衆議院

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第2号 平成13年3月2日(金曜日)

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平成十三年三月二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席分科員

   主査 栗原 博久君

      小島 敏男君    中山 正暉君

      山口 泰明君    金子善次郎君

      中田  宏君    中村 哲治君

      松原  仁君

   兼務 塩田  晋君 兼務 木島日出夫君

   兼務 菅野 哲雄君 兼務 日森 文尋君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    今村 雅弘君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 秀人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  谷野龍一郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

   予算委員会専門員     大西  勉君

    ―――――――――――――

分科員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  中山 正暉君     山口 泰明君

  金子善次郎君     松原  仁君

  中田  宏君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     中山 正暉君

  中村 哲治君     後藤  斎君

  松原  仁君     金子善次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     中田  宏君

同日

 第四分科員木島日出夫君、第五分科員塩田晋君、第六分科員菅野哲雄君及び日森文尋君が本分科兼務となった。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成十三年度一般会計予算

 平成十三年度特別会計予算

 平成十三年度政府関係機関予算

 (国土交通省所管)




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     ――――◇―――――

栗原主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。

 平成十三年度一般会計予算、平成十三年度特別会計予算及び平成十三年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村哲治君。

中村(哲)分科員 おはようございます。民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 昨年七月、おととしに続きまして、私の生まれ故郷である生駒市の南部の地域で水害が起こりました。床上浸水です。ちょうど私が初当選をして特別国会で上京している最中の出来事でした。地元に帰ったその足で現地に向かわせていただきました。その中で、被害に遭った方たちのお声を聞きました。畳の中から水があふれてきてねという切実な声でした。

 その中で、こういう声もありました。去年も水害に遭った。三十年間この地区に住み続けてきてこんなことは初めてだ。何で最近になってこんなに水害がふえてきているのか。今、目の前の山を見てください。一面に広がる住宅地は、昔は森でした。最近もどんどん開発は進んで、森が住宅地になってしまっています。この開発が水害の原因だとしか思えません。そういう声でした。

 いわゆるミニ開発による保水力の低下、それが原因になっての水害だったのだと思います。

 国土交通省の近畿地方整備局大和川工事事務所のホームページでも、以下のように述べられています。原文のまま読ませていただきます。

 昭和三十年代後半から住宅を中心とした開発が急速に進み、森林や水田・ため池などの保水機能が減少したことから、降った雨が河川へいちどに流れ込むとうになり、より一層浸水被害が深刻なものとなってきています。

以下二点について、確認的な質問になろうと思いますが、その点だけお答えいただけますでしょうか。

 過去三十年くらいの傾向として、この地域の保水力が低下していっているという事実認識はそれでいいのかどうか、そして、原因が開発であるという事実認識はそれでいいのかどうか、よろしくお願いいたします。

扇国務大臣 今中村先生からお尋ねの、竜田川の水害の話をなさいまして、地元の方が、三十年来住んでいるけれどもこんな水害は初めてだ、なぜこんなに水害があるんだと。私は実感だろうと思うんです。それは昨年、名古屋の西枇杷島町等々の、あの名古屋西部の集中豪雨、あの水害のときにも、これは今局長がきっと表を持っていると思いますけれども、農地だったものがどれだけ住宅地になってしまったかというグラフがございます。ですから、それは皆さん方の、今の大和川の水域の皆さんだけではなくて、この間の名古屋の集中豪雨の水害というのは、まさに都市型の、今の日本の現状の水害であったと私は思っております。

 ですから、少なくともこれは我々が開発しなさいと言ったわけじゃなくて、民間の皆さんあるいは地域の皆さんの要望でそういう開発が行われているということも事実でございますけれども、私はそれだけが原因だとは思いたくありません、複合的なものがいっぱいあります。住宅が建ったから、宅地改造したから水害になったという一つの、一点のみの水害の原因とすることには私はいささかの抵抗もございますし、また、そんな短絡的なもので皆さん方が水害に遭われたとは思っておりません。

 けれども、少なくとも私どもはこれまでの河川改修の対応をいたしてきておりますし、流域全体での治水対策をどの程度すればいいのかということに基づいて、国土交通省、この当時は旧建設省でございましたけれども、私どもはその対策をとってまいりましたし、今、民主党の先生方にもこの間からも言われております、党として、とにかくむだではないか、百年に一度だったら、百年目に一度のことに九十九年分のむだな予算をするなと私におっしゃった方があるんですね。ですけれども、私は、十年目であろうと三十年目であろうと百年目であろうと、今の中村先生のお言葉のように、地元の人は、なぜこんな水害の目に遭うんだというのがひとしく水害に遭った方のお気持ちであろうと私は思います。

 ですから、少なくとも都市化の著しい全国の十七の流域、これに関しましては、私どもは、河川改修とともに、学校のグラウンドを利用しました雨水の貯留設備、それを私たちは全国の未改修の十七地区に進めているところでございます。

 ですから、今おっしゃいましたように、昨年十二月の河川審議会におきまして、私どもは、今までの取り組みに加えて、すべての河川で土地の利用方策あるいは河川と下水道との連携強化、雨水の貯留施設による流出、効果的な治水対策のあり方について答申をいただきました。

 私どもは、今申しました、三十年に一度だから、二十年に一度、いや五十年に一度はむだだと言われることではなくて、総合的な、複合的なものがありますので、我が国土交通省としては、でき得る限りの対策をしているということも御認識賜りたいと思います。

中村(哲)分科員 大臣の答弁をお聞きしまして、非常に心強く思っております。

 その流れで、今、大和川の総合治水対策が進んでいるということを聞いております。その点に関しまして非常に心強く感じておりますので、推進していただきたいと思います。御存じのように、民主党も、コンクリートのダムをつくるよりも森を保全して治水、利水を考えていこうという緑のダム構想を打ち上げております。河川改修だけに頼らない総合的な治水対策というお考えについては非常に共感しておりますので、その点については進めていただきたいと思います。

 しかし、そのためには、まず事実をきちんと認識しておく必要があります。細かいことになりますので、次は政府参考人の方にお答えいただきたいと思います。

 従来、この地域についての保水機能を維持するための方策というのはきちんとなされていたのでしょうか。例えば、調整池はきちんと機能していたのかどうか。今、扇大臣は、開発だけが理由じゃないとおっしゃいましたが、この地域というのは、山がありまして、本当に水源になっているような地域でありまして、上流に余り川がないんですね。まさに川の始めになるような地域の森だったわけです。そこが開発されて、かなり保水能力が低下したのじゃないかという思いを強く持っておるものですから、その点についての御認識をお聞きしたいと思います。

竹村政府参考人 水源に関します日本国土の事実関係を御説明いたします。

 大臣がグラフと申しましたが、きょうはお許しを得ていませんのでそのグラフは手元にございませんが、後ほどお届けしたいと思います。

 日本国土は、日本国土の全体の一〇%が何もしないと水がはんらんする区域でございます。高潮や洪水で水が自由に遊んでしまう区域、はんらん区域と呼んでおりますが、その一〇%の区域に全国の人口の半分と資産の七五%が集中しております。このような先進国は、世界広しといえども我が国だけでございます。

 また、お尋ねの大和平野でございますが、これは、古来より非常に水はけの悪い土地でございまして、平城京時代はあの大和盆地の大和川の集まるところは大きな湿地、それ以前は、縄文、弥生時代は大きな池でございました。大和朝廷のときは湿地帯でございまして、昔の各都が転々として移ったのも、皆湖の周辺を移転してございました。

 このように、大和川は昔から大変水が少なく、逆にまた、水が出ると一気にあふれてしまうという苦しみの中でつくってきた町でございまして、今御指摘の生駒市内も平成十二年、大きな水害に遭ったわけでございますが、このときの雨量は、実は一時間八十九ミリというとんでもない雨が降ってございます。私ども、現在この地域の対象雨量は、大体現在の水準は五十ミリ程度で計画をして事業を実施しているわけでございますが、それの八〇%以上増しの非常に大きな雨が襲ってきたということでございます。

 最近、このような異常気象のせいか、極端な集中豪雨が激しくなっておりまして、私ども、これから油断のないように、これからの皆様方都市生活者の生活を守るために、都市化の激しい竜田川の流域等における河川改修、そして流域での対応をきちんとやっていきたいと考えてございます。

中村(哲)分科員 総合的な対策をきちんととられていくという方針に対してはすごく共感していますので、そのまま進めていただきたいんですけれども、いわゆるミニ開発という現状をこのままほうっておいていいのかどうかという問題が別途あると思うんですね。幾ら国土交通省の皆さんが頑張って頑張って対策をとっていかれる、今おっしゃったような対策をこつこつやっていかれたとしても、ミニ開発を放置していったらその努力がすべて無に帰してしまうかもしれないと思うんです。

 今後、このミニ開発というものに対してどういうふうに対応していかれるのか、大臣の御方針をお聞かせください。

扇国務大臣 今先生からミニ開発というお言葉が出てまいりましたけれども、少なくともそれらに関しましては、私は、都道府県及び市町村等々での御審議の結果であろうと思いますので、一々私どもが国の方からこうしなさいとかという指導をできる部類のものではございませんけれども、少なくとも今中村先生の御質問の中にありましたミニ開発の中には、私たち、都市計画を進めるときに住民の意見を聞いております。

 ですから、それも含めて、我々のできる範囲ですることは惜しみなくしている、また、丁寧に、行き届くように何度も説明会も開いているということでございますので、再度そういうことで御質問があればお答えしたいと思いますけれども、ミニ開発自体の許認可等々は都道府県なり市町村でございますので、皆さんの地区からそういう声をぜひ、地方でも公聴会等々なすっていらっしゃると思いますから、ぜひ住民の皆さんが参加して、そういうところで御自身の御意見をおっしゃるようにしていただければ、私は、住民参加という形ができるのではないかと思っています。

中村(哲)分科員 今大臣の答弁をお聞きいたしまして、県や市の責任であるということをきちんと明確に御答弁いただいたことを非常に感謝しております。とかく国の問題だというふうに地方自治体は言いがちですので、地方分権が進んでいく中、国と地方の役割を明確にしていくという意味でも非常にすばらしい御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 次に、関西文化学術研究都市高山第二工区についてお聞きいたします。

 関西文化学術研究都市の建設に関する計画が内閣総理大臣により承認されたのは昭和六十三年のことです。昭和六十三年と申しますと、日経平均株価、きのうバブル後最安値をつけましたけれども、それが一年間で二万一千円台から三万円台まで値上がりしたという、本当にまさにバブル真っ最中の年であったわけです。

 一般論として、あくまで一般論として大臣にお聞きします。

 バブルのときの計画というのは右肩上がりの経済を前提としております。私は、二〇〇一年、二十一世紀始まりの年というのは、今、立ちどまってもう一度見直していく、そういう勇気を持たなくてはいけない、そういう年なのではないかと思うんです。もちろん、見直した結果、これは推進した方がいいというんだったらもう一度走り始めた方がいいと思うんですけれども、一回とまって周りを見渡して、そういうふうな努力をしていくということが、このいわゆる失われた十年と言われるような今の時代に必要なことなのではないかと感じておるんですけれども、それについての大臣のお考えをお聞かせください。

扇国務大臣 一度決めたことをてこでも変えないというのはむしろおかしいというのが私の意見でございます。

 ですから、私は、昨年初めて建設大臣にさせていただきましたときにも、今までとは違うんだと。二十世紀の最後、今先生がおっしゃいましたように、この十年間で、バブル崩壊後の十年は何だったのかということを考えなければ、我々は政策の上にそれを反映していかなければ、十年前に決めた政策をそのまま握っていたのでは日本はつぶれると。

 そういうことを私は警鐘を鳴らし続けて、ですから、皆さんで論議していただきたいというのを、例を挙げるとまた怒られるかわかりませんけれども、首都機能移転問題に関しましても、十年前に決めたことを今、少なくとも見直して論議してくださいというのが私の真意でございますので、論議した上でやめるかやめないかというのは、それは皆さん方の御意見を伺った上でのことですけれども。

 すべからく私は、特に国土交通省は二十一世紀、一月の六日にスタートいたしまして、二十一世紀型の国土交通省というものを進めていかなければ、私たちは何のための省庁再編だったのかという意味で、縦割りをなくそうと。今までの運輸省だ、建設省だと、一般の皆さん方も運輸省へ申請に行き、またその書類を持って今度は建設省へ回りあるいは国土庁へ回り、そういうことが全部一カ所でできるワンストップになるというような意味の国土交通省というものをしていかなければいけない。

 そして、公共工事も、民主党の皆さんにも反対も多く言われておりますけれども、私たちは、事前協議、そして事前評価、事業評価、事後評価とあらゆる、三段階に分かれた評価制度を取り入れて、少なくともむだのないように、なお効率をよくするようにということで、昨年の与党三党による公共工事の見直しで中止したものもあるというのは、そういう今の現状と将来を見通して、やめるものはやめる、進めるものはもっと早くスピードアップして進めていくという政策転換というものが必要な時代であるということを認識しています。

中村(哲)分科員 一度決めたものをそのまま通していくのではなく、やはり時代に合わせて議論をしなくてはならないという大臣の御答弁、非常に共感いたしました。

 さて、私は、生駒の北部にあります学研都市の高山第一工区の方に行ってまいりました。生駒市というのは、私が生まれ、その後三十年近く住み続けておる町です。私は、生駒市の中部に住んでおりますから、ふだんは北部の方には参りません。高山がある北部には、機会があるときにしか行かないんですけれども、行ってみて驚きました。まだ空き地がたくさんあります。そして、なかなか企業も進出しておりません。

 こういう状況で、さらに第一工区の六倍の面積である第二工区を計画している。面積は二百八十八ヘクタールです。計画されている人口は二万三千人。今、生駒の人口が十一万五千人ですから、新たに二割の人口がふえることになります。普通の生駒市民の感覚では、私も周りの人間によく聞きましたけれども、よく理解できない計画だと思われています。そして、この計画自体が余り生駒市民に知られていません。自分たちの知らないところで計画が進んでいっているような実感を今私たちは持っております。そして、この計画がバブル崩壊の今、採算がとれていくのかなと不安に感じております。

 そこで、私は昨年、当時の建設省の皆さんに、高山第二工区についてお聞きしました。治水の面と採算性の面についてです。

 先ほど竜田川についてお聞きした治水の面につきましては、いわゆるミニ開発とは違い、調整池をつくるということで問題は起こらないというお答えでした。その点につきましてはそれで了解いたしました。

 しかし、採算性についてのお答えは、公団は建設省と別の組織であるから、また公団は事業体なのでお答えできない、そういうお答えでした。計画中のことなので答えられないということなのだと思います。しかし、それでは、まさに市民が知らないところでいつの間にか計画が進んでいってしまうということになると思うんです。

 そこで、大臣に二点のことをお聞きします。

 一点目は、私は、このような大規模な都市計画を進めるには、もっと住民がそれを周知し、計画づくりに参加するようなシステムを考えるべきだと思うんです。二点目は、この事業を行うことを予定している都市基盤整備公団にも住民に対する説明に努めさせるべきだと考えておりますけれども、この二点についていかがお考えでしょうか。

扇国務大臣 今中村先生のおっしゃるとおりだと思いまして、あらゆる事業に関してはすべからく多くの皆さん方に明示し、そして説明を行うというのは、それはもう基本姿勢の基本でございまして、私はそれを抜きにしたとは思っておりませんけれども、少なくとも先生の目にそういうふうに映ったということであれば、いかがなものかと思って、私は調べさせていただきました。

 それで、この高山の地区の第二工区にどの程度説明会をしたんですかと私は聞きましたら、それは、原案の公告あるいは縦覧及び意見書の提出という都市計画法に定める手続に加えまして、地区の周辺の自治会長や自治会役員への説明及び地区住民への説明会を行ったと。何回行ったんですかと私が申しましたら、これは奈良県で十年の十一月に説明会を五回開催いたしました、また、生駒地区に関しましては同じ十一月に説明会を三回行いましたという報告が上がってまいりました。これは私、何人集まったのかというのを聞き忘れたものですから、また先生からもお聞きいただいたらいいと思いますけれども。

 そのように、一応公団としてもすることはしたということで、都市計画を進めるために皆さん方の御意見を聞いたということを私は報告を受けておりますけれども、先生の目にまだ不十分だというふうに映ったのであれば、私は、公告とか縦覧の方法がまだ足りなかったのかと。あるいは、その説明会に何人の人に来てもらえたのか。

 それであれば、私は言ったんです。これからはインターネットなんですから、インターネットで全部流しなさい、案もそして公告も、こういうふうにする説明会は何日だというのをインターネットで流したらどうですかと私は申してありますので、やがてそういうふうになるであろうと思っています。今度は御説明会等々の御案内と、そして計画等々もインターネットで流せるようにというふうになるだろうと思っています。

 それは、私が昨年皆さん方に全会一致で通していただいた公共工事の入札と契約に関する適正化法にも、私は電子入札というものも法案に書いたわけですね。入札も電子でしようという時代でございますから、こういう公告なりあるいは皆さん方へ説明するということも、今後はぜひ、私は、インターネットを通じてしていただくと、今までよりもより多くの参加者が出てくるのではないか。また、説明会に来れなくても、インターネットで事業計画を流せばおのずと皆さん方の目に映るんではないかというので、これは方向を、電子で説明する、インターネットで御案内するということも今後の新しい方法として工夫していかなければならないことだと思っております。

