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第1号 平成21年2月19日(木曜日)

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本分科会は平成二十一年二月十七日(火曜日)委員会において、設置することに決した。

二月十九日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      岩永 峯一君    坂本 剛二君

      深谷 隆司君    山本  拓君

      中川 正春君    笠井  亮君

二月十九日

 山本拓君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十一年二月十九日(木曜日)

    午後一時開議

 出席分科員

   主査 山本  拓君

      小野 次郎君    近藤三津枝君

      坂本 剛二君    長崎幸太郎君

      深谷 隆司君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       飯高  悟君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       藤本  潔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木村 雅昭君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森谷  賢君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

   予算委員会専門員     井上 茂男君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  岩永 峯一君     近藤三津枝君

  深谷 隆司君     小野 次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     長崎幸太郎君

  近藤三津枝君     岩永 峯一君

同日

 辞任         補欠選任

  長崎幸太郎君     深谷 隆司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十一年度一般会計予算

 平成二十一年度特別会計予算

 平成二十一年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

山本主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十一年度一般会計予算、平成二十一年度特別会計予算及び平成二十一年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 平成二十一年度の経済産業省関係予算等について御説明を申し上げます。

 世界の金融資本市場がかつてない危機に陥り、世界経済が混迷する中、我が国においても、欧米向けを中心とした輸出の大幅な減少、自動車や電子部品等の急速な生産調整に伴う雇用・所得環境の悪化、家計消費の減少など、景気は急速に悪化しています。

 こうした厳しい経済情勢を踏まえれば、平成二十年度一次補正予算、二次補正予算、さらに平成二十一年度当初予算を迅速かつ切れ目なく実施し、景気対策に万全を期すことが重要であります。

 こうした中、まずは、厳しい雇用環境の中で困っておられる方々、そして資金繰りに不安を抱えておられる中小・小規模企業を初めとする産業界の皆さんがこの苦境を乗り切ることができるように、十分な支援策を講じることが不可欠であります。我が国の企業は、人を大事にすることで企業価値を高めてまいりました。現下の厳しい経済状況にあっても、各企業が雇用の確保に最大限努力されることを期待します。そうした懸命の努力を支えるためにも、経済の血液とも言える金融の円滑化を中心に、政府一体となって全力で取り組みます。

 中小・小規模企業への支援については、昨年十月末に開始しました緊急保証制度の実績が六兆円を超えました。第二次補正予算の成立を受け、緊急保証は二十兆円、セーフティーネット貸し付けは十兆円、合計三十兆円規模の対策に拡充するとともに、セーフティーネット貸し付けの金利引き下げを行っております。また、信用保証協会や日本政策金融公庫に対し、既往債務の借りかえや元本返済の据え置きなどに積極的に取り組むよう求めております。さらに、緊急保証を利用した融資については、金融機関に金利等貸し出し条件への配慮を要請するなど、資金繰りの不安が高まる年度末に向けてきめ細かな対応を行っております。

 また、我が国産業を支える下請企業に不利益を与える下請法違反行為に対して厳正に対処し、相談窓口も拡充してまいります。

 こうしたさまざまな対策によって、世界で最初に不況から脱出することを目指すとともに、その先を見据えた新経済成長戦略改訂版に盛り込まれた施策を強力に実行します。ポイントは、次の三点であります。

 第一に、資源生産性の抜本的向上を実現する新たな経済産業構造を構築していきます。

 資源の少ない我が国にとって、その安定供給の確保は極めて重要です。我が国のエネルギー供給構造の高度化に向け、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入拡大を推進します。原子力発電は、安全の確保を大前提に推進します。また、国内の資源確保のため、近海の海底資源の探査や、メタンハイドレートの商業化に向けた技術開発を着実に進めるとともに、レアメタルのリサイクルや代替材料の開発を推進し、資源大国へ転換を図ります。

 地球温暖化問題の克服なくして、我が国の持続的な成長はありません。まずは、京都議定書の削減約束の達成に向け、全力を挙げます。中小・小規模企業等幅広い分野の実効ある排出削減を促す国内クレジット制度を活用し、排出量取引の試行の適切な運営を図ってまいります。さらに、産業部門の省エネを一層進めるとともに、グリーンIT等により業務・家庭部門等の省エネを推進します。

 第二に、グローバル戦略の再構築とイノベーションの加速であります。

 対外政策については、世界の成長センターである、三十一億人、十一兆ドルの東アジア経済圏の活力を我が国の成長に生かすことが不可欠であります。昨年の六月に設立された東アジア・アセアン経済研究センター、いわゆるERIAを積極的に活用しつつ、各国の協力を得ながら、インフラの整備など、アジアの成長力の強化と内需拡大のための戦略を進めます。

 また、新興国の急成長による市場拡大、少子高齢化など、近年の経済構造の変化は劇的です。こうした課題を克服し、我が国経済の成長活力を取り戻すため、産業革新機構を通じた資金供給等による成長支援や、ロボットや航空機・宇宙関連産業など、国民の皆様に夢を与えるような研究開発に重点的に取り組んでまいります。

 最後に、我が国経済に活力を取り戻すために、中小企業の活性化と地域の活力向上に取り組んでまいります。

 農商工連携の促進によって、異なる業種間で知恵やノウハウを結集し、魅力ある地域の潜在力を引き出します。また、地域コミュニティーの担い手として、住民のニーズに応じた新たな事業に取り組む意欲ある商店街の支援、地域の中小・小規模企業とIT企業との連携強化などを進めます。

 以上の施策を中心に、平成二十一年度の経済産業政策の実施に向け、当省予算として、一般会計で総額一兆百六十三億円を計上しております。

 特別会計につきましては、エネルギー対策特別会計に七千三十四億円、貿易再保険特別会計に二千六十一億円、特許特別会計に千二百四億円を計上しております。

 なお、経済産業省の平成二十一年度予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますので、説明を省略させていただきたいと存じます。

 現下の苦境は、我が国が新たな成長を生み出す種でもあります。今こそ、官民総力を挙げて、このピンチをチャンスに変え、日本の元気を取り戻し、明るい未来を切り開いてまいります。

 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。

山本主査 この際、お諮りいたします。

 ただいま二階経済産業大臣から申し出がありました経済産業省の平成二十一年度予算及び財政投融資計画の詳細な説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野次郎君。

小野(次)分科員 まず、委員長、予算委員会第七分科会トップバッターの機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 二階大臣、吉川副大臣、私は、日ごろ常任委員会が農林水産委員会と外務委員会でございますので、経済産業省の分野につきまして質問させていただくのは初めてでございますが、胸をかりるつもりで質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 今、質疑に入る前に、大臣と委員長の間で肖像画の話が出ておりました。うんちくというわけではないんですが、シルエットという言葉がございますね。シルエットというのは人の名前なんです。あれは、ルイ王朝のときのシルエット伯爵という財務大臣の名前なんですね。

 どうして影絵のことをシルエットというようになったかというと、その時代に、王侯貴族、政治家が油絵の肖像画をかかせるのが大変はやっていまして、それを国家財政の負担でやっていたらしいんです。それが、有名な画家に頼むと、一枚の絵をかくのに家が一軒建つぐらいの経費がかかっていたので、財務大臣であるシルエット伯爵は、では、これからは色を塗らないで線だけで影絵にすれば国家財政の助けになるだろうということを言ったので、シルエットという名前ができたというふうに聞いています。

 今、日本も、景気も悪いですけれども財政の方も大変苦しいわけでございますが、ピンチをチャンスに変えるためにも、必要な分野には力こぶを国としても入れていただきたい、そういう思いから、きょうは、太陽光発電の普及拡大につきまして中心に質問させていただきます。

 最初に大臣にお伺いいたしますけれども、私の地元であります山梨県の北杜市においては、二〇〇七年から、NEDO、新エネルギー開発機構によりまして大規模なメガソーラーの実証試験が行われております。

 この事業については、我が国における太陽光発電所の先駆的な取り組みとして高く評価されていると認識していますが、実際、現場、地元でも、多方面から多くの方々が視察に見えるなど、地元の活性化にも大変貢献しているところでございます。

 二階大臣、私の記憶に間違いなければ、前回経済産業大臣をされたときに、リーダーシップを発揮されてこの事業を行っていただいたわけでございますが、この事業の意義と成果について現在どのような認識をお持ちであるか、お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 かねがね小野議員の見識には一目も二目も置いておりましたが、ただいまこのシルエットのお話で、さすがだなという思いでお聞きしておりました。

 今、北杜市のお話が出ましたが、私も懐かしく、小野議員が、NEDOで実施しますメガソーラーの実証実験、これを北杜市へ持ってこいということで、大変御熱心に、経済産業省に地元の皆さんと一緒に何回も足を運ばれたことを記憶いたしております。

