七年には百十億円に拡大してきております。

 その中で、委員御指摘のとおり、牛肉を輸出するためには、食品衛生の観点から、輸出先国の求める基準を満たしていると厚生労働省が認定した食肉処理施設で処理する必要がございます。

 神戸ビーフは、これまでも海外に輸出されておりまして、昨年には、今御指摘のとおり地理的表示として登録され、輸出一兆円目標の前倒しに大きく貢献する品目の一つとして期待されておりますけれども、現在、兵庫県内には、アメリカとかEU等への輸出が可能な、認定された食肉処理施設がないということから、これらの国・地域に向けては鹿児島県内の施設で屠畜及び加工を行っているという現状でございます。

 これに対応しまして、現在、姫路市におきまして、国の強い農業づくり交付金という補助事業を活用していただきまして、アメリカ、EU等への輸出に対応した食肉処理施設の整備が進められておりまして、この施設は平成二十九年三月までに完成予定ということに相なっております。

 そういうことにも今後、輸出を促進していくためにも食肉処理施設の整備等を推進してまいりたいというふうに考えております。

濱村分科員 姫路の件も存じ上げておった上で聞いてしまって、何かあれですけれども、ありがとうございます。

 そしてまた、さらに今後の地理的表示について、どう今後取り扱われていくかという話でございます。

 先ほども少しお話をしましたマツバガニについて、これは当然、申請しなければいけないというのは大前提でございますけれども、ぜひ地理的表示保護の認定を受けたいなというふうに私自身は考えているんですけれども、これは漁業者さんの中でも、それいいねということで言っていただいている方もおるんです。

 マツバガニというのは実はズワイガニの一種で、とれるところ、兵庫県の北部と京都の北部とそして鳥取県、大体山陰地方で水揚げされたものについてマツバガニというふうに呼ぶことになっております。水揚げされた地域で名前がつくわけですので、ある程度、地理的表示ということで保護をしていただけるんじゃないかなというふうにも思ったりするんですけれども、これは認定していただくとなるとどのようなことになるのか、あるいはそれが可能なのかどうか、ちょっと御所見を伺いたいと思います。

    〔主査退席、笹川主査代理着席〕

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 個別産品につきましては、登録の申請を受け付け審査する立場であることから、回答を差し控えさせていただくことを御理解いただきたいと思いますが、一般論として申し上げさせていただきたいと思います。

 地理的表示法に基づく登録を認めるかどうかにつきましては、その特性が特定の地域に結びついているかどうか、産品の名称が普通名称でないかどうかといった点について申請書類の内容を個別に審査した上で、第三者から提出されました意見書や学識経験者の意見を踏まえまして判断することになります。

 今後、マツバガニを含めまして、全国各地には多くのすばらしい農林水産物やその加工品があると認識しておりますので、制度の紹介や、産地での地理的表示の申請に向けた取り組みを支援するGIサポートデスクの活用などを働きかけ、広くそういったことを行ってまいりたいと考えている次第でございます。

濱村分科員 ありがとうございます。一般論としてで、大変ありがたいお言葉でございました。

 複数の団体による申請になるのではないかなというふうに思います。これも制度として認められておりますので、複数の漁協さんと連携をとり合いながら合意形成していければというふうに思う次第でございます。

 そしてまた、地元の農産品を私質問させていただきますが、兵庫県の朝来市というところがございまして、竹田城で有名ですけれども、そこに岩津ねぎというものがございます。これは日本三大ネギの一つなんです。余り知られていません、余り御存じないのではないかなというふうに思うわけですが、日本三大ネギにもかかわらずなんです。下仁田ネギは入っていますが。

 岩津ねぎは、過去に粗悪品が出回ったんです。朝来市の皆さんは、ちょっと品質を確保しようやないかということで商標登録などを行いました。それで品質管理をしながら頑張っておられるんですけれども、これは青ネギと白ネギがミックスされたようなネギなんです、青い部分と白い部分がそれぞれあって。この岩津ねぎに認定するには、白い部分が二十五センチ以上ないとだめですというような基準があったりするんです。太さも決まっていたりとかして。多少これはハードルが高いんじゃないかというふうに私は思ったりはするんですけれども、結果、これでブランドがしっかり守られるということでございますので、それは非常に評価すべきなんであろうというふうに思うわけでございます。

 一方で、これは生産量はそんなに多くないかもしれません。ですので流通は大分限られておるんですね。JAさんを通じてスーパーにも並べられたりもするんですけれども、道の駅とかに置かれたりします、直売所にも置かれます。有名な道の駅で、国交省も視察に来るぐらいのところが、まほろばというところがあったりとか、あさごとか、フレッシュあさごとか、そういう道の駅があったりするんですけれども、そういうところでも売っています。車でドライブしながら、そういうところで岩津ねぎを買っていかれるというような消費形態があるわけでございます。

 これは品質の確保ということにおいては非常に大事な取り組みだというふうに思っているわけですけれども、農水省として、品質の底上げに対する取り組み、これをどんどん推進していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、御所見をお伺いいたします。

加藤大臣政務官 GI制度の推進についての御質問にお答えをいたします。

 御指摘のとおり、GI制度、地理的表示保護制度は、商標制度と異なり、品質を国が担保する制度であります。具体的には、名称とともに、産品の品質に関する特性や、これを生み出す生産方法等の基準を登録して、この基準を満たしたものだけに地理的表示を付すことを認めることといたしております。

 したがって、GI制度は、産地におけるさらなる品質向上の取り組みにも寄与するものと考えられるわけでございます。

 このため、農林水産省としても、今後とも、全国各地の地域ブランド産品の申請が促進されるように取り組むこととしており、二十八年度予算案にも、GIサポートデスク、登録支援窓口の設置等を行う事業を盛り込んだところでございます。

濱村分科員 ぜひしっかりと、GIサポートデスク、こういったところにもどんどん活発な相談があることを願うわけでございます。

 このGI制度、非常に大事なのは、先ほど私が申し上げた岩津ねぎのようなものは商標登録はしています。ただ、今までの商標登録をしても、制度としては品質は担保できないんですね、制度としては。だからこそこのGI制度というのは意味があるんであろうというふうに思うわけでございます。

 一方で、商標登録して商標権を得ます。ですが、商標権は私権で、侵害に対しては、訴訟するのはみずからでやらなければいけないということでございますので、非常に大変なんです。一方で、GI制度であれば、違反者について国から排除命令が出たり罰則が科せられたりとかするわけでございます。つまり、みずから権利行使をしなければいけないかというと、そういうわけではなくて、手間あるいは費用がかからないといった意味でも非常にメリットがある、そういう制度であるというふうに私大変期待をしているところでございます。

 この地理的表示保護制度、こうした制度は世界的にも割と広く行われていて、百カ国以上で行われているということでございます。これはお互いににせものを排除していけるという意味でも非常にメリットもあるというふうに考えているわけでございますので、ぜひ政府におかれましては、どんどん世界的な枠組みの構築を推進していっていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 ただ、今の現状、今の今々でいえば、直ちに海外では保護されないというのもまた事実なんであろうというふうに思うわけでございますが、これは今後のことを考えていくとどうしていくべきかということを少しお話しさせていただければというふうに思います。

 最後の質問になるわけですけれども、最後、少し商標権についてお話をさせていただきたいんです。

 地理的表示についても、TPPで言われるような知的財産には該当して取りまとめられているわけでございますけれども、そうしたところの対応も必要なんですが、地理的表示、まだまだ国として、GIマークをアメリカでもとかというような形にしていかれる、そういう取り組みをされるであろうというふうには思っているんですが、今、ちょっと一旦、まずは商標権の話をさせていただきたいんです。

 というのも、過去にこんな記事があったんです。日本農業新聞、二〇一四年の七月四日の記事なんですけれども、ここに、アメリカで和牛が商標登録されているというようなことがありました。アルファベットでWAGYU、これがどうも、二〇一四年七月ぐらいの時点で既に二十五件認定されて、申請中のものは十二件あったというような状況であったと。

 これが今どうなっているのか、私実は知らないんです。ちょっとそれが今後、せっかく神戸牛、GI認定をいただいた、GI制度でGIマークをつけられますよということになっているにもかかわらず、実は、この先ほど申し上げた申請の中にKOBE BEEFとかというのも含まれているんです。実は、申請中のものでいえば、KAGOSHIMA WAGYUというのも含まれていたりしたんです。こういうものがアメリカの事業主さんから出てきた、あるいはアメリカの個人から申請されていたというような新聞記事がございました。

 日本農業新聞の記事でございますので事実なんであろうと思うんですが、今現在どういう状況になっているのか、承知されておられる限りで結構でございますので、確認したいと思います。

    〔笹川主査代理退席、主査着席〕

今城政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、全てつまびらかではございませんけれども、アメリカ特許庁のホームページ等によれば、いわゆる商標ですので、その商標の中にこのアルファベットのWAGYUという文字を含む商標は約二十件、それから、KOBE BEEFの名称を含む商標、これが複数件登録されているというふうに確認されております。

濱村分科員 ありがとうございます。

 複数件ということでありますので、片手で足りるのか両手までいくのかというのは若干気になりますが、カウントの仕方とかいろいろあるんでしょうから、それ以上は深く追及はいたしません。

 しかしながら、これは非常に危惧しておるんです。せっかく日本としてこうした地理的表示保護制度をつくって、GIマークをつくりました、GIマークをつけたお肉をアメリカに輸出いたしますといったときに、それは、アメリカ人が脂肪がある、サシが入ったお肉について好むかどうかというのは一旦置いておいたとしても、そういう輸出というのはしていきたいんじゃないかなと私は思うんです。

 このGIマークをつけていったところで、現地では、これもKOBE BEEFじゃないかというようなことを言われると、どっちが信頼性が高いんだと。GIマークというもの自体の信頼性をも損なわれてしまうんではないかと思うんです。つまり、アメリカで商標登録されているKOBEとついているお肉、これについて、質がどうなのかはわかりません、仮にそれの質が余りよくなかったということになってしまうと、GIマークをつけていて、これが日本が誇るべき神戸牛ですというものが、信頼性が損なわれる。ですので、これを非常に危惧をしております。

 ぜひ、政府におかれましては、こうしたところも御調整をいただいて、スムーズに、そして農業者、畜産家、あるいは水産業、水産加工業の皆さんがどんどんこのGIマークを使いながら世界に打って出られる環境づくりにお取り組みをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木主査 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮澤博行君。

宮澤分科員 自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、予算委員会のこの第六分科会において発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

 予算委員会そのものでは、経済や財政全般、政策の全般の方向性が議論されているわけでありますから、この分科会においては、個々の施策の細かいところを吟味、ぜひそれをやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私、静岡の選出でございます。ですので、割と静岡に関連のある質疑になってしまうかもしれません。まずは、お茶関連の支援対策についてお聞きをしたいと思います。

 静岡において、お茶の産業は非常に疲弊しているのが現実であります。もう大臣も御理解いただけるとは思いますけれども、売り上げをお茶農家の方に聞いてみますと、やはりピークは十年ぐらい前だった、平成十五年から十七年ぐらいがピークだった、今はその二分の一から三分の一ぐらいになってしまっているという話を聞きます。

 実際、生産量のピークはやはり平成十六年、十万トンだったんですね。そして、そのときの一人当たり消費量もピークでして、一年間に九百十五グラム。今や、現在、国内生産量は八万三千トン、そして一人当たりの消費量は六百六十二グラムということで、これは三分の二に落ちているわけですね。

 お茶全体として苦しい状況にあるのは間違いないですが、静岡そのものも苦しい状況というのは実は原因がございまして、まずは、お茶、リーフで飲む需要が減少してきている。急須で飲まない、ペットボトルで飲んでいるというのが、これはもう全般的な流れなんですけれども、実は産地間競争が非常に激しいのもお茶の業界の現実でございます。

 特に、大臣には申しわけないんですが、南から春が来るんですよ。南から春が来る。そうすると、お茶がとれるのも、南からとれてくる。新茶は、高いのは、南のお茶の方が高くついてしまうというのが現実でありまして、一応、第一の産地を自認している静岡であっても苦しい状況になってしまう。

 それから、三つ目の低迷の原因は、東日本大震災なんです。実は、静岡において放射性物質が検出されてしまいました。この東日本の前は放射性物質の検出そのものがなかったものですから、その後検査してみたら出てしまった。これによって、静岡のお茶が消費者からうんと離れてしまったという現実があります。

 ですので、需要の減少、そして産地間競争の現実、そして東日本大震災という三つの要因が静岡においてはあるということをまずは御理解いただきたいなと思います。

 その中で、やはりやらなければならないのは、これはもう決まり切っています。需要の喚起と供給の、供給に関しては、もう調整に踏み込まざるを得ないというのが現実であります。そういう点において、まずは供給の方から質疑をさせていただきます。

 今回、茶支援関連対策十四億五百万円が計上されていますけれども、茶園整理、担い手への集約等に伴う茶園の整理等に対し支援という文言がございます。まず、この要件、どういうふうな要件になっているのか。それから、この茶園整理の支援そのものに対しての予算総額はどれほどあるのか、そこのところをまずは御答弁いただきたいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、非常に最近厳しい、荒茶価格が低迷するという中で、茶園の若返りや優良品種への転換のための改植や新植への支援ということに加えまして、平成二十八年度から新たに茶園整理、いわゆる抜根にも支援を行い、荒茶品質の向上と価格安定を図ることとしております。

 まず、予算額でございますけれども、このため、改植、新植、茶園整理等を含め、平成二十八年度予算案では六億五千七百万円を計上させていただいております。

 その中身でございますけれども、茶園整理への支援に当たりましては、地域の茶の生産者グループの皆様に、他作物への転換あるいは担い手への集積、そういうものを目的とした茶園整理を含めた地域全体の茶園の今後の経営方針をまとめた計画、品質向上戦略を策定していただくということが要件になっております。

 経営の継続が困難となった茶園についても、この品質向上戦略を策定する中で、当該茶園の今後の土地利用の方向を示していただくことにより、本支援の活用が可能というふうになっております。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 一番最後に御答弁されたところが非常に地元で気になっているところなんですね。つまり、年齢的に、体力的にもうできないということ、それから、放っておくとどんどん伸び放題になってしまって、そこから害虫がほかの畑に行ってしまうということがあるわけですね。ですので、抜根をして他品目への転換ができるのかできないのかわからない、ぎりぎりの農家さんがいらっしゃるんですよ。

