衆議院

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第1号 平成17年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成十七年二月二十二日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      甘利  明君    石原 伸晃君

      尾身 幸次君    茂木 敏充君

      島   聡君    長妻  昭君

      米澤  隆君

二月二十四日

 茂木敏充君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成十七年二月二十五日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席分科員

   主査 茂木 敏充君

      甘利  明君    石原 伸晃君

      鈴木 淳司君    島   聡君

      樽井 良和君    長妻  昭君

      長安  豊君    米澤  隆君

   兼務 菅原 一秀君 兼務 稲見 哲男君

   兼務 辻   惠君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   内閣府副大臣       七条  明君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          藤岡 文七君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 塩沢 文朗君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        上原  哲君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            大藤 俊行君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           木谷 雅人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本 武史君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          豊田 正和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 増田 優一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 福井 雅輝君

   参考人

   (預金保険機構理事長)  永田 俊一君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

   予算委員会専門員     清土 恒雄君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  尾身 幸次君     鈴木 淳司君

  長妻  昭君     樽井 良和君

  米澤  隆君     長安  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     加藤 勝信君

  樽井 良和君     山内おさむ君

  長安  豊君     下条 みつ君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     中野  清君

  下条 みつ君     泉  健太君

  山内おさむ君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  中野  清君     尾身 幸次君

  泉  健太君     米澤  隆君

同日

 第二分科員稲見哲男君、第四分科員菅原一秀君及び第五分科員辻惠君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十七年度一般会計予算

 平成十七年度特別会計予算

 平成十七年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

茂木主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成十七年度一般会計予算、平成十七年度特別会計予算及び平成十七年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 おはようございます。

 平成十七年度の経済産業省関係予算等について御説明申し上げます。

 我が国経済は、一部に弱い動きが続いており、回復は緩やかになっております。景気回復は底がたく推移すると見込まれるものの、緩やかなデフレが継続していること、回復の程度には規模、業種や地域によるばらつきがあることには留意する必要があります。こうした状況のもと、経済産業省は、将来にわたって日本経済が活力を持ち続けるよう、内外の諸課題に取り組んでまいります。

 このため、平成十七年度予算においては、厳しい財政制約の中で、新産業創造戦略等に基づき、以下の八分野を中心としためり張りのある予算編成を行っております。

 第一の柱は、人材の育成・活用であります。

 産業人材は、我が国経済を支える重要な要素であります。産業界のニーズを的確に反映した産業人材の育成を図るとともに、若年者の雇用問題や中小企業の人材確保などの対策をより一層強化するため、総額百九十八億円を計上しております。

 第二の柱は、科学技術創造立国の実現に向けた効果的な研究開発の推進であります。

 市場や社会のニーズを見据えた技術戦略マップを策定し、国際標準化等の施策と効果的、効率的な研究開発プロジェクトを一体的に推進するため、一千四百二十三億円の科学技術振興費を計上しております。

 第三の柱は、知的財産の適切な保護と活用であります。

 模倣品・海賊版対策の一層の強化を図るとともに、世界最高レベルの迅速的確な特許審査を実現するよう取り組みます。

 第四の柱は、ITの利活用の促進と新たなサービスの創出であります。

 先導的なITの利活用を推進するとともに、電気電子産業や情報サービス産業の競争力を強化することなどにより、世界最高水準のIT国家の実現を図るとともに、新たなサービスの創出を促進してまいります。

 第五の柱は、創業・新事業展開の促進などであります。

 我が国経済の活力の源泉である中小企業が積極的な事業展開を図ることができるよう、技術開発から販路開拓まで総合的な支援策を講じてまいります。また、金融セーフティーネット対策に万全を期すとともに、中小企業再生支援協議会の機能強化などを通じ、中小企業再生を推進してまいります。

 これらの施策の実現のため、中小企業対策予算としては、総額で一千三百億円を計上しております。

 第六の柱は、地域の独自性を生かした地域経済の再生であります。

 研究開発投資を新たな市場の創造へとより効率的に結びつけ、地域経済を再生させる産業集積である産業クラスターの形成を促進するとともに、地域の個性ある発展と国際競争力を高めるための施策を推進してまいります。

 第七の柱は、東アジアにおけるビジネス圏の構築であります。

 東アジアにおける経済連携協定等により、貿易投資関係の一層の活発化、緊密化を図るとともに、制度面での共通基盤を構築し、活力ある我が国経済を実現します。

 第八の柱は、エネルギー環境政策の推進であります。

 安全確保を大前提に、国民の理解を得た上で原子力発電を推進するとともに、我が国周辺の海底資源を探査する三次元物理探査船の建造など石油・天然ガス等の安定供給に向けて取り組むことなどにより、柔軟で強靱なエネルギー需給構造の構築を目指します。また、温室効果ガスの削減目標達成に向け、地球温暖化対策を進めてまいります。

 また、自然の叡智をテーマとする愛・地球博が本年三月に開幕いたします。テーマにふさわしい発信をしっかりと行っていけるよう全力を尽くしてまいります。

 以上御説明いたしました政策を中心に、平成十七年度の経済産業政策の実施に向け、一般会計で総額八千百七十五億円を計上しております。また、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に六千四百三十二億円、電源開発促進対策特別会計に四千四百九十二億円、特許特別会計に千百七十六億円、貿易再保険特別会計に一千五百十一億円を計上しております。

 さらに、財政投融資計画につきましても、産業金融機能の強化などを図るため、所要の措置を講じております。

 なお、経済産業省の平成十七年度予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてございますので、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。

 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。

茂木主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま中川経済産業大臣から申し出がありました経済産業省の平成十七年度予算及び財政投融資計画の詳細な説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茂木主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

茂木主査 以上をもちまして経済産業省所管の予算案の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

茂木主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)分科員 おはようございます。自由民主党の鈴木淳司でございますが、予算委員会分科会の冒頭に質問の機会をいただきまして、まことに光栄に存じます。

 今大臣もお触れになりましたように、二〇〇五年国際博覧会、愛・地球博が、きょうからちょうど一カ月後の三月二十五日に開幕いたします。博覧会の会場候補地として、瀬戸市の南東部丘陵が発表されてからちょうど十五年がたちました。思えば、この間、会場構想の発表から、BIE、国際博覧会事務局への登録と誘致活動、さらには、自然保護運動のうねりとオオタカの営巣地の確認により、メーン会場を当初の海上地域から現在の長久手・青少年公園へ変更した等、さまざまな出来事がありました。

 しかしながら、この過程で私どもが一貫をして強く願ったのは、せっかく貴重な里山を会場として開催する以上、後世から高く評価をされる意義の深い博覧会にしたい、環境共生の実証展開と意識啓発の場でありたい、また、開催を通じて、会場内にとどまらず、その周辺地域一帯を環境共生のモデル地域とさせていきたいということでありました。

 さまざまな経緯がございましたが、この間、中川経済産業大臣、前任の平沼大臣を初め、多くの関係者の並々ならぬ御理解と御協力のおかげでようやく今日に至りましたことに、この機会に改めて、開催に向けて御尽力を賜りました皆様方、すべての関係者に心から感謝と敬意を表したいと思います。

 さて、今、地元としては、二十一世紀初頭の国際博覧会という壮大な国家事業をこの地で開催するその喜びを感じながら、これを必ずや成功させて、新たな時代を開く意義ある博覧会にしたいと意気込んでおります。今、会場の内外において、開催に向けての準備が最終段階を迎え、急ピッチで整備が進んでおりますけれども、開催前のこの時期にあえて確認しておきたい事柄がありますので、順にお尋ねをしてまいります。

 さて、今回の博覧会に取り組む地元自治体のスタンスは、押しなべて、博覧会の開催効果を一過性のものにしてはならないということであります。博覧会の目的、理念をしっかりと継承し、開催後に長く受け継いでいくことが地元の使命であると私も考えます。単に国家事業に場所を提供したということにとどまることなく、会場のみならず、会場を核にした周辺地域全体が、博覧会の理念に基づく地域整備の実証展開の場として機能していかなければならないと思います。

 一般論として、巨大なイベントは一過性のものになりがちでありますけれども、今回の博覧会をそうさせないためにも、博覧会の理念を現実の社会で具現化していくべき具体的なプロジェクトを積極的に展開させていくことが、今、国と開催地に求められることではないかと思います。その面で、これらは、ポスト万博を見据えた中で、博覧会の開催効果を後世に引き継ぐための極めて重要なテーマになるものと確信をするものであります。

 現在、地元では幾つかの試みが現になされ、あるいはまた今後具体的に展開されようとしておりますが、それらをここで少し紹介し、支援方のお願いもあわせてさせていただきたいと思います。中にはいまだ具体的になっていないものもありますけれども、それだからこそ、事業を成功に導くためにも、政府としても積極的に関与をしてほしいと思います。多くは地方発の事業として試みられておりますけれども、博覧会の実質的な成功のためにも、国としてのしっかりしたサポートをお願いしたいと思います。

 それでは、以下、順にお尋ねをしてまいります。

 まず最初に、里山再生プロジェクトについてお尋ねをいたします。

 さきにも触れましたけれども、今回の博覧会の原点は、瀬戸市の南東部丘陵、海上地域だった。自然保護運動の高まりの中で、都市近郊にありながらもそののどかな環境が着目され、一時期、万博反対運動の象徴として取り上げられ、トラスト運動が展開されたこともありますけれども、実際には、この地は、燃料のまきを切り出した関係で、戦前戦後期の荒廃したはげ山に地元の人たちが植林をし、手を入れながら今日まで育ててきた自然でありまして、それゆえ、里山そのものの文化がここに息づいていたものであります。メーン会場は後に長久手町地内に移りましたけれども、博覧会の原点がここ瀬戸会場の海上地域にあり、その経緯がその後の博覧会の性格づけに大きくかかわったのは事実であります。

 自然そのものを体験する中で人と自然との関係についての気づきを得て、博覧会のテーマでもある自然の叡智を考える機会を提供する場として、長久手、瀬戸の両会場とも幾つかのゾーンが設定されておりますが、瀬戸会場の里山遊歩ゾーンは、日本独特の自然風景である里山の体験を通して先人たちのすぐれた環境共生の知恵と技術を学ぶ場としてとらえられ、ここに建設される瀬戸愛知県館は、博覧会の閉幕後は、里山学びと交流の森の拠点施設として活用されることとなっております。

 今、地元の愛知県では、海上の森の特性を生かし、博覧会の成果と取り組みを継承しながら、この地に自然と共生しながら暮らした先人の知恵、技術、生活術を学び、さまざまな活動を通した里山保全活動を進める中で、新たな里山文化を築きつつ、自然環境と調和した新しいライフスタイルと循環型社会形成の糸口を探るべく活動をする里山学びと交流の森づくりの組織を県民との協働で立ち上げております。

 今、全国の都市近郊において急速に失われている里山文化をこの愛・地球博で見直し、この地を拠点として里山文化の再生に取り組んでいくことは、人と自然の新たなかかわりを情報発信し、博覧会の理念を具現化せしめる主要なプロジェクトの一つになろうかと思いますが、こうした活動に国として積極的な役割を果たすおつもりがあるかどうか、お尋ねをいたします。

福井政府参考人 里地里山につきましては、二次林でありますとか水田、ため池など、人の手が継続的に加わることによって維持されてきたものであり、多くの希少種や身近な生物をはぐくむ、生物多様性保全の上で極めて重要な地域というふうに認識しております。新生物多様性国家戦略におきましても、里地里山保全の重要性が強調されたところでございます。

 環境省では、このような認識のもと、今年度から、全国四地域において、地域の多様な主体が連携協力した里地里山保全再生モデル事業を開始したところでございます。

 御指摘の里山学びと交流の森づくりにつきましては、愛知県が、地元関係者それから地元自然保護関係者と協働して、海上の森を里山保全活動の拠点とすべく精力的に検討され、また一部活動が開始されているものと承知しております。

 環境省としては、このような取り組みが地域において力強く行われていることについて大変心強く受けとめているところであります。こうした活動が、全国里地里山保全の先進的取り組みの事例として着実に進展することを期待申し上げているところでございます。

鈴木(淳)分科員 ありがとうございます。ぜひ里山文化がしっかりと根づきますように、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは次に、地場産業であります陶磁器関連のリサイクルプロジェクトについてお尋ねをいたします。

 循環型社会、省資源、省エネルギー型社会のシステム構築と、それを支える二十一世紀型のライフスタイルの提案は、今回の愛・地球博でも重要なテーマとなっております。地元瀬戸市におきましては、地場産業でありますところの陶磁器産業にあって、今、陶磁器の循環型システムづくりに業界を挙げて取り組んでおります。

 現在、割れたり、あるいは家庭などで不用となった焼き物、これを廃陶磁器といいますが、廃陶磁器は現状では不燃物として処分場に埋め立てられておりますが、これらをごみとしてではなく原料として利用した新しい焼き物「Re瀬っ戸」をこのほど地元業界で新たに開発をいたしました。この名前は、リサイクルのReと瀬戸物の瀬戸、地名の瀬戸を組み合わせて、同時に英語のリセットの意味を込めたもので、まさにその名前そのものに事業の理念が盛り込まれているものであります。

 「Re瀬っ戸」の原料は廃陶磁器の粉砕した粉末と粘土で、原料中の五〇%が廃陶磁器からの粉砕粉であり、それゆえバージン原料の使用量は従来の半分となります。さらには、この「Re瀬っ戸」は、従来の焼き物の焼成温度は千三百度でありますが、それより低火度の千百五十度での焼成が可能となり、その点からもエネルギー消費削減につながるものであります。

 こうして、ごみの減量と処分場の延命、資源の有効活用、エネルギー消費の削減など、まさに博覧会のテーマたる資源循環型社会を目指し、地球環境に優しい焼き物として生まれたのがこの「Re瀬っ戸」であります。

 また、これは単に業界のみの取り組みではなく、市民と行政と業界の三者が一体となってかかわることで、新たな焼き物循環システム、新陶磁器循環システムを構築するものであり、市民は、廃陶磁器をごみとしてではなく分別して資源化につなげ、また、生まれ変わった「Re瀬っ戸」の焼き物を積極的に使用する。業界は、廃陶磁器の粉末材料を積極的に活用し、資源の有効活用と環境負荷の少ない製造に努める。行政は、廃陶磁器の回収システムを確立するというものであります。

 この三者協働の取り組みは、地場産業活性化への新たなチャレンジとしても注目をされ、また、地域レベルでの取り組みが全国規模、さらには世界規模へと発展する可能性を秘めた先導的事例でもあり、開催地の地元で始まったばかりのこの試みをぜひとも大きく育てていきたいものと思います。

 しかしながら、この画期的試みが今後とも継続をし、拡大していくためには、リサイクル陶磁器の販路が確保され、ビジネスモデルとしてもしっかり確立していくことが必要となります。イニシアルコストが高い分、その初期段階を経て、ビジネスモデルとして成り立つまでに押し上げるべく、紹介や利用、またさまざまな助成で成功につなげていきたいものでありますけれども、政府としてこうした試みをどう評価するのか。

 国際博の会場でも手洗いの手水鉢に「Re瀬っ戸」が使われると聞きますけれども、そのほか、意識啓発のためにも、目につくところでの活用をぜひ行政には考えてほしいと思います。

 せっかく地元で生まれた試みであり、産業界から具体的に生み出された資源循環型リサイクルモデルの具体例でもありますので、国としても、ぜひ積極的にかかわって、この挑戦を応援していただきたいと思いますが、政府の見解を伺います。

山本(明)大臣政務官 鈴木淳司先生の質問にお答えをさせていただきます。

 愛・地球博が三月二十三日から始まるわけですけれども、私にとりましても地元でありまして、鈴木淳司先生にとりましてはまさに正真正銘の地元出身でございますので、大変期待するところも多いというふうに思います。

 私事でちょっと恐縮なんですけれども、十七年前にこれが始まりまして、私もそのときから関係しておりましたので、その十七年間の成果がここにあらわれようとしておりますので、ぜひすばらしい万博にしていきたいと思いますし、ぜひ鈴木先生にも頑張っていただきたい、そんなふうに思います。

 今、「Re瀬っ戸」の話がございました。自然の叡智というテーマの中で自然と人との共生があるわけですけれども、やはり自然というのは、自然の資源の利用ということもあるというふうに私も考えております。そうした意味で、お地元の瀬戸というのはまさに陶磁器の一番の日本で最先端地域であるわけでありまして、この万博も使いましてそうした瀬戸の優位性をぜひ発揮していただきたいと思いますし、政府としても、今の循環型社会、省エネ、まさに時宜を得た企画だというふうに評価をさせていただいております。

 そして、私もいろいろ調べてみました。先生からの御質問がありまして、大変調べさせていただきました。中を見ますと、製品開発だとか販路開拓の支援策が準備されておりまして、二つほどあります。環境コミュニティ・ビジネスモデル事業というのと地場産業等活力強化事業費補助金という二つがありまして、これが販路開拓、前のは製品開発でありますけれども、その二つが考えられるかなというふうに考えております。

