衆議院

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第2号 平成15年2月28日(金曜日)

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平成十五年二月二十八日(金曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 宮本 一三君
      尾身 幸次君    奥野 誠亮君
      藤井 孝男君    大畠 章宏君
      中塚 一宏君
   兼務 植田 至紀君 兼務 井上 喜一君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 谷内  満君
   政府参考人
   (内閣府産業再生機構(仮
   称)設立準備室次長)   小手川大助君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  田中 慶秋君     大畠 章宏君
  中塚 一宏君     黄川田 徹君
同日
 辞任         補欠選任
  大畠 章宏君     田中 慶秋君
  黄川田 徹君     中塚 一宏君
同日
 第三分科員井上喜一君及び第四分科員植田至紀君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――
宮本主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中経済産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
大畠分科員 おはようございます。きょうは予算第七分科会のトップバッターを務めさせていただきますが、ひとつよろしくお願いいたします。
 最初の質問でありますが、燃料電池についてであります。
 もう既に皆様方御存じのとおり、ことしの四月から、ガスエンジンを利用した家庭用のコジェネが大体七十万円で販売されるという見通しになりました。それから、二〇〇五年、来年、再来年あたりには、燃料電池を利用した家庭用の小型のコジェネといいますか、発電と給湯というものができる仕組み、装置が発売されるだろうと。おおよそ百万円という話もありますが、一般市民からすれば、五十万円ぐらいまで下がらないかな、せめて七十万ぐらいまで下がらないかなという思いを持っておるんですが、この燃料電池というのが、これからの市民にとっての、あるいは地域の電源という意味でも大変重要な意味を持っていると私は受けとめております。
 そういう意味で、現在、この燃料電池に関して関係部署が力を注いでやっているわけでありますが、どうしても乗り越えられないという、法的なといいますか規制といいますか、そういう問題が聞こえてきておりますので、そのことについて数点お伺いをさせていただきます。
 まず最初に、電気事業法上、燃料電池は、容量にかかわらず自家用電気工作物として、保安規程の届け出義務、電気主任技術者の選任義務がある。自主安全基準をベースとした第三者機関の認定を得ることで安全性を確保し、一般電気工作物化することについて、お考えを伺いたいということです。
 というのは、そういうものができても、家庭に導入しようというときに電気主任技術者というのを備えなきゃならないといったって、お父さんだってお母さんだって、それを買うときに試験を受けて、必ず資格を取っていないと買えませんなんというのでは、これはとてもじゃないけれども普及しません。そういう意味で、現実的にいってこの規定というのが当たらないんじゃないかということで、私はこれをそろそろ外すことを検討すべきだと思うわけであります。
 また、電気事業法上、停止時に燃料電池内の燃料ガスを排除するため、不活性ガス、窒素ガスボンベを常備することということになっているんですね。しかし、これも、燃料電池の仕組み等を考えれば、なくてもいいんじゃないか、窒素ガスのボンベを必ず備えなければならないということではないんじゃないかと思うんです。
 ここら辺、現実的に二〇〇五年に導入するということを考えますと、まずこの二つをクリアしなければならないと私は思いますが、これについては行政当局が検討をしてそういう環境を整えてあげることが必要だと思いますが、この件について最初に伺いたいと思います。
佐々木政府参考人 小型燃料電池を一般家庭で使用されるような一般用の電気工作物として取り扱うためには、専門知識等を有する電気主任技術者が保守や管理の監督に当たらなくても十分に安全が確保できるような構造のものであることが必要と考えております。
 経済産業省といたしましては、小型燃料電池を一般用電気工作物として取り扱う場合に満たすべき技術基準などの整備を進めることとしておりまして、昨年の八月から、燃料電池の専門家により構成される検討会において、燃料電池の構造、材質、機能などに関しての要求事項の検討を行っております。
 また、御指摘の、停止時に燃料ガスを排除するために設けられております窒素ボンベの設置を不要とするための実証試験も実施しております。
 このような技術的検討の結果を踏まえまして安全を確認した上で、電気主任技術者の選任あるいは窒素ボンベの常備の点を含めて、安全確保を前提に、利用を促進するための規制の見直しを進めておるところでございますが、具体的には、一般電気工作物化については十六年度中に、窒素パージについては十五年度中にも規制の見直しを実施する予定にして進めておるところでございます。
大畠分科員 原子力安全・保安院の佐々木院長から御答弁いただいたんですが、どちらかというと「もんじゅ」の話でも今度は質問しなきゃならないと思うんですが、これはまた後日にさせていただきます。
 もう一つ、この件に関することでありますが、消防法に従って自治体で設置届け出を必要とするところもあると。消防法の規定というのもいろいろあると思うんですが、一個一個、購入するときに消防法に従って届け出をしなければならないという、これも何か過剰なものではないか。
 もちろん、発電施設とか何かというのはこれは当然必要なんですが、家庭用の場合にはこういう消防法規定の緩和というものも検討していかないといけないんじゃないかと思いますが、この件について一つ伺うことと、もう一つは、消防法に従い、自治体では、燃料電池を建物、建築物から三メーター以上離さなければならない、こういう規定もあるわけなんですね。それから、逆火防止装置の設備が必要と定めているところもありまして、私としては屋外設置給湯器と同等の距離程度で十分じゃないかと思うのでありますが、この二つについて伺いたいと思うんです。
 というのは、東京なんかもそうだけれども、敷地が非常に十分とれないところは、隣の境界から三メーター離しなさいというと、うちを建てるスペースがだんだんなくなってしまうところもありますので。もちろん、最初、こういう法律を定めたときにはこういうことを想定していないと思うんですけれども、こういう意味からも、この二つの件については、規制緩和といいますか、現実に即した形に見直すべきじゃないかと私は思うのでありますが、この件についてはいかがでしょうか。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまのお話に出ましたように、現在、自家用の発電設備等を個人住宅に設置しようとする場合には、市町村に火災予防条例というのがございまして、消防長または消防署長に届け出る、あるいは、お話のように、建築物との間に三メートル以上の保有距離の確保が必要だといったようなことが決まっておるわけであります。
 消防庁といたしましては、家庭用の燃料電池の普及というのは政府全体の方針でもございますので、こういった方針も受けまして、また一方で、現在、経済産業省などにおきまして家庭用燃料電池自体の安全基準の検討がなされております。そういった状況も踏まえながら、また私どもサイドでも安全確保に必要な技術基準の検討などを行いまして、問題がないということになりましたら、今お話に出ました設置届け出でございますとかあるいは逆火防止装置を不要とする、あるいは三メートルといったような保有距離についても見直しをするといったような方向で今検討を進めているところでございます。
大畠分科員 今、構造改革特区ということで全国で千ぐらい、いろいろなアイデアが出されていますが、そういう規制を緩和することによって地域の活性化がされるという流れができ始めています。この問題についても、ぜひ現実に即した形でこの規制緩和がされるように、今のお話のとおり、検討を進めていただきますよう要望しておきたいと思います。
 それから三点目でありますが、この技術開発については、民間は一生懸命頑張っていますが、やはりリスクがあるんですね。こういう問題については国の方が、かなり砕氷船のようにリスクのところを乗り越えてあげる、そして民間が後をついてきやすくなる、そういう環境を整えてあげることも国の一つの役割だと思いますが、このことについてどう考えておられるのかということと、それから、大学等における革新的研究に対する支援について、国が率先して、官的なところから、まずこういう設備というのは導入していくべきだと思うんです。