 それに対しては、どのような計画、どのようなカテゴリーの中で抜根の支援が許されるのか。もう少し、ここのところを具体的に御答弁いただけますでしょうか。

今城政府参考人 この事業の適用に当たりましては、確かに、現場でお困りの、そういうぎりぎりの状況ということはあると思います。

 ただ、私どもも、やはり基本的には茶園の後を担い手なり他作物に使っていただくということが大前提でございますけれども、その中で、ほかの方への経営移譲ですとか、そういうことも含めて地域全体で利用計画をつくっていただくということになりますので、その農家さんがどうかということだけではなくて、その地域の方々との関係でしっかりとした計画が策定できているかどうかというところを見きわめさせていただいているということでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 その場その場、その地域に応じてということで、ぜひ柔軟に御対応をお願いしたいなと思います。

 さて、供給側について話はしましたが、需要側についてもちょっとお聞きしておきたいところがあるんです。

 まず、需要といっても、輸出というものがありますね。お茶の輸出は、五十億五千万円から百五十億円へというふうな目標が掲げられているんですけれども、非常にこれは野心的な数字だなという感じがいたします。

 特に海外へ輸出するときには、農薬の基準というものが非常に難しくなっています。EUの基準が一番厳しいと言われておりまして、今まではEUで認められている農薬を国内で使うように勧められてきたという状況でありますが、日本の農薬を海外でどう認めてもらうかについては踏み込むのか踏み込まないのか、まずはこれが一点目です。

 二点目、煎茶、我々は煎茶を飲んでいただきたいという気持ちはありますが、世界的にいうと、抹茶がブランドとして売れているというのもまた現実であります。碾茶、抹茶の支援、これは来年度当初予算に限らないかもしれませんが、これについてはどのような支援があるのか。

 三点目、学校給食なんですよ。牛乳は学校給食で飲むように定められているとはよく聞きますが、お茶も何らかの形で学校給食の中に組み込んでいただきたい。若いうちから、子供のころからお茶を飲む、味に触れるということがやはり消費拡大につながってくるわけでありますので、ぜひそこのところの見解もお聞かせいただきたいと思います。

今城政府参考人 一点目、二点目についてお答えさせていただきます。

 一点目でございます。

 茶の輸出拡大ということで、委員御指摘のとおり、欧米等の残留農薬基準に対応した農薬や天敵の使用などを組み込んだ防除体系の確立ということ、特にEUはおっしゃるとおり厳しゅうございますし、私どもの方からこちらの使っている農薬の登録をする場合に非常に手間と手数料がかかりますので、EUについてはやはりそちらの、EUの方の基準に合わせたような防除体系ということをお願いするということが中心になっております。

 他方、そのほかの国に対しましては、やはり輸出相手国における新たな残留農薬基準の設定申請、これに対する必要な残留農薬データ収集、申請に対する支援ということを行うこととしておりまして、二十七年度補正予算という形で組み入れさせていただいております。

 それから二点目の、抹茶、碾茶の生産に対する支援ということでございます。抹茶の原料である碾茶の生産におきましては、従来の加工処理では茶葉の乾燥に時間がかかってしまい生産効率が悪いということ、あるいは、近年、国内や海外でブームとなっている抹茶の需要増に追いついていないというような状況でございます。

 このため、近年開発されました茶葉の乾燥を短時間で効率的に行う新しい抹茶加工技術の実証を農業者等が行う場合に、これも二十七年度補正予算において新たな助成、補正予算の中に助成事業を組み込まさせていただいております。二億弱でございます。

伯井政府参考人 学校給食についてお答え申し上げます。

 学校給食の献立において具体的にどのような食品を使用するかについては学校の設置者が判断するものではございますが、例えば、茶の生産地におきまして、給食の時間にお茶を飲んだり、あるいは献立にお茶を活用した料理を取り入れたりする事例が見られるところでございます。

 文部科学省といたしましては、学校給食の目標に照らして、今後とも児童生徒が多様な食に触れる機会に配慮し、お茶も含めまして、地場産物であるとか国産食材の活用、あるいは我が国の伝統的な食文化についての理解を深める給食の普及、定着ということで取り組みを推進してまいりたいと考えております。

宮澤分科員 ありがとうございました。お茶関係については以上であります。

 次に、林業関係について質疑をさせていただきたいと思います。

 昨年末の与党の税制改正の中で、森林環境税の導入についても議論がなされました。実は、私も山間部の出身でございますし、ほんの少しではありますが山林も所有しております。子供のころは人力で木材を出しておりました。私もそういう現場に立ち会っていたわけであります。

 そもそもの話になりますけれども、都会の皆さん方は、きれいな空気、きれいな水、どこでつくられているか。これはやはり山で水もつくられているわけですし、空気も森林がつくり出しているわけですよね。ですから、やはり山に対する経費というものは国全体として背負っていっていただきたい、そういう思いが私の中にはございます。それと、山間部の経済等々を見てみても、やはり林業の活性化なくして山間部の活性化はないわけでございます。

 そういう中で、この林業の活性化はどうしていくのか。もう与党の中でもいろいろな施策が出てきておりますし、オリンピックのスタジアムも木材をたくさん使っていこうということになっているわけなんですが、平成二十八年度の施策を拝見させていただいても、いろいろ多岐にわたっていて網羅的であるなと思うわけです。

 私としては、これは十分評価に値するものだなと思うわけなんですけれども、余りに網羅的であるものですから、使い勝手の方はどうなんだろう、重複する部分はないだろうか、森林組合の人がいろいろ迷ってしまわないだろうか、むしろこの施策のPRをちゃんとやっていかないと、せっかく用意したのに消化し切れないことがあってはならないのではないか、そういうことを今回読んで感じたわけでございます。

 そんなわけで、生産側の支援として、ちょっと二、三、お聞きしたいものがあります。

 予算の中に、森林整備事業・治山事業、これは公共ですけれども一千八百億円、次世代の林業基盤づくり交付金、これが六十一億四千百万円、持続的な森林・林業経営対策として十三億二百万円あるわけですね。それぞれの施策において、施策の理念の違いというものはあるでしょうから、ここはやはり整理しておいていただかないといけないと思います。特に新規事業に関しては、ちょっと読んだだけではわかりません。

 例えば、森林整備事業・治山事業の中において路網整備がございます。ところが、次世代林業基盤づくり交付金の中において、新規の事業として、次世代木材生産・供給システム構築事業の中にも路網整備が入っているんです。また、次世代の林業基盤づくり交付金の中に、必要な機械施設の整備というのもあるんですが、一方、持続的な森林・林業経営対策の中に地域林業・木材産業機械設備リース導入支援事業、これも新規事業ですが、あるわけなんです。

 これはどういうふうに事業として仕分けされているのか、そこをちょっと御説明いただきたいと思いますし、それぞれの今申し上げた施策の理念、これも御説明をいただきたいと思います。

今井政府参考人 林業関係の支援策についてお答えいたします。

 林業関係の支援策につきましては、例えば公共事業ですと森林整備事業や治山事業、非公共の施設整備を行う事業ですと次世代林業基盤づくり交付金、そして、非公共のいわゆるソフト事業ですと持続的な森林・林業経営対策など、趣旨、狙いに照らして多様な事業を用意しているところですけれども、こうした事業におきましては、御指摘のとおり、一部メニューが重複しているように見えるものがあるのも事実でございます。

 我々といたしましては、いろいろな林業現場における事業者のきめ細かな要請に応え得るような、そういう事業として工夫をしながら用意しているものですけれども、例えば路網の整備について申し上げますと、公共事業の森林整備事業におきましては、不特定多数の人が利用する大型車両の走行が可能な、いわば公共的な施設としての林道を一定の補助率で整備する。一方で、非公共事業の次世代林業基盤づくり交付金での路網整備におきましては、林業者等が木材を搬出するために使う簡易な路網を定額で助成して支援するというようなものとして、メニューとして用意をしているものでございます。

 また、高性能林業機械の導入につきましても、次世代林業基盤づくり交付金では、共同利用をする機械を購入する、その支援策として用意をしている一方で、持続的な森林・林業経営対策におきましては、単独でも利用可能で、かつ、初期投資の負担の少ないリース方式での支援を行うメニューとして用意をしているところでございます。

 こうした補助事業のメニューについての工夫につきましては、これまでも、どのような現場のニーズにはどの事業で対応するのが効果的なのかといった点について、都道府県庁や林業関係団体の担当の人にも説明を行ってきているところですけれども、今先生から御指摘ありましたように、補助金の支援策につきましては、使う側にわかりやすく提示して、納得ずくで活用してもらうということが大変重要だと思いますので、今後、さらに一層、よりわかりやすい資料を作成するなど丁寧な周知を図りまして、こうした事業が現場の実情に応じて効果的に活用されるように努めてまいりたいと思います。

宮澤分科員 では、林業について、もう一点お聞きしたいと思います。

 今、これも供給側で質問させてもらいましたけれども、需要側でやはり数点お聞きしたいと思います。

 新たな木材需要創出総合プロジェクト、十二億一千五百万円があるわけですね。その中に、CLT等中高層建築物等の木質化に係る技術の開発・普及、三億六千五百万円あるわけですね。このCLT活用の現状、そして国土交通省との調整の現状、まずこれを御説明していただきたいなというふうに思います。

 それと、もう一点、民間需要の喚起という点でいうと、やはり住宅をちゃんと国産材で建ててもらうということが物すごく重要になってくるわけなんですね。

 私の地元でも、静岡県の西部ですから遠州というんですけれども、遠州住まいの会というのが、木材業者の方々、設計業者の方々、ハウスメーカーの方々、一緒に集まって研究会等々をやっている。非常にこれは活発な運動をされているわけなんですけれども、工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援、これは今まで数年やってこられたと思いますけれども、どうでしょうか、予算の消化ぐあいとして。申請の状況、そういったところもお聞かせいただきたいと思います。

 以上、CLTと工務店等、この二点、お願いいたします。

今井政府参考人 木材の需要側の質問について二点、お答え申し上げたいと思います。

 まず一点目、CLTの普及についての取り組み状況ですけれども、CLTの普及につきましては、林野庁といたしましても、まさに新たな木材需要の創出、それを通じて林業の成長産業化にも資するということで、極めて重要な課題だと認識しております。

 そうした認識に立ちまして、一昨年の十一月に、林野庁と国土交通省とで共同でCLTの普及に向けたロードマップというものを策定し、それに沿って、建築基準の告示の整備に向けた各種データの収集ですとか、施工ノウハウの蓄積のための実証的な建築への支援ですとか、CLTの生産ラインの整備への支援だとか、こうしたことについて、連携しながら計画的かつ総合的に推進してきたところでございます。

 このうち、ロードマップで二十八年度早期にとされておりました建築基準の告示につきましては、これまで得られた知見やデータを踏まえまして、国土交通省におきまして、四月ごろの告示の施行に向けて、現在パブリックコメントを実施中というふうに承知をしております。

 これによりまして、建築基準の整備がなされますと、いよいよCLTが実際に建築物に積極的に活用されていく、そういうことに課題が移っていくわけですので、今後、さらに国土交通省と連携しまして、例えば、CLTの普及が円滑に進むように、設計者への講習をするだとか、あるいはCLTの生産ラインをもっと増強していくだとか、そういった面の課題の対応に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 もう一つ、地域材の活用に関しまして、工務店、林業、木材加工業の連携、そういった点についての御質問がありました。

 住宅分野は国産材需要の過半を占めております。したがいまして、住宅分野での木材利用の促進というのが、地域材の需要を喚起する上で極めて重要な課題だと考えております。

 特に、住宅のうちの木造住宅、その供給におきましては、大手の住宅メーカーよりも、むしろ地域の中小の工務店が主要な担い手となって地域材を積極的に活用してもらっているというのが実態でございますので、平成二十六年度の補正予算から、工務店等と地元の林業や製材業の連携を進めて地域材を活用した住宅づくりを進める、そういった予算面の支援を行っているところでございます。二十六年度の補正予算におきまして五十五の取り組み事例、二十七年度の当初予算におきまして二十二の取り組み事例ということで、非常に活発に活用していただいているところでございます。

 二十七年度の補正予算の地域材利用拡大緊急対策事業、そして今御審議いただいております平成二十八年度の予算案の新たな木材需要創出総合プロジェクト事業の中でも、地域材を活用した住宅の消費者向けの展示会の開催ですとか、山から製材所、工務店へ安定した木材を供給する体制の整備ですとか、より意匠性を高めた木造住宅のモデルづくりですとか、そういった取り組みへの支援を計画しておりまして、これらの取り組みによりまして、地域材を活用した住宅づくりをさらに促進していきたいと考えているところでございます。

宮澤分科員 ありがとうございました。

 では、残りの時間でもう一品、もう一品というか、メロンについてちょっと御質問させていただきます。輸出についてです。

 静岡県は結構メロンの生産が盛んなんですね。全国でも上位の方にランクされているわけなんですけれども、輸出の拡大などグローバルな食市場の獲得について、獲得というのは今回の予算の中にも出てきているわけです。輸出額の拡大として、平成二十六年に六千百十七億円のものを、平成三十二年より前倒しで一兆円の目標を達成しよう、そういう目標が出ているわけなんですが、そういう中において、国別・品目別輸出戦略というものがあるわけなんですね。まず、メロンはその中に含まれているかどうか。

 しかも、これは高付加価値の商品でありますから、輸出にはかなり適していると考えられます。そういう中で、メロンというのは十把一からげではなく、実は産地間競争、産地間のプライドが物すごく高い商品なんですよ。ですので、まずは、輸出も今なされているでしょうが、どういう県から出ていっているのか、そしてどういう国に輸出されているのか。そして、輸出戦略におけるメロンの現状の位置づけと、これから統一的な戦略をとるためにはどういうふうにしていったらいいのか、もしくは、統一的にはとらずに、輸出に関しても産地ごとの競争の戦略をとっていくのか、今後についてちょっとお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

今城政府参考人 お答えいたします。

 現在、メロンの主な輸出先ということと数量でございますけれども、二十七年で、日本全部で三百九トンでございます。香港が一番多うございまして二百六十七トンということで、大宗を占めているということでございます。

 それから、どこの県から出ているかということなんですが、済みません、私ども、この出ているときの統計しかちょっと把握しておりませんで、どの県からというのは県別のデータを持ち合わせていないのですが、聞き取り等によりまして、静岡県、茨城県、熊本県などから輸出されていると承知しております。クラウンメロンも、タイへという取り組みも承知しております。