 もし鈴木先生の方でしっかり勉強しろということであれば、これが使えるかどうかということも勉強させていただきまして、私もやはり地元でありますので、そうした瀬戸の市民の皆様方の御努力にぜひ報いることができるように頑張ってみたいと思いますので、検討もさせていただきたいと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

鈴木(淳)分科員 山本政務官、どうもありがとうございました。ぜひしっかりと活用していきたいと思っています。

 さらに引き続き、関連をしまして、バイオマス技術、生分解性プラスチックを利用した新陶磁器についてもあわせてお伺いをいたします。

 今回の博覧会場に出店する飲食店で使われる食器に、地元企業が開発をした、生分解性プラスチックを利用した土に返る新陶磁器が選ばれました。この食器は、財団法人日本バイオインダストリー協会から認定されたもので、トウモロコシからできた樹脂を粘土にまぜ、それにホタテガイの粉末を混合した原料で焼成をし、さらに表面を漆で仕上げたものであります。その特徴は、生分解性プラスチックでできているために、割れたり不用となったりした場合には回収して土に返すことができ、繰り返し使えて、環境に優しいエコ食器として注目されているところであります。

 これまた、地元の愛知県陶磁器工業協同組合が取り組む省エネルギーとリサイクル陶磁器開発事業の中から生まれたもので、環境万博の理念に沿うものとして高く評価をされております。

 しかしながら、これもまた現段階では従来製品に比べてコストが若干高く、県内の病院から引き合いがあるものの、今後の普及に向けては、博覧会会場での使用のほかに、例えば首相官邸とかあるいは各省庁等、シンボリックな場所で実際に使用するなどの初期段階における工夫と支援が必要と考えますが、政府としてはこうした試みを後押しする意欲があるかどうか、お尋ねいたします。

山本(明)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 まず、先ほど私、万博を二十三日と言いましたけれども、申しわけありません、二十五日からでございまして、訂正させていただきたいと思います。

 ただいまのバイオマス原料ですけれども、バイオマス原料の食器、今先生からお問い合わせがございましたけれども、バイオインダストリー協会というところで公募いたしまして、経済産業省といたしましても、公募された中で何点かを実際に食堂で使わせていただいたところであります。その結果、非常にいい成績でありまして、特別問題はないということであります。

 ただし、やはり、先ほどもお話ありましたように、このバイオマス食器というのは全国的に使われた例というのはまだありません。最先端のものであります。欠点は、先ほどお話がありましたように、まだまだ少し割高であるということが欠点でありまして、あと耐熱性がちょっとどうかなというようなことがあるわけでありますけれども、やはりこれを地球博においても実証実験をぜひしていきたい、こんなふうに考えておりまして、万博の中で使わせていただきたいというふうに思います。

 どんなふうに使わせてもらうかといいますと、簡易食器具、使い捨てのものですね、使い捨てのものが二千万個ほどありまして、リターナブル食器、これは繰り返し使用するものですけれども、これを十二万個ほど導入させていただきたいということで、ぜひこれからこのバイオマス食器というものを使えるように、まさに自然に優しい食器ということでありますので、私どもとしては積極的に利用させていただきたい、こんなふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

鈴木(淳)分科員 ありがとうございました。政務官も大臣もぜひ執務室でお使いいただけますように、よろしくお願いいたします。また、総理にもぜひ働きかけをお願いいたします。

 次に、地上デジタル放送活用プロジェクト、自治体地域情報プラットホームについてお尋ねをいたします。

 博覧会、瀬戸会場の隣接地にデジタル放送タワーが建っておりますが、今、地元自治体の間で、この地上デジタル放送を活用し、地域の自治体が共同利用するサーバーから情報を送り、名古屋の全放送局がデータ放送で視聴者に届けるといった試みが博覧会開催期間中になされるものと聞いております。

 地上デジタル放送を使った電子自治体の構築については、総務省の実証実験などでその有用性が示されているところであり、また、それゆえ政府は、二〇一一年までに地上デジタル放送を全国に普及させるべく鋭意取り組んでいるものと承知をしますが、愛・地球博を契機として、地元自治体と放送事業者が連携して全国に先駆けて行おうとしているこの取り組みを政府は御承知でしょうか。

 また、こうした取り組みは、デジタル放送普及の国策とも合致するものであり、政府としても積極的に推奨すべきものであると思いますが、新たなメディアを活用した自治体のチャレンジを政府はどう評価し、どのように支援していくのか、御見解を伺います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の研究会につきましては、瀬戸市が事務局となりまして昨年の九月に発足したというぐあいに聞いております。ただいま愛知県内の十五市町が参加しているということで、おっしゃいましたように、当面は、愛知万博の開催期間中に、名古屋市にあります放送局を通じて、地上デジタル放送を活用した地域情報の提供を推進するということを目的とされておりますけれども、博覧会後には、エキスポで生み出されました先進的な成果を地域で継承していく、そういう母体として発展させていきたいというぐあいに考えておられると聞いております。

 このような研究会が立ち上がりまして、地上デジタル放送の利便性を前提として、その活用に具体的に、積極的に取り組んでおられるということを私どもも大変高く評価しておりまして、研究会の構成員である自治体の方々と早速情報交換を始めております。

 ちなみに、たまたまきのうのことでございますけれども、総務省の情報通信審議会の地上デジタル放送推進に関する検討委員会におきまして、瀬戸市の担当の課長さんにおいでいただきまして、その活動状況についてお話をいただきました。そうしますと、他の自治体あるいは委員の方々が非常に高い関心をお示しになりまして、自分たちもこういうことをやりたいと思っていたんだ、あるいは、こういうことがいいと思ってやらなきゃいけないんではないかというぐあいに問題意識を持っていたというようなことでございました。

 私どもとしては、このように積極的に取り組んでおられる自治体と今後とも協力し、連携し、さらに支援をして、地上デジタル放送の推進、そしてまた公共サービス、地方の公共自治体におきましてこのような活用がどんどん進んでいくように推進してまいりたいというぐあいに考えておる次第でございます。

鈴木(淳)分科員 ありがとうございました。

 本来、この後に国交省関連の質疑を予定しておりましたけれども、時間が参りました。この続きは、ぜひ分科会でまた国交省の関連でさせていただきたいと思いますので、大変恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いします。

 何といっても二十一世紀初の国際博覧会、我が国としてもこの環境共生の理念を具体的に実証、展開していく重要な場所でありますので、ぜひ各府省とも全力で取り組んでいただきますように心からお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

茂木主査 これにて鈴木淳司君の質疑は終了いたしました。

 次に、樽井良和君。

樽井分科員 民主党の樽井良和です。

 私は、エンターテインメント、いわゆるコンテンツ、あるいはまたそこから二次的、三次的に派生してくるキャラクターグッズでありますとか、そういったことが今後経済の発展には大いに活躍する部門であるというふうに考えておりまして、きょうはまたその辺に特化した質問をさせていただきます。

 まず、大体我が国の国際競争力をはかる上で、ちょっとこれは二〇〇一年のデータなんですが、我が国のコンテンツの海外収支を見ますと、輸出が合計で二千八百九十八億円、輸入が千九百九十七億円。そして、アジア諸国と日米のレコード市場の規模と海賊版率というデータを見ますと、驚くべきことに、中国の市場規模が九百八十億円なんですが、実に海賊版率、これが九〇%を占めている。

 現在はいろいろ問題視して取り組んでおられることと思うんですが、実際に去年の九月に北京に行きまして視察しましたら、普通に、ホテルを出たら、一歩外でもう海賊版を売っているわけです。百円ぐらいなんですね。こういうことをされていたら、いつまでたっても日本のコンテンツあるいは知財を向こうに輸出するときの障壁になると思うんですが、今までに中国とかあるいはアジアでこの海賊版が出回っていることに対しての対策、実際に実施してやったこと、そしてこれからやろうと思っていることをちょっとお聞かせください。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、アジアにおいて、とりわけ中国において、海賊版のいわばはんらんは極めて深刻なものとなっていると認識しております。私どもの調査でも、中国においてはコンテンツの八割から九割ぐらいがにせもののようであるという調査を得ております。

 こうしたコンテンツ、ゲームソフトのみならず、音楽CD、映画DVDなどの不正コピー商品の増加は、日本のまさにそういった製品の中国での販売機会を逃していることになっております。その損失利益も、ある試算では兆を超えるぐらいな規模だというふうに聞いております。

 したがいまして、昨年五月に、内閣知的財産戦略本部で決定いたしました知的財産推進計画二〇〇四におきましても、この模倣品・海賊版対策を主要な柱というふうに位置づけまして、政府全体で取り組んでいこうということになっております。

 具体的なお話をさせていただきますと、本年度から、まず第一に、中国におきまして、北京、上海に海賊版対策の専門の調査員を常駐させまして、市場のモニタリングに加えまして、訴訟の支援ですとか、一般的な企業相談業務を実施することといたしました。

 加えて、ミッションを派遣いたしました。官民合同のミッションでございまして、中国政府自身にまず認識をしていただく必要がある。昨年の五月に派遣をいたしましたが、ことしの春ももう一度それを行おうということで、現在準備をしているところでございます。

 さらに、中国のライセンシー事業者と申しますか、放送業者ですとかアニメ制作業者とか、そういう方々にこの知的財産の問題を認識していただく必要がございますので、著作権ビジネス研修などを実施して、彼ら自身に啓蒙をしていこうということでございます。ちょうど来月にそのセミナーを十名程度をお招きして日本で行うということを計画しているというところでございます。

 以上、官民を挙げて実効力のある海賊版対策をしていこうかと思っております。よろしくお願いします。

樽井分科員 中国は経済がどんどん上がってきていまして、消費としてもすごく期待が持てるところであります。それで、これはもう日本だけの問題ではない。アメリカの映画なんかでも当然コピーが売られているわけですから、全世界そろって、こういったものを強く認識してもらわないと困ると中国政府に対して強く訴える、そういったことも今後繰り返していただきたい。そういうことが管理できないと、なかなか、大きな市場を取り逃し、そしてまた我が国のこういったすぐれたコンテンツを売りさばくという、アジアに売るときには本当に障害になりますので、ぜひその辺の対応を強くよろしくお願いいたします。

 それで、実際に数字を見ますと、出版、映画、放送番組、音楽ソフト、これは全部赤字なんですね。映画なんかも、最近は頑張ってきておりますけれども、やはりハリウッドに比べれば、できているものがちょっと脆弱だと言わざるを得ない。音楽に関しましても輸入物の方が上回っている、こういったことが出ているわけですけれども、二千八百九十八億円の輸出のうちの実に二千五百三十二億円、これはゲームソフトなんですね。すべてのコンテンツ、これは全部が赤字なんですけれども、ゲームだけは特化して断トツで黒字である。二千五百三十二億円輸出して三十億円の輸入である、こういった状態であるわけです。

 そして、私なんかは、今まで議員の方といいますと、映画とか音楽というのは青春時代とかいろいろ聞かれている方が多いと思うんですが、ちょうど私たちの世代ですね、中学校ぐらいで例えばマリオであるとかドラゴンクエスト、ああいったものが出てきた世代でありまして、実際に、私はゲームを、プログラムをつくったこともありますし、売ったこともあります。

 そういった中で、きょうはこのテレビゲームに特化してちょっと聞きたいんですが、普通、ドラッカーが「仕事の哲学」なんかでも言っておりますけれども、最高の成果を上げるためには、不得手なことに時間を使うよりは、みずからの強みに集中すべきであると。まさにゲーム産業、アニメというのは得手なんですね。日本が他の国に対して誇れる部分だと思います。

 実質的にその製品の質を見ても、明らかにまさっている。アメリカから輸入したゲーム、スポーツゲームなんかをやりますと、ちょっと大味でバタくさい部分があるんですが、日本のは実に緻密に精巧につくられている、キャラクターもすばらしいということで、世界に誇るゲームだと思うんですが、実際、今まで政府あるいは経済産業省、どれくらいゲーム産業に対して何か支援してきたのかあるいはしなかったのか、そしてこれからする予定があるのかという、その辺をちょっとお聞かせください。

豊田政府参考人 先生御指摘のように、我が国のゲーム産業、大変競争力があるということでございます。米国市場におきましても、二位ですとか三位に売れておりますのは常に日本のものが入っている、時には一位のものもあるという状況でございます。

 こうした認識のもと、ゲームソフトを含めましたコンテンツ産業全体が大変重要な戦略産業であるというふうに認識をしておりまして、昨年五月、中川大臣のイニシアチブで新産業創造戦略というのをまとめさせていただきましたが、その中で重点七分野の一つとしてコンテンツ産業も位置づけております。

 具体的な政策といたしましても、例えば、ゲームも含めてコンテンツの国際展開の支援、先ほど申し上げましたような海賊版対策の強化、それからコンテンツの流通市場の確保という観点から、不正利用対策みたいなものも、そして何といっても人材が重要だということですので、ゲームも含めたクリエーターあるいはプロデューサーの育成なども進めております。今年度、十七年度の予算案におきましても、昨年比四〇%増の約十四億円を要求させていただいているところでございます。

 以上、ゲームを含めまして多面的な支援をしているところでございます。

樽井分科員 映画、音楽、この分野は一生懸命やっているんですが、まだちょっと日の目を見ていないというところもあると思うんです。実際に個室で制作するゲームとかアニメーションが日本はうまいこといっているのに、外で撮影する映画の方になるとちょっと規模が衰えるということ自体が、国を挙げてというか、あるいは産業省を挙げてエンターテインメント産業に対する熱意とか思いが、例えばアメリカと比べるとちょっと低いんじゃないかなというふうな、そういう認識で私きょうは質問をさせていただいております。

 そこでなんですが、ついにアジアのゲーム産業が動き出したといいますか、韓国が今ネットゲームでは世界市場の四割を占めている、これは国の支援もありますし、そして中国がどんどんオンラインゲームをまた開発してきている。韓国は実際に二〇〇二年度に二十七タイトルをつくり上げたんですが、二〇〇三年度には六十タイトル。中国が、これは二〇〇二年度なんですが、十三タイトル、二〇〇三年度に三十一タイトル。このオンラインゲームに関しますと、日本が二〇〇二年に二タイトル、そして二〇〇三年に三タイトルということになっております。実際に中国でオンラインゲームを開発する会社、上海に五十七社、北京に八十六社、そのほかシンセンに十二社、広東に十七社とどんどん広がってきておりまして、これも国を挙げて対策をしているところでありまして、だんだんとアジアが日本に追いついてきたという現状があります。

 日本としてはゲーム産業というのはお家芸でありますし、またハードウエアの面でもプレイステーションと、あるいは今回ニンテンドーDSとかPSPも出ましたけれども、かなりのアドバンテージを世界に対して持っている。Xbox、昔なんかだったらアタリとかいう会社もつくっていましたけれども、アタリなんというのは外れたわけですね。実際に、そういった競争の中で勝ち続けてきた日本のゲーム機あるいはソフト、この産業をほかの国に負けさせないために、どんどんアジアへ売り込んだりあるいは競争力を堅持するだけのことをやっていかなければならないと思います。

 実際に、ネットゲームが盛んだということはそこに機械が行っていないわけですから、日本のPSPだとかあるいはニンテンドーDSとかをどんどん輸出さえすればそこでソフトが売れるわけですから、そういったことにも力を入れてほしいと思いますが、アジアへの売り込み、そして競争力を堅持するための所見、ビジョンとかいうのはありますでしょうか。

豊田政府参考人 先生御指摘のように、アジアのソフト産業、力をつけている中で、日本のソフト産業の国際展開を支援していくことは大変重要だというふうに考えております。

 そういう観点から、少なくとも、私ども二つの政策を近時展開しているところでございます。

 一つは、東京国際映画祭、毎年十月のころに開きますけれども、これを日本のコンテンツ発信の核と位置づけまして、映画に加えましてゲームなども含めた日本コンテンツの輸出拠点の場、あるいは取引形成の場というふうにしようということで、昨年以降、コンテンツ取引マーケットというものを設置することにいたしました。昨年の場合は、十月の末に六日間ほど開いて、六万人を超える方々、海外のお客さんも含めて参加をしていただきました。これが一点でございます。

 もう一つは、海外におけるコンテンツの見本市、例えばカンヌ映画祭のフィルムマーケットですとかそういったもの、それからアジアにおいても同様な見本市がございます。そういったところに対しまして我が国事業者が出展をする際に支援をしていこう、例えば、ジャパン・ブースですとかパビリオンの設置ですとか、日本の映画の海外への販売へのいろいろな支援をその場でも行おうということで現在取り組んでいるところでございます。

 そうした国際展開の支援を、私どもも政府一体となって進めているところでございます。

樽井分科員 もうアジアの方では、例えば中国で中産階級が二億人、そしてインドで一・五億人、そして東南アジアでも一・五億人ぐらい中産階級が出てきて、ただの中産階級ではなくて、それは最近文化の共鳴現象を起こしている。例えば、ヨン様とかああいうのが出てきますと日本でも売れる。昔だったら中国の俳優は中国だけだったんですが、それがアジア全土で、あるいはアメリカでも売れる。例えば浜崎あゆみならば中国でも買う。そういうふうにどんどん共鳴現象を起こしておりますので、これからエンターテインメント、コンテンツ、ゲームも含めてですけれども、アジアにどんどんアピールして、ぜひとも策を練って行動していただきたい。その辺、強く申し入れたいと思います。