 大学の技術開発の利用という面と、それから、こういう施設は、官の施設、公的な施設には率先して導入するという、この二つの考え方に対する現状の御認識を伺いたいと思います。
高市副大臣 大畠先生おっしゃいますとおりに、やはりこれは産学官が連携しつつ戦略的に取り組むべき問題でありますし、それから、燃料電池の重要性については、冒頭に先生おっしゃっていただいたとおり認識をいたしております。
 経済産業省でいたしておりますことですが、一九九九年に産学官から構成されます燃料電池実用化戦略研究会を設置いたしまして、これは二〇〇〇年から二〇二〇年までの間、それぞれの段階に応じて、燃料電池の普及、実用化に向けたシナリオとその実現のための課題解決の方向性ですとか、それから技術開発の戦略、こういったものの策定をしているところです。
 この中で、共通の基盤技術ですとかそれからリスクの高い技術、こういったものにつきまして、燃料電池の基礎的技術開発について、民間企業それから大学などへの競争的研究資金の供給などによる支援、これを国の役割として位置づけております。
 それから、予算の方でございますけれども、平成十五年度の燃料電池関連予算案では、前年度比八十七億円増ということで三百七億円を計上しております。この中で、例えば、燃料電池の構成要素でございます固体高分子膜の耐久性、経済性を向上するための技術開発でございますとか、あと、燃料となる水素を安全かつ低コストに製造、利用するための技術的な開発を実施することといたしております。
 それから、次世代燃料電池などの革新的分野につきましては、平成十四年度から新たな技術開発の対象に加えまして、これは大学や公的な研究機関を中心として支援を行っているところでございます。
大畠分科員 非常にわかりやすい考え方を示していただきましてありがとうございました。ぜひそういう方向で進めていただきたいと考えます。
 以上、燃料電池に関する御質問をさせていただきましたが、いずれにしても大変重要な分野であると思いますので、いわゆる未来への投資ですね、可能性への投資、あるいは夢への投資、こういうのも大変重要だと思うんですね。今はどうも、国は後ろ向きの、後処理のための投資が大変ふえ始めているような感じがするんですが、やはり未来への投資というのは大変重要なんだと思うんですね。したがって、ぜひ平沼大臣におかれましてもそういう観点で御努力をいただきたいということも申し上げさせていただきます。
 二点目の課題は、中小企業対策でございます。
 これは非常に、私も地域を歩いていますといろいろ御指摘いただきます。平沼大臣も地元でいろいろ言われていると思うんですが、とにかく何とかしてくれよ、こういうのが一つの言葉ですね。
 特に中小零細企業が非常に苦労しておりまして、そういうことからお伺いしたいんですが、まず、地域の雇用と経済を支える中小企業、特に中小建設業者について、官公需法に基づき設定されている契約目標率の向上と受注確保に関して今後の取り組みをお伺いしたい。
 それから、時間の関係もございますので数点一緒にお伺いしたいと思いますが、公的信用保証制度を実態に即した制度としてほしいという強い声があります。
 一つは、金融安定化資金について、現在の景気状況においては最初の条件どおり返済することが難しい、返済期限の延長など考えられないか、そのための国としての取り組みをぜひ伺ってもらいたいという声。あるいはもう一つ、中小企業金融安定化特別保証制度における既往債務の条件変更に関する対応状況についてもぜひ伺っていただきたい。さらには、各種施策周知のための地域に密着した相談窓口の設置など、こういう状況についても、ぜひ現状についての御認識を伺ってもらいたいという強い要求がございました。
 この四点についてお伺いしたいと思います。
杉山政府参考人 まず私から実務的な点につきまして御説明をさせていただきます。
 御言及のございました官公需法でございますが、政府は、この法律に基づきまして、毎年度、国等の契約の方針というものを閣議決定いたしておりまして、中小企業者向けの契約目標あるいは中小企業者の受注機会の確保のための措置というものを定めております。
 平成十四年度のこの方針におきましては、中小企業者向けの官公需目標額、これを約五兆三百八十億円というふうに設定いたしております。この数字、官公需総額に占める割合は過去最高でございまして、四五・二%という状況でございます。
 また、この方針におきまして、中小の建設業者に配慮をするという観点から、中小工事の早期発注、あるいは共同による請負の一層の活用、さらには、中小建設業者を活用することによって円滑かつ効率的な施工が期待できます工事につきまして分離分割発注を進める、こういったことを措置事項として決めておるわけでございまして、私ども、関係の省庁とよく協力をしながら、中小企業者の受注確保の増大ということに努めてまいりたいと思っております。
 それからもう一点、各種施策の周知徹底あるいは相談窓口、これの積極的な努力という点についての御質問でございます。
 先生お触れなさいましたように、やはり、中小企業施策、全国きめ細かく御利用になっていただくためには、まず周知、広報、こういった活動が極めて重要であるというふうに私どもも認識をいたしております。したがいまして、いろいろな広報資料をつくったり、テレビ放送をやったり、あるいは、私ども、e―中小企業ネットマガジンというものを立ち上げておりますが、そういった媒体も使いまして、情報をきめ細かく、できるだけ広く発信をしたいというように努めておるところでございます。
 相談窓口で申し上げますと、ワンストップサービスというのが非常に重要でございます。私ども、全国三百カ所に中小企業支援センターというものを設置いたしておりまして、相談とかあるいは専門家を派遣するといったようなことを行っております。ちなみに、平成十三年度の実績といたしましては、相談が十四万件、それから専門家派遣二万五千件というものを行っております。
 さらに身近な地域の相談の場としまして、商工会あるいは商工会議所に経営相談員、これは全国で九千名おりますが、こういった方を配置するといったようなことをやっております。
 広報あるいは周知徹底の重要性、全く同感でございますので、一層そういう点について努力をしていきたいと考えております。
平沼国務大臣 大畠先生に、いわゆる中小企業の皆様方がその返済の今厳しい中で大変苦労されている、こういうことで御質問がございました。
 私どもとしては、当初の約定どおりの返済が困難になった中小企業者に対する、まず特別保証の既往債務の条件変更につきましては、平成十二年末にガイドラインを策定させていただきまして、そしてその後もガイドラインの改訂なども行って強化をしてまいりました。そして、保証協会や金融機関に対する趣旨の周知徹底に努めてきたところでございまして、本年二月末まででございますけれども、約十八万四千件、累計保証引受件数、これは百七十二万件でございましたけれども、一一%の条件変更に応じてきたところでございます。
 こうした条件変更については、特別保証だけではなくて一般保証についても、個々の中小企業者の実情に応じた柔軟な対応に努めるように保証協会を指導してきたところでございます。
 ただ、また、現下、経済情勢が非常に厳しくなってまいりましたので、従来のこういった条件変更に加えまして、既往の債務を借りかえることで抜本的に資金繰りの改善を図りたい、こういうニーズが非常に強くなってきておりますので、今般新たに、中小企業の抱える保証つき債務の借りかえや一本化についても保証を行う資金繰り円滑化借りかえ保証制度を創設いたしまして、これは早ければいいということで二月十日から申し込みの受け付けを開始いたしたところでございます。
 本制度の利用状況については、制度開始からわずか二週間で四千五百四十七件、六百六十三億に達しておりまして、大変皆様方から、これはいい制度だ、こういうふうに評価をいただいているところでございまして、こういったことを私どもは今厳しい中小企業者の皆様方に利用していただいて、少しでもそういった負担が少なくなるようにきめ細かく努力をしてまいりたい、このように思っております。
大畠分科員 大臣からも御答弁いただきましたし、また、中小企業庁の杉山長官からも御答弁いただきました。
 今大臣からもお話があったように、そういう状況なんだろうと思いますが、中小企業の、特に零細企業の皆さんからの声は、日本道路公団は三十年償還を五十年償還にした、これもやはり返済を延ばしたわけですよね。それから、大手の会社でたくさん借金しているところは棒引きしてくれる。しかし、我々みたいに、百万とか五百万とか一千万とかいろいろ借りていますが、これは全然棒引きも何もなく昔の金利で返さなきゃいかぬ、これは余りにも不公平じゃないかと。要するに、えこひいきしてくれというんじゃなくて、みんなを平等に扱ってくれ、そういう声が強いんですね。