 輸出についての輸出戦略上の位置づけということでございますけれども、メロン単体でちょっとまだ細かな議論までは至っていないところがございますが、青果物全体で、やはり成長の著しい東南アジア等に着目した市場開拓ということ、あと、国産青果物が海外店舗に周年供給できる体制を確立するというようなことが考えられております。

 その中で、産地間競争のままなのかオール・ジャパンなのかというお尋ねもございましたけれども、やはり、関係者一体となってジャパン・ブランドとして海外へ出ていくということは大切だと思いますし、そのジャパン・ブランドの中で、リレー的に産地がうまいぐあいに出す時期、日本はいろいろな時期がございますので、それを調整していただきながら、やはりジャパン・ブランドとして拡大をしていきたいということを、この輸出戦略の中では盛り込ませていただいております。

宮澤分科員 最後に、ちょっと大きい話になるかもしれませんが、もしお答えできれば大臣にお願いしたいなと思うんです。

 メロンの輸出、私もほんの少しお手伝いさせてもらったときに、やはりトップセールスが東南アジアにおいては非常に有効に機能するなという感じなんですね。高付加価値の産物に関しては、ぜひ御足労いただけるとありがたいなと思うのが一点目。

 もう一つは、木材のところでも触れましたけれども、価格変動なんですね。私、実は商品先物の世界におりました。リスクヘッジするというのはもう当たり前のことなんですけれども、今それがなされているというのは、どうでしょう、お米やほかの産物で収入保険が今後導入されるかどうかでありますが、それは商品先物市場とは全く関係ないリスクヘッジなわけですね。

 この価格変動に対して、これから国としてどういう環境を整備していくのかということと、高付加価値商品に対するトップセールス、この二点について御見解をいただけるとありがたいなと思います。よろしくお願いします。

森山国務大臣 メロンの話でございますが、確かに、日本のメロンは品質が大変評価をされておりまして、いい値段で外国でも取り扱われていると思っております。

 トップセールスの大事さというのは重々承知をしておりまして、八月の十一日から十五日まで、香港でやらせていただきたいというふうに考えております。そういうことを積み重ねていくということが大変大事なことだというふうに考えているところでございます。

 木材の先物の取引のことについては、突然の御質問でございますので答弁の準備がありませんが、少し研究はしてみたいと思います。

宮澤分科員 きょうはどうもありがとうございました。

鈴木主査 これにて宮澤博行君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)分科員 改革結集の会、鈴木義弘です。

 順次質問させていただきたいと思います。

 まず一点目。これはもう数年前の話なんですけれども、埼玉県で鳥インフルエンザがはやったときに、県の職員が総出で養鶏農家が飼われていた鳥を殺処分していったわけなんですけれども、そのときにも話題になりました、移動式のレンダリング装置があったら、そのときもいろいろな、自治体で持っている清掃工場で、鳥を処分したものを焼却処理をするという話もあったんですけれども、自治体の処分場自体がキャパシティーが限られていますから、なかなか搬入できない。また、移動距離が遠くなると、またそれが次の、第二、第三の伝染になっていくということがあって、これはいつ起こるかわからないというのもありますから、都道府県にそれを負担させるのはいかがなものかなというふうに思います。

 お聞きしますと、名古屋に一台のみあるだけで、では埼玉で、千葉で、群馬で何かあったときに名古屋から持ってくるのか、北海道で何かあったときに、まあ、北海道はある程度の敷地があるからいいのかもしれませんけれども、もう少し配慮を、ブロックごとに一台ぐらいずつ、経費もかかりますし、イニシャルコストもランニングコストもかかりますから、国の方で手だてをしてもらうということも必要じゃないかと思うんですが、まず初めにお尋ねしたいと思います。

森山国務大臣 鈴木委員にお答えをいたします。

 家畜伝染病の蔓延を迅速かつ確実に防止するためには、まず患畜または疑似患畜の死体をいかに早く埋却処分をするかということが大変大事なことだと思っておりますが、先生御指摘のとおり、なかなか、用地等の問題もあり、そうばかりも言えないところでございます。

 埋却により迅速に処理を行うことが困難と考えられる場合には、まずウイルスが不活化されるレンダリング処理をすることが有効であるというふうに考えておりまして、先ほど御指摘をいただきましたように、名古屋の動物検疫所に一台、移動式のレンダリング装置を準備しておりまして、何かありましたらトレーラーで運んでいくという体制をとっているわけでございます。

 現時点では、使用頻度や価格等の問題から装置の追加の配備がなかなか難しいところでございますけれども、この装置も活用しながら引き続き家畜伝染病の蔓延防止に万全を期してまいりたいと思っておりますし、鳥インフルエンザ等については、養鶏場の近くにどういう場所があるのかということを明確にしていただくようにお願いをしてきております。

 いずれにいたしましても、家畜伝染病が蔓延をすることのない対応というのは今後もしっかりと心がけてまいりたいと考えております。

鈴木(義)分科員 大臣の御地元はたしか鹿児島だったと思うんですけれども、では、鹿児島で何かあったときに持っていきますかという話になると思うんですね。やはり早期発見、早期対処というのが一番大事だと思うんです。

 これから幾つか御質問させていただきたいと思うんですけれども、ちょっと質問を飛ばしますが、私も経産委員会に二年前に所属させていただいて、大臣が筆頭理事のときに、よく存じ上げているんですけれども、攻めの農業とか収益の上がる農業というのを目指して、今輸出産業でいろいろ取り組まれていると思うんですね。政府がTPPの契機を、ピンチをチャンスに変えて、攻めの農業や農林水産物の輸出を図っていって成長戦略に位置づけていこう、これはごもっともな話だと思うんです。

 そうなんですけれども、お話を聞きますと、昨年のTPPの妥結をするに当たって、一番最後に、交渉事が、私たちは漏れ伝う話なので正確ではありませんけれども、自動車と、あと薬の取り扱い、これが一番難儀をしたという話はお聞きしました。

 その中で、これは先日新聞に出ていた記事なんですけれども、日本の豚肉をブランド化してシンガポールだとか香港に売っていきましょうといったときに、相手方のバイヤーが餌はどこの国のものですかと言ったら、カナダだとかオーストラリアとかアメリカなんですね。トウモロコシを主体に向こうから入れていますから。ではそれはメード・イン・ジャパンと言えないだろうというふうに言われちゃったわけですね。そこで、結局、岩手県の農家の方々は、お米から今度トウモロコシに作付をかえて、それと養豚業者さんが契約をされているんだと思うんですけれども、そういう取り組みをしているというのが新聞に出たんです。

 ですから、これから、今七千億とか六千億とかと言われているのを、一兆円、それ以上に上げていきましょうといったときに、必ず、ブランド化という話になったとき、そのもとは何なんですかと。例えば、TPPのときに、自動車の部品が、四五から五五%の国内でつくった部品を組み立ててあるんだったらメード・イン・ジャパンでいいでしょうということで交渉が妥結しているわけです。ということは、工業製品はそれでいいけれども農業製品は違うよというのはやはりできなくなっていくんじゃないかという考え方です。

 安く大量につくってよそに出していこうということであれば問題ないのかもしれませんけれども、特に差別化をして、高付加価値をつけていって、やはりそれだけ、お客様である所得の高い層を狙って農林水産物を出していくということになれば、もとのところもきちっと取り入れなくてはいけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺について大臣の御所見をいただければと思います。

森山国務大臣 今委員御指摘のとおり、攻めの農政実現に向けては大変重要な課題であると考えております。

 我が国の畜産は、トウモロコシ等の濃厚飼料を多く輸入に依存しているというのが現実でございます。今後、足腰の強い畜産経営をつくっていくためには、飼料用米を初めとした国産濃厚飼料の生産、利用の拡大を図っていくということは大変大事なことだなというふうに思っているところであります。

 私は、先日、岩手県の一関市にお邪魔をいたしまして、ここの養豚の方々と議論をさせていただいたんですけれども、ここは集落営農の方々が飼料米をつくっておられるんですけれども、全農家同じ品種の飼料米をつくっておられまして、なぜこの品種をお選びになったんですかとお尋ねいたしますと、この品種がたんぱく質が一番含有量が多いので、これが養豚農家にとっては一番いいというお話でございました。そして、雄の豚だけにその飼料米を食べさせて、出荷の期間というのが十日間ぐらい短くなるという話でございまして、また、できた豚が非常に品質が評価をされているということでございます。

 飼料米というのはどちらかというと減反政策の一環として始めてきたことはそのとおりだと思いますけれども、今はもうステージが変わってきたなというふうに思っております。いい豚肉をどうつくるのか、いい牛肉をどうつくるのか、いい鶏肉をどうつくるのかという視点に立って、どういう飼料米をつくっていくことがいいのかというステージに変わってきたんだなというふうに思っております。

 飼料米についてはそういう努力をしっかりさせていただくということが大事なことだと思っておりますし、トウモロコシの子実、あるいは子実のサイレージ等の生産というのもしっかりと拡大をさせていただいて、委員御指摘のとおり、飼料も国産のものであって、そして、ブランド力のある牛肉、豚肉あるいは鶏肉というものが国際市場で評価をされるという方向を目指していくということが大事なことではないかなというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 米にこだわる必要はないということですよね。

 どういうわけだか、四十年間か五十年間かわかりませんけれども、減反政策をやってきた中で、どうしてもその考え方がしみついておられるんだと思うんです。省内でも、米を大事にしていった方がいいという考え方の方と、いや、そうじゃなくて、トウモロコシでも大豆でもいいじゃないか、それが何かすごくせめぎ合っている話も漏れ伺うんですけれども、もう多様化の時代だと思うんですね。それを選択してもらうのはその集落であったり経営体の人たちの考え方に少しシフトしていくような形をとっていく。

 農水委員会でも、お尋ねしたときに、最後に、経営者の考え方に任せますというふうに突っぱねるんです、答弁をいただくと。そう言いながら、米はこれだけサポートしますよ、こっちは頑張ってやってくださいと。そうじゃないんだと思うんですね。

 だから、例えばWAGYUというブランドがオーストラリアで横文字になっちゃって、どんどんヨーロッパの方で売られちゃっている、香港も含めて中国にもどんどん進出して、価格帯が全然変わってきちゃっているわけですね。でも味は余り変わらないという話になったときに、少しそこのところも考える時期に私は来ているんじゃないかと思いますので、ぜひ、経営側の考え方に立ったサポートに切りかえていただければなと思います。

 それで、もう幾つか御質問申し上げたいんですけれども、例えば、農家の集落のところにあるのは農業集落排水、厚生労働省が推奨しているのは合併浄化槽、国交省が広域下水処理ということで大きな施設をつくって流域下水を処理している。でも、同じ廃棄物には変わりないんですね。家畜のふん尿については、今度、環境省が所管の廃棄物処理業に該当してくるわけだ。

 そうじゃなくて、これから、では仮に人口密度が今以上に低くなっていって、コミプラの一つである農業集落排水が維持できなくなったときに、では誰が、今まで五十軒でそのコミプラ、農業集落排水を使っていたとします、では二十軒しかもうそこに住まなくなったときにその維持管理ができますかという時代が目の前に来ているんだと思うんですね。そこをやはり、少し地域の実情に合わせたような形で整備をしていく。

 今、インターネットでホームページを見ると、農業集落排水の申請のところが各県ごとにいろいろ出てきます。でも、そうじゃないような気がするんですね。これはなかなか、大臣にお尋ねしても、環境省にお尋ねしても、厚生労働省にお尋ねしても、みんなばらばらにお答えになるんです。では誰が主体でやるのかというところを、やはり横串をきちっと刺して効率のいい基盤整備をしていかないと、これからの人口減少に耐え得る、そしてもうける農業を続けていくのには、やはり、生活をしたりそこで仕事をする基盤を、なるべくコストをかけないような形をとっていかないと生き残っていかないんだと思うんです。

 そこの点について、まず初めにお尋ねしたいと思います。

森山国務大臣 委員御指摘のとおり、汚水処理施設につきましては、公共下水道、あるいは集落排水施設、あるいはまた合併浄化槽等の事業により整備をしてきているわけでありますけれども、これらの事業の効率的な実施を図るために、都道府県が施設の整備に関する構想を取りまとめ、この構想に基づいて市町村等が事業を実施する、関係府省が連携してこれらの地方公共団体を支援するという仕組みをとっております。

 平成二十六年一月には、人口減少等の社会情勢の変化を踏まえ、関係三省で、都道府県構想策定のためのマニュアルを策定いたしました。この中で、施設の未整備地区では、今後十年程度を目標に最適な手法で整備をすること、施設の整備済み地区では、施設の統合を含めた効率的な改築更新や運営管理を図ること等を位置づけまして、その推進を図っているところでございます。

 農林水産省としては、今後とも、関係府省と連携をさせていただきまして、人口減少など社会情勢の変化を的確に踏まえた汚水処理施設の整備、維持管理を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)分科員 例えば、環境省が補助金を出しているんですけれども、合併浄化槽、単独から合併に変えるとか、これは三分の一の補助率があるんです。それは環境省の予算の範疇なんですけれども。

 では、なぜ農業集落排水にこだわらなくちゃいけないのかということなんです。農業集落排水も、広い意味での合併浄化槽なんですよ。でも、その規格に合わないと補助金を出しませんよ、負担金を出しませんよという制度自体がもうナンセンスになってきているんじゃないかということなんです。

 そこのところをきちっとやはり統合をどこかでしていかないと、お互い、立場立場でやっていきますよという話になると、結局同じことの繰り返し。もう一度、御答弁いただければと思います。

森山国務大臣 例えば、公共下水道の処理区域の中に飛び地みたいなところがあって、そこに公共下水道で配管をするとすると相当お金がかかるという現実がございますので、そういう場合には合併浄化槽でも処理をしていただくような仕組みを今つくってきております。

 ですから、我々の農業集落排水事業についても、全てをそれでやるのか、あるいは飛び地のところは別な合併浄化槽でやるのかという選択をしっかり自治体でやっていただいて、そのことに対して我々は補助金なりを交付していくという仕組みを今とっているところでございますので、今後とも、そのことをしっかりやらせていただくということが大事なことだろうと思います。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 では、もう一点です。

 専業農家への土地の集約をしていく、農林公社が主体になって、中間管理機構、県が指定して、そこに土地を集約していこうということなんですけれども、それで生産コストを下げて収益率を上げていこう、これが、おととしですか、法律が改正になって国が今スタートしているんだと思うんです。

