衆議院

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第1号 平成23年2月25日(金曜日)

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本分科会は平成二十三年二月二十三日(水曜日)委員会において、設置することに決した。

二月二十四日

 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。

      打越あかし君    津村 啓介君

      中川 正春君    三谷 光男君

      塩崎 恭久君

二月二十四日

 津村啓介君が委員長の指名で、主査に選任された。

平成二十三年二月二十五日(金曜日)

    午前八時開議

 出席分科員

   主査 津村 啓介君

      打越あかし君    大谷  啓君

      川口  博君    玉置 公良君

      中川 正春君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    三谷 光男君

      塩崎 恭久君

   兼務 加藤  学君 兼務 平  智之君

   兼務 向山 好一君 兼務 あべ 俊子君

   兼務 橘 慶一郎君 兼務 竹内  譲君

   兼務 穀田 恵二君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   農林水産大臣政務官    田名部匡代君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      鵜瀞 恵子君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   野口 文雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 能化 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 上田 隆之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     内山 俊一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           川上 景一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           富田 健介君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          安達 健祐君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 木村 雅昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            田端  浩君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

   予算委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

分科員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     大谷  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     川口  博君

同日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     花咲 宏基君

同日

 辞任         補欠選任

  花咲 宏基君     玉置 公良君

同日

 辞任         補欠選任

  玉置 公良君     藤田 大助君

同日

 辞任         補欠選任

  藤田 大助君     森本 和義君

同日

 辞任         補欠選任

  森本 和義君     皆吉 稲生君

同日

 辞任         補欠選任

  皆吉 稲生君     打越あかし君

同日

 第一分科員橘慶一郎君、第三分科員向山好一君、あべ俊子君、竹内譲君、第五分科員加藤学君、平智之君及び第八分科員穀田恵二君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成二十三年度一般会計予算

 平成二十三年度特別会計予算

 平成二十三年度政府関係機関予算

 (経済産業省所管)


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     ――――◇―――――

津村主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。

 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。

 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算及び平成二十三年度政府関係機関予算中経済産業省所管について審査を進めます。

 政府から説明を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

海江田国務大臣 おはようございます。

 平成二十三年度の経済産業省関係予算について御説明申し上げます。

 我が国の足元の経済情勢は、生産や輸出の持ち直しを背景に、足踏み状態を脱しつつあります。その一方で、海外景気の下振れ懸念や昨今の中東情勢の不安定さに起因する、為替や原油を初めとした商品市場の動向など、景気が下押しされるリスクが存在しております。こうしたリスクに対応しつつ、我が国経済を持続的な成長軌道に乗せるため、経済産業省としては、昨年末に策定された新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策を着実に実施しております。平成二十三年度当初予算案は、そのステップスリーとして、新成長戦略を本格的に実施するための予算を重点配分するとともに、依然厳しい状況にある中小企業への支援を実施するために必要な予算を盛り込みました。

 また、今回、地球温暖化対策を強化するため、平成二十三年度から石油石炭税に上乗せする形で、地球温暖化対策のための税を導入します。これにより、エネルギー対策特別会計において、中長期的な観点から、新エネルギー、省エネルギーの導入促進、省エネルギー技術開発等の地球温暖化対策を実施するための諸施策を強化することとしました。

 以上を踏まえ、次の点を重視しながら予算編成を行ってまいりました。

 第一に、新たに成長を主導する戦略分野として、特に、新成長戦略の大きな柱の一つである環境・エネルギー大国を実現するため、我が国のすぐれた技術、製品を通じて成長と雇用の確保を図るグリーンイノベーションの推進及び資源エネルギーの安定供給に向けた総合的な取り組みを行ってまいります。

 まず、再生可能エネルギーの普及や省エネルギーの促進のため、実用段階にある設備の導入や新たな技術の開発、実証を強力に支援するとともに、地球規模でのエネルギー制約を緩和し、地球温暖化対策に貢献する観点から、着実に国際協力を推進してまいります。

 具体的には、革新的な低炭素技術集約産業の国内立地の推進、環境・エネルギー分野における技術開発の重点化、加速化、太陽光発電設備や電気自動車等の導入促進、スマートコミュニティーの大規模実証等の積極的な推進、二国間クレジット制度を通じた我が国低炭素技術、製品の海外への普及など、温暖化対策を成長のチャンスととらえた施策を強力に推進してまいります。

 また、資源エネルギーの安定供給対策として、上流の資源開発から、国内での精製、流通といった中下流分野に至るまでの対策を講じます。あわせて、ハイテク製品に不可欠なレアアース、レアメタル等について世界的な需給逼迫が懸念されていることにかんがみ、金属鉱物資源を確保するための対応を図ってまいります。

 さらに、エネルギーの安定供給とグリーンイノベーションの実現を目指す上で不可欠な原子力について、安全の確保を大前提に、国民の理解、信頼を得つつ、原子力発電、核燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物処分の積極的な推進に努めてまいります。

 第二に、依然として厳しい地域経済や雇用の情勢、為替動向等の状況を踏まえ、中小企業や地域経済産業の活性化等の対策を講じ、景気回復の動きを確かなものとしていく必要があります。

 このため、中小企業の資金繰り支援に万全を期すとともに、中小企業の人材確保やものづくり技術開発への支援、海外展開や農商工連携などの新事業展開への支援、事業再生や経営支援体制の整備などに全力を挙げて取り組んでまいります。

 第三に、インフラ・システム輸出や医療・介護・健康関連分野等、新たな成長分野への取り組みを後押しする予算を体系的に措置し、これらの分野への支援を強化してまいります。

 インフラ・システム輸出については、各国の計画段階からの案件形成協力、我が国企業が有するすぐれた技術やシステムの海外展開、普及支援、運営、維持管理のための人材育成などの総合的支援を強化してまいります。また、医療・介護・健康関連分野については、市場創出に向けた環境整備、技術開発の実施や医工連携による医療関連機器の開発、改良を通じてライフイノベーションの推進を図ってまいります。

 こうした取り組みを中心に、平成二十三年度の経済産業政策の実施に向け、当省予算として、一般会計で総額九千五百六十八億円を計上しております。

 特別会計につきましては、エネルギー対策特別会計に七千三百五十六億円、貿易再保険特別会計に千七百十二億円、特許特別会計に千百五十四億円を計上しております。

 我が国の経済、産業が将来の成長、発展に向けて力強い一歩を踏み出す契機として本予算を提案いたしました。委員各位はもとより、国民各界各層の御意見に真摯に耳を傾けてまいります。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

津村主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。

    ―――――――――――――

津村主査 この際、質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。

 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大谷啓君。

大谷(啓)分科員 おはようございます。民主党の大谷啓でございます。きょうは質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 私は、議員になる前は総合商社に勤めておりまして、まさにどうやって金を稼ぐかということばかりやっておりました。特にIT系の仕事をずっと十四年間やってきたんですけれども、仕事の中で、日本のIT産業の空洞化というか、なかなか世界で勝っていけない、そういう現状を目の当たりにして、やはりそういう状況をこれから打破していかないといけないというふうに思っているところでございます。

 新成長戦略の中でもこれからまだまだ成長が期待されるIT分野で、これからいかに日本の人材を育成し、産業を育成していくか、これが経済産業省にとっても大変重要なかぎとなると思っておりまして、きょうは、その中でも特に、今経産省が取り組まれているスマートグリッド、スマートコミュニティーのあたり、あるいはまさにイノベーションと言われているクラウドコンピューティング、このあたりの話を質問させていただきたいと思います。

 その前に、先ほど大臣からも御説明がありました、まさにこれから日本が、ある種の環境立国、グリーンイノベーション、こういうことをやっていかなければいけないという中で、やはり再生可能エネルギーの導入をどんどんどんどん進めていかなければいけないというあたりの話をぜひお聞かせいただきたいと思います。

 地球温暖化の問題がクローズアップされる中で、CO2を減らすきれいなエネルギーということで再生可能エネルギーが国民にも知れ渡り、これを導入しなきゃいけないという機運もありますが、私は、この再生可能エネルギーは、単に環境問題だけではなくて、日本のこれからのエネルギーの安全保障、そういった側面でもかなり重要な側面を持つのではないかなというふうに考えております。

 まず、大臣の方から、再生可能エネルギーの導入の必要性、これをぜひ大局的に御答弁いただければと思います。

海江田国務大臣 大谷委員にお答えをいたします。

 私、エネルギー全般の問題でいうと、三つの要素と申しますか、一つは経済性、もう一つが安定性、安定的に供給されるということ、それからもう一つがまさに今お話のありました環境性ということで、この三つを組み合わせていくのが一番よろしいかと思っております。

 今、大谷委員御指摘のように、再生可能エネルギーでございますが、環境性ということではもちろんトップでございます。それから、今お話のありましたエネルギーセキュリティーと申しますか、我が国はエネルギーの大宗を海外から、とりわけ今中東情勢が大変危うい情勢でございますが、そうなるとすぐに、ではこれから供給が安定するのかどうなのかという心配も出てくるということであります。再生可能エネルギーというのは輸入に依存せずに国内で調達ができますから、その意味でも、環境性だけではありませんで、輸入に依存せず国内で調達できるという意味からも、やはり再生可能エネルギーというものが大切だということを私は考えております。

 そうした中で、今回、私どもは、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入、これは一番大きな今回の課題だろうと思いますけれども、これに向けて制度設計をしているところでございます。

 そして、関連法案を今通常国会に出す予定でございますので、ぜひこの法案が経済産業委員会で通って、そして平成二十四年度から制度が導入できるように、皆様方のお力添えを期待するところでございます。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 今、固定価格買い取り制度のお話もございました。これから中長期的にこういった再生可能エネルギーがどんどん導入されるような、例えば宅地の開発にしろ、ビルの開発にしろ、される必要があるのではないかなというふうに思っております。

 私も、地元の、特に住宅メーカーさんですとかゼネコンさんも含めて、これから、例えばある土地があって、そこを解体して再開発しようとしたときに、太陽光発電しかり、さまざまな再生可能エネルギーが取り込めるような開発をしなければいけないという認識はあるものの、特に固定価格買い取り制度あるいは全量買い取り制度の先行きが見えないがために、本当にどこまで現段階で設計に盛り込んでいいのかという若干不安の声、あるいはそのためのノウハウがまだまだないという声が聞かれております。こういった開発は二年、三年かかるものですから、要は二、三年後、実際どういうような制度になっているのか、その辺をしっかりと周知させていくことがこれから必要なのではないかなというふうに思っております。

 固定価格買い取り制度、今国会でできればというお話でございましたので、ぜひ精力的に我々も努力したいというふうに思っておりますし、その後、そういった制度の周知徹底についても力を入れていただきたいなというふうに思っております。

 そして、今、再生可能エネルギーの導入の必要性をお話しいただきましたけれども、今私が聞いている限り、実際、では何年後にどれぐらいその再生可能エネルギーを日本として取り込む目標なのか、この辺も実は余り明確になっていないような気がしております。

 例えばアメリカですと、二〇二五年には電力消費の二五%という目標を掲げておりますし、ドイツでも二〇二〇年には最終エネルギー消費の約一八%を再生可能エネルギーにしたいという目標を掲げておりますが、ぜひ日本での再生可能エネルギー導入の目標について教えていただければと思います。

木村政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国の再生可能エネルギーの導入目標についてのお尋ねでございますが、昨年六月に閣議決定をいたしておりますエネルギー基本計画におきまして、「二〇二〇年までに一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合について一〇%に達することを目指す。」というふうにされているところでございます。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 今のその二〇二〇年、一〇%、若干高目の目標かなというふうに思っておりますが、これからの地球環境のことを考えると、あるいは日本のエネルギーの安全保障を考えると、ある種の当然の目標数字だというふうに思っておりますので、ぜひこの達成に向けて御尽力をいただきたいというふうに思っております。

 そして、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、やはりこれを支えるさまざまな技術が必要となります。これがいわゆるスマートグリッド、経産省の方ではもう少し大きく、スマートコミュニティーという言い方をされているというふうに伺っております。これは、再生可能エネルギーが、例えば天候によって変動が激しい、そういう中で、しっかりと需要側の電力消費の動向を見ながら送電網をコントロールしていくシステムだというふうに私は理解しております。まさに新しい最先端のIT技術を取り入れて、そういったシステムを今後導入していかなければならない。

 ちょうど一年、二年ぐらい前に、スマートグリッドが各国でいろいろと注目されて話題になりました。最近、若干マスコミの話題では下火ですが、まさにこれからの社会を支える大変重要なインフラになっていくと思いますし、またそういったインフラの中で、日本がしっかりとビジネスとしても押さえていくということが必要だろうと思っております。

 そういう中で、先ほど大臣からも実証実験のお話がございましたが、経産省として、このスマートグリッド、スマートコミュニティーの分野で現在どういうような取り組みを行われているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートグリッド、スマートコミュニティーで、将来の再生可能エネルギーの大量導入時の各種の課題の解決、あるいは今おっしゃられましたようなビジネス展開を実現していくためには、蓄電技術、あるいはITを利用しましたエネルギー管理技術、あるいはこれらを実際にビジネスにつなげていくためのビジネスモデルの確立、こうした問題に一つ一つ取り組んでまいる必要がございます。

 このような観点から、次世代エネルギー・社会システム実証事業といたしまして、我が国国内で、横浜市、北九州市、豊田市、けいはんな学研都市という四つの地点を選びまして、来年度、平成二十三年度から、スマートグリッド、コミュニティー関係の実証事業を本格的に開始するということを考えております。本事業関連予算といたしまして、今予算案の中では百四十九億円程度の予算を計上させていただいているところでございます。

 この事業を通じまして、具体的なスマートグリッド、スマートコミュニティーのイメージを固めまして、またこれが国内あるいは海外に向けて広がっていくモデルとなるように取り組んでまいりたいと思っております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 私も資料は読ませていただきましたが、これは二十三年度から本格化ということですけれども、大体何年ぐらいでその成果を上げようと思われているか、教えていただけますでしょうか。

安井政府参考人 現在、この事業につきましては、四年間で実証事業としての目的を達成したいというふうに考えておるところでございます。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 若干、四年というのがちょっと時間をかけ過ぎかなというような気が私自身はしておりまして、当然いろいろと時間がかかる側面もあろうかと思いますけれども、適宜、一年ごとにいろいろな成果を上げて、そしてそれが実際の経済界にもインプットされるような仕組みをつくっていただきたいなというふうにも思っております。

 また、二十三年度、百四十九億円という予算ですが、財政状況も大変厳しい中で、こういう実証実験にお金を割きにくい側面もあろうかと思いますけれども、他国を見ておりますと、アメリカにしろ、中国にしろ、インドにしろ、かなり大規模な、もう少しお金をかけた取り組みをやっているような思いがございます。財政が厳しいといえども、将来かなり大きな市場性のある分野については、自分のもとの会社は、常にリスク、リターンということでどこに投資するのかを決められておりましたけれども、ある種、将来にリターンが大きく見込めるものについては、ぜひそれをしっかりと経産省としても御主張いただいて、大きな予算を組んでいただきたいなというふうに私は思っております。

 先ほど、この実証実験の一つの課題として、ビジネスモデルのお話がございました。私もいろいろと話を聞いておりますと、では、実際、再生可能エネルギーを、要はだれが主体で供給していくのか。電力会社が中心になっていくのか、あるいは、総務省では、緑の分権改革といって各地域ごとにこういった再生可能エネルギーを取り込んでいこうというような動きもございます。そういう意味では、地域のコミュニティー、自治体、そういったものが主体になる可能性もございますし、あるいはNPOですとか、そういうさまざまな形態が想定されております。

 そういう意味で、私、各電力会社が、特に再生可能エネルギーの導入ですとかスマートグリッドの導入についてどういうような思いを持っているのか、この辺が一つのかぎになってくるのではないかなと。聞くところによると、日本の今の送電網というのは、世界的に見てもかなり安定的な、安定しているものでして、現時点でもう既にスマートグリッドだとおっしゃられる電力会社の方もございます。

 そういう意味で、これからの電力会社の位置づけ、こういう点について考えなりがございましたらぜひ教えていただければと思います。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートグリッド、スマートコミュニティーというものは、それだけで単独で存在できるものでもございません。したがいまして、電力会社、あるいは既存の送電網、配電網、あるいは発電事業者が持っております電力の大きい供給システム、それから、ある閉じた地域における、再生可能エネルギーを含めまして、局所における需要と供給のバランスをうまくとっていきながら効率的な運用をしていくという、この二つの役割を相互に補完しながらやっていく、こういう関係になろうかと思っております。

 そういう関係で、この二つの関係が完全に切れるというようなことはないというものでございまして、先ほど申し上げました四つの事業にも電力会社もいろいろな形で参加をしていただいております。お互いに意見交換あるいは情報交換をしながら、お互いの長所、お互いのいいところを伸ばすような関係を構築するという方向で、現在、事業を進めさせていただいているところでございます。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 電力会社からすると、ややもすれば、いろいろな投資はさせられるけれども自分のところの収益は落ちてしまうのではないか、こういう懸念も持っている場合もございまして、当然、送電網を持っているのは、運用しているのは電力会社でございますから、そことのうまい関係をこういった実証実験を通じてぜひ構築していただきたいなというふうに思います。

 それと、今の話とも関連しますが、こういう電力会社との関係も見据えながら、各地域地域でこういった再生可能エネルギーが取り込めるような仕組みとして、スマートグリッドも含めて、経産省としてはスマートコミュニティーという言い方をされているんだというふうに理解しております。これはまさに、各家庭あるいはその地域内の事業所等々が連携して、できる限り再生可能エネルギーをうまく取り込みながら、ITの技術を使って安定的に電力を供給していこう、それによってCO2削減あるいはクリーンエネルギーの導入というところに結びつけていこうという取り組みだというふうに私は理解しております。

 このスマートコミュニティー、まさに日本の未来図というか、そういう大変大きな構想だというふうに考えておりますが、今の経産省の考えで、これをどのように展開していくのか、どういう時間軸で展開していこうとされているのか、教えていただければと思います。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、実証事業という形でモデルの構築、それから、これを多くの皆様に見ていただけるような形にまとめていくということを、先ほど申し上げました今から四年間を一つの目安として進めさせていただきたいと思っております。

 また、その間に、さまざまな関連技術の開発、それから、別途、海外におきましても、この種の商談あるいはそのための実証事業なども進めておりますから、そうしたものを通じまして、スマートグリッド、スマートコミュニティーを、言葉だけではなくて実際にイメージを持っていただける形にまずまとめてまいるというのが第一段階でございます。

 その後、このモデルが使えるな、あるいはこれはなかなかいいじゃないかというところに一つ一つ広げていく、こういう段階を次の段階として踏んでいきたい、このように思っておりまして、今後、再生可能エネルギーの導入が進む際に、再生可能エネルギーを導入するだけではなくて、これを受け入れる体制全体の整備につなげてまいりたい、このように考えておるところでございます。

大谷(啓)分科員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 あと、今お話ございました海外展開ですね。やはりここはしっかりと具体的に、実現可能なもので、さらに戦略的にやっていかなければいけないのではないかなと。よく言われておりますのが、例えば太陽光発電にしても、もともと日本の技術がかなりすぐれていたんですけれども、まさにこれから、さあ市場が広がろうという段階では、例えば韓国勢に大分シェアを食われているとか、こういった現状がここまでもございました。

 このスマートグリッドの市場は全世界でも注目されている。そして、海外の大手ベンダーもかなり積極的な取り組みをなされております。

 一つは標準化という流れも必要でしょうし、ここについては経産省のみならず総務省とも一体となっていろいろな取り組みをされているやに聞いておりますが、私が経産省に質問したいのは、では、今、現時点での日本の強みがどこで、要はどこで商売をしていこうとするのか。

 例えばスマートメーターみたいなものを、最先端のものをつくって、それを販売することで一つの大きなビジネスをとろうとするのか、それとも、今おっしゃられたスマートコミュニティーのような、最近、輸出ビジネスと言われているパッケージ型のもので、要は運用ですとかオペレーションも含めて日本としてビジネスをとっていこうとするのか、この辺をある程度戦略的に考えなければいけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 もう少し言うと、今はものづくりで価格競争力のあるものをつくるというのは大変厳しい状況だというふうに思っておりまして、そういう意味で、パッケージ型で運用、オペレーションも含めて海外に輸出していく、そこで大きなシェアをとっていくことが必要なのではないかなというふうに私は思っておりますが、その辺、今の経産省の戦略について教えていただければと思います。

海江田国務大臣 それは私からお答えをいたします。

 おっしゃるように、パッケージ型インフラの輸出、システム輸出でございます。このパッケージ型インフラ・システム輸出というのは、いつも言っていることですが、かつてプラント輸出ということもございました。ただ、プラント輸出というと、どうしても装置を向こうに売ってそれでおしまいという面もないわけではなかったんですね。何で、例えばシステムで輸出をするか、その保守管理といったところまで輸出をするかというと、基本的には、その国の国民の生活を豊かにする、国民の生活の質を上げていく、あるいは国民の生活の安全、安心を図っていくというところに私どもの政策目的があるわけでございます。もちろん、それが大きな目的で、同時にやはり日本の経済の強化というものもあるわけでございます。

 せんだってインドの経済大臣が見えたときにもいろいろお話をしました。特に新しい形でのインフラ、これはもう発電の問題から、まさに今議論のようなコミュニティーの問題まで含めてということで。

 価格だけで競争をやりますと、今委員御指摘のように、韓国でありますとか、中国が最近いろいろな勢いを持ってきておりますが、なかなかここに勝てない部分もありますが、やはりトータルなインフラ、システムのパッケージ輸出ということでいくと、これは十分日本は競争力があると思いますので、その点で頑張っていきたいというふうに思っております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございます。

 本当にこれから成長戦略の中でかなり大きな、重要な部分ではないかなというふうに思っておりますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いするとともに、日本の国民にもどんどん知れ渡るような取り組みをしていただきたいなというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、スマートグリッドを支える技術として、クラウドコンピューティングというのが、今、世界のIT市場の中で注目されております。現状、日本はやや立ちおくれてしまっているのかなという部分がございますが、ここの部分でしっかりと、日本ももう一回ビジネスモデルを立て直して市場の拡大をしていかなければいけないというふうに思っております。

 これは質問というよりお願いですけれども、この分野も、総務省なり経済産業省なり、それぞれがいろいろな取り組みをやっているわけでございますけれども、国策として、各省庁が連携してこれから取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そういう中で、私は、クラウドの時代になると、やはり今までの受託開発型のビジネスモデルというのが変わっていくのではないかなと。例えば、今の日本のIT産業、特にソフトウエア開発などはゼネコンと一緒で、要は下請、孫請、ひ孫請と、末端に行けば行くほど給料も安いし、なかなかもうからない、こういう現状がもうここ何十年も続いてきている。ある種硬直化してしまっていると思うんですね。

 そういう中で海外を見ますと、例えばグーグルを初めとするように、最初からお金をどんどん投資して、パイをとって、パイをとってから、後からサービスの費用として回収する、こういうようなビジネスモデルが今かなり広く行き渡っております。

 こういう中で、やはり日本がなかなか国際競争力がないのではないかなというふうに思っておりますが、この辺の、クラウド時代における、例えば商流のイノベーションを経産省としてもしっかりと支えていただく必要があるのではないかなと。また、今までの受託開発の形でやっていくと、単に、大きいメーンフレーム、大型の汎用機のコンピューターがパソコンの集積に変わったというだけで、何も日本のIT産業の中でイノベーションが起きないというふうに思っておりまして、そういう商流を変えていくということに対して、ぜひ経産省としても積極的にかかわっていただきたいなと。

 いろいろな検討をされている中で、今、例えば研究会ですとかそういうところで、例えば大手の通信キャリアですとか大手の電機メーカー、総合電機メーカーとか、そういうところが入っていろいろこれからのビジネスモデルなりを議論していても、なかなかそういう新しいイノベーションが出てこないんじゃないかなという危惧を私はしております。

 そういう意味で、こういうイノベーションを起こすための施策について、もし何か考えられていることがあれば教えていただきたいというふうに思います。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、クラウド時代になりますと、旧来のビジネスモデルの枠を超えて、新しいビジネスモデルを創出していかなければならない。また、イノベーションが円滑に創出されるような環境づくりをやっていく必要があろうかと思います。

 他方、クラウドコンピューティングが進みますと、低コストで、なおかつ短い期間で新しい事業を立ち上げられるという非常に恵まれた環境が出てくることも確かでございまして、ITベンチャーでございますとか中小企業にとっても、これは一つの大きなチャンスではないかというふうに私ども前向きにとらえております。

 そういったことで、ここ二年ほどでございますけれども、中小企業、ITベンチャーがクラウドサービスを展開していくときの開発環境ですとか流通環境を提供する、J―SaaS事業と言っておりますけれども、こういったことに取り組んできておりますのと、それから、今後はこういったクラウドビジネスを海外に展開する中小企業に対する支援、こういったことも充実をさせていきたいと思っております。

 そんなようなことで取り組んでまいりたいと思っております。

大谷(啓)分科員 ぜひこの分野をしっかりとやって、日本のIT産業をもう一回復活させるような取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 最後になりますが、最初の再生可能エネルギーの話にも関係するんですけれども、実は、私の地元、大阪とはいえ田舎の方でして、今、ガソリンスタンドがどんどんどんどんつぶれております。

 そういったガソリンスタンド経営者の声を聞きますと、やはり経営的に大変厳しいと。特に地下タンクの問題ですとかいろいろな問題で、事業仕分けにかかったりもしましたけれども、もうこれから子供の世代にまで引き継げないというお話をよく伺っております。

 そういう意味で、特にこれから再生可能エネルギーみたいなものがふえてきますと、ガソリンスタンドが本当にこれから必要なのかどうか、こういう声も聞かれておりまして、そういった中小零細のガソリンスタンドの皆さんに対して、国としてはどういう位置づけなのか、私は社会インフラとして必要な位置づけだというふうに思っておりますが、その辺についての政府の認識、あるいは、そういった中小零細ガソリンスタンドが生き延びていくための施策について、何か具体的なものがあれば最後に教えていただきたいというふうに思います。

木村政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国のガソリンスタンドは中小企業が大半を占めておりまして、価格競争の激化を初めとして、非常に厳しい経営環境にございます。全国のガソリンスタンドの数は、平成六年度をピークに減少の一途という状況にございます。

 そういう中で、私どもといたしましては、ガソリンスタンドが我が国の石油の安定供給の、サプライチェーンの最前線を担っていただいているという認識のもとに、一つは信用保証や利子補給を通じた資金繰り対策による経営基盤の強化、さらに、委員御指摘がございましたけれども、消防法などの新たな環境、安全規制にガソリンスタンドが適切に対応できるように、地下タンクの入れかえや補強工事に対する支援、それからいわゆるSS過疎地問題というのもございますが、こういうものに対しても適切に対応するということでガソリンスタンドの経営の安定強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

大谷(啓)分科員 ありがとうございました。

 ガソリンスタンドが将来の絵が描けるような取り組みを経産省としてもぜひしていただきたいというふうに思っております。

 本日は、どうもありがとうございました。

津村主査 これにて大谷啓君の質疑は終了いたしました。

 次に、向山好一君。

向山分科員 おはようございます。民主党の向山好一でございます。引き続き、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、質問に入る前に、二十二日にニュージーランドのクライストチャーチで起こった地震によりまして、たくさんの方々が亡くなりました。犠牲になられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、既に日本から緊急援助隊が派遣をされておりまして、現地での活動も始まっております。特に、あの地域は邦人の方々がたくさんいらっしゃるということでございますので、安否の確認そして救助活動に万全を期していただきたい、このように思いますし、私は神戸選出でございますので、十六年前の阪神・淡路大震災のときに、ニュージーランド政府からもたくさんの援助をいただきました。ぜひとも今回政府といたしましても、安否の確認は当然なんですけども、今後の復旧とかあるいは経済復興、このあたりでも協力を惜しまないでいただきたい、このように思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、まず質問に入らせていただきますけれども、ちょっとお手元に資料をお配り申し上げております。これは最近の燃料の価格の推移ということでございまして、比較しやすいように東京のスポットのドバイ原油価格を載せておりますけれども、ごらんのとおり、最近、特に原油の高騰が著しい状況になっています。

 このデータだけでも、二月の二十二日には、ドバイ原油が東京のスポットで百ドルを超えて百四ドルというふうになっておりますし、最近の新聞報道でも、ニューヨークのWTIも一瞬百ドルを超えたというような状況が報道されております。

 これは当然、大臣も御存じのとおり、中東あるいは北アフリカの大変な混乱、特に最近、リビアの混乱によって、原油の先行きがわからなくなっているというのが大きく影響はしているというふうに言われておりますけれども、一方、資料でもおわかりのとおり、昨年の夏以降からも徐々に原油は上がっていたんですね。それに今の政情不安が拍車をかけているということになっていると思いますが、ちょうど二〇〇八年の高騰、あのときを本当に今思い起こすような状況になっているわけです。

 あのときで、例えばトラック業界で燃料の高騰によって一兆二千億円のコストアップにつながったというような業界の発言もあるとおり、今回の原油の高騰によって日本経済に与える影響というのは非常にまた大きい、あるいはこれを無視できない状況に今なってきているんじゃないかというふうに思いますが、大臣は、原油高騰の今後の見通しと、あるいは何らかの対策というかそのあたりをどういうふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 向山さんはガスの会社にいらしたということで、この道の専門家でございます。

 去年の夏の原油価格の高騰というのは、これは私の見るところ、リーマン・ショック以来の金融の緩和が続いておりまして、かなり投機資金などがやはりここに流れたということも否定できないのではないだろうかというふうに思っております。その流れも実は今底流に一つ。金融緩和で資金がだぶついていて、それが原油あるいは金などのコモディティー、そういうところに流れているということが一つ。そして、そこへもってきて昨今の中東、北アフリカの情勢の問題がこれありということでございます。

 その意味では、今御指摘のように、日本に一番影響のありますドバイ、あるいは北海のブレント、あるいはニューヨークのWTI、それぞれ御承知のように百ドルを超えている。ニューヨークは、きのうあたりはまだ百ドルから一たん戻っておりますが、これが経済に与える影響でございますが、何といいましても、やはり石油は産業の米でありますから、大いに注意をしなければいけないということであります。

 ただ、一番高値をつけました二年ちょっと前、日本の国内でガソリンの価格が百六十円を超えたようなとき、あのときの為替のレートが大体百十円台であったかなというふうに私は記憶しているんです。そうしますと、まさに、今八十円台でございますから、当時は為替が今から比べると円安、当時とすれば円高であったわけでございますが、それとダブルパンチになってきたということで、あのときの原油の価格が百二十ドル台をつけたときがありましたけれども、その影響が、今円高に向かっておりますので、原油価格の高騰、世界的にいうと、やはり円高、株安、こういうシステム、こういう相関関係にありますから、これはその意味でいうと、円高で少し相殺されるのかなというふうに思っております。