 したがって、一生懸命みんな返しているわけですから、今大臣がおっしゃったように、さらにそういう中小企業あるいは零細企業の皆さんの声を聞きながら、経済産業省が金融庁の今攻撃を受けていますから、竹中さんに負けないで、平沼さん、ひとつ頑張ってくださいよ。最近、ちょっと大臣の何か姿が見えないような感じもするんですが、ひとつ竹中さんと論陣を張って、あなた少し現場を見ていないんじゃないかと。
 私もちょうどきのう竹中さんとも話をしましたけれども、いわゆる二〇三高地、司令所にいて、全然戦地のことをわからないで、それ突っ込め突っ込めやっているわけですよ。ところが、そこで随分累々としかばねを重ねているというのが現実で、自殺者も出ているわけですよ。そういう意味では、竹中さん、あなた現場をもうちょっと見なさいというような話をきのう申し上げたんです。
 そこで敢然と立ち上がったのが平沼大臣で、竹中さん、あなたもうちょっと現場を見なきゃいかぬよ、中小零細企業者がどんな思いで今やっているかわかるか、あなたの指令一つで資金繰りが悪くなって倒産するのが出ているんだという、大臣、立ち上がって、中小企業、零細企業を守るのはおれなんだということをぜひ見せてくださいということをぜひお願いしたいと思っているんです。
平沼国務大臣 大変激励をしていただいて心強いことでございますけれども、私も経済財政諮問会議等の場で、中小企業の現状というものはずっと訴えてきております。
 そういう中で、中小企業に対して、例えば金融機関の金融検査、こういったものが非常に厳しい状況になっている。したがって、私どもは、中小企業に対しては別マニュアルをつくるべきだ、こういうことで、昨年の十月に、まだこれは完全な実施という形、これは現場をずっと当たってみますと、そういう別マニュアルがあるにもかかわらず、なかなか厳しいことをやっているわけです。ですから、折に触れてそういうことは私は彼にはよく伝えておりますし、やはり私どもは地元に帰りますと、お互いに選挙をやっておりますから、そうすると、地元の皆さん方の、中小零細企業の皆さん方の声を非常に聞くわけでございますので、そういうことは私は折に触れて反映をさせていただいています。
 それから、もうこれは先生もよく御承知のことだと思いますが、今回の借りかえ制度というのは、例えばあと一年で六百万、月五十万ずつ返済しなければならない、こういう方々に、五年にしましょう、そうすると五十万が十万で済む。さらに、枠があればさらにその枠の中で融資もさせていただく、保証もさせていただく、こういうことでございますので、さらにきめ細かく私どもやらせていただきたい、このように思っています。
大畠分科員 本当に日本の経済を支えているのは大企業だけじゃないんですね。まさに、小規模企業、零細企業、そういうところが必死になって支えているから今日があるので、ぜひ大臣のその志を総理に伝えてくださいよ。総理、余り竹中さんばかり大事にしちゃだめだ、おれの言うことを聞け、私が現場を知っているんだと言って、やってくださいよ。竹中さんはどうも現場を知らないですから、ぜひ頼みますよ。(発言する者あり)賛成という声がありましたのでね。
 それでは最後に、五分間になりましたので、恐縮でありますが、ちょっと話は大きくなるかもしれないが、イラク攻撃とアジアと日本の石油対策の現状についてお伺いしたいと思うのです。
 これはいろいろお話を伺っていますが、日本国内ではこういう状況に備えて石油の備蓄というものをやっていますね。したがって、今、三月七日に攻撃があるんじゃないかというような話も聞こえてくるんですが、日本国内のそういう体制は大丈夫ですという話は聞こえてきています。
 しかし、アジア全体のことを考えますと、非常に備蓄がない国もありますね。中国もございません。そういう意味では、危機管理という意味から、長期化すれば、日本はエネルギー大丈夫かもしらぬけれども、アジアのエネルギーがダウンしてくると、これは中国経済に非常に今日本は依存していますから、この中国経済のダウンに引きずられるんじゃないかというおそれがあるんですね。
 したがって、私は先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、経済産業省として副大臣クラスをアジアに派遣して、中東の危機に対するエネルギー問題あるいは経済問題について論議をし、日本としてもこういう覚悟を持っているのでアジア全体でこういう連携をとりながらこの危機に備えようじゃないかというメッセージを、日本の経済産業省だけじゃなくてアジア全体を考える経済産業省として、私はそういうメッセージを出すべきじゃないかと思うんですが、この件について大臣のお考えを伺いたいと思います。
平沼国務大臣 確かに、先生おっしゃるように、イラクの状況の中で、今、石油の価格もニューヨークの市場で三十七ドルを超える、こういうようなことであります。
 御指摘のように、日本の場合には、一九七三年のオイルショック以降、やはり備蓄をしなければいかぬということで国家備蓄と民間備蓄を合わせて今百七十一日間あります。そういう意味では、約半年分確保されているわけであります。
 しかし、御指摘のように、GDPで世界の第六位になったお隣の中国というのが完全な石油輸入国に相なりました。そういう中で、御指摘のようなことは非常に私は手を打っておかなければならないことだと思っております。
 そこで、私どももこうした認識を持っておりましたので、昨年のちょうど九月に、我が国が主催しまして、日中韓のASEANエネルギー大臣会合、これを私は大阪で開催をさせていただきました。そして、日中韓のASEANのエネルギー閣僚間で緊急時に速やかに対応する、いわゆる情報共有を含めて共有する緊急時ネットワークの開設というものを提案させていただきました。
 これは、参加国もそれぞれ、そのとおりだ、こういうことで、今関係国の政策担当者のリストを整備いたしまして、国際石油市場の動向でございますとか各国の緊急時対応の内容、それからIEAにおける検討状況につきまして緊密な情報交換を始めているところでございます。
 さらに、アジア諸国との関係では、緊急時対応にとどまらずに、中長期的な観点からエネルギー面での協力を一層強化していくことが喫緊の課題である、このように考えており、今申し上げた会合での合意に基づきまして、一つは、中国やASEAN各国における石油備蓄制度の構築の推進。
 それから二つ目は、やはり中国もどっちかというと中東に依存度が高まってきている、日本の場合には八八%の依存度である、こういうことでございますから、天然ガス開発の利用の推進をお互いの共通意識でやっていこう。
 それから三つ目は、先ほど御指摘があった燃料電池等のクリーンな、効率的なエネルギーの利用促進、これも日本が進んでおりますから、アジア諸国と連携をしながら、お互いにそれを伸ばしていこう、こういうことをやっておりまして、当省といたしましては、資源エネルギー庁内にはアジア・エネルギー協力タスクフォースを発足させまして、今申し上げたことを総合的に取り組んでいこうと思っています。
 それから、副大臣クラスをこういう状況で派遣をすべきだと。これは非常に貴重な御提言と受けとめさせていただいて、今言ったものを土台として私どもは一生懸命やらせていただきたい、このように思っております。
大畠分科員 終わります。ありがとうございました。
宮本主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、植田至紀君。
植田分科員 社会民主党・市民連合の植田至紀です。
 通告に沿って質問をしていきたいと思いますが、きょうお伺いしたいのは、中小企業再生支援協議会及び認定支援機関にかかわってお伺いしたいんです。
 たまさか先月の十八日の日経を見ていますと、この再生支援協議会というものが地方版の再生機構というふうな紹介のされ方をしておりました。これは、法律案、改正案を見てもなかなかちょっと子細にわからぬところもあるわけですけれども、かかる理解でいいのかという点。それと、そうした理解でいいとするならば、いかなる部分が地方版たり得るのかという点について、まずお伺いいたします。
高市副大臣 日経新聞にそのように表現をされていたのは存じております。
 中小企業再生支援協議会といいますのは、多様性、地域性といった中小企業の特性を踏まえまして、地域の金融機関それから専門家などさまざまな関係者の参加を得て、各都道府県の商工会議所などに設置して、きめ細かな支援をしていく、これが再生支援協議会の位置づけでございます。
 ですから、具体的に中小企業の求めに応じてさまざまな相談、助言、再生計画の作成支援、それから販路や政策金融のあっせんなどを行うところですね。
 一方で、産業再生機構といいますのは、みずから金融機関の持っている貸付債権の買い取りをしたり、必要に応じて企業への貸し付け、債務保証、出資を行うなど、より直接的な関与を業務として行いますので、その機能というものは異なります。協議会の方がよりソフトな支援をすると考えていただいたらいいかと思います。