 そのときもお尋ねしたんですけれども、水利施設や老朽化した農業施設は、今まで、社会性があるからということで、農業ばかりじゃなくて、環境保全や伝統文化の継承ということで、多面的機能の支払いということでさんざん議論してきたんだと思うんです。

 でも、これからどんどん仮に農地が集約化していって大規模農家がふえていったとすると、大規模農家というのは何かといったら、労働集約型じゃない形をとっていくわけですね。ということは機械化していくわけです、それでコストを下げていく。そうすると、人がいなくなるんです、逆に人がいなくなるんです。

 農地が集約化するのはいいんです。今は過渡期だ、去年からスタートしているんだと思うんですけれども、そうすると、人がいなくなったときに、結局、用水や排水路や、その他のもろもろの堰だとかダム、湖沼も含めて誰が維持管理をするのか。いや、非農家の人にも手伝ってもらうんだというのは、確かにおととしもいろいろ議論はされましたけれども、一回離農した人はなかなか手伝いはしない、それが現実の話だと思うんです。だから、集約化していって、では、悪水路、用水路の管理は誰がやるのか。土地改良がやっているんだというけれども、その土地改良自体の農家も、集約化すればリタイアしていくということなんです。

 そこのところも、やはり十年先、二十年先を考えて政策を打っていかなくちゃいけないんだと思うんですけれども、大臣の今の御所見を伺いたいと思います。

森山国務大臣 農村地域の水路や農道は、農業者が農業生産活動を営む上で必要不可欠な施設であります。また、農業、農村の多面的な機能を維持していく上でも、これらを将来にわたって適切に維持管理していくことが極めて重要な課題であると認識をしております。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、近年、農業者の高齢化等によって、地域の共同活動で支えられた水路や農道等の維持管理に困難を来しつつあると認識をしております。他方、担い手にとっては、規模拡大しようとしても、こうした施設を維持管理する負担の増大がネックとなって発展が阻害されることも懸念をされる状況にあるだろうと思います。

 こうした状況を踏まえまして、平成二十六年度に多面的機能支払交付金を創設させていただきまして、農業者のみならず地域住民等も含めて地域全体で水路や農道等の維持管理を支える共同活動に対して支援を行っているところでございます。

 また、今後の農村地域における高齢化や人口の減少の進行に対応できるように、近隣集落等との連携、旧村や水系単位での連携等による広域的な組織づくりや活動の取り組みも推進をしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)分科員 例えば、私は埼玉県の三郷市というところの出身で、隣に穀倉地帯の吉川市というのがあるんですね。そこの田んぼを持っている人が三郷の人なんです。ことしの一月の挨拶回りをしたときに、三郷の農家の人が吉川に田んぼを持って、今まで隣町で知り合いの農家の人に田んぼの作付をお願いしていたんです。そうしたら、周りがみんなやめ始めた、もうやっていられない、高齢化して。子供もやらない。吉川というところで、地元の農家の人がうちの田んぼをお守りしてくれという話になったら、おたくの田んぼはもう面倒見られない。さあ、どうしましょう。では、その三郷の人がわざわざ吉川に行って田起こしを一緒にやるかといったら、それはやらない。地元でもやはり田んぼをやったり野菜をつくったりしていますから手がない。現実の話だと思うんですね。

 ですから、理想の話をされて、いや、非農家の人だとか一般の地域住民の方にも手伝ってもらえばいいんだ、一万円なり二万円なりお金を出すんだからいいじゃないかという、理想でやったとしても、現実は、さあ、どうしましょうという、これが今の話だと思うんですね。

 そこのところをやはりもうちょっと深く踏み込んでやっていかないと、休耕農地だとか不耕作地、それは、税金をかければ何とかやるだろう、出すだろうと言うんですけれども、そう簡単にはいかないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度御所見をいただければと思います。

森山国務大臣 いずれにいたしましても、水路とか農道とかというものは極めて大事なものでございますので、何とか維持ができるように、今後も、多面的機能支払交付金等のあり方についてもよく検討させていただいて、対応をしてまいりたいと考えております。

鈴木(義)分科員 ありがとうございます。

 また、環境省から大臣政務官もお見えいただいておりますので、時間がないので一点だけ。

 先日、食品加工会社から産業廃棄物処理業者に処理を委託されたものが横流しされて大騒ぎしているんだと思うんですね。製品として流通してしまった事案が報道されているんですけれども、過去にも建物を解体した業者さんが廃棄物を不法投棄したりして公害事件が起きたりするんですけれども、この改善をするために幾つか提案をさせてもらいたいと思うんです。

 なぜこういうことが繰り返されてしまうのかといったときに、今の現行法でいくと排出者責任を問うようになっているんですね。委託契約をきちっと結びなさい、それをやって、では処理をきちっと確認すればあなたの責任は免れますよ。排出者責任でとどめているんですけれども、本来であれば発注者責任を問うようにすればいいんです。廃棄物を出す人にきちっと責任を持たせるという考え方を持てば、今回みたいな、横流しをされて、ああ、ごめんなさいということでは済まなくなる。

 建物を解体する、何かをするといったときに、建物を解体した業者の排出者責任で、そこでとまっちゃっているんですけれども、解体を依頼した、例えば環境省なら環境省が、ある公共事業を入札で業者に委託したときに、業者が不法投棄をしたから業者で終わりじゃなくて、その発注をした環境省が責任を持つということです。

 国もそうですし、都道府県も市町村も、今は発注者責任を問うていないものですから、結局、責任施工という名のもとで業者に全部押しつけているんです、責任を。それを、これからは発注者側もきちっと見届けなくちゃいけませんよというふうに変えれば、今回みたいな事案が次から次に出てくることはないと思うんです。

 それと、もう一つ。宅建業や旅行業のように、業の許可を出す条件として、強制保険の加入や供託金制度を、もう昔から言われているんですけれども、小さい零細業者が多いからそこまではできませんよということで言い逃れをしてきたんですけれども、きちっと、業の許可をやるのであれば、そういったことも法改正も含めてやらなくてはならない時期に来ているんじゃないかと思います。

 それと、もう一点。一般廃棄物と産業廃棄物の定義の見直し、もう現場に即していないんです。例えば、賞味期限が切れたからそれは廃棄処分するんだといっても、それは発注者側の考え方なんですけれども、ではそれが本当に食べられるものなのか食べられないものなのかという判断を誰がするのかということなんです。その定義の見直し、特に品目のくくりが実態に合っていないんじゃないかというふうに言われ続けているんですけれども、直せていない。だから現場で困る。

 そこの三点について御所見を伺いたいと思います。

白石大臣政務官 失礼します。鈴木委員の質問に答えさせていただきます。

 まず、第一点目の産業廃棄物について、発注者責任についての御質問がございました。

 先ほど委員がおっしゃったとおり、産業廃棄物の法でいえば、排出者が責任を負うというのが大原則でこれまで進んできているわけであります。

 しかしながら、御質問の建設廃棄物については、何段階もの下請業者の介在がある場合、その処理責任が曖昧になることもあったために、まず、建設廃棄物については、平成二十二年に廃棄物処理法の改正を行いまして、元請業者に処理責任を一元化するということにいたしております。これは発注者責任とはちょっと違いますけれども。

 ただ、一方で、御指摘のとおり、発注者においても、建設廃棄物の適正処理を確保する上では一定の責任を果たすことが重要であると我々も考えているわけでありまして、このために、適正な処理の費用負担を行う、また適正処理の確認を発注者として必ず行うということで責任を果たしていくということを、都道府県を通じて指導を行っているところでございまして、発注者についても適正な対応をこれからも求めてまいりたいというふうに思っています。

 それと、二点目でありますけれども、賦課金等の話がございました。

 現行の廃棄物処理法において、廃棄物処理業者に対しては、許可申請に際して、その経理的基礎についての審査をあらかじめ徹底的にやっております。また、五年に一回は、その審査に基づく更新も厳しく行っているところでありまして、そのうち、最終処分業者については維持管理積立金というものを義務づけているわけでありまして、万が一不適正な処理が発生した場合には、当該の支障を除去するために、維持管理積立金をその費用に充てることとさせていただいています。これは最終処分業者に限ってなんですけれども。

 引き続き、こうした取り組みについては、委員おっしゃったように、廃棄物の不適正な処理がないように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 最後に、三点目ですけれども、今回の事案についての具体的なことについてはまだ調査中、捜査中でございますので、この場では控えさせていただいておきますけれども、実態に合っていないものがある、実際にそれも認識をしております。

 また、いわゆる産業廃棄物については排出業者、そして一般廃棄物については市町村にその処理責任を今負わせているわけでありますけれども、産業廃棄物については、廃棄物の排出量やその性状に鑑みて市町村で円滑な処理が困難である場合を規定をしているわけであります。

 そうした中で、廃棄物の区分については、実態に即して随時見直してきているわけであります。例えば、平成十九年には、貨物などのパレット、それまでは一般廃棄物でありましたけれども、産業廃棄物にしたり、その前は、いわゆる狂牛病の肉骨粉などを産業廃棄物としたということもございます。

 ただ、委員のおっしゃるとおり、まだまだ実態に即していないところもあるということは我々も認識をしておりますので、引き続き、実態に即して廃棄物の適正処理が確保できるように、適切に対応してまいりたいと思っております。

 以上です。

鈴木(義)分科員 排出者責任を問うというのは、今回の原発の事故も同じです。放射能がまき散っちゃっているのにもかかわらず、ある一定のレベル以上じゃなければ東電も補償もしない。でも、そこに住んでいる人たちがそれをまき散らしたんだったら自己責任でそれを片せばいいんだろうけれども、そうじゃないんですよ。

 だから、行政指導として排出者責任じゃなくて発注者責任を問うだけじゃ、法律のやはり条文がなければ、それに従うということはないんですよ。

鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので、よろしくお願いいたします。

鈴木(義)分科員 ぜひ、そこのところを、法改正も含めて御検討いただきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

鈴木主査 これにて鈴木義弘君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立分科員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 小さな政党ですので、鈴木先生もそうかもしれませんが、きょうもう三つ目になりますが、しかし、大臣初め役所の皆様も、本当に長い時間お疲れさまでございます。

 三十分いただいていますが、通告申し上げている質問は一つでありまして、消費税の話を少しきっちりお話をさせていただきたい、こういう趣旨でございます。

 若干細かいことも多くなると思いますので、大臣、ここは御自分がちょっと説明したいというところはお願いしたいと思いますが、事務方で済むところはもう事務方で結構ですので、のんびりやっていただいたらいいと思います。

 私も、実は不勉強だったんですが、民維クラブの井坂議員が、今月の二十二日の予算委員会で、いわゆる免税事業者の取り扱いはインボイスが入ったらどうなるのかということを話をされまして、ああ、なるほど、こういうことになっているんだなと、私も不勉強だったんですが、改めて勉強させていただきました。

 すると、やはりこれは結構大事な話だなと思っていまして、これは、見ていらっしゃる方もいらっしゃるので、あるいはまた議事録にも残ると思いますから、改めてちょっと簡単に、もう釈迦に説法で、別にここで皆様にお伝えする必要はないんですが、これは財務大臣にも別途伺ったわけですが、まず、農業分野の免税事業者の規模感を御紹介いただけますか。

奥原政府参考人 消費税の関係の免税事業者でございます。

 財務省のデータとはちょっと違うんですけれども、農林省の方では、五年に一回、農林業センサスというものをやっております。これの二〇一〇年の農林業センサスによりますと、消費税の免税事業者、これは売上高一千万円以下の農業経営体ということになりますが、これが百五十五万経営体ございます。全農業経営体の数が百六十八万経営体でございますので、その九割を占めている、こういう状況でございます。

足立分科員 これは農業ですか、それとも農林水産業ですか。ちょっと確認だけ。

奥原政府参考人 これは農業者でございます。

足立分科員 農業者ですね。

 要すれば、いわゆる免税事業者の数については、別の統計で、財務省に質問すると、全国で五百十三万プラスアルファだという御答弁になります。今の話は統計のベースが違いますから余り一緒にしちゃいかぬのですが、そのうち農業者については百五十五万いるということで、非常に大きな規模であります。そもそも課税事業者が三百万ですから、この免税事業者百五十五万、これは非常に大きな数字であると思っています。もちろん、その多くが個人の農業者であったり、あるいは大変規模の小さな者が多いと思いますが、この百五十五万の免税事業者が、今度インボイスが入るといろいろな形に変わっていきます。

 井坂委員が予算委員会の本体の方で指摘をされたのは、これは繰り返す必要はないと思いますが、免税事業者について、納入先について仕入れ税額控除が措置されてきたわけでありますが、インボイスが入ると、仕入れ先から見たときに、仕入れ元が免税事業者なのか課税事業者かによって仕入れ先の納税額が変わるではないか、こういう指摘があって、すると、仕入れ先からすれば、免税事業者から仕入れると納税額がふえて利益が減るので、どうしても課税事業者にシフトをしていくじゃないか、こういう指摘だったわけであります。

 翻って、今ある百五十五万の免税事業者が、何年か後に、インボイスが入った後、どういう位置づけに変わっていくのかということをざくっと整理すると、まず一つは、これもきょう別の分科会でもやりましたが、一つは、もともと仕入れ税額控除をする必要がない、すなわちコンシューマー、最終消費者に納入というか売っているケースですね。これは、いわゆるBツーBじゃなくてBツーCのケース。BツーCのケースは、免税事業者であっても別に誰かに何か追加の納税を強いるものではありませんから全く問題ない、何も変わらないということだと思います。

 それからもう一つは、では、課税事業者になりますよということで、仕入れ元の農業者、一番もとの農業者が、免税事業者なんだけれどもあえて納税をしてインボイスを発出する、それによって仕入れ先が困ることがないようにする、そういうふうに、免税事業者なんだけれども課税事業者にシフトする者というのもきっとあるだろう。

 それから、納入先に不便をかけるんだけれども、ちょっと我慢してくれ、俺は免税事業者だということで、BツーBなんだけれども踏ん張る方もいるでしょう。

 さらに、農業については、例えば農協を通すような場合に、これは農協がかわりにインボイスを発行することによって、免税事業者は免税事業者のまま、納入先が支払う税金は負担がふえない。課税事業者から仕入れた場合と同じように、農協を通じた免税事業者からの仕入れであれば、課税事業者から仕入れた場合と同じような税額になる、こういう特別の規定が今回の消費税の体系の中にはあるということだと思います。