 今回、このメガソーラーの実証実験でありますが、予算三十億円を投じて、大規模な太陽光発電設備が電力系統に与える影響を検証するものであって、北杜市においては、来年度までに約二メガワットの太陽光発電設備を設置する予定になっております。委員御承知のとおりでありますが、一メガワットは千キロワット、したがって二メガワットは当然二千キロワットになるわけでありますが、これは、一千軒のそれぞれの御家庭に電力を送ることができる、そういうスケールのものであります。

 北杜市は、全国平均に比べて日照時間が非常に長く、メガソーラーの実証実験には全く適した地域でありまして、かねてより北杜市にかける期待は大きかったわけであります。

 このような北杜市における試験の成果も踏まえ、電力会社においては、二〇二〇年まで、十社合計で、全国約三十カ所、百四十メガワットのメガソーラー発電所を建設することを予定し、目下着々とそれが進んでおります。

 この計画の一環として、同じ山梨県においては、先月、東京電力が米倉山の太陽光発電所の建設計画を発表されましたことは御承知のとおりであります。

 こうした民間事業者の皆さんも真剣な取り組みをしていただいておりますので、本事業は、そうした計画の中でも先駆的な取り組みとして極めて意義があるものというふうに強く期待をいたしておるところであります。

小野(次)分科員 今大臣のお話にもありましたとおり、同じ山梨県でも、今度は東京電力、民間のイニシアチブでさらにこういったメガソーラーの施設が整備されるという話を聞いておりますが、ぜひ経済産業大臣としても、全国でこういったものが着実に整備が進みますように、引き続き御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 これから私としては、住宅用の太陽光発電の普及拡大について伺っていくつもりでございますが、一つ大臣にお伺いしたいのは、福田前総理が去年の六月にもおっしゃっているんですけれども、最近まで日本のお家芸であった太陽光発電の普及率で現在ドイツの後塵を拝していますが、太陽光発電世界一の座を奪還するため云々ということで、前福田総理もそういうふうにおっしゃっているんですね。

 我々としても、太陽光発電というのは日本が先行しているというふうに思っておりましたら、二〇〇五年にドイツに抜かれているということでございます。折しも、それまで補助金で導入を支援しておりましたのが、二〇〇五年で一たん打ち切られているんですね。このことが、内外に対して、何か国が後押しして太陽光発電を普及させようというのはもうやめるというふうな意味にとられてしまったんじゃないのかということで、誤ったメッセージを与えたのではないかという声をいろいろなところで聞くわけですが、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

吉川副大臣 お許しをいただきまして、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 小野委員が今御指摘をいただきましたように、経済産業省におきましては、量産化等によるコスト低減を目指しまして、平成六年度から十七年度までの十二年間、住宅用太陽光発電システムの設置費用の一部を助成してまいりました。住宅用太陽光発電のシステム価格につきましては、需要の拡大と技術開発の成果によりまして、助成開始前年度の平成五年当初における、一軒当たり三・五キロワットでございますが、その導入費用の約一千三百万円に比べまして、平成十七年度には約六分の一の二百三十万円までに低下をいたしたところでございます。

 このような太陽光発電のシステム価格の大幅な低下、さらには、住宅向けの太陽光発電は導入量として助成開始前の平成五年度に比べまして約六十倍にも増加をいたしましたことなどから、同補助金につきましても、所期の目的を達成したものと考えまして、平成十七年度で終了をいたしたところでございます。

 しかしながら、一方では、太陽光発電につきましては、国として極めて高い目標を掲げたことなどの環境変化を踏まえまして、今、小野委員からも御指摘がございました、国内導入量の約八割は今も住宅分野におけるのでございまして、その導入を加速させることが必要であると判断をいたしました。

 過去の補助事業の成果も勘案をいたしまして、本年度の補正予算におきまして、住宅太陽光発電補助金を創設したものでございます。

小野(次)分科員 今年度の補正予算からまた促進策をてこ入れしているというふうに認識しておりますけれども、政府参考人の方にお伺いしますが、住宅分野に太陽光発電の導入拡大を図るための補助金とか税制上の助成措置についてお伺いしたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 補正予算に計上されました新たな補助制度でございますけれども、これは、一キロワット当たりのシステム価格が七十万円以下であって、しかも高い普及効果が見込まれるといった要件を満たすものに対しまして、一キロワット当たり七万円の補助を行うということでございます。この補助制度は、一月の十三日から一般公募を開始しております。現在までで九千件を超える応募があるということで、非常に高い関心が示されている、こういうふうに受けとめております。

 また、税制についてでございますけれども、来年度の税制改正法案には、ローンを組まずに既存の住宅に省エネ改修の工事を行うといったときにこの太陽光発電をあわせて導入する、そういうものの所得税額の控除制度ということを創設させていただいております。この制度のもとで、例えば、三百万円を限度として、工事費用の一〇%の金額が所得税額控除されるということでございます。

 こういった補助制度、税制措置を通じまして、今後とも住宅用太陽光発電の導入拡大を図ってまいりたいと考えております。

小野(次)分科員 私は初期投資で二百五十万ぐらいかかると聞いていたんですけれども、さっき吉川副大臣は二百三十万程度とおっしゃいました。どちらにしても結構大きな金額がかかるわけですが、この初期投資の回収の期間を短くするために、有利な価格で住宅の太陽光発電の電気を買い上げてあげる制度というのを検討する考えはないんでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、ドイツでは、電気事業者に対しまして長期間にわたって高価格で買い取りを義務づけるという制度が、これは固定価格買い取り制度というふうに呼ばれておりますけれども、導入がされております。ただ、この制度は、高額な固定価格で買い取った場合には電気料金が恒常的に値上がってしまう、そういったデメリットがある、また、発電事業者のコストを削減していくといったインセンティブが働きにくい、こういった側面があるというふうにも言われております。

 こういった観点も踏まえまして、我が国では、高価格で長期間の買い取りを義務づけるという制度ではなく、電気事業者に対しまして一定の量を新エネルギーの利用として義務づけるというRPS法ということでの導入促進を図っておるところでございます。まずは、RPS法の着実な実施ということが重要であると考えております。

 いずれにしましても、諸外国の例は十分に参考にさせていただきながら、新エネルギーの導入拡大策のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。

小野(次)分科員 この同じ住宅用太陽光発電の導入拡大については、自治体の方でも取り組みが重要だと思いますけれども、自治体による支援の例というのはどのようなものがあるのか、教えていただきたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十年九月の時点での調査として私どもが把握をしておりますのは、自治体による住宅用の太陽光発電の導入のための補助制度あるいは支援措置として、三百七の自治体が平均で一キロワット当たり三万八千円の補助を行っておるというふうに承知をしております。

 例えば、これに加えまして、東京都におかれましては、平成二十一年、来年度の四月から住宅用の太陽光発電の補助事業を開始する、その補助単価は一キロワット当たり十万円ということで考えておられる、そのようにも承知をしております。これに加えまして、東京都下では、市町村、区による補助事業というものもあるというふうに承知しております。

 この自治体における住宅用発電の導入のための補助事業というものは、国の補助事業とあわせて活用するということがおおむね可能となっておるというふうにも承知しておりまして、現段階ではコストが非常に高い太陽光発電でございますので、その負担の軽減に資するという観点から、自治体の取り組みがさらに拡大をしていくということを私どもとしても大いに期待をしておるところでございます。

小野(次)分科員 昨年の十一月十一日、これはもう二階大臣の時代だと思いますが、リーダーシップを発揮されて、太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランというのをおつくりいただいているわけですね。それについてちょっとお尋ねします。

 その中で、きょうは文科省の方も見えていると思いますが、文科省と経産省とで連携した取り組みとして、教育機関への太陽光発電の導入拡大というものを位置づけられております。今後、自然エネルギーの導入を進めていく観点からは、子供のころから、環境教育の一環として、子供の自然エネルギー分野に関する関心を喚起するとともに、自然エネルギーの有効性を教えるということが教育の内容としても重要なんじゃないかと私は思います。

 この点からも、学校に太陽光パネルを設置すれば非常に有効な教材となると考えますけれども、何か現状では、耐震工事にあわせてというような考え方のようでございますが、耐震工事とあわせてでなくても、太陽光発電の設置それ自体が教育効果が上がるんだということに着目いただいて、公立、できれば公立だけじゃなくて私立も通じまして、その導入支援を行っていくべきであると私は思います。

 文科省として、この点についてどのように取り組んでいくおつもりか、方針を伺いたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 太陽光発電の導入を初めとします環境を考慮した施設づくりを行うことは、環境教育の教材として活用でき、また環境負荷の低減などの効果が期待されるところでありまして、極めて有効であると私どもは考えております。