 ただ、共通点があるとしたら、協議会と機構というのは、企業再生という目的において幅広い意味で共通するものがある、そのように考えております。
植田分科員 機能としては違うのはよくわかるわけですが、獲得目標としては共通しているという切り口から、協議会と再生機構との間で重なり合う部分での協力、連携というものがあり得るのか、そういうことが想定されるのかしないのかという点についてはどうでしょうか。
高市副大臣 協議会と機構、最終目的は一緒でございますので、連携は当然考えられると思います。
 どういう形で連携を図るのが適当かといいますと、いろいろ今後具体的に検討すべきことはあるかと思うんですが、例えば、協議会に相談に来られた中小企業のうちで機構が取り扱うことが適当であるということで考えられるものがありましたら、協議会から機構の方に情報提供を行いまして、機構において対応をしていただくか、していただかないかを考えていただくというような、そういった形の連携になるんだろうと思います。
植田分科員 実際のところ、再生機構のつくりでいけば、余りそういうケースは考えにくいなというふうには思います。
 というのは、ここでは再生機構について論じるつもりはありませんけれども、そもそも再生機構自体が必ずしも中小企業を射程に入れているとは言いがたいと私は思いますので、その点はまた別途の議論になろうかと思いますが。
 それゆえにこそ、なおさら、この協議会というものが地域社会、地域経済の活性化に果たし得る役割というものがかなり重大になってくるんじゃないか、協議会の役割というものが問われると。
 今、副大臣の方からあらあらの仕事については御説明いただいたわけですけれども、実際、今のところ立ち上がっている組織を幾つか見てみますと、千葉で中小企業再生支援協議会、静岡でも同じく協議会、福井でも立ち上がっているわけですが、私は半官半民だったら悪いというわけじゃないんですが、言ってみれば地域の、そこの県のあらあらの経済界の偉いさんの会頭、会長、支店長をだあっと並べて、それを全体会議の委員ということにしたような、そうした協議会が果たして、箱物としては立派な会ではあったとしても、実際具体的な任務というものが、いただいたペーパーでは、相談、助言、取引や政策金融等のあっせん、再生計画の作成支援ということがありますけれども、これらが、実際に駆け込んでくる中小企業の側から、適切なアドバイス等々できる体制というものにあるのかどうなのかということが、やや私としては不安に感じるわけです。
 例えば千葉の場合、全体会議の委員が、商工会議所から商工会連合会、それぞれの政府系金融機関の支店長、信用金庫協会と、ずらっと並んでいる。そして士業の団体の偉いさん。そしてオブザーバーでお上と県が入っている。それから、常駐専門家というのが三人おりまして、中小企業診断士、税理士、銀行出身者と、まあ常駐してはるのはこういう方々だろうと。
 では、こういう方々が、中小とりわけ零細企業の細かなニーズにこたえるだけのスキルを持っているのかどうなのかということが、どうも私としては不安に思えてならないわけですけれども、その不安は杞憂ですよということであれば、その理由を説明していただければと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 この協議会の基本的な構造につきましては副大臣から御答弁させていただいたとおりでございますが、今先生お触れなさいましたように、実際の事業を進めるという場合に当たりましては、やはり中小企業の再生についての知識とか経験を持つ専門家というものがいろいろアドバイスをするといったような、実態的な対応が特に必要だというふうに思っております。
 こういった活動をするために、今先生御言及なさいましたように、各協議会におきまして常駐の専門家に二、三名就任していただくというような格好になっておりまして、その常駐専門家といたしましては、例えば弁護士さんでありますとか税理士さん、あるいは中小企業診断士、地元の銀行の出身者というような、種々の中小企業再生に取り組んだ深い経験のある方、この方に御就任をしていただくというふうに考えておるわけでございます。
 例えば具体的に申し上げますと、一番最初に設置されました福井県の場合には、常駐専門家といたしまして、銀行の視点でいろいろな旅館やホテルの再建を幅広く手がけて、あるいは産業界でも再生に取り組んだ経験の深い銀行の出身者でありますとか、あるいは法務、財務の両方に精通をいたしております中小企業診断士、こういった方に御就任をいただいています。また、北海道でも、管財人をたくさんやられた著名な弁護士の方、あるいは経営コンサルタントをしながら多くの企業の再建に携わった中小企業診断士、こういう方に御就任をいただいておりまして、そういった専門知識のある、いわば実態的に中小企業に助言が、あるいは再建計画が適切にできるような支援ができる、そういう能力を持った方々に常駐専門家として御就任をしていただいているということでございます。
 こういったことで、いい、腕ききの常駐専門家という方々をできるだけ多く選任していただいて、実態的な支援ができるよう、私ども側面的にいろいろ御支援をしていきたい、こう思っておるところでございます。
植田分科員 福井の再生協議会の名簿を見ても、今御説明あったみたいに、常駐専門家の経歴についてかなり詳しく記載されておりまして、このとおりであれば、かなり経験の豊かな方なんでしょう。
 しかし、実際、地域でさまざまな、それぞれの中小企業、零細企業のしんどい条件というものがいろいろあるわけですよ。だから、常駐専門家が二人やそこら、三人やそこら、幾ら立派な方であっても、日に十件も二十件も処理はできへんはずです。もっとすそ野の広い体制というものをつくらないことには、この再生協議会、別に、こういうそれぞれの構成が悪いとは私は言いません、それはそれなりの、それぞれのつかさの偉いさんを選んでいるわけですから。しかし、これだけ見ていると、非常に頭でっかちな組織ではないのかな、実際に実効性を持ち得るのかどうなのかという点で疑問を持つわけです。
 一つは、当面、これは各都道府県に一カ所というようなことを考えておられるようですけれども、少なくとも、例えば、必要だと。政令都市とかといったら規模は大きいわけですし、中核都市でも比較的大きな人口規模を持っているわけですし、それなりそれなりの市町村レベルでの固有の産業を持っている地域もある、そうした市町村レベルでそれぞれの地域の経済条件やその産業構造に合わせた再生支援協議会というものをつくることができる、可能となるような仕組みも一応枠組みとしてこれからこしらえていく必要があるんじゃないのかなと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
高市副大臣 確かに植田先生おっしゃるとおり、各都道府県の実情によって複数設置するような必要が出てきたら、これに対応していく必要があると考えております。
 ただ、とりあえず今年度の補正予算で半分ぐらい立ち上げていただいて、そして来年度、平成十五年度には、少なくとも各都道府県に一カ所できるだけ早く設置をしていただく。予算的な制約もありますので、すぐに平成十五年度に各県二カ所、三カ所と主体そのものを設置することは難しいかと思うんですが、必要に応じてはそういう対応をすることは必要かと思います。
 例えば、認定機関としては一カ所分の設置予算しかなくても、北海道のように広い地域ですと、相談窓口を何カ所にも分けてつくっていただく。北海道の方ではもう既に、再生協議会の支部として道内六カ所に窓口を設置する、専門家を配置するというようなことを考えておられますので、各地方で工夫もしていただいて、私たちも対応を考えたいと思っております。
植田分科員 今の副大臣のお話は、当然、今回の予算では当面各都道府県一カ所だということは承知していますが、少なくとも、平成十六年度以降の課題として、今私が伺ったことは念頭にあるんですよ、検討課題として認識しておりますよというふうに理解していいですね。
高市副大臣 予算面で国会にいらっしゃる委員各位の御理解も十分いただいた上でのことではございますが、ぜひそういう意気込みで取り組んでまいりたいと思っております。
植田分科員 それで、再生協議会の委員の構成等々を見ていますと、別にそれぞれ悪いとは言いません、大体過不足なく選んではるんやなというふうに思います。この人はあかんというような人はいないでしょう。