 もう一つ、採算がとれているのかというお話もございましたけれども、私は、少なくとも、この事業を行うことを予定している都市公団からも、少なくとも高山地区、第二工区と今おっしゃいましたけれども、事業計画の認可を受けて、施行者として、立場としては、少なくとも地元の住民に対しての事業の説明を行うことをした後で、我々はこの計画を、地元の公共団体とともに、事業計画認可の前であっても事実上の施行予定者として地元に対する説明に参画したと。本当は、事業認可がおりていないのに説明するというのは、法的に言えば、私は法律家じゃありませんからわかりませんけれども、本当は越権行為ですよね、言ってみれば。けれども、地元の了解を得たいために、なるべく早目にお知らせしたいということでそのようにしたということでございますので、私は、ある程度、今先生がおっしゃった、どなたからどういうふうになったのかわかりませんけれども、すべからく皆さん方に徹底してとは思いませんけれども、できる限りの努力はしてきたという報告も受けております。

中村(哲)分科員 大臣の御答弁は、本当に力強いものであります。そのように、事業認定がおりる前に説明会をしていただくという方向を、本当にとっていただきたいと思います。

 今おっしゃったような住民に対する説明、過去なされてきた説明というのはかなりアリバイ的なもののような気がいたします。周辺住民の方たちに限って、それも自治会長というのは法的に決められたものでもありません。そういう中で、余り対象範囲を広げないでなされた説明会であるというふうに私は実感しております。

 私は中部に住んでおりますから、中部の人間で、高山の第二工区がどういうふうに動いているかということを認識している人間は、多分一%もいないんじゃないかなというのが実感でございます。だから、今大臣がおっしゃったような方向で本当に進めていただきたい、その思いを強くしております。

 採算性についてですけれども、地価の下落など、宅地開発をめぐる事業環境は悪化していくばかりです。採算性の向上に向けてどのように公団をこれから指導していかれるのか。それとまた一方で、公共用地の比率の問題もあります。大規模開発をするのであれば公共用地の比率を上げるべきという声も、私は、地方議員の皆さんからも聞いております。このバランスについても悩むところでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。

扇国務大臣 今、まだ情報を知らなかった人もあるというお話がございましたけれども、私は、先ほど申しましたような手段でもって、より多くの人に説明ができるように今後指導していってまいりたいと思いますので、ぜひその点は御理解いただき、また、多くの皆さんに、何かあったときにはなるべく参加しましょうよねという声がけも、ぜひ先生の方からも地元の皆さんにしていただければ、私はお互いに理解が得られるのではないかと思っております。

 また、今の採算性の件に関しましては、区画整理事業につきましては、それぞれの地区ごとの事業認可ということがございますので、そのときに、工事費あるいは保留地の売買収入等の見込みを資金計画としてこれは作成するわけでございますけれども、少なくとも認可の前には縦覧の手続を通じて情報が公開されております。ですから、地元の皆さんも、この情報の公開を見ていないとまたおっしゃる方もあるかもしれませんけれども、一応これは手続の手順でございますので、きちんとこれも情報公開をさせていただいております。

 けれども、公団によります土地の購入価格等、公団の個別の事業の原価については、地権者等との交渉に無用の混乱を招きます。それは、あそこの人は幾らで買った、こっちの人は幾らで買った、これは必ずお互いに意見の、だれしも買ってもらうときは高いにこしたことはないんです、それは人情でございますけれども。やはり交渉の時期がずれたことによって少し値段が違う場合もございますので、少なくともこういう混乱を招くおそれがあるということに関しましては、公団の経営の自主性が阻害されるというようなことにもなりかねませんし、また地元に不要の摩擦を起こすということにもなりかねませんので、こういうことに関して公表することは、私は、現段階では適当ではないというふうに考えております。

 少なくとも、財務諸表とか事業報告書の公開を通じてできるだけ皆さんにわかりやすくするということ、また今国会に提出されております特殊法人等の情報公開法、少なくともこの法案が認められましたならば、公団等の保有する情報の一層の公開というものを図らなければならなくなるわけでございますから、ぜひこのことも御留意いただいて、一日も早く賛成していただければ、私はもっと公開できると思います。

中村(哲)分科員 個別案件については確かにそうだと思うんですけれども、できるだけネットの状態で、全体の状況で資金の流れについてもきちんと公開していただくということを御確認させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

栗原主査 これにて中村君の質疑は終了いたしました。

 次に、木島日出夫君。

木島分科員 日本共産党の木島日出夫です。

 長野県営国庫補助浅川ダム建設事業についてお聞きをいたします。

 昨年十月に、長野県知事選挙におきまして田中康夫知事が誕生いたしました。田中知事は、選挙公約に沿いまして、十一月二十二日、浅川ダム本体工事を一時中止し、新たな検討機関を設置する方針を示しました。

 浅川ダム建設計画は、ダムの安全性の問題、治水の効果の問題、費用対効果の問題など、多くの問題点が指摘をされております。私も指摘をしてきました。地元住民からは、ダム建設差しとめ訴訟も現に提起されております。

 田中知事のこの決断は、これまでのダムに頼った治水事業を根本的に見直すものとして大きな意義を持つものと私は考えておりますが、国土交通大臣はこの事態をどう受けとめるのか、御答弁願いたい。

扇国務大臣 今木島先生からおっしゃいました、十一月の二十二日でございましたか、私も報道によって初めて知ったわけでございまして、いまだに私どものところにはその連絡が来ておりません。けれども、報道で紙を読み上げられましたテレビを拝見させていただきまして、私は一瞬疑問を持ちました。

 それは、あれを決定するまでに、事業を継続するという限りでは、補助金等あらゆるものを今まで私たちは協力してきたつもりでございます。長野県の県議会、あるいはあの事業を計画しまして実行しますまでに、事業評価監視委員会等々の手続を全部経まして決定をしたというのが現実でございますので、今までの手続を全部カットして、ツルの一声的なことでそれを中止することができるのであろうか。

 少なくとも、工事に着手しますときもやめるときも、国民の税金を使って事業をする場合には、するときも国民にそれを開示し、やめるときも国民にそれを示して、そして意見を聞く。やめることだけが悪いとは言いません。けれども、どちらにしても、決定するときには、すべからく公開をして、今までの手続の逆を踏んで、着手するときの手続と逆流して、議会の承認も得、多くの皆さんにも公告をして、それから決定されるべきではなかったかなという疑問を今も持っていますし、またそうなさるべきであるというのが私の考えでございます。

木島分科員 手法について疑問をお持ちになっていること、承りました。その手法についてはいろいろあるでしょう。しかし、長野県の政治は変わったのです。県政は変わったのです。田中康夫知事が選挙でも公約していたことなのです。公約実現の一環として、今、浅川ダムの建設の中止が進められてきているんですね。そのことだけ申し上げておきたいと思います。

 もちろん、田中知事のこの決断に対して、私も長野県民の一人です、長野県内には賛否両論あることは当然であります。ダム建設の推進派からの厳しい批判もあります。三十年にわたって、国と一緒になって、あるいはゼネコンと一緒になってこのダムの建設を推進してきた推進派、特に旧吉村県政の、日本共産党以外オール与党の県議会の中には、この田中康夫知事に対して厳しい批判があることも承知をしております。

 しかし、多くの県民は、これまでの行政のあり方を根本から転換するものとして、この田中康夫知事の決断を歓迎しております。そして、現に、冷静に、今、事態の推移を見守っております。失礼ながら、森内閣の支持率は一割を割り込みました、一けたになりましたが、最近、長野県民の田中康夫県政に対する評価は、九〇%が支持をしておる、そういう圧倒的な支持の状況であります。

 こうした状況の中で極めて異常な態度をとり続けているのが、旧建設省から出向している田中知事の直属の部下である、この事業の中心的な責任者でもある、長野県の現土木部長であるのです。

 知事を支えるどころか、ダム建設を中止すると、もう既に竣工済みの、既に供用開始済みのループ橋やつけかえ道路建設などに要した国庫補助金の返還命令が建設省や国土交通省から来るなどと言って、田中知事の政策遂行の足を引っ張っているのです。現に引っ張っているのです。知事の直属の部下の態度として許せるものではないと私は思います。

 そこで、国土交通大臣にお聞きをいたします。

 国土交通省は、ダム建設が中止されると、既に工事が完了しているつけかえ道路に対する国からの補助金の返還命令を出すことを決め、長野県土木部長をそうした立場から指導しているんでしょうか。

 具体的に言いましょう。要するに、この浅川ダムの事業の建設計画は、三十年前、昭和四十年から始まっているわけです。昨年十一月に私が長野県からいただいた資料によりますと、用地補償一〇〇%進捗、建物移転一〇〇%進捗、工事用道路一〇〇%進捗、つけかえ道路九五%進捗、仮排水水路トンネル一〇〇%進捗、そして、ダム本体事業についてはさまざまな意見もあり、今大臣おっしゃったような検討委員会でのいろいろな検討もあり、昨年の九月、前吉村県知事のときの県議会でゴーサインが出て、そして施工業者との間で契約が結ばれ、昨年の九月に工事が着手し、始まったばかりの段階なのです。昨年の国の予算には、このダム本体工事の国庫補助金もついているのは当然です。そして、十月、翌月に県知事選挙があって、長野県政は転換をしたわけです。そして、田中知事がダムの請負契約も中止しております。そして、見直しが始まったのです。そういう段階です。

 それに対して土木部長は、田中知事がダムを中止すると、もしこれをやめると、既にもう完全に竣工が終わり、道路としても供用されているつけかえ道路、ループ橋につぎ込まれた国庫補助金、これを建設省、国土交通省は返せと長野県に迫ってくるんじゃないか、だから見直しはやめたらいいですよ、そういう言い方をして田中県政の足を引っ張っておるんですよ。ループ橋はもう全部終わっているんですよ。オリンピックではこの上流部でボブスレーが行われ、見事な道路としてもう供用開始され、これはこれで住民は喜んでいるんですよ。ですから聞いているんです。

 このダム本体工事をやめたら、このループ橋に使われた国庫補助金を返せということを、国土交通相、あなたが決定して、長野県に出向している土木部長、これは旧建設省の職員ですから、これにそういう行動をしろと指示しているんでしょうか、そういう質問です。

扇国務大臣 今るる御丁寧に木島先生に御説明をいただいて、ありがとうございました。

 ただ、今先生も最後に申されましたように、少なくとも、旧建設省の職員ではございますけれども、現在は長野県の職員でございますので、長野県の職員に対して私が国土交通大臣としてどうこうしろということはもちろん言いませんし、またコメントする段階ではございません。

 今、国としてお金を出しているものはどうなんだというお話もございましたけれども、私は、今木島先生もおっしゃいましたように、反対もあれば賛成もあるということを、先生は地元でいらっしゃいますからよく御存じだろうと思います。そういう意味では、出したお金をどうのこうのといって、私は法的に詳しくありませんから、先生の方が御存じかもわかりませんけれども、少なくとも、私の最終的な決定に従っていただくというのは当然なんです。私はその権限はもちろん持っておりますけれども、そこに至ります過程におきましては、私と違う意見が出ることもございます。国土交通省でそういうふうに自由に論議をしている段階であるということは、私は国土交通省が風通しがよくて大変いいことであるとむしろみんなに言っておりますので、私はその論議が当然あってしかるべきだろうと思います。

 それは、賛成の人も国土交通省に陳情にいらっしゃいます。また、反対の人からも、今先生がおっしゃいましたように、地元の新聞等々でも御意見を聞いております。私どもは、最終的にきちんと判断するためには賛否両論の御意見を公平に聞くということで、我が国土交通省の中では、今、その御意見を聞きながらそれぞれの意見交換をしているという段階です。

 現時点で、継続する場合には、予算がついているじゃないかとおっしゃいましたけれども、そのとおり予算もつけておりますし、あるいは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律などというのがございますので、これはもう先生御専門ですからよく御存じだと思いますけれども、私は、その法律の中でも第十七条と第十条のどちらを重視するのかというのは、先生からぜひこれは御意見も伺いたい。むしろ私からも伺いたいと思っているところですので、伺わせていただきたいと存じます。

木島分科員 質問時間が短いので、短く端的に答弁してほしい。

 では、現在、国土交通省としては、ダム本体工事を中止したら、既執行分のループ橋、つけかえ道路につぎ込んだ国の補助金を返還せよと態度決定しているわけではないと聞いていいですか。イエスかノーか。

扇国務大臣 私、先ほど申しましたように、この十七条というものに該当するとは現在は思っておりません。

木島分科員 そこで、実は、きょうはそこの問題を詰めたいんですよ。

 補助金適正化法というのがあります。財務省を呼んでおりますのでお聞きします。既に補助金として交付決定がなされ、そして執行も終え、確定も終わっている国庫補助金について、国が返還命令を出せるのはいかなる場合か、その法的根拠は何か、わかりやすく説明してください。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 補助金等の交付決定の取り消しにつきましては、今大臣からもお話がございましたように、補助金等適正化法の第十条そして十七条に、両方規定がございます。補助金等を所掌する各省各庁の長は、交付決定を取り消した場合におきましては、十八条の規定に基づきまして、取り消した部分に係る補助金等の返還を命じなければならないという規定がございます。

 そこで、先生今御質問の例でございますけれども、過去に補助金等の額の確定がなされている補助事業等について、これは既に事業が完了をいたしているわけでございます。したがいまして、補助金等適正化法上は、先ほどのうちの同法第十七条に規定されている、そういうことになるわけでございますが、この補助事業者等の義務違反というものに該当しない限りにおきましては、当該補助金等の交付決定が取り消され、あるいはその返還を求められることはないということが補助金等適正化法上の規定でございます。

木島分科員 明快であります。

 そこでお聞きします。適正化法第十七条の義務違反というのは、どういう場合を指すんでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 額が確定しました後に、例えば会計実地検査等がございます。これによりまして補助事業者等の義務の違反が明らかになった場合とか、あるいは、補助金等適正化法施行令第四条の規定に基づきまして、各省各庁の長により定められました事業完了後においても従うべき条件に違反した場合等が想定されるものと考えられます。

 いずれにいたしましても、この義務違反という場合には、法律上は、補助金等を他の用途へ使用したとき、あるいは補助金等の交付の決定の内容またはこれに付した条件に違反をしたとき、さらには法令またはこれに基づく各省各庁の長の処分に違反したときということが規定をされているところでございます。

木島分科員 法律条文どおりの答弁であります。

 そこで、国土交通大臣にお聞きします。

 浅川ダム建設事業にかかわる既執行分のつけかえ道路、ループ橋の建設に関して、この適正化法第十七条、また今、令第四条のお話も答弁されましたが、それに違反する事態、吉村前県政の時代のことを指すんでしょうけれども、それはあるんでしょうか。国土交通省としては、そういう事態に該当しているという認識なんでしょうか、どうなんでしょうか。

扇国務大臣 私は先ほど先生に、決定するまでの手順と中止する場合の手順というのは、冒頭に申し上げました。

 例を挙げますと、昨年、与党三党で公共工事の中止を百八十七決定いたしました。でも、それは、私たちがただ中止と言ったのではなくて、全国の事業評価監視委員会を延べ三百回に及んで昨年十二月までに限度をつけて開いていただいて意見を聞いて、最初に決めたときの逆の方法、全部手順をとって、そして地元の調整をして中止にした、これが私どもの手法でございました。そのために時間はかかりましたけれども、与党三党で決めたものの中から百八十七の事業を中止できたわけですね。

 でも、今回の場合は、先ほど私が先生にお聞きしたように、田中知事の場合は、今まで決めた手順を全然、地元との調整もなかった、あるいは中止に至った理由もあるいはその過程も議会にもかけなかった、そして、あの方は情報公開を主として当選なさいましたけれども、その過程をすべて私どもには情報公開されていないということでございます。

 現段階では中止を決定していません。ですから、現段階では十七条には該当していないと私たちは認識しています。

木島分科員 時間がないんですから、ひとつ質問に的確に答えてください。

 手順についてはお聞きしましたよ。ただ、浅川ダムについては、田中知事も、契約が締結されているのはすぐとめる、そして見直し検討委員会をつくろう、そういう段階なんです。何ら問題はないでしょう。

 聞いているのは、ダム本体をやめてしまうと、既に執行が終わっているループ橋、つけかえ道路につぎ込んだ国庫補助について返還命令が国から出るぞ、国土交通省から出るぞ、そうしたら長野県は大変だ、財政は大変だというおどしを、もとの建設省の職員である出向中の長野県の土木部長が現にやっているということなんです。大問題ですから、それは。法律を聞いているのです。そういう状況になるのか、そういう法的根拠があるのかという質問なんです。

 先ほど財務省から法十七条の解説がありました。令四条の解説がありました。だから、その解説にどんぴしゃ当たるのか、こう聞いているのです。

扇国務大臣 先生が、中止した中止したとおっしゃいますけれども、私はまだ中止したと思っておりません。(木島分科員「工事は中止したんじゃないですか」と呼ぶ)ですけれども、現段階では、国土交通省とおっしゃいますから、私は、県会ではありませんので、中止と思っておりませんし、十七条には該当していると思いませんから、中止決定をしたということが上がってきた場合には、どの条文に適するかというのは、その問題は後のことであって、今、先生は中止とおっしゃいましたけれども、現段階は停止にしかすぎません。

木島分科員 停止でも中止でもどっちでもいいですよ、それは。請負契約が、今工事がとまっているということです。(扇国務大臣「停止と中止は違う」と呼ぶ)だから、法律論争をしているんです。現にそういうことを長野県の土木部長が主張し続けているから聞いているんです。

