衆議院

メインへスキップ



第1号 平成15年2月27日(木曜日)

会議録本文へ
本分科会は平成十五年二月二十五日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      栗原 博久君    高鳥  修君
      三塚  博君    原口 一博君
      米澤  隆君    斉藤 鉄夫君
二月二十六日
 栗原博久君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成十五年二月二十七日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主査 栗原 博久君
      石田 真敏君    高鳥  修君
      松島みどり君    松浪 健太君
      三塚  博君    小沢 鋭仁君
      大畠 章宏君    原口 一博君
      前田 雄吉君    米澤  隆君
      上田  勇君    斉藤 鉄夫君
   兼務 谷田 武彦君 兼務 井上 和雄君
   兼務 後藤  斎君 兼務 石井 啓一君
   兼務 太田 昭宏君 兼務 塩田  晋君
   兼務 樋高  剛君 兼務 小沢 和秋君
   兼務 木島日出夫君 兼務 菅野 哲雄君
   兼務 原  陽子君 兼務 松浪健四郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   国土交通大臣政務官    岩城 光英君
   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君
   会計検査院事務総局第三局
   長            船渡 享向君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君
   政府参考人
   (財務省主計局主計官)  石原 一彦君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木曽  功君
   政府参考人
   (水産庁増殖推進部長)  弓削 志郎君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人              
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 古屋 雅弘君
   参考人
   (都市基盤整備公団理事) 中田 雅資君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
   予算委員会専門員     中谷 俊明君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  三塚  博君     石田 真敏君
  米澤  隆君     前田 雄吉君
  斉藤 鉄夫君     上田  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  石田 真敏君     松浪 健太君
  前田 雄吉君     大畠 章宏君
  上田  勇君     福島  豊君
同日
 辞任         補欠選任
  松浪 健太君     松島みどり君
  大畠 章宏君     小沢 鋭仁君
  福島  豊君     赤松 正雄君
同日
 辞任         補欠選任
  松島みどり君     三塚  博君
  小沢 鋭仁君     米澤  隆君
  赤松 正雄君     上田  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  勇君     赤松 正雄君
同日
 辞任         補欠選任
  赤松 正雄君     斉藤 鉄夫君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤 鉄夫君     上田  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  上田  勇君     斉藤 鉄夫君
同日
 第一分科員井上和雄君、太田昭宏君、第二分科員菅野哲雄君、原陽子君、第三分科員塩田晋君、樋高剛君、松浪健四郎君、第四分科員谷田武彦君、第五分科員石井啓一君、小沢和秋君、木島日出夫君及び第七分科員後藤斎君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十五年度一般会計予算
 平成十五年度特別会計予算
 平成十五年度政府関係機関予算
 (国土交通省所管)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
栗原主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、国土交通省所管について審査を行うことになっております。
 平成十五年度一般会計予算、平成十五年度特別会計予算及び平成十五年度政府関係機関予算中国土交通省所管について、政府から説明を聴取いたします。扇国土交通大臣。
扇国務大臣 おはようございます。
 国土交通省関係の平成十五年度予算について、その概要を御説明申し上げます。
 平成十五年度一般会計予算に計上いたしました国土交通省関係予算額は、六兆九千二百九十九億円です。
 このほか、自動車損害賠償保障事業特別会計、道路整備特別会計、治水特別会計、港湾整備特別会計、自動車検査登録特別会計、都市開発資金融通特別会計、空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれ所要額を計上いたしております。
 なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算に所要額の一括計上を行っております。
 次に、財政投融資計画については、当省関係の公庫公団等分として六兆五千三百五十一億円を予定いたしております。
 国土交通省におきましては、歳出全体にわたる徹底した見直しを進める一方、重点四分野に予算全体の七割を配分し、政策効果の高い施策へ投資を集中することにより、厳しい財政状況の中で、めり張りある予算を実現いたしました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げたいと存じます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれましては、会議録に掲載されますようにお願いを申し上げます。
 ありがとう存じました。
栗原主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま扇国土交通大臣から申し出がありましたとおり、国土交通省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
栗原主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
栗原主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。
石田分科員 おはようございます。自由民主党の石田真敏でございます。
 二点についてお伺いをさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、東京―大阪間の飛行機のシャトル便の話でございますけれども、実は、四月、五月分のダイヤというのが発表になりました。内容を見て関係者は大変驚いているわけでございます。
 二月にもダイヤの変更がございまして、このときにも、関空の利用者にとっては大変利便性が高いというふうに言われておりました八時二十分発羽田行きが七時二十分に変更になりました。関空の利用者からは大変不満の声が上がっておったわけでございますけれども、今回、引き続いて四月、五月分のダイヤが発表になりました。これを見ますと、ちょっとあいた口がふさがらない、そういうようなダイヤ変更でございます。
 いろいろ細かい部分の変更はあるわけですけれども、大きなものは、朝の七時五十分発からお昼の十五時発までの間に今まで東京羽田行きが三便あったわけですけれども、一便もなくなるということになるわけであります。もう本当にひどい状況になると私は考えるわけでございまして、もちろん航空二社にもそれぞれの経営戦略というのはあるんだろうと思いますけれども、余りにも利用者の利便性を考えていない、非常にひどい今回のダイヤではないかなというふうに思うわけでございます。
 一体、この三便は、廃止あるいは時間変更しなければならないほど収支状況が悪いのかと私は思うわけでございまして、そういうことも含めて、国土交通省としてこの変更をどうとらえておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 まず最初に、最近の航空業界における全般的な傾向を申し上げますと、先生御承知のとおり、昨今の航空需要の低迷とか燃料価格の上昇であるとかあるいはイールドの低下等によりまして、航空会社を取り巻く経営環境は大変厳しいものとなっております。
 航空各社は、このような状況の中で、より収益性の高い路線へシフトをさせることなどによって、限られたスロット、発着枠、この場合は羽田の発着枠でございますけれども、これを有効活用して収益の最大化が図れるよう非常にドライなダイヤ編成を行おうとしているところでございまして、今回の関空から羽田に向かうダイヤの設定も、会社全体の収益の向上を目指してダイヤ編成をした結果であるというふうに会社の方からは聞いております。
 関空から羽田の便につきましては、平成十四年度上期における平均搭乗率が六三%でございまして、全体の羽田便の発着の平均が六五%ということもございますけれども、それより若干下回っていますが、また路線全体としての旅客数も減少傾向にあるというようなこともありまして、航空会社の路線収支は、会社側に言わせるとなかなか苦しいということを言っております。
 ダイヤの編成は、基本的には航空会社の経営判断といいますか経営状況を踏まえて判断されるということから、私どもとしてはこれを極力尊重する立場でこれまで推移してきておりますが、ただ、今回、関空から羽田便というのは全体で十四便あるわけでございますが、その結果として前後にそれが、全日空が今回一便減便したんですけれども、前後、朝の時間帯と夜の時間帯にそこをぐっと、昼間を抜いて繰り上げ、繰り下げたということでございまして、先生おっしゃるとおり利便性の観点からは甚だバランスを欠く姿になっているという印象は否めないと思います。
石田分科員 収益性の高い路線へシフトするということを航空会社は言っている。それだけを素直に認めていけば、例えば収益性の低い各地方路線は一体どうなっていくのか、そういうような問題も起こってくるわけであります。
 また、私は、この問題については、扇大臣が伊丹の問題について大変積極的な御発言をされておられる、そういうことも航空会社は意識しておられるのかなというような、ちょっと、げすの勘ぐりみたいなことを考えるわけですけれども、大臣、この点はどうお考えでございますか。
扇国務大臣 大変大事な、二十四時間オープンという、日本でただ一空港二十四時間オープンという、初めて国際レベルに乗った空港をといううたい文句で関空がオープンいたしました。
 私は大変喜んでおりましたし、また、私が外国から日本へ帰るときも、事実私は、朝、霧が出て飛べないときに、成田が十一時以後着陸できないということで飛行機が中止されました。翌日閣議があったものですから、何としてもその日に帰るといったときに、十一時になってソウルが出発しないときに、仁川ですけれども、十一時二十分に、関空は二十四時間オープンだからといって、関空行きはちゃんと飛んだんですね。
 それから考えても、国際的に二十四時間オープンの空港がいかに大事かというのは私も身をもって体験したわけですけれども、関空をより国際空港たり得ないような状況、四月から六時間十分空白ができるなんというのは、私は国際空港としての欠陥にならないかということを大変心配しています。
 私が、伊丹を関空に、できれば伊丹を関空と神戸に、国際線と国内線のシフト、動かすべきだと言ったことに伊丹が危機を感じて、ある働きかけをしているんではないかと私も疑いたくなるような現状でございます。
石田分科員 ありがとうございます。
 先ほどからお話しいただきましたように、今回のこの変更というのは本当に私は異常だと思うんですけれども、その変更の内容を見ても、余りにも利用者の利便性というのを考えていない。私は、航空二社のお互いの顧客囲い込み戦略なんじゃないか、それに余りにも血道を上げているんじゃないかなというふうに思うんです。
 実は、ちょっと細かくなりますけれども、伊丹発の航空二社の時刻を申し上げます。午前の七時十五分と七時二十分です。七時三十五分と七時四十六分です。八時三十分と八時四十五分、九時半と九時四十五分、十時半と十時四十五分、十一時半は一本だけですけれども、十二時半と十二時半です。それから、十三時三十分は一本ですが、十四時と十四時四十分、十五時三十分は一本ですが、十六時と十六時三十分、十七時と十七時二十分、十八時と十八時十分、十九時と十九時十五分、二十時と二十時十分。
 これがなぜ利用客の利便性につながるんですか。これは、航空二社がお互いのお客の囲い込み、マイレージというので、あるところまでいくと、例えばJALならJAL、ANAならANAを使う、そういう顧客の心理を逆手にとったような、そういう顧客囲い込みなんじゃないかなと私は思うんですよ。
 それで、羽田枠というのは、全国的に、これは東京一極集中の弊害ですけれども、皆さんがとりたいということで大変な状況の中で、顧客の利便性を全く無視して、こういう二社による顧客囲い込み戦略の中で路線を決定されていったのでは我々は納得できない。そして、これはJRのときにも議論があったと思いますけれども、公共交通機関としての責務というのを一体どう考えているのか、こういう問題につながっていくというふうに思うんですよ。
 そうであるならば、今回のこの時刻設定も直前にならないとわからなかったということらしいんですけれども、やはり公共交通機関の責務、あるいは利用者の利便性等々を考えれば、ある程度事前にすり合わせというようなことを考えていかないといけないんじゃないかなと思います。
 そのことと、今のこの四月、五月分、もう公になっておりますけれども、一体どう対応していくのか、どう現状を変えていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 二点御質問がございました。
 伊丹―羽田便のダイヤ設定についての御質問がございました。
 これにつきましては、少ない羽田枠を活用して具体的にいつどこに便を設定するかというダイヤの編成は、先ほど申しましたように、航空会社の基本的な経営判断にゆだねられているところでございますけれども、御指摘の伊丹―羽田便につきましては、四月ダイヤにおきまして一日当たり約二十七便就航する非常に高密度路線でございます。
 こういう非常に需要の高密度の路線につきましては、旅客需要に対応するために需要の多い時間帯にできるだけ多くの便が集中されるという結果、結果として、ある程度ダイヤの設定が非常に近接せざるを得ないということは否めないと思います。
 御存じのとおり、伊丹―羽田便というのは年間五百万人が利用する高需要路線でございまして、これに対応して航空会社は、747であるとかB3であるとか大型機材を主としてここを運航しているところでございまして、この前半の上期の搭乗率というのは七三%という非常に過密な路線になっておりまして、そういう判断を踏まえて、航空会社はその需要の動向に応じて便を張っているということでございまして、決して囲い込みとかそういうことではなくて、まさしくそういう需要に対応した便の設定の結果であろうと思っています。
 今度は関空、伊丹のダイヤの関係でございますけれども、先ほど申しましたように、顧客の利便性、あるいは関空の持つ、大臣が申し上げました国際拠点空港、国内の乗り継ぎ利便性という観点からすると、十四便あるにもかかわらず、余りにもダイヤの偏った、バランスの悪い結果になっているということは否めないと先ほど申し上げました。
 四月、五月のダイヤはもう決まっておりますが、正直申し上げまして、事前の航空会社同士のすり合わせというのはこれまで行われてきませんでした、あくまでこれは競争政策の一環ということで。今回、しかし、利用者利便という観点から、関係の会社に対しましてその改善方を強く要請しておりまして、航空会社もこれを受けて検討してございまして、その結果を踏まえて改善がなされるものと期待しております。
 また、事前のダイヤの調整というのをできないかという御指摘でございますけれども、これはなかなか微妙な問題ではございます。しかし、利便性の確保といいますか、やはりそれぞれの空港に求められております必要性の高い空港等につきましては、ある程度そういう留意事項といいますか申し入れといいますか、そういったものを整理して航空会社にあらかじめ方針を示す等々、どんなやり方ができるかというのをちょっと体系的に考えてみたいと思っておりますけれども、全く航空会社の自由に任せて今回のような事態が二度と起こらないように、少し考えてみたいと思います。
石田分科員 航空局長さんからは積極的に対応していただけるというお話ですけれども、本当に、需要に対応してダイヤを組むというんだったら、これは公共交通機関ではないですよ。その一面も大事ですけれども、やはり公共交通機関としての責務を果たすということも私は大事だと思うんです。
 それから、先ほど局長さんのお話の中で関空十四便というお話がございましたけれども、実はことしの二月ダイヤ改正の以前は、伊丹が二十三便、関空が十六便だったんです。ところが、二月のダイヤ改正で、伊丹が二十五便、関空が十五便に、関空は一便減りました。そして今度、四月のダイヤ改正は、伊丹が二十七便で関空が十四便なんです。伊丹は二便ずつふえている。これは、一便はどこかローカル線を回してきたんだと思うんですけれども、もう一便は関空を一便ずつ削っていっているんです。この二月以前に比べて関空は二便減ることになるわけなんです、東京―大阪間。
 先ほど大臣からもお話しいただきましたけれども、関空の位置づけは一体どうなっているのか。これは、航空当局としては、国際拠点空港だ、日本の三大国際拠点空港としていくんだということを言っていますけれども、航空二社は全くその気がないんじゃないですか。これを見ていると、どうも伊丹を国際拠点空港にしたいと思っているんじゃないですか。そういうような流れではないじゃないですか。
 先ほど大臣からお話しいただきましたけれども、もう一度、関西空港というのは一体何なんだ、関西における今問題になっている三空港の位置づけは一体何なんだ、これは航空当局がもっと明快に出さないとだめですよ。
 今までの関空ができたいきさつ、これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、やはり一つは、大きくは騒音対策だったんですよ。それからもう一つは二十四時間対応できる空港がどうしても要るということで、それでわざわざ海の中を探してつくったんですよ。候補地全部、九候補地は全部海の中だったんですよ。それを今になって利便性が悪いとかコストが高いとかというのは、全く本末転倒の議論なんですよ。そういういきさつの中で、航空各社もやはり関西空港に対する期待をしていたはずなんですよ。
 そういうことを含めていくと、航空当局が関西空港に対する毅然とした位置づけをして、それを明確に打ち出していくということが私は大事だと思いますけれども、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、関西国際空港というのは、伊丹という内陸空港の宿命から、騒音問題とか、あるいは発着の制約であるとか、あるいは便数の伸びに対応できない等々の反省点を踏まえて、そして二十四時間空港の海上空港として建設された、そういう経緯を持っておりますし、私どもといたしましても、関西空港は我が国の国際拠点空港として、関西圏のみならず西日本等を中心とする国際航空需要に対応すると同時に、国内線、国際線の乗り継ぎ利便性を確保した国際都市間競争に必須のインフラとしての機能を担いながら、関西圏の国内需要にも対応する役割を期待されている、またそういう空港としてきちっと整備していかなければいけない。そのためにも、増大する需要に対応して、二期事業等も含めてきちっと整備をしていくんだ、そういう意気込みで臨んでいるところでございます。
 そういう意味で、使い勝手の面につきましてもできるだけ、国際線の誘致であるとか、あるいは国内の乗り継ぎ機能の確保であるとか、そういった面に配慮したいろいろな工夫というものをやっているところでございまして、航空会社に対してもそういう趣旨の協力依頼はしているんでございますけれども、なかなか強制的に持ってくるというわけにはまいりません。
 エアラインも含めて地元経済界とかいろいろな関係者の、関西における空港の使い分けといいますか、機能分担といいますか、連携といいますか、そういったものをどういうふうに考えて、皆さんがどうやって利用して、どうやって育てていくかということも含めて、先生御存じのとおり、地元の経済界あるいは自治体等も入れていろいろな議論、あるいは私どもの方から問題提起等を投げかけて、この問題を、関空を中心に関西三空港を今後どういうふうに運営していくんだということについての議論を今重ねているところでございまして、そういう意味で、共通認識というのを早く打ち立てて、関空の振興発展というものを期していきたいと思っております。
石田分科員 私は、もっとはっきり言うべきだと思いますよ。
 では、伊丹は今、関西空港ができた時点からどう変わったんですか。夜間の飛行制限をやっているじゃないですか。そうでしょう。つまり二十四時間対応の国際空港にはなり得ないんですよ。それから騒音問題も完全に解決したわけではないでしょう。一方でそういう制約があるわけですよ。そういう中で、やはり何としてでも二十四時間対応の国際空港、それから騒音等の環境に配慮したということで関西空港ができたわけで、そしてまたいろいろな批判ある中で、航空当局は今、二期工事を進めておられるわけですよ。
 これは何年か先にその姿が見えます。そのときまでにこの問題を解決しないと、本当に、大きなものをつくってむだなものになったということになりかねませんよ。私はこのことを、環境の問題について通告もしていませんのであれですけれども、環境の問題はまだ改善されていない、そのために毎年百億近くもほうり込んでいるわけですから、このことだけは指摘をして、伊丹の問題は関西空港建設の時点から何も変わっていないと申し上げておきたいと思います。
 時間がないので次へ進みますけれども、ただ、関西空港についても問題がないことはないんです。というのは、声として、なかなか関西空港は費用がたくさんかかるというような声が私の方にも入ってくるわけでございまして、関空の便数を高めて関空の利便性を高めるということ、これはもう当然やっていただかなければいけないことですけれども、同時に、関空の周辺の整備といいますか、これも必要なんではないか。
 私がぱっと思いつくだけのことを申し上げますと、まず、環境に対応して五キロ沖につくったために、その連絡橋は千七百三十円要るわけです、車の往復で。これが、対伊丹で比べると、やはり確実に上乗せされているということになります。それから、当然そのことも影響して、リムジンバスということになっても、梅田―伊丹間が六百二十円に対して、梅田―関空が千三百円要っている、こういうこともあります。それからJRの場合、梅田での乗り継ぎがもう一つうまくいっていないとか、そういうような問題があるわけです、これ以外にもあるかもわかりませんけれども。
 これらの問題を二期工事が完成するときまでにやはり解決していくという方向が大事だと私は思うんですけれども、航空当局、このことについてどう考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、関西空港の発展、利用の拡大等を図っていくためには、アクセス等費用の低廉化等々の問題を解決していかないとうまくいかないということを私どもも認識しているところでございます。会社側におきましてもこれまで、橋の料金について割引の料金とかそういったものを設定したり、いろいろやっていますけれども、まだまだ不十分、いろいろな御批判というのは、多々御指摘等をいただいているところでございます。
 この辺につきましては、もうくどくど申しませんけれども、なお一層の努力が必要であるということは空港当局も私どもも認識しているところでございまして、そのための創意工夫等、運送会社も含めまして、いろいろ検討し指導していきたいと思っておりますし、また私ども国土交通省といたしましても、会社の収入に与える影響等も勘案しながら、引き続きそのための方策というものの検討を行っていきたいと思っております。
石田分科員 関西空港の問題についてはこれで終わりますけれども、この問題を本当に一刻も早く解決をしていただかないと、改善をしていただかないと、関空の採算は一層悪化すると思います。と同時に、関空の地位低下を引き起こすことになると思いますので、本当に早急に対応していただきたいということをお願いしておきます。
 次に、地元に紀伊丹生川というのがございますけれども、そこでダムの建設計画が中止になりました。これは昭和五十四年に予備調査が始まって、中止になったのが平成十四年八月ということで、二十四年間、延々とさまざまな調査をしてきたダムでございます。
 大阪側あるいは和歌山市の利水が少し計画を下げたという中で、費用対効果からいって、一以下になったということで中止をせざるを得ないということになったわけですけれども、中止ということになると、簡単のようですけれどもなかなか大変でございまして、地元のさまざまな問題が出てくるわけでございます。
 これから国の方でもダム等の見直しということが世の中の流れの中で起こってくると思いますけれども、この問題について、時間がありませんので申し上げますけれども、国の責務、国が主体的にどう対応されるのか。あるいは、今後新しいダムの中止等が起こった場合に、やはりルールをつくっていかないと、その都度その都度混乱が起こるのではないかなというふうに思うわけですけれども、そういうことについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
鈴木(藤)政府参考人 紀伊丹生川ダムの建設計画中止に伴います国の役割、それから、そういったことに関連する新たなルールづくりについてのお尋ねでございました。
 御指摘のように、このダムは昨年、中止ということにしたわけでございますが、この計画の中止に伴いましてダム関連地域の地域振興対策が、地元から要望がたくさん出されております。地域の皆様の御意見、御要望をよく伺った上で対応することが大事である、これがまず基本的な認識でございまして、そのために、近畿地方整備局が事務局となりまして、和歌山県、関係市町、橋本市、九度山町、高野町でございますが、皆様方の参加をいただきまして、旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会を昨年九月十日に設置しまして、地域振興対策に関する検討、協議を進めることとしております。
 要するに、ダムは中止いたしましたが、それに関連する地域振興策等について国としてきちんとした責任を果たしていこう、そのために関係県市の御協力も得ていこう、こういうことでございます。
 なお、これに関連しまして、新たなルールづくりが必要ではないかという御指摘の点でございますが、その問題については私どもは、個別の事業ごとに、個々の状況に応じて適切な対応が図られるべきものと考えているところでございまして、きちんと各ダムごとに対応していくということを基本に考えてまいりたいと思っております。
石田分科員 もう時間がございませんので、実は、具体的な問題についての対応もお聞かせをいただきたかったわけでございます。それは今回は控えさせていただきますけれども。
 簡単に申し上げれば、水没予定地域の皆さん方、住民の皆さんは、もう二十四年間も、畑にも手を入れない、山にも手を入れない、家にも手を入れないというような荒れ放題です。それから、地元の市町村もこういう問題にかかわって本当に経費をたくさん使ってきているわけですね。あるいは、これからの地域振興のお話を地元にもしてきているわけです。さまざまな費用を使ってきた。こういう問題について、やはりどういうふうな形で対応していけるのかということです。事業予算ではないわけですね。事業予算ではない財源対策ということが必要になってくる。
 そして、これは事紀伊丹生川ダムだけの問題ではなくて、これからそういう問題が起こったときに、すべてのダムにかかわって起こってくる問題ですので、こういう問題についてきちっと対応しなければ協議が前を向いて進まないというふうに思いますので、これはもう時間が参りましたので要望だけにとどめますけれども、その辺を十分踏まえて対応をしていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
栗原主査 これにて石田真敏君の質疑は終了いたしました。
 次に、木島日出夫君。
木島分科員 日本共産党の木島日出夫です。
 最初に、ダム工事に係る談合問題についてお聞きいたします。
 委員長のお許しをいただいて、私が作成した資料を配付させていただきたいと思います。
栗原主査 はい、どうぞ。
木島分科員 また、御列席の委員の皆さんには、長野県知事に出された調査報告書を参考資料としてお渡ししたいと思います。
 本年一月三十一日、長野県公共工事入札等適正化委員会は、浅川ダムにおいて、「あらかじめ、入札参加者間で談合が行われたものと判断する。」との結論の浅川ダム入札に係る談合に関する調査報告書を田中康夫県知事に提出をいたしました。
 本文二十一ページの短い報告書でありますが、国土交通大臣はお読みになっているでしょうか。お読みになっているかどうかだけ。
扇国務大臣 これは、国土交通省に届いたものではございませんで、きのう読むようにというお話があったそうでございますけれども、手元になくて、それで長野県のあれを起こしてとったという話でございますので、けさ車の中で、ゆうべ夜中に何か長野県のインターネットからとってきたということでございます。
木島分科員 ごらんになっていただきたいんですが、非常に見事な文書ですから、読んでいただきたいと思います。
 長野県の適正化委員会は、山崎建設株式会社から、問題の例の山崎文書の存在や作成を否定されました。そして、入札関係建設業者からすべて談合の事実を否定されました。そのことを調査の出発点として、山崎文書に記載されている事実などを基礎にして、情況証拠や間接事実を丹念に積み上げて、浅川ダム入札について談合が存在したと結論づけたものであります。それがこの報告書であります。非常に見事な事実の積み上げだと私は思います。
 そして、最後の結びのところで調査報告書も述べております。二十一ページでありますが、このような手法、直接証拠はないが、情況証拠、間接事実を積み上げて談合を認定するというこのような手法は、私の知っている限り、いまだ我が国の公正取引委員会のとるところではありませんが、ここにも書いてありますように、我が国の裁判所は既にこのような手法を採用しております。その例が、平成十三年七月五日、津地方裁判所の住民訴訟事件の判決であります。
 私は、このような手法、情況証拠、間接事実の積み上げによって談合の事実をきちっと認定して、我が国の公共工事から談合を根絶すべきだと考えますが、まず、この文書ではありませんから、一般論としてお聞きします。
 こうした手法による談合の認定について、国土交通大臣、公正取引委員会は、どのように評価するか。それはこの長野県の知事に出された調査報告書の評価に関するんですが、簡潔に御答弁をそれぞれ願います。
扇国務大臣 昨日夜遅くでございましたけれども、木島委員からこれを読むようにという御連絡もいただいたようでございまして、これは私の手元には、きょうは長野県のホームページからこれを起こしてきたものでございます。
 私もざっと読みまして、もっと違うところで私は大変びっくりしたものもあります。それは、元の建設大臣の、談合の仕組みを延々と元総理から教わったというくだりの方が私はすごいショッキングだったんですけれども、今御指摘の文につきましては、今回のことは、きのうも共産党の瀬古議員から委員会でこのことに関してお尋ねがございました。
 私は、もともと談合なり丸投げなりはあってはならないことであるし、そのために日本で初めて、一昨年の入札と契約に関する適正化法、これは全党賛成してつくっていただいて、賛成していただいて通りました。私は、本当にこのことがよかったなと。
 そして、あの法案の中に、第三者委員会をつくってきちんとそういうものを検査しなさい、そしてそれがもしも疑わしき場合は公取に通知しろと義務づけが書いてあります。
 今回の長野県に関しましては、この第三者委員会が綿密にしていただいて、公取に通知をして、公取の検査が入ったということは、私は、やっと入契法の適用が各地方にも行き届いたな、私が昨年の四月から適用されたことに対して全国に通知を出したことでやっとこういう事例が出てきたということで、これでますます談合とかあるいは丸投げ、そういうものが一掃されれば、あの法案を通した意義があったと思っていますので、今回のことに対しては大変高く評価をしております。
 今後、この材料に基づいての判断は公取の判断にお任せするとして、私は、このことがあったこと自体が大変喜ばしいことだと思っております。
鈴木(孝)政府参考人 お答え申し上げます。
 長野県が設置いたしました第三者機関が情況証拠の積み重ねにより談合があったと認定したことにつきましては、民事裁判例の中にそうした手法によって損害賠償請求等を容認したものが存在することを前提にしたものと承知しております。
 しかし、公正取引委員会が、個別具体的な事案について独占禁止法上の不当な取引制限……(木島分科員「個別の質問じゃないです、一般論」と呼ぶ)一般論としまして、該当すると判断するためには、要件事実の一つといたしまして、事業者の間での競争制限的な合意形成を立証する必要があるところでございまして、単に落札率の扱い等の情況証拠の積み重ねのみでは、公正取引委員会として行政処分をとる判断を行うことはなお困難であると考えております。
木島分科員 国土交通大臣の方は、私の質問には直接答えられませんでした。直接証拠がない、談合の事実を、自白を談合業者からとることはできない、そういう場合ですね。自白なんかしっこないんですよ、検察から逮捕されなければ。しかし、間接証拠の積み上げによって談合を認定する、そういうのを今回やったんです。それについて評価を聞いたんですが、まあ結構です。
 今、公正取引委員会は相変わらずそういう手法を否定しております。こんな態度では我が国から談合なんかなくなりはせぬと、厳しく私は公正取引委員会の今の答弁を批判したいと思います。こんな態度を変えてほしい。もう日本の裁判所は変わっているんですからね。時代おくれに公正取引委員会はなりますよ。
 このような談合が国と地方の財政をどのようにむしばんでいるか。私は資料を作成してまいりましたので、ごらんいただきたいと思います。
 私作成の、浅川ダム入札談合調査報告書で分析対象となった二十二の全国各地のダム工事におけるいわゆる談合利ざや推計計算書と題する文書であります。
 これは、調査報告書が浅川ダム入札を談合と認定する基礎資料にした二十二のダム、ここに一覧されております二十二のダムの工事入札の予定価格、落札価格、落札率、これを私が調べて一覧表にしました。
 それから、その中で二つだけ談合が成立しなかった、競争入札がまともになされたのが二十二番の山梨県の琴川ダムと十九番の福井県の浄土寺川の二つなんですが、談合が成立しなかった琴川ダム並みに落札率が予定価格の六三・七%だったと、これは仮定です、私が仮定した場合、二十二のダムの落札価格とのいわゆる談合利ざやの金額、一覧しております。
 これは抽象的な数字ですが、仮に落札率が八〇%で落札されたとした場合の落札価格とその場合の談合利ざやはどのくらいになるか、私が計算したものであります。ごらんのとおりです。
 驚くべきことに、琴川ダム並みの入札、落札がされていれば、現実の落札価格に比較して、わずか二十二のダム工事全体合計で、合計六百億円の国と地方自治体の財政が節約できるということになるんです。私も大変びっくりしました。談合が国と地方自治体の財政をどんなにむしばんでいるか、明瞭であります。
 調査報告書十五ページをお読みになっていただきますと、浄土寺川と琴川入札は、競争が行われた例であり、かつ、この入札価格は決して異常なものではなく、入札参加者間に自由競争が行われていれば実現したはずの落札率にほかならないと述べておるんです。
 確かに低いですよ。全体が、九九・何%なんという落札が現実のものが非常に並んでいる中で、琴川ダム六三・七七%、浄土寺川ダム六九・六三%。二つだけ異常なんです。しかし、これは、数字は低いけれども、分析した結果、決して異常ではない、自由競争が行われたんだということを、この調査報告、検討委員会はきちっと事実を確かめた上で、こう記述をしているわけであります。
 そこで、国土交通大臣にお聞きします。
 この二十二のダム工事における、これは私の分析資料ですが、琴川ダム並みにやっていれば、談合による利ざや六百億円というこの現状、どう思われますか。
扇国務大臣 国土交通省として、本年の大きな目標に挙げておりますことは、できるだけ事業の適正価格、そしてむだを省くというのが省としての基本的なことでございますから、私は、今おっしゃったことですべてが談合だということは私には言い切れませんけれども、情況証拠ということを今おっしゃいましたけれども、木島先生のおっしゃる、情況証拠としては、疑わしいことは確かになきにしもあらず、私も、第三者的な言い方をしますと、そう思います。
 こういう談合というものをなくすために我々は努力してきているんだと私は思いますので、これだけのむだが実際にあったかどうか、改めて、これは公取にあと調べていただくしかないわけです。私たちはそのために法律をつくって、また、今、長野県のホームページで挙げました五ページというのを、きっと御存じだろうと思いますけれども、過去の政治家でこういう談合表があったということ自体も私は大変不思議なことだと思っていますので、まず、その姿勢をなくしていくということが私の今の最大のやるべきことだと思っています。
木島分科員 大臣はちっとも質問を聞いていないですね。質問にまともに答えていないですね。
 私は、この調査報告書は、琴川ダムの落札は自由競争が行われた結果である。異常な落札率ではない。六三・七七%、異常ではない。逆に、ほかがみんな九十何%なんというのは異常だと言っているんですよ。だから、私は、現実に行われた落札を琴川ダム並みに六三・七七%、これは仮定ですよ、それ並みに落札が行われていれば、それでも工事はまともにできるんだというんですから、そうだとすれば、二十二のダムで六百億円お金が浮いたではないか。
 もういいです、時間がもったいないから。まともに答えない。しかし、そういうことだけ私はきちっと指摘をしておきたいと思います。
 次に移ります。
 調査報告書が長野浅川ダムの入札を談合とした決定的な決め手は、報告書十六ページにも詳しく分析しておりますように、工事費内訳書の分析であります。浅川入札における各ジョイントベンチャーの工種中項目の県積算比と落札率の比較図、これを見ればもう一目瞭然であります。
 要するに、工事費内訳書を分析すれば、落札本命事業者以外はまともに工種ごとの積算などしていないということが浮き彫りになるんです、この表は。
 したがって、談合をなくそうと思うなら、入札に当たってこの工事費内訳書の提出を求めればいいんです。極めて簡単なことではないでしょうか。金も手間もかからない、談合の証拠が保全されるんです。内訳書を提出させればいいんです。
 ところが、驚いたことに、よく聞いてください、これまで国も地方自治体もこの工事費内訳書の提出を求めてきませんでした。提示にすぎませんでした。
 いいですか。提出と提示というのは、日本語として似ているように思いますが、根本的に違うんですよ。提示では、談合認定の最重要証拠、工事費内訳書を本人、業者に返してしまうんですよ。提出というのは、提出させて談合の証拠を発注者が保全することができる。全然違うんです。
 ですから、これまでの提示という仕組みでは、私は、国や地方自治体が、言葉は悪いけれども、談合の証拠隠滅に手をかしたと言いたくなるわけであります。
 そこで、国土交通大臣に是正を願いますが、速やかに入札に関する制度を改正して、少なくとも、国や国に準ずる機関や都道府県の入札については、工事費内訳書を提示ではなく提出させ、この面から談合を根絶するべきではないですか。どうですか。
扇国務大臣 先ほどから、答えていない、答えていないとおっしゃいますけれども、私たちは、基本的な姿勢を確立しなければ談合というものはなくならないということで申し上げました。
 それから、今お話がございました琴川ダムあるいは浄土寺川ダムに関しましては、低廉過ぎないかということでダンピングの疑義があるということで調査に入ったことも事実でございます。まして、今おっしゃったような積算基準というものは既に公表されておりますから、そういう意味では、その価格に近くなるということもこれはあり得るわけでございます。そういう意味で、安いからこれが適正である、あるいはダンピングしても仕事をとりたいというのが今の業界でございますから、少なくとも、安ければいいということでもないということも基本的なこととして皆さん方に私は言っているわけですから、それで、安いからこれが正しくて、高いからこれが談合だとは言い切れないということだけは御理解いただきたいと思います。
木島分科員 そんなことは全部ここで分析済みなんですよ。琴川ダムも浄土寺川ダムも、六十何%なんという入札率は低価格入札で、仕組みの上で調査の対象になる。調査されたんですよ。調査の上で、業者から、それは大丈夫なんだ、全然ダンピングじゃないんだという確証を得て、二つのダムは発注されたんですよ。それでまともに工事をやられているんでしょう。だから、今の大臣答弁は反論にならないんですよ。(扇国務大臣「いや、反論じゃない」と呼ぶ)いや、答えませんね、提示ではなくて提出させたらどうかと。もう時間がもったいないから、いいです。
栗原主査 三沢総合政策局長、大事な点ですから最後まで答弁聞いてくださいよ。
木島分科員 簡潔に答えてください。
三沢政府参考人 いわゆる工事費内訳書につきましては、入札契約適正化法に基づく適正化指針の中で、発注者は、入札参加者に対しまして入札金額とあわせて工事費内訳書を提出させるよう努めるものというふうに定めております。
 ただ、この場合、いわゆる小規模な工事まですべて提出を義務づけるというのは、なかなか、やはり中小建設業者の負担も大きくなるということで、難しい面がございます。したがいまして、当面、やはり規模の比較的大きい工事から、できるだけこういう内訳書の提出を求めていただくようにするということが非常に適切であるというふうに考えております。
 ただ、これも、発注者によって発注量であるとか内容とか執行体制に差がございますので、なかなか一律の対応というのは難しい面もございますけれども、今後とも、発注者の実態も踏まえながら、適正化指針に基づく措置がきちんと講じられるように、財務省、総務省等の関係省庁とも連携しながら、きちっとした指導をしていきたいというふうに考えております。
木島分科員 昨年、平成十四年十月三十一日、国総入企第三六号、総行行第二〇三号で、国土交通省総合政策局長と総務省自治行政局長連名で、各都道府県知事に対して、「公共工事の入札及び契約の適正化の推進について」と題する通牒が渡されているんです。
 その中の2、「公正な競争促進のための入札及び契約の方法の改善」があります。その中の(2)、「入札時における工事費内訳書の提出等の促進による談合等不正な入札の防止等」とあります。文章を読みますと、「各地方公共団体は、入札時における工事費内訳書の提出又は提示を推進し、談合、ダンピング等の不正な入札の防止に努めること。」とありました。
 ですから、この通牒は、確かにこれまでの提示だけだったものを「提出又は提示」になっていますから、私も一歩前進だと評価しますよ。しかし、「又は提示」じゃだめなんですよ。提示なんてやめたらいいんですよ。全部提出させればいいんですよ。業者はつくったんですから、つくるんですから、何も持ち帰らさなくて、証拠を保全したらいいじゃないですか。これはもう要望だけしておいて、もっと一歩前進した通知あるいは通達をきちっと出していただきたい。
 時間が迫ってまいりましたので、二つ目の問題に移ります。
 信濃川の河川敷問題であります。新潟県の長岡市にある信濃川河川敷、千秋が原と言っています、南側の土地利用問題について聞きます。
 この土地は、田中角栄元総理の地位利用疑惑問題として国会でも大問題になった土地であります。ですから、その結果、その土地利用は公益的なものでなければならぬという制約がついた土地であります。
 もうはしょりますが、大臣は覚えておられると思います。一昨年、平成十三年六月五日、参議院国土交通委員会で我が党の緒方靖夫議員の質問に答えて、「信濃川河川敷問題につきましては、三木元総理大臣が示されました考え方は国民の納得のいく措置をとると、こういうことでございますので、私もそういうふうに理解しておりますし、当然この考え方は今後も継続するものと認識しております。」と答弁しております。
 要するに、公益利用が必要なんだという三木三原則、そして覚書、そしてこれを担保するための河川局長から長岡市に対する通知、通達、この基本的立場は現在も維持されている、間違いないですね。
扇国務大臣 変わっておりません。
木島分科員 そこで、現在、この土地については、いわゆる土地所有者である、田中ファミリーと称される企業である室町産業株式会社と長鉄工業株式会社から、たしか大型店ユニーの出店を中核とした土地利用計画変更案が長岡市長に出されています。それを受けて、長岡市長は、昨年、平成十四年十月二十二日、国土交通省河川局長あてに、いわゆる覚書、通達に沿って協議の要請が出されております。
 これに対して、回答として、昨年、平成十四年十月二十九日、河川局長は、長岡市長に対してこういう回答を文書で出しています。「標記については、まず、土地利用計画変更案について広く市民の意見を聞くとともに、都市計画マスタープランと整合のとれたものとすることが必要と考えられるため、これらについて措置されるよう要請いたします。」そういう文面であります。
 土地利用計画変更案というのは業者からの計画、長岡都市計画マスタープランというのは市の三年かけてつくり上げた立派なマスタープラン、それをまず整合性をとるようにしろという回答でありました。
 そこで、これは河川局長に聞きます。
 整合がとれたものとすることが必要とはどういう意味ですか。どちらをどちらに合わせろということをあなた指示したんですか。
鈴木(藤)政府参考人 要請の趣旨について、整合性についてはどちらをどうするのかというようなことに関連しましてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、私どもが文書を返しておりますが、土地利用計画変更案と都市計画マスタープランとの間で整合のとれたものとするように要請したものでございまして、どちらを優先にとか、整合のとり方の中身まで強制するということではございません。あくまでも整合をちゃんととってくださいということを要請したものでございます。
木島分科員 私も、この局長が長岡市長に出した「千秋が原南側部分の利用計画の変更について(要請)」と題する文面をまともに読めばそのように受け取れます。
 確認しますが、決して、この局長の長岡市長に対する回答文は、二つの田中ファミリー企業が計画をしている土地利用計画変更案を絶対なものとして、こちらの方に長岡市がつくった都市計画マスタープランを合わせなさい、そんなことを指示している文書じゃないと。確認をしますが、いいですね。
鈴木(藤)政府参考人 先ほど申し上げたとおりでございますが、その中身についてこちらとして強制する意思はございません。整合性をとってください、文書に書いているとおりでございます。
木島分科員 質問は、土地利用計画変更案を基本にして、こっちの方に長岡の都市計画マスタープランを合わせなさいということを指示した文書ではないですねということ、確認です。
鈴木(藤)政府参考人 理屈としては三通りぐらいの方法があると思います。おっしゃるような方向、逆の方向、両方とも変更する方法、三つ考えられると思います、頭の中では。いずれをどちらにどうしろということを指示したものではございません。
木島分科員 大変大事なことが確認をされました。
 なぜかといいますと、実は、長岡市は、この局長からの通知をねじ曲げまして、国土交通省河川局長はファミリー企業が計画をしている土地利用計画変更案の方に長岡市の都市計画マスタープランを変えて合わせなさいということを指示されたかのごとき態度に出てきているんです。
 それを示すのが昨年十二月の長岡市の出した市政便り十二月号なんですよ。これを見ますと、こういうことが書いてあるんですよ。読みますよ。「国から、総合的なまちづくりの観点から、あらかじめ都市計画マスタープランの見直しを行うよう要請がありました。」と書いてあるんですよ。違いますわね。大臣も首を縦に振っておりますから。
 先ほどの局長答弁は、そんなことを決めつけたわけじゃない、三通りあるかもしらぬと。長岡市のマスタープランの方に業者の計画を合わせる、業者の方の案に長岡市のマスタープランを合わせる、両方で少しずつ変えて一致させる、三通りあると。
 しかし、現に長岡市はこんなねじ曲げた報告を市民に対してばらまいているんですよ。きのう私は、この十二月号市政便りを国土交通省河川局長としてもしっかりとって、これに対する措置をとってくれと頼んできましたが、どうですか。
鈴木(藤)政府参考人 何度も繰り返しになってしまいますが、要は、整合のとれたものとするよう要請したということでございまして、この整合をどのようにとるかということについては市が判断されるべきものであり、その整合のとり方をどのように市政便りに記載するかということについてまで私どもは関知いたしません。
木島分科員 明確な答弁なんですよ。しかし、ねじ曲がったようなことが進んでいるんですよ。
 これは、私の手元に、平成十四年十一月二十七日、議員協議会資料、要するに、長岡市議会の議員協議会に市から出された文書ですよ。「千秋が原南側部分の土地利用計画変更について 国土交通省からの要請について」、中にこんなこと書いてあるんですよ。「国土交通省では、様々な観点から検討が行われたということでありまして、先般、総合的なまちづくりの観点から、都市計画マスタープランとの整合性をあらかじめ図るようにとの要請を受けました。 この要請を受け、市では、これまでにいただきました市議会からの御意見、商工会議所からの御意見なども踏まえまして、都市計画マスタープランの見直しを先行して行うことにいたしました。」要するに、先ほどの市政報告の方向ですよね。国からそんな指導を受けちゃっているんだと。まず長岡市のマスタープランを変えなさいよと指導されたかのごとき、ねじ曲がったような行政行為が続いているんです、現に。これは是正させるべきじゃないですか、大臣。
扇国務大臣 国から、今河川局長が答えましたとおり、担当者として公正、公平な答弁をしたにもかかわらず、それを曲げるということが事実であれば、私は許しがたいことだと思います。
 また、あの当時三木元総理がおっしゃいました、国民の納得いくような措置をとるという覚書もありますから、そういう意味では、例えば五百円で買ったものを五十万で売るなんというのは、私は国民の納得いく措置ではないと思いますので、もしもそういうことが事実であれば、今初めて私は聞きましたので、局長に厳命をして確かめるようにさせたいと思います。
木島分科員 時間ですから、終わります。
栗原主査 ちょっと待って。いいですか。ちょっとお待ちください。
 河川局長、もう少し明確に答弁してください。誤解されている面がありますよ。答弁が誤解されていないかどうか明確に答えてください。(木島分科員「大臣の答弁は明確です。もういいです」と呼ぶ)委員長職権だ。もう一度。今の大臣答弁でよろしいんですか。もう一度局長答弁。
鈴木(藤)政府参考人 先ほどから、私としては答弁してまいったとおりでございます。
木島分科員 いいんですよ。私はよくわかりますよ。
 最後に一問。では、確認しますが、これは河川局長でいいです。
 国土交通省河川局長としては、現在、土地所有者からのいわゆる土地利用計画変更案にあるユニー出店を中核とする土地利用、このあり方が、いわゆる三木総理三原則、七七年九月二十七日のいわゆる覚書、七七年十月三十一日の河川局長の長岡市長あての通知のいわゆる公益的利用に合致しているんだと判断しているのか、いまだそんな判断はしていないし、判断作業もしていないんだということなのか、最後に答弁願います、現時点の。
鈴木(藤)政府参考人 あらかじめそういった判断に基づいてとかということではなくて、文書にございますように、まず「広く市民の意見を聞くとともに、都市計画マスタープランと整合のとれたものとすることが必要と考えられるため、これらについて措置されるよう要請いたします。」先ほど委員からも御紹介ございましたとおりでございまして、そういったことに基づいて整合性のとれた土地利用計画変更案というものが出てまいりますと、その結果を見て検討を行うこととしております。
木島分科員 終わります。終わりますが、長岡の現地では、河川局長からの趣旨が曲がって、行政行為が市長を中心にして進んでいます。大臣はそれは毅然としてやるとおっしゃいましたから、私は引き続きこの問題を要請いたしますので、きょうのところは質問を終わります。
栗原主査 これにて木島日出夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浪健四郎君。
松浪(健四郎)分科員 おはようございます。保守新党の松浪健四郎でございます。
 私は、きょうは関西空港全般についてお尋ねをしたい、こういうふうに思っております。
 関西空港は、今、二期工事が真っただ中でございまして、国土交通省の多大なる御尽力をいただいて、予算を計上していただいております。
 そういう状況のもと、今、埋立工事が順調に推移している、こういうふうに思っておりますし、この前、現地を視察しますと、もはや滑走路の埋め立てが大体終わっております。説明によりますと、おおむね七割ぐらいの埋め立てが終わっておるというようなことで、順調に推移していることを大変うれしく思うわけであります。
 関西国際空港ができる折に、大阪府も多大な投資をいたしました。それは、沿岸の海を埋め立てて、りんくうタウンというものをつくったわけであります。このりんくうタウンに、いろいろな会社であるとかお店であるとかそういうようなものを誘致して関空の活性化に資する、また、新しい魅力あるまちづくり、そして関空の集客力のために使っていこうというようなことでの開発が進められてまいりましたけれども、バブル崩壊後、この計画が計画倒れになっておるというのが現状でありまして、結局、関西空港周辺は市場にはならない、集客能力を持たない、そういうような状況であります。
 しかし、いろいろと工夫されてまいりました。例えば、青年会議所の若い人たちは、このりんくうタウンを使って自動車レース、こういうようなものを企画することができないだろうか、あるいは、空港の目の前にありますチェルシー・ジャパンというアウトレット、これを大きくいたしまして、たくさんのお客さんを迎えることができるようになって、今、繁盛しておりますけれども、いろいろな形でこの地域の活性化と、関空周辺の市場、これは首都圏の市場に比して需要が乏しくて収益性がないということで、このことが私は関空のある意味では足を引っ張っている一面もあろう、こういうふうに思っておるわけであります。
 そこで、和歌山であるとかあるいは泉州地域には観光地、名所がたくさんございます。これらをうまく生かして、そして何とか関空を守り立てていかなければならない。しかし、余り努力されていないんですね。和歌山県が、関空会社と大阪府、また、地方の自治体と一緒になって、本気になって観光資源開発をしルートを開発しようじゃないか、こういうような努力、これがほとんど見られない、大変残念に思っております。