 ただ、地域で、中小企業の皆さん方に、任意の商工団体としていろいろな、例えば申告の指導であるとか、記帳指導とか、その都度その都度の経営の相談とか、こんな公的融資があるよ、そういう相談の活動を行っているような任意の商工団体、それは玉石混交いろいろあろうかと思いますけれども、ある意味ではこういうのも私はNGOだと思うんですけれども、こうした組織等々もあるんですよね。だから、例えば、小泉構造改革は常に、民間にできることは民間に民間にと、雇用のことまで民間に任せようというから私は困っちゃうんですけれども、まあそれはよしとして、民間で、既にこうした中小企業の経営者の皆さんの信頼を得ながら、任意だけれどもいろいろな適切な活動をしてきた、そうしたノウハウを持っている団体を積極的に活用していく、またそうした方々にこの協議会に参加してもらう、また、必要な相談業務なり、常駐専門家だけでは対応できへんような課題等々ありますから、そうしたものについて、そうしたところに委託をしてやってもらう、そういうことも考えれば非常にきめ細かな対処というのはできると私は思うんですけれども、その辺は念頭にはないんでしょうか、あるんでしょうか。
高市副大臣 植田先生と同じ奈良県でございますので、大体どういう団体を想定されておっしゃっているかも理解できます。任意で中小企業者のために御活躍いただいている団体はたくさんございます。できるだけ幅広く、それも地域の関係者の協力を得られる形で、きめ細かく、公平に、幅広く得られる形でくみ上げていけるのが最適だと思っております。
 ですから、具体的にどういう団体の代表をメンバーにするかというようなことは、各地方で、その地域の実情、特色を踏まえて選定されることが必要ですので、経済産業省といたしましては、各地域の判断を大いに尊重してまいるつもりでございます。
植田分科員 ということは、今私が申し上げたような、地域で活動している任意の商工団体、そうしたものを経済産業省としてはあらかじめ排除しているんではないよ、それは、それぞれの地域の実情、また特性に応じて地域で判断していただければいいんだ、それをあかんよということにはしていないよと。
 だから、気になったのは、このペーパーの中で「地域金融機関、政策金融機関(中小公庫、商工中金等)、自治体、国の地方支分局等が参加」というふうに書いてあったので、では、今のそうした任意の商工団体も、この「等」の中にくくられるというふうに理解しておいていいわけですね。しつこいようですけれども。
高市副大臣 認定支援機関というものに関しましては、これは改正産業再生法案におきまして、商工会、都道府県商工会連合会、商工会議所または中小企業支援法の指定を受けている都道府県中小企業支援センターということにいたしております。
 ただ、そのメンバーですね、協議会を構成するのはさまざまな専門家、そしてまた、できるだけ幅広にメンバーを考えていきたいということでございますので、要は、各地域の支援機関や支援団体、そういったところと幅広く連携や協力関係を築いていくというイメージを持っております。認定の支援機関ということとはまた別でございます。協議会のメンバーとしてそういう団体の御代表に入っていただくということが望ましいんじゃないかと思うんですが、私たちといたしましても、各地域の認定支援機関に対しまして、地域の支援団体、先生がおっしゃったような支援団体とよく意見の疎通、それから情報交換、こういったものをしてくみ上げていってくださいということを私たちの方からも助言したいと思っております。
植田分科員 ありがとうございます。
 そこで、今ちょっと、一応、私、支援協議会と認定支援機関というものを分けて聞こうと。もう十分少々しかないので、今度は認定支援機関の話を聞こうと思うんですが、この産業活力再生特別措置法の改正案の二十九条の三で、中小企業支援協議会の位置づけとして、「認定支援機関に、中小企業再生支援協議会を置く。」こういうふうに書いておるわけです。認定支援機関、これはその前条の二十九条の二等を読めば、どういう機関なのか、どこがそういう機関になるのかはわかっていますから繰り返しませんが、要は、認定支援機関があって、そこが取り仕切って支援活動をやる、そして、言ってみれば、その諮問機関的な役割を支援協議会なるものが果たす、そういう切り分けで理解しておいていいんでしょうか。そうではなければ、ないとおっしゃっていただきたい。手を挙げてはるんでどうぞ。
杉山政府参考人 私ども、支援協議会をつくる際に、新しい組織をつくって余計なコストをかけるというのは避けたいと思っておりました。また、各地域にいろいろそれに関連する仕事をしておられる組織もございますので、そういった組織を活用するという観点から、認定支援機関というものを認定しまして、その中に、実際的な活動を支援する、諮問機関と言うのが適切かどうかわかりませんけれども、実際のいろいろな重要事項を決めたり、あるいは個々の、別々の中小企業の方々にアドバイスをする際の基本的な方針を決めるといったような実態的なところは、この協議会で御議論をいただくというような格好にしてございます。
植田分科員 大体わかりますけれども、言ってみれば、認定支援機関が実際の実務化をするわけですね。そういうことですね。それで、協議会というものは、あらあらの方向性をその都度その都度適宜御協議するんだ、そういう切り分けでいいんですか。
杉山政府参考人 基本的な方針等につきましては協議会で議論をしていただきまして、例えば人を派遣するといったようなときには、この認定支援機関が人を派遣するというような形になると存じます。
植田分科員 そこで、認定支援機関、今限定されているわけですが、例えば商工会議所、商工会連合会等々はこの認定支援機関としてなり得るわけですわね。
 ただ、別にこれも私は商工会議所や商工会の連合会が悪いとは言いません、全然。それはいいと思いますよ。ただ、この商工会議所や商工会というのはやはり地域的にも活動にばらつきはあるだろうと思うんですよ。ほぼすべてのその地域の業者さんが商工会の会員に入って、それこそそこへ行けば駆け込み寺的な役割を果たしている商工会もあれば、祭りのときの主催団体で、秋祭りのときに主催何とか商工会と出るぐらいのことしかやってへんところもありますでしょう、実際。
 よく聞くんですよ、これは。サービスのええところもあるけれども、申告のことを聞きに行ったって、ようわからぬ、どこぞの税理士に聞いてきてくれというようなところもあるわけです。ばらつきがあります。だから、そういう意味で、商工会、商工会議所がすべからくきめ細かな対応ができるというところは、これは地域的にばらつきがあるだろうと思うのが一つ。
 それともう一つ、商工会にその地域のすべての業者がメンバーとして会員さんになっているとは限らないわけですね。漏れているところはたくさんあるわけです。そういうところは、そもそも商工会の会員さんではないわけですから、最初から漏れ落ちてしまう。やはりそうしたこぼれ落ちてくる部分をちゃんとすくい上げてくる体制というものが必要だろうというふうに私は思うわけです。
 というのは、ここでの認定機関の業務、いろいろ書いています。例えば、事業再構築、共同事業再編、経営資源再活用または経営資源活用新事業を行おうとする業者の求めに応じて指導や助言をするとか、いろいろ書いています。
 これも、全部あかんとは言いません。ただ、中小零細企業の側からいくと、例えば日産みたいに不採算部門を削って採算部門をどういうふうに活性化するかとか、そんな状況にない中小企業が多いわけです。不採算も採算部門もないわけです。そういうところが圧倒的に多い。リストラしようというたって、三人しか職人を雇ってへんところでリストラも何もないわけですよ。そうした中小企業の実態に応じた業務なのかどうなのかということを考えたときに、ややこれでは物足りないというか、実際にかなっているかという点においてはクエスチョンがつく。
 基本的には二つだろうと思うんですよ。
 一つは、これから中小企業は大変だな、とりわけ零細の自営業者さんが大変だなというのは、これもこの場では細かく言及しませんけれども、所得税法等の改正案の中で、免税点が下げられ、簡易課税も下がる、三千万から一千万、二億から五千万。ということで、まず大変なのは記帳ですわね。塩川財務大臣は、そういうやりとりを聞いていたら、それは記帳すればいいんですからと言うけれども、きめ細かなそういう記帳を指導せぬといかぬ。
 私は今回の改正、反対ですよ。反対やけれども、通ってしまったら、それに応じたケアやセーフティーネットを張ってあげにゃいけない。やはりそういう指導をどれだけきめ細かにできる体制をつくるかということが地域において課題の一つであるということ。
 それともう一つは、ずばり言えば融資でしょう。この再生支援協議会の中でも、当然その地域の金融機関の偉いさんがみんな入っていますから、それはそれで構わぬのですけれども、例えば公的融資だってメニューには限りがあるわけで、それがすべて今の中小零細事業者のニーズにかなったものとは限らないわけですね、金額的にも。しかも、そうした融資を幾らあっせんするというたって、それは需要を満たすだけのそういう公的融資が整っているのかというと、それも私はそうではないと思う、それは努力なさっていると思いますが。
 とした場合、こうした支援協議会をこしらえる、言ってみれば、その実務をする部隊としての認定支援機関の任務として、これは認定支援機関の業務というよりは、むしろ再生支援協議会がそういう役割を果たしていかにゃいかぬのだろうと思うのですけれども、単に融資のあっせんじゃだめなんですよ。