 だから、既執行で完全に確定作業も終わり、何の問題もないという状況になっている補助金部分について、これは仮定の質問でもいいです、ダム本体をやめてしまったら返還命令が出る法的根拠はあるのですかと聞いているのです。ないんなら、そんなないようなことを県の土木部長が言って長野県知事の足を引っ張るなんということは許せるものじゃないわけでしょう。だから詰めているのです。

 その返還命令を出すか出さないかの権限は、十七条によってもあなたにあるのですから、だから、あなたにそういう法的根拠はあるのかどうか詰めているのです。

扇国務大臣 先生に先ほども私申しましたように、そんなにおっしゃらなくても、長野の田中知事はおっしゃったけれども、中止に関して、すべての手続がとられて、みんなに、地元の調整あるいは中止に至った理由、その過程を全部公表して、県会も全部納得して決定したという通知があればいいですけれども、私は何も決定した通知をいただいていませんし、その手続を踏んでいないで中止した場合には、私は、法的にはそれは認められません。

木島分科員 全然すりかえているのです。法律は、適正化法十七条、令四条は、そんな手順がどうのこうのによって発動できるかどうかなんて書いてないです。(扇国務大臣「書いてあります」と呼ぶ)ないです、そんなこと。

 では、どこにあるのですか。大臣、どこにあるのですか。もっとよく県民の意見を聞いてからやったら適正化法は発動できない、独断的にやったら適正化法が発動できる、そんなことどこに書いてあるのですか。大臣、答弁してください。そんな無責任な答弁をしたら許されるものじゃないですから、それは。法の解釈、運用、国のお金を返還させるべきかどうかの根本問題にかかわるのですから、大臣、答えてください。

扇国務大臣 法令の問題でございますから、的確に私は申し上げたいと思います。

 私も、この法令に関してはプロではございませんから、間違いがあったらいけないと思いますから、読ませていただきましたし、私も私なりに今後これを問題にしなければならないところですから、研究をさせていただく。これからも、実際に上がってきた場合には私が対処しなければいけない大事なところでございますから、申し上げます。

 この適正化法の十七条、交付決定の取り消しによる返還ということに関しましては、補助事業者の事業遂行義務違反によるものが一つ、もしくは、過去にさかのぼって返還を求めることができるというのが一つ。

 その理由としては、事由として、補助金の他用途使用、それが一つ、もう一つは、補助金交付決定の内容または条件違反、三つ目には、法令または交付権者の処分違反等。

 私は、そういう意味においては、これらの法律の内容を見て、実際に決定しましたと上がってきたときには、私は、役所の中でも、そして法的にも、これは私たちだけではございませんので、内閣としてもきちんと法令に適す適用というものを考えていきたいと思っています。

木島分科員 いや、それは法律の条文を読んだだけですよ、あなた。さっき、もう財務省から答弁いただいたことですよ。もう既に執行が終わってしまっている部分についての質問ですよ、私。

 だから、この条文のどこに当たるのですかというのです、ループ橋とつけかえ道路が。それを言ってくれというのです。言えないんなら、あなたの方から元建設省職員である長野県土木部長に注意すべきなんです。

扇国務大臣 私は、別に条文を読んで、法令というのは条文どおりでなければ、私が誤った解釈をしたらそれこそ法令違反ですから、そんなことは……(木島分科員「それは法令を読んだだけでしょう、あなた」と呼ぶ)だから、それでなければ、私心を入れるということは、私は、むしろ公平を期すると思いますから、私たちは法律に基づいて法文に適用するかどうかを今後検討するというのが私たちの姿勢ですし、言いなさいといいますけれども、今は長野県の職員でございますので、先生からぜひ御注意してやっていただきたいと思います。

木島分科員 私からは言っているのです、何度もこの部長には直接会って。あなたの解釈は間違っているよということは言っているのです、私は直接土木部長に。

 だから、どれに当たるんですかというのです。このループ橋をつくるために、既につぎ込まれて執行が終わり、確定作業も終わって、完璧に適正化法上の手続が既に終わって使われてしまっているお金について、十七条のどこに当たるのですかと聞いているのですよ。

扇国務大臣 これは、十七条といいますよりも、むしろ浅川ダムの事業の事例というのがきちんと適用されるという中に、ダムの事業によって建設された附帯道路は該当目的に使用するというのが定められております。二つ目は、各年度の交付決定の内容等の条件に従い設置。三つ目、法令違反等の該当はない。この三つの要件が浅川ダム事業の事例として明記されておりますので、これは十七条に該当するとは言いがたいということを私はさっきから申し上げているのです。

木島分科員 何ですか、該当するとは言いがたい。要するに、ダム本体をつくることをやめてしまったら十七条に該当するというのですか。(扇国務大臣「お金を返せということを言っている」と呼ぶ)返せと言えるというのですか。

 私の質問は、そこ一点なんですよ。まだこれからのことだし、事業はやるかやらないか決まっていないでしょう。しかし、それをもしやめてしまって本体のダムをつくらなかったら、既に交付決定も終わって、確定も終わっているつけかえ道路に関して、国がつぎ込んだ補助金の返還命令が十七条によって法的に出せるとお考えなのか、それはちょっと法律解釈上無理だなと考えているのか、そこ一点なんです、私がさっきから質問しているのは。

扇国務大臣 先ほどから、私何回も申し上げておりますように、現段階では、客観的に考えてこれは十七条に該当しないというふうに考えておりますけれども、実際に上がってきた場合には、これは改めてどれに該当するのか、今まで手続を踏んでおられませんから、手続を踏んで正式に持ってきた場合には、手続を踏んだ場合の適用と踏んでいない場合の適用とはおのずと適用が変わってまいりますから、私はそのことを申し上げているのです。

木島分科員 わかりました。では、現段階では適用にならない。

 では、聞きましょう。将来上がってきたら検討対象になると言いました。では、将来どういう事実が上がってきたら検討対象になるのですか。

扇国務大臣 これは、先ほども申しましたように、これを決定したときの手順と逆を全部やってくださいと。議会あるいは住民の皆さん方の理解を得られるように、情報を、決定するまでの過程を公表してくださいというのが条件でございますから、私は、これを決定したときと逆の手続をとっていただきたいと申し上げたんです。

木島分科員 では、財務省に聞きましょう。

 今、大臣があんな答弁をいたしました。議会の議を経るとかいろいろな手順、その手順をきちんとしなければ適正化法十七条を適用できるかどうか影響すると。そんな解釈をされているんですか、この十七条。財務省、答えてください。

藤井政府参考人 先ほど、補助金等適正化法の法律上の規定については御答弁申し上げました。

 そこで、個々具体的な、補助金等に係る事業遂行義務違反があるのかどうかという認定、あるいはその前提といいますか、交付決定の取り消しということにつきましては、この法律上、当該補助金等を所掌いたします各省各庁の長の責任と判断にゆだねられているわけでございます。

 そういうことで、今大臣から御答弁ございましたけれども、まずは各省各庁の長の責任と判断においていろいろな点から検討がなされるというように承知をいたしております。

木島分科員 逃げましたね、財務省は。この法律からそんな解釈は全然とれないんですよ、どんなに読み込んだって。

 大臣、議会のきちっとした手続を経なければ、十七条が適用できる可能性もあるんだという趣旨ですね。そんな条件、どこについているんですか、補助金交付決定において。その一点だけ聞いて終わります。

扇国務大臣 私は、冒頭から申しましたように、十条も十七条もこれから論議する材料であると、貴重な、これは基本ですから、法律ですから。少なくとも私は、そういう意味では、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というものが一方あるわけでございますから、その十七条を今後どのように適用するか、条件がそろってこれを適用するかどうかは今後のことで、今からああするからこうするから言えとおっしゃられても、予測の段階では私は断言はできませんけれども、今の条件では私は十七条を適用しないというふうに申し上げたところでございます。

木島分科員 終わりますが、短い時間の論戦を通じましても、既執行分の国庫補助については、将来のダム本体をやるかやらないかによって影響されるものじゃない、あるいは影響されるものだという法的根拠は、ついぞ財務省からも国土交通大臣からも示されませんでした。

 現在では十七条を使えないということは明言されました。ですから、私は、それなら、そういうあなたの答弁と違ったことを平然と旧建設省の職員が土木部長として言っているわけですから、是正されることを求め、私の質問を終わります。

栗原主査 これにて木島君の質疑は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森分科員 社民党の日森文尋でございます。

 私は、大きく二点について御質問申し上げたいと思います。

 最初に、国道の百二十二号線の、これは延伸になるんでしょうか延長になるんでしょうか、ちょっと役所の中でどういう言葉を使うかわかりませんが、これに関することについて質問申し上げたいと思います。

 質問の前に、ちょっと地図をお配りいたしました。社民党、時間もないのもあるんですが、まず金がないので、見にくいところがあると思うんですが、コピーで申しわけございません。

 ここでマーカーで印をつけてございます、ダイダイ色というかミカン色の。ここがこれから百二十二号線の延長される区間でございます。その先の方ですね、蓮田市とかありますが、そちらはもう既に工事が完了しているところがありまして、県の土木事務所が中心になりますけれども、これから基本設計を行ってここに百二十二号を通そうと。ちょっと地図がわかりにくいんですが、真ん中、白抜きになっているのが東北自動車道でございまして、その自動車道のいわば東側を今百二十二号は走っているわけですが、これを西側に取りつけよう、つけかえをしようということで今計画がされているわけです。

 地図を見ていただくとわかるんですが、国道十六号のバイパスがございます。それから、先ほど申し上げました東北自動車道が入っておりまして、その東側には並行して現在の百二十二号が通っている。それから、県道の二号線というのは旧の十六号国道でございまして、これがあって東武線が走っているという地区で、実は、この地区の住民から、ここに地上で百二十二号線を通されると、こういう盲腸の先みたいな地区ですから、今でも騒音なりCO2、NOxで大変苦労している、ここを地上を通されると大変なことになる、さらに環境が悪化をするという心配がされているわけなんです。

 実は、岩槻の市役所に、ここでCO2なりNOxを調べた調査結果はあるのかと聞いたら、この地区は現在ないそうなんです。ですから、ちょっと数値をお示しできないんですが、いずれにしても、十六号バイパスも百二十二号もかなり渋滞が蔓延化しているというような状況で、今ですら大変な環境にあるということなんです。これは地図でぜひ、現地に行っていただくともっとわかるんですが、それはちょっと無理な話なんで。

 それで、地元の人たちは、この計画に対して、今、埼玉県の土木事務所とずっと協議を重ねておりまして、埼玉県も、本当に住民の方々が納得できるような方向で解決をしていきたいという気持ちがあるものですから、この四月にまた懇談会というのを開いてそれぞれ意見を出し合うということになっているんですが、地元の方々の具体的な要望としては、これは重要な道路ですから通さなければならないことについては理解できる、しかし、表につくったらさらに環境が悪化することははっきりしているので、できたら地下通過方式という方式がとれないのかということを再三再四県の土木事務所を通して要望しているわけなんです。それはあくまでも要望です。

 ここに自治会が五つほどあって、マンションもございますから三千人ぐらいいるんでしょうかね、その自治会が、全員がまとまって、地下通過方式ということについてぜひ検討していただきたいという要望がございました。最初に、質問の前に前提として、この地図とその住民の要望についてお話をしておきたいと思うんです。

 ちょっと直接百二十二号に関するということよりも、一般論になりますけれども、最近、公害訴訟の裁判がたくさんございまして、国が、負けているわけじゃないんでしょうけれども、一部敗訴をしたりあるいは和解をしたり、そういうことが相次ぎました。

 名古屋の南部の公害訴訟であるとか尼崎の公害訴訟、これは和解になっていますけれども、その訴訟の結果、私は大変評価しているんですが、扇大臣はきちんとしたコメントを出していただきまして、例えば、沿道の緑化など二十一世紀の公共事業は環境を考えていくことが必要であるというふうにコメントを出されていますし、それから福田官房長官や川口環境大臣も、同様に環境問題について、公共事業はやるに当たっても、環境問題を本当に重視していこうという統一した見解を出されました。

 恐らくこういうことも背景にあるんでしょうが、恐らく国土交通省のことですから以前からそういう検討はされていたんでしょうが、ことしの一月十七日の読売新聞の朝刊に大変歓迎すべき記事がございました。国土交通省は「国や自治体などの道路管理者に対し、交通騒音や排ガスなど道路環境の改善義務を課す方針を明らかにした。」ということが書かれておりました。さすが国土交通省だ、さすが扇大臣だというふうに感動して読ませていただきましたが、中で、これは二〇〇二年の通常国会に法律改正案としてこれを出したいということでございまして、中身についても若干この新聞は触れてございます。「騒音や大気汚染が著しい道路については、遮音壁などの設置にとどめず、道路の幅自体を拡張し歩道や緑地帯を設けて、道路と住宅との距離を確保する」、そういう案などを検討している、金がかかるんだから当然予算措置も考えましょうという記事でした。

 そこで、最初にお聞きをしたいのは、この国土交通省方針なるものの考え方、概略について今現在お持ちであれば、新聞でここまで書かれているわけですから、まずお聞かせいただきたいと思います。

大石政府参考人 今先生から御指摘がございましたように、幹線道路の沿道の環境というのは、大気汚染は大都市圏を中心に、騒音につきましては全国的な規模で、環境基準の達成という状況から判断いたしますと大変厳しい状況にあるのは事実でございます。

 そのために、騒音問題につきましても、大気汚染問題につきましても、低騒音舗装の敷設でありますとか、あるいは交通流対策等々の施策を進めてきたところでございますし、また、パーク・アンド・ライドのような交通需要マネジメントという、道路の使い方といったような施策にまで及んできていることも事実でございます。

 また、平成十三年度からは、例えば横羽線と湾岸線といったような道路におきまして環境ロードプライシングといったようなものも入れて、環境に負荷をかける大型車については湾岸部に回っていただこうというような施策もやろうとしているところでございますが、しかし、なかなかこれのみの施策では十分な成果を上げていないのが実態でございます。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、沿道環境の改善のための各種の沿道環境対策を総合的に実施するための新たな法改正も視野に入れた検討を行っているところでございます。御指摘がございました一月十七日の新聞報道は、自治体に義務を課すといったような部分は我々が検討している事実はございませんが、課題の緊急性にかんがみ、できるだけ早期に考え方や対処方針を取りまとめ、必要に応じ法律改正を含む制度改正を実施していきたい、研究していきたいと考えているところであります。

日森分科員 ですから、できるだけ早くということなんですが、その基本的理念というか、そういう考え方についてちょっとお聞きをしたいというふうに思いました。

大石政府参考人 現在、改正すべき法律の内容、あるいはどのような制度を導入するかについて、ここで申し上げられるほどの熟度で整理がされているわけではありません。

 しかしながら、実際に道路をお使いになる使い方あるいは道路構造等、それから沿道との関係、先生が先ほど御指摘されたような部分も含めまして考えますと、これは環境諸法制だけではなくて道路構造令でありますとか、そういった部分にまで及んで検討していく必要があると考えてございまして、できるだけ早期に取りまとめて、内外の御意見をお聞きしたいと考えております。

日森分科員 ありがとうございました。

 もちろん具体的に今成案を得ているわけじゃないので、これから御検討いただくということになると思うんですが、ぜひそういう立場で、道路を利用する人もそうですが、むしろその沿線の方々の生活ということについても十分配慮をされるような格好で法改正がされることを望みたいというふうに思っています。

 そうすると、改正案までのタイムスケジュールとかそういうものは、なかなか今明確なものは言えないという状況ですね。

 それで、一つは、例えば法改正をする。道路構造令とかそれもそうなんでしょうけれども、それは拡幅の問題とか植樹帯を入れるとかいうことになっていくんだと思いますけれども、それを決定していく段階ですね。既存の道路でも対象になるというふうに言われているわけですけれども、例えば、そういう既存の道路も環境改善のためにこれは変えていかなきゃいけないということの改善措置をしていくんですが、その基準とかなんとかというのはこれから恐らく検討されるんでしょうけれども、その際、もちろん国土交通省だけではなくて、沿線住民の側の意向をきちんと酌み取るようなシステム、これについてぜひ考えていただきたい、検討していただきたい、こんなふうに思っているんですが、その辺はいかがでしょうか。

大石政府参考人 道路整備全般にわたりまして、地域の方々や広く国民の意見を集約することは極めて重要であると考えております。中でも、沿道環境の改善ということになりますと、沿道住民の意見をお聞きするということが何より重要だと考えてございます。

 そのような認識のもとに、種々の沿道環境改善対策を実施いたしておるところでございます。環境影響評価や都市計画決定において意見を聴取するというだけではなくて、最近我々は、パブリックインボルブメント、余り耳なれない言葉でございますが、そういう方式で多くの機会を通じて一般国民から広く意見を聞いておるところでございます。

 先ほど私も御説明しましたし、先生からも御指摘がございました新しい道路構造に関する基準の検討を今いたしておりますが、この内容につきましても、現在、パブリックインボルブメントという方式で記者発表もし、また国土交通省のホームページに我々の考え方を掲載いたしまして、どうぞ意見を寄せてくださいという形で公開しておるところでございまして、広く一般国民から意見を聞きながら、あるいは沿道の方々の意見を聞きながら事業を進めていくということを基本にいたしております。