 ただ、その円高による株安ということもあります。これは、せっかく日本経済、先日、二月の十四日に昨年の十月―十二月のGDPが出まして、結果的に、暦年でいいますと、昨年は実は我が国は実質経済の成長率で三・九%ですよ。アメリカが二・九%、それからドイツがマルク安によって輸出が大変伸びて、これが大体三・六%ということですから、実は先進国の中で一番高い伸びを示したわけですね。そういう形で、これは民主党政権の一つの、余り自分で成果と言ってもいけませんけれども努力のたまものかなと思っておりますけれども、そういう中でせっかく経済が立ち直りを見せてきていた、踊り場を脱却しつつあったところへいわば冷水を浴びせかけられたようなことでありますから、これはしっかりとこの動きを注目していかなければいけない。

 それから、ちょっと先取りをしてお答えしますが、では、備蓄があるじゃないかということですが、備蓄については、これはまさに供給がストップになったとき初めて発動されるシステムでありますから、価格が高いということだけではこれは発動にならないということであります。ただ、価格との関連でいくと、例のガソリンの値下げ隊などが活躍したあの効果もこれありで、たしか小売価格がリッター百六十円を超えるとあそこの上乗せ分のところがあれされるということもありますので、そのような形で多方面にわたってしっかりと対応していきたい。

 ちょっと長くなりまして、済みませんでした。

向山分科員 どうもありがとうございます。

 今大臣がおっしゃるように、せっかく経済が回復しようとしているときに冷水を浴びせかけられないように、しっかり対応、特に、やはり国際協調というのも必要でございますので、機敏にそういう対策を打っていただいて、日本経済の発展に尽くしていただけたらというふうに思います。

 ちょっと原料価格の推移の表に戻っていただきたいんですけれども、ここの表でもおわかりのとおり、今大臣からありました原油に比べて、天然ガスの価格というのは、以前は原油と連動してほぼ同じようなカーブを描いてきていたんですね。しかし、最近はそういうのとは全く違うような動きになりつつございます。

 この原因というのはいろいろあるんでしょうけれども、一つはドバイです。あそこの油田が今世界一の油田、天然ガスの産出国になっておりますけれども、そういう新たな非常に大きなガス田の開発というのと、最近は、やはり大きいのがアメリカで起こっているシェールガスという革命なんですね。今まで、あることはわかっていましたけれども、なかなかそれを採掘できなかった。そういった新たな、非在来型と言われるそういうガスの採掘によって需給関係が大きく変わってきているということが要因なんですけれども、この表にあるとおり、JLC、ですから平均価格でも六十ドル程度というような状況になっておりまして、非常に有効なエネルギーじゃないかなというふうに思っているんです。

 もう一つ、価格の面だけじゃなくて、このガス田というのが、特に日本の輸入の相手国というのが、オーストラリアであったり、マレーシアだったり、インドネシアだったり、サハリンであったり、そういったカントリーリスクが比較的低いところが相手国なんですね。

 さらに、地球温暖化対策に非常に有効な、CO2の排出量が他の化石エネルギーに比べて格段に低いということもございまして、そういう環境対策にもすぐれているというようなことになっております。

 そういった背景がございまして、昨年の六月に閣議決定をされましたエネルギー基本計画、そこの中に、天然ガスシフトを推進すべきだという大きな政府の方針が出されております。その方針に従って今いろいろな施策が検討されていると思いますけれども、まず、大臣にお伺いしたいのは、今私が申し上げたような、特に化石燃料に対する動向、それと政府が決定したエネルギー基本計画における天然ガスの位置づけ、そういったことに対する基本認識はどう持っていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 貴重な時間ですから、今回短く御答弁申し上げますが、全く先生と同じ認識でございます。

向山分科員 どうもありがとうございます。

 それでは、その基本計画に基づいて今いろいろ経産省の中で検討をされていると思いますが、ガス事業のあり方に関する検討会というものがございまして、二つのワーキンググループに分かれて、その中のジャンルのことについて詳細な議論がされていらっしゃると思いますし、三月末にはそのワーキンググループの取りまとめを行うというようなことをお伺いしております。

 そのワーキンググループの中で、天然ガスの燃料転換・高度利用に関するワーキンググループと、そしてガスのインフラ整備に関するワーキンググループという二つがございますけれども、この燃料転換、特に産業部門がやはり結構大きいと思うんですけれども、高度利用、このあたりの今の検討内容というか、あるいは数値目標なんかがございましたらお聞かせいただけたらと思います。

 よろしくお願いします。

木村政府参考人 委員御指摘のとおり、エネルギー基本計画で天然ガスシフトを推進すべきということを受けまして、昨年七月に低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する検討会を設置いたしまして、天然ガスへの燃料転換、あるいは高効率コージェネレーションの導入拡大、さらには供給インフラ整備についての具体的な検討をしているところでございます。

 現在検討中でございますけれども、具体的には、産業部門の燃料転換を目指した大手のガス事業者が有する高度なエンジニアリング技術を全国展開する方策、あるいはコージェネレーション関連の技術開発のあり方というふうなことについて検討しておりまして、具体策を三月に取りまとめたいというふうに考えております。

 さらに、二十三年度の予算案におきましても、天然ガスを利用した高効率の工業炉やボイラーの導入の補助事業の拡大、拡充、それから高効率な天然ガスコージェネレーションの導入の補助事業の創設というようなものを盛り込んでおりまして、天然ガスの利用の拡大に向けた取り組みを推進していきたいというふうに考えております。

向山分科員 今、御答弁の中に、コージェネレーションの普及促進とか、あるいはガスエンジニアリングの高度化とかいうお話がございました。本当に推進をしていただけたらというふうに思いますし、それを推進する上で、やはりインフラ整備というのが欠かせないことになるというふうに思います。

 先回、ちょっと経産委員会でも資料を提示させていただいたことがございますけれども、日本のいわゆるガスパイプラインというのが非常にぶつ切れ状態になっておりまして、大手のガス事業者がいるところはパイプラインがあるんですけれども、その事業者と事業者の間が切れている。そして、その間にもたくさんの工業地帯なんかがというふうにございまして、パイプラインが未整備なことによって、非常に産業部門の競争力というのも向上していかないということがございます。

 しかし、パイプラインを整備する上で、やはり民間事業者に任せているだけでは全く話が前へ進まない、こんな状況に今あるんじゃないかと思います。そんな大きな金額の投資じゃございませんし、そういう意味では、やはり国としても資金調達とか税制上の優遇措置とかあるいは規制の緩和とかいった支援策は必要じゃないかというふうに思いますが、このあり方検討会の中でも議論されていらっしゃると思いますけれども、そういった方向性についてはどうお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

木村政府参考人 委員御指摘のとおり、天然ガスへの燃料転換の促進、あるいは天然ガスの安定的な供給の拡大におきまして、ガスパイプライン網の整備が重要であるというふうに認識しております。

 これまでも、政府といたしましては、事業者によるガスパイプライン網の整備に対する利子補給あるいは固定資産税の軽減等の支援策を通じて、事業者によるパイプライン整備の促進を図ってきたところでございます。

 現在検討しております、先ほどのあり方検討会におきましても、ガスの供給インフラ整備の促進を主要課題の一つとして位置づけておりまして、具体的には、今申し上げました投資インセンティブの付与に加えまして、関係行政機関の連携による環境整備、あるいはガス導管網の第三者の利用促進というようなことも含めまして、大都市圏以外の地方におけるパイプラインの整備に向けた具体的な方策を三月には取りまとめたいというふうに考えております。その検討結果も踏まえまして、引き続き、事業者によるガスパイプライン整備網促進に向けた事業環境整備に政府としても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

向山分科員 ありがとうございます。

 大臣もこの表を見ておわかりのとおり、これから天然ガスというのは、安価で、しかも環境に非常に有効な大切な燃料というふうに思います。最近、工場の海外移転というのが非常に多くなっておりますけれども、その一つに、やはりそういったコストアップ、特に原油とかで非常にコストアップすることに対しての、阻害要因というのがたくさんございますので、ぜひとも産業部門の海外移転を阻止する意味でもこういう有効なエネルギーの普及促進に努めていただけたらというふうに思います。要望させていただきたいと思います。

 ちょっと時間もございませんので、次のテーマに移らせていただきます。

 経産省でも、新成長戦略というものの実現で非常に大きなウエートを占められるというふうに思いますし、観光立国とかあるいは新産業の育成というのは当然経産省でもやっていかなあかん分野でございますが、そこで一つお聞きしたいのは、最近話題になっておりますカジノの解禁ということなんです。カジノが経済に与える影響というのが結構大きいというのはよく言われておりますし、将来、外国人の観光客は三千万人というのを達成しようと思ったら、私自身は、カジノ解禁は避けて通れない課題だというふうに認識はしております。

 そして、最近、アジアの先進事例というのがたくさん出てきておりまして、まずマカオですね。マカオは二〇〇〇年にカジノを解禁して、そして二〇〇六年にはラスベガスを追い抜いて売り上げでは世界一になったということです。もう一つはシンガポール。これも二〇〇五年にカジノを解禁して、そして昨年、二つの大きなリゾートが開業いたしまして、いきなり、シンガポールの観光客はそれまで九百万人だったのが一千二百万人、大体三〇%観光客はふえているんですね。

 私も現地に行ってきました。そして、関係者とお話をさせていただくと、大体カジノというのがそのリゾートの中のたった五%から三%であると。ほかは何かといえば、いわゆるMICEであったりIRであったりするということなんですね。ですから、そういうことを含めたら、カジノのマイナス要因である、青少年に与える影響とかあるいは治安の悪化とか、そういうことは余り出てきていないということをおっしゃっています。あるいは、日本でカジノが解禁されたらどうなんですかという問いに対して、日本は本当に魅力的だ、これだけの経済規模があって観光資源の豊富な日本にカジノを解禁されたら真っ先に投資をさせていただきたいというふうなお答えが返ってくるわけですね。

 そして一方、国内はどうなのかといえば、新産業の育成とか、あるいは経済効果が大きいということもございますので、経産省でもそういったIRの研究をされていらっしゃる部局はあるのかなと思ったら、全くないというようなお答えだったんですね。少しそれは驚きも隠し切れません。なぜそういうことになっているのかというのは不思議でたまらないんですけれども、そういうことならば、やはりこれは政治主導でやっていかなければいけないなというふうに思わざるを得ないんですね。

 きのうたまたま、国際観光産業振興議員連盟、別名IR議連とかカジノ議連とか言われておりますが、その総会がございまして、議員立法で本国会に必ず法案を提出しようというようなことを話し合ったわけでございます。経産省でそういう検討する部局がなければ観光庁に聞かざるを得ないわけですけれども、来られていますよね。観光庁に、そうしたら大臣にもひとつ見解をお聞きしたいと思いますけれども、その議連で今検討をし、あるいは法案提出の準備をしている特定複合観光施設整備法案、このことについての御見解をお伺いしたい。そして、大臣の御意見もお伺いしたいというふうに思います。

 以上です。

田端政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノにつきましては、まずは導入の目的、あるいは税収の使途、あるいは公営競技や娯楽とのバランスを踏まえたゲームルールの設定、賭博罪の違法性阻却の可否というような制度設計上の問題、さらに、治安維持対策や組織暴力対策、あるいはマネーロンダリング対策、依存症患者対策、青少年保護対策といった負の側面対策ということなど、政府全体で総合的、多面的な検討が必要な問題であると考えております。

 観光庁といたしましては、昨年まとめられました国土交通省の成長戦略を踏まえまして、MICE誘致の観点から、カジノを含めた総合リゾート開発、いわゆるIRの我が国におけるポテンシャルにつきまして、海外事例の収集、分析というものを行っているところであります。議連で示されました法案骨子も参考にしながら、IRが外国人観光客や国際会議の誘致につながるかという観点から検討を深めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

海江田国務大臣 きのう、その総会が終わった後、私は今政府の立場ですから出るわけにはまいりませんけれども、会長をやっている古賀さんからしっかりとお話を承りました。ここはまさに、やはり政治がきちっと責任をとってやらなければいけない問題だろうと思っております。

 私も、シンガポールも、一切ゲームには手を染めませんでしたけれどもしっかり見まして、あそこは、内国人と外国人に分けて、内国人に対しては一回の入場につき百シンガポール・ドルを取っておりまして、これがかなりやはりその地域の収入にもつながっておる、外国人に対してはフリーで入れてくれていますけれども。それから、マカオなどもいろいろな工夫をやって、それこそ観光客の誘致、それから地域の財源の安定にもつながります。

 ただ、もちろん犯罪の面だとかそういうことをしっかりコントロールしなければいけませんが、大いに研究する課題でございますので、経産省の中にそういった研究をする部門をつくることができるかどうかはちょっと相談をしてみますが、これはやはり基本的に政治家が前に出てしっかりと、その結果についても責任を負うという形でやるのが一番よろしいかと思います。先生の御健闘を祈ります。

向山分科員 ありがとうございます。

 やはり、今政府の方も、アジアの成長を日本に取り込むというのを大きな柱にされておりますし、外国人にたくさん来ていただこうというような方針があるんですから、何でまたそれを避けてしまうのかというふうに言わざるを得ないんですね。やはり、マイナスばかりを強調するんじゃなくてプラス面というのをしっかり取り込むように、大臣と一緒に取り組んでいけたらというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 時間がございません。最後に一つ質問をさせていただきますが、それは商店街の活性化ということなんです。

 これは経産省の所管の事項でございますが、大臣のところにも商店街があると思います。私の地元にもたくさんの商店街がございます。商店街というのは、一つの町のコアでもあるし、地域のコミュニティーの言うたら発信源でもございますし、商店街の中でいろいろな人の営みというのが出てきているわけでございますので大切な一つのコアなんですけれども、残念ながら、どこもそうでしょうけれども、シャッター通りという言葉に代表されるように、非常に店舗等の閉鎖で、衰退に歯どめがかかっておりません。

 経産省としましても、中心市街地活性化法とか、一昨年は地域商店街活性化法というのをつくって一生懸命サポートしているというのはよくわかりますけれども、残念ながら、結果として大きな効果にはつながっていないんじゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、ちょっと地元のことを紹介させていただきますと、私の地元に新長田というところがございます。これは神戸の長田区にございまして、十六年前の震災のときで壊滅的な被害を受けまして、ほとんどの店舗も崩壊したというところなんですけれども、地元の皆さんが本当に地域を愛する気持ちでそれを復興させようということになりまして、いろいろなNPOの団体とかあるいは商店街での結束を強めていろいろな創意工夫をして、町の復興あるいは活性化に取り組んできました。これは本当に、私、地元選出の議員としても非常に誇りに思うような、ある意味、活性化の好事例になるようなところだというふうに思っているんです。

 そこの中心の事業というのが、横山光輝さんが新長田の近辺で生まれ育ったこともございまして、鉄人28号というアニメを活用して、NPO法人でKOBE鉄人PROJECTというのをつくって、十八メーターという等身大のモニュメントをつくったんです。それが非常に町おこしに役立っているんですけれども、それの建設費が一億三千五百万かかったんですけれども、それに対する助成がなかったということを聞いているんですね。

 それはちょっと食い違いがあるかもしれませんけれども、事ほどさように、やはり地域の創意工夫というのが何としても欠かせないんですけれども、それを反映できるようなそういう仕組みになっているかどうか、ちょっと疑問もあるんです。そのあたりの確認と、あるいは、今後そういうことをどんどん進めていただきたいという気持ちで、この商店街の活性化について御見解をお聞かせいただきたいと思います。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 中心市街地の活性化でございますけれども、今、全国で百三の基本計画が認定をされまして、事業を推進しているところでございます。

 これにつきまして、戦略補助金という補助金がございまして、これによって支援をすることになっております。この補助金につきましては、実は、一昨年の事業仕分けにおきまして、予算の見直しということとあわせまして、よく地方自治体の御意見も伺った上で、戦略的、効果的な事業に重点を置いて支援をすべきである、そういう御指摘をいただいたところでございます。

 今、私どもとしても、それに対応いたしますとともに、地元における効果的なプロジェクトの形成に役立てるために、ことしになりまして、成功している事例の事例集もつくりまして、また専門家の派遣などもやりまして、できるだけきめ細かに創意工夫のあるプロジェクトの支援をできるようにしていきたい、そのように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

向山分科員 時間が来ましたのでもうやめますけれども、予算上でも、中心市街地活性化法も商店街活性化法も減額されているんですね。だから、金額がすべてじゃございませんから、ぜひとも中身で勝負、それも、地元の盛り上がり、地元の創意工夫、これを中心に据えて支援をしていただきたい。このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

津村主査 これにて向山好一君の質疑は終了いたしました。

 次に、川口博君。

川口(博)分科員 川口博と申します。秋田の二区であります十和田の湖のほとりで生まれた男です。

 実は、十和田のほとりは大変緑が豊かで、まさに緑のジャングルです。日本の国というのは、コンクリートのジャングルのような都会と十和田の緑のジャングルのような、そういう国、日本の国はある意味では二つに大きく分けられておるのかな、そう思っていますが、今まさに、私のふるさとであるその緑のジャングルの国日本が失われつつあると思っています。そういう意味では、緑のジャングルの日本がしっかりし、都会のジャングルの日本がしっかりし、そしてこの日本という国が世界のリーダーになっていけると思います。

 田舎の方の光をどうやってもう一回よみがえらせるのか、その点について、きょうは御質問をさせていただきます。

 振り返ってみると、明治の時代、日本という国は、ある意味ではイギリスのまねをしながら、石炭とか蒸気の力をかりて見事産業革命に成功しました。明治二十年です。それから、同じ二十年ですが昭和二十年は、ある意味ではアメリカの物まねをしながら、石油化学工業の力でこれも見事日本はよみがえりました。平成の時代、二十年はもうとっくに過ぎたんですが、いまだに混沌としております。分水嶺を越えて日本の国の形をどうするのか。今までのような石炭とか石油の力じゃなくて、では何の力に頼っていくのか。イギリスとかアメリカとか世界の物まねじゃなくて、日本独自の国の形をどうやってつくっていくのか。この辺がよく見えないのが今回の状況だと思っております。

 ですから、この分水嶺を短期間に乗り越えて、なおかつ、やはり勇気を持って前に進む。もちろん、前に進むからには戦略が必要だし、いろいろなスタッフも必要です。

 私も、去年から実は三つの研究会を独自に立ち上げました。

 一つは、土を中心とした、微生物の力をかりたような、そういう農業研究会を立ち上げました。もう一つは、資源の関係で、「こでん」とか家電、車というのは日本のすばらしい技術で世界のリーダーとなっていますが、飛行機とか大型の工業製品はまだできておらないです。そういう意味で、飛行機リサイクル研究会も実は昨年立ち上げました。もう一つ立ち上げたのは、あるときは土の力、あるときは微生物の力をかりて、あるときは資源を大事にしながら、そういう賢い人材が世界にたくさんいないとなかなか外交もうまくいかないと思います。そういう意味で、昨年もこの分科会で提言をさせていただきましたが、JICA大学を日本の国としてぜひ行うべきだ。JICA大学を通して世界の発展途上国の方々に貢献をしながら、そして世界に尊敬される日本になろうではないか、そういう趣旨のもとで、実はJICA大学研究会も独自に立ち上げております。

 きょうは、この独自に立ち上げた研究会のうち、二つについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、これから十年間で、ひょっとしたら五千機、もしかしたら一万機の飛行機のスクラップが世界に出てくるという予測もされております。それは、今回の飛行機リサイクル研究会のメンバーは、例えば全日空、日本航空、もちろんオリックスもリースを持っています、そういう実際に飛行機を持って飛ばしている民間企業の方々、それからDOWAとか三菱とか、リサイクルを得意とする方々、それから欧米のシンクタンクも入っていますが、そういう方々のお話を伺っての、民間主導の研究会での話の中身です。

 ですから、本当にビジネスモデルが可能なのかどうかというのは今まさに研究会で議論中でありますが、今申し上げたような大量発生が見込まれる退役機、この資源確保がますます重要な課題となる中で、そして地方空港の活用と新産業の創出が期待される飛行機リサイクルについて、調査研究やモデル事業を行うべきだと考えておりますが、政府の考え方はいかがでしょうか。

松下副大臣 お答えいたします。

 川口議員が日ごろからこの問題に非常に熱心に取り組んでおられていることをよく承知しております。また、御出身の秋田県も、このリサイクルの問題に全国に先駆けて取り組んでおられる。大変注目して、刮目して見ているところでございます。

 今おっしゃいました航空機の問題、おっしゃるとおりに、チタンとかアルミなどの有用な金属資源を多く含む製品、言いかえれば資源そのものだというふうにも思って、認識を同じにしております。この製品に含まれる貴重な金属資源をより効率的に利用していくということは、もう御指摘のとおりだ、重要だと考えております。

 そういうことで、今年度補正予算でレアアース等の利用産業等の設備導入事業を計上いたしまして、その中で、航空機用の大型部材の国内リサイクルが可能となるような設備導入に対して必要な支援を行おうということにしております。

 今後とも、資源そのものでもある航空機に含まれる金属資源が一層活用されるように、しっかりと注視してまいりたいし、その活用をしっかり推進していきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

川口(博)分科員 副大臣、ありがとうございました。

 私の地元にも大館能代空港という地方空港があります。全国には九十八あるそうです。実は、この大館能代空港も、つくった際は七十二万人お客さんが乗るという予測のもとで、地元も一生懸命努力はしておりますが、結果的には今十一万人というような大変厳しい数字が出ております。ですから、せっかくつくった飛行場もあります。そしてまた、地元にはリサイクル技術もあります。ない物ねだりをしないで、ある飛行場、ある技術、あるものを使って、ないもの、それは雇用とか経済の力とか税収の力がないわけですから、ぜひローカル空港の再建の夢も乗せて、いろいろな思いを込めての飛行機のリサイクルでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 それから、二つ目でありますが、飛行機と同じように、船舶、船のリサイクルについて伺いたいと思います。

 ほとんど鉄の塊ではありますが、鉄の原料となる鉄鉱石や石炭が大きく値上がりしております。そしてまた一方、廃船舶が途上国で必ずしも適切でない方法で解体されて、その結果、いつも人間と環境に負担を与えるような、これはやはり文明社会では通用しない方法だと思います。

 我が国にもたくさんの港があります。ひとつ船舶の活用について、いかがでしょうか。

市村大臣政務官 川口先生におかれましては、町議、町長時代を通じて循環型社会の構築に努め、大変御尽力賜っているということでお聞きしておりまして、本当に敬意を表します。

 お尋ねの件でございますが、川口先生御指摘のとおり、大型船舶のリサイクルは、主に発展途上国、労働コストが安いということがありまして、そこで主にやられているというのが現実でございます。また、その解体のあり方が大変不適切、私どもから見て大変不適切な、劣悪な環境でやられているということではないかというのも御指摘のとおりでございます。

 そういう状況を受けまして、IMO、国際海事機関というものがあります。そこで二〇〇九年五月に、シップリサイクル香港条約、正式名称はちょっと長いのですが、これは仮称でございますけれども、船舶を安全かつ環境上適正にリサイクルするための国際条約が採択されております。この採択を受けまして、今、特に日本が中心になりましてガイドラインを作成しているところでございます。これはもちろん日本だけじゃありませんが、日本が中心になっているということでございます。こうしたガイドラインをつくりまして、できれば早目にこれをつくって、そして条約を各国で批准していただき、発効させたいというところでございます。そういう取り組みを日本は今しております。

 また、先生も御指摘のとおり、船というのは鉄の塊、九五%が鉄ということでございまして、これもせっかくのいい資源でありますから、途上国だけじゃなくて日本でもこういうリサイクルを何とか進められないかということが今ありまして、その実証実験を例えば室蘭港等でやっているところでございます。また、環境に優しい解体技術の研究開発、例えばウオータージェットを使って船を解体するとか、そういう実験、研究開発にも取り組んでいるというのが現状でございます。

 ですので、先生御指摘の件も含めながら、いいあり方を今後ともしっかりと追求してまいりたいと思いますので、今後とも御指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。

川口(博)分科員 例えば、船の解体でも、携帯電話の解体でも、将来の飛行機の解体でも、工業製品の中には有害物質も入っています。ただ、その有害物質をうまくコントロールして我々の文明社会が成り立っているわけでありますが、この最も難しい有害物質をちゃんとコントロールできるような技術というのは、やはり世界の中では日本がナンバーワンです。日本の分水嶺をどうやって乗り越えるかという話を冒頭させていただきましたが、やはり日本の持っている力というのは、今までは、昭和の時代までは、ものづくりで安くていいものをどんどんつくっていく、これは動脈産業ですが、もういよいよ日本の出番は静脈産業だと思っています。

 例えばアフリカとかアジアの方では、船のリサイクルでも何でも、いいところだけとって、あとはまずほっぽり出します。これは鉱山も全く一緒だそうです。金鉱山があって、水銀をくっつけて、水銀と金は友達ですから、金だけとって、あとは水銀はほっぽり出す。これはやはり人間とか環境にいい負担を与えるわけがないです。日本の平均寿命が世界でナンバーワンだというのも、もちろん医療とか介護とか福祉とか食料とか、すべての総合力の力ではあるわけですが、ある意味では、やはり環境に対する技術の高さというのもその背景にあると思います。この日本の持っている静脈産業の力を発展途上国の方々がきっちりと受け継ぐように、そういう強みを日本はやはり静脈産業を通してもっともっとPRしていくべきだと思っております。

 そこで、その静脈産業との関係も出てきますが、お尋ねの三点目でございます。

 小型家電のリサイクル、レアメタル回収を旗印に日本各地でモデル事業を進めていただいておりますが、その進捗と見通しについてお聞かせいただきたいと思います。また、次世代自動車などについては、レアアースが使われていると思いますので、リサイクルの状況について、把握されている範囲の中で御教示ください。

 工業製品にはレアメタルやレアアース、あるいは航空機の場合は強くて軽いアルミ合金など、貴重な資源、素材が使われています。そうしたものを、その特性を生かした分野、値段は高いが高性能な製品に利用すべきです。静脈産業を高級、高度な動脈産業につなげていけるとすれば、日本にとって一番いい形だと思います。小型家電や次世代自動車に限らず、そうした例があれば、研究段階のものでも結構ですので、教えていただきたいと思います。

松下副大臣 お答えいたします。

 経済産業省では、平成二十年度からですけれども、環境省と合同で、使用済みの小型家電からの効率的、効果的なレアメタル回収に係るモデル事業を開始いたしました。今年度は全国七地域で実施しています。川口議員御出身の秋田県、これも県内全域で取り組んでいただいておりまして、七地域ございますけれども、本当にモデルとして大変我々も刮目して、注目しているところでございます。

 このモデル事業を実施した結果、人口規模とか住民意識等の地域特性を踏まえた回収システムが必要であることに加えて、これまで素材とか部材メーカーや完成品メーカーに情報が分散していたレアメタル含有量等が明らかになってきました。この得られた成果を踏まえて、受益と負担のバランスがあるんですけれども、これを勘案しながら、レアメタルリサイクルの推進に向けて引き続き検討していきたい。これは大変大事なことだと考えています。

 また、お尋ねの自動車の件ですけれども、これはメーカーにおいて、廃車となったハイブリッド自動車に搭載されていた蓄電池、これはニッケルとか入っていますけれども、これを再び蓄電池原料として再利用する、より高度なリサイクルに取り組んでいるわけでございます。

 政府においては、モーターの磁石、それからリチウム電池、触媒などに含まれているレアメタルの使用量低減、それからリサイクルに関する技術開発を実施しておりまして、今後、こうした取り組みをしっかりと進めていきたいというふうに考えています。

 以上です。

川口(博)分科員 ありがとうございました。

 それで、最後の質問になります。JICA大学の構想についてお伺いいたします。

 鉱山開発、もちろん製錬、環境、リサイクルとも内外の人材育成が大切であります。昨年の分科会で、国際資源大学校の拡充について質問をさせていただきました。そこで増子副大臣から、研修期間を延長して一年程度に延ばすことも必要との御回答をいただいておりますが、またその一方で、その後、資源大の研修はJICAによる研修であり、経済産業省としても外務省にしっかり要望していきたいとの御回答もちょうだいしております。鉱物資源をめぐる国際的な情勢が緊迫度を高める中、ぜひとも大幅な拡充を図っていただきたい。

 思いとしては、研修期間を一年ぐらいにして、例えば経営学修士、マスター・オブ・ビジネスがあります。二十世紀も、大変な大きな力をMBAの皆さんは発揮してくれました。二十一世紀の成熟社会は、もちろんそれも大事ですが、環境学修士、マスター・オブ・エンバイロンメント、そういう資格を取れるような大学をぜひ日本の中でつくっていただきたい。今、研修期間は二カ月であります。

 やはり、私は金の使い方として、生きた政策としての使い方として、将来に生きる金の使い方、幾ら金をつぎ込んでも将来の政策として地域の方々が豊かにならないような政策は正しい政策ではないと思います。そういう意味で、生きた金の使い方の一つの提案として、日本の中にJICA大学をつくり、発展途上国の方々に尊敬されるような国を目指そうじゃないか、それが私の思いでもあります。よろしくお願いします。

能化政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生から、資源問題の重要性、途上国との協力の重要性を御指摘いただきました。

 私どもといたしましても、資源の確保、そしてその安定供給というものは日本経済の発展にとって極めて重要でございまして、政府の経済外交の柱の一つというふうに認識しております。

 お尋ねの資源分野につきましては、JICA研修でございますけれども、従来から、例えばアフリカ地域を対象にいたしまして、リモートセンシング技術を活用した資源探査技術の基礎研修でございますとか、それから環境に配慮した効率的資源開発・利用に関する研修、これは恐らく今先生が指摘された研修だと思いますけれども、そういうものを実施してきておりまして、ただいま御意見を賜ったわけでございます。

 私ども、こういったJICA研修事業につきましては、昨年十二月の独立行政法人の抜本的見直しに関する閣議決定というのもございますので、そういうものも踏まえ、研修の効率化を図りつつ、一層効果的な研修の実現に努めてまいりたい、このように考えておりますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。