 中小零細企業は、大体、銀行に借りてくれ借りてくれと言われて、バブルのときに結構借金しておるわけです。要するに、土地の担保価値が下がって、そして大変になっておるという状況ですわね。それで本業はきちんとやっておるわけです。そういうところは多いんです。しかし、融資が受けられへん。その融資も、そんな二億、三億の世界と違います。三百万、五百万という、その程度ですわ。それが貸し渋りに遭っている。何で貸し渋りに遭うか、要するにそれは金融機関が土地の価値しか見ないからですね。ですから、こういう支援協議会というものに地域のそうした金融機関も含めて参画させるのであれば、金融機関の姿勢をこの協議会での議論を通じて改めさせていかなければならないんじゃないか。
 要は、どういうことかというと、善意かつまじめにやっている中小企業は殺しちゃだめだということ。すなわち、実際の本業がどういう経営の状況にあるのかということ、そうしたものをもっと融資の判断基準として転換させていく、そうした場として目的意識的にこの協議会を使わなければならないし、それを認定支援機関が、そうした当該中小企業は、確かに持っている資産は少のうて、今までの金融機関からいえば、それはこれぐらいや、いや、貸せないという話かもしれへんが、本業はこうですよ、本業はこれぐらいの水準で推移していると。景気が悪いのは中小企業のせいじゃないんですから、政府の政策が悪いからなんですから。だから、景気さえ上向いてくればこういう企業というのは必ず立ち直るんだよと。その間に入り得る、金融機関と中小企業の経営者との間で適切に仲介ができる、そうした認定支援機関でなければならないと思うんですよ。
 そうした役割を果たすということ。要するに、一つは、そうした税制の改正に伴ってのさまざまな事務の煩雑になる部分についてのフォロー。それと、実際の融資を、単に現行の融資制度をどう活用するかというだけではなしに、この協議会そして認定支援機関の役割というのは、金融機関の姿勢を変えさせる、言ってみれば、何に着目して金を貸すか、そこがやはり貸し渋りを解消させる一つのポイントだろうと思うんです。そういう役割をここの機関がしっかりと担うということを、ここは目的意識的に、ここでは書き込んでいませんけれども、今後検討していかなければならないんじゃないか。ちょっと長くなりましたけれども、その点いかがですか。
高市副大臣 非常にいい御指摘をいただいたと思っております。
 メンバーの中に金融機関を取り込んでいくということは、その企業の再生をみんなで議論しながら考えていく中で、金融機関にも新たな問題意識を持っていただけますし、企業の実態ですとか政府の政策、特に今般、再生をしようという企業に対してもさまざまなセーフティーネットを整えましたので、そういったことも金融機関それから地域のいろいろな経済関係者がともに共通認識を持っていただきながら企業再生を図っていく、そういう場にもなるはずでございます。
 それから、おっしゃいましたような、どうしようもない商工会もあるんだというような御指摘もありましたけれども、これも、認定の際の基本的な基準というものをきちっと考えておりますので、要は中小企業再生支援業務を行うことができるか否かというところはしっかり見ますので、どうしようもないところが必ずしもこの認定支援機関になるというふうには思いません。
 それから、きめ細やかな指導ですとか融資、融資のメニューについても、かなりこれは中小企業庁の方からもどんどん助言をしてまいりますけれども、何もないよりは、こういった形の組織ができることでその対応が今よりは進んでいくと思います。
植田分科員 最後にもう一点だけ伺って終わりたいんですが、この法案だけ見れば、結局、商工会や商工会議所が認定機関にならざるを得ないわけですけれども、先ほども任意の商工団体について協議会にかかわってお話ししましたけれども、一足飛びにそうした商工団体の実態に即して認定機関にしたったらどうやなんて、そういうことを言うつもりはありません。ただ、認定機関がすべからくきめ細かに対処できない部分について、実際それぞれの個々の中小企業の経営者、自営業者とトイメンに立っている、そうした商工団体等々のノウハウを生かしつつという観点からするならば、そういうところに協力を求める、ある局面ではこうした問題についてお手伝いをしてもらうというようなことも私はあっていいんじゃないかと思いますけれども、その辺は排除しているんですか、していないんですか。それを最後にお伺いします。
杉山政府参考人 先ほど副大臣の御答弁にありましたように、これをうまくワークさせていくためには、地域の幅広い協力が必要だと思います。
 もちろん、例えば商工会のメンバーでない方も、もちろん認定支援機関に相談に行くことは当然できるわけでございますし、また先ほど副大臣の答弁にありましたように、支援協議会とそれから各地域のいろいろな支援に携わっている能力のある組織、これとの間でいろいろ情報交換をしたり意思疎通を図ったりというようなことについては、私どもからも指導助言をそれぞれの協議会にいたしたい、そういうふうに思っております。
植田分科員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
宮本主査 これにて植田至紀君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上喜一君。
井上(喜)分科員 井上喜一でございますが、私は、まず最初に、イラクの関連のことにつきまして質問をさせていただきたいと思います。
 イラク情勢が大変緊迫をいたしておりまして、どういうぐあいに動いていくのか予断を許さないのでありますけれども、しかし、国としては、万一のことに備えて、いろいろな検討をしたり、あるいは準備をする、こういうことは当然必要なことだと思います。
 もとより、イラクの武装解除をさせる、大量殺りく兵器をなくさせるということを、平和的な手段で解決していくということをぎりぎりまで努力はしないといけませんけれども、万一の場合に備えて、ただいま申し上げましたようなことは当然考えないといけないと思うのであります。
 そこで、まず、仮にイラクに対する武力行使が起きた場合、これも、比較的短期間に終わる場合、あるいは若干長期間に及ぶ場合もあろうかと思いますが、まず第一問は、世界の経済、あるいは世界の原油価格、あるいは世界の金融とか資本市場、つまり株価がどう動くのか、あるいは為替レートがどういうぐあいに動いていくのか、そういった全体につきまして、どういうような見通しを持っておられるのかお聞きをしたいと思います。
平沼国務大臣 これは、政策の責任者でいらっしゃる井上先生が一番お詳しいと思っておりますけれども、経済産業省といたしましても、昨年の秋深くから、やはりイラクが緊迫の度を加えてきておりましたので、特に、エネルギーを所管しておりますから、エネルギーを中心にいろいろシミュレーションをやらせていただいています。御指摘のとおり、やはり短期にわたる、あるいは中期、長期、こういったことでございます。
 過去、クウェートの侵攻のときに、例えば原油価格では、二十ドル台だったものが一時的に倍にはね上がった、そしてそれが収束の方向に向かった、こういうようなことがあります。ですから、私どもは、もしイラク侵攻があった場合にはたちどころに原油の価格がはね上がる、そういうふうに思っております。
 現にイラク情勢が緊迫の度を加えてきておりまして、例えばニューヨーク市場でもバレル当たり三十七ドルを突破する。大体、石油の値段というのは、二十ドルから二十五ドルぐらいが産油国あるいは消費国にとっても望ましい価格帯だ、こういうふうに言われておりますけれども、三十七ドルになっているわけです。ですから、そういう中で、もし侵攻が起こった場合には、石油価格の高騰ということは避けて通れないと私は思います。
 そのために、例えばIEAの中ではそういう非常時に備えて備蓄をいたしておりまして、これに対しては全体で百十五日程度のものがございますし、また日本は国家備蓄、民間備蓄合わせて百七十一日あるわけであります。ですから、こういった備蓄というものを放出して熱を冷ますということもできるわけでございまして、これからはそういった形の国際協力ということも当然行っていかなければならないと思っています。
 もう一方、産油国サイドも、例えばサウジアラビアは日量でまだ九十八万バレルの余力がありますし、あるいはOPECも二百三十万バレルぐらいの余力がございまして、こういったところは優先的に供給体制をとる、こういうメッセージも出していただいています。
 ですから、私どもはそういうカタストロフィーにはないと思いますけれども、しかし、これが中期化して、アメリカ経済というものが、例えば膨大な戦費がかかる、そしてそのために経済が冷え込んでくる、こういうことになりますと、やはり日本の経済にとっても、輸出減というような形で大きな影響が出てきますし、また、ある意味では、ドル安というような局面が出てきますと、これまたいろいろな形で、日本の経済それから世界の経済にとって大きな影響が出てくると思います。