 それで、ゲームだけじゃなくて、ゲームから派生した二次的な、三次的な意味のキャラクターですね。例えば、ポケットモンスターのピカチュウでありますとかああいうものは経済に物すごい効果があります。実際に、何でもないお皿だったら百円になるんですが、ピカチュウを印刷したら千二百円になるとか、あるいはレトルトパックのカレーでもピカチュウを印刷したら三倍ぐらい売れるとかそういったことがありますし、その商品自体に何かを付加することによってもかなりの利益、あるいは効果をもたらすわけでありまして、ポケットモンスターの経済波及効果、世界全土で二兆三千億円なんですね。

 そして、さらには、将来的に、例えばミッキーマウスを主体にしたディズニーランドでありますとか、あれはアメリカですね。USJも日本にありますが、アメリカだ。例えば日本のエンターテインメントのエリアをつくる場合、当然、思い浮かぶそれに対するキャラクターというのは、マリオだとかソニックだとかポケットモンスター、こういうものが出てくるわけです。そういった都市型エンターテインメントをつくる上でも、かなりの効果を持ってくるというふうに私は思っております。

 これまた、国土交通省では、ビジット・ジャパン・キャンペーンで観光立国ということも掲げておりますので、観光資源としてもかなりこういったものを強烈にアピールして、レジャーランド、こういったものもつくっていくべきだと私は考えているんです。

 実際、ゲーム業界を見て回って話を聞きますと、ゲームを開発してきた方がそのまま社長になったというパターンが多くて、言葉は悪いですけれども割とオタッキーなんですね。ずっとプログラムをやっていて、すごいものをつくって、もうけて社長になるというパターンですから、横との、人的なつながりとかいうのはなかなかうまいこといっていなくて、一社単独で行うということが多い。ナムコのナンジャタウンであるとかセガの遊戯施設であるとか、そういうのはあるんですが、全社そろって何かをするということがなかなか見られない。

 こういうときに、例えば国が何かを企画して、全社総合してキャラクターを集めておもしろいものをつくっていこうとか、こういうことをすることがすごく大事だと思うんですが、何か経済産業省、こういったキャラクターなどでのバックアップ、政策面での支援とかそういうものは考えておられますでしょうか。

豊田政府参考人 先生ポケモンの例を挙げてくださいましたが、このポケモン自身が、ゲームとして売れた売上額が一千億円だったということでございますので、おっしゃられるような二兆円になるということは、実に二十倍のビジネスになったということでございます。

 私ども、そういう点を認識しておりまして、先ほどちょっと申し上げました東京映画祭の際に、コンテンツマーケットを取引の場という形で設置いたしましたときに、映画に加えましてゲーム、音楽、それから漫画、そういったもの、それからキャラクターグッズそのものも一緒に展示ができるような形にしております。したがいまして、まさにコンテンツの二次利用、三次利用、それ自身がコンテンツマーケットでできるというような形の環境の整備を図ったところでございます。

 政策支援におきましては、一般的なコンテンツの対策としての人材支援とか、そういう形で今のところは考えているところでございますけれども、またそのニーズを明確に把握した上で、対策を充実していきたいというふうに思っております。

樽井分科員 こういったキャラクターであるとかゲーム、エンターテインメント、今まで政治家あるいは各省庁、余り力を入れてこなかった部分だと思うんですが、こういったところにも今言われたようなことをもっと強く実行していただいて、売っていただきたいと思います。

 それで、国をアピールする部分でも、GDPとまた違いまして、GNCという、これはグロス・ナショナル・クールというんですが、このクール、格好いいとかいかすとか、こういうことです。これは数字には出ないんですけれども、国を挙げての、例えば日本の文化的なリーダー度といいますか、こういったことがあるわけです。

 実際に、ハリウッド映画を見てアメリカのイメージをつくっている方というのはたくさんいらっしゃると思います。何か格好いい、アメリカというのはおもしろそうだ、そういうイメージができ上がっているんですね。こういったことが例えばアジアの中で、日本がもうちょっとクールだ、格好いい、何かすてきだというイメージを維持するためにはこういったものを上げていかなければならない、こういうふうに強く思います。

 ちょっと大臣にも聞きたいんですが、このクール、いかす、大臣は結構男前なのでそういった面で得していることがあると思いますけれども、何か見た目とか感じるものとか、そういったもの、実質的な数字にはあらわれないけれども何か引きつけるこの国のエネルギーということに対して言えば、こういったグロス・ナショナル・クールを上げるためには、文化とかあるいはエンターテインメント産業、こういったものを世界に対して打ち出して、ジャパン・アズ・ナンバーワンのものをどんどんと打ち出していかなければならないと思うんですが、この辺に対する育成や支援策など、大臣の所見をぜひ伺いたいんですが。

中川国務大臣 私は樽井議員のように若くないですし、それから、余りこの分野、小学生の子供がポケモンカードを持っているのを見て、へえという程度の、そしてまた、いわゆるコンテンツというのは、学生時代から映画であり、音楽であり、漫画であったわけでありますが、特にゲームソフトを含めて、このグロス・ナショナル・クールという、これは資料としてさっきさあっと読ませていただきましたけれども、ダグラス・マッグレイさんという方のレポートの要約ですが、日本が日本文化、ソフトパワーとして非常に強いものがある、これが日本の一つの特徴であるというような内容のレポートですが、やはりソフトパワーというと、私の場合には日本の食文化とコンテンツ産業というふうに思い浮かべるわけであります。

 そういう中で、先ほどから御答弁しているように、いわゆる新産業創造戦略におきましても、二〇一〇年を目指して十七兆円産業に国内でやっていこう、そのうち一・五兆円を輸出しようというふうに考えております。そういう中で、先ほどからお話ありますように、東京国際映画祭、単なる映画だけではなくて、コンテンツそのものをもっと広い分野でやっていこう。そして、去年のASEANプラス3のときにも、ぜひ東京国際映画祭に映画だけではなくてさまざまなコンテンツを、各国の作品を展示してくださいということで御招待をし、各国の賛同をいただいたところでございます。

 そういう意味で、もちろん資源もなければハードパワーもない日本としては、このソフトパワーとしてのコンテンツというのは今後も大きな戦略としてやっていかなければなりませんし、先ほどお話ありましたように、競争が非常に激しい、インドの映画も何か最近は中東の映画に随分やられているという話をこの前中東の人から伺ったり、大変競争の激しい世界でありますから、やはり国としても、重要な文化面、そしてまた一体となった産業面として、こういうものを国を挙げてやっていかなければならないと考えております。

 我々としては、ことしから新産業創造戦略の一環として、物づくりのお手本というか、彼ぞこの分野のナンバーワンという人を総理大臣等が表彰する。ドイツのマイスターとかフランスのMOFという制度がございますけれども、それを参考にいたしまして、ものづくり大賞というものを、今もう各地方で予選を行っているところで、八月中には総理大臣のもとでやってまいりますけれども、この対象にもゲームソフトはなっているわけでございまして、そういう意味で、彼の技術あるいはまたコンテンツ、これはもうお手本であり目標だというような人を国を挙げて、何も莫大な賞金を上げるとかそういうことじゃなくて、バッジとトロフィーとメダルぐらいなんですけれども、そういうものでみんなの目標になって、いろいろな分野がありますけれども、こういうコンテンツの面でもこの日本ものづくり大賞の一つのお手本になっていただくように、今作業をしているところでございます。

樽井分科員 ありがとうございます。

 クリエーターの名誉あるいはお金というもの、例えばハリウッドの大スターですと三十億なり四十億なりもらうスターはたくさんいるわけです。そういった中で、日本のクリエーターというのはちょっと安いんじゃないか。こういうのも、それをつくる上でのモチベーションという部分では、かなり低下している一つの原因だと思います。

 あと、観光とか感動産業、エンターテインメント、これを例えば役所的なことで管理してやっておもしろいのができるのかどうかということになりますと、やはりこういった部分をどこかで切り離して、別の、業界がつくり上げた団体であるとかの自主規制的なことでやらせること、こういったことも将来的には考えていっていただきたいと思います。

 それで、ちょっと時間がありますので余談でいいますと、例えば地方分権するときに、分権したら、東京に本社がもう一極集中し過ぎていて法人税が東京ばかりになってしまう、かといって、本社を分散させようということになりますとすごく不効率だ、私はこう思います。実際に話し合い、会議を持ったり、パーティーに出かけたり、いろいろな連絡をとり合って交渉する上でも、一つの地区に結集しているというのはすごくありがたいことでありまして、こういう部分で、例えば分散化するとしたら、例えばアメリカのウォール街だったら、地下鉄に乗って営業マンが行くことはないんですね、歩いていけばいいぐらい証券会社が密集しているんだ。

 それのように、例えばこれはアニメーションでしたら、杉並区が最近特区的な雰囲気になってきておりまして、アニメの会社がそこに乱立してきている。そして、伊藤忠とかターナーなんかが三十億円ぐらい出資して、一作品二千万円ぐらいでつくり上げるというような、こういうことも企画してやっております。こういったように、ゲームであるとか映画であるとか、そういう特化した一つの専門的な会社を一カ所に集中していく、そういうことによって分権も推進されるし、ここは映画の町であるとか、ここはゲームの町であるとかいうことになれば、産業であり、同時にそれが観光資源としても成り立つ。

 優秀なクリエーター、優秀な若者というのを一カ所に集めれば、私たちが難しく考えなくても、何かが生まれてくる、そういうことが実際にありますので、分散させるのではなく集中して、仲間を一カ所に集めてあげるような、そういったことを国を挙げてこれからやっていって、そこから生まれてきたものを大切に育てる、そういったことに全力を傾けていけば、もっとすばらしいエンターテインメントあるいはコンテンツが生まれてくると思います。

 いろいろな面で、今、ダウンロードしたり、ネットでつながっておりますので、そういった商品も、全国にあっという間にダウンロードして遊んだり、あるいは聞いたり、見たりすることができるという時代がすぐそこに来ております。そういった面で、きちんとした海賊版の管理であるとか不正の管理、そしてさらに、先ほど言われていたように、クリエーターをきちんと育成していくこと、こういったことを国を挙げて取り組んで、さらにおもしろく感動的なエンターテインメントがどんどんと生み出される世の中、これを若い世代の政治家、結集してやっていこうと思っておりますので、今後とも御協力をお願いしますということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

茂木主査 これにて樽井良和君の質疑は終了いたしました。

 次に、長安豊君。

長安分科員 どうも、大臣、おはようございます。

 昨年の経産省の分科会におきまして、ICタグ、RFIDについての御質問をさせていただきました。昨年、この質問の前段で、大臣にもICタグをプレゼント、差し上げたのを覚えていらっしゃるかと思いますけれども、このICタグにつきまして、私からさまざまな問題点を御指摘させていただきまして、おおむね中川大臣からも御賛同をしていただけたと、私、記憶しております。

 一つは、この分野で世界のリーダーとなるために、日本の政府としても積極的な役割を果たす必要があるということをお話しさせていただきました。その中でも、業界の横断的な取り組みの旗振り役になるということが重要だ、また、普及促進のための財政的な支援まで、さまざまな役割があろうと思います。

 二つ目は、RFID関連技術の大きな、世の中を変えるような革新性、可能性ですね、これについて、例えば大臣は、食のトレーサビリティーにも使えるんじゃないか、また、子供の安否確認また安全確保などにも利用できるんじゃないかという御答弁もいただいたかと記憶しております。そのほかにも、例えば、自分でレジを通るセルフレジといいますかセルフチェックアウト、また、スマートシェルフなどのような小売の店舗サービスの態様をがらっと変えるような革新の可能性が実現化しつつあると、今、現状認識しております。

 三つ目の課題としましては、ICタグをいかに安く提供するのかということであります。ICタグ自体、現在、数十円から数百円という次元であります。それをいかにコスト的にも安くして、また、ICタグは、当然、電波で情報を読み取るわけですから、プライバシーの保護という観点からどういった施策を打つのかということがあったかと思います。

 これに関します最初の質問といたしまして、この場で昨年議論させていただいた結果、この一年間、経産省としてどのような取り組みをなされてきたのか。私から見ますと、本年の一月から、アメリカ、世界最大の小売でありますウォルマートが、納入業者にICタグをつけさせるということを始めました。この過程で、日本はちょっと後塵を拝しているんじゃないか。実用化という意味では、まだほとんど、ほとんどというかゼロです。まだまだ実証実験の段階にあるわけですけれども、日本が後塵を拝してしまっているという危惧を抱いておるわけですけれども、その辺について詳しく御答弁いただけますでしょうか。

    〔主査退席、石原主査代理着席〕

中川国務大臣 去年の御質問をいただいて、私も非常に勉強になったわけでありますが、この問題というのは、非接触型で情報が非常に多くてということをベースにして、いろいろな用途が今後、今想像している以上にいろいろなものが出てくるんだろうと思います。まさにそれは民間の知恵であると思いますが、と同時に、これはある意味では国家的なプロジェクト、日本が先導的な役割をぜひ果たしていきたい。そのためにも、今、スイスで国際標準化のためのいろいろな作業というか、努力をしているところでございます。

 国家的なプロジェクトである以上は、ここは経済産業関係の分科会でございますけれども、官邸のいろいろな会議の中でも、ICタグについて、学者の先生あるいはまた省庁横断的に取り組む必要がある、いわゆる政策群としてやっていく必要があるということで、おととしの予算折衝のときには、総務大臣が、大根にICチップを埋め込んで、これによって非常に便利になりますよというようなデモンストレーションもやりましたし、また、今委員が御指摘になった以外にも、思いつくところでは本人確認でありますとか、いろいろなことがあるんだろうと思います。まさにこれは民間のソフトをどういうふうに、ハードをソフト化するのにどういうふうに知恵を生かしていくかということでございます。

 そういう意味で、日本としては、いわゆる響プロジェクトというものを今やっておりまして、経済産業省を初め各省でお手伝いをさせていただいております。私も研究施設を去年見てまいりましたけれども、御指摘のように、プライバシーの問題、あるいはまた価格の問題等々、幾つかの克服しなければいけない問題があるわけでございますので、こういう時代でありますから、民間の知恵を、国あるいはまた研究機関が総合的に協力し合って、そしてオール・ジャパンのプロジェクトとして、できれば世界的なデファクトスタンダードにしていきたいというふうに考えて、今いろいろな作業をやっているところでございます。

長安分科員 今、響プロジェクト等の話もございました。平成十八年には一個のタグの値段を五円に下げるという計画をされているわけであります。

 私、昨年、この分科会でお話しさせていただく機会に恵まれました。また、リテールテックという展示会にも行ってまいりました。その場で感じたことは、率直に申し上げまして、日本の今までの経済政策はどうであったか。

 特に、アメリカを見たときに、IT革命という大きな革命が行われました。このIT革命は、単にITベンチャーがみずからのノウハウだけで立ち上がってきただけではないと私は思っています。やはり、アメリカが国策としてIT産業を育てるんだということに力を注がれた結果、このIT革命で、アメリカの双子の赤字を乗り越えられるだけの産業を興して、また、経済発展があったんだと思っております。

 片や、日本はどうであったか。IT革命というものを、政治家が、確かにあの当時、テレビでアイテー革命なんという言い方がされて、あたかも振興するというようなことが言われましたけれども、実際、日本の経済界においてIT企業が多く育ったかというと、確かに昨今話題になっていますライブドアのような企業は育ちましたけれども、そもそもの基幹であるようなところに関してはほとんどがアメリカだというのが現状ではないでしょうか。例えば、大臣がパソコンを使われると、パソコンの中身の部品というのはほとんどアメリカです。インテルであったりマイクロソフトに、どんどんどんどん、パソコンを買うたびにお金がチャリンチャリンと落ちていく仕組みになってしまっているわけです。

 一方で、ICタグというのを私、見させていただいて、また将来性を考えてみると、これは間違いなく化ける産業だ、日本の経済自体をはっきり言って根本から変えてしまう、世界の経済自体も変えてしまうようなものだと思います。

 そういった中にあって、いかに日本が世界のリーダーとなっていけるかというのが、もしかしたら、通商産業省から経産省に変わって、この経産省にとって一番大きな、プロジェクトという言い方が正しいのかわかりませんけれども、転換期になるのではないかと私は感じているわけであります。

 この新しい技術が世の中に普及するかどうかに関しまして、私は三つの重要なポイントがあると考えております。

 これは、今大臣からも響プロジェクトというお話がございましたけれども、まず、コストの問題であります。つまり、一つずつのタグが幾らよくても、幾ら高付加価値を有していても、高ければユーザーサイドは使えない、割が合わないということになってしまうわけであります。私、これを一つ目の課題だ、ポイントだと思っております。

 第二は、この技術を、利便性の向上あるいはコストの削減といったものにいかに結びつけるか。ソフトウエアといいますか、仕組みと申し上げた方がわかりやすいかもしれませんけれども、RFIDの分野でいいますと、例えば在庫の管理をする、また、顧客がみずからレジでチェックアウトできるセルフレジのようなものに使える。また、このICタグが商品についていることによって、ICタグを経由して消費者に情報を提供するというようなことも可能になってくるかと思います。これが第二のポイントだと思います。