日森分科員 ありがとうございます。

 それで、この地図なんですが、もちろん基準も何も今のところ明らかにはできないわけで、これから具体的に検討されていくということになるんでしょうけれども、この新聞記事の範囲でいうと、道路を拡幅するとか緑地帯を広げるとかいうことにしかなっていませんけれども、例えばこういうところで、何としてもこの百二十二号を通さなければならない、これは当然、使い勝手からいってこうなるでしょうというふうに私どもは素人でも判断できるわけですが、その際、例えば、構造令だけじゃなく、一定の地域の環境に応じて地下方式をつくるなんということは、一般論として検討されるのかどうか。答えにくいでしょうけれども、ぜひお答えいただきたいと思います。

大石政府参考人 地下方式によります道路整備は、沿道の出入りが制限されるものでございますから、道路の種別で申しますと、自動車専用道路といいますか、インターチェンジあるいはランプというところで出入りを限定したという道路になると思いますが、こういった道路につきましては、今後都市内の道路整備において考えていく必要があるというように考えてございます。

 しかしながら、現在供用しております道路を地下に入れるということになりますと、一つは地下埋設物の問題、それから既存の沿道利用者の利害調整の問題等々もございますし、今先生が御指摘になったこの路線で申しますと、十六号をオーバーしておる、東武野田線をオーバーしておるといったような状況もございますので、地域の方々との調整がなかなか難しいかなというように考えてございまして、現道を地下に入れるということはなかなか困難であるとしても、新しい自動車専用道路の新設についてはいろいろ考えていく余地があると考えております。

日森分科員 ありがとうございます。ぜひさまざまな角度で検討していただいて、ぜひ埼玉県の土木事務所とも協議を重ねていただいて、なるべく、いやできる限り、できたら、全くその沿線住民に影響が出ないというのは難しいでしょうけれども、今よりもひどくなるようなことがないような、そういう対策をぜひ国土交通省としても講じて、土木事務所と協議をしてやっていただきたいということだけ要望申し上げておきたいと思います。

 それから三番目になりますけれども、住民とのコンセンサスについてなんです。

 先ほどもどなたかの質問でございました。今、確かに、新たな道路をつくる、都市計画をするということになると、それぞれ住民説明とかいうのがあるんですが、今、国土交通省、随分丁寧になりまして、回数も多くなりましたし、随分丁寧な説明などやっていただいているので、そんなに問題というか紛争がたくさん出てくるということはないと思うんですが、こういう場合、本当にどうすれば住民コンセンサスが得られたのかとかいうことについて非常に不明瞭で、これは住民の側から見たら、とんでもない、おれたちはまだいっぱい言いたいことがあるのに、県なり建設省はもう住民合意ができたと思って、決めちゃったと。そんなことで紛争になったりする例が幾つかあるんだと思うんです。

 そういう意味で、住民のコンセンサス、合意がなければ建設できないというのは、当然決めるのは難しい話でしょうけれども、もう少し住民とのコンセンサスについて、具体的な制度というか基準というものを設定しておく必要があるんじゃないかと思うんですが、それについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

大石政府参考人 先生の御指摘は極めて一般的な、道路以外の施策も含むもののようにお聞きいたしましたが、私からは道路の例で御説明申し上げます。

 一つ一つの具体の道路、バイパスでありますとかあるいは現道拡幅でありますとかといったような事業の際に御説明している以外に、例えば、現在私たちは平成十年から平成十四年までの五カ年計画という計画に基づいて整備をさせていただいておりますが、この五カ年計画を決める際にも広く多くの方々の御意見をお伺いいたしましたし、一つ一つの整備計画、例えば拡幅、あるいは北ルートでいくのか南ルートでいくのか、あるいは部分バイパスでいくのか全体的なバイパスにするのかといったようなことまで含めて、これは道路の機能とか特性によりましてそういうことを行う場合と行わない場合がございますが、ある場合にはそういうことも地域の方々と意見を交換する、あるいは意見を聞かせていただくということまでやっております。

 当然のことながら、沿道系に非常に近い植栽のあり方、あるいは歩道の構造、自転車道のあり方等につきましても、地域の方々の御意見をお聞きするというのはもう当然のことになってございます。

 具体の実施段階になりましても、例えば測量、地質調査を始めます前に関係の皆様方に御説明申し上げますし、それに基づきまして我々の方で道路設計を行いますと、その設計の内容、それが用地にどう影響するのかという具体的な説明、さらには、用地の計画が整いますと用地補償等の御説明をする。それに基づきまして工事計画、工事契約が終わりますと、工事段階におきます工事期間の交通処理などの御説明というように、各段階に応じて多段的に、多層的に地域の皆様方に御説明申し上げ、御意見をお伺いしながら、その都度修正を加え計画を固めていっているというような実態にございまして、現在のところ、道路建設、道路整備で申しますと、今のような手法で地域の方々、国民の御理解は得られているのではないかと考えております。

日森分科員 徐々にそういうふうになってきつつあることは承知をしているんですが、実は市町村なんかでいいますと、市道とか県道をつくる段階、その前段から住民の方々に、例えばこんな道路をつくったらどうなるか、こういうふうに道路を通したいんだけれどもその場合はどうかという、要するに構想の段階から住民に意見を聞いて、いわば参加をしてもらって、そして合意を得ながらまちづくりの全体像を明らかにしていくような、そんなことも今行われつつあるわけなんですよ。

 そういう意味からいうと、丁寧になったとはもちろん私も評価していますが、とはいえ、やり方としてはまだまだおくれているんじゃないかという気がしているんです。

 そういう意味で、これは要望なんですが、制度とまでいかないけれども、構想段階から当然住民が参加をして意見が言えるような、そういうシステムづくり、それはぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、それはどうでしょうか。

大石政府参考人 手法と申しますか手順という意味では、先ほど申し上げましたように、多段階、多層的に御意見をお伺いしていることで、それで足りている部分があるのではないかと思いますが、今先生が御指摘になりましたように、私は、地域の方々が道路建設、道路整備で地域の夢を語っていただくというのは極めてありがたいことだと考えてございまして、それができるだけ多く反映されるように道路の計画をしていくというのは、我々に課せられた責務であろうというように考えてございます。

 しかしながら、国道、例えば百二十二号なら百二十二号は、百二十二号として持つべき機能がございます。それは広域の交通をさばくという機能でございますが、そういった機能は機能として確保されるように、我々設計者の意図というものも地域の方々に御理解していただかなければならない面はあると思います。しかしながら、沿道系、特に歩道系あるいは自転車道系あるいは植栽系なんかにつきまして地域の方々がいろいろな御要望を持たれる、その上で、どういうことを考えておられるのかということをお聞きしながら地域と一緒に進めていくというのが極めて重要だと考えております。

日森分科員 ありがとうございました。

 時間がちょっとなくなってきましたので、二番目の、地下鉄七号線、埼玉高速鉄道についてお伺いをしたいと思います。

 国土交通省、大変応援いただきまして、三月の二十八日に浦和美園駅というのができるんですが、そこまで開業の運びになりました。地元としても、輸送力が増強をされるということで、大変歓迎をしています。さらにこの後、運政審の答申の第十八号というのでしょうか、これで、二〇一五年開業が望ましいという形で、その先の埼玉県蓮田市と、これは宇都宮線に接続をするんですが、そこまでの延伸が一応決定をされました。しかし、そうはいっても鉄道建設には大変お金がかかる、膨大なお金がかかるということと、それから、その先の経営をめぐってもさまざまな不安があるということも事実だろうと思うのです。そういう意味で、沿線自治体、県も含めてですが、この埼玉高速鉄道についてぜひ特段の支援をお願いしたいという要望も恐らく大臣のところにも行っていらっしゃると思うのです。

 そんなことを前提にして、最初に、首都圏で先行する第三セクター、鉄道会社がどれくらいあって、その経営実態はどうなっているのかということをまずお聞きしたいと思っています。

安富政府参考人 首都圏の第三セクター鉄道、現在八社ございまして、それぞれ鉄道の運営をやっておるわけでございますが、先生御承知のように、鉄道整備というのは巨額の投下資本を要しますし、収支均衡を図るまでに相当長期の懐妊期間を必要とするということでございます。そういう状況の中で、現在、この八社中、経常収支の黒字を計上している会社が三社、赤字を計上している会社が五社という形で、三社はいいんですが、五社については非常に厳しい経営状況ということでやってきております。

 ただ、これにつきましても、先ほど言いましたように鉄道事業の特殊性で、やはり長期にわたって考えていかないと、今現に赤字だからということで問題だということではなくて、今後、長期的に見れば経営の改善が図られていくものと我々としては考えております。

日森分科員 ありがとうございました。

 全国的に見ると第三セクターの会社というのは大体厳しい経営状況になっているようなんですが、この運政審答申でも、埼玉については、新しい開発が行われたりするから、将来の展望を持ってこれを建設しようということになっているようなので、三セクとしても努力をするようにぜひ私も協力をしたいと思っています。

 それから、現行の鉄道の支援策。ちょっと時間がないのではしょりますけれども、高速鉄道については岩淵から浦和美園まで、地下鉄の助成だとか鉄建公団の助成を大変入れていただきました。おかげさまで大変立派な地下高速鉄道ができることになったんですが。これから先、計画がもうちょっと具体化にならないと難しいんでしょうけれども、同様といいますか、かなり距離も長くなりますから、蓮田までの間、支援措置ということを具体的にお願いが上がっていると思うんですが、これはぜひやっていただかないと、東武野田線と接続をする、その先に宇都宮線と接続をする、せっかくのそういう意義ある高速鉄道が予定どおりできないということにもなりかねないんですが、その辺の支援措置について、現段階でのお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。

安富政府参考人 埼玉高速鉄道、東京七号線の延伸につきまして、運政審答申で、平成二十七年までに開業することが適当な路線ということで位置づけられておるわけですが、御承知のように、相当巨額な投資が必要になります、試算しても大体千六百億ぐらいの金がかかるんじゃないかと言われていますが。この路線については、運行主体あるいはルートなり構造形式なり、それから費用負担の方式といったような関係事業者間の調整がまだなされておりませんので、今後、いろいろなこういう課題について検討していく必要があるかと思います。

 新しい助成制度、新しいといいますかこの路線を整備するについての助成制度ということになりますと、これは現時点で必ずしも明確になっていない。逆に言いますと、現埼玉高速鉄道は、今は一部利子補給等でやってきておりますが、では、この利子補給等でこれからもできるかということになると、これはなかなか難しい面があると思います。そういう意味で、今後、地元自治体、鉄道事業者といったような関係者とも調整しながら、どんな助成制度がいいのかも含めて我々としても検討してまいりたいというふうに考えております。

日森分科員 ありがとうございます。

 時間がもうなくなりましたので、最後に、これは一般的な話なんですが、国土交通省になりました。扇大臣も、グランドデザインをつくるぞという決意も示されましたし、同時に、その中でも、総合的な交通政策についてもぜひ策定をしたいということをおっしゃっておられました。

 それで、そういう意味では、今、公共交通が本当に重要な役割を果たす、そういう時代になっているのじゃないかというふうに私は思っているのですが、国土交通省として、公共交通のあり方、これをどう基本的に考えていらっしゃるのか。そして、こうしたものを実現していくためにどんな支援策が必要なのか、考え方で結構ですが、最後にお聞かせいただきたい。

風岡政府参考人 公共交通のあり方についての基本的な考え方についてのお尋ねでございます。

 先生御案内のように、経済社会の環境というのは非常に大きく変化しております。急激な少子高齢化あるいはグローバル化、環境問題、IT化というようなことで、大きな変化があるわけでございまして、そうした中で、公共交通につきましては、国民生活あるいは経済の活動に非常に重要な役割を果たしているわけでございまして、私どもの基本的な取り組みは、何よりもまず安全ということを重視する、かつ環境に優しく、また利用者が安心して利用できるように、こういったことを基本にするという取り組みが必要であるというふうに私どもは考えております。

 その上で、需給調整規制の見直し、こういうものを通じて競争を促進する、一層の効率化、活性化を図る、それにより、運賃・料金の低廉化、あるいは利用者のニーズに対応した多様なサービスの提供、こういったことに努めていかなければならないというふうに思っております。

 また地域住民の日常生活の足の確保、こういったことも非常に重要でありますので、そういうようなことにつきましても十分配慮しながら、効率的な公共交通の実現という観点から、国土交通省は、交通行政に一体的に取り組むという立場が与えられましたので、そういった意味で、緊密な連携をとりながら取り組んでいきたい、このように思っております。

日森分科員 ありがとうございました。

 効率的な公共交通、大変結構なんですが、ただ、私は、二十一世紀のキーワードは安全だというふうに思っているんです。それで、規制緩和がいわば野放し状態で進められるということになると、実は安全が損なわれるような危険性がますます増大をするということにもなりかねないと思うのです。

 確かに、低廉な運賃で利用者に利便性を図ろうということについては理解できるのですが、過度の競争というのは、逆に安全性を損なって、むしろ乗客の命を危ういものにしかねない。この間の日比谷線の事故も、ずっと突き詰めていけばそんなことがあるんじゃないかという気がしたりしているものですから、公共交通については、それはあくまでも公共なんですから、過度な競争をあおり立てて、競争だけ、市場原理だけに任せてしまって本当にいいのかという疑問を持っているわけですから、ぜひその辺も改めて検討し直していただいて、公共交通について、お互いに、安心して利用できるものをつくるために努力したいということを決意として申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

    〔主査退席、小島主査代理着席〕

小島主査代理 これにて日森君の質疑は終了いたしました。

 次に、松原仁君。

松原分科員 私は、民主党・無所属クラブの松原仁であります。ただいまから、扇大臣及び副大臣、政務官、また政府参考人の皆様に御質問いたしたいと思っております。

 今、日本は大変な不景気の中にあるわけであります。大変な不景気が訪れた、どうしてこの不況というのですか不景気がやってきたのかということが議論されております。

 もちろん、この不況を克服するためには、内需を増幅するということは極めて重要な柱であろうと思っておりますし、また、さまざまな構造改革を通して日本の経済を活性化させるというのも当然求められることだろうというふうに私は認識をいたしております。

 しかし、私は、不況になった理由の大きな一つとして、やはり今から十年前、十五年前は、世界をめぐる、国境を越えて動く人や金や物が、従来は日本に集まってきたというふうに思っております。

 御案内のとおり、世界のグローバル化はここ半世紀の間に急速に進んでおりまして、まさに国境を越えてすべてが動いていくわけでありまして、逆に言えば、そういう中で、日本のいわゆる製造業における空洞化という問題も、国境を越えて外に出てしまうことによって発生する。例えば日本のメーカーも、その製造ラインは東南アジアに持ったり、またASEANに持ったり、より人件費の安い他のところに持ったりして、つまり、国内ではなくて外注するようなそういう状況というのは、ある意味では、世界の経済が統合され、また国境という壁を超えて極めてダイナミックに動いていく状況だと思っております。

 そういう中で、世界の人、物、金がかつて日本に、十年以上前は集まっていた、それが今日、ぱたりと来なくなった。来なくなったというのは大げさでありまして、来ているというわけでありますが、少なくとも、十年前、十五年前に比べたらそれははるかに下がってきているとは思うわけであります。

 世界の人や金や物はどこに集まるのだろうかということでありますが、それは、極めて、集まりやすいところに集まる。例えば人件費が安いところに製造ラインを持っていくというのは、これは経済の一つの必然性であります。つまり、税金が安いところがいいだろうし、また労働賃が安いところがいいだろうし、規制が少ないところがいいだろうし、また治安がいい場所がいいだろうし、そして、例えば今ITが時代の新しい潮流になると言われておりますが、IT化がより進んでいて、IT率というのですか、光ファイバーがきっちりと整備されていて、しかもエンドユーザーのところまできちっとそれが行き着いているようなところの方が、やはりそういった意味で世界の金や人や物が集まりやすいわけであります。

 そういった意味では、物の考え方や見方で国際的な普遍性を持つというふうなところの方がやはり世界の人や金や物は集まってきやすいわけであります。そうやって世界の人、物、金を再び集めるという努力を私たちは景気回復の一環として行っていかなければいけないというふうに私は認識をしているわけであります。

 そういった意味で、実は、国土交通省が所管をしているアクセスの問題というのは大変に大きな意味を持っている。言葉をかえて言えば、国際的な大競争時代に入って、世界の人や金や物が集まってくる地域というのは、これはライバル同士なんだ。日本に集まってくるのか、それが中国のどこかに行ってしまうのか、それとも、例えばASEANのどこかに行ってしまうのか、どこが世界の人、物、金を集めるんだろうかというふうな、一つの競争に入っている。それは、言葉をかえて言えば、都市同士の競争、都市間競争である。

 私は、日本の経済的な中心地は、やはり現実問題、東京圏である、東京都とは言いません、東京圏であるというふうに思っております。この東京圏が、そういった意味で国際競争力を持つ、人、物、金が集まりやすいという側面において、国際競争力を持つ東京圏であるかが問われている。言葉をかえて言うと、東京というこの東京圏は一つの商品だ、この商品に世界の人、物、金が集まるだけの魅力のある商品かどうかが問われているわけであります。

 そういった中で、例えば、一九九八年の世界観光機関、WTOの調査ですと、日本から外国への旅行者数は世界十位だ、こういうふうな話になっている。しかしながら、外国から日本に来る旅行者数は三十六位だということもある。それはもちろん、観光の文化財的なもので、日本のそういったものが世界に十分周知されているのかどうかという議論もあるかもしれないけれども、私は、世界の人、物、金が集まってくるという中においては、こういった部分ももっともっと考えていかなきゃいけないと思っているわけであります。

 そういう中において、アクセスについての議論を申し上げたいと思いますが、まず冒頭に、成田、また関空の空港使用料が他の国際的な都市に比べて安いのか高いのかということについてお伺いいたしたいと思います。