 僣越ながら私の理解をちょっと申し上げましたが、大体そういう理解でいいのか、何かちょっと大きなところで間違いがあるか、あるいは補足があるか。もし、大きな枠組み、コンセプトとして何かあればおっしゃっていただければと思います。

奥原政府参考人 基本的に、先生のおっしゃるとおりだと思います。

足立分科員 ありがとうございます。

 そして、ちょっと難しいと思いますが、百五十五万の免税農業者、これを今私が申し述べたようなグループにあえて分けると、五年後、十年後、どれぐらいのマグニチュードで、その百五十五万の免税農業者が、今申し上げた幾つかのグループに分かれていくわけですが、それは、コンセプト、概念としてはまず同じ意見だということでありますが、どれぐらいの規模感でそれが存在するのか。もし御示唆いただけるところがあれば御答弁をいただきたいと思います。

奥原政府参考人 これも先ほど申し上げました二〇一〇年の農林業センサスに基づいてということになりますけれども、先ほど一千万円以下の農業経営体の数が百五十五万経営体というふうに申し上げましたが、この中で販売を行っていない方もいらっしゃいますので、実際に販売を行った売上高一千万円以下の農業経営体、これが全部で百三十七万経営体ございます。

 この中で農協に対して出荷をしている方がどのくらいいるかといいますと、これが七割ちょっとという感じでございます。この分は、先生が今言われましたように、農協が発行する請求書でもって買った方は仕入れ税額控除ができる、こういう世界になります。

 それから、この百三十七万経営体の中で消費者に直接販売している方、この方々の比率が二割ちょっとという感じでございます。これはBツーCということになりますので、消費者の仕入れ税額控除という概念はありませんので、ここは基本的に問題がなくできるということだと思います。

 特に問題になりますのは、農家の方が、小売業者の方、あるいは食品メーカー、あるいは外食産業、こういったところに直接売っている場合ということになりますが、これの比率が大体八%程度というふうにデータでは見られるところでございます。

足立分科員 ありがとうございます。私としては大変ありがたいというか、今までなかなか数字の規模感がわかりませんでしたので。

 今御答弁をいただいて、農協七割、BツーCが二割強、そして八%がそれ以外だという整理だと思います。

 そういう意味でいうと、農協七割、BツーC二割強は、井坂委員が予算委員会の本体で指摘をしたような問題がそもそも起こらないわけであります。しかし、逆に言うと、その八%、百五十五万の八%でありますから十数万の前半かと思いますが、それだけの事業者の方は、冒頭私からも改めて御説明したような状況に置かれるわけであります。

 その八%について言うと、では、その八%はどうするのか。要は、納入先に不便をかけて、追加の納税を強いることになることを前提にビジネスを続けていくのか、農業を続けていくのか、あるいは課税事業者になるのか、あるいは、今まで農協に納めていなかったが農協を通すことになるのか。この見通しはお持ちでしょうか。

奥原政府参考人 今回の税制改正法案の中では、このインボイスの制度を導入後三年間は免税事業者からの仕入れ額に係る消費税相当額の八〇%を税額控除できるということになっておりますし、さらにその後三年間、今度は同じく五〇%の控除を可能とする経過措置が講じられております。

 ですから、この間に、この八%に相当する農家の方々はこれからどういう形にするか、自分が課税業者を選択するか、あるいは選択しないでインボイスを発行しない形にするか、あるいは農協等を通じて販売するか、こういったことを御判断いただく、こういうことになると思っております。

 現時点でそこの数字がどのくらいになるかの見通しは持っておりません。

足立分科員 きょう実は、財務大臣がいらっしゃる分科会で農水省の方にもお越しをいただいて同じような議論をしました。

 そこで財務大臣と話をしたのは、今、軽減税率を実現するに当たって六千億円足りないというときに、実はその五百万免税事業者全体に仮に課税がされるとすれば、国税だけで三千五百億、場合によっては四千五百、五千億近くの追加の税収が見込まれるわけですが、でもそれは全ての免税が課税事業者になるわけでありませんから、そのうちどれぐらいが追加の税収として想定されるかというような議論を若干財務大臣といたしました。

 そういう観点は、この八%については、では、この八%をどうするかをめぐって、それがマクロの税収、マクロの日本の財政にインパクトを与えるかというと、決してネグリジブルスモールだとは思いませんが、それで何か政策を大きく変更せなあかんようなテーマではないのかなと私も思います。

 一方で、その八%の農業者の方にとっては、さてどうするんだと。実は新聞報道等でもそれについて悩まれているという声が、要は報道ベースで目、耳に入ってきます。そこについてやはり一定のガイドをしていくことも必要だろうと思います。

 先ほど、その八割の控除、五割の控除とおっしゃって、それが何年に、このまま法律のとおり来年の春に消費税が一〇%になった場合の後のインボイスの導入、それから今さっきおっしゃった控除のあれで、事実上そういう今私が申し上げたようなことが迫られていくそのプロセスを、ちょっともう一度丁寧に御紹介いただけますか。

奥原政府参考人 これは財務省からお答えいただいた方が正確かもしれませんが、私の知識……(足立分科員「では、財務省にしましょうか。財務省お願いします」と呼ぶ)よろしいですか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 来年四月からという法案にさせていただいておりますけれども、軽減税率が導入されましてから四年たちましてから、平成三十三年四月にインボイスの導入という形になりまして、そこから三年間が八割、そしてさらに三年間が五割、そしてその先はゼロ割という流れでございます。

 それで、四足す三足す三、十年、今から一年後と足すと十年を超えるという先ほどの御答弁になっているわけです。

 以上です。

足立分科員 すると、ゼロになるのが、もう一度、何年ですか。

矢野政府参考人 制度が発足いたしましてから、つまり来年の四月から十年たったところでございます。

足立分科員 来年というのは二〇一七年でありますから、二〇二七年にゼロになるということでありますね。それはゼロということですから、今、きょう私が御紹介したようなプレッシャーが、十割きいてくるということで、もちろん少しずつきいてくるわけですけれどもね。

 それで、それぞれの選択肢を、踏ん張るのか、農協などなど、間にそういうものが介在をする、そういうルートを新たに持つのか、いろいろな選択肢があると思いますが、一つやはり気になるのが、要は、今まさに先ほど御紹介があったように、この八%の方々というのは農協を通していないわけですね。それが、農協を通すとこういうことに悩まなくてよくなるわけですね。

 すると、八%の方々には、農協を通した方がいいよというようなプレッシャーが言外にも、場合によっては言内、すなわち言葉として、実態、事実としてそうなんですから、法のたてつけとして、農協を通した方がいいよということになるわけですが、制度としてそういうプレッシャーが当初から働いていくということを私は想定しますが、それはそういうことが起こると思っていていいですか、それか、そういうことは起こらない、どうでしょう。

奥原政府参考人 現在農協を通さないで販売されている方々の大体の動機ですけれども、やはり一円でも高く売りたいというお気持ちがおありになって、農協を通すよりも自分で直接売った方が有利に売れるという判断で直接取引をされている方々が相当多いのではないかと我々は見ております。

 農協を通してやることになれば、インボイスを発行できないことによる不都合は確かに解消いたしますけれども、農協を通して売ったときに、その農産物が幾らで売れるかという問題が一つございます。それから、農協を通した場合にやはり手数料も取られるということになりますので、そういったことを総合的に勘案して、どちらが本当に有利であるかという判断をされるということに一つなると思います。

 それから、一つ、農業経営体の方向といたしまして、我々は、できるだけ自立して、農業でもってきちんと生計が立てられる経営体を目指していく、そういう方向を模索しております。

 ということになりますと、やはり売上高をできるだけ上げていくという工夫も必要になってまいりますので、そうなっていくと、一千万円を超える、免税業者でなくなってくる、当然に課税業者になる、そういう方向にだんだん進んでいく、そういう要素もあるというふうに考えております。

足立分科員 私、もともと農業を専門としているわけではないので、今の御指摘、興味深く拝聴しましたが、ちょっと確認ですが、今、できるだけ自立してというのが政策の方針だというときの自立というのは、要は、課税事業者になれるぐらい、相応の規模で成長していくことを目指しているという趣旨か、農協を通さずに、個の、個々の農業者として自立していくのか、基礎知識が足りないので、どちらの意味ですか。

    〔主査退席、宮澤主査代理着席〕

奥原政府参考人 その点は、農協を通すかどうかはいろいろな御選択があると思いますけれども、基本的に、その経営者の方がきちんと農業でもって相当の所得を上げて、経営として発展できる、要するに、農業を成長産業にして、ひとり立ちできる産業にしていく、そういう方向での政策ということでございます。

足立分科員 さらに、申しわけありませんが、すると、農協を通すのか通さないかということについては、政府は、農水省は、これは中立だということでいいですか。

奥原政府参考人 その点は、基本的に中立だと考えております。

足立分科員 私がやはり気になるのは、農協が、これから農協法も変わって、農協自体が変わっていくわけですが、やはり今回の農協改革の趣旨を踏まえると、何か農協を通すことを殊さら強いるということは余り適当ではないと思いますが、一方で、先ほど申し上げたように、農協を通せば全て解決するんですね、きょうの指摘の点については。

 もちろん、先ほど御答弁いただいたように、個別の農業者が必ずしもこの問題を解決するためだけに判断しているわけではなくて、できるだけ所得を上げていこう、できるだけ経営を拡大していこう、あるいはいいものを消費者に提供していこう、そういう思いでやっていらっしゃるわけですから、必ずしもそれだけではないと思いますが、これだけ日本じゅうが、消費税をめぐって、買い控えとか、いろいろなマーケットが、消費税増税をめぐって世の中がどう変化するかについてこれだけ細心の注意を払って、大議論を予算委員会で展開していく中で、この八%の方が農協との関係でどう動かれるかということは、やはり適宜判断してくださいということでは済まないし、農協によっては、農協に入ればこの問題はなくなりますよというPRをするかもしれません。

 これは、もし仮に農協が、営業行為の一つとして、消費税に絡んで、消費増税になるとこういう問題が起きるが、農協を通してもらえればこういう問題は起きないんですよということをPRするようなことがあれば、それは是とするのか、やはり不適当な行為だとするのか、この評価はどうなりますか。

奥原政府参考人 それも一つの事実関係として、農協を通せばインボイスを発行できないことによる問題点が解消される、そのこと自身は事実だと思います。そのことを説明されることがいけないという話ではないと私は思います。

 一方で、昨年通していただきました農協改革の考え方は、農協が本当に農家にとってメリットのある組織になる、農産物をできるだけ有利に販売するし、資材についてはできるだけ有利に調達をするということができる組織になっていこうという改革を進めているわけでございますので、その精神に沿って農協も改革をしていただきたいと思いますし、農家と農協がきちんと話し合いをしながらその方向に進めていただく、これが必要だと思います。

足立分科員 ありがとうございます。大変明快なお答えだと思いますが、私は、この点は本当に重要だと思っています。

 というのは、やはり今まさに御答弁いただいたように、農協がしっかりと経営改革をしていく中で、農協にさまざまな農業者が集まり、そして輸出を含めて日本の農業が大きく発展をしていく、そのインフラとして農協の皆様の活動が発展していく、これが一番いいわけです。

 ところが、今私が改めて御指摘申し上げたように、消費税の導入がそれのきっかけとして、流用するというか、悪用でもないな、おっしゃるように事実ですから、それを農協がPRすることは、うそを言っているわけではない。でも、農水省あるいは政府の本意ではないと思うんですね。消費税導入を機に、それが圧力となって、さまざまな自立した経営者が、農業者が農協に集まらざるを得なくなるということは、まさに今御答弁いただいた農協改革の本旨ではないと思うわけですね。

 ところが、インボイスの、農協を通せばという今回の税法の規定は、たまたまインボイス導入前にその規定がどういうふうに使われていたかというと、免税事業者が請求書を発行するのが大変だから、農協がかわりにやってあげますよという単なる手間の問題だったんですね。以前の制度は単なる手間の問題だったんです。免税事業者の手間を農協が助けてあげますよという、単なる支援だったんです。

 ところが、この税法が成立をして、そしてインボイスを農協がかわりに発行することを通じて、今まさに、ずっと三十分議論してきたような実益が、現ナマの、言葉が悪いかな、実額のインセンティブが八%の農業者に働くわけです。

 したがって、恐らく農水省、政府は、従前の制度と今回の制度は、従前から同じ制度があったんだから今回も同じそれを延長するだけですよと思っているかもしれませんが、今まで単に手間を省くためにやってきた制度だったんだけれども、これが消費税のあり方に係る、実額にかかわる、経営の実体にかかわる話になるんですよ、これは新しい制度ですよ、従来の制度を流用はしたが全く新しい制度だというふうに私は認識していますが、どうですか。

奥原政府参考人 確かに、インボイス制度の導入によりまして、従来と同じことをやってもその性格が違ってくるということは事実かなというふうには思います。

 ですが、多くの方々が農協を通して出荷をされているという事実もございますので、そこにとって困ったことにならないように、この消費税の変更に伴うきちんとした経過措置もやはり必要なことだというふうに考えております。

足立分科員 もう最後にしますが、結局、これに私がこだわるのは、私だけだったら私の不徳のいたすところでありますが、世の中の人は、いわゆる食品とかそういうものは軽減税率ですね、でも、それ以外は、外食を含めて、いわゆるレストランで何かを食べる、それは普通の一〇%になると思っているわけです。

 ところが、今の制度でやると、農業の大宗が、農業者の大宗と言ってもいけませんが、百五十五万農業者は免税事業者である。本来、これが、インボイスが入れば、基本的には誰かがその分の、農協とかそういう問題がない普通の産業においては、誰かがその消費税を全部払うようになるんです。納入先が免税事業者の分も払うんです。それが普通の世界です。

 ところが、農協についてだけは、今申し上げたようなルールのもとで税収が減るんです。財務省、そうですね、税収が減る。まず、軽減税率以外のところで、一〇%だと思っているところについても農協を通す部分については、税収が、本来一〇%だと思っている税収からすれば減る、これはそのとおりですね。

 ちょっとわかりにくいですか。もうちょっとしゃべりましょうか。

 もう時間が来ちゃいましたが、要すれば、八%から一〇%に上がるわけです。ところが、農協を通じると、免税事業者の分は、免税事業者は税金を払っていないにもかかわらず、インボイスが発行されて、仕入れ税額控除の適用対象になる。その仕入れ税額控除の分は誰も納税しないわけですね、その控除分は、農協を通していれば。その分は税収が、本来普通の人が思っているよりも減りますね。