 そして、対岸には大きなスーパーマーケットがございますけれども、このスーパーマーケットにたくさんの観光バスが来るようになりました。この観光バスはどこから来ているのかといいますと、関空を使った台湾からのお客さん、香港からのお客さん、あるいは韓国からのお客さんが、ここにあるレストランのバイキングを使って食事をとる、そして買い物を楽しむというような企画で、結構、このスーパーマーケットに国際旅行客が訪れるようになってまいりました。これも一つの工夫である、こういうふうに思っております。
 私の言いたいのは、他の空港と違ってこの国際空港は、とにかく周辺の開発そして発展、これを見なければ関空がうまくいかない。そのための努力、そしてまた国としての協力、指導、これらも必要だ、こういうふうに私は考えておりますけれども、これらについての御感想をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 松浪議員がおっしゃいましたように、関空の有効活用、これだけ、先ほども御質問がございましたけれども、国際空港、二十四時間オープンという売り物にした割には周りが寂しい。また、今、対岸のこと、りんくうタウンのことをおっしゃいましたけれども、空港の中身自体も、私がいつも利用しまして、空港のチェックイン、チェックアウト、その出たところにデパートとホテルがあるんです。そして、商店街があります。まさしく閑散としているんですね。私は本当にもったいないと思います。
 それは工夫がないからなんです。国際空港であれば、どこでも、どこの国でも、途上国はもとより、先進国は当然ですけれども、デューティーフリーがあったり、あらゆる面でにぎわっております。飛行機に乗らなくても、そのためだけに空港へ行く人もいる。夜景を楽しむ。
 また、関空の位置からすれば、あそこの上で、それこそサンセットを見る食事会とか、ティーラウンジとかバーとかあれば、サンセットを見る絶好の場所なんですね、海ですから。そういうことも勢いがない。
 これは、私は大変嘆いておりまして、何とかできないかということも言っておりますけれども、できれば地元の皆さんあるいは大阪、和歌山県も含めて、そういう関空の再活用ということをもう一度考えていただきたい。そういうことで、私は、懇談会でもつくっていただいて、特に松浪議員、地元でいらっしゃいますから、新たな二十一世紀型の関空のあり方というものを基本的にお考えいただいたら大変ありがたいと思っております。
松浪(健四郎)分科員 大臣のおっしゃるとおりでございまして、空港の中も寂しい。この第一は、何だかんだといいましても、あの連絡橋の通行料の問題。もちろん関空会社は大変努力をされまして、今、千七百三十円、大分下げていただきました。そして、記念日等には無料にしていただく。無料の日は物すごい通行量なんですね。ということは、あの関空は、通行料の値段いかんによっては相当なお客様が空港を訪れる。そうすることによって、中にあるデパート、そしてホテル、これらもにぎわいを見せるであろう、こういうふうに思うわけですね。
 同時に、その通行料だけがネックになっているのかと申しますと、駐車料金もちょっと高く設定されているんじゃないのか、こういうふうに我々は思っております。恐らく市場価格よりも高いんじゃないのか。
 その証拠には、あの発着するところの道路、これはずっと車が並んでいるんです。なぜかというと、お客様が外国に旅行する前に対岸の駐車場に車を預ける、そして、戻ってきたときにその車を空港に運んでもらう、そして、客を待っているわけですね。ですから、大変な混乱を来す。警察も見回りを厳しくしておりますけれども、いずれにしても、空港内の駐車場が使われていない。これは空港会社ばかりの責任ではなくて、自治体も深くかかわっておることは承知しておりますけれども、これらもやはり本気になって見直さなければならない。
 それと、あの泉州地域というのは、皆さん御存じのように、だんじりのメッカであります。この祭りを空港の中でやろう、そういう企画力があればやれる。そして、あの祭りを見に行こうということで全国から集めることは可能であります。そういう努力の姿勢も見えませんし、また、泉州地域は盆踊りでも有名なんですが、これらも企画しようとしない。
 もちろん、チケットカウンターの後を写真展をやったり、そして、今度はウズベキスタンの売店をつくったり、空港会社が一生懸命努力している面もある。ところが、あれだけの景観を持ちながら、デートスポットにもなっていない。工夫すれば幾らでも名物になる空港としての要素があるにもかかわらず、その努力、そして、利用者が、行ってみよう、関空というのは楽しいぞ、そういうふうな魅力ある空港にしないがゆえに、利用者離れに拍車がかかっているんじゃないのか。
 このような現象、これを国交省としてはどう考えているのか、大臣並びに航空局長にお尋ねしたい、こう思います。
扇国務大臣 今おっしゃったように、関空の利用度がもっとあるにもかかわらず、活用されていない。しかも、第三セクターをわざわざつくって第三セクターで運営しているにもかかわらず、民間が入っているわけですね、第三セクターで、財界が。どうして財界の知恵を出せないのか、これも私はクエスチョンマークでございます。
 ですから、第三セクターだと、今、松浪議員がおっしゃったように、私はもっととっぴなことを考えています。それは何かというと、今おっしゃった、真ん中のあの橋を渡って千七百三十円、こんなものは、今までの旧運輸省、旧建設省の競争意識の原形だと私は思っています。しかも、タクシーに乗って、御存じでしょうけれども、私なんか、タクシーで行きますと、あれは往復で千七百三十円だからと領収書をくれないんですよ。お金だけ取るんです。こんなばかなことがあるなんというのは、私は、あそこをもっと廉価にするか、あれは空港の附属物だといってただにする。それが国土交通省のあかしだ、そこまで私は言っていますけれども、いまだに返事がありませんから、あとは局長に答えていただきますけれども、それくらい私は考えています。
 また、今おっしゃった、真ん中に、搭乗口の前にあるホテルも商店街も閑散としていますから、だったら、今おっしゃったりんくうタウンに持ってきて、対岸から全部チェックイン、箱崎のように、全部チェックインしてシャトルバスで搭乗口に連れていったらどうだ。そこまで私は、第二期工事の完成までに何らかの知恵を出さなければいけない。しかも、空港の駐車場が高いというよりも、千七百円を何とかしなければいけない。その方が私は先決だと思っていますし、そういう知恵も、第三セクターであるならば第三セクターらしい知恵を私は出していただきたい。でなければ二期工事をする意味がないので、大変私は今残念だと思っています。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 国土交通省といたしましても、御指摘の空港連絡橋通行料などは、まさしく関空の利用促進を図る上での重要な要素であって、必要な検討を行って早期に対策を講ずべきものだというふうに認識しています。これはもう今大臣が答弁されたとおりに、大臣からも強い御指示を受けているところでございます。
 ただ、弁解するわけではございませんが、関空は、海上空港をつくったということで多大の建設費がかかった。橋もそうでございまして、そういう意味で、原価回収を図れるように通行料金を徴収しているから、それが千七百三十円という高いものになっているわけでございます。これまで関空会社も、この料金問題について、先生御指摘のように、割引券を出したり、あるいは橋の料金と駐車場をセットにしたクーポンを発行したりとかやっておりますけれども、割引でも千七百三十円が千五百円ですから、依然としてまだ高い。
 それから、駐車場料金も、今先生がおっしゃいましたけれども、市場価格を参考として料金を設定するということで、十二年の四月から一時間五百円に下げたというようなこともあります。しかし、それでもまだ高いということもある。
 ということでございまして、関西国際空港を多くの利用者にできる限り便利に利用していただけるためには、なお一層のもっと抜本的な努力といいますか、そういったものが必要であると認識しておりまして、会社と一緒になって、私どもとしてもいろいろ必要な検討を行っているところでございます。また、先生今おっしゃいましたプロモーションといいますか、だんじりを呼んでくるとか、そういうイベントを企画するとか、あるいは空港島の中にマリンレジャー施設をつくるとか、そういうふうないろいろな創意工夫の利用活性策といいますか、そういうことにつきましても内部で今いろいろ鋭意検討しているところでございまして、早期にその具体化を図るべく、一緒に知恵を出していきたいと思っています。
松浪(健四郎)分科員 とにかく知恵を出していただいて、ここまでやるかというぐらいの努力をしていただいて、外から見ても、おお、よくやっているな、そういう印象を持つ空港でなければならないと思うんですが、何か社会主義の国の空港を使っているような印象がする、そういう空港になっていることを私は大変寂しく思うものでありますし、一言で言いますと、空港というより、役所という空港になっております。何とか、よくやるな、努力しているな、そして、ここまで必死になっているのか、そういう姿を見せていただきたい、こういうふうに思います。
 あの連絡橋につきましては、あれは空港会社も非常に気の毒で、空港会社の持ち物になっているわけですね。そうしていきますと、借金を返していくためには、どうしても通行料を取らなきゃならない。これをどういうふうな形で解消していくのか、本気になって知恵を出さなければ、空港島は文字どおり沈没してしまう、私はそう思っております。
 したがいまして、国交省としては、どういうふうにすればあの通行料を無料に、あるいはもっと安くすることができるのか、真剣に研究していただきたい。そうしなければ、せっかくの世界に冠たるあの関空が沈没してしまうということ、この危機感をぜひ持っていただきたいということを強く要望しておきたい、このように思います。
 次に、関空がなぜだめなのかといえば、何だかんだといいましても、現行の空港の使用料、特に発着料、そして家賃、施設の利用料金などは、航空会社の収入に対して高水準にあります。つまり、高いんです。客がいないのに高い。だから、テナントで入ったお店が出ていって、次から次へと経営者が交代して定着しない。行くたびにお店がかわっているじゃないか。これでは、中に入っておるテナントの皆さんにも申しわけないし、そして、関空会社としてもよろしくない。
 発着料金につきましても、会社は一生懸命努力をされて、大分下げてこられました。しかしながら、悲しいかな、周辺諸国の国際空港に比べますと、まだまだ高水準です。これを下げないことには、世界の国々から来てくれない。成田とほぼ同じ、成田よりちょっと安いぐらいでは、外国の航空会社は、成田へ行きたい、成田へ行きたいということになってしまう。また、成田の枠が広がれば、関空へ来ていた航空会社は成田へ移してしまう。こういうような現象は、もう日常的なものになってきております。
 関空会社や財界、そして自治体は、いろいろな努力をされて、新しい航空会社が関空に来るように努力はされております。しかしながら、着陸料が高いということで、どうにもならないんですね。これもやはり国が指導して、また協力して、本気で考えてやらないと、関西空港の収益が上がらないし、また、関空離れを促進させてしまう、こういうようなことになってしまいます。
 これらについても、大臣及び航空局長からお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 小泉内閣で、小泉総理が、日本に来る観光客倍増計画、今、四百万人、外国へ行くのが千六百万人、これを倍増計画で一千万人にしようと。国内誘致、その予算も国土交通省、ことしは、十五年度、今御審議いただいていますけれども、とりました。
 果たしてそれでいいんだろうか。いらっしゃい、いらっしゃいと幾ら宣伝しても、受け入れる空港自体が、私は、今おっしゃったような、ケネディ空港あるいはドゴール空港、どちらも三十万台、成田、関空は九十万以上、三倍の着陸料を取っていたのでは、来い来いといってもどうにもならない。そして、今の割高、交通料あるいは通行料、すべてが高い。
 空港をつくるときの空港特会自体が、私は、先ほども予算の報告をさせていただきましたけれども、空港整備特別会計というもの自体のあり方がやはり曲がり角に来ている。二十一世紀型の空港整備の空港特会になっていない。空港をつくるときにはどうするべきかということは、関空のように第三セクターをつくって、早く早く、何とかつくってくださいとつくるときにはおっしゃるけれども、その基本的な計画というものはどこかちぐはぐだ。地方と国と相互性ができていたのかどうか。
 私は、そういう基本的なグランド設計がないということが今の日本の現状を悪くしていると思いますので、この国会の終わるまでに、就任当時から言っておりました二十一世紀のグランドデザインを国土交通白書の中に二種類ぐらい入れさせていただいて、国民の皆さんからいろいろな御意見をいただくメニューをそこに入れさせていただきたいと思っています。
 その一つが、今の空港のつくり方自体も、空港特会の会計のあり方も、私は基本的なものだと思っていますので、二十一世紀型の日本になるためには、国土交通省が新たな政策を考えるべきであろう。財政が苦しいといっても、どこに集中しなければいけないかということの方がより大事だと思って、お客様の倍増計画は達成できないと思っています。
洞政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、まことに重要な問題であって、必要な検討、対策を打つべきものだと考えています。
 着陸料等につきましては、これも会社側におきましていろいろ努力を行って、着陸料の引き下げを行ったり、あるいは、新規に乗り入れたり増加する場合には着陸料を半分にまけるとか、そういう思い切ったセールスをやって、正直申し上げまして、関空は、この二〇〇二年の冬、今飛んでいるダイヤですが、本当は冬というのは下がるんですけれども、二〇〇二年の夏よりもふえております。
 そして、今度また二〇〇三年の夏というのが来ますけれども、これについても、関空会社のいろいろなプロモーション活動であるとかそういったことを受けて、また、もちろん私ども国交省等を通じて、そういうのを、関空に来てくださいということをやっておりますけれども、そういうことを受けて相当の申し込みとか増便というのが出てきておりまして、着実に需要は回復傾向にあるというふうに認識しております。
 しかしながら、こういう流れをさらに確実なものとしてさらに増大していくためには、先生御指摘のとおり、できる限りの創意工夫とかプロモーションとかサービス改善とか小型機を誘致する等のいろいろな運動等をやっておりますけれども、こういった地道な努力。それから、先生がおっしゃったように、エアラインにとっては着陸料とか施設利用料というのが非常にコスト要因として大きいものですから、これをどうやって下げていくか。どこで収入を上げていってそこのところを下げていくかという、その知恵といいますか、なかなかいい答えがすぐ出てこないんですけれども、そこを何か考えていかないと、長期的に関空がきちっと成長軌道に乗っていくためには、そこは不可欠だと思います。
松浪(健四郎)分科員 とにかく、国土交通省におかれましては、思い切り指導していただいて、そして立派な空港にしていただきたい。指導だけではなくて、応分な協力もしていただかなければなりませんし、発想自体も変えていただかなければ、なかなかうまくいかない。
 ましてや、政府が観光立国を目指して、大臣がおっしゃられましたように、外国からたくさんのお客さんが、魅力ある国だ、旅行したい、そういうことで訪れる国にしていかなければこの国の発展もないのは多言を待つまでもございませんし、まして、関西は観光地としてはいろいろな地域があります。これは地域の活性化にもつながるわけでありますけれども、この玄関口が関西国際空港であるということを十分に理解していただかなければなりません。
 そのためには、航空会社に対しても、また関空会社にいたしましても、非常に気配り、目配りを国としてやり、応援をしていかなければ、なかなか難しいものがある。これから、関空に対して、また、関空を使う航空会社等に対して、国はどういうふうな思いで応援していこうとされているのか、これも大臣及び航空局長にお尋ねしたいと思います。
扇国務大臣 私は、戦後の日本の追いつけ追い越せという、欧米を目指したハードの面、社会資本整備、それはやはり基本的には正しかったと思いますけれども、少し早く背伸びをし過ぎた。そして、国として、玄関口である成田とかあるいは関空とか中部とか、そういう拠点空港に関しては、少なくとも国が責任持って全部つくる、そして民間に、さあ使ってくださいと、本来はそうあるべきだったと私は思います。
 ですから、私は、空港の数とすれば、日本のこの狭い国土の中で、外国がびっくりするほどの空港があります。けれども、拠点空港として、全部第三セクターつくったり、あるいは民間にということではなくて、安全上も国民の保安上も、拠点の国際空港が幾つあって、それは基本的には国がつくる、道路と鉄道と責任持つということがあってしかるべきだというのが基本的な私の考え方です。
 私は所管大臣としてそのことは申していますけれども、今までの行政と、そして政治家の頭の切りかえも大事だと思いますし、基本的に国として何と何に公共投資するべきなのか、あるいは社会資本整備はここまでだという、その基本的なものというのは、国会の中で真剣に二十一世紀型というのを議論していただいて、国の責任をどこまで果たせるのか、財政が厳しくてもこことここは外せないというものをつくらなければ、私は国際競争力の中で日本が取り残されるという危機感を持っています。
洞政府参考人 簡潔に申し上げます。
 大臣の強力な御指導のもとに、先生御指摘の方向で、会社と一緒になっていろいろ知恵を絞り、汗を流していきたいと思っています。
松浪(健四郎)分科員 ぜひ御協力をお願いしたいというふうに思います。
 とにかく、あの九・一一のテロ以降、飛行機がだめになったんだ、そうじゃなくて、ほかの空港は増便されたりいろいろな形で回復してきておるわけですけれども、関空は、回復しているとはいえ伊丹空港よりも利用者が少ない、そういうような報道もあったりして、我々は意気消沈しておるところであります。
 皆さんの協力をいただいて、ぜひ立派な、活力ある空港にしていただきますようお願いをして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
栗原主査 これにて松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、谷田武彦君。
谷田分科員 自民党の谷田武彦でございます。
 三つの問題につきまして順次お尋ねをいたします。
 まず最初は、スーパー中枢港湾についてであります。
 資源もなく島国であります日本は、貿易が国力を支えていることは言うまでもありません。私は、日々の暮らしに不可欠な食料やエネルギーの多くを海外に依存し、輸出入物資の九九・七%が港湾を通して出入りしているという点に注目すべきであると思います。まさに港湾政策が我が国の最重要テーマの一つであるわけです。
 ところが、海外の先進港湾では、リードタイムが一日以内と我が国より三、四倍早く、さらにコストも安い。近隣諸国で強力なライバルがどんどん成長し、日本の港湾はまさに危機的状況にあるわけであります。
 そこで、このたび、国際コンテナ輸送における構造改革モデル港湾としてスーパー中枢港湾を指定し育成していこうという施策が展開されつつあるわけで、私はこれを高く評価するものであります。既にスーパー中枢港湾に七つの港と一つのグループが応募しておるわけでありまして、今月二十四日には選定委員会で目論見書の評価が行われたと聞いております。
 スーパー中枢港湾指定基準には、国家経済社会に対する効果として、コスト三割削減、リードタイム一日達成に向けた明確な戦略、コンテナ港湾としての規模として五年後に年間四百万TEUを達成、次世代高規格ターミナルの形成などがあるようでありますが、これらの指定基準はいささか厳しく、ハードルが高いのではないかなという印象があることも否めないわけであります。
 そこで、まず最初にお尋ねをいたしますのは、現在の時点でこれらの指定基準をクリアしている港湾があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。そして、そもそも、一体幾つの港湾をスーパー中枢港湾として指定していこうというお考えなのか、具体的な数をお示しいただきたい。
 昨日の国土交通委員会でも扇大臣から広域連携ということを非常に強調しておられましたが、今回の指定に向けての応募でも、個々の、単独の港湾として申し込んでおるところもあれば、あるいは大阪と神戸のようにグループとしてお申し込みをいただいておるところもあるわけでありますが、一体この指定は、個々の港を指定していこうとしているのか、あるいはグループとしても指定することがあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 スーパー中枢港湾の指定につきまして、ただいま委員から御指摘ございましたように、鋭意進めております。せんだって、二月二十四日には第三回目の委員会を開催いたしまして、指定候補についての評価をしていただいたところでございます。
 候補といたしましては、七港湾管理者、一グループ。一グループと申し上げますのは、大阪湾におきます神戸港と大阪港がグループで候補として提出しておられますので、一グループ、七港湾管理者でございます。
 その中で、先ほども申されましたように、コスト三割削減、サービス目標一日というようなこと、これを達成目標といたしまして、指定基準といたしましては、一応、世界のコンテナ港湾を調査いたしまして、上位十位ぐらい、ちょうどこれが年間四百万TEU。TEUと申し上げますのは、二十フィートコンテナに換算いたしました個数でございますが、その四百万TEUを扱うということが世界で大体十番目ぐらいの港になります。我が国の場合、以前第四位でございました神戸港が今二十五位ぐらいの位置づけにございますので、少なくとも十位の港湾の規模を達成したいということで、その四百万TEUというのを一つの目安にしております。
 ただ、四百万TEUを扱う港というのは、日本に、個々の港では現在ございません。これを、例えば東京湾で、東京港と横浜港というものを足し合わせますと約五百万TEU近くになります、四百万TEUを超えますし、それから大阪湾でも、神戸港、大阪港を足し合わせますとやはり四百万TEU前後になります。そういうことで、一つの目安として四百万TEUを置きながらも、個々の港ではそれを達成していないという状況であります。そういうことでございますから、現在四百万TEUを達成している港はないんだけれども、それを目標として将来頑張らなきゃいけないということで、目標水準とさせていただいております。
 それから、その他幾つかの基準を設けておりますが、いずれの港も、その基準に対してすべて達成しているという港は実はございません。そういう中で、その基準を達成するべく、どのような構造改革をやっていけばいいか、基準が達成できていない理由は何であろうか、ソフト、ハードあわせましてその原因を追求し、その構造改革をやっていくための目論見書を提出していただいたわけでございます。
 そういう中で、それぞれの港から出てまいりました目論見書を見ますと、こういう構造改革をやればその目標基準を達成できるであろうというふうに提案していただいた港が、大阪湾における神戸港、大阪港の連合軍。これにつきましては、一つ一つの港では達成できないけれども、自分たちが連合することによって目標基準が達成できるという提案をいただいております。
 東京湾では、東京港、横浜港、それぞれ三百五十万TEUは自分の港で達成できる、こういうような提案でございます。四百万TEUには若干足らないという状況でございます。
 このような基準を目標としながらこれからプログラムをつくっていただくわけでありますが、指定の具体的な、グループで提案をしているところ、あるいは個別の港、どちらを選択するのかという御質問でございます。
 私どもといたしましては、具体的な目標基準に達成するということを一つの評価基準にしながら、日本の港の場合には、例えば東京湾で、あるいは大阪湾で申し上げましても、それぞれの個々の港が、個々の個別の港湾管理者を有しておるという関係上、独立して今までやってまいりました。しかし、例えば韓国の港、あるいは中国の港、あるいはシンガポールの港、それぞれ一国で一つの大きな港がございます。そういうのと競争していくということを考えました場合に、東京湾とか大阪湾という成熟した港においては、個々の港というよりも、その港が連携してお互いに共同して当たっていただく方がより強力な施策ができるんではないかと思っております。
 また、今回候補として上がっております、例えば北九州港とか博多港、あるいは伊勢湾の名古屋港とか四日市港とか、そういう港がございますけれども、このような港はどちらかというと比較的新しい港でございまして、例えば北部九州の港でございますと、中国の成長する貨物を取り込んで大いに韓国の港と競争しながら一つのチャレンジャー型の港としてやっていこうというような御提案がございます。これは、中身は非常に意欲的でございますし、施策によっては個別の港としてもこれを評価していくということが非常に大きな意味を持つんではないか。
 例えば名古屋のような港も、豊田産業、トヨタ自動車工業というような日本の中心的な生産地帯でございますから、そういう生産地帯の直結する港として戦略的にやっていこうという御提案がございますから、そういう港についてもその戦略性を評価することが必要ではないかという御議論が委員会でございます。そういうことで、そういうところも積極的に対応してまいりたいと思っております。
谷田分科員 スーパー中枢港湾構想はぜひとも成功させたいと思っておるわけでありますが、そこでお尋ねしたいのは、スーパー中枢港湾が十分に整備され、その機能を万全に果たすことができるようになるのは、一体何年ぐらい先を具体的に考えていらっしゃるのか。そして、その時点では日本全体の港湾の力というものは一体どれぐらいアップできると試算をしていらっしゃるのか。具体的な数値をお尋ねしたいと思います。
 日本がスーパー中枢港湾を整備したその暁の展望といいますか、ちょっと言葉は正確かどうかわかりませんが、いわば港湾のグランドデザイン的なものをぜひともお聞かせいただきたい。少なくとも、中国や韓国には負けない、世界に誇り得る港湾立国になると言っていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょう。
扇国務大臣 今細かいことは局長が答えましたけれども、なぜこのスーパー中枢港湾というものを改めて考えなきゃいけないか。スーパー中枢港湾というものの必要性というのは、先ほど局長が言いましたように、私は、一九八〇年代に少なくとも同等にならなきゃいけない、これを思っています。
 その一九八〇年代はどうだったのかということになりますと、二〇〇一年のデータで、一位が香港、二位がシンガポール、三番が釜山、四番が高雄、上海、ロッテルダム、ロサンゼルス、シンセン、ハンブルク、ロングビーチ、これが四百万TEUの、今局長が言った、順位です。それが、一九八〇年は、一位がニューヨーク、二番ロッテルダム、三番香港、四番神戸となっています。そして十二位に横浜、十八位が東京。
 一九八〇年、今言った東京の十八位でも、四百万TEUと言いましたけれども、六十三万二千TEUです、東京も。ですから、今一番日本で、二〇〇一年の例をとってみますと、十八位の東京は一九八〇年と同等なんですけれども、少なくともこの表で見る限りは、二百七十七万TEUという、全然落ちているんですね。ですから私は、目標としてはこのスーパー中枢港湾をつくるときには目指していますけれども、少なくとも一九八〇年代に回復さす、それが目標です。
 そして、港湾だけではなくて、私は、道路とか物流、すべての連携をとらなければこの数字は回復しないと思いますので、国土交通省になったからできるということで、道路と港湾と空港と、すべて一体の政策をとっていきたいと思っています。
谷田分科員 ありがとうございました。次に移ります。
 御承知のように、二〇〇五年、我が愛知県におきまして、国際博覧会、愛・地球博が開催されます。この愛知万博は、千五百万人の入場者を目標としておるわけでありますが、万博会場へのアクセス、来場者の足の確保が若干心配であります。
 万博開催まであと二年少々となったわけでありますが、昨年の四月二十四日の関係閣僚会議で了解された万博の関連事業の整備状況はどうでございましょうか。とりわけ課題となるような点はないのでしょうか。例えば、田籾名古屋線、これは大丈夫でしょうか。あるいは、日本で初めてリニアモーターカー実用路線として計画されている東部丘陵線は大丈夫でしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 私は、昨年三月四日のこの予算委員会分科会で、万博会場への主要な交通手段であるとみなしている環状二号線の開通が間に合うのかとお尋ねをいたしましたところ、非常に厳しいという答弁をいただきました。その後、四月二十四日の関係閣僚会議で、国内広域からのアクセス交通のより一層円滑な処理に資する広域的な幹線道路について整備を進めるとされておるわけでありますが、第二東名高速道路や名古屋環状二号線、東海環状自動車道といったこれらの幹線道路について、万博開催時における整備見通しはどうか、お答えをいただきたいと存じます。
佐藤政府参考人 先生お尋ねの二〇〇五年の日本国際博覧会、万博関連ということで、多岐にわたる関連事業を計画的に調整しながら進めるために、観客輸送に関連する道路、鉄道及び会場整備に関連する都市公園などにつきまして、二〇〇五年日本国際博覧会関連事業計画を策定しまして、平成十四年四月二十四日に関係閣僚会議において了解されたところであります。
 この中で、東部丘陵線につきましては博覧会の観客輸送対策として関連事業に位置づけられており、また、名古屋環状二号線、東海環状自動車道は広域幹線道路事業として位置づけられております。
 個別に若干申し上げます。
 東部丘陵線は、名古屋の名東区藤が丘と豊田市の八草町を結ぶ延長約八・九キロ、総事業費は一千億円を超える新交通システムであります。現在、全線の高架橋の上下部工事と一部の駅舎建築工事に着手しておりまして、事業主体である愛知県及び名古屋市からは、万博開催前の営業を目指し事業を推進している、こういうふうに聞いております。
 名古屋環状二号線につきましては、名古屋の外周部を通る延長約六十六キロの環状道路であります。名古屋南と高針の間、延長十二キロ、東南部区間と申しておりますが、事業費約三千五百億円ということで、一部区間約四キロにおいて工事に着手しておりますものの、現在の状況等を勘案いたしますと万博開催までの供用が非常に厳しい状況である、こう認識しております。
 東海環状自動車道は、名古屋圏の環状道路を形成する延長約百六十キロの一般国道の自動車専用道路でありますが、第二東名高速と東海北陸自動車道を結ぶ豊田東ジャンクションと美濃関ジャンクションの間、延長七十三キロ、事業費約六千四百億円をもちまして、現在すべての区間で事業を推進しております。用地買収の難航用地への対応等、地元自治体の積極的な取り組みをいただきながら、万博開催までの供用に向けて努力しているところであります。今後とも、関係機関と連携、調整を図りながら、整備を推進してまいりたいと思います。
 この中で、先ほどお尋ねの、特に名古屋環状二号線ということでございます。
 名古屋環状二号線、名古屋南と高針の間の十二キロにつきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、一月末現在で、必要な用地の九九%につきましては取得済みあるいは契約済みであります。しかしながら、この当該区間につきましては、地元の方々から愛知万博までの開通を強く要望されておりますが、現在におきましても沿線住民の皆様と環境問題につきまして御理解をいただくよう引き続き工事に先立ちまして説明を努力しているところであります。円滑な事業進捗を、そういう点ではもう少し地元の御理解をいただきながら進める必要がある、こういうふうに考えております。
 現在の工事着手状況等を勘案いたしますと、平成十七年三月二十五日に予定されております愛知万博の開催までの供用は非常に厳しい状況である、こうは認識しておりますが、今後とも地元の皆様の御理解と御協力を一層いただくよう努力を重ねまして、円満な工事着手を進めて、一日も早く早期供用という形に向けて事業の推進を図ってまいりたいと思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 一番気になるのが名古屋環状二号線でございまして、地元が、もうちょっとしっかりせいという御叱咤をちょうだいしたわけでありますが、厳しいという表現は、ストレートに言えば万博には間に合わない、こう判断をさせていただかざるを得ないときがもう来たなと思っております。となりますと、これは大変な話でございまして、もう計画に入っておるんですわ。万博には環状二号線がもうでき上がっているよという前提でいろいろなことを考えていたので、地元は大変つらい思いをするわけなんですが。
 そこで、それはそれとして、早期の整備はしていこうというお気持ちを言っていただいたので、それはありがたいんですが、では一体、具体的にいつをめどにこの環状二号線の整備が完了するのか、具体的なものをひとつ、時期をお示しいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 ただいま申し上げましたように、用地関係につきましては九九%。残りました用地につきましても間もなく取得ができる、あるいは契約ができる、こういう形になっております。
 問題は、地元の皆様と環境等に関しまして工事に着手する前にお互いに了解し合う、理解し合う、こういうことが大事なことだということで、これを今鋭意重ねておるところであります。そうだといたしますと、私さっき厳しいとは申し上げました、いつ地元とお話し合いが円満に解決し得るか。これにつきましては、スケジュール闘争として、いつまでにできなければ強行するよということではございませんので、そういう意味では、一日も早く円満な話し合いを調整して、そうだとしますと、用地は既に終わっておりますから、それから以降、それほど多くの時間は要しないであろう。
 何よりも地元とお話し合いを、早く解決するということで努力してまいりたいと思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。一層の御努力をお願いいたします。
 時間がなくなってまいりましたが、最後の質問で、ITS、インテリジェント・トランスポート・システムズについてお尋ねをいたします。
 二〇〇一年一月のIT戦略本部会議でe―Japan戦略が決定され、我が国は五年以内に世界最先端のIT国家を実現することとなったのは御承知のとおりであります。その後、e―Japan重点計画が決定され、ITSを推進することとなったわけでありますが、早期にITS社会を実現することが世界最先端のIT国家となるためにも重要であると思います。
 そんな中で、道路などの社会資本整備の進んでいる名古屋は、他都市に先駆けて、ITS先進都市を目指すというプロジェクトを計画いたしております。二〇〇四年にはITS世界会議が名古屋で開催され、また、二〇〇五年の万博では会場内外でのITSを活用したさまざまなサービスが計画されておるわけであります。
 もちろん、このITSは名古屋市が単独でできるものではございません。国土交通省を初め関係四省庁五局、総務省、経済産業省、警察庁、そして国土交通省の中では道路局、自動車交通局等が連携をしてやっていただかなければならないわけでありまして、ぜひとも横の連携の強化をお願いするわけでありますが、特に国土交通省としては、どのようにこの名古屋の試みを評価していただいておるのか。言葉をかえて言うならば、どういった形のバックアップをしていただけるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
佐藤政府参考人 ITSは、最先端の情報通信技術を活用しまして、人と道路と車両を一体のシステムとして構築して、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図るとともに、新産業の創出等による経済の活性化を図るということが期待されておるものであります。
 先生先ほど御指摘のように、e―Japan重点計画などに基づきまして、官民が連携して積極的にその取り組みを推進しているところであります。特に名古屋・愛知地区、ここは、二〇〇四年の十月にITSの世界会議が開催されることになっております。さらに、二〇〇五年には中部国際空港の開港、愛知万博の開催を控えております。ITSの進展を加速させるとともに、国内はもとより海外の方々にも広くITSを紹介して理解をいただく大変いい機会と考えております。
 したがいまして、この二〇〇四年十月のITS世界会議を目指しまして、今地元でも、ETC、あるいはVICS、あるいはまた路車間の通信に関して、独自のデモンストレーション、こうしたものを相談しながら企画している、こういう状態でございます。
 今後とも、関係省庁はもとより、ITSジャパン、あるいは地元の地方公共団体や民間企業と連携いたしまして、名古屋・愛知地区で、日本でも、あるいは世界でも十分見ていただけるようなデモンストレーションをぜひ展開したい、こういうことで考えております。
谷田分科員 ありがとうございました。ぜひとも御協力をお願いいたします。
 名古屋は、実は都心部において、都心部の道路でITSの一つの施策でありますトランジットモールを実現したい、こんな意欲があるのです。
 ただ、このトランジットモールは、確かに都心部活性化のための交通政策として大変注目されるべきものであるわけなんですが、何せ車社会の名古屋でございますから、都心部では非常に交通量が多いわけでございまして、そういったところで交通規制等を含むために大変難しい問題もあるかと思うわけでございますが、名古屋がやろうとしておるトランジットモール計画、これはまだ明確に具体的にどこでどうやるかというところまでは決まっていないんですが、何とかやっていきたいなという意向だけはあるわけでございます。
 こういったものに対して、国土交通省あるいは警察庁はどういったような評価をしていただいているのか、お聞かせいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 トランジットモールは、国土交通省といたしましても、社会実験といいますか、いろいろな試みをやってみて、そしてそれを評価しながら次なる施策の展開に続ける、こういう形の対象として考え得るというふうに考えております。今、全国各地でそうした試みが、可能であるかどうかという点について意見をいろいろ募集しよう、こんなことも考えておるところであります。
 先生御指摘のように、町の、大都会の真ん中ですと特に、交通の渋滞という問題と、トランジットモールとして人間優先あるいは歩行者優先という形で一定の規制をすることとをどう両立するか。それぞれ多分いろいろな試みをしながら、そのやり方というものを都市に合わせて考える必要もあるだろう。そんなふうに思っております。
 名古屋市の方でも、いろいろ御検討ということであるようでございますので、私どもも御相談に乗りながら、どんなことが可能か、また、どんなことからやってみるのか、そんな点につきましてもお話し合いをしながら検討したい、そんなふうに思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 ぜひとも、具体化してまいりましたら、国土交通省としても積極的な御協力をお願いしたいと思います。
 いま一つ、ちょっと外れる話になるかもしれませんが、何せ都心部は従来、私も常に指摘をしてきておるところなんですが、違法駐車が大変多くて、何をやるにしても大変苦労しておるわけであります。そこで、駐車違反の違反者の対象を、従来のようなドライバーというものではなくて、所有者の方にしてはいかがか、こんなふうに思っておるわけであります。そうすれば、取り締まり効率も向上する、さらには迷惑駐車が減少し交通障害解消につながっていくと私は思うわけでありますが、警察庁の御所見を承りたいと思います。
属政府参考人 お答えいたします。
 我が国では違法駐車の責任を運転者に対して追及しておるわけでありますけれども、欧米等の各国におきましては、所有者あるいは使用者の責任を追及する、そういったことによりまして駐車秩序の維持に効果を上げていることも承知をしております。
 違法駐車の取り締まりにつきましては、昨年十二月の政府の総合規制改革会議におきまして、違法駐車問題の解決のために「今後、現場における駐車違反対応業務の民間委託を幅広く行うことができるように、駐車違反に関する法制度の在り方を含めて検討すべきである。」といった答申が出ております。
 この答申を尊重しながら、より良好な駐車秩序を確立するために、諸外国の例も参考にしながら、効率的な駐車取り締まりのあり方について現在鋭意検討しております。これは国民に非常にかかわるものでありますので、国民各層の幅広い意見を聞きながら検討を進めていきたいというふうに思っております。
谷田分科員 ありがとうございました。
 ちょうど時間が参りました。以上で私の質問を終わります。
栗原主査 これにて谷田武彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浪健太君。
松浪(健太)分科員 自由民主党の松浪健太でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日、私は、JR西日本が設置を予定しております仮称JR島本駅について質問したいと思います。
 このJR島本駅は、住民の四十年以上の悲願のものであります。と申しますのも、島本町は、京都と大阪のちょうど中間点に位置するというすばらしい立地点でありながら、これまでJRの駅は、JR山崎駅というちょうど京都府との境にあるこの駅と、次の駅と申しますともう隣の高槻市になります。この間は約七・五キロ、これは東海道線の中でも最も大きな空白地帯であります。
 町の方では、少子高齢化に対応するためにも、まちづくりの中心として、このJR島本駅設置に向けて熱い期待を寄せているわけであります。これまでのところ、この夏には都市計画決定もいただける運びとなり、また、JR西日本、大阪府、さらには国土交通省の御協力をいただき、地元の説明会も順調に進んでいるところであります。
 さて最初に、私は、鉄道とまちづくりについて大臣にお伺いいたしたいと思います。
 私は、鉄道とまちづくりというのは、国、地方公共団体、鉄道事業者、こうしたものが三位一体となって推進すべきと考えますが、大臣にこの基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
扇国務大臣 松浪議員に、今、まちづくりの、あるいは鉄道とまちづくりのリンクはどうあるべきかということでございますけれども、鉄道駅は、単なる人の乗降ではなくて、その町の玄関口で、町の顔だと私は思います。
 そういう玄関口をどこでどうつくるか。これは、今おっしゃったように、その町の皆さん方の人口とか、あるいは経済力とか、駅をつくったときにどれほどの人たちがその駅を利用してくださるとか、そういうことをすべてチェックして、そして、新駅をつくるということが可能になる。
 ですから、その町にとっては、町の顔をつくるということに等しいと思っていますので、そういう意味では、鉄道事業者と町が一体となって、その駅の重要性、どんな駅にするか、そしてまた駅につながった町はどういう町がふさわしいかというのは、まさに住民の皆さん方と鉄道会社一体となって、そして、それだけの駅をつくることによってその町が潤う。また、その町に住んでいる人が利用するわけですから、国と地方が役割分担をして、費用もお互いに折半をしてつくっていく。日本のまちづくりのときの顔のつくり方、それが駅だと私は思います。
松浪(健太)分科員 大臣のお考え、全くそのとおりだと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 まず、新駅舎事業と国庫補助の事業についてであります。
 新駅舎事業計画は、基本的にJR西日本と島本町の話し合いで決まりますが、新駅舎建設には国の補助制度は全くございません。この新駅設置は、島本町の請願駅とはいえ、新駅設置事業の鉄道施設費用にかかわる自治体の負担は、新駅舎事業費の約二分の一と、非常に大きいわけであります。
 そこで、少しでも自治体の費用負担を軽減できる国の補助制度を考えていただきたい。全国から大臣への御要望も大変多いと思いますけれども、ぜひ実現の方向に向けて前向きに御検討をお願いいたしたいと思います。大臣の所見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 今おっしゃったように、既存の鉄道の路線に新駅をつくるというのには、五つの条件といいますか整備がございます。
 まず一つは、先ほど申しましたように、十分な利用者が見込まれるかどうか。どれだけの人が乗るかということで、そしてまた、その乗る人によってどれほどの経常収支が上がるかということで、経常収支が悪化しないというのが一つの条件です。
 そして、二つ目には、線路の形あるいは勾配、そういうものから見て、駅をつくるにふさわしい地形であるかどうか。これも二つ目の大事な点でございますから、それが技術的にかなうかどうか、それが条件になります。
 また、ダイヤが設定されておりまして、既成路線がありますから、ダイヤが大幅に変更しないかどうか。それを収拾できるだけのダイヤの調整が可能かどうかということも問題があるということで、これを鉄道が勘案するということです。
 四つ目には、新駅の周辺の整備について、地元やあるいは地元の公共団体等々の協力が得られることというのが四つ目です。
 最後の五つ目は、設置費用の具体的な負担が明確になっていること。これは、国と地方の両方の補助金もありますけれども、これを明快にして、鉄道業者が総合的に営業の判断を下すということで、新駅の設置をするということになると思います。
 少なくとも、新駅をつくるということで、先ほど私が申しましたように、地元の皆さん方のメリットが大きいわけですから、少しでも負担していただくということが今条件になっております。
松浪(健太)分科員 負担が非常に大きいというお話、そのとおりでございまして、島本町のような、特に三万人規模のような市の場合は、やはり大きな市がつくるのと、また負担の限度、負担の割合というものも非常に大きくなってまいるわけであります。
 そこで、鉄道事業者と自治体が話し合って、その結果、決定した金額のうち、さらに二分の一とか、また三分の一とかでも、少しでも負担が軽減できる国の補助制度の創設について御検討をいただきたい、私はこのように考えているんですが、いま一度お考えを伺いたいと思います。
扇国務大臣 これは、先ほど申しましたように、新駅をつくる場合に、地方自治体と鉄道会社と十分に話し合って、そして協議をして合意を見るというのが条件でございますと申し上げたとおりです。
松浪(健太)分科員 そのお話もわかるわけでありますが、確かに話し合いというのは五分と五分で大体進んでいくわけでありますが、先ほども申し上げましたように、やはり大きな市がつくる割合と、このような小さな町がつくる割合が違うということを、地元の声として、心情としてお話ししておきたいと思います。
 次の質問でございます。
 島本新駅開設までにはまだ数年かかるわけでありますが、その間にただいまの提案を御検討いただくことを強く切望するわけであります。それにしても、何か駅舎事業の中で地元負担が軽減できる事業補助がないものかと私は考えております。
 例えば、バリアフリーの視点から、エスカレーター、エレベーター、スロープといった整備費は、既存の駅舎は補助対象となっております。新駅は補助対象となっておりません。一見ちょっと矛盾するようですが、これはバリアフリー法四条で、法に基づく整備が義務づけられているが、新駅は補助対象外になっているわけであります。
 なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、エレベーター、エスカレーター事業は、本来は事業者が全額負担しなければならないのに、私鉄などでは事業者との話し合いで自治体に負担を求めているケースというのが多いわけです。実質的に地方公共団体が新駅で負担しているという状況があるならば、新駅もバリアフリーの補助対象にすべきではないかと私としては考えるわけですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 松浪議員のお考え方も私はあり得ると思いますけれども、これは、少なくとも、平成十二年に、御存じのとおり、交通バリアフリー法、私が大臣のときに通させていただきましたけれども、これは期限がございまして、平成二十二年までにこれをつくるということで、その条件として、一日の平均乗降客が五千人を超えることというふうになっております。
 ただ、国として税制上あるいは財政上の支援措置を講じるということですけれども、このときに委員会でいろいろな議論が行われまして、一応基本としては五千人の一日の乗降客、こういう規定はありますけれども、私は全国区ですから、全国いろいろなところへ行きますけれども、例えば、山間に近い温泉地、私が行ってみますと、大抵、お年寄りの皆さんが保養地としてそこにいらっしゃるわけですね、温泉場へ。その人たちは五千人に満たないんです。けれども、ほとんどが、あるいは病気を持った方とか、あるいはお年寄りとか、弱者が多いわけですから、そういう町の特性によって、五千人に満たなくてもエスカレーターはつけるべきではないかというようなことも、このバリアフリー法のときに議論をいたしました。
 ただ、その中に新駅が入っていないというのは、平成十二年に通ったバリアフリー法という法案の中では、新駅は当然バリアフリーをつけることというのが、法案ができた後につくる新駅は、当然バリアフリーを加味していなければ新駅としての条件が満たないということで、これは新駅が抜いてあるわけです。もう当然のこととなっているわけですから、改めて新駅のバリアフリー部分を補助してくれということには、これは設計上とかあるいは整備の中で組み込まれるのが当然ということです。
 ただ、今までの既成駅に関しては、全国、数が多うございますので、コストあるいは物理的にも制約があるということで、既存の駅に対しては補助をしようということがバリアフリー法には入っているわけで、私たち国土交通省といたしましても、バリアフリーの比較的困難な既存駅については国の補助を集中するということをしております。
 今おっしゃったような新駅に関してということは、私は、今は法案の中では当然であるということになっていますので、新駅の設置費がかさむということも、これは後でする方がもっと大変ですので、当然かさむということで、今、十四年度の補正予算、この間通していただきました、また、平成十五年度予算案を審議していただいていますけれども、合計で平成十四年度当初予算の約二倍、百二十七億円というものを計上して、バリアフリーを完備していこうというふうに考えていますので、新駅は当然組み込んでいただく、こういうことになっております。
松浪(健太)分科員 今の御答弁をいただいておりますと、やはり、新駅のエスカレーターやエレベーター事業は、本来、鉄道事業者が全額負担すべきだということと解釈してよろしいわけですね。
 そう考えますと、鉄道事業者の全額負担があるべきであるならば、実態として、事業者が地方公共団体に負担の協議を求めているというのは、これは好ましくない実態であるとお考えでしょうか。
扇国務大臣 もともと、今、私は一番最初に新駅の条件を五つ言いました。その中で、少なくとも利用者が十分見込まれるという数がなければいけないわけですから、そして、既存の駅でも一日の乗降客が五千人ないとバリアフリー化補助が出ないということですから、駅の数が多いんですから、五千人の乗降客があるところからまず始めましょう。そのうちに全部できれば、これはもう目標ですよ、けれども、新駅に関して、新駅を設置する自体に利用者の数がというのが第一条件になっていますから、私は、そういう意味では、高いとか安いということじゃなくて、新駅の条件に既にそれが入っているというふうにお考えいただきたいと思います。
松浪(健太)分科員 そのお話もわかるわけでありますが、やはり、町というのは非常に小さい財政規模でございまして、少しでも補助というものを考えていただきたい。そして、実質的に地方公共団体が新駅で負担する実態があるんですから、財政負担を強いられている実態というのもまた御配慮いただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 半地下駅の駅舎形態と自由通路の推進についてであります。
 島本駅の整備とあわせて東西地区のまちづくりを進め、先ほど大臣おっしゃいましたけれども、まさに島本町の玄関としてふさわしい整備を行うために、半地下駅舎形態として、住民が移動しやすい自由通路を考えられております。
 そして、自由通路整備事業については、町では都市再生交通拠点整備事業として考えておりますが、この自由通路事業補助には、特別会計の交通結節点改善事業というのもあります。しかも、両事業とも起債が認められております。この両事業をわかりやすく説明願いたいと思います。
澤井政府参考人 御指摘の自由通路等の施設の整備でございますが、これは鉄道による市街地の分断を解消して、まさに交通結節点を核とした市街地の一体的な発展を図るために非常に重要な施設だというふうに考えております。
 この整備に関する助成制度でございますが、御指摘のように二つございまして、道路空間と一体として、道路空間と申しますと駅へのアクセス道路とかそういったものでありますが、そういったものと一体としてこうした自由通路などを整備する場合には交通結節点改善事業が使えます。また、交通結節点だけを単独で整備するという場合もありますが、この場合にはやはり御指摘の都市再生交通拠点整備事業といった補助制度が使えます。
 このうち、交通結節点改善事業でございますが、これは都道府県または市町村が行います駅前広場とか、先ほど申し上げましたアクセス道路等の道路空間の整備及びこれと一体的に実施する自由通路あるいは自転車駐車場、そういった施設の整備に活用いただける事業制度でございます。
 この事業を市町村が行う場合には、国の補助率は二分の一で、残りの二分の一を市町村が負担されます。この市町村の負担分の五五%につきまして起債が充てられます。
 また、都市再生交通拠点整備事業、結節点単独の整備の事業でありますが、これは道路本体の整備を伴わない場合に、自由通路ですとかペデストリアンデッキなどの公共空間、あるいはバリアフリー施設、自転車駐車場等の整備ができる制度であります。地方公共団体だけでなくて、鉄道事業者等の民間事業者も事業主体になることができます。
 この事業を例えば市町村が行う場合には、国の補助は三分の一でありまして、残る三分の二を市町村が負担いたします。この市町村負担分の七五%につきまして起債が認められることになっております。
 また、この事業を鉄道事業者など民間事業者がやる場合には、国は、地方公共団体がこの民間事業者に補助をする場合、その補助の二分の一以内で、かつ、その事業の実施に要する費用の三分の一以内、ちょっと複雑な言い方で恐縮ですが、そういう補助の仕組みがございます。端的に申しますと、例えばでありますけれども、国と市町村と鉄道事業者などの民間事業者がそれぞれ三分の一ずつ負担するというようなケースもかなり多うございます。
 こうした両制度を、整備しようとする施設とか、あるいはだれがやるかといったことをお考えいただいて、的確に活用賜りたい、こう考えております。
松浪(健太)分科員 この自由通路は、町の道路管理として対応するのか、それともJR西日本が駅管理で対応するのかによって事業の方向が決まるわけで、ただいまの説明を受けまして、私は、鉄道の安全対策などの視点から、やはり都市再生交通拠点整備事業がいいのではないかなというような印象は受けたわけでありますが、仮に町の道路管理とした場合に、この事業にはほかにも何か組み合わせというのはございますでしょうか。