深谷政府参考人 ただいま成田、関空の空港使用料のお尋ねがございました。

 成田空港、関西国際空港の空港の使用料につきましては、国土の制約などの事情から空港建設コストが高くなっていることなどから、世界的に見ました場合、高い水準にあることは事実でございますけれども、それぞれ、関空においては営業割引等の努力、あるいは成田空港につきましても経営効率化の努力等の中で給油施設使用料等の引き下げ、こういった努力はしているところでございます。

松原分科員 今お話があったように、これは高いという認識は、具体的な数値を知らない一般の国民のレベルでも十分に知っているわけであります。できることならば、国際競争力を東京圏が持つために、もしくは大阪圏が持つためには、こういった部分は人為的な手法を使っても、私は値段を下げて、国際競争力を都市につけるということを大胆に行ってもいいのではないかというふうに思っております。

 同様の質問でありますが、成田、関空についての都心へのアクセス、これまた同じように、諸外国のそういった飛行場に比べてどうなのか、お伺いいたしたいと思います。

深谷政府参考人 ただいま成田、関空、それぞれの都心へのアクセスと申しましょうか、都心からのアクセス、この辺についてお尋ねがございましたけれども、成田空港につきましては、例えばJRを利用した場合、東京から五十三分程度、関西空港の場合は、南海電鉄を利用して難波から三十分程度、こういう状況でございます。

 他方で、では諸外国の主要な国際空港におきますところの同様の都心からのアクセス時間はどうなっているかという点でございますが、例えば、今月末に新しく開港する予定でございますソウルの仁川につきましては、私ども承知しているところではバスで五十分程度、パリのシャルル・ドゴール空港では鉄道で約三十五分程度、ロンドン、ヒースロー空港では鉄道で十五分程度、ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ国際空港はバスで六十分程度というふうに承知をしておりますが、それぞれの空港の立地状況等によりまして、さまざまな状況かなというふうに思っております。

 ただ、私どもといたしましても、アクセスの問題は大変大事だというふうに認識をしておりまして、昨年の運輸政策審議会の答申におきましても、国際的な空港と都心部との間の所要時間、これを三十分台を目指すというふうな目標が掲げられたところでございまして、このため、成田空港に関しましては、都心部と空港を三十分台で結ぶ成田の新高速鉄道計画について、これは関係者間でその実現に向けて検討を鋭意進めているところでございます。

松原分科員 そういった意味では、そういった新しいアクセスの手法もぜひ考えていただきたいと思っておりますが、実際、都心からの距離は東京―成田は約八十キロあるわけでありまして、これは世界の、恐らく国際金融都市を目指せるような大都市の中では最も遠い距離ではないかと思っておりまして、そういった部分から、さっき申し上げました、世界の人もしくは金、物が集まる、そういった国際都市東京、もしくは国際的な日本というのをつくるためには、さらに第三空港の可能性も検討していかなければいけないというのがこういう中での一つの結論になってくるのではないかと思っております。

 質問通告に従いまして、三つ目の質問になりますが、こういった空港の採算についてどのような御認識をお持ちか、お伺いをいたします。

泉副大臣 空港の一般的な考え方につきましては、陸、空の結節点であるという機能を十分に確保するということは当然なことでございますけれども、その空港の結節点を使ってまちづくりをする、さらには雇用の場を拡大する、そうした大きな意味があると思っております。

 したがいまして、空港の考え方については、空港それ自体が採算的にも成り立つということが第一義のことではございますが、すべての空港がそうした役割を果たせるとは必ずしも限りません。それは、地域への雇用効果でありますとか地域の発展に社会資本として十二分に役立つというのが認められれば、その空港の採算についても国民の御理解がいただけるのではないかと思っております。

 ただ、先ほど来、先生のお話しになっておりますような大競争時代における国際空港の役割という中で、今、成田、関空、中部等を整備させていただいておりますが、こうした空港においては独立して採算ができるような経営をやっていくべきではないか、その副次的な効果として地域の浮揚が図られるということができれば最も望ましい状態であると考えておるところでございます。

松原分科員 今の泉副大臣の御答弁でそのとおりであるわけでありますが、大事なことは、さっき言ったように、国際競争力を持つ都市をつくるためには、アクセスにかかわる費用もある意味で国策として下げなければいけない面もあると思うのです。高いと外国の方が、外の人、物、金が集まらなくなるというふうなこともありますから、しかし、その一方において、飛行場自体の運営について徹底的な行政改革のような、経営改革というのですか、そぎ落としが行われているかどうかということをこれからさらにきちっと検証をしていただきたいと思うわけであります。

 次の質問に移ります。

 成田の国際線、羽田の国内線の現状及び今後の見通しはどうかということをお伺いしたいと思っているわけでありまして、国や航空会社、いろいろな立場があるわけでありますが、羽田へさらに飛行便をふやしたいとか、そういったさまざまな声は今つとにあるわけでありまして、しかし、なかなか現状いっぱいであるみたいな話もあるわけでありますが、このあたりについての御認識と見通しをお伺いいたします。

深谷政府参考人 成田空港それから羽田空港の状況、それから今後の見通し等についてのお尋ねがございましたけれども、まず成田空港、新東京国際空港につきましては、我が国の表玄関、玄関口としまして、現在、三十七カ国一地域五十四社が乗り入れをしておりまして、国際線で年間約二千五百万人、十一年度実績での状況でございます。こういった方々に利用していただいておりまして、年間の発着回数につきましては十三万三千回程度、こういう状況でございます。

 今後につきましては、首都圏の国際航空需要は、今後も着実にふえていくだろうというふうに予想されておりまして、二〇一五年には年間国際線旅客数約四千三百万人、そのときの年間発着回数は二十二万回に達するであろうというふうに見ておりますけれども、このため現在、二〇〇二年の供用を目指しまして平行滑走路の整備を鋭意進めておるところでございます。

 また、他方、お尋ねのございました羽田空港、東京国際空港につきましては、国内航空ネットワークの拠点ということで、現在、全国四十六の空港との間に一日約三百五十往復の路線網が形成されておりまして、国内線で十一年度実績で年間約五千二百万人の方に利用していただいている状況でございまして、今後も首都圏の国内航空需要も着実にふえるであろうというふうに予想しておりまして、このための首都圏の空港容量の拡大につきまして、現在、鋭意勉強をさせていただいているところでございます。

松原分科員 今の答弁で、首都圏第三空港というものがいかなる形であろうと、第三空港という名称を使うかどうかは別にしても、事実上第三空港ですな、そういったものが必要であるという一つの認識は、これはまた一つの常識になっているだろうと思っているわけであります。

 ここで扇大臣にお伺いをしたいわけでありますが、東京都の石原知事が、選挙公約から一貫して、横田基地返還をにらみつつの米軍横田飛行場の民間共用を強く要望しているわけであります。そして、東京都では、昨年十二月に航空政策基本方針の中で、成田、羽田との交通アクセス時間比較から、それぞれの勢力圏というんですかね、顧客圏というんですか、その航空需要を予測しておりまして、東京都のデータによりますと、横田が機能した場合に、二〇一五年には国内旅客需要が年間二百六十万、国際旅客需要が二百三十万、こんなふうな予測も立っているわけであります。

 実際、この横田のいわゆる民間共用という問題、そして石原知事が主導している横田についてのさまざまな考え方、構想、こういったものに、扇大臣はどんなふうな見解、認識を持っておられるのかということをぜひお伺いいたしたいと思います。

扇国務大臣 今まで松原先生の御意見を拝聴しておりまして、私はもっと厳しく見ております。それは、今局長が話しましたように、成田のあり方あるいは羽田のあり方、果たして今のままでいいのか、今のような状況でいいのか。

 私は、成田までの時間数とかあるいは乗客数とか等々、数字の上で見ていれば、なるほど五十分以内で行けるなとか、三十分以内で行けるなとかと、よさそうに見えるんですけれども、日本の場合はただで行けるわけじゃないんです。高速道路も使い、そして少なくとも自動車のメーターも高いということで、最初に先生がおっしゃった、世界の基準で日本がどの程度の位置にあるかということをはかる場合には、距離や時間だけではなくて、もっとシビアに見なければ日本は国際競争に勝てないというふうに私は思っておりますので、国土交通省としては、もっとシビアに、私どもは二十一世紀の国際社会の中での日本のあり方というものを念頭に置いていかなければならないと私は思いますので、そういう意味では、先生も民主党として、私たちは野党だとおっしゃいますけれども、野党とか与党を超えて同じ国会議員の立場で、大局的な目で二十一世紀の日本のあり方を考えるときにぜひ御協力賜りたいということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。

 そして、その結果、今の羽田の話で、横田があるんだから横田を使えばいいじゃないかという、私は、東京都知事がおっしゃったこと、また「東京都では、羽田空港・成田空港及び横田飛行場への交通アクセス時間比較からそれぞれの勢力圏を設定し」という、これも拝見しておりますけれども、今おっしゃったとおり、どこに持っていったら一番日本人が乗りやすいのか。

 また、先ほど先生は、外国から日本に来るお客様の話をなさいました。けれども、少なくとも行く人、来る人だけではなくて、外国に行って使うお金も含めて私は大変大事なことだと思います。日本人は世界じゅうへ行ってお金を使うのが世界三位でございます。ところが、外国人が日本へ来てお金を使ってくださるのは二十四位。こういうことをもってしても、いかに日本が外国から歓迎されていないかという現実があるわけでございます。

 そういうことも含めて、千葉県だけとか東京都だけとか、都益とか県益とかということに縛られないで、もっとグローバルに考えていくというのが基本であるということもぜひ御認識賜って、一緒に二十一世紀型を考えていきたいと私は思っております。

 ただ、今おっしゃいました横田の飛行場に関しましては、少なくとも日米の地位協定に基づいて米軍に供用された施設でございますので、現段階では、その共用化につきましては、まず外交防衛面の整理が必要であるということはもう先刻先生が御存じのとおりでございますので、具体的には少なくとも日米の合同委員会の合意を得るという前提があるということは、これは石原都知事もよく御存じで、念頭に置いての御発言だと私は思いますけれども、特に横田というのは在日米軍の中軸的な、中核的な施設として重要な役割を果たしているというのは認識しておりますけれども、私は、羽田だから、成田だから、横田だからということではなくて、二十一世紀の交通網のあり方の基本としては今後大いに論議されるべき問題であると認識しております。

松原分科員 扇大臣の御発言は大変に前向きでありまして、もう本当に、前向きに検討するということは極めて重要だと思っております。

 私は、冒頭申し上げましたように、今の日本の景気の問題にしてもこれからの日本の繁栄にしても、日本というのは天然資源があるわけではないわけでありまして、我々が持っているのは人材資源であります。そして、その人材資源によって富を獲得しながら豊かな生活を享受しようとするならば、必ず地球社会全体との綿密なるコミュニケーション、また行き来というものが必要になってくる。そういった意味においては、まさに今大臣がおっしゃるとおりでありまして、これは党派を超えて、日本国民の一人として、二十一世紀、さらには二十二世紀に向かって責任を持つ立場の人間としてやっていかなきゃいかぬことだろうと思っております。

 そういう中で、申し上げましたように、成田は成田でこれは存在意義があるだろう。しかし、やはり羽田空港の国際化という問題が、これは最後に聞こうと思っているところであるんですが、これも、何としてもやはり結果としてはやらなければいかぬことだろうと。そして、横田というのも、そういった意味で民間共用の問題、さまざまな議論がありますが、意思としては、そういった幾つかのものがあることによって、結果として、日本の国際競争力というふうにもちろん置きかえてもいいけれども、まず日本の中で、特にこの東京圏がやはりかぎを握っているというのは事実ですから、そういった意味では、この我々の持つ、日本、東京における国際大競争時代における地域としての面の価値をきちっと高める、国土交通省の使命もそこにあろうかと私は思っておりまして、今の大臣の御発言を聞いて、これは未来に向かって我々もより一層頑張っていこうという気も大変に強くしたわけでございます。

 あと五分でありますが、次の質問に。羽田の再拡張、こういった問題もありますが、この羽田の再拡張、そして跡地に関する取り組み、こういったものについて御質問をいたしたいと思います。

 私は、大田区の東京都議会議員を二期務めてまいりました。大田区の中では、羽田というのは地域経済の活性化の一つの起爆剤としてもとらえられているわけであります。最初の話があったころ、いわゆる三者協というのがありますが、三者協の中でどこまでの話があったのか私はわかりません。しかし、私は、東京都議会議員として、当時、だれとは言いませんが、ある程度公式な立場の方からも含めて、実に二百ヘクタールという話も聞いていたわけでありまして、それが七十七ヘクタールになったというふうな議論もありますが、この七十七ヘクタールになったということは、極めて深い思いが、より空港施設として何かに向かってそれを対応せにゃあかんという発想があってそうなったのか、いや、はなから二百なんという数字は、三者協の中でもそんなものは何もなかったんだ、口頭でもなかったんだということなのか、含めて御質問いたしたいと思います。

深谷政府参考人 羽田の跡地の関係のお話でございますけれども、羽田の跡地につきましては、従来より関係者間でいろいろなお話し合いをさせてきていただいた経緯がございます。

 その中で、具体的なお話としましては、羽田の沖合展開事業、一期、二期、三期と三期のステージに分けてやってきております。いわゆる新B滑走路の供用も済み、三期も、まだ最終ステージがございますけれども、まだ終わってはございませんけれども、めどが立ってきた、こういうことで、実は昨年の八月に、東京都、それから地元の区に対しまして、東京国際空港、羽田の施設計画変更とともに、跡地に関する提案をさせていただいたところでございます。それ以降、都あるいは地元区との間でいろいろな意見交換をさせていただいてきております。

 その際には、空港処理容量の拡大に対応した施設規模の拡充等の施設計画の変更に合わせまして、当面の空港範囲を設定しまして、それで、残る地域を当面の跡地範囲、これが先生御指摘の七十七ヘクタールですか、とする案を御相談させていただいているわけでございます。

 先生今御指摘の二百ヘクタール、こういう点につきましては、過去のいろいろな御相談の中でそういう数字が出てきたということも事実でございますが、昨年の八月は、当面の跡地範囲としてそういうものをベースに相談を始めさせていただいた、こういう経緯でございます。

松原分科員 大分時間がなくて急いでいるわけですが、本当は、それがなぜ二百が七十七かというものも、今の御説明ではなく、やはり大所高所から語った説明、そして地域が納得する説明をぜひとも承りたいと思っているわけであります。

 時間がありませんので、本当は羽田の跡地の問題をさらに突っ込んできょうは議論したかったのでありますが、同じく私の選挙区にもなりますが、小笠原空港についての質問に移りたいと思います。

 小笠原諸島は、東京都心から千キロ離れておりまして、交通手段は、週に約一回の船でありまして、二十五時間かかる。私も当然船で行ったことはあるわけでありまして、船でしか行ったことはないわけでありますが、本当に遠いわけであります。これは逆に、その間、ゆっくりと浮世から離れて人生のあり方や日本の将来、そういったものを考えるには適切な時間かもしれませんけれども、どちらにしても、非常に時間がかかるわけであります。

 例えば、帰りに東京湾に戻ってきまして、もうすぐ船着き場に着く、埠頭に着きます、こういう話があって、下船の準備をしてくださいと言ってから着くまでに二時間かかるわけでして、そのとき一緒に行っていた仲間と一緒に、あと、もうすぐ着くというけれども、二時間といったら、新幹線で東京―名古屋の距離だな、こういう話をしたわけであります。

 小笠原については、それが飛行機によるかどうかということも踏まえての議論が行われておりますが、国としては、これを平成三年十一月に、第六次空港整備五カ年計画等でも決めているわけであります。

 飛行機以外のアクセスというものが代替するものであるならば、またこれは別でありますが、そういったことも踏まえ、このアクセスという観点から、どういうふうな御判断をお持ちか、大臣にお伺いいたします。

扇国務大臣 松原先生もおいでになったということで、大変よかったというお話ですけれども、私も一月の二十四日に小笠原へ行ってまいりました。すばらしいところで、しかも、日本の、東京都の中にあってああいう南国の雰囲気を味わえるということで、私は、日帰りをしましたけれども、本当は泊まりたかったんです。それくらい魅力のあるところでございますけれども、残念ながら、今先生がおっしゃいましたように、東京から一千キロ、しかも片道で二十五時間を要するという、これではとても国民に身近な小笠原とは言えないと私は思います。

 そういう意味では、私は、皆さん方に聞きましたら、本当に南国にしかないフルーツ、野菜等々、珍しいものをおつくりになるけれども、これを運んでいる時間で、とても営業には向かない、今すぐ新鮮な果物をということも、東京には片道二十五時間ではとても送れないし、しかもこれが六日間に一便だということで、私は、空港予定地も拝見させていただきました。

 小笠原の空港予定地は、だれにも迷惑をかけない、しかも用地買収が必要のない、すばらしい場所に空港用地を予定していらっしゃいますので、私は、それはそれとしてすばらしいことだと思いました。その必要性も感じましたけれども、少なくとも東京都がどういう判断をされるかということで、空港を建設するまでの時間が、私は今からでは時間がかかり過ぎると思ったんですね。

 ですから、空港は空港として別途考えていくということは、とりあえずはこれを片道で、空港の前進をさせながら、空港ができるまでには、国土交通省でテクノスーパーライナーというのを持っておりますので、私はこのTSLというものを今後小笠原に向けて就航できるように、それまでは何としても、テクノスーパーライナーですと十五時間になります。これでも長いんですけれども、日本から飛行機で飛んでいけば八時間でホノルルですから。