宮澤主査代理 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

足立分科員 またやりましょう。

 きょうはありがとうございました。

宮澤主査代理 これにて足立康史君の質疑は終了いたしました。

 次に、河野正美君。

河野(正)分科員 おおさか維新の会の河野正美でございます。

 今、ちょっと答弁の方は準備中かと思いますが、まず、違法伐採についてお尋ねをいたしたいというふうに考えております。

 二〇二〇年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けた新国立競技場の整備を初めとして、建設における木材の活用が進んでおります。その際には、国内の木材を多く利用されることに大きな期待が寄せられているかと思います。

 そこで、まず、近年の国内における木材の利用状況、その傾向について教えていただきたいと思います。あわせて、国外から輸入されている木材の量の推移についてもお答えいただきたいと思います。

今井政府参考人 木材の利用状況及び輸入の状況についてお答え申し上げます。

 まず、我が国の木材の利用状況についてですけれども、長期的に低落傾向にありましたけれども、リーマン・ショック後の景気後退により国内の木材需要が大幅に減少した平成二十一年に約六千五百万立方となった翌年からは、大体七千から七千五百万立方で推移をしている状況でございます。

 一方、木材の輸入の状況ですけれども、近年、五千から五千五百万立方で推移している一方で、国産材の供給量について、戦後造成した我が国の人工林資源が利用期に達していることなどから増加傾向にありまして、平成二十一年の千八百万立方から平成二十六年には二千四百万立方と、国産材の利用が増加傾向となって、自給率が三〇%を超えるなど、我が国の林業に明るい兆しが見えてきているというのが現状でございます。

河野(正)分科員 TPPにおきまして、違法伐採に関する行政措置の実施が規定されております。我が国はどのような対応を考えているのか、現時点での政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、TPP協定の環境章におきまして、木材生産国の環境破壊や地球温暖化の進行などさまざまな問題を引き起こす違法伐採について、各国による違法伐採の抑止に働く効果的な行政措置の実施等が規定されたところでございます。

 このため、日本といたしましても、平成二十七年度補正予算におきまして、合法木材の利用促進のための普及啓発ですとか、事業者が取引する木材の合法性を判断するために必要となる現地情報の収集、提供などを予算として措置しまして、違法伐採対策を強化していくこととしているところでございます。

河野(正)分科員 また、TPP締結が我が国の木材取引に与える影響をどのように見込んでおられるのかをお聞かせいただきたいと思います。

今井政府参考人 このたび大筋合意いたしましたTPP協定におきまして、合板、製材等の林産物につきましては、現在の関税率が一〇%以下となっている中で、長期的な関税撤廃期間の設定ですとか、セーフガードを措置したところでございます。

 したがいまして、TPP合意による影響は限定的と見込まれておりますけれども、他方、長期的には国産材の価格の下落も懸念されるところでございます。

 このため、合板、製材の生産コスト低減等によりまして国際競争力を強化していく、そうした観点から、平成二十七年度補正予算におきましては、大規模、高効率の加工施設の整備、あるいは原料供給のための間伐、路網の整備などを措置しまして、川上から川下までの体質強化対策を講じることとしております。

河野(正)分科員 違法に伐採された木材が流通している問題につきまして、我が国は、二〇〇六年、政府調達における合法木材ガイドラインを定めるなどの取り組みを進めてきたと思います。

 現在までの取り組みとその成果、課題について、政府の見解を教えてください。

今井政府参考人 御指摘のとおり、我が国の違法伐採対策の取り組みといたしまして、平成十八年に、グリーン購入法に基づきまして、国が調達する木材や木材製品は合法性が証明されたものに限るということにするとともに、林野庁におきまして、木材等の合法性を証明するためのガイドラインを定めたところでございます。

 このガイドラインに沿いまして、合法木材を供給する事業者数、平成十八年には約五千でしたけれども、平成二十七年には約一万二千まで増加しておりまして、合法木材の供給体制が整備されてきているというふうに認識しております。

 一方、木材の需要者や消費者の間に、違法伐採問題や合法木材に対する関心が必ずしも高いとは言えない状況でございます。また、グリーン購入法に基づく政府調達分野以外では、合法木材の利用へのインセンティブが小さいのではないかというようなことも指摘されております。

 このため、セミナーの開催ですとか、展示会への出展ですとか、ホームページでの情報の提供ですとか、そういったことによりまして、民間企業あるいは一般消費者に対する合法木材の普及に努めているところでございます。

河野(正)分科員 二〇一三年には欧州連合がEU木材規則を施行し、民間事業者も対象として、違法木材の輸入や取引を禁じるといった動きが進んでいます。我が国は、現在、政府調達レベルのみにとどまっており、民間事業者にもその対象を広げる必要があるのではないかというふうに考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、我が国におきましては、グリーン購入法に基づきまして、政府調達について合法木材の証明の仕組みを導入しているところでございます。

 このような中で、合法木材の取り組みの対象を民間需要に広げていくということは重要と考えておりまして、平成二十七年度補正予算におきましては、これまでも実施してきた消費者や実需者に向けた普及啓発イベントや研修等の取り組みの規模を大幅に拡大するなど、こうした民間分野における合法木材の需要拡大を図ってまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 伐採された木材が違法なものであるのかどうかという判断をするのは、基本的に生産国が証明するということになるかと思います。現在の取り組みにおきまして、木材の合法性がどのように担保されているのか。

 例えば、証明する生産国において汚職であるとか腐敗が横行していて、実質的に合法性の証明とならない、そういった実態もあるかと思います。その点をどのように認識されているのか、伺いたいと思います。

今井政府参考人 現在、我が国におきまして、木材の合法性につきましては、いわゆる森林認証制度のほか、生産国の伐採許可制度ですとか輸出許可制度に基づく証明書によって合法性を確認しているのが実態でございます。

 その際、今先生から御指摘がありましたように、生産国における合法性の証明の手続が汚職だとか腐敗がなく適正に行われているかどうか、我が国において把握することに限界があるのも事実と認識しております。

 しかし、一方で、証明書が添付されているということは合法性の確認のための基礎的な要件になるというふうに認識をしておりまして、今後、輸入材を含め、より多くの木材に合法性の証明が添付されることを目指して、さまざまな取り組みに努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、二十七年度補正予算におきまして、生産国の関係法令の運用状況を把握するため、調査事業を行うこととしているところでございまして、生産国の状況の把握に、より一層努めてまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 そういった生産国の方で証明書が出れば、もうそれで、それ以上はなかなか難しいということかもしれませんが、やはり、生産国の環境破壊の面であるとか、あるいは我が国の森林をきちんと育成していく、森林業を育成していく面からも、この辺はしっかりとやっていただきたいなと思います。

 今後、海外で違法に伐採された木材の流通を防止するための法制度をつくる上で、木材生産国の政府機関など、伐採や輸出について許認可権を持っている機関が発行した証明の内容がその実態を反映していない場合も予想されます。

 若干重複しますが、そのような合法性に疑いが生じた場合、どのような対応策があるか、お聞かせください。

今井政府参考人 今委員の御指摘のような課題があるということも事実と思います。

 そうしたことを踏まえまして、現在、自民党の違法伐採対策ワーキングチームにおきまして、違法伐採対策について、議員立法での制度面での検討も行われております。

 林野庁といたしましても、そうした動きをきちっと注視しながら、与党との調整に努めてまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 国内において木材の需要が高まる中で、供給が追いつかずに違法伐採された木材が使用されることとなれば本末転倒であり、海外からも我が国が違法伐採を助長する国との批判を受けかねないというふうに危惧いたします。そのような事態を招かないように、万全の体制をとっておく必要があると思います。

 違法伐採対策について、森山大臣の御見解と決意を伺いたいと思います。

森山国務大臣 河野委員にお答えを申し上げます。

 違法伐採問題は、地球規模での環境保全、持続可能な森林経営の推進にとって、極めて重要な課題であると認識をしております。我が国としても、違法に伐採された木材は使用しないという基本的な考え方に基づきまして、そのための取り組みを推進してまいります。

 具体的には、合法木材の利用促進や、現地情報の収集、提供を通じた事業者への支援などに引き続き積極的に取り組んでいくとともに、我が国では適切に森林管理がなされており、国産材のより積極的な活用が違法伐採材を使用しないことにもつながりますことから、我が国における木材の安定的かつ効率的な供給体制の構築にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 先ほどもお話ししましたように、やはり生産国において違法伐採がされるということは環境破壊にもつながってまいりますし、我が国の森林をしっかり守っていくという意味では、今、全国各地で大規模な災害等、土砂崩れであるとか大雨による被害が起きておりますので、そういった意味も含めると、この辺をしっかりと頑張っていただくのが大切なことだと思っております。

 森山大臣におかれましては、質問はこれだけでございましたので、休憩されて構いませんので、どうぞ退席ください。

 次に、太陽光発電に関してお尋ねをいたします。

 二月十六日の朝日新聞に、二〇〇五年に行われた愛知万博の会場であった海上の森に隣接する森林で太陽光発電施設が建設されたという報道がありました。

 海上の森は、万博の際の環境影響評価で、オオタカなども生息する生物多様性保全上重要な場所であることが判明し、その保全措置がとられてきた場所でございます。その隣接地とはいえ、こうした場所に新たな大規模開発が行われるというのは、これまでの保全の取り組みを無意味にしかねない極めてゆゆしき問題と考えますが、事実関係と見解を伺いたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 愛知県瀬戸市の海上の森に隣接する私有地二ヘクタールにおきまして太陽光発電施設が設置された事案については、我々も報道で知ったところでございます。

 現在、愛知県に事実関係及び経緯を照会中ですけれども、現在先方でも調査中との回答でございます。したがいまして、森林法における林地開発許可対象となる開発かどうかも不明な状態でございます。

 現在、愛知県からの報告で把握している大まかなところについて申し上げますと、まず、平成二十五年一月に、事業者が瀬戸市に対して、市の土地利用調整条例に基づき開発協議を行いました。それに対し、七月に、瀬戸市は事業者に対し、その土地が万博の理念を継承する地域であることを理由に、条例に基づく中止勧告をしましたが、平成二十六年から二十七年の間に、事業者がこの中止勧告に従わず太陽光発電施設を設置し、そのことが今年になって二月に報道されたという経過だというふうに聞いております。

 現在、先ほども申し上げましたように、愛知県及び瀬戸市が現地調査をし事実確認等を行っているところでございまして、農林水産省といたしましても状況の把握に努めた上で適切に対処してまいりたいと考えております。

河野(正)分科員 私も、実は大学がこの近くだったので非常に親しみ深い土地でございまして、そこに、せっかく愛知県の、愛・地球博ということで守ってきた土地が、そういった状態で侵されているという状況はちょっと看過できないのかなというふうに思います。現在調査中ということでございますので、しっかりと見守ってまいりたいと思います。

 現行のアセス法では、一度、環境影響評価によって影響を回避したり低減したりした場所について、その後も継続的に保全措置等をとるといった規定がないのは問題ではないかと考えます。

 今回のような事例は他の地域でも起こり得る問題だと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 都市近郊の里地里山は身近な自然環境として重要であるというふうに考えております。

 環境省といたしましても、このような地域における生物多様性の保全が図られるよう、地域の状況に応じまして、自然公園等の指定でありますとか、あるいは自然環境に係る基礎的な調査結果の公表などの情報提供、あるいは、環境省において、生物多様性保全上重要な里地里山の選定、公表等を通じた地域における保全活動の支援など、さまざまな手法による取り組みを行っているところでございます。

 環境省といたしましては、都市近郊の里地里山保全につきまして、地元自治体とも連携しながら、このような取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)分科員 そもそも、太陽光発電につきましては、現行の環境影響評価法の対象事業になっておりません。

 例えば、長野県霧ケ峰では、十メガワット、パネル四万枚、面積で約十六万五千平方メートルもの森林を伐採してのメガソーラー計画があるということであります。環境アセスの対象ではないために、長野県では独自に条例を改正して対応しているということでありますが、こうした事例が、国立公園などの保護区ではない場所で多く計画されていくことが容易に想定できるわけであります。

 環境省として、環境影響評価法を改正して太陽光発電事業について対象事業とすることなど、見直しを検討されているのかどうか、伺いたいと思います。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の太陽光発電につきましてでございますけれども、環境影響評価法に基づく対象にするためには、規模が大きくて、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を対象としておりまして、御指摘の太陽光発電につきましては、例えば、他の法対象事業の環境影響と比較して、現時点では環境影響が著しいとまでは言えないのではないかというふうに考えておりまして、法の対象とはなっていないところでございます。

 しかしながら、先生御指摘いただきましたとおり、法の対象ではない事業につきましても、地域の実情に応じて、自治体が条例に基づく環境影響評価制度を設けている場合もございまして、環境省といたしましては、このような自治体の取り組みにつきまして、自治体間の情報交換の場を設けるなどの支援を行って、適切な対応がとられるように進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

河野(正)分科員 自治体によって条例で対応ということだと思いますけれども、法律があるわけですから、やはりしっかりとその辺をきちんとして、抜け穴が余りあってはならないのかなと。特に、再生可能エネルギーは促進していかなければならないというふうに考えておりますので、そういった意味でしっかりと対応していただきたいと思います。

 また、こうしたメガソーラーの開発では、保安林解除や農地転用といった農林水産省の所管する施策とも関連するというふうに思われます。農林水産省は、森林や農地等における太陽光発電施設設置に当たり、どのような姿勢で対応されているのか、伺いたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、森林や農地は、国土の保全、水源の涵養、食料供給など多面的な機能を有しておりまして、これらの機能を持続的かつ高度に発揮させていくことが重要であると認識しております。

 こうした観点から、森林法におきましては、水源の涵養、災害の防止等の目的を達成する上で特に重要な森林を保安林として指定し、一定の伐採や開発等を規制しているほか、保安林以外の民有林についても、一ヘクタールを超える開発行為は都道府県知事による許可制としているところでございます。

 また、農地についてでございますが、農地につきましては、農振法に基づきまして農用地区域をゾーニングする、あるいは農地法に基づきまして農地転用許可の制度を持っているということによりまして、集団的な農地や土地改良事業を実施した農地等の優良農地の確保を図りながら、太陽光発電設備等への転用需要を農業上の利用に支障が少ない農地へ誘導しているという政策をとっているところでございます。