澤井政府参考人 まず、ただいま申し上げました両制度を施設によって併用するというような事例もございますし、また、この事業と別に、関連する街路整備等を行うというようなケースもございます。それは地域の状況に応じて、的確に組み合わせをやっていただくということでございます。
松浪(健太)分科員 今併用とおっしゃいましたけれども、その併用について、もう少しだけ詳しく説明をいただけますでしょうか。
澤井政府参考人 駅なり結節点の状況によっていろいろな状況がございますので、一般的な物の言い方はなかなかできませんが、例えば自由通路を駅の東から西に通していく、これは駅舎の中というよりはある意味では外なんですが、ある部分までを道路との関連でやり、何か、例えば商業施設がある場合に、そこをまた自由通路として通していくというときに都市再生交通拠点の方でやるとか、これはそれに限りませんけれども、いろいろな使い方があるということでございます。
松浪(健太)分科員 ありがとうございました。
 あと、駅前広場整備計画について少し質問したいと思います。
 島本新駅の駅前広場は、地域の中核拠点として整備していくために重要な施設整備であります。地元におきましても、バスターミナル、それから自転車駐輪場、アクセス道路、連絡自由通路など整備計画があります。これらの施設整備を一体的に、また短期的に整備する必要があるのでありますが、この事業補助として、今説明を受けました交通結節点事業もありますが、国土交通省としてこれらの推進にまた積極的に今後支援していただきたいと思います。
 大臣の決意をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
扇国務大臣 先ほど新駅のお話が出ていますけれども、JRと並行して阪急電鉄が通っておりますね。そして水無瀬駅ですか、今計画していらっしゃいます新駅と大体五百メートルぐらいしか違いませんよね。ですから、特に、私は、JRとしては、阪急の水無瀬駅とそして今回の新駅との五百メートルのところで、人口の、乗降客、これを計算しているんだと思います。
 ですから、JRの新駅に、今まで阪急電鉄の水無瀬駅で乗降していらっしゃるお客、そしてそれが新駅をつくったらその反対側からJRにどれだけ人が来るかということも、先ほど新駅をつくる条件を私が申しましたので、その条件に当てはまるかどうかということも大変大きな課題になっているということは、改めて私はつけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、今の駅前広場の話でございますけれども、この駅前広場を初めとしての交通の結節点というのは、先ほど局長が言いましたように、これは改めて、都市計画ということで、都市再生の核として駅前広場を整備しよう、いわゆる駅前広場だけではなくて、駅前の商店街も含めて駅前の活性化、これを進めていこうというのが国土交通省としての政策の一環です。
 少なくとも、都市再生本部というのが総理の直轄でできました。その都市再生本部というのも、都市の大きさにもよるんですけれども、全国都市再生のための緊急措置というものをつくりまして、その中でも、交通結節点の整備というのは重点事項に位置づけられております。そして、今この緊急措置の中で地方公共団体等からの提案を、全国から八百三十二件、その中で、交通結節点に関するものは約五百件になっています。
 ですから、今おっしゃった駅前広場等々、駅前の再活性を望む地域がいかに多いかということがおわかりいただけると思いますので、私は、そういう意味で、今回の都市再生本部というもので、改めて全国の駅前の活性化というものを都市再生という言葉でやっていこうということが小泉内閣としてしている事業の一つでございますので、やはり地元からぜひそういう声を出していただきたいと思います。
 また、この駅前広場に対する補助制度、交通結節点の改善事業、これは道路特会から出しておりますけれども、補助対象、これも乗降客が五千人以上の駅ということに、目標ですけれども、なっております。それで、都市計画で決定されました駅前広場については、事業主体、例えば都道府県とかあるいは市町村、そしてその補助率は二分の一ということも決まっておりますので、これも、新たに今、松浪議員がおっしゃった、新駅をつくりたいというときに、その新駅と、駅につながる駅前広場、こういう機会にぜひ利用していただいて、今申しました五千人以上の乗降客を確保するということに町を挙げて取り組んでいただければありがたいと思います。
松浪(健太)分科員 大臣の都市再生というお言葉、重く受けとめたわけであります。
 また、この島本新駅については、近く大臣にも陳情に伺うかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
栗原主査 これにて松浪健太君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時二十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
栗原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。後藤斎君。
後藤(斎)分科員 冒頭、国土交通省の関係の前に、一つだけ御質問をさせていただきます。
 午前中、内閣府と気象庁の方に、富士山の火山防災対策について質疑をさせていただきました。二月の十七日から、山梨では新しい知事が誕生しまして、その知事の公約の中にも、富士山を世界遺産へという公約を掲げられて当選しております。以前から私自身もこれに問題意識を持っておりまして、最後に大臣の方には御質問しますが、観光資源並びに、これからゆとりある国民生活、いろんな観点から、何とか富士山をそのシンボルとして、世界遺産の登録に対応していくべきだというふうに考えております。
 何年か前、市民団体の方が、自然遺産へ登録をするという視点からその運動をしましたが、結局、世界遺産条約のクリアというものがなかなか難しく、断念をしております。今回、新たに文化遺産という観点も含めて対応していくということで、今、運動がスタートをしようとしております。
 世界遺産は、世界じゅうということであれば七百件を超える遺産が既に指定をされ、その中でも我が国は九遺産ということで、まだまだ大変少ない日本の世界遺産への登録の状況でもございます。
 先ほどもお話ししましたように、自然遺産ということであると環境省ということになるかもしれませんが、文化遺産という視点も含めて考えていくべきだというふうにお話を申し上げましたが、御承知のとおり、富士山は、霊峰という名前にもありますように、室町並びに江戸時代には、富士講と称して、いろいろな意味で富士山信仰も大変盛り上がった時代でもございました。
 そんな中で、政府として、富士山の世界遺産への推薦、どのように考えてこれから対応していくのか、冒頭、御質問申し上げたいと思います。
木曽政府参考人 富士山の世界遺産登録についての御質問でございますが、まず、富士山につきましては、我が国を代表する文化財というふうに受けとめておりまして、既におおむね五合目以上が、文化財保護法に基づく特別名勝に指定されております。我々としても、これは極めて重要な文化的価値を持つものであると認識しております。
 ただ、しかしながら、世界遺産への登録につきましては、推薦地域が世界的に顕著な普遍的価値を有するか否かについて、ユネスコにおいて、学術的な立場から、選定基準に照らした厳しい審査が行われておるところでございます。また、保護のための措置が十分かどうかということにつきましても、厳しく検討されているところでございます。
 このようなことから、今後の推薦物件の選定におきましては、既に登録されているほかの国の文化遺産をも参考にしつつ、また、環境省等関係省庁とも協議しながら、今後検討する必要があると考えております。
 以上でございます。
後藤(斎)分科員 その際に、大きな課題として残るものはどのような点があるか、簡潔にお答えを願いたいと思います。
木曽政府参考人 その際の具体的な課題ということでございますが、まず一つは、推薦する際の推薦区域につきまして、現在の特別名勝の指定区域、これは五合目から上を指定しておりますけれども、この拡大を検討することが必要であろうというふうに考えておるわけでございますが、その際、かなり規制がかかりますので、拡大する地域の所有者等、関係者の御了解を得ることが一つ大きな課題になろうかと思います。
 また、ごみ問題といいますか、環境整備につきましても、一つ大きな課題となるというふうに考えておるところでございます。
後藤(斎)分科員 いろいろな課題はあるということは重々承知しておりますが、関係省庁とも連携をしながら、ぜひ積極的な対応をこれからもよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、中央リニア新幹線の問題について御質問申し上げたいと思います。
 この問題につきましても、何度か、扇大臣を初め国土交通省の皆さんにお聞きをしております。いろいろな形で、新しい新幹線をどういうふうにつくっていくかというのは、大変難しい財政的な問題もあることも承知しております。一方で、いわゆるリニア、超電導磁気浮上式鉄道の問題につきましては、現在、平成十二年度からは技術評価の委員会を設けて、技術上のめど、どうこれから実用化に向けて対応していくかという部分に、ある意味では最終的な段階に入っているというふうにも考えております。
 平成十二年度、その委員会の部分では五年間かけて検討して、三年、ちょうど本年の三月に中間報告をするというお話も聞いておりました。コスト低減の問題とか、なかなか片づかない問題は依然存在するというお話は聞いておりますが、この中央リニア新幹線の問題について、現状と今後の見通しについて簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
石川政府参考人 中央リニア新幹線の御質問でございますが、まず、リニアの部分でございます。
 リニアモーターカーの技術開発につきましては、御案内のとおり、平成九年四月から、山梨のリニア実験線において走行実験をしてございます。着実に成果を上げている状況だろうと思いますけれども、実用化に当たりまして、長期耐久性でありますとか経済性の一部に引き続き検討する課題がまだなおあるということでございまして、今後とも引き続き、今申し上げた長期耐久性の確認でありますとか技術的なコスト低減といった残された課題について、これを克服するための試験を今やっておるところでございます。
 中央新幹線という観点で見ますと、これは全国新幹線鉄道整備法に基づきます基本計画路線でございますが、現在、地形あるいは地質等の調査をやっているという現状でございます。
 この整備につきましては、やはり、今後の経済社会の動向でありますとか、東海道新幹線の輸送の状況、さらには整備新幹線の整備状況などをいわば総合的に勘案しながら、長期的に検討すべき課題であると考えております。
後藤(斎)分科員 今も局長が触れられたように、コストの問題というものも大変大きな課題だというふうにも指摘をされているところでもあります。
 局長が触れられたように、確かに整備新幹線、別に計画路線にするかどうかという大きな課題もこれからあると思うんですが、現状で整備をしている三線五区間、五百三十三キロ、この工事路線の部分については、工期が大体十年から十一年くらいかかるというふうな形でお聞きをしております。トータルで二千億強の予算計上が毎年なされているということで、十年間ということであれば大体二兆円、キロ数でいうと、通常、新幹線であれば、一キロ当たり大体五十億から七十億でできるというふうなことになるかとも思います。
 確かに、コスト低減というものは大きな問題でもありますけれども、リニアというのは、当初、経済性だけではなく、まさに技術を集大成した未来の輸送体系であるというふうなことも言われてきましたが、逆にコストという点でいえば、中央線、今のリニアの開発のコスト低減はどの程度まで、例えば一キロ当たりするというところまで縮減が進んでいるんでしょうか。
石川政府参考人 リニア新幹線と申しますか、これが幾らかかるかということについても、現在、いろいろな意味で調査中でございますが、従来のいわゆる整備新幹線と比べましてもやはり相当割高になるんではないか。今整備しております整備新幹線は、場所にもよりますが、大体キロ当たり七十億とか八十億とかあるいは六十億とか、そのぐらいの感じでございます。このリニアモーターあるいはリニア中央新幹線というのがどのぐらいかかるかということについては、今まさに検討中でございますが、大体、東京―大阪間約五百キロとした場合には、やはり八兆円から十兆円のオーダーのお金がかかるのではないかとも言われております。
 さらには、実はこのリニアモーターカーにつきましては、運営コスト、オペレーションコストが従来の新幹線と比べてどうなるんだろうかという議論もございます。車両自体の建造費も相当かかるでありましょうし、あるいは電力というようなことについても相当かかるのではないかというようなことがございまして、そもそものこのリニアモーターカーのコイルなどのコスト削減ということもございますが、そういうオペレーションコストにおいてもどのくらいのお金がかかるんだろうかということについても精査していかなければいけないというふうに考えております。
後藤(斎)分科員 やるやるという話で、確かに、技術的な評価を含めて大変な事業だということはよくわかります。
 一方で、議連も含めて、私も参加をさせていただいておりますが、年に一遍盛り上がるのですが、なかなか通常の活動では、その部分で国土交通省さんの結論待ちという部分も正直言ってあるんではないかなと思うんです。
 今、この一番の目的であった超高速大量輸送システムという部分が、これも後でまた大臣には御質問しますが、これから交通体系の中で本当に必要なのかどうかということも、従来から大臣にも御指摘をし、お答えいただいているように、二十一世紀の交通体系のあり方という中でどんな形で位置づけられるのかという部分も、いろいろ考えると、県民、住民の皆さんから見れば、二十年たっても三十年たってもなかなか見通しがつかないということだと非常に機運が盛り上がってこないというのも現状だと思います。
 中間報告の点については触れられていませんでしたが、中間報告はまだ取りまとめ中で出していないということで理解しておいてよろしいですか。――わかりました。
 では、ぜひこの二年後のきちっとした検証に向けて引き続き御努力するように、心からお願いを申し上げたいと思います。
 次に、ちょっと細かな質問で恐縮ですが、中部横断道について少しお聞きをしたいと思います。
 これも昨年お聞きをして、道路公団の民営化問題も含めて御議論があるところでありますが、昨年度では、中部横断自動車道に六十二億円の予算的な手当てがついております。十五年度についてはどうなっていくのか。その際に、もう少し、数年間の見通しも含めて、現状について、そして今後の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 中部横断自動車道は、静岡から山梨、長野三県を最短ルートで結ぶ、さらに、東名、中央、上信越自動車道とネットワークを形成するということで、沿線地域の産業、経済、文化、観光などの発展及び振興に資する路線であり、早期に整備が必要ということで取り組んでいるところであります。
 中央道から南につきましては、全体の延長が、中央道から第二東名までで七十五キロあります。進捗状況を若干申し上げますと、双葉ジャンクションから白根の間は、先生御存じのように供用中でありますが、白根から若草櫛形、この間三キロメートルは、平成十五年度内の供用を目標に、今整備を進めているところであります。若草櫛形から増穂六キロは、必要な用地の確保をおおむね完了いたしまして、順次工事に着手しているところであります。増穂から吉原のジャンクション、第二東名ではございますが、五十九キロは、中心ぐいを設置して測量を推進する、こういう形になっております。
 全体、先ほど申し上げました中央道以南七十五キロということで、事業費ベースで申し上げますと、総額で五千億円にもなろうかという大事業であります。
 十五年度は、現在、予算の審議をお願いしておるわけでありますが、この予算の審議が通り次第に、実施計画の認可という形で組み立てを財務当局等とも相談しながらやる、こういうことになっております。
 そういう意味では、先ほど申し上げましたように、大変な事業費をこれからも要する、こういうことでありますので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 地元の御協力をいただきながら、コストの縮減であるとか効率的な整備、こういう観点からも一層の努力をしながら、継続的に、効率的に整備を進めてまいりたい、そんなふうに思っているところであります。
後藤(斎)分科員 ぜひ今後とも、継続的な事業推進に対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、これも大変細かな質問で恐縮ですが、国道五十二号線というのが、生活道路という点で山梨の中にございます。現在、その国道五十二号線、寿町という町がありますが、そこの改良が行われております。平成十五年度中にもここの工事が終了して、それよりも西側にございます荒川橋という一級河川にかかる橋から貢川交差点前の上石田地区というところまでの整備状況を、住民の皆さんがかなり熱心に要望されておりますが、この五十二号線の上石田地区の整備の見通しについて御答弁をお願いいたします。
佐藤政府参考人 国道五十二号の上石田改良は、甲府市の中心部の交通混雑の緩和、それから交通安全の確保を図るために計画された、甲府市の富竹一丁目から寿町に至る延長約一キロのバイパス事業であります。
 バイパス事業でございますが、市街地の連檐部分を通る、こういうことで、用地の補償関係が大変事業費を要するということでありまして、一キロでございますが、二百億円にもなろうか、こういう大変な市街地区の事業であります。
 平成八年度に事業着手いたしまして、荒川橋、貢川橋のかけかえを含めました起点側、甲府市側の延長約四百五十メートル区間、これを優先的に整備を進めるということで、現在、路線測量、地質調査、それから設計、関係機関協議を進めてきたところであります。
 この優先区間を、早期に地元説明会を実施して、御理解と御協力をいただきながら、平成十五年度から用地買収を行うなど、引き続き事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
後藤(斎)分科員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 引き続きまして、国道二十号に竜王バイパスという、まあこれは一般名称ですが、これの整備も含めて、今、町の方から御要望がされておりまして、バイパスが大変込むということで、その竜王バイパスの四車線事業化というものを進める計画になっております。
 現在の状況、用地買収が進みつつあるというお話は聞いておるんですが、用地買収の問題も含めて、今後の事業の見通しについてお尋ねをしたいと思います。
佐藤政府参考人 国道二十号の竜王の拡幅のお話でございます。山梨県の中巨摩郡の竜王町から韮崎市の交通混雑の緩和、交通安全の確保、こういうことで計画されました、延長が約六・七キロ、全体の事業費が二百十億円の事業であります。
 このうち、双葉町の下今井から韮崎市栄一丁目まで、延長四・一キロのバイパス区間につきましては、昭和五十九年度までに暫定二車線で供用いたしました。現在、塩川にかかる橋梁の下部工工事を進めているところでありまして、平成十六年度を目標とする五十二号の甲西道路の供用に合わせて、四車線供用を目指して事業を進めているところであります。
 起点側の竜王町の竜王から双葉町の下今井までの間、延長約二・六キロございますが、これにつきましては、平成八年度に事業着手いたしまして、用地買収を促進しているところでございます。平成十四年一月末の現在で集計しましたところ、面積ベースで五四%の用地買収が完了しております。
 地元の御協力をいただきながら、コストの縮減等に努めながら、御理解と御協力をいただきまして事業の促進を図るということでやっておるところでございます。
後藤(斎)分科員 その点につきましても、ぜひ促進方、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 引き続きまして、富士川水系に釜無川という川がございます。これも一級河川でございます。国においても、平成九年の河川法の改正以降、豊かで美しい河川環境の整備と保全というものを河川法の目的として位置づけております。その中で、自然再生型の事業であるとか河川利用の推進ということで、いわゆる水辺プラザみたいなものの推進とか、いろいろなものを組み合わせながら対応しております。
 その中で、山梨に、富士川、これは一級河川ですが、その支流に五明川という川がございまして、増穂地区の引き堤事業を現在地元から要望され、その促進方についてお願いをしているところもありますが、あわせて、この河川事業を使った水辺プラザの推進ということで、既に国土交通省の方に申請書は提出しているところでもございます。
 この水辺プラザの問題、そして、五明川の河川改修事業に、現在どのように国土交通省で対応して、今後どんな形で進んでいくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
鈴木(藤)政府参考人 増穂地区の水辺プラザと五明川の河川改修事業についてのお尋ねでございます。
 富士川の増穂地区の水辺プラザにつきましては、地元の増穂町が整備計画をつくっておりまして、この熟度が大変高まってきたというようなこと、また、水辺プラザをつくるという必要性も大変高いということで、平成十五年二月に水辺プラザということで登録したところでございまして、今後は、増穂町と連携し、鋭意整備を進めてまいります。
 もう一点の五明川の件でございますが、現地、御案内のとおり、五明川は横川に合流するわけでございますが、この横川につきましては、直轄で、河道拡幅を目的とした引き堤事業を平成七年度から既に進めております。
 それに合流する五明川につきましても、流下能力を確保するための河川改修事業として、用地買収、掘削、築堤等を平成二年度から進めてきておりまして、今後とも、直轄と県が連携し、河川改修事業を進めてまいります。
後藤(斎)分科員 ぜひ、県や町と連携をしながら、推進方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、これは昨年大臣にも御質問をしまして、大臣からも、二十一世紀の交通網のあり方、その基本を考えていきたいということで、大臣がその中で、縦割り行政のいろいろな弊害を取り除きながら、新たに国土交通省ということで、四省庁が一緒になって、そのメリットを生かしていきたいという御答弁をいただいております。
 平成十三年度の国土交通白書の中では、それも踏まえてだと思いますが、二十一世紀の国土交通のグランドデザインを策定するということになっております。それは昨年三月までに方向性を出して公表するという予定になっておりますが、これは、現在どんな形で進んでおるのでしょうか。
扇国務大臣 日本の陸海空、あらゆることを国土交通委員会で御審議いただいておりますけれども、どれを一つとってみても、すべては二十一世紀の日本の国土のあり方というグランドデザインがないために、それぞれが、ちぐはぐといいますか連結していないといいますか、そういう意味では、やはりグランドデザインがあれば、拠点空港は幾つ要るとか、新幹線と空港と、今おっしゃったようなリニアもどこに使えるかというようなことも、私はグランドデザインがあって初めてできると思うんですね。
 けれども、それがないために、それぞれの地域で、例えば新幹線でいっても、全国三千キロと言っておりますけれども、着工したところと未着工、これは先ほど冒頭におっしゃいましたけれども、リニアモーターのお話で、東京―大阪間だけで八兆から十兆という話が出ました。でも、私は、整備新幹線、今、着工、未着工の部分ございますけれども、それだけでもまだ財政的に苦しいということで完成していない。八兆から十兆、東京―大阪間のリニアを引くぐらいだったら、せめて整備新幹線だけでもつくってくれという多くの地方の声があると私は思いますね。
 ですから、そういうことも、あらゆるアクセス、空港と新幹線と高速道路と一般道路等々の国土のあり方というものを、私は今まで政治的にもあるいは行政的にも足りなかった部分というのは、グランドデザインが不足したために部分的にしか通っていない。だから、アクセスが悪くて効率が悪い、物流コストが高い、国際競争に負ける、そう思っていますので、大臣に任命されたときから、私はグランドデザインをつくりたいと言い続けておりました。
 一番最初は、一昨年の十二月に、民間の皆さん方の知恵をかりて、勉強会は終わりました。私は、正直申し上げて、こんなに長い間大臣をさせていただけると思っておりませんでしたので、その一昨年の十二月の分だけ、大臣をやめたら発表しようと思ったんです。ところが、今日まで延々と皆さん方にお世話になっていますので、現職の大臣のときに出すということは責任を伴うわけでございます。
 ですから、より完璧なものをしなきゃいけないというので、またお勉強会をいたしまして、国土交通省の中で、行政の中で、二十一世紀の国土づくり、百年のグランドデザインに参加したい人ということで、インターネットで募集しました。そうすると六万八千人の、中でも東京在住の中から百四十四名の応募者がありました。これは全部若手でございます。役職以下の職員です。その中から三十二名を選抜いたしましてグループを組みまして、勉強をしてもらいました。それがもう既に大体でき上がっています。そして、結果も私は発表を受けました。
 そしてまた、もう一つ別に、国土交通省の役職が、僕たちにはさせてもらえないのかということで、これもまた勉強会をしました。これも結果が出ました。
 それで、お約束どおり、私は、一本に絞らないで、本年の国土交通白書の最後に、別表として、この国土百年のグランドデザインを添付させていただきます。それによって、両案出しますから、多くの皆さん方にいろいろなアプローチをしていただいたり、また新たな御意見をいただいて、二十一世紀の姿というものをぜひ、今まで役所は、十年以上の長期計画を出したことはありません、どの役所も。けれども、今度は、メニューを二つ、両論出して、国民の批判あるいは御助言に負いたいということで、ことしの白書に添付させていただきます。
後藤(斎)分科員 ちょっと一点だけ最後に、時間が過ぎているんですが、大臣にお尋ねをしたいと思います。
 一月、小泉総理も観光立国懇談会というのを大臣決裁して、この懇談会が進んでいると思います。昨年の観光白書を見ますと、仮に一日全国民が一泊旅行をすると、波及効果で、生産波及効果が十三兆七千億、雇用創出効果が百九万人という、これは、現在の経済事情を考えても非常に大きなプラスになります。
 あわせて、先ほど水辺プラザみたいなお話をしましたが、各省庁がばらばらにやっている事業、そして世界遺産というところでも、これから日本が、私は、成熟した国というのは、観光と、ある意味では農業というものが、ヨーロッパの国と同じように、主体になって産業活動の中心になっていくような感じがしておりますが、これから政府としてどんな形で観光立国に向けて取り組むのか、お尋ねをしたいと思います。
扇国務大臣 時間が過ぎているようですので、簡潔にお答え申し上げたいと存じます。
 冒頭に富士山の世界遺産の問題が出ましたけれども、私は、富士山にかかわる県、市町村等々が、富士山のごみ問題、きれいでないという、端的な言い方をすれば、それで世界遺産に登録できなかったことは、日本人として恥ずかしい限りだと思います。そういう意味でも、観光客が堂々と、さすが日本だ、さすが富士山だと言ってくれるような環境づくりをすることが私は大事なことだと思っております。
 それから、観光を倍増しようということですけれども、今、一端をおっしゃいましたけれども、簡単に言いますと、生産波及効果、これは少なくとも五十兆円、そして、雇用創出効果は四百万人になるであろう。
 それから、一般社会の有給休暇。これは、サラリーマンを全部調査いたしましたら、十八日間、有給休暇が標準あるはずでございますけれども、これは日本人、九日間、半分しかとっていません。これを有給休暇十八日間とっていただきますと、波及効果は、経済効果が十二兆円、そして雇用効果が百万人ということでございますので、日本のように、夏休み、春休み、子供を連れていきたい人たちが学校の休み以外には旅行できないというような制度を私はずらしていただいて、そこで十八日間の有給休暇をとっていただくと、経済的にも雇用的にも大きな役割を果たすと思っています。
後藤(斎)分科員 ありがとうございます。
栗原主査 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。
 次に、原陽子君。
原分科員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 私は、本日、川辺川のダムの問題について御質問させていただきたいと思います。昨日の国土交通委員会で日森議員がこれらの問題について質問をさせていただいたので、引き続き関連の部分で御質問させていただきます。
 昨日、河川局長が、株式会社建設技術研究所が建設省時代の委託業務として行った球磨川萩原堤防補強効果検討業務の報告書を見たことがないというふうに、日森議員の質問にお答えになったと思いますので、本日、事前に提出させていただいて、今お手元にこの報告書が渡っているかと思います。
 まず、一点確認をさせていただきたいのですが、この報告書は、建設省時代の委託業務であったということに間違いはないかどうか、御確認をさせてください。
鈴木(藤)政府参考人 報告書発注者についてのお尋ねでございます。
 球磨川萩原堤防補強効果検討業務は、平成十年度に、当時の建設省九州地方建設局八代工事事務所が株式会社建設技術研究所に委託した業務でございます。
原分科員 ありがとうございます。
 そうしましたら、この報告書の中で三つの点について御質問させていただきます。これは事前にも質問の要項の中で、イエスかノーかの端的な答弁でお願いしますと要求してありますので、イエスかノーかでぜひお答えをお願いしたいと思います。
 事前に渡させていただいたこの報告書、この六―十二と書かれているページの中で、まず一点、質問をします。
 この中で、フロンティア堤防であれば二百年に一度の洪水なら被害は出ないということが算定されていますが、この数値は間違いないでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 報告書の内容についてのお尋ねで、イエスかノーかで簡潔にお答えしろということでございます。
 ちょっと大事な点でございますので、本当に簡潔に御報告いたしますが、通常、堤防は、計画高水位というものを超えると、越水、破堤の危険性が高まって、いつ壊れてもおかしくない、計画高水位より上に堤防の一番高いところがあるのですが、そういったことを前提にしているわけでございますが、この報告書では、フロンティア堤防の場合は洪水が堤防高を、計画高水位ではなく堤防高を超えるまでは被害が発生しない、そういう前提に立って検討を行っております。
 この問題の前提の部分が、私たちは残念ながら技術的にそういった設計論を得ているわけではないのですが、それを前提条件として検討しておりますから、二百年に一度の洪水まで被害は出ないと。フロンティア堤防をつくれば出ないというよりは、そういうフロンティア堤防の場合には堤防を超えても洪水が発生しないということを前提に検討しているということでございます。
原分科員 イエスかノーかでお答えいただきたいのです。事前にこのペーパーをお渡ししてあるので、ここにちゃんと書いてあるこの数値、フロンティア堤防における被害額が、二百年に一度とかいろいろなっている中のこの被害額が、ここではゼロと書かれていますよね。この数値に間違いはないかということ。先ほど御説明があったのですが、イエスかノーかというところの答弁を下さい。
鈴木(藤)政府参考人 委員がその報告書をごらんになっているとおりでございまして、その報告書の中にそういった数値の記述があるということは、これはイエスでございます。
原分科員 次に、次のページ、六―十三のところの比較表について、これも、いろいろ御説明したいそのお気持ちはわかりますが、ぜひイエスかノーかでお答えをいただきたいと思います。
 この六―十三に比較表が載っておりまして、川辺川ダム計画が想定している八十年に一度の洪水の場合、現状の堤防だと一兆八十五億円の被害を想定していますが、フロンティア堤防ならゼロ円であるということが書いてあります。この報告書の中でのこれは間違いはないかどうかということを、ぜひイエスかノーかの端的な答弁でお願いします。
鈴木(藤)政府参考人 再三、イエスかノーかということでございますから、この報告書の中にそういった記述があるということはそのとおりでございますが、先ほど申しましたように、この報告書にはきちんと書いてあるんですが、ここでは、堤防をフロンティア堤防として補強した場合、洪水位が堤防高を超えるまでは破堤しないものとする、こういう前提を置いてその数値が記述されているということについて、ぜひ御理解いただきたいと思います。
原分科員 余りしつこくは聞きません。
 もう一つ、イエスかノーかで答えていただきたい質問をさせていただきます。
 お手元にございます、今度は六―十四というところに書いてある事業費についての数値に関して、イエスかノーかでこれもお答えください。
 ここに事業費が書いてありまして、ここの事業費の部分で、二十九億円でこの工事が諸経費を含めてできると書いてあることについて、これは……
扇国務大臣 原議員にお願いがあるんですけれども、大事なところですから。
 お手元にありますと言っても、その中身は議事録に載らないんです。ですから、議事録を見たときに、何に対してイエスとノーと言ったかというのは、議事録というのは一般公開しますので、それを議事録に添付するとかという条件があるんならイエスかノーで答えられるんですけれども、手元にありますと言ってもそれは一般の皆さんには見えないものですから、その辺のところはせめて、行政の部分として責任を持って答えるということですから、ただイエスかノーかでなく、どれにイエスかノーかが国民の皆さんにわかるように言っていただきたいと思います。
栗原主査 原陽子君、国土交通大臣の適切な助言に基づいて質問を続けてください。
原分科員 済みません。それでは、もう一度同じ質問をさせていただきます。
 では、もう一度イエスかノーかで、まず一問目です。フロンティア堤防における被害額に関して質問をさせていただきます。
 二百年に一度の洪水であれば被害は出ないということが算定されていますが、この数値に間違いはないでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 これは数値以外に、それは間違いでないんですが、二百年に一度の洪水であってもフロンティア堤防は壊れないということを前提にそれをはじいているというものではなくて、むしろ、これは壊れないんです、こういうものをつくれば壊れないんですというんじゃなくて、乱暴な言い方をすると、技術的によくわからないところはあるけれどもここでは二百年に一度の洪水が来ても壊れないという前提で検討を行いますというふうに書いているというところを、ここだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
原分科員 一つ河川局長の今の御答弁で気になったんですけれども、壊れないことを前提にということですよね。それは、いろいろなものをつくっていくときに、やはり壊れないことを前提にこういう堤防とかつくるときは考えていくべきことなんではないかというふうに、私は今の答弁で気になりました。
 時間もないので、二問目のことです。今度は、現状の堤防とフロンティア堤防の場合の被害額の比較について質問をさせていただきます。
 川辺川ダム計画が想定している八十年に一度の洪水の場合、現状の堤防だと一兆八十五億円の被害額が想定されていますが、フロンティア堤防なら被害額はゼロ円であるということになっておりますが、これもこの報告書の表の数値で間違いはないでしょうか。
    〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
鈴木(藤)政府参考人 これも先ほどから申し上げているんですが、その報告書の中でただいま委員がおっしゃったような記述があるということは事実でございますが、それをそのまま考えますといろいろな誤解が生じるので、私は先ほどのような説明をした。これは、壊れないということを、前提というよりも仮定していろいろな検討をしているということでございます。
原分科員 最後のイエスかノーかの質問です。
 次に、この報告書の中で算定している事業費についてお聞きをします。
 報告書の中で、事業費、この工事は諸経費を含めて二十九億円でできるという算定の報告がなされていますが、これも間違いないでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 御指摘のとおり、この報告書で考えている、ある一つの堤防強化策について二十九億円という数字の記述があるのは事実でございますが、残念ながら、その堤防強化策のように、堤防高まで洪水が達しても堤防が壊れないという技術的裏づけをまだ私たちは得ていないという点について、御承知おきいただきたいと思います。
原分科員 河川局のお考えをもちろん述べていただくのは構わないんですが、私はこの報告書の中でのことをイエスかノーかで答えていただきたかったのです。
 この報告書に限って言うと、つまり、この報告書の中では、球磨川水系の中でも最も人口が集中している八代市でも二十九億円で二百年に一度の大洪水に対応できるという、全部を見ると結局はそういう結論があるこれは報告書です。
 そして、現在、川辺川ダムを見ますと、八十年に一度の洪水に対応するために、二千六百五十億円かけて、三十五年もかかっております。
 本当に治水対策が急がなければならないというのであるならば、八十年に一回の洪水に対応するために三十五年間、二千六百五十億円を使うのと、この報告書が報告している、二十九億円を出して二百年に一度の洪水に対応できるというような方法をとるのと、費用対効果はどちらが高いかということなんです。
 この点について、では、ぜひ大臣にお考えをお願いします。
扇国務大臣 今論議を聞いておりまして、株式会社建設技術研究所が出した報告書、これに基づいて御論議が行われておりますけれども、この株式会社建設技術研究所、これは、八代市の堤防補強の、八代市周辺に限定された費用です。
 もっとも、金額で人間の生命財産を買えるものでもありません。ですから、川辺川ダムのこの球磨川全域の皆さん方の金額と、八代市周辺に限定されたものと、また、株式会社がこの報告書のとおりにして球磨川全域の生命財産の保障をするのかというと、私はそれは対比すること自体がナンセンスだと思っていますし、我々は責任持って球磨川全域のものに対しての安全と安心を、金額を、人の税金なんですからむだに使うわけありませんけれども、少なくとも工費等々で縮減をして生命財産の安全を図ろうということで、八代周辺の限定されたものと球磨川流域全体と対比すること自体が、金額ではかることはナンセンスだと思います。
原分科員 ただ、大臣、今この株式会社の報告書、この株式会社でやっていることと国が責任を持ってやることとは、税金を使うということで、違うというかナンセンス、比べる対象ではないというような内容だったんですが、でも、冒頭に確認させていただいたと思うんです。これは、建設省時代の委託業務としてここの株式会社が出した報告書になっているわけですよね。
 では、これは河川局長にまた御質問させていただきたいんですけれども、今までもさまざまな事業評価というものはやってこられたと思います。そのさまざまな事業評価の場所にこの報告書は今まで提出されたことがありますかというのと、住民に公開して説明して議論をしたことというのはありますでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 報告書の取り扱いについてのお尋ねでございました。
 この報告書、これは国土交通省としての、当時は建設省でございますが、意思決定以前の検討過程の一つの業務報告書ということでございまして、これを先ほどおっしゃったような、多分、事業評価監視委員会のことをおっしゃっていると思いますが、そういったところに提示したり、それから、住民にこの報告書を提示したりということはいたしておりません。
 ただ、いろいろな形で各種、私たちが川辺川ダムをつくる、その物の考え方、それに関連する資料、これについては情報公開に努めているところでございまして、住民討論集会などにおいても、たくさんの資料を説明しながら御理解を得るよう努力しているところでございます。
 以上でございます。
原分科員 では、ここでぜひ河川局長にお願いをさせていただきたいのですけれども、これは非常に費用を、コストを下げて、それなりの効果が出るという報告書になっていると思います。これはこれで、報告書は報告書として、数値を挙げて、委託業務でお願いした株式会社がつくったこの報告書を、住民が選ぶべき選択肢の一つとしてこの報告書もぜひ公の場所で議論の場に上げていただきたいと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 お答えいたします。
 何度も重ねてで恐縮でございますが、この報告書は、こういうふうに被害が出ないと仮定すれば被害が出ないと言っているようなものでございまして、その点をひとつ御理解いただきたいのですが。
 いずれにしても、先ほど申し上げましたように、私たちは、最終的に事業計画をつくる、そういうときに、その関連する意思決定の資料については積極的に公開しておりますが、その意思決定以前の検討過程の業務というものを公開するということは基本的に考えておりません。
原分科員 ただ、この報告書の「業務の目的」のところに、破堤、越水しない堤防をつくることはもとより、計画高水位を上回った場合でも、絶対に被害を許すことなく、洪水に対して被害を軽減する堤防の築造が必要である。この整備方針に関して、ちょっと割愛しますが、球磨川治水計画立案の基礎資料とするものであるというふうに業務の目的も書かれているわけでありますし、何となく、今の御答弁を聞いていて、ダム建設ありきの姿勢が強過ぎるのではないかと思うのですが。
扇国務大臣 原議員に申し上げますけれども、その資料は隠したものでも何でもございませんし、公表されております。それを材料にしたいとおっしゃるのであれば、それこそ社民党さんのインターネットでもどうぞお出しになって結構ですし、もう既にあなたの手に入って、公表してありますから、それを一部の参考資料としてとったということは事実でございますので、私は、九十億かかったから安全だ、いや、一千億かかったから安全だという、対比することではないということを申し上げているんです。
原分科員 今大臣からそのような御答弁をいただいたので、ぜひ、事業評価の場でも、そういう議論の場でも、一つの選択肢、こうしろと私も言っているわけではなくて、さまざま選択肢がある中で一つの選択肢として、公表して見せているだけではなくて、ぜひこの報告書を議論の対象にもしていただきたいと思っています。
 ちょっと時間が少なくなってきてしまったので次の質問に移りたいのですが、今回、この川辺川ダム計画に伴って三つの発電所が廃止をされ、その廃止補償として設置される計画のある発電所は、既に九州電力が持っている全発電所の供給量の〇・〇一%でしかありません。
 そこで、昨年質問主意書を出させていただいて、その主意書を通じて、廃止補償される事業者の意向を調査していただきました。その答弁を見てみますと、九州電力は、新発電所で得られる電力については、九州電力川辺川第一発電所の代替として考えているのではない。ちょっと抜粋しますが、水力発電に関しては、計画的な自社発電を行いつつ、他社が開発した水力発電所から電気の買い取りを行うという考えに基づき購入すると答弁書の中で国に答えております。
 つまり、九州電力は新しい発電所が欲しいということを言っているわけではありません。しかし、国土交通省のホームページとかパンフレットとかいろいろ見させてもらったんですが、このダムの建設目的として電力ということを挙げておられると思うんです。九州電力は発電所を別に要らないと言っているのに国がダムをつくる目的として発電を挙げていることを、私はちょっと矛盾しているのではないかなと思うのですが、そのあたりの御説明をお願いします。
鈴木(藤)政府参考人 お答えいたします。基本的なところで若干誤解があるのかもしれません。
 まず、川辺川ダムをつくるところ、ダムの直上流には、御指摘のように三つの発電所がございます。チッソと九州電力とチッソということで、三つの発電所がございます。これはダムをつくることによって水没しますので、政府として廃止補償をいたします。これは委員から要請のあった質問主意書にも答えたとおりでございます。
 そして、それは前提として、この川辺川ダムをつくるということに関連して、そしてダムをつくって河川の水位を上げるという、位置のエネルギーを利用する、クリーンエネルギーを利用するという観点から、新たに今度は電源開発株式会社がこのダムに参加したいという要請があって、それを受け入れて今のダムの計画が成り立っているということでございます。
 九州電力においても、質問主意書での回答を読んでみますと、「電源開発相良発電所からの電気の買取りについても、九州電力川辺川第一発電所の代替としてではなく、」この「電源開発相良発電所からの電気」というのが川辺川ダムに新たに参加する発電所でございます。これの買い取りについても、「九州電力川辺川第一発電所の代替としてではなく、」すなわち水没する発電所の代替としてではなく、「このような考えに基づき購入する予定である」。「このような」というところを前の方にさかのぼって読んでみますと、「水力発電については、再生可能な純国産エネルギーであること及び二酸化炭素排出の削減に寄与することから、立地環境、経済性等を総合的に勘案し、計画的な自社開発を行いつつ、」云々、こういうことでございます。
原分科員 つまり、廃止補償として、計画のある、水の中に、ダムの中に沈んでしまう廃止補償として、電力、新しい場所を、廃止補償として――済みません、もう一度お願いします。
鈴木(藤)政府参考人 では、もう一度簡潔に申し上げます。
 廃止補償は、水没する発電所が三つございます、これの廃止補償は金銭で支払います。なくなってしまうわけです。
 そこにダムをつくるわけでございますが、これを、位置のエネルギー、水の力というものを利用して、新たに今度は電源開発株式会社が新しい発電所をつくるということでございます。
原分科員 ありがとうございます。
 ということは、しかし九州電力は、新しい、つまりは、ダムの中に水没してしまう九州電力の答弁の中では、九州電力はしかし新しい発電所が欲しいと言っているわけではないわけですよね。そうなると、発電所、発電がダムの建設目的に入っていることはやはり矛盾しているように思えるのですが、いかがでしょうか。
鈴木(藤)政府参考人 私、委員からお話があった質問主意書の答弁書を実際にここに見ながらお答えさせていただいておりますが、ちょっと省略しますが、「九州電力から聴取したところ、」省略しますけれども、新しくつくるダムの電気を購入しますと言っているんです。自分でつくるわけじゃないんです。これは電源開発株式会社がつくるんです。
 購入します。なぜ購入するかというと、先ほど申し上げたので省略しますが、再生可能な純国産エネルギー云々ということを申し上げましたので同じことは繰り返しませんが、購入するということを九州電力が言っていると聞いているという政府の答弁になっておるわけでございます。
原分科員 済みません、時間もないので、最後に一点だけ大臣にお考えをお伺いしたいんですが、先日も国土交通委員会の中で日森議員が、ぜひ地元の住民の方の声に耳を傾けて、直接住民の方に会ってお話を聞いていただきたいということを、きのうも要望させていただいたと思うんですが、ぜひ私の方からも、この熊本の、例えば住民の討論集会なんかも、熊本知事も本当に一生懸命になって住民の声をしっかりと聞こうというふうに、非常に活発な議論が行われていると聞いておりますので、ぜひ私は扇大臣にもこうした住民の声というものに耳を傾けていただきたいということを再度要望させていただきたいんですが、最後に大臣のお考えをお伺いします。
扇国務大臣 きのうも日森議員からその御質問がございまして、国土交通省九州整備局、少なくとも、地元の反対、賛成、それから地元の地方自治体等々で既に何回も協議会を開きまして、既に一万人以上が参加しております。私が一度行って一万人以上の声を聞くことはできません。そういう意味では、地方整備局が協議会を開いて、地元の皆さん方、それから賛成も反対も、地方自治体も含めた協議会を、そのために私が設置してくれと頼んで設置した委員会ですから、私は、委員会の報告なり、今の一万人以上の参加者の御意見というものを尊重したいと思っています。
原分科員 終わります。ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて原陽子君の質疑は終了いたしました。
 次に、石井啓一君の質疑に入ります。石井君。
石井(啓)分科員 公明党の石井啓一でございます。
 まず、昨年十二月五日に日立港で座礁いたしました北朝鮮船籍の貨物船チルソン号、これにつきまして質問を申し上げます。
 事故発生後、地元の茨城県や日立市では、漁業活動や港湾の管理運営への被害を最小限にとどめるため、流出油の回収あるいはタイヤチップの撤去作業など、事故対策に懸命に取り組んできております。
 私も、事故の発生直後、十二月七日に現地を視察いたしまして、日立港は物流の拠点であるばかりでなく、付近がアワビ、シラス、ソイ、メバルなどの好漁場でございまして、重油流出による影響が懸念される中、地元の関係者やボランティアの方が朝から総出で吸着マットによる重油の回収に当たっていた姿を目の当たりにしてきております。
 この事故を通して表面化いたしましたことは、我が国の沿岸を老朽化の船舶あるいは無保険の船舶など、危険性をはらんだ外国船舶が往来している、そして、こういった船舶が万一事故を起こした場合に、国が主体的な対策をこれまでは講じてこなかったということであるというふうに思っております。
 全国にも、座礁したまま長期間放置された外国船舶が一九八九年以降二十八隻ございまして、そのうち、船主責任保険などで船主が撤去したものが八件、地元自治体が撤去を強いられたものが十二件、それでも今なお十隻の外国船が座礁したまま放置されている、こういう現実がございます。
 そこで、このチルソン号の座礁事故を踏まえまして、危険船舶や無保険船舶について入港規制が可能となるような法整備を含めまして、今後の事故再発防止策を図るべきであるというふうに考えますが、まず大臣の御見解を伺いたいと存じます。
扇国務大臣 大変大きな問題になっております今の現状、それから、昨年の十二月に茨城県の日立港で座礁いたしました北朝鮮船籍のチルソン号、これに対しても、石井議員もすぐに現地をごらんになったということでございます。
 今おっしゃったように、日本じゅうで今、外国船の放置船は十二隻ございます。大変問題になっていますし、私は、この十二隻の中、全部ではございませんけれども一部、これはテレビの報道でしたけれども、船長以下乗組員が自分の乗ってきた船を放置して、違う船でさっさと帰国する映像を見ました。余りにも無責任というか、船長という職責の重みも感じていない、本当に私は情けない思いでそれを見まして、あの帰る人を、何とか船長一人でも、この自分の乗ってきた船が片づくまで日本に置いておくわけにいかないのかという憤りさえ感じました。
 なおかつ、現段階では、船籍のわからない幽霊船もあります。これはもう、もっと問題です。そして、放置しに来たのではないかと思うような無国籍船、これは私はもう許せないと思っていますけれども、そういうことも含めて、余りにもひどいですし、日本の国土の三倍の海域があるわけですから、これを監視します海上保安庁も、国土交通省の認識の中で、大変苦労しております。
 今おっしゃったように、無保険船、保険に入っていない船等々は、私は、何とかできないのかということで、これはいけないということで、昨年の末、国土交通省の中に座礁・放置船等に関する検討会を設置いたしまして、今申しましたように、無保険者等々、放置しかねない船を何とか制御できないかということを今検討中でございますし、閣僚懇でもそのことを言いまして、閣議にも提案してあります。
石井(啓)分科員 大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、今回の事故に係る船舶の撤去あるいは流出油の防除、環境汚染対策について、地元の自治体で相当の経費を要しております。
 ちなみに、これまで県が負担した費用、これが代執行に係る費用、油の除去その他海洋汚染の防止に係る費用等々で、既に四億八千万、経費を負担しております。あるいは、日立市、ひたちなか市では、それぞれ八百万、四百万、負担をしているわけでございますけれども、こういった地元自治体が負担した経費につきまして、予備費の活用や補助制度などの国の財政措置を、これはぜひ行っていただきたいと思いますが、これも扇大臣、そして財務省の答弁をいただきたいと存じます。
扇国務大臣 これはおっしゃったとおりでございまして、私どもも、この船の、自治体が大変大きな負担をしていただいているということを伺っておりますが、本来はこれは船主に責任がある、船の持ち主、この船主の責任であるということで、本来は船主がすべきですけれども、やむを得ず自治体が負担していただいている。
 撤去費用に関しては、数千万円から数億という、今お話がございました日立が何億ですか、二億ですか……(石井(啓)分科員「四億八千万」と呼ぶ)四億八千万、御苦労さま。そういうことで、放置、座礁の措置に関しては、先ほど申しましたように十二隻ありますから、それぞれの金額の差はありますけれども、漁業者に対しても大変これは大きな迷惑をしております。
 現行制度上では、放置の船に関しましては、処理等に要する費用に関しては、御存じのとおり、港湾区域における所有者不明の放置船の撤去への補助、これは三分の一の補助ということになっております。また、港湾区域外でありましても、撤去等の放置船の措置に要した費用に関しましては、特別交付税等の措置はありますけれども、これは御存じのとおり、特別交付税上の措置としましても、これも区域内、港湾区域の中でのものであれば国が三分の一、放置船の措置等に関しては都道府県が経費の五割の補てん、それから市町村にも八割の補てんというふうに、現段階では決められたとおり行っておりますけれども、それ以上の期間の漁業補償等々もあろうと思いますので、できる限りの補てんをしていきたいと思っております。
石原政府参考人 お答え申し上げます。
 事故に係ります船舶の撤去等につきましては、まずは原因者たる船主の責任を追及するというのが原則であろうかと存じますけれども、やむを得ず地方自治体等が負担した場合におきましては、現在の制度といたしましては特別交付税等の制度があるというふうに承知をしているところでございます。
 なお、今回新たに国が何らかの財政措置を行うべきかという点につきまして検討しているわけでございますけれども、この点につきましては、現在国土交通省におきまして、今後の危険船舶等の入港規制措置ともあわせて鋭意検討しておられるというふうに承知してございまして、財務省といたしましても、今後、国土交通省の検討結果を踏まえまして、十分国土交通省と協議の上、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
石井(啓)分科員 これは、通常であれば船主の責任を追及するわけで、このケースもやっておるのですが、残念ながら北朝鮮ということで、国交がない、しかも今なかなか難しい状況にあるわけでございまして、非常に特異といいますか特殊な事例だという状況をよくお考えいただいて、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