川口(博)分科員 鉱山を掘るというのは、大変な長い時間とお金がかかります。例えば、銅のスクラップが日本の中には今十万トンあります。その四割、四万トンは回収していますが、六万トンは、一部はアジア、もしくはどこかに不法投棄か、よくわからないです。その六万トンの銅をとるためには、一千万トンの銅鉱石が必要。その一千万トンの鉱石を掘るためには、それ以上の土砂とか岩石を掘らなきゃならないんです。ですから、大変な莫大な量、地球を傷つけながら、その貴重な資源を我々はちょうだいし、活用しているわけですね。

 ですから、ある意味では、食べ物については、どこから来た食べ物というのは非常によく表記をされていますが、例えば携帯電話の中の金も、これはどこから来た金とか、ある意味で表示をしながら、資源というのは大変大事なものだ、そういう啓蒙をもっともっと続けていかなきゃならないと思うし、特に発展途上国の皆さんとはその辺をもっともっと、日本の公害の経験も踏まえて、後々大変高いものにつくよ、そういうことに日本が貢献できるいい機会だと思って、実はJICA大学の話をさせていただきました。

 大臣、副大臣、それから政務官、ありがとうございました。外務省の方、ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

津村主査 これにて川口博君の質疑は終了いたしました。

 次に、平智之君。

平(智)分科員 民主党の平智之です。海江田大臣、松下副大臣、中山大臣政務官、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問させていただきます。

 第一点、唐山の曹妃甸についてお伺いをしたいと思います。

 唐山の曹妃甸には、エコ工業区、これは日中でぜひ開発をしてほしいということで、二〇一〇年の五月三十一日に温家宝国務院総理が来日をされた際に、鳩山前総理との日中首脳会談の場で温家宝総理から提案をされた広大な六十平方キロメートルの工業区でございます。

 この場所について、鳩山前総理もその後曹妃甸を直接訪問された上で今後ともやっていこうということでお約束をされた土地でありまして、実は、去る二月の十日に、資料一にございますとおり、外務省を事務局として曹妃甸官民検討グループが立ち上がったところでございまして、まさにキックオフをしたところであります。

 このプロジェクトは、胡錦濤国家主席も温家宝総理もエコ循環経済の中国を象徴する地としておりまして、日本としても、日中の環境協力の象徴的な場所になるというふうに認識をしております。したがいまして、この官民検討グループの今後の動きに中国側も大変注目をしているというふうに考えております。

 大臣にこのプロジェクトの意義と今後の展開について御所見をお伺いします。

海江田国務大臣 平委員にお答えをします。

 平委員は、本当に何度も現地にも足を運んでいただきましてありがとうございます。

 私はまだあそこは一度も行ったことがないんですが、唐山というのは、一九七六年、毛主席が亡くなる年に大地震があって、そのときちょうど私は天津にいまして、唐山の、そのときはまだ曹妃甸というのはそれほど有名ではなかった。

 渤海湾に面した広大な土地ですね。中国側はあそこを大変重点的な開発地域、しかも、二十一世紀型の開発ということで、おっしゃるようなエコ工業パーク。従来の大連ですとか各地にできましたいろいろな工業開発区は、まさに工業開発区ということでエコの観点がなかったわけで、その意味では新たにエコの観点が加わった二十一世紀型の環境に優しい工業開発地域をつくろうということでございますので、そういう認識に立ちまして、今委員お話がありました、ちょうど今月の十日に第一回の会合、キックオフが始まったばかりでございます。

 そこでは日本側からいろいろな要望が出されました。はっきり申しまして、やはりインフラの整備は大変です。そのインフラ整備をどういうふうにするのか。また、日中間の役割分担をどうするのかということで、まず日本側から、中国側がそこに日本の資本あるいは日本の企業に来てもらいたいというのなら、どういう準備ができるんですかということを投げかけた段階でございます。

 ですから、両方が今後ともこうした話し合いを継続させていって、本当に新しいエコ工業地域ができることによって中国の経済も発展する、日本の経済も発展をする、しかも地球環境に優しいというような地帯をつくっていきたい、そのように考えております。

平(智)分科員 大臣、ありがとうございます。

 この曹妃甸プロジェクトは、ほかの天津、大連を含めて循環経済の中心地となると思いますから、ぜひとも御協力をお願いいたします。

 続きまして、同じく日中に関してですが、新エネルギーや環境技術の協力全般について一つお聞きをしたいというふうに思います。

 今現在、経産省におかれては、省エネルギー・環境総合フォーラム等、もう第五回を数えましてこれは定例化をする。これは鳩山前総理が二〇一〇年五月にまさにその日中首脳会談の場で定例化を約束され、今後も引き続き行われていく。あるいは、かなり前になりますが、三十年前には、一九八〇年に、大平内閣の時代に文科省と科技部の間で日中科学技術協力会議というものが取り交わされております。そのほか、環境省と中国側の環境保護部が覚書を交わして環境技術に関する交流をする。経産省や文科省や環境省が、それぞれ、国家発展改革委員会、科技部、そして環境保護部というふうにカウンターパートをかえながらさまざまな新エネルギーや環境技術に関する取り決めを行い、活動を行っている。それぞれ個別なわけですね。

 しかし、大臣も御案内のとおり、昨今のインフラ輸出、あるいは都市ごとの開発になりますと、それは文科省です、それは経産省です、それは環境省ですという形で縦割りに割れないことがあると思います。ましてや経産省においては、新エネルギー、省エネルギーはエネ庁であり、環境技術であれば産技局というぐあいに、それぞれ部、課、局が分かれていくということでございますから、仕事の手続上はそれでよいわけでありますが、事インフラパッケージであるとか、都市丸ごとの開発という日本がこれまで経験したことのない事態に直面したときには、国家が日本の環境技術、クリーンエネルギーの協力をしたい、ともに研究開発していこうという場合には、このばらばらなものを一回総まとめにする必要があるのではないかと考えます。

 この観点で、実は、二〇〇九年の十一月には日米クリーンエネルギー技術協力で、これも鳩山前総理とオバマ大統領が取り決めをされています。つまり、これは日米です。同じく、二〇〇九年十一月に米中クリーンエネルギー共同声明が取り交わされており、これは胡錦濤さんとオバマさんの間で取り交わされている。これはクリーンエネルギーと言っていますが、新エネ、省エネではなくて、環境技術も含んだ広い概念であります。

 つまり、米中と日米が、今申し上げたような課、部、局をまたいだ大きな観点で、パッケージとして新エネ、省エネ、環境リサイクルすべてを含めた技術協力の大きな枠組みをつくっている中で、なぜか日中に関してはそれがない。

 したがって、もう一度申しますが、過去のさまざまな、それぞれのカウンターパートの覚書や取り決めを一たびまとめて、大きな枠組みで取り組む日中の取り組みが必要ではないか。これを経済産業省としてリーダーシップを持ってやっていくべきではないかと思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。

海江田国務大臣 先ほど先生から御指摘のありました日中省エネルギー・環境総合フォーラム、これが二〇〇六年スタートで、先ほどお話がございました第五回が去年の十月ということで、これの参加人員あるいはそこでの協力案件、成約した分というのを見てみますと、やはり去年はかなり飛躍的に増大をした年ではないだろうか。日中合わせまして千百名がこれに出席をしたということでありますので、成約件数も四十四件ということでございますから、今、当面、これが一つの中心的な役割を果たすことになろうかなと思います。

 ただ、今おっしゃるように、これをもう少しハイレベルといいますか、それが必要だということになれば、来年がちょうど中国が新しい体制が誕生する年でございます。来年の何月になりますか、秋口ぐらいになりますか、胡錦濤主席にかわる新しい指導者が登場することになりますから、必要があれば、恐らくそれまでには第六回のフォーラムも開催をされる、次回はたしか北京だと承知しておりますが、そこで新しい指導者も含めて、包括的な、本当に幅広い、そうした提携を結ぶ枠組みをつくることも一つの選択肢かなということで、その際はまたぜひ先生の御意見もお聞かせいただきたいと思います。

平(智)分科員 大臣、ありがとうございます。選択肢の一つに加えていただいてありがとうございます。

 それでは、日中の質問はここまでにいたしまして、今度はベンチャー政策についてお聞きをしたいと思います。

 ベンチャーを支援するというのは、この国の国家命題であると思いますし、ベンチャーイコール新しいビジネスを始めると同時にジョブクリエーション、雇用を生む、これをセットとしてベンチャーという定義をするのが私はこれからの今の日本の課題であるというふうに思っておりますが、ベンチャーについては、その支援はさまざまな制度がありますが、その中で中小企業基盤整備機構の起業支援ファンドについてお尋ねをしたいと思います。

 私の方でお調べしていますと、このファンドの累積投資額というのは大枠千四百四十億ほどある。このうち、機構が内数で約五百七十億入っている。ですから、機構の公的なお金五百七十億と残余を含めて千四百四十億、民間の企業のお金も含めて今入っている。これらが累積で投資をされている、こういうことでございます。

 ここでお尋ねですが、今現在の累積の損益はどのようになっているか、三役にお尋ねいたします。

中山大臣政務官 ただいま平委員からいろいろファンドについて、またはベンチャーを育てるという視点から大変前向きなお話がありました。我々は中小企業憲章をつくりまして、そこに今言ったような趣旨を盛り込んでございます。

 どのくらいの損失を出しているかというようなお話もあったかと思うんですが、大体約二百億ぐらいの含み損があるんです。

 しかしながら、これは新しい企業を育てていく、ベンチャーをしっかり支えていくという我々の理念からいってリスクマネーであることも間違いないわけで、これは民間金融機関がつくって五年以内の企業になかなかお金を貸さないというところを補ってきているわけで、含み損も、まだ続行中でございますので、ひょっとしたらもっとよくなる可能性もないわけではありません。

 私たちは、このリスクを少しでも、まあ、使ってもらう側と返済計画などを話し合わなければなりませんが、できる限りリスクは公的なものである程度抱えていくこともやむを得ないことかと思っておりまして、そのくらいの含み損があります。

平(智)分科員 ありがとうございます。民間、公的なお金がブレンドされて千四百四十億投資をされている中での二百億の累損があるということでありますが、大体一五、六%のマイナスが出ているということだと思います。

 中山政務官がおっしゃるとおりリスクマネーでありますから、リスクをかけているので直ちに累損があることをとやかく言うということは、その限りでは問題であります。

 しかし、投資という概念から見ますと、損を抱えるということについては問題がございます。投資は投資でありますし、民間の金も含めたファンドでありますから、ファンドは運用成績を上げる必要がございます。その観点から少し意見を申し上げたいんですけれども、やはりこのファンドは公的資金が関与しているがためにリスクはとれないというふうに、つまり、リスクはリスクなんだけれども、より低いリスク、安全なリスクの方へ寄っているのではないかというふうに思います。したがって、リスクが小さいということは、アップサイドも小さいということであります。

 そうしますと、今、この起業支援ファンドというのは、ファンドが八十五あって、そのそれぞれのファンドが複数の企業に投資するファンド・オブ・ファンズの形をとっているわけであります。その企業数は二千社に及ぶというふうに私の調査で聞いておりますけれども、これだけの数がある場合はそれなりの大きなポートフォリオになっているのであって、一社一社の安全を図るためにリスクの小さなものばかりを二千集めたとすると、それはそれぞれのアップサイドも小さいですからなかなか大きな利回りの方向へ向かっていかない。

 私は、むしろ考え方は逆であって、二千件のオーダーになるのであれば、一つ一つは極めて大きなリスクを持つけれどもアップサイドも大きいというものを千件集めるべきだというふうに考えます。ほとんどリスクですから、リスクの大きなもの、つまり、世界シェアをねらうとか日本じゅうの市場をねらうというぐらいの大きなアップサイドをねらったリスクに千件投資をしていけば、その中で三件でも成功すれば利回りとしてはオーケーであるというようなポートフォリオの発想で投資をしていくべきではないか。つまり、今までの考え方と根底的に発想を変えていく必要があるのではないかと私は考えております。

 この点について大臣あるいは三役の御所見をいただければと思います。

中山大臣政務官 今の話はよく出ている話でございまして、ハイリスク・ハイリターンというわけではないんですが、投資という意味は、やはり中小企業に頑張ってもらいたい、対象はあくまでも、今は小さいけれども大きくなってもらいたいという意味合いも含めて私たちはこの問題に取り組んでいるわけでございまして、今後とも、今の御意見を取り入れて、一つはそういう考え方もあるんだなということを今感じまして、平委員の意見を私たちも考慮しながら、新しい、もっと本当にこの国のためになる方法を考えていきたいと思います。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 私もベンチャーにかかわる現場の皆さんとよくお話をする中で、運転資金を何とかしたいという考え方ではベンチャーにならない、発想は新しくても。やはり、世界市場全体をとりに行くぞ、三割、四割とりに行くぞという、大きなアップサイドをねらっていくものが後に雇用を生むわけですから。繰り返しますが、運転資金を何とかしようという考え方、あるいは、これまで継いでこられた家業の中から若干微修正をしたビジネスは、それはそれで応援する必要があるが、ベンチャーファンドの対象ではないと私は考えていまして、大きなアップサイドに大きな雇用が生まれるものを千の中で三つ探すという、夢に投資をするというのが公のお金が入った投資ファンドではないかという提議をさせていただきたい。ぜひそういう考え方も、先ほど中山政務官のお言葉どおり検討いただきたいというふうに思います。

 続いて、産業革新機構のことについて、この話に関連しますのでお尋ねをします。

 産業革新機構は、この資料の二ページにございますとおり、四つの分野に分かれた投資の考え方を持っておられる。そして、絵がかいてございますが、研究開発のアーリーステージのさらに早い段階から、研究開発ステージ、製品化ステージ、事業化ステージというぐあいに時系列で流れておりまして、そのすべてを投資対象とされている絵づくりになっております。これは産業革新機構のパンフレットからコピーをしたものでございますが、どうなんでしょうか。産業革新機構も、これは公のお金でございますから、事業化直前であるなり、大きな企業からマネジメント・バイアウト等で出てくるものについては、これは民間のお金がリスクをとりにいける分野と考えてよいのではないでしょうか。

 産業革新機構がぜひとも取り組んでいただきたいのは、やはりベータ版や試作版もないような、まさにRアンドDや、サイエンス・アンド・テクノロジーと呼ばれるSアンドTのアーリーステージのかなり前の段階、民間のエクイティーファンドが手をつけられないリスクを持った非常に初期の段階にこの公のお金が入っていくということが必要ではないかというふうに思います。

 もとより、産業革新機構のような組織は、私は日本に必要であると考えております。これは、イギリスにおけるカーボンファンドなり、ドイツにおけるハイテクファンドも国家のお金で運用されているわけで、日本でもこれは必要だと思いますが、問題はその投資先。アーリーステージの早い段階に限定して投資をしていく必要はないか、御所見をお伺いします。

中山大臣政務官 先ほど来の意見からずっと続いているわけでございますが、やはりファイナンス、お金を融資するというところから、できるだけ長期的なもの、特に出資、もしくは株を購入するとか、できるだけ長い期間で見てあげる。つまり、仕事を起こしてこれが実るまでには、うっかりすれば十年、十五年かかるわけでございまして、劣後ローンであるとかいろいろなものを私たちも考えていかなきゃならないと思うんですね。

 今言ったように、特に先端的な基礎技術の事業展開とかベンチャー企業の事業をもっと拡大して、さっき言ったように世界で通用するようなものになろう、こういうときには、私たちも若干のリスクをとりながら、しかも民間の融資や投資を誘い込んでいくというところは我々がインセンティブを引かなきゃいけないというふうに思うんですね。

 今、海外に私たちも展開をいたしております。そういうときもしっかりバックアップして、日本じゃなくて世界的なメーカーになってもらいたい、こんなような意味合いも含めて平委員の言うとおりでございまして、これも本当に検討に値する話です。

 私たちも、一生懸命、そういうような多少のリスクをとりながら民間の金融機関を巻き込んでやっていくような形をしっかりつくっていきたいと思っております。

平(智)分科員 政務官、本当にありがとうございます。これが日本の景気あるいは産業の底を刺激するんだと私は信じております。つまり、公のお金を非常に初期の段階の、まだ研究データをこれからそろえる段階に応援のお金を入れて、それが徐々に事業化に向かっていく中で民間のファンドに渡していくというのが革新機構の仕事であると私は考えていますから、先ほどの起業応援ファンドのようなファンドという形ではなく、これは一件一件応援していくわけですからより危険なわけですが、それにしても育てて渡していくという絵づくりをこのパンフレットの中でもしっかり位置づけていただくようにお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、企業結合ガイドラインについてお尋ねをしたいと思います。

 これは資料の三ページにもお示しをしていますように、新聞の記事にもなりましたとおり、「合併の「事前審査」廃止」という言葉が一面トップに出ました。これについては新成長戦略の中で閣議決定をされて、企業合併規制について手続と基準を両方見直しますということになった。手続については事前相談制度をなくす。これは間違いないところですが、問題は審査基準について、これはもう大臣もお聞きになっておられるとおり、基準ですので文言にかかわってくる問題が多々あって、公取の方は基準を変えますよとおっしゃっているが、経済団体の方は、いや、それではまだだというお考えを持っておられる。

 ポイントは一点で、とにかく、事前制度がないわけですから、これから出してみないと可否がわからない。でも、出してみたところだめでしたということになれば、これは大変な経済損失を生みますから、事前にはっきりと可否がある程度推量できるように公取の裁量をなるたけ減らしていくという努力をガイドラインの中の文言に埋めなきゃいけないと思います。これについて大臣の御所見をお伺いします。

海江田国務大臣 まさに企業結合をやる際に大切になってくるのが審査結果の予見性ということで、さんざんやったけれどもだめだったよということでは前に進まないわけですから、その意味では審査結果の予見性を高めるということは本当に重要だと私ども思っております。

 それから、今御指摘のありました経済団体、日本経団連、あるいは関西経済連合会が、ほぼ同時に、去年の十月と十一月ですか、そういう意向を出しておりますので、御案内のように公正取引委員会というのはそれなりの独自性がございますので、私どもとすれば、こうした経済界の指摘をよく踏まえて、そして経済産業省の意向も踏まえていただくことを強く期待するということが今の時点での正式なコメントでございます。

平(智)分科員 ありがとうございます。

 本日も朝一番から成長戦略・経済対策PTがございまして、その場でもちょうど議論をしてきたところでございました。私は、企業結合規制が必要ないとは全く思いません。もちろん、それは必要なのであって、競争政策上重要な観点であります。

 しかしながら、これだけ世界の市場がグローバルで、メガコンペティションの時代になっていて、日本の企業結合規制だけが、アメリカの解説集やイギリスの事例集などがあるのに比較すると圧倒的に不透明である。これは企業にとってみれば、出していいのかだめなのか、どれぐらいかかるのかがわからないという恐怖感自体がメガコンペティションを阻害するということになりますから、何としても前提として企業結合は企業の自由です、それをとめるのは特例であるという考え方を公取は持っていただきたいということを切にこの場で申し上げたいと思います。

 それでは、最後の質問でございますが、伝統的工芸産業の振興についてお尋ねをしたいと思います。

 私も京都選出なものでありますから、西陣、室町を初め、友禅を初め伝統的工芸の職人さんがたくさんおられます。その中で、お尋ねをしたいのでありますが、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、いわゆる伝産法がありまして、その中で、二十三年度の予算案を事前にお調べしますと、産地補助で二億五千八百万、それから協会補助、つまり全国規模の協会補助について六億七千七百万、合計九億三千五百万等の、約十億をやや下回る金額が今予算案として措置をされるということであります。

 この予算案、約十億というお金の中で、質問は、協会であるとか組合であるとか、そういう補助は事務局を運営していく上からも非常に重要なんです、これはこれからもしっかりとやっていただきたいんですが、個別の頑張っている職人さんやそのグループ、あるいは小さな企業の集まり、企業、組合ではなく、そういう個別の集まりを応援していくというものに対する補助が今どれぐらいあるのか、それについてお尋ねいたします。

松下副大臣 大事な御指摘をいただきました。

 議員のところも京都で伝産品の宝庫。私も鹿児島でございまして、今着ていますけれども、つむぎ、ネクタイ、ベスト、もう二十年ずっとこれです。川辺仏壇、薩摩焼四百年のつぼ、茶碗。大事な御指摘で、よくわかります。私も副大臣に就任してから、この方面で大変力を尽くして努力してきているつもりでございます。

 今お尋ねの補助金のことでございますけれども、伝産法で個別事業者やグループに対しても支援を行っています。平成二十二年度では、個別事業者一社に対して約二百五十六万円、五つのグループがございますけれども、そこに対して合計約二千四十四万円。両者を合わせると、六件の個別事業者またはグループに対して合計約二千三百万円を支援しています。

 京都でございますと、京の伝統産業春秋・わかば会。これは、熟練の技術者で構成される春秋会と若手後継者で構成されるグループが連携して展示会を開催する、それに支援をしていきたい。それから、新たな「京もの」創出と販路・需要拡大事業実行委員会にも、清水焼等でございますけれども、器を中心としたいろいろな個別の製作、展示、こういうものをしっかりと支援していくということでございます。

 全国に二百十一の伝統産業、日本の技術がありますけれども、そのわざを次に継承していくようにしっかりやっていきたい。これは大事なことだと思って、少ない限られた予算ですけれども頑張っていきたい、こう思っています。

平(智)分科員 松下副大臣、ありがとうございます。協会や組合に対して入っていく補助、これはこれで非常に大事なんです。

 しかし、私が今なぜ個別の職人さんやその集まりに対する補助のお話を聞いたかというと、クール・ジャパン、JAPANブランドでも伝統産業とのセットでの応援はあってそれなりの成果があるんですが、経産省の伝産室として、伝産を専門とする部屋として、どういうふうに個別の職人さんの手元を国が直接応援していくか。この政策は伝産室としてより現場を知るためにも重要な補助であると思いますが、約十億の中でまだいかんせん二千万である。これは、やはり非常に小さいというふうに私は思います。ですから、内数としてそっちへ割れという話ではなく、独立の話として伝産室が個別の手元をもっと見てほしい。そのためには補助をしてやっていただきたい。

 ただし、もう一点、クール・ジャパン、JAPANブランドにもあり得るんですが、関係者のおしかりを覚悟で申しますと、補助をすることによって、実は、ベンチャーに向かっていく、新しいものに向かっていく力をそぐということもあり得ます。これは実際に起こっているようでありますから、ぜひとも応援をする際には、地域の選定もありますが、国が直接、世界に向かって販路を拡大していく個別のグループなり地域で先進的な方を個別に選定して応援をいただきたいというふうに心からお願いをいたします。

 この伝統産業については、冒頭から申し上げた産業革新機構やベンチャーの話とはやや趣が異なる、地域に在来に存在する雇用の話ですから、雇用政策という観点からも、ぜひとも新しい動きを応援すればそれが雇用を維持していくんだという観点で応援をいただきたい。

 伝統産業をひとつよろしくお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。

津村主査 これにて平智之君の質疑は終了いたしました。

 次に、花咲宏基君。

花咲分科員 民主党の衆議院議員の花咲宏基でございます。

 まずもって、本日は、予算分科会で質問させていただく機会をいただきまして、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私は一年生議員でありますが、一年半、この間ずっと経済産業委員会を第一希望にしておりまして、とりわけ中小企業に対して注力をしてまいりました。日本経済を牽引する原動力が中小企業であり、その中小企業政策に対しては、私は、民主党政権はしっかりと取り組んできた、大臣、副大臣、政務官の皆様にも取り組んできていただいたというふうに認識をしております。

 ただし、地元に帰りますと、中小企業の経営者の皆さん、また国民の皆さんが、中小企業に対しての政策、民主党はどういうものがあるんだということで、なかなか伝わっていないのではないかなというふうに思っていまして、きょうは、中小企業の政策について、民主党が政権交代で行ったことをお聞きして、それを広く伝えていくということで、取り組んでいくことの質問にさせてもらいたいというふうに思っています。

 まず、中小企業の採用力強化事業についてお聞きをしたいと思います。

 ことしの春、三月に卒業する大卒、大学院の求人倍率ですけれども、これが一・二八倍です。これはリクルートワークス研究所の昨年四月の調査です。一方で、これはよく報道されておりますけれども、厚生労働省の調べによると、大学卒業予定者の内定率は、過去最低の水準、五七・六%という数字があります。

 つまり、求人倍率は一倍を超えているのに内定率は五七・六%という数字にはギャップがあります。そのギャップが、大臣、政務官、御案内のとおり、学生に人気のある大手企業が採用を控えている、求人意欲のある中小企業に学生が目を向けていないということが要因になっているということであると思います。

 ちなみに、千人未満の企業で見ますと、求人倍率は二・一六倍、これがまた三百人未満になりますと四・四一倍なんですね。中小企業は人手不足、いい人材が採れないという状況が続いているわけでございます。

 千人未満の企業の採用意欲、数でいうと四十三・七万人いるんですね。この四十三・七万人を採用すると内定率がもう一〇〇%を超えるという状況になるわけでありまして、中小企業への就職促進が、今雇用という菅総理の政策の思いがありますけれども、それを実現することができるというふうに思っています。

 そこで、まず政府の中小企業採用力強化事業について、取り組んでいらっしゃいますけれども、その成果についてお聞きをしたいと思います。

中山大臣政務官 今、花咲委員からいろいろお話がありまして、私どもも大変これに関心を持っておりまして、ドリームマッチプロジェクトは、現場を見た方がいいだろうということで、私たちも現場を視察いたしました。

 やはり、中小企業の現場の方から聞きますと、非常に、人材が思ったとおり入ってこないと。だけれども、私たちは、きょうここにうんと、経済産業省を初め多くの方たちが努力をして集めてくれた、熱意を持って中小企業の大切さと、私たちも初めは二、三人で始めた企業が今百人にまでなっている、そういう自分たちで起こした事業の発展段階や、今までの努力、そして事業を立ち上げて大きくしていくことの意味とかおもしろさとか、こういうことを話したいと。私も、実際、中小企業の社長が熱弁を振るっているところを見まして、ああ、これはいい企画だなと思いました。

 私が聞いた範囲では、一千九百人ぐらいの方が中小企業に、思い切ってやってみよう、こういう方が出てきているわけでございまして、これを五倍、十倍、こういうふうにふやしていくことが大事だと思うんです。やはりこういうところに若者が来て、本当に新しい企業を起こす喜びとかそういうものを実際社長から聞いてもらうということが一番大事で、私たちは、この事業を大変いい事業だと思っているんですね。

 私自身が、ある社長の話しているのを聞いておりまして、もう実に涙が出るほどうれしかったというのは、やはり、企業を起こしたときは本当に、この企業にはなかなか金融機関も金を貸してくれなかった、やっと保証協会で保証してもらって一千万円ぐらいの金から始めたんだけれども、今は、皆さん、百人の従業員を抱えて、私たちもこれだけ雇用をつくって、責任がある、こういう話をとうとうとやっているんですね、全部のところで、ブースでやっていました。

 これは大変意味があると思いまして、中小企業といえども大企業になる可能性があるということをやはり若い人に感じてもらいたいし、自分で企業を大きくする、そのくらいの意気込みで若者が入ってくるように願っておりますし、この企画はいい企画なので、ぜひもうちょっと充実させていきたいと思っております。

花咲分科員 ありがとうございました。

 これからも強化いただけるということでありますが、ぜひ強化していただきたいと思います。

 実は、政権交代後、私も新人議員でございまして、なかなか中小企業団体の皆さんとの交流が民主党はなかったということで、去年は経済産業委員会のメンバーで、中小関係団体の方にごあいさつに、意見交換ということで参りました。

 そのときに、政府、経済産業省さんも中小企業の採用については熱心にやっていただいているという評価はいただいておりましたけれども、突き破れない壁があるという話をお聞きしたんですね。それは何かというと、大学に行かせたのに中小企業に就職をするのかという、親や家族の反対があるということをお聞きしました。日本の文化というか風土というか、これはなかなか壊すことができなくて、そこを何とかしたいという声を実は多くの関係団体の方々からお聞きいたしました。

 そこで、私は、政権がかわって、これはまさに政権交代の果実だと思うんですけれども、昨年六月に中小企業憲章を閣議決定していただきました。私は胸に中小企業憲章を入れておるんですけれども、この中小企業憲章の中身というのは、本当に、中小企業が日本経済の原動力であるとか、社会の主役であるとか、こういったことが書かれてありまして、中小企業憲章を普及することによって社会的地位を上げることができるというふうに思います。

 ただ、地元を回っていますと、実は、団体にはこの冊子は置いてあるんですけれども、各中小企業のところに行くと、そんなものが閣議決定されたのかというようなことがあって、なかなか普及していないなというふうな思いを持っています。

 そういった意味では、昨年の六月から、閣議決定してから、どのように中小企業憲章を普及しているか、そのことをお聞きしたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 閣議決定後、今花咲委員がお示しの、ポケットサイズの冊子を作成いたしました。

 そして、全国の中小企業団体、自治体、金融機関、あるいは直接中小企業の方々と会うことになります支援機関、そういったところに対しまして、これまで三十万部を配付させていただいております。加えて、経産省のウエブサイトにも全文を掲載いたしましたり、あるいはまた、中小企業庁の職員でございますとか経産省の職員が各地の中小企業関係者を訪問させていただく際には、中小企業憲章につきまして積極的に説明をするようにいたしております。

 今の御指摘も受けまして、またさらにその普及に努力していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

花咲分科員 ありがとうございます。

 ぜひ、各団体では勉強会を開いたりしていただいているようでありますけれども、例えば教育現場であるとか、それは大学や高校もそうだと思います、大学や高校の就職課に置いてある、そういう努力をしていただくであるとか、また、地方自治体の方に広めていただいて、地方自治体の方で、この中小企業憲章を改めて議会でいろいろな議論をしていただく、そういう努力もぜひ政府にはしていただきたいなというふうに思います。

 先ほど申し上げましたけれども、中小企業へ就職する学生がふえれば、内定率は改善されて、雇用がふえるということでありますから、これからも引き続き中小企業の採用力強化の事業をお願いしたいと思います。

 続きまして、中小企業の海外展開支援事業についてお聞きができればと思っています。

 御案内のとおり、現在起業よりも廃業が多いということは政務三役の皆さんは御存じだと思います。直近の数字で申し上げますと、起業よりも廃業の方が約五万件近く多いということでありまして、これは、世界を見ても、日本は大変多いというふうに聞いております。景気後退はもちろんのことなんですけれども、やはり日本が人口減少社会に陥っているということが、需要が拡大しない、起業ができないということだというふうに思っています。