 農林水産省といたしましては、森林や農地の有する多面的機能が十全に発揮されるよう、森林法や農地法等の適切な運用に努めていきたいと考えているところでございます。

河野(正)分科員 太陽光発電施設は立地トラブルだけではありませんで、例えば福岡県柳川市では、昨年八月、台風十五号の影響により、強風でソーラーパネル約百五十枚が骨組みと土台ごと吹き飛んで、近隣の民家にぶつかったということであります。幸い人的な被害は出なかったようでございますが、ソーラーパネルの近くで生活する方々にとっては大きな不安となると思います。このようにソーラーパネルが吹き飛ばされる事案は、福岡のみならず全国各地で見られるというふうに聞いております。

 なぜこういった問題が生じるのか。設置工事に当たり、強風でも吹き飛ばされないための基準のようなものがあるのかどうか。また、あるとすれば、なぜこういった被害が生じてしまうのか。原因をどのように分析されているのか。また、対策をどのようにとられているのか。経済産業省の方にお答えいただきたいと思います。

三木政府参考人 まず、昨年八月の台風十五号の被害につきまして、経済産業省で太陽光発電設備の被害状況について調査をしてございます。

 九州地域に五十キロワット以上の設備が三千百六十二件ございまして、うち、発電所構外へのパネルの飛散が四件、発電所構内でのパネルの飛散、脱落が三十一件発生していることなどを確認しております。

 これらの中には、電気事業法で技術基準が定められておりまして、これを守っていただくことになっているんですけれども、残念ながら技術基準が守られていなかったり、あるいは施工方法が不適切な事案が見つかっております。

 もちろん事業者に対して再発防止等の指導を行っているところでございますが、近年、太陽光の発電設備が増加をしておりまして、このような状況にありますので、太陽光発電設備の安全性確保、適切な維持管理の徹底に向けた検討を現在進めているところでございます。

 具体的には、今回の被害調査などを踏まえまして、技術基準の再検証や取り組みやすい安全対策の提示、運転開始前の安全性確認の徹底、事故報告の強化といった対策につきまして、現在、審議会におきまして検討していただいており、年度内にも取りまとめる方針でございます。

 また、今国会に提出しております再エネ特措法の改正法案におきましては、電気事業法の技術基準を満たしていない場合などにおきまして、事業を適切に実施していない場合には改善命令や認定取り消しを可能とするというような措置も盛り込んでいるところでございます。

 太陽光発電を推進する上で安全性の確保は大前提でございますので、こうした対策を通じまして安全確保に努めてまいりたいと思っております。

河野(正)分科員 私、もともと医師として医療に従事している者でありますけれども、以前、やはり九州で、台風でガラスがパネルごと外れて飛んできて、それでけがをされた方というのを診たことがありますけれども、本当にとても恐ろしいことだと思いますので、パネルが飛んできたりしたら本当に大けがになりますので、十分注意して、そういった対応をしていただきたいなと思います。

 太陽光発電自体は自然エネルギーとして大きな可能性を持つものでありますし、大切なものだ、可能性を秘めたものだと思っております。

 昨年、茨城県常総市で発生した水害においては、太陽光発電施設の設置によって自然堤防が崩されて越水が生じたのではないかという指摘もあったと思います。日本各地で太陽光発電施設の開発に対する疑問や異議申し立てというのがあるかと思います。このような状況が頻発すれば、太陽光発電の設置が進まなくなり、その持続可能性を損ないかねないというふうに懸念がございます。

 太陽光という自然エネルギーと周辺環境の調和を図る上でも早急な対応が必要と考えますが、環境省の見解を伺いたいと思います。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 環境問題の基本的な考え方等を定めております環境基本法におきましても、事業者の責務といたしまして、事業活動を行うに当たっては、自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずることとされております。太陽光発電の設置につきましても、それぞれの事業者において周辺環境への配慮を行っていただく必要があるというふうに考えてございます。

 そして、こういった対応は、今委員から御指摘があったように、地元に事業を受け入れていただくためにも非常に重要であるし、また、地元の信頼を得るべく努力をいただく上でも肝心なことではないかというふうに考えてございます。

 私ども、再生可能エネルギーを推進する立場におりますけれども、自然環境や地元にもしっかりと配慮しつつ、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

    〔宮澤主査代理退席、主査着席〕

河野(正)分科員 ありがとうございます。

 最後に、もうほとんど時間がありませんので、海洋における環境評価について伺いたいと思います。

 地球温暖化というのが非常に大きな問題になっているわけでありますけれども、温暖化対策と海洋のかかわり、その影響について政府の認識を伺いたいと思います。

梶原政府参考人 今、地球温暖化による海洋への影響、いろいろな形で影響を及ぼしております。

 気候変動に関する政府間パネルの第五次報告書におきましても、例えば海洋が温暖化をしているという事実、そして、CO2が、二酸化炭素が海洋に溶け込むことによってpHが下がるといったような問題、さらには、そういったような影響も踏まえて、海洋におきます多くの生物種において、生息域、そして季節的な活動・移動パターン、生息数及び生物種等の相互作用が変移されているといったような事実が報告されておりますし、さらにこの問題は、二十一世紀にわたりまして、このままでまいりますとさらに深刻な問題になっていくというふうなレポートがなされております。

 現在、この問題に限らず、さまざまな気候変動の影響、温暖化の影響につきましては、その影響をしっかりと観測し、理解をし、対策をとるといったようなことで、適応計画というものを昨年閣議決定させていただいているところでございます。

 この分野につきましてもしっかりとモニタリングをする、そして、例えば私どもの分野でありますと、サンゴ礁の保全等に努めるといったようなことも含めて、対応してまいりたいというふうに考えております。

河野(正)分科員 もうほとんど時間がありませんので最後になると思いますが、一方で、海洋資源というのも大切なものでございますので、こうした海洋におけるエネルギー開発の現状と取り組みについて経済産業省に伺いたいと思います。

藤井政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、海洋を活用し、資源エネルギーの開発、CO2対策を進めていくことは我が国にとって重要な課題と認識をいたしております。

 例えば洋上風力発電につきましては、固定価格買い取り制度により導入支援を図っております。また、波力発電について、実用化、商用化に向けた技術開発にも取り組んでおります。

鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

藤井政府参考人 はい。

 国内資源の開発につきましては、石油、天然ガスは当然でございますが、メタンハイドレートなどの非在来型の資源の開発に向けた調査研究を進めております。さらに、CO2の地下貯蔵、CCSにつきましても現在取り組みを進めているという状況でございます。

河野(正)分科員 どうもありがとうございました。

鈴木主査 これにて河野正美君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘です。第六分科会、トリを務めさせていただきます。

 森山大臣初め皆様お疲れのところかと思いますけれども、いましばらくおつき合いいただきたいと思います。皆様の御苦労に報いるべく、また皆様の御苦労がそのまま国民の皆様のお役に立つ結果として結実していけるような、そういった実りある質疑にさせていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず初めに、ミカンコミバエの件についてお聞かせいただきたいと思います。

 もう我が党の中野議員からも質問がございましたけれども、ミカンコミバエが発生したということで、奄美の島においてはかんきつ類等々の被害が生じておるわけでございますけれども、ミカンコミバエの発生をいち早く聞きつけた我が党の遠山清彦衆議院議員がすぐ現地に飛んで状況を確認し、生産者のお声をお聞きし、そして日を置かず東京に戻ってきて、私もそのときおりましたけれども、森山大臣のもとに、また我が党の佐藤政務官のもとに陳情に伺った。

 そのとき森山大臣からも、ミカンコミバエの根絶に全力で取り組む、鹿児島県と協議をして進めていくというふうな力強いお話をいただいたところでございます。また、実際に、平成二十七度本予算を使って迅速に対策を進めていただいたと承知しております。この点、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 そこで、奄美におけるミカンコミバエの今の時点での現状、それから今後の対策及び被害生産者への救済の現状についてお聞きかせをいただければと思います。

小風政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の秋以降でございますけれども、奄美市を含む奄美大島のほぼ全域におきましてミカンコミバエの誘殺が続きました。

 これを受けまして、有人ヘリコプターによる誘殺板の散布など、全島的な防除活動を実施するとともに、十二月十三日からは植物防疫法に基づく緊急防除を実施し、本虫が寄生するおそれのあるポンカン、タンカンなどの島外への出荷を規制するとともに廃棄を実施しております。廃棄の対象となった果実につきましては全額国の負担で買い上げまして、生産者の農業経営への影響に十分配慮したところでございます。

 こうした取り組みもございまして、少なくとも、昨年十二月二十二日以降は雄の成虫の誘殺は確認されておりません。

 しかしながら、三月ごろから気温が上昇いたしますので、越冬した成虫あるいは幼虫が再び活動を始めるということが想定されます。このため、引き続き、トラップの配置の見直しを行いますとともに、地元の自治体あるいは生産者の方々と連携して、寄主果実の除去あるいは誘殺板の設置、散布などの防除対策を講じていくこととしております。

 また、果実の廃棄につきましては、地元の皆様方の御協力もあり、二月の十九日現在でございますけれども、主要な産物でございますポンカンにつきましては約二百七十トン、タンカンにつきましては約千五百トンの廃棄が行われております。

 今後は、奄美大島では五月の上旬にスモモの収穫期を迎えるということでございます。移動制限の基準日でございます二月の二十二日以降に誘殺があった場合につきましては、誘殺の地点から半径五キロ以内の地域のスモモにつきましても、全額国の負担で農業者から買い上げを行った上で廃棄を行うということになります。

 農林水産省といたしましては、一日も早く本虫が根絶されるよう、引き続き防除を徹底してまいりたいというふうに考えております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 まず早期の撲滅と、また、被害を受けられた生産者の方がこれを乗り越えて、また今後も生産を続けていけるような、そういった早い回復をぜひよろしくお願いいたします。

 さて、話をかえさせていただきます。

 安倍政権はデフレ脱却に向けて、これまで形にとらわれないさまざまな政策を打ってきた、そのように私は承知をしております。デフレ脱却から経済の好循環を生み出す。すなわち、経済を成長させ、そこから生まれた果実を低所得者などの社会的弱者に配分する、これを繰り返していくうちに、社会的弱者と言われる方の中から、自立をして、納税をしてくれる側に変わってくる方も生まれてくることだと思います。その方がさらに経済を成長させる、これを回していく、もって多くの国民が成長の過程で自立をし、経済を成長させ、またさらに弱者に配分をしていく。私は、この経済の好循環、これがアベノミクスの究極の真髄、そういったものであろうというふうに理解をしております。

 アベノミクスは、日本という国のくくりで語られている施策であります。実際、有効求人倍率や失業率、賃金の上昇、倒産企業の件数など、さまざまな面でよい数値が見受けられるわけでございますが、一方で、私も地方の人間ですけれども、地方に目を向けてみると、やはり消費が思うように伸びてこない、そういった事情からか、経済的に厳しい状況に置かれた地方や中小企業というものがあるのも、私はこれも事実であろうというふうに思っております。

 そこで、私は、今申し上げた経済の好循環、これを地方のくくりで回せないだろうか、そういうふうなことを考えてみたわけです。そして、景気の好循環を、例えば税金にしても、県税があって市税があったりするわけですけれども、そういった地方のくくりで経済の好循環をもし回すことができれば、それがアベノミクスの経済の好循環と、まさに歯車がかみ合うかのごとく回り始めるようなことができれば、私は、地方も中小企業も一気によくなっていくんではないか、そのように考えておりました。

 いささか抽象論的な、観念論的な話でもあるかなとも思いますけれども、このような観点から、先日、予算委員会の地方公聴会、これは香川県の高松市で行われたんですけれども、その陳述人のお一人である四国地区信用金庫協会の会長、蓮井会長にこの点をちょっとお聞きしてみました。

 すると、これは蓮井会長からの発言でございます。一言で言えば地産地消、地域で生まれたものは地域で消費して付加価値をつけていく、みんなが豊かになっていくという理念を大事にしたいと思います、このように述べられました。私は、まさに我が意を得たりというふうな思いになって、非常にうれしく思った次第でございます。

 地方の好循環を回していくには、この地産地消という考えが極めて重要であると私は思うのですけれども、このことに関する森山農水大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。

森山国務大臣 吉田委員にお答えをいたします。

 農林水産省の調査では、地産地消の取り組みである地域の農林水産物加工・直売所の売り上げは、平成二十五年度で約一兆九千五百億円という大変な金額でございます。また、そこに従事しておられる従事者は四十一万人となっておりまして、地産地消の取り組みは、地域の雇用や所得の創出など、地方経済の好循環につながる重要なものであるというふうに考えております。

 私も、昨年の十二月に、全国最大級の規模の農産物の直売所でありますJAならけんファーマーズマーケット「まほろばキッチン」の視察をいたしましたけれども、まさに意を強くしたところでございます。

 私は、地産地消というのはその地域でできたものを地域で消費をしていくという考え方でありますが、これも大事なことですけれども、もう一つは、地産地消の消の字を商いに変えて、自分たちの地域でできたものは自分たちが商っていくということをさらに頑張っていくことが大事なことではないかなというふうに思っておりまして、今後とも、全国各地の直売所など、地産地商の取り組みを強力に推進していきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。本当にうれしいお言葉であったと私は思っております。

 この地産地消についてですが、先ほどの高松市、名物は讃岐うどん、非常に有名なおうどんで、お昼御飯で食べさせていただきました。大変においしかったわけですけれども、このうどんの原料は、さぬきの夢という香川県産の小麦を一〇〇%使用したうどんだったんです。このさぬきの夢の情報は、さぬきの夢物語というふうな言葉で検索していただけると調べることができるそうなんですけれども、非常にやはりおいしいうどんでした。森山大臣もぜひ機会があれば御賞味いただければとも思うんですけれども。地産地消の非常にすぐれた事例を香川県で私も一つ体験できたというふうに思っています。

 もう一つ、今度は地産地消という観点よりも、少し、地域ブランドの話なんですけれども、香川県には小豆島という島があって、ここではオリーブを栽培しているんですね。このオリーブ生産者の農家の方がエキストラバージンオリーブオイルというものをつくって、それをアメリカの何か品評会に出した。今度これは金賞をとったという話なんです。金賞だから多分一等賞だと思うんですけれども。だから、すごく高評価、もうそれだけである意味世界的ブランドになったような感じで、多分世界の方が買って、その小豆島のオリーブオイルを食べてくれるというか、いろいろなものに使ってくれるということだと思います。