 そういう中で、我々経済産業省としては、まず石油の安定供給、このことを確保して、そしていわゆる国の血液、経済の活力である石油の確保、そして価格の安定、こういうことを第一義にしてやっていかなければいかぬと思っております。
 いずれにいたしましても、そういう経済に対する影響は非常に大きいわけですから、世界と連携を密にとって、その被害を最小限に食いとめるように努力をしていかなければならない。いずれにしても、御指摘のように、いろいろな面で影響がある、そのためにきめ細かな対応をしていかなければならない、このように思っておるところでございます。
井上(喜)分科員 金融庁から伊藤副大臣がお見えになっておりますので、お伺いしたいのでありますけれども、世界の金融資本の市場、特に株式市場とかあるいは為替市場ですね。どういうような影響が出てくるか、ちょっとお聞かせいただきたいんです。
伊藤副大臣 実際、イラクの問題等々で世界の株式市場がいろいろな影響を受けている面もございますので、そうした要因等々を考えていきますと、具体的にどうなるということは、確たることはなかなか申し上げにくいところがございますが、影響そのものはやはりあるだろうというふうに思います。
 そうしたものを踏まえながら、各国としてどういう経済の運営をしていくかということもございますので、そうしたことを踏まえて、今後の経済の状況というものを注意深く見ていかなければいけないというふうに思っております。
井上(喜)分科員 次に、今の御答弁と関係するのでありますけれども、日本の経済に及ぼす影響、これも世界経済同様にあると思うのでありまして、特にコメントすることがあったらお聞かせいただきたいのでありますけれども、そういうことを前提にいたしまして、どういうような準備をしておられるのか、どんな対策を考えるとすれば考えておられるのか、それをまず経済産業大臣、それから金融庁副大臣、それぞれの分野でお聞かせいただきたいんです。
平沼国務大臣 私どもとしては、先ほどの答弁にもさせていただきましたけれども、やはりエネルギーというのは非常に重要でございますから、先ほど申し上げたような対策をさせていただいています。
 それからもう一つは、やはり東南アジア関係も非常に重要でございまして、中国も純石油輸入国に相なっています。そして、ASEANを初め日中韓、こういったところを見ますと、石油の備蓄が行われていない国、これからの国というところがあるわけです。そういう意味では、私どもは、昨年の秋から、日中韓、ASEANでエネルギー担当大臣に集まっていただきまして、そして緊急対応を含めて、お互いにどうやって対処していくか、これは事務レベルでも会合をするというような対策は講じさせていただいています。
 また、経済に関しましては、これはいろいろな影響が出てくるわけでございまして、経済産業省といたしましては、例えば、貿易の輸出に対して、やはりアメリカの経済の動向をしっかり見きわめながら適時適切な手を打っていくというようなことももちろん必要でありますし、万般にわたって、イラクが紛争で戦争に突入した場合には、過去のクウェートの経験も踏まえまして、私どもはきめ細かい対応をしていかなければいけない、そういう意味では、省内でもいろいろシミュレーションをやっているところでございます。
伊藤副大臣 私どもとしましても、株式市場の動向というものを注視いたしまして、そして、一番重要なのは決済機能というものを十分確保するということでございますので、この点についても万全な対応をしていきたいというふうに常に考えているところでございます。
 また、昨年の十月に公表させていただきました金融再生プログラムにおきましても、万全の危機管理体制というものを整備して、そして、金融面から経済の底割れを起こさせないということをその中でうたわせていただいておりますし、そのための措置もさせていただいておりますので、そうした形で、私どもとしてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。
井上(喜)分科員 外務省、来ておられますね。外務省としてどういうようなことを考えておられるといいますか、準備をしておられるのか。新聞紙上では邦人の避難なんかの記事が出ますけれども、それなんかを含めまして、今どんなことを考え、どんな検討をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、このイラクの問題についてはあくまでも平和的解決を求めるということで、それによって大量破壊兵器の廃棄を求めるという努力を続けておりまして、ついこの週末からも総理の特使をイラク及び近隣諸国に派遣して、第二の安保理決議が出ている状況下で、できるだけ平和的解決に向けての努力をしたいというふうに思っております。
 それから、今御指摘の邦人の問題につきましても、あの地域に五千人を超える邦人が現在いるわけでございますので、状況を把握しながら、事態の展開を見ながら邦人の引き揚げということを適時適切に行っていきたいというふうに思っております。
 それから、万一、万々一イラク攻撃が行われたという場合の影響ということについては、私どももいろいろな分析をさせていただいております。そういうことにならないことを望むわけでございますけれども、万一そういうことになった場合のイラク自体への影響、あるいはその周辺諸国への影響ということをいろいろ分析しております。
 イラクにつきましては、あの国の構成が、現在、クルド、スンニ、シーアという非常に複雑な構成になっているわけでございますので、将来の政治形態がどうなるのかということ、そして、特にクルドの問題につきましては、周辺のトルコ、シリア、イラン、このそれぞれの国にクルドが住んでいるわけでございますので、状況の展開いかんによっては、これらの国にも大きな影響を与える問題だろうというふうに考えております。
 それから、現在サダム・フセインの独裁体制のもとでイラクの経済が疲弊しておりますけれども、この疲弊した経済をどういうふうに立て直すのか。その場合に、やはり石油があの国はサウジに匹敵する埋蔵量を持っているわけでございますので、その石油をどういうふうに活用していくのか。その過程で、破壊された油田の修復あるいは開発、こういったようなものに相当の労力と資金がかかると思いますので、そういうものをどういうふうに調達していくのかというような問題もあろうかと思います。あるいは、イラクは現在賠償金の支払いを多額に抱えておりますし、また対外債務も四百億ドル以上の債務を持っておりますから、こういうものをどういうふうに対処していくのかという問題があろうかと思います。
 それから、周辺諸国との関係では、いろいろな政治的な問題も将来の問題として考えていかなくてはいけない。現在、あの国周辺諸国では、非常に反米感情が国民レベルの間で高いので、戦争が万々一行われた場合にそれがどういうふうに発展していくのか、それが各国の内政にどういうふうにはね返ってくるのかということも見ていかなくてはいけないと思いますし、やはりその過程で、過激派のグループ、イスラムのグループの動向というものにも注目していかなくてはいけない。これは何としても、イスラム対キリスト教世界の対立というような図式に持っていってはいけないので、そういうことがないように私ども努力していきたいと思っております。
 また、中東和平の問題、これが非常に大きな問題でございまして、ある意味で、アラブ諸国の間では、イラク問題以上に中東和平が大きな問題でございます。何十年にもわたってあの地域の不安定要因となっている問題でございますので、これに対する取り組みも真剣に行っていかなくてはいけないということで、日本といたしましても、来週特使がお三方あの地域に行かれますけれども、それとあわせて、中東和平担当の特使である有馬大使に同時期に行っていただいて、この中東和平への取り組みの日本の真剣な姿勢というものも大いにアピールしたいというふうに思っております。
 いずれにしましても、多くの複雑な問題を抱えておりますけれども、これらの問題に適切に対処していきたいと思っております。
井上(喜)分科員 今、国内の最大の問題といいますのは、やはり経済の問題だと思います。デフレをいかに克服するかということですね。各種世論調査を見ましても、やはり経済対策を希望する声が一番強いと思うんですね。政府もいろいろな対策を講じられておりまして、今予算案の審議中でありますけれども、一日も早く予算案を成立させるとか、あるいは税制改正その他の関連法律を早く成立させるとか等々必要だと思うのでありまして、そういうことをやるということになっているのでありますけれども、今なお追加的な対策をやれというような声があるわけですね。
 そこで、私は、やれるところからやっていくということが筋道だろうと思うのでありまして、まず不良債権の処理だとかあるいは企業の再生のようなこと、これはずっと課題になっておりまして、こういうものにも積極的に取り組んでいくとか、あるいは規制緩和、それももっと積極的に進めるというようなことが必要だと思うのでありますけれども、不良債権の処理とか産業再生というのは、今順調に作業は進んでいるんですか。どんどん不良債権の処理なんかが進んでいるのかどうか、あるいは新しい不良債権なんかは余り今発生してきていないような状況なのか、いや、処理以上にまた不良債権がふえていっているような状況なのか、その点、まずお聞かせいただきたいと思います。