 それから、農水省にお伺いしますけれども、漁場を守るために休漁して油回収等に対応した漁業関係者に対しまして、回収等に要した経費、それから休漁による損害などについて、助成あるいは低利の緊急融資制度の創設、こういった財政措置をぜひこれは講じていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
弓削政府参考人 先ほどからお話が出ておりますように、座礁事故に関しましては、原則としては、影響を受ける者と原因者との間において民事的に解決されるべきとの考え方が原則になっておりますけれども、これも先ほどから出ておりますように、原因者の責任を果たさないという事例が多発しております。
 現在話題になっております日立港における北朝鮮の船についても、漁業者が油回収等に要した経費及び休漁損害について北朝鮮の船主に対して請求を行っておりますが、この交渉は難航していると聞いております。
 水産庁といたしましては、今後、茨城県や漁業者等からの要望を踏まえまして、状況に応じて、漁業環境の保全等の観点から可能な支援を検討してまいる所存であります。
石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それから、ちょっと順番を変えて総務省さんにお聞きします。
 この座礁事故に関しまして、先ほども答弁の中でありましたけれども、特別交付税でぜひ茨城県、日立市、ひたちなか市に支援をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の座礁事故でありますけれども、事故発生直後から、茨城県が中心となりまして、緊急避難的な措置として多額の経費の支出を余儀なくされているという事実を私どももお聞きいたしております。
 今回のこの経費につきましては、先ほど来御指摘ございましたように、なかなか複雑な事案でございまして、結果的に多額の負担が地元に残る可能性が高いということで、茨城県等心配されておられます。国庫補助による財政措置であるとか、また私どもに対しましては、特別交付税による支援について御要請をいただいているところであります。
 私どもといたしましても、先ほど来御答弁ございました関係省庁とも御相談をしなければならないと考えておりますが、特別交付税による支援につきましては、地方団体の負担とされました特別の財政需要につきまして交付されるものでございますので、事案の経緯であるとかあるいは性格に応じた国と地方の適切な責任分担に基づきまして、国が講じられます措置とあわせて検討を進めていく必要があるだろう、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、よく県、地元市等の状況をお聞きいたしまして、関係団体の財政運営に支障を生ずることがないよう適切に対応してまいらなければならない、こういうふうに考えております。
石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 それから、座礁船に関しまして最後の質問でございますが、今後の課題といたしまして、事故発生直後から、事故に関する情報を関係の地方自治体に速やかに伝達するような体制を整備していただきたいと思いますし、また、座礁事故に関します指針とか対処マニュアル、こういったものを作成いただいて、自治体初め関係者にぜひお示しをいただきたいと思います。
 大臣の御答弁よろしくお願いいたします。
扇国務大臣 今、石井議員がおっしゃった連絡というものがいかに大事かというのは、ふだんの情報伝達方式がきちんとマニュアルができていないといけないと思いますし、少なくとも、海難事故が発生した場合には、海上保安部署から地方の公共団体など関係機関に対しましては、的確に情報の提供を行う、そしてまた連絡をするというのができております。
 そして、日立港におきましては、関係機関の間で作成してあります緊急時の連絡系統図ができておりますので、これに基づいて、事故の情報を茨城県の日立港湾事務所に連絡して、同事務所から、警察、消防、漁協などの関係機関へ伝達する体制というものが既にでき上がっております。
 また、今御質問の北朝鮮の貨物船チルソンに関しましては、十二月の五日午前零時二十分に事故が発生いたしまして、午前一時四十分に海保から茨城県に連絡をいたしました。なおかつ、午前三時二十五分に、油漏れというものを発見いたしまして、海保から茨城県に伝達したという体制ができました。
 そういう意味では、この体制に従って、那珂湊の海上保安部から茨城県の日立港湾事務所に速やかに連絡を行ったというのが現実でございますので、今後も、あってはならないことですけれども、もし一たんある場合には、必ずこのように迅速な対応をしていきたいと思っております。
石井(啓)分科員 よろしくお願い申し上げます。
 この座礁事故につきましては、いろいろな課題が生じましたので、今質問申し上げましたような点、よろしく御検討のほどお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、有料道路料金割引につきまして質問申し上げます。
 平成十五年度の新規施策で、有料道路における料金に係る社会実験ということで、時間帯や曜日、路線等の利用実態に応じた多様で弾力的な料金の設定という仕組みの導入のために、十五年度、まず実験をしてみよう、こういう新しい試みが始まるというふうに伺っておりますので、ぜひその概要をお示ししていただきたい。
 と同時に、実はこの分科会でも私何回か質問申し上げたんですが、地元茨城県の日立市では、常磐自動車道と国道六号が並行しておりまして、朝晩、国道六号が非常に激しい渋滞でございます。
 今、六号のバイパスを海岸部につくっているんですが、これがなかなか整備が進まないということで、特に朝晩の渋滞時に、六号の交通量を常磐道の方に転換できるような、そういう有料道路割引制度の導入ということを、私、何回か申し上げてまいりましたので、ぜひこういった社会実験をこの日立市の常磐道にも適用をしていただきたい、こういうふうに思います。御答弁、よろしくお願いいたします。
佐藤政府参考人 有料道路につきましては、利用促進を図ることによりまして、地域の活性化を図る、さらに現道の沿道環境の改善や渋滞対策を推進する、こういうことのために多様で弾力的な料金施策の導入が重要である、こう考えております。
 このため、平成十五年度政府予算原案におきまして、料金割引などの社会実験のための予算三百億円を盛り込ませていただいているところであります。
 地方公共団体の御協力もいただきながら、具体的には、例えば、高速自動車国道における長距離割引の社会実験、あるいは首都高速道路や阪神高速道路における夜間割引の社会実験、さらにはそれぞれの地域における環境改善や渋滞緩和などのニーズに対応して、割引などの具体の実験内容について地方提案いただく地方からの提案型社会実験、こうしたようなものを行う予定にしております。
 先生御指摘の日立市内の状況につきましては、国道六号が二車線ということで、市の中心部で三万六千台という大変な交通量がありまして、朝夕の混雑時に最大約二キロの渋滞が発生している状況である、こういうことでございます。
 したがいまして、当該区間につきまして、常磐道の活用という観点から、地元自治体としてそういう御提案があるということでありましたら、私どもも十分御相談申し上げながら、その実施について検討してまいりたいというふうに思っております。
石井(啓)分科員 では、具体的に提案があった場合、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと時間が少なくなってきましたので、一問質問を飛ばしまして、北関東自動車道それから東関東自動車道についてお尋ねいたします。
 道路公団の民営化委員会で、昨年、供用されていない路線の収支見通しについて資料として提出されたというふうに伺っております。今、茨城県でも、常磐道と東北道、さらに東北道から関越道を結ぶ北関東自動車道と、あと東関東自動車道、この北関東自動車道から、鉾田までですね、今百里飛行場が整備されています、それのアクセス路線としての東関東自動車道水戸線を整備をしているわけですが、この二つの路線については比較的収支がいいというふうに伺っております。
 民営化の議論の中でどの路線を優先的にやっていくのかということは今後の大きな課題だと思いますが、その中の大きなメルクマールとして、この収支ということが、採算性ということが大きな要素だというふうに考えておりまして、私は、そういったことからすると、当然のことながら、この東関東自動車道あるいは北関東自動車道は有力である、高速自動車国道としてそのまま整備される路線だというふうに考えております。
 今後、この両路線の整備はどういうふうに考えられるのか伺いたいと存じます。
佐藤政府参考人 先生御指摘の道路関係四公団の民営化推進委員会に提出された収支見通し、これは、全国料金プール制を採用している高速自動車国道の全体での将来の採算見通しを便宜的に区間ごとに分割して算出したものであります。この資料によりますと、北関東自動車道、宇都宮の上三川から友部、それから東関東自動車道水戸線の鉾田から茨城につきましては、収支率が七五から一五九、こういうことになっておりまして、収支見通しは、未供用区間の中では比較的良好であるというふうに認識しております。
 これからの整備の仕方、こういうことでございますが、北関東自動車道あるいは東関東自動車道を初め、現行の整備計画九千三百四十二キロございます。これにつきましては、国民経済的に見まして整備の必要性があるということで、法律の手続を踏んで決定されたものであります。地元にも具体的な計画として提示された区間であります。国土交通省としましては、早期に整備することが必要と認識しています。
 今後、今国会に提出しております高速自動車国道法の改正によって位置づけられる新たな直轄方式と有料道路方式の二本立てによって整備を進めていく、こういう方針にしております。
 どういうふうに分けていくか、これはまた今後の課題ではございますが、いずれにいたしましても、そういう整備の重要性という面から申し上げますと、いろいろな工夫をしながら整備の推進を図ってまいりたい、そのように考えております。
石井(啓)分科員 手法としては今度、直轄国道という手法が出るわけですけれども、これは採算性の余りよろしくない路線だというふうに認識しておりますので、私は、今申し上げた二路線については、引き続き高速自動車国道として整備されるものというふうに期待をしておるところでございます。
 ところで、公団民営化の議論の中で、高速国道については相当議論が進むんですけれども、一般有料について、今整備中の路線、どうなるのかというのが実はよく見えていないところがございます。
 いわゆる圏央道につきましては、これは今直轄で整備が進められていますが、将来的には一般有料として適用になるということでございますけれども、今この茨城県内での整備状況、それから公団民営化の議論の中でどういうふうに取り扱われるのか、この点について確認をさせていただきたいと存じます。
佐藤政府参考人 圏央道、いわゆる首都圏中央連絡自動車道のことを圏央道と申しておりますが、東京都心からおよそ四十キロから六十キロ、延長約三百キロの高規格幹線道路であります。
 茨城県の区間は、全長約七十キロメートルでございますが、全体事業費約三千五百億円をもちまして、常磐自動車道から茨城、千葉県境間の延長約二十九キロにつきましては、平成六年の四月に都市計画決定されております。このうち、常磐道から国道六号の牛久土浦バイパス間の延長一・五キロにつきまして、本年三月末の供用に向けまして現在工事を鋭意進めているところであります。
 さらに、国道六号の牛久土浦バイパスから江戸崎インターの間、十八キロにつきましては、平成十五年の一月現在、面積ベースで九九%の用地買収が完了している、こういう状態でございまして、補正予算も活用して全面的な工事を図ることとしております。
 埼玉、茨城県境から常磐自動車道間の延長約四十一キロにつきましては、平成七年三月に都市計画決定がされました。このうち、つくばインターから常磐自動車道の間につきまして、用地買収、工事を促進しております。一月現在で、面積ベースで五五%の用地買収が完了しているところであります。
 なお、つくばインターから江戸崎インターの二十三・八キロにつきましては、国土交通大臣の許可を受けて、日本道路公団が一般有料道路事業として事業を実施しているところであります。
 民営化後の有料道路の取り扱い、こういうことでございます。
 新しい会社になった場合にどうなるのか、こういう御指摘かと思いますが、平成十四年の十二月十二日に行われました道路関係四公団民営化に関する政府・与党協議会申し合わせを踏まえまして今後検討することとなりますが、いずれにしましても、今申し上げましたような形で着々と整備を進めている、こういう状況でございますので、この首都圏における主要ネットワークの一翼を担う圏央道の整備につきましては、できるだけ早く完成できるように、いろいろな工夫をしながら、今後ともその整備手法を含めまして検討してまいることにしております。
石井(啓)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、常磐新線、つくばエクスプレスについて質問申し上げます。
 今、整備が順調に進んでおりまして、平成十七年度中の開業目標に向かって鋭意進められているところでございますが、東京での端末駅が秋葉原になっておりまして、これは将来的な利便性を考えると、秋葉原から東京駅までの地下の延伸、これをぜひ考えていただきたいなと。
 大深度地下等を利用すれば、これはルート等あるいは地上権の補償等も安価に済みますし、恐らく鉄道では初めての適用になるかもしれませんけれども、そういったこと等も活用しながら、東京駅への延伸の構想を、もう既にございますけれども、もう一段、ぜひ進めていきたいなというふうに考えておりますが、この延伸構想についてはどのように認識をされているのか、お考えを伺いたいと存じます。
石川政府参考人 つくばエクスプレスでございますが、着工して以来十年になります。現在ようやく、平成十七年の秋の開業を目指して建設を一生懸命やっているところでございます。東京都、埼玉県、千葉県及び茨城県、一都三県及び関係機関が一致協力して、最後のところで頑張っているという状況でございます。当面は、つくば―秋葉原間五十八キロメートルでございますが、これの円滑な開業、それと開業後の経営の安定化ということが最優先の課題だろうと思っておる次第でございます。
 御指摘の、秋葉原から先、東京駅までの延伸でございますが、これにつきましては、運輸政策審議会の答申第十八号というのがございまして、ここで、「今後整備について検討すべき路線」というふうに位置づけられております。約二キロほどでございまして、工事費がどのぐらいかかるかあれでございますが、一千億以上かかるかとも言われておりますが、もしこれが東京駅へ延伸されれば、旅客の利便性が向上するということは、そうだろうと思っております。
 ただ、今申し上げましたように、どのぐらいのお金がかかるか、さらには、延伸にどういうふうな技術的な問題があるか、課題があるか、財源をどうするか、あるいは収支採算をどうするかということ等のいろいろな問題がございます。したがいまして、出資者であります関係地方自治体等の意向も踏まえまして、このような問題について関係者間において勉強してまいりたいというふうに考えております。
石井(啓)分科員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、最後、百里飛行場、これは十八年度、共用を目標に進められております。この進捗状況、簡単に御説明ください。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 百里飛行場の民間共用化につきましては、平成十二年度の事業化以降、現在までに環境影響評価のうちの方法書の手続を完了いたしまして、現在、茨城県を初め関係者と調整をしながら、次の段階であります環境影響評価の準備書の準備を行っているというところでございます。
 国土交通省といたしましては、今後も、この環境影響評価を促進して、調査、設計等所要の作業を進めて、できるだけ早く用地の買収や工事に取りかかれるよう取り組んでまいりたいという旨頑張っているところでございます。
石井(啓)分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて石井啓一君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩田晋君の質疑に入ります。塩田君。
塩田分科員 扇国土交通大臣にお伺いいたします。自由党の塩田です。
 扇国土交通大臣におかれましては、いろいろな問題について、非常に明確な、さわやかな発言をされて、国民の多くの方が非常に期待をし、また、喜んでおられることがございます。今後とも、ひとつ大いに御活躍をお願いします。
 平成十五年度の公共事業関係費は八兆九百七十億円余でございまして、前年度よりほとんどの項目で減額になっております。総額で三千二百六十八億円のマイナス予算であります。デフレ経済のもと、赤字財政の厳しい予算編成であったと思います。それが公共事業へしわ寄せになったということが感じられます。
 公共事業の景気刺激対策としての効果は、いわゆる乗数効果とかあるいはアクセレレーション効果とかいろいろ言われておりましたが、この効果がだんだん小さくなってきたということも言われております。しかし、来年度予算の四%減額というのは、明らかにデフレをなお促進する効果になるのではないか、このように考えます。
 我が国の社会資本の整備につきましては、大臣も以前に言われましたけれども、下水道、市街地整備を初めとして、公共投資の対象としてはまだまだ全国にたくさんあると思いますし、我が国は各国に比べまして、まだまだ先進国に対しましては社会資本の整備は十分でないということはお認めになると思います。私鉄への投資がおくれておるとか、また、扇大臣がよく言われます電柱の地中埋設、こういったものを含めまして、まだまだ投資の余地があると思います。
 公共事業費のこの時期におけるこのような減額について国土交通大臣としてどのようにお考えか、お伺いいたします。
扇国務大臣 きょうは塩田議員にいろいろお励ましいただいて、今後も頑張っていきたいと思います。
 今、大事なことを言われまして、公共事業は、ある意味では多くの皆さん方がもういいんではないかというようなことも言われましたし、それから、大変大事なことは、総理のもとにつくられております経済財政諮問会議、ここでも、民間の皆さん方、学者の先生方等々が、社会資本整備は、諸外国、欧米先進国ではGDPの三%だと。だから日本も、今の六%というのは多過ぎる、三%にしたらどうだという経済財政諮問会議でのお話もこれありでございましたけれども、今、塩田議員がおっしゃいましたように、まだまだ日本の場合、社会資本整備というものは完全ではないという声をたくさん聞きますし、また、欧米に比して社会資本整備というのは、今、欧米先進国並みに来ていれば欧米先進国並みでいいですけれども、まだまだ私は不完全だと思っております。
 そういう意味では、公共工事の予算が減額されたと言っていただきまして、確かに減額ではございますけれども、三%の減額というものが、おかげさまで、皆さん方に十四年度の補正予算を通していただきました。十四年度の補正予算と十五年度の予算と連結して考えますと、十五カ月予算ということで見れば、私は十分な仕事ができる量であると思っていますので、頑張っていきたいと思っております。
 今、公共工事のお話をいただきましたので、例えば例を挙げさせていただきますと、渋滞による今の経済効果の損失、これを年間で計算いたしますと、約十二兆円の損失を行っているというのが第一でございます。それを何とかしなければいけない。
 また、二つ目には、ピーク時には四十分以上踏切が閉まっているというところ、いわゆるあかずの踏切、これが全国で約一千カ所ございます。これも二つ目の大きな問題でございます。
 三つ目には、今先生が御指摘になりました電柱の地中化でございます。これも私はずっと言い続けているんですけれども、全国の市街地で、電柱の地中化はまだ一・六%しか実行されていません。これもしなければいけない。これが三つ目でございます。
 四つ目には、御存じのとおり、塩田議員は兵庫でございますから、神戸港の港湾の取扱量が最近大変に落ち込んでいる。この二十年間で、世界の第四位から二十五位にまで転落しております。私は、港湾の国際化というものが諸外国に比べておくれているということも大事なことだと思っています。それが四つ目。
 五つ目には、観光客でございます。けさからも御論議をいただいておりますけれども、日本から出ていく人が千六百万人、入ってくる人は四百万人。四分の一ということで、何とかこれを倍増しようということを言っておりますけれども、まず、玄関口の国際空港の整備がどの程度できているか。また、CIQの列に成田で一時間以上待っていただくということは、これは大変外国の皆さん方に対して失礼である。また、通行料金が高い等々。
 これらを少なくとも解決していこうということで、国土交通省としては、前代未聞の話なんですけれども、今まで、昭和二十九年に道路整備の五カ年計画という長期計画、いわゆる五カ年の長期計画をずっととってきたんですけれども、それが十本ございまして、十四年度で切れたものが八本、そして十五年度で切れる一本、これは農水省と共管でございますけれども、この九本を一本にしようと。整備計画を一本にして、旧建設、旧運輸等々に分かれていたものを一本にして社会資本整備の充実を図っていく。そして、集中投資することによってコストダウンができて、なおかつ国際的に追いつくようにということで、これも、国土交通省、旧建設、旧運輸の皆さんから考えれば、九本の整備長期計画を一本にするなんというのは無理だろうというお話もございましたけれども、これを実現することができまして、今、十五年度予算で御審議いただいておりますけれども、この統合の実を図るということを実現したいと思っています。
    〔高鳥主査代理退席、主査着席〕
塩田分科員 ありがとうございました。
 大臣のお考え、全面的に賛成でございまして、その考え方の上に立って公共事業費の重要な役割というものをよくまた説得されまして、これをぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 次に、もう一問、大臣にお伺いいたします。
 公共事業の入札に関しまして種々の対策が講ぜられてきたことはわかるのでございます。また、私も決算委員会等におきまして、大臣にいろいろと随意契約の問題とか入札のやり方についての御質問をさせていただきました。
 しかし、依然として刑事告発を受けるような事件が続発しております。非常に遺憾なことでございます。これにつきましては、自由、公正、公開の原則に立って、そして、事件が起こることのないように、十分な手続だとか契約その他につきまして、これはもう会計法から刑法から公取法から、すべて含めて抜本的に改革、改正をする必要があるんじゃないかと思いますが、いかがお考えでございますか。
扇国務大臣 超党派でこの公共工事の入札と契約に関する適正化法、入契法と略して言っておりますけれども、賛成していただいて、私は、大変大事なときに、国内で初めての公共工事に対する法案でございますから、大変ありがたかったと思っております。そして、これが十三年の四月から実行されておりますので、十三年の四月以降に、私は、この法案にかかわっているいわゆる刑事事件等々があってはならないと、厳に国土交通省関係に、全国に指令を出しております。
 それ以前のこととはいえ、いまだに逮捕者が出たりすることは残念のきわみでございますけれども、何とかして、私は、この十三年四月以降施行しております入札と契約に関する適正化法、全国の皆さん方に、各地方自治体に実行していただきたいということで、一斉に、詳細条件の審査型一般競争入札の導入でありますとか、あるいは法案に書いてあります電子入札の導入、年間四万件の国土交通省の入札がありますけれども、これを全部電子化しようということで、談合とか丸投げができないようにということを私たちは実行しております。この入契法の中に書いてあります第三者委員会をつくっていただいて、そして、そこで審議していただくということが書いてあるんですけれども、第三者評価委員会でして、もし何か疑わしいときは公正取引委員会に通知してくださいと明示してございます。
 けれども、残念ながら、地方自治体で、都道府県レベルでは第三者機関について大変御理解をいただいて設置していただいて、十四年の三月現在で、四十七都道府県中、この第三者委員会を設置していないのは七県だけなんです。これを何としても私はしていただきたいと思って、幸い、先生のところの兵庫県はもう既に設置できていますけれども、お名前を言わせていただくと、福島県、群馬県、石川県、京都府、宮崎県、鹿児島県、沖縄県というところで私は設置していただきたい。
 そして、残念なことは、市町村の場合は九二%も未設置なんですね。それは、今、町村合併が進んでおりますので、少なくとも小さな規模では設置できないけれども、合併したら第三者機関を設置できるというようなことになると思っていますので、悲観はしておりませんけれども、せめて、皆さんに法案を通していただいたことに、今さらながら感謝をしている次第でございます。
塩田分科員 最近できましたその法律に従って、設置未実施のところにつきましてはなお一層促進をしていただいて、と同時に、私が申し上げましたように、会計法の主管大臣は財務大臣ですから財務大臣にも強く言っておりますが、各省庁に実際の手続その他のやり方は任せてある、こういうことですが、やはり根本的にそこは各省庁に共通するところがありますから、財務省が中心になって検討して、また時には、法務省なりあるいは公取委員会等にも相談されて、それで本当に不祥事が起こらないように抜本的にやはり見直し、検討し、法律の改正が必要ならばやるべきだと思うんですが、この点をひとつよろしく御検討のほどをお願いいたします。
 続きまして、担当の局長にお伺いいたします。
 兵庫県の東播地域、これは加古川、高砂市及び播磨町、稲美町、この二市二町でございますが、この地域における南北道路の整備につきまして、私はここ二十年来主張して、また、要望を続けてまいりました。政府当局並びに地方公共団体の御努力によりまして着々実現をしていただいておりますことに対しまして、深く感謝をしたいと思います。
 今、当面、問題のところを順次申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。
 JRの加古川駅周辺の連続立体交差事業、これにつきましては、住民が多年にわたって要望してまいりました。これがいよいよ完成に近づいておると思いますが、その時期見通しですね、高架線がいつ、どのように全通するのか。これは、南北を遮断している踏切が十四本もありますから、これが高架になりますと非常に南北の流通がよくなって、交通渋滞もなくなるし、経済効果も出ると思うんです。この高架全通につきましてお伺いいたします。
澤井政府参考人 JR加古川駅付近の連続立体交差事業につきましては、山陽本線の二・四キロ、加古川線の〇・九キロ、合計三・三キロを高架化する事業でありまして、平成五年三月に事業認可を受けて工事を進めてまいりましたが、平成十五年、ことしの五月に山陽本線の部分、また、平成十六年度末に加古川線の高架への切りかえが行われる見通しであります。
塩田分科員 この高架事業に当たりまして、鉄道の上にかかっていたのを、跨線橋というのですか、道路ですが、これが切り落とされて、今、平面交差になっているんですね。いろいろ配慮はしてもらっているようですけれども、これが一年近くほかされたままなんですね。事業がそんなに進んでいるように思わないんです、外から見ておって。どうしてこんなに時間がかかるんだということをよく聞かれるんですけれども、その点はいかがですか。
澤井政府参考人 撤去される跨線橋、自動車用の跨線橋だったと思いますが、それにかえまして、切り落としのときに、たしか側道のようなものをつけてその交通を確保するというようなことで、支障のないような手順を組んだ上でやっているというふうに私どもは承知しております。
塩田分科員 それは知っておるんですが、工事の現場は囲いをしたままで、長い間ほうってある。動いているようにも思わない、工事が進んでいるようにも思わないという声が大分ありました。どうして役所仕事というのはこんなに遅いんだ、何をやっているんだ、こういう意見がありますことをお伝えします。
 これは、五月末にはもう全部高架になるわけですね。高架で全通するわけですね。
澤井政府参考人 先ほど申し上げましたように、JRの二本の路線を同時に進めておりますが、ことしの五月に高架切りかえになりますのは、そのうちのJR山陽本線の二・四キロの部分でございます。
塩田分科員 続きまして、これと関連して、JRの加古川駅、これの駅庁舎がどういうふうになるのか。今、木造で非常に古い建物です。これを建てかえられると思うんですが、これの内容はどういう構想なのか。これについて皆さん聞かれるんですけれども、なかなか、市役所もどこも答えてくれないと言うんですね。
 お聞きしたいのは、いわゆる民衆駅といいますか、今、明石駅が立派にできまして、駅構内が非常ににぎやかになっています。それは、商店街がかなり入って、飲食店も入っている。これが加古川ではどうなるのかということがおわかりでしょうか。
澤井政府参考人 駅庁舎を含めまして、一体の構造物の内部なり下の利用の詳細は、恐縮でございますが承知しておりませんが、いずれにしましても、今回の連続立体交差事業と、それから関連の面整備、市街地整備も進めております。
 今後の地域活性化の大変大きな起爆剤になるわけでありますので、むしろ、私どもでどうこうということではなくて、今回の事業の完成なりを契機として、知恵と工夫と努力を一層重ねていただきたいというのが私の立場でございます。
 具体的なことは、県と市とJRできちんと協議をしておられると思います。今後に向けた取り組みなども含めて、必要があれば、さらに私ども、支援をしてまいりたいと思っております。
塩田分科員 情報としてお聞きできる時期になれば、それをひとつ早目に教えてもらいたいと思います。
 それから、駅自体はやはりバリアフリーで、エスカレーターとかエレベーターの施設は当然できるんでしょうね。
 それから、南口が現在あるんですが、北口は今ないんです。それもできるのかどうかということ。
 それからもう一つ、今、南口の方は、バスやタクシーが頻繁に通るところを越えていかなきゃならぬわけです。その先はエスカレーターがついているんですけれども、非常に不便で、雨の降った日なんか、また私自身も、買い物に行くといったって、帰ってくるときに十分帰れるかどうかわからぬという、時間の心配ですね、そういう構造になっているんですが、それはぜひとも解消してもらって、商店街に、そういう平面交差の、交通量が激しいところを渡らないように工夫をしてもらっているかどうかということをお伺いします。
澤井政府参考人 御承知と思いますが、駅の入り口は一階ベースで、ホーム等が二階の高さになるということで、エレベーターとかエスカレーターにつきましては、山陽本線、加古川線いずれも、高架の切りかえと同時に、すべてのホームに向けて一基ずつエレベーター、エスカレーター等が整備されるというふうに聞いております。したがって、駅の構内については、それですべてバリアフリーになるということが一点。
 それから、出入りの問題でありますが、高架の切りかえと同時に、従来、北側と南側に改札口があったのが一カ所に集約されて、それに関連してコンコースができて、北からも南からも出入りができるという構造だと承知しております。
 また、南口の商店街との連続の話なんですが、今の計画では御指摘のような計画だったと承知しておりますが、さらに地元で、駅から直接歩道橋で南口の商店街に行けるような対応をどうしたらいいかという検討をしておられるというふうに聞いておりまして、そういった検討結果を踏まえて、必要があればこちらも御支援申し上げたいと思っております。
塩田分科員 ぜひとも十分な御検討をいただきまして、利便が達成できるようにお願いします。補助金の関係等も出てくるものもあろうかと思うんですから、ひとつよろしくお願いします。
 それから、県道高砂北条線、これも長年にわたって整備をして、着々進んでおりますけれども、まだちょっとスローテンポなんですね。それは、西神吉とか志方がまだ残っておりまして、その南の方は着々できてきたんですが、かなりおくれておるので、どこをどう通るのかということを皆心配して聞かれておりますけれども、これについてはどのような整備の促進が図られるか、お伺いいたします。
佐藤政府参考人 主要地方道であります高砂北条線は、高砂の市街地から加古川市を経由して加西市に至る延長約二十・三キロの幹線道路でありますが、山陽自動車道の加古川北インターチェンジへのアクセス道路としても重要な路線であります。
 このため、加古川市東神吉町地内の約三・四キロについて、四車線のバイパス整備を、全体事業費約百十億円で平成元年度より国庫補助事業として着手して、このうち、平成九年度に、国道二号バイパスから北側の延長約一・四キロを暫定二車線で供用したところであります。
 現在、この暫定二車線で供用した区間の四車線化と、さらに北側の主要地方道神戸加古川姫路線までの延長約二・〇キロの区間の用地買収を推進しているところであります。
 暫定二車線区間の四車線化につきましては平成十五年度、その北側の延伸区間につきましては平成十七年度ごろの供用を目標に整備を進めたい、兵庫県からはそう聞いておりますが、国土交通省といたしましても、引き続きそのような目標に向かって支援してまいりたいと思っております。
塩田分科員 せっかくの南北つながるところの主要幹線道路でございますので、これも国の補助金が入るものでございますから、ひとつぜひとも推進、促進を図っていただきたいとお願いいたします。
 それから、時間の関係でまとめて申し上げます。
 JR加古川線の加古川駅の東側からずっと北へ伸びております、今工事が始まったところの地域高規格道路、これが途中でとまっている。先の方はちょっと問題があってまだ進んでいないですが、南の方は大体進むと思っていたところ、ちょっとテンポが遅いような感じがしていますが、この進捗方を要望いたします。それが一つ。
 それから、まとめて言います。
 前に、山陽自動車道の加古川北インターからトンネルをつくって高砂市に出る道路について要望しておりましたが、これはまだまだ地域で十分な話ができていないんですが、まとまって、出てくれば、ひとつ十分に御検討していただきたい。その実現方について御協力をお願いしたいと思います。
 それから、稲美町の関係でございますが、県道二見稲美三木線の工事の促進につきまして、これは県道ですけれども、補助金がもちろん入っていることでございますから、よろしくお願いします。
 それから、やはり稲美町の町道でございますけれども、森安和田線の建設、かなりこれは進んでいると思うんですが、その先の加古川市へ入ったところはまだこれからなんですね。その建設の促進方をひとつ国土交通省としても強力に支援していただきたい、このように思います。
 以上、数点につきまして御回答お願いします。
佐藤政府参考人 四点についてお尋ねがあったかと思います。時間もなんでございますので、できるだけ簡潔に申し上げさせていただきます。
 最初のお話の地域高規格道路、これは東播磨南北道路のことかと思います。加古川から小野に至る十五キロの地域高規格道路でありますが、このうち、国道二号の加古川バイパスから八幡町までは約五キロございますが、全体事業費三百三十億円で平成十一年度より事業に着手して、用地買収を進めておるところでございます。当該区間は、平成二十年代前半の完成を目標に整備促進を図りたいということで考えております。
 また、北側の加古川市八幡町から国道百七十五号までの区間、約十キロございますが、これにつきましては、平成十三年の十二月に調査区間の指定を行ったところでありまして、今後、ルート選定あるいは環境影響評価などの調査を進め、都市計画決定を行って、あわせて整備手法の検討を行うという予定にしております。
 国土交通省としても、できるだけの支援をしてまいりたいと思っております。
 次は、加古川北インターから高砂方面へのアクセスの計画でございます。この点につきましては、先生御指摘のように、兵庫県がいろいろ検討を進めているということだと思いますが、具体的な要望がございましたら一緒に考えてまいりたいと思っております。
 それから、主要地方道の宗佐土山線、都市計画道路二見稲美三木線でございます。この路線につきましては、平成六年度から事業を進めているところでございます。平成十年代の後半の供用を目標に、現在鋭意事業中、こういうことでございますので、頑張ってまいりたいと思います。
 最後に、町道の森安和田線でございました。これにつきましては、地方特定道路事業といたしまして、県道の平荘大久保線から町道二百七十三号線まで七百メートルを十五年度完成目標、こういうことで事業をしておるところでございます。さらに、これを延長して、二号の加古川バイパスの側道まで一キロ延長したい、こういう要望があると聞いております。具体的なルートなり計画が固まってまいって、国土交通省にも支援の要請があれば、十分検討してまいりたいと思っております。
塩田分科員 ありがとうございました。大臣、ひとつよろしくお願いします。
栗原主査 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。
 次に、前田雄吉君。
前田分科員 民主党の前田雄吉でございます。
 まず初めに、大都市近郊における組合施行の土地区画整理事業について伺いたいと思います。
 大都市近郊で多く行われております組合の土地区画整理事業は、資金の収入の大部分を保留地処分金に依存しております。現下の不況にありまして、地価の下落もあり、保留地処分がますます難しくなっている。当然、事業費も不足が著しいものになってきております。
 国土交通省の調べによりますと、平成十三年一月現在、調査組合数千五十組合中、百三十三組合が収入不足であり、不足見込みも一千八百八十八億円となっております。さらに、金融機関からの借り入れで資金不足を補い、事業を推進してきておりますが、借入金が膨れ上がって、金利負担が事業経営に著しくのしかかってきておるというのが現状であります。
 私の地元の春日井市におきましても、津田育男市議会議員が多く御指摘されておりますが、金融機関からの借入金に対しても、今施行中の六組合で年間一億円の金利を支払わなければならず、地方自治体にとりましても非常に重い負担になっております。保留地処分が完了しなければ組合も当然解散できません。事業を延伸せざるを得ないのが現状であります。にっちもさっちもいかない、これが今の区画整理事業の現状であります。
 そこで、私は、組合施行によります土地区画整理事業に対して国の支援の拡充を求めたいと思います。
 まず第一に、無利子貸付金の拡充を求めたいと思います。現在、償還期限が組合設立後十年以内となっておりますので、これをせめて組合解散の公示の日までに延長していただきたいと考えますが、いかがでありましょうか。
澤井政府参考人 御指摘のような、経済情勢の変動の中でさまざまな対応を必要としている区画整理事業がございます。
 この個々の状況は地区によって違いますけれども、私ども、まずその現状を把握いたしますとともに、一般的に見ますと、事業内容を見直しいたしまして事業費を縮減する、あるいは、金利負担との関係もありますので、保留地処分ができるだけ早く進むような工夫をする、あるいは、国の補助制度あるいは無利子貸付制度をこういった時代に合わせてうまく活用するというようなことにつきまして、それぞれの地区の状況に応じまして指導あるいは助言を申し上げているところでございます。
 この中で、ただいま仰せの区画整理組合の事業資金に対する無利子貸し付けでありますが、これは御承知かと思いますが、二つあります。
 一つは、保留地売却収入を得るまでの間必要となります事業費のつなぎ資金につきまして、公共団体と連携して貸し付けるものであります。
 もう一つは、保留地管理法人と申しておりますが、この法人が、一たん保留地を取得して駐車場などの有効利用を図って一定の収益を上げながら、最終的にはこの土地を売却していくということを目的といたしまして、そういう保留地管理法人に対しまして、最初の保留地の取得に要する資金を公共団体と連携して貸し付けるというものであります。
 前者のつなぎ資金につきましては、私ども、事業の早期完了をむしろ促進するという観点から、償還期限を御指摘のように組合設立後十年といたしております。これは、実態との関係で申しますと、全国平均いたしますと組合の設立から工事完了までの平均は大体六年であります。これにプラス四年という一種余裕期間を加えたものでございまして、実態を見ましても、十年間の期間ということでいきますと全組合の八割以上の地区が事業は完了しております。したがって、適当な期間だろうと思っております。
 むしろ、御指摘のような、組合設立後十年以上経過しているような場合には、つなぎ資金の期間を延長して対応するということではなくて、先ほど言いました二つ目の手段であります、保留地管理法人の取得資金に対して無利子で融資をする制度を利用いただいて、一たん組合から保留地管理法人に的確な価格で譲渡をして、そこで――例えば、それをやりませんと、清算を急ぐという観点から売り急ぎになるわけですが、そうすると、どうしても価格もたたかれる。そうではなくて、そういったところで一たん取得をして組合の方は清算して、取得した法人が計画的に需要動向に合わせて売っていく。その間、できれば暫定的な有効利用もしていく。こういうやり方が望ましいと思っておりますので、そちらの方の御活用も検討を賜ればと思っております。
前田分科員 次に、組合が公共施設整備に利用する金融機関からの借入金の利子に対して、国の旧制度を充実していただきたいというのが私の思いなんです。つまり、保留地価格と実勢価格の間に非常に乖離が出てくる、これを埋め合わせる補助制度を考えなければいけない。経営が不均衡となることが予想される土地区画整理組合への国庫補助制度を新設すべきであると私は考えますが、いかがでしょうか。
澤井政府参考人 先生仰せの最初の公共施設整備の費用に対する借り入れにつきましては、先ほど言いましたつなぎ資金で、国、地方で半分無利子貸し付けをするということで対応することになると思っておりますけれども、保留地価格と実勢価格の乖離等々の御指摘につきましては、私ども、区画整理組合の事業に対しましては、そういったいわば経営補てん、差額補てんという観点ではなくて、区画整理事業によって整備されます道路、公園などの公共施設の整備、一種、公的な貢献の度合いに応じて助成をしていくというのがこの事業に対する助成の基本だと考えております。こうした観点から、これまでも公共団体と連携いたしまして補助を行ってきたところであります。
 この中で代表的なものとして、区画整理事業で整備されます都市計画道路につきましては、道路整備特別会計による国庫補助が行われております。
 この場合の考え方なんですが、都市計画道路を用地買収方式で、区画整理ではなくて用地買収方式で単独でやったとした場合に用地費、補償費、工事費が幾らかかるかということを上限額といたしまして、通常はその上限額より少ない費用になるんですが、区画整理事業の総事業費から御指摘の保留地処分金を引いた残りの費用、一種、足らず前といいましょうか、その部分について先ほどの上限額の範囲内で補助をする、こういう仕組みになっております。そこで、保留地処分収入が事業のスタート時よりもどうも減りそうだという場合には、逆に、先ほどの上限額まで、余裕があればその補助を増額するということも可能でございます。
 このように、繰り返しになりますけれども、区画整理事業に対する支援といたしましては、差額補てんという観点ではなくて、このような公共施設整備の観点からやはりあくまでも行うべきだ、この仕組みを保留地売却収入の増減、特に減少という変動に対しても的確に活用いただくということが適当だろうということで、そういう指導あるいは助言を申し上げております。
 なお、関連して申し上げますと、公共団体もこのような観点から別途単独で支援制度を設けるという動きも出始めているということを申し添えたいと思います。
前田分科員 ぜひ、これは大都市近郊の組合施行の土地区画整理事業ではよく起きていることでありますので、これからも手厚い御指導のほどをお願いしたいと思います。
 次に、NOx・PM法への対応について伺いたいと思います。
 環境保全のためNOx・PM法も施行されて、これは意義深いものがあります。その一方で、現実の姿として、トラックを含めディーゼル車のユーザーは対応に非常に苦慮しているわけであります。
 愛知県より首都圏一都三県に乗り入れる車が年間二万三千台あります。これらの車が乗り入れようとすると、法律適用外の地域でもやはり何らかの対策が必要となってきていると考えます。殊に、兵庫県等でも環境条例の制定の動きもあり、国は平成十五年度で予算に六十五億円も組んでいただいているようでありますが、ぜひユーザーに使いやすい制度設計をしていただきたいと思っております。
 この六十五億円も、地方公共団体との協調補助を原則としているわけでありますので、私は、国がぜひ地方公共団体に積極的にアピールしていただきたいと思っております。これに対して、国はどのような対策を講じられているでしょうか。
丸山政府参考人 ただいま、NOx・PM法対応についての、補助金並びにその広報のあり方についてお尋ねがございました。
 私ども、NOx・PM法の対策で制度を始めましたのは平成十三年度からでございます。平成十三年度に始めたときには、NOx・PM法の対策地域内の、なおかつ事業用のトラック、バスに限って粒子状物質の除去装置などにつきまして補助を行ってまいりました。
 ただいま先生御指摘いただきましたように、平成十五年度からは、道路特定財源を活用いたしまして、NOx・PM法の対象地域に乗り入れる大型ディーゼル車、これは従来がいわゆる事業用の青ナンバーだけでございましたけれども、白ナンバーも含めて補助対象を拡大するというふうに、補助制度の拡充、充実を図ったところでございます。
 先生から御指摘いただきましたように、本補助制度は地方公共団体との協調補助ということを原則としております。このため国土交通省といたしましては、現在既に、関係地方自治体の御協力が得られますように下打ち合わせを行っておるところでございます。本日も、たまたま自動車部長会議が本省で開かれておりまして、各地方運輸局の自動車部長にも積極的に必要性のPRを行っておるところでございます。
 今後とも、白ナンバーも入りますので、自動車のユーザーそれから地方自治体等に対しまして本制度の内容をよく説明いたしまして、本補助制度が有効に活用されるよう努力してまいるつもりでございます。
前田分科員 ぜひ、あらゆる機会を通して地方公共団体にアピールしていただきたいと思っております。
 次に、NOx・PM法の指定地区内では、同法への対応策としては、基本的には買いかえではないかと私は思っております。東京都では、平成十五年度に中小企業対策の独自の融資制度を講ずるようであります。東京都の場合は、いかなる借金があろうとも車を担保に信用保証料と利子補給をするというのが東京都の制度であるというふうに伺っておりますけれども、同様の制度を国も考えられてはいかがでしょうか。
丸山政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、NOx・PM法の対策地域内にございます古いディーゼル車につきましては、基本的に、一定期間を経過いたしますと、新しい車両への代替といいますか買いかえが必要になってまいります。
 国土交通省では今まで、主として二つの支援策をとってまいりました。一つは、税制上の優遇措置でございまして、自動車取得税を軽減するという制度が一つでございます。それからもう一つは、中小企業金融公庫などによります低利融資制度。この二つが大きな制度でございました。さらに平成十五年度からは、PM、いわゆる粒子状物質を七五%以上低減いたしました低PM認定車に対象を広げる。これは取得税それから補助金、両方に広げることにいたしまして、制度拡充を図ったところでございます。
 それから、融資制度につきましては、中小企業の資金融通の円滑化につきましては信用保証制度というものがあるわけでございますけれども、トラック事業を含みます不況業種につきましては、別枠といたしましてセーフティーネット保証というのが設けられておるところでございます。先般成立いたしました平成十四年度の補正予算で、このセーフティーネット保証につきましては大幅に拡充されたところでございまして、中小企業の金融セーフティーネット対策に万全を期していると私どもは思っております。
前田分科員 この不況下で中小企業は苦しんでおります。これからもこうした施策の拡大をぜひお願いしたいと思っております。
 それから、平成元年規制以前の古い車について伺います。これに対して、安心して装着できる安価な排ガスの減少装置が指定されているものの、問題もかなり多いと聞いております。この古い車について、どのような対策を講ずるのか伺いたいと思います。
丸山政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、平成元年規制以前の古いトラックにつきましては、DPFなどを装着いたしましてもNOx・PM法の猶予期間がすぐやってまいりますので、基本的には最新規制車あるいは低公害車へ代替していただくほかはないという現状でございます。
 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、購入に対します補助でございますとか税制上の措置、あるいは低利融資などを使いまして、自動車運送事業者が円滑に車両代替を行えるよう支援していくということを行っているところでございます。
前田分科員 さらに加えて、このNOx・PMの除去に効果を奏する装置の技術的な開発についてもぜひお願いしてほしいと思っております。
 また、今度は大臣に伺いたいと思いますが、このトラックを含めディーゼル車の環境対策に対する大臣の所見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 京都議定書等々、環境に対して二十一世紀はまさに重要な課題になっておりますけれども、今御指摘のディーゼル車の問題に関しては、自動車から排出されます窒素酸化物の約七割、それから粒子状の物質の約八割をディーゼル車が占めるという大変厳しい状況でございますので、排出ガス対策というものは最重要課題として取り上げております。
 そのために、大都市の地域におきまして、今おっしゃった古いディーゼル自動車、この使用を制限するためにNOx・PM法等々着実に実施しておりますし、平成十七年から、新車のディーゼル自動車について世界一厳しい排出ガス規制というものを課しております。
 また、大型ディーゼル車から排出されます有害物質というものはゼロにしたいというふうに考えておりますので、私たちは、平成十七年を目途に次世代の低公害車のプロトタイプを今開発しておりますし、燃料電池の自動車の早期実用化、これは日本が一番先に進んでおります。
 そして、昨年の十二月ですけれども、一台、これは総理のところへも、それから国土交通省にもこれをお見せしまして、そして、総理のところへは購入していただきまして、一カ月の費用、これが、賃貸でございますので貸して費用が、今まだちょっと高うございまして約百二十万から小型の方で八十万ということですけれども、これを購入していただきました。
 今後も環境対策に当たっては事業者に対して過度な負担が生じないように、なおかつ、その低公害車の購入及びDPFの装置に関する補助、これを行っておりますので、最新の排出ガスの適合車に代替する税制の優遇措置等々をもって環境の最大の整備に当たっていきたいと思っております。
前田分科員 大臣、ぜひこうした激変の緩和措置をこれからもとっていただきたいと思います。
 次に、私の地元であります名古屋空港関連の質問をさせていただきたいと思っております。
 航空局長、中部国際空港への一元化が言われているわけでありますけれども、この名古屋空港の用地に関して、特に着陸帯の話が、今県が買い取る意思を固めたというところに来ておりますが、昨年六月県議会において、神田知事が空港の設置管理者になるんだと発表されました。国土交通省と県との協議の進捗状況について伺いたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 中部国際空港の開港に伴いまして、現在の名古屋空港の定期航空路線につきましては、国際、国内の乗り継ぎ旅客利便の確保あるいは空港経営上の採算性の確保等の観点から、中部国際空港へ集約、一元化するということになっておりまして、定期便が一元化された後の現在の名古屋空港につきましては、国の設置管理する第二種空港としては廃止するということにしております。
 定期便の一元化後の名古屋空港のあり方に関しましては、先生今おっしゃいましたとおり、愛知県が設置管理主体となっていわゆるゼネラルアビエーション空港として運営していく意向を表明されております。
 愛知県が設置管理者となって新しい県営飛行場を円滑に立ち上げていくためには、御指摘の着陸帯を初めとする関連用地の取得のための条件を含めまして、管制の取り扱いであるとかあるいは周辺の環境対策のあり方などの点につきまして、二〇〇五年の中部国際空港開港までに残された期間内に調整を完了する必要がございます。来年度予算の概算要求の時期をめどに大筋での合意が得られるように、早急に愛知県あるいは防衛庁、国土交通省など関係者間の調整を進めていきたいと考えております。
前田分科員 きょうは財務省の理財局長さんにお越しいただいておりますが、着陸帯の売却価格について、県サイドからは、地価の下落傾向を考慮して一平米当たり七千円から九千円、はっきり申しますと九千二百円程度、全体では八十億から百億円程度という試算が出ているわけでありますが、財務省におかれては、国有財産の処分価格としてこの価格を適正であると思われるか否か、簡単に御説明いただきたいと思います。
寺澤政府参考人 お尋ねの件についてお答え申し上げます。
 空港整備特別会計に所属いたします個別の普通財産の売り払いに関する事務は、国土交通省から処分依頼を受けました後に財務局が行っているところでございます。御指摘の着陸帯につきましても、現在は国が設置管理いたします第二種空港として供用されておりまして、国土交通省から売り払いの依頼がなされておりません。したがいまして、財務省といたしましてこの財産の価格につきまして適正かどうか現段階で判断できる状況にないということを御理解いただきたいと存じます。
前田分科員 これは、じゃ、ぜひ、国土交通省から提示がありましたら早急に進めていただきたいと思っております。
 次に、国土交通省の航空局長。
 空港整備法十六条に、不用になった国有財産の譲与についての規定があります。過去に地方自治体が負担した範囲内で譲与することができるとなっておりますが、どのくらいの負担額が今あり、このうち幾ら国から県への譲与が可能になるか、お知らせいただきたいと思っております。
 広島の西飛行場のケースもあります。ここは二分の一返されておりますが、名古屋空港の場合はいかがでございましょうか。
洞政府参考人 御指摘のとおり、空港整備法の第十六条に、空港が廃止された場合に不用となった国有財産である土地などを、当該空港の工事費用の一部を負担した地方公共団体に対して、負担した額の範囲内で譲与することができるという旨の規定がございます。
 この規定に基づきまして、過去、平成五年の新広島空港の開港に伴って廃止となった旧広島空港を活用して地元広島県が広島西飛行場を設置した際に、広島県が過去に負担しました約十二億円の二分の一に当たります約六億円分に相当する用地等を国から広島県に譲与した例がございます。
 名古屋空港につきましては、地元愛知県などがこれまでに約百六十億円の負担を行っております。この範囲内で用地等を譲渡することが可能でございますけれども、具体的なその譲渡の割合につきましては、先ほどの広島西飛行場の二分の一の前例も参考にしながら、今後、現名古屋空港の跡地など全体の取得条件の協議の中で、愛知県、財務省そして国土交通省の関係者間で協議してまいります。
前田分科員 昨年六月県議会で県知事が、県が設置管理者になると言われております。そして、地元の春日井、小牧、豊山町も、特に空港管制について防衛庁への移管を受け入れるという方針を固めたということが二十五日までに報道されております。