 そこで、中小企業が生き残っていくためには、また起業をふやすためには、中小企業がこれから海外の成長、とりわけアジアの成長を取り込むということが必要だと感じます。

 そこで、民主党政権では、平成の開国ということで、中小企業の海外展開の支援について強化されておりますけれども、その具体的な内容を教えていただければと思います。

中山大臣政務官 今、中小企業憲章のお話が出まして、その中にも海外展開に対する支援が入っております。

 中小企業の問題というのは、大まかに分けますと三つあります。

 やはり、資本も何もない中小企業が、まずは金融の問題が大事だ、お金を借りて仕事を起こしていく、そういうことがまずそこに載っているわけでございます。

 その次が、やはり、つくったものをどうやって売っていくか、販路拡大ですね。販路拡大というのは、ある意味では商人としてはものづくりから物を売る方向に行くと言って、皆さんにもいろいろ話をしているんですが、では物が売れる場所がどこにあるかというと、今はもう国内ではだれでも着る物であればいろいろ持っている、だからもっと海外に目を向けて、海外でニーズがあるんではないか、こういうようなことも考えまして、海外展開をしっかりやるようにしよう、こういうことでございます。

 特に、昨今は農業部門についても、地方の我々の出先機関が、そこでとれる、例えば世界でも本当に有数の「ふじ」というリンゴであるとか、またはメロンであるとか、こういうものも外に売ってみようよと。ではその売るマーケットはどこにあるのか、こういうことで、ジェトロを初め我々の局でも一生懸命前向きに今展開をしているところで、私も実は、二十人ほどの食品関係の方をベトナムへお連れして、各家庭を訪問して、ニーズをいろいろ探ってまいりました。

 それからまた、今、靴も、実は日本の靴というのは、輸入をして、安い靴を外国から買ってそれを売っている。こういうことをやっているうちに日本に職人がいなくなっちゃったんですね。靴の職人がだんだん減ってきた。今、買っていた靴が、海外の人件費が高くなってきて、ほぼ日本の靴の値段に追いついてきたんですね。だから、私たちは、そうなってくると、あっ、これは靴も海外に売れるぞということで、これからイタリアとかスペインとかあっちの方にも行ってきたい。どうやって靴を売っていくのか、こういう調査も今しているところです。

 つまり、アジアは安い生産拠点として今まで考えていたわけです。ところが、もう、中国を初め、十分にマーケットになっているんですね。だから、実際に行ってみると、いや、こんなものも売れる、あんなものも売れる。この間も農業発展集団という中国の方たちが来まして、日本のコシヒカリを二十万トン買うなんという話が、もう少しで商談が成立するような話もあります。

 ということはやはり、我々がそのマーケットを実際調べていかないと、何があるかわからないんですね。今、その一つとして、中国のバイドゥというインターネット検索エンジンの会社が、もう、グーグルが撤退したら大体九〇%そこが支配している。ですから、テストマーケティング、つまり、日本で一番おいしい酒、これを例えばインターネットを通じて出していくとか、これもすごく有効なんですね。それから後は、注文されたら、向こうにもクロネコヤマトの宅急便がある。実際、日本でつくったものを向こうに売るという、テストマーケティングで、お金もかからない方法は幾らもあるわけですね。だから、ここはもう発想を豊かにして、物を外国に売るということはいろいろな方法があります。

 それから、最近は、中小企業庁が御用聞きに行きまして、さっき言った、こんなリンゴを売ってみたいとか、またはこんなメロンを売ってみたいとか、そういう方々を訪問して、では売るならばどうしたらいいかということをしっかり話をしてくる。もう二千件以上回っております。大臣を初め私たちも、今、中小企業の視察に行ったときに、中小企業の皆さんのアイデアを聞いております。これから海外展開は一番大きな目玉になると思いますので、ぜひ御支援をいただいて、地域のものでこれは外国に売りたいというものがあったらぜひ教えていただいて、そこへ中小企業庁が飛んでいきますから。そして、どうやって売ったらいいかをすぐに検討したい、このように考えています。

花咲分科員 どうもありがとうございます。

 力強い海外事業展開のお話をいただきましたけれども、政府としては、経済産業省としては受け皿を必要とすると思うんですけれども、お話を聞くと、予算で言うと、ジェトロによる支援が、補正予算を入れると昨年の二十三億円から三十一・四億円にふえている。また、新規で、中小機構による支援で、補正を入れると六・五億円ふえているということで、合わせて十四・九億円増額されて、海外展開の事業を広げていこうということで本年度予算が組まれているわけであります。

 ちょっとここは与党議員としてはふさわしくない質問になるかもしれませんが、なかなか腑に落ちないところがあって、そこは、これは現場の声を聞いてからなんですけれども、まず、予算が増額されるジェトロについてちょっとお聞きしたいんですけれども、このジェトロの海外展開支援事業なんですけれども、一年間でどのぐらいの相談件数があるか、お聞きをしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ジェトロが昨年度一年間に、海外展開について相談に応じた件数は、電話による対応も含めて約八万五千件となります。

花咲分科員 ありがとうございます。

 そのうち実際に海外に展開した件数はどのぐらいになりますでしょうか。

佐々木政府参考人 この八万五千件がその後実際に商談に結びつき、海外に展開できたかということについては逐一確認はしておりませんけれども、別途ジェトロが、海外からのバイヤーの招聘でございますとか海外で展示会を開催した際に商談会を設けておりまして、昨年度一年間では約六万八千件の商談を生み出し、そのうち一万五千件の成約を得ているというところでございます。

花咲分科員 六万、一万と大きな数字ではあるんですけれども、その中で、では中小企業の数というのは把握されていらっしゃいますでしょうか。

佐々木政府参考人 海外の展示出展でございますとか、それから国内におけるバイヤー招聘の商談会は、ほとんどが中小企業であろうというふうに考えております。

 また、先ほど申し上げました八万五千件の相談件数につきましては、これも逐一は確認しておりませんけれども、別途ジェトロが行ったアンケート調査の結果によりますと、おおむね八割以上は中小企業または個人であろうというふうに把握しております。

花咲分科員 ありがとうございます。

 今回の予算というのは、中小企業の海外展開について、元気な日本復活特別枠のものでございますので、中小企業の展開にいかに有益に使われているかということをこれからもしっかり把握していただきたいなというふうに思っています。

 今、数字も六万と一万とか出てきまして、八割とかという中小企業の利用件数も出てきましたけれども、ただ、私は、中小企業の皆さんもしくは地元の中小企業の関係団体の方々のお話を聞くと、ジェトロというのはちょっと敷居が高いというようなお話があるんですね。なかなか相談しにくい、また、相談をしたら相談だけで終わるということも実は多いというような話をお聞きします。ですので、ぜひジェトロさんもこれから、中小企業に対して敷居が低いといいますか、相談相手としてふさわしい、そういう事業をしていただければな、サービスをしていただければなというふうに思っています。

 そこで、先ほど申し上げましたけれども、地元でいろいろなヒアリングをしたというふうに申し上げましたけれども、その中に、実は、私の地元の中国地方の、中国経済産業局さんの方にお伺いをいたしました。

 海外展開支援事業をこれから行う上でどういう体制があるかなということで興味を持ってお伺いをしたんですけれども、お手元に「各地域における支援体制」という資料を配付させていただいております。そこで、この図を見ると、「地域における中核組織」、右側にあるわけでありますけれども、総括窓口が経済産業局になっていますよね。これから予算もふやして、中小企業の皆さんの声をしっかりお聞きしていこう、件数もふやしていこうということなんですけれども、経済産業局さんの総括窓口の担当者の数、中小企業の海外展開についての担当者の数はどのぐらいになるでしょうか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる地方経済産業局における中小企業の海外展開の支援業務は、具体的なプロジェクトの支援から、個別企業のさまざまな御相談に対応させていただくことなど、多岐にわたっております。そういった意味で、窓口といった形で正確に定義してお答えすることは難しいのでございますけれども、海外展開にかかわっておる職員は、少なくとも全局合計で百五十名、少なく見ても百五十名程度はいるというふうに認識をいたしております。

 以上でございます。

    〔主査退席、三谷主査代理着席〕

花咲分科員 百五十名ということでありますけれども、私がお伺いしてお聞きをすると、一人で抱えている件数も大変多いと。これは、愚痴というよりも、頑張っていらっしゃる姿を見て、人数的に、これから海外展開を支援する担当者の方をふやしていただくのはどうかなというふうに思っておりますけれども、それを補完するのが、今回中小機構さんが、新規で予算がついて事業を始められるということでありますけれども、中小機構さんの、今回新規で予算がついて、サービスを始める、事業を始めるというわけでありますけれども、その役割について教えていただけますでしょうか。

高原政府参考人 中小企業基盤整備機構でございますけれども、ここは中小企業に対する経営支援のノウハウというのを持っております。そのため、意欲はあるものの海外展開の経験の少ない中小企業の方々に対しまして、例えば海外戦略の作成でございますとか、あるいは商品の海外向け説明資料の作成、そういったような国内の準備を支援させていただきます。また、商談が成約した場合におきましては、その後の経営支援につきましても十分にフォローアップをするということを主な役割として考えております。

 以上でございます。

花咲分科員 私も実は事業仕分けの仕分け人をさせてもらったんですけれども、今ジェトロのお話がありましたけれども、海外展開についての支援は今でもされていらっしゃる、そのサービスについても充実をしている、またこれからも強化していくというお話であったわけでありますけれども、要は、ジェトロさんのサービスがありながら中小機構さんが新たなサービスをする、その意義というのを教えていただけますでしょうか。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

高原政府参考人 委員御指摘のとおり、ジェトロは幅広い海外のネットワークを持ってございます。ただ、国内につきまして、いわゆる中小企業に対する経営ノウハウ、経営支援のノウハウということにつきましては中小機構に一日の長がありますので、先ほど、体制として十分かという御質問がございましたけれども、いずれにいたしましても、中小機構と、そしてジェトロ、それから地方経産局、そのほかの関連機関、例えば地域の金融機関もございますけれども、そういったものが一体となって、得意分野を中心に、相互に補完をしながら海外支援を展開していくという体制を組んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

花咲分科員 ありがとうございます。

 予算が厳しい中で、新規の事業、しかも、先ほどから出ている中小企業の採用を、雇用をふやすためにも、海外展開で中小企業を元気にしていくということでございますので、ぜひこの体制を充実していただきたいなというふうに思っています。

 最後に、昨年いろいろヒアリングをしている中で、これはもう私の提言ということでございますけれども、中小企業診断士の方々のお話をお聞きしたんですね。

 中小企業診断士の数は、全国で二万人ぐらいいらっしゃいます。まあ八千人ぐらいは企業の中にいらっしゃるわけでありますけれども、一万二千人ぐらいは独立してサービスをされているということであります。

 実は、中小企業診断士の制度というのは今海外にも広がっていまして、中国やインドやマレーシア、タイにもできておりまして、このネットワークを使うことによって中小企業の海外展開ができるのではないかなというふうに私は思っています。

 企業内を除いてですけれども、一万二千人の中小企業診断士の方々がいらっしゃるわけで、日々中小企業の皆さんと接しているわけでありますね。その中では、経営に対するいろいろな悩みもあると思いますし、海外に展開したいという思いなども中小企業診断士の方にお話をされていると思うんですね。そのときに、日本の中小企業診断士の方が、世界にネットワークがあって、それも中国やタイやマレーシアの方々、その国の中小企業診断士の方々と連絡をとって、こういう人がいるんだけれどもということをすれば、草の根で、中小企業の海外展開ができるんだというふうに思っています。

 これは質問通告をしておりませんので、ぜひその点は御検討をいただければというふうに思っています。

 少し短くなりましたけれども、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

津村主査 これにて花咲宏基君の質疑は終了いたしました。

 次に、あべ俊子君。

あべ分科員 おはようございます。自由民主党、あべ俊子でございます。きょうは質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 きょうは、特に産業政策に関してお話をしたいというふうに思っております。

 日本の技術力は非常に高いと言われております。日本の技術力が非常に高い中、国際競争力のランキングが、総合順位で二〇一〇年は日本が六位。これは、大臣、なぜだと思いますか。

海江田国務大臣 実は、きのうも予算委員会で公明党の委員から質問がございました。

 細かい点は幾つもございますけれども、総じて言えば、まさに技術は高いけれども事業がうまくないということだろうと思います。

あべ分科員 大臣、事業がうまくないということを、もう少しかみ砕いてお答えいただけますか。

海江田国務大臣 例えばですけれども、競争力といった場合、日本の国だけの競争力というより、やはり国際競争力が大変大きな課題になってこようかと思います。そのときに、日本の技術を国際的に認めさせるといいますか、国際化という点においておくれていた点があるのではないだろうかというふうに思っております。

あべ分科員 国際化におくれているという観点ですが、国際化における何におくれているのか、具体的にお答えください。

海江田国務大臣 国際標準化でございます。

あべ分科員 国際標準化、ここの部分は、私は、国際競争力を上げていくためには非常に重要な部分だと思っております。

 しかしながら、御存じのように、国際標準が欧米各国にとられてしまっている中、その国際標準に合わせるだけで数年間かかってしまう、このタイムラグが国際競争のネックになっているという指摘もあるところでございまして、国際標準を、日本がこれから先イニシアチブをとりながら自分たちが標準になっていくということ、標準に合わせてきた日本から、標準を、自分たちがリーダーシップをとっていく日本に変えていくためには、大臣、何が必要だと思っていらっしゃいますか。

海江田国務大臣 私は、ちょっと飛躍するかもしれませんけれども、今話題になっておりますTPPなどもその一つではないだろうかと思っております。

あべ分科員 大臣、飛躍し過ぎです。

 TPPが国際競争力にそのまま連動するかどうかは各国との話し合いの問題でありまして、逆にこの国全体のGDPを押し下げるものであるという議論もございます。大臣、首を振られましたが、それは二十四項目に関して余りにも認識が甘過ぎるんだと思っております。

 いずれにいたしましても、この会はTPPの会ではございませんので、国際標準をとるために、大臣、これから何をしていかなければいけませんか。

海江田国務大臣 これは実は、国際標準をとるためには、企業の努力だけでは不足する部分もありますから、やはり国の後押しというのも大変大切な要素になってこようかと思っております。

あべ分科員 では、国の後押し、これは具体的に何を大臣は示していらっしゃいますか。

海江田国務大臣 もちろん、技術を開発していくに当たって、民間の独自の資金でやることも大切ですが、その技術を開発していく段階から、やはり国の資金の後押しというのも必要だろうと思っております。

あべ分科員 突然研究費の話に入ったわけでございますが、大臣が入られましたので、こちらもそれに合わさせていただきますが、一つは、日本の研究費そのものは諸外国に比べてそんなに低いわけではないというのは大臣が御存じのとおりでございます。私は、ある意味問題なのが、政府研究開発投資の割合が諸外国に比べるとちょっと低過ぎるのではないかというふうに考えておりますが、大臣、ここはどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 研究開発費全体の中に占める政府の負担割合でございますが、我が国の場合は〇九年で二〇・三%でございます。これに比べまして、高いところでいきますと、イギリスが三〇・七%、それからドイツが二七・七%、米国が二七・一%、お隣の韓国も二五・四%ございます。

 ですから、これらの国々と比べると若干低いかなという認識は委員と同じでございます。

あべ分科員 ありがとうございます。

 データの方はこちらも持っておりますので御説明いただかなくてもいいんですが、私が大臣にお聞きしたいのはデータではなくて、研究費を民間に依存している中、例えばリーマン・ショックなどの問題があったときに、景気が低迷するときに、民間依存型の研究費のあり方では、このままでは研究そのものも停滞してしまう。政府が出している研究費に関して、諸外国と比べるとやや低目なのを大臣はこれからどうされるおつもりですかということにお答えいただきたいと思います。

海江田国務大臣 これはそれぞれの国にいろいろな事情がございます。例えばアメリカなどは、言うまでもございませんけれども、政府が負担をする研究費の中に、国防省が負担をするものが大変大きゅうございます。それから、我が国の場合は、やはり財政的な制約というのも大変大きな要素としてございます。

 私は、現在の経済産業大臣になる前、経済財政担当大臣で、まさにこの科学研究費、国の負担分をふやすということで尽力をしたつもりでございます。今度は経済産業の大臣になりましたので、その立場からこれをふやすべく努力をしていくつもりでございます。

あべ分科員 この研究開発費、政府の支出が少ないというもの以上に、私が結構問題だなと思っていますのは、科学技術関係予算が文部科学省に六五%、経済産業省に一五・一%という形でそれぞれのところに入っているわけでございますが、この科学技術関係費、政府が支出している部分の配分も、文部科学に重きが置かれ過ぎているところは非常に日本の国際競争力に足かせになる可能性もあるのではないかと私は思いますが、大臣、この認識はいかがでしょうか。

海江田国務大臣 どちらかというと、従来、文部科学省の予算というのは、基礎研究だとか、そういうところに重点を置かれておりました。その意味では、私どもは、まさに即これは事業に結びつく研究開発ということでございます。

 ただ、いずれにしましても、もう一つの枠組みとして産学官の連携ということも大きな方向性として定まっております。ですから、産学官の枠組みの中で、しかも、ではその官の枠組みをどういうふうに決めるかということは、これからの課題として、もちろん私は経済産業の担当の大臣でございますから、少しでも多くということを考えておりますが、ただ、それは文科の枠からとってくるということじゃなしに、まず全体のパイを大きくして、そしてその中で私どもの予算をたくさんと、こういうふうに考えております。

あべ分科員 先ほど申し上げた、日本は技術力がすぐれているが国際競争力が低い理由に、ビジネスモデルの問題、産業政策の問題、さまざまある中にありまして、私は、技術の基礎技術分に非常に重きが置かれている、それがゆえに文部科学省の予算として入っていくと。しかしながら、大学教員を私もしておりましたが、大学教員の評価というのは論文数というのが非常に大きな比重を占めているということになったときに、新規性のないもので論文が書けるのか、売れたといって論文が書けるのかという問題と非常にここは矛盾するところでございます。

 私は、大臣、文部科学の予算を減らせとは申しません。しかしながら、問題は、国際競争力を本当にこの日本が、少子高齢化のこの日本がつけていくということを考えるのであれば、これはやはり、日本の国際競争力をつけるための省を新たにつくり、経産でもない、文科でもない、国際競争力のための特化したものをつくっていくべきではないかと思います。

 ちなみに、大臣御存じのように、米国では、国防省の方でその予算を持ちながら、すべてを統合し、さらには科学技術、これは医療に関してはNIHというところに予算をかなりつけておりますが、物をつくり、物を売り、豊かさを、また雇用を生み出すということを一貫してできるところが日本にないということが私は問題だと思いますが、大臣のお立場で御意見をいただけたらと思います。

海江田国務大臣 貴重な御意見として承っておきます。

あべ分科員 意見を承っていただくだけではなく、国際競争力をこれからもっと強化するという関係で、やはり各省庁が横断的に議論を進めていくことが必要だと思いますが、大臣、現時点でそれはどういう形で進められていますか。

海江田国務大臣 先ほど私は貴重な御意見を承りますと申し上げました。ただ御意見を承るわけではありません、貴重な御意見だという認識を持っているということをどうぞお忘れなく。

あべ分科員 言葉だけで貴重だか何だかと言われても困るわけでございまして、具体的なアクションをとらなければ、非常にこの厳しい中、また、予算委員会で議論している最中でございますが、二年連続国債を超える歳出の予算を組んでいる中、ここの部分は国際競争力をしっかり上げていくということが日本の国益につながりますので、大臣、具体的なアクションはどのようにとられるかをはっきりお答えください。

海江田国務大臣 ですから、何度もお答えをしておりますが、貴重な御意見を踏まえて、これは省内でも議論をしなければいけないことでございます、それから政府内でも議論しなければいけないことでございますから、そのような形でしっかりと議論をしていきたいと思っております。

あべ分科員 ぜひ議論をお願いしたいと思いますが、それは今年度中に議論を進めていただけますか。

海江田国務大臣 議論は毎日行っております。

あべ分科員 では、毎日議論を行っている中で、国際競争力を上げていくために、日本が省庁の縦割りではなく、しっかり省庁横断的だという議論を必ずあすから始めるということでよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 あしたから始めるということじゃありませんで、これまでもやってきました総合科学技術会議などもございますので、そういうところの議論と、お互い意見交換をしながらやっていくということでございます。

あべ分科員 ですから、お言葉だけではなくて具体的に、どういう会議でどういう内容で行っているかということをお答えいただければ、貴重な御意見というところで終わらないで済んだわけでございますから、ぜひとも大臣、そこは真摯にお答えをいただきたいというふうに思っております。

 次の課題に行きますが、先ほど大臣がちょっと触れただけで終わってしまった国際標準化でございます。

 国際標準化は、科学技術のお金をつければいいという話だけではございませんで、総合的に産業政策をどうしていくかということと連動するものでございますから、この国際標準化を日本がもっとイニシアチブをとっていくために、大臣、具体的に何をしないといけないというふうに思っていらっしゃいますか。

海江田国務大臣 一言で国際標準化と言いましたけれども、私どもは、まずアジア諸国との国際標準化ということを重点的に考えております。

 そして、アジア諸国の中、では、あとはどういうところでとっていくかということでいえば、例えばLEDでありますとか燃料電池など、そういう重点分野、重要分野も決めながら、アジア地域を中心に国際標準化のための努力を払っていきたいということでございます。

あべ分科員 大臣、私は、どういう努力を具体的にするかということをお聞きしているので、努力じゃなくて、どういうアクションをとっていかないといけないのか、今ある課題は何なのか、それに対してどういう対応をしていこうとされているのかということを私は具体的に聞いてありますので、お答えください。

海江田国務大臣 先ほどから私なりに精いっぱいお答えをしているつもりでございますが、時間も限られておりますので。例えば、アジア基準認証推進事業というもの、これは今度の予算で約二億円でございますが計上してございます。それから、もちろんこの予算に先立つ補正予算がございました、平成二十二年度補正予算でございますが、これで約十億円を措置済みでございます。そうした具体的に見える形での予算措置をとっておりますので、ぜひ先生にも本年度の予算にお力添えを賜りたいと思います。

あべ分科員 大臣、前の大臣のときと今の大臣の立ち位置をちょっと勘違いされているのかもしれませんが、私は、予算を幾らとっていますかという話をしているのではなくて、その予算を使った形で、国際標準をとっていくための具体的なアクションを、一体何が課題で、どういう対応をしていかなければいけないという認識ですかという質問をしておりますので、大臣、金額ではなくて、今一体何をしなければ国際標準の部分で日本がリーダーシップをとれないと思っているかを具体的にお答えください。

海江田国務大臣 先ほど来お答えをしているつもりでございますが、まず地域的に考えますと、アジア地域での国際標準化の重点地域がございます。その中で、省エネでありますとか新エネ分野など、ここのところの日本が強みを持っている製品がアジア地域でしっかりと評価されるようにしなければいけないということで、今お話をしましたアジア基準認証推進事業というものをやっているわけでございますから、具体的にということでおっしゃられれば、今、予算委員会の分科会の審議でございますから、予算がどうなっているかということをお答えするのが私は一番具体的にということだろうと思ってお答えをした次第でございます。

あべ分科員 大臣、お金をつければいいというものじゃなくて、中身がどうかということが大切でございますので、国際標準化に関しては、多分、今大臣もお勉強中かもしれないということで、国際競争力の次のステップに行かせていただきます。

 一つは、先日、新日本製鉄と住友金属工業の合併の話があったときに、すぐ公正取引委員会の方に行ったわけでございますが、これは国内シェアの高さを非常に重視したとかいうことでございまして、経済産業省として、この合併の問題に対していろいろお考えになり、またアクションもとられているようでございますが、大臣、具体的に何をされましたでしょうか。

海江田国務大臣 具体的に何をされましたかということでございますが、まず、この両社の統合についての話し合いがありまして、そしてその報告が私のもとにございましたから、こうした動きというのは、もちろんこれは企業が独自に判断をすることでございますが、先ほど来の国際競争力などの観点からするとこれは大切なことですから、ぜひ頑張ってくださいという激励をまず行いました。これがまず第一歩でございます。

あべ分科員 経済産業省の、政府の意向を反映させるために、産業活力再生特別措置法改正案というのは出されませんでしたか。

海江田国務大臣 そのとおりでございます。

あべ分科員 ありがとうございます。

 経済産業省が非常な危機感を持って、国内シェアが非常に高いけれども、国際競争力を考える観点から、やはりこれは公正取引委員会の判断だけにゆだねてはならないという御決断をされたのがこの法案だ、改正案だと私は思っておりまして、よくぞやってくださったというふうに思うわけでございます。

 そうした中におきまして、その公正取引委員会、きょう参考人でもいらしてくださっておりますが、公正取引委員会が、国際競争力に勝つことができるということの判断指標と、国内シェアにおける、独禁法その他も含めて審査をしているということが微妙にずれてしまっているのではないかということが今いろいろなところで指摘をされているところでございますが、大臣、これに対して御意見を。

海江田国務大臣 この産活法でございますけれども、これは今お話のありました、いわゆる企業の合併、統合を円滑にするためということだけではございませんので、あえて私からお話をしなかった次第でございます。

 それから、公正取引委員会というのは独立性を持っておりますので、ですから、私どもが何かこれをやれと言ってそれに従わせるということではありませんで、連携を強化していかなければいけないという考え方だろうと思います。

あべ分科員 この公正取引委員会の独立性ということ、また、公正取引委員会の判断指標が、国内マーケットになっているのか、今グローバル社会における、国際競争力を観点としている判断になっているのか。さらに言えば、タイムラグの問題。単年度における、国内におけるシェアの高さだけを問題にしていないのか、十年、二十年を見据えた形でやっているのかということが、独立性の部分をまた別にしまして、連携だけでは済まない問題点があるのではないかと思いますが、大臣、この認識はいかがでしょうか。

海江田国務大臣 連携だけで済む済まないというところは、私は何をおっしゃっているのか意味がわかりませんが、前半の認識、新たな時代の公正取引委員会のあり方と申しますか、その点については、私は委員と同じ考え方でございます。

あべ分科員 私は、新たな考え方における中で、公正取引委員会の判断をするときの透明性が余りにも確保されていない、さらに言えば、公正取引委員会のメンバーだけでやるということよりも、外部審査を入れなければ、このグローバル社会において、国際競争力における、国際のマーケットの把握を公正取引委員会のメンバーだけでできるとは思っておりませんが、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 同じような考え方を持っております。

あべ分科員 これに関しては、現在の公正取引委員会の独立性、さまざまな位置づけを見ますと、米国のモデルを使っているやに思えます。そうしましたときに、諸外国、これは欧米諸国、まあ米国は違うモデルでございますが、ヨーロッパが考えている公正取引委員会は、公正取引委員会の関係性を、独立性だけではない連携性の部分に非常に重きを置いているものになっています。

 それを考えましたときに、今の公正取引委員会の透明性の余りの低さ、これは企業が指摘しているところでございますが、さらには、経済産業省との連携、国際競争力ということを考えたときに、これは省庁横断的に、経済産業省の下部に公正取引委員会が入るものではないと私は思っております。国際競争力を高めるために公正取引委員会のこれからをどう考えるかを議論するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、その議論をまずこれから、先ほどお話をしましたけれども、産活法もいよいよ議論が始まろうかと思いますので、もちろん国会の日程でございますが、ぜひこの経産委員会でもその議論を一日も早くしていただきまして、その中でまず議論はしていただきたいということ。

 それから、産活法絡みでございますけれども、今度、私どもと、産業政策を所管する主務大臣に対し公正取引委員会との協議を義務づけるというポイントが新しく生じておりますので、これにぜひ、先生がおっしゃる協議ということの中身を充実したものにするようにお力添えを賜りたいと思います。

あべ分科員 公取との協議制度を創設するということに関して大賛成でございますが、私は、この産活法を超えてやっていく必要があると思っております。これは、公正取引委員会が悪いとは私は言っておりません、ただ、彼らの位置づけが固定化したものであること、さらには、独立性を持っているがゆえに、一生懸命彼らはやっているけれども、さまざまな問題が出てきたときにこれを変えるのは公取の問題ではなく、政治家がしっかりと横断的な目を持って、日本の国際競争力を高めるために何が必要かということを整理してこなかったという問題があると思っております。

 大臣、産活法を超えた形で公正取引委員会のこれからのあり方を検討していただくかどうか、このことに関して御意見をいただけたらと思います。

海江田国務大臣 私どもは、産活法をまず成立させていただくということが一歩だろうと思いますが、ただ、産活法が成立をしたからといって、日本の国際競争力を高めていくことが終わりではないということでございます。

あべ分科員 大臣の姿勢は大変よくわかる御答弁でございますが、具体的なアクションが全く見えないという、非常にいら立ちを感じております。大臣も不条理に関してはいろいろな形で御経験されていると思いますが、私も非常にこの問題に関しては、次のアクションを、産活法を超えて、公正取引委員会のあり方を、日本の国際競争力を高め、国益を守るために、大臣、お覚悟として、御一緒にやっていただけるかどうかをお聞きしたいと思います。大臣、お願いします。

海江田国務大臣 産活法というのは、先ほどもお話をしました初めの第一歩、そして、そこで実はいろいろな御意見を、私は本当に虚心坦懐に、あべ委員からも、さらに突っ込んだと申しますか、もう既に十分深みのある質問でございますが、さらに一層深みのある御意見をいただきました。私どもにとりまして、やはり国会の議論というのは大変刺激になります、特に野党の委員からの指摘というのは大変刺激になりますから、そういうものを生かして、私は、産活法だけでなしに、これからどういうような形で日本の企業の国際競争力をつけたらいいのかということ、これは本当に喫緊の課題だと思っておりますので、力を傾けていきたい、そのように思っております。

あべ分科員 大臣、力強いお言葉ありがとうございます。

 産活法は一歩目というのはわかりましたが、一歩目のときには、二歩目の準備で片方が少し上がりつつあるというのが一歩目のときの段階でございますので、一歩目を踏み締める前に二歩目の準備を始めていかないと。大臣、非常に今は厳しい時代でございまして、日本の国益が失われていくというのを、私はここ数年、目の前で国会議員として見せられている中、国益を守っていくためには、これは与野党を超えてやっていかないといけないと思いますので、日本の国際競争力を高めるための、国益に資するための公正取引委員会のこの検討を、ぜひとも大臣、よろしくお願いします。

 時間になりましたので、終わります。

津村主査 これにてあべ俊子君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内分科員 おはようございます。公明党の竹内譲です。

 きょうは分科会ということで、中小企業の皆さんの政策であるとか、それから地元の西陣織物産業を初めとした伝統産業の問題につきまして特化して質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、中小企業全般にわたるお話なんですが、いわゆる景気対応緊急保証制度の問題でございます。