 さらに、平成二十年三月に改訂されました小中学校の学習指導要領においては、社会科や理科、技術・家庭科など関連の深い教科を中心に、環境教育に関する内容の充実を図っており、学校施設への太陽光発電の導入は時宜にかなうものと考えております。

 このため、文部科学省では、公立小中学校施設について、学校耐震化や新増築事業、大規模改造事業等の一環として、太陽光発電導入を初めとする環境を考慮した学校施設、いわゆるエコスクールの整備に関して国庫補助を行っておりまして、その推進を図っているところでございます。

 また、私立学校につきましても、同様に、環境を考慮した学校施設の整備に対して国庫補助を行っているところでございます。

小野(次)分科員 実際、太陽光発電のシステム自体は、教科では理科に近いような感じがしますけれども、でも、現代的意味からいえば、社会科あるいは道徳にも、食育とは違いますけれども、環境ということについての理解を深めるというのは道徳の分野ですらあるんじゃないかと思いますので、ぜひ文科省の方も、公立、私立を問わず、導入拡大に御支援いただければと思います。

 次に、環境省もお見えだと思いますが、お伺いさせていただきます。

 太陽光発電は、地域におけるエネルギー源としての活用が期待されております。こうした観点から、山村等、地域共用でこの太陽光発電を導入して、村の独立のエネルギー源として利用することも必要なのではないかと思いますけれども、こうした取り組みに対して、環境省としてどのような支援措置をとるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

森谷政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入は、温室効果ガスの排出量を削減し、低炭素社会の構築に資するとともに、地域におけるエネルギー源としても期待できるものであると認識しております。

 環境省としても、太陽光発電につきましては、例えば、浄水場といった地方公共団体の施設に太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用した先進的な設備を率先的に導入する取り組みに対する支援、そしてエネルギー変換効率を高める新たな技術の開発などのさまざまな導入拡大策を講じておりまして、平成二十一年度も、政府予算案に必要な額を計上しているところでございます。

 今後とも、低炭素社会の構築に向け、関係省庁と連携し、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいりたいと思います。

小野(次)分科員 きょうは農水省の方もお願いしていると思いますが、まず伺いますけれども、この平成二十年十一月十一日の太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン、経済産業省、文部科学省、国土交通省、環境省四省でまとめられたわけですが、農水省がお入りにならなかった理由というのはどういうことなんですか。

藤本政府参考人 お答えを申し上げます。

 農林水産分野におきましても、省エネルギー、それからまた持続可能な農林漁業、農山漁村の実現といった観点から、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を進めているところでございます。

 昨年策定をされましたアクションプランにつきましては、第一弾ということで聞いておりまして、今後、同プランの充実に向けまして具体的な導入案件を掘り起こしていくというようなときには、農林水産分野におきましてどのような活用法があるかということも含めて検討いたしまして、農林水産省といたしましても積極的に協力してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小野(次)分科員 前向きの御答弁をいただきましたけれども、この十一月の段階で、入れてもらえなかったのか加わろうとしなかったのかわかりませんが、農水省が入っていなかったので、ちょっと残念だと思っているところです。

 農業も大分、いろいろな意味でさま変わりしてきました。例えば、ダイオードを使っての農業というのもあるし、水耕栽培というんですか、土でなくて水の上にぷかぷか浮かせて農作物をつくるという時代にもなっていますから、何が基本要素かというのは変わりつつありますけれども、やはり農業にとっては、一つは土であり、もう一つは太陽ということだと思うんです。

 その意味で、日本の三十七万平方キロの中で、できる限りの資源をこの太陽光発電に使えないかなといろいろ考えていくと、かなりの面積というのは、農水省が何らかの意味で関与している部分というのが多いんではないかと私は思います。特に、遊休農地というんですか、現実に何も植えていないところというのは見渡す限りたくさんあるわけでございます。

 今農業では大変大きなエネルギーをいろいろ使っています。ビニールハウスの熱源もありますし、また電さくなどの電気のエネルギーも使っているわけでございますが、考えようによっては、農業のエネルギーは農地と言われているところで賄うという、そういう積極的取り組みをしてもいいんではないかな。家で使う電気を屋根の上でつくるんだったら、農地で使うエネルギーを農地で賄うというぐらいの積極的取り組みが考えられてもいいんではないかなと私は思っています。

 日本全体に広がっている遊休農地を活用してこの太陽光発電事業に活用するということについては、どのようにお考えでしょうか。

飯高政府参考人 お答えいたします。

 低炭素社会の実現に向けまして、太陽光発電が大きなツールでございまして、その設置を推進すべきことが重要である、委員御説のとおりだと思っております。一方で、昨今、世界の食料事情が一変しております中で、食料の多くを海外に依存しております我が国におきましては、農業の最も基礎的な生産基盤である農地の確保というのが、今一番重要な課題となっております。

 このような中で、御指摘の遊休農地につきましては、極力農地として利活用をする、すなわち耕作をする、これを再開することが基本であるというふうに認識しております。このため、本年度、各市町村で遊休農地の全体調査を今行っているところでございまして、私どもといたしましては、地域の営農再開に向けたさまざまな取り組みを支援することとしております。

 ただ、そうは申しましても、例えば荒れ方がひどくて耕す人が見つからないなど、どうしても農業に使えないというところも出てまいるかと思います。そのような場合には、やはり農地として利用を再開することが困難な遊休農地につきましては、農業以外の利用のニーズがあった場合には、農地転用許可基準、これは客観的に定まっておりますが、これに照らして適切に対処されていくべきものであるというふうに認識してございます。

小野(次)分科員 遊休農地という言い方を僕はしましたけれども、現に、木が植えられていない山林、外見上、はげ山なんかもたくさんあるんですね。そういうところなんかでも、同じような観点から、今部長がお答えになりましたけれども、使えるところは、太陽光発電施設設置に取り組んだらいいんじゃないかな。そうだとすれば、農水省自身が、この太陽光発電についてもっと積極的な取り組みを考えるべきだと思いますけれども、もう一度お伺いしたいと思います。

飯高政府参考人 木が生えていないはげ山の例をお引きになりましたが、先生御案内のように、山の木というのは、土砂を防ぐとかあるいは都市住民に水源を涵養するとか、さまざまな公益的機能を有しております。

 そういう中にあって、例えば、はげ山というようなところは余り適地が少ないのかなと思いますが、そうでないような山に太陽光発電施設を設置する場合には、森林法に基づきまして林地開発の許可というのをとっていただくことになると思います。その場合には、やはり先ほど申しました公益的機能が担保される、例えば土砂の流出を防ぐような設備を設けていただくとか、そういうことをしていただければ、許可手続にのって、これもまた適切に対処されていくべきものであると考えてございます。

小野(次)分科員 最後になると思いますが、大臣にお伺いしますけれども、このクリーンエネルギーの推進、とりわけ太陽光発電の導入というのは、経産省だけじゃなくて政府全体として取り組むべき施策だと私は思っています。

 今、石破農水大臣の方も、この農地の有効利用の問題を含めて、いろいろ今までの農政のあり方を見直そうというふうにされているところでもございますので、ぜひ石破大臣ともちょこっとぐらいはお話しいただいて、農水省も含めて関係省庁の連携を拡大しながら、さらに太陽光発電の普及拡大に取り組んでいただきたいと私は思っていますが、二階大臣のこの問題に対する取り組みについての御決意をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 小野議員の御指摘、ごもっともでございまして、私も全面的に賛成でございます。

 特に、農商工連携ということで、今農林水産省と私どもの経済産業省との間で、全国各地で連携の芽を、連携の種を求めて、いろいろな施策を御相談しておる最中であります。

 また、植物工場などというものも経済産業省の中に設置して、今多くの皆さんに見に来ていただいております。外国からおいでになったお客様たちにも必ず立ち寄っていただいておるんですが、みんな、これは幾らでできるかとか、もっと広くするためにはどうすればいいかとか、具体的な御質問をちょうだいしておりますが、やがてこれはだんだんと広がっていくだろう。そして、こうした問題を、例えば農協に設置していただくなどによって、農業に対する物の考え方、農業の専門家の皆さんが、改めてこの太陽光等を活用した農業という問題についてお考えいただくということは、大変大事なことだと思っております。

 私たちは、すべての屋根に太陽光発電ということをキャッチフレーズにして、今いろいろな対策を講じておりますが、先ほど委員から、小学校、中学校等に対する太陽光発電の施設の設置という御提案がございましたが、今この問題に真剣に取り組みを始めようとしておるところでありますが、私はむしろ、教育という観点からしますと、理科教育ということを特に進めていくためには、高等学校にこれを設置することが大事だというふうに思っております。