 そういう意味では、私はまだまだこれで十分とは思いませんけれども、空港ができる間、何としても、一刻でも早く、島の皆さん方に観光も、あるいは地場産業も、島民の皆さんを含めて希望の持てるということで、TSLをとりあえず使っていただくように国土交通省としても配慮していきたい、私はそのように考えています。空港に関しては、東京都の知事さんからの要請と、そしてお互いに国と東京都と調整しつつ、これは別途、別枠で進行していかせたいと思っています。

松原分科員 最後に一問お願いをしたいと思っております。

 今の部分に関しては、TSLができた段階で十五時間、二十五時間よりは短いですが、ぜひ大臣も、本当は今、船で一回行かれたらというふうに言おうかと思ったんですが、できてからで結構でございますので、私も同行しても構いませんが、ぜひそういった機会をつくっていただきたいと思います。

 最後に、羽田国際化についてであります。

 大臣が国土交通省の大臣になられたときに、羽田の国際化というものをおっしゃられた。大変に大田区民も喜び、また日本国民も喜んだと私は思っております。率直な、税金を払っている立場の人間、生活者の立場の人間、そして国際的な多くの人たちが、これはウエルカムだったと思うんですね。日本の景気を直すためにも、人、物、金も集まる条件をつくり得るだろうと思っております。

 こういった羽田国際化について、大臣は就任のとき、それだけの決意を表明したわけでありまして、その後、現状はいろいろな問題があるかもしれない、しかし、断固としてこれを行うんだということをはっきりと、また大臣にこの場でおっしゃっていただきたいと思うわけでありまして、羽田国際化についての扇大臣の御所見、また決意をお伺いいたしたいと思います。

小島主査代理 ちょっと質疑時間が経過しておりますので、答弁の方、簡潔にお願いします。

扇国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、日本全土で、二十一世紀、国際空港というものが幾つ、どれくらいあればいいのかという、滑走路一本では国際空港という名前をつけることさえおこがましいと私は言っております。

 けれども、その序幕としても、少なくとも二月の十六日、あそこから、チャーター便ですけれども、夜十一時から飛行機を飛ばすということが羽田でできました。そして、私もテープカットに行きましたけれども、あれは特別に初日ということで、五便のチャーター便を飛ばすことができました。そして、それはサイパンへ一機、済州島に二機、ホノルルへ二機、五機を一度に、十一時から十分おきに立つことができました。

 私は、皆さん方がどのように望んでいらっしゃるか、何を望んでいるかというのを酌み取るのが政治家だと思っていますので、お互いにどこがどうとかということではなくて、もっとグローバルな目を持って、これからは二十一世紀の国際的な目を持って、日本がどうあるべきかを御一緒に考えていきたいと思っています。

松原分科員 どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

小島主査代理 これにて松原君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩田晋君。

塩田分科員 自由党の塩田晋でございます。

 扇大臣にお伺いいたします。

 私は、森内閣が発足した当初は非常に期待したものでございますが、今や世論の支持を失って惨たんたる状況にある、まさに末期的症状にあるという中でございますけれども、その中にあって扇大臣は、非常にさわやかに、また思い切った発言をされ、そして日夜国務に大変精励をなさっておられますことに対しまして、敬意を表し、お喜び申し上げたいと存じます。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。

 今や建設省、運輸省、国土庁の三大臣を一人で兼ねておられるわけでございます。北海道もあわせますと大変な権限をお持ちの大臣でございます。

 公共事業が非常に大きなウエートを占めていると思いますが、公共事業について、大臣のお考えを率直に、個人的見解を含めてお伺いをしたいと思います。

 今、公共事業につきましては、赤字国債の大きな原因にもなっているといったこともありまして、いろいろな批判がございます。公共事業はもう限度に来たから、これは縮小すべきじゃないか、また、いろいろな、談合の問題等も含めまして、やり方を改革しなければならない、こういう意見も強いわけでございます。これにつきまして、私は、公共事業はまだまだやる余地はある、やってもらわなければならないということを申し上げたいわけでございます。

 そして、大臣御存じのとおり、私は兵庫県の東播磨でございます。大臣は兵庫県の最高の名門校であります神戸高校の御出身でございますのでよく御存じだと思いますけれども、この地域の問題につきまして後ほど御質問申し上げたいと思います。

 まず、大臣のお考えにつきましてお伺いいたします。

扇国務大臣 塩田先生に公共工事の基本的な考えはどうかと言われまして、私はかなり塩田先生と意見の一致を見ることができる考え方を持っていると思っています。

 今まで御一緒に勉強させていただいたこともございますので、私は、ぜひ先生にも御理解をいただき、今の日本の現状は、我々、先ほども申しましたけれども、党派を超えて、与野党を超えて、今、国会議員に籍を置く者がひとしく二十一世紀の国土づくりに協力していって、お知恵もいただき、また、皆さん方のいろいろな御意見もいただきながら日本のグランドデザインをつくっていくというのが私の大きな要点の一つでございます。

 まして国土交通省という、今先生がおっしゃいましたように四省庁を統合して、地方へ行きましてもみんな、扇さん、縦割りはなくならないよ、それはだめだ、こうおっしゃるんですけれども、私は、最初からそういうふうに決めつけられるのではなくて、どこをどうすれば縦割りをなくして真に国民のための公共工事ができるかということを、私は全国を歩こうと思って、もう既に始めております。

 私は、今先生がおっしゃいましたように、公共工事はもうすべて満足度が達成されていると見るには、余りにも日本の社会資本整備の現状というものは、恥ずかしいといいますか情けないといいますか、そういうところにあると思いますね。ですから、私は、少なくとも、私たちが国際的に見て、外国からいらした人たちが、なるほど日本はよくできているな、日本はすばらしい、住み心地のいいところだなと言われるような社会資本整備だけは、まだしていかなきゃならないと思っています。

 例えば、先生の地方でもまだ率が一〇〇%ではございませんけれども、下水道の処理一つとってみましても、イギリスは九七%、フランスは八一、ドイツが九二、アメリカが七一ですけれども、現実に、日本の下水道整備の平均は六〇%でございます。失礼ですけれども、先生の地域は日本の六〇%にいっていないと思うんですね。しかも、全国で、五万人未満のところではまだ二四%という恥ずかしい数字でございます。

 電線の地中化というのを私はこの間も予算で言ったんですけれども、それ一つとってみても、ロンドン、パリは一〇〇%ですけれども、ニューヨークは七二・一%。東京の二十三区でさえ電柱の地中化は三・一%。これではやはり、美観とかあるいはそういうことを考えても、日本はまだまだ世界に及ばない。

 そして、さっきも話題になっておりましたけれども、空港、港湾から主要のインターチェンジに入るのにどれくらいかかるかというと、十分以内に入れるというのを私たち目標にしていたんですけれども、世界じゅうでは、アメリカは空港からはもう既に九八%、そしてヨーロッパは大体七二%である。空港は、日本はまだ四六%。そして、港湾に至っては、アメリカは九三%、ヨーロッパも九三。日本は、港湾からアクセスがどうだといっても、どんなに威張ってもまだ三三%なんですね。

 ですから、私どもは、十分以内は無理にしても、少なくとも二十一世紀初頭には、ヨーロッパ並みにあるいは欧米並みに、九割まで引き上げていきたいというふうに希望しておりますけれども、こんなことを言っているともう時間がなくなっちゃうくらい、日本の社会整備の貧困さというのはまだまだあるわけでございます。

 私は、今までの公共工事、むだとは言いませんけれども、遅々として工事が進まない、だから費用が加算する、そういう工事はやめよう。着手するまでには少し時間がかかっても、事前協議をして、そして事前評価をして、皆さんの理解を得て、着手した限りは一気に仕上げるように集中的にやっていこう。それが今度国土交通省になったからできるという部分があるものですから、私は、それをやっていってスピードアップすることによってコストダウンができる、そういう公共工事のあり方、そういうものに転換していかなければならないのが二十一世紀の我々の責任である、そのように感じております。

塩田分科員 扇大臣の非常に意欲的な、非常に広い視野に立っての公共事業の考え方につきまして、私は全面的に賛成するものでございます。

 確かに、日本の社会資本というものはまだまだ欧米に比べて劣っておる。「巌窟王」の小説にも出てまいりますように、パリあたりは、同じ下水道といっても、本当に立派な大きなもので、人が駆け抜けられる、そういったものが昔からでき上がっている、表に見えないものですら相当以前から整っているということを見ましても、日本はまだまだそこまでいっていないことは、大臣おっしゃるとおりでございます。

 確かに公共事業は、もうやるところがないとか、あるいはもう景気対策にもならないからとか、あるいはいろいろな改革すべき問題がいっぱいあって手がつけられていないとか、いろいろなことが言われます。また、中には、地球を彫刻する公共事業ということで芸術的な観点から言われる方がありますが、そんなのんきなことを言っているような財政事情に今ないんだ、こういう御意見もあります。

 田舎を見ましても、地上では道路、あるいは地下につきましては下水道も、かなり皆さん方の御努力によりまして、我々の地域でも本管から支管にわたりまして順次進んでおります。非常にありがたいことと思っておりますが、これを一層進めていただきたいと思います。

 公共事業につきまして、やはり、大臣がかつてから言われておられます電線の地中化、これ一つとりましても、大変な費用のかかる問題であるし、また時間もかけなければならない問題だと思いますが、ぜひともこれは進めていく必要があると思います。また、港湾とかハブ空港の整備あるいは新幹線等についても、これはとやかく言う問題でなくして、やはり積極的に、前向きに進めていくべきだと思います。

 鉄道が始まった明治の人たちの気概といいますか、日本の国土に鉄道を張りめぐらすんだという意気込みで大変な先見性を持って取り組んで実現をしてこられた、その意気込みといいますか、気概といいますか、そういうものはやはり今我々は失ってはならない、このように思います。

 したがいまして、扇大臣のそういったお考え、これはぜひとも国政の場で大いに発揮していただきたい。扇大臣に対する総理待望論まで出てくるというのは、やはりそういった見識に基づくものだ、さわやかさのみならず、非常に立派な見識を持っておられるということだと思います。ぜひともひとつ頑張っていただきたいと思います。

 そこで、具体的に東播磨の地域につきまして御質問を申し上げます。

 都市整備の関係でございますが、十数年にわたりましてJR山陽線の加古川駅の高架化に私もずっと取り組んでまいりまして、これが今着々と工事が進んでおるということで、感謝を申し上げます。

 懸案でありました南北道路の渋滞。通勤、産業等いろいろ重要な南北道路が、十五本の踏切がありまして、非常に便利になりましたJRの電車の行き来によりまして遮断されて、非常に渋滞を来しておるということ。これを解決するのには、本当に決め手になるのが、この高架、連続立体交差事業でございます。これは加古川市の再生発展のために非常に有効なことだと歓迎をしておるところでございますが、その工事の進捗状況がどうなっておるか、見通しをお伺いしたいと思います。

 それとあわせまして、駅庁舎も古い木造であるわけですが、人口三十万近い都市にとっては余りにもみすぼらしい状況でございます。これが装いを新たにして、高架駅として南北に出入りができるようなものに変わっていくことを我々非常に期待しておるわけでございます。

 商店街が駅前にあるんですけれども、そこへ行くのには、道路を歩いて平面交差していかなければ行けない。駅からはすぐには行けない。非常に頻繁にバス、タクシーが行き来しておるわけでございます。それを横切っていかなければならない。こういったことで、商店街にもなかなか、ちょっと駅から立ち寄ってということにはならない。これを解決していただくのは、やはり高架の駅から直接橋でもって渡れるように、あるいは地下道をつくって行けるように。

 やはり、駅には商店街が必要だと思うんです。駅前の既存の商店街との競合関係もあるかと思いますけれども、将来を考えますと、いわゆる民衆駅といいますか、商店街を含んだ駅庁舎が必要じゃないかと思います。

 こういった点について、今どのように計画がされ、進捗をしておるか、またその見通しにつきましてお伺いいたします。

板倉政府参考人 お尋ねの加古川駅周辺でございますが、加古川市の中心市街地を形成するとともに、東播磨地域における重要な拠点となっておりまして、同駅周辺におきます連続立体事業は、道路交通の円滑化や地域の均衡ある発展を図る上で極めて重要な事業と認識している次第でございます。

 同事業の進みぐあいでございますが、JR山陽本線及び加古川線の延長約三・三キロの間におきまして十二カ所の踏切を除却するとともに、市街地の一体化を図る事業でございまして、平成二年十二月に都市計画決定されまして、平成五年三月に事業認可を取得し、事業が進められているところでございます。

 山陽本線、加古川線ともに、現在、本体工事を行っているところでございまして、山陽本線については平成十五年春に、それから加古川線につきましては、一年おくれまして平成十六年度に本線の高架化を完了する予定でございます。

 駅部の検討につきましては、現在、駅業務施設の設計に着手しているところでございます。また、先生御指摘の高架下あるいは自由通路の問題でございますが、高架下の利用につきましては、今後、本線の高架化の時期までに、県あるいは市とJR西日本が入りまして協議、調整を進めまして、地域の発展のためになるように有効な利用を図っていきたいと思っている次第でございます。

塩田分科員 続きまして、道路関係でございます。

 加古川市にかかっております加古川をまたぐところの加古川大橋、国道二号線の大橋でございますが、これは大型バスなりトレーラーの行き来が容易なように隅切りをするという工事をお願いいたしまして、これを決定していただき、今工事が始まろうとしているところでございますが、あわせまして、この加古川橋梁の補修も行われるということでございます。この進捗状況についてお伺いいたします。

大石政府参考人 一般国道二号が加古川を渡っております加古川大橋は、大正十二年に架橋いたしました橋長三百八十メーターの老朽橋でございます。コンクリート床版の損傷が著しいことから、補助事業として平成十一年度に橋梁の補修工事に着手しまして、これとあわせまして、加古川右岸側北隅の右左折交通処理の改善を図る隅切り改良を実施してきているところでございます。

 この平成十三年三月には、隅切り改良を完了させまして、昼間におきます交通の円滑化が図られるようになりました。引き続きまして、夜間交通規制を伴う補修工事を進めまして、平成十三年の五月には、夜間を含めた交通の全面開放が図れるよう措置しておるところでございます。できるだけ早く完成が図られるよう工事を支援してまいりたいと考えております。

塩田分科員 隅切りと橋梁の補修事業につきまして、私、前回提案をさせていただきまして、早急に手を打っていただきました。工事が速く進捗していくことにつきまして感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 続きまして、北条高砂線、これは県道でございますけれども、これは南北を通ずる重要な幹線道路でございますが、国も関係して整備が進められているところでございます。私は、歩道のない道路は道路でないということをかつて申し上げました。着々と整備が進んでおるところでございますが、まだまだ未整備のところが残っております。これにつきましてどのような状況かお伺いいたします。

 と同時に、同じく高規格道路として、尾上小野線、これはもう既に計画決定をいただきまして進められようとしておりますが、八幡あたりのところまである程度めどがついておるようですが、そこから小野までの地区、これはまだまだのようでございます。今後の見通し等についてお伺いいたします。

大石政府参考人 まず、主要地方道高砂北条線についてでございます。

 高砂市街地から加古川市を経由して加西に至る延長二十・三キロの幹線道路でございます。山陽自動車道加古川北インターチェンジへのアクセス道路としても重要な路線であると考えてございます。

 このため、加古川市東神吉町地内の四車線のバイパス整備を平成元年度より国庫補助事業として着手し、平成九年に一般国道二号バイパスから北側の延長約一・四キロメートルを暫定二車線で供用したところでございます。現在、暫定二車線で供用した区間の四車線化、及び北側の主要地方道神戸加古川姫路線までの延長約二・二キロの区間の用地買収を推進しているところでございます。

 県の方からは、暫定二車線区間の四車線化につきましては平成十三年度、北側の延伸区間につきましては平成十五年度ころの供用を目標に整備が進められる見通しだと聞いてございます。国土交通省としても、引き続き県を支援していきたいと考えております。

 それから、次に、東播磨南北道路、加古川小野線の計画の進捗についてお尋ねでございますが、これにつきましては、今先生からも御指摘ございましたように、加古川から小野市に至る十五キロメートルの地域高規格道路でございます。この地域にとって極めて重要な主要幹線道路でございます。

 このうち、一般国道二号加古川バイパスから産業団地の開発が進められております加古川市八幡町までの区間約五・二キロメートルにつきましては、平成十一年度に国庫補助事業により新規事業化いたしまして、昨年は用地買収着手の見通しを申し述べることはできなかったわけでございますが、平成十二年度には用地買収に着手をいたしました。これにより、事業の進捗を図りたいと考えてございます。

 県の方からは、平成十七年ごろの供用を目標に整備が進められるというように聞いてございますので、国土交通省としても引き続き支援をしていきたいと考えてございます。

 さらに、その北側の東播磨南北道路のうち、未着手の加古川市八幡町から一般国道百七十五号までの区間につきましては、現在事業をしております南部の事業区間の進捗状況や当該地域の交通状況、あるいは周辺の開発計画の進捗状況を見ながら着手時期の検討を行うと兵庫県の方からは聞いてございまして、兵庫県からの要望があれば、国土交通省として必要な支援について検討してまいりたいと考えております。