 この際、空港設置管理者が移るわけでありますので、これに関して国土交通省の考え方を明らかにしていただきたいと思っております。
洞政府参考人 まず、管制について御報告を申し上げます。
 中部国際空港の開港後におきまして、現名古屋空港の民間定期便は中部国際空港に一元化されるということで、国土交通省が実施する管制業務も、これに合わせて中部国際空港に移行することとしております。
 このため、国土交通省としては、中部国際空港の開港後におきます名古屋空港において、飛行場管制業務を実施するということは考えておりません。
 なお、中部国際空港開港後におきます名古屋空港は、定期便以外の小型の民間機、いわゆるゼネラルアビエーションによる利用とともに、防衛庁が小牧基地として共用するということになるわけでございますけれども、設置管理者となる予定の愛知県に、同空港を愛知県がどのように使用していくかということを決めていただいて、それを踏まえて、管制業務のあり方等々について関係者間で協議すべきものだと考えております。
 また、愛知県が航空法に基づいて飛行場の設置管理を行う場合には、国土交通省がその管理運営が適切に行われるよう必要な指導監督を行うという立場になるわけでございますけれども、愛知県による新しい県営飛行場の立ち上げが円滑に進みますよう、先ほど申し上げました管制であるとかあるいは環境問題対策であるとか等々いろいろな問題がございますが、それぞれの諸点につきまして、中部国際空港の開港までに残された期間内に必要な協議がまとまるよう、早急に関係者間の調整が図られますよう国土交通省といたしましても可能な限りの協力というものをしてまいりたいと考えております。
前田分科員 時間が来ましたので、最後に、この管制業務が速やかに円滑に移管されますことをお願いし、また新しい県営の飛行場が円滑に立ち上がるように、これからも、大臣、御指導のほどをよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
栗原主査 これにて前田雄吉君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅野哲雄君。
菅野分科員 社会民主党の菅野哲雄でございます。
 扇大臣とはちょうど二年前、この部屋で分科会で質問をいたしまして、出身は宮城県の気仙沼でございまして、気仙沼に来たことがあるということで、非常に力強く感じたものでございます。
 それと同時に、きょう、九時から八時半までという長時間にわたっての分科会、本当に大変御苦労さまでございます。やはり、二日間丸々とって分科会は行うべきだなと痛切に感じておるところでございます。
 まず初めに、大臣にお聞きしますけれども、この二年間の中で、道路行政をめぐってはいろいろな議論が展開されてきております。それも、今日的な段階においてはまだ途上だというふうにとらえながら、やはり、それでは今日的な状況を踏まえて、これからの道路整備をどのように行っていくのか、これは大臣の大きな手腕にかかっていることではないのかなというふうに私は思っております。
 一地方都市から出てきた議員として、私の痛切に感じていることは、本当に、国土の均衡ある発展ということをどう日本の国において実現していくのか、これは道路だけじゃなくて、インフラ整備等も含めて、いろいろなことで言えることだというふうに思っております。そういう意味では、今、地方都市においては、その点、どう地域を活力ある地域にしていくのかということは、国の力もかりながら、みんな一生懸命頑張っているというふうに言えるのではないかと私は思っております。
 今までの経過を踏まえて、それでは、道路に絞って、国土の均衡ある発展という観点から、高速道路、高規格幹線道路等も含めてどう整備していくのか、その進め方について、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 菅野議員には、大変気仙沼のお話を前にさせていただいて、気仙沼が誇るフカひれということで、これは御披露しておきたいと思いますけれども、中国大使にごちそうになりましたら、中国大使館でフカひれが出まして、これは中国のどこから取り寄せたものですかと伺いましたら、これは気仙沼のフカひれですと中国大使がおっしゃいました。そのように、気仙沼のフカひれは、今や日本だけではなくて中国でも有名になっているということで、私は大いに気を強くしたということを一言申し添えておきたいと思います。
 その有名なフカひれをいかに迅速に、あるいは、日本じゅうじゃなくて世界じゅうに持っていくかということも含めて、高速道路の必要性、物流コストの削減と、あるいはそういう物流というもののあり方というものを、基本的に我々が今、一歩立ちどまって、なおかつ一歩前進する、あるいは、二歩、三歩前進するための考えに至っているというのが現状でございます。
 御存じのとおり、戦後、私たちは、東名、名神が最初にできましたときには、世界銀行の融資を受けて借金でつくって、そして経済効果を上げてきて経済大国にもなり、あるいは世界の物流に追いつき追い越せと欧米に近づいたというこの歴史も私は大事にしていきたいと思いますし、今おっしゃいましたように、均衡ある地域の発展ということも必要ですけれども、今日まで、今の状況を見ますと、道はできているけれども高過ぎる。
 あるいは、一番最初は道路を拡張してください、次には高速道路をつくってください、次は新幹線、次は飛行場と、こう来るわけです。そうしますと、新幹線をつくると高速道路の利用率が少なくなった、飛行場をつくると新幹線の乗客は減った、るる問題も起こってきておりますので、私は、それぞれの地方が一番何を必要としているのか。
 例えば、今私が冒頭に申しましたように、気仙沼でとれたものをいかに運ぶかというのは、あるいは飛行機が必要なのか、あるいは貨物の特急が欲しいのか、あるいは高速道路を宅配で運ぶのか、そういうことも私は、今後の、戦後の今日までの間に、それぞれの地方の特色が出てきたと思うんですね。
 今申しましたような、飛行場だとか新幹線も高速道路も全部できればそれにこしたことはないと思いますけれども、それぞれの地域によって、やはり格差が出てきた。飛行場をつくれば新幹線が少なくなったとおっしゃって、新幹線のまた借金がふえる、こういうことにもなりますので、私は、より地方の選択が大事であるということで、均衡ある地域の発展から、個性ある地域の発展へシフトしていく、変えていくということで選んでいただく。
 その地方地方の要求に従って、限られた予算を最大限に有効に使っていこうということに私は改めるべきだと思いますけれども、少なくとも、世論調査をして、国民の六〇%の人はもう高速道路は要らないよと言っているという報道もございました。けれども、これは一万一千五百二十キロ予定しております高速道路で、でき上がっているのは今六〇%なのです。だから、できているところの人がもう要らないよとおっしゃる可能性としては大なのですね。
 ですから、私は、そのアンケートだけをもってしてもう要らないということではないということで、均衡を図りながらも、特に個性を出したいということ、また、個性を出すべきであるということと、今までの反省としては、高速道路等々に余りにもコストが高いということ。そして、関連の子会社、孫会社が利益を上げているのに、親会社は赤字というのはどういうことだ、こういう疑問も出てまいりますし、償還しているところを値下げしていないということは、国民の皆さんの御理解が得られるかどうか。四十路線のうちで、五路線しか収支計算が合っていません。あと二十七路線は、累積赤字がふえ続けています。
 そういうことも勘案しながら、今の状況の中で、どこに何をどうつくるかということを取捨選択するというのが今の時期だと思っております。
菅野分科員 大臣の、これからの地方の選択の時代、あるいは個性ある地方をつくっていく、そういう視点は、この議論というのは大いにしていかなきゃならないというふうに思うんですが、例えば、私の地元の、後で具体的に聞きますけれども、一般国道自動車専用道路の三陸縦貫道について、経過を少し大臣にわかっていただきたいと思うんです。
 この三陸縦貫道が一部供用開始になったのが昭和五十七年だったんです。今から二十年前ですよね。それがずうっと北進していって、今やっと五十キロになんなんとしている実情なんですね。二十年かかってそういう状況だということを踏まえたときに、私は、これからこの調子でいったならば、どうなっていくんだろう。十年、二十年、地域の人たちが計画をつくって地域をこうしていきたいというふうに考えたときに、いつ来るかわからないという状況の中では、地域づくりの計画も立っていかないという状況だというふうに思うんですね。
 そういう意味では、非常に時間がかかり過ぎているということも一面ではあるというふうに思います。それをどのようにして時間を縮めていくのかというのは、先ほど申し上げたように、私は、国土交通大臣としての扇大臣の力にかかっているんではないのかなというふうな思いで申し述べました。
 地域づくりが地域の独自性を発揮していくというのは、これは必要なことですけれども、その基礎となるものがなかなか見えてこないときに、やはり、その人たちがまちづくりの視点でもって精いっぱい取り組んでいくのかというところは、私は、逆な方向に今向かっているような気がしてならないんです。そういう意味で、ぜひこれからの、先ほど申し上げたように、これからどうスピードを上げていくのか、この観点を大臣にお聞きしたいと思うんです。
扇国務大臣 私どもは、日本じゅう、諸外国に比べて狭い国土だと言われておりますけれども、それでも住んでみると、なかなか地方まで行けません。
 一番基本的に何が目標かということを、これは道路だけではなくて、さっき申しましたように、国際的に何を基準に道路なり鉄道なり飛行場をつくるかという基本があるわけですね。それは、少なくとも、港湾、空港、駅、高速道路等々、物を運んできて十分以内に高速道路あるいは主要都市につながる道路に乗せるというのが、これが欧米先進国の物流の基本的な考え方なんです。
 では、日本はどうか。十分以内に高速道路に乗れたり、あるいは港湾と空港と高速道路が全部マッチしているところはどこなんだ。その条件がそろって初めて国際都市なんですね。
 ですから、私が言ったように、日本は今、産業の空洞化、経済の空洞化、あらゆる面が言われておりますけれども、時間がありませんので、例えて一つだけ例を挙げますけれども、昨年、私は、中国へ国交正常化三十周年で行きました。ところが、一九八二年、中国は高速道路ゼロでした。それが昨年、二十年の間に、中国の高速道路は一万九千キロです。そして日本は、今日までかかって、御存じのとおり、オリンピックのときに初めて通って、今日まで七千キロ弱です。そして我々は、全部中国に産業が移ったり工場が移ったりしている。
 そういうことも含めて、今の経済状況の中でも、日本は飛び飛びに高速道路があるという、これは一番むだなんですね。ですから、あらゆる限られた予算の中で、どの部分をつないでいくことが、一番日本の経済効果が上がり、地元が栄えて、なおかつ国際的に対抗できるかという、その基準で私は今後の道路づくりというものを考えていきたいと思っています。
菅野分科員 なかなか理解しがたい部分はあるんですけれども、そういう意味では、時間が本当にかかり過ぎているという状況が言えるということは、大臣も認めていることだとも思うんですね。そういう意味では、ぜひ大きな手腕を発揮していただきたいというふうに思っています。
 それで、個別具体のことについてお聞きしたいんですが、道路局長が来ていますから、三陸自動車道の整備についてです。
 ここは、先ほども申し上げたんですけれども、一番最初、供用開始になったのは昭和五十七年なんですね。松島のところが供用開始になって、それからどう進んでいくんだろうかということで期待を持って見守ってきたんですけれども、やっと二十年たって、そして今年度、河北から桃生が起工式を行って、今週の土曜日ですか、三月一日に桃生―登米間が起工式を行われるという状況にまでなりました。
 ただ、言えるのは、起工式が行われたとしても、供用開始まで今までの例だと五年くらいかかっているんですよね。大体、そうしたときに、二区間が今年度起工式が行われたということで、あと五年後、それから北上していくということを考えたときに、今大臣にお話ししたように、スピードを上げるために、これからしっかりとした今後の整備手法というものを真剣になって考えていただきたいと思うんですけれども、今後の進め方について、今考えておられることをお聞きしておきたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘の三陸縦貫自動車道は、仙台市から岩手県の宮古市に至る二百二十キロという長い高規格幹線道路であります。三陸の沿岸部の広域交通ネットワークの基軸を形成して、地域の活性化を支援する重要な道路である、こう認識しております。
 しかしながら、山が海に迫っている、こういう非常に厳しい状況で、現在の国道四十五号につきましても、二車線の線形不良の区間や交通混雑が見られる区間が多い。大変、コストもなかなかかかる道路である、こういうことではございます。現在までに、仙台港の北インターから石巻河南インターまで三十八・五キロが宮城県内では供用させていただいているという状態でございます。
 宮城県内について申し上げますと、矢本から志津川町間五十四キロございますが、このうち十二キロ供用しているわけでございます。全体の事業費といたしまして、五十四キロで暫定二車線をベースとした事業費でございますが、二千百億円を数える、こういうことでございます。したがいまして、コストの縮減あるいは効率的な整備のあり方ということを一層努力してまいる必要があると思っております。
 部分的に若干、せっかくの機会でございます、申し上げます。
 矢本石巻道路そのものは、供用中を除きますと、十四キロでございます。現在、用地買収等、改良工事、橋梁工事等を推進しておりまして、うち、石巻河南インターから河北インター六・七キロにつきましては、平成十五年度に供用したいということで今最後の追い込みにかかっているところであります。
 それから、桃生登米道路十二キロにつきましては、桃生町内の用地買収を推進するということで、先生御指摘のように、三月一日に起工式を行って工事に着手してまいりたいと思っております。
 さらに、登米志津川道路十六・三キロにつきましては、平成十一年度に環境アセスメントの手続を完了しまして、現在、道路設計、地元設計協議ということで、住民の皆様とお話し合いをさせていただいている、こういう状態でございます。
 さらに、飛びまして、志津川から陸前高田間につきまして、唐桑町の国道四十五号が著しい線形不良、こういうことから、この解消を目的に、平成十四年度から唐桑道路約三キロにつきまして事業着手したところでございます。用地買収に向けまして、路線測量あるいは地質調査といったことを実施させていただいているところであります。
 宮城県内における三陸縦貫自動車道、先生御指摘のように大変時間はかかっておりますが、平成十三年度事業費に対しましては、例えば補正予算を含めますと平成十四年度百四十億円ということで、前年の六、七割増しというような推進を図って努力しておるところでございます。
 皆様の御理解と御協力をいただきながら、一層の推進、さらにコストの縮減、こうしたことにも努力しながら整備の推進を図ってまいりたいと思っております。
菅野分科員 大体、今、例えば平成十四年で十三年度比六、七割増しという形は非常に力強いものと思っておるんです。ただし、ここに一つの大きな問題点を指摘しておかなきゃいけないと思うんですね。
 今度、今、法律案を提案されておりますから、この高速自動車国道法の関係でいえば、これは四分の三が国が持って四分の一が自治体、地方ということで、それも財源措置しているんですね。
 ただ、三陸縦貫自動車道みたいに、一般国道自動車専用道路、これは従来の方式なんですね。三分の二が国で三分の一が地方という状況、これは従来どおりですから、今事業費で二千百億円ということは、地方に七百億円の負担が伴うということだと思います、これは宮城県内だけ見ても。
 そうしたときに、地方自治体の財政危機が言われている中で、これをどう捻出するのかというのが大事ですね。非常に私はそういう意味で、早く進めたいけれども、国は用意したとしても、地方の財政は大変だ、そういう状況が繰り返されていくのではないのかなという危機感を感じているわけです。七百億円ですから、例えば十年でやったにしても年間七十億という数字を工面しなきゃいけないという状況をどうクリアしていくのか。
 これは、一つの制度をこういうふうに、十四年の十二月十二日に政府・与党申し合わせでできたとしても、それじゃ従来の部分をどうこれに見合って手当てしていくのか、この議論が行われてしかるべきだと私は思うんですが、局長、どう考えますか。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、今国会に、新しい直轄方式ということで、今、高速自動車国道として道路公団に対して整備計画が出ている区間について国と地方で整備を進めていこう、こういうことで新しい直轄方式をお願い申し上げているところでございます。これにつきましては、負担割合で申し上げますと、国が四分の三、地方が四分の一。その財源手当てにつきましては、自動車重量税の地方への譲与分の拡大、これを基礎として、できるだけの手当てをさせていただく、こういうことにしているところであります。
 これにつきましては、現在、道路公団で施行といいますか整備計画が出ている、そのそれぞれの、九千三百四十二キロの道路につきましては、その建設に当たりましてはそれぞれ国費も地方費も負担がない、こういう形で整備を進めるということとしていたところであるわけでございます。
 しかしながら、全体のこれからの道路関係四公団民営化、こういう御議論の中で、有料道路に必ずしもなじみ切れないという部分があるではないかという問題もございまして、管理費も出ないというようなところもございまして、そこは、整備の必要性はありますよ、しかしながら採算は厳しいです、したがいまして税金でやってまいりましょう、こういうふうに新しい制度をお願いしているところでございます。
 そこで、先生御指摘の、では従来、これは三陸縦貫でいえば、B路線、私どもが申し上げています用語はB路線、こういうことであるわけでございますが、これにつきましては従来も、いわゆる直轄の県の方の負担、こういう意味では、一つには、財政力に応じて負担割合の特例を設けて、財政力が厳しいところにはかさ上げをさせていただいている。それから、これは総務省の方の御議論ではございますが、事業費補正ということで、直轄の裏負担の負担が地方財政にひどく重くならないように、事業費補正という形で交付税その他の中で傾斜配分をしていただいている、こういう状況でございます。
 全体といたしましては、従来そこで進めさせてきていただいている、こういう状況でございますので、そういう意味では、新しく加わる部分についての手当てというのは、どうしても、新しい制度ですから必要かな。従来の整備の方法につきましては、何とか、今申し上げましたような、国と地方全体の財政の中でやってきた、これをできるだけお互いに尊重し合いながら努力してまいりたい、こういうことでございます。
菅野分科員 明確な答弁というものがなされないというのは、これはわかるんです。
 ただ、先ほど言ったように、なぜ、昭和五十七年に供用を開始して、二十年たって、具体的に言うと三十七キロしか、三十八・五キロしか進んでいないのか。二十年たって三十八・五キロですからね。そういう意味で、ここの総括というのは必要だと思うんです。そこがどうしてそうなっているのかということをしっかりと私は見きわめる必要がある。そのために、では、これをスピードアップするためにどういう方法があるのかというのは、Bタイプを含めてぜひ検討していただきたいというふうに思うところでございます。ぜひお願いしておきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、三陸縦貫自動車道全体で見ていくと、一般国道自動車専用道路、Bタイプでいけば、東北全体でいうと三百十一キロが基本計画になって、今実際に供用開始は一六%の五十キロという数字が十三年段階で出ているわけですけれども、整備計画で百七十三で、百三十八キロがまだ基本計画段階なんですね。
 特に宮城でいえば、志津川から岩手県の陸前高田まで、一部、唐桑道路は事業着手になりましたけれども、そのいまだルートが確定していない部分をどうこれからルートを地元におろしていくのか、これが大きな課題だというふうに思っています。
 というのは、そういう意味では、桃生―登米間が三月一日に起工式になります。そうしたときに、すぐそばの志津川から気仙沼、陸前高田までもうそろそろルートを決めていかないと、間に合わないというかおくれてしまう段階になっているんじゃないのかなというふうに思うんです。
 というのは、桃生―登米間で平成二年に基本計画路線になったんですね。そして、十二年間かかって事業着手までこぎつけました。そして、気仙沼は、志津川―気仙沼間は平成五年に基本計画になって、そしてまだルートが示されていない段階だ。だから、十五年、十六年にはもうルートを発表しなければならない時期に来ているのではないのかなというふうに思うんですけれども、いまだルートの確定していない、それを地元と協議してどのようにルートを選定して発表していくのか。宮城県内の状況でよろしいですから、御答弁をお願いしたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘の志津川から陸前高田の間四十八キロの中で、特に唐桑町の国道四十五号が著しい線形不良、こういうことで、唐桑道路、延長三キロでございますが、事業化を平成十四年度からさせていただいたところでございます。事業費としましては、約二百十億円を予定しております。現在、用地買収に向けた路線測量及び地質調査を実施しているところでございます。全体四十八キロの中で、そういうことで三キロは事業化している。
 さらに、重点的な整備を、ある程度重点区間を決めながら、言ってみれば資源、労力を投入していくということがまた必要なことかと思いまして、気仙沼から本吉の間十一キロにつきまして、現在、整備計画決定に向けまして、交通需要推計、ルート検討、環境調査を進めているところでございます。地元の皆様と、御理解、御協力いただきながら、調査の推進を図ってまいりたいと思っております。
 残る区間が約三十四キロございます。これにつきましては、全体の構想というものをきちっとやっていかなきゃいけない、こういうこともございますので、ルートの概略検討や環境の現況調査を、既存の文献や現地を見たりしながらということで進めているところでございます。
 全体の調査の推進ということが大事なことだと思っておりまして、特に重点区間の気仙沼から本吉の間十一キロ、これにつきましては、早く地元とも調整ができるようなルートの確定といいますか、固め方といったことをしてまいりたいと思っております。
菅野分科員 わかりました。
 全体のルートという形じゃなくて、例えば部分を区切ってという今局長の答弁だとお聞きしましたけれども、ぜひ全体のルートを決めた上で、そして気仙沼―本吉区間というふうな限定の仕方だったら了解するわけですけれども、ぜひ全体のルートを地元に示して、そして部分的に、この部分ということだったら、私、冒頭申し上げたように、まちづくりの視点という観点からいうと、このルートというものが非常に大きなウエートを占めるというふうに思うんです。私も、市議会議員のときに、都市計画の観点から、ルートを地元から発信していったらということを議論した経験を持っております。
 そういう意味では、いろいろな手法があると思いますけれども、できるだけ早くルートを選定して、地元におろして、そして地元は地元として対応しなければならない部分が存在しますから、ぜひ早い時期にルートを決定して、地元と協議していかれることを強く要望して、私の質問は終わります。
栗原主査 これにて菅野哲雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、大畠章宏君。
大畠分科員 民主党の大畠章宏でございます。
 地域の課題等々を中心としながら、何点か質問させていただきます。
 まず最初に、大臣に伺うわけでありますが、今、茨城県の日立港という国際港があるんですが、その港の真ん前に、北朝鮮の船が座礁したままありまして、昨年の十二月五日の未明でありますが、それからオイルが流出し、ボランティアの方が千人ほど来ていただいて、懸命なオイルの回収作業も行いました。一応そういう作業は進み、かつ、最悪の事態というものは処置できたわけでありますが、そのときに、どこがこういう場合の音頭をとるのか、責任部署はどこか、こういうところが非常に不明でありましたので、最初、スタートが非常に混乱しました。
 しかしながら、このまま放置するとオイルが流れていって、漁業にもいろいろなものにも影響を与えるというので、県が、とにかくお金を出しますということで作業が進んだところでありまして、そういうことで、合わせて四億八千万ほどのお金がかかってしまいました。一応の処置がとられましたけれども、その後、この予算等々について、お金がかかってしまったのはどうするかということで、さまざまな省庁にも御相談を申し上げているところであります。
 そして、今困っておりますのは、その残骸と言ってもいいんでありましょう、北朝鮮の船主はこの船の所有権を放棄するというファクスが一枚来ましたが、この放置された船が、日立港という国際港の真ん前の防波堤のところに座礁しているわけであります。
 この問題をどうするかというのでいろいろとお話を伺いますと、国土交通省内に座礁・放置船等に関する検討会を設置されたと伺っております。この検討会の現状についてお伺いすると同時に、ひとつ大臣にも、御理解はいただいていると思うんですけれども、まず、十分な海図を備えていない、あるいは国際基準に合った保険に入っていない、言ってみますと、自動車でいえば車検を通っていない自動車が走っていると同じでありますので、そういう船は日本の国際港といえども入れない、こういうことが国としても打ち出せないかという地元の声もございまして、この二点について、まず、大臣にお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 きょうは朝九時から分科会を行っておりまして、既にこの問題は、石井議員から、日立港の話を全部いたしまして、再度同じような答弁になりますけれども、問題が同じでございますので、重なっていれば申しわけないと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
 今おっしゃったように、我が国、全国で十二隻、放置船がございます。これに関しまして、本来はすべて船主が負担するというのが原則でございます。ところが、どこの国かわからない幽霊船も十二隻の中にあるんです。また、日立港のようにきちんとわかっていても、船長も船乗りもさっさと船を置いて帰っちゃった。こういうのを私もテレビで拝見しまして、あれを何とか船と引きかえに人質にとれないかなと思うくらい、言うと怒られますけれども、それくらいの心情であるということは、船長としての責任感、そういう意味で、船とともにいてほしいという気持ちは私は持っておりますけれども、残念ながら、既に船長も乗組員もお帰りになってしまったということで、日立でとりあえずしていただいた、そして金額も払っていただいて、油を回収していただいたということは、私も伺っております。
 また、全国で十二隻あるこの放置、今後もふえ続けるかもしれない、それを何とかしようということで、まず、国土交通省の中で、この放置船に関して、今御指摘のような座礁・放置船舶に関する検討会を設置、昨年の十二月でございます、これをつくりまして、放置船等々何とかできないか、そして、保険に入っていない船は入港拒否できないのかと。これは閣議の中で提案してあります。それは国土交通省だけではなくて、法務省も全部関係していますので。
 そういうことで、今の委員会のあり方は、きょう、委員長が来ています、局長来ておりますので聞いていただきたいと思いますけれども、そのように、全国十二隻をどうするか。以後ふえないことを念じつつも、今の現物の十二隻の対処法を今考えているところでございます。
大畠分科員 今、大臣から歯切れのいいお話を伺ったところでありますが、九時から大変御苦労さまでございます。質問がダブったところについては大変恐縮でありますが。
 そこで、座礁・放置船等に関する検討会の担当の局長がおいでであるということでありますが、せっかくおいでになっているんですから、お伺いしたいんです。
 当面するお話としては、撤去費用、これからあるんですが、解体して、ばらしてあげなきゃならない。これで大体一億二千万かかるというんですが、とにかく玄関先にあるものですから、目ざわりなんですよ。裏口とか横とかだったらまあいいんですが、まさに玄関の入り口のところにありまして、毎日そこの道路を通るたびに目につくし、漁業関係者も、朝、出漁するときにいつも目につくんですね。
 これを何とか撤去したいんですが、何かいい知恵はないかということなんです。この点について御答弁をお願いします。
    〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
鷲頭政府参考人 今のお尋ねの点でございますが、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、船舶の座礁事故、基本的に、その経費、それを撤去する経費も船主に責任がございますが、過去の例を見ますと、やむを得ず自治体が撤去しているというのが随分ございます。その撤去費用につきましても、今、一億を超えるというお話がございましたが、数千万から数億もかかるということが言われておりまして、そういう意味で、私ども、放置船の検討委員会というのをつくりまして、その中で検討しているところでございます。
 現行制度上、放置船の撤去費など放置船の処理に要した費用につきましては、特別交付税の措置があるわけでございますが、今後の防止策、先ほどの入港規制も含めまして、それから費用負担のあり方も含めまして、どうしたらいいかということを私どもも検討いたしますし、関係省庁間で十分検討いたしました上で、適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
大畠分科員 今、適切にというお話がありましたが、適切に頼みますよ、本当に。言ってみますと放置自動車と同じようなもので、これはだれがやるんだ、このコストは、そういうことで大変苦労しておりますので、早く玄関先の廃船、ある人は、何かここの周りに道路つくって観光地にしてしまったらいいんじゃないかなんという話もありますが、とてもじゃないけれどもそういう代物じゃないんですね。
 したがって、適切にという話がありましたが、その前に早急にという言葉をつけていただいて、早急に適切に対処してもらうということをお願いしたいんですが、どうでしょうか。
鷲頭政府参考人 今、先生御指摘のとおり、できるだけ早く回答を出せるように努力したいと思っております。
大畠分科員 それはぜひお願いします。
 二点目の話に移りますが、今度は道路問題でございます。
 これは毎回、こういう機会がありましたときに申し上げておるのですが、日立市の渋滞というのは大変有名になっております。おかげさまで、いろいろと六号、日立のバイパス建設も進んできたところでありますけれども、何とか旭町までという四・七キロの工事を完成させてほしいという地元の声が強く上がっております。
 進捗状況と今後の見通しについてお伺いし、さらに、未事業区間、今度は旭町というところから河原子の五・七キロの事業化の見通し等々についてお伺いしたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘は、国道六号の日立の部分でございます。これの日立バイパスでございますが、六号の日立市内の交通混雑緩和と交通安全の確保ということで、御指摘のように、旭町から田尻町までの延長四・七キロでございますが、全体事業費五百二十億円のバイパス事業をしているところでございます。
 昭和五十二年度に事業化しまして、平成十三年度までに、本宮アクセスから日立市田尻町間二・一キロにつきましては、暫定二車線で供用しているところであります。
 現在、鶴首アクセスから本宮アクセス間約一キロにつきまして、本年四月末の供用を目途に、改良、舗装工事等を進めているところであります。また、旭町アクセスから鶴首アクセスの間一・六キロ残るわけでございますが、平成十九年度の供用を目標に、改良、橋梁工事を促進しているところでございます。
 さらに、残りの部分でございます旭町から河原子町五・七キロにつきまして、どういうふうに事業を考えていくのか、こういうことでございます。
 既に都市計画は決まっておるところでございます。ここにつきましては、この事業中の日立バイパス、先ほど申し上げましたように、キロ百億円というような、海岸部に張り出した大変コストのかかる事業ではございます。コストの縮減に一層の努力をしながら、残ります区間につきまして、五・七キロ、これも今までの段階では、キロ約百億円相当、約六百億円ぐらいが必要なんではないか、こういうようなことでございましたが、一層のコスト縮減や、いろいろな工夫をしながら、この日立バイパス、平成十九年度ごろの現在の事業区間の供用ということを目標にしながら、この進捗状況を見ながら、あわせて、コストの縮減や、計画の定着といいますか、地元の皆様とのお話し合いもかたがた進めさせていただきながら事業化の方向を模索してまいりたい、そういうふうに考えております。
大畠分科員 一キロ百億円というと、これは大変なお金がかかるので、これは本当に、私も現地を見ておりますからよくわかるんですが、海岸沿いでありますので、非常に工事が難工事なんですね。その御苦労はわかるわけでありますが、ひとつ、長年の懸案でありますし、ぜひ御努力をお願いしたいということを申し上げさせていただきます。
 それから三点目でありますが、高速道路の利用促進策ということであります。
 日立市内の交通渋滞を何とかくぐり抜けるために、せっかく高速道路があるんだから、そこをワン区間使う場合には、もっと割安にというか、前もたびたび私も申し上げているんですが、定期券とか、一カ月間の定期券で、それをぱっとやれば何回でも通勤のときに使えるとかなんかすれば、バイパスができなくても、完成しない前から、高速道路を利用した形で渋滞緩和ができるという御提案を申し上げております。
 秋田の方でも何かそういうことを利用してやっているというケースもあるということを伺っていますが、改めて、こういう利用促進策についてのお考えをお伺いします。
佐藤政府参考人 国道六号の日立市内につきましては、二車線ということで、平成十一年のセンサスのデータによりますと、二車線で三万六千台が朝夕大変な混雑、最大の交通渋滞長二キロ、こういう大変厳しい状況である、こう認識しております。
 沿道環境の改善あるいは渋滞緩和、こういう観点からは、実は、平成十五年度から、政府予算の原案の中に、社会実験として、いろいろな弾力的な料金のあり方、こういうものを、特にETCを活用したりというようなことも含めて検討するということにしております。その中で、地方公共団体の提案型の社会実験、こういうことも考えております。
 先生、先ほど御指摘の秋田の方というのは、山形で、酒田道で、地元の公共団体も御協力いただきながら割引の回数券を発売しているとか、あるいは新潟で、日本海沿岸自動車道の一部で、これも地元の御協力をいただきながら、朝晩、六時半から九時半でございましたが、ピーク時に料金の割引を実施したというようなことで、一般道路側の渋滞が大変解消された、こういうような事例もございます。
 そうしたことも含めて、平成十五年度に、地方公共団体からそうした御提案をいただきながら、一緒になりまして社会実験をやっていこう、弾力的な料金でやっていこう、こういうふうに考えておりますので、また地元の公共団体と御相談しながら、いろいろ考えてまいりたいというふうに思っています。
大畠分科員 ひとつその件も検討していただきたいと思います。
 実は、ちょっと顔を見回しましたら、財務省の石原主計局主計官もおいででありますので、さっきの問題に戻りますが、船の撤去問題について財務省はどういうふうに考えているか、もとに戻ってしまって恐縮でありますが、せっかくおいでですから、石原主計官にちょっとその問題をお伺いしたいと思うんです。
石原政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回のような事故に係ります船舶の撤去等につきましては、まずは原則的には、原因者たる船主に責任を負っていただくというのが当然かと思いますけれども、やむを得ず、日立港のケースのように地方自治体が負担した場合につきましては、現在の制度といたしましては、特別交付税等の制度があるものと承知をしているところでございます。
 今回のケースをきっかけに、新たに国が何らかの財政措置を行うべきか等につきましては、現在、国土交通省におきまして、例えば無保険船でございますとか、このような危険な船舶の入港規制等ができるかどうかといった今後の予防対策ともあわせまして、現在鋭意検討中であるというふうに伺ってございまして、財務省といたしましても、この国土交通省の検討結果を踏まえまして、今後とも適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
大畠分科員 さらに、総務省の林さんもおいででありますから、自治財政局長として、先ほどの件についてちょっとお話を伺います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の座礁事故に関しまして、県及び地元の市におきましては、緊急避難的な措置として多額の経費の支出を余儀なくされている形になっておりますが、事案の性格からして、結果的にこの多額の負担が地元に残ることを心配いたしておられるようであります。県におきましては、今回の撤去費用も含めまして、事案に対する地元の負担は地元の責任なのか、あるいは地元の経費で負担すべき性格のものなのかということについていろいろと疑問も呈され、その結果として、国に対して、いろいろな制度的な措置あるいは財政上の支援措置を要望されているように私は承知をいたしております。
 その中で、特別交付税についての措置の御要望もあるわけでありますが、御案内のように、この特別交付税は、性格上、地方の固有財源という位置づけがされております。したがいまして、地方団体の負担とされました特別の財政需要に対して交付されるものでありますので、私どもといたしましては、事案の経緯あるいは性格に応じた国における責任と負担、あるいは地方における責任と負担というものを検討する必要があると思いまして、関係省庁と御相談をいたしているところであります。その結果に基づきまして国において講ぜられます措置とあわせて、特別交付税の交付に当たりましても検討を進めていく必要があると考えております。
 いずれにいたしましても、関係団体の負担は大変な規模に上っておりますので、財政運営に支障が生じないよう、地元の事情もよくお聞きをしながら、適切に対処してまいらなければならないと考えております。
大畠分科員 ありがとうございました。
 ああいうときにどこがやるのかよくわからないというので、とにかく県が手を挙げたのですが、早く手を挙げたところが損をしないようにといいますか、勇気ある者が損をする社会では困りまして、やはりそういうときは率先垂範してやる、世のため人のためというのでやっていますので、ぜひそこら辺も、財務省も総務省もぜひ御検討いただいて、適切に速やかに対処していただきますようお願いします。
 さて、その次は、またもとに戻りまして、実は電車というものが、大変便利なんですが、それが地域を分断しているということもございます。
 そこで、国道四百六十一号線の花貫踏切があるんですが、ここが朝晩の渋滞で非常に困る。これは毎年お願いしているんですが、やっと工事の状況が見えてきまして、買収、工事も始まりました。そこで、早くこの工事を完成させてもらいたいというので、地元の人は全部了解して、土地を持っている人も、もう来たらすぐ売りますよというところまでいっていますので、これは早く工事を完成させてもらいたいという声があります。
 同時に、川尻駅という駅があって、線路があって両側を遮断しているんです。そこに自由通路をつくってもらいたいというので、今、計画を地元の方もやっているわけですが、この二つについて状況をお伺いしたいと思います。
佐藤政府参考人 それでは、先生、最初に、踏切の立体化の方から申し上げさせていただきます。
 国道四百六十一号の高萩市内におけるJR常磐線の花貫踏切、これが設置されておりまして、幅員狭小で交通の隘路になっている、こういう状態であったということであります。
 この踏切除却事業といたしまして、延長約一・三キロ、全体事業費約二十億円ということで、平成十一年度から除却事業に着手しているところであります。
 先生御指摘のように、所要の用地、既に九六%買収ができております。残る用地の取得を大急ぎでやるということと、立体化に要する七基の橋梁下部工のうち、既に一基の工事に着手したところであります。平成十七年度の完成を目標に進めるというふうに努めているところでございます。
 できるだけ渋滞の早期解消、こういうことで、目標どおりにできるように頑張ってまいりたいと思っております。
松野政府参考人 お答えいたします。
 もう一件の川尻駅東西自由通路でございますが、茨城県十王町の川尻駅におきましては、駅の地下を通り抜けます東西自由通路を今整備中でございます。平成十六年度に完成する予定と聞いております。
 国土交通省におきましては、人にやさしいまちづくり事業というのがございます。この事業によりまして、この東西自由通路及びそれに接続いたしますスロープ等につきまして補助を実施しているところでございます。この完成に向けて、引き続き支援してまいりたいと考えております。
大畠分科員 それで、町の住民は大変完成を待ち望んでいるものでございますので、ぜひ、今お話があったような形の目標で推進していただきたいということをお願いしておきます。
 最後の質問でありますが、今度は橋の問題でございます。
 国道六号に北茨城というところがありまして、大北橋というところがあります。これが、川に沿って道路が走ってきたんですが、その川を横切ってまた対岸の方を道路が走る形になっているんですね。したがって、川を横切るときに、川に直角に橋をかけるものですから道路がS字になってしまうということで、よくここで事故が起こりました。いわゆる飛び込み事故ですか、曲がり切れないで民家に飛び込むというのが何回もあるんですよ。
 それで、昔、江戸時代であれば川に直角に橋をかけるというのは常識だったかもしれないが、今どき、本州と四国の間に橋をかけるぐらいですから、何も川に直角にかける必要はないんじゃないか、そういうことで斜めに橋をかけてもらいたいということで、その橋を調べたら、昭和五年に建てられたものであって、もう大体、老朽化が進んで、建てかえ時期だということがわかりました。ここのところに斜めに橋をかけていただいて、S字といいますかクランクといいますか、そういう道路の状況を直してもらいたいという地元の声がございます。
 何度かお願いをしておりまして、検討は進んでいると思いますが、この大北橋のかけかえ工事と、周辺の再開発といいますか、まちづくりというものも含めて、現在の状況についてお考えをお伺いします。
佐藤政府参考人 先生御指摘の磯原本町の近くでございますが、大北川と並行して、国道六号が、磯原本町から大北橋がほぼ直角に渡河している、道路線形がS字となっているというお話で、過去において、トレーラーの横転事故など重大事故が発生しているということでございました。
 平成八年度から、道路の横断勾配の修正であるとか発光式点滅灯とか滑りどめ舗装とか、各種の事故対策を行ってまいったところでございます。
 平成十二年度以降は、そうした対策の効果もあったかとも思いますが、大きな重大事故というものは発生していない、こういう状態ではございます。
 実は、平成十二年度に、関係機関、道路管理者と県、市、警察等から成ります、地元の住民の皆様もお入りいただいて、北茨城市磯原本町交差点改良検討会というものを設置しまして、今申し上げましたような対策の効果なども評価しながら、今いろいろ検討をしていただいているところでございます。
 大北橋のかけかえでございますが、先生御指摘のように、昭和五年の九十メーターの橋梁でございます。この間、耐震対策等で補強はいろいろこれまでもやってきておる、こういう状況でございますので、こうした検討会でいろいろ御議論していただきながら今後の検討を深めてまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。
大畠分科員 幾つか質問をさせていただきましたが、やはり政治というのは、世の中といいますか、地域で暮らしている方々がより安心して暮らせる社会、そしてまた、より利便性の高い状況の中で暮らせるという状況をつくることが必要だと思います。
 そういう意味で、扇大臣におかれましても、いろいろ朝九時から大変だったと思いますが、これからも庶民の声を聞いていただきまして、適切な国土交通省の仕事をしていただきますようお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、太田昭宏君の質疑に入ります。太田君。
太田(昭)分科員 公明党の太田昭宏です。日暮里・舎人線、いわゆる舎人新線についてお伺いをします。
 この事業は、荒川区の日暮里駅を起点として足立区の舎人地区までの十三駅、約十キロの新交通システムでありますが、この新線ができますと、この地域の自動車の渋滞の緩和、新線の一時間当たりの輸送能力は、普通自動車に換算すると千七百台に相当すると言われております。交通の利便性、舎人地区から日暮里駅まで今までバスで約一時間かかっていたのが二十分になる。そのほか、並行する隣接鉄道の混雑緩和や沿線のまちづくり、活性化などに波及効果もあるということで、足立区からはできるだけ早くという声がずっと昔からあったわけでございます。
 ところが、当初の平成十一年度開業予定が平成十五年度に延期をされて、昨年、平成十九年度に再延期されたということで、多くの方が落胆をしているわけですが、この進捗状況をまずお聞きしたいと思います。
澤井政府参考人 御指摘の日暮里・舎人線でございますが、JR日暮里駅から東京都荒川区、足立区を経由する延長九・八キロの路線でございます。
 ことしの一月末現在でございますが、必要な用地の八八%まで取得済みになっておりまして、工事につきましても、支柱で申しますと六三%、けたの工事が三二%といった進捗状況と聞いております。
太田(昭)分科員 おくれの原因はいろいろあろうかと思いますが、主に荒川区の用地買収のおくれというのがあるというふうに聞いているわけです。延期がまた再々延期されるというようなことがないように、国としては今回はがっちりとバックアップしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
澤井政府参考人 仰せのとおり、用地買収等で二度にわたって目標年次がずれ込んだということは承知しております。そういった経緯もあった中で、地元の関係区を含めて東京都は、平成十九年度中に何としても供用したいということで取り組んでいるというふうに聞いておりまして、私どもも、そういった事情も踏まえて積極的に支援してまいりたいと思っております。
太田(昭)分科員 新交通システムということで、道路を立体的に利用した専用軌道上を走行する、バスと鉄道の中間程度の輸送力を持つ新しいタイプの交通機関、ゆりかもめや神戸ポートライナーなどで実績があるわけでありますけれども、今後、こういう新交通システムというものをできるだけ推進し、特に都市部の渋滞解消等に寄与していただきたいと思いますが、この辺はいかがでしょうか。
澤井政府参考人 若干、先生の御指摘の繰り返しになるかもしれませんが、新交通システムは、建設費が地下鉄に比べて安い、また、道路空間を立体的に利用するために一般の鉄道に比べましても用地買収費も少ないといったことで、比較的低廉な事業費で整備が可能な公共交通機関であります。鉄道とバスの中間の輸送力を有するために、鉄道を整備するだけの需要が見込めないような都市や地域に適した交通システムであります。
 これを導入いたしますと、渋滞の緩和、都市サービスの充実等の直接的な効果のほか、二酸化炭素の排出削減、排気ガス、騒音、振動等の環境負荷の削減等の効果も期待されます。私どもといたしましても、今後の都市交通を考える上で、こうした新交通システムは重要な役割を担うと認識しております。
 ただ、一方で、バスと比べますと、道路さえ一定のものがあれば運行できるということとは違いまして、新たな構造物の整備が必要であるということでかなりの初期投資も必要でありますし、また、事業採算を確保するためには一定以上の安定的な需要も必要であります。したがって、どこでもということではなくて、おのずから一定の限定はあると思います。また一方で、新交通システムの導入空間として広幅員の道路が必要でありますので、広幅員道路の整備というものが必ずしもまだ十分でないということも一つの制約要因になっていることも事実でございます。
 ただ、こうしたことも踏まえながら、先ほどの効果を十分に発揮するために、今後の重要な課題として取り組んでまいりたいと考えております。
太田(昭)分科員 都市公団の建物が我が地域には非常に多いわけですが、今回三年ぶりに四月一日から家賃の改定があるわけです。我々の地域は値上げということが多いわけですが、公団は今までで一番マイルドな改定である、こういうことを言っておりまして、私どもも強く申し入れまして、高齢者の負担がふえないようにという措置も最終的にとっていただいたということで、強く要請させていただいたわけなんです。住んでいる方にとりましては、二千円、三千円アップするというのは大変な負担であるわけで、特に高齢者ということからいきますと、そのことが身にしみて感ぜられるわけでございます。
 よく回ってみますと、団地に空き家が多いんですね。例えば、高島平団地という大きなものがありますが、地元の新聞によりますと、総戸数八千二百八十七戸のうち、何と五百四十三戸が空き家で、大型棟一棟分にもなるというような報道をしておりますし、北区の王子五丁目団地や豊島五丁目団地なども非常に空き家が多い。私は、この目で確かめてきたわけです。
 住民の皆さんにとりましては、家賃を改定する前に、公団の努力として、こんなに空き家が多い、そこを埋めてやるということができれば、採算という上からも値上げ幅がもっと少なくなるのではないかという声も非常に高く、私は全くそのとおりだというふうに思っておりますし、豊島五丁目団地の裏手の、足立の、もう隣接です、そこに新たな都市公団の団地が二千数百戸建つということで工事が始まっている。しかし、こちらの団地では空き家が多いというようなことでは、これは経営的に一体どういう考えでやっているのかということがあるわけです。
 私は、空き家をなくしていく努力というものが非常に大事だというふうに思っているわけですが、なかなか、なぜ空き家がこんなにあるのかということに納得する答えがないというのも現場からの声であります。この点、私は、空き家対策ということにもっと力を注ぐべきだと申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 まず、都市基盤整備公団が供給いたしました賃貸住宅におきます平成十四年三月末現在の全国の数字でございますが、空き家戸数は三千六百八十五戸ということで、管理戸数約七十五万戸ございますが、空き家戸数の割合が〇・五%ということでございます。また、東京都内におきましては、管理戸数十六万戸のうち空き家戸数が五百三十八戸ということで、〇・三%の空き家率ということでございます。
 この十四年三月末時点で見ますと、高島平団地につきましては、管理戸数八千二百八十七戸のうち空き家が五戸、王子五丁目につきましては、管理戸数二千二百二十一戸のうち空き家が一戸、それから豊島五丁目団地につきましては、管理戸数四千九百五十九戸のうち空き家が十四戸となっている状況でございます。
 今お話ございました、地元でも空き家の戸数が多いのではないかという御指摘があるようでございますが、これは、二月の初めに、地元の方が目視で空き家ではないかと思われるものが五百数十戸あったということでございますが、実は、高島平団地等につきましては、四十年代に供給した住宅を中心といたしまして、今空き家になったものを積極的にリニューアル工事を実施しております。そのために、従前入居者が退去いたしました後、募集を一時的に停止している住宅が結構多いわけでございます。こういった工事をします住宅がことしはかなりふえておりまして、そういう状況から、空き家になっている状態に見えるものが多かったのではないかと思います。
 また、二月というのが、今月が空き家の募集の時期でございます。公団としては、今空き家になっていますが、その募集をすれば、大変立地のよいところでございますので、今後、確実に埋まっていくという自信を持っているというふうに公団からも聞いているところでございます。
太田(昭)分科員 驚くべき答弁で、そういうことをやっておるうちは話にならぬなというふうに私は思うんだけれども、野党の昔の時代ならここでどなるところだ。
 きのうの夜中に、私は現場をずうっと、連絡をしたりして、秘書の人にも夜中じゅう走ってもらって、全部調べましたよ。王子五丁目団地で一戸と言うけれども、本当にそうなのかと。
 一つの棟だけでも、もうどこがどうこうは申し上げませんけれども、一つの例えば何々号棟というのがありまして、二階と三階だけでも、二三一、二一九、三二二、三一七、三一二、三〇九、三三三があいています。例えば二三一という一戸の部屋は、一年半前にそこの人が引っ越して、いまだ改修もされていない。三一七という部屋は、住んでいた方が二年半前に引っ越して、一年前に改修は終わっているけれども、そのまま空き家になっているというような状況がありまして、いや、そんなことではございません、調べてこうなんですと言うならば、きょうでも本当に見てきちっとしたらいいですよ。
 ペーパードライバーのようなことをやっていたらこれはだめで、私は、本当にきのうも、そういう話だったから、じゃ自分で調べましょうということでやったわけなんだけれども、そういうことを現場を一遍歩いてやらなければ、こういうことは解消しないですよ。王子五丁目団地でたった一戸でございますなんていうのは、住んでいる人があきれますよ。どうですか。
松野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、先ほどの例えば高島平団地の八千二百八十七戸のうちの空き家が四戸とか、そういう数字は、先ほども申し上げました十四年三月末現在の数字で、昨年の三月末現在の数字でございます。まだ三月末現在が来ておりませんので、同じ一年たった後の比較はまだできませんが、現在、昨年よりも既にリニューアル予定戸数がふえているというような状況もございまして、また、多少昨年の十一月の募集の時期に埋まり切らなかったものがあるということは事実だそうでございますが、これも、大変人の動きの少ない時期でございましたからそういうことが起きたのではないかというふうに聞いております。二月のこの時期になれば、相当数埋まっていくのではないかというふうに私どもは聞いているところでございます。
太田(昭)分科員 そんな話を聞いていたって、現場に行って、見て、ちゃんと都市公団の人とそういうことについてしっかり調べて対応してくださいよ。本当に、かくかくしかじかでございますなんて言ったって、調べてそういう状況だということは、現場の住んでいる人たちはみんな知っていますよ。王子五丁目団地で一戸でございますなんて言ったら、もう何をやっているかという話になるよ。
 これ以上は僕はこのことについては申し上げませんけれども、値段が上がるということで、あんなに空き家が多い、リニューアルもある、だけれどもそれがちゃんとされていないということであるならば、どちらが正しいかというふうなことを言っているわけじゃなくて、よくこのことは、いわゆる普通の会社、企業であれば、ビルが空き家になっているというのなら大変なことですから、その辺は一遍、私の指摘したことを受けて、点検をして善処するとか、そういうことについて踏み込んでやってもらいたい、私はこう思います。