 第三のポイントは、こういった技術あるいはサービスがあって、消費者がこれを使いたい、使って満足したというものであることが重要なポイントであると私は思っております。現実にはさまざまな技術であったりサービスが世の中に生まれてきていますけれども、消費者に受け入れられないということで、毎日幾つもの技術が消えていっているというのが現状です。

 そういう中にあって、このRFIDをいち早くユーザーに試してもらって、またユーザーの方々が何を求めているのかということをしっかりとノウハウを蓄積していかなければならないと私は考えております。実際、先ほども申し上げましたが、世界ナンバーワンの小売でありますウォルマートなどは、もうICタグを張りつけて商品を納入させているわけです。当然、日々もう今この時間もノウハウは蓄積されていっているわけです。このRFID業界におきまして、ウォルマートはそういったところでその蓄積を生かして大きなオピニオンリーダーとなっていっているというのが現状であります。

 一方で日本を見たときに、例えば日本の大手の電器、家電メーカーでありますソニーであったり松下も、ウォルマートに言われるからタグを張り始めたわけです。松下なんかの社員の方に聞きますと、ウォルマートに言われたから張るというのははっきり言って恥ずかしい話だ、本来であれば我々から張り始めてウォルマートに提案すべきではなかったのかというような声もあるぐらいです。

 きょうは時間も限られておりますので、今述べた技術、また仕組み、顧客満足度という意味でのマーケティング、この三つの観点から、我が国の現状をどのように認識して、またどのような戦略で今後巻き返していこうとお考えなのか、御意見を伺いたいと思います。

中川国務大臣 今御指摘のように、これはある意味では無限の可能性があって、価格と性能、そしてまたセキュリティー等の幾つかの現在の課題を克服していけば、今消費者サイドのお話をされましたけれども、例えばアメリカなんかは専らセキュリティーからどうもIC分野に入っていっているようでありますけれども、私は去年、ASEANプラス3の会合のときに、入管の問題とかあるいはまた輸出すべきでない貿易のチェックについてICタグというのは非常に有効ですよと、ですから一緒に研究しましょうと。何も日本が研究したものをASEAN各国に教えるんじゃなくて、まだ日本も研究開発途上でありますから、みんなで一緒に研究しましょうということで、非常に各国の理解を得たところであります。

 他方、御指摘のように、これは商品関係、たしかウォルマートあるいはまた日本での提携メーカーは、末端までというよりも、どうしても在庫管理とかあっちの方がメーンのようでありますけれども、冒頭委員が御指摘になられたように、バーコードあるいはレジを通らずにすうっと行って自動的に料金が支払えるシステムなんというのは、本当にできればこれはもう夢のようなことになるわけでございます。でも他方、それがプライバシーとの関係にどういうふうに影響していくのかとかいうことでありますので、多分、セキュリティーではなくて、ユーザーサイドといいましょうか、流通、物流の面あるいはまた本人確認の面でいくと、日本の研究とか実証実験というのは、その分野においては日本は世界を現時点ではリードしているのではないか。

 問題は、何度もお互いに申し上げているように、コストの面であるとかそういうところになりますので、これは非常にある意味で国家プロジェクトであり、アメリカを初め世界じゅうと今競争している段階でございますので、何とか国を挙げて、そしてもちろん民間主体でデファクトになるように今努力をしているので、ぜひ委員を初めこの問題にお詳しい先生方の御指導も引き続きよろしくお願いをいたします。

長安分科員 今お話ございましたように、確かにウォルマートで今採用をされておりますのはBツーBの領域であります。これは、ITのときもそうですけれども、当初社内で利用され、またBツーBになっていく、BツーBの後にBツーCという形になって、最終消費者に受け入れられていくという形になるかと私も思っております。

 先ほどセキュリティーのお話もございました。今現在、経済産業省さんの中でもガイドラインをつくられて、例えばICタグがついていますよということを表示するような表示義務をつけようじゃないかということで、私は、そういった意味での個人の情報がとられてしまうということのセキュリティーはある程度整ったのかなと思っております。一方で、セキュリティーを重んじるがゆえに普及が損なわれてはならないと私は思います、もちろん両輪ではありますけれども。

 今、大臣からセルフレジのお話がございまして、夢のようなお話というお話がございましたけれども、私、昨年リテールテックに行って展示会で見たら、もうそれが実現されているんです。技術的にできる。もちろん、今使っているタグの電波、UHF帯の帯域をあける、あけない等の問題はございましたけれども、技術的にはできていた。ただ、コストの問題が、響プロジェクトは二年間という目途で五円というのはありますけれども、コスト的な問題があってなかなか導入されていない。また、ユーザーもそうですが、ユーザーというのは消費者だけでなくて、これは企業の中ででもこのICタグを導入することによるメリットというのがいまいち伝わっていないというのが現状ではないかと私は思っております。

 私は、そういう意味ではセルフレジなんというものはもっと早く実証実験をやるべきではないかと思っております。昨年来さまざまな実証実験がマスコミ等をにぎわせております。これはあくまでもICタグを読めるかどうかというようなものを暗室でやってみたり、また一部の業界に限ってやるようなことだけをされているわけですけれども、もうばらばらの実験ばかりをするのではなくて、すべてを組み合わせるようなことを早くやるべきではないかと思っております。

 このICタグの普及というのは、ユビキタス社会実現のためには、これは極めて大きなインパクトがあると私は思っております。そういった意味で、この二〇〇五年の一月にウォルマートが採用したということにより、ICタグ元年と言われているわけです。ウォルマートはやはり売り上げで二〇〇二年ベースでも約二千三百億ドル、日本円に直しますと二十五兆円の売り上げを持っているわけです、これは小売部門だけですけれども。こういった企業が導入していくと一気にアメリカの中では広まっていくと私認識しております。

 そういった中にあって日本の小売というものを見たときには、ややまだまだ腰が重いな。アメリカはBツーBで始まりました、やはり日本は両面で始めていく必要があると私は思っております。こういうRFIDの導入に対してなかなかリスクをとって投資しようという企業が日本では生まれてこない。まだ研究会を開いてみんなで勉強しているという段階だと私は思っております。

 そういった企業の皆さんがすぐにでも導入してみようと思うように背中を押すというのが、これは先ほども言いましたけれども、経済産業省の一番の役割ではないかと私は思っております。日本の基幹産業であります自動車であったり鉄が世界一になったのには、これはやはり通産省の役割というのが大きかったと思います。そういった意味では、このRFIDというものが生まれてきた今に、逆に、私質問させていただくことも幸せですし、そのときに大臣でおられる中川大臣も幸せだと思います。ここでひとつ、歴史の一ページに名を残していただければと思う次第でございます。

 今、RFID関連の、小売業への普及といいますか採用に対して、経済産業省として、業界に対してどのような取り組みをされているのかというのを、まず具体的に御説明いただきたいと思います。

小此木副大臣 おはようございます。

 委員がこの問題につきまして昨年も質問をされました。先ほどお伺いしましたけれども、非常に熱心に取り組んでおられる御様子、そういったものに敬意を表したいというふうに思います。

 大臣も先ほど申し上げましたように、いろいろなところで実証もしております。当省では、七つの業界において、実証のための期間を持ってもらっているということでございます。例えば、百貨店の婦人靴売り場でICタグの実証実験を行っております。ICタグを婦人靴につけることで、顧客の好みに合ったデザイン、色、サイズ、これはよく我々も商品を求めるときに、探し当てたものの、サイズが合わなかったり色が合わなかったりするわけです。そういったときに、倉庫に一々見に行ってもらう、ちょっとお待ちくださいませということがありますけれども、このICタグがあれば、瞬時のうちに在庫がどうなっているかがわかる。これは、委員、既に御承知のとおりのことだというふうに思います。

 そういった意味での実証実験というものを先ほど申し上げた七つの業界の中で今やってもらっているということでありまして、これは大変に評判も高いというふうな認識をいたしております。お客さんの側から見ても、あるいは販売員の側から見ても、評判はいいものというふうに感じております。実際、その中で、ふだんのそういうことよりも二割程度ですか、時間が少なくなったということや、あるいは売上高にもつながっているということを認識しております。

 さらに、ICタグ実用化の動きを、婦人靴以外の商品や、先ほどから申し上げている百貨店以外の業態、こういったところにも広げていくために、昨年十二月、小売業の店舗運営担当者から成る未来型店舗サービス研究会、フューチャーストア研究会というものを設けたところであります。同研究会では、小売の現場での顧客ニーズと店舗の課題から、ICタグを含む最新の情報技術を活用した未来型店舗サービスを掘り起こしているところであります。具体的には、ICタグと携帯電話を組み合わせた商品情報の提供、商品の売れ行きをリアルタイムで伝える棚、混雑時にも待たせない、先ほど申し上げたようなセルフレジ等の新しいアイデアをまとめています。

 また、平成十七年度以降でありますけれども、ICタグ実証実験の予算等もさらに活用しながら、同研究会の検討成果を実際の小売店舗で実用化して、我が国のメーカー、卸、小売の幅広い事業者によるICタグの普及拡大に向けて旗振り役となっていきたい、こういうふうに強く思っております。

長安分科員 今、さまざまな業界で、さまざまなというのはおかしいかもしれない、七業界で実証実験がこの平成十六年度に行われているというお話がございました。予算案を細かく見てみますと、昨年度、約三十億円の予算で七業種、そのうち、この実証実験に充てられているのは約十億円前後かなと私は認識しております。

 今、この七業種で、例えば婦人靴のお話もございました。ここから何を学び取るのかということだと思います。経産省さんは、実証実験をやろうということで、実証実験でどこまでユーザーの反響があるのか、これは、店の売り場の従業員、また利用者、消費者の反応を見て今後考えようというぐらいで実証実験されたと思います。しかしながら、この四月から、もう三越も阪急も実証実験をして、余りにも評判がいいから導入するとなっているわけです。

 これは、先ほども申し上げましたけれども、RFIDというものが余りにも遠い存在で、身近にない、導入したときにどれだけのメリットがあるのかわからない、肌で感じたことがないから普及がおくれているんだと私は思っています。今、三越ですぐに導入できちゃうという技術があるわけです。そういったものをいかに早く普及していくかということが大切だと私は申し上げたい。

 そういった意味では、この七業種だけしか実験していないということは、私は本当にお粗末だ、これはちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども。さまざまな業界で利用できるはずです。例えば、先ほど食のトレーサビリティーという問題もございましたけれども、飲料また食品、こういったものに実証実験としてされていないというのは、私は甚だ疑問であります。

 また、別の切り口でいきますと、昨今、ペットブームであります。犬など、大臣、もしかしたらお飼いになられているかもしれませんけれども、最近の犬を飼われるときに血統書自体が偽造されているというようなことがよくございます。今までのように紙の、書面で犬の血統を管理するのではなくて、犬それぞれの耳にICチップを埋め込んでやる。それを読み取ることによって血統がしっかりとわかる。こういったことによって、消費者のペットに対するニーズまた安心感というものが生まれてくる。これは、ペット産業にとっては大きな革命になるのではないかと私は思っております。

 フューチャーストアのお話も今ございましたけれども、これ自体、昨年からもうリテールテックで、部分部分については実証できるということが実証されておりました。今後、それをいかに早く普及させるかということに力を置いていかなければならないと私は思います。

 経産省の皆さんが、この限られた予算の中で、いかに普及させていくかということに苦心されているのは十分私も理解しておりますけれども、今現状の普及の度合い、またその実証実験の進み方を見ていると、ちょっと首をかしげたくなるのが正直なところでございます。

 昨年度、三十億という予算がございました。本年度といいますか、十七年度の今現在審議されております予算案におきましては、三十一億円という予算がついております。今、民間におきましては、やはり選択と集中というものが当たり前になっている。その中にあって、果たしてこの経済産業省さんのICタグに対する予算の取り組みというのが、選択と集中ということが生かされているかということを私は思わざるを得ません。何か総花的に、広く薄くという概念で予算がつけられているのではないかと感じてしまいます。

 そういう意味では、消費者に一番近い分野で活用の可能性が大きいわけですから、そういったところの企業がいかに導入しやすいようにするかということに本気で経済産業省が取り組むべきだと私は思っております。

 先ほど来お話しさせていただいていますウォルマートなどは、サプライチェーン全体で取り組もうとしている。この規模は、アメリカのGDPの約一七%。世界の一一%の規模のサプライチェーンで取り組もうとしている。その中にあって、果たして日本の小売流通の企業がこの巨人に対していかに戦っていくのか、こういったことに対しての経済産業省の取り組みをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 率直に申し上げて、私も、去年の後半、十月、十一月、十二月ぐらいに、小売関係の方々にお会いするたびに、実は、ICタグをぜひ普及する方向で検討してくださいということをお話ししました。デパートあるいはまたいわゆるGMS、それからコンビニ等のトップの方にお話をしましたが、総じて返ってくる答えは、コストの問題。それから、特に食品関係になりますと、トレーサビリティーが非常に厳しくなりますので、段階段階でまたそのデータを打ち込んでいかなければいけない。それから、今お話のあった世界一のハイパーストアがデファクトでどんどんやっていることに対しての、ある意味では、いいか悪いかは別にしての対抗という意識、これは率直なビジネスの感覚だろうと思います。

 ですから、価格の問題あるいは利便性の問題、利便性というのは、消費者だけではなくて、それを導入した方の、さっきBツーBのお話がありましたが、Bの方のサイドの問題としてはまだいまいち切迫感がないというのが私の感じた率直な印象でございますので、そういう意味でも、日本のシステムがコスト面も含めていろいろな面で確立をしていく。ビジネスサイドだけではない、コンシューマーサイドも含めてこれは早くやった方がいいぞというふうなインセンティブが持てるようにするためにも、早ければ三月、四月中にもスイスの方でのいろいろなデファクトの一つの方向性が出てまいりますので、これは卵と鶏と言うとちょっと例えがいいかどうかわかりませんけれども、導入した方がいいんだ、早く導入しないとこれはビジネス競争に負けちゃうんだというような危機感といいましょうかインセンティブを与えていくように、我々の広報活動も含め政府全体としてもやっていく。

 また、国会でもこういう御議論を積極的にやっていくということで、決して総花的に三十億を振り分けたということではなくて、冒頭御指摘ありましたように、これは、ある意味ではITの世界標準を日本が確立をして、世界じゅうの利便のために貢献できるんだという強い責任感と使命感を持って取り組んでおりますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

長安分科員 今お話ございましたように、やはり小売でいかに普及していくか、また業界においての普及ということ、この二つが必要、BツーBとBツーCというのをダブルで、両輪で進めていかなければならないわけです。

 そういった中にあって、三十億が多いか少ないかという問題になりますけれども、私の推計では、このICタグというもの、恐らくこの五年で、日本だけを見ても、私は約一兆個ぐらいの数が普及していくんじゃないかなと思っています。先ほど来、響プロジェクト、一個のタグを五円にする。であれば、これは総務省また財務省との兼ね合いもあるでしょうけれども、例えば電波使用料で取るのかICタグ使用料という形なのかわかりませんけれども、一個五円のタグに対して五銭徴収します、そのかわり、今はこのICタグのプロジェクトに対して経産省としては年間五百億突っ込みます、五年でどうせ回収できますから、というぐらいのことをやっても私はいいんじゃないのかということを提案申し上げまして、きょうは時間の限りがございますので、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

石原主査代理 これにて長安豊君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲見哲男君。

稲見分科員 民主党の稲見哲男でございます。大臣、初めまして。よろしくお願いします。

 まず感想を少し申し上げたいんですが、きょうも大臣の後ろにたくさんのお役人がおいででございます。きのう夕刻にいわゆる質問取りというのがあったわけですが、内閣府、経済産業省、文部科学省、私の部屋に二十人余りの方がおいでになりまして、改めて、原子力発電あるいは核燃料サイクルについてたくさんのお役所が推進にあるいは規制に携わっておられるんだなということに驚いたわけでございますが、逆に考えますと、こういう国家戦略というふうに言われているものについて、むしろ余りにも細かく縦割りになってしまって、組織というのは生成されてきた過程というのはあるんでしょうけれども、もう少し統一的な司令部といいますか、そういうものが要るのではないかなというふうな気が昨日はしました。これは感想として冒頭に申し上げておきたいと思っております。

 それから、質問の前提に少し数字を申し上げますので、それを前提にしていいかどうかということでお聞きをしておきたいと思います。

 現時点で貯蔵されている使用済み核燃料の総量が一万一千百七十トン、年間の使用済み核燃料のこれからの発生が約千トン。現在の分離プルトニウムの量が使用済み核燃料の約一%発生をする。高レベル廃棄物の量は使用済み核燃料の約五%発生をしてくる。それから、使用済み核燃料の貯蔵施設の容量が約一万七千トン分、高レベル廃棄物、ガラス固化体の貯蔵施設容量が、計画中のものを含めて六ケ所村で一万一千百十五本分。それから、国内、海外で管理をされておりますプルトニウムの量が、国内で五・四七五トン、海外で三十五・一六八トン。高レベル廃棄物の中間貯蔵量としましては八百九十二本、返還予定を含めますと二千二百本ということで、きのう、申し上げた事務方の方とは確認をしたわけですが、これを前提に質問をさせていただいてよろしいでしょうか。