 したがって、それは、たびたびいろいろな場所で高校にも必要だということを申し上げておりますが、それが設置しやすいように、私も全国知事会の麻生会長に対して書簡を差し上げて、ぜひこのことに対して全国知事会においても御協力を願いたいということを申し上げておりますが、先般知事がお見えになりましてお話を伺っておりますと、そうしたことに対しての決意を持っていただいておるように理解をしました。

 したがいまして、我々は、そういう面での支援策をどうするか、そして公共的ないろいろな場所にも考えておるわけでありますが、例えば高速道路等の、最初はインターチェンジとかということを考えておりましたが、高速道路の側壁にこれを設置するということに対して、関係者が大変御熱心に今取り組んでいただいております。そうしたことによって、次から次へと新しい分野が開けてくる、このように思っております。

 太陽光発電、先ほど吉川副大臣がお答えしたとおりでありますが、我々は、あらゆる方策を考えて、ドイツにもどこの国にも負けないような太陽光発電の立派な成果が得られるようにしっかり頑張ってまいりたいと思いますので、一層の御支援をお願いしたいと思っております。

小野(次)分科員 今大臣から大変力強い御決意をいただきまして、安心いたしました。

 今農水省も、例えばトウモロコシなどからつくるエネルギーなんかの問題についても積極的に取り組み始めているところですから、ぜひこの太陽光発電についても、農水省としても、何か、していただくとか許可が必要ですとか人ごとのようにおっしゃるんじゃなくて、自分の役所としてももうちょっとこの問題をとらえ直して取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、きょうの私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山本主査 これにて小野次郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝さん。

近藤(三)分科員 自由民主党の近藤三津枝でございます。

 私は、平成十八年三月の経済産業委員会の一般質問で、携帯電話のリサイクル率が当時およそ二〇%と極めて低いことを指摘させていただきました。そして、都市鉱山と言われますレアメタルなど貴重な資源を含む携帯電話の回収率そしてリサイクル率の向上に向けた取り組みをお願いいたしました。

 そうした中、先般、経済産業省では携帯電話の完全回収をするための施策を打ち出すという報道を目にいたしました。新聞記事で出ておりました。私は大変心躍ったわけでございますが、このようなことを踏まえまして、本日は、第一次補正予算、第二次補正予算、そして来年度予算を念頭に置きまして、携帯電話のリサイクル、都市鉱山のリサイクル技術、日本近海の熱水鉱床開発などについて質問をさせていただきます。

 まず、現在の携帯電話やパソコンなどの電子機器にとって不可欠でありますレアメタルなどを年間金額ベースでどの程度、そしてどの国から輸入をしているのか、お答えいただけますでしょうか。また、レアメタルにつきましても、我が国の先端産業に安定的な資源を供給するためにも、原油と同じく、国としてレアメタルの備蓄をしていくことが極めて重要だと考えております。経済産業省の見解をお聞かせください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のレアメタルにつきましては、自動車、IT製品などさまざまな我が国の先端的物づくりに大変不可欠なものでございますけれども、その大宗を海外から輸入しているという現状にございます。

 例えば、携帯電話等の電子機器に用いられるプラチナ、これは南アフリカなどから輸入してございまして、平成十九年の輸入額は約三千億円でございます。超硬工具に使うタングステン、これも中国などから輸入してございまして、輸入額は約二百億円。レアアースにつきましても中国等から輸入してございまして、輸入額は約七百億円となってございます。

 レアメタルに関しまして、経済産業省といたしましても、戦略的な資源外交あるいはリサイクルの推進、代替材料の開発、そして備蓄、こういったものを柱といたします総合的な安定供給確保対策を講じているところでございます。

 このうち、備蓄につきまして、タングステン、コバルト等の七種類のレアメタルにつきまして、これを備蓄対象といたしまして、国家備蓄分で二十三日程度の備蓄をしておるところでございます。

 それ以外のインジウムあるいはレアアース等につきましても、市場の動向、鉱山開発の動向を見ながら、今後とも、どのようにしていくかということについて検討いたしまして、適切に制度の運用に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 今のお答えを聞いておりますと、やはり、南アフリカ、中国など、我が国がレアメタルを海外に依存しているということが非常によくわかりました。

 他方、レアメタルの安定的な確保のために、最近、製品リサイクルによる都市鉱山が非常に注目を集めております。

 そこで、携帯電話のリサイクル率の現状と、携帯電話が完全リサイクルされますとどの程度のレアメタルが回収できるのか、そしてそれは現在年間我が国が各国から輸入しておりますレアメタルの量と比較してどの程度の量になるのか、そのあたりの量をお聞かせいただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の携帯電話などにレアメタルが含まれておるわけでございますけれども、それはまさに国内資源とも言えるものでございまして、そのリサイクルは、資源の安定供給という観点から見ても極めて重要だと考えてございます。

 携帯電話事業者、製造業者によります携帯電話等の回収台数、これは平成十三年度は一千三百十一万台でございましたが、平成十九年度は六百四十四万台となってございます。国内販売台数は、年により変動はございますけれども、おおむね五千万台程度で推移してございまして、平成十九年度は五千四百八十二万台となってございます。

 この携帯電話の中には金やレアメタルが高い割合で含まれてございまして、機種あるいは製造年により異なりますものの、例えば携帯電話一台当たりでございますと、金が約〇・〇三グラム、パラジウムが約〇・〇一グラム、レアアースが約〇・二グラム含まれているということになってございます。仮に、平成十九年に販売されました携帯電話がすべて回収、リサイクルされると考えます場合、金は約一・八トン、パラジウムは約〇・四トン、レアアースは約九トン回収されると試算することができます。

 一方、平成十九年の輸入数量でございますが、金はオーストラリア等から約三十五トン、パラジウムは南アフリカ等から約八十二トン、レアアースは中国等から約四万トン輸入してございまして、パラジウム、レアアースにつきましては、全量を海外から輸入ということになっておるわけでございます。

 このため、仮に、携帯電話がすべて回収、リサイクルされまして、金やレアメタルがすべて回収されたと考えます場合には、金は輸入量の約五%、パラジウムは輸入量の約〇・五%、レアアースは、輸入量そのものが多いわけでございますけれども、輸入量の約〇・〇二%がそれぞれ回収されることになると考えられます。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 御答弁にありましたレアメタルなど貴重な資源を含む携帯電話、量は微量かもしれませんが、やはり一台一台の回収によりまして大きな量になってくる。日本全体で考えますとわずかの量と考えるのか、しかしこれだけ集まると考えるのか、今後、少資源国の日本にとりましては非常に注目をしていかなければならないと思っております。

 今のお話ですと、携帯電話の回収率が非常に低いということが課題であるということがわかってまいりました。政府は現在どのような制度をつくり具体的な成果を上げようとしているのか、二階経済産業大臣から御答弁をいただけませんでしょうか。

二階国務大臣 近藤議員は前々から携帯電話のこの問題に御関心を持っておられて、いろいろな意味で御意見をちょうだいしておりましたので、経済産業省としても随分前々から取り組んでまいりましたが、まだまだ成果を上げるというところまでは至っておりません。

 使用済みの携帯電話に金やレアメタルといった有用金属が高い割合で含まれている、先ほど部長から答弁申し上げたとおりでありますが、この貴重な資源の有効利用を図るということは、御発言のとおり大変重要であります。

 そこで、事業者による携帯電話の回収台数がむしろ低減傾向にあるということ、これが問題だと思っております。その背景には、ユーザーのリサイクルに対する消極的な姿勢、次に、ごみとしての廃棄、さらに、ここが難しい問題でありますが、個人情報流出に対する懸念がございます。

 このため、インセンティブ付与や個人情報保護の徹底等、携帯電話のリサイクルに対するユーザーの御協力が得られるような環境をつくっていくことが大事だというふうに思っております。

 経済産業省としては、これらに対して、回収促進モデルの構築や、資源有効利用促進法の活用の必要性を含め、携帯電話回収の取り組み強化に対して検討をいたしておるところでありますが、いよいよ検討の段階から実行の段階へと取り組んでいきたいと思っております。

 レアメタルは、携帯電話等の電気・電子機器以外に、工場排水にもたくさん含まれておるということが最近言われております。今後、工場排水あるいは河川敷等からレアメタル等を回収する技術開発にも取り組んでまいらなくてはならないと思っておりますが、案外とこの工場排水や河川敷にもたくさんの有用金属が含まれておるということですから、この回収にも力を注いでまいりたいと思っております。

近藤(三)分科員 ありがとうございました。

 今後は、そういう回収を促進する環境をつくる、検討から実行の時代だという大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ二階大臣、この課題につきましては前向きに推し進めていただきたいと思っております。

 次に、携帯電話のみならず、コンピューター、自動車、家電などにも多くのレアメタルが使用されております。しかしながら、使用済みのこのような製品から、必ずしもレアメタルなどの貴重な資源が回収できていない現状がございます。