    〔高鳥主査代理退席、主査着席〕
扇国務大臣 今、太田議員からるる都市公団の話が出ました。整備公団でこの間も私、あることで国会で御質問がありましたので、伴総裁と話し合いました。
 それは、例えて例を挙げますと、ここに賃貸住宅団地をつくるけれども御希望がありますかといってアンケートをとったら、百四十四軒の御希望があったというので、百二十軒分を建てたそうです。百四十四軒の希望ですから、ゆとりを見て百二十戸つくった。ところが、これを建てている間に、計画で募集したのが百四十四で、建ち上がった三年後には四十七軒しか入らなかった。そうすると、あと全部入っていないわけですね。それなのに、百二十戸分が四十七軒だけで、あと全部空き家なんです。私、それは入っている人も気持ち悪いだろうし、しかもなおかつ三年間これをずっと、違う団地を建てかえるときにここへ入るだろうというのであけてあったというんです。
 ですから、私、太田議員がおっしゃったように、これは民間だったらとっくに倒産しています。百二十戸分建てて四十七戸しか入っていないような団地をつくって、しかも三年間空室であるというのは許せないというふうに私は申しまして、今局長が申しましたように、きょうは都市公団が来ておりませんけれども、今のお話、例えて例を挙げられましたけれども、都市公団の事業の中でそういうむだがあった。また、しかも、入っている人が賃貸だから、分譲を建てたんですけれども賃貸にしていいですかと言ったら、分譲と賃貸が同居することは契約違反だということでそれがだめになったというふうな話も聞いています。
 この空室の多さというのは私はぜひ善処するべきだと思いますので、安くても入れない人がいっぱいいるんですから、そういうことも、きょう大変いい御提案をいただきましたので、善処方を私からも再度申し上げたいと思います。
太田(昭)分科員 ありがとうございます。ぜひともやっていただきたいというふうに思います。
 高齢者の居住の安定確保に関する法律ができまして、その中で、公団住宅で三十年以上経過したものは公団住宅の中に高齢者向け優良賃貸住宅をつくりなさい、こうなっているわけですが、戸数が少な過ぎるのではないかという感じがするわけです。
 こうした住宅は国から補助金が出るわけでございますので、今後の高齢化社会ということに対応してふやす方向にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 今お話ございました都市基盤整備公団の既存の賃貸住宅ストックを活用いたしました高齢者向け優良賃貸住宅の供給、これは、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づきまして、既存の公団住宅をバリアフリー改修を行った上で高齢者向けに供給しております。
 民間ではバリアフリー化された住宅の割合がまだまだ低いということもございまして、公団の既存ストックを活用しました高齢者向け優良賃貸住宅の応募者数も、年々増加して需要が高まっております。現在までのところ、十三年度末までに約九千戸を供給してございます。
 十三年三月に閣議決定されました第八期住宅建設五カ年計画におきまして、十三年度から十七年度までの五カ年で、公団による高齢者向け優良賃貸住宅供給戸数を一万八千戸と計画しております。現在のペースが三千戸ということでございますので、これはやはり計画を達成するためにもふやしていかなければいけないというふうに考えております。
 引き続き、この高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進を図っていく所存でございます。
太田(昭)分科員 公営住宅のバリアフリーで特に声が高いのは、エレベーターが欲しいと。五階建てのところがあるわけですね。これが、私もまた我が党も強く主張して、こういうジグザグ型階段のところにまでエレベーターが可能という体制で、そういうことができているというようなこともあったんですが、ここをもう少しスピードアップして、それぞれ都営もあるし、区営もあるし、いろいろなのがありますよ、公団もありますよ、いろいろなすべてのいわゆる住宅についてそうしたエレベーターをつけるというようなこと、高齢化時代ですから。
 昔は高いところの方が人気があったようなんですが、最近はなかなか五階まで上がるというのも大変だということがありますから、もう少しここのところの、ニーズが非常に高い、切実なものがあるということでスピードアップをしてもらいたいと思いますが、その進捗状況とスピードアップということについてぜひとも御尽力いただきたいと思います。
松野政府参考人 委員御指摘のとおり、高齢者あるいは障害者を初め、すべての居住者が安全で安心して暮らせるよう、公営住宅のバリアフリー化を推進するということは大変重要なことでございます。
 平成三年度から、公営住宅を新築する場合にはすべてバリアフリー化するということを義務づけております。現在では、住戸内のバリアフリー化はもとより、三階建て以上は原則としてエレベーターを設置する、すべての住棟の共用廊下を段差のない構造にするというようなことも含めまして、バリアフリー化を進めております。
 また、既存の公営住宅につきましても、共用部分を含めリフォームを積極的に推進しておりますし、階段室型の住棟も含めエレベーターの設置に努めているところでございます。これまで、例えば平成十三年度におきましては、七千七百戸の既存の公営住宅に三百十九基のエレベーターを設置いたしております。これをこれからもやはりスピードアップしていく必要があるだろうと思います。
 したがいまして、十五年度の現在提出させていただいております予算案におきましては、民間事業者がみずからのノウハウを生かして設計から施工まで一貫して行うということで、より効率的な増改築ができるように、既存公営住宅の改善事業におきまして買い取り制度の新設を盛り込んで、これからエレベーターの設置などをスピードアップしていくことができるような措置を講じようというふうに考えております。
太田(昭)分科員 私は、公共事業ということについては、悪玉論に立ったことはただの一度もありません。いいものはいい、やるべきものは大いにやれ、むだなものは削れと。
 構造改革というのは小泉内閣の大きな柱ですけれども、環境ということの制約の時代が訪れた。一番大きいのが人口構成の大きな変化というものに対応した体制をつくらなくてはいけないということなので、予算というものが当然伴いますが、バリアフリーとか、中でもいろいろなバリアフリーの事業というのがあるわけですが、何が一番住んでいる人、またその町にいる人にとって優先順位かなというような予算配分の仕方が非常に大事なことなので、ぜひとも頭の中に、同じバリアフリーでも何が緊急なのかという観点を必ず入れてもらいたい、そういう予算組みをお願いしたいということを申し上げたいと思いますが、いかがですか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 確かに、各団地ごとそれぞれ、何が本当に必要なのかという違いがあろうかと思います。ただ単にエレベーター設置ということだけではなくて、例えば一階の住戸に行くのにも、今は新築の場合は段差がございませんが、既存住宅の場合、たとえ一階でも段差があるケースがあったりしまして、そこを上がるのがお年寄りは大変だというようなケースもございます。そういったことからも、一階の段差解消というようなものも積極的に進めなきゃいけないというニーズがある団地もございます。そういった点に今後は配慮していきたいというふうに考えております。
太田(昭)分科員 最後になりますが、駅などではかなりバリアフリーということでエスカレーターが設置をされてきて、この間も予算委員会で大臣に質問をさせていただいて前向きの答弁をいただいたわけなんですが、やはり上るというのは労力かもしれないけれども、本当に体の悪い、ひざが悪い人が多くなりまして、下りというのがもっとつらいわけですね。そういう意味では、エスカレーターは上りだけではなくて下りのエスカレーターというようなことが、私はぜひとも推進項目の大きな柱の一つにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
石川政府参考人 先生御指摘のように、エスカレーターで下りのエスカレーターが少ないというお話があります。これは、このバリアフリー法案ができる前から、エスカレーターの整備に努めている中でどうしても、ややもすると上りの方を優先してしまったということがあろうかと思います。ただ、駅の場合は空間が限られております、さらにはホームの場合も空間が限られているということで、必ずしも上り、下り、上下二本エスカレーターをつくるのは難しいという場合もございます。
 そういうこともございまして、むしろ、一つの考え方でございますが、エスカレーターではなくてエレベーターをきちっとつくっていくというふうなことも一つ重要なことだろうと考えております。そういう意味で、現在の交通バリアフリー法案に基づく移動円滑化基準というのがございますが、これはエスカレーターと並んでというか、あるいはエスカレーター以上にエレベーターの設置ということに力を入れていきたいと考えております。
太田(昭)分科員 ありがとうございました。
栗原主査 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。
 次に、樋高剛君。
樋高分科員 自由党の樋高剛でございます。
 きょうも議論の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 扇大臣には、大変にお疲れさまでございまして、平素からの活躍、遠くから拝見をさせていただいておりまして、私は活躍を祈っている一人であります。
 私は、この国土交通政策という部分はとても大切な部分であるというふうに思っておりますので、どうかリーダーシップを発揮して、後世の歴史家があのとき扇大臣の采配がよかったからこうなったんだと言われるように、ぜひに頑張っていただきたいとまずエールを送らせていただきたいと思います。
 きょうは、大規模公団住宅対策につきまして議論させていただきたいと思いますが、都市基盤整備公団からもお忙しい中をお越しいただきまして、ありがとうございました。
 まず、国土交通省さんにお伺いしますけれども、大きな公団住宅、一千世帯や二千世帯あるような公団住宅が首都圏近郊に数多くつくられておりまして、その地域のコミュニティーが形成をされております。一つの町になっているということでありますけれども、公団住宅建設に当たっては、やはりよりよいコミュニティーが形成されるということを当然のことながら意識して団地の設計をしていると思いますが、今までどのように指導してきたのか、伺いたいと思います。
岩城大臣政務官 お答えいたします。
 住宅団地は、規模が大きければ大きいほど、周辺も含めたまちづくりと一体となって整備され、その住宅団地を含む良質なコミュニティーが形成されることが重要である、このように認識をしております。
 そこで、国土交通省といたしましては、都市基盤整備公団の業務運営に関する基本的事項を定める基本方針等におきまして、賃貸住宅の供給について、単に賃貸住宅単体を建設するだけではなく、公共施設や利便施設等の整備された良好な居住環境を有する住宅市街地の整備を一体的に行うことにより、よりよい地域コミュニティーの形成を図るよう指導してまいりました。
樋高分科員 都市基盤整備公団の方に伺いたいのでありますが、団地の中心に小規模の広場があって、商店街がそこにあります。今、生活スタイルも変わってきておりまして、郊外にも大きな駐車場を兼ね備えた大きなスーパーができたり、またディスカウントショップのでかいのができ上がったりしている。また、時代もどんどん変わってきてはあるんですけれども、私は、商店街にどうしても元気がなくなってきているんじゃないかということを懸念しております。
 不況が続く中で、今その商店街に元気がない。公団住宅の中には、商店街が廃業して、店を閉める商店がふえてきているのではないか。特にシャッターを見ますと、商店街の中でありますと余計に目立って、すごく何か寂しい感じがするのでありますけれども、今、現状どうなっておりますでしょうか。
古屋参考人 今先生御指摘のとおり、公団の店舗等の商業施設につきましては、居住者の日常的な利便提供を図るということを目的に設置をしてまいったわけでございますが、その後の、消費者のいろいろな購買行動が変わってくる、あるいは、周辺が市街化し、大型店舗が立地するといったような商業環境の変化等もありまして、私どもの店舗等につきましても、やむを得ず退店される例が少なからず生じている状況でございます。
 このような空き施設につきましては、ひところちょっと増加の傾向がございまして、近年で見ますと、平成十一年の三月末時点では、私どもの全施設、当時四千六百六十五ほどございましたけれども、二百二十二施設まで高まった状況、これは当時の四・八%ほどの空き家率でございますけれども、高まった状況がございました。
 その後も、私どもとしましても、空き施設募集の強化、あるいは、商店街の街区の魅力を高めるために、いろいろなカラー舗装をするとか宣伝板を設けるとか駐車場を整備するとか、そういった街区整備、あるいは、少子高齢化対応施設で居住者の方々の支援に役立つような施設等を呼び込むといったような解消努力をいたしました結果、若干減少を見せておりまして、平成十二年三月末時点では、全四千六百四施設のうち百四十二施設が、約三・一%ございますけれども、空き施設になっているというような状況でございます。
樋高分科員 改めて伺いますけれども、都市基盤整備公団として、公団住宅における商店街の位置づけ、団地というコミュニティーの中での商店街の役割について、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
古屋参考人 団地内の店舗は、主として、団地にお住まいの方の日常生活に必要な利便を提供するということと同時に、居住者の皆様が日常的に触れ合う場としても、良好なコミュニティーを形成する上で非常に大事なものであるというふうに考えております。
 したがいまして、当公団としましても、こういった商店街をより魅力のあるものに高めていくということが必要だと考えておりまして、団地の実情でありますとか居住者のニーズに応じまして、単に従来型の物販やサービスの提供だけではなくて、少子高齢化対応施設でありますとか、防災施設でありますとか、高齢者、もうたくさん入居されておりますので、こういった方々の生活支援機能といったものも高めつつ、地域のコミュニティーの生活拠点としての有効利用を図っていく、また、それに資するような街区整備を行うなど、多方面の活性化対策を図ってまいりたいと考えております。
樋高分科員 公団住宅にあります商店街の商店の、私もずっと地元回りなどをしておりますと、やはり家賃が高い、そのために廃業し、撤退せざるを得ないんだという本当に切実な話を聞くのであります。しかも、不況で物も売れない、公団家賃が高いということで、続けていけないんだと、本当に痛切な、切実な思いを私はよく聞かされるわけでございます。
 団地の中心の商店街が皆シャッターを閉めて寂れてしまうと、団地全体の活気がなくなってしまって、また、コミュニティーの形成の障害になってしまう。
 公団住宅の賃貸家賃が高いという現状について、都市基盤整備公団はどういう認識を持っていらっしゃるんでしょうか。
古屋参考人 委員から御指摘いただきましたように、空き施設がありますと、団地全体の活気がなくなりまして、良好なコミュニティーの形成にも支障が生ずるということで、私どもは、この空き施設解消あるいは退店防止ということにいろいろ努力を傾注しております。
 その一端、先ほど申し上げましたけれども、街区の整備をいたしまして魅力を上げる、あるいは宣伝募集を強化する、従来の業種にとらわれない多様な業種の呼び込みを図る、少子高齢化施設やNPOの施設にも提供する、あるいは店舗会等の勉強会等も開催するといったような多方面の努力をいたしております。
 ただいま御指摘のありました施設賃料につきましてでございますが、これは、民間のいわば施設貸しの業者さんもいらっしゃるわけでございますので、周辺の、近隣の、近傍同種のそういった民間施設の賃貸料水準と均衡を失しないよう定める必要がございまして、これにつきましては、適宜、不動産鑑定等を基礎とした賃貸料の見直しを行いながら、適正な水準の賃料の維持に努めているところでございます。
樋高分科員 大臣に伺いたいと思います。
 あえてここではどこというふうには申し上げませんけれども、私の知っている公団住宅の商店街の最も中心的なところにある四店舗が、高い家賃が払えなくなって廃業して、シャッターをおろしたままである。二年ほど前に店舗そのものが閉鎖されてしまったわけなのでありまして、公団はこれを要するに倉庫に使う。いわゆる小さな商店街なんですけれども、その一角を、確かに倉庫としては使われてはいるんですけれども、倉庫なわけです。
 やはりそこは、人が出入りするような何らかの策を考えていかなくちゃいけないんじゃないかな。稼働率という数字で見れば、確かにそこは賃貸としてお貸しはしているのかもしれませんけれども、今、団地も多くなった、マンションも多くなった、そして地域での近所の触れ合いというのが大分なくなってきている中にあって、ここでいま一度見直して、そういった商店、商店街の活性化というのを私はやはり積極的に進めていただきたい。
 いわゆるコミュニティーの中心であるべき商店街の中心部分を、何も入っていないよりはもちろん倉庫でも仕方ないところもあるかもしれませんが、やはりそういった姿勢そのものをどうか改めていただけないだろうかというふうに思うのでありますが、どのようにお考えになりますでしょうか。
扇国務大臣 樋高議員のお考えどおり、私は、商店街というのは人の出入りがあって初めて商店街であって、シャッターが閉まっているのは商店街とは言えないというぐらいな気持ちでおります。
 また、公団の住宅における商業施設、この空き地の率からいいますと、普通、空き地の施設は五%、全国の一般の商店街は九%ですから、少しは団地の方がまだ皆さん御利用になっているなと思います。この空き室率の五%という商店街をどうするかということですけれども、私は、倉庫では利用していると言えないと思うんです。倉庫はシャッターを閉めるんですから、シャッターがあく施設というものを、私はぜひしてほしい。
 今、公団の理事からいろいろございましたけれども、私はいろいろな例を知っておりまして、また、少子高齢化社会、あるいは働くお母さん方に対して何かできないかということで、実践した場所もございます。それは、団地の中で、駅に行く近いところの商店街に、空き地、今のシャッターが閉まっているところを何とか託児所にできないか、子供を預ける施設にできないかということとか、あるいは老人の相談所にできないかというようなところで、全国では、これは例を一々場所は言いませんけれども、できているところもございます。
 あるいは、NPOの法人によって高齢者の交流施設に使ったところも、これは名前を言うと多摩ニュータウンですけれども、それもございます。本来は本屋さんであったのが空き店舗になったので、老人の、高齢者の交流施設にしたということで、これも大変皆さん喜んでいらっしゃいます。
 それから、場所によっては、子供と一緒にしたというところで、これは社会福祉施設ということで、子育て支援施設と一緒にしまして、商店街の中にあいているところで老人のデイサービスセンターと保育園を整備した、こういう例もございます。
 私は今、先ほど理事が言いましたように、商業施設ということで、一業種だけに縛られないで、こういう利用法というのは団地なればこそ、乗り物に乗らないで、歩いてあそこの託児所に行ける、育児施設に行ける、老人施設に行けるというようなことにも活用できれば一番いいと思っていますので、そういう業種にとらわれないことも今後大いに活用していくべきだと思っております。
樋高分科員 大臣から前向きの答弁をいただきましたけれども、ぜひそれを役所としてリーダーシップをとって、さまざまな業種が入るには、いろいろなまた規制もそこにはさまざま存在をいたしております。そこの部分を、そんな細かいところまでなかなか手が回らないよという話かもしれませんけれども、極力、町の活性化、やはり自分の近所で本当に、ぜひ大臣も、お忙しいと思いますけれども、視察をするぐらい現場を見ていただいて、例えば本当に小さなところで、十五ぐらいのテナントさんというか商店があって、そこで二つぐらい、たった二つなんですけれども、シャッターがおりているだけで物すごく雰囲気が変わってきちゃうんですよね。ですから、そこら辺のところをしっかりとお願いをいたしたいのであります。
 またちょっと話を戻しますが、家賃がまた一方で問題になってくるのであります。民間であればここを柔軟に、借り手がいなくなりますと、家賃を下げて借り手を探そうというふうに努力をするわけなんですけれども、先ほどの答弁もありましたけれども、都市基盤整備公団はそうした努力をしているのかという部分も、やはり柔軟に対応できるようにこれからはしていかなくちゃいけないんじゃないか。
 廃業して賃貸家賃がゼロになってしまいますよりは、家賃を下げても収入はあった方が公団の財政のためになるのではないか、不況の中で公団家賃を下げるということも検討すべきではないかと思いますけれども、いかがお考えになりますでしょうか。
扇国務大臣 これが一番難しいことでございまして、今一件訴訟が起こっております。これは、一つ訴訟が起こると次々に連鎖反応を起こすんですね。それは、我々が入ったときにはこれだけの家賃だった、だから、あいているから家賃を下げて、あるいは都市公団は分譲もありますけれども、下げたらどうだといったら、だったら今住んでいる人全部下げてくれと。そういうことで、新しく入る人は下がるんですよということが言えないんですね。不公平感というのが出てくるということで、これは訴訟があるのも事実でございます。
 ですから、何よりも多くの皆さん方、今少なくとも新たに建てかえる、毎年、建てかえなきゃいけない団地もございますので、ぜひ私は、樋高議員がおっしゃるように、新しく建てかえるときは、先ほどからお話しになっている高齢者への対応ができるものを建てる。また、今の商店街でも、もしそういうことであれば、私は、家賃をさわるというのは、全部を下げるということならいいんです。新しく入る人だけに下げるというサービスが、民間ならあるいはできたかもしれませんけれども、今特に不動産の価値が下がっていますので、連鎖的に訴訟が起こってきて、全公団全部下げろ、新しい値段、下げたのに全部統一しろというようなことが起こりますので、大変難しい問題であること自身は私わかっておりますけれども、そういう訴訟が起こらないでみんなが活用できるという方法をなるべく選んでいきたいと思っています。
樋高分科員 確かに、公平性という部分を考えたらこれまた本当に難しい問題であることも、私も重々承知した上でお尋ねをしているわけなんであります。
 都市基盤整備公団さんにちょっと伺います。
 かつて住宅・都市整備公団が建設した公団住宅、これから建てかえを必要とする公団住宅はふえてくると思いますけれども、ここで改めて伺いますが、その見通しと、建てかえ問題に都市基盤整備公団としてどう対応していくのか、賃貸住宅、分譲住宅、それぞれ対応が異なると思いますけれども、それぞれについてお聞かせをいただきたいと思います。
中田参考人 お答えいたします。
 建設年代の古い公団の賃貸住宅は、規模それから性能等の面で近年の生活水準に対応できないでいるというものが結構あります。それから、敷地の適正利用も必ずしも図られていないというようなことがありまして、昭和六十一年度から、公団が昭和三十年代に供給した住宅二百十三団地、約十六万戸を対象といたしまして、建てかえを実施しております。
 その進捗状況でございますが、平成十三年度末で百七十九団地、約九万一千戸に着手しておりまして、残りにつきましても、建てかえに係る諸条件が整ったものについて、順次着手する予定でございます。
 それから、今後の問題の、例えば公団の賃貸住宅の建てかえでございますが、今後につきましても、居住水準の向上あるいは敷地の適正利用ということに加えまして、今問題になっております都市再生の視点での対応というものも必要であるというふうな認識をしておりまして、従前居住者の居住の安定に配慮しつつ、地方公共団体と連携した周辺市街地を含む一体的なまちづくり、こういうものを進める中で、多様な都市住宅の供給、あるいは少子高齢化への対応のための保育所あるいは社会福祉施設の導入、それから情報化社会に対応するという意味でIT環境の整備、このようなことを進めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、分譲住宅についてのお尋ねもありましたが、分譲住宅の建てかえにつきましては、基本的には、分譲住宅の所有者の方々によって決定されるということが基本であるというふうに思います。
 しかしながら、分譲住宅の団地の管理組合等から、公団の方に相談があったり、あるいは要請があって、何かできないかということがありましたら、これまで培ってまいりました建てかえのノウハウを生かして、地方公共団体との都市計画の調整ですとか計画策定、そういうふうなことのコーディネート業務、これにつきましては支援に努めてまいりたいというふうに思っております。
樋高分科員 大臣は会議があるそうでありますので、ただ最後に、済みません、まとめてちょっと御答弁をいただいて御退席いただきたいのであります。
 今答弁にもありましたけれども、何千世帯という公団住宅の建てかえ、今後問題になってくると思いますけれども、対応の仕方によっては大きな社会問題にもなりかねないというふうに思います。国交省として、公団住宅のような大規模団地の建てかえ問題についてどういう方針で臨もうとしているのかというのがまず一点。
 もう一つ、先ほどの話に戻りますけれども、さまざまな問題がありますが、団地の商店街というのはその団地の顔とも言える存在でありまして、活気あふれる商店街があって初めて活気あふれるまちづくりができるのではないか。公団住宅の商店街が繁栄していく条件整備を進めることが重要であり、そしてまた、先ほどの公平性という問題もありましたけれども、そういったところにこそ、やはり政治が決断をし、リーダーシップを発揮していかなくちゃいけないと思うのでありますけれども、決意を含めて、所感を伺いたいと思います。
扇国務大臣 住まいというのは、年代は違え、それぞれの人たちが夢見るというのが、私たち国民の、あるいは庶民の、サラリーマンの大きな夢でございます。ですから、自分たちが夢で求めたものをいかに大事に使うかということを私は尊重するとすれば、都市基盤整備公団の建てるものがいかに良質でなければならないか。
 また、その人たちが、自分の子供が生まれて、もう一人前になってきたら今度どこへ行こうかというのではなくて、ついの住みかとして対応できるぐらいな住宅を供給すべきである。私はそう思っておりますので、今樋高議員がおっしゃるように、単なる仮宿ではなくて、自分たちが財産として誇りに思えるような団地というものをつくっていかなければならない、それが私は団地をつくるときの基本的な精神であろうと思っております。ですから、言ってみれば、誕生から墓場までという言葉がいつかございましたけれども、そういうことが団地で、自分たちの団地を誇りに思えるような団地を形成していく。
 そういう意味で、今建てかえというものがたくさんございますので、先ほど理事からお話ございましたように、九万一千戸の建てかえを着手していると言いましたけれども、今後建てかえる場合には、ただ住まいの質としてしやすいというだけではなくて、多くの人が会社に行かなくてもいいようなという、ふだんはできない、個人ではできない光ファイバー、これも、新しくするときには全公団が光ファイバーを設置しなさいと。そして、自分たちの会社と全部LANをして、そしてLANが一戸一戸に入るものも公団が整備してくださいということで、これも私、条件をつけています。
 それが今達成されつつありまして、光ファイバーも皆さん方の高速インターネットに接続できるような、そして、ケーブル接続するすべてのLANの端子も入るということで、全部備えてあるというのも、これは個人ではできないことですけれども、公団では率先してこれをしております。
 こういうことも、私は、公団なればこそできるということがなければ公団の意味がありませんし、戦後の今日までに役立ててきたことはわかりますけれども、公団としての最大限の国民に対するサービスだと思っています。
 今言いましたように、建てかえのときに少し高くして、空き地ができます。そのあいたところは緑にするとか、あるいは公園にするとか、子供の遊び場を広くするとか、そういう多くの知恵と、今の時代のニーズに合ったものを、また公団でなければできないものを建てかえのときにしなければ、私は公団の意味がないと思っていますので、そういうふうに指導もし、なおかつ、皆さんの要望を聞いて、こたえられるようにしていきたい。
 きょうも、私が指示しなくても、各公団、理事が来ていますから、よくこの話を聞いていると思いますので、それぞれ今後の建てかえに役立てていただきたいと思っています。
樋高分科員 何事も最初が大切だと思いますので、しっかりとお願いをいたしたいと思います。
 どうぞ会議に行かれてください。
 最後に、全くテーマはがらっと変わりますけれども、電柱の地中化の問題であります。
 今私の手元にあります資料、海外の事例なんですけれども、道路における無電柱率の比較ということでありますが、要するに電柱がないよというパーセンテージなんですけれども、ロンドン、パリ、ボンでは一〇〇%、ベルリンでは九九・二%、ハンブルクでは九五・七%、ミュンヘンでは八八・三%であるのに対して、日本は、東京二十三区は三・一%と、そのぐらいの落差があるんです。全国では、十万人以上の都市の市街地の平均値では一・一%しか地中化されていないということでありまして、日本はおくれているわけであります。
 電柱というのは、交通事故を引き起こしたり、また、そこにすりや泥棒が身を潜めたりとか、さまざまな弊害もありますし、また、電柱をなくすことによって景観もよくなったり、さまざまなメリットもあるわけであります。
 そういったことを考えたときに、今の進行状況、そして今後のめどとしまして、いつぐらいをめどにどのぐらいの電柱の地中化を目指していらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
吉村副大臣 電線類の地中化についてのお尋ねでございますが、ただでさえ狭い日本の道路、電柱が交通を阻害しておるわけでございまして、そういう面でも、地中化によります通行の向上といいますか、それから何といいましても都市景観の向上、また地中化によりますネットワークの容量の増加によりましてネット社会の通信能力の向上と、大変大きな意味を持った課題でございまして、我々も大きな課題として取り組む心構えを持っておるところでございます。
 しかしながら、今委員おっしゃいましたように、ロンドン、パリでは一〇〇%の地中化率、しかしながら我が国で平均しますと一・六%という、まことにお粗末な数字でございます。このため、昭和六十一年から三期にわたりまして電線類地中化計画を策定いたしまして、平成十年度末までの十三年間で三千四百キロの地中化を達成したところでございます。
 しかし、今申しましたように、日本全国の市街地における無電柱化の状況はわずか一・六%でございまして、さらに馬力をかけていかなきゃならないということで、現在は、新電線類地中化計画に基づきまして、平成十一年度から平成十五年までの五年間でさらに約三千キロの地中化を実施することを目標とし、従来の二倍の整備ペースで積極的に推進していきたい、このように思っておるところでございまして、事業費も二千二百二十八億円かかるわけでございますが、積極的に推進をしていきたい、このように思っております。
樋高分科員 阪神・淡路大震災のときは、電柱の下敷きになって命を落とされた方もいらっしゃるわけでありまして、都市災害を防止するという観点からもいいわけでありますし、もちろん、お金がかかりますから限度はありますけれども、次の世代のためにもしっかりと取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
栗原主査 これにて樋高剛君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢鋭仁君。
小沢(鋭)分科員 民主党の小沢鋭仁でございます。
 予算委員会の第八分科会ということで質問をさせていただきます。
 まず最初に、昨年の十二月に、いわゆる民営化推進委員会の意見書が提出されました。十二月の六日付だったでしょうか。それを受けて、政府の方は十七日の閣議決定において、一言で言えば、そうした意見書を基本的に尊重しながら、しかし、同時にいろいろな検討をして、改革の具体化に向けて所要の検討、立案を進める、こういう閣議決定をされているわけですね。衆議院の本会議場でも何度かこれは話題になっておりますが、改めてこの点だけちょっと確認をさせていただきたいと思っているのであります。
 いつまでにこの所要の検討を終えて、法案として、あるいはまた世に問う形としてお出しになるのか。現時点では、一体、国土交通省のどこの部門でどういう作業をやっているんだというところも含めて御報告をいただけるとありがたいと思います。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 道路関係の四公団につきましては、平成十七年度中の民営化に間に合いますよう、民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針のもとで、これまでの同委員会の成果を踏まえつつ、審議経過や意見の内容を十分精査し、必要に応じ与党とも協議しながら、改革の具体化に向けて所要の検討、立案などを進め、関係法案の平成十六年通常国会提出を目指すということとされているところでございます。
 現在は、昨年十二月の閣議決定及び政府・与党申し合わせに沿いまして、直ちに取り組むべき事項とされている建設コストの削減、ファミリー企業の見直し、民間企業並み財務諸表の今国会会期中の作成、公表、公団における民間企業経験者の登用等に早急に取り組んでいるところでございます。
 また、平成十五年度予算に関連する事項といたしまして、民営化推進委員会の意見を踏まえまして、本四公団の債務の一部切り離しによる早期処理、高速自動車国道整備への新しい直轄方式の導入については、所要の予算を政府予算案に盛り込むとともに、関係法案を今国会に提出させていただいているところでございます。
小沢(鋭)分科員 今のお話は、十六年通常会に向けて準備中だ、こういうことでございました。それで、できるところからやっていますという話で、それはそれで結構なことだ、こういうふうに思いますが、その間、いわゆるしっかりとした政府の方針が出るまで、実は、道路関係者といいますか、それぞれの地域では、一体自分たちの今求めている道路がどうなるのかという不安を感じているわけですね。やはりそういう中ではいろいろな話が出てまいります。審議の最中に凍結論というような話もありましたし、そういった意味では、今計画中の道路が本当にできるのかどうか、あるいはまた、できるとしてもそれは相当予定が先に行ってしまうんではないか、こういう不安があるわけですね。
 私は山梨選出の議員でありまして、山梨には、実は中部横断自動車道という計画があります。これは、私も当選以来、国幹審に入れていただいて、その中で決定をしてまいってきた大変重要な道路だ、こういう認識を持っております。山梨の中では、君は日本海を見たか、僕は太平洋を見たいということで、まさに太平洋と日本海をつなぐ、本当に大幹線道路だという認識でありますし、そしてそれは、我が山梨県にとっても大変重要な道路であります。
 現在、平成十四年の三月に一部開通をいたしまして、白根―双葉間でありますから七キロ、開通をして供用が行われております。ただ、この七キロの供用も、実際問題のところ、正直言って割と車の通りも少ないところでありますし、つながって初めて意味があって、その一部だけ供用がされていてもそんな大きな効果はない。言ってみれば、双葉から静岡清水までつながって初めて、それが今度は、中部横断自動車道と中央道が双葉でつながっておりますから、大変大きな、爆発的な経済効果をもたらす、こう予想され、我々も期待をしているところであります。
 例えば、この民営化推進委員会の意見書がどのような形になるかわかりませんが、今の時点で、まずそれがそのまま、出されているのは意見書ですから、政府の方針はまだ出ておりませんので、意見書のままもし通るとすれば、例えばこの中部横断自動車道はいかなる状況になるのか、今の時点でどういうふうにそこを国土交通省は考えているのか、それをお答えいただければと思います。
佐藤政府参考人 まず、中部横断自動車道のお話でございますが、中部横断自動車道は、静岡、山梨、長野三県を最短ルートで結び、東名、中央、上信越自動車道とネットワークを形成することによって、沿線地域の産業、経済、文化、観光等の発展及び振興に資する路線でありまして、早期整備が必要と認識しております。
 先ほど先生お話しのように、現在は、双葉ジャンクションから白根の間、七キロが供用中であります。さらに、白根から若草櫛形、三キロでございますが、平成十五年度内の供用を目途に、現在最後の詰めを行っている、こういう工事の状況でございます。
 全体の延長といたしましては、現在整備計画が出ておりますのが延長九十八キロでございます。これに対しまして、事業費が七千四百億円。コストの縮減、効率的な執行に努めながら整備を進めてまいりたいと思っております。
 そこで、先ほどのお尋ねの件になるわけでございます。今後の高速自動車国道の整備について、民営化推進委員会の御意見のとおりであれば、中部横断自動車道はどういうことになっていくであろうか、どういう整備のあり方になっていくであろうか、こういう御質問かと思います。
 各論につきまして申し上げる状況ではないということではございますが、基本的に、今後の高速自動車国道につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、これまでの有料道路方式に加えまして、道路関係四公団の民営化推進委員会の意見を踏まえまして、整備の必要性はあるものの採算性の乏しい路線、申し上げますと、管理費が出るのがなかなか難しい、こういう路線もございます。この場合には、国と地方の負担によって新しい直轄方式を導入する、こうしたことで、二本立てにして整備を進めるという方針を考えているわけでございます。
 現行の整備計画九千三百四十二キロを出していただいております。これにつきましては、国民経済的に見ますと整備の必要性があるということで、いろいろな検討を経て、法律の手続を踏んで決定していただいて、地元にも具体的な計画として提示させていただいている、こういう区間であります。したがいまして、国土交通省といたしましては、先ほど申し上げましたように、新しい直轄方式を導入しながら、有料道路方式と両方で、いずれにしましても、中部横断自動車道につきましてもそうした形での整備を、工夫しながら、とにかく整備の推進を図る、こういうことにしてまいりたいと思っております。
小沢(鋭)分科員 ちょっと一般論的な答弁で、もう少し具体的にお答えできないかな、こう思っておるわけであります。
 今のは、民営化推進委員会の意見書がそのまま通れば、こういう仮定も置かせていただいたものですからお答えもしづらいのかなとも思うわけです。
 では、もうちょっと端的に言うと、国土交通省は、現時点で、この中部横断自動車道に関してはどう対応したいと思っているか。特に、長野の皆さんにはちょっとお待ちをいただいて、いわゆる双葉から清水まで、南ルートというんですか、とりあえずここは、まさにさっき言ったように中間部分が一部供用になっていますが、ここがつながらないと意味がない道路であります。そこに関して言うとどうなるのかということをもう少し具体的にお答えいただけませんでしょうか。
佐藤政府参考人 先生御指摘の中部横断自動車道のうち、双葉から吉原の、ジャンクションと申していますが、あえて申し上げれば中部横断自動車道の南の方の区間、こう申し上げればよろしいんでしょうか、第二東名とのつながりまででございますが、総延長で七十五キロでございます。これにつきましては、いずれにいたしましても、整備計画を出させていただいて、そして、地元で公示中、あるいは測量や土質調査、地質調査、こうした形で鋭意整備を進めているところであるわけでございます。
 そういう意味では、先ほど申し上げました新しい直轄の方式として、国と地方で、国が四分の三、地方が四分の一というベースの負担の割合で新しい直轄方式を実行しよう、今の段階では、おおむね目安としては総事業費を三兆円程度予定して、そして残りにつきまして、これは全体で、平成十五年度以降、整備計画で残っておりますのが、建設費ベースで申し上げますと約二十兆円、これをコストの縮減を図り、おおむね二割は何とか縮減する、あるいはそれ以上の努力というものもまたおいおいやっていく、続けていく、こういうことだと思います。
 そうしますと、二割とすると十六兆円ということでございますから、残りが十三兆円ということになるでございましょうか、そこにつきましては、公団と新しい会社で、これからの制度設計として、私どもは、実行可能というような形でぜひ制度設計を組み立てていきたい、そんなふうに思っておるわけでございますが、そこはこれから、来年の通常国会までにいかなる制度設計ができ得るかということで、今後の検討課題、こういうふうに思っております。
 それで、各論で申し上げますとといいますか、中部横断自動車道そのものにつきましては、さっき申し上げましたように、日本の真ん中で太平洋と日本海を結ぶ、こういうことでもございます。採算という問題はともかくといたしまして、申し上げましたら、費用と便益、こういう面から国民経済的に見ましたときには十分に意義のあるもの、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
 先生もお話しのように、つながってこそネットワークでございますから、つながってこそその効用を十分発揮する、こういう性質のものであるということも、私どもも全く同感であるわけでございます。したがいまして、いろいろな工夫をしながら整備を進めてまいるという方向を私どもとしては努力してまいりたい、こういうことでございます。
小沢(鋭)分科員 極めて意義のある道路、こういう御指摘をいただきました。そういった意味では、今お話の中に出ている第二東名といったようなものと、ある意味ではもう本当に類する極めて重要な道路であるという認識を持っていただいていて、そして、直轄方式を含めて前向きに取り組んでいただく、そういう理解でよろしいですね。
栗原主査 佐藤道路局長、しっかりと答えてやってください。
佐藤政府参考人 そのように考えております。
小沢(鋭)分科員 ありがとうございました。頑張って、ぜひお進めいただきたいと思います。
 それでは、話題をかえさせていただいて、道路の中で、最近、有料道路のETCがございますね、この問題で質問させていただきます。ちょっと時間がたっておりますので、二問一緒に、あわせて申し上げたいと思います。
 まず、料金所におけるスムーズな通過、こういう話でETCが導入されているわけであります。私は、以前、どちらかというと逓信委員会関係に所属していることも多くて、そういったITの推進というような話の中では、これも当時から話題にしてきた話であります。
 正直言って、導入はされたけれども、普及率が思ったほど伸びない。現状を聞いてみると、現時点で全通行量の四%ということ。我が身を振り返って考えてみても、私の事務所でも、私がやはりそういうIT関係に大変関心がある、それが入っていなければ話にならぬぞ、こう言ってかなり強行的に導入をしておりますけれども、しかし、それまでは、事務所的に言うと、そんなに役に立ちますかね、あるいはまた、もっと言うと、ちょっと費用がかかるんですよね、こういう話でありまして、そう言わずに購入しなさい、設置しなさい、こういう話で私もやった記憶があるわけであります。
 これの普及促進策をお考えのようであります。これを私はぜひ進めたい、こう思っておるんですが、それの御説明をいただきたい。
 それからもう一点は、これは私の事務所に依頼の電話が来まして、既に国土交通省にもお話をしてございますが、いわゆる身障者の皆さん方の有料道路での割引の問題がございます。このETCに関しては、今はそこは通過できない、ノンストップでは通過できない、こういう話になっているわけでありまして、ぜひそれも使えるようにしてもらいたいんだ、こういう御要望もありました。これはぜひお願いをしたいとも思っておるわけであります。
 この普及促進策並びに身障者向けのETCの新たな改良、この二点を御質問させていただきます。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 最初に、ETCの普及促進策でございます。
 先生御指摘のように、現在、利用率にして約四・四%、普及している車の台数といたしましては約七十万台、こういうことでございます。
 この普及促進を図るために、平成十四年の七月より、ハイウェイカードと同等の割引となりますETCの前払い割引制度、これを導入しております。これは、五万円を前納していただきますと五万八千円までお使いいただける、こういうことであるわけでございます。
 平成十五年度におきましては、基本的にすべての料金所でETCがお使いいただけるということと、初期費用の低減を図るという観点で、ETCの車載器のリース制度の導入、こういうことを考えております。さらに、現在、東京湾アクアラインにおける社会実験、ETCに関して特別割引をやっておるわけでございますが、新たに、ETC利用者に限定した長距離の割引であるとか、あるいは夜間割引などに関する社会実験といったことも今回の政府予算案の中に考えとして入れさせていただいて、十五年度にそうした積極的なETCの利用拡大といったことに取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、身体障害者の皆様への割引の件でございます。
 この身体障害者割引につきましては、御本人または一定の条件に合う身体障害者の場合の介護の運転の方について、それが確認できる、二つございまして、福祉事務所からの割引の券を持っていただく、それから、御本人あるいはその車と確認できる、こうしたことを条件に割引をさせていただいているところでございます。
 現在のETCのシステムでは、御本人の確認という形でおとまりいただくということがまたこれもできないわけでございますので、現時点では、身体障害者の皆様への割引といったことが適用できない状態ではございます。
 そこで、昨年来、有料道路の事業者等関係者の間で、本人確認の方法等につきまして検討いたしてまいりました。市町村の福祉事務所等の御協力を前提といたしまして、新たな障害者割引のシステムをETCのやりとりの中に一サイクル加える、こうしたことによりまして実施可能となるというふうな一定の結論を得たところでございます。
 今後、関係機関と調整、あるいはいろいろな手続、それから障害者割引システム、これはETCの中のサブシステムという形でのシステムが一つ必要になりますので、等の構築を進めまして、来年度中を目途に、ETCによるノンストップ通行時の身体障害者等割引の実施が可能となるように努力してまいりたい、そのように思っております。
小沢(鋭)分科員 ぜひ二点とも強力な推進を御要望申し上げておきます。
 話題を観光政策にかえさせていただきます。
 第四十一回の経済財政諮問会議の議事録の要旨がここにございます。扇大臣も御参加になっての観光政策の課題についての諮問会議、こういうことであります。
 ちょっと脱線しますが、この経済財政諮問会議の、ある意味ではマクロ経済政策についての議論というのが、私はすごく期待をしているんですが、それに沿っていなくて、この前、衆議院の本会議場で質問もさせていただきました。まさにデフレをストップさせることが我が国経済にとっては必要だ、不可欠だ、こういう話を申し上げたところでありますけれども、経済財政諮問会議のメンバーの皆さんの議論を聞いていると、どうも余りにも勝ち組の人が多過ぎまして、勝ち組の人にとってはデフレというのは決して悪くなくて、いわゆるライバルが倒れていきますから悪くない。だから、決してデフレは悪くないじゃないか、こういうような議論が漏れ伝わってきます。
 しかし、経済政策は、一部の勝ち組ではなくて、まさに普通の皆さんが一生懸命努力をしていればそれが報われていくということが本当は必要なんだろう、こう思っております。そういった意味では、ぜひ、そしてまた、すごく負け組といいますか、努力をしなかったところまで救えということではありませんが、そこのまさに中間点を目標にしてやってもらいたい、こう、日ごろから経済財政諮問会議に関しては思っているところであります。
 特に、この前、日銀の総裁人事が決まりまして、私はがっくりと本当に今、力を落としておりまして、また経済が暗くなるかな、こう思っているところでありますが。
 まあ話をもとに戻しまして、経済財政諮問会議でありますが、その中で、今後のいわゆる消費の目玉として旅行、観光というものはあり得るんだ、こういう議論がなされました。
 その中で、極めて具体的な話を申し上げると、やはり休みをとるときに、どうしても働き盛りの人たちは子供がいますから、子供との休みということが物すごく制約になるんですね。ですから、まさに子供さんと一緒に休むということになると、長い春休みだとか連休だとかいう話じゃないとなかなか旅行もできない。その中で、委員の一部の方から、諸外国では、例えば小学校くらいまでのお子さんにとっては家族と一緒に一週間ぐらい旅行するのは、そのことそのものが教育だ、そういった意味ではそういうものがあってもいいじゃないか、そういう制度があるはずだという議論があります。調べてほしい、こういう話が出ておりまして、その結論を聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
 済みません。ちょっと長々と言っちゃったものですから、お願いしておいて恐縮ですが、答弁、短くしていただいて、あと二つございますので。
三沢政府参考人 先生御指摘のとおり、欧米諸国で子供が家族と旅行したり社会学習を行う場合に、学校へ届け出ることによって欠席扱いとならないこととしている国があるというふうに聞いております。例えば、イギリスではそういうことをやっているというような話も聞くわけでございます。
 ただ、これは、先生の御要請もありましたのでいろいろ調べてみたんですが、この点について確たる資料が現時点でちょっと把握できなかったということで、大変申しわけございませんが、正確には把握できませんでした。
小沢(鋭)分科員 それはそれで、調べていただいたのはありがとうございます。
 そこのポイントは、やはり子供との連携をどうするかというところだ、こう思っておりまして、そこは本当に重要な観点だと思うものですから、私自身のことも考えて、ぜひ今後もそういう観点は持ってやっていただければな、こういうふうに思います。
 そこで、観光ということでも関係あります空港の話でありますが、時間が迫っておりますので、これも通告の質問を二つ同時にさせていただきます。
 まず一つは、羽田の活用、こういうことであります。これは、扇大臣も最近余り言わないですね。大分前、元気におっしゃっていて、私もそこは賛成だ、こう思っていたんですが、羽田をもっと活用した方がいい。
 いろいろ資料を皆さんからいただいて調べてみますと、今や羽田と成田を比べてみると、羽田の拡張工事があるものですから羽田の方が圧倒的に広くなっているんですね、面積自体も。御承知のように、海に突き出しておりますから、いわゆる騒音とかいう話はありません。上を通過するんだ、こういう話がありますが、私はたまたま大田区の多摩川のへりに住んでおりまして、毎日上を通過しておりますが、全く気にならないですね。だから、上を通過するなんというのは全くもう気にならない。
 ということで、羽田の便、特に国際便をもっとふやしたらどうか。チャーター便を使っているというのはわかっているんですけれども、まだキャパはある、こういう話のようですから、もっと使えということはできないだろうかというのが一点。
 それから、あと具体的に観光ということで考えると、ハワイというのは極めて身近なところであるわけでありますが、ハワイ島に直行便は飛びました。しかし、依然としてほかの島はまだ直行便がないですね。前から私はマウイ島に直行便を飛ばしてもらいたい、こういう話を申し上げてきておるんですが、なかなか現地の事情もあってだめだ、こういうふうに聞いておるんですけれども、その二つ、あわせてお答えをいただければと思います。
吉村副大臣 前半の御質問に私の方から答えさせていただきますが、御存じのように、現時点では、基本的には、成田は国際線、羽田は国内線の拠点空港ということになっておりまして、したがいまして、現時点では、羽田空港には国際の定期便は就航しておりません。しかし、御存じのように、今おっしゃいましたように、チャーター便が深夜、早朝、十一時から六時ですか、飛んでおるわけでございます。もっとも、サッカーのワールドカップのときは昼間も飛ばしたんですが、今は深夜と早朝だけでございます。
 平成十三年から深夜と早朝飛ばしておりまして、昨年の四月からは、税関、出入国管理、検疫等、諸官庁の協力を得まして、その運航可能が週四便から週七十便にキャパはふえております。実態は、今、週十三便でございますが、キャパとしては七十便可能だということでございまして、これから航空各社にさらなる活用を、チャーター便ということに今の時点では限定されますが、利用を働きかけていきたい、このように思っている次第でございます。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 ハワイのマウイ島の直行便の件でございますけれども、航空協定上は、日米いずれの国の航空会社も、マウイ島を含むハワイと日本の間において、定期便の運航は可能です。また、チャーター便の運航も可能でございます。
 したがいまして、実際に運航が行われるかどうかというのは、需要等を踏まえた各エアラインの判断によります。
 なお、本邦企業が就航しているハワイのホノルルそれからコナの二つございますけれども、そこからマウイ島の間には、一日五十便、現地の航空会社が運航しておりまして、そういう意味では、マウイ島というのは非常に行きやすい。
 ちなみに、マウイ島の空港というのは、滑走路が二千百メーターぐらいしかなくて短い、そういう制約があるということを念のために。
小沢(鋭)分科員 まだ聞きたいことはいっぱいありますが、時間ですので終わらせていただきます。ありがとうございました。
栗原主査 これにて小沢鋭仁君の質疑は終了いたしました。
 次に、松島みどり君。
松島分科員 自民党の松島みどりでございます。国土交通省は非常に幅の広い分野でございますので、幾つかの分野について質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、横断歩道橋、歩道橋に関する質問でございます。
 私の地元でございます墨田区、東京の副都心ですが、錦糸町駅の南口に歩道橋がかかっております。これについて、地元から撤去してほしいという要望が出ております。
 地元といいますのは、墨田区江東橋一丁目から五丁目でつくります連合町会と、そして商店街などで一緒にあわせてつくっています錦糸町駅南口を考える会というところが長年そういう要望を出しておりまして、昨年九月には国土交通省の関東地方整備局の道路部長さんにもお越しをいただきまして見ていただいて、今協議を進めているところでございます。
 実は、この歩道橋と申しますのは、できたのは昭和四十二年ですが、昭和五十一年には全国に先駆けてエスカレーターも設置されました。そういう輝かしい歴史を持っている由緒正しい、由緒正しいというのはおかしいかな、歩道橋でございます。
 しかしながら、歩道橋というものは、かつて交通戦争と言われた当時にこれによって事故を防ごうということでつくられて、そういう使命を帯びていた。しかしながら、今、交通関係の多方面の方々の長年の努力によりまして全国的に交通事故による死者は減ってまいりまして、昨年一年間の全国の交通事故死者は八千三百二十六人、これはピークだった昭和四十五年に比べますと半減しております。東京都、警視庁管内についていいますと、昨年は三百七十六人の方が交通事故で亡くなっておられますが、これはピークの昭和三十五年に比べますと三分の一以下に、非常にめでたいことに減っております。