小平政府参考人 今先生から御指摘のございました数字でございますけれども、中間貯蔵されております使用済み核燃料でございますが、これは全国の原子力発電所に貯蔵されている使用済み燃料というふうに理解をさせていただきますと、先生が今御指摘になりました数字は当庁において把握をしておりますものと同じでございます。

 なお、分離プルトニウムの量は使用済み核燃料の約一%、高レベル廃棄物の量は使用済み燃料の約五%という数字を御指摘になりましたけれども、これは、装荷前の燃料のウラン濃縮度が四・五%、使用済み燃料の燃焼度が一トン当たり四万五千メガワット・デーというふうにして計算をした場合の一つの例であるというふうに承知をいたしております。

稲見分科員 では、質問を始めさせていただきます。

 まず、核燃料サイクル、いわゆる再処理の問題につきまして、中間取りまとめでシナリオ一の全量再処理、こういうふうにされているわけですが、必ずしもそういうふうになっていないのではないか、むしろ部分再処理というふうなことで言えるのではないかというふうに思っております。

 と申しますのは、六ケ所村の再処理が来年七月に予定どおり始まりましても、一〇〇%フル稼働したとして、現在貯蔵されている使用済み核燃料には手が回らない。毎年千トン出てくる使用済み燃料のうち八百トンを処理して、毎年二百トンずつがオーバーフローしていく。事業者が予定をしておりますこの六ケ所村の再処理工場が四十年稼働ということになっておりますから、むしろ中間貯蔵はさらに八千トンふえて二万トンを超えていく。一方で、再処理は八百トン掛ける四十年で三万二千トンということですが、これは、事故や故障による稼働率によっては貯蔵するものとの逆転が起こっていくというふうなことであります。

 シナリオ一の全量再処理とした中間取りまとめに妥当性があるのかどうか、このことをまずお聞きをしたいと思います。

 それから、四十年間フル稼働をするとして、回収されるプルトニウム量、発生する高レベル廃棄物、ガラス固化体の総量ですが、プルトニウムで三百二十トン、高レベル廃棄物で千六百トン、固化体で約四万本、こういうふうに上ると考えますが、この点、どうでしょうか。

塩沢政府参考人 原子力委員会の事務局といたしまして、中間取りまとめの内容を御説明いたします。

 原子力委員会の新計画策定会議においては、御指摘のとおり、十一月十二日の会議におきまして、核燃料サイクル政策に関する総合的評価の積み重ねの結果として、使用済み燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする中間取りまとめを行ったところでございます。

 この中間取りまとめにおきましては、以下本文を引用いたしますが、「当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で使用済燃料の再処理を行うこととし、これを超えて発生する使用済燃料は中間貯蔵することとする。」とされております。また、「中間貯蔵された使用済燃料の処理の方策は、六ケ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理にかかる研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて二〇一〇年頃から検討を開始する。」「この検討は」さっき申し上げた「基本方針を踏まえ柔軟性にも配慮して進めるものとし、その処理に」、これは中間貯蔵された使用済み燃料の「処理に必要な施設の建設・操業が六ケ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う時期までに結論を得ることとする。」としております。

 したがって、六ケ所再処理工場の能力を超えて発生し中間貯蔵された使用済み燃料についても、最終的には再処理されるものであります。

稲見分科員 コメントは最後に大臣に申し上げるとして、質問を続けたいと思います。

 次に、東海村の再処理工場についてでありますが、歴史としては、試験開始から二十八年が経過をして、三年間事故で停止をしておりますけれども、百二十トンの処理能力にもかかわらず、本格稼働をした昭和五十六年、八一年から二十五年間で再処理できた総量が千六十七トンにすぎない。本格稼働以降の毎年の稼働率を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。

 あわせて、千六十七トンの処理があれば、高レベル廃棄物が約五十トン発生をしておりまして、ガラス固化体にすれば最低千本以上が出ているはずでありますけれども、現在百五十本が製造したといいますかでき上がったということで、余りにも少ない。どうしてか。固化できない高レベル放射能廃液が幾ら、どこにあるのかということも含めまして、お答えをいただきたいと思います。

木谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東海再処理施設でございますが、その処理能力、先生御指摘のとおり、年間百二十トンということでございますが、定期検査や保守作業、機器のメンテナンス等のため、年間九十トンを目標に処理を行ってきたところでございます。しかしながら、アスファルト固化処理施設における事故後、平成十二年に運転を再開した後は、六ケ所再処理施設への技術支援を重視しつつ要員を確保することとし、平日のみの運転を行う等運転体制を見直した結果、年間の処理量を四十トンを目標としてございます。実際には、平成十二年度十四トン、十三年度三十四トン、十四年度二十五トン、十五年度二十八トン、十六年度は二月十八日現在までで三十トンを処理しているところでございます。

 この処理施設で発生いたしました高レベルの放射性廃液につきましては、まず東海再処理施設内の廃液貯槽において安全に管理され、その後にガラス固化体に処理されることとしております。この高レベル放射性廃液を安定な形態に固化するためのガラス固化技術につきましては、平成七年よりガラス固化技術開発施設での実証試験が開始され、順次貯槽内の廃液をガラス固化し、同施設への保管を進めているところでございます。そういう意味で、昭和五十二年に再処理施設は運転を開始しておりますが、固化が始まったのは平成七年からということでございます。

 昭和五十二年の運転開始以来生じた高レベル廃液は約五百十六立方メートルでございますが、そのうち約百立方メートルにつきまして、これまでガラス固化体百五十体に処理され、保管されてございます。残りの高レベル廃液約四百十六立方メートルがあるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、当該処理施設内の廃液貯槽において安全に管理をされているところでございます。

稲見分科員 おっしゃっていただいたように、いただいた資料によると、五年間の平均が二一・八%の稼働率、こういうふうになるわけです。RアンドDを中心に運用しているといっても、余りにも稼働率が低過ぎるんではないかという感じがいたしております。さらに、今お聞きをしましたように、百二十トンの能力は九十トンにし、さらに六ケ所村との関係で四十トン、平日だけとおっしゃいますけれども、もともと設計時は、この東海村の再処理工場、二百十トンだったと思うんですね。そうすると、結局、技術的になかなかうまくいかないという結果がこういう稼働率にあらわれているんじゃないかというふうに思っております。

 しかも、ガラス固化が平成七年から始まったということにしますと、まさに、ガラス固化という、ある意味では安全な保存方法、貯蔵方法ができない前からどんどん高レベル廃液が発生をしておったということで、この点についても非常に問題があるんじゃないかというふうに思います。特にガラス固化技術は、ある意味ではお粗末と言わざるを得ないんじゃないか。この技術が六ケ所村に人的にも技術的にも移転されているということであれば、六ケ所村の再処理工場の今後の稼働に向けた安全性や処理能力が信じられるのかというふうな感想を少し持つところであります。

 次の質問をさせていただきます。

 貯蔵施設でありますが、先ほど申し上げましたように、使用済み核燃料の貯蔵施設は六ケ所村を含めて二万トン分、再処理を行っても四十年後には不足をするという結果になります。稼働率が落ちればもっと早く不足をする。高レベルガラス固化体に至っては、現在計画中のものがすべて建設されても、建屋内の部分を除きますと一万八百本となりますから、これに対して、海外から返還されるもの二千二百本を含めて四万本以上、どうするのか、こういうふうな問題があります。

 全量再処理の根拠の一つに、使用済み核燃料の貯蔵が全国の原子力発電所でできなくなれば全国の原発をとめなければならない、こういうものも一つの理由として言われておりました。そういうことからいうと、いずれにしても貯蔵施設が不足をするというふうなことでは同じではないか、こういうふうに感じるんですが、その点、いかがでしょうか。

小平政府参考人 昨年の秋に取りまとめられました原子力委員会の中間取りまとめにおきましては、「当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で使用済燃料の再処理を行うこととし、これを超えて発生する使用済燃料は中間貯蔵すること」とされております。

 この場合の中間貯蔵と申しますのは、原子力の発電所の敷地外に新たに中間貯蔵のための施設をつくる、これを中間貯蔵というふうに呼んでいるわけでございますけれども、現在、民間事業者は、中間貯蔵を行いますために、そのための施設の立地を進めているところでございまして、政府といたしましても、今後必要となります中間貯蔵施設の円滑な立地が確保されますように、施設の必要性などにつきまして国民の皆様にわかりやすく説明し、国民の皆様や立地地域の理解を得るための広聴・広報活動に着実に取り組んでまいる所存でございます。

 また、再処理に伴いまして発生する高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の貯蔵でございますけれども、これにつきましては、事業主体でございます日本原燃株式会社が、六ケ所再処理工場が稼働いたしました後に、発生量に応じまして、適切な時期に貯蔵施設の増設を行っていく計画であるというふうに承知をいたしております。

塩沢政府参考人 先生の御質問の、全量再処理の根拠の一つに関することについて御説明をさせていただきます。

 原子力委員会の行った評価におきましては、使用済み燃料の中間貯蔵施設の必要数について、直接処分の場合には、発生する使用済み燃料を直接処分するまでの間、約五十年間の冷却が必要であるということでございますので、この間発生するすべての使用済み燃料を中間貯蔵する必要がございます。このために、二〇五〇年までに五千トン規模の中間貯蔵施設を約九から十二カ所必要というふうに試算しております。

 一方、再処理の場合には、再処理能力の範囲で使用済み燃料の再処理が行われるため、必要な施設数は三から六カ所というふうに試算されておりまして、この点において再処理の方に優位性があると評価しております。

 加えて、直接処分の場合、まず第一に、現時点におきましては、我が国の自然条件に対応した技術的知見の蓄積が欠如しておりますことから、使用済み燃料の最終処分場を受け入れる地域を見出すことは一層困難であると考えられること、二番目に、これまでに再処理を前提に進められてきた立地地域との信頼関係が損なわれ、中間貯蔵施設の立地が滞る可能性がある等の問題があると評価をしております。

 いずれにいたしましても、中間取りまとめをまとめるに当たりましては、使用済み燃料の中間貯蔵施設の必要量のみならず、エネルギーセキュリティー、高レベル放射性廃棄物の発生量等の環境適合性等の幅広い視点について総合的観点から原子力委員会において評価を行ったものでございまして、その結果として、使用済み燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする中間取りまとめを行ったものでございます。

    〔石原主査代理退席、主査着席〕

稲見分科員 この中間貯蔵施設についてはいずれにしてもつくっていかなければならないということであるわけですし、再処理の優位性というものをそのことだけで言うのは無理じゃないかなという気はしております。

 それから、直接処分の技術的知見については、やはりこれまで全く蓄積されてこなかった。いずれにしても、高レベル廃棄物の最終処分を含めて技術的知見の必要性があるわけですから、そこを努力した上で、再処理自身が本当にいいのかどうかということはもう一度考えるべき問題ではないかなというふうに思っております。

 今の六ケ所村の中間貯蔵施設についてお伺いをします。

 高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターB棟、ガラス固化建屋、第一ガラス固化体貯蔵建屋東棟、同西棟、ここの崩壊熱の除去解析の誤りについてでありますが、安全・保安院の審査の後、原子力安全委員会で審査が行われましたけれども、その認可の権威が崩れているのではないか、こういうふうに思っております。

 崩壊熱の除去解析は、設計のときの基準とか目標とかということではなしに、原燃からは解析結果として参考資料が提出されております。これを前提に審査したということであり、この結果について誤りがあったということは、意図的であるかどうかは別にして、原子力安全委員会をだました、あるいはだまされた、こういうことになるのではないか、審査をやり直すことになるのではないかと思いますが、いかがか。

 それから、このことがわかりました一月十四日、あるいはその結果が出ました一月二十八日以降、日本原燃に厳重に抗議をしたのか。いいかげんな資料で審査をさせられる委員の方が迷惑だと思います。審査方法など、これから厳密にしていくという改善策などを持っておられるのか。この点もお聞きをしたいと思います。

 それから、これにちょっとかかわりまして、既に稼働しておりますA棟の実際のガラス固化体の中心温度についてでありますが、設計どおりの温度が保たれていないということも言われております。少量貯蔵をしたときに四百九十七度であったというふうに聞いているんですが、定期点検時等の温度の結果を教えていただきたい、こういうふうに思います。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、私どもがやっている安全審査は、非常に基本的な考え方、基本設計とその基本設計に基づく基本方針を議論いたしてございます。したがいまして、具体的に申し上げますと、高レベル廃棄物の貯蔵施設、その当該施設が適切なる冷却機能を有するかどうかということが判断の中心となるわけでございます。

 今回のケースでは、ガラス固化体から発生するいわゆる崩壊熱が自然循環によりまして除去されるという方法を採用するわけでございますが、その採用した設計が適切な冷却を行う設計、方針であることを安全審査において確認しているところでございます。それで、それ以降のいわゆる後続規制でいろいろな詳細な設計なり工事方法等が決まるわけでございまして、まず事業者は、安全審査を終わった後で設置許可を受けた段階で具体的な施設の設計その他を定めるわけでございます。

 今回の事象につきましては、事業者が設計変更するというふうに承知いたしてございますが、そういう当該事象が、先ほど申しました基本設計に該当する、ないしは基本方針、基本設計の考え方に該当するかどうかという点が重要になるわけでございまして、例えば、自然循環などの冷却方式の変更など、そういうものが必要であるかどうかというのが一つの大きな判断根拠になるわけでございまして、現時点におきましては、そういう変更にかかわるものでないとするならば、安全審査をやり直す必要性はないと考えてございます。

 それから、私ども、そういう後続規制の取り組みでございますが、規制調査という制度が一昨年からできてございまして、その中で、当然今回の事象につきましては、一月三十一日に原子力安全委員会といたしましても保安院の方から報告を受けてございますし、それ以降につきましても、規制調査という手段を用いまして十分監視、監査の観点から安全性担保に向けて努力していきたいと思ってございます。

 以上でございます。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 既に建設がされて貯蔵が開始されておりますA棟の方につきまして、一本だけ貯蔵したときの温度が四百九十七度、あるいは定期点検等の温度の結果はどうなのか、こういう御指摘でございます。

 このA棟の事業許可申請添付書類におきまして、これは日本原燃が提出した資料でございますけれども、ガラス固化体の温度が最も高くなるケースとして、二・五キロワット、これは発熱量を二キロワットに規制しておりますが、ガラス固化体一本を収納した状態でガラス固化体の温度を計算しております。実は、これは自然冷却でございますので、温度差を利用して空気の流れをつくり出すわけでございますので、ガラス固化体一本を収納したケースというのがいわば一番厳しいケースになるわけでございますけれども、その際、この申請書類におきましては、表面温度が三百二十度、中心部温度で四百七十度ということでございます。

 先生御指摘の四百九十七度というのは、この段階での当時の原子力安全委員会における二次審査のときに別の手法を用いたクロスチェックの解析の結果、これが四百九十七度ではないかと思います。

 これがどうかということで検証したわけでございますけれども、建屋の使用前検査におきまして、模擬発熱体で貯蔵条件を模擬して検査をいたしました。二・五キロワットの模擬発熱体を一本収納したときの容器表面温度、これは二百五十度になりました。したがいまして、ただいま申し上げました原燃の添付書類の三百二十度と比較いたしましても、かなり適切な温度で冷却されているということを確認いたしております。

 さらに、定期検査、これは一年に一回行っております施設定期検査でございますけれども、最新の平成十六年度の検査におきまして、第一貯蔵ピットの収納本数が最大管理能力に近い状態、これは七百二十本に対して七百十一本が収納されている状態でございます。これは、収納管のベースでいきますと、収納管一本に九段重ねて置きますので八十本の収納管がある、こういう状態を御想像いただきたいと思いますけれども、その段階で検査をいたしました。その際のガラス固化体の冷却性能検査でございます。

 これは、地下に埋められております収納管に近づいて温度を実測するということは当然のことながらできませんので、冷却空気の流れの出口温度と入り口温度の温度差につきまして計算しまして、それから、解析上想定をされております温度差との比較において十分な冷却がされているかどうかを検証する、こういう手法をとっておるわけでございます。

 すべての収納管でこれらの比較を行っておりますが、この実測値の温度差が最大となるもので四十三度というふうに定期検査で検証されております。計算上の温度差は九十八度でございますので、これに比べましても十分下回っておりますので、ガラス固化体が適切に冷却をされているということをこの定期検査の方で確認をさせていただいております。

稲見分科員 前段の設計ミスの問題は、おっしゃっているようなレベルでなくて、地元の方では大変な批判が出ているということだけお伝えをしておきたいと思います。東京では余り新聞に載っておりませんが、現地の東奥日報であるとかあるいはデーリー東北であるとか、毎日新聞であるとかを見ますと、MOX燃料の燃料工場の立地問題で県の議会の全員協議会とか県の原子力政策懇談会が開催をされておりますが、そこで、その問題よりも、国が審査をしたのが全く違っていたのなら、国の責任はひどい、あるいは企業丸投げでそういう解析結果を丸のみしてしまうのは問題だとかいうふうな批判が大変出ているということについては、お伝えをしておきたいと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、浜岡の原発の件について一つお聞きをします。