伊藤副大臣 私どもといたしましては、先生が御指摘をいただきましたように、今後の構造改革を進めていくに当たって、不良債権の問題を終結していく、そして産業の再生を実現していくということは極めて重要だというふうに思っております。
 そうした問題意識の中で、昨年の十月に、先生にも御指導いただきながら金融再生プログラムというものを公表させていただき、その施策を迅速かつ着実に実施することによりまして、主要行の不良債権比率を十六年度末までに現状の半分程度に低下させることを目指して問題の正常化を図ってもらいたい、そしてそのことを通じて、構造改革を支える、より強固な金融システムを構築できるように全力を尽くしているところでございます。
 現在、年度末に向かって、では不良債権の処理というものが果たしてどういう形で進んでいくのかという点があろうかと思いますけれども、この見通しにつきましては、やはり経済の動向等々さまざまな要因がございますので、確たる見通しを申し上げることは非常に困難でありますが、主要行の破綻懸念先以下の債権についてオフバランス化のルールがございます。これにのっとって極めて機械的に試算を進めてまいりますと、十四年度中に十兆円前後の破綻懸念先以下の債権についてオフバランス化につながる措置が講じられることになるというふうに思います。
井上(喜)分科員 規制緩和でありますけれども、きょうの新聞なんかによりますと、何か規制緩和の特区について発表があったようでありますけれども、果たしてああいうようなことで規制緩和の突破口になるのかどうか。その辺、どういうぐあいに考えておられるのか、目ぼしいような規制緩和があればちょっとお知らせいただきたいんです。
中城政府参考人 お答え申し上げます。
 構造改革特区につきましては、先生御指摘のように、昨日開催されました構造改革特区推進本部というところで、特区において実施する規制改革事項四十七項目、全国で実施する規制改革事項七十七項目というものが決定されました。
 主な規制改革事項と、それによって実現が期待できる特区というもののイメージでございますけれども、まず一つは、株式会社やNPO法人による学校の設置、運営を認めること等により多様な教育が提供される教育特区。二番目には、民間企業による総合保税地域の運営や、公有水面埋立地の効率的な利用といったようなことにより国際競争力のあるサービスとコストを実現する国際物流特区。それから、地域の実情に応じた農地取得の容認による農業への新規参入の促進や、農家民宿によるどぶろくの提供など、グリーンツーリズムの促進などを行う農村活用化特区。それから、地方公務員の勤務形態の弾力化等により地方における行政コストの削減や行政サービスの向上を実現する行政改革特区。それから、株式会社の医療への参入等により医療サービスへの国民の選択を増す医療特区といったようなものがございます。
 こうした決定されました規制の特例事項につきましては、これが地方公共団体の積極的な取り組みにつながるよう適切に対応してまいりたい、かように考えております。
井上(喜)分科員 次に、平沼大臣に国務大臣としてお伺いをいたしたいのでありますけれども、今私が申し上げましたように、さらに追加的なデフレ対策が必要じゃないかということが巷間言われているわけであります。これは財政政策だけではなしに、金融とかもろもろのものを含んだものだと私は思うのでありますけれども、さらに今の時点で追加的な経済対策、デフレ対策が必要かどうか、もし必要であるとすれば、どんなことが考えられるか、あるいは考えるべきなのか、所見をお伺いいたします。
平沼国務大臣 今の非常に厳しいデフレの中で、小泉総理も昨年秋は、三十兆円枠、そしてさらには補正予算は組まない、こういう基本姿勢でございました。しかし、税収が上がらない、またデフレが深刻化する、小泉総理自身が柔軟かつ大胆に対応する、こういうことで、与党三党の皆さん方のそういう御協力の中で、補正予算というのが御承知のように三兆円の規模で組まれました。
 それから、もう一つ特筆すべきことは、やはり政策減税。これは二兆円の規模で、差し引き一兆八千億でございますけれども、そういう中で、例えば研究開発投資減税。それから、今いわゆる資産デフレが起こっておりますから、そういう意味では土地の譲渡益課税を軽減する。あるいは、株も非常に下がっているから、そういう意味では株式の譲渡益課税。こういった形で、私どもの研究開発とあるいは投資合わせて一兆二千億、こういう手当てをさせていただきました。
 そしてさらに、やはりデフレというのは、経済の隅々まで資金が回るということが大前提でございます。そういう中で、私どもは、こういう厳しい中小企業に対しまして、この補正予算の中でも、特にセーフティーネット、これを十兆円の枠で確保させていただきましたし、さらにその中で、今返済に非常に苦労されている中小企業の方々に向かって、新たな借りかえ制度、これは非常に好評でございまして、利用もウナギ登りに上っておりますけれども、こういった一連のことをさせていただきました。
 したがいまして、まず、今厳しい中ですけれども、私は、やるべきことは、補正予算をしっかりと執行し、そして、今御審議いただいている平成十五年度の本予算、これを一日も早く成立をしてこの執行を期す、このことに全力を尽くすべきだと思っています。そして、その中でいろいろな状況が起きてきましたら、小泉総理御自身も、柔軟かつ大胆に対応するんだ、そういうことを言っておられますから、今井上先生がおっしゃったような形で、そういうときにはあらゆる角度で私どもは積極的にやっていく、こういうことでないかと思っております。
井上(喜)分科員 次に、中小企業の金融対策に関連した質問をさせていただきたいと思います。
 中小企業対策の大きな柱が中小企業に対する金融の円滑化ということであることは言をまたないのでありまして、経済産業省の予算の中におきましても、本予算あるいは補正予算を通じましてこうした関連の経費が多く計上されているわけであります。それでもなおかつ、中小企業に対する金融の円滑化をさらに求める声が強いわけですね。
 そこで、私は、経済産業省内部、恐らく中小企業庁じゃないかと思いますけれども、中小企業の売り掛け債権を証券化するということによって中小企業に対する金融の円滑化を図っていこうというようなことが検討されているやに聞くのでありますけれども、どの程度そういった検討が進んでいるのか、これからの見通しも含めましてお伺いをいたします。
西川副大臣 中小企業は、不動産、現金、預金に匹敵いたします売り掛け債権を九十兆円近く保有しております。これを活用いたしまして、不動産担保に過度に依存しない金融手法を発展させるということが重要であるというふうにまず考えております。
 ただいま先生御指摘のように、売掛金債権の制度を創設したわけでありますけれども、これは実は、使い勝手が悪いという御批判もあって三回ほど制度を変えたわけでございますが、おかげさまで現在、五千二百件、金額にして二千四百億円の利用実績を上げております。これを、先ほど申しましたとおり九十兆あるわけでありますから、さらに発展をさせようということで、証券化をしていく、こういうことを始めるわけであります。
 先般、平沼大臣が経済財政諮問会議で、みずほ銀行と商工中金の引き受け例を御説明させていただいたことがまずスタートでございますけれども、この制度は、中小企業が保有します売り掛け債権を金融機関等に譲渡することで資金調達を行うわけであります。金融機関等は、買い集めた多数の売り掛け債権を証券化いたしまして資金供給の原資を調達する、こういうことにいたすわけでございますが、これを利用しますことによりまして、今後この制度がより発展する、こういうことが見込まれます。
 そこで、私どもといたしましては、日本銀行にまず協力をしていただかなければなりませんので、民間金融機関が行います中小企業の売り掛け債権の証券化というスキームに対しまして、さっき申しましたとおり、商工中金が証券の一部を引き受けるという形でこれをスタートさせました。
 具体的には、先ほど申しましたとおり、とりあえず商工中金が五十億円を引き受ける。信託される中小企業の売り掛け債権は三千五百億円でございます。そのうち千六百億円を証券化いたしまして、商工中金がそのうちのとりあえず五十億円を引き受ける、こういう形で第一回目をスタートさせる。これを発展させていきたい、こういうふうに思っております。
井上(喜)分科員 では、終わります。
宮本主査 これにて井上喜一君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午前十時三十一分散会


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