 そうした中、私は先日、秋田県の小坂町にあります小坂製錬株式会社を視察してまいりました。かなり遠かったのですが、行ってよかったなと思いました。それは行って大きな驚きがあったからなんですけれども、日本そして世界各国から輸入されました使用済みの携帯電話、そしてコンピューターの基板などから、何と金や銀、プラチナ、イリジウムなど数多くのレアメタルが製錬されている、目を見張るものがございました。また、それらでもって大きな金の塊、プラチナの塊ができている、それをちょっとさわらせていただいたとき、何とも体がぶるっときたわけなんです。

 まさに、これをつくることができる、抽出することができるという技術がすばらしいと思います。江戸時代末期から綿々と受け継がれてきました小坂鉱山の歴史を背景とした製錬技術が技術移転されてきたんだと思います。この分野における世界的に最も先進的な技術が我が国にあるんだという実感、これは、日本の物づくりに誇りを持てたなという気持ちがいたしました。

 資源に乏しい我が国が、携帯電話やコンピューターなどに利用されるレアメタルを純粋なレアメタルとして再び回収する、この製錬技術をさらに高めていくことは、我が国の産業資源の有効活用になるだけではなく、世界貢献にもなると思います。さらに、都市鉱山の製錬技術を向上させるために国がその技術開発にてこ入れをしていくことは、重要な産業振興政策とも言えると思います。都市鉱山の製錬技術などに対する政府の技術開発支援や企業の設備投資に対し、来年度予算などにおいてどのような対応をしようとしているのか、見解をお聞かせください。

吉川副大臣 近藤議員がこの件につきまして大変強い御関心を持たれて、秋田県まで御視察に行かれた、心からの敬意を表したいと存じます。

 ただいま御質問でもいただきましたように、レアメタルの回収システムやリサイクル技術がまだまだ未整備であるために一部のリサイクルにとどまっているという現状は、近藤議員御指摘のとおりでございます。

 このために、デジタルカメラや音楽プレーヤー等の小型家電の回収システムの整備のために、環境省との連携事業によりまして、自治体と協力をいたしました収集実証事業を平成二十年度より開始いたしております。平成二十一年度の予算におきましては、環境省、経済産業省合計で一・五億円を計上いたしているところでございます。

 また、レアメタルのリサイクル技術開発のため、平成十九年度から、小型家電や携帯電話等から効率的にインジウムやタングステン等のレアメタルをリサイクルする技術の開発に取り組んでおりますけれども、この件に関しましては、平成二十年度補正予算におきまして一億円、平成二十一年度予算案におきましては約五億円をそれぞれ計上いたしております。

 さらに、製造工程で発生、廃棄されるレアアース等のリサイクル技術の開発のために、平成二十年度補正予算におきまして一・五億円、平成二十一年度予算案におきましては一億円をそれぞれ計上いたしておるところでございます。

 このことに関しましては、経済産業省といたしましては、引き続き、レアメタルリサイクル対策とともに戦略的な資源外交も大切だと痛感をいたしておるところでございまして、海外鉱山開発の推進、代替材料の開発整備等に取り組んでまいりまして、レアメタル資源の安定供給確保にも努めてまいりたいと存じております。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 今、吉川副大臣からお答えいただきましたように、経済産業省を中心としたレアメタルなど都市鉱山の回収技術への支援、そして二階経済産業大臣から先ほど御答弁いただきました携帯電話のリサイクル促進施策、ともに、お話を伺いますと、これは期待できるなと私もうれしくなってまいりましたので、ぜひ力強く推進していただきますように重ねてお願い申し上げます。

 次に、日本近海の海洋資源、特に熱水鉱床、すなわち海底から噴出いたしました熱水に含まれる金属成分が沈殿してできました鉱脈、熱水鉱床の開発などについてお伺いさせていただきます。

 原材料の高騰で我が国の産業界そして生活が直接大きな影響を受けること、今回の原油などの資源価格の高騰からも明らかでございます。また、これまで、原材料の乏しい我が国が各国から原材料を輸入し、これに付加価値をつけて製品化し、内需、外需を喚起してまいりました。

 しかし、一方で日本近海に目をやりますと、海洋資源が豊富なんです。これまで技術的に採掘が困難でありました熱水鉱床なども、探査技術の向上、掘削技術の向上、そして金属の抽出技術の向上などによりまして、これまで採掘が困難であった資源も私たちの手の届く資源になりつつあるのではないかと思っております。

 昨年三月にはこの法律に基づく海洋基本計画が策定され、いよいよ具体的な海洋政策を確立していかなければならない重要な時期にあると認識しております。

 まず、政府として、これまでの海洋調査などを通じまして、日本近海の熱水鉱床などに埋蔵されている採掘可能なレアメタルなどの海洋資源は金額ベースでどの程度と試算しておられるのか、お聞かせください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 海底熱水鉱床の件でございます。

 経済産業省におきましては、昭和六十年ごろから、この発見を中心に取り組んできたところでございます。その長年の成果といたしまして、沖縄海域、それから伊豆、小笠原海域におきまして、複数の有望な海底熱水鉱床の兆候を発見しているという段階でございます。

 平成二十年度からはこれらの海域で資源量把握のための詳細調査に着手したところでございますが、この資源量把握のためには、まず海底熱水鉱床の厚さ、それから含有成分、これがどれぐらいなのかという詳細なデータの取得がこれから必要でございます。このため、まず、無人探査機によります詳細な海底地形の把握、あるいはボーリング調査による地層中の岩石の採取、こういったことを実施しているところでございます。

 こういった段階でございますので、政府として、現時点では、御指摘のような海底熱水鉱床の資源量あるいは金額的価値に関する試算値を有してございません。こういった段階でございますけれども、今後とも調査を進めまして、できるだけ早期に海底熱水鉱床の資源量の把握に努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 ただいまの御答弁、非常に慎重にお答えいただきましたが、しかし、日本近海に眠るレアメタルの埋蔵量、膨大な量というふうに見込まれております。もちろん、これから詳細なデータをとる必要があるということはよくわかっております。これまでは採掘がほとんど進んでいないのではないかとも思いますが、日本近海の熱水鉱床の採掘実績そして調査実績があればお答えいただきたいと思いますし、また、これまで採掘が困難であった技術的な課題などについてもお教えいただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、昭和六十年度から調査を開始いたしまして、これまで、海底の地形の調査あるいは海底地質についてのサンプリング調査、こういったものを実施しているところでございます。これまでに幾つかの有望な鉱床の兆候を発見してございます。しかしながら、世界的にも開発事例がないということ、我が国近海においてもまだ採掘が行われたという実績はないという状況でございます。

 なぜそのような状況なのかということでございますけれども、開発する上での課題、これを四点ほど整理して申し上げます。

 まず第一に、資源量評価のための海底地質データがいまだ不十分であるということでございます。

 第二に、周辺に貴重な生態系が存在するということでございます。例えばカニですとかエビですとか、こういったところにしかいないような動物がいるというようなことでございまして、どのように開発すれば環境保全と両立できるかというような問題でございます。

 第三に、水深千メートルというところで、しかも傾いているような斜面でございますので、こういった海底面で鉱石を取り出しまして、それを海上にどうやって運搬するのか、そういったメカニカルな技術という点もまだ未開発であるということでございます。

 最後になりますが、第四点目は、採掘した熱水鉱床は陸上にあります鉱物とは少し組成が違うようでございまして、その中からどのように金属として抽出するか、こういったところをさらに検討する必要がある。

 このような四点の課題があると考えてございます。

 いずれにいたしましても、こうした課題を克服して進めていきたいと考えてございますので、資源探査の実施、それから、先ほどのエビやカニのような議論でございますが、環境影響評価をどのようにしていくのか、あるいは採掘、製錬といった技術の開発について計画的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 委員の御指摘のとおり、我が国周辺海域に分布する鉱床の開発が可能となりますれば、供給のほとんどを今海外に依存しておる我々日本の状況からいたしますと、新たな供給源になりまして、大変期待されるところでございます。今後とも、海底熱水鉱床の開発に向けまして、積極的にかつ計画的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 ありがとうございます。

 四つの課題をクリアするには詳細なデータが必要でしょうけれども、やはり資源のない我が国、新たな供給源と期待するというお言葉も今ありましたように、迅速にこの四つの課題のクリアに向けて頑張っていただきたいと思います。

 昨年は特に、世界的な資源の争奪などによりまして、資源の価格が大きく変動いたしました。このような状況に対して、第一次補正予算では、将来を見越して、日本の鉱物資源を安定して供給できるようにしていくための予算が組まれております。具体的には、日本国内海域に分布しています海底熱水鉱床など海洋資源の探査やレアメタル確保対策の強化に向けた資源開発予算というふうに認識しております。