 浜岡原発の耐震補強工事について新聞に発表されたものを見ておったわけですが、これについて政府から指導助言を行ったことがあるのか。あるいは、運転停止を求める署名活動であるとか、差しとめ請求であるとか、後ほど聞きますいわゆるPSA、確率論的安全評価についての新聞報道など、こういうものが影響したというふうに政府の側で考えておられるのか。

 それから、このPSAについてでありますが、三つの原子力発電所を想定した試算、これは大飯と福島と浜岡、こういうふうに推定されるわけですけれども、それぞれの炉心損傷事故の確率はどうか、最も低い発電所と最も高い発電所を比較すると何倍になっているのか、このことを試算された結果を教えていただきたいと思います。

 それから、PSAは、日本というのは全世界の〇・一%の地表面積で一割の地震を体験するという地震大国でありますから、そういう意味では、原子力発電所の安全性を考える場合に、このPSAは重要な手法だというふうに考えております。これからどういう形でこのPSAを、安全基準を点検していく場合に採用していくというふうな形になっていくのか。試算をした全国の原発について、そういう試算なり点検、分析をいつされるのか、この点についてお聞きをしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 浜岡原発の耐震補強工事でございますけれども、先般、中部電力から浜岡原子力発電所の耐震補強工事についての発表がございましたけれども、これは、耐震安全性の一層の向上を目指して自主的に実施の判断をしたものだというふうに承知をしております。したがいまして、原子力安全・保安院といたしましては、今回の決定につきましての特段の指導助言等は行っておりません。

 また、その背景についての御指摘でございますけれども、どうした背景があったのかということについて保安院として承知をしておりませんけれども、中部電力によりますと、今先生も御指摘のとおりでございますが、原子力安全委員会におきまして平成十三年七月から開始をされております耐震指針改定の審議、これが一つの契機になりまして、自主的に実施をすることを決定したというふうに承知をしております。

 それから、その次に御指摘をされました炉心損傷事故の確率につきましての問題でございます。

 これは昨年、一部の新聞で報道されたものでございますけれども、一昨年、関係する財団法人が取りまとめまして、現在、独立行政法人原子力安全基盤機構、JNESに引き継がれている報告書に関するものだと思います。

 この報告書に記載されております数値は、個別のプラントのデータを用いたものではございません。標準的な原子力発電所の公開データを用いて計算をしたものでございます。また、その目的も、今先生御指摘のPSA的な手法というものが成立するのかどうかということについての、手法の開発のための一環として出されたものでございます。

 したがいまして、このような数値を用いまして、具体的にどのサイトがどのサイトに比較してどういう倍率になっているのかということを比較すること自身、適当なことではないというふうに承知をしております。

 それから、今後のPSAの方針でございます。

茂木主査 簡潔にお願いします。

松永政府参考人 私ども原子力安全・保安院といたしましても、PSAの検討には積極的に対応していきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、耐震設計指針につきまして、現在、原子力安全委員会でもその見直しの検討が行われておりますけれども、その検討結果を踏まえまして、耐震安全性のいわば検討、対応に的確を期してまいりたいというふうに考えております。

稲見分科員 時間が参りましたので、最後に、委員長の御了解をいただければ、大臣に一言だけお聞きしたいと思います。

茂木主査 時間が来ております。

稲見分科員 そうですか。では終わりますが、きょう、再処理について幾つか質問をさせていただきました。きょうは質問しませんでしたけれども、プルトニウムの利用の問題とか、「もんじゅ」の、いつから本当に動くのかというようなこと、それから、バックエンドコストの直接処分の問題についても、火力の炊き増しや政策変更コストを加えて、無理に帳尻を合わせているんじゃないかというふうな気もいたしております。

 これから、再処理についてさらに議論を深めていきたいというふうな気持ちがしておりまして、最後に総括的に大臣にお聞きをしたいと思いましたが、時間が来ましたのでこれで終了させていただきます。

茂木主査 では、大臣、簡潔にお願いします。

中川国務大臣 いろいろな御意見は承知しておりますし、また、政府としては、エネルギーの中での核燃サイクルも含めた原子力エネルギー政策を着実に進めてまいりたいと考えておりますが、その大前提としては、安全性、そしてまた地元を初めとする国民の皆様の御理解、そのための説明も含めました、安全性を中心とする我々政府としての最大の努力が今後とも必要であるということを改めて申し上げたいと思います。

稲見分科員 どうもありがとうございました。終わります。

茂木主査 これにて稲見哲男君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻惠君。

辻分科員 民主党の辻惠でございます。

 きょうの朝刊の各紙を見ますと、ライブドアの問題も取り上げていますが、ダイエーについて、支援企業がほぼ固まったというような記事が出ております。この新聞報道をまとめますと、去年の十月に再生機構に支援要請があって、そして一次入札で七陣営が通過をした。ことしの一月の中旬に二次入札があって三陣営に絞り込んだ。そして、けさの朝刊を見ますと、二月二十八日に最終入札を行って、三月上旬に内定するんだというような報道がなされている。三陣営については、丸紅陣営、イオン陣営、キアコン陣営ということで、丸紅が有力であるというような報道がなされております。

 そもそも第一次の入札の時点で、これは二〇〇四年の十月に、産業再生機構にダイエーを送るべきなのか、それとも自主再建をすべきなのかという議論が多々ありまして、たしか十月二十二日ごろでありましょうか、ダイエー側で自主的に入札を予定していて、それで手を挙げる予定の企業があるというふうに報道があったと思うんですが、その自主再建で手を挙げると言っていた予定企業は、この産業再生機構の一次入札に手を挙げたのか、そして、七陣営が通過したと言われるが、その通過の中に入っているのか、この点はいかがでしょう。

藤岡政府参考人 ダイエーのスポンサーに関しましては、いろいろと報道がなされていることは承知いたしております。個別具体的なことでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、現在、機構におきまして、公正中立な立場から適切なスポンサーが選定されると承知いたしております。

辻分科員 だから、公正に行っているかどうかということについて疑念が呈されているんですよ。だから、ゆえなしとしないんですよね。自主再建で支えようとしていたスポンサーの企業が、その後の競争入札的な公平公正だという制度を一応採用しているという表向きになっているんだけれども、実際本当にそういうふうなチェックがなされていったのか、そういうふうな検証の結果、絞られていっているのかどうなのか。最初から、産業再生機構側で想定していた企業しか手を事実上挙げられなかったんじゃないか、また、一次入札を通過できなかったんじゃないか。そういうことが、やっぱり国民からすれば疑念があるんですよ。

 だから、個々の企業がどうのこうのということは現時点でとりあえずお尋ねしませんが、概括的なことを一応伺っているんですから、その点だけはお答えいただきたいと思います。いかがですか。

藤岡政府参考人 再度申し上げるようでございますけれども、個別具体的なことにつきましては、言及を差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、個別具体的な案件のスポンサー選定の過程につきましてはなかなか申し上げられないんですが、一般論で申し上げますと、機構は事業再生計画達成の蓋然性、それから企業価値の最大化といったところをスポンサー選定の重要項目として、承知いたしております。

 また、具体的には、しっかりとした資産査定に基づきまして、投資額の多寡でありますとか、事業再生計画の内容の具体性でありますとか、支援対象企業に派遣される者の経営能力その他のさまざまな要素を勘案いたしまして、それらをスポンサー候補に示した上で、各スポンサー候補からの提案を慎重に比較検討し、公正中立な立場で判断をしておるということでございますので、御理解を賜りたいと思います。

辻分科員 昨日、予算委員会で、私はこの産業再生機構入りをしたダイエーとミサワの問題について伺って、大臣は個別具体的なことに答えていますよ。ダイエーのことについては、一般論で、公平公正にやっているということをおっしゃっているけれども、ミサワについては具体的なことを答えているじゃないですか。

 ダイエーについては、ある程度固まっているからこういう新聞記事が出ているんじゃないですか。これはだれがリークしたのかわからないけれども、現実にそういうふうに国民の前に情報が提供されているんだから、少なくともその範囲では委員会で答える責務があるんじゃないですか。委員会で答えられなくて、どこかで情報だけがひとり歩きする、こういう事態はそれでよしとするんですか。いかがですか。ちゃんと答えてください。

藤岡政府参考人 昨日の予算委員会におきまして、村上産業再生機構担当大臣の方から委員に対し御答弁申し上げたということでございますけれども、その件につきましては、大臣の方から、昨年十二月二十八日にミサワホームとトヨタが資本業務提携に向けた基本合意を締結してございます、そういうことを踏まえまして、現時点で明らかとなっているスポンサー候補はトヨタ自動車しかいないという趣旨で申し上げたというふうに聞いております。

 ミサワホームのスポンサー選定でございますけれども……(辻分科員「いや、ダイエーについて聞いているんですよ、今は」と呼ぶ)ダイエーについては、個別具体的な話でございますので……(辻分科員「だって、ミサワで答えて、何でダイエーで答えられないんですか」と呼ぶ)

茂木主査 勝手に議事進行しないでください。

 質問に答えてください。

藤岡政府参考人 ダイエーについては、個別具体的な問題でございますので、言及を差し控えさせていただきたいと思います。

辻分科員 ミサワについては具体的に答えて、基本契約を結んでいるからということを言っておいて、ではダイエーについて基本契約を結んでいるかどうか。だから、もしかしたら結んでいるんじゃないかという疑惑があるわけですよ。だから、一次入札で七陣営が通過した、二次入札で三陣営に絞られた、だけれども、その間にどういう業務委託契約なりそういう提携契約なりが結ばれているかどうか、わからないわけですよ。だから、その時点で既に、特定の陣営ともしかしたら裏で話ができていたんじゃないか。

 これは、中川大臣いらっしゃるけれども、ダイエーの自主再建なのか、産業再生機構送りなのかというのは非常にいろいろな問題があって、それを支えようと、スポンサーだって利害もいろいろ錯綜して、国民だってよくわからないわけですよ。その中で、ミサワについては、だから明らかにトヨタだけが突出しているというのも本当にこれは明々白々であって、具体例としては答えられないと言うんだけれども、トヨタだけは何で答えられるんですか。何でトヨタだけ基本契約が結ばれているんですか。それがだれも、ほかのことについては具体的には言えないといって、トヨタだけが突出して、オールマイティーのような存在で扱われている。これ自体、この後ちょっと伺いますけれども。

 もう一度だけ繰り返しになりますけれども、ダイエーについて、つまり、一次入札で、もともと産業再生機構に協力を示していた企業以外のダイエーの自主再建に手をかそうとしていた企業がそこに入札で参加できたのか、一次入札を通過したのか、その点だけはやはり答えるべき義務があるんじゃないですか。疑問が払拭されませんよ。その点、いかがですか。

藤岡政府参考人 ダイエーにつきましては、個別具体的なことでございますので、言及を差し控えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のトヨタ自動車の件でございますけれども……(辻分科員「後から質問します」と呼ぶ)はい。

辻分科員 その点については同じことをやりとりしても始まりませんから、別の形で、また機会を見てその点については検証をしていきたいというふうに思います。

 そこで、では次にトヨタの問題ですが、企業の再生の一番重要なことは資産査定だと思っています、これはダイエーに関する私の質疑についての答弁として、きのう村上大臣がおっしゃっているんですね。では、資産査定について、ミサワの問題について資産査定をきちっと行ったんですか。独自に行ったんですか。銀行の資産査定をそのまま真に受けたのか、独自に具体的に資産査定を行ったのか。行ったとすれば、これは具体的な話でなかなか答えられない面もあるかもしれないけれども、どういう形で慎重に行ったのか。その点はいかがですか。

藤岡政府参考人 産業再生機構におきます資産査定でございますけれども、まさに事業者及びメーン銀行から相談を受けた段階で一定の契約をいたしまして、査定行為が始まります。ということで、支援決定をいたします事前の段階あるいは事後の段階で資産査定は進んでおるというふうに承知いたしております。

辻分科員 質問をちゃんと聞いて答えてくださいよ。銀行も含めて資産査定を行ったというような言い方でしか聞こえないんだ、今のは。

 UFJは当然資産査定を行っていますよ、多分。だけれども、ミサワの決定を得て、同意を得て資産査定を行っているのか、UFJとは別途に、産業再生機構として。その点はどうですか。

藤岡政府参考人 一般論でございますけれども、機構は独自に資産査定を行っているというふうに承知いたしております。

辻分科員 では、ミサワの了解を得て産業再生機構として独自に資産査定を行った、一般論としてそうやっているということだから。それを敷衍すれば、このケースでもそうだというふうに理解できる御答弁だったと思います。

 そうすると、ミサワの取締役会で、資産査定を行うということについてのきちっとした取締役会決議というものを経ているんですか。その点はどうですか。

藤岡政府参考人 その点、機構独自の活動にかかわりますことで、私どもでは把握してございません。

辻分科員 これは不思議な答弁ですね。ミサワの意向を受けて、UFJの行った、UFJは当然ミサワから資料の提供とか受けて行っていると思いますけれども、それの行われた査定とは別途、独自に産業再生機構が査定を行うというのだったら、当然資料の提供とかミサワから受けるわけだし、ミサワの意向を経て行うわけだから、当然ミサワの取締役会でその点が承認されたということに基づいてやっているはずなんですよ。

 今のお答えだったら、要するに、ミサワの決議があったかなかったか知らないということは、決議を確認していないということじゃないですか。知らないと言っているんだから、確認していれば知っているわけだから、知らないというのは確認していないということの意味ですよ。

 ミサワの決議を経ずに、どういう形で資産査定を、デューデリを厳密に、適正にできるんですか。極めて疑問ですよ。その点、いかがですか。

藤岡政府参考人 担当室といたしましては、株式会社ミサワホールディングスの取締役決議を行っておるかどうかということは、確認いたしておりません。

 ただ、機構が行いますさまざまな手続につきましては、きちっと法的な手続にのっとって進んでおるということでございます。

辻分科員 いいかげんな答えをしないでください。法的な手続というのはどういうことなんですか。取締役会決議を経ないで法的に問題なく行っているというのは、法的というのは具体的に教えてくださいよ。どういうことなんですか。

藤岡政府参考人 私の方からお答え申し上げましたのは、いろいろ、事前相談の段階でいろいろな調査をいたします場合には、一定の契約上の取り決め事を行うということでございます。

辻分科員 会社の意思を確認してやったかどうかわからないじゃないですか、それは。業務執行機関でしょう。取締役会の決議で、代表取締役から執行できるわけだから、代表権を持って執行しているわけだから、その方の指示に基づいてデューデリに必要な資料とかを出させてやるわけでしょうが。

 だから、あなたの今のお話だったら、それ以外、正式な取締役会決議を経ないで、基本的には、だからUFJの行ったデューデリをそのまま真に受けて、それをもとに産業再生機構はやったんだ、やったんだと言っているということ以上、聞こえないんですよ。だから、ミサワホールディングスの取締役会でデューデリをやるんだ、産業再生機構に資料を提供するんだということの役会の決議がなければおかしいんですよ。

 その点を確認していないということは、これはあったかなかったかわからないということを意味しているんですか。いかがですか、その点。

藤岡政府参考人 担当室といたしましては、一個別具体的な案件についての事情については承知いたしておらないということでございます。

辻分科員 担当室長は承知していないと。そうすると、これは大臣は承知されているんですか。どうですか。

藤岡政府参考人 担当室として承知しているものも、担当の大臣は承知してございません。

辻分科員 では、これは株式会社産業再生機構の社長は承知しているんですか。どうなんですか。

藤岡政府参考人 まさに産業再生機構は、個別具体的な案件をいろいろ進めてございますので、その点の事情については当然承知しておるというふうに考えております。

辻分科員 では、今承知していないんだったら、産業再生機構に確認をして私に知らせてくださいよ、事実。役会決議があったのかなかったのか、どういう形で役会決議があったのかなかったのか、いつあったのか。その点について報告してください。いかがですか。

藤岡政府参考人 委員御指摘の個別具体的な件でございますけれども、基本的には、政府といたしましては、産業再生機構の独立したさまざまな行為については尊重するということで動いてございます。そういうことでございますので、委員御指摘の件につきまして、私どもで検討させていただきまして、対応を考えさせていただきたいと思います。

辻分科員 では、その点については、後で報告を受けてきちっと事実を確認させていただきたいというふうに思います。

 ダイエーは、一次入札、二次入札、最終入札までやるという手続だというふうに新聞報道されています。ミサワは入札はやるんですか、やらないんですか。一般論としてはやると思うんですが、ミサワだけやらないんですか。どうなんですか。

藤岡政府参考人 ミサワも例外ではございません。

辻分科員 そうすると、何次まで、どういう形で入札をされる予定なんですか。タイムスケジュールを教えていただけますか。

藤岡政府参考人 ミサワホームホールディングスに関しましては、十二月の二十八日に支援決定をいたしております。その関係で、債権買い取り申込期間等の期限が三月の二十五日となってございます。スポンサーを決定するのは、今のところ、予定では三月の末までというふうに聞いてございます。