塩田分科員 ありがとうございます。

 道路の建設につきましては、非常にやりやすいところと非常にやりにくいところとあるわけでございます。今言われました南北の高規格道路につきましては、今お話ありました八幡地区につきましても、その北の池尻地区につきましても、反対論者がかなりおられるわけですね。実際、自分の家が立ち退きになり、補償されるけれども反対だという人と、いや、どんどん早くやってくださいという人とあって、まちまちでございます。実際に担当しておられる皆さん方、また地域の町内会初め関係者の皆さんが非常に苦労しておられます。しかし、やらなければならぬということで、一生懸命取り組んでおられます。本当に涙ぐましい努力をしておられます。夜を徹して説得に行き、用地買収の話を進めておられます。これを見聞きしておるわけでございます。御苦労でございますけれども、ひとつ着実にこの事業を進めていただきたいと思います。

 それから、前回も取り上げて申し上げたわけでございますが、まだまだなかなか具体化しないところの事業といたしまして、山陽自動車道の加古川北インターから高砂市に入る幹線道路をつくってほしいということを申し上げたわけでございます。これは、まだ地元も機が熟さないといいますか、いろいろな意見が交換されておりまして、具体的には上がってこない状況でございます。

 私が今申し上げておりますのは、志方という町がありまして、もとは三志方村だったわけです。その真ん中は、大臣も御存じだと思いますが、三島由紀夫の祖父の出身地であるし、また三島由紀夫も、その、中の志方に最後まで本籍を置いておりまして、行き来しておりました。また、徴兵検査も加古川で受けるというような、関係のあるところでございます。

 その、中の志方の西側の西志方という地区、これには南北の幹線道路が全然ないのです。農道等はちょいちょいありますけれども、南北の幹線道路がない。これは実は、志方町が加古川市に合併するか高砂市に合併するかということで、町を二分しまして大変な争いがあったわけでございますが、最終的には三志方まとまって加古川市に合併したということによりまして、高砂市と旧志方町の幹部の間で話し合われておりました合併の条件としての、高御位山の一部をトンネルで抜いて道路をつくるという話がオジャンになってしまったのです。そういう経緯が、二十年以上前ですか、あったわけでございますが、これがオジャンになったままでいるわけですね。

 これを、地元の要望もありますし、ぜひとも取り上げてもらいたいということを、関係当局、またこの場でも建設省に要望したわけでございますが、これは地方から上がってこなければ取り上げないというものなのか。また、国なり県が指導をして、そういう必要があるんじゃないか。

 その地区については、東西の幹線道路はあるんですが、南北がない。これについて、いろいろな議論があります。環境問題とか排気ガスの問題等ありますけれども、やはり生活上あるいは産業上からいいまして、ぜひとも必要な幹線道路であるし、また、たまたまこの山陽自動車道加古川北インターができたところから中を通れば、ちょうど懸案の南北道路ができるということになりますので、この点について、どのように考えておられるか、また取り組んでいかれるお考えか、お伺いいたします。

大石政府参考人 確かに、先生おっしゃいますように、幹線道路のあり方を考える上で、地域のあり方や地域の構造を規定するような大きな幹線道路につきまして、国土交通省として、地域側からの申請主義という考え方をとっておるものではございません。全体的な道路構想を我々が地元の皆様方と一緒に構想していくということもあるわけでございます。

 確かに、先生御指摘の、高砂市阿弥陀町から山陽自動車道加古川北インターチェンジ方向への道路ということを見てみますると、東西方向の道路はあるものの、南北方向の道路がない、極めて薄いところだということは私どもも認識いたしております。

 昨年も先生からの御指摘を受けまして、兵庫県当局ともいろいろ協議をしたわけでございますが、当該地域の道路整備のプライオリティーその他から考えて、今、兵庫県としては、国土交通省との間で具体的な協議に入る用意があるということではないというようにお聞きしておりますが、先ほど申し上げましたような道路ネットワークの状況でございますので、今後、県の方でいろいろ御検討されるものと考えてございます。

 兵庫県から要望があれば、我々としては積極的に支援していきたいと考えております。

塩田分科員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、ぜひとも今の問題になりました西志方を通る南北幹線道路、これを御検討いただきたい。

 一つは、中の志方で、宝殿小原線ですか、今非常に交通の頻繁なところがあるのです。県道ですね。これが狭いのです。これを広げようと思うと大変な費用がかかるし、なかなか立ち退き等の問題からそう簡単にいくものではない。むしろ、今の西志方を通る南北幹線道路ですと、ほとんど山とトンネルとそして田んぼの中ですから、これはもう本当に着工すればすぐにできるというようなものだと思います。もう比較にならないほど進捗するものだと思いますので、その点もひとつ考慮に入れて御検討いただきたいと思います。

 最後に、もう時間がありませんので申し上げられませんが、海賊対策について前から取り上げてきたのですけれども、大丈夫だと言われながら、見ていたらますます最近ふえてきているわけです。

小島主査代理 時間ですので、簡潔にお願いします。

塩田分科員 もうこれで終わります。海賊対策につきまして、ひとつ十分に対策をしていただきたいと思います。

 終わります。

小島主査代理 これにて塩田君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅野哲雄君。

菅野分科員 社会民主党の菅野哲雄でございます。初めて国土交通省に質問させていただきますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 六月に初当選して、この国会の場で働かせていただきましたけれども、若干扇大臣に、質問に入る前に、地域の実情というものをよく知っていただきたいというふうに思うのです。

 私の出身地は宮城県の気仙沼市ですが、人口が六万二千の都市でございます。そういう意味では、本当に地方の片田舎、宮城県においては最北端の地域ですから、扇大臣、仙台は近いと思っているのでしょうが、東京から仙台までは新幹線で一時間四十五分あれば行きます。仙台から気仙沼までが約三時間。車で交通違反をしながら飛ばしていって、そして二時間半ですから、同じ宮城県内においてこういう地域があるということなんです。

 そして、私のことを言って恐縮なんですが、地域の人たちは本当に公共事業というのを待ち望んでいるのです。そして、国会議員を、地域出身の先輩方が二人おりましたけれども、選挙違反で二人とも失脚したという状況の地域です。そして、そういう状況の中で、国会議員をこういう形でなくしていったならばどうなるのだろうという形で、私、社会民主党、社民党ですけれども、地域で二月の補欠選挙のときに、地域の人たちに八四%の支持を得ました。本選挙においては六七%の支持を得ました。これはどういうことかというと、国政の場で地域課題を解決してほしいという地域の人たちの大きな願いがそこに込められているというふうに思います。

 それで、扇大臣に基本的なことをまず一点お聞きしたいのですが、今、都会の人たちを中心にして、地方の道路網の整備はもう要らないんじゃないかという大合唱が起こっているというふうに、私は市議会議員を十四年、十五年やっていましたから、そういう声というものがひしひしと地方に伝わってきているのです。

 そして、今の流れの中でどういうふうになっていくかというと、政策評価をしていきながら、それで経済性を優先させる箇所づけをしていこうじゃないか、そういう流れになっているのではないのかなというふうに思います。そうしたときに、地方における六万二千くらいの都市がどういうふうな状況に追い込まれていくんだろうか、そういう地方における危機感というものが非常に大きくなってきています。

 そういう意味では、これからの二十一世紀の均衡ある国土発展という立場に立って、この政策評価を建設省として公共事業全体の中でどう取り入れていこうという考えなのか、これをしっかりと示してもらわないと、地域における人たちはまた取り残されていくんじゃないか。

 さっき言ったように、仙台から三時間もかかる状況というのが解消されていかないんじゃないかという危機感を持っているのです。そして、一日も早くそういう地域を解消してほしいという願いが五年、十年かかってしまうんじゃないか、あるいは二十年かかってしまうんじゃないかという危機感を抱いていますけれども、大臣、そういうふうに道路整備のこれからの進め方の基本について御所見をお伺いしておきたいと思います。

    〔小島主査代理退席、主査着席〕

扇国務大臣 今、菅野先生からるるお話ございまして、気仙沼の遠さあるいは不便さ等々おっしゃいましたけれども、私、知事選の応援に行っておりまして、気仙沼にはちゃんと行っておりますのでよく存じております。私は仙台ではおりません。もう一つ乗って、それから車を飛ばすということをしておりますので、気仙沼の状況もよくわかっておりますけれども、私は、公共工事のむだ遣いあるいは丸投げ等々批判の多い中でも、必要なものには集中的に投資して、それを仕上げて、そして真に公共工事のあり方というものは、国民に、ああやはりよかったなと喜んでもらえる公共事業をするというのが私は基本姿勢ですから。

 ただ、今まで言われたように、丸投げがあったり、あるいはむだ遣いがあったり、ばらまきがなかったのかというと、必ずしもなかったとは言えない部分、その部分を私は是正していこうということで、昨年に臨時国会で公共工事の契約・入札に関する適正化法を通させていただいて、しかも全党一致でこれを通していただいたということは、皆さん方が、今の国会議員はすべからく公共工事を見直していこう、真に国民に喜ばれる公共工事をしようというお気持ちのあらわれであるということで、私は、あのとき全会一致で通していただいたことが大変うれしかった者の一人でございます。提案者としては、なお倍増した喜びを感じたものでございます。

 けれども、今おっしゃいましたように、地方におきましては、少なくとも人や物の移動における自動車の必要性、これは今先生がおっしゃったとおりでございまして、例えば、もう先生御存じですけれども、三陸の縦貫自動車道の整備の進展によりまして首都圏との時間差、それが短縮されました。

 そういう意味で、私はここにも持ってまいりましたけれども、気仙沼の水揚げのカツオの量というものが物すごく伸びているのです。そして、そのカツオが、十年前に比べて現在では漁獲量が約三倍に拡大しているというこの事実があるのはなぜなのか。そしてまた、この水揚げ量が三倍になった中の七割は、このできた三陸の縦貫道を通って東京に、いわゆる関東地方に来ているということ一つをもってしても、道路の必要性というものは、その地域の活性化、あるいはその地域でとれたものがいかに早く、いかに新鮮に国民の手に入るかということは、私は大きな進展であろうと思います。

 何よりも、私は気仙沼へ行ってびっくりしましたのはフカひれをつくっていることで、私は知識が足りませんで、フカひれは中国からしか来ないものだと思っておりましたら、気仙沼のフカひれは世界一だと言われてごちそうになりました。これもお礼を重ねて、こういうものをもっと世界じゅうにも出るような産業にしていただきたいと念じています。

菅野分科員 扇大臣、カツオの量の部分あるいはフカひれの部分とか、あるいはサンマというのは、気仙沼では本当に日本一を誇っているのですけれども、ただ、三陸縦貫自動車道がまだ計画路線なんです。だから、そこが開通することによって、そして東北自動車道に直結することによって地域経済の活性化というものが図られていくんだというのが私どもの立場ですから、ぜひそういう立場に立って地方の道路整備にも力を注いでいただきたい。そして、経済効率性のもとで優先順位をつけるのではなくて、地域の実情も十分勘案してやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、具体的に、個別にお聞きします。

 今、確かに宮城県内、面積的には東北では狭い地域ですから、道路網の整備が充実されつつありますけれども、残りは何といっても三陸縦貫自動車道というふうに思っています。大石道路局長にお聞きしますけれども、宮城県内の幹線高速道路網の整備状況が今どのようになっているのか、その点についてまずお聞きしておきたいというふうに思います。

大石政府参考人 宮城県内の国道等の幹線道路の整備状況についての認識についてお尋ねでございます。

 宮城県内では、高規格幹線道路でございます一般国道六号仙台東部道路七・四キロメートル、一般国道四十七号仙台北部道路五・二キロメートルをそれぞれ平成十三年度、平成十四年度に供用する予定であるなど、道路整備が進展いたしております。

 しかしながら、県内の一般国道の異常気象時通行規制区間、これは大雨が降ったときなどに道路をとめてしまうという措置を行う道路でございますが、こういった道路の延長は一般国道総延長の約七%に当たる七十二キロメートルに及んでいるなど、防災対策が必要な箇所や交通混雑が顕著な区間が多く残されておりまして、いまだ整備が必要な状況であると認識いたしております。

 今後とも、国道等の幹線道路の果たすべき役割を認識しながら、一層の努力をしてまいりたいと考えておるところであります。

菅野分科員 一つは、国土開発幹線自動車道路、それから一般国道自動車専用道路、あるいは地域高規格道路というふうに分けられて整備されていますけれども、国土開発幹線自動車道においては、仙台東インターから仙台港北インターが国体前に完成するというふうに、ことしが宮城国体ですから、国体に合わせて幹線道路網の整備を行っていくというふうに聞いておりますから、具体的には、国体が十月に開かれて、それまでに完成すると言われております。それから、仙台南部道路も含めて、これは国体前に完成すると言われております。そうすると、仙台圏を中心とした、大都市圏を中心とした地域整備網というものが、仙台北部道路ですね、東部道路と北側において東北自動車道とつながる部分、これが残っているだけなんですね。

 そういうふうに考えたときに、私はこっちも整備すべきだと思いますけれども、三陸縦貫自動車道というものに、ぜひ今、ことし完成する見込みある部分をそちらに振り向けていただきたいというのが率直な気持ちとしてあるわけです。そして今、三陸縦貫自動車道は石巻河南インターというところまでは開通していますけれども、その石巻河南インターまでは私も何回も通っているんですが、三陸縦貫自動車道をおりて、そして一般国道四十五号線を利用して気仙沼まで行こうとすると、そこから一時間半かかるんですね。そういう実情なんです。約八十キロなんですね。この路線をどう整備していくのかということが三陸縦貫道の今の大きな課題であるというふうに私は思っています。

 それで、工事中の路線なんですけれども、石巻河南から志津川までが今工事区間なんです。ここをどう早目に完成させていく考えなのか。そして、志津川というところから陸前高田間、岩手県の陸前高田市というところなんですが、そこまでがまだ計画路線なんですね。これをいつ計画路線から格上げしていく考えなのか。その考え方をお聞きしておきたいというふうに思うんです。

 というのは、私は、一年前、二年前だったらこんなことを言えなかったと思います。仙台圏を中心にしながらそういう整備が今行われていますからそっちを優先して、私もある意味では優先順位というものは自分の中で整理していますから、そういう意味では、そこが終わるわけですから、優先順位の高いところが終わるわけですから、そのことを三陸縦貫自動車道にどう持っていくのか、これが今の課題であるというふうに思っています。

 それからもう一つ、地元で大きな要望をして、国道四十五号線の本当に不便な箇所を今度整備するという方向で、今、唐桑道路というものを整備路線にしようとしておりますけれども、道路局長、この点についての考え方を少しお聞きしておきたいというふうに思っています。

大石政府参考人 初めに、先生御指摘のように、道路整備には一定のプライオリティーというものがございます。先生には御不満かもわかりませんが、県内におきましてそのような考え方で整備してきたことは事実でございます。

 そうなりますと、逐次重点の箇所を移していきまして、地域の方々の御要望におこたえしていくということが必要であろうと考えてございます。すべてをのんべんだらりと幅広くやるのではなくて、重点的に供用を行って供用効果を地域の方々に一日でも早く受けとめていただく、このような整備の仕方を考えたいと思っております。先ほど申し上げました答弁に引き続きまして、こういう地域につきまして整備の重心を移していくということになるというように考えてございます。

 そこで、お尋ねの三陸縦貫自動車道等の整備方針でございますが、まず、申し上げましたように、効率的、重点的にネットワークの整備を図るという観点から、仙台市から宮古市に向けて逐次整備を進めるとともに、現在、一般国道四十五号の線形不良区間や交通混雑が見られる区間について、これらの早期解消に向けた部分的な整備も進めることといたしております。

 現在までに、仙台港北インターチェンジから石巻河南インターチェンジの間三十八・五キロメートル、大船渡インターチェンジから三陸インターチェンジの間八・七キロメートルを供用いたしておるところでございます。

 それ以外にもいろいろ整備を進めておりまして、石巻河南から志津川間におきましては、石巻市から志津川間約四十二キロメートル全線で事業を推進いたしております。

 このうち、まず矢本石巻道路十四・一キロメートルにつきましては、現在、用地買収、改良工事、橋梁工事等を推進しているところでございます。また、桃生登米道路十二キロメートルにつきましては、桃生町内の用地買収に着手したところでございます。また、登米志津川道路十六・三キロメートルにつきましては、平成十一年度に環境アセスメントの手続を完了し、現在、設計のために必要な測量を実施いたしております。

 また、志津川から陸前高田間につきましては、唐桑町内の国道四十五号に著しい線形不良区間が見られますことから、これの解消を目的に、平成十年度より、唐桑道路三キロメートルを着工準備区間に位置づけたところでございます。

 現在までに、具体的なルート検討や環境に与える影響についての調査を実施してきたところでございまして、今後、これらの結果について地元説明を実施してまいりたいと考えてございます。

 残る区間につきましては、現在、ルートの概略検討や既存文献による環境の現況調査を実施しているところでございます。

 なお、宮城県内におきます三陸縦貫自動車道の平成十二年度事業費は約六十九億円であるのに対しまして、事業中区間の完成までの平成十三年度以降事業残は約二千億円となってございます。今後とも集中投資が必要でございますが、地域の皆様方の御理解と御協力を得て、円滑な事業展開が進められるように努力いたしたいと考えております。

菅野分科員 わかりましたというよりも、一番問題は、先ほど言ったように、志津川までを、今工事中の工事区間をいかにして早く仕上げていくのか、ここに先ほど大臣が答弁しているように集中して投資していただきたいというのが今の気持ちなんです。