 このような第一次補正、そして引き続きましての第二次補正、来年度予算におきまして、日本近海の海洋資源に対する予算として具体的にどの程度の予算が計上されているのか、そしてその予算を活用し、来年度末までに具体的にどのような成果を上げようとしておられるのか、お聞かせください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の海洋資源の調査、開発に係ります平成二十年度第一次補正予算、これが、海底熱水鉱床の調査に五億円、石油天然ガスの調査に三十四億四千万円が計上されてございまして、資源調査を加速するための機器の整備及び調査範囲の拡大を行っております。さらに、平成二十一年度政府予算案でございます。これは、海底熱水鉱床の調査に十億円、石油天然ガスの調査に百四十三億円、メタンハイドレート研究開発に四十五億三千万円、合計百九十八億五千万円を計上しているところでございます。補正予算と二十一年度予算を合計いたしますと二百三十七億九千万円ほどになってございまして、平成二十年の当初予算に比べますと五十六億円の増額となっておるところでございます。

 さて、この予算の内容でございます。予算の活用といたしまして、海底熱水鉱床につきましては、伊豆、小笠原、そして沖縄海域での環境調査、そして環境影響予測モデルをつくっていく。それから、採掘技術に関するシステム検討、製錬技術の検討などを二十一年度は実施したいと考えてございます。

 石油天然ガスにつきましては、三次元物理探査、これは「資源」という船で行うわけでございますけれども、これの探査面積を平成二十年度に比べまして二〇%増の四千八百平方キロメートル程度まで拡大して調査をしたいと考えてございます。

 それから、メタンハイドレートというものがございます。これにつきましても、生産技術の実証のための陸上産出試験を実施するとともに、海洋での産出試験に向けて準備を行ってまいりたいと考えてございます。

 今後とも、予算を効果的に活用いたしまして、海洋のエネルギー・鉱物資源の調査、開発を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

近藤(三)分科員 政府の先導的な海洋資源探査や効率的な海底掘削、金属の抽出技術などを開発することが必要だと考えておりますが、一方で、我が国の民間企業がこれまで蓄積してきた掘削技術、効率的な金属抽出技術をこのプロジェクトに活用していくこともかぎではないかと思っております。

 今後、この日本近海の海洋資源開発のプロジェクトに我が国の民間企業の参画をどのように求めていこうとしておられるのか、二階経済産業大臣から政府の方針をお聞かせください。

二階国務大臣 ただいま近藤議員から御指摘のように、資源の少ない我が国にとって、我が国周辺海域に存在するエネルギー・鉱物資源、これは貴重なものであると考えております。

 したがいまして、今議員が御指摘になりましたように、もっと民間の力をかりて、民間にも協力を願って、生産技術の開発や環境影響の評価など、残されておるさまざまな課題をできるだけ早く解決して、海洋エネルギー・鉱物資源の技術開発を積極的に進めるように、こういう御指摘であろうと思います。

 今後、商業化が近づくにつれて、まさに官民一体となって進めていく必要がさらに高くなってくるというふうに思っております。したがって、御指摘のように、民間企業の一層の参画を求めてまいりたいと思っておりますが、現在のところ、例えば海底熱水鉱床については、経済産業省の委託を受けて独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構に設置された調査、開発の検討委員会には、企業側からは、三菱重工、住友金属、日鉱金属、三菱マテリアルテクノ、そして三井金属鉱業等が御参加をいただいておりますが、これらの知見を活用して、一日も早く目的が達せられるように努力をしたいと思っております。

 また、メタンハイドレートの調査におきましても、経済産業省の中に設置しております検討委員会には、東京ガス並びに大阪ガス、そして新日本石油等から積極的な御参加をいただき、御協力をいただいておるところであります。

 今後、石油天然ガス、各方面の皆様に御協力をいただいて、経済産業省が今日まで培ってきたものと民間の皆さんのお知恵、御経験を活用して、一日も早くこのことが日本の国民の産業の支援に大いに役立つようにしてまいりたい。

 ただ調査をしたり研究をしているだけでは私ども経済産業省の仕事にはなりません。そういう意味では、かなり積極的な対応を必要としておりますので、議員各位の御協力を心からお願いしておきたいと思います。

近藤(三)分科員 二階大臣、お気持ちのこもった力強いコメント、ありがとうございました。

 本日は、レアメタルをキーワードにいたしまして、従来、資源に乏しいと言われてまいりました我が国におきまして、都市鉱山の活用、そして日本近海の熱水鉱床の開発の可能性などについて御質問をさせていただきました。引き続き、この分野で、二階大臣の強力なリーダーシップのもと、プロジェクトが進められるように期待申し上げます。

 本日はどうもありがとうございました。

山本主査 これにて近藤三津枝さんの質疑は終了いたしました。

 次に、長崎幸太郎君。

長崎分科員 自由民主党の長崎幸太郎です。

 本日は、大きく分けて二つお伺いさせていただきたいと思います。一つは信用保証の問題、もう一つは少し長期的に見た医療の関係でお伺いしたいと思います。

 まず初めに、緊急保証ですが、今、経済対策、景気対策の中で、ほかのものがなかなか財源確保の法案が通らない中で、この緊急保証だけはひとり頑張っているような状況ではありますが、多くの人がこれによって助かっている。ただ、かなり使い勝手もよくなって、大きく役に立っていると思いますが、もう一息改善あるいは工夫があるといいんじゃないかなと思っております。

 その一つは、いわゆる遊技場、パチンコホールですが、これは今現在、射幸心をあおるということで、そもそもの信用保証の対象になっていない。したがって、それがゆえに緊急保証の対象にももちろんなっていないわけであります。

 私自身、余りパチンコはやったことないですけれども、ただ、これが今実は大きな雇用を抱えているのも事実だと思います。山梨県なんかでも、二千名もの社員、従業員さんがいて、もちろんその家族の生活を支えている、こういうところであります。

 射幸心をあおるものであるがゆえにこれは振興すべきものではない、こういうことだというふうに説明をいただきましたが、そもそもこの業種は、射幸心があることを前提として一般的にまず禁止をしている。それに対して、都道府県の公安委員会だったと思いますが、問題ないものについては許可をして、その業務の実施を解除しているわけです。

 この場合、その射幸心は、ある意味公的に管理された範囲の射幸心、要は社会的に許容される範囲のものであればいいですよということで許可制のもとに管理されているわけでありまして、こういういわば社会的に害悪がないものに対して、射幸心をあおることについて社会的な害のない範囲で管理されているものに対して一律に保証の対象にしないというのは、ちょっと粗っぽいところが、もう少しきめ細かくできないかなと思います。

 補助金を出して奨励するわけではないので、今、この御時世、雇用を確保するという観点から、この業種に対して保証の拡大というものを探る可能性はないのか、一点お伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭、長崎先生から中小企業の信用保証につきまして御指摘をいただきました。一昨日も大臣から発表させていただきましたけれども、年末、さらには年度末を控えまして、大変緊張した時期でございます。そういう中で、私ども事務方としまして、大臣、副大臣の御指導を仰ぎまして、しっかり取り組んでまいります。

 その上で、今お話がございましたパチンコでございます。確かに、お話がございましたように、一定のルールのもとで、私自身も含めまして庶民にとっての娯楽だという意味もありますし、雇用という意味でも、各地の事情に差はあるにしても、貴重な産業だという認識はまずしております。

 その上で、今お話がございましたように、その射幸心というのが、放置しておくとある一定の限度を超えちゃいけないということで、国家として一定のルールのもとでその管理のための制度があるということでございまして、そのために管理をされているからいいではないかというのも、先生の御見解としては賜りました。

 ただ、これは、先生も大変大蔵省、財務省の御経験も長いのでよくその辺は、今お話がございましたけれども、基本的に、職業選択の自由とか財産権の自由があるこの国の体制の中で、ある職業をするのに、規制をクリアして、していいということと、国家財政の上でむしろ一歩踏み込んで、今、補助金というお話がございました。私自身は実は、やはり国家予算を講じて対処しておりますので、補助金という名前はございませんが、財政の資金をむしろ能動的にそこに分配しているというふうに理解しておりますので、緊急保証ということになりますと、あるいは一般保証ということになりますと、規制を緩和するということを超えて、さらに国家としてどこまで積極的に踏み込むかというような次元の話だというふうに理解しております関係で、やはり従来から、射幸心をあおるものについてはそこまでは、規制は、あるところまで管理はするけれども、そこから先はやはり一線があるのではないかというふうな理解をしております。