 これが、一〇〇%保証ということで、原則全業種対象ということでこれまで行われてまいりましたが、二十二年度で期限切れを迎える、こうなっております。もちろんこの半年間はセーフティーネット保証五号として継続するわけですが、指定業種を八十二業種から四十八業種に絞る、こうなっておるわけであります。十月からは、通常のセーフティーネット保証として二十一業種まで減少する、こうなっているわけでございます。

 しかし、大企業は確かにアメリカや中国の経済がよくなってきたので急速に今よくなってきておりますが、中小企業は、皆様も御存じのように、なかなか回復のテンポが遅くてまだまだ苦しんでいる小さなところはいっぱいありますよね。そういう意味では、もう少しこの制度を継続した方がいいんじゃないか、このように思っております。

 それは、原油高騰の問題等もございますし、これからの不安定要素もあるということが一つ。それから、私の地元の京都なんかでも、例えば宿泊業などというのはなかなか依然として厳しいところがあるんですが四十八業種の対象外となっておりまして、厳しい業界もいろいろある。こんな中で、もう少しこの制度を継続した方がいいんじゃないかということを、まず最初に経済産業大臣にお尋ねしたいと思います。

海江田国務大臣 竹内委員を初めとした公明党の議員の方々がこの問題に大変熱心であり、本会議などでも質問をされたということはよく存じ上げております。それから、この問題は実は補正予算の審議のときにも随分ございまして、先生もたしか御指摘されたと思いますが、そこで、先ほど竹内委員から御紹介もいただきましたような形でのソフトランディングと申しますか、そういう手だてを講じたわけでございます。

 確かに、四十八業種になるという御指摘はそのとおりでございますが、実際の利用額でこの四十八業種を調べてみますと、およそ七割になるわけでございます。ですから、限られた財源、あるいは、やはりこの一〇〇%保証というものがどういうものだろうかという議論も実は政府の中にもございまして、そういう意見と、本当に真剣に昨年の末から議論を闘わせて出た結果がこの結果でございますので、ぜひこれは御理解をいただきたい。本当に、これがこういう形でソフトランディングすることになったのは、皆様方の発言が大きな影響があったということは事実でございます。

 それから、もう一つつけ加えるならば、今委員から、昨今の中東、北アフリカの事情、政情不安の折から、原油の価格が高騰する、あるいは円がこれまた高い方向に動くというようなことがあって、これに対する対応がどうなんだろうかという御心配もございましたが、これについては、これからの様子をよく見ながら、今、平成二十三年度の予算を審議している最中でございますので軽々なことは申し上げることができませんが、この動き、これからどういうふうになるのかということは本当に注視をしているというところでございます。

竹内分科員 補正審議も含めて随分と言ってまいりましたので、それなりに対応していただいたことは評価をしているわけでございますが、しかし、それでもまだなかなか厳しい中小企業の皆さんの声はあるということは国会でやはり伝えておきたいと思います。

 また、今後の原油問題につきましては、ぜひ柔軟に、機敏に、また状況によっては果断に対応していただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 次に、伝統産業の問題につきまして質問させていただきます。

 先ほど、私とほぼ同じ選挙区の平先生が質問されていましたけれども、私も、京都市のど真ん中の上京区というところで、いわゆる西陣織物産地のど真ん中におるものですから、非常によくわかるわけでございます。かつては町のつじつじから機の音が聞こえて大変活況を呈しておりまして、私の事務所のあるところは千両ケ辻といいまして、千両箱を担いで昔は走り回っておられたんだというような大変な勢いがあったわけでありますが、それがもうほとんど機の音も消えて、高齢化の問題もありますし、さまざまな経済情勢の変化もあるわけでございますが、非常に残念きわまりない。

 西陣織物だけではなくて、全国でも伝統産業というのは非常に厳しい状況にあることは御承知のとおりだと思うんですね。経済産業省でまとめていただいた資料を拝見しても、本当に、いわゆる指定品目でも、平成二十一年度の生産額は千二百八十一億円で、往時の、ピーク時の三分の一以下、四分の一ぐらいですか、そのぐらいに落ち込んでいますし、企業数はピーク時の三分の一、従業員数もピーク時の四分の一。こういうことで、ほとんどこのままでいったら消えてなくなってしまうのじゃないかというぐらい厳しい状況があるわけでございます。

 繊維製品はもとより、陶磁器や漆や、二百十一品目あるわけですから、そういう意味では、本当に厳しい状況の中で、しかし何とか日本の伝統と文化を守るために営々と努力されている方々が全国にいっぱいいらっしゃるということは御承知のとおりだと思うんです。大臣は東京の方ですから、余りこの感覚がどうかなと。

 大臣は、京都迎賓館は行かれたことがありますか。

海江田国務大臣 京都迎賓館、建設する直前でございますので、建設の予定地だというところに行ってまいりました。

 それから、私の地元にも、例えば新宿ですけれども、江戸小紋とかああいう染物もございますので、しっかりとそういう伝統工芸に基づいた産業も息づいているということでございます。

竹内分科員 京都迎賓館をぜひごらんになっていただきたいと思うのですが、日本の伝統産業の粋を集めて、人間国宝の方々とか伝統工芸士の方々がすばらしいものを中でつくっていただいておるわけでございます。やはり、東京のすばらしい迎賓館がもちろんあるわけですが、それだけでは海外の方々を招くにはちょっと不足、半分だ、本当に日本の文化を発信する必要があるということでつくられたわけでございまして、そういう意味では、本当に営々と何百年も守ってきていただいた方々に私は敬意を表しておりますし、またこれからも何とかそういう方々を応援していかなければいけない、このように思っているんです。

 そこで、伝統工芸品産業が衰退している原因並びにその対応策といいますかビジョンについて、経済産業省としてはどのように考えているか、ちょっと簡潔にお答え願えますでしょうか。

松下副大臣 議員が熱心に取り組んでいただきますことを大変うれしく思っています。

 私も鹿児島でございまして、今、大島つむぎを着ていますけれども、これも伝統産業で、既に十分の一以下に減ってきていまして、何とか支えなきゃいかぬ。全国に二百十一あるんですけれども、それぞれが課題を抱えて大変苦しんでおります。外国からいろいろ安く物がそういう伝統産業品の中に入ってきているということも含めて、やはりしっかりと本物を、日本の美、日本のわざ、日本の文化をしっかり次の世代に伝えていくということが大事な今の政治の役割だ、そう思って、全力を挙げてこの問題に取り組んでおります。

 予算関係も、厳しい仕分け作業もありましたけれども一〇%伸ばして、この分野の大切さを理解していただいたと思っておりまして、これからもしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。

竹内分科員 そこで、ちょっと具体的なお話をさせていただきたいと思います。

 いわゆる伝産法がありまして、これが二〇〇一年に改正されまして、経済産業大臣が指定した事業者等へ補助金などが交付されております。この予算を拝見しておりますと、これがだんだん、本当にわびしい限りというか、まず、伝統的工芸品産業支援補助金が二十三年度で二億六千万弱、伝統的工芸品産業振興補助金が六億八千万弱ということで、トータルで見ても、昨年よりもちょっと減らされているんですよね、政権交代してから。本当に残念きわまりない話でございまして、これでいいのか、そういう意味では思い切った予算配分を行うべきだというふうに実は思っているんです。

 地元でよく言われているのは、むしろ基金を百億ぐらいどんと積んで、その運用を含めてやはり思い切った振興を図るべきではないか、需要を創造して雇用を創造すべきではないかと。菅総理も雇用、雇用、雇用とおっしゃっているわけですから、思い切ってこういうことも非常に大事なことなんじゃないかなと思っていまして、この予算の拡充の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。御意見を賜りたいと思います。

川上政府参考人 先生御指摘のように、伝統工芸品産業はなかなか厳しい状況に置かれておりまして、経済状況によります需要の低迷でありますとか、生活者のライフスタイルが変わってまいりましてなかなか伝統工芸品をお使いになる機会が減っているといったような環境に加えまして、量産化ができないとか、人材、後継者が不足をしているとか、あるいは原材料とか生産用具の生産基盤が弱ってきている、衰退の原因がそういうところにあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。

 このために、振興策といたしまして、今、予算でお願いをしております伝統的工芸品産業支援補助金を活用いたしまして、産地が行う需要開拓事業や後継者育成事業を支援していく。また、伝統的工芸品産業振興協会の産地指導事業とか普及推進事業を通じまして、伝統的工芸品産業に対する支援を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

 このうち、特に、産地が行う需要開拓事業あるいは後継者育成事業など伝統的工芸品産業支援補助金につきましては、二十三年度政府予算案で二億六千万円と、前年比一〇%増の予算をお願いしている次第でございます。

竹内分科員 ぜひともこれは思い切った予算拡充を要望しておきたいと思います。

 それから次に、伝産法に基づく伝統工芸品の大臣指定に関する産地規模要件というのがありまして、十企業以上もしくは三十人以上、こういう要件になっているわけであります。そういう中で、全国で伝統工芸品千三百品目と言われているんですが、そのうち大臣指定の対象は二百十一品目ということになっているわけであります。

 京都でもこの経済産業大臣指定というのはわずか十七品目しかありませんで、これはちょっとおかしいのじゃないかということで、京都市が独自に七十三品目指定していまして、そのほかにも京都府が別に四十品目指定している、こんな状況なんです。

 地元のことで恐縮ですが、京都市が指定している伏見人形、それから茶筒、京がわらは一企業の小規模なんですね。しかし、非常に重要なんです。それから、京都府が指定している京畳、造園、金属工芸品なども、そこそこの規模なんですけれども、これは産地規模要件を満たしていないということで経済産業大臣指定からは外れている。

 そういう意味では、地元からの声は、二百十一だけではなくてもう少し緩和して、一企業でも、その中身ではないのかと。日本文化の継承と地域経済の発展のためには、やはりそういう指定要件をもう少し全国的に見直して、そして予算拡充につなげていく方がいいんじゃないか、人々に希望を与えるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、御見解をいただきたいと思います。

川上政府参考人 指定要件についてのお尋ねでございました。

 指定要件の一つといたしまして、伝統的工芸品産業の振興に関する法律第二条では、「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているものであること。」と定められておりまして、原則といたしまして十以上の事業者または三十人以上の従業者があることを要件として運用をしてございます。

 これは、伝統的工芸品の製造活動を産業としてとらえようとしている、そういう考え方に基づいておるためでございまして、産業としてある程度の規模が必要という考え方によるものでございます。

 この基準は必ずしも固定的なものではなく、個別の案件の実情によって判断をされるものでございますが、産業規模としましては、あくまでも原則でございますが、原則的にはやはりこの程度の水準が必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。

竹内分科員 ぜひまた考えていただきたいと思います。

 それから、自治体主体事業への補助金という観点からちょっと質問いたします。

 現在、伝統的工芸品産業支援補助金の対象というのは、産地組合を主体とした計画となっております。しかしながら、業界団体が自力で事業展開できない場合は、やはり地方自治体が後押しせざるを得ないんですよね、実際としては。本当に、地域の場合は、企業だけ、民間だけの力というのは非常に弱い場合がある、特にこの伝産業界は。

 そういう意味で、やはり自治体のバックアップというのは非常に大事でございまして、どうも業界団体が主体でないと補助がおりないという声を地元では聞いておるんです。もう少し、地方自治体が主体であっても補助金の交付を可能とすべきではないか、このように思うんですけれども、この辺につきましてはいかがでしょうか。

川上政府参考人 先生がおっしゃいましたように、業の振興のために、産地の方々と自治体、そして私ども国が連携をして取り組んでいくということは大変重要なことであるというふうに考えております。

 地方自治体が伝統的工芸品産業の振興に関する法律の規定に基づく支援計画を作成いたしまして、経済産業大臣の認定を受けていただければ、その計画に基づいて実施する支援事業への適用は可能でございます。自治体にそのようなお考えがあれば、私どもとして相談に乗ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

竹内分科員 よくわかりました。これをどんどん言っていきたいというふうに思います。

 それから、京都市なんかは、やはり何といっても大需要地である首都圏が大事だということで、アンテナショップ、白イ烏というのがありまして、鳩山前総理の奥様にも来ていただいたり、それからファッションショーを東京で開催したりしているんですけれども、京都市初め各自治体が東京で何かやるとしても、なかなか予算に限りがございます。

 そういう意味では、もっと国が産地に呼びかけて、分野ごとに、特に東京でもっとそういうファッションショーやいろいろなことをやってはどうか、そういう需要開拓事業を実施すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

川上政府参考人 全国的な需要開拓事業につきましては、全国伝統的工芸品センター、これは東京にございますが、そこにおける常設展示を初め、百貨店を活用した全国規模の展示会の実施ということをやっていただいておるところでございます。

 また、産地単位で行う展示会や新商品開発などの需要開拓事業につきましては、伝統的工芸品産業支援補助金による支援を行っております。

 この補助金につきましては、先ほども申し上げましたように、対前年度比一割増の予算案をお願いしているところでございまして、今後とも産地のニーズにきめ細かくこたえてまいりたいというふうに考えております。

竹内分科員 本当にそういう発想は大事だというふうに思っていまして、池袋にこのセンターはあるんですが、それが悪いとは言いませんけれども、池袋も大需要地ですからいいんですけれども、やはり何といっても東京にはもっと発信に有効なところもいっぱいありますので、いろいろそういうのを活用してもらいたいというふうに思うんですね。

 それから、やはりライフスタイルの変化ということがございます。学校教育の面でも、小中高の学校教育の中で伝統産業継承のための体験学習とか伝統工芸士による授業など、もっと充実を図っていくべきだというふうに思うんですね。一部既に自主的にやっていただいておりますけれども、この辺についてはもっと力を入れるおつもりはありませんか。

川上政府参考人 先生がおっしゃいましたように、伝統的工芸品を現代に伝え、さらに次世代へと継承していく上で、児童や生徒の伝統的工芸品への関心を高めるということは極めて重要なことだというふうに考えております。

 このため、平成十三年度から、国の補助事業の一環といたしまして、財団法人伝統的工芸品産業振興協会において、学校教育の場において、児童生徒に対しまして伝統工芸士などの職人の方が実演指導いたします、児童・生徒に対する伝統的工芸品教育事業というのを実施いたしているところでございます。平成二十一年度におきましては、八百六の学校において、約五万三千名の児童生徒に対して講習会を実施させていただきました。

 今後とも、このような児童生徒への働きかけを充実させてまいりたいというふうに考えております。

竹内分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。京都市なんかでも、生け花を授業の中でやったりとか、それからボランティアで教えてもらったりとか、茶道といいますかそういうのもやったり、いろいろやっておりますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 それから、道具類の問題につきまして指摘しておきたいと思います。

 さまざまな伝統産業の道具、部品への需要も大変今減少しておりまして、希少道具類の供給体制に支障が生じてきているというのが実態でございます。

 この希少道具類の確保に向けた取り組みというのは、後継者育成と並ぶ重要な課題であるというふうに思っておりまして、今後、ぜひとも実態調査を行うとともに、文化庁が少しその選定保存技術のような制度を持っておるんですが、本当にわずかなものでありまして、松下副大臣のお地元の大島つむぎでも、やはり機械じゃなくて手でされるわけですから、意外にこういう細かな道具を残していくというのは本当に大変なことなんですよね。私どもの西陣でも、本当に今機をつくる人がいない。本当にさまざまな道具をつくる人がいない、こういう深刻な問題に立ち至っているわけであります。全国、本当にそうだと思うんですね。

 そういう意味で、こういう観点からも、文化庁とは別に経済産業省としても何かちょっと考えていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

    〔主査退席、三谷主査代理着席〕

川上政府参考人 私どもでも注意をしておりまして、平成二十年度に調査を実施いたしました。その中で、生産用具の調達に問題が判明をいたしましたことから、二十一年度から、財団法人の伝統的工芸品産業振興協会の事業といたしまして生産基盤整備モデル実証・支援事業というものを追加いたしまして、原材料や生産用具の確保を図ることとしております。

 また、その協会に原材料や生産用具に関係いたします情報提供を目的としたデータベースを構築いたしまして、支障がないように努めてきているところでございます。

 今後とも注意を払ってまいりたいというふうに考えております。

竹内分科員 後継者の問題と道具、技術の問題は非常に重要でございまして、京都は幸いにして、園部というちょっと中丹のところに伝統工芸学校をつくったものですから、まだ若者がそこへ結構学びに行っているんです。そういう意味では、よかったなと諸先輩に感謝を申し上げる次第でございますが、それは残念ながら西陣織物と友禅以外の伝統産業ですので、一番の肝心かなめのところが学校がないので非常に残念なんですけれども、こういう観点、ぜひともバックアップしていただきたいと思います。

 今後、国の施設を新規に設置する際に、かわらとか和紙とか伝統工芸品、さまざまなものがありますが、そういうものの活用を義務づけるような制度も検討してもらいたいなと思うんです。議員立法でしたけれども、公共施設の木材利用を進める、あれは民間も該当しますが、そういう法律もできました。伝統工芸品の活用の義務化といいますか、国の施設に、新規の場合ですけれども、義務づける制度をぜひ検討していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

松下副大臣 議員のお話をずっと聞いておりまして、一緒に取り組んでいかなきゃいかぬ、そう思っております。

 伝統工芸品、これは産業として支援していくことも大事ですし、もう一つは、地域には、それぞれの踊りとか芸能とか、何百年も続いている、そういう後世に伝えていきたい大事なものもございます。そういうものを含めて、やはり国、それから地方の都道府県、市町村、そして一番先端の公民館、そういうところを含めて、みんなで一体となってそういうものを進めていくという仕組み、それから心がけ、心構えが大事だというふうに本当に思っています。そういうことをしっかり守り立てていきながら、国がどういう役割をすればいいのか、地方の役割は何かということをしっかりと議論していきたい、こう思っています。

 今度、私たち、間もなく新幹線が通るんですけれども、新幹線の内装とか、それからいすとかいうのは、私の地域の川辺仏壇の塗り、そういうものを生かして、長くもちますのでそういうものを使ってやっていくとか、そういうものをしっかりやっているわけでございまして、いろいろな取り組みはあると思っています。目の前に打越議員がおられますけれども、まさに奄美大島のつむぎは彼のところでございまして、大洪水で大きな被害を受けて、今その復興をどうするかがまた大変なことになっているんですけれども、それを含めて、みんなでそれぞれ役割分担しながらやっていこう、こう考えています。よろしくお願いします。

竹内分科員 では、最後に一言だけ。済みません、一言で終わります。

 今申し上げたような点、ぜひとも今後、伝産法の改正を含めて、これは議員立法でやらないといけないのかもわかりませんけれども、ぜひ努力をしていただきたいし、我々も努力をしていくということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

津村主査 これにて竹内譲君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)分科員 竹内議員さんの後を続けまして、午前中の最後になりますが、よろしくお願いしたいと思います。

 今ほどは、伝統産業、そしてまた京都のお話がいろいろ出ておりまして、万葉集の歌をいつも準備してくるものですから、きょうは巨勢山の歌を持ってきてよかったかなと思いました。巻の一、五十四番。

  巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな巨勢の春野を

ということで、ありがとうございます。(拍手)

 私の質問は、実は環境問題で割と先端の方の問題になるんですけれども、今ちょうどこのお話がありまして、御答弁の中で川上審議官も幾つかお答えになっていましたので、ちょっと先にPRさせていただきたいと思います。

 私、富山県高岡市の市長をしておったわけですが、高岡市では国の特区をとりまして、小学校、中学校の授業の中で、ものづくり・デザイン科というのをやっております。そして、五年生、六年生、中学校一年生、一年間に小学校は七十時間、中学校は三十五時間ということで、伝統工芸士さんを含めて、高岡の場合は、銅器、鋳物、それから漆器、漆がございますので、こういったものを実際実演していただき、児童生徒とともに物をつくり上げていく、こういうことをこれで五、六年やっております。先ほどのお話の中にぴったり合う話ではないかなと思いましたので、PRをさせていただきたいと思います。

 さて、しかし用意してきた質問は実は先端技術の方でございまして、始めさせていただきます。

 低炭素社会ということが今問われているわけですが、その中で、我が国の、特に戦後のといいますか、もっと言うと伝統産業に裏打ちされて強みになっている材料・素材分野ですね。考えてみますと、私どもの地域も、もともと金属加工、鉄、銅から始まりまして、今アルミの、そしてアルミからマグネシウムへと素材、材料というものを追求している地域でもございます。そういう材料・素材分野の技術開発をさらに進めていくということは、この低炭素社会という、いわゆるグリーンイノベーションと言われているそういう分野についても、非常に成長戦略の面でも重要ではないか。

 まず、この辺の経産省さんの総括的な取り組みについてお伺いいたします。

川上政府参考人 先生がおっしゃいましたように、製造業は、我が国経済の活力と雇用を支える重要な役割を担っているというふうに考えております。特に、低炭素社会、次世代産業を支える高度な素材・材料分野に関しましては、高い技術力を生かして、我が国企業が世界においても高いシェアを占めている。これは例えば炭素繊維など代表的な例がたくさんございます。

 一方、直近の動きといたしましては、新興国企業を初めとしまして、海外企業が競争力をつけておりますので、その状況に対応してまいらなければいけないというふうに考えておりまして、こうした素材・材料分野における競争力の維持強化に努めてまいらなければならないというふうに考えております。

橘(慶)分科員 カーボンナノチューブの話などもしていただきながら、実は、この後、幾つか今回の予算等で見受けられる、そういう意味で未来へ向かって扉を開いていく取り組みについて御質問をさせていただきながら、何か大臣の方もちょっとお手が挙がったりしていましたので、そういうことを総括して御感想なり、また御方針なりをお伺いするということでお願いしたいと思います。

 まず最初に、ノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発というものからお話を始めたいと思います。

 これは、電力消費をできるだけ減らす、超低消費電力型コンピューター、こういうものを実現しようと。やはりコンピューターはどうしても電気を食うものでありますから、これを食わないようにするためにはどうするんだということで、そうすると、計算をする、演算をする演算素子、あるいはCPUと言われる部分、こういった部分を電力を食わないものにかえていかなきゃいけないということなんですが、この分野は非常に国際的にも競争の厳しい分野であります。

 国際的にある意味で優位に立つためにも、そういう電力消費が少ないCPUということになれば、やはり我が国の一つの売りにもなるんじゃないか、このように期待も申し上げるわけですが、お取り組みをお伺いいたします。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 議員御指摘のノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発でございますけれども、御指摘のとおり、このコンピューティングの技術は、必要なときだけ電源をオンにいたしまして、それ以外の通常時はオフにするという、これまでにない新しいタイプのコンピューティング技術でございまして、我が国として世界に先駆けて研究開発に着手をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 こうした技術が実現をいたしますと、CPUの消費電力、これは大体平均で、今、五十ワットとか六十ワットぐらいかかってございますけれども、これが現状の十分の一程度にまで削減が可能であるということと、それから、CPUを含めたパソコン全体でも消費電力を四分の一程度まで減らすことが可能になるというふうに承知をいたしております。

 こういった技術を実現いたしますと、圧倒的な超低消費電力の性能を持った、競争力を持った製品の開発が可能になるということで、私ども大きく期待をしているところでございます。

橘(慶)分科員 そこで、一つ夢を広げますと、私どもの世代というのは、そろばんから電卓へかわっていくという世代でありました。初め電卓ができたときは、大きいもので、しかもコンセントがないとつながらなかった。それが、やがて電池式になり、今や電卓の場合は太陽電池ということで、全く電池も要らない。太陽電池がそれについていればすぐ計算できちゃう、こういうものにかわってきているわけです。

 多少思い切った話になるかもしれませんが、やがてパソコンも、結構電池でもつものもふえてはいますけれども、いっそのこと、もうパソコンだって今の電卓のように太陽電池だけで動くような、そういうパソコンというのは可能じゃないかという夢も開けてくるんですが、そういったところはいかがでしょうか。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 議員御指摘のとおり、このプロジェクトが成功いたしますれば、例えば、太陽光だけで動くパソコンが実現できるといったような、まさに超低消費電力型のコンピューターの実現が可能になる可能性も十分ございます。そういう夢のあるプロジェクトでございますので、当省としても積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

橘(慶)分科員 もちろん研究開発ですから、うまくいくものもあれば厳しかったということもあるかもしれませんが、ぜひ、進められる以上は夢と気概を持って頑張っていただきたい、このように思うわけであります。

 続きまして、二十三年度の新規事業の中に、革新的低炭素技術集約産業の国内立地の推進ということで、言ってみれば、企業立地を後押しするこういう事業が新たに設けられているわけであります。これは、実は既存事業あるいは補正でかなり頑張ってこられた低炭素型雇用創出産業立地推進事業というのが今まであったわけですが、かなり名前的には似ているんですけれども、どうやら少し目指されるところは違うようにもお伺いしております。違いをお伺いしたいと思います。

内山政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の二十二年度事業でございますけれども、これは、緊急の経済対策といたしまして、リチウムイオン電池、LEDなど、将来の成長が見込まれ、我が国が強みを持つ低炭素分野におきまして、本格量産ラインに対する支援を行うことによりまして国内雇用の創出を促す、これを目的としております。

 一方、新しい二十三年度の事業でございますけれども、これは、最先端の低炭素製品の生産技術を確立するために必要となる最初の生産ライン、いわゆる一号ラインを支援することによりまして、我が国を世界最先端のグリーンイノベーションの中核拠点とする、そのことを目的としております。

橘(慶)分科員 今までよりは一段川上に上がった部分をやりましょう、こういうことで受けとめているわけであります。

 しかし、去年の補正ではかなり増額をされたこの低炭素型雇用創出産業立地推進事業であります。去年の臨時国会でも、最初のときの金額での効果ということについては御答弁をいただいていたわけですが、その後、思い切って千百億円の規模に増額された。かなりの増額ですが大丈夫ですかというときには、かなり応募もあるので順調に、こういう話も聞いておりました。

 あれから時間もたちましたので、この一千百億円さらに投じたことによります経済効果、雇用効果について、ここで確認をさせていただきます。

内山政府参考人 お答えいたします。

 二十二年度の予備費におきまして、本事業につきましては昨年十二月末に採択決定をしておるところでございます。現在は、補助を受ける工場などの建設がまさに始まるところと承知をしております。

 この事業によりまして、補助金額の約五倍に当たります約五千三百億円の投資を誘発してございます。

 また、建設された工場が稼働することによりまして、関連部材などのすそ野産業に対しまして毎年約一・九兆円の需要を創出するとともに、こうしたすそ野産業も含めまして約九万五千人の雇用を創出する見込みでございます。

橘(慶)分科員 この事業では、たしか、大都市圏だけではなくて、かなり地方圏も含めていろいろなところで立地が、プロジェクトが進んで採択されているというふうにもお伺いしております。一千百億円からの一つの種金が五千三百億円の投資になり、その投資でできた工場からはまた固定資産税等もそれぞれ地方に払っていただく。九万五千人の方が雇用されるということによって、例えば失業給付とか、そういったところも当然削減をされていく。そう考えた場合に、たまたま流れに乗ったという部分もあるかもしれませんけれども、一千百億のそういうプッシュで経済に大きな波及効果をもたらしていくということは非常に意味のあることではないか、このように思っております。

 これは、今まで経済対策ということで進められたということで、今回は、いわゆる新年度予算ということなので、国とすれば、いつも経済対策ばかりということでもなくて、少し、もう一つ川上の方へシフトされたわけではありますが、まだまだそういう需要もあるようにも聞いておりますので、タイミング、あるいはそういうことが必要なてこ入れの際に、ぜひ有効な手段としてこれを活用されるよう望むものであります。

 もう一つ違った分野を聞かせていただいて総括していきたいと思うわけですけれども、低炭素ということになりますと、やはり二酸化炭素を減らすということなわけです。もちろん発生させないということも大事でありますけれども、発生してしまったものを回収、貯留する。出てしまったものを何とか大気中に出さずにどこかへ封じ込めてしまうということも大変大事な一つの削減の方法ではないかと思うわけであります。そういう革新的な技術の実用化というものは可能であるかどうか。

 そしてまた、この分野の基礎技術につきましても日本はかなり最先端のものを持っておるというふうに聞いておるわけでありますけれども、その内容及びそれを国際的に広げていくような国際協力の取り組みということで、お伺いをさせていただきます。

菅原政府参考人 委員御指摘のとおり、CO2の回収というのは非常に重要だと思っておりまして、中でも、いわゆるCCSと言われるものがございますが、これは、例えばIEAの試算によりますと、二〇五〇年までに世界全体のCO2を半減しようとしたときに、そのうちの一九%、約二割はこのCCSによらざるを得ないのではないかというぐらい重要なものでございます。

 現在、日本国といたしまして、二〇二〇年までにこのCCS技術を商業化段階まで持っていくという取り組みをしてございます。

 その中でも特に、このCCSに限って言いますと、二酸化炭素固体吸収材ですとか、二酸化炭素分離膜モジュールといったCO2の分離回収技術は、日本が今世界のトップを走っております。

 ただ問題は、まだコストが高く、これを商業化までに低コスト化していくということが課題になっております。

 今、同じくこの分野で高い技術を持っておりますアメリカのDOEの国立研究機関とも協力しながら、この低コスト化、商業化に向けて、何としてでも二〇二〇年までに実現したいという取り組みをしているところでございます。

橘(慶)分科員 技術的にはめどは立っているけれども低コスト化していかなきゃいけないという意味で、やはりもう一つ、言ってみればブレークスルーしなきゃいけないということかと思います。

 たしか、今、これを実証していくというか進めていくために、日本国内でパイロット的に幾つかの箇所で進められていくというような話も聞いておったと思うんですが、その辺の二十三年度の取り組みについてちょっとお話をいただけますでしょうか。

菅原政府参考人 御指摘のとおり、今、国内でCCSの大規模実証実験をやっているところでございます。

 具体的に申し上げれば、候補地点といたしまして、北海道の苫小牧沖、福島県の勿来、磐城沖、あとは福岡県北九州沖、この中で、今のところ北海道の苫小牧沖が、既に地質の三次元弾性探査というボーリング事業も終わりまして、今かなり具体的なところまで来ているところでございます。

 二十三年度予算といたしまして、この事業に対して約五十億円を要求いたしているところであります。これまで、十二年度から十年近く地道にこの作業をやってきておりまして、二百七十億円ぐらいかけておりますが、何とか地元の協力も得ながら、具体的な大規模実証で商業化へのめどをつけたいと思っております。

 以上でございます。

橘(慶)分科員 先ほど、一千百億円から五千億円という話もありました。今、五十億、七十億を使って何とか芽を出していきたいというお話もありました。そこは、それぞれ誘発していくものもあればチャレンジしていくものもある、ぜひそういうことを組み合わせてお願いしていきたいわけであります。