 これはもう地産地消を飛び越えて、世界で回ってくるという、すごいことだと私も思いますけれども、こういった小豆島のオリーブ生産者の方のお話を偶然ですけれどもお聞きする機会がございまして、その苦労話に非常に私も感動したのでございますけれども、そういったものも香川県にございます。

 ただ、私自身は九州・沖縄比例で選出をさせていただいておりまして、住んでいる場所は福岡県でございます。

 皆さんは余り御存じじゃないんですけれども、福岡県というのは、実は小麦の生産が日本で二位なんですね。意外と知られていないんですけれども。香川のうどんもおいしいんですけれども、実は博多のうどんも意外と個性が違ってうまいんです。そのうどんに随分やはり小麦を使うというふうな歴史があるようなんです。

 ただ、やはり博多、福岡といえば、これは豚骨ラーメンですね。地元に行くと、長浜ラーメンとか久留米ラーメンとか、豚骨ラーメンがあるわけでございます。福岡県はおもしろいことを考えたんですね。この名物である豚骨ラーメンに合う小麦を何とかつくれないかというふうに考えて、一生懸命頑張って開発したんです。これがラー麦と言われる、福岡県産の麦を一つのブランドとして開発して、今、ラーメンの麺にして食べているんです。

 資料をお手元に少し配っておりますが、白黒で恐縮ですけれども、二枚目が、これが実際ラー麦の麦なんですけれども、左下の方にこういったロゴとかいうのがついていますけれども、博多に行ってこのロゴを見つければ、この小麦を使ったラーメンだということで、御賞味できます。

 私もこのラー麦が非常にやはり大好きで、よくラーメンを食べるんですけれども、そもそもどんな生産者がつくっているのかなということで、このラー麦栽培の旗振り役的な農家さん、そこは株式会社として経営をしているんですけれども、そこに行ってまいりました。このラー麦、かなりたんぱく含有率が高い麦で、特殊な麦だそうで、やはり生産は天候との兼ね合いでなかなか難しいですよというふうなお話もお聞きしてまいりました。

 でも、難しくても、資料にもありますとおり、このラー麦の生産はもう本当に伸びております。加えて、作付面積も、平成二十七年度までしか載っておりませんが、ことしは千七百ヘクタールまで伸びるというふうなこともお聞きをしております。

 また、このラー麦を使用したラーメン店舗も百五十店舗ぐらいまで、今、百六十、百七十ぐらいまでいっているんじゃないでしょうか、どんどん伸びていっている。皆さんも御存じかもしれないですけれども、豚骨ラーメンで有名な人気店で、一風堂とかいうのは、あれは東京にもあると思うんですが、あと一蘭というのがありますが、ここのラーメンもこのラー麦を使っております。

 そういった意味で、このラー麦が地産地消を見事に実現している例じゃないかなと私は思う一方で、かつ、地域ブランドとして非常に福岡の人には親しまれている、そういうふうなものであるというふうに思いました。

 ちなみに、福岡県はビール工場があるんですけれども、あちこちにあるとは思いますが、朝倉市というところにキリンビールの工場がありまして、そのビール工場では九州の大麦を一〇〇%使ったビールをつくっているということです。何か、福岡とか、そんなふうな名前が書いてあったら、それは一〇〇%日本産の大麦を使ったビールですよということですので、見つける機会があったらぜひお飲みいただきたいなと思います。

 このような形で福岡は一生懸命頑張っているし、これからもどんどん頑張ってほしいなと私は思っているのですけれども、ここで一つ、このような地域ブランドへの後押しといいますか施策といいますか、それから地産地消に向けての取り組みについて、農水省の方から、実務的観点からちょっと御教示いただければと思います。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地産地消につきましては、直売所における経営体制の強化や、新商品の開発に対するソフト、ハードの両面からの支援、また学校給食等において地場産農林水産物の活用に向けた地域の取り組みへの支援を通じて、地産地消の推進に取り組んでいるところでございます。

 また、地域産品のブランド化につきましては、従来から、六次産業化に取り組む農林漁業者に対する新商品開発や販路開拓の支援、また伝統野菜などを活用したビジネスモデルの構築等に必要な専門家への相談の支援などによりまして、地域の農林水産物、食品のブランド化の取り組みを推進してきているところでございます。

 今般、生産地と結びつきました特色ある農林水産物等の名称を保護する地理的表示、GI制度を導入し、その活用を図るため、登録申請に係る相談窓口を設けまして、申請の支援を行ってきたところでございます。現在まで十産品が登録されているところでございます。

 今後は、GI登録を推進するとともに、GI登録産品の展示・商談会の開催による登録産品の販路拡大等を通じたビジネス化の支援、GIのブランド価値を毀損しないよう、GIの不正使用に対する取り締まりなどの施策によりまして、地域産品のブランド化の促進に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 加えて、本当にお疲れのところ恐縮ですが、森山農水大臣にも御所見を伺えればと思いますが、先ほど地産地消についてはお言葉をいただきましたので、ここでは地域ブランドの後押しについて御所見をいただければと思います。

森山国務大臣 吉田委員にお答えをいたします。

 今委員御指摘のとおり、地域産品のブランド化は、地域の農林水産物や食品が広く認知され地域外に販売されることで、生産の拡大を通じた雇用の確保や所得の向上が図られ、それが地域の活性化等を促すものでありますので、非常に重要な意義を有していると思っております。

 このため、農林水産省では、地域ブランド産品の名称を知的財産として保護するとともに、さらなるブランド価値の向上を図るため、昨年六月に施行されました地理的表示法に基づくGI産品の登録を進めさせていただいているところでございます。

 また、新たな地域ブランド産品を生み出すため、新品種、新技術の活用などによる強みのある産地形成や、六次産業化の取り組み等による地域資源を活用した新商品の開発等を今後とも支援してまいりたいと考えております。

吉田(宣)分科員 お言葉、ありがとうございます。

 次に、麦が出てきたので今度はTPPの関連で少しお話をお伺わせいただければと思います。

 今、小麦、大麦の話をしましたけれども、この麦類、TPPで合意がなされた品目の一つでございますけれども、TPPにおいては国家貿易制度というものをしっかり守った、維持した、これは極めて高く評価できる点だと私は思っております。

 一方で、マークアップが削減されていく、これも予定をされているという意味から、生産者においてはやはり外国産との価格競争というものに漠然とした不安感があるのではないかなというふうに私は思っております。

 TPPを受けて守りを固めるのもやはり農水行政の責任であると私は思っておりますが、この麦類について御所見をいただければと思います。

伊東副大臣 TPPの協定が発効いたしますと、輸入麦のマークアップの削減が、今委員御指摘のとおり、九年目までに四五%削減される、低下になる、下落するおそれがあります。国産麦価格がこれに伴い下落するおそれがある一方、また、一般会計からの繰り入れと合わせて対策の財源となっておりますこのマークアップ収入は減少することになるわけであります。

 政策大綱におきましては、農林水産分野の対策の財源につきましては、TPP協定が発効し関税削減プロセスが実施されていく中で、将来的に麦のマークアップ等が減少することにも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう、政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程でこれを確保することとされております。

 国産麦の安定供給のため、産地パワーアップ事業等の体質強化対策を活用しながら、生産コストの低減を図るとともに、政策大綱に基づき必要な財源を確保しつつ、経営所得安定対策等を適切に実施してまいりたい、こう思っているところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 TPPに話がかわりましたので、TPPにおいては、やはり畜産、酪農業への影響というものが一番強く懸念された、そのように私は思っております。

 我々公明党は、TPPの合意を受けて、井上幹事長また石田政調会長を先頭に、公明党の国会議員が全国に散らばって、私も散らばった一人ですけれども、私の場合、宮崎に、畜産、酪農家の生産者のところに行ってまいりました。また、大臣の御地元の鹿児島の垂水市に、黒豚の生産者のところに伺って御意見をいただいてまいりました。

 そういった意見を党に持ち寄って、党の政策提言へとまとめ上げ、これを政府の方にも提出させていただいた。政府も、この提言を取り込むような形で大綱としてまとめていただいて、これに基づき、平成二十七年度補正予算でも政策を打っていただいたと承知をしております。

 さまざまな政策についてはここではお話をいたしませんけれども、私がそのときに現地でお聞きしたお声の中で、一つの宮崎の生産者は後継者がまだいらっしゃらないというところでした。鹿児島は、幸いにも息子さんが継いでくれる、そういったところでした。ただ、同じお声の中には、やはり後継者がまずいないというところ、それから、後継者はいるけれども、では自分の後継者は未来が、光があるのかというと、そのようにはやはり思えないというふうなこともおっしゃっておりました。

 そういったお声を聞いておりましたものですから、先日も地方公聴会で、陳述人のお一人である株式会社オールインワンの代表取締役の三谷社長という方、この方は家畜の飼料を生産している会社の社長さんなんですけれども、この方に、今のような後継者問題また就農問題、そういったところで意見を聞いてみました。

 すると、時間がなかったせいもあるんですけれども、十分お話をいただけなかったんですけれども、自分が携わった酪農家の中で、一番最初のときには十八頭しか飼っていなかった家族経営的な酪農家がいた、自分が携わって、いろいろなアドバイスをされたんでしょうか、会社経営的に変えていくことによって今では六百頭の搾乳牛を飼うまで発展した、そういうふうなお話をお聞かせいただくことができました。

 ここで、私がお聞きをしたいのは、畜産業における後継者問題それから就農問題、これについてやはり一言御所見をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

伊東副大臣 私も、地元が北海道でございますので、酪農、畜産のたくさんの農家の皆様方のお話をいつも伺っているところでございます。今、吉田委員おっしゃられるとおり、若い人たちにこれから将来に希望を持たせて、本当に酪農業を継いでいく、畜産をやっていく、これが非常に大事であるということは十二分に理解をしているところであります。

 委員御指摘のとおり、後継者による経営継承あるいは新規参入を促すために、これまで、三百六十五日、朝三時、四時から夜遅くまで、過重な労働負担というのが家族にかかってきておりました、また、設備投資の資金負担、これも大きいものでありまして、これを軽減していくことが課題となっているところであります。

 このため、畜産クラスター事業の活用により、離農農場等の既往施設を補改修した上で新規参入者等に貸し付けることによりまして、設備投資の資金負担を軽減する取り組みをしておりますほか、省力化機械の導入や、外部支援組織、これはコントラクターあるいはTMRセンターという、餌を共同でつくる設備でありますけれども、これらの活用によりまして労働負担の軽減を図る取り組みを支援しているところでもございます。

 また、酪農、肉用牛の農家にかわりまして飼養管理作業等を行う、これはいわゆる酪農ヘルパーでありますけれども、これにつきましては、近年、なり手が少なく、なかなか人材の確保が難しいということがあるわけでございますが、農家にとりましては、このヘルパーの存在というのが極めて大きな存在でありまして、自分たちの体調が悪いとき、あるいは冠婚葬祭等々含めて、この利用が待たれているところでもありますので、この確保等につきましても全力を挙げて取り組んでまいる予定でございます。

 今後とも、意欲ある後継者や新規参入者を確保できるよう、現場の声を聞き、また畜産、酪農業にかかわる地域の関係者の御協力もいただきながら、万全の対策を講じてまいりたいと思うところでございます。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 次に、ちょっと話がかわりますけれども、お米についてお聞きしたいと思います。

 それは理由があるのですけれども、お米というと、まず炊いて食べる、例えば最近であれば米粉にしてパンにして食べる、私、お酒を飲みますけれども、大好きなんですが、日本酒それから焼酎、そういった原料になっている。いわゆる食というもの、体に取り込むというイメージでこれまでおりました。

 先ほどの香川県の高松市で、会社の視察を一つさせていただいたんです。その会社の名前が勇心酒造株式会社というところ。名前だけ見て、ああ、酒蔵に行くんだというふうに私は楽しみにいたしましたが、多分行ったところで飲めないんだろうということは覚悟しながら行ったんですけれども。そうしたら、確かにお酒もつくっているのですけれども、売り上げの一%にも満たないというお話だったんですね。それじゃ何をつくっているのかなと言って、会社に入って説明をお聞きしたら、何と化粧品をつくっているということで、私は大変に驚きました。

 お米から化粧品をつくる、私はちょっとよく技術的なことはわからないですが、独自の発酵技術をお持ちで、そして、ライスパワーという、非常に保湿成分にすぐれた、お米はアレルゲンというものも極めて少ない食材でございますので、そこからつくるのでお肌にも大変優しいということで、そういった化粧品が高くユーザーからも評価されて、売り上げも伸ばし、発展をしている、そういう会社でございました。

 ちょっと私の事務所の事務員にそんな話をしてみたら、知っていたんですね。私は全然知らなかったんですけれども。知っておりましたし、先日、たまたまテレビをつけていたら、岩手県の奥州市で同じく米から化粧品をつくるという番組をやっておりまして、かなり驚いたんです。

 私は、お米の消費拡大の方策に、今言った化粧品、そういったものに何か一つのヒントみたいなものがあるんじゃないかというふうな気がちょっとしているところなんです。

 そこでお聞きしたいのは、米の消費の現状というものと、それから、新たな活用に向けて研究があれば、それについて、ちょっと時間が迫っておりますが、端的にお答えいただければと思います。

柄澤政府参考人 お米の消費について見てみますと、主食用の消費量は残念ながら減少傾向にある中で、それ以外、主食用以外の用途について見てみますと、煎餅などのお菓子あるいはみそ、しょうゆなどの米加工品の原料として利用されるいわゆる加工用米、また米粉パンですとか米粉麺の原料として利用される米粉用米、さらには家畜飼料の原料として利用される飼料用米、こういうような用途があるものと承知しております。

西郷政府参考人 研究についてのお尋ねがございました。

 主食用の米消費の減少が続く中で、米の需要をふやしていくため、新たな需要創出に向けた技術開発を進めていくことは極めて重要と認識しております。

 このため、現在、平成二十七年度補正予算を活用した研究開発事業の中で、国内消費や輸出の拡大が期待できる革新的な特性を有する米の開発に向けて課題を公募しているところでございます。

 このような事業も活用しながら、今後とも、米を利用した新たなビジネスの創出に向けて、さまざまなアイデアを掘り起こしながら研究開発の推進に努めてまいりたいと存じております。

吉田(宣)分科員 ありがとうございます。

 時間が参りました。

 最後に、食料自給率のお話を少しお聞かせいただきたいと思っていたんですけれども、先ほど申し上げた地産地消も……

鈴木主査 申し合わせの時間が過ぎておりますので。

吉田(宣)分科員 はい、わかりました。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

鈴木主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後八時五分散会


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