 ただし、長崎先生の、この予算委員会という大変重い場におけます問題提起でございます。そういうものとして理解をさせていただければ幸いでございます。

長崎分科員 確かに、長官おっしゃるように、国家財政としてどこまで踏み込んでやるか、これは大変大きな問題だと思います。ただ、一つは、まず雇用というものが今大変大きな課題になっている中で、この雇用をある程度吸収している産業に対してどう対処するか。それからもう一つは、では、そうすると、許可制というのは一体何なんだ。社会的に問題がないものについて、本来は経営の自由があるわけなので、それに対して区別した取り扱いをどう考えるかというのはまだまだこれから議論をしていかなければいけないところかなと思いますので、ぜひとも、特に雇用というものは、今の現下の情勢、大変重要ですので、御検討いただければと思います。

 次に、緊急保証においては運転資金に対する保証は十年になっていて、大変これはすばらしい話だと好評をいただいております。

 ただ、問題は、一般保証の方でも実は運転資金に対しては、証書貸しの場合、五年に限定されていまして、緊急保証を受けられない企業もいます。頑張って売り上げを何とか維持していて、だけれどもこの情勢なんで苦しい、それで運転資金は今までどおり保証枠で借りるわけですけれども、そういう頑張っているところに対する支援も、五年が十年になれば相当楽になるんじゃないか、こういう御指摘も現場からはいただいているんですが、こういうことは検討できないんでしょうか、お伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今長崎先生が的確に区別をされまして御指摘ございましたように、緊急保証の業種の対象に該当いたしますれば、五年を超えて、こういう情勢でございますし、大変苦境にある産業でございますので、最大十年までということでございます。

 ただ、一般保証という制度は、想定している前提が、ここまで経済が冷え込んだこうした厳しい状況ではないもとで、通常の景気のペースの中で、中小企業のむしろ担保力が不足することを補うということでございますので、非常時という表現がいいかどうかわかりませんけれども、通常の状態で考える。そうなりますと、運転資金という資金の性格上、相当長い資金はやはり運転資金と言わないんじゃないかというある種の金融の常識のもとに、五年ということになっているわけでございます。

 ただ、お話がございましたように、そうはいっても、今現在はそういう一般論をするような状況ではないということは重々承知しております。その意味で、金融庁ともよく私ども連絡をとり合いまして、昨年の十一月たしか七日だと思いますけれども、中小企業の方はいわゆる条件変更というものを、もちろん一定の要件はあるわけですけれども、返済期間の延長も含めまして、従来よりはもう少ししやすい環境ということで、再建の方針、計画、こういったものを経営者の方にお示しいただいて、そういう場合には、そもそも五年とか三年とかという、五年を十年というよりも、もともとその返済期間として設定したものを延ばすということをしやすくする環境を整備させていただきましたので、そういったものをぜひ御活用し、また私どもも、御活用いただけるようにできるだけの支援をしてまいりたいというふうに思っております。

長崎分科員 緊急保証というものは、そもそも売り上げ減少または転嫁困難なところが認定を受けてできるわけで、頑張って売り上げを維持しているようなところでも、現下の情勢、大変厳しくて、支払いもぎりぎり、かつかつの中でやらざるを得ないような状況もありますので、この点はぜひ、条件変更だけじゃなくて、最初から、運転資金であっても、できれば緊急保証並びで十年にしていただけるように御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 一般保証を五年から十年にするかしないかというよりも、保証というのは、よく御存じのとおりで恐縮でございますけれども、基本的には主債務があって、それを保証するものなわけです。したがって、主たる債務の方を条件変更することによりまして、むしろ延長する、あるいはそれ自身を借りかえるということになれば、一般保証も知恵の出し方で、主債務が延びているわけですから、もう一度新しい保証をそこに設定するということもやり方としては十分あり得るんだと思います。

 いずれにしても、金融審査というものはだからといって免除になるわけじゃございませんので、私があえて主債務の方のことを申し上げましたのは、それに付従するという形で、一般保証でついていたものを新たにもう一度し直すというようなことも、いろいろ工夫の余地があるのじゃないかということを申し上げさせていただきました。

長崎分科員 理解いたしました。

 次に、今おっしゃったようなところで、保証協会自体が今保証渋りをしているのではないか、こういうふうな話を多くの方から伺います。

 保証協会の気持ちもよくわかります。特に、まじめにやればやるほど、なるべく代位弁済というのは減らしたい。そのためには、危ないところには貸したくない。

 ただ、まさに今長官おっしゃったように、今、一般論を議論している状況ではないところがあります。例えば、返済原資の見込みについても、この状況で売り上げが前年度から九割も落ちている、いつ回復するかもわからないような状況の中で返済原資の見込みをきっちり出してくださいと言われても、これはそもそも無理なことを言っているんじゃないか、じゃ、何のための緊急保証だという話にもなりかねない、こういうような批判もお聞きします。

 ぜひ中小企業の実態というものを正しく把握していただきたい。中企庁さん、地方でヒアリングをやったり、電話相談窓口ですか、こういうことをうまく活用してそういう声を聞いて、まさに長官おっしゃったような、今の、一般的な状況じゃない、緊急的な状況の中での中小企業のリアルなニーズというものをしっかり把握して、それを反映させるようなことをしていただきたいと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 この緊急保証制度、昨年の十月三十一日に始まりました。その直前に、私どもの方から、私の職責で全国の信用保証協会に通達を出させていただきました。その中に、中小企業の直面した実態を受けて、くれぐれも形式的な判断にならないようにということで、幾つかの例示も、具体例を入れまして通達を申し上げました。

 例えば、表面上は債務超過となっているけれども、その債務の置かれている先が経営者御本人であったり、あるいはそれに類する方であったような場合は、むしろそれは債務と見るべきではないとか、あるいは、足元の売り上げは縮小傾向にあるけれども、開発したばかりの新製品に関する評判がなかなかいいぞみたいな、よくきめ細かく見るようにということを申し上げました。

 その後、年末という一つの大変緊張した時期が近づきまして、今お話がございましたように、やはりこの制度を使い勝手がいいようにする、使い手から見てどうかというのが大変重要ということはおっしゃるとおりでございますので、金融庁とも協力いたしまして、全国百五十カ所で意見を伺う機会、その中には、大臣、副大臣、政務官にもお忙しい時間を割いていただきまして各地を訪問していただいて、声を伺いました。そして、年が明けまして、今この現況でございまして、ますます経済は厳しくなっております。

 したがいまして、この点につきましても、年度末を控えまして、また各地方を訪問いたしますし、それから、一昨日、大臣の方から、こういうことでと御宣明いただきました方針の中には、往々にして在庫が積み上がりやすい、つくっても売れない、あるいは売りたくても値段が下がってしまう、こういうような御苦境というのが十分予想されますので、こういったことは皆様方から伺った声の中で出てきたものでございますので、こういった点を踏まえまして、早く現金化できるように、売上債権あるいは手形、こういったようなものを担保として貸し付ける、あるいは保証を承諾するということで対応することにいたしまして、早速、各保証協会に徹底のために通達をしているところでございます。

長崎分科員 ありがとうございました。

 なかなか二律背反で難しいところがあるんですが、今長官がおっしゃったのは、きめ細かく企業の状況を見ていくように御指導されている。これはまさに大変重要なことで、ありがたい話なんですが、他方、実はもう一つ言われているのは、審査のスピードが遅いじゃないか。要は、今月の給料の支払いを何とかしたいのに、例えば私が地元で聞くところによると、一カ月で出れば御の字だよ、それぐらいのスピードになっている。

 これは、一つには人員、体制の問題もあると思いますし、もう一つは、先ほどお話しした二律背反にはなるんですけれども、やはりきめ細かく見ているところも一つの原因があって遅くなっている。きめ細かくやろうと思えば遅くなるし、ばさっと切れば早くはできるわけですけれども、理想的な姿は、企業の状況に応じて迅速にお金が出ていくことが大切だと思います。

 そういう意味で、信用保証協会、例えば審査体制の充実ですとか、あるいは審査手続の簡素化、特に貸出金融機関なんかと連携してそういう簡素化というものは検討できないのか、お伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 なるべく迅速に、そして最小限の審査で、最小限の資料でというのはおっしゃるとおりでございます。

 そういう意味で、確かに、年末が近づきましたときに、大変滞貨がたまっているという御批判がございました。これはせっかくつくった制度なのに中小企業の方の御不安を増大させてはいけない、こういうような御心配を私ども正面から受けとめまして、商工会、商工会議所あるいは中小企業診断士、こういった方のお力をかりて、言葉はちょっと乱暴ですが動員をさせていただきまして、少しでも御申請いただいた案件が早く処理できるようにやらせていただきました。