辻分科員 そうすると、ダイエーが一次入札、二次入札、最終入札と三段階に分けて絞っていったというふうに報道を見れば読めるんですが、ミサワの問題については、十二月二十八日から三月二十五日までの買い取り期間を、つまり三カ月ぐらい設けて、三月二十五日に締めるんですか。それから入札の審査というか検討していくんですか。どうなんですか、それは。

藤岡政府参考人 一般論でございますけれども、買い取り申し込みの期限が三月二十五日でございますので、そのときまでにある程度の具体的な姿が見えておらないとなかなかできないということでございますので、スポンサー選定も同時進行ということになってまいります。

辻分科員 だから、伺っているのは、では、こう伺いましょう。

 ダイエーも支援決定が決まった段階でミサワと同じように、例えば三カ月ぐらいの期間を設けて、買い取り申込期間ですか、というのを設けて通知した、公開したということなんですか。その点は変わらないということですか。いかがですか。

藤岡政府参考人 同じでございます。

辻分科員 そうすると、ダイエーを見ますと、十月に支援決定があって、要請を出して、一次入札で七陣営に絞られた。一月中旬に二次入札で三陣営に絞られた。つまり、一月中旬ですから、三カ月後ぐらいですね。それで、二月の二十八日に最終入札で、四カ月後に内定に向かう最終審査を行うということになっているのだと報道されているんですが、これは、一般的な入札の絞り方、進められ方なのかどうなのか。それと対比して、ミサワも一般的な進められ方にのっとって行うという予定にされているのかどうなのか、この点はいかがですか。

藤岡政府参考人 一般論で恐縮でございますが、ダイエーのような大きな規模の入札となりますと何段階に分かれてくるというふうに考えてございます。片や、スポンサーが極めて限定的な場合は簡単な入札でつくというふうになってくるというふうに考えております。

辻分科員 今のお話を伺うと、スポンサーが極めて限定的というのは、ミサワの場合はスポンサーが極めて限定的なんですか。いつ限定的だということが決まったんですか。

藤岡政府参考人 私どもとしては、ミサワの場合はスポンサーは限定的というふうに申し上げてはおりません。あくまで一般論でございますけれども、多くのスポンサーがいらっしゃる場合は、その選定手続が多段階に分かれると申し上げました。

辻分科員 いや、私は、ダイエーの手続を聞いて、ミサワもそれと同じようなんですかというふうに伺ったら、事業の規模との対比で必ずしもそうならない場合もある、限定的な場合は違うんだというふうにおっしゃった。

 私の質問は、ミサワはどうなんですかと聞いたんですよ。一般論と特別に食い違っているんですかと聞いたら、あなたの発言は、規模の問題と、あと限定的な問題なんですよというふうに言っているから、これは要するに、会話の脈絡からすれば、ミサワは限定的なんだということを言っているに等しいんですよ。だから聞いているんですよ。聞いたら、一般論で答えられないって、何を言っているんですか、さっきから。質問をちゃんと聞いて答えてくださいよ。

藤岡政府参考人 手続的には、ミサワの場合も同じでございます。

辻分科員 では、最初から限定的ではないというふうに伺っていいんですか。お答えください。

藤岡政府参考人 結構でございます。

辻分科員 そうすると、きのう村上大臣は、ミサワをスポンサーとして引き受ける場合にはやはりそれ相応の自信がないとできないわけで、そのリスクをとるかとらないかというのは各企業の度量で決まると思います、そういう面で、今の時点においてそのリスクをとるというのがトヨタしかないということだと考えると言っているんですね。

 十二月二十八日に買い取りの申し込みの期間を設けて、今のお話では、まだ入札を求めて絞っていく過程である、ダイエーとの対比で考えればそういうプロセスだと私は理解できるんですが、お答えをそのままそのとおり受けとめると。だけれども、既に結論が出ているということをきのうの予算委員会で村上大臣は言っているんですよ。矛盾しているじゃないですか。最初から限定的に決めていたということを言っているんでしょう、これは。いかがですか。

藤岡政府参考人 村上担当大臣が申し上げましたことは、まさに十二月二十八日のミサワホームとトヨタ自動車の基本合意書のときに、合意書ができたということは、あの時点で、トヨタ自動車は詳細な内容はわからないんだけれどもあえてリスクをとったといったところで、まさにトヨタ自動車しかないんだという御趣旨だということでございます。

辻分科員 トヨタ自動車は、これも雑誌等を含めたマスコミ報道によれば、二〇〇三年十月に経団連の会長室で竹中さんの手引きで奥田さんと三沢千代治さんが会って、トヨタを参加させてほしいと言ったということが言われている。そして、二〇〇四年の十一月二十五日のパーティーで、ミサワは再生機構に行けばいいというふうに言ったということが二十七日付の読売の朝刊で報道されている。そして、十一月二十九日にも、ミサワ支援は再生機構活用が前提なんだというふうに言っている。

 だから、結局、再生機構は、トヨタの受け皿をつくるための、トヨタが支配を及ぼす受け皿として機能している以外にないじゃないですか、このことを見れば。

 では、二十八日に買い取りの申し込みを求めているというのは、これは何なんですか。トヨタに協力するスポンサーを求めている、こういう理解でいいんですか。どうなんですか。

藤岡政府参考人 機構といたしましては、トヨタ自動車はあくまでスポンサーの一候補でございます。そういうことで、他のスポンサー候補とともに、トヨタを含め、同じ条件で競争していただいた上で決めるということでございます。

辻分科員 そんなもの理解できないじゃないですか、一候補というの。候補といったら、まだ決まっていないんですよ。やはりそれは検証されるんですよ、だから。それが自由競争というか競争の関係にあるということなんだけれども、先ほどからあなたがおっしゃっているのは、もう一候補じゃないんですよ。確定的に、指定席をもう占めているんですよ。その後に申し込みを求めている。

 では、今何社にこれは絞られているんですか、トヨタ以外の。その点、いかがですか。

藤岡政府参考人 個別具体的なことでございますので、言及を差し控えさせていただきたいと思います。

辻分科員 いや、極めて不誠実だし、適当で便宜的ですよ。

 時間の関係がありますから、この場ではこれ以上議論が進展するというのはなかなか難しいと思うから、別の形で機会をいただいて、もう少しこの点は検証していきたいと思いますよ。

 そんな、一企業が、それは経団連の会長かもしれないけれども、一企業が非常に優先的な地位を占めて、産業再生機構でなきゃいけないと自主再建をつぶしているわけですよ。自主再建をつぶして、産業再生機構入りをある意味では強引に、誘導じゃないですね、これは。誘導ではなくて、そういう段取りを仕組んでいる。そして、産業再生機構がそれを唯々諾々と受けているということに映るわけなんですよね。そんなの、公平公正に機能しているなんて言えないじゃないですか。

 それはもう時限立法だから、産業再生機構、お役目、三月末で新たな買い取りはなくなるわけだから、舞台から去るわけだからいいといえばいいんだろうけれども、この去年からことしの一連の過程の中で、やはり産業再生機構が本当に社会的な、公共的な性格を持った存在として機能していたのかどうなのかが極めて問題なんですよ。これは、ハゲタカファンドと言われるようなところが産業再生機構を牛耳っているんじゃないかという指摘もある。そういう、みんなの目を意識したときに、そんないいかげんな答えでは通用しないですよ。

 この点を申し上げておきたい。答えは要らないです。どうせ同じ答えなんだから。

 最後に一点だけ。

 RCCに伺いますけれども、債権回収の方法等について問題点がいろいろ指摘されております。苦情機関を設けたりとか、また、私はきのうの予算委員会で報告を具体的に求めましたけれども、要は、問題点が本当にあると認識しているのかどうなのかが本当に問題なんですよね。だから、恐らく金融庁の長官も認識が非常に弱い。RCCの社長も、奥野さんだって私は弱いと思う。中坊さん、鬼追さんとはちょっと人脈が違うから、どういう立場でされているのかというのはあるけれども、やはり認識は弱いというふうに思いますよ。

 だから、問題は、債権回収の方法についてどういう事態が起こっていて、どういう問題点があると指摘されているのか。それは、事実はどうなのかはともかくとして、どういう事実があるというふうに指摘されているのか。では、そのことをキャッチできる、認識できるシステムをどういうふうにRCCは持っているのかということですよ。

 その点、そして、どういうシステムになっているのかという点と、それからどういう問題点があるといろいろ巷間言われているというふうに認識しているのか、その認識している問題点についてお答えいただきたい。いかがでしょうか。

茂木主査 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に答弁してください。

永田参考人 御指摘のような御批判があり、その問題点につきましては私どもも共有しているというふうに認識しております。

 債権回収に当たりましては、個々の契約並びに法令等にのっとった回収を通じまして、国民負担の最小化を図ることを基本としつつも、実際の回収に当たりましては、個々の債務者の実情等を十分に把握し、適切な対応に努め、結果として法的措置をとらざるを得ない場合でありましても、債務者の相談に十分に応じるほか、返済計画を提出してもらうなど、可能な限り任意の話し合いにより解決を図るように努力してきております。おっしゃられました実効を上げるために、結局、現場の努力と組織の努力が必要だと思っております。

 現場の問題は、きのうもお話が出ましたけれども、契約の拘束性あるいは人間の尊厳の確保といった理念のもとで、職員一人一人がその認識を持って当たるように指導をしているところであります。

 そして組織の問題は、先生今御指摘のように、相談室の機能強化、それからコンプライアンス委員会の機能強化を図り、昨年十一月からは一段とこの機能の強化を図っておりまして、預金保険機構といたしましても、このコンプライアンス委員会等を通じまして、その内容及びその後の対応状況等について十分把握しているところであります。今後とも、この機能をアップさせて、一層の適切な対応を指導してまいる所存でございます。

辻分科員 抜本的な改善、改革が必要だと私は思います。単に問題があるということを言うにとどまっているつもりはないんですよ。だから、もっと突っ込んで、現状を認識できるためのシステムをどうするのか、それをどういうふうに改善していくのかというのは、これは私ももっといろいろ協議をしてやっていきたいというふうに思います。それは一緒に忌憚なくやっていきたいというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

茂木主査 これにて辻惠君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅原一秀君。

菅原分科員 自民党の菅原一秀でございます。本日は午後がございませんので、最後の質問ゆえに、最後までひとつよろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、大きく二つ、中小企業政策と商店街への国の取り組みについてお尋ねをしたい、こう思っております。その前に、景気の動向についての見方について中川大臣にお尋ねをしたい、こう思っております。

 三日前の内閣府が発表いたしました毎月恒例の月例経済報告、これによりますと、「景気は、一部に弱い動きが続いており、回復が緩やかになっている。」「企業収益は大幅に改善し、設備投資は増加」、「個人消費は、おおむね横ばいとなっている。」「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。」輸出、生産は弱含みと、いわゆる景気が踊り場であるということを報告しているわけであります。これを言葉どおり、額面どおり果たして受け取っていいんであろうかと。

 一方で、その次の日の日経新聞の朝刊に出ておりましたが、民間の日本経済研究センター、この経済短期予測におきますと、この踊り場のとらえ方が若干違っておりまして、実質GDP成長率は、二〇〇四年度が一・六%、今年度が〇・八%、二〇〇六年度が〇%としております。輸出も、そしてまた中国やアジアの成長率の鈍化という、こうした背景の中で、国内企業の設備投資も減速基調になる、こういう見込みを示しておりまして、さらに、個人消費も、デフレ下の企業の雇用は慎重となって、賃金も低下傾向にある。言ってみれば、内閣府の月例と、全く逆とは言わないまでも、かなり大きな開きのある報告を出しております。

 この二つの報告について、いわばミクロ経済、実体経済の所管大臣として、中川大臣のとらえ方をお示しいただきたいと思います。

中川国務大臣 私も政府の人間でございますから、政府が発表したものを基本的にもちろん否定するものではございませんが、個人消費が横ばい、つまり依然として弱いということだと思いますし、それから、雇用情勢は少しずついい方向に行っている、これも、いわゆる正規雇用から非正規雇用へのシフトというものがあって、その結果、収入も依然として低迷をしている。

 それから、去年の今ごろは、新三種の神器を中心に、内需、国内での売れ行き、海外での売れ行きがある程度日本経済を引っ張ってきていたわけでありますけれども、それも何となくだんだん弱くなってきているということで、今御指摘のように、個別業種あるいは個別の地域、あるいは中小企業等を考えますと、はっきり悪くなっているというふうには断言できません、もちろんいいデータも他方あるわけでございますから。しかし、非常にデリケートな時期で、踊り場という言葉がよく最近聞かれますけれども、非常にデリケートな大事な状況に、今まさしくますますそういう状況に入ってきているような認識を私自身は持っております。

菅原分科員 ただいま大臣から、踊り場ゆえに大変日本経済、景気がデリケートな時期に来ている、こういうお話がありました。

 よく、GDP六割を占めている個人消費ということが言われますが、その一方で、やはり日本の企業の九九・七%の中小企業、この足腰をいかに強くするか、これが大変大きな課題であろうと思っています。と同時に、中小企業にとりまして、言ってみれば、命綱といえば、何といってもこれは融資そのものの制度のあり方だ、こういうふうに思っています。

 これまで日本の中小企業に対する我が国の融資といえば、慣行上、その会社の経営者本人のみならず、親、兄弟、親戚一同まで第三者保証を求める、こういう傾向がありました。しかも、保証の限度額あるいは保証期間が全く定められていないいわゆる包括根保証、これが広く用いられてきたわけでございますが、世界じゅうどこを見ても、法的な縛りはないものの、そのような包括根保証というものをやっている国は他の国にはないわけでございまして、我が国の中小企業経営者にとって非常に大きな悩みの種であったわけでございます。

 平成十五年度の自殺者、全国で三万四千人を超えているという大変な数字を示しておりまして、そのうちで三五%が経済苦を理由にして自殺をしている、みずから命を絶っている。これも、この包括根保証あるいは第三者保証という問題が非常に起因している要因になっているのではないか、こうとらえております。

 実は、私も、今から十四年前に、今は亡き父親の会社が倒産をしまして、家も会社も全部失った、そういう経験を持っております。そのとき、やはり大きな要因となったのはこの包括根保証であり、第三者保証。つまり、自分の事業が順調であったにもかかわらず、人の借金の保証人になって、結局自分がその負債を負って、自分がその財産すべてを失ってしまう、こういうケースが非常に多いわけでありまして、そうした中で、去年の臨時国会において民法の改正がされて包括根保証制度が廃止されたということは、全国の中小企業者にとっては非常に大きな朗報であった、私はこう思っております。

 何よりも中小企業経営者にとって、それぞれの事業展開のチャンスを生かせる、あるいはそうした機会をつくっていく大変大きなフォローアップの策である、こう思っておりまして、この四月の施行が予定どおり行われるのかどうかというこの確認と、同時に、十一月に法案が通って約三カ月たったわけでございますけれども、実は、一月、二月、私も地元の商店街、町会等々の新年会、五百件以上歩いておりまして、そのあいさつの中で根保証が廃止になったという話をしても、ほとんど知られていない、こういう実態があります。

 四月まであと一カ月ちょっとでありますので、こうした状況の中で、周知徹底をしっかりやっていただきたいと思いますが、この点について、今の対応についてお尋ねをしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、包括根保証の禁止というのは中小企業にとっても極めて重要な制度変更であるという認識は十分持っております。

 制度変更は、今御指摘のように、本年の四月一日から施行する予定で準備が進んでいるというふうに理解をいたしておりますけれども、大分近づいてまいりましたので、私ども、この周知徹底につきましては全力を挙げて進めていかなきゃいけないと考えているところでございます。

 これまでも、具体的には実は、中小企業基盤整備機構であるとか商工会議所、中小企業団体中央会、商店街振興組合連合会あるいは中小企業診断協会などを通じまして、会員企業や組合などへの周知を図っております。また、日ごろから中小企業とおつき合いが深いと考えられることから、税理士連合会や公認会計士協会などとも、制度変更の趣旨や内容の周知について今打ち合わせをしているところでございます。これらに加えまして、中小企業庁のホームページあるいはメールマガジンを通じた情報提供などにも取り組んでいるところでございます。

 おっしゃいますように、まだまだ十分に周知がされたとは言えない状況にあることは認識をいたしておりますので、今後とも、関係省庁と連携を図りながら、あらゆる機会をとらえまして包括根保証の禁止についてその周知の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。

菅原分科員 さらに力強く推し進めていただきたいと思います。

 今回のこの制度改正の本来的な趣旨というのは、中小企業への円滑な資金供給ということが大前提であるわけでありますが、借り手である中小企業経営者あるいはその保証人を過度な、そしてまた時には不合理な負担、責任から解放するという大変な大きな本旨があると思います。

 その意味では、貸し手となる金融機関には、この制度を十二分に踏まえた理性的な行動が求められるわけであります。実際、町中で金融機関と中小企業経営者、やはり借り手である中小企業経営者の方が立場が非常に弱いという現状があって、この包括根保証の禁止によって、施行後、実際に金利の上昇、こういったことが不当に、引き上げられるのではないかとか、あるいは不合理な貸しはがしが起こるのではないかという声もやはり非常に多く届いているわけでございます。