 一方で、交通戦争というよりはむしろ今高齢者が非常にふえている。私どもの墨田区におきまして、六十五歳以上の方の割合が一九・五%、間もなく二割を超すと思います。そこまで高まっている中で、歩道橋というのは、申すまでもなく、車いすで通れない、そしてお年を召した方、あれは上がったり下がったり結構きついものでございます。
 さらに問題が起こっておりますのは、歩道橋があると、その下に、ふもとの部分に、何となく隠れているようで寄りかけられるものですから、自転車が散乱したり、ごみが捨てられっ放しになったりして、非常に美観も、そして安全面でもよくない。またさらに、歩道橋からのんびりおりてきますと、下を、狭い歩道を自転車がぱっと駆け抜けていて、そこでぶつかったりするケースもある。
 そういうわけで、歩道橋を撤去してほしいという地元の要望があるわけです。これについてどのようにお考えいただくか。
 もちろん、歩道橋を撤去したままじゃ困るものですから、下に国道十四号、京葉道路と、都道であります四ツ目通りというのがクロスしているんですが、クロスしているからそこに四つほど横断歩道があってほしいのが、今、横断歩道は二つのところしかない、あと二本足してちゃんと四本にしていただきたい。今、下を通る場合は、わざわざ遠くまで行って回ってこなきゃいけませんので、何とかそれをきちっと四つの面につけてほしい。
 実を申しますと、地元からはスクランブル交差点にしてほしいなんという要望があるんですが、それはさすがに私も、数寄屋橋の交差点じゃあるまいし、渋谷駅前じゃあるまいし、ちょっとうちは無理だと言ってなだめた経緯がございます。
 この点につきまして、国土交通省と警察庁のお考えを伺いたいと思っております。
佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の錦糸町駅前交差点、国道十四号と都道の四百六十五号、四ツ目通りと交差する交差点でございますが、両路線合わせた交通量は一日七万台を超える。また、JRやバスの交通結節点にあることから、歩行者数も相当な数に上る大規模な交差点であります。
 この歩道橋は、交通安全と円滑な交通の確保を目的に昭和四十二年に設置されまして、先ほど先生お話しいただきましたように、昭和五十一年に全国に先駆けてエスカレーターを設置するなど利便性の向上を図ってきておりまして、現在その利用者は平日で約一万人を数えている、こういう状態であります。
 さらに、平成十五年の三月には、今度の三月でございますが、地下鉄半蔵門線が開通予定である。こういうことでございますので、ますます利用者の増加が見込まれる。こうしたことから、安全で快適な交差点とするよう改良計画を検討しているところであります。地元から撤去の要望が出されている錦糸町駅前歩道橋の扱いについても、交差点の改良計画の中で検討するということにしているところでございます。
 交差点改良計画の策定に当たりましては、地域の皆様や交差点を利用する方々の御意見を伺うことも必要であろうということで、平成十五年三月にアンケート調査を実施して、その結果を早急に取りまとめて、五月には公表する予定であるということでございます。
 その後、アンケート結果も踏まえながら、交通の安全も大事な問題でございますし、円滑な交通の確保、こうした観点も大変重要な問題でございますので、望ましい交差点計画いかにあるべきか、総合的な検討を行いまして、関係機関とも調整を図りながら、秋までに、歩道橋のあり方も含めまして、いかなるあり方がいいかということも含めまして、交差点の改良計画を定めてまいりたい、こういうふうに思っております。
属政府参考人 横断歩道橋と横断歩道とを比較した場合には、横断歩道の方が上がりおりの労力が少なくて済むということで助かるという考え方も当然あると思います。しかし一方で、国土交通省においても、横断歩道橋にエレベーターあるいはエスカレーターを設置するなど、そういった努力もしておられる現状だというふうに認識をしております。
 また、下の方を横断する場合に、横断歩道においてさえ横断歩行者の交通事故がいろいろと発生をしておるという現状を見ますと、一律に横断歩道の方が適当であるとは言えないというふうに思っております。
 いずれにしましても、各都道府県公安委員会が道路管理者と十分協議の上、具体的な道路事情、交通量、子供や高齢者の方あるいはハンディキャップを負った方々が多く通行する箇所かどうか、また横断歩行者の事故の発生状況、渋滞への影響等を総合的に勘案して適切に判断すべき問題であるというふうに考えております。
 御指摘の錦糸町駅前の横断歩道橋につきましても、このような考え方に沿って、東京都公安委員会が道路管理者と十分協議の上、適切に検討、判断すべきものと考えております。
松島分科員 道路局長が今、この三月にアンケート調査を行い、五月に公表、そして秋までに歩道橋のあり方について考えていただける、そういうお話でございました。
 私がこの撤去要望があることを知ったのが昨年の九月の頭でございました。それまで地元がいろいろ要望していたところ、そういうのは八年も十年もかかるとか何十年かかかると言われておりましたので、それから考えますと、この期限を区切って考えていただけるということは、非常にありがたいことだと思っています。
 そこで、アンケート調査とおっしゃいました。私はもともと新聞記者という職業をやっていたんですが、すべて世論調査もアンケート調査も、聞き方によっていろいろな答えが出てまいります。歩道橋を撤去すべきかとただ聞かれたら、別にあっていいじゃないかということにもなるかもしれない。歩道橋を撤去し、そして下に横断歩道を、今二本しかないのを四本にする、どっちがいいかと聞けば、また答えも違ってくる。
 どのような形でどういった方たち相手にアンケート調査をされるのかを伺いたいと思います。
佐藤政府参考人 今実行しようとしておりますアンケート調査につきましては、先ほど申し上げましたように、錦糸町の駅前交差点をよりよいものとするための基礎資料という観点から、地域の皆様や交差点を利用される方々の御意見を伺おう、こういう趣旨であります。
 調査の内容につきましては、自動車の利用者、自転車の利用者、歩行者、それぞれの立場で、錦糸町の駅前交差点についてふだん感じておられる点や改善してほしい点などをお尋ねする、こういうことでございます。
 例えば、歩行者につきましては、バリアフリーの観点からの改善案ということでありましたら、歩道橋を撤去して横断歩道にするという御要望のようなお話もあるでしょうし、それから、歩道橋を利用しやすく改良する、あるいは歩道をもっと拡幅することもあろうかというようなことで、お尋ねをしようと考えております。
 また、自動車利用者、こういう観点も大事なことでございましょうし、自転車の方もということで、それぞれいろいろな立場の御意見をお伺いしてまとめてみよう。
 調査対象は、地域の住民の皆様、交差点の通行者の皆様、道路利用者の皆様、こういう形で一万枚程度を配布させていただいて、そして、この結果を、関係機関と連絡調整を十分図りながら評価しながら、また交差点の改良計画にどういう形で反映するかというような作業を進めていくというふうに考えておるところでございます。
松島分科員 最初にも申し上げたんですけれども、今、交通ということ、そして都市ということを考えますときに、歩行者、弱者の立場というもの、これをどうか大事にしていただきまして、もちろん、車がすすっと通れることも大事でございますけれども、それは、ほかにも並行な道路はいっぱいございますし、いろいろな誘導のあり方もあると思います。どうかそのあたりをよくお考えいただきたいということ。
 そして、先ほど申しました、せっかくの輝かしい歴史を持つ歩道橋が、私はお役目御苦労さまでしたと申し上げたい気持ちがあるのですけれども、どうか柔軟に対応していただきまして、都市再生の観点からも価値が減っているものを、邪魔なのになと地元の方に思われることがないように、その歴史を傷つけることがないようによろしくお願いしたいと思っております。
 次の質問に移らせていただきます。今度は住宅の話でございます。
 私は、住宅取得促進に役立つ税制ということを当選以来非常に一生懸命心がけてつくろうとしてまいりました。今審議して、今度でき上がります税制、非常に楽しみにしているものがございます。これについてぜひ宣伝をしていただきたい、そういう観点で質問させていただきます。
 二つございます。
 一つは、今とにかくデフレを解消し景気をよくするためには、家を買う人がふえる、これが大事だと考えております。私は地元でいろいろなところで申し上げますのは、相続と贈与の一体化と新聞に載っているけれども、これの意味わかりますかと聞くと、大体わからないと答えます、みんな。相続時精算何とか税制、これはまたますますわからない。
 私はこういうふうに説明しております。今まで生前贈与は毎年百十万円を超すと贈与税がかかった、これからは子供一人当たり二千五百万円まで無税であげることができる、そして、景気対策のために、これから三年間に限り、子供が家を買うときはそれと別枠で一千万あげることができる。そういうふうに説明いたしますと、そんな金ないぞというふうにやじを飛ばす人もいるけれども、目を輝かせて聞いて、後でこそっと質問に来る方が結構います。
 ところが、世の中に余り知られていなくて非常にもったいない。ぜひこれは、家を建てる人が増えた方が、畳業者も助かる、それから家電メーカーも助かる、いろいろ景気がよくなるわけでございますから、どうか国土交通省、扇大臣が何か発言していただくと物すごく世の中にアピールいたしますので、そしてまた、できれば塩川財務大臣にも言っていただいて、お二人とも六十五歳を超していらっしゃいますので、六十五歳を超した方から二十歳以上の方にあげるところはいいんですけれども、孫にあげる場合は今までの住宅特例五百五十万、こっちを生かせばいいんですが、これをわかりやすい言葉でぜひいろいろな機会に説明していただきたい。
 さらに、政府広報というと難しくて読みにくいので、ぜひ私が申し上げたようなわかりやすい言い方で新聞広告でも打っていただきたい。そして、例えばマネー雑誌なんかにも取り上げてもらえるようにアピールをしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
 今、公共事業が減っている中でマンションはどんどん増えていまして、マンションまで売れ残りが出ちゃうと本当に大変なことになります。このあたりどのようにお考えになるか、ぜひよろしくお願いいたします。
    〔主査退席、高鳥主査代理着席〕
扇国務大臣 日本人は、不思議なことにどうしてもマイホーム志向というのが抜けません。
 外国へ例を、いろいろなことを御存じだろうと思いますけれども、アメリカの老人はマイホームを持ちません。退職金で千六百万ぐらいのキャンピングカーを買って、おじいちゃんとおばあちゃんと二人でキャンピングカーを運転して、寒くなると南へ行き、暑くなると北へ行って、そして魚釣りをして焼いて食べる。そういうことで、質問されます。扇さん、日本人は一生かかって働いた金で先行き短いのになぜ全部家を建てるんだ、その感覚が我々にはわからない、こう言われます。
 けれども、狭いところには、やはりないと思えば土地が欲しい、マンションに住んでいれば一軒家があこがれ、これはもう人生しようがないんですね。ない物を欲しがる。また、それが、ない物を欲しがるからこそ夢があって活力が生まれる、こういう循環になると思いますけれども、今松島議員がおっしゃるように、デフレ対策ということから考えれば、住宅を取得していただくというのが一番効果的であるというのは御存じのとおりでございます。
 そして、何よりも大事なことは、今、間もなく私たちは第二次ベビーブーマーが家を求めたくなる時期に来ているんですね。第二次ベビーブーマーが、御存じのとおり、今二十七歳から三十一歳、その人たちは一千万人いますけれども、四百七十六万が平均年間収入なんです。そして、預貯金は幾らあるんだといったら大体百万です。
 そうしますと、銀行にマイホームのお金を前借りするといったりローンを組むといっても、せいぜい調達可能なのは二千万、これではなかなか思うようなことができない。また、第一子、第二子が一番部屋が欲しいときになる、こういう循環になっていますので、私は少なくとも第二次ベビーブーマーの一千万という人たちのためにも、今回の税制改革というのがいかに役立つかということは松島議員にもせいぜい宣伝をしていただきたい。
 中身については、おっしゃるとおりでございまして、今言ったように、平均の年収の、一千万の第二次ベビーブーマーにしても、これが三千五百万、二千五百万と一千万という、これは限定でございますけれども、今千四百兆あると言われている預貯金の中で六十五歳以上が五〇%持っていますから、今してあげよう。
 新築だけではなく、中古でもいいんです。また、建て増しでもいいんです。そういう意味では、私は画期的なことであるということをぜひ御吹聴いただきたい。
 私、ちょっと持ってまいりましたけれども、宣伝不足じゃないかと言われているので宣伝しようと思うんですけれども、こういう宣伝も今既にございます。これは後で差し上げます。差し上げてもいいんですね、委員長。
高鳥主査代理 はい。
扇国務大臣 こういう宣伝がしてございます。これは二月の二十七日の読売にも一面に出ておりまして、こういうこともしておりますけれども、何よりも法案を通していただかないことには、宣伝したら、これはいつからなんだ、いや、法案が通ったら実行可能です、こういうもどかしさがあるものですから、できましたら、今回のような三千五百万生前贈与が可能だというこのことに対しては、ぜひ早期に法案を通していただいて、一日も早く、こういう一、二、三とちゃんと宣伝ができていますので、これは差し上げますので、こういうことをぜひ御吹聴いただいて、私はこの効果というものがどれほどあるかということをぜひ皆さん方に実行していただきたい。
 そして、今ちらっと松島議員おっしゃいましたけれども、この住宅の投資効果、雇用創出等々、十万戸建てるということになりますと約二十八万人の雇用が創出できる。また、家具だとか家電、先ほどちらっとおっしゃいましたけれども、住宅建設十万戸で二千二百六十億円の経済効果がある、こういうことでございますので、ぜひこの宣伝をしていただけるような法案が通った暁には、私も大々的に利用していただくように努力したいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。
松島分科員 力説していただきまして、どうもありがとうございました。扇大臣と塩川大臣がセットで宣伝していただければ、こんなに強いことはないと思っております。
 その住宅関係の税制で、もう一つだけつけ加えて一緒に宣伝していただきたいと思うものがございます。これも私は当選以来執念を燃やし続けまして、やっと決めてもらいました。
 住宅ローン減税はサラリーマンが転勤したときに切られちゃいます。せっかくの住宅ローン減税が転勤しちゃったらだめになっちゃう。戻ってきたときに再適用してもらう。私は実はそれは不服でございまして、再適用した後、十年間今あるわけですから、残存期間全部やってほしいんですけれども、今のところは、今度の新しい改正では再適用ということになっています。これもぜひお広めいただきたい。
 そして、ついでにちょっと申し上げさせていただきますと、私はこのことを自分のホームページで書いておりましたら、何とフィリピンに転勤して在住していらっしゃるサラリーマン、もちろん見たことも会ったこともない方からメールをもらいました。「サラリーマンのためによくやってくれた。しかしながら、自分たち、もう家を買って日本に残して外国へ行ったり転勤しているサラリーマンにはこれは当たらないんだろうか、悲しいことだ」と言われましたので、ぜひこれに関しましても一層の御配慮を願いたいと思いますが、主税局、いかがでしょうか。簡単で結構です。
加藤政府参考人 先生御指摘のように、現行の住宅ローン控除制度、持ち家取得の促進と住宅取得の促進による景気対策、その両面でやっております。
 持ち家取得の促進ということなので居住要件を厳しく課しておるわけでございますが、今先生の御指摘のように、今回の改正によりまして、一たん居住の用に供しなくなっても、その後再居住する場合には改めて再度控除を、再適用を認めるということで、残存期間を認めることといたしました。
 ただ、これはあくまでも今後転勤される方に適用ということになっております。これを既往のものに、既に転勤されて今居住の用に供していない方までというお話でございますが、実はこれは、執行の管理面で、毎年新たに数百万人という住宅ローンの適用者がいらっしゃいます。この方々の中で、これからの場合は改めて、転居するということを確認し、かつ再び戻ってこられるということを確認することができますが、既に過去においての方というのは、適正な執行の管理が全くできておりません。
 そういうこともございまして、なかなか新たなこの制度以外に過去のものまで認めるということは適当ではないのではないか、現時点ではそう考えております。
松島分科員 何か難しいことをいろいろ言われないで、ぜひサラリーマンにも温かい目を向けていただきたい。こういうふうに定めているからというなら定め方を変えればいいので、それは税制改正そこまで至らなかった、私自身、力が足りなかったと反省しているところでございます。
 今大臣がちょうど住の住まい方についておっしゃいました。その中で、持ち家ばかりが能じゃございません、一つの住まい方として賃貸というものがある。都市整備公団の賃貸住宅のことについてお伺いしたいと思っております。
 ちょうど高齢者になっての話で申しますと、今、高齢の方でお住まいの方、住んでいらっしゃる方に占める六十五歳以上の割合も非常に高まっているんですが、この公団住宅の家賃の値上げ問題について伺いたいと思っております。
 値下げは毎年やってもいいけれども値上げは三年に一遍というしきたり、これをありがたいことにしていただいているんですけれども、平成十五年四月、今度の四月が三年ぶりの値上げ改定期となります。今回、全国では七十五万戸のうち、二十三万戸が引き上げ、四十七万戸が据え置き、五万戸が引き下げとなっております。
 東京支社管内では、引き上げが七万戸で、平均四・二%の値上げ、据え置きが九万四千六百戸、引き下げが一万七千四百戸となっておりますが、今これだけデフレが進みまして、一般の家賃もマンションの分譲価格も下がっているときに値上げをするというのはおかしいのではないか。そして、東京二十三区公団住宅自治会協議会の調査によりますと、入居者のうち、世帯主の年齢が六十五歳以上の方の割合は、今四割にまで上昇しております。
 高齢者が多い中での家賃引き上げというのは厳しいものがあると思いますが、いかがでしょうか。
古屋参考人 ただいま委員から御指摘いただいたような家賃改定を四月一日で予定させていただいております。
 私どもの団地には、高齢居住者、相当数の方がお住まいでございますし、またある程度の空き家を抱えているという課題も持っております。
 この家賃改定につきましては、住宅の受益に応じた負担をいただくということを基本としながらも、そこにお住まいの方々の生活実態に即した居住の安定といったようなものにも目配りをしながら進めてまいる必要があるだろうということでございます。
 この家賃改定につきましては、公団法におきまして、周辺の市場家賃といったものを基準に、それを速やかに反映させる必要があるということで運用させていただいておりまして、周辺の家賃相場を公団家賃に適切に反映させる、また、それによって、先生御指摘いただきましたように、現在の家賃がそれより上回っている場合には引き下げをやってまいりまして、今回でも約五万戸の賃貸住宅の家賃の引き下げを予定しておりますし、これは毎年のように繰り返しておりますが、累積で、新家賃制度に移行しましてから、延べ四十万戸の引き下げを実施してまいったわけでございます。
 しかし、それにもかかわらず、なお現在お支払いの家賃が、近傍同種といいますか市場家賃よりも低くて格差があるという実態が多々ございまして、ここは、公平の見地からその格差を埋めていくということが今回の四月に予定されている作業の一つでございまして、二十三万戸につきまして、四月一日から格差是正のための引き上げを現在お願いしているところでございます。
 ただ、その際、一挙にこれを上げるということでは当然ございませんで、入居者の方々の急激な負担を抑制するという立場から、種々の激変緩和措置をここへ講じております。
 また、特に低所得高齢者世帯の方々につきましては、一般の方々より一段と引き上げ額抑制のための措置を講じているということでございます。さらに、これは個別対応になるわけでございますが、平成十五年度からは、初めて公的年金等について物価スライド凍結が解除されまして、公的年金や福祉手当等の給付が減額される予定になったというふうに伺っておりますので、そういった手当を受給されている低所得高齢者の方々につきましては、個別の申請をいただいて、十五年度については家賃を据え置くといったような工夫もさせていただきながら、入居者の御理解をいただいて進めてまいりたいと思っております。
松島分科員 今おっしゃいました中で、ちょっと気をつけていただきたいことが一つございます。あともう一つ質問があるので簡単にこっちだけ申し上げますけれども、近隣同種と言われますけれども、公団住宅というのは、昭和四十二年とか四十五年とか随分古くにできています。なかなか周辺ではこれだけのものがないわけですね。比べるときに、ちょっとおかしいんじゃないか、築年数を無視して、ただ駅から何分ということだけで比較することがないようにくれぐれもお願いしたいということと、先ほどの個別に低所得者は申し出ればということ、これを周知徹底して、必ずこれがきちっとなされるようにお願いしたいと思っております。
 終了時間に近くなっていますけれども、どうしてももう一つだけ別件で、トラックのことで伺いたいと思っております。ディーゼル車の排ガス規制についてでございます。
 ことし十月から、国のNOx・PM法、それから一都三県のPMに対する規制が適用開始となります。これは、一都三県を運行するトラックは、ことし十月からPMに関して、新車登録してから七年たったものはそのままでは使えない。つまり、国より厳しい規制を受けることになりまして、百万円ほどかかる粒子状物質減少装置、あるいは比較的新しい車は四十万円程度の酸化触媒をつけなければいけない。そしてまた、期限が切れますと、猶予期間が過ぎれば、これもまた買いかえなければいけなくなる。
 そもそも、条例で国よりこんな厳しいことをやって、こういうことをやっていいのかという一つの問題に対する質問。
 もう一つは、実際、今、中小のトラック業者というのは、荷主からの料金引き下げ要求も物すごく厳しくて、お金を借りても返せない、融資制度があってもそれを使っても返せない状況でございます。そしてまた、中小トラック業者というのは、年齢の高い中高齢者を雇ってくれている。ここがばたばたつぶれるようなことがございましたら、これは大変なことになるわけで、これに対する対応措置というのがどういうふうにとられるのか。十分に対応をお願いしたいんですが、この点だけ、ちょっとお願いいたします。
高鳥主査代理 時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。
丸山政府参考人 まず、条例と法律の関係でございますが、環境問題につきまして、都を初めとしまして各地方公共団体が国の規制よりも厳しい規制を条例でつくること自体は禁止されていないというのが今の解釈でございまして、そこはある程度やむを得ないものがあるということでございます。
 私どもとしましては、今先生おっしゃいましたように、大気汚染といいますか、地域の大気汚染、NOxとかPMについての非常に厳しい状況にあるというふうに思っております。特に、昨年十一月に東京大気汚染訴訟で国が敗訴いたしました。そういうことを踏まえますと、ディーゼルの排出ガス対策を緊急にやるということが非常に大事でございまして、来年度予算からは、道路特定財源を活用いたしまして、DPF、酸化触媒の補助制度の大幅拡充を図ったところでございます。
 それから、企業対策としてどうかというお話がございましたが、おっしゃいましたように、経済的な負担が事業者にかかってまいります。私どもといたしましては三つの方策をとっております。
 一つは、新しい車を買いかえる場合には税制上の優遇をするというのが一つでございます。それから、中小企業等に対します中小企業金融公庫等の低利融資というのが二つ目でございます。それから、今申し上げましたような、ディーゼル微粒子などを除去する装置についての補助制度、これが三つの柱でございます。
 平成十五年度につきましては、先ほど申し上げましたように、道路特定財源を活用いたしまして、従来はNOx規制の対象地域内の事業用の自動車だけでございましたけれども、事業用以外の、白といいますか、いわゆる自家用自動車にもその対象を広げました。
 それから、そういうことになりますと、当然のことながら流入車の対策にもなるということでございます。
 それから、お金を借りようとしてもなかなか借りられないというようなお話が今あるわけでございますけれども、それにつきましては信用保証制度というものがあるわけでございまして、これの中におきまして、別枠として、トラック事業を含めます不況業種を対象としましてセーフティーネット保証というのが設けられております。先般成立いたしました補正予算ではセーフティーネット保証が大幅に増額されているということで、中小企業の金融セーフティーネットにつきまして万全を期しておるというところでございます。
松島分科員 くれぐれもよろしくお願いします。
高鳥主査代理 これにて松島みどり君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田勇君の質疑に入ります。上田君。
上田(勇)分科員 扇大臣初め国土交通省の皆様、遅い時間までどうも大変御苦労さまでございます。
 きょうは最初に、都市基盤整備公団にかかわります点について幾つか御質問させていただきたいというふうに思います。
 今度の国会に提出されている法案で、都市基盤整備公団が独立行政法人へ移行されるわけでありますけれども、その移行に伴いまして、今現在公団が管理している賃貸住宅の居住者の中からは、独立行政法人にいくとむやみに追い立てられたり、家賃を突然大幅に引き上げられたり、そういうようなことで居住の安定が脅かされるんじゃないかというような不安が非常に広がっているんです。
 私は、独立行政法人に移行したとしても、公共住宅として、その公共性という性格そのものは変わらないものであって、したがって居住の安定が脅かされるなどということはないんだと理解をしておりますけれども、そのあたりにつきましての大臣の所見、改めてお伺いしたいというふうに思います。
扇国務大臣 上田議員がおっしゃいましたように、今国会に提出しております独立行政法人の都市再生機構、この法案を通していただきたいということですけれども、この法案が通っても、少なくとも私は、公団住宅に今現在二百万人の居住者がいらっしゃいます。その中でも特に、約二割高齢者がいるという現実でございますので、その人たちに、居住者の居住の安定というものを図っていただき、また安心をしていただきたいということで、これがすなわち、今度新しくできます新法人の公的主体が管理する住宅として必要な原点だと思っております。
 そういう意味では、家賃の減額措置等、現在講じられている、さまざまな居住の安定に配慮するというのは当然のことでございます。また引き続きこれらの措置が講じられるように、私たちも当然だというふうに考えておりますので、御安心いただきたいと思っております。
上田(勇)分科員 私の地元にもやはり公団住宅がたくさんありまして、今大臣おっしゃったように高齢者が非常に多くなってきているので、そういう意味では、居住者の中でそういういろいろなうわさというんでしょうか懸念というのが広がっていて、大変不安になっているということでありましたので、今大臣の方から非常にわかりやすく言っていただいたということは、大変力強いことだというふうに思っております。
 それで、公団住宅に関連しまして、平成十三年十二月に特殊法人等整理合理化計画というのが閣議決定されました。その中にどういうふうに書かれているかというと、公団の部分でありますけれども、居住の安定を図りつつ、入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位での売却に努めるというふうに記述がございます。
 公団住宅とはいっても実にいろいろな条件、いろいろな形態のものがあります。まとまった何十棟もあるような団地のものもあれば、確かに都心部の、もっと効率的に利用できるんじゃないのかなというようなものもあるのは確かだと思います。そういうさまざまな形式や条件のものがあるわけでありますが、ここでいう売却というのは、どういう条件の住宅を念頭に置いて考えられているのか。また、今のところ、こうしたことで売却をする予定というのは具体的にあるのかどうか、お伺いしたいというふうに思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 公団賃貸住宅は、高齢者を含めまして二百万人の居住の場となっております。特に、市場で不足しております良質なファミリー向けの賃貸住宅ストックとして、大変重要な役割を果たしていると考えております。
 御指摘のとおり、整理合理化計画の中に公団の売却について触れている部分がございますが、少なくとも、公団賃貸住宅はファミリー向けの都市部での賃貸住宅として、社会的な資産として大変重要であるというふうに考えております。したがいまして、その社会的な意義、政策的な意義を点検の上、公団が保有している必要がなくなった賃貸住宅については、居住者の居住の安定に配慮しつつその売却に努めるというような表現になっておりますが、少なくとも、その社会的な意義というものを点検の上ということがかかっております。
 また、その新法人が保有しております住宅政策上の必要がなくなるような場所があったとしても、入居者の同意を得た上で、物理的、機能的にその後の管理に支障がない合理的な単位として少なくとも棟単位で行われるということを考えております。
 なお、現時点では、公団において具体的に売却を検討している住宅は今のところないというふうに聞いております。
上田(勇)分科員 今御答弁にあったように、やはり公団住宅というのは、都市部にあって本当に貴重な住宅のストックでありまして、もちろん私も、売却する、あるいはもっと効率的に使うといったことを頭から全部否定しているつもりはありません。先ほども申し上げたように、確かに、非常に都心部にあって建物自体も老朽化をしている、もっと効率的に使えるような方法というのはないのか、そうしたことを考えると、その選択肢の中に、こういう売却をしていくというようなことも全く排除するものではないというふうに思います。
 ただ、今お話にもあったように、そこに実際に住んでいる人がいるわけでありますので、その住んでいる人たちの利益、これは居住者の同意ということでなっておりますが、それがやはり重要だと思っております。今のところ、予定は特にまだ決まっていないということでございますけれども、仮にこれから、そういうような開発をする、あるいはそれを売却するというときには、ぜひ居住者に対して十分なそういう配慮を行いつつ実施していただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、先ほど松島委員からもお話があったんですが、家賃改定のことについて改めてお伺いをしたいというふうに思うんです。
 平成十五年度の家賃改定においては、もう既に、ある意味で五万戸については引き下げが行われているということでございますけれども、これはいいんですが、今度四月からは、約二十三万戸は引き上げられると伺っております。いろいろなこれまでの経緯、事情等はあるんだというふうに思いますが、非常に今不動産価格も下がっている、デフレが進行しているという中で、やはり引き上げというのはどうしてもわかりにくいというのが私の実感でございます。
 なぜこうした改定を今この時点で行わなければいけないのか、ぜひひとつわかりやすく御説明をいただきたいというふうに思います。
古屋参考人 この家賃改定につきましては、市場家賃の動向を公団の家賃に早期かつ適切に反映をさせるということと同時に、公団の居住者間あるいは民間の賃貸住宅にお住まいの方々との間の格差といいますか、不公平是正を図るといったような観点から行っているものでございます。
 今先生御指摘のように、大変厳しい経済情勢の中で、賃貸住宅市場もやや弱含みでございますけれども、そういったことを反映いたしまして、今回の改定の中では、上がる方もいらっしゃいますが、下がる方もいらっしゃるということで、下げの方は、この一月の一日に五万戸につきまして家賃の引き下げをさせていただきました。これは、新しい市場家賃制度に移行して、延べ四十万戸の賃貸住宅の家賃の引き下げを実施してまいったわけでございます。
 一方、上げの方でございますが、これはいわゆる市場家賃に比べまして現在お支払いいただいている家賃が低いという方々でございまして、ここにつきましては、新たに入居される方々は市場家賃に近い家賃でお入りいただくわけでございますし、民間にいらっしゃる方はもとよりその家賃でお入りいただいているわけでございますから、公的住宅の性格上、やはりそこの格差は是正をさせていただきたいということでお願いをいたしております。
 ただ、その際に、継続してお住まいでございますから、受益に応じた負担をちょうだいするということではございますが、居住の安定にも配慮して、その格差の全額を上げるというようなことではなくて、一部にとどめ、かつ、低所得高齢者につきましてはさらに一段の抑制措置を加える等いたしまして、居住の安定にも十分配慮をさせていただいているところでございます。
上田(勇)分科員 さらに、先ほどこれも質問で言及されていたわけでありますけれども、来年度からは、年金などの公的給付がいわゆる物価スライドで引き下げられるわけでございます。そうすると、そうした中で家賃を引き上げるということになりますと、居住者、特にやはり高齢者や社会的に弱い立場の方々に対しては非常に負担が大きいわけでございます。
 昨年来、我が党でもいろいろと意見交換をさせていただく中で、公団にもいろいろと配慮をしていただいて特別な措置が講じられているわけでございます。しかし、こうした措置について、必ずしも十分に理解がされていない、十分知ってもらっていないというようなところもあるのではないかと思いますので、改めて御説明をいただければというふうに思います。
古屋参考人 低所得高齢者の方々の家賃改定につきましては、上昇額がある場合にもこれを抑制するといったようなルールの運用をしていきたいと思っておりますけれども、その中でも、十五年度から公的な年金等について物価スライド凍結が解除をされまして、公的年金や児童福祉手当等が初めて減額を迎えるといったような状況にあると伺いました。そのような事態にかんがみまして、これは個別の入居者の方々の申請によりまして、十五年度の家賃をそういった方々については据え置くというような措置をとらせていただきたいというふうに考えております。
 この周知につきましては、年明け以来、入居者の方々にいろいろな形でお知らせをしておりますし、それから、こういった措置の申請受け付けも三月いっぱい、現在進行中でございます。それも、事務所に私どもの職員が待って、お見えになるのを待つというような姿勢ではなくて、巡回相談等も団地ごとに参りまして、御相談、御事情を伺いながら、そういったことにきめ細かく対応をさせていただいているところでございます。
上田(勇)分科員 この家賃改定自体、引き上げになるところというのはどうしてもやはり大変痛いわけでありますけれども、ただ、いろいろな面でそういうような配慮もされているわけであります。
 しかし、どうも公団住宅に行くと、これはちょっと意図的な宣伝もあるんだというふうに思うんですけれども、何か非常に不安な気持ちというのか、不安な空気が広がっているというのが事実であります。ぜひそういった施策について、わかりやすくまた周知に努めていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 それで、この家賃改定、前回が平成十二年度に行われたのでありますが、その家賃改定の際に、国会でのいろいろな議論などもありました。居住者とのいろいろな協議もあったわけでありますけれども、その際に、家賃が引き上げられるそのかわりにということではないんでしょうが、引き続き、公団住宅は非常に重要な国民の財産であり住宅ストックであるということから、これを大切に使っていこうという趣旨、またグレードアップしていこうというようなことから、窓枠がスチール製の窓はアルミサッシに取りかえを促進しようとか、あるいは従来の電気容量を今の生活スタイルに合わせてもっと大きくしていこうというようなことだとか、主に七項目の修繕工事を行っていくということが決定をされました。
 そのうち、例えば手すりの設置などのように随分と既に完了しているというようなものもあるんですけれども、内容によっては進捗率が依然として二〇%ないし三〇%というものもございます。やはり、今回こうした家賃の引き上げというようなことも行われるときでありますので、住宅の質を向上していくことも重要でありますので、こうした修繕工事をさらに促進していくということに努力をしていただきたいと思いますけれども、お考えを伺いたいというふうに思います。
古屋参考人 前回、十二年度に家賃改定をお願いいたしました際に、その改定に伴いまして相当の増収が見込まれましたので、これを活用いたしまして入居者の方々の生活環境の改善に充てていこうということで、委員御指摘の、新規修繕等七項目と世上言われておりますけれども、鋼製窓建具のアルミ化でありますとか、洗濯排水設備の設置でありますとか、それから、お年寄りやお子さんなどが安心して歩けるように手すりの設置でありますとか屋外通路の段差解消、こういったような改良に重点的に取り組もうということで進めておるところでございます。既に、共用廊下の手すり設置でありますとか衛星放送設備等につきましては、もうほぼ完了目前といいますか、相当の進捗を見ております。
 先生御指摘のように、項目によって進捗度が違うではないかという御指摘でございますが、もともと、早期に完了を目指していたものと、それから鋼製窓建具のアルミ化のように、もうちょっと長いスパンの中で着実にこなしていこうといったような項目がございますので、一概に進捗率だけでおくれているとかということではございませんで、おおむね着実に推進がされている、今後ともその促進に努めてまいりたいと考えております。
上田(勇)分科員 公団住宅は結構築年数がたっているものもあって、老朽化しているという部分もあるんですけれども、ただ、やはりこれは適切な修繕を加えて手を入れていけば、まだまだ十分環境として非常にレベルの高いものが多いんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味で、これは貴重な住宅ストックでありますので、やはり適宜適切というか、修繕あるいはいろいろな施設の改良などを積極的に進めることによって、国民共有の財産の価値も高めていくことができるんじゃないかというふうに思っております。
 さらに、今回、一部ではございますけれども家賃の引き上げが行われるのに際しまして、この際、そういう意味も踏まえて、やはり居住者からも要望が多く、なおかつ、居住者だけということじゃなくていろいろな公益的な目的とか社会的な要請もあります項目について、例えば、今非常に犯罪がふえている中でピッキング被害を防止するためにドアを取りかえることだとか、また省エネを進めていく意味での断熱機能を強化していくことだとか、あるいはヒートアイランド対策としての緑化だとか、また浴室のふろがまの取りかえ、タイルの更新といったような住環境の改善や、あるいはもっと広い意味での公益的な目的を達するような、そういう修繕や改良についても追加していくことも検討いただければと思いますけれども、お考えを伺いたいというふうに思います。
古屋参考人 公団住宅は国民共通の大変貴重な資産でございますので、その管理に当たる我々といたしましても、日常的な維持修繕あるいは計画的な修繕というのは、これは遺漏なきを期してまいることは当然でございますし、それから、そういった修繕に加えまして、先ほど申し上げましたような修繕七項目といったようなレベルアップもやっていく、それからさらに、近年、バリアフリー化、あるいは間取り改善を行うようなリニューアルでありますとか、高齢者向けの優良賃貸住宅に改造していくといったような事柄についても、積極的に取り組みをさせていただいておるところでございます。
 それで、今委員から御指摘のありました、ピッキング対策でありますとか、それから断熱対策でありますとか浴室の改良等につきましては、こういったリニューアル工事でありますとか高齢者向け優良賃貸住宅の改造を行う際に現実にいろいろな対応をさせていただいておりまして、例えば、玄関ドアをお年寄りの方があけやすいようなレバーハンドルにする際に防犯性の高いシリンダー錠にかえる、あるいはドアチェーンをドアガードといったようなものにかえる、それから、床にも断熱材を張りまして、断熱効果、冬は寒くなりますので、そういったことをする、それから浴室につきましても、大型浴槽を設置したりタイル張りをしたり、あるいは高齢者向けの賃貸住宅の場合はおふろ場の横にコールボタンといいますか緊急ボタンを設置するといったような取り組みもさせていただいておるところでございます。
 いずれにしましても、大変限られた予算の中で多様な需要にこたえなければならないということで、効率的、経済的な執行に努めながら、居住者の皆様方からの要望というものも十分見きわめて、居住性の維持向上に努めてまいりたいと思っております。
上田(勇)分科員 もちろん、限られた財源の中で実施を、今いろいろと改良等を行っていただいておるわけでありますけれども、やはり住宅というのは、手を入れていけば長く使える、快適に使えるわけでありますし、そうしたことを怠っていくと、どんどん老朽化、劣化していってしまうわけであります。また、いろいろな我々の生活に必要な施設設備というのも時代とともにどんどん進歩している、そういったことについても適切に対応していくことによって、公団住宅という価値がやはり維持されていくんだろうと思いますので、ぜひこれからまた鋭意取り組んでいっていただければというふうに思います。
 それで、公団住宅も大変高齢化が進んでいるんですけれども、これは、公団住宅だけじゃなくて、公営住宅を含みます公共住宅全般について言えることではないかというふうに思っております。むしろ、公営住宅などの方が、その入居対象の所得についての制限がより厳しくなっていることから、新たに入ってくる人がやはりどうしても高齢者が非常に多くなってくるということから、より一層高齢化が進んでいるという現状があります。
 特に、そうした中で、やはり地域での高齢者の介護といったことも、みんなお年寄りばかりになってしまって、お年寄りがお年寄りの面倒を見なきゃいけないというような状況が出てきていたり、地域で行う防災訓練だとかお祭りみたいな地域の行事みたいなこともなかなかうまく実施できなくなってしまっているというような、いわば地域コミュニティーとして健全な活動が維持できなくなっているというのが実情として見受けられます。
 これは、そういう意味で公共住宅のあり方というのは、従来のあり方、従来の公共住宅の考え方だけにとらわれるのではなくて、やはり若い人にもどんどん入ってもらう。所得で制限する、高齢者の方々に優先して住居を提供する、そういった高齢者の方々に対する福祉も重要なんですけれども、あわせて、やはりバランスのよいコミュニティーを形成することも考慮に入れたような公共住宅政策というのが今求められているのではないかというふうに思います。
 その際には、なかなか今のように、この住宅は公団、これは公営というような形で厳格に目的その他、入居対象者を立て分けるんじゃなくて、もっと弾力的、総合的な運用を図りつつ、やはりこれからますます高齢化が進んでいくわけでございますので、そういう公共住宅政策についても大きく見直しをしていかなければいけないのではないかと思っておりますが、そのあたりについてのお考えを伺いたいというふうに思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、多様な年齢層あるいは多様な所得階層がバランスよく居住する良好なコミュニティーの形成ということは大変重要なことだと認識しております。一方、公営住宅の入居収入基準につきましては、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で住宅を供給する、国費も相当額入れるというようなことを考えますと、制度の趣旨を踏まえていくということが一方では必要ではないかと思っております。
 このような状況の中で、バランスのとれた良好なコミュニティーの形成促進を図るためには、既存公団住宅のバリアフリー改修などによって高齢者の方々に優良賃貸住宅を供給することはもちろんですけれども、それ以外にも、さまざまな年齢層の方が入っていただく、あるいはさまざまな所得階層の方々にも入っていただくというようなことを考えますと、大規模な公営住宅団地あるいは公団住宅団地の建てかえに際して公営住宅、公団住宅、民間住宅などの併設を図っていくというようなことで、バランスのとれた良好なコミュニティーの形成を図っていくということが必要ではないかということを考えております。
 今後とも、多様な公共住宅等の総合的な供給の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
上田(勇)分科員 もう間もなく時間でありますけれども、やはり住宅というのは本当に生活の基盤をなすものであります。また、都市部においてはそうした公共の住宅の果たしている役割というのは非常に大きなものがございます。きょうはちょっと公団住宅のことを中心に質問させていただきましたけれども、ぜひ本当に、やはり特に密集している都市部でいかに良好な住宅を提供できるのかというのは、これは大きな政策、政府として、また行政としての使命だろう、責任であろうと思っておりますので、ぜひまた今後ともそういった点に力を入れていっていただければというふうに御要請をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。
 次に、斉藤鉄夫君の質疑に入ります。
斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。大臣、お疲れでしょうが、よろしくお願いいたします。
 きょうは、まず、昨日の衆議院国土交通委員会におきまして、共産党の瀬古由起子議員が質問をされました。その中で瀬古議員は、平成十一年の良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法案が国会に提出された後の我が党の冬柴幹事長の発言に関連いたしまして、五年間で百万戸の公共賃貸住宅を供給することについて、百万戸なんてとんでもない話だというふうにされました。また、東京都や大阪府などは新規建設ゼロなどとされました。また、本日の赤旗新聞にも、この質問に関する記事が掲載されております。
 そこで、伺います。
 公共賃貸住宅の的確な供給は国民の居住の安定を図るために極めて重要であると考えますが、国土交通省は、公共賃貸住宅の供給についてどのような計画があるのでしょうか。また、東京都や大阪府で新規建設がゼロという発言がありましたが、事実なのでしょうか。この二点についてお伺いします。
松野政府参考人 お答えいたします。
 国土交通省では、平成十三年度から十七年度までを計画期間といたします第八期住宅建設五カ年計画を制定いたしまして、公営住宅を初めとする公的資金による住宅建設量を三百二十五万戸と定めております。
 この公的資金による住宅建設量三百二十五万戸のうち、賃貸住宅の戸数の合計は九十五万戸と見込んでおります。具体的には、改善戸数も含めまして、公営住宅二十六万二千戸、公庫住宅二十一万戸、公団住宅十二万四千戸を初めといたしまして、各種公的資金による賃貸住宅の戸数を積み上げますと、おおむね百万戸規模での供給を目指しているところでございます。
 また、東京都や大阪府では新規の公営住宅用地の取得については抑制していると聞いてはおりますが、建てかえによる戸数増もありますことから、過去五年間の公営住宅の建設実績を見てみますと、東京都営住宅では除却戸数の約一・三倍の戸数、大阪府営住宅では除却戸数の約一・五倍の戸数をそれぞれ建設してきているなど、着実にストックの整備を進めているところでございます。
 公共賃貸住宅につきましては、今後とも、ストックの改善、更新、バリアフリー化の推進、福祉との連携、公営、公団、公社の各事業主体間の連携強化を図ること等を通じまして、その的確な供給、活用を推進してまいりたいと考えているところでございます。
斉藤(鉄)分科員 そういたしますと、国土交通省においても、五年間でおおむね百万戸の公共賃貸住宅の供給についての計画を持って、必要な施策を講じているということでございますね。また、東京都や大阪府でも着実に公営住宅のストックが増加しているという理解でよろしゅうございますね。よくわかりました。
 それでは、次の質問に移ります。
 建築基準法につきまして質問をさせていただきます。
 平成十年の建築基準法改正、ございました。この改正によって新しい技術が世の中に出にくくなった、こういう専門家の指摘がございまして、科学技術創造立国の立場からこれは大変問題ではないかということを、昨年五月に、私、国土交通委員会で指摘させていただきまして、その後、いろいろ国土交通省でも努力をしていただいたようでございます。それを確認する意味で、きょう質問をさせていただきたいと思います。
 この平成十年の建築基準法の改正は、いわゆる仕様規定から性能規定へということでございました。仕様規定ということは、材料とか寸法とか、全部法律で細かく決めているということでございますが、それでは新しい技術が出ないので、大臣認定ルートというのがありまして、新しい技術については専門家の判断によっていいよということで世の中に出す、そういう大臣認定ルートがございました。
 この方法ですと、批判がありまして、法律で決めながら肝心なところは密室で決めている、透明性がない、こういうことで、性能規定化で性能を明示して、その性能を証明するためにいろいろな方法がとられる、その性能規定化ということで技術開発が進む、このように我々は認識していたんですが、現実には、この大臣認定ルートがなくなった。
 性能を規定する三つの方法がある。しかし、その三つの方法も、時刻歴解析でありますとかコンピューター解析、それからもう一つ限界耐力計算法、こういうものができたわけですけれども、現実問題として、これらを使いこなすことは非常に難しくて、現場の主事さん等、新しい技術が世の中に出にくくなった、こういう指摘がございます。
 この指摘について、国土交通省はどのように認識をされておりますでしょうか。
松野政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘の、旧建築基準法三十八条というのがございました。平成十年の建築基準法の大改正がございまして、この性能規定化ということを進めたわけでございます。建築主あるいは消費者が、多様な構法、材料等の選択を行うことができるように、設計の自由度を高めるということが一つの目標でございました。
 この目標のもとに、技術基準につきましては、必要な性能さえ満たせば、個別の材料、寸法等を問わない、いわゆる性能規定へ転換するということでございまして、その趣旨からも、基準整備に当たっては新技術等を速やかに受け入れることができるものとすることが極めて重要であると認識しておりました。
 改正前の第三十八条は、いわゆる仕様書規定ですね。委員御指摘のとおり、あらかじめ材料、構法が事細かく規定されまして、その条文に当てはまらない新しい材料、構法については大臣が認定するという仕組みで、ある一定の役割を果たしてきたのではないかと思います。
 しかしながら、委員も御指摘になったとおり、それはブラックボックスではないかというようなことでございますね。満たすべき性能の基準、目標、これが明らかになっていないのではないか、透明性、客観性を欠くのではないかということが言われておりました。その結果として、技術開発を難しくしていた面もあったのではないかというふうに考えておりました。
 したがいまして、先ほど御説明しましたとおり、改正後の性能規定化ということで、必要な性能を明示した上で、あらかじめ仕様書的に定められた材料、構法等以外のものもオープンに受け入れるといいますか、さまざまな新しい体系のものが円滑に導入できるというふうにしてきたと考えておりました。
 現在の制度の運用面におきましては、必要な性能が明示されまして、客観性、透明性が向上したというふうに考えておりましたが、委員から御指摘いただいておりますように、確かに、大臣認定の運用が厳格化し過ぎているのではないか、あるいは、必要な認定ルートが必ずしも十分整備されていないのではないかといった御意見があるということを認識しております。
 国土交通省としては、こうした指摘を謙虚に受けとめまして、科学技術立国としてふさわしい制度となるよう、関係各方面の御意見を聞きながら、継続的に基準の見直しを進めてまいりたいと考えております。
斉藤(鉄)分科員 私の問題提起を受けとめていただいた、このように思います。
 大臣、いろいろな現場の技術者等に聞いてみますと、前は自分で工夫して新しい技術をつくった、しかし、扇大臣に認めてもらえればそれを世の中で使えた、そのルートを認めていた三十八条がなくなって、新しい技術を提案するところがなくなったというふうな声をたくさん聞いたわけでございます。
 だからといって、では三十八条をすぐ復活すればいいという話でもない。仕様規定から性能規定、そのこと自体は大変すばらしいことですので、その辺の大きな流れは当然ありながら、当然やらなきゃいけないこととしつつ、しかし、新技術が世の中に出る体制を整えていただきたいということで、問題提起をしたわけでございます。
 今住宅局長の御答弁にありました、新しい技術開発の道が狭まったというような懸念を払拭する施策の推進について、国土交通省として、その後、どのような改善措置を講じられてきたのか、このことをお伺いしたいと思います。
松野政府参考人 今回の、性能規定化という大改正をいたしましたが、それは新しい技術開発を促進するということを目的の一つとして行われたものでございまして、そのこと自体は大変重要な役割を担っていると認識しておりますが、委員の御指摘を踏まえまして、民間の新技術をもう少し適切に評価できるような仕組みのあり方につきまして、改めて検討をさせていただきました。本年一月からは、民間の技術提案を迅速的確に基準整備に反映していくこととしたところでございます。
 まず最初に、民間の事業者団体、技術者団体あるいは個別企業、個人等から、基準法や住宅の品質確保の促進に関する法律、品確法と言っておりますが、この技術基準に対しまして見直しの提案をいただきます一元的な受付窓口、いわゆるコンタクトポイントというふうに称しておりますが、これを開設いたしました。
 この窓口では、インターネットにホームページを既に開いておりまして、電子メールあるいはファクスで随時民間の提案を受け付けているところでございます。運用開始以降、既に提案が寄せられ始めているところでございます。
 もう一つは、このコンタクトポイントに寄せられた提案に的確に対応する必要がございます。国土交通省に学識経験者等の方々から成ります建築住宅性能基準検討委員会というものを設置いたしまして、技術基準の見直しについて継続的に検討していただくようにお願いしたところでございます。
 この技術基準の見直し作業に当たりましては、原案作成段階から、関係する技術者団体、評価機関等に対し意見聴取を行い、意見交換を行いつつ進めていくことができるような体制も整えているところでございます。
 さらにもう一点、学会あるいは技術者団体、事業者団体等と基準作成当局の間で積極的に意見交換を行う場を設けまして、民間の技術開発動向あるいは技術基準に対する各界の要請等の把握に努めていきたいと考えております。