 保証協会自身におきましてもOB職員の活用、ふだんから保証協会をお使いいただいている中小企業さんの場合には事情もある程度わかっているところもございますので、そういったようなことで、これは一つの事実としてお受けとめいただきたいと思いますけれども、十二月の二十二日、二十四日、一日当たり一万二千件を超える承諾をさせていただきました。全国で五十二ほどございますので、平均いたしますと、各保証協会で毎日二百五十件、こういうような承諾をさせていただきました。現在は二月ということで、一月から二月にかけまして、毎日、承諾件数は全国で四千件内外でございます。

 今後、年度末を控えましてまた緊張感が高まるというふうに思っておりますので、今申し上げましたような、先生の御批判が当たることにならないように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

長崎分科員 ありがとうございました。

 ブレーキとアクセルを一遍に踏むような話なのかもしれませんが、究極的には、ある程度各保証協会において代位弁済が行われるのは仕方がない、その結果財政に穴があくのも仕方がない、これぐらいの腹を、ひょっとしたら今もう割り切るべきときに来ているのかもしれない。

 今、長官がおっしゃいましたように、一般論の状況ではなくなってきていまして、かつて、中小企業さん、受注が前年度から九割も落ちる、あるいはあればまだいい方だよなんという状況が起こるのは本当につらい。私自身もつらい話ですし、そこの生活が破壊される瀬戸際の状況じゃないかと思っています。

 そういう意味で、大胆に七十何兆円という予算をやるんだということであれば、最悪その分丸々財政が出ていっても仕方ないぐらいの割り切りをして、私は、今この時期、期間限定、もう代位弁済が多くても仕方ないですという通達を出すわけにはいかないのかもしれませんが、それぐらいの気持ちで、ぜひこの信用保証、これが本当にすがる最後の一本、クモの糸ですので、ぜひとも迅速に、かつ、本当に必要なところにお金を出していただきたい、そのための工夫を惜しまないでいただきたい、このようにお願いしたいと思います。

 通告はしておりませんが、ぜひとも大臣の御意見を賜りたいと思います。

二階国務大臣 長崎議員はかつて金融庁にもお勤めになって、大変その道の専門家であると同時に、今、地方を回って中小企業の皆さんの生の声を毎日のようにお聞きになって、その中から、苦労をともにといいますか、思いを同じくしての御質問でございます。大変重要な点を御指摘されておったと思っております。

 私どもも、一人でも多くの人を助けなくてはならない、アメリカから発生してきたこういう状況の中で、何の罪もない日本の中小企業の皆さんが次々と倒れていくというふうなことがあってはならないということで、年末あるいは年始、かなり無理を申し上げて、私は、できるだけ休みをいとわずにみんな頑張ってもらいたいということで、全国の中小企業関係の窓口は開いて対応してまいりました。その中でも、今御指摘のような問題について、中小企業庁長官を初め私どもが現地との間の連携をとって、相談事があれば直ちにその相談に応じて、判断が難しいような問題についても我々も助言をしていきたいと思っております。

 かねてこの委員会でもよく、雨の降った日に傘を取り上げに来るということで、金融関係に対して恨みの言葉を他の議員の皆さんから御紹介を受けたことがございます。私もその言葉は大変嫌な言葉で、大事なときにそういうことがあってはならないというふうに思っておりましたが、先般、この間から金融庁と一体となっていろいろ対応している間に、金融関係のトップの皆さんが先方から、雨が降ったときには傘を貸してあげる仕事が私の仕事ですと言うから、大変立派なことをおっしゃっていただくというふうに思ったんです。傘を貸すだけではなくて、どうぞお金を貸してください、こういう気持ちでございます。

 先ほど申し上げましたように、一人でも多くの不幸な目に遭う人を助けるというのが政治の仕事として大事なことですから、今長崎議員が御指摘になったような点を十分踏まえて、さらなる中小企業対策について万全を期してまいりたいと思っております。

長崎分科員 ありがとうございました。

 次は、少し前向きな明るい話もしたいと思うんですが、医療産業についてお伺いしたいと思います。

 自動車はこれまで我が国の主要な産業でありましたけれども、今これが大変な苦境に陥っている。これは今何とか底支えをするんでしょうけれども、それと並んで、やはりもう一つ、いろいろな産業の柱というものを用意しておくことが私は大切だと思っております。

 そういう意味で、医療というものは大きな可能性があるのではないか。一つは、これは完全な内需であって、特に高齢化の進展により需要自体はどんどん拡大していく。それから、景気に余り左右されないものじゃないか。多少あるのかもしれませんけれども、景気が悪くなったから風邪を引かないというわけではないものですから、安定した内需である。さらには、将来的にはお隣の中国なんかも視野に入れれば、彼らは大変な健康コンシャスな国というか、いろいろな伝説では不老不死の薬を探して歴代皇帝がかなり力を入れるとか、そういうお国柄でもありますので、大変健康に関心の強い国民性の国がお隣にある。こういうことを踏まえて、医療産業、医療関連産業というものを今から育てていくのがいいのではないかなと私は思います。

 ただ、現状は、国内マーケットで見ても大体六千億円ぐらいの輸入超過ですし、しかもそれが、マーケット自体がほぼ外国に荒らされているような状況で、逆に言えば開拓余地も大きいのかな。本来、医療機器というものは、まさに物づくり力そのもの、要素産業を集めたいろいろな物づくりそのものですから、日本は潜在的には大変強い競争力を持ち得る分野じゃないかなと思っております。

 そこで、お伺いしたいのは、経済産業省さんということで、医薬品、医療機器それから医療サービスもある中で、特に医療機器について、その競争力強化、産業育成をどのように図っていくのか、お考えを大臣にお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 高齢化が大変進んでおる我が国にとって、今長崎議員御指摘のような医療部門に対しては特に関心を払っていかなくてはならない。そこで、医療機器産業は、国民の医療や健康を支える重要な産業であって、今後の日本の成長を支えるリーディング産業の一つだということに関して、私は長崎議員のお考えと同じような思いを持っております。

 そこで、医療機器がうんと栄えるということがこの国にとっていいのかどうかという面は一面ありますが、しかし、医療機器産業というのは国際競争力の中で生き残っていかなくてはならない部門でありますから、我が国が、今日までこの道の強みを大いに発揮して革新的な研究開発を促進すること、これに経済産業省が力を入れるということは大変大事だと思っております。

 前にも、ちょうど小泉内閣のころに、小泉総理自身が、世界的な最高レベルの加工技術を有する中小企業、五、六人の人たちを雇用しているような中小企業で痛くない注射針というものを見てこられて、自分もこれを打ってもらってきたんだということで盛んにおっしゃっておりました。

 同じく小さな町工場から、宇宙観測機器に関して世界最先端の技術を有する中小企業、あるいは、その技術を応用して脳神経外科手術用の顕微鏡システムを開発し、今米国の市場で各州において圧倒的なシェアを占めております、むしろ一〇〇%に近いとさえ言われるほどのシェアを占めておる中小企業の皆さんもいらっしゃいます。

 このように、すぐれた技術を有する日本の中小企業、私は、「元気なモノ作り中小企業三百社」というのを毎年選定して、今ちょうど九百の中小企業をそうした一定のパンフレットにまとめておるところでありますが、この次はどうか。同じことを毎年続けているだけではなくて、今度やる場合には、私ども、かねてからの中小企業として、三百の中の百五十、あとの百五十はいわゆる小規模の企業、これをぜひ採用して、そういう企業の中からも世界的な企業が誕生していくようなことを後押ししていくようにしたい。

 また、ロボット手術システムなども研究開発が進んでおりますが、これも大いに厚生労働省や文部科学省と連携しながら対応していきたい。ちょうど文部科学省と厚生労働省と私どもの省の大臣は、例えばがん対策の担当大臣ということで指名をされておるわけでありますが、そうしたことをよく連携して対応していきたいと思っております。医療産業は大変大事だと思っております。

長崎分科員 時間が来たので終わりますが、最後に、医療は特に財政支出をどう考えるか、大変重要だと思います。

 今、二千二百億円、シーリングで圧縮していますけれども、これは、そもそも医療というのは消費だという発想でしかなかった。だけれども、今大臣がおっしゃったように、医療機器を伸ばしていく、医療関連産業を伸ばしていくという意味では、これから投資だというふうに考えて、国内市場の育成による内需拡大、それから国内産業の育成による外貨獲得、こういうもので新世代の産業の柱づくりをしていっていただければと思います。

 大臣は諮問会議のメンバーでもございますので、ぜひその場で訴えていただいて、我が国全体で、医療の支出は投資だというふうな発想の転換を主導していただければと思います。最後に御意見を伺いたいと思います。

二階国務大臣 長崎議員から今お話しの点について、経済財政諮問会議においてもよく関係者にお訴えをいたしたいというふうに思っております。

長崎分科員 ありがとうございました。以上で終わります。

山本主査 これにて長崎幸太郎君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会


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