 こうした問題について、担当の金融庁として、金融機関に対して、包括根保証のいわば趣旨を十二分に理解をしてもらった上で、その対応、秩序ある企業行動というものをどういうふうに求めていくか。やはり金融庁の指導というものにかかっていると思いますので、この点についての御所見をいただきたいと思います。

七条副大臣 今、先生の方から包括根保証の法律が制定されたけれども周知徹底をしているのかどうかということでございますが、金融庁といたしましては、各金融機関に対して、同法の周知徹底及び法律の趣旨を踏まえた適切な対応を繰り返し、事あるごとに事あるごとに要請をいたしておるところでございますし、今後とも、関係省庁との連携をとりながら周知徹底をしてまいりたい。

 特に、先ほど先生からお話のありました件に関しまして、極度額を初めとする契約条件等についての金融機関からの顧客に対する適切かつ十分な説明が行われることが極めて重要と認識をしておりまして、かねてより、金融機関の説明体制を検証する際の着眼点を事務ガイドラインに示しまして、これに沿って適宜監督をいたしておるところでございます。

 先生、先ほど、不当な金利の引き上げがあるんだ、あるいは貸し渋り等々があるのではないかということでございますが、これに対しましても、先ほどのガイドラインに沿って、留意点に沿って、例えば取引関係の見直し等に際して、包括根保証の禁止になることがあるんだから、それによって、これを口実にして各金融機関が説明体制が不備になってしまうことがないようにするようなことも含めて、金利の面やらあるいは貸しはがしの面についても適宜監督をしてまいる、周知徹底もしてまいりたいと考えておるところでございます。

菅原分科員 ぜひその点、強く要望しておきたいと思っております。

 次に、同様に第三者保証の問題について質問したいと思います。

 この第三者保証というのは、今お話あった包括根保証の廃止だけでは到底解決をし得ない問題でありまして、会社の経営者あるいはその会社の経営者と関係ない第三者に対して保証を求めて取り立てを行う、こういういわば今までの金融の慣行があったわけであります。大変多くの方々が、その会社と取引もない、何ももうけさせてもらったこともないのに、個人的な人間関係で、つき合いで、やむにやまれずどうしても保証人になって、結果的に大きな悲劇につながり、本人だけならばいざ知らず、その家族までも大変大きな悲劇を生むという状況、これはいわゆる根保証と同様に、世界じゅうどこを見ても類を見ない。こうしたあしき慣習、これについてもしっかりとなくしていくようにぜひ御努力をいただきたい、こう思っております。

 現在、政府系金融機関では、中小公庫、商工中金については、原則第三者保証を求めない、こういう動きになってきております。国民金融公庫についても、一部求めない取り組みを始めているわけでありますが、やはり、民間がこうした方向で普及していくことも期待をしながら、まずは政府系金融機関に対する第三者保証の廃止ということについて、国としての取り組み、これをお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、中小公庫、商工中金ではこの第三者保証は原則として徴求いたしておりません。

 国民公庫におきましては、現在、第三者保証人なしの制度を拡大すべく、創業者に対して無担保無保証で七百五十万まで融資する新創業融資制度を設けておりますけれども、これも、これまで四百七十億円ぐらいの実績が出ております。また、無担保第三者保証なしで千五百万円まで融資する一般的な制度も設けておりまして、これまでも相当実績が出ておりますが、来年度は、第二創業を図るような中小企業者を対象に、この限度額を千五百万円から二千万円まで引き上げるというようなことを考えております。

 引き続き、中小企業の実情を踏まえながら、政府系金融機関において、保証人に依存しない融資に積極的に取り組んでまいる所存ではございますけれども、ただ、一点、特に小規模零細事業者の場合に、借り手の信用状況においては、第三者の保証があれば何とか融資が受けられるような場合があるわけでございまして、そういう声もお聞きいたしますと、一律に全部廃止してしまうということについて、若干の戸惑いがまだ小規模事業者向けの融資をやっている国民公庫にはあるということでもございますので、その辺は、実態を見ながら、中小企業の融資の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えております。

菅原分科員 第三者の保証があれば何とか融資ということも重々理解はできるんですが、やはり、例えば財政力や担保力が弱い、しかし、事業展開あるいは開発そのものは非常に好調である、しかし財政的な足腰が弱い、そういった部分にこそ光を当てる国策というものが必要だと思いますので、さらに御検討をお願いしたいと思っております。

 あわせまして、このように政府系金融機関で第三者保証がなくなるとすれば、先ほど申し上げたように、民間の金融機関も、本来であれば競争原理が働いて、スムーズな形で第三者保証は要らないということになると思うのでありますけれども、実際問題、先ほど根保証のところで申し上げたように、結果的に、根保証がなくなったら、金利水準を上げたり、あるいは貸しはがしに遭う。やはりこの第三者保証についても、もしこれが進んでいけばこうした副作用というものが起きかねない。この点についてもやはり金融庁の特段の指導力、これを発揮していただければと思うんですが、この点について御所見をいただきたいと思います。

七条副大臣 今、先生のお話のありました件でございますが、過度に担保や保証に依存をしない、頼らないで、与信先の事業計画、財務状況あるいは返済限度額等を的確に把握して、できればそれに伴って金利設定等を行っていくことも一つ重要である、こういうふうに考えておるところでございます。特に、主要行だけではなくして、地域金融機関に対しては、いわゆるリレーションシップバンキングというその精神に従いまして、融資制度についても積極的に、過度の保証や担保に頼らないやり方をできないものかと指導してきたところでございます。

 主要行について申し上げますと、まず、主要行については、中小企業向けのスピード審査による無担保第三者保証不要の融資商品に対する貸し出しが拡大をしてきておりまして、十五年度で大体一兆五千二百億円程度であったものが、もう既に十六年度の上半期で十五年度と同じぐらい、約一兆一千九百億円、このままいきますと、十六年度は最終的には三兆円程度の貸し出しが新しく拡大するものではないかと。

 それから、中小の地域金融機関におきましても、中小金融機関の約八割が財務制限条項の活用等々を含めまして貸し出しをする、担保や保証に過度に依存をしない融資制度が今各金融機関でも鋭意努力をしておるところでございまして、今後とも、過度に保証や担保に頼らない融資制度を金融庁といたしても積極的に指導をしてまいりたい。

 それからもう一つ、第三者保証という問題でございますが、この第三者保証という問題で、さっき先生のいろいろなお話を聞かせていただきましたが、第三者保証についても、特に連帯保証の中での第三者保証をどうするかということは、今後の課題として私たちも考えていかなければならないと思っておるところでございます。

菅原分科員 大変力強い御答弁をいただきましたので、さらに推進方々、お願いをしたいと思っています。

 包括根保証、第三者保証と聞きましたが、やはり中小企業金融の中で欠かせない制度である信用補完制度の中における信用保証の問題、これも大変重要な課題でありまして、ここに来て、中小企業庁あるいはその審議会においてこの制度の見直しが検討されているというふうに聞いております。

 今までこの信用保証制度というのは信用保証協会が一〇〇%負担をしておりまして、貸し手である金融機関がいわばリスクを負うていない。そういう状況の中で、ずさんなといいますか、現場における融資が行われて、結果的に大変大きな赤字を今まで生み出しております。

 昨年度も含めて、この三年間で何と一兆六千億円、これが言ってみれば全部国民の貴重な税金によって補てんをされているという現実もありまして、そういう環境を考えれば見直しということも理解はできなくはないのでございますが、先ほども申し上げたように、やはり企業の経営者が事業展開をするに当たってどうしても運転資金が必要である、新規の事業開発には必要である、したがって、それを、通常の融資では受けられないから保証協会を使ってと、これはまた補完をしてきた国の施策でもあったわけであります。

 こういった中で、去年の十二月の日経新聞に、後でお尋ねしたらあれはマスコミのフライングだというお話があったんですが、信用保証は八〇%に保証圧縮する、こういう記事が出ておりました。仮に、この一〇〇%保証を八〇とか七〇に圧縮した場合、先ほども申し上げたように、やはり、事業能力があって仕事が順調である、しかし、どうしても財政力、担保力が弱い企業の成長の芽を摘み取ってしまうということもあるわけでありまして、ぜひ、この点の企業に対する影響も十二分に配慮した上で、この信用保証制度というものを今後とも力強く推進していくことが中小企業の大きな企業力を向上させる要因になると思っておりますので、この点についての御所見をいただければと思います。

望月政府参考人 先生御指摘のように、信用補完制度は、中小企業にとって一番大切な金融の、なおかつ現在では大変大きなウエートを占める制度になってきております。

 しかしながら、この信用補完制度の長い歴史の中で、余り大胆に制度改正が行えない状況にございました。その中で、全体の金融状況がいろいろ変化する中で、運営面であるとか制度面のいろいろなところで改善をしなきゃいけないところが出てきていることも事実でございます。

 御指摘の部分保証の問題とかあるいは銀行との責任分担のあり方の問題というのは、そのさまざまな検討しなければならない課題のうちの一つでございます。もちろん、今、十二月から開始いたしました検討委員会ではそれも大変大きな課題として検討していることではございますけれども、私どもは、ただ単に財政的な問題点だけを頭に置いてこの検討を行っているわけではございません。もちろん、仮にこういう部分保証制度を導入していった場合には、御指摘のように、零細企業や特に業況の厳しい中小企業に影響が出るということも懸念されているということを十分考慮に置きながら、かつ他方、持続可能な制度として、今後とも中小企業金融の真ん中に連れていくにはどうしたらいいかということを考えつつ制度の改善を図っていきたいというふうに考えておりますので、ひとときたりとも中小企業のある意味では命綱のところを詰まらせるようなことがあってはならないという前提のもとに制度を考えていきたいというふうに考えております。

菅原分科員 今の長官のお言葉、しっかり受けとめながら私も努力をしていきたいと思いますけれども、ぜひ、日本の経済の一番の背骨が中小企業である、そういった思いの中であらゆる手だてを尽くしていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。

 次に、商店街についての取り組みについて、時間が迫ってきましたので足早に申し上げたいと思います。

 私は、商店街というのは、やはり中小企業と同様に、商店街というのは日本の社会の基盤をつくってきた、いわば地域コミュニティーの核であるというふうにとらえております。

 私は地元が練馬区でございまして、練馬には三大祭りというのがあります。練馬まつり、石神井公園の照姫まつり、それからつつじ祭りという大変大きなお祭りがあって、どのイベントも全部十万人以上の人出、ほとんど区民の方なんですが、やっております。実はこの実行委員長は、地域のそれこそ小さな商店会の会長さんが実行委員長をお務めになって、この努力たるや大変なものがある、こういうふうに、常々会長さんに敬意を表しているわけでありますが、実は、その商店街が大型店の進出によって崩壊の過程を歩み、そしてまた、今言ったような地域のコミュニティーそのものも壊しかねない状況に来ているのではないか、こういうことを非常に肌身で地域で感ずるものですから、この点についてお尋ねをしたいわけです。

 例えばダイエーにしてもイオンにしても、今やもう元旦からお店をやっている。元旦から店をやるということは、そこの社員もパートも、大みそかの晩から準備をして、元旦から仕事に行くわけです。言ってみれば、日本の社会というのは、大みそかの晩、一番家族が団らんでほっとする時期、そして年越しそばを食べて、紅白を見て、元旦の朝初日の出を見て、そしてまた年賀状が来た、お雑煮を食べながら年賀状を見る、では初もうでも行こうかと初もうでに行く、こういういわば古きよき伝統、しきたりというものがあった。

 しかし、今申し上げたような、大型店の進出や元旦から店をやっているから、即、そういうことを終わらすということではなくて、こうしたことも一つの要因。アリの一穴という言葉がありますが、そうしたことが一つの要因になってきて、しかも、今商店街がシャッター街と言われるような状況、こういうシャッター街で、お店をやっていない、そこで非行少年たちがふえてくる、あるいは治安の悪化というものにつながっている。言ってみれば、商店街の衰退そのものが日本の社会そのものを壊しかけている、こういう状況があるということをまず指摘しなければいけないと思っております。

 そういった中で、中小企業庁が行った商店街実態調査、これによりますと、全国の百四十万軒の商店街、このうちで繁栄をしているのは何%か。これはみずからの自己申告もあると思うんですが、驚くべき二・三%、二・三%の商店街しかいわば繁栄していないという意識を持っているわけであります。

 これは、平成十年のまちづくり三法という、ちょうど去年から見直しが始まっておりますが、このまちづくり三法の中の一つであります大店立地法、これが言ってみれば、交通渋滞、騒音、廃棄物処理、こういったものを三つクリアすればどこへでも大型店が出せる、進出できる、立地できる、こういうお墨つき的な法律がこの五年間、六年間施行され、またその中において非常に大型店がふえてきた。

 確かに、地方都市における郊外において、商店が全くない、そういったところへの進出、立地ということは、私はこれはやぶさかではないと思うんですが、例えば生鮮産品のお店もあり、商店街としてイベントもやっている、地域の活性化にある意味では自治体以上に頑張っている、実際行政以上に頑張っている、そういう商店街だってあるわけであります。こういう地域の担い手たちが、自分の店あるいは商店、そこの十メーターのところに大型店ができる、こういうことも法の中でいわば保証してきた経過というものがある。言ってみれば、野方図に大型店ができてきたということが商店街にとって非常に大きな痛手になってきたわけであります。

 私は、商店街個々のお店が、今は停滞しているけれども、いつか自分たちの力で商店街をまた盛り上げて町おこしをするんだ、そういうポテンシャル、あるいはそういうマインドを持った商店街だってある。言ってみれば、これから大変な高齢化社会、車で大型店に行くという時代から、やはりサンダル、突っかけだけで自分の商店に歩いていって、対面商売で、お店のお肉屋さんが、奥さん、ひざ痛いのどうですか、生まれたお孫さんは大きくなりましたか、そういうコミュニケーション、これが今までの日本の社会をつくってきた。ここに生まれて住んでよかったな、ここに引っ越してきてよかったな、そういう商店街が果たしてきた役割というものが非常に大きい。言ってみれば、そういう商店街の復活こそ私は今日本の社会にとって大事だと思いますが、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。

中川国務大臣 私は、多分菅原議員とほぼ同じ、目白通りを挟んで新宿の方に住んでおりますので、あの辺の商店街は小さいころからよく通っておりまして、同級生にはウナギ屋の息子もおりましたしガラス屋の息子もおりましたし、みんな店を畳んでしまいました。今は住んでおりません、たまに実家に行くと、本当に町がどんどん変わっている。寂しい気がいたします。

 これは、ひとえに、私の北海道のように、郊外にどおんというのとそれから町中に大型店舗ができるのと少し状況は違うのかもしれませんけれども、いずれにしても、商店街のよさというもの、あるいはまたまちづくり三法によってそのよさが損なわれているという認識は私自身も持っておりますので、今まちづくり三法の見直し、検討ですね。検討を進め、場合によっては見直しということも視野に入れながら、これは経済産業省だけではできませんので、関係省庁とよく相談をしながら、本当の意味の、単に物を売る、売り買いだけではなく、今御指摘のような、本当に心の面も含めたまちづくりの復活という観点からも検討して、そして見直しも視野に入れていきたいというふうに考えております。

菅原分科員 今、大臣から、まちづくり三法を見直すことも検討という貴重なお言葉をいただいたわけですが、現にこれを進めながらいくことが大事だと思うんです。

 この三法の、改正都市計画法は所管が国交省、中心市街地活性化法は、経産省、国交省初め八府省にわたって、大店立地法は経産省、言ってみれば、おのおの所管が違っている。ただ、それをコーディネートして、いかにいい町をつくり、いい商業環境をつくるかという当初の目的があったわけですが、これが五年、六年たって、結果を見るとばらばらになってしまっている感が否めない。この点についての、ぜひに特段のお力をいただければと思います。

 同時に、最後に、やはりそうはいっても、各自治体、商店街においても努力をして、例えば世田谷なんか、大型店に対して、商店街加入の協力、イベントに対する応分の負担を求める条例を区で制定しました。大阪の堺市でも、深夜営業に対して、やはり青少年の非行をふやしちゃいかぬ、そういったことで、営業時間の規制を条例化したケースもあります。また、大型店そのものの出店を規制するという意味では、京都市で、ゾーニング的に規制するまちづくりをつくった。

 こういう自治体もあるわけでありまして、ぜひ、こうした地方分権の流れの中で、各自治体の取り組みを国がさらに推奨してバックアップする、そういうこともこれから大事ではないかな、こう思っておりますし、千七百四十億の中小企業対策の中で商店街対策は幾らかというと、確かに三十億ことし増額をして計上されておりますが、まだ百億円。全国規模で商店街がこれだけ重要だといいながらこの予算、非常に少ないのではないか。

 いろいろな事業もやっている自治体に対して、国の補助的な施策も含めて、今後さらに検討をしていただき、商店街が日本のコミュニティーを築いてきた歴史と、そしてまた、今後、次の世代、時代に向けて国づくりの一環であるということを推進する経済産業省の指導力に期待をして、私の質問を終わりたいと思います。

茂木主査 これにて菅原一秀君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十八日月曜日午前十時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査をすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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