 こうした体制整備によりまして、新しい技術開発の道を一層広げるような基準整備に今後とも取り組んでまいるつもりでございます。
斉藤(鉄)分科員 民間の活力そして民間の新しい技術提案というのがやはり産業の活性化の基となると思いますので、今おっしゃったような施策、ぜひ所期の目的を達成するように進めていただきたい、このように思います。
 新しい改正基準法では、材料については一つの条文がございます。しかし、いわゆる構法と言われているものにつきましては、改正前は三十八条があったわけですが、改正後はその三十八条がなくなって、ある意味で材料と構法が全く別々に評価されるようになった。しかし、現実には、技術というのは材料と構法が一体となってその性能を発揮するものですので、この材料、構法を一体的に評価する必要があるのではないか。
 また、昔は、新しい材料、構法を開発した、実験で確かめて、それが認められたわけですが、新しい改正基準法では、限界耐力計算法とか時刻歴応答解析とか、計算しか認められなくなった、実験というものが認められなくなった、これはおかしいのではないか、この点を指摘したわけですが、この点についてはどうなったでしょうか。
松野政府参考人 現在、改正後の性能規定の中では、まず、構造部材に用います各種の材料、この強度を定めております。次に、これらの材料を用いました建築物全体の構造計算を行いまして、想定されます荷重あるいは外力に対して安全かどうかを検証するということが基本的な考え方でございます。
 しかしながら、例えば、全く新しい建築材料を用いた構法が提案された場合などを考えますと、先進的な技術への対応につきましては、委員御指摘のとおり、材料と構法を一体評価する、一度に一体的に評価するということ、あるいは実験のデータを積極的に活用していくということも重要であるというふうに認識しております。
 これらの点につきまして、先ほど申し上げました建築住宅性能基準検討委員会等の場におきましても、学識経験者や技術者の方々から、その必要について既に御指摘をいただいたところでございます。
 このため、今後、これらの御指摘を踏まえまして、材料の検証と建築物全体の構造計算を別々に評価する方法だけではなくて、新たに、一体的に材料と構法を評価するという大臣認定、あるいは実験を活用した大臣認定について検討してまいりたいと考えております。
斉藤(鉄)分科員 もう一つ指摘したんですが、建築構造、土木構造の場合、技術開発は、全体構造についての技術開発もありますが、ほとんどの技術開発は部材、接合部であるとか天端部であるとか、そういう一部の部材、構法レベルでの技術開発が非常に大きいわけです。この部材、構法レベルでの技術開発に対しての認定ルートがなくなっているのではないかということも指摘したんですが、この点についてはいかがでしょうか。
松野政府参考人 従来は、新材料の品質の検証あるいは建築物全体の構造解析を行う大臣認定ルートは存在しておりましたが、部材、構法レベル、つまり中間レベルですね、中間レベルの大臣認定ルートが整備されていなかったという点が確かにございます。部材、構法レベルの評価を行うという大臣認定ルートの整備を行っていくことも、御指摘のとおり大変重要な観点ではないかというふうに認識いたしております。
 このために、中間レベルでございます部材、構法レベルのルートを整備することといたしまして、大変要望の強かった鉄骨造の接合部に関しまして、平成十四年十二月に基準法施行令の改正を行いました。従前より使用が認められていた接合方法以外の新たな接合方法を使用可能とする大臣認定の規定を創設いたしました。
 具体的には、一般的な構造計算によって検証を行う場合には、鉄骨造の接合方法は、従来は溶接とかあるいはボルト接合というものに限定されていたわけでございますが、改正によりまして、それ以外の特殊な接合方法であっても大臣認定を受けることによって使用可能とするというような措置を講じたところでございます。
 今後とも、中間レベルでございます部材、構法レベルでの技術開発動向を踏まえまして、新たな大臣ルートの整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
斉藤(鉄)分科員 日本の建築土木技術、特に地震国ですので、大変すぐれたものがございます。昔は、例えば免震マンションなんというのは夢のまた夢だったわけですけれども、最近はそういうものも売られるようになってまいりました。免震マンションですと、かなり大きな地震が来ても、マンションの中の揺れは非常に少ない。こういうものも、昔、大臣認定ルートがあったからこそ世の中に出たわけでございまして、今後もそういう新しい技術提案がどんどん世の中に出て、日本の産業の活性化になる、そのためにいろいろな施策を講じていただいたようでございますので、ぜひ活性化のために頑張っていただきたいと思いますが、ちょっと具体的にお聞きします。
 今、いろいろ手を打っていただきました。民間からの新しい技術提案の受付窓口、コンタクトポイントを開設するなどいろいろ整備をしていただいたということですが、実際に民間が、例えば、ある小さな建設会社が、ぜひこれを世の中で使ってみたい、こういう提案をした場合、どういうふうな手順で認定を受ければいいんでしょうか。
松野政府参考人 具体的にどんな手順で見直しをするのかというお尋ねでございますが、まず、提案をいただきます民間の団体あるいは企業におきまして、先ほど申し上げましたコンタクトポイント、ここに、新しいアイデアあるいは技術基準などを記載した文書を電子メールあるいはファクス等で送付していただくということがまず最初にございます。
 コンタクトポイントにつきましては、既に、申し上げましたとおり、ホームページを掲載しております。ホームページは、国土交通省のホームページのほか、基準法の性能評価を行っている団体などからもアクセスできるように整備をしております。
 ここに送付されました提案は、一応整理の上、国土交通省に送付されるということになります。それで、国土交通省の技術研究組織でございます国土技術政策総合研究所、国総研と称しておりますが、ここと住宅局で、必要に応じて提案者と意見交換等を行いつつ、内容の把握、対応方針の検討を行います。
 やはり基準の見直しが必要だと判断されたものにつきましては、国総研で見直し原案の作成を行っていただきます。その過程では、提案者あるいは関係する各機関、学識経験者の方々に対しまして意見聴取、意見交換を実施いたします。
 国総研におきまして原案がまとまりましたところで、住宅局におきまして、先ほど申し上げました建築住宅性能基準検討委員会というのが設置されておりますが、ここで検討いたしまして、さらにパブリックコメントも実施いたします。それを経て基準の改定作業を行うということでございまして、また、提案された内容の検討状況につきまして各段階で提案者に連絡するということをいたしまして、どんな状況になっているか提案者が確認できるようにしたいというふうに考えているところでございます。
斉藤(鉄)分科員 ぜひそれがうまく運用できるようにお願いをしたいと思います。
 それから、現場の方の意見ですけれども、性能規定は難解であるために、例えば、限界耐力計算という構造計算は役所にいらっしゃる建築主事さんでは審査できず、結局実績のある従来の方法しか認められないということが非常にたくさんあるそうですという指摘がございます。性能規定化を実効あるものとしていくためには、建築主事のレベルアップに取り組んでいく必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
松野政府参考人 平成十年の基準法改正におきましては、実は、確認検査、役所だけではなくて民間機関でもできるように民間開放を行っております。そうした公正中立な民間機関でも実施できるということにしたわけでございますが、一部の民間確認検査機関では、既に御指摘のような限界耐力計算による設計を円滑に審査しているところもございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、多くの行政担当者あるいは設計者の間では、限界耐力計算という新しい方法が導入されたばかりということでもございまして、現時点では必ずしも十分活用されていないということは御指摘のとおりではないかと思います。
 今回、性能規定化の一部を担いますこの限界耐力計算を、今回整備した技術基準の見直しとして、その推進体制を活用しつつ、各界の御意見を踏まえながら基準の整備を行うということは必要でございます。また、公共団体の職員の方にも周知徹底するということで、必要に応じてマニュアルの作成あるいは説明会を開催して、職員の方にも習熟していただくという必要があるのではないかというふうに考えております。
斉藤(鉄)分科員 性能基準の見直しの一環として民間団体との意見交換にも取り組んでいくということでしたけれども、その取り組み状況はどのようになっておりますでしょうか。
松野政府参考人 今回、民間提案を一元的に受け付けます、先ほど申し上げましたコンタクトポイントを開設したところでございます。ここで具体的に民間の提案を受けて検討いたします一連の流れがございますが、これとは別に、新しい建築技術の研究開発について豊富なノウハウを有する民間団体もございます。こうした団体とも積極的に意見交換を実施し、基準見直しに生かしていきたいと考えております。
 このために、早速本年一月から、建築学会あるいは建築業協会、日本建築構造技術者協会などの民間団体の専門家と意見交換を開始しております。
 これまでの意見交換の中では、民間の技術開発の動向を踏まえまして、新技術を速やかに評価し実現していく上で問題となる技術基準を洗い出しておりまして、逐次見直しを進めていく方針を既に確認したところでございます。今後も意見交換を継続しまして、最近の民間の最新技術、こうしたノウハウを迅速に性能基準に反映させていきたいというふうに考えているところでございます。
斉藤(鉄)分科員 新しい技術が世に出る方法について、随分御努力をいただいているということがよくわかりました。
 最後に大臣、今の議論をお聞きになりまして、建設業界は非常に今元気がないんですが、元気を出す一つの柱は私は技術開発だろうと思っております。その点も含めまして、大臣の御所見を最後にお伺いいたします。
扇国務大臣 きょう、今るる斉藤議員の御質問で、少なくとも我々は、旧の第三十八条がなくなったからといって技術開発が低迷するわけでもありませんし、大臣がどうこうということではなくて、私は、広く民間の知恵というものも今後図っていきたい。
 それと、何よりも私は、建築住宅性能基準検討委員会、これがやはり有識者あるいは専門家等々でつくられておりますので、大臣の認定がどうこうという三十八条よりもむしろ窓口が広がったというふうに御理解いただいて、建築業界、やはり研究あって初めて建築業界の発展もありますし、昔のものを大事にするとともに、新しい素材、新しい開発、これがもう何よりも地球上では大事なことですし、きょうは朝九時から、いろいろな御議論の中で、住宅は住宅でも、いかに環境問題を大事にし、老齢社会に対応できる住宅もつくるかというようなお知恵の開陳もございました。
 そういう意味では、私は、今後ますます建築業界が元気になるその案を民間の皆さんからどんどん私たちのところへ寄せていただいて、私たちもそれに伴って取り上げていきたい、そして二十一世紀型をつくっていきたいと思っていますので、今後も御指導賜りたいと思います。
斉藤(鉄)分科員 ありがとうございました。終わります。
高鳥主査代理 これにて斉藤鉄夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、小沢和秋君の質疑に入ります。小沢君。
小沢(和)分科員 日本共産党の小沢和秋でございます。きょうは朝早くから、大臣初め皆さん本当に御苦労さまです。
 さて、私は、二月十二日の予算委員会での質問で、長崎県内での国発注港湾工事の九割が予定価格の九六%を超える金額で落札されていることを指摘いたしました。資料の一枚目であります。その前には、諫早湾干拓の同様の実態をお示ししたことがあります。それが資料の二枚目であります。
 私は、さらにその後幾つかの工事について調べてみました。その一つが、私の地元、北九州市のひびきコンテナターミナル工事の落札率であります。これが資料の三枚目です。これも長崎と同じ国発注の港湾工事ですが、その傾向も全く同じ、九割が予定価格の九六%を超える価格であります。
 大臣、これらの資料が示していることは、ほとんどの工事が談合の産物だということではないでしょうか。
扇国務大臣 過日も小沢議員からいろいろ御質問をいただきまして、私もそのときのことを覚えておりますし、またきょう新たな資料も提出されましたけれども、公共工事というものが国民の税金で賄われているという基本的なことは今さら言うまでもございませんけれども、私は、こういう一般の週刊誌、新聞、マスコミ等々に公共工事の不正行為というものが載るたびにぞっといたします、正直なところ。
 ですから、私は、少なくとも入札契約に関しては、御存じのとおり、小沢議員も覚えていただいていると思いますけれども、公共工事の入札と契約に関する適正化法、これは全会一致で各党の御賛同をいただいて通ったわけでございますので、私は、少なくとも、それが十二年の四月から施行されておりますので、それ以後は国民の皆さん方に疑義が持たれるようなことがあってはならない、こういうふうに思っておりますけれども、残念ながらいまだに、この数字を見ておりますと、法律前のこととはいえ、私は、数字だけでこれが談合であったということには、むしろ言い切る自信もございません、正直申し上げて。ただ、数字的に言えば、やはりおかしいかなと思う点はなきにしもあらず。
 ただ、会計法令等々で、この入契法に関しまして書いてあります、いわゆる電子入札を導入しようだとか、あるいは積算価格というものを、むしろ事前価格公表をして皆さん方に見ていただこうというようなことも、価格を先に知らせるということも今とっている方法の一つでございますので、この資料は法案が通る前のことではございますけれども、以後こういうことがないようにというための法案で通していただいていますので、私は、今後も、公共工事の入札の透明性そして競争性、公平性というものは保っていかなきゃいけない、当然のことだと認識しております。
小沢(和)分科員 今、法が改正されてから変わったはずだというお話です。それはまた私も統計をとってみたいと思いますけれども、私の感じでは、余り違っていないんじゃないかと思うんです。
 工事の九割といえば工事のほとんど全部ということですし、九六%以上の金額といえばほとんど予定価格そのものだということであります。こんなことは通常起こり得ないわけです。同じ積算基準を使うといっても、それぞれの企業が別々に計算するわけですから。
 もう一つ出したいと思うんですが、資料の四枚目であります。それは、九州で今行われている最大の公共事業といえば九州新幹線鹿児島ルートの工事でありますが、その工事と役務の契約状況をまとめたグラフであります。これは、九九年度から二〇〇一年度までの契約五百件について調べたものであります。落札価格が予定価格と全く同じものが二十二件、全体の四・四%もあります。これも九割が九六%を超える価格であります。落札率が九〇%未満のものは、わずか三件、〇・五%しかありません。
 私は、自分の関心の赴くままに、任意に四つの事業について調査いたしました。大臣、これだけデータがそろったら、今、おかしいところはあるというふうには言われたんですが、九州ではどこでも公共事業で談合が行われている、いや、九州だけでなく日本じゅうで談合が行われていると考える以外にないんじゃないでしょうか。
扇国務大臣 けさから分科会開いておりまして、午前中にも共産党の木島議員から同じような御質問がございまして、談合じゃないか、この率を見ろ、こういう率が、九〇%以上の率を見たらこれは談合ではないかというふうにけさも私言われまして、そのことを覚えているんです。
 少なくとも私は、落札率が高いというのは、さっき申しましたように、算定基準あるいは算定式だとかあるいは単価等々、いわゆる積算基準というものを公表しているというところは、予定価格に近い積算が出るということは可能性としてはあり得る。そしてまた、積算価格というか、予定価格を公表するということが、談合を少なくしよう、公平、公明、公正にしようと思っているのが、逆にパーセンテージが上がって談合ではないかなと思われることもあると思います。
 これは、数字としては全部出ていますので、一つ一つの入札がどの程度公表されたのかということと対比しなければ、一概に高いだけで全部談合だと断じるには、私はまだ自信はございませんけれども、今、談合をなくすようにということでこういう予定価格というものを公表していこうという方式もとっていますので、少なくとも私は、こういうことが少なくなって、小沢先生にこれはおかしいだろうと言われるようなことがなくなるように指導していきたいと思っています。
小沢(和)分科員 私は、今四つの事業と言いましたけれども、契約件数にすると千九百九十二件を調査したものであります。
 先日の予算委員会のときは、長崎県の港湾工事百四十一件の落札率を示して、談合で国民の税金が不当に支出されているのではないかと質問いたしましたが、会計検査院、公正取引委員会とも、ほとんどやる気を見せていただけませんでした。
 今回は、それをはるかに上回る二千件近くのデータをこうやってお示しをしたわけでありますが、これでもまだ会計検査院は、一般論として不正とは認めない、国民の税金は適切に使われている、こう言われるんでしょうか。
船渡会計検査院当局者 お答えいたします。
 今、国土交通大臣からお答えがありましたように、本院といたしましては、落札比率が高いからといって、直ちに契約の競争性、公正性等が確保されていないとは言えないというふうに思っておりますけれども、ただ、そういう場合には競争性等が確保されていないということも考えられますことから、今先生御指摘の点を念頭に置きまして、今後の公共事業、それからさらには、先生御指摘の長崎のいろいろな事業につきまして検査に当たってまいりたいというふうに思っているところでございます。
小沢(和)分科員 さっき大臣も言われましたけれども、落札率が高いから談合とは言えないというお話なんですけれども、それが、さっきから言っているように、四つの種類の工事について二千件近いもの全部調べてみたけれども、ほとんどが九六%以上。これは余りにもそろい過ぎている、予定価格すれすれのところにそろい過ぎているという点で、私は、情況証拠としてはこれはもう満点じゃないかと言っているわけです。
 次の質問をいたしますけれども、公正取引委員会は、二月二十日に、長崎県発注の港湾工事等の入札参加業者に課徴金納付命令を発しました。かねてから、五洋建設、若築建設、佐伯建設工業、東亜建設工業、東洋建設など十五社は、長崎県内の港湾、漁港工事で長年にわたり談合を繰り返していたとして、昨年公正取引委員会から排除勧告を受け、国や長崎県から数カ月の指名停止を受けております。今回、公正取引委員会が、これらの企業に合計六億四千九百六十一万円の課徴金の納付を命令しました。私は、この取り組みを大いに評価いたします。
 この際、長野県の浅川ダムについて公共工事入札等適正化委員会が事実の積み上げで談合を認定したという手法に学んで、九州だけでなく日本じゅうに広がっている談合に思い切ってメスを入れていただきたいが、公取はいかがお考えでしょうか。
鈴木(孝)政府参考人 お尋ねでございますところを一般論として申し上げますならば、単に落札率が高いという外形的事実のみによっては、直ちに独占禁止法上問題だとすることは困難でございますが、しかし、事業者の間で共同して入札に係る受注予定者等を決定することが独占禁止法に違反する行為でございますので、そのような端緒となる具体的事実に接しました場合には、違反する疑いがあると考えられる場合でございますので、ただいま御指摘になりました案件等について見られますように、公正取引委員会としても、必要な調査を行い、その結果、違反の事実が認められれば厳正に対処してきているところでございますので、今後とも努力してまいりたいと思います。
小沢(和)分科員 このような談合は、入札企業に対し予定価格や積算方法を教えたりするなど、発注者が深くかかわらなければ成立し得ないものであります。
 調べてみると、港湾工事受注ゼネコンへの旧運輸省港湾局、地方港湾建設局などから大量の天下りがあります。資料の五枚目でありますが、これにあるとおり、間組など九社の取締役以上のポストに十六名の天下りがあっております。それより下にはもっと多くいるだろうと思います。
 大臣にお尋ねしますが、談合を根絶するためにはこういう天下りを厳しく規制すべきだとお考えにならないでしょうか。
扇国務大臣 今、資料もいただいておりますけれども、少なくとも私は、国家公務員の再就職、これにつきましては、御存じのとおり、現在は政府全体として取り組んでおりますし、また公務員の制度改革の中におきましても、適正な再就職の仕組みについて検討が行われているのは先生も御存じのとおりだと思いますので、国土交通省としても、その検討結果を踏まえて、私たちは適切に対処してまいりたいと思っております。
 また、ここに書いてございます名前の中で、私も詳しくは、第一次天下りというか、第二次天下りといいますか、そういう基準がございますので、第一次で天下ったのか、第二次で民間へ行ってから行ったのか、これがちょっとまだわかりませんので、今この表を拝見しただけで、この人が適正でないとか適正とかということは私は一概に言えませんけれども、やはり基本的には、私は、天下りに関しては、国家公務員の肩たたきというのが五十二、三歳では早過ぎるということを申しています。
 ですから、少なくともポストが問題になりますけれども、やはり民間よりも五歳は若くてもいいけれども、民間が六十なら五十五まではいる、民間が六十五だったら六十まではいい、そういうふうに今の公務員の退職のあり方、五十二、三歳で退職したら、まだ子供がやはり中学、大学ですから、そういう意味では、私は、やはり今の制度というものも根本的に考え直さなきゃいけないと思っていますので、公務員制度の改革の今の検討中というのを見守っていきたい、またこういうことがないようにもしなきゃいけないというふうには考えております。
小沢(和)分科員 昨年十二月五日の参議院国土交通委員会で、我が党の大沢辰美参議院議員が、鉄道建設公団のOB四十人が九州新幹線と北陸新幹線工事を受注している企業に天下りしている事実を指摘いたしました。よくこういうOBは、技術者としての高い見識を評価されて引き抜かれているように言われておりますが、大部分は営業を担当しております。つまり、後輩である本省や地方局の幹部に昔からの顔をきかせて、情報をとったり、仕事をもらっているのが実態であります。
 ですから、こういう癒着や談合をそのままにして、先ほどもちょっと話が出たようですが、幾ら電子入札制度などを取り入れても、それは形だけの改革で、本当の効果は出てこないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
扇国務大臣 どんな法律を使って、どんな法律をつくってもこれは効果がないんじゃないでしょうかと言われると、国会議員として身もふたもなくなりますし、小沢議員もこうして国会で頑張ってくだすっている以上は、やはりそういうことを正す法律をつくっていくということで、法律はつくっても抜け穴だらけじゃないかと言われたんでは、私は何にもならないと思います。
 御存じのとおり、公共工事の入札と契約に関する適正化法、入契法も、これは我が国では初めてでございました。各国に公共工事の基本法というものがあったんですけれども、日本にはないんですね。それで、余りにも談合とか丸投げがあるということで、本来は法律をつくるのに五年かかると言われたものを、私は、総理の御指導で、全省庁の御賛成をいただいて、五年かかるものを三カ月でつくって、全会派に御賛同いただいたというのも、そういう危機感からつくった法律だと思っていますので、私は、この法律によって今おっしゃるようなことをなくすべきである、法律を守っていただくということを徹底したいと思っています。
小沢(和)分科員 いや、私は、せっかく法律をつくっても抜け穴だらけでだめじゃないかと言っているんじゃなくて、その抜け穴をふさいで本当に実りあるものにしようじゃないかという立場で議論をしているわけですから、その点は御理解いただきたい。
 談合を可能にするもう一つの条件が、ゼネコンなど建設業者と自民党議員との癒着であります。政治家とゼネコン、ゼネコンと官僚、官僚と政治家の鉄のトライアングルがあって初めて天の声が発せられ、談合が成り立つんじゃないでしょうか。
 九州新幹線建設を利権にした自民党の地元国会議員は、受注企業から信じがたいほどの多額の献金を集めております。一九九五年から七年間に受け取った献金額を資料の最後のページにまとめてあります。
 ごらんいただけばわかりますように、福岡県では、古賀誠衆議院議員が二千八百六十九万円、山崎拓衆議院議員が約四千二百三十万円、渡辺具能衆議院議員が一億三千七百二十三万円。佐賀県では、陣内孝雄参議院議員が約三千八百三十万円。熊本県では、林田彪衆議院議員が四千七百六十八万円、松岡利勝衆議院議員が約八千九百九十九万円。鹿児島県では、松下忠洋衆議院議員が六千六百四十万円、小里貞利衆議院議員が約二千五百四十万円の献金を受け取っております。東九州新幹線構想を推進している宮崎県の江藤隆美衆議院議員も約二千九百四十万円の献金を受けております。
 江藤議員を除き、いずれも九州新幹線鹿児島ルート議員連盟のメンバーで、小里貞利議員はその会長、古賀誠議員、陣内孝雄議員、松岡利勝議員はその世話人であります。小里議員は自民党整備新幹線建設促進特別委員会顧問、松岡議員は自民党整備新幹線建設促進特別委員会副委員長でもあります。
 自民党としてはどうか。同じ期間に自民党熊本県連は三億九千七百三十万円、同党熊本県建設支部は一億二千二十二万円の献金を受けております。他県の分は調査中ですが、ここまでの献金をすべて合わせると、何と約十億二千二百九十万円になります。
 周知のとおり、九州新幹線の採算性については慎重論も多かった。その負担の一部の地方への押しつけや並行在来線の経営分離などをめぐって協議が難航いたしました。これを打開するため、議員連盟のメンバーが活発に動き、建設業者はしばしば決起集会を開いたりして圧力をかけました。その当時から業者の議員への巨額の献金が続いていたことがこうして明らかになりました。
 大臣、こういう動きの中で授受された政治献金を、浄財だ、結構なことだと言っておられるでしょうか。事実上の贈収賄、政治家の買収ではないのか。我が党は、現職の大臣が公共事業受注企業からどれだけ献金を受け取っているか調査をいたしまして、先日の予算委員会で志位委員長が発表したところであります。関係閣僚の中で、ただ一人受け取っていなかったのが扇大臣であります。私たちはそういう見るべきところはちゃんと見ているつもりでありますが、それだけに自由にこの問題で物が言える立場だと思いますので、ぜひ率直な意見を聞かせていただきたい。
扇国務大臣 余りゼロだと言われると、いかにも力がないようで。
 むしろこの表を見て私もびっくりしているんですけれども、これらすべてが自治省に正式に届け出された金額なのかどうかということも、きっと公表されるんですから、これは正式にみんなが見られる、公表されて正式に届けられたものであろう、私はこう見ておりますけれども。
 私は、余りお金を集める趣味もございませんし、なるべくならそういうものをもらわないでつつましやかにやっていけるなればそれでいいと思うたちでございますので、残念ながら、献金すると言われても今はお断りするというふうにしておりますけれども、何としても、政治に金がかかるということは、私は共産党さんのように全額丸抱えで選挙できるということじゃないので、かなりお金が要るということ、事実でございます。私、今、全国区でございますから、一枚のはがきを十万枚出したとしても、大変な金額になります。
 しかし、私は、少なくとも公共工事の受注者となるということに関しては、この建設業界、今不況だと言われておりますけれども、我が国の住宅でありますとかあるいは社会資本整備の根幹をなす大事な産業、基幹でございますので、いささかもそういう疑義が持たれないように、また、渡したから受注させてもらえるという考え方も、私はむしろおかしいと。お互いに、出す方も受け取る方も正式にきちんと、これは何のお金か、本当に政治活動に役立つような金額が、ちょっと多過ぎるなという金額もなきにしもあらずで、私もびっくりしているのですけれども。
 そしてまた、先生方によってどうしてこういう落差があるのか。私は、一律にこれだけ、全部の人に同じ金額を上げていればむしろよかったのにと思っていまして、疑いを持たれないで済むのになと思っていますけれども、私も同じ金額だったら入ったかもしれないのですけれども。でも、こういうところで堂々と皆さん方が、そのお金は間違いのないお金ですと言い切れるようなものでない限りは、私は、心すべきだ、政治家として姿勢を正していかなければ、疑義を持たれることだけはするべきではないと思っております。
 何よりも私は、先生にこの資料をいただいて、今までも、あらゆるところから、債務免除をされているような企業が政治献金するというのはむしろおかしい、だれが見てもおかしいと思います。債務免除という中には国民の税金が入っているわけですから、そういうところからもらったり、あるいは三年以上赤字で続いているというようなところから、禁止されているわけですから、そういう不正で法に触れるようなことでない限りは、正当な政治献金であれば、私は、個人として、幾ら私がもらっていないからといって、それがいけないとは言えません、正式であれば。
 ですから、そういう意味で、お金に色はついておりませんけれども、きちんと公明正大に世間に対して物が言える、正しい誠意のある政治献金が、やはり国民は見る目があって見ていると思いますので、そういう意味では、特に私は、気をつけなければいけないところは気をつけるべきだと。ただ、お金をもらったから動くというのは、私は、国会議員ではないと思っていますので、それは国会屋さんだと思っていますので、その辺は小沢議員と同じかもしれません。
小沢(和)分科員 今の御答弁の中で、共産党の私たちが丸抱えで運動をしているという御発言がありましたが、私たちは共産党として選挙資金というのをどう集めているかといいますと、党員の人たちが出す党費、あるいは支持者の皆さんのいわゆる資金カンパ、それから私たちが赤旗というような新聞などで事業活動で得ている収入、これ以外にはありませんので、その点誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 ぼつぼつ時間もなくなってきたようですから、最後に、大臣とは何度も論議を重ねてきた川辺川ダムの問題について、一言お尋ねをいたしたいと思います。
 昨年十月二日付の熊本日日のインタビュー記事の中で、扇大臣は、
 住民討論集会について「建設反対の人も入り、九州地方整備局が精力的にやっている」と強調。「地域の皆さんの声を聞くことが大事だと、潮谷知事にも九地整にも言っている」と、住民の意向を重視する姿勢を見せた。
  集会をいつまで続けるかについては「治水面で、地域住民が一番安全だと思える方法を選ぶことが重要だ。住民の安全、安心が確保できるとの保障がなくてはならない。(集会を終える)期限はない」と述べた。
と報じられております。
 また、同日付の西日本新聞においても、
 川辺川ダムの本体工事着工については、「反対派も含めた地元での討論会の結果を見守りたい」として、強制着工などは行わない意向をあらためて示した。
とも報道されております。
 この報道は地元住民にとって大変に重大なものと思いますし、私も担当大臣の発言として重く受けとめております。この際、改めて大臣の真意を伺っておきたいと思います。
扇国務大臣 昨年の十月一日に委員会が行われまして、そのときの記者会見だったと思いますけれども、私は、今お読みになったような新聞記事がローカルで出たというのは知っておりますし、今お読みになった考え方に今いささかの変更もございません。
 そして、なおかつ私は、つけ加えたいのは、その新聞が出ました後も、反対派の人も賛成の人も、あるいは熊本の地方自治体の人も入れた、少なくとも川辺川ダムを考える住民の討論集会、これが、今現在で延べ一万四百三十人という人たちの御意見が集まっています。これだけの一万四百三十人という方々が参加してくださるということは、本当に私は、真剣に皆さんが川辺川ダムのこのことに関して御意見を持っていてくださるということで感謝もしていますし、この集会の御意見というものを最大限に尊重しようという考えは今もいささかも変わっておりません。
小沢(和)分科員 時間が来たようですから終わりますが、本当に丁寧な答弁をいただいて、ありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上和雄君。
井上(和)分科員 民主党の井上和雄でございます。
 大臣、朝の九時から十一時間にわたって延々と分科会、本当に御苦労さまでございます。
 きょうは、トラックの事故に関してお伺いしたいのですが、冒頭十分ぐらい国土交通省に質問させていただいて、その後、関連して警察庁及び法務省に質問させていただきますので、大臣、冒頭だけ御出席いただければ結構でございますので。
 先日、国土交通省の方にトラック事故で家族を亡くされた遺族の方々を十人ほどお連れいたしまして、大臣はちょっといらっしゃらなかったのですけれども、丸山自動車交通局長の方に陳情書及び署名を提出させる手伝いをさせていただきました。
 その中の一人に、北海道からわざわざいらした斉藤千穂さんという、お父さんを亡くされた方なんですね。斉藤良夫さんという方で、一九九九年にお父さん当時七十六歳が横断歩道上で、青信号で歩いていたのにトラックが右折してきまして、それもすごい、三十キロ以上のスピードで右折してきて、はねられて亡くなったという方なんですね。それ以外にも、トラックの事故でお子さんを亡くされた方とか、無謀運転のトラックによって犠牲になった方々の遺族の方が、とにかくもっともっとトラック事故がないような社会をつくってくれと、それにおいては、国土交通省は当然、運送会社の管理をしているわけですから、ぜひ監督をしっかりやって、こういった悲惨な事故が二度と起こらないようにしてくれということを訴えに来られたわけです。
 先日、私が関係している生命のメッセージ展というのも国会でやらせていただきました。その際、小泉総理もいらっしゃいまして、総理はことしの所信表明演説でも、交通事故を二〇一〇年までに半減させるというふうにおっしゃった。これは、私、公約じゃないかというふうにとらえているんですね。そういった意味で、国土交通省も総理の公約を果たすために大事な役割があるわけですので、ぜひ交通安全対策、トラック事故がないような、少しでも減らすような方向でやっていただきたいと思うんですけれども、総合的なことでちょっと一言お願いできますか。
扇国務大臣 これだけ交通が頻繁になり、なおかつ、高速道路でスピードも出ている。トラックは、スピードだけではなくて、過積載ということで、荷物を積み過ぎということもある。そういうことでのトラックの事故、今井上議員がおっしゃいましたように、一たび事故が起きたときには、大型ですからその被害も甚大であるということでは、少なくともこのトラック事故というものを、そして改めて営業用のトラックに対しての死亡事故、これは大体事故の八%がトラックでございます。
 そういう意味では、業者また運転手等々の教育のあり方、そして平成十三年の九月に安全規則を改正しまして、重大事故を惹起した運転手に対する特別な教育あるいは指導及び適性の診断の受診の義務づけ等々、並びに事故、違反を惹起した責任ある運行管理者に対する特別講習の義務づけなど、あらゆる面で新たな対策をとったというのが現実でございます。
 私は、今後もその改正法に基づいて事故が起こらないように、なおかつ本年の九月一日からは大型トラックにはスピードリミッターをつけるということにしております。スピードリミッターをつけますと、これは時速九十キロ以下に速度を制限するということになりますので、大型のトラックの事故というものも少しは減るのではないかということで、ハードとソフトと両面でトラック事故というものを抑制していく、また規制し、なおかつ安全にしていくということの柱を立てて、国土交通省も今後、指導していきたいと私は思っております。
井上(和)分科員 今、斉藤さんの交通事故の件をお話ししたんですが、そのときの運転手、加害者ですけれども、運送会社で働いているんですが、入社前後に、免停四回、人身事故一回、物損事故三回、信号無視と速度違反を六回、シートベルト義務違反三回、そういう交通違反を繰り返している。それがプロのドライバーとして雇われて、事故を起こした。事故を起こして不思議はないですよね。そういう意味で、本当に、できればこういう不適格な運転手を雇わないということをしっかりと運送業者に指導していただきたいと思います。
 そしてまた、大臣、ちょっと今スピードのリミッターのことをおっしゃいましたけれども、いろいろやはり業者なんか、反対が非常に強いと思うんですよね。本当に九月からやるんですか。(扇国務大臣「やるんです」と呼ぶ)やるんですね。では、それはもう確約をいただいたということで、本日、どうも国土交通省、これで、関連として法務省、警察庁に質問を移らせていただきますので、もう結構でございます。大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、きょう午後一時から警察庁に質問をした際、私、ちょっと一件だけ納得できない点があるんです。
 交通局長にお伺いしたいんですけれども、千葉の根本健宏さんの検察送致の件で、局長は、いや、ちゃんと捜査して、検察庁に業務上過失致死と飲酒運転で送致したんだというふうにおっしゃいましたよね。だけれども、全交通事故は送致することになっているわけでしょう。交通事故なら、業務上過失致死ということで送致するわけですよね。だから別に、送致するのは当たり前であって、それと捜査がちゃんとやられていたかどうかとかいうのは別問題じゃないかと僕は思うんですよ。
 つまりは、検察に送致された後に、警察の非常にいいかげんな、恣意的な現場検証などの内容が、検察が実際に求刑を決める際とかそういうときに、非常にいいかげんなデータによって行われることによって、刑が軽くなるとかそういうことがあるわけでしょう。だから、さっきの局長の御答弁に関して納得できないんですが、どう思いますか。
属政府参考人 お答えいたします。
 きょう一時からいろいろ御質問ありましたけれども、千葉の事件につきましては、これはまだ検察庁の方に送っておりません。もう一つの方の、徳島県の方の事故だと思います。
 これにつきましては、徳島県警においては一生懸命いろいろ捜査をやって、業務上過失致死で立件をして送致しております。
井上(和)分科員 済みません、通告しなかったので、恐らく局長、誤解されていると思うんですけれども、千葉は送致されているんですよね。いかがですか。――送致されているんですよ。
 ただ、局長がお答えになったときに、僕が千葉県警の、要するに成田署の捜査が非常にいいかげんだったということを申し上げて、もっとちゃんと成田署の捜査ができたかどうか調べろと局長に申し上げたときに、局長は、いや、ちゃんと捜査して地検の方に送致してありますというふうにお答えになったんだけれども、結局すべての事件に関して地検に送致するわけでしょう、交通事故であるから、業務上過失致死として。
 だから、別にこのケースでしてあるからといって、捜査ができてちゃんとしたかどうかというのは別問題じゃないか、そういうことが私の質問なんですね。
属政府参考人 私、今申し上げましたのは、ちょっと勘違いをしておりまして、千葉の事件についても、平成十四年九月十一日に、千葉の地方検察庁に書類送致をしております。ただ、私が勘違いしておりましたけれども、検察庁の方でまだ処分が決まっていない、そういう状況であります。
 それで、交通事故が発生したときに、交通事故というのは、やはり過失がいろいろあるわけですね。その過失、例えばスピードの問題もありますし、前方不注意とかいろいろなケースがありますけれども、そういうものについて鑑識もやりながら、そしてまた目撃者を確保しながら、もちろん、事故の当事者から詳しく事情を聞きながら、そういう中で、こういう過失があるということを具体的に認定をして、それによって業務上過失致死あるいは致傷罪を立件して、それで送るということであります。
 ですから、そういうきちんとした過失を認定して、それと事故の因果関係を明確に立証しなければ、これはまた立件できないということで、その辺の捜査というのはそれぞれ各県が一生懸命捜査を尽くして送致をしている、そういう状況でございます。
井上(和)分科員 また繰り返しになるんですけれども、つまり、もう警察の手を離れて、検察に行ってしまいました、これから検察が捜査、それは当然の話ですけれども。ただ、その前に、僕は局長に申し上げたいのは、午後も言いましたけれども、要するに、被害者の方が検事の人から、この調査はおかしいよということを言われているわけですよね。目撃者の人も警察の取り扱いが全然おかしいと、あと、事故車を回収した人も、非常にすごいスピードで走っているということを言っているわけですよ。これだけ状況証拠的にいろいろおかしいのがあるのに、局長が、いや、もう完璧にやっていますというふうに言ったら、僕はこれはおかしいと思うんですよ、警察庁。そうでしょう。
属政府参考人 先ほど申し上げました千葉県の交通事故に関しまして、千葉県警が千葉地方検察庁にその事件を送った後にも、これは地方検察庁の方が総合的にいろいろな観点でまた事故を見られまして、こういう点についてさらに補充捜査をしてほしい、そういった話は当然ございます。そういうことも踏まえて補充捜査もやっているわけでありまして、そういうことで、すべてが全部終わって、送ったら後は何もしない、そういうものではございません。これは、検察庁とよく調整をしながら、協議をしながら、必要に応じて補充捜査もやっているという状況でございます。
井上(和)分科員 僕は以前、昨年でしたか、内閣委員会で奈良県警のいろいろな汚職とか交通のもみ消しとか、そういう話を質問したんですよ。その後たしか、警察庁の監督官ですか、監督される人がいますよね。その偉い人、警視長か何かの。その人といろいろ話す機会があって、いや、大丈夫です、ちゃんと検査しましたということを言ってきたわけですよ。その後、何とか部長が、奈良県警の部長が自殺したとか、いろいろな話が出てきたわけです。
 つまり、皆さんが、いや、ちゃんと大丈夫ですよと言うのは、僕は全然信用できない、はっきり言って。だから、信用できないからこそ、僕はぜひ、これだけのいろいろなおかしいという状況、もう素人が聞いたっておかしいと思うわけですよ。そういう状況にあるんだから、少なくとも、調査に乗り出すべきじゃないかということを言わないと、そういうことをしておかないと、後で結局、全然いいかげんなことをやったことが出てくると、やはり僕は警察の威信にかかわると思うんですよ、信用に。
 僕はこれだけもう国会で言っているわけだから、この問題に関して、おかしいんだと。それでなおかつ、検察がやってみて、もう成田署はめちゃくちゃなことをやっていたということになったら、これは大変な問題になりますよということを僕はもう一回申し上げて、次の問題に移らせていただきます。
 先ほど、トラック事故の件で、大臣も、とにかくリミッターを入れる、これはもう絶対やられるということを約束されましたから、これはかなり交通事故を減らすことにはなると僕は思うんですが、やはり、制限速度を守らせるということは交通事故をなくすための基本だと思うんですよね。だから、ぜひ、また午後にも申し上げましたけれども、やはり制限速度を守らせるような取り締まりを強化していくということが必要だと思うんですけれども、どうでしょうか、大型トラックに関して。
属政府参考人 制限速度をきちんと守るということは、交通事故防止上非常に大事だと思います。御指摘のように、特に大型トラックなんか、スピードが高くなればなるほど事故が起こったときの衝撃度というのは非常に大きくなります。そういうことも含めまして、警察といたしましても、特にトラックによる最高速度違反行為は重大事故に直結をするということから、いわゆるオービス、これは無人速度違反取り締まり装置、そういったものがありますけれども、各種の取り締まり資機材を十分に活用して取り締まりを徹底しておりまして、平成十四年中には、事業用の貨物自動車に係る最高速度違反を五万件余り検挙をしております。
 それと、やはり、そういう取り締まりをやることプラス、トラックの運転者が最高速度違反等の道路交通法違反行為を行う背景には、これは使用者による運行管理上の問題があるケースが非常にあるんです。もう何時から何時までにとにかくあそこに持っていけとか、そういうことを指示されるというケースも多くありますので、そうした最高速度違反等を下命容認した使用者を検挙する、そしてまた、最高速度違反等を防止するために必要な運行管理を行っていない使用者に対する是正のための指示を行う、さらには、使用者に対する自動車の使用制限命令を行う、そういった各種の施策をとりながら、使用者の背後責任の追及に努めているところであります。
 さらに、トラックの運転者の道路交通法違反等の違反行為、速度違反も当然含まれますけれども、そういった違反行為があった場合には、監督行政庁であります国土交通省に通知をする制度がございます。警察の方から通知をいたしまして、所要の行政措置を働きかける制度があります。そういったものを利用して、総合的にこういった速度違反が少なくなるように取り組んでいるところであります。
井上(和)分科員 では、丸山局長にちょっとお伺いしたいんですけれども、今属局長がおっしゃったように、やはり会社の方で、もっと早く運べとか、いついつまでに運べということで、どうしてもスピード違反してやるということが一つの要因になるとおっしゃったんですけれども、やはり今規制緩和で非常に競争がふえていますから、そういった意味で、運送業者が先ほど言ったような非常にひどい運転手を雇ったり、スピード違反を故意にやらせたりということが非常に多くなってくると思うんです。そういった意味では、やはり社会的規制をしっかりやらなきゃいけないと思うんですけれども、どういうふうに取り組んでいきますか。簡単で結構ですから。
丸山政府参考人 新しい貨物自動車運送事業法がこの四月から施行されるわけでございますけれども、この法律の眼目は、経済的規制の緩和、それから社会的規制の強化ということでございます。
 このために、統一的な監査方針、それから行政処分の基準を定めまして、違反を起こした事業者に対しては重点的に監査をするということをやるつもりでございます。それから、処分基準などはすべて公表しておりますが、その処分基準に基づきまして厳正な処分を行いまして、その結果はすべて公表しております。さらに、昨年の七月からは、私ども、地方の組織の組織再編を行いまして、監査部門の強化というものを行いまして、監査専門の組織を新たにつくったところでございます。なおまた、新しい貨物運送事業法の施行にあわせまして、処分基準をさらに強化していくことにしております。
 いずれにしましても、先生今おっしゃいましたように、事後チェック体制の強化、社会的規制の強化ということを通じまして、トラック事業の輸送の安全確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
井上(和)分科員 どうもありがとうございます。とにかく、しっかりやっていただいて、結果を出していただければと思います。
 制限速度の話に戻るんですけれども、属局長、制限速度というのは、守らせるべきものなんですか、それとも、ある程度守ればいいんですか。
属政府参考人 申し上げるまでもありませんけれども、交通安全を確保するためにも、速度規制はきちんと守られるべきものだ、そういうふうに当然のことながら思っております。(井上(和)分科員「現在、みんな守っているという認識ですか」と呼ぶ)
高鳥主査代理 井上君、発言を求めてやってください。
 井上君。
井上(和)分科員 現在、みんな守っているという認識でしょうか。守っていないなら、どうしたらいいんでしょうかね。属局長、お願いします。
属政府参考人 大変残念なことでありますけれども、規制速度をすべての運転者が守っているわけではないことは、交通違反取り締まりの中で速度違反の取り締まり件数が最も多いということからも明らかであります。
 ちなみに、平成十四年中には二百六十万件余りの最高速度違反を検挙しておりますが、これは、全違反取り締まり件数の三分の一以上を占めております。
 警察としては、全力を挙げて取り締まりに力を入れているわけでありますけれども、何といっても、車の数というのはもう八千万台を超えるわけで、もう非常に数多くありますし、道路も全国津々浦々まであるわけでありまして、やはり何といっても、この速度をきちんと守るということは、運転者の自覚が必要だというふうに思います。
 そのために、交通安全教育あるいは広報啓発活動を行って、速度規制が守られるように、運転者の自覚を促す点においても一生懸命取り組んでいるところであります。
井上(和)分科員 危険運転致死傷罪ができて、あと酒酔い関係の罰金が非常に厳しくなったということで、交通事故は減っているわけですよね。だから、私が思うには、とにかく制限速度をきちっと守らなくても、例えばそれプラス十キロぐらい超えたらきちっと取り締まるというような方針を決めた方がいいと僕は思うんですね。
 さっきオービスの話が出ましたけれども、例えば首都高速なんというのは、もうトラックだってみんな百キロぐらいで走っていますよね。オービスの場合は、三十キロオーバーとかそれぐらいじゃないと捕まえるということになっていないんですよね。御存じですか、オービスの件は。
属政府参考人 オービスがどの程度違反していたら検挙するかというのは、これは言ってみれば企業秘密みたいなものがありまして、ちょっと申し上げることは差し控えますけれども、それぞれの道路の交通の状況、あるいは交通事故の実態、違反の状況、そういったものを総合的に考えながら、各都道府県警察において適切にやるように努力をしているところだというふうに認識をしております。
井上(和)分科員 とにかく、少し考えてください、この件に関しては。皆さん、優秀な方が警察庁にはいるわけですから。
 次に、法務省にお伺いします。
 危険運転致死傷罪ができました。この前、遺族の方を法務省にもお連れしましたけれども、遺族の方が、危険運転致死傷罪ができても適用されない場合が多いんだと。実際に、家族を亡くされた方が、麻薬を使っていた、服用していた運転手に子供さんをひき殺された場合でも危険運転致死傷罪を適用されなかったということをおっしゃっていましたけれども、何でそうなんですか、法務省。
樋渡政府参考人 まず、法務省としましては、危険運転致死傷罪が設けられました経緯に照らしまして、危険運転致死傷罪を厳正に適用すべきであるとの観点から、危険運転致死傷罪施行後の運用状況について情報収集に努めますとともに、解釈に疑義が生じたような場合には、検察当局に対し立法時の資料を適宜提供するなどして、その解釈、運用に遺憾なきよう努めているところでございまして、今後とも、危険運転致死傷罪の適切な適用に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
 なお、現状についてどれぐらいの者を起訴しているかということを申し上げますと、まず、その起訴状況は、全国の検察庁からの法務省刑事局に対する報告によりますと、平成十三年十二月の改正法施行後、平成十四年十二月二十七日までの間におきまして、危険運転致死傷罪により二百八十六人を公判請求しており、そのうち四十八人が致死事案、二百三十八人が致傷事案であるということでございます。
 御指摘の点につきまして、危険運転致死傷罪が設けられた趣旨に照らせば、悪質危険な交通致死傷事案のうち同罪に当たるものにつきましては同罪を適用すべきことは当然でございますから、その趣旨は、改正法施行に当たり各検察官に周知徹底しているところでございます。
 そして、現に、先ほど申し上げました危険運転致死傷罪により公判請求した二百八十六人中百五十八人は、当初、業務上過失致死傷罪事件として受理したものでございまして、検察当局におきましては、鋭意証拠収集に努めて厳正な受件処理に努めているというふうに承知しております。
井上(和)分科員 この二百八十六件が多いのか少ないかということは私よくわからないんですけれども、ただ、遺族の方のお話を聞くと、どうも現場でためらいがあるんじゃないかということを私申し上げて、とにかく、今の業務上過失致死だと非常に軽い刑であると。
 余り時間がないんですけれども、ちょっと本に出ていた例なんですけれども、例えば、信号無視で、前方不注意で、酒気帯びで、ひき逃げでも懲役一年、人をひいて死んだ場合でもですね。要するに、その人はまだ前科一犯だと。そういうように、非常に何か刑が軽い、こういったことが交通事故が減らない原因の一つであると。逆に、危険運転致死傷罪ができて今減り出しているということは、やはり厳罰化がきいているということですからね。やはり、ある程度、何でもやれというわけじゃないですけれども、それは警察の方もきちっと捜査をして、立件できるものに関しては危険運転致死傷罪を適用するというふうにしていただきたいと思うんですね。
 交通事故が減らない一つの理由として、やはり交通事故の起訴率がぐっと下がったということを言っている方がいるんですけれども、局長はどう思いますか。
樋渡政府参考人 自動車等によります業務上過失致死傷事件のうち、業務上過失傷害事件の起訴率は、御指摘のとおり低下している状況にございますが、業務上過失致死事件の起訴率は、おおむね六〇から七〇%程度で推移していると承知しておりまして、一概に交通事犯の起訴率が低下しているわけではございません。
 しかし、業務上過失傷害事件の起訴率が低下していることは事実でございまして、それにつきましては、現代社会におきまして一般市民が日常生活を営む上で起こすことが少なくないこの種事犯のうち、傷害の程度が軽微で、特段の悪質性も認められず、被害者も特に処罰を望まないような事案につきましては起訴猶予処分の弾力的運用を図ることとする一方で、重大ないし悪質な事案について厳正に対処することとしまして、寛厳よろしきを得た適正な処理を行っているということの結果であろうというふうに思っております。
井上(和)分科員 それはそうだと思うんですけれども、きょう午後に申し上げた野口さんのケースのように、実際には、死亡事故であっても不起訴になっているということが多い。また私の知る範囲は、少なくとも私どもに訴えてこられる方はそういう例が非常にあるということはぜひ御理解いただいて、厳正な捜査をやっていただきたいと思います。
 それでは、ちょうどいい機会なので、午前中聞けなかった、局長、不起訴になる一つの理由に、これは当然、検事なり副検事が裁判に勝たなきゃいけないということがあるわけですよね。そうすると、きちっとした証拠がなきゃ裁判官は検察側が正しいとは認めないですよね。そうなりますと、やはり警察の交通事故の捜査というものが物すごく大事になってくると思うんですよね。今の問題点は、やはりそこの捜査が弱いから検察官がなかなか起訴できないと。きょう午後私も言ったように、車のスピードが何キロだったかもはっきり科学的に立証していない、これは野口さんの件ですけれども。そういうことがあるから不起訴になっちゃうんじゃないんですか。どう思いますか。
高鳥主査代理 そろそろ時間、終わっておりますので。
井上(和)分科員 はい、これで最後にしますので。
樋渡政府参考人 個々の検察官は、具体的事案におきまして、精いっぱい、一生懸命捜査を尽くした上で処分を決しているというふうに信じておりますが、御指摘のような批判を受けないように、さらに向上するように努力をさせていきたいと思っております。
井上(和)分科員 これは警察の問題なので、もう時間がないですけれども、また別の機会に取り上げたいと思います。ぜひ、属さん、そちらの捜査の方もしっかりとやるような体制をつくっていただきたいと思います。
 これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
高鳥主査代理 これにて井上和雄君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十八日午前九時より本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.