 そして、そのことが進まない限り、志津川―陸前高田間、その北にある部分を幾ら事業区間に格上げしたにしても整備が追いついていかないわけですから、そういう立場に立って、先ほど言ったように平成十三年の、ことしの国体前に完成する部分にぜひ集中投資していただきたいというのが願いなんです。

 そして、唐桑道路をぜひそういう意味では早急に改良していただいて、一般国道の四十五号線を利用して物流が円滑になる、当面はなるようにしていかなきゃならないと思うんですが、それにしても今、志津川―陸前高田間、局長がルートの選定や環境についての現況調査をやっているということを言っていますけれども、この言葉は地元において何年聞いたことなのか。毎回質問するたびにこの答えしか返ってこないんですね。

 そして、私も十年前から言っていたんですが、三陸縦貫自動車道のルートはどうなるのかということをずっと言っていたんですが、いまだルートさえも発表になっていないんです。これはずっと言い続けてきました。市会議員のときからもですね。そうすると、今建設省でそのルートについては検討中でございますからという答えのみがずっと返ってきますから、これはずっとこのままでは、いつまでたってもらちが明かないですから、きょう分科会があるからこの部分の質問だけはしておこうということでこの時間を割いていただいたんですけれども、そういうことだと思います。

 やはりルートを決めて、時間がそれから後いろいろな実情で延びるというのは、住民はこういう理由だから延びますよということであれば理解するんです。ただ、路線も決まらないで、そしていたずらにどんどん日にちだけたっていきますから、住民としては、市民としては、どうなっているんだろうという不安の方がつきまとっているというのが現状だと思います。

 そういうことを踏まえてぜひ、もう一つ大きな問題があるのは、宮城県と岩手県の県境を背負っているんですね。陸前高田市というのは岩手県なんです。県境を越えますから、県が違ってしまいます。それで、県境を越えて大きな運動を展開しようということでやっていますけれども、どうしてもそこは、県境をどう越えていくのかというのは建設省の大きなリーダーシップなしにはそこは発揮できないと思いますから、ぜひこの地域の実情を理解していただきまして、一日でも早いルート決定、それから既存の工事路線の早期完成、そして次に今計画路線である志津川―陸前高田間を一日でも早い工事区間に格上げしていただきたい、こういうふうに私は思うんです。

 扇大臣、最後ですが、気仙沼の実情をよく御存じだと思いますから、大臣としての決意をお聞きしておきたいと思います。

扇国務大臣 今先生がおっしゃるように、私は、ルートを早く決定して、そして地元の理解を得るということを早急にしなければならない。理解を得るために、なるべく早くルートを出して御理解いただくというのが私は必要であろうと思いますので、極力これは頭に置いて事務方にしていきたいと思います。

 今私、一言先生がおっしゃったことで気になったことは、岩手県と宮城県と県境で、県をまたぐと大変だという話をおっしゃいましたけれども、今度国土交通省としては、東北の地方整備局は宮城県も岩手も一つの地方整備局で工事を請け負い、また事情を聞きますので、どうか県がまたがりましても、地方整備局というものの能力をぜひお使いいただき、また一緒になって県境を越えての工事をしていきたいと私は思っています。

菅野分科員 ありがとうございました。

 これで私の質問を終わります。

栗原主査 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、山口泰明君。

山口(泰)分科員 きょう来ましたらびっくりしまして、扇大臣みずからいらっしゃって、ありがとうございます。扇大臣、高橋副大臣、泉副大臣、そして我が二期のエースであります吉田大臣政務官までおいでいただきまして、このままこれが官邸へ行ってもいいんじゃないかなと思うぐらいでございます。天下国家を論じたいのでありますけれども、分科会でありますので、私どもの地元埼玉十区のことでお伺いいたすことをお許しいただきたいと思います。

 もう時間がないそうでありますので、まず端的に申し上げますが、一昨年の八月に集中豪雨で大変被害を受けた大谷川と飯盛川及び越辺川の改修事業の促進についてお伺いをしたいと思います。

 この大谷川、飯盛川は、一昨年平成十一年八月の集中豪雨により、この流域の被害は、坂戸市だけでも床上浸水が百三十四世帯、床下浸水が百七十三世帯、そのほか田畑浸水面積が四百九十八ヘクタールという大きな被害を受けました。後にお聞きします越辺川の改修工事に関する浸水被害も同様でありますけれども、この被害の原因の一つは、飯盛川と大谷川の合流地点に樋門がないため逆流も加わった水害であり、おかげさまで、飯盛川はこの三月に樋門工事が完成します。これには本当に、坂戸、川越両地元の住民は大変感謝をしております。

 そこで、お伺いしたい点は、越辺川と合流します大谷川の改修工事とこれに関連する樋門工事であります。地元では、最近地元の熱の入れ方で、大谷川流域水害対策促進期成同盟会が設立され、地元の市長、私も顧問になっているわけでありますけれども、水害防止の早期着工を行政に嘆願をしております。

 十三年度予算を踏まえた今後の樋門工事、都市下水道事業、排水機場の建設など、具体的実施計画があったらお伺いをしたいと思います。

竹村政府参考人 お尋ねの越辺川と合流します大谷川の改修工事についてお答えいたします。

 本大谷川の改修工事は大変重要でございまして、地元の強い意向を受けまして、排水機場の設置も含めた大谷川全体の治水対策を実施していきたいと考えております。

 具体的には、この事業の実施に合わせて樋門、樋管等の対策を実施すべく、平成十三年度より新たに測量、設計に着手していきたいと考えてございます。

山口(泰)分科員 ありがとうございます。

 特に越辺川と大谷川の合流地点六百メートルについては普通河川として川越市が管理をしており、またこの河川は坂戸・鶴ヶ島下水道組合が都市下水路として管理をしております。さらに、越辺川と合流点にある小畔川左岸の堤防約百メートルが未改修であるため、この部分より逆流し、冠水被害をもたらしました。この堤防締め切りについては、国が実施する樋門工事とともに、坂戸市を含む流域関係各市が施工管理を明確にした上で都市下水道事業として実施すると思われますけれども、都市下水道事業も含め、全体事業の取り組みについてお考えをいただければと思います。

竹村政府参考人 お答えいたします。

 都市下水路事業につきましては、都市部の約九・二キロを都市下水路として坂戸・鶴ヶ島下水道組合が管理しておりますが、越辺川上流から約六百メートル区間は、御指摘のように普通河川として川越市が管理しております。当区間の改修及び排水機場の設置につきましては、都市下水として川越、坂戸、鶴ヶ島、日高の四市で現在その事業の進め方を検討していると聞いております。

 私ども国土交通省、国の直轄区間としましては、この都市下水路事業と連携いたしまして、この合流地点の本川堤防の締め切り及び樋門の整備を国の直轄事業として実施していく予定となってございます。

山口(泰)分科員 また、この大谷川は、川越市、坂戸市、鶴ヶ島市、日高市に及ぶ約二千二百ヘクタールの広域的都市河川でありまして、特に、坂戸市で被害のあった横沼地域は圏央道インター計画地となっておりますことから、冠水被害をもたらさないように、本改修事業を圏央道建設とともに連携を図っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

竹村政府参考人 圏央道の建設と地域の安全につきましては、関連を持つのは大変重要なことでございまして、もう既に圏央道の供用を開始している区間では、その事業者と協議しまして、大谷川流域だけでも三カ所調整池をもう既に設置しております。

 今後、さまざまなインター等が整備されるかと思いますが、今後とも、道路事業者と関係自治体とが協議いたしまして、雨水貯留のための調整池等を必要に応じて設置すると聞いてございます。

 大谷川の改修に当たりましては、このような自治体が行う都市下水路事業と圏央道関連の調整池と連携をとって実施していきたいと考えてございます。

山口(泰)分科員 ありがとうございます。ぜひそのようなことで、この大谷川、飯盛について、よろしくお願いをしたいと思います。

 今度は、越辺川でございますけれども、たまたま地元でちょうど一昨年の被害もありましたので、ぜひ、東京から四十キロでもこういうところがあるということを、扇大臣、ちょっと見ていただきたいと思います。

 次に、越辺川上流の未整備直轄区間についてお伺いをいたしたいと思います。

 この鳩山町は、一昨年八月の集中豪雨で洪水災害が発生した地域であり、沿川住民の生命と財産が脅かされ続けております。この原因は、直轄区間が未整備の無堤防状態にあります。また、当該未整備直轄事業区間の河川敷にコンクリート工場があり、地元では、この補償問題が解決をされないと改修計画のめどが立たないのではないかという見方がございます。

 今後、改修計画を実施するに当たって、この民間会社が補償対象となっているのかいないのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。

竹村政府参考人 現在、この災害のあった場所を含めまして、改修方式の可能性についてさまざま検討中でございます。今委員御指摘の当該物件の補償については、現時点ではまだ未定でございます。

山口(泰)分科員 補償については未定であるということでございますけれども、この補償が解決をしなければ改修工事は進展しないという意味なのか、それとも補償と河川改修は別であると考えているのか、この見解によっては、今後の改修事業計画の推進を大きく変えることができる可能性があります。どのような判断をお持ちかをお聞きしたいと思います。

竹村政府参考人 話題になってございますこの入間川水系では、平成十一年の出水により最も被害の多かった飯盛川の合流点におきます堤防の築堤、建設、樋門、樋管の建設を重点的に投資しているわけでございます。先ほど委員御指摘のように、この飯盛川の合流点の工事は十三年の三月、つまり今年度中に完成いたします。

 その次の段取りとしましては、次の被害の重要性のある大谷川の合流点におきます河川改修が重要だと認識してございます。この次なる大谷川の合流点におきます改修計画、改修の進捗を見ながら、次なる越辺川の改修を順次進めていきたいと考えてございます。

山口(泰)分科員 ありがとうございました。

 私は、この鳩山町住民の不安を考えますと、いたたまれない気持ちがよくわかるわけでありますけれども、地域住民の声は、補償対象であるないにかかわらず、命と財産を守ってほしいという主張は当然の要求であると私は思います。

 先ほど、今後の手順として、大谷川、飯盛川の重点投資を終えた時点で下流の進捗状況を見ながら順次改修を進めるというありがたいお言葉をいただいたわけでありますけれども、越辺川の見通しを述べられたわけであります。この越辺川の本事業を実施するに当たって、この未整備区間の測量調査をまず実施いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

竹村政府参考人 被害を受けて、雨のたびに心配されている地域の方々のことを思うと、私ども、大変心が痛む思いでございます。

 十三年度より、新たに測量調査等を実施していきたいと考えております。

山口(泰)分科員 ありがとうございます。

 あの鳩山町住民の安全を一日も早く実現するためには、河川改修のできるところから始められないか。例えば左岸鳩山町の浸水堤防は順次可能と考えられます。また、考え方によっては、民間会社の河川敷は、浸水しないように河道を迂回させ、防壁を設けるなど会社に配慮し、迂回させた部分、また対岸を蛇行させることも一つの案と考えますけれども、早期実施に向けた考え方についても御意見をいただければと思います。

竹村政府参考人 委員御指摘のようなさまざまな河川改修のやり方について、私ども、一つの案として検討していきたいと考えてございます。

 また、すぐにでもできる洪水対策としまして河川区域内の樹木の伐採等が地元からも要望されておりますが、当地は地域住民の自然環境としての憩いの場ともなっていることもございまして、これらの方々の御意見を聞きながら、配慮しつつ安全な河川改修を進めていきたいと考えてございます。

山口(泰)分科員 現在、この地域、鳩山町は、入西赤沼線の整備計画、県道岩殿岩井線の改良計画など、まちづくりの一環として今宿東土地区画整理事業を実施しております。このまちづくりは越辺川の治水事業の安全と不可分であります。特に、越辺川と鳩川の合流地点の未整備が浸水被害を増大させている原因であります。この改修が急がれているわけであります。

 さらに、この今宿東土地区画整理事業に係る支弁として、公共管理者負担金など、何かお考えできますか。また、鳩山町としては建設省の一日も早い改修事業に期待をしておりますので、ぜひこの地域のまちづくりとあわせて御答弁をお願いしたいと思います。

竹村政府参考人 当該区画整理事業の実施区域におきまして、河川事業を予定している区域が一部かかります。そのため、河川堤防用地の確保を目的としまして、公共管理者負担金の予算を確保することとしております。

 このように、当該地区の改修に当たりましては、地域のまちづくりの区画整理事業などと整合性を図りながら進めていきたいと考えてございます。

山口(泰)分科員 ありがとうございました。

 ちょっと時間がありますので、最後に公共事業についてちょっと扇大臣に、質問通告がなかったのでありますけれども、四十キロ近辺であるところでもこういう状況がまだまだたくさんあるわけであります。ほかにもまだ都幾川とか、河川改修もいろいろあります。やはりいろいろなことを、今公共事業バッシングの中で、やるべきものはびしっとやる、やらないものは、それはむだなことはしちゃいけませんけれども。

 ぜひ私は扇大臣に、昔からも日韓議連でお知り合いになってから私は尊敬をしているわけでありますけれども、大臣になられてからも本当にすばらしい活躍をされているわけでございますので、ぜひこれからも公共事業、いいものはいい、悪いものは悪い、そういった観点から、公共事業に対する考え方を最後にお聞かせいただければありがたいのでございます。

扇国務大臣 今山口先生おっしゃいますように、私どもは、国土交通省は、一月の六日に四省庁を統合して、行革によって一つの国土交通省ができました。国土交通省になって、今までの四省庁とどこが違うのかというのが、私は、まだ国民の皆さん方に見えていない。また、私は、ぜひそういうことを目に見えるようにしていかなければ、何のための統合であったのか、結果が出なければ意味がないと思っております。

 そういう意味で、国土交通省として、何が変わってきたのか、また何を変えようとしているのか。今後何を変えていくのかという、私は、この大事な点、今私が着任させていただいている間に、その基本路線をつくっていくべきである。新たな国土交通省の、今後の二十一世紀のあり方というものを基本的に構築していかなければ、国民の皆さんにも先生方にも、国土交通省に、一本になったって変わらないじゃないか、これでは私は何の意味もないと思っております。

 私は、全国八つの地方整備局がございますけれども、それに加えて北海道、そして関東が大きいですから、北と南のツーブロックに分けさせていただいて、全国十の地域を、皆さん方に、国土交通省になってこんなに変わっていくんだということを、ぜひみんなで力を合わせてやっていこうと。今までの国土交通省の権限を地方に、その地方整備局、私は今、十と言いましたけれども、現実的には八つでございますけれども、地方整備局に権限を委譲することだけではなくて、しかも補助金も含めて地方整備局に渡そう。

 しかも、本省の補助金のうちの三割を地方整備局に配分して、みんなその地域のブロックで、ブロックによっては八つの県がまたいでいるところもございます。けれども、その地方の皆さん方と、今後の公共工事のあり方は、そのブロックの中で、どの公共工事が必要であるか、また公共工事の順番をどうするのか、ではその地方に一括して配分された補助金はどう配分していくのか、そういうこともすべて、今後、地方整備局とその地域の、地方の首長と議会と財界と、あらゆるところと相談していっていただいて、それが地方分権の私は第一歩になる。

 これが二十一世紀型の公共工事のあり方で、こちらからどうこうするというのではなくて、地方から、皆さんから意見を聞いて決めていく。

 ただ、ここに一つ要点がありますのは、私は、国が直轄でやるナショナルプロジェクトというものは、これは国土交通省本省でがっちりと、早く計画をし、そしてそれを開示し、国際社会に適応できるようなスピードアップをしてナショナルプロジェクトはつくっていくべきだ。そういうふうな分け方をしていくことで公共工事の明快な地図が描ける。それが、私がいつも言っております、全国土のグランドデザインをかいて国民に開示すると。

 しかも、私は、それを、たった一つの案を決定してするのではなくて、複数の案をつくりたい。そして、それを開示することによって、全国から、地方自治体の皆さんも、国民の皆さんからも、インターネットを通じてでも、その案のA案とB案のどっちのどこがいいのか、これは合併させて、ここのいいところといいところとをつくって、二十一世紀末の、あるいは二十二世紀を迎えるときの日本の国土がこうなるという指針を含めたグランドデザインをしていくことが、私は、公共工事の必要性と、そして公共工事の、これはやらなければならないというのと、淘汰していけるのではないかと。

 なおかつ、私は今も言っていることは、国土交通省になって新たに手をつける公共工事は、二十一世紀に入って、十年後、再び昨年のような見直しをしなきゃいけないというような工事があるというのは私は屈辱である。二十一世紀の国土交通省として新たな公共工事に手をつける場合は、十年後の見直しの枠に入るような公共工事は一切しないでいただきたいし、またするべきではない。

 それが私の姿勢の大きな基本だと思っていますので、ぜひ今後も皆さん方の、特に先生方の御協力も賜りながら、私は、二十一世紀の明るい夢を、そして達成できる夢を実現していくように努力したいと思っています。

山口(泰)分科員 ありがとうございました。本当にわかりやすい御答弁で、またこれからも、ぜひ新しくなった国土交通省のために、大臣以下皆さんの御健闘をお祈りします。

 また、今回は無理に、初めは質問できないわけであったのでありますけれども、関係各位の皆さんによりまして、時間を延長して質問させていただいたこと、本当にありがとうございました。

栗原主査 これにて山口君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本分科会の審査はすべて終了いたしました。

 この際、一言ごあいさつ申し上げます。

 分科員各位並びにまた政府の皆さんにおかれましては、本分科会の議事を滞りなく終了させていただきまして、まことにありがとうございました。ここに厚く御礼申し上げます。

 これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会




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