 こうやって、言ってみればデバイス的な、非常にミクロの部分のもの、あるいは、今、かなり大規模になりますけれども二酸化炭素を固めるようなもの、あるいは、先ほどの立地の話でいえば、それは太陽電池であったり、環境に優しいいろいろなものに取り組んでおられると思うんですね。今の内閣の成長戦略の中では、実は、こういったものをグリーンイノベーションと、ライフイノベーションと並んでこういう形で位置づけていただいているわけであります。しかし、また一面、これまでの日本の歴史なり経産省さんのお取り組みということも振り返ってみますと、そういうものは、デバイスと言ったり、ナノテクと言ったり、あるいはもっと言うと、ものづくりと言ったり、製造業と言ったりもしてまいりました。

 私は、これは去年もちょっとお話ししたかもしれませんが、今回の成長戦略の中で、ある意味で戦略というのも毎回毎回新しさを出していかなきゃいけないというのは理解しております。しかし、あの成長戦略のずっと書いてある中に、そういった、今申し上げたような事項というのが全く単語としても出てこないというのは、私は何か非常に残念じゃないかなと。やはりそこは、そういうものも実際あるんだから、そういう位置づけもしていいんじゃないかと思うわけですね。

 今すぐ成長戦略を云々ということもないにしても、日本の一つの強みである製造業、あるいはその中でもより先端的な技術、あるいは細かいもの、あるいは新しいもの、そういったものについて、やはりこれは成長の原動力ではないかと思うんですが、この辺でひとつ大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 発言の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。何か国会が昔に戻ったみたいで、官僚の答弁ばかりで、私はそういうことには余り賛成ではありません。ですから、もっと最初から指名していただければ幾らでもお答えをしたところでございます。

 今の先生のお話でございますが、ちょうどきのう、予算委員会の会議でイノベーションという言葉を、技術革新とかいう言葉があるけれども、これを創新、新しくつくるという言葉に置きかえたらどうだという御提案が野党の委員からありましたけれども、私がそのとき思ったのが、実は温故創新という言葉でございます。本来は温故知新でございますが、これは実は、羽田孜先生が、色紙に求められると必ずここに温故創新という言葉を書くわけでございます。

 まさに古きをたずねて新しきをつくるということで、イノベーション、グリーンイノベーション、新しい言葉でございますけれども、やはりそこにはしっかりとした古きをたずねる精神も必要でございますから、その意味では、製造業でありますとかものづくりでありますとか、そういう言葉もしっかりと心の中に刻まなければいけない、あるいはしっかりと文言の中にあらわれなければいけない、そのように思ったところでございます。

橘(慶)分科員 ありがとうございます。

 最後の、文言の中にもやはり入れ込まなきゃというところを、また機会がありましたらぜひ取り組んでいただければうれしいなと思っております。

 これは質問とはちょっと外れますが、今大臣から、ずっと局長さん、審議官さん指名ということで言われましたが、言ってみれば、これは物事の中庸という部分でありまして、全く審議官さん、局長さんがいない、そういう審議というのも私は逆におかしいと思っていまして、かといって、局長さん、審議官さんばかりというのも確かにおかしいと思っていまして、物事の中庸ということ、今、温故創新というふうに言っていただきましたが、やはりどこかに中庸というものを見出したい、そういう思いがございます。

 全体として非常に審議官さんの出番が今少なくなっておりますので逆にコールいたしましたけれども、意のあるところは、みんなチームで一緒に取り組む、そこをうまくバランスをとっていただくということがいいなと思っているということをせっかくですから申し上げて、そういう意味で、私は、各分科会みんな、なるべく局長さん、審議官さんお願いしますということを言っているということを御理解いただきながら、では、もう一つ、せっかくですから大臣にお伺いをさせていただきます。

 低炭素社会といいますか、地球温暖化対策というのは非常に大事であります。今、例の二五%云々という問題も引き続き審議がなされているところであります。

 しかしまた、山を登るということを考えた場合、大きな目標を掲げてそこへみんなで努力しようというのもありますし、また一面、ふもとからしっかり踏み締めながら登ることによって、二合目、三合目、四合目だからこれくらいという見方もあると思います。これは見方の相違ですが。しかし、ある意味でやはり踏み締めていかないと、現実にこの大気の中からどれだけ二酸化炭素を削減していくかということが今、きょうも四月並みの陽気になってきているわけですが、そういったときに問われることだと思います。

 そこで、ある意味で、経済産業省さんは、そういった取り組み、今いろいろなことをされていく。先ほど、全体の二酸化炭素を減らすための一九%はCCSでやりたいとか、こういうお話もありました。何かそういう、今度は逆にふもとから登っていくときに、今どれくらいできるという思いを持っておられるのか、あるいは、それと二五パーとの間をどうつなぐかというのを、ちょっと話は大きいですが、せっかくですから、大臣のお考えをここで少しお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 この二五%については、これもきのうも予算委員会で議論のあったところでございます。

 私は、まず一つの言い方として、二五%というのは前提があるんですよということで、それは、中国やアメリカの主要排出国がやはりその枠組みに入ってくることですよということ、これは全くそのとおりだと思います。ただ、それと同時に、そのことを言うことによって、どうせいつまでも中国やアメリカというのはこの枠組みの中になかなか入ってこないんだから、何もしないでいいんじゃないだろうかという言いわけに使ってはいけないと私は思うわけでございますね。

 ですから、もちろん、主要排出国、特にこれまでの京都議定書ではCO2の排出量のたった二七%ですから、だから、残りの部分、とりわけ主要な排出国であります米中というのは必要不可欠でございますが、それはそれとして、働きかける努力はするけれども、足元のところで、やはり自分たちのところでCO2を削減していくという努力は必要なのではないだろうか。

 その点におきまして、産業界というのは、これまでも非常に多大の投資もしまして、それから多大の汗を流して開発してきたということはそのとおりでありまして、あと、残る家計の民生部門でありますとか、そういうところと歩調をとりながら、また、その民生部門がCO2の排出量を減らすのに当たって産業界の果たす役割というのもあるわけでございますから、そういうところで貢献していかなければいけないかなと思っております。

橘(慶)分科員 お考えは、本当にそうだなと今思いながら聞いている部分があるわけです。

 おっしゃるように、まずは今まで取り組んできたことをやはり一つは評価しながら、そしてそこから、ではあとはここまで頑張ってほしいんだということを割りつけながら、そしてまた、おっしゃるように、よその国がどうだからというよりも、自分たちでどうなのということをやはり見詰めていくということが大事だと。たまたま、先ほどの局長答弁、政務三役答弁の話じゃありませんけれども、突然二五とぱっと言われちゃうとみんなびっくりしちゃう。そうじゃなくて、こうだから、ここからあとこれだけやったらこうなるんですよというところをもう少しやはり煮詰めるということが、今、ある意味でこの法案が通っていないということの、プラスに考えたらですよ、前向きに考えると、そういう意味ではないかと思います。

 ですから、やはり何かここは経済産業省さんとしても、ある意味でいろいろなデータもお持ちですし、汗をかいてそういうものを進めていく。経済産業ブランチでこうだから、家計でこうすればこうなるとか、ここまでは頑張れるというところも出していくということが本当に地球全体のためにもやはり大事じゃないかな、こんな思いを実は持つわけであります。

 そんな意味で、何でもかんでも折衷するのかと言われるかもしれませんが、やはりここは、より現実的なもの、さっき子ども手当でさんざんそれを言ってきたんですけれども、現実的な解決策ということを求めていく時期ではないかということを申し上げながら、残った時間で最後、税制の方を少しお尋ねをして、最後にもう一度、大臣には総括的にお伺いしたいと思います。

 今回、法人税の実効税率五%引き下げということになりまして、減価償却制度を、どうしてもそこを見直さなきゃいけなくなった。ただ、減価償却制度は、実は平成十九年に一度加速しておきながら、今回、二十二年ということで、逆にまた二十三年から減速するということになります。

 税会計と企業会計は別々と言いながらも、やはり上場企業では実際は連動いたします。そうなると、例えば、同じ物の減価償却の、価値が下がっていくということについては、本当は基準は一つであるべきなのに、いろいろな事情の中で変わっていく。こういうことになりますと、非常に企業会計との方でいろいろそこは摩擦が多いんじゃないかなと思うんですけれども、ここについての考え方をまずお伺いいたします。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 法人実効税率の五%の引き下げは、減価償却制度の見直しなど課税ベースの拡大をあわせて行っておりますが、デフレ脱却と雇用拡大を最優先して思い切った措置を講じたものでございまして、企業にとっては相当程度の実質的な負担減を伴う案となってございます。

 御指摘のとおり、減価償却資産の定率法の償却率を見直すこととしてございますが、この見直しが会計監査上も受け入れられ、税と会計が一致した処理が認められるよう、会計実務において適切な対応がなされるものと認識してございます。

橘(慶)分科員 教科書的にはそうなんですけれども、要は、今までちょっと早く減価償却できたものが急に遅くなったり早くなったりと、例えばトラックならトラック、建物なら建物を考えたら、本当にそれでいいのかということなんですね。

 これは質問は飛ばしますが、貸倒引当金にしましても、堅実に考えれば引き当てしていかなきゃいけないものが、いわゆる中堅企業以上については、今回それは全部有税にしますよと言われると、ある意味で逆に堅実じゃなくなる方向へ後押しする。さすがに危ないと思われて、金融機関は引き当てはそのままオーケーなんですけれども、中小企業もオーケーなんですが、ちょっとその辺も、本当に堅実な企業経営という、いわゆる保守的な会計基準の考え方からすると、気になるところであります。

 しかし、これはお伺いしないとして、もう一つ、いろいろ打ち合わせをしている中で見えてきた心配点なんですが、繰り延べ税金資産というものが今、時価評価会計の中からこういうものを入れるようになってまいりました。それが、今度実効税率が下がることによりまして、実は崩さなきゃいけなくなるんじゃないかということが見えてきたんですが、ここについて、まず考え方をお聞きします。

安達政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り延べ税金資産は、平成十二年に導入された税効果会計に基づき、会計上の損益と税務上の損益が一時的に異なることを調整するために計上される資産でございます。

 今般の税制改正のうち、例えば法人実効税率の引き下げは、将来のそもそもの税負担を減少させるとともに、繰越欠損金等によって軽減される将来の税負担も比例して減少する効果がありますことから、現時点の繰り延べ税金資産の減額につながるものとなってございます。

 したがいまして、今般の税制改正は、委員御指摘のとおり、企業会計上には短期的な影響があると承知してございますけれども、実態面から見れば、法人実効税率の引き下げにより、企業のキャッシュフローをふやし、投資余力を増加させるなど、企業の実質的な競争力の強化につながるものと考えてございます。

橘(慶)分科員 金融の専門家でもある委員長さんのもとで、大体問題意識がどこにあるかは御理解いただいたと思います。そしてまた、海江田大臣もこういうことはお詳しいわけであります。

 要は、グローバルスタンダードということが始まってから、企業会計基準がいろいろな形で変わってまいりました。もちろん、金融システムを守らなきゃいけなかったということもあるんですが、こういったものがやはりある程度安定的でないと、やはり非常に難しくなってくるんじゃないか。

 また別の機会にこれは少し議論をしたいんですが、きょう、今お聞きになった感じで、言ってみれば税と企業会計との関係、お考えのところをお聞きして、終わりたいと思います。

海江田国務大臣 税と会計の問題、特に国際会計になってまいりましたから、かなりのそごと申しますか、これが起きているということは現実の問題でございます。

 これをどういうふうに合わせていくかということで、さっきお話があったような事態にも陥ったわけでございますが、私は、やはり特に今、税はどちらかというと一国でずっと議論をしてきた、会計もそうだったわけですけれども。もちろん、税の世界でも、今お話がありました法人税の実効税率の五%下げ、これはあくまでも国際的な流れを見て、それで、日本が下げたことによってまたアメリカもこれから下げようとかいう話がありましたけれども、会計の世界は、もっと早く国際的な会計の基準が出てきて、この調整をどういうふうにとっていくかということを、今ちょうど端境期でございますから。

 どちらかというと、会計の基準は、特にヨーロッパ、もちろんアメリカも、いろいろなリーマン・ショックなどの間で、ヨーロッパの会計基準に対してアメリカ側がいろいろな形で意見を差し挟んでいるというところもありますが、会計基準について言うと、少し日本の意見が国際的な基準に反映される度合いが低いんじゃないだろうかということが考えられております。それによって、あたふたというか、ちぐはぐも起きてくるのではないだろうかと思っておりますから、会計の世界でも、日本の会計基準というもの、あるいは国際的な会計基準を決めるルールのときに日本が独自の主張というものを行うことも大切かな、こんな思いでおります。

橘(慶)分科員 ありがとうございました。

 やはり、時には頑張れ日本ということも大事じゃないかと思いまして、ぜひ、そういう中で、また機会がありましたら深めさせていただきたいということで、きょうは本当にありがとうございました。終わります。

津村主査 これにて橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

津村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、自由民主党・無所属の会所属の本務員に御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

津村主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。玉置公良君。

玉置分科員 ただいま御紹介いただきました和歌山の三区の衆議院議員の玉置公良でございます。

 きょうは、地域の経済と雇用を守る観点から、エネルギー供給構造高度化法について質問してまいりたいと思います。

 まず、エネルギー供給構造高度化法につきましては、一昨年成立をいたしました。そして、この法律に基づきまして昨年七月に出されました「原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準」、こういう大臣告示が出されました。簡単に申せば、法に基づいて製油所の重質油の分解装置の装備率を二〇一三年度までに一三%まで引き上げなさいよ、こういったことが中心に書かれておると思います。

 そこで、私の地元の和歌山県有田市でありますけれども、これは、箕島高校といいまして、甲子園の野球でも有名であります。また、有田の日本一のミカン、タチウオとか、そういう農産物とか水産物の大変盛んなところであります。きょうも、実は傍聴にも見えております。

 そこで、人口が実は三万二千人足らずです、そういった中で関連をする東燃ゼネラル和歌山工場というのがございます。ここが有田のいわゆる地域経済の中核的な役割を果たしておるということでありますけれども、この法律、大臣告示によって大変心配される大きな事態が生じております。もしこのことがそのままいけば、今現在、和歌山工場には二十五の関連会社があって、従業員が約八百五十名、さらに市内の商工業者の方々は約一千二百人。そして、有田市の税収の、約十億円ほどもらっておるわけです、そういったことでいえば市の約二五%を占めるに至っておる。

 もしこういったことが起これば大変なことになるということで、地元の方々も存続を求めて約二万六千七百十八名もの署名をされまして、今、提出をしております。私も、実は昨年からこのことについて、私の選挙区でございますから、いろいろと御相談をいただきまして、今日まで市長や議会、さらには周辺の海南市や有田川町、昨年十月の二十日でありますけれども、覚えていますけれども、大臣室に行かせていただきまして、有田市長さんと一緒に要請を行ったところであります。

 実は、菅政権につきましては、地方分権、地方重視、さらには雇用が最優先、こういうことが訴えられております。このことが現実にならなければ一番いいんですけれども、現実になったとすれば国民への背信行為となるということで、大変私も危機感を覚えております。

 そこで、本日は、地域の経済と雇用を守る観点から、経済産業大臣にこの大臣告示の運用のあり方について御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、「原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準」という大臣告示のねらいは何であるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 玉置委員が今もお話ありました経産大臣のところへ、私はことしでございますから、そのときは大畠大臣でございましたね、そういう非常に地元の声を反映した陳情を受けたということは大畠大臣からしっかりと私にも引き継ぎがございます。

 お尋ねの点でございますけれども、この石油をめぐる状況は、今、中東、北アフリカがああいう状況になっておりますけれども、ここしばらくの最近の状況としましては、中東や中国、インドなどで非常に規模の大きい新型の製油所が建設されているわけですね。もう片一方で、実は、ガソリンなどをすぐ精製、分解しやすい軽質油という油が少なくなっておりまして、重質油でございますから、その意味でいうと、ガソリンなどの精製あるいは分解をするのが大変難しい油がふえているわけですね。

 この二つの問題がありまして、その中でどうやって我が国の石油精製所が国際競争力を持つようにしていくのか。外国から石油精製製品を輸入してしまえば、それも一つの方法でございますが、そうでなくて、日本でそうした重質油の油をどうやって精製をしていくかということで、まさにこの精製の能力を高める必要があろうか、これは先生も異存のないところだろうと思います。

 そうした観点から、石油の精製能力の高い製油所に置きかえなければいけないというのが、実はその大臣告示を出したねらいでございます。

玉置分科員 ありがとうございます。

 今、大臣が言われたように、貴重な化石燃料を有効に利用していかなあかん、このことについては私も同感であります。

 そこで、きょうの本題でありますけれども、しかし、だからといって、なぜ石油精製業者に対して、重質油分解装置の装備率の向上について、国がその具体的な方法や装置にまでがちがちにあれこれと事細かに強制する必要があるのかという疑問を私は持っております。

 それと、今の大臣告示で言われるような機械をつければ、何百億円もの資金を投じて重質油分解装置を新増設するか、既存の精製設備を破棄していく、こういう対応しかないと思います。

 今資料をお配りしておりますけれども、これは後ほども述べたいと思いますけれども、私が調査いたしましたところでは、そんなことをしなくても精製会社の独自の技術を活用すればいわゆる出口対応が可能であるという話もございます。

 もしも精製業者が採算性の観点からその設備の破棄とかそういうことを選択するような事態になった場合、先ほど申しましたようにかなりの莫大なお金をつぎ込まなあかんということで撤退をするとか、そういった中で地域の経済や雇用は大きな打撃をこうむることになると思います。

 先ほども申しましたように、雇用の重要性、地方の重要性、こういうことを菅総理大臣も述べられておりますけれども、エネルギーとか環境政策に名をかりた国内石油産業のリストラ措置ではないかと思うぐらい、勉強すれば勉強するほどそのように思ってきました。

 私も与党でありますので余りきつくは申したくありませんけれども、このエネルギー供給構造高度化法というのは、実は自民党政権下で成立したものであります。しかし、大臣告示はその後政権交代が起こってされましたけれども、ぜひともお聞きしたいのは、国会議員としてこの法律を見られた場合、大臣告示として政省令へ委任しておりますけれども、この範囲が広過ぎて、行政側による恣意的な運用を許す危険性があると私は思いますけれども、その感想はどうでしょうか。

 例えば国民の権利義務にかかわる問題は、私は、法律にすることが常識だと思っております。大臣告示として法改正をしなくても何でもやれる、ただ基準に定めるだけでそこで何でもできるということは、恐ろしいと思うんです。

 海江田大臣はそうではないと思いますけれども、政府としての御見解、御感想をお願いしたいと思います。

中山大臣政務官 今の、地域の雇用を守るとかそういう観点は私どももよくわかります。

 一番問題なのは、世界経済のグローバル化の中で、日本そのものが本当にやっていけるかどうかという視点から今いろいろな取り組みをしているわけでございます。私たちは、仮に企業の独自の判断で縮小とかそういうことになれば、そういう予算も今回の予算で提示はしてあります。

 ですから、私たちが考えなきゃいけないことは、やはり石油精製業者の方が他国と競争しても勝てるような状況にいてもらいたい、こういう思いで法律を施行するわけでございますから、今回のこの問題は、個別具体的に地域の問題としてとらえると、本当にいろいろな問題がここに出てくると思います。

 しかし、私たちはそれを乗り越えて、要するに日本の精製業者の方がオイルサンドとか重質油をもっと合理的に精製する機械を備えない限り外国との競争に勝てない、ほぼ倍ぐらいの効率のいいものを外国が持っているというようなところから、こういう話が出てきたんだというふうに思うんです。

 そういう面で、個別具体的な地域の問題についてなかなかここでお答えできないのは残念ですが、法律の趣旨としては先ほど大臣が申し上げたとおり、世界とのグローバルな競争に勝っていくために、そういうことについても一応予算はつけて、地域に対していろいろ高度な設備投資をしていただきたい、こういうことでございます。

玉置分科員 ありがとうございました。

 これからちょっと具体的に入っていきたいと思いますけれども、今政務官が言われましたけれども、グローバル化の時代やということで言われましたけれども、そうであれば、私は、国内のこの精製装置に固執をする余り外資を締め出すことになってしまわないか、菅総理が第三の開国方針ということを言っておりますけれども、これと矛盾していくんやないかというようなことも思いますし、出口対応がしっかりしておれば、その過程まで国が縛る必要はないと思います。後ほど具体的に申します。

 そして、ある専門誌では、一九九六年に完全自由化されてからこれだけ企業経営に立ち入った法律とか大臣告示はない、時代に逆行しているのではないか、こういうことも書かれておりますけれども、私は、具体的にそれを今から提示したいと思います。素人の私でも、いろいろな世界的な権威の専門家の皆さん方にも教えていただきまして、きょうは、調べてきたこの資料をちょっと見ていただきたいと思います。

 「原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断の基準」では、重質油分解装置の装備率をカウントする際に、RFCCと呼ばれる残油流動接触分解装置を装備している精製業者に比べて、FCCとコーカーと呼ばれる重質油分解装置の組み合わせを装備している精製業者が不利になる、こういう御指摘がございます。

 そこで、今から図の説明をいたします。

 お配りした図面では、左側のRFCCは、原油を常圧蒸留装置で精製した後に約四〇%出る常圧蒸留残油をすべて分解するということで、重質油分解装置の装備率は約四〇%ということになります。

 一方、この右側が東燃ゼネラルの事例でありますけれども、点線のFCCとコーカーの組み合わせでやっております。常圧蒸留残油が減圧蒸留装置を経由するために、四角い点線で囲まれた部分ではRFCCと同様に約四〇%の残油を分解しているのにもかかわらず、重質油分解装置の装備率にカウントされるのはこの赤のコーカーの部分の約一〇%のみで、約三〇%のFCC部分がカウントされない状態です。このため、装備率は約一〇%にしかならない。一三%以上ということからいえば、クリアできぬ。FCCを持っているがゆえにクリアできない。これは明らかに不公平やと私は思っております。

 また、経済産業省は、今も具体的には触れられませんでしたけれども、大臣告示の必要性の根拠の一つとして、これは私も去年申し入れたときにいろいろ聞いておりますけれども、原油の将来的な重質化を挙げておるんですよ。

 私も、日本の方で、世界的な石油設備の権威者の方に国会へ来てもらいまして話を伺いました。私が専門家の先生からお聞きしたところでは、この右側のFCCとコーカーの組み合わせの方がRFCCよりも重質油分解能力にすぐれておるというコメントもいただきました。また、石油製品の今後の需要の柱と見られる、今後の需要からいけば石油化学製品、こういうところに重点が当てられてくるだろう、そういったことへの対応を図る上でも、FCCとコーカーの組み合わせ、つまり、この右側の方が有利である、こういうコメントもいただいています。

 もし行政側にRFCCを装備している精製業者を優遇しようという意図があるのだとすれば、行政のあり方として問題と言わざるを得ません。そこで、政府の見解を求めたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。

中山大臣政務官 ただいまのお話、私ども、科学的な根拠もある程度はいろいろお話は伺っているんですが、完全な専門家として答弁するわけではありません。

 しかしながら、製油所にはFCCに限らず一定程度の分解能力を有する装置は何種類もあり、仮にこうした組み合わせを認めるとすると、認めるべき装置の組み合わせは非常に多数に上ってしまうんですね。そこで、重質油をしっかりと分解できる装置を十分に備えてほしいというのがこの制度の目的でございますので、これらすべてに対して公平な規制基準を設定することも不可能になってしまうというようなことがありまして、今は、いろいろな組み合わせはあるけれども、一応指針として、経済産業省から、先ほどの話のとおり製油所にはFCCに限らず一定程度の分解能力を有する装置は何種類もあるのでなかなかそれが認めにくいということでございます。

玉置分科員 今の答弁は、恐らく官僚の皆さん方からもレクチャーを得たのではないかと思いますけれども、いろいろな御意見がございます。しかし、私も、ここまで来るまでにはいろいろな方とお会いしてきました。そして、どちらもクリアできるようにしてということでやってきました。だから、今政務官が言われましたようにいろいろな意見がある。私は、先ほども言うたけれども、石油設備の世界的な権威者から聞いたんですよ。人によって見解、意見が分かれるものであれば、なおさら過程への規制ではなくて出口部分での対応にするべきではないかと私は考えるんですよ。これは、大臣、どうですか。

海江田国務大臣 大変貴重な意見ですので、その出口が具体的にどういう形をお考えになっているかということをお聞かせいただけたらいいかと思います。

玉置分科員 出口というのは、これまた一遍じっくり話をしたいと思いますけれども、いわゆる重質油を分解して、そこの分解率がほぼ変わらぬとすれば、なおかつ、先ほど言いましたFCCプラスコーカーの方が今後の石油化学製品の見通し、重質油をしていくということからいえば有利であるというような御意見もいただいておるわけですよ。

 だから、いわゆる出口をきちっとすれば、その過程は、民間の方々がいわゆる商売で、経済で考えてやればいいと思うんです。それを法律ではなしに大臣告示という政省令で決めていくというのは、これは一遍見直していただきたいというのがきょうの本当に一番大事なポイントでありますので、よろしくお願いしたいと思うんです。

 今のような技術的な関係もありますけれども、私は、具体的には今言うたような出口の関係、そこの細かいはしの上げおろしまで行政が介入していくかという実態の一部を大臣にもわかってほしいということできょうは質問させていただいたんです。

 要は、RFCCよりもFCCとコーカーの組み合わせの方が重質油の分解能力がすぐれておるというようなことも先ほど申しました。残油処理の方法も、民間事業者の方が工夫次第でいろいろな方法を考えるのにもかかわらず、これは大臣告示の名のもとにされておるわけです。私は、法律でもない大臣告示であるからこそ、政治主導で見直しをしてほしいというのが願いであります。

 どうぞ、大臣におかれましては、私の主張も含めて、きょうも傍聴に来ておりますけれども、有田市長を初め、きょうも議会がされておると聞いておりますけれども、大変心配をされていると思います。先ほど政務官が、仮に事が起これば、撤退をすれば、予算を提示しておると。僕は、こんなことではあかんと思うんです。

 我々は政権交代をして、本当に地方が大事だと。そこへ、今言ったように、いろいろな手続上の問題、過程の問題で、そんなことをすることは見直しをしていただきたいと思うんです。そういった行き過ぎた権力行使を政治主導で正していくことこそが、これから民主党が国民の信頼にこたえる道であると私は考えるんですけれども、できれば大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

中山大臣政務官 本当に痛いほど気持ちはわかるんです。私たちは、当然、雇用を守るとか地域の経済を守るとか、それは一番最重点に置いていることは、今までの政治で総理が雇用、雇用、雇用と何回も言っているわけですから、それは守っていきたいというふうに思います。

 ただ、重質油分解装置を、たまたまデータでいいますと外国の方がうんと備えつけているわけですよ。こういうところから私たちは本当に競争に勝てるんだろうかというような判断をしてこういう制度になったというふうに思います。ただし、出口論の話が出ました、本当にその出口が正しいということも私たちはちょっとわかりません。

 ここは、本当の意味で雇用を守るということは、私も大賛成です。しかし、私たちも科学的な根拠を持って外国に勝たなければ日本の経済はやっていけない、これも事実でございまして、経済産業大臣にこの辺の決意をあえて言ってもらうとすれば、雇用を守る方向でいくということで、この問題について個別具体的に、我々ははしの上げおろしまで干渉するつもりはありません。やはり最後は企業判断だというふうに思います。

玉置分科員 雇用を守るということは、それは当然であると思いますし、そのとおりだと思います。だからこそ、そのわからない点を、悪いですけれども、政府の役人さんに任せないで、我々国会で堂々と議論したらいいんじゃないですか。だからこんな状態が、一番大事なところが数百億円もいって、いわゆる存続のことを考えなくちゃならぬということについては、やはり我々は見直しをしていかなあかん。

 後ほど質問をしようと思いましたけれども、これからのことについてもあるわけですけれども、ぜひとも、大臣、これについては一遍きちっと出口も含めて、そして、そこまでがちがちに過程を縛るような政省令を見直すという決意をもう一度大臣にお願いしたいんですよ。

海江田国務大臣 玉置委員が指摘しますように、法律で決めずに政省令でこれを縛るというのは、まさにこれまでの政権がやってきた実質的な官僚主導の政治の一つの手法であったことは私もよく存じ上げております。ですから、今回のこの法律があって、それを大臣告示という形で具体化をしたということがそれに類するものなのか、あるいは、法律の趣旨というものがあって、どこまで具体的に規制をかけていくことがまさに行政の役割なのかということは、やはり点検をしてみなければいけないと思います。

 先ほども冒頭お話をいたしましたけれども、前の大臣からの引き継ぎでこういう問題があるということは聞いておりましたけれども、その中身を今改めて玉置委員から直接お話を聞きましたので、これを覆すというのはそうたやすいことではありません。それから、今、中山政務官からもお話がありましたように、出口のところの効果というものが本当に遜色がないものなのかどうなのかということ。それから、大きな流れとすれば、新型のそういった設備をつくるということも大切な事柄になってきますから、限られた予算ではありますけれども、そこにどういうふうに重点的に配分をしていくのかという点も含めまして、先生から承った御意見でございますので、私どもの方で、まず中で議論をしなければいけませんから、改めてその点は経産省の中で総合的に議論をしてみたいと思っております。

玉置分科員 大臣、本当にありがとうございます。ぜひとも一遍その見直しの検討も含めてお願いをしたいと思います。

 先ほどからの中で、これは大変大事なものだったので、この問題で質問を終わる予定にしておったんですけれども、もう一つだけ伺いたいと思います。

 実は、せっかくきょうは傍聴に来てくれておりますので、有田の製油所というのは、トヨタ等で使用されている潤滑油ですか、こういったところで大変有名なことも今回調査をする中で教えていただきました。そして、地域と一緒に共存をしていけるようなことをやっていかなあかんと思っておりますので、こういった将来的な製油所の生き残りの戦略を考えた場合、いろいろな考え方があると思うんです、環境対応型にしていくとかいろいろな特色を生かしていくとかあるんですけれども、一緒に我々も考えていきたいと思っておりますので、大臣としても、地域の経済や雇用を守っていくというところに御支援をお願いしたいと思いますので、その御決意をお願いしたいと思います。

海江田国務大臣 これも先ほど中山政務官からもお話がありましたけれども、本当に地域の経済と地域の雇用を守っていくということは非常に大切でございますので、きょうは有田の皆さんもお越しでありますが、従来、どちらかというと有田はミカンということで全国民が知っているわけですけれども、こういう大切な製油産業があるということも本当に改めて先生の御指摘によって理解をしたわけでございますから、それができるだけ生き残っていけるように、しかも国際競争力を失うことのないように政策をしっかりと固めていきたいと思っております。

玉置分科員 ありがとうございます。本当に大臣の英断を、見直しをしていただく、検討していただくということは、本当に大変大きな前進だと思っております。

 しかし、私も、これは大変大事な問題なので、いろいろな委員会を通じながらも再度取り組んでいきたいと思いますので、そのことも申し上げまして、一応終了の時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

津村主査 これにて玉置公良君の質疑は終了いたしました。

 次に、加藤学君。

加藤(学)分科員 それでは、私、長野県の長野五区というところから来ました加藤学と申します。

 私、議員になる前、アジア経済研究所というところで研究員をしておりまして、東アジア経済統合共同体という理念に非常に共感をし、そういったものに貢献したいという思いで政治の世界に飛び込んできた一人として、その実現に非常に大きな役割を果たしている東アジア・ASEAN経済研究センター、ERIAというものに関連してきょうは質問したいと思っております。

 まず最初に、このERIAというものは、二〇〇六年に、二階経済産業大臣が提唱し、設立された機関ですけれども、日本政府が十年間で百億円を拠出するということを約束し、もう既に二〇一〇年までの四年間で六十五億円以上の予算が投入されてきた肝いりの国際機関であるわけです。

 まず最初にお伺いします。ERIAは、経済外交政策上どういったビジョンで設立されたものなのか。設立の背景と経緯について、日本がその同時期に提唱してきていた東アジア包括的経済連携構想、CEPEA、通称ASEANプラス6構想の中での位置づけを含めて御説明いただきたいと思います。

海江田国務大臣 加藤委員が、私は昔からアジ研、アジ研と言っておりましたけれども、あそこの御出身であるということで、この問題に大変興味、関心を持っておられるということで、ぜひ引き続きこの方面の興味、関心をお持ちいただきたいと思っております。

 これは、今加藤委員御本人からお話がありました、二〇〇六年ですか、東アジア版OECD構想というものがありましたから、その中で位置づけられておりますが、やはり何といいましても、特に二十一世紀に入りましてから、アジアが世界経済の成長のエンジンとして大きな役割を果たすようになってきた。このアジアの高い成長力、まさに世界経済の牽引車としての役割を下支えしようということでグローバル経済戦略というものを決定した。そのグローバル経済戦略の一つとしてこのERIAが創設されたというふうに聞いております。

 これは、まさに東アジアの、特にASEAN地域の政策を、どうやってさらに成長力を伸ばしていくのか、地域全体としての繁栄を考えていくのかということで、まさにシンクタンクの役割、頭脳の役割を果たすところでありますから、当初は、日本がかなり力を注いでと申しますか、日本が主流というか、日本がほとんどの分担をしてきたわけでございます。

 最近になりまして、やはりアジア全体でERIAを、組織を支えていこうという機運が盛り上がってまいりまして、私はこれは大変いいことだと思っておりますから、そのことによって日本がそこから関与を少なくしていくということではありませんが、まさにASEANプラス6全体でこれに力を入れていこうという決意を持っております。

加藤(学)分科員 今、東アジア、ASEAN6の構想とダブらせて、成長のエンジンなるアジアを、経済成長を支えるという戦略だということを御指摘いただきました。

 その中で特に、日本が主導してきたASEANプラス6の構想については具体化もしているわけです。二〇一〇年の八月のASEAN関連経済大臣会合においては、日本から、経済統合についてのコンセプトとして、イニシャル・ステップ・プランというものが出されております。そこには、貿易、税関手続や経済協力、投資・サービス、熟練労働者の移動、こういったものの七つの柱立てが行われておって、東アジアの経済統合に向けた包括的な提言がなされているわけでございます。

 そういった着実な歩みとは別に、昨年十月にはTPPの参加検討の表明ということが突然なされたわけでございます。ERIA設立構想以来突き進んできた東アジア経済統合という構想から見ると、このTPPの参加検討というのは大変違和感を覚えたわけですけれども、そこにはどういった転換の意図があったのか、あるいはCEPEAそのものに対する構想に限界があったのか、大臣の御見解をお聞かせください。

海江田国務大臣 私は、ASEANプラス6でありますCEPEA、これは今後も引き続き日本がしっかりと関与していかなければいけないというふうに思っております。

 今、ASEANプラス6と、それから今度のTPPとの一番大きな違いでございますが、これは、もう加藤委員おわかりのように、実は、アジア太平洋圏でありますから、アメリカでありますとかあるいはチリでありますとかペルーでありますとか、そういう北南米の国々もこれに入っているということでありまして、他方、ASEANプラス6の、まさにアジア地域の経済、今、世界経済の牽引車だ、成長のエンジンだというお話をしましたけれども、私は、その意味では、太平洋地域の、特に南米なども、これからの大きな潜在力というか成長のポテンシャリティーを持っているというふうに思っております。

 そして、もう委員御案内のように、特にTPPは昨年大変機運が盛り上がった。最初はP4ということで、アメリカなど、あるいは豪州などもこれに参加の意向を示していなかったわけですが、やはり昨年の春先からその機運が盛り上がってきて、そして、昨年の秋のASEANで、菅総理も、これに対するコミットメント、とりわけ、具体的にことしの六月までに交渉参加をするかどうかを決めようということを、話を、そういう方向性を出してきたわけでございます。

 私は、これはどちらか一つをとるということではなしに、両方大切でございますが、まず、今現実の問題として大きく前進をしつつある、非常に加速度を持って、参画を表明した九カ国の間で会合が開かれておりますから、この会合に対してやはり日本もしっかりとコミットしていくということが大切だというふうに思っております。

加藤(学)分科員 今大臣から、CEPEAとTPP両輪で、どちらかということではなくやっていくというお話がありました。そのことは大変結構なことだと思うわけですけれども、そのことで、むしろかえって、これまで積み重ねてきた東アジア共同体あるいはCEPEA、要するにアジアを主体としてやっていくというものが何かぼやけてしまっているような感じが、私は思っております。

 これは、かつての日本が経験した経験に大変似ているところがあります。一九九〇年にマレーシアがEAEGというものを提唱した、そのときも、日本は、アメリカに気兼ねをして余り協力的ではありませんでした。また、経済危機の一九九七年のときには、アジア版IMF、アジア通貨基金をつくろうと日本が提唱しましたけれども、これもアメリカから懸念の声が出て頓挫してしまいました。

 今また、東アジア共同体構想というものの推進の力をここでもし緩めて、アメリカが主導していると言われているわけですが、TPPに力点を置きつつある、そういったような見方がされております。これがまた同じ歴史をたどってしまっているんじゃないかというふうに見えるんですけれども、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

海江田国務大臣 私も、それこそさっきアジ研と言いましたけれども、私は中国に一九六〇年代から大きな関心を持っておりまして、中国語を勉強したときにアジ研の仲間が一緒に勉強したということもありまして、アジアに対しては非常に高い関心を持っているということでございます。

 そうした私でございますけれども、今もお話をしました、これは、アメリカに気兼ねをしてとかアメリカの方を向いてとかいうことではありませんで、私は、このTPPというものが、今の、二〇一一年の日本にとってやはりこれは必要不可欠と申しますか、これから十年先、二十年先を考えたときにも、この一つの枠組みというものは大切にしなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 それに対して、ASEANプラス6の方も、もちろん全部が全部TPPに入るという話ではありませんけれども、やがてTPPと、それからASEANプラス6の合体というものもあり得るのではないだろうか。これは私見でございますけれども、そのように考えているということであります。

 それから、TPPの問題に私どもがやはり深く関与をすべきだと思っておりますのは、今まさに、もう具体的な九カ国の間で、アジアと太平洋圏のいろいろな貿易のルール、経済のルール、こういうものが決められようとしているということで、単に物の動きだけではありませんで、そうしたまさに経済連携のルールが決められる、そのルールに全く日本が主張をしないで、決められたルールをそのまま取り入れるだけでいいのかどうなのかということも実は大変大きな、これはTPPを議論していく上でポイントではないだろうかというふうに思っております。

加藤(学)分科員 今大臣から、ルールづくりに参加していくというお話がありまして、それはまさに、東アジア版のOECDを目指すERIAというものが、アジア版のスタンダードづくりに日本がイニシアチブをとるということ、そのことだと思うんですね。

 こういったときに、今余りERIAの姿が見えないというか、せっかくこれだけ日本が肝いりでつくっているにもかかわらず、そして、国論が二分して、いろいろ包括的経済連携のあり方について議論されているときに、余り、ERIAの方から、提言なり、あるいはアジア太平洋の経済連携を強めていく上での戦略というものが見えてきていないわけでありますけれども、実際に、ERIAの中で、こういった、TPPやASEANプラス3あるいはASEANプラス6というものの比較研究みたいなものはなされているのかどうか、お伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 先ほど来の先生のお話をずっと聞いていまして、私たちも、鳩山内閣のときに東アジア共同体という提言をいたしておりまして、これは本当に私たちは大変大きな期待を、OECDの東アジア版ですから、何といっても、ここにもっと調査をさせるとか主体的な行動をさせようということで、実は岐阜でAPECの副大臣の会合があったときも、もうちょっとやはりアジアが主導して、力をつけて、そして調査研究もしっかりやっていこう、こんなことも話されたわけでございます。

 FTAAPであるとかTPPであるとか、こういうことの前に、我々がやはりアジア人であるというところから、OECDアジア版ということでいえば、調査研究をここでもっとやればよかったんだというふうに思うんですね。海江田大臣も大畠大臣も、二カ国のEPAまたはFTAをどんどんどんどん進展したその結果としてTPPがあるんだ、それまでは、いろいろまず個々の交渉を続けようというようなお話も随分ありました。

 我々、やはりアジアを大切にするという意味でも、調査とかそういうものはしっかりやっていかなきゃならない、そのためにある機関だということを私たちもERIAには期待をしているわけでございます。

加藤(学)分科員 そういった大変期待感の多いERIAでありますけれども、実際、昨年の事業仕分けで、予算が、二割削減が言い渡されて、二〇一一年度では二〇一〇年よりも三億六千万円削減されたわけでございます。しかし、その一方で、二〇〇九年には拠出金と別に十三億円、そして二〇一〇年には三・五億円、合わせて十六・五億円のアジア民活推進事業ということで、大きな予算がついております。

 説明を受けたところによりますと、これは二〇一〇年の東アジア・サミットで発表されたアジア総合開発計画のインプットづくりの調査にかかわったということでありました。アジア総合開発計画というのは、ここに持ってきましたが、自体は実際二百ページのこのくらいのものなわけでありますけれども、このベースとなる十六・五億円、要するに十六億五千億円の調査といったものは一体どういったものだったのか。

 ERIAというのは、研究員が十数人、まだ大変少ない、小さい体制でやっているわけでありますけれども、それを考えると非常に大きな額のように私は思えるんです。そういった結果、ほとんどが恐らく外部委託されているという形になっているわけですけれども、コストに見合った成果が得られているとお感じでしょうか。その見解をお聞かせください。

中山大臣政務官 本事業では、外に委託したとかなんとか、そういうこともあるかとは思いますが、いろいろな国との対話、それを実に強くやってきたということでございまして、それぞれの国の考え方や、いろいろな資料をとりまして、私たちもアジアの発展のためにやっていこうということでございます。

 成果としては、アジア総合開発計画のもと、日本とインドネシア政府が協力して進めるインドネシア経済回廊構想を進めることとなった。さらに、ASEANやインドにおける、日系企業に個別インフラ案件の掘り起こしなどにもつながってきた。

 私も、実はインドネシアへこの間、昨年行ってまいりまして、このような構想をもとに、火力発電を充実して、送電、配電そしてメンテまでしっかりやっていこうというような提案もハッタ・インドネシア経済産業大臣にお話をした経緯もあります。ですから、確実にこういうことが成果を上げて、いろいろな調査に基づいて、我々もインドネシアに、ひょっとしたらインフラの、火力発電の超臨界、超々臨界みたいなものがうまく輸出できるんじゃないか、こんなこともこの資料から私たちは感じたわけで、大変意義のある資料を提供していただきました。

加藤(学)分科員 今、中山政務官からのお話ですと、かなりの成果が上がっているというふうにお考えということであります。

 実際、このアジア総合開発計画、コンプリヘンシブ・アジア・ディベロップメント・プラン、ここには、インフラの、要するに将来の投資需要が四千億ドルというのが見積もられている。非常に大きなアジアの成長の潜在力というものが示されたわけでございます。

 この計画が、今政務官もおっしゃったとおり、絵にかいたもちで終わってしまっては、これだけ公費を投入して調査をかけ、そして日本が主導してきたこういったプランというものが意味がなくなってしまうわけでございます。これを実際に実現していく、そしてアジアの成長に貢献して、ひいては日本の国益につなげていかなければ、これだけの予算を出している意味がないわけでございます。

 実際、ERIAの出した総合開発計画のような研究成果物が、各国の計画の中で今後どの程度オーソライズされて実現されていく見通しがあるのか、あるいは、その実現に向けたシナリオというものをどのように描いていらっしゃるのでしょうか。

中山大臣政務官 さっきお話ししたように、インドネシアの火力発電なんというのはいい例でございまして、個々の企業がそれを見て向かっていくというよりも、国と国との交渉で、今、官民一体となってオール・ジャパンでやるような感じになってまいりまして、大変貴重な資料だというふうに思いました。

 私、インドネシアもベトナムも、あの周辺国を回ったときに、まだ電力なんというのは不足していて、彼らの産業を伸ばすためにはやはり発電所をつくるというのが一番有効なんですね。私も、経済産業大臣とお話ししたときに、私たちは、ERIAを初めとして皆さんの調査もして、しっかり貢献していきたい、お互いにウイン・ウインの関係をつくろう、こういう話をさせていただいて、ベトナムでも同じ話をしました。

 海江田大臣は、中山君、相手の国に幸せを売ってこい、こういうことで、私も話をすると大変向こうも喜んでいただいて、インドネシアにしても、日本がどれだけ火力発電に貢献できるか。日本の火力発電というのは、超臨界、超々臨界というのは、熱効率も、大きい声では言えませんが、他国のと比較しても熱効率が全然違います。こういうものを私が持っていったときに、すごい感謝をされまして、こういう資料があるということがどれだけ大きいかということでございますので、今後とも、その資料を活用させていただいて、日本の、オール・ジャパンの仕事に役立てていきたい、こう思っております。

加藤(学)分科員 今、中山政務官から、この資料をもとにいろいろ活用していくという御指摘があったわけでございますけれども、この計画にそういった相応の権威づけがなされるということであれば、ここに取り上げられているいろいろな、インドネシアのプロジェクトあるいはメコンのプロジェクト等が例として挙がっておりましたけれども、プロジェクトそのものがここに入っている正当性というものをどう担保していくかということを考えなければいけないと思います。特に、プロジェクトの選定、日本企業のヒアリングなどをもとにこういったいろいろな資料が出されているということになれば、それが、下手をすると一部の利害関係者や利権に左右される懸念があるわけでございます。

 ここに関して、研究テーマの設定やプロジェクトの選定のプロセスにおける透明性というものがどの程度確保されているのか、あるいは、ERIAそのものの理事会あるいは学術諮問会議のメンバーの選任、こういったものについて、どのようなプロセスで、あるいは透明性や、こういったいろいろな指摘が出ないようなどういった形で担保されているのかということをお聞かせください。

中山大臣政務官 最後には大臣から決意を述べてもらいたいと思いますが、私たちがいろいろな資料を調べて今やっていることは、パッケージのインフラ輸出なんですね。ですから、一企業がもうけるというよりも、例えば原発一つについても、国際原子力開発というものをつくって、電力会社も、横断的に、一つの会社じゃなくて、オール・ジャパンでいくんだよという形をとっております。

 その中ではやはり透明性が一番大事でございまして、国がどの企業を優遇したとか何かなれば大変な問題でございます。そういう面でも、私たちは今お話があったようなことをしっかり考えながら、本当に、日本のすばらしい技術を外国に輸出するためにもその資料は有効ですし、国と国とのこれからの貿易というものに関しても大変すばらしいものだというふうに思っておりますので、いろいろな意味で、東アジア、しっかり経済の発展をお互いに伸ばしていきたいと思っております。

加藤(学)分科員 今のお話の中で、もう一つ、理事会や学術諮問会議のメンバーの選任、この辺の事務的なことでありますけれども、この辺の透明性とか、いろいろな外部委託とかの発注を出すわけですが、こういったところのいわゆる透明性、プロセスについての仕組みみたいなものをちょっと御説明いただければと思います。

佐々木政府参考人 御答弁申し上げます。

 ERIAは、理事会が、東アジア・サミットを構成する十六カ国がそれぞれ理事一人ずつを出しまして、それが十六人の合議体としてさまざまな運営を決定しております。

 アジア総合開発計画で取り上げられたプロジェクトにつきましても、アジア開発銀行それから世界銀行などが広く既存のプロジェクトリストを持っておりますので、それをあまねく取り上げて、こうしたものをERIA自身が認めたものでございます。

 ERIAの中の、理事会は、先ほど申し上げましたように十六カ国の代表、それから学術諮問会議は、現在九名でございますけれども、これもERIAの中から、地域に偏りなく、それぞれの代表が集まってこれるような、公正なものとして組織されたものが最終的にはこのつくったものでございます。

 以上でございます。

加藤(学)分科員 今の御説明がありましたが、要するに、これだけ大きなプロジェクトを管轄するプラン、そして、そこについてはできるだけプロセスの透明性やあるいは公平性というものが担保されるように、ぜひとも気をつけてやっていただきたいなというふうに思っております。

 最後に、ERIAへの拠出金についてお伺いします。

 これは、先ほど大臣からもお話がありましたが、今、日本以外にも、インド、オーストラリア、ニュージーランドが昨年より出しているわけでありますが、合わせてもまだ一億円にも満たないということで、事業仕分けの中でも、他国からの拠出をもっとふやせという指摘があったわけでございます。

 一方、この間の、十一月の臨時国会の本会議の質問で、甘利元経済産業大臣はこのようにおっしゃっておりました。日本が金を出さない、要するにほかに出させろということになれば、恐らく中国が真っ先に、すべて自分が負担する、そのかわり役員ポストをこちらに大幅に割り振れと言うに決まっている、日本のイニシアチブで東アジアの経済発展を誘導し、それを日本の成長に取り込むとした戦略拠点がまさに乗っ取られるということになるんですと発言しているわけでございます。

 中国などに拠出させることへの慎重論というふうに受け取るわけでございますけれども、拠出金の協力を一体これからどこに求めていくのかということは、今後のERIAの軸足あるいは機能をどう考えるかという問題に行き着く問題だというふうに私は考えるわけでございます。

 そういったことを踏まえて、大臣は、これから拠出金の負担のあり方についてどういったお考えを持ってERIAを運営し、あるいは機能させていくのか、お聞かせください。

海江田国務大臣 加藤委員御承知のように、まさに、ERIAがスタートするところでは日本が唯一の拠出国であったわけです。しかし、にもかかわらず、たしかこれはジャカルタですね、研究所が置いてございますのは。そして今、佐々木局長からもお話があったように、理事も、十六人、それぞれの国から出そうということで、その意味では、日本は、大変これは、お金は出すが過度の関与はしないよということの一つのあらわれだったんだろうと思います。これはもちろん、この考え方というのは必要であります。

 今私が仄聞しておりますところでは、スリンASEAN事務総長がおりますけれども、この方が中心的になって、まさにASEANの加盟国にもう少し拠出をしてもらおうと。それから、インドなどはもう既に、たしか十年間でしたか、お金を出すというような約束もしているということでございますから、インドもどうなのかなというふうな見方もありますが、ただ、そこは、最初の立ち上げのときに、今もお話をしたような、共存共栄の思想といいますか、そういうものはやはりこれは底流に置いておかなければいけないと私は思っております。

加藤(学)分科員 どうもありがとうございました。

 ぜひとも、ASEANにもっとコミットしてもらう形で、共存共栄の、ERIAというものを発展させていただきたいというふうに思っております。アジアの成長を取り込むという政府方針は、ERIAのような機関を今後どのように強化して活用していくかということに行き当たると思います。

 しかし、いろいろ、TPPの議論等で振り回されて、東アジアの経済統合という軸足がぶれることがあってはERIA本来の機能が果たせなくなり、これだけ大きな投資をしていることの意味がなくなってしまうわけでございますので、またこれからも、東アジア共同体という理念をベースにしたアジア太平洋の包括的経済連携の道筋に重点を置くことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

津村主査 これにて加藤学君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田大助君。

藤田(大)分科員 民主党の藤田大助でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。早速ではございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、全国で猛威を振るっている、発生している鳥インフルエンザに関連して、それが地域経済であるとかあるいは中小企業、地域の生産者や事業者に及ぼす影響についてお伺いしたいと思います。

 私の地元でも、今月の十六日に鳥インフルエンザが発生確認をされました。私自身も現地に入って、二日間、現地の状況を把握して、いろいろな関係者の皆様方からお話を伺ってまいりました。

 現地では封じ込めに関係者が非常に懸命に取り組んでいただいておりまして、そのことについて、本当に大変だなと心から感謝をしたいと思いますし、政府はもちろんのこと、党としても、党の方は政府の方にちょうど提言をしていると思いますので、今後も含めて、しっかりと党は党としても取り組まなければならない問題だというふうに認識をさせていただきました。

 また一方で、地域の方々からもいろいろお話を伺うところ、やはり地域経済に対する影響というのを非常に気にかけて、心配をされておられました。

 特に風評被害ということだと思うんですけれども、こういった事態が起こったときには、関係機関が連携して努力して、情報提供をしっかりして風評被害が起こらないようにしていく、そういうような取り組みをしていただいておると思いますけれども、生産者やそれに関連する事業者の不安というものを、例えば、鳥インフルエンザが発生したときに、その関連する地域の卵や肉を買いたくないといった、買い控えというかそういった心理状況を、どういうふうにそうさせないようにしていくかというのは重要なところだと思います。

 不安であるとか潜在的なそういうリスクもあると思いますので、これは私の地域に限ったことではなしに、また、家畜の伝染病や鳥インフルエンザというのは、ことしに限る問題ではなしに、毎年そういったリスクがあるわけでございますので、経済産業省として、地域経済に家畜の伝染病や鳥インフルエンザが与える影響をどのように考えているのか、あるいは風評被害に対する対策としてどのようなものが考えられるのか。

 また、やはり地域の経済の中核を担っているのは中小企業でございますので、これは民主党の二月十日の鳥インフルエンザ対策本部の提言にもありますように、発生により影響を受けている農業者や地域の中小企業、中堅・大企業に対して低金利の資金を提供してほしい、こういうようなことも提言しておりますので、そのあたりも含めてお伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 鳥は羽が生えていて、どこからでも飛んでくるわけでございまして、日本の国にとっては毎年起こり得ると今お話がありました、そのとおりでございます。そういう面でも、私たちはすぐに早く処理をしていくことがまず第一だというふうに思いますが、経済産業省の立場としては、産業がそこで疲弊してしまうということが一番、それを防がなきゃならない事項だというふうに思います。

 中小企業を私たちもいろいろ、補助金というよりも融資の方に重点は置いていますが、融資それから投資、この部分でも、これから発展するIT産業であるとか、または低炭素の先端企業であるとか、こういうところに今まで重点を置いて、この日本の産業を伸ばしていこう、こう思いました。

 しかしながら、今大事なのは、やはり会社がやめるということは、そこでもう経済の力をどんどんどんどん失っていくことでございまして、例えば商店街でも、店が一軒一軒やめていくということは、その地域の購買力も失ってしまうんです。つまり、売っている人は買っている人でもあるわけで、地域で物を買う力もどんどんなくなっていく。そういう面では、私どもも経済産業省として、農水省やまたはほかの省庁とも話し合って、少しでも業者が立ち直ってもらうための資金を十分に枯渇しないようにやろうじゃないか、これでは一致をいたしております。

 端的に言いまして、中小企業というのは、営業をしっかりやっていてさえくれれば、必ず税金や何か払っているんです。安易に淘汰をすればいいんだというような意見が余りにも小泉政権やそのときに出ましたけれども、やはり私たちは、あくまでも購買力を維持するためにも、物を売っている人または産業の主体になっている人、ここを守らなきゃいけないということで、十分にこれからも配慮していきたいというふうに思っております。

藤田(大)分科員 御答弁ありがとうございます。また、中小企業者に対する力強いメッセージだというふうに思っております。まさに、いろいろな取り組み、姿勢を見せることが、地域経済に、安心して経済活動ができる、そういったメッセージになってくると思いますので、ぜひ今後ともその目を、注視していただいて取り組んでいただければというふうに思います。

 それともう一点。やはり、融資であるとかいろいろな種々の制度も、それを伝える作業、地域の経済団体であるとか、とにかく封じ込め、初動の防疫措置というのは必要ですけれども、それにあわせてそういう対策もやっているんだよ、地域経済安心してくれよというような取り組みもぜひしていただければと思いますし、党の提言もありますので、そのあたりのことも今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 風評被害については地域経済全体にかかわってくるものでございますので、生産者、消費者、このあたりは非常によく言われるところなんですけれども、生産から販売、消費者に届くところ、一体の流通過程全体の中でやはり風評被害が起こらないような取り組みが必要だというふうに思います。私個人としては、小売業に対する対策も必要だと思いますし、流通業がこのようなときにどうあるのかというのは非常に重要じゃないかなというふうに思っております。そういった地域で生産されたものが消費者に届く前にフィルターをかけられて、消費者に届かない。いわゆる事業者間の取引のことなんですけれども、消費者の目の届く前の段階については、行政としてもなかなか指導が困難な部分でもありますから、特に注意が必要なんだというふうに思っています。

 仮に、鳥インフルエンザが発生した地域の畜産農家が小売店に畜産物、商品などを卸す場合に、それが安全な商品だったとしても、例えば価格を安くしなければいけないとか、あるいは不当な形で取引の形を変えなければいけないということは起こってはならないことだというふうに思います。ただでさえ、畜産関係者と小売業者、流通業者との取引関係でいえば、小売業者とか流通業者の方が力が強いんじゃないかというふうに一般的に言われていますので、鳥インフルエンザが発生した地域ということだけで、そういう立場の弱い畜産農家あるいは地域の事業者が泣き寝入りすることがないように、しっかりしていただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、公取なんかもこのあたりのことはひとつどのようにこれから考えているのかというようなことをお伺いできればというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

野口政府参考人 ただいま御質問がございました、風評被害による納入業者へのしわ寄せという点についてお答えを申し上げます。

 まず、事業者がどの事業者と取引するかという点につきましては、基本的には取引当事者間の自主的な判断にゆだねられるものであり、風評によりまして取引が行われなくなること自体が優越的地位の濫用の問題となるものではございません。

 しかし、公正取引委員会としましては、ただいまの大規模小売業者等によります優越的地位の濫用行為全般につきまして、そういった行為が行われることがないよう今後とも注視していくとともに、独占禁止法に違反する事実が認められた場合には厳正に対処していく所存でございます。

藤田(大)分科員 例えば、風評被害とか優越的地位の濫用というものは立証するのは非常に難しいところもあると思うんですけれども、そういう危険性もある。そういう弱ったところにはそもそも優越的地位にあるところがぐっと前に出て、そういうような小さなところとか弱いところを追い詰めるような行為があっては、これはもう地域経済はもちませんから、ぜひ目を光らせていただきたいと思います。

 公取が調査に乗り出すには申告なんかも必要だと思いますし、弱いところはなかなか申告もしにくい、そういう事情もありますので、ぜひ、地域がそういう極めて特殊な状況に置かれておるときは公取としても意識を持っていただきたいし、私自身としては、新しい役割として、ガイドラインを示したりとか、そういう取り組みなんかもメッセージとしては発していく必要があるのではないかなというふうに思っております。

 次に、ちょっと農水省の方にお聞きしたいんですけれども、政務官の方にも実は十六日、十七日、三重県の方に入っていただきまして、当時、松木政務官でしたけれども、現地視察していただいて、いろいろな視点からアドバイスいただいたり状況を確認してもらって、私も同行させていただいたんですけれども、やはり迅速な対応にまず我々地元の人間としても本当に感謝したいと思いますし、勇気づけられたというふうに思っています。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、このような鳥インフルエンザの殺処分や焼埋却などの初動の防疫措置を行って封じ込めを行っていくということは大切なんですけれども、現在、発生農場に対する手当が五分の四というところなんですけれども、やはり早期の通報や届け出というものを促していくためには五分の五の全額支払いを基本とすべきではないのかというような意見がありますし、私もそのように考えています。これは当然、民主党の鳥インフルエンザの対策本部でも提言されているところだと思いますけれども、そのことについて、改めて農水省なり政務官のお考えをお伺いしたいと思います。

 それともう一点。五分の五にした際には、当然モラルハザードを起こさないようにする仕組みというものも担保していかなければならないというふうに思います。その検討状況も含めて、少しお伺いさせていただきたいというふうに思います。

田名部大臣政務官 藤田委員にお答えをいたします。

 先生御指摘のとおりに、この鳥インフルエンザ、早期の発見、そして通報、迅速な対応というものが非常に重要なわけであります。今お話をしていただきましたけれども、前松木政務官があちこちの、各県で発生した鳥インフルエンザの対応に当たってくださったわけですけれども、やはり、現場の状況もしっかりと見きわめながら、県との連携、また市町村との連携をとって、国としても対応していく必要があると考えています。

 それで、昨年、宮崎において発生した口蹄疫、この発生に係る対応について検証を行いました口蹄疫対策検証委員会、この中でさまざまな報告がなされ、また御提言をいただきました。一つは、早期の発見、通報を徹底するための手段として、具体的な通報ルールをつくるべきだということ。そして、ルールに従って通報した畜産農家の患畜、疑似患畜については十分な財政支援を行うようにするとともに、ルールに従わずに通報がおくれた畜産農家、都道府県に対しては、手当金などの削減、返還を含めて何らかのペナルティーを科すべきだという御提言でありました。

 それを踏まえて、今通常国会に提出されます家畜伝染予防法の改正案において、私どもは、農林水産大臣が定める一定の症状を呈している家畜を発見した獣医師等は、都道府県知事へ届け出る。そして、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜または疑似患畜については特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額とする。そして、家畜伝染病の発生または蔓延を防止するために必要な措置を講じなかった者等に対しては、手当金の全部または一部を交付せず、または返還させるといった規定を設ける方向で検討させていただいているところでございます。

藤田(大)分科員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 この視点は非常に重要であるというふうに思います。早期の届け出を促して封じ込めを素早く行っていくためにも、また地域の生産者や事業者、ひいては地域経済が安心して活動できる場をつくっていくという意味でも意義あることだと思います。

 いずれにしましても、全額支払いを基本として、一方で発生者責任やモラルリスクについてもしっかり対応していくということの体制づくりをよろしくお願いしたいと思います。

 多分、先ほどのいろいろな融資、中小企業者に対する融資であるとか、家伝法の改正に関連するようなもろもろの質問をさせていただいているんですけれども、やはり副次的な効果も多く見込まれるというふうに思います。単に融資をしろと言っているわけではなしに、手当を出せと言っているわけではなしに、このことで早期の探知や届け出がしやすくなったり、また消費者へのアプローチなんかも非常に変わってくるというふうに思いますので、ぜひその体制整備をしっかりと行っていただきたいというふうに思いますし、私もまたいろいろな地域の現場でお話を聞かせていただければというふうに思います。

 次に、まだ少し時間もありますので、流通の問題に関して農家への所得補償について、考え方をお伺いしたいと思います。

 私から申し上げるまでもございませんけれども、この所得補償は、十アール当たり一万五千円ということで所得を補償していく、農村の多面的機能を維持していく、農村を再生していく、そしていわゆる六次産業とか担い手づくりとか、こういったことを我々は言っているんですけれども、こういったところの大きな柱になっていくものだというふうに認識しています。

 しかし一方で、米を売るときに、例えばその一万五千円部分があるということで農家に対して価格を下げてもらえないかという圧力とか、そういうものが一部で報道をされています。実際、農家の皆さんのお話を聞くと、やはりそういった不安の声や現状の声というのを聞くことが多くあります。

 農水省としては、いろいろ相談窓口を設けていただいて、それが公取にもしっかりと、そういう事態があった場合には情報提供してというようなことも取り組んでいただいているとは思うんですけれども、買い手が、優越的地位の濫用というのはどこなんだというのは非常に難しいところがあると思うんですけれども、そういう強い立場の人たちがこういうことに乗じてそういう取引をするというのは、先ほども公正取引委員会の方から事業者間の取引は自由だというようなお言葉はありましたけれども、そうはいっても、やはりこういった不安を解消しないと所得補償も、本当に地域の中で大転換したわけですから、実のあるものにならない。

 ですので、私は公取に少しお伺いしたいんですけれども、今まで農業分野についてどちらかというとアンタッチャブルというかさわらない部分もあったのかもしれませんけれども、今、農政が所得補償方式に大転換したわけですから、しかも、農水省がそういうようなことで取り組みをいただいております。これも監視の目を光らす必要があるんじゃないかなというふうに私自身は感じておりますので、そのあたりについて見解をお伺いしたいと思います。

    〔主査退席、三谷主査代理着席〕

野口政府参考人 ただいま御質問がございました、お米の価格引き下げの強要の点について申し上げます。

 独占禁止法におきましては、自己の取引上の地位が相手方に優越しているということを利用して、一方的に著しく低い対価を定める、価格を定めるなど、正常な商慣習に照らして不当に相手方に不利益となるように取引条件を設定する、そういう行為を不公正な取引方法として禁止しております。

 公正取引委員会といたしましては、ただいま先生からもお話がございましたように、農林水産省から報告をいただくなど、農林水産省と適切に連携するとともに、独占禁止法上問題がある行為があった場合には厳正に対処するという考えでございます。(発言する者あり)頑張ります。

    〔三谷主査代理退席、主査着席〕

藤田(大)分科員 農水省の方とやはりしっかりコミュニケーションをとってやっていただきたいと思います。

 あと、公取は、こういう厳しい時代の中とか環境の中で定員増なんかもしているわけです。定員増をしたからこれに対応しろというわけではないんですけれども、それは国民の期待だというふうに思うんですね。これからそういった経済環境というか競争政策というか、公平に公正に取引できる環境を守っていくというのは非常に重要だと思いますし、政権交代で本当に農政が変わったので、そういう意味での取り組みというものをぜひ期待したいというふうに私は思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 いずれにしましても、農家への所得補償方式の成功を目指していくに当たっては、そういう不安に対応していく、あわせて種々の、周辺の整備なんかもこれからはきっちりとしていかなければならないんだろうというふうに思っています。

 特に、私なんかが感じますのは、地域の視点とか中小企業者というふうになると、決してこれは公取だけに言っているんじゃなしに、やはりそれぞれの分野で、公平な競争に参加して、最終的には競争力自体を高めていく必要があると思います。そのスタートラインに立つまでには少なからずクリアしなければならない部分があって、そこに光を当てて活動していくことが国民生活を守る我々民主党の原点だというふうに思っておりますので、経産省の方から、そういう全体のもろもろを通じてのことなんですけれども、お伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 藤田委員が本当に日ごろから中小企業に大きな関心を持っていただいていることに、経産省を代表して、本当に心から感謝を申し上げます。

 私も、就任以来、何といいましても、法人の数でいえば中小企業が九九・七%、それから雇用でいえばおよそ七割、それから設備投資でいいましてもやはり六割、これを中小企業は占めているわけですね。ですから、ここが本当に元気を取り戻さなければ、日本の国の経済が元気を取り戻すはずもないわけでございます。

 ですから、そういう意識に立ちまして、特に先ほど来答弁をしておりました中山政務官は、本当に中小企業のことなら全部任せろというような元気ぶりでございますので、私も中山政務官と一緒に力を合わせて、今度の経産省は、これまでも一生懸命やってきたところでございますが、さらに中小企業対策に力を入れている、そういうことが中小企業の方々に実感してもらえるような施策をとりたい、そのように思っておるところでございます。

藤田(大)分科員 ありがとうございます。

 大臣からも力強い発言をいただいたと思いますし、政務官の方からも、やはり中小企業を大事にしていくんだ、そして支援していくんだというメッセージをいただきましたので、地域で頑張っている中小企業や、農業も含めてですけれども、事業者さん、非常に勇気づけられるのではないかというふうに思います。

 決して弱者として扱う必要はないとは思うんです。弱者だから手当てが必要だとか、そういう意味じゃなしに、本来、公正な競争環境であるとか、あるいは地域特有の環境さえ守っていただければ、十分新しいものを創造していくし、また、都会やそういったところにはない、地域ならではの特有のサービスや商品というものは必ず生まれてくるというふうに思います。

 もちろん、一つ一つのところにまで、どこまで目配りできるか、きめ細かくできるかというのは非常に難しいところもあるんですけれども、やはり、もう一つの大きな、大企業であるとか国際社会の中で頑張る企業、一方で、中小企業、もっと言えば、小規模事業者であるとか、政務官もおっしゃっていただきましたけれども町の商店街とか個人商店とか、そういったところが元気になることは、本当に地域経済の中で我々が安心してその中に参加できる、働ける、若い人たちが外に出ていったけれども、この地域でやってみよう、そういう風土づくりというのは、非常にこれから、我々の力で、我々の思いで実現していかなければならないというふうに思っておりますし、民主党自体は、農業の再生を訴えていますし、地域経済の活性化というものも訴えております。

 きょうは、農家への所得補償であるとか、鳥インフルエンザ、家畜の伝染病とか、そういったことを議論させていただいたわけですけれども、やはりその中で、地域の流通というものも、あるいは小規模事業者や中小企業のあり方というものもしっかり考えて取り組んでいくということは極めて重要だというふうに思っておりますので、当局におかれましては、その視点を本当に大切にしていただいて、今までも十分頑張っていただいているというふうには思いますけれども、これからもぜひ頑張っていただきますよう心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 では、政務官、よろしくお願いします。

中山大臣政務官 海江田大臣の大ヒットをちょっと皆さんに御披露したいと思うんですが、これはワンストップナビダイヤル、この電話一本で日本全国どこでも電話がかかります。中小企業者は、やはり金融の問題、または海外に展開したい、またはつくったものをどうやって売ったらいいか、こういうことを常に悩んでいろいろ考えているわけでございまして、ここに電話をすれば全部通じるようになっております。

 なお、我々はいつも、(資料を示す)中小企業をやる者はこれを必ず胸に入れておりまして、中小企業の気持ちをしっかりわかるように、またはその理念のもとにしっかり頑張ろうということでございますので、最後にこれを藤田委員に提供して、私の答弁といたします。

藤田(大)分科員 ありがとうございます。どうも済みません。質問を終わります。

 ありがとうございます。

津村主査 これにて藤田大助君の質疑は終了いたしました。

 次の質疑予定者の出席が得られません。

 事務局をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

津村主査 速記を起こしてください。

 御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十分開議

津村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田分科員 私は、本日は伝統産業の振興について質問します。

 三年前に、当時の甘利経産大臣に、伝統産業についての基本認識について問いました。甘利大臣は、二つの意味で極めて大事であると。一つは、その地域の歴史、文化が伝統産業に凝縮され、地域の歴史の具現者である、あわせて、その地域の雇用と経済を支えるという二つの意味で極めて重大だと答弁しました。

 その重要な伝統産業の現状はどうであろうか。私は、産地の現場の声を聞くにつれ、生産基盤である原材料や生産用具の枯渇化の事態の深刻さを痛感しています。この生産基盤である原材料や生産用具問題について、実態調査をどのように行い、現状をどのように把握しているのか、報告されたいと思います。

海江田国務大臣 穀田委員にお答えいたします。

 伝統産業についての重要性の認識は、私も甘利元経産大臣と全く同じでございます。

 その上で、伝統工芸品を生産するために必要欠かさざる原材料や用具について、これをしっかりと保護していくということは、あるいは供給を確保していくということは、まさに最重要の課題だと思っております。

 そして、お尋ねの、原材料、生産用具の枯渇問題についてでございますが、委員からの御指摘がありました後、これは平成二十年でございます、経済産業省において調査を実施いたしました。その結果、原材料については八十七の産地、生産用具については五十五の産地で問題を抱えているとの結果が出ており、大変厳しい現状になっているという認識を持っております。

穀田分科員 厳しい認識にあると。

 これが二〇〇八年度版伝統的工芸品産業調査報告書です。それによりますと、今大臣からお話あったように、原材料の確保に問題を抱えているというものが、ここからなんですよ、平成十六年度の二六・五%から、先ほど八十七とありましたように、五〇・三%に急激に増加している。そして、生産用具の確保に問題を抱えているというのも、これは平成十八年度の資料で一八・九から、先ほど述べたように五十五産地、つまり三一・八%と増加している。ですから、お話あったように、深刻な事態に直面していることがわかる。

 では、それをどう打開していくのかについて議論したいと思います。

 八十七と五十五、八十七の原材料、五十五の生産用具で問題を抱えていることがはっきりしていますが、その問題解決のための対策がどのように進められているのか、御報告いただければと思います。

松下副大臣 私も鹿児島出身ですけれども、三つの伝産品がございまして、川辺仏壇、そして薩摩焼と言われるつぼ、茶わんをつくっています。それから奄美大島のつむぎですけれども、いずれも同じような問題に直面している。(穀田分科員「本場大島つむぎ」と呼ぶ)はい、本場大島つむぎです。

 平成二十年度、先生の指摘により、調査によりまして、おっしゃるように、原材料や生産用具調達の問題が判明いたしました。

 平成二十一年度からは、財団法人の伝統的工芸品産業振興協会がございますけれども、そこの事業として、伝統的工芸品生産基盤整備モデル実証・支援事業を追加いたしまして、一部の伝産品において、課題解決策を明らかにするための調査を実施しております。実施産地として、例えば京都府内での筆とかはけの使用に関連した問題でございますけれども、その製造業者や原材料供給者の実態調査などでございまして、予算額も、三百万円、三百五十万円と今年度、実施しております。

 それから、この協会に、原材料や生産用具に係る情報提供を目的としたデータベースを構築したところでございまして、主要な原材料や生産用具をめぐる課題とその解決策の事例でありますとか、産地のアンケート調査の結果とか、そういうものをきちっとデータベースとしてやっております。

 今後とも、こういう原材料、生産用具の問題解決にしっかりと事業を充実させていきたい、こういうことでございます。

穀田分科員 大臣、副大臣から、私が〇八年の二月の予算委員会で提起した問題について一定の取り組みが行われているということが報告ありました。

 そこで、私、当時言って、約束していただいたのは、ちょっと違う角度からいいますと、地域の振興計画に盛り込めば、それは例えば支援する。つまり、原材料や生産用具についても、そういうものを地域の振興計画、私は実は法律にしたらどうだという提起をしたんですね。だけれども、それは無理だから、その計画にあれば支援しますという答えだったんです。

 もう一つ私が言ったのは、希少道具が枯渇の危機を迎えていて、それらの道具を映像として残すことを求めた。そうしたら、努力したいと答弁がありました。

 そこで、第一点目の、生産基盤の確保を盛り込んだ振興計画が提出され、支援策として実際に補助金の申請が出された状況は、この間担当を呼んでお聞きしますと、二百十一ある国の指定伝統工芸品の産地のうち、この三年間で見ても、三件、四件とかと、数件にとどまっているわけですね。ですから、ここには、せっかく要望すれば補助金がつくというのに申請が少ないということは、周知徹底が極めて不十分だったということの証左ではないかと私は考えるんです。そのことは指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、問題を抱えている今の五十五の産地のうち、副大臣の方から、こういう努力をしていますということの報告がありました。しかし、問題を抱えていながら対応できていない産地が残されていることが問題なんですね。ですから、対応ができていないところはどうして進んでいないのかということについてどのように認識しておられますか。

松下副大臣 確かに、産地内だけでは対応が困難、それから対策を実施する資金とか人材等の体制不足などの課題も見られております。こうした課題は地域さまざまでございまして、それぞれであるということは調査の中でわかってまいりました。

 川辺仏壇の場合ですと、外国からの安い品物による伝統的な仏壇というものを、川辺という名前で売り出している。中は極めて粗悪品、それが高い値段で売られている。若干安く売っていますけれども。そういうことで、地域の対応ができなくて、どんどんどんどん衰えていくというような問題もございまして、中だけではなくて対外的に解決しなければならない問題もございます。

 それから、京友禅とか京小紋で使用するはけ等の原料でありますシカの毛の輸入が停止されてしまったというようなこともございまして、このはけの作製が困難になったという事例がございました。産地組合や地元自治体、道具屋との連携で調査した結果でございますけれども、エゾシカの毛で代替できることが確認されたということで、一つの道筋はできたんですけれども、それぞれ個別に課題があるということでございます。

 京友禅の染色に使用する、特殊な材料を使ったはけの調達が困難となったということもありました。これは、国の補助金で支援して、産地組合や地元の自治体、道具屋の連携を進めることで代替品の開発に成功したという事例でございまして、これからも引き続き、事例によく、個別に対応しながらやっていきたい、こう思っています。

穀田分科員 大臣も副大臣もよく聞いてほしいんだけれども、それは対応しているところなんですよ。対応し切れぬところをどうするんやという話をしているんです。

 つまり、海江田さん、産地があって、力があるところはそれなりに対応する努力をしているんですよ。京都みたいなところはそういう協議会もつくってやっている。それも、国も入り、京都府も入り、市も入ってやっている。そういうところはいいんですよ。問題は、対応できない、八十七あって、五十五あって、そこが対応できないところが半分以上ある。そこをどないするかという問題を私は言っているわけです。そこは履き違えんといてほしい。

 そこで、前半の方に松下副大臣がお答えになったように、共通していることは、産地の中だけの取り組みは限界があるということが一つ、二つ目に、実施していくためには資金、人材が調わない、三つ目に、成果を上げるまでに時間がかかり、対応策の成果が間に合うのかが不明、これが共通の課題として今提起されている。これをどうするかということを我々は考えなくてはならぬということを私は言いたいわけですよ。

 その意味じゃ、この間言った二つ目のことを見ると、では、二点目の映像での保存はどうしたか。貴重な映像をストックすることができたのか。どうもきょうお持ちのようですから、では、お答えいただいて。

松下副大臣 二百十一、私も全部知っているわけじゃありませんけれども、私の、三カ所の、三地域のことを見ますと、やはりそれぞれ課題を抱えています。仏壇が、私、今取り組んでおりまして、一年半かけて、外国から来る、地元のブランドの名前をつけて、そしてそうでないものを売っているというのは、消費者庁とも相談しながら、新しい仕組みをつくってきちっと差別化ができるようにしていきたいというところで、かなり進んでまいりましたので、やはり根気の要る作業だ、こう思っています。

 映像ですけれども、これは堺の打ち刃物の研ぎ道場でございますけれども、こういうものをつくりながら、伝統のわざとか、美しさとか、技法というものをしっかり伝えていきたいという記録保存もしております。十一、今つくっておりまして、期待にこたえるべく、まだ努力が足りませんけれども、やりたいということです。

穀田分科員 十一つくっておられる。そのうちの一つがこの博多織史ですね。これも立派なものです。これは博多織工業組合がつくったものです。それから、これも、私きのういただきまして、東京都雛人形工業協同組合がつくったもので、伝統的工芸品江戸節句人形、甲冑というものであります。私は、副大臣もおっしゃったように、手仕事の美しさというのに本当に感動しました。その制作過程も非常にこれは手のかかったものだなということで、改めて、日本の美なり、わざのすごさなりというものについていいなと思ったわけであります。

 ですから、十一あると言っていましたけれども、これは、実は分母は二百十一なんですよね、国は。下二けただけできているだけで、しかもそれだけじゃなくて、国が指定したものを含めて千三百ぐらいの、地方自治体が指定した産品もございます。

 ですから、私はたまたまこれを見せていただきました、きのういただきましたから。本当にいいなと思うんだけれども、希少道具、使われているところはあるんですよ。だけれども、それ自身の制作過程というのはないんですよ。だから、それではまだ十分とは言えない。何も私、大きなものをどんどこどんどこつくれと言っているんじゃないんですね。せめて、希少道具自体の映像で、どのようにその道具が使われ、何のための道具であるかということをきっちり映像に残す必要があるということを私は提起しているんですね、前回からずっと。

 そうしますと、私は、いろいろありますから、もう一遍新しい提案をしたいと思っています。

 第一の提案は、仮称ではあるんですけれども、希少道具類のバンクをつくる必要があるんじゃないかと思っています。

 それは、若手の職人さんを育成する上で、大臣も、東京の新宿区で江戸小紋その他を初めとしてよく御存じですから、そういう本物の道具を使うということがいかに重要かということは御存じだと思うんですね。しかし、簡単には手に入らない。だけれども、せめてどこに行けば手に入るのかだけでも情報が欲しいという声があります。また、先ほど述べたように、希少道具そのものの製造過程や使用方法を映像などの資料として残すことが求められています。そして、希少道具類そのものを現物で保存することが生産基盤を守ることになります。

 先ほど副大臣から、京都での京都伝統産業道具類協議会が立ち上げられた話がありましたけれども、ここに今冊子も持ってきました。こういうふうにまとめているんですね。それは立派なものですよ、ここは。そういうネットワーク、先ほども御報告がございました。

 そこで、こういう到達点に立って、今バンクをつくろうじゃないか。その機能としては、第一に、ネット上での情報の発信。第二に、映像でも希少道具類自身の製造過程などの情報を整備し、ストックする。第三に、現物も収集し、希少道具自体を保存する。この三点セットの機能を考えているんですね、私は。財団法人伝統的工芸品産業振興協会の協力も得て、こういうバンクの構築が必要じゃないかということを思うんですが、そういう提案を御検討いただいてはいかがでしょうか。

海江田国務大臣 穀田委員には本当に貴重な提言をいただきました。

 今、穀田委員御自身からも指摘がありましたけれども、財団法人伝統的工芸品産業振興協会、ここで、さっきお話をしたそのデータベースがまずありますから、これをもとに、今お話しの希少道具類バンク、これをつくる、まず一つのステップがあろうかと思います。

 三つ、ここの希少道具類バンクの果たすべき機能で、ネット上の情報、それから希少道具自身の映像、これはまさにインターネットの上で、ホームページの上でできようかと思いますが、三番目の、現物も収集されていることというのがネットの上だけではできませんので、データベースを中心としたネットの上の展開と、それにプラス、現物をどうするのかということを検討させていただきたいと思います。

穀田分科員 前回やって一定の前進がありましたように、今度もやはり大いなる前進を期待したいと思うんです。

 そこで、先ほど述べた重要伝統産業というのは、地方自治体で指定されたものも含めて、国指定の二百十一を含めて約千三百以上あります。京都でいいますと、京都市伝統工芸連絡懇話会という形で組織されていまして、産地という大きなものはないんですけれども、調べ緒とか、それから京指し物、京足袋、京がわら、金網、京真田ひも、茶筒、和ろうそく、いろいろあります。これらのわざへの支援策としても重要だし、ともに活用できるように私は求めたい。つまり、この二百十一というだけじゃなくて、もう一つ広げた、こういう対応をする努力を今しなければならないんじゃないかということだと思っていますので、その辺を私は提起しておきたいと思います。

 次に、後継者の育成の重要性について述べたいと思います。

 これは、重要性についてはもう何回も政府も指摘していますから、この間どのように取り組み、どのような実績を上げてきたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

松下副大臣 平成二十二年度の伝統的工芸品産業支援補助金ですけれども、後継者育成事業として三十三件、約三千万円の支援を行っています。

 具体的な支援実績としては、京都伝統工芸大学校において、京都の伝統的工芸品について、基礎知識学習それから実技教育を通じて人材育成を行っておりまして、毎年百名以上の卒業生を輩出しています。また、平成十八年度に、博多ですけれども、設立されました博多織デベロップメントカレッジでも、毎年十名の受講生に対して、基礎知識学習それから実技教育を通じて次世代の博多織を担う人材の育成を行っておりまして、平成二十一年度末現在で二十名の卒業生を輩出しているということでございます。

穀田分科員 そういう取り組みがある、私は、それはそれで結構だと思うんですよ。

 先ほど述べたのは、博多織デベロップメントカレッジ、これは報告にも書いています。その小川学長さんが使っているのが実は杼なんですね。これをつくる人がもう、一人しかいないということになっている、こういう環境にあるんですね。

 だから、育成という問題について、今カレッジの問題も出ました、京都の南丹のカレッジの問題も出ました。しかし、今、地域計画支援のための予算は全体で二億五千八百二十万円なんですね。三千万円近くという話をしていましたけれども、平成二十年は三十六、それから次の年は三十八、そして今、お話あったように三十三と、一産地でいえば百万円前後なんですね。私、希少道具の職人さんの育成の話しましたけれども、伝統産業にかかわる後継者の育成は待ったなしの課題なんですね。京都の伝統工芸大学校というのは大学校で、これ、当然ながら学費が必要なんですね。学費が要るんですよ。そしてさらに、希少道具の職人さんの育成の課程は組まれていません。そういう課程はないです。

 それから、では京都市は何をやっているかというと、研修者に対して年間最大で二十万円のそういう育成資金を出しています。これでは人件費の補完となりません。

 一方、金沢市の伝統工芸品産業アクションプランの骨子案を拝見しましたけれども、若手後継者の参入促進ということで、技と芸の人づくり基金による奨学金制度を主な施策の柱としています。研修者は三年間毎月十万円、伝承する事業者、つまり師匠には同じく六万円、こういうのを出しています。

 国として、せめてこういうぐらいの水準の支援が求められているんじゃないかな。ここは大臣、ちょっと、いかがですか。

海江田国務大臣 今お話のありました金沢市の場合、これは月に研修生が十万円、それから師匠ですね、この方には六万円ということでございますが、私どもは、人材育成、後継者育成に係る研修事業をやってございます。この研修事業で講師になりますのが、金沢でいうところの師匠に当たりますのが、伝統工芸士の資格を持った方でありまして、この伝統工芸士の資格を持った方には、まさに師匠代としまして、一日にたしか二万円から四万円。ですから、そういうニーズに応じてそのたびに支払いをしているということで、残念ながら毎月幾らという金額ではございませんが。

 この一日二万円から四万円という水準は決して低くはないと思っておりますが、これを、どれだけの頻度でと申しますかどれだけの回数でお支払いをすることができるのかということは、これはまた今後の課題になろうかと思います。

穀田分科員 はっきり言って、ちょっと話が小さいなと思いました。

 私が言っているのは、月に十万円出しているところがある、六万円、師匠の分出している。年間でいえば百九十二万円なんですよ。それを仮に二百十一の産地に、師弟、お師匠さんとそれからお弟子さん一組を金沢市並みに支援するとしても、たかだか四億五百十二万円なんですね。だから、現在の予算では対応できない。これぐらいのことを考えようじゃないかということを、はっきり言って私は提起している。だから、一日二万円とか四万円という話じゃなくて、それじゃ育成できないんですよ。そういうことが必要だと考えています。

 ですから、それはぜひ、その規模と内容と、どんなものが必要か。ましてや、予算を減らしているような状況で、前の年より減らしているような、伝統産業に対して、全般の二つの出口のところで、合計すれば減らしているようじゃだめだ、もう少しふやしなさいということを私は言っているわけです。

 次に、ネクタイの問題について言っておきたいと思うんです。先ほど副大臣は、るる自分のところの仏壇の話をしていて、外国からの輸入がどうのこうのとそれについて言ってはりました。京都も、御承知かと思うんですが、西陣というのは一大産地である。その一角を占めるネクタイの問題について質問したいと思うんです。

 国産のネクタイの生産の状況というのは、皆さんのところに、お手元に資料で出しています、極端な状況になっています。見たらわかりますように、生産量と輸入量の推移、わかりますね、こういう現実だと。

 国産のネクタイの生産高と、中国を中心とした輸入ネクタイの輸入量がどうなっているかということについてお答えいただきたい。二つでいいですよ。平成十二年との対比で特徴はどうかということだけ言ってくれれば。

松下副大臣 御指摘のとおりです。

 ネクタイの生産量、これに示してありますけれども、平成十二年に二千三百万本、二十二年は五百四十万本。この十年間でもう激減しております。輸入量につきましても、平成十二年には約二千四百万本、二十二年には約二千五百万本、これはほぼ横ばい。

 ということは、一手に国産が大きな減になっている、こういうことで、深刻な状況でございます。

穀田分科員 極めて深刻な事態だということは認識が一致した。十年前にはほぼ同数であった国産と輸入品だけれども、中国を中心とした輸入が十年間で増加する一方で、国産のネクタイは五分の一に激減している。西陣のネクタイは、生産本数で何と十分の一に落ち込んでいるわけです。

 その要因は、主に、西陣織ネクタイをまねた中国のネクタイが輸入されていることにあります。この間、中国でほとんど完成状態まで仕上げたネクタイが日本の縫製工場に持ち込まれて日本製として販売されている商品があるとの訴えが寄せられました。

 これがその商品です。これ、ネクタイですよね。はい、これはネクタイだと確認していただいた。

 中国でほとんど完成品として、日本に輸出している。実は、だれが見てもネクタイなんですけれども、これは後ろがないんですね。これが、奥まつり縫いとかんぬきどめというものをやりまして、ここに小剣通しというもので、普通は、これが小剣通し、これがとめるものですね、これで完成になるわけですよ。

 そうすると、こういうものを作製して、これだったら今大臣でさえネクタイだと言っているものが、日本製のタグがつけられて日本製として売られるとしたら不当表示ではないのか。消費者庁の関係の園田さんにお願いします。

園田大臣政務官 ありがとうございます。

 景品表示法の原産国の定義でございますけれども、その商品の内容について実質的に変更をもたらす行為が行われた国というふうになっております。

 今穀田委員が御提示をいただいた、奥まつり縫いでありますとか、あるいはかんぬきどめですとか小剣通し、これを仕上げるといった、縫製の限られた一部の工程のみでは、ネクタイの内容について実質的に変更をもたらす行為とは評価できないというふうに考えております。

 したがいまして、中国でほとんど完成状態まで仕上げられたネクタイに日本で奥まつり縫いなどをしたものに日本製と表示することは、景品表示法上問題となりまして、そういったところの事実に接した場合には厳正に対処するということでございます。

穀田分科員 だから、これは違反だということを確認して、取り締まりを行うということだと思います。

 そこで、では次に、これはどうか。これはネクタイ地なんですよ。これが折られるとネクタイ。ところが、切って入ってくる、これはネクタイ用にカットされたものなんですね。それは、このように正バイアスでカットされれば、わかりますか、こういうものだとネクタイじゃなくて小物に使える場合があるんですけれども、我々、業界に勤めておったり、それに関係している人たちが見れば、これはネクタイにしかできないんですよ、この正バイアスに切っているもの。わかりますね。こういうものなんです。

 だから、こういうものはやはりいいのかということなんですね。これは生地そのものがネクタイ用の織りであって、ネクタイのための実質的変更が既になされていて、日本での縫製は、価値の付与としての、先ほどありましたように、一部分にとどまる可能性がある。この生地でつくられたネクタイが日本製と書かれていれば、一般の消費者は、日本でつくられ、生地も日本製だと思うんじゃないでしょうか。これでいいのかな。それはどうですか。

園田大臣政務官 御指摘のネクタイに関しましてですけれども、やはり消費者の目線に立つということの私ども消費者庁から申し上げますと、消費者が商品を選択する際、ここに際して、生地の原産地を判断要素とする場合もやはりあるのではないかというふうに思われます。

 その場合には、生地の原産地について消費者が正しい認識に基づいて商品購入、選択ができるようにということを考えますれば、やはり、生地は中国、そして縫製は日本というような表示をすることが望ましいのではないかというふうに考えております。

穀田分科員 そういうことが望ましいということは確認した。

 私は、最後にもう一度、時間も来ましたから一言だけ言っておきますと、今まで、この繊維産業を初めとして、中小企業が中心の伝統産業が非常に衰退している。こういう問題について、先ほど副大臣からもあったように、外国から輸入の問題が出てきているということがありましたよね。本気になってこれは対処しなければならないと思います。それが一つです。

 もう一つは、先ほど大臣とも少し議論しましたけれども、根本的に額が違うんだというぐらいに思っていただかないと、お互いにその産地を抱えている、そんなことでなくて、日本の伝統産業を本当に守り発展させて、将来にわたってそのわざと美を伝えていくという角度からすると、およそこの程度の金じゃだめなんじゃないかと率直に思うわけですね。

 ですから、そういう点で、今額を見ますと、いわゆる産地補助金というのは二億五千八百二十万、さっき言いましたよね。前年比で一〇%だけれども、いわゆる協会に対する補助金は六億七千七百四十万円で前年比一三・四%マイナス、合計で九億三千五百六十万、前の年に比べて八千百三十万減。だから、はっきり言ってけたが足りない。本気で支援するというんだったら、副大臣も大臣もそのようなおつもりですから、私はこの機会に、次の年に向けて本当に大幅にふやすことが求められているんだということを改めて指摘して、終わります。

津村主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして経済産業省所管についての質疑は終了いたしました。

 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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